佐久間まゆ「ネヴァーマインド」

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1 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:28:29.82 ID:+QmI8LWq0
・ゾンビSSです


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2 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:29:47.56 ID:+QmI8LWq0
佐久間まゆは一途で、恋多き女。
自分でも、いつ、だれと恋がはじまるかわからない。

けれども手を抜いたことはない。徹底的にやった。
だから、破綻した。
どんな相手もまゆの愛を受け止め続けることはできなかった。

はじめ、彼女から打ち明けられたときは皆、陶然とする。

ふんわりと、指を梳きたくなる、栗色の髪。
とろん、と甘くゆらいでいる瞳。
ちいさいくいじらしいはな。
訪れた恋と、やがて来たる愛にふるえる唇。

少女として、女として、モデルとして磨き上げた肉体。

誰もがまゆに夢中になる。溺れる。
だがすぐに気づく。

嫉妬、拘束、排除、干渉。度を越してさらに、段階はない。
はじめから愛は惜しみなく与えられる。それがまゆにとって、よいことだから。

3 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:30:15.88 ID:+QmI8LWq0
また、壊れてしまった。

まゆはため息をつきながら、低い雲が広がる冬の道を歩いた。
今回も全力で愛した。だが、報われなかった。
あんなにも努力したのに。

相手のことをつまびらかに調べ上げ、朝は挨拶の電話をして、
昼はランチを用意して、夜はおやすみのキスをするために家の前でしおらしく待っていた。

短い恋だった。まだ一週間。
前の相手はこわがったから、だいぶ抑えていたのに。

おまえはおかしい、と言われた。

ひどいひと。どうして好きになってしまったんでしょう。
4 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:31:38.75 ID:+QmI8LWq0
まゆはマフラーの位置を直して、駅にはいった。
今回の相手は同じ会社のモデルだった。

本当は、しかるべき説明をしなければいけない。
まゆは金の卵のように大切にされているが、最悪の場合、契約の抹消の可能性がある。

だが、まゆにそんなことはどうでもよかった。
こんなにも愛したのに。こんなにもがんばったのに。誰より好きなのに。

世界はまゆにこたえてくれない。

関係が破綻するたびに、いつもこんな気持ちなる。
それでも今日は格別だった。

もう12人。
まゆはすっかり、自分の人生への自信を失っていた。
5 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:32:17.10 ID:+QmI8LWq0
皆がほめるのは、ひとつ。
容貌。顔。見た目。外見。ルックス。プロポーション。

ならば、自分がいる必要がない。
写真、動画、フィギュア、等身大の人形。それさえあればいい。

まゆはいらない、いらない子……。

駅のホームで、透き通るような空気をすいこむ。
警笛を鳴らしながら、電車がやってくる。
まゆは線路に落ちようとしている。

レールにあたまをごつん、したら、いたいかもしれない。
6 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:33:05.84 ID:+QmI8LWq0
身体が1.2mの奈落へ吸い寄せられていく。
電車がホームへ、悲痛な叫び声を上げながら迫る。

まゆのために泣いてるのかも、しれませんね……。

おちる、落ちる、墜ちる。ほら、もうすぐ。おしまい。
まぶたを下ろす。
7 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:34:05.15 ID:+QmI8LWq0
だが次の瞬間。
身体がやわ、と、ホームへ引き戻された。

抱きしめられてる。まゆは自分の状況を瞬時に分析した。
男性用のパフューム。胸がすくような。

自分の身体の下に、彼の肉体がよこたわっている。
筋肉質。少し汗をかいている。

たぶん、5フィート10インチ。

こんなふうに、抱きしめられたことがある。
その時はアメリカ人だった。
6フィート10だったらよかったね、とそんなことを言っていた。
そのひとは、8ヶ月で駄目になった。現在の最長記録。

このひとは、どうかしら。
まゆはゆっくりと、人生の幕を上げた。
8 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:34:50.17 ID:+QmI8LWq0


まゆはアイドルになった。一も二もなく。モデルは辞めた。二つ返事で。
社長がなにか恨み言を言っていた。どうでもいい。どうでもよいことだ。

恋“なんか”、じゃありません。
佐久間まゆの人生が、あのとき、ほんとうにはじまったんです。

それだけ言って、モデルの事務所を去った。
違約金を請求されたが、346プロダクションが一括で支払った。
まゆはそうすべき価値があると判断された。

あのひと、プロデューサーさんが……。

まゆはひどく晴れがましい気持ちで、プロダクションの玄関ホールを歩いた。
足取りが軽い。まるで、氷の上をすべるよう。
9 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:36:01.54 ID:+QmI8LWq0
アイドルにも、美人にも見慣れているであろう社員達が、皆まゆの方を見る。

心の底から人生を謳歌しているものは、それがたとえどのような手段であれ、周囲を惹きつける。

まゆは世界に微笑み返す。
そうするにふさわしい世界になった。

エレベーターを呼ぶ。
心地よい音がして、すぐにやってくる。ついている。

扉がひらく。とてもついている。

「プロデューサーさぁん」

まゆは自身でも胸焼けがするほど、甘ったるい声を出した。

10 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:40:14.20 ID:+QmI8LWq0
「だきしめても、いいですかぁ」

その言葉を言い終えるまえに、まゆは相手を抱き締めていた。
罪の香りがする。鼻先を、薄灰色のジャケットに押し付ける。
鼻梁がひくひくと震える。鼓動がおちつく。なにも聞こえない。

プロデューサーさんだ。

おでこを、白い糊のきいたシャツにこすりつける。
プロデューサーの男は抱きしめ返すでもなく、頭を撫でるでもなく、腕時計の秒針の動きを見ていた。
エレベーターが5階に到着し、視界が開ける。
まゆは彼の腕にしなだれかかるようにして、名残惜しそうに個室から歩みだした。
11 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:40:43.86 ID:+QmI8LWq0
今日はオフだった。だが、まゆはプロダクションにやってきた。
ただ愛のためにだけ。

ふたりで、リフレッシュルームに入る。
ほかのアイドル達は、まぶしそうな目でまゆを見る。

まゆは、プロデューサーの顔だけを見る。

清潔感のある黒の短髪。
吸い込まれそうなほど澄みきった瞳。
すっとまっすぐに通った鼻筋。
冬の風で、すこしかさついている唇。
年齢がはかりかねる、ハリのある肌。

アイドルみたい。まゆはうっとりと、彼の二の腕をひとさしゆびでなぞる。

12 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:41:31.85 ID:+QmI8LWq0
「Pちゃま」
「おはようごぜーますでごぜーますよ!」
「プロデューサーはん…?」

少女たちがプロデューサーに挨拶をする。
その声をかきわけて、まゆは歩く。

まゆは知っている。
プロデューサーの経歴。重箱の隅をつつくように調べ上げた。
愛するために。知らないことがあってはいけない。

7年前に美城プロダクションと契約。前職は精神科医。
都内出身。血液型はB型。マイペースとは程遠い性格。
12歳の頃、両親が強盗殺人によって他界。以後は親戚の間を転々として育つ。

奨学金つきで都内の医科大学に進学。

仕事人間。趣味らしい趣味は、毎週月曜と木曜日に通っている格闘技のジム。
プロダクション入社時のポストはカウンセラー。社員やアイドル達のメンタルケアを行なっていた。

5年前、常務が気まぐれにプロジェクトへの意見を求めたところ、
翌日に改善点をまとめたレポートを提出し、ほどなくカウンセラーの任を解かれる。

プロジェクトに参加していたアイドル達からは、
担当でない子からも尊敬と愛情を込めて、“プロデューサー”と呼ばれている。
13 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:42:22.34 ID:+QmI8LWq0
そういう男が自分を、佐久間まゆをプロデュースしている。
少女としての優越感、女としての自尊心、アイドルとしての期待感、佐久間まゆとしての充足感。まゆのプロデューサーは、それらをいっぺんに満たしてくれる。

だったら、こたえなきゃ。そそがなきゃ、いっぱい。
今度は失敗しない。今度は、しくじらない。これは運命なのだから。
きっと、うまくいく。これがはじまりでも、これでおしまいでも。

14 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:42:49.21 ID:+QmI8LWq0
・・

レッスンルームで、19歳のトレーナーは自分より3歳ほど下の、アイドルを見ていた。
お互いに新人。はじめは親近感が湧いた。

身体面は中の上程度で、特に光るものはない。才能と呼べるほどのものはない。
彼女と同程度の美貌で、彼女よりも肉体的に優れたアイドルは掃いて捨てるほどいる。

だが、精神面は年齢からは不釣り合いなほど強靭だった。
まゆはプライドが高い。言動からはわかりにくいが、トレーナーは発見した。
レッスン中に指摘したどんな些細なミスも、絶対に、二度と、繰り返すことはない。

自分はこれくらいできて当然。そう考えているように見える。
言い換えれば、完璧主義者。そして努力がプライドに釣り合っている。
15 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:46:12.52 ID:+QmI8LWq0
スカウト組としては非常に珍しいタイプ。
通常、スカウト組にはよく言えば精神的余裕、悪く言えば甘さがある。

“自分はプロダクションからお願いされてアイドルになっている”。
その自負は多かれ少なかれ、少女達の向上心を鈍らせる。
アイドルになることを覚悟しているオーディション組、養成所組とは精神構造がそもそもちがう。

まゆの姿勢はスカウト組よりは後者に近い。
むしろ後者のなかでも、かなりストイックな方だろう。

なぜか。トレーナーには思い当たる節がある。
この子は、あのプロデューサーが連れてきた。
そしてこの子は、あのプロデューサーに魅入られている。

16 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:46:53.95 ID:+QmI8LWq0
恋、かぁ。

トレーナーは嘆息した。
彼は、様々な女性達から思いを寄せられている。あるひとりを除いたアイドル、事務員、役員……トレーナー達からも。
彼自身はそれに驕ることはない。むしろ、自分に向けられる好意を巧妙に利用している。

指揮者がタクトを左に振れば、皆がそれにならう。そういう状態になっている。
幸い、プロデューサーがアイドルを私物化するようなことはない。
少なくとも、トレーナーはそう信じている。

プロデューサーは全くの無私で仕事に取り組んでいる。
だからこそ皆が彼に好感を持つ。あるひとりを除いて。

17 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:47:59.58 ID:+QmI8LWq0

「どうです、かぁ?」

まゆは一旦ステップを止めて、トレーナーに尋ねた。
肩で息をして、汗がおでこから目元、あごから首筋につぅと流れていく。
全力。自分への手加減を知らない。

「そうですね……」

すでに、ミスと呼べるものはない。
まゆは指導に真摯に耳を傾ける。
さらに自分のレッスン風景を録画し、自宅での復習も欠かさない。

指導役としては非常に楽な生徒だ。
だが、トレーナーは言った。

「もうすこし、肩の力をぬいてください」

まゆはアイドルに熱心だ。だが、このままだと身体を壊す。
きっと、プライベートでも過酷な練習をしている。

「力を、抜く」

まゆはぽつりと、さみしげな声で呟いた。納得ができていない様子だった。
そこでトレーナーは奥の手を使った。
18 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:48:32.54 ID:+QmI8LWq0

「身体をこわしちゃうと、プロデューサーさんが悲しみますよ」

「プロデューサーさんが……」

まゆはまた、さみしげな声を出した。納得ができたようだった。
この子になにかをさせようと思ったら、プロデューサーの名前を出すといい。

アイドルとしては問題だが。

19 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:49:17.40 ID:+QmI8LWq0
・・・

モデル時代の貯金もあり、佐久間まゆのデビューは成功を収めた。
甘い容姿と声で男子のファンが付き、女子のファンは過去の雑誌購買層から。

まゆは瞬く間に、ティーンネイジャーズの天使になった。

デビューCDは初動でランキング6位。初月で7位。売り上げ枚数は推定81,338。
駆け出しアイドルとしては破格と言えた。

まゆはその数字に何の感慨も湧かなかった。

プロデューサーさんのプロジェクトのなかで、いちばんじゃない。

まゆは一番になりたい。数字でも、そうではないところでも。
プロデューサーの心が、欲しい。
20 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:49:48.52 ID:+QmI8LWq0
・・・・

もっと知らなくちゃ。

まゆは、プロデューサーが住む家の前に来ていた。
肩の力を抜いて、レッスンは休んだ。
まゆは、春の陽気を胸いっぱいに吸い込んだ。

プロデューサーは独身だが、一軒家を建てた。
噂では幼少期に両親と過ごした家を蘇らせたという。

もっと理解しなくちゃ。

つくった合鍵を差し込む。音。ちゃんと使える。
ドアをひくと、かすかなとっかかりの後に、玄関が見えた。

すぐさま身体を滑り込ませ、ドアを閉める。
そしてしばし耳をすます。無音。無人。
そういう時間を狙った。

プロデューサーさんは、17時まで会議。いまは午前の10時。
探索はゆっくり、手間をかけて。手は抜かない。
21 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:50:33.85 ID:+QmI8LWq0

家に入る前に、ある程度の間取りはつかんでいる。
一階玄関に上がって、正面のドア。リビング。正解。
まゆは慌てて、ニット帽と使い捨てのビニール手袋を身につけた。

まゆが家にはいったと気づいたら、プロデューサーさんはこわがるかもしれない。

身なりを整えて、改めて探索。
すぐさまキッチンに入る。まずは胃袋から。
冷蔵庫。上段、中段、下段の3つのドアがついている。
大きさはまゆの身長よりやや高い程度。

上段。
大量のタッパーに、おかずが詰まっている。作り置きをするタイプのようだ。
目を凝らせば具材がはっきりと分かるが、好みがよくわからない。

管理栄養士が考えたように、様々な食材がバランスよく使われている。
せめて味を確かめたかったが、断念。
ドアポケットには牛乳と、麦茶が入っている。

中段。
材料がまったく入っていない。まとめて買い、まとめて作るタイプのようだ。
中は新品のように、シミひとつない。あまりに清潔過ぎて、かえって温かみがない。

下段。冷凍室。
製氷機に大量の氷が入っている。アイスクリームの類はない。
22 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:51:10.62 ID:+QmI8LWq0
まゆはため息をついて、冷蔵庫から離れた。
嗜好がまったくつかめない。
せいぜい分かったのは、プロデューサーが自己管理を徹底していること。
もしかすると、他人から弁当やお菓子の類は受け取らないかもしれない。

キッチンから出て、リビングを改めて見渡す。
広さは20畳程度。独身としては広い。広すぎる。
テレビと、DVDデッキとソファ以外、家電や家具がない。食事用のテーブルさえ。

まゆは過去の恋愛経験で、独身男性の住宅をひとりで訪ねたことがある。
部屋、とくにキッチンとリビングには、本人の嗜好がわかりやすく現れる。

キッチンは味の好み。
リビングは家の中でもっとも広い部屋だ。そこにどんなものを置くかで、当人のこだわりが伺える。

だったら、もうプロデューサーさんの部屋を見ちゃいましょう。

まゆはリビングを出て、廊下から階段を登った。
一階のほかの部屋は見ていないが、洗面室と浴室、ガレージ、トイレおよび物置なので、優先度は低い。
家に入る前から、まゆは部屋に順番をつけている。
23 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:51:45.00 ID:+QmI8LWq0
二階。扉は4つ。
そのうちの1つは、隣の扉と階段との間隔から2つ目のトイレ。
まゆは3つのうち、もっとも空間が広いであろう部屋に入った。

まず目に入ったのは、書棚。書棚が壁の代わりのように配置されている。
部屋の右奥に、簡素な机と椅子がある。
どうやらここは書斎のようだ。

本の内容は、棚ごとに決まっている。
右端から心理学、法律、経営、会計学、統計、社会病理。
教育、マーケティング、音楽、芸術。言語、文学。

まるで、学校の図書館みたい。

まゆは棚をひとつひとつ指でなぞりながら、そう思った。
本の種類から、プロデューサーは仕事に必要なものを集めている。
まさに仕事人間。

やっぱり、お仕事をがんばるしかないんでしょうか……。

まゆはニット帽と手袋を直して、書斎から出た。
24 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:52:21.59 ID:+QmI8LWq0
隣の扉を開けると、そこは寝室だった。
ベッドがある。

だが、まゆはそこがすぐに寝室だとは思わなかった。
部屋のなかにはおびただしい量のプレゼントが置かれている。
散らかっているわけではない。アイドルごとに整然と、山積みになっている。
ベッドの上にも。

この部屋はさわらないほうがいい。
まゆはそう思ったが、ふと、入り口のすぐ横にある、シロクマのぬいぐるみが目に入った。
誰から贈られたものであるのか、一目瞭然だった。

まゆは一瞬、どこか遠いところを見る瞳になって、ぬいぐるみの頭を蹴飛ばした。

「いたっ……」

硬い。綿ではない。
まゆはぬいぐるみを拾い上げて、頭を調べた。
目と目があう。瞬間、それが巧妙に隠されたカメラだと気づいた。

盗撮なんて……犯罪じゃないですか。

まゆは肩を震わせた。
首を捻じ切りたくなる衝動を抑え、ぬいぐるみを元の位置に戻す。
呼吸を整えて、部屋を出る。
25 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:53:05.04 ID:+QmI8LWq0
あとは……。
まゆは残りの部屋を開けた。予想は的中した。

衣装部屋。ドアの正面に姿見がある。
まゆは、プロデューサーの私服姿を想像し、いてもたってもいられなくなり、探索を開始した。

ジャケット、シャツ、スーツ、スラックス、礼服。ネクタイ。仕事着。
匂いをかいでみる。スズランの香り。

おなじ洗剤でまゆのお洋服を洗ったら……。

まゆは陶然としながら、他の服を調べる。
だが、“物色”というほどのことはなかった。

無地の白Tシャツ3枚、ジーンズ。紺色のポロシャツ、チノパン。
カジュアルシャツ。黒のステンカラーコート。

コートはおそらく仕事と兼用。下着はおそらく一階にある。
置いてある服はまるで、ファッション雑誌のミニマリストコーディネートをそのまま切って貼ったようだった。
つまりプロデューサーは、ファッションにさほど横着していない。
26 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:54:13.17 ID:+QmI8LWq0
まゆはニット帽ごしに、自分の頭を撫でつけた。
ここまで、プロデューサーの中身が明確にわかるものを、何1つ見つけられていない。

この家を訪れてからまだ1時間も経っていない。
だが不測の事態を考慮すれば、あとはもう一部屋が限界。

まゆは思案した。
一階の洗面室、浴室。二階の状況から、特に重要なものはないだろう。
一階の物置。寝室の様子を鑑みて、プレゼントで溢れかえっている可能性が濃厚。
ガレージ。除外。

あとは、トイレ……。

まゆはふぅと息をはいて、衣装部屋を出て、2階のトイレを目指す。
なんということはない。手軽に調べられるのが、もうそこしかないのだ。
決して他意はない。

プロデューサーさんのトイレ……。

まゆは胸を弾ませながら、扉を開けた。

「わぁ」

思わず甘ったるい声が出た。
トイレの壁一面に、顔写真が貼ってある。
写真の余白には、『笑顔』『不満』『悲しみ』『怒り』と書いてある。

すべて、プロデューサー自身の顔。
何百枚の、プロデューサーの顔。
まゆはうっとりと、その一枚一枚に、愛おしげにふれた。

一枚ぐらい、と思ってしまう。だが耐える。
27 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:54:50.87 ID:+QmI8LWq0
代わりにまゆは便座を下ろし、腰掛けてみた。

「ひぃっ!」

思わず叫んでしまう。扉に女。
ニット帽をかぶって、怯えている。

それはまゆだった。扉の内側に鏡が取り付けられていたのだ。

プロデューサーさんは、ちょっと不思議なひと。

まゆは呼吸を整えて、トイレから出た。

自分の叫び声。大きな音。外に聞こえてしまったかもしれない。
周囲を警戒しつつ、家を離れなければいけいない。

まゆは息と音を殺しながら、階段を降りた。
証拠になりそうな痕跡は、なにひとつ残していない。
28 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:55:23.96 ID:+QmI8LWq0
玄関のドアスコープから、様子を伺う。
人気はない。ニット帽を外す。

まゆは自分の身体が入る限界のせまさでドアを開け、外に這い出し、即座にドアを閉めた。
合鍵でロック。

あとは素知らぬ顔で道路を歩く。
気が急いている。だが、急いではいけない。
かえって怪しまれてしまう。

たまたま、偶然にも、幸運にも、プロデューサーの家の近くまで散歩してきた少女を装わなければ。

足音と足跡を隠蔽するために、今日は量販のスニーカーを履いている。
それでも自分の足音がやけに大きく聞こえる。

29 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:55:52.88 ID:+QmI8LWq0
まゆは動揺していた。
改めて家の中の様子を振り返ってみると、あの家はおかしい。

トイレの鏡。
プロデューサーは自分が大好きなのかも。

まゆはため息をついた。

プロデューサーさんは仕事もできて、顔も良くて、気配りもできる。
プロデューサーさんがプロデューサーさんを好きになってしまっても、しょうがない。
まゆは、プロデューサーさんから、プロデューサーさんを奪い取らないと。

それは極めて困難なことのように思われた。
30 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:56:25.35 ID:+QmI8LWq0
・・・・・

まゆがプロデューサーの家に“お邪魔をして“から、1ヶ月。
警察が女子寮に“お邪魔する”こともなく、まゆは一切の滞りなく、アイドル活動を続けた。

それ以外のことでもプロデューサーに尽くしたいという気持ちはあったが、手がかりもなく、大人しくレッスンと仕事に取り組むしかなかった。

プロデューサーの様子も変わりなかった。まゆのことも、まゆ以外のアイドルのことも平等に、それでも表面上は愛情深く、取り扱う。

まゆは、プロデューサーにますますのめり込んだ。
一方で、プロデューサーのことを時々、ひどく傷つけたくもなった。

誰にでもやさしいプロデューサーさんが大好き。
誰にでもやさしいプロデューサーさんが大嫌い。

そんな気持ちは一切顔に出さず、まゆはニコニコと、周囲に微笑みを投げかけた。

誰にでもやさしいまゆにならなくちゃ。
31 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:57:02.47 ID:+QmI8LWq0
春の陽光が、少し鬱陶しくなる頃。
まゆは、バラエティ番組に出演した。

他の事務所のアイドルが出演するはずだったが突然体調を崩し、まゆに代役の依頼が回ってきた。

まゆはあまりトークが得意ではなかった。
脳の機能の8割ほどがプロデューサーのことで占められていて、オチがつくような洒落のきいた話はできない。
せいぜい、周りの話ににこやかに頷き、質問に簡潔に答えるくらいだ。

共演者は、もうひとりのアイドルに積極的に話を振っていた。

堀裕子。自称、超能力アイドル。
その真偽のほどは不明だが、共演者にとって、この場で彼女以外ほどとっつきやすい相手はいなかった。

超能力ってほんとなの。
なにかやってみせて。
すごいすごい。

やっていることのほとんどはスプーン曲げやカード当てなど、簡単な手品のようにも見える。
それでも現場は盛り上がった。
裕子の表情、仕草、言葉がそうさせた。

素直で快活。失敗しても愛嬌がつく。
裕子は、あきらかにまゆより目立っていた。
32 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:57:52.41 ID:+QmI8LWq0
まゆは表面上はにこにことしながら、内心は焦っていた。

この番組をプロデューサーさんが見たら、まゆにがっかりするかも。

まゆはスカートを、周りから見えないようにぎゅうと摘んだ。
すると突然、裕子がまゆに話を振った。

まるで、心を読んだかのように。

裕子に手を差し伸べられたことを、まゆは正直に感謝した。
だが、一縷の警戒心も抱いた。

まゆは収録が終わったあと、楽屋で裕子に近づいた。

「裕子ちゃんは」

プロデューサーさんの心を読めるんですか。
プロデューサーさんのことが、好きなんですか。

そう言おうとしたが、言い終わる前に裕子が答えた。

「読めません。そんなことありません」
33 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:58:36.77 ID:+QmI8LWq0

収録時とは打って変わって、明確な拒絶が表情に現れていた。
嫌悪と恐怖。
まゆは裕子がプロデューサーに好意を持っていないことに安心し、また一方で彼女の態度に苛立ちを覚えた。

「まゆのプロデューサーさんと、何かあったんですかぁ?」

裕子は首を横に振った。

「何もありません……あのひとには、なにも」

34 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:59:11.76 ID:+QmI8LWq0
・・・・・・

総選挙が終了した、5月末。
緊張した空気をほどくために、プロダクションのアイドル同士で食事会が催された。

話題は主に仕事の鬱憤だった。

あの先輩は意地が悪い。あの仕事は無茶振りが過ぎる。
このカメラマンは視線がいやらしい。働きたくない。むーりぃ……。

同じ敵を持つもの同士は、同じ趣味を持つもの同士よりも団結する。
食事会は大いに盛り上がった。

そのうち会話が、次第に恋愛の話にシフトした。
無理もない。そういう年頃の子どもばかりが集められているのだから。

「まゆは、プロデューサーさんのことを愛してます。
 だから、絶対に奪らないでくださいね?

 みんなにやさしいまゆでいたいので………」

まゆは率直に自分の気持ちを打ち明けた。ほかのアイドル達はぎこちない笑顔を浮かべた。
隣に座っていた一ノ瀬志希は、興味深いものを見る目をした。
35 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 07:59:44.46 ID:+QmI8LWq0

「いま人格をかえちゃうクスリをつくってるんだけど、まゆちゃんは欲しい〜?」

志希はまゆに尋ねた。

「効果はきっかり1日! 低リスク低糖質、低価格!
 いまならなんと、プロデューサーの使用済みシャツもついてくる!」

「まゆのプロデューサーさんのですか」

「ううん。あたしの」

「いらない」

まゆはきっぱりと断った。

「まゆちゃんは、プロデューサーさんの心が欲しくないの?」

「いえ、そういうわけじゃなくて………」

「えー結構イイのに」

プロデューサーさんの心は、欲しい。
だけどそれは、無理矢理手に入れていいものじゃない。

まゆは一方的にプロデューサーを自分のものにしたくはなかった。
お互いに歩み寄って、楡の木に雀が寄り添うような、そんな関係になりたかった。
36 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:00:35.76 ID:+QmI8LWq0
・・・・・・・・

蝉が低く唸り声を上げる夏の日。
まゆはプロデューサーにこう言われた。

「まゆ、うちに遊びに来ないか」

まゆは喜ぶより前に、すこし不思議に思った。

あのプロデューサーさんが、自分の家にアイドルをまねくようなことを?

まゆはプロデューサーの顔を見つめた。
まばたきもせず。視線と視線が熱く凍りついて、離れなくなる。

目と目が合う。瞬間好きだと気づいた。毎日の些細な瞬間、何度でも気づく。

まゆは、このひとを愛しましょう。

思考が、疑問が溶けていく。

「はい」

きっと、いままでの努力が………実を結んで……。
37 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:01:19.89 ID:+QmI8LWq0
その日から1週間後。8月16日。
まゆは再び、プロデューサーの家に来た。今度は、ふたりきりで。

まるで初めてのことのように、まゆは胸を高鳴らせた。

だが、その笑顔はすぐにこわばった。

「どうぞ」

玄関の前でプロデューサーが言った。
ドアの鍵を開けずに。

うっすらと、まゆのうなじに汗が伝った。

まさか……。
38 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:02:50.98 ID:+QmI8LWq0
「鍵が、かかってます」

努めて冷静に、まゆは自分に言い聞かせるように、そう返した。
プロデューサーはまゆの顔色をのぞきこんだ後、表情を作った。

『笑顔』。写真とまったくおんなじ。

「あぁ、そうだったな」

プロデューサーはゆっくりと、まゆに見せつけるように鍵を取り出した。

まゆは顔を逸らしそうになった。
鍵の形状が、変わっている。

このひとがこわい。

まゆは初めて、今までとは異なる動悸を覚えた。
39 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:03:46.77 ID:+QmI8LWq0
プロデューサーはゆったりとした動作でドアを解錠し、まゆを手招きした。

「どうぞ。ドアの開け方はわかるかな?」

それは、どういう意味でしょう。

まゆはノブに手を掛けて、ドアを引いた。残酷なほど、なめらかに開いた。

そこから見える風景は変わっていない。
だが、まゆには初めての光景に思えた。

リビングへ向かう扉も、階段も、それらが連なっている廊下でさえ、自分を耐えがたいほどに拒絶しているように感じた。

「どうした?」

プロデューサーが、まゆの背後から声をかけた。表情はわからない。
それがよかったのだろうか。わるかったのだろうか。

まゆははじき出されるように、家に入った。真夏だというのに、中はしんと冷え切っていた。

ぱたり、と、背中のほうでドアが閉じる音がする。

カチャリ。カチャリ。カチャリ。
拍子抜けするくらい、軽い音だった。
40 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:04:19.95 ID:+QmI8LWq0

「ど、の、へ、や、が、い、い、か、な」

靴を履いたまま、まゆを追い越してプロデューサーは廊下に上がった。

まるで、間抜けな泥棒が他所の家にはいったように。

まゆは玄関で立ちすくんだ。

「あっ、何飲む?

ミネラルウォーターとかお茶とか、紅茶とかあるけど」

プロデューサーはにこやかに尋ねた。まゆのほうを、振り向かず。

まゆは赤色のローファーを脱いで、おそるおそる、素足を床に押し当てた。
喉は渇いている。一滴も残らず、蒸発してしまったように。

「麦茶を、……」

まゆはそう言った。
ここで何もいらない、と言うのもかえって不自然だった。
41 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:04:48.20 ID:+QmI8LWq0
「麦茶!」

ここで、プロデューサーが振り返った。『笑顔』。

「麦茶だな?」

プロデューサーは強調した。まゆは訳もわからず、にへら、と自分も笑った。

「それじゃあ、今日はリビングにしよう」

乾いた靴音が、かっぽ、かっぽと廊下に木霊した。そしてその音が、リビングへ吸い込まれていく。

まゆはプロデューサーの後を追った。

「どっか、適当に座って」

まゆはそう言われたが、ソファしかない。
ひぃっ、と、まゆは小さな叫び声を上げた。

42 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:05:15.37 ID:+QmI8LWq0
ソファには先客がいた。
まゆが蹴飛ばした、シロクマのぬいぐるみ。

「まるで本物の熊に遭ったみたいだな」

プロデューサーはけらけらと笑った。
片手に革靴を提げている。そして、その靴を、まゆが見ている前でゴミ箱に捨てた。

「ぼくの家を汚しやがって」

おそろしく無感情な声で、プロデューサーは呟いた。
43 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:05:54.14 ID:+QmI8LWq0
「ごめんなさい!」

まゆは咄嗟に謝った。
プロデューサーは自分の頬を両手でぎゅうと歪ませて、潰して、言った。

「やだ」

まゆはソファから飛び出して、リビングを脱出した。真っ直ぐに玄関へ。

だが内側のドアには、チェーンが3つに増えていた。鎖が外界を完全に閉ざしていた。

まゆは踵を返す。すぐに2階に駆け上がり、トイレに入り、鍵を閉める。

携帯を取り出す。
誰に連絡する?

警察、はできない。
たぶんカメラは、プロデューサーがシロクマの頭をくり抜いて埋め込んだものだ。

だとすれば、ここで警察を呼んでもまゆの不法侵入の件が取り沙汰にされる。

いや、誰を呼んだとしても。
44 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:06:57.46 ID:+QmI8LWq0
この期に及んでも、まゆはプロデューサーと一緒にいたかった。

おかしい。

自分でもそう思う。まゆは壁を見渡して、その一枚一枚を指でさらった。

ドン、と扉を叩く音がした。
まゆは何も聞こえなかったかのように、写真を指でさらった。

扉の隙間から、細長い針金のようなものが差し込まれて、ロックを外そうとする。
まゆはそれを止めることもなく、一枚の写真を壁から破り取った。

混乱と当惑と、それから胸にじくじくと痛みが滲みる。
45 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:07:24.92 ID:+QmI8LWq0
トイレの中に、廊下の冷たい冷気が流れ込んできた。

まゆは床にへたりと座り込んで、男を見上げた。

無表情だった。男はまゆのほうを見ずに、壁を見渡した。
男は探していた。そしてそれを見つけた時、それはまゆの手の平の中で握り潰された。

46 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:07:50.98 ID:+QmI8LWq0
『怒り』。

男は、また顔を上げて感情を探した。そして、こう言った。

「ごめん。怖がらせて」

まゆはプロデューサーの膝にすがりついて、泣いた。何度も、何度も、謝った。

あやまった。

47 : ◆u2ReYOnfZaUs [sage]:2018/07/23(月) 08:08:18.10 ID:+QmI8LWq0
おわり
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 09:11:39.19 ID:w8HhAmWbo

何この…怖い
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 16:13:18.32 ID:Ume+G/zr0
ゾンビSSってのは哲学的ゾンビのことか
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 16:31:59.78 ID:ujNj7qrDO


両親がいないことや、カウンセラに、人の心を読めるユッコは伏線か

まぁ芳乃やこずえも(存在したら)気付くかもね
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 16:46:56.67 ID:yTXUWYQJo
つまり…どういうことだってばよ
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 17:16:21.38 ID:/n9o8oaz0
哲学的ゾンビとは心の哲学で使われる言葉であり、物理的化学的電気的反応としては普通の人間と全く同じであるが、
「楽しさ」の意識も、「怒り」の意識も、議論の厄介さに対する「苛々する」という意識も持つことがなく、意識(クオリア)を全く持っていない人間の事

そっちのゾンビSSかよ!
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 18:05:16.73 ID:q3gRJ5m/o
まゆはまゆでヤンデレってよりメンヘラだな
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/23(月) 20:59:41.02 ID:xSHtNfPj0
なんというか このPには共感できる
自己の価値観内においておのれを律して規定してそうあろうとする その姿に一切の他人の介在も助けも認めず排除する
あるのはただ世界と対する己のみ 精神と肉体の自由意志による制御こそが至上なる価値を有する それで安定できる
社会と接する表層、その薄皮一枚をコントロールして今日も社会人する
おれもそうだ 他人はとくにいらないが対処はして生きている
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 10:58:19.96 ID:9Rng+KAsO
解説が必要な作品って価値あるの?
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 15:15:37.17 ID:MB/we4Vbo
言うほど解説いるか?
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/24(火) 16:26:19.03 ID:59rsqHLk0
>>55
解説なんてどこに書いてないんだけど君には何が見えてるの?
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