【安価コンマ要素あり】Master of arms−−武具の支配者−−

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 19:22:56.26 ID:6s5fCy04o
待機
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:06:26.67 ID:FTfW3EYxO
コンマ判定をするところまで投げます。
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:07:00.39 ID:FTfW3EYxO
しょぼい。あなたの感想はそれしかなかった。

ギルドに寄せられた依頼は、ペットの散歩、どぶさらい、臨時ウェイター等といった雑務が殆ど。
数少ない冒険者らしい依頼も、大量発生したティターントードの討伐のような簡単な仕事が全てだ。

これがファラリスやファフニール等の災厄獣(ディザスターズ)の討伐であれば、あなたのやる気も段違いだったのだが。
やはり、内地は平和であるが故に程度の低い依頼しか無いようだ。
本来ならそれは喜ぶべきことなのだが、あなたにとっては不満点でしかない。

理想と現実の差に打ちのめされ、項垂れているあなたの元に、見知った影が現れる。
それは、新米冒険者のあなたには訪れることのない朗報だった。
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:07:36.01 ID:FTfW3EYxO
「教習お疲れ様でした。その顔だと、思っていたよりも酷い仕事しかなくてガッカリしていたようですね」

声を掛けてきたのは、先程手続きを担当してくれた受付嬢だった。あなたは頷き、もっとやりがいのある依頼が欲しい、と抗議する。

「ふふっ。確かに、あまりやりたくないようなものばかりですが、その仕事をしてくれる人がいるから平和が保たれているんですよ」

「重要度は高い仕事ですから、是非ともこなしていただきたいのです」

勿論、それはあなたも理解している。重要性を承知のうえで抗議しているのだ。
あなたは雑用をしに来たのではなく、冒険者になるために来たのだから。

あなたの強い抗議を受け、メリッサは苦笑しつつも一枚の紙を出した。

「新人さんに任せるようなものではないのですが、そこまで言うのなら仕方ありません」

「これはあなたのお眼鏡に適うと思いますよ」

あなたは待ってました、とばかりにニヤリと笑う。
そのまま紙を手に取り視線を移すと、メリッサに渡されたのはただの地図だった。
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:08:18.66 ID:FTfW3EYxO
目を細めたあなたは、地図のある地点を指差しながら問う。
それにメリッサは首肯を以って応えた。

「はい。あなたの言う通りそこは廃坑です。二世紀前に打ち棄てられた、エルオム坑道という名前の」

「廃棄されたそこに、魔物が棲みついたことは有名です。新人さんも、よくそこで腕慣らしや魔法の練習をしてますからね」

ここまで言うと、メリッサは表情を険しくさせ、声を落とした。
ここからが話の本題、あなたに依頼する内容であり、深刻な問題があるのだと、そう語っている。
あなたも表情を変え、続きを促した。

「…数ヶ月前です。突然、行方不明者が続出し始めたのは。それまではただの一人も、そんな人はいませんでした」

「王都の熟練冒険者も数名、異変が起きてから派遣されました。ですが…」

受付嬢の視線が落ちる。その先は、言わずとも知れた。
全員死んだのだろう。でなければ、今話題にすらなっていない。

「…一人残らず死亡する惨劇の後、その坑道は封鎖されました。これ以上悲劇を生まないために」

なるほど。確かにそれは、新米冒険者に話してはならないことだ。あなたは内心で納得する。
そして、それを話す意味も理解していた。

「ですが、あなたなら。そこまで自信があるのなら、解決出来るはずです」

あなたは自信満々に頷く。あなたが求めていたものが本当に来たのなら、高揚せずにはいられない。
こんな楽しいことを邪魔されたくない。あなたにだけ伝えてくれたのは、非常にありがたかった。

そして、そんな新人らしからぬあなたを見て、メリッサは苦笑する。
あまりに予想通りの反応をしたので、面食らったのだ。

数分前の暗い表情とは打って変わって満面の笑みを浮かべたあなたは、意気揚々とギルドを出る。

「…私の記憶が正しければ、あなたは。貴方様は…」

期待と羨望、感謝を込めた眼差しに、気付くことなく。
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:09:38.13 ID:FTfW3EYxO
「…ねーますたー様。自分が新米ってこと忘れてやいないかい?」

エルオム坑道に進む道中、そんな問いを投げかけたアマネに、あなたは首を振って返す。
彼女はおそらく、自分の正体に勘付いている。ならば隠す必要は無いと。

「いや、ますたー様が良くてもだねぇ」

「アマネさんが危惧しているのは、そのメリッサさんが他の人に正体を明かさないか、ですよ」

「一応、素性は隠しているわけですし…。マスターが嘗ての勇者だと知られたら、冒険どころではありませんよ」

それに、とヒミカは一言付け加える。

「王様たちはまだしも、王都に住まう貴族の方々が、何をしでかすか分かりません…」

ヒミカの言っていることは尤もだが、あなたはそれさえも否定で話を終わらせる。
彼女が言いふらすのなら、その前にヒミカかアマネを使うまでだ。

『創世乃歌(ゲネシス・オーデー)』と『一ノ太刀(ジ・エンド)』。ヒミカとアマネ。銀河を裂き穿つ天弓『ラーデイン』と闇払う天翔の刃『アマカケル』。
彼女らの能力はそれぞれ異なるが、記憶への干渉は理論上可能だ。

ラーデインを用いて、あなたに対する認識を変える。
アマカケルを用いて、勇者の認識のみを断ち切る。
ただ、それだけの違いだ。どちらも『あなたが勇者だという真実』を失うことに変わらない。
だが、今回メリッサを対象に神器を使う時は訪れないことを、強い口調で、確信を持って言い切った。

「言い切った。ものっ凄い自信満々で言い切ったねぇ。何か根拠でもあるのかな?」

「マスターのことだから、たぶん何か考えがありますよ。ええ。…ありますよね?」

ない、とあなたはにこやかに答える。
根拠も理由も無いが、たった一つ確信しているものがあった。

彼女は、人の隠し事を言いふらすような人ではないという、話をして得た認識を。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:10:28.14 ID:FTfW3EYxO
エルオム坑道が目前に迫ったが、神器御一行は何重にも設置された柵に足止めを食らっていた。

「厳重に鍵が掛かってますね。メリッサさんが渡し忘れたのかな?」

ルーナの疑問にエリーは違う、と答える。

「たぶん、パパを試してる」

あなたはその言葉に頷き、背中の直剣を抜いた。
そして、光のように鋭い一閃を放つ。凄まじい金属音を立て、金属製の柵はこじ開けられたように開いていた。

「…だよねぇ。ますたー様なら絶対そうするよね。そしてその結果がこれだよぉ…」

頭を抱えるアマネの視線には、ぐにゃぐにゃに曲がった直剣が映る。もう剣としての役割は果たせないガラクタに、たったの一振りで変貌していた。

「マスター…。だから武器だけは、少し良いものにしましょうって言ったじゃないですか」

「マスターのことだから絶対やらかすと思ってました」

胃痛に苦しんでいるようなヒミカとは対照的に、くすくすと笑っているルーナが印象的だった。
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:11:20.49 ID:FTfW3EYxO
柵をぶち破り、入口を塞いでいた岩盤を蹴り壊して中へと入る。乾いた熱い空気が、頬を撫でた。

「昔はコルート鉱石が良く採れてた場所だから、普通は寒いはずなんだが…。空気は寧ろ生温い…どころか、砂漠の風のようだね」

「風だけじゃなくです。気温そのものがかなり高いですよ…これ…」

何もせず立っているだけで、肌がしっとりと濡れ始める。外の気温とは15度前後差がありそうだ。
これでこそだ、と表情を喜悦に歪めるあなたに、周りの神器は少しだけ引いた。

「あつい」

「よく楽しそうな顔が出来ますね、マスター…。私は正直辛いです」

「こんなに暑い場所もあるんですね。勉強になります」

「べりーべりーほっと…。観光ならまた一興と笑えるんだけどねぇ」

熱さで溶けそうな神器たちを一瞥し、提案する。
それなら、出番が来るまでアーマリーに戻しておこうか、と。
満場一致で賛成されたので、あなたは神器を異空間へ転送した。
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:11:52.87 ID:FTfW3EYxO
あなたたちがアーマリーと呼ぶ異空間には、小さな円卓がぽつんと存在している。
それ以外は全くの無。何の塗装もされていない無地の床がほんの少しと、これまた無地の空間が広がっているだけだ。
神器は円卓の椅子に座り、眼前に広がった映像に目を移した。

そこに映るのは、あなたを真上から俯瞰した映像。とは言っても、洞窟の中なので殆ど周りは見渡せない。映像内のあなたは、ウキウキとしていた。浮かれているのが丸分かりである。

「パパ…楽しそう」

「楽しそうというか、楽しいんでしょうね。あんなに熱いのに…」

「冒険が出来てるから、なのかな。子供っぽく見えて可愛いかもしれません」

微笑するルーナをよそに、アマネは心中で彼女の言葉を否定していた。
子供っぽいのではなく、本当に子供なのだと。確かに年齢は成人しているが、彼は子供の頃から戦いに関わりすぎた。
故に、成長が止まっている。戦いに精神が順応する代償として、心は大人になれなかった。

だからこそ、彼には大人になってほしかった。戦いに関わらず、色々なことを知って、失った過去を取り戻してほしかった。

神器として振るわれることを望みながらも、一人の人としてあなたが成長するのを望んでいる、矛盾した願望。
それを、アマネは心に抱えている。勿論それは、誰も知らないし気付けない。
一人の英雄が戦う様を見続け、神器であったが故に彼の心を守れなかったアマカケルは、誰にもその胸中を吐露しないつもりでいるから。
輝かしい英雄譚を、それに喜ぶ子供たちの目を、汚したくはないから。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:12:31.98 ID:FTfW3EYxO
エクリプスを両手に構え、魔物を斬殺しながらあなたは走る。その目には、確かに歓喜の感情が存在する。

走って。敵を見つけて。殺して。走って。敵を見つけて。殺して。
何度も何度も繰り返し、ただ先に進む。屍の築く道だけが、あなたの進んだ後に残っていた。

魔物の討伐数が200を越えようとしたところで、あなたは異変に気付く。
まだ最深部には程遠いのに、道がない。しかし、熱気は入口とは比べものにならないほどに強烈なものになっている。
熱傷をスターロードで治癒しながら、あなたは考える。

道すがらに冒険者の白骨死体が散乱していたことから、彼らもここより先には行けていないだろう。
僅かに生き残った者が更に奥で絶命している可能性もあるが、その奥に続く道が分からない現時点は、その可能性を除外しておく。

周囲を観察し続けるあなたはふと、あることに気付く。岩肌の色が、明らかに変わっている。
目の前の線路が続いている先に、突然壁が出来ている。その壁周辺だけが不自然に黒いのだ。
ならば、とあなたはアマカケルを構える。月光のような白銀の刃が、暗闇の中で光を湛えている。

目を閉じ、集中する。肌の熱さすら忘れ、滴る汗の感覚すらも無くなる。

完全な無を感じ、時が止まったと錯覚するほどの静寂の中。不意にあなたは目を開き、虚空を断ち切った。

鞘に刀を収める音だけが発生して数秒後。目の前の壁は突如として崩れ落ち、その先の姿を見せる。

あなたの放った一閃は、壁が道を塞ぐその事象を断ち切り、殺した。後は、自ずと道を開いてくれる。

そうして開かれた通路には、マグマの滝が流れる絶景が広がっていた。
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:14:11.92 ID:FTfW3EYxO
下1のコンマが61以上で、エルオム坑道に神器が存在します。
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 21:14:15.71 ID:FnMAacRv0
えいや
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/26(日) 21:18:12.97 ID:FTfW3EYxO
神器が存在するのが決まったので終わり。
一応こっちでこのダンジョンで獲得出来る神器は既に決めてますが、神器たちに自由を!天命に任せよ!って人は何か一言おねげえします。
要望があれば、コンマ判定でどの神器が出てくるかも決定します。そうでなければこっちで全部決めちゃいます。

ではサラダバー。
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 21:20:11.43 ID:5w5alGZp0
乙、>>1が決めたのでいいんじゃない?
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 21:23:17.04 ID:+FjL7OxDo
おつ
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 21:24:34.02 ID:n1Z909By0
乙です
>>1さんが決めたのでいいと思います
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 22:07:41.94 ID:vmBo5OXu0

>>1にお任せで
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/31(金) 11:05:43.36 ID:Qw3AgvQzO
明日か明後日くらいに投稿します。
今後の展開を考えてパンピー冒険者を二人くらい募集です。
良ければテンプレ使ってね。


【名前】名前。
【性別】男か女かその他か無いか。
【種族】人間獣人魔族エルフと色々いる。
【魔法】どのような魔法を使うのか。
【詳細】どのような人物か。
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/31(金) 12:53:02.65 ID:z4WNkta90
【名前】ッパ
【性別】不明
【種族】獣人
【魔法】四次元ポケット
【詳細】よくお菓子を勧めて来る
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/31(金) 13:33:37.35 ID:NDAmCv+C0
【名前】ルーシィ
【性別】男
【種族】人間
【魔法】初歩的な魔法のみ
【詳細】能天気で気楽家、勢いに身を委ねて生きている
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/31(金) 13:53:39.46 ID:+MOaDsKVO
【名前】エルウッド
【性別】男
【種族】人間
【魔法】身体強化
【詳細】大柄な壮年の剣士
快活ながらも、落ち着きもあるベテラン冒険者
強いことは強いが、あくまで一般的な冒険者の域を出ない
一方でしっかりした仕事振りで、後進の面倒見が良く、ギルドからは信頼されている
女性と交際したことがなく、お嫁さん欲しい
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/31(金) 15:33:45.45 ID:5jmBdDsZO
【名前】ビギナー
【性別】男
【種族】人間
【魔法】冒険者を目指す上では必須とされる初歩的な魔法(ただし、習熟度は低い)
【詳細】優男でそそっかしい青年。腕っぷしは弱い上に、魔法にも優れていないため、同期からは見下されている。ただし、その分、向上心は高く、いつかは伝説の勇者(主人公)のようになって人々を救いたいと考えている。
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/01(土) 00:04:37.79 ID:HyOUARhp0
【名前】シルファ
【性別】女
【種族】エルフ
【魔法】精霊魔術
【詳細】冒険者になって数年ほどのエルフの美少女
穏やかで優しく柔らかい物腰
弓と精霊の力を借りた癒やしの魔術を扱う、頼れる後方要員
めったなことでは怒らないが、怒らせると柔らかい物腰はそのままに、無駄に洗練された格闘術や関節技を使う
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/01(土) 03:12:51.28 ID:m17EWL5mO
【名前】ドルク
【性別】男
【種族】人間
【魔法】火炎魔法
【詳細】冒険が好きな好青年(最近冒険者になったばかり)。明るく熱血漢な性格。火炎の魔法が得意。剣を使っており剣術も扱っている。剣に炎を纏わせて戦うこともできる。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/01(土) 04:39:18.92 ID:fzmELJh80
【名前】シャウト
【性別】男
【種族】魔族
【魔法】自分の影を操る魔法(影を使って攻撃や防御等できるが影が出来ない暗い場所では発動できないので、その時は灯りで影を作る必要がある)
【詳細】頭にヤギの角がついており、耳が尖っている青年。茶髪で目が隠れている。冒険者になって2年くらいになる。性格はどんなことでもネガティブになるが仲間想いで仲間のことを大切に思っている。槍使いで槍術に手掛けている。槍と影を同時に扱う戦闘スタイルをとる。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 08:05:27.54 ID:BkhSvyJm0
【名前】ガウリス
【性別】男
【種族】鬼人
【魔法】岩石系魔法(岩を弾丸のように飛ばしたり、隕石ように降らせる等岩を操れる)
【詳細】黒髪短髪で額に一本角がある筋肉質の男でベテラン冒険者。無口でほとんど話さないがギルドの人達からは頼れる兄貴肌の人。格闘家でもあり、拳を使って戦うためグローブをはめている。鬼人族なので結構な怪力がある。
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 18:57:25.53 ID:CfzDLqQoO
あけましておめでとうございます。
これからもちまちま進めていきますので気長によろしくお願いします。
キリのいいとこまで進めます。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 18:57:53.63 ID:CfzDLqQoO
undefined
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 18:58:30.41 ID:CfzDLqQoO
あなたは高揚していた。どうしようもないほどに心が躍っていた。溶岩遊泳を試みても良いくらいにノリノリだ。

そんなことをしたら骨の髄まで燃え尽きて消し炭になるのは目に見えているので、流石に実践はしない。
なお、安全が担保されているのなら躊躇せず飛び込むつもりではいる。

そんな浮かれまくりなことはさておき、あなたは現状の把握に勤しむ。
今までに仕留めた魔物は前座も良いところだ。これからが本番であり、本命のいる本拠地とも言える。
その証拠に、先程までの魔物は炎を纏っていたのに対して、今目視出来る魔物は溶岩を噴出している。

基本的に、溶岩を操る魔物は炎を操る魔物の上位種として認識されている。普通の魔物は、溶岩よりも高温の炎を発生させられないためだ。
最上位種になれば、聖炎や黒炎といった規格外の炎を操るようになるが、そんな魔物は滅多にお目にかかれない。というか、出没したら人里が滅ぶ。

ともかく、より過酷な道が続いていることだけは確かだ。
ここまで高温の魔物だと、半端な水魔法や氷魔法も弱点ではなくこちらの脅威となりかねない。
そんなものを使える神器も味方もいないので関係ないが。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 18:59:10.53 ID:CfzDLqQoO
『いくらマスターでも、この暑さは流石に命に関わります。一度退いて対策を練るべきだと思います』

火傷を負いながら絶景を眺め、探索を続けているあなたにヒミカが苦言を呈す。
彼女の提案は正しい。最適解と断言出来る。だが、あなたはテンションが上がっているので従わない。

『えぇ…!?』

アーマリーにいるため姿は見えないが、声色から頭を抱えているのが目に見えている。
うごごご、と唸っているのも聞こえる。

テンションが上がっているので、このまま突き進みたいのも本音だが、あなたが撤退しない重大な理由が一つある。

というのも、あなたはこの洞窟に入るために柵をぶった斬って閉鎖していた岩盤をぶっ壊した。盛大に。
さらにさらに、たった今最深部に繋がる岩盤すらも破壊した。これは非常に大問題だ。

あなたがここで撤退すると、中の魔物が外に出かねない。今までは道が塞がれていたからエルダの町に危険は及ばなかったが、開かれた今となっては話は別だ。
この探索を以って問題を解決する。それが、たった一つの希望なのだ。
でないと町は炎に包まれ大炎上祭りになるし、啖呵を切ったあなたは死ぬほどダサい。

暑さで頭がやられたのか、と心配していたヒミカは、かなり真っ当な理由が提示されたのでもの凄くびっくりした。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 18:59:48.93 ID:CfzDLqQoO
熱気で全身と体内を灼きながらも、あなたは躊躇なく先を進む。
望んでいた冒険者らしいことが出来ているのが、原動力となっているためだ。
溶岩の滝、溶岩の川。そしてそれを泳ぐラヴァサハギンに感動しながら、あなたはアマカケルを携え片手間に魔物を鏖殺していた。

エクリプスではなくアマカケルを使っているのは、偏にリーチ不足と火力不足だったからだ。
エクリプスを貶す意図は断じてない。これは、彼女ら神器の性質の違いと言っても良い。
アマカケルは一本の刀であり、その固有能力は攻撃に特化した謂わば『防御不能即死攻撃発射装置(敵絶対殺すウーマン)』だ。
対するエクリプスは二本の短剣であり、その固有能力は暗殺に特化した謂わば『認識不能攻撃発射装置(一方的な虐殺するウーマン)』だ。

そもそもが短剣であるが故にリーチが短く、人を殺めるために極限まで効率化されたが故に魔物とタイマンする際は相対的に火力が低い。
人間相手に殺害目的で使うなら、彼女が一番強いと断言出来る。そんな日が来ることはあまりないと思うが。

あなたは、利用取り止めとなって不貞腐れるエリーを慰める。
使えるタイミングが来たら最優先で使うし、君は対人神器最強の存在だ。自分を誇りに思え。
そんなことを伝えると、途端に上機嫌になった。クッソちょろくて困る。

身体中がジュージュー焼ける凡人なら発狂しかねない地獄の中、あなたは声無き会話をしながらずっと進んでいた。

最深部に着く頃には、血気盛んだった魔物たちが後退りして逃げていたのは気のせいだろう。

手を出した味方が即死して、この灼熱地獄の中でも平気で行動する化け物に関わりたくない。
なんて思っているわけがない。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 19:00:48.41 ID:CfzDLqQoO
最深部に到達したあなたは、気配を察知して神器を構えていた。
装備しているのはスターロード。現在進行形でダメージを受けている身体の治療と、万一被撃した際に迅速に体勢を立て直すためだ。

溶岩の海にポツンと浮かぶ小さな孤島。その上に立ち、あなたは意識を集中させる。

来る。危機感が鳴らす警鐘に応え、あなたは鍵杖を横薙ぎに振る。
鈍い音が響き、あなたの全身が震える。力比べは互角といったところか。
孤島から弾き出されたあなたは、壁を蹴って孤島に舞い戻る。
吹き飛ばされた魔物は、また海に潜って姿を消した。
あまりの速さに一瞬しか見えなかったが、あの特徴的なシルエットは。
それは紛れもなく、奴だった。

『アラバコア…!気をつけるんだよますたー様!奴の突進は山をも震わせて噴火を起こすんだ!!!』

溶岩鮪アラバコア。災厄獣には該当しないが、それと同格の力を持った魚だ。
その肉は神々も喉から物理的に手が出て欲しがったくらいに美味い。

嘗ての戦争で出会った強敵(とも)と互角、いやそれ以上の強者と巡り会えたあなたは、表情が歪む。
それに対し、アラバコアはぴちぴちと跳ねることで反応を示す。

食わせはせん、食わせはせんぞ。そんな強い意志を感じさせる突進が、あなたを襲った。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/02(日) 19:02:05.75 ID:CfzDLqQoO
これでおしまいです。牛歩ですみません。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 19:21:04.61 ID:OdklcIL3o
おつおつあけおめ
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 19:27:04.09 ID:mGgiOhCC0
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 19:54:57.13 ID:iu8AOzEU0
あけおめ乙です

敵絶対[ピーーー]ウーマン
一方的な虐[ピーーー]るウーマン
絶対癒やすウーマン
絶対状態異常与えるウーマン 

隙がない布陣だなあ……
強いて足り無さそうなものを言うなら広範囲火力かな
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/02(日) 20:29:28.50 ID:t6WWKYNSo
おつ
鮪とはシュールな
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 11:55:46.85 ID:lTrD4NG8O
今日の夜に神器との邂逅までやります。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/09(日) 18:08:45.64 ID:llzCNz580
乙です 期待
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:07:58.12 ID:G2liQR26O
重くて疾い。それが、あなたがアラバコアに抱いた感想だ。
数mの巨体が高速で突っ込んでくるのだから、一撃が重いのは当然だ。
だが、些か重すぎる。明らかに体格とパワーが見合っていない。

そんな分析をするあなたを他所に、溶岩を纏って煉獄の弾丸と化したアラバコアは地の利を活かすべく溶岩中からの突撃を繰り返す。
今はまだ対応出来ているが、一瞬でも油断すれば致命傷は避けられないそれをただ防ぐだけでは勝機が無い。

『危ないっ!』

ルーナの反応よりも先に、あなたはスターロードで強烈な一撃を往なす。
そして、半身が焼け爛れた。
アラバコアは溶岩塗れで襲ってくるのだ。近接で対応すればどうなるかは火を見るより明らかだ。
というより、溶岩を浴びて炭化しないあなたがおかしい。人間を辞めてるんじゃないか、と神器全員が思った。

「ーーー!!!」

勝機と見たアラバコアは、突進ではなくその巨大な尾ビレで溶岩をぶち撒けた。
一滴一滴が致命的な赫い雫を、あなたは神器をアマカケルに変更し暴風で溶岩雨を拒絶、そのまま風と共に空を舞った。
天井付近まで逃げ延びたあなたは、小手調べに風の刃を撃ち出す。

「ーーー」

アラバコアは逃げることなく、堂々とそれを受け止める。
鋭い音が数度響き渡るが、アラバコアはピンピンしていた。この様子では、かすり傷にすらなっていないだろう。

『何重もの岩石の鱗が本体を守っています。生半可な攻撃は通さないのでご注意を…!』

ヒミカの警告にあなたは眉を顰める。
なるほど、通りで一撃が重いわけだ。と攻撃力の高さも得心がいった。

天然の重装鎧に身を包むのなら、その分威力が上がっているのも頷ける。
おそらく、様々な金属の微粒子が内部に混在し強度を底上げしているのだろう。
剥がれた欠片を精錬するだけで逸品が出来上がりそうだ。

そんなくだらない考えを巡らせながら、刀を構えた。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:08:53.10 ID:G2liQR26O
『パパ、逃げて』

命あっての物種だと、彼女なりに説得をする。しかし、あなたは退かないし退けなかった。

ここで取り逃がせばどうなるか。どれほどの被害が出るか。それが予想出来ないほど、おめでたい頭はしていない。

だから、ここで殺す。刺し違えてでもこの手で仕留める。

強い意志を秘めた双眸がエルオム坑道に巣食う脅威を見据える。
白銀の刃が、風を解き放った。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:09:31.82 ID:G2liQR26O
アラバコアは自身の勘の良さに感謝し、恨んでいた。
四日前から、尋常じゃない力を持った存在が近付いていたのは知っていた。

故に、その時から人類に気取られないように少しずつ棲家を広げていた。
折角手に入れた安住の地を奪われないように。全力を出せるように。

しかし、完成することなくそれがやって来た。神器なる、忌まわしき物を携えて。

ならば、殺す他ない。敵前逃亡など自身の強者としての矜持が許さないし、奴に勝てなければどうせいつか殺される。

そして、絶対に逃がさない。自身を殺し得る存在をみすみす逃すわけがない。
必ず、ここで殺す。自身の安寧のために。
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:10:43.98 ID:G2liQR26O
風圧でマグマが吹き飛び、壁にへばり付く。どろりとした液体が、滴り落ちていく。
直撃を狙ったが、野生の勘で避けられたようだ。

降下しつつ、あなたはアマカケルからスターロードに変更して迅速に治療する。
神器の同時使用が出来ない以上、回復しながらの戦闘は不可能と言ってもいい。
手早く回復し、攻撃出来る時間を増やすしかない。

『『ごめんなさい』』

ヒミカとルーナが頭を下げるが、仕方ないことだとあなたは突っ撥ねる。
神器にとって、他の神器と併用されるのは、一糸纏わぬ姿でくんずほぐれつイチャイチャラブラブしているのと同義なのだ。
そういう特殊性癖でも無ければ、到底受け入れられないだろう。
立場を自身に置き換え、同性の戦友と同じことをしている光景を想像し吐いたのは記憶に新しい。
あなたにとってそれくらいに嫌なことなので、やらないからと文句を言うつもりなど一切ない。

治療が終わったと同時に、アラバコアがその巨大な尾ビレであなたを打ち払った。
辛うじてガードは間に合ったが、勢いを殺すことは叶わず、岩盤に吹き飛ばされる。

粘ついた溶岩が背中に纏わり付き、焼いていく。スターロードを握ったままなので死にはしないが、大火傷と回復が交互に繰り返されるのはたまったものじゃない。

苦痛に顔を歪めていると、ダメ押しの突撃があなたを襲う。
その痛烈な一撃は、片目を潰す結果に終わった。

『パパっ!?』

砕けた岩盤と共に宙を舞ったあなたは、姿を露わにした空洞に吸い込まれる。

それと同時に、意識を失った。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:11:23.83 ID:G2liQR26O
目が覚めると、どこかの街中にいた。
広場の柵から身を乗り出すと青い海が見え、そこかしこに純白の家が建ち並んでいる。
綺麗な街並みだと感心するが、人の気配は感じられない。

このようなことは何回もあったな、と感慨深いものを感じつつ、足を進める。
今見えている街並みは、書籍で目にしたアクルカ共和国のそれと似ている。が、掲げた旗に記されている国章は現代のそれとは違った。

昔に読了した御伽噺で見たような気がする。あれは確か、輝かしい功績を残した英雄の冒険譚だったか。

そんなことを考えながら向かったのは、知らない言葉が刻まれた看板が立ち並ぶ大通り。

露店が沢山存在しているが、店主と思しき人影は無い。それどころか、通行人すらいない。

生命の存在しない寂しい大通りを歩いていると、空間が突如捻れ闇に覆われた。

闇が晴れると、今度は宮殿の中、玉座の間に移動していた。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:12:15.06 ID:G2liQR26O
鎮座する玉座に視線を移すと、そこには大柄の女性がいた。外見から想定される年齢は大凡20代後半、あなたより一回り歳上だ。

「ど、どちら様ですか…?」

おずおずと声を掛けてきた女性に、簡単な自己紹介をする。
新米の冒険者であり、神器を収集している者だ、と。

その言葉を受けた女性は、露骨に悲しそうな顔をした。

「なら、ここから出た方がいいです。私は神器に相応しくないので…」

何故か、とあなたが問うと、むぐ、と言葉を詰まらせて女性は俯く。
彼女が自分をどう思っていようと、神器である事実は不変だ。

神器たらしめる逸話が、証明が必ず残っている。
たとえそれがどれほど悲惨な物語だったとしても、その物語が存在していれば、神器となるのだ。

「でも、私は。ただ、残っただけ、なんです」

それは違う。そうあなたは強く言い切った。
運も実力のうち。とはよく言われる言葉だが、それは戦う人間にのみ当てはまることだ。
神器は自分一人では何も出来ない。武具であるが故に。
だが逆に、武具であるが故に使い手に極大の恩寵を齎すのだ。彼女を使っていた英雄だって、彼女がいなければ道半ばに屍になっていたはずだ。

「違いますっ!あのお方は、強い人だから…」

「私は…弱いから…。他の神器さんは、皆強かったから…」

でも、だって。と必死に否定を繰り返す女性に、あなたはなおも食い下がる。
どのような武具も、使い手が未熟ならただのガラクタだと、自身が一番知っているから。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:12:46.58 ID:q60dYNmqO
半ば口論になりかけたところで、あなたが大きく咳払いをする。
それに女性はギョッと驚き、玉座の影に隠れた。

「…えぇ!?!!」

怯える女性を無視して、あなたは現状を説明する。
自分は今、絶対絶命な状況にいること。周囲は溶岩に囲まれ、重い一撃を繰り出す強敵と戦っていること。
攻撃力は足りているが、防御力が致命的なまでに足りていないこと。

それさえあれば、勝てること。

「っ!?」

女性は、あなたの言葉に目を見開いた。

あなたは手を差し伸べ、もう一度言葉を紡ぐ。

生き延び、人々を救うために力を貸してほしい。
君は使えない神器じゃない。英雄様に相応しい神器だと証明してみせる。

そう、はっきりと言葉にした。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:13:47.69 ID:djJVJ7oiO
いつからか、孤独(ひとり)でいるのに慣れていた。
あのお方はもういない。命ある存在は、やがてこの世を去るから。
それは神の子孫であっても同じ。時が経てば身体は衰えて、病にも罹る。

あの人は最期に、何と言っただろう。

『お前は我の生きた証。お前は我の誇り。だから、我と共に消えてはならぬ』

『我が英雄に、王になれたのはお前たち神器があったからだ。この身一つでは、悪を打ち倒すことなど到底叶わぬ夢であった』

『故に。真に讃えられるべきは激闘を生き延びたお前だ。死にゆく老いぼれでは、ない』

そんなことを、言ってたっけ。

彼は何故、戦っていたのだろう。

富のため?名誉のため?
違う。苦しむ人を助けるためだ。

なら、私は何のために在り続けるの?

そんなこと、決まっている。

たとえ非力な神器でも、私を望む人がいるのなら。
その人のために、全てを捧げる。

私なんかの力で良ければ、いくらでも差し上げます。
だから、必要ならば私をお呼びください。私の名は。

王鎧袖『バヴルス』。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:14:17.97 ID:wuBOuwX2O
目を覚ますと、そこには石の棺があった。空洞にポツンと眠るそれは、不思議と安らぎを感じさせる。

焼け爛れた身体を無理矢理動かし、それに触れる。アラバコアと自身の位置関係からして、気絶してから数秒も経過していないようだ。

トドメを刺さんと構えるアラバコアを他所に、石棺を開ける。
そこには、人の頭一つ分と同じ大きさの肩当てがあった。

治療をある程度済ませたのと同時に、アラバコアが溶岩の荒波と共に押し寄せる。
狭い空洞の中では、上に逃げようとも避けられない。
文字通り、絶死の攻撃。

それが迫りながらも、あなたは笑った。

そして、声高らかに叫び、その名を呼んだ。汝の名は。

王鎧袖『バヴルス』
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:23:23.16 ID:UPj6ilHPO
閃光が周囲を照らし、視界を奪う。そして、轟音が鳴り響く。

アラバコアの一撃で、一人の人間は燃え尽き、すり潰された。

はず、だった。

「ーーー!?」

魚なので顔色は伺えないが、アラバコアが驚愕しているのが目に見える。

それもそのはず。その一撃で散るはずだった人間が、片手で突撃を受け止めていたのだ。
驚かないわけがない。つい先程まで満身創痍だった人間が、良くて互角のパワーだった人間が、防ぐなど有り得ないことだ。

獰猛な顔つきをしたあなたは、両手でアラバコアの顎(あぎと)を掴み、蹴り飛ばした。
外殻に罅は入らないが、その衝撃で巨体が浮く。
そのまま溶岩を泳ぎ、空洞から脱出。小島まで移動する。

『私の加護があれば、溶岩も打撃もヘッチャラです…!頑張ってください…!』

あなたは頷いて応え、拳を鳴らす。
そして、第二ラウンドの開始を告げるあなたの咆哮が、エルオム坑道に鳴り響いた。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/09(日) 20:24:30.38 ID:UPj6ilHPO
今日はここまで。次でアラバコア戦は終わりだと思います。

募集した冒険者はもう少し後に出す予定なのでお待ちください。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/09(日) 20:35:38.29 ID:0AeBlNC30
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/09(日) 22:41:25.12 ID:+VUuXkqxo
おつ!
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/10(月) 15:33:07.19 ID:+3pdd8rx0
おつ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/01/19(水) 08:30:39.35 ID:NvYML6GaO
明日の夜に更新予定です。
遅れて申し訳ありません。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/19(水) 09:57:21.00 ID:Uh93RZwGo
報告乙
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/19(水) 14:32:44.12 ID:qbHVxoeV0
多少間が空いても定期的に報告と投下をしてくれるから安心できる
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/26(水) 16:26:20.54 ID:jzsfrzK40
流石に一週間空くのはもうきついか……
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/26(水) 16:39:39.90 ID:gebejb9ZO
ここ最近止まるスレが多いなぁ
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:55:48.13 ID:Hetg/KVCO
投稿出来ず一週間以上音信不通で申し訳ありませんでした。
以後このようなことが無いように気をつけます。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:56:19.22 ID:Hetg/KVCO
生命を悉く焼き尽くす灼熱の中、人と鮪が鎬を削る。その争いの余波で、岩盤には亀裂が入っていた。

『パパ、頑張って』

『ますたー様ならやれるよぉ〜。わたしの舌を唸らせること間違いなしの激ウママグロ、期待してるからねぇ!』

『状況が状況とはいえ、力添え出来ないのは心苦しいのですが…。マスターならきっと、ううん、絶対に勝てます!』

『何があっても私が癒します。だから負けないで。死なないでっ!!!』

虚空からの声援を受け、激闘の中で青年は笑う。
いつだって、背中を後押しされるのは心地よいものだ。それが親しい者から送られたものならば、尚更。

蒼い瞳は輝きを増し、視線は氷点下になる。冷徹な眼差しの先には、逃れ得ぬ死に取り憑かれた哀れな犠牲者が映っていた。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:56:54.97 ID:Hetg/KVCO
ぞくり、と首を刎ねられたような錯覚を感じたアラバコアは、攻撃を止めた。
眼前の冒険者は防具を身につけているだけだ。自身を殺し得る武器を携えてはいない。

彼が様々な武器をしているのは、この対峙を経て知っている。
瞬間的に治癒を行える杖。風を放つ刀。確認出来たのはこの二つだけだ。
敢えて挙げるならば、つい先程入手した肩当ても入るだろうか。あれを身につけているとこちらの攻撃は意味を成さないのは厄介だが、あちらも有効打は無いので焦る必要は無い。はずなのだが。

防御を貫くことなど出来ないはずなのに、殺意は外殻越しに強く感じられる。
既に死が確定しているような、首元に牙が食い込んでいるような、絶望的な光景を幻視した。

そんなことはあり得ないと思考するも、破滅の未来が目の前に在り続けた。こうなると、話は別だった。
これ以上、奴と戦うのは危険だ。そう結論付けたアラバコアは、少し前まで持っていた強者としての矜持すら投げ捨て、保身に走った。

幾ら肉体が強靭になろうと、人間であるなら自身よりは速く泳げない。と、努めて冷静な判断をしながら。
背を向け、ただひたすらに海の底を目指し、遁走した。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:57:34.59 ID:Hetg/KVCO
敵意を感じなくなったあなたの行動は早かった。
即座にラーデインを装備し、跳躍。魔力の矢を溶岩の海に目掛けて撃ち出した。

水音と共に光の矢は海中に消える。静寂が空間を支配する。無音が続くこと数秒の後。

「ーーー!???!!!!」

溶岩の海が、爆ぜた。

効果は抜群だ、とあなたはしてやったりと言いたげな表情をする。
口角が上がり喜びをこれでもかと表現しているその顔は、悪人にしか見えないが。

ラーデインから引き出した音域魔法は、至って普通の音爆弾(ノイジーボム)だ。神器経由なので出力は段違いだがそれでも、アラバコアのような大物を仕留めるには無理がある程度の火力しか無い。

音は波であり、衝撃波でもある。爆音で窓ガラスが揺れることも、割れることも珍しいことではない。
凡人なら鼓膜が破裂して脳に著しい損傷を与える威力の音が、溶岩という液体の中で幾つも発生したのだ。
強烈な衝撃波がダイレクトに、その巨体を揺らす。死にはしないとはいえ、相当に堪えることは想像に難くない。

幾重にも重なる爆発に、アラバコアは海中から引き摺り出される。
苦痛から逃れようと飛び出したアラバコアは、さながら一本釣りされたマグロのようだった。

『あ、これは勝ちだね』

空中の巨大マグロを目にしたアマネが、確信を持って呟いた。
それもそのはず。今浮かんでいるアラバコアは、衝撃波によって外殻が剥がれ、その本体を剥き出しにしていたのだ。
防御を無視して絶死の斬撃を放つアマカケルの権能がある時点で、アラバコアは狙われる隙を作ったら敗北確定なのに、空中という身動きが取れない状態で自身を護る鎧を失っているのだ。
これでアラバコアが勝ったら逆におかしい。この状況ではどんな保険に入っても助からない。御陀仏確定だ。

それでも、と最期の抵抗として体表の溶岩を振り撒くアラバコアに、あなたは無慈悲に刀を向ける。

そして、音を置き去りにする一閃が、命を断ち切った。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:58:14.10 ID:Hetg/KVCO
これで終わった。そう告げる長い溜め息が、空洞に響く。
スターロードの権能で傷を治しながら、あなたは周囲を見渡した。

激戦の爪痕がそこかしこに残されており、今にも崩れそうだ。というより、現在進行形で崩れている。
拳大の石が頭に落ち、砕けた。ほんのちょっと痛い。

ここに長居したら、流石のあなたでも生き埋めになってあの世行きになるのは確定的に明らかだ。
これ以上留まる必要は無い。とあなたは足を進める。

『あぁ…至高の大トロがぁ〜…』

エルオム坑道から脱出までの間、項垂れるアマネの落胆の声がずっと聞こえていた。

『え、えと…。ドンマイですぅ…』

そして、新入りのバヴルスがそれを宥める過酷なお仕事に就いていた。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:58:46.96 ID:Hetg/KVCO
坑道を抜けると同時に、入り口が崩落した。これでは、二度と中に入れないだろう。
だが、問題は無いはずだ。新米冒険者の訓練場が一つ潰れただけで、深奥に潜んでいた大いなる脅威は排除された。

無用な犠牲者が増え、エルダの町が炎に包まれお祭り騒ぎとなる悲劇は避けられたのだ。めでたしめでたしである。これほど素晴らしい喜劇は他に無い。

「めでたしめでたし!じゃあないよぉ〜…。確かに死人が増える事態は避けられたからそれはいいことなんだけどさぁ。わたしは数多の美食家(グルメ)が一生を捧げてでも追い求める『神泣かせの大トロ』って言われるアラバコアを一口でもいいから味わいたかったよ…。あ、神泣かせ云々は今適当にでっち上げたんだけどねぇ」

「でも絶対美味しいと思うんだよねー…。わたしたち神器と同じような感じでその味が言い伝えられてるんだから、不味かったら詐欺だよ詐欺。何百年も人を騙すとか、思い付いた人は悪魔にも劣る畜生だよ」

ここまで熱弁するアマネを見るのは久しぶりだ、と手の届かないところに行ってしまったアマネをあなたは遠い目で見る。

そして、あんな場所で生きてる魚が美味いわけがない、というあまりにも無慈悲なマジレスをかました。

「それを言ったらおしまいだよぉ!!!!!夢くらい見させておくれ!!!!!!!」

と、容赦の無い一撃に悲痛な叫びを上げる美食家アマネだった。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/01(火) 10:59:43.82 ID:Hetg/KVCO
時間が無いのでここまでです。
お待たせして申し訳ありませんでした。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/01(火) 11:36:27.52 ID:cNBwp84Lo
おつおかえりー
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/01(火) 18:29:02.48 ID:AWa/8TX/0
よかった
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/01(火) 20:32:30.89 ID:xs+uN0zF0
乙です
アマネ楽しいキャラしてるなあ
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:54:27.69 ID:vWMW32riO
少しだけ投稿します。
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:55:26.75 ID:vWMW32riO
帰路の途中で治療を終えたあなたは、閉じていた片目を開ける。視界は良好、視力も正常。完治したと断言出来る。

「普通なら再起不能レベルの負傷だったんですけどね。マスターの耐久力には驚かされますし、私の権能が役に立って嬉しいですっ」

ルーナの言葉に首肯で返答し、視線をバヴルスに移す。彼女は宇宙の真理に気付いてしまった猫のような、呆然とした表情をしていた。

「どうしました?」

ヒミカの問いに、あうあうと言葉にならない声を漏らしバヴルスは困惑していた。何かあったのだろうか。

「あります。もの凄くあります。…その、どうして神器の私が、人の形をしているのか。本当に意味が分かりません…。あの人と一緒にいた時も、防具として存在していただけですから…」

「心象風景(クオリア)の私にそっくり…というか、私そのものなんです。その、服まで完全に再現されてて…あうぅ…」

そう言って顔を赤らめるバヴルスは、凄く露出度の高い服装をしていた。エッチなのはいけないと思います。
自分からそういう服を着ているのに恥ずかしいのはおかしい気がする。

「わ、私だってこの服が好きなわけじゃ…」

首を横に振り否定するバヴルスのたわわがぶるんぶるんと揺れる。重ねて言うがエッチなのはいけないと思います。

「うぅ〜…!」

恥ずかしさからか、バヴルスの目尻に涙が浮かび始めた。これは不味い、とあなたは彼女慰め、話を進めることにした。
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:56:08.83 ID:vWMW32riO
「その、なんだ。これはますたー様の持つ魔法のようなものでね。詳しくはよく分からないけど、ますたー様を保有者と認めたら、わたしたちもこうなったんだよねぇ」

「無機物に命を与える魔法…ですか?」

「ううん、違うね。わたしたち神器を生まれ変わらせる魔法…と解釈した方が正しいかな。無機物に命を与えるのなら、彼が買った武器とかも人になってなきゃおかしいからね」

「魔法なのか体質なのか、そこまでは分からないけど。それでも、魔法に相当する異質なものであることは確かだね。だから、ますたー様は『再誕(リンカーネーション)』って呼んでる」

あなたは頷き使い物にならなくなった剣を見せる。命を与える魔法であるなら、これにも命は宿るはずだ。
だが、何も起こらない。うんともすんとも言わないそれを、あなたは片付けた。

「…あなたって、何かとんでもない血筋の生まれだったりしません?例えば、神族の末裔だったり英雄の子孫だったり」

得体の知れない何かを見るような目をしたバヴルスの問いに、あなたは大した血は流れてない、と否定する。
ただ、貴族の家に産まれた恵まれた人間だと、皮肉を込めて答える。
あなたは恵まれていた。衣食住には困らず、自由を謳歌していたから。
あなたは恵まれていた。本来なら長い時間と努力を費やして見つけ出す伴侶を、労せず得ていたから。

その全てが、自分を縛り付ける枷にして、自分を閉じ込める鳥籠だと、気付いてしまったが。

あなたは不運だった。共に戦った戦友、付き従う神器以外から、或いは彼らからすらも、人として扱われていなかったから。

彼を真に理解する人は、誰一人として存在しない。
化け物のことなど、誰も知りたくないから。
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:56:58.37 ID:vWMW32riO
undefined
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:57:30.64 ID:vWMW32riO
意気揚々とエルダの町帰還したあなたは、店仕舞いの最中だったギルドに入る。
目を点にしたメリッサと、入った瞬間に視線が交錯する。

「おかえりなさい。あの、エルオム坑道はどうでしたか…?」

問題は解決した、とあなたは答える。それに付け加え、犠牲者のドッグタグを回収出来なかったこと、エルオム坑道が盛大に崩落したので、二度と立ち入ることが出来なくなったことを謝罪した。

「あ、いえ。それは大丈夫です。犠牲者はこちらでも把握してますし、あんな事態になった以上、金輪際立ち入りは許可されないと思ってましたから」

メリッサの返答に、安堵の表情を浮かべる。怒られないで済むならよかった。

「…やっぱり、お強いですね。あの時から変わらず」

それだけが取り柄だと返し、あなたは踵を返した。
そして、去り際に一言だけ呟く。

「………!いえ、それでは申し訳ありません!私に出来ることなら、何でもいたします!」

報酬は要らない、という呟きに対する爆弾発言に、あなたは面食らった。
そもそもとして、あなたは今回の依頼でマトモな報酬が出るとは露ほども期待していなかったのだ。
ギルド経由の依頼ではなく、今回はメリッサが個人的な依頼をしただけに過ぎない。
本人から直接そう言われたわけではないが、報酬について何も言われなかったことや腫れ物に扱うように掲示板に掲載されず放置されていたことが言外に示していた。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:57:56.47 ID:vWMW32riO
だから、報酬は必要無い。労働の対価は当然必要なものだが、あなたは既に受け取っている。
血湧き肉躍る溶岩洞窟の探索、久方ぶりの強敵との対峙、死力を尽くして得た勝利、その最中で巡り逢った神器。
どれもこれも破格の収穫だ。報酬としてはあまりにも多いのでまだ働かなくていいのか寧ろ疑問なくらいだ。

故に、メリッサの返答はあなたとしても非常に困る。人並みに物欲等はある方だが、こういった自分に有利な状況に託けて欲望を満たそうとするほど、あなたは外道に堕ちてはいないのだ。

だが、何かしらを受け取らねばメリッサが引き下がらないのは明白だ。
あなたは逡巡し、譲歩案を出すことにした。

「そ、それだけで良いのですか!?」

構わない、とあなたは頷く。疲れた身体を休めるには、美味い飯が一番だと相場が決まっている。

あなたの胃袋を満たし、満足させる一食。それが、あなたの要求だった。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:58:28.01 ID:vWMW32riO
ギルドを閉め、制服から私服に着替えたメリッサは、何やら赤面しながら先導する。
対するあなたは至って自然体。だらけにだらけきっている。激闘の後で疲れているのだから、さもありなんと言う他無いが。

「じ、実は女性の家に入るのは慣れてたりしますか…?」

そんなわけがない。ただ単に、メリッサが意識するほどの関係性ではないだけだ。
ギルドに所属する受付嬢にして、愉しい依頼を斡旋してくれた恩人。ただそれだけだ。
そんな人をどう意識しろというのか。ご教授いただきたいくらいである。

「そこまで言われると、何も言えませんね…」

はうう、と項垂れる受付嬢メリッサの表情はかなり落胆していた。
彼女の態度からして、何かしらで面識があるのは間違いないが、彼女と出会った記憶が無い。
ここまで美人ならそうそう忘れないと思うのだが。

思い出せずにいたあなたは、程なくしてメリッサの自宅に到着した。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 01:59:03.89 ID:vWMW32riO
「狭い場所で恐縮ですが、ゆっくりしてくださいね」

ドアを開けるとそこには、二人用のサイズの机と二脚の椅子が置かれた部屋が目に入った。
なるほど、確かにこれは狭い。一人暮らしならこれで充分なのだろうが。

「まあ、そうですね。数年前はもっと大きな家に住んでいたのですが…」

そう告げたメリッサの表情は暗かった。嘗てはエルダの町も戦火に包まれていた。
戦火に巻き込まれ、喪ったのだろう。家も、家族も、全て。そういう話はよくあることだ。

懐かしい記憶だ、とあなたは物思いに耽る。戦列に加わったのが八年前で、この町で魔王軍を迎撃したのが六年前だったか。
あの時は物資も少ないし神器なんて大それた物は持ってなかったから、苦労したものだ。
何人仲間を喪ったことか。何人仲間を除名したことか。きっと、彼らからは恨まれているだろう。
別にそれでもいい。恨まれることには慣れているし、あの時の選択に後悔は無い。

各々が過去に思いを馳せ、暫し無言になる。
気まずそうにメリッサが咳払いをしたので、思考を中断させる。

「せっかくのもてなしなのですから、こんな暗い雰囲気は終わりにしましょう」

メリッサの発言と同時に、ワインボトルが置かれる。何の変哲もない、至って普通の白ワインだ。
酒は苦手だ、と苦笑するが、ジュースのように爽やかだから大丈夫だと返されたので、お言葉に甘えることにした。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 02:09:48.91 ID:vWMW32riO
ここまでです。

まだパンピー冒険者を出してないのに申し訳ないですが、少し募集をば。
今回募集したいのは戦友枠と妹枠、婚約者枠です。テンプレは前回のをご利用下さい。
条件的なのは下に記述してますので、ご参考にどうぞ。
ティンと来たキャラクターをこちらで採用します。
質問等あれば、時間が作れた時になるべくお答えしたいと思います。


【戦友枠】

男女問わないが、年齢は二十歳以上限定。
途中離脱した人でも良し、最後まで共闘した人でも良し。
基本皆バカ強いが、あなたには一歩劣る。
魔族と妹は戦友枠に選べません。


【妹枠】

ガチ妹でも義妹でも良しだが、魔族はNG。
種族は魔族でさえなければ何でもOKですが、21歳以下限定です。
どうしようもないほどに弱いですが、執務に関しては完璧に出来ます。
なので現時点ではあなたの家の当主です。


【婚約者枠】

種族は問わない。魔族もOK。
年齢も問いませんが、エリューナ王国(あなたの祖国)の関係者であることは固定でお願いします。貴族も民間人も王族も大丈夫。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 02:11:36.66 ID:QLMjWSUc0
乙でした
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 02:12:54.04 ID:eVojw9g30
テンプレは>>57でおk?
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 02:18:11.30 ID:QLMjWSUc0
テンプレに魔法枠あるけど、この世界の人々は魔法はデフォルトで使うもんだと考えていいの?
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 02:28:09.47 ID:vWMW32riO
>>118、おkです。

>>119、皆魔法を使えます。火を起こす、水を作る、程度の魔法なら余程才能が無い限り誰でも扱えます。ちなみにあなたは使えません。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 02:52:05.58 ID:3Nrow5D1O
戦友枠で「魔族と妹は戦友枠に選べません」と書いてあるが戦友枠も魔族NGと考えていいの?
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 03:35:11.92 ID:vWMW32riO
>>121、おっしゃる通りです。魔族は婚約者枠にしか入れられません。
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 05:48:27.41 ID:eVojw9g30
【戦友枠】

【名前】エルヴィス・レイヴンクロフト
【性別】男
【種族】人間
【魔法】相手の全能力を下げる強大なデバフ
【詳細】
常に不敵な笑みを崩さない金髪碧眼の美青年、華々しい貴公子然とした男。27歳。戦後も精力的に活動しており、民衆にとって最も有名な英雄
細剣使いだが、それ以上に知略面でパーティに貢献した参謀役。魔王軍との戦いでは知略をもって敵を翻弄し、権力者達の下らぬ嫉妬や陰謀をすべて見抜いて返り討ちにした
戦後は落ち目の公爵家に婿入りし全権を掌握。更なる地位と名声を得るべくその智謀を巡らせている根っからの野心家
善悪で言うなら間違いなく悪党だが、彼の目的は悪徳ではなく地位と名誉であるため、民衆に対しては美しき英雄、良き為政者として振る舞い、すべての陰謀は水面下で進行させる
栄誉を貪欲に望み権力闘争を楽しむという点で"あなた"とは正反対の人間だが、敵に対する冷酷さは一致しており、ウマは合うらしい
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/04(金) 08:19:01.47 ID:vWMW32riO
おまけのアラバコアの情報です。


アラバコア

別名【溶岩鮪】。災厄獣には該当しないが、数々の神話でも存在と所業、美味さを語り継がれる悪名高い魚。
成体は全長6mにも及ぶ巨体となり、溶岩の熱から自身を護る岩石の殻を身に纏う。
この殻は溶岩中の成分が固着したものであり、様々な希少金属もその中に含まれているので強度は上々。
好物は溶岩内に生息する魔物。

神話ではベタ褒めされているその肉だが、実際には金属成分等で汚染されているので食えたものじゃないし、食ったら高確率で中毒を起こして天に召す。
神様好みの味なのであって、人間の舌にはとことん合わないのだ。
これは、人間と神の肉体の在り方そのものが違うことを表している。

また、その外殻に希少金属が含まれているのは事実だが、精錬する手間を考えたら普通に原石や鉱床を採掘して精錬する方が効率的で良質な武具を作れるので、まさに煮ても焼いても食えない益の無いクソ魚なのが現実だ。
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 09:24:07.78 ID:dAfOhEEy0
まんまモンハンのヴォルガノスで草
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 18:58:22.04 ID:/YcSxygW0
【戦友枠】

【名前】ライト・ギルファ
【性別】男
【種族】人間
【魔法】雷を操る魔法
【詳細】いつも明るくポジティブに考える青年。銀髪でツンツンヘヤーの21歳。平民で田舎育ち。戦斧使いでパーティーの中でも必ず前線にたっている。パーティー内ではムードメーカー的な存在でパーティーの人達の支えになっている。コミュ力が高くパーティー以外にも他の人達と話したり、友達になっている。いつか最強の戦士になることを夢にみる。主人公とはライバルでもあり親友でもある。
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/04(金) 21:26:10.69 ID:Vdimlxll0
婚約者かつ戦友枠はOKですか?
主人公の力になりたくて同行した感じみたいな
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2022/02/04(金) 22:28:41.96 ID:vWMW32riO
>>127、大丈夫です。
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/05(土) 00:32:19.11 ID:44j+0ltv0
undefined
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2022/02/05(土) 00:50:09.95 ID:44j+0ltv0
>>128 回答ありがとうございます
【戦友枠】兼【婚約者枠】

【名前】フィズ・クラウディア
【性別】女
【種族】人間
【魔法】彼女の蒼い目で見た魔法を解析し無効化する。彼女が生まれ持った異端の魔法
【詳細】薄い蒼色のセミロングの髪の、ぽかぽかなお日様のような雰囲気を持つ、あなたと同じ歳の女性。感情豊かで明るく、かつ優しく好奇心の強い性格
生まれ持った魔法を理由に、平民の両親ではフィズを護れないと判断され、エリューナ王国の軍の重鎮たる貴族家に引き取られる
フィズは自身が持つ魔法故に周りから一線を引いた目、畏れた目で見られふさぎ込んだ性格になっていた
ある日、あなたと会ったフィズはあなたの『再誕(リンカーネーション)』を『視』てしまう
今まで見たどんな魔法、自身の魔法よりも規格外の魔法だったが、しかしその術者は自分と同じように傷ついてる普通の男の子にフィズには見えた
同じ年頃の子と言うこともあり、フィズはあなたに積極的に交流し始め、それをきっかけに、クラウディア家の人や、使用人達とも親しくなり、生来の明るい性格を取り戻していく
同じ歳、同じ境遇の気になる男の子。あなたと交流を深めていくにつれ、フィズの感情は共感・興味から親愛、そして思慕に変わっていく
成長したフィズはあなたとの婚約が決まり、大喜び
花嫁修業だと様々なことに努力し、また規格外の力を持つあなたと一緒にいるために、他の魔法や護身術、杖術を磨き、様々な知識も学んでいった
あなたが魔王軍を討つ旅に出ると聞くと、周囲の反対を押し切り同行。魔法対策役兼、パーティーの重要な裏方として、旅の最初から最後まで共にいた
戦いが終わり、フィズはとうとうあなたと結ばれると喜び、あなたの失踪を知る
なぜ? あなたは本当は私を嫌っていたの? 私を疎ましく思っていたの? ……あなたのことを分かってあげられなかったの?
クラウディア家当主は、愛娘(フィズ)を置いかれたことに激怒し、惚れた男なら追い求めてでも添い遂げろとフィズに発破をかける
義父の発破に立ち直ったフィズは、あなたを追い求め、今一度旅立ったのであった
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 05:21:08.12 ID:2w22M0We0
【戦友枠】

【名前】イステリ・オーウェン
【性別】男
【種族】人間
【魔法】思考加速。己の思考速度を数倍にし、一瞬で様々な考えを巡らせる
【詳細】
探検家のおっさん。無精髭の目立つズボラな男だが神話知識と探索能力は一級品。そして逃げ足が凄まじい
基本的にはソロなのだが、"あなた"の行く先々の遺跡や秘境で遭遇し、成り行きで加入と離脱を繰り返した
最終決戦には同行していないが、神器の入手において"あなた"達に多大な貢献をしている
鞭とナイフがメインウェポンだが戦闘力は(他の面子と比べて)低い。しかし無駄な戦闘を避ける事が得意で、遺跡の罠を利用して敵を一網打尽にするなど、創意工夫に余念がない
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 18:54:04.17 ID:x3CRYFIfo
戦友

【名前】ツァルク・ティッツィ
【性別】男
【種族】エルフ
【魔法】補助・回復系、光属性、聖属性
【詳細】長い金髪で長身の神官で、人間で言えば30歳程度に相当する
寡黙だが繊細で思いやりがあり、仲間を気遣う頼りがいのある男
「あなた」の苦悩をある程度察しているが完全に理解できているわけでもないため
なんと声をかけたらいいか分からず見ていることしか出来ないのを人知れずもどかしく思っている
戦いが終わってからも「あなた」のことを気にかけて定期的に手紙を送っていた
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 18:57:16.98 ID:x3CRYFIfo


【名前】アリス・フォン・テアラント
【性別】女
【種族】人間
【魔法】中級程度の魔法なら大抵そつなくこなせる
【詳細】ロングの黒髪にカチューシャをつけた、年齢以上に大人びているクールでしっかり者の18歳
異常な身体能力を持ち考え方が貴族らしくない兄を見て「あっ、これ当主を継ぐのは私だな」と察して幼いころから当主になることを見据えて生きてきた
すでに当主としての高い意識を備えており、当主としてはめちゃくちゃなことをしてくれた「あなた」を許さないというスタンスだが妹としては「あなた」を気にかけている
人間離れした「あなた」を決して恐れてはいないが当主という立場があるせいであまり「あなた」に肩入れしすぎることもできず板ばさみになっている
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 22:22:31.39 ID:nmGLR2jT0
【婚約者枠】

【名前】ラウル・エアリス
【性別】女
【種族】人間
【魔法】植物系魔法(その場で花や草木等を生やすことができ、それを操ることができる。生やした草木は相手を捕縛、攻撃、防御ができ、さらにいるだけで回復できる花をを咲かせる事も可能)
【詳細】ショートで黄緑髪の女性。おしとやかな性格でいつも笑顔でいる。花が好きでよく花を育ている(植物に関する知識も豊富)。エリューナ王国出身の貴族で母親が植物学者、父親が商業関係のトップ。"あなた"と同じ歳で幼馴染み、よく一緒に旅をすることがある。姿はみたことないが"あなた"のとこに神器がいることは知っている。戦闘時は杖を武器に戦いそこで植物系魔法で闘っていく。子供の頃に結婚の約束をした事があり、本人は覚えている。今でも"あなた"の事が好きで結婚の約束を果たそうと考えている。
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/05(土) 23:08:00.44 ID:MV/k2v1W0
【戦友枠】

【名前】ギルバート
【性別】男
【種族】人間
【魔法】重力魔法
【詳細】
通称"黒騎士"。全身鎧を纏った寡黙な騎士。魔王軍に故郷を焼かれ、家族も恋人も失った。魔王を倒せば復讐を終えられると思っていたが、憎悪の炎が消える事はなかった
今は魔王軍の残党狩り部隊を率いているが、職務の範疇を越えて暴走しているとの噂もある
「戦争は終わった」と割り切れる程彼の憎しみは軽いものではなかった。すべての魔族を[ピーーー]か、彼自身が死なない限り、その復讐は続くだろう
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 12:03:45.59 ID:7yNp2NkF0
【妹枠】

【名前】ミラ・ルーファス
【性別】女
【種族】人間
【魔法】自身のIQ(頭脳)高める魔法。それにより高い情報分析や作戦などが可能になる
【詳細】黒髪ポニーテールの19歳の女性。無表情で感情を出さないがしっかり者ではっきりと言うことがある。生まれてから孤児で"あなた"の両親に引き取られる。その為、義妹で"あなた"とは本当の兄妹ではない。それでも"あなた"とは普通の兄妹として接している。"あなた"の行動に関して少し心配している。"あなた"に憧れて旅に興味はあるがどちらか言うと戦闘向きではないため執務に専念している(魔法も活かして執務を行っているので周りから本当の当主と思っている人も多い)。
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 16:54:25.63 ID:Beq+XET60
【戦友枠】

【名前】ドノン
【性別】男
【種族】マイコニド
【魔法】生命力(マナ)を操る魔法。特に植物を生み出し操る魔法が得意
【詳細】大魔術師。ずんぐりとした体躯の二足歩行する巨大なキノコ。腐った沼のような色のローブを着ている
浮世離れした性格で、寡黙で鈍重でマイペース、何を考えているかわからない
マイコニドは魔族寄りの中立種族で、文明を持たず、意思疎通も難しいためほとんど魔物同然に扱われてきた。これは偏見ではなく、実際森に迷い込んだ者が襲われた事例は多い
この個体は文明に興味を持ち森を出た異端者で、幸運な出会いに恵まれ魔法を学び、大魔術師として大成した
彼は「文明」への恩返しとして人類に助力し、魔王討伐の英雄の一人にさえなった
しかし、人々はこの英雄になった野蛮人の扱いに困っており、腫れ物のように放置されている。嫉妬する魔術師も多いが、彼はまったく気にしていない
更なる知識を求めて気ままな旅を続けているようだ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 21:20:47.95 ID:0cMDG0tGO
【戦友枠】

【名前】ブレッド・ラウディア
【性別】男
【種族】獣人
【魔法】氷雪系魔法 威力も高く炎とかも簡単に消せる。
【詳細】白髪でオオカミの耳がついている25歳の筋肉質の男性。性格はクールだが天然な所がある。昔故郷の村が魔物に襲われて家族を失った事がある。"あなた"と共に魔王軍と戦い英雄になった。今はソロで魔物の討伐をしている。"あなた"が困った時、一緒に協力してくれる。協力した後はよく一緒に飲みに行くくらい"あなた"とブレッドは今でも友達になっている。格闘家で武器は鉤爪を使い戦っている。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/06(日) 21:23:00.36 ID:072Weh+B0
七英雄的な総称ありそう
225.33 KB Speed:0.3   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)