伊織「やよいのパーおじさん」

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67 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:40:50.72 ID:MXhy+heA0
>>66 削除

亜美「ご飯も食べたし。やよいっち、パットの練習してこようよ」

やよい「そうだね。伊織ちゃん、ごちそうさまでした。とってもおいしかったよ」

伊織「そう。よかったわ」

伊織は練習グリーンへ向かう二人を見送る。

68 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:41:44.02 ID:MXhy+heA0
千早「水瀬さん、バックナインでの作戦会議をしましょう」

伊織「なによ急に」

千早「私はどうしても勝ちたいわ。水瀬さんもそうでしょう」

伊織「別にそんなことはないわ。ゴルフを楽しめたらそれでいいじゃないの」

千早「本当にそれでいいのかしら。自分の心に嘘をつくとパッティングに影響がでるわよ」

伊織「……勝ちたいわね。ものすごく勝ちたいわ」

千早「でしょう?」

伊織「けど出来ることはあんまりないわよ」

千早「使用クラブの相談をできるようにしましょう。傾斜や芝目や考えも相談するの」

伊織「そこまでしたらゴルファーとしてどうなのかしら」

69 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:44:04.15 ID:MXhy+heA0
千早「公式戦じゃないしいいでしょう。アイドルの大会とは違うわ」

伊織「なんで大運動会の話がでるのよ」

千早「……やっぱり。あなたは違う水瀬さんなのね」

伊織「どういうこと?」

千早「アイドルの大会はライダーズカップだったわ。大運動会はしたことがない」

千早「こんなことがあるのね。アイドルをやっていると不思議なことも起きるわ」

伊織「じゃあ私は誰なのよ」

千早「水瀬さんよ。あんまりにも同じだから私たちが初めてゴルフをした時を思い出してしまったわ」

千早「そして何よりも揺らぎないこの想い。高槻さんの背中を流したいでしょう?」

伊織「私は別に」

千早「自分の心に嘘をつくとパッティングが鈍るわよ」

伊織「ふわふわの背中をさわりたいわ」

千早「ええ。必ず」

伊織「さあ、パッティンググリーンに行きましょう。むしろ相談しまくる提案をしてより良いバックナインにしましょう」

70 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:48:30.37 ID:MXhy+heA0
――パッティンググリーン――

亜美「やよいっちー。ここの傾斜はDo-Dai?」

やよい「1.5度だね」

亜美「うわー、なんでそこまで分かるの?」

やよい「教えてくれた人がそういう人だったから」

亜美「あー、黒ちゃんか。こういうところ細かいよね」

やよい「足の裏の感覚を研ぎすませ、芝の上でするスポーツだからって」

亜美「じゃあここからカップまでどれくらいの距離感?」

やよい「実距離が5mだから8m打つ時のつよさかな」

亜美「ふーん。えいやー」

パチっ

亜美「うわ!ほんとうだ」

やよい「亜美は縦の距離感が抜群だね」

亜美「ドッキ―がそんなことをいってるからね」

やよい「バックナインは何か変わったことするかな?」

やよい「伊織ちゃんにコースの説明をしてもらいたいかなー。とっても難しいから」

亜美「そいじゃ午後はガンガン聞いちゃおう。別に大会じゃないからいいっしょ」

やよい「そうだね」

亜美「千早おねーちゃんといおりんがきたよ」

亜美「午後は相談ありにしよう」
71 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:50:11.41 ID:MXhy+heA0
――バックナイン開始――

伊織(午後は相談ありにしたけれど、あんまり変わらないわね)

伊織(亜美は私のマネジメントとかなり近いからいいけれど、千早とやよいが違いすぎる)

伊織(千早とは距離感が違うしやよいとも距離感が違う)

千早「私はここから7Iを使うわ」

伊織「流石に大きすぎないかしら」

千早「ランを出さない打ち方をするのよ」

パコーン

伊織(トップした? これじゃグリーンをオーバーしちゃうわ)

亜美「でた!ちはやお姉ちゃんのブレーキボール!」

伊織(ミドルアイアンを使ってグリーン上でこの急停止。おかしいでしょ)

やよい「私はここから7Iを使いますね」

伊織「流石に大きすぎるでしょ。30yardないのよ」

やよい「大丈夫だよ、伊織ちゃん。グリーンはかなり奥の方だから」

ポコン

伊織(あ、これはやばいわ。この距離からチップショットなんて)

カコーン

やよい「うっうー! やりました!」

亜美「凄いよ!やよいっち!」

亜美「亜美はここからPWを使うよ」

伊織「そうよね! ゴルフってそんな感じよね」

パコーン

伊織「ナイスオン!」

72 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:51:16.49 ID:MXhy+heA0
伊織「千早のパッティングはかなり長い下りだけどどうするの?」

下りは得意なの。真に結構、こけっこーなのよ」

パコッ

伊織「(え? 無回転? パターでそれはありえないでしょ)

カコーン


亜美「亜美は普通に打つよん」

パチッ

千早「いつでも強めに打てるのは心が強い証拠ね」

やよい「そうですね」

亜美「やったー」

伊織(確かにすごいわ。ここまで全部一切ブレることなく強めに打っている)

73 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:52:32.63 ID:MXhy+heA0
――勝負ホール――

伊織(ここが勝負時ね)

パコーン

伊織(しまった。OBだ)

伊織「……」

打ち直し

伊織(グリーンに乗らなかったわ。こうなったら微妙な位置だけど一か八かでパターでカップを狙って)

やよい「伊織ちゃん」

伊織「なによ」

やよい「カラーまで上りでそこから先はカップまでずっと下りだよ」

伊織「だから何よ。カップに入ったらちゃんと止まるじゃない」

やよい「もし伊織ちゃんのこのストロークが2打目だったら同じことする?」

伊織「……」

やよい「一生分の平均スコアで勝負だよ」

伊織「……SWを使うわ」

やよい「流石いおりちゃんだね。左右に傾斜はないから絶対に大丈夫だよ」

凸っ

伊織(しまった。少しダフったわ)

伊織(カラーは超えてグリーンには落ちたけど……)

亜美「凄いよいおりん!完全にラインに乗って転がってるよ!」

千早「あとほんの少しでカップインだったわね」

伊織「いえ、これだけ寄ったのよ。十分だわ」

やよい「いおりちゃん、ナイスダブルボギー」

伊織「ありがとう、やよい」

74 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:54:11.48 ID:MXhy+heA0
――最終ホール――

伊織(今までで一番って思えるくらいいいラウンドだった)

伊織(全員がそれぞれのハンデでパーセーブ中。やよいだけが+2ね)

伊織(ただやよいのスコアを崩したのは私のダブルボギー。あれさえなければ同じリズムで進められたはず)

パコーン

伊織「(今日1がここで出た。2打目、3打目も上手く打てる確信がある)

やよい「どうしたのいおりちゃん。難しい顔をしてるけど」

伊織「とても楽しいゴルフだったわ。もう終わるかと思うと残念ね」

やよい「本当だね。よーし、後3打がんばりますー」

バチコーンッ!!

伊織(諦めていないどころか、平常心だわ)

伊織(あと3打って……イーグル狙いなわけ?)

伊織「ライがいい。2打目は3Wが使える」

パコーン

伊織(ベターショット。距離はそこそこで3打地点もライがよさそうね)

75 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:54:52.48 ID:MXhy+heA0

伊織「やよいはどうするの?ライはいいしもしかしたら2打でオングリーンするかもしれないわ」

やよい「グリーンには届かないけど私も3Wを使うよ」

バチコーンッ!!

やよい「いえい!」

伊織「もう少し、ほんの少しでグリーンなのに」

やよい「私の飛距離じゃ届かないよ。けど絶対に大丈夫だよ」

伊織「3打目はPWで行くわ」

やよい「伊織ちゃんなら48度の距離じゃないかな?」

伊織「私は絶対に勝ちたいの。今、ボールは完璧な芝の上にのっかっているわ」

伊織「もうほとんどティアップしているようなものだからボールのスピンも落ちた後の転がりも読める」

伊織「PWを少し短く持って普通に振りぬくわ」

やよい「うん!」

パコン

カップまで2m

やよい「ナイスショット」

76 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:56:49.39 ID:MXhy+heA0

伊織「やよいはどうするの?」

やよい「私はこれです!」

伊織「4Iはもうなんだかわからないわね」

やよい「いおりちゃんと同じだよ。ボールが完璧な芝の上にのっかってる」

やよい「スピンは掛けない。完全なノースピンで打つから落ちた後の転がりも読めるよ」

やよいはグリーンの芝をを見にいき、そして戻ってくる。

伊織「4Iでのノンカット・ロブ・チップ、いきますよー」

コンッ

伊織「(アイアンでノースピンだなんて。ボールのプリントがはっきり見えるわ)

コロコロ

伊織「(完全にラインに乗っている。ボールの走りも完璧ね)

カコーン

やよい「いえい!」

伊織「脱帽だわ」
77 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:58:11.09 ID:MXhy+heA0
――結果発表――

亜美「ネット1位、千早おねーちゃん」

亜美「ネット1位タイ、いおりん」

亜美「ネット1位タイ、やよいっち」

亜美「ネット1位タイ、亜美だよー」

千早「くっ! あの羅綾をカップにねじ込めれば!」

亜美「まーまー。1ラウンドに4回もチップインを出したら罰が当たるよ」

伊織「あのパターさえねじ込めれば!」

亜美「まーまーいいゴルフだったよいおりん」

やよい「頑張りましたー」

亜美「最後にイーグル出してイーブンパーに戻すんだから。やよいっちは不死鳥だね」

亜美「そして亜美の見事なパーパットで幕を閉じたのです」

パチパチパチ

伊織「勝負は流れてしまうのね……」

千早「水瀬さん、次こそは必ず」

やよい「じゃあみんながパーおじさん※に勝ったのでお互いに流しっこしましょう」

―――
――
78 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 11:58:42.97 ID:MXhy+heA0

やよい「いいお湯だったね」

亜美「本当だね」

千早「とてもいいお湯だったわ……」

伊織「……ええ」

伊織(それもそうだけれど)

伊織(今日は最高のゴルフだったわ)

伊織(そういえば……)

伊織(……よかった。パンツまでは黒じゃなかったのね)



おしまい
79 : ◆0eT/mKPbWs [sage saga]:2019/10/28(月) 12:01:30.19 ID:MXhy+heA0
※パーおじさん
オールドマン・パー(英語: oldman par)とは、ゴルフにおける概念。ボビー・ジョーンズが著書『ダウン・ザ・フェアウェイ(Down the Fairway)』で記した概念はゴルフの本質を端的に表すものとして語り継がれている。
オールドマン・パーはバーディーも出さないが、ボギーも出さない。パーおじさんと各ホールで戦うことこそがゴルフなのだとボビー・ジョーンズは述べている。
他のプレイヤーと競うのではなく、ゴルフコースのパーとのみ戦うことの積み重ねが自身のスコアにつながるという考え方である。
80 : ◆0eT/mKPbWs [saga]:2019/10/28(月) 12:03:11.32 ID:MXhy+heA0
765プロのアイドルにゴルフをさせたかった。

妄想している間は楽しかったけれど文字に起こすと大変だったのでまたいつか頑張る。
81 : ◆0eT/mKPbWs [saga]:2019/10/28(月) 12:24:52.44 ID:MXhy+heA0
千早だけおかしなゴルフをしているのは、小池一夫先生と叶精作先生の名著「新上ってなンボ!! 太一よ泣くな」から引用しているから。
漫画のゴルフは必殺技があって楽しい。
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