りあむ「星井美希ちゃんと八宮めぐるちゃんとのユニット!?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:04:46.85 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「はぁ……ここが今日から通うレッスンスタジオかぁ」

りあむ「ぼくは自分がアイドルやるより、現地で推しに騒いでる方が好きなんだってば」

りあむ「そりゃ至近距離でアイドルの顔が見れるのは悪くないんだけどさぁ……」

 ガチャッ

めぐる「……あっ!」

りあむ「え?」

めぐる「おはよっ! ねぇねぇ、あなたが346プロの夢見りあむさん?」

りあむ「あ、はい」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1592053486
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:07:46.98 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「わたしね、283プロの八宮めぐる。はじめまして!」

りあむ「えっあっ、ぼ、ぼくは」

めぐる「わたし他の事務所の人とお仕事するの、はじめてなんだ!」

めぐる「これからよろしくね!」

りあむ(やだぁ! もう帰りたい!)

りあむ(この子、顔はいいけど……陽キャのニオイがする! グイグイ来るし!)
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:09:22.54 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「プロデューサーには、ここのスタジオに行くように言われたんだけど」

りあむ「ぼ、ぼくもPサマにそう言われてる……」

 ガチャ

美希「おはよ〜ございます、なの。あふぅ」

めぐる「わぁぁ! 本物の星井美希ちゃんだ!」

美希「ひゃっ!?」

めぐる「会えてすっごく嬉しいよ〜! ね、握手していい!?」

美希「う、うん。いいけど」ギュッ

りあむ(ぬわぁぁ! 羨ましい!よ!)

りあむ(765プロのミキミキと握手!? ぼくなら三万出せる!)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:12:51.94 ID:epQsQ7Q8o
美希「えっと……」チラ

りあむ「あっ、や! ぼ、ぼくなんか見ない方がいいよ、目が腐るから!」

美希「え〜、なにそれ? ちょっとヘンな人なの?」

めぐる「こっちは夢見りあむさん! わたしは、八宮めぐるだよ!」

美希「りあむさんと、めぐるさん?」

美希「ミキはね、星井美希だよ! よろしくなの〜。アハッ☆」

りあむ(はう……生のミキミキ! 尊い、推せる……)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:16:49.95 ID:epQsQ7Q8o
事務所の垣根を超えてアイドル同士の交流を深めつつ、
互いに切磋琢磨できる環境を作る。
そんな合同企画が、765プロ・346プロ・283プロの手で立ち上がった。

その試金石として選ばれたアイドルが

 765プロ 星井美希(15)
 346プロ 夢見りあむ(19)
 283プロ 八宮めぐる(16)

であった。だが――


りあむ(ミキミキは超有名人。伝説の13人を抱える765プロ、その中でもエース級のアイドル)

りあむ(顔も声も、オマケにカラダもいい。ぼく、もともと激推しだし? 会えただけで死むる……)

りあむ(めぐるちゃんは、アメリカ人とのハーフらしい。あと明らかにコミュ力おばけ)

りあむ(もう二人とも属性盛り盛り。それに比べてぼくがザコすぎて、やむ……)

ハイスペックな二人に囲まれたりあむは、
最初からコンプレックス全開であった。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/13(土) 22:19:22.55 ID:t+04wupG0
乳しか共通点ないな
フレちゃんの方が上手くやれそう
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:20:49.66 ID:epQsQ7Q8o
美希「りあむ……『さん』と、めぐる『さん』って呼べばいいかな?」

めぐる「えぇ〜、そんなに歳も変わんないでしょ? めぐるって呼んでよ!」

りあむ「ア、ぼ、ぼくも……」

美希「よかった〜。ミキ、いつも『さん』付けなさーいって律子さんに怒られるから」

りあむ(律子さんって、りっちゃんとの絡み!? 超見たいんだが……)

美希「じゃあミキも、ミキって呼んで欲しいの!」

りあむ「あの……『ミキミキ』とかは?」

美希「えっ」

りあむ「あっ」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:22:49.30 ID:epQsQ7Q8o
りあむ(だから! どうして反射的に喋るんだよ、ぼく!)

りあむ(いきなり他事務所の子をあだ名で呼ぶなよ! キモいだろ!)

美希「えっと、別にいいよ?」

りあむ「マジで!?」

りあむ(やったぁぁぁ! ざまーみろオタク共!)

りあむ(ファンの愛称とかじゃなくて! ぼくだけ本人公認だ!よ!)グッ

美希「学校で仲いい友達も、よくミキミキって呼ぶの」

りあむ(ですよね……ぼくだけ特別扱いなわけないよな……)シュン


めぐる「りあむさんって、感情表現豊かそうだよね!」

美希「表情がコロコロ変わって、ミキは面白いって思うな。アハッ☆」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:25:29.31 ID:epQsQ7Q8o
一週間後――


りあむ「ぜ〜、は〜、ぜ〜、は〜……」

トレーナー「夢見! 基礎レッスン程度でヘバるんじゃない!」

りあむ「うぇぇ……吐きそ……」

りあむ(やっぱ特別企画ってだけあって、レッスンきっつい! なのに)


美希「…………」キュッキュッ

めぐる「っ……くうっ……!」キュッキュッ


りあむ(……まだこの一週間で、3回くらいしかレッスンやってないのに)

りあむ(ミキミキは、どんなターンやステップも既に余裕だし。ガチの天才じゃん)

りあむ(めぐるちゃんもキツそうだけど、ちゃんとついていってる……)

りあむ(ぼくなんていちばん年上なのに……やむちゃんだよ……)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:28:29.77 ID:epQsQ7Q8o
 パンッ

トレーナー「よし、昼休憩! 午後は13時から再開!」

美希「ありがとうございましたー!」

めぐる「ハァ、ハァ……あ、ありがとうございましたっ」

りあむ「ぜ〜は〜、ぜ〜は〜……あ、ありがっ、うぷっ」

トレーナー「おい、吐くならトイレでな」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:30:32.94 ID:epQsQ7Q8o
美希「りあむ、ダイジョーブ?」

りあむ「うっぐ……や、やむけど、だいじょぶ……」

めぐる「ふうっ。そこそこキツいね〜」

りあむ(そこそこ!?)

美希「ん〜、まあまあってカンジかな。ミキ、なーんでもできちゃうから」

りあむ(二人ともコミュ力おばけの上に、体力おばけ……)

りあむ(天が二物を与えてるよ! 不公平じゃん!)
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:33:22.32 ID:epQsQ7Q8o
 モグモグ...

めぐる「ね、このお弁当、すごく美味しくない? ちょっと豪華だし」

りあむ「それだけこの企画が重視されて、金がいっぱい使われてるってことかな」

めぐる「へえ〜、そうなんだ?」

りあむ「や、想像だけど? 予算にはお弁当代とか送迎費とかも入ってるだろうし」

めぐる「あ、そっか。そういうのって、あんまり考えたことなかったかも」

りあむ「ぼく、アイドルを外から見てるからさ。そういうこと考えちゃうんだ」

めぐる「外からって……どゆこと?」

美希「ミキ、ちょっとわかるかも。りあむってアイドルっていうか、アイドルのファンみたい」

りあむ「『みたい』じゃなくて、そうなんだよなあ……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:36:46.32 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「元々SNS育ちの、ただのドルオタだったのにさ。Pサマにスカウトされてズルズルと……」

めぐる「ふうん、ほんとにスカウトってあるんだね。わたし、書類選考だったから」

りあむ(めぐるちゃんレベルなら、ほっといてもスカウトされるだろうけど)

美希「ねーりあむ、おにぎり1つ貰っていい?」

りあむ「あ、はい」

美希「えへ、ありがとっ!」

りあむ(うう……笑顔がまぶしい……! 尊みがわかりみ……)

めぐる「ミキはおにぎり好きなの?」

美希「うん、大好き! いちごババロアも好きだけど、やっぱりおにぎりが一番なの!」

りあむ(はいかわいい)
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:39:46.47 ID:epQsQ7Q8o
午後――


めぐる『ヒカリのdestination そのしっぽを捕まえたい』

めぐる『見失わないで……』

りあむ「見失わないで〜」

トレーナー「夢見! 余計な合いの手を入れるな!」

りあむ「ひい! つ、ついドルオタの魂が……」

めぐる「りあむさん、よくこの曲知ってるね。わたし、あんまり有名じゃないのに」

りあむ(やらしいサイトの広告で流れてたとは言えないでしょ……)

めぐる「りあむさんも一緒に歌う?」

トレーナー「コラ八宮。お前も調子に乗るな」

めぐる「ご、ごめんなさいっ。えへへ……怒られちゃった」

りあむ(めぐるちゃんも、ミキミキに負けず劣らず顔がいい。推せる……)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:42:21.44 ID:epQsQ7Q8o
トレーナー「ふむ。試しに既存曲で、お前たちのポテンシャルを見てみたが」

トレーナー「3人とも、まだまだ伸び代がありそうだ。これは鍛え甲斐があるな」

トレーナー「ユニット用の楽曲が提供されるのも、もう少し先になるという話だし……」

トレーナー「当分はレッスンを中心に進めていくとしよう!」

美希「は〜い。も〜、ミキはクタクタなの」

めぐる「はぁ、はぁ……あ〜、はやくあっついシャワー浴びたいよ〜!」

りあむ「――――」チーン

めぐる「りあむさん!?」

美希「死んじゃったの?」

トレーナー「夢見は体力もつけておけ。これからは、よりハードになるからな」

りあむ(まじでか……)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:47:25.06 ID:epQsQ7Q8o
−りあむ自室−


りあむ「もー! 二人とも凄すぎだろ! めっちゃやむ!」

りあむ「特にミキミキ。同じアイドルの立場になると、本当にヤバいって分かる……」

りあむ「なんでもできる天才だと思ってたけど、そんな単純な話じゃなくて」

りあむ「ミキミキは、本当は『努力する天才』なんだよなぁ……」

りあむ「……そういう意味では」

りあむ「尊いアイドルは努力してるってぼくの持論は、やっぱ正しかったんじゃん」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:48:45.67 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「……そう考えると、めぐるちゃんもそうかも」

りあむ「スポーツ万能で、学校でもよく助っ人とかしてるらしいけど」

りあむ「持ち前の体力にかまけたりしてない。ぼくらの中で一番マジメに取り組んでるもん」

りあむ「あの二人が……陽キャとかそんなんじゃなくて、輝いて見える本当の理由は」

りあむ「たぶん、ちゃんとそういう努力をしてるから」


りあむ「じゃあ、なーんにもしないでここまで来たぼくって……なんなんだよ……」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:53:16.69 ID:epQsQ7Q8o
二週間後――


りあむ「ひぃ、はぁ……で、ここで回って……あ゛っ!?」

 ガタァン!

りあむ「ひぃ……いたいよう……」

めぐる「りあむさん、大丈夫!?」

美希「ケガしてない? バンソーコーいる?」

りあむ「あ、ありがと……」


りあむ(ぼくたちはトレーナーがいなくても、自主トレはちゃんとやらなきゃいけない)

りあむ(そんなの、普段なら当たり前のことなんだけど)

りあむ(レッスンで腕も脚も腰も限界……もう、体が全然ついてかない……)
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:56:12.00 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「……ミキミキはさ。余裕そうだけど、しんどくないの?」

美希「すっごくしんどいよ? ミキ、体力ない方だし」

めぐる「えっ、うっそ。全然そう見えないよ?」

美希「ホントなの。ポーズとかもキメるとこはキメるって、メリハリつけてるし」

めぐる「あ、そうなんだ! でもその強弱を付けるのって、もうセンスだよね?」

美希「そっかも。ミキ、そういうのはテキトーにうまくやっちゃうの!」

めぐる「美希〜、全然参考にならないよ〜」


りあむ(……ぼくには、それもない)

りあむ(才能もない、努力もできない……ガチのクズじゃん……)
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 22:59:11.50 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「よし、あとちょっとがんばろっ! りあむさんもいけそう?」

りあむ「………………」





りあむ「もう無理」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:01:04.21 ID:epQsQ7Q8o
美希「え?」

りあむ「ぼくは…………違うんだよ」

めぐる「違うって?」

りあむ「だから! ミキミキやめぐるちゃんとは違うんだ!」

りあむ「ザコメンタルだし! すぐやむし! 体力ないし!」

りあむ「流されるまま来ただけで、モチベーションもないし」

りあむ「なのにオタク共がチョロいから、総選挙でも3位になっちゃって!」

りあむ「ぼくが頑張っても頑張らなくても結果は同じだった! ムダムダの無!なんだよ!」

めぐる「りあむさん……」

美希「…………」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:03:23.43 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「実力もないのに! 大きい舞台に駆り出されて、こんな企画まで来ちゃうし!」

りあむ「ぼく如きに、二人と一緒の空気を吸う資格なんて無いんだって!」

りあむ「そりゃさ……仕事が楽しい事もあるよ?」

りあむ「この企画だってミキミキに会えるって、正直期待してた」

美希「…………」

りあむ「でもさ! 楽しいことばっかじゃないじゃん!?」

りあむ「この一ヶ月でぼく、どんだけ二人の足引っ張った!?」

りあむ「正真正銘のクズだろ!? 言ってよ、ぼくが邪魔だって!」

りあむ「やっぱりぼくはただのドルオタだよ! だって、ぼくらしいじゃん!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:05:48.53 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「はぁ……はぁ……ごっ、ごめん」

りあむ「急に発狂して、ドン引き? 引くよね、自分でも引くもん」

美希「……そう。そっか」

美希「りあむは、アイドルなんてイヤイヤやってるんだ」

美希「キラキラしたいとか、みんなに喜んでほしいとか、ないんだね」

りあむ「そうだよ! ぼくは甘やかされたい。チヤホヤされたい」

りあむ「ずっと楽しいことをしてたい。楽をしたいんだよ!」

美希「……あっそ。ミキ、そーゆーのはどうかって思うな」

めぐる「美希……」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:08:30.63 ID:epQsQ7Q8o
美希「アイドルをやる理由って、いろいろあるけど」

美希「ミキが知ってる人は、みんな……ホンキでやってた」

美希「春香も、千早さんも。響も貴音も。律子さんだって」

美希「りあむは、プロデューサーに言われたまま、ムリヤリやってるだけなんだね」

美希「……ちょっとヘンだけど、面白いヒトだなって思ってたのに」

美希「あ〜あ……ミキ、ガッカリなの」

美希「……あふぅ」


りあむ「…………」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:11:20.93 ID:epQsQ7Q8o
その日から、りあむはレッスンを休むようになった。

本人はずっと体調が悪いと言い訳をしていたが、
美希と顔を合わせるのが気まずくて、サボっているのは明らかだった。


美希「…………」ソワソワ

めぐる「……りあむさん、今日も来ないね」

美希「えっ」ビクッ

めぐる「…………」

美希「…………」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:13:33.13 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「あのね。わたし、あれから考えてたんだけど」

美希「……りあむのコト?」

めぐる「うん。正確には、りあむさんの『言ってるコト』かな」

美希「…………」

めぐる「楽しみたい、楽したい……それっておかしいことかなって」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:15:52.41 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「りあむさんってさ。いきなりスカウトされたって言ってたけど」

美希「うん……地下ライブの会場で、346プロのプロデューサーに声かけられたんだって」

めぐる「それって、アイドルを応援してた人が、急にアイドルをやることになったんだよね」

めぐる「でも、周りが好きに囃し立てて、たった1年くらいで総選挙でも上位になって」

めぐる「アイドル業を本気でやるか、考える時間すら無かったんだと思う」

めぐる「今までの自分を変えるコトって、簡単じゃないのにね……」

めぐる「だから……正直混乱してると思うんだ、りあむさん」

美希「…………」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:17:38.26 ID:epQsQ7Q8o
美希「……うん。めぐるの言う通りかも」

美希「それに……ミキもね。あの時はムカーってきて強く言っちゃったけど」

美希「たぶんミキとりあむが、似てるからだと思うの」

美希「えっと、ゴーゾク……なんだっけ?」

めぐる「……同族嫌悪?」

美希「あっ、それなの」

めぐる「うーん、似てるかな? 美希って確かにマイペースだけど……」

めぐる「アイドル活動だけは全力でやってるように見えるよ?」

美希「ううん。似てるのは今のミキじゃなくて」

美希「……アイドル始めたばっかりの頃の、ミキなの」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:20:02.67 ID:epQsQ7Q8o
美希「カモ先生」

めぐる「え? か、カモ?」

美希「カモって、寝たままでもプカーって浮いてるでしょ?」

美希「ミキも、なーんにもしないでトップアイドルになれたらいいなーって」

美希「カモ先生みたいに、楽して生きてたかったの」

めぐる「りあむさんと同じこと言ってる!」

美希「ね。プロデューサーがハニーじゃなかったら、今でもそう思ってたかも」

美希「だからミキ的には、りあむにも変わってほしかったのかな」

美希「でもそれって……ミキの、ただの押しつけだよね……」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:21:54.75 ID:epQsQ7Q8o
美希「ハニーや春香たちにメーワクかけてた頃から、なんにも成長してないの……」

めぐる「そんなことないよ。美希は一番年下なのに、本当に凄いなって思ってるもん!」

めぐる「わたし、ダンスには自信あったのに美希には負けちゃってるし……」

美希「ミキ的にはめぐるも上手だと思うよ?」

めぐる「あはは……それにね、友達や仲間って『迷惑かけていい人』だと思うんだ」

めぐる「学校でバスケとかバレーとか、いっぱい助っ人も頼まれたりして」

めぐる「アイドルとの両立がきついって思ったことも、何度もあるけど」

めぐる「それで友達を嫌いになったことなんて、一度もないよ!」

めぐる「……プロデューサーが、お仕事とかフォローしてくれたからだけどね」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:24:01.10 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「りあむさんもその頃のわたし達と同じで、きっと凄く迷ってる」

めぐる「だから周りに迷惑をかけちゃうこともあるかもしれないけど」

めぐる「そういう時に助けてあげられるのが、友達や仲間なんだって思ってる」

めぐる「わたしは真乃と灯織に、そう教えてもらったよ!」

美希「……そっか。りあむも、悩んでるんだよね」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:26:01.21 ID:epQsQ7Q8o
美希「ミキね、めぐるの話を聞いて思ったの」

美希「りあむに謝りたいって。キツイこと言ってごめんねって……」

めぐる「そうだね、そうしようよ!」

めぐる「……あ! でも、りあむさん来なくなっちゃったから、まず会うコトが……」

美希「そっか。電話も出てくれないんだっけ」

めぐる「うん。プロデューサーが家まで行っても、居留守なんだって」

美希「どうしよ……せっかく、謝ろって思ったのに……」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:28:16.57 ID:epQsQ7Q8o
 ガラッ!

765P「話は聞かせてもらった!」

美希「え!? ハニー!?」

346P「夢見さんが休んでいるのに、そのような理由があったとは……」

283P「まったくです。水臭いじゃないか、めぐる」

めぐる「プロデューサーまで……」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:30:07.16 ID:epQsQ7Q8o
283P「どうして俺たちにまで秘密にしていたんだ?」

めぐる「ごめん……アイドル同士の問題だし、アイドルだけで解決するべきかなって」

283P「何を言ってるんだ。プロデューサーとアイドルは一心同体だろう?」

283P「そんな遠慮なんてしなくていい。誰かに言うだけで楽になることもあるんだから」

765P「その通り、美希もだぞ」

美希「……うん。早くハニーに相談した方がよかったの」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:31:33.63 ID:epQsQ7Q8o
346P「みなさん。私の管理不足で、本当に申し訳ございません……」

765P「いえ。アイドルのいざこざやサボりで悩むのは、お互い様じゃないですか」

283P「ウチにもいますよ。『今日のレッスン〜、サボっていいですかぁ〜』とか言う子が」

346P「しかし、なにもこのような特別企画で」

美希「……ごめんなさいなの。ミキのせいで……」

765P「お前だけのせいじゃない。俺たちも企画の方に注力しすぎて、最近顔合わせも少なかったし」

346P「それに、きっかけは夢見さんのご発言のようですので……お気になさらないでください」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:34:24.69 ID:epQsQ7Q8o
めぐる「でも実際、どうやったらりあむさんに会えるかな?」

283P「電話が通じないなら、家から出たタイミングで押さえるしかないでしょう」

美希「キョーアクハンみたいになってきたの」

765P「しかし、そんな天岩戸のような都合のいいものが……」

346P「…………いえ。あるかもしれません」

めぐる「ほんと!?」

346P「星井さんや八宮さんは、既にご存知かもしれませんが」

346P「夢見さんは『まだ自分でアイドルやるより、応援してる方が好き』というタイプです」

美希「もちろん知ってるの。それでケンカしたくらいだし……」

346P「ですので、つまり――」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:36:58.26 ID:epQsQ7Q8o
二週間後、某アリーナ――


美希『じゃあねなんて言わないで』

美希『またねって言って……』

 ワァァァァァァァ!!

美希「みんなー! 今日もいーっぱい応援してくれて、ありがとうなのー!」

 ウワァァァァァァァァァ!!



りあむ「…………」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:39:10.51 ID:epQsQ7Q8o
りあむ(今日は、ずーっと前から行こうと思ってた、765プロのライブの日)

りあむ(ミキミキとあんなことがあったから、行くかどうか迷ったけど)

りあむ(ドルオタ活動すらしなくなったら、ぼくほんとに何も残んなくなっちゃうし)

りあむ(でも……やっぱりモヤモヤする。ザコメンタルつらいわー、ほんとつらいわー)


響『君まで届きたい 裸足のままで』

響『坂道続いても諦めたりしない』

美希『手に入れたいものを数え上げて』

美希『いつだってピカピカでいたい』

響『わたし shine smile!』


りあむ(ミキミキと響ちゃんの『shiny smile』。顔も歌もいい、しゅき……)

りあむ(……あーあ。ぼくもこないだまで、あの隣にいたんだけどな)

りあむ(ぼくが自分で壊した。自業自得じゃん。ライブ中なのに、ほんとやむ……)
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:41:50.48 ID:epQsQ7Q8o
響「みんな、ありがとなー!!」

 ワァァァァァ!!

響「楽しいだろー! 自分たち、カンペキだからな!」

美希「ミキ、ライブ大好き! いろんなものがキラキラしてて、最っ高なの!」

響「そうだよな! そんな美希が、今日は言いたいことがあるんだろ?」

美希「うん! 一度言ってみたかったの。よく春香が言ってるヤツ!」

響「なんだなんだ〜?」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:43:51.73 ID:epQsQ7Q8o
美希「すうぅぅぅ......」

美希「みんなぁぁ! 後ろの席まで、ちゃーんと見えてるからねー!」

美希「二階席のみんなも、ちゃーんと見えてるからねー! アハッ☆」

 ウワァァァァァァ!!

美希「………………」ジーッ


りあむ「……ぇあ!?」

りあむ(な、なんかミキミキ、こっち見てね?)

りあむ(いや、ないない! ここ二階席だぞ! ぼくの場所なんて分かんないだろ!)
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:46:25.47 ID:epQsQ7Q8o
美希「……あのね。ミキはね」

美希「マイペースで、自分勝手で、周りにメーワクかけちゃうけど」

美希「みんなに助けられたから、ここまで来れたの」

美希「だからミキ的には……今度はミキがみんなを、あなたを助ける番だと思うの」

美希「周りがいろいろ言ってきて、でも簡単には変われなくって」

美希「めっちゃやんでも! プレッシャーにプチッてつぶされそーになっても!」

美希「ミキと……ミキ達と一緒にがんばろ!? 一緒に……夢を見ようよ!」

 ワァァァァァァ...


りあむ(…………)
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:48:16.23 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「……ミキミキ……」

りあむ「う゛っ……」グスッ

りあむ「う゛ぐぅぅぅぅぅ……!」ポロポロ

めぐる「はい、ハンカチ」

りあむ「あ゛っ、あ゛り゛がと……」ゴシゴシ

めぐる「収まった?」

りあむ「う゛ん……」



りあむ「…………うん?」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2020/06/13(土) 23:52:31.46 ID:DOAncagH0
めぐるちゃん明るくてかわいい上に性格が良すぎるよな
283の完璧超人か
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/06/13(土) 23:52:39.22 ID:epQsQ7Q8o
りあむ「めぐるちゃん!? なんで後ろの席にいるのさ!」

めぐる「わたし、ずっといたよ?」

りあむ「だから! ぼくの席知ってたんでしょ!? なんで!」

めぐる「……偶然だよ?」

りあむ「なわけないだろ! てかミキミキもあの距離でぼくが見えてたっぽいし!」

めぐる「だってわたし達みんな、仲間だもん!」

りあむ「どんな理由だよ! 仲間全員マサイ族じゃん!」
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