【デレマス】 偶像ルネッサンス

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1 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 22:56:44.94 ID:gNqPAssWo
○長富蓮実・安部菜々・服部瞳子 などが登場します。

○以前書いた
長富蓮実「ザ・ラストガール」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1544796224/
というSSが、このお話の前日譚に当たりますのでよろしければそちらもどうぞ
(読まなくても分かるようにしています)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1555855004
2 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 22:59:34.71 ID:gNqPAssWo
 







  【:独占特集: IU最注目グループ『Renaissa』結成から休止まで―――メンバーが語る真相】







3 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:02:17.34 ID:gNqPAssWo
 
――――――

2018年4月、人気アイドルグループ「Renaissa(ルネッサ)」が無期限の活動休止を宣言、
所属事務所の346プロダクションが同月公式に発表した。

7年ぶりの開催となったトーナメントオーディション大会である「Idol Ultimate(アイドル・アルティメイト、以下IU)」2017年大会の決勝戦を終えてから1週間ほどの出来事で、
当時のファン・関係者を大いに騒がせたことはあまりにも記憶に新しい。
長年アイドル業界の様々なニュースを追いかけてきた筆者も、これには衝撃を受けた。

2017年4月にデビューを果たしてからの1年間、彼女たちの大躍進は凄まじいの一言であった。
IUは2010年の開催凍結前から、きわめて特殊なオーディション方式でありながらもトップアイドルへの登竜門としてその名を馳せており、
“IU2017”として当時の形式のままで再び開催されることが決まった当時の盛り上がりは予想以上で、エントリー数は大会として歴代最多の216組を記録した。

そんな激戦にもかかわらず、Renaissaはデビューしたその年にIU2017に参加した53組の中で決勝戦まで勝ち進んだたった2組のうちの1つであり
(ちなみに、今回のIUへの参加資格についてはデビューから3年以内という規約がある)、
それまでの道のりで格上のライバルたちを次々に下していった。
まさしく彗星のごとく現れた新星であった。
圧倒的な勝負強さと、大会のダークホースとしての人気を順調にかき集め、
彼女たちはこの一年で見事、トップアイドルの仲間入りを果たしたと言えよう。

そんな彼女たちはなぜ、人気絶頂のさなか活動休止を選んだのか?

休止発表から一年、筆者はRenaissaのメンバーに独占取材を試み、グループ結成から休止までの経緯やこの騒動の真相に迫った。
4 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:05:20.42 ID:gNqPAssWo
 
【「Renaissaの一番の原動力は、リーダーの存在だったんです」――安部菜々】


――安部さんは去年の7月、346プロダクション内での「シンデレラガール総選挙」において、
   見事第7回のシンデレラガールに選出されたわけですが。


安部菜々(以下、安):ありがとうございます。おかげさまで。


――やはり、それにはRenaissaでの活動が影響していると思われますか?


安:そりゃぁ、もちろんあると思います。この1年、Renaissa以外の活動も多くさせていただきましたけど……
  デビューからずっと所属してて、一番活動の場をいただけたのがあのユニットでしたから。


――安部さんといえば、最近は多方面で同事務所所属の方と一緒に活動されています。
   佐藤心さんとのコンビユニットは記憶に新しいですね。


安:そうですね。はぁとちゃんと組むのは本当に楽しいです(笑)。


――私も非常にエネルギーを感じます(笑)。さて、話を戻しますと、IU2017でのRenaissaの大躍進があったおかげで、
   安部さんの今の人気があるという認識がおありなんですよね?


安:そのとおりです。


――単刀直入に伺いますが、他のグループとRenaissaの何が違っていたのでしょうか?


安:そうですねぇ……やっぱり、最初は誰も注目していなかった新人3人だけで組まれたユニットが、
  IU2017という大きな舞台で勝ち上がっていけた意外性とかももちろんあると思うんですけど……
  一番は、全員のアイドルとしての「在り方」だったんじゃないかと思っています。
5 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:08:34.32 ID:gNqPAssWo
 
――在り方ですか?


安:実は……といってもお気づきでしょうけど、「ルネッサ」は「復活」を意味する「Renaissance」から来ています。
  その名の通り、私たちはそれぞれが抱える「復活」への思いを全力で活動にぶつけてきました。
  あるメンバーはアイドルとしての自分自身そのものの復活、
  あるメンバーは自分が持っていた理想、諦めかけていた理想の復活、といったようにです。


――なるほど。


安:その中でも、とくにスケールの大きい「復活」のイメージをずっと持ち続けていた子がいました……


――そうですよね。存じ上げております。


安:彼女が目指した「復活」は、アイドルそのものでした。古き良き時代のアイドルを心から愛して、
  今の時代でもう一度そのスタイルが輝けるように、って。
  今考えるととんでもない話です。そんなことちょっとやそっとでできるものじゃありません。


――ですね。


安:確かにアイドルの世界全てを変えることはできなかったし、何もかもが成功に収まったわけではありません。
  でも、彼女は……長富蓮実さんは、それを本気で目指していた。
  リーダーだった彼女の心意気こそが、Renaissaの一番の原動力だったんじゃないかなと。


――では、Renaissaのメンバーとしてこれまで一番近くで長富さんを見てきた安部さんにお伺いします。
   彼女はどんなアイドルでしたか?


安:どんなアイドル、ですか……うーん、難しい質問ですけど……


  そうですね、私に言わせれば――
6 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:11:38.50 ID:gNqPAssWo
 

蓮実ちゃんは、「どんなアイドルか」という話じゃないんだと思います。


アイドルって、今でこそ色んなキャラクターがあって、
生き方があって、
ファンの方々もそれぞれ全然違ってて、
すっごく多様で面白い世界になっていますよね。


でも、元をたどれば……たった一つの形から、時代を経て少しずつ、
アイドルの在り方というものは広がっていったんだと思います。
蓮実ちゃんは、そんな中私たちなんかよりもずっと……アイドルの過去と、未来と、現在、人一倍向き合って、
一番勇気の要る道を進んでいったんじゃないかなぁ。
ハッキリ言いますと、彼女を「どんなアイドルか」と表すことはきっとできないんです。


だから、彼女について私からいえることはこれだけ。



 「彼女がアイドルなんです」


──────
7 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:13:57.25 ID:gNqPAssWo
 



  “あの頃の清純派はもう死んだ?”

    “いや、まだだね。 何でって……”

      “まだ君がいる”



  “君自身が憧れ目指す古き良き清純派アイドルの、最後の一人として――”

       “君を、現代で頂点へ引っ張ってやる”

    “みんなに見せてやろうぜ”



   “清純派の復活ってやつをさ”


8 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:19:54.30 ID:gNqPAssWo
 


その昔、
アイドルとは孤高であり、
不可侵であり、
届かぬ憧れであった。

昭和50年代、それは大衆メディアが大発達を遂げた絶頂の時代であり、その波に乗るようにアイドル文化も隆盛を誇った。
「清純派」と呼ばれる当時の伝説たちは、人類の長い歴史から見ればまだまだ始まったばかりの大衆アイドルという世界の中で、
初めてスタンダードを確立した一種の完成形となった。

彼女たちは日本中がTVを通じて見守る中、大きなステージの真ん中で、真っ暗な空間の中たった一人スポットライトを浴び、
時に静かに時に優しく、一曲を歌い上げる。
後奏が鳴り止んだ瞬間、一斉に沸き上がる歓声を一身に浴び、次の日には日本中がその瞬間について語り合い、讃えた。
彼女たちの一挙手一投足を真似するいたいけな少女も、友人の手前ファンだと大っぴらに言えない恥ずかしがりな青年も、
自室に埋め尽くされたポスターに囲まれながら擦り切れるまでレコードを聞き入る大人も、
ただ娘や孫を見守るように静かに静かに応援している老人も、
みな一様に、アイドルを愛していた。
アイドルはその特殊な世界でもって、見事に世間を魅了していた。
9 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:21:03.11 ID:gNqPAssWo
 
だが、時代は変わった。
現代の人々にとって、アイドルとは百人いれば百通り存在する。
個々の知名度の差こそあれ、それがアイドルとしての全てではなくなった。
個性を重視し、オリジナリティを売りにして「狭く深く」独自の方向性で人気を得ていくようになった。
人々はそれぞれが信じる対象を崇拝し、支え、成功をともに喜び、失敗を悔やみ、進退に一喜一憂する。
それはアイドルへの人々の目が変わり、万人に人気を得ることが難しくなったから。
そしてTVからインターネットへとメディアの主流が移り変わり、「狭く深く」の戦略で生き残れる世界に変化したから。

そうして平成のアイドルはひっそりと栄えていった。
そこにはかつてほどの影響力こそないものの、みなそれに納得していた。

偶像は多様化の道を選んだのだ。

アイドルは孤高ではなく、
より近しい存在になり、
憧れは親愛に変わった。

万人にとってのアイドルはこの時代には存在しない。
こうして、かつて世を賑わせた「清純派」はすっかり鳴りを潜めることとなった。

さらに時代が移り変わろうとしている平成の末期、
一度は絶滅したかに見えた「清純派」の、最後の一人が現れるそのときまでは。
10 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/21(日) 23:22:08.76 ID:gNqPAssWo
(今日ここまで)
11 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/23(火) 22:17:27.43 ID:8+PeY8Rzo
 
──────



 2017年・3月



──────
12 : ◆AsngP.wJbI [saga]:2019/04/23(火) 22:19:24.37 ID:8+PeY8Rzo
 
春の346プロダクション。
アイドル部門はこの日、また新たな一員を迎える。

「受付から連絡来ました。今エレベーターに乗ってると」
「わかった」

“アイドル”という長く短い歴史の中で、既に見捨てられつつある一つの生き様。
この時代にたった一人しかいないであろう逸材は、その生き様に自らの使命を見いだし、逆風吹き荒ぶこと覚悟の上、この道を選んだという。
その道を照らすのは、『復活』という一つの希望。
時代の埃を被った夢を愛する者たちにとっての一つの希望。

「もうすぐ来ますよ」
「……うし。時間通り」

事務室へと続く、短く長い廊下を一歩一歩、かすかに震える足取りで進むその少女は、
大きな花柄をあしらった真っ白なワンピースに、太めのベルトのアクセント。
ワンピースとお揃いのカチューシャで、ふわりと巻いたミディアムヘアを飾っていた。
時代錯誤と言っても差し支えないそのファッションが、彼女の人となりを一目で表しているようにも見える。

「ここかな……?」

今か今かと室内で待ち構える二人を焦らし始めてほどなく、控えめなノック音を二回響かせたのち、

「……どうぞ、お入りください!」
「し、失礼します……」

少女はおそるおそる扉を開いていった。

「こんにちは、初めまして。 ようこそ346プロへ――」


「長富蓮実さん」
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