モバ「依田芳乃の仰せのままに」

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1 : ◆agif0ROmyg [saga]:2017/04/14(金) 22:25:10.00 ID:295gr99x0
アイドルマスターシンデレラガールズの、依田芳乃のR18SSです。


最近やたらと疲れがたまる。妙に運のめぐり合わせが悪い気がする。

そんな気分になることは、誰しもあることだろう。

長い人生、いつでも調子が良いはずもない。

しかしそれにしても、一週間に4回も事故に見舞われるのはおかしいんじゃないだろうか。

幸いどれもギリギリのところで負傷は避けられているのだが。

道を歩いていて上から植木鉢が落ちてくる、曲がり角で車が突っ込んでくる、駅のホームで押されて落ちそうになる。

そして極めつけに、今日なんか工事現場の近くを通ったら鉄骨が降ってきた。

ほんの数cmずれていたら、俺は今頃細切れ肉と化していただろう。

当たらなくて運が良かった……なんて、そこまでポジティブにはなれそうもない。

だんだん不幸に遭う感覚が短くなり、規模が大きくなっているようにも思える。

事務所でふさぎ込んでいると。

「おや……そなた、また何か、邪な気に憑かれているようでして」

現れたのは依田芳乃、我が担当アイドルである。

年齢の割に浮世離れした雰囲気があり、神秘的で清浄な佇まいの芳乃。

拝み屋だか祈祷師だかの家系だそうで、そんな彼女が"邪"とまでいうのは、やはり気になる。

「分かるか、そういうの。最近、身の回りに変なことばかり起こって……そのうち怪我でもしないかって心配でな」

「でしたら、わたくしの禊を受けてみてはいかがでしょうー。そなたになにかあってはと思うと、わたくしも不安でしてー」

売れ始めた担当アイドルに、自分のことで時間を取らせるのは申し訳ないが。

しかし、もうそんなことを言っている場合でもないかもしれない。

悩みを解決したり不安を除いたりする点において、芳乃は並のカウンセラーを凌ぐ力を持つ。

禊なるものがいったいどういうものなのかまったく見当もつかないが、今日の帰り道にも死ぬかもしれないと思うと、遠慮している余裕など無い。

芳乃の導きに従うことにした。

「それがよいでしょー。では、この後、わたくしの部屋に参りましょうか」

担当アイドルの部屋に入るのはプロデューサーとしては気が引けるが、やむを得まい。

そして夕方。

俺たちは女子寮の前まで来ていた。

送り迎えで玄関先にまで来ることは今まで何度もあったが、もちろん中に入ったことはない。

誰かに見咎められないか不安だが、芳乃がいれば大丈夫、なのだろうか。

「それではまいりましょー。人払いをしてあるので、心配なさらずにー」

大丈夫らしい。

案内されて入った芳乃ルームは、和風っぽい感じの、一見したところ普通の女子の部屋である。

が、照明が薄暗く、小物類や壁の装飾が怪しげな雰囲気を発していることもあり、どこか非日常的な感じもする。

香木のような雅な匂いが漂っていて、息をしているだけでも気分が良くなってくる。

余計なものも少ない、きれいに整えられた部屋。

その真ん中に、ござのようなものが敷いてある。

あの上で、禊とやらをするのだろうか。

「それでは、準備いたしますのでー。少々お待ちをー」

奥の部屋に引っ込んだ芳乃は、すぐに戻ってきた。

制服から、薄手の白い襦袢のような着物に着替えている。

両手には桶を持っていて、中には油のようなものが満ちている。

鼻の奥をくすぐる匂いは、どこか野性味があって独特。
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