天龍「龍田改二に違法改造で対抗する」

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31 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 20:43:50.83 ID:VETLBL5S0

―ドック―


明石「提督に直訴する所までは読めましたけど、まさか勝手に飛び出すなんて……」

天龍「まぁ提督がいきなり出撃許可出すとも思ってなかったしな。そこまで含めて俺の想定範囲だ」

夕張「しかしこの記録映像……無茶苦茶ね」っタブレット<ガキィン! ズドォン! ギァァァッ!!

明石「スペックだけ見れば装甲が薄くて対潜能力が無い代わりに火力が高い五十鈴さん改二なんですけどね」

明石「これだけの戦果が挙げられたのは、やはり目と感覚を極限まで鍛えたお陰でしょう」

夕張「それで、身体の方は大丈夫?」

天龍「普通に戦ったより身体がだるいような気はするが、艤装の所為か久々の実戦だったからかは分からん」

天龍「まぁ確かなのは、もう俺は今までの俺じゃないって事だ。もうただの遠足の引率じゃない。やっと、前線で戦えるんだ!」

天龍「フンフフーン♪…………ん? 何だあれは」

夕張「えっ?」

天龍改艤装(一部)『……』

明石「見ての通り、天龍さんの艤装ですよ。違法改造の時に使わなかった分の」

天龍「そんなのとっといてどうすんだよ、とっとと解体しちまえば良いじゃねぇか」

夕張「えぇっ、捨てちゃうんですか?」

天龍「要らんだろ、もう。何でも捨てずに保存するから工廠があんなに散らかってるんだろ」

天龍「まぁそのお陰でバレずに改造できたんだが」

夕張・明石「「……」」
32 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 20:57:38.37 ID:VETLBL5S0

―夜 執務室―


天龍「……んで?」

提督「……天龍。君を…………俺としては大変不本意ではあるが……」

天龍「……」

提督「……作戦メンバーに組み込む事にした。艤装の無理な改造も特別に不問にする」

天龍「っしゃ!!」

提督「但し! もう無断出撃は駄目だからな? 一応俺たち軍人なんだから、その辺の秩序は守らないと」

天龍「わーってるよ! で!? 次の出撃任務は!?」

提督「待て待て、慌てるな。特別作戦が発令されている訳でもなし、明日の午後にでも伝えるから」

天龍「分かった! 楽しみにしてるぜ! おやすみ!」ドビュン!!

提督「あぁっ、おい……行ってしまった……」

提督「……ボディビルじゃなくて艤装の無断改造だったのは……良かったのか悪かったのか……」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/12(木) 21:11:52.87 ID:aXr2uWjh0
艦アケだと沖ノ島駆逐艦一人でノーダメ攻略とか出来るのになぁ。
ブラウザ版もそういうのできたらいいのに
34 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 21:35:12.92 ID:sCW5V6AXO

―翌朝 定時訓練―


龍田(改二)「て、天龍ちゃん……その艤装、どうしたの……?」

天龍「自前で改造した。もう情けない天龍ちゃんからは卒業したぜ」

天龍「……じゃあ、始めようか」

龍田「お手柔らかにね?」

暁「……始め!!」

龍田「ふっ……!」

天龍「はぁっ!!」

ギィン!! ガギィン!! ギャリリリッ!! ガギィン!!


雷「わぁ、凄い勝負ね」

電「速過ぎて何が何だか分からないのです……」

響「……多分、龍田さんじゃ手も足も出ない」

雷・電「えっ!?」
35 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 21:59:42.66 ID:VETLBL5S0

キィン! ギィン! ガィン!!

龍田「っ……くっ……!」

天龍「へへっ……!」

ガキィン! ガキィン!
スッ!

龍田「……!!!」

暁(龍田さんの喉元に天龍さんの剣が……!!)

暁「そ、それまで! 天龍さんの勝ち!」

天龍「ま、ざっとこんなモンだな」

龍田「凄かったわ……全然付け入る隙がなかった……艤装だけじゃなくて天龍ちゃん自身も強くなってるわ……」

龍田「しかも、本気じゃなかったわよね?」

天龍「そりゃそうだ。本気でやったらお前が真っ二つになっちまう」

龍田「まぁ怖い」ウフフフ

雷「凄い! 天龍さんが勝ったの、初めて見たわ!」

龍田「そうだったかしら? 実は私の方が負け越してるのよ〜?」

電「そ、そうだったのです!?」

響「数少ない天龍さんの勝ち星もしつこさに根負けした龍田さんが勝ちを譲ってたのかと」

天龍「残念、勿論お互い本気の勝負でだ」
36 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 22:00:31.67 ID:VETLBL5S0

―朝食の時間 食堂―


龍田「天龍ちゃん、何だかイキイキしてるわね」

天龍「そりゃイキイキもするさ。しばらく遠足と近海哨戒ばっかりだった俺がやっと前線に戻れるんだからな」

龍田「元気なのは良い事だけれど……くれぐれも気を付けてね?」

天龍「わかってら。調子に乗り過ぎて自滅なんて情けねぇ最期はごめんだ」

龍田「分かってるなら良いのよ〜…………本当に気を付けてね?」

天龍「ママか! くどいぞ!」

龍田「だってぇ……今の艤装、勝手に手を加えて勝手に作ったものなんでしょう?」

龍田「そんなので最前線まで出たら……」

天龍「手頃な海域で実戦テストはしたし整備も欠かせねぇよ。大丈夫だ心配すんな!」


―――
――
37 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 22:13:13.04 ID:VETLBL5S0

――
―――

―北方AL海域―


天龍「行くぞおらぁぁぁぁああぁああ!!!」

シャァァァアア!!
…………ズガァァァァァン!!!

リ級・チ級・ヘ級『『『プスプスプス……』』』<<<撃沈>>>

夕立「あぁっ、待って! 夕立の獲物ー!」

天龍「へっへへへ! 残念だったな、出遅れたお前が悪い!」

夕立「ブーブー!」

*

ヌ級「グォォォォォッ!!」

深海艦載機『……』ブゥゥゥゥン!!

白露「敵空母、艦載機を発進!」

時雨「皆、対空戦闘用意!」

天龍「要らねぇよ」ズドドドドド!!

深海艦載機『!?!?!?!?』ドガガガガガガッ!!

天龍「ついでに……」ドドォン!!

リ級1『ぎゃぁぁあっ! 目、目がぁっ!!』

リ級2『痛い、痛いぃぃぃっ……! そ、そうか……あいつが……報告にあった、異常な軽巡……!』

天龍「ふぅ。夕立、残りはお前にやるぞ」

夕立「えぇぇ!? あれじゃつまんないー!」

天龍「贅沢言うなよ、俺だって久々の前線でウズウズしてんだから……」ニタッ

天龍「他のザコ共もやっちまって良いぞ。重巡は目を潰したからその後で良い」

村雨(な、なんか今日の天龍さん、怖ぁ〜……)
38 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 22:22:05.13 ID:VETLBL5S0

――ドガァァン!!

護衛要塞『『『グァァァッ……』』』<<撃沈>>

北方棲姫「コ、コナイデ……!」ガタガタ

天龍「どうした? 俺が怖いか?」スーッ

北方棲姫「……ッ!!」コクコクコク!!

天龍「そうか……」

天龍「……そうだ……その顔だ……!」ニヤァ

北方棲姫「ヒッ!?」

天龍「もっとだ! もっと見せろぉ! その怯えた顔! 恐怖に慄くその顔を! もっと俺に見せろぉぉぉおぁ!!」

ザァァァァァァッ!!

北方棲姫「ギャァァァァァァァアッ!!! クルナッ!! コナイデェェェェ!!」

天龍「ぎゃっはははははははっ!!!」

ザシュッザシュッザシュッザシュッ!!

*

タ級『あいつだ! あいつが例の!』

ル級『嘘!? 何でよりによってここに来たんだ!』

天龍「楽しいなぁ! 楽しいなぁ戦場は!!」ズバァン!! ズバァン!!

ワ級『ギャァァァッ!!』

天龍「夕立! お前はいつもこんなに楽しかったのか!」ズドォンズドォン!!

夕立「いつもは楽しいけど今日は天龍さんのせいで全然楽しくないっぽい!」

天龍「そうか! そいつは残念だったなぁ!!」カキィンカキィン!

ル級『くそぉ! 何なんだあいつは!!』

タ級『この、化物め!!』

天龍「ヒャハハハハハハハッ!!!」
39 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 22:37:01.31 ID:VETLBL5S0

―ドック―


白露「MVP全部持って行っちゃったね……」

春雨「私何もできませんでした……」

村雨「村雨も……」

時雨「仕方ないよ。今までずっと鬱憤が溜まってたんだから」

夕立「でも夕立は何だか……そう、不完全燃焼っぽい! 気持ちはわかるけど納得はできないよぉ!」

春雨「じゃあ……後で演習でも行きませんか?」

夕立「賛成ー!」
40 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 22:45:21.04 ID:VETLBL5S0

―リランカ沖―


バシャァァン! バシャァァン!

天龍「ほらほらどうしたflagship戦艦様に重巡様! 相手は当たれば一撃の軽巡だぞぉ!?」ヒョイヒョイ

天龍「……おらぁ!」ズバァン!!

ツ級「グァァァッ!!」<撃沈>

天龍「よし、カス野郎は潰した! 今だぞ!」

赤城「露払いありがとうございます。全機発進!」バシュバシュ!!

加賀「天龍、すぐにそこから離れなさい」

天龍「その前に……ついでだ! てめぇも沈め!!」ドドドォン!!

タ級「ギャァァァッ!!」

*

バシャァァン! バシャァァン!

天龍「ところで……」ガキィン! ガキィン!

赤城「何ですか?」ヒョイヒョイ

天龍「あんたは、いつからそれができるようになった?」ヒョイ ガキィン!

赤城「それ……あぁ、これですか。やろうと思った時にはもうできましたね」ヒョイヒョイ

天龍「流石は……やっぱり赤城は違ぇな」ガキィン! ガキィン!

赤城「いえいえ。天龍さんこそ、たった半年でものにするなんて、大したものです」ヒョイヒョイ

天龍「お褒めに預かり光栄だ」ガキィン! ヒョイ

軽巡棲鬼「クソォ!! 何デ奴ラニハ当タラナインダ!!?」ドォンドォンドォン!!
41 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 23:00:49.34 ID:VETLBL5S0

*

港湾棲姫「オマエガ……北方ヲメチャクチャニシタ奴カ……!!」

天龍「お前らがそれを言うのか? 侵略者共め。まぁそうだな、お前らの縄張りにはちょこっと入っちまったかもな」

天龍「……お前んとこのチビ助もたっぷり可愛がってやったぜ」ニタァ

港湾棲姫「……コロス!!!」

天龍「やってみやがれ……長門、陸奥! 援護してくれ!」

長門「……分かった。任せろ」

陸奥「一応気を付けてね?」

那珂「な、那珂ちゃんは下がってまーす……」コソコソ←対潜装備

天龍「おらぁ!」ブン!

港湾棲姫「コノォ!!」ガギィン!!

天龍「ほぉ受け止めたか! 流石にそこらの連中とは違うか!」

ギィン! ガギィン!! ドドドォン!! ガギャァン!!

港湾棲姫「シネェェェエ!!!」グワッ!!

天龍「生意気に怒ってるのか、化物が!」ギィィン!!

天龍「だがお前の負けだ!」バッ!

――ドガガガガガガガガガァン!!!

港湾棲姫「グァァァァアアッ!?」

港湾棲姫『(どこから……まさか、この軽巡は……この砲撃を隠すための……囮……)』

天龍「こっちには仲間の力がある。弾着確認! 流石は長門姉妹だ!」

長門「礼には及ばんさ」

陸奥「じゃ、トドメはお願いね?」

港湾棲姫「コ……コノ……」プスプス

天龍「残念、死ぬのはお前だ。じゃ、アディオス」

――ザンッ!!
42 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 23:18:12.79 ID:VETLBL5S0

―ドック―


キュィィィィィン……バチババチバチ!!

明石「それで、どうですか調子は?」

天龍「意外と戦ってる時は違和感ねぇな。これもコンバットハイとかいうヤツかな」

天龍「だが記録見たら分かると思うが、ちゃんと小刻みに休憩しながら戦ってるぞ」

夕張「艤装はともかく、身体の方もちゃんと休ませないとダメよ?」

天龍「今まで散々休んでたのにまたお休みかよ。まぁそれも承知してるさ。次の出撃の後は休暇だ」
43 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 23:30:14.13 ID:VETLBL5S0

レ級『へぇー、あいつが例のおかしな軽巡か?』

ヲ級『既に奴1隻のために甚大な被害が出てるわ。かなり危険な相手よ』

レ級『ケケケッ、面白ぇーじゃん! 久々に楽しませてくれそうじゃん!』キャッキャッ

レ級『あいつはウチがやる、手出しすんな!』

*

天龍「ほう、レ級は俺とサシの勝負がしたいらしいな」

長門「どうするんだ? 深海棲艦相手に正々堂々と戦ってやる義理はあるまい」

天龍「だな。でも折角だ、こっちも俺だけで相手してやろう。本当に危なくなったらその時にだけ頼むぜ」

陸奥「まぁ、死なない程度に頑張ってね」

天龍「おうよ」


レ級『まずは……小手調べだ!』バシュバシュ!!

天龍「魚雷か……へっ!」バッ!

ポチャンポチャン…………ドガァァァァン!!

レ級『あれ、魚雷が……爆雷にぶつけさせたのか! すげぇなあいつ!』

レ級『じゃあこれならどうだ!』

深海艦載機『……』ブゥゥゥゥン……

天龍「もう……見飽きたわ!」ズドドドドド!!

天龍「飛行機なんざ効くかァ! そろそろ本気でかかって来やがれ!!」
44 :>>43訂正 ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 23:34:18.41 ID:VETLBL5S0
―サーモン海域北方―


レ級『へぇー、あいつが例のおかしな軽巡か?』

ヲ級『既に奴1隻のために甚大な被害が出てるわ。かなり危険な相手よ』

レ級『ケケケッ、面白ぇーじゃん! 久々に楽しませてくれそうじゃん!』キャッキャッ

レ級『あいつはウチがやる、手出しすんな!』

*

天龍「ほう、レ級は俺とサシの勝負がしたいらしいな」

長門「どうするんだ? 深海棲艦相手に正々堂々と戦ってやる義理はあるまい」

天龍「だな。でも折角だ、こっちも俺だけで相手してやろう。本当に危なくなったらその時にだけ頼むぜ」

陸奥「まぁ、死なない程度に頑張ってね」

天龍「おうよ」


レ級『まずは……小手調べだ!』バシュバシュ!!

天龍「魚雷か……へっ!」バッ!

ポチャンポチャン…………ドガァァァァン!!

レ級『あれ、魚雷が……爆雷にぶつけさせたのか! すげぇなあいつ!』

レ級『じゃあこれならどうだ!』

深海艦載機『……』ブゥゥゥゥン……

天龍「もう……見飽きたわ!」ズドドドドド!!

天龍「飛行機なんざ効くかァ! そろそろ本気でかかって来やがれ!!」
45 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 23:43:37.31 ID:VETLBL5S0

レ級『何だぁアイツ、かかって来いって言ってるのか? 上等だぁ!!』

ザァァァァァァッ!! ドドォン!! ドドドォン!!
バシャァァン! ガギィン!! バシャァァン!

天龍「面白れぇ、面白れぇぞてめぇ! 通常種最強と呼ばれるだけの事はある!」

ドドォン!! ドドドォン!! ガシュッ…………ドガァァァァン!!
ズドォン! ズドォン! バシャァァン!

レ級尻尾『グァァァッ!!』

ブォン!! ガギィン!! キィン!! ガキィン!!
ドドォン!! ガキィン!

天龍「へぇ! 便利なもんだなぁその尻尾! 三つ目の腕みてぇだな!」

ズドォン! ガキィン! ガキィン! ドドォン!!
ギャリギャリ……ガギィン!! ズドドォン!!

レ級『ギイアアアァァッッ!!(中々強いなお前! 楽しいぞ!)』

天龍「何て言ってるのか分かんねぇが……楽しいって言ってるのか?」

天龍「……俺もだ」ニタァ

レ級『……』ニタァ


加賀「気色悪い顔で睨めっこしてるわね。あれは何の儀式なのかしら」

赤城「大食いチャレンジに挑んでいる時の加賀さんも同じ顔をしている時がありますよ」クスッ

加賀「!?」
46 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/12(木) 23:51:03.56 ID:VETLBL5S0

レ級『楽しい……あぁ楽しかった……でも、この辺でお終いだ』

レ級尻尾『グォアアアアアッ!!』グルッ!

天龍「うおっ!?」

ズドドォン!!!
ドガァン!!

赤城「天龍さん!!」

天龍「痛てて……モロに喰らっちまった……」<大破>

天龍「……だが……」

レ級尻/尾『グアアッ……!?』

ズル……ドシャァッ
……ズバババ!! ……ブシュッ!

レ級『ま、マジか……完全に……不意打ちしたつもりだったのに……逆に、あの一瞬で……切り刻まれるなんて……』<大破>

天龍「……あばよ、楽しかったぜ」

……ズバッ!!

レ級『……あぁ、ウチも……楽しかっ…………』<撃沈>


天龍「ふぅ……」

陸奥「天龍! 大丈夫!?」

天龍「あぁ、普通に自走できる。他の敵艦は?」

赤城「あなたがレ級と戦っている内に全員海の底です」

天龍「ははっ、つくづく頼もしい仲間達だぜ」
47 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 06:56:22.56 ID:bYDuCcoM0

―ドック―


天龍「今更だけどよ、直るのかこれ? 初めて大破させちまったが」

明石「一応工廠の妖精さんも艦娘の艤装として認識してくれていますし、直る筈です」

明石「修理完了予定は……同レベル帯の重巡と同じ位ですね。軽巡にしてはちょっと時間かかります」

天龍「まぁそれは分かってた事だしな。んじゃ、俺はそろそろ部屋に戻って休む」

明石「是非そうしてください。おやすみなさい」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/13(金) 07:08:28.39 ID:bYDuCcoM0

――
―――

―廊下―


天龍「はぁ……はぁ……ぅぐっ……! ……はぁ……」ズルズル

天龍「部屋……俺の、部屋は……」フラフラ

グニャ〜……

天龍「くそっ……視界が……」


表札『天龍』


天龍「ふぅ……やっ……と……」

<ガチャッ……バタン

天龍「う、うぐ……」ドサッ

……ズキズキズキ!

天龍「あぐ……あ、頭が……」ズキズキズキ

天龍(……こころなしか、あの艤装の副作用が……段々酷くなってる気がする……)

天龍「……」

天龍「負けるか……負けてたまるか、こんな程度で……」

天龍「……」
49 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 07:12:19.34 ID:bYDuCcoM0
夕べは寝落ちしてすみませんでした
続きはまた夜に

遂に公式で天龍改二が実装されましたが、本SSはあくまで二次創作という事で公式の天龍改二は敢えて無視するものとします
50 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 18:09:08.51 ID:bYDuCcoM0

―数日後 南方海域前面―


伊勢「それにしても凄いよねー。自力で改二になっちゃうなんて」

長門「まぁ正確には改二とも少し違うんだがな」

扶桑「そろそろ前哨艦隊と遭遇するわ。天龍、対空用意、お願いね」

天龍「了かーい! 天龍ちゃん行っきまーす☆」

鈴谷「えっ……」

熊野「て、天龍さん……?」

天龍「……ん……? 俺今、何て言った……?」

長門「い、いや。何でもない。なぁ?」

伊勢「そ、そうだね! うん! 対空戦闘頼むよ!」

天龍「あ、あぁ……」ジャキッ

*

タ級『喰らえ!!』

リ級『沈めェこのバケモンがぁぁぁ!!』

ヒュルルルルル……
ガキィン! ガキィン! ガキィン! ガキィン!

天龍「何か俺ばっかり狙われてる気がするなぁ」

鈴谷「人気者は辛いね〜」

伊勢「お陰でこっちは狙いやすいから楽で良いよ……っと!」ドドォン!!

タ級「グァァァッ……」<大破>

伊勢「んじゃ、トドメはお願いねー!」

天龍「キラリーン☆ 天龍スペシャルを喰らいやがれぇぇええ!! ……はっ……!?」ヨロッ……

扶桑「えっ?」

長門「どうした天龍!?」

天龍「いや、何でもねぇ! だりゃあ!」ズバァン!!

タ級『おの……れ……』<撃沈>

天龍「……」
51 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 18:21:38.08 ID:bYDuCcoM0

―入渠ドック―


扶桑「今日の天龍……何かおかしくなかった?」

伊勢「うん……何度か急に変な事言い始めるし……」

鈴谷「『キラリーン』って、何か阿賀野みたいだったよね。その前は那珂っぽい感じだったし」

熊野「キャラを変える事にしたんでしょうか」

伊勢「いやキャラとか言うのはやめようよ……」

長門「それで、当の天龍は何処へ行った?」

扶桑「後で行くと言っていたけれど……」
52 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 18:34:32.83 ID:bYDuCcoM0

―ドック近く 倉庫裏―


天龍「う……くそ……」フラフラ

ズキズキズキ

天龍「あぁぁ……あた……ま……が……」ヨロヨロ

天龍「はぁーっ……はぁーっ……ぅぐ……ぉぇっ……」

天龍「こんな……こんな、ぐらいで……」

天龍「路線変更しな…………ぁ゛あ゛っ! 引っ込め!! 出て来るな!!」

天龍「くそぉっ…………」ゼェゼェ
53 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 18:43:55.70 ID:bYDuCcoM0

―更に数日後 サーモン海域―


三隈「またこの海域の掃討ですの……毎度毎度どこから出て来るのでしょう……」

雲龍「正に海の底から湧いて出ている様ね」

サラトガ「……敵艦発見! 装甲空母鬼も1隻確認しました!」

天龍「よーし、やせ……ん゛あ゛ぁ゛!! ……陽のある内に片付けるぞ!」

天龍「あのデカいのは俺の獲物だ。横取りは無しだからな!」ドギュン!!

瑞鶴「はいはい。一応、気を付けてね」バシュバシュ!!

装甲空母鬼「オ前カ……最近調子付イテイルノハ!』

天龍「だったら何だってんだ!!」

装甲空母鬼「私ガ沈メテアゲル!!」ドドドドド!!

天龍「上等だ! やってみやがれぇ!!」ガキィン!ガキィン!ガキィン!

――
―――

*

―――
――

天龍「へっへへへ……」MVP!

瑞鶴「ホント、最近大活躍ね。」

三隈「三隈も改造してみようかしら……」

サラトガ「おめでとうございます!」

天龍「ぴゃあっ! やった……え゛ぇ゛い! 重巡洋艦の良いとこ……黙れ、出て来るな!」

雲龍「て、天龍……どうしたの? よくある中二病ごっこ?」

天龍「キラリー……えぇい、やめろ! 俺の身体だぞ! 俺の……く…………!」ガタガタブルブル!!

瑞鶴「天龍!? きゅ、急にどうしたの!? 落ち着いて!」

天龍「あ、あぁぁ…………」ブルブル…

天龍「あ゛ぁぁ゛あぁ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁあぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

……ドシャッ

雲龍「天龍!」

サラトガ「天龍! しっかり!」

瑞鶴「提督! 大変なの! 天龍が急に――」


―――
――
54 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 18:54:14.03 ID:bYDuCcoM0

――
―――


天龍「――はっ!?」パチッ

天龍「ここは……」

明石「ドックです。瑞鶴さんたちが運んできたんですよ。今は運び込まれてから半日後です」

夕張「事情は聞いてるわ。突然何かに憑りつかれたみたいな言動をし始めて、直後に意識を失ったと……」

明石「話して貰いますよ、何があったのか」

天龍「…………改造艤装を使い始めて少しした頃から……段々、戦った後の反動が大きくなって行ってたんだ」

天龍「始めは軽い眩暈だったが、段々頭痛、吐き気もし始めて、それも重くなって行って……」

天龍「その内、歩くどころかただ立ってるだけでも辛くなって来たが……」

天龍「南方海域で戦った辺りから、無意識に他の艦娘が出て来る様になった」

夕張「他の艦娘?」

天龍「無意識に那珂や阿賀野の口癖が飛び出したり、自分の事を重巡だと思う様になったり……」

明石「那珂、阿賀野、重巡……それってもしかして……!」

天龍「……あぁ。改造の時に取り込んだ艤装の本来の持ち主だ」

夕張「艤装に天龍さんの意識が乗っ取られつつある……艤装に精神汚染されてるって事?」

天龍「みてぇだな」

明石「……!」

――
―――

夕張「どんどん天龍だった部分が減っていくわね……」

明石「最終的に出来上がる『天龍違法改』は果たして天龍と呼んで良いんでしょうかね」

天龍「まるでテセウスの船だな。まぁどうだって良い、俺の自我がある限りは俺だ」

―――
――

明石「じゃあ、このままだと天龍さんの自我は……」

天龍「このままならな。またしばらくは修行の日々だ」
55 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 19:10:33.10 ID:bYDuCcoM0

夕張「まさか、まだあの艤装を使うつもり!?」

明石「駄目です! 危険過ぎます!」

天龍「危険なんざ百も承知だ! しょうがねぇだろ! 他にどうやって強くなる!」

天龍「重巡の主機を初めて積んだ時だって辛かったがしばらく訓練すれば慣れた。精神汚染ぐらい……」

夕張「強くなる……強くなる……他にないの!? 貴女自身の存在が無くなってしまうかもしれないのよ!?」

天龍「今までと何が違う!? 性能で一部の駆逐艦にも劣る軽巡! たまの哨戒しか仕事がない軽巡! そんなの居ないのと同じだろう!!」

<ガチャッ!

龍田「いいえ、違うわ!」

天龍「龍田……」

龍田「天龍ちゃんが消えて無くなっちゃうなんて……そんなの絶対に嫌……」

龍田「駆逐艦の子達だって悲しむわ。天龍ちゃんの思ってる以上に、天龍ちゃんを慕っている子はいっぱいいるのよ? 提督だって……」

天龍「そいつらが好きなのは『駆逐艦より性能の低い情けないイキリ軽巡』の天龍だろう!」

天龍「『数値以上の性能を発揮する強い軽巡』の天龍を誰が求めている!? 否! 俺の他に誰一人『強い天龍』を求めなかった!」

天龍「どいつもこいつも『情けない天龍』を見て笑いの種にしていた! それが何よりの証左だ!」

天龍「いつでも誰でも馬鹿にできて! 指を差して嘲笑える艦娘である事が求められる理由なら消えて無くなった方がマシだ!!」

龍田「……っ!!」

――バチィン!!

天龍「……!」

龍田「……天龍ちゃんの……馬鹿っ……!」グスッ

<タッタッタッタッタッ……!
56 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 19:37:59.05 ID:bYDuCcoM0

天龍「……」ジンジン

夕張「……」

明石「……」

天龍「俺の……艤装は、どこだ……?」

明石「……提督の指示で、工廠のある区画に封印しました。研究・調査が完了次第、解体します」

天龍「何……?」

夕張「仕方ないでしょ……安全に使えない兵器なんて、ある意味敵より怖いわ」

天龍「う、嘘だろ……そんな……」ブルブル

明石「天龍さん……こればっかりは……」

天龍「嫌だ……嫌だぞ、そんなの……!」

天龍「また……また俺に、無駄飯食いのポンコツに戻れっていうのか……?」

天龍「嫌だ! そんなの絶対に嫌だ!」

天龍「半年! 半年だぞ! いや自分で艤装をいじる事を覚えた所まで含めたらそれ以上だ!」

天龍「努力して! 研究して! 考えに考えて! 血反吐吐く思いでようやく作り上げたのがあの艤装なんだぞ!」

天龍「それを! それを奪うのか! 俺の血と汗の結晶を!」

……ゴソゴソ

天龍「見ろ……! 北方AL海域で獲ったMVP勲章だ! 5年振りに獲ったんだぞ! あの艤装のお陰でだ!」

天龍「なのに……! 折角戦える様になったのに……!」
57 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 19:57:29.66 ID:bYDuCcoM0

夕張「……貴女の言った通り、待てばじきに正式な天龍改二が開発されるわ。それを待ちましょう」

明石「正式な、貴女だけの艤装です。それなら安全に戦えますし、ね?」

天龍「そんなのはクソ喰らえだ! 何の為の自前改造だ!」

天龍「何も知らない奴に……オモチャでなくなる事だけ危惧している奴に!」

天龍「『自然にゆっくり強くなればいい』とか『やっぱりのまま元が一番』とか、『無理をしなくていい』とか『そのままの君でいてほしい』とか!!」

天龍「俺がどれだけ苦労したか! どれだけ辛酸を舐めさせられたかも知らないクセに!」

天龍「そんなありきたりの常套句で!! 俺の努力を否定されてたまるかァ!!!」

天龍「ハァーッ……ハァーッ……」

夕張・明石「「……」」

天龍「何でなんだ……何で俺は……戦っちゃいけない……」

天龍「どうして俺は……情けないポンコツでなくちゃならないんだよ……」

夕張「天龍……」

明石「……あと1、2時間もすればドックから出られるでしょう。それまでは安静にしていてください」

ガチャッ……バタン

天龍「……」
58 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 20:36:10.48 ID:bYDuCcoM0

――
―――

―数日後 食堂―


天龍「やっと真っすぐ歩ける様になったな……」っ焼き魚定食

天龍「ふぅ……」パン……パキッ

鬼怒「ありゃ、珍しい人がいる。隣いい?」

天龍「ん……? 誰かと思えば、もはや遠征での使いやすさでは俺など及ぶべくもない鬼怒様じゃねぇか。隣は良いが遠征の仕事は良いのか?」

鬼怒「いきなり敵意剥き出し! 今日はお休みなんだよー。いただきまーす!」

天龍「ハァーッ……」

鬼怒「そういえば、最近凄かったよねー! 天龍の活躍! 一人で艦隊1つ分の戦果なんて!」

天龍「……何だそれは? しばらく出撃できない俺を馬鹿にしてるのか?」ギロッ

鬼怒「ひぃっ!? 違うよぉ!」

鬼怒「鬼怒が連れてる駆逐艦たちも皆言ってるよ? 最近の天龍凄いって」

天龍「……」

鬼怒「怖いくらい迫力あるとか、何で今まで埋まってたんだろうって!」

天龍「……明石か? 夕張か? それとも龍田か?」

鬼怒「えっ、何の事?」

天龍「どうせその辺に俺の喜びそうな事言えって言われたんだろう」

鬼怒「何でそんなに卑屈になってるのさ。そんなんじゃないよ。本当だよ!」

天龍「どうだか……」

鬼怒「もう……! 皆、天龍を見直してるんだよ。変な言い方だけど……」

鬼怒「もう今までの天龍じゃないんだって! 天龍は本当に凄く強くなったんだって! 憧れるくらい格好いいんだって!」

鬼怒「でも心配でもあるんだよ。頼れる上役が居なくなっちゃうんじゃないかって。急に活躍し出したからこそ無理し過ぎちゃうんじゃないかって」

鬼怒「……阿武隈がそうだったもん。改二になってから特別海域にも引っ張りだこになったし……」

天龍「……」

鬼怒「まぁ阿武隈は正規の改二だし、単純に比較はできないけど……」

鬼怒「とにかく! 天龍が思ってるほど、皆が皆天龍の事を馬鹿にしてる訳じゃないんだよ!」

天龍「……ふん…………」

天龍「…………参考くらいにはしておく」

鬼怒「……そっか」
59 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 21:44:41.21 ID:bYDuCcoM0

―鎮守府 桟橋―


天龍(……)

――
―――

鬼怒『あ、忘れるところだった……これ! 鎮守府に居た駆逐艦の子達が書いたお見舞いの色紙!』

天龍『何だ、やっぱり仕込みか』

鬼怒『違うよー! 会ったら渡してって暁ちゃんから渡されたの! 今龍田は出てるから、その代わりに鬼怒にって!』

―――
――

天龍(……)っ色紙

雷『早くよくなってね!』

電『おからだ、おだいじに』

夕立『次は夕立が勝つからね! それまで負けちゃダメだからね!』

天龍(……)

天龍(……今更、何を迷ってるんだ、俺は……散々考えた事だろうが……)

天龍(正規の改二じゃ絶対……俺が思う様には戦えないから……だから危険は承知でやったんだ、改造を!)

天龍(死ぬなら海で死にたい……畳の上なんて御免だ……)

天龍(……畳の上……なんて……)

天龍(…………くそっ……何なんだ、この感じ……!)

天龍「どうすれば良い……どうすれば……」
60 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 22:05:48.48 ID:bYDuCcoM0

―鎮守府 屋内―


<ザワザワ……バタバタ

天龍(何だ、騒がしいな)

天龍「あ、おい提督! 何があった!」

提督「近海で対潜哨戒してる艦隊が想定外の艦隊に出くわした!」

提督「龍田とガンビア・ベイ、それから雷と電だ! 皆対潜装備だから水上艦には対処できないんだ!」

提督「急いで増援を送ってやらないと……」タッタッタッ……

天龍「……」

天龍「…………」ギリッ

タッタッタッタッタッ……
61 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 22:18:35.27 ID:bYDuCcoM0

―工廠―


ガチャッガチャッガチャッ!!

天龍「くそっ……どこだ! 何処へやった!」

天龍「全く……こんなに散らかしやがって!! 何処に何があるか分かりゃしねぇ!」

天龍「早く……早く見つけねぇと……!!」

ガサゴソガサゴソガサゴソ!!

天龍「……はっ!?」

天龍改艤装(一部)『……』

天龍「……」

天龍「……」ガサガサガサ!!

天龍(未改造)艤装『……』

――
―――

天龍「そんなのとっといてどうすんだよ、とっとと解体しちまえば良いじゃねぇか」

夕張「えぇっ、捨てちゃうんですか?」

天龍「要らんだろ、もう。何でも捨てずに保存するから工廠があんなに散らかってるんだろ」

―――
――

天龍「……とっといて正解だったな」
62 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 22:43:01.14 ID:bYDuCcoM0

―鎮守府近海―


バシャァァン! バシャァァン!

電「うぅぅ……」

雷「大丈夫よ! もう助は呼んだわ!」

ブゥゥゥゥン……バシャァァン! バシャァァン!

龍田「ベイちゃん……艦載機は……」

ガンビア・ベイ「無理無理無理……多過ぎるぅっ……」

龍田「くぅっ……」

ブゥゥゥゥン……ブゥゥゥゥン…………ズバァッ!!
ズドォン! ズドォン! バシャァァン!

龍田「いつまで持つかしらねぇ……」

電「も、もう……だめなのです……電たちは……もう……」

雷「諦めちゃダメよ! しっかり!」

ドドドォン!!

龍田「! 雷ちゃん! 電ちゃん!」

雷・電「「――ッ!!」」


――ザァァァァァァッ!!
ガキィン!

天龍(改)「ふぅ……ギリギリで間に合ったな」

龍田「天龍ちゃん!?」
63 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 22:54:59.03 ID:bYDuCcoM0

天龍「龍田……俺が間違ってたとは言わねぇぞ」

ドドドォン!! ドドドォン!!
ガキィン! ガキィン!

天龍「その辺の話はまた後だ……とにかく今は! お前らを生かす!」

ブゥゥゥゥン……ズドドドドド!!
ガキィン! ガキィン!

天龍「くっそ……急に元の艤装に戻したらパワーの無さが際立つな! 余計に腹が立つわ!」

ガキィン! ガキィン! ガキィン!

天龍「お前らとっとと逃げろ!」

ベイ・電「「……!」」コクコクコク!!

雷「……応援が来るまで、絶対に沈んじゃだめだからね!」

ドドドォン!!
バシャァァン!

龍田「きゃっ!! ……逃がしてはくれないみたいね……」

天龍「くそったれ……」

ドドォン!!

ヘ級「グッ……」<小破>

ホ級「カァッ……!」カキィン!

天龍「ちっ! この艤装じゃ当たっても効かねぇな! 近付くしかねぇが……」

ドォンドォンドォン!! バシャァァン! ガキィン! ドガァン!

天龍「ぐわっ!!」<小破>
64 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 23:10:04.08 ID:bYDuCcoM0

龍田「天龍ちゃん!」

天龍「騒ぐな掠り傷だ!」

ドォンドォン!!
バシャァァン! バシャァァン!

天龍「くっそ……ベイ! 友軍は!」

ガンビア・ベイ「えぇと……あと、15分!」

天龍「長過ぎだ……それまで持てば良いなぁ!」

ドォン!! ドォン!! ガキィン! ガキィン!

ヘ級『アイツ……最近見ナカッタ変ナ軽巡カ!』

ホ級『デモ弱ッテルミタイダ! 今ナラ倒セル!』

ドドドォン!! ドドドォン!!

天龍「ちぃっ……攻撃が激しくなって来やがった……さては俺が本調子じゃないって感付きやがったな!」

ドォン!! ドォン!! ドォン!!
バシャァァン! バシャァァン!

天龍(ふざけやがって……あの艤装さえ使えれば……! この程度の連中に!)

天龍(力が……! 力があれば!! こいつらを守れるのに!!)

ガンビア・ベイ「あと……10分……!」

ドドドォン!!

電「っ!!」

天龍「危ねぇ!!」バッ!

ドガァン!

天龍「ぐぁぁああっ!!」<中破>
65 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 23:23:36.01 ID:bYDuCcoM0

天龍「畜生め……! ふざけ倒せやぁっ!」ドォンドォン!!

電「て、天龍……さん……」

天龍(何で……こんな時に、何で俺は弱い……!!)

天龍(力が!! 強さがあれば!!)

ドドドォン!! ドドドォン!!
ドガァァァァン!!

天龍「……ぁっ……」<大破>

天龍(こいつらを……! 仲間を……! 守る力があれば!!!)

ホ級『今ダ!』

ヌ級「グォォォォォッ!!」バシュバシュ!!

龍田「天龍ちゃん!」

雷・電「「天龍さん!!」」

ドドドドドドドドドドォン!!!

天龍「――」

ガンビア・ベイ「あ、あぁぁ……!」

龍田「天龍……ちゃん……」
66 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 23:30:49.84 ID:bYDuCcoM0

天龍「――」グラッ

――ズシャッ
ブクブクブクブク……

ホ級『ハハハハハッ! ヤッタゾ!!』

ヘ級『残リハザコダケダ!』

電「うそ……」

雷「そん……な……」

ガンビア・ベイ「後……5分……だったのにぃ……」

龍田「天龍……ちゃん……」


――バシャァァン!!!


天龍(?)「……」バッ!

ホ級『ナ、ナンダ!?』

天龍(?)「……」ブン!

――ドスッ!!

ホ級『……ハ……?』ブシュッ!

ザァァァァァァッ!
ザシュッザシュッザシュッ!!

ホ/級『ナン……デ……』<撃沈>

ヘ級『ナンダコイツ、急ニ……』ドドドォン!!

天龍(?)「……」サッサッサッ

――ズバァン!!

ヘ/級『……ヘ?』<撃沈>

天龍(?)「……」ドドドォン!!

イ級×2「「ギャァァァッ!!?」」<撃沈>

天龍(?)「……」クルッ

ヌ級「ヒッ!?」

天龍(?)「……」ザァァァァァァッ!!

ヌ級「ヒ、ヒィィィィィィイッ!!」バシュバシュ!!

天龍(?)「……」ズドドドドド!!

ボチャンボチャンボチャン……

ヌ級「ア、アァァァ……」

天龍(?)「……フフフ……どうだ、怖いか?」

――ズバァン!!

ヌ級「ギャァァァッ……」<撃沈>
67 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/13(金) 23:48:21.34 ID:bYDuCcoM0

天龍(?)「フゥー……」シャッ

龍田「て、天龍ちゃん……なの?」

天龍「……どうやら、そうらしいな。あぁ間違いなく、俺は天龍だ。お前らの良く知るな」

電「よ……よがっだの゛です゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!」ブワッ

雷「もうだめかと思ったわよぉお゛お゛!」ブワッ

ガンビア・ベイ「良かった! 本当に良かったぁぁああ゛あ゛あ゛!!」ブワッ

天龍「うわぁ、何だ何だ急に!!」

龍田「天龍ちゃん……」

天龍「龍田……」

龍田「ゴメンね、心配させて」

天龍「それは……お互い様だ」

電「と゛こ゛ろ゛で……その装備はどうしたのです?」

龍田「そういえば……前のとも元のとも違うわね」

天龍「あぁ、これか? ……何だろうな」

雷「え、どういう事……?」

天龍「駄目だ沈んだ……って思ったら急に力が湧いて来て……気付いたらこうなってた」

龍田「何……それ……」クスッ
68 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/14(土) 00:00:10.75 ID:iApJAc6G0

ザァァァァァァッ!!

夕立「大丈夫!? 応援に来たっぽい!! ……あれ?」

天龍「よお夕立、遅かったな。獲物はまた俺が全部頂いちまったぜ」

夕立「えぇぇぇぇ!?」ガーン

川内「……あれ、天龍!? 何でいるの!? 確か艤装が使えないって……」

天龍「それは後で話す……あー、しまった……また無断出撃しちまった……」

ガンビア・ベイ「また?」

天龍「前の改造した時に勝手に出撃してな。今度無断出撃したらお咎め無しとは行かないって提督に警告されてたんだった……」

夕立「えぇぇえ!?」

天龍「……どうしようか」

川内「どうしようってって……」

龍田「……」
69 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/14(土) 00:19:23.56 ID:iApJAc6G0

―鎮守府 桟橋―


提督「皆! よく無事で戻ったな!!」

電「司令官さぁぁあん!!」ダキッ!

雷「もう会えないかと思ったわぁぁああっ!」ダキッ!

提督「よしよし……所で、天龍……また艤装が変わってるのは一旦置いておくとして……無断出撃2回目だな」

天龍「言い訳はしねぇ」

提督「良い覚悟だ。ともあれ罰として1週間営倉に……と言いたい所だが……」

天龍「?」

提督「お前たちが帰って来るまでに鎮守府内に残った艦娘が一斉に無断出撃し始めた。それも全部まとめて処罰するだけの営倉はこの鎮守府には無い」

提督「本当に、次こそは無いからな!」

天龍「おいおい、良いのか?」

提督「……どうしても入りたいなら入っても良いぞ?」

龍田「……―☆」パチッ

天龍「……フフッ……ご厚意に甘えさせてもらうさ」

提督「……よし! さぁ! まずはドックに行ってこい! ゆっくり浸かれ!」

龍田「じゃあ、ね。また後で」

天龍「あぁ……」
70 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/14(土) 00:30:52.08 ID:iApJAc6G0

―工廠―


天龍「で、調査結果は?」

明石「前例の全くない事なので、全てが推測ですけど……この天龍さんの艤装は、『天龍改二』と見て間違いないです」

天龍「違法改造じゃなくてか?」

夕張「正真正銘、天龍専用の天龍改二ね。更に正確に言えば、『ウチの天龍オリジナル』の天龍改二って所かしらね」

夕張「ついさっき本部で計画として持ち上がった正式な天龍改二とは、仕様も性能も全然違うし」

明石「今の所、こんな事が起きた詳しい原因は分かりませんが、天龍さんの中から生まれた天龍さんの艤装には間違いないです。以前の様な不具合を起こす事も無いでしょう」

天龍「確かに……アレを使った時のだるい感覚は無かったな」

夕張「性能を見てみると、違法改造と比べて火力と出力は若干落ちた代わりに、対空が更に上昇、回避・命中もぐんと上昇……装甲も……」

明石「違法改造の艤装に比べてちょっとだけ守備向けですね。ちょっとですけど」

夕張「本人の艤装になった事で親和性も上がった事も考えると、プラマイで言えば結果的にはプラスかも。天龍本人の超絶センスが失われた訳でもないし。パワー型からテクニカル型になったと言えるかもね」

天龍「……ちっ……こんな事ならもっと攻めたいって祈るんだった……」ボソッ

明石「何か?」

天龍「……何でも」

夕張「とにかく……天龍の正式な艤装でなきゃこうは行かなかった可能性は高いわね。違法艤装で行ってたら、今度こそ天龍の意識が消滅するか、良くて多重人格者になってた可能性が高いわ」

明石「ね? 捨てないでおいて良かったでしょ?」

天龍「うるせぇ、そのくだりはもうやった!」


<ギャーギャー
<アハハハハ

―――
――
71 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/14(土) 00:36:11.53 ID:iApJAc6G0

――
―――

―1ヶ月後 北方AL海域―


村雨「天龍が新しい艤装と一緒に復帰してから、また戦果が伸び始めたわね」

天龍「前ほど無茶はできなくなったけどな」

時雨「それでも十分凄いよ。並の軽巡じゃ真似できない。勿論僕にだって」

白露「駆逐艦寮でも評判だよ! 最近の天龍さん、凄くカッコいいって!」

夕立「特に六駆の4人は毎日の様に天龍さんの活躍を熱弁してるっぽい〜」

天龍「そうか? 可愛い奴らめ……嬉しい限りだ」

春雨「私も……早く改二になりたいです……」

天龍「……俺の口からは何とも言えんが……艤装を勝手に改造するのだけはやめとけ」

春雨「は、はい! それはもちろん!」

白露「あっ! いっちばん先に敵艦発見! 砲雷撃戦用意!」

天龍「っし! おしゃべりはお終いだな」スラッ……

天龍「夕立、此間は競り負けたが、今日は俺が全部頂くぞ?」

夕立「ヨーイドンで始めるなら負けないっぽい!」

村雨「じゃあ位置について……ヨーイ……ドン!」ズドォン!

天龍「へっ!」シャァァァァッ!!

夕立「ぽーい!」シャァァァァッ!!


リ級『来た……奴だ! 例の、鬼の軽巡だ!』

チ級『このっ、このっ! 来るなぁっ!!』ドォンドォン!!


ヒュンヒュン……ガキィン! ガキィン!
ザァァァァァァッ!!

――バッ!


天龍「フフフ……怖いかぁ……?」





おしまい
72 : ◆pysihcVNJQ [saga]:2018/07/14(土) 00:42:21.98 ID:iApJAc6G0

以上となります。

皆々様、ありがとうございました。
こんな改二だったら良いなぁSSとして書いたはずが、あり得たかもしれないもう一つの改二SSとして完成するとは思いませんでした。

誰が何と言おうと、私の鎮守府の天龍は情けない負け犬などではなく、性能の低さを腕でカバーする古強者キャラです。
強者キャラの天龍が居たって良いじゃない……

あと誰にもバレなかったので白状すると、展開の元ネタはアイアンマンです。


読んで頂いた方、ありがとうございました。



以下、過去作のステマ
提督「赤城が飯を食わなくなった!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423126647/
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 02:38:09.94 ID:VNOxuPm8o

性能試験のシーンでアイアンマンっぽいなと思ってた
あのシーン大好きだったからよかった
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 12:00:57.71 ID:P1VE95Loo
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 16:31:42.54 ID:h0kBZKIDO


違法改造か……でもWWU前後ならテスト艦やモニター艦含めれば3,000トン級の艦に8インチ砲以上積んだのなんてゴロゴロいるからな
(フォレスト・シャーマン級駆逐艦のハルなんて分10発連射可能の8インチ砲だし)

一番トンデモなのは1,200トン級の駆逐艦に30cm砲を5門積もうとした「エンゲルス」だけど
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:43:23.16 ID:hVyV5aiW0
でも天龍が荒れる理由も分かるよなあ。
何で性能低かったり改二になれんだけで馬鹿にされにゃ
ならんのかと。ネタでふざけるのも見極めないと
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 20:48:59.76 ID:z6UAPM7S0
何はともあれ・・・天龍ちゃん改二おめでと!
想像通りだ(どこがとは言わない


78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 02:06:08.91 ID:Qqi+jrbK0
龍驤はじめとした貧乳ネタだの赤城の穀潰しネタだの秋津洲の無能ネタだの
艦これはキャラdis文化がちょっと発達し過ぎちゃったからな
それが嫌で似たようなゲームに移った人が多いのに、そういう原因も知らずに他のゲームや移った人を叩くとか
わざわざクロスオーバーしてまで胸囲の格差社会とかやって白い目で見られたりとかもあるしで
ある程度は線引きしてやってかなきゃ、いずれどんどんゲームの問題以外の部分で離れられてしまうから気を付けないとな
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 06:40:01.74 ID:6xBPIDTF0
なまじ艦娘っていい子達ばかりだからdisるだけのネタ不愉快なんよな。
世紀末のモヒカン共と勘違いしてないか?ていう
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/17(火) 12:48:42.70 ID:ZKfa7ww+O
嫌なら見るなだろ
わざわざ見に行って文句言うのもまた違う
わざわざ来てdisるのも違うけどな
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