マリオ「最近、テニスやパーティーにゴルフばかりで…何かを忘れているような」

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271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/08(金) 22:56:18.65 ID:u9bYzKbbo
ほしゅ
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/14(木) 13:43:21.68 ID:uwTslMweo
まだ?
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/19(火) 23:02:47.59 ID:8tJ19dmT0
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   長らくお待たせして申し訳ありませんでした!!

マリオオデッセイが一段落ついたので明日の陽が明るい内に更新ですッ!



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274 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/19(火) 23:17:23.21 ID:YP6GjJE2O
待ってた‼
楽しみにしてる‼
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 13:04:55.09 ID:/NaxgDC30

物々しい排気音をあげて【過去からの贈り物】達はキノコ王国国道を進む

 塗装整備もなされていない道を走り続けた履帯は途中から国道線に乗り
その侵攻速度をあげて行った





皮肉にも国民の為に築かれた政策が国民を脅かす敵対勢力の促進となった





砲門が2門、砲塔が3基の大型戦車が2両、そして小型の車両が6両…

それが"指揮官"の搭乗する車両であった



 門番三人衆を前に小型を2両残し、後に本隊等と合流し
その内、"篩に掛けて"…ドン・チュルゲに権限を持たせた"癌細胞"と分離





10両だけの戦車…部隊は今や














 BUROOOOOO…!




BUROOOOOOOOOOOOOOO…!!






BUROOOOOOOOOOO O O !  !  !   !










 二 個 中 隊 規 模 の 軍 勢 と な っ て い た ッ!





「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!」」」」」」




軍隊に置いて、分隊は約13名の人員、小隊で43名ッ!

中隊が一個中隊につき182名に及ぶ!!

即ち360余名の武装した歴戦の兵<ツワモノ>共が国攻めに馳せ参じたのだッ!

276 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 13:35:34.84 ID:/NaxgDC30


卑怯、卑劣?なんとでも言うがよい






相手は自分達のような蟻の群れを蹴散らす主君たる大魔王

そしてその魔王と同格の英雄兄弟、の内の一人

それに付け加えて、この国にはその兄弟に勝らずとも劣らぬ豪傑揃いだ





たかが300名如きで正面から戦って何故勝てると口にできようか

なにゆえ大戦時代の兵装を復元した程度で勝てる道理が見出せようか







なればこそ一生涯にあるかないかの機を逃す手が何処にあると申すのだ!






"指揮官"は皺だらけの瞼を閉じ、静かに熱を感じていた



眼を閉じていても感じ取れる


自分達の……恋焦がれたあの美しくも儚い、輝いていた世界がそこにある



砂塵も、煙炎も、傷つき倒れていく友の姿さえも…ッ!



その瞬間は何もかもが愛おしかった

その刹那を、瞬きすらも惜しい、命取りになる最高の瞬間を…





 どんな絶世の美女を見たとしても決して抱けない
胸を熱く燃やし尽くす程の"焦がれ"がそこにあった


【埃】被ってた闘争心に再び『誇り』を滾らせる魂の唄がそこにあるッ!





眼で見るまでも無い



"指揮官"は今、光の中に居る…薄暗い蜘蛛の巣が張った部屋で

ただ堕情を抱いて、泥濘の底へ何処まで沈みやがて消えるだけじゃない


志を共にした猛者の"闘いそのもの"を称える賛歌が溢れていた!!



「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!!!」」」」」」

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 14:10:41.63 ID:/NaxgDC30

1つ、それはある意味で救いであるが、救いではないのだ


何が言いたいか、まず結論から言っておく



彼等は勝敗そのものは精々持って"オマケ"程度と考えている

無論、やるからには勝ちたいが、だが本命はそこじゃない





昔、戦争で活躍した漢達が…ッ、闘争に誇りを持ち雄姿を称えられた兵が

時代の流れと共に朽ちて塵芥となり消えていく…



誰の記憶にも残らず、やがては姿も名前でさえも忘れられてしまうこと


 それが彼等には【死ぬことなんかよりも百倍辛い事】なのである




どうせ消えるなら

このまま日の目を拝むことも無く霞のように四散していくならば





もう一度、戦<イクサ>場に馳せよう…部隊の花形となろう

栄光のクッパ軍団はかつて誰よりも闘いこそを生きがいとした筈だ


強敵と闘いそして自分達がどこまでやれたのか、いつだってそうだった



  今の若い小僧共には理解できんだろうよ

    大戦時代に誇りを持った男の心なぞ、鼻で嗤うだろうよ!




玉砕上等!自分達の戦火を見て何かを感じる者が"たった一人"でも居れば

その姿を記憶の片隅に留めてくれる者が現れたならば



…もしも、主君たちが、敬愛する強敵たちが何かを想ったならそれでいい




彼等にとっての『平和』は身体蝕む"甘い毒"でしかない

      自分の存在意義が無い、生きている意味が亡い




   だから【戦火】という"激しい治療薬"を追い求める…





今の常世は"生き辛い"のだよ…今、自分達が乗ってる戦車と同じ…

「役目を終えたらもう要らない」「邪魔だ」「不要な存在だ、捨てよう


ある意味で戦いは『生きる意味を見出せる』救い
だけどそれは…平和に馴染めない不器用な漢達を本当の意味では救えない
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 14:27:46.89 ID:/NaxgDC30

自分達の誇りの為に。

生きる意味をもう一度取り戻したい、廃棄物で終わりたくない。


またアイツ等と戦いたい。


誰かに忘れ去られたくない、俺達を思い出してほしい。






色んな感情が渦巻く、自分自身の都合、主君の事、強敵と拳を交えた時








「なんじゃ、子供の喧嘩と同じじゃのう」


「は!…指揮官殿?」



「ん、ちとな…おかしゅう思うただけじゃわい見てみぃ」スッ


「…」チラッ


「ふ、ふふ…どいつもこいつもイイ歳したモンが眼を輝かせおる
               余程血肉湧き踊っとるんじゃろう」ニィ!



「そういう指揮官殿も…随分と"お若い"ようですね」ニヤリ


「ハッハッハ!こやつめ!…クッパ様のため声をあげとるがの…」

「あげておりますが…なんですか?」






「それ『も』紛れも無く本心じゃがのう
      …結局はワシもお前らも皆、自分の夢、望みの為じゃて」



「…………」




「恥じるな」



「……」



「クッパ様にかつての栄光を思い出して欲しいのもまた本心だが
  自分の欲もまた同時に存在する本心じゃ

 いっそ開き直れ、認めぬ方が尚更タチが悪いわいマヌケ」


「ハッ!」ビシッ


279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 14:43:32.95 ID:/NaxgDC30


「ワシ等は平和な世の中でのんびり暮らす事のできんデカイ子供じゃよ」


「…」





「毎日テニスやゴルフにパーティー三昧、そんな天国みたいな平和に…

   【退屈】に順応できんと駄々を捏ねる馬鹿デカイ子供よのぉ」






「……」




「退屈が嫌いだから刺激を求める、そしてふと真っ先に思い出すのは
 "大好きな喧嘩相手"でちょっかい掛けたがる…
     そんな悪餓鬼だと思うたんじゃよ!ハッハッハ!」



「ふっ、違いありませんな」




「うむ…!王国城壁が見えたな、さぁ!"ちょっかい"を出しに征くか!」


「「「「応ッッッッ!!」」」」




「皆に通達!天は我らに最大の好奇を与え給うたッ!!!
  これを逃すのは大虚けじゃ!予定通り切り込み部隊―――隊出陣!」









「さぁ!ワシ等の愛した世界の門戸を叩けぇぃ!!放てぇぇ―――ッ」













  ボッッッッッッ!!!



                     ――――カッ!







稲妻が近くの木々に落ちる音に酷似していた、音が止むころには

キノコ王国の城壁に大穴がガッポリと開いていた

   平和という脆い壁もボロボロと崩れ始める事を象徴するように
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 15:06:10.67 ID:/NaxgDC30

―――
――



 市民の避難は完了している、実戦経験など皆無に等しい
平和のぬるま湯にどっぷりと浸かった城仕えのキノピオ達が
その手に棒きれを持っていた



英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>に頼り切った彼等はその小さな脚と細い腕を
プルプル震わせていた…


小刻みに震える紅い斑点模様の彼等は
国内の至る所に配備されていた何処から侵入されても
東西南北、全方位に十数名居れば(無意味だろうけど)対応できると考え



キノピオA「だ、だだだ、大丈夫かな…」ガクガク

キノピオB「ししし、心配ななにゃいでしゅよ
       く、クリボーくらい追い払えます!」ガクガク


キノピオC「あ、あっちの方ってワリオさんや向こうにヨッシーさんが
            居るから、あぅぅ…向こうに配備されかった」



キノピオD「いざとなったら!この棒を投げつけてやりましょう!!
      いつまでも怖がってちゃ駄目なんだ!
            僕たちだってお城の兵隊さんだもん」




キノピオB「…な、投げたら棒がなくなるけど、その後囲まれたら?」



キノピオD「……」

キノピオD「や、やっぱりモノを投げるのは良くないよね、うん」








  ボッッッッッッ!!!



                     ――――カッ!





   ズドガァァァァー――ン!!




キノピオs「「「「キャー―――!!」」」」



吹き飛ぶ城壁ッ!パラパラと空から降ってくる破片
タルや木箱の影に光の速さで隠れる十数名のキノピオの群れッッ!



クッパ大王も港で足止めされ、マリオ達も遠くの空でゲドンコと交戦中


護りが完全に手薄になったキノコ王国に遂にッ!
           "旧"クッパ軍が攻めて来たァ――――ッッッッ!!
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 05:22:51.59 ID:LOhFhYVS0
>タルや木箱の影に光の速さで隠れる十数名のキノピオの群れッッ
これだから毎回ピーチ拐われんだろうなこの国
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 08:00:08.82 ID:nghJb7tpO
キノピオかわいい
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 19:37:49.07 ID:9xX5pQ2d0


ドッゴォォォォン


ズゥゥゥン! ボガァァン!!




キノピオB「に、西側からも音が…!」

キノピオC「そ、それだけじゃないよ、もっと遠くからも」






"旧"クッパ軍はキノコ王国首都をぐるりと包囲するように囲んでいた


 王国そのものを…そう、一枚のマルゲリータ・ピッツァと考えて貰おう

 英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>不在、加えて協定を結んでいるであろう
彼等が主君クッパが部下の不始末を罰すべく如何に迅速に動いたとしても
到達にはまだ猶予がある(港の足止めを計算に入れなかったとしてもだ)


しかし、国内には怪力ワリオを始めとする超人がまだ居る



だからこその四方八方から一斉攻撃を仕掛ける必要がある





国家の本丸…ピーチ城を陥落させる為にどれだけの戦力が必要か?

何処から攻め込めば、最短ルート、かつ最低限の兵力で可能か?



それも踏まえて"指揮官殿"は配置した






クッパなら、間違いなく駒をこう動かしただろう、と考えて



以前記述したがクッパは内政はともかく戦<イクサ>に関しては秀でていた

幼少の頃より、"指揮官殿"の教育をスポンジが水を吸うが如く取り入れた

…政治はあまり良くなかった事からカメックは頭を痛めていたが




話を戻そう





カメ一族の覇者となったクッパの手腕はいつだって英雄兄弟を苦しめた


砦内に針の山、マグマの上に浮かぶ金網、ドッスン…隠しブロックと扉

ジャンプ台で跳ねた瞬間にピンポイントで撃ち出されるキラー

乗った瞬間に落下する板、飛び移りを困難にさせる数々の敵達…etc




いつだって難易度の高い"旅路<ゲームステージ>"を考案してきたとも
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 20:09:35.75 ID:9xX5pQ2d0



時には足を滑らせて、憐れ!奈落の底へ真っ逆さま!


 敵を避けきったかと思えば思わぬ位置に配備された伏兵に一撃貰い
身体が縮むような思いさえもしたことだろう



そんなクッパの恩師でもあるのが"指揮官殿"であり


今、キノコ王国を誰も逃げられないように完全包囲し
一枚のピッツァを8等分するようにそれぞれ地域分担で
同時侵攻作戦の展開も進ませているのだ



南側、南西側、西側、北西側…と切り分けていったピザ生地の"どれか"は
一騎当千の怪物が居ることだろう


如何に英傑であれど身体は一つだ、1区画で攻め込んできた敵と交戦中に
他の区画から侵攻した自軍…内どれか一つでも
本丸を落として降伏させればよいのだ




―――
――


ガラガラ…!

   パラパラ…





   ワリオ「へっ!奴さんのおでましか…」ポキッ、ポキッ




ガラガラと崩れ落ちる煉瓦と破片、立ち込める真っ白な煙


紫色のオーバーオール、長袖を愛用する英雄兄弟とは違い黄色の半袖から
見える筋肉盛々の丸太のように太い腕
 トレードマークの帽子同様に『W』の文字が描かれたグローブを嵌めた
手をポキポキと鳴らし煙の向こうから規律正しい足音の行進曲を聴く





ザッザッザッザッ!


 『―――』ザッザッ!

 『―――』ザッザッ!

 『―――』ザッザッ!

 『―――』ザッザッ!



未だ白煙の中で揺れるだけの人影、…相手は何か分からない



"指揮官殿"とやらが、切り込み部隊『―――隊』である

285 :脱字) "指揮官殿"とやらが、  送り出した  切り込み部隊『―――隊』である [saga]:2017/12/21(木) 20:49:57.00 ID:9xX5pQ2d0



ワリオ(…あぁん?なんだぁ、ヤケにすっとろい動きじゃあねーか)



白煙の向こうから、ぞろぞろ…わらわら…数は…? 思ったより少ない?

それに何故、"突撃"してこない、奇妙だ




壁をぶち破ったなら、その勢いに任せ電撃作戦を展開すれば良いモノを…
 白煙や砂埃で互いの姿は認識し辛い、そのまま散らばるように
穴から這い出て、建造物を利用する市街地戦に持ち越せば
防衛戦に徹せねばならないこちらとしては不利になるはずだが…?




 『―――』ザッザッ!
 『―――』ザッザッ!
 『―――』ザッザッ!
 『―――』ザッザッ!





ワリオ「…薄っ気味悪ぃ連中だな」チッ

ワリオ「なんだか知らねぇが来ねぇならこっちから行ってやらぁ!!」



ゴォ!!闘牛の突進を思わせる力強い動き、煙の向こうに揺れる"人影"は
4、5…7ッ!! 辛うじてだが『手足』や『頭部』のシルエットが見える



つまり【クリボー】や【サンボ】…【ハナチャン】のような相手ではない

人型…【ノコノコ】系のカメ一族だろうとワリオは推測を立てていた





 『―――』ザッザッ!…ヒュンッ!!






       ワリオ(っ!野郎…何か投げやがった!)サッ!




―――視界を遮る白の中で猛者は風切り音を確かに聞いた



とすればあれは【ハンマーブロス】か!?
 煙に巻かれる最中、肉眼では確認できなかった"何か"を音を頼りに回避

紙一重で己の真横を過ぎ去った"何か"は棒状の形をしていた、とし
か認識できず、ハンマーであるとは断言できなかった




ワリオ「うらっしゃあああぁぁぁァァ―――ッ!喰らいやがれぇぇ!!」




その短い脚からは想像もつかぬフットワーク
 横跳び回避からのステップインでそのまま2体の『―――』目掛けて
渾身のダブルラリアットをお見舞いしてやるッ!

286 :今回ここまで [saga]:2017/12/21(木) 21:11:08.18 ID:9xX5pQ2d0


ボキャァァァアアアッッッッ!!

決まったッッ!!



渾身のダブルラリアットッ!ワリオの丸太のように太い腕が
前方2体の『―――』の首を情け容赦なく捉え、そのまま走り抜ける


『――ギッ”!』ゴシャアッ!
『――ゲッ”!』ゴシャアッ!


小さな悲鳴をあげ、2体は後頭部から硬い石畳目掛けて倒れ込む


 ごしゃあっ!!―――鈍い音がしたが振り向かない
そのまま倒した2体のすぐ左後ろに居た奴目掛けてエルボーを喰らわせる

めしゃっ!!硬いモノが砕ける感触を肘に感じた

手加減はしてやったつもりだが鼻っ面は確実に折れただろう




  ヒュンッ! ヒュンッ!




ワリオ「!」サッ

ワリオ「ほっ!!」パシッ!


エルボーを喰らった相手が膝をついて崩れ落ちるように倒れると同時に
左右から挟み撃ちをする形で投擲

1つは屈んで避ける

もう1つは、真剣白羽取りを彷彿とさせる動きで"それ"を掴んだ



 ワリオ「ケッ!てめぇ等さっきから何投げてやがん…だ…?」




風が吹いた、視界を遮る粉塵は煙共々に晴れていく…




ワリオ「な、なんじゃああこりゃあぁ〜!?」ガーン!!



彼が掴んでいた物…それは『骨』だった…





カロンA「―――」ザッザッ!

カロンB「―――」ザッザッ!

カロンC「―――」ザッザッ!

カロンD「―――」ザッザッ!



倒されてバラバラになったカロンの骨『―――』カタカタ…!!


復活カロン「―――ギッ””…―――」バッ!……ザッザッ!


287 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 13:19:58.47 ID:BE3j5RqB0
続ききてた。
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/22(金) 17:17:54.90 ID:EkqbXMrF0
おつおつ、オデッセイは過去作オマージュ多くて知ってると超楽しいよね
289 :メリークリスマス! ◆zJZqNVVhtuCN [saga]:2017/12/25(月) 00:30:26.34 ID:JNraNh8M0


カロン…なるほど、通りで動きが遅い筈だ


動く屍兵たる彼等は倒せど倒せど何度でも蘇るのだ、頭部を踏みつけても
一時的に動きが止まるだけで、一定時間が経過すれば再動する




ヒュッ!ヒュッ!



ヒュヒュヒュ!!!





ワリオ「うおっ!?」



骨を十字にクロスさせた手裏剣のような"ソレ"…先程からワリオ目掛けて
投擲されていた棒状の武器の正体だった


彼奴等、自身の肉体(というか骨格)から数本、骨を抜き取りソレを敵に
投げつける習性がある

 2本の骨をバツ印になるように合わせれば、中心点が結合して
ブーメランと化す




驚くべきはそこじゃない、連中は骨を抜き取っても数分もすれば
何事もなかったかのように再生するのだ


投げても投げても無くならない、増殖する

そのメカニズムはどのような原理なのか自軍の者同士でさえも分からない





 ヒュッヒュッヒュッ! ヒュンッ! ヒュンッ ヒュンッ!





屍兵の胴体の一部が豪傑目掛けて投げられる、躱された骨はそのまま
民家の壁や石畳の地面にめり込む様に突き刺さる

これが直撃すれば間違いなく人の肉など抉れてしまうだろう





ワリオ「ぐっ…!――んだよっ、こりゃあ!さっきより数増えてんぞ!」



カロンA〜D「―――」ザッザッ!



"一度倒されたが復活した"カロンA〜C「―――−」ザッザッ!


290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 03:38:23.77 ID:JNraNh8M0



骸骨を殴る、蹴る、踏みつける、物言わん骸<むくろ>と化す








 しかして不死の兵隊は起き上がる




 一度起き上がる、再び倒れても蘇る、三度敵として相見える





死なぬのだ、彼奴等は…












     カロンA〜H「「「「「――――」」」」」ザッザッザッザッ







煙の向こうから見えた影はそれほど多くは無かった




だが…ッ!





ワリオ「うぉおおおおりゃぁああああああああああぁぁぁッ!」



ブンッ ビュンッ! グルンッ!ゴベシャッ!



カロンD「ギッ」ベキャッ!

カロンC「ゲギィ――!」メシッ!ミシミシッ!!




拳が猛威を振る度に、蹴りが薙ぐ度に、ひび割れ破壊されていく死の兵隊



死、破壊――――そして―――



"復活した"カロン「…―――」パラララッ…!カシャッ!…ザッザッ


                 そして――――再生、復活


291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 03:50:38.89 ID:JNraNh8M0

―――
――




ワリオ「…はぁ、はぁ…ぜぇ…」ハァハァ…



カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ

カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ


カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッザッ





カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ!





どう見ても数が減るどころか増えている、それは一目瞭然であった


それもその筈だ







カロン「―――」ブンッ ヒュッ




ワリオ「くそったれ!」サッ スカッ








地面に大量に散らばったカロンの身体の一部たち『―――』


地面に大量に散らばったカロンの身体の一部たち『―――』カタカタ…!




地面に大量に散らばったカロンの身体の一部たち『―――』バラララララ!






"増殖"カロン「ギッ!―――−」ザッザッ





カロンは自身たちで個体数を増やす事ができるのだッ!

これこそが"指揮官殿"が第一陣の切り込み隊として送り出した際たる理由


 疲れ知らずの不死身の兵を一人送れば侵攻先で増殖し、気がつけば
始末に負えない程に量産し終えているという状況になる

相手は倒せない上に数が増え続けるそれ相手に勝手に疲弊してくれる

292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 04:21:57.61 ID:JNraNh8M0


ワリオ…彼もまた紛れもない超人の領域に到達した漢だ



単純なパワーだけならそれこそマリオにもクッパの怪力にだって匹敵する

それこそ重さ100t越えの超重量級戦車だって素手で持ち上げ、投げれる






こと此処に至っては"相性が悪すぎた"…



 英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>は一体、如何にして
この恐るべき敵を退けたのか?




その答えを此処で言うとしよう





 彼等が初めてこの死骸兵共と遭遇したのは【7匹の子クッパ達】が
世界各国への侵攻作戦を展開していた時代だ


砦を始めとする要塞の守りに配置されていることが多かった

あの頃は今と違って4足歩行の亀だったが…




不死身のこいつ等をどう処理したか


ある時はハンマーを投げ、二度と復活できないように
完全に原型が分からない程に粉々にした



ある時は背中に付けた大空さえも飛べるマントを利用した
 空すら飛べるマントの風圧を利用した回転攻撃で
『場外へふっ飛ばした』…つまり倒せないから視界に映らない程遠くへ
飛ばしただけである




ある時は踏みつけて、バラバラになった瞬間、頭部を拾い上げて
奈落の底や煮え滾る溶岩の中へ放り込んだこともあった



…ただ最後のに限っては復活が遅くなるというだけで
完全に倒しきれなかったが



 ワリオ「ずらぁぁぁッ!」ドゴォォ!!



繰り出された正拳突きがカロンの頭部を首の付け根部分から弾き飛ばす
 頭部は口をあんぐりと開いた、なんとも間抜けな表情を晒したまま
ピンボール玉か何かのように他の同族にぶつかり目をぐるぐると回しながら



吹き飛んだカロンの頭部『―――』ズリ…ズリズリ



ワリオ「うっへぇ…生首だけで胴体に向かって這ってやがる」


293 : ◆MQKemQ7EZz9R [saga]:2017/12/26(火) 22:53:24.54 ID:7N6w40K90
―――
――



「カロン部隊!各所で成果を挙げています!」

「報告ですっ!Dブロック、Gブロックの侵攻が著しくありません!」



「うむ、…とすればそこに居るのじゃろうて」




塵芥同然のキノピオの群れはともかく、警戒すべき強敵はそこの居る

 "指揮官殿"はすぐにD、Gを除く別の区画の王城制圧専門部隊の増加
ワリオ等の為だけに用意した精鋭部隊をすぐさま向かわせる指示を出す





「うむ!!そろそろ向こうも疲弊し始めた頃じゃ!第二陣!用意ッ!」






どしっ!どしっ!





 その掛け声と共に城壁の外
王国を包囲する旧クッパ軍の陣営から彼等は進軍を始める……





 ガタイの良い屈強な身体だ、のしのしとがに股歩きでその集団は
ゆっくりと近づく…

 トゲ付きのスパイクシューズ、肩に白いグローブに
青いユニホームとお揃いの背中の甲羅、そして――日に映えるヘルメット


所謂、アメリカン・フットボール選手のような出で立ちであった

 何人か脇にラグビーボールを抱え、また後方に居る者は手に野球で使う
硬式ボールを握りしめていた

地面でも掘って岩を投げつける気なのか…
まるで工事のおじさんが持ってるようなスコップを担いだ奴すら居た






「第二陣!!!突撃準備!!城壁を破壊せよッ!!」




「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ」」」」」





そう…!その集団とはクッパ軍の中でも血の気が高く
 なおかつ闘争心を誰よりも持つ戦士、【ブル】の集団だったのだ!!

294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 01:14:10.92 ID:rgEsobld0


―――
――




キノピオJ「うわああぁぁぁぁぁ!!」ドタバタ

キノピオK「きゃあああああぁぁぁぁ!!」ダッダッダッ

キノピオN「に、にげろおぉぉぉ」ヒィィィ!!





カロン×64『――――』ザッザッザッ









 東南部城壁から入り込んだカロン部隊は順調にその数を増やし
大通りへと到達していた、まるで我が物顔で凱旋するかのように









キノじい「…くっ、姫様」


ピーチ「…マリオ」ギュッ




 王城テラスから双眼鏡でその有様を見渡す家臣
歯痒さと不甲斐なさを胸に英雄たちの帰還を祈るしかできない姫…


 今、王城の門は固く閉ざされている、国民の多くが城内に避難しており
城門はピーチ姫の力によってより強固なモノとなっている


 注目されることが少ない為知らぬ者も多いが姫は
封印を施す力に長けている、過去に【ダークスター】を始め
【ゲドンコ姫の姉】だって封じていた事があるし

もっと昔の話をすればブロックに変えられた国民の魔法を
解除することすら可能なのだ



自分<ピーチ姫>にできること―――それは国民の安全を守る為
絶えず城に結界を張り続ける事である


歯痒い、一国を治める者が結局いつもマリオに…誰かに頼るしかできない



 好奇心と歯痒さから、かつては【カジオー軍団】との闘いに
同行したこともあったが今は前線に出るべきではない、守りに徹せねば








……このままでは時間の問題であろうが

295 :あけおめ!!! [saga]:2018/01/02(火) 13:27:54.97 ID:qbXKW1rh0



ドガァァァァァン!!


   ドゴォォォォォッ――――z___________________________ッッン!!






"このままでは時間の問題"…その懸念は現実となる














ワリオ「な、なにぃ〜!?」グググッ

カロン「ギッギッ…ぎべっ!」ゴバキャッッ!




骨亀にチョークスリーパーを掛けていたワリオは城壁の方へ視線を送る

 相手方の頭部やら胴体やらが軋み、音をあげて砕け散るのとるのと
ほぼ同じタイミングで首都を守る城壁が破壊された



ブルの集団「「「「「ウオオオオオオオオオオオォォォォォ!」」」」」





 逞しい筋肉の鎧を持ったマッシブなショルダータックルが
一斉に仕掛けられたのだ

粉々に粉砕された壁の向こうから【ブル】が…その後ろから
控えていた無数の兵が雪崩れ込んでくる…ッ!









カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ
カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ


復活カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ
復活カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ


増殖カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ
増殖カロン×10「「「「「「「「「―――――」」」」」」」」」ザッザッ






   ワリオ「うっ!…ぅ、ぅおおおおおおぁぁぁああああああ!?」





中も外も、敵だらけだった…体力が消耗し始めた男は驚愕した
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 13:49:47.42 ID:qbXKW1rh0



カロン「「「「「――――」」」」」ワラワラ…ゾロゾロ



ワリオ「畜生ッ!どけぇテメェ等!」ベキッ!バキャァァァ!!ゴスッ!


ワリオ「どけっつってんだろうが!!聞いてんのか!頭腐ってんのか!」




無駄に頭数だけは増えた骨頭共は怪力ワリオの動きを阻害する


武装した【ブル】、メットを深々と被り金鎚を投げる【ハンマーブロス】

痛くないのか棘付き鉄球を口の中に入れて優々と歩く【ガボン】

ガボンと似たような挙動をし、地表を歩ける【フーフーパックン】





 その後からも"旧クッパ軍"の兵が続いてくるが…
そのどれもがワリオにとって見覚えのない者達だった


"緑のデカイ靴を履いたクリボー"、"ブロックに潜む小さな奴"…

"蝋燭に灯るサイズの灯に脚が生えた奴"

"蛇のようにうねるファイアーバー"…etc








 屍兵に纏わりつかれているワリオを尻目に彼等はそのまま首都の中心
目掛けて走り出すっ!














       ヨッシー「お困りのようですね」シュッ!








カロン「ビッ」カパッ







 一瞬の出来事だった、白に緑の斑点模様がついた"何か"が
数十匹に及ぶ骸骨を彼の視界から消した

297 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 14:06:50.16 ID:qbXKW1rh0



ワリオ「あぁ!?お前…!」




 この緊迫とした状況下に不釣り合いな、暢気な声だった

靴を履いたスーパードラゴン、ワリオ曰く『食えない奴』の御出ましだ




ヨッシー「随分と侵入されましたね…」アチャー

ワリオ「…お前、あっち側担当だろーが、なんで此処に居んだよ!」



ヨッシー「んー?あぁー、それですか?」
















ヨッシー「既に殲滅しましたので
           一番近場のワリオさんの援護に来たんですよ」






ワリオ「はぁ〜!?」



ヨッシー「…今回、私怒ってますよ?
        これではお祭り屋台の御馳走も
           ルイージさんの晴れ舞台(?)もおじゃんです」





既に食い尽くした屋台も時間が経てば材料を仕入れるだろうに、と
 ヨッシーは嘆いていた、そんなことを聴きたいんじゃあない
ワリオの目線に気がついたのか食い意地の張った蜥蜴が続ける



ヨッシー「…ええ、先に城へ走れば良いだろうと言いたいのでしょう」




ヨッシー「ハッキリ言いますが、手遅れです」キッパリ

ヨッシー「戦力が足りないんですよねぇ、これが…
        いやはや今回は流石にしてやられましたねー」


ヨッシー「普段頼りなく見えますがルイージさん一人居ないだけでも
      十分国内の防衛力は衰えますよ?
        向こうはそれを見越したんでしょう、ええ」



相性の悪い相手、【ヨッシーにも喰えない存在】は確かに居る
 その上、護りが手薄の状態での人海戦術…
何もかもが不利だった、今から駆けたところで勝敗は見ている、と
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 14:30:01.81 ID:qbXKW1rh0

ヨッシー「向こう側で私が敵を鎮圧し終えた頃には
        既に大群がお城に向かってます、仮に全力で向かっても
      数の上で奮闘してる間に敵は私達を素通りして制圧する」


ヨッシー「…私の見立てだと
       どうにもクッパとはまた違う誰かの指揮に思うんですね」



ヨッシー「何が目的か存じませんが、城の制圧後、住人やピーチ姫には
       すぐには手をあげないでしょう…」


ヨッシー「敵の動きを見てて分かります、なら今私がすべきこと」







ヨッシー「…悔しいですが、此処は"奪還に備える"、ですね」


ヨッシー「緊急体制が敷かれたのはTV越しにクッパもしてるでしょうし
      ルイージさん達も遅からず知るでしょう…」






悔しいだろうが、此処は『"奪還に備える"』…それが意味するところは





つまり……






ワリオ「…けっ、てめぇはやっぱ喰えねぇ奴だぜ」


ヨッシー「辛抱強く待たれる方ですからね、ピーチ姫は」




ヨッシー「…ええ、悔しいですよ、悔しいですとも
                自分が情けなくなるくらいに」ボソ



ヨッシー「城自体はピーチ姫の御力で簡単には落とせません
       多くの方はお城へ避難しましたが、お城から離れた
       避難用シェルターに入った人も居ます」



ヨッシー「…近場の避難所へ急行します」スッ【ヨッシーのタマゴ(下)】


  ブンッ!!!! ギィィッ!? カパッ!


ヨッシー「それ」ブンッ【ヨッシーのタマゴ(上)】


カパッ!


ワリオ「…その卵の殻であっち側の【カロン】達をやったのか」


ヨッシー「ええ、倒せない敵を倒そうとする必要性は
     ありませんから、閉じ込めて無力化すればいいだけです」ブンッ

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/02(火) 14:51:08.12 ID:qbXKW1rh0
*********************************


            今回は此処まで!




  【解説:ヨッシーのタマゴ】


 ヨッシーが生む卵と言えば多くの人が投げて使う武器と考えるでしょう

(スマブラとかヨッシーアイランドとか…





 ゲームボーイ版ソフト『ヨッシーのたまご』

同じくGBソフトの『ドクターマリオ』同様の…所謂ぷよぷよ的なゲーム



上から【クリボー】【テレサ】【ゲッソー】【パックン】

そして『ヨッシーのタマゴの欠片(下半分)』

『ヨッシーのタマゴの欠片(上半分)』が落ちて来る



同じキャラを2つ重ねると消滅し、また、卵の欠片を使って
サンドイッチを作るように挟めば挟んだ敵を一気に消して得点が入る




 このように、卵で敵を閉じ込める、という使い方があるわけですね…


*********************************
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/02(火) 18:59:31.13 ID:niG2uJ/Jo
懐かしいな!
色々な設定含まれてて好き
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/30(火) 22:45:34.22 ID:/8uQjEDA0

―――
――



【キノコ王国 工業区】



ハンマーブロスA「ブル隊に続け!閉ざされた城を開城させるんだ!!」




ムーチョ工作兵「「「了解<ラジャー>」」」つ『ボム兵』




 国家の経済を支える要衛、工場が立ち並ぶ工業区画にて
【ブル】の集団に続き【ムーチョ】の部隊が先頭に居るリーダー格の兵に
従うように走り続けていた


 ガスマスクを装着したヘイホーの酷似した容姿の彼等の両手には
自我を持たぬボム兵が抱えられていて、背中の撥条<ゼンマイ>を捻れば…

その丸っこいフォルムについた可愛い脚で"カミカゼ=アタック"とやらを
遂行しようとするのだろう





鉄と工場油の独特な匂いが鼻につく中、彼等は坂道を登っていく
 乗用車からレースで使用されるカートの製造…
ガスや水道の配管に必要な道具に機材の類も多くは此処で精製される


 工場が多い区画というのは近隣住民への生活環境の問題で
人の住まいからはそこそこ離されている

緊急事態寂れた故に稼働ラインを停止し業務員が撤退したのなら尚更
寂れた印象を感じるのも無理はない



 赤茶色の錆びたフェンスを、タイヤや廃車を無造作に積み上げた
廃材置き場を横切って彼等は確かに見た










           ヒュッ!











   何者かの影が…


        横たわり全滅したブル隊の傍を飛び去ったのを…





ハンマーブロスB「なっ!今のは―――」

ハンマーブロスC「オ、オイ!しっかりしろ…くそっ!気絶してやがる」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/30(火) 23:05:08.72 ID:/8uQjEDA0


ハンマーブロスA「お互いに背を護れ!周囲をしっかりと見るんだ!」バッ


ハンマーブロスB/C「応ッ!」バッ!サッ!
ムーチョ「「「了解!」」」サッサッ!







嫌に静まり返っていた





飛び去った人影の様なものは何だったのか?


状況を見るにそれがブル隊を全滅させたのだと思うが…、あの跳躍力は…



英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>が帰還して来たにしては早すぎる
通信機による報告では豪傑ワリオもこの地域担当ではない…ヨッシーもだ



では、誰だ?



眼を細め周囲を見ていたハンマーブロスBは忙しなく目を動かす…




  倒れた同胞<ブル>(全員 気絶で死者は0名)

  錆びたフェンス…鉄と油の匂いの工場地帯の風景

  ゆっくりコロコロと転がるタイヤ、積み重なった廃車

  横倒しのドラム缶、地べたに直置きされた工具

  所々に散らばったブル達のメットやアーマーの破片






…ここで違和感に気がついた






ハンマーブロスB(…ぁ?)







   転がってるタイヤ「」コロコロ……ピタッ




 西部劇で転がってる干し草の様な物体<ダンブルウィード>よろしく転がる
ゴム製のタイヤがある…


積み上げられたタイヤの山から1つだけ落ちて転がったとしよう

 落下して転がったとするならば、あんなに"ゆっくりと"…それも倒れず
直立でピタリと止まるモンか?普通…
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/31(水) 00:47:56.48 ID:arfO+Zfs0


違和感を抱く、すると次に人は疑念を抱き、朧げな疑念は次の推理へ繋ぐ
判断材料へ変わる



ハンマーブロスBが答えを出す前に日光を遮る影が自分達の真上に現れた













         鋼鉄製バレル『 』ギュルンッ!!









顔をあげた時にはもう遅いッ!


 "ヤツ"はタイヤをジャンプ台の代わりにして飛び去った、あの跳躍力は
そういうことだったのだ…っ!!



此処は工場地帯だ横倒しのドラム缶は幾らでもある




鋼鉄製のバレル―――金属の『樽』を"いつものように投げた"



そうとも、祖父から直伝のタル投げだ

















     ドンキー「 バ ナァ ナァ パワ ァァァァ!!」ブンッ!






ゴベシャッ!!  一発目は顔を上げたブロスBの鼻っ面にクリーンヒット

被っていたヘルメットはブル隊の破損したメット同様に罅割れて砕けた
顔面――鼻先の骨も砕けた

 そして跳びながら片腕で放り投げた二発目は
地面に叩きつけるように投げつける、それはワンバウンドして
 ブロスCは使い物にならなくなった利き腕の二の腕を抑え
痛みに唸るような声をあげながら倒れ伏した
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/01/31(水) 21:42:18.51 ID:WK017X+KO
工業用のドラム缶を投げつける……化け物かこのゴリラ
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 10:11:02.68 ID:2u7mhuQEO
某狩ゲーの金獅子かな?
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 22:33:05.46 ID:UpECHZUc0


ハンマーブロスB「」バタッ

ハンマーブロスC「ぐ、ぐおぉぉおおお―――ッ」





ドサッ!



ハンマーブロスA「き、貴様は…!!」





「おおっと!その手に持ってるの下した方が良いよ?」スッ




 降り立ったソイツは体格のイイ、全身毛むくじゃらで
厚い胸板に映える赤いネクタイが目につく輩だった


 そしてブロスAが金鎚を手に持ち振りかぶろうとした所で聴こえた声
年若い子供に多く見られる中性的な音域で―――




「それを投げるよりも先にオイラが撃ち抜いちゃうからね」



ゆっくりと首を後方へ、見えたのは赤いネクタイの相棒とお揃いの赤帽子
黄色い星が目立つシャツ一枚と長いしっぽ




世にも奇妙な武装、『ピーナッツ・ポップガン』を構えた少年の姿だった



ドンキー「君たちのお友だちにはちょっと寝ててもらったよ」


ドンキー「こんな楽しいお祭りの日に暴れるなんて悪い事だからね」




歴戦の兵を2名、瞬く間に沈めたゴリラこと"ドンキーコング"は
どこかマイペースな、穏やかでのんびりとした口調でそう告げた



ディディー「公演報酬<バナナ>の為に遥々来たってのに、物騒だなぁ」




彼等は今日この日、島から遠路遥々船でキノコ王国へ来ていたのだ

 祭りを盛り上げるための演奏者を探していたキノピオに良い伝手がある
そう言って紹介料と交渉の駄賃を稼いだワリオの誘いに乗ってきて
 偶々この騒動に巻き込まれた



ディディー「やれやれだよ、ウチの馬鹿ワニ軍団以外に銃を使うなんて」


ディディー「ランキー、タイニー、チャンキーも皆呆れてるだとうなぁ」


307 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 22:49:27.33 ID:UpECHZUc0





- ワリオ『という訳で、この日にパーティーあるからな
              おたくらに来て貰いたいって訳だ』-


 -ワリオ『『ボンゴ』『エレキギター』『サキソホン』『トロンボーン』
    それに『トライアングル』…おたくらのバンドなら最高に舞台を
                    盛り上げられるだろ?』-



-ワリオ『んん?報酬?心配すんなってちゃんと
         良質なバナナ用意しとくから、じゃあな!』-









演奏者"5人"…それに加えて全員を束ね
 尚且つ彼等の盛り上がる公演のDJを務める人物が1人…そう、彼こそは









  「なんじゃ…お前さんら、そんな生っちょろい腕で
           マリオの敵を名乗るつもりだったのか?」カツカツ






杖を付いて歩いてきた彼は部隊を一瞥、しわがれた声でため息を吐く
















 そう、彼こそは…――"マリオの宿敵にして原点ともいえる伝説の男ッ!"













 クランキー・コング「三下共が、…お前さん等じゃ100年早いわい」





    初 代 ド ン キ ー コ ン グ …ッッ!!
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 23:04:33.70 ID:UpECHZUc0




- 1つの『国』があった…雲の上まで届く高層ビルが立ち並ぶ大都会 -



- 文字通り天に近く夏の屋上は雨上がりだと陽炎<カゲロウ>が揺れる程 -



- コンクリートジャングルと呼べる都市が設立されたのは【1981年】 -



     - 今は『1人の女性が市長として治めている』 -












通称『都市の国』と呼ばれたその国の市長が、政治の舞台に立つ前に

1匹のゴリラに攫われるという事件があった…



それは当時の新聞にも大々的に取り上げられ、その経緯もあって
 注目を浴び、一躍時の人となった彼女に選挙の票が入ったとも言われる







 人々は知らない





 その事件はまだ、"無名だった頃の英雄"が関与した事を



 人々は知らなかった、女性を救い出した後に
 都会の喧騒から静かに暮らせる国に移住した1人の配管工を






 知る者は少ない、限られた極僅かしか知らない








 英雄マリオの好敵手…クッパ大魔王よりも前のライバル…









-それが今、この目の前に居る年老いた老人であるという事を…ッッ!-


309 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/13(火) 23:33:06.19 ID:aI7ewEsA0
更新きたか
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/13(火) 23:58:05.88 ID:UpECHZUc0


ハンマーブロスA「ク、クランキー・コング…だと!?」





蓄えた白髭、丸渕眼鏡、折れ曲がった腰…ヨボヨボの爺さん
 高齢者と武装した兵士ではタイマン張ってどちらが勝つかは一目瞭然




…の筈なのだが





クランキー「ハァ…ワニ公共と言い、爬虫類に碌なモンがおらんわい」



クランキー「おい、そこの若造、武器を捨てて投降せい命までは取らん」





ハンマーブロスC「ぅ、ぐ…は、ハンマーブロスA!!!」
ハンマーブロスA「!」ハッ!




気絶したB、そして使えなくなった利き腕を抑えながらも自分に
『老いぼれ相手に屈するのか!?』と叱咤しようとする同志の目線



冷静に考えろ、今この場にいるのは3匹だ







ディディー『ランキー、タイニー、チャンキーも皆呆れてるだろうなぁ』





後ろで銃を構える少年の発言だ

他に仲間がいるのは分かる、だが今の言い方では
               "この場に居ない"のも分かる




ボム兵を所持したムーチョ工作兵、利き腕が使えない同僚1人、自分自身


数の上ではこちらが有利だ、肉を切らせる覚悟で突撃すればあるいは――






長年の付き合いであるCの視線で意図を察した
利き腕の使えない彼が後ろのディディーに肉壁として突撃し
 盾の役目を果たしながらムーチョ隊にヤらせる

お前はネクタイ付きを頼む、と…老人など恐るに足りん



いや、むしろ、あの老人を人質にしてしまえば…!!!


311 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/14(水) 00:49:29.53 ID:VnGZa1YP0






       クランキー「やめとけ、死に急ぐな小童」






ハンマーブロスA/C「「!!」」



ドンキー「?」
ディディー「は?何言ってんだよクランキー」キョトン





クランキー「長生きしとるからの、眼を見ればなんとなーくわかるわ」

クランキー「ほれ!さっさっと武器を捨てんかい、このウスラトンカチ」



ハンマーブロスA「〜っ!ふ、ふざけるなぁぁァ!!!耄碌ジジイがぁァ」









 クランキー「ふぃ〜〜…今日は暑いのぉ?
            怒鳴り散らすと体温があがるぞ、ほれ」パサッ





ハンマーブロスA「うっ!?」ピタッ





突撃せよ、そう続けるつもりだった…それを見て踏みとどまった、否


足を止めてしまった





 ドンキー「ディディー!」バッ!

 ディディー「OK!」パァン!



ハンマーブロスA「ぐぎゃっ!」ベシャッ!

ハンマーブロスC「おごっ!?」ズドッ



クランキー「なっさけないタマじゃのぉ」フゥ…パタパタ


クランキー「…そこでビビらず、突っ込んくれば
       ウチの馬鹿垂れ共の一瞬の隙をつき、撃たれることも
       組み伏せられることなく一矢報いたろうに」


クランキー「肝っ玉の小さい奴め」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/14(水) 01:44:11.16 ID:VnGZa1YP0




パタパタ、ワザとらしく暑い日に手で風を仰ぐ仕草
目の前の老人がやった事?


そんなモンは簡単な事だ




ただ着ていた上着を少し脱いだだけだ



 パサッと、布のすれる音、若き在りし日の逞しい胸板も
筋肉質な上腕二頭筋も見る影も無い


如何にもな"か弱いお爺ちゃん"身体がそこにあるだけだった








…ただ、小さな筒が上半身に大量に巻き付いていただけだ






南国特有の椰子の木、その繊維を生かした紐で大量に括りつけた小さな樽




 職人魂とでも言うべきか、太さ、長さは竹水筒程のモノで
よくこのサイズの樽を創ったモノだ…



それが脱いだ上着の下に左右5本ずつ、計10本!






その樽には一本、毛糸のような物が伸びていた



その樽には白い塗料で文字が書かれていた、英語で3文字









           『 T N T 』







クランキー「全く以って情けない
        こんなもんで臆病風に吹かれおってからに」



クランキー「老い先短いこのジジイと
           運命を共にする覚悟も無い玉無しとはな」

313 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/14(水) 18:38:51.90 ID:16L2CpQZ0
マリオとかクッパとかが老いを痛感しているなか二人より年取ってるキャラがカッコイイってのがいいな
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 17:36:10.88 ID:YIOvi0RHO
わかる、格好いいジジイキャラ良いよね
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/16(金) 07:52:08.85 ID:4Tj5Bjf7O
さりげなくオデッセイの設定も入ってる
プレイ済み?
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/17(土) 01:41:29.16 ID:1SOcmVM00
>>315
>>273
317 :315 [sage]:2018/02/19(月) 07:59:33.72 ID:NEBC33CjO
そうであったか
すまぬ
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/26(月) 03:29:20.73 ID:qWLOSmZUO
ここって保守いるんだっけか?
319 :>>318 いえ、基本的に保守は必要ありませんので大丈夫です! [saga]:2018/02/27(火) 22:45:07.79 ID:iR5PMxmu0



クランキー「ちぃと喉が渇いたのぉ…」スッ ブチッ スポッ!ポイッ!



ハンマーブロスA/C「「!?」」




 なんという事だろうか、この老人…身体に巻き付けていた
竹水筒サイズの『TNTバレル』を一本引き千切り
導火線を引っこ抜いたばかりかそれを口元に運んで―――!!





 クランキー「んっ!んぐんぐ、…ぷはぁ…うまいうまい」







中身を飲み干したでは無いかッッ!!



  TNT…TriNitroToluene<トリニトロトルエン>




爆薬の一種で、ドンキーたちが自分達の宿敵【キング・クルール】率いる
クレムリン軍との戦闘で樽の中に入れて投げることに使われた…


その破壊力たるやクレムリン軍の恐怖…
巨大蜂【ジンガー】の赤部隊をも吹き飛ばす威力を誇るのだ!





クランキー「ん?なんじゃ
        このバナナジュースの入った水筒が気になるか?」





ハンマーブロスA「…は?」

ハンマーブロスB「バナナ、ジュー…ス?」




クランキー「ペッ!…毛糸の繊維と泥が少し入ってもうたわい…」



クランキー「飲み口の小さな穴に本来はストローを入れとくんじゃがの」

クランキー「その辺で工面できる毛糸と泥を詰めてあたかも導火線が
       ついとるようにしただけじゃ」


クランキー「工場区画の此処なら油性ペンもペンキもなんでもある」




 クランキー「カカッ!本物と思うたか?たわけ!
           入国審査の際に爆発物所持で捕まるわい」ニィ


尤も、"めくら"共は騙せたがのぉ?と老いて知略に磨きを増した老人は
茫然とする兵士2人を笑っていた

320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 02:06:20.36 ID:ZdG8Shi80

―――
――


王国内は何処もかしこも騒然としていた










キノピオ「はぁ…はぁ!…皆!逃げるんだ!」ブンッ!


カロン「ギッ!」ベキャッ(首が取れる)


モブキノピオA「キ、キノピオ隊長!」



キノピオ「八百屋さん…野菜を拝借しますよ!」つ『カブ』

キノピオ「はぁぁぁっ!!」ブンッ!ブンッ!



ゴシャ、ベキィ

<ギッギィ!?



テレサ「隣国の遣いよ!!無事か!!心配を掛けさせるとは何事か!!」
 訳:(き、キノピオさぁん!無事だったんですね!良かったよぉ…っ)




キノピオ「テレサさん!…君も早く避難して」

テレサ「見くびるな!我が闇の力を以て汝に加護を与えてやろうぞ!!」
 訳:(嫌です!!私だって戦えるんです!キノピオさんを護らせて!)


キノピオ「…テレサさん、分かった!僕から離れないで!」






モブキノピオB「隊長もげろ!!」

モブキノピオA「言ってる場合じゃないでしょ!逃げるよ!」












キノコ王国民、クッパ軍団…その垣根すらも超えて



321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 02:17:48.12 ID:ZdG8Shi80






ワリオ「退けやぁァァ!!ワリオラリアットぉぉおおおおオオオ!!」




ブルA「ぐわああーーーーーっ!!」ドギャンッ


ブルB「お、俺達が力負けするなんて…!」


ブルC「うわぁっ、ま、前が見えないっ!?」





ヨッシー「はいはい、よそ見してる人は舌で目隠ししちゃいますねー」








お祭りに来ていたクッパ軍のカメック「くっ…!これはどういうことだ!!」



"旧"クッパ軍ハンマーブロス「うるせぇ!!これは名誉の戦いなんだ!」


お祭りに来ていたハンマーブロス「やめろ!クッパ様は協定を―――」



"旧"クッパ軍ブロス「邪魔をするな同志よ!俺達の誇りを思い出せ!」




現クッパ軍ハンマーブロスA「こんなのテロだ!戦<イクサ>じゃない!」

現クッパ軍ハンマーブロスB「めでたい祭りの日に、何考えてんだお前!」




"旧"クッパ軍ブロス「平和ボケの腑抜け共めぇ!性根叩き直してやる!」








現クッパ軍カメック「くっ…!避難所にこやつ等を近づけるな!」

現クッパ軍ヘイホー「「「「オオー!」」」」










イマ、この瞬間…此処に在る平和の為に、過去に埋もれた栄光の為に





322 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 02:43:53.77 ID:ZdG8Shi80



クランキー「むっ!」



ドンキー「く、クランキー!見てご覧よ!あれ!」






遠目に見えるピーチ城『  』ボッガァァァァン!




ディーディー「うっわ…火柱上がってんじゃん、あれヤバいんじゃ」



クランキー「…」ジッ


ドンキー「たいへんだよ!僕たちも行こう!?」


クランキー「焦るな、まずは逃げ遅れたモンを助けに行け阿呆め」

クランキー「此処からでは如何に素早く動いたとて間に合わぬわ」










クランキー「……まったく、何をしている」

クランキー「…こんな時こそお前がいなくてどうするじゃ」

クランキー「この有事にまだ自分を取り戻せないのなら…」


クランキー「結局おまえさんは"その程度の男"だったというだけじゃ」




クランキー「…」


クランキー「…いい加減記憶の1つ2つ
       ポンポンと思い出さんかい、儂をがっかりさせるな」ボソ



















誰もが戦っていた、誰もが走り出していた、自分達にできる何かの為に


323 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 02:53:52.32 ID:ZdG8Shi80






「装填!完了致しました!!」


「よしっ!ってーーーーっ!!」




ドドドッ

ドドッ!

ズドンッ!!


















キノじい「…姫様!なりませぬ!」バッ


ピーチ「……私の力で強固な物にしても次で限界です」




キノじい「し、しかし「キノじい…」









ピーチ「…自分の力ですもの、限界も、分かってしまうんです」フルフル







ピーチ「…門を開いてください、私が投降します」






キノじい「っっですが!」プルプル






           ピーチ「…じい、お願い」ニコッ




キノじい「……わかり、ました…っ」

324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 03:22:34.84 ID:ZdG8Shi80




「申し上げます!ピーチ姫が降伏するとのことです!!」


「民間人の安全の保証などいくらかの条件がついておりますが…」






「たった今、"指揮官殿"から通信が入った提示された要求は
   飲むとのことだ…城の旗を降ろせ!我らの旗をつけにいくぞ!」

「お前達は例のモノを城に運べ!」




「やった…ついに、ついにやったんだ!」

「ああ、…へへ!!なんか涙出て来たな
   これからは気に入りの枕もさらに高くして寝れるってもんだ!」



























  ――――この日、キノコ王国は落城した
















「クッパ様!大変ッ!ジュゲムTVをご覧ください」

ノコノコ「……」

クリボー「…ッ、んでだよ…!」

クッパ「諸外国への救援要請は出したな…全軍!手筈通りに動け!」



クッパ「これより我々は『協定条約』に則り、キノコ王国救援に向かう」


クッパ「港、空港に残る者以外全員ワガハイに続け!!」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 03:36:55.37 ID:ZdG8Shi80



フヨン、フヨン…












ルイージ「これさぁ…どこで操縦覚えたワケ?」


マリオ「ああ、これか…」


ルイージ「うん、これ」


マリオ「聞いて驚くなよ?…俺の勘だ」ニィ


ルイージ「わーお、そりゃすげぇ」


マリオ「お前が手当たり次第ぶち壊したゲドンコ星人共の宇宙船から
     唯一動きそうな奴を今こうやって飛ばしてるがな…」





マリオ「ぶっちゃけ、適当に押したらなんか飛んだってだけだ
        どれがブレーキで、どれがアクセルかも分からん」フッ!



ルイージ「わーお、そいつぁすげぇ…」



マリオ「途中で事故って墜落するかもわからんな!」ハハハ!



ルイージ「わーお、それはやべぇ…身震いしてきたよ、いや本当」




マリオ「…それにしても、もし俺達の推測通りだとしたら…今回の黒幕」

ルイージ「…あー、アイツね、アイツ、一度コテンパンにしたってのに」



マリオ「…まだ、この枕だけじゃ証拠不十分だがな」

ルイージ「うん…でも兄さんの中じゃ確定なんだろ?」


マリオ「まぁな、…さて、もうじきキノコ王国だ」









     マリオ「もう、随分と待たせたからな…」



 マリオ「俺達<マリオ・ブラザーズ>の力、久しぶりにみせようぜ」ニィ

       ルイージ「へへ…っ!程々に、ね」ニヤリ
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 03:45:40.18 ID:ZdG8Shi80
*********************************



        今 回 は 此 処 ま で !



*********************************
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 11:56:30.80 ID:ChOuogZRO
枕…
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 12:06:10.49 ID:nD8q7XG10
クランキーがすげーかっこいいぞ
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 02:24:46.41 ID:UEwgoTjI0
どのキャラも魅力的なのは>>1のマリオ愛が深いからだろうな
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 16:28:06.67 ID:6qp5vYEDO
>>328
年季が違うのよ、年季が
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 05:17:22.60 ID:xqCRf0aoo
ここまでマリオ愛があるのすごいわ
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/04/01(日) 21:34:59.16 ID:1TpVp4My0
オデッセイだとどれだけ高いところから落ちてもノーダメージなんだよな
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/04/01(日) 22:34:27.53 ID:1TpVp4My0
オデッセイだと最大でライフは9になる、明らかにマリオ64時代より強くなってる
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 08:22:32.14 ID:YyT06Aeh0
めちゃんこ久しぶりに見たけどやっぱこの独特の熱さが最高だな
本当にたまらん
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/06(日) 03:57:36.16 ID:NlWcW2yh0
最初、ラスボス(指揮官)をカメックババだと思ったら違うなって思って、じゃあボムキングかなと思ったらまた違ったなと思って、ならば復活したアックームかなと思ったら全然違った
○○○かー…
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/06(日) 21:41:40.26 ID:PgmmYJu/0
3DSのマリオ3Ⅾランドだと無限に水中に潜ってられたな
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/07(月) 13:47:51.22 ID:kAB6ZF8s0
sageろよ、続ききたかと思うだろ
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/08/19(日) 18:42:46.31 ID:qb8LSMyc0
続きは…続きはまだか…
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/08/29(水) 00:59:50.07 ID:HGcxoHs30
―――
――




ワリオ「……」望遠鏡スチャ、ジーッ






ヨッシー「ワリオさーん、どうですかー?」

ワリオ「ちったぁ待ってろってんだ!今視始めたばっかだ!!」ジーッ





ワリオ「旗は取っ払われて悪趣味な旗が上がってやがるぜ、ケッ!」

ワリオ「主張の激しいこったぁ、落城からそんな時間経ってねぇのに」


ヨッシー「キノコ王国の国旗の代わりに"旧"クッパ軍のですか」


ワリオ「おう!だせぇデザインだよなァ!
        『W』って旗掲げた方が格好いいぜ」ガッハッハ!






キノピオ「おおおお、お二人共!何を暢気な事を言ってるんですか!」


テレサ「笑止!闇に染まりし王城を笑う時を見誤ろうとはな…」
 訳:(そ、そうですよぉ!お城が侵略されたんですっ!
              笑ってる場合じゃありませんよ!!)






ワリオ「ほーん、んで?てめぇ等みてーに慌てりゃ解決するってか?」


キノピオ「そ、それは…」



ワリオ「しねぇだろ」

キノピオ「…」



ヨッシー「焦る気持ちは分かります
       ですが無策で突っ込んでも返り討ちが関の山ですね」



キノピオ「…こういう時、僕は自分が情けなく思います」



キノピオ「僕たちお城を護る役目のキノピオは
            一体何のために居るんだろうって…」ギュゥッ



テレサ「…隣国の遣いよ、自らを責める出ない」ピトッ
  訳:(キノピオさん…そんなに自分を責めないで…)


340 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/08/29(水) 01:51:01.38 ID:HGcxoHs30


ヨッシー「その考え方はどうかと思いますけどね、私は」ヤレヤレ…

キノピオ「…?」



ヨッシー「一体何のために居るんだろう、ですって?
        今しがた自分で口にしたじゃありませんか」


ヨッシー「城を護る為に居ると」



キノピオ「っ…それで、守れなかったから…自分は何なんだろうって!」


ヨッシー「そこですよ、そこ」







ヨッシー「君は、自分を完璧無欠のスーパーヒーローか何かとでも?」



ヨッシー「譲って超人的な能力を携えていたとしても
      100%護れるなんてそんなバカげたは話はありえませんね」




ワリオ「だな、俺やコイツが居たにも関わらずあのザマだからな」

ワリオ「っつーか、何か?さっきからそれは
        てめぇより強ぇ俺達への当てつけか?あぁ?」



ヨッシー「ええ、そうです、マリオさんが居たとしても同じです」

ヨッシー「奪われる時は奪われ、落とされる時は落とされます…」






ヨッシー「そして奪われた度にマリオさんは
             何時だって走り出して取り戻しました」


ヨッシー「重要なのは、守れなかったなら守れなかったなりに
     その時々で如何にベストな行動を迅速にできるかです」





ヨッシー「初めから奪われない前提なんていうのは
      馬鹿げている所じゃありませんね…寧ろ烏滸がましいです」



キノピオ「ッ!」


テレサ「喰人蜥蜴…!言葉が過ぎるぞ!」
  訳:(ヨッシーさん、そんな言い方あんまりですよ)



ヨッシー「事実です」

ヨッシー「自分の脳内で思い描いた局面が常にあるワケがないんですよ」

ヨッシー「どれだけ訓練を積もうが、どれだけ危機的状況を予測しても」

ヨッシー「"護れない時は護れないのだから仕方ない"の一言に尽きます」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/08/29(水) 02:46:35.28 ID:HGcxoHs30


ヨッシー「二度言いますよ?重要な事は守れなかったのなら
       守れなかったなりに、次にすべきベストを尽くすです」



ヨッシー「くよくよして、めそめそ泣いて後悔して
      そうやって停滞してても解決なんてまずありえません」







ヨッシー「反省会は何もかもが全て終わってから、それで良いんですよ」





キノピオ「…」





ヨッシー「それに私が見る限りベストな行動をとってたと思いますよ?」

ヨッシー「現にこうしてテレサさんと合流後に逃げ遅れた人を
      私達が近くに居た最寄りの避難所へ誘導してたんですから」


ヨッシー「胸を張って誇って良いんですよ、君は」

ヨッシー「えっへん!と大威張りで踏ん反り返るだけの事をしてます」



キノピオ「…ありがとうございます」



ヨッシー「はいはい、どういたしまして…」ニコッ

ヨッシー「さっきから静かなワリオさん、そっちの状況はどうですかー」



ワリオ「…んあ?なんだいありゃあ…」ポリポリ


ワリオ「城の裏っ側にある資材置き場だかゴミ捨て場があんだろ?」

ワリオ「奴さん、なんか"妙なガラクタ"をわんさか運んでるぜ」


ヨッシー「ガラクタ?」


ワリオ「…ほらよ」スッ


ヨッシー「どうも……、ふむ…どう見ても鉄屑ですね」パシッ、ジーッ


ワリオ「戦車のパーツ…でもねぇな、本当にタダの鉄の塊だ」

ヨッシー「…バリケード? あ、この国の工業区に持ってて
          鋼鉄製戦車の量産を…いや、それにしては…?」





 この国の工業区…ドンキーコング等が居た
工場地帯に運び戦車を造る為の資源にする気か…

そう考えたが不自然だ、その資源を木製戦車の強化に当てればいいのだ
確かに、コストパフォーマンスや修復のし易さを売りにした造りだが

 確認できた限りで、全てがソレだ、1、2両ぐらい鋼鉄製を造っても
問題無さそうだが…?
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/08/29(水) 04:12:30.50 ID:HGcxoHs30


ワリオ「あの屑鉄は一旦置いといてだ」

ワリオ「城の周りはさっきまで街中にわんさか居た【カロン】共だ」

ワリオ「んで、ご丁重に各方面に戦車数両と城ン中にも外には居ない
     【ブル】公共と【ハンマーブロス】の団体様だ」



ワリオ「唯一手薄そうなのは…」







ヨッシー「"空"、ですか…」






ピーチ城、庭園は無論…外敵の侵入を防ぐための御堀周辺にも兵は大勢だ

地上からの正面突破は骨が折れる…ともすれば手は3つ



1つ、水中だ



嘗て、クッパが"ピーチ姫を絵画の中に閉じ込めた事件"の時

 秘密裏に開発していた潜水艦で海から城内に攻め入った事がある
潜水艦が発見された場所…【クッパのウォーターランド】と呼べる場所で
それが発覚した




2つ目は地中


地下から穴を掘っての潜入
時には城ごと地面から宇宙まで持ち上げた事もあった



ピーチ城は先に書いた通り、御堀がある

御堀というのは古典的だが効果的な防衛機構だ

敵兵が容易に入り込めないような深さを誇る水堀というのは古来から近世
長く使われてきたモノで地上からの侵攻を難しいモノへと変える



こういった地上からの防御力はそこそこあるのだが
 反面、地下や上空からの侵攻には滅法弱いのである…



ワリオ「俺らが攻め入る側に回るとな…あの正面の橋を通るっきゃねぇ」

ワリオ「敵は橋んとこ重点的に兵を配備してやがるし
    突破してすぐのエントランスも団体さんが居やがるんだろうよ」

ワリオ「くそっ、こーいう時に限って城の無駄に高い防衛力が恨めしい」




ヨッシー「…そうですね、私は泳げませんからね
     南の島でバカンスしてた頃よく溺れました…水堀はちょっと」


キノピオ「えっ…ヨッシーさん普通に泳げたんじ「私は泳げません」

キノピオ「あ、はい…」
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/08/29(水) 17:10:09.58 ID:+v/KCasj0
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/29(水) 23:41:29.71 ID:YdfDsdr30
待ってた
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/02(日) 19:44:27.36 ID:lRgst/FI0
あのヨッシーはクッパJrがマジックブラシで描いた別物と考えてたが...てかあのヨッシーの消え方エグイよね
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/03(月) 00:46:27.43 ID:CC6vyMrd0
>>345
どっちにせよオデッセイで入水すると即死するからセーフ
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/10/17(水) 00:29:46.46 ID:B47M+ekK0

「そりゃまいったなァ…バレルジェットも持って来てないしなぁ」


ワリオ「お?帰って来たな、どうだあっちの避難所から使えそうなのは」




ディディー「んー、缶詰とか乾パンがこんだけ」ドッサ

ディディー「あとは毛布とかかなー」


ドンキー「人も連れて来たけど…ここに集めた人皆じゃ足りないよね」

ワリオ「…だな、収容できる数に限りあるしなァ」ポリポリ




キノピオ「あの…すいませんね、街の防衛に手を貸していただいたのに」


現クッパ軍ブロスA「いえ、自分達は協定に則っただけであります!」

現クッパ軍ブロスB「当然の事です!」ビシッ



キノピオ「でも、怪我をした人も居るのに地べたに寝かせててなんだか」



現クッパ軍カメック「いえいえ…我らは丈夫ですゆえ」

現クッパ軍カメック「スペースに限りがあるなら民間の方を優先せねば」



 国中に居た兵の大部分は今や"旧クッパ軍"の軍旗をはためかせる
ピーチ城の衛兵と転じていた


牙城と化した城に乗り込む事も現戦力ならば不可能、ではない

ただ、乗り込んだ後が問題だ


 殴り倒してもすぐに蘇る【カロン】を始め
ヨッシーでも飲み込めない屈強な部隊がわんさか来るのは目に見える

頼みの綱はこの場に居る現状戦力たちだけだ、それが一網打尽にされては
本当にもうどうしようもなくなってしまう




何か、現状を打破できる…"流れ"…それを誰もが欲していた…っ!





ディディー「はぁ〜あ、クランキーはランキー達と反対側に行ったけど」

ディディー「きっと碌なモン見つかんないだろうなぁ…」ゴロン


ディディー「…」ポケー



止まった流れ…停滞にうんざりとした顔で少年は寝転び空を見上げる


白い雲、青い空…煙を上げながら城に向かって飛んでく機影





ディディー「…は?」

348 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 00:37:16.31 ID:0gNI2E660
きたか……(ガタッ)
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/10/24(水) 00:26:25.58 ID:02eM91jv0

白い雲に絡みつくように黒ずみの煙は空に昇り混ざっては消えていく


 煙を燻らせるのは嘗てこの国に災禍を齎した宇宙からの来客のモノで
それを目にした一同は眼を丸くした



キノピオ「あ、あ、あれはゲドンコの!?」


ヨッシー「ワリオさん、ちょっとそれ拝借しますね」ペロンッ

ワリオ「あっ!てめっ、この…俺の望遠鏡を舌で盗るんじゃねぇ!!」


ヨッシー「いいじゃあないですか、別に食べたりしませんよ」スチャ





ヨッシー「…」ジーッ






ヨッシー「…ふっ、ふふふ!」


キノピオ「よ、ヨッシーさん…?」オソルオソル

テレサ「ど、どうしたのだ…一体?」

ワリオ「…んだよ、ほくそ笑みやがって何見えてんだオイ」






ヨッシー「ワリオさん、これ返しますね」ポイッ

ワリオ「わっ!馬っ鹿お前コレ高ぇんだぞ!!」ガシッ


ヨッシー「みなさん、状況が変わりました
          私は今から城攻めに行ってきますので」ビシッ



ワリオ「ハァ!?状況を説明しろって!」

ドンキー「待ってよ、1人じゃ危ないよ」




ヨッシー「すいませんねぇ…柄にもなくちょっと興奮してるみたいです」

ヨッシー「あの宇宙船左から2番目の割れた窓ガラスをご覧ください
          内部の様子がくっきり見えますので…では!」シュタッ




ワリオ「あっ!…糞がッ!!
       あの野郎何の説明も無しになんだってんだ!」スチャ!


ワリオ「…!」ジィー






ワリオ「…ハッ!そういうことかよ…はしゃぎやがって…」

ワリオ「誰よりも先に合流して文字通り美味しいトコだけ食うってか」

350 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/10/24(水) 00:42:36.29 ID:02eM91jv0


ワリオ「アイツ一人に…
    いや、"アイツ等"に御馳走喰われて堪るかってんだよォ!」バッ!



キノピオ「わ、ワリオさんまで!?一体何が起きたんです!」





ワリオ「…」ピタッ


ワリオ「へへ…死んだ魚みてーな目をした奴が…漸く光取り戻したんだ」





  ワリオ「 マ リ オ が 記 憶 取 り 戻 し て 帰 っ て 来 や が っ た ぜェ!!」




―――
――




ルイージ「うひゃぁ…こりゃ凄い、数時間ぽっちでもうお城がアレだ」

ルイージ「随分と手がお早いことで」ヤレヤレ


マリオ「おっ、城門が開いてぞろぞろ出て来るな」

マリオ「流石に煙あげた友軍機(?)がこっちに飛んで来たらそうだな」



ルイージ「ハハッ!派手な凱旋パレードだなぁ〜
             …み〜んな目をまん丸くしてらぁ」


マリオ「だな、此処は1つ歓迎の出迎えに答えてやるとするか」ハッハッハ!




マリオ「早速、こいつを"不時着させる"とする」






真面な操縦の仕方など知らぬ

単に、直感…計器の位置や、ゲドンコの手足のパーツ的にどのスイッチ
どんなレバーがどういう役割か、重要なモノであれば当然押し辛い位置に
無いだろうという憶測などから来る…"感"で操縦していたマリオは


その異星の乗り物を地に降ろす方法だけはしっかりと分かっていた



マリオ「ふんッッッッ!!」つ【ハンマー】ゴッッッ!


操縦桿『 』メシャァァ!!


…バチッ!バチチチッ!…BON!



 …異星の乗り物は、ゆったりと
それでいて徐々に加速しながら"着陸"体制に入った…

火を噴きながら悲鳴を上げ始めた城門前で構えていた旧クッパ軍目掛けて
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/10/25(木) 18:20:28.41 ID:EoHReGLz0
叩いて直すどころか叩き落しおったwww
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/11/02(金) 23:55:44.73 ID:vBgNsOZB0



「う、うわあああああああああぁぁぁぁぁぁっ!?!?」



最初に悲鳴を上げたのは果たして誰だったか

炎上する機影はそのまま何事か!?と出て来た旧クッパ軍の頭上目掛けて
真っ逆さまだ、異星人の機体は質量弾としてピーチ城の門前に落下した




  バ ッッッ グ オ ォォォ ォ―――z_____ン!!



"着弾"…ッ!と同時に同心円状に広がっていく爆炎と黒々とした煙

宇宙人が何を使っているかしらないが恐らく燃料に引火したのだろう




 炎環は広がり切って、尻切れ蜻蛉のようになって消え去った頃には
城門前は地獄絵図と化していた…




「ぎゃあああああああああああああぁぁぁっあっ ぁ アアアアアアア」

「ひぎぃいいいいい!熱ぃ!!あぁぁァちぃぃぃぃぃ!」メラメラ

「た、助けてくれぇぇ焼け死ぬ」ボォォォ





身体全身が炎上し、火をもみ消そうと文字通り死に物狂いで地べたに
転がる【ブル】や【ハンマーブロス】隊

不運にも最前線に配備された者が宇宙船の墜落時に飛び散った液体
(ゲドンコ星の化学燃料と思われる)を浴び…そのまま引火して全く
身体についた火が消えないという



酷い者だと真っ黒こげでプスプスと煙をあげたままピクリとも動かない
辛うじて生きているのが奇跡的である…クッパ軍での日々の鍛錬の賜物か



「ほ、堀だァ!堀に逃げ込め!!」メラメラ…ダッ!

「み、水…っ!水ぅぅぅぅ!」ダッ!バッ…バッシャーン!




ピーチ城の廻りが水堀で良かった



敵城と化したピーチ城の第一関門、城門および、一階エントランス内で
待機する大軍はこの"傍迷惑な「ただいま」の挨拶"でほぼ一掃された…

水に飛び込む者、倒れて危篤状態の者に「しっかりしろ!死ぬな!」と
呼びかける者…誰も迎え撃てる状況ではなかった



さて、今しがた"ほぼ一掃された…"と言ったが、まだエントランスには
控えの兵が居る為、全滅ではない、そういう意味合いではまだ第一関門は
突破されていない




 ―――これから本格的に蹂躙され墜ちるのであるッッ!!

353 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/03(土) 00:10:20.18 ID:ELlyQQ25O
大惨事じゃねーか!w
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/04(日) 02:42:02.61 ID:XmOuHxLu0
すげえ、汚物がどんどん消毒されていく
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/05(月) 00:14:23.81 ID:l6Jin1090
スーパークラウンがでたから投降したピーチが本物か分からんなと思ったまだ発売してないけど1月発売だしオデッセイの時みたいにプライ後更新で設定変わるかな?
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/11/27(火) 22:34:13.26 ID:MLiJuYZS0



 阿鼻叫喚と化していた城門前にて、倒れ伏した一人の兵士がゆっくりと
重たくなった瞼を開き、今しがた焼土になった母なる大地から顔を離す


緑色のヘルメットは罅割れ、砕けていて…密かな自慢である髪型も焼け
焦げ臭い匂いを漂わせる片腕で目元を抑え立ち上がる




仲間達はどうなった?



一体何が起きたのだ?



何故ゲドンコの機体が降って来た?







周りで同胞が同じく負傷した者の肩を支えこの場から退避する姿が映る




【カメック】医療班を呼べ!大丈夫か!?死ぬなとしっかりしろ!と
戦友を励まし喝を飛ばす者…




そして、この彼のように立ち上がり事態を把握しようとする者


それがこの場に居る歴戦の兵達だ、割れたメットを被った首を左右に振り
被害状況を確認、そしていつも手にしていた槌に手を伸ば―――


…先の爆破で柄から先が焼き切れ、鉄製の頭も何処ぞに失せたようだ




苛立たし気に小さく舌を打ち、棒きれになった柄だけでも握りしめる
無いよかマシだ



「くそったれ!なんだってんだ!」


 少し離れたところで自分の内情を代弁したような声を同志が口にする
彼も自身同様に…膝をつきながらも爆心地を眺めていた

じっと、警戒するように…













     不意に、空が暗くなった。





357 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/11/27(火) 22:58:14.96 ID:MLiJuYZS0






1つ、―――たった1つだけ思い違いをしていた






彼等はこの奇襲に対して臨戦態勢を取ったのは良い



問題は次だ、彼等は何処を警戒したか、だ



 ブービートラップ、という単語を洋画や漫画で小耳に挟むことはあるか
簡単に説明してしまえば、それは戦術における1つの技法だ

相手の目に見える範囲に目立つモノを"ワザとおいて"そっちに注意を惹き
近づいた相手はBOMM!という罠の一種だ




 何もこれに限った話ではないが
人の意識や関心を多方面に逸らすという手段はあらゆる分野で存在する



 例えば手品だってそう、ありきたりな脱出マジックだって
壮大な前フリでデカい箱の鎖だの鍵だのに目線が集まってる中、手品師は
床下の隠し扉や鍵を掛ける大勢のアシスタントに変装して紛れて去ったり

ネタが分かると「ああ、騙された…そういうことか」と思わされる物だ





炎上する異星人の機体…
    その残骸から乗って来た人物が馬鹿正直に出てくる筈が無い…









気付いた時にはもう遅い、急に空が暗くなった事で彼は天を見上げた













    ルイージ「 Y e a h h h h h h  h!! 」ヒューッ






太陽のど真ん中に逆光で黒塗りとなったシルエットが1つ



遥か上空からッ!あの墜落の間際にカタパルトから射出した戦闘機の如く

新緑色の四輪駆動のマシーンがッッ!!英雄兄弟を乗せて跳んで来たのだ!
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/11/27(火) 23:18:32.08 ID:MLiJuYZS0


ヒューーーーーッ!!





ルイージ「そらそらそらぁ!!退いた退いた退いた!!」ビー――ッ!!


ルイージ「撥ねちゃっても知らないよォ!
       轢かれても生命保険は下りないんだからさァ!!!」





けたたましい警笛<クラックション>の音が空から響き渡る

ハンドルの中央に掌を押し当て何度も圧を掛けて暴走族よろしくな騒音を
捲し立てるのは帰って来た永遠の2番手だ


そしてその背後には……紅い悪魔ことマリオが控えているッ!!





マリオ「俺が言えた口じゃないが
      その警笛連打はどうなんだ?族っぽくないか…」ヤレヤレ

ルイージ「いやぁ〜、レースやパーティーじゃない冒険は
       久々だからついね?テンション上がっちゃってさ」ハハハ!






 笑いながら落下してくる悪魔の姿に
"既に戦う前から満身創痍"の兵は戦慄した



1台の機体に【ダブルダッシュ杯】を彷彿させる二人乗りスタイル…

緑の弟の背後には片手に"ナニカ"黒い物体を持った英雄が居る



太陽光のせいでそれが何なのかは初めは分からなかったが徐々に彼等が
地表に近づくにつれて影のシルエットは取り払われ…輪郭が見え始めた









  「ぼ、ぼ、ボム兵だぁああああああああああぁぁぁぁッッッ!!」








白いグローブの上にちょこんっ♪と可愛らしく椅子でも座ってるように
鎮座する黒い物体はネジ付きの玩具そのもののようだった


 自我を持たないタイプのボム兵の虚ろな目がただただ
冷たく怯える兵達の顔を映していた…

359 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 11:55:12.23 ID:Ap7FEeqZ0
>>355
キノじい「わしじゃよ」
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/12/04(火) 03:34:42.58 ID:eNf+JF4a0
>>359
キノピコ「えっ!?」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/02(水) 00:01:24.55 ID:WJWP6H930



「ひ、ひぃぃっ、つ…潰されちまうっ」サッ!

「うわぁぁぁぁぁあああ!!」ゴロッ…ゴロゴロ




満身創痍の身体の何処にそれほどの力があったのか最後の気力を振り絞り

 人間二人分の体重を上乗せした四輪駆動のマシンの落下地点に居た兵は
身を捩らせるように転げてその場を離れ九死に一生を得る



ギュルルルルルゥゥゥン…ッ!



滞空中にエンジンを唸らせ、マフラーから排気ガスを吐き出し車輪は宙で
文字通り空回りする、着地と同時に摩擦熱を生み出しながら車体は前へ…





ルイージ「ヒュゥウゥゥィィゴオオオオォォォ!!!」ドギュゥゥゥン

マリオ「ほらよっ!」ブンッッ!!





機体の後方に立ち乗りするマリオは軽い一声と共に火薬の塊を投げる

それは嘗て、何の気まぐれか国を挙げて開催された野球大会
通称"マリオスタジアム・ミラクルベースボールGC杯"の時と全く変わらぬ
投球フォームでした、金属の塊が磁石に吸い寄せられるかのように



ボム兵はピーチ城の玄関口にコツン、と可愛らしい音を立てました












          B O O O O M !!





「ぎへぇぇぇえええええええええぇ!?」
「ごびゅっ――」
「あああ"あ あ あ あ"あああぁぁぁ"ぁああ"" あ」




城内から悲鳴が上がります

一番扉に近い位置でのたうち回っていた城外の兵も悲鳴を上げます




ルイージ「おっっわ、痛そ〜……」

マリオ「なるべく倒れてる奴は轢かないように気を付けて運転しろよ?」

ルイージ「"なるべく"、ね」

マリオ「ああ…"なるべく"、な…やむを得ん場合は目を瞑る」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/02(水) 00:29:13.80 ID:WJWP6H930

 目を瞑る、であって絶対に轢かないではないのだ

…とはいえ

いくらテロ被害だと、国の一大事とは言えそのような人道に反する行いは
そうホイホイとは流石にしないだろう




ルイージ「っと、言ってる側から道幅を陣取るように敵が…」

ルイージ「参ったなこりゃ、迂回どうこうでどうにかなるレベルじゃない」






マリオ「ならばアクセル全開で直進すれば良いだろうに」キッパリ







…前言撤回、普通に横たわる怪我人を撥ね飛ばしていくようです





マリオ「なに、たかだか車両による人身事故程度のダメージだ」

マリオ「スター状態で吹っ飛ばすのに比べれば有情だ」

ルイージ「それもそうか」ギュルルルルルルッ!





「 お ぎ ゃ ああ あ あ あぁぁ―――ッ、
              お、俺のて、手がぁぁ」メギョ、バキョ!


「ふ "お" ぉ   ぉおおおお」片脚グシャ





「ご、ごほ…なんだ今の爆発はっ!?」
「無事な奴は手を貸せ!怪我人を運べ!」
「お、おい……そ、外を見ろよ!!英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>だァ!」
「マリオだ――っ!マリオが帰って来たぞ!!」
「同志たちを轢きながらこっちに来るぞォ!!」
「容赦なしかよ!!」
「じょ、冗談じゃねぇぇ…!」



ざわ…ざわ…っ!


「ばかやろぉぉぉぉ!!何ビビッてやがんだ!
          むしろ俺達はこれを望んでただろォ!」



「!!」


「そうだ俺達の闘い…闘争が…――敵でありながら憧れた強さが」ゴクリッ

「…へ、へへっ!此処で俺達も日和っちまったなぁ…っ!!」

「ウオオオオオォォォ!!立ち向かうんだァァァ―――ッ!」

363 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/02(水) 21:11:53.59 ID:WJWP6H930

【ピーチ城:エントランス】


ちらちらと粉雪の様に降って来るのは灰…煤、さしずめ黒雪とでも呼ぶか




 冬を象徴する妖精とは対極の色合いのそれは純白の石橋を暗色に染め
その真上を四輪車が豪快に突っ切る、後にはタイヤ痕がくっきりと残る


ボム兵の先制攻撃で門の役割など当に果たせなくなった"大穴"に躊躇なく
兄弟の乗った機体は突っ込む、そこで彼等が目にしたのは…っ!




ルイージ「oh…こりゃぁ、また…」BROOoo…!

マリオ「…ほう?」ニヤリ




「全軍突撃ィィ―――ッッ!!」

「英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>っ!此処であったが30年!今度こそ!」キッ

「俺達が…俺達が勝利の栄光を掴むんだぁぁぁぁ!!」





ギラついた眼差し……血走った目






己の内にある恐怖心、戸惑い―――

―そして、同時にそれらに自ら克服し恐怖を乗り越えようとする『意志』



負の感情と、正の感情、"相反するソレ"が入り乱れた者

奥に行けば行く程、迷いなど元から無いと言いたげな眼つきをした熟練兵


逢いたかった…逢いたかったぞ!宿敵<トモ>よ!と目で訴えかけてくる者



誰も彼もが【逃げる】という選択<コマンド>を選ばない…っ!!






 初手で爆弾が飛んできて、死にかけて、次いで四輪車に乗ったやべぇ奴が
何の躊躇いも無く人を撥ね飛ばしたり車輪で轢き逃げしていく光景を
目の当たりにしたら普通は恐怖したり、逃げたいと思う



 が、歴戦の兵は逃げない、最初こそ狼狽えたがすぐに
奥の方に控えていた最古参たちの一喝で戦う意志を見せた




ルイージ「あぁ…やだやだ、ああいう目したのって僕、苦手なんだよね」

ルイージ「こう…なに、なんてーの?躾が成ってて人を襲わない無害でも
          ブルドックの凄味のある顔は苦手だなぁ〜的な?」


マリオ「俺はああいう顔つき嫌いじゃないがな、血肉躍るじゃあないか」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/02(水) 21:45:50.68 ID:WJWP6H930


ドドドドドドドドドド…!!


ブル「ウオオオオオオオオオオォォォ―――ッ!!」


 まだ生き残っていた【ブル】部隊の一人が我こそが一番槍だ!と
鍛え抜いた肉体を以てマシンへ駆けだす、その勇士に連なる様に
2人目、3人目…4人目と押し寄せる波となって彼等は突撃する





 …これが一人、であったなら正面衝突で
ガソリンエンジンに押し負け吹っ飛ばされるまでが予定調和だが


 永く語り草となっている"三本の矢"の教訓と同じだ
束となればそう易々とへし折れはしないッッ!!








ルイージ「…はぁ〜…どうする兄さん?」

マリオ「関係ない、行け」ニィ!



ルイージ「へぇへぇ、だと思いましたよ」グンッ!




既に分かり切った質問だが弟は兄に問う



自身がさっき言ったがこの手の眼つきをした相手は苦手だ


"苦手"、ではあるが…"嫌い"だとは公言していない

苦手と嫌いでは微妙にニュアンスが違う、つまり――――




ルイージ「ああいうのは俺なりの礼儀を尽くす、だろ…ったく、もうっ」



 グン!とアクセルを思いっ切り踏み込み、城内で急加速をつけながら
緑色の帽子が後方に飛ばないように鍔を掴み抑える最中


 『…あぁ、なんだかんだ言ってやっぱ、僕もこの人の弟だなぁ』と思い
後方の同乗者と自分自身に呆れながら兄の美学を口にした







   立ち向かう戦士は礼儀を以て踏み越えていく


"喩え、それが1匹の非力なクリボー、ノコノコでも関係なく踏みつぶす"


…十数年もの間、今までだってずっとそうしてきたことだ


365 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/08(火) 22:58:16.96 ID:Q0z8+1q50



       ゴッッッッッガッ!



ブルA「お" ぶっぅ…ぅ ゥゥウウウウ、ぬおおおおおおオオ!!!」




 踏み込まれるフッドペダル、それによって加速した機体は
ブル軍団の先頭を走っていた切り込み隊長の腹にぶち当たる

 普通ならこれで吹っ飛ぶが、力学的に衝突先の相手が
ぶつかって来た相手より質量がある場合はその例に当てはまらない



たった一人じゃない


その後ろには先頭の彼を支えるように多くの仲間が押し寄せる
暴徒が集まり大型のバスやトラックを横転させるようなそれと同じだ


堅いプロテクターと甲羅に身を包んでいるとはいえ前門の四駆、後門の波




前後から"サンドイッチ"にされた彼は目を見開き、失神しかけた…









そう、"しかけた"だ、 彼は意識を手放さなかった






ブルA「ぐ、ぐがががが、ハアアアァァ―ーー!!!」

「押し切れぇい!!」
「俺達の意地を見せたれ!!」
「後ろの最古参のジジイ共にも俺達の矜持を見せつけるんだよォ!」



ブルA「フーッ!フーッ!」



【ブル】…その名の通り、闘牛<ブル>を思わせる鬼気迫る気迫…っ!


充血した眼、血の滲む唇を噛み締め、込み上げてくる胃の中を気合で抑え


彼は…ッ!





ブルA「行かせねぇ…っ、 ビビッてなんかいねぇ…」フーッ フーッ!プルプル

ブルA「お前達、英雄兄弟<マリオ・ブラザーズ>の伝説は
       俺達が終わらせるんだ…、俺達が勝利するんだよォ!!」




気力を振り絞り、痛みに振るえる両手を大きく広げ…なんと!

   こともあろうに彼は両手の指を回転する車輪に突っ込んだァ!!
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2019/01/24(木) 21:59:33.04 ID:N0+TQ+1m0
a
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/26(土) 21:11:07.98 ID:uwnhlGTmO
b
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/29(火) 21:46:31.35 ID:HnK3lFPi0


ベシャアアアアアアアアアァァァ―――ッッ!


ブルA「ぐ"ふ・…ご、おおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!」ブシャァァ



カート車輪「」バゴンッッッ


 5本の指はカート前輪のホイールを突き破り、その回転を止めた
それだけに留まらず…闘牛が如し彼はソレを素手で引き抜いたァ!!



マリオ「…ほう」

ルイージ「うわっ!タイヤぶっこ抜かれた…」


 がこんっ、前輪を失った事で車両全体は前のめりに沈む様になった
車体はそのまま前面を床に擦りつける…このまま走行すれば間違いなく
磨れていくこと間違いなしだ



ブルA「へ、へへ…これでテメェらの侵攻はおし、まい――だ…」フッ



 先頭の勇士は言葉を言い切ると同時に意識を手放し
昏睡という名の水底に沈んで―――


         ガシッ



マリオ「良い『覚悟』だな、こいつをやるよ」グッ!『スーパーキノコ』

マリオ「ふんっっ!!」ブンッ





口にキノコ突っ込まれたブルA「―――」ヒューン…ゴシャアアァァン!




マリオ「ルイージ、やれ」

ルイージ「あいあいさー、っと」カチッ



 意識を手放したブルAの首を鷲掴んだ白い手袋は
そのままエントランス端にある柱へと彼を投げ飛ばし、弟に指示を飛ばす




今、この兄弟が乗る四輪駆動のマシンは…っ!





――フェッフェッフェッ!
    君の機体にはあのバキューム同様の特別機能がある…!





ルイージ「兄さんには素の実力で勝ちたい
       だからレースじゃこれは使わなかった…」


ルイージ「でもこれはレースじゃない、博士使わせてもらいますよ」

369 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/29(火) 22:19:00.93 ID:HnK3lFPi0

 さて走行中にタイヤが外れ、脱輪状態で尚走り続ければどうなるか

諸君は想像がつくだろうか―――アクション映画ならば車体をすり減らし
火花を散らしながらも前へと進んでいくだろう


 そして映画の中の機体は決まって"都合よく"ハンドルの切った方角に
正しく曲がり、さも何事もなかったかのように運転できるだろう






現実の自動車がそんなフィクションの世界通り、思い通りに動くものか




 コントロールを失うわ、そもそも地面とキスをし続ける車体半分が常に
摩擦を生み出すブレーキの役割を果たす

まともな走行など不可能である



そう、それが普通の自動車であったならばだ







 ブルAが人間一人の片腕で軽々と、お手玉遊びか何かのように
放り投げられた事でその後続に続く者がトップに躍り出る

 先任者の決死の行動により停止状態に近い減速とバランスを崩した車体
そして後ろの仲間達に押しつぶされる形にこそなったが
そのダメージは先のブルAよりも遥かに軽いモノだった




ブルB「――な、なんだってんだこりゃあ!」



 これで食い止められると心の奥で勝利を確信した彼は、脳裏に浮かんだ
栄冠のヴィジョンが波打ち際の砂の城のように崩れていくのを感じた








        ルイージの機体が"変形"した


いや、変形といってもただ後方部にノズルが一本生えて来たようなモノだ




そう、排気ガスを噴出するマフラーの真横、1本…



"掃除機のノズルのような何か"が…だッッ!!




  ルイージ「一応、確認ね、やっちゃっていいの?」

   マリオ「構わん、やれ」



あーあ…壊しちゃったら博士怒るかなぁ、と
             ぼやきながら弟はそれを稼働させた
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2019/01/29(火) 22:37:48.11 ID:HnK3lFPi0

ハンドルの右側に『R』と書かれたボタン、左側に『L』と刻まれた物
緑色の鍔付き帽子を被った彼は迷わず自分のイニシャルと同じソレを押す



 BUOOOOOOOOO−――――!!!!





【オバキューム】…それは嘗てルイージがあの白衣を着た初老の男と
初めて出会った日に譲り受け、そして以来、事あるごとに巻き込まれる
お化け騒動の解決に必ず持ち出す相棒のような存在だ


お化けを吸い込む掃除機という文面だけ見ればシュールな機械だが

 その吸引力たるや計り知れないモノだ、そのちっぽけなマシンの何処に
それだけの馬力があるというのか

あからさまに機械そのものの数十倍以上の重量を遠くから吸い寄せ
逆に"噴出"することさえ可能にするのだ





そして、この後ろから伸びるノズルは…『L』のトリガーを引かれた事で









        ドギャアアアアアアアァァァァー――――ン




ブルB「ぐ"べ"ッ―――」

後方のブルs「「「おごぉぉおおおおおっ!?」」」」





"噴出"……ただ空気を出すだけ、たったそれだけだった



だが、問題は量である


 もしも、これを何かに喩えろと言われれば宇宙進出のシャトルや
軍事兵器のミサイルの姿勢制御にさえ使われる
小型液体ロケットエンジンのスラスターと比喩してもいい




ギイイイイ―――ぎぎいぎぎっ


前輪を失い地面に触れたままの車体は――――





 ―――――そのまま金属製のボディを地面に擦り合わせ
            嫌な音を奏でながら火花を散らして前へ進む


否、後ろから"暴力的な力"で押し出されるように突き進んでいるのだッ!


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