【シャニマス】P「よし、楽しく……」-L'Antica編-【分岐有】

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1 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 20:46:03.07 ID:9u9ZjoYwO
・シャニマスのSSです。二次創作や解釈違いを敬遠される方はブラウザバックを推奨します。

・途中提示される選択肢からPの行動を安価で決定してお話を進めていく形式です。

・エンディングにたどり着いたら、共通ルートの後からスタートします。

・選択肢による行動のとり方次第では、同じキャラクター相手でも異なったエンディングがあり得ます。

・このSSは
【シャニマス】P「よし、楽しく……」-noctchill編- 【安価】: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1594223305/
【シャニマス】P「よし、楽しく……」-Straylight編- 【安価】: https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1599288272/
のシリーズのうちの1つです。これらを読まなくても大丈夫だと思いますが、1つでも読んでいると本当の意味がわかるような場面、というのもあるはずです。
また、上記の作品のうち1つ以上を読まれた方々におかれましては、このスレでのネタバレになるようなレスはご遠慮願います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1625744763
2 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 21:07:40.97 ID:9u9ZjoYwO
----------------------------------------------------------------------------------------
OS Version 2.8.3.2019313

>……
>……
>……
----------------------------------------------------------------------------------------
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/08(木) 21:16:15.48 ID:f0b8ciFNo
たておつー
4 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 21:18:09.75 ID:9u9ZjoYwO
キーンコーンカーンコーン

「すぅ……」zzzZZZ

ユサユサ

「んんっ……すぅ……」zzzZZZ

「ありゃ、これはかなりの熟睡度……いつも以上に手ごわいかも」

「……」zzzZZZ

「Pた〜ん、もう起きる時間だよ〜〜?」ユサユサ

P「……っ」

「このままだと、ホームルームで先生に見つかって、名指しで注意されちゃって、Pたんは恥ずかしい思いをすることに〜……」

P「わかった……わかったって……っしょっと」ムクリ

「ようやくお目覚め〜? ほんと、いつも起こしてあげてる三峰には、もっと感謝してくれなきゃな〜〜」

P「ん゛んーっ……ふぅ。ああ、いつもありがとうな、結華」

結華「! ……わ、わかってくれればいいのだよ、わかってくれればさー」

P「……」

結華「Pたん? どしたの?」

P「いや……なんでもない」

ガララ

「は〜い、それじゃあ、ホームルームはじめますね〜」

ガヤガヤ

結華「おっ、はづきち先生の登場だ!」

P「……」

結華「今日も美しいな〜。Pたんもそう思わない?」

P「ああ、美しいな……」ボーッ

結華「はぁ……まだまだおねむなPたんであった」

P(学校……いつも通りの朝)

P(俺の日常……)

P(……だよな?)

P「学校……学校か」

結華「? どしたの?」

P「いや、なんでも……」

P「……ちょっと寝ぼけていただけだ」

P(そう)

P(いつも通りに、登校して、ホームルームまで机で寝ていただけ)

P(ここからは、授業受けて、飯食って、授業受けて、帰る――)

P(――それだけだ)

P(どこにでもいる普通の高校生だと思う)

P(何の面白みもない)

結華「授業受ける前に顔でも洗ってきたほうがいいんじゃない?」

P「え?」

結華「今のPたんの顔を見てるとさー、なんていうか……」

結華「……言葉選ばずに言ってもいい?」

P「ああ」

結華「おっけー。まあ、今のPたんの顔を見てると、三峰はため息つきたくなるかなーって、ね」
5 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 21:43:28.50 ID:uWQVtsYL0
P(言葉選ばずに、って……それは選んでるって言える気がするが)

P「気が向いたらそうする」

結華「……っはは、そーですかそーですか」

結華「まあ? いつも通りといえば、そうだけど」

P「そのほうが酷いだろ」

P(それこそ、言葉を選んだ意味、だ)

はづき「あのー、そこのお2人さん……?」

結華「……!! す、すみません!」

P「……」

はづき「仲が良いのは素晴らしいですけど、今はホームルーム中ですからね〜」

P(先生に注意されたことで、少なくない人数のクラスメイトがこちらに注目し、変な空気になる)

結華「はい……」

結華「……」

P(こういうの、結華は嫌いだろうな)

P「……」

P(結華の方を見て睨まれるのも嫌だし、前を向いていよう)

P(まあ、たぶん見ても睨まれはしないけど)

P(もっと面倒なことになりそうだ)

はづき「今日1日に関する連絡は以上です……が〜? まだ、これから先についてのお話があります」

P(……?)

はづき「今日からこのクラスには、新しい仲間が加わります」

ガヤガヤ

P(転校生、か)

P(クラスの騒がしい奴の1人が、男か女か、と聞いた)

はづき「女の子ですよ〜」

ザワザワ

P(さらに盛り上がるクラスメイトたち)

P(下世話な話もちらほら耳に届く)

はづき「はいはい、お静かに〜……それでは」

はづき「転校生を紹介しますね〜。どうぞ……」

P(転校生は教室の黒板側から入ってくるようだった)

P(そちらを見る)

ガララ

「……」

P「……!」

P(人目を引く可愛さ――というのだろう)

P(別に期待していたわけじゃない。そもそも、どんな人が来るかなんてわからなかった)

P(しかし、これは……)

はづき「では、黒板に名前を書いて、自己紹介をお願いします〜」

「は、はいっ……! ……わわっ!?」

P(転っ――危な……)

「っとと、……セ〜フ」

P(……よ、よかった)
6 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 22:10:28.80 ID:uWQVtsYL0
P(転校生が黒板に名前を書いていく)

カッカッ・・・

P(チョークが滑る音が聞こえて、同時に文字が生成されていく)

P(名前は……月岡恋鐘――つきおかこがね――と言うんだな)

「……」

P(書き終わったみたいだ)

「月岡恋鐘ばい! あっ……です!」

恋鐘「よろしくお願いします!」

ワァァァァ

P(名乗ってよろしくと言っただけなのに、拍手と歓声――アイドルのライブみたいだ)

P(まあ、転校生が美少女で、その上……)

P(……あのスタイルならな)

はづき「月岡恋鐘さんは長崎の佐世保出身だそうです〜」

はづき「ここから遠い所にいたみたいなので、お互いにいろんなお話をしてあげてくださいね〜」

はづき「あ、そうだ。席は……今空いてるのが2つあって――」

P(1つは窓際の最後部、もう1つは――俺の真後ろだ……)

はづき「――どっちでも大丈夫なんですけど、どうします?」

恋鐘「じゃあ、こっちで!」

P「……え」

P(俺の後ろに来るのか)

P(まあ、窓際の最後部よりはマシってだけだろう、たぶん)

ザワザワ

P(後ろから椅子を引いたり荷物を出し入れする音がする)

P(今まで誰もいなかった分、変な感じがするな)

はづき「はい、それでは、ホームルームは以上になります」

はづき「1時間目の準備をしてくださいね〜」

はづき スタスタ

ガララ

バタン

ガヤガヤ

P(早速、転校生にクラスメイトたちが群がる)

P(自分の席のすぐ近くだから、なんだか居心地が悪いな)

P(しばらくの辛抱、か)

P「結華は行かなくていいのか」

結華「?」

P「いや、なんていうか……初対面の人でも気にせず話せるんだろうなと」

結華「ああ……でもさ、大勢に質問攻めされるのも大変だろうし、次の授業まで時間ないし、話すならあとでいくらでも時間あるからさー……」

結華「それに、三峰今はそういう気分じゃないんだよね」ボソッ

P「そ、そうか?」

結華「さってと……移動しますかねー」

結華「Pたん、三峰と同じクラスでしょ? 今日は実験室だから移動しないと遅刻だよーん」

P「! そうだったそうだった……」ガサゴソ

P(転校生が来ても、日常は日常……だ)
7 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 22:42:17.32 ID:uWQVtsYL0
〜学校 化学実験室〜

ザワザワ

P(今日の実験は2人1組で行うことになっている)

P(今回のペアは――結華だった)

P(正直、ホームルームで2人揃って注意されてからというものの、どことなく気まずい空気があって、妙なタイミングだなと思った)

P「……」

結華「……」

P(結華も俺も黙々と作業をしていて、本当にどうしたら良いのかわからない)

P(地雷を踏み抜いた記憶はないんだが……)

結華「あ、Pたん、電源装置のコードちょうだい」

P「ああ……これだよな、はい」

結華「サンキュー」

P「……」

P(何か話そう。何か……)

P「……結華がペアだと助かるよ」

結華「えー? どうして」

P「結華は優秀だからな」

結華「……」ピタッ

P(え、今のまずかったか?)

P(いやいや、流石に……)

結華「……」

P「……」ダラダラ

結華「ビリビリーーーッ!!!」

P「うわあぁぁっ!?!?」ビクッ

P(結華は、俺が手渡した電源装置のコードの先をこっちに向けている)

結華「変に無理してるPたんには、このコンセントででんこうせっかをお見舞いしちゃおうかな〜?」

P「び、びっくりした……」

結華「まあ、でも、ごめんね? 気を遣わせちゃってるなら、申し訳ないなって」

P「それは別にいいけど……」

結華「Pたんが気にするようなことは何もないから安心してって、三峰は思うのでした」

結華「はぁ……でも、さすがにわかりやすすぎるなー……」ボソッ

P「え?」

結華「はいそこ! 女子の独り言を聞き返さない!」

P「す、すみません……!」

結華「あははっ、わかればいいのですよ」

結華「さて、三峰はこの流れを打破すべく、強引に話題を変えてみようと思います」

P「はい」

結華「今ってさ、そろそろW.I.N.G.出場を意識する子が出てきてもおかしくない時期だよね」

P「W.I.N.G.……」

結華「この学園のイベントの中でも最大級……しかも学園のアイドルの祭典とあっては、もうドルオタ的に無視できないよ!」

P「結華はそういうの好きだよな」

結華「うっわ、思い切り他人事扱いしてるよこの人」

P「すまん……こういうのは疎いってだけなんだ」
8 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 23:23:41.63 ID:9u9ZjoYwO
結華「学園の美少女たちが集うんだよ? アツくない?」

P「いや、俺も1人の男子として興味がないわけじゃないんだ」

P「ただ、なんというか……こういうイベントにどう向き合うのが自分にとって一番か、わからないっていうかさ」

結華「推しを決めて応援するとかじゃ駄目なの?」

P「推し、か」

P「今年は誰が出場するんだ?」

結華「うーん、新入生の子たちもいるし、まだ、これから5月って時期だからなー」

結華「今からだいたい32週間後くらいに本番で、それまでに体育祭とか文化祭でのアピールもあるだろうから、まだわからないってのが本音」

結華「高3は受験が控えてるから例年だと出る人めったにいないし、三峰たち高2からってのは今のところ情報ナシ」

結華「……ところが。ところが、ですよPたん」

P「おう」

結華「三峰のアンテナには……届いたのです」

結華「高1の新入生に、スポーツ万能学業優秀容姿端麗なモデル系美人がいるという情報が……!」

P「漫画みたいだ……」

結華「三峰も気になって、1年生のエリアに行ってこっそり見てきたんだけど――」

結華「――うん、あれはヤバい」

P「めちゃくちゃ可愛かったと」

結華「いや、結論を急ぐなかれ、だよ」

結華「あれはね、Pたん。王子様だよ」

P「王子?」

結華「立ち居振る舞いがカッコよくて、もう女子にモテモテって感じだった」

結華「まあ、外からちょっと見ただけだから、どんな子なのかはわからないんだけどさー」

結華「噂では、親衛隊が結成されたそうな」

P「早いな……まだ、今年度始まって3週間とかだぞ?」

結華「それだけ影響力があるってことでしょ」

結華「そういうわけで、その美人さんは出場するんじゃないかな」

P「なるほどな」

結華「もしPたんが気になるって言うなら、情報が入り次第三峰が共有してあげるけど?」

P「そうだな……この学園最大のイベントだっていうのに、卒業まで無縁なのもどうかと思うし」

P「それに、アイドル……」

P(……アイドル)

P「うん。それじゃあ、お願いするよ」

結華「おっけー、任せなさい!」ニコッ

結華「三峰をドルオタ仲間にしたこと、後悔はさせませんよ〜?」

P「ははっ、頼もしいな」

P(ドルオタかどうかはわからないけど)

P(結華が楽しそうで良かった)

結華「そういえば、過去には中等部の子が出たって話もあるんだよね」

P「中等部か……あっちは少人数体制だし、出場したら目立ちそうだよな」

結華「まあねー。でも、1人、出てもおかしくない子がいるからなー」

P「そうなのか?」

結華「その子の性格的に出場するかはわかんないけど、ビジュアル的には全然アリだと思う!」

P「結華がそこまで言うなら、お目にかかってみたいものだな」
9 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/08(木) 23:52:04.31 ID:9u9ZjoYwO
結華「三峰から一方的に与えるだけではPたんも成長しないと思うので、ヒントをあげましょう」

結華「その子に会いたかったら、保健室に行くといいかもしれないよ?」

P「保健室か……用も無く行く所じゃないけどな」

P(ほとんど行ったことはないと思うし、見かけたことがないのは当然か)

結華「まあ、そこは気になるなら頑張ってみてよ」

P「そうだな」

P「色々教えてくれてありがとう、勉強になったよ」

結華「いえいえ、どういたしまして」

結華「まあ? 勉強っていうなら、今は授業中だから実験結果見てノート書かなきゃだけどね?」

P「ははっ……それは結華も同じ――」

P「――じゃ、ないな」

結華「三峰はPたんと話しながらちゃーんと手を動かしてましたよ。実験しながら書くってやれば時短になるし。……ほら」

P(一緒に実験をしながらの会話だったが、いつの間にノートまで……)

結華「そんなに三峰に集中しちゃってたなんて、Pたん三峰のこと好きすぎかな?」

P「面目ない……実験の様子も正直よく覚えてないよ」

結華「しょうがないなぁ……はい、どうぞ」

P(結華が自分のノートを閉じた状態で俺に渡してくる)

結華「今日提出とかじゃないし、あとで適当なタイミングで写しといてよ。今から書いても授業終わっちゃうだろうし」

結華「提出期限の日までには返してね」

P「ありがとう……! 感謝の気持ちでいっぱいだ」

結華 ニコ



休み時間。

〜教室〜

P(結華のノートを写すか、寝るか、どちらにするべきか)

P「……」

P(ふと、周りを見る)

ガヤガヤ

P(結華は他の友だちと盛り上がってるみたいだし、ノートを写すのを急かしてはこないだろう)

P(というわけで、寝る)

P(おやすm……)

恋鐘「ねえ」ツンツン

P「うわっ!?」ビクッ

恋鐘「ご、ごめんね! 別に、驚かせようとしたわけじゃなか……ないよ?」

P「あ、月岡さん……」

P「俺に何か用……か?」

恋鐘「さっきん授業、アイドルの話b……してたよね?」

P「ああ……W.I.N.G.のことだな」

恋鐘「それ、詳しく聞かせて欲しか!」ズイッ

P(ち、近い、近すぎる)

恋鐘「……あ、聞かせて、欲しいな」スッ

P(いや、気にすべきところはそこじゃないぞ、月岡さん)

P「別にいいけど、俺よりも結華――あそこにいる三峰結華ってやつの方が詳しいぞ?」
10 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/09(金) 01:19:55.66 ID:enf9/bEJO
P(結華は、今も友だちと話をしている)

P「まあ、今は無理かもしれないけど、後でなら……」

恋鐘「で、でも……」

P「そういうわけだから、うん」

恋鐘「……寝ようとしとったってことはどうせ暇なんやろ」ボソッ

P「なんて?」

恋鐘「だーかーらー! 暇なら知っとる限りんことば教えんね言うたと!!」

P「お、おう……」

恋鐘「なして転校生相手にここまで無関心になるんやろうか、まったく」プンスコ

恋鐘「あ……また訛りが出よった! う〜〜〜」

P「無理に標準語で話そうとしなくてもいいんじゃないか?」

恋鐘「えっ?」

P「俺はその方がいいと思う」

恋鐘「そ、そうなんやろうか……」

P「月岡さんがどういう人なのか、その方が伝わると思うし」

恋鐘「……えへへ、ありがと」

恋鐘「やっぱ標準語は変に緊張して実力を出し切れんもん」

恋鐘「あ、そうだ、まだ名前ば聞いとらんやったばい」

P「俺は――」

(――名乗る)

恋鐘「P、観念してうちに教えるたい!」

P「ははっ、わかったよ。そこまで言われちゃあ、な」

P(俺は、もとから知っていたわずかな知識に、結華から教わったことを加えて、月岡さんにW.I.N.G.に関する説明をした)

P「……と、いう感じなんだ」

恋鐘「……」

P「月岡さん?」

恋鐘「うち、決めたばい」

恋鐘「W.I.N.G.に出る!」

恋鐘「で、Pがよそ見できんくらい釘付けにしちゃるばい!」

恋鐘「よーく見とってね!」

P「ああ、うん――」

P「――応援するよ」

P(それは、本心だったのか、それとも社交辞令だったのか)

P(少なくとも、躊躇いなく出た言葉ではあった)

恋鐘「ほんと!?」ズイッ

P(近い近い……というか)

P(その、大きい)

P(これは視線がそちらにいっても不可抗力というものだろう)

恋鐘「嬉しか〜、ファン1号ゲットばい」

P「ははっ……」

キーンコーンカーンコーン

P「予鈴だ」

恋鐘「もう休み時間終わったと!? 早すぎるばい……」
11 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/09(金) 01:44:29.16 ID:enf9/bEJO
P「次の授業の準備をしないとな」

恋鐘「うん……」

P ガサゴソ

恋鐘「……P」

P「?」

恋鐘「うち、上京してきたばっかやけん、こっちのことはようわからんけん」

恋鐘「だから、いろいろ教えてね?」

P「まあ、月岡さんに教えるのが俺なんかで良ければ」

恋鐘「約束ばい」

P「ああ、わかった」

恋鐘「えっへへー……あ、あと!」

恋鐘「うちのことは恋鐘でよかけん」

P「そうか、じゃあ、改めてよろしく――」

P「――恋鐘」



昼休み。

〜教室〜

P(転校生は人気者だ。さっきの休み時間で俺が話せたのなんて奇跡みたいなものだったんだろう)

P(月岡さん――恋鐘は、昼休みになるやいなや、複数のクラスメイトたちと食堂に行ったようだった)

P(まあ、行った、というよりは、連れて行かれた、というのが正確な説明かもしれないが)

結華「Pたんは食堂に行かなくて良かったの?」

P「どうしてだ?」

結華「はぁ……わからないかなー」

P「???」

結華「ううん、なんでもない」

結華「さてと、三峰もお昼を食べますかねー」

P「結華はここで食うのか」

結華「まあ、お弁当あるし」

P「自炊派って言ってたもんな。すごいよ」

結華「自分のためだけに自分で作る食事なんて、大したことないない」

結華「Pたんはどうなのさ」

P「朝の争奪戦で勝ち得たこの弁当を食うよ」

P(食堂では、毎朝数量限定で弁当を格安で販売している)

P(これはその戦利品だ)

結華「あーあ、負けちゃえば今頃食堂だったのに、Pたんついてないなー」

P「さっきからどうしたんだ? 俺に食堂に行って欲しいみたいな……」

結華「……おっと、三峰としたことが」ボソッ

結華「こほん。あのねPたん、三峰は別に、食堂に行って欲しいなんて言ってないと思う」

P「そ、そうか」

P(おかしい。化学の時間で気まずい空気は霧散したと思っていたのに。どうしたんだろう)

結華「……ノート、早く返してね」

P「あ、ああ……うん」

P(それから、各々黙々と昼食をとった)
12 : ◆bXCm/le03U [saga]:2021/07/09(金) 02:20:37.98 ID:enf9/bEJO
5時間目。

〜中庭〜

P(5時間目は担当教員の都合で自習となった)

P(代わりに来た監督の先生は生徒たちを監督する気がないようだった。自分の仕事をしていたからだ)

P(教室は騒がしい。せっかくの時間を教室で過ごす必要はない)

P(そういうわけで、中庭の目立たなそうな所に来ている。ここで静かに過ごそう……)

P「……あ」

P(缶コーヒーの1つでもあれば……うん、“良い”な)

P「確か自販機がこっちに……」スタスタ

P「……あった」

P(缶コーヒーといっても色々あるな……)

P(……と、その中でも一際目立つデザインの缶があった)

P「これにするか……」スッ

「おや、アナタもそれが気になるのかい?」

P「え」

「おっと、驚かせてしまったかな」

P(確かに驚いてはいる――色々と)

「すまない。どれを選ぼうか考えているアナタのことを、つい、見てしまってね」

「しかも、私が気になったものと同じ缶を選ぼうとしたものだから」

P「あ、ああ……これか」

P「目立つよな」

「そうだね。とても目立つ。目立つものだから、当然、人目にはつくんだろう。気にかけてくれる人も多いはずだ」

「けれど、その中身にもちゃんと向き合ってくれる人は……果たしているのかな」

P「なるほど、そういう見方もあるのか」

P(缶コーヒーに対してそこまで考えたことはなかったな)

P「そうだな……君に言われて思ったのは、それなら俺が向き合ってやればいい、といったところかな」

P「理解者は多くなくていい。たぶん、少なくてもいいし、1人でもいいから、ちゃんとわかってくれる人がいれば良いんだと思う」

P「だから、その1人に俺はなろうかな」

「……!」

P「って、缶コーヒーで何言ってるんだって感じだよな」

「……いいや、そんなことはないよ。なんだか、今すぐにでもアナタにお礼をいいたいような気分だ」

P「ははっ、なんだそりゃ」

P「って、君はここにいてもいいのか? 教室から抜け出してきた俺が言うのもなんだが」

「実はね、いま、私のクラスは体育なんだ。でも、ちょっと、1人になりたくてね」

「それで、仮病を使って抜け出してきたというわけさ」

P「不良だな」

「そうだとも。アナタと同じ……ね。私たちは互いに同じ罪を犯している」

「それでも、悪い気はしないよ。こんなに良い出会いがあったのだからね」

P「そう言ってもらえるなら、サボりがいがあるってものだな」

P「あ、そうだ。俺は、2年……高2の――」

P(――名乗る)

「おっと、私としたことが、自己紹介もせずに随分と話し込んでしまっていたね」

咲耶「私は咲耶――白瀬咲耶だ。よろしく、P」
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