阿笠「ふー、よく寝たぜ……」[名探偵コナンss]

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59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/19(日) 10:43:38.17 ID://70rl8B0
灰原「博士?」

阿笠『5日後に、50m以上の津波が襲ってきてこの島は壊滅するわい』

灰原「え!?」

コナン「どういうことだ!」

阿笠『ゲームの制限時間ってやつじゃ。5日以内に2人とも脱出できなければ、津波にのまれてゲームオーバーwww』

コナン「くそっ、ふざけやがって!」

阿笠『まぁまぁ……ワシもそんな鬼ではないしの、このマップを渡そう』

その時、俺達の前に一冊の本が落ちてきた。表紙を見たところ「桐沢島MAP」と記されており、島の地図だと人目で分かった。

阿笠『それじゃあ、せいぜい頑張るんじゃ…… 』ブチッ

博士の声が途切れる。
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/22(水) 08:21:47.11 ID:INdprQkNO
灰原「ど、どうしてこんなことに……」

崩れ落ちる灰原。無理もない。
ただでさえ、俺か灰原一方でも死んだらそこで終わりだというなのに、さらに残り5日間(ゲーム開始では6日間)の制限時間。一見長いように思えるが、この先様々な危機に遭遇すると考えると、少な過ぎる。

あのハゲジシイ、ガチで俺達を殺す気だな……と思いつつ灰原を気遣う。

コナン「灰原、今更原因を思い返しても仕方がない。一緒に脱出の手段を考えよう」

灰原「……そうね」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/22(水) 10:51:09.92 ID:INdprQkNO
ひとまず俺達は体中汚れていたので、ホテルの浴場で入浴し、洋服屋で拝借した服に着替えた。
そしてホテルの一室でそれぞれ2時間程仮眠。

ある程度疲労が回復した上で、俺達は地図を頼りに、島を脱出するための計画を練っていた。

現在地から目的地までの道のりをボールペンで結ぶ俺。

コナン「うーん、桐沢トンネルまでの最短ルートは一通りおさえた。ここから約50kmか。案外近いな」

灰原「でも今後の余震でトンネルがお陀仏になってしまったらどうしようもないわね」

コナン「そうだな。青函より長いらしいし、トンネルの中を進んでる時に襲われてもアウトだしよ」

灰原「救助隊に拾われてヘリで脱出するのが手っ取り早いけど……」

コナン「この街は既に救助が終わってるようだし、そもそもゲーム開始から俺達まだ誰も人(ゲームの)に会ってないしな。もしや既に救助活動はすでに終わっているんじゃ……」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 00:43:40.53 ID:hnZ3CmOM0
灰原「落ち着いて。流石にそれはないわよ。まだ2日目なのに」

阿笠『その通りじゃ。これでもワシはゲームを作ることへの誇り(プライド)を持っておる。そんな鬼畜なことは断じてせんわ』(内部通信用の電話機から)

また博士……流石に3度目は慣れたぜ。

阿笠『救助自体は最終日までやってるぞ。チャンスはいくらでもあるわい』

コナン「何だよ、殺すとか言っといてやたらと俺達に色々教えてるな」

阿笠『ふっ、多少ハンデを与えんとつまらないからのう』

阿笠『むしろハンデを沢山与えた上でゲームオーバーしてくれた方が気分がいいわいwww……』

将棋でいう「駒落ちですら負ける」ようなものか。舐めやがって。

灰原「ずいぶんも余裕ね」

阿笠『ほほほwww』ブチッ
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 20:21:27.28 ID:rr/Ffggg0
今の博士は自分が圧倒的有利な立場である故、余裕こいて俺達にヒント与えまくっているようだ。言い方変えれば油断してるということ。

コナン「どうやら救助は最後までやってるようだし、救助場所まで行けばOKだ」

灰原「でも問題はどこで救助をやっているかだわ。災害で電気が止まってるからテレビもラジオも動かないし……」

コナン「博士も場所までは教えてくれなかったしな……」

ゴゴゴゴゴゴゴ

2人「!!」

突如周りの床や壁、家具がガタガタと揺れだす。またしても余震だ。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/27(月) 20:53:07.16 ID:rr/Ffggg0
俺達はすかさず両手を頭に当て屈んだ。

次の瞬間……

コナン「!?」

フローリングの床の下からバキバキと軋む音を聞いた俺。

まずい!余震と俺達の体重によって床にヒビが入ったようだ。

ここままじゃ床が抜けて俺と灰原は下の階へ転落する。だからと言って離れようと下手に動けば、その振動で床が抜けるのを早めてしまう!

つまり転落を回避するのはこの状況でおいて不可能だ。

でも……唯一可能なのは……
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/11/28(火) 08:55:52.51 ID:8ZRiZ8I40
コナン「灰原ぁ!」ドンッ

灰原「え!?」

俺は両手で灰原を思いきり突き飛ばした。

同時に床が抜け、突き飛ばした灰原を残して俺だけが落下した。

そう、唯一可能なのは2人のうち1人は助かるということ!

どうせ落ちるなら俺だけで充分さ!

灰原「く、工藤くん!!」

下の階へ落ちる俺。

ハハハ、この高さじゃ死にはしないが、多分骨折は免れないな……。

ドサッ!!
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/01(金) 09:05:36.23 ID:Y9csGJhJO
コナン「う……」

灰原「気がついたようね……」

気がつくと、俺は灰原に介抱されていた。
確か俺は抜けた床から落ちたんだっけな……。

コナン「灰原……」

灰原「まったく……少しは自分を大切にしなさいよ。あなたが死んだら私も死ぬのよ」

コナン「すまない……」

灰原「でも……ありがとう。あのとき助けてくれて」

コナン「顔赤いぞ。お前らしくないな」

灰原「あ、赤くなってないわよ!///」

コナン「おっと、俺も礼を言うぜ。ありがとなあの後ここまで運んでくれてよ」

目が覚めたこの場所は、ホテルではなく、ホテル前の公園だった。気絶してた俺は公園のベンチに寝かされていた。
ホテルを見ると原型を留めていないほどに全壊している。

どうやら、灰原は気絶した俺を抱えて、崩落するホテルからここまで運んできてくれたのだろう。感謝しないとな。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/01(金) 17:45:37.52 ID:aP6w6y/m0
灰原「助けたのは私じゃないわよ」


?「僕だ」ポン


コナン「え?」

そのとき、後ろから誰かが俺の肩に手を乗せて囁く。


後ろを振り向く俺。
その人物は……
白いワイシャツに、黒いビジネススーツのズボンを着こなし、眼鏡をかけた20代後半と思われる男だった。

灰原「私が、気絶したあなたのところに駆けつける際に彼と鉢合わせたの。あなたをここまで運んでくれたのよ」

コナン「あ、ありがとうございます……」

なんかチグハグとした気分だが、とりあえず礼を言う俺。

男「いいっていいって。僕はただ、人として当たり前のことをしただけさ☆」

コナン「は、はぁ……」

何だこの人、こんな災害なのにやけにテンション高いな。
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/04(月) 13:13:20.95 ID:HqDa6l5C0
荻本「おっと、自己紹介がまだだったね。僕は「荻本 俊(おぎもと しゅん)」。新聞記者をやってるんだ」

灰原「私は灰原哀」

コナン「江戸川コナンです」

それぞれ軽く自己紹介を済ませる。


荻本さんから救助の状況について聞く俺達。

荻本「うーん、今のところ救助活動は順調に進んでいるみたい」

荻本「湯芝町から一番近い救助場所だと、島の北部「須水市(すすいし)」かな」


荻本「ただ一番近いと言っても……ここからだと300kmはあるんだよね……」

コナン「マジかよ……」

あー、これじゃあ制限時間までに着かねーな……

と絶望し、崩れ落ちる俺。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/08(金) 08:45:59.18 ID:l/kvyJ1zO
次の瞬間

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

3人「!!」

余震。公園の遊具や金網など周りの物ががすべて揺れだす。

頭を抱えて伏せる俺達。


しかし、さっきのホテルといい、またしても危機はやってくる。

ズザザザザ!!

地震の最中、道路がところどころ沈下や隆起をはじめ、その隙間からは大量の泥水が吹き出す。

灰原「何!?」

荻本「液状化現象か!」

さらにそれに伴って、地盤の支持力を失った建造物が何であろうが関係なく倒壊を始めた。

荻本「まずい!逃げろ!!」

俺達は液状化現象で歪む地盤の上を必死に駆け抜けながら、倒壊する建物から逃げる。
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/11(月) 11:21:15.72 ID:CCHKJYEN0
次々と倒壊する建物から逃げる3人。

灰原「ひゃっ!?」ドテッ

途中、突然隆起したマンホールに足を引っ掻けて転ぶ灰原。


コナン「大丈夫か!」

灰原「大丈夫よ………って危ない!」

コナン「うわっ!」ズザザザザ

足元の地面が急激に沈下し、俺は飲み込まれるかのように地面と共に下へ引きずり込まれそうになる。

荻本「コナン君!?」

コナン「ぐっ!」ガシッ

割れた地面の端にしがみついて這い上がり、事なきを得た。
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/12(火) 10:11:50.41 ID:kQT2xfdZO
液状化により、地割れや沈下・隆起を繰り返す不安定な地盤の上を命がけで進む3人。

道中で度々液状化の巻き沿いを受けるが、助け合いながら何とか乗り越えていく。


荻本「あれは、湯芝川!もしかしたら……」

灰原「え?」

そんな中、河川敷付近にて荻本さんが何か助かる手がかりを見つけたようだ。


彼を信じて、ついて行ってみると

荻本「あった!」

それは、流されないようにしっかりロープで桟橋と繋がれた一台のモーターボートであった。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/12(火) 10:29:50.57 ID:kQT2xfdZO
灰原「運転できるの?」

荻本「あぁ、昔大学の友人達とハワイでやりまくったからね!」

そう言うと荻本さんは繋がれたロープを持っている万能ナイフで切断し、モーターボートの運転席に座る。

荻本「よしっ、キーも刺しっぱなしだし、エンジンもつけられる」

何で都合よくキーが刺さっているのかと疑問に思う俺。
まぁ博士のゲームだしな……と割りきる。

荻本「さぁ、早く乗るんだ」

荻本さんに促され、モーターボートに乗る俺と灰原。

荻本さんの運転でモーターボートは湯芝川の下流へ向かって勢いよく進んでいった。
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/12(火) 17:13:29.80 ID:kQT2xfdZO
何とか液状化から逃れた俺達。モーターボートで湯芝川を進んでいる。

荻本「このまま進めば、須水市までだいたい6時間で着くかな」

どうやら、この広い川の進んだ先が須水市(救助場所)のようだ。このまま何も起こらずに無事に着けばどれだけ嬉しいことか……

どうせ、途中でまた何かしら災害に出くわすだろう。

今の博士が俺らをそう簡単に救助(クリア)させてくれるとは思わないしな。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/13(水) 22:19:51.01 ID:p2iNEsNp0
prrrrrr

その時どこかから携帯電話と思われる着信音が鳴り出す。

荻本「電話?」

荻本さんは懐から携帯電話を取り出す。着信音はその携帯電話から鳴っていた。

ピッと電話に出る荻本。

荻本「もしもし荻本です。どうしました編集長?」

どうやら、仕事先の上司と連絡しているようだ。
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/13(水) 23:28:50.57 ID:p2iNEsNp0
荻本「はい…………」

荻本「え!!?」

コナン、灰原「!?」

突然声を上げる荻本。

荻本「わ…分かりました……」ピッ

青ざめた表情を浮かべながら電話を切る荻本。

灰原「どうしたの?急に声を出して」

荻本「い、いや、何でもないよ……。あ、そうだジュースでも飲むかい?」

そう言うと、荻本さんは鞄から缶ジュースを2本取りだし、俺達にそれぞれ渡した。

2人「あ……ありがとう……」
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/14(木) 08:30:29.85 ID:ErOnLcC0O
モーターボートに揺られながら、俺は荻本さんからもらったオレンジジュースをチビチビと飲んでいると、地震で倒壊した建物の瓦礫が川のあちこちで水面に浮かんでいるのが見える。

灰原「ひっ、人が!」

場所によっては何人かの水死体も浮かんでいた。しかも頭部や腹部に木片・鉄柱などが突き刺さっていて非常に惨い。普段から死体を見ている俺や灰原みたいな奴じゃなきゃ、確実にトラウマだ。
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/14(木) 09:03:40.50 ID:ErOnLcC0O
それにしても……荻本さんはさっきの電話であんなに驚くほど一体何を聞かされていたのだろう?

しかもジュースを振る舞ってまで俺達に誤魔化す様子からして相当知られたくないことなのか。何か気になる。

とりあえず、今の彼の素振りを見て推測するしかないな。

そう思うと俺はモーターボートを運転している荻本さんを観察し始める。
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/14(木) 13:10:46.00 ID:ErOnLcC0O
コナン「……」

荻本「……」

コナン「……」

荻本「……」

落ち着いた様子で淡々と運転している。さっきのことで少しばかり慌てているかと思ったが切り替え早いな。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/14(木) 13:11:27.31 ID:ErOnLcC0O
コナン「…………」

荻本「……」

灰原「さっきから何してるの?」

コナン「あ、いや……別に……」

ど……どうせ仕事関係のことだろう。俺らには関係ないし、余計な詮索はやめよう。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 08:28:06.77 ID:gmYRT6NvO
バババババババ

3人「!?」

その時、後ろから低空飛行しているヘリコプターが1台やってきた。

灰原「もしかして救助ヘリかしら?」

コナン「ならそれはラッキーだぜ。おーい!!」

俺は大声で両手を大きく振って、ヘリにこちらの存在を気づいてもらおうとした。

ヘリ「……」ババババババ

男「……」ガラッ
ヘリの窓から武装したサングラスの男が一人顔を出す。
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 08:29:35.77 ID:gmYRT6NvO
原「ん?あの格好……自衛隊かしら?」

コナン「この際誰でもいい……おーい!!助けてくれぇぇぇ!!」

手を振りながら叫び続ける俺。

男「………!」

荻本「!」

顔を引っ込める男。

灰原「こっちに気づいたようね」

コナン「これでひと安心だ」
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/15(金) 08:56:45.33 ID:TDoFvclSO
原さん
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 09:04:58.57 ID:gmYRT6NvO
荻本「いや違う!」

2人「!?」

救助されるのを期待する俺達とは真逆に荻本さんは再び青ざめた表情で慌てていた。

荻本「に、逃げないと…………殺される!!」

彼は思いきりアクセルを踏み、モーターボートを急加速させた。

ブオオオオオオオオオオン!!!!

コナン「うわぁぁぁ!!」

急加速したボート。速度計を見ると113km/h。その勢いの恐怖は遊園地のジェットコースター以上だ。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/15(金) 23:28:15.50 ID:3x179OSP0
灰原「ちょっと!……荻本さん!急にどうしt…………」

ドオォォォン!!!

2人「!!?」

刹那。背後から発砲音が大きく響き渡る。


じゅ、銃声だと!?

不意あまり、銃声であること認識するのに2秒ほどかかった俺。

高速で水面を滑走するボートの激しい水飛沫の中、後ろを振り向く。

振り向いて視界に映えたのは

ボートの後部に埋まっている弾丸………

そして、上のヘリコプターから拳銃らしき黒い物体を片手にし、それをこちらに向けているサングラスの男だった。
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 13:36:20.28 ID:SCXAH+dE0
今、ヘリに乗る男がこっちに目掛けて発砲したのは明確だった。

灰原「何!?一体どういうこと!?」

同感だ!何故あの男は俺達を撃ってくるんだ!?俺も灰原も何かしたような覚えは全くないぞ!

男「……」カチャ

何て考えているうちに、男は拳銃の引き金を引く。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 13:37:12.50 ID:SCXAH+dE0
コナン「ヤバイ!また来る!!」

ドオォォォン!!

再び発砲音。

荻本「くっ!」

荻本は右に急ハンドル。モーターボート高速で滑走してるためか、ほぼ90度に傾いて右に曲がる。

曲がった直後、銃弾は水面に着弾。ひとまず2発目回避。

2人「うわぁぁぁ!!」

傾くボート。小柄な俺達は危うく投げ出されそうになるが、必死に手すりにしがみついて踏ん張り、事なきを得た。
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 18:52:54.71 ID:IpiLqCb4O
だが銃撃は始まったばかりだった。

ヘリコプターは逃げる俺達のモーターボートを全力で追跡。

ヘリの窓から身を乗りだしている男の銃撃がまだまだ俺達を襲う。

男「……」カチッ

灰原「来るわよ!」

荻本「左に寄って!」

今度は左に急ハンドル。

ドオォォォン!!

同時に銃声。

でも着弾までに曲がりきれて3発目も回避。
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/19(火) 08:53:31.42 ID:UFxNwdJu0
男「ちくしょう!!何故当たらねーんだ!!」

中々俺達に命中しないからか、ヤケになって叫ぶ男。拳銃を投げ捨て、新しい武器をこちらに向ける。

男「ハナっからこれ使うべきだったぜ……」ジャキッ

灰原「さ、サブマシンガン!?」

コナン「いくらなんでもあんなの避けきれるか!!」

サブマシンガン(短機関銃)は先程の拳銃のように一発ずつ撃ち込むのとは違い、一度に大量の銃弾を連続的に発射し、広範囲に射撃できるため、動き回る敵を仕留めるには相応しい。

つまり、荻本さんの運転技術でも回避するのは事実上無理だ。

男「死ねぇ!!」

ヤバイ!発射されたら一貫の終わりだ!!

荻本「……!!」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 00:15:15.11 ID:Eq4mRr5HO
……
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 08:46:08.49 ID:AcDjy1k/O
男がサブマシンガンを発射する直前……


ドシャーン!!


コナン、灰原「!?」

高層ビルがモーターボートとヘリコプターの間を挟むように倒れてきた。

ズダダダダダダダダダダダダダダ!!

直後、そのビルを隔てた向こうから、サブマシンガンらしき銃声が響いていた。皮肉にもビルがヘリの銃撃から俺達を守ったんだ。
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 16:25:37.58 ID:AcDjy1k/O
たが、俺達を守ったと同時に、ビルは激しい水しぶきと波を引き起こした。



3人「うわぁぁぁ!!!」


その波により、ボートが思いっきりひっくり返り、転覆した。


ザッバーン!!

俺達は川の中に放り出された。
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 17:28:36.45 ID:u+dUlPntO
水の中。着ている服が水を吸った重みによって体はどんどん川底へ沈んでいく。俺は両手で必死に水を掻いて水面に上がろうとした。


頑張って水を掻いていき、何とか水面から顔を出すことができた。

コナン「はぁ……はぁ……はぁ」

息を切らしながら辺りを見渡すと、モーターボートを転覆させた高層ビルの残骸。そしてひっくり返ったモーターボートなどが見える。
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 17:30:20.82 ID:u+dUlPntO
コナン「そうだ!灰原は!?荻本さんは!?」

しかし、ただひとつ見えないのは一緒に川に放り出された灰原や荻本さんの姿だ。


コナン「灰原ぁ!!!」

思いきり叫ぶ俺。灰原は無事か!?

俺の叫び声は遠くに見えるビルにこだまする。
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 18:05:57.91 ID:u+dUlPntO
しかし返事はない。まさか……!?

2人の危機を察した俺は水の中に潜った。


水の中を掻きながら泳ぐ俺。灰原待ってろ、今俺が助けてやるからな!

水深約7mの湯芝川。川底まで潜り、ところどころ探し回る俺。中々見つからない。

代わりに見るのは、地震で崩れた瓦礫やヨットの残骸。そして水中を自在に泳ぐ鮒、鯉や鰻(小嶋元太の好物)。

くそっ、どこにいるんだ!
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2017/12/23(土) 19:39:18.85 ID:+Yowxq+SO
うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重うな重
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 00:15:41.10 ID:zkyVohK/0
何度か水面から顔を出して、水中を探しまわる俺。

灰原!いるんだろ!返事してくれぇ!!
(おっと、荻本さんも忘れるちゃいけない。)

そう強く思っても返事はない……。

あれから既に3分は経過している。
このままじゃ灰原は…………そして俺は………

いや、こんなところで終わってたまるか!!
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 20:01:56.56 ID:zkyVohK/0
絶対に死なせはしない。何が何でも灰原を助ける!


そんな思いで川底に沈む瓦礫や木々をどかしたり、土砂を掻き分けたりと2人をひたすら探し続けた。

冷たい水の中にずっと浸っているため、体が冷えて感覚がだんだん麻痺してきたが、灰原を助けることで頭がいっぱいな今の俺にはどうでもよかった。
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 20:19:15.11 ID:zkyVohK/0
---
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探してしばらくして……


転覆した場所から100mほどに離れたところに着くと、川底でぐったりとうつ伏せになっている少女を見つける。


灰原だ!間違いない!!

荻本さんの姿はなかったが、ひとまず俺は彼女を抱えながら泳いで浮上し、水面から顔を出した。
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 20:20:39.31 ID:zkyVohK/0
コナン「大丈夫か、灰原!?」

灰原の胸部に耳を当てる俺。

呼吸はしている。
そしてドクンドクンと心臓の鼓動が断続的に伝わる。

コナン「やった…………」

よかった……灰原は生きている。

俺はその嬉しさに思わず涙を流した。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/25(月) 20:32:43.35 ID:zkyVohK/0
ゲームキャラクター

No..1荻本俊
新聞記者の男性。白いワイシャツに黒いスーツのズボンを着こなしていており、丸い眼鏡が特徴。
武装した男に何故か命を狙われているが、理由は今のところ不明。モーターボートの運転技術は弾丸を難なく躱せるほどに常人離れしている。
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/27(水) 10:44:43.27 ID:tNyV0McQ0
結局荻本さんだけはどこを探しても見つからず、完全に行方不明だ。

何より気絶している灰原を優先しなければと、俺は彼女を抱えながら泳いで何とか岸にあがった。
近くの階段を昇り、人一人抱えながら柵を乗り越え、ようやく道路に出る。

空は既に夕日が沈み、すっかり暗い夜となっていた。しかも街灯が災害により点灯していないので、その暗さは前後左右見渡しても何があるのか全く分からないくらい尋常じゃない。

ホテルで拝借した懐中電灯の光を頼りに俺は灰原をおんぶしながら、下流の方向に川を沿って地震で傷んだ道路の上を歩き始めた。
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2017/12/28(木) 13:21:06.10 ID:rHkH2IoT0
コナン「う……寒過ぎる!」

しばらく歩いて気づいたことだが、流石にずぶ濡れの体で寒い夜の道をこのまま歩き続けるのはいくら何でも自殺行為だ。

コナン「ど……どこか安全な場所で休もう。」

と、寒さに震えながら辺りを懐中電灯で照らしていると、一件の公園を見つけ、俺はそこに足を踏み入れる。

八田南(はったみなみ)公園内。周囲に大きな建物はないし、木々も少ない。ここなら最悪余震が来ても瓦礫の下敷きになることはないだろう。よし、ここで一夜を明かそう。

俺は、その辺に落ちてた一斗缶で焚き火を燃やして暖を確保し、目の前のベンチに灰原を寝かせた。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/01(月) 22:56:55.04 ID:mNgz9B150
ちなみに今、俺も灰原もお互い全裸だ。俺は自分の服を脱ぎ、灰原の服も脱がせたんだ。

服は全てロープに吊るして焚き火の熱で乾かすために干している。

……勘違いするな。濡れた服のままでいるのは寒くて凍死しかねないからやむを得なかったんだ。

コナン「……」

灰原「……」

コナン「……」

灰原「……」

コナン「……」ムクムク

いや、何を考えているんだ!俺は!!
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/01(月) 22:58:59.87 ID:mNgz9B150
『ヤるなら今のうちじゃぞwww』

コナン「!?」

公園内にあるスピーカーから老人の声が聞こえる。またしても博士だ。

コナン「い、いきなり出てきて何の用だ!博士!」

博士『何って、君の性欲を晴らしてやりにきたわいww』ニヤニヤ

コナン「な、何を言って……うっ!」ドクン

突如自分の体に異変が起こった。

胸が非常に熱い!右手で胸を押さえつけるが止まらない。

この感覚……あれと同じだ。アポトキシンを飲んで体が縮んだり戻ったりする時と…………

まさか!!
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/05(金) 10:50:31.10 ID:ARwv+WUA0
ドクン ドクン ドクン!!!

次第に体の発作は激しく増していく。

コナン「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

熱さにたまらず叫ぶ俺。

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新一「はぁ……はぁ……はぁ」

しばらくして発作は治まった。しかし、俺の体は別の姿へと変貌していた。

元の姿「工藤新一」に。
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/07(日) 18:43:30.15 ID:QMKhuY55O
新一「はぁはぁ……ど、どういうことだ!何で薬も飲んでないのに……」

阿笠『何を言っておるんじゃ。これはゲームじゃ。新一が特定の状況で元の姿に戻るようプログラムすることもできるはずじゃろ』

新一「何でもありだな……」

新一「だが、なぜ俺を元の姿にしたんだ?」

阿笠『そこで寝ている今の哀君を見れば分かるわい』

新一「は?」

ベンチで横になっているはずの灰原に目を向ける俺。

新一「!?」
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [saga]:2018/01/07(日) 18:46:16.05 ID:QMKhuY55O
ベンチで横になっていたのは、灰原ではなく、その2倍以上高い身長の女性だった。

そう、元の姿に戻ったのは俺だけじゃなかった。

志保「……」

新一「灰原!」

俺と同じく灰原も元の姿(宮野志保)に変わっていたのだ(未だに気絶)。

阿笠『さて新一、ワシは何故君達を元の姿にしたか分かるじゃろ?』

?……ま、まさか!?
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