武内P「もしも歴代シンデレラの皆さんがレベル5(超能力者)だったら」【U】

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1 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 20:58:25.87 ID:OSFL4AUy0

【とあるファミレス】

周子「…あれ?今日の八つ橋、昨日食べたのと同じはずなのに味が違うような…あれ?」

フレデリカ「鯖缶!!今は鯖缶詰がキテルと思う訳だよ!!特にカレー(味)ねー♪」

ありす「…このいちごパスタ、なかなかイケますね…やはりC級グルメとは思えません」

ありす「文香さんもどうですか?」

文香「…今は、お腹が空いていないので…」ペラッ

ありす「そうですか…」

フレデリカ「ありすちゃんも食べる?鯖缶」

ありす「結構です。それと、橘と呼んでください」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1592740705
2 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:00:00.97 ID:OSFL4AUy0

周子「…あ、そうそう、言い忘れてたんだけど…」

周子「今日は一人、私たちの下に就くことになったから」

ありす「…そうなんですか?」

フレデリカ「ふむふむ…ついにフレちゃんも焼きそばパンを買いに行かなくて良くなったわけだね!」

ありす「いつ買いに行ってたんですか…」

文香「…男性の方、ですか?」

周子「うん、何でも無能力者らしいけど上層部の決定だってさ」

ありす「…大丈夫でしょうか?どこかの組織のスパイとか…」
3 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:01:36.95 ID:OSFL4AUy0

周子「んー…まぁ大丈夫じゃない?」

ありす「そんないい加減な…データを下さい、調べてみますから」

周子「いいけど、もうすぐ合流時間だから見た方が早いと思うよ」ピロン

ありす「何でもっと早く言ってくれないんですか…」(タブレット起動)

ありす「…え?」

フレデリカ「なになに?何が書いてるの?」
4 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:03:09.13 ID:OSFL4AUy0

ありす「…性別、名前…これだけ?」

ありす「それに何ですか【プロデューサー】って、能力名か何かですか?」

周子「いや、確かに無能力者って言ってたから…それが名前なんじゃない?」

ありす「そんな馬鹿な…」

文香「…写真がないようですが、どのように見分ければ良いのでしょうか?」

周子「あぁ、それはあたしも聞いたんだけど…『見たら分かる』ってさ」
5 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:04:49.58 ID:OSFL4AUy0

<イラッシャイマセー

ありす「…納得いきません、拒否するべきでは?」

周子「まぁまぁ、とりあえず会ってみてから…」チラッ

フレデリカ「そうそう、もしかしたらすっごく面白い人も知れないし」

ありす「面白い人って何ですか!何かあってからじゃ遅いんですよ」

フレデリカ「フレちゃん的にはお菓子とか作れる人だといいなー、甘ーいやつ!」

ありす「…」
6 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:06:03.29 ID:OSFL4AUy0

ありす「はぁ…フレデリカさんに真面目な回答を期待した私がバカでした」

ありす「もういいです、こうなったら私が直接ビシッと…」

「あの、すみません」

ありす「何です…………か?」


武内P「…【アイテム】の、皆さんですか?」
7 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:08:41.25 ID:OSFL4AUy0

続きもの

武内P「もしも歴代シンデレラの皆さんがレベル5(超能力者)だったら」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1582471267/

歴代(第七回総選挙まで)のシンデレラがレベル5(超能力者)だったらという妄想

それ以外は過去最高順位でレベルを割り振り(例:2位〜10位=レベル4)、一部例外あり
8 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:15:21.76 ID:OSFL4AUy0

周子「あぁ、やっぱり…プロデューサーさん、でいいんだっけ?」

武内P「はい、宜しくお願いします」

周子「うん、よろしくー…こっちのことはどれだけ知ってる?」

武内P「…集合場所と、組織名を聞いてここに来ました」

周子「そっかそっか、じゃあ軽く自己紹介を…」

フレデリカ「はいはーい!遠くパリからやってきました、名はフレデリカ、性は宮本」

フレデリカ「ミドルネームは自称アンドレこと、フレちゃんだよー☆」

文香「…鷺沢、文香と申します」

ありす「え?あ…た、橘です!」
9 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:18:05.49 ID:OSFL4AUy0

周子「で、あたしが塩見周子ちゃんね」

武内P「…塩見さん、鷺沢さん、宮本さん、橘さんですね。宜しくお願いします」

周子「じゃあ早速だけど、どこでも乗り捨てできる車を一台、持ってきてくれる?大きいやつね」

武内P「…承知致しました」


ありす「…」

フレデリカ「ビシッと?」

ありす「うっ…」グサッ
10 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:22:46.36 ID:OSFL4AUy0

ありす「い、今のはその…ちょっと面を食らっただけで」

ありす「次に戻ってきたら、ちゃんと!」

周子「まぁまぁ落ち着いて、まずは結果を聞いてからにしようよ」

ありす「…結果?」

周子「文香ちゃん、あの人は能力者だった?」
11 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:23:47.20 ID:OSFL4AUy0

文香「…いえ、あの方のAIM拡散力場は能力者のそれとは異なります」

文香「厳密には、『記述』してみなければ分かりませんが…」

周子「とりあえず、能力者ではない…と」

文香「はい」

周子「次、フレちゃん?」

フレデリカ「ラジャー!銃とかナイフみたいな分かりやすいものは持ってないかなー」

フレデリカ「あ、筋肉は凄そうだったよ!」

周子「危険物もなし、ね」
12 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:25:57.35 ID:OSFL4AUy0

周子「…まぁそんところかな?それ以外に何か変わったとこがあったら教えてね」

文香・フレデリカ「「分かりました(はーい)」

ありす「…あの短時間で、そこまで分かったんですか?」

フレデリカ「初歩的なことだよ、ワトソン君?」

ありす「橘です。で、でも…まだ信用出来る訳ではないですよね?」

周子「うん、じゃああの人の監視役はお願いね」

ありす「…え?」
13 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:28:19.72 ID:OSFL4AUy0

周子「気になるんでしょ?ならよろしくー」

フレデリカ「く〜本当はフレちゃんがやりたいけど、リーダーの決定なら仕方ないか!」

文香「…お願い、します」

ありす「…」


武内P「…お待たせしました」


周子「おっ、早かったね…確保出来たの?」

武内P「はい、こちらです」
14 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:31:11.07 ID:OSFL4AUy0

フレデリカ「おー!犯罪者が良く使ってるやつ(偏見)」

周子「速度は出るの?」

武内P「…それなりには」

周子「ならいっか、運転よろしくー」

武内P「分かりました」

周子「あ、ありすちゃんが助手席ね」

ありす「…」
15 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:33:18.40 ID:OSFL4AUy0

【車内】

武内P「…」

ありす「…」ジー


周子「それじゃあ、改めて今日のお仕事を確認するね」

周子「ある研究所の研究員が、重要なデータを持ち逃げ」

周子「海外に逃亡しようとしているからこれを止める、生死は問わない」

周子「以上」

フレデリカ「わーお☆単純明快!」
16 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:41:22.64 ID:OSFL4AUy0

周子「おそらく能力者を雇ってるという話だから、注意だけは怠らないように…だってさ」

周子「てことで、乗り込むのはあたしとフレちゃんと文香ちゃん、この三人ね」

周子「ありすちゃんとプロデューサーさんは、車内で待機ってことで」

ありす「橘です…って、え?」



武内P「…着きました」

周子「よし、じゃあ行きますか!」
17 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:42:58.13 ID:OSFL4AUy0

ありす「…はぁ」

武内P「…」

ありす(この人がいなければ、私も中に入って皆さんの力になれたのに…)

ありす(それに一度も視線を合わせようとしませんし…何なんですかこの人)

武内P「…あの」

ありす「…!、な、何ですか?」


武内P「…クリーム、付いています」


ありす「………?」


ありす「……!?」バッ
18 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:47:07.33 ID:OSFL4AUy0

ありす「…」

ありす「いつから、気づいていたんですか」

武内P「…初めてお会いした時から」

ありす「………」

武内P「すみません、私が指摘するのは…どうかと思ったのですが」

ありす「…はぁぁぁ」

ありす(私は、クリームをつけた顔で…この人を見ていたんですか)

ありす(死にたい)
19 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:48:46.07 ID:OSFL4AUy0

武内P「申し訳ありません」

ありす「…いえ」

ありす(…文香さんは違うと思いますが、周子さんとフレデリカさんはたぶん気づいていたような気がします)

ありす(あの薄ら笑い、この人と二人きりにしたことに対してかと思いましたが…)

ありす「…目線を合わせないようにしていたのも、見ないようにするためですか?」

武内P「…」

ありす「…そうですか」

ありす(もしかして、運転中ずっと言うかどうか悩んでたんじゃ…)


ありす「…」

武内P「…」
20 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:54:22.31 ID:OSFL4AUy0

武内P「…橘さんは」

ありす「え?」

武内P「アイテムとしての活動は、いつからされているのですか?」

ありす「あ、あぁ…最近です、そもそも【アイテム】が結成されたのも数週間前の話ですし」

武内P「…そうですか、意外でした」

ありす「何がですか?」

武内P「皆さん、とても仲がよさそうに見えたので」

ありす「…そうでもありませんよ」
21 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 21:55:34.97 ID:OSFL4AUy0

ありす「周子さんは何を考えているかよく分からない時が多いですし、掴みどころがない人というか…」

ありす「…でも、周りのことをよく見て気配りも上手なんです、不思議なことに」

ありす「フレデリカさんもいい加減なことばかり言って、私のことを困らせて喜んでいますし…」

ありす「…まぁ、お仕事の時とか本当に苦しんでいる時は、ふざけたりしないんですけど」

ありす「あ、でも文香さんは違いますから!お淑やかでとても賢くて…尊敬できる方です!」
22 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:02:44.39 ID:OSFL4AUy0

武内P「…」

ありす「……あ」

ありす(…ど、どうしよう…つい気が緩んで皆さんの事…)

ありす(うぅ、変なこと言ってないでしょうか…)

ありす「…そ、その」

武内P「橘さんは、皆さんのことをよく見ているのですね」

ありす「し、仕事をする仲間として、最低限円滑にコミュニケーションを行えるように知識を蓄えているだけです!」

ありす「それだけですから!」

武内P「…」

ありす「い、今少し笑いませんでしたか!?」

武内P「…いえ」
23 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:05:37.00 ID:OSFL4AUy0

ありす「と、とにかく…今言ったことは忘れてください!いいですね?」

武内P「…善処します」

ありす「…」

ありす(くっ…このままでは私が隙だらけの子供みたいに思われてしまいます)

ありす(何か、何か情報を引き出して優位に立たないと…)

ありす「…そ、そういえば!」

武内P「…?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/06/21(日) 22:10:28.12 ID:wppwk+HF0

もう手遅れでは?
25 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:18:35.18 ID:OSFL4AUy0

ありす「あなたの名前、プロデューサーとしか資料には書かれていませんでしたけど…」

ありす「いったい何のプロデューサーなんですか?」

武内P「…」

ありす「…別に、本名を名乗って欲しいとまでは言いませんけど、それくらい教えてくれてもいいんじゃないですか?」

ありす「……一応、仲間ですし」

武内P「…いえ、隠しているというわけでは無かったのですが…」

武内P「…」

ありす「…?」

<プルルルルルルル

ありす「!…た、橘です!」ピッ
26 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:24:02.29 ID:OSFL4AUy0

周子『あぁ、ありすちゃん?迎撃準備お願い』

ありす「え?あ…はい!」

周子『ほとんど始末出来たんだけど、研究者の1人を逃しちゃったみたいでさー』

周子『どこから出るか分からないんだけど、とりあえず出入口で待機しておいて』

ありす「…分かりました、準備します」

周子『うん、よろしく』
27 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:26:08.38 ID:OSFL4AUy0

<ピッ

ありす「…研究者の1人が逃げたみたいです、私が迎え撃つのでプロデューサーさんは待機してください」

武内P「…分かりました」

ありす「私は裏口に向かうので、こちらに怪しい人物が出てきたら連絡を…」

武内P「橘さん」

ありす「…?」

武内P「一つ、提案があります」

ありす「…な、何ですか?」
28 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:33:23.07 ID:OSFL4AUy0

【???】

「はぁ…はぁ…はぁ…」

白衣の男が、息を切らしながら暗闇の中を走る

その顔は恐怖と絶望によって酷く歪み、足取りは今にも倒れそうだった

「くそ…くそ!!上層部の犬どもが…!!!」

時折吐き捨てるように言葉を発し、手で頭を掻きむしりながら現実から目を背ける

…分かってはいた

近いうちに自分を消すための駒が送り込まれてくることくらい、容易に想像できた

しかし…それが、学園都市の頂点に位置する【レベル5】が率いる組織が来るなど、思ってもいなかった
29 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 22:40:29.18 ID:OSFL4AUy0

はした金で雇った能力者どもは瞬く間に倒され、武装した協力者(道ずれにした同僚達)も気が付けば拘束されていた

それらを囮に何とかここまで脱出出来たものの、状況は最悪だ

「…私は!こんなところで終わって良い人間じゃない!!」

希望はある、私の研究成果を評価している海外の施設に向かえば、ひとまずは安全が約束される

そこから必ず這い上がり、この学園都市に復讐を果たしてみせる!!!

後はあの角を曲がった先にある階段を上れば、外に出て脱出用の車に乗り込める

…その、はずだった
30 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 23:00:06.27 ID:OSFL4AUy0

「…!?」

今まで一度も止まることのなかった彼の足が、ピタリと止まる

「……あ、あ…」

それもそのはずだ

今まで彼が走ってきた通路は、施設の研究者の中でもごく一部の関係者しか存在を知らない秘密の通路

その出口の前に、なぜ人が立っているのか?
31 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 23:01:18.88 ID:OSFL4AUy0

「…」

薄暗いためはっきりとは見えないが、耳に着けている通信機のようなもので会話しているようだ

声色、そして薄っすらと見える外見から、小中学生程の少女のように見える

…通常、大の大人が逃げる際に障害として考えることは、そうないはずだ

しかし、男は知っている

ここ学園都市において、危険度を判断する材料に、外見は全く意味をなさないことを
32 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 23:09:49.34 ID:OSFL4AUy0

「…」

会話が止まり、こちらに向けて歩き出す少女

どうする、元来た道を戻るか?

いや、もし万が一先ほどの連中と鉢合わせたら、それこそ助かる道はゼロだ

出口にあの少女がいるということは、研究室にある隠し扉を発見され反対側からも追いかけてきている可能性が高い

やはり、前に進むしか道はないはずだ

…やるしかない!
33 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 23:15:50.80 ID:OSFL4AUy0

懐から銃を取り出す

威力は控えめだが、当たり所次第では十分致命傷になるはずだ

「…」

壁に張り付き、気配を殺す

とにかく、逃げるだけの隙を作れればいい

例え能力者であろうと、不意打ちで銃を撃たれて平然としていられる人間は極少数だ

必ず活路はある、自分に言い聞かせるように心を落ち着かせる

コツ、コツ、コツ…

一歩、また一歩と距離が近づく、音で距離を計算して対象の位置を把握する

そして、

(……今だ!!)
34 : ◆nvrVoonYD. [saga]:2020/06/21(日) 23:30:41.30 ID:OSFL4AUy0

走り出すと同時に、引き金を引く

バンッ、バンッ、バンッ、バンッ!!

放たれた弾のほとんどがあらぬ方向へ飛んでいき、地面や壁に突き刺さる

だが、

「…っ!」

当たった!!

しっかりと見ていないため定かではないが、おそらく一発だけ左肩に当たったはずだ

これなら、右側から通り抜ければ反撃を貰うことはない

そう考え、通路の右端を通り過ぎようとしたその時、

「…本当に」

ありす「学園都市の研究者は、ろくな人間がいませんね」

一瞬の出来事に、理解が追いつかないまま

僅かに触れた少女の手から放たれた何かに、体は進行方向を前か横に変化させ、

宙を舞い、壁にめり込んだ
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