【安価】夏を過ごす

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 22:48:44.46 ID:66Y2ZEsg0
ジメジメとした梅雨のある日、僕は図書館で時間を潰していた。特に読みもしない活字の列を眺める。
何か話し声のようなものが聞こえた。それが僕に向けて発せられているのに気がつくまで、どれくらいかかったのだろう。

あまり見覚えのない女の子が僕の名を呼んでいた。

名前>>4まで

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1530798524
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:49:36.53 ID:SvgURMb2o
松原早耶
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:50:46.76 ID:Q4BO2ZTA0
村瀬清一(むらせ せいいち)。通称:セイ
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:50:51.89 ID:lyK89XbSo
衛藤美紗希
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:50:58.53 ID:Ufl6K4Bx0
主人公か女の子かどっちの名前?
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:51:12.30 ID:uQxnjbtv0
土屋時雨(つちや しぐれ)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:51:40.89 ID:Ufl6K4Bx0
踏んでしまった
安価下でお願いします
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:51:55.98 ID:Q4BO2ZTA0
>>2は荒らしだし、男か女の名前か混乱するから再安価してほしい
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:52:05.84 ID:Ufl6K4Bx0
踏んでなかったごめん
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 22:52:52.79 ID:66Y2ZEsg0
説明不足でした。訂正します。

主人公の名前を>>13まで
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 22:53:59.48 ID:Q4BO2ZTA0
>>3
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 23:00:26.40 ID:66Y2ZEsg0
安価遠かったので>>3で始めます。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 23:07:23.30 ID:66Y2ZEsg0
「はい……」


小さく返事をして視線をしっかりと向ける。数秒の沈黙の後、彼女は少し残念そうな顔をして言った。

「やっぱり覚えてませんね。私は──」

その名前を最後に聞いたのは数年前になる。中学時代にクラス委員長をしていた子のものと同じだった。


彼女の名前>>15まで
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:11:14.48 ID:Q4BO2ZTA0
衛藤美紗季(えとう みさき)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:11:30.38 ID:KEb4EQcRO
佐々木明日那(ささき あすな)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:12:31.29 ID:Uj/FXMH50
月島 光(つきしま ひかり)
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 23:30:24.77 ID:66Y2ZEsg0
衛藤 美沙季は吸い込まれそうな黒のロングヘアによく似合うワンピースを着ていた。その外見から、知るところではそれなりの人気を獲得していた。委員長たる所以でもあるか。

「セイ君……ごめんなさい。村瀬君は今日休みですか?」

「……」

彼女の質問にどう答えるべきか、わからなかった。他愛ない会話ではあったが、それを必要とする関係性でもないはずだ。


質問に対して
「ああ、そうだ。衛藤も本を?」
or
「見ての通りだ。それくらいわかるだろう?」

>>18
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:32:15.25 ID:wzUy8dX/O
本を?
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:32:19.10 ID:bhgPreeDO
「ああ、そうだ。衛藤も本を?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:35:22.70 ID:wzUy8dX/O
>>18>>19と同じ内容です
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/05(木) 23:44:18.16 ID:66Y2ZEsg0
「ああ、そうだ。衛藤も本を?」

衛藤は微笑んでから、こちらに一歩近づいた。

「はい! あっ……」

思いがけず大声気味になり周囲の視線を感じた衛藤は顔を赤らめて僕を手招きした。

「外で話しませんか?」

この図書館の外には自然豊かな公園が広がっており、カフェや広場などは休日になると賑わうのだった。


それに対して
1「……本を読ませてくれ」
or
2「わかった。行こうか」

>>22
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/05(木) 23:47:11.92 ID:Ufl6K4Bx0
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/06(金) 00:14:08.00 ID:qahnvnNP0
「わかった。行こうか」

木漏れ日は刺すような強さだったが、それを避けて腰掛けたベンチは快適なほどだった。心地よい風が吹く。正面の広場では小学生くらいの子供たちがバドミントンをしていた。

「こうやって2人きりで話すのは初めてですね」

「そうかもな。そういえば眼鏡外したんだな」

それは同世代の人間とほぼ無縁の僕にとって眩しすぎる笑顔だった。指でそこにはない眼鏡の位置を直すふりをして衛藤は言った。

「ふふっ、実は覚えててくれたんですか? はい、思い切ってコンタクトにしました」



1「似合ってる」
or
2「眼鏡の方が委員長っぽい」

>>24
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/06(金) 00:15:21.02 ID:86dgb3v00
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/06(金) 00:29:30.84 ID:qahnvnNP0
「似合ってる」

「……?! ありがとうございます。お世辞だとしても、嬉しいです」

それから衛藤は視線をそらすようになった。少し意識しているようだった。

「衛藤が休日に1人で過ごすってのは少し意外だな」

「そうですか?」

「そうだ。僕と違って交友関係が広いだろうから」

夏の風に紛れる彼女の消え入りそうな声を僕は聞き逃さなかった。

「……そんなことない」

しかし、今の僕にはかけるべき言葉がわからなかった。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/06(金) 00:30:09.98 ID:qahnvnNP0
今日はここまで
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/06(金) 22:50:52.13 ID:qahnvnNP0
少し考察した。衛藤は、この少しのやりとりの中から優越感を見出そうとしたのではないだろうか。
僕に友人の類が少ないと知っていても不思議じゃない。

というのは僕の悪い癖だ。なにもここまで勘ぐる必要はない。

「私、そろそろ行きますね」

「ああ。じゃあ……な」

その背中は付いて来るな、と言っているような気がした。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/06(金) 23:28:31.89 ID:qahnvnNP0
後日。

ここ最近、僕が住んでいる地域では夏祭りの準備が進んでいる。どういう仕組みで選ばれるのかは知らないが、毎年1人だけ伝承を模した演劇の主役が選ばれる。

しかし僕はそんなものと縁もなく図書館に来ていた。平日の昼間にまでやって来る物好きは少なく、僕を含めて4人しかいなかった。

ぼんやりと『民族』と書かれた釣り札を眺めて棚の間に進もうとした。視線が上を向いていたので気がつかず避けることができなかった。

ドン、と軽い衝撃。

「すみません」

「……」

僕とぶつかった彼女は無言で会釈をした。見覚えのある顔だった。



名前と容姿>>30まで
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:30:49.13 ID:/sRSTUpM0
名前 向井 千穂(むかい ちほ)
容姿 とても小柄でオドオドしている
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:32:19.66 ID:nLXj4tSDO
源 弥生 (みなもとやよい)かなりの長身で無口無表情
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:33:46.91 ID:I8dWENoC0
名前 結城華実(ゆうき かじつ)
容姿 緑髪の基本的に表情が少ない少女
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:36:35.57 ID:I8dWENoC0
もっと安価の範囲を広げて欲しい所
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:38:14.51 ID:/sRSTUpM0
髪も指定?
緑髪のロング
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:40:28.30 ID:nmJbKFP40
>>32
安価取れなかったからって我儘言うなゴミ
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 23:46:07.25 ID:nmJbKFP40
他の安価スレでは安価取りまくってる癖に取れなかったら文句言うんだな
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 00:03:11.36 ID:ZywIL7Bn0
ID:/sRSTUpM0だけどなんか安価取ってごめん……
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 12:35:16.79 ID:2UlNzNhm0
小柄な少女はすぐに振り向いて歩いていった。彼女は僕と同じで、平日にもかかわらず図書館に来ているもの好きである。話したことはない。


1「その本……」
or
2「何か言うことはないのか?」

>>39
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:38:09.37 ID:65d+Ky0m0
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:38:17.10 ID:96cI6ApDO
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 12:38:20.40 ID:jhXNjIuD0
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 15:57:30.23 ID:2UlNzNhm0
「その本……」

「……!」

僕の声が耳に届くと足早に去ってしまった。足元にはここの利用カードが落ちていた。おそらく彼女のものだ。名前欄には『向井 千穂』とあった。

しばらく辺りを見回ったが向井の姿はなく、僕はこのカードの扱いに困っていた。


1カウンターに届ける
or
2持っている

>>43
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 15:59:03.50 ID:j7euHkXLO
2
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 15:59:37.20 ID:y7tnnqxD0
2
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 17:23:19.53 ID:2UlNzNhm0
僕は図書カードを持っていることにした。状況からして迅速に届けていれば向井も本を借りることができただろうが、そうは問屋がおろさない。……というのはかわいそうなので見かけたら返そうと思う。

そういえば世間の早いところでは夏休みに入るのではないだろうか? どれもこれも僕とは無縁のものと実感するだけで、肩の荷が降りて楽になる気がする。

「いない。はぁ……」

そう、どのフロア、コーナーにも姿がなかった。また明日にしようと思い図書館を後にした。



1久しぶりに友人の家に行く
or
2海辺の道を歩く

>>46
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 17:24:11.69 ID:y7tnnqxD0
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 17:24:17.67 ID:96cI6ApDO
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 17:56:05.60 ID:2UlNzNhm0
潮の匂いがする道に日が強く照りつける。砂浜には数名が釣りをしていた。

「暑いな」

錆びた民宿や民家が並ぶ景色は廃れた印象を受けるが、これでもこの季節になればそれなりの客が集まるらしい。

風を感じながら歩いていると陽炎の先に何かが見えた。僕はそれが何かわかった瞬間に駆け出した。

「おい、大丈夫か?」

「……ぅぅ」

その荷物から察するに、クロスバイクでそこそこの日数をかけてここまで来たのだろう。

「名前は?」

その状態から言葉を発するのには無理があり、意識すら曖昧だった。バックパックの隙間にあったメッセージカードを覗き見る。



名前
容姿
>>49まで
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 17:58:07.55 ID:65d+Ky0m0
楠倫(くすのきりん)

黒髪ロング、細身だが巨乳
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 18:07:38.15 ID:rFChBvaj0
名前壬生 翔子(みぶ しょうこ)
容姿赤髪のショート 背は高めのモデル体型
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 20:39:48.81 ID:2UlNzNhm0
ひとまず壬生をすぐ近くの病院に連れて行くことにした。動転していた僕はより効率的な手段を考える前に、荷物を降ろさせ軽くなった彼女を背負った。

その感触や匂いや首元に当たった髪なんかに気を配ることはなく、ただひたすらに目的地へ向かって歩いていた。苦しそうな荒い息が僕をさらに急かす。

病院までようやく半分ほど来たあたりで例の少女と出会う。

「あっ……」

「……向井」


「手伝ってくれ」
or
「見世物じゃないぞ」

>>52
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 20:43:32.75 ID:96cI6ApDO
手伝ってくれ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 20:44:57.71 ID:5lPsl14i0
手伝ってくれ
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 20:45:04.74 ID:65d+Ky0m0
見世物janaizo
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 20:59:10.96 ID:2UlNzNhm0
「手伝ってくれ」

「えぇ……」

こういうのをドン引きと言うのだろうか。嫌悪感を隠しきれないその顔を僕は数週間忘れないだろう。

「……誘拐? 犯罪の片棒は……駄目です」

「違う! 断じて違う! 道に倒れていたんだ」

なにか勘違いをされているらしい。一刻も早く壬生を病院に連れて行きたかったので、懸命に弁明した。

そして……

「……わかりました。こっちです」

指をさした先には小さくて、お世辞にも綺麗とは言えない軽自動車が止まっていた。

「兄の車です……」

「その兄も乗っているんだけどな。……乗れよ。緊急事態だろう?」

窓から顔を出した男は伸びきった髪、シワだらけの服でいかにもこの車の持ち主だという風だった。言われなければ確実に向井の兄だとはわからないだろう。
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 21:16:12.25 ID:2UlNzNhm0
そもそも人を多く乗せることを想定していないらしく、後部座席は色々なもので散らかされていた。助手席に壬生を、その後ろに僕と向井が座った。

「あんた、妹の友達か?」

「ええと……」

向井兄が僕に聞くと煙草を取り出した。

「……」

ツンとした視線を横の方から感じる。

「いいえ。顔見知りですが、名前すら知りません」

「あはははは。そうか。……おっと、もう黙るな」

むすっとした向井は窓の外に流れる景色を眺める。そこはすでに病院のすぐ手前だった。
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 21:50:30.80 ID:2UlNzNhm0
診断の結果は風邪。点滴を受けたのち薬を処方されることになった。同じ女性ということで向井が付き添い、僕と向井兄は待合室にいた。

「ありがとうございます」

「なに、礼を言うまでも無いさ」

ぽりぽりと頭をかいて言う。そして再び煙草を取り出した。

「おっと。ここは禁煙だったな」

「僕は村瀬 清一です。お兄さんは……?」

「俺は向井 瑞穂。あははは、似合ってないよな!」

僕もそう思った。現時点での彼のイメージには合わない名前だった。しかし、よく見れば顔は整っている。その長く伸びた髪や身なり、生活習慣を見直せばかなり良くなるのではないだろうか。

「ちなみに妹は千穂。家出してこっちに来てからは毎日図書館に通い詰めてるよ」

「大学をばっくれた俺が言うのもアレなんだけど、平日の昼間から何してる? もう夏休みなのか」

「いいえ。強いて言えば僕の人生が夏休みを迎えたところで」

「くあははは。いいなそれ。俺も使うわ!」

気に入ってもらえたらしい。
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 21:59:17.27 ID:2UlNzNhm0
しばらくの談笑の後、僕は住所を書いた紙を渡して壬生のバイクや荷物を回収しに行った。そのまま放置されていたそれらを担いで鋭い色のシャーシを眺める。この胸の高鳴りは何だろう。一種の憧れだろうか。

「重たい……」

向井から聞いた壬生の言い分を要約すると『帰れない理由がある。助けてくれた人に泊めてほしい』とのことで、偽善ついでに部屋を貸すことにした。
まだ日は高く日光は痛みに変わる。

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 22:41:48.92 ID:2UlNzNhm0
その後、向井兄妹は僕の住処の前で壬生を降ろしていった。去り際に妹の方が「……また図書館で」と言い残したが、カードを返す手間が省けていいなと思った。

僕よりもおそらく年上の女性を部屋に通す。一人暮らしの部屋にはこれといった物は無く、ベッドに本棚と小さなテーブル、その上にCDプレーヤーがあるのみだった。
ここでようやく壬生が口を開く。

「ありがとう」


1「いいえ。それより着替えは?」
or
2「なぜ家に帰れないんですか?」

>>60
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 22:42:56.38 ID:y5gXZcaF0
2
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 22:44:04.19 ID:/PK50udW0
2
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/07(土) 22:54:18.94 ID:2UlNzNhm0
「なぜ家に帰れないんですか?」

その問いかけに対して覚悟を決めていたらしく、すぐに答えた。

「妹との約束。こんなところでは終われないから」

「何かの途中?」

「この旅で行った場所の写真を撮ってるの。美しいと思ったもの、妹に見せたいと思ったことの」

「それが約束ですか?」

「うん」

どうにも、その妹は自転車を走らせている最中に事故にあい半身不随になったそうだ。何かしてあげられることはないかと聞けば先ほどのことを頼まれ旅に挑んだらしい。なんとも美しい話だ。


1「人に迷惑をかけてまですることですか?」
or
2「それでこの結果か。もう家に帰った方がいいですよ」

>>63
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 22:57:49.28 ID:j7euHkXLO
2
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/07(土) 22:59:24.53 ID:96cI6ApDO
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/08(日) 19:21:40.47 ID:HKuf2qu70
「それでこの結果か。もう家に帰った方がいいですよ」

「そんなお節介いらない……!」

「僕は偽善者ですからね」

風呂の支度は出来ていたが、風邪の状態にある人を入れていいのかは分からなかったので、お湯で温めたタオルを二枚渡した。

「気持ちいい。礼は言っておく」

壬生がそのまま服を脱ぎ出したので、僕も風呂に入った。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/08(日) 21:26:16.57 ID:HKuf2qu70
部屋に戻ると壬生は僕のベッドで寝ていた。外は日が暮れ始めている。隅の方にまとめて置いてあったタオルや脱いだ後のものを回収する。

「明日洗濯しよう」

先程は冷たい言葉を投げかけたが、彼女なりに努力してここまで来たのだろう。
よく考えなくても年頃の異性を部屋に連れ込み一夜を共にするというのは初体験だった。この場合はそこに『行き倒れの』を付け足す必要があるのだが。

玄関先まで出て煙草をふかした。空きっ腹に染み渡る。ゆっくりと立ち上る煙が夏の空の橙に溶けていく。
湿気を含んだ生ぬるい風とひんやりとした風が交互に吹いた。

壬生のためになるものをと思い、その足で近所の商店に来た。スポーツドリンクや食料を調達するため店内を物色していると顔見知りに出会った。


1「お前は……」
or
2「向井……?」

>>67
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 21:28:35.01 ID:g6A4YiwV0
1
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 21:30:34.65 ID:7Z43bkBDO
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 21:30:46.54 ID:ZVuRyxws0
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/08(日) 21:44:39.97 ID:HKuf2qu70
「向井……?」

「誘拐犯……じゃなくてえっと」

「僕は村瀬 清一。そしてお前は向井 千穂」

「村瀬、さん……? あの人はどうですか?」

あの人というのは壬生のことだろう。僕も同類なのだが、向井は会話慣れしていないのだろうか。
よく見ると彼女の買い物かごの中もスポーツドリンクやミネラルウォーターなんかがあった。


1「寝てるよ。今から夕飯」
or
2「お前に教える必要はないだろう?」

>>71
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/08(日) 21:49:24.88 ID:lGiVyAJVO
1
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