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プリキュア作るぞ part2【安価有】

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853 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/25(水) 23:40:06.51 ID:mTknkx8No
ガプッ

シキ「……」

カプカプ

シキ「……」

ガププッ

シキ「……桜野」

桜野「…………なに」

シキ「……手首噛むの、もうやめるです」

桜野「…………やめたら……消えちゃう」カプッ

シキ「っ……! でもあの子はっ……!」

桜野「わかってるよ」

シキ「……っ」

桜野「コスモスを殺したのはわたしだもん」

シキ「……」

桜野「…………はぷ」ガプッ

シキ「……」

桜野「…………んちゅ、ん」ガプガプ

シキ「……桜野」

桜野「…………なに」

シキ「……よかったの?」

桜野「…………なにが」

シキ「……お風呂」

桜野「…………」

シキ「……」

桜野「…………無理だよ。わかってるでしょ」

シキ「……」

桜野「みんなには見せられない。見せられるわけないよ」

シキ「……」

桜野「こんな……」ギュ

シキ「……っ」



桜野「………………痣だらけのカラダ」
854 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/25(水) 23:40:39.49 ID:mTknkx8No
ここまで
こってりします
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/25(水) 23:43:26.48 ID:3sxeC/kHo

リスカどころじゃねえな
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/25(水) 23:57:27.61 ID:D/QcfBUP0

こってりに加えて野菜もアブラもましましで!
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/26(木) 00:04:33.69 ID:VWhfNdK4o
麺半分で……
おつ
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/26(木) 00:08:17.69 ID:lwLA7HKlo

替え玉も一丁!
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/26(木) 20:02:13.31 ID:GS4Bubzuo
───実はあるんだろう?
朱さんが仕掛けた盗撮用の隠しカメラが──
860 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 22:35:02.40 ID:h/pand+io
桜野「…………そうでしょ?」

シキ「でもっ……!」

桜野「…………みんなびっくりしちゃうもん」

シキ「それでもシキは……! みんなに話すべきだと思うのですっ……!」

桜野「…………どうして?」

シキ「どうしてって……! だって……!」

桜野「話したからってどうなるの? いたずらにみんなを不安にさせるだけだよ」

シキ「きっとみんな寄り添ってくれるのです……! 桜野の力になってくれるのです……!」

桜野「…………わたしのことなんかどうてもいいんだよ」

シキ「桜野っ……!」

桜野「そんなことより」

シキ「そんなことなんかじゃ……!」

桜野「そんなことより」ズイッ

シキ「……!」ビクッ

桜野「大事なことは別にあるの」

シキ「べつ……?」

桜野「遅かれ早かれだから、シキには先に話しておくね」

シキ「な、なにを……」

桜野「あのね……」



透母「桜野ちゃん?」



桜野「!」ピクッ

シキ「!」サッ

桜野「あ、透ちゃんのお母さん……」

透母「おばさんでいいわよ。お風呂は?」

桜野「あ、わたし……あとでいただきます……」

透母「そう? んー、それじゃあちょっといい?」パタパタ

桜野「?」

透母「おばさんの話、聞いてもらえる?」

桜野「は、はい……?」
861 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 22:47:16.39 ID:h/pand+io
透母「……」

桜野「あの、話って……?」

透母「桜野ちゃん」

桜野「はい……?」

透母「ありがとね、透のこと」

桜野「え? えっと……どういう……?」

透母「ねぇ桜野ちゃん、透と初めて会った時どんな感じだったか覚えてる?」

桜野「え、はじめて? えっとぉ……」

透母「感じた通り素直に言ってくれていいわよ。気を悪くしたりしないから」

桜野「じゃあ、えっと……透ちゃんが転校してきた時だから……最初はその、ちょっと怖い人なのかなって思いました。目つきがこう……鋭い感じで」

透母「うん」

桜野「それで、あの……ちょっと厳しい人なのかな、みたいな印象も……」

透母「ふふっ、そうね」

桜野「あ、す、すいません……」

透母「ううん、あの頃は確かにそんな感じだった。鋭くて、近づいたらこっちが怪我しちゃうくらい」

桜野「はい……」

透母「でもね、昔からそうだったわけじゃないのよ」

桜野「あ、あのアルバム見ました」

透母「あ、そうだったそうだった。アルバムは小さい頃のしかないけど、あのまま大きくなったイメージね」

桜野「なんていうか、ポヤポヤな……?」

透母「ふふふっ、そう、ポヤポヤ。天然っていうか、親としてはちょっと危なっかしいかなって感じの子」

桜野「ふふっ、たしかにちょっと不安かもです」

透母「……それと、よく笑う子」

桜野「笑う……」

透母「些細なことでもね、本当に楽しそうに笑う子だったの」

桜野「透ちゃんが……」

透母「それがね……変わってしまった……」

桜野「……」

透母「前にあの子ね、行方不明になったの」

桜野「……!」
862 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 23:12:06.31 ID:h/pand+io
桜野「ゆくえ、ふめい……」

桜野(それって……シーズンランドにいた時の……)

透母「うん。まるで消えたみたいに、本当に突然いなくなっちゃってね」

桜野「……」

透母「いろいろ手を尽くして探し回ったけど、小さな手がかりすら見つけられなかった。なにも進展がないまま時間だけが過ぎていって……あの時は本当に、生きた心地がしなかった」

桜野「……」

透母「でもね、もう見つからないんじゃないかって心が折れかけていた時に、あの子帰ってきたの。いなくなったときと同じで突然」

透母「嬉しかったわ。お父さんと2人で泣いて喜んだ。抱きしめて、もう絶対離さないって誓った。だってもう二度と会えないかもしれないって思った娘に会えたんだもん」

透母「でも、それで解決じゃなかった」

桜野「……」

透母「戻ってきたあの子は前みたいに笑わなくなっていた。それどころか、戻ってからしばらくは話すことすら」

透母「ずっとなにかに怯えてるみたいな、ずっとなにかを恨んでるみたいな顔してた。一日中部屋にこもってる日もあれば、いつの間にかいなくなって夜遅くに帰ってくる日もあった。ほとんどなにも食べてくれなかったし、話しかけてもまともな反応はなかった」

透母「行方不明のあいだに何かあったのは間違いない。でも何があったのか、どれだけ聞いても教えてはくれなかった。せっかくあの子が帰ってきて元の日常が戻ってきたって思ったのに、透は日に日にやつれていってずっと苦しそうにしてた」

透母「それなのに私たちはなんにもできなくて。情けない親よね。娘がなんで悩んでいるのか、ほんの少しだって理解してあげられなかった」

桜野「そ、そんなこと……!」

透母「……でもね、お父さんと決めたの、あの子のためならなんでもしようって。きっとまた前みたいに笑えるようになるからって」

透母「だからあの子が転校したいって言い出した時も、すぐに引越しの準備を始めた。理由は聞けなかったけど、それでもよかった。環境が変われば、あの子にもいい変化があるかもしれないって思った」

透母「それになにより、戻ってきてから初めて、あの子がしたいって言ったことなの。そんなお願い、叶えないわけにはいかないもんね」

桜野「……はい」

透母「すぐに転入の手続きをして、お父さんはお仕事の引き継ぎとかあったから先に2人で引っ越してきて……それで転校初日、帰ってきたあの子ね、なんだかすごく落ち込んでるみたいな、怒ってるみたいな、そんな感じだった」

桜野「あ……」

透母「転校なんて初めてだし、上手くいかなかったんじゃないかとか悪いことでもあったんじゃないかとかって不安になって透に聞いたの、学校どうだったって」

透母「そしたらあの子、うるさい、話しかけないで、ひとりにして……って」

桜野「そ、それは……」

透母「チャンスだって思った」

桜野「チャンス……?」

透母「だってそれまで話しかけても心が失くなっちゃったみたいな反応しか返ってこなかったのよ? それがあんなに感情むき出しにして」

桜野「……」

透母「それからは毎日学校のこと聞いた。今日はどうだった今日どうだったって毎日。最初はなんにも話してくれなかったけどね、だんだん我慢できなくなってったみたいで、少しづつ話してくれるようになった」

透母「その時話してくれたのが、桜野ちゃんのことだった」

桜野「わたしの……」
863 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 23:31:30.80 ID:h/pand+io
透母「行方不明になってからこっち、なにを聞いても黙って俯いていたあの子がね、あなたの話をするの。口を開けば岸波さんがって」

透母「なんだかとってもイライラしているみたいで、誰かに感情をぶつけなきゃ気が済まないって感じだったなぁ」

桜野「え、あ、ああ……確かにあの頃はすっごい怒らせちゃってて……」

透母「でもね……本人は気づいてなかったと思うけど、あの時の透、なんだか楽しそうだった」

桜野「た、楽しそう……ですか?」

透母「うん。イライラはしてるんだけど、なんていうのかな……やんちゃな友だちの行動に呆れてるみたいな……」

桜野「あー……」

透母「思い当たる節ある?」

桜野「えーっと……へへ……」ポリポリ

透母「ふふっ……ともあれ、それからは毎日あなたのことを聞いた。その度にどこに腹が立ったか教えてくれた」

桜野「あは、は……」

透母「ずっと浮かない顔のあの子だったけど、あなたの話をしている時だけは元気だった。あなたを話をする度に、あの子が元気になっていくみたいだった」

透母「相変わらずイライラしてたみたいだけど、少しづつ口数も増えていってね、朱ちゃんや雪菜ちゃんの話もするようになって、ゆっくりだけど元気になっていって、それで……」

桜野「……」

透母「あの日……あの子、笑った。笑ったの」

桜野「…………はい」

透母「前みたいにひたすらのんきでやわらかい笑顔ってわけじゃなかったけど、それでも確かに笑ったの」

透母「笑って、笑いながら、桜野がねって言うの。嬉しそうにあなたの話をするの」

透母「今日は何があったって、今日の桜野ちゃんはこんなんだったよって。些細な、本当に小さなことを、これでもかってくらい幸せそうに話してくれるの……!」

桜野「……はい」

透母「……」

桜野「……」

透母「…………あなたが助けてくれたのよね」

桜野「え……?」

透母「透がまた笑えるようになったのは、あなたのおかげなのよね。私たちじゃどうしようもなかった傷を癒してくれたのは桜野ちゃんなのよね」

桜野「そ、そんな……わたしまだなにも……」

透母「ううん……桜野ちゃん、改めてお礼を言わせて」

桜野「ぁ……」

透母「娘を、透を助けてくれてありがとう。本当に本当に、本当に……ありがとうっ……!!!」

桜野「……!」
864 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 23:39:54.68 ID:h/pand+io
桜野「あたま……あげて、ください……」

透母「……うん。でもこれだけら分かってね、あなたには本当に感謝してるの」

桜野「………………はい」

透母「……ごめんね、長々付き合わせちゃって。おばさんもう行くわね」

桜野「………………」

透母「お風呂、遠慮しないでゆっくり浸かってね。今夜は冷えるから」

桜野「…………」

透母「それから、なにかあったらなんでも言ってね。あなたは透にとっても、私たちにとっても恩人だもん」

桜野「……」

透母「それじゃあ……」

桜野「………………透ちゃんを愛してますか」

透母「え?」

桜野「あ……あ! い、いやあのなんでもなくて……! す、すみませっ……なんでこんなこと聞いて……」

透母「愛してるわよ」

桜野「……!」

透母「当たり前でしょ? 家族だもん!」ニコッ

桜野「!!!」

桜野「……か、ぞく…………」

桜野(………………そ、っか)

桜野「………………」

透母「桜野ちゃん?」

桜野「……大丈夫です」

透母「え?」

桜野「透ちゃんはもう大丈夫です。ずっと大丈夫だったんです」

透母「桜野ちゃん……」

桜野「……」

透母「……ありがとう」

桜野「…………いえ」
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/26(木) 23:43:00.00 ID:3xrLA/BJo
あーいってなんだ♪
866 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 23:47:17.35 ID:h/pand+io
桜野「……」

桜野「ふぅぅぅ……」

桜野「……そっか」

シキ「桜野……?」

桜野「ううん」

桜野(わたしは……なにを迷っていたんだろう)

桜野「ん……」ググッ

桜野(本当ははじめから、迷う必要なんてなかった)

桜野「ふぅ……」パッ

桜野(透ちゃんは大丈夫だった。ずっと大丈夫だったんだ)

桜野「………………」

桜野(わたしがいなくても)
867 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/26(木) 23:47:50.32 ID:h/pand+io
ここまで
868 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/26(木) 23:50:55.21 ID:3xrLA/BJo

愛する我が子のためとはいえなんも事情説明しない娘のために即転校出来るのすごいフットワークの軽さだ
前の学校のお友達は急に透ちゃんいなくなって泣かなかったかな?
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/26(木) 23:53:11.41 ID:iSz8fe36o

悲しいかな…大抵の人類は桜野さんが無理に助けてやらなくても大丈夫なんだ…
870 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/27(金) 01:09:41.15 ID:J5EJ2b4C0
透母何かを察してるか
871 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/27(金) 15:08:07.57 ID:qiJpeTMT0
岸波家 弓知夏家のご両親も出たなら秋葉家 久木家のご両親も出るかな?
872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/27(金) 15:36:00.15 ID:c88D2ZWl0
いいよ別に出なくても
あのキャラの○○はやったからこのキャラも、とかいちいちやってたらくどくなる一方だし
873 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/27(金) 15:44:33.23 ID:m4Br13m8o
展開だいぶ駆け足だし掘り下げはくどいくらいがちょうど良い
874 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/27(金) 23:55:53.75 ID:vw1MMxydo
両親関連の掘り下げ予定は現状ありません 余裕がない
駆け足気味なのはお泊まりイベスキップしたからかな?それに関しては、じっくりやっても桜野がひたすらウジウジするだけなのでやらん方がいいかなと思いまして
875 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/27(金) 23:59:50.42 ID:vw1MMxydo


朱「」スヤスヤ

雪菜「」スヤスヤ

桜野「……」

桜野(……心は決まった)

桜野(そうなったらあとはシンプルだ。ひとりで行く。それでぜんぶ終わらせる)

桜野「……」ゴロ

桜野(でもそのために足りないものが……)

桜野「……」

桜野(みんなもう寝たよね……?)

桜野「……」モゾッ

透「桜野、起きてる……?」コソッ

桜野「!」ビクッ

透「……あ、ごめ。起こしちゃった?」ヒソヒソ

桜野「……う、ううん……どうしたの?」ヒソヒソ

透「……ちょっと来て」

桜野「……?」
876 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/28(土) 00:09:02.81 ID:k2mxwA5/o
ベランダ

桜野「ふぅぅ……夜風が気持ちいねぇ」

透「うん。でもちょっと冷えるかも」

桜野「じゃあはやく済ませて戻ろっか」

透「うん」

桜野「それで、話したいことって?」

透「あの……シキは?」

桜野「シキ? 向こうで寝てるけど……連れてくる?」

透「あ、ううん、いい。寝てるならいいの」

桜野「まあ起こすのも悪いもんね」

透「そうだけどそうじゃなくて……」

桜野「?」

透「……」

桜野「透ちゃん?」

透「桜野、お願い……聞いて……」

桜野「いいけど……なにを?」

透「持っててほしいものがあるの……」ガサゴソ

桜野「持ってて……?」

ポワッ

桜野「!」

透「これ……」

桜野「そ、れは……!」

透「うん……」

パァァァ

透「……ウィッシュスター」
877 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/28(土) 00:23:41.07 ID:k2mxwA5/o
桜野「これ……わたしに……?」

透「うん……」

桜野「で、でもっ、なん、で……?」

透「…………私じゃ……守りきれないから……」

桜野「……!」

透「この前の戦いだってすごく危なかった。もしかしたら奪われてたかもしれない。そうなっちゃったのは、これを持ってたのが私だったから……」

桜野「そ、そんなこと……」

透「ううん、あの時、桜野が来る前に私は敗けてた。向こうが本気で奪う気だったら、多分守りきれてなかったと思う」

桜野「それは……」

透「あの時だけじゃない、これまでずっとそうだった。私が弱いせいで、いつも桜野やみんなの足でまといになって……」

桜野「そんなこと……ないよ……!」

透「……桜野」

桜野「違うよ……透ちゃんはなんにも悪くなんかないよ……」

透「桜野」

桜野「……っ」

透「……これはいろんな人の願いがこもった大切なものなの。絶対守りきらなきゃいけないの」

桜野「……うん」

透「それを、弱い私が持ってちゃダメなの」

桜野「……」

透「だから……」

桜野「……」

透「……」

桜野「……みんなに話さなくていいの?」

透「言えないよ。こんなこと桜野にしか話せない」

桜野「……」

透「桜野、お願い……」

桜野「……」

透「みんなの願いを守って」

桜野「……」

桜野「…………」

桜野「………………わかった」

透「……ありがと」

桜野「………………ごめんね」

透「どうして桜野が謝るの」

桜野「………………ううん」
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/28(土) 00:29:41.55 ID:b/acpvi8o
そんな大切なものみすみす敵の前に持っていくのか…
879 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/28(土) 00:37:00.15 ID:k2mxwA5/o
パァァァ

桜野「……」ギュ

透「ねぇ桜野」

桜野「……なあに?」

透「……明日だよね」

桜野「え……?」

透「帰っちゃうの」

桜野「あ、ああ……うん……」

透「楽しかったなぁ」

桜野「うん、楽しかった。ほんとのほんとに楽しかった」

透「でも心残りがある」

桜野「……なに?」

透「枕投げできなかった」

桜野「あ、あー……それはほら、しょうがないよ。ご近所迷惑になっちゃうしホコリ舞っちゃうし……」

透「やってみたかったのになぁ」

桜野「……そうだよね」

透「次は絶対やろう」

桜野「……次?」

透「うん。次はうち以外の誰かのおうちでお泊まり会するの」

桜野「……!」

透「あ、その時こそはお風呂いっしょね? 桜野がいなくて、その……あー、うん……なんていうか、ね……」トオイメ-

桜野「?」

透「そ、そうだ釣りもしよ。みんなでやるって言ったし」

桜野「……釣りか。朝早いんだっけ?」

透「釣り堀だったらあんまり気にしなくても大丈夫」

桜野「……そっか」

透「ニジマスとか釣ってね、大きさ比べっこして、焼いてもらってみんなで食べるの」

桜野「……うん」

透「あ、それならキャンプとかもいいかも。おっきいテント張ってね、バーベキューとかして、美味しいものいっぱい食べるの。あとね、近くの川で遊んだりしてね」

桜野「……うん」

透「夜になったらお待ちかねの枕投げ。テントでもできるよね?」

桜野「…………うん」

透「それで疲れたらね、朱が持ってきてくれたアロマでリラックスしながら星空見るの。雪菜が星にまつわるちょっとロマンチックなおはなしとかしてくれるんだ」

桜野「…………うん」

透「それで、寝ないで朝までおしゃべりしよって意気込むんだけど結局みんな寝ちゃってね、朝になって、いつのまにか寝ちゃったねって笑うの」

桜野「………………うん」

透「どうかな? そういうのも楽しそうじゃない?」

桜野「…………夢みたいだね」

透「叶えようよ」ニコッ

桜野「っ……」
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/28(土) 00:39:31.95 ID:A0hD3jHno
死亡フラグみたいな会話
881 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/28(土) 00:42:01.83 ID:k2mxwA5/o
透「桜野?」

桜野「……っ」

桜野「…………」

桜野「………………ううん、なんでもない」

透「? ほんとに? なにか……くしゅっ」

桜野「あ」

透「へぅ……」

桜野「寒いよね。戻らないと」

透「ん、桜野も」

桜野「あ……」

透「ん?」

桜野「わたしは、その……」

透「?」

桜野「…………もう少し、風を浴びてく」

透「んー……」

桜野「……」

透「……ん、わかった」

桜野「……」

透「あんまり長居して風邪ひかないようにね」

桜野「……うん」

透「じゃあ……」

桜野「透ちゃん」

透「ん?」

桜野「……おやすみ」

透「ん、おやすみ」ニコッ
882 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/28(土) 00:51:23.26 ID:k2mxwA5/o
桜野「……」ボ-

桜野「…………はー」

桜野「……」

桜野「………………いくか」

桜野「……っよ」ピョンッ

桜野「っとと……おぉ、2階でも結構高い……」スタ

桜野「……」

桜野「すぅぅぅ……」

桜野「はぁぁぁ……」

桜野「……」ボ-

桜野「……空が近いや」

桜野「……」

桜野(ウィッシュスターは手に入った)

桜野(時間ももうすぐ)

桜野(迷いは……ない)

桜野「……」

桜野(目標は、ぜんぶやっつけること。もう二度と、誰も戦わなくていいようにすること)

桜野「……」

桜野(できる限り自分の力で戦う。でももし……もしもダメだったらその時は……)

桜野「……」ギュ

桜野(ウィッシュスターの力で無理やり解決する)

桜野「……そうならないのが1番だけど」

桜野(だってこれは、その先にある願いを叶えるためのもの……)

桜野「……」

桜野(……そうだ)

桜野「……」ガサゴソ

チャリッ

桜野(ロケット……つけてこっかな……)チャリリッパチッ

桜野「……よし」チャリッ

桜野「すー……はー……」

桜野「……待っててね、コスモス。ぜんぶ終わらせてくるから」ギュ

桜野「ふー……」

桜野(どうせなら……)

桜野「せーのっ……」ググッ

桜野(くつ、ちゃんと揃えてくればよかったな……)

タンッ
883 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/28(土) 00:51:52.79 ID:k2mxwA5/o
ここまで
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/28(土) 00:54:31.65 ID:A0hD3jHno

ベジータ並みの戦犯にならないことを願う
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/28(土) 01:00:22.79 ID:bu0bQfm30

桜野さんのマインドはここまでやっても変化なくてぶっちゃけ一人の方が強くて
無敵の人かな?
886 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/29(日) 00:41:58.37 ID:P9O2tPu4o
「……て……きて……!」

透「……ん……んぅう……?」

シア「起きて! 透!!!」グイ

透「……んっ、んむぅ……」ムクッ

透「くぁ、ぁぁぁふ……んぇう……?」ボ-

透「……まだよるだよぉ?」ポケポケ

雪菜「透さん! ぼーっとしてないで起きてください! 大変なんです!」ユサユサ

透「う、ぁぁ……なにぃ……? なにがあっ。ふああ……」

朱「桜野ちゃんがいないの!!!」

透「えぅ……さくの……? さくのなら……」

透「……」

透「………………え?」

ガタッ

透「え、いない!? いないってなに!? どういうこと!?」

朱「どうもこうもそのままなの! どこにもいないのよ!!」

透「え、え、でも! なんで!?」

雪菜「わ、分かんないですよ! シキちゃんが気づいた時にはもういなくなっちゃったあとで!」

透「こ、この部屋にいないってだけじゃ!? と、トイレとか!」

シア「ワタクシが感じ取れる範囲に桜野の気配がありません! 少なくとも家の中には……!」

透「こ、コンビニとか行ったんじゃ……!」

シア「こんな時間に!? 断りも書き置きもなく!?」

透「で、でもじゃあなんで! ど、どこに! なにかの間違いなんじゃ……!」

雪菜「わかんないですけど現にどこにもいないんです!」

透「な、なんで……! さくの……!」

朱「お、落ち着いて心当たりを整理しましょ! みんな何かない!?」

透「心当たりなんて……! なんて…………ぁ」

シア「なにかありますの!?」

透「あ、あの、えっと……」

シア「透?」

透「あの……私……」

シキ「……」

透「ウィッシュスター…………桜野に……渡した……」
887 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/29(日) 00:52:46.82 ID:P9O2tPu4o
シキ「……!」

雪菜「……え」

朱「桜野ちゃんに……?」

シア「どうして!?」

透「だ、だって私……私じゃ……!」

シキ「それなのです」

透「え……?」

シキ「……みんな、聞いてほしいのです」

朱「なにかわかるの!?」

シキ「まず最初に、多分シキなら桜野が今どこにいるか見つけられるのです」

透「ほんとに!?」

シア「確かに、ずっと桜野の近くにいたシキなら可能かもしれませんわね」

透「だったら早く探しに行こうよ!」

シキ「……」フルフル

透「え……なん、で……??」

シキ「……」

透「なんでよ! 桜野の居場所わかるんでしょ!? なのになんで!!」

シキ「ただ追いかけるだけじゃ、桜野は戻ってきてくれないのです」

雪菜「……!」

透「え……なに……? どういう……?」

シキ「それで戻ってきてくれるなら、朱も雪菜も苦しい思いをしなくて済んだのです」

朱「……」

透「なに、それ……」

シキ「……順番に話すのです」
888 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/29(日) 01:02:00.68 ID:P9O2tPu4o
シキ「……みんな覚えてるです? 前に学校でツナミが襲ってきた時、桜野はライガと戦ってたのです」

雪菜「そ、そういえばそうです……あの時なにか……」

シキ「桜野、ライガになにか言われてたのです。話の中身までは聞こえなかったけど、なにか……」

透「なにかって……?」

シキ「分からないのです。でもはっきりしてるのは、敵の目的がウィッシュスターだってこと……」

朱「も、もしかしてウィッシュスターを持ってこいって脅されたんじゃ……!」

透「!」

シキ「……かもしれないのです」

シア「しかし桜野に限って言われた通り渡すなんて思えませんわ……」

雪菜「確かにそうです。だとしたら、桜野さんなら……あ、桜野さんもしかして……!」

シキ「……うん」

透「なに、なに!?」

シキ「………………ひとりで戦いに行ったのです」

透「え……」

シア「そ、そんな……!」

透「なんで……? なんでなんで……! だって桜野っ、そんなこと一言も言わなかったっ!!」

シキ「朱と雪菜なら、なんとなく分かると思うのです。桜野の暗い部分に少しでも触れた2人なら」

雪菜「はい……桜野さんならそれが1番って……」

朱「考えるでしょうね……」

透「……!」
889 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/29(日) 01:15:54.35 ID:P9O2tPu4o
透「な、なに…………なんなの……なんで……?」

透「朱も雪菜も……なに言ってるの……?」

透「暗い部分ってなに……! そんな桜野……私知らない……!」

シキ「透……」

透「わ、わたし……? わたしのせい、なの……?」

透「わたしがウィッシュスターあげちゃったから……? だからさくのいなくなっちゃったの……??」

シキ「……ちがうのです」

透「じゃあなんで! なんでよっ! なんで桜野いないのっ!!!」

シキ「……」

透「なんっ、ぅ、けふっ……! なんでっ……はぁっはぁっ……さくのっ、なんで……なんでよぉ……!」ガクガク

シア「透!」バッ

透「んくっ、はっ、はっ……! うぅぅ……!」

透「ふーっ、ふーっ……ちが、うもんっ……!」

透「さくの……いなくならないもん……なんにも言わずにかってにいなくなったりしないもん……!!!」

シキ「……透、聞いて」

透「やだ!」

シキ「ダメなのです。ちゃんと聞いて。桜野にはね……」

透「うぅぅううう……!!!」

シキ「……桜野には……多分もう、戦いしか残ってないのです」

透「………………ぇ」

シア「ど、どういうことですの……?」

雪菜「それって……!」

朱「シキちゃん……」

シキ「うん……」

シキ「話すのです、ぜんぶ。桜野のこと、桜野が話してくれたこと、シキが知ってること、ぜんぶ」

シキ「みんな、透、絶対耳を塞がないで……」
890 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/29(日) 01:16:25.95 ID:P9O2tPu4o
ここまで
ドロドロにします
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 01:18:54.11 ID:gBurVn2To

ついに秘密が明かされるか
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 02:00:22.05 ID:pKAcGazHo

食後に甘いものもください!
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/29(日) 02:15:23.58 ID:X7ux8oMo0

超濃厚ドロドロスープニンニクもりもり…
894 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/30(月) 23:43:58.57 ID:2/GKEhvRo
夜の街

タッタッタッタッ

桜野「……っ」タタタッ

桜野(……いわゆる虐待がはじまったのは、わたしがママの妹夫婦に引き取られたその日からだった。9さいになったばかりだった)

桜野(毎日殴られたし、毎日蹴られた)

桜野(叔父さんは、わたしのおなかを蹴り飛ばすのがお気に入りだった)

桜野(叔母さんは叔父さんほど力がないからか、灰皿で殴ったり、ベルトをムチみたいにしならせて体を叩いた)

桜野(2人ともタバコを吸うから、灰皿代わりにその火を体に押し当てられた)

桜野(全身が痣と火傷とミミズ腫れで埋め尽くされるまで、3日とかからなかった)

桜野(痛みから逃げるように気を失うようになった。それがわたしとっての睡眠だった)
895 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/30(月) 23:56:18.40 ID:2/GKEhvRo
桜野(当たり前だけど、わたしの分の食事が用意されることなんてなかった。だからわたしはいつも腹ぺこだ)

桜野(かといってなにか勝手につまみ食いしようものなら、せっかく薄くなって痛みが引いてきた痣がまた新しくなってしまう)

桜野(わたしはおなかが空かないように、できる限り動かずじっと耐えた)

桜野(それでもやがて限界はやってきて、意識が朦朧としてくる。平衡感覚が無くなって、気づいた時には床に倒れていたなんてことも珍しくなかった)

桜野(時おり叔母さんたちの気まぐれで目の前に残飯がぶちまけられる。手を使わずに食べろと言われた。言われたとおりにした)

桜野(叔母さんたちの機嫌を損ねるとせっかくの食べ物を吐き出すことになってしまうから、汁の一滴すら残さないように丁寧に床を舐めた。叔母さんたちは、そんなわたしの後頭部を踏んづけてゲラゲラ笑った)

桜野(口の中でぐちゃぐちゃの食べ物と床の苦さが混ざって酷い味だった。噛むたびに小さな砂粒が歯をこすった。機嫌を損ねずとも結局蹴られた)

桜野(それでも、なにも食べられないよりはマシだった)

桜野(どうしてこんなことをするんだろう。その答えは聞かずとも教えてくれた)

桜野(わたしが痛みに悶えたり、苦しそうに咳き込んだり嘔吐いたり、空っぽのおなかから胃液を吐き戻す姿が痛快なんだという)

桜野(じゃあしょうがないやって思った)
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/30(月) 23:58:07.66 ID:7D99fAlN0
これでなぜプリキュアになれるほどの光が
897 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/31(火) 00:10:25.44 ID:fERDBuF/o
桜野(幸いだったのは、叔母さんたちがとにかく世間体を気にする人たちだということだった)

桜野(どれだけ痣を作っても、硬い瓶や刃物が振り下ろされても、服で隠せない場所は怪我もなくきれいだった。だから学校には行けた)

桜野(年中長袖しか着れなかったとしても、せっかく終わらせた宿題のノートが登校直前にぐしゃぐしゃになったとしても、学校に行くことはできた)

桜野(わたしは学校が大好きだ)

桜野(だって学校に行けばごはんが食べられる。それに誰もわたしをぶたない)

桜野(できるだけ長く居られるように、毎日誰より早く登校して、誰より遅く下校した)

桜野(わたしはいつも家に入る前に深呼吸をする)

桜野(今日もまた気絶するまで嬲られ続ける、そう考えると体が震えてしまう。わたしが怯えると叔母さんたちはもっと面白がるから、そうならないように呼吸を整える)

桜野(気絶するまで嬲られるからといっても、すぐに眠ってはいけない。早くに気を失うと、殴り足りない叔母さんたちがものすごく痛いところを狙うかもしれないからだ)

桜野(起きている時も狙われるし同じくらい痛いけれど、身構えられる方がずっといい)

桜野(家の中でわたしが自由にできるのは、ゴミ箱の隣に置かれたぺちゃんこのクッションだけだ。そこに座ってぼーっとしたり、宿題をやったり、体を丸めて泣いたりした)

桜野(そんな生活は中学生になっても続いた。毎日が傷だらけで、痛みに怯える日々だった)
898 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/31(火) 00:20:09.90 ID:fERDBuF/o
シキ「……」

雪菜「っ……!」カタカタ

朱「うそ……でしょ……!」

シキ「……ぜんぶ本当のことなのです」

雪菜「そんっ……なのっ……!」カタカタ

シキ「……桜野はそんな状態でも、シキのことを一番に考えてくれたのです」

朱「うぅ……」

シキ「……食べ物を分ける時も、シキにはできるだけきれいなところをくれたのです」

シキ「……きれいなところがない時は、少ないお金でシキの分だけ何か買ってくれたのです」

シキ「遠慮すると、桜野の目が真っ黒になるのです。怖いくらい真っ黒に……」

透「………………」

シキ「みんな覚えてるです? 前に桜野が学校おやすみした時のこと……」

雪菜「……おみっ、お見舞いっ……みんなで行った……」

シキ「風邪ってことになってたけど……あれ本当は全然違う理由だったのです……」

朱「じゃあやっぱり……!」

シキ「あの時ね……」
899 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/31(火) 00:22:17.63 ID:fERDBuF/o
ここまで

実はコスモスさんは「1番幸せな世界線の岸波桜野」です
桜野が出会ったのがたまたまシキだったからプリキュアになってますが、余裕で逆だったかもしれねェです
余談ですが光と闇どちらの勢力も介入しなかった場合、桜野もコスモスもほぼ同時期に自殺します
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 00:24:53.65 ID:NSH0ke4ko

ど、どういうことだってばよ…
プリキュアにならなきゃ死んでたしプリキュアになるのが早すぎてもバッドエンドらしいし
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 00:32:06.36 ID:yM+MhsDp0

一番弱い透ちゃんは突然何かの力か存在にドラフト指名されて一番強い桜野さんは偶然がなきゃプリキュアになれなかったかもしれないのは何か意味が
902 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/31(火) 00:48:17.77 ID:fERDBuF/o
>>900
早すぎ√は桜野さんが1人で戦い続けて闇落ちする√です この場合透ちゃんと仲良くならないので闇落ちからの救済がない

プリキュアにならなくても初手闇堕ちすると光堕ち→追加キュアで生存√爆誕します
何気にコスモスさん主役、桜野さん追加キュアの並びがポジション的には一番本家感出る ただしコスモスさんの性格に目を瞑る

>>901
そのうち書きます 多分書くと思う 書くんじゃないかな?
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 01:18:02.52 ID:q5VoaUzbo
おつおつ
土曜深夜36:30かな?
コスモス主役はチームがバラバラじゃねえか!になるの見える見える
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 01:49:59.65 ID:PAyFgtPPo
世間体は気にしてる叔母さんをヤバいやつと見抜けた雪菜ちゃんは洞察力通り越してニュータイプだ
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 09:19:50.84 ID:587UR+IB0
おつ
食べ物は気まぐれでしか与えられない割に学校で倒れたりして気づかれたりはしてないみたいだし
身体測定とか夏服・体操服とか色々どうしてたんだ…?
906 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/10/31(火) 09:59:44.22 ID:6D8Hd3fZO
>>905
以下、没台詞です あくまで没台詞です

─────

だから中学校の校長先生と紹介された人がいつもわたしを乱暴に虐めるお客さんだと気づいた時は、もうどこにも逃げ場はないんだなって思った

─────

再三申し上げますが没台詞です
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 10:32:43.80 ID:vL44l2cWo
透ちゃんみたいに異世界へ誘拐された方がまだマシそうな
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 10:48:13.57 ID:3QSE8O9f0
環境変えても心はもうダメらしいし
おいおい詰んだわ
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/10/31(火) 11:34:12.11 ID:j4OLrcN90
ラストバトル最終回がもうすぐっぽくて悲しい
いつもの50話近くあるプリキュアなら園児時代の透ちゃんの友達が未だに透ちゃんを男子だと思い込んでて恋してるとかみんなの両親出てくるとか季節イベントとかゲストキャラ絡む単発回的な話かありそう
910 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/01(水) 23:36:15.30 ID:REWyui95o
桜野(不定期だが、叔母さんの機嫌がものすごく悪くなる日がある)

桜野(理由はわからない。もしかしたらそんなものないのかもしれない)

桜野(それでもたったひとつ明らかなことがあるとすれば、数時間後には全身の傷痕が真新しくなっているということだけだ)

桜野(帰ってくるなり叔母さんは苛立ちを隠そうともせず、いろんなものに手当たり次第に当たり散らす)

桜野(その中で一番殴り心地が良くて面白い音が出るのがわたしだ。わたしは、叔母さんが鬱憤を晴らすのにうってつけのサンドバッグなのだ)

桜野(気を失うまで殴られ続ける。硬いもの、鋭いもの、いろんなもので殴られる。普段よりも容赦がない)

桜野(どれだけ痛くても、苦しくても、止めてほしくても、少しでも反抗しようものなら火に油を注ぐ結果になる。だからひたすら黙って耐える)

桜野(痛みで思考が鈍化すると、1秒が恐ろしいくらいに長く感じる。永遠に終わらないんじゃないかとさえ思う。そんな思考も、背中に振り下ろされたガラス瓶と一緒にはじけ飛ぶ)

桜野(そして大抵は叔母さんのイライラが収まるよりも先に、わたしの方が力尽きる)

桜野(意識は完全に飛び、目は虚ろになり焦点が合わず、『あ』と『う』以外なにも喋れなくなる)

桜野(そうなってしまえば、わたしにサンドバッグとしての価値は無い。どれだけ痛めつけても、小さなうめき声を上げるのが精一杯な退屈なおもちゃじゃストレス発散にはならない)

桜野(だから標的が移る)

桜野(近くにあって目につくもの、わたしのスクールバッグをひっくり返すのだ)
911 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/01(水) 23:39:54.21 ID:LV9Gz7jL0
よく生きてんな桜野さん
912 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/01(水) 23:44:29.22 ID:REWyui95o
桜野(そもそもわたしは持ち物が少ない)

桜野(教科書や制服など学校関連のもの以外は、せいぜい着替えが数着あるくらいだ)

桜野(叔母さんたちの目につく場所にあると気まぐれに破られたり汚されたりしてしまうから、視界に入らないように物置のすみっこに押し込めている)

桜野(それでもたまに癇癪を起こした叔母さんが、腹いせに物置をめちゃめちゃにすることがある)

桜野(だからわたしは、本当に大事なものだけはスクールバッグに入れて常に持ち歩いている。例えばそれは、ほんの少しのお金とか食べ物とかだ)

桜野(でも叔母さんの機嫌が悪い日は、そういうものにまで被害が及ぶ)

桜野(取られたり捨てられたりして、ただでさえ少ない持ち物がすっからかんになる。さながらリセットだ)

桜野(運が悪かったと割り切るしかない。今までだってそうしてきた)

桜野(でもあの日は……)
913 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/01(水) 23:58:50.64 ID:REWyui95o
桜野(あの日はたまたまそういう日だった。帰った途端、叔母さんに突き飛ばされた)

桜野(咳き込んでいるところ髪を掴まれ引っ張り上げられて、そのまま何度もおなかを蹴られた)

桜野(迂闊だった。もっと気をつけなければいけなかった。考えるにはもう遅かった。あっという間に意識が飛んだ)

桜野(そして気がついた時、ぼやける視界の先で、叔母さんがスクールバッグをひっくり返していた)

桜野(中身が床に散乱した。教科書、筆記用具、ぺちゃんこのお財布、半分に欠けた飴玉……)

桜野(叔母さんはその中から、ふたつのぬいぐるみを鷲掴みにした)

桜野(ひとつは前に透ちゃんがUFOキャッチャーでとってくれたもの。そしてもうひとつは、シキだった)

桜野(シキにはあらかじめ、見つかってしまったらぬいぐるみのフリをするように言っておいた。そうすれば大丈夫だからと。シキはわたしの言った通りにした)

桜野(叔母さんはぬいぐるみをわたしに突きつけ、どこで盗んできたと怒鳴った。答えなんて何でも良かったんだと思う。ストレス発散ができればそれで)

桜野(わたしはひたすらごめんなさいだけを続けた。下手に言い訳するよりただ謝り続けた方がいいことは、これまでの経験でわかっていた)

桜野(どうにかしてシキを離してもらわなきゃいけない。なんとかチャンスを作ろうと必死だった)

桜野(でもあの日の叔母さんは、本当に機嫌が悪かった)

桜野(叔母さんはハサミを持ち出してきて、透ちゃんがくれたぬいぐるみに刃先を向けた)

桜野(あちこちから綿が飛び出た。腕も足も、目玉も千切れた)

桜野(あの日からずっと肌身離さず持っていたもの。大切にするって透ちゃんに約束したもの。わたしの宝物)

桜野(それはあまりにもあっけなく、無惨な姿に成り果てた)

桜野(次はシキの番だった)

桜野(わたしはその日、人生で初めて、叔母さんに反抗した)
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/02(木) 00:01:47.16 ID:8djY/Coyo
おいおいまさか
915 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/02(木) 10:34:16.53 ID:TVbcBb5L0
なぜこの子がプリキュアになれたのか
なぜ今まで隠し通せていたのか
なぜ生きていられたのか ←NEW!

桜野さんの謎は深まるばかりだな…
916 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/03(金) 19:57:59.10 ID:Oo0q9vcPo
生まれた瞬間から人生詰んでるかのような人生
917 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/03(金) 23:05:45.21 ID:HsgaOwuKo
桜野(それからのことはあまり覚えていない)

桜野(ただ、叔母さんがすごく驚いてて、すごく怒ってて……それから今までで一番痛かったのは覚えてる)

桜野(気絶するまで殴れたし、気絶してからも殴られた。もはやどこが痛いのかすらわからなかった)

桜野(痛みで気を失い、痛みで目が覚める。何度も繰り返した)

桜野(気づいた時には、いつも使っているクッションが胃液や血を吸って酷い臭いになっていた。それでも体は動かなかった)

桜野(力の入れ方すら分からなかったし、世界がなに色ともつかない変な色をしていた)

桜野(それなのにいやに頭がスッキリしていて、こういう風に終わるのかなぁって思った。その感覚に体を預けて、少し眠ろうと思った)

桜野(でも、シキがいた)

桜野(今眠ったら、シキとの約束が果たせなくなる)

桜野(それはダメだ。約束は守らなきゃだめなんだ。絶対)

桜野(シキだけじゃない。透ちゃんとの約束も守れなくなってしまう)

桜野(わたしはもう少し頑張らなきゃいけない)

桜野(約束も守れないわたしに生きる価値なんてない)

桜野(頼まれたら最後までやり遂げなきゃいけない)

桜野(役に立たなきゃ)

桜野(またいらない子になっちゃう)

桜野(役に立たなきゃ)

桜野(それだけがわたしの存在理由なんだから)

桜野(役に立たなきゃ)

桜野(わたしにあるのはそれだけだった)
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/03(金) 23:08:07.97 ID:Lkkf6SKMo
プリキュアの力で遂にやっちまったかと思った…
ここまでされても命に別状はない生命力…
919 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/03(金) 23:20:43.73 ID:HsgaOwuKo
シキ「……桜野はシキを必死で守ってくれたのです。シキを抱きしめて、体を丸めて、何をされても絶対動かなかったのです」

シキ「シキが今ここにいられるのは、間違いなく桜野のおかげなのです。でもそのせいで桜野が……」

シキ「……酷かったのです、本当に」

シキ「ずっとうめき声を上げていたのです。気を失ったままずっと。殴られるのが終わってからもずっと」

シキ「一瞬意識が戻って、痛みから逃げるみたいに体が跳ねたかと思うと、すぐに糸が切れたみたいに倒れるのです。またそれを繰り返すのです」

シキ「何度も繰り返すうち、ついにピクリとも動かなくなったのです」

シキ「声をかけてもゆすっても、なんの反応も無かったのです」

シキ「叔父さんも叔母さんも気絶してる桜野にはあんまり興味を示さなかったのです。でも学校の日が近づくと、無理やり叩き起こそうとするのです」

シキ「蹴っ飛ばされた桜野が気絶したままもどして、汚いってまた蹴られたのです」

シキ「結局その週はお休みになったけど、その間シキは何度も見たのです」

シキ「気を失った桜野の口から黄色い液体が溢れるのを何度も、何度も何度も、何度も何度も何度も何度も」

シキ「そこに赤色が混じり始めた時は本当にもうダメかと思ったのです」

シキ「怖くて、なにかしなきゃって思って。とにかくなにか食べさせなきゃって、無くなっても気づかれないようなものを持ってきて桜野の口にねじ込んで、でもすぐにもどしちゃって……」

シキ「水だけでもって思って、台所を往復して水を運んで飲ませて……」

シキ「不安で不安でたまらなかったのです。もうダメだって何度も思ったのです。なにをしていいか、なにをしちゃいけないか分からなかったのです。あの時ほど、人間に生まれなかったことを呪ったことはないのです」

シキ「それでも、いつか目を覚ますって信じたのです。そうするしかなかったのです」

シキ「それで、それでね、桜野、目を覚ましたのです。完全に気を失ってから、まる1週間経ってたのです」
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/03(金) 23:22:37.49 ID:Lkkf6SKMo
そら雪菜ちゃんも一目見ただけで今までで一番怖かったと感じるわ
921 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/03(金) 23:26:53.00 ID:HsgaOwuKo
>>918
一応そのルートは考えたんですけど、それができる子ならこんなにこじれてない気がして
いざやっちまったとしたら闇落ち直行しちゃうし

余談ですが、お泊まりイベの募集で透ちゃんが日常的にプリキュアの力使ってるみたいなのを採用しなかったのは、それ許容すると桜野さんがやっちまう可能性が出てきちゃって闇落ち直行どころか闇落ち済みになりそうだったので
922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/03(金) 23:29:17.20 ID:gtqTi8TZ0
敵勢力についてないとはいえこれでまだ闇じゃないんだ…
923 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/03(金) 23:41:27.52 ID:HsgaOwuKo
シキ「桜野の目がふらふらって泳いで、シキを見つけて。そしたら桜野、なにか言おうとして、でも声が枯れてなにもしゃべれなくて」

シキ「何も言わなくていいのですって言ったけど、それでも何かしゃべろうとして。桜野が伝えたがってること、聞き逃しちゃダメだと思って」

シキ「それで桜野、なんて言ったと思う?」

シキ「桜野ね……」

『………………ごめんね』

シキ「桜野が一番辛いはずなのです。苦しいはずなのです。なのにごめんねごめんねって何度も……」

シキ「なんで桜野が謝らなきゃいけないのです……桜野はいったいなにを謝っているのです……」

シキ「シキにはもう、何も分からなかったのです。だからその時は、とにかく桜野が起きてくれたことを喜ぼうと思ったのです」

シキ「シキね、できるだけ楽しい話をすることにしたのです。その方が桜野も元気になってくれると思ったのです」

シキ「みんながお見舞いに来てくれた話をしたらね、すっごい動揺してたのです。でも結果的に門前払いになっちゃったことを話したら少し落ち着いたのです」

シキ「持ってきてくれたゼリーの話もしたのです。桜野が起きた時にはもう食べられちゃった後だったけど、気持ちは本物だって話したのです」

シキ「シキの話を聞くあいだ、桜野はうんうんって相槌を打っていたのです。でもその声も、だんだん小さくなっていったのです」

シキ「また眠るのかなって思ったのです。休めるなら休んだ方がいいのです。でももしかしたら、次眠ったら今度はほんとに目を覚まさないんじゃないかって思っちゃって……」

シキ「桜野の声が聞きたくて、相槌を打ってほしくて、くだらない話をいつまでも続けていたのです。いつまでもいつまでも……」

シキ「…………気づいた時には、1人でしゃべってたのです」
924 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/03(金) 23:54:24.25 ID:HsgaOwuKo
シキ「不安だったけど、少し眠ったらちゃんと起きてくれたのです。ひとまずほっとしたのです」

シキ「それから桜野は短い睡眠を何度も繰り返すようになったのです」

シキ「いくらか落ち着いたけど、それでも元気とは程遠かったのです」

シキ「それでも叔母さんたちはお構い無しで、週明けには学校に行けって言うのです。そろそろ友だちに会いたいだろって……」

シキ「そんなの無理に決まってるって思ったのです。休めてもせいぜいあと1日だけ。それだけで回復するわけないのです」

シキ「それどころか、シキが話しかけても返事すらままならない状態なのです。シキはもう少し休んでいてほしかったのです」

シキ「でもね、桜野ね、叔母さんの言葉に『はい』って返事したのです。短いけど、確かにはっきり」

シキ「悔しいのか、悲しいのか、腹が立つのか、もうなんだかぐちゃぐちゃだったのです」

シキ「だって死んでしまうところだったのです。もしかしたら本当にダメだったかもしれないのです」

シキ「それなのに、それだけのことがあったのに、桜野はなにも……変わらなかった……」
925 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/04(土) 00:04:33.80 ID:rVbSwJEoo
透「……」

朱「……」

雪菜「ひくっ……ひぅ……!」ポロポロ

朱「じゃああたしたちがお見舞いに行った時に会ったのが……」

シキ「うん……叔母さんなのです……」

朱「もしあの時、雪菜ちゃんが止めてくれなかったら……」

シキ「きっと……酷いことになってたのです……」

雪菜「うぐっ……ぅぅ……!」

朱「休み明け、桜野ちゃんが透ちゃんにたくさん謝ってたのは……」

シキ「ぬいぐるみのことなのです……」

透「……」

朱「あの日の桜野ちゃん……いつも通りとはいかないけど、明らかにおかしいとまでは思えなかった……」

シキ「すごく無理してたのです。本当は立つのもやっとだったのです……」

朱「そんな状態だったのに気づけなかったなんて……」

シキ「無理もないのです……桜野は強い。強すぎるのです。だから大丈夫なフリして、ボロボロの体でもまっすぐ歩いて……」

雪菜「ひぐ……」

シキ「それでもごはんはもう、まともに食べれなくなってるのです……」

朱「ごはん……? でも……」

シキ「食べたあとこっそり吐いてるのです……」

朱「え……」

シキ「学校でも、この前の遊園地でも、昨日みんなで食べたお夕飯だって……」

朱「そん、な……」

シキ「桜野はもう限界なのです。それは桜野自身も気づいてる……それにあれ以来、叔母さんたちがピリピリしてていつまた……」

雪菜「うぅぅ……」

シキ「桜野にはもう選択肢がない。だからひとりで……」

透「……」
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 00:09:42.51 ID:XaT4znkeo
詰んだ…
927 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/04(土) 00:14:33.11 ID:rVbSwJEoo
透「……」

シキ「……」

朱「……っ」

雪菜「うっ……ぅ……」

透「……シキ」

シキ「……うん」

透「……それでぜんぶ?」

シキ「……シキの知ってることは」

透「……なんで」

シキ「……」

透「なんで今まで黙ってたの……!!!」

シキ「それは……」

透「ずっと一緒にいたんでしょ……! ずっと見てきたんでしょ……!」

シキ「で、でも……!」

透「なんでなにも言ってくれなかったの……! 教えてくれたらできることがあったかもしれないのに……! こうなる前になにかできたかもしれないのに……!!」

シキ「だって……だって!」

透「なのになんでっ……!!!」

シキ「約束なのですっ……!!!」

透「!」

シキ「……っ」
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 00:17:04.73 ID:KX3uZJ9X0
桜野さん殺しかけてるの敵勢力じゃなくてただの人間って
929 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/04(土) 00:28:11.36 ID:rVbSwJEoo
透「……やく、そく?」

シキ「……桜野はシキの、いろんなお願いを聞いてくれたのです」

シキ「プリキュアになって戦うこと、透を助けること、シーズンランドを元通りにすること、他にもいろんなわがままを言ったのです。桜野はそれぜんぶ、嫌な顔ひとつしないで『まかせて』って言ってくれた」

シキ「そんな桜野が、シキにお願いした唯一のことなのです……!」

『あのねシキ、ひとつだけ約束してほしいことがあるの』

シキ「絶対に守ってほしい約束だって!」

『うちでのこと、絶対誰にも言わないでね』

シキ「言えなかった……! 言ったら桜野を裏切ることになるんじゃないかって……!」

透「で、でも! そんな領域とっくに超えてる! だったら……」

シキ「誰かに話して、それを桜野や叔母さんたちに気づかれたらどうなってたです!!?」

透「!」

シキ「ねえ透! 透ならどうしてた!? 桜野のこと知ったらなにしてた!? 何もしないでいられた!?」

透「そ、そんなこと……」

シキ「できるわけないのです! ほっとくなんてありえないのです! でもそれじゃ誰かが気づくに決まってるのです!!」

透「き、気づいたなら……!」

シキ「もしそうなったら桜野どうなると思う!?」

透「それは……」

シキ「叔母さんたちに殺されるか、ひとりで無茶な戦いをして死ぬか!! どっちにしても桜野はいなくなってた!!!」

透「っ!!!」

シキ「はぁっはぁっ……ひくっ、うぅ……!」

シキ「だからっ……だか、らっ……ずっと……話せなかったのです……!」ポロポロ

シキ「ごめん……ごめんなさいなのです……ごめんなさい……!」ボロボロ

透「……! で、でも、でもっ……!」

シア「透、シキを責めるのは筋違いですわよ」

透「分かってるけど!! でもっ、だったら……! どう、すればっ……私っ、どうすればいいのっ……!!」カタカタ

シア「……」ギュ
930 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/04(土) 00:28:42.27 ID:rVbSwJEoo
ここまで
ムズカシイヨ-
931 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 00:30:04.76 ID:7+1uNKdMo

もうだめだぁ…おしまいだぁ…
932 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 01:19:00.33 ID:TpE5+5Ez0
戦いの結末関係なく主人公どのみち死ぬ…
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 20:56:23.23 ID:BNUhmMq90
前世で悪行重ねたってこんな詰み人生にはならんぞ…
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/04(土) 23:09:47.79 ID:DAlMZf6go
プリキュアSSの姿か、これが…?
子供泣くでこんなん

まぁ桜野はスピリットピース取り上げて病院送りなりで緊急避難が妥当かな?
全身の傷や跡を見れば誰でも保護が必要とわかるだろうから、叔母と引き離すのは難しくなさそう
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/09(木) 23:50:25.45 ID:SFx0dI1Po
まだまだ忙しい?
936 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/09(木) 23:52:21.67 ID:YZkuxC4Vo
町はずれの森

桜野「ふぅ、着いたけど……」

桜野「んー……」キョロキョロ

桜野「とりあえず歩いてみるか……」

ザワザワザワッ

桜野「っ!!!」ゾクッ

桜野「コスモスっ!?」バッ

桜野「っ……!」

桜野「……」

桜野「………………じゃない」

桜野「一瞬似てる気がしたけど全然違う……」

桜野「これがサイカか……」

桜野「……」

桜野「…………ムカつくなぁ」ザッ
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/09(木) 23:53:19.13 ID:SFx0dI1Po
きたか
938 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/10(金) 00:10:30.21 ID:N3BJJsRVo
雪菜「……っ」

透「はーっ……うぅぅ……!」カタカタ

シア「透……」

雪菜「透さん……シアさん……」

シキ「ひっ、うっ……ひぐ……!」ポロポロ

朱「シキちゃんも辛かったわよね……」ギュ

シキ「あがね゛ぇ……!」

朱「気づいてあげられなくてごめんね……シキちゃんにばかり背負わせちゃってごめんね……」ナデナデ

シキ「う゛んっ……」

雪菜「朱さん……シキちゃん……」

雪菜「………………」

雪菜「…………これからどうしたらいいんでしょう」

朱「…………そうね。シキちゃんの話で桜野ちゃんの状況は分かったけど……」

雪菜「桜野さんを追いかけて、追いついたとして、なんて声をかければいいんでしょう……なんて言えば連れ戻せるんでしょう……」

透「さくのぉ……」

シキ「すん、ぅ……今の、桜野は……自分ひとりの犠牲で戦いが終わるなら、それが一番だって考えてるのです……それが桜野が考えた、一番誰かの役に立てること……」

透「なんでそんなっ……」

雪菜「『なんの役にも立たないわたしに生きてる価値なんてないもん』」

透「え……」

雪菜「ですね……」

シキ「うん……」

透「なに、それ……!」

雪菜「……前に私、桜野さんの本心が知りたくて強引に聞き出そうとしたんです……その時に桜野さんが……」

透「そんなことを……」

朱「それが、いつ壊れてもおかしくない環境で桜野ちゃんの支えになっていたものなのね……」

雪菜「歪んだ環境に歪んだ希望……桜野さんを取り巻くすべてが桜野さんを歪曲させている……」

シキ「誰かの役に立つことが桜野の生きる意味になってるのです……」

透「そんな……そんなの……!」

雪菜「そして、それを見出すきっかけになったのが……」

透「え……」

朱「10さいごろって言ってたわね……」

透「……!」
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 00:12:39.91 ID:fiY5DLHT0
心から何とかしないとどのみち自殺か
940 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/10(金) 00:27:10.52 ID:N3BJJsRVo
町はずれの森

桜野「……っ」ザッザッ

桜野(叔母さんたちに引き取られてすぐの頃のわたしは、自分がなぜ生きているのか分からずにいた)

桜野(目が覚めるたび、ここは天国かな地獄かなって考えた。どれだけ考えても答えは出なかった)

桜野(生きていることと死んでいること、どちらが天国でどちらが地獄か分からなかった)

桜野(分からないままにわたしは生きた。図々しくも生き続けた)

桜野(どうしても生きていたかったわけじゃない。死にたいと思ったことは何度もある)

桜野(今日も思った。昨日も思った。きっと明日も思うだろう。そんな毎日だった)

桜野(でもわたしは、生と死の境界に立ちながら自分の足元すらままならないわたしには、どちらに転べば死ねるかなんて分かりようもなかった)

桜野(逃げ出すこともできず、踏み切ることもできず、醜く生き続けるしかなかった)

桜野(生きる意味も、生きてる価値も、存在理由すらない)

桜野(ママもいない。パパもいない。からっぽ。わたしはなんのために生きているんだろう)

桜野(ずっと答えを探していた。あの子に出会ったのはそんな時だった)

桜野(まいごのおんなのこ。あの日のコスモスに)
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 00:29:24.17 ID:33TJgxFMo
コスモスとのエピソードはちゃんと真実だったのね
妄想か記憶違いの類いかと
942 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/10(金) 00:37:06.95 ID:N3BJJsRVo
桜野(コスモスにあげたいちごみるくの飴は、あの日のわたしが口にできる唯一の食べ物だった)

桜野(それを手放したとき、わたしは生きる意味を見つけた)

桜野(コスモスが喜んでくれた。コスモスのお母さんも、たくさんのありがとうをくれた。それだけで十分だった)

桜野(わたしにもできることがあった。こんなわたしでも誰かの力になれた。生きてていいんだって言われた気がした)

桜野(その瞬間から、コスモスはわたしの生きる意味そのものになった)

桜野(誰かの役に立つ。それだけがわたしの存在理由だった)

桜野(求められるままに応えた。なんでもやった。本当に、なんでもやった)
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 00:37:45.55 ID:fiY5DLHT0
アンパンマン?
944 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/10(金) 00:52:35.49 ID:N3BJJsRVo
雪菜「それが……桜井コスモスさんが生きる意味そのものの理由……」

シキ「そしてあの子は、今も桜野の中で生きてるのです……」

透「そんなのっ……どうしようも……!」

透「どうしようも、ない……」

透「っ……」ギュ

シア「……」

朱「……」

雪菜「……」

シキ「……」

朱「………………本当はどう思ってるのかしらね」

透「……!」

シキ「……どうって?」

朱「桜野ちゃん、自分ひとりで戦いを終わらせられるならそれでいいって、自分はどうなってもいいって、本気で思ってるのかな……」

透「……っ」

雪菜「それは……」

朱「誰かの役に立つってだけならそう考えちゃうかもしれないけど……それって桜野ちゃんの本心なのかしら……」

雪菜「それ、は……」

シキ「……」

透「わかんないよっ……!」

朱「……」

透「だってずっとなにも言ってくれなかったんだよ!? ずっと隠してたんだよ!? そんな酷い状況なんてぜんぜんわかんなくてっ、だっていっつものん気でおめでたい顔して笑ってて! 私っ、ずっと気づかなくて! 急にいなくなっちゃって……! 本当の気持ちなんてわかんないよっ! 朱だってそうでしょ!? みんなそう! 桜野の本心なんてっ、そんなの誰にもわかるわけないっ!!」

朱「……うん」
945 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/10(金) 01:05:36.20 ID:N3BJJsRVo
朱「……」

透「はぁっはぁっ……うぅぅ……!」

シア「透……」

朱「…………そうよね……うん、やっぱりそうよね」スクッ

シキ「朱……?」

朱「桜野ちゃんの気持ちだものね……桜野ちゃん以外に分かるわけないわよね……」

雪菜「朱さん……? なにを……」

朱「だったらここで話してたって仕方ないわよね」

シキ「そ、それは……そうかもですけど……」

朱「分かんないなら直接聞くしかないわよね」

シキ「!」

雪菜「直接って……!」

朱「大丈夫、この時のためにいっぱい準備してきたんだもの。シミュレーションはバッチリよ」

雪菜「し、シミュレーション……」

シキ「なにする気なのです……?」

朱「なにって、決まってるでしょ?」クルッ

透「!」

朱「誘拐っ」ニコッ
946 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/10(金) 01:06:18.47 ID:N3BJJsRVo
ここまで
おてんばなお姫様を攫いに行こう
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 01:07:49.07 ID:HBRZKZ16o

ずっと言い続けてきたことを遂に…
948 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 01:10:46.15 ID:fiY5DLHT0

台詞だけだと犯罪者だ
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 11:26:57.55 ID:eFEAcg4i0

いやそれより叔母という脅威の排除の方が確じ(ry
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 11:52:39.16 ID:14JchaDco
上手くやって環境変えるルートは強制バッドエンドと言ってたが桜野自身の問題は解決できるのか
951 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/11/10(金) 15:52:10.25 ID:dYblx+xpo
お姫様(戦闘ではゴリラ)
952 : ◆15vHdNAAAEr/ [sage saga]:2023/11/11(土) 00:19:33.57 ID:KlTU4nzSo
シキ「え……」

雪菜「あ……」

シキ「こ、こんな時になに言ってるのです……」

朱「あら、あたしは本気よ?」

シキ「本気って……」

朱「だってここでどれだけ考えても、結局なにも分からないでしょ? 本人がいないんだもの」

シキ「そ、そうだけど……!」

朱「だから聞きに行くの」

シキ「でも……」

朱「シキちゃんは反対?」

シキ「そうじゃ……ないけど……」

朱「うん」

シキ「でも……でもね、話聞いてくれるか分かんないのです……」

朱「分かってる。素直に聞いてくれるなら、こんなことになってないもんね」

シキ「……シキはね、桜野が泣いているところ、見たことないのです」

シキ「少しくらい弱さを見せてほしかったのです。でもいつだって、大丈夫って言われるのです。たまには泣いてもいいのですって言っても、実はこっそり泣いてるんだって笑ってごまかされたのです」

シキ「あんな環境にいても桜野はずっと強かった。不安すら通り越して、もしかしたら本当に大丈夫なんじゃないかって思っちゃうくらい……」

シキ「だからシキは分からなくなった」

シキ「何をしたらいいか、桜野が本心でなにを望んでるのか、本当に助けを必要としてるのか……シキにはもうなにも分からないのです」

シキ「もしかしたら、もしかしたらだよ? 桜野に追いついたとしても、助けなんかいらないって拒まれるかもしれないのです」

朱「……そうね」

シキ「それでも行くの?」
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