高森藍子「す〜……」北条加蓮「藍子の寝ているカフェテラスで」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:51:15.74 ID:ntV3JYJ40
――おしゃれなカフェテラス――

高森藍子「す〜……」zzz


北条加蓮「あぁ、やっぱりここだよね……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1584352275
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:51:36.51 ID:ntV3JYJ40
レンアイカフェテラスシリーズ第110話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・北条加蓮「Zzz...」高森藍子「加蓮ちゃんが寝ているカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「色々思い浮かべるカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「春隣のカフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「ふきげんなホワイトデーのカフェで」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:52:11.97 ID:ntV3JYJ40
加蓮「よっと」スワル

加蓮「……」ジー

藍子「すぅ……」zzz

加蓮「……やっほー、藍子」

藍子「むにゃ……♪」zzz

加蓮「ふふっ。手枕のせいで微妙に寝顔が見えないけど……今、笑ったでしょー?」

加蓮「寝顔、見えたところでなんにもしないけどね。藍子の寝顔なんて、思い浮かべられるくらいには見てるし」

加蓮「……」

加蓮「……いや、ホントになんにもしないよ? なんにもしないってば」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:52:43.40 ID:ntV3JYJ40
加蓮「……、」(頬杖をついて少しだけ身を乗り出す)

藍子「く〜……」zzz

加蓮「ふわ……。私まで眠くなっちゃった」

加蓮「これだけぽかぽか陽気だもん。お昼寝しちゃうのもしょうがないよ」

加蓮「……」チラ

藍子「すぅ……」zzz

加蓮「んー……」ゴシゴシ

加蓮「……ふふっ」ナデナデ

藍子「……えへ……」zzz

加蓮「さらさらー」

加蓮「あと微妙に熱い……。ずっと太陽に当たってるから?」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:53:12.63 ID:ntV3JYJ40
加蓮「よく、藍子が冗談で私のことをお姉ちゃんって言ったりするけど……」

加蓮「こうしてると、ホントにそんな感じ」ナデナデ

加蓮「頼られるのも、お姉ちゃんって……冗談でも言われるのも、けっこう好きだし」

加蓮「前に、藍子はそれじゃ嫌だって……っていうより、それじゃ足りないなんて言ってたことも、あったけどさ」

加蓮「どうなんだろうねー……」

加蓮「……もう、なんていうかさ」

加蓮「近ければなんでもいいや……なんて、思っちゃうこともあるし」

加蓮「でも、それってちょっといい加減なのかな、とも思って……」

加蓮「たまに……今の関係が崩れても、もし、藍子と今までのように話せなくなったとしても」

加蓮「今の関係を、また変えてみようって……」

加蓮「正面から、ちゃんと言ってさ。藍子のことが大好きだよ、って」

加蓮「感情を投げつけるだけじゃなくて、投げ捨てるのでもなくて、受け止めてもらうために言ってみるのも、いいかな、って……」

加蓮「……」

加蓮「……いいかもしれないけど、今は力が……うー。抜けてく感じー……」ノビー

加蓮「この場所の、この快晴は、そーいう真面目なお話をする為じゃなくて」

加蓮「一緒にゆっくりしたり、お昼寝したりするための天気だもんね」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:54:12.04 ID:ntV3JYJ40
加蓮「ふわ……」

藍子「く〜……」zzz

加蓮「……昨日早めに寝ておいてよかったぁ。夜ふかししてたら、絶対5秒で寝てた」

加蓮「いいんだけどね、寝ても」

加蓮「いいんだけど……なんか悔しいし?」

加蓮「あははっ。何が悔しいんだろ」

藍子「……ムニャ……」

加蓮「……他のどこでもなくて……藍子、ここに居ちゃったか」

加蓮「それも悔しいなぁ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:54:43.03 ID:ntV3JYJ40
<ぴろりんっ♪

加蓮「スマフォ……あ、やばっ。音消しとかないと。起こしちゃう」カチッ

加蓮「えーっと。グループチャット……。げ、奏から」

加蓮「愛しのお姫様は見つけられたかしら――」

加蓮「だから愛しのじゃないっての。それにお姫様って……」

加蓮「そう映るのも分かるけどさ。藍子は童話の幻想なんかじゃなくて、確かにここにいるのに」

加蓮「……ま、一応返信しとくけど」ポチポチ

……。

…………。

<ブルブルッ

加蓮「"それはよかった"。……詮索はしない、って顔してそう」

加蓮「なら、いっか」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:55:12.98 ID:ntV3JYJ40
<カラ...

加蓮「……?」チラ

加蓮「あぁ、店員さんがドアを開けた音だ……」

加蓮「……なんであの人店内との出入り口のところで立ってまごまごしてんだろ。そのまま私の方見てるし」

加蓮「あ、そっか。私が来たから注文を聞きに来たいけど、藍子を起こしちゃうかもって思ってるんだ」

加蓮「しょうがないなー。じゃ、私の方からそっちに行って、」

藍子「……かれんちゃん……」zzz

加蓮「あ。起きた?」

藍子「……すぅ……」zzz

加蓮「起きてない」

加蓮「……」

藍子「す〜……」zzz

加蓮「置いていくなと?」

藍子「……ぅん……」zzz

加蓮「ホントに寝てるんでしょうねこの子……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:55:42.36 ID:ntV3JYJ40
加蓮「絶好のお昼寝日和だけど、さすがに突っ伏せて寝ちゃうと眠りも浅くなるのかな」

加蓮「だったら、中に入ればいいのに。そしたら横になれるし、店員さんだってブランケットを貸してくれるでしょ」

加蓮「ま、日向ぼっこしたくなる気持ちは分かるけどね」

加蓮「これだけ晴れてるのに室内にいるなんて、もったいないもんっ」

加蓮「さてと。店員さんも本格的に困りだしたし、そろそろ行ってあげなきゃ――」

藍子「かれんちゃん……」zzz

加蓮「…………」

藍子「……すぅ……」zzz

加蓮「…………寝てるんだよね?」

藍子「す〜……」zzz

加蓮「ったく、藍子ってば」アハハ

加蓮「どうしよっかな。あ、そうだ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:56:12.58 ID:ntV3JYJ40
加蓮「えーっと」(メニューを開く)

加蓮「ん」(ドリンクのコーヒーの欄を指差して店員さんの方に向ける)

加蓮「ん」(ぺこっと軽く一礼する)

加蓮「……お、伝わったっぽい? かしこまりましたって顔で戻っていった」

加蓮「ふふふ。我ながらナイスアイディア♪」

加蓮「……」

加蓮「……しまった。これ、店員さんがコーヒーを持って来てくれた時にどうするの」

加蓮「藍子が私のことを呼び止めて(?)るのに、強引に取りに行ったら、起きた時にすっごい拗ねられそう」

加蓮「……さすがにその時になったら起こそっか。でも、そしたら今度は店員さんが困っちゃうかも。自分のせいで、気持ちよさそうに寝てた藍子を起こしちゃった、って」

加蓮「難しいなぁ……」

加蓮「ま、いっか。その時になったらどうにかしよ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:56:42.34 ID:ntV3JYJ40
加蓮「んーっ……」ノビ

藍子「……ムニャ……」zzz

加蓮「っふう」

加蓮「頭ゆるっゆる……」

藍子「す〜……」zzz

加蓮「……、」

加蓮「……なんか、うずうずする」

加蓮「なんでだろ」

加蓮「藍子を起こしたい」

加蓮「っていうより叩き起こしたい」

加蓮「いやいやいやいや」

加蓮「こんなに気持ちよさそうに眠ってるし、寝言で名前を呼んでるってことは、なんか夢の中に加蓮ちゃんが出演してるっぽいし?」

加蓮「顔は見えないけど、どうせこう」

加蓮「にへぇ」

加蓮「みたいな顔で幸せに浸ってるんでしょ?」

加蓮「それを妨害するのは……ちょっと、ね?」

加蓮「それに、藍子ちゃんの貴重な寝姿が見放題だよ? 藍子が起きたら見れなくんだよ?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:57:42.37 ID:ntV3JYJ40
加蓮「……、」

加蓮「やっぱダメだ。藍子を起こしたい……!」ウガー

加蓮「おっかしーなぁ。まだ来て5分も経ってないのに」

加蓮「5分も我慢できないとか、私はいつからパッションアイドルになったんだか」

加蓮「試しに送ってみよっかな。茜もまだいる筈だよね」

藍子「……ムニャ」zzz

加蓮「私、今日からパッションアイドルになったよー」ポチポチ

加蓮「……、」

加蓮「……やめとこ。思いつきで死ぬのはさすがに、やめとこ」サクジョ!
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:58:12.53 ID:ntV3JYJ40
加蓮「でも、変なの」

加蓮「なんでこんなに、藍子のことを起こしたくなるんだろーね」

加蓮「大した話がある訳でもないのに」

加蓮「あー、うずうずするー」

藍子「すぅ……」zzz

<カラ...

加蓮「ん、店員さんだ」

加蓮「……春の香りの中に、遠くからのコーヒーの匂いが少しだけ混じって……。すっごく綺麗な感じになったね。これも、カフェテラスのいいところなのかな?」

加蓮「そしてやっぱり店員さんは困ってるみたい。そうだよね」

加蓮「放っておいたらコーヒーは冷えるし、私の注文を無視する訳にもいかない。だけど、こっちに来たら藍子を起こすかもしれないんだよね」

加蓮「……、」

藍子「……むにゃ」

加蓮「……よしっ」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:58:42.48 ID:ntV3JYJ40
加蓮「店員さーんっ。コーヒー、こっちこっち!」

<!?

藍子「……むにゃ?」パチッ

藍子「いま、かれんちゃんの……声……?」ムクッ

加蓮「ふふっ。おはよう、藍子?」

藍子「はい……。おはようございます……。あれっ?」ゴシゴシ

加蓮「……あーごめん店員さん。20秒、30秒待ってあげてー!」

藍子「加蓮ちゃん? ……ええと……ここって、加蓮ちゃんの、家? ……あさ?」

加蓮「違う違う。ほら、周りをよく見渡してみて?」

藍子「う〜ん……?」キョロ

藍子「うう〜ん……」キョロキョロ

藍子「ここは……カフェ、ですね……。ふわ」

加蓮「はい。ここはカフェです」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:59:12.20 ID:ntV3JYJ40
藍子「いつものカフェの……。テラス席……?」

加蓮「大正解。起き上がれる? ほら、顔でも洗ってきなさい。お手洗いの場所は分かるでしょ? 寝ぼけたままの顔を他の人に見せちゃうの?」

藍子「ん……。ちょっと、あらってきます……」

加蓮「……ついてった方がよかったかな? ま、いっか」

加蓮「ん? 今の私、ナチュラルにお姉ちゃんっぽかった?」

加蓮「じゃあそんな感じでいたいのかなぁ。もしかして」

加蓮「特別な関係とかじゃなくて、姉妹ごっこの関係、または本当に家族みたいな……」

加蓮「……分かんないや。100%分かってたら、3月の晴れの日とか関係なく藍子に言ってるよね」

加蓮「あぁ、店員さん。コーヒーありがと」

加蓮「藍子は……ほら、藍子ちゃんの起きてすぐの顔は、ファンには見せられないでしょ?」

加蓮「ふふふ。悔しい? 悔しいでしょー。あんなに無防備で、いつもよりふにゃふにゃの藍子ちゃんを見ていいのは私だけだもんねっ♪」

加蓮「……あ、ちょっ、こら! 無言でコーヒーを持って帰ろうとするな! ……藍子の分と一緒に持ってきますって、あの子まだ注文してないでしょ! そーいう小賢しい言い訳はやめなさい!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 18:59:42.99 ID:ntV3JYJ40
……。

…………。

藍子「ただいま戻りましたっ」

加蓮「お帰りー。目、覚めた?」

藍子「少し歩いたら、頭がぼんやりしなくなりました。顔も洗ったので、ばっちりですよ」

加蓮「歩いた時に、身体が"お散歩だっ"って気付いたのかもね」

藍子「ふふ。そうかもっ?」

加蓮「暖かい日に外を歩くのもいいけど、広いお店の中を歩いてみるのもいいんじゃない? ウィンドウショッピングじゃないけどさ」

藍子「歩き回れるくらいに、広いカフェがあったらいいなぁ……」

加蓮「へぇー? カフェマスター藍子ちゃんでも知らないカフェはあるんだ」

藍子「むっ」

加蓮「あははっ。怒った」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:00:12.09 ID:ntV3JYJ40
藍子「む〜。……あっ。大切なことを、言っていませんでした」

加蓮「大切なこと?」

藍子「こんにちは、加蓮ちゃん♪」

加蓮「こんにちは、真面目な藍子ちゃん」

藍子「そして、もう1つ――」

加蓮「ん?」

藍子「おはようございます、加蓮ちゃんっ」

加蓮「うん。おはよー。ぐっすり寝てたね?」

藍子「ぽかぽか陽気にあてられて、つい。でも、今はばっちり目覚めましたよ〜」

加蓮「それはよかった」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:00:42.94 ID:ntV3JYJ40
藍子「くすっ♪」

加蓮「相変わらず、何もないのに嬉しそうだね?」

藍子「ありましたよ。とっても嬉しかったこと」

藍子「起きたら、目の前に加蓮ちゃんがいたことっていう、とっても嬉しかったことが♪」

加蓮「……。その加蓮ちゃんに寝顔をバッチリ見られてたけどねー?」

藍子「えっ。あ……!」

藍子「って……。加蓮ちゃん、今、嘘をつきましたよね?」

加蓮「うっわ。即見抜いてくる?」

藍子「誤魔化している時ならまだしも、嘘をついている時の加蓮ちゃんはとってもわかりやすいですから」

加蓮「寝起きなのに侮れないね……ちぇ。藍子には言われたくなーい」

加蓮「藍子、手を枕にして突っ伏せて寝てたから、寝顔なんて全然見えなかったし」

藍子「そういうことだったんですね。よかった」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:01:12.46 ID:ntV3JYJ40
藍子「あっ、店員さん♪ こんにちは。……はいっ。おかげさまで、気持ちよくお昼寝させてもらっちゃいましたっ」

加蓮「改めてコーヒーさんきゅ……って、え、わざわざ淹れ直した感じ? そこまでしなくてもよかったのに……」

藍子「私も何か注文しちゃおっかな……?」

加蓮「これ飲む? 寝起きだし」スッ

藍子「ありがとう、加蓮ちゃん。でも、それは加蓮ちゃんが飲んでください。店員さんが、加蓮ちゃんのために淹れたコーヒーですから」

加蓮「それもそっか」

加蓮「……えっとさ。私、店員さんの前で失礼なことしちゃった?」

藍子「ひょっとしたら、しちゃったのかもしれませんね」

加蓮「……」

藍子「じ〜」

加蓮「……店員さん、ごめんね? ちゃんと味わって、いただきます」ズズ

藍子「ふふ。そうしてあげてください。私は何にしよう……。では、紅茶で♪」

加蓮「よろしくー」フリフリ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:01:42.48 ID:ntV3JYJ40

□ ■ □ ■ □


藍子「そういえば、加蓮ちゃん。どうしてここに……? 確か、今日は約束していませんでしたよね?」

加蓮「ん……」ズズ

加蓮「それはね」コトン

藍子「それは?」

加蓮「家に1人でいたら、なんだか急に……藍子に、会いたくなっちゃったから」

加蓮「ここに来れば、藍子に会えるかなって……。ふふっ」

藍子「加蓮ちゃん――」

藍子「……だから。加蓮ちゃん? 加蓮ちゃんが嘘をつく時って、すっごく分かりやすいんですよ?」

加蓮「騙されてよー」

藍子「ダマされませんっ」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:02:14.01 ID:ntV3JYJ40
加蓮「じゃあ……。うーん。そうだねー。……寝起きドッキリ?」

藍子「それも今考えた加蓮ちゃんの嘘ですよね!?」

加蓮「あははっ」

藍子「結局、本当の理由って――あっ、店員さん。紅茶、ありがとうございますっ」

加蓮「春の香りにコーヒーの風味、そこへやってくる紅茶の大人っぽい匂い……。なんだか、またOL風コーデを試したくなるね」

藍子「ずず……。OL風コーデって、前にカフェの奥の席に座った時の?」
※第58話

加蓮「それか、もうちょっとだけ大人っぽい感じの……。カーディガンとか、ワンピースドレスとか?」

藍子「いつものネイルも、もうちょっとだけ大人な色になりそうですねっ」

加蓮「今日はつけてないけどね」ヒラヒラ
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:02:42.93 ID:ntV3JYJ40
加蓮「大したことじゃなくてさ。家で1人でいたんだけど、スマフォで色々話してて」

藍子「ふんふん」

加蓮「奏とか茜とか、あと撮影の休憩中だったっぽい未央とかがいて」

藍子「ふんふん」

加蓮「で、ちょっと藍子の話になったの」

藍子「……私のお話?」

加蓮「そ。奏がさ、藍子のカフェコラムを読んだんだって」

藍子「奏さんが……」

加蓮「参考になるって言ってたよ」

加蓮「それから、藍子の名前が出たものだから自称あーちゃんマイスターが話に乗っかってきて」

藍子「ま、マイスター……」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:03:12.26 ID:ntV3JYJ40
加蓮「最近藍子と遊んだ話とか、一緒にぶらぶらしたこととか、写真を撮ったこととか――」

加蓮「まあそういう自慢話が並んでるのを見てね?」

加蓮「なんかちょっと悔しいし」

加蓮「あとはまぁ……。一緒にぶらぶらしたって話がやたら具体的でさー」

加蓮「外を見たらすごく暖かそうだし。藍子も今日オフだってことは知ってたし」

加蓮「ちょっと抜けるねって書いたら、奏が速攻見抜いてきてさー」

加蓮「さっきも、愛しのお姫様は見つかったかしら? なんて送ってきて――」

藍子「……えっと。それってひょっとして、私のことですか?」

加蓮「みたいだねー。お姫様っ」

藍子「も、もう。変なこと言わないでくださいよ〜」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:03:42.08 ID:ntV3JYJ40
加蓮「で――」

藍子「……?」

加蓮「……」

藍子「……加蓮ちゃん?」

加蓮「……、」

加蓮「……ごめん、今の話全部ナシにさせて」

藍子「へ?」

加蓮「私がここに来たのはね――」

加蓮「藍子に会いたくなったから。理由、全部これ」

藍子「……わ」ポカン
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:04:12.54 ID:ntV3JYJ40
加蓮「ずず……。コーヒー、ごちそうさまっ」

藍子「…………」ポカーン

加蓮「んーっ。ホント、暖かくなったねー。ひなたぼっこかぁ……」

加蓮「お母さんが、アイドルを頑張るのはいいけどたまにはのんびりすればいいのに、って嫌味っぽく言ってたなぁ……」

加蓮「藍子ちゃんでも誘ったら? とか言ってたっけ。あははっ。ホントはお母さんが会いたいだけのくせにー」

藍子「…………」

加蓮「……えーっと。藍子? なんで私をじーっと見て、ずっと瞬きしてんの?」

藍子「……あ、いえ。ごめんなさい。ただ、ちょっぴりびっくりしちゃって」

加蓮「びっくり?」

藍子「加蓮ちゃんが、ものすごく素直なことを言うから――」

加蓮「こら。私を何だと」

藍子「だってっ。いつも、難しい言い回しを使ったりはぐらしかしたりして、すぐ本心を隠すからっ」

藍子「急に、正面から言われて……びっくりしてしまいました」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:04:42.45 ID:ntV3JYJ40
藍子「でも」

藍子「加蓮ちゃん。ありがとうっ」

加蓮「別に。私は私のやりたいことをやっただけなんだけど?」

藍子「♪」

加蓮「あーあ。気が抜けたり緩んだりするのって怖いね。普段は言わないようなこととか言っちゃうし」

藍子「そんなにも、自分の言ったことを否定しなくても……」

加蓮「まして言った後に、あーすっきりした、言ってよかったー、なんて思っちゃうもん」

藍子「素直に、自然体でいるのって、そういうことですからっ」

加蓮「もっと素直になれと?」

藍子「はいっ」

加蓮「…………いい笑顔で言うね」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:05:12.33 ID:ntV3JYJ40
加蓮「藍子の言いたいことは分かるけど、やめとく。そーいうのは、もっと自分が綺麗になってからってことで」

藍子「……加蓮ちゃんは、もうすっごく綺麗な女の子だと思いますよ?」

加蓮「ふふっ。そうじゃなくて」

藍子「もしかして、見た目や外見のことではなくて、心のこと?」

加蓮「はい大正解ー」

藍子「それこそ、見た目と同じくらいに綺麗だと思うのに……」

加蓮「難しいものだよ。心にたまったドロドロを全部掻き出すのって」

加蓮「どんなに昔の自分と今の自分が違っていても、変わることができても、人間は一瞬じゃ変われないもん」

加蓮「溜まりきったのを全部外に出せばいいってものじゃなくて、自分の中に溜まっていくシステムがあるみたいな感じなんだ」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:05:42.59 ID:ntV3JYJ40
加蓮「そんな綺麗じゃない人間が、思ったままのことをべらべら喋るようになったら……」

加蓮「本心じゃなかったり、思ってもいないことなのに、ただただドロドロが呪いの言葉になって」

加蓮「緩んだ心をすり抜けて、出ていっちゃうかもしれないでしょ?」

加蓮「それで周りの人を傷つけるのは、私は嫌だなぁ……って思うから」

加蓮「だから、そーいうのは、もっと自分が綺麗になってからってことで」

藍子「……。……でも、それなら」

加蓮「うん。解決方法は知ってる」

藍子「時間――」

加蓮「うん」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:06:12.68 ID:ntV3JYJ40
加蓮「あるいは、こういうところでのんびり日向ぼっこをしてれば、もっと早く浄化できるかもね」

藍子「……なんだっ。加蓮ちゃん、結局、ここでのんびりしたいって言いたいんじゃないですか〜」

加蓮「え、違……」

藍子「さっきみたいに、お話の途中であちこちに寄り道しちゃったけれど、最後に言いたかったのはそれなんですよね?」

藍子「春の日の猫さんみたいに、あたたかくて静かなところで、ごろんってなって――」

藍子「ですよねっ」

加蓮「…………」

藍子「加蓮ちゃん」

藍子「加蓮ちゃんの目が、濁ってしまう前に。そういうことにしちゃいましょ?」

加蓮「……」

藍子「ねっ?」

加蓮「……敵わないなぁ」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:06:42.82 ID:ntV3JYJ40
藍子「それとも――加蓮ちゃんが、ゆっくりのんびり、時間に解決を任せてしまうのが苦手なら」

藍子「いっそ、ぜんぶ体の外に出してしまうのも、いいかもしれません」

加蓮「……」

藍子「ほらっ。今は、ぽかぽか陽気ですもん。加蓮ちゃんの言う、ドロドロ? とした言葉を言っちゃっても、すぐに溶けてなくなっちゃうかもしれませんよ」

加蓮「……言いたいこと……なんだけど、たぶん、言わない方がいいんだろうなってことが1つ……2つ、あるんだけどさ」

藍子「はい」

加蓮「片方はいいの。今は、違う意味で言いたくない。もう片方のこと」

加蓮「普段なら絶対言いたくないし、藍子のことを困らせるだけだって分かってるし、人としてホントに最悪で、面倒くさくて、言ったところでどうにもならないような――」

加蓮「そんなこと。今言っちゃっていい?」

藍子「はい、どうぞ――」

藍子「あ、待ってっ」

藍子「すぅ〜……」

藍子「……うん」

藍子「はい、どうぞ」

加蓮「……えー。肩の力を入れられると逆に言いにくくなるんだけど。まぁいっか」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:07:12.79 ID:ntV3JYJ40
加蓮「1人でここに来るなら、そして私も今日オフだって知ってるなら、ここに来る時、誘ってほしかったな」


藍子「…………」

加蓮「藍子に会いたいって思った時にね。実は、最初に来たのはここじゃないんだ。最初に思いついた場所は、ここだったんだけど――」

加蓮「その前に、色んなところを探してみたの。えっと……藍子の家と、事務所と、前に教えてくれた靴屋……かな?」

藍子「……探させちゃったんですね」

加蓮「ううん。私が、敢えて周り道をした」

加蓮「ここに来れば藍子に会える、ってなんとなく分かってて、だけど、ここにいなければいいのに、って思っちゃった」

加蓮「思った通りに、藍子はどこにもいなくて――」

加蓮「ここに来たら、やっぱりここにいた、ってなったの」

藍子「…………」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:07:41.99 ID:ntV3JYJ40
加蓮「私にとって――」

加蓮「私にとって、ここは藍子との2人の場所だから」

加蓮「でも、藍子が1人で来ちゃうのなら」

加蓮「藍子にとっては、そうじゃないのかなって」

加蓮「そんな現実を、叩きつけられるような気がして」

加蓮「……でも」

加蓮「気持ちよさそうに寝てる藍子を見たら、そんな棘のような思い込み、すぐ消えてってさ。心地よくなっちゃった」

加蓮「ここがカフェテラスで、今日が快晴で、最近暖かくなってきたからかもね」

藍子「…………」

加蓮「ね? こんなこと言われても困るでしょ?」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:08:14.03 ID:ntV3JYJ40
加蓮「っていうか私だってこの前1人でここに来てるもん。言ってること、おかしいよね」

加蓮「……素直になったり、気が緩んだり、自然体に身を任せたり」

加蓮「そういうのはいいことだと思うし、ちょっとのんびりしたりリラックスしたりっていう時間も大事だと思う。大事だって、分かってるつもり」

加蓮「ただ……ほら。緩んだ気持ちのままいたら、こんなさ」

加蓮「藍子と一緒の時間を過ごしたい、っていう気持ちが暴走して」

加蓮「心にもないこととか、終わった後のこととか、すごく身勝手なこととか。つい言っちゃうかもしれないでしょ?」

加蓮「そうやって藍子を困らせるのは、好きじゃないから」

加蓮「だから、そーいうのは私がもっと綺麗になってから」

加蓮「ふふっ。また周り道をしちゃった。言いたいことはそんな感じっ」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:08:42.61 ID:ntV3JYJ40
加蓮「あ、誤解しないで。今の話――今の"余談"は、本当に、半分くらい心にも思ってないことだから」

加蓮「自分の中から何かが溶けだして、流れ出て、気が緩んで、出ちゃっただけのものだからね」

加蓮「さすがにそーいう重たい女にはなりたくないし」

藍子「……、」

藍子「……嘘をついている目では、ないんですね」

加蓮「嘘つくの好きじゃないもん」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:09:12.41 ID:ntV3JYJ40
藍子「……」

藍子「……」

藍子「……それは、加蓮ちゃんがちょっと思ったことで、心からの本音ではなくて、終わったこと」

藍子「だから私は、今のお話は、……聞いちゃったから、忘れることは難しいかもしれないけれど……気にしないでおきますね」

加蓮「ん。ごめんね? 棘を移しちゃって」

藍子「ううん。……ふふっ。そんなの、今さらじゃないですか」

加蓮「それもそっか……」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:10:14.10 ID:ntV3JYJ40
>>35 申し訳ございません、5行目の加蓮のセリフを一部修正させてください。
誤:加蓮「ん。ごめんね? 棘を移しちゃって」
正:加蓮「ん。ごめんね? 棘を感染させちゃって」


……。

…………。

藍子「〜♪」

加蓮「……うぁー。やっぱ言わなきゃよかったぁ……。言って何になるのとかちゃんと考えればよかったー……」

藍子「もうっ。まだ落ち込んでる……。ほら、店員さんがココアを持ってきてくれましたよ」

加蓮「さんきゅ……」

藍子「これを飲んで、嫌な気持ちも、ひっかかってしまったことも、ぜんぶ流してしまいましょうっ」

加蓮「うん……」ズズ

加蓮「もっと明るい話がしたいー……。もっと前向きになりたいー……。藍子ー、お願いー。なんかそーいうお話してー」

藍子「…………」ジトー

加蓮「突っ伏せてるから見えないけど、藍子が冷たい目をしてるのは分かる……」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:10:42.39 ID:ntV3JYJ40
藍子「それとも、さっきの起きたばかりの私みたいに、少し歩いてみるとかはどうでしょう。そうしたら、気持ちもしゃきっとするかもしれません」

加蓮「あれは藍子がお散歩魂を持ってるからだと思うよ」

藍子「……お散歩の、たましい?」

加蓮「足を動かすことによって、あ、お散歩の時間だ、って身体が反射的に反応できる魂」

藍子「な、なるほど。……もしそんな魂が本当にあるのなら、きっと加蓮ちゃんの中にも宿っているハズですっ」

加蓮「えー」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/03/16(月) 19:11:22.25 ID:ntV3JYJ40
藍子「そうだ。そういえば、加蓮ちゃんはここに来る前に、色々な場所を回ってきたんですよね?」

藍子「明るいお話って言うのなら、その時のお話、聞いてみたいなっ」

加蓮「話って言われても……大したことないよ?」

加蓮「せいぜい、事務所に行ったら大人組がこの前のホワイトデーの話をしてたこととか、靴屋に行ったらなぜか私のことを知ってる店員がいて藍子から聞いたって言われたこととか、藍子の家に行ったら藍子のお母さんが――」

加蓮「あれ、結構いっぱいある」

藍子「その中なら……まずは、事務所のお話を聞いてみたいですっ」

加蓮「事務所かぁ。大人組withウサミンがいてさー、なんだか深刻そうにしてたからちょっと聞き耳を立てちゃったんだけど、ホワイトデーの話をしてたみたいなの。それで――」

藍子「ふんふん……♪」


【おしまい】
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