ましろ「踏み出す勇気と」つくし「踏み込む勇気」

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1 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2020/04/12(日) 21:01:07.24 ID:SlTzITWg0
ーー月ノ森女子学園、庭園

ましろ「……」

ましろ(憧れの月ノ森に入って、周囲との差に愕然とし)
ましろ(それでも変わりたいと願い、バンドを結成し)
ましろ(ようやく私も変われてきた……と思う)

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2 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:02:08.85 ID:SlTzITWg0
ましろ(バンドを通して、少しだけ自分に自信が持てた)
ましろ(逃げていたことにも、向き合ったり挑戦したりする強さを得た)
ましろ(そうして積んだ経験で、広い視野を手に入れた)

ましろ(それでも、成長の時には必ず他人の手があって。悩みを聞いてくれるのが嬉しくて、頼らせてくれるのが嬉しくて)
ましろ(ーーいつの間にか、話すだけで嬉しくて。ただただ一緒にいたいと願うようになった)
3 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:02:34.76 ID:SlTzITWg0
つくし「あ、倉田さん!」
ましろ「二葉さん……?どうしてここに」
つくし「どうしても何も、練習の時間!遅いから探しに来たの」
ましろ「あ……ごめんね。私は大丈夫だから」

ましろ(話しかけられただけで胸がざわつく。ポカポカと温かくて、それでいて鼓動がうるさくて、私の心は混乱しっ放し)
ましろ(そう言えば『あの時』も、ここで二葉さんと話したっけ……)

つくし「……もしかして、またなにか悩んでない?」
ましろ「本当に大丈夫だってば。それより、早く練習に行かないと」
つくし「むぅ……分かったけど。何かあったら遠慮しないで相談してね?」
ましろ「……うん。ありがとう」
4 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:03:01.11 ID:SlTzITWg0
ましろ(なんとかうまく逸らせたようでひと安心。いつもなら相談するかもだけど、これは二葉さんにだけは相談出来ない)
ましろ(確かに悩みはある。コレの正体も分かってる。でも……)
ましろ(『あなたに恋してます』なんて、相談出来るわけないよ……)
5 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:03:27.86 ID:SlTzITWg0
ーー空き教室

ましろ(今日の練習は、全くと言っていいほど集中できなかった。詩も音も全然頭に入ってこなくて、頭にあるのはさっきの二葉さんとのことだけ)
ましろ(何気ない会話のはずなのに何度も思い出して……また話したい、一緒にいたいって強く願ってしまう。ずっと考えていた分、時間が経つのはとても早い気がした)

つくし「倉田さん?倉田さんってば!」
ましろ「あ……どうしたの?」
つくし「どうしたのって……もうみんな帰ったけど、帰らないの?」
ましろ「えっ……?あ……」

ましろ(二葉さんの言葉にハッとして、周りを見渡してみる。どうやら私がぼーっとしてるうちにみんな帰ってたみたい)

つくし「……まさか、気付いてなかったの?練習前もなんかぼーっとしてたし……」
ましろ「気付かなくてごめんね、なんでも……」
つくし「なんでもないわけないって!さっきまで10分くらいはそうやってぼーっとしてたんだよ?」
ましろ「それは、えっと……その……」

ましろ(悩んでるのは丸分かり、って感じの口調で言われてしまうと何も返せなくなる。相談しようにも二葉さんには言いづらいし、かと言ってこんな悩みを話せる相手もいないから)
6 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:04:09.81 ID:SlTzITWg0
つくし「しょうがないなぁ……ね、この後時間ある?」

ましろ(そんなことを考えていると、ふっと二葉さんの表情が柔らかくなって。ため息を吐きながらも笑いかけてくる)

ましろ「この後?あるけど……」
つくし「じゃあ駅前のカフェに行こ。今日発売の新作スイーツ、食べてみたいし」
ましろ「か、カフェ?」
つくし「倉田さんはイヤ?」
ましろ「イヤなわけ……!っ、ない、けど」

ましろ(『イヤなわけない、二葉さんと一緒に行きたい』。そう叫びそうになったのを何とか堪えて、無理矢理に会話を繋げていく)
ましろ(一緒にカフェに行く。たったこれだけのことなのに、もう暗い気持ちはほぼ吹き飛んでいた。期待でドキドキして、この後の時間が楽しみでたまらない)

つくし「なら早く行こっ。急がないと売り切れちゃうかもしれないし!」
ましろ「うん……って待って二葉さん、置いて行かないでぇ〜……!」
7 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:04:36.26 ID:SlTzITWg0
ーーカフェ

つくし「ん〜っ、甘くて美味しい!これは当たりかも」
ましろ「売り切れる前に来れてよかったね……あ、ケーキも美味しい」
つくし「最後の一つって知った時は流石に驚いたよー!やっぱりこの時間は混むのかなぁ」
ましろ「月ノ森の生徒も多いみたいだしね。みんな学校帰りに寄ってるのかも」
つくし「確かに。……ねぇ」

ましろ(雑談の後、一転して真剣な表情に変わる二葉さん。どこかで聞いてくることは分かっていたから、驚くことはなかった)
ましろ(多分二葉さんは今、すごく心配してくれてるんだと思う。多分ここで話さなかったら、二葉さんを困らせることになる)
ましろ(私のせいで二葉さんが困ってしまうのはイヤだったから……打ち明けることにした)

ましろ「うん、ごめんね……話すよ」
8 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:05:05.92 ID:SlTzITWg0
ましろ(そして話した。友達を好きになってしまったこと、その人のことを考えているだけで鼓動が早くなってドキドキが止まらなくなってしまうこと、今日ぼーっとしてたのもそれが原因だということ)
ましろ(当然相手の名前は出していない。流石にこの場で告白みたいなことをする勇気は持ち合わせていなかった)

つくし「そっか……それで今日一日、ずっとその人のことを考えてたんだね」
ましろ「うん……全然頭から離れなくって。ダメだって思ってもふとした瞬間に思い出して、会いたくなって」
つくし「今日、その人とは話せたの?……あ、違ったらごめんね?でもなんだか今は、すごく嬉しそうに見えるから」
ましろ「あ……うん。話せたよ。だからかも、胸がぽかぽかしてて」
9 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:05:34.87 ID:SlTzITWg0
つくし「そっか……うーん、だからってどうしたらいいかなんて全然わかんないよー!」
ましろ「そ、そうだよね……私も分からなくて……」
つくし「とりあえず、その人と話して満足出来るなら積極的に話しかけてみればいいんじゃないかな?あとはお昼ごはん一緒に食べる、とか」
つくし「そうやって一緒の時間を過ごしていけば、向こうも気軽に誘ってくれるようになるかも」
ましろ「お昼ごはん、かぁ」

つくし「あ、もしかして学年が違う人?だったら誘いにくいよね……」
ましろ「いや、その人とは同じ学年で、同じクラスだよ。お昼ごはんに誘うことは出来ると思う」
つくし「そっか。じゃあそこからだねっ!」
ましろ「うん、ありがとう。頑張ってみるね……!」
つくし「倉田さんの力になれたなら良かったよ。私、こういうことの経験はなくて……」
ましろ「それが当然だと思うよ。私も戸惑ってるもん」
10 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:06:03.85 ID:SlTzITWg0
つくし「でも、もし我慢出来なくなったら言ってね!話せば少しは楽になると思うから。私がいつでも話を聞いてあげる!」
ましろ「……うん……!」
11 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:06:30.75 ID:SlTzITWg0
つくし(そういえば、バンドの練習中もぼーっとしてたのに……なんで今嬉しそうにしてるんだろ?)
つくし(会えなくてぼーっとしてたなら、練習の後に会えたってことなんだろうけど……練習の後はずっと私と一緒だった、よね)
つくし(……メールでもしてたのかな?)
12 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:06:56.19 ID:SlTzITWg0
ーーましろの部屋

ましろ「き、気付かれてない……よね?」
ましろ(カフェに行く話が出た辺りから顔が緩みっぱなしで、隠すのに必死だったけど。誤魔化すことは出来たみたい)

ましろ(……お昼ごはん、かぁ……)

ましろ「明日、誘ってみよう」
13 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:07:23.27 ID:SlTzITWg0
ーー月ノ森女子学園、1-A教室

ましろ(当然のように授業は殆ど集中出来ず、頭の中はお昼休みのことでいっぱい)
ましろ(どうやって誘おうかな、先に言っておいた方がいいのかな、でも先に言うと気付かれちゃうかな)
ましろ(二葉さん学級委員長だし先約があるのかも、断られたらどうしよう、でも聞いてみないことには分からないし……)
ましろ(そんなことを考えながら、授業が終わる時をじっと待つ)

つくし(倉田さん、なんか少し顔色悪い……?昨日のこと、思い詰めちゃってるのかな)
つくし(気軽に『お昼に誘ってみたら』って言うのは間違いだったのかも)
つくし(でもでも、お昼休みが絶好のチャンスなのは間違いないし……こういう時、みんなどうしてるんだろ?)
つくし(あの調子だと多分、この後に誘うつもりだったんだよね。さっきから時計をじっと見つめてるし……)
つくし(大丈夫かな……?)
14 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:07:53.46 ID:SlTzITWg0
ましろ(授業が終わって、号令も済ませて。遠目に二葉さんの様子をチラッと)

つくし「……」

ましろ(お昼ごはんを食べに行く様子はなし、誰かと約束してる感じでもない。誘うのなら絶好のチャンス)
ましろ(でも、ちょっと疲れてる……みたい。悩み事かな……?)
ましろ(二葉さんだって悩みの一つや二つあるよね……出来ることなら私も力になりたいけど……でも……)

〜〜〜〜

つくし『でも、もし我慢出来なくなったら言ってね!話せば少しは楽になると思うから。私がいつでも話を聞いてあげる!』

〜〜〜〜

ましろ(……二葉さんだって、私の悩みを解決出来る自信があったわけじゃない。でも話せば楽になるかもって、聞いてくれたんだよね)
ましろ(なら、今度は私の番……昨日の二葉さんみたいに……)
ましろ(昨日の、二葉さんみたいに……)
ましろ(……すっっっっごく緊張するぅ……!)
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