エンド・オブ・ジャパンのようです

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148 : ◆vVnRDWXUNzh3 [sage saga]:2023/02/01(水) 23:14:52.38 ID:qlo4HhBq0
ASEAN、オーストラリア、そして中国。列強の海空軍を尽く捻じ伏せ薙ぎ払い、欧州やアフリカでは既に沿岸部への浸透を始めていた、弱点どころか正体すら禄に解明されていない得体のしれない化け物の大軍団との戦いを控えていた“あの時”と立場としては同じだ。

確かに、戦力自体は今回の方が恵まれてはいる。艦娘がおり、基地航空隊があり、しっかり最新式の対空砲や装甲車、ミサイルが数こそ少ないが用意され、戦闘員の人数もこの事変が起こる直前に幾度かの増強が間に合い一先ず1500に迫る程度には確保されている。
だが、向かってくる深海棲艦の数は6年前の数倍にもなり、その旗艦は今までに前例がないほど凶悪かつ強力な存在で、ここにいる艦娘たちより遥かに練度が高い艦隊でもまるで歯が立たなかった存在だ。しかも今この瞬間に攻勢をかけてきている分に関しても、その物量の底は不明でそもそも【学園艦棲姫】以前にこれらさえ凌ぎきれるかどうかは解らない。

「…………クソっ、とまれ……止まれよ…………震えるなよ……寒くねえだろっ………」

「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない……お母さん……私死にたくない………!」

自分は、まだ“耐性”がある。だがアレを経験したのはこの場では自分だけ。何なら今この鎮守府内にいる隊員の大半は、石田一等海尉らが前線に出張ってしまったこともあり艦娘実装後の安定的な戦いしか知らない若い連中だ。

であればこの、必要以上の恐怖と緊張、焦燥に押し潰されそうな絶望的な空気が蔓延することを、一概に「情けない」と言えるものではないだろう。











「─────県正久(あがた・まさひさ)一等陸尉より、鎮守府施設内総員に伝達する」

そこまで考えが及んだ時、自分の指は、自然と無線のスイッチを握っていた。

「若き士官たちよ、これは諸君らの先輩の、或いは………無駄に歳を食ったうだつの上がらんおっさん尉官の戯言として、恐怖で震えてチビる序でに聞いていてほしい独り言だ」
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