エルシィ「私だけが望むセカイ」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/07/17(土) 00:18:29.56 ID:3UUpwt1Q0
桂馬「大量に生産されたギャルゲーを消費しなければならないという重圧がお前に分かるのかエルシィ〜!」

エルシィ「分からなくて今ホッとしてる所です」

桂馬「とにかく起きん!ギリギリまで寝る!」

エルシィ「そんな〜朝ご飯はどうするんですか」

桂馬「部屋に置いとけ。気が向いたら食う」

エルシィ「う〜…今日は久しぶりに張り切ってお母様と一緒に朝食を作ったのに…」

エルシィ「エリマキトカサの目玉焼きに閻舞茸のお浸しそれから…」
桂馬「よーし今日も1日頑張るぞい」ガバッ

エルシィ「あ、にーさま!やっとご飯食べる気になったんですね!」

桂馬「朝ご飯だと?この1、2時間で10回は食べてるよ」ヌギヌギ

エルシィ「ゲームでお腹は膨らみませんよにーさま…」

桂馬「うるさい!そんな物騒な給食の献立聞いたらよっきゅんだってその日学校欠席するわ!」キュッ

エルシィ「閻舞茸美味しいのに…」

桂馬「バグ魔の基準を人に押し付けんな!とにかく僕は学校に行くか」ガチャ
麻里「やぁ」
桂馬「」


麻里「せっかくエルちゃんが早起きして作ってくれたのに何やってんのよあんたは!」

桂馬「こんな強制イベント聞いてねぇよ〜!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/17(土) 00:52:05.05 ID:3UUpwt1Q0
ピチャピチャ

桂馬「…おいこれ動いてるけど」

エルシィ「ウチの地元の食材は生命力が高いのが売りですからね!活きがいい証拠です」

エルシィ「栄養価も高いですよ!」

桂馬「現実ならいざ知らずヒロインのイベントでこんなメシマズというか読んで字の如く飯テロ案件は遭遇した事無いのだが…」

麻里「文句言わずさっさと食わんかい!」クワッ

桂馬「………っ」パクッ

桂馬「…!?」モグモグ

桂馬「これは…」

麻里「ね?普通に美味しいでしょ?エルちゃん本当に料理上手よね〜」

桂馬「…ま、不味くはないな、うん」

エルシィ「」ドヤァ
桂馬「ステータスに料理が増えた位で元々底にある評価は変えれないからな調子に乗るなよヘッポコック」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/17(土) 01:32:49.67 ID:3UUpwt1Q0
TV<昨日、鳴沢市で大学生が刃物で刺され死亡した事件がありました。警察は

麻里「わっ…隣町じゃない。最近日本も物騒になってきたわね」

桂馬(こっちも大概物騒なんだよなぁ)

桂馬「第一残機0固定の現実での生死とか興味無いし」ガタッ

麻里「ちょっと桂馬、いくら何でも不謹慎よ」

桂馬「実際ほぼ関係ないし仕方ない。一々騒ぐのも下らないし」

エルシィ「あ、にーさま!どこに行くんですか?」

桂馬「学校。このままだとマジで遅刻する。色んな意味で」ピコピコ

桂馬「登校イベント消化しなきゃ…」ダダダ…

エルシィ「ちょっとにーさま!私も一緒に行きます〜」ガタッ

エルシィ「待ってくださーい」タタタッ

麻里「……あらら。行っちゃった」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/17(土) 01:48:00.10 ID:3UUpwt1Q0
桂馬「だーくそ…クソゲー特有のロード時間長いのマジでどうにかならんのか…」カチャカチャ

エルシィ「にーさまー!歩きながらゲームは危ないですってば」

桂馬「エルシィ。僕がPFPを手に入れてこの道何年だと思ってるんだ」

エルシィ「何百年だろうと誇っちゃ駄目ですよ」

桂馬「後ちょっと…後ちょっと…」

ワーワー
ザワザワ

桂馬「…なんだ、騒がしいな…」

エルシィ「さっきのニュース、学校でも話題になってるんですかね…」

桂馬「馬鹿馬鹿しい。人1人死なない日の方が珍しいだろ」ピコピコ

ガラッ

歩美「あっ…」

桂馬「…?」

エルシィ「おはようございます!皆さん」

ちひろ「あー…おはよ、エリー」

エルシィ「?…なんか皆さん元気ありませんね」

京「…もしかして今朝のニュース知らないの?」

エルシィ「今朝のって…えっと…」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/17(土) 01:57:59.02 ID:3UUpwt1Q0





京「長瀬センセー、殺されちゃったって」

桂馬「っ」
エルシィ「え」

エルシィ「そ、それって…どういう…」

桂馬「…」ピコピコピコ

ちひろ「私も詳しくは知らないんだけどさー」

ちひろ「通り魔に襲われたっぽくて、犯人もよく分からないんだと」

エルシィ「そんな…」

歩美「二階堂先生も今日休みだって」

桂馬「……………」
7 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/07/17(土) 03:07:41.59 ID:3Kx4qjCo0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/17(土) 15:56:33.12 ID:3UUpwt1Q0
桂馬(長瀬が殺された…?)

桂馬(通り魔…?一体どういう事だ…)

桂馬(まさか駆け魂絡みか…?)

桂馬(長瀬とは教育実習以降全く接触していない…)

桂馬(もしかしたら長瀬はディアナの言っていた女神の可能性も…それで誰かぎ)

桂馬(いやいや考えすぎだ)

桂馬(最近は現実らしかぬおつかいイベントばかりこなしているせいか関係ない事でも無理矢理そっち方面に思考を繋げがちだ…)

桂馬(ダメだ駄目、考えるなそんな事)

桂馬(今は貯まってるゲームを…)ピコピコ

桂馬「…」キーンコーンカーンコーン

エルシィ「にーさま!一緒に帰りましょー」

桂馬「は?何言ってるんだ。まだしも1時間目しか終わって……」チラッ

桂馬「…15時…」

エルシィ「大丈夫ですか?何というか、今日のにーさま目が死んでますよ」

エルシィ「今日ほとんど寝てないから体調崩しちゃったんじゃ…」

桂馬「馬鹿言え。僕にとってギャルゲーは酸素!」

桂馬「睡眠よりよっぽど身体にいい休息方法だ」

エルシィ「重圧がどうとか言ってたのに…」

開幕「…だけど今日はほとんど内容が頭の中に入らなかったな」

エルシィ「いつも授業聞いてないようでバッチリ勉強できてるにーさまが?」

桂馬「授業なんて二の次だ。それよりもPFPだ」

桂馬「せっかく良さげなエンディングを見つけたのにあまり響かなかった」

エルシィ「えぇ…」

桂馬「…エルシィ、少しの間だけミステリーゲームをするぞ」

エルシィ「へ?」

桂馬「今朝の通り魔、捕まえるぞ。ギャルゲーに集中できん」

エルシィ「にーさま…」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/17(土) 16:25:48.03 ID:3UUpwt1Q0
桂馬「とは言ったものの全く情報が無い…」

桂馬「関係者から炙り出すにも候補が多すぎる」

エルシィ「流石に大学に通ってる人全員を調べるのは無理ですしね…」

桂馬「そもそも通り魔だからな…」

桂馬「まだ長瀬だから殺したのかたまたま殺したい所に長瀬が居たのかすら分からない状況だ」

ディアナ「恐らくそれは前者でしょう」ヒョコッ

桂馬「!?天理…いや、ディアナか」

エルシィ「びっくりしました…家の陰に隠れてて…」

エルシィ「ディアナさんも今学校から帰ってきた所ですか?」

ディアナ「いいえ、今日授業はお休みだったのです」

桂馬「は?祝日じゃないだろ」

エルシィ「創立記念日ですかね…」

ディアナ「いえ……その様子だと今朝のニュースを知らないみたいですね」

桂馬「何だよ今日は占いで今朝のニュースがラッキーワードにでも選ばれてるのか?」

桂馬「なんでキャラに遭遇する度に毎度今朝のTVについて聞かれてるんだ僕は」

ディアナ「昨日天理の学校の生徒が殺されたのです」

桂馬「!?」

エルシィ「嘘…」

エルシィ「もしかしてさっきの…殺されたのって」

ディアナ「ええ。あなた方が想像している通り」

ディアナ「榛原さんが手をかけられました」

桂馬「………」

ディアナ「犯人は未だ不明で、周辺に潜んでいる可能性があり急遽休校との事で」

エルシィ「そんな…そんな話私達聞いてない…」

桂馬「同時に起こした…偶然?カモフラージュ?」

桂馬「…何にしても本格的に面倒くさくなってきたな」

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/17(土) 18:04:28.72 ID:3UUpwt1Q0
ディアナ「恐らく…いえ」

ディアナ「狙いは十中八九あなた達でしょう」

桂馬「…」

ディアナ「厳密にはあなたの言う通りユピテルの姉妹を探すのが目的なのか」

ディアナ「手段はどうであれ桂木さんとエルシィさんを追い詰める事自体が目的なのかは定かではありませんが…」

桂馬「さっきの2人の接点がほぼ無い以上そう考えるのが妥当だろうな」

エルシィ「えぇ!?私達狙われてるんですか!?」

桂馬「まぁ現時点では僕の攻略対象しか襲われてないしまだ動きがはっきりしてない以上断定するに早いかもしれない」

桂馬「が少なくとも当面の直接的な狙いは攻略対象狩りなのは間違いないだろう」

エルシィ「一体誰が…」

桂馬「まぁあいつらというより僕かエルシィに恨みのある奴…」

桂馬「エルシィの場合多分悪魔が犯人だよなぁ」

エルシィ「またまた神にーさまはご冗談を」ケラケラ

エルシィ「人間界に来てから半年も経ってない上に落ちこぼれの私と縁がある悪魔なんて片手で数えられる位しかいませんよ」ケラケラ

エルシィ「えーっと、ハクアでしょ?それからノーラさん…」

エルシィ「……」

桂馬「ノーラじゃね?」

エルシィ「私1度もノーラさんに喧嘩なんて売ってませんよ〜!」

エルシィ「まぁ会う度に睨まれはしますが…うー」

桂馬「何なんだろうなマジであいつ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/17(土) 18:48:13.14 ID:3UUpwt1Q0
ディアナ「ノーラ…この間の牛悪魔ですね」

桂馬「違うけど多分あってる」

ディアナ「ノーラさんが犯人の可能性が高いのですか?」

桂馬「どうだろうな、動機としては有力かもしれないけど敢えて挙げるとするならばってノリで答えたレベルだからな」

桂馬「印象だけで言うとそんな事するような奴には見えん」オホホホホ

桂馬「もし本当にエルシィを殺したい位に憎いなら多分こんな回りくどいせずに直接殺しに来ると思う」

エルシィ「こ、殺…」

ディアナ「しかし私達がまだ彼女の本性を知らないだけという事も…」

桂馬「あるだろうな……まぁ…とりあえずこれ以上犯人について詮索するのはやめよう」

桂馬「僕達の関係者である事は確実的だろうけど埒があかない。何よりこれ以上知り合いのお面と睨めっこしても気分が悪くなるだけだろ」

桂馬「犯人の素性は最悪知らなくていい。ぶっちゃけ捕まえる必要も無いからな」

ディアナ「!?…相手が何者が分からない以上放置する訳には…」

桂馬「通り魔を制裁するのは警察なり閻魔様なりにやって貰えば良い。面倒くさいから僕はそこまでしない」

桂馬「そんな事より重要なのはこれ以上犠牲を増やさない事だ」

桂馬「目的が攻略対象の殺害ならまだこの後10人近くも殺される可能性があらって事だ」

ディアナ「…」

桂馬「当然そういう意味でも未然に防ぐ為に相手の情報を知りたい所だがそうは言ってられない」

桂馬「今ある情報をざっとまとめてできる対策を考えるぞ」
12 :結編の直後の設定です [saga]:2021/07/18(日) 15:27:09.68 ID:ESQbI6QM0
桂馬「今残っているヒロインは僕と同じ学校の生徒」

桂馬「歩美、美生、かのん、栞、楠、月夜、結、ちひろ」

桂馬「中等部のみなみ、それから鳴沢市で会ったスミレ」

桂馬「後は高梨のおばあちゃん………も一応範囲内にしておくか」

ディアナ「……」

桂馬「何だよ」

ディアナ「若い娘のみならず年老いた女性まで手玉に取ったのですかあなたは…」ガタガタ

桂馬「ほーらこういう事言い出すと思ったから挙げたくなかったんだ」

エルシィ「まぁまぁ…色々あったんですよ…色々、夏休みに…ははは」

桂馬「こいつらの記憶はほぼ全員もれなく無くなってる。話し合う土台すら出来てない現状で11人一気に匿うのはまず無理だろう」

桂馬「とりあえず優先順位を決めるべきだな」

エルシィ「優先順位?」

桂馬「何故この中の娘より先に長瀬や七香を殺したのか、まずそれを考えよう」

ディアナ「どちらも舞島高校とは接点が無さそうですが…」

桂馬「まぁ長瀬は教育実習で実際に何度か来ているから生徒以外だと長瀬が1番関わりのある奴だけど…」

長瀬「…それを踏まえてもまずすぐにはウチの高校の生徒には手を出さないだろ」

エルシィ「え」

エルシィ「この時点でもうほとんど舞高の生徒しか残ってないじゃないですか」

桂馬「だからだよ。さっきも言ったけど今回の犯人の手口が回りくどすぎる」

桂馬「僕とエルシィを精神的に追い込むならまずちひろとか歩美とか普段から親しい奴らを真っ先に狙うだろ」

桂馬「女神狩りにしたってそうだ。これだけ人数が多く集まってるならまず舞校の生徒が怪しいと睨むのが普通」

桂馬「ディアナが狙いで七香を狙ったなら分かるけどそこまで突きとめられているならディアナを直接襲えばいいからこれもおかしい」

桂馬「明確な目的がある割にはやり口が中途半端すぎる」

桂馬「確証はないが今犯人は僕達の反応を見ている……というか楽しんでいるだけじゃないのか?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/18(日) 16:58:49.39 ID:k5VsDNl1O
うわああああ!
長瀬センセーがしゃべったぁぁぁ!
14 :>>13名前の誤植多すぎんよ〜すまん [saga]:2021/07/18(日) 17:24:25.46 ID:ESQbI6QM0
桂馬「何ならこうして僕らが悩み詰めている今も高みの見物でいるやもしれない」

エルシィ「えぇ!?」キョロキョロ

ディアナ「…大丈夫です。少なくとも近くに怪しい気配はありません」

桂馬「まぁどうせ僕達の情報は粗方割れてるんだし今更何を見られようが困りはしない…」

桂馬「…けどなるべく今の場面を目撃されるのは好ましくないな…」

桂馬「ひとまず今後の方針だけ固めるぞ」

桂馬「何か都合が悪い理由があるのか、或いは単なる冷やかしなのかは分からないがとにかく通り魔は僕らと関わりが少ない奴から排除している」

桂馬「その仮定のもとで次に標的にされそうなヒロインをピックアップすると…」

エルシィ「スミレさんと愛梨のおばあちゃん…」

桂馬「まぁ後はせいぜい夏休み以降会えてないみなみくらいじゃ無いか?」

桂馬「とりあえずこの3人に重点を置こう」

桂馬「エルシィは3人の様子を観察してくれ」

桂馬「それと念の為長瀬と七香の情報について軽くでいいから調べ直せ」

桂馬「知らないだけで実は2人に関係性がないとは言い切れない」

エルシィ「は…はい」

桂馬「ディアナ…天理は何もするな、というか極力外に出るな」

ディアナ「何故です…?現時点で私が1番自由に動けるし何より安全です」

ディアナ「殺人鬼の1人や2人私が特定して…」

桂馬「駄目だ。相手の知ってる情報が分からないこの状況で下手に動くのはリスクが大きすぎる」

桂馬「相手がただの人間じゃない可能性だってあるんだぞ」

ディアナ「それなら尚更…」
15 :>>14の文章がちょっとおかしかったので訂正 [saga]:2021/07/18(日) 17:26:53.02 ID:ESQbI6QM0
桂馬「何ならこうして僕らが悩み詰めている今も高みの見物でいるやもしれない」

エルシィ「えぇ!?」キョロキョロ

ディアナ「…大丈夫です。少なくとも近くに怪しい気配はありません」

桂馬「まぁどうせ僕達の情報は粗方割れてるんだし今更何を見られようが困りはしない…」

桂馬「…けどなるべく今の場面を目撃されるのは好ましくないな…」

桂馬「ひとまず今後の方針だけ固めるぞ」

桂馬「何か都合が悪い理由があるのか、或いは単なる冷やかしなのかは分からないがとにかく通り魔は僕らと関わりが少ない奴から排除している」

桂馬「その仮定のもとで次に標的にされそうなヒロインをピックアップすると…」

エルシィ「スミレさんと愛梨のおばあちゃん…」

桂馬「まぁ後はせいぜい夏休み以降会えてないみなみくらいじゃ無いか?」

桂馬「とりあえずこの3人に重点を置こう」

桂馬「エルシィは3人の様子を観察してくれ」

桂馬「それと念の為長瀬と七香の情報について軽くでいいから調べ直せ」

桂馬「知らないだけで実は2人に関係性がある可能性もないとは言い切れない」

エルシィ「は…はい」

桂馬「ディアナ…天理は何もするな、というか極力外に出るな」

ディアナ「何故です…?現時点で私が1番自由に動けるし何より安全です」

ディアナ「殺人鬼の1人や2人私が特定して…」

桂馬「駄目だ。相手の知ってる情報が分からないこの状況で下手に動くのはリスクが大きすぎる」

桂馬「相手がただの人間じゃない可能性だってあるんだぞ」

ディアナ「それなら尚更…」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/18(日) 17:41:10.71 ID:ESQbI6QM0
桂馬「今は天理=ディアナがバレていない前提の話で進めているが犯人が知らないっていう確証も無いんだぞ」

桂馬「もしお前の正体を知っててこの行動を取っているって事はお前が居てもさして計画に支障は起きないと何らかの根拠があるんだろう」

桂馬「言っている意味、分かるよな?」

ディアナ「…女神でも敵わない相手なんてそうそう存在しませんよ」

桂馬「でも居る事には居るんだろ?じゃあそういう奴らの情報をまとめて僕に伝えるなりしてくれればそれでいい」

桂馬「お前に直接頼るのはどうしても、ライフが1になった時の最終手段だ」

桂馬「お前も狙われている側だって自覚しろ」

ディアナ「……桂木さん」

桂馬「やると言った以上天理の死亡ENDは絶対に回避する」

エルシィ「それで…神にーさまは何を?」

桂馬「僕は………」

桂馬「新作ゲームの消化を急ぐ!」ドーン

エルシィ「」
ディアナ「」

桂馬「こっちだって殺される身かもしれないんだぞ!」

桂馬「生きている内にやりたいゲームをコンブしておかないと…」

桂馬「買ったのにパッケージも開けずにご臨終とか僕はともかくそのゲームや製作者スタッフさんは成仏しきれんだろうが!」クワッ

ディアナ「……数秒前の自分を殺したい…」

エルシィ「にーさまはそういう人ですもんね…うん」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/18(日) 18:00:03.50 ID:ESQbI6QM0
桂馬「勿論いつものように淡々とプレイする訳じゃない」

桂馬「屋上には度々(サボって)行ってるし図書室に行くだけじゃそこまで怪しまれないだろ」ピコピコ

エルシィ「あっ…」

桂馬「歩美やちひろ、結ならバンドなりでエルシィがいつでも顔を出せるからな」

桂馬「楠…はやられる所は想像できんしかのんはほぼ学校に来てないけど逆に1人でいる時間はほぼ無いだろ」

桂馬「不安要素があるとすれば別のクラスで接触しにくい美生位だが…」

桂馬「まぁ普段通りの生活を装ってもある程度の把握は出来るはずだ」

桂馬「エルシィは視察もあるし仕方ないが僕だけでも犯人に悟られないように平静を保ちつつ行動しよう」

エルシィ「え、えっと…バンドをこなしつつちひろさん達を護衛して、後は定期的にラーメン屋さんと義祖母ちゃん家に行って………」

エルシィ「あれ、私って結構責任重大なのでは…」

桂馬「透明になって自由に動けるのはお前しか居ないからな、こういう時くらい役に立てダメ魔」

エルシィ「うー。そんな事言わないでくださいよ〜」

エルシィ「ま、まぁにーさまに頼られるってのは思いの外嬉しいですけど…」テレテレ

桂馬「当然お前に頼りっぱなしはしない」

桂馬「スミレは最近ブログを始めたからある程度の様子は覗けるし客って事で無理矢理ではあるがコンタクトを取れなくもない」

桂馬「みなみの方も頻繁に行かなければ中等部に顔を出すのは不可能じゃない」

桂馬「愛梨のおばあちゃんばっかりは連絡手段も無い上に気軽に会える距離じゃない。可能性は低いだろうが愛梨や近くにいるおばあちゃんやおじいちゃんの事もある」

桂馬「頼むぞエルシィ」

エルシィ「い、いえっさー!」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/18(日) 19:01:57.74 ID:ESQbI6QM0
桂馬「…まぁ今できるのはこれくらいだろ」

桂馬「話が飛躍しすぎたが本当に偶然2人がほぼ同時に殺されたケースもあり得る」

桂馬「あまり目立つような行動はするなよ」

ディアナ「ええ」

エルシィ「あ、あのにーさま」

桂馬「?」

エルシィ「状況が状況ですから…他の駆け魂隊も呼んだ方がいいですかね」

エルシィ「ハクアくらいなら来てくれると思うんですけど」

桂馬「やめといた方がいいな」

桂馬「悪魔の中に犯人がいるし無闇に話を広めない方がいいだろ」

エルシィ「…た、確かに」

桂馬「とにかく早く切り上げよう。これ以上話しても進展はしなさそうだしあまり長く外で話をしている所は見られたくない」

桂馬「この話をするのは僕か天理の家だけで、どちらにしても行き来する時は窓を経由して見られないようにしよう」

桂馬「いいな?」

エルシィ「はい!」

桂馬「よし、それじゃ…天理は後頼んだぞディアナ」

ディアナ「…最後に1つだけいいですか、桂木さん」

桂馬「…何だ」

ディアナ「これは私ではなく天理からの伝言なのですが…」

ディアナ「…具体的には言えませんが天理は悪寒がするとの事で」

桂馬「悪寒?」

ディアナ「寒気…というか嫌な予感のようで」

ディアナ「直感的なものですが何か天理には心当たりがあるようです」

桂馬「心当たりって…お前と天理は10年の付き合いだろ」

桂馬「ディアナは分からないのか?」

ディアナ「恥ずかしながら…私にはさっぱり」

桂馬「…10年以上前って…ディアナが天理とあったのが小1とかそんな頃だろ?」

桂馬「それより前で今でも衝撃が走るような出来事って一体…」
19 :>>18の訂正です [saga]:2021/07/18(日) 19:04:14.18 ID:ESQbI6QM0
桂馬「…まぁ今できるのはこれくらいだろ」

桂馬「話が飛躍しすぎたが本当に偶然2人がほぼ同時に殺されたケースもあり得る」

桂馬「あまり目立つような行動はするなよ」

ディアナ「ええ」

エルシィ「あ、あのにーさま」

桂馬「?」

エルシィ「状況が状況ですから…他の駆け魂隊も呼んだ方がいいですかね」

エルシィ「ハクアくらいなら来てくれると思うんですけど」

桂馬「やめといた方がいいな」

桂馬「悪魔の中に犯人がいるかもしれないし無闇にこの話を広めない方がいいだろ」

エルシィ「…た、確かに」

桂馬「とにかく早く切り上げよう。これ以上話しても進展はしなさそうだしあまり長く外で話をしている所は見られたくない」

桂馬「この話をするのは僕か天理の家だけで、どちらにしても行き来する時は窓を経由して見られないようにしよう」

桂馬「いいな?」

エルシィ「はい!」

桂馬「よし、それじゃ…天理は後頼んだぞディアナ」

ディアナ「…最後に1つだけいいですか、桂木さん」

桂馬「…何だ」

ディアナ「これは私ではなく天理からの伝言なのですが…」

ディアナ「…具体的には言えませんが天理は悪寒がするとの事で」

桂馬「悪寒?」

ディアナ「寒気…というか嫌な予感のようで」

ディアナ「直感的なものですが何か天理には心当たりがあるようです」

桂馬「心当たりって…お前と天理は10年の付き合いだろ」

桂馬「ディアナは分からないのか?」

ディアナ「恥ずかしながら…私にはさっぱり」

桂馬「…10年以上前って…ディアナが天理とあったのが小1とかそんな頃だろ?」

桂馬「それより前で今でも衝撃が走るような出来事って一体…」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sapa]:2021/07/18(日) 23:45:35.54 ID:ESQbI6QM0
桂馬「分かった。後で10〜15年前位の舞島についても調べる」

桂馬「いやまず天理は小学校の頃こっちに来たからそれを調べても意味ないのか?…分からん」

ディアナ「………っ」ケロッ

天理「っ…」

桂馬「?天理に戻ったか」

天理「桂馬君…その…」

天理「無茶しないでね?」

桂馬「………」

桂馬「バカだな」

天理「!?」

桂馬「こういう場面では心配するんじゃなくて頑張れって応援する所なんだぞ」ナデナデ

天理「!?」

桂馬「ギャルゲーヒロインのセオリーなんだぞー?」ブーブー

ディアナ(この男は…)ムカムカ

天理「ん…うん、頑張って、ね」

天理「じゃ、じゃあ」トタタタ…

桂馬「………あ、つい頭撫でてしまった…」

桂馬「気味悪がられたか…?」チラッ

エルシィ「……」

桂馬「どうしたエルシィ」

エルシィ「あっいえ…何でもないです〜!」

エルシィ「早くお家に入りましょ、ねぇ!」

桂馬「…そうだな」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/19(月) 00:00:18.61 ID:UtHE9O8i0

桂馬「あれから数日経ったが…特に変化なし…」

桂馬「スミレはまだブログ更新してるし…なんだアイスラーメンって…」

桂馬「みなみも度々学校で見かけている」

桂馬「エルシィも愛梨達に問題は無いと言っている…」

桂馬「…どうしたもんか…」ピコピコ…

二階堂「………」ピコピコピコピコピコ

桂馬「おう!?」ガシッ

二階堂「お前の方がどうかしてるだろうがぁあぁん?」バキバキ

桂馬「ばっおまやめっ何やってんだこのVR高いんだぞいぁあああ」バリバリバリ

エルシィ「ひぃぃぃぃい」<ギャァァァ

ちひろ「懲りないなぁオタメガの奴…」

歩美「……二階堂先生いつも通りだね」

京「確かに」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/19(月) 03:59:19.01 ID:UtHE9O8i0
桂馬「なんだあいつ!僕の大事なVR一式壊した上に没収しやがった」

桂馬「訴えてやる!器物破損!理不尽な体罰!罪状なんてどうとでもできる」

桂馬「ひはははは」

エルシィ「にーさま〜、そんなのよりも大事な事があったと思うんですけど…」

桂馬「そんなの!?数多くの人間の血と汗と涙の結晶であるゲーム機が壊されるなんて前代未聞な事よりやばいイベントが現実にあるのか!?ええ!?」ガッ

エルシィ「無いです無いです!無いですから放してくださいごめんなさ〜い!」

桂馬「というのは冗談で」ドサッ

エルシィ「う〜…ひどいです〜」

桂馬「あんな重要な事忘れる訳ないだろ」

桂馬「じゃないと屋上と図書室を頻繁に行き来するなんて面倒なおつかいイベントこなさないよ」

エルシィ「…月夜さん、相も変わらず望遠鏡覗いてばっかりですね」

桂馬「あいつがああしてる限り異常なしって事だ。今日も特に変わりはなさそうだな」

桂馬「栞も特に困った様子も何も無かったし…こっちの方は大丈夫だな」

桂馬「……問題はスミレや愛梨方面だな」

桂馬「1週間経っても動きが全く無いのも困ったもんだ」

エルシィ「もしかして私達の行動バレちゃったんですかね…」

桂馬「どうだろうな、バレている筈がありませんなんてとてもじゃないが言い切れないし…」

桂馬「下手したら相手もこっちが動くのを待ってるのかもな」

エルシィ「そんな…」

桂馬「………今日ラーメン屋かばあちゃん家、どっちかには行こうと思ってる」

エルシィ「!?…そ、それって大丈夫なんですか?」

桂馬「大丈夫な訳無いだろ。前も言ったが極力目立つ行動は避けたい」

桂馬「このまま長期戦にもつれ込んでも最悪いいかなとも思ったけどよくよく考えたらもうすぐ体育祭とか文化祭が始まるからな」

桂馬「否が応で相手が動いてくるだろう。その期間中は尚の事皆の動きも読みづらくなるし単純に人の数も多すぎて収拾がつかなくなる」

桂馬「多少強引でもこのイベントを体育祭までには蹴りをつけたい…」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/19(月) 16:07:18.52 ID:UtHE9O8i0
桂馬「それにお前の調べだけじゃ不安だし。直接見ないと」

エルシィ「えー!?にーさま、私だけが頼りだみたいな台詞言ってませんでした!?」

桂馬「それはそれこれはこれだ」

桂馬「お前が普段から信頼されるような行動を取っていればこんな事する必要も無いんだぞ」

桂馬「少しは反省しろ」

エルシィ「う、うぅ…にーさま、いくら何でも私に対して辛辣では…」

桂馬「…さてと…」



桂馬「…愛梨のおばあちゃんは僕達と1番関わりが薄いヒロインだ」

桂馬「確かにあの付近は僕の祖父母の家もあるしあそこは色々と重要な場所ではあるが…」

桂馬「ばあちゃん単体で見るとまず真っ先に狙われる奴だと思うんだよなぁ…」

桂馬「そもそもヒロインなのにおばあちゃんとかあの件はイレギュラーな事が多々あったからあまり他と比較すべきじゃないのかもな…」

桂馬「…とにかく」

桂馬「まずはスミレのラーメン屋を偵察しに行くか…」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/20(火) 03:06:11.15 ID:BQWDcG4l0
桂馬「…」チラッ

桂馬「のれんがかかってる。ちゃんと営業してるみたいだな」

桂馬「それに…うっすらとだけど人影も見える」

桂馬「客が何人か居るみたいだな」

桂馬「問題は店内が実際にはどうなってるかだが…」スタスタ…

ガラッ

満夫「らっしゃい」

桂馬「……」ガタッ

桂馬(おかしい…スミレが居ない)

桂馬(今はあいつが仕切ってる筈だぞ…)

満夫「おしぼりとお品書きです」

桂馬「あの…すみません」

満夫「?もうご注文はお決まりで?」

桂馬「あっ…ん…醤油1つお願いします」 

満夫「醤油一丁…以上で?」

桂馬「はい…」

桂馬「あの」

満夫「?」

桂馬「ここのお店って…お父さん1人で切り盛りしてるんでしたっけ?」

満夫「……スミレの知り合いか?」

桂馬「…」

満夫「…あいつなら風邪引いて家で休んでるよ」

桂馬「さいですか」

桂馬(…やっぱりおかしい)

桂馬(本当に体調が悪いならそもそも店を休む筈だ)

桂馬(この父親の性格上尚更呑気にラーメン作ってるなんてあり得ない)

桂馬(本当に2階にいるのか…?)
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/21(水) 00:20:50.88 ID:3l+7u4tq0
満夫「醤油ラーメン一丁お待ち」

桂馬「……」パッキン

桂馬「」フーフー

ズルズル

桂馬「…お父さん、スープの出汁変えました?」

満夫「あ?…」

満夫「…まぁちょっとな」

桂馬「……」ゴクゴクゴクゴク

桂馬「お会計お願いします」ガタッ

満夫「は?え、もう食い終わったのかよお前…」

桂馬「代金ちょうど。レシート要らないんで、じゃ」スッ

満夫「お、おいちょっと待て!」

スアスタ…

桂馬(ダメだ。想像以上にまずいな、今の展開にしてもラーメンにしても)

桂馬(あの頑固親父が軽いノリでスープの味変えるわけ無いだろ、それと単純に前食った時よりまずかったし)

桂馬(攻略直後の状況とは全然違う…何が起こってるんだ?)

桂馬「……さてと」ゴソゴソ

桂馬「念の為作ってはいたもののお蔵入りしていた合鍵がこうも役に立つとは思わなんだ」チャリ…

桂馬「というかぶっちゃけがっつりギャルゲー界隈での禁忌を犯しちゃってる気もするがまぁそんな事気にしてる場合じゃないし」

桂馬「とりあえずスミレが居るかどうかだけでも確認……?」

桂馬「鍵開いてる…」

桂馬「………ゲームなら必ずサーブポイント置かれてる所だよな、これ」ガシッ

桂馬「行くしかないか…」ギィィ…
26 :>>25 スアスタ→スタスタ [saga]:2021/07/21(水) 00:44:56.76 ID:3l+7u4tq0
桂馬「……おいスミレ…」

桂馬「おーい…」シーン

桂馬「ここ別に部屋分かれてる訳でもない筈なんだが」

桂馬「他に見れる所といえば風呂かトイレか後は…」

桂馬「押し入れ……」スタスタ…

スッ…

桂馬「…」ドクンドクン…

スゥゥ…

桂馬「スミレ…居るのか?」チラッ

桂馬「…カーテン閉まってるし流石に電気付けないと暗すぎるな携帯携帯…」

ペトッ
桂馬「何だ今の感触」

桂馬「…血の匂い、まさかな…はは」

桂馬「…」ガラッ

桂馬「嘘だろ」

スミレ「…」ポタポタ…

桂馬「なん…で」

桂馬(なんでスミレが血塗れで横になってるんだよ)

桂馬(なんで血…家入った時…というか押し入れちょっと開けた時だった何も変な匂いは…)

桂馬(まさかコレ錯覚魔ほ)

「…」ブンッ

桂馬「!?」クルッ

桂馬(マジかよ…)
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/21(水) 01:01:46.81 ID:3l+7u4tq0
エルシィ「羽衣お願い!」ビュッ

ガッ

「…っ」ググッ

桂馬「エル…」ガシッ

エルシィ「ちょっとだけじっとしていてください!」ゴオッ

桂馬「うおっ!」

エルシィ「大丈夫ですか?怪我はありませんか!?にーさま!」ゴオッ

桂馬「大丈夫な訳あるか!ちょっと待て!とりあえず降りろ!」

エルシィ「無理です!さっきにーさまを襲った人」

エルシィ「一瞬しか見えませんでしたがあの服装冥界で見た事があります」

桂馬「!?」

エルシィ「うろ覚えですけどあのローブ、テロ組織が使っているものとかなり似ています」

エルシィ「それに近付いただけで分かりました。さっきの人の魔力とてつもなく大きいです」

エルシィ「私1人じゃ敵いません」

桂馬「それなら尚更だ!せめて1階に居る客やスミレのお父さんを逃がさないと…」

エルシィ「えっ…」キキーッ

エルシィ「にーさま、今なんて」

桂馬「いや、だからまず店に残っているキャラの安全を…」

エルシィ「1階にお店、ありました…?」

桂馬「は?」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/21(水) 05:22:33.27 ID:fEViKMaEO
いきなり不穏な空気に
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/21(水) 18:31:43.28 ID:3l+7u4tq0
エルシィ「待ってくださいにーさまー」

エルシィ「戻るのは危険ですって…」

桂馬(店なんてやってなかった…?そんな馬鹿な)

桂馬(ついさっきまでラーメン食ってたんだぞ…?あれも錯覚…?)

桂馬(そんな無茶苦茶な事…)チラッ

桂馬「……のれんが…見当たらない…」

ダダッ

エルシィ「ちょっと、にーさま!」

桂馬「!」ガラッ

桂馬「そん…な」

桂馬「人だけじゃない…」

桂馬「なんでテーブルも厨房も無くなってるんだ?」

桂馬「どういう事だよ…」

エルシィ「にーさまを1人にするのは流石に怖いと思って後から追いかけたんですけど…」

エルシィ「来た時にはもうこんな感じになってて」

エルシィ「にーさまの話を思い出して、2階に誰か人が居るんじゃないかと思った覗いたら…」

桂馬「さっきの場面に遭遇した訳だ」

桂馬「…待て、そういえばスミレの遺体は…」ダッ

エルシィ「にーさま!待ってくださいってば!」

桂馬「スミレ!」ガチャ

桂馬「…って返事する訳無いと思うが」

ガラッ

桂馬「……消えてる…」

エルシィ「そっちは危ないです…ってあれ」

エルシィ「ロープの人、居ない…」

桂馬「女神絡みで死体でも捕獲する必要があったのか…」

桂馬「でもそれなら血まで消す必要があるのか?今までのやり口とは異なるぞ…?」

桂馬「今更隠蔽…僕達に存在バレてるのが判明したから…?」

桂馬「分からん…」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/21(水) 18:50:08.17 ID:3l+7u4tq0
エルシィ「あの…にーさまさっきからなんで押し入れの中ジロジロ見てるんですか?」

エルシィ「さっき何見てたんですか?」

桂馬「死体」

エルシィ「へー…死体、死体ですか」

エルシィ「ってええ!?」

桂馬「スミレは一歩遅かった…いや、それどころじゃないかもな」

エルシィ「…う、うぅ…」ヒョコッ

エルシィ「パッと見た感じ何も無さそうなんですけど…」

桂馬「血の匂いも感じないか?」

エルシィ「は、はい…ちょっとカビ臭いかなぁ…ってくらいですね」

桂馬「……」チラッ

桂馬(確かにさっき血の感触があった匂いもした、確かに見た…拭く暇も無かった)

桂馬(なのに…なんで指が綺麗なんだよ…)

エルシィ「あ、あの…本当にここに死体があったんですか?にーさま」

エルシィ「スミレさん達引っ越して実は誰も居なかったんじゃ…」

桂馬「スミレの家計はそんな大掛かりな事する余裕なんて無いよ」

桂馬「第一あれから1ヶ月あるかないかでいきなりそんな急展開は起こらないし起こせない」

桂馬「ここはただの民家じゃなくてラーメン屋だぞ。移転なんて時間にしても経費にしてもかなりかかる」

エルシィ「う…確かに」

桂馬「…とにかく行くぞ」

エルシィ「え?い、行くって…」

桂馬「愛梨の家だよ」

桂馬「相手が本格的に動いたなら…あっちも危ないだろ!」ダダダッ

エルシィ「に、にーさま!無茶ですよ!もうすぐ陽が落ちます!」

エルシィ「犯人が居るなら尚更夜中にあんな所出歩くのは危険ですよ!」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/23(金) 00:25:51.39 ID:Dtg8TCVC0
桂馬「はぁ…はぁ…」ダダッ

桂馬(どうにか歩ける距離までには漕ぎ着けた…)

桂馬(まぁ多分帰りは電車間に合わないだろうけど…最悪エルシィが居る!)

桂馬(犯人は明らかに僕に殺意があった…あの様子だと狙いは確実に僕達への報復…」

桂馬(もし店にいた人達が消えたのがあいつの仕業なら愛梨やおじいちゃん達だけじゃない!)

桂馬(ほぼ無関係の村人モブにも被害が及ぶかもしれない…!)

桂馬「気付けばその村は廃墟と化していたなんてクソみたいな展開ゲームでも許されるか…!」

桂馬「はぁ…はぁ…はぁ」

ドサッ

桂馬「おつかいイベントでクリアしたステージ各所を回らされる主人公の辛さが身にしみて分かった気がする…」

桂馬「……着いた…」

開幕「この時間帯は流石に2人とも寝てるか…?」

桂馬「インターホン…はついてないしな」

ガラッ

桂馬「くそっ…途中までついてきてたのに、どこで逸れたんだ?エルシィの奴」

桂馬「前みたいに羽衣つけて歩きたいのは山々だが呼ぶ時間も待つ時間も無い…」ソロリソロリ…

桂馬「………」

桂馬「誰か居るか…?」チラッ

シーン

桂馬「寝室はどこだ…」

「キルゾ…」

桂馬「っ!」クルッ

「あそんでくれなきゃ…」

愛梨「クビ切るぞ…」ゾゾゾ

桂馬「…………」

桂馬「なんだ、愛梨か」

愛梨「キャアハハハ!」

愛梨「何してるの?メガネの兄ちゃん、かくれんぼ?」

桂馬「そんな訳無いだろ。お前こそ何してるんだ」

愛梨「しっこしてた」

桂馬「ああそう…」



32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/23(金) 01:01:01.30 ID:Dtg8TCVC0
梨枝子「何だい、騒がしいねぇ」ゴシゴシ

桂馬「あ、おばあさん…」

梨枝子「あれま…あなたは確か桂木さんの所の…」

桂馬「…ごめんなさい、勝手にお邪魔してしまって」

梨枝子「いいんだよ、呼び鈴も無いからねウチには」

梨枝子「でもこんな時間に珍しいね、どうしたんだい?」

桂馬「…良かった。こっちはセーフ、だったか」ガクッ



桂馬「すみませんん、お茶なんか貰っちゃって」

梨枝子「いいのいいの。あなたは数少ないウチのお客様なんだから」

桂馬「どうも…」

梨枝子「でも急にどうしてここに?」

梨枝子「もしかして…家出?」

桂馬「したくてもできない身なんで大丈夫です」

梨枝子「???」

桂馬「あの…実は少し聞きたい事があって」

桂馬「最近何か変な事が起こったりとか…後誰かに尾けられるとか、見られているような」

桂馬「些細な事でいいので何か周りの変化がありましたか?」

梨枝子「うーん…特に何も…」

梨枝子「あっでもそうだ」

桂馬「?」

梨枝子「この数日あなたの妹さんも何度か見かけてるねぇ」

梨枝子「そういえば同じような事聞かれてたよ」

桂馬「」ズコッ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/24(土) 04:10:24.44 ID:4EgY4XzW0
梨枝子「兄妹揃ってウチに聞き込みに来るなんて…何だい、またお化けでも出たのかい?」

桂馬「いやはや…そんな事は」

桂馬(あいつ…ちゃんと頻繁に見に来てたんだな)

桂馬(てっきり適当に済ませてるもんだと)

梨枝子「こういう田舎の村とか里はちょっとした噂でもお隣さんを介してすぐ住人全員に広まっちゃうからねぇ」

梨枝子「私はおろかここの人間は誰1人悩み事なんてないし困ってもないよ」

梨枝子「まぁそれ以前に人が居ないから悩みようが無いねぇ」キャハハ

桂馬「そうか…そう、だよな」

桂馬(…ここはそもそもこの前来た時に偶然駆け魂を見かけただけ)

桂馬(本来駆け魂の逃げ場である女性自体ほとんどいない農村地帯だ)

桂馬(駆け魂隊も編成されてないこの周辺は完全に冥界の管轄外)

桂馬(ここが通り魔の視野に入る可能性はほぼ無い…)

桂馬(そう、その筈だ…)

桂馬「…ありがとう、おばさん。何だか少し落ち着いてきた…気がする」

梨枝子「どって事無いよ」

桂馬「それじゃ僕はそろそろ家に帰るんで」

梨枝子「あれま、ついさっき来たばかりなのに」

梨枝子「それにもうこんな時間だよ、電車もバスももう止まってるんじゃ…」

桂馬「妹も探さなきゃいけないし、そうも言ってられないんで…」

桂馬「お邪魔しました」ペコッ



ガラッ

桂馬「…はぁ…」

桂馬「とりあえずエルシィを探すか…」.

桂馬「…今見たのも全部通り魔の魔法じゃないだろうな」ピコピコ

桂馬「いや、そもそも僕が錯乱してる可能性もあるのか…?」

桂馬「じゃないと夕方のアレは到底説明が付けられない」

桂馬「人の気配を消すだけならまだしても空間そのものを捻じ曲げたり改変する能力が悪魔にあるのか?」

桂馬「………」フラフラ

桂馬「ああクソ、駄目だ。善善頭が働かん」

桂馬「こういう時は精神統一、好きな物をひたすら数えろ」

桂馬「よっきゅんが1人、よっきゅんが2人…よっきゅんが…300人?…」

桂馬「えっと…よっ…きゅんが…ぁ…」ガクッ

ドサッ

桂馬「…」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/25(日) 15:46:15.38 ID:9DjVy0b50


「…さま、にーさま!」

エルシィ「神にーさま!」

桂馬「……ぁ?…」

エルシィ「良かった…意識が戻った…」

桂馬「ここは家か?」

エルシィ「何も覚えてないですか?」

エルシィ「にーさま、愛梨ちゃん家の近くで倒れてたんですよ?」

エルシィ「私が遅れて来た時にはもう…」

桂馬「ああ…そうか。昨日は学校終わってからずっと走りっぱなしだったからな」

桂馬「今日学校は…」

エルシィ「土曜だからお休みですよ〜」

桂馬「あ、そっか」

エルシィ「…にーさま、顔色悪いですね」

エルシィ「あそこでもまた何か嫌な事でも…」

桂馬「いや、別に、特に何も」

桂馬「だからかもしれないけどな…」

エルシィ「?」

桂馬「確かに何も問題なかった」

桂馬「だが駆け魂隊も居ないし、そもそも人目が付かなそうな場所だ」

桂馬「これまでのパターンからするとまず真っ先に狙われる所のはず」

桂馬「未だに無事なのはおじいちゃんとか、愛梨達と接点が無くとも僕と関わりの深い場所だから後回しにしてるのか」

桂馬「そもそもあそこで駆け魂が出た事自体知らなかったからと考えてたけどあくまでそれは僕にとって都合の良い解釈なだけだ」

桂馬「もしかしたらエルシィと僕はスミレの時と同じように幻を見ていただけの可能性もある」

桂馬「いや、まず第一に今僕が見てる現実は本物なのか?」

桂馬「なんで突然攻略対象が殺され始めた?なんで冥界の奴らが僕を襲う?実はこれは単なる夢オチだったりするんじゃないのか?」

エルシィ「ちょ、ちょっとにーさま、落ち着いて」

桂馬「昨日から…いや、本当は先週からなのか」

桂馬「おかしいんだ、僕が見ている情報は本物、正しいのか?」

桂馬「何を根拠に、何を信じて行動をすればいいんだ…」

桂馬(視界が…頭の中がまた霞んで…)
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/25(日) 16:12:19.14 ID:9DjVy0b50
ダキッ

桂馬「んぁ」

エルシィ「大丈夫」

エルシィ「大丈夫ですよ、にーさま」

エルシィ「幻でも夢でもありません、私はにーさまのそばに居ますから」

エルシィ「ね?」

桂馬「……」


桂馬「気持ち悪い」ドッ

エルシィ「おぼ」ドサッ

桂馬「いきなり抱きつくな、気色悪い」

エルシィ「う〜…いくらなんでもあんまりですよにーさま」

エルシィ「私は私なりににーさまを励ます為のスキンシップをですね」

桂馬「それでハグって結論に至るその思考回路自体がやばい、あほくさ」

エルシィ「ぅぅう゛…」ドバババ

桂馬「…お陰で眠気が覚めた」

桂馬「飯はは…まだ出来てないよな」

エルシィ「…!」ハッ

エルシィ「はい!今から作りますよ〜!」

エルシィ「えへへ〜」ダダダッ

桂馬「…あんなのにフォローされるとか」

桂馬「落とし神も末だな…」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/25(日) 17:19:07.22 ID:9DjVy0b50

桂馬(あれからまた何日か経過した)

桂馬(依然として周りに変化は見当たらない)

桂馬(愛梨達の方も特に異常は無さそうだ)

桂馬(1つおかしな事があるとすれば…)

桂馬(スミレ関連の情報を一切他者から聞けていない事か…)

桂馬(ブログもいつの間にか消えてるし、商店外の人達にスミレのラーメン屋に聞いても全員知らないの一点張りだ)

桂馬(相手は空間を弄るだけじゃなくて人間の記憶…頭の中にまで干渉できるのか…?)

桂馬「そんな物騒なパラメータ、悪魔や駆け魂が持ってるようなもんなのか…?」ピコピコピコピコ

二階堂「……おい桂木」

桂馬「シャラップ!今ちょっと大事なQTE
二階堂「ふん」バキッ

桂馬「あぁあ゛あ゛あ゛!?」

歩美「今日バンドの練習何時までやる?」<ナニシテンダァァァァ

ちひろ「もうすぐ舞校祭だし、なるべく長く時間取りたいわな」

京「あ、でもウチ今日予備校〜」<ギャァアア

ちひろ「あ〜…そっか。エリーは?」キーンコーンカーンコーン

エルシィ「わわ……え?あ、私ですか?」

エルシィ「私は基本的に何時でも…」アセアセ

ちひろ「とりあえずいつも通りやって時間余ったら続行って感じにすっか」

歩美「それでいいんじゃない?」

ちひろ「じゃあ30分後に部室集合ね」

エルシィ「は、はーい…」チラッ

桂馬「」プスプス…

エルシィ「にーさま〜」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/25(日) 17:50:57.90 ID:9DjVy0b50
桂馬「はぁぁ…また僕の残機が1つ減った…」

エルシィ「残機…」

桂馬「あの現実年増は一体僕から何度世界を奪えば気が済むんだ」プンスカ

エルシィ「寧ろにーさまを現実世界に引き戻そうと必死なだけなんじゃ…」

エルシィ「あの…にーさま今日は…」

桂馬「今日は天理…というかディアナの所に行ってくる」

桂馬「また犯人が出待ちしてるみたいだからな」

桂馬「この前しくじって慎重になってるのかもしれない」

桂馬「そろそろ後手に回るのは流石に危険な気がしてきた。何でもいいから武器が欲しい所だ」

エルシィ「武器、ですか…」

桂馬「とりあえずエルシィはちひろと歩美を見張ってろ」

桂馬「携帯渡すから、何かあったら家に連絡しろ」スッ

エルシィ「は、はい!」

38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/26(月) 00:06:56.99 ID:YrKa4Lcx0
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39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/26(月) 00:42:11.57 ID:YrKa4Lcx0



桂馬「…」コンコン

シャーッ

天理「桂馬君?」ガラッ

桂馬「悪い、ディアナと少し話がしたい」

天理「あ、うん…ちょっと待って」

天理「…」フッ

ディアナ「ふぅ」

ババッ

ディアナ「お待たせしました」シュタッ

桂馬「軽快だな」

ディアナ「腐っても女神ですから、当然です」

ディアナ「それでお話とは」

桂馬「…単刀直入に聞くぞ」

桂馬「お前の知る限り最強の悪魔って誰だ」

桂馬「でもってそいつはどういう力を持っている」

ディアナ「最強の悪魔…ですか」

桂馬「いや、この際神でも人でも何でも構わないか…」

桂馬「とにかく世界をひっくり返せるような力を持っている奴は居ないのか?」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/26(月) 02:59:24.41 ID:YrKa4Lcx0
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41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/26(月) 02:59:52.74 ID:YrKa4Lcx0
ディアナ「単刀というには少々形が歪な気がしますが…」

桂馬「重要な事なんだ。真面目に答えてくれ」

桂馬「今回はそこらの駆け魂だの悪魔だのそんな可愛い奴が相手じゃない気がしてきてな」

ディアナ「はぁ…」

ディアナ「…結論から言うとその質問にはお答えしかねますね」

ディアナ「私達ユピテルの姉妹は神の中でも選りすぐりの女神の一族でしたから…」

ディアナ「まず我々よりも強力な悪魔や人間は少なくとも私達の力が健在だった頃にはほとんど居ませんでした」

ディアナ「かといって私達レベルの魔力の持ち主でも世界をどうこうできるかと言われると話は別になってきます」

ディアナ「勿論、実力行使で無理矢理世界の風向きを変える事は十分可能でしょうが、流石に直接自分の力で世界を思うがままに作り変えたり、改変を行うとなると…」

桂馬「…つまりほぼ不可能って事か…」

ディアナ「ええ」

ディアナ「ですが私達が動けなくなってから長い月日が経ちました。その間にそういう素質に目覚めたり覚醒した者が居る可能性も当然あるでしょう」

ディアナ「…万が一にもそんな敵が現れれば、私はおろか姉様や妹達と束になっても勝てるかどうか…」

桂馬「また頭が痛くなってきたぞ…くそ」

ディアナ「それにしても何故急にそんな話を…」

桂馬「また1人殺されたんだよ、お前は知らないだろうけど」

ディアナ「!?」

桂馬「今回は前回の2人と違って飲食店の経営者兼学生だ」

桂馬「顔は広い。ちょっとやそっと記憶の消去や補完をした所で収拾はつかない…筈なんだ」

桂馬「商店街の人も同じ学校の生徒も知らん顔をしてる」

桂馬「それに実際に店に行った時も不可解な現象が起きてる」

桂馬「気づけばあった筈の物が消えてるし居たはずの人も居なくなってる」

桂馬「ビフォーアフターもびっくりなマジックだ」

桂馬「…どうやら思っていた以上に面倒なキャラにフラグを立ててしまったらしい」
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/26(月) 03:11:50.37 ID:YrKa4Lcx0
ディアナ「何故急に奴は殺人の隠蔽を…」

桂馬「知ったこっちゃない」

桂馬「犯人に不都合な事が起きたか或いは単なる悪戯か」

桂馬「どちらにしてもロクな展開にはならないな」

ディアナ「…私に何か出来る事はありませんか」

桂馬「無いな。今迂闊には動かない方がいい」

ディアナ「しかし、このままあなた達だけに任せても…」

桂馬「ディアナ」

ディアナ「…?」

桂馬「お前が必要になる時は必ず来る」

桂馬「だから今は待て」

ディアナ「…」

桂馬「…」

ディアナ「…分かりました」

ディアナ「でも……無茶だけはしないでくださいよ」

桂馬「分かってるよ」

プルルルル

桂馬「!?」

ディアナ「…電話ですか」

桂馬「ディアナ、部屋に戻ってろ」

桂馬「それと意識も封じて天理に直しとけ」

ディアナ「は、はい」ガラッ

桂馬「………」


プルルル…

桂馬「…っ」

ガチャ

桂馬「……エルシィか?」

エルシィ『に、にーさま…』

桂馬「おいどうしたエルシィ、バンドは今日遅くまでやるんじゃ…」

エルシィ『そ、その…あの…助け』

エルシィ『ち、ちひろさんが…それと、歩美さんが…』

桂馬「ああもういい、何も言うな」

桂馬「今すぐそっちに行く!」ガチャ

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/27(火) 03:41:18.77 ID:QUDmrVpq0

桂馬「エルシィ!」ダッ

エルシィ「!にーさま…」

歩美「…」ガタガタ

桂馬「歩美は…とりあえず無事だな」

桂馬「ちひろは?」

エルシィ「…」チラッ

桂馬「…どいてくれ」

桂馬「…」ギィィィ

???「…」ジワァ…

桂馬「これは…匂いと話から察せてはいたが…」

桂馬「ここまで酷いか…」

歩美「あ、ぁァァ゛ァ…」ガタガタ

エルシィ「にーさま、それ…」

桂馬「あ…?」

ピリッ

桂馬「メモか?」

「ツギハオマエダ」

桂馬「………トイレでこんな殺人予告とかどのゲームの花子さんでもやらんぞ」

エルシィ「これって一体…」

桂馬「…今日は曇りだ」

エルシィ「え?」

桂馬「星が見えない以上月夜が学校に居残る理由はほぼ無い」

桂馬「図書委員もローテ的に今日はは早上がりの筈だ」

桂馬「美生もバイトだなんだと忙しくて部活をやる余裕も無い」

桂馬「エルシィ、どういう経緯で今こんな状況になってるんだ」

エルシィ「ど、どういう経緯…と言われても」

桂馬「ちひろが殺される前何があったか聞いてるんだ」

エルシィ「…え、えぇと…バンドの練習が一区切りつけて…」

エルシィ「京さんと結さんは用事があるとの事だったので、私達3人だけでも居残っていつもより長く練習しようって話になったんですよ」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/27(火) 03:59:06.84 ID:QUDmrVpq0
桂馬「なんで早く解散させなかった」

エルシィ「い、いや…その、危険だとは分かってましたけど2人の熱意に押されて負けて…」アセアセ

桂馬「で結果こうなったと」

エルシィ「……っ」プルプル

桂馬「もう下校時刻は30分以上過ぎてる。ほとんどの生徒は帰ってるだろう。個室の中を確認できる生徒は限られる」

桂馬「この時間帯にちひろを狙って単なる悪戯目的でこんな落書き残すとは考えにくい」

エルシィ「….それって…つまり…」

桂馬「十中八九次のターゲットは決まってるだろうな」

桂馬「なんなら今も僕達が尻尾を出すのを近くで待ってるかも…」チラッ

ビュッ

桂馬「!?」ドサッ

ガギッ

桂馬「ぁ…あ?」ピクピク

エルシィ「突然ナイフが降ってき…え……?」

歩美「ァ゛…ぁ」ガクガク

桂馬「っ…危ない!」バッ

ガガッ

エルシィ「にーさま!」

ドサッ

桂馬「おい、歩美…おい!」ユサユサ

歩美「桂……木」

桂馬「…逃げるぞエルシィ」

エルシィ「に、逃げるって何処に…」

桂馬「そんなの逃げながら考えるしか無いだろ!」グイッ

桂馬「行くぞ!」ダダッ

エルシィ「は、はい!」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/28(水) 03:50:54.54 ID:36HsISby0
ダダダッ

エルシィ「うわわっ!」ガギギッ

桂馬「無尽蔵に刃物投げてくるな…」

桂馬「相手は猫型ロボットか何かか!?」ヒョイッ

エルシィ「なんで部屋の窓から正確にこっち狙えるんですかぁぁ!?」ガガッ

桂馬「とりあえず黙れお前!どの道声で位置バレるだろ!」

桂馬「というかお前は羽衣で防げよ!」

エルシィ「魔力が篭ってるのか貫通しちゃうんですよ〜!」アセアセ

桂馬「肝心な時も役に立たないなこのバグシィ!」

エルシィ「ぅうえぇ〜!」

歩美「…」ボーッ

桂馬「よし階段だ…!」

桂馬「頼んだぞエルシィ」ググッ

エルシィ「え、ちょっと頼んだって何を」

桂馬「それ位考えろ!」ババッ

エルシィ「いや、ちょっ…ええ!?にーさま!?」




「……」

「…?」チラッ

「居ない…足音もしないし一体何処に」

ガシャン

「!?」




桂馬「……〜!」フワフワ

桂馬(いくらヒロインの為とはいえゲーム機1台は代償が重すぎる…!!)ピクピク

エルシィ「に、にーさま!急に飛び降りないで下さいよ!危うく地面に激突する所だったじゃないですか!」ボソボソ

桂馬「う、うるさい!」ボソッ

桂馬「このまま浮遊して別の部屋へ逃げるぞ…念の為透明になったままな」

エルシィ「は、は〜い」フワフワ…

桂馬(ワンチャン壊れてないかもしれないし帰る前にどこかで回収しなければ…)






46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/28(水) 13:52:40.42 ID:TgXxDeL0O
ガラッ

桂馬「よし…理科の準備室なら死角も多いししばらくはやり過ごせるだろ」

エルシィ「犯人さん、まんまと引っかかって落ちたゲーム機の方行ってましたね」ゼエゼエ…

桂馬「ああ…お陰で少しだけ時間は稼げた」

桂馬「けどのんびりもしてられないぞ。見失ったからしらみ潰しに一部屋一部屋回って校舎丸ごと壊すかもしれない」

エルシィ「…!」

桂馬「みなみや愛梨のばあちゃんがまだ残ってるのにもうこっちに踏み込んできた。気まぐれか何か知らないがまた作戦を変更してきたらしい」

桂馬「場合によってはまだここに残ってる生徒や教師も狙われる可能性もある」

エルシィ「ど、どうしましょう…」

エルシィ「羽衣で隠れて一旦逃げます?」

桂馬「相手はただの人間じゃないんだ。効かない可能性もある」

桂馬「奴には見えないって確証があるならさっきわざわざ飛び降りて囮を作ったりなんかせずに透明になってこっそり逃げてた」

桂馬「さらにこっちも犯人が何処にいるか分からない状態なんだ」

桂馬「逃げるルートを考えるにも動きがさっぱりな以上迂闊に動く訳にもいかないだろ」

桂馬「まぁ確かに羽衣で逃げられるならそれが1番ベストなんだが…」チラッ

歩美「…」プルプル…

桂馬「…こっちは1人動けない状況だしリスクが高すぎる。それにさっきも言った通り上手く逃げられたら今度は学校に残っているモブキャラが標的にされる危険がある」

桂馬「このまま放置する訳にもいかない」

エルシィ「そ、それじゃあどうしたら…」

桂馬「おいエルシィ、携帯返せ」

エルシィ「え、あっ…はい」スッ

桂馬「ダメ元で呼んでみるか…」ピツピッ

桂馬「それからエルシィ…」プルルル

エルシィ「?」

桂馬「……お前が頼りだ」

桂馬「ちょっと無茶しろ」

エルシィ「へ」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/28(水) 17:03:50.81 ID:IKkHgY9TO
見てるで
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/29(木) 03:18:32.42 ID:nyqzDWJ50
「くそ…あいつら何処に行った…」

「まさか逃げられた…?」

「どういう事よ、話が違うじゃない!」

「…?」チラッ


歩美「」ダダダッ

歩美「桂木…エリー…」

歩美「はぁ…はぁ…どこ行ったのよ〜」

歩美「もう暗くて全然見えない…でも明かりつけたら…」キョロキョロ

歩美「…っ」ダダッ


「……ばっかじゃないのぉ?」

「もうバレてるっての」ゴオッ


歩美「ど、どうしようどうしよう…」ダダダッ

歩美「何処に行けば…」

ビュッ
歩美「!?」

ガギイッ

歩美「っ…」クルッ

「見ーつけたっ」

歩美「あんたさっきの…」

「お目当ての方じゃなかったけど、まぁいいや」クルクル

「どの道あなたも殺せって言われてるし」パシッ

ビュビュッ

歩美「ひっ…!」ダッ

ガギギッ

「すばしっこいガキな…」ブンブンッ

歩美「いっ…いやっ……!」ガガガガ…
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/29(木) 03:32:06.77 ID:nyqzDWJ50
ゴソゴソッ

歩美「っ!」ブンッ!

カランカラン

「あ?」

ガッ

「くっ…」ブシュゥゥ

(スプレー缶…中身はよく分からないけどこんなものいつの間に…)

歩美「…!」ダダダッ

「ちいっ」



ガラッ

カチャ

歩美「机と椅子と…あと教卓!」ガッ

ギシッ

歩美「とりあえずロッカーの陰に…」ヒョイッ

歩美「………」ゴクリ

…カツ…カツ

歩美「!」

カツ…カツ…カツ…

歩美「…」ドクンドクン…



シーン…

歩美「………」

歩美「撒けた…?」チラッ


バリバリイッ

歩美「!?」クルッ

「またみーつけたっ」シュタッ

歩美「ちっ…」ガシッ

「?」

歩美「っらぁっ!」ブンッ

「よいしょっと」ドゴッ

バキバキィッ

歩美「うっそ…机……粉々…」

「ふふふ…」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/29(木) 03:45:06.65 ID:nyqzDWJ50
歩美「っ!」ダダッ

「なぁに?窓から飛び降りる気?」

シャッ

「待てよ」ガシッ

歩美「痛っ!」

グググ

歩美「は、離して…」

「ふん」バキッ

歩美「あうっ」ドサッ

グサグサッ

歩美「いった…!?」

「あーあ、一杯刺さっちゃったねぇ、破片」

「痛そー」

歩美「く…ぅ……」ジリジリ…

「壁に寄りかかっちゃって…かわいー」

「ふふ…」

歩美「なんで…なんでこんな事するのよ!」

「なんでって言われても…ねぇ」

「別に私は貴方に恨みがあるどころか会った事も無いし何なら名前すら知らない……」

「…いやでもあなたの名前…何処かで聞いた事あるような、無いような」

歩美「…?」

「まぁいいわ。印象にも残らないような子だったんでしょ、あなたはきっと」

「だから別に私はあなたに興味ないの。あるのはもっと別の方」

歩美「別の…?」
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/29(木) 04:24:30.39 ID:nyqzDWJ50
歩美「まさか…あんた桂
歩美「ぎっ!?」ガシッ

ギリギリ…

「そうそう、そいつよ、桂馬君、桂木桂馬君」

「彼をなるべーく苦しめる為にまずお友達のあなた達を殺してる訳」

「あー名前をちょっと聞いただけで虫唾が走る」

歩美「うっ….あ゛っ」

バッ

歩美「げほっげほっ!」ドサッ

「口を開けば桂木桂木って…はぁ」

「なぁに?桂馬君は貴方のヒーローか白馬の王子様か何かなの?」クイッ

歩美「うっ…」

「馬鹿馬鹿しいにも程があるわ」ガッ

歩美「……桂木が何したって言うのよ」

「んー?桂馬君はねー、小学生の時にー」

「私から大事なモノを奪ったの」

歩美「……」

「だから、滅茶苦茶にしてやりたいの」

「単純でしょ?」

歩美「それだけで…こんな沢山凶器を…?」

「ふふふ…凶器、ねぇ」

「勿論こんなに大量に刃物なんて手に入れられっこないし…」

「第一女の子持てる量じゃないよね?」

歩美「……」

「この武器はねぇ……私のお友達がくれたのよ?」
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/29(木) 23:52:01.54 ID:nyqzDWJ50
歩美「友達…?」

「そっ。数少ない私の信用に足る頼れるお友達」


「私があのちんちくりんに屈辱を受けてから…何度も復讐するチャンスを狙っていた…」

「住所の特定までは割と楽だったんだけどねぇ」

「どうもあいつのバックがちょっと厄介者だから手を出したら仕返しでこっちが蜂の巣にされかねなくて手をこまねいていたの」

「でもね、つい最近突然その子はやってきて悩みを打ち明けたら手を貸してくれるって快く言ってくれたのよ」

歩美「…そいつ絶対ロクな奴じゃないじゃん」

「ふふふ…まぁあながち間違っては無いわ。ろくでなしには変わりないわ」

「私も最初こそは驚いたけど…こんなのを見せられたら…ねぇ?」シュルッ

歩美「…?布?」

「こちらただの布ではございません。私がちょっと力を込めると…」ブワッ

パシッ

「はーい、立派な刃物の出来上がりー」パシッ

歩美「!?」

「ナイフだけじゃないよ〜。銃器にスタンガン、何でもござれ」ブワッ

「まぁ正確には私が直接マジックしてる訳じゃないんだけど」

「信じられないでしょ?これで分かった?」

「私は刃物を持ってた訳じゃなくてちっちゃい布きれで作ってるの」

「これが私の秘密」
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/30(金) 03:14:24.33 ID:qIjoAnjR0
「さてと、まだ昔話を聞かせてあげたい所だけど」ヒュルッ

ガッ

歩美「うあ゛っ」ギチギチ

「そらそろ飽きてきたし、殺っちゃおうかな」

「あーでもただ殺すのもつまらないから…」

「3分このまま絞め続けても生きてるなら桂馬君を誘き寄せる人質にしてあげる」

歩美「う゛…かっ…」ギギギッ

「貴方は虚しく桂馬君の目の前で殺され彼の心に一生刻まれる悲劇のヒロインになれる」

「私はあいつに一生もののトラウマを植え付けられる。WINWINでしょ?」

「このままただ身体中の骨折られて死ぬよりかはいくらかマシよ?」

歩美「…かひゅ…」

「ほーら、頑張れ頑張れー」




桂馬「歩美!どこだ!歩美ーー!」

「!?」クルッ

歩美「待っ……」

「ふふふふふ」

「噂をすれば何とや」スタスタ…

「らっ!」ドガァッ

「こっちね…」ダダッ
54 :以下、VIPにかわりましてVIP警察がお送りします [sage]:2021/07/30(金) 03:22:17.79 ID:l4RwdsbT0
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
VIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すなVIPRPG完全終了さっさと畳んでもう二度とVIPに姿を現すな
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55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/30(金) 03:35:59.61 ID:qIjoAnjR0
桂馬「歩美!どこだ!歩美ーー!」

「…ああ、間近で聞くと本当に耳障りな声ね」スタスタ…

「さぁ感動のご対面…」

桂馬「」プカプカ…

「…………」

桂馬< 歩美!どこだ!歩美ーー!
桂馬< 歩美!どこだ!歩美ーー!
桂馬< 歩美!どこだ!歩バキバキィッ

「レコーダー…それに…風船?」

「こんなものいつの間に………」

「!」ハッ

「まさか…まずい!」ダダッ





歩美「痛た……」

歩美「全く、最近は暴力を振るうような乱暴なヒロインは減ったと思ったんだが…」

歩美「…」チラッ

ガッ

「はぁ…はぁ…はぁ…!」

歩美「…だから待てって言ったのに」ヘッ

「て…テメェ…!」ビュッ
「じゃあね〜」ババッ

「!?」

ダダッ

「あいつ…何処いった!?」ガバッ

「階段の時と同じ…窓から落ちた筈なのに姿は見えない今度は落下した音も無い…!」

「さっきからなんだってのよ!」ガッ


「無闇矢鱈に物に当たるのは良くないぞ」

「暴力系ヒロインが殴っていいのは主人公だけだ…いや、ぶっちゃけ主人公もダメだけど」

「!?その声…いやその腹立つ口調…」



歩美「ご名答。あたしは高原歩美……の身体を一時的に借りてる」

歩美「正真正銘あんたが殺したがっていた桂木桂馬君その人だよ」

エルシィ「はぁ…はぁ…ま、間に合った…」プカプカ…
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/30(金) 04:05:32.74 ID:qIjoAnjR0
「何…一体…どうなってんの…?」

歩美「正直ここまで^_^上手く行くとは思わなかった」

歩美「お前が大層にベラベラ喋ってくれたお陰で随分時間も稼げたさ情報も取れた」

歩美「願ったり叶ったりだ」

「ぐうっ!」ブンッ

歩美「お前はただの人間だ。この透明化を見破るどころか理屈すら知らないんじゃいくら投げても僕には…いや、僕達には当てられない」

歩美「さっきのマジックショーのお礼だ。こっちもネタバラシしてやるよ」



桂馬『エルシィ、この間の…結の駆け魂まだ持ってるか?』

エルシィ『…出所不明の勾留ビンなので爆弾とか危ない魔術かかってるか調べてて確かにまだ提出してはいませんが…』チラッ

エルシィ『に、にーさま…まさかとは思いますがあなた…』

桂馬『勿体ぶるな、面倒くさい。いくらお前でも今の流れは察せるだろ』

桂馬『歩美の身体に駆け魂を入れる。それでもって身体を入れ替える』

桂馬『僕が時間を稼ぐから気を引かせてる間に歩美を安全な場所に移動させろ』

エルシィ『いやいやいや…えぇ!?』

桂馬『歩美は今心のスキマができてる。多分駆け魂が入れる状態だろ』

エルシィ『待って待って待ってくださいよにーさま!話が読めません!』

エルシィ『前も言いましたけど捕まえた駆け魂を解放するどころかまた別の人間に取り込ませるなんて地獄ではご法度です!』

エルシィ『首ちゃんぱじゃ済みません!』

エルシィ『第一入れ替わる理由が分かりません!』

エルシィ『時間を稼ぐにしてもそれをする必要性が無いというか…』

桂馬『…馬鹿かエルシィ』

桂馬『歩美は陸上部員だぞこの野郎!僕より歩美の身体の方が断然逃げられる確率高いに決まってるだろこのヤロー!』

エルシィ『えぇ…』
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/30(金) 04:45:29.64 ID:qIjoAnjR0
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58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/30(金) 04:46:33.32 ID:qIjoAnjR0
桂馬『それだけじゃない。駆け魂を入れていれば、レーダーで僕の位置は分かるようになるだろ?』

エルシィ『え?あー、確かに』

桂馬『お前はずっとその動きを見張ってろ』

桂馬『歩美を避難させたら僕の所へ急いで来るんだ』

エルシィ『それでにーさまを助けてトンズラすればいい訳ですね!』

エルシィ『……でもどうやって?』

桂馬『これを使え』スッ

エルシィ『これってさっきのナイフ…』

桂馬『1つくすねておいた。何か役に立ちそうだったからな』

エルシィ『あの〜、それでこれで何を?』

桂馬『…ここから先は完全に僕の勘頼みだ』

桂馬『憶測でしかないけどとりあえず聞けよ』

桂馬『まず相手の第一標的は9割方僕だ』

エルシィ『なんでそこまで言い切れるんですか?』

桂馬『あれからよく考えたけど…やっぱり最初僕を殺そうとした時から違和感があった』

桂馬『エルシィ、あいつはお前より強いんだろ?』

エルシィ『え、ああ…はい』

桂馬『もしお前も狙いなら…』

桂馬『あの時真っ先に追いかけて僕達を消していたと思う』

エルシィ『それは…アレじゃないですかね』

エルシィ『スミレさんの死体を消して隠蔽してたとか…』

桂馬『ぶっちゃけ目撃者でもある僕達見逃してまでするべき事か?それ…』

エルシィ『うーん…まぁ、確かに』

桂馬『僕はこの時点では奴に殺す必要性が無かったのかそもそも何らかの理由で僕達を殺せなかったのかと考えていた』

桂馬『そしてこれはさっきの状況にも当てはまっている』

桂馬『エルシィ、もう1度ちひろが死ぬまでの流れを教えてくれ』

エルシィ『え、えっと…バンドの練習を一区切りつけて…トイレ休憩挟んだんです』

エルシィ『それでちひろさんがお手洗いに行ったんですけどそれっきり帰ってこなくて…』

エルシィ『歩美さんが不安になって見に行くから待ってろって…まぁ待ったんですけど』

エルシィ『しばらくして叫び声が聞こえて、慌てて駆けつけたら…』
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/31(土) 04:18:41.20 ID:yC2W8GrZ0
桂馬『それでさっきの状態に至る…と』

エルシィ『あの時は必死でにーさまに連絡するのが精一杯で…』

エルシィ『逃げようにも近くにいると思うと動けなくて…』

桂馬『まぁ…そうだな』

桂馬『僕が来た途端人が変わったようにこっちに殺意向けてきた』

桂馬『動くにせよ動かないにせよあの時点で既にお前達の近くに潜んでいた筈だ。どの道手遅れだった』

桂馬『僕が来る前に既に殺ろうと思えばいつでも殺れる状況になっていた』

桂馬『だが現にお前は生きている。さぁ何故だ』

エルシィ『…』

桂馬『答えは簡単。お前は正確には殺害対象外なんだよ』

桂馬『更にに言うと厳密には殺せない奴判定なんだろうな』

桂馬『犯人には僕の情報を事細かに知る事ができた


桂馬『がその実奴には僕が今いる位置を知る術を持ってはいない』

桂馬『ある意味コレは最初からダイレクトに僕を襲わない別の理由にも取れる』

桂馬『あいつは僕に対して死以上の恐怖を与えるのを望んでいる』

エルシィ『死…以上ですか』

桂馬『考えてもみろ』

桂馬『僕を殺すのにスミレの死体見せる必要ある?』

エルシィ『……どうなんでしょうかね…えへへ』

エルシィ『私遅れて現場に到着したので何とも…』

桂馬『そうだよ。僕が死体を見て数秒後には消していた』

桂馬『たかが死体を僕に見せびらかす為にあんな舞台装置を作ったんだ』

桂馬『相手は魔法使いみたいなもんだ。殺す方法なんていくらでもある』

桂馬『要するに犯人は僕を殺すイベントを作る為に自分の望む形になるように場をコントロールしたかった』

桂馬『だが僕は現実のキャラにはほぼ興味のないギャルゲーマー。基本的に誰とも関わらず1日を過ごす』

桂馬『攻略済みのヒロインとはほぼ接点を無くしていたし、そいつらと僕を繋げるキャラもアイテムも無かったから、イベントのフラグを立てるのには難を極めた』

桂馬『そこでお前だエルシィ)
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/01(日) 01:55:53.60 ID:jskPmb2G0
桂馬『お前は有無を言わさず僕の後ろについてくる』

桂馬『アレだな、金魚のフンみたいなもんだ』

エルシィ『金魚…フン…』ジワァ

桂馬『フンならマーキングは簡単だろ』

桂馬『お前はバンドで多くの攻略対象と関わっている』

桂馬『勉強の為に図書館によく出向くから栞との遭遇する頻度も高い』

桂馬『他の奴らとも強引ながら接点を作れなくも無い。格好の餌だ』

エルシィ『うー……』

エルシィ『…私がいるせいでにーさまや他の人達が…』

桂馬『大元を辿れば悪魔絡みなんだから大体お前のせいで収束するんだがな』

エルシィ『う〜!うぅぅ…そんな言い方しなくても』ドバババ

桂馬『誰もそうだから責任を取れとか一言も言ってないだろ』

桂馬『今やってるのは反省会じゃなくて単なる情報整理、事実確認だ』

桂馬『確かにお前がもう少し注意してたら未然に防げた事もあったかもしれない。だけど現実にはセーブデータなんて無い』

桂馬『セーブできないなら必要な情報だけロードして後はゴミ箱にでも何にでも捨ておけ』

桂馬『この後それをひっくり返せるだけの挽回をすれば良い』ポンッ

エルシィ『にーさま…』

桂馬『…いいか、話を戻すぞ』

桂馬『要点をまとめると、犯人は僕を殺したい。それもなるべく』

桂馬『これだけだ。他の奴らは舞台の引き立て役になるように殺すなり利用できるだけ利用する』

桂馬『それはさっき言った通りスミレの件で実証済み』

桂馬『偶然にもその条件は今も満たしている』

エルシィ『…あっ』

桂馬『お前も捕まえて人質にしたりできそうだが腐っても悪魔だからな』

桂馬『羽衣でいくらか抵抗できるし最後の手段だが苦肉の策で自爆する事だってできる。できればあまり手を出さず放っておきたいと思っている筈だ』

桂馬『とすると僕以外で狙われてくるのは…』チハッ
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/01(日) 01:58:18.97 ID:o6P/1B4Vo
来てたか
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/01(日) 02:25:23.39 ID:jskPmb2G0
歩美『…』ガタガタ

桂馬『もし僕がこのまま1人で時間稼ぎをしても、多分すぐ殺される』

桂馬『わざわざエルシィや歩美を見つける必要なんて無いし面倒だからな』

桂馬『痺れを切らしたのか、恐らく今日中に僕との因縁に蹴りをつけるつもりでこんな大胆な行動に出たんだろう』

桂馬『じゃあ逆にこっちから餌を用意したらどうなるだろう』

エルシィ『餌…』

桂馬『歩美は僕達にとっては大切な友達…という認識だ』

桂馬『現にこうして抱えて逃げてきた訳だしな』

桂馬『あいつは何かご飯を作る為に冷蔵庫の中を覗いているとしよう』

桂馬『使う食材は分からないが味付けは欠かさない』

桂馬『そこに丁度塩なり何なり手頃な調味料があるのに使わない馬鹿な料理人は居ないだろう』

エルシィ『…にーさま、自分が何言ってるか分かってるんですか?』

桂馬『愚問だな。寧ろお前はちゃんと理解してそんな質問してるか心配だ』

エルシィ『…』

桂馬『お察しの通りだよ』

桂馬『僕が殺されて歩美が殺されるは正だが僕が殺されず歩美が殺されるはあり得ないんだよ』

桂馬『あくまで今回のケースに限っての話だがな』

エルシィ『む…無茶苦茶ですよ…にーさま』

エルシィ『そんな…危ない橋を渡る為に駆け魂を解放させようって言うんですか!?』

桂馬『けど一応理屈は通るだろ』

桂馬『今僕が言ったところでおかしな点があるなら寧ろ指摘して欲しい所だけど』

エルシィ『それは…まず色々発想がおかしいですし』

エルシィ『あくまで可能性の話の範疇じゃないですか』

桂馬『仕方ない。都合の良い解釈も少なからずあるだろうが現時点で根拠とか確実性を見出す余裕は無い』

桂馬『勝つ確率の高い博打をしてるだけだ』

桂馬『それに駆け魂で身体を入れ替えるのは他にも2つメリットがある』

エルシィ『メリット…?』
63 :>>60 それもなるべく苦しめて』、ですわ [saga]:2021/08/01(日) 02:49:21.89 ID:jskPmb2G0
桂馬『第一に囮を作れる事だ』

桂馬『さっきも言ったが犯人は1人になってる僕を見つけたら躊躇なく殺すだろう』

桂馬『多分相手も僕が逃がす為に時間稼ぎをしてるって判断するだろうからな』

桂馬『だけど見かけたのが歩美の場合、まだ校舎に僕やエルシィが残ってる可能性が高いと見るだろう』

桂馬『だからその場合、良くて拘束、悪くても半殺し程度に済ませて僕を生かすだろう』

桂馬『そこでだ』ゴソゴソ

エルシィ『何ですか?それ』

桂馬『ICレコーダーだ』

桂馬『こいつに僕の音声を録音して誘き寄せる』

桂馬『ただこれを流すだけじゃ不恰好だ』

桂馬『そこでエルシィ、これを僕のダミーを作ってそれに貼り付けろ、でもって音声を流して僕の方にダミーを移動させろ』

エルシィ『ええ!?う…え、えぇぇ!?』

エルシィ『そ、それって私…にーさま…の身体の歩美さんを避難させてから、ですよね?』

エルシィ『時間が足りませんし、第一何処ににーさまが居るか分かりませんよね!?』

エルシィ『というかにーさまの安否も分かりませんよ!?』

桂馬『馬鹿、何の為のレーダーだよ』トントン

エルシィ『れ、レーダーって…これはあくまで駆け魂を探る為の……って、あっ』

桂馬『な?僕の場所ならすぐ分かるだろ?』

桂馬『まぁ生きてるかどうかは神のみぞ知るって感じだが』

桂馬『とりあえず何にせよ僕が生きてる前提で進めてくれよ』

エルシィ『は、はぁ………』

エルシィ『…で、それで引きつけられたら私がこのナイフでにーさまを拘束している羽衣やら何やらをズバッと……』

エルシィ『…って事ですよねぇ…』

桂馬『お、何だ。話が早くて助かる』

エルシィ『滅茶苦茶責任重大じゃないですかぁ!私!』

桂馬『いやだって…さっき無茶してねって頼んだだろ!』

エルシィ『だ、だって…いくら何でも私1人でこんな事…』

桂馬『できないって分かりきってるのを僕がお前に頼むと思うか?』

エルシィ『…』
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/01(日) 03:05:28.08 ID:jskPmb2G0
桂馬『それにまぁ…最悪できなくてもいい』

エルシィ『えぇ!?いいんですか!?』

桂馬『いやよくねぇよ。死ぬだろうが』

エルシィ『理不尽です〜…』

桂馬『2つ目のメリットは失敗した時の保険を付けられる事だ』

エルシィ『保険、ですか…?』

桂馬『あぁ、あまり死ぬ前提で話したくないけどな』

桂馬『もし僕が逃げられずに奴に殺されても死んだ歩美の身体には駆け魂が残っている』

桂馬『さぁその駆け魂は一体どこに行くと思う?』

エルシィ『それは…まぁ次の宿主を探して…』

エルシィ『…』

桂馬『あんなシリアルキラーに心のスキマなんて無い訳ないだろ』

桂馬『でもって高確率で悪魔』

桂馬『…女だ』

エルシィ『いやいやいや女の子かどうかは流石に分からないじゃないですか?』

桂馬『胸の膨らみとヒロイン独特の甘い香りを僕が見逃すと思うか!?』

エルシィ『見逃してください』

桂馬『ともかく相手は9割方女だ』

桂馬『僕が死んでも冥土の土産に駆け魂をしてやれる』

桂馬『とりあえずそれで直接僕の関係者を殺そうとはならんだろう』

桂馬『後はいつもの仕事の要領でやればいい』

エルシィ『いつもの要領って…』

桂馬『当然ながら何度も言うがコレはこの作戦がしくじった時の付け焼き刃代わりだ』

桂馬『あまりアテにはするなよ。主に僕の存亡の危機的な意味で』

エルシィ『いやでもしませんよ!?ただでさえこの駆け魂は普通の方法じゃ捕らえられない位に成長してるんですよ!』

エルシィ『これ以上レベルが上がったら誰にも手に負えなくなります!』

エルシィ『それに…にーさまには死んでほしくないです…』

桂馬『………決まりだな』
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/01(日) 04:01:45.15 ID:jskPmb2G0
「…そんな…全部お見通しだったって事…?」

歩美「見通しもクソも無いだろ」

歩美「はっきり言ってコレは借金使ってギャンブルするみたいなその場凌ぎの方法だ」

歩美「人の命懸かってなけりゃこんな危険な事しない」

「………違う、そうじゃない…」ボソッ

「なんで…あんたがそんな、事…」

歩美「…?」

歩美「まぁいいや。それともう1つ教えてやるよ」

歩美「生憎だけど僕はお前の事なんか覚えてない」

「え…」

歩美「嘘じゃない。声だって聞いた事ないし、さっきちらっと顔が見えたが見覚えが無かった」

歩美「だからお前が僕に何か奪われたとか酷い事したとか言われても知らん」

「嘘…嘘よ。覚えてないの?」

「私の名前も?私と話した事も…?」

「あの時何の劇やったかも覚えてないの!?」

歩美「いや…そもそも劇なんかしたのか…?」

「そん、な…」

歩美「………よく分からんヒロインだなぁ」グシャグシャ

歩美「小学生の時の僕フラグ立てすぎじゃないか?天理の時といい…」

エルシィ「にーさま、そろそろ…」

歩美「そうだな。じゃ、そういう事だからそろそろお暇させてもらうよ」

「ま、待ちなさい!」

「いいの?このまま逃げたら腹いせに職員の1人や2人殺しちゃうかもよ?」

歩美「ああ、だろうな。僕でもそうする」

歩美「止めたい所だが残念な事に僕はギャルゲーの主人公。戦いは専門外だ」

歩美「だから」
ドガァッ!
「!?」クルッ

歩美「後お前の事はそっち専門の奴に任せる事にするよ」
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/01(日) 04:13:31.05 ID:yy2yuipro
勿体ないよねあの子
再登板の前に連載終わっちゃったけど
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/01(日) 09:07:50.20 ID:V3bpIgeVO
え、マジで誰だ?
全巻持ってるのに劇とか記憶にない
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/01(日) 15:31:45.85 ID:jskPmb2G0
多分分かる人にはこの時点で犯人分かっただろうから今更言っちゃうけど
原作の最終巻までのネタバレ含みます

まぁ読まなくても楽しめるようにはするけど
読んだ方が楽しいかもしれない()
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 03:15:08.52 ID:uIm6cwK+0
天理『!』プルルル

パカッ

天理『桂馬君からだ…』ピッ

天理『もしもし…』

桂馬『天理、今家か?何も起こってないよな?』

天理『え?あぁ…うん、大丈夫。こっちは何ともないよ』

桂馬『ディアナに……いやまずは用件だけ伝えるか』

桂馬『今のさっきで悪いがお前に力を貸して欲しい』

桂馬『ディアナはともかくお前も危ない目に遭うかもしれない。来てくれるか?』

天理『………うん。私は』

天理『ディアナが居るし、桂馬君の為ならどんな危険な場所でも助けに行くよ!』

桂馬『…だそうだ。ディアナ、代わってくれ』

ディアナ『…』フッ

ディアナ『全く、あなた達は…』

ディアナ『…さぅきは危険だから頼めないという話ではありませんでしたか?』

桂馬『ああ、ついさっきまではな』

桂馬『ただ若干疑念ができたのと、ちょっとだけ問題が発生していてな』

桂馬『時間が無い。簡単に説明するぞ』

桂馬『校舎の内蔵は把握してるか?』

ディアナ『ええ。舞高は私達にとって重要な場所ですからね』

ディアナ‘『大体の構図は掴めています』

桂馬『よし、話が早い』

桂馬『まずお前にやって欲しいのは結界を張る事だ』

ディアナ『結界、ですか』
70 :ちょっとだけ>>69の書き直しよ [saga]:2021/08/02(月) 03:18:58.85 ID:uIm6cwK+0
天理『!』プルルル

パカッ

天理『桂馬君からだ…』ピッ

天理『もしもし…』

桂馬『天理、今家か?何も起こってないよな?』

天理『え?あぁ…うん、大丈夫。こっちは何ともないよ』

桂馬『ディアナに……いやまずは用件だけ伝えるか』

桂馬『今のさっきで悪いがお前に力を貸して欲しい』

桂馬『ディアナはともかくお前も危ない目に遭うかもしれない。来てくれるか?』

天理『………うん。私は』

天理『ディアナが居るし、桂馬君の為ならどんな危険な場所でも助けに行くよ!』

桂馬『…だそうだ。ディアナ、代わってくれ』

ディアナ『…』フッ

ディアナ『全く、あなた達は…』

ディアナ『…さぅきは危険だから頼めないという話ではありませんでしたか?』

桂馬『ああ、ついさっきまではな』

桂馬『ただ若干疑念ができたのと、ちょっとだけ問題が発生していてな』

桂馬『時間が無い。簡単に説明するぞ』

桂馬『ウチの学校の校舎の構造は把握してるか?』

ディアナ『ええ。舞高は私達にとって重要な場所ですからね』

ディアナ‘『大体の形は掴めています』

桂馬『よし、話が早い』

桂馬『まずお前にやって欲しいのは結界を張る事だ』

ディアナ『結界、ですか』
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 03:37:15.18 ID:uIm6cwK+0
桂馬『今僕、いや僕達は犯人に殺されかけてどうにか教室に身を隠している』

桂馬『ぶっちゃけ逃げるだけならこっちだけでどうにかなりそうだが』

桂馬『相手が相手だ。とち狂って学校に残ってる奴らを殺す可能性がある』

桂馬『だから職員室……いや』

桂馬『今から言う場所の付近でいいから結界を張ってくれ』カリカリ

桂馬『そっちに奴を誘き寄せるから頃合いを見てな』

ディアナ『…分かりましたが、結界や魔術を使って防いでも意味が無いのでは?』

ディアナ『私より魔力が強い者では簡単に破れて…』

桂馬『それなんだが、多分相手はそんな強くない』

ディアナ『え』

桂馬『なんなら悪魔の力を借りた人間の可能性すらある』

エルシィ『えぇ!?にーさまさっき悪魔の可能性の方が高いって…』

桂馬『うるさいちょっと黙ってろ』

桂馬『そもそも魔力が高い云々の話はエルシィがソースだ』

桂馬『エルシィの直感よりお前の力量の方がよっぽど信頼できる』

エルシィ『うぅ…』ドバババ

ディアナ『わ、私の方が…信用できるって…///』

桂馬『それに単なる言いがかりじゃない』

桂馬『相手は確かに飛んだり人とは思えない力で武器を投げてくるけど』

桂馬『刃物を投げてくるだけで他に魔法で攻撃しないんだ』

桂馬『相手が僕がさっき言ったようなラスボスみたいな奴なら校舎を丸ごと氷漬けにするなり火炙りにでもすれば探すまでもなく簡単に殺せるだろう』

桂馬『さっきも苦し紛れな方法で逃げてきたが透明になってるのに気づいてる様子も無かった』

ディアナ『成る程、気配も感じられない程となるとそこまで魔術の類を使いこなせてるとは到底思えませんね』

72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 03:46:58.98 ID:uIm6cwK+0
桂馬『当然根拠なんてこれっぽっちで実際の奴の力なんて分かったもんじゃない』

桂馬『できれば僕達が学校を出た後そいつを倒すとまでは行かずとも抑えつけて無力化して欲しい所だが』

桂馬『無理だと感じたらすぐに逃げてくれ。後の事はとりあえずこっちでどうにかする』

ディアナ『…』

ディアナ『分かりました。最善を尽くしましょう』

桂馬『無茶だけはするなよ?』

ディアナ『人の事を言える立場じゃないでしょう、あなたは』



ディアナ「っ!!」ガッ

「うっ…」ドサッ

ディアナ「タイミングは…ドンピシャと言った所でしょうかね」

「……っ、あんたは…」

ディアナ「生憎ですが私も貴方の事を知りません」

ディアナ「が、その反応を見るに10年前に天理と一悶着あったというのは確かでしょう」

ディアナ「尚の事放っておけなくなりました」

ディアナ「私怨の為だけに罪のない人を次から次へ手にかけて…」

ディアナ「女神の名にかけて、私が直々にあなたを粛清します」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 04:23:43.18 ID:uIm6cwK+0
「……なぁに?女神とか粛清とか久々の再会で思わず寝惚けちゃったのかな?天理ちゃん」

ディアナ「……」ギロッ

「なんか目つきも1周回ってかっこよくなってるし…」

「いっちょ前に天使の輪っかなんかつけてるし?」

「何それ何処で買ったの?ドンキ?」

ディアナ「買う?あなたこそ寝惚けてるのでは?」

ディアナ「これは天使の象徴。自前に決まってるで」

ディアナ「しょう!?」ボオッ!
「羽衣!」ガッ

ドガァッ!

ディアナ「ちぃっ」

「と、とりあえず距離を!早く!」ゴオッ

ディアナ「逃がすか…」ゴォッ

桂馬「おい…なんか校舎に青空教室できてるんだが」

エルシィ「ひええ…もう学校めちゃくちゃですよ」

桂馬「あの感じだと意地でも仕留めるつもりだな」

桂馬「まぁやる気満々なのに越した事は無いが…」

桂馬「あ、そうだ。エルシィ。さっきの階段の所に行くぞ」

エルシィ「え、さっきのって…」

桂馬「PFPを落とした所だよ!」

エルシィ「え〜!取りに戻るんですか!?危ないですよ…」

エルシィ「ぴーえふぴーならにーさま何台も持ってるでしょ!?」

桂馬「馬鹿!アレは厳密にはPFP plusだ!」

桂馬「キーボードが使いやすいよう再設計さらてるんだ!」

エルシィ「そんなどうでもいい…
桂馬「どうでもいい!?どうでもいいだと!?貴様操作キー1つでどんなゲーム機もクソハードになり得る事も知らんのか!?」

桂馬「これだから素人は…」

桂馬「いいか!バグ魔のお前にも分かるようによ〜く頭に叩き込んでやる。ボタンってのはなぁ!」

エルシィ「……」

桂馬「……?おい、エルシィ?どうした、おい?」

ガクッ

桂馬「おっ……い!?」ヒュゥゥ…




グチャ
74 :シリアスな場面をシリアルにするのほんま [saga]:2021/08/02(月) 04:27:32.69 ID:uIm6cwK+0
「……なぁに?女神とか粛清とか久々の再会で思わず寝惚けちゃったのかな?天理ちゃん」

ディアナ「……」ギロッ

「なんか目つきも1周回ってかっこよくなってるし…」

「いっちょ前に天使の輪っかなんかつけてるし?」

「何それ何処で買ったの?ドンキ?」

ディアナ「買う?あなたこそ寝惚けてるのでは?」

ディアナ「これは天使の象徴。自前に決まってるで」

ディアナ「しょう!?」ボオッ!
「羽衣!」ガッ

ドガァッ!

ディアナ「ちぃっ」

「と、とりあえず距離を!早く!」ゴオッ

ディアナ「逃がすか…」ゴォッ

歩美「おい…なんか校舎に青空教室できてるんだが」

エルシィ「ひええ…もう学校めちゃくちゃですよ」

歩美「あの感じだと意地でも仕留めるつもりだな」

歩美「まぁやる気満々なのに越した事は無いが…」

歩美「あ、そうだ。エルシィ。さっきの階段の所に行くぞ」

エルシィ「え、さっきのって…」

歩美「PFPを落とした所だよ!」

エルシィ「え〜!取りに戻るんですか!?危ないですよ…」

エルシィ「ぴーえふぴーならにーさま何台も持ってるでしょ!?」

歩美「馬鹿!アレは厳密にはPFP plusだ!」

歩美「キーボードが使いやすいよう再設計されてるんだ!」

エルシィ「そんなどうでもいい…
桂馬「どうでもいい!?どうでもいいだと!?貴様操作キー1つでどんなゲーム機もクソハードになり得る事も知らんのか!?」

歩美「これだから素人は…」

歩美「いいか!バグ魔のお前にも分かるようによ〜く頭に叩き込んでやる。ボタンってのはなぁ!」

エルシィ「……」

歩美「……?おい、エルシィ?どうした、おい?」

ガクッ

歩美「おっ……い!?」ヒュゥゥ…




グチャ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/02(月) 06:20:50.98 ID:5qD4Hvrmo
Oh...
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/02(月) 15:35:48.34 ID:uIm6cwK+0
今更ながら昨日訂正した部分にも間違いがあるのを確認した
さぅきってなんださぅきって
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 02:25:14.07 ID:9irbk8vH0
ディアナ「待ちなさい!」ゴゴオッ!

「ひっ…」ヒョイッ

ドガァッ

「いやいやいや」

「なんでアンタ羽衣使わずに飛べてなんか手から衝撃波みたいなの出してる訳!?」

「ジャンプ読みたての厨二だってそこまでしないわよ!?」

ディアナ「…」ゴオッ

「あくまで聞く耳持たないって訳…」

「ならいやでもひん剥いてやるわよ…」ゴソゴソ…

「」クルッ

ディアナ「!?」

ブシュゥゥ

ディアナ「くっ…」

ディアナ(さっきの…回収してたのか…)

カランカラン

「今のうちに…」ゴオッ

ディアナ「姑息な…」

天理(早く追いかけよう!?)

ディアナ「そうしたいのは山々ですが缶からガスが漏れ始めている…」

ディアナ「万が一ですが爆発する危険もあるので窓を何箇所か開けましょう」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 02:52:56.55 ID:9irbk8vH0
ガラッ

「はぁ…はぁ…はぁ…」ドサッ

「何よ…何が……どうなってんのよ!」

「話と全然違うじゃない…!」

「後ちょっとであいつを殺せたのに…!」グググッ

「それに何、身体の入れ替え!?女神!?何が何だか…」

「天理も私と同じように悪魔と契約したって訳!?だから変な超能力が使え…でもあいつは女神って…」グシャグシャ

「ああもう面倒くせぇなぁ!」ガンッ

「はぁ…はぁ…落ち着け、落ち着くのよ」

「とりあえず撒けたっぽいからここで一旦あいつやり過ごそう、そうしよう」

「でもって体勢を立て直してから…」

ディアナ「あの生意気な小娘を始末しようと」

「そーそー…………」


ドガァッ

「ひぃっ!?」ドサッ

ディアナ「あなたの気配は…既に記憶しました」

ディアナ「この建物にいる限りあなたを見失う事は無いのでご心配なく」

「何よ…何よ何よさっきから!」

「皆そう!あたしの邪魔ばっか…」

「いいわよ、殺ってやるわよ。正々堂々殺りゃいいんでしょ!?」チャキ…

ディアナ「最初からそう来てくれた方がこちらとしては楽だったのですが」

天理(ディアナ…)

ディアナ(大丈夫です。任せて下さい)

ガシッ

「うらぁっ!!」ブオッ

ディアナ(机を盾に…いや視覚を封じた?)

ディアナ「芸のない方ですね!」バキィッ

ディアナ「!?」

ディアナ(しまった…ブラフか!)

ビュッ

ディアナ「うあっ」ギュッ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 03:15:21.39 ID:9irbk8vH0
ディアナ(ロープを脱いで…拘束を…!?)ギチギチ

「ふぅ。危ない危ない」

「1発限りの奥の手だったけど、上手く行ったぁ…」

天理(ロープの方も羽衣で出来てたんだ…!)ギギギ…

「それじゃとりあえず…」ダダッ

「死ね」ヒュッ


バキッ

クルクル…

「っぁ…」

(脚で肘を…!?)

ディアナ「…」ブチブチッ

「はは…え、嘘でしょ、破けんの?それ」

ディアナ「っ」ゴオッ

「ぁぐぁ」バキィッ

ドサッ

ディアナ「…」パシッ

チャキ…

「い、いや…」ズルズル…

ディアナ「動くな」

「……っ……」

ディアナ「…たかが人間の分際で私達に楯突くなど愚かな…」

ディアナ「とはいえ…」チラッ

ディアナ(部屋に強い魔力がいくつか感じる…暗くて若干分かりづらいが布きれのようなものがチラチラ見られる)

ディアナ(これも恐らくエルシィさん達が使う羽衣の一部でしょう。道中にもいくつか落ちていた)

ディアナ(いつのまにこんな物を校舎全体にばら撒いて…それに)

ディアナ「ただの人間がここまで高度な魔術を使えるとは思えません」

ディアナ「桂木さんの言っていた事も気になります」

ディアナ「あなた、誰かに何処かから遠隔で魔法を発動させてもらってますよね」

「」ビクッ

ディアナ「それにしても意思疎通が気味悪いくらい息ぴったりですが…」

ディアナ「誰の差し金ですか、答えなさい」チャキッ

「………」

ディアナ「……だんまりですか。そうですか。なら」スッ

天理(ちょっと待ってディアナ)

ディアナ「私に話をさせてなんて言葉は聞きませんよ天理」

ディアナ「少しでも隙を与えたら掌変えて殺しに来ますよ」

ディアナ「第一こんな殺人鬼に話をする余地なんてありません」

天理(でも…)

ディアナ「でももへったくれもありません」

天理(多分何も書き出さなかったら桂馬君怒るんじゃないかなぁ)

ディアナ「」ビクッ
80 :また訂正 [saga]:2021/08/03(火) 03:17:49.23 ID:9irbk8vH0
ディアナ(ロープを脱いで…拘束を…!?)ギチギチ

「ふぅ。危ない危ない」

「1発限りの奥の手だったけど、上手く行ったぁ…」

天理(ロープの方も羽衣で出来てたんだ…!)ギギギ…

「それじゃとりあえず…」ダダッ

「死ね」ヒュッ


バキッ

クルクル…

「っぁ…」

(脚で肘を…!?)

ディアナ「…」ブチブチッ

「はは…え、嘘でしょ、破けんの?それ」

ディアナ「っ」ゴオッ

「ぁぐぁ」バキィッ

ドサッ

ディアナ「…」パシッ

チャキ…

「い、いや…」ズルズル…

ディアナ「動くな」

「……っ……」

ディアナ「…たかが人間の分際で私達に楯突くなど愚かな…」

ディアナ「とはいえ…」チラッ

ディアナ(部屋に強い魔力がいくつか感じる…暗くて若干分かりづらいが布きれのようなものがチラチラ見られる)

ディアナ(これも恐らくエルシィさん達が使う羽衣の一部でしょう。道中にもいくつか落ちていた)

ディアナ(いつのまにこんな物を校舎全体にばら撒いて…それに)

ディアナ「ただの人間がここまで高度な魔術を使えるとは思えません」

ディアナ「桂木さんの言っていた事も気になります」

ディアナ「あなた、誰かに何処かから遠隔で魔法を発動してもらってますよね」

「」ビクッ

ディアナ「それにしても意思疎通が気味悪いくらい息ぴったりですが…」

ディアナ「誰の差し金ですか、答えなさい」チャキッ

「………」

ディアナ「……だんまりですか。そうですか。なら」スッ

天理(ちょっと待ってディアナ)

ディアナ「私に話をさせてなんて言葉は聞きませんよ天理」

ディアナ「少しでも隙を与えたら掌変えて殺しに来ますよ」

ディアナ「第一こんな殺人鬼に話をする余地なんてありません」

天理(でも…)

ディアナ「でももへったくれもありません」

天理(多分この人から何も聞き出さなかったら桂馬君怒るんじゃないかなぁ)

ディアナ「」ビクッ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 03:37:54.40 ID:9irbk8vH0
ディアナ「な、何を根拠にそんな…」

天理(今回の事件ってこの人以外にも黒幕が居る…って事でしょ?)

天理(それに唯一繋がってる人を何も考えずに消しちゃって)

天理(予め聞いていたら未然に防げたような問題が起きた時、多分ディアナ…私もだけど多分桂馬君に嫌われちゃう…)

ティアナ「き、嫌われ…べ、別に?あんな男に愛想を尽かされた所で?私は?何とも?無いですけど?」

天理(後多分拗ねて女神探ししてくれなくなると思う…)

ディアナ「」

天理(もしかしたら今まで殺された人達の中に居たかもしれないし…)

天理(下手したら桂馬君だけじゃなくてお姉ちゃん達にも怒られるんじゃないかなぁ)

ディアナ「……天理、あなた桂木さんに毒されてません?」

ディアナ「段々思考回路が彼と同じになってきてますよ?」

天理(え?そうかなぁえへへ…)

ディアナ「褒めてない褒めてないから」

ディアナ(くそ…ダメだ、ペースを奪われるな…)

ディアナ(主導権を手放してはなりませんディアナ…)

ディアナ「…」チラッ

「…」ビクビクッ

ディアナ(だが…一理無くも無い…)

ディアナ(少なくともこの人間を利用して桂木さん達を狙ったのが誰なのか判明しないと…)

ディアナ(また同じ事が繰り返される……)

ディアナ(………1番毒されてるのは、私なのかもしれませんね…)

ディアナ「…はぁ、分かりました。貴方が説得なさい」

天理(いいの!?)

ディアナ「ただし、危険だと少しでも感じたらすぐ戻りますからね!後ナイフは手を滑らせてもこいつの喉元に刺せる位の位置に添える事!」

天理(手を滑…喉…)

ディアナ「いいですね!?」

天理(う、うん…)
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 04:09:51.16 ID:9irbk8vH0
天理「…」フッ

「…?」

天理「あの…すみません。私、多分あなたの事知ってます」

天理「というか、覚えてますっ」

「は?」

天理「香織さん…ですよね?小学校の時上級生で居た…」

香織「………」

天理「…やっぱり」

天理「あの後しばらくして転校して…」

天理「結局1回も話さずお別れしちゃったんですけど」

香織「…何?蓋を開ければ薄汚いドブネズミに早変わり〜でドン引きしてるの?」

香織「それとも笑い堪えてる?どうぞ、好きなだけ私を笑えば…」

天理「桂馬君の所に行きましょう!」

香織「は?」

天理「それで、お…お友達になりましょう!」

ディアナ(は?)

天理「…あの後、よく考えたんですけど」

天理「私あの時やろうと思えばいくらでも殺られるチャンスあったんですよね…」

天理「確かに、香織さんに嘲られる…というか茶化された場面は何度かあったと言えばあったんですけど」

天理「そ、そもそも桂馬君とのきっかけを作ってくれたのは間違いなく香織さん…ですし///」

ディアナ(え、初耳なんですけど)

ディアナ(……という事は記憶が無いだけで本当に桂木さんはこの人と1度会っている…?)

香織「…」

天理「あの…その…だから」


天理「少なくとも私には香織さんが自分からすすんで人を殺すような悪い人にはとても見えないんです…」

香織「……っ……」

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 04:23:05.76 ID:9irbk8vH0
天理「あなたはただ、桂馬君と仲良くなりたかっただけ」

天理「やり方がたまたま変わってただけだったんです」

天理「今回も…多分、そう」

天理「誰かに騙されたり…脅されて半ば強引にやってただけなんでしょ?」

香織「…………」



『復讐?いいですよ。やりましょやりましょ』

『に…彼は意外とお人好しなので直接手を下すよりも周りの親密な方達を傷つけた方が効果がありますよ〜』

『私はあなたの味方ですから』



香織「…」

天理「今回の事とか…後10年前の事は垣間君達にな内緒にします」

ディアナ(ええ!?ちょっと!?天理!あなた何を言って…)

天理「桂馬君は今香織さんを普通の女の子としてしか認識していません」

天理「記憶が無い今ならまだやり直せるんです!」

天理「もうこんな事はやめて、桂馬君と仲直
ビュッ

天理「痛っ」ズキッ

香織「……さい…」

天理「え…」

香織「るっさいっつってんのよクソガキ!!」ダッ

ディアナ(貴様……)ビキッ

ディアナ「天理の大事な顔によくも傷を…!」フッ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 04:36:54.29 ID:9irbk8vH0
ガッ

香織「ぁぅ」ドサッ

ディアナ「もう遺言も命乞いも聞きませんよ」

ディアナ「あなたに対して慈悲を与えるのは無駄だと今のでよぅく理解しましたからね」チャキ

香織「はは…刃物持っててまだ殴ってる癖によく言う」

ディアナ「あ?」

香織「あーあ、さっき喉元ぶっ刺しときゃよかったのに」ニコッ

ガシッ

ディアナ「?」

ディアナ(何か掴んだ?)

グイッ

ディアナ「わっ」バシャァッ

ディアナ(天井にバケツ…?くそっ、魔力に気を取られてそこまで頭が回らなかった…)

ディアナ(普通の水…じゃないですよね多分)クンクン…

香織「おらっ!」ブンッ

ディアナ「濡れた所で動きは遅く…」ヒョイッ

香織「ふふ」グイッ

ディアナ「…まずい、しまっ
バチイッ




ドサッ

ディアナ「…あ、ぁぁ…」

香織「ゲームセット、ね」

ディアナ「す、スタン…ガン」

ディアナ「いつの間に…いや」

ディアナ(ただ闇雲に逃げてた訳じゃない…)

ディアナ(失敗した時の為に罠を張ってたのか…)

ディアナ「……んまと…騙され、た…!」

香織「ねぇ?今どんな気持ち、ねぇ?」

香織「たかが人間様に床舐めさせられてどんな気持ち?女神様ぁ?」

ディアナ「…くっ」

香織「…お気持ち表明しろっつってんだよ!」ドガッ

ディアナ「ぐぁっ」ドサッ

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 04:53:29.17 ID:9irbk8vH0
ディアナ「ぅ…」ビクビク

香織「はぁ…はぁ…、手こずらせてんじゃないわよ」

天理(ごめんディアナ…私のせいで…)

ディアナ「…いいえ、結果的に私が油断した事に変わりありません」

ディアナ「力を取り戻せてないとはいえ格下相手ならいざ知らずこんな愚者に不覚を取るなど…」

香織「誰が愚図ですって?」シュルッ

ガッ!

ディアナ「うあ゛っ!?」ギチギチ

香織「私は貴方と違って優しいからね」

香織「遺言でも、命乞いでも、何でも、いくらでも聞いてあげる」

香織「まぁ」チャキ

グサッ

ディアナ「あ゛あ゛あ゛ぁ゛!?」グリグリ

香織「貴方が生きている限り、だけどね」

ズボッ

ディアナ「はぁ…はぁ…」

香織「ふふ…どう?痛い?」

香織「私が受けた屈辱に比べればほんのちょ〜っとくらいだと思うんだけど」

ディアナ「…っ」ギロッ

香織「…何、その目?まだ吠生意気な事する余裕あるの凄いなぁ」

香織「かっこいー」

香織「でもね、女神さん」

ディアナ「〜っ!?」グサッ

香織「さっきのクソみたいな顔よりかは100倍マシだから安心して?」グリグリ
86 :1レス1誤植ノルマでもあるんじゃないかってくらいミスってる [saga]:2021/08/03(火) 05:07:46.48 ID:9irbk8vH0
ディアナ「さっき…って…」

香織「なぁに?さっきのあの態度?」グサッ

香織「どの面下げて言ってるのぉ?」グサッ

香織「アンタがあたしの何知ってるのぉ?」グサッ

香織「偉そうに」グサッ

香織「上から目線で」グサッ

香織「良い子ぶってさぁ」グサッ

香織「大体さぁ元を辿ればなんで今こんな事になってるか分かるー?」

香織「半分は天理ちゃんのせいだよねぇ」

香織「あなたが」グサッ

香織「黙って」グサッ

香織「あたしの」グサッ

香織「言う事」グサッ

香織「聞いてりゃ良かったんだよ!!」グチャクチャグチャッ

ディアナ「う゛あ゛あ゛あ゛っ!!?」

香織「あのクソガキとお前が大人しく私の人形になってれば…」

香織「後ちょっとで私の理想の学校が完成する所だったのに」

香織「後少しで主人公になれたのに!」

香織「あんたは私から!」ズボッ

香織「友達も!」グサッ
香織「家族も!」グサッ
香織「信頼も!」グサッ
香織「地位も!」グサッ
香織「人生も!」グサッ

香織「全部奪ってったのよ!!」グチャグチャ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 05:22:18.30 ID:9irbk8vH0
香織「はぁ…はぁ…」

ディアナ「……ぅ……ぇ…」ビチャ

香織「あらら…つい熱が入ってやり過ぎちゃった」

香織「…でもまだ結構元気そうなそんな事ないような…」

香織「自称(笑)なのかマジものなのか知らないけど女神っていうしねぇ」

香織「10箇所20箇所刺される位じゃ死なないのかな?」

ディアナ(そんな訳……ないでしょう……)

ディアナ(まずい…怪我はそこまででも無いが出血の量が…)

ディアナ(…視界が…ぼやけ、て…)

香織「まぁでももう飽きたし、疲れたからそろそろトドメ刺しちゃおっか」シュルッ

ゴォウッ

ガシッ

ディアナ「…そ………れ、は…」

香織「ふふ…天使の天敵は悪魔でしょ?」

香織「地獄のお鎌…なんちゃって」ガンッ

香織「重いから使いにくいけど一振りで人間の首くらいスパーって切れるんだって〜」

香織「スパーって…どんな感じだろうね?」ニヤッ

ディアナ「…」ガタガタ…

香織「まぁこういうのは習うより慣れろ?百聞は一見にしかず?とも言うし…」

香織「実際にやってみないとわかんないよね〜」ググッ

香織「って事で」

ディアナ「……め、ろ……っ!」

香織「バイバイ」ブンッ!

ズバッ
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/03(火) 05:29:21.51 ID:9irbk8vH0
ディアナ「っ!」

ディアナ「………………」

ディアナ「………あ、……れ?」パチッ







香織「……へ?」ブシュゥ…

香織「え、なんで…私、頭…」

ディアナ(勢いよく振りすぎた…?)

ディアナ(いやそういう問題では…)

香織「え、ちょっと、待って、助けて」

ビュッ

香織「へ」ガッ

ボキボキッ

香織「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ!!!??」ミシミシ

ガコンッ

香織「いだい!痛い゛!いだい゛い゛い゛!!?」ゴロゴロ

ディアナ(…彼女の支配下にあるはずの羽衣が…)

ディアナ(なぜ主人の手首を折るような…)



「…あーーもう騒がしいですね…先生方に迷惑でしょう?」スタスタ

ディアナ「!?」クルッ




エルシィ「まぁお陰で何処に居るかすぐ分かったからいいんですけど」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/04(水) 03:39:46.86 ID:D3t3J6ou0
エルシィ「いや〜…すみません」

エルシィ「思いの外駆け魂とゴミ処理に手間取っちゃって」

エルシィ「遅くなっちゃいました」テヘペロ

ディアナ「……エルシィさん、あなた…桂木さんを運んでたんじゃ…」

ディアナ「何をしに…」

エルシィ「何って…やだなぁ」

エルシィ「助けに来たに決まってるじゃないですか」ニコッ


エルシィ「害あるものからにーさまを」


ディアナ「…!」ゾッ

エルシィ「さてと…しぶとい害虫の駆除は後にするとして」

エルシィ「とりあえず香織さんと色々お話ししたい事があるんですが」

香織「い゛だあ゛い!いだあ゛あ゛びぃぃ」ゴロゴロ…

エルシィ「…話せる状態じゃ無さそうですねぇ…」スタスタ…

香織「いだいだびい゛だ
グシャッ
香織「か゛あ゛ぁ゛ァ゛ア゛」バタバタ

エルシィ「ほーら、脚潰れたら手の痛み吹き飛んだでしょう?」

エルシィ「これで少しは元気に
香織「う゛ぅ゛ァ゛あ゛ア゛ぁ゛っ゛!?」ジタバタ

エルシィ「…」

ガシッ

香織「お゛ごっ!?」ミシミシ…

エルシィ「興奮しすぎですよ香織さん」

エルシィ「一旦冷静になってください」

エルシィ「ほら、肩の力抜いて、深呼吸して、リラックスですよ〜」グググ…

香織「はぁっ…はぁっ……んぁあっ」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/04(水) 04:00:12.64 ID:D3t3J6ou0
バッ

香織「ゲホッゲホッ…え゛おっ!」

エルシィ「どうですか?落ち着きました?」

香織「ぁ……ぁ、あ…?」

香織「…何が落ち着いただよ!」ガッ

香織「テメェが混乱招いてるんじゃねぇのかよ!?あぁん!?」

エルシィ「ぁぅぅ」

香織「アンタ言ったわよね?自分は言われた通り誘導してあげるから後は私の自由にしていいって!!」

香織「話が違うじゃねぇかよぉ!?」グラグラ

香織「言われた通り動いてくれねぇし勝手に自分から動いてるしさっきから私の邪魔ばっかしてんじゃん!」

香織「お前は!一体!何がしたいんだよおぉぉ」グラグラ

グシャッ

香織「ぐがばぁ゛あ゛ぁ゛!?」ドサッ

エルシィ「あー、もういいです。やっぱり貴方喋らないでください」

エルシィ「ゴミに喋る口とか顎は要りません」

エルシィ「口は…まぁ顎壊れたしいっか…」
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/05(木) 02:24:06.81 ID:Y0U/RKCn0
香織「ぶぅ…ぶぶう゛…」

エルシィ「香織さん?」クイッ

香織「びっ…!」ビクッ

エルシィ「にーさまとの時間を割いてまで貴方と戯れたくなんかないので」

エルシィ「2点だけ私からお伝えしますね」

エルシィ「まず私はあなたににーさまを殺していいと言った覚えは無い」

香織「ぶぅ!?」

エルシィ「いや…いやいやいや」

エルシィ「なんで驚いた顔してるんですか?」

エルシィ「私があなたに同意したのはあくまで【にーさまへの復讐】だけですよ?」

エルシィ「いつ、どこで、私が、あなたに、にーさまを殺す許可を与えましたぁ?」

エルシィ「にーさまに触れる権限すらあなたには無いと思うんですけどぉ?」グイッ

香織「ぶっぶばぼぶっ!」

エルシィ「えーと何です?それは屁理屈だ…みたいな感じな事を言っているのかな?」

エルシィ「いや…でもこれはあなたの勘違いというか…あなたの頭がゴミ相応にオツムだったのかの2択じゃ無いですかね」

エルシィ「香織さんは本当、そういう所ですよ〜?」

エルシィ「肝心な所で見落としをする、溝に溜まっている埃や汚れを放ってしまう」

エルシィ「だからすばしっこいゴキブリ1匹潰すどころか捕まえる事すら満足にできないんですよ?」クルッ

ディアナ「…っ…」

エルシィ「ディアナさんもそう思いますよね?」ニコッ

ディアナ「………」

エルシィ「…まぁゴキブリは返事なんかしないし聞いても無駄か…」

92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/05(木) 02:42:40.62 ID:Y0U/RKCn0
香織「ぶぼっ!ぶばびぼぶぶぼびばぼびぼっ!!!ぶぼぼっ!」

エルシィ「えー…何々?」

エルシィ「『それじゃああたしは邪魔な女を消す為にアンタにただ利用されただけだっての!?ふざけんじゃないわよ!』」

エルシィ「『この悪魔!外道!ブラコン!結婚しちゃえ!』」

エルシィ「…って感じで合ってますかね?」

香織「…!!」ゾッ

エルシィ「え?『そんな事言ってない?』」

エルシィ「またまたご冗談を。照れなくてもいいんですって」

エルシィ「まぁでもそうですねぇ…」

エルシィ「年端も行かない子どもをダシにして」

エルシィ「自分の言いなりにした上」

エルシィ「あわよくば面白半分に殺してみよう!」

エルシィ「…なんて到底笑えない冗談を悪気も無く平然と実行していた人間がこんな事どの面下げて言っているんだろうなぁ…」

エルシィ「とは思いましたよ?私」

香織「びぶ…」ガタガタ

天理(……)

エルシィ「…ただ、私も反省してます」

エルシィ「香織さんをいいように利用してたのは間違いだって」

エルシィ「今もの凄く後悔しています」

香織「…」プルプル
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/05(木) 02:55:50.52 ID:Y0U/RKCn0
バキッ

香織「ばぼっ」

エルシィ「言葉を返すようで悪いんですけどぉ」

エルシィ「私あなたに言いましたよね?」

エルシィ「【殺すふりだけしてにーさまは絶対に傷つけるな】って」ドガッ

エルシィ「それなのにあなた私の話無視して躊躇なく襲いましたよね?」

エルシィ「この前も」ズドッ

エルシィ「ついさっきも」ドガッ

エルシィ「今日に限って言えば2回も」ドゴッ

エルシィ「あなたは」バキッ

エルシィ「わたしの」ベキッ

エルシィ「だいじな」ボキッ

エルシィ「にーさまに」ミシッ

エルシィ「傷をつけようとしたんですよっ!?」グシャグシャグシャ

エルシィ「ねぇこれっておかしいと思いません?」

エルシィ「おかしいですよね?」

エルシィ「私の言っている事何かおかしいですか?ねぇ?ねぇ?」

エルシィ「 ね  ぇ  !  ?  」グイッ

香織「ブ…ふ゛ぅ゛ぶ」ピクピク

エルシィ「はぁ…」

エルシィ「クズならクズなりに使えるだろうと誘ってはみましたけど」

エルシィ「紙クズの方がよっぽど遊べますよ、利用価値あります」

エルシィ「こればっかりは私の見込み違いでしたね、すみません」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/05(木) 03:14:43.59 ID:Y0U/RKCn0
エルシィ「で…えー、2つ目」

エルシィ「というか最後のお願いです」

エルシィ「今言った通り貴方邪魔なので死んでください」

香織「ぼ」

エルシィ「以上です」

香織「ぼぶぼびびべぼ!?」ジタバタ

エルシィ「いや…え、そんなに驚く事ですか?」

エルシィ「今の説明聞いてました?」

エルシィ「私あなたに言われてた通り協力してあげたんですよ?」

エルシィ「必要な物も舞台もぜーんぶ私が用意したんですよ?」

エルシィ「なのにあなた私の言う事全然聞かないじゃないですかぁ」

エルシィ「にーさま殺そうと必死じゃないですかぁ」

エルシィ「そんな危ない人放置する訳ないじゃないでしょう?」

エルシィ「それに…それを抜いてもあなた、殺されずになぁなぁで済まされるような状況じゃないですよね?」

エルシィ「罪も無い……あ、罪はありましたね」

エルシィ「にーさまにまとわりつく埃いくつかを祓ったのはファインプレーでしたけど」

エルシィ「実際殺人には変わりありませんし」

エルシィ「それにあなた…」

エルシィ「女王様気取りで小学校乗っ取って」

エルシィ「女の子数十人を殺そうとしたんですよ?」

エルシィ「何なら世界が崩壊する危険もあった」

エルシィ「コレ…ごめんなさいってそれとなく謝れば許されるような事、ですかね?」

エルシィ「私にはちょっと理解に苦しみますねぇ…」

95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/05(木) 04:12:14.14 ID:Y0U/RKCn0
エルシィ「それに、にーさまに散々警告されてましたよね?」

エルシィ「悪い事をするのはやめようねって」

エルシィ「あなたが今日今この時まで何の罰も与えられずのうのうと生きていられたのは」

エルシィ「にーさまの寛大な心あっての事ですよ?」

エルシィ「あの時にーさまが助けてくれなかったら香織さん」

エルシィ「復讐も何もあなた死んでいたんですよ?」

エルシィ「確かに生け贄にはされなかったでしょうけど」

エルシィ「10年も経ってこのザマじゃ、悪魔達全員に殺されてたでしょうねぇ…」

香織「ぶぅ゛…」

エルシィ「……分かります?」

エルシィ「あなたは10年間猶予を与えられていたんです」

エルシィ「私もね、あの時の事はにーさまがチャラにしてしてましたし…」

エルシィ「記憶が戻ってからもそれについては私からはお咎めは無しにしようと思ってたんですよ」

エルシィ「まぁ…あくまで私からは、ですけど」

エルシィ「それにさっきも言った通り貴方は頭の回る子でしたから」

エルシィ「今回の働き次第ではあなただけは見逃してあげようかとも考えてました」

エルシィ「…甘かった、ですね」

エルシィ「私も、香織さんも」ニコッ
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/05(木) 04:41:28.55 ID:Y0U/RKCn0
エルシィ「そういう訳で…」ガシッ

エルシィ「そろそろ、ゴミ処理の時間ですっ」グググ

香織「へ゛は゛っ!?」ミシミシ

香織「ぶ…ぶぶは゛い゛……ふ゛ふ゛び、へ゛!」

エルシィ「ゆるしません」

エルシィ「反省する期間はとっくに過ぎました」

香織「ぶびばび!は゛ん゛べぼぶふ゛は゛ら!ぶぶばい゛っ!」ビキビキッ

エルシィ「なら死んでください」

エルシィ「お願いします」

香織「ぼべぶばばびっぼべぶばばびっぼべぶばばびっぼべぶばばびっぼべぶばばびっほ゛へ゛ふ゛は゛は゛ひ゛っ゛ほ゛へ゛ふ゛は゛は゛ひ゛っ゛ほ゛へ゛ふ゛は゛は゛ひ゛っ゛ほ゛へ゛ふ゛は゛は゛ひ゛っ゛ほ゛へ゛ふ゛は゛は゛ひ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛
グチャッ



ビチャビチャ….

エルシィ「大きいゴミは潰してなるべくコンパクトに」

エルシィ「お掃除の基本です!」エッヘン

エルシィ「それにしても…」ベチャ…

エルシィ「相も変わらず、ばっちいですね…それに臭い〜…」プーン

エルシィ「これじゃにーさまに触るのはおろか近寄る事すらままなりません」

エルシィ「なんで人間って水分やたら多いんですか〜…うぅ…」

エルシィ「…とまぁそれは置いといて」

エルシィ「確かもう1つそこに汚い粗大ゴミがあった筈ですけど」クルッ

エルシィ「あれ?」

プランプラン
97 :昨日は珍しくミスしなかったと思ったら1箇所変な所を発見して萎えてる [saga]:2021/08/06(金) 03:10:11.42 ID:0ySTqRvI0
ディアナ「はぁ…はぁ…」ダダ…

ガクッ

ディアナ「っぁ…」ガッ

ディアナ「はぁ…っ…は…ぁっ…」

天理(ディアナ!)

ディアナ「大丈夫です…この位、何でもありません…」ヨロヨロ…

ディアナ「それより…早くここから出ないと…」ダダッ

天理(窓とか…壁壊して出られないの?)

ディアナ「無理ですね、結界が張られてる…私力ではとても破れません」

ディアナ「さっき窓を開けた時は何でもなかったのに…あの短い時間で校舎全域にこんな強力な結界を張るなんて…」

天理(それじゃどうすれば…)

ディアナ「とにかく逃げましょう。どこか抜け穴か結界が弱くなっている場所があるかもしれません」

ディアナ「仮に無くても何とかできます!どうにかします!」

ディアナ「だから大丈夫、大丈夫ですから!天理っ」

天理(で、でも…)

ディアナ「このまま桂木さんに未練を残したまま死ぬつもりですか!?天理!」

天理(…でも、エルシィさんはどうするの…?)

天理(このまま放っちゃうの?)

ディアナ「…」

天理(さ、さっきのは黒幕が化けたか作った偽物かもしれないんだよ?)

天理(こんなに混乱したまま逃げちゃって桂馬君になんて言えば…)

ディアナ「…もう、奴については忘れなさい」

ディアナ「彼女は最早、私達の手には負えない化け物です」

天理(化け物って……)

天理(そんな…エルシィさんが……)

ディアナ「……」
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/06(金) 03:59:08.69 ID:0ySTqRvI0
ディアナ「とにかく下へ…階段を…」クルッ

エルシィ「…」ニコッ

ディアナ「……」

ディアナ「え」チラッ

スッ

エルシィ「これは私の持論なんですけど」ボソッ

サクッ

ディアナ「っ」ガクッ

ドッ
ガッ
ゴッ

ディアナ「ぅあ」ドサッ
ビチャ…

ディアナ「ぁ…ぅ……あ?」クルッ

ディアナ「……な…ん、で」ガタガタ…

ディアナ「わた……の…し…?」

エルシィ「口や顎だけじゃなくて」

エルシィ「ゴミに歩く足なんて、要りませんよね?」ビシャビシャ

エルシィ「あっ…でもそういえばあなたはゴキブリって設定でしたね」

エルシィ「女神って魔力が大きいですし、生命力はゴキブリ並みですから意外に当たらずとも遠からずの代名詞と思いません?」

エルシィ「ってあぁ、ゴキブリは喋りませんよね、えへへ、ごめんなさい。意味のない質問をしてしまって」

エルシィ「…まぁ、ゴミの山にしても、害虫の死に損ないにしろ」

エルシィ「階段の踊り場がこんなに汚れてたら、誰も使いたがりませんよね」

エルシィ「幸い今学校には誰も居ませんし…」

エルシィ「誰かが来ない内に」

エルシィ「何も無かったように」

エルシィ「綺麗さっぱり、私が片付けてあげます」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 00:13:03.65 ID:FIPszZtw0
ディアナ「誰も居ないって…まだ先生方は職員室に…」

ディアナ(そうか、最初から…)

ディアナ(全部奴の掌の上だったのか…!)

カウ…カツ…

ディアナ「ぅ…っぅう…」

天理(ディアナ!)

ディアナ「っ…」

ディアナ(そうだ…コレは私1人の身体じゃない…)

ディアナ(私だけでなく天理の命も懸っている…!)

ディアナ(背負わされた人の命1つも守れないようでは姉様や妹達に合わせる顔が無い!)グッ…

ディアナ「例え足がもげても…私達には翼が…」ググッ
ズッ
ディアナ「あぁ゛」

エルシィ「翼?違うでしょう?」

エルシィ「貴方達の背中にあるのは」

エルシィ「ただ汚いだけの黒い羽です」ニコッ

ディアナ「……ぁ…」ピクピク

エルシィ「ふふ…」

天理(いや…やめて…)

天理(お願い……元に戻って…)

エルシィ「ええ、だから」

エルシィ「元に戻りました」スッ







「いやああああああああああああ













桂馬「天理!?」ガバッ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/08/07(土) 00:21:49.15 ID:FIPszZtw0
桂馬「はぁ…はぁ…」

桂馬「何か…今、嫌な声が…」

桂馬「いや、何かなんかじゃない…はっきりと聞こえた…」

桂馬「アレは…」プルプル…

桂馬「………ここは…?」キョロキョロ

桂馬「病院?なんで…」

桂馬(そうか…確か僕は窓から飛び降りて…エルシィに捕まって…)

桂馬「…よく分からん内に落ちてたと…」

桂馬「あのポンコツ…最後の最後で面倒な事を……」グググ

桂馬「……いやでもそうなると、なんで僕は元の身体に戻ってるんだ…?」キョトン

桂馬「落ちて怪我してここに運び込まれたなら歩美の身体の筈だよな?」チラッ

桂馬「なんで僕が入院してるんだ?」

桂馬「駆け魂はどうなったんだ?」

桂馬「学校は?」

桂馬「あ゛っ!?PFPは!?どこだ!?」ゴソゴソ

桂馬「回収しそびれた…!?まずい、下手したらまたあの現実年増担任に没収される!何なら壊れてるかのうせ
101 :間違って書き途中のを投下してしまった… [saga]:2021/08/07(土) 00:32:55.13 ID:FIPszZtw0
桂馬「はぁ…はぁ…」

桂馬「何か…今、嫌な声が…」

桂馬「いや、何かなんかじゃない…はっきりと聞こえた…」

桂馬「アレは…」プルプル…

桂馬「………ここは…?」キョロキョロ

桂馬「病院?なんで…」

桂馬(そうか…確か僕は窓から飛び降りて…エルシィに捕まって…)

桂馬「…よく分からん内に落ちてたと…」

桂馬「あのポンコツ…最後の最後で面倒な事を……」グググ

桂馬「……いやでもそうなると、なんで僕は元の身体に戻ってるんだ…?」キョトン

桂馬「落ちて怪我してここに運び込まれたなら歩美の身体の筈だよな?」チラッ

桂馬「なんで僕が入院してるんだ?」

桂馬「駆け魂はどうなったんだ?」

桂馬「学校は?」

桂馬「くそっ、何が何だか…」グシャグシャ

桂馬「あ゛っ!?そういえばPFPは!?どこだ!?」ゴソゴソ

桂馬「回収しそびれた…!?まずい…見つかったらまたあの現実年増担任に没収される!何なら壊れてる可能性もあるから最悪捨てられる…!」ポイポイッ

ガラッ

エルシィ「にーさま〜!」ダダダ

桂馬「邪魔」バキッ

エルシィ「へぶ」ドサッ

桂馬「PFPPFPPFP…!」ゴソゴソ

エルシィ「う、ぅぅ…起きて早々ゲームの心配ですかぁ…」グスッ

エルシィ「打ちどころが悪かったらにーさま、死んでいたかもしれないんですよ!?」

エルシィ「というかもっと気にすべき事があるんじゃないですかぁ!?」

桂馬「それにしてもゲームにしても全部お前のせいだろうがこのダメデビル!!」くわっ

エルシィ「うぇぇえ…全くもってその通りなんですけど〜」ドバババ

エルシィ「そこまで言う事無いじゃないですか〜」

エルシィ「わ、私だって昨日必死で…慣れない事して体力がすっからかんだったんです…」ショボーン

桂馬「…」
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