このスレッドは1000レスを超えています。もう書き込みはできません。次スレを建ててください

【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

116 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:07:00.97 ID:3ez9bDKm0

ウィーン


京太郎「ん?」

?「お邪魔しまーす」

トシ「いらっしゃい」


入ってきたのは長い茶髪の女性

どこかおっとりとした雰囲気のようにも見える


はやり「慕ちゃん!」

京太郎「し、の?」

慕「白築慕です……よろしくね?」ニコリ
117 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:21:39.88 ID:3ez9bDKm0


その後、京太郎と慕は軽く挨拶をしあった

それだけで解散となったのはトシの一声があったからだ

詳しくは後日、ということらしいが……


―――【特異課施設:休憩所】


京太郎「どうなるかなぁ」

ベリアル『ハッ! 俺もお前も、やることは戦うことだけだろ?』

京太郎「……人探しぐらい、しますよ」


苦笑していう京太郎

そんな返しにベリアルはなにを言うでもないが、たぶん笑ってるのだろうと思う

なにはともあれ、ベリアルの言うとおり自分がやれることは戦うことだ


京太郎「ま、なんでも良いけど……人々を守るため、なら」

ベリアル『小僧お前……』

京太郎「ん? なんっすか?」

ベリアル『……さてなぁ』



◆誰か来た

1、東横桃子

2、妹尾佳織

3、佐藤裕子

◇安価1↓から〜 五分間でコンマ最高値の選択肢

118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 23:23:35.75 ID:ElXMvTdl0
1
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 23:23:54.38 ID:liNF0+G40
1
シノチャー出てきたの衝撃
そしてサラッとガギが倒されてた
120 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:33:58.89 ID:3ez9bDKm0
(選択肢によってはガギ対シルバゴンがあったりした


1、東横桃子


桃子「あれ、須賀さんじゃないっすか」

京太郎「あ、東横さん……」


別に珍しくもない。最近は特に

京太郎の対面に座ると、テレビへと視線を向ける

やはりやっているのは今日のクレージーゴンとベリアルの戦い


桃子「須賀さんもここいたんっすよね」

京太郎「ああ、銃撃してたぞ一応……囮になったり?」

桃子「なんで、命をかけれるんですか? こわくないんっすか?」


その言葉に、ふと京太郎は考えた

恐いと考えたことが無かった

戦える力があるからだろうか? ベリアルが一緒にいるからだろうか?


京太郎「……人々を、守るためだから」

ベリアル『ハッ、反吐が出る』


頭の中に響く声に、苦笑する


桃子「凄いっすね須賀さんは……私には無理っす」

京太郎「……でも」

桃子「?」

京太郎「死ぬのが……死ぬのが怖くないわけないだろ?」


その言葉に、一瞬目を見開く桃子だったがすぐに微笑して頷く
121 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:41:35.30 ID:a+8RQ6DD0


怪獣を倒す。自分だけにしかできないことだ

それに強制されているつもりはない

だが、戦わなければ後ろの人間の命が危ないのだ


京太郎「……人が好きだから、じゃダメか?」

桃子「……立派っすね」クスッ

京太郎「そんなこと、ないよ」


テレビの方を見て笑う

報道は『敵か味方か、光の巨人』と報道をしていた


京太郎「加治木さんに、会いたくなったりしない?」

桃子「まだ、安全が確実じゃないらしいっすから、私たちの周り」

京太郎「そっか、大変だなお互い」ハハッ


笑う京太郎

少しばかり、頬を赤らめて桃子が視線を逸らす

すぐに意を決したようにうなずいて口を開く


桃子「……京太郎さん、ほどじゃないっす」

京太郎「……そんなことないさ、桃子」

桃子「モモで、良いっすよ」フフッ

京太郎「ん」フッ


他愛のない話が続く

ちょっとした交流だが、こんな事件が起きなければなかった交流なのだろう

不謹慎ながら京太郎は悪くない、と思ってしまった
122 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/04(土) 23:50:46.87 ID:lREGgiqO0

―――翌朝【特異課施設:休憩所】


京太郎「たぶん、そろそろ津山さん探し、だよな……きっと」

はやり「どしたの?」

京太郎「ああいや、大したことじゃ……」


わざわざはやりに話すことでもない

桃子も佳織も同じ気持ち、いやもっと強い気持ちなのだろうから


京太郎「そういや、車は大丈夫なんっすか?」

はやり「ふふ〜ん、実は一台、隣町二丁目の中古車ショップで良いレトロ車が」

ピリリリリリ

裕子「大変です! 隣町二丁目で怪獣が出現! 暴れ出しました!」

京太郎「えー……」チラッ

はやり「」シロメ

京太郎「……えー」



     第3話【連続車両失踪事件】 END


123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/04(土) 23:56:41.36 ID:liNF0+G40
京モモのいい雰囲気からのはやりんww
124 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:22:40.39 ID:hFMCnCX60


―――【特異課施設:作戦室】


あれから数日が経った

別段変わったことはなく、蒲原智美も未だ眼を覚ましていない

怪獣に覚醒した者は目覚めが遅いのだろうか?


京太郎「ん〜」

はやり「智美ちゃんの眼がさめればなにかわかるかなぁ?」

京太郎「そうだと良いけど……」


だが、あの日から手に入れたメダルは二つ

隣町で暴れたアーストロン、そして麻雀で倒した他校の生徒から出たダイゲルン

すっかり戦い慣れもしたものでダイゲルンとの戦いはカラータイマーが鳴る前に決着がついた


京太郎「まぁやっぱり……」

ベリアル『相性の問題だろうな』

京太郎「ですよねぇ」

はやり「またベリアルとお話し?」

ベリアル『様をつけろと言っておけ』

京太郎『言いませんよ』

ウィーン

京太郎「あ、トシさんと……白築さん?」

慕「こんにちは京太郎くん」

トシ「ちょっと困ったことになってね」

京太郎「困ったこと、ですか?」

トシ「……まぁ、二者択一ってやつだ」
125 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:32:40.36 ID:hFMCnCX60


京太郎「どういうことっすか?」

トシ「ちょっと鶴賀で妙な反応があってね」

京太郎「鶴賀って、加治木さんがいる!?」


京太郎の言葉に頷くトシ

それと反対に慕の方はというと少し迷った表情をしている

そんな彼女を見てはやりは少しばかり首をかしげた


はやり「どうしたの慕ちゃん?」

慕「えっと、それと同時になんだけど……先日から変な反応が会った場所があって」

はやり「変な反応?」

慕「うん、ちょっとした洞窟の中だったんだけど……巨大な石像があって、それが」

京太郎「どっち行くかって話ですか?」

トシ「そういうこと、片方にはやり片方に京ちゃんだね」


顔をしかめる京太郎ははやりの方を向く

はやりも悩んだような表情をしているが、それもそうだ

どちらかが正解なんていうことでもないように見える


はやり「京ちゃんはどっちに行きたい?」

京太郎「え〜」

トシ「まぁなんでも良いけど」

京太郎「投げやりな……」


京太郎(鶴賀も気になるけど、石像の方も気になる)

ベリアル『ハッ、暴れられるならなんでも良いじゃねぇか』

京太郎『えー』



◆どちらに向かう?


1、石像の調査同行

2、鶴賀の異変調査



126 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:39:10.11 ID:hFMCnCX60

◆どちらに向かう?


1、石像の調査同行

2、鶴賀の異変調査


◇安価1↓から〜 5分間でコンマ最高値の選択肢
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 00:42:20.49 ID:RC2mX1930
1
安価早くてビビった
もしかしてティガ出るのか?
128 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 00:52:06.51 ID:hFMCnCX60
1、石像の調査同行



一つ頷くと、京太郎は慕に視線を向けた


京太郎「白築さんに同行します」

慕「ありがとう……はやりちゃん」

はやり「ん、私は大丈夫。ただの調査だしね、怪獣が出ても……きっとウルトラマンがなんとかしてくれるでしょ」


そんな言葉に、慕は苦笑した

加治木ゆみは学園にいまだに通っていると情報が入っているし問題ないだろう

津山睦月がメダルを入れられて、ゆみを狙っているとかだとしたらむしろはやりでも十分対処可能である


はやり「そっちは任せたよ京ちゃん」

京太郎「ラジャーです。はやりさん」フッ

トシ「さて、それじゃあさっそく行ってきな」

京太郎「行きましょう、白築さん」

慕「うん」フフッ

129 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:03:19.12 ID:hFMCnCX60


特異課の基地を慕の運転するジープで出る

助手席には京太郎、後部座席には色々と調査に必要なのか機材が積んであった

はやりに習って、トシが用意したスーツ姿の京太郎


ベリアル『悪くないな』

京太郎『ベリアルさんが褒めてくれるなんて珍しい……』

ベリアル『ハッ、褒めたつもりはねぇがな』

慕「須賀君は」

京太郎「え?」

慕「須賀君はどうして、戦ってるの? まだ学生、子供なのに……」


そんな疑問に、京太郎は視線を慕に向けた

横顔に少しばかりの哀愁を感じるのは大人としての責任か……

似たような表情を、はやりで見た記憶がある


慕「大人に任せておいて良いんだよ?」

京太郎「それを言うために、わざわざ俺を?」

慕「まぁ、半分ね……ただそれでも、きっと須賀君は頼りになるって感じちゃってるんだよね」

京太郎「……そりゃ男冥利に尽きる話です」フッ


そう言って、懐にあるゼットライザーに視線を移す


京太郎(俺にしかできないこと、それがあるから……とは言えないか)


ベリアルのことを知らない者たちからすれば、確かに京太郎がここにいる必要性はないのだ

麻雀で勝つということだけであれば、はやりや白築慕がいる


京太郎「やりたいって、思ったんですよ。ただきっと、白築さんと同じです」

慕「……そっか、それじゃあ頼りにしちゃおうかな」

京太郎「是非」

慕「でも危なくなったら逃げるんだよ?」

京太郎「……了解です」フッ
130 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:14:48.06 ID:hFMCnCX60


車はそのまま山中へと入る

雑に手入れされた道を行き、ある程度の場所で止まった

京太郎と慕の二人が車を出て、荷物を持ち歩き出す


慕「でも……怪獣とか、驚きだよね」

京太郎「そうですね」

慕「メダルを撒いた相手、早く見つけないと……」

京太郎「そう、ですね」


山を登って行き、次に下る

洞窟のような道を行く

階段のようになっている通路、壁には電飾がついていた


京太郎「明るいですね」

慕「一応、特異課の研究員の人たちも入ってるからね」

京太郎「なるほど、ちゃんとスタッフの人いたんですね」

慕「あー熊倉さんの基地、立ち寄る人少ないからね」


どんどんと降りていくと、開けた空洞へと出る

そこにたどり着いて、そこにある石像を見上げて、京太郎は固まった

灰色の人型石像


京太郎「これは……っ」

慕「驚いたでしょ?」


京太郎「―――ウルトラマン」


その石像は、ウルトラマンと形容するほかない姿をしていた
131 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:27:38.64 ID:hFMCnCX60


そこに立つ石像の、なるべく傍へと近寄る京太郎

周囲には沢山の研究員がおり、計器で色々と調べているようだった

二人は持ってきた機材を研究員たちに渡し、並んで石像を見上げる


慕「京太郎くんは、何度も近くでウルトラマンを見てるんだよね?」

京太郎「まぁ、はい」コクリ

慕「どう、その目から見て……」

京太郎「姿かたちは全然違うけど、それでも……これはウルトラマンです」


その言葉に、慕が頷く

ベリアルのことは、良くは聞いていない

おそらく聞かれたくないのだろうということは、察しているからだ

だが―――


京太郎『ベリアルさんは……一体、どこから来たんですか?』

ベリアル『ハッ、地獄の底だ』

京太郎『真面目に答えてくださいよぉ』

ベリアル『……にしても、ティガの石像か』


そんな言葉に、京太郎はつぶやく


京太郎「“ティガの石像”……?」

慕「え?」

京太郎「あ、いや……そんな言葉が、思い浮かんで」

慕「ティガの石像、か……いいね。さしずめここは、ティガの地だ」


笑う慕の隣で、京太郎は黙って石像を見上げている

ネクタイに指を突っ込んで少し緩めつつ京太郎は腕時計型端末を見て時間を確認した


慕「ちょっと歩けばコンビニあるよ?」

京太郎「こんな山中に?」

慕「まぁ、対した山じゃないから、道に沿って歩いてけば」

京太郎「……まぁとりあえず、向かってみます」

慕「行ってらっしゃい、気を付けてね」

京太郎「はい」
132 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:39:58.65 ID:hFMCnCX60


―――【コンビニ】


10分ほど歩いて辿り着いたコンビニ

京太郎は慕に頼まれたものと、自身の昼食を買って出た

店前に置いてあったベンチに座ってパンをかじっている


京太郎『ウルトラマンは、この星にもいるんですか?』

ベリアル『……地球が生んだウルトラマンも確かにいるがなぁ、ティガ、あれはそういうもんとは違う』

京太郎『どういうことですか?』

ベリアル『ティガのガワだ。ありゃな』

京太郎「……ガワ?」


パンをかじってモグモグと口を動かす

9月のほどよく涼しい空気が心地良い

地面を見て考える……ウルトラマン、怪獣、そして仲間たち……


???「須賀君、よね?」

京太郎「へ?」


声がして顔を上げる

噂をすればなんとやら、仲間―――の仲間


京太郎「……福路、さん?」

美穂子「や、やっぱり須賀君!」


彼の数少ない知り合いの一人

そして彼の仲間、竹井久の友人である福路美穂子がそこにはいた

青い右目は、相変わらず閉じられている


京太郎「……お久し、ぶりです」

美穂子「ええ、久しぶり」ニコリ
133 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:42:56.55 ID:hFMCnCX60


     第4話【光を継ぐ者】

134 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 01:44:31.86 ID:hFMCnCX60
今回はここまでー

第四話でこんな感じ
まぁまだ序盤も序盤

頑張るゾイ
たぶん明日もやる
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/05(日) 02:04:35.58 ID:RC2mX1930

ティガが出てきそうだけど誰かがなるのか京太郎がなるのか?
レギュラーになるのかゲストなのか?ってとこか
136 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 21:37:46.31 ID:RUvJ9HOT0
よーしのんびりと再開ー
ダークネスヒールズもよろしく!
137 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 21:52:34.70 ID:RUvJ9HOT0


風越女子麻雀部部長、福路美穂子

かつて憧れていたところもあったが、今の京太郎としてはそう高揚するものでもない

ただ綺麗な少女、そんな彼女が目の前で自分に声をかけてきた


京太郎(……嘘、やっぱちょっとテンション上がる)

美穂子「その、隣良い?」

京太郎「ああどうぞ」

京太郎(嘘、めっちゃテンション上がる)


顔に出さないようにしつつ、京太郎はベンチの座る位置を少しずらす

隣に、そっと腰を下ろす美穂子

その表情は憂いを帯びている


京太郎「……その、風越の」

美穂子「あ、ええ……そうね、そっちも、よね」

京太郎「はい」コクリ


咲、優希、和、まこ、久

誰一人として未だ、見つかっていないのだ

トシから聞いた情報によると、風越はレギュラーメンバーは福路美穂子以外、全員行方不明

京太郎が倒した風越の生徒はレギュラーではない


美穂子「なぜだか、ニュースとかでもやってないし……」

京太郎「福路さん……」

美穂子「華菜、みんなっ……」フルフル

京太郎(なんとか、しないとなぁ……ここも)

138 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 21:59:34.53 ID:RUvJ9HOT0


俯いていた美穂子が、目元を拭って顔を上げる

なるべく明るく振舞おうと笑顔を浮かべるが、どこかぎこちない


美穂子「ごめんね、須賀君も大変なのに……」

京太郎「いや、俺は全然……」

美穂子「どうして私たちだけ、無事なのかしら」


自分は無事では済まなかったが、それを言うわけにもいかない

しかし、麻雀の力が強い者が襲われている中、どうして美穂子が無事だったのかわからなかった


京太郎「……たまたま、なんですかね」

美穂子「そう、なのかしら……」

京太郎「俺の場合は、仲間と認識されてなかったのかも、なんて」ハハッ

美穂子「そ、そんなことないっ! だって久はっ」

京太郎「じょ、冗談ですよ」

美穂子「あっ……ご、ごめんね?」

京太郎「いや、俺もちょっとここで言うべきことじゃなかったかも」ハハハ


そう言って立ち上がると、背を伸ばす

そろそろ戻らなくては慕も心配するかもしれない

京太郎を見上げる美穂子は、少しばかり驚いた表情を浮かべている


美穂子「……」

京太郎「福路さん?」

美穂子「あ、ごめんね……どうして、スーツなの?」

京太郎「う゛っ……ま、まぁ色々あって」

美穂子「?」
139 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:12:08.31 ID:RUvJ9HOT0


京太郎「と、とりあえず福路さん、その……」


ハッと気づいて、胸ポケットから出したのは名刺ケース

入っているのは無論名刺のようなもの

念のためにとトシに渡されていたが役に立つと思わなかった


京太郎「ど、どうぞ」

美穂子「え、え? 名刺? えっと日本政府公認、特異災害……」

京太郎「見るの名前と電話番号だけで良いんで、はい」


そもそもこんなもの持ち歩いているなんてヤバい奴なのだが、致し方ない

とりあえず連絡先が書いてあるものだけが必要だったのだ


京太郎「……一応、今回の事件解決に協力してるっていうか、協力者として?」

美穂子「え、そうなの? じゃ、じゃあ華菜たちは」

京太郎「そこです。一応、見かけたら話しかけたり近づいたりしないで、連絡をください」

美穂子「一体どういう」

京太郎「お願いです! ね! 約束ってことで!」

美穂子「え、あ……え、ええ……?」


半場強制的に頷かせると、京太郎は立ち上がる


京太郎「それじゃこれで!」

美穂子「え、須賀君っ!」

京太郎「約束しましたからねー!」


自分でも怪しい挙動をしているなと思いつつ、美穂子から遠ざかって慕のいる方へと向かっていく
140 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:22:55.43 ID:RUvJ9HOT0

コンビニからしばらく歩いて、元の山道へと戻ってくる京太郎

森の中に無理矢理作られた駐車場のような場所へとたどり着くと車が何台も止まっている

研究員たちのものだろう


京太郎「えっと、こっちか……」

ベリアル『迷子なんて笑えねぇからな?』

京太郎「わかってますよぉ」


そこからは慕と歩いた道を思いだしつつ、歩く

すぐに洞窟のような場所を見つけて、京太郎は中へと入って行った



物陰から、顔を出すのは福路美穂子

手に持っているのは、ビニール袋

単純に京太郎の忘れものを持って追いかけてきただけなのだが……


美穂子「……悪い子だ、私」


声をかければ良いものを、普通にストーキングしてしまっている

開かれた右目、相手の一挙一動を見逃さないその眼

ガチのストーキング


美穂子「うっ……で、でも、きっと華菜たちに関することが」


自分を納得させて頷くと、ゆっくりと京太郎の後を追い洞窟へと入っていく
141 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:40:05.31 ID:RUvJ9HOT0


京太郎は、洞窟の入り口を通って大きな空洞へと入る

そこには変わらず研究員たち、そしてティガの像

やはり圧倒されるな、と思いつつ慕を見つけて近づいていく


京太郎「戻りましたー」

慕「あ、お帰り……荷物は?」

京太郎「え、あ……忘れた」

慕「なにしに行ったの?」ジト

京太郎「えーっと」メソラシ


戻っても今更、しょうがないだろう

どうするかなぁと思いつつ慕を見るが、クスリと笑った


慕「良いよ別に、ついでだからね……」

京太郎「すみません」

慕「ほんと大丈夫、っていうかなにかあった?」

京太郎「え?」

慕「んー、なんとなくだけど」

京太郎「えー」

慕「あはは」

142 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 22:49:36.37 ID:RUvJ9HOT0

洞窟の入り口から、一本道

美穂子は隠れる場所も無いのでそのまま進んでいく

足場が悪いものの、電飾に照らされた足場を見てゆっくり


「誰だ!」

美穂子「ひゃっ!?」


そこにいたのは警備員らしく男性

持っているのは―――銃


「何者だ!」


必死に見えるのは、色々な情報を聞いているからだろう

女子高生雀士がおもに怪獣メダルの宿主になっていること、怪獣に覚醒すること


美穂子「わ、私っ……こ、これ!」


バッと出したのは先ほどもらった京太郎の“名刺”である


「こ、これ……須賀京太郎の名刺。あの特権持ちの?」

美穂子「とっけ?」

「ああいえ、協力者の方ですか?」

美穂子「あ、はい……その、か、風越の生徒について」

「なるほど、ではどうぞここから道が分かれていたりするんでご案内します」

美穂子「……お、お願いします」


そのまま、美穂子は警備員の後をついていく
143 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 23:10:53.46 ID:ckC9uJ0E0

空洞、ティガの像の前に立つ京太郎と慕

慕の持った端末のディスプレイに表示されている映像を横から見る

そんな京太郎に気づき、慕がそっと見やすいように傾けた


京太郎「……つまり?」

慕「なにもわからないって」

京太郎「そっかぁ」

ベリアル『ここより科学が発達した宇宙でも、完全に解析なんてできないだろうな』

京太郎『じゃあ、ここじゃあ……』

ベリアル『10年ぐらい経てばちったぁ変わるんじゃなぇか? それまでこの地球が人間のものだったら、な』

京太郎「嫌なことを……」


そう言って、ティガの像を再び見上げる

瞬間―――警備員の声が響く


「誰だ!」

「なんだこいつ!?」


そちらを見る京太郎

既に、数人の警備員が地面を転がっていた

奔る影が、京太郎の前に現れる


京太郎「ッ!」

ベリアル『小僧!』

京太郎「わかってんよ!」

すぐに拳を振るうが、その影は上に跳ぶ

京太郎の上を飛び越えて、反対側に回った影

素早く回転して脚を後ろへと振るう


京太郎「ッ!」


影は“両腕”でその蹴りを凌ぐも、勢いだけは殺しきれずに吹き飛ぶ

跳んだ影はそのまま、ティガの像、その前に着地する

着地したその影の正体を見て、京太郎は驚愕に眼を見開く


京太郎「なっ!?」

慕「え、あの人って……!」

京太郎「な、なにやってんです!」


わなわなとふるわせた拳を、強く握る


京太郎「部長ォ!」

久「……」
144 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/05(日) 23:51:36.49 ID:ckC9uJ0E0


叫ぶ京太郎の視線の先の久が、出ている鼻血を拭った


久「所詮は人間の体か」

京太郎「ッ!」


素早くガッツハイパーを向ける慕と京太郎の二人

トリガーに指をかけるも、その銃身も指もブレる


ベリアル『あいつは人間じゃねぇ!』

京太郎「人の部長の体、勝手に使いやがって!」

久「ふん、ティガの像……人間の体を使ってもダメか」


そう言って息をつく


久「私はレギュラン星人」

京太郎「異星人!!?」

ベリアル『悪質宇宙人か!』

京太郎『通り名最悪っすね』

久「ならば!」


そう言って指を鳴らす久、それと共に周囲の警備員たちの銃が弾き飛ばされる

影が行ったり来たり、そしてそれが京太郎に触れようとした瞬間―――


京太郎「チャアッ!」


―――蹴りを放つ。その直撃により影は吹き飛び久の隣へ


京太郎「なっ!?」

慕「あれは……」

京太郎「池田、華菜……」


久と同じく、身体が着いて行かないのか鼻血を出した華菜が右手で鼻を拭う

さらにダラン、と下がっている左腕を掴み動かすとゴキ、という音がした

左腕を動かして、そのまま京太郎を見る


久「良い知能を持っている。兵器にされていただけあるな……」

京太郎「部長の口で余計なことをっ!」

ベリアル『あいつ、メダルじゃねぇな』

京太郎「メダルじゃないって!」

久「その通り、私は私の技術でこの体を使っている!」

京太郎「汚い技術でうちの部長にっ!」ギリッ
145 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 00:07:06.13 ID:oTuCkeB90


舌打ちをする京太郎だが、ガッツイハイパーのトリガーを引くことなどできない

だが相手もティガの像をどうすることもできないだろう


京太郎(膠着状態、か?)


その瞬間、聞き覚えのある声が響く


???「久、華菜!」

京太郎「福路さんか!」


チラッと後ろを見て言う

それに否定の言葉はなく、走ってくると京太郎の隣に立つ


美穂子「どうして、二人とも! なにがっ!」

京太郎「あれは中身が違う!」

美穂子「えっ」

京太郎「部長と、池田さんを返せ!」

久「……まぁ良い、ならばこの像もろとも消えろォ!」


指を鳴らす久

その瞬間、地が揺れ、咆哮が聞こえた

それは間違いなく“怪獣の声”だ


京太郎「これはっ!」

久「ハハハハハ!」


笑いながら、揺れる地面をもろともせず走り去る久と華菜

その動きは人間を逸している

やはり体を無理矢理使っているようで京太郎が歯ぎしりをするが、どうにかできるレベルでもない


京太郎「怪獣っ、慕さん! みんなを逃がしましょう!」

慕「あ、うん!」

京太郎「福路さんも、手伝ってください!」

美穂子「え……は、はい!」
146 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 00:27:39.27 ID:1cipy6df0


警備員や研究員たちを立ち上がらせていく慕と美穂子

だが京太郎は素早くガッツハイパーのカートリッジを確認して頷く


京太郎「俺は、たぶん出て来てる怪獣を、囮になって遠ざけます!」

慕「っ! そんな!」

京太郎「お願いします。みんなのこと!」

美穂子「まって須賀君!」

京太郎「……!」


笑みを浮かべて頷くと、京太郎は出口へと走っていく

地面を伝わる振動はどんどんと強くなっていくのがわかる

本当に“怪獣”がいるのだろう


美穂子「須賀くん!」

慕「……やろう。福路さんお願い! あの子のやってることを無駄にできない!」

美穂子「そんなっ」

慕「今はそういう世界なだよ。やらなきゃ!」

美穂子「っ……」


慕の言葉に従う美穂子

しかしその表情には焦り

京太郎を心底心配している証拠


慕(どうしてっ……!)
147 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 00:54:07.25 ID:1cipy6df0

外へと出た京太郎が、勢いよく森を走っていく

向上した身体能力、それらを駆使して木々の間を縫って道なき道を行き、道路へと出た

何号線かは忘れた国道、そこに飛び出てから足音のする方へと視線を向けた


京太郎「怪獣!」


両手が鎌となっている二足歩行の怪獣


ベリアル『ほう、宇宙戦闘獣コッヴか』

京太郎「……なんでも良い。あいつを倒す!」

ベリアル『ハッ! わかりやすくて良いじゃねぇか!』


トリガーを引いて、目の前のゲートへと飛びこむ

インナースペースに立つ京太郎

ウルトラアクセスカードを差し込んだ


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』


ベリアル「ぶっ潰す!」

京太郎「いきます! ベリアルゥッ!」


ゼットライザーを掲げてトリガーを引く

それと共に、光が広がり―――


ベリアル「ジャアッ!」


―――ベリアルが地上へと現れる

着地と同時に周囲の土を舞い上がらせ、素早く構えを取った
148 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 01:11:06.64 ID:fmyBTt6T0


咆哮をあげるコッヴへと接近すると、素早く爪撃をみまう

その攻撃に下がっていくゴッブ

鎌で攻撃をしかけてくるも、ベリアルは素早く後ろへと下がる


京太郎『こいつ、さっさと決着つけましょう!』

ベリアル『ハッ、こんな雑魚相手に戸惑ってられねェからな』


近寄ると、右腕から電撃を放つ

怯むコッヴにさらに爪撃を打ち込み怯ませる

両腕の鎌を振りかぶって攻撃をしかけてくるが、それを爪撃で撃ち返す


コッヴ「―――!!!」

ベリアル「ハァッ!」


コッヴの両腕の鎌がベリアルの爪撃で破壊された

さらに、素早く膝蹴りを放ち、拳を数度打ち込む


コッヴ「―――!」


怯んだコッヴから距離を取ると、コッヴが頭部から光弾を放つ

それをベリアルは両手を前に出して出現させた円状のバリアで弾く

そこに隙を見つける


京太郎『決めます!』

ベリアル『やるぞ!』


両腕を左右に開き、顔を前に出す


京太郎・ベリアル『デスシウム・ロアー!』


放たれた破壊音波の攻撃

それに怯むコッヴにさらに接近、素早く背後に回ってその尻尾を掴むと、勢いよく回す

宙に浮いて回転するコッヴを、離す


コッヴ「―――!!?」


空へと舞いあがるコッヴに、素早く両腕を振るった


京太郎・ベリアル『デスシウムリッパー!』


放たれた斬撃が空中のコッヴの体を真っ二つにした

地上へと落ちていくコッヴが、途中で光の粒子へと変わって消える

さらに光がゆっくり落ちていくのが見えた


―――その光の先には、風越の吉留末春がいる


京太郎『やっぱり……』
149 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 01:17:54.84 ID:fmyBTt6T0


瞬間、さらに地面が揺れる

驚愕する京太郎が、その震源地らしき方へと顔を向けた

それはティガ石造があった山


京太郎『あれは!』


怪獣が、現れた

頭部が特徴的な、コッヴと同じく二足歩行の怪獣

さらに咆哮が響く、それは空から


京太郎『空にも!!?』

ベリアル『ゴルザにメルバか!』

京太郎『くそっ、だけどこっちはまだ!』


現れた二体の怪獣、ゴルザとメルバ

その二体が山へと攻撃を開始する


京太郎『こいつらティガの石像を狙ってるのか!?』


ゴルザが額から光線を、メルバが口から光弾を放つ

大地を揺るがす怪獣ゴルザ、空を斬り裂く怪獣メルバ


京太郎『やりますベリアルさん! 二体まとめて潰す!』

ベリアル『ハッ、気合入ってるじゃねぇか、上等だ!』


地を蹴り、ベリアルが二体の古代怪獣に飛びだす

150 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/06(月) 01:26:16.89 ID:fmyBTt6T0
今回はここまで
次回はゴルザとメルバとの戦いからだよー
そんじゃまた明日ー
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/06(月) 03:12:12.42 ID:X79xVpXoO

ゴルザとメルバにコッヴってそういうことか
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/06(月) 04:14:50.44 ID:zn+FRcq40

この2体も風越の生徒だろうな
ティガフラグめっちゃ建ってるけどシノチャーか?
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/08(水) 03:16:01.22 ID:UMxNRupl0
ここの安価ってハズレとかアタリとかあるんです?
154 : ◆3jlGSb6oVpwG [saga]:2021/09/08(水) 20:19:59.05 ID:TqFmf3Fi0
投下開始してくー
一昨日やる予定がずれたー

>>151
察しがいいし!

>>153
基本ないっす
展開に違いがあるぐらいっすー
155 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 20:22:30.64 ID:TqFmf3Fi0
酉間違ったこっち
156 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 20:40:57.53 ID:ZfZwEZIv0


―――【ティガの地:洞窟内】


凄まじい衝撃と共に、洞窟全体が揺れる

研究員たちを次々に起こして、逃がしていく慕と美穂子の二人

天井からパラパラと落ちてくる


慕「福路美穂子、さんだっけ! 早く逃げて、私一人でいいから!」

美穂子「い、いえ私もっ!」

慕「怪獣が来てるんだよ!? 子供にこんなことっ」


そう言いつつも、慕とて美穂子のおかげで避難が進んでいるのも理解していた

もう最後の研究員が出口へと向かう

数人の研究員たちが出口通路の傍で待っていた


慕「まったくもぉ、福路さん、早く!」

美穂子「は、はいっ!」


走って出口へと向かう二人

揺れるティガの像に視線を移すが、慕は顔をしかめつつ出口に視線を向け直した

いま必要なのはティガの像ではない


慕「なに? 鳴き声が変わった? ううん、増えた?」

「白築さん!」

慕「え……福路さん!」

美穂子「え?」


上から落ちてくる巨大な岩

このまま走って間に合う気がしない

だが―――


美穂子「ごめん、なさいっ!」ガッ

慕「っ!」


勢いよく、美穂子が慕を突き飛ばした

その反動で後ろへと跳ぶ美穂子、前へと転がる慕

その間に、岩が落ちる


慕「福路さぁん!」
157 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 20:48:37.01 ID:ZfZwEZIv0


起き上がる慕が叫ぶも、その声が届いているようには思えない

洞窟全体が揺れる音もそうだが、その奥

岩の向こう側からさらになにかが落ちる音などが聞こえてくる


慕「なんでっ、また子供ばっかり……!」

「白築さん、早く! ここで死んじゃぁ!」

慕「っ!」


揺れる通路を走って出口へと向かう


慕「っ!」


あふれ出る涙が頬を伝って地へと落ちていく

158 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:12:20.07 ID:al2ZVL680


ベリアルがゴルザの背からその体を掴んで、山から遠ざける

勢いよく引き離されて転がるゴルザをよそに、ベリアルが右手から光弾を出してメルバを撃ち落とす

二体の怪獣が、ベリアルに狙いをさだめた


ベリアル『ハッ、超古代怪獣を超古代竜の二体か……!』

京太郎『こいつら、なんであれを!』

ベリアル『そういうもんだろ―――この世界、アレがあるのか?』

京太郎『え、あれって……』


起き上がった二体を前に、京太郎は言葉を止める

まずは出てくるはずの慕たちを避難させる時間稼ぎをしなくてはならない


ベリアル『気合入れとけよ、二体一だ!』

京太郎『二体二ですよ!』

ベリアル『ハッ、半人前―――いや四分の一人前で言うじゃねぇか』フハハ


ゴルザとメルバへと飛びだすベリアル

まだ余力はある

戦えるはずだ
159 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:32:13.23 ID:al2ZVL680


ティガの像がある洞窟、その真上である山から離れた場所

コッヴが現れたような場所に存在していたのは人間―――ではない

体は人間のようで、スーツまで着ている

だが頭が黒く細長で、亀裂のように黄色い部分に単眼がついていた


????「ウルトラマンベリアル……最凶のウルトラマン」


そう言いながら、メダルを一つ取り出した

そのメダルに描かれているのは『コッヴ』に似たもの


????「なぜこの宇宙に……まぁ良い、早く片付けるか」


そう言いながら、その男(?)は“ゼットライザーのようなもの”を取り出してメダルを差し込んだ

ブレードを、可動させる


『スーパーコッヴ』

????「消えろ、ベリアル!」


そこから放たれる光が真っ直ぐに伸びて、怪獣を出現させた

先ほどベリアルが倒したコッヴ

そこからさらに洗礼された姿、鎌は鋭く胸のクリスタルの形も違う



咆哮と共に、歩き出した超コッヴ

ベリアルは掴みかかってくるゴルザをなんとか投げ飛ばし、メルバの光弾をバリアで弾く


京太郎『ベリアルさん!』

ベリアル『チッ! 超コッヴ……三体相手か!』

京太郎『くそっ!』
160 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:47:41.14 ID:ItkBuVu20


ゴルザと超コッヴの二体を、ベリアルは爪撃でひるませる

だが―――


メルバ「―――!」

ベリアル「ガァッ!」


メルバが放った光弾の直撃を受けて、ベリアルが後ろへと下がった

膝をつき、胸のカラータイマーが点滅を始める

さすがに三体一ともなれば苦戦もするだろう


京太郎『はぁっ、はぁっ……あ、あれは慕さんたち』

ベリアル『よそ見できるほど余裕か小僧?』

京太郎『そんなこと……あれ?』


そちらに、慕たちの方に美穂子の姿はない

先に脱出した様子もないはずだ

なのに―――


京太郎『ッ!?』


泣いている。慕が、泣いていた


京太郎『まさか……』

ベリアル『おい小僧!』

京太郎『ッ!』


慕が洞窟の方を振り返り、大粒の涙を流しているのが見える

なぜだか直感した

福路美穂子がどこにいるのか、どうしたのか


京太郎『あ、あ……アアアァァァッ!』

ベリアル『この力は……そういうことか!』


立ち上がったベリアルの目が赤く輝く
161 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 21:57:07.99 ID:4K/gn1+i0

―――【ティガの地】


外からの振動が響く

起き上がるのは―――福路美穂子

切り傷や擦り傷、体は砂埃まみれ


美穂子「っ……生きてる」


両足をしっかりと動かして、ティガの像へと近寄る

なぜだか惹かれ、なぜだかそうしていた


美穂子「華菜を、久を……少し前、みたいにっ」


流れる涙、両目を開きその像を見上げる


美穂子「……!」


ティガの像のさらに上、天井が崩れる

山の一部が重力によって降りかかってくる

その瞬間、美穂子は―――


美穂子「―――光?」

162 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 22:27:33.11 ID:4K/gn1+i0


赤い瞳のベリアル

空飛ぶメルバに光弾を数発撃ちこむ


ベリアル「ジャア!」


落ちるメルバにさらに追撃を放ち、近寄るゴルザに爪撃

斬撃が奔り、ゴルザが仰け反る


ベリアル「デアッ!」


さらに膝蹴りを打つと、即座にかかと落とし

逆方向から近寄る超ゴッヴに雷を放つとさらに回し蹴り

ゴルザを蹴りで倒すと、コッヴの方へと向きなおす


京太郎『テメエェェェ!』

ベリアル『ハッ! 中々やるじぇねぇか!』


さらに両腕を水平に構える


京太郎・ベリアル『デスシウムリッパー!』


超コッヴの胴体に斬撃が直撃した

だが先ほどのコッヴとは違い切断までに至ることもない

それでも弱ってはいるようでふらつく


京太郎『まだまだァ!』

ベリアル「シャア!」


振り返ると同時に腕を振るう

立ち上がって来ていたゴルザとメルバが後ろへと退く
163 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 22:53:05.48 ID:0+f5H4eq0


そして超コッヴに狙いを定めると、ベリアルが走り出す

振るわれる鎌を避けて後ろへと回るとその胴体に腕を回す

尻尾を振るわれるより、早く―――!


京太郎『ダアアアァッ!』

ベリアル「ウオラァッ!」


超コッヴをバックドロップで投げ飛ばす

即座に起き上がるベリアル



超コッヴ「―――!」


ふらつきながらも起き上がる超コッヴ

ベリアルは即座に接近して拳を何度か打ち込む

超コッヴが鎌を振るおうとするも―――


ベリアル「ジャァッ!」


それに合わせるように両手で光弾を放ち、二つの鎌を破壊する


京太郎『まず一体!』

ベリアル『上等だ!』


両腕を構える

右手と左手をクロスし、必殺の光線を放つ


京太郎・ベリアル『デスシウム光線!』


近距離で放たれた光線は超コッヴを貫き、爆散させた


京太郎『っし!』

ベリアル『油断するな小僧!』


素早く後ろへと下がるベリアル

そのベリアルに、ゴルザが光線を、メルバが光弾を放った

それを避けることもできずに、ベリアルは後ろへと吹き飛ぶ
164 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:08:14.24 ID:0+f5H4eq0


京太郎『ぐっ! 大丈夫っすかベリアルさん!』

ベリアル『こんな雑魚どもにっ!』


起き上がるベリアルが両腕を構える

咆哮する二体の怪獣にどう立ち回るかを考えていた、その瞬間―――


ベリアル『ッ!』

京太郎『え、光?』


山から立ち上る光

それはおそらくティガの像があったその場所

空へと伸びた光が曲がり、ベリアルの隣に落ちた


京太郎『敵か!?』

ベリアル『この光を見て、敵か疑うたぁお前やっぱ』フッ

京太郎『え、なんっすか!』


隣に落ちた光から、なにかが現れた

片手を真っ直ぐと上に、そしてもう片手をまげて、現れるのは―――


京太郎『光の、戦士……?』


―――その名はティガ。超古代の光の巨人
165 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:31:20.02 ID:0+f5H4eq0

ベリアル『ティガだと?』

京太郎『復活した……』


ティガが、上げていた腕を下げて腕を構える

前に出した手を平手に、後ろの手を拳に……


ベリアル『声、届くんじゃねぇか?』


その言葉に、京太郎は頷いてティガの方を見る


京太郎『味方で、良いんですか?』

ティガ「……」コクリ


頷くティガ、そしてなぜだか確信した

目の前のウルトラマンティガ……その、此度の―――


京太郎『ッ! ……行きましょうベリアルさん!』

ベリアル『ハッ、やれるみてぇだな』

京太郎『き、気のせいでしょ!』


両腕を構えるベリアルのその瞳は元の色へと戻っていた

ゴルザとメルバが咆哮を上げ、走ってくる

それを迎え撃つのは、ベリアルとティガ


◆BGM:TAKE ME HIGHER【http://www.youtube.com/watch?v=2FzlpZqyuKg


ベリアル「セヤァ!」

ティガ「デァ!」


二人のウルトラマンが走り出す
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/08(水) 23:40:09.44 ID:hkxlaxZJ0
ティガ来てる!
167 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:44:16.98 ID:0+f5H4eq0


二人のウルトラマンが飛びだす

ベリアルはメルバへと接近し素早く爪撃で攻撃をしかける

さらに素早く打撃


ベリアル『一体一ならな!』

京太郎『負けねぇ!』


拳を打ち込む、その隣でティガがゴルザへと打撃をしかけていく

ベリアルとはまた違った戦い方であり、チョップからの蹴り、さらに光弾を放つ


ゴルザ「―――!」

ティガ「―――チャァ!」


両腕を眼前でクロスしたティガが、勢いよく両手を振るう

するとティガの姿が赤く変わった


京太郎『あれは!?』

ベリアル『タイプチェンジだな』

京太郎『そりゃうらやましいこって……!』


そう言うと、ベリアルが腕を振るう

斬撃でメルバが怯むがさらにベリアルは前蹴りを撃ちこんで下がらせる


メルバ「―――!」
168 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/08(水) 23:55:49.25 ID:0+f5H4eq0


退いたメルバが素早く顔をベリアルへと向ける

そして、その両目から破壊光線を放つ


京太郎『こいつで!』

ベリアル「ジャア!」


素早く前に出した両手から放たれる光線

それがメルバとベリアルの真ん中で弾ける


ティガ「チャア!」

ゴルザ「――−!」


下がるゴルザがベリアルの真後ろへとやっくると、ベリアルは爪を振るってゴルザを背中から斬る

怯んだゴルザの尻尾を掴み、ベリアルが投げ飛ばそうとするとメルバが再び交戦を放つ

だが前に出たティガがメルバへと光弾を放ち、射線をそらす


ベリアル「デヤァ!」


投げ飛ばされたゴルザが転がる

メルバが、空へと飛び上がった


京太郎『ベリアルさんメルバが!』

ベリアル『あ?』


だがティガが再びタイプチェンジを行った

その身体は紫色に変わる


京太郎『また変わった!』


ティガが素早く空へと飛び上がった

起き上がったゴルザがベリアルへと走る

ベリアルは跳び上がると、突進するゴルザの頭を踏んで、その向こうに着地し回避した
169 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 00:12:31.90 ID:5RqDhQ3N0


空を飛ぶメルバを追って、ティガスカイタイプが空を行く

後ろへと振り返ってメルバが目から光線を放つ

だが、ティガは軽く体をそらしてそれらを回避


メルバ「―――!」


逃げようと、加速しようとするメルバ

だが、ティガはそれよりも素早く、追い付いてその加速度のままメルバへと蹴りをみまう


ティガ「ゼァ!」

メルバ「―――!!」


その攻撃により高度が落ち、地上へとぶつかりそうになるも、すぐにメルバは体勢を整える

再び破壊光線を放つが、ティガは即座に回避

ティガは両腕を上空へと上げると、左わき腹へと手を構える


ティガ「デァ!」


右手が振るわれると、紫電の如き輝きが伸び、メルバを貫く

紫電の光、ランバルト光弾を受けたメルバが空中で爆散する
170 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 00:29:40.18 ID:5RqDhQ3N0


地上で、ゴルザを相手に格闘するベリアル

力はゴルザの方が強い

だが素早く爪撃で腕を振り払いつつ、拳を打ち込む


ゴルザ「―――!」

ベリアル「ダリャア!」


さらに回し蹴りを放ってゴルザを後退させる

弱っている様子のゴルザを前に、ベリアルが顎に手を当てて首を鳴らす

隣へと降りてくるティガが、タイプチェンジをして最初のマルチタイプへと戻った


京太郎『いきますよ!』

ベリアル『言われるまでもねぇ!』

ティガ「テァッ!」

ベリアル「ダリャッ!」


ティガが両腕を脇へとやり、すぐに真っ直ぐ伸ばし目の前で交差させる

それを開いていくと紫色の光があふれ出た


京太郎・ベリアル『デスシウム光線!』

ベリアル「ハアァッ!」

ティガ「デァッ!」


ベリアルのクロスされた腕、そしてティガのL字型の腕

放たれた二つの光線がゴルザへと直撃

ゆっくりと倒れていくゴルザが、爆散した
171 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:04:29.64 ID:bFqseOGQ0

敵意を感じないことを確認して、ベリアルはティガの方を見る

ティガはなにを言うでもなく、静かに頷いた

ベリアルはそれになにを返すこともなく、空へと飛び上がる


ベリアル「デヤッ!」


空へと消えるベリアル

ティガはそれを見送ると、光と共に収束して消えた

そして、光が収まったその場所に立っていたのは―――


「ハァッ……ハァッ……」


―――福路美穂子

肩で呼吸をしながら、森の中で尻もちをつき木によりかかった

その疲労は、あの洞窟の中でのものだけではない


美穂子「華菜、久っ……」

京太郎「福路さん!」

美穂子「す、がくん……?」

京太郎「福路さん、大丈夫ですか?」

美穂子「だ、いじょうぶ……」


そう言って弱々しく笑う美穂子を見て、京太郎は顔をしかめる

抱えて帰るしかあるまいと、美穂子を見る

その手に持っているものを視界に入れて、息をついた


美穂子「ちょっと、疲れた……だけ、だから」

京太郎「……はい、休んでください」コクリ

美穂子「ん、ありが、とぉ」


眼を瞑り、一定の呼吸をする美穂子

安心したように京太郎は頷くと、その手に持っていた“モノ”を自分の手に

不思議な形をしたアイテムだった


ベリアル『スパークレンス、だな……似たようなのを見たことある。気がする』

京太郎「?」

ベリアル『まぁ良い、これで確定だな』

京太郎「はい……美穂子さんが、ティガ」コクリ
172 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:15:43.86 ID:bFqseOGQ0


山を降りてすぐ、コンビニの駐車場にいるのは慕

スタッフたちも数人が残っているだけでほとんどが熊倉トシの施設へと向かったようだった


慕「京太郎くん、通信に応えて……!」

「白築さんあれ!」

慕「え?」


スタッフの声に慕がスタッフの指差す方を見る

そこには須賀京太郎、それに……


京太郎「おーい!」

慕「福路さんっ!」


流れそうになる涙を拭って、慕が走っていく

京太郎へ、その背中に乗せている美穂子へ―――

173 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:31:37.01 ID:DLFHj4D10


森の中、落ちているメダル

ゴルザのメダルを拾う影

赤い髪をなびかせる竹井久が、虚ろな目で拾ったメダルを確認した


久「超古代怪獣……」


それを素早く投げれば、受け取る影

先ほどの宇宙人だった


「ご苦労だ……ゴルザ、メルバ、そして超コッヴ」


三枚のメダルを手に入れて、笑う宇宙人

それを見るのは竹井久、そしてその隣には池田華菜


「中途半端な因子のメダルだが、やはり人間に入れて熟成させると……完璧になるなぁ」

久「それで、これから?」

「レギュラン星人、お前は戦闘向けの生物ではないからな……色々と、私が考えてやろう」

久「……貴様」

「役に立つはずだ。貴様の同族の復讐のためにも」

久「……」


なにを言うでもなく、竹井久―――レギュラン星人は山を下りていく

174 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:45:17.82 ID:AvZcA1Yz0

ベリアルとティガが戦った山近く

カメラを持った男がいた

その近くにはメガネをかけた記者


「どう?」

「ウルトラマンの写真は取れましたけど……」

「上々!」


グッと手を振るう女性、西田順子

そしてカメラマンの男の名は山口大介

二人は『WEEKLY麻雀TODAY』の記者であり、京太郎の所属する清澄高校とも関わりがある二人


大介「でも俺らって、麻雀雑誌の記者ですよね? ウルトラマン撮っても」

順子「いえ、私たちはウルトラマン関係の記者よ」

大介「はぁ?」

順子「編集長には話を通してる……表だって報道されない雀士行方不明とコレ、関係あると思わない?」

大介「根拠は?」

順子「勘よ……だから追うわよ。ウルトラマンを」ニッ

大介「……はい」ハァ


意気揚々と歩き出す順子に、大介はため息を吐きつつ着いていくのだった
175 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 01:47:56.29 ID:AvZcA1Yz0


     第4話【光を継ぐ者】 END

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 01:48:28.85 ID:sPcw0G0p0
あー、またいらん事しそうやなこの記者
177 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 02:06:58.74 ID:AvZcA1Yz0

―――次回予告


京太郎:鶴賀に異変!

はやり:私はさながら囚われのヒロインってわけだ!

トシ:こんな元気な囚われのヒロインはいない

京太郎:強敵ですベリアルさん!

ベリアル:対ウルトラマン用だろうが関係ねぇ! 潰す!


次回【闇の力】


ベリアル:おもしろい、やってみろ!

京太郎:力、お借りします!
178 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/09(木) 02:14:18.02 ID:AvZcA1Yz0

今回はここまでー

前の選択肢のもう一個の方っす
明らかに前にやってたら違うなーって話の展開もあったりー

そういえばティガが円谷イマジネーションに来たり
丁度タイムリーな展開だったなーとかー

次は金曜にーそんじゃまたー
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 02:53:28.19 ID:W4H7bd470

キャプテンがティガだったけど、どうなってくんだ
次の敵がわからんがゆみが楽しみだ
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/09(木) 12:39:00.59 ID:/xmXYvO1O
そういや今更ながらベムラーとアーストロンのメダルがあるんだよな
ベリアル融合獣にもいつか変身するのだろうか
181 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 21:46:38.99 ID:wl09N0oz0
よーしやってくー

>>180
ベリアル融合獣に関しては、まぁお楽しみってことで!
182 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:05:35.64 ID:w1o+XgEm0


―――【特異課施設:休憩所】


あれから一日

美穂子は未だに眠っているようで、さらに吉留末春

そして付近で深堀純代、文堂星夏も発見された


京太郎「……」


まだ風越の面々が起きた様子はない

だが……


智美「ワハハ、暇か」

桃子「あ、京さんじゃないっすか」

佳織「今日はお仕事ないんだねぇ」


やってきたのは蒲原智美を筆頭に桃子と佳織

ティガが蘇ったあの日の夜、智美が起きたのだがやはり記憶は曖昧なようだった

津山睦月を見た、とのことは聞いていたのだが……


京太郎「ふむ……」

智美「むっきー、見つかりそーか?」

京太郎「全然」ハァ


息をつく京太郎、その視線の先にはテレビ

映っているのはベリアルこと自分と、ウルトラマンティガだった
183 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:21:48.55 ID:jRxxruUV0


京太郎「……」

智美「おーウルトラマン、私の恩人だなーワハハ」

佳織「私も、なんだよね……」

桃子「私はそうじゃないらしいっすけど」


確かに佳織と智美を止めたのはベリアルだ

だが、それも京太郎にとってはやらなくてはならないことだった

人々を守る。それが今の京太郎のやるべきことだ


ベリアル『どぉーせ使命だとか、なんとか思ってんだろ?』

京太郎『うおっ!? なんでわかるんっすか!』

ベリアル『やめとけ、そういうタマじゃねぇよ』

京太郎『……え、どういうことっすか?』

ベリアル『さてな』


それだけ言うとベリアルは返事をしなくなった

小首をかしげる京太郎


佳織「京太郎くん、そういえば瑞原さんは?」

京太郎「ああ、今日も鶴賀だと思うんですけど……」

ピピピピ

京太郎「あれ、通信」


そう言うと、携帯端末を取り出した


京太郎「はいどうも」

裕子『京太郎くん、ちょっと第三医務室までお願いしていい?』

京太郎「っ! はい……」

桃子「仕事っすか?」

京太郎「おう、行ってくる!」

桃子「行ってらっしゃいっす」ニコッ タユン

京太郎(おもち!)

184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/10(金) 22:29:59.55 ID:rqcbBLDg0
きてたのか
ちゃっかりモモたちと距離感近くなってるな
185 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:40:50.77 ID:jRxxruUV0


休憩所から離れて、京太郎は佐藤裕子に指定された部屋へとやってくる

インターホンを押すと、ドアが開いて裕子が顔を出す


京太郎「え、ど、どうも?」

裕子「……ん、どうぞ」

京太郎「どうも」


軽く会釈をして中に入ると、そこにはベッドに座っている少女

そうは言っても京太郎よりも年上なのだが……福路美穂子は相変わらず右目を閉じたまま、京太郎を見た

少しも驚いた表情を見せないのは裕子からある程度聞いていたのか……


京太郎「えっと……おはようございます?」

美穂子「えっと、おはよう?」


二人でぎこちなく挨拶をして、笑う

入院服のようなものを着ている美穂子

だが! その胸は豊満であった!


京太郎(いかん、俺としたことが……)ブンブンブン

裕子「あ〜」ジト

京太郎「な、なんっすか」

裕子「さてね、まぁそのぐらいの方が健全か」

京太郎「ちょ!」カァッ

美穂子「?」
186 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 22:54:08.82 ID:jRxxruUV0

座っている美穂子の正面に、椅子を出して座る京太郎

裕子はと言うと、頷いて外に出てしまった

知り合い同士でと、気を使ってくれたのだろう


京太郎「……その、福路美穂子さん」

美穂子「あ、その……気絶した私を背負って連れてきてくれたんだよ、ね?」


話を明らかに切ったのだが、理由は予想がつく

美穂子は、ベリアルが京太郎だと気づいていないのだろう


京太郎「……」

美穂子「うっ……む、無理?」

京太郎「はい、俺はわかってますから……」


その言葉に、美穂子がため息をつきつつ頷く


美穂子「光を掴んだの……それで、戦わなくちゃって、あの……べ、ベリアル、さんと」

京太郎「そっか、ティガとして、ウルトラマンとして、か……」

美穂子「……」

京太郎「その……」スッ


服の内側から取り出したのは“スパークレンス”

ベリアル曰く、ティガに変身するためのアイテム
187 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:12:48.57 ID:dZGeKDBJ0

美穂子「あ、これ……」


すぐに理解したのか京太郎の手から受け取って両手でそっと持つ

使い方も心得ているのは文字通り“光を受け継いだ”からか……


京太郎(俺ともまた違うか……)


ベリアルと自分のように同居しているような感じでもない


京太郎「美穂子さんが、その……これを手にすると、また戦うことになります」

美穂子「……」


じっと、美穂子の眼を見つめた

京太郎と美穂子、二人の赤い目が交差する


京太郎「義務感で戦うもんじゃないですよ」

ベリアル『良く言う』

京太郎『え?』

ベリアル『……ていうか、それじゃお前がオレだってバレちまうんじゃねぇか?』

京太郎『う、そこはなんとか……』


目の前の美穂子が、フッと息をついて笑みを浮かべた


美穂子「ううん、戦うわ……私はね、光を継いだ。きっと守るために」

京太郎「……」

美穂子「私自身も守りたいと思う、人が好きだし……なによりも、華菜と久のために」ニコッ

ベリアル『こいつ本心から言ってやがる』

京太郎『えー嫌そうに言いますね』

ベリアル『嫌だからな』

京太郎「……美穂子さん」
188 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:24:05.66 ID:dZGeKDBJ0

美穂子「どうしたの?」

京太郎「お願いします」


そう言って笑うと、美穂子も笑顔を浮かべて頷いた

その後は簡単な話だ

彼女の正体は言わないだとか

自分と同じ立場の方が戦いやすいと、トシには口利きしておくだとかだ


京太郎(まぁ、一緒に麻雀で戦うことはできないだろうけどなぁ)

美穂子「えっと、それじゃあ熊倉さんに話を?」

京太郎「はい、あの人ならなんとかしてくれると……思い、ます」コクリ

美穂子「京太郎くんがそこまで信用してるなら、大丈夫ね」クスッ


笑う美穂子に、京太郎も笑って返す

だがしかし、トシを信用しているのは確かだが謎が多いのも確か

彼女は一体何者なのだろうとも思う


京太郎『しばらく顔出してないけど、あの人……美穂子さんのこと知ってると思います?』

ベリアル『たぶんな、あの感じ……普通じゃねぇだろ』

京太郎『ベリアルさんが言うなら間違いないんでしょうけど』


頭の中でベリアルと会話をしていると、扉が開いた

美穂子は慌てながら入院服の中にスパークレンスを隠す


京太郎(おー……正直、その、いい……)

裕子「さ、福路さん、着替え持ってきたから」

京太郎「それじゃ俺はこれで!」

美穂子「あ、うん」コクリ

京太郎「……それじゃ、また」フッ

美穂子「ええ」ニコリ

裕子「ふ〜ん」

京太郎「え、な、なんっすか」

裕子「すーぐ女の子と仲良くなるんだから」

京太郎「えー、別に良いじゃないっすかぁ」

裕子「……別に良いけど」ジト

京太郎「?」
189 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:39:17.15 ID:dZGeKDBJ0


美穂子の部屋から出て、京太郎はすぐに呼び出された作戦室へと向かう

ティガの一件から増えたスタッフたちに軽く会釈しながらトシの待つ部屋へと入った

そこにいたのは、トシの一人


京太郎「来てたんですね」

トシ「まぁね……とりあえず瑞原から連絡もあったし」

京太郎「いつ?」

トシ「さっき」

京太郎「……え、すぐ来たんっすか? ターボババァ?」

ゴッ

トシ「ぶつよ」

京太郎「ぶってるぅ」ヒリヒリ


頭を押さえながら、京太郎がトシの方を見る

ともかく、とドッシリと椅子に座する熊倉トシが端末を叩く

そこに映っているのはウルトラマンティガ


京太郎「……美穂子さんは、戦うって」

トシ「そ、なにより……」

京太郎「あっけからんとしてますね」

トシ「あの子がティガに、光に選ばれた時点でわかってたことさ」

京太郎「……?」

トシ「あの子はシンプルに、人々を愛するタイプだからね。ウルトラマンに向いてる」


その言葉に、京太郎は自分の手を見る

一瞬だけベリアルの手が重なって見えて、その直後黒い手が重なって見えた


京太郎「ッ!」

トシ「悩んで戦って答えを出す。それが人間でありティガ」

京太郎「え?」

トシ「なにはともあれ、京ちゃんとは違うってことさ」

京太郎「なんっすかそれぇ」

トシ「まぁ人それぞれ、あるってことさ」
190 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:56:29.13 ID:dZGeKDBJ0

トシ「とりあえず福路に話は通しておくよ」

京太郎「あの、美穂子さんの正体については」

トシ「わかってるよ。知らないふりする」


そう言って端末を操作して、ティガの画像を小さく

そして鶴賀学園の画像が大きく映し出された

おそらくだがはやりが撮った写真なのだが、そこに映っていたのは


京太郎「……加治木さん?」

トシ「そう、加治木……ただし、こいつ」

京太郎「……メダルを、握ってる?」

トシ「そ、ちなみにこの後、麻雀やったらしい」

京太郎「ッ!」


つまり、そういうことだろう

しかしメダルを入れられた人間がそこまで狡猾に動くのを見たことが無い

そのはずなのだが……


トシ「ちなみにそっから瑞原から連絡がない」

京太郎「一大事じゃないっすか!」

トシ「だから呼んだ。頼んだ……はい、特異課手帳」

京太郎「なんっすかこれ」

トシ「警察手帳みたいなもんさ、見せりゃなんとかなる」

京太郎「えー眉唾」

トシ「いいから行っといで、瑞原があんなことやこんなことになる前に」

京太郎「行ってきます!」ダッ
191 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/10(金) 23:58:04.94 ID:dZGeKDBJ0


     第5話【闇の力】

192 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:17:51.30 ID:8f7FJ2Wy0

―――【鶴賀学園:一階】


スーツ姿、サングラスをかけた京太郎が歩く

顔を隠せと言うことでもらったがいかんせん、ガラが悪い気もする

手帳を見せたら当然のように入れたがそれも意味が分からない


京太郎(世の中、知らないことばっかだなぁ……案外宇宙人とかも珍しくなかったり?)


そんなことを思いながら歩く京太郎の隣を歩く女子生徒二人

なんだかコソコソと話をしながら去って行った


京太郎(絶対、恐がられてる)


「今の人こわぁ」

「え、カッコ良くない?」

「まぁどっちかってーと?」


歩いていく京太郎のつけているサングラス

その内側、右方向がピコピコと光る


京太郎(こっちか、はやりさんの反応……)


はやりの端末を示しているらしい、とトシから聞いた

内ポケットのガッツハイパーはいつでも手に取れるようにはしている

だが、実際に出てきたとして“加治木ゆみ”を打てる気がしない


京太郎「……いや、なにかあってからじゃ遅いからな」
193 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:37:28.17 ID:8f7FJ2Wy0


一階の反応がある教室を覗く

だが、そこにはなにもなかった

サングラスの内側の反応は、上を示していた


京太郎「……もっと上? いや、三年の教室があるのは二階、だよな」


ということは、と京太郎は小走りで上階へと向かっていく

すぐに反応を追って行き京太郎は部屋の前へとたどり着いた

明らかに異常な気配を感じる


京太郎「……っ」

ベリアル『上等じゃねぇか、やっちまえ!』

京太郎「はやりさん!」


扉を勢いよく開けて中へと入る

カーテンが引かれた暗い教室

その中に、少女が1人で立っていた


京太郎「加治木、ゆみ……!」


ガッツハイパーを構えるその手に、震えは無い

彼自身も驚くほどだった


京太郎「……人でなしか、俺は」

ゆみ「そうだな。貴様は人でなしだ……ベリアルの器」フフフ

京太郎「ハッ、まさかこんな風に会話できる敵がいるとは」


負けじと笑ってみせるが、内心では気が気でない

銃口はまっすぐゆみの方を向いている


「京ちゃん!」

京太郎「はやりさん!?」
194 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 00:53:18.51 ID:8f7FJ2Wy0

そこには立てられた十字架にはりつけられているはやり

京太郎がガッツハイパーをそちらに向けた


ゆみ「甘いなベリアルの器!」ガッ

京太郎「っ!」


蹴りでガッツハイパーが弾き飛ばされる

だが、京太郎は体勢を低くして足払いをかけた

跳んで回避したゆみが京太郎と距離を取る


ゆみ「ゼットン星人もこんなものに遅れを取るとは」

京太郎「チィ!」

ベリアル『おい、こいつは一味違うみたいだぞ』

ゆみ「……どうした? ベリアルの器」

京太郎「パンの袋とめるアレみたいに言うんじゃねぇよ」


構える京太郎、次の行動を待ち構えるも―――


ゆみ「それじゃ、これは?」パチンッ


その音共に、カーテンが開かれる

明るい陽射しが教室内に差し込む


ゆみ「さぁ、十分に育ったろう……!」


その向こう、街に現れる影

光りと共に―――巨大なアリジゴクのような怪獣が現れる


京太郎「ッ!」

ベリアル『アリブンタか!』

ゆみ「さぁ、どうする?」

はやり「行って京ちゃん!」

ゆみ「黙れ!」


その瞬間、十字かに電撃が奔る


はやり「がっ、あああっ!!?」

京太郎「はやりさん!」

はやり「っ……アァァッ!」
195 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:03:24.01 ID:8f7FJ2Wy0


京太郎「お、お前ッ!!」

ゆみ「フハハハハ!」


外のアリブンタが徐々に迫ってくる

まだ小さく見えるほどの距離ではあるものの、それは確実だ

十字架からの電撃は収まっている


はやり「っぁ……はぁ、はぁ……」

京太郎「っ」

ゆみ「変身しようとすれば」


だが次の瞬間、アリブンタに銃撃が奔った

驚愕に眼を見開くゆみ

京太郎はその顔に笑みを浮かべる


京太郎「頼んだ、美穂子さん!」

196 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:13:21.08 ID:8f7FJ2Wy0


―――【街中】


トシの運転で、スーツを着た美穂子は街中へとやってきていた

タイミングよく現れたアリブンタ

二人は避難誘導を始めるも……


美穂子「あっちの避難誘導にいきます!」

トシ「……任せた!」


頷いた美穂子がアリブンタを相手にガッツハイパーを撃ちながら走る

アリブンタが美穂子の方に顔を向けた


美穂子「ちゃんと囮はやれてるわね……」


走って裏路地に入る

やることはただ一つ、決めたことだ


美穂子「人々を守る。そのために私は光を……!」


スーツの内側から、スパークレンスを取り出す

強い瞳で、両目を開き……腕を回す


美穂子「……!」


そして、光が溢れる

197 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:21:35.41 ID:8f7FJ2Wy0


―――【鶴賀学園:二階教室】


街中に現れた光の巨人―――ウルトラマンティガ

アリブンタの行く手を遮り、素早く蹴りをみまう

怯み、倒れるアリブンタ


ゆみ「なっ!?」

京太郎「そこだぁっ!」


素早く跳びだした京太郎が、ゆみへと接近して脚を振るう


京太郎「ごめん加治木さんっ!」


ゆみは素早く腕を横に出して凌ぐも、勢いを殺し切れず床を転がる

はやりの拘束を解こうとするが、起き上がったゆみの方が早かった

その瞳がエメラルド色に輝く


ゆみ「ならばァ!」

京太郎「!!」


瞬間、光と共に、校舎が吹き飛ぶ
198 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:34:49.70 ID:8f7FJ2Wy0

校舎を拭き飛ばし、現れるのは巨大な影

金色の鎧のようなものを纏った人型ロボット

右手にナイフ、左手に鋭利なカギ爪


『潰れろベリアル!』


だが次の瞬間、光りと共に現れる白銀の巨人―――ベリアル

体を丸めた状態で現れると、手をそっと下げる

その手から、眠っているはやりが地に降ろされた


『らしくないことを!』

ベリアル『オレもそう思うが、やったのは小僧だ』

京太郎『お前ェ!』


立ち上がると、そのまま敵へと掴みかかる

はやりに被害が及ばぬようそのまま転がって離れると、すぐに距離を取った

もちろん、はやりがいる方を背にだ


ベリアル『エースキラーか』

京太郎『エース殺し、加治木さんにはあってる、のか?』

ベリアル『そういうエースじゃねぇけどな』

京太郎『え?』

ベリアル『だが……あれは中身、いやもっと前提、ヤプールの意思か』

京太郎『誰っすか』

ベリアル『雑魚だ、気にすることじゃねぇよ』

エースキラー『ベリアルゥ!』


両腕を開いて怒りを表すと、エースキラーはベリアルへと走り出す
199 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 01:42:08.63 ID:8f7FJ2Wy0
ってことで今回はここまでー

次回はようやっと戦い
五話にしちゃ展開早い気もするけどまぁ最近のウルトラマンなら普通普通
とりあえずエースキラー戦

もしかしたら明日かも?
そんじゃまたー
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 02:08:12.82 ID:Y/sluaEd0
乙です
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 06:22:48.20 ID:ioGBX/IL0

エースキラーがエースキラーしてるな
二人のウルトラマンがちゃんと分担できてていい
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 18:13:35.71 ID:vnOIpt/EO
まあどっかの最後の勇者よりはマシかと
なんせアイツはこの辺りで合体魔王獣やラストジャッジメンターと戦ってるからな
203 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 21:32:09.51 ID:aL/RcTEu0
ようし、やってくー
今日までに五話終わるかなー

>>202
魔王獣はジャグジャグの手加減あったんだろけど……ギルバリスはヤベーイ
204 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 21:46:44.89 ID:8cKaUmd20

叫び、吠えたエースキラーがベリアルに向かって走る

振るわれたナイフを左手の爪撃で凌ぎ、右手の爪撃で攻撃

だがその攻撃は右手の鉤爪に止められる


ベリアル「!」

エースキラー『半端な力で復活した貴様が、勝てると思うかァ!』

ベリアル『くっ、テメェだってそうじゃねぇのか?』

エースキラー『侮るな、こちらはメダルの力をこの女の力を使い増幅させ……さらにエースキラーの執念、そして私の執念をも取り込んだ超獣ロボット!』

京太郎『ベリアルさん!? 超獣って!?』

ベリアル『怪獣を超えた怪獣、とかヤプールが勝手に言ってるだけだけどなぁ!』


エースキラーの左腕が振るわれるが、ベリアルはその手首を掴む

さらにナイフが振るわれるがそちらの手首を掴んだ


エースキラー『防戦一方のようだなベリアル!』

ベリアル『チッ! 気合入れろ小僧!』

京太郎『入れてますよさっきからぁっ!』


徐々に、力負けしてベリアルが膝をつく

エースキラーのエメラルド色の眼がジッとベリアルを見下ろす


ベリアル『ヤプールっ、テメェ……メダルに取りついた残留思念風情がっ!』

エースキラー『それは貴様も一緒だろうベリアル! フッハハハハ!』

京太郎『っのぉ!』


頭を振りかぶり、そのままエースキラーの頭部にぶつける

ふらつくエースキラーを相手に、ベリアルは素早く後ろに下がろうとするも、エースキラーは素早くナイフを振るった


ベリアル「グアァッ!」

京太郎『ぐぅっ!』

エースキラー『そらぁっ!』


さらに鉤爪での攻撃で、ベリアルはふらつく
205 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:03:19.71 ID:8cKaUmd20

エースキラーが追撃とばかりに蹴りをみまう

ふらついたベリアルが転がるも、すぐに起き上がり手から光弾を放つ


ベリアル「ハァ!」

エースキラー『効くか! そんな情けない攻撃が!』


その光弾を軽く弾くと、エースキラーが額からビームを放つ

素早く転がり、ベリアルは攻撃を回避しさらに左手から雷を放った


京太郎『こいつで!』

エースキラー『そのような半人前の人間と同化した貴様のなにが最凶か!』


雷が当たるかと思われたその瞬間、右腕が前に出されエースキラーが光線を放つ

その光線が、押し負けてベリアルに直撃


ベリアル「ガァッ!」

京太郎『俺が足を引っ張って……またっ』


歯がゆさに顔をしかめて、京太郎は力を込めた


京太郎『俺は、人々を守るために!』

エースキラー『そんな力でウルトラマンのようなことを言う!』

京太郎『今の俺はウルトラマンだ!』

エースキラー『笑わせる! 貴様はウルトラマンではない! その器でもな!』

京太郎『なっ、言わせておけば!』

ベリアル『小僧! さっさと決めるぞ!』

京太郎『はい!』


起き上がるベリアルが、右腕に雷を纏う
206 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:11:58.57 ID:8cKaUmd20


ベリアル『チッ! こんな奴に!』

京太郎『負けるかァ! デスシウム光線!』


放たれるデスシウム光線だが、エースキラーは両腕をクロスにする

左手を水平に前、右手を垂直に後ろ―――それはベリアルと同じ構え


エースキラー『スペシウム光線!』

京太郎『同じ!!?』

エースキラー『ハァ!』


ぶつかった光線、だがそれは呆気なく結果が決まる

そのままエースキラーの光線がベリアルの方へと迫った


京太郎『ッ!!?』

ベリアル『クソがァ!』

エースキラー『貴様らのようなウルトラマンのなりそこないが、消えろ!』


真っ直ぐと、ベリアルへとぶつかる光線

そのまま吹き飛んだベリアルは校舎を押しつぶして倒れた

はやりは踏んでいないはずだし、避難は済んでいると思いたいところだが……


京太郎(ベリアルさんは悪くない、でもっ! 俺がッ!)


ベリアルの中にいる京太郎は拳を握りしめる

噛みしめた唇から血が流れる感覚がした


京太郎(俺はっ、人々を救う。救わなきゃなんだよ!)

207 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:27:00.94 ID:8cKaUmd20


一方、ティガはアリブンタとの戦いで苦戦していた

ティガである美穂子は知らないだろうが、そのアリブンタもまた“ヤプールの執念の力”で強化されている

スカイタイプとなったティガが素早く連続打撃をするが、効いている様子はない


ティガ「!」

アリブンタ「―――!」


振るわれるアリブンタの腕

ティガが素早く回避するも、そのまま回転したアリブンタの尻尾攻撃を受ける

ひるむティガに、アリブンタは近距離でハサミから炎を撃つ


ティガ「ウアッ!」

アリブンタ「―――!」


炎に包まれるティガだが、素早くパワータイプにチェンジ

その火炎攻撃に耐えながら拳を振るってアリブンタをひるませた


美穂子『このアリさん、強い!』

ティガ「ハアァ!」」

アリブンタ「―――!!」


拳を打ち込まれて、アリブンタが怯んだ

だがそれで少しばかり距離を取ったアリブンタは口から蟻酸を放つ

ティガは両手を前にしてバリアを発生させる


アリブンタ「―――!」

ティガ「―――!」


バリアを解いたティガが、手から光弾を放ってアリブンタを攻撃する
208 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:33:27.76 ID:8cKaUmd20

倒れているベリアルへと近づいたエースキラー

ベリアルの胸のカラータイマーが、点滅を始めていた

圧倒的な劣勢―――


京太郎『それでも、それでも俺はっ! 守らなきゃっ!』

ベリアル『おい小僧!』

京太郎『ベリアルさん、俺はッ!』


立ち上がるベリアル

エースキラーは鉤爪でそんなベリアルの首を掴み上げる

両手でその腕を掴むが、ベリアルの体はそのまま徐々に持ち上げられていく


エースキラー『仲間割れとは、ベリアル、貴様らしい!』

ベリアル『黙りやがれっ!』

京太郎『このっ!』


エースキラーがナイフをベリアルへと向ける
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/11(土) 22:36:19.96 ID:ioGBX/IL0
京太郎がキャップに注意してたのにめちゃくちゃ義務感だ
強迫観念っぽくもあるな
210 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 22:50:30.51 ID:af5i3PFv0

ベリアルが倒れている鶴賀学園

その近くのマンションの屋上に、誰かがいた

ローブをまとった真っ黒な人物


「ベリアル様……貴方の力はそんなものじゃない」


そう言うと、ローブに隠れた腕を振るう

それはメダルであり、真っ直ぐに倒れているベリアルへと向かって行った


「だが、その“異物”が余計だ」


足元から消えるローブの人物


「それが早々に消え去ることを期待しています。または、ベリアル様の糧となることを……」
211 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:03:07.54 ID:kpx7DOA+0

ベリアルの中、インナースペースで首を押さえている京太郎


京太郎「ぐっ!」


浮遊感と首を絞められている感覚

呼吸困難になりながらも、突如目の前に現れたそれを見て顔をしかめる


京太郎「こ、れはっ……」

ベリアル『小僧、気合入れろォ!』

京太郎「こ、こいつ、でっ……!」


目の前に現れたメダルを、右手で掴む


ベリアル『なにやってるっ、小僧!』

京太郎「べ、ベリアルさん! メダルがっ……うわっ!」


右手に持ったメダルが、左手に持ったゼットライザーに引き寄せられていく

それに異様な感覚―――“深い闇”を感じる


京太郎「闇がっ……こ、こんなっ!」

ベリアル『なにしてるっ! 小僧ォ!』

京太郎「や、闇の、力っ……」


京太郎の右手ごと引き寄せるようにメダルがゼットライザーへとハメられた

体が操られるように、ゼットライザーのブレードを動かす

そして、メダルが読み込まれる


『Alien Rayblood』


―――レイブラッド星人
212 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:12:01.51 ID:kpx7DOA+0

今にもナイフを突き刺されようとしているベリアル

だが次の瞬間、その身体からあふれ出る大量の―――闇


ベリアル「ウオォォォ!」

エースキラー『なっ、なにィ!!?』


勢いよくあふれ出た闇に、吹き飛ばされるエースキラー

その場に、着地するのはベリアル


ベリアル『小僧! この力!』

京太郎『闇っ、この力ッ……!!』

ベリアル「ウオォォォッ!」


そしてその闇はベリアルへと吸収されていく

纏うは闇、全てを飲み込む力

光の相対―――そしてベリアルが“変身”する


エースキラー『そ、その姿は!』

ベリアル『ハッ! よーやく盛り上がってきたじゃねぇか、なぁ小僧?』

京太郎『こ、この力はッ!?』


その身体には黒と赤、先の形態とは正反対の姿

荒々しい表情、そして荒々しい姿、鋭い爪

ベリアルは構えを取ると、狼狽するエースキラーへと走り出す
213 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:23:53.16 ID:kpx7DOA+0

エースキラーへと接近すると即座に爪を振るう

その一撃は先ほどよりも強力


エースキラー「―――!!?」

ベリアル『戻ってきたじゃねぇか、力がァ!』

京太郎『こんな凄い力!』


高揚する感情

さらに連続で爪撃を放っていけば、エースキラーはなんとか防ごうと両腕の武器を使う

ベリアルの爪をナイフで凌ぐが、即座にもう片手で弾かれる


ベリアル『今のオレに!』

京太郎『勝てるかよォ!』


エースキラーが左手の鉤爪でベリアルの次の攻撃を凌ごうとする

だが、今のベリアルの攻撃はそれでは凌げない

鉤爪ごと、ヅタヅタになるエースキラーの左手


ベリアル『気にくわねぇ類の奴の力だが、力に良いも悪いもねぇ、やるぞ!』

京太郎『でも、これは……』

ベリアル『小僧!』

京太郎『は、はい!』
214 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:33:01.28 ID:kpx7DOA+0

ティガが、アリブンタの右腕を光弾で吹き飛ばす

さらに左手のハサミをパワータイプの怪力で破壊した


アリブンタ「―――!!」

美穂子『強かった、けど……私は守りたいから、みんなを!』


力強い拳が、アリブンタの胴体を突く

後ろへと仰け反るアリブンタを掴まえると、そのまま回転

凄まじい回転力のまま、アリブンタを上空へと吹き飛ばす


ティガ「ハッ!」


きりもみ回転しながら空へ飛び上がるアリブンタへ、ティガは両手を構える

赤い光が、ティガの両手に集まっていく


ティガ「……ハァ!」


赤い光弾、デラシウム光流が真っ直ぐに伸びていく


アリブンタ「―――!!?」


上空のアリブンタに直撃すると同時に、爆発

爆風と共に、小さな光が地上へと落ちていくのが見えた

それに頷いたティガは、すぐにベリアルの方を見る


美穂子『あれは!!?』
215 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:40:45.96 ID:kpx7DOA+0


振るわれる腕、爪撃を止める術もなく食らっていくエースキラー

中身、であると思われるヤプールの戸惑う声が聞こえる


エースキラー『なんだ、なぜ闇の力が! レイブラッド星人の力が!』

ベリアル『誰かは知らねェが、力自体はお前らと似たようなもんだろォ!』


上からの爪撃、その勢いのまま回転したベリアルが蹴りを放つ

直撃してエースキラーが倒れる

走って接近したベリアルが倒れたエースキラーに爪を突き立て、上へと振るう


エースキラー「―――!!?」

ベリアル『こいつで決めるぞ小僧!』

京太郎『は、はいっ!』


両腕をいつも通りに構えるベリアル

左手を水平、右手を垂直、そして右手の手の平を目標に向けて


ベリアル『デスシウム光線!』

京太郎『で、デスシウム光線っ』


放たれた光線が、上空のエースキラーを貫き―――爆散


ベリアル『ハッ!』


右手を振るい、左手を顎にそえて首の音を鳴らす
744.64 KB Speed:1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む

スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)