【艦これ】大鳳「衣食住に娯楽の揃った鎮守府」浦風「深海棲艦も居るんじゃ」

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731 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/11/11(土) 00:20:14.98 ID:70WzCzds0

・衣笠『衣笠丼』?、投下します
732 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/11/11(土) 00:21:07.80 ID:70WzCzds0
「衣笠さん食べられちゃうの!?」
 
「食わん、最近胃もたれが酷い」

「そういう問題なの……?」

「それより、自分の名前の食い物だ、しっかり共食いしろ」

「言い方!」

「油揚げと玉葱、シンプルだが美味いぞ」

「提督、衣笠さんの扱い雑じゃない?」

「俺の扱いが雑になってる奴が多すぎるせいだろ」

「それだけ信頼してるってことだと思うよ。提督だって、今更気を遣われたら居心地悪くない?」

「一理ある。ただな、忘れてると思うが、俺、お前らの提督な」

「ねぇねぇ提督、このゆずシャーベット後で頼んでもいい?」

「……衣笠茸のシャーベットを作らせて食わせてやる」

「うん、絶対食べないからゆずシャーベット頼むね」

「青葉もお前も段々からかいがいがなくなってきてつまらん」

「慣れもするってば、青葉なんて大体秘書艦日の次の日はベッドで悶えてたし」

「じゃあ今度心霊ツ――」

「そういうのは青葉の担当だから普通にデートしよ?」

「今してるだろ」

「次は水族館行きたい!」

「寿司か?」

「食べることから離れてよ」

「気付かないうちに営業再開してたんだな、水族館」

「生態系の異常な変化がないかとか、深海棲艦が潜んでないかとかで、結構時間がかかったみたい」

「流石に青葉のアシか、そういう情報には詳しいよな」

「あの子の嗅覚にはまだまだ敵わないけどね、どっから仕入れてくるのか分かんないネタの山でいっつも整理が大変なの」

「……危ないネタにはあまり深く触れないように釘刺しといてくれ」

「心配しなくても大丈夫だって、ちゃんと手綱は握ってるから」

「そうか、ソロモンの狼もリードがついてりゃ問題ないな」

「――何より、提督を悲しませるようなことをあの子がするはずないし」

「そりゃ助かる」

「じゃあそろそろ行こうよ提督」

「あぁ、そうだな」



――――何かあの魚、イ級っぽいね。

 ――――(イ級は流石にうちの奴等みたいになってないはず……だよな?)
733 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/11/11(土) 23:12:56.94 ID:70WzCzds0
今から3つ受け付けます
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:06:18.32 ID:I8fTA6PZO
マックス r-18
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:09:14.60 ID:VY17aDrcO
神風
駄目なら春雨
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:11:13.97 ID:YJyxzkkro
舞風
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 00:33:33.77 ID:7SltDVENO
夕張
738 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2017/11/12(日) 10:24:26.73 ID:9DOpqGys0
・マックス『ふーん』(R-18)

・神風『陸』

・舞風『野分が野分を呼んできた』

以上三つでお送りします
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/11/12(日) 17:39:33.52 ID:4uKslUAC0
了解です
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 03:41:33.57 ID:ANfjM/JmO
ほっしゅ
741 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/09(金) 23:42:12.92 ID:E/iVPKx40
・マックス『ふーん』(R-18)?、投下します
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/02/09(金) 23:45:22.49 ID:E/iVPKx40
 特別、私は秀でてはいない。寧ろ、平凡という評価が相応しい。
 レーベもそうだ。私達二人は、別に優秀だから日本に送り出されたわけではない。
 ただ選ばれた、それだけ。本国との関係性がある限り最低限の生活は保証される。
 だから、何があっても問題ない――はずだった。



「ふーん……ふーん……ふー……ん?」

「ねぇマックス、僕には不思議なものが見えてるんだけど、君にも見える?」

「えぇ、見えるわ」

「そっか、僕がおかしくなったわけじゃなかったんだね」

 地図を頼りに馴れない土地をさ迷いながら、たどり着いた鎮守府。そこで待ち受けていたのは――。

「『おいでませドイツ艦娘!』……」

「歓迎、されてるのかな?」

「そうなんじゃない」

「あはは、ちょっと予想外だったね」

 入口にでかでかと掲げられた看板。あまりにも鎮守府という場所にそぐわない異物に若干戸惑いながら、私達はそこへ足を踏み入れた。
 その時の私達はまだ知らなかった。ここが、なんと呼ばれているのかを。
743 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/09(金) 23:46:17.64 ID:E/iVPKx40
「――いや、これは、その、待て」

「ふーん……朝からインスタントのズッペ……ふーん」

(ヤバい、だいぶ怒ってる)

「それを飲んでいるなら私のズッペはいらないわね」

「飲む、飲むからとりあえずその寸胴を置け」

「ふーん……飲むのね」

「その良い匂い嗅いで飲まないって選択はないだろ」

「じゃあ、全部飲んで」

「・・・寸胴鍋いっぱいのそれをか?」

「嫌なの? ふーん……そう、別にいいけど」

(どうしてうちの艦娘はたまにフードファイトさせようとするんだ、俺は赤城じゃないんだぞ)

「あー……とにかく、それはそこのコンロの上に置け。流石に冷める前には飲みきれん」

「――ふふっ、冗談よ。一緒にブロートもどう?」

「ビスマルクのやつか?」

「今日は私が作ったの」

「ほー、そりゃ楽しみだ」

「ビスマルク程上手には作れなかったけど、このズッペには合うと思うわ」

「マックスのズッペも評判がいいのは聞いてるぞ、何故かプリンツが自慢してたが」

「プリンツが来てから集客はいいのよ、心底不思議だけど」

「ははは、割とドジだが憎めん奴だからだろ」

「――私は、どうなの?」

「隠れファンが居て、店の客の一割はお前目当てだって青葉が調べてたぞ」

「ファン、私に……?」

「レーベやプリンツのファンとは違ってふれあいとかを求めてるわけじゃなくてな、ズッペを綺麗に飲んで会計の時に今日もありがとうって帰っていくそうだ。レーベが嬉しそうに話してたよ、マックスも裏方ばっかりやってないでホールもたまにやってくれたらもっとお客さんが増えるのに、ってな」

「ふーん……そう」

「お前ももうちょっと自分に自信を持て、少なくとも俺は今嬉しいぞ」

「――なら、そうしてみるわ」
744 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/02/09(金) 23:47:06.02 ID:E/iVPKx40
 執務室の椅子に向い合わせで座り、ギュッとしがみついて普段はなかなか伝えきれない感情を身体で表現する。積極的に、大胆になれと言った彼の言葉を、彼女はただ実行しただけである。だからして、今の提督の置かれた状況は自業自得である。

「マックス、お前、何して……」

「舐めてるわ」

「俺は味見する必要ないだろ」

「そうね」

「そうねじゃないが」

 欲しい。もっと欲しい。求めるままにマックスは提督を襲う。舐めるだけでは満足できず、首筋に噛みつき痕をしっかりと残す。
 少し痛みで身体を強張らせるも、彼も抵抗せずそれを受け入れていた。

「ドイツにも吸血鬼が居たんだな」

「流石にこれはお店でズッペとして出せないわ」

「出されてたまるか」

 丹念に傷口を舐めた後、背徳的な行為に火照ってきた身体をもて余すかのように、更に激しく身体を抱き締め、唇を貪る。当然ながら、彼女が絡ませた舌からは血の味がした。
 見上げるその目は潤んでおり、頬は上気している。ここまで求められて、与えないという選択肢が、今の提督には存在しない。

「んっ……なに……?」

「この制服、手間が省けていいよな」

「っ……着替え、持ってきてな――んんっ!?」

「もう遅いだろ」

 指を這わせ、擦り、なぞり、押す。背中に爪をたて、肩を噛み声を抑えるが、マックスのその姿が更に提督を昂らせた。
 首を横に振る彼女の弱々しい制止を優しく押し退け、指を更に中へと滑り込ませる。

「ふぅん……こういう時は、強引っ、なのね……」

「じゃあやめるか?」

「……ズルいわ、貴方は」

 深く、もう一度唇を交わし、お互いに想いを重ねる。既にほぼ脱がされかけていた下着はその役割を全うできなくなっており、簡単に彼女の秘部に提督のそれは宛がわれる。

「――痛く、しないでね」

 か細く耳元で発せられたその願いは、今まで提督が聞いてきたマックスの言葉のなかで、一番可愛らしいものだった。
745 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/02/09(金) 23:48:22.12 ID:E/iVPKx40
「くぅっ……ふー……んんっ!」

 濡れてはいても狭い中を、押し広げ、進めていく。時折身体を激しく震わせる彼女を気遣いながら、提督は必死に自制する。
 たっぷりと時間をかけて、ようやく抵抗の一番強い場所へたどり着くと、マックスの方から再びキスをせがんだ。

「――ふぅっ……貴方のモノに、して」

 聞き終えると同時ぐらいに、提督は腰を深く彼女の中へと突き出す。ヌルリと何かを抜けた感触を味わいながら、奥まで深く貫かれ今までにない刺激に身を震わせつつも耐えるマックスの表情を、彼はじっと眺めていた。
 最初は虚ろだった視線が徐々に定まり、見つめられていることに気付くと恥ずかしそうに顔を背けた。
 だから彼は、何の前触れもなく服の中に下から手を突っ込んだ。

「えっ? あっ、ダメ、んぅっ!?」

 彼がささやかな膨らみを両手で揉み上げると、同時に少し彼女の体が浮き、手の力を抜くと彼女の中をまた提督のモノが突き進んだ。

「やめて……これ、恥ずっ……あんっ!」

 とうとう耐えきれず出た喘ぎ声に、更にマックスは顔を真っ赤に染める。決して激しくはないが、初めての感覚に翻弄され続け、彼女は為されるがままになっていた。
 そして、知らず知らず声はより艶のあるものに変わっていた。

「もう、ダメ、変、これ、んんぅっ!?」

 既に挿入に抵抗はなく、提督は徐々にペースをあげていく。マックスの体力もそろそろ限界だと判断し、反応が一番強い辺りを一気に攻め立てる。

「マックス……」

「何、何か、来る……提督、提督ぅっ!」

 しがみつく彼女の中に白濁した液体が注がれ、そのままマックスは提督へと崩れ落ちるように身体を預ける。繋がったままの結合部からは、体勢を変えた拍子に下へ白いものがこぼれていった。

「……提督」

「……何だ」

「ダンケシェーン」




「後、腰が抜けて動けないわ」

(暫く誰も来ないことを祈るか)
746 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/10(土) 00:07:11.28 ID:waPrQ81u0
「えへへー」

「こら、重いからやめろ」

「あたし、そんな重くないよー」

「昔に比べたら重い」

「女性に向かって重い重いって言うのはいけないことだってむっちゃん言ってたよ?」

「いいから降りろ、今から新しく迎える子供と初顔合わせだってのに何で寝間着のままなんだ」

「司令官、選んでー」

「お前なぁ……普通にセーターとスカートでいいだろ。長門が頭から湯気出しながら選んだヤツ」

「じゃあそうするー」

「早く着替え――ってここで着替えるやつがあるか!」

「だって、司令官に見られてもあたし恥ずかしくないよ?」

「……見られて恥ずかしくない身体だから隠せ」

「えへへー司令官のエッチー」

「いいからとっとと着替えて行ってこい!」

「はーい」

(……全く、成長ってのは恐ろしいな)




「身寄りのない子供を引き取りたい、だと?」

「うん、あたしね、皆と楽しく遊んでるのが一番好き。でもね、一度だけ急に来なくなっちゃった子が居たの。お父さんもお母さんも事故で死んじゃって、遠くの施設に引き取られたって他の子が教えてくれたんだ。その子、ずっと泣いてたんだって……あたしね、司令官やむー姉達が文月をここに連れてきてくれて本当に嬉しかったんだ。だから、あたしも何か出来ないかなって、思って……」

「……」

「やっぱり、無理、だよね……」

「――手続きや申請、艦娘という立場、色々と問題を挙げればキリがない。何かあればここの存続にも大きく関わりかねない。正直言って、鎮守府にとってはデメリットしかない」

「うん……」

「だが、俺はお前達のやりたいことをやらせてやる為にいる。本気でそう思ったなら、ちゃんと責任を持って全力で行動しろ」

「っ……はい!」
747 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/10(土) 00:08:01.59 ID:waPrQ81u0
(あれから地獄のような書類と話し合いの末に、安全面を押しに押して“特別保護施設”として国に認めさせるまで五年……今じゃ四人もチビの面倒を見るお母さん、か)

「嬉しくもあり、寂しくもあるな」

「何を黄昏てんだよ。あのチビ達が危なくないように、しっかり頼むぞ警備長」

「当たり前だ、この長門が居る限り、不審者など一歩たりとも近付けさせん」

(こいつもあの頃と比べれば変わったな、未だに部屋は凄い有り様だが……)



 
「おかあさんは、どうしておとうさんとけっこんしたの?」

「えへへー司令官はねー、あたしのヒーローだったの」

「おとうさん、おかあさんよりつよいの?」

「おとうさんはねー、すっごく弱いよ。でも――」




 ――テメェ何考えてやがんだ! たかだか一作戦の功労者争いの為に何人も犠牲を出すつもりか!

 ――分かった。うちの戦果はそっくりテメェにくれてやる。だから今からその文月はうちの艦娘だ! それで文句ねぇな!?

 ――その、なんだ……成り行きでこうなっちまったが、嫌じゃなければうちに来るか?




「――すっごく、優しいの」
748 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/10(土) 00:10:30.12 ID:waPrQ81u0
なんとなく文月

もっちーと鳳翔もそのうち書いてるの気まぐれ投下予定
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/10(土) 08:01:55.72 ID:Aoi7GYuPO
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/02/10(土) 09:40:09.32 ID:nHNrsfvx0
乙です
751 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/26(月) 14:34:18.25 ID:FrkCOtyt0
・神風『陸』?、投下します
752 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/26(月) 14:35:25.97 ID:FrkCOtyt0
「――最近の艦娘は普通に着任しちゃいけない決まりでもあるのか?」

「流石僕の姉貴、意表をついてくれる」

「神風、推参しました。司令官、これからよろしくお願いします」

「あぁ、よろしく頼む。――で?」

「その水槽、何?」

 提督と松風と着任したての神風は今、執務室にいる。提督は椅子に、松風はその横で立っていて、神風はというと――カート台車の上の水槽で水に浮かんでいる。

「これは、その、やむにやまれぬ事情があって」

「まぁそういうのには慣れてるからいいが、普通にここで生活するには不便そうだな」

「この際だから全面バリアフリーにでもするかい?」

「それもありかもしれん」

(何この司令官、松風も平然とし過ぎじゃない……? だって水槽よ? このレベルのおかしさに慣れてるって、どれだけこの鎮守府変わり者だらけなの?)

 ――かみかぜは こんらん している。

「提督、遊ビニ来テアゲタワヨ」

「リト、ちょっと今忙しいから金剛のところにでも行ってろ」

「アラ、ワザワザ来テアゲタ私ヲ無視――ッテコラてーとく、私ハ金剛ノトコロニ行クナンテ一言モ言ッテナァァァァ……」

「相変わらず面白いね、あの子達」

「あんな奴等に負けかけてたかと思うとたまに虚しくなる」

(今のって大きさはだいぶ縮んでるけど深海棲艦、よね? ここに住んでるの? 普通に暮らしてるの?)

 ――かみかぜは ますます こんらんしている。

「それで神風、部屋なんだが――」

「提督、ヒトゴマルマル、午後の甘味はいかがですか?」

「帰れ!」

「今のはほっぽの真似なのか? 全然似てなかったよ」

「そういうのいいから早くソイツ追い出せ!」

「かしこまりました。すぐにこの二人を追い出して瑞穂と二人っきりになりましょうね」

「お前に言ったんじゃない!」

「瑞穂は今日も平常運転のようだ」

(……この鎮守府、まともな人居ないのかも)

 ――かみかぜは かんがえるのを やめた。
753 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/26(月) 14:36:10.60 ID:FrkCOtyt0
 ――数日後。

「どうだ神風、不自由なことはあるか?」

「お陰様で大丈夫です。強いて言うなら……」

「何だ、何かあるなら遠慮なく言ってみろ」

「普通に対応され過ぎて逆に怖いです」

「そのうち嫌でも慣れるから安心しろ、ここの半数以上が歩んできた道だ。水槽に入ってる程度なら気にもならなくなる」

「……どうしてこうしてるかは、書類で知っているんですよね?」

「書類にあったことだけはな」

「私、陸に上がると動けないほど気持ち悪くなるんです。最初は目眩程度だったのがどんどん悪化して、今ではこうして海水の入った水槽がないと海から上がることすら出来ないんです」

「艤装を常時着用は弾薬とかを込めなきゃ問題ない。別に邪魔になるわけでもない。後はその不便さの解消と、特にこれをこうしてほしいとかはあるか?」

「……ここから出ろとは言わないのね」

「出たいなら出ればいい、それを決めるのはお前だ。俺じゃない」

(本当に自由なのね、ここって。じゃあ少しお言葉に甘えても、いいかな)

「――このまま自力で動けるようにって、出来る?」




「まずはありとあらゆる施設のバリアフリー、それからオートバランサーの付いた手動自動切り替え型の歩行水槽。勿論強度は最高クラスだ、頼めるか?」

「メカ夕張、推定作業時間は?」

「二百時間もあれば可能です」

「よし、じゃあまずは榛名さんと武蔵さん、大和さんに協力要請。それから明石に神風ちゃんの個人データ送って発注。着工スケジュールは霧島さんに出来次第送って施設の解放時間の打ち合わせ。手が足りないようなら日向さん、利根さん辺りに頼んで」

「オッケーです、マスター」

(……予想の遥か上過ぎて怖い)

 ――かみかぜの りくにたいするきょうふが ご あがった。
754 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/26(月) 14:38:00.24 ID:FrkCOtyt0
鎮守府を猛スピードで駆け抜ける水槽
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 01:43:50.67 ID:EDNlJc0po
おつなのさ
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/02/27(火) 10:58:43.32 ID:d4TVTuTl0
乙です
他にあの水槽に乗りたい(入りたい)って言う人いるだろうな
757 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/02/27(火) 21:01:07.66 ID:JLhFD6rK0
舞風『12時に切れる魔法』に変更します

投下は来週までには出来る予定です
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 02:53:44.37 ID:XCstBv/A0
>>756
sage進行のスレをなぜわざわざageんの?
759 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/05(月) 21:52:10.32 ID:HEzz1bxk0
舞風『12時に切れる魔法』、投下します
760 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/05(月) 21:53:07.16 ID:HEzz1bxk0
 ――踊る、踊る、優雅に踊る。

「ダンス、覚えてくれたんだ」

 ――踊る、踊る、少女は踊る。

「足、踏まない程度にはな」

 ――踊る、踊る、心は踊る。

「ドレス、変じゃない……?」

 ――踊る、踊る、胸が踊る。

「あぁ、よく似合ってる」

 ――踊る、踊る、夜空に踊る。

「何か、全部夢みたい」

 ――踊る、踊る、月が踊る。

「夢で、いいのか?」

 ――踊る、踊る、世界が踊る。

「うん、だから――これでおしまい」
761 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/05(月) 21:53:55.65 ID:HEzz1bxk0
「もういいのか?」

「いいの、もう十分」

「あれだけ踊りたがってたくせに、えらくあっさりしてるな」

「だって、幸せすぎて夢から覚められなくなりそうだから」

「――ガラスの靴を、置いていけばいいだろ」

「私にお姫様なんて似合わないって」

「それなら俺だって王子って柄じゃない」

「ほらね? だから、終わりでいいの。私は艦娘で、提督は提督。ここはお城じゃなくて鎮守府で、皆と暮らす今を守るのが私のやりたいこと」

「……魔法が解けるには、まだもう少しあるな」

「提督……?」

「お前がそんなに夢から覚めたいっていうなら、望む通りにしてやるよ」

「それって――」




――――舞風、舞風ー?……ダメね、全然聞こえてないわ。

 ――――(昨日の提督、カッコ良かったなぁ……またあんなキスして欲しいな……)
762 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/05(月) 21:55:33.68 ID:HEzz1bxk0
次のリクエストは3月6日マルマルマルマルより3つ受け付けます
763 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/05(月) 21:56:30.45 ID:HEzz1bxk0
 戦った。戦い続けた。腕が折れたこともあった。足の骨が見えたこともあった。それでも私は戦った。ただただ敵を葬り続けた。
 ある時、急に体にガタがきた。既に前線で戦っている最初の仲間は私一人になっていた。その仲間の一人に頼まれ、後進を育成することになった。
 どうすれば艦載機は意のままに動き、敵の攻撃を掻い潜り、仕留められるかを毎日毎日骨の髄まで叩き込んだ。
 鬼、悪魔、血の通っていない鉄の女、そう陰で呼ばれていたこともあった。ただ生き残り、ただ敵を倒す術を教えていただけだというのに、彼女達には仲間の血と肉で作られた航路の上を歩いている自覚が無いのだろうと、私は思った。
 こうしている間にも、前線では仲間が一人、また一人と散っている。無為に命を散らせての現状維持など、何の意味もない。

(あの二人が残してくれた活路、絶対に守らないと)

「――その顔、どうにかならないの?」

「……笑い方なんて、忘れてしまいました」

「そんなんじゃお嫁の貰い手がなくなるぴょん」

「貴女は別の意味で無さそうですね」

「大きなお世話でぇーっす」
 
「――ねぇ、卯月」

「何だぴょん?」

「ここで私がこうしていることが、本当に終戦への手助けになっているんでしょうか」

「少なくとも、あのまま前線で戦い続けて沈まれるよりはなってるぴょん」

「まだ、普通になら戦えます」

「――貴女は敵を倒したいの? それとも仲間を守りたいの?」

「……さぁ、もう分からなくなってしまいました」

「だったら、一度思い切って戦いから離れてみたらどう?」

「そんなこと出来るわけ――」

「卯月を、誰の秘書艦だと思ってるぴょん」

「……貴女が羨ましいわ」

「結構大変よ、老人の介護って」

「いつかは、貴女みたいに見つけられるのかしら」

「“手を伸ばさぬ者は願うなかれ”、まずは自分で色々やってみるぴょん」

「あの御方の言いそうなことですね。――それにしても、いつの間にか似てきたわね、貴女」

「それ、全然嬉しくない」



(私の、私だけの為すべきこと……本当にそんなもの、あるのかしら)
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 00:00:12.28 ID:cMzRbdmMO
イムヤR-18
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 00:00:32.33 ID:35QWmSSAO
朝風
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 00:00:41.20 ID:nrvF3XY0O
秋月
767 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/06(火) 00:14:49.98 ID:cL1/napS0
・イムヤ『忘れられない』R-18

・朝風『三分の一』

・秋月『病気』

以上三本でお送りします
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 09:58:53.61 ID:saEjmAsG0
了解です
769 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:39:21.72 ID:NfR/XS+M0
 宛もなく、目的もなく、ただ逃げていた。野草を食み、海で魚を獲り、その日をただ生きていた。
 理由なんて無かった。ただ色々なことがどうでも良くなって、フラリと散歩でもするように逃げ出した。
 逃げてから数十回目の日没と日の出を見た頃、どこかの鎮守府の裏手の山で野宿していたら、楽しそうな声に目が覚めた。

(一……二……三……艦娘三人と人間が一人か)

 スコープ越しに覗いた先には、夜空を見上げてはしゃぐ駆逐艦と、その保護者のような男が一人。ラフでそんな雰囲気は一切無いが、艦娘と一緒に居る以上司令官と見て間違いない。

(……アタシもあんな風になれる可能性があったんかねぇ)

 自分には与えられなかった、信頼と信用が生まれるかもしれない日常。気付けば、スコープの先へと右手を伸ばしていた。

(――もう遅い、か)

 伸ばした手を引っ込め、スコープから顔を背ける。そこにある幸せは、自分には眩しすぎたから。
 ただ、暫くここに居るぐらいはいいかもしれないと、そう思った。
770 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:40:05.77 ID:NfR/XS+M0
undefined
771 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:40:49.80 ID:NfR/XS+M0
「――そんな話はなかったが、拾ったのなら面倒を見ろ。着任申請は出しておく」

 翌日提督執務室に連れていかれたアタシを待っていたのは、尋問や睦月への叱責でもなく、まるで捨て猫を拾った子供への対応だった。
 この鎮守府、大丈夫なのかと悩むアタシの横では、ぴょんぴょん跳ねながら嬉しそうに腕を引っ張る姉の姿。うん、やっぱりダメかもしれない。っていうか眼鏡がずれるからやめて欲しい。

「あのさ、ちょっといい?」

「何だ? 分からないことは睦月に聞けば問題ないぞ」

「食料庫に忍び込んでた素性の知れない艦娘に何も聞かないの?」

「言いたいなら言えば良い。結果は変わらずここで面倒を見るだけだ。腹を空かせてボロボロの服で鎮守府に忍び込むしかないようなお前を放り出しなんぞしたら、俺はお前の姉に一生恨まれる。帰りたい場所があるなら話は別だが」

「それは……」

 迷う。その言葉を信用していいのか、ここに居ていいのか、そもコミュニケーションというものがほぼ皆無な環境だったのだから、より一層頭の中で思考が縺れていく。
 答えが出ず、急に渇いてきた喉が更に言葉をつまらせる。そんな時、不意に体が横へ引っ張られた。

「えと、何……?」

「大丈夫、大丈夫だよ」

 心臓の音が、聞こえてくる。素性がバレていないかとか、ここに居たら迷惑をかけるんじゃないかとか、そんな考えが頭に浮かんでは、スーっと消えていった。優しく、温かい体温に包まれていると、自然と複雑に絡んでいた思考がほどけて、一つだけが残った。

「――アタシ、ここに居たい」




 ――目標を確認、これより特務を開始します。
772 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:41:31.58 ID:NfR/XS+M0
 ここに今居る睦月型は睦月・如月の二人。気を遣われたり、昔の話を聞かれたりもせず、ただ妹として迎え入れられ、逆に落ち着かないのが数日鎮守府で過ごした感想だ。
 牽制の為に司令官へ面倒事は一切引き受けないと言ったが、自分のことを自分でするならそれで構わないと返され、本当に普通の生活というものが送れていた。
 幾つかの鎮守府を見てきたけれど、ここ以上に“日常”というものを感じさせるところはなかったように思う。
 ――だからこそ、それは由々しき事態だった。



「砲撃も魚雷も対空も赤点、ある意味すごいなお前」

「しゃーないじゃん、戦ったことほとんどないし」

(海の上では、だけど)
 
「んー……まぁ慣れれば問題ないだろう。とりあえず、睦月達と暫く海の上で鬼ごっこでもしてろ」

「鬼ごっこって、普通演習とかじゃねーの?」

「まずは海上での動きに慣れろ、陸上と一緒の感覚で動くから反動で照準がブレるんだ」

「……りょーかい」

 今までほとんど任務は陸の上。海はほぼ移動経路でしかなく、反動のキツイ装備は固定して使用が基本だった為、単装砲すら撃てばブレてしまう。
 こんなことなら、多少なりともアイツみたいに海上での戦闘も経験しておくべきだったかもしれない。




「あっ、鬼は神通な」

「それごっこじゃなくね?」
773 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:42:16.80 ID:NfR/XS+M0
 徐々に鎮守府での生活も慣れてきて、ただの艦娘としてこのまま過ごしていけるかと思った、秋の夜。姉二人より先に風呂から上がり部屋へ戻ると、昔のように音もなく、彼女は窓辺に立っていた。

「――久しぶり、“月光”」

「……」

「とりあえず、表出てからでいい? 今は風呂入ってるけど、十分もしたら二人とも戻ってくるし」

「十分もいりません。このまま――特務を遂行します」

「相変わらず融通きかねぇなー全くもうっ!」

 接近主体の元相棒の力量はよく知っている。正直言って、本気で来られたら一分ももたない。
 それでも、せめて僅かの間楽しい時間を過ごせたこの部屋を自分の血で汚したくはなかった。

(なんとか気を逸らして外へ――)

「随分、甘くなりましたね!」

「ぐぅっ!?」

 脇をすり抜けようとした途端、横っ腹に強烈な一撃をもらい壁まで吹き飛ばされる。なんとか受け身はとれたものの、状況は絶望的だった。

「……殺らないの?」

「……」

 目の前で鈍く光っている鉄の爪。彼女がその気になれば、一瞬で自分の首は宙を舞うだろう。
 しかし、いつまで経ってもその瞬間は訪れなかった。

「……て」

「?」

「どうして?」

 消え入りそうなか細い声と、頬を伝い落ちた雫。それを見たとき、ようやく気付いた。
 ――私は、逃げ出した理由を置いてきてしまっていたんだ。

「……三日月ってさ、シャンプーとか使ったことある?」

「シャンプー……? いったい何を言って――っ!?」

 咄嗟に手元に隠したトラベル用のシャンプーを顔に向かって投げつけ、同時に突進して押し倒す。長い付き合いで反射的に爪で防御することはわかっていたからこそ、出来たことだ。
 物騒なものが床に当たって忙しなく音を立てているが、気にしている余裕はない。

「こっの、ちょっ、暴れんなってば!?」

「私は、零番隊旗艦として特務放棄を許すわけにはいかないのっ!」

「そんなめんどくさいもんに縛られて生きてて楽しいのかよっ!」

「だって、私も貴女もそれしか生き方を知らないじゃない!」

「ずっと見てたなら分かんじゃん!」

「分かりません!」




「――おりょ? 喧嘩?」
774 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:43:00.53 ID:NfR/XS+M0
「……」

「やばっ、むー姉逃げて!」

 出会ったときと同じように、何の敵意も、警戒も見せず、ただ部屋の入り口からこちらを眺める姉。見られた以上、三日月が彼女を放置するはずがない。
 それだというのに、いつもと変わらず満開の花のような笑顔で、とてとてと歩み寄ってくる。正直、ここまで頭の中がお花畑だとは思っていなかった。

「――月影、これが貴女の選択の代償です」

「待て三日月!」

 動揺で緩んでいた拘束を振りほどき、三日月が姉へと迫る。
 ――ダメだ、間に合わない。

「っ……え?」

「喧嘩するのはいいけど、ちゃんと仲直りしないとダメだよ? こんなのつけてたら邪魔だから外すにゃしぃ」

「な、何するの、放してっ」

「ん〜、また妹が増えて睦月、感激ー」

「むぐぅぅぅっ!?」

(……マジで?)

 向かってくる爪を押し退けた左手から血を流しながら、力一杯姉は三日月を抱き締めている。アレは普通に怪我を負うより痛いはずなのに、そんなことはお構いなしだ。
 あまりの事態に混乱してもがいている三日月を見ていると、どういうわけだか笑いが込み上げてきて、大声で笑ってしまった。
 その後、髪を乾かして戻ってきた如月姉にお願いして司令官を連れてきてもらって彼女の処遇を決めてもらったり、ケガしてることすら忘れてはしゃぐむー姉を如月姉と手当てしたり、どうしていいか分からず戸惑う三日月に色々な話を聞かせたり、一晩中その日は賑やかに過ごした。
 結局、この話で何が伝えたかったかって言うと――私達姉妹は、皆むー姉には頭が上がらないってこと。




――――今もその時の傷、残ってるよ?

 ――――どうしてそれをそんな嬉しそうに見せられるのさ……。

――――だって、三日月がここに来た記念にゃしぃ。

 ――――(やっぱむー姉もいい意味でだけどぶっ飛んでるわ)
775 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/08(木) 23:46:35.15 ID:NfR/XS+M0
むつきがたはいいこばっかりです
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 10:32:39.82 ID:ziYCpjZLo
睦月の圧倒的包容力
777 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/12(月) 00:57:28.95 ID:FJwxr0YXO
「うーちゃん、人間とか正直どうなろうが知ったこっちゃないぴょん」

「はっはっは、そりゃ困ったな」

 私達の出会いは、こんな風だった。今よりもひねくれていた私と、今よりも能天気な当時は少将だった元帥。
 協力的な艦娘達に対してですら、何か化物を見るような視線が大半だというのに、非協力的な私にしつこく話しかけてきたのが、あの人だった。
 不自由はないか、飯はどうだ、好きなものはあるか、気になるものはあるか、とにかくついてきて話しかけてくるので凄く鬱陶しいと何度も思った。
 どうせ戦わせる為のご機嫌取りだろう、そう思って意地悪なことも何度も言った。しかし、予想に反してある程度は要望に応え、出来ないときは“今は無理だ”と頭を下げてきた。
 それでも当時の私は意地が悪く、酷いことを言ったり、変わらず非協力的な姿勢を貫いていた。今にして思えば、見た目通り子供だったのだと思う。
 やがて、少しずつ深海棲艦との戦いに艦娘が投入され、私にも出撃命令が出された。
 行かない、と口にした私を、あの人は叱責した。行け、責務を果たせ、と。結局他の人間と変わらない、所詮はコイツもただ戦わせたいだけだったんだと思った。何故か胸が苦しくなったのを無理矢理誤魔化すように、私は海に出た。
 あまり語られてはいないが、私を含めた“始まりの艦娘”は最初からそこそこの強さと僅かながら特異な能力を持っていた。それでも苦戦するほどに、最初期の戦況は壮絶だった。
 ――だから、そこへ送り込むという選択しかなかったあの人の心中など、あの時の私はこれっぽっちも知りはしなかった。
778 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/12(月) 00:58:23.96 ID:FJwxr0YXO
「卯月!」

「うるさいぴょん」

「どうして撤退命令を無視した!」

「勝ったんだから文句言われる筋合いないでぇーっす」

「馬鹿者っ! 大局を見て動けっ! たかだかあの程度の作戦で轟沈などしてみろ! いい笑い者だ!」

「っ……別に人間にどう思われようがどうでもいいぴょん」

「お前という奴は……次に命令に背いた時は厳重処罰も覚悟しておけっ!」

「――大丈夫だったかぐらい、言ったらどうなんだぴょん」




 今にして思えば、この時もあの人は色々な事を考えてくれていたのだろう。艦娘が命令に背けば反対派の攻撃材料になりかねず、艦娘の立場も危ぶまれる。取るに足らない作戦で轟沈が出れば、所詮はその程度と評価される。
 そんな危うい行為をした後も私達が普通に過ごせていたのは、きっとあの人が身を粉にして艦娘という存在を守ってくれていたからだ。
 ――あの厳しい言葉の一つ一つに込められた想いに私が気付けたのは、もう私達が半分に減ってしまった後の事だった。
779 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/12(月) 00:59:12.22 ID:FJwxr0YXO
「……何でだぴょん」

「……」

「何で……何であの二人を見殺しにした!」

「お前達の、私達の、未来の為だ」

「ふざけるなっ! 神通はお前を慕ってた! 信濃はいつか皆で平和な世界を旅しようって、それなのに何で……何で二人が沈まなきゃいけなかったのっ!?」

「そうしなければ、作戦は失敗していた」

「……そっか、そうだ。所詮は、ただの道具だもんね、私達。沈もうが、体が吹き飛ばされようが、敵に食われようが、胸が痛むはずないもんね」

「……必要だった」

「黙れ」

「あぁするしか、なかった」

「黙って」

「尊い、犠牲だった」

「いいから黙れっ!」

「黙ってなどいられるかあっ!!」

「っ!?」

「あの犠牲を誇らねば、あの二人は名すら残せない! あの犠牲を乗り越えて進まねば、あの二人は無駄死にでしかない! あんな犠牲を出さねば戦況を覆せなかった現状を、世に知らしめることができない! もうあんなことはたくさんだ! 決死の覚悟で戦場を駆けるお前達を、安穏と遠くから眺める奴に笑われてなるものか! 俺の頼もしき戦友を、優秀な部下を、愛すべき娘達を、誇れぬ世などあっていいはずがない!」

「……ただの夢想を叫んで、どうしたいの?」

「夢想で終わらせる気など毛頭ない。俺は人と艦娘が共に歩める世界を作る。それが、俺に出来る唯一の手向けだ」

(――あぁ、そっか。だから二人とも最期は笑って……)

「……やるぴょん」

「む?」

「お前一人じゃ出来そうにないから、手伝ってやるぴょん」

「人間は嫌いなんじゃなかったのか?」

「今も嫌いだぴょん。でも――」




 ――――不細工なその泣き顔は、嫌いじゃないぴょん。
780 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/12(月) 01:00:09.09 ID:FJwxr0YXO
 ――聞こえるか?

「聞こえないぴょん」

 ――よし、聞こえとるな。

「どうして出撃中までその声を聞かなきゃいけないぴょん」

 ――まぁそう言うな。交戦中は通信を切っておくし、邪魔はせんさ。

「それで? 用件は何だぴょん」

 ――いや何、ようやくお前を俺の秘書艦とする手筈が整ったのを知らせておこうと思ってな。

「勝手にうーちゃんを秘書艦にするんじゃねーぴょん」

 ――ふむ、では武骨大将がお前を気に入っとるようだからあちらに行ってみるか?

「……帰ったら覚えてろぴょん」

 ――かっかっか、おぉ怖い怖い。

「そろそろ、交戦開始するぴょん」

 ――うむ、待っとるぞ。

「…………」

 水平線の彼方に、揺らめく敵が見える。数は四十と少し。
 対してこっちはたったの一人。先の大規模作戦で主力を半数も失い、まともに敵の主力級と戦えるのはたったの三人。後進育成なんてとてもじゃないけど間に合わない。比較的安全になったのは近海付近のみで、沖に出れば相変わらず深海棲艦は掃いて捨てるほどいる。前線の戦況は最初期に比べれば多少マシといったところでしかない。
 それでも、不思議とこの身は戦意に高揚している。

「ふふっ、くふふっ、あはははははっ!」

 清々しい。本当に清々しい。これでようやく、下らない大義名分を放り投げて自分の為だけに戦える。どうしようもなくバカな夢想の為だけに、この命を賭けられる。
 ――さぁ、さっさとその首を置いてくぴょん。
781 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/03/12(月) 01:01:01.57 ID:FJwxr0YXO
「そういえば、結局卯月ってどのぐらい戦果上げたの?」

「そんなの覚えてないぴょん」

「元帥は“バカな夢想を実現できる数じゃ”って言ってたけど」

「朧、あのクソジジイの言うこと真に受けちゃダメだぴょん」

「ふーん、じゃあ毎年カレンダーにこっそり丸してるあの日は何の日なの?」

「あっ、うーちゃん用事思い出したぴょん。その話はまた――」

「それ、私も気になってました」

「ちょっ、何鍵かけてるぴょん」

「卯月ちゃんはもうちょっと素直に色々と私達に話してくれてもいいと思う。ね、曙ちゃん」

「うえっ!? べ、別に私はどっちでも……」

「ほら、曙ちゃんも気になってるみたいだし」

「一言もそんなこと言ってないぴょん!」

「それで、何の記念日?」

「……娘に、された日」

「じゃあその日は二人でどこかにお出かけだね」

「うん、そうだね」

「スケジュール、ちょっと調整しとくわ」

「別に気を遣わなくていいぴょん」

「逆だよ卯月ちゃん。私達に気を遣いすぎ、少しぐらいわがまま言ってくれていいんだよ」

「二人が喜ぶなら、私達も嬉しい」

「あんた達二人とも働きすぎなんだから、ちょっとは休めば?」

「余計なお世話だぴょん。……でも、今回はお言葉に甘えます。ありがとう」




――――あー、いい湯じゃ。

 ――――……。

――――何じゃ卯月、珍しく静かじゃの。

 ――――……せ。

――――む?

 ――――背中、流しましょうか、お父さん。
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 03:18:51.74 ID:KC88wasA0
ええ話や
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/28(土) 18:57:33.42 ID:d6PWD8QZo
784 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/04/30(月) 19:30:40.13 ID:/YlOTnzV0
イムヤ『忘れられない』、投下します
785 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/04/30(月) 19:31:09.84 ID:/YlOTnzV0
 提督が目を覚ました時、彼女はもうそこに居た。いつものスマホは携帯しておらず、その視線は彼だけに向けられている。
 表情に翳りがあるわけでもなく、何か思い詰めた表情をしている訳でもない。それだというのに、提督が彼女を抱き締めたのは、何度もその目を見てきたからかもしれない。

「今日は朝からどうした」

「司令官の顔が見たくなったの」

「こんな面で良ければ好きなだけ見とけ」

「うん」

 綺麗な桃色の瞳に見下ろされながら、ただただ彼女が満足するまで待つ。大抵は五分もすればいつものイムヤに戻るので、あまり提督も気にはしていなかった。
 しかし、この日はどこか様子が違っていた。

「――ねぇ、司令官」

「ん?」

「イムヤのこと、ずっと忘れずに居てくれる?」

「そんな薄情な奴だと思うか?」

「言葉ではどうとでも言えるもの」

「じゃあどうして欲しいんだ」

 聞いてから提督は気付く。それはこの鎮守府で何度も感じ、その度に大変な目に遭った感覚。
 ――狙われている、という感覚に。



――――忘れられないように、するの。
786 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/04/30(月) 19:32:01.40 ID:/YlOTnzV0
「んっ……はむっ……」

 奪う、という言葉が相応しい程にイムヤは提督に繰り返しキスをする。息継ぎもせず、ただただ求め続ける。唾液を全て交換するかのように舌を絡める。このまま私に溺れてしまえばいいと、ひたすらに、ただひたすらに。

「――ふぅ」

 離れるのを惜しむように、唇と唇の間に糸が紡がれる。その糸が切れるのを見計らって提督は口を開こうとするが、再び柔らかい唇がそれを塞いでしまう。

(……安心するまで、好きにさせ――いや、ちょっと朝からこれはマズイ)

 股間を這う手。以前から積極的な行動を見せることも多かったイムヤだが、今回は最も積極的だと言えた。
 提督は少し考えた後、“執着”を避け、画面越しに世界を見ることを望んだ彼女を引き戻した責任を取るべきだと抵抗せずに受け入れることを選んだ。

「――司令官、イムヤは司令官のものなんだよ?」

「そうだな」

「イムヤは、ここに居るんだよ」

「ちゃんと掴んでるぞ」

「なら、もっと求めて、イムヤを」

 イムヤは握られた手を自分の胸へと引き寄せ、押し付ける。心臓の鼓動が手を通じて伝わり、確かにここに居るのだと提督に証明する。

「んっ……もっと強くしてもいいよ?」

「脱がなくていいのか?」

「この服、可愛い?」

「あぁ、似合ってる」

「――うん、脱がせて」

 提督の上から一度降り、足元へとイムヤは座る。フリルブラウスにデニムパンツ、普段から活発さと可愛らしさを兼ねた服装を好む彼女らしい服装だ。
 上を脱がせた後、ベッドに寝かせて下も脱がせていく。その最中も、何度も何度もイムヤはキスをせがみ、力強く提督を抱きしめた。
 もうお互いの唾液を二往復ぐらいはさせたのではないかと感じるぐらいの時間をかけて、ようやくイムヤの上下を提督は脱がし終える。普段は結んでいる髪の毛も、自然とその最中にほどけてベッドに広がっていた。

「ねぇ司令官、スク水とこういう普通の下着、どっちがいいの?」

「どっちも」

「どうして欲しい?」

「お前はどうされたい」

「激しく、して」
787 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/04/30(月) 19:32:47.07 ID:/YlOTnzV0
 首筋に刻んで欲しい、求められている証を。名前を呼んで欲しい、“私”が必要だと。包み込んで欲しい、どこにも行けないように。満たして欲しい、寂しくないように。
 きっと、彼女は分かっている。そのどれもがもう今更願わずともよいことに。



「そこっ! 突いて、もっと、もっと!」

 部屋中に響く声で、髪を振り乱して、欲望をさらけ出す。呑み込んだモノを思うように動かし、ただただ快楽を追求する。
 間違いなく、翌日ベッドで深く潜航して悶絶しているのが予測できるが、“今”の彼女も提督は受け入れる。

「出すときは、言ってね? 私も一緒に、イクからっ!」

 提督が突き上げるのに合わせて腰を深く落とし、うねらせ、喘ぎ、誘う。これだけせめられてまだ出していないのは、これから先を考えるとなるべく体力を温存したいというのが彼の本音だった。

「好きっ、好きよ司令官っ! いいよ、イッて!」

 一番深くまで何度も潜り既に限界まではりつめていたものを、彼女の奥底にぶちまける。それを全て受け止めた後、提督の耳元まで顔を近付けてポツリとイムヤは呟く。




――――子供、出来るようになったら何人欲しい?
788 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/04/30(月) 19:33:35.83 ID:/YlOTnzV0
「お昼、何が食べたい?」

「“朝飯”、な」

「うっ……だって仕方無いじゃない。あぁなりたくてなってるわけじゃないもん」

「とりあえず、体力回復出来るもんにしてくれ」



 翌日、イムヤは本当に布団から出てこなかったそうな。
789 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/04/30(月) 19:38:28.96 ID:/YlOTnzV0
「Admiral」

「エリザベスか、どうした?」

「先ほど廊下で不思議なものを見かけたのですが、あれは何ですか?」

「あぁ、多分神風の水槽だろ。訳あって作らせたんだ」

「Japanの技術力は流石ね。私の国にあそこまでのtechnologyはありませんでした」

「日本というか、妖精と暇人達の暇潰しの結果だ。時折オーパーツが出来てるから目を離せんのが玉に瑕だが」

「例えば、アレは正式に依頼をすれば私のこれも作ってもらえるのですか?」

「――艤装一体型の車椅子は、悪いが作ってやれん」

「Sorry、少し考えれば分かることでした」

「すまんな。その代わり、整備や調整ならいくらでも言ってくれて構わん。大事なイムヤの客人に変わりはない」

「それだけでもとても嬉しいわ」

「……こっちへは休養みたいなものか?」

「えぇ。勿論、イムヤに会いに来たついでですけど」

「護衛の必要性は無いにしても、よく許可が下りたな」

「私はもう浮き砲台にも等しいただの一隻の艦娘です。着の身着のまま旅をしても別に不思議なことはないわ」

「――質の悪い浮き砲台も居たものだ」

「うおっ!? 何だ、武蔵か」

「初めまして、武蔵。貴女達の活躍はよく知っています」

「それは光栄だな、英国最強のオールドレディーに知ってもらえているとは」

「今の私は、ただの旅行中のElizabethです」

「……ふっ。それはすまなかったな。ここはとても居心地がいい、帰る気がなくならないように精々気を付けることだ」

「おい、縁起でもないことを言うな」

「Don't worry.その時は貴女に迷惑はかけません」

「あぁ、そう願っているぞ」

「言うだけ言って行きやがったなアイツ……もう国に帰りたくないとか言い出さないよな?」

「それは絶対にあり得ないわ。でも……sorry、admiralに言っても仕方ないことね。私もこれで失礼します、Bye.」

「あぁ、またな」



(私だけの幸せ、本当に私に見つけられるのでしょうか、Queen)
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 23:18:25.61 ID:4JGiCw2lo
乙カレー
791 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/06(日) 21:20:32.31 ID:bYGiu8qd0
・朝風『三分の一』?、投下します
792 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/06(日) 21:21:08.56 ID:bYGiu8qd0
「……何なのかしら、この既視感」

「朝……朝はまだなの……」

「あっもしもし浦風? 散歩の途中でいつもの光景に出くわしたんだけど、ちょっと神風か松風探してもらえない? 多分、この服だと同型艦だと思うの。――特徴? えっと、朝ってずっと言ってるからもしかしたら川内と真逆なんじゃないかしら」

「朝日……朝日を……」

「とりあえず、このままにしておけないから連れて帰るわ。提督にも連絡しておいて貰える? えぇ、えぇ、ありがとう。それじゃあ切るわね――ふぅ、これでよし、と」

「夜なんて……無くなればいいのに……」

(川内とは仲良くなれそうにないわね……)

 行き倒れ艦娘を拾い、夜の散歩から帰る大鳳。通りすぎた警官が会釈だけで何も聞かない辺り、この町での彼女たちへの信頼が窺い知れる。
 最も、色々と騒動を起こして顔が広い、というのが大鳳の場合は主な理由である。

(終戦後も次々に増えてるけど、やっぱり提督から艦娘を引き寄せるフェロモンでも出てるのかしら)

 まだ正式に所属していない艦娘や提督とケッコンカッコカリしていない艦娘も、いずれはどうせ出られなくなっていくんだろうなと、大鳳は自分の昔を思い返しながらゆっくりと帰路を歩くのだった。



「えーこちら鈴谷ー大鳳がお姫様だっこで艦娘を連れ帰る事案が発生ー」

「仕方ないでしょ、背負うよりこっちのが楽だったんだから」
793 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/06(日) 21:22:08.38 ID:bYGiu8qd0
 ――翌朝。

「朝日! 朝日よ!」

「お、おぅ……」

「うちの妹がすみません……」

(こうして見ると、ボクだけ普通だな)

「それで、何で行き倒れてたんだ?」

「昼にはここへ着くはずだったんですけど、ちょっと道に迷ってしまったの」

「半日で行き倒れって……お前の妹は燃費がとんでもなく悪かったりするのか?」

「いえ、単純にこの子の場合は……」

「どうせ姉貴のことだから、朝以外に動くのがてんでダメなんだよ」

「松風、そんな昔の夜戦大好きなアイツみたいな奴が――」

「昼と夜なんて無くなってしまえばいいのよ」

(居たのか……)

「朝! 朝! 朝! でいいの。東から朝日が昇った後に西からも朝日が昇って、順番に四方から太陽が昇ればずっと朝だわ」

「地球が終わって朝どころじゃなくなるがな」

「長女は水槽の中、次女は朝日大好きっ子、ホントボクの姉妹は面白いな」

「ちょっと松風、私は別に好きで水槽の中にずっと居るわけじゃないからね?」

「ここって凄い物が作れる艦娘が居るんでしょ? ここだけずっと朝に出来る機械とか作れたりしないの?」

「仮に作れても絶対に作らせねぇよ、そんな危険物」

「何よ、ここって艦娘の願いを何でも叶えてくれる魔法の鎮守府じゃないの?」

「どんな噂が広まってるか知らんが、ここは普通の鎮守府だ」

「え?」

「ははっ、その冗談はちょっと無理があるよ司令官」

「とにかく、別にここへの着任は拒みはしないが、その願いは却下だ!」

「……いいわ。ここに居れば、幾らでも機会はあるもの」

(最近は瑞穂で手を焼いてるってのに、また手のかかりそうなのが増えたな……はぁ)



――太陽を増やそうとする艦娘、朝風が着任しました。
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 21:49:14.39 ID:aPXfWbQ8o
おつ
795 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/07(月) 00:00:54.10 ID:hBvHVUF60
 馬鹿にされるのは慣れている。でも、本気でそうなりたいと願った気持ちに偽りはない。
 ブレず、めげず、曲げず、路線変更なんて絶対にしない。
 いつだって笑顔で、苦しい顔なんて見せず、誰かの希望になれる存在でありたい。
 この歌は誰かの為に、この踊りは明日の為に、絶望なんて笑顔で吹き飛ばしてしまいたい。
 ――艦隊のアイドル、そう名乗り続ける限り、私は何だって出来る。



「今日もレッスンか?」

「うん、今日も那珂ちゃんゼッコーチョー」

「よくあの神通のメニューこなしてそれだけ動けるな」

「これぐらい出来なきゃ、艦隊のアイドルなんてなれないもん」

「あぁ、そうだな。初ライブを成功させるためにも、とっとと戦況を引っくり返すぞ」

「――提督は、あの時どうして笑わなかったの?」

 初めて会ったあの日、提督はアイドルになりたいと言った私に真剣に応えてくれた。正直言って、まともな神経なら真剣に応えてくれるはずがないのは理解してる。
 だから、その理由がどうしても気になった。

「“那珂ちゃん”を認めたのは、どうして?」

「お前の目は本気だった。あの時も、そして今も。ここはそういう奴等を否定しない場所にしたい。だから――お前が思うように、全力でやってみろ」

 この時だけだった。あの大戦中に“那珂ちゃん”からただの“那珂”に戻ったのは。
 そして、決意したのもこの時だった。いずれはこの人の為だけのアイドルになろうと決めたのは。
 絶対に、絶対に夢中にさせてみせる。那珂ちゃんスマイルはいつだって無敵なんだから。
796 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/07(月) 00:02:16.38 ID:hBvHVUF60
「よくよく考えると、神通と川内にいつも合わせてきた那珂が一番体力あるんじゃないのか?」

「那珂ちゃんはアイドルだから皆の声援があればいつだって元気だよー?」

「ある意味、軽巡で一番底が知れんのはお前だったりしてな」

「んー、アイドルだから熊と素手で殴り合うのはちょっとNGかな」

「……球磨型も大概だったな、確かに」

「――それとも、アイドル辞めた“私”が見たくなった?」

「ファン第一号としてそりゃ許可出来んな」

「……なーんて那珂ちゃんジョークだよ、次のライブ早く考えてね?」

「あぁ、考えとく」



 きっと、私はこのままずっとアイドルを続ける。例え提督と二人きりでも、私は“那珂ちゃん”であり続ける。
 だって、“那珂ちゃん”こそが提督と私の絆そのものだから。




――――小さくなっても歌って踊れるんだな、アイツ。

 ――――あの……三人小さくなった状態でライブをしたいと那珂が……。

――――色々な意味でそれだけはやめてくれ。
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/15(火) 12:40:33.87 ID:ZVhGZMaqo
4Pぞ
798 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/16(水) 22:37:39.60 ID:h8iiIMe80
undefined
799 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/16(水) 22:38:28.87 ID:h8iiIMe80
undefined
800 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/16(水) 22:39:19.45 ID:h8iiIMe80
 春の穏やかな昼下がり、山城は縁側で寛いでいた。彼女が愛してやまない姉の扶桑は現在秘書艦日を満喫中でここには居ない。
 特に予定もなく、時雨達も出掛けていて訪ねてくる人物などいるはずもない――はずだった。

「――私に何の用?」

「お姉さん、今幸せ?」

「見て分からない、縁側でお茶飲んでるのよ」

「へー、幸せなんだ。あんなに不幸だったのに、良かったね」

「……大鳳と加賀が会ったって言ってたの、貴女ね」

 猫を抱いた謎の少女、二人から聞いた特徴と服装も一致しており、山城は警戒を強める。話だけでは分からなかった不気味という印象も、実際に相対してみて彼女も同じものを感じていた。

「凄いよね、絆の力って。だいぶ堕ちてたのに、あんな簡単に引き戻しちゃうなんて」

「……」

「ねぇ、お姉さんはどうかな? 戻ってこれる?」

「――ふふっ」

「?」

「あー、不幸だわ。ホントに不幸。舐められたものね、今更トラウマを抉られても絶望を突き付けられても苦でも何でもないわ。ゼロどころかマイナスから始まった第二の生がまたゼロに戻ったって、上を向いて歩ける今の私に、精神攻撃なんて無駄なの。分かったら出てって、今日は暴れる気分じゃないんだから」

「そっか、お姉さん“を”攻撃するのは無駄なんだ。じゃあ時雨って娘? それとも満潮? ねぇ、誰がいい?」

「勝手にすれば? 加賀が戻れたならあの子達も必ず戻れるんでしょうし、無駄だと思うけど」

「へー、本当に揺らぎもしないなんて、これはちょっと予想外だったかな」

 楽しそうに、心底楽しそうに少女は笑っている。山城は何故この少女に不気味という印象を受けたのか、理解した。
 どう足掻いても得たいの知れないモノの掌の上にいる、そんな感覚がずっと拭えないのだ。

「……貴女、何が目的なの?」

「人生には適度な刺激が必要って言うでしょ? そんな感じ」

「もう人間の一生分ぐらいの刺激があったからいらないわよ」

「――ねじれたものが元に戻るとき、元通りになるとは限らないから」
801 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/16(水) 22:40:42.54 ID:h8iiIMe80
「ちょっと、それってどういう意味?」

「そろそろ怖いお姉さんが二人来そうだから行くね、バイバイお姉さん」

「待ちなさい、まだ話は――何だったのよ、アイツ……」

 最初から存在しなかったかのように少女は消える。それと同時に、少女以外の存在が消えていたかのように静かだった周囲の音が、山城の耳へと戻ってきた。
 すっかり冷めたお茶を飲み干し、彼女が今のことを報告しに行こうと部屋を出ると、扉の前には意外な二人が立っていた。

「鳳翔さんと、鹿島?」

「……逃げられてしまったようですね」

「そうみたいね」

「二人とも、もしかして――」

「ごめんなさい、詳しくは聞かないで頂けますか?」

「あんなモノに関わらない方が、貴女のためにもなりますよ」




 ――まだもう少しこのまま、もう少しだけ見ていようかな。人と人ならざるあの子達の選択の行く末を。
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 03:42:01.36 ID:rmoznnMA0
おつ
803 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/24(木) 22:00:59.64 ID:92Q53J6P0
・秋月『病気』、投下します
804 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/24(木) 22:02:16.68 ID:92Q53J6P0
 妹のご飯を作ってから行きます、朝にそう秋月から連絡があり提督は執務室で一人書類を整理していた。朝食を作っているだけにしてはやけに遅いなと提督が思っていると、早いリズムのノックから返事も待たずに扉が開く。

「提督」

「初月か、急にどうした」

「秋月姉さんの様子がおかしい」

「おかしいって、何かあったのか?」




「味噌汁に味噌が入ってなかった」
805 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/24(木) 22:02:53.32 ID:92Q53J6P0
 どうしても自分でなければ片付けられない書類の処理を終え、提督は廊下をフラフラと歩いてきた秋月を私室へと連れていく。
 彼女が執務室とは違う方向に引っ張られていることに気付き、色々と何か言おうとしているのを完全に無視し、部屋へ着くと早々に提督は秋月はベッドへと放り投げる。

「い、いきなり何するんですか」

「病人はおとなしくそこで寝てろ」

「別に私は病気なんて――」

「斬新な節約だな、味噌無しの味噌汁とは」

「アレは、おすましにするつもりで」

「とにかく今日は休め。初月から“提督が見ておかないと秋月姉さんは絶対に何かしようとするから見張っててくれ”って言われたんでな、諦めて俺にここで見張られてろ」

「……執務はどうするんですか?」

「悲しいことにはい分かりましたで引き継ぎ完了だ。とっとと行けのオマケ付きでな」

「私の体調管理が不十分だったせいでご迷惑をおかけする訳には――」

「仲間が熱を出してんだ、誰が迷惑がるってんだよ」

 優しく頭を撫でながら、提督は起き上がろうとする秋月を制する。大人びていても、まだ少女と呼んで差し支えない彼女を気遣ってやれなかったのは自分に責任があると、提督は悔いる。

「今日は一切気を遣わず俺に甘えろ、妹の目もないから心配するな」

「……はい」
806 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/24(木) 22:03:57.87 ID:92Q53J6P0
 観念してベッドに顔を埋めた秋月。その頭上から提督は優しく語りかける。
 長十センチ砲ちゃんも今は空気を呼んで照月のところだ。

「ルキはどうだ? 照月と相変わらず喧嘩してるのか?」

「はい、毎日朝から晩まで喧嘩です。片方だけ構うともう片方が拗ねちゃいますし……」

「たまにはほっといて趣味に没頭してもいいんだぞ」

「没頭し過ぎると今度は初月が買い置きの缶詰を食べ尽くしちゃうので……」

 赤城とまではいかないが、大体何かを食べている場面にしか遭遇しないのが初月だ。秋月の言う通り、本当に部屋の備蓄を全部駆逐されていても不思議ではない。

「今も、少し心配です」

「大丈夫だ、流石にアイツもそこまで大喰らいじゃないだろ」

 心の中で提督が多分、と付け加えたのは朝の去り際も何かを食べていたのを思い出したからだ。自分の目でも確認しているので、秋月の不安にも納得せざるを得なかった。

「――でも」

「?」

「やっぱり、あの子達が来てくれて、本当に……」

「……寝たか」

 腰かけている提督の服を掴んだまま、秋月は規則正しい寝息を立て始める。その寝顔を見ながら、今度姉妹全員を何処かへ連れていく計画を彼は立てるのだった。




――――(秋月姉ぇ、早く良くなって……)

 ――――どうした、食べないのか?

――――鯖ノ味噌煮ト鯖ノ水煮ト、シーチキンノ缶詰……全部缶詰ジャン!
807 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/24(木) 22:07:54.14 ID:92Q53J6P0
次のリクエストは二十三時より3つ受け付けます
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 23:00:08.86 ID:V+/jP1oYo
弥生とえっち
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 23:00:29.01 ID:z1WxZg7FO
ブランデーケーキを作る舞風
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/24(木) 23:00:46.07 ID:nsmpeTfyO
不知火改二
811 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/05/24(木) 23:06:16.62 ID:92Q53J6P0
・弥生『まぐろって、なんですか』(R18)

・舞風『取り扱い注意』

・不知火『伝えきれない』

以上三本でお送りします
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/25(金) 18:44:02.94 ID:eeCGvPcr0
了解です
813 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/06/19(火) 21:11:52.33 ID:HVQU41Ch0
地震の影響で更新が遅れます、申し訳ないです
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/20(水) 00:29:18.16 ID:q5Tnj11fO
お見舞い申し上げます
お身体の方は大丈夫でしょうか
無理せず頑張ってください
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/20(水) 15:58:58.01 ID://8GHX4Io
無理せんときやー
816 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/07/08(日) 11:44:06.80 ID:VMaqrNxl0
・弥生『まぐろって、なんですか』(R18)?、夜戦前まで投下します

夜戦部分はなるべく近いうちに
817 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/07/08(日) 11:44:54.07 ID:VMaqrNxl0
 個人差、人それぞれ、比べるだけが人生ではない。酒を飲んで大声で笑いながらドンチャン騒ぎする艦娘も居れば、その光景を嬉しそうに微笑みながら眺める艦娘も居る。
 要は、何を良しとするかは当人次第でしかないのだ。



「……司令官」

「弥生、どうした?」

「子供に、泣かれました。お姉ちゃんは、無表情で怖い、って」

「それで、弥生はどうしたいんだ」

「弥生も、みんなに好かれるお姉ちゃんになりたい、です」

「だったら、何も問題はないはずだ。どうしたいか分かってるなら、後はどうするかを考えてみろ。お前を引っ張り出すために色々とやらかしまくったアイツみたいにな」

「……ん」
818 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/07/08(日) 11:45:33.22 ID:VMaqrNxl0
「――で、色々とやった結果が文月と同じく子供達の保護施設で働く道にたどり着いた訳か」

「やよ姉、物静かで怒ると怖いけど、急に突拍子もないことしたり構って欲しそうな子をすぐ察知するから子供にも好かれてるんだー」

「経験を活かしてってヤツだな、どこぞの万年悪戯卯もちょっとは役に立ってるらしい」

「あのねあのね司令官、これ見てー」

「――ほぅ、こりゃいいな」

「でしょー。やよ姉、子供達と居るとホントよく笑うんだー」



 心を閉ざした子達を、心に傷を負った子達を、卯月が弥生を連れ出してくれたように、弥生もあの子達を救いたい。
 だから、怖がらないで、弥生はずっと側に居るよ。
819 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/07/08(日) 11:46:18.60 ID:VMaqrNxl0
「――で、何だって?」

「司令官、ここ数回弥生と夜戦してくれない、です」

「いや、子供の世話で疲れてたり次の日の準備で忙しそうにしてるのに夜戦しようって言うのは無神経すぎるだろ」

「弥生はいつでも大丈夫、です」

「天井を凝視しながら一切無反応は俺の心が大丈夫じゃないから勘弁してくれ」

「アレは、次の日の子供達の昼の献立に悩んでて……」

「だったらそういうときは無理しなくても――」

「今日は、大丈夫、です」

(感情表現というか、意思表示が年々力強くなりすぎてきた感が凄い)

「司令官は、弥生と夜戦するの好きじゃない、ですか?」

「いや、そんなことは――」

「じゃあ問題ない、です」

「弥生、待て、まだ昼だ。もう少しゆっくりと……」

「待たない、です」

(抵抗は――無理だな、軽々子供二人抱えてるだけあって引きずられる。コイツにぶっ飛ばされて懲りずに突っ込んでいく辺り、アイツも大概だな)
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/13(金) 02:37:11.83 ID:OoQRgS+Uo
可愛い
821 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/07/18(水) 01:52:20.17 ID:eVUeyjCE0
 弥生は、口より目や行動で訴えかけることが多い。ただ、大事なことや口にすべきことはしっかりと自分の言葉で伝えるようにしている。
 ただ、時折言葉と行動が同時、もしくは行動が先になる場合もある。

「司令官、脱いで」

「脱ぐ、脱ぐから引っ張るな、服が破れる!」

「ボタン、邪魔です」

「ほら、子供の服を脱がせる時みたいにだな――」

「後で、縫います」

「弥生ー!?」

 壁に妹をめり込ませる力に対抗出来る服のボタンなど存在するはずもなく、ボタンは一気に部屋中に飛び散る。この若干暴走気味な弥生の行動に下手な抵抗は危険だと判断した提督は、大人しく彼女のなすがまま事の成り行きを見守ることにした。
 その後も終始いつもの表情のまま彼をパンツ一丁にまで脱がすと、弥生は満足したように上に覆い被さった。

「落ち着き、ます」

「そうか、こっちは暴漢に襲われる女性の気分だったぞ」

「司令官は男、です」

「そこを掴みながら言うな」

「大きくなってない、です」

「流石にならんわ、さっきの状況で」

 そう言われて弥生は少し考えた後、おもむろに立ち上がり――足で提督の股間を刺激し始めるのだった。
822 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/07/18(水) 01:53:10.16 ID:eVUeyjCE0
「お前、そんな知識どこで……」

「乙女の秘密、です」

「とりあえず如月だな」

「どう、ですか?」

 長月ほどでは無いにせよ、力加減を間違えないようにし過ぎているせいで、伝わる刺激も快感には程遠い。だが、必死にそちらに集中している彼女の太ももは提督には眼福だった。

「弥生、もう十分だから交代だ」

「……まだ、です」

「弥生?」

「教えてもらったことが、まだまだ残ってます」

(……子供達、ある意味しっかり育てられてそうだな)

 空気に晒され上を向いた自分のモノを真剣に穴が開くほど見つめる弥生の姿に、提督は全てを諦めるのだった。
823 : ◆7xTYM/aOv2 [sage saga]:2018/07/18(水) 01:54:03.34 ID:eVUeyjCE0
 腰を浮かせて、落とす。

「ん……」

 奥まで咥えて、くねらせる。

「これ、いい、ですか……?」

 粘りのある音が、繋がっているところから動く度にする。このままずっとこうしていたら、あの子達みたいに可愛い子が自分にも出来たらいいのにと、本当に考えてしまう。

「弥生の中、もっといっぱい、欲しい……です」

 太股辺りでこぼれ落ちた司令官の出したモノが乾いてしまっているが、まだまだ数回出来なかった時のを取り返せてはいない。今日はとにかく司令官と、夜戦がしたい。

「好き、です……司令官」

 さっきから口数も減って呻いてるような声を出しているけど、大きくなってるから、きっと大丈夫。唇にキスをして、また腰をくねらせる。
 汗で背中に髪が張り付くのが少し鬱陶しいけど、司令官が好きだから我慢する。

「んっ……いつでも、好きに、出してっ……んんぅっ!」

 抜かずにこれで四回目、流石にもう出ないのか、そんなに勢いがなかった。司令官もかなりグッタリしてるので、ギュッと抱き付いてそのまま寝ることにした。
 ――まだ昼だから、起きたらきっと司令官も元気になってるはず。次は荒潮に聞いたの、試してみよう。



――――どしたぴょん、顔に生気がないぴょん。

 ――――お前の姉に搾り取られた、今日は何もする気が起きん。

――――ちょっと待つぴょん! うーちゃんだってしたいぴょん!

 ――――恨むなら自分の行為の結果を恨め。
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/18(水) 20:10:43.30 ID:+IhvF6wIO

マグロとは提督の事だったのか
積極的な弥生可愛い
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/19(木) 00:03:39.52 ID:hNjJ9abao
ふうっ
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/10/15(月) 23:46:21.39 ID:miaEc6AJ0
続きが読みたい…
827 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/10/18(木) 00:01:26.05 ID:DP9O5HBO0
・舞風『取り扱い注意』?、投下します
828 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/10/18(木) 00:01:53.62 ID:DP9O5HBO0
「駆逐とブランデーケーキって何でだよ」

「えー? だって見た目と実年齢って関係無いし、洋酒ケーキって強烈なのじゃなきゃ子供でも食べたりするよ?」

「それにしたって、どうしてお前なんだ」

「ダンススクールのレッスンに来てたんだって、三越の会長のお孫さん」

「うちとまた変な繋がりが増えたか……まぁ、悪い縁ではないな」

「因みにこれ、私がプロデュースして実際に作ったやつだけど、提督も味見……する?」

「そうだな、三時のおやつの時間だしな」

「もー、子供扱いしないでよー」

 頬を膨らませる仕草は幼く、可愛らしい。舞風は成長が緩やかな方で、終戦後も見た目はそのままだ。
 暗い雰囲気や寂しい雰囲気は今も苦手で、騒がしいといつの間にかしれっと混ざっていたりする。
 そんな彼女の“素”を垣間見るのは、酒を飲んだときである。
829 : ◆UeZ8dRl.OE [sage saga]:2018/10/18(木) 00:03:04.35 ID:DP9O5HBO0
「なぁ舞風、これかなり酒キツくないか?」

「そう? ちゃんと適量入れたよ?」

「俺が弱いからそう感じるだけか……?」

「提督はホントお酒弱いねー」

「体質の問題なんだから仕方ないだろ。お前や早霜達と一緒にするな」

「そうそう、偶々その早霜とお酒の話になって、レッスンに来てたお孫さんが好きなら是非にって話になって、気付いたら決まってたんだよね」

「どうせ大本営はイメージの為に許可するだろうし、お前が満更でもないなら俺としては止める理由もなかったしな」

「――ねぇ、提督」

「ん?」

「こういうのに選ばれる私は、ちゃんと魅力があるってことかな?」

「そりゃいくら何でもダンススクールの生徒だからって理由だけで、お前を推薦しようとはしないだろ」

「じゃあ、提督もそう思ってる?」

「少なくとも魅力が無い艦娘はここには一人も居ないと思ってる」

「……そっか。じゃあ提督、もっと甘いおやつあげるね」

「あまり甘過ぎるのは――」



「ヤバい……アレはヤバい……」

「戻ってきてからずっとあんな感じだけど、舞風どうかしたの?」

「ブランデー濃い目のケーキ食べながらブランデー飲んで、提督にディープキスして襲ったらしくて……」

「あぁ……なるほどね」

(私もやっちゃったけど、提督も酔うとヤバい……二度とやらないようにしなきゃ……)
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/18(木) 02:05:07.24 ID:tmrVkEBho
ほう…kwsk
おつかーレ
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