ダクネス「せ、せめて、胸を揉むとか……」カズマ「おかまいなく」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/25(水) 21:13:20.50 ID:HfQ+yNW40
めぐみんばかり贔屓してはいけないと義憤に駆られ、今作はダクネス視点での物語となります。
そうした作風や卑猥な表現が苦手な方は、くれぐれもご注意ください。

それでは以下、本編です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1532520800
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:14:55.64 ID:HfQ+yNW40
私の名は、ダクネス。
クルセイダーを生業としている者だ。
防御には自信はあるが、攻撃はからきし。
どれだけ剣を振るおうが、全く当たらん。
それ故に、いつも仲間に苦労をかけていた。

カズマ「ちょっとは攻撃を当てろよ!」

ダクネス「す、すまない……次こそは、必ず」

カズマ「次も何も当たった試しがないだろ!」

ダクネス「うぅ……何でもするから許してくれ」

クエストの帰り、私は叱られていた。
叱っているこの男は、サトウカズマ。
私のパーティのリーダーで、黒髪の青年だ。
攻撃が当たらないせいで、戦闘は大苦戦。
その尻拭いをするのは、いつも彼だった。
そんなカズマは私の謝罪を受けて、不意に。

カズマ「ん? 今、何でもするって言ったか?」

その、まるでつい今しがた名案を閃いたかのような口調で確認され、私は迂闊だったと悟る。
こんな時だけは、本当に耳ざとい奴だ。
しかも、自らの欲望に忠実でタチが悪い。
どうせあられもないことを要求するのだろう。
それが、この男の駄目なところであり。
同時に、私好みのタイプであるとも言えた。

ダクネス「くっ……! やむを得ん……何でも言ってみろ! どんな要求でも、私は飲んでやる!」

するとカズマは、私にこんな要求をしてきた。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:17:30.97 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「なあ、カズマ」

カズマ「なんだよ、ダクネス」

場面は変わって、ここは私の部屋だ。
戦闘での不手際の責任を取らされている。
ではどのように責任を取らされたかというと。

ダクネス「ほ、本当に、これ以上何もしないのか? それはそれで、かなり辛いんだが……」

カズマ「しないよ」

ダクネス「しかし、抱きつくだけなんて……」

私は今、カズマに抱かれていた。
しかも、ベッドの上で、だ。服は着たまま。
カズマが上で私が下だ。彼が覆い被さる格好。
仰向けで、股の間にカズマの腰を挟んでいる。
カズマはうつ伏せで、私を抱きしめていた。
それはいろいろと、たまらない体勢だった。
しかし、カズマはさっきから微動だにしない。

ダクネス「せ、せめて、胸を揉むとか……」

カズマ「おかまいなく」

ダクネス「キス、するとか……」

カズマ「間に合ってます」

さっきからずっとこんな調子なのだ。
私の胸に顔を埋めて、抱きしめるだけ。
それ以上は一切、何もしてこない。
クエストの帰りに告げられた要求が、これだ。

『気が済むまで、抱かせろ』

その要求に胸を高鳴らせた私は、愚かだった。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:20:42.09 ID:HfQ+yNW40
彼に抱かれながら、窓の外を眺める。
今日は晴天で、澄んだ青空が眩しい。
天空を舞う渡り鳥の群れが美しかった。
時間はゆっくりと流れて、ドキドキしている。

白状すると、私はカズマのことが好きだ。

しかし、その気持ちは封印している。
他にもこいつを好きな者がいるからだ。
それはよりにもよって、仲間のめぐみん。
爆裂魔法しか習得していない変わり者のアーク・ウィザードだが、小柄で顔立ちは可愛らしく、何より愛嬌があって魅力的な美少女だった。

それに比べて、私ときたら。

ダクネス「はあ……」

思わず、ため息が溢れた。
私はちっとも愛嬌がない。
おまけに背が高く、庇護欲も唆らない。
だからきっと、駄目なのだろう。
だからきっと、彼は何もしてくれないのだ。

ダクネス「可愛く、なりたいな……」

思わず呟いてから、しまったと我に返る。
油断した。聞かれてしまっただろうか。
もし聞かれていたら、絶対に馬鹿にされる。
もうひとりの仲間である宴会芸が得意なアーク・プリーストのアクアや、先程紹介しためぐみんにすぐさま言いふらされてしまうだろう。

ダクネス「い、今のは、その……」

なんとか誤魔化そうと必死に言い訳を考えていたのだが、どうやらその心配は杞憂だった。

ダクネス「なんだ、寝てしまったのか」

すやすやと、規則正しい彼の寝息が聞こえて。
どっと、疲れた。緊張した私が馬鹿みたいだ。
こっちはこんなにも、ドキドキしているのに。

やはり私には、魅力が全くないらしい。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:23:25.64 ID:HfQ+yNW40
ふと、カーテンを揺らすそよ風に乗って、カズマの匂いが鼻腔をついた。男の子の匂いだ。
その香りに、より一層胸が高鳴るのがわかる。

そこで不意に、やっぱり好きだと思った。
好きだなと思い、好きだと改めて実感する。
私は今、自分の好きな男を、抱いていた。

それを自覚すると、もうどうにもならなくて。
彼の背に手を回して、恐る恐る抱きしめた。
ゴツゴツと骨張っていて意外と筋肉質な感触。
冒険者となる前は、アクアと2人で肉体労働に勤しんで日銭を稼いでいたらしいので、その際に鍛えられたのだろうか。意外な一面だった。

ダクネス「これが、男の子か……」

思わず呟いて、自らの経験の少なさを恥じる。

実は私は、名門ダスティネス家の一人娘だ。
本名は、ダスティネス・フォード・ララティーナというのだが、この名前は好きではない。
無闇に権力を振りかざすつもりはないし、なによりララティーナの響きが自分には合わない。
可愛い名前と、可愛くない自分が一致しない。
だからもっぱらダクネスという偽名で通した。

そんなわけで、要するに私は貴族の娘であり。
同時に世間知らずな『箱入り娘』でもあった。
故に、これまで男の子と接する機会は少なく。
初めてと言ってもいいその感触に夢中だった。

ダクネス「……幸せとは、このことか」

このまま時が止まってしまえばいいと思った。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:25:42.97 ID:HfQ+yNW40
すっかり熟睡しているカズマの髪を撫でる。
直毛の黒髪は、少々ごわついていた。
たまには櫛のひとつでも入れたらいいのに。
とは思うが、こいつはこれでいいのだろう。

なにせ彼は冒険者だ。身なりなど頓着しない。
聞けば、どこか遠い地からやってきたという。
目的は、嘘か真かはわからないが、魔王討伐。
まるで、英雄譚の勇者のようなプロフィール。

とはいえ、彼は弱かった。とても弱い。
職業はそのまま冒険者であり、最弱職。
武器や装備はどれも貧相で量産品である。
特別な魔法が扱えるわけでもなく、ステータスも貧弱で、おまけに容姿も至って普通だった。
これでは魔王討伐など、夢のまた夢だろう。

それでも、何故か魔王軍の幹部を数々倒した。

最弱職の冒険者でありながら。
自らの出来る範囲で知恵をこらし。
真っ当とはとても言えぬ手段で勝利した。

時には目も当てられないような戦法も使う。
その様は、とても英雄とは呼べない、無様。
それでも私の目には輝いて映ったのが事実。

ダクネス「本当にお前は、おかしな男だよ」

そんな男に惚れた私も充分おかしな女だろう。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:28:32.76 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「んっ……ふぅっ」

はしたないのは承知の上だ。だけど少しだけ。
このくらいなら問題ないだろうと勝手に判断。
ふとももで、カズマの腰を、ぎゅっと挟んだ。
すると身体の奥がむずむずした。気持ちいい。
思わず、嬌声が漏れる程の快感に、我を失う。

もういっそのこと、寝込みを襲おうか。
今ならば、一発で妊娠する自信があった。
既成事実さえ作れば、こっちのものだ。
あとはこの男を婿として迎え入れるだけ。

我がダスティネス家は金持ちではないけれど。
それでもこいつひとりくらいなら私が養おう。
私が稼いだ金で、服を着せて、飯を食わせる。
そして私は次々と子供を産み、大家族を作る。
そうすればダスティネス家はひとまず安泰だ。
誰にも文句は言わせない。この男は私だけの。

その時、ズドンッ! と、爆発音が轟いた。

衝撃波によって、ビリビリと窓が震える。
それを受け私は現実に引き戻され、我に返る。
今のは間違いなく、めぐみんの爆裂魔法だ。
いつものように被害を出さぬよう、アクアを連れて街はずれまで出向いてぶっ放したようだ。
そうだ、めぐみんがいる。それに、アクアも。

ダクネス「私はなんて、自分勝手な女だろう」

冷静さを取り戻して、愚かさを悔やんだ。
カズマを攫うような真似は、してはいけない。
私にとっても他の2人にとっても大切な存在だ。
それを独占することは、断じて罷り通らない。

だけど、それでも、今だけは。

ダクネス「今だけは……お前は私のものだ」

そんな考えを抱くのは、許されないだろうか?
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:35:31.14 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「そろそろ、2人が帰ってくるな」

爆発音が聞こえてから、30分程が経過した。
今頃、爆裂魔法を放ち、消耗して動けなくなっためぐみんをアクアがおんぶして、屋敷を目指して歩いているだろう。夢の時間は終わりだ。

ダクネス「ほら、カズマ。いい加減に起きろ」

名残惜しいが、2人に目撃されたら大変だ。
カズマを起こさないと、めぐみんに叱られる。
しかし、なかなか起きる気配がなく、困った。
あまり乱暴なことはしたくないが、仕方ない。
意を決して、大声で呼びかける、その直前に。

カズマ「……母さん」

ダクネス「だ、誰が母さんだっ!?」

おかしな寝言についムキになってしまった。
私は母親と間違われるような年齢ではない。
本当に失礼な奴だと憤慨してから、ふと思う。

そう言えば、こいつの故郷は遠く離れている。

こっちに来てから、一度も帰った様子はない。
そう考えると、先程の寝言にも納得がいった。
カズマは怒鳴られたというのにまだ寝ている。
その寝顔は、私の母性を刺激するものだった。

ダクネス「はあ……今日だけは特別、だからな」

ため息をひとつ吐いて、頭を撫でてやる。
カズマにはこれまで散々世話になっていた。
特に、私の結婚騒動の際は、苦労をかけた。
だから今だけは母親の代わりを務めてやろう。

ダクネス「とはいえ、息子とは思えないが」

苦笑しつつも、起こすことは諦めた。
なに、どうにでもなるさと、楽観してみる。
なんとなく、鼻歌を口ずさんでみたりして。
そこで自分の機嫌が良いことを、自覚した。

不意に、結婚騒動の懐かしい記憶が蘇る。
彼に半ば攫われる形で婚姻をご破算にされた。
思えば、あの時に私は自らの恋心に気づいた。

ダクネス「必ず責任は取って貰うからな」

この行き場のない恋心を、彼はどうするのか。
それを想像すると、気分が高揚した。
早く気持ちを伝えられる日を夢見ながら。

私は鼻歌を口ずさみ、思い人の髪を撫でた。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:39:18.39 ID:HfQ+yNW40
めぐみん「聞いてくださいダクネス!」

それからほどなくして、2人が帰ってきた。
どうやら道中で問題が発生したらしい。
部屋に駆け込んできためぐみんが説明した。

めぐみん「我が爆裂魔法のあまりの威力に驚いたジャイアント・トードが群れをなして押し寄せて、危うく食べられてしまうところでした! ぬるぬるになってしまったので、お風呂に入ろうと思うのですが、ダクネスも一緒に入りませんか? ……って、どうしてカズマがここに?」

ダクネス「こ、これは、その……!」

ひと息に事の次第を語り終えて、気づかれた。
キョトンとした顔のめぐみんが、寄ってくる。
なんとか誤魔化そうと思ったが、もう無理だ。

めぐみん「お楽しみだったのですか?」

ダクネス「ち、違う! 別にやましいことは何もしていない! 本当だ! 信じてくれっ!!」

めぐみん「ふむ、たしかに着衣に乱れはありませんね。カズマもぐっすり寝ているようです」

しげしげと私たちを冷静に観察するめぐみん。
事ここに至っても、カズマは起きなかった。
すると、めぐみんがおもむろに、カエルの唾液でべたついた手を彼のマントで拭おうとして。

めぐみん「むっ?」

さっと、マントが逃げたように見えた。

めぐみん「ほほう。なるほど……まあ、いいでしょう。今日のところは、大目に見てあげます。それではダクネス、お風呂に行きましょう」

ダクネス「ま、待ってくれ。まだカズマが寝ていて、私は動けない。だから、もう少し……」

めぐみん「いいから行きますよ! 既にお風呂場でアクアがお待ちかねです。その男は恐らく当分起きませんので、その辺に寝転がしておけば平気です! さあ、早くしてください!」

そうして、半ば無理矢理引きずられるように。
私はカズマから、べりっと、引き剥がされた。
身体に残った彼の感触と匂いが、切なかった。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/25(水) 21:42:21.24 ID:HfQ+yNW40
めぐみん「ダクネス、髪を洗ってください」

ダクネス「ああ、わかった」

強制連行された風呂場にて。
シャンプーを片手にめぐみんが寄ってきた。
彼女の申し出を承諾して、髪を洗ってやる。

ダクネス「痒いところはないか?」

めぐみん「平気です。それよりも、ダクネス」

ダクネス「ん? どうかしたのか?」

めぐみん「本当に何もなかったのですか?」

彼女らしいストレートな問いかけ。
それは先程の光景についてだろう。
務めて冷静にその質問に返答する。

ダクネス「ああ、本当に何もなかったよ」

めぐみん「でも下着はぐっしょりでしたよ?」

ダクネス「頼むからそれは言わないでくれ!」

めぐみん「お尻までびっしょりだったので、もしや、お漏らしをしたのかと思ったのですが」

ダクネス「そ、そんなわけないだろう!? あれはただの汗だっ!! ほら、泡を流すぞ!!」

我ながら、苦しい言い訳だったとは思う。
しかし、下着を身に着けていたのが証拠だ。
どんな状態であれ、脱いでないならセーフ。
たとえ、お尻までびっしょりだとしても、だ。

めぐみん「ま、そういうことにしておきます」

やけにあっさりと、めぐみんは引き下がった。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:45:21.79 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「なあ、アクア」

アクア「ん? なによダクネス、どうかした?」

ダクネス「カズマの故郷についてだが……」

アクア「カズマさんの故郷?」

湯船に浸かりながら、アクアに聞いてみる。

ダクネス「帰れるような場所ではないのか?」

アクア「難しいわね。なにせ別の世界だから」

あっけらかんと、アクアはそう宣いた。
それは俄には信じがたい所在地。異世界。
前に、そのような話を聞いたことはあった。
しかし、どうにも現実味がない話だった。

ダクネス「その設定は本当なのか?」

アクア「嘘をつく理由なんてないでしょう? ちなみに、何を隠そうこの私は水を司る女神……」

めぐみん「たぶん、本当だと思いますよ」

アクア「ちょっと! どうして私の正体に興味を持ってくれないのよ!? もっと注目してよ!」

話に加わっためぐみんが肯定した。
ひとまずアクアはスルーすることにして。
まずはめぐみんにその根拠を聞いてみる。

ダクネス「どうして本当だとわかる?」

めぐみん「それがどうやら、私のご先祖様を作った人がなんとカズマと同郷らしいのですよ」

ダクネス「ほう? 紅魔族を作り上げた人物か」

それはなかなか興味深い事実だった。
紅魔族は魔法の扱いに秀でた種族である。
その力は、魔王軍の精鋭に匹敵するほど。
しかしながらその生態や進化の過程は不明瞭。
それが異世界人の仕業ならば、説明はつく。

ダクネス「となると、奴は本当に異世界人か」

アクア「さっきからそう言ってるでしょ!!」

アクアの喚き声を聞き流しながら思案に耽る。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:48:29.94 ID:HfQ+yNW40
めぐみん「何を考えているのですか?」

ダクネス「ん? ああ、実はあいつの母親について、ちょっと思うところがあってな……」

めぐみんの問いかけに答えると、アクアがキョトンと首を傾げて、質問を重ねてきた。

アクア「カズマのお母さんがどうかしたの?」

ダクネス「それが、寝言で母を呼んでいて……」

アクア「なにそれ、ぷーくすくす! なによカズマさんったらマザコンなの? キモすぎてウケるんですけど! ヒキニートでマザコンとか!!」

めぐみん「アクアは少し黙っていてください」

爆笑するアクアをぴしゃりと窘めためぐみん。
優しい彼女は、物憂げな表情を浮かべていた。
カズマが心配なのだろう。私も同じ気持ちだ。

ダクネス「母に会えないのは、さぞ辛かろう」

めぐみん「ダクネス……」

私の母もまた、既に他界して故人だった。
カズマの母親は亡くなったわけではない。
それでも、会えないのならば、同じだ。

ダクネス「なんとか元気付けたいのだが……」

アクア「はい! 私に名案がありますっ!!」

元気に手を挙げたのはアクア。不安しかない。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:51:56.11 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「名案とはどんなものだ?」

アクア「母乳を飲ませればいいと思います!」

やっぱり駄目だった。いつものアクアだ。

ダクネス「母乳など出るわけないだろう!?」

アクア「えっ? 出ないの?」

ダクネス「当たり前だっ!!」

子供を産んでいないのに出るわけがない。
どれだけ育っていても、出ないものは出ない。
そんなことは誰もが知っている常識なのに。
アクアは不思議そうに私を見つめ、ぽつりと。

アクア「私なら出せるわよ?」

衝撃的事実を、口走った。

めぐみん「だ、出せるのですかっ!?」

即座に食いついためぐみんに、アクアは頷き。

アクア「ええ、もちろん。ほら、花鳥風月!」

ぷしゃっ! っと、噴水のように母乳を出した。

めぐみん「うわっぷ! 止めてくださいっ!」

アクア「あ、ごめんね。はい、おしまい」

モロに顔面に浴びためぐみんが溺れかけて。
テヘペロと謝罪したアクアが母乳を止めた。
するとめぐみんが顔に付いた母乳を舐めて。

めぐみん「ただの白い水ではないですか」

アクア「そんなの当たり前じゃない。なんたって、私は水を司る女神、アクアなんだから!」

要するに、ただの水芸でしかないようだった。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:54:25.51 ID:HfQ+yNW40
アクア「いい? 母乳ってのは、母の愛を放出するイメージが大切なの。我が子を思いやる気持ちと、慈しみの心を持って気合いと根性で出すの。わかった? わかったなら、やってみて!」

めぐみん「こうですか? 花鳥風月!」

アクア「全然違うわ! こうよ! 花鳥風月!」

アクアなりにコツを授けているらしい。
めぐみんはすっかり乗り気で悪戦苦闘。
私の見解では、それは絶対に無駄な努力だ。
そもそも何なんだ、気合いと根性って。
冷めた気持ちでやり取りを眺めていると。

めぐみん「どうやら、私には難しいようです」

ようやく諦めたらしいめぐみんを、労う。

ダクネス「めぐみんはカズマの為となると、いつも全力で一生懸命だな。あいつは果報者だ」

すると、めぐみんは誇らしげに薄い胸を張り。

めぐみん「そのうちいくらでも出せるようになって、カズマにお腹いっぱい飲ませてあげます。そうすれば、我が家は牛乳いらずです!」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:56:57.59 ID:HfQ+yNW40
なんという浅はかな目標だろう。
母乳はいくらでも出せるものではない。
しかしながら、その健気さが微笑ましかった。
こうした可愛げを、私も見習うべきだろう。
改めて、めぐみんの可愛さに感心していると。

めぐみん「ですが、今の私には力不足です」

自分の発展途上の胸をつねり、ため息ひとつ。

めぐみん「なので、今回は任せましたよ?」

にやりと笑いながら、私の胸を突いてきた。

ダクネス「大きくても出せるものではない」

めぐみん「ですが、大は小を兼ねるとも言いますし、案外なんとかなるのではないですか?」

大は小を兼ねるの使いどころを間違っている。
この場合、大きさは関係ないのに。それでも。
めぐみんは、すっかり私を信じ切った様子で。

めぐみん「ダクネスならきっとあの男を元気付けてあげられる筈です。この私が保証します」

どこからその根拠が生まれるのか。とはいえ。
そこまで自信満々に言い切られると、なんとも不思議なもので、なんだって出来る気がした。

ダクネス「ああ! 私に任せろ!」

めぐみんのその期待に必ずや応えてみせよう。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 21:59:17.22 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「カズマ、起きてるか?」

風呂から上がり、部屋に戻った。
めぐみんはアクアにもう少し習うとのこと。
たぶん、邪魔が入らないように時間を稼いでくれるつもりだろう。本当に頭が下がる思いだ。
このせっかくの好機を、無駄にはしない。
カズマはまだ、私のベッドで寝ていた。
先程から動いた形跡はない。ぐっすりだ。
呼びかけても、起きる気配はなかった。
ならば、よし。あとはこちらの思うまま。

ダクネス「大丈夫、私なら出来る!」

覚悟を決めて、服を脱ぎ捨てた。

とはいえ、パンツは脱がない。
流石に全裸は恥ずかしかった。
そんなヘタレな私をめぐみんは叱るだろう。

だけどこれが、今の私の限界だった。
なにせこれから、カズマを膝枕するのだ。
後生だから、パンツくらい穿かせてくれ。

ダクネス「これでよし。あとは……」

カズマの頭を膝に乗せて準備完了。
えっ? この状況で何をするかって?
そんなことはわかりきっている。授乳だ。

出るわけはないが、形だけでも。
母親の雰囲気を感じて欲しかった。
だからその為に、私の胸を口元に近づけて。

ダクネス「ほ、ほら、カズマ。ご飯でちゅよ」

カズマ「バインドッ!!」

ダクネス「ふぇっ!?」

前触れなく、突如跳ね起きたカズマ。
腰に束ねたロープを用いてスキル発動。
瞬く間に、私は半裸のまま拘束された。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 22:02:21.64 ID:HfQ+yNW40
ダクネス「な、何をするんだっ!?」

カズマ「それはこっちの台詞だ! この変態!」

なんという言い草。よもや変態とは。
恩知らずにも程がある。絶対に許せん。
私がどれほど恥を忍んで授乳しようとしたか。
それなのに、この仕打ち。正直、最高だ。

ダクネス「くっ……私は決して屈しないぞ!」

カズマ「ほう? それならば、試してやろう」

にやりと口角を釣り上げ、カズマが囁く。

カズマ「ご飯でちゅよ〜」

ダクネス「やめてくれっ!?」

さっきの自分を消し去りたい。
しかし、プレイとしては文句なし。
悔しいけど、ついつい感じてしまう。

カズマ「まったく、何をやってんだか」

ダクネス「うぅ……私は、お前の為にと思って」

カズマ「お前は俺の母親じゃないだろ?」

ダクネス「しかし、雰囲気だけでもと……」

カズマ「どこの世界に息子を興奮させる母親がいるんだよ。そんなんじゃあ、バブみもなにもあったもんじゃないだろうが。たとえここが異世界だろうと、俺はそんな母親を認めないぞ」

心底呆れたように私は叱りつけるカズマ。
『バブみ』とやらが何かは知らないが。
とりあえず、わかることがひとつだけ。

ダクネス「興奮、してくれたのか……?」

カズマ「当たり前だろ。乳丸出しなんだから」

ダクネス「そうか……それなら、いい」

カズマ「はあ? なんだよ、変な奴だな」

女として見て貰えただけで、私は満足だった。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 22:06:19.61 ID:HfQ+yNW40
カズマ「もう二度とこんな真似すんなよ?」

ダクネス「わ、わかったから解いてくれ!」

カズマ「よし、解いてやろう。その前に」

説教が終わり、ロープを解く、その間際。

カズマ「あのな、ダクネス」

ダクネス「ん? どうかしたのか?」

カズマ「お前は充分、可愛いよ」

ダクネス「んなっ!?」

囁かれたその言葉には、思い当たる節がある。
どうやらこの男は狸寝入りをしていたらしい。
よりによって、あの呟きを聞かれていたとは。

何たる辱め。過去最高だろう。
しかも、可愛いとか言われた。
カズマが、私のことを、可愛いって。
嬉しい。嬉しすぎる。夢みたいだ。
あまりに嬉しすぎて、おしっこ漏れそう。
全身にゾクゾクと、快感が巡る。
気を抜くと、いろいろと大変なことなる。

そんな私に、最後のトドメと言わんばかりに。

カズマ「色々とありがとな……ララティーナ」

ダクネス「そ、その名前で呼ぶなぁーっ!?」

羞恥心が絶頂に達した、その瞬間。
バインドを解かれて、私は解放された。
すると、せき止められていた水路が開通した。

ダクネス「んあっ!?」

カズマの前で、盛大に、おしっこを漏らした。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 22:10:31.45 ID:HfQ+yNW40
カズマ「うわっ! 何やってんだお前!?」

ダクネス「うぅ……見るな……いや、見てくれ」

カズマ「どっちだよ!? 事ここに及んでもブレないなお前は! 本当に度し難い変態だよ!!」

度し難い変態。なんて素敵な響きだろう。
ビクンビクンと痙攣しながら、悶絶。
このままでは、おしっこが止まらない。

それなのに、この男ときたら、容赦なく。

カズマ「なあ、ダクネス」

ダクネス「な、なんだ……?」

カズマ「今のってもしかして、『嬉ション』か? 『嬉ション』なんだな? そうなんだな?」

『嬉ション』とは何かは、定かではないが。
なんとなく、語感で伝わった。間違いない。
嬉しすぎて小便を漏らすという意味だろう。
それがどうやら、カズマ好みだったらしく。

カズマ「フハッ!」

もはや我慢の限界とばかりに、愉悦を漏らす。

カズマ「フハハハハハハハハハハッ!!!!」

ダクネス「わ、笑うなぁぁあああっ!!!!」

カズマ「フハハハハハハハハハハッ!!!!」

盛大に哄笑されて、私は快感に包まれた。
こちらも絶叫しているが、掻き消された。
カズマの嗤い声の方が、大きかったのだ。

耳障りで、頭に響く嗤い声。ガンガンする。
ガンガンして、ジンジンして、ガクガクだ。
ひとしきり嗤い、カズマは満足げな表情で。
ポンポンと、私の頭を優しく撫でてくれた。

カズマ「元気が出たよ。だから、心配すんな」

それは、大変ようございましたね、ご主人様。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 22:13:12.04 ID:HfQ+yNW40
カズマ「さてと、後片付けだな。とりあえず、ベッドのシーツを干す前にアクアを呼んで浄化して貰うから、ダクネスはそこで休んでろ」

ダクネス「はい、ご主人様」

カズマ「身分は貴族のお前の方が上だろうが」

ダクネス「私はもう、人ではありませんので」

身分なんてもはや意味をなさない。
ダスティネス家はお家取り潰しだ。
なにせ跡取りが漏らしてしまった。
次期当主はお漏らしの罪で人権を失ったのだ。

カズマ「なんでそんなに嬉しそうなんだ?」

ダクネス「ご主人様の家畜だからです」

カズマ「ほう? 家畜か」

ダクネス「何でも言うことを聞きます」

カズマ「なら、これからは『ララ』と呼ぼう」

ダクネス「それだけはやめてくれっ!?」

最後の最後まで、鞭を振るってくれる。
こんな男は他にはいない。こいつだけだ。
カズマは本当に、私の理想のご主人様だった。
この先何があろうとも、ずっと共に過ごそう。

この素晴らしいご主人様と共に、末永く。


【この素晴らしいお嬢様に嬉ションを!】


FIN
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/07/25(水) 22:18:50.81 ID:HfQ+yNW40
ご読了ありがとうございます!

一部訂正として、あとから確認したところ、どうも5レス目と6レス目の順序が逆のようでしたので、気になる方は脳内で修正して頂けるとありがたいです。
確認不足で大変申し訳ありません。

最後までお読み頂き、本当にありがとうございました!
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/07/25(水) 22:34:46.33 ID:6VDB/TaPo
よかった次も期待せざるを得ない
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/25(水) 22:47:00.43 ID:KPkLgAJM0

なんか最近見るこのすばSSは漏らすのがやたら多いなぁ…
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/25(水) 23:49:17.75 ID:ks7a5fXYo
同一人物が多作品を荒ら……荒らしか?これ
同一人物がいろんな作品でスカトロを書いてるだけ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/26(木) 01:24:56.62 ID:FTWDjfZto
残念ながらそこらのss書きより原作読み込んで、下手ななろう系を凌駕する文才なんだよなあ。
ある意味荒らしより質が悪い。

あ、ssは最高でした。やっぱダクネスはいいよな
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/26(木) 01:25:29.15 ID:FTWDjfZto
残念ながらそこらのss書きより原作読み込んで、下手ななろう系を凌駕する文才なんだよなあ。
ある意味荒らしより質が悪い。

あ、ssは最高でした。やっぱダクネスはいいよな
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/26(木) 06:34:28.51 ID:kiBWECNl0
わかってるけど読んじゃう
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/27(金) 16:12:06.88 ID:9WVrtI6e0
乙やっぱり面白い
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