【デレマス(デレステ)】黒埼ちとせ「私の望みは――」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:10:55.14 ID:iNeaJ/HC0
ちとせ「あなたの望みは、なぁに?」

ちとせ「あなた、私が欲しいんでしょ?」

ちとせ「アイドル? ……あはっ、楽しそう」

ちとせ「いいけど、いくつか条件を守ってね。できる?」

ちとせ「ひとつは、私を退屈させないこと」

ちとせ「ふたつめ。私に嘘をつかないこーと」

ちとせ「みっつめは……なーに、その顔。もう待てないの?」

ちとせ「じゃあ、契約しよっか」

ちとせ「もう、後戻りはできないよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1558883455
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:15:28.20 ID:iNeaJ/HC0
以前書いた
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554736389/
(これはSS速報Rなので注意)と世界観を共有していますが、続編というわけではないので、特に読まなくても支障ありません。時々、上記リンクの作品におけるセリフとリンクすることがあります。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:17:47.49 ID:iNeaJ/HC0
あ、ここに出てくるPはhttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1554736389/のPとは異なる人物です。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:26:44.32 ID:iNeaJ/HC0
モバP(以下、「P表記」)「ちとせの人気も徐々に上がってきているな、よし」

ちとせ「徐々に、なの? 私としては、急激に人気が上昇したほうが楽しいかな♪」

P「何を言ってるんだ。新人にしてはこの人気の伸びはすごいほうだぞ。あまり高望みをするもんじゃない」

ちとせ「ふうん。ま、いいけど」

P「なんだ、退屈か?」

ちとせ「まさか。あなたのおかげで毎日が楽しいわよ」

ちとせ「もちろん、私の人気があなたの仕事のおかげだってことも――ね」

ちとせ「ねえ、もっと私を楽しませてくれる?」

P「ふっ、望むところだ。お前も、バテるんじゃないぞ」

ちとせ「それはどうかなー、ほら、私、体弱いし」

P「……そうだったな。無理は、するな」

ちとせ「もうっ、真剣な顔しちゃって。ちょっとからかっただけだってば。私は大丈夫だよ」

ちとせ「あなた、ちょっと可愛いところあるけど、やっぱり堅物がすぎるんじゃない?」

ちとせ「それも、お勉強のしすぎのせいかなー?」ナデナデ

P「くっ、やめろって。大人をからかうんじゃない」バッ

ちとせ「もう、いけず」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:36:22.39 ID:iNeaJ/HC0
P「だいたい30代半ばのおっさんが女子高生に撫でられてる画って、いろいろとだめだろ……」

ちとせ「そう? 私はキュートでファニーだと思うな」

P「俺がキュートでファニーになってどうする」

ちとせ「んー、私が喜ぶ?」

P「その需要は求めてない」

ちとせ「つまんないの」

P「つまんなくていい」

ちとせ「私が退屈しちゃってもいいの? 約束、忘れた?」

P「……忘れてなんかない」

P「退屈させない、嘘をつかない、そして――」

P「――あれ、3つ目って……」

ちとせ「はーい、ストップ。真面目にならない。別にあなたが約束を破るだなんて思ってないから」

ガチャ

千夜「お嬢様。ただいま戻りました」

ちとせ「あっ、私の可愛い僕ちゃんのおでまし」

ちとせ「おかえり、千夜ちゃん」

千夜「はい、お嬢様」

P「ちょうど良かった。千夜、ちとせを連れて帰ってくれ」

千夜「お前に言われなくてもそうするつもりです。さ、お嬢様」

ちとせ「えー、つまんないのー、私はもっとお話したかったのになー」

P「千夜が相手になってくれるだろう。俺には仕事が残っている。それじゃあな」

ちとせ「冷たいのね」

P「なんとでも言え」

千夜「お嬢様、こんなの放っておいてさっさと帰りましょう」

ちとせ「仕方ないなー、今日のところはあなたの言うことを聞いておいてあげる」

ちとせ「それじゃあねー」

バタン

P「……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:44:10.85 ID:iNeaJ/HC0
ちとせの家


千夜「お嬢様。一つお伺いしたいことが」

ちとせ「なぁに? 千夜ちゃん」

千夜「お嬢様はなぜ――あの男、プロデューサーにあそこまでかかわろうとするのですか」

千夜「いつもお嬢様のことを煙たがっているように見えますし、あの男が仕事において有能なのは知っていますが、お嬢様のほうから絡もうとするのが私にはわかりません」

ちとせ「うーん、なんで、か」

ちとせ「やっぱ、可愛いから、かな♪」

千夜「か、可愛い……? あの男が、ですか?」

千夜「あまりお嬢様に楯突くような意見は述べたくありませんが、それはいかがなものかと……」

ちとせ「千夜ちゃんはあの人につんけんしすぎなのよ。私みたいに優しく、時に意地悪に接してあげれば、きっと可愛い一面を見せてくれるわ」

千夜「優しく、時に意地悪に……」

千夜「……」

千夜「……遠慮しておきます」

ちとせ「なんだ、つまんない」

千夜「つまらない僕で申し訳ありません、お嬢様」

ちとせ「って、謝らないの。本気で言ったわけじゃないわよ。そりゃあ、あの人にデレる千夜ちゃんが見れたらすっごく楽しいかもだけど!」

千夜「デレっ……って、やめてください。想像したくありません」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:46:04.54 ID:iNeaJ/HC0
千夜のちとせに対する呼び方が「お嬢様」ではなく「お嬢さま」らしいので、後者でいきます。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 00:57:37.81 ID:iNeaJ/HC0
ちとせ「ねえ、千夜ちゃん。ワイン開けてくれる? 例のやつ」

千夜「はい。お嬢さま」

コトッ

キュ……ポンッ

トトトトト

千夜「どうぞ」

ちとせ「ありがと」

ちとせ「……うん、良い香り」スンスン

ちとせ「それじゃあ、一口」

ちとせ「……っ」

ちとせ「ふふっ、おいしい」

ちとせ「こんなもの飲んでるってあの人に知られたら、怒られちゃうかも♪ なんて」

千夜「……」

ちとせ「どうしたの? 千夜ちゃん。変な顔してるよ?」

千夜「いえ……お嬢さまはあの男の話ばかりするな、と」

千夜「っ! あ、その、別にそれが駄目だというわけではなくて――なんていうか、その……申し訳ありません。出すぎたことを」

ちとせ「別に気にしなくていいよ、千夜ちゃん」

ちとせ「なんで私があの人の話ばかりするのか、ね」

ちとせ「うーん……」

ちとせ「千夜ちゃんは、さ」

ちとせ「男の人に対して、何か特別な感情を抱いたってことは……ないの?」

千夜「ありません。私は物言う人形。お嬢さまに仕え、お嬢さまの役に立つ以外の価値はありません」

千夜「ゆえに、恋愛の必要も感じません」

ちとせ「まーだそんなこと言ってるんだ。私、千夜ちゃんのそういう考え、嫌いだよ」

千夜「き、嫌い……」

ちとせ「あらやだ、嫌いって言われて落ち込む千夜ちゃん可愛い……」

千夜「い、いえ……お気になさらずに、どうぞ」

ちとせ「千夜ちゃんは価値のない人形なんかじゃないよ。私の存在を抜きにしても、ね」

ちとせ「私は、千夜ちゃんに人間として人生を楽しんでほしいけどな」

千夜「その言葉だけで十分嬉しく思います。ですが、私は、お嬢さまにお仕えして、役に立てるだけで、幸せですから」

ちとせ「……そう」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 01:07:14.34 ID:iNeaJ/HC0
同じ頃、事務所のPの部屋


P「ふう……書類が多かったな、今日は」

コンコンコン

P「どうぞ」

ちひろ「失礼します。プロデューサーさん、お疲れ様です」

P「お疲れ様、千川さん」

ちひろ「夜遅くまでご苦労様です。プロデューサーさんのおかげで、ちとせちゃんも千夜ちゃんも人気が伸びているそうですね」

P「ああ、おかげさまでね。まあ、千夜に関して言えば、もう少し自分というものを持って欲しいと言うか……このままだと人気が伸び悩みそうなんだよな」

ちひろ「千夜ちゃん自身、ちとせちゃんが人気になればいいと思っていますからね。あの子が変わるのはなかなか難しいかも」

P「どうすればいいんだろうな……」

ちひろ「……はい、お仕事の話終了! もう11時です、深夜ですよ、深夜。休みましょう」

P「はは、そうだな」

ちひろ「実は私、こんなものを持ってきたんです」ガサゴソ

ちひろ「じゃーん、山田錦の大吟醸です」

P「なんでそんなもの持ってるんだ……」

ちひろ「楓ちゃんがお土産にってくれたんです。最近、彼女と飲みに行ったりしてるんですよ?」

P「な、なるほどな」

ちひろ「というわけでプロデューサーさん、今夜は飲みましょう!」

P「って、ここでか? 俺の部屋とはいえ、事務所の部屋を酒臭くするのはな……」

ちひろ「細かいことを気にしちゃだめですって、プロデューサーさん。それに、もうあなたは偉い人なんですから、文句の一つでも言われたらねじ伏せてやればいいんですって」

P「ちひろも言うようになったなぁ――って、すまん、千川さん」

ちひろ「わざわざ言い直さなくてもいいですよ――」

ちひろ「――Pさん」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 01:08:04.01 ID:iNeaJ/HC0
とりあえずここまで。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/27(月) 02:21:32.32 ID:oFV8PVjDO
あー、そーゆー仲ね
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/05/27(月) 10:37:31.83 ID:AlTUWQtK0
浮気女だっけ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/27(月) 23:11:36.21 ID:iNeaJ/HC0
事務所


P「ちとせ、仕事とってきたぞ。土曜昼のバラエティのゲストだ」

ちとせ「あら、楽しそう。おしゃべりしてるだけでいいの?」

P「そうだが、そうじゃない、というべきか。確かに、基本的には会話してるだけだが、その内容はただ自分だけが楽しめばいいってものじゃいけない」

P「自分が楽しいのはもちろんのこと、それを聞いた人たち、見た人たちをも楽しくさせる、そんな内容でなくちゃいけない」

P「プロとして当然のことだ」

ちとせ「もう、わかってるって、それくらい。ただ好き勝手やるだけがアイドルってわけじゃないもんね」

P「そうだ」

ちとせ「ねえ、私にはもうちょっと優雅な仕事もあって良いと思わない?」

P「偉そうなこと言うなよ」

ちとせ「偉そうじゃなくて偉いの」

P「はいはい」

ちとせ「あぁん、冷たい。私、メンタルやられて死んじゃうかも」

P「119番はいつでも呼べる。安心しろ」

ちとせ「……そういうことじゃ、ないんだけどな」

P「あ、そうだ。この仕事は――」

コンコンコン

P「――っと、どうぞ」

「失礼します」

ガチャ

千夜「何の用でしょうか……って、お嬢さま……」

ちとせ「はぁい♪ ちーよちゃんっ」

千夜「お嬢さまは本当にここがお好きなのですね」

ちとせ「うんっ、好きだよ」

千夜「まあ、いいですが」

千夜「それで、お前、私に何の用ですか」

P「仕事だよ。ちとせと一緒のな」

千夜「!」

ちとせ「あら、もしかして」

P「そう。このバラエティのゲスト、VelvetRoseの2人として呼ばれてるんだ」

P「まあ、基本的にはちとせがしゃべってくれるだろうが、これはVelvetRoseの宣伝にもなる大きなチャンスだ。ふたりとも、お互いのサポートを頑張ってくれ」

千夜「お嬢さまのためならば、命を賭しても」

ちとせ「それじゃあ、私は千夜ちゃんの可愛さを世間に知らしめてあげよーっと」

千夜「お、お嬢さま……お戯れが過ぎますよ」

P「いや、それでいい。千夜の知名度も上がってきた頃だ。ちとせ、頼んだぞ」

ちとせ「はーい」

千夜「お前……覚えているがいい」

P「ああ、忘れないともさ」

千夜「……」

ちとせ「はいっ、険悪ムード終了! ふたりとももっと仲良くしなきゃだめだよ?」

千夜「お言葉ですが、私はこの男と相容れる気がしません。仲良くなろうと努力することに意味はないかと」

P「俺はビジネスとしてお前らの価値を引き出し売り込むことが仕事だ。それ以上のことは求めてない」
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