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【ウマ娘】トレーナー「なんかループしてね?」【安価】

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515 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 14:37:14.80 ID:7nVrBzQPO
undefined
516 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 14:39:07.74 ID:7nVrBzQPO
>>514
作戦ごとに能力値の補正があるので、一概にどの能力値を上げても勝てるとは言い難い――と思います。特に作戦による補正は固定値ではなく倍数なので……。
517 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 14:40:03.23 ID:7nVrBzQPO

―――

――12月25日。それはトレセン学園が最も騒がしくなる日の一つだ。


 生徒会主催で行われるクリスマスイベントを始め、学内の生徒がそれぞれクリスマスにちなんだ物を持ち込んでパーティーが開かれるためだ。

 無論トレーナーもそれらのイベントに参加することはあるが――俺にとっては無縁な話だ。

 ナイスネイチャとの皐月賞でのバトルが決まってからというもの、通常業務と研究という大きなふたつのタスクが重なり、まさしく火の車。

 ただでさえ遅れがちな通常業務を今のうちにこなしておかなければ、担当ウマ娘の成績不振以前に業務不適当で解雇されかねない。

 という訳で、今日は業務デーである。マヤノもクリスマスパーティーに出席しているのか、今日はトレーナー室に来てないし。

 マヤノがいないとトレーナー室は静かで、仕事にとても集中することが出来そうだ。

 眠気覚ましのコーヒー、糖分補給用のマシュマロを用意するともっと完璧になってしまった。

 よし、仕事を片付けるぞ――! ……と意気込んだのはいいのだが。

 なんだか落ち着かない。気がソワソワして、仕事が手につかないのだ。1体どうしてしまったんだろう。

 そうだ、音が足りないのであれば、何かの動画を見ながら作業をやればいい話ではないか。早速動画サイトを開き、雨音を垂れ流す動画を流して作業に戻る。

 ……。やはり何故か集中できない。どう足掻いても集中できない。一体何が俺をそうさせたのだろう――。
518 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 14:41:01.36 ID:7nVrBzQPO
 ふと聞こえてくるクリスマスパーティーの喧騒。まだまだ昼だと言うのに盛り上がっているようだ。

 マヤノもあの輪の中に入って、存分に楽しんでいることだろう。はしゃぎすぎて年明けのトレーニングに影響が出なければいいが――。

 ふとそう考えた時に、仕事が手につかない理由が理解出来た。


――マヤノの騒がしさが足りないのだ。


 あの騒がしさに慣れてしまったのでは、こんな静かな環境でまともな仕事などできやしない。

 いつの間にか近くにマヤノが居る生活に慣れてしまっていた。気付いてしまえば、ずきりと胸が痛む。

 この先も戦いは続く。URAファイナルズに進むまでにも、日本ダービーや天皇賞なども達成目標に必ず入ってくる。

 運命という言葉が脳裏に響く。――それもただの運命ではない。離別の運命だ。

 年が開ければ、戦いはまた幕を開ける。それも苛烈な。

 共にいる年月を重ねる度に失う苦しみは増していく。俺も、そしてマヤノも。今感じている物足りなさも、俺が無意識にマヤノとの時間をもっと過ごしたいと思っているから――そう考えれば納得出来る。

 苦しい。この苦しみから逃げることが出来ればどれだけ楽だろうか。……俺は頑張ったんじゃないか?

 そう考えると、途端に自分のやってきたことが全て妥協のターニングポイントとして収束した。

 4着とはいえマヤノのメイクデビューを華々しく飾った、京都ジュニアステークスでは1着を取らせた。

 俺より才覚に優るトレーナーとの対戦についても、しっかりとした作戦を練って、マヤノへ伝えた。


――そうだ、俺は頑張った。


 だから少しくらい……休みたくなった。誰もいないところで、誰にも触れられず、深い闇の底で。


――そして俺は、トレセン学園を後にした。
519 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 15:18:30.17 ID:7nVrBzQPO
undefined
520 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 15:19:08.99 ID:7nVrBzQPO

―――

「――できた!」


 トレーナーが執務に励んでいるころ、マヤノトップガンの姿はトレセン学園の厨房にあった。

 周囲では生徒会主催のクリスマスパーティーの準備が慌ただしく行われているが、その喧騒とマヤノトップガンは切り離されていた。

 マヤノトップガンは、そもそも生徒会のクリスマスパーティーに参加するつもりはなかった。

 今年1年の感謝をトレーナーに伝えるべく、同じ志を持った同志――ナイスネイチャと共にケーキを作っていた。

 時刻は昼。スポンジの焼き上がりは上場で、厨房には仄かに香ばしい香りが漂う。周辺のウマ娘たちは、彼女たちが焼き上げるケーキに興味津々だ。


「あっ、このケーキはトレーナーちゃんに渡すのだからあげないよ……!」
「そゆこと。あっちで料理班がケーキ作ってるから、欲しかったらあっちにたかりに行きなさいな〜」


 マヤノトップガンが固辞し、ナイスネイチャが扇動する。トレーナー用クリスマスケーキの防備は完璧だと言える。

 ライバル関係の2人ではあるが、トレーナーに対しての感謝の念はウマ娘共通。お互いがお互いの作戦遂行のため、総力を上げて事態の完遂へ動いていた。
521 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 15:19:53.17 ID:7nVrBzQPO


「あとはクリームを塗って冷蔵庫に保管しておくだけだね〜」
「うん! マヤの特性クリスマスケーキ、トレーナーちゃんは喜んでくれるかなぁ」
「そりゃぁあれだけおアツいトレーナーさんなら喜んでくれますって。そう心配なされまするな〜」
「そうだよね!」


 マヤノトップガンは信じて疑わなかった。今まであれだけ自分を助けてくれたのはトレーナーで、あれだけ望む言葉を言ってくれたのもトレーナーだ。

 きっと今回も、かけて欲しい言葉を言い当ててくれるに違いない――。重ねるが、マヤノトップガンはそのことを信じて疑わなかった。


「そういえば、マヤノはトレーナーさんに今日の夜のこと伝えてる?」
「ううん。今日の夜のイベントはサプライズなんだー」
「あー。なんだ、その――伝えておいた方がいいかもよ。トレーナーさんたちって大人だから、この時期に飲み会とかあったりするかもだし」
「――! マヤ・ランディーング!!」


 颯爽とかけ出すマヤノトップガン。それを見送るナイスネイチャ。ウマ娘の間では微笑ましく彼女らを見守る空気が生まれつつあった――。

 だが。


「トレーナーちゃーん、いる?」


 その日、ウマ娘たちの微笑ましげな表情は全て。


「……トレーナー、ちゃん?」


 冬の寒さに、凍り付いた――。
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 15:43:19.94 ID:tIZBJfY0o
こんな時にどこ行ってるんですかね(怒)
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 16:09:16.23 ID:xSyDNwBE0
いくら梅雨だからって湿気強くない?靄か霧だよ
524 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:09:40.88 ID:XuW6VRWq0
チラ裏案件かもしれませんが、少し長めに続きます。
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 16:15:35.96 ID:pJwnzC+O0
バッチこーいよ!(マルゼン感)
526 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:32:05.14 ID:XuW6VRWq0

 息が切れて、視界が少しぼやける。

 霞む視界に僅かに映るコンクリートの無機質さが、余計に孤独を誇張してくる。

 どれだけ走っても俺の孤独は緩解せず、遅効性の毒のように体に回っていく。――それは思考が鈍り、心が凍る致死性の猛毒だと、思う。

 思えば二度目のループからそうだった。俺は落ち込みやすいし、元気になりやすい人間だ。そう思い込んでいるだけだった。

 本当は、もっと気丈な人間だった。簡単に落ち込むことはないし、落ち込んだら落ち込んだでそれなりの期間を経たのちに元気になる――普通の大人だったはずだ。

 だが、こんな人間になってしまった。その理由は、今となっては明白だった。
527 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:32:35.57 ID:XuW6VRWq0
――どこまで行っても、俺は孤独だった。


 スペシャルウィークは気丈なウマ娘だった。どれだけ絶望しても這い上がるほどの根性を持っていた。それは俺にとって、あまりにも眩しい星の光だった。

 ツインターボは溌溂としたウマ娘だった。どんな困難にもめげずに突撃していく様は、まさしく天性の努力家だと思えた。それは俺にとって、手の届かない風だった。

 マヤノトップガンは天才肌のウマ娘だった。どんな些細な兆候も見逃さず、自分の力に変えていく様は、まさしく天性の才能を感じさせた、それは俺にとって、追いつくことのできない夕陽だった。

 それぞれがそれぞれ、俺を上回る存在だった。だから俺は彼女たちを支えようと努力した。――だから俺は孤独だった。

 彼女らは、確かに俺のことを慕ってくれていたのかもしれない。俺のことを理解しようとしてくれていたかもしれない。でも、それは絶対に出来ない。胸中で管を巻く諦念が、絶望が、真の意味で彼女たちには理解が出来ない。

 むしろ今まで考えてこなかった方が異常なのだ。何度繰り返されるかもわからないループ。才に勝る桐生院ならまだしも、俺のような木端がループしたところで――本当に結果が出るなんて思えなかった。

 自信なんて最初からなかった。トレセン学園に入ってからだって、俺はずっとずっと劣等感を覚えていた。ハッピーミークを確立された理論で育成する桐生院トレーナーのような知識も、控えめな目標を持っていたナイスネイチャをあそこまで育て上げた手腕も。

 この不安がわかる人間などどこにもいない。この焦りがわかる人間などどこにもいない。この絶望がわかる人間などどこにもいない。この停滞がわかる人間などどこにもいない。――酩酊できるのであれば、もうこの世界を認識できないほどの酔いで好みを満たしたいくらいに。
528 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:34:33.99 ID:XuW6VRWq0
 闇は濃い。夜よりも。影よりも。まして海の底よりも。俺は孤独だった。

 暖かさに触れるたび、その温かさを無意識に遠ざけたがっていたのも、温かさに触れることで孤独感を余計に助長されたからだ。胸が痛むたび、俺と彼女たちは乖離した存在なのだと思い知った。

 きっとこの思いも、この夜が降りやむ頃には胸の奥にしまわれるんだろう。そしてまた始まる。彼女たちの所作に、言動に一喜一憂して。彼女たちを無意識に遠ざけて。苦しんで悩んで落ち込んで悔やんで――打ちひしがれるのを首を差し出すように待つ日々が。

 俺は人間。

 人間だ。

 誰しもが思うような、主人公じゃない。

 いいとこ脇役で、下手すればモブ――。

 いっそ、この体が操り糸によって操作されるマリオネットであればいい。

 そうしたら、きっと。俺はもっと楽になれるはずだ。全知全能の神が、このクソったれな物語を終わらせてくれるはずだ。

 なんだか、目を閉じるだけでそうなりそうな気がして。俺は目を閉じようと思った。
529 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:35:43.84 ID:XuW6VRWq0



「こんな思いをするなら、トレーナーになんか――」



530 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:38:32.32 ID:XuW6VRWq0



「――厳禁ッ! それ以上の言葉は言わせない!」


531 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 16:39:10.67 ID:XuW6VRWq0
 目を閉じる前、俺の肩を掴んだのは――小さな影だった。
532 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:08:20.36 ID:XuW6VRWq0
「――秋川理事長」

 こちらを睨むように見上げていたのは、秋川やよいさん――トレセン学園の理事長だった。
 
「悲歎、悲歎悲歎悲歎――ッ! 何故君がそんなことを言うのか、私にはわからないっ」
「……理解できるはずないじゃないですか、そもそもなんですかいきなり」
「解答っ。君がなんだかただならぬ様子で走り去っていく様を、たづなが目撃していた!」


 確かに、あの時は脇目も振らずに走り出していた。誰かに見られていてもおかしくはないだろう。

 それを聞いてわざわざ追い掛けてくれるとは、ずいぶんと理事長はお暇なのだろう。


「……で、用件はなんですか」
「愚問っ! 君の様子が心配だった!」
「俺の心配なんてせずに、ウマ娘たちの心配をするべきでは?」


 俺の言葉に、理事長は目を吊り上げて反応する。普段はウマ娘たちに対する愛情が深く、このような表情は見ないものだから――少し驚いた。

 やがて理事長は、懐から扇子を取り出すと、俺の方へと向けた。


「……不明っ。君はウマ娘にとってのトレーナーが何なのかをわかっていないのか……?」
「ウマ娘にとってトレーナーとは一蓮托生の存在。それがお忙しい理事長が俺みたいな木端に構ってる理由ですか?」
「肯定ッ! それがわかっているのであれば、何故――」
533 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:16:56.75 ID:XuW6VRWq0



 何故? そんなの、そんなの――。


534 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:17:48.53 ID:XuW6VRWq0



「――んなこと決まり切ってんだろうが! 相応しくないんだ、俺はッ! あの子たちにッ!」


535 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:18:30.75 ID:XuW6VRWq0
 堰が壊れて、もう止まらない。とめどない激情は、臓腑から胃に登って、口から吐き出される。


「俺はあの子たちにふさわしくない! それはどこの誰が否定しようと絶対の真実だ! ほかの才能あふれるトレーナーが面倒を見ていれば、今頃もっと大きな舞台に立っていた! そもそもメイクデビューから最後尾なんてことにはならなかったッ!」

「何を、君の担当ウマ娘は――」

「四着だ、だから何だ――! マヤノの潜在的ポテンシャルは四着で終わるものじゃなかった! それを台無しにしたのはほかでもない俺だ! スペシャルウィークだって、ツインターボだって――俺がいなきゃあんなに可哀そうなことにはなってなかった! 輝かしい未来が待っていた、GTレースなんて簡単に優勝して、優駿の頂点に立つべき子たちだった――ッ!」
536 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:22:59.50 ID:XuW6VRWq0
「……」

「なのに俺は、俺は――彼女たちの未来を踏みにじった! ウマ娘のためのトレーナーなのに、いつしか俺は自分のことばかり考えていた。ループしなければいいとか、もう負けたくないとか……ッ!」

「……? 疑問ッ。ループとは――」

「もう……もう嫌なんだ……。俺はウマ娘のことが好きで、ウマ娘たちが輝けるようにサポートしたくてトレーナーになったはずなのに、自分のせいでウマ娘のことを道具のようにしか思えなくなってくるのが……! ループだのなんだのと理由を付けて、そんな自分を正当化するのが――」

「……トレーナー君」

「――なぁ理事長……教えてくれよ。どうしたらいい? 俺は本当に……本当にトレーナーでいていいのか……?」


 この一言を絞り出すために、俺はどれだけの鬱屈とした感情を吐き出さなければならなかったのだろう。

 この感情を、今でさえ言葉に出来ない暗澹たる感情を、どのように言葉にしたらいいのだろう。

 何もわからない、何も――。

 俺の総ては理解されない。――なんか、もう理解もされたくない。
537 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:43:03.92 ID:XuW6VRWq0

――で、あるならば。回答は彼女にとって容易だった。


「笑止ッ!! 己を――君を信じたウマ娘たちを愚弄するなァぁぁああああッ!」


 怒髪冠を衝く。その叫びが、心からの願いが、篠突く雨を震わせた。


「否定ッ、否定否定否定ッ――! 限界を決めつけるなッ! 君を否定するなッ! トレーナーの意義を否定するなッ! 何より――」


――ウマ娘たちの思いを決めつけるな――ッ!


 咆哮は轟き、周囲の視線を集める。だが、それでも秋川やよいは止まらない。止まるはずもない。――トレーナーのその言葉は、最上の侮辱だ。

 トレーナーを信じて戦う全てのウマ娘たちへの、最低最悪の侮辱だから。
538 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 17:45:49.48 ID:XuW6VRWq0
「何故君はウマ娘たちが走ると思う?! 答えろ、トレーナー!」
「…………。彼女たちの夢の為?」
「ああそうだ、彼女たちの夢のために走っているッ! 決して君たちトレーナーの為なんかではないッ! それは要素の一つでしかなく、本質は――夢への遁走にこそあるッ! だが同時に信じてもいるッ! 夢の共犯者が、常に自らの傍で支えてくれているのだと……」
「君は見誤っている、ウマ娘という存在を……いや、人の決意という気高い意思を――ッ!」


 ウマ娘がトレーナーのために走りたいと思うのは、彼らが夢を駆ける仲間になるからだ。むろん夢は必ずかなうわけではない。どこかで挫折し、時には敗北し、あるいは絶望を覚えることだってあるだろう。

 このトレーナーはそれらの総てを否定した。挫折を繰り返し強くなったウマ娘を、己の可能性を見限り諦め、しかし絶対に見返してやると意気込んで実際に見返したウマ娘を。

 ただならぬ事情があるのは秋川にも理解できた。先ほど出てきたループという言葉もそうだが、彼が、先ほどの慟哭以上の感情を胸中に抱えているのは察するに余りある。――そして、彼がどれだけ、ウマ娘を愛しているのかも。……だから本質的に、彼がウマ娘をモノ扱いすることは、まずないようにも思えた。
539 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 18:00:23.02 ID:XuW6VRWq0

「理解ッ……。君が抱えているものは、恐らく誰にも理解されない」
「だったら……」
「因果、故に君は――"理解されないから"と、君の抱えるものを"決めつけ"、それは明かしてはならないものだと"決めつけ"、ウマ娘もそんな思いを乗せて走ることはできまいと――"決めつけている"」
「……」
「……それらが変化することを君は恐れている。それが、君のいうところの"孤独"だ。未知からくる恐怖だよ、それは」


 彼が恐れているものは、恐らく"孤独"ではない。その先にあるものだ。……秋川はなんとなく、そう思った。

 変化だ。――彼が恐れているのは、全てにおいて変化だ。

 自分がウマ娘をモノ扱いするかもしれないという、忌避すべき価値観への、変化。

 ループという現象が発生して、それがウマ娘を壊してしまわないかという、変化。

 それに――自分を慕ってくれているウマ娘が苦しむという、変化。

 変わっていくことに、変遷することに、彼は恐怖している。

 ……彼は、変わっていくものの中に、変わらないものが残ることを知らない。

 秋川は、彼が酷く――哀れな存在に見えた。

 そして、同時に理解する。秋川の言葉では、彼はきっと納得しきれない、という事を。


「――肯定。トレーナーをやめるというのであれば、それもいいだろう。しかしッ、その前にトレーナー室に向かってから決めろッ!」
「……トレーナー室?」
「称賛っ。君は君が思うよりも――素晴らしいトレーナーだ。だから見誤るな。迷ってもいい。だから……変化を恐れないでほしい。同時に、変わらないものを見つけてほしい」


「――安寧。君の悩みの答えは、いつだって君の傍にある」
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 18:08:01.72 ID:W+Z4tfzVo
理事長熱い
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 18:16:20.86 ID:tIZBJfY0o
さすがの大種牡馬さん(未確定情報)やで
542 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 18:17:47.45 ID:XuW6VRWq0
「……とは言われたが」


 変化を恐れるな、と言われたところで、怖いものは怖い。

 変わってしまえば、連鎖的にすべてが変わっていく。それは恐ろしいことだ。

 俺がループすること、そしてその時マヤノ以外から記憶がなくなってしまうのを知ってしまえば、マヤノはきっと走れない。

 ……ああ、これが決めつけなのかもしれないな。

―――

 まだまだ発展途上、だな。誰かに併走してもらえれば、実力も上がるのかもしれないが……。

 彼女の適正はマイルや中距離。長距離では彼女自慢のスピードも、異次元のノビもどこまで通用するかわからない。もしかすると通用しないかもしれない。

 全力で走っているように見えるけど、案外繊細なスピードトレーニングだ……。そのあり方が常にターボを全力に見せているのかもしれないが、その実、内面はあまり強くないのかもしれない――。

 ……純粋に、彼女のコンディションの面倒を見るトレーナーがいなかっただけ、なのかもしれないな。

 それに――こうしてマヤノと触れ合える時間もこれが最後となるかもしれない。

―――

 思えば、たくさんの決めつけをしてきた。中には良い考え方もあっただろう。だが――それらすべてが変遷することを恐れていた、と言われれば、耳を塞ぎたくなる。

 図星、という事なのだろうか。


「……? トレーナー室に光が?」


 夜も10時を越している。おそらくは寮の門限もとっくに過ぎている――という事は、ウマ娘ではないはず。……これも決めつけか。

 とにかく誰かがいる。誰なのかはわからないが――その中に居る人物こそ、恐らく秋川理事長が言っていた言葉の理由となる。


「……でも、なんでだろうな、扉を開けるとなると――少し緊張するな」


 手が震える。でも、踏み出さなければ――始まることはない。


「……そうだ、こういう時こそ、神頼み……ってね。自分の意思で空けるのが難しいなら――使えるものは何でも使おう。どうせ、これが俺のトレーナーとしての最後だ」


 祈りは形となり、願いは力となる。

―――

下1 扉を開きますか?
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 18:25:42.49 ID:tIZBJfY0o
開けない理由がない!
開ける!
544 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/28(月) 21:02:42.29 ID:XuW6VRWq0
自慰行為ともとれる物語展開にお付き合いいただき、切に感謝いたします――。
更新は少々お待ちください。
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 21:06:13.13 ID:NAMgj3T2o
トレーナー曇らせまで頂けるこっちが感謝感謝です
理事長プレイアブル化はよはよ
546 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 01:38:01.38 ID:N44xGpXe0
所要で更新できずすみません……! ゆっくりと更新していきます
―――

――扉を開け、と頭の中で誰かが囁く。


 この声にそのまま従うのは癪だが、しかし俺もトレーナー室に誰がいるのか気になる。

 予測は出来ているが――だが、見ないわけにもいかない。

 何が起こるかわからない。でも仮に何か起こったら、脳裏に響く声のせいにしてしまおう――。

 まるでリビングの扉を開くような軽さで、少し湿った手でドアノブをひねる。


「……マヤノ?」
「……ん……すぅ……」


 机に突っ伏して眠っているのは、担当ウマ娘――マヤノトップガンだった。エプロンを着ており、その下は制服だ。……あんな格好で眠ってしまっては、制服がしわになってしまう。

 直してあげなければ、と一瞬思う。でも、もう彼女のトレーナーをやめようとしている俺に、触れる権利などあるのだろうか? いや、きっとない。

 そもそもマヤノと話す権利すらなく、マヤノと同じ部屋にいることすら本来はあってはならないことだ。それが許されている理由は一つとしてなく、俺をこの部屋に留めている理由は"かつてのトレーナーだったから"という矜持だけだった。

 トレーナー室に答えがあるといっていた理事長の言葉は恐らく真実だ。正直、この展開は透けて見えていた。なぜなら、そもそもトレーナー室に入る関係者などマヤノ以外にいなかった。

 ……じゃあ、なんでマヤノと関わる権利などないと思っているのに、俺は彼女がいることが見え透いている部屋に入ったのだろうか。

 答えは簡単だ。事ここに至って俺は――マヤノが引き留めてくれるかもしれないと期待していたんだ。

 マヤノが俺を許してくれれば、きっと俺はまだトレーナーを続けざるを得なくなる。いやいやながら……いや、本当はそれこそが望んでいる展開だった。

 悪魔のような浅はかさだった。俺は他者肯定にしか存在できない、とても愚かな存在だったのだ。

 そうだ、俺はもうここにいてはいけない。俺の勝手な妄想の中で済ませるのは誰にも迷惑をかけないが、それを外に出したり、妄想の影響を他者に与えてしまうのは明確な干渉だ。

 踵を返して、扉へと手をかける。呼吸が早まり、足が鉛のように重い。自意識などこんなに弱くて、逃げることすらできないほどに脆弱だ。マヤノから――ウマ娘へ背を向けることが、本当に恐ろしい。

 ふと、そんな俺の袖が――掴まれた。
547 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 02:14:13.69 ID:N44xGpXe0
「トレーナー、ちゃん?」
「……マヤ、ノ」
「……えへへ、帰ってくるの遅いよぉ。マヤ、ずーっと、トレーナーちゃんのこと待ってたんだよ?」


 眠気にふやける瞳で、マヤノは俺に笑いかけてくる。その笑顔がとても眩しくて、俺は思わず目を背けた。そんな目で俺を見ないでくれ、そんな声を俺にかけないでくれ――と。

 だが、マヤノがその程度で止まるウマ娘ではないことも同時に理解していた。――理解していたが、何故だか俺はそれを無視していた。だから、もっと強い言葉を使うべきだという理性故の思考は切って捨てられた。


「……すまんマヤノ、俺は――」
「――トレーナー、やめちゃうの?」


 言葉より早く、俺は視線を跳ね上げる。その先には、今にも泣きそうな表情を浮かべているマヤノの姿があった。


「どうして? マヤ、何か悪いことしちゃった……?」
「……そうじゃない」
「ひょっとしてベタベタするのが嫌だった……? それとも、マヤがお仕事中にもずっと近くにいたから疲れちゃった……?」
「……違う」
「……。じゃあ……マヤが、マヤが弱かったから……?」
「――違う! 違うんだ、マヤノ……君のせいじゃないんだよ……」
548 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 02:18:19.70 ID:N44xGpXe0
 君のせいじゃない。

 悪いのは、俺だ。本当はこんなところにいるべきではなくて、もっと早く立ち去るべきだったのに立ち去らなかった俺のせいなんだ。

 君がメイクデビューで一着を取れなかったのも、もっと高いところを目指せなかったのも、全部全部――俺のせいなんだ。

 本当はそんなことを言いたかった。でも、どうしても言葉が詰まって出てこない。まるで俺が、その発言を拒んでしまっているかのように。


「……じゃあ、なんでトレーナーちゃんはそんなこと言っちゃうの……? マヤ、トレーナーちゃんと一緒にたくさんレース走りたいよ……!」
「……俺が、俺が悪いんだ」
「……トレーナーちゃん」


 マヤノがそう言った。こちらへ近づいてくる。一歩下がる。一歩近づく――。

 繰り返しの後、背後にもう退路がないことに気が付いた。トレーナー室の壁の冷たさが、背中に染みる。

 マヤノがどんどんと近づいてきて、俺はその場から少しでも逃げ出したくてへたり落ちる。でも下がれなくて――俺はマヤノを見上げる形になった。

 何処までも透き通る黄金の瞳が、俺のことを見た。たったそれだけで、金縛りみたいに動けなくなる。


「トレーナーちゃん、なんで何も言ってくれないの……? 俺が悪いって――話してくれなきゃわかんないよ! なんでトレーナーちゃんがそんなに思い詰めてるのか、マヤにはわかんないよ……」
「……」
「……レースの前、ずっと不安そうだったのが理由? ずーっと、何かに怯えてた……。それが、トレーナーちゃんをこうしちゃった理由? マヤがどれだけ"勝つよ!"っていっても、それでも震えてたのが……トレーナーちゃんをこうしちゃったの……?」
「それは……」
「マヤはね、トレーナーちゃんがいつか話してくれるって思ってたんだ。なんでそんなに怖がってるのかって。……マヤが勝ち続ければ、もう負けないぞって証明できれば、いつか、いつか話してくれるって思ってた」


 ……無理だ。マヤノが勝ち続ければ勝ち続けるほど、俺はきっと言い出しにくくなる。マヤノの走りが鈍ってしまうと思い込んで、何も言えなくなってしまう。

 そもそも、話したところで嘘だと思われる。この世界の何処に「僕はループしていて、目標を達成できないと無限に繰り返してしまうんです」と言って信じる人間がいるんだろうか。

 SF世界の住民ではない。この世界の人たちは、地に足をつけて生きている。何を話しても無駄で、だからこそ俺は真の意味で孤独を感じていた。

 そして仮に話した結果それが信じられても、俺に対する当たり方が違ってくるかもしれないと思うと、なかなか言い出せなかった。――今なら認めてやってもいい。秋川理事長のいう事は悉く正解だったさ。
549 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 02:50:48.25 ID:N44xGpXe0
 だから、俺はマヤノには事情を話すことができない。


「……でも、話してくれなかった。そして今も、話してはくれないんだよね……?」

「……。マヤノになら話してもいいかなって思った時はあった。本当に、ちょっとだけ。でも話してどんなことが起こるかわからなかったから話せなかった。マヤノの走りが鈍ったり、走れなくなったりするのが怖かった。――そうなると、いよいよ本当に言い逃れできなくなるから」

「言い逃れ?」

「ああ、言い逃れだ。俺という存在がマヤノを翳らせているという事を理解したくなかった。逃げ道が欲しくて――おあつらえ向きの逃げ道があった、それだけの話だ」

「……それって、トレーナーちゃんは……マヤのことを信じられなかった、ってこと……?」


 そう言われて、俺は即座に違うと返すべきだった。……だが返せなかった。

 事実だ。何処までも真実だった。俺はマヤノのことを――ひいてはツインターボやスペシャルウィークのことを真に信用していなかった。

 信用しているならばこの不安についても話せたかもしれない。信頼しているならば、この絶望を分け合えたかもしれない。でも、それが出来ないほどに俺の心は弱っていて、そしてループの条件は凡百のトレーナーである俺には難しいと呼べるものだった。

 ふさぎこんだ理由は、それだけで十分だった。
550 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 02:51:57.22 ID:N44xGpXe0

「……だったら、トレーナーちゃんはどうしたらマヤのことを信用してくれる……?」

「難しい……と思う」

「……。どうして?」

「それは言えない」

「どうして言えないの?」

「それは……」

「――答えてよ、トレーナーちゃん! マヤは、マヤはトレーナーちゃんのことを信じて走り続けてきた! でも、急に信じられないって、そんなのあんまりだよ……。マヤは、マヤは、トレーナーちゃんが一緒に走り続けてくれるから走れたのに………。最初から全部嘘だったのなら、嘘だって早く言ってほしかったよ、トレーナーちゃん……」

「……っ! 嘘なんかじゃ――」

「もう、マヤ疲れちゃった。ね、トレーナーちゃん……。マヤはトレーナーちゃんにあんまりめーわくをかけないようにいい子にしてた。でもね、本当はもっともっとトレーナーちゃんとやりたいことがあったんだよ。一緒にお菓子作ったりとか、一緒に遊びに行ったりとか――」

「今ある思い出だけじゃ足りなかったんだよ。ブライアンさんのレースを見に行っていっぱいお話したことも、レースの後に興奮しちゃって抱き着いてたづなさんに怒られちゃったことも、海岸デートしていっぱいお話したことも、京都で他の子たちよりも頑張って一着を取って、トレーナーちゃんと一緒に喜んだこと、ネイチャちゃんがライバルになるからって無理して研究してそれを心配してたことも――。本当に大好きな思い出たちだったんだよ。もっともっとたくさんの大好きを作って――変なことがあったら笑いあって、悲しいことがあったら一緒に泣いて、一緒に喜んで、楽しんで、歩きたかったんだよ」

「我慢してた。だって、トレーナーちゃんは、マヤのために働いてくれてるんだって思ったら、これ以上望むのはめーわくになるから」


 気付けば、俺のズボンに大きなシミが出来ていた。それが、俺の脚を掴むマヤノの涙でできていたことは、確認しなくてもわかった。


「――ねぇトレーナーちゃん。嘘じゃないんだったら、トレーナーちゃんにとって、マヤとの思い出ってなんだったの……? マヤは思い出があるからトレーナーちゃんのことを信じれたし、頑張れた。でもトレーナーちゃんは……これでも信じられないって、マヤには話せないって言ってて……」

「それって、すごく悲しいよ……。なんか、マヤが一人ぼっちになっちゃったみたいで、寂しいよ、
トレーナーちゃん……」
551 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 03:36:41.75 ID:N44xGpXe0
―――

 寂しい。その言葉を聞いた時、まるで頭を殴られたような衝撃を覚えた。

 俺は孤独だ。正しく孤独だった。俺は凡人だ。正しく凡人だった。だから人に関わることは得意ではないし、関わってはならないとすら思っていた。――人に干渉して、その結果変わってしまったらと思うと恐ろしかったから。

 だから、何も話さないことが正解だと思った。職業が職業だから、ウマ娘とは仲を紡ぐことが大事だし、そこだけはきちんとこなすべきだとは思ったが、それ以上についてはやるつもりがなかった。

 それこそが最良だと思っていた。それこそが――彼女たちが望む道だと思っていた。

 でも、でも――目の前の光景を見て、それが確かだと言えなくなった。

 顔を覆って泣きじゃくるマヤノの姿はとても痛々しくて。とても――孤独だった。

 理解した。確かに俺は孤独だったけど、マヤノも独りぼっちだった。

 真に心を開かない俺のことをずっと心配している間、マヤノは独りぼっちだった。ずっと一緒にいる、ともに走ると誓っていたのに頑なに口を開かない俺を待っている間、ずっと独りぼっちだった。

 性質は確かに異なる。俺は環境が生んだ孤独で、マヤノは状況が生んだ孤独。でも、そこに何の差があるというのだろうか。寂しいという気持ちは、誰であっても変わらないものだというのに。

 ただ。ただたった一つ違うことがあるとするならば――マヤノは俺のことを信じていた。俺はマヤノのことを信じ切れていなかったのに。

 そのことが、ただただ痛い。でも、こんな痛みはマヤノの抱えていた痛みに比べればまだ優しい痛みだ。俺は――自分の状況を誰も理解してくれないと管を巻いて、絶えず発生する傷口を舐めていたが、マヤノは"待つ”――発生する傷口を真っ向から受け止め、それでも前を向いていた。


「……トレーナーちゃん?」


 そう考えると、心底嫌になった。こうして管を巻いている自分のことが。そして――今もなお傷付いているマヤノを、それでも放っておこうとした自分のことが――!

 こぶしを握って、それを強かに頬に打ち付ける。口の中が切れて、血の味が口いっぱいに広がる。目が覚めるような衝撃だった。裂傷が痛むが、そんなの関係ない。

 驚き目を見開くマヤノを――そんな資格はないけど、それでも俺は抱きしめた。細い体が冷え切っていて、触れる肌がとても冷たかった。暖房もつけずにこんな部屋にいたら当然だ。


「ごめん、マヤノ――!」
「え、え……?」
「俺は、自分の孤独にばっかり目を向けていて――結果的にマヤノのことを独りぼっちにしてしまった!」


 力強く、どこまでも力強くマヤノを抱きしめる。


「話しても信じてくれないと思ってた! 話したらマヤノがもっとつらい目に合うと思ってた! でも、でも……それがマヤノをもっと悲しませてたってことに、俺は気付いてなかった……」
「トレーナーちゃん……」
「マヤノ。やっぱり俺はお前のトレーナー失格だ」
「……そんなことない! だって、だってトレーナーちゃんは、マヤのことを頑張って育ててくれてた! 俺には何もない、って言いながらも、必死にあがいて、マヤのことを凄く考えてくれてた! だから、だから――」


 マヤノが、顔を胸にうずめて、小さく声を震わせる。煙のように消えそうな言葉で、たった一言呟いた。


「――だから、マヤのトレーナーは、トレーナーちゃん以外にありえないんだよ……!」


 マヤノはぎゅっと、服を掴んだ。……声だけじゃなくて、手も震えていた。いつもは元気に動いている耳も、尻尾もへたりこんでいた。その様子は、まるで捨てられてしまった子犬のようで。

 今更ながらに、自分が何をしてしまったのかを自覚する。これほど信じてくれた相手を切り捨てるような真似をした上に、あまつさえ泣かせてしまっている。

 真実を話しても許されることではないと思った。でも、それでもマヤノが認めてくれるのであれば、俺は彼女の隣にあり続けたいとも思う。見合わなくても、相応しくなくても。

 マヤノの信頼に応えたい。欠けてしまった信頼を取り戻したい。――そして何より、マヤノトップガンというウマ娘が駆ける夢を共に見ていたい。

 だから。


「俺は、マヤノのトレーナーになっていいのか……?」
「……マヤのトレーナーは、トレーナーちゃんしかいないんだから……! もう、もうぜったいに! 失格なんて言っちゃダメなんだから!」
「……ああ、ああ」
「だから、マヤから離れていかないで、嘘でも辞めるなんて言わないで……! ――ユー・コピー?」
「……。――アイ・コピー!」


 もう少し、もう少し秘密を話すのには時間が必要だと思う。でも、それでも――彼女が俺を信用してくれているように、俺もマヤノのことを信用したい。

 変化を恐れていては前に進めない。もう前には戻れないかもしれないけど――この先の道も、きっと悪くないって、なんとなくそう思えてきた。

 マヤノとともに歩くことで、俺はもっと、変化を恐れずに進むことができるようになる。

 ふと窓の外を見れば、雪が降り始めていた。――冷え冷えとした空気が満ちるが、不思議と寒くはなかった。……むしろ、少し暖かい。泣きたくなるほどに、暖かい空気が、瞳に満ちた――。
552 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 03:50:13.44 ID:N44xGpXe0
トレーナー「そういえば、マヤノはどうしてトレーナー室に居たんだ?」

マヤノ「……トレーナーちゃんに、クリスマスプレゼントを渡そうと思って」

トレーナー「……俺に?」

マヤノ「もう、ちょっと時間が過ぎちゃったかもしれないけど……クリスマスケーキをね、ネイチャちゃんと一緒に作ったんだ」

トレーナー「それで、俺に渡そうとトレーナー室に……」

マヤノ「うん。でも、時間が経ってぱさぱさに――」

トレーナー「これか?」

マヤノ「うん――って、トレーナーちゃん?! そんなに一気に食べたら喉がつまっちゃうよ〜!」

トレーナー「んぐ、あぐ……。うん、旨い――!」

マヤノ「ほんと……?」

トレーナー「マヤノが俺のことを想って作ってくれたものがまずい訳ないだろ? それに出来も丁寧で――何というか、愛情を感じる」

マヤノ「………いつもありがとうって、そう思って作ったケーキだったから、いまとっても嬉しい――!」

トレーナー「こちらこそ、いつもありがとうな」

マヤノ「えへへ、どういたしまして?」

トレーナー「……あのな、マヤノ。もしマヤノがよければだけど――年明け、どこかで一緒に過ごさないか?」

マヤノ「……え? ええ〜っ!?」

トレーナー「何というか、罪滅ぼしと言うか――。思い出作りたいって言ってただろ? だから、今まで作れなかった分、もっと作りたいな、と思ってだな。……いやだったか?」

マヤノ「いく、いく! いきます! はい! テイクオフはいつ?!」

トレーナー「……追って連絡するから、今日は帰って休めよ?」

マヤノ「アイ・コピー!」

トレーナー「……さて、ウマ娘と外泊するのは例がない訳ではないが難しい気もする――。まぁ、そこは、焚きつけてくれた人にお世話かけたついでに面倒見てもらうか。申し訳ないけど」

トレーナー「……あとで何か、お礼もっていかないとな」

―――

▼トレーナーの抱えるモノが消え去った。

▼トレーナースキル「共感覚」のヒントレベルが1上がった。

[共感覚]
真の意味でウマ娘と通じ合い、自身の持つ知識や経験などを余すことなく伝えることができる。
ウマ娘の所有する脚質、距離適性、スキルのヒントレベルを常に1上昇させる。
553 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/06/30(水) 03:51:03.20 ID:N44xGpXe0
―――

少しばかりお待たせしました。しばらくぶりの安価です。
何卒宜しくお願い致します。

下1 年明けをどこで過ごす?

―――
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 04:46:10.18 ID:kG7VsLBs0
初詣行っておせち食って散歩しながらいっぱい話す
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 04:51:31.17 ID:kG7VsLBs0
多かったら削ってくだち
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 08:16:05.38 ID:94hhJT60o
おつおつ
マヤとの関係性も一歩前進…?
これ本当にループ辛くなってきたな……でもそれも楽しみにしてしまう自分もいる
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 08:31:28.35 ID:UqDceANXO
皐月賞何がなんでも負けられなくなったな
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 11:04:57.90 ID:Joj/Khpxo
難易度高はどのくらいなのか(恐々)
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 11:28:50.31 ID:UqDceANXO
難易度中で2000が目標だったことを考えると難易度高の皐月賞は2500以上を要求されそう
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/30(水) 12:02:09.21 ID:WHz6hhVm0
原作でもそうだけど当然周りも時が経つと同じに成長するわけだから2500どころか3000くらい要求されるのでは
561 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/06/30(水) 14:29:27.52 ID:4yuz06gvO
難易度についてはある程度の基準があります。ただし、難易度の高い低いについては実数値で表している訳では無いので、多少差が発生します。

ここ数日はTRPGの予定が立て込んでいるので更新が遅くなるかもしれません。ご容赦を……。
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/01(木) 21:13:04.50 ID:iDWM8qKkO
このスレ、ゲーム以上に運が絡んでくるから余計に負けられないし、勝ったときの喜びが半端ないな
563 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/01(木) 21:39:13.68 ID:6xxdwZzC0
 あれから時間が過ぎて、12月は31日となっていた。
 
 例年は静かな年明けを過ごしていたのだが、今日は違う――。

 こたつに入って紅白を見ていると、ごそごそと何かが動いた。何度も試みられている以上、何をしたいのかはすでに理解していた。

 股を少し大きく、余裕を持って開けば、もぞもぞとしたそれは脚と足の間から顔を出す。


「トレーナーちゃん〜みかん〜」
「それくらい自分でむきなさい」
「え〜。でも、トレーナーちゃん今むいてるから……」
「なんで分かったんだ……?」


 ドヤ顔を浮かべ、マヤノはぴこぴこと耳を揺らした。……そういえば、ウマ娘の身体能力は人間の比ではなかった。みかんをむく僅かな音を聞き届けていたのだろう。
564 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 21:41:35.92 ID:6xxdwZzC0
 あれから時間が過ぎて、12月は31日となっていた。
 
 例年は静かな年明けを過ごしていたのだが、今日は違う――。

 こたつに入って紅白を見ていると、ごそごそと何かが動いた。何度も試みられている以上、何をしたいのかはすでに理解していた。

 股を少し大きく、余裕を持って開けば、もぞもぞとしたそれは脚と足の間から顔を出す。


「トレーナーちゃん〜みかん〜」
「それくらい自分でむきなさい」
「え〜。でも、トレーナーちゃん今むいてるから……」
「なんで分かったんだ……?」


 ドヤ顔を浮かべ、マヤノはぴこぴこと耳を揺らした。……そういえば、ウマ娘の身体能力は人間の比ではなかった。みかんをむく僅かな音を聞き届けていたのだろう。
565 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 21:43:20.48 ID:6xxdwZzC0
 切り取ったみかんの一切れをマヤノの口に持っていくと、ぱくり、と小さく口を開いて食べる。なんだか雛鳥の餌付けを思い出す光景だ。今の体勢からすると、どちらかというとマヤノは亀っぽく見えるが、それは置いといて。

 みかんを食べ終えたマヤノは、そのまま俺の体を掴んで、よじ登るように足の間にすっぽりと収まった。もぞもぞと僅かに動いて、最も収まりが良い場所に来ると尻尾をぱたり、と俺の太腿にかける。

 マヤノがそうなったら、彼女の頭を撫でる。それがなんとなく、直近のルーティーンになっていた。


「トレーナーちゃん、トレーナーちゃんって紅白派なんだ」
「……ん? ああ、いや。年末は特にテレビとか見てなかったし、どの番組を見なきゃいけない、ってわけじゃないよ。何というか、歌が一番無難かなって思っただけ」
「そっかー。マヤもあんまりテレビって見ないし……」
「今はスマホがあるもんな」
「ねー」


 マヤノの神を撫でるついでに、髪に指を通す。するりと指と指の間をすり抜ける髪の毛。いつだってマヤノの髪の毛は整えられていて、撫で心地が良い。かなり手入れされているのだろう。

 ふと、クリスマスプレゼントを渡していないことを思い出す。これだけ髪の毛が長ければ手入れも大変だろうし、少しでも楽になるものを選んで送ってあげようかな。


「トレーナーちゃんの撫で方って、あんまり上手くないよね」
「……。そう、なのか……?」
「マヤは好き! それに……上手かったらそれはそれでなんかヤだし……」
「……? よくわからんな……」
「あ、トレーナーちゃん! この人トレセン学園の先輩だよ!」


 そんな他愛ない会話を繰り返す。クリスマスの日の出来事なんて、もう影もないくらいにお互いの距離は近かった。
566 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 22:03:09.32 ID:6xxdwZzC0
「マヤノ」
「ん〜?」
「俺、いつかマヤノとお別れしなきゃいけないかも」
「……。そっか、やっぱりそうなんだね」


 何となく想像がついていた、とマヤノは小さく笑った。でも、この話を切り出した瞬間、マヤノの体が少し震えたのを俺は見逃さない。――想像は付いていても、実際に聞いてしまうとショックなんだろう。

 マヤノのことを安心させるように頭を撫でると、強張った体から力が抜けていった。こちらのことを見上げる瞳は――少し潤んでいた。

 大丈夫だよ、と小さく笑う。マヤノが落ち着くまで、ゆっくりと、彼女の絹のような髪の毛に手を通していく。撫で方はうまくないが、これが俺らしさだ。これが好きで、安心するといってくれたマヤノのことを想うなら、これが正解だ。
567 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 22:19:58.42 ID:6xxdwZzC0
「……落ち着いたか」
「うん」
「俺が抱えてたものは、簡単に言えば――"目標を達成しないとループする"という現象だ」
「……そっか。だからトレーナーちゃんは、最初からつらそうな顔をしてたんだね」
「わかってたか」
「マヤは何でも"わかっちゃう"んだから……。じゃあ、マヤは何人目のウマ娘なの?」
「――1回目がスペシャルウィーク、2回目がツインターボ、そして君が3回目だ」


 俺の脚の間に座るマヤノの表情は、よく見えない。ただ、声の調子でよくわかる。――これは、悔しそうなときの声だ。

 でも、それを発さないという事は――その感情は俺に隠したいものなのだろう。だったら、俺はつっつかない。伊達ではないが、もう10か月近く彼女と話してきた。……理由もなくマヤノが黙るはずがない。

 だから、静かに、静かに、俺はマヤノの言葉を待つ。
568 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 22:27:52.17 ID:6xxdwZzC0
「トレーナーちゃんは、さ。ずっと後悔してたんだよね。トレーナーちゃんがウマ娘の未来を潰しちゃったって」
「……その通りだ」
「でも、本当にそうなのかな――?」
「……と、言うと?」


 そういうと、マヤノが俺の手に手を重ねてきた。心細そうに、マヤノの小さくて暖かい手が俺の指に伸びてくる。こちらからくるむようにマヤノの手を握ると、マヤノの尻尾が僅かに揺れる。リラックスしているときのサインだ。


「トレーナーって、ウマ娘にとって……その、すごーく大切な存在なんだよ。ウマ娘のことを第一に考えてくれて、いつでもそばにいてくれて、どんな時でも味方でいてくれる。どんなに敵が居たって、トレーナーさえいてくれれば、なんかがんばれちゃう気がする――。ウマ娘にとっては大事な人なんだよ、トレーナーは」
「……わかる気がする。そんな人が近くにいたら、確かに安心だろうな」
「だから、どんな結果であっても、トレーナーちゃんが近くに居たんだったら、その子たちはすごくうれしかったんじゃないかなぁ。すごくひどい負け方をしたって、足を折りかけたって、隣に――一番の味方がいるんだよ。マヤだったら嬉しいって思う」
「マヤノは――マヤノは、俺が傍にいてよかったと思うか?」
「とーぜん。じゃなかったら、大みそかまで一緒に過ごさないよ〜」


 いつもの声で笑うマヤノ。緊張がほぐれてきたようで、心拍も元のバイタルに戻っていた。
569 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 22:30:31.05 ID:6xxdwZzC0
「だから、その子たちは――がんばろー、って思ったんじゃないかな」
「――。見捨てられた、とは思わないのか?」
「ううん。だって、一番の味方だよ……? 何か理由があっていなくなったんだ、って思う」


――そしてそれが多分、自分のせいなんだろうなって思う。

 マヤノの言葉を聞いているとき、俺の脳裏に浮かんだのはスペシャルウィークの姿だった。彼女は努力に努力を重ね、有馬記念の舞台に立った。もしかすると、その陰に"俺に対する後悔"があったとしたら――。

 とてもやるせない話だ。もう二度と会えないかもしれない相手を待ち続けるのは、とても辛いことだ。それが例え、数か月ほどの付き合いだったとしても。まして、世界で無二の味方だとしたら……。


「マヤは。マヤノは――もしそうなったら、耐えきれるか?」
「……わからない。でも、とってもつらいことだってことはわかる」
「そうか……」


 わかり切った話だ。仮にマヤノの言葉がすべて正しいことだと仮定して、スペシャルウィークもツインターボもあれだけの反応を示したのだ。二人よりも長い期間共にいるマヤノがどうなるか――俺にも想像できない。

 以前の俺ならば、ここで恐れおののいて焦りを強くしたかもしれない。だが、今の俺の中にあるのはたった一つの意思だけだ。

――勝たなければ。

 もうその炎が消えることはない。たとえ水を被ろうと、泥を啜ろうと。身を焦がすほどの熱は、いずれ歩む足が、心が折れるまで、消えることはもうない。

 人はそれを――決意と呼ぶのだろう。
570 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/01(木) 22:35:10.79 ID:6xxdwZzC0
「マヤノ」
「どーしたの、トレーナーちゃん」
「どうしような、俺もう負けたくないんだ」
「……。だったら、答えは簡単だよ」


――勝って勝って勝ちまくる!


 マヤノの掲げたそれは、酷くシンプルで――でも、だからこそ分かりやすい目標だった。


「はは、ははは! そうだな、それしかないな!」
「うん! 勝てばよかろうなのだ〜!」
「だったら、頑張ってトレーニングしないとな」
「うん、今だったら、マヤ、空の果てまで走れそう!」


 ぐ、とこぶしを握るマヤノの頭を空いた手で撫でる。もう慣れたものだ。

 ふと視線をテレビに戻すと、カウントダウンが始まっていた。もうそろそろ新年が始まりそうだ。

 最初にかける言葉は何にしようか――。

 そうして、新年は訪れた――。
571 :いぬ ◆FaqptSLluw [saga]:2021/07/01(木) 22:46:20.70 ID:6xxdwZzC0
トレーナー「年明け早々掛けた言葉、そりゃそうだろうなと思うかもしれないが"あけましておめでとうございます"なんだよな」

トレーナー「考える余地すらなかった。いや、そもそも人付き合いに何か考えを持ち込む方がおかしいのかもしれないが――」

トレーナー「ま、いっか。とにかく正月の過ごし方は……何というか豪華だった」

トレーナー「将来の展望について話したり、好きなものについての話をしたりした」

トレーナー「……ただ、ループした結果についてはまだ話せていない。でも、マヤノも俺がまだ何か話せていないことがあることに気付いている。……いつか、いつか話せる時が来るといいんだけどな」

トレーナー「あと、おせちを一緒に作って食べたりしたな。俺の料理の腕はお察しだが、マヤノの腕前はなかなかだった。結構頑張ったんだろうな――」

トレーナー「かなり充実したお正月だったが――正月太りだけが心配だ。ああ、心配だ――」


―――
下1 スキル習得コンマ
50以上で習得
50以下でスキルヒント
※ゾロ目の場合は追加ロール

下2 バッドステータス[太り気味]獲得コンマ
50以上で回避
50以下でバッドステータス[太り気味]付与
※ゾロ目は何かあります。
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/01(木) 22:48:16.53 ID:CxU5Ky24o
ほい
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/01(木) 22:49:22.21 ID:kpAB7jBfo
ボテ腹はNO!
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/01(木) 22:55:48.96 ID:0xTK3Bwqo
スピード練習できねえ!
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/01(木) 22:59:00.18 ID:CxU5Ky24o
まぁまずはライバル研究でしょ
難易度を少しでも下げておきたい
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 09:47:18.70 ID:l1ZNeeOko
3人目って所に引っかかって曇るマヤノトップガンかな?
それにしても距離近くない……?はっこいつらうまぴょいしたんや!!
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 10:55:23.98 ID:NwCxFll2O
この距離感はトレーナーとウマ娘じゃなくてもはや親子なんよ
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 11:06:00.29 ID:rjh4ViLNO
俺このスレで曇らせの良さわかっちゃった!
579 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 12:27:47.17 ID:EI55DdGNO
曇らせってどういうものなのか、今の僕には理解できない……(アンインストール)

挫折も成長への1歩ですからね、曇らせるつもりで書いている訳では無いのですが……それが皆様のご嗜好に合致したのであれば何よりです。
580 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 18:48:21.67 ID:1Pw9Dhcg0
マヤノ「トレーナーちゃん、なんか体が重いよ〜……」

トレーナー「……見事に正月太りしちゃったな」

マヤノ「このままじゃ子豚になっちゃうよ〜!」

トレーナー(子豚になったマヤノ……それはそれでありかもしれんな……)

マヤノ「トレーナーちゃん、なんか今変なこと考えたでしょ!」

トレーナー「……そんなことはない」

マヤノ「見えた――嘘の糸!」

トレーナー「俺たちの世代だと"嘘をついている味"だったんだけどな」

マヤノ「じぇねれーしょんぎゃっぷ……」

トレーナー「年齢は重ねるもんじゃねーな―……」

―――

▼バッドステータス[太り気味]を獲得した

▼スキル[栄養補給]を獲得した

▼スキルヒント[食いしん坊]Lv1を獲得した
581 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 18:58:26.24 ID:1Pw9Dhcg0
トレーナー「新年早々だが、マヤノとの関係性を疑われる声が増えてしまった」

トレーナー「どうやらナイスネイチャの態度から、俺とマヤノに何かがあったことがウマ娘たちにバレてしまったらしい。さすがにお泊りしたことはバレてないらしいが……」

トレーナー「そこはあれだ、上位者――理事長の権限が効いているんだろう。さすがだな、という気持ち」

トレーナー「ただ、視線が痛い……。あとマヤノのスキンシップが激しくなりつつあるのも問題かもしれない……が、今此処に至ってそれを指摘するのはすこし悪い気もする……」

トレーナー「どうしたものか。いや、どうする必要もないな」

トレーナー「俺たちは俺たちだ!! 第一スーパークリークのトレーナーはスーパークリークにお世話されてるっていうじゃないか」

トレーナー「時代は多様性の許容!!!」

トレーナー「……ふぅ。さて、今日は何をしようか」

―――
下1
トレーニング/お出かけ/休憩/保健室/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと9ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果2倍
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 18:59:51.87 ID:e0gAnNyRo
トレーニング二倍が次トレーニングするまで継続ならライバル研究
今回だけならトレーニングって良い?
583 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 19:16:59.41 ID:1Pw9Dhcg0
休憩効果はトレーニングするまで継続します!
ので今回は研究ですね――。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 19:25:27.61 ID:e0gAnNyRo
ありがとうございます!
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 19:27:51.12 ID:bFBuUjo50
ずっと気になってたけど、レース前の合宿最終ターンにも休憩して、その後クリスマス休憩
そこからお悩み解決編とライバル研究でずっとトレーニングしてないから、2回分の休憩ブーストがあると思うんだけど
この場合効果は重複するの?
586 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 19:41:42.47 ID:1Pw9Dhcg0
>>585 確認したら確かに休憩してますね……。
休憩効果は重複します。一つの能力値をえげつない伸ばし方したい時とかには使えるかもしれないです。

この場を借りてミスの訂正を。
・皐月賞まであと9ターン→あと8ターン
・休憩効果:次回トレーニング効果4倍
587 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 19:55:42.06 ID:1Pw9Dhcg0
トレーナー「時にマヤノ、ナイスネイチャの弱点ってどこかわかるか?」

マヤノ「耳の裏……とか?」

トレーナー「そういう弱点じゃなくてだな……。レース中の話だよ、レース中」

マヤノ「うーん。何というか……普通? の走り方するよね」

トレーナー「おう。ナイスネイチャの弱点らしい弱点はそこだ」

トレーナー「すなわち、堅実な走りができるが、言い換えれば堅実な走りしかできない」

トレーナー「例えば確実に一着を取り切ることができるようなレースであれば零すことはないが、ジャイアントキリングなどは難しい。あと、一度調子が崩されれば、そこで失速するケースが多くみられる」

マヤノ「……と、いうことは?」

トレーナー「今のナイスネイチャとマヤノは恐らく同格だ。であれば、彼女に対して用いるのは――搦め手だ」

マヤノ「……ネイチャちゃんに通用するかな?」

トレーナー「するさ。知ってるか、知能を持つ生物の大きな弱点の一つに――想像力からくる恐怖がある。これは人間以外のどの動物にも見られない力であり、弱点でもある」

トレーナー「例えばマヤノ、レース中真後ろに全力のナリタブライアンがいたらどう思う?」

マヤノ「抜かされる――かな」

トレーナー「そうだ。そして抜かされまいと速度を上げて――結果、ペースを崩す。恐怖と言うのは、知能を持つ生物であれば克服できない感覚だからな。これならナイスネイチャにも通用する」

トレーナー「つまり、今からマヤノに習得してもらうのは、差して来るナイスネイチャをどうけん制するか、その術だ」

マヤノ「……良く解らない、けど。トレーナーちゃんがしっかり教えてくれるんでしょ?」

トレーナー「ああ、みっちり教えてやる」

マヤノ「だったら安心だね。 マヤ、ネイチャちゃんに絶対勝ってみせるよ――!」

トレーナー「いい意気だ。じゃあ、検証を開始するぞ」

マヤノ「アイ・コピー!」

―――

下1 ナイスネイチャの研究解析
50以上で研究度上昇・スキルヒント
50以下で研究度上昇
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 19:58:22.68 ID:l1ZNeeOko
はかどーれ
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 20:05:29.17 ID:bFBuUjo50
重複するのか、ありがとう
590 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 20:12:39.41 ID:1Pw9Dhcg0
トレーナー「癖が無い――ように見えるな」

マヤノ「………! トレーナーちゃん、今のところ巻き戻して!」

トレーナー「お、わかった」

マヤノ「……やっぱり。ネイチャちゃん、差す直前に視線を一瞬だけ内側に投げる癖がある――」

トレーナー「隙があるとしたらそこか。――やれそうか?」

マヤノ「もっちろん! ネイチャちゃんのことを脅してやるぞ〜! がおー!」

トレーナー「……」

トレーナー(れ、レース中はもっと気迫、出てくれるよな……?)

―――

▼スキルヒント[ささやき]Lv1を獲得した。

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。進捗は3/5です。
591 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/02(金) 20:18:46.69 ID:1Pw9Dhcg0
トレーナー「そういえば、たづなさんから最近いろんなことを教えてもらえることが増えた。何でも、理事長が俺に目をかけているらしい……」

トレーナー「一体全体どうなったら俺のような木端にそんな期待を寄せるようになるんだろう、と思いはするが――辞めると宣言した後にのうのうとトレーナーやってればそりゃ気になるか」

トレーナー「そういえば、理事長にお礼を言う機会がないな。ま、いつか言えるだろうし、そこまで気にすることでもないか。……問題があるとすれば、お礼をどうするか、だ。何か好きなものとかあったりするのかな……」

トレーナー「……マヤノが来るまでに考えをまとめなければ。今のマヤノなら、俺が大まかにどんなことを考えてるか当ててくるし、結果によっては機嫌が悪くなるからな……」

トレーナー「こういう時は思考を切り替えるといいって聞いたな。今日やることを考えるか――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/保健室/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと7ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果4倍
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/02(金) 20:21:37.60 ID:bFBuUjo5o
ライバル研究
593 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 00:42:53.27 ID:FTVCfpYg0
更新前に少しお聞きしたいんですけど、此処って画像アップロード出来ませんでしたよね……確か
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 01:00:14.00 ID:LhkyTG0xo
どうじゃろ

https://i.imgur.com/jlbiBDj.jpg
595 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 01:25:08.22 ID:FTVCfpYg0
トレーナー「ナイスネイチャの弱点が判明したわけだが、今日はそれを突き詰めていこうと思う」

マヤノ「おー! ……って、ナニコレ?」

トレーナー「……マヤノにとっては少しタイトな衣装だな」

マヤノ「そーいうことを聞いてるんじゃなくて……。なんで今これを取り出したの……?」

マヤノ「……はっ?! ひょっとしてトレーナーちゃん、こういう衣装が好み――」

トレーナー「んなわけないだろ……。あくまで試験的に用意しただけだ。物事は形から入ったほうがわかりやすいしな」

マヤノ「この衣装を着て何を得るというのだろう」

トレーナー「悟るな悟るな。じゃあ、チャレンジしてみよう――!」

―――

下1 ナイスネイチャの研究解析
50以上で研究度上昇・スキルヒント
50以下で研究度上昇

―――

https://imgur.com/RUOsP6O

これで表示できるといいのですが……。
お礼とは名ばかりのラクガキですが、何となく描いてみました。
お納めください。
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 01:34:41.15 ID:1R5FPcggo
おっけー見える見えってうまぁ!!?
……これでムラっともしないトレーナーくん不能やろ(暴言)
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 01:54:18.67 ID:p/7p8E/O0
おまえこんな過疎地じゃなくてツイかなんかで漫画描いた方がいいよ
598 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 02:22:55.26 ID:FTVCfpYg0
>>597
過疎地でも何でも、好きな場所で好きなものを書ければ私は満足なので……。
安価SSに育てられたので、軽い帰省のような気持ちで書いてます。
あと純粋に漫画描くほどの画力がないのと、Twitterはキラキラしてて苦手なんですよね……。
所感かもですが。

―――
トレーナー「……」

マヤノ「……」

トレーナー「……む」

マヤノ「……?」

トレーナー「……掴めないか」

マヤノ「……??」

トレーナー「……よし、今日の練習はこれで終わりだ」

マヤノ「えーっ?! マヤ、ただ服着てトレーナーちゃんに見つめられてただけだよ?!」

トレーナー「そうなんだが……うーん、実はこれには深い訳があって、それが俺の中で形にならなかったわけなんだが――」

マヤノ「……つまり?」

トレーナー「実験は失敗だ」

マヤノ「……。なんか、すっごく疲れた気分かも……」

トレーナー「それは何というか……すまんな」

―――

▼ライバルウマ娘[ナイスネイチャ]の研究度が1進みました。進捗は4/5です。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 02:28:16.16 ID:Fv+iw2Hy0
sを抜いたりしても見えないデース…
600 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 02:36:34.92 ID:FTVCfpYg0
>>599
h ttps://imgur.com/RUOsP6O

空白を抜い貼り付ければ見られるかな、と……!

そういえば600レス突破しましたね。このまま終わってしまう気がなんだかしてしまいました。
長々とお付き合いいただいてありがとうございます。まだまだ続く気がするのでよろしくお願いします。

―――

トレーナー「最近、ナイスネイチャの映像ばかり見ているせいか、無性にもふもふしたものを触りたい衝動に駆られる。さすがに担当ウマ娘と言えどマヤノにはこのことは言えないし……」

トレーナー「動物が好きなウマ娘なら、トレセン学園周辺の動物と触れ合える場所を知っていたりするのだろうか。そういえば少し前、スペシャルウィークの近くにいた子が猫と戯れている姿を見たな……。セイウンスカイだったか」

トレーナー「彼女に頼み込めば猫を触らせてもらったりすることができるのだろうか。……今度聞いてみるだけ聞いてみるかな」

トレーナー「……でも、何だか外に行くときにはマヤノを一緒に連れて行かなければならない気がしてきた。さすがに個人的な衝動の発散だし……一緒に連れて行くわけにはいかないよな……?」

トレーナー「……。今週の終わり、勤務が終わったらこっそり行こう。そうしよう」

トレーナー「なんだか気分がすっきりしてきた。今日は羽搏けそうだ」

トレーナー「さて、今日は何をしようか――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/保健室/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと6ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果4倍
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 02:38:15.92 ID:1R5FPcggo
ここらで太り気味を治そう>保健室へ
602 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 02:38:20.66 ID:FTVCfpYg0
htt ps://i mgur.com/RUOsP6O

imgurの仕様なのか、スマホからだと閲覧できないんですね……。
安価踏んでたら下です。
603 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 02:50:43.63 ID:FTVCfpYg0
トレーナー「マヤノさぁ」

マヤノ「どしたのートレーナーちゃん?」

トレーナー「物凄く言いづらいし、伝えたらマヤノが傷付くかもしれないと思って黙ってたんだが――このままじゃダメな気がするから伝えるぞ」

マヤノ「……。ごくり」

トレーナー「……マヤノ、最近太っただろ」

―――

トレーナー「……というわけでやってきたのは保健室。何故か寝るだけでバッドステータスが回復するという曰くつきの場所。まさかの太り気味ですら治る。良く解らない」

トレーナー「何というか、イニシエーションのようなものなのかもしれない。眠りを通じて何かを見て、それがバッドステータスを治してくれる……。この学園で不思議なことといえば、三女神の像とこれ、あと夜な夜な聞こえるクッソくだらない駄洒落の発信源と言われるくらいの場所だ」

トレーナー「説明していたらすさまじくスピリチュアルな場所な気がしてきた。ただの保健室なのにな」

トレーナー「そういえば、今近くにマヤノは居ない。何というか、その。あの後蹴られた」

トレーナー「初めての経験だった。ウマ娘に蹴られるのは恋路を邪魔した時だけだと思っていたが、大きな勘違いだったらしい。蹄鉄ってめちゃくちゃ硬いんだな、と思いました」

トレーナー「いや、花も恥じらう乙女に体重の話をした俺が悪い! そうだとも」

トレーナー「冷静に考えると、これ話すとダメ! ってことこの世の中に多すぎないか? 体重の話もそうだけど、年齢もそう……。まぁ聞かぬが仏という言葉があるくらいだから、世の中には聞かないほうがいいことのほうが多くて、それがそういう話題から出てくることが多いんだろう」

トレーナー「……」

トレーナー「……保健室前でこんなことを呟いてる男、めちゃくちゃヤバいよな」

トレーナー「仕事、するかぁ」

―――

▼バッドステータス[太り気味]が解消された
604 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 02:56:11.00 ID:FTVCfpYg0
トレーナー「そういえば、本当に不思議なんだが、あんなにウマ娘は練習したりしているのに、体重って調整しないと増える一方なんだよな。明らかにカロリー消費量の方が大きい気がするんだが、いったいどうなっているんだろうか」

トレーナー「この前見たマックイーンも体重の管理には苦心しているという話だし……。マヤノもそういう瞬間が来るのだろうか。……というか、もう来てたか」

トレーナー「デリケートな話題だし、これ以上この件について話すのはやめておこう。知らぬが仏、知らぬが仏……」

トレーナー「そろそろこちらに来て一年になるわけだし、マヤノにも何かお礼の品を用意しておこうかな」

トレーナー「未来の話は鬼が笑う。さて、今日の話をするとするか――」

―――

下1
トレーニング/お出かけ/休憩/スキル習得(ウマ娘)/スキル習得(トレーナー)/脚質上昇/ライバル研究/その他(良識の範囲内で自由に)
※皐月賞まであと5ターン(当ターン含む)
※休憩効果:次回トレーニング効果4倍
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 02:57:00.36 ID:p/7p8E/O0
???「せっかく保健室来たんだしブスッといっとく?絶対失敗しないからぁ!たぶん」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 03:04:40.84 ID:Fv+iw2Hy0
見れましター!
…上手すぎてウマになったわね
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 03:04:52.99 ID:GeO458Yc0
休憩の効果って乗算じゃなくて加算だよね?
トレーニング
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 03:07:18.16 ID:GeO458Yc0
あれ、加算だとしても2,4,6,8って増えるなら休憩連打の方がいいのか?
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 06:52:33.83 ID:hKTBxqWdO
[ピザ]マヤノかわいいよ
トレーニング4倍じゃなくて3倍の間違いじないかな
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 07:07:37.13 ID:dq2LSKLw0
画像を貼る時はhttps://i.imgur.com/RUOsP6O.pngみたいに
拡張子まで入れるといいと思う
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 09:44:06.91 ID:0QzJlAD2o
絵のタッチがすき
612 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 18:49:48.54 ID:FTVCfpYg0
多分安価的にはこちらかな……?

―――

トレーナー「まったく、マヤノも結構うっかりさんなんだな」

マヤノ「ぶーぶー! そんなこと……ないもん、って言いたいんだけどね……」

トレーナー「事実忘れ物をしてるわけだからな。それにしても、何を忘れたんだ?」

マヤノ「耳に付けるリボンのスペア! 今日の朝気付いて大変だったよ〜」

トレーナー「だからいつもより少し髪の毛の整い方が……」

マヤノ「えっ?! ウソウソ、どこがぼさってなっちゃってるの?!」

トレーナー「右の方のサイドテール。いつもよりもボリューミーだな、と」

マヤノ「……こんなんじゃお嫁さんに行けないよぉ」

マヤノ「あ、でもトレーナーちゃんがもらってくれるからいっか!」

トレーナー「おい待て、誰もそんなこと――って、速っ」

トレーナー「まだまだお子様だなぁ、マヤノも」

―――

トレーナー(さて、忘れ物を取りにきたが……これはいったいどういう光景なのだろう)

安心沢「ブスっと! ブスっと! きっと強くなれるからぁ!」

安心沢「……………………………………多分」

マヤノ「やだー! 助けてトレーナーちゃん!」

トレーナー「……あー。とにかく離してくれないか」

安心沢「……」

トレーナー(胡散臭い見た目の割には手早く離してくれたな……)

トレーナー「で、貴方は誰なんですか」

安心沢「怪しいものじゃないのよ〜。このあたりの秘孔をブスっと突けば、ウマ娘ちゃんはバリバリナンバー1になれちゃうの! ワオ、あんし〜ん☆」

トレーナー「……」

トレーナー(やたら怪しいが、コイツにすべて任せていいものなのだろうか――)

―――

▼下1 安心沢刺々美の治療安価
・強いウマ娘になれる秘孔を狙う
・レースで勝てる秘孔を狙う
・元気で健康になれる秘孔を狙う
・魅力アップの秘孔を狙う
・不安なのでやめておく
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/03(土) 18:55:03.51 ID:XVyJCFKx0
元気で健康になれる秘孔を狙う
614 :いぬ ◆FaqptSLluw [sage saga]:2021/07/03(土) 19:04:29.25 ID:FTVCfpYg0
トレーナー(だが、物は試し――。挑戦してみるのも一興か)

トレーナー「マヤノはどうだ、上手く行けば強くなれるかもしれない」

マヤノ「……。本当は、怖いけど――でも、レースには勝ちたい。絶対に」

マヤノ「だからマヤはもう――逃げない!」

トレーナー(実はこういう事からは逃げていいんだぞ、マヤノ……)

―――

下1 成功コンマ安価
30以上で成功
30以下で失敗
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