このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。

【艦これ】艦娘「ショタ提督に好かれたい」照月「その35!」【安価】

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611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:29:31.10 ID:aXfXaJd1O
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:29:42.88 ID:wByj95790
ドキドキする…
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:29:48.44 ID:Cfmq1oWDO
はい
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:29:53.99 ID:enmE2CnW0
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:30:05.99 ID:bW545An60
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:31:07.58 ID:bW545An60
名取が寝取った・・・だと・・・
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:35:15.85 ID:pT7SFHaEo
ここからグレカーレ失恋の名取一人勝ちまで見えてきたな
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 00:39:57.65 ID:5Q6znqqsO
>>610>>611の最低値と>>614>>615の最高値の対比すこ
619 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/10(日) 00:41:43.36 ID:eTVAbK3o0
名取「や、やった……やったぁ……っ!最後の最後で、寝取りの汚名返上出来ました……!」ウルウル

グレカーレ「くっ……!ま、まだチャンスは残ってるもん!」

朝風(う、う〜ん……私もゴールしたいけど、中途半端に出番が回って失恋しちゃうのは嫌だし……)













U-511「………」

U-511(……私だけ、置いてけぼり……ドイツの呪いって、ビスマルク姉さんで終わったんじゃないの……?)グスッ


今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
長らく寝取りと弄られ続けてきた名取が最終回でEND確定……こちらとしても感慨深いです。
次回からはしばらく回想パートが続きます。恐らく歴代で1番長い回想になるかと思います。プロットの時点で文字がギッチギチなので……
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 01:50:29.17 ID:eX/toNKFO

失恋でもエピローグで割と重要ポジに配置される事が多いから朝風も頑張って40台まで上がって欲しいな
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 10:19:41.42 ID:uA9pzKPUO
幸か不幸か前回エンディング直行だったら
今回の時点でグレちゃん失恋確定だったし
まだチャンスが残ったのは結果オーライやね
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 18:49:28.74 ID:jg6LtEh5O
結果オーライどころか名取がEND開放したからこそグレが失恋する危険性が出てきてんだよなあ
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/10(日) 21:36:58.14 ID:LiA1jmW8O
前回名取END開放で今回名取ゴールインだとグレカーレ失恋だったから
前回名取END開放キャンセルした事により今回名取END開放になってもう一回名取が選ばれるまでの猶予が生まれたって意味じゃないの?
624 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 17:55:28.54 ID:3sQ+vWdv0
22:30〜23:30頃開始予定です。
625 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 22:51:46.41 ID:3sQ+vWdv0
始めます。
626 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 22:52:55.52 ID:3sQ+vWdv0
名取「………」

名取(……ダメ。どれだけ考えても、どうしても……分からない。後少しで、この違和感の正体を掴めそうな気がするのに……!)

姉妹達の心配を他所に、彼女は思考を巡らせ続けていた。

しかし、その答えは一向に見えてこない。どうしても真実に辿り着けないのだ。

名取「………」

名取(やっぱり、提督に尋ねるしか……無い、のかな……)

頼みの綱は彼しかいない。自力で答えを導き出せないのなら、後はもう……彼を頼るしか、術は無い。

しかし、彼は目に見えて思い悩んでいる。もしかすると、より一層彼を追い詰めてしまうかもしれない。

そう思っていた彼女は、どうしても一歩を踏み出せずにいた……これまでは。

名取「……っ」グッ…

名取(ごめんなさい、提督……こんな時に、訳の分からない相談を持ち掛ける私を、許して……)

名取(だけど、もう……無理なんです。心の中に靄がかかった状態で、見えない答えを探し続けるのは……無理、なんです……!)

彼女は……決心した。彼に、己が抱く違和感の謎を相談することを。

そして、あの時のフラッシュバック……その謎を、打ち明けることを。

名取「………」ガチャ…

名取(見覚えの無いはずなのに、提督は確かにそこにいた……だから、きっと……提督なら、何か知ってるはず……!)バタン…

名取「………」スタスタ…

彼女は静かに歩く。行き先はもちろん、彼がいる執務室。

途中、数人の艦娘達とすれ違い、彼女らから声をかけられるが……彼女は全て無視した。

決して意図的では無いのだが、今の彼女は……心の靄を取り除くことしか、頭に無かったのだ。

名取「………」スタスタ…

名取(提督……貴方なら、私の違和感を……取り払ってくれますよね……?)
627 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:02:46.12 ID:3sQ+vWdv0
ショタ提督「………」

ショタ提督(名取さん……)

同時刻。執務室にいた彼は、彼女の決心を……既に"把握"していた。

彼女が違和感と謎の正体を、自身に問いかけようとしていることを。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……これ以上、隠す訳にはいかないかもしれない)

彼女がもし、建造直後のように何も知らない状態であれば……彼はやはり、真実を話すことはしないだろう。

だが、今の彼女は……彼と深く交流したことで、真実のすぐ傍まで近づいているのだ。

そのような状況では、むしろ隠し通そうとした方が……彼女に不信感を抱かせてしまうこととなる。

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(……覚悟を決めろ、僕。ここから先は……"提督"としてでは無い。"50周目提督"として……)

そもそも、どうして彼は彼女らの心情を全て"把握"することか出来るのだろうか。

どうして視界にさえ入っていないはずの彼女らを、彼は"気がつく"ことが出来るのだろうか。

それは偶然でも勘でも、何でも無い。それにはれっきとした理由がある。

コンコンコン…

ショタ提督「……どうぞ」

ガチャ…

名取「……失礼します」

ショタ提督「……名取さん」

名取「今……良い、ですか……?」

ショタ提督「………」コクリ

ショタ提督(向こうも覚悟を決めた顔をしている、か……)
628 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:14:32.39 ID:3sQ+vWdv0
名取「……この前、一瞬だけ……目の前を、ある光景がよぎったんです」

ショタ提督「………」

名取「今まで、1度も行ったことが無いはずの場所で……私と提督が、一緒にいて……」

ショタ提督「………」

名取「それだけじゃ、無いんです……頭の中に、靄がかかっていて……その光景を思い出そうとすると、何も浮かばなくなっちゃって……」

ショタ提督「………」

名取「ずっと考えても……分からないんです。あの光景は、この靄は……何なのかが……!」

ショタ提督「………」

名取「……提督。今から凄く、変な質問をしますけど……真剣に答えて下さい」

ショタ提督「………」コクリ
629 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res]:2019/11/13(水) 23:15:26.03 ID:3sQ+vWdv0










名取「……私と提督は、ここでは無いどこかで……出会ったことが、ありませんか……?」


名取「そして……何か、大切なことがありませんでしたか……?」









630 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:16:41.83 ID:3sQ+vWdv0
ショタ提督「………」

名取「……あ、あれ?」

ショタ提督(……そこまで、"思い出そうと"してくれていたのか。やはりこれは、奇跡に違いない……!)

名取(大切な、こと……?私、何を言って……)

ショタ提督「……名取さん。いや……"ナトリ"」

名取「"ナトリ"……うぅっ!?」ピキ…ッ!

名取(い、今……頭と心の中に、何か……凄い衝撃が……っ!?)

ショタ提督「……今の名前、覚えているはずだよ。僕は何度も、その名前を呼んだから」

名取「うっ……うぅっ……!」

ショタ提督「………」

名取(あ、あぁっ……そう、だよ……!私は、前に……凄く、凄く……気が遠くなるほど、前に……提督と、出会って――――――)
631 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:25:44.81 ID:3sQ+vWdv0




















――彼の口から告げられた"ナトリ"と言う名。それは正しく……彼女の"本当の"名である。


――だが、彼女は長良型軽巡洋艦・名取。それ以外の名前など、存在しないはずではないだろうか?


――その答えは、彼と彼女の"記憶"……彼という"存在"と、彼らの邂逅に隠されている。


――彼は"己の記憶を思い出し"、彼女は"己に刻まれていたにも関わらず、失われていた想いを取り戻す"……


――特に、彼女が想いを取り戻すことが出来たのは……今の彼と親密になり、"共鳴"したからだ。


――彼は、自身が持つ最古の記憶……常人であれば、発狂してしまうほどに昔の出来事を思い浮かべる。



















632 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:28:40.74 ID:3sQ+vWdv0






























――――――――それは、天地創造される前……この世界全てが、文字通り"無"であった頃まで遡る。





























633 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:43:55.31 ID:3sQ+vWdv0
見渡す限り何も無く、暗黒に包まれた世界。否、暗黒や世界という概念さえ存在しない空間。

突き詰めて言えば、空間という定義さえ当てはまらないと言えるかもしれない。

そんな時間と空間が生み出される前の世界に……"その存在"は突然、その場に現れた。

「………」

その存在は、我々人間の言葉では説明することが出来ない。

姿形はもちろん、どのような存在であるかも定義出来ないだろう。

ただ、あえて我々が知る言葉で例えるならば――

(……新たな世界を作らなければ)

――"神"。

その存在は万物を司り、この無が支配する場に新たな世界を創造する為に姿を現した。

姿を現すと言うが、実際には我々に視認することが出来るかさえ怪しいだろう。

分かることはただ1つ。彼とも彼女とも言えないその存在は、この世界に意味をもたらす為に現れたことだけだ。

「………」

その存在は集中する。これから無の世界に、あらゆる万物を与えるのだ。

仮に、このまま事が進めば……この世界は、我々が住む現実世界とほぼ同じ世界となっていたことだろう。

だが、そうはさせまいと、その存在の行動を邪魔する者が現れる。

「――――ッ!」

「……?」

(何だ?どこからか、声が……おかしい。ここには誰も存在しないはず……)

否、既に"存在していた"と言った方が正しいだろう。

神でさえ"彼"の存在は予想外で、ある種"全ての元凶"とも言える人物がそこにいた。
634 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/13(水) 23:45:50.54 ID:3sQ+vWdv0




















42周目提督「うがあああああああああああああああああああッ!!いつになたらビッグバンが起こるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」

「っ!?」

(ど、どうして生物がここに……!?)



















635 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/14(木) 00:00:36.18 ID:HlOCdbnV0
そう。場をかき乱すことに関しては右に出る者はいない……42周目提督である。

覚えているだろうか?彼は1度、自力でタイムマシンを開発し、起動したと同時に"遥か遠くの過去へ飛ばされた"ことを。

42周目提督「株や競馬でボロ儲けしようとしてただけなのに!何でこうなっちまうんだよおおおおおおおおおおおッ!!」

42周目提督「気がついたら真っ暗闇って時点でアレなのにさぁ!何十年何百年何万年何億年何兆年!いやそれ以上待っても一向にビッグバンが起こらないってどう考えてもおかしいだろうが!?」

42周目提督「流石の俺でも我慢の限界なんだよッ!!とっとと爆発して宇宙作りやがれやゴルァアアアアアアアアアアアッ!」

彼はあろうことか、この世が創造される前に遡ってしまい……以後、気が遠くなるほどの時を待ち続けたのだ。

いつかはビッグバンが発生し、そのまま時の流れに身をゆだねていれば元の時代へ追い付くはず……彼はそう考えていた。

ところがどれだけ待っていてもビッグバンはおろか、爆発の予兆さえ感じられない。そのことにイライラを感じていた彼は、ついに我慢の限界を迎えた。

(そ、そんな!?ここは生物が生存出来るような環境では無い!それ以前に物質さえ存在不可能であるはず……)

このような異常事態は、流石に神とも呼べるその存在も想定外であったのだ。

目の前で怒り狂う42周目提督の姿に、その存在は驚愕して呆然としていた。

そして42周目提督は、怒りのままにとんでも無いことをしでかしてしまう。

42周目提督「畜生!こうなったら俺が直々にビッグバンを起こしてやるッ!!」シュバババババッ!

(どこからともなくミサイルや爆発物を取り出した!?そんな物をどこに、どうやって隠し持って……いやそれより先に彼を止めなければ!)

焦ったその存在は咄嗟に彼の精神に干渉し、怒りを鎮めようとする。しかしその行動がまずかった。

「ッ!?」

(な、何だこれは!?思考が支離滅裂で何を考えているか分からない!?)

42周目提督「むっ!?俺様の心に語り掛けてくる奴は誰だ!?」

(しまった!気がつかれてしまった!?)

42周目提督「誰かは知らねえけどなぁ!邪魔するっつーなら容赦しねーぞ!うおりゃあああああああああああああああっ!」ブンッ!

バシィッ!!

「はぐっ!?」

42周目提督は何と、いつの間にか手に持っていたハリセンで、その存在を力任せに叩いてしまう。

するとその存在は、想定外の"力の相互反発"を受けてしまったことで暴走し……

「うぅっ……ぁ、ぁぁぁぁああああああああああああッ!!」カッ

42周目提督「へ?」
636 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/14(木) 00:17:05.99 ID:HlOCdbnV0








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     ||| .|i  ´   i ' ||  ii   ii | iilll||ii | i     .ill|!!i l   ...|ll iii i   i l|l. |li   li||li |il||||
      ||il||li .|i ii||il lil|| ||lili  ||ii l|il| |llii||| li|iii|lli || ..iil|||lll.|ll   llll||illli  iiil|iii|||l|i |l|l!liil||lll.|l||
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42周目提督「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああッ!?」ヒュウウウウゥゥゥゥ…ッ!



その存在は2つに分かれて破裂してしまい、その余波でビッグバンが発生してしまう。

更にこの出来事がきっかけで宇宙が誕生し、何も無い世界にあらゆる物を与える結果となった。

この世のものとは思えないほどの大爆発をまともに受けた42周目提督は、遠い宇宙のどこかへ凄まじい速度で吹っ飛んでしまう。

尤も、彼はその後何とか地球に辿り着くことになるのだが、それは今語るべきことでは無い。

それ以上に問題なのは、2つに分かれてしまい破裂してしまった存在である。

"自身の力を持ち、尚且つ暴走した力を直撃させられた"その存在は、2つに破裂する際に己の力を各地へばら撒いてしまった。

厄介なのは、ただばら撒いてしまっただけでは無い。空間と同時に、時間さえ超越してばら撒いてしまったのだ。

己の力を失ったその存在2つは、自身の存在が不明瞭なものとなってしまい、そのまま意識さえ取り戻せなくなってしまう。

そのまま気が遠くなるほどの時間が経過し、その存在が再び目を覚ますまで……永い永い眠りにつくこととなる。
637 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/14(木) 00:37:17.86 ID:HlOCdbnV0
実に100億年以上もの間、その存在は力を失ってしまった影響で眠り続けていた。

だが、失ってしまった分の力は……新たに生まれた生命から分け与えられ、徐々に不明瞭だった存在が元の状態に戻ってゆく。

そして人類が誕生。そこからある程度の進化を重ね、彼らの外見が現代の人間とそれほど変わらなくなってきた頃のことである。

「……ぅ」

名取?「あっ……!」

グレカーレ?「よ、良かった……生きてるみたい……!」

朝風?「見たところ、怪我は無いみたいだけど……」

U-511?「……っ」オロオロ

(ここ、は……それに、"僕"は一体……)

ついに"彼"は、およそ100億年振りに意識を取り戻したのだ。

しかし、2つに分裂してしまった上に、己の力をばら撒いてしまった為……彼の自身の存在や役目に対する認識が消失してしまっていた。

それでも、生命が宿すエネルギーを受け取り続けた結果……彼は何とか、その姿を具現化させることが出来るほどに回復した。

「……えっと、貴女達は……?」

名取?「だ、大丈夫……?」

グレカーレ?「どこか痛いところは無い!?」

彼の目の前には、4人の少女が顔を覗かせていた。それぞれが名取、グレカーレ、朝風、U-511と非常によく似ている。

尤も、彼女らと違い……目の前の4人は全員が黒髪であり、艦娘では無く原始人なのだが。

「……う、うん」

朝風?「ふぅ……一先ずは安心ね」

U-511?「……どうして、ここに倒れていたの?」

「倒れて……?」キョロキョロ

(……浜辺?僕は、どうして……ここに……?)

彼は姿が具現化しているものの、まだ全快には程遠い。故に自身が置かれている状況を正確に把握することが出来なかった。

彼は少年の姿に具現化しており、服装も提督が着用する白い服だ。これは意識を失う直前、42周目提督の精神に干渉したことが原因である。

記憶が消失してしまっている彼だが、姿を具現化する際、無意識の内に42周目提督と類似する姿を反映したのだ。
638 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/14(木) 00:39:46.21 ID:HlOCdbnV0
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
回想パートはまだまだ続きます。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/14(木) 00:42:25.50 ID:P3GymcfPO
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/14(木) 06:12:22.28 ID:i+3/AONdO

提督が普通の人間じゃないのは予想してたが神だったとは
42週目提督が絡んでくるのは予想外だった
641 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 17:32:27.97 ID:A0yYdP+m0
21:30〜23:00頃開始予定です。
642 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 22:04:01.57 ID:A0yYdP+m0
始めます。
643 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 22:06:17.54 ID:A0yYdP+m0
名取?「……もしかして、自分のことが分からないの?」

「自分の、こと……」

グレカーレ?「うん。お名前とか、どこから来たのか、とか……」

「……分からない」

朝風?「……!」

「分からない……何も……」

U-511?「もしかして……倒れてた時に、覚えてたことを忘れちゃったの……?」

「………」

名取?達「………」ジー…

名取を始めとする艦娘と似た容貌の彼女達は、彼のことを心配していた。それと同時に……不思議な感覚を抱いていた。

彼を見ていると……胸の奥が温かくなっていく。初対面であるはずなのに、長年共に過ごしたかのような安心感が芽生えるのだ。

名取?「……あの」

「……?」

故に彼女らには、彼のことを見捨てるという選択肢等無かったのだ。

右も左も分からないであろう彼を、何とかして助けたい。そう考えた彼女らは……

名取?「……私達の住処に、来る?」

「……すみか?」

グレカーレ?「あっ、それ良いかも!」

朝風?「私も同じこと考えてたわ!」

U-511?「……賛成」

彼を保護し、自分達が住む居住地へ連れて行くことにしたのだ。

彼の記憶が蘇るまでを共に過ごす。危険があれば、自分達が彼を守る。

名取似の少女がそう言うと、残りの3人も即座に同意した。文字通り、"以心伝心"である。
644 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 22:24:30.60 ID:A0yYdP+m0
グレカーレ?「君も、それで良い?」

「………」

朝風?「……えっと、聞いてる?」

「……あっ、僕のこと……?」

U-511?「……名前が分からないの、ちょっと困るかも」

グレカーレ?「うん。近くにいる時はまだしも、遠くから声をかける時に何て言えば……」

「………」

彼自身は記憶を失っているが、元より彼に名は存在しない。

以前は神、現在は2つに分裂し、その存在が弱まっている状態である彼に……名付け親がいるはずが無い。

名取?「……"50周目提督"」

「……"50周目提督"?」

だが、そんな名無しの彼に……名取似の少女は、自らが考えた名を与えようとする。

グレカーレ?「何それ?」

名取?「えっと、この子の名前……」

朝風?「貴女が考えたの?」

名取?「………」コクリ

「僕の、名前……」

U-511?「……良いと思う」

グレカーレ?「うんうん!呼びやすいし、この子の感じに合ってる!」

名取?「……ダメ、かな?」

「………」

(僕の名前を、考えてくれたんだ……ん、何だか、体が少し軽くなったかも……)ギュッ

彼女らの、自身を思いやる"気持ち"が……そして、初めて与えられた"名"が……彼の身に染み渡ってゆく。

同時に、先程まで不安定だった彼の存在が……僅かに安定する。彼は無意識ながら、それを"体感"した。

「……50周目提督。僕は、50周目提督……50周目提督……」

その名を噛み締めるかのように、何度も復唱する。その度に、身体が温かくなり……奥から力が湧いてくる。

ショタ提督「……うん。僕の名前は、50周目提督……ありがとう。えっと……」

名取?「え?あっ……ごめんね?私達、まだ……名前、言ってなかったよね……?」
645 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 22:25:27.20 ID:A0yYdP+m0






























ナトリ「私は"ナトリ"。よろしくね……?」



グレ「私は"グレ"よ!」



アサカゼ「私は"アサカゼ"。よろしく、50周目提督!」ニコッ



ユー「……"ユー"、です」



――これが、彼と彼女らの……正真正銘、初めての出会いだった。


――そして同時に、彼がこの先名乗ることになる"名"が与えられた瞬間だったのだ。





























646 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 22:42:12.37 ID:A0yYdP+m0
彼は記憶が朦朧とする中、しばらく彼女達と生活を共に過ごすこととなった。

当然、何も分からない彼が出来ることは少なく、彼女らに世話をしてもらう日々を送っていた。

ショタ提督「……これ、は?」

ナトリ「えっと、木の実って言うんだけど……美味しいよ……?」

グレ「私達が集めてきたの!」

ショタ提督「………」ジー

アサカゼ「そんなに怖がらなくても大丈夫よ」

ユー「いつも、私達が食べてるから……」

ショタ提督「………」スッ…

ショタ提督(あっ……)

彼が、彼女らが集めて来てくれた木の実に触れる。するとその瞬間、彼女らと出会った時のように……温かい"気持ち"が流れ込んでくる。

木の実に込められた"元気に育とうとする想い"と、彼女達の"提督に美味しい物を食べてもらいたい想い"。

この2つが、彼の胸に、心に……否、"存在そのもの"に染み渡ってゆく。

ショタ提督「……はむっ」

ナトリ「……どう、かな?」

ショタ提督「………」ムグムグ

ショタ提督(口の中に、甘くてみずみずしい感覚が広がっていく……これが、"美味しい"ということ……?)

木の実を口に含み、伝わる気持ちと共に優しい味を舌と肌で味わっていく。

彼は本来、人間と違い飲食の必要は無い。しかし、彼は無意識ながら……確かに感じていたのだ。

ショタ提督「……美味しい」

ナトリ「本当……?良かった……喜んでもらえて……」ニコッ

ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督(また、胸の奥が温かく……?)

木の実から、そして彼女達から……人が抱く"善意"を。優しくて、温かい気持ちを。
647 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 22:51:43.49 ID:A0yYdP+m0
もちろん、食べ物を食べることだけが生活ではない。

時間の許す限り、彼と彼女らが交流し……触れ合うことも生活の1つだ。

ショタ提督「………」スタスタ

ナトリ「わぁ……♪今日も明るくて、見晴らしが良いかも……!」スタスタ

ショタ提督(……感じる。ナトリから、温かさを……)

彼と彼女は住処の周辺を散歩していた。無論、誘ったのは彼女の方だ。

明るい日差し、漣の音を静かに奏でる海、生き生きと生い茂る植物……正しく、生気に満ち溢れた場所だ。

彼はこの場に立っているだけでも、その生気を……活力に満ちた生き物のエネルギーを、受け取っていく。

ナトリ「……あっ」

ショタ提督「……?」

ナトリ「この植物、枯れちゃってる……かわいそうに……」スッ…

ショタ提督「……!」

ショタ提督(今、胸の奥が……締め付けられたような感覚が……)

彼女は、枯れてしまった花を見つけ……悲しい気持ちを抱く。

すると、その想いは彼に流れ込み……いつもと違う"感情"が流れてきたことで、彼は僅かに動揺する。

ナトリ「………」シュン

ショタ提督(何故か分からないけど……嫌だ。ナトリが、こうしているのを見るのは……僕も、同じ感じになってしまう……)

ショタ提督「………」スッ…

ナトリ「……50周目提督?」

ショタ提督(……感じない。生きようとする想いを、活力を……つまり、この植物は……"死んだ"……?)

ショタ提督(……嫌だ。このままでは、ナトリがいつもの顔に戻らない……何とか、しなければ……!)カッ

パァァ…ッ!

ナトリ「あっ……!」

彼は無意識の内に……己の力を、枯れた植物に注いだ。

2つに分裂してしまっている上に、力をばら撒いてしまった為、以前ほどの能力や効果は無い。

だが、それでも……1つの枯れた植物に生気を宿すには、十分の力だった。

ナトリ「枯れた植物が……また、元気になって……!50周目提督、今の……どうやったの……!?」

ショタ提督「……分からない。ナトリの、さっきの顔を見たくないと思ったら……こうなって」

ナトリ「私の、さっきの顔……それって、悲しんでる私を励まそうと……?あっ……!」

ナトリ(あ、あれ……?心の中が、温かくて……フワッとする……)ギュッ

その力に反応したのは、枯れていた植物だけでない。

傍にいた彼女もまた、彼と"共鳴"し……心が温かい気持ちで満たされてゆくのを感じていた。
648 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 23:06:16.49 ID:A0yYdP+m0
そんな日々を過ごしていく内に、彼や彼女らに心境の変化が表れていく。

彼女達から、人の"優しさ"……言い換えれば、"善意"を注がれ続けてきた。

特にナトリとは多くの時を共に過ごし……彼の中でも、彼女の存在は大きくなっていた。

ナトリ「はぁ……はぁ……っ!」

グレ「ナトリ!しっかりして!」

ショタ提督「………」

ある時、ナトリが体調を崩してしまう。それも、誰が見ても症状が重いと分かるほどに苦しんでいた。

アサカゼ「ずっと休んでいても、熱が下がらないなんて……」

ユー「ど、どうしよう……」アセアセ

ナトリ「うぅっ……」

ショタ提督「……ナトリ」

ナトリ「ご、50周目提督……私なら、大丈夫だから……」ニコ…

ショタ提督「……っ」ズキッ

ショタ提督(そんなはず、ない……ナトリからは、苦しんで辛いという気持ちが伝わってくる……これは、ただ事じゃない……!)

彼は無意識の内に、彼女の容態の重さを感じ取っていた。

同時に、このままでは……その命の灯火が消えてしまうことも、分かってしまったのだ。

ショタ提督(……嫌だ。このまま、ナトリが目の前で苦しんで……"死んでしまう"だなんて、そんなの……嫌だ……!)スッ…

ナトリ「……?」

ショタ提督(ナトリは……僕が助ける。このまま、苦しませたりはしない……!)カッ…!

パァァ…ッ!

ナトリ「……!」

ナトリ(あ、れ……?熱さと辛さが抜けていって……体が、軽くなっていく……)

グレ「……あれ!?熱が下がってる!」

アサカゼ「本当……そんな、こんなことって……!」

ショタ提督「………」

ナトリ「……50周目提督、もしかして……貴方が……?」

ショタ提督「……うん。僕、苦しむナトリを助けたかった。それだけじゃない。ナトリが死んで、離れ離れになるのが……嫌だった」

ショタ提督「どうしてかは、よく分からないけど……とにかく、嫌だった。そう思ったら、手が動いて……」

ショタ提督「そして……ナトリが助かったことが分かると、胸の奥が……いつもより、凄く温かくなったんだ……!」

ナトリ「………」ギュッ

ナトリ(50周目提督……私の、為に……)

彼はまた、己の力を無意識の内に行使し……彼女の病を、見事完治させたのだ。

本来であれば、彼女は助かることはなかった。だが、彼の干渉により……彼女の命は救われることとなったのだ。

このようなことが可能となったのは、彼が彼女達から"善意"を注がれたことで……以前より、その存在の安定が強まったからだ。

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(僕が触れた生き物は、生気と活力で満ち溢れるようになる……もしかして、僕には……そんな力が……?)

彼はこの時点で、生物に対して己の力が有効であることを理解した。

同時に、彼女達から"感謝"の気持ちを与えられたことで……彼はこの力を使い、他の生物を元気にする為に活用しようと決めた。
649 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 23:24:26.79 ID:A0yYdP+m0
そして、彼と彼女達は更に多くの時を共に過ごし……数年の月日が流れた。

未だ己の存在に対する認識が完全に戻っていない彼にとっては、その時間は自らの想いを募らせるのに十分過ぎた。

そしてそれは、彼だけでなく……彼女にとっても、同じであったのだ。

ザザー… ザザー…

ショタ提督「………」

ナトリ「………」

日が沈み、辺り一面が暗くなってゆく。そんな中、彼と彼女は……2人静かに浜辺に座り、夕焼け空を眺めていた。

そして同時に、彼は己が抱く気持ちについて考えていた。時が経つにつれて膨らんでいく、この想いの正体を。

ショタ提督「………」

ナトリ「……大丈夫?」

ショタ提督「……え?」

ナトリ「ずっと、上の空だったから……」

ショタ提督「………」

ショタ提督(やっぱり、そうだ……ナトリと一緒にいる時や、ナトリの顔を見ている時……いつものような温かさではなく、胸が熱いと感じる……)

ナトリ「………」

ナトリ(……まだ思い出せないことを、不安に思ってるのかな。私には……見ているだけしか、出来ないのかな……)

ナトリ(目の前で、50周目提督が困っているのに……私を、助けてくれたのに……!)

彼女も彼と共に過ごし……彼に特別な感情を抱いていた。そして、彼とは違い……その感情の意味を理解していた。

しかし、彼女から見れば……彼がそれどころではないことは、分かっている。

ナトリ「……私がいるから」

ショタ提督「……!」

ナトリ「不安になったり、怖くなっちゃったりしても……私達が、いつも傍にいるからね?」

ショタ提督(……ナトリ)

彼女は、自分の気持ちを伝えるより先に……彼が記憶を取り戻すことを優先した。

自分が想いを告げることで、彼に負担をかけたくないと考えていたのだ。

ショタ提督「……うんっ」

ショタ提督(……ナトリはいつも、僕のことを考えてくれる。そして、温かい気持ちを注いでくれる……その度に、胸の奥の熱が込み上がって……)

しかし、彼女のその心遣いが……彼が抱く、彼女への気持ちに火をつけることとなる。

我々の感覚で言う、親友と呼べる程に親しくなったグレやアサカゼ、ユーとは違い……彼は、ナトリに対して……
650 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 23:36:26.23 ID:A0yYdP+m0
ショタ提督「……ナトリ」

ナトリ「……何、かな?」

ショタ提督「僕、実は……さっきから、胸の奥が……凄く、熱い」

ナトリ「胸の奥が……?」

ショタ提督「うん。こうして、ナトリと一緒にいる時や……ナトリが僕のことを、考えてくれている時……凄く、凄く……熱くなる」

ナトリ「……!」

ナトリ(そ、それって……!もしかして、この子も……私のことを……?)

ショタ提督「……分からない。この胸の熱は……何……?ナトリのことを考えれば、考えるほどに……熱くなっていって……」ギュッ

ナトリ「……それはね?」スッ…

ショタ提督「……?」

ダキッ…

ショタ提督「あ……」

ナトリ「……こういうこと、だと思う」ギュッ

ショタ提督「……温かい」ギュッ

ナトリ「それは、体?それとも……胸?」

ショタ提督「……両方。ナトリから、温かさを感じて……胸の奥にも、温かさが伝わってくる……」

ナトリ「そっか……私も、同じだよ」

ショタ提督「同じ……?」

ナトリ「貴方のことを考えると、胸がドキドキして……貴方の顔を見ると、嬉しくなって……」

ショタ提督(……同じだ。僕と……)

ナトリ「……一緒に過ごす内に、貴方のことが……好きになっちゃったみたい」ギュッ

ショタ提督「"好き"……?」

ナトリ「うん、好き。大好き……ずっと、一緒にいたい……この温かさを、ず〜っと感じていたい……」

ショタ提督「………」

ショタ提督(……そう、か。やっと分かった……これが、胸の熱の正体……僕は、ナトリのことが……"好き"なんだ。きっと、いや、絶対……そうに、違いない……!)
651 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 23:37:23.99 ID:A0yYdP+m0
ショタ提督「……僕も」

ナトリ「……?」

ショタ提督「僕も、ナトリのことが……好き」

ナトリ「……!」

ショタ提督「ずっとこうしていたい……僕も、ナトリと一緒にいたい……!」

ナトリ「……嬉しい。凄く……すっごく、嬉しいよ……!」ギュッ

ショタ提督「……うん」ギュッ

ナトリ「えへへっ……私達、両想いなんだよね……?」

ショタ提督「両想い……?」

ナトリ「こうして、お互いが相手の傍にいたいと思うこと。それだけじゃない……相手のことを考えると、ドキドキすること……だよ」

ショタ提督「……じゃあ、両想い。僕とナトリは、両想い……」

ナトリ「……うんっ」

ショタ提督「……温かい」

ナトリ「私も……」

ショタ提督「………」ギュッ

ナトリ「………」ギュッ

ショタ提督(あぁ、伝わる……ナトリから、今までにないほどの温かい気持ちを……!体の奥から、力が湧き上がってくる……!)

……恋愛感情を抱いていた。ナトリを1人の女性として、好意を抱いていた。

彼は本来、人間に対して……恋愛感情を抱くことはない。

だが、今の彼は己について認識が曖昧となっている。言わば普通の人間と近い感性を持っている状態だ。

故に、彼は自分のことを大切に考えてくれて、最大限の優しさで包んでくれた彼女を……愛してしまったのだ。

だが、問題は無い。神……今は神とは呼べない存在だが、それに準ずる者と人間が恋し合ってはいけない等、誰が決めただろうか。

彼と彼女は、互いに相思相愛となり……彼女の寿命が尽きるその時まで、共に歩み続けてゆく――
652 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/21(木) 23:38:43.20 ID:A0yYdP+m0

























――そうなるはずだった。しかし、運命の歯車は……既に狂い始めていたのだ。



――その狂いが……"彼女"が、彼と彼女に……容赦無く牙をむくこととなる。
























653 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/21(木) 23:40:34.78 ID:A0yYdP+m0
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/22(金) 00:13:42.96 ID:C6MN51IdO
おつ
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/22(金) 14:03:33.31 ID:txQ+KR+y0
早い話が全部42週目提督が悪いってことか
656 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 17:45:16.78 ID:HEE8sNIQ0
22:00〜23:00頃開始予定です。
657 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 22:08:53.17 ID:HEE8sNIQ0
始めます。
658 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 22:13:39.94 ID:HEE8sNIQ0
話は数年前……彼が浜辺で目覚め、彼女らに保護されたところまで遡る。

既に述べたが、"その存在"は42周目提督により2つに分裂させられてしまっている。

彼が目覚めたということは……もう片方の存在も、意識を取り戻すことは予想出来たことだろう。

しかし、もう1人の"彼"……否、"彼女"は……運命の歯車の狂いによるしわ寄せを、とてつもなく受けてしまったのだ。

「……ん」

(ここは……どこ?それに、私は……一体……)

彼女は、彼との分裂の果てに具現化された存在。故に、彼とは"同一の存在"と言える。

しかし彼女は、彼とは対照的に……少女の姿をしていた。理由はもちろん、42周目提督への精神干渉による影響だ。

彼は42周目提督自身の姿を参考としていたが、彼女は42周目提督の記憶にある……潮と羽黒の姿を、無意識の内に再現した。

よって、彼女は潮と羽黒を足して2で割ったような外見をしていた。それが後々、彼女に不幸をもたらすこととなる。

だが、彼女には既に危機が迫っていた。目が覚めた場所は森。猛獣等が数多く生息している地だ。そんなところに丸腰でいれば……その後の末路は想像に難くない。

「グルル……」

「……え?」

(な、何……この、大きい生き物は……?)

「……グワアアアアアアアアアアッ!」

「こ、こっちに来た!?いやっ、来ないで!?ひゃああああああああああああっ!?」

猛獣にとって、人間は良い餌だ。そして武器を持たない人間が、突然襲い掛かってきた猛獣に勝つことなど出来るだろうか?

答えは否。彼女は無残に猛獣に襲われ……その身を噛み千切られ、貪り食われることとなる。

「グルルルルッ!グワアアアアッ!」

「嫌ああああっ!?痛い!?やめっ、やめてええええええええええっ!?」

だが、彼女は人間ではない。どれだけ痛めつけられたとしても、その傷は瞬く間に回復する。

更に、血しぶき等が飛び散ることさえ無い。傍から見れば、猛獣が人型の玩具にじゃれ付いていると言えなくもないだろう。

しかし、今の彼女の認識は人間のそれと変わらない。故に、彼女にとっては噛み殺される痛みが延々と続くこととなる。

それでも、やはり元が神である為、通常の人間とは違い精神崩壊を引き起こすことはない。

だが、その肉体及び精神に与えられる苦痛は決して無視出来るものではなく……

「ガアアアアアアアアッ!グルルルルルルルルッ!」

「嫌……嫌ぁ……っ!」

(顔を食べないで……腕を引き千切らないで……!お腹を抉らないでぇ……っ!)
659 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 22:29:22.23 ID:HEE8sNIQ0
グサッ!

「ギャアッ!?」

「うぅ……え?」

グサッ! グサッ! グサッ!

「アガァ……ッ……!」

(な、何が起こったの……?)

彼女が痛みと混乱に取り乱していると、突如猛獣に向かって何かが投げ付けられる。

そして無残に猛獣の体中に刺さっていく。しばらくすると、猛獣が痛みと出血で動きを鈍らせていく。

「グルゥッ……」ピクピク

「……!」

(あれは……私と同じような姿をしてる人達が……もしかして、私を助け……)

彼女は、少し離れた位置にいる者が自分のことを助けてくれたのだと考える。

しかし、その期待は一瞬にして裏切られることとなってしまう。

グサッ!

「はぐっ!?」

グサッ! グサッ! グサッ!

「ど、どうして……うぐっ!?い、嫌っ!やめ……うぁっ!?」

猛獣の息の根を止めた何か……石槍が彼女の身体を貫いていく。

石槍を投げる者……狩りをする原始人達は、まだ猛獣を仕留めたと考えていない。

同時に、猛獣と比べて小さい彼女の体が見えておらず……彼らは容赦無く石槍を投げ続けた。

その結果、彼女の身体のいたるところに石槍が刺さることとなった。

無論、石槍が刺さったと同時に石槍は消滅し、彼女の傷も完治する。だが、それでも彼女にとっては耐え難い苦痛に変わりないのだ。

(こ、ここから逃げなきゃ……でないと、ずっと痛い目に遭わされる……!)ヨロヨロ

彼女は震える手足で、体中を石槍で貫かれながらも、何とかその場から遠ざかることに成功した。
660 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 22:30:13.94 ID:HEE8sNIQ0






























――――――だが、彼女の苦しみはまだ終わらない。否、まだ始まったばかりなのだ。





























661 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 22:41:06.79 ID:HEE8sNIQ0
「はぁっ、はぁっ……!」

彼女は飲まず食わずで、汗と土で汚れた身体を動かして……眠ることさえせず、走り続けていた。

飲食・睡眠・その他休息等を一切必要としない存在でも、今の彼女は己に対する認識が人間と同等である。

そのような状況で、こんな無茶を続けていれば……彼女の精神は疲労困憊していく。

「ぜぇ……ぜぇ……ここ、は……?」キョロキョロ

無我夢中で走っていた彼女は、気が付けば見知らぬ土地へと辿り着いていた。

少なくとも、獰猛な野生生物と殺意に満ち溢れた人間に襲われた場所ではない。

「………」ヘナヘナ

彼女は一先ず安全を確保出来たと考え、ようやく警戒を解き、その場に座り込む。

本来であれば、体力の概念等存在しない彼女だが……今だけは、ボロボロの身体を休めなければと思っていた。

「………」キョロキョロ

(周りに、何もいない……これなら、大丈夫……よね……?)

辺りは既に暗闇で覆われている。これ以上、無暗に移動したとしても迷ってしまうだけだろう。

彼女はそう結論付け、その場で仰向けとなり、静かに目を閉じる。

(……日が昇ったら、もう少し安全そうな所へ行かないと……)

例え睡眠が不必要な存在だとしても、意識を休ませることは出来る。

だが、彼女の選択は間違っていた。闇夜に紛れていた上に、己の認識が朦朧としていた彼女は見逃してしまったが……

原始人A「あれは……女、か?」

原始人B「……みたいだな」

彼女を舐め回すように見ていた、人の皮を被った野獣が近づいていたことに……
662 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 22:59:37.68 ID:HEE8sNIQ0
しかし彼女は、身体を休めることに意識を集中させていた。故に彼らの接近を察知出来なかったのだ。

彼女はそのまま彼らに拉致され、住処まで運び込まれる。無論、それだけで済むはずがなく……

原始人A「はぁはぁ……」

「んっ……ぁ、え……?」

(何だか、身体が……おかしような……)

原始人B「早くしろよ」

原始人C「次は俺だぞ」

原始人A「分かってるよ!いいから黙ってろ!」

「……っ!?」

(えっ、こ、これって……嫌っ!嫌ぁっ!?)

例え汚れだらけで、ボロボロだったとしても……彼女の容姿は間違いなく美少女に分類される。

そんな彼女が、現代人よりも本能のままに行動する原始人に見つかれば……こうなることは確実だった。

「や、やだ……!やめっ……!」

原始人A「ん?目が覚めたのか?」

「あっ、あぁっ……!嫌……っ!」

原始人B「どうせならそのまま眠ってくれてた方が良かったんだがな」

原始人A「関係無い。このまま犯すだけだ」

「やめてっ……!お願いだからぁ……!」

彼女の肉体を堪能する原始人。当然、そこに愛情等は無く、あるのは醜い欲望だけ。

彼女が必死にやめてほしいと訴えたところで、猿と化した彼らの耳に届くはずがない。

原始人A「んくっ……!」

「うぅっ……どうして……どうしてぇ……!」ポロポロ

原始人C「よし、交代だ!」

無論、今の彼女はどれだけ性行為をしたとしても……本人が望まない限り、妊娠することはない。

だが、それを忘れてしまっていた彼女は……目の前が真っ暗になった。汚らわしい男達の欲を何度もぶつけられ、そのたびに――

原始人D「お前は女なんだ……!俺達の子孫を産んで、増やしてもらわなきゃな……!」

「ぐすっ……うぅっ……!」ポロポロ
663 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:00:40.53 ID:HEE8sNIQ0






























――――――計り知れない絶望が、彼女の精神を蝕んでいき……同時に、彼女の目から涙が溢れ出していった。





























664 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 23:06:33.89 ID:HEE8sNIQ0
原始人B「あースッキリした!明日もこいつでヤろうぜ!」

原始人A「だけど生かしておくとなると、その分の食料も必要だぞ?」

原始人C「こいつに取らせればいいだろ。誰が奴隷の為の飯なんざ調達するかよ」

原始人D「それもそうだな!」

スタスタ…

「………」ピクピク…

(……どう、して……私が、こんな目に……)

彼女の目には光が宿っていなかった。その瞳の奥は、ドス黒い闇で澱んでいた。

だが、彼女の絶望はこの程度では終わらない。心無い男達に犯された翌日、彼女は無謀な狩りへと連れ出されていた。

原始人「ほら!とっとと歩け!」ガッ!

「うっ……」

原始人「ここで適当に狩りをして、自分の飯くらい何とかしろ!」

「………」

原始人「何だ?逆らうのか?それとも逃げようと企んでるのか?」

「………」

原始人「この辺りは俺達の狩り場なんだ。変な気を起こそうとしたら、すぐに仲間を呼んでお前を犯すからな」

「……どうせ私が言う通りにしても、後で……昨日のようにする気でしょう?」

原始人「当たり前だ。お前の体、最高に気持ち良かったからな!」

「………」ジワッ

(酷い……私、何も悪いこと……していないのに……)

助けを求めようとしても、周りには敵しかいない。自分1人で立ち向かおうにも、あんな大人数の男に敵うはずが無い。

彼女は彼らの言う通りにせざるを得なかった。そこから先は、彼女の地獄のような日々が続いてゆく。
665 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 23:17:59.02 ID:HEE8sNIQ0
「ガルルルッ!ガアアアアアアッ!」

「かはっ……!うぐっ……!」

ある時は、無謀な狩りのせいで猛獣に襲われ、その身を噛み千切られる。

それで絶命することが出来れば、どれほど楽だったことだろう。

だが、どれほどの傷も瞬く間に全快する彼女にとっては、延々と苦痛が続いてしまう。

原始人「1つも取れなかっただと!?まさか俺達の飯をあてにしてるんじゃないだろうな!?」

「そんな、つもりじゃ……」

原始人「うるせえ!だったら今日は飯抜きで俺達に犯されてもらうからな!」グイッ

「うぐっ……!」

(目の前の人達は、何かを口にして……私は、それさえ与えられず……ただ、体を汚されて……)

ある時は、ロクに食料を得ることすらままならないまま、飲まず食わずで強姦される。

それだけではない。彼らは彼女を人として扱わず、性奴隷としか見ていなかった。

彼女に人権等存在しない。ただ強姦されるだけでなく、彼らの機嫌次第では……

原始人達「糞ッ!お前のせいで俺達まで飯抜きじゃねえか!!」バキッ!

「あうっ……!?」バタッ

原始人達「せめてお前が食い物を取っていれば、それでしのげたかもしれないのに……っ!」グイッ

「く、苦し……っ!私のせいに、しないで……っ!」

原始人達「俺達に口答えするなッ!!」バキッ!

「かはっ……!?」バタッ

ストレスの捌け口として、サンドバッグのように暴行を加えられることも多かった。

どれだけ「やめて」「嫌だ」と叫んでも、彼らの心に……彼女の心情が届くことは無い。

否、むしろ……彼らの醜い欲望ばかりが……"穢れを知らなかった"彼女に注がれてゆく。

「……っ」プルプル

(最低な、人達だ……いつも、私に……酷いことばかり、して……今だって、私のことを……汚すことしか、考えていない……)

(それだけじゃない……イライラしたり、何か気に入らないことがあれば……私を、殴って……蹴りつけて……っ!)
666 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:21:29.53 ID:HEE8sNIQ0






























――――――そんな日々を過ごす内に、彼女の心には……人の"悪意"ばかりが植え付けられていき、彼女自身も……歪んでいった。





























667 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:27:09.28 ID:HEE8sNIQ0
あれから何年経過したことだろう。彼女は強姦され、猛獣に身体を食い千切られ、暴行される日々が当たり前となっていた。

最初は事あるごとに絶望していたが、いつしか……彼女は常に濁った目で、何もかもを諦めていた。

途中、彼らが狩り場を移動したり、住処に集う原始人が入れ替わったりもしたが……不幸なことに、彼女を労わる者は誰1人いなかった。

「………」

原始人A「はぁっ、はぁっ……こいつ、最近何も喋らないな」

原始人B「下手に反抗されるよりはマシじゃないか?」

原始人A「それもそうだな。この体をずっと使えると思うと興奮するぜ!」

「………」

だが、彼女は気がついていなかった。全てに希望を見失っていた彼女であったが……

「………」ギロッ

原始人A「……ん?」

原始人B「どうした?」

原始人A「いや、こいつ、こんな真っ赤な目してたっけか?」

彼女には……"その存在"には、彼らや猛獣達の欲望と憎悪……"悪意"が注ぎ込まれ続けていたことに。

それだけでは無い。彼女は、己を支配する"絶望"と、その身に植え付けられた悪意に侵食され……

「……す」

原始人AB「は?」

「……す……す……」

原始人A「な、何だよ?」

原始人B「全然聞こえねえぞ?言いたいことがあるならはっきり言えよ」

彼女の心は……既に限界を超えていたことに。そして、悪意と絶望が入り交じり、今にも破裂寸前だった彼女の"感情"が……
668 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:29:46.78 ID:HEE8sNIQ0






























「お前達、全員……皆殺しにしてやる……ッ!!」


原始人AB「ッ!?」


――――――今まさに、大爆発を起こしてしまったことに。





























669 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:31:32.90 ID:HEE8sNIQ0
一瞬であった。彼女の溜め込んだ怒り、憎悪、絶望……その全てが、この一帯に拡散した。

「はぁはぁ……」

原始人A(骨)「」ガラガラ…

原始人B(骨)「」ガラガラ…

その他原始人達(骨)「」ガラガラ…

「……は、ははっ。凄い……急に胸の奥からドス黒い感情が込み上がってきて、それに身をゆだねたら……憎くて仕方なかった奴らが、亡骸に変わり果てるなんて……!」

それが直撃した原始人達は、彼女の膨大な絶望に飲まれ……その命が即座に散ることとなった。

「………」キョロキョロ

(いや、こいつらだけじゃない。よく見ると、周りの動植物も……)

骨×大量「」ガラガラガラ…

周囲は地獄絵図と化していた。動物は肉さえ残らず骨となり、植物は真っ黒に変色し、全てが朽ち果てていた。

この光景を見て、彼女は……確信した。自分には、生物や無生物を問わず……全てを破壊する力が宿っているということに。

否、正確には……彼女が本来持っていた力が、人の悪意に染められてしまったことで……このような力に変異してしまったのだ。

「……ははっ。あははっ……あははははっ!」

(そう……そうよ……!この世を生きている奴らなんて、どいつもこいつも……汚らわしくて、醜くて、最低で……ゴミのような奴ばっかり……!)

(私だって、ずっと酷い目に遭わされてきた……!どいつもこいつも、人間も動物も……みな存在価値など無い。あるとすれば、醜くて反吐が出る憎悪と欲だけ……!)

そして彼女は、最悪の存在と化する。彼らのせいで、本来であれば宇宙に生を与えるはずの存在だった彼女が……

(だからこそ、私が……全部、ぶっ壊してやる……!1人残らず、欠片も残さず……滅ぼしてやる……ッ!!)

この世の全てを憎み、滅ぼす存在となってしまう。今や彼女に、かつての面影は無い。

目は怒りで赤く染まり、身体は絶望で黒く染まり……肌は"無を望む"かの如く、真っ白となっていく。

彼女の姿が変貌を遂げた、まさにその時……彼女は、ある"少年"と少女達を見つける。

「……ふふっ」

(ちょうど良い。手始めにあいつらから滅ぼして…………ッ!?)

そして、彼女は衝撃を受ける。人間は滅ぼすべき醜い存在としか思っていなかった彼女にとって、少年と少女達の様子は……あり得ない光景だったのだ。
670 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 23:32:29.33 ID:HEE8sNIQ0
グレ「そっかそっかぁ。2人が夫婦になるとはね〜!」

ショタ提督「………」ニコ…

ナトリ「えへへ……♪」

アサカゼ「それで子供はいつ作るの?」

グレ「あっ!それ私も気になる!」

ショタ提督(……子供?)

ナトリ「ふえっ!?そ、それは……///」モジモジ

ユー「あ、アサカゼ……!それにグレも……!」アセアセ

アサカゼ「あははっ、ごめんなさい」

ナトリ「え、えっとっ……いずれは、その……///」モジモジ

ショタ提督「……?」

グレ「……50周目提督、もしかして……意味、分かってない……?」

ショタ提督「………」

ナトリ「……そっか。そうだよね……何もかも、忘れちゃってるもんね……」

グレ「でも大丈夫!ナトリが1から全部教えてくれるから!」

ナトリ「ふえええええっ!?///」

ショタ提督「……本当?」

ナトリ「あぅ……///」

アサカゼ「もう。そんなことで照れてたら、いつまで経っても子供を産めないわよ?」

ユー「だ、だからその話題からは離れた方が……」アセアセ
671 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:33:05.78 ID:HEE8sNIQ0





「……何よ、あれ」

(どうして……あんなに楽しそうに、会話して……)

少年……50周目提督は、ナトリ達と楽しく会話し……明るく賑わっていた。

彼女がこれまで味わってきた、耐え難い苦痛とは……何もかもが正反対だ。

(どうして……人間は、酷い奴らばかりじゃ……)プルプル

彼女は混乱していた。今まで辛い思いばかりしてきた彼女にとって、ナトリ達のような人間は……受け入れるには、眩し過ぎたのだ。

それだけでなく、彼らが仲良くしている姿を見ていると……心の奥から、今まで感じたことが無い……ドロドロとした黒い感情が湧き上がってくる。
672 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:34:22.99 ID:HEE8sNIQ0
























――どうして……お前は人間と仲良くしている?




――私は人間共に酷い目に遭わされたのに。




――どうしてお前は人間と話していて、そんな幸せそうな顔をする?




――私は人間に対して、殺意しか抱いたことが無かったのに。




――どうシてお前ダけ良い想イをしテいル?




――私ハずっとト辛い思イばカりしテきたノニ




――許セナイ。




――許セナイ……許セナイ……!























673 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/11/29(金) 23:37:45.34 ID:HEE8sNIQ0
ユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイユルセナイ――――――
674 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/11/29(金) 23:40:02.20 ID:HEE8sNIQ0
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
更新頻度が少なくなってしまい申し訳ありません。ただ、回想パートはまだまだ続きます。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/29(金) 23:41:48.95 ID:fBSE6ZRco

片割れが提督になってもう片割れは深海棲艦になったのか
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/30(土) 00:52:27.46 ID:AUi+rTBwO

42週目提督の爪痕が深すぎる
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/30(土) 01:45:47.71 ID:Eg572+gm0

大戦犯42週目提督
お前のせいでやべーことになってんじゃねーか!早くなんとかしろよ!
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/30(土) 07:50:57.44 ID:O+CSTEuU0
乙乙
42週目提督と嫁たちは早く彼女を何とかしろ
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/30(土) 09:38:58.78 ID:zY0xDS6o0
しかし42週目とENDをむかえてしまった上、片割れに勝手に姿を使われたうえ深海棲艦の祖の姿にされた潮と羽黒がある意味不憫すぎる
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/30(土) 11:01:59.95 ID:yx0oMozlO
ああ深海の皆さんがやけに卑猥なのっそういう……
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 13:46:46.53 ID:kAE8VbC50
そして42週目はこんなことになってるとも知らずにこの時代で楽しく暴れまくってんだろうな絶対
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/02(月) 20:07:42.23 ID:ilfFHXzRO
片割れが深海棲艦なら現代の艦娘とかショタ提督たちは神(の片割れ)と戦争してるって事か?なんか神話っぽいな
そして深海棲艦の元ネタになった42週目嫁コンビェ・・・これ狭霧と速吸が知ったらネタにして爆笑しそう
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/03(火) 23:11:59.61 ID:Qxttyyvg0
狭霧は絶対爆笑してるかも
速吸はむしろ一応失恋したことに感謝の涙が止まらなくなってそう……失恋艦唯一の例外だし
失恋艦で集まっても速吸に関してはむしろ本当に失恋したことが救いになっちゃってる特異例すぎるね
684 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/04(水) 20:49:03.46 ID:jD9SdfWF0
22:00〜23:00頃開始予定です。
685 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/04(水) 23:01:01.63 ID:jD9SdfWF0
始めます。
686 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/04(水) 23:02:41.29 ID:jD9SdfWF0
それは、我々の言葉で言い表せば……"嫉妬"。

自分ばかりが人間共に虐げられてきたのに、目の前の少年はあろうことか、人間と楽しげに会話しているではないか。

そのような光景が……残酷な事実が、心に飛び込んできて……平然としていられるほどの冷静さは、既に彼女から消え失せていた。

ショタ提督「……っ!?」ゾワッ

ショタ提督(な、何だ……!?今、氷のようにつめたく、マグマのように熱い悪意を感じたような……)

ナトリ「……50周目提督?」

それほどの黒い感情を込めていれば、人の想いに敏感である彼も当然それを察知する。

しかし、彼女は彼よりも早く己の力を解き放っていた。

彼女の心が、炎のような"嫉妬"という悪意で埋め尽くされ……気がつけば彼女は……彼らを攻撃していた。

「………」カッ

ショタ提督「……危ないッ!!」バッ!

ナトリ達「え?」

バシュウウウウウウウウウンッ!

ナトリ達「きゃあっ!?」

ショタ提督「はぁはぁ……」

ショタ提督(と、咄嗟に身体が一人でに動いて……だけど、そのお陰でナトリ達を守れた……!)

彼は反射的にナトリ達の前に立ち、その身に込められた"善意"の力を発揮し……彼女の力を防ぐ。

しかし、彼女の力はとてつもなく強い。故に、完全には防げず……周囲に分散してしまう。

彼とナトリ達の周辺に生えていた草花は黒く染まり、その生命に終止符が打たれてしまった。

ナトリ「は、花が枯れてる……!」

グレ「木もシワシワになっちゃたよ!?」

アサカゼ「う、嘘……何で……」

ユー「こんなことって……」

「……へぇ。まさか、今のを防ぐなんて」

ショタ提督「……!」クルッ

ナトリ達「だ、誰……!?」クルッ

「………」ズゴゴゴゴゴ…

ショタ提督(……ナトリ達と同じ、女の人……?)

ナトリ達(女の、子……?だけど、目が赤いし……肌も真っ白で……)
687 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/04(水) 23:19:17.71 ID:jD9SdfWF0
「……どうしてお前達は仲良くしているの?」

ショタ提督「……どういう、意味?」

「どうしてそんなゴミ同士で楽しそうにしてるかって言ってるのよッ!!」カッ!

ショタ提督「っ!」バッ

バシュウウウウウウウウウンッ!

ナトリ達「ひゃあっ!?」

ショタ提督「……っ!」

ショタ提督(ま、また身体が一人でに……それに、あの女の人の力を防ぐと……周りの植物から、生気が失われて……!)

彼と彼女は、元が同一の存在だとしても……今、己に宿る力の方向性は真逆と言って良いだろう。

ナトリ達から優しさや思いやり、温かさ……"善意"を注がれた彼は、人間や生物を癒し、幸福に出来る力に変貌した。

だが、心無い男達から凌辱され、人としての尊厳さえ与えられなかった彼女は……あらゆる者を破滅させる、災厄を起こす力へ変り果ててしまった。

そして、両者の考え方も正反対……彼と彼女の対立は、もはや定められた運命と言って良いだろう。

ショタ提督「……どうしてこんな酷いことをするんだ」

「酷い?馬鹿じゃないの?人間なんて……いや、この世全ての者は、どいつもこいつも醜い欲だけでのうのうと生きているゴミばかりじゃない!」

ショタ提督「そんな訳無い。人間は……いや、どの生き物も、生きる為にいつも一生懸命で……生気と活力で満ち溢れている」

「ハッ!自分のことしか考えていない馬鹿な奴らの集まりでしょうが!お陰で私は……私はずっとっ……!」ギリッ…!

ショタ提督「………」

ショタ提督(やはり感じる……彼女から、全てを埋め尽くすほどの……黒い感情を)

「それに……お前達を見ていると、凄くイライラするのよ……!」

ナトリ「い、イライラ……?」

「どうしてうわべっつらだけの、まやかしの優しさなんて向けてるのよ。どうせお前だって、そこの餓鬼のことなんか……どうでも良いと思ってるんでしょ?」

ナトリ達「……!?」

ショタ提督「………」
688 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/04(水) 23:37:03.60 ID:jD9SdfWF0
「だって、こいつと仲良くする理由が無いじゃない!夫婦?何を馬鹿なことを!一緒にいれば食料は多く減っていくし、狩りに出そうにもチビで役立たずでしょうが!」

ナトリ「………」

グレ「役立たず!?そんな風に考えたことなんて無いよ!」

「はっきり言ってただの邪魔者でしかない!それなのに夫婦!?どうせ性欲処理用の道具としか考えていないんでしょ!?」

アサカゼ「せ、性よ……っ!?」

「だったら何?何の利用価値さえ無いこいつと仲良くしたり夫婦になる理由は!?無いでしょ!?無いわよねぇ!?ただの無駄な行為でしかないものねぇ!?」

ユー「……何、言ってるの、この人……怖い……」

「私からすればお前達人間の方が醜くて最低な存在よ!この期に及んで性処理の為に餓鬼に媚びを売るなんて!これだから人間は度し難いゴミでしかないのよ!」

もはや彼女は自分でも何を言っているか分かっていなかった。だが、それだけ人間を含む全てに憎悪を抱いていた。

光を失った瞳で、狂気的な笑みを浮かべながら……ただ彼らに自分が抱く憎しみを洗いざらい吐き出していた。

その姿は、まさに狂人と呼ぶに相応しい。人間の"悪意"を、その身に刻まれ続けてきた彼女は……もう、戻れない領域まで堕ちてしまっていたのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(ダメだ。話が通じそうにない……一体、何故この女の人は僕達を……人間をそこまで憎んで……)

対する、人の"善意"に包まれてきた彼は……彼女の言っていることが理解出来なかった。

人は優しく温かい気持ちを抱いていることを体感してきた彼は、彼女と反対の考え方なのだ。それで彼女の気持ちを理解しろというのが無理な話。

だが、彼女が異常な程に全てに対して憎悪を抱いていることだけは把握していた。彼女の思考が危険であることも、無意識の内に感じ取っていたのだ。

ナトリ「……して」

「は?」

ナトリ「今の言葉……取り消して」

「取り消す?」

ショタ提督「……ナトリ?」

ナトリ「利用価値?性欲処理……そんなこと言わないで!私は……そんな馬鹿な考えで、50周目提督と一緒にいる訳じゃないよ……!」

「……ッ!?」

ショタ提督「……!」

だが、彼女の"悪意"に真正面から反発する者が現れた。そう、50周目提督と恋仲となった……ナトリである。

ナトリにとって、彼女の言葉は……最愛の50周目提督を馬鹿にされただけでなく……

自身が抱く気持ちさえ、勝手な理由で否定されたのだ。そんな彼女の言葉を、許す訳にはいかない。絶対に、許してはいけないのだ。
689 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/04(水) 23:49:45.53 ID:jD9SdfWF0
ナトリ「貴女がどうしてそんなことを考えてるかは分からないけど……そんな言い方されて、黙っていられるほど……私は落ち着いていられない……!」

ナトリ「私はこの子を……右も左も分からないこの子を、ただ助けたいと思っただけ……!」

ナトリ「狩りがどうとか、役に立つかなんて……そんなこと、関係無い……!一緒にいたいと思ったから、私はこの子と一緒にいるんだよ……!」

「……やめて」

ナトリ「そんな捻くれた考えでこの子を傍に置くほど、私は酷い人間じゃない……!」

「やめなさいよ……」

ナトリ「でも、それ以上に許せないのは……!」

「やめなさいって言ってるでしょ……!」









ナトリ「大好きな50周目提督の悪口を言ったこと……!この子を悲しませるようなことをするなら、私が許さない……!」









「――ッ!!」

ショタ提督「ナトリ……」

ナトリ「……これが私の気持ち、だよ?」ギュッ

ショタ提督「……うん。僕も、同じだよ……」ギュッ

ナトリの心の叫びは、彼にしっかりと届いていた。彼の心に……その存在全てに、温かさと優しさ……"絆"が刻まれた。

「……殺す」

だが、その言葉は……感情は、彼女にとって、最も不愉快で……すぐにでも消し去ってしまいたいと思える程に、憎い言葉だったのだ。

「殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺すッ!全員殺してやるうううううううううううううううううッ!!」カッ

ナトリ達「っ!?」ビクッ

ショタ提督「危ないっ!」バッ

バシュウウウウウウウウウンッ!

グレ「あぁっ!?向こうの花まで枯れて……!」

アサカゼ「そ、それに……遠くで走っていた動物が、ほ、骨に……!」

ショタ提督「……どうしてこんなことをするんだ。何の罪も無い生物を痛めつけるなんて……」

「うるさいっ!お前なんかに……お前達なんかに、私の気持ちが分かってたまるかああああああああああああああああッ!!」カッ

ユー「ま、また……!」

ショタ提督「っく……!」バッ

バシュウウウウウウウウウンッ!

ショタ提督(このままでは、周囲が死の土地となってしまう……何とかしなければ……!だけど、どうやって……)
690 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:06:57.80 ID:jYzv0GcH0
「糞ッ!」

(あいつがいる限り、私の力が分散される……周りはどんどん酷いことになっていってるけど、肝心のあいつらを滅ぼせないんじゃ……!)

(そもそも、どうして私の力を防げるのよ!さっきの男共も、向こうにいた動物も一瞬で骨になっただけなのに……!)

怒りに身を任せている彼女だが、同時に現状を分析することも怠っていなかった。

彼は少なくとも、普通の人間でないことだけは分かる。もしかすると、彼女のように得体のしれない力を行使出来る存在かもしれない。

だが、こちらの力を分散させることしか出来ないということは……少なくとも、彼女を消し去れるだけの力は持っていない可能性もある。

(……それだけじゃない。あいつは自分よりも、傍にいる女共を守ろうとしている……チッ、反吐が出るわね……)

自分より他人を優先する等、かつて自分の身体に欲をぶつけてきた人間からは想像も出来ない行動だ。

それも、私に似た力を持っているにも関わらず……人間というゴミを守る為に力を行使するという、愚かにも程がある行為。

(……気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いッ!!こいつだけは……こいつらだけは絶対に滅ぼす……ッ!)サッ

そう考えた彼女は、力の使い方を変化させる。今までは彼らに対し、己の力をぶつけようとした。

しかし、それは彼の手によって防がれてしまう。しかし、それが突然……"ぶつける"のではなく、こちらに"引き寄せる"性質に変化したとすれば……

「……だったらこれならどう!?」カッ!

ナトリ「……っ!」ギュッ

ショタ提督(またか……!でも、力を分散させれば……!)スッ

(引っかかったわね?)ニヤリ

グレ「……あぁっ!?」ドクンッ

アサカゼ「……うっ!?」ドクンッ

ユー「……あぅっ!?」ドクンッ

ナトリ「……っ!?」ビクッ

ショタ提督「……?」

ショタ提督(おかしい……先程までとは違って、こちらへ向かって来る力を感じない……)

グレ「」バタッ

アサカゼ「」バタッ

ユー「」バタッ

ナトリ「い、今……身体が、フワッとしたような……えっ、ぐ、グレ?アサカゼ?ユー!?」チラッ

ショタ提督「ナトリ!?どうし……ッ!?」ゾクッ

ショタ提督(そ、そんな……!グレ達から、生気を感じない……!?)

「……ふふっ。くっふふ……あはっ、あはははははははははははっ!見事に騙されてくれたわね!」

ショタ提督「……グレ達に何をした」

「決まってるでしょ?力をぶつけても防がれるなら、いっそのこと……お前達の魂を吸い取って、私が直々にぶっ壊してやろうと思ったのよ!」

ショタ提督「っ!?」

ナトリ「た、魂を……?」
691 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:18:10.17 ID:jYzv0GcH0
「でも、どうしてお前だけ無事なのかしら?4人仲良く魂を奪い取ってやろうと思ったのに」

そう。彼女の言う通り、ナトリだけは彼女による攻撃から免れることが出来ている。

結論から言えば、ナトリが彼の手を握っていたからである。そのお陰で、ナトリは彼と"共鳴"し……守られたのだ。

ナトリ「………」ギュッ

ショタ提督「……!」

ショタ提督(もしかして、僕の手に触れていたから……)

「ま、1人くらい後でどうにでもなるか。まずはこいつらの魂から消滅して……っぐ!」

ショタ提督「や、やめろ……!」

ナトリ「グレ達に何をする気……!?」

「……チッ」

(こいつら、魂になってまで抵抗するなんて……!しかも、変な力を感じる……!)

魂となったグレ達は、肉体から引き離されるも……まだその意識や精神まで消し去られてはいなかった。

それに加えて、グレ達の魂には……ある共通点があった。それは――

(眩しくて、生温くて……耐え難い気持ち悪さが体を駆け巡る……!あいつから感じる嫌悪感と同じ……!)

(……そうか。そういうことか……これがあいつの力か。どうしてこいつらに同じ力が宿っているかは分からないけど……)

――かつて彼と彼女がばら撒いた"力の欠片"。それらがナトリ、そしてグレ達の魂に宿っていたのだ。

無論、彼と彼女が持つ力と比べれば、その魂に宿る力は微々たるもの。

だが、その力は……彼と彼女が証明しているように、己が抱く想いに比例して変質し、強化されてゆく。

(……私にとって、身の毛がよだつくらい……憎くて、たまらない……ッ!!)ギリッ…!

このまま消滅などしたくない。そして……彼とナトリを守りたい。その想いが、彼女の力に抗っていた。

ショタ提督「……!」

ショタ提督(……感じる。目の前の女から……グレと、アサカゼと……ユーの想いを……!)

彼はグレ達の魂と、己の力の欠片と"共鳴"し……グレ達がまだ生きていることに気がつく。

ナトリ「……!」

ナトリ(……どうして、かな。グレ達は……まだ、死んでない……はっきり、分かる……心に、そう伝わってくる……!)

そして、グレ達と同じように彼の"欠片"を宿したナトリも、また……同じ欠片を持つ者同士で"共鳴"し、グレ達の生存を確信する。

まだ間に合う。例え肉体から魂が引き離されてしまっても、魂さえ失われていなければ……助けられる可能性は残されているのだ。
692 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:32:09.70 ID:jYzv0GcH0
ショタ提督「……今すぐグレ達の魂を元に戻すんだ」

「言う通りにするとでも?」ギロッ

ショタ提督「………」

「あのねぇ?お前、自分の立場を分かってるの?私があのゴミ3人の魂を握ってるのよ?」

「仮にお前が私を攻撃したとしたら、私の中にいるゴミ3人も一緒に苦しむでしょうねぇ?」

ショタ提督「くっ……」

ナトリ「どうして……どうしてそんな酷いことが出来るの……!?」

「うるさいッ!!優しさなんて、思いやりなんて……全部、幻想に決まってるでしょうが!」

「人間なんか……いや、この世の何もかもがいらない……全部滅ぼしてやるッ!!」

ショタ提督「そんなこと……させる訳が……!」

「まだ言う!?それなら早く私を消してみなさいよ!私が握っているゴミ3人を犠牲にしても良いならね!」

ショタ提督「……っ!」

「ほら、早くやりなさいよ。やりなさいよ……やりなさいって言ってるでしょッ!?」

ショタ提督「………」

「どうして何もしないの!?どうせ上辺だけで仲良くしてた奴らでしょう!?どうしてそんな苦しそうな顔をするのよッ!?」

(悩むような表情をするな……悲しげな表情を見せるな……!誰かを思いやるような、生温い顔を見せるなああああああああああああああああッ!!)カッ

ショタ提督「ッ!?」

ナトリ「あっ……!?」

彼がグレ達を心配し、その身を案ずる表情を見れば見る程……彼女の"嫉妬"は膨れ上がる。

私はこんなにも苦しんだのに。私は誰にも心配されなかったのに。私は誰からも助けてもらえず、ずっと酷いことばかりされ続けてきたのに。

その黒い感情が、彼女の力を更に凶悪なものにし……今もなお抗おうとするグレ達の魂を、更に消滅まで追い詰める。

そして同時に……この世で最も憎み、汚らわしいと思う目の前の存在を……

かつて同一の存在であった彼を、消し去らんとばかりに絶望の力を打ち込む。

ショタ提督(さ、さっきの何十倍も……いや、何百倍も強い感情の力が……!だ、ダメだ、防げな――)
693 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:49:43.72 ID:jYzv0GcH0
ナトリ「ご、50周目提督……ッ!」バッ!

ショタ提督「――!?」

彼女の力をまともに受ければ、恐らく彼は無事では済まない。本能的にそう感じた彼女は、思考より先に体が動いていた。

そして彼に覆い被さるように抱き締め、迫り来る攻撃から彼を守ろうとする。

(馬鹿ね!お前如きが盾となったところで、どっちもまとめて地獄に叩き落して……!)

ズバアアアアアアアアアアアンッ!

「……なっ!?」

ショタ提督「……え?」

ナトリ「……うぅ」バタッ

ショタ提督「な、ナト……リ……?」

ナトリは彼女の攻撃を、その身で全て受け止めた。普通の人間であれば、そのまま骨と化し……否、肉体さえ残らないだろう。

だが、ナトリは彼の"欠片"を宿し……彼と深い絆で結ばれ、そして……

彼を救いたいという強い想いが、ナトリの存在を強くし……彼女の力に抗ってみせたのだ。

それでも、やはり無傷では済まない。ナトリの身体は、生きているのが奇跡と言えるほどボロボロとなり……

ゆっくりと倒れたナトリは、既に虫の息だった。

ショタ提督「そんな……どうして……!」

ナトリ「ゴホッ……だって、50周目提督を……守りたかった、から……」

「嘘……嘘よ。あの力を食らって、生きているはずが無い……そんな馬鹿なこと、あり得る訳……!」ワナワナ

ショタ提督「……っ!」

ショタ提督(ナトリから、生気が失われていく……!このままでは、ナトリの魂が……!)

ショタ提督「……嫌だ。嫌だよ……ナトリ、死なないで……!」ギュッ

ナトリ「ぅ……」

「……こ、こんなことがあってたまるかぁッ!!自分を犠牲にして人を守る!?人間共にそんな思考が出来る訳無いッ!!これは嘘!嘘嘘嘘ッ!!嘘に決まってるッ!!」

ナトリ「……嘘なんかじゃ、無い……!」

「何……!?」

ナトリ「私、は……ゴホッ……50周目提督のことが、大好き……だから……っぐ、心の底から、愛してる……から……っ!」

ナトリ「だから……私は、自分が傷ついたとしても……ううっ、はぁっ……!この子を、守りたい……この、気持ちに……嘘なんか、無い……!」

「――ッ!!」ギリッ…!

ショタ提督(ナトリ……僕の為に……僕の、為に……そこまで、してくれて……)
694 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:53:21.98 ID:jYzv0GcH0
ナトリ「はぁっ、はぁっ……ゲホッ!」

ショタ提督「っ!な、ナトリ!しっかり……!」パァッ…!

吐血したナトリを見て、彼はすぐにでも己に宿る力でナトリの苦痛を癒そうとする。

だが、そうは問屋が卸さないとばかりに、怒りが頂点に達した彼女が……刃を向ける。

「……させるか。これ以上、私に……その忌々しい光景を見せつけるなあああああああああああああああああッ!!」バッ!

ショタ提督「……っ!」

ショタ提督(あの女の攻撃を防がないと、全滅する……!だけど、ここで治療を止めれば、ナトリが……!どうする!?一体、どうすれば……!)

ナトリ「……50周目、提督……」ギュッ

ショタ提督「あっ……」

ナトリ「もう、いい……もう、いいの……きっと、この"身体"は……もう、助からない……」

ショタ提督「諦めちゃダメだよ!生きている限り、望みは……!」

ナトリは既に覚悟していた。このままでは、自分の身体は数分ももたないということに。

そして、仮にもう少しだけ身体が持ちこたえたとしても……目の前にいる女が攻撃すれば、自分達はただでは済まないと。

そして同時に、ナトリは確信していた。彼女がグレ達の魂を奪い取ったように……不思議な現象を引き起こせる彼なら、同様のことが出来るかもしれない。

ナトリ「……50周目提督」

ショタ提督「な、何…………ッ!?」

ショタ提督(い、今……ナトリを通じて、頭の中に……何かが、伝わってきて……!これって、ナトリの考えていること……?)

互いに親密な関係となり、魂の"共鳴"が強まった2人。既に彼とナトリは、言葉にせずとも……想いが通じ合う絆で結ばれていた。

そして彼は、ナトリの最後の手段を"把握"する。もはや賭けに近いが、現状を打開出来るとすれば……この方法しか無いだろう。

ナトリ「伝わった……みたい……うん、これなら……!」

ショタ提督「で、でも……万が一、失敗したら……」

ナトリ「大じょ……うくっ!あぁっ……大、丈夫……私を、信じ……て……!」

ショタ提督「ナトリ……」

「死ね……死ね死ね死ね死ねッ!死ねええええええええええええええええええええええッ!!」カッ!

ナトリ「お願い……っ!」

ショタ提督「っ!!」カッ…!

ナトリが彼の手を強く握り、同時に彼もナトリの手を強く握る。その瞬間、彼らの視界は眩い光に包まれ……
695 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/05(木) 00:54:29.83 ID:jYzv0GcH0






























――――――ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!





























696 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:55:46.21 ID:jYzv0GcH0
「はぁはぁ……や、やった!目障りな奴らを、これで……!」

彼女は勝利を確信していた。怒りに身を任せ、己が持つ力を……彼らにぶつけた。

あれを食らえば、いくら謎の力を持った人間だったとしても……ひとたまりもないだろう。

「……なッ!?」

だが、彼女が確信した勝利は、すぐさま撤回されることとなる。何故なら、彼女の眼前には……

ショタ提督「……っ!」バッ!

凄まじい速度で接近する、彼の姿が……無傷どころか、身体に光を纏った彼の姿があったからだ。

「ど、どうして!?あれほどの力を込めたのに!?どうして無事なのよ!?」

ショタ提督「……ナトリの力」

「は……?」

ショタ提督「ナトリが、僕に……グレ達を救い、お前を退ける力を与えてくれたからだ……!」

「な、何を言って…………ッ!」

彼女は彼の背後に視線を移す。すると、そこには……

ナトリ「」

絶命し、瞳から光が失われていた……ナトリの姿があった。否、そこにはるのは、ナトリの亡骸だ。

「……は、ははっ。あはははははっ!お前、やっぱり人間だな!私からあのゴミ共を助ける為に、夫婦だとか言っていた奴を犠牲にするなんて!」

ショタ提督「………」

彼女は、後ろに横たわる亡骸を見て……彼はナトリを盾とし、その隙を突いて自分に接近したと思い込んでいた。

ショタ提督「……何を誤解しているんだ?」

「……え?」

ショタ提督「……ッ!」ドンッ!

「あっ……!?」ドサッ

(う、動けない……!それに、

彼は有無を言わさず彼女を押し倒し、両手で掴みかかる。そして己の力を込め、彼女が再び力を行使出来ないようにする。

ショタ提督「僕は言ったはずだ……ナトリから、力を与えてもらったと……」ググッ

「は、離せっ!だからそれは、あの女を犠牲に……」

ショタ提督「犠牲になんか、していない……ナトリは、今も……!」
697 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/05(木) 00:57:04.45 ID:jYzv0GcH0






























ショタ提督「僕の中にいる……!」



ナトリ『私なら、50周目提督の中にいる……!』





























698 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:58:09.17 ID:jYzv0GcH0
「ッ!?」

(まさか、そんな……こいつは、私と同じ力を使って、あの女の魂を自分の中に取り込んだとでも言うの……!?)

ショタ提督「……そうだ」

「なっ……!?」

(今、私の心を読んで……)

ショタ提督「それだけじゃない。こうして、お前に触れて……ようやく分かった。いや、"思い出した"……!」

ナトリ『私も、50周目提督と1つになって……そして、貴女を魂で感じて……全部、分かった……!』

「思い出す……うぅっ!?」

その瞬間、彼女の脳裏に……失われていた記憶が蘇り、朦朧としていた認識が……覚醒した。

彼と彼女は、元は同一の存在であったこと。第三者の襲撃により、2つの存在に分離してしまったこと。

片方は、少年の姿となり……ナトリ達と共に幸せな日々を送っていたこと。

もう片方は、少女の姿となり……心無い人間や、猛獣達に……壮絶な苦痛を与えられ続けてきたこと。

そして、彼女が思い出した出来事は……同時に、元が同じ存在である彼も思い出し、彼に取り込まれたナトリにも知れ渡る。

ショタ提督「……そう、だったのか。それで、あんなことを……」

ナトリ『………』

「……ああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

ショタ提督「うわっ!?」

ナトリ『ご、50周目提督!?大丈夫!?』

「殺す殺す殺すッ!!お前だけは……お前だけは絶対に!何としても殺してやるッ!!うがあああああああああああああああああああああああああッ!!」

全てを思い出したことにより、彼女の絶望は……より一層、深くなってしまった。

どうして元が同じ存在なのに、少年となった自分自身ばかりが良い思いをして、私ばかりが惨めな思いをしなければならないのか。

私が醜い人間共から欲望のままに乱暴されていた裏で、こいつは呑気に楽しく暮らしていたのだ。

それを許すことなど、出来るはずがない……受け入れて、納得出来るはずが無い……彼女の怒りは暴走し、自分を押し倒す"自分"を滅ぼそうと決めた。

ショタ提督「っぐ……!?ば、馬鹿な真似はやめるんだ……!」

「お前なんかに私の気持ちが理解出来るかッ!!お前が楽しく暮らしていた時に、私は……私はあああああああああああああああああああッ!!」

ナトリ『だからって……何の罪も無いグレ達の魂を奪うことが、許される訳……!』

「うるさいって言ってるでしょッ!!こいつ諸共、お前も消してやる!絶対に消してやるううううううううううううううううッ!!」

ショタ提督(す、凄くドロドロした、黒い感情の力が流れ込んでくる……!それだけ、"僕"が感じた絶望は……!)ググッ

ショタ提督(……だけど、それでも……ナトリや、グレ達を傷つけようとするなら……僕は、"僕"を……退けなければならない……!)

彼女の途方も無い絶望……そして、その記憶……彼は彼女の全てを知るも、やはり彼女との和解は出来ないと結論付けた。

何より、彼女は既にグレ達の命を殺めようとしているのだ。せめて、グレ達を救ってからでないと……まともに話し合うことなど、出来ないだろう。
699 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 00:59:16.04 ID:jYzv0GcH0
「殺す殺す殺す殺す殺すッ!絶対に殺すッ!お前だけは許さないッ!死ねええええええええええええええええええええええええッ!!」

ショタ提督「ぐぅっ……!」

ナトリ『だ、大丈夫……!?』

ショタ提督(な、何とか……一刻も早く、グレ達の魂を救い出さないと……!)

『……けて』

ショタ提督「……!」

ナトリ『この声って……!』

グレ『助けて……!もう、限界……っ!』

アサカゼ『ずっと抵抗してたけど、これ以上は……っ!』

ユー『私達、消えちゃう……!』

ナトリ『皆……!』

ショタ提督「……っ!」

彼女の心の奥から、確かに聞こえてきた……グレ達の声。

それは今にも消えてしまいそうで……グレ達の魂、すなわち、命が尽きるまで……猶予が残っていないことを示していた。

その瞬間、彼の中に……今まで抱いたことが無かった、強い感情が湧き上がってきた。

ショタ提督「……せ」

ナトリ『あっ……!』

ショタ提督「返せ……グレを、アサカゼを、ユーを……僕の大切な人達を……返せえええええええええええええええええええッ!!」カッ!

「うぐっ!?あっ、ぁ、ぁあああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

それは"怒り"。それも彼女のような、自分本位の怒りでは無い。

彼の怒りは、大切な者を傷つけ、その命を散らそうとしている……誰かの為の怒りだ。

ナトリ『……そうだよ。返してよ……!私の大切な友達を、返してええええええええええええええええええッ!!』カッ!

「がああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

それに加えて、彼に取り込まれたナトリも……彼と同様、グラ達を傷つけたことに対する怒りが爆発した。

両者の怒りが莫大なエネルギーとなり、容赦無く彼女を襲い掛かった。

その瞬間、彼と彼女、そしてナトリのエネルギーが……彼と彼女の身体の中で1つとなり、互いに激しく衝突した。
700 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/05(木) 01:00:10.40 ID:jYzv0GcH0






























――――――だが、今の彼と彼女は……既に互いが背反する存在となっていた。



――――――そのような者同士が、強い力を持って衝突すれば……あるいは、1つになろうとすれば……待ち受ける結果は、ただ1つのみ。





























701 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 01:01:22.95 ID:jYzv0GcH0
ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

ショタ提督「うわあああああああああああああああああああああああああああああッ!?」

ナトリ『きゃあああああああああああああああああああああああああああっ!?』

互いに正反対となった存在が持つ力が触れ合ったことで、彼と彼女は互いに反発する力に耐えられず……再び破裂してしまう。

ただ、42周目提督が介入した時とは異なり、今回はあくまでも彼と彼女の存在が分裂してしまったことに留まり、物理的な爆発は起こらなかった。

しかし、破裂した彼と彼女は無事で済むはずが無く、身体が凄まじい勢いでバラバラとなってゆく。

同時に、彼と彼女の身体が破裂したことにより、2人が持つ力の破片を……再び、時空を超えてこの世へばら撒いてしまうこととなった。

「あ……あがっ……糞っ……糞ぉっ……!絶対……絶対に、殺してやる……ぅ……」

ショタ提督「……"僕"が……消え、た……」チラッ

魂(グレ)『………』シュンッ…

魂(アサカゼ)『………』シュン…

魂(ユー)『………』シュン…

ショタ提督「……っ」

ショタ提督(ごめん、なさい……グレ達のこと、救ってあげられなかった……元に、戻して……あげられなかった……)

ショタ提督(だけど……魂さえ消滅していないなら……あの世へいくか、もしくは……輪廻転生して、新たな生命に……)

ショタ提督(強い未練を残した時は、幽霊としてこの世を彷徨うこともあるけど……でも、グレ達は違う……既に、旅立とうとして……)

薄れゆく意識の中、グレ達の魂が彼女から解放され……肉体を失ったことにより、天に召される姿が見えた。

恐らくこのまま、あの世へと旅立っていくのだろう。もし、彼に十分な力が残されていれば、すぐにでも魂を肉体に戻していたことだろう。

だが、彼にはもう、そのような力は残されていなかった。旅立つ魂を、眺めていることしか出来なかったのだ。

グレ達を救えなかった無力感と悲しさが、彼の心を締め付ける。だが、それ以上に……彼にとって、救えなかったことが悲しくてたまらない人物がいた。

ナトリ『……50周目、提督……』

ショタ提督「……ナト、リ……君も……」

ナトリ『……うん。グレ達と一緒に……消えちゃう、みたい……』

ショタ提督「……ごめん、なさい……僕が、ナトリを……救えなかった、から……!あんなことを、させて……しまったから……っ!」ジワッ…

それは、彼が初めて流した"涙"だった。今まで、彼はナトリ達人間が持つ優しさに包まれて過ごしてきたが、別れは経験したことが無かったのだ。

無論、全てを思い出した彼は、知識として別れを理解していたが……それでも、このような形で……最愛の人と別れることになるとは、思ってもいなかったのだ。

ショタ提督「……っ!」ポロポロ

ショタ提督(離れたくない……!僕に、温かい気持ちを……ずっと、注いでくれたのに……!僕が、初めて……好きになった人なのに……!)ポロポロ

ショタ提督(逝かないで……!僕の傍にいて……!お願いだから……っ!)ポロポロ

涙がとめどなく溢れ出す。最愛の人との、永遠の別れになるかもしれないという状況とならば……元が神と言える存在だったとしても、悲しくてたまらない。

否、彼がこれほど人間らしい感情を持つようになったのは……やはり、ナトリやグレ達との交流を経たお陰だろう。
702 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 01:02:25.14 ID:jYzv0GcH0
ナトリ『………』ダキッ

ショタ提督「あ……っ」ポロポロ

ナトリ『……ありがとう。私のことを、そこまで……好きになってくれて……』ギュウッ

ナトリは消えゆく身体で、彼を力一杯抱き締め……既に透け始めた手で、彼の頭を撫でる。

同時に、ナトリの魂を通じて……彼に、温かい感情とナトリの"心情"が注ぎ込まれてゆく。

ショタ提督「……ナト、リ……」ポロポロ

ナトリ『50周目提督、今……輪廻転生って、考えたよね……?また、新しい生命として……生まれ変わるって……』

ショタ提督「………」ポロポロ

ナトリ『……大丈夫。私と50周目提督の"絆"は……こうして、魂同士で繋がった"絆"は……そう簡単に、途切れたりはしないよ』

ナトリ『今はお別れになっちゃうかもしれないけど……私は、また……絶対に、貴方へ会いに行く』

ショタ提督「……!」ポロポロ

ナトリ『どんなに気が遠くなるほど、離れ離れになったとしても……いつか、必ず……もう1度、こうして貴女を抱き締めに戻って来る……!』ジワッ

ナトリ『約束、する……!私が好きなのは、今も……そして、これからも……こうして、命がけで守ってくれた……貴女だけ、だから……!』ポロポロ

ショタ提督「……うん、うんっ……!約束、だよ……?絶対に、また……会おうね……?ずっと、待ってるからね……!」ポロポロ

互いに薄れゆく意識の中、彼とナトリは……再び出会うことを約束した。彼はいつか目が覚めた後に、ナトリは輪廻転生を経た後に。

ナトリ『……んっ』チュッ

ショタ提督「ん……」

彼とナトリは……生まれて初めて、キスをする。お互いの、不滅の愛を誓い合うように。

そして……どれほど離れ離れになったとしても、いずれ再会すると誓い合うように。

ナトリ『……50周目提督』

ショタ提督「……ナトリ」
703 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/05(木) 01:03:34.27 ID:jYzv0GcH0






























魂(ナトリ)『……また、ね……?今度は、ずっと一緒に――――』シュン…


ショタ提督「……うん。また……今度こそ、ずっと……一緒に……」


ショタ提督(……恐らく僕は、再び永い眠りにつくだろう。けど、次も必ず目を覚ましてみせる……ナトリの為に――――)


そして、ナトリの魂はあの世へ旅立ち……彼の意識は無くなり、再び力が集うまで……永い永い眠りへとついた。





























704 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/05(木) 01:08:48.02 ID:jYzv0GcH0
今回はここまでです。遅くまでお付き合いいただきありがとうございました!
え〜っと、もはや艦これ要素がほとんど無いような……(白目)
ですが回想パートとしてはようやく半分〜2/3が終わったかな?という感じです。はい、まだ続くんです。
打ち切りみたいな〆ですが、まだまだ続きます。相変わらず長くてすみません。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
705 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/05(木) 01:09:28.11 ID:jYzv0GcH0
黒字に戻すのを忘れるミス……何度もすみません!今度こそ次回の更新でお会いしましょう。
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 01:09:46.95 ID:23Uzi1OAO
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/05(木) 07:43:51.21 ID:xeKfT5g/O
おつおつ
42週目ショタ安価でギャグ補正やばすぎる提督が選ばれた時は笑ったがまさか最終回でこんなことになるとはな・・・
このスレで「だいたいこいつのせい」がこれほど当てはまるキャラは42週目提督以外にいないと思う
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/10(火) 10:53:50.62 ID:XXOJRMNp0
これで42週目の時ギャグ補正ヤバすぎ提督が選ばれてなかったらどうなってたんだろう
709 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 16:56:07.82 ID:AjcP0Ezj0
22:00〜23:00頃開始予定です。
710 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 22:33:12.71 ID:AjcP0Ezj0
始めます。
711 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 22:35:41.26 ID:AjcP0Ezj0
ナトリ「……!」ガバッ

グレ「うぅ……」ムクリ…

アサカゼ「あ、れ……」ムクリ…

ユー「私……さっき、消えちゃいそうになって……」ムクリ…

魂となり、現世から旅立ったナトリ達は……とある場所で目覚める。

そこは綺麗な花畑が広がり……虹がかかる青い空を、小鳥が飛びながらさえずっている。

グレ「ここ……どこ……?」

アサカゼ「凄く綺麗な場所だけど……」

ユー「……何だか、温かい」

ナトリ「………」

温かいそよ風が、ナトリ達の体に優しく触れる。そう、ここは正しく、死者の魂が集う"あの世"だ。

グレ、アサカゼ、ユーは現状を把握出来ていなかったが……ナトリだけは違っていた。

ナトリ(……私達がここにいるということは、やっぱり……)

彼と文字通り"1つ"となり、様々な想いを共有したナトリは……この場所の意味を理解していた。

自分はやはり"死んだ"のだと。そして……グレ達も"死んでしまった"のだと。

グレ「それに、私達以外……誰もいないよ……?」

アサカゼ「そういえば、確かに……」

ユー「……?」キョロキョロ

ナトリ「………」グッ…

ナトリ(だけど、私は諦めない……約束したから。50周目提督と……あの子の元へ、必ず戻るって……!)

ナトリ(こんな場所で立っている場合じゃない……一刻も早く、"転生"しないと……!でも、どうやって……)
712 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 22:36:55.06 ID:AjcP0Ezj0






























「……それについては、僕が説明するよ」





























713 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 22:42:52.17 ID:AjcP0Ezj0
ナトリ達「……っ!?」クルッ

「………」

ナトリ(50周目提督と、同じ服を着た……男の子……?)

突然、後ろから声が聞こえる。ナトリ達が振り向くと、そこには……彼と同じ白い服と帽子を身に着けた、"少年にしか見えない男性"が立っていた。

その表情は、どこか穏やかで……同時に、どこか悲しげで……しかし、そこには確かな意志が宿っていた。

ユー「だ、誰……?」

「……ごめんなさい。驚かせちゃったね」

グレ「………」

アサカゼ「………」

「………」

(本当に、名取さんやグレカーレちゃん、朝風ちゃんやユーちゃんにそっくり……そうか。彼女達が……)

ナトリ「……説明」

「……!」

ナトリ「説明、してくれるんだよね……?"転生"して、もう1度……50周目提督に会える方法を……」

グレ「……ハッ!?そ、そうだよ!私達、さっきまで50周目提督に守ってもらって……」

アサカゼ「あれ?だったらどうして私達はこんな所に……」

ユー「それに、ナトリも……」

「……うん。順を追って説明するね?まず、落ち着いて聞いて欲しいんだけど……君達は"死んでしまった"。ここは"あの世"……死んだ人達が来る場所なんだ」

グレ達「ッ!?」

ナトリ「………」

謎の少年から告げられた事実に、グレ達はショックを受け、激しく動揺する。

無論、既に全てを察していたナトリだけは、少年からの言葉を冷静に受け止めているが。

グレ「そ、そんな……!」ガクガク

アサカゼ「じゃあ私達は、皆あいつに……っ!」ギリッ

ユー「嫌……嫌ぁっ……!」

ナトリ「……だけど、貴方がこうして来てくれたのは……それで終わりじゃないから、だよね?」

「……うん」

グレ達「……え?」
714 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 22:50:19.54 ID:AjcP0Ezj0
「貴女達は、現世に強い未練を……あるいは、それに近い信念を持って……絶命した。だからこそ、チャンスを与えられることになったんだ」

グレ達「チャンス……?」

ナトリ「………」

「ほら、あれを見てごらん?」スッ…

サアァ…!

ナトリ達「……!」

少年が指を向ける先。そこには虹色の光に包まれた……1つの穴があった。

「あの穴に飛び込めば、貴女達はもう1度……人生を初めからやり直せる……」

グレ「ほ、本当に!?」

アサカゼ「じゃあ、生き返ることが出来るの!?」

ユー「また、50周目提督に……会える……!?」

「………」

ナトリ「……!」

しかし、ナトリは見逃さなかった……少年が一瞬だけ見せた、僅かな陰りを。

そして、ナトリは確信した。恐らく少年は、次に辛い事実を突きつけて来るであろうことを。

「……普通なら、ね。だけど、貴女達の場合は……魂に、真っ黒な呪いが染み付いてしまっている」

グレ達「の、呪いって……まさか……!」

ナトリ「……あの女の子の力?」

彼女の力をまともに受けてしまったグレ達、彼と共に彼女に対抗したナトリ。

その魂には、多かれ少なかれ……彼女の、ドス黒い絶望が混ざり込んでしまっていたのだ。

「正解。今は"あの世"……死後の世界にいるから、その呪いの影響を受けていない。でも、このまま現世に戻れば……どんなことになるかは、僕にも分からない」

ナトリ達「………」

「少なくとも、同じ自分に乗り移る完全な"転生"は……ただ、来世の自分に乗り移る"輪廻転生"なら、何とかなるかもしれない。その時には1度、魂が浄化されるはずだから」

ナトリ「……!」

「だけど、それでも……きっと、何かしらの影響は出てしまう。恐らく、染み付いた呪いを洗い流す時に……前世の記憶、つまり、今の貴女達の記憶が失われてしまうかもしれない」

ナトリ達「……ッ!」
715 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 22:57:43.44 ID:AjcP0Ezj0
「……転生出来るタイミングはこの瞬間だけ。この機会を逃してしまえば……もう2度と、転生することが出来なくなってしまう」

ナトリ「………」

グレ「………」

アサカゼ「………」

ユー「………」

グレ達は大いに悩んだ。例え生き返ることが出来たとしても、今まで過ごして来た思い出を全て忘れてしまうこととなるのだ。

そうなってしまえば、自分の今までの人生を全て否定し、壊してしまうことと同義だ。

ナトリ「……それでも」

グレ達「……!」

だが、ナトリだけは違った。仮に記憶を失ったとしても……ナトリには、確固たる意志があった。

ナトリ「このまま、本当の意味で死んでしまうより……もう1度、新しい人生を歩みたい」

ナトリ「そして……50周目提督に会いたい。約束したから……絶対に、また会うって……!」

ナトリ(もし、記憶が消えてしまっても……私の魂に刻まれた、50周目提督への想いは消えない……絶対に、消えたりしない……!)

彼を愛する気持ち……彼と魂を通じて1つとなった、あの時の感覚……彼と出会い、今まで深め合ってきた絆……それが消えることは無い。

記憶が無くなってしまっても、彼と出会うことさえ出来れば……必ず思い出す。ナトリはそう信じていた。

グレ「……そう、だよね。私、まだ……お礼言ってないよ。助けようとしてくれて、ありがとうって……!」

アサカゼ「……えぇ。50周目提督は、自分の身を削る思いで、私達を助けようとしてくれたのに……感謝の気持ちさえ伝えられないままだなんて……!」

ユー「そんなの、嫌……!ちゃんと、50周目提督に……お礼を言いたい……!」

「……決まったみたいだね」

少年はまるでこうなることを予想していたかのように、微笑みながらナトリ達を眺める。

ユー「うん……!」

アサカゼ「私達は……」

グレ「全員……転生して……」

ナトリ「……50周目提督と、再会する」

ナトリ(そして……今度こそ、ずっと一緒に……!)

「………」ニコッ

(うん、感じる……4人の気持ち、いや、魂が……1つの気持ちで繋がっているのを……!)
716 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:01:04.46 ID:AjcP0Ezj0
ナトリ達「………」ザッ…

ナトリ達は静かに、しかし力強く穴の前に立つ。その瞳に迷いは無かった。

ナトリ「……ありがとう」

「……ううん。お礼を言われる程のことじゃないよ。僕はただ、貴女達に……転生出来るという事実を教えたに過ぎない」

ナトリ「それでも、言わせて……?私に……私達に、あの子と再会出来るようにしてくれて……本当に、ありがとう……!」

グレ達「ありがとう……!」

「………」ニコ…

(……僕が知っている名取さん達とは違う。紛れも無く別人のはずなのに……やっぱり、重ねてしまう。どこからどう見ても、その笑顔は……名取さん達で……)ギュッ

ナトリ達「………」

ナトリ達(この穴に入れば、私達は……よし、覚悟は出来た。せーのっ!)

ナトリ達「……っ!」ピョンッ!

パシュウウウウウウウウウウウンッ!

「うっ……!」

スゥッ…

ナトリ達が穴に飛び込んだ瞬間、穴は眩い光を出しながら輝き……ナトリ達と共に消失した。

それを見た少年は、ナトリ達が現世へと旅立ち……輪廻転生していったのだと確信する。

「………」

(大丈夫。名取さん達に、その強い想いがある限り……いつかきっと、今までの出来事を思い出すはず)

(僕だって、ここに来てから……1度も忘れたことが無い。今だって、ずっと……"見ている"から)

(最愛の人の人生を……息子と娘、そして……"孫"が歩む人生を……それだけじゃない。尊敬する"先輩"の人生を……)
717 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 23:01:50.62 ID:AjcP0Ezj0






























48周目提督(……神風ちゃん、1周目父、かみかぜ……1周目提督……今は元帥となった、先輩……)

48周目提督(約束したから。例え死んでしまっても、僕は……ずっと、神風ちゃん達を愛してるって……!)ギュッ

48周目提督「………」

48周目提督(でも……現世へ旅立っていった、名取さん達のことも……時々、見るようにしようかな)

48周目提督(乗りかかった船だし……いずれ、また……出会うことになるだろうから。もしかすると、近い内に……)
718 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 23:04:43.51 ID:AjcP0Ezj0






























――体が、フワフワして……落ちているはずなのに、宙に浮かんでいるような……


――同時に、頭の中が……洗い流されていくような……あれ?私……何して……


――ッ!?いけない!忘れちゃダメ……!私は、50周目提督と再会する為に……


――50周目提督……?誰のこと、だろう……


――うっ、うぅっ……!だから、忘れちゃ……ダメ……!


――あの子は、私の……大好きな、人で……それで……


――それ、で……?私、一体……何を考えて……





























719 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:05:49.08 ID:AjcP0Ezj0






























――――――ナトリ達……否、彼女らは、その魂が浄化され……少年の懸念通り、前世の記憶を失ってしまった。


――――――永遠と言えるかもしれない。あるいは、ほんの一瞬の出来事だったのかもしれない。


――――――己が何者で、どのような存在であるかさえ、不明瞭だった彼女らが……再び目を覚ます時が訪れる。


――――――全てが消え失せてしまったかと思われたが……そうでは無かった。ただ1つだけ、忘れてはいなかったのだ。





























720 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2019/12/15(日) 23:07:02.96 ID:AjcP0Ezj0

























――真っ暗で、何も見えない……

――私は、“何”……?何、なの……?

――分からない……何も、分からないよ……

――だけど……どうして、かな……?




――――――ずっと、待ち望んでいたかのような……




――温かくて、安心する……でも、それと同じくらい……

――切なくて、悲しい……

――私、どうして……こんな気持ちに……?

――自分が“何者”かも、はっきりしないのに……




――――――でも、これだけは言い切れる。

――――――私の、この気持ちは……!今、抱いている“想い”は……!
























721 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:08:33.42 ID:AjcP0Ezj0






























――――――"彼"との再会を望む気持ちを。そして……"彼"を、この世の誰よりも愛しているという……"魂に刻まれた想い"を。





























722 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:10:10.89 ID:AjcP0Ezj0






























――――――だが、その間に……"彼"と"彼女"による、骨肉の争いと言う言葉さえ生温く、それでいて……静かな攻防が繰り広げられていたのだ。





























723 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:12:30.04 ID:AjcP0Ezj0
彼と彼女の拒絶反応により、2つの存在は再び破裂してしまい……時空を超えて力の欠片をばら撒いてしまう。

それがきっかけで、彼と彼女は己の存在を維持出来なくなり……永い眠りにつくこととなった。

その間に、各時代で力の欠片を宿した存在が生まれ……時には"善意"を、時には"悪意"を生み出すこととなる。

無論、そのような力とは無関係に……人は他者を思いやり、同時に憎しみを抱く。

彼と彼女は、無意識の内に……前者は"善意"、後者は"悪意"の想いを集めてゆく。

だがそれは、1つ1つが小さい力にしかならない。故に、再び彼と彼女が具現化されるまで……実に数万年の時が流れた。

それも、彼と彼女が全く同じタイミングで具現化されたのでは無い。

「……うぅ」

冷たく暗い海の底。そこで……"彼女"は目が覚めた。

彼が抱いていた"希望"より、彼女が感じていた"絶望"の方が大きく深い。故に彼女の"悪意"を引き付ける力が上回ったのだ。

「ここ、は……海?それも、かなり底の方ね……」

彼女は具現化された直後、全てを把握した。以前のような、自我さえ朦朧としている状態にはならなかった。

1度は彼と合体し、全てを"思い出した"ことは……彼女の絶望を深めるだけでなく、存在の安定にも繋がったのだ。

「………」

(あれから一体、どれほどの時が経ったのかしら……本当なら、今すぐにでも全てを破壊してやりたいけど……)

(自分の姿形を保つのがギリギリである以上、"今"はまだ無理ね……しばらくはここから、ゴミ共の憎しみを集め続けないと……)

今は憎悪の化身となってしまった彼女だが、元は神と言っても差し支えない存在。

仄暗い海の底にいたとしても、人間が生み出す"悪意"を吸収する程度のことは造作も無いのだ。

(真っ赤な瞳に、真っ白な肌……ハッ。確かに私には、こういう誰も近付けない深海がお似合いかもね……)

(それにしても、あんなこの世に必要の無いゴミ共の感情を利用しないといけないなんて……っ!)ギリッ…!

(でも、そいつらを利用するだけ使用して……後で文字通り、ゴミとして処分してやれば……そう考えれば、少しは怒りも鎮ま…………ん?この気配って……)

そこで彼女は気が付く。海の底に、それはもう憎く……同時に、今まさに必要としていた存在が近づいていたことを。

そしてそれは、同時に"その人間"にとって……とてつもなく不幸と言えるであろう運命の時が迫っていることを意味していた。
724 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:15:05.33 ID:AjcP0Ezj0
15周目提督(10)「」ゴボゴボ…

(まさか……人間?でも、こんな過酷な場所、あんなゴミが生存出来るはずが……)

そう。謎の存在により不老不死の力を与えられ、孤独に苦しみながら800年を生き続けた……15周目提督である。

彼女が目覚めたのは、正しく15周目提督が溺れてしまった日……言い換えれば、彼に不死の力が植え付けられた日であったのだ。

「………」

(いや、違う。あいつ、後少しで死ぬわね。呼吸も止まってるし、魂がいまにも肉体から離れようとしている……)

彼は溺死寸前であった。このまま放置していれば、ものの数分で死に至るだろう。

仮に命だけが助かったとしても、長時間の呼吸停止による何かしらの後遺症は避けられない。

(あははっ、無様ね。人間の分際で調子に乗って海を泳ぐからよ。このままこいつの身体が腐り果てていくのを眺め……いや、待てよ?)

そこで彼女はあることを思いつく。目覚めたばかりの状況で、自身の力がどこまで人間に作用するのか。

いずれはこの世を滅ぼそうと考えていても、力が足りなければただ深海で身を潜めることしか出来ない。

しかし、もしかすると……現時点でも、深海から人間に干渉出来るだけの力は集っているかもしれない。

(……こいつで試してみましょうか。どうせ失敗したところで、こいつが無残な死を遂げるだけだもの)スッ…

彼女は、顔面蒼白となった彼に手を向け……己が持つ力の、それも僅かな量を注ぎ込む。

最大の力を発揮し、また永い眠りにつくことになってしまえば本末転倒だ。こんな状況で無茶は出来ない。

「……っ!」ピカッ!

15周目提督「」

「……さて、どうなるかしら」

15周目提督「」

「………」

(反応が無いわね……やはり失敗かしら。となると、しばらくはここで"悪意"を集めるしか……)

15周目提督「」ピクッ

「……!」

15周目提督「………」ピクッ…ピクッ…

(……死にかけていた肉体の生命活動が再開した?それに、血色もどんどん良くなって……こいつの魂が、私の力で……肉体に縛り付けられて……)

彼女が力を注ぐと、死亡直前まで追い込まれていた彼は……再び息を吹き返し、みるみる内に健康体となってゆく。

まるで先程まで溺死寸前だったと言われても信じられない程に……"死の概念さえ存在しない"と思い込んでしまう程に。
725 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:17:19.92 ID:AjcP0Ezj0
「……これは収穫だわ。どうやら、今の私でも……ゴミ共にここまで干渉することが出来るなんて」

(まさか、魂と肉体ががんじがらめになることで不老不死となるなんて……ま、私が与えた力だし、その気になればいつでも取り払えるけど……)

15周目提督「うん……あれ?オラ、確か溺れとったはず……」

「………」ニヤリ

(当然そんなことする訳無い。こいつには、無限の寿命を生き続ける地獄を味わってもらわないとね……そして私の糧にしてあげるわ)

己の力が人間に干渉出来る。その事実を知ることが出来ただけでも、彼女にとっては朗報だった。

無論、彼のように至近距離では無く、深海から干渉するとなれば、それだけ彼女の干渉による影響力は小さくなってしまう。

だが、1人の人間を容易く不老不死にしてしまう程の力であれば、人々の不幸をかき集めるには十分過ぎる程だ。

「気がついた?ふぅ……その様子だと間に合ったみたいね」

(本当なら、今すぐこいつに絶望を突き付けたいけど……まずは希望を与えて、その後に叩き落した方が……あはっ)ニヤッ

15周目提督「んぁ?おめぇ誰だ?もしかしてオラを助けてくれたんか?」

「まぁそんなところ。危なかったわね〜、私が見つけなかったら今頃海の底で骨になってたわよ?」

(うげぇっ……嘘でもこんな演技をしなきゃいけないなんて反吐が出るわ。でも、後に取り込む絶望の為……!)

15周目提督「うえぇ!?そ、そうだったんか……あんがとな!おめぇはオラの命の恩人だ!」

(恩人、ね……あははっ、馬鹿じゃないの?)

「まったく……次はもっと浅瀬で泳ぎなさいよ?」

15周目提督「いやぁ〜あはは……」

「………」

(何も知らないまま地上に返すか、あえて不老不死の事実を教えておくか……後者ね。この歳のガキなら、きっと不老不死になったと思えば喜ぶはず……)

(そしていずれは、自分が不老不死という呪われた存在にされたことに絶望……あはっ。ゴミにはお似合いの末路ね)ニヤリ

「……1つだけ、いい?」

15周目提督「ん?どした?」

彼女は彼に、自身の力を与えて不老不死にしたことを伝える。現在とは違い、まだ不老不死の怖さを理解出来なかった彼は、当然喜んだ。

見事に己の策略通りの展開となり、彼女は彼に気づかれないようほくそ笑む。

同時に、人間がいかに浅はかで救いようのない存在であることを再確認した。
726 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:19:39.96 ID:AjcP0Ezj0
「それこそ矢が刺さろうが火で焼かれようが刀で斬られようが……痛くも痒くも無いわ」

15周目提督「おおー!オラの体は鋼鉄じゃー!どんな敵でもかかって来い!あはははは!」キャッキャ

(ハッ。本当に何も知らないのね……"殺してくれと思う程の絶望を味わっても、死ぬことさえ許されない"ことが、どれほど苦痛なのかを……)

15周目提督「そんで、オラはどうやって元の場所に帰ればいいんだ?いつも遊んでる2人が待って……」

「それなら普通に泳いで行けばいいわ。ここは貴方が溺れていた場所の真下だから、上に泳ぎ続ければ10分くらいで浜辺に着くわ」

15周目提督「そっか!あんがとな〜!んしょんしょ!」ゴボゴボ

「……はぁ。私って甘いなぁ……どうせこの先、人類と争うことになるのに……」

彼は……無限の命を与えられてしまった15周目提督は、上機嫌で海上へと泳いで行った。

その様子を、さも申し訳無さそうな表情を……浮かべる演技をしながら、無知な彼を見上げる彼女。

「……なんてね。恩人?甘い?馬っ鹿じゃないの!?誰がお前のようなゴミを善意で助けるかっての!」

(お前は後で想像を絶する苦しみを味わえ……不老不死という事実が、どれ程に耐え難い苦痛なのかを……あはっ、あはははははっ!)

彼女の思惑通り……彼はその後、村から化け物として追い出され、両親に先立たれてしまう。

それどころか、自殺して後を追うことさえ許されず、800年もの長い間、出会いと別れ……そして、孤独に苦しめられることとなる。

だが、それはまだ彼女が引き起こす絶望の前座に過ぎないのだ。現に彼女は今……

「まだこの世を全て壊し尽くすには足りない……全ッ然足りない!だけど、人間に干渉出来ることは分かった……」

「だったら、私が全盛期の力を取り戻すまで……深海からでも、ゴミ共を不幸のどん底に叩き落してやる!」

(直接は干渉出来なくても、間接的な干渉なら……そうね。人間共の思考や精神に影響を与えて、憎悪を引き出すくらいのことなら簡単じゃない)

……人の精神、否、"魂"に干渉し……人々が自ら"悪意"を生み出す方向へ誘導するという最悪な手段を思いついてしまったのだ。

言わば因果へ干渉するのと同義。無論、今の彼女の力では、全人類を同時に操ることは不可能だろう。

しかし、それならば1人1人の悪意を増大させてしまえば……その後は人間同士が勝手に同士討ちし、醜い争いを勃発させるだろう。

(あははははっ!どうよ!止められるもんなら止めてみなさい!この世の誰よりも憎くて、今すぐにでも消し去ってやりたい……もう1人の"私"……!)

(お前がいつ目覚めるか、もしくは永久に目覚めないか……どっちにしても関係無い!お前が私の前に現れる頃には、全てを手遅れにしてやるッ!!)

もう1人の自分……"彼"に対する執念と怒り、その他考え得る"悪意"が、彼女の持つ力をより一層強化してしまう。

彼女と彼は、元は同一の存在。そう言われて瞬時に理解出来る人が、果たしてこの世にいるだろうか……否、いるはずが無いだろう。
727 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2019/12/15(日) 23:21:26.24 ID:AjcP0Ezj0






























――――――後に15周目提督は"不思議な男の子"、彼女は"海の精霊"として……人々の間で、伝説として語り継がれることとなる。


――――――その正体は、不老不死という絶望を抱えてしまった不幸な少年と……この世に災厄を振り撒く邪神とも言える、最悪の存在だったのだ。


――――――そして彼女は、"彼"が再び目覚めるまでの数百年間……世界各地の人間の魂に干渉し、ありとあらゆる不幸を生み出すこととなってしまう。


――――――同時に、人々の"悪意"を全て吸収し……時が経つにつれて、彼女は失われた力を取り戻してゆく。


――――――しかし、そのような状況は彼女のある1つの考えによって変わることとなる。実はこれこそが……





























728 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:23:04.72 ID:AjcP0Ezj0






























――――――――――――人類史のターニングポイント。"艦娘"と"深海棲艦"の誕生である。





























729 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/15(日) 23:24:20.01 ID:AjcP0Ezj0
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。進行が遅くなってしまい申し訳ありません。
実は15周目提督を不老不死にした存在というのは、40周目くらいまではかなりフワッとしていて、細かい設定等は考えていませんでした。
しかし50周目を最終回にすると決めた以上、伏線回収もとい後付け設定で何とかしようと考えた結果、このような展開となりました。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/15(日) 23:31:56.40 ID:n3ZkqXgRO
おつ
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/16(月) 00:17:33.77 ID:KSvh5nv7o
おつあつ
732 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2019/12/30(月) 19:48:12.75 ID:Zvz8DNa30
更新が滞ってしまい申し訳ありません。
何とか三が日前後に1回は更新出来るよう努力しますので、それまでお待ちいただけると幸いです。
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/30(月) 20:10:33.79 ID:HtpkdOvno
了解
良いお年を
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/01(水) 03:00:42.59 ID:D9yTOLWRO
なんだかんだこれで最後だからね
急いで雑になるよりじっくり時間を掛けて最終回に相応しいクオリティにしてくれた方が嬉しいからいつまでも待つよ
735 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 16:46:03.64 ID:h7aoNFy80
18:00〜19:00頃開始予定です。
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/02(木) 17:07:54.52 ID:0gDBXoSpo
あけおめよろ
737 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 18:33:27.95 ID:h7aoNFy80
始めます。途中で休憩を挟む予定です。
そして申し遅れましてすみません。あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願い致します。
このスレも残り僅かとなりましたが、最後までお付き合いしていただけると幸いです。
738 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 18:46:50.55 ID:h7aoNFy80
彼女が15周目提督に絶望を植え付けた日から、実に数百年の時が流れた。西暦にして、およそ1900年前後と言ったところだろうか。

その有り余る時間を、彼女は人間の魂に干渉し……"悪意"を貪ることに費やした。

1日、否、1秒たりとも休まず……ただひたすら悪意を吸収し続けた。

全てはこの世を絶望で覆い尽くし、破壊する為。そして何より、最も許せない存在……"彼"を葬り去る為。

それだけを考えながら、彼女は己の都合で……罪の無い、多くの人々を不幸に叩き落してきた。

冷たく暗い、海の底に佇みながら……執念の炎に燃えた、赤い瞳を輝かせながら。

「………」

(足りない……まだ足りないわ。これだけじゃ、まだ全てを壊すには……全然足りないッ!!)

だが彼女は憤慨していた。人間の精神に干渉し、これまで多くの争いを生み出してきたものの……

かつて全盛期だった頃の、万物を手に取ることが出来る程の力は取り戻せていなかったのだ。

(ゴミ共の醜い欲を刺激して、見るに堪えない戦争ばかり引き起こして来たというのに……まだ足りないというの……!?)

彼女は焦りを感じていた。いくら自分が先に目覚めたとしても、いずれは彼も再び具現化するだろう。

無論、彼女とてその可能性を危惧していなかった訳では無い。だが、今の力では彼を消滅に追い込むには……まだ不十分だ。

(……このままあいつらの悪意を煽るだけでは限界がある、か。だからと言って止める訳にはいかない。何か、あいつらを更に絶望へ叩き落す方法は……)

ドォーン…

「ん?この音は……戦艦か。本当に、少し悪意を刺激するだけであいつらってすぐ争いごとを始めるのよね。ハッ、私を苦しめた時と何も変わっちゃいない」

(お前達のせいで、私は……あんな目に……っ!出来ることなら、私が自らの手であいつらを皆殺しにしてやりたいのに……"自らの手で"……私、が……)

「……!」

彼女は閃いた。閃いてしまった。今まで以上に効率的に人間達から絶望を吸収し、己の糧にする方法を。

「……そうよ。私が自ら戦争を……ゴミ共の争いを激化させてやれば良いのよ。目覚めたばかりの私なら無理でも、今の私なら……!」グッ…

「もちろん、私が"直接"大暴れするには……悔しいけど、まだ力が足りない。だけど、今までと同じように"間接的な"方法でやれば……!」

「それこそ、深海からゴミ共に干渉するのと同じように……遠隔操作で海上に出現させて、そこで大暴れさせてやれば良い……!」

(今まで溜め込んだ力を節約し、尚且つあいつらを震え上がらせる為には……そうね。あいつらが戦争で使う"破壊兵器"で……!)

(それも、奴らと同じ姿をした……それこそ、私のような女から、容赦無く攻撃されれば……惨めで、悔しくて、情けなくってたまらないでしょうねぇ!)

人類が開発した兵器は、実に多くの人間達を殺めてきた。それなら、奴らの絶望をより深くする為にも……奴らと同じ兵器で攻撃してやれば良い。

そう考えた彼女は、己に込められた悪意の力を凝縮させ……人類の破壊兵器を、それも"人間の姿"で具現化する。すると、彼女の目の前に現れたのは――
739 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 18:58:42.61 ID:h7aoNFy80
パシュンッ…!

ヲ級「………」

レ級「………」

深海棲艦「………」

「……あははっ、どこからどう見ても人間にしか見えないわ。一部どう見ても人間じゃ無い奴もいるけど、それはそれで怪物みたいだしゴミ共も悲鳴を上げるはず……」ニヤリ











――深海棲艦。人類や艦娘達を攻撃する、謎に包まれた存在。

そう、彼女こそが……深海棲艦の"生みの親"ということになる。











深海棲艦が海で大暴れしていた全ての原因は……文字通り、彼女の海よりも深い絶望にあったのだ。

そして深海棲艦が人間の少女のような外見をしていたのも、彼女の策略と……

そして、42周目提督から読み取っていた記憶が無意識の内に反映された結果だ。

同時に、"彼"が人間達にもてはやされていたことに対し、強い"嫉妬"を感じたからこそ……

似た外見の少女で人類を襲うという、歪んだ"憎しみ"が反映されたとも言えるだろう。

故に深海棲艦は、人類や艦娘達に殺意を抱き……理由も無く攻撃し、不幸に陥れる存在となってしまった。

(こいつらを深海から操って、人間共を無残にぶっ殺していけば……今まで以上に奴らの絶望や憎しみを取り込むことが出来る……!)

(しかも具現化するのに消費する力より、人間共から得られる悪意の方が遥かに多い。これからはこいつらを増やせるだけ増やして、今まで以上にゴミ共を苦しめてやる……!)

(そしていずれは、全盛期の力を取り戻して……何もかも、滅茶苦茶にしてやる……!)

(この世に生き物なんて、必要無い……あんな馬鹿で、愚かで、どうしようもない奴らなんか……ッ!)ギリッ

深海棲艦「………」ギラリ

「……ふぅん。良い目をしてるじゃない。じゃあ早速、奴らが戦争してるところに突撃して、思う存分血の雨を降らせて来なさい!」

深海棲艦「………」コクリ

彼女がそう言うと、深海棲艦達は殺意に満ち溢れた表情をしながら……ゆっくりと、海上へ向かって行く。

今正に世界各地で戦争を始めている人類を、より深い奈落の底へと叩き落とす為に……
740 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 19:25:51.92 ID:h7aoNFy80






























――――――彼女が深海棲艦を生み出したことがきっかけで、各国で戦争中の人類の前に……最悪の存在である深海棲艦が現れる。


――――――ただでさえ人間の醜い欲で包まれていた状況に、深海棲艦が介入したことで、戦争は我々が知る歴史より泥沼化する。


――――――当然、犠牲者も激増してしまい、太平洋も大西洋も……どの海にも血が降り注ぎ、正しく彼女の目論見通りとなってしまった。


――――――無論、彼女は深海棲艦によって生み出された人々の悲しみ、憎悪、絶望……全てを飲み込んでいく。





























741 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/01/02(木) 19:27:17.90 ID:h7aoNFy80






























――――――だが、世界は……人類はこのまま絶望で支配されることにならなかった。


――――――何故なら……彼女より数百年の遅れをとってしまったが、ついに……"彼"が目覚める時がやって来たからだ。





























742 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 19:40:49.76 ID:h7aoNFy80
ショタ提督「……ん」

彼は偶然にも、かつてナトリ達と共に過ごした浜辺の浅瀬で意識を取り戻す。彼女程ではないが、彼もまた、海の中で目が覚めた。

ショタ提督「ここ、は……そうだ!?ナトリ達は!?」ガバッ

彼女同様、彼も分裂前までの記憶を失っていなかった。最愛の人であるナトリや、グレ達を探そうとするも……

ショタ提督「……いない、か」

当然、見つかるはずが無い。彼はまだ知らないが、ナトリ達は既に転生している。

そして、転生したナトリ達は……"まだ"この世に存在していない。

ショタ提督「………」

ショタ提督(ナトリ達の生命反応を感じない……でも、僕は諦めない。このまま待ち続ければ、いずれ……)

ズドォォォォンッ…!

ショタ提督「……何の音だ?海の上から聞こえて……っ!?」

そして、彼は気が付く。自分が長い時を眠っていた間、何が起こっていたかを……

ショタ提督(あ、あれは一体……海の上に立ち、人間達に攻撃している……それに、あの姿は……!)

ショタ提督(まさか……"もう1人の僕"の仕業か?くっ……!そうか、僕より先に具現化されて……)

彼は全てを"見通し"、瞬時に把握した。彼女が先に意識を取り戻していたことと……

彼女が人間の魂に干渉することで争いを生み出し、挙句の果てには得体のしれない存在で人類を攻撃していたことを。

ショタ提督(人間同士の争いで、罪の無い多くの人々が命を落とし……それだけじゃない。"僕"のせいで、更に犠牲者が……)

人類は自らが開発した兵器で深海棲艦に攻撃するが、全くと言って良い程に効果が無い。

仮にもかつては神とも言える存在だった彼女が生み出した産物に、人類程度の力は……無意味なのだ。

こうしている間にも、深海棲艦は人類を攻撃し……その命を奪っていく。人類を絶望で覆い尽くしてゆく。

傷つき、絶望に呑まれ、悲鳴を上げる者もいれば……発狂し、自ら命を絶つ者も現れる。

ショタ提督「……させない。そんなこと……させるものか……!」

ショタ提督(これ以上、"僕"の思い通りにはさせない……!絶対に、食い止めなければ……だけど、どうすれば……)

人類同士の紛争であれば、こちらも彼女の同様の手段で対抗することが出来る。

しかし、深海棲艦という存在にどう対抗すべきか。人類の兵器が通用しない以上、人間の力では太刀打ち出来ない。

かといって、今の彼の力では正面から戦うことは不可能だ。眠る間に吸収した力は彼女より多いとしても、先に目覚めた彼女が貪り続けた力にはまだ及ばない。

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(……"僕"を止められるのは、僕しかいない。あの得体のしれない存在……深海棲艦の暴走を止める為には、僕も……!)カッ

彼女が生み出す"悪意"に対抗する唯一の方法。それは、彼女とは正反対の"善意"の力……そう、彼が持つ力のみ。

そう考えた彼は、彼女と同じように……自身に込められた力を利用し、"ある存在"を生み出す。
743 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 20:03:50.49 ID:h7aoNFy80
パシュンッ…!

妖精達「………」

ショタ提督「………」

ショタ提督(僕の力では、まだ深海棲艦に対抗出来る存在を直接生み出すことは出来ない。だからこそ、こうして……)

彼は"装備妖精"を生み出す。彼女らは彼の力を保有しているが、彼女らだけで深海棲艦と戦うことは難しい。

無論、彼もそれは理解している。妖精達を生み出した理由は……彼女同様、"間接的に"人類に干渉する為だ。

妖精達「………」

ショタ提督(彼女達を海の上……それも、人類の軍施設に送り込む。その後は、彼女達に僕の力を利用してもらって……)

ショタ提督(……深海棲艦に対抗することが出来る技術を組み込む。既存の兵器に、僕の力を注ぎ込めば……)

力を直接行使することが難しいのであれば、既に完成した兵器に力を宿せば良い。

そうすれば、力の消費を可能な限り節約しつつ……深海棲艦から人類を守ることが出来る。

ショタ提督「……皆、ごめんなさい。本当なら、こんなことに皆を巻き込みたくないけど……」

ショタ提督「でも、"僕"を止める為……そして、この世界を守る為なんだ。だから、お願い……!」カッ

妖精達「………」シュンッ…

ショタ提督「………」

ショタ提督(妖精達を海上の、それも人類が持つ海軍施設へと送り込む。そして妖精達と人間の精神に少しだけ干渉して……それだけではダメだ。後は……)

―――

元帥(※本編時間軸に登場する元帥とは別人)「はぁ……」

元帥(突如海から現れ、我々を襲う謎の存在……更に、こちらの攻撃が一切通用しない。)

元帥(このままでは、我が軍の損害は大きくなるばかり……どうすれば奴らに対抗することが出来るんだ……?)

「……ねぇ」

元帥「……ん?」チラッ

妖精達「深海棲艦を何とかしたいの?だったら私達に任せて!」

元帥「なっ……!?こ、これは一体……私はついに幻覚を見てしまう程に追い詰められたというのか!?小さい女が目の前に……」

妖精達「幻覚なんかじゃないよ!本当に、私達なら深海棲艦と戦う武器を作ることが出来るから!」

元帥「……本当、なのか?」

妖精達「うん!だからさ、私達を船渠に案内してくれないかな?」

元帥「………」

元帥(……ダメで元々だ。今は藁にも縋る思い……こいつらに賭けるしかない、か)

元帥「……分かった。ついて来ると良い」

妖精達「はい!」
744 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 20:19:52.16 ID:h7aoNFy80
―――

元帥「着いたぞ。ここが船渠だ」

妖精達「わぁ……大きな船が沢山あるね!」

元帥「当然だ。我が軍が誇る軍艦の数々だからな」

妖精達「ようし!それじゃ早速……作っちゃうね!」シュバババ

元帥「え?」

妖精達はどこからともなく工具を取り出し、小さな身体とは思えない程の動きと速度で船を改造していく。

元帥「お、おい!?何を……」

妖精達(深海棲艦と戦う為には、このままじゃダメ……"私達が"、ちゃんと作り替えないと……!)シュバババ

妖精達は目にも止まらぬ早さで、軍艦に彼の力を注ぎ込んでゆく。

ただ、妖精達には"己に込められた彼の力を宿している"という"自覚が無い"。

そして数分もしない内に、船の改造が完了する。それを見た元帥は、その変貌に度肝を抜かれることとなる。

妖精達「これでよし!」

元帥「なっ……!?」

元帥(う、嘘……だろ……!?あの巨大な船が……)




吹雪「………」キラキラ

電「………」キラキラ

五月雨「………」キラキラ

漣「………」キラキラ

叢雲「………」キラキラ




元帥(人間の女の姿になった、だと……!?)

そう。吹雪、電、五月雨、漣、叢雲。この5人こそが、人類史上初の艦娘だったのだ。

軍艦だった彼女らに妖精達の技術……彼の力が注がれたことで、深海棲艦と同様に人間の姿へと進化を遂げた。

妖精達「どう?凄いでしょ!これなら深海棲艦相手でも十分に戦えるはず!」

元帥「……そう、なのか?いや、あれだけの巨体がここまで小型化する技術……そう考えれば、奴らに応戦することも……!」

元帥(だが、いきなり実戦に利用するのは不安だ……まずは試験的に運用してみなければ……)

―――

ショタ提督「……!」

ショタ提督(やはり僕と"僕"は、本質的に同一の存在、か……船が人間の姿へ形を変えるとは……)

海の中から"見通して"いた彼も、吹雪達の姿を見て驚いていた。

深海棲艦を生み出した彼女と同じように、自分も力を行使した結果……船を人間に変貌させてしまったのだ。

これもまた、42周目提督の記憶を読み取った影響である。彼も彼女も、無意識の内に42周目提督の記憶に感化され、彼女らを生み出した。

ショタ提督「………」

ショタ提督(いや、今は驚嘆している場合ではない。とにかく、これで深海棲艦から人類を守ることが出来るはず……)

ショタ提督(僕の"誘導"通り、人間は"妖精達の存在に対して必要以上に疑問を抱いていない"し、妖精達も"自分自身の存在や能力を疑問に思っていない")

彼は人間や妖精達の精神に干渉し、船を人間にする技術や妖精達の存在を追及しないようにした。

そして同時に、妖精達や人間となった船……艦娘も、自分の存在を深く考えないようにした。言わば思考・因果のプロテクトだ。

こうすることで、人間と妖精達がスムーズに交流することが出来るようになり、そして艦娘とも交流することが出来る。

それだけでなく、万が一人間や妖精、艦娘が真実に辿り着いてしまい……混乱してしまうことを防ぐ為でもある。

一刻も早く人類を深海棲艦から……彼女から守る為、彼は罪悪感を抱きながらも、人の心に干渉することに決めたのだ。
745 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 20:28:52.02 ID:h7aoNFy80
少し休憩します。21:30〜22:30頃再開予定です。
吹雪達の進水日(?)が現実と違っていますが、この世界ではこういう歴史だと考えていただければ幸いです。
746 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 22:32:42.61 ID:h7aoNFy80
再開します。
747 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 22:35:45.46 ID:h7aoNFy80
その後、元帥は吹雪達を「艦娘」と名付け、妖精達と共に旧15周目鎮守府や一部の鎮守府に派遣する。

そこで活動させることで深海棲艦にどこまで戦えるかを見極めようとしたのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(良かった……旧15周目提督が、艦娘達を人として扱ってくれる良い人で……)

元々が船だった艦娘を不気味に思うことなく、1人の人間として受け入れてくれるかどうかが彼の不安だった。

しかしその心配は杞憂に終わる。旧15周目鎮守府に所属する旧15周目提督は、吹雪達や妖精達を温かく迎え入れたのだ。

―――

旧15周目提督(以下・旧提督)「見ろ!これが我が鎮守府自慢の艦娘だ!」

15周目提督「艦娘とな?」

吹雪「あの、司令官。この子は一体……?」

叢雲(随分とボロボロの服を着てるのね)

漣「うはっ!ショタktkr!」

五月雨(ネットすら存在しない時代でネットスラングを使うなんて……)

電(五月雨ちゃんのその台詞もアウトなのです……)

しばらくすると、かつて彼女によって不老不死となってしまった15周目提督が旧15周目鎮守府を訪れた。

その様子を"見ていた"彼は当然、15周目提督に宿された力の正体を看破する。

―――

ショタ提督「ッ!?あ、あれは……まさか……!」

ショタ提督(あの子の魂から、"僕"の怨念を感じる……魂が肉体と雁字搦めになっていて、絶対に死なないように……それも、数百年以上の間……)

彼女と同じく魂に干渉出来る彼は、15周目提督が過ごして来た時間を瞬時に理解した。

同時に、15周目提督が抱き続けて来た絶望と孤独感も見抜いてしまう。

ショタ提督「……っ」グッ…!

ショタ提督(くっ……僕が先に目覚めていれば、こんな悲劇を防ぐことが出来たかもしれないのに……っ!)

ショタ提督(だけど、今の僕にあの子の呪いを解く程の力が無い……"僕"が込めた"憎しみ"の力が、あまりにも強過ぎる……)

ショタ提督(……ごめんなさい。"僕"のせいで……!)

だが、そんな彼に追い打ちをかけるような悲劇が起きてしまう。

そう。15周目提督が現代にこの地へ赴く理由となった、あの悲しい出来事が……
748 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 22:55:01.45 ID:h7aoNFy80
―――

15周目提督「………」

旧提督「」ゴボボ…

15周目提督「……っ!」ギリッ

吹雪達や旧提督が深海棲艦相手に応戦するも、数の暴力には敵わず……敗北してしまう。

否、ただ負けただけならまだ良い方だっただろう。だが、この戦いで旧提督は……死亡してしまった。

15周目提督「……こんな……こんなことって……っ!」

無論、15周目提督は呪われた不死の力を宿している為、ただ1人生還した。生還"してしまった"。

15周目提督「くそッ!!ワシは……ワシは子供の頃から何も変わっとらんじゃないか!親しい者1人助けることが出来ないなんて……っ!」プルプル

旧提督「」

だが、それが15周目提督の心をより追い詰める結果となってしまった。彼は再び絶望したのだ。

無限の命を持つ15周目提督では、後を追うことさえ許されない。常にただ1人……この世に取り残されてしまう。

―――

ショタ提督「そ、そんな……」

一方、海から様子を"伺っていた"彼も、この敗戦に驚愕していた。

確かに苦戦することは想定内だった。相手が大人数で攻め込むことも考慮していた。

しかし……最初こそ善戦していたが、相手に数隻増援が来ただけでここまで惨敗するとは思ってもいなかったのだ。

ショタ提督(僕は確かに、吹雪達……いや、吹雪さん達に、妖精達を通じて僕の力を注いだはず、なのに……)

―――







吹雪(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

五月雨(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

漣(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

叢雲(駆逐艦)「」ゴボゴボ…

電(駆逐艦)「」ゴボゴボ…







ヲ級「あの駆逐艦達……案外弱かった」

レ級「そりゃあ5対10じゃね〜!」

ル級「私達の圧勝でしょ!」

吹雪達は戦いに敗れ、海の底へと沈み……"人の姿から、傷付いた軍艦の姿へと戻った"。

現代の艦娘とは異なり、吹雪達は"既存の船に彼の力を宿した存在"……故に、その命が尽きた瞬間、"元の軍艦の姿へと戻ってしまう"。

―――

ショタ提督「………」

ショタ提督(……ごめん、なさい……僕のせいで……そして、"僕"のせいで……ごめんなさい……っ!)

彼には謝罪することしか出来なかった。自らが生み出した存在が傷付き、命を落とす光景に……胸が締め付けられる。

だが、彼はその光景から目を背けることはしなかった。出来なかった。せめて、沈みゆく吹雪達の姿を……心に焼き付ける。

この先、このようなことが起こらない等という楽観的思考は許されない。この現実を噛み締めて、彼はそれでも……人類を守る。

ショタ提督(……だけど、ここで止まる訳にはいかない。ここで全てを投げ出してしまえば……"僕"や深海棲艦が、何をするか……分からない……!)

ショタ提督(僕が食い止めないと……それが出来るのは、僕しかいないんだ……っ!)グッ…!
749 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/02(木) 22:58:13.60 ID:h7aoNFy80






























「……ふぅん。あいつ、ついに目を覚ましたんだ」


「何やら私の真似をして、よく分からない奴らを生み出してるけど……そんなガラクタで私を止められると思ってる訳?」


「私が感じた苦しみや絶望は、その程度なんかじゃない……お前如きが、理解出来るはずが無い……!」


「これ以上、邪魔をするというのなら……潰す。潰してやる……ぶっ潰してやる……!」


「そして、今度こそ……お前をこの世から葬り去ってやる……ッ!!」





























750 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 23:22:01.96 ID:h7aoNFy80
その後、人類は深海棲艦との戦いだけでなく、世界規模の大戦争を引き起こすこととなる。

彼女が人間の悪意を刺激し、その度に彼が人間の善意を刺激するも……数百年間の重みが、彼にハンデとして圧し掛かる。

大日本帝国海軍は、連合国及び深海棲艦との戦争に対し、少しでも技術的に優位に立とうと妖精達を総動員させて軍艦を艦娘に変えてゆく。

しかし、そうすればそうするほど……当然だが、犠牲も増えてゆく。人となった艦娘が傷付き、海底に沈んでは大破した船へと変貌する。

当然、彼もその光景を目の当たりにしていた。そして彼にとって、最も辛かったのは……

―――

妖精達「完成!」

名取「………」キラキラ…

軍人「よし!お前にも早速戦ってもらう!」

名取「は、はい……!」

―――

ショタ提督「……!」

ショタ提督(な、ナトリ……いや、違う。彼女は……名取さんは、ナトリとほぼ同じ姿だけど、別人なんだ……"宿っている魂が違う")

軽巡洋艦『名取』が……彼にとっての最愛の人、ナトリと非常に似ていたことだ。

愛する者と瓜二つな少女を戦場に出さなければならない……その事実が、彼の心をより締め付ける。

ショタ提督「……っ」フルフル

ショタ提督(いけない……私情を挟んではならない。"僕"や深海棲艦から、人類を守らなければ……)

だが、彼は彼女と深海棲艦の暴走を食い止める為、妖精を通じて軍艦に己の力を注ぎ込み続ける。

そしてその度に、艦娘達は深海棲艦と戦い、傷付き……犠牲となった者が増えてゆく。

それだけでは無い。元は深海棲艦から人類を守る為に艦娘を生み出したというのに、人類同士の戦争にまで利用されてしまっている。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……まさか、"僕"の仕業……なのか……?"僕"が誘導したからか……?)

彼はその可能性に気が付く。深海棲艦や人類同士の争いは、目覚めた時から既に彼女の仕業だと把握していた。

しかし彼女はそれに加えて、彼が生み出した艦娘さえ人類同士の争いに利用し、人々の絶望を生み出す手段として活用しているのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……いずれにしても、このままではダメだ。深海棲艦との戦いだけでなく、人類の戦争の被害にまで……)

彼は彼で人間に干渉し、少しずつだが確実に人々の人生を幸福に向かわせ、その都度"善意"や"温かい気持ち"を吸収している。

そして彼女による"悪意"の誘導も、可能な限り横から介入して阻止している。だが、それでも限界がある。

この状況が続けば、艦娘達は深海棲艦と世界大戦の板挟みとなり、犠牲者が増えてゆく一方となってしまう。
751 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 23:50:19.06 ID:h7aoNFy80
ショタ提督「………」グッ…

ショタ提督(これ以上、僕の力を争いに利用したくない……利用されたくない……)

ショタ提督(だけど、そんな我儘を言っている状況ではない……艦娘達を、今までよりも"強く"しなければ……)

彼は"善意"を集め続けたお陰で、現在は目覚めた時よりも多くの力を宿している。

すなわち、艦娘達に注ぎ込む力を増やすことが可能となったのだ。

ショタ提督(最初は人類が生み出した兵器に力を宿せば、僕の力の節約になると考えていたけれど……それが間違いだったんだ)

ショタ提督(そのせいで艦娘達は少ない力で深海棲艦と戦い、消耗しているところに人類同士の戦争にまで巻き込まれてしまった)

ショタ提督(理想を言えば艦娘を戦わせず深海棲艦の暴走を鎮めることだけど、それが不可能である以上……艦娘達を強化するしかない)

彼は大いに悩んだが、罪の無い人々を深海棲艦から守る為と考え……苦渋の選択で艦娘達を強化することを選ぶ。

今までは既存の船に力を注いでいたが、それでは宿す力が少ない為、艦娘達は真価を発揮することが出来ない。

ショタ提督「………」スッ…

ショタ提督(……"0から生み出す"。それでいて、"注ぐ力の量を増やす")カッ

―――

妖精達「……っ!」ドクンッ…

軍人「……どうした?」

妖精達「……作らなきゃ」

軍人「え?」

妖精達「艦娘達を"0から生み出す"為の設備を……作らなきゃ……!」ダッ

軍人「あっ、おい!?どこへ行く!?お前達にはまだ改造して欲しい船が……!」ダッ

―――

ショタ提督「……成功、か」

ショタ提督(本当なら、その場で艦娘を生み出すことも出来たけれど……少しでも自然な形にする為に、設備を開発するところから始めた)

ショタ提督(僕が干渉すれば、その技術に疑問を持たないようにすることは可能だ。でも、その手段を乱用すれば……やっていることが、"僕"と同じになる)

ショタ提督(後は設備が完成次第、僕がその都度妖精達に力を注ぎ……生み出された艦娘達にも、僕が力を注ぐ)

ショタ提督(そうすれば、以前よりも飛躍的に強い艦娘達を沢山生み出すことが出来る。もちろん、無暗に増やす訳にはいかないけれど……)

ショタ提督(僕が持つ力にも……限界がある。せめて、人類同士の戦争が終わらないと……多くの艦娘達を生み出すことは……)

妖精達が迅速に工廠を改造し、以後は既存の船が無くとも艦娘を"建造"出来るようになった。魂も安定し、轟沈さえしなければ不老の存在となった。

それだけでなく、艦娘達がいつか戦いを終えて自由となった時、あるいは愛する者と人生を歩むことを誓った時、限りなく"人間"に近い存在になれるようにもした。

艦娘達の艤装を"解体"すれば、すかさず彼が艦娘に宿った力の一部を回収し……不老の効果を無くし、人間として余生を歩めるようにしたのだ。

何故"一部"なのかと言うと、力の全てを回収してしまった場合、艦娘は人としての姿を保てなくなり、その存在が消滅してしまう為だ。

これにより大日本帝国海軍の戦力は飛躍的に向上し、深海棲艦に対しても以前より善戦するようになる。

もっとも、世界大戦に関しては既に大日本帝国は敗戦寸前まで追い込まれていた為、そこから事態を好転させることは出来なかったが。

だが、これで戦力の問題は解決したとしても……新たな問題が浮上することとなる。
752 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/02(木) 23:55:38.46 ID:h7aoNFy80
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
次回、あるいは次の次の更新で、ようやく回想パートが終了すると思います。
文中に入れ忘れましたが、50周目提督は「艦娘の生みの親」です。
今月の末で5周年を迎えるこのスレですが、ここまで来たら5周年に合わせて完結出来るよう努力したいと思います。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 00:13:31.97 ID:VHm6PxePO
あけおめ&乙
スケールがデカい話になってきたな
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 02:14:03.10 ID:ZwE7YDj10

これも全て42週目提督って奴の仕業なんだ
こいつのせいでどんだけの被害が出たんだよっていうww
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 08:01:11.27 ID:GG5gtD1L0
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/03(金) 08:43:35.38 ID:U46eJsba0
42週目は色々と本シリーズの分岐点になったねえ
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 17:39:33.54 ID:XHUDUPaW0
考えてみたら42週目提督ってある意味この世界の創造神見たいなもんだよな
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 18:20:50.32 ID:dM7mF/JFO
潮と羽黒がその事実知ったら深海堕ちしそう
いやこいつらなら深海堕ちしてもいつも通り42週目提督をボコるだけか
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 19:20:51.03 ID:RVGGuozQO
ということは42周目がいないと世界が誕生しないしかし世界がないと42周目が誕生しない
42周目が先か世界が先か?
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 19:50:02.99 ID:pZXL5xcW0
「ギャグ補正ヤバすぎる提督」で安価取った人は
自分の安価から生まれた提督が創造神みたいになってて今どんな心情か気になる
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/08(水) 07:09:12.07 ID:KA32Rc+ZO
今回とか40周目見てて思うが>>1の引き出しの多さに驚くわ
しかも後付け設定的なこと言いつつ15周目の設定とかくっつけて書いてるの凄い
762 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 20:43:38.45 ID:Bqp2pxgV0
22:30〜23:30頃開始予定です。
763 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:09:04.23 ID:Bqp2pxgV0
始めます。
764 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:12:13.46 ID:Bqp2pxgV0
―――

元帥「……これだけの鎮守府を同時に建設するのか?」

軍人「はい!深海棲艦の脅威を減らす為にも、戦力の強化は不可欠です!」

元帥「だが、戦争で焼け落ちてしまった建物等の復旧が……」

軍人「確かにそれも大切です!だからと言って無防備のままでいれば、それこそ日本は更なる被害を負うことになりかねません!」

元帥「う、うむ……」

軍人「とりあえず鎮守府を建設し、一通りの艦娘を用意さえしておけば、最悪の事態だけは防ぐことが出来ます!違いますか!?」

元帥「……分かった。鎮守府の増設を許可しよう」

軍人「ありがとうございます!」

日本はアメリカからの指示により、武装することは出来なくなった。しかし、深海棲艦の被害は既に世界各国に広がり……

例外として、深海棲艦からの脅威に対抗することを目的とするならば、日本が艦娘を保有することを許可されたのだ。

だが、日本は数年前までの世界大戦により、戦争に対して非常に恐怖心を持っていた。

その為、政府や海軍は鎮守府を日本各地に増設し、いつでも深海棲艦に応戦出来るよう準備を整えたのだ。

しかし、彼らは知らなかった。艦娘を増やすだけ増やすということが、彼女らにどれ程の苦痛を与えるのかを……

―――

名取「……提督、いつになったら来てくれるのかな」

長良「あ、諦めちゃダメだよ!待ち続ければ、いずれは……ね?五十鈴っ!」

五十鈴「………」

長良「……五十鈴?ちょっと、ねぇ?」

五十鈴「………」

長良「……っ」ジワッ…

とある鎮守府は、建設後から10年間放置され続け……既に艦娘達の精神崩壊が始まってしまっていた。

五十鈴もその1人であり、彼女の心はもう壊れてしまった。姉妹がどれだけ声をかけようと、返事が返って来ることは無い。

名取「……もう、無理だよ。ずっと、待ち続けて……期待を裏切られ続けて……限界、だよ……」

長良「……うっ、うぅっ……あぁっ……」ポロポロ…

―――

ショタ提督「……っ」

ショタ提督(鎮守府や艦娘を増やし過ぎたせいで、どの鎮守府も提督が不足している……そのせいで、艦娘達が……)

その光景を"見ていた"彼は、やはり胸を痛めていた。自分が生み出した艦娘達が、そのような絶望を感じてしまっていることに。

艦娘達は彼の力によって具現化された存在であり、力の源は"人が持つ温かい気持ち"……言うなれば"善意"だ。

彼が人の善意を取り込んで力を発揮するように、艦娘達もまた、同じ性質を持っている。

すなわち、艦娘達は身近な存在……この場合は"提督と触れ合い、優しい気持ちを受け取らなければならない"。

そうでなければ、艦娘達は己の存在や魂を保ち続けることが出来ず……いずれはその力が弱まり、魂が消滅してしまうのだ。

人間や艦娘達は精神崩壊と考えていたが、実際には"魂の死"……艦娘達は人の温もりを与えられないと、その身体は魂の"抜け殻"となってしまう。

こうなってしまえば、2度と正気に戻ることは無い。仮に彼が新たに力を込めたとしても、1度消滅した魂が蘇ることは無い。

ショタ提督(……それだけでは無い。中には、心無い提督が着任してしまった鎮守府の艦娘達は……)
765 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:22:48.46 ID:Bqp2pxgV0
―――

駆逐グ級「よくも……よくも私達をこんな目に……!」グイッ

ブラック提督「うぐっ……ゆ、許してくれ!命だけは!」

駆逐ア級「はぁ?今更命乞い?馬鹿にしてるの?」ガシャッ

潜水ユ級「……私達と同じ痛みを、味合わせてあげる……覚悟、して……!」ガシャッ

ブラック提督「ヒッ!?い、嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だっ!誰か!誰か助けてくれええええええええッ!?」

ズドオオオオォォォォンッ!!

ブラック提督「ぎゃあああああああああああああああああああああああああッ!?」

―――

ショタ提督「………」

ショタ提督(例え提督が着任したとしても、深い絶望を持って沈んでしまった艦娘達は……そのまま消滅してしまうか、あるいは……)

ショタ提督(……魂の性質が反転して、この世を憎む存在となり……"僕"が生み出す、深海棲艦となってしまう……)

艦娘も深海棲艦も、元は同一の存在であった彼と彼女から生み出された。すなわち、艦娘と深海棲艦は表裏一体の関係と言える。

故に艦娘の心が憎しみで染まってしまえば、彼が注ぎ込んだ力そのものが反転し……深海棲艦として生まれ変わってしまう。

だが、深い絶望を抱いた彼女が生み出した為に存在が安定している純粋な深海棲艦とは違い、艦娘から変異した深海棲艦は、その存在そのものが不安定なのだ。

これは数百年早く彼女が目覚めたことと、彼女が抱く"絶望"の大きさが彼が持つ"善意"の大きさを上回ることが深く関係する。

通常の深海棲艦は轟沈してもいずれは復活するが、艦娘や艦娘から変異した深海棲艦は……轟沈した場合、そのまま消滅する。

艦娘の場合は魂までは消滅せず、あの世へ旅立つか転生を果たすが……1度深海棲艦となってしまった者は、肉体だけでなく魂まで消滅してしまう。

もっとも、深海棲艦とて無敵という訳では無く、正反対の力を宿した艦娘達の攻撃には多かれ少なかれダメージを受ける。

しかし、彼女が人の悪意を吸収し続ける限り……人間の醜い欲が消えない限り、深海棲艦は何度沈められたとしても復活してしまう。

ショタ提督「……ごめんなさい。僕のせいで……"僕"のせいで、辛い思いをさせてしまって……ごめんなさい……」グッ…

ショタ提督(……心無い提督が着任してしまうのも、"僕"が干渉しているせいだ。僕がそれを食い止めたとしても、"僕"はすぐに他の人間に干渉して……)

彼女が人類や艦娘を陥れようとすれば、すかさず彼がそれを制止する。しかし彼女はまた別の人間へ干渉し、それを彼が制止……

実に100年近くの間、彼と彼女の海底での攻防が繰り広げられることとなる。その中には、彼女のせいで不幸な人生を歩む者もいれば……

彼が干渉したことで、不幸な人生から抜け出すことが出来た者もいる。だが、当の本人らはそのようなことは当然知らない。
766 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:34:55.25 ID:Bqp2pxgV0
その後も彼は、自らが目覚めた浜辺の底に留まり続けながら……人知れず艦娘達や妖精達に力を与え続けてきた。

同時に、多くの人々や動植物が持つ活力や温かい気持ちを分け与えてもらいながら、彼女の暴走を食い止める為に行動し続けた。

ショタ提督「……!」

ショタ提督(あの深海棲艦、通常の深海棲艦よりも憎悪が強く宿っている……これではますます犠牲者が……!)
767 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:35:33.47 ID:Bqp2pxgV0
「艦娘とかいう奴ら、少し前までは雑魚だった癖に……最近になって、急激に強くなってくるなんて……」

当然、彼が人の幸福を願うなら、彼女は人の破滅を望む。

彼の行動により、彼女は目的や力の吸収を邪魔されることとなる。無論、そのような状況で黙っている彼女ではない。

「だったらこっちもより凶悪な深海棲艦を生み出すまでよ!あいつとは違って、私には大いなる絶望の力がある!」

「あんなゴミ同然の奴らにやられるような失敗作なんかじゃない……もっと、全てを殺し、破壊出来るだけの強さを……!」カッ…!

「いや、それだけじゃダメ。あのガラクタ共が所属する場所の人間共にも干渉して……!なんなら、あのガラクタ共も利用して……!」

(あいつらが絶望で消滅すれば、それだけで私が優位に立てる。いや、上手くいけば、そいつらからも悪意を吸収出来るかもしれない……!)

これにより、通常の深海棲艦よりも"残虐かつ冷酷な"深海棲艦が生み出されることとなる。

彼女らは後に様々な被害を出すが、彼と彼女がそれを知ることとなるのは……まだ先の話である。
768 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:38:11.98 ID:Bqp2pxgV0
―――

22周目提督「」ゴボゴボ…

リベッチオ「あ……!」

照月「……え?」

赤城「そ、そんな……!」

大鳳「……て」

22周目提督「」ブクブク…

トプン…

22周目ヒロイン「提督(提督さん)ッ!!」

―――

ショタ提督「……っ」グッ…

ショタ提督(大本営が提督に艦娘達の戦闘を視察するよう命令したせいで、1人の男の子が瀕死に……どうしてそんな無茶な命令を……)

ショタ提督「……!」

ショタ提督(まさか、"僕"が……人を不幸に誘導するだけでなく、艦娘達を絶望させる為に……!)

彼女の妨害は、決して無視出来るものでは無かった。

時にはこうして、本来なら何事も無く人生を歩むはずだった者さえ……絶望に叩き落されてしまう。

彼は己の無力さと、彼女の身勝手な行動に怒りを覚える。

ショタ提督「……どう、して」

ショタ提督(いくら自分が辛い思いをしたからって、無関係な人間を陥れるだなんて……こんなこと、許されるはずが無い……!)

瀕死となった少年……22周目提督を見ていた艦娘達は、当然のことながら魂を絶望が支配してゆく。

しかし一部の艦娘……大鳳達は決して諦めず、その少年が再び目を開ける可能性を信じ続けた。

およそ半世紀後、艦娘達が抱いていた希望が無駄では無かったことが証明されることとなるが、彼と彼女がそれを知るのは……やはりまだ先の話である。
769 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/10(金) 23:42:53.60 ID:Bqp2pxgV0
だが、その間にも彼女による被害者は増える。増え続けてゆく。

これ以上彼女の被害者を増やさない為にも、彼は出来る限り彼女の干渉を妨害し、人々を不幸から救おうと努力し続ける。

だが、それでも彼女の妨害は牙を剥く。どれだけ彼が死力を尽くそうとも、犠牲者は必ず出てしまう。

ショタ提督「………」

ショタ提督(一部の鎮守府に、心無い提督ばかりが着任している……やはり"僕"の仕業か……)

ショタ提督(艦娘達は度重なる提督の悪行で、精神が疲労困憊している……このままでは、魂の消滅か、深海棲艦となってしまう……!)

人格に問題がある提督ばかりが着任してしまい、"呪われた鎮守府"と呼ばれた……43周目鎮守府。

彼女による干渉は、このような形でも人々や艦娘を不幸にしようと襲い掛かって来る。

ショタ提督(僕がいくら干渉しても、その度に"僕"がそれを上回る干渉で……元は同じ存在なのに、こんなことって……!)

その後、43周目鎮守府には43周目提督が着任し、愛宕や加賀を始めとする艦娘達の冷え切った心を溶かすこととなる。

しかし、その時代に至るまでに……彼と彼女は、ある現象を"知覚"することとなる。

ショタ提督「………」

ショタ提督(また、新たな生命が生まれようとしている……どうか、あの子には"僕"が干渉せず……幸せな人生を歩んで欲しいけど……)

彼は生物の善意を司る存在であり、新たな生命が生まれれば……即座にそれを把握することが出来る。

そして、そのようなことを繰り返していれば……このようなケースも存在する。

―――

36周目提督「……うわあああああああああああん!」

36周目父「お、おぉ!泣いた!ちゃんと泣いたぞ!ほら!」

36周目母「……えぇ。本当に……元気な声で……!」

36周目提督「うわあああああああああああああああああああああんっ!」

36周目提督(会いたかったよ……ずっと、ずうっと……会いたかった……っ!)

―――

カッ…!

ショタ提督「……!今、心に何かがよぎって……これは……」

ショタ提督(あの子が"かつて歩んだ"25年の記憶……いや、時間……そうか。あの子も"転生"したのか……)

ショタ提督("僕"のせいで、悪意を増大させられた心無い提督や……深海棲艦に、絶望に陥れられて……!)

そう。転生し、大和を始めとする艦娘達の運命を変えた……36周目提督。彼は36周目提督が転生した事実をその場で見抜いたのだ。

同時に、"本来の"歴史で36周目提督がどのような末路を迎えてしまったのか……それらも全て把握し、理解した。

ショタ提督「………」

ショタ提督(ごめんなさい……僕のせいで……"僕"のせいで、それほどまでに辛い思いをさせてしまって……)

ショタ提督(だけど、今の君なら……きっと大丈夫。君の魂は輝いている……強い想いを宿している)

ショタ提督(これなら絶対に、"僕"の干渉を退けて……艦娘達の運命を変えられる。僕が保証する……!)
770 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:58:52.01 ID:Bqp2pxgV0
「所詮はガラクタね。ちょ〜っと糞野郎を送り込めば、簡単に絶望して追い詰められてくれるもの」

「あんな奴らなんかが人類を守る?あははっ、寝言は寝て言いなさいよ!そんなんだから私が生み出した深海棲艦にボロボロにされるのよ!」

(もっとも、ガラクタの分際で妙に強い奴らがいることも事実……糞ッ!全部あいつが私の邪魔をするから……!)

カッ…!

「ん?この感覚は……チッ、また転生者か。それもこいつ、私が干渉したことで自殺まで追い詰められただなんて……やっぱりゴミはゴミね」

(ただ、転生者の厄介なところは、同じ手段が通用しないところなのよね……ゴミの分際で汚らわしい。大人しく死んでくれれば良かったのに)

同時刻。彼女もまた、36周目提督が転生した事実を見抜いていた。同時に、自分が干渉することで得られる絶望が僅かに減少したことを嘆いていた。

しかし、彼女は転んでもただでは起き上がらない。彼女は既に、36周目提督の転生が起こす"代償"を掴んでいたのだ。

「……でも、こいつが転生したお陰で、ゴミ共の絶望以上に素晴らしい力が手に入ったわ」

(輪廻転生であれば、私にとっては何も影響しない……単に前世の記憶を持つ輩が現れたところで、別の人間に生まれ変わっているならいつも通り絶望に染め上げれば良いだけ)

(だけど、今回のような……同じ存在として生まれて来る転生であれば、多かれ少なかれ因果に矛盾が生じる。その歪みを糧にすれば……!)

36周目提督の場合、過去の自分の身体に魂を宿すことで転生を遂げた。言わば魂を通じたタイムスリップだ。

そして彼は死に物狂いで過去を変える。本来なら全滅していた艦娘達を、全員が生存する歴史へと改変する。

その際、歴史に歪みが生じてしまう。彼女はその歪みさえ、己の力として取り込むことが出来るのだ。

更に、歪みによる力は、人間の絶望よりも遥かに強く……影響力は計り知れない。何せ"時間"という、この世の摂理を覆すほどの力なのだから。

「……こいつのお陰で、下手に絶望を集めるよりも大きな力を吸収出来たわ。もちろんお礼なんて言わないけど」

(いずれ私が完全復活を遂げたら、せめて功労者として楽に殺してあげようかしら。あははっ!)

そして、因果の矛盾は転生だけに留まらない。

いずれこの時代へとやって来る16周目提督のように、タイムマシン等による過去改変も因果の歪みを生じてしまう。

それだけでなく、30周目提督や49周目提督のように"次元の壁を越えて"現れ……

本来であれば交わることの無かった世界に、強引な手段で干渉する者の存在。

過去改変ほどでは無いものの、異なる次元からの干渉も……多かれ少なかれ、この世の摂理に影響を及ぼしてしまう。

そして、次元干渉と歴史改変、2つの特性を合わせ持つ8周目提督……

彼がこの世界の、この時代に現れた瞬間、因果に大きな歪みを引き起こし、彼女はそれを全て吸収することとなる。

もっとも、どちらの歪みも……いずれは新たな歴史として刻まれ安定する。よって、重大な問題を引き起こすことは無い。

「今に見てなさい……この力で、何もかもぶっ壊してやる……!」

無論、それは彼女が存在しなければの話だが。彼女がいることにより、因果の歪みは最悪な形で人類に襲い掛かろうとしていたのだ。
771 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:05:07.71 ID:btZXsrl/0
しかし、何も悪いことばかりが起きた訳では無い。

覚えているだろうか?彼と彼女が合体したことで拒絶反応が起こり、互いの力をばら撒いてしまったことを。

その力はあらゆる場所に飛び散り、時には人間に、時には艦娘に宿り、そして……深海棲艦とて例外では無いのだ。

―――

21周目父「……ショタ提督を見守る会、か」

戦艦棲姫「そんな組織が発足してたのね……」

ヲ級(見守る会)「……はい」

レ級(見守る会)「争おうとする深海棲艦が馬鹿なんですよ!」

カ級(見守る会)「………」

―――

ショタ提督「……まさか、争いを好まない深海棲艦が生まれるだなんて」

ショタ提督(最初は驚いたけれど、彼女達の魂を見て……納得した。彼女達には、僕の力の欠片が宿っている……)

そう。『ショタ提督を見守る会』を発足した深海棲艦達の魂は、彼がかつてばら撒いた……温かくて優しい力で包み込まれている。

そのお陰で、彼女らは憎しみに囚われることなく……人類や艦娘の味方となってくれた。

彼女により生み出された存在が、憎悪以外の感情を持って生きてくれる……それだけでも、彼は嬉しかったのだ。

ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督(それだけじゃない。人間と深海棲艦が、共に分かり合い……それどころか、子を成すことさえやってのけただなんて……)

ショタ提督(やはり僕の考えは間違えていなかった。優しさと温かい気持ちを持っていれば……気持ちを通じ合うことが出来るんだ……!)

後に彼女らは、絶望により深海棲艦となってしまった元艦娘達を救うこととなる。

彼女らがいたお陰で、元艦娘達は消滅を免れ……姿こそ深海棲艦であるものの、艦娘だった頃の……

絶望に支配される前の、温かい心を取り戻すことが出来たのだ。
772 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:07:32.72 ID:btZXsrl/0
「……ッ!」ギリッ

(どうしてよ……どうして、こうなるのよ……どうしてよッ!お前らは私が生み出した破壊兵器なのよ!?どうしてゴミやガラクタを攻撃しないの!?)

(よりによって"あいつ"の力が宿るなんて!それでまんまと生温い性格になってしまうだなんて……!)

(それどころか、あんなゴミと餓鬼を作るなんて……!許せない。許せない許せない許せないッ!!)

「……見守る会だか何だか知らないけど、私の意に反する行動を取るというのなら……そんな失敗作、私の手で潰してやる……!」

(今に見てなさい……私が全盛期の力を取り戻した時が、お前達の最期よ……生みの親である私の顔に泥を塗ったことを、後悔させてやる……ッ!)
773 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:16:47.86 ID:btZXsrl/0
だが、彼の力が宿るということは……当然、彼女の力が宿る者も現れるということ。

それどころか、彼と彼女は元が同一の存在。当初は善悪の区別が無い力だったとしても、宿主の思考次第で……その力はいかようにも性質を変える。

彼はそのような者が不幸な人生を歩んでしまう様子も……この目で見届けていた。

―――

12周目提督(ま、万引きなんて嫌だよぉ……うぅ、どうして僕ばっかり……いっそ"いじめっ子達が酷い目に遭っちゃえば"いいのに……)

男子1「ほらさっさと歩けよ!」

男子2「ったく……あんまりボスを怒らせない方がいいぜ?」

男子3「………」

ヒュウウウウゥゥゥ…

男子1・2・3「ん?」

ズシャアアアアアアアアアアアン!!

12周目提督「っ!?」クルッ

男子1・2・3「」

12周目提督「あ……あぁ……」ガクガク

おっちゃん「おい!大丈夫か!?うわっ!てーへんだ!早く救急車を……!」ピポパ

12周目提督「ま、まただ……また僕のせいで……あぁ……あああああっ!!」

―――

ショタ提督「……っ」

ショタ提督(あの子は……"僕"の力の欠片が宿ってしまったせいで、自らの望みが歪んだ形で叶ってしまう……)

ショタ提督(これも、僕のせいだ……"僕"のせい、なんだ……ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……!)

呪われた幸運の持ち主……12周目提督には、正しく彼女の力の欠片が宿ってしまっていた。

増して12周目提督の父親が心無い人間だったせいで、彼女の欠片は……12周目提督に牙を剥く。

仮に12周目提督の父親が真っ当な人間だったとしたら、その力は親からの愛で性質が逆転し……彼が持つ力と同じ性質を持つはずだった。

しかし、現実は甘くなかった。父親が歪んでいたせいで、12周目提督は周囲の人々を不幸にする呪われた力を発現してしまったのだ。

もし12周目提督が秋月達と出会わなければ……自殺を望んだ時、自らに力が発揮され……そのまま命を落としていたことだろう。
774 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:24:58.55 ID:btZXsrl/0
一方、己に宿った力を上手く利用する者も存在する。

炎の力に目覚めた13周目提督、プラズマを生み出せるようになった28周目提督、忍術を扱うことが出来る39周目提督……

彼らのように、何かしらの特殊な力を持つ人間はほぼ全員、彼及び彼女の力を宿していると言えるだろう。

無論、24周目提督や49周目提督のように、彼や彼女の力とは無関係に特殊な能力を発揮する者もいるが。

そして中には、このような珍しい者も現れる。

―――

いじめっ子A・B「うええええええええん!」

先生「こら!45周目提督君!どうしてそんなことをしたの!」

45周目提督「そ、その……」オロオロ

先生「お兄ちゃん達を殴るなんてダメじゃない!」

45周目提督「うぅ……――」カッ

裏45周目提督「……は?何言ってんだお前」

先生「えっ……」

裏45周目提督「表の俺が大人しく遊んでいた時所に、年上だからどけと言いながら先に殴ってきたのはこいつらだぞ?」

裏45周目提督「俺はやり返しただけだ。何も知らない癖に表を責めるんじゃねえよ」ギロ

先生「ヒッ……!?」ビクッ!

先生(な、何この子……!?急に態度が……それに、怖い……!)ビクビク

―――

ショタ提督「………」

ショタ提督(僕と"僕"、両方の力の欠片を宿している子が現れるなんて……)

二重人格である45周目提督。その原因は、現代医学で"解離性人格障害"とされている病では無い。

文字通り、2つの魂……彼の力を宿した45周目提督自身の魂と、彼女の力により具現化された魂の2つを持っていたのだ。

それだけでなく、彼女の力により具現化された魂は……彼の力により、憎悪が取り除かれ……45周目提督を思いやる性格となった。

そして極め付けは……ある2人の少年。彼らこそが、彼にとっても、そして彼女にとっても……非常に稀なケースだった。
775 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:32:01.41 ID:btZXsrl/0
―――

27周目提督「………」シュパッ

42周目提督「んー!宇宙遊泳も悪くないけど、やっぱ地球の空気が1番だな!ガハハハハ!」

27周目提督「……こいつは」ガクッ

42周目提督「何だよぅ。今回の地球滅亡は俺のせいじゃないだろぅ」ブーブー

27周目提督「ふざけんな!元はと言えばお前がバナナの皮を捨てなかったからだろ!?」

42周目提督「あ、そだっけ?反省〜」

27周目提督「………」アタマカカエ

―――

ショタ提督「……し、信じられない」

ショタ提督(僕や"僕"の欠片では無く、僕がまだ"完全な存在"だった頃にばら撒いた欠片を宿している子がいるなんて……)

ショタ提督(いや、それだけならまだ可能性の範囲内だ。それ以上に驚いたのは……"僕"の力を、ここまで使いこなす子が現れるなんて……)

ショタ提督(しかも先祖代々、魂と遺伝子で受け継がれて来たせいか……とてつもなく強化されている。27周目提督でなければ、彼を止めることは難しい……)

彼が文字通り、万物を司る存在であった時に持っていた力の欠片を宿した27周目提督。

欠片とはいえ、その力は凄まじく……正に不可能を可能にする、"全知全能"の力と言って良いだろう。

それに対し、彼と彼女を分裂させ、この世の全てを創造する原因の1つとなった42周目提督は……彼女の力を宿していた。

先祖の魂と遺伝子により、力の欠片が受け継がれて来たことで……その力が長い時を経て、非常に強力なものと化した。

42周目提督もまた、あらゆる可能性を実現出来る力を持つ存在と言えるだろう。

だがしかし、42周目提督が持つ力はあくまでも彼女が宿していたもの。全能の欠片を持つ27周目提督を上回ることは決して無い。

そして27周目提督も、全能の力と言えど所詮は欠片。それすら上回る力の前には、抗うことさえ困難なのだ。

ショタ提督「………」

ショタ提督(27周目提督が、綺麗な魂の持ち主で本当に良かった……)

ショタ提督(万が一、この子が己の力で暴走していれば……今の僕と"僕"が結託しなければ、止めることが出来なかっただろうから……)

ショタ提督(もっとも、既に42周目提督が己の力で暴走しているけれど……けれど、やはり本当に恐ろしい存在なのは……"僕"だ)

ショタ提督(もし"僕"が全盛期の力を取り戻してしまえば……いや、悲観的になるのはやめよう。それを防ぐ為に、僕が存在するのだから)
776 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:43:15.51 ID:btZXsrl/0
やがて彼女により生み出された、通常よりも残虐な深海棲艦達は……あろうことか、外道とも言える手段に出る。

―――

31周目父「」

31周目母「」

レ級「残り2人は、見るも無残なことになってるけど♪」

ヲ級「……私達じゃなかったら、目に映った瞬間気絶してるかも」

レ級「だねぇ……よし!他の奴らに見つかる前に、とっとと赤ちゃん連れて退散しよっか!」

ヲ級「うん」

31周目提督「うわぁぁん!うわぁぁん!」

ヲ級「………」ニヤッ

レ級「………」ニヤリ

ヲ級(この子を使って、あいつらを……!)

レ級(徹底的に叩き潰してやろっと♪)

―――

レ級「……ふふっ」

3周目提督「!?」

レ級「それっ!」ブンッ

ズガッ

3周目提督「」バタッ

運転手「っ!どうした坊主……なっ!?」

レ級「じゃあねー♪」

運転手「……あの野郎!坊主、しっかりしろ坊主!」

―――

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(酷い……生まれたばかりの子供にまで……!)

相手が小さな子供、あるいは生まれたばかりの生命であろうと容赦をしない。

彼女は人類を、生命を滅ぼす為……憎しみを集める為には、手段を選ばないのだ。

人々の幸福を願う彼にとって、彼女の行為は……許されざることだった。

ショタ提督(これ以上、"僕"のせいで不幸な人間を増やす訳にはいかない……絶対に、僕が何とかしなければ……!)

だが、およそ9年後、彼女や深海棲艦達は予想だにしない形で手痛い反撃を受けることとなる。
777 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:46:26.25 ID:btZXsrl/0
―――

空母棲姫「……ね、ねぇ。これって……」

集積地棲姫「……私達、絶体絶命なんじゃ」

ヲ級「っく……ひるまないで!数はこっちの方が上!」ヨロヨロ

レ級「そ、そうそう!片っ端からやっつけっちゃえ!」ヨロヨロ

全深海棲艦「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

4周目提督「き、来ました……!」

1周目提督「よ〜うし!皆で31周目提督君達を全力で守るよー!」

歴代提督&見守る会「おー!」

―――

ショタ提督「す、凄い……!皆が31周目提督の為に、そこまでするなんて……!」

ショタ提督(友達を想う温かい気持ちと、明石さんや夕張さんが生み出した技術が……奇跡を起こしたんだ……!)

31周目提督を救う為に駆け付けた少年提督と見守る会所属の深海棲艦達。それから先は、正にワンサイドゲームだった。

彼の力を宿した少年達による攻撃と、見守る会所属の深海棲艦による攻撃、そして明石と夕張が開発した武器による攻撃。

それらが全て、31周目提督を守る為に繰り出され……残虐な深海棲艦達は、無残に敗北した。

ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督("僕"、見ているのだろう?人の想いは、そう簡単に壊せるものでは無いんだ。だから、もうこんなことはやめて欲しい……)

ショタ提督(君がどのような仕打ちを受けてきたかは、僕もよく"知っている"……だけど、こんなことは……絶対に、間違っている……!)
778 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:47:32.10 ID:btZXsrl/0
「糞ッ!糞糞糞ッ!糞ったれがああああぁぁぁぁッ!!」

(どうして!?どうして負けるのよッ!?あれだけ私が憎悪を込めた傑作だったのに、あろうことかゴミ共とガラクタ、しかも失敗作に負けるだなんてッ!!)

同時刻、彼女も彼と同じ光景を目にして……憤慨した。己が生み出した深海棲艦が、なす術も無く無様に負けたのだ。

そのような事実を突きつけられて、人類の破滅を望む彼女が怒りを抑えられないはずが無い。

「これも全部あいつのせいよ!あいつがあんなガラクタを生み出すから……あいつが変な力をばら撒くから……ッ!」

「それに、あいつらが使っていた謎の道具……ゴミとガラクタの分際で、あんな得体のしれない物を作り出すなんて……!」

27周目提督や42周目提督でさえ、その力に打ち勝つことが出来ないとされる……"ひみつ道具"。

人類の最新技術と、明石と夕張が持つ"彼の力"を組み合わせて生み出された……人知を超えた力を持つ"神器"とも呼べる代物。

彼女はその力を、これでもかとばかりに見せつけられた。このような物を使用されれば、恐らく全盛期の力をもってしても……全く歯が立たないだろう。

「……でも、奴らは気が付いていない。どれ程凄まじい力を持っていたとしても、所詮は"道具"。その気になればいくらでも対処出来る」

(私が完全復活を遂げる時には、この厄介な物を封じておかないと……それを知ることが出来たと考えれば、この惨めな敗北も……無駄では無い)

(……だけど、それで私の怒りが静まるはずが無い。見てなさい……次に戦う時は、地獄を見せてやる……!)
779 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:49:40.38 ID:btZXsrl/0
その後も彼と彼女の、海の底からの攻防は続いてゆく。人が善意を持つ限り、人が悪意を持つ限り……その争いが終わることは無い。

彼女の絶望を支配する力は日に日に強くなっていき、同時に彼が宿す希望を司る力も強くなってゆく。

深海棲艦の脅威も激しさを増していき、艦娘達の精神も不安定になるが……それを彼が食い止め、艦娘達の希望を繋ぎ止める。

そしてようやく、彼にとって……待ち望んでいた、運命の瞬間がやって来る。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……まさか、僕とナトリが初めて出会った場所に……鎮守府が建設されるだなんて)

ショタ提督(僕がこの地に具現化して、もうどれ程の時が経ったことだろう……だけど、はっきりと思い出せる……)


ナトリ『貴方のことを考えると、胸がドキドキして……貴方の顔を見ると、嬉しくなって……』

ナトリ『……一緒に過ごす内に、貴方のことが……好きになっちゃったみたい』ギュッ

ナトリ『ずっと、一緒にいたい……この温かさを、ず〜っと感じていたい……』


ショタ提督「……っ」ジワッ

ショタ提督(ナトリ……僕、信じているから……きっと、いつか……再会出来ることを……)

ショタ提督「……!」

ショタ提督(早速、ここで新たな艦娘が生まれたようだ。よし、僕の力を…………ッ!?)

彼は目を疑った。生み出された艦娘は名取、グレカーレ、朝風、U-511。ここまではただの偶然で片付けることが出来た。

しかし彼は名取達に、妖精達を通じて己の力を込めようとした時……その魂を見て、気が付いたのだ。

―――

朝風「……?」キョロキョロ

U-511「………」キョロキョロ

名取「……?」キョロキョロ

グレカーレ「………」キョロキョロ

妖精達「どうして、周りを見てるの?」

名取「……そう、いえば」

グレカーレ「どうして、かな……」

妖精達「……まさか、自分達が艦娘という自覚が無かったりは……しないよね?」

朝風「いや、それは大丈夫だけど……」

U-511「……うん。私は、艦娘……」

名取「……艦娘、だよね。うん……」

グレカーレ「深海棲艦と戦う為に、生み出されて……」

50周目ヒロイン「………」

50周目ヒロイン(……やっぱり、引っかかる。私は、艦娘……それは間違いない……)

50周目ヒロイン(だけど、違う……そうじゃなくて、えっと……)

50周目ヒロイン(……あれ?私、今……そもそも、何を探そうとして……?)

―――

ショタ提督「……同じ、だ」ウルッ

ショタ提督(僕が出会った、グレ、アサカゼ、ユー……そして、ずっと会いたかった……ナトリと……同じ"魂"だ……)ウルウル

ショタ提督(見間違えるはずが、無い……あの魂は、僕に温かい気持ちを注いでくれた……ナトリ達だ……)ウルウル

ショタ提督(僕が初めて恋愛感情を抱いた……ナトリの魂だ……やっと、会えたんだ……!)ウルウル

そう。名取達は、正しく輪廻転生を遂げた……ナトリ達だったのだ。彼は気が遠くなる程の時を待ち続け、ようやく再会を果たすことが出来たのだ。
780 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:51:04.24 ID:btZXsrl/0






























――――――しかし、現実は甘くなかった。





























781 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:55:44.74 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……ッ!」ズキッ

ショタ提督(ナトリ達……名取さん達の魂は、綺麗に……"洗い流されている"……)

名取達の魂は、転生する時に彼女の呪いを洗い流したことで……記憶も流れ落ちてしまっていた。

彼はそれを、一目見ただけで気が付いた。伊達に彼女と長くの間戦い続けて来た訳では無い。

ショタ提督「………」フルフル

ショタ提督(……いや、悲しんではダメだ。こうして、再び出会うことが出来ただけでも……紛れも無く、奇跡なのだから……!)

ショタ提督(せめて……名取さん達と触れ合いたい。もう1度、あの時のように……名取さん達との日々を過ごしたい……!)カッ…!

そう考えた瞬間、彼と名取達の魂が"共鳴"し……彼の身体が完全に具現化され、海の底から地上へと引き込まれてゆく。

―――

ショタ提督「………」スタッ…

50周目ヒロイン「……!」

妖精達「あっ……」

ショタ提督(……肉体の感覚が鮮明になっている。そうか、僕は……また、完全に具現化して……)

ショタ提督(それも、あの頃の姿と全く同じ……僕の記憶が再現したのか、名取達が無意識の内に再現してくれたのか……どちらでも良い)

ショタ提督(これでまた、名取さん達と……あの頃と同じように、同じ時を歩むことが出来るんだ……)

ショタ提督(例え記憶を失っていても、名取さんは……ナトリは、きっと……僕のことを想ってくれていた気持ちは、忘れていないはず……)

妖精達「……もしかして、ここに着任してくれる……新しい、提督……?」

ショタ提督「……うん」

ショタ提督(幸い、この鎮守府にはまだ提督が着任していない。だからこそ、僕が提督となって……名取さんや、皆を……守るんだ……!)

ショタ提督(そして、今度こそ……"僕"の暴走を、食い止めなければ……これ以上、"僕"の好きにさせる訳にはいかない……!)

50周目ヒロイン「………」ジッ

朝風(何かしら……この、既視感……)

U-511(この子が現れてから……急に……)

名取(さっきまでの、不思議な感覚が……強くなったような……)

グレカーレ(でも、私とこの子は……今、初めて会ったばかりで……)

ショタ提督「………」

ショタ提督(……やっぱり、そうか。いや、贅沢は言えない……十分、奇跡と呼ぶに相応しい……!)

ショタ提督(記憶は失っていても……名取さん達の魂に刻まれた想いまでは無くなっていない。これなら、いずれは……)

自らが生み出した艦娘であり、名取達とは魂で繋がっている彼は、名取達が何も言わずともその心情を感じ取ることが出来る。

故に彼は、名取達が記憶を失っていたとしても、その想いが消えていなかったことを瞬時に"把握"した。
782 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:57:11.37 ID:btZXsrl/0
ショタ提督(……だけど、そんなことをしたら……今、まだ生まれたばかりの名取さん達を……混乱させてしまうのではないか?)

ショタ提督(それこそ、僕が無理に思い出してもらうよう誘導すれば……転生したばかりの魂に、負担を与えてしまうのではないか?)

彼は不安だった。名取達に全てを思い出してもらいたいのが本音だが、強引に促して名取達の心を苦しめてしまえば本末転倒だ。

増して自分の私利私欲で、人の魂に干渉するような真似をしてしまえば……それこそ、彼女と同じ立場まで落ちぶれてしまうこととなる。

ショタ提督「………」

ショタ提督(……名取さん達が思い出してくれるまで、待つしかない)

ショタ提督(こうして、再び出会えただけでもありがたいのだから……これ以上を求めるのは、贅沢だ)

彼は名取達が記憶を取り戻すその日まで、待ち続けることにした。

大丈夫、きっと思い出してくれる……彼は心の中で、そう言い聞かせる。

再会出来たことの嬉しさで、相手を思いやる気持ちを忘れてはいけない。自分の気持ちを押し付けるようでは、彼女と同じなのだから。

ショタ提督「……"初めまして"。今日からここで提督として活動させていただく……“50周目提督”です」ペコッ

50周目ヒロイン「……っ」ピクッ

50周目ヒロイン(50周目、提督……今、また……あの感覚が……)

ショタ提督(僕には、"この名前"しか無い。他の名前なんて、存在しない……)

ショタ提督(……ナトリが付けてくれた、この名前こそが……僕の、ただ1つの名前なのだから)

50周目ヒロイン「……えぇ(うん)(はい)、よろしくね(よろしくお願いします)」

妖精達「……うん。今日からよろしくね」

ショタ提督「………」コクリ

ショタ提督(グレカーレちゃん、朝風ちゃん、ユーちゃん……そして、名取さん……僕の最愛の人、ナトリ……)

ショタ提督(今度こそ、皆を守るから……"僕"から、皆を……必ず、守ってみせるから……!)

彼は固く決心した。もう、あの時のような過ちは犯さないと。

彼女の魔の手から、名取達を……ナトリ達を、守り切ってみせると。

名取達から、温かい気持ちを分け与えてもらって……彼女の企みを、阻止してみせると。
783 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 00:59:29.07 ID:btZXsrl/0
名取(――――――……)

ショタ提督「………」

名取「……ぁ」

名取(そう、だ……そう、だよ……私、どうして……こんな、大事なこと……忘れて……)

名取(あれだけ、絶対に忘れないと言い聞かせたのに……それなのに、私は……)

ショタ提督「……ナトリ?」

名取「……思い、出しました……ううん、思い出したよ……」ジワッ…

ショタ提督「……!」

ショタ提督(ナトリの魂から、とてつもない力を感じる……!温かくて、優しくて……それでいて、決して揺るがない強さを……!)

名取「それだけじゃない……貴方に何があったかも、全部……"分かった"の……」ウルウル

ショタ提督「……まさか、"共鳴"して……?」

名取「………」コクリ

名取(私より、ずっと先に意識を取り戻して……その間、ずっと……1人で、戦い続けて……)ポロポロ

名取(孤独で、暗い海の底で……たった1人で、人類を守る為に……)ポロポロ

名取(……私と、再会出来ることを……信じ続けて……)ポロポロ

名取「……っ!」ダキッ

ショタ提督「あ……」

名取「ごめんね……ずっと、待たせちゃって……ごめんね……っ!」ギュウッ

ショタ提督「………」

名取「もう1度会おうって、約束したのに……私、全部……忘れちゃってて……!」ポロポロ

名取「しかも、提督を……50周目提督を、長い間……凄く、長い間……1人にしちゃって……!」ポロポロ

ショタ提督「………」

ショタ提督(ナトリ……)
784 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 01:00:48.30 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……っ!」ギュッ

名取「あっ……」ポロポロ

ショタ提督「僕こそ、ごめんなさい……あの時、ナトリのことを……守ってあげられなくて……」ジワッ

名取「……!」ポロポロ

ショタ提督「ずっと、後悔していたんだ……どうして、ナトリ達を守ることが出来なかったんだ、って……」ウルッ

ショタ提督「そのせいで、大好きな人を失って……しかも、それは……もう1人の"僕"のせいで……」ポロポロ

名取「………」ポロポロ

ショタ提督「本当なら、ナトリ達が転生したと気が付いた時……すぐにでも、思い出してもらいたかった……だけど、出来なかったんだ……」ポロポロ

ショタ提督「魂に干渉して、強引に記憶を呼び戻そうとするなんて……そんなことをしたら、やっていることが"僕"と同じじゃないかって……」ポロポロ

ショタ提督「だけど、そのせいで……ナトリ達を、返って苦しめることになってしまって……!」ポロポロ

名取「……っ」ギュッ

ショタ提督「……!」ポロポロ

名取「謝らないで……貴方は、何も悪くないよ……それは、私達のことを考えてくれたから、でしょ……?」ポロポロ

ショタ提督「だけどっ……!」ポロポロ

名取「確かに、私達は1度死んじゃったけど……それは貴方のせいじゃない」

名取「貴方はあの子から私達を守ろうとしてくれた……それだけで、凄く嬉しかったの……!」ポロポロ

名取「それに、こうしてまた出会えたでしょ……?だからもう、良いの……!これ以上、自分を責めないで……!」ポロポロ

名取「悪いのは……貴方を待たせてしまった、私だから……!」ポロポロ

ショタ提督「そんなことない!ナトリは何も悪くない!悪いのは僕で……!」ポロポロ

名取「ううん!私が悪いの!私が貴方をずっと独りぼっちにしちゃったから……!」ポロポロ

ショタ提督「………」ポロポロ

名取「………」ポロポロ
785 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 01:03:36.89 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……初めて、だね」ポロポロ

名取「……うん」ポロポロ

ショタ提督名取(僕〈私〉が言い争いをしたのって……)ポロポロ

名取「あっ……今、50周目提督の声が……」ポロポロ

ショタ提督「……僕達はもう、魂同士で共鳴しているから。お互いの気持ちが、常に通じ合うんだ」ポロポロ

名取「……だから、かな」ポロポロ

ショタ提督「……うん」ポロポロ

ショタ提督名取(ナトリ〈50周目提督〉の、強い想いが……僕〈私〉の心に、注ぎ込まれていく……)ポロポロ

名取「……50周目提督。もう、大丈夫だよ……」ポロポロ

ショタ提督「……うん」ポロポロ

名取「私はもう、貴方を1人にしない……ずっと、貴方の傍にいるから……」ポロポロ

名取(解体なんてしない……未来永劫、この世の終わりまで……50周目提督と一緒に居続ける……!)ポロポロ

ショタ提督「……!」ポロポロ

名取「今まで離れ離れになっていた分、これからは……離れないからね……?」ポロポロ

ショタ提督「……僕も、今度こそ……ナトリや皆を、守ってみせる……必ず……!」ポロポロ

ショタ提督「そして……ナトリ達が笑って過ごせる世界に、してみせるから……!」ポロポロ

名取「……だから、そうやって自分を追い込んじゃダメ」ギュッ

ショタ提督「あっ……」ポロポロ

名取「"ずっと一緒"って言ったよね……?貴方はもう、1人じゃない……私もいるから、ね……?」

ショタ提督「……うんっ」ポロポロ
786 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/01/11(土) 01:05:12.06 ID:btZXsrl/0






























("死"という壁さえ乗り越え、再会することが出来た私と50周目提督の"絆"は……誰にも、壊させはしない……!)


(あの時も、今も……こうしてナトリと出会えたことが、僕にとって……1番の奇跡なんだ。僕とナトリの"絆"の力……"僕"に、見せてやる……!)




―― ----との---:50/--


――[シュパァッ…!]50/--


――[パシュン…!]50/-- ――





























――"提督との絆":∞/∞
787 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/01/11(土) 01:06:23.29 ID:btZXsrl/0






























《-- "魂"の"共鳴"がより強くなったことで、名取の"魂"に刻まれた"記憶"が……完全に蘇った --》


《-- 名取と想いが通じ合い、互いの"魂"が"共鳴"したことにより……提督の"神通力"が非常に強まった --》





























788 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/11(土) 01:10:04.14 ID:btZXsrl/0






























「……あはっ、あははっ。あはははははははっ!」

(ついに……ついに集まった!何百年も時間をかけた甲斐があった!ようやく集めることが出来た……!)

(ゴミ共に干渉を重ねて……時にはガラクタ共に干渉して、ゴミに絶望を植え付けることもして……ま、それはあいつに邪魔されちゃったんだけど……)

(それでもめげずにゴミ共の醜い感情を拾い集めて……ついに待ち望んだ日がやって来た……!)

「これであいつを葬れる……人間は優しいなんてほざく、あの目障りな糞野郎を葬り去ることが出来る……!」

「それだけじゃない……憎い人間共や、艦娘とかいうガラクタ共もまとめてぶっ殺すことが出来る……!」

「この世のありとあらゆる生物を破滅に追い込むことが出来る……!あぁ、長かった……本当に長かったわ……!」

(……今の私は、あの時以上の力を宿すことが出来た。正しく全盛期と言って良いでしょうね……これで、これで……!)

「……くふっ。あはっ、あははっ!あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!」





























789 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/11(土) 01:11:25.28 ID:btZXsrl/0
今回はここまでです。遅くまでお付き合いいただきありがとうございました!
これにてようやく長い回想パートが終了です。怒涛の伏線回収もとい後付け設定のオンパレードとなってしまいました。
正直、この回想だけでは全て説明出来た感じがしない為、何か質問や疑問等がありましたら随時受け付けます。可能な限り答えます。
回想パートで語り切れなかった部分はエピローグで明らかにする予定ですが、それでもカバーし切れない部分が出てしまいそうなので……

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/11(土) 01:13:59.72 ID:PtS9Z6wZO
おつ
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/11(土) 05:22:48.86 ID:Y//E/3IGO

回想だけでも今までの集大成みたいで凄いと思いました(小並感)あとはグレカーレが滑りこめるかどうか・・・
ていうか42週目提督がやらかしたこと見てると聖人の43週目提督でも助走つけて殴るレベルに思えてきた
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/15(水) 14:39:29.41 ID:kpIUkcdo0
1週目〜49週目は50週目に繋がる壮大なプロローグだったんだろうな
793 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 20:28:33.00 ID:2SchH1zg0
22:00〜23:00頃開始予定です。
794 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:21:43.32 ID:2SchH1zg0
始めます。
795 :長くなってしまいましたので、複数に分けて投下します。 ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:23:52.71 ID:2SchH1zg0
《-- 20 --》

――41周目鎮守府・食堂


37周目提督「はぐはぐっ!やっぱ41しゅうめていとくが作るケーキはうまいなぁ〜!」

44周目提督「ふふっ……同感です。私に味覚を搭載して下さった明石様と夕張様、そしてこのようなケーキを提供していただいた42周目提督様に、心から感謝しています」

41周目提督「喜んでいただけて何よりです。お代わりもあるから、沢山食べてね?」ニコッ

49周目提督(ふぇ?50周目提督さんから、凄く温かい力を感じる……村雨お姉さん以上に……!)

40周目提督(……あの世界では、こんなに美味しい物……ずっと、食べられなかったっけ……)モグモグ

ロリ46周目提督「はい、あーん♪」

那智(46周目)「あーん……はむぅっ、美味しいよ、ママぁ……♪」

47周目提督(……46周目鎮守府の那智さん、一体どうしてこうなっちゃったんだろう)

名取「………」チラッ

ショタ提督「………」コクッ

彼と名取は、近隣に住む提督の様子を見に来ていた。ただし、彼と名取が知る真実を伝えることはしない。

名取(本当に、話さないんだね……?)

ショタ提督(……うん。皆を巻き込んで、危険な目に遭わせる訳にはいかないから……)

無論、彼と名取とて分かっていた。友人らに事情を話し、協力を得た方が彼女を抑えやすくなることを。

だが、それは友人らを危険に巻き込むこととなってしまう。ただでさえ彼女のせいで犠牲者が出てしまっているのだ。

全てを知る彼と名取は、これ以上の犠牲を出すことなど許されないと考えた。2人の意見は一致していた。

名取(それにしても……本当に、言葉を交わさずとも意思疎通が出来るなんて……)

ショタ提督(それだけ、僕とナトリが互いを想い合っているからこそだよ)

名取(……うんっ)ギュッ

ショタ提督(それにしても……何の因果か、僕や彼女の力の欠片を宿した子が近くに集まるなんて……)チラッ

39周目提督「こ、このみたらし団子……格別でござる!手が止まらないでござるぅ……!」

45周目提督「この肉まん、凄く美味しい……♪」

裏45周目提督『確かにこれは……1度食べたら病み付きになるな……♪』

名取(忍者に、二重人格……どちらも50周目提督の欠片の力、なんだよね……)

名取「……あれ?そういえば、42周目提督君は……」

43周目提督「42周目提督君なら、さっき潮さんと羽黒さんに連れられて行きましたけど……」

38周目提督「何だか凄く怒っていたようだけど、また42周目提督君が何か大変なことをしちゃったのかな?」

名取(大変どころじゃ済まないことをしでかしてるけどね……はぁ……)

ショタ提督「………」

ショタ提督(うん。確かに、ここから離れた場所から……42周目提督に宿っている、"僕"の力の気配を感じる。同時に、潮ちゃんと羽黒さんの気配も……)
796 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:26:03.43 ID:2SchH1zg0
――42周目鎮守府


潮(42周目)「何してくれてんですか?何しちゃってくれてんですか!?」ズイッ!

羽黒(42周目)「司令官さんのせいで私達が深海棲艦の祖先にされちゃったじゃないですかッ!!」ズイッ!

狭霧「深wwww海wwww棲wwww艦wwwwのwwww祖wwww先wwwwクッソワロタwwwwまさかの妹が深海棲艦の元ネタwwwwダメwwwwお腹痛いwwww」バンバン

潮「………」ズドドドドッ!ズガアアアアァァァァンッ!

狭霧「ほげえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーッ!?」チュドーンッ!!

42周目提督「いや〜すまんすまんwwwwあまりにも暇だったもんでひと暴れしたら、まさかこんなことになるとは思わなくてさぁwwww」

潮「笑いごとじゃないですッ!!提督のせいで何もかもが滅茶苦茶になってんですよ!?」

羽黒「回想でいかにもヤバそうな人が出てるじゃないですか!!」

42周目提督「その代わり俺のお陰で天地創造出来たじゃん。むしろ感謝してほしいくらいなんだが?」フンス

潮羽黒「は?(威圧)」

42周目提督「だってさぁ?俺いなかったらお前達生まれて無い訳じゃん?だとしたら俺はお前達の生みの親になる訳じゃん?ほら今すぐ感謝しろよほらぁwwww」

潮羽黒「死にたいようですね([∩∩])」ガシャッ

42周目提督「おっいいのかなぁ?生みの親にそんな態度を取って?」ニヤニヤ

潮「それは50周目提督君……さん?そういえばあの子何歳なんだろう……とにかく!50周目提督さんこそが私達の生みの親でしょうが!!」

羽黒「今すぐ>>752を百万回見直して下さい!貴方の目は腐ってるんですか!?」

42周目提督「細かいこと気にしてるとハゲるぞ。ん?ちょっと待てよ?俺と潮姉ちゃん達って付き合って」

潮羽黒「監視役」

42周目提督「アッハイ。それってある意味さぁ、親(※もちろん俺こと42周目提督様のことな?)と子供(※潮姉ちゃんと羽黒姉ちゃんのことだゾ)がガチで付き合ってる的な?ヨスガっちゃってる感じに」

潮羽黒「おうえええええええええええええっ!」ビチャビチャ

42周目提督「うわ汚ねッ!?マジで吐いてんじゃねーよゲロインかお前らは!?あっでもそう考えると俺も気持ち悪くヴォエエエエエエエエエエエエッ!」ビチャビチャ

潮「いきなりそんな壮絶に気持ち悪いこと言うからでしょーがッ!!」

羽黒「何度でも言いますけど貴方はただの人格破綻者ですから!生みの親でも何でもありませんからッ!!」

42周目提督「お前達がそう思うんならそうなんだろう。お前達ん中ではな」キリッ

潮羽黒「………」ズドドドドッ!ズガアアアアァァァァンッ!

42周目提督「おぉっとぉ!お前達の攻撃なんざお見通しだぜ!」つハリセン スパパパパッ!

潮羽黒「大人しく死んで下さいッ!!」ズドドドドドドドドッ!

42周目提督「やなこったぁ!」スパパパパッ!

狭霧「」プスプス

速吸「………」

速吸(失恋してて良かったぁ……もし自分が敵対組織の祖先なんかになっちゃったら、絶対ネタにされまくってたでしょうし……)ホッ

――

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(……本当にあの子は規格外だよ)

名取(42周目提督君のせいで50周目提督が苦労したのに、そのことに反省すらしていないなんて……)

ショタ提督名取(それ以上に今までのことを当然のように知っていることが1番驚きだけど)

42周目提督に常識は通用しないのだ。無論、傍にいる潮と羽黒も同じことが言えるだろう。

42周目提督「ナレーションよく分かってるじゃねーか!ギャグ時空のキャラに常識なんざ求めちゃいけねーんだよ!」

潮羽黒「ただでさえ最終回でシリアス路線なんだからメタ発言は自重しなさいッ!」

ショタ提督名取「……はぁ」

……このように、第4の壁を平気で突き破ってくるのだから。
797 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/17(金) 22:27:21.77 ID:2SchH1zg0
――

グレカーレ「………」

グレカーレ(最近、提督と名取さん……今までより、一緒にいることが多くなったような……)

グレカーレ(それも、名取さんは提督を心配してるというより……何だろ。上手く言えないけど……深い仲になってる感じ……)

グレカーレ「………」

グレカーレ(良いことのはず、だけど……何だか、変な感じ……頭のモヤモヤが消えないだけじゃなくて……2人を見ていると……)

グレカーレ「……っ」ズキッ

グレカーレ(あ、あれ?私、どうして……胸が痛くなって……)

――悔しいから。

グレカーレ「……!?」

――自分は何も分からず遠巻きに眺めているだけなのに、名取は提督の傍を陣取っている。

グレカーレ(な、何、この声……頭の中に、いや、心の中に響いてくる……)

――自分だけ指を咥えて見ているだけなんて、そんなの……耐えられないでしょ?

――だからさ、奪っちゃえば良い。

グレカーレ「ッ!」

――提督と名取が一緒にいて嫌な気分になるのなら、自分が提督の隣にいれば良い。

――邪魔な奴は消してしまえば良い。そうすれば、私が提督と一緒にいられる。

グレカーレ「………」

――誤魔化しても無駄。自分の気持ちに嘘は……付けないでしょう?

グレカーレ(……確かに、そう……かも)

――簡単なことよ。名取を消して、私が提督を支えれば良い。たったそれだけのことよ。

グレカーレ(名取さんさえどうにかしてしまえば、私が提督の傍に――)

グレカーレ「――ッ!」フルフル

グレカーレ(い、いけない……私、今……何を考えて……!)ガクガク

グレカーレ(名取さんを、消す……?そんなことをして、提督が喜ぶはずが無い……!なのに、私は……そんな、怖いことを……!)ガクガク

グレカーレ(まるで"自分以外の誰かが囁いて来て、それに身を委ねる"かのように……!)


↓1朝風のコンマ       ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ       ----との---:18/--
↓3名取のコンマ       提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ    ----との---:41/-- 《-- リーチ --》

反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:28:34.96 ID:q6QJXNYDO
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:40:40.79 ID:gHtWR886O
この流れで失恋は辛いな
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:41:56.64 ID:2tDtqtJA0
はい
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 22:43:47.43 ID:SGZgY4w60
802 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/17(金) 22:56:16.27 ID:2SchH1zg0
呂500「提督、最近少しずつ元気になってきたと思わない?」

U-511「……うん。名取さんが一緒にいるからかな……」

U-511と呂500は同一人物でありながら、生み出されたタイミングは違う。

故にU-511は"ユー"の魂を受け継いでいるが、呂500は新たに生み出された魂であり、その存在は別人と言えるだろう。

呂500「そうそう!名取さんも、提督といる時はどことなく嬉しそうだし……これはもしかして……」

U-511「……もしかして?」

呂500「付き合っちゃってたりするのかな?」

U-511「付き合う……」

U-511(admiralと、名取さんが……付き合って……)

U-511「……?」

U-511(あれ……何だか、随分前にも……そんなことが、あったような……?)

呂500「……ユーちゃん?」

U-511「……え?」

呂500「どうしたの?急に考えこんじゃって……」

U-511「あ……何でも、ない……」

呂500「?」

U-511(……気のせい、かな)

全てを思い出した名取とは違い、U-511はまだ記憶が蘇っていない。

しかし、その魂には50周目提督と過ごした日々が宿っている。

いつ思い出すかは、50周目提督とどれだけ交流し、魂の共鳴を強く出来るかにかかっている。


提督や名取は何をしていた?

直下

※回想にて50周目提督及び50周目ヒロインの設定を明らかにしましたので、ここからは通常通りの形式で進行致します。
ただ、取っていただいた安価の場合によっては、展開をアレンジさせていただくこともあるかもしれません。
803 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 22:57:08.51 ID:2SchH1zg0
すみません!赤字を解除し忘れていました!


呂500「提督、最近少しずつ元気になってきたと思わない?」

U-511「……うん。名取さんが一緒にいるからかな……」

U-511と呂500は同一人物でありながら、生み出されたタイミングは違う。

故にU-511は"ユー"の魂を受け継いでいるが、呂500は新たに生み出された魂であり、その存在は別人と言えるだろう。

呂500「そうそう!名取さんも、提督といる時はどことなく嬉しそうだし……これはもしかして……」

U-511「……もしかして?」

呂500「付き合っちゃってたりするのかな?」

U-511「付き合う……」

U-511(admiralと、名取さんが……付き合って……)

U-511「……?」

U-511(あれ……何だか、随分前にも……そんなことが、あったような……?)

呂500「……ユーちゃん?」

U-511「……え?」

呂500「どうしたの?急に考えこんじゃって……」

U-511「あ……何でも、ない……」

呂500「?」

U-511(……気のせい、かな)

全てを思い出した名取とは違い、U-511はまだ記憶が蘇っていない。

しかし、その魂には50周目提督と過ごした日々が宿っている。

いつ思い出すかは、50周目提督とどれだけ交流し、魂の共鳴を強く出来るかにかかっている。


提督や名取は何をしていた?

直下

※回想にて50周目提督及びヒロインの設定を明らかにしましたので、ここからは通常通りの形式で進行致します。
ただ、取っていただいた安価の場合によっては、展開をアレンジさせていただくこともあるかもしれません。
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/17(金) 23:15:15.98 ID:gHtWR886O
改二の存在について色々と調べていた
(存在する娘の有無や正にゆーちゃんとろーちゃんのような別人のようになる存在など)
805 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/17(金) 23:36:22.21 ID:2SchH1zg0
ショタ提督「………」カキカキ

名取「………」

U-511「………」

U-511(あ、やっぱり部屋でお仕事してる……admiralの表情も、前よりも穏やか……)

ショタ提督(……ゆーちゃんが部屋を覗いている)

名取(みたいだね。となると、ここからは"提督"と"艦娘"として接し合った方が良いかな?)

ショタ提督「………」コクリ

彼はもちろん、魂で通じ合った名取もまた、彼や艦娘達を知覚することが出来るようになっている。

自分達が特別な関係だと思われるのは構わないが、まだ記憶が完全に蘇っていないグレカーレ達や無関係な艦娘に……真実を知られるのはまずい。

そう考えた彼と名取は、鎮守府では今まで通りの接し方をしていこうと決めていたのだ。

名取「……ところで提督。少し良いですか?」

ショタ提督「……うん。何?」

名取「私達のルーツは理解しましたけど……"改二"はどういう仕組みなんですか?」

U-511「……?」

U-511(改二……それって、ろーちゃんみたいな子のこと……?そんなことを聞いて、どうするんだろう……)

全てを知った名取は、既に彼の干渉による魂のプロテクトの影響を受けていない。

それに対しU-511は、未だ自身についてを深く考えないプロテクトをかけられた状態にある。

だからこそ、U-511は名取がどうしてそのようなことを疑問に思うかが理解出来ない。

ショタ提督「……力の突然変異、かな」

名取「突然変異?」

ショタ提督「人の善意を元にした力。だからこそ、艦娘が『誰かを守りたい!』と強く願えば……稀に力の性質が強化されることがある」

ショタ提督「もちろん、全てのケースに当てはまる訳じゃない。こればかりは僕も予測不能だから……艦娘や人間の凄さを実感したんだ」

名取「それで改二になれたり、なれない人が……」

ショタ提督「そして1度"改二"を発現した艦娘は、改めて力を宿すと……その性質を共有し、他の同じ艦娘も同様の姿になることが出来る」

ショタ提督「ただ、力の変異の仕方によっては、本人の人格にまで影響を及ぼすことがあるけれど……それでも、今までの気持ちを忘れることは無い」

名取「……はい。それは由良ちゃん達を見ていると分かります」

ショタ提督「人間や艦娘の想いの強さを侮ってはいけない。だからこそ、僕は……"僕"がしていることを、止めなければならない」

名取「同感です」

U-511「……?」

U-511(さっきから何を言ってるんだろ……?全然、分からないよ……)

全てを知る名取にとっては、今の会話だけで意味を全て理解し……彼の目的の為に、共に戦おうと決意する。

しかし、外から覗いているU-511には……彼が施したプロテクトの影響もあり、2人の話が頭に入ってこない。

否、頭に入ってきたとしても……それを考え、理解することが出来ないのだ。

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(……やっぱり、ゆーちゃんには伝わっていないようだね)

名取(それだけ50周目提督のプロテクトが強力なんだと思う。私もこの前まで、違和感こそ抱いていても……深く疑問に思うことは無かったから……)


提督達orU-511の行動

直下
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/18(土) 00:07:03.86 ID:fUDOw7/mO
提督と名取に何の話をしてたか聞いてみる
807 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/18(土) 00:09:12.93 ID:caPQ6YZO0
短くてすみませんが今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/18(土) 02:52:16.89 ID:P6B+/otMO

なんかグレカーレにヤバイ感じに・・・そして案の定狭霧が爆笑からの炭にされてて草
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/29(水) 01:18:55.59 ID:IiMH2SCU0
もう少し42週目提督は反省した方がいいと思うの
それにしても速吸は失恋したお陰でちょうど笑いのネタにもされず42週目提督の被害も回避する能力が付いている上に狭霧みたいに消し炭担当からも外れた安全地帯にしれっと居るのもさりげなに草かも
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 00:38:14.51 ID:uGSVDMYDO
5周年おめ!
1週目からリアルタイムで見てきたがこんなに続くとはなあ
811 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 18:42:18.25 ID:aVLGXrNT0
22:30〜23:30頃開始予定です。
812 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 22:59:20.95 ID:aVLGXrNT0
始めます。
813 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 23:02:27.91 ID:aVLGXrNT0
U-511「………」

U-511(2人に、聞いてみよう……かな。もしかしたら、私やろーちゃんに関係することかも……)

ショタ提督「………」

名取「………」

名取(……どうする?)

ショタ提督(……上手く誤魔化すしかない。今の彼女には正確に説明したとしても、恐らく理解出来ないはずだから)

名取「………」コクリ

彼と名取は無言で心を通わせ、U-511に対してどう対応するかを決める。

プロテクトはもちろん、まだ記憶を取り戻す兆候さえ見せていないU-511に包み隠さず話すのは危険を伴うと判断した為である。

U-511「……admiral」

ショタ提督「……ゆーちゃん」

名取「ゆーちゃん?どうしたの?」

U-511「えっと……今、改二について……話してなかった……?」

名取「うん。ちょっとだけ気になって」

U-511「それって、私やろーちゃんと関係……ありますか……?」

ショタ提督「いや、そういう訳じゃないけど……」

U-511「あ……そう、ですか……」シュン

U-511(じゃあ、やっぱり……無関係なんだ……)

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(ごめんなさい、ゆーちゃん……だけど、今はまだ話す訳にはいかないんだ……)

名取(私でさえ、記憶を取り戻すまでかなりモヤモヤしたし……取り戻した直後も、混乱していたから……)

彼と名取は罪悪感を抱くが、これもU-511のことを考えての結論なのだ。

無理に真実を伝え、激しい混乱を引き起こすと……前世の魂を受け継いだU-511に、何が起こるか予想が付かない。

増して、その隙を"彼女"に狙われれば……最悪のケースに繋がってしまう。

U-511「………」


反転コンマ判定:U-511の反応は?

01〜49:少し違和感を抱きながらも部屋に戻る
提督との絆上昇率:小 ×1.0
50〜98:提督と名取に何か考えがあるのではと無意識の内に納得する
提督との絆上昇率:中 ×1.5
ゾロ目:一瞬だけ前世の記憶が蘇りかける
提督との絆上昇率:大 ×2.0

直下
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:05:04.56 ID:BFygwb8h0
815 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 23:15:53.15 ID:aVLGXrNT0
《-- 52 --》――惜しい


U-511「………」

U-511(よく、分かんないけど……もしかして、admiralと名取さん……私に、気を遣ってくれてる……?)

ショタ提督「……!」

名取「……!」

U-511は彼らの様子を見て、何故かそのような考えが頭に浮かんでいた。

それもそのはず、現在もU-511の魂は彼と共鳴しており……彼のU-511を心配する気持ちを、U-511は潜在意識で感じ取っていたのだ。

そして、U-511がそのような考えに至ったことを……彼と名取も、確かに心で感じていた。

U-511「………」

U-511(あまり、踏み込まない方が……良い、のかな……?)

ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(僕との距離が近ければ近い程、やはり影響を受けてしまうか……)

名取(みたい、だね……でも、幸い記憶を無理に呼び起こさせるようなことにはならなかったけど……)

U-511「………」

U-511(……うん。また、今度……聞いてみよう。admiralの、都合が良い時に……)

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(いずれは、本当のことを話す時が来る……その時には、必ず……全てを伝えるから……)


提督との絆 コンマ一の位×1.5 上昇

直下
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:18:41.62 ID:BTt6xJfQ0
a
817 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/30(木) 23:31:30.68 ID:aVLGXrNT0
2×1.5=3 3+18=21/--


U-511「えっと、それじゃ……失礼、しました……」

スタスタ…

ショタ提督「………」

名取「……大丈夫?」

ショタ提督「……うん。それに、本当に辛いのは……僕のせいで命を落としてしまった、ナトリやユー達だから……」

名取「だからそれは貴方のせいじゃ……」

ショタ提督「ううん。僕のせいであり、"僕"のせいでもある」

名取「………」

ショタ提督「……っ」グッ

ショタ提督(守らなきゃ……今度は、必ず……皆を……!)

名取「………」ギュッ

ショタ提督「あ……」

名取「あまり思い詰めないで?私は本当に気にしてないし……こうして再会出来ただけでも、本当に嬉しい……!」

ショタ提督「………」

ショタ提督(ナトリ……)

名取「………」

名取(50周目提督ばかりに全てを背負わせる訳にはいかない。私も一緒に戦わないと……50周目提督を、守らないと……!)




U-511「………」スタスタ…

U-511(改二……ろーちゃんのように、強くなること……)

U-511(だとしたら、私は……弱い……?)

U-511「………」フルフル

U-511(……違う。admiralは、ろーちゃんだけじゃなくて……私にも、出撃させてくれてる……)

U-511(私は決して、弱いだけの存在じゃない……!それは、admiralがいつも教えてくれてる……)

U-511(あの時だって、私達を守る為に……一生懸命……)

U-511「……?」

U-511("あの時"……?私、今……一瞬、何を考えて……)

U-511「………」

U-511(……疲れてるのかな)スタスタ…


《-- 提督と交流を深め、互いの魂が共鳴したことにより……提督の神通力が強まった --》
818 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/30(木) 23:48:08.85 ID:aVLGXrNT0
《-- 21 --》


グレカーレ『………』

名取『や、やめて……』ガクガク

グレカーレ『………』

――邪魔者は殺してしまえ。

グレカーレ『……お前さえ、いなければ』キラン…

名取『ヒッ……!?』

グレカーレ『お前を消し去れば、提督の隣にいられるのは……私だけになる……』

――自分の進むべき道に立ちはだかるというのなら、始末してしまえ。

名取『嫌……嫌ぁ……!』ガクガク

グレカーレ『だからさぁ……死んで?』ダッ

ザクゥッ…!

名取『あっ……かはっ……!』

グレカーレ『あはっ……血だぁ……すっごく血が出てる……!』

――全てを真っ赤に染め上げてしまえ。

グレカーレ『憎い奴を潰すのって、こ〜んなにスッキリするんだぁ。あははははっ!』

ショタ提督『何をしているんだ!』

グレカーレ『ッ!?て、提……督……?』

名取『うぐぅっ……』

ショタ提督『な、何てことだ……グレカーレちゃん!どうして名取さんを……!』

グレカーレ『こ、これは……違……』オロオロ

――自分のことを受け入れてくれない奴なんて、いらない。

グレカーレ『……!』キッ

ショタ提督『……っ!?ど、どうして刃物を僕に……まさか……!』

グレカーレ『……私のことを好きになってくれない提督なんて、いらないッ!!』ダッ

ショタ提督『や、やめるんだ!こっちへ来るな!うわああああああああああっ!?』







グレカーレ「ッ!?」ガバァッ

グレカーレ「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ……ゆ、夢……!?」

グレカーレ(わ、私……また、あんな夢を……違う!そんなこと考えてない!あんなのただの悪夢で、私の考えじゃ……!)フルフル

――そんなことはない。紛れも無く、私の……

グレカーレ(うるさい黙れッ!!私の頭の中で囁かないでよッ!!そんなこと、無い……絶対、違う……!)フルフル

グレカーレ「………」

グレカーレ(……落ち着け、私……名取さんはともかく、提督を傷つけるような真似をする訳……)

グレカーレ(……"名取さんはともかく"?違うでしょ私ッ!名取さんも傷つけちゃダメに決まってる!)

グレカーレ(変な夢を見たせいだ!早く夢の内容を忘れなきゃ……でないと、夢と現実がごっちゃに……!)フルフル


↓1朝風のコンマ       ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ       ----との---:21/--
↓3名取のコンマ       提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ    ----との---:41/-- 《-- リーチ --》

反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:48:59.92 ID:depoKlBJO
ほい
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:49:31.83 ID:1tsxg6d0O
この周失恋したらどうなるんだろな
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:49:39.22 ID:h6ANS8O+O
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:49:49.49 ID:b7Mg+1ijO
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/30(木) 23:55:03.57 ID:FlVqyh1n0
おおいった
824 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/31(金) 00:03:48.75 ID:M9Mmfnpi0
グレカーレ「………」

グレカーレ(私……どう考えても、おかしいよ……ずっと、悪い考えばかり浮かんできて……)

グレカーレ(酷い時には、夢にまで……名取さんを排除するとか、思い通りにならない提督を傷付けるとか……)

グレカーレは追い詰められていた。彼を意識するようになってから、突然湧き出るようになった黒い感情。

まるで自分以外の誰かが、自分に悪魔の囁きの如く……思考を悪い方向へ誘導しているかのような錯覚さえ抱く。

グレカーレ「………」

グレカーレ(どうしよう……こんなことが、これからもずっと続いたら……私、どうにかなっちゃうよ……)

グレカーレ(仲間であるはずの名取さんに手をかけて……提督にまで、手を出すようになってしまったら……!)

恐怖でグレカーレの身体が震え上がる。思考が自分でなくなっていく感覚。

日に日にグレカーレは、思考が何かに上書きされつつあると考えていた。

グレカーレ「………」

グレカーレ(誰に相談すべき?明石さん?夕張さん?いや、ダメ……相談しても、どうせ何とかできっこない……)

グレカーレ(後は……頼れるのは、提督しかいない……だけど、提督に相談したところで……)

――相談しても無駄。誰にも解決出来やしない。

グレカーレ(うるさい!こんな時まで……あぁ、どうしよう……怖い、怖いよぉ……!)

姉妹にさえ相談出来なかった深刻な悩み。実のところ、これを解決出来るのは……正しく彼である。

しかし、グレカーレは己の囁きと精神の消耗により……正常な判断が出来なくなりつつあったのだ。

それだけではない。己の囁きにより、取り戻しつつあった前世の記憶さえ……再び忘れ去られていってしまう。




《-- 1 --》――勇気を出して提督に打ち明ける 《-- END開放 --》

《-- 2 --》――怖くて何も出来ない 《-- 好感度上昇コンマ判定へ --》

直下

※1を選んだ場合、反転コンマ90〜98で名取による妨害が入ります
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:04:16.97 ID:laQiUMhP0
2
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:04:28.98 ID:HTYWh+dc0
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:07:01.19 ID:I8tq1/QeO
ワロタ
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:08:09.57 ID:ZcfqI4ZJO
2を選ぼうと思ったら選ばれてた
俺も人のこと言えないがわざと失恋させようとしてないか?wwww
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:08:57.45 ID:+gqWxPhOO
なんだこれはたまげたなあ
830 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/01/31(金) 00:19:02.31 ID:M9Mmfnpi0
――怖くて何も出来ない


グレカーレ「……っ」

グレカーレ(ダメ……こんなこと、話せない……話せる訳が無い……!)

グレカーレ(提督に、変な子を見る目で見られちゃったら……絶対、立ち直れなくなる……!)ガクガク

グレカーレは彼に相談することよりも、彼に軽蔑されてしまうという恐怖が勝ってしまう。

ただでさえ心がすり減っていたグレカーレだが、彼に嫌われるかもしれないという恐怖心が一層心を締め付ける。

故にグレカーレは身動きが取れなくなってしまった。このまま震えているしかなかったのだ。

グレカーレ「うぅ……」

グレカーレ(……自分で、何とかしなきゃ……自力で、克服しなきゃ……)

――自分が苦しんでいる時に助けてくれない奴らなんか……

グレカーレ(うるさいって言ってるでしょ!?いつになったらこの声は止まるのよ!もう嫌ぁっ!)

――だったら周りを巻き込んで心中でも……

グレカーレ(うるさい……うるさいうるさい、うるさぁいッ!!)ボカボカボカッ!

グレカーレ「はぁはぁ……」

グレカーレ(頭が、痛い……だけど、お陰で少し落ち着けた……)

彼を想えば想うほど、隣に立つ名取に嫉妬し……その度に、心の奥底からドス黒い感情が込み上がってくる。

だが、それでも彼を憎いと思うはずが無い。思えるはずが無い。グレカーレはまだ完全には思い出していないが……

グレカーレにとって、彼は……最後の瞬間まで、自分の為に戦ってくれた……大切な人なのだから。



提督との絆 コンマ一の位×1.0 上昇

直下

※50到達時のみ、反転コンマ90〜98で好感度が49でストップします
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:19:13.63 ID:oFJRgVZzO
やべえよ…やべえよ……
832 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/31(金) 00:29:03.72 ID:M9Mmfnpi0
3×1.0=3 3+41=44/-- 《-- リーチ --》

――

《-- 22 --》


グレカーレ「………」

――こんなに辛いのに、誰も手を差し伸べてくれない。仲間なんて、実際には薄情で酷い奴ばかりなんだ。

グレカーレ「………」

グレカーレ(あぁ、また聞こえる……心の声のはずなのに、誰かに囁かれているような感覚で……)

グレカーレ(毎日毎日、嫌になる……それに、何だか今までよりも身体に力が入らないような……)

グレカーレ「……っ!」フルフル

グレカーレ(いや、気のせい。きっと気のせい。絶対に気のせい!だから私はいつも通り頑張るだけ!)

グレカーレ(提督に迷惑はかけられない!絶対に悟られないようにしなきゃ……!)



ショタ提督「………」

名取「………」

ショタ提督(……気付いた?)

名取(……うん)

ショタ提督(グレカーレちゃん……グレ、最近、目に見えて顔色が悪いはずなのに……)

名取(私達が声をかけても『大丈夫だってば!』としか言ってくれないし……)

ショタ提督「………」チラッ

名取「………」コクッ

ショタ提督(心にノイズがかかっているみたいで……今までのように、グレの心情を感じ取ることが出来ない)

名取(こんなこと、今まで無かったんだよね?)

ショタ提督「………」コクリ

ショタ提督(まさか……いや、でも……そんな……)

名取「………」

名取(マエストラーレちゃん達にも相談していないみたいだし……せめて私達が気にかけてあげないと……)


↓1朝風のコンマ       ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ       ----との---:21/--
↓3名取のコンマ       提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ    ----との---:44/-- 《-- リーチ --》

反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:30:20.33 ID:g4Nz6UJYO
えいさ
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:31:36.73 ID:X01Y51ZYO
ぽい
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:31:47.97 ID:laQiUMhP0
836 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:31:48.69 ID:yJYVY/RiO
ぬるぽ
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:31:53.60 ID:3uQxqiRs0
ええい
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:36:53.21 ID:rbErh3DEO
住民の妨害に負けず意地でも提督と結ばれるんだという執念を感じた
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:40:40.81 ID:VuVghh1DO
前の時から単発末尾O速取りグレ以外値が低いしなんか怪しく感じる…
840 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/01/31(金) 00:47:20.39 ID:M9Mmfnpi0
名取「エピローグまだかな〜」ワクワク

〜〜現時点では超えられるか分からない壁〜〜

グレカーレ「ふんぬ!ふんぬ!ふんぬううううぅぅぅぅッ!!」ググググッ!

グレカーレ(今回が最終回……これを逃したら最初で最後の出番なのに失恋したという汚名が語り継がれちゃう!それだけは嫌ぁッ!)



朝風「流石に厳しいかも……いや、まだチャンスは……う〜ん……」ブツブツ







U-511「………」つジョイコン ピコピコ

U-511(ここからの逆転は……無理、だよね……はぁ……)ピコピコ



今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
え〜、昨日で『ショタ提督に好かれたい』がついに5周年を迎えることとなりました。
ここまで応援して下さった読者の皆様、本当にありがとうございます!

実を言うと5周年(2020年1月30日)と同時に最終回を描いてスレを綺麗に〆る予定でしたが……無理でした(白目)。
残りしばらくの間、エピローグまで最後までお付き合いいただけると幸いです。
ただ、もしかすると今後の展開やエピローグの長さ次第では次スレまでまたいでしまうかもしれません。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:48:44.13 ID:7qqJ8V8eO
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:50:06.26 ID:GLw36b9Oo
おつおつ
ゲーム勢はドイツに逃げるのやめなさいw
5年、思えば沢山の出来事があったなあ
最後までよろしくお願いします
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 00:51:11.98 ID:qlkuYe9TO
おつおつ
ゆーちゃんも朝風も名取以外全員失恋させようぜ(ゲス顔)
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 01:10:52.24 ID:xIsk5DnaO
>>815って反転コンマなら52じゃなくて65じゃないの?
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/31(金) 01:12:20.01 ID:xIsk5DnaO
あーでも倍率は結局1.5で変わらないか
ごめん余計なことだったわ
846 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 19:02:47.35 ID:Enzu4iwm0
22:30〜23:30頃開始予定です。

>>844
またとんでもないミスを……倍率が合っていたのが不幸中の幸いでした。度々申し訳ございません。そしてご指摘ありがとうございます。
847 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 22:32:43.32 ID:Enzu4iwm0
始めます。
848 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/01(土) 22:35:48.07 ID:Enzu4iwm0
グレカーレ「………」

――どうして私がこんな辛い思いをしなきゃいけないの?

グレカーレ「………」

――邪魔な奴を消してしまえば済む話じゃない。

グレカーレ「………」

グレカーレ(無視しようとしても、何度も心に囁いてくる……)

自分の艦娘としての役目以外のことを考えないようにしていても、黒い感情は少しずつグレカーレの心を侵食してゆく。

名取を殺す、自分に振り向いてくれない彼を傷付ける……甘い毒のような言葉が、グレカーレの心に響き渡る。

――自分が苦しむくらいなら、他の奴を不幸に叩き落してしまえば良い。

グレカーレ「……っ」ギリッ

グレカーレ(やめてよ……そんな馬鹿なこと、出来るはずないじゃない……!)

――だったら、私はこのまま指を咥えて見ているだけなの?

グレカーレ「………」

――邪魔者は蹴落としてしまえば、私は幸せに……

グレカーレ(そんな方法で、幸せが掴める訳が無い……!いい加減にして……!)

グレカーレ「……っ」フルフル

グレカーレ(毎日毎日得体の知れない囁きばかり聞かされて、もう嫌ぁ……!これ以上、耐えられない……!)

グレカーレ(だけど、こんなこと……提督や名取さんに相談したら、絶対におかしな子だと思われちゃう……!)

グレカーレはやはり怖いのだ。自分の心が自分で無くなっていく感覚……そんな悩みを相談して……

彼や名取から、自分が異常者だと思われてしまうことが。特に彼に嫌われてしまえば、グレカーレは生きる希望の全てを失ってしまう。

記憶が完全に蘇っていなくとも、今のグレカーレは……名取同様、既に彼に対して特別な感情を抱いてしまっているのだから。

グレカーレ「………」




《-- 1 --》――勇気を出して提督に打ち明ける 《-- END開放 --》

《-- 2 --》――怖くて何も出来ない 《-- 好感度上昇コンマ判定へ --》

直下

※1を選んだ場合、反転コンマ90〜98で名取による妨害が入ります
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 22:36:32.76 ID:ZubNjDaOO
850 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/01(土) 22:45:41.19 ID:Enzu4iwm0
――怖くて何も出来ない


グレカーレ「……っ」ガクガク

グレカーレ(嫌われたくない……提督に軽蔑されたら、私……)ガクガク

――私のことを受け入れてくれない提督なんて……

グレカーレ(黙ってよッ!!私がそんなこと考えるはずないでしょ!?)

グレカーレ「……っ」ジワッ

グレカーレ(何だか私……最近、おかしいよ……心にあることないことが聞こえて……)

グレカーレ(しかも、その言葉に身を委ねそうになっちゃって……!)

グレカーレ「………」グシグシ

グレカーレ(だけど、それを相談する訳にはいかない……提督や、他の皆に……悟られちゃいけない……)

グレカーレ(私がしっかりすれば良い話なんだ……私の心が弱いせいなんだ……!)

グレカーレ「………」

グレカーレ(大丈夫……"まだ"大丈夫……落ち着け、私……)

――そうやって自分を騙そうとしても無駄よ?

グレカーレ「………」

――自分の気持ちに蓋をしようとしても、いずれは……

グレカーレ(……黙れ)

――あはっ。今の私、きっと目つきだけで人を殺せそう。

グレカーレ「………」




提督との絆 コンマ一の位×1.0 上昇

直下

※50到達時のみ、反転コンマ90〜98で好感度が49でストップします
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 22:46:05.68 ID:WSPZz/b9o
グレちゃんラスボス化?
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 22:47:48.47 ID:dCWnuwjNO
もっとグレちゃん虐めたかったけどここでゴールインか
よかったような残念なような複雑な気持ち
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 22:51:53.15 ID:7f5wPpXlo
実は失恋して悪堕ちグレカーレ少し期待してた(小声)
854 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 22:57:29.96 ID:Enzu4iwm0
8×1.0=8 8+44=52 → 50/-- 《-- END開放 --》


ショタ提督「………」スタスタ…

名取「………」スタスタ…

ショタ提督(グレが日に日にやつれていっている……)

名取(どう考えてもおかしいよ。やっぱり、何かあったんじゃ……)

ショタ提督(うん……心情を読み取れないし、グレから感じる生気が少しずつ減少している……)

名取(……ただ事じゃないよね?)

ショタ提督「………」コクリ

ショタ提督(1度、グレと1対1で話し合ってみた方が良いかもしれない)

名取(その時は、私は席を外した方が良いかな?といっても、今の私だと50周目提督やグレの近くにいるだけで全部分かっちゃうんだけど……)

ショタ提督「……!」ピクッ

名取「……!」ピクッ





グレカーレ「………」フラフラ…





ショタ提督「……グレ」

名取「………」チラッ

ショタ提督「………」コクリ

ショタ提督(少し声をかけてくるよ。申し訳無いけど……)

名取(……うん。向こうで待ってるね?)

ショタ提督(……ありがとう)
855 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 23:05:23.75 ID:Enzu4iwm0
グレカーレ「………」フラフラ…

――どうして思い詰める必要があるの?今すぐ名取さんを殺して、その隣に私が……

グレカーレ「……っ」フルフル

グレカーレ(相変わらず、馬鹿なことばかり語り掛けてくる……いつになったら無くなるの……?)

グレカーレ(このままじゃ、私……本当に、こんな馬鹿げたことを……本気で……)

ショタ提督「……グレカーレちゃん」

グレカーレ「っ!?」ビクッ

ショタ提督「………」

グレカーレ「て、提督……」

ショタ提督「大丈夫?最近、調子が悪そうだったから……」

グレカーレ「あっ……そ、そんなことないよ!?私ならいつだって元気だし!ほらっ!」ピョンピョン

グレカーレ(提督には……提督にだけは、気付かれたくない……!嫌われたくない……!)

ショタ提督「………」

ショタ提督(嘘だ。グレの心からは、今もノイズが聞こえて……それに、言葉に込められた想いも、何かを耐えるような辛い気持ちが伝わってくる……)

ショタ提督「……無理、してるよね?」

グレカーレ「ううん!本当に大丈夫……」

ショタ提督「………」ジーッ

グレカーレ「………」

グレカーレ(あ、れ……おかしいな。提督には……嘘が通用しない。そんな気がしてきた……)

グレカーレ(まるで何もかもを見通すような、透き通った目……私の全てを見抜いてるような、純粋な目が……私を捉えて……)

ショタ提督「………」

グレカーレ「……あはは、提督は勘が良いなぁ。誤魔化しきれないなんて……」

ショタ提督「………」

ショタ提督(グレ……やっぱり、何か隠して……だけど、真意が読めない……未だにノイズがかかって……)
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/01(土) 23:14:23.21 ID:DToeE/JcO
これで反転コンマで名取に妨害された日にはほんとに名取が殺されそうだったな
857 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 23:18:51.32 ID:Enzu4iwm0
グレカーレ「……怖いの」

ショタ提督「え……?」

グレカーレ「私が、私では無くなっていくような感じがして……凄く、怖いの……!」

ショタ提督「私が、私でなくなる……?」

グレカーレ「今だって、心の中で……ずっと、おかしなことばかり考えて……まるで、私じゃない誰かが囁いてきてるみたいで……!」ジワッ

ショタ提督「……っ!?」

ショタ提督(ま、まさか……"僕"が……そうか!それでグレの心にノイズが……!)

名取「……!」

名取(やっぱり、そうだったんだ……"あの子"が、グレに干渉して……!)

グレカーレ「……っ」ウルウル

ショタ提督「……辛かったんだね。苦しかったよね。だけど、もう大丈夫だから」

グレカーレ「……!?」

ショタ提督「……どうしたの?」

グレカーレ「……引かないの?」

ショタ提督「引く?どうして?」

グレカーレ「だって……急に変なことを言い出して、頭がおかしくなったって……思わないの?」

ショタ提督「……!」

グレカーレ「………」ウルウル

ショタ提督(そうか……それでグレは、このことを……僕達に相談出来ずにいたのか……)

ショタ提督「……思う訳が無いよ」ギュッ

グレカーレ「あ……」

グレカーレ(手を握って……)

ショタ提督「僕は何があっても、艦娘達の味方だよ。むしろ、辛い悩みを打ち明けてくれて……ありがとう」

ショタ提督「1人で抱え込まなくて良いんだ。これからは、僕やマエストラーレちゃん達、それに……名取さん達がついているから」

ショタ提督("僕"の魔の手から……絶対に、守るから……!)

名取(うん、うん……!グレ、私達がついてるからね……!)

グレカーレ「……っ」ズキッ

グレカーレ(そう、だよね……提督にとっては……"50周目提督"にとっては、私は……あくまでも、友人のような関係に過ぎないんだよね……)

グレカーレ("あの時"だって、私のことを助けようとしてくれたけど……50周目提督にとって、1番大切なのは……"ナトリ"だから……)

グレカーレ(……"50周目提督"?"ナトリ"?それに"あの時"?私、こんな時に一体何を考えて…………うっ!)カッ






グレカーレ(頭の中に、何かが……いや、違う……これは、頭の中から、出て来て……!)

グレカーレ(50周目提督との出会い、一緒に過ごした楽しい時間、そして……命を落とした日……)

グレカーレ(記憶が失われることを覚悟の上で、転生して……それで、私は……"グレ"から"グレカーレ"に生まれ変わって……!)

グレカーレ(50周目提督が生み出してくれた"艦娘"として……新たな生を与えられて……!)






ショタ提督「……!」

名取「……!」

ショタ提督(この反応……もしかして……!)

名取(あの時の、私と同じ……!)
858 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 23:26:25.54 ID:Enzu4iwm0
グレカーレ「………」

ショタ提督「……グレカーレちゃん」

グレカーレ「……"グレ"」

ショタ提督「……!」

名取「……!」

ショタ提督(グレの心のノイズが無くなっていく……!)

グレカーレ「50周目提督……全部、思い出したよ……私がグレだったことを。そして……貴方が守ろうとしてくれたことを……」

ショタ提督「……ごめんなさい、グレ。今まで、黙っていて……」

グレカーレ「ううん、良いの。私のことを考えてくれたからでしょ?」

ショタ提督「………」コクリ

名取「………」

名取(良かった……!グレも、思い出したんだ……!)

グレカーレ「……嬉しかった。50周目提督と、こうして……再会することが出来て」

ショタ提督「……うん、僕もだよ。グレと、こうしてまた出会うことが出来て……」

グレカーレ「だけど、ね……"気付いた"時には、もう……遅かったの……」

ショタ提督「……"遅かった"?」

グレカーレ「……っ!」ダキッ!

ショタ提督「あっ……」

名取「!?」

名取(ぐ、グレ!?何して…………いや、違う。これは……グレから伝わる、この気持ちは……)

グレカーレ「……っ」ギュウッ

ショタ提督「………」

ショタ提督(……先程まで感じられなかったグレの想いの全てが、魂を通じて……伝わって来る。そうか、グレは……)

グレカーレ「……50周目提督」

ショタ提督「………」
859 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 23:27:37.40 ID:Enzu4iwm0






























「私は、貴方のことが好き……正確には、転生して記憶を失っている間に……好きになっちゃったの……!」





























860 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 23:40:59.96 ID:Enzu4iwm0
ショタ提督「……グレ」

名取(グレ……)

グレカーレ「……そこにいるんでしょ?"ナトリ"」チラッ

名取「……!」

グレカーレ「………」ジーッ

名取「……やっぱり、分かっちゃうんだね」スッ…

グレカーレ「当たり前だよ。貴女と同じで、私も……50周目提督やナトリと、心を通わせることが出来るようになったんだから」

ショタ提督「……グレ。僕は……」

グレカーレ「分かってる。全部分かってるよ……貴方とナトリがもう、絆を深め合っていることは」

ショタ提督「………」

名取「………」

グレカーレ「だけど、私がこんなに苦しい思いをしたのは……ある意味、ナトリのせいでもあるんだから」

名取「………」

ショタ提督「………」

グレカーレ「私が50周目提督への恋心を自覚した時には、既にナトリが50周目提督の隣にいて……私は遠くから眺めているしかなかった」

グレカーレ「しかも私は記憶を失っていたから、"あいつ"に精神干渉を受けていることに気付くことすら出来なかった」

グレカーレ「それから私は、"あいつ"からの精神攻撃に苦しみながら……実ることが無い"今世"での初恋に、胸を痛めることになった……」ジワッ…

ショタ提督「………」

名取「………」

グレカーレ「想像してみてよ……事情を知らない時には、初恋の人に相手がいて……」ウルウル

グレカーレ「苦しみながらも記憶を取り戻して、全ての事情を知ったと思ったら……前世からの絆だったなんて……」ウルウル

グレカーレ「こんなのって……無いよ……!勝てる訳ないじゃん……!」ウルウル

ショタ提督「………」

名取「………」

グレカーレ「だけど、それでも……私は、50周目提督のことが……好きなのっ!この気持ちに、嘘はつけない……!」ポロポロ

グレカーレ「命がけで私達を助けようとしてくれて、そのまま何百年も眠り続けて……目が覚めた後も100年間、"あいつ"と戦い続けて……!」ポロポロ

グレカーレ「私達が生まれ変わった後も、いつも労わってくれて……傍にいてくれるだけで、温かい気持ちにしてくれる……」ポロポロ

グレカーレ「そんな人を、好きにならない訳……ないでしょ……!50周目提督……好き……大好き……!」ギュッ

グレカーレ「ナトリがいることは分かってる……!だけど、せめて……2番で良いから、一緒に居させて……!お願いだから……!」ポロポロ

グレカーレ「ぐすっ……うぅっ……!」ポロポロ

ショタ提督「………」

名取「………」
861 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/01(土) 23:54:30.91 ID:Enzu4iwm0
ショタ提督(……僕は、どうすれば良いのだろうか)

ショタ提督(艦娘達が"提督"と重婚することが出来るようにしたのは、紛れも無く僕だ)

ショタ提督(人の温もりを求める艦娘達が、1人の人間と共に生活するとなれば……必然的に、同じ人間を好きになることは想定していた)

ショタ提督(だからこそ僕は、人類が定める法律に干渉し……"提督"と艦娘限定で、重婚を認める方向へ誘導した)

ショタ提督(だけど、まさか僕自身がその対象となることは……想定していなかった)

ショタ提督「………」チラッ

グレカーレ「……っ」ギュッ ポロポロ

ショタ提督(これ以上、グレを泣かせる訳にはいかない……だけど、僕には既にナトリがいる)

ショタ提督(ここで僕がグレを2人目の交際相手としてしまったら、ナトリの気持ちを踏みにじることになってしまう)

ショタ提督(だけど、グレの気持ちを蔑ろにする訳にも……)

名取「………」

名取(50周目提督、やっぱり悩んでる……そうだよね。優しい貴方なら、こんなことになれば……凄く、悩むよね……?)

名取(むしろ、ここですぐにでもグレの告白を断るような切り替えが早い性格だったなら……これまで、"あの子"と戦う時だって……悩まなかったよね?)

名取「………」

名取(私は、そんな50周目提督だから……好きになった。この世を生きる者全ての幸福を願う貴方だからこそ……私は、永遠に愛すると決めた)

名取(だから、今度は私が……貴方を助ける番。安心して、50周目提督……貴方が悩み、苦しんでいるのなら……)

名取「……ふふっ。グレ、貴女も……50周目提督と、付き合っちゃおっか?」

グレカーレ「……え?」ポロポロ

ショタ提督「……な、ナトリ?」

名取(……その悩みを、苦しみを……私が取り除く。50周目提督を悲しませるようなことは、私が許さない……!)
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:00:15.92 ID:oyjJuvWzO
どこぞのNTRにこの光景を見せてやりたい
863 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/02(日) 00:10:44.29 ID:3rB89tpJ0
グレカーレ「そ、それって……」ポロポロ

ショタ提督「………」チラッ

名取「"どうして?"って顔してるね。えっと……私も、グレの立場だったら……同じことを言うかなぁって」

ショタ提督「………」

名取「私の魂は前世の"ナトリ"のものだけど、同時に艦娘である"名取"としての意識もあるからかな?」

名取「提督が他の女の子と付き合っても、そんなに気にならない……かな?」

名取「だからこそ、同じ人を好きになっちゃったなら……その想いを否定したくない」

名取「むしろ、私と一緒に……50周目提督から、幸せを受け取りたい……!」

名取「そう思ったから、グレが50周目提督と付き合っても良いと考えたんだけど……もしかして、ダメだった?」

ショタ提督「……そんなこと、ないよ。むしろ、僕にとっては……凄く、ありがたい提案だけど……本当に、良いの?」

名取「………」コクリ

名取(例え1人増えたところで、貴方と私の絆が無くなっちゃったり……しないでしょ?)

ショタ提督「……!」

ショタ提督(……うん。神に誓って……って、僕が元々神みたいな存在だったか。あはは……)

名取(……ふふっ)

グレカーレ「……50周目提督」ポロポロ

ショタ提督「……グレ」

グレカーレ「……!」ポロポロ

ショタ提督「僕には既に、ナトリという女性がいる。だから、グレだけを見ることは……きっと、出来ないと思う」

グレカーレ「……うん」ポロポロ

ショタ提督「だけど、グレの告白を拒絶することも……僕には出来ない。いや、出来なかった。ナトリが、グレと交際しても良いと言ってくれたから」

グレカーレ「……うん」ポロポロ

ショタ提督「だから、僕は……男性として、いや、元々は僕に性別は無かったんだけど……」

ショタ提督「今の僕はほぼ男性だし、その……今から1人の男として、最低なことを言うけど……」

グレカーレ「……うんっ」ポロポロ
864 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/02(日) 00:15:10.56 ID:3rB89tpJ0






























「グレ……2人目の交際相手として、よろしくね?前世からの分も、これから"絆"を深め合っていこう……!」


「うん……うんっ……!こっちこそ、よろしく……50周目提督っ……!」


(グレ、凄く嬉しそう……それ以上に、50周目提督から……温かい気持ちを感じる。大丈夫、貴方の幸せは……私が守るから……!)




―― ----との---:50/--


――[シュパァッ…!]50/--


――[パシュン…!]50/-- ――





























――"提督との絆":∞/∞
865 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/02(日) 00:22:05.86 ID:3rB89tpJ0
《-- 23 --》















「……糞ッ!まさか私の干渉に逆らうなんて……ガラクタの分際で……!」


「叶わない初恋は嫉妬や絶望を生み出すから、上手くいけばかなりの力を吸収出来たというのに……」


「……まぁ良いわ。絶望なんてあいつに限らずそこらに転がってるし、ダメ押しが出来なかったところで私の勝ちは変わらない!」


「つかの間の幸福を味わいなさい。すぐにその面を絶望へ変えてあげるから……ふふっ、あははははははははははははッ!!」















↓1朝風のコンマ       ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ       ----との---:21/--
↓3名取のコンマ       提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ    提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》

反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取orグレカーレが最大値の場合、その時点で終了します
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:22:35.32 ID:noOtYEuDO
はい
867 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:24:15.73 ID:cjDNwRUFO
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:24:46.33 ID:o6TWhhfyO
てい
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:24:58.44 ID:qozMNIb8O
頑張れ
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:30:02.92 ID:BQZbKcVKO
あぁ、ついに本当の終わりを迎えてしまったか・・・
結局由良も漣もたけぞうもビス子以外のドイツ組もリベンジ果たせずか
871 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/02(日) 00:42:08.32 ID:3rB89tpJ0
名取「無事に有終の美を飾りました!」

グレカーレ「ギリギリで滑り込めて良かったぁ〜!」

朝風「最初で最後のチャンスだったんだけど……残念ね」

U-511「……ビスマルク姉さん以外、ドイツ艦はまともな戦績を残せなかった……はぁ……」つPS4コントローラ ピコピコ

ショタ提督「………」

ショタ提督(この楽屋ネタもこれで最後、か……)


こうして、これまでの謎が解き明かされた50周目……最後の周が幕を下ろしました。
いつもなら艦娘安価&ショタ提督の設定安価へ移るところですが、最終回ということで……このまま"終了"します。
残りはエピローグを全力で描くのみです。出来る限り早く完成させますので、それまでお待ちいただけると幸いです。

次回作の大まかな内容・方針は決まりましたが、細かな調整をどうするか悩んでいます。
いずれにしても先にエピローグですが、もしかするとアンケートor意見を募集することになるかもしれません。

それではまた次回の更新でお会いしましょう。
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 00:55:15.57 ID:GNGjlaU/0
乙でした。グレカーレ執念のゴールおめでとう
612で一度だけコンマ取れたけどあれなかったら失恋してたのは名取のほうだったかも…
と勝手に感慨に浸ってみる
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 01:02:33.79 ID:VaqZSktCo
おつおつ
ああ、本当に終わってしまうのか…最後までよろしくお願いします
874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 10:51:35.76 ID:lNXTiVoxO
愉悦部とか名乗る寂しい奴の思惑が叶ってなくてホッとした
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 10:57:10.38 ID:Yis4ukmA0
意味もなく不幸なキャラが生まれて完全終了とか
後味悪くなるだけだからなあ

ただそういう奴らが必死にグレを妨害したからこそ
逆にこういう結果になったとも考えられそう
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 13:20:46.03 ID:7WDp/WClO
今回の周は単なる失恋じゃなくて設定的に美味しい展開になりそうだったからねえ
ぶっちゃけ見てみたかった
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 13:37:20.60 ID:dvUR3m7E0
番外編作る余力があれば
グレカーレ失恋のifルートも見てみたい
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/02(日) 15:56:24.60 ID:KJGSnlTDO
48週目の漣も失恋したからこそいい感じに輝いてたしな
失恋グレカーレがどうなるかは確かに見てみたかったかも
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/04(火) 02:26:06.19 ID:fKbA1idSO
失恋に限らず>>1がちゃんと設定とか展開考えて書いてくれてるから読んでて面白いんだよな
今週はもちろん36週目とか40週目も凄い好きだわ。ビス子ら全滅√の小ネタも鬱になるけど好き
ところで今週提督ってどんくらい強いんだろ?神(の片割れ)だしいい線いきそう
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/14(金) 18:10:40.90 ID:cUwB9KX/0
そういやこの女自分が生まれるきっかけになった42週目提督のことはどう思ってるんだろうか50週目提督と同じくらい憎んでいるのか
881 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 06:52:50.44 ID:T3ExHdlX0
執念でゴール決めたグレちゃんも凄いけど
失恋も出番0もないのに小ネタだけで強烈な印象を残したNTRが最後の最後で正妻の座ゲットってのも凄いと思うの
しかも前世から提督と結ばれてたとか最後の週らしい設定もらえてるし
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 20:50:48.52 ID:FZ7pydgYO
ぶっちゃけ最後の周も失恋からの深海棲艦化して正妻グレちゃんから提督寝取ろうとする方が名取もといNTRっぽくはあったよねww
883 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/22(土) 21:14:14.82 ID:RedBhERD0
お待たせしてすみませんでした!23:00〜0:00頃、エピローグを投下予定です。
884 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/22(土) 23:41:14.92 ID:RedBhERD0
それでは最後のエピローグ……投下します。
885 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/22(土) 23:42:38.18 ID:RedBhERD0
――50周目鎮守府前・波止場


ザザー… ザザー…

ショタ提督「………」

名取「……どう?」

ショタ提督「……やっぱり、"僕"や深海棲艦達の脅威が……どんどん強くなってきている」

グレカーレ「それって、やっぱり……」

ショタ提督「……うん。このままだと、近い内に……」

グレカーレ「……っ」ゾクッ

ショタ提督「……大丈夫」ギュッ

グレカーレ「……!」

ショタ提督「今度は必ず、グレを守るから……もう、あんな思いは……2度とさせないから」

グレカーレ「50周目、提督……」

ショタ提督「それだけじゃない。アサカゼやユー、他の艦娘達……この世界に住む人々……そして……」クルッ

名取「……!」

ショタ提督「ナトリ……」

ショタ提督(僕達の"絆"の力で……"僕"の暴走を食い止めるんだ……!)

名取(……うん。でも、それ以上にね……?)

ショタ提督「……?」

名取(もう、貴方を1人ぼっちにはさせない……必ず……!)

ショタ提督「……!」

グレカーレ(……私だって)

ショタ提督「あ……」

グレカーレ(ナトリだけじゃない。私だって……貴方のことを、守るから……!前世で助けられた分、今度は私が……!)

名取(……そう、だね。グレ、2人で一緒に50周目提督を守ろう……!)

グレカーレ(うんっ!)

ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督(感じる……2人の想いと、気持ちが……僕の身体に、伝わってゆく……この"絆"さえあれば、僕は……!)
886 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/22(土) 23:45:33.06 ID:RedBhERD0






























――――――――なら、その絆とやらを私が盛大にブッ壊してやらないとねぇ!!





























887 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/22(土) 23:48:18.51 ID:RedBhERD0
ショタ提督「ッ!」ゾクッ

名取「……っ!」ゾクッ

グレカーレ「っ……い、今の声……」

グレカーレ(この前まで、私の心に聞こえてきた……悍ましい声と、同じ……!)

ショタ提督「……"僕"だ」

名取「………」

グレカーレ「え……?」

ショタ提督「今の、声……絶望と、悪意と、憎悪……人が抱く黒い感情を全て注ぎ込んだかのような、恐ろしい声は……間違いなく……」

名取「……まさか」

グレカーレ「じゃ、じゃあ……あの時の声の正体って……」





ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!





ショタ提督「っ!?」

名取「じ、地震!?」

グレカーレ「あわわわっ!?た、立っていられないよ!?」

ショタ提督「………」

ショタ提督(いや、これは地震ではない……!地面が揺れるというより、大地そのものを切り裂くような……このとてつもない力は……!)

名取「……っ、み、見て!」

ショタ提督「……!」

グレカーレ「ヒッ!?な、何これ……!?」

ショタ提督(海が……大海原が、全て赤黒く染まっている……!?それだけではない。綺麗だった青空が、真っ黒な雲に覆われて……雷まで……!)

朝風「し、司令官!皆……キャッ!?だ、大丈夫……って海が真っ赤になってる!?」

U-511「す、凄い地震……!でも、良かった……皆、もう安全な外に……えっ、う、海が……!」

ショタ提督「朝風ちゃん、ゆーちゃん……!」

名取「それに、他の艦娘の皆さんまで……!」

グレカーレ「だ、ダメっ!今ここに来たら……早く鎮守府の中に……!」

朝風「え?でも、結構大きな地震だったし……」

U-511「建物の中、物がいっぱい落ちてて……」
888 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/22(土) 23:54:59.50 ID:RedBhERD0
ズオオオオオォォォォォ……ッ!

ショタ提督「……っ!」

名取「……!」

グレカーレ「……っ!?」

朝風「え……な、何、あれ……」

U-511「う、海に……大きな、穴が……!」

ショタ提督(……遅かったか。記憶が蘇っていないアサカゼとユーは、出来れば巻き込みたくなかったけれど……)

ショタ提督(この状況では、僕達で守るしかない……!ナトリ、グレ……!)チラッ

名取(うん、分かってる……!)コクッ

グレカーレ(絶対に、何とかしないとね……!)コクッ

ズズズズズズズズ……ッ!

ショタ提督(……この世のものとは思えないほどの、憎悪を感じる……!)

名取(私達を襲った時よりも、殺意に満ち溢れていて……!)

グレカーレ(こ、怖い……だけど、ここで逃げたら……50周目提督とナトリを、守れない……!)

朝風「ちょ、ちょっと!?一体どうなってるの!?」

U-511「……!?」オロオロ

ショタ提督「………」

ショタ提督(アサカゼにユー、それに多くの艦娘達が慌てている……だけど、事情を話す猶予は……無さそうだ)

ショタ提督(僕はまだ、全盛期の力を取り戻せていない……だけど、覚悟は既に決まっている……やるしか、ない……!)

ショタ提督(そうでなければ、本当に……人類が、否、世界が滅亡してしまう……!)

名取(……うんっ!)

グレカーレ(わ、私も……!)





――――――――久しぶりねぇ。直接、顔を合わせるのは……何百年振りかしら?





ショタ提督「………」

名取「……!」

グレカーレ「……っ」

ショタ提督(来る……ッ!)グッ…!
889 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/22(土) 23:57:40.11 ID:RedBhERD0






























「あはっ……あはははははははははっ!とうとうこの日がやって来たわ!今度こそ……今度こそ!何もかも滅茶苦茶にしてやるッ!!」ズゴゴゴゴゴゴゴッ…!





























890 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:00:37.58 ID:aTT//Qy30
朝風「えっ!?し、深海棲艦!?」

U-511「で、でも、艤装を背負ってない……それに、浮いてる……!?」

「深海棲艦?あんな駒と一緒にしないでくれる!?」ギロッ!

朝風「ヒッ……!?」ビクッ

U-511「っ!?」ビクッ

ショタ提督「……やめろ。朝風ちゃんとゆーちゃんを怖がらせるな」

「誰に向かって指図してるのかしら?」ギラッ

ショタ提督「………」

「お前を消す為……何が何でも、お前だけは消してやる為に……この数百年間、真っ暗な海底でゴミ共の悪意を回収してきた……!」

ショタ提督「……そのせいで、何の罪も無い人々を不幸な目に遭ってしまった。お前のしたことは、決して許されることではない」

「うるさいッ!!」

ショタ提督「………」

「お前に何が分かるというの!?この糞みたいな連中と呑気に暮らしてきたお前に、私の何が分かるっていうのよッ!!」

ショタ提督「……お前がどんなに辛い思いをしてきたかは、全て把握している。だからといって、人を不幸に陥れて良いはずが……」

「綺麗事ほざいてんじゃねえよッ!!」

ショタ提督「………」

「把握!?ふざけてるの!?たかが記憶を共有した程度で、私がどれほどの悪意、欲望、憎悪をぶつけられてきたか……分かるはずないだろうがッ!!」

「人間なんてどいつもこいつもゴミばっかりなんだよ!こんな奴ら、いなくなった方が良いに決まってるッ!!」

名取「………」

グレカーレ「………」

名取(ダメ、話が通じない……)

グレカーレ(とてもじゃないけど、話し合いで解決は……無理だよね。元々、そんな可能性は期待してなかったけど……)

ショタ提督「……どうしても、分かってもらえないのか」

「その台詞、そのままお前に返してやるよ!お前が存在することが……私の全てを否定してるんだよ!絶対……絶対に殺してやるッ!!」カッ…!

ショタ提督「……っ!」バッ

ショタ提督(くる……!)
891 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:03:37.40 ID:aTT//Qy30
「おーい!」

ショタ提督「……!」

「……ん?」チラッ

名取(えっ……この声って……)クルッ

グレカーレ(う、嘘……どうして……!)クルッ







歴代提督&歴代ヒロイン「大丈夫(か)ー!?」タタタッ…!

見守る会「急に海が真っ赤になっちゃったんだけど!?」ザバァッ







ショタ提督(しまった!騒ぎに巻き込まない為に、皆には黙っていたのに……!このような事態では、疑問を抱いて当然だ……!)

ショタ提督(それだけではない……僕には分かる。皆、危険は承知で……僕達を心配して来てくれたことが……!)

ショタ提督(何故なら、皆からの気持ちが……全て、伝わってくるから……!)

1周目提督「凄く大きな地震が起こったと思ったら、海と空が暗くなって……」

鈴谷(1周目)「幸い津波は来ないみたいだから、様子を見に来たんだけど……」

「………」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ…!

49周目提督「ヒッ……!?」

村雨(49周目)「て、提督!?大丈夫!?」

49周目提督(こ、このお姉さんから……凄く、怖い力を感じる……!)

7周目提督「……ん?誰だこの姉ちゃん?深海棲艦?」

白露(7周目)「いや、だけど艤装を付けてないし……それに浮いてる!?」

38周目提督「……どうやら、ただの災害という訳ではなさそうだね」

皐月(38周目)「うん、多分……」

「……へぇ。たかが人1人の為に総出でお越しだなんて、どいつもこいつも友情ごっこ……本ッ当に!馬鹿みたいね!」ギロリッ

33周目提督「……友情ごっこ?」

山雲(33周目)「突然何を……」
892 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:06:03.45 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……皆。急いでここから逃げて」

6周目提督「どうして?」キョトン

名取「ここにいたら危険なんです!」

榛名(6周目)「危険……?」

グレカーレ「お願いだから逃げて!早くっ!」

吹雪(27周目)「いきなりそんなこと言われても……」

「……あははっ。馬鹿はどれだけ集まっても馬鹿みたいだけど、ここにいる奴らは全員……私の糧に出来そうね」

ショタ提督「……っ!そんなこと、させない……!」

27周目提督「………」

27周目提督(……50周目提督達の様子、尋常じゃないな。これは何か重大なことが……悪い。少しだけ調べさせてもらう……)カッ

27周目提督「……な、何だって!?嘘だろ!?」

吹雪(27周目)「し、司令官!?どうしたんですか!?」

27周目提督「こ、こいつは……この女は、深海棲艦の生みの親だ!それだけじゃない!今までずっと人類を不幸に叩き落してきた張本人だ!」

7周目提督「ど、どういうことだよそれ!?」

27周目提督「たった今アカシックレコードで調べたんだよ!こいつがいたから深海棲艦が生まれて、人類はずっと戦争する羽目になったんだ!」

白露(7周目)「う、嘘……!?」

ヲ級(見守る会・以下全員)「えっ、じゃあこの女の子が……!?」

レ級「確かに見た目はそっくりだけど……」

27周目提督「そしてそこにいる50周目提督こそが吹雪姉ちゃん……艦娘達と妖精の生みの親だ!」

26周目提督「……マジ?」

27周目提督「こんな状況で冗談なんて言うか!深海棲艦から人類を守る為に、50周目提督が姉ちゃん達を生み出したんだよ!」

嵐(26周目)「じゃ、じゃあ……50周目提督、いや、50周目提督さんが……俺達の、親ということに……!?」チラッ

ショタ提督「………」

27周目提督「そして極め付けは……42周目提督ッ!!」ガシッ

42周目提督「グッ!?な、何すんだよ!?」

27周目提督「お前は何てことしてくれたんだよ!?お前のせいで人類は……いや、世界は破滅の危機を迎えてるんだぞ!?」

歴代提督&歴代ヒロイン「!?」
893 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:12:32.56 ID:aTT//Qy30
42周目提督「あー、そ、それって……俺が天地創造される前に大暴れしたせい?」

20周目提督「て、天地創造……!?」

五月雨(20周目)(既に理解が追い付かないんですけど……!?)

27周目提督「それ以外にあるかッ!!大体お前ならあいつに見覚えあるだろ!?」

42周目提督「………」チラッ

「………」ギロリ

27周目提督「黙ってないで何か言え!!」

42周目提督「……い、いや〜、まさか当時はこいつがラスボスになるとは思わなくってさ〜。正直スマンカッタ★」ペコリンコ★

歴代提督(一部除く)&歴代ヒロイン(一部除く)「スマンカッタで済むかあああああああああああああああああああああああああッ!!」ズイィィッ!

42周目提督「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!?」

2周目提督「お前のせいでとんでもないことになってるじゃないか!?」

朝潮(2周目)「ちょっとどうするんですかコレ!?いかにも強そうでヤバそうじゃないですか!?」

瑞鶴(2周目)「しかも私達が普段から戦ってた深海棲艦の正体がこいつ!?どう見てもオーラだけで全生命を滅ぼす勢いなんだけど!?」

11周目提督「こいつのくだらない発明品でさえ精々俺達が煤だらけになる程度だったのに、それ以上にヤバい存在を生み出すなよ!!」

夕張(11周目)「そうですよ!私のくだらない発明品が……くだらない発明!?」ガビーン!

42周目提督「し、しぃましぇえええええええええええええええええええん!!」

潮(42周目)「この度はうちの馬鹿提督がご迷惑をおかけして申し訳ございませんでしたッ!!」ドゲザァッ!

羽黒(42周目)「何とかこのアホでマヌケでどうしようもない司令官さんに責任取らせますので何卒お許しをッ!!」ドゲザァッ!

ショタ提督「……大丈夫」

歴代提督&歴代ヒロイン「……!」

名取「"彼女"は私達が何とかするから……!」ザッ

グレカーレ「皆は危ないから早く非難して……!」ザッ

27周目提督(名取姉ちゃん、グレカーレ姉ちゃん……いや、確か前世の記憶を受け継いだ別人なんだっけか……?)
894 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:17:33.72 ID:aTT//Qy30
「私がこんなチャンスを逃すとでも?」サッ

42周目提督「へ!?俺いきなり狙われてんの!?しかもラスボスに!?」

「当然でしょッ!!誰のせいでこうなったと思ってるのッ!?お前のせいで……お前のせいで私はあああああああああああああああああッ!!」

42周目提督「うるせーよ!そんなこと言ったらお前が"欠片"とかいう変なモンばら撒いたから俺がギャグ補正持ちになったんだろうが!!」

42周目提督(つっても後付け設定だけどな!42周目終了時点では作者はこんな設定思いついてさえいなかったみたいだけど!)

潮「卵が先か鶏が先かなんて不毛な言い合いしてる場合ですか!?」

ショタ提督「いけない!早く僕の後ろに……!」

42周目提督「ハッ!ラスボスだか深海棲艦の生みの親だか知らねーけど、喧嘩売ってるなら買うぜ!やってやろうじゃねーかああああああああああッ!!」バッ

27周目提督「やめろ馬鹿!そいつは……!」

羽黒「ダメです司令官さん!いくら死んでも地獄で大暴れして生き返るゾンビのような司令官さんでも無謀過ぎです!!」

42周目提督「馬鹿野郎!ギャグ時空の登場人物が負ける訳――」

潮羽黒(それ死亡フラグ!!)

「……雑魚が」カッ

42周目提督「――へ?」

42周目提督(あ、あれ?体から力が抜けて……)

「死ねぇッ!!」ズバァンッ!

42周目提督「あがぁ……ッ!?」

潮羽黒「提督(司令官さん)ーーーーーーーーッ!?」

ショタ提督「くっ……!」カッ

ショタ提督(42周目提督から、凄まじい速度で生気が失われていく……そうはさせない……!)

42周目提督「」ポウッ…

潮「提督っ!しっかりして下さい!タチの悪い冗談はやめて下さいよ!?」

羽黒「司令官さん!まさか本当に死んじゃったんですか!?」

27周目提督(嘘、だろ……!?あの42周目提督が、負けた……!?なす術も無く……!?)

42周目提督「ゴホッ……勝手に殺すんじゃ、ねえよ……っぐ……」

潮羽黒「よ、良かった……!」

(……また邪魔したわね)ギラッ

ショタ提督("僕"の思い通りにはさせない……!)
895 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:21:42.13 ID:aTT//Qy30
42周目提督「ど、どうして……ヤバ過ぎるギャグ補正持ちの俺が、こんなシリアス展開みたいな負け方……」ヨロヨロ

名取「無理に立ち上がらないで!」

グレカーレ「50周目提督が咄嗟に助けてくれたとはいえ、君の体はボロボロなんだから!」

「馬ッ鹿じゃないの!?お前が持っていたその力は、元は私の力なのよ!それを吸収して取り返すなんて容易いに決まってるじゃない!」

「他の奴なら私の力で簡単にぶっ倒せたでしょうけど、同じ力が私に通用するとでも?ハッ!これだから人間は……」

42周目提督「そ、そういうことかよ……畜生……!」

42周目提督(体中が割れそうに痛ぇ……!気を抜くとマジで死ぬぞこれ……!)

「あははっ!こいつから"欠片"を取り返したお陰で、さっきよりも膨大な力が手に入った!これでより一層楽に世界をブッ潰せる……!」

ショタ提督「………」

21周目提督「や、やめてよ!これ以上僕の友達を傷付けるというなら……許さないよ!」ザッ

39周目提督「そうでござる!今こそ拙者が身に付けた忍術を活かす時でござるに!」ザッ

瑞鳳(21周目)「待って提督!」

朝雲(39周目)「多分……いや、間違いなくそいつは一筋縄ではいかないわ!」

夕立(39周目)「危ないからこっちに戻って!」

21周目提督「だ、だけど……」

「……本っ当に何にも知らないのね、お前達。愚か過ぎて反吐が出るわ」

39周目提督「……どういう意味でござる」

「私がどうしてここまで強大な力を取り戻せたか分かる?お前達を散々利用したからよ!」

歴代提督&歴代ヒロイン「……!?」

ショタ提督「やめろ!それ以上言うな!」カッ…!

「ハッ!その程度の力が効くとでも?」ズバァンッ!

ショタ提督「くっ……!」

ショタ提督("僕"は皆をわざと怒らせたり絶望させることを言って、悪意を更に吸収しようとしている……止めなければならないのに、僕の力がほとんど通用しない……!)

「そこの糞餓鬼。お前、どうして着任寸前で大怪我したか分かる?」

3周目提督「……ぼ、僕のことですか?」

「えぇそうよ。どうしようもないほど知能の足りない餓鬼にも分かりやすく説明してあげる。私が生み出した駒……深海棲艦に、お前に怪我させるよう誘導したのよ!」

3周目提督「っ!?」

島風(3周目)「う、嘘……どうしてそんなことしたの!?」

「決まってるでしょ?まだ幼い餓鬼が頭に怪我をして脳障害でも負えば、そこから得られる絶望は計り知れないもの!」

3周目提督「……っ」

如月(3周目)「そ、そんな理由で司令官を……!」プルプル

(そう……もっとキレろ。もっと憎しみを込めろ……その負の感情は、全て私の糧となるのだから……そうとも知らずこいつらは……あはっ!)
896 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:26:57.60 ID:aTT//Qy30
「それだけじゃないわよぉ?人類なんてみ〜んな度し難い馬鹿ばっかり!ちょっと精神に干渉してやれば、どいつもこいつも憎しみのままに行動する!」

「あれは傑作だったわね〜!人類同士の醜い戦争が始まって、最終的に原子爆弾とかいう笑っちゃうくらい面白い殺戮兵器が作られたもの!」

9周目提督「……!」

9周目提督(ま、まさか……!)

「それがあろうことか、お前の鎮守府の真上に落ちるんだもの!全てを見通す目で眺めてたけど、死んだことにさえ気づかず唖然としてたお前は傑作だったわぁ!」

9周目提督「………」

龍驤(9周目)「お、お前……お前が司令官を殺したんか……!?」

「はぁ?私はただ原爆が落ちた事実を言っただけよ?ま、原爆を落とした人間を辿っていけば、どこかで私が干渉した人間の1人や2人、いや、軽く数百人はいると思うけどねぇ?」

9周目提督「……っ」

15周目提督「……そういうことじゃったか」

「ん?お前は……あぁ!あの時の餓鬼じゃない!どう?不老不死になれて良かったでしょ?」

15周目提督「………」

天津風(15周目)「……っ!?」

天津風(えっ!?じゃあ、提督が不老不死になったのって……こいつが……!?)

「自分だけが長生きして、周りの人間は次々に死んでいく……ゴミに相応しい末路じゃない!」

天津風(15周目)「……貴女、自分が何をしたか分かってるの!?」

「誰に向かってモノを言っているのかしら?私が不死身にしなきゃ、こいつは死んでたのよ?」

天津風「うっ……で、でも!」

「私がいなければお前はこいつと出会うことさえ無かった。まさか、その残念な頭じゃこの程度のことも理解出来ないのかしら?」

天津風「……っ!」ギリッ

「後はそうねぇ……ガラクタ共の心を弄ってやったこともあるわね。お陰でただでさえ無能な奴が、あちこちの鎮守府に流され続けた時は思わずニヤけちゃったわ」

23周目提督「……っ」ピクッ

舞風(23周目)「ま、まさか……提督がどこへ行っても皆に受け入れられなかったのって……」

「ガラクタ共にちょっと干渉するだけで人は簡単に絶望する!本当に人間ってゴミばっかりなのよね!あまりに弱々しくて呆れ果てたものよ。まぁ、そこのガラクタと"あいつ"に邪魔されたけど」

ショタ提督「………」

23周目提督「………」

舞風「こ、こいつ……!」

(そうよ!もっと憎しみや憎悪を抱け!そして私の糧になりなさい!)
897 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:29:00.06 ID:aTT//Qy30
「他にも海軍の人間に干渉して、ゴミの中でも特に酷いゴミが特定の鎮守府に着任するようにしたけど、まさかガラクタ共からも絶望が得られるなんてね!」

43周目提督「……!」

愛宕(43周目)「そ、それって……」

加賀(43周目)「……貴女の仕業、ということ?」ギロッ

「そうだけど?でも良いところでそこの餓鬼に邪魔されたのよね。上手くいけばガラクタ全員が深海棲艦になって大暴れするところだったのに……余計なことしやがって」ギロッ

43周目提督「………」

愛宕「貴女……ッ!」ギロッ

加賀「……っ」ギリッ

「だけど流石にあの時は驚いたわね。駒の分際で餓鬼1人さえ洗脳出来ないだなんて!何の為に両親殺したと思ってるのかしら!」

31周目提督「……っ!」

31周目提督(まさか……!)

「死に際の絶望した顔も傑作だったけど、息子はガラクタ共に真実を伝えられるし……本当にあの駒共は無能ね。ま、絶望はそこそこ手に入ったから良いけど」

31周目提督「……ッ!!」

阿賀野(31周目)「あ、アンタ……アンタが黒幕だったの!?提督の両親を殺した……真の黒幕だったなんて……!」

鬼怒(31周目)「酷い……酷過ぎるよ!提督が何をしたっていうの!?そんな目的の為に提督の両親を殺したの!?」

「当たり前じゃない。ゴミとガラクタが何をほざいてるの?むしろこの世から無駄を省いてやったんだから感謝して欲しいくらいよ」

31周目提督「……殺す。殺してやる……絶対に、殺してやる……殺してやるううううぅぅぅぅッ!」つ銃 バンバンッ!

「ハッ!そんな玩具で私を倒せるとでも!?つうかさぁ……ゴミの分際で私に手を出すんじゃねえよッ!!」ズバァンッ!

31周目提督「あぐっ!?」

阿賀野鬼怒「提督(さん)ッ!!」

ショタ提督(いけない!また……!)カッ

31周目提督「あっ……ぐっ……!」ポウッ…

31周目提督(い、痛い……痛いよ……でも、お父さんとお母さんは……もっと、痛かったんだ……辛かったんだ……ッ!)ガクガク

(そうよ……もっと、もっとよ……!もっとキレなさい!惨めに怒りを露わにしなさい……!)
898 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:29:59.69 ID:aTT//Qy30
「でも、そんな中でも有益な行動を取った奴もいる。お前とお前とかね」

30周目提督「………」

36周目提督「………」

49周目提督「……っ」ビクッ

「次元移動に転生……どれも因果に歪みを生じるものばかり。お陰でその歪みを糧にすることが出来たわ」

「だからお前達は楽に殺してあげる。ゴミに情けをかけてやるのよ?感謝しなさい」

30周目提督「そ、そんな……じゃあ、僕がこの世界に来たことそのものが……!」

49周目提督「この世界の滅亡を招いてしまったってことでしゅか……!?」

ヴェールヌイ(30周目)「違う!司令官のせいじゃない!こいつが……!」

村雨「そうよ!提督は悪くないわ!だから責任を感じなくて良いの!」

36周目提督「……まさか、転生前に大和姉さん達に辛い思いをさせたのも……」

「もちろん私の仕業。お前が絶望して自殺してくれた時点で十分だったけど、まさか転生するなんてね……良い働きっぷりしてくれたじゃない」

36周目提督「……っ!」ギリッ

大和(36周目)「全部、貴女が招いたことだったんですね……!」ギロッ

「へぇ?ガラクタの分際で私にキレてるの?だったら攻撃してみなさいよ!どうせ効かないけどね!ほら!ほらほらぁ!」

大和「……っ」

(悔しそうね?でも私の方がお前達ガラクタなんかよりよっぽど辛かった!その程度のことで絶望する貧弱な奴が喚くからお前達はガラクタに過ぎないんだよ!!)
899 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:30:50.54 ID:aTT//Qy30
「他にもタイムマシンによる過去改変!これがまたかなり因果に歪みを生じさせるのよね〜!」

16周目提督「っ!?ま、待ってよ!僕が生まれた未来は平和そのものなんだ!世界が滅亡するなんて……!」

「やっぱり馬鹿ね。お前……いや、お前を含む幾多の未来人が過去を変えたり転生した結果、私がこんなに早く覚醒する結果になったのよ?」

「こればかりはお前達の自業自得ね。大人しく私に滅ぼされなさい!それこそが正しい歴史になるのだから!」

16周目提督「そんな……!」

磯風(16周目)「……すまない、司令。未来の私達のせいで……!」

16周目提督「っ、そ、そんなことないよ!あの時の磯風お姉ちゃん達は、本当に辛そうだった……!だから、過去を変えたいと思う気持ちは間違ってない……!」

(そうやって心にも無い慰めばかり……裏ではどうせお互いを責めてるんでしょう?ゴミ共はいつだってそうなのよ!汚らわしい!)

「おまけにこいつに至っては、時間移動と次元移動の両方を同時にやったんだものね。自分の行いがどれほど因果を歪ませたか自覚してるの?」

8周目提督「………」

浜風(8周目)「……出鱈目を言うのはやめて下さい」ギロッ

曙(8周目)「提督は、やっとの思いでこの世界に来たのに……それなのに……!」ギロッ

衣笠(8周目)「提督が世界滅亡の原因!?ふざけないでよ!そんな訳……!」ギロッ

「そうやって事実から目を背けたければ勝手にしなさい。ま、後で私が直々に殺してあげるけど」

8周目提督(……これは、罰なのか……今でこそ明石も夕張も助け出したが、俺1人が別世界に逃げ出したことの……罰……)

浜風「提督、こんな奴の言葉を真に受けないで!貴方は何も悪くないんです!」

曙「浜風の言う通りよ!提督が思い詰める必要は無いわ!」

「そうやって現実逃避する気?現に私がこうやって復活してるのに?どうせお前達は滅ぶ運命なんだから、偽りの慰めの言葉なんて無駄よ無駄!」

衣笠「偽りなんかじゃない!いい加減変なことを言うな!!」

(そうそう!もっとキレろ!そしてもっと絶望しろ!その全てが私へと注がれてゆく!これよ!これを待っていたのよ!!)
900 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:33:08.70 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「いい加減にしろ……!」カッ…!

「だから効かないって言ってるでしょうがッ!!」ズバァンッ!

ショタ提督「……っ!」

ショタ提督(こちらが力を行使しようとしても、片手であしらわれてしまう……!)

「お前も私も多くの"欠片"をばら撒いてしまったみたいだけど、お前のような雑魚とは違う……私はもう全盛期の力を超えているんだから!」

12周目提督「か、欠片?さっきから何を言って……」

「はぁ?まだ気づいてない訳?ちょっと考えたら分かることでしょうが。ただの人間風情が得体のしれない力を急に使えるようになると思う?」

秋月(12周目)「……司令が持つ幸運が、その欠片とやらの力とでも言いたいんですか」

「むしろ私が言わないと理解出来ないなんて馬鹿にも程があるわね!」

28周目提督「……27周目提督君。この女の子が言ってることは本当なの?」

27周目提督「……あぁ。13周目提督や28周目提督のような、特殊な力を使える人間は……間違いなく50周目提督とこいつの欠片を宿している」

酒匂(28周目)「それで司令はプラズマを生み出せるように……!」

電(28周目)「他の提督の皆さんが凄い力を使えるようになったのも納得したのです……!」

49周目提督(そ、そうか!それで皆さんから時々、温かい力や怖い力を感じて……!)

「特にお前は傑作だったわ!私の欠片を取り込んで、その力で周りのゴミ共を不幸にしていく様は!」

12周目提督「……っ!」

秋月「な、何を言って……!」

「お前のお陰であちこちから絶望を回収出来た!礼は言わないけど、後で楽に殺してあげる!あははははっ!」

12周目提督「僕の、せいで……」

秋月「あんな奴の言うことなんかに耳を貸しちゃダメです!司令の周りにいた、心無い人が悪いんですから……!」

「だけど……お前はどういうことよ!」

45周目提督「ヒッ!?」ビクッ

巻雲(45周目)「!?」

「まんまと"あいつ"の欠片に浄化されやがって!!ふざけんじゃねえよ!!何が『表を守る』だ!私の欠片の分際で……!」

45周目提督「――」カッ

裏45周目提督「……お前のことなんか知らねえよ。俺は生まれた時から表の為に生きると決めたんだ。分かったらこれ以上表をビビらせるんじゃねえ!」

巻雲「……そうですよ!司令官様は……どちらの司令官様も、貴女のような歪んだ人じゃありません!」

「ゴミとガラクタの分際で口答えしてんじゃねえッ!!」
901 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:35:06.63 ID:aTT//Qy30
「はぁはぁ……だけど、そんな私の欠片でも上手く使いこなしてる奴もいるから分からないわよね」チラッ

42周目提督「……何でこっち見るんだよ」

「私の力の欠片が次世代へ受け継がれることで、ここまで培養されたなんてね……お前だけよ?私の欠片をモノにしたのは。人間の分際で少しはやるじゃない」

42周目提督「ほ、褒められてもちっとも嬉しくねぇ……!」

潮「大体、その力のせいで私達は酷い目に遭ったんですよ!」

羽黒「そうですよ!どれだけ多くの犠牲者が出たか……!」

「あぁ、こいつ何度も世界滅亡させてたものね。その度にこいつらが元に戻してたのは癪に障ったけど」チラッ

27周目提督「………」

「だけど、今度はそうはいかないわよ。全世界が再起不能に陥るまで、徹底的に破壊しつくしてやるもの!!」

ショタ提督「そうはさせない……!」カッ…!

名取(50周目提督……!)ギュッ

グレカーレ(私達の力も……!)ギュッ

27周目提督「お前の好きにさせてたまるかよ……!」カッ…!

吹雪「司令官……!」

「うっ、流石は全能の欠片持ち……"こいつ"と手を組まれると少し煩わしいわね。だけど今の私は全盛期を超えた存在……その程度の力なんてこうしてやるッ!!」ズバァッ!

ショタ提督「くっ……!」

名取(だ、ダメ……!)

グレカーレ(やっぱり、効いてない……!)

27周目提督(くぁっ!?こ、こいつ……俺の超能力に抗っているのか……!?)

「いくら全能と言えど所詮は欠片!今の私の力に敵うと本気で思ってるの!?余計な真似をするなら、まずはお前から殺してやろうか……!」ズォォォッ!

27周目提督「がはっ……!?」

27周目提督(頭の中に、凄まじい悪意と憎悪が流れ込んで来る……!こいつ、俺の超能力……いや、欠片を奪う気か……!?糞ッ!そうはさせるかよ……っ!)パァッ!

吹雪「そ、そんな……司令官が押されてるなんて……!」

42周目提督「ゴホッ……お、俺でさえ敵わなかった、27周目提督が……読者の間で散々『歴代最強』とか言われてたあいつが、苦戦……こいつ、どんだけ強いんだよ……!?」
902 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:37:30.12 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……っ!」パァッ…!

ショタ提督(これは相性の問題……本来、27周目提督は文字通り"全知全能"の欠片を宿している。他の存在であれば、容易く追い払うことが出来たはずだ……)

ショタ提督(だけど、相手は僕から分裂し、災厄を招く存在と化した"僕"……いくら全能と言えど、欠片程度の力では……"僕"の、絶望を司る強大な力の前には……!)

ショタ提督(……それでも、勝機が無い訳ではない。僕と彼が力を行使すれば、"僕"も相応に力を消耗する……このまま"僕"を妨害すれば、いずれチャンスが……!)

ズドォンッ!

「……あん?」チラッ

ショタ提督「……!」チラッ

見守る会「………」

「……おい。今……何をした?」

ヲ級「……決まってるでしょ」

レ級「世界を破滅するだけじゃなく、提督君達を虐めるなんて……!」

カ級「……私達が、許すと思う?」

「……黙れ。"失敗作"共が」

見守る会「っ!?」

「お前達、一体誰が生み出してやったと思ってるんだ?誰のお陰でこうして活動出来るようになったと思ってるんだ?」

見守る会「………」

「何とか言えよ!まんまと"こいつ"の欠片で悪意を浄化されやがって!あろうことかゴミとガラクタ共側につくだと!?ふざけた真似もいい加減にしろッ!!」

「お前達はゴミ共に絶望を振り撒く存在だろうがッ!!それが何だ!?争いが嫌い!?人間と結婚して餓鬼を生むだと!?殺されたいのかてめえらはッ!!」

見守る会「……うるさい」

「何だと!?」

ヲ級「私達は……好きでお前から生み出された訳じゃない……!」

レ級「訳も分からず戦わされて、戦争は嫌だと言えば迫害されて……!」

カ級「……おかしいのは、お前の方。私達はむしろ、狂った状況から抜け出すことが出来た……数少ない深海棲艦……!」

見守る会「お前のような奴に、罪の無い人々を殺める兵器と扱われるなんて……死んでもお断りだッ!!」

「……失敗作の癖に生みの親に歯向かうのね。だったらお望み通り殺してやるよッ!!」ズバァッ!

見守る会「……っ!」

27周目提督「させないって言ってるだろ……っ!」カッ

ショタ提督「もう、やめるんだ……!」カッ

「糞ッ!邪魔すんじゃねえッ!!」

見守る会(50周目提督君、27周目提督君……!)
903 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:39:02.91 ID:aTT//Qy30
(畜生ッ!このままじゃ埒が明かない!まずは1番厄介な"こいつ"を潰して……いや、待てよ?)

("こいつ"も元は私……つまり、私の半分の力を持っているということよね……)

(だとしたら、"こいつ"を取り込んでしまえば……優しさだとか、善意だとか、反吐が出るけど……無いよりはマシか)

(今の私なら、"こいつ"の力も絶望で染め上げて……自分の力として扱えるはず……!ついでに、後ろにいる奴らの魂も……!)

「……!」キッ

ショタ提督「………」

ショタ提督(こっちを向いた……?何をする気だ……?)

「……まずは"お前"から消してやる」スッ…

ショタ提督「……ッ!?」

ショタ提督(あの構えは……まずい!"あの時"と同じ……僕達を取り込むつもりなのか……!?)

ショタ提督「……!」チラッ

名取「……っ!」

グレカーレ「……っ!」

ショタ提督(ナトリとグレは僕の腕を掴んでいる……僕と共鳴し、力を送り込んでくれている……)

ショタ提督(だけど、"僕"は本気だ……!力の消耗を気にせず、僕達を取り込もうとしている……!)

ショタ提督「………」チラッ

「はぁ……っ!」ズオオオオォォォォッ…!

ショタ提督(ダメだ!僕の力では、"僕"の攻撃を防ぎ切れない……!このままでは、僕達諸共"僕"に……!)

ショタ提督「……っ」グッ…

ショタ提督(……約束、したんだ。僕は……今度こそ、ナトリを……ナトリ達を、守るって……!)

ショタ提督(もう、あんな思いを……させるものか……!ナトリ達は、必ず……守ってみせる……ッ!)

「くらえッ!!」ズバァァァァンッ!!

ショタ提督「……くっ!」ズバッ!

名取「きゃっ!?」バタッ

グレカーレ「ひゃっ!?」バタッ

名取グレカーレ(ご、50周目提督に……弾き飛ばされた……!?)

「……!」

朝風「名取さん!」

U-511「グレカーレ、ちゃん……!?」

ショタ提督(……これで良い。この距離なら、2人に"僕"の攻撃は当たらな――)
904 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:40:29.61 ID:aTT//Qy30
バシュウウウウゥゥゥゥンッ!!

ショタ提督「――うああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

「……チッ」

名取「……え?」

グレカーレ「う、嘘……」

27周目提督「……ッ!」ギリッ…!

42周目提督「ま、マジ……かよ……」

朝風「し、司令が……」

U-511「あ、あの女の子が放った……黒い、炎に飲み込まれて……」

「後ろのゴミ共を庇うなんて、また気持ち悪い真似を……まぁ良いわ。私の最大の目的はこいつだったし」

ショタ提督「うっ……っぐ、ぁぁぁぁぁぁああああああッ!?」ズォォォォォッ!!

「無駄な抵抗はやめろッ!さっさと私の糧になれッ!!」カッ…!

ショタ提督「が、はぁっ……!ナト、リ……グ、レ……皆……ぁ、ぅ……」ズォォォォ…!

名取「あ……そ、そんな……!」ガクガク

グレカーレ「や、やだ……やだぁ……!」ガクガク










ショタ提督「………」ズズズ… シュンッ…

「やっと飲み込めたか。ったく、足掻きやがって……」

名取グレカーレ「ご、50周目提督ーーーーーーーーーーッ!!」










「ウゲェッ!やっぱり気持ち悪い……だけど、やっぱり元は"私"か……あはっ、あはははははははははっ!さっきよりも力が漲ってくるわぁッ!!」

「このまま私の悪意で"こいつ"の力の性質を上書きすれば、私は更なる存在へ……そう!正に全知全能の神へと舞い戻るのよッ!!」

27周目提督「く、糞ッ……!今すぐ50周目提督を元に戻せ……っ!」カッ…!

「無駄だと言ってるでしょう?お前のようなゴミの力なんざ、雑魚中の雑魚なのよッ!!」ズォォォッ!

27周目提督「ぐああぁぁッ!?」

27周目提督(あ、頭が……いや、体中が焼ける……ッ!超能力の力に抗うどころか、自分の物にしようと……侵食してきてるのか……ッ!!)ガクガク

吹雪「し、司令官っ!」

27周目提督(だけど……あいつの中には、50周目提督がいるんだ……!絶対に、助けないと……!でないと、吹雪姉ちゃん達も危ない……!)パァ…ッ!
905 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:43:40.09 ID:aTT//Qy30
「さて、そろそろこの世界と人類、いや、全生命体を破滅に……あん?」

27周目提督「させないって、言ってるだろ……ッ!」

「しつこいな……下手に全能の力があるのは厄介ね。お前の欠片も取り込んでやろうかしら」ズォォォッ!

27周目提督「があああああああッ!?」

27周目提督(頭が、絶望で染まる……!今すぐ諦めて、死を選べという思考で埋め尽くされて……!くっそぉッ!ここで負けてたまるか……ッ!!)

吹雪「ああっ!し、司令官が……司令官がぁ……っ!」ガクガク

42周目提督「やめ、ろ……!そんなことしたら、お前まで……!」

27周目提督「だからって、諦める訳には……っぐぅ!いかない、だろ……!」

名取「あ……ぁ……」ポロポロ

グレカーレ「う……ぁぅ……」ポロポロ

朝風「名取さん!グレカーレ!」

U-511「し、しっかり……!」

3周目提督(……そうです!鎮守府に戻って、明石さんと夕張さんが開発したひみつ道具を……!)

「無駄よ」

3周目提督「っ!?」ビクッ

「流石にアレを使われたら私でもひとたまりもないもの。予め全部破壊しておいたわ。さっきの地震でね!」

3周目提督「そんな……!」

30周目提督(どうする……!?皆を僕が住んでいた世界へ避難させれば、とりあえず助けることは出来るはず……でも、それだと50周目提督さんやこの世界が……!)

16周目提督(こうなったら、タイムマシンで過去の50周目提督さん達にこのことを伝えに……だけど、そんなことをすれば因果の歪みを大きくしちゃう……!)

21周目提督「……考えていても仕方ないよ!とにかく、皆で50周目提督さんや27周目提督君達を助けなきゃ!」

歴代提督&歴代ヒロイン&見守る会「……っ!」コクッ

21周目提督「50周目提督さんを返せーっ!」バッ

9周目提督(せめて憑依することが出来れば……!)ビュッ!

マッチョ提督(18周目提督)「こ、この体なら……!」パシュッ! バッ!

24周目提督(争いは気が進みません……ですが今はそんなことを考えている場合ではありませんっ!)つ超重力砲 ズバババッ!

31周目提督「……くっ!」つ銃 バンバンッ!

33周目提督「……!」バッ!

39周目提督「……火遁の術ッ!」カッ!

「……雑魚が」ズバァッ!

マッチョ(18)・21・24・31・39周目提督「うわあああああああああああッ!?」

33周目提督「ぐっ……!」

33周目提督(痛みはないけど、凄まじい衝撃が……この女の人の、力のせいか……!)

9周目提督(くっ……やっぱりダメか……!それに皆が……!)

歴代提督&歴代ヒロイン&見守る会「皆ッ!!」

27周目提督(ま、不味い!何とか治癒能力を……!)ポウッ…!
906 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:46:09.09 ID:aTT//Qy30
春雨(18周目)「よくも……よくも司令官をっ!」ズドドドッ!

響(18周目)「……許さないよ」ズドドドッ!

葛城(18周目)「絶対に……やっつけてやるっ!」パシュパシュパシュッ!

瑞鳳「例え攻撃が効かなかったとしても……!」パシュパシュパシュッ!

不知火(24周目)「黙ってやられるほど、私達は弱くありません……っ!」ズドドドッ!

阿賀野「また提督さんに怪我させるなんて……!」ズドドドドッ!

鬼怒「絶対に許さない……!」ズドドドドッ!

山雲「司令さんを傷付けるなら……許しませんからぁ〜っ!」ズドドドッ!

朝雲「例え忍術が無くたって……!」ズドドドッ!

夕立「私達だって、強いんだから……!」ズドドドッ!

歴代ヒロイン「世界滅亡なんて……させない……!」ズドドドドドッ!!パシュパシュパシュッ!!

見守る会「よくも提督君達を……くらえッ!!」ズドドドドドッ!!パシュパシュパシュッ!!

ズガアアアアァァァァンッ!!

「……ハッ。その程度?ゴミとガラクタと失敗作じゃこれが限界か……どいつもこいつも目障りなんだよッ!!」ズバァッ!

歴代ヒロイン&見守る会「きゃあああああああああああああああッ!?」

27周目提督(み、皆……ッ!もう1回、治癒能力を……っぐ!頭が割れる……糞っ!これくらい……!)ポウッ…!

42周目提督(畜生……!ギャグ補正さえ取られてなければ、俺が滅茶苦茶に潰してやるのに……ッ!)

5周目提督「だ、ダメだ……どの攻撃も全く効いてない……!」

27周目提督「はぁっ、はぁっ……!そいつには、俺達の攻撃は……一切、通用しない……!唯一勝てる可能性があるのは、50周目提督だけ……だったんだ……ッ!」

球磨(5周目)「じゃあ、球磨達じゃ勝てないってこと……!?」

間宮(5周目)「そんな……!」

多摩(5周目)「やっぱり、50周目提督さんがいないと……」

14周目提督「でも、50周目提督はあいつに飲み込まれて……!」

翔鶴(14周目)「じゃあ、打つ手無しということですか……!?」
907 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:48:04.57 ID:aTT//Qy30
27周目提督「くっそぉ……ッ!」カッ…!

「っぐ、雑魚の分際で生意気な……だったら更に力を取り込むまでよッ!!」バッ!

27周目提督(っ!?ま、不味い!50周目提督だけじゃなく、俺達まで吸収する気か!?)

「おオオおおォおオおおオオオォおぉォおォぉおォォォオぉッ!!」ズゴゴゴゴッ…!

ザバザバザバァッ…!

全員「ッ!?」ビクッ

深海棲艦「………」フワッ…

4周目提督「……!」

川内(4周目)「し、深海……棲艦……!?それも、大勢の……!」

13周目提督「いや、でも……何だか様子がおかしいような……」

青葉(13周目)「全員、目が虚ろです……!」

17周目提督「……っ!あ、あれ……!」スッ…

北上(17周目)「どうしたの!?向こうに何か……っ!?」

妙高(17周目)「そ、そんな……!どうして彼女達が……!?」







舞風(2周目)「………」ハイライトオフ(※以下・全員)

朧(4周目)「………」

朝雲(6周目)「………」

加古(14周目)「………」

武蔵(15周目)「………」

金剛(16周目)「………」

大和(17周目)「………」

三日月(17周目)「………」

由良(20周目)「………」

那珂(21周目)「………」

鬼怒(23周目)「………」

Z3(24周目)「………」

足柄(28周目)「………」

加賀(29周目)「………」

ポーラ(30周目)「………」

神通(38周目)「………」

龍田(40周目)「………」

速吸(42周目)「えっ、ちょっ、これどうなってるんですか!?身体が浮かんでるんですけど!?」ジタバタ

由良(43周目)「………」

浜波(45周目)「………」

漣(48周目)「………」







47周目提督「どうして、舞風ちゃん達が……!?」

浜波(47周目)「ほ、他の鎮守府の私まで……一体、どうして……!?」
908 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:50:02.82 ID:aTT//Qy30
「さぁ、よこしさない……私に更なる絶望の力を……ッ!」バッ!

深海棲艦「………」シュルルルル…ッ!

失恋組「………」シュルルルル…ッ!

速吸「ひゃああああっ!?す、吸い込まれますううううぅぅぅぅ……」シュルルルル…ッ!

22周目提督(み、皆や深海棲艦達が……取り込まれていく……!?)

「あはっ、あははっ。アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!そうよ!どんどん胸の奥がドス黒い感情で支配されていくわぁッ!!」ズォォォォォッ!!

暁(25周目)「く、狂ってる……!何よ、コイツ……!司令官、絶対に私から離れないでね!?」

25周目提督「……うん」ギュッ

大鳳(22周目)(一体、彼女達に何を……!)

リベッチオ(22周目)(あいつの身体が……さっきより赤黒くなっていって……!)

照月(22周目)(深海棲艦だけならまだしも、どうして舞風ちゃん達まで……!?)

29周目提督「うっ……!?な、何だ、このとてつもなく気分が悪くなる瘴気は……!?」

長門(29周目)「……ッ!?て、提督!あれを……!」スッ

29周目提督「……なっ!?」

29周目提督(しゅ、周囲の植物が枯れて……真っ黒に染まっている……!?)

(これよ……これよこれよこれよッ!!あぁ伝わるわ!胸がきしんでいくわぁッ!!そうよ!そうよねぇ!今も苦しんでるわよねぇッ!!)

(好きな男が他の女とくっ付いて、自分はただ指を咥えて見てるだけ……愛なんてゴミ同然だけど、嫉妬という気持ちだけは理解出来るッ!!)

(これこそ私が求めていたもの!嫉妬!憎悪!殺意!あぁっ、素晴らしい!素晴らしいわぁっ!これこそ愚かなゴミ……いえガラクタ共が考えそうなことよ!!)

(辛いわよね!?苦しいわよね!?自分の気持ちが決して実らないなら、生きている意味なんてないわよねぇ!?何もかもが無意味で無価値よねぇ!?)

(だったらその願い、私が代わりに叶えてあげる!!お前達の代わりに私がこの世界を滅茶苦茶にブッ壊してやるからッ!!)

「手始めにあそこから破壊してやろうかしら!"あいつ"の思い出の場所なんでしょう……だったら盛大にブチ壊してやらないとねッ!!」スッ…

27周目提督「や、やめろ……!」

「黙れッ!!ゴミの分際で私に指図するなぁッ!!」ズバァンッ!!

ズガアアアアアアァァァァァァンッ!!

名取「……っ!」ポロポロ

グレカーレ「ぁ……」ポロポロ

朝風「嘘っ……私達の鎮守府が……」

U-511「一撃で、ボロボロに朽ち果てて……」

27周目提督(糞ッ……!すまん、皆……!俺の力が足りないばかりに……ッ!)

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャッ!そう!その顔よ!もっと見せて!そのゴミに相応しい悲しくて辛くてたまらない顔をもっと見せなさいよぉッ!!」
909 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:51:47.35 ID:aTT//Qy30
34周目提督「……っ」ガクガク

朧(34周目)(提督……)ギュッ

大井(35周目)(このままじゃ提督が……最悪、私が犠牲になってでも提督だけは逃がさないと……!)

35周目提督「も、もう……無理、だよ……」ガクガク

大井「……っ!?」

6周目提督「こ、怖いよぉ……榛名お姉ちゃん、助けてよぉ……!」ガクガク

榛名「……っ」ズキッ

4周目提督「こ、このまま……僕達、死んじゃうの……?」ガクガク

川内「そんなことないよ!私が助けるから……!」

17周目提督「ぐすっ……嫌……死にたくないよぉ……!」ポロポロ

32周目提督「や、やだよ!何でこんなことになっちゃったの!?うわぁぁぁんっ!」ポロポロ

三隈(32周目)「て、提督!落ち着いて……大丈夫、大丈夫ですから……!」ギュッ

38周目提督(……ここまで、なのか……!)ギリッ…!

皐月(38周目)(司令官……)

44周目提督(……現状を打開出来る確率は0.001%未満。全員生存は絶望的と言えるでしょう……どうして……ようやく感情を理解し、鹿島様と結ばれることが出来たというのに……!)グッ…!

鹿島(44周目)(……自分が悔しい。大好きな人が絶望しているのに、何もしてあげられないなんて……!)

46周目提督(ど、どうすればいいの……!?どうなっちゃうの……!?)オロオロ

26周目提督(……潔く諦めた方が良いか、これは)

(そうよ!もっと狼狽えなさい!絶望しなさい!お前達が希望を失えば失うほど、それが全て私の力となる……!)

名取「うっ……うぅっ……!」ポロポロ

グレカーレ「あぁっ……!」ポロポロ

名取(嫌っ!嫌ぁっ!折角再会出来たのに……今度こそ、貴方を1人にしないって……約束したのに……!)ポロポロ

グレカーレ(私達のせいで……50周目提督が、あいつに……!私達のせいで、また……離れ離れになっちゃう……!)ポロポロ

名取「………」ズォォ…

グレカーレ「………」ズォォ…

40周目提督(……っ!?名取姉さんと、グレカーレ姉さんが……)

ビスマルク(40周目)(深海棲艦に、なっていってる……!?)

木曾(40周目)(そうか……!50周目提督を失ったことに絶望して……!)

(あはっ!あまりの絶望でこいつら2人の魂が"あいつ"の欠片ごと真っ黒に染まろうとしてるのね!だったら好都合よ!さっきは失敗したけど、今度こそこいつらも取り込んでやる!)
910 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:53:46.54 ID:aTT//Qy30
「アヒャヒャヒャヒャッ!お前達のせいで"あいつ"は死んだのよ!!」

名取「……ッ!」ポロポロ

グレカーレ「……!」ポロポロ

「お前達がずーっと"あいつ"に引っ付いてたから、"あいつ"はお前達のようなガラクタを守る為に自らが犠牲になった!」

「"あの時"の私なら、その行為そのものを信じられなかったでしょうけど……考えが変わったわ。そんな愚かで無様だからこそ、私は"あいつ"を取り込むことが出来た!」

「馬鹿も扱い方によっては役立つわね!ま、私がやろうとしていることは"あいつ"の気持ち悪い思想と正反対だけど!」

名取「………」ポロポロ ズォォォ…ッ!

グレカーレ「………」ポロポロ ズォォォ…ッ!

「黙っていても全部分かるわよ!お前達からこれでもかと言う程に絶望と闇を感じる!その証拠に見なさい!お前達は私が生み出した深海棲艦になろうとしている!!」

名取「………」ポロポロ ズォォォ…ッ!

グレカーレ「………」ポロポロ ズォォォ…ッ!

レ級「名取!グレカーレ!希望を失っちゃダメ!」

ヲ級「1度あの姿になってしまったら……もう、元に戻れない……!」

「失敗作は黙ってろッ!!」

見守る会「……っ!」

「"あいつ"はとっくに私が取り込んだ!消滅した!もう2度とお前達のようなゴミ共の前に姿を現したりなんかしないッ!!」

名取「ッ!!」

グレカーレ「………」

「何てったってお前達が"あいつ"を殺したんだから!そう!お前達のせいで"あいつ"は死んだのだからッ!!」

名取「………」ズォォォォォッ…!

グレカーレ「………」ズォォォォォッ…!

朝風(な、名取さんとグレカーレの姿が……!)

U-511(半分以上、深海棲艦に……!)

名取「………」ズォォォォォッ…!

グレカーレ「………」ズォォォォォッ…!

(……これだけ刺激すれば良いか。魂もほぼ真っ黒だし……さて、お前達の絶望……糧にさせてもらう……!)スッ…
911 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:55:17.92 ID:aTT//Qy30




















名取(そう……だよ……私のせいで、50周目提督は……"彼女"に……)



グレカーレ(何の役にも立たない癖して、50周目提督の傍にいたから……)



名取(あははっ、私……馬鹿、だヨネ……自分デ約束してオイテ、それで50周目提督を死なせちゃうナンテ……)



グレカーレ(こんな馬鹿で最低な私ナンテ、今すぐニデモ……消えちゃった方ガ良いヨネ……)



名取(50周目提督……ゴメンナサイ……約束、守レナクテ……ゴメンナサイ……)



グレカーレ(謝ッテ許サレルコトジャナイケド……ゴメンナサイ……)



名取(イッソ、コノママ絶望シテ……深海棲艦ニデモ、何デモナッテ……)



グレカーレ(ソノママ、私達モ死ンジャッタラ……)



名取(50周目提督ニ……貴方ニ……)



グレカーレ(会エル、ノカナ……)



















912 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 00:57:04.15 ID:aTT//Qy30




















ショタ提督『諦め……ないで……ナトリ、グレ……っ!』


名取「……っ!?」


グレカーレ「えっ……!?」





1周目提督「諦めちゃダメだよ、皆っ!」


歴代提督「ッ!!」





神風(48周目)「皆、諦めちゃダメっ!」


歴代ヒロイン&見守る会「……っ!?」



















913 :すみません!文字色を間違えました! ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 00:58:13.66 ID:aTT//Qy30




















ショタ提督『諦め……ないで……ナトリ、グレ……っ!』


名取「……っ!?」


グレカーレ「えっ……!?」





1周目提督「諦めちゃダメだよ、皆っ!」


歴代提督「ッ!!」





神風(48周目)「皆、諦めちゃダメっ!」


歴代ヒロイン&見守る会「……っ!?」



















914 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 00:59:40.28 ID:aTT//Qy30
――


名取「今、50周目提督の声が……!」

グレカーレ「うん!確かに聞こえた……!」

朝風(う、嘘!?何も聞こえなかったけど……だけど……)

U-511(何となく、admiralが……傍にいる、気がする……)

「はぁ?今更何寝言言ってんの?"あいつ"は確かに私が……」

ショタ提督『……僕は、まだ……ここにいる……!』

「ッ!?う、嘘!?何で……何でまだ消えてないんだよ!?お前は確かに私が……!」

ショタ提督『僕とナトリ、グレとは……強い"絆"で結ばれているんだ……!』

ショタ提督『2人が生きてくれている限り……僕は、負けない……絶対に……!』

「……糞ッ!!でも今のお前に何が出来る!?仮に消滅していなかったとしても、私に取り込まれて身動きさえ取れない癖にッ!!」

ショタ提督『……確かに、僕の力は些細なものかもしれない。だけど……』

ショタ提督『こうして、最愛の人に……絆で繋がる人に、声を届けることは出来る……ッ!』

名取「――!」

グレカーレ「――!」

「……ハッ!それがどうしたというの!?たかが声を出せたところで、それが何に……なッ!?」

名取「………」キラキラ…!

グレカーレ「………」キラキラ…!

名取(あぁ、50周目提督……良かった……!生きてくれていて……!)キラキラ…!

グレカーレ(本当に、良かったよぉ……!50周目提督がいてくれるだけで、私達は……まだ、戦える……!)

名取グレカーレ(絶望なんかに、支配されたりしない……ッ!!)パァァ…ッ!

(どうして!?さっきまで深海棲艦になりかけていたのに!?"あいつ"の声を聞いただけで、元の姿に戻った……!?それどころか、魂が真っ白に輝いて……!?)

名取(……感じる。胸の奥から、温かい力が溢れ出してくるのが……!)

グレカーレ(さっきまで絶望していたのが嘘みたい……力が漲ってくる……!)

(やめろ……やめろやめろやめろッ!!この状況で希望だなんて抱いているのか!?やめろッ!!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いいいいいいいいいいッ!!)


――
915 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:01:28.64 ID:aTT//Qy30
――


1周目提督「まだ何もかもが終わった訳じゃないよ!ほら、僕も皆も生きてるでしょ!諦めるのは早いよ!」

37周目提督「そうだぞ!1しゅうめていとくの言うとーりだ!さいごまであきらめないやつが勝つんだよ!父ちゃんと母ちゃんがそう言ってた!」ニパッ

41周目提督(……1周目提督君、37周目提督君)

19周目提督「おう!俺はまだ世界中のエロ本を読破してないし、世界中のおっぱい大きな姉ちゃんと出会えてないんだ!こんなところで死ねるかってんだ!!」フンス!

38周目提督(……君はいつもそればかりだね。だけど、確かに……僕もまだ、世界のムキムキの男の人と出会えていない……19周目提督君の言う通りだよ……!)

27周目提督「俺は……絶対に、諦めない……!最後の瞬間まで、抗ってやる……ッ!吹雪姉ちゃんや、世界を守る為に……ッ!!」カッ…!

21周目提督「27周目提督、君……っく、そうだよ……僕だって、まだ……やれるんだ……!」ヨロヨロ

42周目提督「この野郎!俺のギャグ補正返せぇーっ!小ネタならまだしも本編しかも最終回で全滅ENDとか、そんな誰得鬱展開なんざ誰も望んでねえんだよッ!!」ヨロヨロ

33周目提督(元はと言えば君がまいた種と言えなくも無いけれど……でも、確かに伝わったよ。君の諦めの悪さと、どんな逆境でも突き進む不屈の心が……!)


――


神風「私は約束したもの!うんと長生きして、司令官に沢山思い出話してあげるって!だからこんなところで死ぬ訳にはいかないわ!」

松輪(41周目)(神風さん……)

那智(46周目)「そうだぞ!私はまだ後100年は生きて提督のあんな姿やこんな姿を激写したりあんなこと(意味深)やこんなこと(意味深)をするんだ!こんな訳の分からん奴に邪魔されてたまるかぁッ!!」

龍驤「こ、こんな状況でも君はブレへんな……なんか追い詰められてるのがアホらしくなってきたわ」

愛宕「私はまだ、提督へ恩返しが出来ていないわ……!」

加賀「人生をかけて、与えてくれたものを返すと決めた以上……ここで死んではいられません!」

阿賀野(……そう。そうよ……私だって、これから提督さんを支えるって決めたのに……!)

鬼怒(提督には、もう……私達しか、残されていない……もし私達が死んじゃったら、提督を悲しませちゃう……!)

潮「提督の言う通りです!最後の最後で鬱ENDだなんて!そんなことしたら読者がドン引きしちゃうじゃないですか!」

羽黒「最後だからこそパァーッと明るく締めて終わらないといけません!鬱は小ネタだけで十分なんです!」

山風(37周目)(潮も羽黒さんも、相変わらず何言ってるか分からないけど……提督の言う通り、諦めなければ……きっと、道は開ける……!)

大和「この世界は……この未来は、提督が死に物狂いで掴んでくれたんです……!その幸せな結末を壊すというのなら、私は最後まで抗います……!提督の為に……!」

大鳳「大和さんと同意見です。約50年も待ち続けて、ようやく提督が目を覚ましてくれたというのに……!」

リベッチオ「こんな奴に提督が殺されちゃうの!?そんなの認めない……絶対に認めないんだから……!」

照月「今度はもう、提督を危ない目に遭わせはしない……!死ぬ気で守ってみせるんだから……!」

鈴谷(……そうよ。弱気になってちゃダメ……!この状況で提督を守れるのは、私しかいないんだから……!)

ヲ級(……あんな奴から生み出されたなんて、考えるだけでも……身の毛がよだつ……!)チラッ

レ級(その通り!だったらさ、ここで『よくも私達を苦しめたな!』って一泡吹かせてやりたいと思わない?)チラッ

カ級(……同感。私達だけじゃない。あいつは、提督君達を苦しめようとしている……!)コクッ

見守る会(ショタ提督を見守る会として……あいつは、あいつだけは……絶対に許さない……!)キッ
916 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:05:53.62 ID:aTT//Qy30
ショタ提督『……!』

ショタ提督(皆から、希望を抱く想いが……"僕"に立ち向かおうとする、強い想いが伝わる……!)

「うぅっ!ぐぅっ……!」

(こ、"こいつ"……!内側から私の支配に抗おうとしてるのか……!?畜生ッ!そうはさせるかぁッ!!)

「お前は大人しく私の糧になれぇッ!!」ズォォォッ!

ショタ提督『っぐ……!負ける、ものか……!』

名取「50周目提督っ!」

27周目提督「はぁっ、はぁっ……!いい加減に、しろ……ッ!」カッ…!

「黙れッ!!お前諸共ブッ殺してやるッ!!」ズォォォッ!

27周目提督「あがぁぁぁぁッ!?かはっ、うああああッ!?」ガクガク

グレカーレ「27周目提督……!」

「希望なんて何の意味も無いんだよ!!今からそれを証明してやるッ!!」ズォォォォォッ!!

ショタ提督『くっ、かはっ……絶対に、負けない……ッ!!』

27周目提督「俺、だって……こんな奴なんか、に……ガハッ!吹雪、姉ちゃん達を……傷付け、させるかよ……っぐぅ!!」プルプル

名取「……っ!」ギュッ

名取(何とかしなきゃ……!何か、方法があるはず……!もしかして、私達の想いの力が足りないの……!?)

名取「っ!」キッ

朝風「ヒッ!?な、名取さん!?」

名取「お願い!今すぐ『私達は助かる!絶対に助かる!』って、強く願って!」

U-511「ど、どういうこと……?」

名取「いいから早くぅッ!!」

朝風U-511「は、はいぃぃっ!?」

朝風(わ、私達は助かる……絶対に助かる……!)

U-511(名取さん、凄い剣幕……じゃなくて、私達は……きっと、助かる……っ!)

ショタ提督(さっきよりも、力が伝わってくる……!これなら……!)

「あああああッ!やめろッ!余計なことをするなあああああああッ!!」ズォォォォッ!!

ショタ提督『うぐっ……!』

名取「……っ!」

名取(まだ、まだ足りないの……!?どうすれば、どうすれば良いの……!?お願いっ!誰か……誰でも良いから、50周目提督に……力を貸して……ッ!)カッ…!

ショタ提督『……!』

ショタ提督(ナトリから、力が放たれた……!?だけど、僕に対してではない……ッ!そうか!この力の行く先は……!)

「さっきから余計なことばかりしやがって!もう吸収なんてどうでもいい!お前からぶっ殺してやるうううううううッ!!」ズバァンッ!!

名取「……!」

グレカーレ「ナトリ……!」

ショタ提督『ナトリ……逃げて……ッ!!』
917 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:09:46.46 ID:aTT//Qy30






























――――――そうはさせない……!





























918 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:12:28.82 ID:aTT//Qy30
バシュンッ!!

「なっ……!?」

名取「……え?」

グレカーレ「い、今……何が、起こったの……!?」

ショタ提督『……っ!』

ショタ提督(……そうか。"彼ら"が……今の力を受け取った、"彼ら"が……ナトリを、守ってくれたのか……!)

歴代提督「……っ、あ、あれは……!」スッ

歴代ヒロイン「……ッ!?」

見守る会「……嘘っ!?そんな馬鹿な……!?」



48周目提督(幽体・以下全員)『良かった……間に合って……!』フワフワ…

2周目父『強い想いの力に引かれてやって来てみれば……』フワフワ…

浜風(名取の寝取り)『まさか、こんなことになっていたなんて……!』フワフワ…

曙(名取の寝取り)『ったく!何余計なことしてくれてるのよ!?折角提督が新しい世界で幸せに暮らせるところだったのに!』フワフワ…

衣笠(名取の寝取り)『本当にね!こうして助けに来て正解だったよ!』フワフワ…

伊58(名取の寝取り)『ゴーヤ達が来たからには、もう大丈夫でち!』フワフワ…

10周目母『提督っ!大丈夫だった!?』フワフワ…

10周目父『あの時は死んでしまったけど、今度は……息子を、提督を守る……!』フワフワ…

12周目母『提督の将来を奪おうというなら、私が許さない……!』フワフワ…

14周目父『ようやく息子が真っ当な道へ進んでくれた矢先にこれか……!』フワフワ…

15周目父『だが、こうして我々が来たからには……』フワフワ…

15周目母『あぁ!絶対に守ってやるさ!』フワフワ…

旧提督『そうか、こいつが深海棲艦を生み出したのか……!安心しろ15周目提督!あの時とは違って、今度は必ず守るからな!』フワフワ…

22周目父『息子は50年間生死の境目で苦しみ続けて、ようやく目を覚ましたんだぞ!?』フワフワ…

22周目母『その命を殺めようとするなら、私達が全力で守らないと……!』フワフワ…

23周目母『安心して、提督……貴方は必ず、私が守るから……!』フワフワ…

31周目父『深海棲艦……いや、その元凶か?とにかく、また提督に辛い思いをさせようとしてるのか……!』フワフワ…

31周目母『あの時は守れなかったけど、今度こそ……提督、貴方を守ってみせる……!』フワフワ…

妻『提督君……大丈夫。貴方と大井さん達は……私が絶対に守るからね……!』フワフワ…



神風「し、司令……官……!?」

1周目提督「お、お祖父ちゃん!?お祖父ちゃんなの!?」

鈴谷「て、提督が2人……!?どういうこと……!?」

2周目提督「親父……!?」

8周目提督「まさか、沈んでしまった浜風達……なのか……!?」

10周目提督「えっ……お父さんとお母さん、なの……!?」

12周目提督「お母、さん……なの……!?」

14周目提督「親父……親父なのか……!?」

15周目提督「父上、母上!?それに旧提督……!?」

22周目提督「嘘……本当に、お父さんとお母さんなの……!?」

23周目提督「……母さん、なのか……!?」

31周目提督「お、お父……さん……?お母、さん……!?」

35周目提督「妻ちゃん!?妻ちゃんなの!?えっ、嘘!?妻ちゃん!?」
919 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:14:40.17 ID:aTT//Qy30
「お、お前達は……!?どうしてここに現れた!?死んだはずでしょうが!?」

48周目提督『そこにいる名取さんの強い想いの力で、一時的に現世に引き寄せられたんだ』

48周目提督『"大切な人を救いたい"……その願いを叶えるべく、僕達はここにいる……!』

「……チィッ!たかが幽霊如き、私の力の前には無力に決まってるッ!!」ズバァンッ!!

名取「あっ、危ない……!」

浜風(名取の寝取り)『大丈夫です。私達は貴女の想いのエネルギーを沢山受け取りました……ですから……はっ!』ブンッ!

バシュンッ!!

「なッ!?」

ショタ提督『……!』

27周目提督「い、今のは……!」プルプル

旧提督『こんなちっぽけな力、片手で振り払えるぜ!』

雷(19周目)「す、凄い……50周目提督さんがあれだけ苦戦していたのに……!」

リットリオ(19周目)「あっさり跳ね返すなんて……!」

42周目提督(うっそだろお前……あっダメだ、まだ草を生やすだけの体力が戻ってない……)ヨロヨロ

「う、嘘……そんな……ッ!!」

48周目提督『皆さん!急いで50周目提督さん"達"を救出します!力を貸して下さい!』

衣笠(名取の寝取り)『もちろん!』

妻『その為に来たもの!』

15周目母『ようし!全員でかかれええええぇぇぇぇッ!!』ビュンッ!

幽霊達『おおーっ!』ビュンッ!

「お、おい!?何をする気だ!?やめっ、やめろ!来るな!来るなああああああああああッ!!」

幽霊達『……っ!』バシュンバシュンバシュンッ!

「あああああああああああああああああッ!?」

名取「ゆ、幽霊さん達が……!?」

グレカーレ「"あいつ"の中に入って行っちゃった……!?」
920 : ◆0I2Ir6M9cc [!red_res saga]:2020/02/23(日) 01:16:01.67 ID:aTT//Qy30
――"彼女"の中


ショタ提督「っぐ……!」

ショタ提督(先程より、支配が強まってきている……!何とか、ここから逃げ出さなければ……!)

ショタ提督「……!」チラッ

失恋組「………」ユラユラ…

速吸「ちょっと何なんですかここ!?真っ暗で気味悪いんですけど!?早く出して下さいよ!?」ジタバタ

ショタ提督(僕と一緒に取り込まれてしまった人達の体力も、既に限界だ……!このままでは、いずれ"僕"に取り込まれて消滅してしまう……!」

『……おーい!』

ショタ提督「……!」クルッ

ショタ提督(この声は……!)

48周目提督『大丈夫ですかー!?』

ショタ提督「……48周目、提督……それに、他の皆も……!」

48周目提督『ご無事でしたか!貴方を助けに来ました!早くここから脱出しましょう!』

31周目父『貴方はそちらの娘を頼みます!君は向こうの娘を頼む!』

15周目父『……承知した』

14周目父『分かった!』

速吸「あっ!ゴーヤちゃん!こっちこっち!」

伊58(名取の寝取り)『……速吸さんだけ妙に元気だね』

速吸「いや〜、よく分からない内にここに吸い込まれて……とにかく、助けに来てくれてありがとう!」

48周目提督『……皆さん、救出する方々の手を握りましたか?』

幽霊達『………』コクリ

48周目提督『分かりました。では、今度は50周目提督さん達を連れて外に出ましょう!行きますっ!』ビュンッ!

ショタ提督「……っ!」ギュッ

幽霊達『……っ!』ビュンッ!

速吸「あわわわっ!?ちょっと速過ぎませんか!?」

曙(名取の寝取り)「これくらいのスピードじゃないと"あいつ"の絶望から抜け出せないのよ!我慢しなさい!』

速吸「そんなこと言われても!?腕が!?腕が抜けちゃいますううううぅぅぅぅっ!?」
921 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:17:09.93 ID:aTT//Qy30
「やめろっ!?私の中で暴れるなッ!!やめろって言ってるだろうがッ!?」ジタバタ

27周目提督「……っ!」

27周目提督(身体にかかる負荷が軽くなった!?そうか、50周目提督達が……!)

名取「……っ」ギュッ

グレカーレ「……っ」ギュッ

名取(50周目提督……!)

グレカーレ(お願い、無事でいて……!)

「ガハッ!?く、糞っ!?やめろおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」カッ…!

ズバアアアアァァァァンッ!!

全員「ッ!?」

48周目提督『おまたせ、名取さん……!』

12周目母『全員、無事に連れ出すことが出来ました……!』

名取「……!」

グレカーレ「……!」

ショタ提督「……ナトリ、グレ!それに、皆……!」

名取「50周目提督……っ!」ダッ

グレカーレ「……50周目提督っ!」ダッ

朝風「司令官……!」

U-511「admiral……!」

ショタ提督「……ありがとう。ナトリとグレ、それに皆がいてくれたお陰だよ」ギュッ

名取「ぐすっ……約束、したでしょ……?今度はずっと一緒だって……今度は貴方を守るからって……!」ギュッ ウルウル

グレカーレ「私も……良かったぁ……本当に良かったよぉ……50周目提督が無事で……!」ギュッ ウルウル

23周目母『救出した人はここに……!』スッ…

失恋組「………」

歴代提督&歴代ヒロイン&見守る会(皆……良かった、無事で……!)

伊58(名取の寝取り)『こっちも救出完了でち!』グイッ

速吸「あだっ!?」

42周目提督「……何やってんだお前」

速吸「それはこっちの台詞ですよ!鎮守府で地震の後片付けをしていたら、急に変な場所に吸い込まれて……ところで提督さん、随分とボロボロですけど何かあったんですか?」キョトン

潮「………」

羽黒「………」

速吸「えぇっ!?どうしてそんな憐れむような視線を向けるんですか!?」
922 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:18:59.29 ID:aTT//Qy30
「はぁはぁ……糞ッ!!よくもやりやがったな!!もう1度取り込んで……!」

旧提督『させると思うか?』バッ

幽霊達『………』バッ

「……チィッ!!」

(こいつらがゴミやガラクタ共の前に立ちはだかるせいで吸収が出来ない!この期に及んで私の邪魔をしやがってぇ……ッ!!)ギリギリ

(……まぁ良い。今ので力の一部を失ったとはいえ、まだまだ全盛期並みの力がある。それにこいつらから絶望を吸収出来ないなら……!)ビュンッ!

歴代提督&歴代ヒロイン&見守る会「なっ!?」

ショタ提督「……!」

名取「……っ!」

グレカーレ「あっ……!」

幽霊達『……!』

(この有り余るパワーを利用して、地球の全生命体から負のエネルギーを吸収すれば良い!そして集めた力で、世界を終わらせてやる……ッ!!)

朝風「あ、あいつ……飛び去って行ったの……?」

48周目提督『……いや、違う。"彼女"は宇宙へ向かい、地球に住む全ての生き物から負の感情による力を吸収しようとしている』

U-511「で、でもっ、さっき力がいっぱい集まったって……」

ショタ提督「……恐らくダメ押しのつもりだ。この世を確実に破壊する為に、過剰な程のエネルギーを……!」

白露「だったら早く追いかけないと……!」

ショタ提督「………」

ショタ提督(先程"僕"に取り込まれてしまったせいで、絶望の支配に抗う為に……多くの力を消費してしまった)

ショタ提督(今の僕では、例え"僕"を追いかけることが出来たとしても……恐らく、かなり苦戦を強いられるだろう……)

ショタ提督(だけど、やるしかない……!僕が動かなければ、遅かれ早かれ……この世界が消滅してしまう……!)グッ…!

名取(50周目提督……)

グレカーレ(さっき"あいつ"に取り込まれたせいで……)

48周目提督『………』チラッ

48周目提督(50周目提督さん……さっき助けた時に感じたけど、やっぱり力が……だったら……!)

48周目提督『……皆さん!50周目提督さんに温かい気持ちを送って下さい!』

全員「……え?」

ショタ提督「……!」

名取「……!」

グレカーレ「……!」
923 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:19:59.56 ID:aTT//Qy30
11周目提督「あ、温かい力……?」

夕張「どういうこと……?」

27周目提督「……そう、か……そういう、ことか……!」ヨロヨロ

吹雪「何か分かったんですか!?」

42周目提督「決まってんだろ……50周目提督に、俺達の善意をぶち込むんだよ……!」ヨロヨロ

潮「善意……?」

羽黒「もっと分かりやすく説明して下さい!」

ショタ提督「……今の僕は、生き物が持つ温かい気持ち、優しさ、思いやり……善意を司る存在なんだ」

名取「なので、皆さんの温かい気持ち……特に、誰かを愛する気持ちが……!」

グレカーレ「50周目提督の、最高のエネルギー源になるの……!」

36周目提督(誰かを、愛する気持ち……)チラッ

大和「………」ギュッ

ショタ提督「……お願い。僕に……皆の気持ちを分け与えて下さい。世界を守る為に……皆を、守る為に……!」

名取(……50周目提督が受け取った力は、私達と共鳴して……全てが伝わる)

グレカーレ(つまり、単純計算で3倍の力になる……これならきっと、いや、絶対何とかなるはず……!)

37周目提督「どーゆーこと?」キョトン

山風「えっと……提督、私のこと……結婚したくらい、好き……よね……?」

37周目提督「おう!」

山風「その気持ちを、強く考えて……50周目提督さんに、伝える感じ……かな……?」

37周目提督「んー、なんとなくわかった!つまり山風姉ちゃん大すきだー!ってことを50しゅうめていとくに言えばいいんだな!」

山風「……うんっ」

歴代提督「………」チラッ

歴代ヒロイン&見守る会「………」コクリ
924 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:21:19.17 ID:aTT//Qy30
1周目提督(……僕は鈴谷お姉ちゃんが好き!大好きっ!)

鈴谷(私は提督が好き……!何があっても守ろうと思うくらいに、大好き……!)

2周目提督(……朝潮、瑞鶴。好きだ……!)

朝潮(大好きです司令官!)

瑞鶴(具体的にはコスプレさせて色々な写真を撮影したいくらいに!)

3周目提督(島風ちゃん、如月ちゃん……大好きです……!)

島風(提督……大好きっ!)

如月(し、司令官……好き……うぅ、こんな時に恥ずかしがってる場合じゃないのに……///)

4周目提督(せ、川内さん……だ、大好き……ですっ……!)

川内(大丈夫。何があっても、提督は……最愛の人は、私が守るから……!)

5周目提督(球磨も間宮さんも多摩も全員大好きだー!)

球磨(提督……大好きクマ!)

間宮(ふふっ……提督、愛してますっ)

多摩(提督……大好きにゃ!)

6周目提督(は、榛名お姉ちゃん……大好き……!だから、お願い……僕のこと、守って……!)ギュッ

榛名(……誰であろうと、私が愛する提督を……傷つけません!)

7周目提督(いつも長門姉ちゃんから守ってくれる白露姉ちゃん……好きだ!これからも一緒にいてくれ!いやマジで!)

白露(提督には私がついてないと危ないもんね……主に長門さん関係で。これからも、大好きな人を守ってあげないとね!)

8周目提督(……浜風、曙、衣笠。お前達はいつも俺を支えてくれたな……だからこそ、はっきり言える。俺は3人を愛している……!)

浜風(提督……愛しています)

曙(私達を助けようと、時と次元を超えて来てくれたのよ?誰だって好きになるに決まってるじゃない!)

衣笠(提督、大好きっ!これからも、ず〜っと衣笠さん達と一緒だからね!)

9周目提督(……龍驤お姉ちゃん。既に命を失った僕の傍にいてくれてありがとう……大好きだよ)

龍驤(幽霊?亡霊?そんなん関係あらへん!ウチは司令官が好きなんや!それだけは何があっても変わらへんで!)

10周目提督(……シオイお姉ちゃん、大好き……!)

伊401(昔は弟として見てたけど……今は違う。私は、1人の男の子として……提督のことが、好き……!)



ショタ提督「………」ギュッ

ショタ提督(……感じる)
925 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:22:17.43 ID:aTT//Qy30
11周目提督(いつもいつも変な発明品ばかり作るけど……まぁ、その、うん……好きだよ。夕張のことは)

夕張(私が何度も発明品で失敗して、その度に怒られちゃうけど……何だかんだで許して、一緒に笑い合ってくれる……そんな提督のことが、大好き……!)

12周目提督(秋月お姉ちゃんは、僕の希望になってくれた人……僕が、初めて……好きになった人……!)

秋月(今まで散々盗撮やコスプレしてきちゃったけど……これも全て愛があるからこそ!それだけでなく、隣で支えると決めたから……!)

13周目提督(青葉お姉ちゃんのこと、大好きだよ!ずっとお世話してあげたいと思うくらいに!)

青葉(私はもう、司令官無しでは生きられません……あれほどの包容力に包まれれば、好きにならない訳ないじゃないですか……!)

14周目提督(最初はボコボコにされた記憶しかないけど、それでも……俺を更生させてくれたんだ。好きに決まってるだろ……!)

翔鶴(かつての過去と罪を背負いながらも、前を向いて進む提督……そんな貴方だからこそ、好きになったのかもしれません……)ギュッ

15周目提督(……不老の道を選んでまで、ワシの隣に居続けてくれることを約束してくれたのじゃ。愛していない訳がなかろう……!)

天津風(私は提督のことを愛している。もう、貴方を孤独に取り残したりしない……これからは永遠に、私が傍にいるから……!)

16周目提督(……大好きだよ、磯風お姉ちゃん)

磯風(司令は時を超えてまで、私達を救いに来てくれた……それだけでなく、私の悩みまで解消してくれたんだ……好きになって当然だろう……!)

17周目提督(……き、北上さんと妙高さんのこと……大好き……///)

北上(こんな状況で愛の再確認とはね〜……それなら直球で言うのみ!愛してるよ、提督……!)

妙高(私の気持ちは、あの時から変わっていません……提督、お慕いしています……!)

18周目提督(春雨お姉ちゃんも、響お姉ちゃんも、葛城お姉ちゃんも……皆、大好き……!)

春雨(どんな姿の司令官でも、いついかなる時でも!私の愛は変わりません!)フンス

響(……春雨ほどにレベルの高い変態ではないけど、司令官……愛してるよ)

葛城(春雨ちゃんほどの変態にはついていけないけど……提督、好き……!)

19周目提督(例えおっぱいが無くても雷姉ちゃんのことは好きだ!そして当然、おっぱい揉ませてくれるリットリオ姉ちゃんも大好きだ!)

雷(おっぱいばかりに夢中になっちゃうのが玉に瑕だけど、それでも私は司令官のことが好き!)

リットリオ(よく私の胸に夢中になるのよね……でも、そんなところが可愛いというか……いつの間にか、好きになっちゃってたっけ……ふふっ)

20周目提督(……きっと、僕が女性で唯一……愛することが出来る人間だと思う。僕を女性不信から、救い出してくれたから……!)

五月雨(提督、安心して下さい。何があっても、私が貴方のことを愛する気持ちは変わりませんから!)



ショタ提督「………」

ショタ提督(皆、お互いのことを愛し合う気持ちが……)
926 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:23:54.02 ID:aTT//Qy30
21周目提督(……瑞鳳お姉ちゃん、大好きだよ!)

瑞鳳(強くて、可愛くて、優しくて……私は、そんな提督のことが……大好き……!)

22周目提督(大鳳姉さん、リベッチオ姉さん、照月姉さんは……僕の目覚めを、50年近く待っていてくれた、姉さん達……好きに決まってる。大好きに決まってるよ……!)

大鳳(50年間待ち続けて、目が覚めた後に自分の気持ちを自覚して……その気持ちは今も変わりません。提督、愛しています……!)

リベッチオ(もう提督さんから離れられない!それくらい大好き……!)

照月(ずっとずっと、待ち続けたんだもん……!これ以上無いくらい、好きでたまらない……!)

23周目提督(舞風はいつだって、失敗ばかりの俺を支えてくれた……そんな彼女を、俺は愛している。心の底から……!)

舞風(いつも一生懸命で、失敗してもめげずに前を向いて……そんな提督だから、私は……好きになっちゃったんだよ……!)

24周目提督(異星からやって来た私を優しく出迎えて下さった、不知火さん……この気持ちに嘘はつけません。不知火さん、お慕い申しています……!)

不知火(相手が宇宙人であろうと関係ありません。私は司令……貴方のことが、好きです……!)

25周目提督(……暁お姉ちゃん。好き……!)

暁(いつも私達の為に頑張ってくれて、何か失敗しても自分を責めて……この子は私が見ていないとダメ。好きになったからには、ずっと見守るんだから……!)

26周目提督(こんな僕のことも受け入れてくれたんだ……この先、僕は嵐以外の人を好きにならないし、嵐以外の人からは相手にもされないだろうな……)

嵐(確かに司令は色々とめんどくさがりでだらしないけど、それでも好きになっちまったもんは仕方ないだろ!誰かを好きになるのに理由なんていらないんだ!)

27周目提督(っぐ……!意識を保て、俺……50周目提督に、伝えるんだ……!俺は、吹雪姉ちゃんのことが……好きだ。あまり口に出すことはないけど、大好き……なんだ……!)

吹雪(何でも出来ちゃうほど凄い子なのに、恥ずかしがり屋さんで……それでいて、今も私達の為に頑張ってくれた……そんな司令官だからこそ、私は好きになっちゃったんです……!)

28周目提督(兄さんがいない時、いつも傍で励ましてくれた……酒匂お姉ちゃんと、電ちゃん……いつの間にか、好きになっていて……その気持ちは、今も変わらない……!)

酒匂(お義兄さん想いで、寂しくても一生懸命頑張ってくれる……だから私は、司令を支えるって決めたの……恋人として……!)

電(司令官さんの似顔絵、今も大切に飾っているんですよ?だって、大好きな人の絵だから……!)

29周目提督(……弟がいない寂しさを感じていた時、長門はいつも隣にいてくれた。だからこそ俺は……彼女を、好きになったんだ)

長門(提督……安心して欲しい。今でこそ弟さんと再会を果たせたが、私はいつだって……貴方の傍にいる。恋人として、貴方の隣に……!)

30周目提督(別世界からやって来た僕に優しくしてくれた、ヴェールヌイお姉ちゃん……えへへっ、大好きっ!)

ヴェールヌイ(司令官が別の世界の住人だったとしても、私には関係ない……司令官だからこそ、私は……好きになったんだ……!)



ショタ提督「………」

ショタ提督(僕に注がれてゆくのを……!)
927 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:25:31.00 ID:aTT//Qy30
31周目提督(あんなの酷い態度を取ってしまった、僕のことを受け入れてくれた……阿賀野さんと、鬼怒さん……僕は、決めたんだ……2人と、一緒に生きていくって……!)

阿賀野(提督さんは、深海棲艦達に騙されて……親まで失ってしまった。それでも、現実を受け入れて……前に進もうとしている。その強さに、私はいつしか惹かれちゃって……!)

鬼怒(もう提督をあんな目には遭わせない!大丈夫、私と阿賀野ちゃんで提督を守るからね!それも艦娘としてじゃなく、恋人として!)

32周目提督(三隈姉さんは、いつも俺のことをもみくちゃにしてくるけど……でも、昔から好きだったお姉ちゃんなんだ……!)

三隈(愚問ですわ!10年前からずっと、私は提督のことが大好きですもの……!)

33周目提督(……好きだよ、山雲ちゃん)

山雲(司令さんはいつもマイペースで、時々変なことをしちゃいますけど……冷静で、私のことを第一に考えてくれて……だから私は、司令さんのことが……好きになっちゃいました……!)

34周目提督(お、朧お姉ちゃん……大、好き……!)

朧(物静かで、あまり口数が多くない提督だけど……それでも、私達の為に一生懸命頑張ってくれた。そんな提督だからこそ、私は……好きになった……!)

35周目提督(妻ちゃんがいなくなって、絶望していた僕を……救い上げてくれた、大井さん……だから僕は、大井さんを……愛することに、決めたんだ……!)

大井(私では妻さんの代わりにはなれません。だからこそ、新しい妻として……提督を支えていくと、決めたんです)

36周目提督(前世という突拍子もない話を信じてくれて、ずっと支えてくれた……大和姉さん。愛してるよ……世界中の誰よりも……!)

大和(提督は自分の人生全てをかけて、私達を救おうと必死になってくれました……そんな人のことを、好きにならないはずありません……!)

37周目提督(山風ねえちゃーん!だいすきだー!大人になったらけっこんしようなー!)

山風(お馬鹿だけど、素直で朗らかで……どんな時も前を向いて突き進む……そんな提督だからかな?いつの間にか、好きになっちゃってた……!)

38周目提督(皐月ちゃんは、僕の唯一の例外。他の女性の方々には一切の恋愛感情が湧かないけど、皐月ちゃんだけは……好きになっちゃったんだ……!)

皐月(ちょ、ちょっと特殊な趣味の司令官だけど……それを除けば、優しくて仕事も出来て……うん、趣味なんて関係ないよね!僕、やっぱり司令官のことが……好き……!)

39周目提督(父上と母上の言いつけ通り……拙者は、愛する者を……朝雲殿と夕立殿を、守ってみせるでござる……!)

朝雲(忍術が使えて、ちょっと珍しい喋り方の子だけど……凄く良い子で、思いやりがある司令だからこそ……いつの間にか、惹かれちゃってたのかも……!)

夕立(忍術を悪用しようとせず、私達の役に立つ使い方をしてくれて……こんなに優しい子、好きになるに決まってるよ!)

40周目提督(……最初は仲間だから助けようとした。けど、今は違う……この世界に戻って、2人に告白されて……分かったんだ。僕は、ビスマルク姉さんと木曾姉さんのことが好きなんだって……!)

ビスマルク(命がけで私達を救いに来てくれたのよ!?これで好きにならない方がどうかしてるわ!)

木曾(こんな良い男、他にいないだろ……!自分の為に命を懸けてくれる奴なんだぞ?惚れない訳無いだろ……!)



ショタ提督「……!」ポウッ…

ショタ提督(力が漲ってくる……!)

名取「………」ギュッ

グレカーレ「………」ギュッ

名取グレカーレ(50周目提督と共鳴して、私達にも……皆の"絆"の力が伝わってくる……!)
928 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:26:26.26 ID:aTT//Qy30
41周目提督(いつも僕の料理を笑顔で食べてくれる……松輪ちゃん。僕が初めて好きになった人……!)

松輪(いつも美味しいご飯を作ってくれる司令……胃袋、掴まれちゃいました……!)

42周目提督(こんな状況で皆の想いを〜って子供向けアニメかっ!でもやるしかないんだよな!?あー、コホン。俺は潮姉ちゃんと羽黒姉ちゃんのことが好k)

潮羽黒(やめて下さい気持ち悪い!あくまでも監視役と何度言えば分かるんですか!)

42周目提督(……こんな時くらい真面目にやれよお前ら)

潮羽黒(提督〈司令官さん〉にだけは言われたくありません。でもまぁ、こんな日常も悪くないかもとは思ってますよ。ほんの少しだけ)

42周目提督(ツンデレですね分かりm)

潮羽黒(はい次いきましょう次)

42周目提督(……畜生。俺がギャグ補正無くなってるからって調子に乗りやがって……あぁダメだ。まだ身体に力が入らねぇ……)

43周目提督(……愛宕さんと加賀さんは、最初に僕を信頼してくれた。僕の役目は艦娘達を救うことだけど……その中でも、愛宕さんと加賀さん……2人のことは、特に……!)

愛宕(提督……貴方は私達を、絶望の奥底から救い上げてくれました。恋人だとか、奥さんだとか……そんな贅沢は言いません……!)

加賀(私達は、貴方に助けられた身として……貴方がくれたものを、一生をかけて返していきます……必ず……!)

44周目提督(鹿島様は、私に"感情"がどういうものかを教えて下さいました。そのお陰で、自覚出来ました……私は、アンドロイドでありながら……鹿島様に対し、恋愛感情を抱いていたことを……!)

鹿島(ロボットだとか、そんなことは関係ありません!私は提督さんのことが好き!それ以上でもそれ以下でもありません!)

45周目提督(ま、巻雲お姉ちゃん……好き、です……!)

裏45周目提督『表が心から信頼した、数少ない相手なんだ……俺も表と同じくらい、信頼している……!』

巻雲(口数は少ないけど一生懸命な表の司令官様も、少し辛辣だけど表の司令官様の為に一生懸命な裏の司令官様も……どちらの司令官様も、大好きです……!)

那智(うおおおおおおお提督きゅん愛してるぞおおおおおおおスーハースーハークンカクンカジュルジュルッ!!)ペロペロ

46周目提督(な、那智さん……頬を舐めないで……もうっ、えへへ……僕も、那智さんのこと……好き……!)

47周目提督(……僕が嫁ちゃんに苦しめられている時、いつも隣で支えてくれた……浜波ちゃん。すぐにでも結婚したいくらいに……愛しているんだ……!)

浜波(司令はずっと、あの女に苦しめられてきた。だから私が、司令を癒さなきゃ……いずれ新しい、妻として……!)

神風(……司令官。貴方が亡くなってからも、私も気持ちは……変わったことがありません。司令官……愛してる。世界中の誰よりも……!)ギュッ

49周目提督(え、えっとっ!む、村雨お姉さんのこと、大好きっ!だって、異世界から来た僕に、優しくしてくれたから……!)

村雨(たま〜に魔法で失敗しちゃうけど、舌足らずで可愛い提督……やっぱり大好き!長門さんじゃないけど、頬擦りしたくなっちゃうくらい……!)

見守る会(幼い男の子を愛する気持ちは誰にも負けない!争いなんて馬鹿がやること!愛こそ世界を平和にするのっ!)



ショタ提督「……っ!」パァッ…!

ショタ提督(胸の奥が、温かい……力強く、それでいて優しい……"善意"で満ち溢れてゆく……!)

名取(50周目提督の身体が……凄く、輝いてる……いや、50周目提督だけじゃない……!)パァッ…!

グレカーレ(私達の身体も……魂も、輝いて……!)パァッ…!
929 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:29:31.48 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「………」キラキラ…

名取「………」キラキラ…

グレカーレ「………」キラキラ…

歴代提督「す、凄い……!」

歴代ヒロイン「50周目提督(君)達の身体が……!」

見守る会「眩しいくらいに……煌めいてる……!」

ショタ提督「…………ありがとう。確かに受け取ったよ……皆の、想いを……強い"絆"を……!」

ショタ提督(これなら、"僕"と互角に戦える……!今の僕は、全盛期の頃と同じ力を……!)

名取「………」チラッ

グレカーレ「………」コクッ

名取「……50周目提督」

ショタ提督「……?」

グレカーレ「あの時、ナトリの魂を取り込んだみたいに……私達のことを、もう1度……貴方の中に取り込んで?」

ショタ提督「……!」

名取「"彼女"は今も、ありとあらゆる絶望の力を吸収しようとしているはず……」

グレカーレ「それに対抗するには、互角程度じゃダメ……それを遥かに上回るくらいの力じゃないと……!」

ショタ提督「だけど、それは……」

名取「……"信じて"」

ショタ提督「――!」

グレカーレ「私達を、信じて……!それに、例え力が十分だったとしても……貴方1人だけを、行かせたくない……!」ギュッ

名取「貴方を愛する者として……どんな時でも、一緒にいたいの……!」ギュッ

ショタ提督「………」

ショタ提督(ナトリ、グレ……あぁ、感じる……2人が僕に抱いてくれている、強い想いを……深い"絆"を……!)
930 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:30:59.13 ID:aTT//Qy30
48周目提督『……僕達もいるよ』

ショタ提督「……!」

浜風(名取の寝取り)『幽霊となった私達も、50周目提督さんに憑依すれば……』

2周目父『……君に力を貸し与えることが出来るはずだ』

12周目母『何より、大事な息子に危害を加えようとする"彼女"のことを……』

14周目父『懲らしめてやろうと思ってな』

妻『提督君を助ける為……どうか私にも、お手伝いをさせて下さい……!』

9周目提督「そういうことなら僕も憑依するよ。同じ幽霊だから、50周目提督さんの助けになれると思う」

ショタ提督「………」

名取「………」ギュッ

グレカーレ「………」ギュッ

ショタ提督(皆……)

ショタ提督「……恐らく、かなり……いや、とてつもなく危険を伴う。だけど……答えは変わらないみたいだね」

名取「………」コクリ

グレカーレ「………」コクリ

9周目提督「………」コクリ

幽霊達『………』コクリ

ショタ提督「……分かった。それなら……よろしくお願いします」

48周目提督『……皆さん!一斉に50周目提督さんに憑依を!』ビュンッ!

幽霊達『了解!』ビュンッ!

9周目提督「ようし!」ビュンッ!

シュルルルルル…ッ!

ショタ提督「うっ……!」

ショタ提督(あぁっ……!さっきよりも、身体の奥へ……"絆"の力が、染み渡ってゆく……増幅してゆく……!)
931 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:33:24.61 ID:aTT//Qy30
名取「……次は私達の番だね」

グレカーレ「……うんっ」

ショタ提督「……本当に、良いんだね?」

名取「………」コクリ

グレカーレ「………」コクリ

ショタ提督「………」

ショタ提督(言葉にせずとも、共鳴で伝わる……ナトリもグレも、覚悟を決めて……!)

ショタ提督「……はっ!」カッ…!

名取「あっ……!」パァッ…!

グレカーレ「うっ……!」パァッ…!

朝風「……!?」

U-511「……!?」

朝風(な、名取さんとグレカーレの身体が……!)

U-511(真っ白になって、admiralの身体に……光となって、入り込んで……!)

名取「………」シュパァ…ッ!

グレカーレ「………」シュパァ…ッ!

名取(あぁ、この感覚……懐かしいなぁ……"あの時"も、こうして……50周目提督の中に、入っていって……!)

グレカーレ(これが、ナトリが"あの時"経験した……温かい光で包まれて、安心する……!)

ショタ提督「………」パシュンッ…!

ショタ提督「……ッ!!」パァァァ…ッ!

歴代提督(うっ……眩しい……!)

歴代ヒロイン(50周目提督〈君〉が、さっきの何十倍も光り輝いて……だけど……!)

見守る会(この光……凄く、安心する……心が、優しさで満ち溢れていく……!)

ショタ提督「……っ」ギュッ

ショタ提督(僕の"存在"全てが、ナトリとグレとの"絆"で……"善意"で、埋め尽くされた……!)

ショタ提督(皆の、大切な人を思う気持ちが……身体全てで感じ取れる。今の僕は……)

ショタ提督「……ッ!」ビュンッ!

ショタ提督(全盛期の力を、遥かに超えた……文字通り、人の"善意"の化身と言える存在だ……!)

27周目提督(……頼む、50周目提督……!)

42周目提督(俺達ではどうしようもない、あの"性悪女"を……)

歴代提督&歴代ヒロイン&見守る会(絶対に、止めて〈くれ〉〈下さい〉……っ!)ギュッ
932 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:34:46.81 ID:aTT//Qy30
――宇宙空間


ショタ提督「………」ヒュゴォォォォ…ッ!

ショタ提督(地面が……海が、地球が……瞬く間に小さくなってゆく。早く"僕"を止めなければ……!)

名取『……50周目提督』

ショタ提督「……!」

グレカーレ『どうして、"肉体ごと"取り込んだの?てっきり、魂だけだと思ってたけど……』

ショタ提督「………」

ショタ提督(魂だけを取り込むより、肉体ごと取り込んだ方が……その人の存在が安定するから……)

名取『………』

グレカーレ『………』

ショタ提督(……というのは、実は建前なんだ。本当は……さっき、ナトリとグレが僕に言ってくれた気持ちと同じ)

ショタ提督(僕も……ナトリやグレと、ずっと……一緒にいたかったから……!)

名取『……ふふっ、分かってたよ?』

グレカーレ『こうして取り込まれた時点で、50周目提督の気持ちは全部筒抜けだもん!』

ショタ提督(……そう、だね。うん、その通り……僕も、ナトリとグレが抱いている気持ちが……全て、伝わって来る……!)

名取『……絶対に、勝たないと』

グレカーレ『世界を守って……この世界で、50周目提督と……一緒に過ごしたいから……!』

ショタ提督(……もちろんだよ。僕はナトリやグレ、そして……皆の"希望"を背負っている。必ず、"僕"を止めないと……!)

名取『……いたよ!あそこ!』

ショタ提督「……!」







「くんぬぅ……ッ!!」ズォォォ…ッ!

(あいつを……地球を、宇宙を、全てを壊せるだけの"絶望"を……ッ!!)







グレカーレ『あいつ、何やって……』

ショタ提督(……地球の全生命体から、負の感情を吸い取っている。一刻も早く止めないと……!)

ショタ提督(このままでは、"僕"は本当に全てを破壊してしまう……!そんなこと、僕がさせない……!)

ショタ提督("僕"が犯そうとする過ちは、僕の手で食い止めなければ……!)
933 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:35:50.99 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……そこまでだ、"僕"ッ!!」

「ッ!?」バッ

ショタ提督「………」キラキラ…

「ど、どうして……お前、どうやってここに来た!?さっきまでもお前はもっと雑魚だっただろ!?宇宙まで追いかけて来るだけの力なんて……!」

ショタ提督「……皆のお陰だ」

「……!?」

ショタ提督「皆が、僕に……託してくれたんだ。優しさ、愛、思いやり……そして、"絆"……」

ショタ提督「"希望"を抱く"想い"を、僕に……注いでくれたお陰だ……!」

名取『あなたのような、絶望で支配された力なんかとは……訳が違う……!』

グレカーレ『世界の滅亡なんて……私達が、許さない……ッ!』

「……絆?まだ、そんなこと言ってるのか……いい加減にしろッ!!どうして私の邪魔をするんだッ!!」

ショタ提督「……分からないのか?同じ"僕"同士だろう?」

「お前こそ"私"の気持ちなんて分からない癖にッ!!もう良い!これで全て終わりにしてやるッ!!」バッ

ショタ提督「……!」

(まだ全生命体から絶望を完全に吸収出来ていない……だけど、こいつと世界をブッ壊すには……十分過ぎる力……ッ!!)ズォォォォォッ!!

ショタ提督「そうはさせない……!」バッ

ショタ提督(皆、お願い……!僕に、力を……力を、貸して……ッ!!)

名取『もちろん!』パァッ…!

グレカーレ『言われなくても!』パァッ…!

「……ッ!?」

(あのガラクタ共……光の姿で、あいつの傍に現れて……艤装を向けた!?ハッ!!所詮はゴミとガラクタ!!私に敵うはずが無いッ!!)

「地球ごと……いや、この世界ごと消し去ってやるッ!!死ねえええええええええええええええええええッ!!」ズバァァァァンッ!!

ショタ提督「世界は……ナトリやグレ、皆は……僕が守る……守ってみせるっ!でやああああああああああああああああああああッ!!」パシュゥゥゥゥンッ!!

名取『敵艦、見ゆ……当たってえええええええええええええええええええッ!!』パシュゥゥゥゥンッ!!

グレカーレ『ぶっ放せ!Fuocoーーーーーーーーーーーーーッ!!』パシュゥゥゥゥンッ!!
934 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:38:11.92 ID:aTT//Qy30
バシュウウウウウウウウウウッ!!

ショタ提督「っく……!」

「ぐぅっ……!」

ショタ提督(お互いが放った力が……衝突して……!)

(だけど、"あの時"のように……今度は、分裂なんて……するかぁ……ッ!!)

名取(ま、眩しい……!)

グレカーレ(50周目提督と"あいつ"の力がぶつかって、光の大爆発みたいな閃光が……!)

ショタ提督「……っ!」ググッ…!

ショタ提督("僕"の"絶望"の力が……これほどに、強大だったなんて……!)

「くっそぉ……っ!」ググッ…!

(こいつの力、予想以上に強い……!だけど、こんなところで負けてたまるかぁっ!絶対殺すッ!!)

ショタ提督「……!」

ショタ提督("僕"の力から、伝わる……"僕"が取り込んだであろう、絶望で埋め尽くされた"想い"を……!)

ショタ提督(どの想いも憎悪と悪意で満ち溢れていて、油断すると……僕まで、飲み込まれてしまう……っ!)

ショタ提督(……だけど、そんなことにはならない)

名取『うぅっ……!』

グレカーレ『くぅっ……!』

ショタ提督(僕には、ナトリとグレがいる。この世で1番愛している……2人が、傍にいてくれている!)

ショタ提督(2人がいてくれれば、僕は……絶望や悪意に、負けやしない……!)

ショタ提督(それだけではない……48周目提督を始めとする、僕に"希望"を託してくれた人々の想いも背負っているんだ……!)

ショタ提督(だから、僕は……必ず、食い止めてみせる……!"僕"を、"浄化"してみせる……ッ!!)カッ…!

ズゴゴゴ…ッ!

「ッ!?」

(わ、私が押されてる……!?どうして!?どうしてどうしてどうしてッ!?)
935 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:39:15.16 ID:aTT//Qy30
「……ば、馬鹿じゃないのかッ!!どうしてお前はあんなゴミ共の為にそこまでするのよッ!!」

ショタ提督「……!」

「いや、ゴミに限った話じゃない!生物なんて、どいつもこいつも殺意と憎悪を振り撒くだけの存在だろうがッ!!」

「あんな奴らがこの世に存在して良いはずが無いッ!!だから私の手で終わらせようとしているだけなのにッ!!」

ショタ提督「……そんな訳、ないだろう……っ!」

「はぁッ!?」

ショタ提督「確かに、心無い人間も存在する……だけど、優しさと愛に満ち溢れた人だって……いるんだ……!」

「そんなの幻想よ!まやかしよッ!!現に私は奴らに散々酷い目に遭わされたッ!!それでもお前は生物の心を綺麗とほざくのかッ!?」

「あいつらは醜いことばかり考えているクズでゴミばっかりなのよッ!!そんな奴らを守るだなんて……気持ち悪い!気持ち悪いッ!!」

名取『……だとしたら、貴女も同じじゃないですか……!』

「なッ!?」

グレカーレ『そうよ!お前だって、自分勝手な理由で私達に攻撃してるじゃない!』

「黙れ!黙れ黙れ黙れぇッ!!お前らのようなゴミなんかに私の気持ちが分かってたまるかッ!!」

ショタ提督「……確かに、"僕"は不幸だったかもしれない。だけど"僕"はそれを理由にして、自分の身勝手な理屈を正しいと決め付け、人々を利用し……罪の無い人々や生物を殺めてしまった」

ショタ提督「それは決して、許されることじゃない……!だから僕が責任を持って、"僕"を浄化する!これ以上、"僕"の好きにはさせない……ッ!!」

「黙れって言ってるだろうがッ!!死ねっ!死ね死ね死ねええええええええええええええええええッ!!」カッ…!

ズゴゴゴ…ッ!

ショタ提督「……っ!」

名取『"彼女"の力が……!』

グレカーレ『さっきより強くなって……!』

ショタ提督(……だけど)

名取(私達は……!)

グレカーレ(負けない……っ!)
936 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:40:35.80 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……憎しみからは、破滅しか生まれない。不幸の連鎖しか起こらない……!」

名取『そんな想いで世界を全て破壊するなんて……絶対に、間違ってる……!』

グレカーレ『優しさ、思いやり、友情、愛……人々の温かい気持ち、"善意"こそが……明るい未来を作っていく……!』

「っぐ……!?」

(な、何で……何でなのよッ!?どうして私が押されてるのッ!?これだけ憎しみを込めて攻撃してるのにッ!!)

ショタ提督「……もう、良いんだよ。これ以上……絶望に支配されるのは、やめるんだ……!」

「……ッ!!」

ショタ提督「同じ"僕"だから……せめて、僕の手で……"僕"を絶望から解放する。浄化する……!」

「くっ、あぁっ……!」

ショタ提督「だから……どうか安らかに、眠って欲しい……"もう1人の僕"……ッ!」カッ…!

名取グレカーレ『いっけええええええええええええええええええええええッ!!』カッ…!

バシュウウウウウウウウウウウウンッ!!

「うぐっ!?あっ、ああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」











(身体中が、生温い光で覆い尽くされていく……!)

(気持ち悪い!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いッ!私から憎しみを奪うなッ!私の心に入り込んでくるなッ!)

(私から……全てを憎み、恨む気持ちを……奪って、いくなぁ……!)

(あ、ぁ……)

(………)

(……心が、生温い……いや、生温かい……誤魔化すのはやめた。温かい"気持ち"で……包まれていく……)

(今まで、殺意ばかりに囚われていた心が……嘘のように、軽くなっていく……)

(人が抱く、思いやり……優しさ、愛情……私が知らなかった、いや、認めようとしなかった……"善意"が、注がれていく……)

(あぁ……私、馬鹿だなぁ……最初に、この気持ちに触れることが出来ていれば……こんな優しい想いに包まれていれば……)

(醜い感情……絶望や憎悪に、我を忘れることなんて……なかったかも、しれないのになぁ……)

(悔しい……あぁ、悔しいな……"もう1人の私"は、この想いを注がれてきたのだから……)

(あぁ、羨ましいなぁ……だけど、今更後悔しても……遅い。私は、このまま……)

(……"もう1人の私"が持つ、"善意"に浄化されて……消えてしまうのだから――――――











スゥッ…

名取『……消えた』

グレカーレ『跡形も無く……』

名取『それに……一瞬だけ、笑顔だったような……』

グレカーレ『さっきまで、あんなに悍ましい形相だったのに……』

ショタ提督「………」

ショタ提督(……さようなら、"もう1人の僕"。どうか、安らかに……)
937 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:43:56.15 ID:aTT//Qy30
――地上・50周目鎮守府波止場


失恋組(速吸を除く)「………」

カ級「……大丈夫。気を失ってるだけみたい」

16周目提督「良かったぁ……」ホッ

磯風(万が一瀕死だったらどうしようかと思ったぞ……)

五月雨「……50周目提督さん達、戻って来ませんね」

20周目提督「うん……無事だと良いけど……」

1周目提督「……見て!」スッ

鈴谷「……っ!?」

鈴谷(さっきまで赤黒かった空が、どんどん晴れ渡って……!海も綺麗に……!それだけじゃない!破壊された50周目鎮守府も、元通りに……!)

27周目提督「……そうか。やったんだな……」フラフラ…

吹雪「司令官!無理しちゃダメです!」

42周目提督「あぁ……50周目提督、あいつをぶっ飛ばしたみたいだな……」フラフラ…

潮「……全滅ENDは回避出来たってことでしょうか」

羽黒「恐らく……」

49周目提督「で、でもっ、50周目提督さん達が戻って来ましぇん……」オロオロ

村雨(まさか、同士討ちになっちゃったんじゃ……)

龍驤「………」

龍驤(司令官、大丈夫かな……いやいやっ!好きな人を信じられへんようじゃアカンやろ!司令官は大丈夫や!絶対に!)

37周目提督「……あぁっ!おい!アレ見てアレ!」スッ

山風「え……?あっ……!」

歴代提督&歴代ヒロイン&見守る会「……!」







ショタ提督「………」キラキラ…

名取「………」キラキラ…

グレカーレ「………」キラキラ…







歴代提督「50周目提督(さん)!」

歴代ヒロイン「名取(さん)(ちゃん)!」

見守る会「グレカーレも!」

ショタ提督達「………」スタッ…

19周目提督「あいつはどうなったんだ!?」

ショタ提督「……大丈夫。僕が"浄化"したから」

雷「それって……勝ったって、こと……よね……?」

名取「……うん」

グレカーレ「かなり強敵だったけど、3人でしっかり倒してきたよ」

リットリオ「……や」

全員「やったあああああああああああああああああああああああああああッ!!」
938 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:45:29.03 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……んっ」パァッ…

48周目提督『……よいしょ』シュポンッ

神風「司令官っ!」

1周目提督「お祖父ちゃん!」

9周目提督「ただいま〜!」

龍驤「司令官!心配したんやで!」

幽霊達『……!』シュポンッ

33周目提督「……良かった。これで全員無事に揃ったみたいだね」

山雲「はい……!」

44周目提督「しかし、あの絶望的な状況を覆してしまうとは……やはり確率は参考程度と考えた方が良いかもしれません」

鹿島「そう、ですね……だけど、今回は50周目提督さん達が起こした奇跡としか言いようがありません。一歩間違えれば、本当に全滅していたかもしれませんし……」

6周目提督「良かったぁ……!うぅっ、怖かったよぉ……!」

榛名「………」ナデナデ

37周目提督「なっ!言っただろ?最後まであきらめないやつがかつんだって!」ニパッ

山風「……うん。提督の言う通り……」ニコッ

ショタ提督「………」

名取「………」

グレカーレ「………」

ヲ級「……どうしたの?」

レ級「さっきから、あまり嬉しくなさそうだけど……」

ショタ提督「………」スッ…

全員「ッ!?」

全員(ど、土下座!?どうして……)
939 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:46:50.38 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……ごめんなさい。僕のせいで……」

38周目提督「どうして貴方が謝るんですか?」

ショタ提督「僕が浄化した"僕"も……元々は、僕と同一の存在。だから、今回の騒ぎは……いや、それだけじゃない……」

ショタ提督「今まで、君達を不幸にしてしまった原因も……人類と深海棲艦が争うことになってしまった原因も、僕にあるんだ……」

皐月「いや、それは違うでしょ!27周目提督君から事情は聞いたけど、確かにあいつと50周目提督さんは元は同じ存在……なんだっけ?」

皐月「でもそれは向こうが勝手に暴走しただけでしょ?50周目提督さんは何も悪くないよ!」

ショタ提督「だけど……」

名取「………」ダキッ

グレカーレ「………」ダキッ

ショタ提督「あっ……」

名取「50周目提督のせいじゃないよ。皐月ちゃんの言う通り、"彼女"が心無い人間のせいで我を忘れただけで、貴方には何の罪も無い」

グレカーレ「そうだよ!むしろ50周目提督は私達から"あいつ"を守る為に……前世でも今も、必死に頑張ってくれたじゃない!貴方を責める人なんて、この場にいないよ!」

ショタ提督「……ナトリ、グレ」

27周目提督「第一、50周目提督が分裂する原因を作ったのはコイツだしな」

42周目提督「いやほんとマジすんません」ポリポリ

潮「申し訳ございません!うちのどうしようもないアンポンタンのせいで!」ドゲザァッ!

羽黒「私達がついていながらこんなことに!このスットコドッコイのせいで!」ドゲザァッ!

42周目提督「そこまで言うか……」

速吸「残念でもないし当然ですね」

42周目提督「畜生味方がいねぇ!!」ガクッ
940 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:47:51.52 ID:aTT//Qy30
名取「………」

グレカーレ「………」

名取グレカーレ(だけど、50周目提督が険しい顔つきの理由は……それだけじゃない)チラッ

神風「司令官っ!ほら、この子が1周目提督!貴方と私の孫よ!可愛いでしょう?」

1周目提督「えへへ〜♪」

48周目提督『……うん。ずっと、見ていたからね。神風ちゃんはもちろん、1周目父やかみかぜ……そして、1周目提督のことも……』ナデナデ

1周目提督「ん〜♪」

鈴谷(本当に瓜二つ……事情を知らないと、提督が2人いるとしか思えない……さっき私も混乱しちゃったし)

神風「それにしても、また司令官と会えるなんて……あぁ、夢みたい……!」

48周目提督『………』

神風「……司令官?」

48周目提督『………』スゥッ…

神風「っ!?」

1周目提督「あ、あれ?お祖父ちゃんの身体が……消えて……」

ショタ提督「……っ」

名取「………」

グレカーレ「………」

48周目提督『……ごめんね?僕達はあくまでも名取さんの想いの力で一時的に呼び出されただけだから、役目を終えれば……あの世へ戻らないといけない」

神風「そ、そんな……!折角会えたのに……!」

48周目提督『………』

神風「……っ」ジワッ

48周目提督『……神風ちゃん』

神風「……どうしても、逝かなきゃダメなの?」ポロポロ

48周目提督『………』コクリ
941 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:49:24.87 ID:aTT//Qy30
神風「……分かった、わ……無理を言って、ごめんなさい……」ポロポロ

48周目提督『……そんなこと、ないよ。僕だって、本当は……神風ちゃん達の傍に、いたいから……』

1周目提督「お祖父ちゃん……」

48周目提督『1周目提督……大きくなったね。しかも、僕と同じ……提督になってくれるなんて』ナデナデ

1周目提督「んっ……うん。お父さんやお母さんと一緒に、沢山勉強して……頑張って、提督になったんだ……」

48周目提督『うん、知ってる。ずっと、見てたから……鈴谷さんとお付き合いすることになったのも、ね?』チラッ

鈴谷「……!」

神風「1周目父も、かみかぜも……凄く、立派になって……先輩提督さんも、元帥として……頑張って……」ポロポロ

神風「私、も……ぐすっ……今でも、艦娘として……頑張って……えぐっ……」ポロポロ

48周目提督『……っ』ダキッ

神風「あ……っ」ポロポロ

48周目提督『ごめんね……1人残して、先に死んじゃって……本当に、ごめんね……!』ジワッ

神風「司令、官……」ポロポロ

48周目提督『だけど、死んでしまった後も……ずっと、見てたから……神風のことも、1周目父やかみかぜのことも……1周目提督や、先輩のことも……!』ポロポロ

48周目提督『神風ちゃんが歩んで来た人生を……ずっと、見てきたから……!』ポロポロ

神風「……うん、うんっ……!」ポロポロ

1周目提督「……っ」ジワッ…

48周目提督『……鈴谷さん』ポロポロ

鈴谷「……はい」

48周目提督『孫を……1周目提督を、よろしくお願いします……どうか、幸せにしてあげて下さい……!』ポロポロ

鈴谷「……もちろんです。約束します!」

48周目提督『……1周目提督』ポロポロ

1周目提督「……うん」ウルウル

48周目提督『提督として頑張る姿……ずっと、見てきたよ?これからも、無理をせずに……鈴谷さんや、おばあちゃんと……仲良く過ごしてね?」ナデナデ

1周目提督「……うんっ、お祖父ちゃん……!」ポロポロ
942 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:50:06.37 ID:aTT//Qy30
48周目提督『……神風ちゃん』スゥッ…

神風「あっ……!」ポロポロ

神風(司令官の姿が、ますます薄く……!)

48周目提督『本当は……伝えたいことが、沢山あるけど……もう、逝かないといけないから……これだけ、言うね……?』ポロポロ

神風「……うん」ポロポロ

48周目提督『僕は、今も……神風ちゃんのことを、愛してる。ずっと……ずぅっと……!』ポロポロ

神風「……私もっ!司令官のことを忘れた日なんて……1日も、ない……!例え離れ離れになっても、私の気持ちは変わらない……!」ポロポロ

神風「司令官……好き。大好き……世界で1番、愛してる……!」ポロポロ

48周目提督『………』スゥッ…

神風「……!」ポロポロ

神風(首から下が、消えて……)

48周目提督『ありがとう……そう言ってもらえただけで、僕は……世界一の、幸せ者だよ……』ポロポロ

神風「……私、も……!」ポロポロ

48周目提督『これからも……ずっと、見守ってるからね……!』ポロポロ

スゥッ…

1周目提督「あっ……」

鈴谷(提督のお祖父さん……消えちゃった……)

神風「……うぅっ、あっ……司令、官……しれぇかんっ……ぐしゅっ、えぐっ……!」ポロポロ

1周目提督「……お祖父ちゃん……ぐすっ……」ポロポロ

鈴谷「……っ」ウルッ

神風(……司令官。もう1度、私の前に現れてくれて……ありがとう……!また、会えなくなっちゃうのは寂しいけど……)ポロポロ

神風("ずっと愛してる"……この言葉を貰えただけで、私は……頑張れるから……!)ポロポロ

神風(だから、天国で待っててね……!思い出話、沢山してあげるからね……!)ポロポロ
943 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:50:59.29 ID:aTT//Qy30
2周目提督「……親父」

2周目父『立派になったな……その調子で、朝潮達と頑張れよ……!』スゥッ…

2周目提督「……あぁ、約束する。親父の意志は、必ず継いでみせる……!」

朝潮瑞鶴(お義父さん……!)

――

浜風(名取の寝取り)『提督、この世界では幸せになって下さいね……?』スゥッ…

曙(名取の寝取り)『提督を頼んだわよ、この世界の私……!』スゥッ…

曙「……えぇ、任せて」

衣笠(名取の寝取り)『天国から見守ってるからね……!』スゥッ…

伊58(名取の寝取り)『すぐにこっちへ来ちゃダメでちよ!』スゥッ…

8周目提督「……ありがとう。皆……もう1度、会いに来てくれて……本当に、ありがとうな……!」ポロポロ

浜風(沈んでしまった私達の分は、必ず……!)

衣笠(私達が、幸せにしてみせるからね……!)

――

10周目父『提督だけを残して死んでしまって、ごめん……本当に、ごめんな……!』スゥッ…

10周目母『シオイちゃん……提督のこと、よろしくお願いします……!』スゥッ…

10周目提督「お父さん、お母さん……!」ポロポロ

伊401「……もちろんです。任せて下さい!」

――

12周目母『お父さんが迷惑をかけてごめんなさい……!でも、今頃は地獄で苦しんでると思うわ』

12周目母『秋月ちゃん……私の分まで、提督の愛情を注いであげて下さい……!』スゥッ…

12周目提督「お母さん……」ポロポロ

秋月「……はい、お任せ下さい!」
944 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:51:37.25 ID:aTT//Qy30
――

14周目父『悪かった……俺が早くに死んじまったせいで、お前や母さんに迷惑かけて……』

14周目提督「親父、俺の方こそ……あんな情けない姿を見せちまって……」

14周目父『だが、もう立ち直ったんだろう?そこにいる翔鶴さんのお陰で……』

翔鶴「………」

14周目提督「……あぁ。こいつのお陰で、俺は……」

14周目父『翔鶴さん……息子を頼む。俺の分まで……』スゥッ…

翔鶴「……はい。もちろんです!」

――

15周目提督「父上、母上……旧提督……!」ジワッ…

15周目父『……すまなかった。お前だけを残して逝ってしまって』

15周目母『私も……出来れば、ずっと傍にいてやりたいけど……』

旧提督『どうやら、あの世へ戻らないといけないようだ……』

15周目提督「そんな……折角、会えたのに……!オラ、ずっと……ずっと、父上達にもう1度会いたいと思ってたのに……!』ポロポロ

15周目父『男がそんなことで泣くんじゃない。お前にはもう、守るべき女がいるだろう』

15周目提督「……!」

天津風「………」

15周目母『あんた……この時代では、そういう発言を時代錯誤って言うんだよ。でも、そこにいる女の子を守ってやれというのは同感だね』

旧提督『俺では成し遂げられなかった分を……お前に託す。どうか、新しい15周目鎮守府を……栄えさせて欲しい』

15周目提督「……分かった。分かったよ……父上、母上……そして、旧提督……オラ、頑張るから……ずっと、頑張るから……!」ポロポロ

15周目父『……その言葉を聞いて安心したぞ』スゥッ…

15周目母『あんたのことは、いつまでも見守ってるからね……』スゥッ…

旧提督『天津風……だったか?15周目提督のことを、頼んだぞ……!』スゥッ…

15周目提督「ぐすっ……うぅっ……!」ポロポロ

天津風「………」ギュッ

天津風(当然じゃない。私はもう、提督とは……永遠に一緒にいることを、選んだもの……!)
945 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:52:29.51 ID:aTT//Qy30
――

22周目母『……ごめんね、提督』

22周目父『後3年耐えていれば……目を覚ました提督と、対面することが出来たのに……』

22周目提督「……お父さん、お母さん」ジワッ

22周目父『大鳳さん、リベッチオちゃん、照月ちゃん……どうか、提督のことを……よろしくお願いします……!』スゥッ…

22周目母『提督が孤独を感じないよう……傍に、いてあげて下さい……!』スゥッ…

22周目提督「……っ」ポロポロ

大鳳「……分かっています」

リベッチオ「あの時から……手紙を貰った時から、ずっとそのつもりです……!」

照月「安心して下さい、お義父さん、お義母さん……提督のことは、絶対に1人にしませんから……!」

――

23周目母『……立派になったわね、提督』

23周目提督「母さん……」

23周目母『ごめんなさい……貴方に、母親として……傍にいてあげられなくて……』

23周目母『舞風ちゃん……提督のこと、よろしくお願いします……!』スゥッ…

舞風「……もちろんです!私がずっと提督の傍にいますから!」

――

31周目父『……ごめんな。あの時、父さん達が奴らに殺されていなければ……!』

31周目母『提督に、こんな辛い思いをさせずに済んだかもしれないのに……!』

31周目提督「……お父さん、お母さん」ジワッ…

31周目父『阿賀野さん、鬼怒さん……提督を奴らから救ってくれて、ありがとう……本当に、ありがとう……!』

31周目母『もし、貴女達が助けてくれなければ……この子はきっと、深海棲艦達に……!』

阿賀野「………」

鬼怒「………」

31周目父母『どうか、これからも……この子を、お願いします……!提督、天国から……見守ってるからね……!』スゥッ…

31周目提督「……っ」ポロポロ

阿賀野「……もちろんです」

鬼怒「提督は……この子のことは、私達が……絶対に、守ります……!」
946 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:53:42.01 ID:aTT//Qy30
――

35周目提督「妻、ちゃん……」ポロポロ

妻『ごめんね……こうして現実で再会出来たのに、また……貴方の傍を、離れることになっちゃって……』ジワッ…

35周目提督「何で……折角、会えたのに……!また、会えたのに……っ!」ポロポロ

大井「………」

妻『私だって、本当は……離れたくないよ……ずっと、提督君の傍にいたいよ……!』ポロポロ

妻『だけど、それは無理なの……!今だって、身体がどんどん消えていって……あの世へ、戻されちゃうから……』ポロポロ

35周目提督「ぐしゅっ……ひっく……!」ポロポロ

妻『……大井さん』ポロポロ

大井「……はい」

妻『あの時、夢の中でも言ったけど……もう1度、言うね?どうか、提督君のことを……よろしくお願いします……!』ポロポロ

妻『私が出来なかった分まで、提督君のことを……幸せに、してあげて下さい……!』ポロポロ

大井「……言われなくても、そのつもりです。貴女の代わりにはなれませんけど……新しい妻として、提督を……ずっと、支えていきますから……!」

妻『……良かった。提督君……いつまでも、見守ってるからね……!』スゥッ…

35周目提督「あっ……うっ、うぅっ……!妻ちゃん……妻ちゃぁん……!うあぁぁっ……!」ポロポロ

大井「………」ギュッ

大井(安心して下さい、妻さん。今度は私が、提督を守っていきますから……そして、いずれは……提督と一緒に、貴女へ会いに行きますから……!)



ショタ提督「………」

ショタ提督(これは、本当に奇跡なんだ……ナトリが"僕を救いたい"と、心から願ってくれたお陰で……)

ショタ提督(既にあの世へ旅立った人の魂を、一時的とはいえ……現世に呼び戻すことが、出来たのだから……)

名取「……っ」ギュッ

名取(再会を果たし、再び別れなければならないことに……皆、涙を流しているけれど……)

グレカーレ「………」ギュッ

グレカーレ(同時に、確かに感じる……あの世へ逝ってしまった人と、生き続ける人の間に……確かな"愛"が、"絆"があることを……)
947 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:55:06.85 ID:aTT//Qy30
47周目提督「……?あれは……」スッ…

浜波「……?」チラッ

キラキラ… キラキラ…

浜波「雪……?いや、でも……それにしては、凄く輝いているような……」

ショタ提督「……"欠片"」

全員「……!」

名取「………」

グレカーレ「………」

ショタ提督「あれは、僕と"もう1人の僕"からばら撒かれた……力の"欠片"」

名取「私達がさっき、死ぬ気で"彼女"とぶつかり合って……その時に、また……以前のように、散らばっちゃって……」

42周目提督「結局そうなるのかよ……んんっ!?」シュポンッ…!

42周目提督「おっ……おぉっ!急に身体が軽くなったぞ!これは正しく俺のギャグ補正の力!よっしゃあっ!俺にギャグ補正が返って来たぜ!」ガッツポ

潮羽黒「……は?」

ショタ提督「……彼に、先程まで持っていた……"もう1人の僕"に吸収された力が、再び……宿ったんだ」

潮羽黒「嘘でしょ!?じゃあ私達はまたあの騒ぎに巻き込まれることになるんですか!?」

42周目提督「そもそも俺からギャグ補正を抜き取ったら1周目提督と同じ無個性主人公になるだろうが!そんなの安価取ってくれた読者に申し訳無いだろ!?」

潮羽黒「被害受けるこっちの身にもなって下さいッ!!」

速吸「あ、あはは……」

ショタ提督(……欠片の加護を受け取ったのは、彼だけじゃない)チラッ

吹雪「し、司令官……!身体の傷が……!」

27周目提督「……いつの間にか、治ってる……?」キラキラ…

21周目提督「僕達の傷も……!」キラキラ…

見守る会「それに、枯れた植物も元通りに……!」

名取(50周目提督の"欠片"や、この子によって浄化された"彼女"の"欠片"が降り注ぐことで……)

グレカーレ(傷付いた人達の身体や心を癒し……心身共に、元気に満ち溢れる状態に……)
948 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:56:08.60 ID:aTT//Qy30
ショタ提督「……だけど、全てを完全に浄化出来た訳ではない」

全員「……!」

ショタ提督「"もう1人の僕"そのものは浄化することが出来たけれど……絶望があまりに強大過ぎて、浄化しきれなかった"欠片"も存在しているんだ」

名取「恐らく、その欠片から……再び、深海棲艦が生まれてしまいます」

見守る会「……貴方の力で、もう1度浄化出来ないの?」

ショタ提督「……ごめんなさい。さっき、"もう1人の僕"を浄化する時に……この身に宿った力の大半を使ってしまって……」

ショタ提督「今の僕は、自分の姿を具現化し……この世に存在させ続けることだけで、精一杯なんだ……」

全員「………」

グレカーレ「だけど、その"欠片"も多かれ少なかれ浄化されてるはずだから……奴らの強さや脅威は、かなりマシになってるはず」

名取「それだけではありません。もしかすると、私達が戦わずとも……お互いに話し合って、和解することも出来るかもしれません」

全員「……!」

ショタ提督「……お願いします。皆……これからも、どうか……"もう1人の僕"が残してしまった、深海棲艦から……人類を守る為に……」

1周目提督「……もちろんだよ!」

ショタ提督「……!」

29周目提督「俺達は海の平和を守る為に提督になったからな」

36周目提督「それだけではありません。大和姉さん達、艦娘の心の支えとしても……僕達がいなければなりませんから」

長門「私達も提督達と同意見だ。50周目提督……こうして貴方から生み出されたからには、最後までその使命を果たす」

大和「そんなに自分を責めないで下さい。貴方が私達を生み出してくれたお陰で……私は36周目提督という、最愛の人と出会うことが出来たのですから」

ヲ級「それに、貴方がいてくれたお陰で……私達も、絶望に呑まれることは無かった」

レ級「理由も無く人類と争うのはおかしいって気付くことが出来たからね!」

カ級「……ありがとうございます、50周目提督……さん……」

ショタ提督「………」

ショタ提督(皆……)
949 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:56:57.88 ID:aTT//Qy30
名取「そして、もう1つだけ……お願いがあるんです」

全員「……?」

名取「さっき、幽霊の皆さんが言っていましたけど……50周目提督の力の源は、人々の"善意"……"温かい気持ち"なんです」

グレカーレ「だからね?これからも、好きな人とはめいっぱいイチャイチャして欲しいの!」

全員「……!」

グレカーレ「そうすれば、50周目提督が皆の愛を分けて貰って……力を蓄えることが出来るから!」

那智「だとしたらウチは大丈夫だ!いついかなる時でも提督とラブラブチュッチュしているからな!」スリスリスリスリ

46周目提督「んっ……那智さん、くすぐったい……♪」

見守る会「私達も常に幼い男の子への愛で満ち溢れているから大丈夫!///」ハァハァ

名取「……それなら良かったです」ニコッ

グレカーレ「これなら大丈夫だよね?50周目提督」

ショタ提督「……うん。人々が愛し合ってくれれば……僕にも、その"絆"が伝わって……より一層、人々を幸せに導くことが出来る……!」

ショタ提督(僕は、皆からの"善意"を分け与えてもらいながら……これからも、人々の幸せを守る者として……活動を、続けていく……)

名取「……でも」ギュッ

グレカーレ「それだけじゃないよ?」ギュッ

ショタ提督「……!」

名取「私達だって……私だって、貴方のことを……愛しているからね?」

グレカーレ「何せ前世からの繋がりだもん!他の皆に負けないくらい……ナトリに負けないくらい、愛してるっ!」

ショタ提督「……ナトリ、グレ」

名取「……50周目提督」

グレカーレ「50周目提督っ!」
950 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 01:58:37.70 ID:aTT//Qy30






























「……今度は離さない。未来永劫、ずっと……一緒だからね?」


「私もっ!50周目提督、絶対に離れないからね!」


「……もちろんだよ。僕も、ナトリやグレのことを……愛しているから。これからもずっと……一緒に、いよう……!」


――僕(私)達は……永遠に、魂に刻まれた"絆"で……繋がっている。それは、どれほどの時が経とうと……永遠に……!





























名取・グレカーレ HAPPY END!
951 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 01:59:55.46 ID:aTT//Qy30















「――――こうして、50周目提督は名取やグレカーレと共に、不滅の愛を誓いながら……永遠に一緒だったとさ。めでたしめでたし」

「わぁ……!すっごく面白かったよ!お父さん!」

「あはは……そう言ってもらえると、話した甲斐があったよ」

「他の皆も、人々と深海棲艦が仲良く出来る世界を目指す為に頑張り続けるんだよね?」

「そうだよ。だからこそ、今のように……味方になってくれた深海棲艦が、少しずつ増えてきているんだ」

「うんっ!この前のニュースでもそう言ってた!でもこの話って、昔話なんだよね?じゃあ、お父さんが実際に体験したこと?」

「そうだよ。あの時は大変だったなぁ……本当に、世界の危機だったからね」

「だけど、私が今……ここにいるってことは、何とかなったんだよね?」

「うん。皆で力を合わせたお陰でね?」

「……ねぇねぇお父さん。その後のこと、もっと詳しく聞きたい!」

「え〜?でも、もう夜も遅いし……」

「お願い〜!」

「どうしようかな……」




「……あれ?2人共、まだ寝てなかったの?」

「あっ、お母さん!」

「それがね?この子にあの時……世界が終わりそうだった時のことを話したら、寝付くどころか逆に興奮しちゃって……」

「あらあら……でも、私もその話……聞いてみたいかも」

「えぇっ!?」

「じゃあさ!2人でお父さんの話、たっくさん聞こうよ!」

「ふふっ、それ……良いかも♪」

「やれやれ……これじゃ皆で夜更かしすることになっちゃうなぁ」

「たまには良いじゃない。ね?」

「うんうんっ!」

「……そうだね。たまには仕方ないか。よし、それじゃ……どこから話そうかな?えっと……まずは――――」














952 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 02:01:05.31 ID:aTT//Qy30






























「こんにちは!今日から――周目鎮守府で活動することになった……――周目提督ですっ!」



――――あの事件から――年後、新しく着任した……あの子の話をしようかな?





























953 : ◆0I2Ir6M9cc [!美鳥_res saga]:2020/02/23(日) 02:02:07.36 ID:aTT//Qy30





*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜     *・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜





















――――Fin.





















*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜     *・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜




954 : ◆0I2Ir6M9cc [saga]:2020/02/23(日) 02:03:50.59 ID:aTT//Qy30
ついに……ついに完結致しました。5年間応援して下さった皆様には、本当に感謝しきれません!
最後なので書きたい要素を詰め込み、歴代提督&歴代ヒロインを全員登場させたら……案の定、人数と文量がとんでもないことになってしまいました。まさかの70レスとは……!
非常に長い上に、やや駆け足気味の展開・描写になってしまい申し訳ございません。

ちなみにグレカーレが失恋していた場合、"彼女"が失恋組と共にグレカーレを取り込んでしまいます。
その後、"彼女"の姿がグレカーレに変化し、提督や名取にグレカーレの絶望を言い放つことで、提督達を徹底的に追い詰めるという展開になっていました。

これにて『ショタ提督に好かれたい』は終了です。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
次回作についてですが、1度は考えつくもお蔵入りになっていた『学園もの』にする予定です。スレタイは今のところは『提督「安価とコンマで学校生活」』にする予定です。
システム等はこのスレをほぼ流用する予定です。ただ、進行形式は多かれ少なかれ変更するかもしれません。
ただ、バランス調整や進行をどうするかはまだ決めかねていますので、しばらくお時間をいただくことになるかもしれません。

それでは……ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!よろしければ次回作でお会いしましょう!
955 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 02:10:42.12 ID:EVXlPB9jO
超乙!
新作にも期待
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 02:14:11.50 ID:Gjaai1IMo
ありがとうございました!!
やりきりましたね…!
五年…この物語と共に居れて本当に良かったですっ
お疲れ様でした!
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 02:35:06.52 ID:7060LUCIO
ラストに相応しい最凶のラスボスだったな・・・本当に乙!
まさか27週目提督とか42週目提督がガチ苦戦するとは思わなかったゾ
しかも48週目提督とか妻ちゃんも登場するし、マジでこのssの集大成ですげえ見応えあったわ!
この5年ずっと楽しませてもらった!次回作も期待してる!
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 09:47:02.19 ID:x1pxJiizO

一周目から追ってたこのスレもとうとう完結したか
感慨深いな
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 11:00:18.81 ID:T0qqhuTo0
超乙ですありがとうございました!
案の定速吸だけなんか別枠扱いでなんか逆に他の失恋組からの評価が気になってきた
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/23(日) 21:28:06.98 ID:WKg5sYTr0
途中から参加したんだけど
長かったような短かったような
楽しい時間をありがとうございました
次回作も期待しております
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 05:17:48.71 ID:z225/XJpO
乙。ずっと読んできただけに終わって淋しい
46周目で吹き出したり8周目で涙腺にきたり
>>1はシリアスもギャグも上手いからどの周も面白かった
誰か言ってたけど某野球バラエティー並の密度というかカオスさというか
新作ではどんな感じのストーリーになるか楽しみ
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 23:32:33.44 ID:Rv0ONity0

しかし42周目の安価とった時はここまでやらかすとは思わなかったんだよなあ
963 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/24(月) 23:55:09.91 ID:hLHgW5EZ0
このスレの二大戦犯小ネタNTRと42週目提督
何が凄いってNTRは8週目提督がタイムリープするのに繋がってるし42週目提督はラスボス•深海棲艦誕生に繋がった事
964 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/26(水) 02:36:31.95 ID:aj+XhqaN0
このラスボスにとって「出番無し」は不幸のうちにはいらなかったんですね
965 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/04(土) 00:05:58.95 ID:cgrGzbLR0
誰もwikiを更新しないので簡易的にですが記述しました
もしよろしければ加筆誰か宜しくお願いします
966 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/04(土) 00:41:17.54 ID:IgNRwacdo
お疲れ様でした
967 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/30(金) 15:03:24.14 ID:fEnslebS0
5年…かなり続きましたね
968 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/03/06(日) 19:53:38.23 ID:66wCw3u20
お疲れ様でした、
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