キョン「またお祈りメールか…」

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7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/20(月) 19:24:04.51 ID:ijUOeYjJ0

「………………」

長い沈黙だった。いや、実際のところあまり長くないかもしれない。
しかし、俺にとっては永遠にも感じる沈黙だった。
痛々しい沈黙を打ち破るべく、俺は、

「なんかごめんな。久しぶりの再会なのにこんな話しちまって」

努めて明るく言った。

「……キョン」

佐々木が口を開く。
顔を直視できないため、どんな表情しているのかわからない。しかし声が震えている。
この声は…怒りと悲しみ…?

「僕はね、中3で君と同じクラスになってから、君のことが好きだったんだよ」

「え…」
突然のことに、呆けた声を出すしかできなかった。

「キョンのことだ。驚くのも無理ないだろう。キョン、僕はね、君のどんなところに惹かれたかというと、その正直さに惹かれたんだ」
佐々木は俺に構わず続ける。

「僕の話に疑問を感じたら必ず聞き返してくれる素直な好奇心、面倒臭い授業で気怠い態度を隠さない子供のような純粋さ、僕と2人で帰る時に仄かに微笑むいじらしさ。どれもがキョンの正直という一番の魅力を表していたよ」

「そんな僕がね、キョンのことを好きでいるのは諦めよう。と高2になって君と再会した時に思ったよ。だってね、涼宮さんと話す時の君の目が、私とキョンが話してる時の私の目と全く同じなんだよ…」

「あぁ、キョンは涼宮さんに恋をしている。これは勝てないな。直感的にそう思ったんだ」

佐々木は長い告白を終えた。
更に、俺の目を真っ直ぐに見据えて追い討ちをかけた。

「キョン。今の君は正直なの?僕にはそうは思えない。一体なんのために就活をしているの?なんで嘘をついてまで内定を得ようとしているの?君にとっての一番の魅力を破棄してまでもそんなに就活、いや見栄が大事かい?そんなに意固地になって何を守ろうとしてるんだ?何を隠そうとしているんだ?」

佐々木にここまで好き放題言われて、何も言い返せない自分が情けない。

「こんなキョンに会いたくなかったよ。もう僕の好きなキョンはいなくなったみたいだね」

佐々木は席を立ち上がる。

「さよならキョン。もう会うことはないだろう」

佐々木は紙幣を机に置き、出口へと歩きだす。

「最後に一言だけ言わせてくれ」
店から出る前に佐々木が言った。

「……なんだ」
乾き切った喉から辛うじて出た俺の言葉に対して、佐々木はとどめを刺した。

「今のキョンを見て、涼宮さんはどう思うかな…」

ついに佐々木は出て行った。
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