花丸「喫茶花丸」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:23:06.57 ID:xz1J9Lo7O
静岡県の東部。沼津駅前の商店街裏の一角にその店は位置していた。

この木張りの喫茶店に別段変わった売りは無く、店主が年若い娘な事と店の端に位置する本棚にびっしりと詰め込まれた本の数々…それくらいのものだった。

店主が客へ出すのはコーヒーではなく…慣れ親しんでいるという理由でもっぱら緑茶やほうじ茶など茶の部類を手作りの菓子にいつも添えていた。

駅前に位置しているものの立地の関係で客入りはそれほどでもなく…普段は店主一人で店をやりくりできる程度。

もっとも、店主自身は繁盛や売り上げの拡大に全く頓着しておらず、その日の暮らしが出来て、後ちょっぴり美味しいものが食べられさえすれば気にしない…そんな人間だった。



これらの話はそんな片田舎のちっぽけな喫茶店とその店主、そしてその周りで起きたとりとめのない日常である。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530782586
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 18:24:10.65 ID:xz1J9Lo7O
カランカラン



果南「こんにちは、やってる?」

花丸「あ!果南ちゃん!…うん、ちょっと早いけど準備終わってるから大丈夫だよ」

果南「あ、時間まだだったんだ…ごめんね」

花丸「うう…ほら、カウンターにどうぞ」

果南「お、それじゃあ失礼して…っと」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:25:21.21 ID:xz1J9Lo7O
花丸「何か食べる?」

果南「うーん、そうだね……お腹はそれなり空いてるんだけど…」

花丸「お店開けたばっかりだから…全部出来立て中の出来立てだよ!」

果南「……うーん……あ、そうだ」

花丸「……?」

果南「そういえば……花丸に食べさせて欲しいものがあるんだけど」

花丸「なになに、どうしたの?」

果南「実はね……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:26:04.71 ID:xz1J9Lo7O

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(電話中)


鞠莉『今度のお休み…三人でどこか行かない!?』


果南「私は構わないけど…ダイヤは?」


ダイヤ『わたくしも特に用事は有りませんが……どこかアテでもあるのですか?』

鞠莉『ええ、実は食べたいものがあるのよ〜!』

果南「……食べたいもの?」

鞠莉『それはね……』

果南「それは…?」

ダイヤ『……なんですの?』



鞠莉『そう!パンケーキよ!』
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:27:41.44 ID:xz1J9Lo7O
ダイヤ『パンケーキって……あなたしょっちゅう食べてそうですけど』

鞠莉『いや〜それが無くて……一度でいいから食べてみたいのよー…ほら、華の女子高生の頃あんなの出すお店無かったから』

ダイヤ『まあ確かに……それにしても女子高生って…何年前の話してますの…』

果南「…………」

鞠莉『果南…?』

ダイヤ『果南さん…どうかしましたか?』

果南「あ……あはは…何でもないよ…」

鞠莉『……そう?ならいいけど…』

果南「私はダイヤがいいなら行くけど…ダイヤな?」

ダイヤ『ええ、構いませんわ』

鞠莉『OK!じゃあ次の祝日までにお店リサーチしておくわね!』
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:28:30.75 ID:xz1J9Lo7O
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果南「……なんて事があったんだけど…」

花丸「ふんふん、三人とも仲が良くて羨ましいずら……でもそれがどうかしたの?」

果南「あー……問題はそのパンケーキなんだけど…」

花丸「パンケーキが問題…?」

果南「その、さ………」

花丸「……?」




果南「パンケーキって……女の子っぽくない?」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:29:27.31 ID:xz1J9Lo7O
花丸「…………果南ちゃん女の子だよね?」

果南「いや、それはそうなんだけど……なんていうか"ザ・女の子"っていうか…甘いのガッツリっていうのがどうも…」

花丸「なるほ…ど…?」

果南「後……鞠莉もちょっと言ってたけど響きが都会の女子高生っぽいっていうか…」

花丸「………まあ分からないでもないけど…」

果南「だからちょっと緊張するっていうか…そもそも行儀よく食べられるかなって…あの二人何だかんだで作法はバッチリだし」

花丸「あー……長く一緒にいると忘れそうになるけど…二人ともお嬢様だもんね…」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:30:20.26 ID:xz1J9Lo7O

果南「だからさ、一回ここでパンケーキ食べさせてくれないかな…」

花丸「そっかー…パンケーキかぁ…」

果南「お願い!私を助けると思って!」

花丸「大袈裟だなぁ果南ちゃん……分かったずら」

果南「え…それなら…!」





花丸「うん!マルがバッチリ、果南ちゃんにパンケーキつくってあげるずら!」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:30:58.60 ID:xz1J9Lo7O
花丸「……と大見得切っちゃったけど…どうしようかなぁ…」


花丸「(お茶菓子にクッキー焼いたりする事はあるけどパンケーキなんてあんまり作ったことないずら…それに果南ちゃんあんまり甘いの得意じゃなさそうだし……)」


花丸「クッキーに使ってたやつでなんか使えそうな材料は…っと…………ん?」






花丸「…………これずら!これなら上手くいくかもしれないずら!」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:31:40.88 ID:xz1J9Lo7O

花丸「(薄力粉にベーキングパウダー、上白糖と塩を少し入れて混ぜ合わせる)」

花丸「(次に卵の黄身と白身を分けて黄身の方にバニラ、牛乳、サラダ油を入れて混ぜ合わせ、さっきの粉に投入する)」


花丸「ここで一手間、分けた白身をひたすら混ぜてメレンゲを作る……っと」カシャカシャカシャ

花丸「(卵をまるごと全部混ぜるより遥かに大変だけど……出来上がりがよりふんわり仕上がる…ずら…!)」カシャカシャカシャ




花丸「はぁ…はぁ……いつやってもメレンゲを作るのは…疲れるずら」カシャカシャカシャ
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:32:12.53 ID:xz1J9Lo7O
花丸「(出来上がったメレンゲを潰さないように優しく生地に流し込み混ぜ合わせる)」


花丸「ここで…今回は特別に"これ"を入れるずら…味を壊さないように少しだけ…」


花丸「混ぜ合わせた生地が滑らかになったら後は焼くだけ!…本当は型で焼くのがいいんだけど無いから…アルミホイルで型を作るずら」


花丸「(弱めの中火でじっくり……しっかり中まで火が通って膨らみきるのを見計らって…)」





花丸「うん、バッチリ!完成ずら!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:33:28.25 ID:xz1J9Lo7O
花丸「果南ちゃん!お待たせ、パンケーキセットずら!」

果南「おー戻って来たね…お茶とパンケーキ…すごくいい匂いする…」


花丸「どうぞ!花丸特製パンケーキずら!」


13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:34:17.14 ID:xz1J9Lo7O
果南「すごくいい香り…それにメープルシロップと一緒に上に乗ってるやつは…なんだろ?」

花丸「まあまあ、食べてみればわかるずら!」

果南「確かに…それじゃあいただきます!」

果南「………んむっ…もぐ…」

花丸「……どうずら?」




果南「うん、美味しいよ!」

花丸「よかった〜……!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:34:57.18 ID:xz1J9Lo7O
果南「上に乗ってるのは…生姜かな?」

花丸「そうずら、ジンジャークッキーを思い出して入れてみたんだけど……」

果南「うん、甘すぎなくてサッパリ美味しいよ…」

花丸「えへへ…果南ちゃんのお墨付きずら」

果南「このお茶は…緑だし日本のお茶…?紅茶じゃないんだね」

花丸「それは煎茶ずら…まあまあ一口」

果南「う、うん……じゃあ…」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:35:33.06 ID:xz1J9Lo7O
果南「…なにこれ!?」

花丸「ふふっ……ビックリした?」

果南「さわやかなんだけど香りが抜けるっていうか……とにかく凄くいい香りがする…」

花丸「神奈川で取れた香駿っていうお茶なんだけど…よく花の香りがするって言われてるずら」

果南「なるほど……今まで飲んだ事ある日本茶とちょっと違う…」

花丸「煎茶やほうじ茶は元々洋菓子に割と合うんだけど…このお茶はより一段甘みの強いお菓子に合う気がするずら」

果南「ほえー……すごいね花丸は…こんな事まで知ってるんだ」

花丸「えへへ、マルがお家で緑茶ばっか飲んでて…紅茶に馴染みが無かったから…探したずら」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:36:08.77 ID:xz1J9Lo7O
果南「ふう…ご馳走さま、美味しかったよ!」

花丸「お粗末様でした…果南ちゃんが気に入ってくれたならなによりずら」

果南「うん、これで鞠莉達と行くパンケーキもおいしく食べられそうだよ」

花丸「それは何よりずら…ゆっくり、おいしく食べるお菓子が一番ずら」

果南「うんうん…あ、お茶もう一杯貰える?」


花丸「ふふっ……かしこまったずら!」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:37:07.23 ID:xz1J9Lo7O

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その後、週末



花丸「はぁー……やっぱり皿洗いが一番骨が折れるずら……食洗機買えたらなぁ…」

花丸「(今頃…果南ちゃん達は今頃遊びに出かけるのかなぁ…)」




花丸「……お店のを食べに行ったらなら…もうあのパンケーキは出す事は無い、か」

花丸「(果南ちゃんがおいしく食べてくれたのは嬉しかったけど……それはちょっぴり、寂しいかも)」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:38:49.25 ID:xz1J9Lo7O

カランカラン


花丸「あ、いらっしゃいませー!」




鞠莉「ハロー!花丸!」

ダイヤ「こんにちは、花丸さん」

果南「……やっほ」

花丸「……あれ!?鞠莉ちゃん達…?今日はお出かけだって…」



鞠莉「いやー…それがね?私達パンケーキ食べに行こうとしたのよ?でもね」

ダイヤ「果南さんが……花丸さんの所で食べたのが美味しかったってあまりにも自慢げに言うものですから…」

鞠莉「だから…気になって来ちゃったの!」

花丸「果南ちゃんが……?」

果南「あはは……」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:39:46.67 ID:xz1J9Lo7O
果南「花丸ごめん………という訳なんだけど…また食べさせてくれる?」

花丸「ふふっ……」

果南「……花丸?」





花丸「もちろん!マルにお任せずら!」




#1「パンケーキと生姜と松浦果南」

おわり
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:40:28.59 ID:xz1J9Lo7O


善子「よっと……やってる?」

花丸「あ、善子ちゃん…うん、カウンターどうぞ」

善子「そう…お邪魔するわ」

花丸「…………?」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:40:57.81 ID:xz1J9Lo7O
花丸「はい!お水どうぞ」

善子「ありがと……」

花丸「外、暑かったでしょう?朝ちょっと覗いた時もうカンカン照りだったずら」

善子「ええ……そうね」

花丸「……善子ちゃん…大丈夫…?元気なさそうだけど…」

善子「あぁ……うん、ちょっとね…」

花丸「マルじゃ頼りないかもだけど…良かったらなんでも聞くよ」

善子「……こんな事言うと笑われるかもしれないけど…」

花丸「笑わないよ、善子ちゃん」

善子「…………そう…優しいわね」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:41:49.90 ID:xz1J9Lo7O
善子「私達…昔はなんていうか…頑張ってたじゃない…アイドルやったり…学校を救おう!なんて躍起になったり…」

花丸「………うん」

善子「夢、なんて大層な物じゃないけど…目標みたいなのが無いのよ今の私には」

花丸「………でも、今善子ちゃんは目標にしてるところに入れたって……立派にお仕事頑張ってるずら…」

善子「……もちろん、何もしてないつもりは無いけど…なんていうか」

善子「ただただ同じ場所で同じように時間を過ごしてるだけな気がして…時々堪らなく、怖いの」

花丸「…………」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:42:48.32 ID:xz1J9Lo7O
善子「悪いわね、愚痴みたいな事言っちゃって……酒も入ってないのに…」

花丸「……ううん、大丈夫ずら」

善子「最近はあんまり食欲もなくてね…ま、これは暑さのせいでもあるんだけど」



花丸「……ならマルが何か作ってあげるずら!」

善子「ずら丸が…?」

花丸「うん!善子ちゃんが少しでも元気になれるようなご飯を作ってあげるずら」

善子「……じゃあ頼むわ…メニューはずら丸に任せる」

花丸「うん!マルにお任せずら!」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:44:04.37 ID:xz1J9Lo7O

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花丸「元気がない善子ちゃんを元気にする料理……栄養がある物がいいかな?」

花丸「あと善子ちゃん…辛いものが好きだっけ…うん、食欲も湧きそうだし辛いものがきっといいずら」

花丸「冷蔵庫にあるものは…っと」

花丸「豆腐に葉物……あとパスタ用の魚介が少し……ん?」





花丸「……これずら、これならきっと元気になって貰えるずら!」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:45:16.86 ID:xz1J9Lo7O
花丸「さて、始めるずら!」


花丸「今回作るのは麻婆豆腐…ポピュラーな中華料理ずら」

花丸「まずはフライパンで油を火にかけてにんにく、生姜、唐辛子を加えて油に香辛料の風味を移していくずら……今回はちょっぴり生姜多めにするずら」


花丸「それを待つ間に…鍋いっぱいに水を張って塩を少々入れて沸かしていく…沸騰したら豆腐を入れて火を通す為のお湯ずら、豆腐を茹でると中の水が抜けて味が染みやすくなるずら」

花丸「ニンニクの色が変わって風味が油に移ったら……いよいよお肉を炒めていく…と言いたいところだけど…今回は違う食材を使うずら!」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:49:06.83 ID:xz1J9Lo7O

花丸「それはこれ、牡蠣!」




花丸「牡蠣には冬が旬のイメージがあるけど岩牡蠣の旬は夏!栄養たっぷりずら」

花丸「牡蠣に小麦粉を軽くまぶして…さっきのフライパンに投入!そこに豆板醤と甜麺醤を加えるずら……豆板醤は入れすぎると辛くなるけど…善子ちゃんなら大丈夫かな?」


花丸「火を通しすぎないよう軽く焼き色が付いたらパスタ用に取っておいた魚介出汁と醤油を少しを加えて……ここで茹でておいた豆腐を入れるずら」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:51:15.02 ID:xz1J9Lo7O
花丸「うん、あとは火を弱めにして豆腐に旨味が移るのを待って、片栗粉を溶いたスープでちょっと強めにとろみをつける……うぅ…片栗粉の塩梅が一番難しいずら…」

花丸「そして最後にラー油を少し回しかけて…超強火で少しの間鍋を熱する!」

花丸「これをする事で油たっぷりの中華料理でもしつこくなく美味しく食べられるずら」




花丸「よし、完成ずら!」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:52:17.95 ID:xz1J9Lo7O
花丸「おまたせ、善子ちゃん!」




善子「これは麻婆豆腐……でもこれって…牡蠣…?」

花丸「うん、牡蠣入り麻婆豆腐ずら!ほらほら、この山椒をかけて熱いうちに」

善子「わ、分かったわよ……頂きます…」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:53:21.10 ID:xz1J9Lo7O

善子「もぐもぐ………」

花丸「……どうずら?」

善子「これ美味しいわね!……ピリッと辛いけど牡蠣の旨味がしっかりしてるから…幾らでも食べられそう」

花丸「……よかったずら」

善子「山椒もそうだけど……結構生姜が強くて…食べてると汗が出てくるわ」

花丸「麻婆豆腐は中華料理だけど……具材の美味しさを豆腐に戻すって考え方はなんだかちょっと…和食的な心を感じるずら」

善子「牡蠣と豆腐だからスルッと食べられて…それでいて旨味と辛味がしっかりしてる…ずら丸結構やるわね」

花丸「えへへ…お褒めにあずかり光栄ずら」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:54:37.82 ID:xz1J9Lo7O

花丸「善子ちゃん」

善子「……?何よずら丸」

花丸「牡蠣は動かない貝ずら、激しい波に打たれてもジッと岩場に留まってひたすら栄養をその身に蓄えるずら」

花丸「その結果貝殻は頑強に育ち、その蓄えられた生命力で水から揚げても一週間は生きていられるらしいずら」

善子「へぇ…意外と丈夫なのね」

花丸「だから…ジッと耐えて蓄えた経験はきっと善子ちゃんの糧になるずら、今は目に見えなくてもきっと善子ちゃんの栄養になってるずら」

善子「………」

花丸「オラもそうずら…社会に出なくちゃいけない、自分に何が出来るか考えた時…頼ったのは食べる事ずら」



花丸「オラは自分が牡蠣を食べたくてこの料理を覚えたずら……案外、どこで何が為になるのか…分からないものだよ」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:55:55.72 ID:xz1J9Lo7O
花丸「………なんてね、ちょっとお喋りし過ぎたずら」

善子「……ありがとずら丸、ちょっと元気出た」

花丸「ふふっ、麻婆豆腐冷めちゃうよ?」

善子「おっと、そうね……早めに頂くわ」



善子「もぐ……これ、ご飯にも合いそうね」

花丸「そりゃあ麻婆豆腐だからね……でも今日は炊いてないずら…」

善子「………そう、残念ね…」

花丸「ごめんね、最初にオラが気付いていれば早炊きで間に合ったかもしれないのに…」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:57:41.49 ID:xz1J9Lo7O

善子「……次、来週来るから」




花丸「へ……?」

善子「………来週来るから、ご飯とこれ……用意しておきなさい」

花丸「……………ふふっ…」

善子「……何よずら丸、言いたいことあるなら言いなさいよ」

花丸「ううん、何でも?」

善子「………全く…はむっ……」



花丸「ふふっ………また来週、お待ちしてるずら!」




#2 「麻婆と牡蠣と津島善子」

おわり
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:58:16.91 ID:xz1J9Lo7O
千歌「こんにちは〜!」

曜「こんにちは、花丸ちゃん」

花丸「あ…二人とも、いらっしゃいませ!」

千歌「今日は暑いねぇ……ちょっと外歩いただけで汗だくだよ…」

曜「……千歌ちゃんが新しい日傘持ってくるって言って結局忘れたからでしょ」

千歌「……そんなこと言ってないもん」

曜「いやいや…言ってたでしょ」

花丸「ふふっ……さあ、座って?今お冷出すずら」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:58:51.84 ID:xz1J9Lo7O
花丸「はい、お冷とおしぼりずら」

千歌「ありがとう花丸ちゃん……んくっんくっ…ぷはぁ!!うまい!」

曜「千歌ちゃん早っ…!」

花丸「本当に暑かったんだね…ほい、もう一杯注ぐね…」

千歌「花丸ちゃんありがとー……ホント灼熱だったよ…」

曜「まだ夏始まったばかりなのにね〜……」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 18:59:43.16 ID:xz1J9Lo7O
花丸「そういえば、電話で言ってたマルに相談って何ずら?」

千歌「あ、そうそう!その事で来たんだよ!すっかり忘れてた!」

曜「千歌ちゃん……」

花丸「マルに出来ることなんてそんなにないけど……力になれる事ならお手伝いしたいずら」





千歌「実はね…来週末に梨子ちゃんが久々に帰ってくるんだ!」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:00:37.04 ID:xz1J9Lo7O
花丸「梨子ちゃん…確か一年くらい海外に音楽のお勉強しに行ってたんだっけ…?」

千歌「そうだよ!どこだっかな……オーストラリア…だっけ…忘れちゃった!」

曜「オーストリアだよ、千歌ちゃん……」

花丸「あはは……」

曜「それでね…ここからが花丸ちゃんにしか頼めないお願いなんだけど…」

千歌「失礼を承知でお願い致します……」

花丸「…………?」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:01:30.11 ID:xz1J9Lo7O

花丸「えーっと……つまり梨子ちゃんを迎えるにあたっておかえり会用の料理作りを教えてほしい…って事?」

千歌「プロの花丸ちゃんにお願いするのは失礼かと存じておりますが何卒寛大な処置をお願いしたく……」

花丸「うん、いいよ」

曜「いいんだ!?」

花丸「うん……というかマルの料理はマルが食べたくて覚えた事が殆どの我流だから……そんな畏まらなくてもいいずら」


千歌「ありがとう花丸ちゃん…天使!菩薩!」

曜「………宗教がグチャグチャだよ、千歌ちゃん」


千歌「曜ちゃんのツッコミ……最近キレがない」

曜「…………そんなことないもん」

花丸「(…地味にショック受けてるずら)」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:02:18.62 ID:xz1J9Lo7O

花丸「じゃあ、早速練習しよっか…!」

千歌「料理は花丸先生にお任せします!」

花丸「なるほど…料理の練習はまず好きな物を作る事が一番楽なんだけど…」

曜「おお…なんかそれっぽい」

花丸「やっぱり触ったり香りを嗅ぐことになるから…苦手なものだと辛いずら、後…好きなものだと食べておいしい」

曜「好きなものかぁ……」

千歌「みかん!」

曜「それじゃ料理にならないって…千歌ちゃん」






花丸「………いや、それずら!そういえばアレがあったずら!」

千歌「……?」

曜「……花丸ちゃん…?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:02:50.71 ID:xz1J9Lo7O
花丸「今から作るのは、祝い事の定番…ケーキずら」

千歌「ケーキ…!いいね!」

曜「さっき何か使うみたいな事言ってたけど…何を使うの?」

花丸「それは……コレずら!」

千歌「おお…!箱一杯のみかん!」

曜「しかも、これって……」



花丸「そう!我らが故郷の味、寿太郎みかんずら!」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:03:30.62 ID:xz1J9Lo7O
千歌「みかんにケーキ…絶対美味しいよ!」

花丸「家でパクパク食べてたこの寿太郎みかんも飲食店として仕入れてみれば普通のみかんの三倍の値段…ありがたみを感じるずら…」

曜「ええ…いいの?これお店のなんじゃないの?」

花丸「もちろん!大切な友達を迎えるため、喜んで使わせてもらうずら!」

千歌「流石花丸ちゃん!日本一!大好き!」





花丸「……それにお店暇な時ちょくちょく食べてるから…今更ずら」

曜「……あはは…それはいいのか…な?」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:04:05.53 ID:xz1J9Lo7O
花丸「それでは早速始めていくずら…まず寿太郎みかんの皮剥きをしていくずら」

千歌「うーん…!もういい香り!このまま食べてもおいしそう!」

曜「それもうただのみかんだから…」

花丸「流石は上等みかん、香りがいいずらね……さて、ここからコンポートを作っていくずら」

千歌「コンポート…?」

曜「なんか…果物を砂糖で煮たやつ…だっけ?」

花丸「そう!よくお店のケーキとかに乗ってるやつずら」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:04:38.81 ID:xz1J9Lo7O

花丸「お水にお砂糖を加えてまるごとの寿太郎みかんを弱火で煮込んでいくよ……元々寿太郎みかんの甘みが強いからお砂糖は少し控えめずら」

千歌「花丸ちゃん…このビンは?」

花丸「オレンジリキュールずら、これも少し入れて…っと…」

曜「わぁ…!すごくいい香り!」

花丸「オレンジリキュールは柑橘系のものにも生クリームにも良く合うからバッチリずら、アルコールが苦手なら量に気を付けた方がいいけど……」

千歌「うーん!なんだか…オトナな香りがする!」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:05:16.55 ID:xz1J9Lo7O
花丸「みかんが煮えたら粗熱をとった後冷蔵庫で冷やしてっと…さて、その間に生地を作っていくずら」

曜「生地の材料は…これかな?」

花丸「そうずら、まず卵を黄身と白身に分けて…白身を泡だててメレンゲを作るんだけど…千歌ちゃんにお願いするずら!」

千歌「はい!何をすれば良いですか!」

花丸「この白身をひたすら混ぜて欲しいずら」

千歌「了解!」シャカシャカシャカシャカ

花丸「千歌ちゃんがメレンゲを作ってくれてる間に黄身と砂糖をボウルに入れて混ぜていくずら」

曜「あ、私やりたい!」

花丸「よし、なら曜ちゃんに黄身はお任せするずら、トロリとするまでかき混ぜてね」

曜「了解であります!」シャカシャカシャカ
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:05:54.35 ID:xz1J9Lo7O

花丸「両方の卵が混ぜ終わったらメレンゲを潰さないようさっくりと混ぜて、ふるいにかけた薄力粉を加えるずら」

曜「おお…生地っぽくなってきたね…!」

千歌「ハァ…ハァ………なんで……曜ちゃんは私と同じだけ混ぜたのにそんな余裕なの……」







花丸「優しく混ぜながら牛乳を加えて馴染ませたら型に生地を流し込むずら」

曜「この型は……?」

花丸「バットにクッキングシートを敷いたものずら……さて!後は180℃に熱したオープンに入れてっと…12分待つずら…その間に…」

曜「その間に…?」

花丸「生クリームを混ぜて泡立てるんだけど…」チラッ

千歌「……ごめんなさい…もう勘弁してください…」

曜「あはは……」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:06:38.40 ID:xz1J9Lo7O

花丸「生地が焼きあがったずら!」

千歌「わあ!ふんわりして…おいしそう…」

曜「なんだろう…たまごの香り…?すごくいい匂いがするね」

花丸「一旦この生地を冷まして…クリームを塗っていくずら」

千歌「でもこのスポンジ…そのまま食べるにはちょっと……」

曜「なんだか…ちょっと薄いよね…」

花丸「大丈夫ずら、クリームを満遍なく塗り終わったら……お待ちかね、コンポートにしていた寿太郎みかんをまるごと並べていくずら」

千歌「これ…一個!?」

曜「………迫力がすごいね」
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:07:38.66 ID:xz1J9Lo7O
花丸「並べ終わったら最後の仕上げ!クッキングシートごとくるっと丸めて…」

千歌「あー!分かった!」

曜「なるほど…!ロールケーキだね!」

花丸「そうずら!巻き終わったら一人分ずつに切り分ければ…」

千歌「わ、綺麗な模様…!なんかお花みたい!」




花丸「みかんロールケーキ、完成ずら!」


47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:08:37.35 ID:xz1J9Lo7O

花丸「それではお待ちかね、実食タイムずら!」

千歌「いただきまーす……んむっ……うん!おいしい!」

曜「まるごと齧り付くとみかんの果汁が口いっぱいに広がって…幸せ…」

千歌「生地もふわふわで…いくらでも食べられそう…!」


花丸「……ふふっ…生地が柔らかななのは千歌ちゃんが頑張って白身をかき混ぜたからずら」

千歌「あの努力がここに生きてるのか…報われたよ…」

曜「…口いっぱいにみかんとクリームの甘みを感じて…柑橘の爽やかな香りが広がるよ」


花丸「どれ…マルも一口……うん、バッチリの出来ずら!」

千歌「完食しました!」

曜「千歌ちゃん早ッ!?」

花丸「ふふふ、まだまだあるよ…これが自分達で作った時の特権ずら」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:09:35.24 ID:xz1J9Lo7O





千歌「ふー…お腹いっぱい…!」

曜「おいしかったねー…これで梨子ちゃんにも満足して貰えそうだね!」

千歌「…………うん、そうだね」

曜「………さては千歌ちゃん、忘れてたね」

千歌「……ソンナコトナイヨ」

花丸「来週も作るならお店の厨房使う?」

曜「いいの…花丸ちゃん?」

花丸「開店前なら先に準備を終えておくから大丈夫ずら」

千歌「ありがとう花丸ちゃん……恩にきるよ」


花丸「ふふっ…次はあんまり手伝わないずら、二人でしっかり作るんだよ」

曜「了解であります!…千歌ちゃん頑張ろうね…!」

千歌「うん、曜ちゃん!」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:10:49.36 ID:xz1J9Lo7O
───────

─────

───

次の週、週末


千歌「大丈夫かなぁ……」

曜「花丸ちゃんが教えてくれた通りにやれば大丈夫だよ…!」

千歌「お願いだから…卵を混ぜるやつは曜ちゃんやってね…」

曜「よっぽど疲れたんだね…それ」

千歌「腕がもげるかと思った……」

曜「アホなこと言ってないで…ほら、花丸ちゃんのお店に着いたよ」

千歌「最近心なしか容赦ないね…曜ちゃん…」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:11:42.71 ID:xz1J9Lo7O

カランカラン

千歌「こんにちはーー!」



梨子「久しぶり…曜ちゃん、千歌ちゃん」


千歌「梨子ちゃん!?」

曜「え…なんで……なんで!?」

梨子「もう…二人とも遅いわよ…先にエプロン着て待ってたわよ」

千歌「え……ん?え!?」

曜「千歌ちゃん変な声しかだしてないよ……気持ちは分かるけど…」






花丸「ふふっ…びっくりしたずら?」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:12:26.20 ID:xz1J9Lo7O

千歌「花丸ちゃん!どういうこと!?」

曜「そうだよ!とりあえず……どういうこと!?」

花丸「完全に混乱してるずら」

梨子「あはは………」






花丸「順に話していくずら、実はね……」





───────

─────

───
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:13:10.20 ID:xz1J9Lo7O

昨日


カランカラン

花丸「いらっしゃいませ〜!」



梨子「こんにちは、花丸ちゃん」

花丸「え…!?梨子ちゃん?どうしてここへ!?帰って来るのは明日だって聞いてたずら……」

梨子「えへへ…一日早くお休みもらっちゃったから…早く日本へ帰ってきちゃった」

花丸「そうだったんだ…まあ、座って欲しいずら」

梨子「ふふ…お邪魔します…」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:14:54.81 ID:xz1J9Lo7O
梨子「それでね…私、花丸ちゃんに相談があるのよ」

花丸「…何ずら?」

梨子「実はね、曜ちゃんと千歌ちゃんがお帰り会をしてくれるらしいんだけど…私からもサプライズで何かしたいなって思うのよ」

花丸「うん…なるほど?」

梨子「それで…出来たら簡単に出来る料理とか教えてもらえたらいいんだけど……」

花丸「…………どこかで聞いた話ずら」

梨子「え…?なんて?」

花丸「ううん、なんでもないずら……それよりも梨子ちゃん一つ聞いてもいいずら?」

梨子「何かな、花丸ちゃん?」


花丸「…………その二人の好物と言えば何ずら?」

梨子「うーんと……みかんかな、四六時中食べてた気がするし」

花丸「ふふっ………」

梨子「…どうしたの花丸ちゃん?」

花丸「…………だったら、こういう計画はどうずら…?」

梨子「……なになに?」

花丸「実はね……」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:15:33.92 ID:xz1J9Lo7O

───────

─────

───


花丸「…というのが事の顛末ずら」


千歌「なにさー!花丸ちゃん言ってくれればいいのに!」

梨子「ふふっ…内緒にしててって私が言ったのよ」

曜「もう…本当にびっくりしたよー……」

梨子「さあ、お喋りもいいけど…そろそろ始めましょう」

千歌「始めるって…何を…?」




梨子「何って…作るんでしょ?ロールケーキ」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:16:12.23 ID:xz1J9Lo7O
花丸「(……お互いに考えることが同じ…本当に仲良しさんずら)」



千歌「花丸ちゃーん!!ここから先全然分からないんだけど!!」

梨子「二人は先に練習したんじゃなかったの……」

曜「千歌ちゃん……」




花丸「ふふっ…………はーい!今いくずらー!」



#3「みかんと高海千歌と渡辺曜」

おわり
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:16:41.80 ID:xz1J9Lo7O
カランカラン

花丸「いらっしゃいませ〜!」




ルビィ「………」




花丸「ルビィ…ちゃん」

ルビィ「……久しぶりだね、花丸ちゃん」

花丸「うん、久しぶり……ずら」

ルビィ「座ってもいい?」

花丸「あ、うん……カウンターへどうぞ」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:17:10.91 ID:xz1J9Lo7O

花丸「ルビィちゃんが東京に出てからだから…何年ぶりずら?」

ルビィ「………いち…に……三年ぶりかな…?」

花丸「そっか…もっと空いてるかと思ったずら」

ルビィ「うん……いつも一緒だったからね」

花丸「ふふっ……懐かしいずら、ルビィちゃんアイドルになるって言って…今まで離れた事無かったから長く感じたずら」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:18:15.89 ID:xz1J9Lo7O
花丸「はい、おしぼりどうぞ…何か飲み物飲むずら?」

ルビィ「………花丸ちゃん、お酒ってある?」

花丸「……お酒…ずら?」

ルビィ「うん…ここが喫茶店なのは分かってるけど…ダメかな?」

花丸「……本当はここは喫茶店じゃなくてカフェだからお酒を出すことはできるずら、それに軽食とワインを飲みたいってお客さんもいるから…ちょっとだけなら置いてあるけど…」

ルビィ「喫茶店とカフェ…って違うの?」

花丸「カフェなら手の込んだ料理やお酒を提供出来るけど、喫茶店にはそれが出来ないずら…もっとも、名前に反映させる必要はないからここの名前は喫茶花丸だけど…」

ルビィ「……花丸ちゃん、詳しいんだね…」

花丸「ふふふ…今やマルはマスターずら!」

ルビィ「すごいなぁ…じゃあ、ワインと…何か花丸ちゃんのお任せでください」

花丸「はい、承ったずら!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:19:05.03 ID:xz1J9Lo7O
ルビィ「そうして包丁握ってると…なんだかかっこいいね、花丸ちゃん」

花丸「んー?そうずら?」トントントン

ルビィ「うん、職人!って感じだよ」

花丸「そっか…それは嬉しいずら、マルは将来的にダンディーなマスターを目指してるずら」

ルビィ「ふふっ……なにそれ」

花丸「あ、ワイン赤と白どっちがいいずら?」

ルビィ「あー……今花丸ちゃんが作ってくれてるのに合うのはどっち?」

花丸「うーん…きっと赤が合うずら…!」

ルビィ「じゃあ…赤ワイン貰えるかな?」

花丸「はいずら!」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:19:45.35 ID:xz1J9Lo7O

花丸「(オーリブオイル、にんにく、塩…それにブラックペッパー。これらを常温に戻した牛肉に満遍なく擦り込む)」

花丸「(後はオーブンで焼きあげるだけ、この時油を染み込ませたキッチンペーパーで包む事でパサつきを抑える事が出来る…)」

花丸「……ちょうど焼きあがる頃にルビィちゃんが来てくれてよかったずら……後はジャガイモを下処理してと……」





ルビィ「…………」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:20:57.96 ID:xz1J9Lo7O
花丸「はい、どうぞ」コトッ



ルビィ「わぁ…!すごい…これ、ローストビーフ?」

花丸「そうずら、ルビィちゃんの大好きだったおいもさんもあるよ」

ルビィ「……そっか、覚えててくれたんだね」

花丸「もちろん、前ルビィちゃん言ってたずら『おうちで唐翌揚げ粉使って揚げたおいもさんが一番好き』って…だからちょっぴりスパイシーに仕上げてあるずら」

ルビィ「ふふっ…本当に、よく覚えてるね…」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:21:42.69 ID:xz1J9Lo7O

花丸「元気が無い時には大好物にお肉、これが一番ずら」

ルビィ「…………」

花丸「……ルビィちゃん?」

ルビィ「……ルビィ、元気が無さそうに見えた?」

花丸「………昔のルビィちゃんとは、少し違う感じがしたずら……悲しんでるような、思い悩んでるような…マルはそんな顔してるように感じたずら」」

ルビィ「…………」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:23:13.33 ID:xz1J9Lo7O

花丸「ささっ、お芋が冷めないうちに早くたべるずら」

ルビィ「あ、うん……頂きます…」

ルビィ「うむうむ……」

花丸「……どうずら?」

ルビィ「うん…すごく旨味がしっかりしてて…おいしいよ、花丸ちゃん」

花丸「…よかったずら!」

ルビィ「……一緒にワインも貰おうかな」

花丸「マルはワインには詳しくないけど…確かチリ産…だったと思うずら」

ルビィ「………んむっ……うん、スッキリしてて飲みやすいよ」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:24:51.72 ID:xz1J9Lo7O

ルビィ「…………はむっ…あむっ……」

ルビィ「………んくっ……」

花丸「………」

ルビィ「……こくっ……んくっ……ぷはっ……ごちそうさま」

花丸「お粗末様ずら」

ルビィ「………ふぅ………花丸ちゃん…」

花丸「……何ずら、ルビィちゃん?」








ルビィ「…ルビィね、アイドルになれなかったんだ」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:25:29.00 ID:xz1J9Lo7O

花丸「…………」

ルビィ「……頑張って、頑張って、東京に出てアイドルになろうと思ったけど…ダメだった」

花丸「………マルは分かってたずら、ルビィちゃん言ってたもん、立派にアイドルになるまで帰って来ないって」

ルビィ「………うん、ごめんね?なれなかったのに、戻ってきちゃった」

花丸「……悪いことなんて、ないずら」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:26:00.74 ID:xz1J9Lo7O

ルビィ「……ルビィ、出て行く時は思ってたんだ…『やれるだけやろう、ボロボロになるまで頑張ってみよう』って…そう家族にも言って出てきた」


ルビィ「でもね、私は…恐ろしくなったんだ…次も、そのまた次もダメだったら…自分がこの先どうなってしまうのか…とにかく怖くて、前を向けなくなって……ボロボロになった果てが恐ろしくて、逃げ出してきちゃった」

花丸「そんな…ルビィちゃん…」

ルビィ「だからね……もうルビィには泣く資格も…もう、なくなっちゃったんだ…」

花丸「…………」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:27:14.86 ID:xz1J9Lo7O
花丸「ルビィちゃん、一つ聞いてもいい?」

ルビィ「………うん、花丸ちゃん」




花丸「…………わさび、食べられる様になったずら?」

ルビィ「……わさび…?」

花丸「ほら昔ダメだったから、回転寿司みんなで食べに行っても一人だけサビ抜きだったずら」

ルビィ「あぁ…ちょっぴりだけなら大丈夫になったけど…でもなんで?」

花丸「ワインがちょっぴり余ってるから冷蔵庫の余りでおつまみ、サービスするずら…ちょっと待ってて!」


ルビィ「あ…うん……」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:27:48.49 ID:xz1J9Lo7O

花丸「はい、ルビィちゃんどうぞ」

ルビィ「これは……?」

花丸「カマンベールチーズにオリーブオイル、上に摩り下ろしたわさびを乗せただけずら」

ルビィ「……花丸ちゃん……ルビィ、大丈夫にはなったけどまだそんなにわさび得意ではないよ…」

花丸「そっか…そうずらか……」

ルビィ「ごめんね花丸ちゃん…お寿司にちょっぴり入ってくるくらいなら食べられるけど……」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:29:17.76 ID:xz1J9Lo7O



花丸「……このわさびはマルがお茶漬けにしようと買ってきた…ここ静岡県産の高級品ずら」

花丸「わさびは香りが立つのは擦ってから3分から5分…こうして問答してる間にちょうど辛みのピークずら」

ルビィ「…?だから、ルビィはそんな直接食べられる程わさびは得意じゃ……」





花丸「そんな辛い辛いおつまみを苦手なルビィちゃんが食べたら…泣いちゃっても、仕方ないずら」

ルビィ「…………!」
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:30:01.29 ID:xz1J9Lo7O

ルビィ「…………いただきます」

花丸「…どうぞずら」




ルビィ「…………」パクッ

花丸「…………」






ルビィ「……花丸ちゃん」

花丸「なにずら?ルビィちゃん」

ルビィ「…………ルビィね、お歌もダンスの練習も一杯したんだ…特に歌うのが得意じゃなかったから…一杯頑張った」

花丸「…………うんうん」

ルビィ「お酒を飲むのも、お外に遊びに行くのも全部、全部我慢したんだ…」

花丸「………そっか」





ルビィ「必死で打ち込んで、出来るだけを全部ぶつけて頑張ってきたのに………それなのに…それなのに!!!どうして…!!!」ポロポロ

花丸「…………」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:31:04.83 ID:xz1J9Lo7O

──────

────

───

花丸「本当に大丈夫…?ワインまあまあの量飲んでたし…顔赤いよ?」

ルビィ「だいじょうぶ…だいじょうぶ……すぐそこでタクシー呼んで実家まで送ってもらうから」

花丸「……本当に大丈夫…?うちに泊まっていっても…」

ルビィ「…花丸ちゃんにもう迷惑かけられないよ」

花丸「迷惑だなんて…そんなこと……」

ルビィ「いいから…いいから……それじゃ、バイバイ」

花丸「あっ……バイバイ」






ルビィ「……ありがとうね、花丸ちゃん」

花丸「…………」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:32:04.00 ID:xz1J9Lo7O
花丸「さて、閉店作業しないと…すっかり遅くなっちゃったずら」

ルビィは追加でワインを数杯飲み干し、幼さの残る顔を真っ赤に染めた後店を去っていった。ルビィの去った店の中は夜も更けていた事もあり、いつもより静まり返っているように感じられた。






花丸「(ありがとう、か…………)」

夜遅いので扉を静かに開けて店の外に出る、夜更けの風が少し肌寒い。『開店中』と書かれた札を裏返し今日一日の営業を終える。

メニューの書かれた立て看板を片付けながら、花丸が思い起こしていたのはさっきまでいた親友の残した感謝の言葉とその切なげな顔だった。





#4 「ワインと山葵と黒澤ルビィ」

おわり
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:33:12.61 ID:xz1J9Lo7O
#5 エピローグ


ジリリリリリリリリリリリ!!!

花丸「んぅっ……誰ずら…こんな朝から……」

花丸「携帯、携帯っと……ポチッと…」


花丸「はい、もしもし?」







『ちょっと!!!!どうなってるのよ!!!』

花丸「うぎゃっ…!ちょっとうるさい…耳がキーンとなるずら」

『どうもこうもないわよ、どうなってるって聞いてるのよ!』



花丸「朝から騒がしいずら……善子ちゃん」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:34:10.32 ID:xz1J9Lo7O
善子『全く…昨日ルビィがそっち行ったんでしょ?』

花丸「あぁ……うん、そうだけど…」

善子『あいつ、酔いが回ってタクシーの運転手に行き先言えなくて結局タクシー降りて、片っ端から携帯の連絡先に電話してたわよ』

花丸「うげっ……マジかずら」

善子『結局私が回収してうちで寝かせてるけど……ルビィにどんだけ飲ませたのよ!』

花丸「……ごめんなさい、やっぱりマルが店で引き止めるべきだったずら」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:35:26.18 ID:xz1J9Lo7O

善子『……まあ、もういいわ……一応無事私の家で寝てるし…』

花丸「う、うん……」

善子『それより…ルビィ、いつこっち戻ってきたのよ…』

花丸「昨日帰って来てすぐうちに来たみたいだけど……」

善子『そう……ルビィ元気なさそうだったわ、目も腫れてたけど……』

花丸「…………」

善子『……まあ、それは聞かないでおくわ』

76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:35:57.11 ID:xz1J9Lo7O

善子『そういや……ルビィが来てるなら今丁度全員こっちの方来てるんでしょ?』

花丸「全員……うん、果南ちゃん達も千歌ちゃん達も…みんな最近遊びに来てくれたよ」

善子『……そう、みんな元気だった?』

花丸「うん…みんな変わらなかったよ」





善子『それなら……アンタの店、今日の8時から空いてる?……空いてるなら予約入れるわ』

花丸「予約…ずら?」

善子『人数は…分かんないけど今から電話かける…マックス8人!』
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:36:59.95 ID:xz1J9Lo7O

花丸「それって……」

善子『いいじゃない!突発の同窓会よ!』

花丸「………善子ちゃん…でもどうして?」

善子『一つは、久々にみんなの顔をみたいし……それに…』

花丸「それに…?」

善子『ルビィのこと…何があったか知らないし、何が出来るか分かんないけど……ほっとけないじゃない…』

花丸「………善子ちゃん…」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:37:41.54 ID:xz1J9Lo7O

善子『つまり…その…そういう訳だから!予約!入れたから!』

花丸「………ふふっ……集まらなかったら善子ちゃんだけずら」

善子『ルビィは連れてくわよ!っていうか…そうならないようにアンタも連絡して!』

花丸「えー……なんでマルも…!?」

善子『いいから!集めるために連絡する!』

花丸「………はぁい、分かったずら…」
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:38:18.21 ID:xz1J9Lo7O

善子『じゃ、そういうことだから頼むわね』

花丸「はーい、8時で待ってるけど1時間前には人数教えてほしいな、一応料理の下準備があるずら」

善子『あ、うん…分かったわ、なるべく早く連絡する』

花丸「うん、待ってるね………善子ちゃん」

善子『………何よ?』




花丸「……楽しみにしてるずら」




プツッ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:39:26.65 ID:xz1J9Lo7O

花丸「ふぅ………」


受話器をゆっくりと置き、小さく伸びをする


今日は忙しくなりそうだ、隠れ家的魅力を売りにしているこの店でも一応平日の昼間には昼食を取りに来るサラリーマンや散歩の小休憩に立ち寄るお年寄りなどで一人で回すのが大変になる程度には客が入る。


パンのストックはあっただろうか。戸棚を確認すれば残り幾枚。サンドイッチが五度出たなら失くなってしまうだろう、早急に仕入れなければならない。

それに、茶の葉を開けてから少し日が経ってしまっている気がする、コーヒーの種類が少ないこの店ではもっぱら菓子と共に濃いめの茶を出すことが多い。残量を気にかけていても時にこのように余ってしまうこともある。


花丸「(店の掃除と基本メニューの下準備をしたら、パンを発注して‥‥‥お茶は…濃いめに出してケーキの味付けにしよう、それがいいずら)」



素早く思考を纏めて手を動かし始める、客入りの多くない店であっても喫茶の朝は猫の手も借りたいほどに忙しい。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:40:45.57 ID:xz1J9Lo7O

花丸「料理午後の内に考えないと‥‥でも材料足りるかな……」

木張りの床全体に箒掛けしながら頭の中は夜に出す料理の算段を立てていた。なにぶん最大8人…自分も合わせて9人だ、それなりの量を作らなければならない。


そうだ、料理の材料は善子を使い走らせればいい。そもそも急に店を使うと言いだしたのは善子の発案だ、それくらいしてもきっとバチは当たらない。


善子が買い物へ行く姿がありありと目に浮かぶ。ぶつくさと、「人使いが荒い!」なんて私への文句を言いながらスーパーをウロウロするのだろう。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:41:43.33 ID:xz1J9Lo7O

花丸「いや…待てよ…今ならきっとルビィちゃんも連れて行くか…」

それならきっと、使い走りでも楽しそうだ。微笑ましい絵面が頭に浮かんでくる。うん、それがいい。ルビィちゃんも少しは元気を取り戻すだろう。





花丸「さてと、考え事は後にして………今日も、一日頑張るずら」


雑念を頭に浮かべながらも手は動かし続け、店の掃除を終わらせる


そろそろ、開店の時間だ
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:43:00.68 ID:xz1J9Lo7O

喫茶花丸

静岡県の東部。沼津駅前の商店街裏の一角に位置している店。

この木張りの喫茶店に別段変わった売りは無く、お客さんのあまりいない静かな店の雰囲気と店の端に位置する本棚にびっしりと詰め込まれた本の数々…それくらい。

私がお客さんに出すのはもっぱらコーヒーではなく…慣れ親しんでいるという理由で緑茶やほうじ茶などの茶の部類を手作りの菓子にいつも添えていた。

駅前に位置しているものの立地の関係で客入りはそれほどでもなく…普段は一人で店をやりくりできる程度の混み具合。とりたてて店主が聞き上手な訳でも、話し上手な訳でもない。いわば普通の店だ。




ただ訪れてもらえれば、店にいる時間の間少しだけ、自分の人生と切り離して休憩できる。そんなお店。


そんな穏やかでとりとめのない日常の流れるだけのこの店だけど…

今日はちょっとだけ、楽しい日になりそうだ。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/05(木) 19:43:28.52 ID:xz1J9Lo7O

カランカラン……




花丸「はーい!いらっしゃいませ!」





おわり
85 :>>2 ミス :2018/07/05(木) 19:44:38.58 ID:xz1J9Lo7O
カランカラン



果南「こんにちは、やってる?」

花丸「あ!果南ちゃん!…うん、ちょっと早いけど準備終わってるから大丈夫だよ」

果南「あ、時間まだだったんだ…ごめんね」

花丸「ううん……ほら、カウンターにどうぞ」

果南「お、それじゃあ失礼して…っと」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 22:47:34.19 ID:/UoJoH4co
焼き鳥の人?
焼き鳥のやつ大好きやからもっと書いてくれー
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