ましろ「踏み出す勇気と」つくし「踏み込む勇気」

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1 : ◆bncJ1ovdPY [saga]:2020/04/12(日) 21:01:07.24 ID:SlTzITWg0
ーー月ノ森女子学園、庭園

ましろ「……」

ましろ(憧れの月ノ森に入って、周囲との差に愕然とし)
ましろ(それでも変わりたいと願い、バンドを結成し)
ましろ(ようやく私も変われてきた……と思う)

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2 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:02:08.85 ID:SlTzITWg0
ましろ(バンドを通して、少しだけ自分に自信が持てた)
ましろ(逃げていたことにも、向き合ったり挑戦したりする強さを得た)
ましろ(そうして積んだ経験で、広い視野を手に入れた)

ましろ(それでも、成長の時には必ず他人の手があって。悩みを聞いてくれるのが嬉しくて、頼らせてくれるのが嬉しくて)
ましろ(ーーいつの間にか、話すだけで嬉しくて。ただただ一緒にいたいと願うようになった)
3 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:02:34.76 ID:SlTzITWg0
つくし「あ、倉田さん!」
ましろ「二葉さん……?どうしてここに」
つくし「どうしても何も、練習の時間!遅いから探しに来たの」
ましろ「あ……ごめんね。私は大丈夫だから」

ましろ(話しかけられただけで胸がざわつく。ポカポカと温かくて、それでいて鼓動がうるさくて、私の心は混乱しっ放し)
ましろ(そう言えば『あの時』も、ここで二葉さんと話したっけ……)

つくし「……もしかして、またなにか悩んでない?」
ましろ「本当に大丈夫だってば。それより、早く練習に行かないと」
つくし「むぅ……分かったけど。何かあったら遠慮しないで相談してね?」
ましろ「……うん。ありがとう」
4 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:03:01.11 ID:SlTzITWg0
ましろ(なんとかうまく逸らせたようでひと安心。いつもなら相談するかもだけど、これは二葉さんにだけは相談出来ない)
ましろ(確かに悩みはある。コレの正体も分かってる。でも……)
ましろ(『あなたに恋してます』なんて、相談出来るわけないよ……)
5 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:03:27.86 ID:SlTzITWg0
ーー空き教室

ましろ(今日の練習は、全くと言っていいほど集中できなかった。詩も音も全然頭に入ってこなくて、頭にあるのはさっきの二葉さんとのことだけ)
ましろ(何気ない会話のはずなのに何度も思い出して……また話したい、一緒にいたいって強く願ってしまう。ずっと考えていた分、時間が経つのはとても早い気がした)

つくし「倉田さん?倉田さんってば!」
ましろ「あ……どうしたの?」
つくし「どうしたのって……もうみんな帰ったけど、帰らないの?」
ましろ「えっ……?あ……」

ましろ(二葉さんの言葉にハッとして、周りを見渡してみる。どうやら私がぼーっとしてるうちにみんな帰ってたみたい)

つくし「……まさか、気付いてなかったの?練習前もなんかぼーっとしてたし……」
ましろ「気付かなくてごめんね、なんでも……」
つくし「なんでもないわけないって!さっきまで10分くらいはそうやってぼーっとしてたんだよ?」
ましろ「それは、えっと……その……」

ましろ(悩んでるのは丸分かり、って感じの口調で言われてしまうと何も返せなくなる。相談しようにも二葉さんには言いづらいし、かと言ってこんな悩みを話せる相手もいないから)
6 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:04:09.81 ID:SlTzITWg0
つくし「しょうがないなぁ……ね、この後時間ある?」

ましろ(そんなことを考えていると、ふっと二葉さんの表情が柔らかくなって。ため息を吐きながらも笑いかけてくる)

ましろ「この後?あるけど……」
つくし「じゃあ駅前のカフェに行こ。今日発売の新作スイーツ、食べてみたいし」
ましろ「か、カフェ?」
つくし「倉田さんはイヤ?」
ましろ「イヤなわけ……!っ、ない、けど」

ましろ(『イヤなわけない、二葉さんと一緒に行きたい』。そう叫びそうになったのを何とか堪えて、無理矢理に会話を繋げていく)
ましろ(一緒にカフェに行く。たったこれだけのことなのに、もう暗い気持ちはほぼ吹き飛んでいた。期待でドキドキして、この後の時間が楽しみでたまらない)

つくし「なら早く行こっ。急がないと売り切れちゃうかもしれないし!」
ましろ「うん……って待って二葉さん、置いて行かないでぇ〜……!」
7 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:04:36.26 ID:SlTzITWg0
ーーカフェ

つくし「ん〜っ、甘くて美味しい!これは当たりかも」
ましろ「売り切れる前に来れてよかったね……あ、ケーキも美味しい」
つくし「最後の一つって知った時は流石に驚いたよー!やっぱりこの時間は混むのかなぁ」
ましろ「月ノ森の生徒も多いみたいだしね。みんな学校帰りに寄ってるのかも」
つくし「確かに。……ねぇ」

ましろ(雑談の後、一転して真剣な表情に変わる二葉さん。どこかで聞いてくることは分かっていたから、驚くことはなかった)
ましろ(多分二葉さんは今、すごく心配してくれてるんだと思う。多分ここで話さなかったら、二葉さんを困らせることになる)
ましろ(私のせいで二葉さんが困ってしまうのはイヤだったから……打ち明けることにした)

ましろ「うん、ごめんね……話すよ」
8 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:05:05.92 ID:SlTzITWg0
ましろ(そして話した。友達を好きになってしまったこと、その人のことを考えているだけで鼓動が早くなってドキドキが止まらなくなってしまうこと、今日ぼーっとしてたのもそれが原因だということ)
ましろ(当然相手の名前は出していない。流石にこの場で告白みたいなことをする勇気は持ち合わせていなかった)

つくし「そっか……それで今日一日、ずっとその人のことを考えてたんだね」
ましろ「うん……全然頭から離れなくって。ダメだって思ってもふとした瞬間に思い出して、会いたくなって」
つくし「今日、その人とは話せたの?……あ、違ったらごめんね?でもなんだか今は、すごく嬉しそうに見えるから」
ましろ「あ……うん。話せたよ。だからかも、胸がぽかぽかしてて」
9 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:05:34.87 ID:SlTzITWg0
つくし「そっか……うーん、だからってどうしたらいいかなんて全然わかんないよー!」
ましろ「そ、そうだよね……私も分からなくて……」
つくし「とりあえず、その人と話して満足出来るなら積極的に話しかけてみればいいんじゃないかな?あとはお昼ごはん一緒に食べる、とか」
つくし「そうやって一緒の時間を過ごしていけば、向こうも気軽に誘ってくれるようになるかも」
ましろ「お昼ごはん、かぁ」

つくし「あ、もしかして学年が違う人?だったら誘いにくいよね……」
ましろ「いや、その人とは同じ学年で、同じクラスだよ。お昼ごはんに誘うことは出来ると思う」
つくし「そっか。じゃあそこからだねっ!」
ましろ「うん、ありがとう。頑張ってみるね……!」
つくし「倉田さんの力になれたなら良かったよ。私、こういうことの経験はなくて……」
ましろ「それが当然だと思うよ。私も戸惑ってるもん」
10 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:06:03.85 ID:SlTzITWg0
つくし「でも、もし我慢出来なくなったら言ってね!話せば少しは楽になると思うから。私がいつでも話を聞いてあげる!」
ましろ「……うん……!」
11 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:06:30.75 ID:SlTzITWg0
つくし(そういえば、バンドの練習中もぼーっとしてたのに……なんで今嬉しそうにしてるんだろ?)
つくし(会えなくてぼーっとしてたなら、練習の後に会えたってことなんだろうけど……練習の後はずっと私と一緒だった、よね)
つくし(……メールでもしてたのかな?)
12 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:06:56.19 ID:SlTzITWg0
ーーましろの部屋

ましろ「き、気付かれてない……よね?」
ましろ(カフェに行く話が出た辺りから顔が緩みっぱなしで、隠すのに必死だったけど。誤魔化すことは出来たみたい)

ましろ(……お昼ごはん、かぁ……)

ましろ「明日、誘ってみよう」
13 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:07:23.27 ID:SlTzITWg0
ーー月ノ森女子学園、1-A教室

ましろ(当然のように授業は殆ど集中出来ず、頭の中はお昼休みのことでいっぱい)
ましろ(どうやって誘おうかな、先に言っておいた方がいいのかな、でも先に言うと気付かれちゃうかな)
ましろ(二葉さん学級委員長だし先約があるのかも、断られたらどうしよう、でも聞いてみないことには分からないし……)
ましろ(そんなことを考えながら、授業が終わる時をじっと待つ)

つくし(倉田さん、なんか少し顔色悪い……?昨日のこと、思い詰めちゃってるのかな)
つくし(気軽に『お昼に誘ってみたら』って言うのは間違いだったのかも)
つくし(でもでも、お昼休みが絶好のチャンスなのは間違いないし……こういう時、みんなどうしてるんだろ?)
つくし(あの調子だと多分、この後に誘うつもりだったんだよね。さっきから時計をじっと見つめてるし……)
つくし(大丈夫かな……?)
14 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:07:53.46 ID:SlTzITWg0
ましろ(授業が終わって、号令も済ませて。遠目に二葉さんの様子をチラッと)

つくし「……」

ましろ(お昼ごはんを食べに行く様子はなし、誰かと約束してる感じでもない。誘うのなら絶好のチャンス)
ましろ(でも、ちょっと疲れてる……みたい。悩み事かな……?)
ましろ(二葉さんだって悩みの一つや二つあるよね……出来ることなら私も力になりたいけど……でも……)

〜〜〜〜

つくし『でも、もし我慢出来なくなったら言ってね!話せば少しは楽になると思うから。私がいつでも話を聞いてあげる!』

〜〜〜〜

ましろ(……二葉さんだって、私の悩みを解決出来る自信があったわけじゃない。でも話せば楽になるかもって、聞いてくれたんだよね)
ましろ(なら、今度は私の番……昨日の二葉さんみたいに……)
ましろ(昨日の、二葉さんみたいに……)
ましろ(……すっっっっごく緊張するぅ……!)
15 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:08:20.74 ID:SlTzITWg0
つくし(倉田さん、どうするのかな……?きっと今からその人を誘いに行くんだよね)
つくし(でも授業中あの様子だったし、ちょっと心配……相手は同じクラスの人って言ってたし、ここで待ってれば見れるかな……?)

ましろ「すぅー……はー……、……よしっ」

つくし(あ、席を立った……そういえば、結局相手って誰だったんだろう……って)
つくし(な、なんだかこっちに向かって来てるような……。気のせい……じゃないよね!?)

ましろ「ふ、二葉さんっ」
つくし「ひゃいっ!?」
ましろ「一緒にお昼ごはん……どう、ですか」
16 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:08:47.11 ID:SlTzITWg0
つくし(もしかして誘うの失敗しちゃったの?だとしたら、二人きりになった方がいいかな?)
つくし(わかんない……けど。今はとにかく平常心、周囲に倉田さんの恋が気付かれないようにしなきゃ……!)

つくし「うん、いいよっ。どこで食べよっか?」
ましろ「私は、どこでも……」

つくし(これで二人きりになれそうな場所を提案してくるは……ず、じゃない!?ど、どうしよう……場所変えなくてもいいのかな?)
つくし(いやでも、あの話を聞かれるのは倉田さんにとっても良くないはずだし……仕方ないっ)

つくし「そ、それならっ」
17 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:09:15.57 ID:SlTzITWg0
つくし(顔をぐいっと倉田さんの耳元に近付けて、これで周囲には聞かれないはず……!)

つくし「二人きりになれる場所……行かない?庭園とか、今日は意外と人いないみたいだし」
ましろ「〜〜〜〜っ!?」
18 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:09:57.73 ID:SlTzITWg0
つくし「それとも、このまま教室で食べる?倉田さん、他の人には聞かれたくないんじゃないかって思ったんだけど」
ましろ「あっ、庭園行く、行きますっ」
つくし「じゃ早く行こ!ねっ!」
ましろ「ひ、引っ張らないで〜っ!?」
19 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:10:26.67 ID:SlTzITWg0
ーー庭園

ましろ(ほ、ほんとに2人きりになっちゃった……!)
ましろ(さっき耳元で囁かれたことだけで顔が沸騰しそうなくらい熱いのに、このまま2人きりでお昼なんて……〜〜っ)
ましろ(で、でも気付かれてないはずだもんね。そういうつもりでやったわけじゃないよね。だから勘違いしないで、私……っ!)

つくし「倉田さん、大丈夫?さっきから顔赤いけど」
ましろ「だ、大丈夫でしゅっ」
つくし「……ほんとに?」
ましろ「だ、大丈夫だからっ。勘違いしてないよっ」
つくし「か、勘違い?よくわからないんだけど……」
ましろ(大丈夫じゃないし顔赤いのは二葉さんのせいだよぉ……っ!)
20 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:10:55.10 ID:SlTzITWg0
つくし「ところで、その……やっぱり、誘えなかった?」
ましろ「ふぇっ?」
つくし「今日お昼に誘うつもりだったんだよね?その……倉田さんが好きになった人のこと」
ましろ「あっ、えっと……うん」
つくし「その……ちょっと無茶だったかなって、思って……倉田さん、そういうの苦手だって知ってたはずなのに」
ましろ「……」
21 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:11:30.35 ID:SlTzITWg0
ましろ(分かりやすくしゅんとしてる二葉さん。そっか、二葉さんは……私が相手をうまく誘えなくて、そのことを相談するために二葉さんを誘ったって思ってるのかな)
ましろ(だから、さっきは私に合わせてくれてた……?でも、そんなの……)
ましろ(私は二葉さんが悲しい顔をしてるところを見たくて、お昼に誘ったわけじゃないのに……!)
22 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:11:58.80 ID:SlTzITWg0
ましろ「あ、あのねっ!」
つくし「っ!?な、何っ?」

ましろ(自分でもびっくりするくらい大きな声が出た気がするけど、そんなことはどうでも良くて。とにかく二葉さんに伝えなきゃ)

ましろ「私は、二葉さんを誘ったんだよっ」
つくし「えっ?でも、それは……」
ましろ「二葉さんと一緒にお昼ごはん食べたかったから、誘っただけなの!」
つくし「……、……!?」
ましろ「だから、誘えなかったとかじゃなくて……最初から、二葉さんを誘うつもりだったんだよっ……?」
23 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:12:26.55 ID:SlTzITWg0
つくし「ーーそ、それって……っ!?」

つくし(倉田さんは今日、『好きな人を誘うつもりだった』。そして、『最初から私を誘うつもりだった』)
つくし(一見矛盾したそれが意味することはたった一つで……それでもまだ『そんなわけない』ってどこかで否定しようとする、弱い私がいた)
つくし(だって、そんなことあるはずないもん……倉田さんが好きな人が……私なんて……!)

〜〜〜〜

つくし『二人きりになれる場所……行かない?庭園とか、今日は意外と人いないみたいだし』

〜〜〜〜

つくし(仮にもしそうだとしたら私、勘違いしたままものすごく恥ずかしいことを……っ!?)
24 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:12:52.46 ID:SlTzITWg0
ましろ「だから……えっと、あのね……?」
つくし「……そんなこと、ありえないよっ」
ましろ「えっ……?」
つくし「やっぱりありえるはずないよ。倉田さんが好きになった人が……私だなんて」
ましろ「ーーっ!?なんで気付いて……あっ……!」
ましろ(最初から二葉さんを誘うつもりだったなんて言ったら、二葉さんに気付かれちゃうじゃん……っ!)
ましろ(うぁぁ〜……私のバカぁ……!)
25 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:13:20.82 ID:SlTzITWg0
つくし「だってだって、私だよ?八潮さんみたいに頭もよくないし、広町さんみたいになんでも出来るわけじゃないし、透子ちゃんみたいに人気者でもないし……!」

ましろ(悶えてる横で、次々と他の人の良いところを挙げていく二葉さん。でもそれは明らかに自分へ向いた否定の言葉)

つくし「大事なところですぐドジしちゃうし、結局今回だって倉田さんの助けになれてなかったのに……」

ましろ(違う。聞いてくれただけで嬉しかったの。そう声をかけたいのに、言葉がうまく出てこない。きっとこれは、本心からの言葉じゃないから)

つくし「結局倉田さんに負担かけるようなことを気楽に言って……ダメだなぁ、私」

ましろ(涙目の二葉さんを見ていると、怒りに似た何かが心に積もっていく。多分それは、二葉さんを否定する『何か』に対しての感情)
ましろ(それに気付いた瞬間、我慢することも出来なくなって……)
26 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:14:25.31 ID:SlTzITWg0
ましろ「ーー違うもんっ!!」
27 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:14:54.93 ID:SlTzITWg0
つくし「っ!?」
ましろ「私はそんなことを聞くために、そんな姿を見るために二葉さんを誘ったわけじゃない!二葉さんと一緒に居たいから誘ったの!!」
ましろ「一緒にいるだけで楽しいから!二葉さんの笑顔を見たいから!」
28 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:15:20.39 ID:SlTzITWg0
ましろ「ーー二葉さんが好きだから!ここにいるの!!」
29 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:15:51.13 ID:SlTzITWg0
つくし「ーーっ、ぁ……」
ましろ「だから、お願い。私の大好きな二葉さんのことを、そんな風に言わないで……?」
ましろ「悩みを笑顔で聞いてくれて嬉しかった。一緒に悩んでくれて楽になった。頑張れって言ってくれて、勇気が出た」
ましろ「二葉さんは、きっと……いや絶対、すごくステキな人だよ。だから私も好きになったんだよ……」
つくし「……倉田さん……ごめんね……っ」
ましろ「ごめんね、じゃないよ……二葉さんは私を助けてくれたんだもん」
30 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:16:26.67 ID:SlTzITWg0
つくし「……うん……ありがと」

ましろ(涙でぐしゃぐしゃになりながらだけど、やっと笑顔を見せてくれる。それは私が求めていた表情で、私が好きになった二葉さんだった)
ましろ(多分、私と同じで……ずっと悩み続けてたんだ。周囲との才能の差を感じて)
ましろ(自分に自信が持てなくて、周りには好かれてるなんて思えなくて)
ましろ(でも、私と二葉さんは……一緒だった)
31 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:16:53.64 ID:SlTzITWg0
ましろ「……なんか、恥ずかしいね。こういうこと言うの」
ましろ(少し頭が冷めてきたのか、一気に恥ずかしさがこみ上げてくる。顔も多分、すごく赤い)
ましろ(でも不思議と逃げ出したくはならなかった。多分、本心を伝えてスッキリしたのもあると思うけど)

つくし「言い出したのは倉田さんでしょ……ぐすっ」
ましろ「それは、そうなんだけど……」
つくし「それはそれとして、倉田さん」

ましろ(言葉をそこで止めると、袖で涙を拭って……見えたのは、ここで初めて話した『あの時』と同じ顔)

つくし「倉田さんはこのままで、いいの……?」
32 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:17:22.40 ID:SlTzITWg0
ましろ「えっ……」
つくし「好きな人が、いるんでしょ?気持ちを言っただけで満足してるの……?」
ましろ「ぁ……」

ましろ(確かに、そうだ。私は二葉さんと一緒にいたくて、二葉さんの声が聞きたくて、二葉さんの笑顔が見たくて……)
ましろ(……二葉さんに恋をしてるから、ここにいるんだもんね。だったら、やることは一つだけ)

ましろ「……うん、そうだね。ちゃんと言わないとね……」
つくし「……っ」
ましろ「……二葉さん」

ましろ(最初は私なんかが、って思ってた。釣り合わない、魅力が足りないって)
ましろ(でも二葉さんも同じだって知れたから……やっと、蓋をしてきたこの気持ちを口に出来る)
33 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:17:59.84 ID:SlTzITWg0
ましろ「ーーあなたのことが好き。お付き合いして、いただけますか……?」
34 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:18:30.84 ID:SlTzITWg0
つくし「ーーうんっ!こちらこそ、よろしくお願いしますっ」

ましろ(ようやく向き合えて、一歩進んだ気がした。庭園で舞い散る桜の花びらが私たちを祝福してくれているようで、少しくすぐったく感じる)
ましろ(でも、それはずっと求めていた心地良さに相違なかった)
35 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:18:59.63 ID:SlTzITWg0
つくし「ーーって、お昼ごはん!すっかり忘れてた!」
ましろ「あっ……時間、足りるかな……?」
つくし「えっと……午後の授業まであと15分!急いで食べればなんとか……!」
ましろ「あはは……」
つくし「あ、倉田さん!ちょっと待って」
ましろ「……?」
つくし「ちょっとだけそのままで……ね?」

ましろ(弁当を取り出そうと立ち上がった私を二葉さんが静止する。私が座り直したのを確認すると、耳元に顔を寄せて来てーー)

つくし「今日の放課後、時間あるよね?よかったら、二人きりになれる場所……行かない?」
ましろ「……!」
36 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:19:28.78 ID:SlTzITWg0
ましろ(さっきは勘違いしそうになった言葉。でも、今度はきっと勘違いじゃない)
ましろ(恋人同士になって言われたその言葉が意味することは、きっとそういうことだから)

ましろ「うんっ!楽しみにしてるねっ」
37 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:20:23.40 ID:SlTzITWg0
ーー放課後、ましろの部屋


ましろ(二人きりになれる場所と言ったものの、カフェやファミレスだと人の目があるし)
ましろ(カラオケルームなんかもちょっと入り辛い。ちょうど私の家族は家にいなかったので、私の部屋を使うことにした)

つくし「お、お邪魔しま〜す……」
ましろ「あはは。誰もいないから、そんなに気を張らなくても大丈夫」
つくし「でも、倉田さんの部屋って初めてだから。緊張しちゃうな」
ましろ「適当に座ってて。お茶とお菓子持ってくるね」
つくし「あ、うん。ありがと」

つくし「……ここが、倉田さんの部屋」
つくし(ベッドの上にはたくさんのぬいぐるみ。前にぬいぐるみに埋もれるのが好きって言ってたっけ。……想像したら、ちょっと可愛いかも)
つくし(それ以外は意外と私の部屋と似てて、少しだけ親近感を覚えた。勿論、雰囲気は全然違うけど)
38 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:20:54.31 ID:SlTzITWg0
つくし「……恋人に、なったんだもんね……」

つくし(恋人の部屋って考えたら、緊張してしまうのは仕方ないのかな。さっきから雰囲気とか匂いとかに過敏に反応してしまって、心が落ち着かない)

ましろ「お待たせ。色々持ってきてみたけど……二葉さん、嫌いなものとかあったかな」
つくし「ありがと。大丈夫だよ」
ましろ「……うん」

つくし(小さなテーブルにお盆を置いて、隣に座る倉田さん)
つくし(チラッと目線を向けると倉田さんもこっちを向いていて……目が合って、思わず恥ずかしくなる。完全に意識しちゃってるなぁ、私)
39 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:21:35.25 ID:SlTzITWg0
つくし「せ、せっかく二人きりなんだしっ。何かしようよ」
ましろ「何か……って?」
つくし「えっと……それは……」

つくし(特に何も思い付かなくて、口籠ってしまう。意識すればするほどに頭がぐるぐるして、何もわからなくなってきて……倉田さんもずっとこんな感じだったのかな)
つくし(というか、倉田さんは特に動揺してないみたい……こんなに意識しちゃってるのは私だけ、ってこと?)
つくし(むぅ……なんか、釈然としない)

ましろ「私は、一緒に居られるだけで嬉しいよ」

つくし(そんな不満も、倉田さんの笑顔を見ればすぐ消し飛んでしまって。今になってようやく、恋というものがなんとなく分かった気がした)
40 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:22:05.90 ID:SlTzITWg0
つくし「で、でもこう……もっとしたいこととか、ないの?」
ましろ「もっと、したいこと……」
つくし「そ、そう!したいことがあるなら、なんでも言って!」

ましろ「……じゃあ、一つだけ……いい?」
つくし「うん!なにーーと、わっ」
41 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:22:38.66 ID:SlTzITWg0
つくし(返事を待つこともなく、思いっきり抱き付いてくる倉田さん)
つくし(腕で背中をがっちり捉えたかと思うと、そのまま胸に顔を埋めて頬をすり寄せてくる)

ましろ「えへへ……前からずっと、こうしたかったんだ……」
つくし「……もう、しょうがないなぁ」
42 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:23:27.90 ID:SlTzITWg0
つくし(蕩け切った声色で少しくすぐったい気分になるけど、それも心地良くて……背中に腕を回して、抱き締め返す)

つくし「倉田さん、なんだか子供みたいだよ?」
ましろ「二人きりだからいいもん……でも、それはなんかやだ」
つくし「……それって、何が?」
ましろ「その『倉田さん』っていうの。せっかく恋人になれたのに……ましろって呼んで」
つくし「う……」
ましろ「お願い……つくしちゃん」

つくし(いつの間にか駄々っ子になってしまった倉田さん……じゃなくて、ましろちゃん。甘えた声で名前を呼ばれてドキッとしたけど……恋人同士だもん、名前で呼んでも何もおかしくはないはず)
つくし(それに、言葉にするのは恥ずかしいけど……私も呼んでみたかったから。意を決してーー)
43 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:23:56.13 ID:SlTzITWg0
つくし「……ましろ、ちゃん」
ましろ「〜〜っ!もう一回っ」
つくし「ましろちゃんっ」
ましろ「えへ、つくしちゃ〜んっ」

つくし(ましろちゃん……ましろちゃん……まだ違和感はあるけど、少ししたら慣れるのかな?)
つくし(でも、名前を呼ぶたびにこんなにドキドキしてたら心臓がもたないよ〜……!)
44 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:24:24.53 ID:SlTzITWg0
ましろ「……」
つくし「……ましろちゃん?」

つくし(たまにお互いの名前を呼び合いながら、体を擦り寄せてくるましろちゃんを抱き締め続けて)
つくし(ましろちゃんの方も、始めはマーキングでもするかのようだったのに、今では私に身を委ねるだけ)

つくし「ましろちゃーん」
ましろ「ん〜……なぁに、つくしちゃん」

つくし(そんなましろちゃんが可愛くて頬を軽くつついてみれば、イヤイヤと首を振りながらも応えてくれる)
つくし(こうなってくると本当に子供みたいで、なんだか庇護欲をそそられるかも)
45 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:25:04.89 ID:SlTzITWg0
つくし「もしかして、眠くなってきた?」
ましろ「そうかも……さっきから、不思議な感じなの」
つくし「……?」
ましろ「つくしちゃんとこうしてると、身体がぽかぽかしてきて、頭がぽーっとしてきて……すごく安心する……」
つくし「……ふふ。このまま寝てもいいよ?しばらくしたら起こしてあげる」
ましろ「ん……そう、するね……」

つくし(頭を撫でてあげると、嬉しそうにはにかんで……でも目はほとんど開いてなくて、本当に限界みたい)

ましろ「ふぁ……つくし、ちゃん……おやすみ……」
つくし「……うん。おやすみ、ましろちゃん」
46 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:25:43.38 ID:SlTzITWg0
つくし(すやすやと寝息を立てるましろちゃんは、安心しきった表情で……やっぱり寝顔も可愛い)

つくし「……いっぱい悩んで、いっぱい頑張ったもんね」

つくし(ずっと前から自分の気持ちに悩んでいて。それを私に打ち明けるのには、想像できないほどの苦悩があったはず)
つくし(いっぱい頑張ったあとは、ゆっくり休ませてあげなきゃね)
47 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:26:11.76 ID:SlTzITWg0
つくし(手持ち無沙汰だし、ゲームでもしようかなとスマホを取り出してみる)
つくし(ましろちゃんを起こさないようにイヤホンもつけて……と、そこで今入ったらしい一件の通知に目が止まった)

透子『今日の倉田なんかぼーっとしてたけど、二葉は何か知らね?』

つくし(メンバー間の連絡のために用意したグループチャットに、透子ちゃんからのメッセージ。通知を切っていたから気付かなかったけど、どうやらましろちゃんについて他のメンバーと話していた最中らしい)
つくし(流石にみんな気付いていたらしく、他のメンバーも交えてそれなりにやり取りが繰り返されていた)

つくし『それなら大丈夫。私が解決しておいたから!』
透子『マジ?結局なんだったの?』
瑠唯『解決したのなら聞かなくてもいいでしょう。今後に支障がないなら別に良いわ』
透子『普通に気になるじゃん?広町も気になるっしょ』
七深『確かに、練習の後はつーちゃんに任せたままだったもんねー』

つくし(予想通りというか、みんなましろちゃんの悩みが気になってるみたい。……いつも通りの八潮さんを除いて)
つくし(ましろちゃんの悩みを伝えようか一瞬迷ったけど、流石に隠しておくべきだよね?)
つくし(でも下手に内緒って言うとましろちゃんが問い詰められちゃうかも……)
48 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:26:45.14 ID:SlTzITWg0
つくし『ちょっとした悩み事だったよ』

つくし(八潮さんは頭が良いからすぐ気付いちゃうし……出来るだけ何も言わないようにしないとね)

透子『いやあれはそんな感じじゃなかったでしょ。さては二葉、何か隠してるな?』
七深『いや、意外とあっさり解決したのかも?私たちに話さないってことは、つーちゃんにしか出来ないことなのかもね』
透子『二葉しか出来ないこと……ドラム?』
七深『それは関係ないと思うな〜』

つくし(かなり食い付いて来てる!?しかも七深ちゃん、意外と鋭いし……!何とか誤魔化さないと……っ)
つくし(でも、どうやって?適当に嘘をつくしかないけど……このチャット、ましろちゃんも見れるんだよね……)

つくし『ちょっと話を聞いてあげただけ。ましろちゃんも大丈夫そうだし、心配しなくてもいいよ』

つくし(これで大丈夫かな……っと)

透子『は?え、ましろちゃん?今ましろちゃんって呼んだ?』

つくし「……あっ!?」
49 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:27:11.62 ID:SlTzITWg0
七深『呼んだね〜。前は倉田さんだったと思うけど』
透子『マジかよ絶対なんかあったじゃん!いつの間にそんな仲良くなってんの!』
七深『これはひょっとして……そういうことだったり……?』
透子『そういうことってどんな!?』
七深『どういうことだろうね〜?』
透子『いやそれじゃ分かんないって!八潮はどう思う?』
七深『るいるい、見てるのかな』
瑠唯『見ているわ。別に倉田さんと二葉さんのことにそこまで興味はないけれど』
瑠唯『誰だって訊かれたくないことの一つや二つあるでしょう。興味本位で問いただすのは良くないわ』
透子『ちぇー』

つくし(八潮さんが止めてくれたお陰でなんとかバレずに済んだ……のかな?広町さんと八潮さんは気付いてそうだったけど……)
つくし(そこで、繋いだイヤホンから別の通知が鳴る。ーー相手は八潮さん。グループチャットではなくて、個人チャットで送ってきたみたい)

瑠唯『隠すのなら次からはもう少し上手くやりなさい。私は言わないでおくけれど、広町さんまでどうかは分からないわよ』
瑠唯『多分週明けにはクラスで噂になるんじゃないかしら?桐ヶ谷さんはA組にも交友関係があるはず』
つくし『え、何のこと?』
瑠唯『あなたと倉田さんが、恋仲かそれに近い関係になったということよ。実際にどうかは知らないけれど、月曜日は覚悟しておいた方がいいわね』
つくし『……わかった、ありがとう』

つくし(やっぱりバレてる……!?なんで、どうやって気付いたの!?やっぱり八潮さん、気付くのが早い……!)
つくし(うぅ、ごめんねましろちゃん……もしかすると巻き込んじゃうかも……)
50 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:27:41.05 ID:SlTzITWg0
ましろ「……んぅ……つくし、ちゃん……?」
つくし「っ……ましろちゃん?起きた?」
ましろ「……もう、ちょっとだけ……」
つくし「……うん」

つくし(どうやらましろちゃんを起こしちゃったみたいで、バレてないかなと一瞬焦るけど。ましろちゃんのスマホも鳴ってないし、また眠ったみたいだから大丈夫なはず)
つくし(ましろちゃんの声を聞けたお陰かな。少しすれば心が段々落ち着いてきて、焦りや不安が減っていく)
つくし(……学校では呼び方変えた方がいいかなぁ。でも、もうバレちゃってるし意味ないかなぁ……)
51 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:28:08.22 ID:SlTzITWg0
つくし(その後は何事もなく、ましろちゃんの可愛い寝顔を眺めながらゆったりとした時間を過ごして)
つくし(当初はスマホでゲームをするつもりだったんだけど、チャットで全部吹き飛んじゃってて。それに、こうしてましろちゃんの顔を見ているだけで退屈しないし)
つくし(けどそろそろ晩ごはんの時間だし、起こしてあげないとね)

つくし「ましろちゃーん……?」
ましろ「ん、んぅ……?」
つくし「ましろちゃん起きてー、もう夜だよー」
ましろ「んー……まだ……」

つくし(頬をつんつんとしてみると、手をのけようともぞもぞ動く。その動作すらも愛らしいけれど、堪能する時間は残ってなくて)

つくし「ましろちゃん起きて、私もう帰らなきゃだから」
ましろ「……やだ……いっしょがいい……」
つくし「……もう。可愛いなぁ」

つくし(声に漏れてしまうくらい可愛いし、私も出来れば一緒がいいけど……)
つくし(時間……17時。まだ間に合うかな……)
52 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:28:44.99 ID:SlTzITWg0
つくし「どうしてもダメ?」
ましろ「だめ……つくしちゃんは、私といっしょじゃなきゃだめなの……」
つくし「……しょうがないなぁ」

つくし(口ではそう言ってみるけど、内心ではとても嬉しい。一緒が良いって言ってくれて、我儘を言うくらい好きでいてくれて)
つくし(幸い、私の家ではまだ晩ごはんの準備は始まってない時間。今から連絡すれば支障はないし、ましろちゃんのご両親もいないらしいし)
つくし(今思えば、こんなことを考えるのは初めてだったかもしれない)

つくし「それじゃあ連絡するから、少しだけ離れてくれる?」
ましろ「離れるの、やだ……」
つくし「あとでいっぱいぎゅーってしてあげるから……それじゃダメ?」
ましろ「……んー……わかった」
つくし「ありがと、ましろちゃん」

つくし(子供みたいに甘えてくるましろちゃんを何とかなだめて。スマホを取り出して、メッセージアプリを開いてお母さんに連絡)
つくし(友達の家で食べるから私の分はいらないよ、っと……その前に)
53 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:29:37.31 ID:SlTzITWg0
つくし「ましろちゃんのご両親は、いつ帰ってくるの?」
ましろ「……たぶん、日曜まで帰ってこない」
つくし「明後日かぁ……ましろちゃんは、明日何か用事はある?」
ましろ「特にないけど……」
つくし「じゃあこのまま、お泊まり会にしちゃおっか」
ましろ「……!」
つくし「こうすれば、明日もずっと一緒にいられるでしょ?どうかな」
ましろ「うん、うんっ……!お泊まり会、私もしたい……!」
つくし「じゃあ決定っ。お母さんに連絡するから待っててね」

つくし(表情を一気にぱぁっと明るくさせたましろちゃんを眺めつつ、メッセージアプリに打ち込んだ文面を編集していく)
つくし(今夜はこのまま友達の家に泊まるから、晩ごはんはいらないよ……っと、送信。これでよしっ)
つくし(既読早っ……あ、もう帰ってきた。……うん、オッケーみたい)

つくし「連絡終わったよましろちゃー……うわっとと」
ましろ「つくしちゃん、つくしちゃんっ……」
つくし「もう、ましろちゃんってば……苦しいよ……」
ましろ「だって、いっぱいぎゅーってするって言ったもん……」
つくし「確かにそうだけど……もう……」

つくし(連絡が終わったのを見計って、タイミングよく飛び付いてくるましろちゃん)
つくし(そんなましろちゃんにため息をついてみるけど……私もちょっとだけ癖になりそうだったり)
54 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:30:09.64 ID:SlTzITWg0
ましろ「えへへ……つくしちゃんの匂い」
つくし「ちょ、そんなに嗅がないでよ……!恥ずかしいから……」

つくし(いつの間にかスンスンと匂いを嗅がれていたらしく、咄嗟にましろちゃんの肩を掴んで顔を離す)
つくし(そのことにましろちゃんは不満そうな顔をしていたけれど……ましろちゃんってもしかして、そういうのが好きなのかな?匂い、とか……)

つくし「それに、晩ごはんの準備もしないと」
ましろ「それなら大丈夫。どこかで食べてきてって、お金預かってるから」
つくし「じゃあ食べに行こっか。どこにするかは決めてるの?」
ましろ「うーん、特に決めてなかったけど……ファミレスとか?お洒落なお店に入れる程の金額じゃないし」
つくし「ファミレスかぁ……この近くにあるの?」
ましろ「歩いて行けるところにあるよ。でもつくしちゃんはいいの?」
つくし「私は出来るだけ近いところがいいかな……だって」
ましろ「……?」
55 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:30:38.21 ID:SlTzITWg0
つくし「か、帰ってこの続き……早くしたいから……なんて」

ましろ「つくしちゃん……!」

つくし「ーーあ、いや、今のは何でもなくてね!?つい漏れちゃったというか、ちが……」
ましろ「ほら、早く行こっ」
つくし「切り替え早っ!?いやちょ、引っ張らない……でっ……!ーーだから、本当に違うんだってば〜!!」
56 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:31:12.10 ID:SlTzITWg0
つくし(結局あの後は帰ってきてすぐに布団に入って。一緒の布団に入って最初はドキドキしてたけど……ましろちゃんが相変わらず甘えてくるから、途中からは落ち着いていたかもしれない)
つくし(私も私でましろちゃんに甘えられることが当たり前になっていて。土曜日も日曜日も、殆どましろちゃんを抱き締めたまま過ごしていた気がする)
つくし(そして当然それは、月曜日になっても変わることはなくーー)
57 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:31:44.24 ID:SlTzITWg0
ーー月ノ森女子学園

ましろ「つくしちゃーん……えへへ……」
つくし「みんな見てるし……続きは帰ってからに……」
ましろ「……つくしちゃんは嫌?」
つくし「嫌じゃないけど……」
ましろ「じゃあするっ。……んぅ……ふふ」
つくし「もう……」

つくし(放課後のななみちゃんのアトリエ。通しで合わせてみて手応えを感じてきたところで、練習は一旦休憩になった)
つくし(その瞬間、ましろちゃんは待ちわびていたかのように座っていた私に抱き付いてきて……またいつものように顔をすりすり、腕はがっちりと背中に回して離さない)
58 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:32:37.65 ID:SlTzITWg0
七深「おぉ〜……しろちゃん、まさかここまでとは……」

つくし(アトリエということは、当然他のメンバーもいるわけで。学校で集まった時には腕に抱き付いたましろちゃんにすごく驚かれたけど、今となっては慣れてきている様子)

透子「ま、なんもないなら良かったけどさ。二葉はそれでいいの?」
つくし「私もこうしてるの、嫌じゃないから……えへへ」
透子「あ〜……こりゃあたしが口挟む余地はないかな……」

つくし(一番騒いでた透子ちゃんですらこの反応。段々と周囲でも当たり前になっていて、それが私の当たり前にもなっている気がして……ちょっと嬉しいかも)
59 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:33:15.98 ID:SlTzITWg0
ましろ「……むぅ」

つくし(視線を感じて振り向けば、ましろちゃんが少し不満げな顔でこっちを見つめて来てて)
つくし「……分かってるから、大丈夫だよ」

つくし(『もっとこっちを見て』とでも言いたげな表情。なんとなくましろちゃんの考えてることを理解した私は、あやすように囁いてから頭を軽く撫でる)

ましろ「……んぅ……えへへ……んー……」
つくし「……かわいいなぁ、もう」

つくし(撫でられて嬉しかったのか、はにかんだまま頭を突き出してくる。これは『もっとして』の合図かな?)
つくし(一つ一つの行動に素直な反応を返してくれるのが可愛くて、もっとしてあげたくなる。気付けば場所も周りの視線も、何も気にならなくなっていた)
60 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:34:10.03 ID:SlTzITWg0
七深「あちゃ〜、完全に二人の世界に入っちゃってるね……どうする、るいるい?」
瑠唯「休憩が終わったら呼べばいいでしょう?二葉さんも倉田さんも、そのくらいは理解しているはずよ」
透子「ま、好きにさせてやりますか」
瑠唯「……珍しく静かね」
透子「いやいや、あたしのこと何だと思ってんのさ」
瑠唯「学校中に噂を広めた原因は誰だったかしら」
透子「う……ま、まぁでも倉田と二葉が良いならあたしはそれでいいし?」
瑠唯「人には詮索して欲しくないこともあると言ったはずよ。今回は結果として悪い方向には動かなかったけれど」
透子「……マジ反省してます」

七深「まーまーるいるい、その辺で……そろそろ練習再開しよっか」
瑠唯「……そうね。今日中には通しでも合わせられるようにしておきたいわ」
透子「よっし、頑張りますか!ーーおーい、倉田ー!二葉ー!」
61 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:34:42.07 ID:SlTzITWg0
つくし「ーーだって。ましろちゃん、練習に戻ろ?」

ましろ(いつも通りつくしちゃんに甘えていたところで、透子ちゃんの声が聞こえた。練習の続き、かな)
ましろ(もちろん練習はするけど、ちょっとだけ物足りない気持ちもあって……)

ましろ「……あのね、つくしちゃん……」
つくし「分かってるよ。今日は大丈夫?」
ましろ「……うん、私の部屋なら多分大丈夫」

ましろ(言葉を繋げることもなく、つくしちゃんはその意味を汲み取ってくれる。つくしちゃんにとっても当たり前になってることが分かって、嬉しくて……安心する)

つくし「じゃあ、終わったらましろちゃんの部屋に行こっか。だから頑張ろ?」
62 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:35:34.82 ID:SlTzITWg0
ましろ(『私には何もない』そう思っていた時もあったけど……今はつくしちゃんがいてくれるから、十分すぎるほどに満たされる)
ましろ(空っぽだった私の心が段々埋まってきてる気がして、つくしちゃんといれば色々なものが明るく楽しく見える)

ましろ「ーーうんっ!」

ましろ(もしまたそれに疲れてしまっても、つくしちゃんが帰る場所になってくれる)
ましろ(だから……もっともっとつくしちゃんと、色々なものが見れたらいいなーー)
63 : ◆bncJ1ovdPY [sage saga]:2020/04/12(日) 21:37:48.57 ID:SlTzITWg0
終わり。時系列がバンドストーリー直後くらいを想定してるので、メンバー間の呼称は初期のものになってました
ましつく流行れ
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