メイプル「ここがインフィニット・デンドログラムかぁ」

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1 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 19:28:57.00 ID:7PAluBHS0
今回は短めのはずだぜェェェェ! かァァァァァァ!

インフィニット・デンドログラム五巻までのネタバレにほんわか注意

防振り×インフィニット・デンドログラムです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1584786536
2 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 19:36:29.21 ID:7PAluBHS0
2043年某月某日

楓「……買っちゃったよ」

楓(今の私の中にあるのは、ちょっとの後悔と少しの期待と、そして理沙との約束を守らないとなという使命感)

楓(目の前にあるのは、ヘルメット型のヘッドギア)

楓(無限の系統樹と銘打たれたVRゲーム、インフィニットデンドログラムへ入るための専用ゲーム機……らしい)

楓「まあ、先に行って待ってるらしいし。早く行ってあげないとな」カブリカブリ

楓(あとはスイッチを押して、と――)カチッ




チェシャ「はーい、ようこそいらっしゃいましたー!」

楓(……ん?)

楓「あ、あれ!? 私、なんでこんな場所に!?」キョロキョロ

楓「えっ、嘘! もうここゲームの中!? 凄い!」ワタワタ

チェシャ「こんなところでテンション上げられてもなー」
3 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 19:42:00.04 ID:7PAluBHS0
楓「あ、初めまして」

楓(猫……?)

チェシャ「あ、急に落ち着いたね。うんうん、挨拶を返せる人好きだよ」

チェシャ「初めまして。ボクはチェシャ。管理AI十三号」

楓「……管理AI?」

楓(凄い普通に話せてるけど、今時のAIってこんなものなのかな?)

楓(あ、そうだ。確か理沙の言うことだと……ここでキャラメイクするんだったよね)

チェシャ「描画はどうする?」

楓(理沙のオススメは確か……)

楓「そのまま、で」

チェシャ「んじゃあ、キャラメイクと行こうか。最初に名前を決めて貰える?」

楓「ええっと、じゃあ……」




メイプル「メイプル。私の名前は、メイプルで」

メイプル(……まあ安直だけど、理沙も本名ちょっともじっただけとか言ってたし、いいよね)

チェシャ「じゃあ次にアバターの作成と……」テキパキ
4 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 19:51:35.51 ID:7PAluBHS0
十五分後

チェシャ「とまあこんなもんかなー」

メイプル「おおー」

メイプル(……なんか限りなくリアルと似たような容姿な気がするけど、気にしない方向で行こう。うんうん。身バレしないしない)

チェシャ「じゃ、次はエンブリオを移植するよ!」

メイプル「えんぶりお?」

チェシャ「あれ。最近の子はここでテンション上げるんだけどな。事前情報とか見てないの? ま、いいか」



シュイイイイイイインッ バシュウウウウッ



メイプル「うえっ!? 何これ! 手の甲に……宝石? いや、ガラス!?」

チェシャ「エンブリオの説明を始めるよー。どう考えても事前情報を知らないみたいだしねー」

チェシャ「エンブリオはキミだけの武器とかパートナーとか、まあうん。そういうのだ!」ビシイッ

メイプル「説明が雑くない!?」ガビーンッ

チェシャ「今は第ゼロ形態。進化すると、キミのパーソナリティに合わせた形に進化するんだ」

チェシャ「大まかなカテゴリーは武器型のTYPE:アームズ、魔物型のTYPE:ガードナー、結界型のTYPE:テリトリー」

チェシャ「建物型のTYPE:キャッスル、乗り物型のTYPE:チャリオッツとかだね。進化するとここから更に分化するけど」

メイプル「へー」

メイプル「……ところでガードナーってどういう意味ですか?」

チェシャ「へ?」

メイプル「『ガードナー』なんて英単語、ないですよね? 何語なんですか?」キョトン

チェシャ「……」

メイプル「いや、他のカテゴリーが全部英単語だから、これだけ英単語じゃないってのもちょっと変だなぁ」

メイプル「一体どういう意図の……」






チェシャ「インフィニット・デンドログラムはキミを歓迎する!!!!!!!」


ズアアアッ


メイプル「えっ、待っ……落ちっ……ええええええええええええええっ……」ヒュウウウウッ

チェシャ「……キミみたいな勘のいい子、好きだよ」
5 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 20:01:36.22 ID:7PAluBHS0
王都アルテア南門前

メイプル「う、うううん……」モゾモゾ

メイプル「ハッ!? ビックリした! 死ぬかと思った!」ガバリッ

メイプル「……どこ、ここ? ちゃんと待ち合わせ場所の近くなんだよね……?」キョロキョロ

メイプル(あ。城門。じゃあ一応、アルテアの近くではある……のかな)

メイプル「……待ち合わせ場所まで急がないと」スタスタ






王都アルテア内部

メイプル「うわあっ……何コレ、凄い! 本当にゲーム!? 凄いリアリティ!」キョロキョロ

メイプル(ちょっとした旅行気分だなぁ。いや、ちょっと心細いんだけど。いくら何でもリアルすぎでしょ)

メイプル(早く理沙と合流しないと)スタスタ

リリアーナ「あっ」バッ

メイプル「えっ」

メイプル(角から人影が……やば、避けられな――)



ドガシャアアアアアアアアアアッ



メイプル「べばぶぎゃべっ」ドシャァァァァ

メイプル「……!?!?」

メイプル(えっ。生身の人間と接触しただけだよね。私、生身の人間と衝突したんだよね。なのに何でこんな距離ふっ飛ばされてるの!?)ガビーンッ

メイプル「しかもダメージ凄ぼべばっ」ダバァァァ

メイプル(じょ、状態異常……骨折!? 内臓損傷!? 吐血!? え、嘘でしょ。ダメージが酷すぎない!? 死、死ぬ……)アタフタ

リリアーナ「《フォースヒール》!」

メイプル「……?」シュアアアアアッ

メイプル「あ。な、治った……?」
6 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 20:14:16.09 ID:7PAluBHS0
リリアーナ「大丈夫でしたか?」

メイプル「あ、はい。なんとか。ありがとうございます、死ぬところでした……」

リリアーナ「すみません、先を急いでいたもので……無事で本当良かった」

メイプル「あー死ぬかと思った」フー

メイプル(人と正面衝突しただけで死にかけたり、魔法で元に戻ったり、変なところでゲームっぽいなぁ)

リリアーナ(お、落ち着いてるなぁ……今、明らかに死にかけてたのだけど……)

リリアーナ「あの……ぶつかっておいて、不躾なのですが」ゴソゴソ

リリアーナ「この子を見ませんでしたか?」

メイプル(写真?)

メイプル「……いえ。見てないですけど」

リリアーナ「……やはりもう、中に……」

メイプル「?」

メイプル「……何かよくわからないですけど、その子を探してるんですよね。見かけたら声をかけるくらいはしますよ」

リリアーナ「本当ですか!? ありがとうございます!」

リリアーナ「あ、これ私の連絡先です。何かあったら連絡を……改めてお詫びもしなきゃですので、何か無くても全然構いませんが」カキカキ

リリアーナ「その子を見かけたら『お姉ちゃんが探してるよ』と伝言を! それでは!」バタバターッ

メイプル「嵐みたいな人だったなぁ」

メイプル「……あれ。見たことない字だけど読める。ええと……」



紙『アルタ―王国近衛騎士団所属 副団長 リリアーナ・グランドリア』



メイプル「副団長?」

ピコンッ

メイプル「……あ。なんか出た。クエスト……?」

メイプル(えっ。じゃあ今の人、NPC!? 凄っ!?)ガビーンッ
7 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 20:25:47.67 ID:7PAluBHS0
数分後

メイプル「ふうっ……やっと着いたかな。ええと、理沙っぽい人は……」キョロキョロ

謎のクマ「はーい順番ねー。楓の木印の風船はまだあるから大丈夫だよー、ほらほらー」

子供「わー! 僕にもちょうだーい!」

謎のクマ「はいはーい。押さないでねー。あと受け取った子供たちは出来る限り早めにはけてねー」

メイプル「クマの着ぐるみ……?」

メイプル(……ん? 楓の木印の風船……?)ジーッ

子供「やったぁ! ありがとクマさん!」



楓の木が書かれた風船の印字『Welcome my friend!!』



メイプル「……」

メイプル「理沙、何してんの!?」ガビーンッ

謎のクマ「ドキイイッ! ちょっと誰!? 往来で人のリアルネーム呼んだの!」ビクウウッ

謎のクマ「……あ! かえっ……じゃなくて、ええと……」

謎のクマ「まあいいや! ひとまず場所変えよう! 話はその後で! はい子供たちー、クマさんはもう行くからねー」



子供たち『えー?』



謎のクマ「いつかまた会おうね、バイバーイ!」ガシイッ

メイプル「うわ、ちょっとりっ……クマ! ちょっと!」
8 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/21(土) 20:29:12.92 ID:7PAluBHS0
ここで一旦中断!
このまま『NPCとエンブリオ含めた全員そのまま』で『プレイヤーだけが防振りの登場人物』の調子で続けていきます。
一巻分完結くらいまでは!

どうぶつの森やってきまーす
9 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 09:37:23.27 ID:5O4I07//0
その辺の飲食店

サリー「この世界では私のことをサリーって呼んでね。この世界での私の名前だから」

メイプル「……り、じゃなくてサリー。そのクマの着ぐるみ、何?」

サリー「あー。えーと、結構色々あってね。その内事情を話すよ」

メイプル「楓の木が書かれた風船をみんなに配ってたことに関しては?」

サリー「わかりやすかったでしょ? あの風船を目にしたメイプルが子供に『その風船、どこで貰ったの?』って訊けば万が一にも目的地を間違えることないし」

メイプル(風船を配った子を散らしてたのはそのためかー……)

サリー「で。何食べる? ここって味覚もリアルだからさー。何でも奢るよ?」ワクワク

メイプル「それはいいからさ。ちょっとこれを見てよ」ポンッ

サリー「お。早速操作に手慣れてるね……どれどれ」

サリー「難易度五のクエスト……発注者はリリアーナ……リリアか……」

メイプル「難易度五ってどのくらい難しいかな。発注されたからにはやりたいけど」

サリー「中級車でも単独じゃ難しいね。メイプルは今来たばっかだからジョブもないし、レベルゼロなら無理ゲーもいいところだよ」

メイプル「そっか。それじゃあ、これはもうちょっとレベルを上げてから……」

サリー「それも無理」

メイプル「え? 何で?」

サリー「このゲームのことは、ここまで来るまでに見てきたでしょ。どうだった? リアルすぎたでしょ」

メイプル「うん。凄くビックリした」

サリー「このゲームの厄介なところはそれなんだよ。リアルすぎるんだ」

サリー「……基本、時間を巻き戻す術がない」

メイプル「!」

サリー「気付いた? クエストは今も進行中なの。しかも難易度五ってことは危険度も段違いに高い」

サリー「急ごう。メイプル。何でもいいから手がかりとかない?」
10 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 09:51:23.37 ID:5O4I07//0
旧レーヴ果樹園 入口

メイプル「まさかリリアーナさんの連絡先の書かれた紙の裏側から場所を限定できるなんてね」

サリー「『レムのみをとってきます』かぁ……相変わらず無茶をするなぁ」

メイプル「なんか言った?」

サリー「んにゃ、何にも。さてと、装備を整えてっと」シュインッ

メイプル「あ。やっぱ着ぐるみ脱ぐ……んだ……」ジーッ

サリー「何?」

メイプル「……サリーもほぼリアルと容姿変わらないね?」

サリー「平気平気。多少はいじってるから身バレしないって」

サリー「んじゃ、メイプル。ダメコン……えっと、ダメージコントロール用のアイテムを片っ端から持たせておくから」

サリー「ひとまず生き残ること最優先ね。一人でも死なないユニットがいるってだけでクエストの難易度は段違いだから」

メイプル「了解」

サリー「んじゃあ、突入と行きますかー! バルドル、第二形態!」ガシャコーンッ

メイプル「うえっ!?」

メイプル(……銃と短剣が融合した非現実的な武器が出てきた!)

サリー「かっこいいっしょ。ガンソードだよ、ガンソード!」

メイプル(ここって基本ファンタジー世界じゃ……?)

サリー「突入ーーー!」ダッシュッ

メイプル「しかも早っ……待ってよーーー!」モタモタ
11 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:01:56.05 ID:5O4I07//0
果樹園 内部

リリアーナ「せいっ……はあっ!」ザシュウッ

虫型モンスター「」ワラワラウジャウジャ

リリアーナ「……」

リリアーナ(いくら何でも数が多すぎる! 危険性が高いことはわかってたけど、ここまでだったかしら!?)

ミリアーヌ「……おねえちゃん……」ガタガタ

リリアーナ「くっ」

リリアーナ(私は死なないだろうけど、守る戦いとなると圧倒的に手が足りな――!)




「メイプル、ここからは自力で走って!」ポイッ

「ぶぎゃっ!」

「リリア!」

リリアーナ「!」


ドカンッ ズバババババッ


虫型モンスター「GIGIGIGAAAAAA!?」

リリアーナ「あなたは……!」

サリー「通りすがりのプリキュアだ! よく覚えておけ!」シャキィィィン!

メイプル「さ、サリー……混ざってる。混ざってる上に投げ捨て方が雑で若干ダメージ入ってる……!」プルプル

リリアーナ「あなたまで! どうして!?」

サリー「そこで転がってる黒髪、私のマイベストフレンドなんだよね。この子からリリアがピンチって情報が伝わってきたんだよ」

リリアーナ「……!」

リリアーナ「ありがとうございます。私一人では、とてもミリアを守れないところでした……!」

メイプル「え。ええと、お礼を言う相手、間違ってません……? 私はただサリーを連れてきただけで……」ピクピク

リリアーナ「それでも、お礼を。迷惑をかけた私を助けようという発想をしてくれたこと自体が、とても嬉しいのです」

メイプル「……えへへ」テレテレ
12 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:14:31.85 ID:5O4I07//0
サリー「さてと、それじゃあミリアも一緒に、こんなグロテスク満載な果樹園からはさっさと脱出と行きましょうか」

メイプル「う、うん。そうだね」

メイプル(実質的に私も足手纏いだしなぁ。いくらこの二人が強くても、万が一のことがあるだろうし)

メイプル(……ていうか、こうやって合流した時点でクリアできるタイプのクエストだったりしないのかな?)

ピコンッ

メイプル「あ。二人がパーティに加入したね。えーとレベルは……私と同じゼロと、210!?」

メイプル(しょ、衝突だけで死にかけるわけだ……)

メイプル(……うーん。どんな攻撃を受けても死なないような防御力が欲しいなぁ。サリーから落とされるだけで悶絶する有様だし)



エンブリオ「……」キランッ



サリー「……メイプル。クエストクリアの通知、出てる?」

メイプル「へ? いや、出てない……と思うけど」

サリー「……これ、結構ガチでヤバいかもね」

メイプル「?」

サリー「突発的に発注されるタイプのクエストは『難易度』はわかっても『難易度が高い理由』まではわからないんだよ」

サリー「私はついさっきまで『時間制限が厳しいクエストだから難易度が高いのだろう』とぼんやり思ってたわけだけど」

サリー「レベル210のリリアが加入しても、クエストが達成されてない」

メイプル「それって、どういう……」

サリー「時間制限による難易度じゃない。つまるところこのクエストの難易度の理由は――!」

サリー「これからもっとありえない敵が出てくるからってこと!」




ドドドドズズズズズヌウウウッ




デミドラグワーム「GISHAAAAAAAAAAAAA!!!!」

メイプル「う、うわあああああ! でっかーーーい!」ガビーンッ
13 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:27:29.16 ID:5O4I07//0
リリアーナ「亜竜甲虫……!?」

サリー「……ああ、よかった。飛び切り私と相性の悪い敵が出てきたらどうしようかと思ったよ」

サリー「この程度なら、私に傷一つ負わせられない!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

メイプル「サリー!」

サリー「チマチマ叩き切ってあげてもいいけど? メイプルもいるしね! せっかくだ!」

サリー「バルドル第四形態、起――!」



デミドラ2「GIAAAAAAAAA!」ニョキッ

デミドラ3「KISYAAAAAAAAAAAA!」ニョキッ

デミドラ4「UZAINAAAAAAAAAAAAA!」ニョキニョキッ




サリー「……えっ」

サリー「えっ。まだいたの? え、嘘でしょ。ちょっと待って。私、まだ硬直中で動けな――ちょ、待っ」

デミドラs「」シュンッ

ドガシャアアアアアアアアアッ

サリー「クマアアアアアアアアアアアア……!?」ヒューッ

メイプル「サリーが死んだー! この人でなしー!」

リリアーナ「死んだんですか!?」ガビーンッ

メイプル「あ、すみません。死んでません、冗談です」

ミリアーヌ「ふええええええええん!」ダバーッ

メイプル「……ご、ごめんなさい……空気読めてませんでした……泣かせるつもりじゃ」アタフタ
14 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:32:41.74 ID:5O4I07//0
メイプル(……地面に空洞? ああ、そうか。このデミドラグワームってモンスター、地下に巣を作るタイプのモンスターなんだ)

メイプル(サリーはそこまで連れて行かれた、と)

メイプル(サリーのことだから、そこまで心配はしてないけど……)



デミドラ「GIAAAAAAAAAAA!」ニョキッ

デミドラ2「GOAAAAAAAAA!」ニョキッ



メイプル「ですよねー。まだいますよねー。あはは」

リリアーナ「……お願いがあります。ミリアを連れて、この場から一刻も早く逃げてくれませんか?」

メイプル「リリアーナさんは?」

リリアーナ「私一人であればどうにでも。まず間違いなく死にはしません! 早く!」

メイプル「……」

メイプル「ミリアーヌちゃん、一緒に行こっか!」ニコニコ

ミリアーヌ「う、うん」

メイプル「じゃあ、後は任せまーす! 無理はしないでくださいねー!」タッタッタッ

リリアーナ「……」

リリアーナ(あとは、これ以上のデミドラグワームがいないことを祈るしか……)

リリアーナ(どうか……どうかご無事で!)
15 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:40:44.09 ID:5O4I07//0
メイプル(このまま行ければ逃げ切れるかな。あれ以上のデミドラグワーム? がいたら多分終わりだろうけど)

メイプル(……まあ、出たらどうしようもないよね。私、レベルゼロだもん)

ミリアーヌ「……ぐすっ……おねえちゃん……!」

メイプル「あ。そだ。ミリアちゃんは、どうしてこんな場所まで来たのかな? 危ないよ?」

ミリアーヌ「きょ、今日はおねえちゃんの誕生日だったから、おねえちゃんの大好きなレムの実のケーキを作ってあげようと思って……」

ミリアーヌ「でもお店になくって、どうしようってなってたら、金髪のお兄ちゃんがお香をくれたの」

ミリアーヌ「このお香があれば虫が寄ってこなくなるから、安全にレムの実を取りに行けるよって」

メイプル「……へー」

メイプル(酷いことする人もいるんだなぁ)



ドグッ



メイプル(地面に振動……!)バッ

ミリアーヌ「きゃっ」

デミドラ「GIAAAAAAAAAA!」ドガァァァァァ!

メイプル「おおう、我ながらナイスドッジ! ……でも……!」

デミドラ「KATIKATIKATIKATI……!」フシュルルルルルルル

メイプル「……」

メイプル(これ完全に詰んでない? どうしよ)

ミリアーヌ「う、うう……ううえええええ……!」ガタガタ

メイプル「……ま、何もしないよりマシかな」
16 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:47:34.56 ID:5O4I07//0
メイプル「ミリアちゃん、これあげるね」

ミリアーヌ「……ブローチ?」

メイプル「後は一人で走って行って。お姉ちゃんは、あのデカいヤツと戦ってくるから」

ミリアーヌ「!」

メイプル「まー、多分勝てるんじゃない? 多分ね!」ニコニコ

メイプル(嘘。万が一にも勝機はない)

ミリアーヌ「お、お姉ちゃ……!」

メイプル「へーい! こっちだよムカデちゃーん! 投石へいへーい!」ポイポイッ

デミドラ「GIGIGIGI……!」クルッ

メイプル「よし誘導成功!」ガッツポ!

デミドラ「GIGAAAAAAAA」ブンッ

メイプル「べぼばっ!?」グシャアアアアッ!

メイプル(……やば。ダメコン一個、早速壊れた……! 完全致死ダメージ……! でもまあ、時間稼ぎくらいには……あれ?)

ミリアーヌ「……」オロオロ

メイプル「……早く行って! じゃないと後でお尻ペンペンしちゃうよ!」ウガァッ

ミリアーヌ「!」

ミリアーヌ「……!」タッタッタッ

メイプル「ふうー……これで安心、かな。ええとポーションポーション」ゴクゴク

デミドラ「GIGIGIGIGI!」ブオンッ

メイプル「ぼげべっっっ!?」グシャアアアアアアッ!
17 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 10:56:14.13 ID:5O4I07//0
メイプル「……!」ヨロヨロ

メイプル(時間、稼げる、かな……!? やっぱりレベルゼロじゃ限界があるよ! 一撃死だもん!)

メイプル(理沙ばりの反射神経でまた避ける……? 無理! あそこまでふざけたマネは私にはできない!)

メイプル(せめて防御力があれば……!)

デミドラ「GIGAAAAAAAAAAAA!」ブオンッ

メイプル「うわっち!」ヒュンッ

メイプル(……やった! 避けれた! 私の反射もそこまで捨てたもんじゃ)

ビュオンッ

メイプル「ぎょぶっ」バガァァァァァンッ

メイプル(……な、何が起こったの……?)

メイプル(……あ、そうか。尻尾か。尻尾に叩かれたんだ……)

メイプル「ぐ……!」ヨロヨロ

デミドラ「……」

メイプル「へ、へーい! まだ私元気百倍アンパンマンなんですけどー! そんなへなちょこパンチじゃ女の子一人殺せないよー!」

メイプル(ダメコンはミリアちゃんに分けちゃったからあと一つ。死亡分まで含めれば食らえて二回! ミリアちゃんが逃げきれれば、なんとか……!)

デミドラ「……」クルッ

メイプル「ん? あれ。どこを見てるの? そっちは……」






ミリアーヌ「はっ……はっ……はっ……」タッタッタッ

メイプル「……ッ!」ゾッ
18 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 11:01:43.77 ID:5O4I07//0
メイプル「ちょっと待ってよ! そっちはダメだって!」

デミドラ「……」ズルズル

メイプル「ぐっ、速っ……私の全力疾走より速い!」タッタッタッ

デミドラ「GUGIEEEEEEEEEEEEEE!」ブンッ

メイプル「や、やめ……やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

ミリアーヌ「……!」




ドガシャアアアアアアッ!




ミリアーヌ「かふっ」

メイプル「っ!」

メイプル(宙に投げ出され……まずっ……地面に落ちたら……!)ダッ

メイプル「間に合えーーーっ!」



ゴシャアアアアアアアッ!



メイプル「ご、あっ……!」

メイプル(な、ナイスキャッチ……でも……ミリアちゃんのダメージを受け止めるのに精いっぱいだったから)

メイプル「最後のダメコンが壊れた……!」

ミリアーヌ「……すう……すう……」

メイプル「……生きてる」

デミドラ「……GURUUUUUU……」フシュウウウ

メイプル「いや……このままじゃ死ぬ……よね」
19 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 11:13:27.28 ID:5O4I07//0
メイプル(ダメコンは全部壊れた。私はレベルゼロ。全力で走っても追いつかれる俊敏値)

メイプル(そして、一撃でも食らえば即死の防御力……リリアーナさんと接触するだけで死にかけるような紙装甲)

メイプル(終わりだな、これで。まあ、初心者にしては頑張ったよ。私)

ミリアーヌ「……ううん……」モゾモゾ

メイプル(……なんて)






メイプル(諦められるわけ、ないでしょ!)

メイプル(この世界はゲーム。私は死んでもまあ仕方ない。でもこの子はそうじゃないんだよ!)

メイプル(簡単に死なせていいはずがない!)

メイプル(万が一の勝機なんて贅沢は言わない。億が一でもいい! 可能性さえあれば、全力で掴みに行くのに!)

メイプル(本当に可能性はゼロなの? 何か、何か周囲に勝機は……!?)キョロキョロ

エンブリオ「……」

メイプル(……)




チェシャ『エンブリオはキミだけの武器とかパートナーとか、まあうん。そういうのだ!』ビシイッ

メイプル『説明が雑くない!?』ガビーンッ

チェシャ『今は第ゼロ形態。進化すると、キミのパーソナリティに合わせた形に進化するんだ』




メイプル「力が欲しい。今すぐに。この状況をどうにかできる可能性が欲しい」

メイプル「簡単に砕けるような私じゃない。誰にも侵せないような防御力がいい」

メイプル「聴こえてるんでしょ、エンブリオ! まだ私は諦めてないんだから、早く目覚めて一緒にこの子を守ってよ――!」

デミドラ「GUAAAAAAAAA!」ブオンッ
20 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 11:19:56.76 ID:5O4I07//0
「やれやれだ。随分と無茶苦茶を言うマスターだの」



ガイイインッ



デミドラ「GUGOEEEEEE!?」

メイプル「!?」

メイプル「え、何!? デミドラが跳ね返された!?」

「まあ、お前がそう願った力だからの」

メイプル「……」







ネメシス「おはよう」

メイプル「あ、おはようございます」

メイプル「……」

メイプル「誰?????????」
21 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 11:31:19.98 ID:5O4I07//0
ネメシス「説明は後だ。猶予はB'zのラブファントムのイントロ程度しかない」

メイプル「結構長くない?」

ネメシス「タイミングは任せる。ヤツが突進してきたタイミングで叫べ」

ネメシス「『復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)』と」シュイイイインッ



ガシイイインッ



メイプル「うわっ」

メイプル(女の子が黒い盾になった!)

メイプル(もしかして……いや、後でいい! チャンスがあると言うのなら乗るだけ!)

デミドラ「GUGUGAAAAA……!」フシュルルルルルル

メイプル「タイミングを……計る」

メイプル「……お返し、行くよ!」

ネメシス『ああ! 大サービスだ! 倍にして返してやる!』

デミドラ「GUGYAAAAAAAAAAAA!」ビュンッ

メイプル「うにゃああああああああああ!!!!!」





メイプル&ネメシス「《復讐するは我にあり》!」カッッッッ
22 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 11:43:56.76 ID:5O4I07//0
デミドラ「……!?!?」バキッ

デミドラ「GIGYOEGYAGYAAAAAAAAAAA!?」バキバキバキバキバキッ



シュイイイインッ



メイプル「……あ。倒せた……のかな」

シュインッ

ネメシス「おお。おおー? 初めてしては上出来ではないかぁ。うんうん!」ニコニコ

メイプル「あ。また女の子になった」

メイプル「ええと、キミって、もしかして……」

ネメシス「……落ち着いたようだし、遅れたが自己紹介と行こうか」

ネメシス「私の名はネメシス。TYPE:メイデンwithアームズ。貴方の肉と魂から産まれたモノ」

メイプル「ネメシス……」








ネメシス「これからもよろしく頼むぞ。マスター」ニコッ
23 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/22(日) 11:45:20.01 ID:5O4I07//0
一旦中断!
24 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 19:06:26.31 ID:Mf+0BekE0
数分後 果樹園外部

メイプル「……? エンブリオ……あなたが私のエンブリオ?」プニプニ

ネメシス「そうだぞ」

メイプル「サリーのはもっとこう、明らかに『武器だぞコラ死ねーーーッッッッッッ!』って外見だったけど」プニプニプニ

ネメシス「おそらくそれはTYPE:アームズのエンブリオであろうな。コラ死ね?」

メイプル「で。あなたは?」

ネメシス「TYPE:メイデンwithアームズだ!」フンス

メイプル「待って待って待っておかしいおかしい。チェシャの説明ではメイデンなんてカテゴリーは……」

ネメシス「レアなのだ。どのくらいレアなのかと言えば、幻のポケモン級だな! デオキシスくらい珍しいぞ!」

メイプル(じゃあ全然レアじゃないじゃん)

ネメシス「……一応言っておくが、マスターとエンブリオは思考で繋がっているからな。何を考えているかは一方的にこちらに筒抜けだぞ」

メイプル「え!? 何それ! 怖っ!」ガビーンッ

メイプル「ちょっとやめてよー! プライバシーの侵害だよ侵害!」プニプニプニ

ネメシス「ところで」





ネメシス「いかに気絶中であろうと他者のほっぺをぷにるのはどうかと思うぞ、マスター」

メイプル「触り心地よくて……」プニプニプニ

ミリアーヌ(寝心地悪い……)グー
25 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 19:25:05.86 ID:Mf+0BekE0
メイプル(えーとネメシスの武器形態のステータスはっと……)

メイプル「……?」

メイプル(ひ、低い。産まれたばかりだから当然だけど)

メイプル(あれ? しかも、これやっぱりどう見ても盾だよね? 攻撃力なんかハナから期待できるはずがない)

メイプル「じゃあどうやってあのムカデを倒せたんだろう」

ネメシス「私の真骨頂は今のところ武器のステではなく、スキルの方なのだ」

メイプル「《復讐するは我にあり》だっけ。ゲームにしてはゴツいスキル名だよね」

ネメシス「他のゲームであれば多少はわかりやすく端折るだろうが、まあ私はエンブリオだからのう」

メイプル(某運命が聖杯戦争で恋愛な上にエクストラなゲームは『キャラのスキル名が長くてわかりにくい』って理由でちょっと削られたのに)

ネメシス「私で受けたダメージをダメージカウンターに蓄積し、それを与えた相手に返すスキルだ。さっき見た通りのな」

ネメシス「一度使えばダメージカウンターは全消費。小分けにはできぬから注意するのだぞ」

ネメシス「……あ。あとダメージを与えた張本人にしか使えぬ。モンスターAから受けたダメージはモンスターBに転嫁できぬぞ」

メイプル「制約が多い……」

ネメシス「その分、効果は劇的だ。もう説明するまでもないであろう?」

メイプル(これ、RPGっていうかカードゲームのデザインだなぁ。遊戯王とかに出てくるデメリットアタッカー)

メイプル(……そういえば私が『ガードナー』って英単語が存在しないって知ったのも、あのゲームがきっかけだったっけ)

メイプル「あとは受けた攻撃を丸ごとダメージカウンターに変換する《カウンターアブソープション》、と」

メイプル「これはさっきネメシスがムカデを弾いたヤツだね」

メイプル「見れば見るほど、あの時点での私に誂えたような武器だよ。タイミングが物凄くいいね」

ネメシス「……やっぱり事前情報をまったく仕入れていなかったか。エンブリオとは得てしてそういうものだ」

メイプル「そういうもの?」

ネメシス「一から説明するぞ? あのネコは端折りすぎたからな」
26 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 19:33:52.22 ID:Mf+0BekE0
かくかくしかじか


メイプル「……同じエンブリオって二つ存在しないの!? すごっ! 面白いゲームだね、これ!」

ネメシス「ちなみに、何故第ゼロ形態などというまだるっこしい期間があるのかと言えば、お主の左手にひっついている間にお主を学習するためだ」

ネメシス「この私は、今までのマスターを観察した結果というわけだの」

メイプル「し、知らなかった……全然知らなかったよ……」

メイプル「……」

メイプル「産まれたばかりのくせにやたら詳しいよね?」

ネメシス「人型でも人ではないからのう。そういうこともある」

メイプル(全然納得できない答えだ)

ネメシス「正味、私も納得できん」

ネメシス「……しかし、ともあれだ。結局私を産み出したお陰で、お主は望む可能性を掴み取ることができた」

ネメシス「私に感謝し、更に感謝し、ついでに感謝し、そしてそのずっと後に自分を褒めるがよいぞ!」

メイプル「うん! 本当ありがとうね、助かった! ネメシスは凄いよ!」ニコニコ

ネメシス「……ふ、ふふふ」テレテレ

メイプル(えっ。感謝しろと言ったの本人なのに言葉が出ないくらい恥ずかしがってる)

ネメシス「うるさい」






リリアーナ「ミリア!」

メイプル「あ。帰ってきた」
27 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 19:47:08.39 ID:Mf+0BekE0
ミリアーヌ「ん……お、おねえちゃ……ん?」パチリッ

ネメシス「おお。こちらも起きたの。そら、姉君だぞ。笑顔で迎えてやらんか」

ミリアーヌ「おねえちゃーーんっ!」バッ



ギュウッ



リリアーナ「もう、心配かけて……! でも無事でよかった。本当に……!」ギュウウウ

ミリアーヌ「ごめんなさい……ごめんなさい……!」

メイプル「……」

メイプル「やっぱ何回見てもリアルだよねぇ?」ハテ

ネメシス「何を首を傾げて、しみじみと」

メイプル「うーん。何でだろ。この世界に来てからずっと、なんか元いた世界との決定的な区別が付かなくってさ」

メイプル「今思ってもやっぱり不思議。なんであんなに必死だったんだろ。私」

ネメシス「……」

リリアーナ「ああ、あなたには何とお礼を言っていいか!」

ネメシス「うむ! 私と私のマスターに存分に感謝するがいいぞ!」フンス

リリアーナ「?」

メイプル「あ。私のエンブリオです。さっき孵化しまして」

リリアーナ「……やはり、サリーの友達だというあなたもエンブリオに選ばれたマスターなのですね」

リリアーナ「しかしメイデンとは……」ジーッ

メイプル(どうやら本当にレアらしいなぁ。物珍しそうな目線だ)



ザグザグザグザグザグッ



リリアーナ「ッ! 地面に振動……まさかここまで追って!?」



ドバァァァァァァッ



サリー「地下世界から生還、サリーちゃんだよーーーッ!」ザンッ

メイプル「あっ! サリー!」

サリー「私が来た!」

メイプル「サリー! その台詞はね! まだ何も終わってないときに言わないと寒々しいよ!」
28 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 20:42:12.33 ID:Mf+0BekE0
サリー「え。終わった? 無事に? そっか、よかった!」ケラケラ

メイプル「もう! 今まで一体なにしてたの」

サリー「地下で繁殖してたデミドラグワームの駆除」

メイプル「繁殖? どれくらい?」

サリー「百近く」

メイプル「百近くゥ!? アレが!?」ガビーンッ

ネメシス「……す、凄まじいのぅ。マスターが一匹を這う這うの体で倒した糞ムカデが百近く……」

サリー「……?」ジーッ

サリー「ああ、エンブリオか。孵化したんだね、おめでとう!」

リリアーナ「それよりもサリー! デミドラグワームが繁殖していたとなると、このままにはしておけません! すぐに騎士団を編成して……」

サリー「もう遅いよ。全部私が狩っちゃったからさ」

サリー「流石に逃げたか逃げてないかまでは判別付かないけど……あそこまでやったらもうそうそう増えないと思うよ?」

リリアーナ「!?」ガーンッ

メイプル「流石廃ゲーマーだね! その情熱をちょっとは勉強に傾けてれば補修なんか受けずにすんだのに!」キラキラキラ

サリー「ふっふっふー! メイプルー」

サリー「……言っていいことと、悪いことがあると思わない?」ズーン

メイプル「……ごめん」アタフタ

ミリア「やっぱりサリーお姉ちゃんは凄い」キラキラキラ

メイプル「……?」

メイプル(『やっぱり』って?)

サリー「……はあ。疲れた。さっさと歓迎会の準備しないと。とんだハプニングだった」スタスタ

リリアーナ「あ! サリー!」

サリー「戦後処理は後回しにさせてよ。報酬や恩賞の類はそっちのメイプルに全部渡しといて」

ネメシス「……行ってしまったの」

メイプル「あれ。何だろう。ちょっと落ち込んでた……?」
29 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 21:56:20.84 ID:Mf+0BekE0
サリー「……できればあの姉妹には関わりたくなかったんだけどなー。仕方ないっちゃ仕方ないか。命の危機だったし」

サリー「それにしてもメイプルがメイデン引き当てるとは。運がいいのか悪いのか……」ヤレヤレ






メイプル「あ。ちょっと離れたところで歩くのストップした」

ネメシス「待ち合わせ場所決める前から消えられないことに気付いたのであろうな。こちらをチラチラ気にしておるし」

リリアーナ「相変わらずしまらない……」クスッ

ミリア「あの、お姉ちゃん! これ!」サッ

メイプル「ん? ああ、これ……レムの実だよね。美味しそうだね、これでケーキ作る予定なんでしょ。上手く行くといいね」

ミリア「一個あげる!」

メイプル「……いいの?」

ミリア「サリーお姉ちゃんと一緒に食べて!」ニコニコ

ネメシス「美味い」シャクシャクシャクシャク

メイプル「かぶり付くの早ーーーッ!? しかも明らかに一人占めするペースで食べてる!」ガビーンッ

ミリア「……」ワニャ

メイプル(ミリアちゃんが凄い微妙な顔に!)ガーンッ

ネメシス「足りん!」ゲフーッ

メイプル「知らないよ!」ウガァ!

リリアーナ「……ふふっ。あなたもサリーと似ていますね。なんというか、締まらないところが」ニコニコ

メイプル(最高に嬉しくない)ズーン

リリアーナ「レムの実とは別に、この御恩は必ずお返しします。何かあったら気軽に私を尋ねてくださいね」

ネメシス「それより残りのレムの実を……」

メイプル「後でたらふく別の食べさせてあげるからもうやめてよ! 恥ずいよ!」カァァァ
30 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/23(月) 21:57:28.97 ID:Mf+0BekE0
今日はここまで!
31 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/24(火) 17:02:37.64 ID:RQ8kT47G0
十分後:その辺の宿付きの飲食店

メイプル「正直な話、サリーに言われるがままスタートしたからこのゲームのことをまったく知らない」ドーンッ

サリー「ああ。メイプルってそもそもゲーム自体そんなやらないもんね」

メイプル「このゲームって何を目的にやればいいの? 海賊王になればいいの?」

サリー「別に大海賊時代じゃないから……」

サリー「……ここに来るまでに管理AIから話を聞かなかった?」

メイプル「世間話してたら途中でなんか地雷踏んじゃったぽくって……」

サリー「どんなに沸点の低いAIでも普通そこまで怒ったりしないと思うけど、何言ったの」

サリー「ええと、まあいいや。インフィニット・デンドログラムの直訳、わかる?」

メイプル「無限の系統樹とかそういうのでしょ」

サリー「そっくりタイトルでこの話は終わりだよ。何でもいいの、何でも」

サリー「英雄になるのも魔王になるのも、王になるのも奴隷になるのも、善人になるのも悪人になるのも自由」

サリー「インフィニット・デンドログラムにいるのも、いないのもね」

メイプル「最後のはゲームのマーケティング的にどうなの……? 版上げや次回作、大型アップデートの場合でもアウトじゃない?」

サリー「実際に私がそう言われたんだもん」

メイプル「……ま、いいか。結構楽しんでるしね、私」

メイプル「目玉システムのエンブリオ……だっけ? それが私の場合、ネメシスだしね」

ネメシス「もが?」モグモグモグモグモグ

メイプル「実は既に気に入ってるんだ。えへへ」ニヘラ

ネメシス「……ごくん。ふっ。当然だな!」ニカッ

サリー「……エンブリオの性格診断……」ボソッ

メイプル「何?」

サリー(やばっ。口を滑らせちゃった)
32 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/24(火) 17:24:33.42 ID:RQ8kT47G0
サリー「いやさ。個人のパーソナリティからエンブリオの姿が変化するじゃん?」

サリー「だから、TYPE別にプレイヤーの性格がある程度逆算できる……らしいんだよね。私はそこまで信じてないけど」

メイプル「へぇ! 私の場合はどんなの?」

サリー「メイデンはレアすぎて覚えてないけど、TYPE:アームズの性格診断の結果は覚えてるよ」

サリー「脳筋」

メイプル「脳筋!?!?」ガビーンッ

サリー「勇気があるヤツ、猪突猛進、人情家。そんなところだったかな」

メイプル「聞いてみて損したかも。私、そんなんじゃないよー……」

ネメシス「そこまで外れているとは思わぬが……」

メイプル「あ! でもサリーは結構そうじゃない? まさにそんなプレイスタイルだよね!」

サリー「あれ。言ってなかったっけ? ああ、言ってなかったね……」

サリー「私のバルドルはTYPE:アームズじゃないよ。最初から」

メイプル「え。でもあれどう見ても武器型じゃ……」

サリー「たまーに『周囲に不利な状況を強いておいてテリトリーではなくチャリオッツ』みたいな詐欺カテゴリーもあるんだけどさ」

サリー「私もそういう類のヤツなんだよね」

メイプル「へぇー。じゃあ本当は何なの?」

サリー「今は秘密。その内イヤでもわかるよ。何ならリリアに訊けば?」

メイプル「そんな仲良くないし……」

ネメシス「ム? そもそもずっと気になっておったのだが、サリーはあの副団長とどのような知り合いなのだ?」

サリー「……あー……」

サリー「長くなるし物凄くつまらない話だけど、聞きたい?」

メイプル「私も気になってたし、隠すほどのことじゃないんでしょ?」

サリー「若干恥ずかしい話なんだけどね……」
33 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/24(火) 20:39:39.18 ID:RQ8kT47G0
サリー「デンドロ時間で半年前、アルタ―王国の隣国ドライフが戦争しかけてきたのさ」

サリー「ゲーム的には戦争イベント。結果だけを先に言っちゃうとアルタ―王国の惨敗」

メイプル「へぇ。ドライフってそんなに強いんだ」

サリー「いや。諸事情あって王国側のプレイヤーがほぼほぼ参加しなかっただけ。ゲーム的には人数不足による不戦敗に等しいよ」

メイプル「え。どういうこと?」

サリー「かなりリアルに作られてるって言ったでしょ。国の政策の差が思いっきり出たんだよ」

サリー「ドライフ皇国はマスターに対する報酬を物凄く明確に定め、まさに一般のソシャゲみたいに『参加しとくだけでも濡れ手に粟』みたいな状況だった」

サリー「対して、こっち側の王様と言えば物凄く古臭い考えをする人でね」

サリー「……国に対する忠誠心があるならばどうちゃらこうちゃら、みたいな今となってはさっぱり内容を思い出せない通告演説のみだったよ」

メイプル「報酬が無かったの!? ゲームイベントなのに!?」

サリー「ハッキリ言ってやるわけないよね?」

メイプル「……ん? ちょっと待って。さっき惨敗って言ってたよね?」

サリー「言った。まープレイヤーにとってイベントでも、この世界のNPC……ティアンたちにとってはリアルだからねぇ」

サリー「たくさん死んじゃった。王国所属の大賢者も、王様も」

サリー「……まあどっちも知り合いじゃないから実感はないけど、あと一人の重要人物が私にとっては大問題なんだよね」

メイプル「重要人物?」

サリー「リリアとミリアのパパ。近衛騎士団の団長だったんだよね。今の騎士団、団長不在のままなんだよ」

メイプル「!」

ネメシス「……随分と苦々しい顔をしながら語るが、そこまで後悔しているのであれば参加すれば良かったのではないか?」

サリー「個人的にはまあノーギャラでもやりたいところではあったんだよ? でも、さぁ」チラッ

メイプル「え。何でこっちを見るの?」

サリー「ほら。デンドロでの時間って、元の世界の三倍速で進むんだよ。つまりデンドロ時間の半年は、現実世界の二か月ってことで……」モジモジ

メイプル「二か月前……」



メイプル『流石廃ゲーマーだね! その情熱をちょっとは勉強に傾けてれば補修なんか受けずにすんだのに!』キラキラキラ



メイプル「あ! 進級の危機だったんだね!?」ガビーンッ

サリー「流石にダブるのはちょっとねー」ハァ
34 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/24(火) 21:06:26.44 ID:RQ8kT47G0
サリー「いやまさか補修を受ける羽目になるとまでは私も予想外だったからさー。開戦間際にはリリアに色々言っちゃったんだよ」

サリー「『ノーギャラでも関係ない! リリアは私の友達だもん! 絶対に参加するからね!』って大見得切っちゃってさー」ズーン

メイプル「そ、その結果が……不参加」

サリー「それ以前にリリアとは何かと仲良くしてもらってたからさー。その縁でミリアとも知り合ってさー」

サリー「まあ流石にドタキャンはしなかったよ。補修が決まった途端に『やっぱ不参加で。ごめんね!』とは言ったよ?」

サリー「リリアのパパの強さを半端に知ってたばかりに『まあこの人なら死にはしないだろう』って油断してたのも事実だよ」

サリー「ラングレイさんがまさか死ぬとは……思わなくって……」ズーン

メイプル「もういいよ! やめよう! せっかくのご飯が不味くなっちゃうから!」アタフタ

ネメシス「なるほどのう。責任か。そのせいで若干ぎくしゃくしていたのか」

メイプル「……ドライフってまた攻めてくるかな?」

メイプル「ん? そういえば、どうしてアルタ―王国はまだ滅びてないんだろう。惨敗だったんだよね? 王さまが死ぬほどの」

サリー「途中で隣国のカルディナがドライフを攻め始めたんだよ。それで攻撃が中止になって、アルタ―王国は首の皮一枚繋がった」

メイプル「サリー。次に戦争イベントがあったら私も参加するからさ。元気出そうよ」

サリー「だったらランキングに入らないとね。討伐ランキング、クランランキング、決闘ランキングのいずれかに入らないと参加できないから」

メイプル「報酬云々以前に条件がいかにも厳しそうなんだけど……」

メイプル(……逆に、サリーはこの条件を満たしているってことだよね)

メイプル(今のサリーってどのくらい強いんだろ……?)

サリー「んがーーー……!」
35 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/24(火) 21:17:27.13 ID:RQ8kT47G0
今日のところはここまで!
さぁ……ぶつ森でタランチュラ島ガチャの時間だ……!
36 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 18:45:45.08 ID:12RPCHwQ0
サリー「ええい、辛気臭い話はここまで! 飲め飲め! 酒が足りてないぞーーーっと!」

メイプル「え。お酒飲めるの?」

サリー「んにゃ。年齢規制の問題で私たちは飲めないね。リアル二十歳になるまでは」

ネメシス「むむう。お子様なマスターのせいで私まで飲めぬのか……」

メイプル「……いやダメでしょ。仮に成長してもネメシスは。見た目年齢的に」

ネメシス「なんだとー!?」プンプン

メイプル「成長と言えば、エンブリオってどのくらい成長するの? 第一形態ってことは第二形態もあるんだよね?」

サリー「まともに考えれば第六形態まであるよ。まともじゃなければ第七形態まで行けるかな」

メイプル「何それ」

サリー「第七形態は超級とか呼ばれててね。ここまで行くのは運も絡むよ。第六まではまともな努力と時間次第で到達できると思うけど」

サリー「あと、TYPEも進化に応じて変わるね。メイデンはメイデンそのまま、複合のwithの部分が変わるはずだよ」

メイプル「見てきたみたいに言うね?」

サリー「見てきたもん。デンドロ歴長いからね」

サリー「おじさーーーん! ジュースおかわりー!」

メイプル「……ところでさ。ずっと訊こう訊こうとは思ってたんだけど」






メイプル「どうしてこの店、私たち以外に誰もいないの?」

席「」ガラーーンッ

サリー「貸し切りにしないと、私素顔出せないからさ……」フッ

ネメシス「……なんかちょくちょく闇が挟まるのう、サリーの顔」

メイプル「デンドロで何があったの……?」
37 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 18:56:01.25 ID:12RPCHwQ0
デンドロ時間 翌日

メイプル「さぁ今日は何がしかのジョブに付くぞーーーッ!」イェェェェェイ!

ネメシス「おー!」

サリー「じゃあ、早めに職を決めちゃおうか」

メイプル「このゲームのジョブシステムってどうなってるの?」

サリー「複雑だから就いてから調べた方が頭に入りやすいよ」

メイプル「そっか」

サリー「んじゃ、早速アレを出そうか」

サリー「ちゃりらちゃっちゃらー。適職診断カタログーーー!」バァァァァァンッ!

逢魔降臨暦「」イワェェェェェ

メイプル「別物に見えるけど」

サリー「間違えた」ナイナイ

ネメシス(い、今のは何だったのだ……?)ヌボーンッ

サリー「はい今度こそ! 適職診断カタログーーー! これでメイプルの現状に合った職をすぐ探せるよ!」

メイプル「どれどれ……」



五分後



メイプル「あ。出たよ。聖騎士だって」

サリー「聖騎士……? それ上級職だけど。レベルゼロから一足跳びに就けるようなものじゃなかったはずだけどな?」
38 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 19:40:25.31 ID:12RPCHwQ0
メイプル「具体的に条件は?」

サリー「亜竜……デミドラグ以上に強いモンスターを単独で全体HP50%以上削った上で倒すとか」

メイプル「デミドラグワームとか?」

サリー「あ。できてるね。でも次も問題だよ。教会に行って二十万リル寄付しなきゃだし……って」

サリー「そういえばメイプル、デミドラを倒したときのドロップアイテム、まだ開けてないんじゃない?」

メイプル「あ。これ開けていいヤツだったの? ええと、どれどれ」ポチポチ



パカッ



メイプル「全身鎧とよくわかんないのが出たけど」

サリー「メイプルじゃレベル制限に引っかかって装備できないな……でも換金すれば四十万リルにはなるよ。よくわかんないのは換金アイテムだね」

メイプル「一気に二つ目の条件もクリアしちゃったね」

サリー「ホントだ……三つ目が最後にして最難関だよ。騎士団関連の主要人物の推薦を受ける」

メイプル「主要人物って、どのくらい偉い人?」

サリー「さぁ? 詳細はわかんないけど、平じゃダメじゃない? 副団長くらいなら確実だけど……って」

ネメシス「……クリアできるのう?」

サリー「だねぇ?」

メイプル「え? え? どういうこと?」

サリー「リリアだよ」

メイプル「……ああ!」ピコーンッ
39 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 19:48:26.54 ID:12RPCHwQ0
ダイジェスト:今、職に就くとき……!

リリア「さあ来いメイプルさんーーー! 実は私は頼まれれば推薦状を書くぞォォォォォ!」

メイプル「おねがいしまーーーす!」ダバダバダ

リリア「うおおおおおおおおお!」カキカキ



数十分後


教会「金を持ってきたようだな……!」

メイプル「食らえェェェェェェ!(二十万リル寄付)」

教会「グアアアアアアアアアアア!」チャリンチャリンチャリン 1up! ティロリロリンッ

メイプル「やった……ついに二つの条件を満たしたぞ。後はデミドラクラスモンスターを倒せば」ハァハァ

ネメシス「もうその必要はないぞマスターよ……」

メイプル「今までのドタバタで忘れていたが、実は私既に亜竜クラスモンスターを単独討伐してたぜ!」グッ

ネメシス「そういうことだ」

メイプル&ネメシス「行ィィィィくぞォォォォォ!」


メイプルとネメシスが世界を救うと信じて――!


ダイジェスト終了




メイプル「……と、いうわけでやっとレベル上げができるようになったね!」

ネメシス「後は装備だのう」

サリー「んじゃあオススメはこっちだよ。早く早く!」
40 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 20:00:26.16 ID:12RPCHwQ0
イズの店『臨時休業中』

サリー「ありゃ。インしてないのかな。残念」

メイプル「サリー。この店は?」

サリー「んー? イズっていう生産職のマスターのお店。いないんじゃ仕方ない。別のところ行こう」

ネメシス「……?」クンクン

メイプル「ネメシス、どうかした? 早く行こうよ」

ネメシス「あ、ああ」

ネメシス(……なんかきな臭いのう。エンブリオの気配がするのだが……)

ネメシス「まあ、よいか」フン





数十分後


メイプル「完成、かなぁ?」

ネメシス「うんうん。よいのではないか? 性能的には申し分ないと思うぞ、初心者にしては」

サリー「あとはコレ。餞別に持っていきなよ」ポイッ

メイプル「うわっと……」キャッチ!

メイプル「剣?」

サリー「長くもなく短すぎもしない。そのくらいなら最適でしょ」

メイプル「ん? サリー。盾持ちのサブウェポンにおける剣の最適な長さって、どうやって計るの?」

サリー「そりゃあ、まあ。抑えつけた敵を短刀で攻撃して止めを刺すのが基本なわけだから」

サリー「人型モンスターの口に刃を突っ込んで、延髄か頸椎を切断できる程度の長さでしょ」

メイプル(エグい……)ガタガタ

ネメシス(怖い……)アワアワ
41 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 20:12:46.41 ID:12RPCHwQ0
サリー「んじゃあ、後は一人で頑張って。しばらくはさ」

メイプル「え! 一緒に遊ばないの!?」ガーンッ

サリー「私だってそうしてあげたいけど……今のところレベルが離れ過ぎてるからさ。私たち」

サリー「パワーレベリングはエンブリオにとっていい影響ないしねー」

メイプル「んぐ……」

ネメシス「……私も弱いエンブリオに進化するのは御免だの」

メイプル「仕方ない。しばらくは地道にやろうか。ネメシスもいるんなら寂しくないしね」

サリー「その意気だよ!」

サリー「……と、そうだ。この前言ったランキングの話、覚えてる?」

メイプル「昨日の今日だから忘れるはずがないけど」

サリー「ランカー絡みのいざこざに巻き込まれたらすぐ私に連絡して」

サリー「……たまにとんでもないヤツがいるからさ」

メイプル「サリーが人目を避けてクマの着ぐるみを着るようになった原因とか?」

サリー「これは自業自得と言えなくもないかな……ま、警戒させすぎても面白くないだろうから、警告はここまでにしておくけどさ」

サリー「んじゃ、ばいばい。私はちょっと適当に、ギルドから仕事貰ってくるよ」

メイプル「うん! ばいばーい!」ヒラヒラ

ネメシス「……さてと。マスターよ。いよいよここから冒険が始まるのう」

メイプル「うん! 改めてよろしくね、ネメシス!」

ネメシス「無論だ! さあ、さっさと狩場に移動するぞ!」ワクワク

ネメシス「たくさん狩って、もりもりレベルアップするぞー! うわははははははは!」
42 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/25(水) 20:15:35.50 ID:12RPCHwQ0
今日のところはここまで!

……しずえさん、出ないな……今のところほぼ最速で攻略していると思うのだけど
43 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/26(木) 18:59:02.79 ID:EjRhO5BM0
アルテア東門周辺 イースター平原



ドカッ バキッ

メイプル「このっ……大人しく、してっ!」ガンッ

ゴブリン「ゴアアアアア!?」ジタバタ!

ネメシス『マスター! 私で抑えつけている間に口に刃を差し込め!』

メイプル「了解、このっ!」ガッ

ゴブリン「ごぎゃぶっ!?」グサァッ

メイプル「……あれ。死んでないな? こう?」グリイッ


ブシャアアアアッ


ゴブリン「お、おあっ……オアアアアアア!?」ジタバタジタバタ

メイプル「うわあ! 出血量凄いのに、まだ死んでないよー!」

ネメシス『もっと強くだ! 頸椎が切れてないぞ! 貫通すらしていない!』

メイプル「ああもう、面倒だ、なぁっ!」グリイイイイッ

バツンッ

ゴブリン「……ぶっ……」ガクンッ

バリィィィィンッ

メイプル「おお。ゲームっぽい。やっぱり倒したモンスターって死体が残らないんだね」

ネメシス『おめでとうマスター! この狩場での初キルだぞ!』

メイプル「わーい! やったー! わーいわーい!」キャッホー







メイプル「エグいよコレッッッ!」ガビーンッ

ネメシス『私もちょっとどうかと思ったところだ』
44 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/26(木) 19:11:12.24 ID:EjRhO5BM0
メイプル「いや盾で撲殺もエグさでは変わらないかもしれないけどさ!」

メイプル「この戦い方は安全だけどエグいよ! もっとこう……大剣でバッサリとか、魔法で消し飛ばすとか……」

メイプル「そういうファンタジーすぎてまったく実感がわかない攻撃方法が良かったよ! エグいもん! 下手したら現実でもできるよこの手口!」

ネメシス『とは言えだ。マスターよ。結局私たちは低レベルのド初心者』

ネメシス『そのようなスキルがあっさり使えるはずもない。回復魔法も初級のしか使えんのだろう?』

メイプル「そりゃまあ……」

メイプル「……はあー。仕方ない。慣れよう。私たちには今のところそれしかないんだもん。ないものねだりしても生産的じゃないもんね」

ネメシス『さて。どの程度で慣れるかのう。その前に疲弊して膝をつくのが早いと予想するが』

メイプル「イヤな予想するなぁ……」





二分後


メイプル「えいっ」グサァァァッ

ゴブリン「ぶべびゃっ」

バリイイイイインッ

メイプル「慣れたッ!」シャキィィィンッ

ネメシス『まだ二匹目なのにィ!?』ガビーンッ

メイプル「罪悪感を覚えるのは、無駄に苦しみを長引かせているからだと気付いたんだよ」

メイプル「躊躇なしで殺せば苦しみが長引かない! すぐ楽にできる! 痛くない! 怖くない!」グッ

ネメシス『……』

ネメシス(サイコキラーの発想では?)ヌボーンッ
45 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/26(木) 21:18:55.79 ID:EjRhO5BM0
三十分後 討伐数:16匹

メイプル「それにしても、色々な人がいるなぁ……確かに一つとして同じエンブリオはないみたい」

ネメシス『ム? マスター。いいか?』

メイプル「なに? 緊急の用事?」

ネメシス『火急と言えば火急だが……二時の方向だ。マスターがいる』

メイプル「そんなのこの辺りじゃ別に珍しくも……」チラッ




着物の少女「……ちょっと無茶をし過ぎたな。回復アイテムが尽きた」

小悪魔ルックの少女「うぇぇ……カスミー。ピンチだよー?」グッタリ




メイプル「……ピンチっぽいね。囲まれてるし」

ネメシス『五割くらいの確率で突破できそうではあるが。五割の確率で死ぬのでは大ピンチと言って差し支えあるまい?』

メイプル「でもヒーロー見参! みたいな調子で助けるのも場合によってはマナー違反だしなぁ」

メイプル「……そだ」

メイプル「《ファーストヒール》!」

着物の少女「ん?」ポワッ

小悪魔ルックの少女「おお? 傷が治った!」

メイプル「この程度なら迷惑でもないでしょ。ないよね?」ドキドキ

着物の少女「ハァッ!」ザシュッ



ズバズバズバッ



着物の少女「HPのマージンが増えたのなら、被ダメ覚悟の無茶な戦い方ができる」

着物の少女「……礼を言わせてもらおう。通りすがりの見知らぬ誰か」

小悪魔ルックの少女「ありがとー!」

ネメシス『……おや? あの小悪魔……』

メイプル「どうかした?」
46 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/26(木) 21:38:15.22 ID:EjRhO5BM0
ネメシス「よっと」パッ

メイプル(少女形態に戻った?)

ネメシス「ほうほう……ほうほうほう。同種かと疑ったが、ガードナーか。珍しいのう、ここまで人型に近いのは」ジロジロ

小悪魔ルックの少女「んー?」

メイプル「ね、ネメシス。急にジロジロ見るのは行儀が悪いよ」オロオロ

着物の少女「驚いたな。そんなTYPEのエンブリオもいるのか。武器と少女の二つの形態とは」

ネメシス「うむ! TYPE:メイデンwithアームズのネメシスだ! 覚えておくがいい!」フンス

バビロン「バビはTYPE:ガードナーのバビロン! こんにち殺法!」シュバッ

ネメシス「こんにち殺法返し!」シャキィィィィンッ

メイプル「数秒でもう仲良くなってる! かぐや様ネタで!」ガビーンッ

着物の少女「……まあ仲が悪いよりはいいことだ。面倒が少ない」

メイプル「……えっと、ネメシスのマスターのメイプルです。よろしく」

カスミ「カスミだ。デンドロについ昨日入ったばかりの初心者だが、こちらこそよろしく頼む」ニコ

メイプル「え! 偶然! 私も昨日入ったばっかりなんですよ!」キラキラ

バビロン「ねえねえカスミー! この人たちと一緒に遊ぼうよー! 多分楽しいよー?」

カスミ「……何故エンブリオのお前がマスターの私を主導する……?」ヤレヤレ

カスミ「それに、もう帰る予定だ。回復アイテムが尽きたとさっき言っただろう?」

バビロン「えー?」

メイプル「……凄い普通に喋ってますけど、ガードナーって確か『魔物型のエンブリオ』じゃなかったですっけ?」

カスミ「敬語はいらない」

バビロン「バビは淫魔だからねー! 人型じゃないと!」フンス

メイプル&ネメシス「……淫魔??」
47 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/26(木) 21:51:51.14 ID:EjRhO5BM0
バビロン「セクシーにエロいことする魔物! です!」フンス!

ネメシス「聞き間違えではなかったようだ」

カスミ「バビ……あんまり大っぴらにそういうことを言うのは……」

バビロン「えー? なんで? バビが淫魔なのは事実だよ?」

カスミ「それはそうだが、なんだ。お前が私のパーソナリティから産まれたという事実がだな……その、なんだ。恥ずかしいというか……」

バビロン「カスミはバビのことが恥ずかしいの?」ウルウルウル

カスミ「……」

ネメシス「閉口してしまったぞ」

メイプル「涙目でこんなこと訊かれたら誰でも固まるでしょ。私でも固まるよ」

カスミ「エロなのか……? 私のパーソナリティはエロなのか?」ワナワナ

バビロン「カスミの本性は獣! 嵐の如き、エロさの力!」ドカァァァァァンッ

カスミ「やめろ!!!!!!!」ウガァ!

ネメシス「流石に怒鳴ったな」

メイプル「目の前でエロ呼ばわりされたらね。私でも怒鳴るよ」

ネメシス「おっと。そうだ。そろそろ小腹が空いたと思っておったところなのだ」

ネメシス「私たちも街に帰るぞ。マスター」

メイプル「ん? んー……」

カスミ「?」

メイプル「カスミさんたちも一緒に行こう? せっかくだし」

カスミ「さんもいらない」

バビロン「さんせーーーい! スイーツの美味しい店行こうゴーゴー!」

カスミ「……まあこれも、オンゲの醍醐味の一つか」

メイプル「ふふふ」

メイプル(サリーがいなくて寂しいし、誰かと一緒にやりたいと思ってたところだったんだよね)ニコニコ

ネメシス(寂しがり屋だのう。我がマスターは)
48 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/26(木) 21:56:14.65 ID:EjRhO5BM0
今日のところはここまで!
49 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 17:43:24.73 ID:oMbyt/af0
その辺の飲食店セカンド

メイプル「……え? ジョブに就いてないの?」

カスミ「就き方がさっぱりわからなかったからな。特に不自由も、さっきまではしていなかった」

ネメシス「それはおかしいのではないか? さっきはモンスターをズバズバ斬っておったろう? 剣士系統でもなければあんなことは……」

バビロン「カスミの剣術は自前なんだってー」ドバドバ

バビロン「んー! バニラパフェのチリソースかけ美味しー!」バクバク

メイプル(それはもうパフェじゃないよ。チリソースの海に浮かんだ残飯だよ)

メイプル「そっか。リアルでのスキルがこの世界だとある程度反映されるんだね。考えてみればそりゃそうだって感じだけど」

ネメシス「それにしたってレベルゼロであの剣捌きはすさまじいのう……」

カスミ「……面倒でなければ、ジョブの就き方を教えて貰ってもいいだろうか? 本当に素人なんだ」

メイプル「いいよ! はいこれ、適職診断カタログ。友達から借りてそのまま返し忘れちゃったヤツだけど」

カスミ「これを見ればいいのか?」

カスミ「……ふむ……」ペラッ

カスミ「……ん!?」ガビーンッ

バビロン「おおー! 変なの出たねー!」ケラケラ

メイプル「変なの?」

カスミ「私の本性はエロ……」ズーン

メイプル「何が当たったの!? 落ち込みようが凄いよ!」ガーンッ

カスミ「い、いや……大丈夫だ。ちゃんと申請さえすれば違法な職業ではない」

カスミ「一応……」ボソッ

メイプル(じゃあ何でこっちを見ないの?)




その後雑談をしてカスミとは別れた
50 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 19:34:43.40 ID:oMbyt/af0
王都アルテアより北 ノズ森林

メイプル「あっちじゃ物足りなくなってきたから、ちょっとレベルの高い狩場でやろっか」

ネメシス『賛成だな。賛成だが……』



狼型魔物「ガルルルルルル!」



ネメシス『……人型ではなく獣型のモンスターがついに出てしまったか』

メイプル「抑え込み方と止めの刺し方のノウハウをまた一から考えないとね」

メイプル「四足獣なら……真上からの抑え込みかな?」ブンッブンッ

ネメシス『重さが足りてないから真横からがよいのではないか?』

メイプル「……やりながら考えようか! 撲殺するつもりでネメシスをぶん回すからよろしく!」

ネメシス『心得た!』



十分後


ドギャアアアアッ

狼型魔物「ぎゃわんっ」グシャッ

メイプル「よし! 一旦体制を崩してから盾で抑え込めば、後は簡単だね!」ブスウッ ブシャアアアアアッ

狼型魔物「カッ……カ、カ……!」ビクンビクンッ

メイプル「そのままじっとしててねー。すぐ楽になるから……んー。狼の頭蓋骨と首の骨ってどういう構造になってたっけなぁ」グリッ……グリッ……ブシュッ

グチャッ ズチッ…… ブツンッ

狼型魔物「うぶっ……」グッタリ


バリイイイイインッ


メイプル「うん! 経験則でどうにかなりそう! あと三匹狩れば!」ニコニコ

ネメシス(相変わらずグロい……)

メイプル「やったぁ! ネメシス、私レベル5になったよ!」キャッホイ!

ネメシス『おめでとう』
51 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 21:16:24.36 ID:oMbyt/af0
三十分後

ゴリュッ……バツンッ

バリィィィィンッ

メイプル「慣れてきたー!」イエーイ

ネメシス(本当に慣れおった!)ガーンッ

ネメシス『マスターには解体の才能でもあったのかのう』

メイプル「そんなことないよ。経験すれば誰にでもできる程度のことしかやってな――」


バンッ

ドギュウウウウウウンッ



メイプル「かっ……!?」グラッ

メイプル(……だ、ダメージ? 嘘、私、攻撃された?)

メイプル(誰に!?)

ネメシス『マスター!』

メイプル「……ッ! 《カウンターアブソープション》!」ガキィィィィンッ

謎の生物「げぎゃぎゃぎっ!?」ドカァァァァンッ

メイプル「えっ……攻撃を防御しただけで死んだ? 何、今の。名称も見えなかったし!」

ネメシス『モンスターなら名前が表示されるはずだ。それがないと言うことは、今のはさっき会ったバビと同じだ!』

メイプル「エンブリオ!」


ギャァァァァ! ヒィィィィ!


メイプル「……!? えっ。何!? 悲鳴!? あちこちから聞こえるけど!」オロオロ

ネメシス『逃げろマスター! 無差別攻撃だ! おそらくこの場にいると巻き込まれる!』

メイプル「でもエンブリオはもう死んで……!」


バンッ


メイプル(またあの音……! 銃声? 違う、爆竹か何かみたいな……!)

ネメシス『構えろマスター!』

メイプル「《カウンターアブソープション》!」ガキィィィィンッ

謎の生物「ぎぎぎぎぎぎっ!?」ドカァァァァンッ

メイプル「また死んだ!?」

メイプル「……ああ、そうか! 群生型のガードナーなんだね!?」

ネメシス『TYPE:レギオンと言うカテゴリーだ! ガードナーが進化するとなる形態の一つ!』

ネメシス『いいから逃げろ! 相手が悪すぎる!』
52 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 21:33:24.23 ID:oMbyt/af0
メイプル「ぐっ……! 思ったより街への入口が遠い! 結構奥まったところまで来ちゃったみたいだね!」タッタッタッ

メイプル「ていうかこのゲーム、プレイヤーキルありなタイプだったんだ! 知らなかった!」タッタッタッ

ネメシス『マスター。もう一つ確認しておくことがある』

メイプル「何!?」

ネメシス『カウンターアブソープションは十二時間に一回しかストックが回復しない』

メイプル「はい?」

ネメシス『やっぱり説明をよく読んでなかったなたわけ! アレは最大で二回しか使えないのだ!』

メイプル「嘘ォ!? ってことはもう攻撃を防げないじゃん!」

ネメシス『仮にも私は盾だから、一回くらいは素で受けきることはできなくもないと思うが……』

メイプル「ネメシス! エンブリオの破壊判定ってどうなってるの?」

ネメシス『案ずるな。ゲームが続く限りは壊れても時間をかけてオートで修繕できる』

メイプル(安心できる一言だけど……)

メイプル「……」

ネメシス『私たちは一心同体だ! 遠慮なんかしたら後で横っ面を引っ叩くぞ!』

メイプル「ごめん!」

メイプル(とか言っている間に、門が見えてきた。他のマスターの始末に手こずってるのかな)

メイプル「あともう少し……!」ピタッ

メイプル「……!」

ネメシス『どうしたマスター! 何故立ち止まる!?』



赤髪の少年「……いてててて……参ったなぁ、もう」



メイプル「……ネメシス。ごめん。寄り道する!」ダッ

ネメシス『んなっ……!』

ネメシス『……ちっ! 急げよ! マスター!』

メイプル「そこの子! どうしたの!?」
53 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 21:44:24.88 ID:oMbyt/af0
赤髪の少年「ッ!?」ビクウッ

メイプル「あ、安心して! あの爆弾生物のエンブリオのマスターじゃないから! ほら!」

赤髪の少年「……」

メイプル「キミ、マスター?」

カナデ「うん。カナデって言うんだ。僕のことは気にしないで、早く逃げた方が……」

メイプル「見つけちゃったんだもん! 放っておけないよ!」

カナデ「……」

ネメシス(……むう? 変だぞ、こやつ。怪我の痕跡があのエンブリオの攻撃と関連があるとは思えない)

ネメシス(まるで高所から落ちたかのような……)

カナデ「……仕方ない、か。一蓮托生。援護してくれる?」

メイプル「もちろん! 行こう! あと少しだから!」



バンッ



メイプル「!」

メイプル「そう簡単に……やられないってば!」ガァンッ

謎の生物「げぎゃがっ!?」ドカァァァァァンッ

メイプル「ぐっ……!」

メイプル(やばい。カウンターアブソープションなしだと爆発の余波だけで結構ダメージが入る!)

メイプル(そうそう繰り返せない!)

メイプル「走って! 早く! 殿は私が担当するから――!」


バンッ


メイプル「また来た! あと一回くらいなら!」


バンッ


メイプル「――」

ネメシス『……!』

ネメシス(今更ながら、理解したぞ。この音の正体)

ネメシス(自爆だ! 小さい自爆を繰り返して、加速と方向転換を行っているのだ、この生物は!)

メイプル(や、ば。無防備な背中に回り込まれ――)



ドガァァァァァァンッ!
54 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 21:50:20.43 ID:oMbyt/af0
【致死ダメージ】
【パーティ全滅】
【蘇生可能時間経過】
【デスペナルティ:ログイン制限24h】



楓「うわあああっ!」ガバリッ

楓「……!」ゼェ ゼェ

楓「……ログイン制限? デスペナルティ……?」

楓「あ。そういえば、そのことに関して理沙に訊くの忘れてたな……文字通りの意味ってことでいいのかな」

楓「……」







楓「……悔しいーーーッ!」
55 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/27(金) 21:53:22.58 ID:oMbyt/af0
今日のところはここまで!
56 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/28(土) 11:00:50.44 ID:QXh2GuTT0
数時間後

理沙『楓! デスペナに追い込まれたって本当!? 何があったの!?』

楓「私自身さっぱりわからないんだけど……変なエンブリオに襲われてさ。抵抗らしい抵抗もできなかったよ」

理沙『……どんなヤツだった?』

楓「それがさ。わからないんだよね。こっちでも色々調べたんだけど」

楓「超級殺しって知ってる?」

理沙『そりゃまあ知ってるけど……まさか』

楓「エンブリオの特徴と、やられた人たちの証言からほぼ確定みたい。私もその人にやられたんだ」

楓「……と言ってもさ。超級殺しってのが具体的に何なのかまではわからなかったんだけど。誰この人?」

理沙『マスター専門の殺し屋を標榜している正体不明のPKだよ。結構な有名人』

楓「正体不明なのに?」

理沙『まだ超級にまで進化してなかったころに、超級のマスターを沈めたことがあるから。その話題だけで充分に有名人なんだよ』

楓「へぇ。凄い人なんだね。それが何で私なんかを。あそこにいたのだって私と似たり寄ったりの初心者ばかりだったはずなのに」

理沙『理由はどうでもいいや』

楓「……理沙? 何か考えてる?」

理沙『んん? んー……まあね。準備があるからすぐってわけにはいかないけど……』

理沙『あの殺し屋クンには、飛び切り面白い物を見せてあげるよ』ニヤァ

楓「悪い顔……」

楓「そうだ。デスペナに送り込まれてからログインできないんだけど」

理沙『ああ。このゲームのデスペナはログインの制限なんだよね。二十四時間は無理だよ』

楓「うえー……それって向こうの時間で三日ってことだよね。勘弁してもらいたいなぁ……」

理沙『あ、あと詳しくは解明されてないんだけど、デスペナ食らいまくったマスターのエンブリオは進化しにくくなるとか言ってたよ』

理沙『……統計的に結構な高確率で』

楓「げんなりする事実その二……」グッタリ
57 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/28(土) 11:16:25.53 ID:QXh2GuTT0
理沙『……集まり悪いな……ちょっと時間かかりそう。これならいっそ向こう側で……』カタカタ

楓「理沙?」

理沙『ううん、何でもない! やることあるから落ちるね! バイバイ!』ブツンッ

楓「……敵討ち……するつもりだろうなぁ。まあ、止める気もないけどさ」

楓「……」

楓(ネメシスに何て言おうかなぁ。あれ、どう考えても私の判断ミスだし)

楓(あのまま逃げてれば確かに私は助かったかもしれない)

楓(……でも、それはできなかったよなぁ)

楓(あの子、どうなったんだろ。私がいなくなった後で一緒にやられちゃったかな)

楓(……)

楓「悔しい」




アルタ―王国

「おい! 向こうでもPKが出たってよ!」

「ふざけんな! 東西南北が封鎖されちまってるじゃねぇか!」

「西のヤツに至ってはティアンまで狩ってるらしいぞ! 滅茶苦茶だ!」

カスミ「……どうやら、マスターはアルテアから出られなくなったようだな」

バビロン「へー。タイミング悪いねー。東西南北全部のルートにPKが出るなんてさー」

カスミ(どう考えてもタイミングが悪いでは片付かないな)

カスミ(……誰かが私たちを閉じ込めようとしている? 何故?)
58 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/28(土) 16:06:48.02 ID:QXh2GuTT0
一日経過

メイプル「ふはーーーっ! 戻ってこれたーーー!」イエェェェイ!

ネメシス「……」ズーン

メイプル「うわあっ!? ネメシス!」ガビーンッ

ネメシス「驚くな。エンブリオがマスターの傍にいて何がおかしい?」

メイプル「あ、ははは! そうだよね! そりゃそうだよねぇ!」テレテレ

ネメシス「……」

メイプル「……」

メイプル(……気まずい。どうやって謝ろう)アセッ

ネメシス「謝る? 何を謝るというのだ?」

メイプル「!」ビクウッ

メイプル(思考を読めるのか……!? まずい……!)

ネメシス「何がまずい? 言ってみろ」ビキビキ

ネメシス「って、何をやらせるのだ。パワハラ鬼上司か私は」

メイプル「たまにやりたくなるよね。一方的にやられるかませキャラのロールプレイ」エヘ

ネメシス「それをやりたいと思うのは少年漫画のヘビーユーザーくらいだ」

ネメシス「もうよい! 私から言うぞ!」







ネメシス「すまなかった! マスター!」

メイプル「えっ」
59 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/28(土) 21:28:30.54 ID:QXh2GuTT0
ネメシス「私が……私がもっと強ければ……」ボロッ

メイプル「うえっ!? ちょっと、なんでネメシスが泣くの!?」ワタワタ

ネメシス「最後の瞬間、私には見えていたのだ。私たちが庇っていたあのカナデとかいうマスターも、爆弾生物に……!」

メイプル「!」

メイプル「……そっか。状況からして絶対そうだとは思ってたけど、やっぱり守れなかったか……そっか」ハァ

ネメシス「私はマスターの願いを知っている。第ゼロ形態の頃からずっと見ていた。誰かを守れる力が欲しいと願うお主をずっと見てきた」

ネメシス「だのに……!」ポロポロ

メイプル「……悔しいのは私も一緒だよ。あのときの私の判断は、私だけが生き残ることを目的とするなら間違いだった」

メイプル「でも、私はそれがイヤだったからカナデを助けようとした」

メイプル「……その上で、真上から叩き潰された。悔しくないはずはないよ」

メイプル「だからって別にネメシスが全部悪いとは思わないけどね」ケロリ

ネメシス「……!」グスンッ

メイプル「私たちより強い人がいるってことを知れただけで、今回は良しとしよう」

メイプル「悔しいのは二人とも一緒! 過ぎたことをくよくよしてても仕方ない!」

メイプル「……次があったら絶対に守るよ。そうでしょ?」

ネメシス「そうだ。だが負けたという事実は変えられない……」

メイプル「上書きするよ! 次は絶対に、後ろに被害を出さない! そういうふうに頑張るんだよ!」

メイプル「……私が頑張るんだから、ネメシスも頑張れる!」グッ

ネメシス「……」

メイプル「ねっ!」ニコニコ

ネメシス「……まったく。底抜けに明るいマスターだの!」ニコッ

メイプル「やろ。ネメシス。最強の盾を、二人で目指すの!」

メイプル「……次は全部守ってみせる!」

ネメシス「無論だ! マスター! この夕日に、私も誓おう!」
60 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/28(土) 21:38:44.93 ID:QXh2GuTT0
ネメシス「とは言ったものの、だ。ではどこで強くなればいいのだ? 少なくともノズ平原は危険であろう?」

メイプル「どこでも危険だよ。アルテアの東西南北全部にPKが張ってるんだってさ」

ネメシス「何? それでは初心者は経験値を上げられないではないか!」

メイプル「一応、対抗策は用意してきてるよ。ログインできない間、何もしてこなかったわけじゃないし」

メイプル(……サリーから聞き出すの、物凄く大変だったんだけどね)

ネメシス「ム? サリー?」

メイプル「ともかく、準備はしておかないとね」

メイプル「……おっと。そうだ。カナデとも顔を合わせておきたいな。守れなくってごめんって言っておかないと」

ネメシス「……」

メイプル「あ。カナデを放っておけないって決断したの私だし、ネメシスはどこかに隠れてていいよ!」

ネメシス「いや。私も同席する。見つけられればの話だがな」

メイプル「買い物の途中で見かけたら、程度の探り方でいいよ。ともかくしゅっぱーーーつ!」

ネメシス「うむ! デッパツだーーー!」パラリラパラリラ!

メイプル「!? なんでヤンキー風に言い直したの……!?」ガーンッ







カナデ「……」ジーッ

カナデ「メイプル……ね」
61 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/28(土) 21:40:08.34 ID:QXh2GuTT0
今日のところはここまで!
62 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 10:56:14.08 ID:AkGf0bDw0
道具屋

メイプル「……」



身代わりの竜鱗『三十万リル』

救命のブローチ『五百万リル』



メイプル「買えないんだけど!」ガビーンッ

ネメシス「果樹園騒動のときサリーに渡されたダメージコントロールアイテムか?」

メイプル「うん。あったら私たちの能力とかなり噛み合うから絶対に欲しかったんだけど」

メイプル「高いよ! 仮に買えるだけの大金を用意できたとして、これに手を出すの憚られる程度に高いよ!」

メイプル「あっと言う間に全部ぶち壊しちゃったことに対してサリーに対して申し訳なさすぎるよーーーッ!」ウオオオオオ!

ネメシス「まあ、無い物ねだりしても無理なものは無理だ。仕方ない」

ネメシス「準備はこれで最後か?」

メイプル「うん。聖騎士なら顔パスで入れる場所らしいし、早く行っちゃおうか」

ネメシス「そういえば最後まで聞かなかったが、私たちが行く狩場とは?」

メイプル「墓標迷宮」

ネメシス「……ッ!?」ガーンッ

メイプル(本当、聞き出すの苦労したんだよなぁ。サリーってばホラー系のダンジョンやクエストがとにかく苦手だから)

メイプル(墓標と銘打ってるからには、やっぱりゾンビとかアンデッドとか出るんだろうなぁ)

メイプル(見た目はどうにかなるとしても、臭いのはイヤだなぁ)スタスタ

ネメシス「待っ……待って、マスター。待って……」ヨタヨタ

メイプル(そういえばもうすぐ夜だっけ。アンデッド系のモンスターが出るならやっぱり行動が活発になったりするのかな)

メイプル(……ま、いいか。ネメシスと強くなるって誓ったばっかりだし。弱音吐くのも、ね)

ネメシス(知ってか知らずか私の逃げ場をどんどん失くす思考しておる!?)ガビーンッ
63 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 15:13:01.24 ID:AkGf0bDw0
墓標迷宮入口

見張り兵士「ではどうぞ聖騎士様。お気を付けて」

メイプル「はい! 行ってきます! それじゃあ、経験値稼ぎ頑張ろうか! ネメシス!」

ネメシス「……」ガタガタ

メイプル「……」

メイプル「もしかして、おばけ怖い?」

ネメシス「ひっ!? な、何の、ことだ……? 別に怖くなど……」

メイプル「あーーー! こんなところにゾンビがーーー!」ビシイッ

ネメシス「ぴぎゃああああああああ!?」ビクウッ

メイプル「……やっぱり怖いんだね」

ネメシス「……ハッ!? 嘘か!? な、なんて悪質な嘘を吐くのだマスター! 心臓が口からまろび出るところだぞ?」ゼェゼェ

ネメシス「そうなったらマスターはまさしく人殺しだぞ!? わかるか!?」ハァハァ

メイプル「うんうんわかるわかる。じゃ、早く盾になって」

ネメシス「ああ。このままの姿でいるよりかは盾になってもっとビッチリマスターと密着してた方がマシ――待てよ?」

ネメシス「マスター。中に入ったら当然戦闘をするな?」

メイプル「もちろん。そのつもりで来たんだから」

ネメシス「戦い方に変更は?」

メイプル「あるわけないよ」

ネメシス「……つ、つまり、ゾンビやらアンデッドやらが出てきたら私でその、そやつらを……」ガタガタ

メイプル「抑えつけて殺すことになるね?」

ネメシス「イヤじゃああああああああ!」ダッ

メイプル「よーし! 頑張って行こうー!」ガシッ

ネメシス「逃走の真似事すら許さぬか、この鬼マスターめ!」ジタバタ

メイプル「サリーとかなら大目に見るよ。ネメシスはダメ。私のエンブリオだから」

ネメシス「うわあああああああああああん!」
64 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 15:50:06.45 ID:AkGf0bDw0
墓標迷宮内

ゾンビ「ヴぁー」ヨロヨロ

アンデッド「なー」ヨロヨロ

ネメシス『んぎゃああああああああ!? ひやあああああああああ!』ガタガタ

メイプル「わあ。高周波振動シールド」

ネメシス『しょうもないことを言っている場合かマスター! 無理! あれを押さえつけるのは無理ーーー!』

メイプル「落ち着いてネメシス。よく見て。アレがゾンビとかアンデッドに見える?」

ネメシス『へ? も、もしかして暗くてよくわからなかっただけで、ただの木箱とか木に引っかかった布とかそういう――』

メイプル「ふんっ」ブンッ

ゾンビ&アンデッド「ごげべばっ!?」グチョアッ

ネメシス『』

メイプル「あれ。盾と壁でサンドしただけで潰れちゃった。まあ死体だもんね、強度がある方がおかしいかな」

ネメシス『』ベチョオア

メイプル「で。どうだったネメシス。やっぱりゾンビとアンデッドだったけど」

ネメシス『まぁぁぁぁすたぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!? 身体に! 私の身体に変な肉片がべっとりとおおおお!?』

ゾンビ&アンデッド「あ、あー……」

メイプル「あ。ごめんネメシス。肉片が残ってるのは削り切ってなかったからだよ。止めを刺せば死体は残さず消えるはずだし」

メイプル「これで終わりッ!」ドガシャアアアッ

ゾンビ&アンデッド「びゅっ」ブシャアッ

ネメシス『』



バリイイイイインッ



メイプル「勝利ッ!」ガッツポ!

ネメシス『』

ネメシス『』
65 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 17:07:20.94 ID:AkGf0bDw0
ネメシス「わ、私を武器として使うこと自体はもう仕方ないとして、心の準備ができないままにぶん回すことに関しては一生責めるからなああああ!」

ネメシス「次同じことしたら家出してやるからなああああああ!?」ガタガタ

メイプル「わかったよ……わかったから機嫌直して武器形態に戻ってよ」

ネメシス『ふんっ! 後で身体を念入りに洗えよ! 隅々までな!』ガタガタ

メイプル「わかってるって」

メイプル(サリーとおばけ屋敷でどったんばったんしたこと思い出すなぁ)

ウーンド・ゾンビ「うぇあー」ヨタヨタ

メイプル(まあ確かにリアル描写でゾンビとか腐った死体とかやられると結構キツいなってのはわかるけど)ブンッ

ネメシス『ひぎゃああああああああああ!』ドグシャアアアアッ

ウーンド・ゾンビ「あー! あー!」ジタバタ

ネメシス『あ、あひゅう、あ、暴れるな! 暴れるなーーー! マスター、早く止めを――』

メイプル「……」

メイプル(えー。これに剣を差すのイヤだなー。私の手が汚れそうで)

ネメシス「!?!?」ガビーンッ

メイプル(このままネメシスと壁でサンドして圧死してもらおうっと)ギュウウウウウ!

ウーンド・ゾンビ「あぎあああああああああああ!?」バタバタバタ

ネメシス『ほぎゃああああああああ!?』



バリイイイイインッ



ネメシス「今まで世話になったなマスタああああああああっ! 家出する! 野良エンブリオとして生きてやるうううう!」シャーッ

メイプル「ごめんって……」
66 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 19:33:34.06 ID:AkGf0bDw0
一時間経過

ネメシス『……』ズーン

メイプル「そろそろサブウェポンの短剣だけでゾンビを単独撃破できる程度にはなった」

メイプル「なったけど、それやったら多分ネメシス成長しないよね」

ネメシス『ああ、そうだろうな。泣いたら段々落ち着いてきた』シクシク

メイプル「帰ったらちゃんと洗ってあげるから……」

ネメシス『約束だぞ……』

カチリッ

メイプル「ん?」

ネメシス『ム。どうかしたかマスター』

メイプル「いや、なんか足元で何かがカチッて……」


パカッ


メイプル「は?」

ネメシス『えっ?』



ヒューーーーーッ



メイプル「落下トラップーーー!?!?」ガビーンッ

ネメシス『もうイヤじゃああああああああああ!』ビエエエエエン!
67 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 19:57:33.78 ID:AkGf0bDw0
ドスーンッ

メイプル「……着地、成功!」

ネメシス『この程度の高低差で我が身を傷つけることはできん!』フンス

ネメシス『……って、そうではない! 冗談ではないぞ! 予定外のトラップで行くはずがなかったダンジョンの奥地へ、などと!』

ネメシス『完全な死亡フラグではないか! 早く上階へ戻るぞ、マスター!』

メイプル「うん!」カチッ

ネメシス『ん?』


パカッ ヒューーーッ


メイプル「またあああああああ!?」

ネメシス『そんなバカなーーーッ!?』ガビーンッ



ドスーーーンッ


メイプル「まあ着地は成功するんだけどね!」シャキイイインッ

カチッ パカッ ヒューーーーッ

メイプル「三度目ーーーッ!?」

ネメシス『バカな……!?』

ネメシス(ダンジョンのトラップは基本的にランダム生成のはずだぞ。それがこうも、しかも同じものが連続するなどと)

ネメシス(こやつ、背中に疫病神でも飼っておるのか!?)



十分後


ドスーンッ


メイプル「……はあ……はあ……!」

メイプル「……」キョロキョロ

メイプル「やっと連鎖が終わった、かな」

ネメシス『だがまずいぞ、マスター』

メイプル「何が?」






ネメシス『数えていた限り、四十九階層まで落ちてしまった』
68 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/29(日) 19:58:33.92 ID:AkGf0bDw0
今日のところはここまで!
69 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 18:15:05.82 ID:GaAwZGRS0
ヴァジラが最後のムックガチャで当たった……

今FGOで回せば天草くんも揃う気がするぜェェェェェ!
70 :いねェのかよッ!  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 18:27:59.70 ID:GaAwZGRS0
同時刻 四十九階層

クロム(ふうっ……随分と深くまで潜っちまったな。今日のところはここまでか。新記録だしな)

クロム(このまま何事もなく帰れれば、の話だが。まあいいペースだったし大丈夫だろう)スタスタ

クロム「ん?」






ネメシス「待てェェェェ! マスター待てーーーッ! それはまずい! そんな選択に私は命を懸けられない!」グイグイ

メイプル「止めないでネメシス! 大丈夫だから! 多分これで合ってるから!」ウオオオオ!

クロム(なんだ……? 嬢ちゃん二人? 片方はマスターだな。やたらステータスが低いが)

クロム(……いや本当に低いぞ。そもそもどうやってこんな場所まで落ちてきたんだ?)

ネメシス「お主、さっきの今でよくそんな仮説を振りかざせるな!?」

メイプル「だって四十九階層って普通に私たち即死するレベルの階層じゃない!」

メイプル「ここに不運で落ちてきたのなら、無事に脱出するならやっぱり運を使うしかないよ! 実力でどうにかできる!?」

ネメシス「それは……難しいが……」

メイプル「無理! というか仮に可能だったとして、そんな意地を張る理由がない!」バッサリ

ネメシス「自分自身の可能性の具現であるエンブリオに向かってなんて言い草だ! グレるぞ!?」ガビーンッ

メイプル「と、いうわけなので、私はこの見るからに『上へ飛び上がる絵』が描かれている踏み抜き型トラップを押すことにするよ!」

メイプル「大丈夫だよネメシス……私を信じて……?」キラキラキラキラ

ネメシス「ちょっといい台詞で懇願してもダメなモノはダメ――」

メイプル「いくらダメと言われてもやると言ったことはやるよ」カチリッ

ネメシス「うわあああああああああ!?」ガビーーーンッ




ビュオンッ



メイプル「ほらあ、やっぱり上昇のトラップだったでしょべばっ」ドガシャアアアアアアッ

ネメシス「マスターーーッ! マスターが天井を突き破ったーーー!?」ウワアアアアアア!?






クロム(……まあ上昇のトラップであるのは間違いなかったが……落とし穴のトラップみたく天井が開いたりしねぇんだよな。アレ)

クロム(死にはしないが、最大HPの半分が持ってかれる『引き千切りの罠』だ。二回目からは一回目に通ったヤツの穴を利用できるから楽なんだが)

クロム(……ちょっと上に先回りして様子を見てくるか)スタスタ
71 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 20:25:36.48 ID:GaAwZGRS0
四十八階層

ネメシス「待てェェェェ! マスター待てーーーッ! 二度目はまずい! 今度こそ絶対死ぬぞーーーッ!」グイグイ

メイプル「止めないでネメシス! 大丈夫だから! 今度はネメシスの協力で多分大丈夫だから!」ウオオオオ!

クロム(デジャヴだーーーッ!?)ガビーンッ

クロム(ま、まさか! 飛んだ先で同じ罠をたまたま見つけたのか!? どんな確率だよ!?)

メイプル「大丈夫だってネメシス! むしろ敵に見つかってない今しかチャンスはないってば!」ブシュウウウッ

ネメシス「まずは止血しろーーーッ! 流血で右目が開いてないではないか!」アワワワワ

メイプル「ちょっとはポーションで回復したよ、既に。最大HPの半分持ってかれる罠だったみたいだし」

メイプル「でもそれなら、低レベルで低HPであることが逆に有利に働くよ。やっすいポーションで半分以上のHPが回復するからね!」

ネメシス「更に流血すること前提で話しておる!?」ガーンッ

メイプル「それじゃあ、行くよネメシス! 凱旋って言うんでしょ、こういうの!」カチリッ

ネメシス『ああ、またっ……くそう!』ヒュンッ

クロム(おお! メイデンだったのか、あの嬢ちゃん)


ビュオンッ


メイプル「ごはあーーーッ!?」グシャアアアアッ

ネメシス『ま、マスターーーッ!』ガビーンッ

クロム「……む、無茶するなぁ……でもこんなやり方そうは続かないぞ。一応様子を見に行くが……」スタスタ





四十七階層

ネメシス「もう本当に勘弁しろーーーッ! お主の盾である私の立場で考えろ!」

ネメシス「持ち主がどんどんボロボロになって本当に立つ瀬ないからな!? 私!」グイグイ

メイプル「大丈夫だってば! 計算上、このまま行けばファーストヒールとポーションの連続で絶対一階まで行けるからーーー!」グヌヌヌ

クロム(また罠を見つけてるーーーッ!?)ガビーンッ

クロム(……ま、まさかこの調子で本当に帰還するんじゃ……)ハワワワワ


カチリッ ビュオンッ グシャアアアアアッ
72 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 20:34:44.31 ID:GaAwZGRS0
一階

メイプル「……ヒューッ……ヒューッ……ごぽっ……ヒューッ……!」

ネメシス「マスター……マスター……!」ユサユサ

クロム(マジで同じ方法で帰還しやがったーーー! 多少危ないところはあったけど! いや現状でも充分危ないんだけど!)

メイプル「がぶっ……ああ、ネメシス……わかってるよ。安全なところまで行こう……」ヨロヨロ

ネメシス「最早その辺のゾンビよりマスターの方が余程ゾンビだぞ!? 流石に二階から来てまでもあのトラップを踏む必要はなかったのではないか!」

ネメシス「二階と一階じゃモンスターの強さも似たり寄ったりなのだから!」

クロム(そうだよ! 二階まで来たら自力で階段探せよ!)

メイプル「ごめん、途中からどこが何階だとか数えてなかった……ここが一階だってことしかわかんない」

クロム(数えろよ!)ガビーンッ

メイプル「とにかく先に……」カチリッ

メイプル「え」

ネメシス「は?」

クロム「!」


ゾゾゾゾゾッ



ゾンビs「ぎしゃしゃしゃしゃしゃしゃ!!!!!」ゾロッ

ネメシス「……こ……ここに来て」

メイプル「モンスター大量発生系のトラップ……!」

ネメシス「……ぐっ!」

ネメシス『やらせぬ! マスターをやらせはせぬぞ!』パシュッ

メイプル「うん。頼りにしてるよ、ネメシス。あと少しだから、無理やりにでも突破しよう」

メイプル「二人で強くなるんだから! さっきそう誓ったばっかりなんだから!」

ネメシス『ああ! 強行突破だ! マスター! 私のことを使いつぶすつもりでやれ!』







クロム「……はあ。やれやれ」
73 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 20:40:58.50 ID:GaAwZGRS0
ザァァァンッ


クロム「そういう台詞はよ。もうちょっと健康なときにやらないと悲壮だぜ?」

ゾンビs「……!?」バラッ


バキイイイイインッ


メイプル「え……」

ネメシス『ゾンビどもを一薙ぎでバラバラに……!?』

メイプル「あなたは……?」

クロム「通りすがりのマスターだよ。名前はクロム。アンタは?」

メイプル「……メイプル」

メイプル「うん。私の名前は、メイプルです」

クロム「ここまで来たら、もう一息だろ。頑張れ」

メイプル「……!」

メイプル「はい! 頑張ります!」ヨロヨロ

ネメシス『……』

クロム「盾の嬢ちゃんも頑張れよー!」

ネメシス『ちっ。バレていたか。どこから見ていたのだ……?』


※最初からです。
74 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 21:06:18.14 ID:GaAwZGRS0
墓標迷宮 出入口

メイプル「……か……」

ネメシス「帰って……これたぁぁぁぁ」ヘナヘナ

メイプル「ああ、ごめん。本当に酷使させちゃったね、ネメシス。こんな予定じゃなかったんだけど」

ネメシス「まったくだ! 今日だけで一体何回死んだと思ったか……!」



ピコンッ


【探索条件【適正レベル大幅超過ダンジョンからの帰還】をクリアしたため、アクティブスキル《レックレスダイバー》を習得しました】


メイプル「ん?」

ネメシス「お」

メイプル「……レックレスダイバー?」

ネメシス「シェルブリットのアレか」

メイプル「それはReckless ●ire。大胆に魂に火を付けたりしないし」

メイプル「ええと、何々?」

メイプル「……自分の防御力の九十パーセントを攻撃力に変換した後、敵に向かって高速移動」

メイプル「ステータス変化の維持時間は一秒。射程と移動速度はスキルの習熟度に依存……?」

ネメシス「……割と使えるスキルではないか?」

メイプル「SPの消費は……もうちょっとレベルアップすれば問題視しなくていいレベルだね」

メイプル「やった! 新スキルゲット! 無駄足じゃなかった」ヒャッホウ!

ネメシス「……マスターが喜んでいるなら何よりだ。怖い思いをした甲斐があった」

メイプル「ネメシス……」

ネメシス「帰ったらちゃんと身体を隅々まで洗えよ……? 約束だからな……」ガタガタ

メイプル「あ、やっぱり?」
75 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/30(月) 21:13:02.62 ID:GaAwZGRS0
今日のところはここまで!
76 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/31(火) 19:42:57.77 ID:t6Cp7Ra/0
メイプル「面倒なことは早めに済ませるに限るよね。早く宿屋に戻ろうか」

ネメシス「面倒なことと言ったか? ん? 私のことを面倒なことと言ったか? 誰のせいだと? ん??」

メイプル「キレないでよ……言葉のあやじゃない……」

ネメシス「マスターは無茶をしすぎる! 今日は徹底的に私の意見を無視してくれたなぁ!? まだ根に持っておるぞ、ぶっとい根に!」プンスカ

メイプル「墓標迷宮から出た途端に元気になったなぁ。良かったぁ。結構心配だったからさ」ニコニコ

ネメシス「まぁぁぁすたぁぁぁぁぁ?????? どの口で言っておるのだこの口かぁぁぁぁ????」ギリギリ

メイプル「ごめんごめんごめん許して許して許して」


モワッ


メイプル「?」

メイプル(……なんか焦げ臭いな?)クンクン

ネメシス「あ? ……ああ、本当だな。確かに焦げ臭い」

ネメシス「というか、さっきより二度か一度程度気温が上がった気がしないか?」

メイプル「誰かキャンプファイアーでもしてるのかな?」

ネメシス「バカな。そんなことをしているアホがどこに……あっ」

メイプル「んっ?」






メイプル&ネメシス(……なんか空の一部が赤くない?)
77 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/31(火) 19:50:17.55 ID:t6Cp7Ra/0
ノズ森林に面するアルテア出入口

森「」ゴオオオオオオオ

メイプル「……」

ネメシス「……」





メイプル&ネメシス「火事だーーーッ!?」ガビーーンッ

リリア「あっ! そこにいるのはメイプルさんとネメシスさん!」

メイプル「え? リリアさん? どうしてここに?」

リリア「見ればわかるでしょう! 消火活動中です!」

騎士「副団長ォーーーッ! 水の供給が足りなくなるので立ち止まらんでください!」

騎士2「うわああああああ! 物凄い熱いーーー! 熱くて汗が滝のようだ!」

メイプル「ごめんなさい、アホな質問でした!」

ネメシス「しかしこれは一体どうしたことだ!? 何故ノズ森林が燃えておる!?」

ネメシス「いや、燃えているというか消し飛びそうとか、そんな表現が似合うぞ! どう見ても全焼しかかっておるし!」アタフタ



ドガァァァァァァァンッ ズドオオオオオオンッ



メイプル「うぎっ!?」ビクウッ

メイプル(ひ、酷い爆音! この前の超級殺しの爆弾生物とは比べ物に……!)

メイプル「まさか、これも超級殺しが!?」

リリア「四分の一正解です!」

メイプル「え。ほぼ不正解ですよね……?」

リリア「炎の! 炎の向こうをご覧ください!」

メイプル「向こう?」チラッ







巨大要塞「」ズズズズズズ

メイプル「なにあれぇ」
78 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/31(火) 20:00:38.92 ID:t6Cp7Ra/0
リリア「エンブリオです! 正確に言うなら超級のエンブリオの一つ【無敵要塞 バルドル】!」

メイプル「!?」ガビーンッ

ネメシス「む? どうしたマスター! 驚きのあまり心の声が聞こえなくなったぞ? マスター!?」

リリア「ええ、お気づきになられたようですね。話が早くて助かります! そうです! あの人のエンブリオです!」

ネメシス「あの人……?」

ネメシス「んっ? そういえばバルドルって、どこかで聞いたことがあるような……?」


『ザイガス! ザーーーイガス!』


ドガァァァァァァンッ バゴオオオオオオンッ


騎士1「ぐうおおおおおおおお!? ただの爆風だけでなんて威力だーーー!」

ネメシス「……ちょっと待て。砲撃の前に聞こえたあの声、聞き覚えがあるぞ」

メイプル「あー……そういえば明らかにやる気になってたなー。そっかー。面白い物ってこれかぁー。あははー」ボーゼン

ネメシス「……」









ネメシス「サリー?」

リリア「ビンゴです!」
79 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/03/31(火) 20:16:47.33 ID:t6Cp7Ra/0
ネメシス「そういえばあやつのエンブリオ、確かにバルドルとか言っておったな……」


『ザイガス! ザーーーイガス!』


バガァァァァンッ ズガガガガガッ


ネメシス「というか攻撃前に『別の無敵要塞の名前』を叫んでおるのは何なのだ、浮気か!?」ガビーンッ

メイプル「大した理由はないと思う。スプラやってるときも熱中すると無言になるか、ジャーゴンしか口にしないから。サリー」

リリア「状況はわかっていただけましたね!? 動機はまったくよくわかりませんが、ノズ森林を消し飛ばそうとしていることは確かです!」

リリア「聖騎士になった以上、メイプルさんもある程度こちらを手伝ってください! 義務は確かにないんですけど!」

ネメシス「あー……その、なんだ。強制でないのなら今日は……」

メイプル「わかりました! やりましょう! このバケツで水を汲んで来ればいいんですね!?」アタフタ

ネメシス「待てお主コラァッ!」ウガァ

メイプル「確かにさっきの騒動で疲れてるのは確かだけど、それどころじゃないでしょ!」

ネメシス「い、いや。マスター。お主に義務は……」

メイプル「ふん! えいっ!」バシャアッ

ネメシス「全然話を聞かんなァ! 死にたいのか!? 火事で!」ガビーンッ



結局ノズ森林は全焼した
80 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/01(水) 18:08:37.18 ID:jB7jtdYg0
数時間後

メイプル「」チーン

ネメシス「凄まじい過労で今度こそ死にかけておる!」ガビーンッ

リリア「聖騎士なのに意外に体力がありませんね……」

ネメシス「貴様っ……よくもそんな無神経なことを……貴様っ……!」ブルブル

メイプル「仕方ないよ。タイミングが悪かったんだから」

ネメシス「それにどちらにせよ無駄な努力だったではないか! あの火勢では全焼しない方がおかしい! 消火活動も雀の涙以下だぞ!」

リリア「だからと言ってやらないわけにはいかなかったでしょう!」

メイプル「ま、まあまあ。二人とも、喧嘩はやめて……ぐふっ」グッタリ

ネメシス「ともかく、マスターと私は宿に帰らせてもらうからな! 今度こそ!」プンスカ

リリア「ご協力ありがとうございました!」ニコニコ

ネメシス「ふんっ! 行くぞマスター! 人一人分程度を運ぶ力程度、私にだってある! もう動かなくていいからな!」

メイプル「ありがと……」

サリー「ヒューッヒューッ! お熱いねーお二人さん!」

メイプル「サリー。からかわないで」

リリア「そうですよ。この微笑ましい光景は遠目で見るに留めておかないと……サリー?」

サリー「うん。私だよ」

ネメシス&リリア「……ふっ……」




ガチャリッ



サリー「ん? 何この錠?」

リリア「超級職、幻燈姫(プリンセスオブミラージ)サリー。ご同行を」

サリー「え」

ネメシス「……罪を償って綺麗な身体で戻ってこい。さもなくばもう、少なくともこの世界でマスターに一切触れさせんからな」イライラ

サリー「え。え。え」

リリア「連行します。抵抗はやめてくださいね」ズルズル

サリー「えーーー……」

ネメシス「……悪は滅んだ」

メイプル「私の友達だよ!?」ガビーンッ
81 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/01(水) 20:58:13.46 ID:jB7jtdYg0
宿屋の一室

メイプル「超級職って何?」

ネメシス「ジョブシステムの到達点だな。今マスターが就いているのが騎士系統の上級職聖騎士。その更に上だ」

ネメシス「しかし幻燈姫とは……悪夢と見紛うような光景ではあったが、明らかに滅ぼすことしか考えてない能力でよくもまあそんな職に……」

メイプル「サリーらしいなぁ」

ネメシス「そもそもあやつは何なのだ?」

メイプル「まあ、親友? ゲームそのものの親しみは私とは比べることもできないけど」

メイプル「確か前に家に遊びに行ったとき、ゲームの大会のトロフィーがあったような気がするなぁ。上級者ではあると思うよ」

ネメシス「認識がわやわやだぞ。親友では?」

メイプル「なんとなく仲が良ければ経歴がどうとか関係ないでしょ」

メイプル「ちょっと休むね。今回ばかりはさ……本当大ピンチだったし……」

メイプル「ぐー」スヤァ

ネメシス「ああ。ゆっくりと休め、マスター」

ネメシス「……」

ネメシス「私も風呂に入ろう……結局拭いてもらえなかったなぁ。うう、ゾンビ……」ブルッ




取調室

サリー「はあああああああ!? 賠償金が一億三千万リルゥ? ちょっと待ってよ! 桁が二つ三つ間違ってない!?」

リリア「間違っているものですか! ノズ森林は国営の伐採所です! 従って、あの場にある木材はすべて国のもの!」

リリア「騎士団を総動員させて消火活動させた迷惑料含めてきっちり一億三千万リル! 間違いありません!」

サリー「ぐぬぬぬぬ……このためにかなり根回ししたはずなのに……周辺のマスターを何人か雇ってさぁ!」

リリア「え。そうだったんですか? 確かに一般の死傷者の報告は不思議なほど出てませんね。避難誘導がされていたという点のみは……」

リリア「はい。調べればわかること、ですね。その人たちからも事情を聞きたいので、名前を教えてくれれば……」

サリー「いない」

リリア「? しかしたった今、雇ったと」







サリー「超級殺しごとふっ飛ばしたもん。全員三日間は帰ってこない」

リリア「あなたバカですか?」
82 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/01(水) 21:19:03.71 ID:jB7jtdYg0
リリア「情状酌量の余地一切なし。耳を揃えて払ってくれない限り、もっと別の刑を執行することになりますが」

リリア「金額相当の強制労働とか」

サリー「ええっ!? 勘弁してよ! 一億三千万なんて大金、一生かかっても払え……払え……」アタフタ

サリー「いや払えるけどさ」ドジャラドジャラ

リリア「はい。間違いなく一億三千万リルです」

サリー「強制労働なんて御免だねぇ。私は自由を愛するマスターだからさ」

リリア「……結局、その超級殺しをそこまでしてふっ飛ばした理由とは何だったのですか?」

サリー「友達……さっき煤をほっぺに付けて死にかけてたメイプルが殺されたから。敵討ち。かっこいいでしょ?」

リリア「その過程で仲間ごとふっ飛ばしたとあなた自白してましたよね……? 新たな悲劇を増産してるだけでは?」

サリー「私はいいの。ちゃんと契約書と事前説明は『サリーが後ろから急に撃ってきたとしても一切文句が言えない』って内容にしたから」

サリー「当然こっそりね。じゃないと人が集まらなくってさー」

リリア「……あのクマの着ぐるみ、一生脱げないですよ?」

サリー「今回は仕方ないよ。本当頭来ちゃったからさ。でも」

リリア「でも?」

サリー「ここまでしても取り逃がしちゃったけどねぇ」ハァ

リリア「……あなたが!? あれだけのことをして!?」ガビーンッ

サリー「あ。いけない。ねぇリリア。暇を見つけたらメイプルに言っておいてくれない?」

リリア「超級殺しがまだ生きていることを、ですか?」

サリー「それもだけど、それだけじゃなくて。もっと重要なことがあるんだ」

リリア「……?」
83 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/01(水) 21:31:31.79 ID:jB7jtdYg0
『元』ノズ森林

「ぜぇっ……ぜぇっ……し、死ぬかと思った! あの子、本当に容赦ないわね! 噂以上に酷いじゃない!」

「まさか仲間ごと爆撃する!? あー、あと少しSPが削れたら本当に死ぬところだったわ!」


カナデ「イズ」

イズ「ッ!」バッ

イズ「……ああ。カナデちゃんね。最後の最後で助かったわ。でももう少し早くインしてくれたら、もっと楽に逃走できたのに!」

カナデ「ごめんねー。どこかの誰かさんが『共犯関係』を隠すために、あの盾持ちの子ごと僕をふっ飛ばしてくれたせいで今までインできなかったんだ」

イズ「マスターの位置を割り出す役をやってる最中に、見張り台から落ちるのが悪いのよ」

カナデ「たまたま風が吹いたせいだよ。僕は悪くない」

イズ「……でも結局、サリーちゃんにはバレちゃったでしょうね。私の正体まではわかってなかったようだけど」

カナデ「仕方ないよ。イズまで死んだらいよいよ僕が殺された意味がなくなるもん」

イズ「仕事は……これ以上の続行は不可ね。いい条件だったのだけど。次はどうしましょうか」

カナデ「僕、やりたいことができたんだ。付き合ってよ」

イズ「やりたいこと?」

カナデ「あのね――」








サリー「超級殺しは二人いる」

サリー「……しかも、どっちも正体がわからない」

サリー「警告しとかないと、メイプルが危ないかも」
84 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/02(木) 19:20:44.58 ID:ThkADquP0
数時間後 元ノズ森林

カスミ「……やはりモンスターのポップがなくなっているな。これではレベル上げなどできん」

バビロン「やーははははは! 凄いねー! 本当に全焼しちゃってるねー!」キャピキャピ

カスミ「こら、バビ。不謹慎だぞ。あまりはしゃぐな」

バビロン「はーい!」

カスミ「しかし、やれやれ。PK騒動が落ち着いたら今度はここでレベル上げするつもりだったのだが、どうしたものか――!」ピクッ

カスミ「何奴ッ!」グサアッ



「んぎにゃああああああああああああ!?!?」ブシャアアアアッ



バビロン「んえ? どうしたの? 刀身が途中から無くなっちゃってるけど」

カスミ「どうやら何者かがこの中にいるようだ。不可視の異空間か……?」グリグリ

「ぎゃあああああああああああグリグリしないでえええええ!」ブシャアアアアッ

バビロン「あはははは! 空中から血飛沫が上がってるー! 面白ーい!」

カスミ「この声、どこかで……」グリグリ

「あああああああああああああ!!!!」ブシャアアアアアッ


ニュルンッ


チェシャ「いやいっそのこと入ってきなよ! 別に害を加える気はないんだからさぁ!」

カスミ「おお、チェシャだったのか。元気か?」

チェシャ「瀕死だよッ! キミのせいで!」ウガァ!
85 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/02(木) 19:45:43.78 ID:ThkADquP0
異空間内

カスミ「ほう。ここの環境の整備をしていたのか」

チェシャ「マスターたちの行動に直で干渉することはそうそうないんだけどねー」

チェシャ「長い時間をかければ元の環境に近いくらい回復するかなーって程度には手を入れるよ」

バビロン「んー。物足りないなー。マカロンは美味しいけど、チリソースが欲しー」

チェシャ「ハバネロソースなら用意できるけど」サッ

バビロン「ありがとー!」キラキラキラ

カスミ(お菓子と茶まであるとは……この作業場、かなり緩いな)

カスミ「しかし、まさかここまでするとはな。幻燈姫サリー、噂通りどころか噂以上だ。普段から姿を隠しているのも頷ける」

チェシャ「そういえば、キミも超級殺し討伐作戦の説明会には呼ばれてたんだよね。どうして蹴ったの?」

カスミ「そこまで知っているのならわかりそうなものだがな。それとも、わかってて訊いてるのか?」

カスミ「ありえないだろう、アレは。少し頭が回ればサリーが『私たちごと超級殺しを消し飛ばす気だった』ということくらいすぐわかる」

カスミ「あの作戦に志願したのは、私の知る限り『文字の読めない大馬鹿』か『文字が読めた上でそれでも超級殺しを始末したかった者』だけだ」

バビロン「かなりわかりやすい捨て駒作戦だったよねー。あれもあれで面白かったなー」モグモグ

カスミ「一度目にしておきたかったから説明会に出席だけはしたが、アレは身内にも敵を作るタイプだな。おそらくロクに友達もいまい」

チェシャ「いなくもないんだけどね……」ボソッ

カスミ「なにか言ったか?」

チェシャ「んにゃ、何も」

カスミ「さて。これからどうしたものか……決闘都市ギデオンに向かうくらいしかやることがないな」

チェシャ「……!」ピクッ

バビロン「場所を移すのー? あ、ならメイプルとネメシスも誘おうよ! きっと楽しいよ!」ニコニコ

チェシャ(……ギデオン、ねぇ)
86 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/02(木) 20:02:10.20 ID:ThkADquP0
十数分後

カスミ「そろそろお暇するか。ごちそうさまでした」

バビロン「ごちそうさまでしたー!」ペコリ

チェシャ「はいはい。お粗末様でしたー」

チェシャ「……ところで、本当にギデオンに行く気?」

カスミ「そのつもりだが、どうかしたか? 南のPKも確か撤退していたはずだろう? クロムとか言う超級のマスターに全滅させられていたはずだ」

チェシャ「うーん、あんまり詳しくは言えないんだけど」

チェシャ「鬼の心臓は腹の中」

カスミ「?」

チェシャ「このワードを覚えておいて損はないと思うよ。あと仲間を増やすのも賛成かな」

カスミ「……覚えておこう」

バビロン「ん! やっぱりメイプルとネメシスも誘う? 誘う?」

カスミ「忠告には従っておくとも」

バビロン「やったー! わーいわーい!」

カスミ「確かメイプルのいる宿屋は……」








チェシャ「……さて。どうなるかな。タイミングさえ合えば結構面白い面子が揃うと思うけど」
87 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/03(金) 22:35:18.23 ID:2s9lhVYg0
宿屋

メイプル「ふっかーつ!」ガバリッ

ネメシス「おお。休めたかマスター」

メイプル「パラメーター、全快!」シャキィィィィンッ

ネメシス「それはよかった。では、これからどうする?」

メイプル「どうするもこうするもまた墓標迷宮に」

ネメシス「それは断じて不可だ!」

メイプル「あのダンジョン、確か神造ダンジョンなんだよね。しかも規模も段違いに大きなヤツ」

メイプル「せっかくアルター王国に所属してるんだから、もっと頻繁にさ」

ネメシス「断じて! 不可だ!」ドン!

メイプル(無理だねコレ。サリーを誘っているときと同じ空気だもん)

ネメシス「私には絶対に行かないと言ったら行かないスゴ味があるッ!」ガタガタ

メイプル「わかった。わかったから。しばらくは誘わないから」

ネメシス「二度と誘うなと言っておろうが!?」

メイプル「でも、それじゃあこれからどうしようか。ノズ森林はあんな有様だし」

ネメシス「それなのだが……意外な来客が、意外な情報を持ってきたぞ。それを聞いてからでも遅くはあるまい」

メイプル「意外な来客?」



ガチャリンコ



カナデ「やあ。会うのはこっちの時間で三日ぶりかな」

メイプル「あ!」
88 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/04(土) 17:57:54.57 ID:fkiixXfA0
数十分後 宿屋 食堂スペース


カスミ「……」

カスミ(先を越されたか……? 既にメイプルが誰かと喋っているな)ジーッ





メイプル「え! PKが東西南北全部撤退!?」

ネメシス「北はサリーが消し飛ばしたとして……あとの東西南は?」

メイプル「え。カナデからまだ聞いてなかったの?」

ネメシス「マスターが起きる前に聞いたら二度手間であろう?」

メイプル「それはそうだね」

カナデ「西は炎帝ノ国という大多数クランが。東はユイとマイっていう二人組のマスター、別名破壊姉妹(シスターズオブデストロイ)が」

カナデ「南は『決闘都市に行くのに邪魔だから』って、クロムって名前の超級マスターがやったらしいよ」

ネメシス「ほぼ同時にか? それは随分と都合のいい」

カナデ「そうでもないさ。そもそもPKの待ち伏せ陣がここまで長引くこと自体が都合のいいことだよ」

メイプル「え。どういうこと?」

カナデ「PKのメリットはマスターの持っている金や装備をほぼ一方的に奪えること」

カナデ「しかも運営側もこれには手出ししない。無限の可能性がコンセプトのゲームだから」

カナデ「一見してPKをやることがアドバンテージに成り得るように見えるけど、実のところそうじゃない」

メイプル「……ああ! なるほどね!」

ネメシス「?」

メイプル「最終的に稼ぎが頭打ちになって別の場所に狩場を移される前のPKを逆に狩った人が一番得するんだ!」

ネメシス「外道の発想では?」ガーンッ
89 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/04(土) 18:11:04.90 ID:fkiixXfA0
カナデ「それもあるね。あとはPKは単純に心象が悪いから、逆に狩っても文句は言われにくい」

カナデ「ベストのタイミングで狙えば他のプレイヤーに感謝され、PKたちが集約した金品装備も一人占めできる」

ネメシス「もう一度言うぞ? ド外道の発想だ、それは」

カナデ「もっとも、単純なプレイスタイルとしてPKがやりたいだけでアイテムやマネーの接収が目的でないタイプのPKも一定数いるけどね」

カナデ「あとはPKを誰かに依頼されているタイプ。これはPK本人を狩ったところで意味がない」

メイプル「そっか。お金は依頼主が持っているわけだから……」

カナデ「そういう意味では……強さも相まって北の超級殺しが一番厄介だったよね」

カナデ「僕たち、金品の一切が無事だったろ?」

メイプル「あ!」

ネメシス「……そういえば、そうだ。奪われててもおかしくはなかったのに」

カナデ「ちなみにアルテアを囲うようにPK陣が敷かれていた理由は一切不明。東西南北それぞれ別々の勢力だったしね」

カナデ「こんな都合の悪いことが何の理由もなしに起こるはずがない。だとすると……」

ネメシス「何者かの陰謀であろうな? 最有力容疑者は、この前戦争を吹っかけてきたというドライフあたりか?」

メイプル(よく覚えてるなぁ……こういうときサリーがいればわかりやすく解説してくれるんだけど)

メイプル(戦術、戦略、どっちも大得意だったし。勉強できないくせに)







カスミ(興味深い話ではあるが……やはり話しかけづらいな。ここで割って入るのも)モジモジ

バビロン「ねーねー! 話は変わるんだけどさー! さっきチラッと話してた決闘都市ってどんな場所か知ってる?」

メイプル「わっ、バビ!」

ネメシス「おお、奇遇だのう!」

カスミ「嘘だろう……」ガガーンッ
90 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/04(土) 20:15:35.74 ID:fkiixXfA0
カナデ「あ、やっぱり『二人とも』メイプルの知り合いだったんだ」

カスミ「!?」ガビーンッ

ネメシス「二人? この場にはバビしか……!?」

メイプル「あっ! カスミもいる! 気付かなかった!」ガーンッ

カスミ(そうだ! それが普通だぞ、結構気を遣ってたのだから!)

カスミ(……カマかけか? バビがガードナーなのは少し注視すればわかるが、マスターが私だというのはわかりようがない)チラッ

カナデ「……」ジーッ

カスミ「……気付いてるな? いつからだ?」

カナデ「ちょっと前からなんとなく」ニコニコ

カスミ(……嘘を吐いていることだけはわかる。何か確信を持って私を看破していたのだ。バビが近づく前から)

カスミ(底が見えないな。だが見つかったのはある意味、好都合か)

カスミ「メイプルに用があったのだが、話の途中だったからな。タイミングを伺っていた」

メイプル「え? 私に?」

カスミ「せっかく南の街道が使えるようになったのだ。決闘都市ギデオンに向かおうと思っている」

カスミ「一緒に来ないかと誘いに来た」

メイプル「決闘都市……」

バビロン「さっき言った通りどんな場所かは全然知らないんだけどねー」

カナデ「簡単に言えば闘技場のある決闘のメッカだね。こっちはレベル51を越さないと挑戦できないけど」

カナデ「周辺にいる魔物は今のメイプルや僕なら問題にならないレベルかな」

メイプル「いいね、行こう行こう!」

カナデ「あ。僕も同行するけど、いいかな?」

カスミ「人数が多い分には大歓迎だ」

カスミ(少しイヤな予感もするしな)
91 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/05(日) 11:09:49.98 ID:zr72PBef0
冒険者ギルド

メイプル「依頼を受けてから行くの?」

カスミ「ああ。そこそこいいレベルの三人が揃ったのだ。そろそろ討伐しながら金を稼ぐ手段も模索しなければな」

カナデ「これがいいと思うよ。ギルド間の貨物輸送。交通手段自体は僕たちが自前で用意する必要があるけど」

ネメシス「マスター! 手配書があるぞ! 何千万単位の賞金首もいるぞ!」

メイプル「え!? 本当!? ねえねえ二人とも! 途中でこれ狩らない!? 大瘴鬼ガルドランダとか凄い金額だよ!」キラキラキラ

ネメシス「凄い金額だな!」キラキラキラ

バビロン「やろー!」

カスミ「やるわけないだろう」ヌボーンッ

カナデ「あはは。流石にUBM……ユニークボスモンスターを相手どるのは僕たちには無理だよ」

カナデ「見かけたとしても逃げの一手かな」

カナデ「……道中で商人のキャラバンがそのガルドランダに襲われている現場にでも出くわさない限りは……ね」ニヤリ

カスミ「何故そんな意味深なことを言う!? 本当に出そうではないか!」ガビーンッ

カナデ「願掛け。僕もちょっと見てみたいから」ニコニコ

カスミ「そんなスリルに付き合ってられないからな! 私は!」

バビロン「……とか言ってるけど、実際そんなところを目にしたら見捨てられないよね。カスミ?」

カスミ「……」

カナデ「……人がいいんだね?」

カスミ「バビがな! バビの人がいいのだ! 私ではない!」

バビロン「えー? カスミの思考をそのまま垂れ流しにしただけだよー」

カスミ「パフェとデスソースを与えるからちょっと黙っててくれ!」

バビロン「……」シーンッ

メイプル(……この分なら何とかやっていけそうかな。サリーもいればもっと楽しかったと思うけど)




ヒソヒソ ガヤガヤ


「おい聞いたか? 幻燈姫の賠償額、一億リルは軽く越すってよ」

「流石にその金額はそうそう用意できねぇだろ。用意できたとしても時間がかかりそうだ」

「一週間程度はアルテアを留守にするかもな……あれで約束の類には忠実だからバックれだけはしないだろう」




メイプル「……」

ネメシス「因果応報だ。あやつに期待するのはやめろ」

メイプル「うん……」ズーン
92 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/05(日) 11:30:44.20 ID:zr72PBef0
冒険者ギルドの外


メイプル「でもさ。交通手段は自前で用意しろって、どうする? 乗合馬車とかあるのかな」

カナデ「ロンドンやフランスのオムニバスみたいなのはあったはずだけど、当然そんなものを使えば結構値が張るね」

カスミ「安心しろ。当てはある。そこは任せておいてくれればいい」

カナデ「当て?」

カスミ「《喚起》。マリリン」



ズシイイイイインッ


マリリン「VAMOOOOOOOooooo!」

カナデ「……三重衝角亜竜(トライホーンデミドラゴン)だね。凄くビックリした」

メイプル「おおう、おっきい!」

カスミ「あと馬車ならぬ竜車もある。詰めれば八人くらいは余裕なはずだ」

ネメシス「……いい趣味だが、こんなのをどうやって手に入れたのだ? 今のマスターやカスミよりも強そうだぞ。デミドラ級だし」

カスミ「……ギルドのクエストの報酬だったのだ」

ネメシス「それは質問の答えになっていないな? 我々より明らかに強いこやつを、大した仕事もまだできないはずのカスミが何故手に入れたのだ」

メイプル「ネメシス。その指摘、カスミと似たり寄ったりのレベルの私にも刺さるから……言葉は選ぼうよ」

カスミ「……」

バビロン「それがさー。こんなことがあったんだよねー」

バビロン「ほわんほわんばびばびー」ホワンホワン

ネメシス「なんだその擬音は」
93 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/05(日) 11:47:02.05 ID:zr72PBef0
回想

カスミ「まったく……マスターの私に相談もせずに勝手にクエストの受注書を提出するとはな」

バビロン「えー? 最終的にはマスターのサインが必要だったんだから、提出した時点で『やっぱりやめます』って言えばよかっただけの話だよー?」

カスミ「無理だ。恥ずかしい。あのまま流れに任せて受注書を提出した方がいくらかマシだ」

カスミ「幸い、失敗してもデメリットの存在しないクエストだったしな。依頼主には悪いが真面目にやるだけやって失敗だと言って貰おう」

カスミ「それで義理は果たせる」

バビロン「まー大丈夫だと思うけどねー」

カスミ(……まったく。微妙なクエストを受注してくれたものだ)ペラッ



【モデル募集:巨匠グランツィアン・バレノー 難易度:六】



カスミ「大した自信だな。本当に」ハァ

カスミ(天狗の鼻を折られなければいいが。いや、確かにバビは可愛い。しかし芸術家肌の連中は良くも悪くも独特の感性をしている)

カスミ(そのままバビが受け入れられるかどうかは微妙だな。相手のことをよく知らないし)

バビロン「ん。カスミー。ここじゃない? 受注書に書かれた住所って」

カスミ「そうだな。ではここからは真面目にやるか。すみませーん! クエストを受注してきたのですけどー!」コンコンッ



ガチャリンコッ


バレノー「またか、あの下半身だけの能無しギルドどもめ! 今度はどんな不細工ブスを」ピクッ

バレノー「これだーーー!」ズギャアアアアアンッ

カスミ(速ァ!?)ガビーンッ

バビロン「何とかなると思ったんだよねー。やっぱり」

カスミ「……まあ、よかった。何だかんだバビが凹む姿など見たくなかったし」ガシッ

カスミ「ほえ?」キョトン

バレノー「これは着物だな! 遥か彼方の国、天地あたりで流行っている美しき装いは見間違えようが無い! 多少は改造しているようだが!」

カスミ「は? は?」

バレノー「頼む黒髪の美少女よ! 私の芸術のモデルになってくれ!」

カスミ「はぁーーーっ!?」ガビーンッ

バビロン「じゃ、頑張ってねー。バビはその辺で時間潰してるからー」ソソクサーッ

カスミ「バビーーーっ!?」ガガーーーンッ
94 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/05(日) 11:57:04.47 ID:zr72PBef0
現在

バビロン「報酬の払いが滅茶苦茶良かったんだよねー。流石は巨匠」

メイプル「ちょっと待って。そういう類のクエストもあるの!?」

バビロン「職業ごとに設定されているクエストでねー? 戦闘向けでない職業なら戦闘しないクエストもあるよー」

ネメシス「む? そういえばカスミの職業をまだ聞いておらんかったのう。結局どんなジョブにしたのだ?」

バビロン「奴隷商」

ネメシス「ふむふむ奴隷商」ウンウン

ネメシス「……え? 今なんて?」

バビロン「奴隷商!」バァァァァンッ

ネメシス「奴隷商!?」ガビーンッ

カスミ「私の本性はエロ……」ズーン

メイプル「カスミの精神が死んだ!」ガーンッ

カナデ「……僕の見てる限り、カスミを引っ張り回してたのはバビの方だったと思うけどね」

カスミ「そうだ! 私のせいじゃない! 適職診断カタログで奴隷商とかが出てきてしまったのはどう考えてもバビのせいだろう!?」

バビロン「……カスミは」

カスミ「ん?」

バビロン「カスミはバビがエンブリオじゃない方が良かった……?」ウルウル

カスミ「……ぐあっはぁ!?」グサァッ

バビロン「バビは……バビは存在自体がめーわく……? ぐすん」エグエグ

カスミ「訂正しよう。奴隷商万歳! ビバ、奴隷商! 私の本性はエロ!」イエェェェェェイ!

バビロン「……」ニヤリ

ネメシス「おいこやつ嘘泣きだったぞ」

メイプル「やめよう。仮に嘘泣きだったとしても本気泣きの可能性が一パーセントでもあるのなら、カスミはやっぱりこう言わないとダメだったよ」

ネメシス「エグい……」
95 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/05(日) 20:27:49.40 ID:zr72PBef0
カスミ「ともかくだ。交通手段はこの通り自前で用意できる。安心しろ!」

カナデ「従属キャパは?」

カスミ「……?」

カナデ「ああ、えっと。従属キャパシティって項目、あるでしょ? ステータスの補助画面に」

カスミ「……ああ、これか。なんだこれは?」プチプチ

メイプル(あ。私にもある。従属キャパシティ0/50……?)

カナデ「簡単に言えば、自分の配下を自分の戦力としてカウントできるかどうかがこのパラメーターで変化するんだ」

カナデ「従属キャパのことをたった今知ったのなら、いくら奴隷商と言えども亜竜クラスのモンスターをデメリットなしでは使役できないね」

カスミ「……確かに警告画面が出るな。その後パーティメンバーに入れるかどうかを訊かれたが」

カナデ「承認して。それでデメリットは完全に消えるから」

メイプル「え? じゃあデメリットじゃないよね?」

カナデ「デンドロのパーティ枠は基本六人だから、マスターが僕たち三人で、マリリンがプラスされると残り二枠しか残らないね」

カスミ「従属キャパに収まらない者を、更にパーティメンバーに登録しないとどうなる?」

カナデ「能力に制限、経験値の取得不可、主なデメリットはこの二つだね。大きいよ?」

バビロン「んー? バビのときは従属キャパがどうとか警告はなかったよね?」

カナデ「そりゃそうだよ。エンブリオは一律コストゼロだもん」

ネメシス「なるほど。パーティメンバーの枠に関して、私たちエンブリオは一切考慮する必要がないということか」

メイプル「そもそもネメシスは武器だから、バビとは考え方が根本から違うんじゃないかな」

カスミ「……よし。これでマリリンに関してのシステム上の懸念はなくなったな」ポチポチ

カナデ「次は旅支度だね。いい店を知ってるんだ。一緒に行かない?」

カスミ(……コイツ、役に立つのは事実だが仕切りっぱなしだな)

バビロン「気に入らない?」

カスミ(そこまでは言わないが……少し胡散臭いな)

カナデ「……」
96 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/06(月) 19:03:34.44 ID:h+X1CjCC0
イズの店

メイプル「あ! ここって!」

ネメシス「最初にサリーに案内されそうになったアレだのう。前に来たときは臨時休業中だったが」

カナデ「あれね。何でも初心者でも買えるリーズナブルな和風装備を考案してたら疲れて寝ちゃってたんだって」

ネメシス「着物?」

ネメシス「……」ジーッ

カスミ「……初日、ここで服を買った。あと刀も同じく」

メイプル「私たちが来たとき閉まってたのはそういうことかー……」

ネメシス「しかし、何故そんなことを知っておったのだ? カスミとは初対面であろ?」

カナデ「店主のイズとは知り合いなんだ。イズー! やってるー?」カランカランッ






バレノー「見ろイズ! このプロポーション! この着物の美しさ! どれを取っても完璧だ!」フンスフンス

イズ「そーねー。その着物、メイドイン私だけどねー」

バレノー「露出度は大してないのに滲み出るこの色気はまさに天性のものと言う他なく――」フンスフンス

イズ「ところでその絵、複写でもいいから私に買わせてくれない? いい宣伝になると思うわー」

バレノー「いいだろう! 何種類で何枚欲しい? いくらでもストックがあるぞ!」

カスミ「」

バビロン「わお。べた褒めだねカスミー」

カスミ「……」カァァァ

ネメシス「あ。泣きそう。顔真っ赤でカスミ泣きそうだぞ」

メイプル「やめようよッ! イジメ臭くていたたまれないよ!」ガーンッ
97 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/06(月) 23:13:44.21 ID:h+X1CjCC0
バレノーは帰った

イズ「あらあら。また来てくれたのねいらっしゃい。あとの二人は一見さんね」

カナデ「一見さんて。それ断られるタイプの言い方じゃん。初見さんとかでいいでしょ」

ネメシス「断られてたまるか」

メイプル(気さくな人だなぁ)

イズ「どうもー初めまして。生産職のイズよ。何が欲しいの? 今のレベルに合わせた装備一式なら十万ベルから見立てるわ」

メイプル「装備一式なら妥当な金額だけど、気軽には手を出せないかなぁ……」

カナデ「カスミのときとえらい違いじゃないか。あれバリバリ初期金額で譲ってあげたんでしょ?」

イズ「やーね。ちゃんとしたビジネスとして受けたわよ。一定期間あの装備を『自分の意思で脱がない』って契約書に名前を書いてもらったわ」

イズ「宣伝塔になってもらうことと引き換えの取引よ」

カナデ「……その結果として色々な辱めにあってるみたいだから、そう考えると高い買い物だったかも……」

イズ「妥当よ!」ドジャァァァン!

メイプル(言いきっちゃったよ!)ガビーンッ

ネメシス「いい性格しておるのう」

カナデ「ああ、そうだ。イズ。僕たちこれからギデオンに向かうことになったんだ」

カナデ「いくつかアイテムを買ってくよ」

イズ「……」

イズ「ギデオン、ねぇ。奇遇ね。私もそっちに用事があるのよ」

カナデ「え」

カナデ(……事前の打ち合わせと違うな?)

イズ(ギデオンとなると事情が変わってくるのよ)

イズ「パーティ枠は余ってるかしら?」

メイプル「あと二枠は余ってますけど」

イズ「私も同行していい?」

カナデ「!?」

カナデ(……何かと理由を付けて割引してくれれば良かったんだけど!)

カスミ「別に構わないが、そうなるとクエストの達成報酬の配分が少なくなるな」

メイプル「旅が簡単になると思えばそう悪い話でもないと思うけど……」

ネメシス「そう早くに大金が必要になるわけでもなかろう?」

カナデ(ま、前向きーーーッ!)ガビーンッ
98 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/08(水) 21:21:19.32 ID:QRrDevUc0
イズ「ああ、言っておくけど私、戦闘においては役立たずよ」

全員「!」

カナデ(……意地が悪いけど、ここで僕が『じゃあダメ』って言えばひとまずは別行動が……)

イズ「でも私を仲間に入れてくれれば、この場にある商品のクーポン券を一枚ずつあげちゃう。何でも一つ五割引よ」ペラッ

メイプル「ようこそイズさん!」キラキラキラ

カスミ「私たちはあなたを歓迎する」キラキラキラ

ネメシス「クーポンなのだー!」キラキラキラ

バビロン「うぇーーーーるかむっ!」キラキラキラ

カナデ(追い出せる口実を爆破されたッ!)ガガーーンッ

イズ「ふふ。いいでしょ。私も混ぜてよ」ヒソヒソ

カナデ「……ちょっと前まではそんな素振りなかったじゃないか」

イズ「ギデオンだと事情が違うのよ」

カナデ「……?」

イズ「友達に会いに行くわ」

カナデ(そうか。確か南のPKを片付けたクロムってイズの友達だったっけ)






ネメシス「なあなあマスター! このアイテムなんか面白そうだぞ!?」

メイプル「ん……? フリスク型のタブレット……? ATtoVTタブ(攻撃から防御へのタブレット)……」

メイプル「うん。いいね。コスパも良さそうだし買っちゃおうか」

ネメシス「五割引だと思うとわけもなく買い物が楽しくなるなぁ! マスター!」

カナデ(思い切りイズの商法に引っかかってる)

イズ「うふふふふふふふふ」ニヤニヤニヤ
99 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/09(木) 22:08:04.99 ID:fW0bVJf70
数分後 アルテア南門付近

メイプル「買いすぎた! 完全に金欠だよ!」スカンピーン

ネメシス「……まあ、商品の一番高いヤツだけ五割引だったのだから良しとしようではないか。長期的に見れば間違っていないはずだ」

カナデ(自己弁護が厳しい!)ガーンッ

バビロン「ねーカスミー。ちょっと量が少なくない?」

カスミ「構わないさ。イズは私たちのすぐ傍にいるんだぞ? 欲しい物があったら適宜その場で買えばいい」

メイプル「え」

ネメシス「んっ?」

カスミ「アイテムボックスくらい持っているだろう? 自分の商品を持ち歩かない商人がいるか?」

イズ「……道理で割引ハイにならないと思った……まあ、後から搾り取れるんならそれでもいっか……」

カナデ「……初心者のメイプルをカモったね?」

メイプル「」

イズ「ごめんなさーい! あまりにもダンサブルに私の手の平で踊ってくれるものだったから止め時がわからなくてー!」ウフフフフフフ

イズ「カナデだって私のことを止めなかったしね!」

ネメシス「」

バビロン「カスミー。どうして教えてあげなかったのー?」

カスミ「ネメシスがさっき言っていた『長期的に見れば間違ってない』という言葉もあながち見当外れというわけではないからな」

カスミ「買えるときに買っておけるならその方がいい」

バビロン「現実には商品も商人も私たちのすぐ傍にいるから、やっぱり急ぐ必要はなかったよねー?」

カスミ「まあこの場合はそうだな。今のイズの品ぞろえによるが」

イズ「ちょっとはレパートリーが減るわよ」

カスミ「だそうだ。やはりネメシスは間違ってなかったぞ! 良かったな!」ニコッ

ネメシス「いっそのこと私たちのことを笑え! 思い切り! そっちの方が楽だ!」ウオオオオオオ!
100 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/10(金) 19:42:51.94 ID:7leBO8pt0
道中

カスミ「……さて。道中はマリリンのお陰で楽だが」

メイプル「暇だねー」グデー

ネメシス「途中でちょいちょいモンスターは出てくるがのう」

カスミ「無意味にマリリンを加速させるか? 多少SPは食うが暇に耐え切れそうにない」

メイプル「竜車を絶叫マシンに変えるのは反対かな……」

バビロン「はいはーい! じゃあお互いに能力を教え合うのがいいと思いまーす!」

カスミ「仲間とは言えあまり手の内をひけらかすのはな」

バビロン「じゃあまたカスミの髪型をいじって遊ぶー?」

カスミ「……勘弁してくれ。わかった。戦闘のときにすり合わせもあるだろうし、言うとも」

ネメシス(また……?)

メイプル(またって言ってた……)

イズ(普段凄く緩いのね、カスミちゃん。ツインテとかにするのかしら)

カスミ「バビロンのパッシブスキル《ブラッドラスト》と《小淫魔の誘惑》のコンボで戦う。本領発揮に多少時間がかかるな」

イズ「誘惑(テンプテーション)の方は魅了の状態異常付加だとわかるけど、ブラッドラストはよくわからないわね。どんなスキル?」

カスミ「マスターが敵にダメージを与えれば与えるほどバビの《小淫魔の誘惑》の魅了確率と有効範囲が強化されていくスキルだな」

カスミ「最初は同性でも魅了できるようになり、最終的には無機物でも魅了できる。理屈の上では」

メイプル「へー。ネメシスと逆だね。ネメシスの《復讐するは我にあり》はダメージを盾で防げば防ぐほどダメージカウンターが……」




キャイキャイ




イズ「……カナデちゃん。もし私の番になったら絶対に庇ってね。言ったらバレちゃう」

カナデ「はいはい」

カナデ「……でもエンブリオの名前くらいは言わないと逆に怪しまれるかもよ」

イズ「ええーっ……あっ」

カナデ「?」

イズ「……ラッキー。そんなこともう考えなくて良くなったみたいよ!」ニヤニヤ

カナデ「……カスミ! 前方を確認!」

カスミ「何っ……!?」
101 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/10(金) 20:02:39.35 ID:7leBO8pt0
商人「ひいいいいい! なんだこの数はーーーッ!」

護衛「ダメだ! 数が多すぎる! おい、最低限進行方向へのゴブリンを片付けろ! 後は強行突破する!」

護衛2「今やってる! だがかなり厄介だぞ!」

ゴブリンウォリアー「ぐげげげげがっ!」


ギャースカギャースカ



カスミ「……何ということだ! 本当に商人のキャラバンが襲われている!」

メイプル「しかもちょっと相手の数も多いね。一撃死させられない程度には強そうだし」

イズ「この距離ならちょっと迂回すればやり過ごせるはずよ。どうするの?」

カスミ「決まっている! 見捨てられるものか!」ガチャガチャ

メイプル「うん。助けるのは賛成だけど、カスミ。何やってるの?」

カスミ「マリリンと竜車のジョイントを一度解除している」

メイプル「なんで?」

カスミ「……? わかりきったことを訊くんだな? よし、外れたぞマリリン」ガチャリンッ

マリリン「VAMOOOOOOOO!」






カスミ「轢き殺せ。遠慮はいらん」シレッ

メイプル「!?」

ネメシス「こやつもエグいのう!?」ガビーンッ

マリリン「VAMOOOOOOO!」ドガガガガガガッ


ドガシャアアアアアンッ
102 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/10(金) 20:16:30.01 ID:7leBO8pt0
メイプル「すごーーーい! あんなに強そうだったゴブリンウォリアーたちが紙みたいに吹っ飛んでくよ!」

ネメシス「だが流石に分が悪いな。やはり数が多すぎる。加速するだけの助走距離ももうない」

カスミ「当然、あとは私たちでやるぞッ!」バッ

バビロン「それが流儀ーーー!」バッ

メイプル「ネメシス!」

ネメシス『ああ! 存分に私を振るえ!』

メイプル「出撃ーーーッ!」バッ

イズ「……カナデちゃんも行っていいのよ?」

カナデ「いや。必要なさそう。多分このままだと二人で充分やれるよ」

カナデ「経験値を横からかっさらうのもアレだしね」

イズ「優しいわね」






カスミ「ふんっ!」ザァンッ

ゴブリンウォリアー「ごぼえっ」バキィィィィンッ

メイプル「……相変わらずの鋭い太刀筋だなぁ」

ネメシス『職業が奴隷商ということは、素の実力で刀を振るっているということだ。ある意味普通の剣士よりも恐ろしい』

メイプル「カスミー! こんなときに訊くのも何だけど、剣道とかやってたのー?」

カスミ「いや! 見よう見まねで覚えた! これでもやり込んでたからな!」

カスミ「SEKIROを!」ドーンッ

メイプル「ゲームだよそれッ!」ガビーンッ
103 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/11(土) 10:32:52.24 ID:LrwdMUIO0
ゴブリンウォリアー「ぐぎゃべっ」バキィィィンッ

カスミ「よし。ブラッドカウンターはそこそこ溜まったな。位置もいい。勝ったな」

バビロン「《ブラッドラスト》ステージ2! 《小淫魔の誘惑》!」ホワワンワンッ

ゴブリンウォリアーs「ぐがっ!?」ビクンッ

カスミ「ふむ。流石に何人かにはレジストされたか。まあ、関係はない」




ゴブリンウォリアー♂「ぐげぎゃーーーっ!(意訳:バビちゃん最高ーーー!)」

ゴブリンウォリアー♀「げげげげがーーーっ!(意訳:世界一可愛いよ!)」

ゴブリンウォリアー「げげげがっ!?」ガビーンッ


ボコスカボコスカッ



ネメシス『うおおおおおう!? 同士討ちを始めおった!』ガーンッ

メイプル「事前説明はされていたとは言え、かなり見た目がグロいなぁ」

カスミ「阿鼻叫喚。さて、使った分のブラッドカウンターを多少は元に戻さねばな。後は魅了されていないヤツを後ろから順番に」


ザァァァンッ バキィィィインッ


カスミ「辻斬りだ」チャキンッ

ネメシス『本当に敵でなくて良かったのう……』

バビロン「カスミー! ガンバ! ガンバ!」フレーフレー!

メイプル(血を貢げば貢ぐほど強くなる。捧げた分だけ見返りをくれる相棒が欲しいとか思ってたのかなぁ)

ネメシス『バビロンの名に恥じぬインモラルな能力だのう。カスミの恋愛観、絶対に重いぞ』

カスミ(なんか好き勝手言われている気がする!)ガーンッ
104 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/11(土) 20:45:04.62 ID:LrwdMUIO0
ザァァァンッ

カスミ「む。魅了がかかってないヤツは全員始末したか?」

カナデ「大丈夫だよー! こっちから見た限り、レジストしたときにもモンスターは僅かに身動ぎするんだ」

カナデ「身動ぎしたヤツらは全員カスミとメイプルが始末したから、後は魅了されたヤツだけ!」

カスミ「生殺与奪も思いのままか。生きてるだけでもう経験値同然だな。バビ」ポイッ

バビロン「いただきまーーーす!」キャッチ!

メイプル「え」

ネメシス『カスミの刀をバビが受け取って』

バビロン「はいはいそこに並んでー! よいしょーーー!」ザグウウウウッ

ゴブリンウォリアー「ぎゃあああああああああああ!?」

ネメシス『無抵抗のモンスターを一突きーーーッ!?』ガビーンッ

バビロン「おいしー! おいしー!」ザグザグザグザグ

ギャアアアアアア グエエエエエエエエ!

メイプル「なるほど。バビの経験値稼ぎのために刀を譲ったんだね。刀の腕が無くとも、無抵抗ならもう後はどうとでもなるから……」

メイプル「あれだね。ゼノブレイド2みたいな戦い方だね。私たちもやってみる? ネメシスもレベルアップしたいでしょ?」

ネメシス『それはいいが、あんな戦い方は御免だな! グロすぎる! いやグロが苦手なのではないが……』

ネメシス『できればこう……正義の味方みたいな戦い方をしたい!』

メイプル「あれも一応正義の味方だよ? 私たちの戦い方より数倍エグいのは否定できないけど」

ネメシス『過程にもこだわりたいのう』

バビロン「あー! おいしかった! ごちそうさまでした!」


ピロンッ


バビロン「あ! ねーねーカスミー! バビ第二段階になってるー!」

カスミ「おお、本当か! やったな! 大収穫だ!」ニコニコ

ネメシス『……唯一あの二人に見習えることがあるとしたら、あの仲の良さだな』

メイプル「私たちも負けてないよ」

ネメシス『……ふ、ふふふ』テレテレ
105 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/12(日) 21:48:55.41 ID:uxca9ViJ0
オリュンポスを一気にやった影響で物凄く精神がボロボロになった……
106 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/13(月) 22:03:59.53 ID:pJkdsjHQ0
ザワザワ ザワザワ

メイプル「ん? 視線を感じる」

ネメシス『まああそこまで陰惨な戦い方をしたらのう。私たちもあんまり上品には戦えないのだし』

護衛「あ、あの……」オズオズ

メイプル「はい?」

護衛「旅のマスターの方とお見受けします。ありがとうございました。あなたたちが来てくれなかったら、もしかすると……」

メイプル「ああ、いや! あはははは! 私たちよりもまずあっちの奴隷商さんに感謝してくれると」テレテレ

カスミ「職業で私を呼ぶなッ!」ウガァ!

バビロン「何はともあれ、これで一件落着かなぁ? 追加報酬とか貰えるかも!」ワクワク

カナデ「……?」

イズ「どうかしたの? カナデちゃん」

カナデ「いや、何か視界の端に……」キョロキョロ

ネメシス『ふう。ちゃっかりしていることだ』

ビュオンッ

ネメシス『な――』


ドガァァァァァァンッ


メイプル「はっ……!?」

ネメシス『なんだ今の……激突音!? 爆発音!? そしてこの土煙!』

カナデ「メイプル! 今すぐそこから離れて!」

メイプル「えっ!?」

カナデ「急襲だ! 上から来た! そいつはヤバい!」

メイプル「そいつ?」





ガルドランダ「……」ズズズズズ……

メイプル「――!」
107 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/14(火) 19:35:36.88 ID:dBfPC8wa0
ガァンッ

メイプル「がぁっ……!?」ブオンッ

カスミ「メイプル!?」

バビロン「いけなーい! クリーンヒットだよ!」

カナデ(いや違う! 直前で盾を攻撃に挟むのが間に合ってた! 致命傷にはなってない!)

カナデ(かなり派手にふっ飛ばされてるのは、裏を返せばエネルギーが破壊ではなくバウンドに使われているということだ!)

カナデ(でも!)

カスミ「ちっ! 支援を……!」

カナデ「ダメだカスミ! ガルドランダに近付いちゃいけない!」

カスミ「!」

カスミ(……そうか! コイツ! どこかで見たと思ったら!)



ネメシス『マスター! 手配書があるぞ! 何千万単位の賞金首もいるぞ!』

メイプル『え!? 本当!? ねえねえ二人とも! 途中でこれ狩らない!? 大瘴鬼ガルドランダとか凄い金額だよ!』キラキラキラ

ネメシス『凄い金額だな!』キラキラキラ




カスミ(賞金首のUBM! 大瘴鬼ガルドランダ!)

カスミ(確かアイツの攻撃は……!)バッ

バビロン「はいはいりょうかーい! カモンカスミー!」ガバッ

カナデ「そうだ! それがベスト! ガルドランダに近付いたらアウトだ! 何故ならアイツの攻撃は!」






ガルドランダ「GoAAAAAAAAAAAAAAA!!」ブシュウウウウウッ

護衛「うっ……なんだこの煙は……ぎゃっ」バタリッ

カナデ「猛毒の煙……つまり瘴気だから!」
108 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/14(火) 19:50:17.12 ID:dBfPC8wa0
カスミ(……クソッ! まずい! 思っていたよりも範囲が広い! 空気より重いのか地を這うように瘴気が進むのはいいが!)

バビロン「んしょ。んしょ」パタパタ

カスミ(こうやってバビに抱き着いてもらえば間違っても瘴気はこちらに届かない。飛行できるから。それはいい。だが!)

マリリン「……」フラフラ

バビロン「あ! マリリンが!」

カスミ「だけじゃない。商人のキャラバンが半分程度侵されてる。解毒薬があれば話は早いが……すぐ逃げるのは無理だ」

カスミ「マリリンは送還(リコール)すれば私のジュエルに戻るが……私たちのパーティ内での一番の問題は!」






メイプル「ごほっ……!? うぐっ!」フラフラ

ネメシス『酩酊、猛毒、衰弱の三連コンボ。デバフのカクテルだのう!』

メイプル「嘘でしょ。あれ、受けた感じではデミドラグワームより攻撃力が強かったのに!?」

ネメシス『モンスターとしての格が違う、か!』

カスミ「イズ! 解毒剤の類はいくらだ!?」

イズ「モノによるわねー。即座に治すとなると、滅茶苦茶高いのしかないわよ。しかも一本しか」

イズ「率直に言って快癒万能霊薬(エリクシル)しかないわー」

カスミ「奢りだ! クーポンと全財産をはたく! メイプルに投げつけろ!」

イズ「御大じーんっ!」キランッ

カスミ「カナデ! ガルドランダをどうにかする! 手を貸せ!」

カナデ「……具体的にはどうするの?」

カスミ「それは――」

メイプル「……ッ!」ビクッ

メイプル「……倒そう」

カスミ「え?」

メイプル「みんな! 私、ガルドランダを倒したい! 手を貸して!」
109 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/16(木) 18:19:40.07 ID:OwFJR5Xa0
カスミ「メイプル……!?」

カスミ(と、驚くフリをしてみたが合理的に考えるならそれしかもう道はない)

カスミ(仮に! 仮にここでメイプルではなくマリリンにエリクシルを投げつけたとしよう。それで逃げられるのはせいぜい私たちだけだ)

カスミ(つまり私たちが逃げるということは、目の前でガルドランダに襲われる商人のキャラバンを見捨てることと同義)

カスミ(それはあまりにも最低すぎる!)

カナデ(……まあ、無理だよね。彼女たちに商人たちを見捨てろって言うの。でも)

イズ「妙ね。なんか彼女、怒ってるように見えるのだけれど」

カナデ「何でだろ……って、ああ。なるほどね」

イズ「?」

カナデ「人数が減ってる」

イズ「……あ」




グチャアッ



カスミ「……さっきまでメイプルに感謝してた護衛……か……?」

バビロン「んんー……? わかんないよー。あそこまでぺしゃんこになったら」

カスミ「落下地点にいたのか。なんて運の悪い」

メイプル「……」イライラムカムカ

カスミ「……ド怒りだな。メイプルにしては。いいだろう」

カナデ「覚悟、決めようか!」

イズ「エリクシルはいつ使うー?」

メイプル「今!」

イズ「りょーかーい!」ブンッ

ガシャンッ

メイプル「……ふうっ! 準備、完了! 行くよネメシス!」

ネメシス『おうさ!』
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/04/17(金) 10:10:06.06 ID:grWieKkr0
大地の章?
111 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/17(金) 23:33:59.71 ID:rpIBU+Kz0
カスミ「さて。初手はどうするか……ダメ元でやってみるか?」

バビロン「一回程度ならブラッドカウンターの消費も少ないし、やっちゃおうか?」

カスミ「……許可する! やれ!」

バビロン「《小淫魔の誘惑》!」ホワン

ガルドランダ「……?」キョトン

バビロン「やっぱりさっぱり通らないね! わかってたー!」

カナデ「?」

カナデ(通らなかったのか? というよりも、今のは……)

ネメシス『バビのテンプテーションも効かないとなれば』

メイプル「残る攻略法はやっぱりたった一つだね!」

ネメシス『攻撃を上げて物理で殴るぞ! マスター!』

メイプル「ラジャー! 本邦初披露! 《レックレスダイバー》!」ギュオンッ

ドガァァァァァンッ

ガルドランダ「GuGaAAAAAAAAAAAAAAAA!?」

カスミ「効いてる!? 何だ今の超速度は!」

カナデ「今の、《レックレスダイバー》だね。防御を捨てて敵に向かって高速移動しつつ攻撃力をブチ上げるスキル」

カナデ「生で見るのは初めてだ。あれ取得する人いたんだなぁ」

イズ「かなり無理目な習得方法だから、ほとんど誰も取れないんだけどね。初心者じゃないと何か間違ってってこともないし」

カスミ「今のはいいぞ! かなりダメージを与えている! これなら!」

カナデ「いや、まだ足りない! そもそも防御を犠牲にする《レックレスダイバー》は連発すれば必ず撃墜される!」

カナデ「UBMだってバカじゃないんだ! 二回目からは細心の注意を払って攻撃しないと……」

メイプル「もう一回! 《レックレスダイバー》!」ギュオンッ

カスミ「話を聞いてないぞ!?」ガビーンッ
112 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/18(土) 16:43:50.84 ID:BrUlK1qw0
ガルドランダ「GuGoOOOOOOOo!」ブオンッ

ガァンッ

カナデ「メイプルッ……?」

カスミ「……?」

バビロン「……無事だよー? 真正面から食らったはずなのに」

カナデ「へ? い、いや。そんなはずは……だってあれ防御力を犠牲にするスキルのはずで……?」

カナデ「第一、さっきはふっ飛ばされていたのに、今は何で踏ん張れてるんだ!?」

ガルドランダ「……!?」ググッ

メイプル「……よし。予想通り! ATtoVTタブの効果は《レックレスダイバー》のスキルを上書きする!」ガリッ

イズ「……なるほど! 私の商品の力ね、あれ!」

バビロン「どういうことー? 何が起こってるのー?」

カナデ「《レックレスダイバー》の防御力を攻撃力に変換する能力を、更にイズのATtoVTタブの効果で上書きしたんだ!」

カナデ「集約した攻撃力を、更に防御力に転化させれば《レックレスダイバー》は高速移動と防御のスキルに転身する!」

カスミ「呆れたな……新しいスキルを覚えたてで、手に入れたばかりの商品で、よくそんなことができたものだ」

カスミ「効果処理の上書きが成されなかったらどうするつもりだったんだ?」

メイプル(あードキドキした。上手く行ってよかったねネメシス)

ネメシス『ぶっつけ本番で命を賭けたのか!?』ガビーンッ

メイプル「私たちにはピッタリのスキルとアイテム。それと《復讐するは我にあり》があれば、何とか勝機も見出せそう」

メイプル「勝つよ! みんな! あと二分三十秒くらいで!」

カスミ「ああ、わかった! 二分三十秒で……二分三十秒!?」ガーンッ

イズ「エリクシルの効果は三分しか持たないのよー。瘴気は晴れてないわけだから、このままだと再度毒に侵されるわね」

カスミ「それを早く言え!?」ガビーンッ

バビロン「カスミー。でもバビたちにできることあるー? ガルドランダを攻撃しようとしたら、カスミだって毒毒だよー?」

カスミ「……考えはある。おそらく大ダメージを与えられるはずだ。私たちも参戦するぞ!」


バサァッ


バビロン「やる気になってるのはいいんだけどさー」

カスミ「?」

バビロン「今の羽音はバビじゃないよ?」

カスミ「えっ?」

カスミ(……そういえばさっきのはバビの羽音より数倍デカかったような……!?)
113 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/18(土) 20:03:50.47 ID:BrUlK1qw0
ロックバード「KIIIIEEEEEEEEEEEEE!!!!」バサァッ

メイプル「え」

ネメシス『鳥っ……!?』


ガァンッ


メイプル「痛ぃぃったい!」

ネメシス『マスター、大丈夫か!?』

メイプル「タブの効果はまだ有効だから、なんとか……! ていうかアレ何!? 大きい鳥!?」

カナデ「……クリムゾン・ロックバード……騎獣、ガルドランダ……!」

カスミ「なるほど。今更ながら得心が行ったな。ヤツはこれから飛び降りたのだ!」

カスミ「どう大きく見積もっても、あそこまでの落下エネルギーを発生させるだけの跳躍力など無さそうだしな!」

メイプル「……!」

カナデ「いくら何でも、あと二分そこらでロックバードまで相手にしてられないよ」

ロックバード「KIEEEEEEEEEEE!」バサッバサッ

カスミ「……ふむ」

カスミ「仕方がない。ヤツは私が始末する」チャキンッ

バビロン「え? 本当?」

カナデ「いくら何でもカスミじゃ無理じゃない? ロックバードも強いよ?」

カスミ「いや。何とでもなるさ。奥の手も無くはないからな! 行けバビ!」

バビロン「りょーかーい!」パタパタパタパタ

メイプル「カスミ!」

カスミ「メイプル! 悪いがカナデと組んでガルドランダを始末してくれ! 手伝えなくてすまないが!」

カスミ「コイツは私の獲物だ!」

カナデ(……妙に張り切ってるな?)
114 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/19(日) 19:14:44.99 ID:zwxbbiiA0
メイプル「……カナデ! 遠距離からの攻撃は得意?」

カナデ「大得意だよ。魔法攻撃ならお手の物さ」

ネメシス『聞きそびれてしまったが、カナデは魔法使いとかそういう系統のマスターなのかのう』

メイプル「なら遠距離から挑発するようにやって! 常に私の陰に隠れられる位置で!」

カナデ「りょーかい!」ボンッ

ネメシス『本棚……?』

カナデ「アカシックレコード、起動! 《ファイアボール》!」ボォウッ!


ドカンッ


ガルドランダ「Gu!?」

ネメシス『おお! 強……くはないが弱くもないな! 行ける行ける!』

メイプル「あとは《レックレスダイバー》を併用しながらカナデへの攻撃をカットするように立ち回って、と……」

メイプル「ネメシス! ダメージカウンターが溜まりに溜まったらやるよ!」

ネメシス『ああ! 飛び切りのヴェンジェンスを浴びせかけてやろう!』

ガルドランダ「GuGoOOOOOOOOOO!!」ブオンッ


ガァンッ


メイプル「……利く、けど。状態異常さえ無ければ、レベルを上げた私たちの方が強いんだよ!」

カナデ「……」

カナデ(攻略の糸口は見えている。でもなんだ? 少し……簡単すぎる?)

カナデ(嫌な予感が消えない)
115 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/20(月) 18:15:25.14 ID:fWoN5UnQ0
ガァンッ ドガッ

メイプル「……ネメシス! まだ!?」

ネメシス『あと二撃程度だ! この調子ならギリギリ間に合う!』

ネメシス『上手いぞ、アイツ! 攻撃力こそ大して無いが、立ち回りが絶妙だ! 簡単にカットできる位置に回り込める!』

メイプル「……?」

メイプル(初心者の動きじゃなくない?)

ネメシス(私もちょっと疑問だけども。今は考えるのはよそう)

ガァンッ

メイプル「……あと一撃ッ! てか、腕重ッ!」

メイプル「《ファーストヒール》!」ポワンッ

ネメシス『いいぞ! この分なら余裕だ!』

ガルドランダ「GuMoOOOOOOOOO!!」ブウウンッ


ドガシャアアアッ


メイプル「ぎっ……!」

メイプル(今までで一番の一撃!)

メイプル「……ヒールしてなきゃ終わってた……!」

ネメシス『溜まったぞ!』

メイプル「目標! 頭! 盛大に!」ダンッ

カナデ(いい! 跳躍力は充分! タイミングもジャスト!)

ガルドランダ「!」





メイプル&ネメシス「《復讐するは我にあり》!」カッ
116 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/22(水) 19:03:23.96 ID:XA6gHOVm0
ドガァァァァァァンッ!

メイプル(……頭から胸にかけて吹っ飛んだ!)

ネメシス『ディ・モールト!』

メイプル(それあのゲームでは『グレート』とかと似たラインの意味で使われるけど用法間違ってないかなぁ!)

カナデ「……!」

カナデ「消滅、してない!」

ブンッ


メイプル「!」


ドガシャアアアアッ


メイプル「……ガード、成功……いやおかしいよね!? 何で首から上が吹っ飛んでて生きてるの!?」

ネメシス『あの位置なら心臓だって機能しているはずがない! 不可解な……!』







カスミ「……!? 様子が変だぞ! 頭は間違いなくふっ飛ばしたはずなのに、何故死んでない!?」

バビロン「カスミー! ロックバードの相手をしてるんだからよそ見しないでよー!」

バビロン「それに、死んでなくて当たり前でしょー?」

カスミ「は?」

バビロン「なんでお腹攻撃しなかったんだろうねー?」

カスミ「お腹? バビ、お前は何の話を――ああっ!?」
117 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/23(木) 16:40:11.17 ID:gILNYjOQ0
チェシャ『……ところで、本当にギデオンに行く気?』

カスミ『そのつもりだが、どうかしたか? 南のPKも確か撤退していたはずだろう? クロムとか言う超級のマスターに全滅させられていたはずだ』

チェシャ『うーん、あんまり詳しくは言えないんだけど』

チェシャ『鬼の心臓は腹の中』

カスミ『?』

チェシャ『このワードを覚えておいて損はないと思うよ。あと仲間を増やすのも賛成かな』




カスミ「ああーーーッ! あれそういう意味かーーーッ!」ガビーンッ

バビロン「あれ? 今思い出したの?」

カスミ「そうでなかったら別行動の前に言ってた!」

バビロン「あれ? 言ってなかったっけ?」

カスミ「ま、まずい! ここからでも声は届くか? 早くメイプルたちに知らせないと……」

バビロン「無理!」グイッ

カスミ「ぐえっ」ガクンッ

ロックバード「KIEEEEEEEEEEEEEEEE!」バサァッ

バビロン「今ここから逃げたら、ロックバードを乱戦に参加させることになっちゃうよー!」

カスミ「……近づくのすら危険か! クソッ!」

カスミ(だがどうする!? このヒントなしで心臓の位置を知ることはできるのか?)

カスミ「……自力で気付いてくれるのを期待するしか……!」
118 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/25(土) 08:03:21.51 ID:xPn7p68G0
メイプル「どうしよう。頭をふっ飛ばしても元気なら、極論全身を粉々にするしか……!」

ネメシス『やれと言われれば付き合うが、そればかりは無理だ!』

ビーッ

ネメシス『……時間切れだからな』

メイプル「……ごっほ!」

メイプル(デバフの三重奏が戻ってきた……!)フラッ

メイプル「何でもいいからいいニュースが聞きたいよ。心が折れそう」

カナデ「……うーん」

カナデ「ちょっと待っててね、メイプル」

メイプル「?」

カナデ「いいニュースは、これから作るよ」ブワッ

カナデ「《大炎上》」ゴオオオッ

ガルドランダ「……!?」ジュウウッ

メイプル「……全身を焼くタイプの魔法!?」

ネメシス『おお! そうか! これなら行けるやも……』

フッ

ガルドランダ「……?」キョトン

ネメシス『火が消えるの早ァ!? ちょっと過激な日焼けサロンではないか!』ガビーンッ

カナデ「大丈夫。完璧にビンゴだ」

ネメシス『はあ……?』

メイプル「……!」


ビキビキビキッ


メイプル「お腹周りの皮膚だけ凄い勢いで治ってく……!」

ネメシス『……これは!?』

カナデ「やっぱり。最初から変だとは思ったんだ。UBMにしては難易度が低すぎるから」
119 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/25(土) 08:15:35.77 ID:xPn7p68G0
カナデ「ヒントは見てるだけでも他に二つあった。一つはバビのテンプテーションを受けたとき」

カナデ「効かないって言っても種類はあるんだ。ゴブリン軍団との戦いを見ててそれはよくわかってる」

カナデ「つまり、無効(ノーエフェクト)と抵抗(レジスト)」

カナデ「さっきの反応はどう見ても無効の方だった」

メイプル「……え。つまりこのガルドランダって……」

カナデ「メスだ」

ネメシス『このゴツさでェ!?』ガビーンッ

カナデ「あともう一つ。これは今から考えると、の話なんだけどさ」

カナデ「……このUBM、ちょっとお腹が大きくない?」

メイプル「肥満じゃないの? 鬼ってこういうデザインだし」

カナデ「別に理由があるとしたら、何が思いつく?」

メイプル「……メスの鬼のお腹が大きいのなら……」

ネメシス『妊娠か!』ハッ

メイプル「え!? この鬼、妊婦さんだったの!?」ガーンッ

カナデ「その通り。大瘴鬼ガルドランダのデザインは『妊娠して気が立った獣』だったんだよ!」

カナデ「それならガルドランダが指名手配されるまでのUBMになった理由も説明が付く!」

ネメシス『栄養……モンスターの場合は経験値を欲していたのか! お腹の子のために!』

カナデ「頭をふっ飛ばしても平気なら、もう消去法だ。妊婦にとって自分の心臓の次に大事な器官なんて一つしかない」

メイプル「ネメシス!」

ネメシス『ああ! ここまで説明されればもうわかる! ヤツのコア部は腹だ!』
120 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/26(日) 21:10:10.98 ID:/wjjR8Vj0
メイプル「目標がわかったのなら難易度は駄々下がりだよね! 大丈夫! やれる!」

メイプル「ガルドランダが私とカナデのことを攻撃する限りは!」

ギョロリンッ

ネメシス『うおおお!? 変なところに目玉が生えてきた! 気持ち悪ッ!』ガーンッ

メイプル「流石に盲目状態の敵を一方的に……ってわけには行かなかったね」

メイプル「関係ないけどね! さあ来い!」シャキィィィィンッ

クルッ

メイプル「ん?」

ドスンドスンドスンドスンッ……

メイプル「……あれ? 逃げた?」

ネメシス『……違う! 違う違う違う! 最悪だ! あやつ!』

護衛「ひ、ひいいいい! こっちに来るなーーーッ! ぎゃぶっ」グチョオアッ

護衛2「ま、待て! 隊列を乱すな、落ち着いて対処をげびゃっ」グシャアアッ

メイプル「ッ!」

ネメシス『目標を変えただけだ。商人のキャラバンを襲い始めたぞ! 私たちをほっぽって!』

メイプル「えっ? いやっ? ええっ!? なんで!? 何で急に!?」ワタワタ

カナデ「まさかアイツ……いや、そうとしか考えられない! 間違いない!」

カナデ「今の一回で《復讐するは我にあり》の効果を見抜いたんだ! だからメイプルに攻撃するのをやめたんだ!」

カナデ「メイプルは放っておけば大した脅威じゃないから!」

メイプル「い、いや! でも私にはまだ《レックレスダイバー》が……!」

カナデ「それも離れて射程の外に出れば届かない! そもそも今のキミに、射程に入るだけの機動力もない!」

メイプル「……!」

カナデ(詰みか……? これは、もう、どうしようも……!)
121 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/28(火) 18:38:58.56 ID:dfZ/blDO0
メイプル「まだ負けてないよ!」

カナデ「!」

メイプル「機動力が足りないなら補えばいい! ほら! カナデ! カモンカモン!」

カナデ「え? 何を?」

メイプル「爆発の呪文とか、風の呪文とか何でもいいから!」

メイプル「私をアイツのところまでふっ飛ばして!」

カナデ「はあ!? ちょっと、それはいくら何でも……!」

メイプル「……」

カナデ(目がマジだ……!)

メイプル「……!」フンスフンス

カナデ「……もう! どうなっても知らないからね!」ボオウッ

カナデ「《エクスプロージョン》!」ドガァァァァァンッ



ヒュルルルルルルルッ……



メイプル「……いい角度!」

ネメシス『だが微妙にズレているぞ!』

メイプル「全然構わないよ! 射程にさえ入っちゃえば空中で《レックレスダイバー》を使うだけ!」

メイプル「敵の元へ慣性を無視して吹っ飛んでくスキルだから、これで平気!」

ネメシス『射程まで三……二……一!』

メイプル「《レックレスダイバー》!」ギュンッ

バガァァァァンッ!

ガルドランダ「!?!?」ガクーーンッ

メイプル「……追いついた!」
122 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/04/30(木) 08:29:27.56 ID:/fVCXHKl0
カナデ「……やれるか!? 《レックレスダイバー》だけでガルドランダを倒すのは、それはそれで難しいのに!」

カナデ「というか、僕がガルドランダなら彼女のことなんか相手せずに――」

ヒュルルルルルルルル

メイプル「あああああああああああっ!?」グシャアアアアンッ

カナデ「投げ返すよね。遠くに。大丈夫?」

メイプル「……あ、あと一歩で死ぬところだった……でもまだ死んでないから大丈夫!」エッヘン

カナデ「……へこたれないね。どうしてそこまで頑張れるの?」

メイプル「諦める理由がないから!」

メイプル「できないかも、とか無理かも、とか! そういうのは負けた後で考えればいいんだよ!」

メイプル「だって私たち、まだ負けてないから!」

ネメシス『マスター……』ピコーンッピコーンッ

メイプル「よし! もう一回! カナデ! 回復した後でもう一回吹き飛ばして――」

ネメシス『あの。マスター。さっきから気合入っているところ水を差すようで悪いが』ピコーンッピコーンッ

メイプル「ん?」

ネメシス『さっきから謎の通知が来ておるぞ』ピコーンッピコーンッ

メイプル「え? 通知? あ、本当だ。なんか音するね?」

カナデ「?」
123 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/05/02(土) 23:23:50.19 ID:8/aqy5lH0
メイプル「……んん? ところどころ文字化けしててよく見えないな……何コレ」

メイプル「蓄積経験値がどうのこうの……」

ネメシス『私にもまったく意味がわからんのう。なんかカウントされているが……あ、ゼロ秒になった』

メイプル「気付くの遅かったみたいだねー」

ネメシス『そうだな』カッ

ネメシス『えっ』ガシャンガシャンガシャーーーンッ

メイプル「うわぁ! ネメシスが変形した!」ガビーンッ

ネメシス『お……おお? おお! これは!』

メイプル「ネメシス! 一体どうしちゃったの!? 大剣からハルバードみたいになっちゃってるけど!」

ネメシス『マスター! マスター! なんとたった今、第二形態になったようだぞ!』

メイプル「今!?」ガビーンッ

ネメシス『新たなスキル《覚悟はそり立つ旗のように(れソリューションアズフラッグ)》を手に入れたぞ!』

メイプル「え!? 凄い! それどんなスキル!?」ワクワク

ネメシス『ターゲット固定だな』

メイプル「え」

ネメシス『端的に言うと誰を攻撃している途中だろうが、私たちに一度でも攻撃したどれか一匹はマスターの方を向くという行動をやめられない』




ガルドランダ「!?」グリンッ




メイプル「あ。本当だ。私たちの方を向いたね」

ネメシス『誰に何度攻撃されようと私たちの方を向くことしかできない。と、いうことは、私たち以外のすべての存在に背を向けることになる』

ネメシス『つまり』

メイプル「つまり?」

ネメシス『私たちがウザいから優先的にこっちを殺そうと迫ってくるであろうなぁ?』

ガルドランダ「……!」ドスンドスンドスンッ

メイプル「うわああああああああああああ!? 戻ってきたーーー!?」ガビーンッ
124 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/05/04(月) 19:50:40.87 ID:uMqbZmOm0
カナデ「……!」

カナデ(ひょっとして……勝算がないというのは僕の勘違いだったかもしれない)

カナデ(メイプルの根性論には正直つきあってられないけど、理屈の上でも僕たちにはまだできることがある!)





イズ(あら。カナデちゃんも気付いたみたいね。ガルドランダが一度攻撃を受けただけでヴェンジェンスの効果を見抜いたわけじゃないってことに)

イズ(あれはただ単に警戒していただけ。後回しにしていつでも殺せるけど、経験値を稼いで強くなってから止めを刺す方が確実だもの)

イズ(そう。メイプルちゃんは粘り強過ぎた。防御が固すぎる旨くない相手なら、後回しにするのは常道。誰でもそうする。私だってそうする)

イズ(にも関わらずカナデちゃんが『見抜かれた』と勘違いしたのは……これも簡単な理由なのだけども)

イズ(カナデちゃん。みんながあなたみたいに頭が良いわけじゃないのよ。一度だけで見抜けるなんてマネ、あなたにしかできないの)

イズ(バカの考えがさっぱりわからないし理解できないのがあなたの弱点)




カナデ「相手がヴェンジェンスの効果をまだ見抜いてないとしたら……まだ勝算はある!」

メイプル「最初から負けてないってば」

カナデ「……」

カナデ(やっぱり見てて飽きないかな。つきあってられないというのはもちろん本心だけど)

カナデ(現実に、僕たちにはまだ戦える余地がある。あった!)

カナデ「最終ラウンドだ。全力で援護する」

メイプル「オッケー!」

ネメシス『反撃開始だ!』
125 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/05/08(金) 20:11:44.30 ID:iPgeJDi60
メイプル「来る……来るよ来るよ来るよ来るよ!」

ネメシス『任せろ! 私がマスターへの攻撃を完璧に凌いで……あっ』

メイプル「あっ?」

ネメシス『そうだ。フォームシフトしたことで武器のステータスも変わってたんだった』

メイプル「つまり何?」

ネメシス『防御への補正値が若干下がるぞ、この形態だと』

メイプル「そ、それ早めに言っ――!」

ガルドランダ「!」ブオンッ

メイプル「でねぶべがっ!?」グシャアアアアアッ

カナデ「《ファーストヒール》!」ポワァッ

ネメシス『その代わり盾で防がなくてもダメージカウンターは溜まっていくがな。頑張れ』

メイプル「がっ……頑張る」ビクンビクンッ

カナデ(さて……メイプルへはステータス変化系の魔法や回復魔法のストックも全力で傾けないとな)

カナデ(どの程度やれるものか……!)

メイプル「っと!」タタッ

ガルドランダ「!?」グリンッ

メイプル「カナデの方を向いてもらうと困るから、こっち向いて!」

カナデ「メイプルー。あんまり気にしないでいいよ。僕の方が移動するからさー」

メイプル「わかっっっばっ!?」ゴシャアアアッ

ガルドランダ「……」

カナデ(さて。どのくらいやれば気付くか……いや流石に気付いたかな?)

カナデ(タゲ集中状態と言えど万能じゃない。要はメイプルの位置をガルドランダ自身が移動させればいいんだから)

カナデ(メイプルがあの大きな手にホールドされたらその時点で完全アウトだ。なんとかそうしないように攻撃も多少は混ぜて……っと)バシュッ

ドガァァンッ

ガルドランダ「……!」

カナデ(やっぱり掴みにかかった……危なー……)フウッ
126 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/05/12(火) 20:58:15.54 ID:EyXWiMUk0
カナデ(メイプルはタゲ集中状態な上に状態異常だからバキバキにボコられる)

カナデ(一瞬でも回復力がダメージに追い越されたらアウトだ)

カナデ(……不思議だな。要素を並べればできないとしか思えないのに)

メイプル「……あと少し!」

カナデ(どうしてキミは自分を疑ってないんだい?)

ネメシス『マスター! あと二撃ほど食らえば推定即死ダメージに届くぞ!』

メイプル「わかった! あと二撃、ィィィィィッ!?」メギイイイイイッ

ネメシス『すまない、計算をミスった! 今ので届いたぞ! 生きてるか!?』

メイプル「……右腕がひしゃげちゃった……」ブランッ

ネメシス『右半身の間違いだ! だが立て! 早く!』

メイプル「わかった!」シュタッ

ネメシス『よし、マスター止めを……!』ピタッ

メイプル「?」

ネメシス『……クララ……じゃなくてマスターが立ったー!』ハイジィィィィ

メイプル「思いつきをすぐ口に出す癖やめない!?」ガビーンッ

メイプル「ま、まあいいや! 行くよ! 《レックレス》」



ゴオオオオオッ


メイプル「だああああああああああああっ!?」ボオオオッ

カナデ「あ! 忘れてた! ガルドランダは瘴気の他に火炎も出すんだ!」

メイプル「そ、それ先に言ってよおおおおおお!」ブスブス

ネメシス『状態異常に火傷が追加だ! マスター!』
127 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/05/17(日) 14:54:49.74 ID:jqm2cEPl0
カナデ「……あと一歩、か。ここまで来たら意地でも勝ちたいよね」

カナデ「メイプル! タイミングを合わせて! レックレスダイバーで相手に近付けばそれでカタが付くようにするから!」

メイプル「わかった!」

カナデ(タイミングは一瞬! 賭けてやる! 僕の全部を!)

カナデ「五! 四! 三! 二! 一!」

メイプル「ゼロ! 《レックレスダイバー》!」

カナデ「《炎槍》!」ゴオオウッ

ガルドランダ「!」


ボオオオオウッ


メイプル(よし! タイミングはバッチリ! ガルドランダの炎をカナデの炎がいい具合に相殺してる! これで終わり――!)

ガルドランダ「……」メラッ

メイプル(あ、あれ? なんか変だな。撃った後はちょっとくらい硬直が入るはず……?)

カナデ「!」

カナデ(やば……撃ち分けされてる。さっきは一度に二発一気に撃つタイプの火炎放射だったけど)

カナデ(今は二発を時間差で撃つタイプの火炎放射……!)

カナデ(これはもう耐えきれない! 死――!)


ドシュンッ


爆弾生物「GuSyaaaaaaaaaaa!!!」ヒュンッ

ドカァァァァァンッ

ガルドランダ「!?」ヨロッ

メイプル「――!」

カナデ「!」

カナデ(今のはイズの……!)

メイプル「うおおおおおああああああああああああああっ!」ギュンッ






メイプル「《復讐するは我にあり》!」カッ
128 :爆死の人  ◆SxyAboWqdc [saga]:2020/05/25(月) 17:57:12.35 ID:EvVE0JF50
ガルドランダ「――」

バキィィィンッ

メイプル「……終わった?」

ネメシス『終わった……ようだな。今度は罠もないらしい』

メイプル「……はーあ……!」バタンッ



ピコンッ


メイプル「ああ……なんか通知来た。MVP……?」

ネメシス『おお! 一番活躍したのは私たちらしいぞ! 良かったな! UBM装備が貰えるぞ!』

メイプル「その前に死にそう」ビクンッ ビクンッ

ネメシス『しまった! マスターのステータスは相も変わらず最悪なままだった!』ガビーンッ

シュンッ

ネメシス「カナデ! カナデーーー! マスターを助けろーーー!」

カナデ「流石に全部を直すだけの備えは……」

イズ「あるわよ」ダバダバダバッ

メイプル「ごぼごぼ……」

ネメシス「おお、イズ!」

イズ「私お手製の粗悪版状態異常回復薬。安い代わりに治るのが遅いけど、まあ治ることには治るわ。戦闘以外では重宝するのよ」ダバダバ

メイプル「ごぼぼぼぼぼ……」

ネメシス「……いやかけすぎだ! 溺死寸前だぞ!」ガーンッ

カナデ「……」
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