女「死者が歩き出す、この世界で」

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105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 15:04:49.47 ID:4o7oaXH/O
こういう状況で男達の中に女が放り込まれる犯されるやろなぁ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:19:33.52 ID:1SOrQH/h0
  ・
  ・
  ・
  ガチャン
 
 男「中は荒れていないな」
 
 メガネ「はい。ここは元々狂人があまりいなかったし、掃除もしてますからね」
 
 ザワザワ… ヒソヒソ…
 
 女(人が、こんなに……)
 
 女「あの……ここには何人くらい……」
 
 メガネ「34人。君たちを入れて36人だ」
 
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:20:02.10 ID:1SOrQH/h0
 メガネ「ちなみに今通ってきたのは裏門。正門もあったんだけど、なんでか壊れてまして」
 
 男「裏門から侵入される心配はないのか」
 
 メガネ「みんなで苦労して、バリケードを作って塞いであります」
 
 男「…………ふむ」
 
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:20:40.26 ID:1SOrQH/h0
 タッタッタ…
 ガバッ!
 
 ヤンデレ「メガネさん!!」
 
 メガネ「どわっ!? ……や、ヤンデレさん?」
 
 ヤンデレ「お帰りなさい……お帰りなさぁい! 怪我はないですか!? どこか、悪いところは?!」
 
 メガネ「あ、ああ……大丈夫だよ。ありがとう。とりあえず抱きつくのは止めよう。ほら、血で汚れてるし」
 
 ヤンデレ「あとで洗濯しますからっ、大丈夫です!」ギュッ
 
 メガネ「そ、そういう問題じゃ……」
 
 猟師「……………先に行く。二人の案内と、リーダーの報告は俺がしておこう」
 
 猟師「彼女もお前が心配だったんだ。男だろ、恋人くらい安心させてやれ」
 
 メガネ「そっ、そんな関係じゃっ……」
 
 ヤンデレ「ありがとうございます、猟師さぁん。うふふ」
 
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:31:29.12 ID:1SOrQH/h0
 テクテク…
 
 女「あの……さっきの方は……」
 
 猟師「……メガネが連れてきた。だからだろうな、あの娘はメガネに惚れてる。見ての通りだ」
 
 女「そうだったんですか………」チラ
 
 男「なんだ?」
 
 女「い、いえっ」
 
 女(境遇的には………私も同じ?)
 
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:45:52.35 ID:1SOrQH/h0
 猟師「……さ、着いたぞ」
 
 猟師「リーダー、新たな生存者だ。入るぞ」コンコン 
 
 猟師「……中へ」ガチャ
 
 男「……………」
 
 女「……………えっ!?」
 
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:46:20.03 ID:1SOrQH/h0
 リーダー「やぁ、はじめまして。私がここのリーダーだ」ニコリ
 
 女(この人……、よくテレビに出てた有名な政治家の人じゃっ……)
 
 男「……………」
 
 リーダー「ささ、そこに座って。お茶でも出そうか」
 
 リーダー「猟師さんもご苦労だったね。君もそこに座って。お茶を出すよ」カチャ
 
 猟師「…………ああ」
 
 リーダー「メガネ君は……大方ヤンデレさんと一緒か」ハハ
 
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:46:59.20 ID:1SOrQH/h0
 男「…………なぜ、政治家がここにいる」
 
 リーダー「んー?」コポコポ
 
 男「政治家や、国の上層部は真っ先に避難したはずだ。自衛隊に護衛されてな」
 
 リーダー「実のところ私もそうしたかったんだが……」トクトク…
 
 リーダー「『なぜか』私のところだけ自衛隊の到着が遅れてね。こうして危険区域に置いてきぼり、って訳さ」カチャ
 
 リーダー「はい、どうぞ。紅茶なんて久しぶりじゃないかい? ちょっとしょぼいが、これは私からの歓迎だと思ってくれ」カチャ
 
 女「あ、ありがとうございます………」
 
 男「………」
 
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:47:41.83 ID:1SOrQH/h0
 リーダー「……で、二人はどうしてここに?」
 
 女「私たち、ガソリンスタンドで看板を見たんです。それで……」
 
 リーダー「あぁ、あれか。メッセージを残しておいて良かったよ」ズズ…
 
 男「………………ここの周辺に、相当数の狂人を呼び寄せてしまった。問題はないのか」
 
 リーダー「気にすることはない。門以外の場所にはトラップを巡らせてる」
 
 猟師「……だが、しばらくは外に出ない方がいいな。完全に散るまで三日はかかる」
 
 リーダー「ああ。皆にも言っておこう。しばらく洗濯物は部屋干しだ」
 
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:56:36.79 ID:1SOrQH/h0
 リーダー「とりあえず、だ。私たちは君ら二人を受け入れよう。現状やルールは追って説明するとして……なにか質問はあるかい?」
 
 男「……食料は足りているのか?」
 
 リーダー「ああ、充分にある。まぁ人間ってのは貯蓄が減り続ける状態だと不安になるから、今日のメガネ君と猟師さんに行ってもらったみたいに、度々順番で調達に行ってもらってるけどね」
 
 男「武器は」
 
 リーダー「近くのホームセンターで拝借してきたものなら、たっぷりある」
 
 男「罠の位置と、強度、信頼性」
 
 女「お、男さん……。ここなら一旦は安心ですし、とりあえず落ち着いて……」
 
 男「安心など、できるものか」
 
 女「っ」ビクッ
 
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:57:10.91 ID:1SOrQH/h0
 リーダー「………………」ズズ…
 
 男「奴らは……狂人は、諦めるということを知らん。餌があれば、己の脳が壊れるまで突貫する。それが狂人だ」
 
 男「そんな奴らを相手に、数十人単位で拵えた拠点で安心など………」
 
 女「お、男さん……」
 
 猟師「……少し、俺たちに失礼じゃないか?」
 
 男「…………」
 
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:57:56.38 ID:1SOrQH/h0
 男「………すまなかった。少し、疲れていたようだ」
 
 リーダー「ああ、そのようだね。まずはゆっくりと休むといい。幸い水道も生きてるし、シャワーでも浴びてきてはいかがかな」
 
 男「…………」スクッ
 
 女「あ、ありがとうございましたっ………」
 
 ギィィ バタン
 
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:58:30.03 ID:1SOrQH/h0
 リーダー「………で、どうだい。あの二人は」
 
 猟師「女の方は、どこにでもいるって感じだ。少し戦いは慣れてる節があったが、初心者に毛が生えた程度」
 
 リーダー「男君は」
 
 猟師「…………まぁ。メガネや不良よりは強そうだな」
 
 猟師「はっきり言って、異常だ。狂人を殺すときの目付きが尋常じゃない」
 
 リーダー「楽しんでいる?」
 
 猟師「いいや……、心底憎んでいるような……まぁ多かれ少なかれ大抵の人間がそうだが……」
 
 猟師「あいつに至っては、目の前で、誰か……??大切な奴が喰われた、とかな……」
 
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/23(月) 22:59:16.01 ID:1SOrQH/h0
 リーダー「……ふむ」
 
 リーダー「まぁ今は何をするにしたって人手が足りない。ここまで来る判断力があるなら、突然発狂するなんてこともないだろうし」
 
 猟師「一応、目はつけておくが」
 
 リーダー「程々でいい。それより、あとで食堂のおばさんに伝えておいてくれ」
 
 猟師「なにを?」
 
 リーダー「今夜は、彼らの歓迎会だってね」
 
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/23(月) 23:38:46.32 ID:QqwlSMVd0
食堂のおばさんの圧倒的安心感
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/24(火) 22:19:37.30 ID:Rvt7YcgJ0
 ・
 ・
 ・
 
 主婦「え!? あなた、◆◆県から来たの!? 随分遠いところから……」
 
 女「え、ええ……。男さんが助けてくれて……」
 
 主婦「男さんって、さっきあなたの隣にいた彼よね? なかなかイイ男じゃない。彼氏?」
 
 女「ち、ちがいますっ!? そんなんじゃっ……」
 
 主婦「ふふっ、若いわね〜。大事にしなさいよ。明日も隣にいるなんて限らないんだから」
 
 女「………はい」コクリ
 
 女「……あれ、そういえば男さんは……」
 
 主婦「あら? 私の息子もいないわね」
 
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/24(火) 22:20:17.13 ID:Rvt7YcgJ0
 テクテク…
 タッタッタ
 
 男「………?」キョロ
 
 少年「ねぇ! そこのお兄ちゃん!」
 
 男「…………俺か?」
 
 少年「そうそう!」
 
 少女「ちょ、ちょっと……馴れ馴れしいわよ!?」
 
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/24(火) 22:21:53.40 ID:Rvt7YcgJ0
 少年「聞いたぜ! あのお姉ちゃんを助けたんだろ!」
 
 男「…………まぁ、そうなるな」
 
 少年「それって、めちゃくちゃカッケーじゃん! ドラマとか映画の主人公みたいでさ!」
 
 男「主人公…………」
 
 少年「そうそう! なぁ、どんな風にあのゾンビとかと戦ったか教えてくれよ!」
 
 少女「ば、ばかっ……! あんまりそういうの聞くもんじゃ………!」
 
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/24(火) 22:22:53.70 ID:Rvt7YcgJ0
 少年「なぁー、いいじゃんかー、ちょっとだけさぁ」
 
 男「………………………………」
 
 男「…………………あまり、知らない方がいい」
 
 少年「ちぇっ、つまんねぇのー。巨漢のおっさんもいつもそうだしさー。猟師さんに至っては無視するし……」
 
 少女「あ、あたりまえじゃない! ほら、もう行くわよ!」
 
 少年「はいはい。わかったよー」
 
 少女「め、迷惑をおかけしましたー」ペコリ
 
 タッタッタ…
 
 男「……………」
 
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/24(火) 22:23:44.07 ID:Rvt7YcgJ0
 「あ、男さん」
 
 男「………ん?」
 
 メガネ「さっきはどうも。あの子たちと話してたんですか?」
 
 男「ああ」
 
 メガネ「驚きました? 小学生……中学1年生? あんな年代の子もいるんですよ。ここには」
 
 男「………狂人と、どう戦ったかを聞かれた」
 
 メガネ「ああ。僕も聞かれますよ。その度、はぐらかしてるんですけどね」
 
 男「………………あの子らには、知ってほしくはない」
 
 メガネ「……ええ」
 
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/25(水) 11:41:56.49 ID:Rt48FOB4O
男「狂人を倒した後でそいつらの内臓を食べてる何てな」

メガネ「でも旨いんだよなぁ生で食べても脳みそもジュルジュルって吸ってさクリーミーで最高だよね」
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:03:57.75 ID:r1mX0P1K0
 メガネ「あ」
 
 巨漢「疲れた疲れた……」テクテク
 
 不良「うえ、血が……。シャワーシャワー」テクテク
 
 メガネ「お帰り、巨漢さん、不良くん」
 
 不良「げ、メガネ……」
 
 メガネ「え、何その反応。もしかして僕のこと嫌い?」
 
 不良「いや、そうじゃねーんだが……。お前といっしょにいるとよ、ヤンデレの奴が物陰からすごい睨んでくるから怖くて怖くて……」
 
 メガネ「まぁお互いこのナリじゃ、僕がイジメられてるように見えるかもね」ハハ
 
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:05:00.13 ID:r1mX0P1K0
 男「…………」
 
 巨漢「お、さっきの。今日から新参って訳か」
 
 男「…………よろしく頼む」
 
 巨漢「おうとも」
 
 不良「新参っつたら、確かもう1人いたよな。カワイイ女の子」
 
 メガネ「女さんだね。たぶん僕と不良くんより年上だよ、あの人」
 
 不良「つっても2、3だろ? 狙っちゃおっかなー」ケラケラ
 
 メガネ「君には食堂のおばさんがいるじゃないか」
 
 不良「うるせぇよ!?」
 
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:05:36.87 ID:r1mX0P1K0
 ワーワー ギャーギャー
 
 男「………そうか」
 
 男「こういうもの、だったな……」ボソリ
 
 巨漢「………………?」
 
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:06:37.61 ID:r1mX0P1K0
 ・
 ・
 ・
 夜。
 
 ザワザワ… ガヤガヤ…
  
 リーダー「さぁて、みんな! これから重大な報告がある!」
 
 リーダー「既に何人か知ってる人もいると思うが、今日から新しく仲間が増えるんだ!」
 
 リーダー「男くんと、女さんの二人! みんな、仲良くしてやってくれ!」
 
 女「み、みなさん、至らぬこともあると思いますが、これからよろしくお願いします!」ペコッ
 
 男「……………よろしく頼む」
 
 ピューッ パチパチパチ
 
 リーダー「よし! じゃあ今夜は彼らの歓迎と、猟師さんとメガネくんの無事帰還の祝いも兼ねて、パーティーだ!」
 
 ワァー!!
 
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:07:10.20 ID:r1mX0P1K0
 女(……それからは、この数ヶ月間で間違いなく一番楽しい一時だった)
 
 
 食堂のおばさん「さぁみんな! どんどん食べていっておくれよ!」
 
 不良「なんで俺も料理係なんだよ!?」ジュージュー
 
 おばさん「アンタのメシが美味いからさ! アッハハハハ」
 
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:07:36.76 ID:r1mX0P1K0
 女(いろんな人がいて………)
 
 
 ヤンデレ「はぁい、メガネさん、あーん」
 
 メガネ「いや、ちょっとそれは恥ずかしいっていうか……」
 
 ヤンデレ「あーん」ズイッ
 
 メガネ「………あ、あーん……」モグリ
 
 ヤンデレ「美味しいですか?」
 
 メガネ「う、うん! 美味しいよ!」
 
 ヤンデレ「そうですか……。うふ、うふふふふ……」
 
 メガネ「何その不敵な笑いは!?」
 
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:08:41.20 ID:r1mX0P1K0
 女(いろんな人が笑い合って………)
 
 
 少年「おっさんー、食い終わったらオセロしようぜー」
 
 巨漢「またか? お前、俺どころか少女ちゃんにも勝てたことねーじゃねぇか」
 
 少年「つ、次は負けねぇよ!」
 
 巨漢「しょうがねぇ、受けて立ってやる」
 
 主婦「あんまり巨漢さんに迷惑かけちゃだめよー」
 
 少年「わかってるよー、母ちゃん」
 
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:09:16.85 ID:r1mX0P1K0
 女(いろんな人が………ってあれ?)
 
 少女「………………」
 
 女(あれは、確か少女ちゃん……? どうしたんだろ、1人で)
 
 タッタッタ…
 
 女「どうしたの?」
 
 少女「あっ………あなたはたしか……」
 
 女「女だよ」
 
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:09:44.96 ID:r1mX0P1K0
 少女「すっすいません。気、遣わせちゃって………」
 
 女(聡い子………)
 
 女「うぅん、大丈夫。……それで、どうして一人で?」
 
 少女「わたし、パパとママが死んじゃって……」
 
 女「え!? ごっ、ごめ………」
 
 少女「………いいんですよ。もう、気持ちの整理も、つきましたから」
 
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:10:45.54 ID:r1mX0P1K0
 女「いつも……一人なの?」
 
 少女「いやいや、そんなことないですよ。ここの人たちはみんな親切で……」
 
 少女「とくに主婦さんは、わたしを実の子供みたいに扱ってくれます。巨漢さんも、よく遊んでくれるし……アイツとも………」
 
 女「アイツ、って少年くんのこと?」
 
 少女「え? えぇ、はい」
 
 少女「最近、アイツは巨漢さんばっかりで……」
 
 少女「前は、よく遊んでくれたのになぁ………」ボソリ
 
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:11:23.50 ID:r1mX0P1K0
 女「………………好きなんだね、少年くんのこと」
 
 少女「す、すすすすす好き!? ちがいますよ、ぜんっぜん!」
 
 女「あー……えっと、友達、として?」
 
 少女「へ? あ、あぁはい! 友達としてなら、まぁ……」
 
 女「じゃあさ、声掛けられるのを待ってるばかりじゃなくて、声を掛けてみたら?」
 
 少女「え、でもアイツ……、今オセロしてるし……」
 
 女「まぁまぁ、ほら」
 
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:12:07.58 ID:r1mX0P1K0
 オッ? ショウジョチャンジャネーカ? 
 ド…ドウモ…
 アレ? オマエドコイッテタンダヨ
 ド、ドコデモイイジャナイ! ソレヨリアンタ、スッゴイマケテルワネ
 ウ、ウルセーナ!
 ギャクテンフカノウヨ、ソレ
 
 
 男「………………」
 
 リーダー「どうもどうも、男くん」
 
 男「………ああ」
 
 リーダー「隣、いいかな?」
 
 男「ああ………」
 
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:12:38.97 ID:r1mX0P1K0
 リーダー「どうだい。すばらしいところだろ、ここは」
 
 男「確かに、生きている人間がこれほど集まっているのは久しぶりに見る」
 
 男「……………」
 
 男「……ここは」
 
 リーダー「うん?」
 
 男「お前が、作り上げたのか?」
 
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:13:24.10 ID:r1mX0P1K0
 リーダー「……ええ。まぁそうなるねぇ」
 
 リーダー「最初は、私と食堂のおばさんと、もう一人いたんだよ」
 
 リーダー「その一人が死んでしまって、程なく猟師さんと不良くんが加わった」
 
 リーダー「次に巨漢さんとメガネくんが」
 
 リーダー「その次に主婦さんと少年くん。そして主婦さんに保護された少女ちゃんが加わった」
 
 リーダー「そしてメガネくんがヤンデレさんを。こういう風に、広がっていったわけだ」
 
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:13:53.84 ID:r1mX0P1K0
 男「………それは、すごいな」
 
 リーダー「ははは、ありがとう。……と、言っても私にはあなたの方がすごいと思えるがね」
 
 男「…………」
 
 リーダー「二ヶ月、戦いっぱなしだろう? 以前は何を?」
 
 男「大学で、法学を」
 
 リーダー「へぇ、それはすごい」
 
 男「政治家が何を言っている」
 
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:14:37.71 ID:r1mX0P1K0
 男「………だが」
 
 男「…………狂人を殺すよりも難しかった、ように思える」
 
 リーダー「狂人を殺すのが簡単だと?」
 
 男「そうは言っていない。だが奴らは脆くて、馬鹿で、行動が単純だ」
 
 男「対一では、そうそうやられん。……女子供老人ならともかく」
 
 リーダー「何事も、量が脅威ということか。仕事しかり、勉学しかり、狂人しかり」
 
 男「………ああ。そういうことだ」
 
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:15:08.52 ID:r1mX0P1K0
 リーダー「じゃあ私はこれで失礼するよ。いささか心許ないかもしれないが、休憩のタイミングは間違えないことだ」
 
 男「…………」
 
 男「善処しよう」
 
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:15:52.33 ID:r1mX0P1K0
 女「男さん!」テクテク
 
 男「ああ…………お前か」
 
 女「どうです、ここは?」
 
 男「…………あの男……リーダーにも、同じようなことを言われた」
 
 女「え」
 
 男「まぁお前とリーダーでは意味が違ってくるだろうが」
 
 女「か、からかわないでくださいよぅ」
 
 男「………………?」
 
 女(あ、からかったつもりはないのか……)
 
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:16:21.98 ID:r1mX0P1K0
 女「隣、良いですか?」
 
 男「構わん」
 
 ストッ
 
 女「良い方たちですね、みんな」
 
 男「そうだな」
 
 女「昨日までの私なら、こんなところにいるなんて想像もつきませんでした」
 
 男「そうだな」
 
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:17:00.08 ID:r1mX0P1K0
 女「お、男さん……? ちゃんと聞いてくれて……………」
 
 女「―――――――――」
 
 女(その時、私の目に映った男さんの横顔は)
 
 女(なにか、肩の荷が降りたような、憑き物が取れたような)
 
 女(そんな顔を、していた)
 
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 22:17:46.58 ID:r1mX0P1K0



 
 
 男「ああ。本当に、そうだ」
 
 





 
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/10/27(金) 02:39:42.27 ID:qn4gFGgW0
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:16:22.92 ID:tizmPYzx0
 二週間後。
 
 テクテク…
 
 女「……男さん、最近ホテル内を歩き回っていますけど、どうかしたんですか?」
 
 男「ああ、それは…………」
 
 猟師「男」
 
 女「あ、猟師さん。こんにちは」
 
 猟師「ああ」
 
 男「なんだ。俺に用か」
 
 猟師「そうだ。話がある。ついてこい」
 
 男「わかった」
 
 女(……あ、行っちゃった……)
 
 女(それにしてもあの二人、どこか似てるような………)
 
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:16:50.75 ID:tizmPYzx0
 男「話とはなんだ?」
 
 猟師「まぁ待て。今からリーダーの部屋に向かう。そこで、話す」
 
 男「……………」
 
 猟師「ほら、入れ」ガチャ
 
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:24:57.86 ID:tizmPYzx0
 男(中に、リーダー、巨漢に、メガネに、不良、それと数人の男……。ここのおおよその男陣か)
 
 リーダー「やぁ、よく来てくれた」
 
 男「話とはなんだ」
 
 リーダー「ああ、それなんだけどね……」
 
 リーダー「以前、度々外へ物資の調達に行ってるって話はしたと思う」
 
 男「ああ。覚えている」
 
 リーダー「その調達を行っている人たち。メンバー的にはこの部屋にいるメガネ君らなんだが、それを『調達組』と呼んでるんだ」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:25:24.29 ID:tizmPYzx0

 
 リーダー「君には、その調達組の一人になってほしい」
 
 男「構わん。次の調達はいつだ」
 
 
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:26:01.12 ID:tizmPYzx0
 リーダー「………即答だな」
 
 男「いずれこうなることは予測できていたからな」
 
 リーダー「頼もしいと言えなくもないが、普通は何らかの拒否の色を見せるものだと思っていたよ」
 
 男「………嬉しいわけではない。だが、拒否をして物事が上手く進むとも思えない」
 
 男「それに」
 
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:26:31.98 ID:tizmPYzx0
 男「俺はどうやら、狂人を殺していないと落ち着かないらしいからな」
 
 リーダー「…………………………そうかい」
 
 リーダー「だが、何があっても自分と仲間が優先だ」
 
 リーダー「次に物資。狂人を殺すことそれ自体は、目的じゃない」
 
 男「………ああ。わかっているつもりだ」
 
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/10/30(月) 22:27:02.16 ID:tizmPYzx0
 リーダー「ならいいんだ」
 
 男「話は終わりか?」
 
 リーダー「ああ。こんなにスムーズに進むとは思わなかった。今度の調達は3日後。準備なりなんなりしておいてくれ」
 
 男「わかった」クルリ
 
 リーダー「あの娘にも、言っておいた方がいいかも知れないね」
 
 男「……………そうしよう」ガチャ
 
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