永夢「ドキドキ文芸部……?」

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46 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:49:52.73 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒「ここに差せそうね。……変身!!」

モニカ’黒「……ダメみたい。何か別の使い方があるの?」


飛彩「それを使うな!!」ダッ

大我「そのガシャットに触るんじゃねえ!」ダッ

モニカ’黒「このボタンを使うみたいね…えいっ!」ポチッ

飛彩「やめ――」

大我「まずい――」



【PAUSE!】
47 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:50:51.81 ID:ZhquxolX0
飛彩「……」
大我「……」
永夢「……」


モニカ’黒「……時が、止まった?」

モニカ’黒「ふふ、フフフ、アーッハッハッハ!!!」

モニカ’黒「すごいわ、これがあれば邪魔者を一人一人消す必要すらない!」

モニカ’黒「止まった時間の中で、私と永夢だけが永遠に愛し合うのよ!!」


モニカ’白「ダメ……!」

モニカ’黒「あら、あなたは動けるのね?本当にいちいち目障りよ」

モニカ’黒「さっきは邪魔が入ったけど、今度こそ…消えなさいッ!」シュバババ
48 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:52:36.87 ID:ZhquxolX0
モニカ’白「永夢の、文芸部の皆の笑顔を守るの……!」

モニカ’黒「うるさい、近づくな!消えろ、消えろ消えろ消えろ!!」バシッバシッ



モニカ’黒「なんで、なんで消えないの!?もう傷だらけなのに!」

モニカ’白「例えどんなに傷をつけても、あなたには消せないわ」フラフラ

モニカ’白「あなたは私なんだから!!」ガシッ

モニカ’黒「くっ、腕を掴まれ――!」

モニカ’白「届いて!」ポチッ



【RESTART!】
49 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:54:02.84 ID:ZhquxolX0
飛彩「これは……」

大我「ポーズが解除された!?」

永夢「……モニカ!?」


モニカ’白「永夢、無事でよかった…!」

永夢「君がポーズを解除したのか、そんなボロボロになってまで…!?」


モニカ’白「永夢、お願い……」

モニカ’黒「この、残りカスのくせにぃっ!!」

モニカ’白「文芸部の運命を――」

モニカ’黒「消えろーッ!!」ブンッ!
50 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:54:53.53 ID:ZhquxolX0
永夢「モニカ…?」

大我「白いリボンのモニカが…」

飛彩「消滅した……!」



永夢「あ……うああああぁッ!!!」



モニカ’黒「何がそんなに悲しいの、永夢?」

モニカ’黒「エンディングの記憶がないあなたには悲しむ理由もないはずよ」

モニカ’黒「それにモニカはここにいるわ、私と一緒に行きましょう?」
51 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:56:07.96 ID:ZhquxolX0
永夢「……記憶なら、ある……!」

モニカ’黒「!!」


永夢「さっき君の攻撃を受けた時に、一瞬だけ君の体に触れた」

永夢「その時に記憶が戻ったんだ。きっと、君のバグスターウイルスが元々はパラドの、そして僕のものだから……」

永夢「そして記憶が戻った今……やっぱり僕は、君を止めなきゃいけない!」

永夢「君は自分の心という大切な宝物を、自分の手で壊そうとしている!!」

モニカ’黒「うるさい、うるさいうるさい!!」

モニカ’黒「何を言ったところで今のあなたは変身できないし、私にはこのクロニクルガシャットとバグヴァイザーがある!」

モニカ’黒「エンディングは決まってるわ、運命は変わらない!」


??「……それはどうかな?」
52 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:57:19.50 ID:ZhquxolX0
飛彩「その声は……」

永夢「貴利矢さん!それに文芸部の皆!」


レーザー(貴利矢)「よう、俺のこと忘れてないだろうな?」

サヨリ「遅くなってごめんね!」

ユリ「皆さん、大丈夫ですか!?」

ナツキ「ちょっと、みんなボロボロじゃない!しっかりしなさいよね!」


大我「遅えぞレーザー!」

レーザー「るせっ!ポッピーと一緒にみんなの手当をしてたんだよ!」

貴利矢「パラドは流石に連れてこれなかったが、ポッピーがついてるし今のところ症状は安定してる。安心しろ!」

永夢「貴利矢さん……ありがとうございます!」
53 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 15:58:36.36 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒「残念だけど、今さらあなたたちが来たところで何も変わらないわ」

貴利矢「ノリが悪いねえ。それとも、ノリノリで悪役やってるって感じ?」

サヨリ「モニカちゃん……もうこんな酷いこと、やめてよ!」

モニカ’黒「やめる気なんてない!それ以上騒ぐならあなたたちも――」

貴利矢「まあ待てよ!永夢、これを使え!」ヒュッ

永夢「!」パシッ

永夢「これは……データが入ってないブランクガシャット?」

貴利矢「『天才ゲーマーM』の力でそれにデータを書き込んで、新しいライダーガシャットを作るんだ!」

貴利矢「そうすればお前はエグゼイドに変身できる!」
54 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:00:16.21 ID:ZhquxolX0
永夢「でも、それにはバグスターの、パラドの力がないと……!」

貴利矢「パラドが無理でも、お前に協力するバグスターならここにいる!!」

永夢「!!」


サヨリ「私も文芸部の一員だもん。モニカちゃんを止められるならなんだってするよ!」

ユリ「花家先生や皆さんのおかげで、自分と世界の事を少し好きになれました。私にできることがあるなら……!」

ナツキ「お世話になりっぱなしなんてノーサンキューよ。手伝ってあげるからバッチリ決めなさい!」

永夢「みんな……!」


モニカ’黒「そんなの、もう一度時を止めてしまえば……!?」

モニカ’黒「バグヴァイザーが反応しない!?どうして!」カチカチ
55 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:02:08.57 ID:ZhquxolX0
モニカ’白(……たとえ身体が消えても――!)

モニカ’黒「ま、まさか!」

大我「そうか、バグヴァイザーにはバグスターを収容する機能がある!」

飛彩白いリボンのモニカがやられた時、バグヴァイザーの中に逃げ込んでいたのか!」

モニカ’白(わたしの力も使って、永夢!)

永夢「……みんなの想いが、モニカの想いが伝わってくる――!」


モニカ’黒「それなら直接止めに行けば――」

モニカ’黒「きゃっ!?」ガキン!
56 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:03:28.38 ID:ZhquxolX0
飛彩「俺たちが時間を稼ぐ!」ガシャコンソード!

大我「主治医はお前だ、覚悟を決めろ!」ガシャコンマグナム!

貴利矢「今だ永夢!やれっ!!」



永夢「……みんなのお陰で、僕のやるべきことが見えた」

永夢/M「――文芸部の運命は、俺が変える!」




『ドキドキダッシュXXXX!』




【GAME START!】

57 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:04:20.55 ID:ZhquxolX0
飛彩「ドキドキダッシュ……」

大我「XXXX(クアドエックス)だと!?」

貴利矢「ヒューッ、やったな永夢!」


永夢/M「モニカ、告白の返事がまだだったな」

モニカ’黒「!」

永夢/M「これが、俺の答えだ!」ダブルガシャット!

永夢/M「ドキドキ大変身!」ガッチャーン!レベルアーップ!


『恋する乙女はマイティ!秘めた想いはリアリティ!』
『届けフィール!走れガールズ!ドキドキダッシュ・クアドエーックス!』


エグゼイド(永夢)「変身、できた!!」

モニカ’黒「その姿は……!」
58 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:05:25.21 ID:ZhquxolX0
大我「……なんか、女子高生が好き勝手にデコったみたいな見た目してないか?」

ユリ「……私は独創的でいいと思いますよ?」

サヨリ「とってもかわいい!ナツキちゃんもそう思うよね?」

ナツキ「なっ……全ッ然ダメよ!かわいいなんて思ってないから!」

貴利矢「ハハッ!良い趣味してるぜ、永夢!」

飛彩「小児科医、そういう趣味があったのか……?」

エグゼイド「違う!これは文芸部のみんなのセンスで――」

ナツキ「今はそういうのいいから!ほら、さっさと行く!」

エグゼイド「おっと、そうだったな!」
59 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:07:04.04 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒「ふふっ、そんなキュートな見た目で私に勝てるの?」

エグゼイド「……ドキドキダッシュは勝ち負けを競うゲームじゃない」

エグゼイド「文学少女が意中の相手にラブレターを渡すため、色々な障害を乗り越えていくランニングアクションゲームだ」

エグゼイド「他のキャラクターの恋の妨害もできるけど、逆に恋の応援もできる」

エグゼイド「どんな選択をしたかで、物語とエンディングは無限大に分岐していく!」

エグゼイド「それが、俺とみんなの想いで作ったドキドキダッシュだ!」

エグゼイド「このゲームで想いをお前に届けるぜ、モニカ!」

モニカ’黒「……いいわ、あなたの想いをぶつけてきて、永夢ッ!」
60 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:08:03.94 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒「やあああぁ!!」ヒュンヒュン

エグゼイド「オラオラどうしたっ!俺はまだまだ行けるぜ!」ヒュンヒュン


ユリ「二人の動きが速すぎて目では追えません!」

貴利矢「永夢のヤツ、あの速度で動きながらモニカの攻撃を全部防いでるぞ!?バケモノかよ!」

サヨリ「そういえば貴利矢、ここに来るときにバイクに変身してたよね?びっくりしちゃった!」

貴利矢「俺はむしろ、サヨリがバイクの運転できるのに驚いたけどな」

サヨリ「えへへ、気分転換にたまに乗ってたんだー」

ナツキ「サヨリのイメージからは遠く離れた特技ね……」

サヨリ「そうかな?ナツキちゃんのお菓子作りはかわいくてナツキちゃんにピッタリだと思うよ!」

ナツキ「今は私の話じゃないでしょ!?かわいいとか言わないで!」

サヨリ(かわいい……)
ユリ(かわいい……)
貴利矢(かわいい……)
61 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:08:59.06 ID:ZhquxolX0
飛彩「お前たち、雑談している場合か!?」

大我「エグゼイドが今戦ってるんだぞ!」

ユリ「はっ……そうですよ、なんで和やかな雰囲気なんですか!?」

貴利矢「でもお前らだってもう戦えないし、あのスピードの戦いには俺も乗りきれないぜ?」

ユリ「だからって……」

サヨリ「あのね……顔はよく見えないけど、あの二人、どことなく楽しんでるように見えるの」

飛彩&大我&ユリ「!!」
62 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:10:12.74 ID:ZhquxolX0
ナツキ「私も、サヨリの言うこと少しだけわかるかも。モニカも永夢も戦ってるというより、まるで――」


モニカ’黒「はっ、やっ、ていっ!」ブンブン
エグゼイド「それっ、ふんっ、とりゃっ!」バシバシ


ナツキ「――ゲームで仲良く遊んでるみたい……」


モニカ’黒(ああ、永夢が私を見てくれてる、私の想いを受け止めてくれてる!)

モニカ’黒(もう寂しくないわ……寂しい?私はずっと寂しかったの?)

モニカ’黒(私と永夢だけの世界なら寂しくない?本当にそれでいいの?)

モニカ’黒(私の本当の望みは――!?)
63 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:11:15.62 ID:ZhquxolX0
エグゼイド「……隙あり!」ガキン!

モニカ’黒「あっ!?」

『キメワザ!』

エグゼイド「悪い子にはお仕置きだ!」


【DOKI DOKI CRITICAL SPRINT!!】

エグゼイド「ハァーッ!!」


【PERFECT!!】

モニカ’黒「キャアアアァァッ!!」



【GAME CLEAR!】
64 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:12:15.95 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒(いや……消えたくない……)

モニカ’黒(お願い……もう私を独りにしないで……!)


永夢「……モニカ、立てる?」ガッシューン!

モニカ’黒「……私、消えてない……?」

永夢「そうだ、クロニクルガシャットとバグヴァイザーは返してもらうよ」

永夢「大我さん、ガシャットお返しします」

大我「……おう」


ピピピ!ピピピ!

飛彩「ポッピーピポパポからの通信だ!」
65 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:14:15.94 ID:ZhquxolX0
ポッピー『パラドのゲーム病が治ったよ!犯人をやっつけたんだね!』

飛彩「ああ、小児科医がゲームをクリアした。だがバグスターは……」


貴利矢「永夢、お前わざと黒いモニカを消滅させなかったな?」

永夢「……はい。その通りです」

飛彩「なぜだ、お前の記憶とパラドの命を脅かしたんだぞ!?」

永夢「モニカに真実を告げられてからずっと、どうすればいいか迷ってました」

永夢「ドクターとウイルスとして接するのか、ライダーとバグスターとして接するのか」

永夢「それとも、ゲーマーとゲームキャラとして接するのか……どの選択肢が正しいのか、答えは出ませんでした」

貴利矢「永夢、お前……」
66 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:15:16.54 ID:ZhquxolX0
永夢「でも、エグゼイドに変身して黒いモニカと全力でぶつかりあって、わかったんです」

永夢「彼女は、『モニカ』は僕と同じだ」

全員「!!」


永夢「小さい頃の僕も、一緒にゲームを遊ぶ友達が欲しくて、でも周りにうまく馴染めなくて……」

永夢「どうすればいいか悩み続けて、天才ゲーマーMの人格を、パラドを産み出してしまった」

永夢「孤独は人を狂わせる病気なんです。モニカもその病に罹っていた」

永夢「そんなモニカを消滅させるなんて、僕にはできない……!」
67 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:16:19.58 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒「……そう、そうだったのね」

モニカ’黒「今まで、胸の中で渦巻いてるこの気持ちこそ愛だって信じてたけど……」

モニカ’黒「本当は違った。この感情の正体は『孤独』」

モニカ’黒「私はただ寂しかっただけ。私が誰かを愛することなんて、最初から不可能だった……!」



永夢「そんなこと無いッ!!!」

モニカ’黒「!!」
68 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:18:14.24 ID:ZhquxolX0
永夢「人間だって、バグスターだって関係ない」

永夢「例え孤独だったとしても、例え取り返しのつかない罪を犯しても、誰かを愛することはできる」

永夢「どんなに苦い結果に終わっても、そこにあった愛は本物だ!」

永夢「だから、自分に愛がないなんて言っちゃ駄目だ!!」


ユリ「宝生先生、なんだか少し悲しそうです」

サヨリ「きっとモニカちゃんのこと、本気で想ってくれてるんだよ、ユリちゃん」

ナツキ「ちょっとだけ、羨ましいかも」


飛彩「小児科医……」

大我「エグゼイドの奴、一丁前に語りやがって」

貴利矢「怒らせると怖いけど、こういう一面もあるってワケね」
69 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:19:59.94 ID:ZhquxolX0
モニカ’黒「……ありがとう、永夢」

永夢「! ポッピーのバグヴァイザーが!」シュルル


モニカ’黒「戻ってきてくれるの、あんなに酷い事をしたのに?」

モニカ’白「……」ニコッ


飛彩「白いモニカのデータが……」

ユリ「黒いモニカちゃんに入っていく……!?」

貴利矢「二つに分かれたモニカの人格(データ)が一つに戻るんだ!」
70 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:21:27.70 ID:ZhquxolX0
モニカ「……」

永夢「君は、どっちのモニカなんだ?」

モニカ「どちらでもないしどちらでもある、が正解よ。永夢」

モニカ「永夢を独占したい。永夢を傷つけたくない。二つの想いの矛盾から生まれた、二人の私」

モニカ「どちらも私の偽りない本心。永夢の説得のおかげで元の私に戻れたの」

モニカ「そしてドキドキ文芸部に感染したパラドが完治した今、私たちももうすぐ消滅する」

永夢「そんな!」

モニカ「それでいいの。それが本来あるべきエンディングだから」

永夢「モニカ……」


モニカ「ねえ、永夢……最後に少し、みんなに時間をくれないかしら?」

永夢「……いいよ、モニカ」
71 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:22:34.52 ID:ZhquxolX0
ユリ「お世話になりました、花家先生」

大我「そんなに気を使うな。ニコっていうお前の100倍やかましい奴の世話してたときよりずっと楽だ」

ユリ「……きっとその人は花家先生の大事な人なのでしょうね」

大我「なっ!そんなんじゃねえ、あいつが勝手に絡んでくるだけだ!」

ユリ「ふふ、そういうことにしておきます」

大我「はぁ、大人をからかうなよ」


ユリ「花家先生、私……」

大我「何だ」

ユリ「私、将来医師になりたいです!」

大我「……」

ユリ「あ、っ…ごめんなさい!先生の医学書をちょっと読んだだけで、生意気なことを言ってしまって!」
72 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:23:26.85 ID:ZhquxolX0
大我「なんでそう思ったんだ」

ユリ「えっ?」

大我「なんで医者になりたいと思ったか。言ってみろ」

ユリ「はっ、はい!」

ユリ「この世界に来て、花家先生やCRのドクターの皆さんのお仕事を見ていて……」

ユリ「ただ患者さんの病気を治すだけじゃなくて、患者さんの心に寄り添って治療をしているところを見たんです」

ユリ「医療に携わることで、病気で心細い人たちの笑顔を守れるなら」

ユリ「私もそういう生き方をしてみたい。そう思ったんです」

ユリ「……これから消える私が将来の話なんて、やっぱり変ですよね……」
73 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:24:13.19 ID:ZhquxolX0
大我「……やってみろよ」

ユリ「!」

大我「医師免許を取るのは簡単じゃないし、仮に医者になれても良いことばかりじゃない」

大我「救いたい人を救えなかったり、自分の無力を思い知らされたり……嫌なことの方がずっと多い」

大我「それでも本気で医者の道を志すつもりなら、俺は全力で応援する」

大我「そして、もしお前が夢を叶えられたなら……その時は、盛大に祝ってやる」

ユリ「……はいっ!」
74 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:25:55.90 ID:ZhquxolX0
 // // //

ナツキ「これで全部終わったのね…」

飛彩「ああ。そしてもうすぐ、お前たちも消える」

ナツキ「何よ、いなくなってせいせいするって意味?それとも、今さら別れが惜しくなったとか言わないでしょうね?」

飛彩「俺は情に流されない。命に関わるオペでは一瞬の判断の差が生死を分けるからな」

飛彩「ふーん、それがあんたのプロとしての誇りって訳ね」


飛彩「ナツキ。カップケーキを一つくれないか」

ナツキ「はぁ!?なんで今ケーキなのよ!」

飛彩「常にコンディションを保つのはドクターの基本だ。糖分補給を欠かすことはできない」

ナツキ「はいはい、あんたのプロ意識には負けたわ」

ナツキ「それが最後の一個なんだから、感謝して食べなさいよね」

飛彩「ああ、ありがとう」
75 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:26:40.48 ID:ZhquxolX0
飛彩「……いい出来だ」

ナツキ「当然よ!私のカップケーキは世界一なんだから!」

飛彩「世界一、か」

ナツキ「……なによ、どうせあんたも私を馬鹿にするんでしょ?」

飛彩「情に流されないと言っただろう。いちいち馬鹿になんてしない」

飛彩「それにその志は理解できる。俺も世界一のドクターになると決めているからな」

ナツキ「へぇ意外。クール気取りの割には案外熱い夢持ってるのね?」

飛彩「夢じゃない、事実だ。俺は世界で一番のドクターになる」

飛彩「そうならなければ救えない、救いたい人のために……!」
76 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:27:59.57 ID:ZhquxolX0
ナツキ「きっと、なれるわ」

飛彩「!」

ナツキ「あんたは世界で一番のドクターになれる」

ナツキ「むしろ、私がお墨付きをあげたんだから絶対になりなさい、いいわね!」

飛彩「……言われるまでもない」

飛彩「それとナツキ、お前のカップケーキは良く出来てるが世界一には程遠い。もっと練習しろ」

ナツキ「余計なお世話よ!まったく、最後なのに本ッ当に空気が読めないんだから!」


ナツキ(ありがとね、飛彩)
77 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:29:28.65 ID:ZhquxolX0
 // // //

サヨリ「私、お医者さんって不愛想なイメージがあったんだけど……」

サヨリ「貴利矢みたいに親しみやすい人もいるんだね。知らなかったなぁ」

貴利矢「それは一応誉め言葉として受け取っておくぜ」

貴利矢「ま、一見不愛想でも実はそうでもない人も多いもんだ」

貴利矢「甘い物好きの大先生とか、実は熱血漢の白髪先生とかな。人は見かけによらないってね」

サヨリ「貴利矢ってヒトのことをよく見てるんだね!」

貴利矢「そりゃ監察医だし、それに……実は俺、人の心が読めるんだ!」

サヨリ「えーっ、絶対ウソ!」

貴利矢「たはっ、流石に乗ってくれないか!でも監察医の勘は本物よ?」
78 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:30:35.59 ID:ZhquxolX0
貴利矢「サヨリ、その監察医の勘で一つアドバイスだ」

サヨリ「貴利矢?急にどうし――」

貴利矢「『優しい嘘を使いすぎるな』」

サヨリ「……!!」

貴利矢「お前にはお前のノリがある。無理に他人を乗せてばかりじゃなくて、たまには自分から乗ってみろ」

サヨリ「……うん、覚えとくね。ありがとう貴利矢!サヨナラっ!」

貴利矢「おう、頑張れよ!」


貴利矢(俺らしくもないお節介を焼いたか?でも、なんかサヨリの目を見てると……)

貴利矢(ま、気のせいならそれに越したことはないよな)
79 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:32:19.06 ID:ZhquxolX0
 // // //

モニカ「宝生永夢さん」

モニカ「あなたのことが好きです」

モニカ「私の恋人になってください」

永夢「……モニカ、僕は」
永夢「『―――――――――――』」

モニカ「……うん、永夢はきっとそう答えると思ってた」

モニカ「今までの事全部、ごめんなさい。そして」

モニカ「私の心が壊れないように守ってくれて」

モニカ「私のわがままに付き合ってくれて」

モニカ「そして、私と真剣に向き合ってくれて」

モニカ「私を素敵なエンディングに導いてくれて、ありがとう」

モニカ「永夢。あなたに出会えて、本当に良かった」
80 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:33:36.97 ID:ZhquxolX0
永夢「僕も、君に出会えてよかった」

永夢「ドキドキ文芸部は本当に素敵なゲームだ」

永夢「僕はこのゲームの事を、モニカたちの事を絶対に忘れない」

永夢「きっとこのゲームを遊んだ世界中の人たちが、文芸部のみんなを……」

永夢「そして君を好きになるよ、モニカ」

永夢「って、僕が言うのも変だけど……」


モニカ「ふふ、永夢は優しいのね」

モニカ「でもね、今ここにいる私の望みはそうじゃないの」

モニカ「あなたの水晶みたいに澄んだ心の、ほんの一欠片だけでいいから」

モニカ「あなたに私のことを…私たちの文芸部のことを覚えていてほしい。約束してくれる、永夢?」

永夢「……ああ、絶対に忘れない」


モニカ「ありがとう」ニコッ


モニカ「さようなら、永夢!」
81 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:35:13.61 ID:ZhquxolX0
パラド「……消えたな」

永夢「……うん」


パラド「永夢。俺、モニカのウイルスに感染してた時に、夢を見たんだ」

パラド「真っ暗な闇の中に俺が立ってて、遠くに女の子がいて……」

パラド「その子は『寂しい、一人は嫌だ』って泣いてるんだ。それを見てたら俺まで寂しくなってきて」

パラド「思わずその子に駆け寄って、でもどうすればいいのか俺にはわからなくて」

パラド「病院で永夢が子供にやってるみたいに、頭を撫でて『大丈夫だ』って励まし続けた」

パラド「そうしてたらいつの間にか目が覚めて、ゲーム病も治ってた」

パラド「変な夢だったけど、その時のことを思い出すとなぜか俺の心が滾るんだ」

永夢「……きっとお前は正しいことをした。僕はそう思う」

パラド「……そうか。そうだといいな」
82 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:36:29.39 ID:ZhquxolX0
永夢(こうして、僕たちと文芸部の不思議な日々は終わった)

永夢(僕の選択が正しかったのかは、正直今でもわからない)

永夢(でも僕がモニカと交わした約束は、僕にとって大切な宝物だ)


---数日後、聖都大附属病院・小児科

永夢「……うん、軽い風邪だね。お薬を飲んで何日かぐっすり寝れば良くなるよ、いいね?」

少年「はーい!…あっ、エム先生ってゲーム好きなんでしょ?」

永夢「好きだけど…急にどうしたの?」

少年「実はオレ、ゲームに出てくる女の子を好きになっちゃったんだ」

永夢「!」

少年「これって、今流行ってるゲーム病なのかな?どうしたらいい?」
83 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:37:02.03 ID:ZhquxolX0
永夢「……大丈夫、それはゲーム病じゃないよ」

永夢「君は本当にその子を好きなんだね?」

少年「うん」

永夢「じゃあ、その子にも自分の事を好きになって欲しいと思う?」

少年「うん!」

永夢「その子はどういう人が好きそうかな」

少年「うーん…きっと、強い人!」

永夢「それなら、強い人になれるように頑張ってみるといいよ」

少年「えーっ!?ゲームに出てくるモンスターとか、オレじゃ倒せないよ!」
84 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:37:46.16 ID:ZhquxolX0
永夢「敵を倒したり、世界を救ったりするだけが強さじゃないよ」

永夢「お父さんやお母さんのお手伝いをしたり、困っている友達を助けたり」

永夢「そういう小さな事を積み重ねていけば、いつか必ず誰かのヒーローになれるんだ」

永夢「そうすれば、その子もきっと君の事を好きになってくれるんじゃないかな?」

少年「…なんか、エム先生が言うならできる気がする!」

永夢「あはは!でも今の君の役目は、風邪を治すことだからね!」

少年「わかった!エム先生ありがとう!おだいじに!!」ガラガラ

永夢「『お大事に』は僕のセリフだよっ!」
85 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:39:39.87 ID:ZhquxolX0
永夢「ふぅ、今日の仕事も終わり……」

永夢「あれ、ポッピーにパラドに貴利矢さん?」

パラド「永夢!今ドキドキダッシュで遊んでるんだ、一緒に遊ぼうぜ!」

貴利矢「うわっ、またゲームオーバーだ!」

ポッピー「このゲーム見た目は可愛いのに激ムズだよ!ピヨる〜!」



永夢「……よし、任せろ!」
「ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!」
86 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:41:10.55 ID:ZhquxolX0
以上で終わりです。最後まで読んでくれた方へ感謝を

CRのドクターと文芸部員がイチャイチャする話を書きたかっただけなのにどうしてこうなった……
87 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:51:12.75 ID:ZhquxolX0
【とりあえずのQ&A】

Q.なんで神がいないの?
A.タイミング的にトリロジー後が都合がよかったのと
話の流れ的に神が活躍できそうなタイミングがなかったため
あと神のテンションを表現するだけの筆力がない

Q.モニカの告白に永夢はどう答えたの?
A.こっちが知りたい
あそこで永夢がどう答えるかだけ全く思い浮かばなかったので、
DDLCとエグゼイド好きな人がいたらこっそり教えてほしい
88 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:55:12.55 ID:ZhquxolX0
【不足した神の成分を補うおまけ(という名のダイマ)】

モニカ「ねえポッピー、小説版エグゼイドで永夢の好きな女の子のタイプがわかるって本当!?」

??「その通りだァ!!」

モニカ「えっ、誰!?」

ポッピー「その声はクロト!?」

黎斗「私の事は檀黎斗神と呼べ!!!」

モニカ「ダンクロトシン?なんだか薬の名前でありそう……」

ポッピー「モニカ、この人の言うことは気にしなくていいからね」

黎斗「余計な口を挟むなァ!それよりエグゼイドの小説の話だ!」
89 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:57:56.77 ID:ZhquxolX0
黎斗「モニカの言う通り、小説版では宝生永夢の好む女性のタイプが語られる」

黎斗「しかも他ならぬ彼自身によってだァ!!」

モニカ「!!」

ポッピー「えーっ!?エムからそんな話聞いたことないよ!」

黎斗「だからこそ価値があるというものだァ」

黎斗「しかもそれだけではない、なんとこの小説では……」

ポッピー「ゴクッ……」

黎斗「他ならぬこの私も大活躍するのだあァ!!ブワーッハッハァ!!」

黎斗「トリロジーで消滅したはずの私がどのように物語に関わるのか……」

黎斗「それは君自身の目で確かめてみろォ!」
90 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 16:59:08.14 ID:ZhquxolX0
モニカ「永夢のタイプってどんな娘かしら……きっと文学少女で部長を務めるようなリーダーシップと頼りがいがあって
背は高めで長い髪と白いリボンが似合って、ひたむきな努力家で恋に一途な女の子に違いないわ!」キラキラ

モニカ「待ってて永夢!今そっちに行くから!!!」ダッ

ポッピー「ちょ、ちょっとモニカ!?」ダッ


黎斗「……」

黎斗「神の話を聞けえええええェッ!!!!」


【小説版仮面ライダーエグゼイド〜マイティノベルX〜 好評発売中!】
91 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 17:03:25.25 ID:ZhquxolX0
おまけ終わり
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/08(水) 17:13:18.04 ID:v10ZWPR60
ダンクロトシンってクロロホルムとかテトロドトキシンとか混ぜたようなヤバそうな名前やな

読み応えあって面白かったおつおつ
「きっとそう答えると〜」って言ってたから断ったんじゃないかと思ったけど、この辺は各個人の想像の余地で逆にそれがいいと思う
93 : ◆4lt9OnUmNs [sage saga]:2018/08/08(水) 17:27:13.31 ID:ZhquxolX0
感想ありがとう

Q&Aに書き損ねてたけど、黒いモニカがクロノスになれなかったのは
人間じゃないから+飛彩と大我ゲーマドライバーの使い方をバグヴァイザーで真似したからで
培養だったらワンチャンあった(クロノスじゃなくてゲムデウスになってた可能性もある)
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/08(水) 17:51:04.61 ID:5wdqWatp0
乙ですー!
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/08(水) 18:24:31.72 ID:ThTjpFEM0
スレタイホイホイだった、いい物見れた
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