【R-18】由比ヶ浜結衣はレベルが上がりやすい

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807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/07/31(日) 21:14:34.88 ID:hwfZHnb6o
ガハマさん抱き枕にムラムラきたんですがまだでしょうか
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 19:07:53.33 ID:YK5q6rQNo
どうも>>1です
十天衆取得に忙し……もとい、諸々に忙殺されて筆進んでませんでしたすみません

とりあえず渋の方更新しました
今書いてる話を書き終え次第こっちに戻ってくるので暫しお待ちを

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=7128156
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 22:46:57.53 ID:0Z8bHmsBo
待つ
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/15(月) 01:39:39.15 ID:VaHZtDWno
待ってるよ
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/18(木) 12:48:52.77 ID:0Z92ZTZ60
小町ちゃん、陽乃さん、ルミルミの三人はお助けキャラやチートキャラ扱いです。
あとしっかり絡ませようと思います。
いろはちゃんは大好きですが悩み中です。
すいません。

この番外編は友達の結婚が決まったので作りました。

次の話。
停学明けに葉山君達と川崎さんに会う間の話です。




八幡の話は私の実話。
本当に小さい頃、夢遊病がひどく。
寝る時は窓に内鍵、外鍵、扉にも内鍵、外鍵をしてました。

戸塚君の話は私の小学生の頃からの男友達の話ですが、なんと二人は結婚しています。
出会いを男友達に聞いて書いてます。

戸部君の話も私の実話です。
同級生の話です。
クラスの皆でお見舞いに行ったら、作品の言葉を言って皆を笑わせてました。


材木座君の話が今回、結婚が決まった男友達です!おめでとう!
先日、報告がてらの前祝いの会で、酔った勢いで出会いの話を聞いて、許をとり書いてます。金言?も本当に言ってました。

ちなみに金言?を聞いた私の同級生でもある、お兄ちゃんは本当に苦虫を噛み潰した顔をして、苦しそうでした。

一言『あんな奴に俺の妹が』と呟いてました。

まあ、二人は親友なのですけどね。

私事ですいませんでした。

本当におめでとうございます。

あと、ゆきのんの話は私の親友の話を書きます。
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/08/28(日) 01:14:36.29 ID:CWjLyP7Ho
待ってるで
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/17(土) 16:20:15.42 ID:Uu7oXvpL0
エロシーンも勿論いいんだけど、八幡と結衣のあったかい関係がたまらなく好き、続きいつまでも待ってます。
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/07(金) 22:31:40.37 ID:SEu7b/Myo
もう終わっちゃった?
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/10/25(火) 02:51:48.48 ID:J4iKWbVnO
【咲】京太郎「…………俺は必ず帰ってみせる」【安価】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1477320276/

京豚は害悪です
あなたが好きな作品とキャラがレイプされるかも知れません
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 03:17:22.12 ID:BTKS81Kb0
待ってるぞ
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/11/28(月) 20:04:34.73 ID:PeHRWJLZo
待ってる
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2016/12/05(月) 21:29:19.99 ID:nZus1q0ao
5ヶ月たったかー
ここはスレが落ちる心配とかはしなくていいんかな
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/01/15(日) 07:08:01.72 ID:TWGD2xiro
ガハマさんのおっぱいペロペロ
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/03/02(木) 00:18:27.75 ID:dFyIsEw0o
まだ?
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:21:54.89 ID:RJhXyT9p0
涙がこぼれそう、どうも>>1です

長いスランプの上に色々ありすぎてこんなにも時間が経ち原作者に指差せる立場ではなくなってしまいました、申し訳ありません
ですが原作でどんな目に遭わされても俺にとってはこっちが原作だぜゲハハと言い張る為に何とか完結まで持って行きたい所存

いつにも増してガバガバな出来ですが第五話導入ですどうぞ
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:23:33.34 ID:RJhXyT9p0


『あなたが──蜘蛛だったのですね』



複雑に絡み合った因縁と遠謀は同心円状に美しい紋様を描き、冒頭と同じ文句で物語は幕を下ろした。


閉頁。

嘆息。

満足。


煉瓦の如き文庫本の読破から得られる快感は脳や心だけでなく、
その重量を支える腕にも解放感という形で訪れた。
ページを捲り始めてから優に一週間は経っている為殊更だ。

読書趣味を自認しているとはいえビブリオマニアとまでは行かない乱読派であり、
それ故に分厚い物は無意識に避ける傾向があったが、一念発起しシリーズを読み進めていった甲斐があったというものだ。

脳内麻薬でも分泌しているのだろう、脳髄の奥底に達成感と快楽を刻み込むと1000ページを超える文庫本をパタリと閉じ、

「――終わったの」

……小説の内容をなぞるが如きじとじと湿った響きが俺に向けられた。
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:25:10.38 ID:RJhXyT9p0

チラリと前を見やれば、そこには言葉と同様湿った視線を向ける不機嫌そうな犬が一匹。
かのクリストファー・ウォーケン、トム・ベレンジャーを超える今世紀最大の犬チックこと由比ヶ浜結衣である。
渋谷駅前の忠犬や疲れた少年と一緒に召されたセントバーナードにも負けない千葉最大級の御犬様だ。

そんなワン公女子が入り浸って久しい比企谷別邸アパートの一室、読書を開始してから優に二時間は経過していた。

「えー、うん、読み終わった、です」

「スゴい集中してたけど、面白かったの」

「アッハイ」

「そう」

ぶつ切りというか、なんというか。
何時もは喋り始めりゃ一人でも姦しい彼女には珍しく、単なる確認で会話は終わる。
そも会話なのかこれ。

遊びに来た彼女を放って二時間も読書に耽る糞野郎が俺であるが、
根っこの部分が未だペニシリンの培養にも使えない青カビの出来損ないな性分としては
ここに至る経緯を認識すればこの手の逃避も仕方無いと思いたい。

何せ勘違いの暴走状態で強か……和姦の上で失敗したのが昨日のことだからだ。
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:27:10.02 ID:RJhXyT9p0

そう、新家具であるベッドの確認という名目で彼女が我が家にやって来て誘惑してきたのが昨日。
妙な空気で終わった逢瀬から今の状況まで二十四時間も経っていない。しかも学校帰り。

良いも悪いも女性はサッパリ振り切るし、うじうじしつこいのは男性と話は聞く。
だが昨日の今日の気まずさでアウェーまで踏み込んでくるとは予想外デス。
いやここが既も彼女の縄張りと言われれば否定出来ないけど。実際昨日マーキングしてたし。

更に言えば、今日は学校で彼女と顔を合わせてからずっと同じ仏頂面。
視線が合う度一々「むむー」とか口に出すくらい徹底した馬鹿、もとい不機嫌ぶりだった。
誤魔化し半分からかい半分で「今日はなんか可愛いな」とか言ってやると力を緩め
「そうかなえへへ」と最高の照れ顔を披露してくれた辺りは如何にも由比ヶ浜結衣らしいことである。

迂闊にもそれを指摘してこれまでに無い程不穏な顔をさせて今に至ることは公然の秘密。
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:28:44.84 ID:RJhXyT9p0

……まぁこんなことを考えつつも昨日のやらかしを後悔し反省しているのは本気だし、
これまでの負の積み重ねを思えば不機嫌さを隠そうともしない様子に不安を覚えるなと言う方が無茶な話だ。

じっとり心身に張り付く湿った空気。
梅雨前と言えど初夏も過ぎようという時期にあってこの湿気は気候のみが原因にあらず。
頭蓋の内外が膨張か圧迫されるような錯覚と合わさって如何ともし難い居心地の悪さがたっぷり二時間俺を苛んでいた。

でもこんな状況下で逃避目的とはいえ読書には集中出来るんだから我ながら大層な面の皮である。
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:30:11.86 ID:RJhXyT9p0

「……」

「……」

「……なぁ」

「なに」

「な、なんか飲む?」

「いらない」

「あ、うん」

「……」

「……」

これと同じ遣り取りが帰宅直後にもあったのだ。学習しろよ俺。
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:31:39.69 ID:RJhXyT9p0

くそぅなんだこれ。
かつては気を遣った結果会話よりも沈黙に重きを置いていた俺が、
今は沈黙に耐えかねて慣れない気遣いを口にすることになろうとは。
しかもバッサリ。救えねぇ。

矢張りこれは、もう取り付く島もないと、
お前はやり過ぎたのだと、
それにつけてもカルタゴ滅ぶべしと、そういうことなのだろうか。

由比ヶ浜が如何に出来た$ォ格をしていようと、
それは俺という人間の不始末全てを抱え込んで尻ぬぐい出来るということを意味しない。
そんなのは出会ってからここ数ヶ月で嫌というほど思い知ったことだ。
だから一晩経って、改めて俺なんかと付き合いきれないと思い直したっておかしくないのだ。

彼女の胸の裡は既に傷だらけなのだと、他ならぬ彼女自身から告げられたばかり。
昨日の出来事が一日遅れでトドメになっていないと信じられるほど楽天的ではない。
積み重ね始めた端から、倒れようのない横置きの積み木を吹き飛ばしてしまうのも比企谷八幡なのではないか。
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:33:10.52 ID:RJhXyT9p0

鉄球を丸呑みしたかのような負荷が内蔵を、不気味な動悸が血管を痛めつけ、
彼女にどう接すればいいかと考える余裕すらなくしかけていた。

その時である。

「……カーテン」

「へ?」

予想外の一言。

対する俺の間抜けた返事。

事態は由比ヶ浜が動かした。

「カーテン、閉めてあるの?」

言っていることの意味は分かるが、理由を飲み込めない。
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:34:38.82 ID:RJhXyT9p0

「えー、あー……き、昨日のまんまだから、多分、閉めてある」

そもそも見れば分かる話ではあるが、カーテンは昨日のまま閉まっている。
部屋の状態を戻すのも億劫に感じていたということはあるが、
ぼっちの習性なのか暗がりとか狭い場所にどうも愛着を覚えるものでして……半年一年そのままにしていた可能性が微レ存。
どころか倍率1.1倍以下の鉄板。

「……そう」

またもその二文字で確認のリピート。
最低限の遣り取りで目的を果たすのだから効率化至上主義足る現代の風潮に合致し、
故に人の間の交流としては寒々しい。

何の為の確認か、と考えるも、彼女もまた過ぎた沈黙に耐えかねたのかもしれないと落ち着く。
内面がどれだけ沸騰するか凍てついていようと彼女は彼女で、
声帯鼓膜の無振動も、陽の光の射さない部屋も、本来苦手にしているのだ。
そうした内面の発露が無意識に行われていたと考える方が妥当なんだろう。

そんな「らしさ」を蔑ろに「らしくなさ」を強要しているのだとしたら。
やはり比企谷八幡には誰かと寄り添い生きることなど不可能で、
ましてや相手が由比ヶ浜結衣であることなど泡沫の夢でしかなかったということなのか――。
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:36:37.39 ID:RJhXyT9p0

「……ちょっと暑いね」

ぼそり、新たな響き。
囁きとも言える小さな声だったが、
悪い未来の予知か想像に混乱している脳と鼓膜はそれでもその意味を拾い上げた。

あつい。
あー、暑い。じめってる。

そりゃぼっちの棲家はじめじめするだろうし五月にしてこの湿気というのも
お前の存在が梅雨の梅雨らしい所以なのだぼっちメン!と遠回しに言ってくれてるのかなハッハッハ泣きそう。

女性って一度嫌ったものに対する評価は死んでも変えないそうだよお兄ちゃん、

なんてネットで拾った俗説が愛する妹の声で記憶の底からリフレインして脳震盪起しそう……。

「あ、あつい、ねー、あついなー」

ああ、そんなにもお前がカビの温床なのだ消えろイレギュラー!と仰りたいのか……
と脳を虐めるストレスに流されて考えたのが一瞬。

……んん?

831 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:38:09.52 ID:RJhXyT9p0

「あっついなー、もうー」

棒読み。

「な、なんでこんなに、あついのか、なー」

大根。

なんだこの、なんだ。
暑いというかもう春も過ぎ去った陽気ではあるんだが、そんなに暑い?
いやこれはバイキン男か夜叉猿の爪もビックリするような雑菌塊がお前じゃい!
という気の利きすぎた比喩の流れであって字面は何も関係な……。

「も、もうー、こまっちゃうよねー」

しかし由比ヶ浜、ここでシャツの襟をパタパタ。
夏場とかで特に効果もないのに外気を取り入れて冷えた気分になるアレ。

なんかその速度が妙に遅く、しかも下気味に範囲が広い。
あんたそれ、お山と渓谷が見えちまう奴でっせ……!

「……チラ」

そして口に出してチラ見。
薄暗くじめじめどんより、という空気は斜め上の疑問符で別方向の重さを増しつつある。
だが「良い船です」としか言いようの無い痴情もつれまくりな空気より
ソフトでウェットに摩擦0で行うシュールギャグで寒々しい方が八幡君適正高いからな!
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:40:05.09 ID:RJhXyT9p0

「……何やってんのお前」

ツッコミだ。ツッコミしかない。
これが今俺に許された唯一の特火点……それトーチカじゃねぇか守ってどうする。
ともかく今何か選択肢があるとすればここでの一転突破だ。後のことなど知ったことか。

「なにって……いや、あついなーって」

「いや不自然すぎるだろ色々……熱でもあんの?」

「べ、別にフツーだし……あ!」

「急に大きな声だすなっt」

「今あたしの、む、むね見たでしょ! うわやらしー、ひっきーの、すけべー」

斜め上、或いは下。

生谷間in由比ヶ浜にドギマギせんこともないが、
今の状況のあまりの不自然さと数秒前より更に磨きのかかった棒読みに折角のエロハプニングは台無しになってしまっている。

つか既にスローペースどころか襟下に引っ張ってるだけのお前に視線向けたら否が応でも見えるでしょー。
……だから乳にだけ反応してstand up to the victoryしてくれるなよ愚息よ。
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:41:32.34 ID:RJhXyT9p0

「今朝サブレに噛まれた? 水怖がって痙攣したりしてない?」

「それ狂犬病! ちゃんとワクチン打ってるし日本安全じゃん!」

「何だ、由比ヶ浜の癖に詳しいなエライねぇ〜」

「そりゃ犬飼ってるし……ていうかその馬鹿にした言い方なんなの!バカにしすぎだからぁ!」

「由比ヶ浜、酸素欠乏症にかかって……」

「よ、よくわかんないけどバカにされてることは分かるし!」

とまぁ神風特攻は功を奏したのか、いつもの様な俺達のリズムに戻る。
これがいつもってのも別の意味で問題な気がするが今は見ない振りをしておく。

ともあれ、

「まぁ諸々置いといて、お前今朝からなんかおかしいだろ……何かあった?」

ここまでノリが元に戻るなら別れ話とかそういう致命的なアレはないと信じたいところ。
……こうでもしないと彼女の奇態にすら口出し出来ないんだから俺ってやっぱ俺なんだなぁ。
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:43:08.57 ID:RJhXyT9p0

「何か、って……」

「そのさ、頼りないかもしんないけど、てか実際頼りないけど、か、彼氏だろ俺。 何かあるなら、言ってほしいなとか、頼って欲しい、的な……」

そして決め台詞もどもりまくる実に比企谷八幡。これでも渾身なんですよ……。

「……もう忘れたの?」

「へ?」

「き、昨日のこと! あんなことあったのに、もうバカ!」

「昨日の……」

やっぱり昨日の件じゃないか!
先までの奇行との関連は分からず意図も読めないが、やはりこれはもう挽回不可能、
我々の恋仲の比喩たる豊かなチュニス湖東岸に塩を撒いて引導を渡してくれるわという意思表示だったんだなぁ。
……練炭と混ぜたら危険な洗剤の組み合わせってどっちがお手軽なんだろなー?
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:44:14.05 ID:RJhXyT9p0

「いや、忘れてないから……ごめんなさい、すぐしにます」

「し、しななくていいから! 大袈裟すぎるっ!」

「いやだって、もうあんたとは付き合いきれんわぁって話じゃないのかこれ」

「なんでお笑い芸人っぽいの……そんなことないし、その、昨日のことは気にしてるけど、それだけで嫌いになんてならないから……」

「そ、そうスか……」

良かった……いや本当に良かった。
ここで別れたりなんかしたら自決できなくともマジモンのヒッキー確定ってところだったぜ……!


しかし、最大の懸念が解消されても疑念は消えていないのである。

836 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:45:17.99 ID:RJhXyT9p0

「そ、それはともかく、じゃあさっきの……暑いとか、アレなんだったんだよ」

「わ、わかんない?」

「サッパリ分からん」

目に見えない妖精が部屋埋め尽くすレベルで分からんわ。ハートを大切にね!

「えと……何も思わなかった? 感じなかった?」

「ばかだねぇ、じつにばかだね、とは思った」

「なんでドラちゃん風なの!? バカにしすぎ!」

「いやだって、なぁ」

「も、もう! 本当にもう!」

本日現時点で最大の激昂を見せた由比ヶ浜結衣、そのままこちらに掴みかかり……って、え?
837 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:46:36.81 ID:RJhXyT9p0

「お、おま、何!?」

由比ヶ浜の左手が俺の肩にかけられ、一気に距離を詰めてくる。
かけられる力は彼女の見た目に相違なく強くはないが、
その勢いと気迫は永世名誉鶏肉男子を圧するには十分な力があった。

え、DV? DVなの? 猟奇的な彼女なの? ギンタマンなの!?
そもそも家庭内暴力って俺まだ由比ヶ浜と結婚してるわけじゃないんだよなぁってかまだってなんだまだって結婚するつもりなんてそりゃいつかはって思ってるに決まってんだろつかこの思考スピードはなんだよ走馬灯なのこんな乱雑なのがそうなの死ぬの俺――

だが、

「これで、どう!? 何にもないの!?」

(由比ヶ浜結衣にしては)精一杯の怒気が込められた声で、左で俺の肩を抑えたまま、
乗り出した身を俺の目前に、右は再びシャツの襟からバレーがアップ……て、え。


バレーが、

谷間。

山が、

熟れた果実で。
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:48:18.19 ID:RJhXyT9p0

「え、お、おま」

至近距離、文字通り目と鼻の先。
白くて、豊かで、何よりも柔らかいことを俺が知っている、

由比ヶ浜の、胸が。

目前に、

乳が。

「ど、どう!? これでもコーフンしないの!?」

「あ、え、それは、します」

しますとも……なんで敬語。

「ふ、ふーん、じゃあコーフンしたヒッキーは、どうしたいの?」

「いや、どうもしません、です」

「なんで!?」

自分が悪いという前提でなら差し障りの無い返答が脊髄反射レベルに染み付いたナチュラルボーン謝罪人間比企谷八幡の本領発揮である。
……いや由比ヶ浜の反応的には明らかに失策なんだけど。
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:49:43.73 ID:RJhXyT9p0

これはあれか、昨日と同じで、誘惑してるつもりだったのか。
だからカーテン気にしてたのか。
そういう案件なのか。

「胸見えたってだけで興奮はともかく、その、盛るって、痴漢じゃあるまいし」

「そ、それはそうなんだけど……でも、こ、こいびとの、む、むねが見えてても、何もないの?」

「いやそれはほら、親しき仲にも礼儀ありとか、昔の人は言いまして」

「それもそうだけどー……」

みるみる萎んでいく由比ヶ浜の覇気であった。改めて自分の水差す才能に惚れ惚れするぜ……。

まぁしかし、誘惑というか、そういう方向に持って行きたかったのは何故なのか。
それも昨日のようなことがって、それでも昨日の今日でそうしたというのは。
問わねばなるまい……見えてる地雷なのかもしれないが、
それでも踏み込んでいくのは彼氏とか、恋人ってヤツの責務ではないか、と思う。

出来うる限り丁寧に、丁寧な配球を心掛けて。
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:51:16.63 ID:RJhXyT9p0

「あのさ、その……シ、シたかったの? セックス」

ごめん、デッドどころかビーンボールになった。

「そ、そーいう聞き方はデリカシーとか、ないよ……」

「わ、悪い。 いやでも、その、そーいうこと、なの?」

事前にデバフってたお陰か由比ヶ浜の反応に激したものはない。
そして言葉から察するに、渇望やら欲求を否定してはいない。

これは、まさか、本当に――?

今日一日のジェットコースターの締めくくりが昨日の再現であると、
あらぬ期待に下半身の神経が俄かに強張り始める。

「……言ったじゃん」

「へ?」

「リベンジするって、昨日言ったじゃん。 だから……」
841 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:52:39.89 ID:RJhXyT9p0

俯いて、由比ヶ浜らしからぬ低い調子で呻く様に。
あれやこれやですっ飛んでいた記憶、それは確かに昨日、自分の耳朶から脳細胞に刻み込まれた言葉だった。
リベンジすると、やり返すのだと、俺が茶化して冗談半分にしてしまったそれを、彼女は真であると言うのか。

「マジで!?」

「だからなんでそんなに嬉しそうなの!? む、無理やりシちゃうんだよ!?」

「逆に考えるんだ、無理やりして貰えると考えるんだ」

「うぅ、もしかしてヒッキー、変態なの……?」

世界のS・M比率なんて知るべくも無いが、年上お姉さんの上からご奉仕的なのとか、ジャンルとしちゃメジャーですよ?
まぁ由比ヶ浜は同い年だしお姉さん面しても大層バカで可愛らしくなってしまうからミスマッチかもしれないが。

「でまぁリベンジはいいとして、さっきの……その、胸がどうだの、あれ何か関係あんの?」

「……い、言わなきゃダメ?」

「駄目とは言わんけど、変だったし、気にはなるし」

それが誘惑であることの裏付けは取れたようなもんである。
しかし何かシチュエーションの意図があったのは察するがどうも杜撰で、ある種の疑念と興味は尽きない。
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:54:13.20 ID:RJhXyT9p0

「……えと、む、胸が見えちゃって、そしたらヒッキーはコーフンする、でしょ? するよね?」

「まぁ、それは、さっき言ったとおり」

「う、うん……それで、コーフンしたヒッキーがあたしに……それを、まだダメーって止めて、シたいです、シてくださいってお願いしてくるまでストップさせて、し、躾ちゃう、みたいな」

ぼそぼそ俯きがちに話す由比ヶ浜の意図を聞き、ようやく合点がいった。
主導権を握りたかったと。
そうだったのか、そういうシチュエーションを期待していたのか。

「バカだろお前」

「ま、またそういう言い方して! 何度もバカにし過ぎだから!」

「そもそも脚本も演出もなってないし、それに俺が無理やり、手篭め、とか、そういうのしようとしたらどうするつもりだったんだよ」

「て、手篭めって」

「力ずくでとか、それこそお前の言う無理矢理って奴だよ」
843 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:55:48.60 ID:RJhXyT9p0

まぁそういうことである。
由比ヶ浜のガバガバストーリーラインはともかく、スポーツもトレーニングもしているわけでもない彼女が、
同じく運動経験薄いとはいえ成人前の男性に腕力で訴えられたらどうするつもりだったのか。
緩そうに見えても男子の下心からスルスルと慣れた調子で逃げ回っていた彼女らしからぬミスというか。

「それは、その……」

俺の指摘に今更気付かされた由比ヶ浜は、口中でもごもごと声ならぬ言葉を泳がせて、

「……やさしく、してね?」

上目遣いで、頬を赤く、怯えと甘みを響きに含み、仰ったのだ。

ハイ死んだ! 今俺の心臓死んだよ! 何度目だよ!
844 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:58:11.15 ID:RJhXyT9p0

「い、いやお前、それ何の解決にもなってないし、その、お前それ……」

「で、でも、そうなっちゃったら、そうするしかないし……ヒッキーなら、聞いてくれるかもって」

「いやまぁその可能性は否定しないけどな……そもそも逆襲されてんじゃん、リベンジ返しじゃんよ」

「あぅ……」

何を期待されてんだ俺は……そもそも優しく出来なかったからリベンジ云々って話になってたんじゃないのか。
支離滅裂な由比ヶ浜の言いようも、全部彼女の可愛らしさで引っかきまわされて『わや』になる。
なんかもう大変で、疲れるのに、どうしようもなく幸福感で満ちてしまうのは、それは。

「うぅ、リベンジ失敗しちゃったよ、どうしよヒッキー……」

それを俺に聞くのかよ、と思いつつも声には出さなかった。
何故ならば。

「ま、まぁ面接?は失敗しても、この試験は実技で取り返せるぞ、多分」

「そ、そうなの?」

期待して、
期待して、
俺の方がもう止まれなくなっているから。
845 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/09/27(水) 17:59:41.64 ID:RJhXyT9p0

昨日の己の失敗を彼女に転嫁しているようなものかもしれないが、
由比ヶ浜が「シてくれる」という、その希望が己の失態を無視して走っている。
昨日の今日でこれなのだから、俺が自分の失態を本当の意味で反省することはありえないのかもしれない。

罪悪感はあるが、それすら超えて張り詰めた神経が血流となって勃ち上がってしまっている。
ならばもう行く道は一つしかない。

「じゃ、じゃあ……リ、リベンジ、お願いします」

「は、はい……リベンジ、し、します」

こうして、何故か俺の主導により由比ヶ浜結衣の逆襲は始まったのだった。
846 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 18:02:17.02 ID:RJhXyT9po
というわけで第五話導入でした。次回からエロい展開になります。きっと
あと五話のサブタイは「怒れる小さな茶色い犬」になります。いつも入れ忘れ。
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 18:05:36.46 ID:RJhXyT9po
あと今後の投下予定ですが、
まとめ読みしたいという要望に沿って書き続けてはみたものの個人的なペースには合ってないようなので
サキサキの人を見習って今後は小まめな投下を心がけ一定ペースで進められるよう努めたいと思います
というかサキサキの人は凄いっスよね……

渋の方も折を見て更新していきたいと思いますので期待せずお待ちください
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 18:22:57.82 ID:O2Xb6qhuO
生きとったんか我ぇ!

続き待ってるぜ
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 18:38:49.98 ID:mDAwQFBbO
イッチ生きてたんか(驚愕)
とりあえず乙
この頃八結書きが復活して嬉しいなぁ
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 18:55:28.89 ID:Jtb7VRvRO
乙です
期待してます!
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/27(水) 20:01:09.01 ID:NAJy0bBDO
ありがたい
長い間全裸大気しててよかった
852 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/28(木) 21:32:11.71 ID:Xe2WHdsFo
おつーもう戻ってこないかと思ったけど待ってて良かったわ
原作はもうデレデレだからこういう馬鹿っぽいやり取り妙に新鮮な感じ
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/09/29(金) 11:57:15.65 ID:R8SytgMTo
乙です
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/28(土) 16:36:58.23 ID:8EkyUQL/0
待ってる。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/20(火) 23:32:57.17 ID:ZlsOBocVO
新巻出たしここも更新されねえかなぁ
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/11/20(水) 12:13:10.99 ID:c3V4tHB90
原作終了
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