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【咲-saki-】京太郎「ウルトラマンの力」咲「光よ!」

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217 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/11(土) 23:57:35.26 ID:wRkqQIB50
>>216
ミス
×美穂子『京太郎くん!?』
〇美穂子『ベリアルさん!』
218 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:02:57.51 ID:WzyYGAuN0

インナースペースでの京太郎

そんな彼を知らない美穂子ことティガはベリアルの傍にいた

だが突如、ベリアルの腕が振るわれる


ベリアル「ガァッ!」

ティガ「グァ!」


その腕の直撃を受けて、ティガが倒れる


美穂子『な、なに!? ベリアルさん!?』

ベリアル「ガアァ!」


暴れるベリアルの手から光弾が放たれた

それが瓦礫を吹き飛ばす


美穂子『て、敵なの!? 闇の力に、操られてるとか!?』

ティガ「テァ!」


パワータイプの力で抑えつけようとするが、ベリアルの爪撃をもらう

ティガのカラータイマーが赤く点滅を開始する


ベリアル「ウオォォ!」

美穂子『ベリアルさん! 届かないの!?』


まだまだだと、近づくティガ

爪での攻撃を回避して胴体にタックルをする

そのままベリアルを地面に倒すも、身体を回転させられてマウントポジションを取られた


ベリアル「ウゴアァァ!」


そのまま両手は、ティガの首へと伸びた

グググ、とティガの首がしめられていく
219 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:08:24.28 ID:WzyYGAuN0

―――【インナースペース】


京太郎「闇がっ!」


紅に輝く瞳の京太郎が、暴れていた

体を振りまわす京太郎は闇から逃れようとしている


京太郎「っ……!」

美穂子『ぐっ……べりある、さんっ』

京太郎「!」

美穂子『あなたはっ、うるとら、まん、人々を守るっ……』


瞬間、京太郎がハッと前を見る

そこに立つのは黒いウルトラマン


ベリアル『……小僧!』

京太郎「ベリアルさん!」
220 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:17:16.26 ID:WzyYGAuN0


ティガに馬乗りになっていたベリアルの姿が消えていく

そして、立ち上がったティガが上空へと跳び上がった

空へ消えていくティガ


京太郎「……」


そんなティガを見ながら、京太郎は瓦礫の中で倒れている

全身ボロボロで、口の端には血がにじんでいた


京太郎「俺はっ……」


左手にはゼットライザー、そして右手に握られているのはレイブラッド星人メダル

その顔には、悔しさが滲んでいた

なにに対してのものかはわからない。京太郎自身にも……


京太郎「俺はっ……なにをしたって、弱いっ」


勢いよく上げた右手を、地面に叩きつけた

221 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:22:56.89 ID:WzyYGAuN0


     第5話【闇の力】 END

222 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:35:47.18 ID:WzyYGAuN0


倒れている京太郎を、高い場所から見下ろすのは熊倉トシ

静かに息を吐きつつ周囲を見渡す


トシ「……誰がレイブラッド星人メダルなんか、って予想はつくけど」


右手でメダルを弾き、右手で撮る


トシ「メダルと執念、厄介だね……」


持っているメダルからあふれ出るのは―――闇


トシ「京ちゃんは弱いんじゃない、不器用なだけだよ」


憂鬱とした表情で別方向を見るトシ

そこには周囲を見回している美穂子、そしてはやり

おそらく京太郎を探しているのだろう


トシ「ベリアル、京ちゃんを……」グッ

223 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:46:28.25 ID:WzyYGAuN0


―――次回予告


ベリアル:闇を受け入れろ

京太郎:闇!?

ベリアル:オレと、闇と共に!

京太郎:これは、この力はッ!

ベリアル:己の欲望を受け入れろ!


次回【欲望-EGO-】


ベリアル:テメェはウルトラマンになんてなれねェ!

京太郎:俺は、俺はァ!!

224 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 00:54:04.96 ID:WzyYGAuN0
今回はここまでー

どっかで見たことあるようなないようなな感じで
ウルトラ特有の主人公迷走回ー
ちょっと早いけど、この手のは早めにね!

ちなみに次回予定の安価
1、妹尾佳織
2、東横桃子
3、蒲原智美
4、福路美穂子
5、瑞原はやり
6、佐藤裕子
7、白築慕

って感じですー
まぁ純粋に迷走イベントがそのキャラメインになるって感じっす

それじゃまた明日ー
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 01:27:57.67 ID:J/b8SUfD0

レイブラッド星人メダルで強化はおもいしろい
それと展開的にはサンダーブレスターの話思いだすな
安価は好きなキャラでいいならはやりんいってみるかな
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 18:11:58.52 ID:T56QkXDS0
考えてみればすごい図だな
京太郎が美穂子に馬乗りになってたんだから
227 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:03:55.85 ID:Gz/xyvFa0
おっし再開してこうかなー
安価は案外すぐにくるはず

>>225
オーブ意識してました
ベリアル回だったしね!

>>226
それはイッチも思った
228 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:13:55.79 ID:Gz/xyvFa0


―――【特異課施設:休憩所】


座って、コーヒーを飲んでいる京太郎

その視線の先には、暴れる黒いベリアル


『このベリアルと呼ばれる巨人はやはり敵なのでしょうか?』

『やっぱり黒くなったってことは今まで正体を隠してたんですかね?』

『最初から信用するべきじゃなかったんだよ! 荒々しいし、悪い宇宙人っぽいと思ってたね俺は!』


ワイドショーのコメンテーターたちが好き勝手を言うが、映っている映像では確かにベリアルが、否自分が暴れている

コーヒーを一口飲むと、深く息をつく

そしてティガに襲い掛かる自分が映った


『あのどこからかティガと呼ばれだした巨人も、襲われたようですね』

『あれもベリアルの仲間で自作自演なんじゃないの?』

『次に現れた時は軍が出撃してアイツらまとめて倒すべきだね!』

京太郎(俺が美穂子さんを……)


自分の手を見ていると、黒い手を幻視する


京太郎「ッ!」

『あれから三日が経ちました。復興はどうなってるのでしょう!』

京太郎「あれから……三日」

229 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:17:34.09 ID:Gz/xyvFa0


     第6話【欲望-EGO-】

230 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:18:52.84 ID:Gz/xyvFa0


     第6話【欲望-EGO-】

231 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:28:02.48 ID:Gz/xyvFa0
(ミスった連投



―――三日前【鶴賀学園跡】


破壊された校舎、破壊された建造物

抉れた大地、瓦礫の中で発見された京太郎は車に乗っていた

特異課の息のかかった救助隊や、事後処理部隊なども集まっている


京太郎「……」

慕「お疲れさま……大丈夫?」

京太郎「ちょっと、疲れました……」

慕「そう、だよね……でも無事で良かった」

京太郎「ありがとう、ございます……」


そう応えながら、外を見る

救急隊に連れて行かれる加治木ゆみ

それを見送る福路美穂子


京太郎「あの人は……ちゃんとウルトラマンなんだな」ボソッ

慕「ん?」

京太郎「ああ、いえ……独り言です」


あはは、と笑って慕にそう返すと再び外を見る

瓦礫撤去や、爆散したエースキラーの破片を拾う事後処理部隊

その中に、指揮している熊倉トシもいた


京太郎『ベリアルさん……』

ベリアル『なんだ?』

京太郎『すみません、足引っ張っちゃって』

ベリアル『あれがオレの本来の姿と言っていい』

京太郎『え?』

ベリアル『闇の力を使い世界を手に入れるために暴れ、最後は殺された。それがオレだ』

京太郎『ッ!』

ベリアル『闇を受け入れろ、そうすれば力が手に入る』

京太郎『そんな、ことは……』

ベリアル『……』

京太郎『……ベリアルさん』

ベリアル『なら良い、今はな』

京太郎「……闇の、力」ググッ

232 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:35:56.69 ID:Gz/xyvFa0


あれから、夢を見る

起きればほとんど憶えていない

だが―――追放と思考誘引、そして復讐心と破滅


ウルトラマンであろうとする京太郎自身と相容れない思想

幾度の復活を経ての……


―――疲れたよね? もう、終わりにしよう……!

―――さよなら……◆◆◆◆


虫食いのような記憶、記録

ただわかるのは、どこか釈然とした感覚


ベリアルの―――追憶

233 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:50:38.85 ID:Gz/xyvFa0


京太郎「……はぁ」


テレビのワイドショーから聞こえる声

だがわざわざ消しに、テレビに近づくのも面倒だった

加治木ゆみは未だに起きない、アリブンタこと―――津山睦月も同じく


京太郎「……」


鶴賀学園の面々が帰ってきたことに喜んでいた桃子たちを思い出す

美穂子の方も風越の生徒たちも起きたようで喜んでいた

清澄の生徒の情報はまだない

それに、エースキラーのメダルは『ゴルザ・メルバ・超コッヴ』のメダルのように、どこかに持ち去られたようだった


『ティガはその翌日、昨日には子供を庇う姿が目撃されてますね』

『まさに自愛の巨人、ですか』


美穂子は昨日、現れた怪獣と戦いがあったそうだ……


京太郎「……」

『ベリアルはやはり敵だとすべきと思う声が多いようですね』


瞬間―――テレビが消された
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 22:54:13.47 ID:J/b8SUfD0
ベリアルと一体化したからこの手の問題が早々に出てくるな
ジードも苦労してたけどベリアル本人とだから余計に悩みそうだ
235 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 22:56:18.52 ID:Gz/xyvFa0

◆誰かがテレビを消した!

1、妹尾佳織
2、東横桃子
3、蒲原智美
4、福路美穂子
5、瑞原はやり
6、佐藤裕子
7、白築慕

◇5分間でコンマが一番高いキャラクター↓
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 22:57:15.44 ID:xSiLUWOn0
5
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:00:32.78 ID:Q6VE32le0
4
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:00:33.31 ID:J/b8SUfD0
5はやりんで
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/12(日) 23:05:00.52 ID:J/b8SUfD0
キャップかこれはこれで楽しみ
240 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:16:46.72 ID:4z7Chdqg0
4、福路美穂子



テレビを消したのは福路美穂子だった

ハッとする京太郎に、美穂子が苦笑を浮かべる


美穂子「そのね、あまり……見てた?」

京太郎「いえ、俺も消そうと」


その言葉に、美穂子はホッと息をついて京太郎の傍に座る


美穂子「……ベリアルさんはね」

京太郎「っ……はい」


次の言葉を待つ


美穂子「きっと、なにかおかしかったの、あんなことするわけない」

京太郎「わかりませんよ、そんなの」

美穂子「私と一緒に戦ってくれたベリアルさんがそんなことするはずない。瑞原さんを助けたあの人なら」

京太郎「気まぐれかもしれない」

美穂子「いえ、一緒に戦った私だから……わかるの」


その言葉に、京太郎は自嘲するような笑みを浮かべる
241 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:34:21.44 ID:eqaBN+JO0

京太郎「攻撃、されたのに?」

美穂子「ええ、された……闇の力に、飲まれてしまって」


そんな言葉に、京太郎は美穂子に気づかれないようにしながらも拳を握りしめる

相対している美穂子は、持っていたアイスティーを一口


美穂子「私は……それでも、信じたい。人々を助けるという私と同じ願いを持ったウルトラマンを」

京太郎「……」

美穂子「それに最近、夢を見るの」

京太郎「え?」

美穂子「ティガのかつての記憶、別のティガの……闇の巨人の」

京太郎「それって」

美穂子「っ、ごめんね。私のことばかりで」


ごまかすように笑う美穂子を前に、京太郎は小首をかしげた


美穂子「でも京太郎くんも信じてあげて欲しいな、ベリアルさんのこと」

京太郎「俺は……」


信じられないのは、ベリアルではなく自分自身だ


美穂子「信じたい、んだよねきっと」

京太郎「っ」

美穂子「……だから、悩んでる」

京太郎「なんでもわかるんですね」

美穂子「なんでもは、わからないわ」


そう言うと、そっと京太郎の頬に触れる


京太郎「……光の、ウルトラマンですね」

美穂子「いいえ、私は人間よ」


その輝きが、優しさが、今の京太郎には眩しい
242 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/12(日) 23:51:32.03 ID:eqaBN+JO0

そっと、京太郎の手に添えていた手を降ろす美穂子

ふふっ、とほほ笑むその顔をみて京太郎もなんとか笑みを浮かべた


美穂子「……あとこれ、熊倉さんから」

京太郎「え?」

美穂子「昨日、倒した怪獣のメダル」


スッとテーブルの上に置かれたメダルは、昨日ティガが戦った怪獣のもの


京太郎「これは……」

美穂子「熊倉さんに管理は京太郎君だからって」

京太郎「はい、ありがとうございます」コクリ


頷いて、それを受け取る

昨日の戦いはトシから『待機しているように』と言われた

理由はわかっているつもりだ


美穂子「危うく松本城を壊されちゃうところで大変だったのよ……ベリアルさんもいてくれたら良かったんだけど」

京太郎「破壊するかもしれませんよ、むしろ」


ついつい、悪態をついてしまう

良くないなと思いつつ、片手で頭を押さえる


京太郎「こんなんだから待機命令なんて出るんだ」ハァ

美穂子「熊倉さん、京太郎くんが悩んでたから心配してたのよ?」

京太郎「……すみません」

美穂子「ううん、謝らなくて、良いから……その、なにか悩みがあるならしっかりと話して?」

京太郎「……」

美穂子「今じゃなくて、気が向いた時で良いから」

京太郎「……はい」コクリ


そう返事をして、立ち上がる

紙コップの中のコーヒーを飲み干すと、ゴミ箱に入れてそこから立ち去った

残った美穂子が背もたれに体を預ける


美穂子「結構、京太郎くんに助けられてたのかも……」


その表情は僅かに暗かった
243 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:04:43.95 ID:T3HrJP+W0

―――【作戦室】


トシからの呼び出しで部屋に入る

そこにいたのは熊倉トシ一人だった

はやりもいないが、まだ怪我が完治していない可能性もある


京太郎「えっと、なんですか?」

トシ「……レギュラン星人から挑戦状だ」

京太郎「部長……」

トシ「ほい」


モニターが変わる

映し出されるのは、データなのだが知らない文字

そうしていると聞きなれた声が頭に響く


ベリアル『なるほどな、決闘か』

京太郎「決闘?」

トシ「そういうこと」

京太郎「はぁ? 宇宙人が?」

トシ「エースキラー、ヤプールの尖兵を倒したからこういうこともあるだろうね」

京太郎「一体どうすれば?」


黙って頷く


トシ「悪質宇宙人レギュラン星人……間違いなく罠を張ってくる」

京太郎「……」

トシ「しかも生身で来いとのことだ」

京太郎「……間違いなく罠じゃないですか」

トシ「だからそう言ってる」
244 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:11:04.92 ID:T3HrJP+W0


深い息を吐くトシを見る京太郎

その瞳には不信感、トシに対するかそれとも―――自分か


トシ「目的はティガだそうだ」

京太郎「……美穂子さん」

トシ「まぁ仲間を連れて来ても良いそうだけど」

京太郎「舐めやがって……」

ベリアル『ハッ! あれを見られりゃな』

京太郎「っ」


顔をしかめた京太郎のことを察したのか、トシは頷く


トシ「……ともかく、待ち合わせは今夜21時」

京太郎「夜ですね」

トシ「福路と一緒に待ち合わせ場所に……三時間前には着いとこう、周囲を調べる」

京太郎「大丈夫なんですか?」

トシ「そんなわかりやすいことするとも思えないけど、一応ね」


そう言って、トシはしっかりと京太郎の瞳を見つめる


トシ「頼んだ……京ちゃん」

京太郎「……はい」

245 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:27:36.62 ID:T3HrJP+W0

―――そこから数時間後【鶴賀学園跡】


周囲に車両

京太郎は簡易椅子に腰を下ろしてコーヒーを飲んでいた

すると、遠くにスタッフと話している少女を見つける


京太郎「……美穂子さん」

ベリアル『小僧、今回は戦いになるが』

京太郎『俺に、やれますかね』

ベリアル『受け入れろ』

京太郎『なにがですか』

ベリアル『闇を受け入れろ』

京太郎『闇!?』


立ち上がりそうになるも、グッと堪える

思い出すのは這いよって来る黒き闇


京太郎『光の巨人が、闇ですか……過去と関係が?』

ベリアル『過去も未来も関係ねぇよ。ただ今必要なのは、闇だろ?』

京太郎『それで、また暴走して人々を守らなきゃいけない俺がっ』

ベリアル『おいテメェ』

京太郎『ウルトラマンは人々を守らなきゃいけないんですよ!?』

ベリアル『お前はウルトラマンにはなれない』

京太郎「ッ!」

ベリアル『少なからず、お前が考えるようなウルトラマンにはな』

京太郎『才能、ですか?』

ベリアル『ああ』


拳を強く握りしめる

今年、数ヶ月前に既にそれは味わっているのだ

自分は取るに足らぬ存在、外部の人間―――努力はした。ここ最近だってそうだ

だが、どうしたって追い付けない

それに自分より麻雀歴が浅い怪物たちが沢山いることも知った


京太郎「っ……俺は」

美穂子「京太郎くん」

京太郎「美穂子さん……」

246 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:39:50.90 ID:T3HrJP+W0

隣に座る美穂子

京太郎の視線の先には破壊された鶴賀学園―――瓦礫の山

周囲に人がいないのを確認してから、口を開く


京太郎「美穂子さんは、どうして戦えるんですか?」

美穂子「え?」

京太郎「人間のため、ですか?」

美穂子「ええ、戦えないすべての人々のため……」

京太郎「……」

美穂子「私はその願いのために、ウルトラマンとなって戦える」


遠くの星を見る美穂子

京太郎はそれに習って空を見た

街灯がない故に目に映るのは満点の星々


美穂子「できるなら、この星々すべてを守りたいとさえ思う」

京太郎「……光の巨人、ウルトラマンにふさわしいですね」

美穂子「こんなに欲張りなのに?」

京太郎「欲張り?」

美穂子「うん、欲張りだと思う……私」クスッ

京太郎「……でも、その願いは」

京太郎(俺が思う。俺がなりたいウルトラマンだ)
247 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 00:49:16.12 ID:T3HrJP+W0


美穂子「でも、京太郎くんは凄いと思う」


ふと、美穂子が発した言葉に京太郎は小首をかしげる


京太郎「え?」

美穂子「……誰かを守るために、戦ってるでしょ?」


それはそうだ。そうありたいと思っている

ウルトラマンであるならば、そうでなければいけないと思っている


京太郎「でも、美穂子さんみたいな」

美穂子「京太郎くんは、私に言ったよね」

京太郎「え?」

美穂子「義務感で戦うものじゃないって」

京太郎「俺は義務感なんかじゃ!」

美穂子「本当にそう?」


閉じられていた青い目が京太郎を見つめる

硝子のように綺麗な瞳、それが真っ直ぐと京太郎の赤い目を見つめた

交差する視線、そして―――


ピピピピ


京太郎「ッ!」

美穂子「時間よ……行きましょう」

京太郎「……はい」
248 : ◆oiHx77pVqQ [saga]:2021/09/13(月) 00:55:10.12 ID:lCIlMwEA0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


都内 某駅前



京太郎「…日陰でこの暑さなのはヤバいっすね」パタパタ

菫「…ああ。十日連続で真夏日だとかなんとか」

京太郎「温暖化の影響ですか」

菫「どうだろうな…ん?」ブー

菫「…亦野からだ、席が取れたらしい」

京太郎「こっちも…着いたみたいですよ」

249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2021/09/13(月) 00:56:02.23 ID:lCIlMwEA0
誤爆すみません!やらかした
250 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:13:14.40 ID:cmUhPCtn0


二人が瓦礫の中を歩く

目的地地点まで数メートル

ガッツハイパーを持つ京太郎と美穂子


京太郎(俺が、義務感で……)

ベリアル『小僧、くるぞ』

京太郎「っ!」

美穂子「久っ!?」


そこに立っているのは竹井久

素早く、京太郎はガッツハイパーのカートリッジをスタン性のものに変える

美穂子は銃口を震えさせていた


久「フフフフ」


竹井久の姿をしたレギュラン星人が手を向ける

敵意を察した瞬間、京太郎は迷わずトリガーを引く

だがその


京太郎「ッ!」

美穂子「京太郎くんっ!?」

ベリアル『ハッ! 悪くねぇ!』

京太郎「実体じゃない……」

美穂子「なんで、あんな迷いなく……」

京太郎「スタンのものですし……」


銃を降ろす京太郎

その隣で、美穂子も同じく銃を降ろした

目の前の幻影に攻撃手段はないだろうと、それ以外の周囲を警戒する


京太郎「それに、美穂子さんが危なかったし」

ベリアル『……』

京太郎「俺が、守るから」


そんな言葉に、美穂子が少しばかり頬を染める
251 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:15:47.21 ID:cmUhPCtn0
>>248-249
ええんやで(ニッコリ)
252 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:28:06.84 ID:cmUhPCtn0


美穂子「そ、そのっ……」

久『戯れるな!』

美穂子「え、きゃあっ!?」


瞬間、美穂子を囲むように金色の輪が現れる

京太郎が素早くガッツハイパーを輪に向けるが、なにかをする間もなく消えた

顔をしかめる京太郎が幻影の方を向く


京太郎「美穂子さんをどこにっ!」

久「消えろ雑魚が!」


幻影から、光弾が放たれた


京太郎「ッ!!?」


直撃は回避するが、地面に当たった爆風で吹き飛ぶ

そのまま瓦礫の中に突っ込む京太郎

レギュラン星人の幻影はそのまま消える


京太郎「ぐっ、美穂子さん……!」

ベリアル『よく避けた。いくぞ』

京太郎「……はい」

ベリアル『フッ! この礼はきっちりしてやる』

253 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:41:21.85 ID:vAfj5Apj0


―――【???】


そこにいるのは、福路美穂子

立ち上がって目の前の竹井久を見る

笑みを浮かべる竹井久が、美穂子の構える銃、その銃口へと近づいていく


久「どうした? 撃ってみろ」

美穂子「っ……」


震える手、銃口の向きは定まらない


久「……ふんっ!」


手から放たれた光弾の直撃を受けて、美穂子は吹き飛び壁にぶつかる


美穂子「っ……あ、カハッ……」


腹を押さえてうずくまる美穂子は、そのまま久を見上げる

ガッツハイパーも離れた場所に落ちていた


久「フフフフ、力は十分溜まった、もう実体を保てるだけのなぁ!」


突如、久が前のめりに倒れる

そして元立っていた場所にいるのは宇宙人―――レギュラン星人

歪なその姿を晒して、高笑いをする


レギュラン星人「フハハハハ! ようやく元の姿へと戻れたぞ!」

美穂子「っ……」

レギュラン星人「この姿なら、撃てたかぁ?」

美穂子「……っ」


スーツの内側からスパークレンスを取り出すが、すぐに手を蹴られる


美穂子「うあっ!」


吹き飛ばされるスパークレンス

レギュラン星人はそれを見てまた身体を揺らして笑った

倒れている久が、僅かに目を開く


久「み、ほこっ……」

美穂子「久っ!?

久「わ、たしっ……」

美穂子「っ!」

レギュラン星人「二人仲良く地獄に行け! 二度とバルタン星人などと間違えさせんぞ!」
254 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 01:53:24.92 ID:vAfj5Apj0


久を蹴って転がすレギュラン星人

美穂子が久の体を労りながらも、レギュラン星人を睨む

珍しく、怒りの表情を浮かべている美穂子

だがそれも―――無駄


レギュラン星人「死ねェ!」

久「ご、めんね……みほ、こ……」

美穂子「京太郎くんっ」グッ


瞬間、銃撃がレギュラン星人の背中へと直撃する


レギュラン星人「ぐおっ!?」

「オラァッ!」


さらに、走ってきた“京太郎”はレギュラン星人の背中に蹴りを打ち込む

横に転がるレギュラン星人に、さらに京太郎は片手でガッツハイパーを構えて連射

バタバタと転がるレギュラン星人だが、ほぼ全ての銃弾が直撃


京太郎「!」


素早くカートリッジを排出して別のものを差し込み、連射

立ち上がって走り出すと、京太郎が入ってきた扉から外へと飛びだした


レギュラン星人「うおぉぉぉぉ!?」

ベリアル『クハハハハハ! 無様に逃げてやがる!』

京太郎「……」


静かに、ガッツハイパーを降ろすとすぐに振り返る

美穂子と久の元へと膝を降ろした

久は京太郎の顔を見上げる


久「す、が……く、ん?」

京太郎「はい、助けるのが遅れました……」

久「ん……あり、がとう」

美穂子「っ……!」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/13(月) 01:54:16.17 ID:2Lf0khIg0
バルタン星人に間違われるってグリッドマンかww
256 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 02:03:28.38 ID:vAfj5Apj0


急いでスパークレンスを拾いにいく美穂子

京太郎はスーツの上を脱ぎ丸めると、久の頭の裏に枕のように置く

瞬間―――京太郎たちがいたその部屋が幻のように消えた


京太郎「これは、なんつー技術!」

美穂子「あれ!」

京太郎「!」


指差す方に視線を向けると、そこにはレギュラン星人―――しかも、大きい


美穂子「っ!」

京太郎「……」

美穂子「みんなは私が、守るから!」


そして、美穂子がスパークレンスを掲げる

眩い光と共に、光の巨人―――ウルトラマンティガが現れた

それを見ている久が、手を伸ばす


久「ひ、かり……」

京太郎「……」


レギュラン星人へと駆けだすティガ

素早い格闘でどんどんと離れた場所へと行く

入れ替わるように、車が走ってきた


京太郎「トシさん!」

トシ「京ちゃん……竹井か、こっちで保護する」

京太郎「……お願いします!」
257 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 02:06:50.73 ID:vAfj5Apj0
今回はここまでー
次回は戦いからっすー

この美穂子のとこほとんど別キャラかもしれなかったって思うと結構話変わるなぁ

とりあえず次回はひと山超える感じで
そっからまたなんやかんやあって
そして全国編もあるよ!

そんじゃまた今夜ー
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/13(月) 02:58:56.08 ID:2Lf0khIg0

地味にキャップのフラグ建ってね?
他キャラのパターンも気になるなどうやって京太郎の悩み解決するかとか
259 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 21:31:02.50 ID:HYsWPipr0
はっじまっるよー!
迷走イベントはあまり引きずらないスタイルでいかせたい

そして全国編はどこ行くか順番は安価よー
260 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 21:47:54.69 ID:HYsWPipr0


鶴賀の廃墟近く、瓦礫の中をレギュランと星人が走る


レギュラン星人『死ねェ!』

ティガ「フゥッ……ハッ!」


ティガがスカイタイプへと変わると、連続で打撃を打ち込んでいく

連続回し蹴りでひるむレギュラン星人

怒りに震えるレギュラン星人が、素早く光弾を放つ


ティガ「テァ!」

レギュラン星人『将軍さえいれば貴様などォ!』


光弾を弾いたティガを目の前に、地団駄を踏む

そんな戦いを、瓦礫の中で見つめる影

スーツを着た宇宙人……ゼットン星人が、そこにはいた


ゼットン星人「ならば、こういうのはどうだ」


そう言うと、メダルを取り出してゼットライザーへと差し込む

ブレードがスライドする


『Erekingu』


そして、光と共に現れるのは黒い斑点模様のイエローの怪獣

黒い角を回転させながら、その怪獣はティガへと迫る


ティガ「!?」

エレキング「―――!」

レギュラン星人『ゼットン星人か!』


不意を突かれたティガが、エレキングのパンチの直撃を受けて転がる

膝をついて起き上がったその瞬間、エレキングの尻尾が首に巻きつく


美穂子『ぐっ!』

エレキング「―――!」
261 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:01:24.88 ID:Du3dRABn0


エレキングが咆哮を上げると、その尻尾に電撃が流れていく

その電撃は、もちろんティガにもだ


ティガ「ウアッ!」

美穂子『ガッ、アアアァッ!!?』

エレキング「―――!」

レギュラン星人『いいぞぉ! 私はここで見ている!』


高笑いするレギュラン星人に銃撃

大したダメージでないものの、痛みはあるのか少しばかり跳ねる

銃撃があった方向を見れば、そこには一人の青年


レギュラン星人『またお前か!』


京太郎「……俺は、戦う」

ベリアル『覚悟は決まってんのか?』

京太郎「決まってませんよそんなもん、とりあえずやります!」

ベリアル『ハッ、まぁ良い……やってみせろ!』


ゼットライザーのトリガーを引き、ゲートへと飛び込む

白銀の空間に、京太郎は闇を幻視するが頭を振るい意識を戻す

ウルトラアクセスカードを差し込んだ


『キョウタロウ・アクセスグランテッド』

ベリアル『おもしろい、やれるのか?』

京太郎「やれるだけは!」


そして、トリガーを引く


京太郎「ベリアァルッ!」

262 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:15:53.92 ID:Du3dRABn0


光と共に現れるベリアルが、エレキングへと爪撃を放つ

ベリアルクローによりエレキングがひるみ、背後へと下がる

それにより、エレキングの尻尾がティガの首から外れた


京太郎『美穂子さん……ベリアルさん、お願いします』

ベリアル『ハッ、しょうがねぇな』

京太郎『ありがとう』コクリ


黙ってティガの方を見るベリアル

ティガは首を押さえながら立ち上がると、ベリアルの方を向いて頷く

それに対して、ベリアルは一瞥するとエレキングの方へと向き、首を鳴らした


ベリアル『いくぞォ!』

美穂子『っ、はい!』


初めて聞いたベリアルの声に、強く返事を返して立ち上がるティガ

ベリアルはエレキングへ、ティガはレギュラン星人へと走った

エレキングが尻尾を振るうも、ベリアルはベリアルクローでその尻尾を弾く


京太郎『ベリアルさん、こいつは!』

ベリアル『こいつの攻撃パターンはよーく知ってるぜ! ピット星人のペット!』


口らしき部分から光線が放たれるが、体を逸らして回避

素早く体勢を戻すと光弾を放ってエレキングをひるませる

さらに接近すると左手で爪撃を放ち、右拳をぶつけた


エレキング「―――!」

京太郎『これなら!』

263 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:24:42.62 ID:Du3dRABn0


瓦礫の中、ベリアルとエレキングの戦いを見ているゼットン星人

肩を落とすような動作を見せたゼットン星人が、メダルを取り出した

さらに、ゼットライザーへとメダルを差し込む


ゼットン星人「サービスだ。ベリアル相手には使いたくはないのだが……潰せば問題はない」


ブレードをスライドさせる


『Redking』


そして、暗い光と共に新たな怪獣が現れた

髑髏怪獣レッドキングは、エレキングと戦うベリアルへと拳を打ち込んだ

不意打ちにより、ベリアルが吹き飛んで転がる

264 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:42:09.65 ID:Du3dRABn0


転がったベリアルが膝立ちで起き上がり、即座に光弾を放つ

だがそれはエレキングが光線を放ち相殺

ベリアルの前方に並ぶ二体の怪獣


ベリアル『チッ、昔なら一撃だったがなァ……!』

京太郎『くっ、こいつらっ!』


エレキングからの光線を、転がって回避するベリアル

だが次の瞬間に走ってきたレッドキングの蹴りを受けて、後ろに大きく吹き飛ぶ


ベリアル「ウガァッ!」


地上に体が叩きつけられるが、どうにか立ち上がる

レッドキングが投擲した岩を爪撃で粉々にした

だが次にエレキングからの光線、それを両腕で凌ぐ


京太郎『ぐっ……!』

ベリアル『レイブラッド星人メダルを、闇の力を纏え!』

京太郎『あ、あれを使ったらまた!』


光線を凌いでいたも、押し負けて倒れる


ベリアル『ぐっ、オレは同じ話をするのが好きじゃねぇ……だが言ってやる』

京太郎『ッ!』

ベリアル『闇を受け入れろ!』


その言葉に、京太郎は頭を横に振る


京太郎『俺は、人々を守らなきゃいけないんです!』

ベリアル『小僧ォ!』

京太郎『じゃなきゃ……俺は、ウルトラマンにっ!』

ベリアル『何度も言わすんじゃねェ!』

京太郎『!!』

ベリアル『テメェはウルトラマンになんてなれねェ!』

京太郎『ッ!』
265 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 22:59:22.08 ID:Du3dRABn0


迫るレッドキングを、どうにか受け流す

エレキングからの光弾を、レギュラン星人と戦っていたティガが光弾を放ち凌ぐ

ベリアルは爪撃でエレキングを退けた


ベリアル『テメェの本来の望みは、欲望はなんだ!』

京太郎『俺の、欲望……?』


思い出されるのは、美穂子との会話


美穂子(こんなに欲張りなのに?)

京太郎(欲張り?)

美穂子(うん、欲張りだと思う……私)


京太郎『欲と望み、欲望……俺の』

ベリアル『借りものの望みじゃねぇ、テメェがテメェで、望んでるものは!』


美穂子(でも、京太郎くんは凄いと思う)

美穂子(……誰かを守るために、戦ってるでしょ?)


反芻される美穂子の言葉

自分自身がやるべきこと、自分自身がやりたいこと

そしてやってきたことと、自分が見えなくても他人には見えていたもの


ベリアル『なぜ闇を否定する。テメェが否定する理由なんてねぇはずだ』


その通りだ。自分は“ウルトラマン”ではないしなれない

そして“光の巨人”ではない

右手に握ったレイブラッド星人のメダルからあふれ出す闇


京太郎『そうか……これは、この力はッ!』


流れる水に逆らうからこそ、力は行き場を失い暴走する

ベリアルは最初から答えを言っていた


京太郎『俺の、願い、欲望は―――!』
266 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 23:21:07.93 ID:Du3dRABn0

須賀京太郎はただの普通な思考を持った人間だ

そうだったのに、ウルトラマンという力を手にした結果がこれだった

ただ人が良いだけの京太郎は、美穂子のような思考を持てはしない


故に―――


ベリアル『己の欲望を受け入れろ!』


―――人々の、知らない他人を守るなど、心底から思うことなどできるわけがない


京太郎『そうか、そうだったのか!』


右手のレイブラッド星人メダルを弾く

溢れ出る闇、それが京太郎の周囲へと溢れだす

その赤い瞳が、輝きを増した


京太郎『他人なんてどうでもいい! 俺が守りたいのは、俺の守りたいものだけだ!』


落ちてくるメダルを掴むと、ゼットライザーへと差し込んだ


ベリアル『さぁ、戦るぞ小僧!』

京太郎「俺は、俺はァ!!」

ベリアル『オレと、闇と共に!』

京太郎『ウルトラマンにはなれない! 今は!』


勢いよく、ブレードをスライドさせる


京太郎『それでも!』

『Alien Rayblood』

京太郎「たたかぁう!」


暗黒満ちるインナースペースで、京太郎は勢いよくゼットライザーを振り上げた


ベリアル『叫べ!』

京太郎『ベェェリアァァァァルッ!!!』


そして―――トリガーが引かれる
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/13(月) 23:24:08.80 ID:2Lf0khIg0
ウルトラマンっぽい解決策じゃないのが最高にベリアルだ
ダークネスヒールズって感じでもないし
268 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 23:36:43.49 ID:Du3dRABn0


溢れ出るのは、闇の光


エレキング「―――!?」

レッドキング「―――!?」


美穂子『あれは!』

レギュラン星人『べべべ、ベリアル!?』


そこに存在するのは―――暗黒の皇帝

黒いボディに赤いライン

そして、その両手にあるのは鋭い爪


ベリアル「ハアァァ……」


深く、息をするようにそこに立つ姿


ベリアル『いくぞ、小僧ォ!』

京太郎『この力、いけます!』


受け入れた闇の力をその身に纏い、ベリアルが跳びだす

地を蹴り、レッドキングとエレキングへと跳ぶ

放たれるエレキングの光線と、レッドキングが岩を投擲する


ベリアル「ハアァ!」」


岩を爪撃で破壊し、両腕でエレキングの光線を凌ぐ


ベリアル『無駄だァ!』

京太郎『こいつでェ!』


レッドキングとエレキングの間に着地すると同時に、二体に爪撃を与える
269 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/13(月) 23:54:21.80 ID:Du3dRABn0

エレキング「―――!」

レッドキング「――−!」


さらにベリアルは爪を振るって二体を攻撃しながら、後ろに下がる

手から雷を放ち、レッドキングを攻撃

苦しみ、怯むレッドキングへと接近して膝蹴りを放って倒す


京太郎『闇の力も、良いもんっすね!』

ベリアル『闇だとか光だとか関係ねぇよ! 今回はたまたま闇を受け入れれば強い力が手に入ったにすぎねェ!』

京太郎『え?』

ベリアル『テメェの望みを達成するためならなんだって良い。利用してやれ』


その言葉に、笑みを浮かべながら京太郎は頷く

エレキングの尻尾が伸びてくるがベリアルはそれを左腕で受け止める

その尻尾から、電撃が奔る


ベリアル「グッ……!」

京太郎『がっ、んなもん!』


右腕を振り上げると、勢いよく振り下ろす

赤い斬撃と共に、エレキングの尻尾が勢いよく切断される


エレキング「―――!」

京太郎『まず一ぉつ!』

ベリアル『バラバラにしてやる!』


起き上がってくるレッドキングを音波攻撃で吹き飛ばす

両腕を開いて接近しようとするエレキングにベリアルが腕を振るう


ベリアル「ウォラァ!」

京太郎『斬り刻む!』


何度も腕を振るって斬撃を生み出す

エレキングはその攻撃を受け続ける

トドメと言わんばかりに、ベリアルが両手を水平に振るう


ベリアル・京太郎『デスシウムリッパー!』


最後に放たれた斬撃がエレキングの首を落とす

それを機に、エレキングの体はクローで攻撃された部分からバラバラと崩れていく


レッドキング「―――!」

ベリアル『見えてんだよ!』

京太郎『そこォ!』


背後から襲いかかるレッドキングに、振り返ると同時に斬撃を放つ
270 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:13:27.40 ID:edgxsDz+0


レギュラン星人と戦っていたティガ

なぜか風力発電機、鉄製の風車を持って襲い掛かる


ティガ「フッ……ハァ!」


紫色のティガが、赤へと変わる

振るわれたその風車を、左腕で凌ぐと右腕を突きだす


レギュラン星人「ぐおぉ!?」


後ろへと下がるレギュラン星人に接近すると、さらに拳を打ち込む

連続で何十発もの拳を打ちつけられて打ち上げられるレギュラン星人

地面へと激突すると、身体を押さえながら起き上がる


レギュラン星人『おのれ、ティガァ!』

美穂子『許せない。あなたみたいな!』

レギュラン星人『許せないのは私のほっ、のわぁっ!?』


突如とした衝撃に、レギュラン星人が振り返る

そこにはレッドキング

そちらも追いつめられているようで背中合わせて自らの敵を見やる


ベリアル「ハアァァァッ!」

美穂子『ベリアルさん、やりましょう!』


ティガが、両腕を脇にやり手を真っ直ぐに伸ばすと紫色の光が溢れる

ベリアルは右腕に黒い光と紅の雷を纏う

美穂子からの声に、頷く京太郎


京太郎『俺が守りたいもののために―――』

ベリアル『ハッ……守るもの、ねぇ』

京太郎『―――闇の力、お借りします!』


二人の巨人が、同時に腕を組む


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!!』

ティガ「ハァッ!」


レッドキングとレギュラン星人に、光線が直撃


レギュラン星人『光と闇よォ!』


髑髏怪獣と悪質宇宙人が―――爆散する

271 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:22:46.63 ID:edgxsDz+0


爆煙が晴れると共に、炎の中にお互いを見やる

二体のウルトラマン

黒きベリアルが、ティガを見据えた


美穂子『ベリアルさん……』

ベリアル『……小娘、貴様はウルトラマンだ』

美穂子『え』


それに、なにを返すわけでもない


ベリアル「ハァッ!」


真上を向いて、飛び上がる


美穂子『ベリアルさん……』

ティガ「ハッ!」


それを見送り、ティガもまた両手を上に上げて飛び去っていく

272 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:43:01.07 ID:edgxsDz+0

地上に立つのは須賀京太郎

静かに、息をついて右手にあるレイブラッド星人メダルを見る

そこから僅かに感じる闇の力に、口を綻ばせた


京太郎「闇も光もない、か……ウルトラマンじゃないからこそ」


きっと自分にしかできないことがある

そのメダルをホルダーに入れると、今度は左手のメダルを見た

そこにはレギュラン星人とレッドキング、そしてエレキングのメダル


京太郎「今回は全部頂戴できたな……」

ベリアル『ハッ、おもしろい』

京太郎「そうっすか?」

ベリアル『オレはな』


そんな言葉に苦笑を浮かべながら歩き出す

すぐに熊倉トシと車を見つけて近づいていく


トシ「……おかえり」

京太郎「ただいま、戻りました」

トシ「どうだった?」

京太郎「……わかってるでしょ?」

トシ「ああ、目的のためなら過程と手段をある程度は妥協して戦う。そういうことができる京ちゃんだから、良いんだ」

京太郎「褒めてます?」

トシ「まぁ闇の力を使い戦う。そういうアンタだから……」


そう言って言葉を止める

京太郎が口を出そうとするが、トシが微笑むのでそちらに視線を向けた

そこには金髪を揺らす少女


京太郎「……美穂子さん」フッ

美穂子「京太郎く〜ん、熊倉さ〜ん!」


駆けてくる元気そうな美穂子

普段であれば“揺れてる”とか思うとこだが、そういう思考でもない

トシが車へと乗り込む


美穂子「はぁっ、はぁっ……」

京太郎「お疲れ様です」

美穂子「うん、京太郎くんも……銃で撃ってくれたでしょ?」

京太郎「あ……はい」フッ

美穂子「ありがとう!」ニコッ
273 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:49:29.45 ID:edgxsDz+0


そんな美穂子の頬に、京太郎はそっと手を添える


今朝そんなことがあった気がした

だが美穂子は、顔を真っ赤に染める


京太郎「こちらこそ、ありがとう……」

美穂子「え、あっ……う、うんっ!」ニコッ


その輝く笑顔―――京太郎が守りたかったものの一つ


自分の守りたいものだけを、ただ守りたい


それが須賀京太郎の―――欲望

274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/14(火) 00:51:38.15 ID:kl7emGr/0
キャップめっちゃヒロインだ
275 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 00:57:35.71 ID:edgxsDz+0


     第6話【欲望-EGO-】 END


276 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 01:07:57.38 ID:edgxsDz+0


―――次回予告


順子:ウルトラマンを追うわよ!

トシ:特異課に取材だって

京太郎:断ってよ

大介:待ってくださっ

順子:ウルトラマンー!

はやり:婚期、お見合い、ぐふっ

京太郎:はやりさーん!

順子:ウルトラマーン!


次回【THE・パパラッチ】


はやり:ザをジって呼んでいいのはアルフィーだけだって!

京太郎:特異課やめていい?

トシ:ダメ

277 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/14(火) 01:16:51.21 ID:edgxsDz+0

今回はここまでー
次回は明後日水曜になると思いますー

さらっと終わった迷走パートだけどこんなもんで良い
ちょっとずつ展開も進んできてー

美穂子含めて長野組の出番もあとわずか(小声)

そんじゃまたー
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/14(火) 01:59:25.16 ID:TtQXIDZk0

>>美穂子含めて長野組の出番もあとわずか(小声)
もしかしてもんぶちの面々とは長野では遭遇しないのか?
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/14(火) 02:30:29.74 ID:kl7emGr/0

シリアス回終わったと思ったら速攻ギャグ回かww
闇受け入れるのはウルトラの世界観でどうなるか気になるな
280 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 16:02:33.34 ID:kBZSaiy10
ちょっとだけやるー夜もやるけどー

>>278
もんぶちは後々って感じっすねー
281 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 16:18:52.37 ID:kBZSaiy10

―――【???】


真新しい白い壁、慌ただしくデスクに向かってPCとにらめっこをする社員たち

そんなオフィスの外の廊下に立っているのはカメラマン、山口大介


「お待たせー」

大介「ああ、で、どうっすか?」


やってくるのは西田順子


順子「オッケー取材許可おりた」

大介「ほらーだからダメだって……え?」

順子「特異災害及び特異現象及び超常現象対策課……通称特異課の取材許可、おりたよ」

大介「なんで!?」

順子「さぁ、でもあの怪獣災害からわずかな時間で設立されて事後処理まで手を出してる課、きなくさいねぇ」

大介「まぁ前々から存在してた説が有力っすよね……にしても許可おりるとは」


顔をしかめる大介相手に、順子はその背中を叩いて笑う


順子「やるわよ。絶対あの人ら……ウルトラマンと関係あるから!」

大介「……いやいや、あれと? まさかぁ」

順子「いえ、絶対怪しいわ! それに私、これに関しては雀士失踪とも関わりあると思ってるし」

大介「そう全部つながるもんですかねぇ」

順子「繋げるのが私たちの仕事でしょ……あ、もちろんちゃんと下調べした上で、だけど」

大介「……嫌な予感するなぁ」

順子「じゃ、いくわよー!」


意気揚々と歩いていく順子の背中を見ながら、大介は重々しい足取りで着いていく

282 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 16:33:03.39 ID:kBZSaiy10

―――【特異課施設:作戦室】


あれから四日、そこにいるのは須賀京太郎のみだ

座っている京太郎が、いつもみんなで囲むテーブルの上にメダルを数枚並べる

先日、美穂子から受け取ったゴモラメダルとレッドキング、エレキング、レギュラン星人


京太郎「さらに……岩石怪獣ガグマのアルファとベータ、深海怪獣グビラ」


合計七枚のメダル、それらを集めてホルダーへと入れる

ガグマのアルファとベータは自分と美穂子が麻雀で倒した他校の生徒から手に入れた

苦戦はさせられたが、別段問題もなく

グビラはベリアルが通常の状態……アーリースタイルで倒した


京太郎「メダル、集まってきたけど黒幕はどこなんだろ」

ベリアル『さてな、だがこの不愉快な感覚が薄れてきてやがる……黒幕も絞れるだろ』

京太郎「だと良いんですけど……」

ウィーン

京太郎「っ!」ビクッ

トシ「どしたんだい……ああ、そういうことか」

美穂子「どういうことですか?」


入ってくる二人に、京太郎は息をつく

派手な“独り言”を見られなくて済んだようだ

美穂子が隣に座り、トシが対面に座る


トシ「さて、京ちゃんと福路に報告」

京太郎「なんすか?」

トシ「取材が来る」

京太郎「どこに?」

トシ「ここに」

美穂子「……えっと、私は」

トシ「あんたは良いけど、東横とかを撮られるとマズい」

京太郎「……いつ?」

トシ「今から」

京太郎「一大事じゃん!」
283 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 16:39:47.21 ID:kBZSaiy10

京太郎「え、はやりさんは!?」

トシ「外に出しといた、こんなこともあろうかと」

京太郎「あろうかと思ったならもっと早く言ってくださいよー!」

トシ「まぁまぁ」


両手を前に出して笑うトシ

そして、熊倉トシは回想を始めた


トシ『特異課に取材が来る気がする。明後日』

はやり『はや!? なんで!?』

トシ『とりあえず、明後日にあんたに予定入れたから』

はやり『はやぁ……任務ですか?』

トシ『婚期やばいからお見合い』

はやり『婚期、お見合い、ぐふっ』


京太郎『はやりさーん!』

トシ『回想に入ってくんじゃないよ』


回想終わりである


トシ「ってことで」

京太郎「なんてひどいことを!?」

美穂子「???」

トシ「まぁそういうことだから」

京太郎「断ってよ」

トシ「……ま、京ちゃんに任せるから、案内とかもろもろ」

京太郎「ファッ!?」

トシ「それじゃ、これマニュアル」

京太郎「なんで!?」

トシ「行くよ福路ー」

美穂子「え、え?」


京太郎「この鬼ババァ!」

284 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 16:41:48.60 ID:kBZSaiy10


     第7話【THE・パパラッチ】

285 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 16:43:26.73 ID:kBZSaiy10
そんじゃ一旦ここまでー

また夜にー
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/15(水) 21:42:22.56 ID:pqnz2T6Z0
一旦乙
はやりん草ww
287 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 22:52:00.55 ID:YJlpPp2G0
遅くなったけどやってくー
288 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 23:11:18.64 ID:FovLWEVY0

―――【特異課施設:入り口前】


そこに立つのは記者とカメラマン

入る前にセキュリティシステムがあるらしく、待たされることになったということだ

さきほどからスタッフの出入りがあるが、そのスタッフたちの取材は許可されていない


大介「意外ですね、関係なくいくと思ってました」

順子「ここのタイミングで機嫌を損ねるわけにはいかないからね……入ってからよ本番は」

大介「さすがっす」

順子「目先の欲に踊らされるなってね」


そう言って待っていると、中から出てくるのは金髪の青年

年齢は20代だろうか、サングラスの奥の瞳はまだ見えない

なぜだか嫌そうな雰囲気をしているが、記者としてそういう対応は慣れきっている


???「お待たせしました……須賀です」

順子「ああ、これはこれはご丁寧に」

大介「WEEKLY麻雀TODAYの山口です」

???「ご丁寧にどう……も」


名刺を差し出したところで、一端止まる


順子「……あれ、どこかで?」

???「いえいえ、どうも」

大介「まぁよろしくお願いします。須賀京太郎さん」

京太郎「あーはい」メソラシ

京太郎(なんで俺にやらせたんだよトシさぁん!)

289 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 23:28:36.40 ID:FovLWEVY0


―――【特異課施設内:廊下】


スーツを着ている一人の女性スタッフが歩いている

その顔にはサングラスをかけていたが、口元には笑みが浮かんでいた

長い金髪を揺らす女性が、周囲に誰もいないことを確認する


??「……よっし! 潜入完了だ!」


拳を握りしめる


??「ふふふ、ウルトラマンに邪魔されっぱなしの雑魚共め、私はそうはいかん……」


なにか装置を取り出す


??「ここに間違いなく、ウルトラマンに関係したなにかがある。そしてメダルもある……」


正面からやってきたスタッフに軽く会釈して歩き出した


??(やつらには負けん、私が先んじてやる……あいつらに情報も渡してないしな!)

??「ふふふ、このババルウ星人の智謀を見せてくれる!」


女性―――久保貴子はニヤリと口角を上げた

290 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/15(水) 23:38:27.82 ID:FovLWEVY0


―――【長野:???】


座っているのは瑞原はやり

そして向かいには男性

瑞原はやりの表情は死んでいた


男性「えっと……瑞原、さん?」

はやり「はい、なんでしょう」

男性「……ここのデータなんですが」

はやり「はい、こっちの計算式を持って来れば」

男性「なるほど! さすがです!」


なにがお見合いか、ただの仕事である

トシが勧めてくるきたお見合いだから多少は期待したのである


男性「さすが瑞原さん、頼りになります」

はやり「いいえー」


なにが悲しくてこんな状況になったのか……


はやり(お見合いで京ちゃんが乱入して助け出してくれるとか期待しちゃうのになー)


大きなため息をついて、目の前の男性の後頭部から、椅子を回転させて視線をPCモニターに移す


はやり「……ってなんで京ちゃん!!?」

男性「瑞原さん!?」
291 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 00:01:10.25 ID:V+mQVjii0

―――【特異課施設内:廊下】


気まずい思いをしながら歩く京太郎

そしてその後ろには順子と大介

一応、トシから手渡されたマニュアルは憶えた


京太郎(しかしまぁ、一応知った顔なんだけど)


こんなところで働いているとバレたらどうなるかわかったものではない

一応は『雀士失踪と怪獣出現は関係ない』ということで通っているのだ


京太郎「以上のように、怪獣災害等に迅速かつ最善の対応策をとるために我々特異課は」

順子「怪獣災害から発足が早すぎるとの指摘があるそうですが?」

京太郎「それについては私のような者には……ただそのような“予測”を量子コンピューターがしていたという噂を聞いたことがあります」

順子「それはどこに?」

京太郎「そこまでは……」


そう言って笑う京太郎


大介「にしても、最新技術の塊と聞いてましたけど普通ですね」

京太郎「どこ情報ですか、普通ですよほとんど」

順子「へぇ〜……怪獣に対処している銃等は最新技術の塊と聞いてましたが」

京太郎「そこまで厳密に言うなら……怪獣と戦う武器が最新型じゃないわけないでしょう」

順子「まぁごもっともで、じゃあ……」


メガネの奥の瞳がキラリと輝く


順子「ウルトラマンになる技術があるとか?」

292 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 00:10:56.73 ID:V+mQVjii0


京太郎「はぁ? なに言ってんですか」ケラケラ

順子「では、ウルトラマンとどんな関係が?」

京太郎「あるわけないでしょう、そんなもの」ハァ


そう言うと歩き出す

順子を見て、大介は肩をすくめて歩き出した


順子「しかし、長野に現れるウルトラマンは」

京太郎「なんでしょうか、我々と関係があると?」

順子「んーそうだと思ってますよ?」

京太郎「じゃあ俺達は必要ないじゃないですか、ウルトラマンがいるなら」

順子「……ピンチのピンチのピンチの連続にならないと現れないとか?」

大介「ギリギリまで頑張ってみないと現れない、か」


その言葉に京太郎は止まった


京太郎「……そうなんじゃないですか、だから戦う」

順子「……あーあ、私ウルトラマンだったらなぁ!」

大介「えー大変じゃないですか?」

京太郎「だと思いますよ。知りもしない関係ない奴らを守るなんて……」ハッ


そう言って歩き出す京太郎


順子「ところで食堂とかあるんですか?」

京太郎「まぁ、休憩所が……食べ物も自販機にありますし」

順子「へぇー! 気になります私!」

京太郎「普通っすよ?」

順子「ええ! ええ! そういうのがみたい!」

京太郎「そういうもんですか?」

大介「さぁ?」
293 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 00:22:52.54 ID:V+mQVjii0


一方、久保貴子の体を借りたババルウ星人は施設内を歩いていた

バックを片手に周囲を見回しながら歩く


貴子「さて……どこかに、ベリアルやティガの情報があるはず」

「こっちよこっち」

貴子「!!?」ビクッ


転がるように物陰に隠れるババルウ星人

その声の主の方をちらりと見る


順子「怪しい気がする! こっちの方に宇宙的感覚!」

大介「絶対気のせいっすよ」

順子「えーおかし……」


歩いている順子が横を見れば、そこには金髪の女性

もちろんババルウ星人である


貴子「……ご、ゴキゲンうるわしゅう」

順子「……あー!!」

貴子(バレたかぁっ!!?)

順子「久保貴子先生ですよね!? 風越の!」

貴子(セーフ!)

貴子「は、ははは」

大介「ちょ、まずいっす!」

順子「あ……ちょ、ちょっと道に迷っちゃって!」

貴子「あ、はい」

順子「自由に行動しては良いと言われたんですけどね! 一緒に歩いてもらっても!?」

貴子「あ、はい」

貴子(しまったな、ここじゃ……チッ! とりあえず一緒に行動しといてやるか!)

順子(ふふふ、やはり雀士失踪に関係あるのね特異課!)

294 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 00:43:31.25 ID:DMKDBawX0


もろもろ暗躍する施設内

そんな特異課施設の一室に集まっている桃子、智美、佳織

さらにプラスで津山睦月と加治木ゆみの二人


ゆみ「みんなには心配をかけたようだ」

桃子「本当っすよー」

智美「なにはともあれ集まってなによりだなーワハハ」

睦月「プロ雀士カードは? 新弾はどうなってる?」

佳織「いつもそれだね」


和気藹々とした空間、しばらくはその部屋より外出禁止令が出されている

ゆみと睦月の二人は揃って数日前に起きたばかりだ

そんな中、扉が突如開く


京太郎「サーせん!」

桃子「うわぁっ!?」

智美「ワハハ、スケベだなぁ京太郎」

京太郎「いやいや! てかこれあれ、誰か来てないっすか?」

睦月「須賀だけだが」

京太郎「そ、そっすか」ホッ

佳織「どうしたの?」

ゆみ「私たちがしばらく自室待機とされてたことと関係が?」

京太郎「……関係しかないんで、まだしばらく自室待機で!」


それだけ言うと、京太郎は去って行く


桃子「えーあれだけっすか京さん」

ゆみ「京さん、か」

桃子「なんっすか改まって」

ゆみ「……友達が増えてなによりだ」フッ

桃子「なっ、なんか変な勘違いしてないっすか!?」

ゆみ「してないしてない」

桃子「絶対してる!」

295 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 00:57:30.12 ID:DMKDBawX0


医務室にいるのは美穂子と久

竹井久はというと眠っているのだが、美穂子は静かにそんな久の隣にいた

トシから出るなと連絡があって、久を放置するわけにいかないということでここにいる


美穂子「……ちょっと暑いわね」


9月なのだが、と思いつつクーラーの温度を少しばかり下げる

美穂子はネクタイをゆるめてボタンを少し開ける

久も少しばかりを汗をかいているようだった


美穂子「久の汗、拭いた方がいいかしら?」


そう言うと、そっとふとんをめくり久のボタンを外そうとする

別になんの他意もない行為で、あるのだが―――


京太郎「さーせん!」ウィーン


―――こうなると、話が変わってくる


京太郎「」

美穂子「」

久「」zzz

296 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 01:10:59.38 ID:DMKDBawX0

京太郎「そ、その……」

美穂子「待って待って」

京太郎「仲良いとは思ってましたけど」

美穂子「ち、違うの!」

京太郎「ね、寝てる相手というのは」

美穂子「だから!」

京太郎「……えー」

美穂子「疑った目で見ないで!?」


必死の弁明である


美穂子「と、とりあえず部屋が暑いからなんとかしようと、ね?」

京太郎「……」ジトー

美穂子「違うんだってばぁ」ナミダメ

京太郎「いや、まぁ良いと思いますけどね」

美穂子「私が好きなのはっ」

京太郎「?」

美穂子「あっ、あぅ……」カァッ

京太郎「まぁ冗談ですけど……」

美穂子「!!?」


話を変えるために、ポンと手を叩く


京太郎「……誰か来ませんでした?」

美穂子「……京太郎くん」ジト

京太郎「あーすみませんって、からかいすぎました」

美穂子「もぉ、許してあげないからっ」ムゥ

京太郎「それはちょっと、すみません……今度お詫びしますから」

美穂子「……ランチ」

京太郎「はい」フッ

美穂子「約束よ?」

京太郎「はい……そんじゃまたあとで、あとまだ部屋からは」

美穂子「わかてるわ」フフッ

京太郎「それじゃまた!」バッ

ウィーン

美穂子「……まったく、気安くなったんだから」


そう言って、椅子に座る


美穂子「……私もか」クスッ
297 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 01:18:55.58 ID:DMKDBawX0


特異課施設内、順子と大介と貴子ことババルウ星人が歩いている

目的地はない

あえて言うなら全員そろってそれなりに重要な部屋こそが目的地である


順子「ふふふ、ウルトラマンの秘密掴んでやるわよ」

貴子「え、ウルトラマンの秘密がこの基地に?」

大介「やっぱなにも無いんじゃ」


そんな言葉に、順子は大介に近づいて耳打ちする


順子「一般には知らされてないか、本当でも言うわけないでしょ!」

大介「そういうもんですか?」

順子「そういうもんよ……さ! ウルトラマンの秘密を探しに行くわよ!」

貴子「おー!」

大介「なんで乗り気なんですか」

順子「ウルトラマンー!」

貴子「ウルトラマンー!」

大介「待ってくださ」

順子「ウルトラマーン!」

貴子「ウルトラマーン!」

大介「なぁにこれ」
298 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 01:31:21.50 ID:4GkWm5rg0


―――【???】


PCとにらめっこから解放されたはやり

スーツの男たちに感謝されながら、会社を出て今は公園のベンチ

平日の昼間から、スーツ姿でベンチに座っているのが牌のお姉さんだとは誰も思うまい


はやり「……なにがお見合いだよぉ、お似合いの人探せオラァ」


弱々しく独り言をつぶやく


はやり「はぁ〜あ……取材が来るから出てけってことだよねぇ」


缶コーヒーを傾けて飲む


はやり「人気者の辛いとこね、これ」


「怪獣だって!」

「えー!!?」

「見に行こうぜー!」


はやり「怪獣ぅ!!?」バッ

299 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 01:48:05.82 ID:yuZcirNl0

―――【特異課施設:廊下】


順子「こっちに宇宙の気配!」

貴子「確かに!」

大介(なにが?)


そのまま走り、順子は先に行ってしまう

貴子が駆けてついていこうとするも、その腕を大介が掴む


貴子(こいつ気付いたか!?)

大介「なんかここらへん、人通り少ないしヤバくないっすか?」

貴子「そうか?」

大介「えーそうじゃないっすか?」

貴子「まぁ着いて行ってみよう」

ババルウ星人(確かになんか気配は感じるしな!)

大介「えー」


そしてその間、奥の部屋へと入った順子は―――


順子「あれ、ここは?」


暗い部屋に大きな機械があるようだった

不思議な機械

そしてその前に立っている―――金髪の少女


順子(ぼんやりしてて見えない……てか電気は?)

?「……抱腹絶倒」

順子「え?」


前方にいた少女が、青いクラゲのような生き物の姿になってどこかに消えた

その瞬間、入ってくるのは貴子と大介

貴子はそのまま、真っ直ぐと入って行き機械を見上げた


貴子「これは……」

順子「う、う」

大介「う?」

貴子「う?」

順子「宇宙人だぁあぁぁぁぁぁっ!!」

貴子「な、なにぃぃぃぃ!!?」
300 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 02:01:49.29 ID:yuZcirNl0

―――【???】


公園近くのデパート

はやりはソフトクリーム片手に眼を腐らせていた

もちろん比喩で


はやり「……」


ヒーロー『子供たちを離せ!』

悪の幹部『ええい、いけバギラ!』

怪獣『ギャオー!』


はやり「……ヒーローショーって」ペロペロ


サングラスの奥で死んだ瞳をしているはやり

深いため息をつく

こんなことならばせめてデートぐらいしたかったものだと、空を仰ぐ


「怪獣だー!」

「怪獣だ!?」

「うわー!」


はやり「そういうのもう良いから」


ヒーロー「怪獣だー!」

悪の幹部「怪獣がでたぞー!」

怪獣『ギャオー!!?』


はやり「え?」


振り返ると、手からソフトクリームを落とす


はやり「……怪獣だー!!?」

301 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 02:13:40.20 ID:yuZcirNl0

―――【特異課施設:廊下】


廊下を走る京太郎

いつの間にかいなくなっていた順子と大介の二人を探す

先ほどから走り回っているがまるで見つからない


京太郎「たくどこに……あぁ」


視線を動かして道を見る


京太郎「こっちの方、行ったことな」


―――宇宙人だぁあぁぁぁぁぁっ!!


京太郎「ビンゴだし宇宙人だし!?」

ベリアル『よく隠れてたな、間違いなく敵の気配だ』

京太郎『よくわかりますね!』

ベリアル『余計なカケラが入ってるようでな……』

京太郎『カケラ?』

ベリアル『とりあえずこの場でカードを入れてゼットライザーのトリガーを引け!』

京太郎「へ?」

ベリアル『いいからさっさとしろ!』

京太郎「オッス!」


周囲を確認してから、迷わずトリガーを引き、開いたゲートに走り出す

次の瞬間、ゲートから出てくるのは白銀のベリアル

人型サイズのベリアルはそのまま走って声のした方向へと向かう
302 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 02:20:56.89 ID:Cq01tkJP0

―――【久の医務室】


座って本を読んでいる美穂子

すると、呼び出し音のようなものがポケットから響く

焦りながらもそれを取り出す


美穂子「え、えっと……ど、どのボタンで」

ピッ

美穂子「あら?」

トシ『聞こえるかい?』

美穂子「あれ、なんか操作した?」

トシ『強制的に通話した。あんたの端末にだけつけてみた』

美穂子「助かり、ます?」

トシ『この機能にそう言うのはあんただけだよ……まぁなにはともあれ』

美穂子「なにかありました?」

トシ『怪獣が出た。避難誘導等……任せた』

美穂子「は、はい!」


立ち上がると、自室待機を命じられたものの仕方ないと部屋を出る

慌ただしい廊下、ガレージの方へと向かおうとすると白築慕が手を振っているのが見えた

頷き、急いでそちらへと駆けていく
303 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 02:28:33.47 ID:Cq01tkJP0

―――【特異課施設内:???部屋】


貴子が驚愕する

順子も驚愕する

大介も驚愕する


もうなにがなんだかわからない空間で、貴子が立ち上がった


貴子「こうなれば仕方あるまい! ふん!」


勢いよく声をかけた貴子の体が、エネルギーを纏う

それと共に現れるのは宇宙人、暗黒星人ババルウ星人


順子「……こっちも宇宙人だー!!?」

ババルウ星人・大介「え、どゆこと!?」


もはや三人いる中、順子しか状況を掴めていない


ババルウ星人「もういい!」


そう言うと、左腕から光弾を放つ


大介「っ!」


跳びだした大介が順子と共にその光弾を回避するも、爆風で転がり二人まとめて気絶してしまう

そしてそんな空間に入ってくるのは―――白銀の戦士


ベリアル「シャアッ!」

ベリアル『見つけたぜ!』

京太郎『この二人こんなとこに、ってかなにこの場所! てかなにあいつ!』

ババルウ星人「ううう、ウルトラマンだぁぁぁぁっ!!?」
304 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/16(木) 02:31:25.84 ID:Cq01tkJP0
ということで今回はここまでー
次回は戦闘、って感じでございます

次は金曜の夜とかになるかもー
そんじゃまたー
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/16(木) 03:56:15.10 ID:yC8QbDFR0

ドタバタしてるのが絶妙にギャグ回だww
はやりんがいいww
306 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 15:43:55.24 ID:9/TD6CJz0
夜からやると言ったな、あれは嘘だ
とりあえずちょっとだけやってみるー
307 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 15:57:38.50 ID:bjzvKeFE0


―――【街中:デパート近く】


逃げ惑う人々とは反対方向へと走るはやりがガッツハイパーを撃つ

非番とはいえ、特異課なのだ

やることは見失わない


はやり「こっちだよ! このっ、ええっと、恐竜? 戦車?」

トシ『恐竜戦車だね』

はやり「まんま!!?」


恐竜戦車が咆哮を上げながら走る

はやりの方ではなく―――


はやり「デパートにっ!」

トシ『……』

はやり「はやく京ちゃんを!」

トシ『いや、くるよ』

はやり「っ!」


その言葉と共に、恐竜戦車に銃撃が放たれる

そちらを見ればそこには車が一台


はやり「慕ちゃんと、福路ちゃん!?」

美穂子「瑞原さん!」

慕「はやりちゃん!」


走る車が、はやりの前に止まる

出てくる美穂子が素早く銃撃

恐竜戦車が、はやりたちの方を向く


はやり「逃げるよぉ!」

美穂子「分散しましょう!」

慕「えっ、それじゃあ!」

美穂子「か、解散です!」ダッ

はやり「ちょ! もう!」


車から離れながら銃撃する美穂子、慕は車で、はやりは再び走り出す

308 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 16:09:10.12 ID:bjzvKeFE0


徐々に怪獣戦車と距離を取っていく美穂子

二つの銃撃も確かに見えた

だが、既に恐竜戦車は気にした様子もない


美穂子「……ならっ!」


物陰に入ると、美穂子はスーツの内側からスパークレンスを取り出す

両腕を組むようにして、ぐるっと回した


美穂子「ティガァ!」


スパークレンスが開き、光が溢れる



一方、デパートの方に向かいそうな恐竜戦車を引きつけようと銃撃を続けるはやり

顔をしかめながら、ガッツハイパーのカートリッジを交換する


はやり「まだまだ!」


だがその瞬間、光と共に巨人が現れる


はやり「……ティガ」ホッ


ティガ「チャァッ!」

恐竜戦車「―――!!」
309 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 16:28:01.53 ID:bjzvKeFE0


―――【特異課施設:???】


ベリアルが素早く構えを取り、ババルウ星人へと走る

そんなベリアルを見て、ババルウ星人は素早く武器である刺又を振るう


ベリアル「ハッ!」


その刺又を左手の爪撃で弾くと、右腕での爪撃でババルウ星人を攻撃


ババルウ星人「うぐあっ!」

京太郎『ここで暴れられても厄介です。やりましょう!』

ベリアル『ハッ、暴れるのはオレも一緒だけどなァ』

京太郎『ほどほどに!』


起き上がり、走ってくるババルウ星人

振るわれる刺又を再びベリアルクローで弾くも、ババルウ星人は今度は近距離で光弾を放つ

ベリアルが素早く光弾を放ち相殺させるも―――爆発


ババルウ星人「ぐっ、まだまだぁ!」


次々と光弾を放つババルウ星人

だが、ベリアルはその場に立つのみ



―――【インナースペース】


ベリアル「やるぞ小僧ォ!」

京太郎「はい、ベリアルさん!」


メダルを弾く、宙に浮いたメダルが闇を吐きだし周囲を暗黒に染めていく


京太郎「究極生命体!」バッ


落ちてきたメダルを掴むと、ゼットライザーにメダルをはめこむ


『Alien Rayblood』

京太郎「ベリァァルッ!」
310 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 16:41:09.61 ID:mjL5v+ZE0


溢れだす漆黒と共に、現れるのは暗黒の皇帝―――ベリアル

凶悪なその爪を振るい放たれる光弾を一掃する

首をゴキリと鳴らすと、ババルウ星人へと跳ぶ


ベリアル「シャアッ!」

ババルウ星人「うわぁっと!!?」

ベリアル『やっぱこの姿は調子が違ぇな!』

京太郎『違いないっすね!』


接近と同時にクローを振るう

ババルウ星人が刺又でその攻撃を凌ごうとするも―――


ベリアル・京太郎『無駄だァ!』


―――刺又ごと、斬り裂かれる


体にその斬撃を受けるババルウ星人が、倒れそうになるもすかさず蹴りを放つ

吹き飛んだババルウ星人は壁を突き抜けて外へと跳びだした

敷地外に転がるババルウ星人を追って現れるベリアル


ババルウ星人「べ、ベリアル! な、仲間にならないか!?」

ベリアル『つまらん……!』

ババルウ星人「即答ですかぁ!」

ベリアル『いくぞ小僧!』

京太郎『はい!』


右腕に集まる暗黒

そして左腕へと重ねて必殺の光線を放つ


ベリアル・京太郎『デスシウム光線!』


放たれたそれは真っ直ぐとババルウ星人へ


ババルウ星人「こんなことなら情報共有しとくんだったぁ!」

ベリアル「ハアァッ!」

ババルウ星人「ぐぅわぁぁっ!」


そして―――爆散


その爆炎の前、ベリアルは右腕を払うように振るうと、空へと飛び立つ

311 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 16:42:28.85 ID:mjL5v+ZE0
とりあえずここまでー
また夜ー
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/09/17(金) 19:29:48.07 ID:IhbyTuYS0
一旦乙
313 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 21:34:49.47 ID:RCUbPDWs0
やってくよー
314 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 21:57:52.58 ID:F4cZYAR80

―――【郊外】


カラータイマーが点滅するティガ

恐竜戦車の三連戦車砲と、目からのレーザーに苦戦していた

デパートを守りながの戦い故、というのもあるのだろう


美穂子『はぁっ、はぁっ……こ、このままじゃ!』


さらに恐竜戦車の攻撃

ティガがバリアを張って攻撃を凌ぐが、やはりその攻撃を前に押されていく

だがその瞬間、恐竜戦車にさらなる銃撃


はやり「こっちだよ!」

美穂子『はやりさん……っ!』


一瞬の隙、恐竜戦車がはやりの方を向いたその瞬間―――


ティガ「テァッ!」


パワータイプへとタイプチェンジをしたティガが、恐竜戦車へと接近

恐竜戦車は素早く回転して尻尾を振るうも、ティガはパワータイプの力でその尻尾を押さえる


ティガ「テヤァッ!」

恐竜戦車「―――!」


そのままのパワーで、ティガは恐竜戦車を持ち上げ―――大地へと叩きつける


恐竜戦車「―――!」

ティガ「タアッ!」


逆さになった恐竜戦車に、光弾を撃つ

起き上がろうと尻尾を動かした恐竜戦車が大きくよろめく

さらに距離を取ると、ティガは両腕を胸の前で構えた


美穂子『これでぇ!』


赤いエネルギーが弾を生成する


美穂子『終わりィ!』

ティガ「テヤァッ!」


放たれたデラシウム光流が恐竜戦車に直撃

一旦止まった恐竜戦車だったが、間を置いて粉々に爆散する

それを見届けると、ティガは空へと去って行く


はやり「また、ティガに助けられた……」

慕「ふぅ……あ、基地の方でもベリアルが宇宙人を倒したって」

はやり「え、どゆこと?」

はやり(京ちゃん、戦ってたんだ……)
315 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 22:09:51.45 ID:F4cZYAR80


―――【???】


黒いスーツの男、いや宇宙人

ゼットン星人が椅子に座っていた

その向かいに現れる影


「ババルウ星人がやられた」

ゼットン星人「あれは―――功を焦ったか」

「……例の場所、やはりあそこには我々とは別の地球外の痕跡があった」

ゼットン星人「やはり……なら次にやることは」


立ち上がったゼットン星人が振り返る

窓ガラスになっていたその向こうに大きな空間、そしてそこに立つのは―――怪獣


ゼットン星人「潰す。そろそろ本気でな」


パチン、と指を鳴らすと、肩を揺らして笑った

316 : ◆dBIP2XuQhg [saga]:2021/09/17(金) 22:39:26.37 ID:kZ8Kh0qX0

―――【特異課施設:正面口】


夕方―――立っているのは西田順子と山口大介

気絶していた二人だったが今しがた眼を覚ました

別状問題もないとのことで止まっているホテルへと帰ることになったのだが……


順子「ほんとに宇宙人が」

京太郎「またまたワハハ」

大介「見たけどなぁ……」

京太郎「勝手に歩いてっすか?」

順子「うっ……」


眼を逸らす順子に、京太郎は軽く溜息をつく


京太郎「二度目の取材許可、下りないと思った方がイイっすよ」

順子「はーい」ハァ

大介「自業自得っすね、とりあえず今回はこれで帰りましょう」

京太郎(今回は、かい!)

順子「お世話になりました」

大介「お騒がせしました」


頭を下げてから帰っていく二人

なんだか長い一日だったと、京太郎は息をつく


美穂子「須賀君」

京太郎「うおっ!」


背後からの声にビクッと体を震わせた

振り返ればそこには福路美穂子


京太郎「あ〜……お疲れ様です」

美穂子「京太郎くんこそ」クスッ

はやり「はやぁ〜」ズーン

京太郎「お、お疲れさまです?」

はやり「疲れたよぉ〜色々〜」


そう言うと京太郎の体にもたれかかるはやり

そしてそんなはやりの頭を撫でる


京太郎「おーかわいそうに」

はやり「はやぁ〜」グテー
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