侑「宇宙艦隊……?」 マリナー「私はセリトスから来たの!」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/05/01(土) 23:45:02.94 ID:4a9Qump40
虹ヶ咲×スタートレック:ローワーデッキ
スタトレ知らないとさっぱりな誰得ss

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1619880302
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 23:47:25.28 ID:4a9Qump40
〜シャトルの操縦席〜


マリナー「現在位置不明! 時代も不明! Mクラス惑星の大気圏に突入!!」

テンディ「地表に多数の生命反応! でもワープ発明前の文明みたいだよ! あと、なんか地形に見覚えあるような……」

マリナー「もう機体が限界! 爆発する!」

マリナー「あー! もう仕方ない! 緊急転送の準備! 地上に降りるよ!」

テンディ「ちょっとぉ!? 艦隊の誓いは!? ワープ以前の種族に接触していいの!?」

マリナー「そんなの[ピー]ソ喰らえ! 命には変えられないでしょ!! 現在高度1万2千メートル!! シャトル爆発まで10秒!!」

マリナー「座標は……知らんし! でっかい島の上! 転送開始!!」

パァァァァァァ(転送ビームに包まれる音)      





ドォォォォォォン……

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 23:49:30.65 ID:4a9Qump40
〜地上〜



侑「あれ? なんか変な音聞こえなかった?」

歩夢「そお? 私は聞こえなかったけど」

歩夢(侑ちゃん今日もジャージをワンピースの海軍みたいに肩掛けしてる…)


パァァァァァァ(マリナーとテンディが実体化する音)


ゆうぽむ「!?」

侑「え!? なに!?」

歩夢「人が突然現れた!?」

侑「外国のお姉さんに…緑のお姉さん!?」

侑「すごい! 今の手品どうやってやったんだろう!?」トキメキー

マリナー「ふぅ……なんとか無事に降りられたね。シャトルは爆散したから痕跡は残らないよ……って」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 23:56:57.62 ID:4a9Qump40

マリナー「ちょっとぉ!? あんた何その着こなしヤバっ!!」ガシッ

侑「え!?(っていうか近!)」カタツカマレ

歩夢「(この人いきなり侑ちゃんに馴れ馴れしく……!)」

マリナー「マジ、イケてる!! 袖通さないで肩にかけてるだけなのって大昔の[ピー]ソイカしたワルって感じでカッコいいよねーー! ファスナーつけてわざわざ改造したの!? わかるぅー! 2369年頃の制服のデザインマジイケてたもんねーー! ヴォイジャーだって地球と連絡つくようになってもこの制服使い続けたんだよ! 勿論、新しい制服をレプリケートするエネルギーが勿体無いなかったってのもあるだろうけど、絶対このデザインも気に入ってたハズ! っていうかあんたマジ[ピーーー]てるね! 私なんか腕まくりしてるだけで営倉入りになったんだよ! もしランサムがあんた見つけたら軍法会議にかけるよ、軍法会議! あ、ランサムってのはうちの副長。マジ[ピーーーー]、[ピーーー]! っていうか今、何年? ここどこ? こんなところに宇宙艦隊の基地あったんだ! それとも他の船がいるの?」

侑「宇宙艦隊……?」

マリナー「私はセリトスから来たの!」

侑「セリトス……?」

歩夢「ってカリフォルニアの……?」

マリナー「そ! カリフォルニア級!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/01(土) 23:59:01.70 ID:4a9Qump40

マリナー「で、時間の歪みに捕まって光子魚雷で歪みを閉じようとしたらターゲットスキャナーがロックできなくて! しょうがないからシャトルで近づいて魚雷を撃ち込もうとしたんだけど失敗しちゃって! 一緒に歪みに巻き込まれたから近くにいるかも! もしくは100年前か後、もしくは1000年前か後とか! あれ? あんた妙に若くない? メアリー・スーみたいにティーンエイジャーで艦隊に入ったの? っていうかこの街並みファーストコンタクト前の時代ぽくない? ベル暴動の時代みたい! ミレニアム・ゲートがありそう! こういう星珍しいねー!」

ゆうぽむ「???」

テンディ「……ねぇマリナー? ちょっとおかしくない?」

マリナー「何ビビってるのテンディ。不時着した先に艦隊士官がいたんだからこの幸運を喜べっての! 一体いつの時代に飛ばされたのかってヒヤヒヤしたけど思ったより近い時代でよかったじゃん!」

テンディ「だって、彼女の着てる服、微妙に違くない? 宇宙艦隊の制服じゃないよ」

マリナー「何言ってるの! どこからどうみても艦隊の制服だよ!」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:01:18.31 ID:chBBDqZB0

ピポポ

ランサム『セリトスからマリナー少尉』

マリナー「お?」

ランサム『ここはどうやら21世紀初期の地球のようだ。我々は軌道上にいる』

マリナー「はぁ!?」

ランサム『とにかく、今から君とテンディ少尉のコミュニケーターにロックして収容する』

マリナー「ちょっ!? マジで!? っていうか人に見られてるんですけど!」

ランサム『いいから、これ以上見られて文化汚染を増やす前に戻ってこい!』
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:03:32.36 ID:chBBDqZB0

マリナー「ちょい待ち! 今離れるかr…」

ランサム『転送開始!』

パァァァァァァ

マリナー「え!? もう!? ちょっ待って待って待って近くに人近くに人…!」

侑「(え、なにこの光)」パァァァァァ

歩夢「侑ちゃん! 危ない!」ダキッ

侑「(歩夢まで光に包まれ…!)」

テンディ「あああ、ダメダメダメダメ」

マリナー「ヤバイヤバイヤバイヤバイ」



パァァァァァァ(転送ビームに包まれる4人)






かすみ「え……! 侑先輩に歩夢先輩!? 消えたっ!?」


8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:07:08.34 ID:chBBDqZB0



〜地球軌道上 U.S.S.セリトス 転送室〜



パァァァァァァ(実体化する4人)



歩夢「え…!? えっ!?」

侑「突然場所が変わった……!?」

テンディ「……うわぁ、やっちゃった」

マリナー「ちょっ嘘でしょコレ……」

ゆうぽむ「……」アゼン

テンディ「ハァイ、私テンディ。突然こんなことになっちゃって驚いてるよねぇ……大丈夫よ、大丈夫。何も危険はないからね。あ、私? 私の色が気になる? 私オリオン人なの、って言ってもわからないよねぇ〜……ねぇどうしようマリナー!!」

ピョコン

マリナー「転送室からブリッジ、問題発生!」

マリナー「女の子を2人誘拐しちゃったよ!!!!」

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:10:23.01 ID:chBBDqZB0

OP

♪♪Theme from STAR TREK:Lower Decks


Special Guest Star
“Yuu Takasaki”
as
Herself

Special Guest Star
“Ayumu Uehara”
as
Herself


    and


  Special Guest Star
“Kasumi Nakasu”
as
Herself




Based Upon ”STAR TREK“
Created by
Gene Roddenberry

10 :ずれたから適当で [sage saga]:2021/05/02(日) 00:13:25.67 ID:chBBDqZB0

OP

♪♪Theme from STAR TREK:Lower Decks


Special Guest Star
“Yuu Takasaki” as Herself

Special Guest Star
“Ayumu Uehara” as Herself


    and


Special Guest Star
“Kasumi Nakasu” as Herself




Based Upon ”STAR TREK“
Created by Gene Roddenberry

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:16:55.08 ID:chBBDqZB0

“Stolen Idol”




フリーマン『艦長日誌。セリトスは時間の歪みに巻き込まれ、過去の地球にタイムスリップしてしまった。船は幾つかの主要システムにダメージを受け、ワープ可能になるまで数日かかる。時間の歪みは既に消滅している為、元の時代に戻るためには別の方法を採らなければならないが、恒星の重力場を利用したスリングショット効果を用いることになるだろう。以前、カーク船長が数度に渡り行ったことで有名な方法だ。船体には大きな負荷がかかることが予想される為、修理を念入りに終えるまで出発はできない。しかし、今はそれよりも深刻な問題が発生した。この時代から招かれざる来訪者を迎えてしまったのだ。転送装置が機能不全を免れていたのが仇となったようだ』
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:19:57.64 ID:chBBDqZB0

〜会議室〜


フリーマン「はぁ……つまりこういうこと?」

フリーマン「彼女が着ている服が艦隊の制服に似ていたから、艦隊士官と勘違いしてベラベラと喋りかけた挙句に、転送時に密着していたから2人も一緒に転送してしまったと」

マリナー「簡単に言えばそういうことかな。あ、こっちの子は自分から抱きついてきたの。勇気あるぅー」

フリーマン「もう……どうしてあんたはそう……」

マリナー「だって不可抗力だよ! このデザイン見て! どうみたって宇宙艦隊の制服だと思うじゃん! それに艦級と艦名が地名、っていうのも問題あると思う!」

フリーマン「黙りなさいマリナー! 元はと言えばあんたのせいでこうなったのよ! 不時着したそばから現地人にそこまで密着してるなんてことあり得る!? 転送の瞬間を人に見られてもこれ以上あんた達をそこに置くよりはマシと思ってすぐ転送したのに完全に裏目にでたじゃないの!」

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:22:30.43 ID:chBBDqZB0

フリーマン「ああ……もう少し早くあなた達のシャトルを捕捉できていれば……上原歩夢さんに高咲侑さん? この度はうちの少尉が大変な迷惑をかけてごめんなさい。深くお詫びします」

歩夢「あ、あのぉ……」

侑「私達、まだ状況がよく飲み込めてないんですけど……私達は誘拐されたんですか? っていうかここはどこなんですか!? 皆さんは宇宙人!?」

フリーマン「ここはセリトス号という宇宙船の中で、地球の軌道上。でも安心してちょうだい。あなた達からみて異星人のクルーもいるけど、私達はあなた達の敵ではないし、私はあなた達と同じ人間よ。ただ……我々のセンサー機能が低下していたで転送時にあなた達が近くにいることが分からなかった為、結果的に誘拐も同然のことをしてしまったのは弁解の余地もありません。しかし、これは事故だったの、これだけは信じて欲しい」

侑「はぁ……」

マリナー「私は待てって言ったのに聞かないからだよ! やっぱ調整不足じゃん! センス!オアーの!」

フリーマン「いい加減にしてマリナー! 口を挟まないで!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:24:29.65 ID:chBBDqZB0

フリーマン「……ええと、そして、非常に言いづらいけど……あなた達は今とても微妙な立場に置かれています。その……なんと言ったらいいのかしら」

マリナー「あーもう! 回りくどいこと言ってないでさっさと言っちゃいなって! 私達は24世紀から来た宇宙船で、あんた達は事故とはいえ未来の一部を見てしまったから二度と家に帰すわけにはいかないって!」

フリーマン「口を慎みなさい! 他に言い方があるでしょう!?」

侑「え……!」ガーン
歩夢「うそ……」ガクブル

フリーマン「待って、まだそうと決まったわけじゃないの」

フリーマン「これから我々のデータベースで、あなた達が歴史上重要な人物か調べます。もしあなた達がいなくなることで歴史に影響を与える様なら、あなた達を地球に送り返します」

マリナー「逆に言えばこの子らが歴史に影響を与えない非重要人物ならこのまま誘拐を続行するってことでしょ!」

フリーマン「ベケット!!」

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:26:58.37 ID:chBBDqZB0

歩夢「そんな……もう家族にも同好会の皆にも今日子ちゃん達にも会えないの……?」

侑「そんなの一方的過ぎます! 私達を家に帰してください!!」

フリーマン「勿論そうしたいわ。その為に最大限努力もします。でも、ごめんなさい。歴史を守ることは何にも勝る最優先事項なの」

侑「そんなの私達には……! 関係ありません!」

歩夢「ここでの事は絶対誰にも話しません……それでもダメですか……?」

フリーマン「……私達には謝ることしかできない。本当にごめんなさい。この船にいる限りあなた達は大切なゲストです」

侑「……」

歩夢「……」

フリーマン「ベケット・マリナー少尉。テンディ少尉と共に、彼女達がこの船にいる間、快適に過ごせるように尽力しなさい」

マリナー「丸投げってことね了解でぇーす。長寿と繁栄を〜🖖🏽」

フリーマン「だからそういう皮肉っぽいバルカン式挨拶やめなさいって言ってるでしょ!」


ーーーーーーーーーーー
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:29:30.18 ID:chBBDqZB0


マリナー「さぁついて来て、部屋を用意するからね。あ、でも、にぎやかな方が好きなら私達の寝床に案内するよ、ローワー・デッキの二段ベッドにね。シャワー室が近いから裸のマッチョが拝めるかもよ。でもそういうのはあんた達の好みじゃ……なさそうだね。それに、いきなり未来の宇宙船に放り出されて落ち着かないだろうから、個室がいいか」

テンディ「ハァイ、私ドゥバナ・テンディ、って自己紹介二回目か。私達が案内するからね。ほら、リラックスして、リラックス〜」

侑「……」

歩夢「……」

マリナー「その…本当にごめんね。私、なんて謝ったらいいか……きっと未来を気にいるよ、なんて言うつもりはない。誰だって故郷が一番に決まってるし……まぁ20世紀からクジラと一緒についてきた人もいるけど……」

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:32:27.96 ID:chBBDqZB0

侑「……あなた達が悪い人じゃないってのは何となくわかります」

歩夢「侑ちゃん……」

侑「だから、お世話になります。今はそうするしかないと思うし。ね、歩夢」

歩夢「そう……だね。納得はできないけど……でも侑ちゃんと一緒だったからそう思えるよ」

マリナー「まだ希望を捨てちゃダメだからね。帰れる可能性は十分にあるよ。艦長はいけ好かない奴だけど、さっき言ったことは本当だから」

マリナー「改めてよろしくね。私、少尉のベケット・マリナー。下っ端だけど甘く見ないでね。下っ端は下っ端でもスーパー下っ端だから!」

テンディ「同じくドゥバナ・テンディ少尉。って三回目〜」

侑「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の高咲侑です」

歩夢「同じく上原歩夢です」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:35:29.52 ID:chBBDqZB0

マリナー「スクールアイドル! あんた達そうなんだ!」

テンディ「スクールアイドル? って何? 知ってるのマリナー?」

マリナー「21世紀初頭に発生したアイドルの形なの! 伝説のμ’sくらい流石に私も知ってるよ!」

マリナー「あのカークだってμ’sのファンだったっていう噂だよ! ラブアローシュートはコンスティテューション級のシールドをも貫く……あくまで噂だけど」

侑「ええ!? スクールアイドルって未来でも有名なんだ! すごーい!」

歩夢「本当、信じられないね」

マリナー「あんた達もテンションアゲアゲの超クールなパフォーマンスができるってこと!? うわ〜! 見てみた〜い!」

テンディ「私もそのスクールアイドルっていうの見てみたーい!」

侑「私はみんなのサポートをしていて、スクールアイドルじゃないんですけど! でもうちの同好会のメンバーは皆んな可愛くて最高なんですよー! 特にこの歩夢が!」

歩夢「はは……」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:37:41.00 ID:chBBDqZB0

マリナー「そんな最高のスクールアイドルを地球から盗んでしまったなんて大ごとだよ! あんた達がこの船にいる限り快適に過ごせるように尽くすし、帰れるように最大限の努力をするよ!」

侑「ありがとうございます……っていうのも変かな? それにしても」

マリナー「何? そこのドアが気になる? ただのパターンバッファの保守用通路だから大して面白くないよ」

侑「いえ、皆さん日本語上手だなぁって。言葉が通じるだけでも安心感が全然違いますよ」

マリナー「はは! 日本語なんてわかんないよ! ぶっちゃけクリンゴン語より難しいし!」

テンディ「だよねぇ〜。私もアカデミー時代に地球の言語を色々調べてみたけどさっぱり」

ゆうぽむ「ええ?」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:45:50.13 ID:chBBDqZB0

マリナー「ほらこれ。このバッジ。これが一つあれば一定範囲内の距離にいる人が喋る言葉を自動的にお互いが理解できる言語に翻訳してくれるの。ま、特殊な言語は翻訳できないこともあるんだけど。タマリアンとかタクサーとか。あ、あと、ソーリアンの舌のチッとかコンって音とか。私にはあんた達が連邦の言葉(英語)を喋ってるように聞こえてる」

侑「ええ! すごいすごい! 似たような技術は今もあるけど、こんなに滑らかに翻訳されてるなんて! 未来ってすごいんですね!」

マリナー「使われてるマトリクスを完成させたのは日本人だよ。今から150年くらい後にね」

侑「へぇ〜そういう話、璃奈ちゃんが聞いたら喜ぶだろうなぁ」

歩夢「そうだね」

侑「っていうか! 最初は驚いたけどテンディさんは異星人なんですよね! 私、異星人に会うのは初めてなんです!」

テンディ「はは、そりゃそうでしょ。侑ちゃん面白い〜」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:47:50.30 ID:chBBDqZB0

侑「こう言っちゃ失礼かもしれないんですけど…あんまり地球人と変わらないんですね」

テンディ「そうだよ〜、元は虫とか爬虫類とか哺乳類とか色んなエイリアンがいるけど、ヒューマノイドに進化した種族って実はあんまり変わらないのよね〜」

マリナー「実はそれには重大な理由があるんだよ! 古代の最初のヒューマノイド種族が銀河中に自分のDNAをばら撒いて生命の進化を促そうとしたの!!」

侑「ええ!? すごーい! SFみたい!!」

歩夢「(侑ちゃんもう馴染んでる……っていうか外国人や異星人の、しかも未来から来たお姉さんとまであっという間に仲良くなっちゃうなんて……)」

マリナー「きっと、まだまだ驚くことがあるよ? とりあえず客室を用意するから。フードレプリケーターやソニックシャワーの使い方を教えないとね」

テンディ「その前にマリナー? 医療室に行ってDr.タアナに健康診断と予防接種をしてもらわなきゃ。この時代の人には免疫の無い細菌があるかも」

マリナー「あーー……確かに。ニャンコ先生のとこに行くのはダルいけど」

マリナー「でも……二人にはさらなる驚きを提供できるかもよ」ニヤリ
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:52:26.82 ID:chBBDqZB0

〜医療室〜


タアナ「ミャァァァォォォォ……」

タアナ「おっと失礼。お前さん達かい? 予定外のお客さんってのは」

ゆうぽむ「ね……! ね……! ね……!」

ゆうぽむ「猫!?」

テンディ「Dr.タアナはカイティアンなの」

侑「すごい…! 宇宙には本当に色んな人がいるんですね……!」トキメキー

歩夢「か……カワイイ!」

タアナ「ちょっとアンタ! いきなりそういうこと言うのは失礼だろう!」

歩夢「ご、ごめんなさい!」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:53:50.51 ID:chBBDqZB0

タアナ「いいんだよ。お前さんも突然未来から来たエイリアンと出会うなんて[ピー]ソ面倒くさい経験して戸惑ってるだろうしね。これからは気をつけな」

歩夢「は、はい」

タアナ「ほらテンディ! ボサっとしてないでトリコーダー寄越しな!」

歩夢「(何というか……)」

侑「(優しいのか厳しいのかわからない人だなぁ)」

タアナ「ふむ……健康状態に異常無し。さぁ、ちょいと注射するよ」プシュ プシュ

ゆうぽむ「(……!)」

侑「全然痛くない……」

マリナー「ハイポスプレーは針を使わないからね。似た技術はこの時代に既にあるんじゃない?」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 00:57:09.91 ID:chBBDqZB0

タアナ「さぁ、これで艦内を大手を振って歩けるよ。デノビュランバクテリアに感染して[ピー]ソ悲惨な死に方することもない」

マリナー「よーし! それじゃお待ちかね! あんた達のホテル・カリフォルニアに連れて行くよ!」

侑「おーっ!」

歩夢「……」




マリナー「(テンディ、テンディ)」ヒソヒソ

テンディ「(どうしたのマリナー、急に小声で)」ヒソヒソ

マリナー「(二人の前で、将来地球が第三次世界大戦に突入してくって話はしたらダメだからね)」ヒソヒソ

テンディ「(ああーー、了解)」ヒソヒソ

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/05/02(日) 21:32:17.43 ID:chBBDqZB0

〜客室〜


マリナー「……そ、水は使わないの。超音波が汚れを落とすから。以上がソニックシャワーの使い方ね。で、次にレプリケーターだけど」

マリナー「例えばあんた達が、紅茶を飲みたいとする。アールグレイの!」

マリナー「そういう時はここに向かってこう言うの。『コンピューター、紅茶、アールグレイ、ホットで、ミルクなし、砂糖は一つ』」

ピーポポ

シュゥゥゥゥゥゥ……

歩夢「すごい!」

侑「紅茶が出てきた!? え!? どこから!?」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 21:35:25.99 ID:chBBDqZB0

テンディ「分子を合成して、大抵のものは何でも作れるの」

マリナー「コーヒーが飲みたい時は『いいこと? あと一回し言わないわ。コーヒー! ブラック!』って言えばいい」

マリナー「とにかく何か食べたり飲んだりしたいときは望むものをコンピューターに頼めば合成してくれる。大抵のメニューは何でもあるからね」

テンディ「食べ残しや食器は、レプリケーターに戻せばまた分解されてエネルギーに戻るから」

侑「うーん……これは想像を超えてるなぁ」

歩夢「これじゃ料理しなくなっちゃうね」

マリナー「実際、ウチらの時代じゃ、料理は偏屈な人か変に達観した一部の人しかやらない趣味になっちゃってるしね」

マリナー「まっ、天然の食材に慣れてるあんた達の舌を満足させられるかは保証できないけど、そこは我慢して!」

マリナー「さぁて! 次はお待ちかね! この船で一番イケてる所に連れてってあげる!」

侑「え!? どんな所だろう!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 21:39:27.39 ID:chBBDqZB0

〜ホロデッキ〜


マリナー「ほら、ここ」

侑「何というか」

歩夢「何もありませんね」

マリナー「驚くのはまだ早い……コンピューター! ハワイのビーチを出して!」

ピーポポ

シュゥゥゥゥゥゥ

侑「うわっ!?」

歩夢「また場所が変わった!」

侑「また転送ですか!?」

マリナー「違う違う。これはただの立体映像。ただし触れるし、触感も本物と区別はつかないけどね」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 21:41:31.99 ID:chBBDqZB0

侑「映像!? これが!?」

歩夢「すごい……砂のさらさらした感じもちゃんとするし水も冷たい……」

侑「すごいすごい! ハワイってこんな所なんだ! 初めて来たよ!」

マリナー「詳しい原理の説明は省くけど……とにかく光子とフォースフィールドとホロデッキマター……さっき見せたレプリケーター技術の応用ね、の組み合わせで、ほとんどどんなものでもシミュレートできるの」

マリナー「それこそ遊びから危険な訓練まで、あらゆる事に使えるんだよ! シャーロック・ホームズになってモリアーティと戦ったり、ホーキング博士とポーカーをやったり、軌道スカイダイビングをしたり!」

侑「あらゆる事……」

テンディ「あ、でも間違っても『ラザフォードトレーニング』は起動したらダメだからね〜」

マリナー「テンディ、余計なこと言うんじゃないよ。ほら! どこかあんたの行きたい場所どこでも言ってごらん!」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 21:45:17.38 ID:chBBDqZB0

侑「どこでも!? そんなー! 一ヶ所だけなんて選べないよー!」

マリナー「はは、別に一ヶ所だけじゃなくたっていいって! 順番に好きなところ行けばいいんだし」

侑「それじゃ……コンピューター! 地球のダイバーシティ東京プラザ周辺を出して! 2020年頃の!」

ピーポポ

シュゥゥゥゥゥゥ

歩夢「!!」

侑「すごい……本当に出た」

歩夢「何だか変な感じ……帰ってきたみたい」

マリナー「へえ? これがあんた達の地元?」

侑「本物と見分けがつかないよ……歩夢! あっち!」

歩夢「侑ちゃーん! 待ってよー!」

侑「初めてせつ菜ちゃんを見たときの階段! こんなところまでちゃんと再現されてる!」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 21:46:59.11 ID:chBBDqZB0

歩夢「(せつ菜ちゃんの『CHASE!』を聞いた場所……私と侑ちゃんの始まりの場所……)」

歩夢「(もう二度と……ここに行くことはできないかもしれないんだ……)」

歩夢「(いや、ここだけじゃない。皆との思い出の場所にもどこにも……)」

歩夢「ううっ……」フラッ

侑「歩夢!? 大丈夫!?」

マリナー「どうした!? 気分悪い!?」

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 21:49:10.47 ID:chBBDqZB0

歩夢「いえ……ただちょっと疲れただけ……大丈夫です……」

マリナー「部屋に戻って休んだほうが良いよ。ごめんね、この状況でどこでも好きなところ、なんて言うべきじゃなかったね。私、デリカシーなかったよ」

侑「歩夢……ごめん。私、軽率だった」

歩夢「ううん……」

マリナー「歩夢を部屋に送ってくよ。侑、あんたはどうする?」

テンディ「あ、ホロデッキもっと見たいなら、私が付き添うよー!」

侑「あ、私も一緒に部屋に……」



ピポポ

『テンディ少尉。至急医療室まで出頭せよ』



32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:03:21.23 ID:chBBDqZB0

テンディ「あ、ごめん……急な仕事が入っちゃった。私も行かないと」

侑「……私、もう少しここに残ってていいですか? もうちょっと探検したくて」

テンディ「うーん、でもマリナー。いきなりホロデッキに一人で残しちゃっていいの?」

侑「少し……一人になりたいんです。ダメですか……?」

歩夢「(侑ちゃん……)」

マリナー「まぁいいか、安全装置は承認コードがないと外せないようにしてあるし。何かあったら、『コンピューター! プログラム終了!』って叫びな」

侑「歩夢、ごめん。私はもう少しここにいるから」

歩夢「うん。私は大丈夫だから、侑ちゃんは楽しんで」

マリナー「OK! それじゃ2時間くらいしたら迎えにくるよ」

テンディ「じゃぁまた後でね、侑ちゃん」

侑「はい!」

33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:05:16.25 ID:chBBDqZB0

侑「……」

侑「(行ったね)」

侑「さて……」

侑「コンピューター! 操船の訓練用プログラムはある?」

ピーポポ

LCARS「訓練プログラムへのアクセスはレベル1以上の承認コードが必要です」

侑「うわ……そんなに甘くはないか……」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:08:27.46 ID:chBBDqZB0

侑「コンピューター! セリトス号の内部を出せる?」

ピーポポ 

LCARS「訓練プログラムへのアクセスはレベル1以上の承認コードが必要です」

侑「うーんダメか……やっぱりゲストが何でもホイホイアクセスできたらダメだもんね」

侑「……ん? そういえばさっき……」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:09:31.56 ID:chBBDqZB0

侑「コンピューター! ラザフォードトレーニングを起動して!」

ピーポポ

LCARS「『ラザフォードトレーニング・ベータ2.5』を起動します」


シュゥゥゥゥゥゥ


バッジー「ハハ! 僕はバッジー! 僕とレッスンする?」

侑「うわぁ何これかわいい!」

侑「ねぇ、あなたは何ができるの?」

バッジー「宇宙艦隊に必要なあらゆる訓練をさせてあげることができるよ? さぁ、僕とレッスンする?」

侑「よし、ねぇバッジー……?」


ーーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:13:23.34 ID:chBBDqZB0

〜夜 客室〜


マリナー「それじゃ、明日の朝また来るよ。何かあったら通信で呼んでね。そんじゃ、おやすみ〜」

ゆうぽむ「おやすみなさい」

侑「ふぅ」

歩夢「……」

侑「大変な一日だったね」

歩夢「そうだね……」

侑「惑星連邦に宇宙艦隊かぁ、すごい時代がくるんだなぁ。何百光年も遠くに行けて、色々な人達が種族の壁を越えて手を取り合ってる」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:17:08.35 ID:chBBDqZB0

侑「私達の時代はジョイポリでVRゴーグル付けたりするのが、未来の人は『コンピューター、プログラム開始!』なんだもん。科学の進歩ってすごいなぁ」

歩夢「うん……」

侑「歩夢? 大丈夫?」

歩夢「うん平気……でも……これから私達どうなっちゃうんだろう……」

侑「そうだね……でも、歩夢の隣には私がいるよ」

歩夢「うん。ありがとう、侑ちゃん」

侑「ほら、見て歩夢。窓の外」

歩夢「うわぁぁ」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:20:13.88 ID:chBBDqZB0

侑「月が見えて星々が見える……はは、かすみちゃんの髪飾りみたい」

歩夢「本当に宇宙にいるんだね……」

侑「そうだね……ああ、地球だ……うわぁ、綺麗だなぁ」

歩夢「本当。あんな綺麗なところに私達は住んでるんだ」

侑「あの星にこれまでに色んなスクールアイドルがいて、みんなが星になることを目指してたと思う。でも」

侑「ホントに星々の世界に来ちゃうなんて思ってもみなかった……」

歩夢「侑ちゃん……?」

侑「なに?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:24:52.42 ID:chBBDqZB0

歩夢「侑ちゃんは私達の世界よりこっちの世界の方が良いと思う? この星々の世界が」

侑「もちろん魅力的だよ。でも私たちの世界はあの下にある。そうでしょ? 歩夢」

歩夢「うん……」

侑「歩夢、大丈夫だからね」

侑「絶対に大丈夫」

ーーーーーー
ーーーー
ーー
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:26:38.90 ID:chBBDqZB0




TWO DAYS LATER……





41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:29:51.24 ID:chBBDqZB0


〜朝 食堂〜



テンディ「ラザフォード、昨日はありがとうね。侑ちゃんと歩夢ちゃんのスマ……えーーーーと……何だっけ。とにかく21世紀の通信情報端末のエネルギー供給用ケーブルを作ってくれて」

ラザフォード「いやいや、古代の技術を弄れて楽しかったよ!」

ラザフォード「でも、あれはネットワークに繋がってることが前提の機械だろう? この時代の情報通信インフラへの接続は出来ないはずだけど」

テンディ「ストレージに保存されてる写真や動画を見たかったみたい。いろいろ見せてくれたの。歩夢ちゃん、スクールアイドルっていうのやってるんだって! 歌って踊ってすごくかわいかったー! でも一番すごいと思ったのは侑ちゃんと歩夢ちゃんの友達の優木せつ菜ちゃん! 彼女、ハイEの音を出してるのよ!? 短剣を胸に突き刺して死んだカッシーリアン・オペラのプリマドンナみたい! あと、はんぺんっていう猫の写真も見せてくれたのー! あー! 今度は猫もいいかもーー!!」

42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:32:22.15 ID:chBBDqZB0

ラザフォード「そして今度は猫に『猫』って名前つけるのかい? やめといた方がいいと思うよ……君は直属のボスも猫なんだし。それよりゲストの様子はどう? 情緒不安定になったりしてない?」

テンディ「歩夢ちゃんは塞ぎ込みがちで無理してると思う。なんとか地球に帰してあげたいけど……」

ラザフォード「やっぱり、歴史に影響を与える人物であることって、そうそうないからね」

テンディ「私達、バンクーバーに異動させられそうになっただけでもあんなに寂しかったのに、歩夢ちゃんの気持ちを考えたら居ても立ってもいられないよぉ〜!」

ラザフォード「早ければ今日中に帰還の準備が整っちゃうし、覚悟はしておいた方がいいかもよ」

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:36:29.61 ID:chBBDqZB0

テンディ「その点、侑ちゃんの方は大丈夫そうなのよねぇ。なんて言うか侑ちゃんって神経図太いと言うか……ほら、あんな感じ」




侑「ホントなんですってーー!」

ジェニファー「うっそぉ! 本当に!?」

ワイワイ ガヤガヤ




テンディ「普通、たった二日間であんなに馴染める!? しかも未来からきた宇宙船に誘拐同然に連れてこられて! 私だってこの船に馴染むのにもっと時間かかったよ!?」

ラザフォード「まぁ、そういう人もいるよ」

テンディ「でも、なんか妙なのよね〜」

ラザフォード「妙って何が?」

44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:39:50.13 ID:chBBDqZB0

テンディ「侑ちゃんと歩夢ちゃんって、一緒にいる時はすんごく仲が良いの! もう夫婦かって思うくらい!」

テンディ「でも、歩夢ちゃんが精神的に参ってるっていうのに侑ちゃんはあまり構わずに艦内見学に精を出しすぎなの! もっと一緒にいてあげればいいのに!」

ラザフォード「うーん。侑は好奇心がすごく旺盛みたいだね。未来のテクノロジーに興味津々なんだよ。僕だってもし突然、例えば29世紀や32世紀に飛ばされたら絶対冷静じゃいられないよ!」

テンディ「そんなの絶対……私もそう! でも……侑ちゃんはそういうのじゃないよきっと」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:42:00.54 ID:chBBDqZB0



侑「そうなんですよ! 私のお母さんが若い時にカーンを見たことあるって! でもおかしなこと言ってたなぁ。髪をもっと短くすればシャーロック・ホームズに似てるとか」

バーンズ「あ、それちょっとわかるかも。私、20世紀の地球のバンドとか好きなんだけど、そのくらいの時代のホームズのドラマ見たことあるの」







テンディ「カーンの話してる! 私も混ざりにいこうかな!」

テンディ「あ、でも私このあと医療室行かないといけないんだ……どうしてゲストの世話役を仰せつかってるのに、私だけ通常任務を振られてるの!?」

ラザフォード「あ、マリナーが来たよ」

テンディ「あ、そろそろ 行かないと! 私の朝食あげる!」

ラザフォード「はは、だから二人分もいらないって……おおー! ヨーグルトー!」

 
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:48:05.27 ID:chBBDqZB0



マリナー「はいはいガールズトークで盛り上がってるところごめんねー。おら! どきなジェン!」ゲシッ

マリナー「おはよ、侑。調子はどう?」

侑「マリナーさん、おはようございます! 気分は上々ですよ」

マリナー「歩夢からこっちにいるって聞いてね。歩夢は部屋で休んでるってさ」

侑「はい……やっぱり気分が悪いみたいで……」

マリナー「そう……追い討ちをかけるようで悪いけど、まだあんた達を帰す理由が見つかってないんだ。このままだと……一緒に未来に来てもらうことになる」

侑「そう……ですか……」

マリナー「最後の最後まで希望を捨てないでね……それで、今日はどうする? どこか行きたい所ある?」

侑「あ、じゃあホロデッキ行ってもいいですか?」

マリナー「よっぽど気に入ったみたいだね。OK! それじゃ行こうか! あ、でも……ホロ中毒には気をつけなよ」

テンディ「マリナー! 私は午前中任務が入っちゃったから、あとで侑ちゃんと歩夢ちゃんの部屋に行くねー」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:50:01.84 ID:chBBDqZB0


〜ホロデッキ〜



侑「マリナーさん、歩夢のことなんですけど……」

マリナー「どうしたの?」

侑「すごく落ち込んでて……良かったらマリナーさん、話を聞いてあげてもらっていいですか?」

侑「マリナーさんすごく話上手だし、私じゃうまく慰められそうにないから」

マリナー「私から見たら、歩夢にはあんたの方こそ必要だと思うけどね」

侑「……」

マリナー「でも、まぁ、あんたがそう言うならちょっと話してみるよ。本当はヴェロシティ教えてあげようと思ってフェイザー銃持ってきてたんだけどね」

侑「ヴェロシティ?」

マリナー「ラケットの代わりにフェイザーを使うテニスみたいなスポーツ!」

マリナー「まっ、それは後にするとして……ちょっと席外すけど、一人で大丈夫?」

侑「はい! ありがとうございます!」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 22:54:22.14 ID:chBBDqZB0


〜客室〜



ピーポポ

歩夢「(誰かきた……?)」

歩夢「……どうぞ」

プシュゥゥゥ

マリナー「よっ、元気? 侑があんたの事、随分心配してたよ!」

歩夢「マリナーさん……」

歩夢「いえ……別に……大丈夫です」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:05:39.82 ID:chBBDqZB0

マリナー「全然大丈夫な顔してないって! そりゃ、まだあんた達を地球に帰す理由も見つかってないし無理もないけど……」

マリナー「何か思うことがあるなら言ってみな? どんな恨み言も受け止めるよ? それくらいしか私にはできないし……」

歩夢「いえ……」

歩夢「……」

歩夢「侑ちゃん……適応が早いなって思って……もう21世紀の事もスクールアイドルのことも忘れて、24世紀に夢中みたい」

歩夢「昨日だって食堂で、斑点模様のお姉さんや触角の青いお姉さんとすごく仲良さそうに話してて……初対面なのに」

マリナー「ついさっきもそうだったよ。そうだねぇ、侑はまるで天性の女タラシって感じがするし、順応が早すぎるよ」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:07:52.57 ID:chBBDqZB0

マリナー「で、あんたはそんな侑を本気で愛してるってわけだ?」

歩夢「えっ///」

マリナー「見てればわかるよ」

歩夢「たぶんそう……なん、だと思います……というか」

歩夢「私そんなにわかりやすかったですか……?」

マリナー「そりゃぁもう。私が侑にウザ絡みしてるときのあんたの顔ときたら。鏡で見せたいくらいだよ」

歩夢「うう……醜い独占欲はもう捨てたつもりだったのに……」

マリナー「侑を独占したかったの?」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:11:25.20 ID:chBBDqZB0

歩夢「あ、えーと……前に侑ちゃんとせつ菜ちゃんーー同じ同好会の子なんですけどーーが、人気のないところで抱き合ってるのを見ちゃって……それで気持ちが爆発しちゃって……私は侑ちゃんだけのスクールアイドルでいたいから侑ちゃんも私だけの侑ちゃんでいてって押し倒しちゃったことがあって」

マリナー「ははっ、マジで!? あんた最高!」

歩夢「え?」

マリナー「おとなしい奴だと思ってたけどやるじゃん!」

歩夢「そんなことないです……侑ちゃんに迷惑かけちゃっただけ……」

マリナー「あのねぇ、相手の迷惑考えてちゃ、恋なんて成就しないよ! もっと利己的にならなきゃ!」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:49:59.73 ID:chBBDqZB0

マリナー「そりゃ、私以外の女と喋らないで! なんて言うのは行き過ぎだし、束縛彼女は嫌われるよ? でも、あんた自身の恋心まで押し殺す必要はないよ! 歩夢はもっとワガママ言っていいって!」

歩夢「!」

歩夢「……そう、でしょうか?」

マリナー「絶対そうだって! 24世紀に行くにしろ、この時代に残るにしても、あんたと侑は一緒なわけだし。これからチャンスはいくらでもあるよ!」

歩夢「……なんか、意外です」

マリナー「何が? 私って思ったより聞き上手だった? マシンガントークが得意な人間は、聞き上手なの。これ、覚えておきな」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:51:37.32 ID:chBBDqZB0

歩夢「てっきり、面倒くさい女だなって適当に流されるのかなって。相手の迷惑になってるんだから潔く身を引けって」

マリナー「はっ! そういうのは複雑で奥が深い性格って言うの! それも含めてあんたなんだから良いじゃんそれで!」

マリナー「っていうか! あんた達ってスーパー幼馴染なんでしょ!? それだけ一緒にいて感じる気持ちは絶対本物だからもっと自信持ちなって!」

マリナー「それに、私の見立てでは侑はあんたの告白を100%断らないよ! 今すぐ気持ちを伝えるべきだって!」

歩夢「はは。そう、だといいんですけど……」

マリナー「おっと? その口調は信じてないね? OK! じゃあ私の秘密を教えてあげる!」

歩夢「ええ?」
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:53:41.92 ID:chBBDqZB0

マリナー「あんた達がここに来た時、うちの艦長に会ったでしょ? あれ実は私のママなの」

歩夢「そうなんですか? え? でも何で秘密にしてるんですか?」

マリナー「だって艦長の娘だからって周りから特別扱いされるのはまっぴら御免! バレたら誰も私に[ピー]ソビッチって言わなくなるよ!」

マリナー「とにかく、上官のケツ舐めしてる連中におべっか使われるなんてお断り!」

マリナー「これ絶対秘密だからね! 誰にも喋っちゃダメ。ただし」

マリナー「もしあんたが侑にフラれたら、腹いせにこの秘密を艦内に言いふらしていいよ」

歩夢「マリナーさん」

マリナー「まっ、そうはならないけどね! 私の見立てを信じなって!」

歩夢「ふふっ、ありがとうございます」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:56:14.98 ID:chBBDqZB0

マリナー「お、ようやく笑ってくれたね。侑以外の人と話してるときに」

歩夢「え、そんなに私笑ってなかったですか」

マリナー「あんたは巧妙に隠してるつもりだろうけどね。私にはお見通し。何てったってスーパー少尉だから」

歩夢「うう……恥ずかしい……」

プシュゥゥゥ

侑「あ、歩夢。マリナーさん」
 
テンディ「ハァイ、マリナーもここにいたのね」

歩夢「おかえり侑ちゃん」

マリナー「よっ! 一応、歩夢と話してみたよ。まぁ役に立てたかはわからないけど……」

歩夢「いえ……少し楽になりました……胸に溜めてたこと言えたから」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:58:06.67 ID:chBBDqZB0

歩夢「不思議だけど、親しい仲間よりも会ったばかりの人の方が言えることもあるんだね」

侑「えー、どんな話してたの?」

マリナー「守秘義務ってやつだよ! でも、こんな状況でも歩夢の悩みは、あんたなんだねぇ、侑」

侑「え?」

歩夢「もー! 言わないでくださいよマリナーさん!」

マリナー「ごめんって! あー、でも私、本物のカウンセラーじゃないから守秘義務もなかった〜ってことで」

侑「あ! じゃあ、歩夢も少し元気になったみたいなので、今日のランチ皆でどうですか? 食堂で!」 

マリナー「いいね! よし行こう行こう!」

テンディ「あー! 私も女子会で盛り上がってガールズトークやりたーい!」

57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/05/02(日) 23:59:54.42 ID:chBBDqZB0


〜艦内通路〜



テンディ「そうホントなのー! その人、私の目の前でアセンションしちゃったのよー!? しかもキスしてる最中に! 宇宙は巨大なコアラの背中の上で均衡を保っているとか言ってたの!」

侑「いやいや意味わかんないですって! そんなことあるんですかぁ!?」

マリナー「宇宙は広いからねー! あんた達を一度、Qに会わせてみたいよ!」

テンディ「いやぁ……それはやめておいた方がいいんじゃない?」

侑「Qってなに?」

歩夢「アルファベットじゃない?」

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