双葉杏「GANTZ?」

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1 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/29(水) 23:55:55.99 ID:bEaRZGUT0

下腹部に鋭い痛みがゆったりと走る。
杏の血が床を赤く染めていた。
警備員さんが男の人を取り押さえる。

杏「ああ、あ……」

きらり「杏ちゃん……!」

杏「何だか眠いよ……きらりぃ……」

きらり「ダメだよ杏ちゃん!死じゃいやぁ!」

杏「杏……ちょっと……休憩…す……………」



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2 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:07:34.50 ID:/SXed6IL0

“朝だ夜明けだ潮の息吹き♪”

遠くの音楽がゆらゆら近づいてくる。
目覚ましアラームをかけた覚えはないぞ。

“うんと吸い込むあかがね色の♪”

「ちょっと!」

“胸に若さ漲る誇り♪”
“海の男の艦隊勤務♪”

「起きて!」

“月月火水木金金♪♪”

杏「うぅ……最悪じゃないか……」

目を覚ますとそこはマンションの一室。
コンクリート張りの無機質で冷たい部屋。

「よかった。やっと起きたね」

杏「ここは……」

杏を起こしてくれたのは。
透き通るような白い肌の金髪美女だった。

3 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:12:51.26 ID:/SXed6IL0

金髪女「まさか
こんな子どもが来ちゃうなんて……」

杏「ん……?」

明らかに異質なモノに気づく。

大きな黒い玉。
その表面には文字が表示されていた。

【貴様達の命は無くなった。】
【新しい命をどう使おうと私の勝手。】
【という理屈である。】

杏「んんん?」

文字は続けて浮き出る。

【貴様達には今から】
【こいつを排除せよ。】

【ミミズ星人】
【特徴。長い、黒い、複数】
【好物。髄液】
【弱点。光】

杏「何なの……これ……」

4 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:18:06.04 ID:/SXed6IL0

すると突然、黒い玉の側面が飛び出した。
そこにはたくさんの銃が収納されており
その隙間からは……。

杏「え……!」

人間が見えた。

金髪女「とりあえずこれ着て!」

いきなり手渡されたのは黒いスーツ。
ヒーローとか仮面ライダーが着るような。

この女の人も着ている。

金髪女「早く!」
杏「そんなに言うなら着るけど……」

金髪女「はい!バンザイして」

杏「着替えさせてくれるの?」
金髪女「うんコレ、着るの難しいから」

杏「それじゃあお言葉に甘えて……ばんざーいっと」

5 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:20:26.94 ID:/SXed6IL0

杏「まさか下着まで脱ぐことになるとは……」

金髪女「これ本当にピッタリだから……」

【健闘を祈る。】
【00:59:58】

ジジジジジジジ

杏「ちょっと!お姉さん!
腕が無くなってるよ大丈夫?」

金髪女「転送が始まったの」

杏「て、転送ぅ?」

金髪女「いい?あなたもどこかに
転送されるけどできるだけ隠れててね
必ずむかいにいくから……!」

杏「そうした方がいいならそうするけど……」

金髪女「もし見つかったら全力で逃げ」

話終える前に彼女の姿は完全に無くなった。
さっきの話が本当ならどこかに転送されたの?

6 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:21:28.59 ID:/SXed6IL0

ジジジジジジジジ

杏「わっ!わわ!」

杏はお腹から上下に消えていく。

杏「う、うぇ〜……」

その断面からは内蔵が見えた。

ジジジジジジジジ

ジジジジジジジジジジジジ

黒い玉の部屋から杏の身体は消えた。

【00:58:03】

7 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:22:49.72 ID:/SXed6IL0

杏「お、おぉー」

杏「本当に転送された……!」

夜中。周囲は田んぼに囲まれていた。
お姉さんはもちろん他の人の姿も見えない。

杏「隠れる場所なんてないじゃん」

月明かりを頼りに、杏は歩く。

杏「あぁ……何なんだろうこれ……」

杏「夢なのか?」

杏「このスーツも、あの玉も意味わかんないし……」


杏「よし!プロデューサー!それかきらり!」
杏「今だけは杏を叩き起こすことを許そう!」

杏「…………」

杏「そんなわけないか」
杏「妙にリアルだもんなぁ」

これが現実だという確信は一応ある。

8 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:26:26.13 ID:/SXed6IL0

杏「携帯もないし……」
杏「ここ東京じゃないよねー」

杏「…………?」

杏「何だ?あの穴……」

田んぼに大きな穴があいていた。
底が見えないほどの深い穴だ。

杏「落ちたらひとたまりもなさそう…」

ぼんやり穴を覗いているとあることに気づく。

杏「何か……動いてる?」

底が見えないんじゃない。
黒い何かが穴の奥で密集しているんだ。

怖くなって後退る。

杏「ひぇっ」

足にロープのようなものが巻き付いていた。
杏はトテンとしりもちをつく。

黒いロープがくねくねと動いて杏の目の前までくる。

杏「ロープじゃない……」

ーーー【ミミズ星人】

杏「……ミミズ!しかもデカっ!!」
とっさにそのミミズを振り払った。

すると想像以上の勢いでミミズは吹き飛び
ぶつかった外灯をへし折った。

杏「…………え?」
杏「こ、このスーツ……?」

ゾゾゾゾ

杏「!」


9 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:30:34.21 ID:/SXed6IL0

ゾゾゾゾゾゾゾゾ
ゾゾゾゾゾゾゾゾ
ゾゾゾゾゾゾゾゾ

何かが這う音が幾重にも重なる。

杏「うそだよね……」

穴からは何千、何万という
ミミズがゾロゾロクネクネと出てきていた。

杏「うううっ気持ち悪ーっ!!」
とっさに後ろへ跳び跳ねる。

杏「うぇ?」

次の瞬間、杏は上空にいた。
雲より上ではないけど電柱や外灯より上。

杏「わ、わぁあああっ!」

何が何やら分からないまま杏は
田んぼと田んぼを分けている車道に落下する。

そして背中を強くうちつけた。はずなのに。

杏「ぜ、ぜんぜん痛くない」

杏「やっぱりこのスーツ……」
10 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:32:22.03 ID:/SXed6IL0

ゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾッ

杏「げっ!」

ミミズの軍勢が迫りくる。
じっくり考えてるヒマはない。

ーーーー【こいつを排除せよ。】

杏「これがゲームなら
ターゲットを倒すまで終わらないよね……」

杏「信じるしかない……」

このスーツを!

アスファルトの車道は一本道。
舗装されていないらしく一筋の亀裂が入っている。

杏はその亀裂に指を突っ込んだ。

杏「んぐぐぐぅ!」

全身に力が出るよう集中する。

キュイィィィィンッ

すると杏の身体から変な音が鳴り出した。
いやスーツからか?

スーツが青い光を放ち
筋肉のように膨張し始める。

杏「もう……少し……!」
アスファルトの板が地面から離れ始めた。

デカミミズたちは一斉にこちらへ向かってくる。

11 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:34:59.90 ID:/SXed6IL0

杏「とりゃあっ!」

長いアスファルトの板がひっくり返し返り
ミミズの一団をズシンと押し潰す。

杏「……ゲームクリアか?」

杏「す、すごいなこのスーツ。
身体能力を増幅するんだ……」

ゾゾ……

杏「ん?」

ゾゾゾゾ……

杏「うそ……!」

ミミズは潰れてなんかいない。
アスファルト板の下敷きになっただけだ。

ゾゾゾゾゾゾゾゾ……

板ごとミミズたちは動き始める。

杏「うう……。こうなったら……!」

杏は跳び跳ね、
思い切りミミズ達の上の板に着地した。

そしてミミズ達はびちゃびちゃと潰される。

しかし割れた板の隙間や端の方から
潰れるのを逃れた
数十匹のミミズが襲いかかってきた。

12 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:41:08.14 ID:/SXed6IL0

杏「んなっ……!」

青い閃光が杏の目の前に現れる。
そしてとてつもない速さでミミズ達を処理していった。

右手、左手、右足、左足。
その全てからムチのような速さ、
剣のような鋭さで攻撃が繰り出される。

最後の一匹をしなやかな蹴りで
真っ二つにすると彼女は振り向いた。

頬がミミズの黒い体液で汚れてしまってはいるが
相変わらず端正な顔立ちの綺麗な人。

金髪女「自己紹介がまだだったよね……」

金髪女「私はメアリー」

メアリー「メアリー・マクレーン」

メアリー「一応言っておくけど外国人じゃないし
英語も喋れないよ」
13 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:43:11.05 ID:/SXed6IL0

杏は黒い玉の部屋へ戻された。

杏「またここか……
何となく予想はしてたけどさー」

ジジジジジジジジ

そして次の転送が始まった。
おそらくメアリーだろう。

「にゃはー!」

杏「ってあれ?」

メアリーだと思っていた口元から
能天気な言葉が漏れた。
少なくともメアリーの声じゃない。

「すっごいねーキミ!」

転送が終わるとそこにいたのは
小豆色の長い髪をした少女だった。
可愛らしいけどどこか妖艶さも感じる。

女の子「こーんなおチビちゃんが
星人を倒しちゃうなんてさー」

女の子「キミの身体にぃ
何かヒミツでもあるのかな??」

女の子は杏の肩に手をおいて鼻を近づけてくる。

女の子「ハスハス。分析なのだ〜」

杏「過大評価されたくないから言っとくけど
杏はこれでも17歳だよ?」

女の子「おーじゃあ、あたしの1っこ下かぁ」

14 : ◆eV2S1TnsOQ [saga]:2019/05/30(木) 00:45:46.69 ID:/SXed6IL0

杏「杏がここに来たときには
メアリーしかいなかったよね?」

女の子「あたしもいたよー?隠れてただけでね」
玄関の方か他の部屋にでもいたのか?

杏「隠れるって……何でさ?」

女の子「えーだって、
ここはどこだーとか星人ってなんなんだーとか
いろいろ質問攻めにされるのヤだもーん」

杏「それは確かにメンドくさいかも……」

女の子「メアリーの説明も必要最低限というかー
説明したらそれで終わりって感じなんだけどね」

女の子「キミが……、杏ちゃんが
子どもに見えたから
今回は面倒見がよかったのかも」

ジジジジ

メアリー「お疲れ様。2人とも」

杏「あ、メアリー」
いつのまにかメアリーの転送が完了していた。

杏「メアリー…さっきはありがとう……」

メアリー「ううん気にしないで」

女の子「ねぇメアリー
この子17歳だってよー?」

メアリー「えっ!?」

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