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白雪千夜「私の魔法使い」
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◆KSxAlUhV7DPw
[sage]:2020/02/04(火) 21:16:11.85 ID:ldlfMP+C0
「ぎゃあっ!? えっ、ちとせ? 何してるんだよ!?」
「やっと気付いてくれたぁ……」
首筋に痛みは感じないまでも、何かを突き立てられた感触と微かな薔薇の香りに振り向くと、ちとせがものの見事にふてくされていた。
千夜も目を丸くしているということは、示し合わせての連係プレイではないらしい。
「楽しそうにお喋りしちゃってさ……仲良しなのはいいけどね」
「こいつと仲良くなった覚えは……それよりお嬢さま、まだレッスンの時間のはずですがお身体の具合でも?」
紅茶のお代わりを淹れるくらいの猶予は残されていたはずなので、レッスンが早く終わったというよりも中断して帰されたといった方が正しそうだ。
よく見ると顔色は悪くなさそうだが、覇気というべきかオーラというべきか、人目を引かせるちとせ独特の存在感が薄まっている気がする。とにもかくにも元気がない。
「えっと、とにかく座ったら? 俺の後ろなんかに立ってないで」
「ううん、今日はもう帰らせてもらったからすぐ出ていくつもり。それより1つだけ、千夜ちゃんも……聞いて?」
思えば誕生日パーティーの時にも予兆はあった。自宅で倒れた時といい、一時的なものかと見過ごしていたことを後悔する。
弱々しく微笑むちとせに花弁が散っていくような儚さがつきまとい、何となくこれからプロデューサーと千夜に伝えようとしていることの予想がついた。
この世界は、そこまで綺麗になどできていない。いつか千夜が言っていたのを思い出す。
「……騙してこれてたのに、カラダが言う事を聞いてくれなくなっちゃった。次の舞台……私、出られないや」
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