イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」

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187 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/24(火) 02:59:24.89 ID:EkOf6jxk0
…夕食時…

提督「ふぅぅ、シャワーを浴びてさっぱりしたら…急にお腹が減ってきたわ♪」

カルロ・ミラベロ(ミラベロ級駆逐艦)「ふふ、提督はいつもお腹を空かせていると思うわ……こっちの方でもね♪」ふとももを愛撫するミラベロ…

提督「ふふ…またお仕置きされたいのかしら。手はおひざの上にどうぞ?」ミラベロの小さい手をとって膝の上に戻す提督…

ミラベロ「あんっ、もう…♪」そこそこの高さがある椅子だけに、床へ届かない脚を空中でぶらぶらさせているミラベロ…


…一見すると小柄でいかにも幼いが、第一次大戦時に計画された駆逐艦が第一次大戦後の20年代になって完成したとあって駆逐艦勢のなかでは最年長……のはずが、やはり見た目のせいで耳年増でませているように見えるミラベロ級駆逐艦の「カルロ・ミラベロ」「アウグスト・リボティ」の二人……


ポーラ「…カクテルは何にしますかぁ〜?」提督たちのテーブルへやって来て食前酒の注文を聞くポーラ…

グレイ提督「…それでは、ピンク・ジンをいただきますわ」

(※ピンク・ジン…カクテル。ジンに数滴の「アンゴスチュラ・ビターズ」(赤色を帯びた薬酒)をたらしステアあるいはシェークしたもの。イギリス海軍は長くジンを配給していたことから士官の食前酒として愛飲されていた)

提督「じゃあ私は……白にしておくわ」

ポーラ「えへへぇ、了解しましたぁ〜。…ヴァイス提督は何になさいますかぁ〜?」

ヴァイス提督「あ、あー…レーヴェンブロイをお願いする」

ポーラ「はぁ〜い、お待たせしましたぁ♪」…しばらくするとグラスや瓶を盆に載せて戻ってきた

提督「……それでは」

グレイ提督「ふふ「君の瞳に乾杯」…♪」

提督「まぁ…「カサブランカ」とは素敵ですね♪」

グレイ提督「ふふ。ところがわたくしはカサブランカより先に「007/ムーンレイカー」で知ったのです……ふふっ、おかしいでしょう♪」

(※「007/ムーンレイカー」に出てくる悪役「ジョーズ」が訳ありながら結果的に007を助けることになり、007の脱出後に、ジョーズが一目ぼれしている「メガネでおさげ」の目立たない娘にシャンパンをごちそうしようと「ジョーズ独特な」やり方で栓を開けてから、カサブランカの名セリフを引用して言う…見た人はなにかと驚く場面)

提督「うっふふふ、それじゃあ私はあのメガネでおさげの娘ですか?」

グレイ提督「ジョーズよりはいいではありませんか…でしょう?」

提督「ふふふふっ、それはそうですが…♪」

ヴァイス提督「失礼……お二人とも一体何の話をなさっているのですか」

グレイ提督「え?…あの、まさかとは思いますが……ヴァイス中佐は「007」をご存じないのですか?」

ヴァイス提督「いえ、スパイアクションの映画であることは知っていますが……別段興味を引かなかったもので見ませんでした」

グレイ提督「まさか…ふふ、きっとご冗談ですわよね」

ヴァイス提督「いいえ。私は別段フィクションを見たいと思うことはありませんから……現実にある事を描いたドキュメンタリーの方が、色々と考えさせられるので好みです」

グレイ提督「…わたくしもドキュメンタリー映画は嫌いではありませんわ……ですが英国が生んだ最高のスパイ映画をご覧になったことがないなんて」イギリス貴族の女性でしかできないようなキングス・イングリッシュのアクセントに見事なほど軽蔑と皮肉を込めて「嘆かわしい」と言うように声を上げた…

提督「…」

グレイ提督「どうして見たいと思わなかったのかしら……車の趣味…いえ、それとも銃の趣味かしら……でも「PPK」はドイツのピストルですもの、と言うことは銃の趣味ではありませんわね…それでは「奇想天外な秘密兵器」のせいでしょうか?」

ヴァイス提督「…いえ、そもそもああいった「色男」が出て来る映画と言うのが……別に格好いい男性は嫌いではありませんが、やさ男と言いますか…女たらしのようなキャラクターは女性を手もなく口説くことが出来ると思い込んでいるような感じがして…ですから好みではありません」

提督「ふふ…シャルロッテとはもっと仲良くなれそうです♪」(…私も時々007が女性だったらいいのにと思っていましたから♪)

グレイ提督「…なるほど……しかしそこを差し引いても痛快な所が007の魅力ですもの。機会がありましたら…と言うより、わたくしからそちらの鎮守府にセットをお送りしておきますわ」

ヴァイス提督「だ、ダンケシェーン…」

提督「それでは話も済んだことですし……アンティパスト(前菜)はオリーブとトマトのざく切り、それにカッテージチーズを合わせた南イタリアらしいサラダ…それとムール貝のワイン蒸しですよ♪」

グレイ提督「まぁ、綺麗なものですわね…それではムール貝をいただきたいですわ♪」

提督「ええ、どうぞ…♪」

ヴァイス提督「では、私もムール貝を…」

提督「はい♪」

ミラベロ「ねぇ提督……提督は私のおへそにムール貝を載せて「ちゅるっ」ってしたいんじゃない…?」背中を伸ばして提督の耳にささやきかける…

提督「ふふ、全くもう…そういうことをする時は生牡蠣よ♪」

ミラベロ「あら、ごめんなさい…♪」
188 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/25(水) 01:02:43.82 ID:wnRy4te90
グレイ提督「ところで、カンピオーニ提督」

提督「ええ、何でしょう?」

グレイ提督「よろしければその「面白いお話」と言うものをぜひ伺いたいところですわ」…苦手なのか「タコのマリネ」には手を出さずに次の一品…ピリリと唐辛子の効いた「パスタ・アラビアータ」をよそってもらうグレイ提督

提督「そうですね、せっかくですしお話しましょうか……これは海軍航空隊の「とある友人」から聞いたのですが」

グレイ提督「ええ」

提督「…ある夏の日の事、その友人は軍の射撃場で規定された分のピストル射撃を行っていたのですが……」

グレイ提督「ふむふむ…」

提督「暑いからと軍用シャツの腕をまくり、胸元も大きく開けて的に向かっていたそうなのです」

グレイ提督「なるほど、それで…?」

提督「…ところが、私がよく知っているその友人は胸のボリュームがかなりありまして」

グレイ提督「ほう」

提督「何発か撃ったところで弾きだされた空薬莢が胸の谷間に飛び込んできた…と♪」

グレイ提督「まぁ……ふふ♪」

ヴァイス提督「…それで、火傷はしなかったのですか?」

提督「ええ、幸い火傷の痕が残るほどではありませんでしたが…しばらくは触ると痛がっていましたよ♪」

ヴァイス提督「触ったのですか……他の人の胸を?」

提督「ええ。何しろ「親しい友人」ですので、谷間以外にもいろいろな場所を……ふふっ♪」

ヴァイス提督「あっ…」

グレイ提督「ふふ…きっとずいぶん「親しい関係」でいらっしゃるのね♪」

提督「まぁそういう事になりますね……せっかくですし、グレイ提督も何かお話をしてくださいませんか♪」

グレイ提督「そうですわね、わたくしが知っている面白いお話……ちょっとした冗談でも構いませんかしら?」

提督「ええ、軽い冗談は好きですよ♪」

グレイ提督「さようですか。でしたら……スコットランドに薬屋を営む正直な男がおりました」

提督「ええ」

グレイ提督「ある時にお客が駆け込んできて、数ペンスの安い薬を買うと1ポンド札を置いて、お釣りももらわずに飛び出していきました…」

提督「それで?」

グレイ提督「薬屋の男は1ポンドは惜しかったものの正直な男でしたから、お客を呼びとめようと決意をし……カウンターをスポンジで叩いてお客を呼びとめようとしたそうです…♪」(※スコットランド人…イングランド人いわく「ケチ」だとされる)

提督「ふふっ…うふふふっ♪」

ヴァイス提督「あぁ…なるほど、スポンジで叩いても音が鳴らないからか……」

グレイ提督「ええ、その通りですわ……ところでカンピオーニ提督はまだまだ面白いお話をご存じに見えますわ、どうか聞かせて下さいな?」

提督「ええ、分かりました…実はこの間、海軍憲兵の「特別査察」を受けてしましまして」

グレイ提督「まぁ、それは災難でしたわね…それで、具体的にはどのような?」

提督「実は夏季休暇(ヴァカンス)中にうちの鎮守府の娘たち数人がちょっとした「トラブル」を……」そう言って中世ヴェネツィアの提督たちを艦名に取った潜水艦「マルチェロ」級に軽く手を振った…

マルチェロ「おや…諸君、我らが提督が私たちに向けて「見送りに来てくれたヴェネツィア美人」のように手を振ってくれているぞ?」

エモ「わぁ、嬉しいです♪」

バルバリゴ「全くだな。しかし提督はいつみても抱きたくなる…あんな美人がヴェネツィア生まれでないのが不思議なくらいだ」

リボティ(ミラベロ級)「だってさ、提督……でも確かに、提督は私たちのもとに舞い降りたアンジェリータ(小さな天使)だよ♪」

…ミラベロと同じように小さい身体で耳年増、おまけに歯の浮くような口説き文句を平気で言える妹の「アウグスト・リボティ」……裾に白いレースをあしらった黒いクラシカルなワンピーススタイルで、髪をパールグレイのリボンでツインテールに結んでいる…

提督「…ふふっ、ご丁寧にどうも♪」



189 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/26(木) 01:28:50.24 ID:Z87B3+jB0
…食後…

提督「ふー…とっても美味しかったわ♪」

ディアナ「ありがとうございます」

提督「いいのよ。それにしても、いつもなら駆逐艦や潜水艦の娘たちがお菓子や何かをねだりに来ているはずなのに……珍しいわね?」

ディアナ「そうですね…何でも会議室でアニメの「上映会」だそうですよ。わたくしもお呼ばれしております」

提督「あー、そう言われれば私も声をかけられていたわ……それじゃあちょっとのぞいてみようかしら」

ディアナ「それがよろしいかと…わたくしもお皿を流しに浸けたら参ります」

提督「必要なら後で私も手伝うわ。…グレイ提督もよかったらいかがですか?」

グレイ提督「嬉しいお申し出ですが…わたくし、少々用事がございまして」

提督「それでは仕方ないですね。ヴァイス提督?」

ヴァイス提督「申し訳ない、私も予定がありまして…ですが、よろしければビスマルクとティルピッツを招待してもらえますか。食後には特に予定もありませんので」

提督「ええ、喜んで…エリザベスとエメラルドはいかがでしょうか?」

グレイ提督「ふふ、あの二人はドイツ艦のお二人に近づけるときっとご迷惑をおかけしてしまいますから……お気持ちだけ受け取っておきますわ」

提督「そうですか…それではヴァイス提督、二人をエスコートさせていただきますね」

ヴァイス提督「は、よろしくお願いします」

………

…会議室…

提督「こんばんは、お邪魔するわね♪」

シロッコ(マエストラーレ級駆逐艦)「あ、いらっしゃい……ビスマルクとティルピッツもね♪」紙の入れ物に入った塩味のポップコーンや爪楊枝に刺したオリーヴ、あるいはプレッツェルと言ったおつまみが用意され、部屋は薄暗くしてある

提督「…それで、今日のアニメは何を流すの?」

フォルゴーレ(フォルゴーレ級駆逐艦)「えーと…日本の有名なシリーズものなんだけど、その何作かをこの間買ったの」

…艦名がいずれも「雷」や「稲妻」だけあって、雷のような金髪の房が頭からはねている「フォルゴーレ」(稲妻)…姉妹艦もみんな電光のような形をした特徴的な髪の房やアホ毛が、つむじやこめかみから伸びている…

提督「へぇ…それじゃあここに座らせてもらっていいかしら?」

シロッコ「ええ、どうぞ…お二人もね」

ビスマルク「うむ、済まんな!」

ティルピッツ「…ダンケシェーン」

ディアナ「ふぅ、遅ればせながらわたくしも参りましたわ…シロッコ、お招きして下さってありがとう」

シロッコ「いえいえ……それじゃあそろそろ始めるわ♪」

ストラーレ(フレッチア級駆逐艦)「待ってました!」

アルフレド・オリアーニ(オリアーニ級駆逐艦)「もう、手順が悪いんだから」

提督「まぁまぁ…わぁー♪」軽く歓声を上げて拍手する提督…

シロッコ「…まずは「機動戦姫カンムス1940・ポケットサイズの戦艦」…通称「ポケ戦」から行くわよ」

提督「ふんふん…ドイツ艦が主役なのね」

シロッコ「ええそうよ…ビスマルクたちも来てくれたことだから、とっつきやすいように……さぁ、始まるわ」

190 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/04/26(木) 02:09:18.06 ID:Z87B3+jB0
…しばらくして…

アニメ「…悲しいけど、これでもドイツ軍人なんだよなぁ……!」

ビスマルク「…」

ティルピッツ「…ううっ」

提督「…」

シロッコ「うーん……何とも悲しい話だったわね。でも戦闘シーンの派手さは大したものだったわ」

ティルピッツ「ううっ…「絶対死ぬんじゃねえぞ…お前がいなくなったら威張れる相手がいなくなっちまう」の場面は涙せずに見られませんでした」

ビスマルク「いや、「このままでは間に合わない!」のシーンも身に摘まされる思いだった…!」

フルミーネ(フォルゴーレ級「電撃」)「ねぇシロッコ、次も見よう?」

シロッコ「んー…とはいってももうだいぶ時間がたったから、次は明日ね」

提督「そうね、それがいいわ…みんなお風呂だってまだなんでしょう?」

サエッタ(フレッチア級「電光」)「大丈夫、雷みたいな速度ですぐ入ってすぐ出ちゃうもの!」

提督「もう、ちゃんと洗わないとダメよ……私もお風呂がまだだし、一緒に行きましょうか」

ダルド(フレッチア級「雷光・矢」)「ええ、行きましょ!」

提督「それじゃあ行きましょうか。…ところでビスマルクとティルピッツは、もうお風呂を済ませた?」

ビスマルク「いや、まだだが…」

ティルピッツ「え、ええ…///」

提督「お風呂…一緒に入らない?」

ビスマルク「!?」

ティルピッツ「いえ…そんな他人に裸を見せるなど……///」

フォルゴーレ「いいじゃない、一緒に入りましょうよ♪」

ランポ(フォルゴーレ級「雷」)「うん、それがいいわ。それとも…そんな大きいなりをしているのに、私たちとお風呂に入るのが怖いとかー?」

ビスマルク「な…馬鹿をいえ、この「鉄血宰相」ビスマルクに怖い物などあるわけがあるまい!」

フレッチア(フレッチア級「閃光」)「なら行こっか!」姉妹四人で取り囲み、大きなビスマルクの腕をつかんで引っ張ったり、背中を押したりするフレッチアたち……ティルピッツはフォルゴーレ級の四人に押したり引いたりされながら「連行」されている…

ゼフィーロ(トゥルビーネ級駆逐艦「春の西風」)「それなら私たちも行こう…?」

ネンボ(トゥルビーネ級「雨雲」)「そうね……ねぇ、私たちも一緒に行くわ♪」

ナザリオ・サウロ(サウロ級駆逐艦)「もう…みんなせっかちなんですから」

提督「ふふ、何しろフレッチア級とフォルゴーレ級はみんな「雷」に関係する名前だものね♪」

…大浴場…

フレッチア「…それじゃあ流してあげるわね♪」

ビスマルク「いや結構だ…そのくらいは自分で出来る!」

フレッチア「まぁまぁ、これでも私は「フレッチア」級の長女なんだから大丈夫…ねっ♪」

ビスマルク「そう言う意味ではない、裸体を見られたり触られたりするのが気恥ずかしいだけだと言っているのだ!」

サエッタ「そんなことないですよ、白くてとっても綺麗ですもん♪」

ビスマルク「えぇい……カンピオーニ提督、この小娘たちはどうにかならんのか!?」

提督「んー…どうにもならないわ♪」

ビスマルク「ちぃっ…えい、そうまとわりつくな!」

191 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/27(金) 01:51:55.16 ID:adyNNcwr0
ティルピッツ「姉上、どうにかして下さい…っ///」

ランポ「まぁまぁ、そう固いことを言わずに……って、もうここは硬くなってるわね♪」

ティルピッツ「…っ///」

フォルゴーレ「うんうん、それじゃあ私たちで優しく洗ってあげますから…♪」身体用のスポンジでもこもこと泡を立て、優しく背中をこすっていくフォルゴーレ……普段はほとんど「蒼白」といっていいほど色の白いティルピッツは真っ赤になり、力なく「イヤイヤ」をするように首を振っている…

バレーノ「はいはい、動かないうごかない…それじゃあ前も洗いますね」

ティルピッツ「ナイン(だめ)、前は自分で出来るから…!」

フルミーネ「とか言って全然洗わない気でしょう……ドイツ人はお風呂もまともに入らないものね」

ティルピッツ「そんなことはないから、スポンジを貸して!」

フォルゴーレ「だーめ、綺麗に洗わないとヴァイス提督に嫌われちゃうわ…私たちで満艦飾みたいにおめかししてあげる」

バレーノ「ここがいいですか…それとも、ここ?」

ティルピッツ「ひうっ…んくっ、んんっ…///」ふとももをこすり合わせて声を抑えるティルピッツ…と、浴槽のふちに組んだ腕を置き、そこにあごを乗せてにんまりとだらしない笑みを浮かべている提督……

提督「そうそう、綺麗に洗ってあげてね…ふふっ♪」

ティルピッツ「ひぅん、あふっ……んあっ///」

フォルゴーレ「はい、おしまい…「稲妻」だけに早かったでしょ?」

ティルピッツ「んっ…もう、おしまい……?」

フォルゴーレ「なに、もっとして欲しかったの?」

ティルピッツ「いや、とんでもない……早くお湯に浸かりたかったから///」慌てて浴槽に身を沈めるティルピッツ……提督ほどでもないが、つんといい形をした乳房がお湯を弾きつつぽっかりと浮かぶ…

提督「…ふふ♪」

ビスマルク「…いい加減うっとうしいぞ、そこを退け!」

フレッチア「ふぅーん…ビスマルクはそういうことを言うの?」

ビスマルク「当たり前だ、貴様らのような小娘どもに好き放題されて黙っているこのビスマルクではないわ!」

フレッチア「…」

提督「あー……ティルピッツ、少しお湯の中に「潜航」していた方が得策かもしれないわよ?」

ティルピッツ「…と、言いますと?」

提督「まぁ、見ていたければどうぞ……ぶくぶくぶく……」鼻のあたりまで浴槽に身体を沈め、目と耳だけを出している提督…

フレッチア「……誰が小娘よ!!」腰に手を当てすっくと仁王立ちになると、雷に関係のある「フレッチア」級だけに、見事な「雷」を落とした…

ビスマルク「!?」

フレッチア「だいたいビスマルクは何年生まれ!?」

ビスマルク「…せ、1939年」

フレッチア「私は1931年生まれよ!…つまり、私の方が「お姉さま」なんだから言うことを聞きなさいよ!!」

ビスマルク「し、しかし私はドイチュラントを代表する戦艦で、貴様らはたかだか駆逐艦…」

フレッチア「私の魚雷は533ミリだけど、ビスマルクの主砲はそれより大きいわけ!?」

ビスマルク「い、いや…しかし……」

フレッチア「せっかく私たちがドイツの野暮ったい堅物をきれいに洗ってあげているのに、文句があるって言うの!?」

ビスマルク「い、いや……いくら何でもその言い方はだな!」

フレッチア「ドイツ艦ふぜいがごたごた言わないっ!!」

ビスマルク「ヤ、ヤヴォール…」

フレッチア「よろしい……それじゃあ全身をきれいに洗ってあげるわ。そうよね?」

ダルド「はい♪…それにしてもお姉ちゃんが雷を落っことす所、久しぶりに見ました……相変わらずドカンと来ましたね」

フレッチア「だってビスマルクがあんまりにもワガママなんだもの…」

ビスマルク「わ…私のせいなのか……」ピシッと背筋を伸ばし、おそるおそるフレッチア級に身体を預けている…

フレッチア「……うん、乳房も綺麗になったわね…えいっ♪」ぴんっ…とビスマルクの先端を弾く

ビスマルク「んっ///」
192 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/27(金) 02:29:02.84 ID:adyNNcwr0
…風呂上がり…

ビスマルク「……失礼、カンピオーニ提督」

提督「んー?」バスローブを肩から羽織り、天井に吊るされた木の羽根の扇風機の下で涼んでいる…

ビスマルク「あの、さっきのフレッチア級だが……いつもああなのか?」

提督「いつも…ではないわね。ただし「小さい」とか、子供扱いしたりだとか……他にもうかつなことを言うと雷を落として来るわね」

ビスマルク「それにしてもあの大きさであの迫力か…」

提督「まぁ、言い合いになったらドイツ人じゃあイタリア人に勝てないから止めておきなさいね…はい、牛乳」鎮守府に来訪していた百合姫提督が教えてくれて以来、脱衣所にはガラス張りの小さな冷蔵庫が置かれて、牛乳の水差しがレモン水の水差しと共に冷やされている……グラスになみなみと注ぐとビスマルクに差しだす提督…

ビスマルク「うむ、頂こう……んぐっ、ごくん…ごくっ」

提督「美味しい?」

ビスマルク「ああ、よく冷えていて美味いな……んぐっ、ごきゅっ…」

提督「よかった…それにしてもビスマルクもティルピッツもいい形のおっぱいをしているわよね♪」

ビスマルク「ぶはぁ…げほっ、ごほっ!」

提督「ふふっ、どうしてそんなにむせているの…褒めてるのに♪」

ビスマルク「いきなりそんなことを言われてむせない女があるか……いや、ここにはたくさんいそうだが…」

提督「かもね…ところでビスマルク」

ビスマルク「今度は何だ…!?」

提督「……牛乳、こぼれてる」両手でほっぺたを包み込むようにして、噴き出した牛乳のついているあご先から口元をそっと舐めあげた…

ビスマルク「な…何をっ……///」

提督「黙って…♪」ちゅ…♪

ビスマルク「あ…あ……その、一体どういう…!」

提督「……ふふ、綺麗になったわ♪」

ビスマルク「///」

提督「もう少し肩の力を抜いて…ティルピッツも貴女の事が好きみたいだから、時には優しい言葉の一つもかけてあげるといいわ♪」

ビスマルク「しかし、それが上手く行かないから困っているのだ…私は一生懸命になって大事に思っていると伝えているつもりなのだが……」

提督「ふふ……時には思いを伝えるだけじゃなくて、姉妹だけの時にしか見られない「くだけた面」でも見せたらいいかもしれないわね」

ビスマルク「くだけた面か……なかなか難題だな」

提督「かもしれないわね…いずれにしても、私はビスマルクとティルピッツがもっと仲良しになってくれれば嬉しいわ♪」

ビスマルク「ダンケ……しかしだ」

提督「なぁに?」

ビスマルク「私の前でこうして優しい振るまいと「くだけた面」を見せると言うことは……///」

提督「うふふっ…ビスマルクも分かってきたわね♪」

ビスマルク「!?」

提督「ふふ、冗談よ…」

ビスマルク「ふぅ…それならいいが」

提督「…ティルピッツって色白で病弱な感じがそそるわよね♪」

ビスマルク「…おい」

………
193 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/28(土) 02:38:07.05 ID:eZY8j6IF0
…提督寝室…

提督「ふわぁ…今日も疲れた……と言うほど疲れてはいないけれど、やっぱりお客様がいると気を使うわよね…肩が凝ったわ」ひとり言を言いながらナイトガウンを脱いで椅子の背にかけ、自分の裸体を姿見で確かめる……

提督「うーん…やっぱりもうちょっと食事に制限をかけた方がいいのかしら……特にスプマンテ(イタリアン・シャンパン)やカクテルは爽やかに飲める上にカロリーが多いものね……とはいえ今日はちゃんと海で泳いだし、チョコレートケーキも一切れで我慢して……でも代わりにカスタードのタルトを食べたのよね……むぅ」渋い顔でふとももの肉をつまむと、今度は振りかえってみてヒップや腰回りを確認する…

提督「……まぁ良いわ、明日出来ることは今日やらなくてもいいものね♪」…ふわふわの布団に「ぼふっ」…とダイブする提督……

?「むぎゅっ…!?」ダイブした瞬間、布団の中に潜りこんでいた誰かに思い切りのしかかる形になり、くぐもった悲鳴が聞こえた…

提督「うわ!?」慌てて跳ね起きて布団をめくる……

セルペンテ(アルゴナウタ級中型潜「海蛇」)「ふふっ、いきなりボディーブローとは恐れ入ったわ。でも……激しいのも嫌いじゃないの…♪」黒いシースルーのベビードール一枚で、しなやかに身体をくねらせるセルペンテ……

提督「えーと…何で私のベッドにいるのかしら?」

セルペンテ「ふふ、なんでだと思う…?」水上排水量で600トン余りの中型潜だけに、一見すると中学生にも見えなくはない身体つきながら、「海蛇」らしく蠱惑的(こわくてき)でみだらな表情を浮かべてみせる……

提督「そうねぇ…姉妹の寝相が悪くて寝られないから泊まりに来た……とか?」

セルペンテ「ふふ…ざーんねん……♪」ベビードールを徐々にたくし上げ、裾を両手で持ってベッドに寝転ぶ…

提督「…あー」

セルペンテ「ほら…早く来て、蛇は寒いのが苦手なんだから……ね♪」

提督「えーと……それじゃあ失礼して」いそいそと布団にもぐりこむ提督…

セルペンテ「もぅ提督…そう言うことじゃないのよ?」布団をはねのけて提督の上にまたがると、お腹周りを愛撫するセルペンテ…

提督「分かってるけど……今日はくたびれちゃって…あ、そこ気持ちいい♪」

セルペンテ「もう、仕方ないわね……それじゃあ特別に私が「優しく」揉んであげる♪」

提督「ええ、ありがと。はぁぁ……セルペンテの指、しなやかでいいわ……」ねっとりとほぐすように身体を揉みしだかれ、全身の力が抜けていく提督…

セルペンテ「ふふ、悦んでもらえて何より……ここもかしら?」

提督「ええ…そこもいいけれど、背中もお願い……」

セルペンテ「仕方ないわねぇ……ほぉら、うつ伏せになって…?」

提督「ええ、ありがとう……はぁ、ふぅ…んぅっ♪」

セルペンテ「あらぁ、いい声を出してくれるじゃない……ふふ、そう言う甘ったるい声を出してくれるとやる気が出るの……れろっ♪」背中をじゅるりと舐めあげる……

提督「んんっ…くすぐったいわ///」

セルペンテ「ふふ、いいじゃない…それに提督の味、美味しい……♪」肩甲骨周りをゆったりとほぐし、腰は外向きの円を描くように揉みほぐしていく……

提督「あぁぁ…気持ちいぃ……ごめんなさい、他にも褒めようがあると思うのだけれど…頭が回らなくって……」

セルペンテ「いいのよ、頭を空っぽにして……それに身体の力も抜けていくでしょう…♪」提督から見えない位置で、にやりと笑みを浮かべる…

提督「ふわぁぁ…セルペンテは本当に上手ね……本当に身体がふにゃふにゃになっていくみたい…」

セルペンテ「気にしないでいいのよ…私がしてあげたいだけだから……ほーら、だんだん提督は私に逆らえなくなーる…♪」

提督「ええ…こんなに身体がとろけちゃうと……逆らえないかもしれないわ……はぁぁ…」

セルペンテ「ふふ、蛇の瞳は相手を魅了するって言うでしょう……」

提督「んっ、んぅぅ…確かにセルペンテに触られているだけで下半身がじんわりうずいて……んくぅ///」

セルペンテ「ふふ、濡れてきちゃった…?」

提督「え、ええ……今夜はそんなつもりじゃなかったの…に///」

セルペンテ「いいのよ……全部私に任せて…♪」

提督「それじゃあ…お願い……///」あお向けになって両手を投げだし、とろけたように口を半開きにしている提督…

セルペンテ「それじゃあちゃんと雰囲気も作らないと…ね♪」ナイトスタンドの黄色い灯りを絞ってろうそくのような明るさにし、提督にまたがった…

提督「んくぅ…んんぅ、あふぅ……♪」

セルペンテ「あら、もうそんなに濡らしてるの…?」きらりと光るセルペンテの瞳が提督を見おろす…

提督「だって……♪」

セルペンテ「ふふ、いいわ……それじゃあ…♪」くちゅ…っ♪

提督「ふわぁぁぁ…あぁ…♪」

194 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/28(土) 03:30:05.81 ID:eZY8j6IF0
セルペンテ「ふふ、提督ったらとろけた顔がとってもいやらしい…♪」

提督「だって……ふぁぁ♪」

セルペンテ「ふふっ…」ねっとりと絡みつき、首筋をチロチロと舐めあげつつ秘所に指を差しこむ…

提督「あふぅ…はひぃ、んぁぁ……はぁぁ、きもひいぃ……♪」

セルペンテ「みたいね、すっかり濡れそぼって……ほぉら、聞こえる?」にちゅっ、くちゅ…♪

提督「ええ…聞こえる……はぅ…ん♪」

セルペンテ「ねぇ提督、もっと私と……したい?」

提督「ええ…///」

セルペンテ「それじゃあ仕方な……あひぃ゛ぃっ、いぐぅっ!?」

提督「……セルペンテ?」

メドゥーサ「残念、セルペンテはそこでお休みしているみたいね……代わりに…私がイかせてあげ……る♪」じゅぶ、ぐちゅぐちゅぅ…っ!

提督「んひぃっ…ひぅっ!?」

メドゥーサ「どう、気持ちいいでしょう…セルペンテはたかだか「海蛇」……それに引き替え私は人を石にする「メドゥーサ」だものね…♪」

提督「メドゥーサ、一体いつ来たのっ…んひぃぃっ♪」

メドゥーサ「ふふ、だいたいセルペンテが貴女を押し倒した辺りに……ふふ、あそこもほど良く濡れていい具合ね…♪」

提督「気づかなかったわ……んぁぁぁっ///」

メドゥーサ「何しろメドゥーサだもの…それにしても提督のよがるさまはなかなかいいものね……ふふ」人差し指を舐めあげて濡らすと、提督の秘所に沈めて行く…

提督「はひぃ、んんぅ……いいのっ、そこきもひいぃ…っ♪」ぷしゃぁぁっ♪

メドゥーサ「ふふ、もうイっちゃったの?……もっと遊ばせて欲しいわねぇ…♪」

提督「…の///」

メドゥーサ「なぁに?」

提督「私も……もっとメドゥーサにして欲しい…の///」

メドゥーサ「んふふ、提督はそう言うみだらな女なのね……好みよ♪」

提督「だって……身体の芯がじんわりうずいて…んんぅ♪」にちゅっ…♪

メドゥーサ「仕方ないわねぇ…それじゃあ私からしびれるような甘美な毒を……んひぃぃっ!?」

セルペンテ「ふぅぅ……私がせっかく提督と愛をかわそうとしていたのに、邪魔するなんていけませんよね…ぇ?」メドゥーサの秘部に指をねじ込み、後ろから抱きついた…

メドゥーサ「別にいいでしょう…獲物を奪われる方が間抜けなのよ……んぁぁっ!」ぐちゅぐちゅっ…♪

セルペンテ「ふぅん、じゃあ私がメドゥーサから提督を奪ってもいいわけですね……ではたっぷりイかせてあげますから、そこで這いつくばっていてね…お姉さま♪」

メドゥーサ「んひぃ、ひぅぅ…んひぃぃぃっ♪」

提督「…」

セルペンテ「ふぅ、ふぅぅ…さぁ提督、お待たせしたわね……んひぃ゛ぃっ!?」

メドゥーサ「はぁ、ふぅ……さっき言ったはずよ、「海蛇」と「メドゥーサ」では格が違う……って!」ぐちゅっ、じゅぶっ…♪

セルペンテ「はひぃ、ひぅぅ……はへぇ…」

メドゥーサ「…ふぅぅ。とんだ邪魔が入ったけれど……今度こそ、私がたっぷり可愛がってあ・げ・る…♪」

提督「ねぇ…メドゥーサもセルペンテも///」

メドゥーサ「なに?」

セルペンテ「はひぃ……なに…かしら…?」

提督「……いっそ仲よく分けっこしたらどうかしら…私も焦らされてばっかりで、もう…んくぅ///」

メドゥーサ「ふぅん…提督ったら蛇二匹に絡まれて愉悦に浸ろうなんてね……いいわよ♪」

セルペンテ「…独り占めできないのは残念ですけれど……でも提督のいやらしい顔が見られるなら……それもまた面白いことになりそうね…ふふ♪」
195 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/28(土) 10:12:48.92 ID:eZY8j6IF0
メドゥーサ「ふふ…それじゃあまずは私が上を……♪」

セルペンテ「なら私は下を…ふふっ、とろとろにしてあげる……♪」

提督「んひぃ、ひうっ……んあぁぁ///」慎ましやかな身体の割に妖しげな魅力を放つ二人…メドゥーサは提督の乳房をこね回し、セルペンテは足元にまとわりつきながら花芯に指を入れてゆっくりとかき回す……

メドゥーサ「あら、こんなところを石化させた覚えはないわ…よ♪」こりっ…と乳房の先端を甘噛みする

提督「ふぁぁ…あふぅ、んくぅぅ……♪」とろりと蜜を垂らしながら甘い喘ぎ声を上げる提督……メドゥーサとセルペンテの瞳が妖しく爛々と輝き、その目で見られるたびに電撃のような痺れを覚える提督…

セルペンテ「ほぉら、気持ちいいわよね…いいのよ、素直になって……♪」

メドゥーサ「ふふ…こうして撫でるたびにひくひく身体が跳ねて……可愛いわねぇ」

提督「はひっ、あふっ…気持ひいぃのぉ……もっとぉ…♪」

メドゥーサ「欲張りな提督さんね……いいわ、それじゃあ交代しましょう…♪」

セルペンテ「うっふふふ…もうびしょびしょに濡らしちゃってるもの、今さらメドゥーサのやることなんてないけれど…ね」

メドゥーサ「ふふ……提督、ここからまた何回イかせられるか……想像しただけで楽しみでしょう?」

提督「あふぅ…ひうぅ……んっ、くぅぅ///」

メドゥーサ「ふふ…こんな小さな娘に好き放題されて、涎を垂らしながらおねだりして……本当にいやらしい提督ね♪」

提督「んぁぁ…そんないやらしい提督に二人は…もっと色々……してくれるのよね?」

セルペンテ「ええ、してあげる♪」

メドゥーサ「……私なしでいられないくらい…ね♪」

提督「んふふっ、期待してるわ……んちゅっ、れろっ…んぁぁっ♪」


………

…あくる日…

ライモン「…で、こうなったわけですか」腰に手を当てて仁王立ちしているライモンと、平謝りしている提督…

提督「ごめんなさい……」

ライモン「いえ、わたしは別にいいんですよ?……ただ、「明日は建造の予定があるから」とおっしゃって、早くお休みになるはずが徹夜…と言うのはさすがにいかがなものかと思いますが」

提督「ええ、分かっています…本当にごめんなさい」

ライモン「ふぅ、まぁいいでしょう……それで、二人も徹夜をしたのですか?」

セルペンテ「いいえ、空が明るくなる頃には疲れきって寝たわ…多分0500時ころじゃないかしら」

ライモン「そんなの徹夜と変わりません。メドゥーサは?」

メドゥーサ「私は最後まで提督と愉しませてもらったわ…♪」

提督「ええ…全身好き放題されて、もうとろとろのくたくた……時間がたったオムレツの気分ね…」

ライモン「そうですか……それでは提督は浴室でシャワーを浴びてすっきりなさってください…メドゥーサ、セルペンテ」

メドゥーサ「なぁに、ライモンドもしたいのかしら…ぁ?」ぺろりと人差し指を舐めあげ、ぞくりとするような妖しげな瞳で流し目をくれた…

ライモン「結構です。二人はそこのぐしゃぐしゃになった寝具を洗濯機に入れてきて下さい」

セルペンテ「えぇ…仕方ないわねぇ……入れて来ればいいんでしょう?」

ライモン「不満そうな顔をしないで下さい、元はと言えばお二人のせいなんですから……それが終わったら朝寝をしても構いませんよ」

メドゥーサ「ええ……それじゃあね、提督…♪」

セルペンテ「したくなったらいつでも呼んでね。待ってるわ♪」

提督「ええ、こんなに激しくないなら……また後でね♪」ぱちりとウィンクを送ってから、力の入らない足腰でよろよろと浴室に入った…

ライモン「……もう、そうと知っていたらわたしがお邪魔すればよかった…///」

提督「何か言ったー?」

ライモン「いいえ、何も…タオルは椅子の背にかけておきますね」

提督「ええ、ありがとう……今度はライモンだけ招いてあげるから♪」

ライモン「///」

………
196 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/29(日) 01:28:12.04 ID:LBt+Ira50
…午前中・工作室…

提督「さてと…それじゃあ元気よく建造に取りかかるとしましょうか」

フルット「ええ、期待しています…♪」艦名が「波」の雅な言い方である「フルット」だけに、薄いスミレ色のフレアースカートと淡いグレイのタートルネックの控えめなコンビネーションもよく似合っている…

ジャンティーナ(アルゴナウタ級中型潜「アサガオガイ」)「はい…ぜひ私の従姉妹たちを呼んであげて下さい……♪」薄い青紫のふわっとしたミドル丈のワンピースに、同じ色合いをした薄いシースルーのケープ……頭には不思議と落ちないでいるアサガオガイを模した小さな帽子を斜めにかぶっている

提督「ええ、頑張るわね♪」

デュイリオ「ふふっ……提督は基地祭までに出来るだけ多くの娘を呼んであげるおつもりなのでしょう?」…こちらはいつもの貴婦人のようなファッションではなく、艦名の由来になったローマの指揮官「ガイウス・ドゥイリウス」にちなんだ古代ローマ風の白いトーガにサンダル、翼を広げたカラスの形をしたネックレスで、ボリュームたっぷりの胸が生地をぐっと押し上げている…

提督「ええ。だってみんな一緒の思い出があった方がいいじゃない?」

グレイ提督「ふふ、カンピオーニ提督はお優しいのね…♪」

ヴァイス提督「しかしよく許可が下りるものだ……何十という艦娘を抱えているのにさらに増勢とは…」感心したように一人でうなずいている…

提督「ふふ…そこはスーペルマリーナ(海軍最高司令部)にいるお姉さま方にお願いして……と言うのは冗談で、新年度の割り当てをもらったので建造枠が余っているんです」

ヴァイス提督「なるほど…しかしカンピオーニ提督の前ですが、これだけの戦力があるのはうらやましいです。ヴィルヘルムスハーフェンではぎりぎりの数の艦娘だけで、余裕を持つことが出来ずにいますから」

グレイ提督「ふふ、それはわたくしとて同じですわ……今わたくしの所にいる空母は「アークロイアル」と「イーグル」だけですし、「キングジョージX世」級戦艦の建造は申請を出したものの「梨のつぶて」ですもの……ホワイトホール(イギリス海軍省)にも困ってしまいますわ」

提督「まぁそれにはお国の事情もありますよ……何と言ってもイギリスは世界各地に鎮守府を置いていますから、一か所に艦娘をたくさん所属させる予算はないでしょうし、ドイツはそもそも水上艦艇が少なくUボート中心ですから」

グレイ提督「ですわね…でもわたくしもヴァイス中佐のおっしゃる通り「うらやましい」と言う気持ちが少々ありますわ……それにしてもイタリア艦はどれも美しいですわね。…コレクションして飾っておくのが一番だと思いますわ♪」

提督「…素敵な意見をありがとうございます。イギリスも「リパルス」や「リナウン」のような巡洋戦艦は堂々として綺麗で……前線に出して沈めるのはもったいないですね♪」

グレイ提督「ふふ……お上手ですわね」

提督「うふふっ、ええ…それじゃあ建造に入りましょうか。フルット、ジャンティーナ♪」

ジャンティーナ「はーい、ここにいまぁ…す……♪」

フルット「はい」三人でレバーに手をかけて引いた…

グレイ提督「後は出て来るまでのお楽しみ…ですわね?」

提督「ええ。…よかったらお茶でも?」

グレイ提督「それは非常によろしいですわね、いただきましょう」

ヴァイス提督「お二人がいただくのでしたら私もちょうだいします」

提督「はい。ところでせっかくいい天気ですし、そこのドックを通り抜けて波止場で出て……そこでお茶にしませんか?」

グレイ提督「まぁ、それは結構なアイデアですわね…よろしければわたくしもお手伝いいたしますわ」

提督「大丈夫ですよ。グレイ提督には「お茶を味わってもらう」という重大な任務がありますから♪」

グレイ提督「ふふ、それは責任重大ですわね…♪」

ヴァイス提督「でしたらカンピオーニ提督、その分私にご命令を…!」

提督「分かりました…それでは命令します」

ヴァイス提督「はっ!」

提督「……この中でどのお菓子がいいか決めて下さい♪」

ヴァイス提督「ヤヴォール!……ん?」

提督「さぁ、命令ですよ?…かぼちゃのタルトレットに、チョコレートの詰め合わせ…クッキーにビスコッティ。どれにします?」工作室の棚の中や引き出しのあちこちに、隠し財産のごとくしまってあるお菓子の数々を次々と引っ張りだす……

ヴァイス提督「あ、あー…その、私はそう言った事には詳しくないもので…えーと……」

グレイ提督「…わたくしはきゅうりのサンドウィッチが好みですわ♪」

提督「それは食堂に伝えて持ってきてもらいましょう……さぁ、シャルロッテ♪」

ヴァイス提督「え、えぇと…分かりました。どれも数個づつ持って行けばバランスが取れるかと思います」

提督「了解…困ったときの模範解答ですね。それでは行きましょうか♪」

ヴァイス提督「ヤヴォール!」


197 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/29(日) 02:20:51.69 ID:LBt+Ira50
…波止場…

提督「んー…いい風♪」

…庭のパラソルと小さい丸テーブル、それとデッキチェアを波止場に運んできた提督たち…提督は濃いサングラスをかけ、グレイ提督は軍帽を脱いで膝の上に置き、豊かな髪を風になびかせている……ヴァイス提督は相変わらず制服姿ではあるものの、さすがにワイシャツとネクタイ姿で上着は着ていない…

グレイ提督「大変心地良いですわね……あら♪」

ルチア「ワフッ…♪」とことことやって来て波止場の黄色いレンガ敷きにおすわりをし、左右に尻尾を振って地面を掃いているルチア…

グレイ提督「ふふ、あなたも何か欲しいのね?…ではカンピオーニ提督に伺いますから少々お待ちになって……フランチェスカ、この子に何かあげてもよろしいかしら?」

提督「ええ、犬が食べても大丈夫なものなら」

グレイ提督「よかったですわね…それではこれをあげましょうね」きゅうりのサンドウィッチからパンの端をちぎり取り、ルチアの鼻先に差しだす…

ルチア「ワフッ、ハフッ……♪」

グレイ提督「まぁ、何とも愛らしいこと……ふふ」

提督「あんまり食べ過ぎちゃだめよ?」ルチアを指差して冗談めかした口調で言うと、ティーポットを取り上げて注いで回る…

グレイ提督「ふぅ、いい香りですわ…♪」

ヴァイス提督「ヤー(はい)…きっといい紅茶なのでしょう」

提督「ふふ…さぁどうぞ?」お菓子ときゅうりのサンドウィッチ、それにスコーンがクローテッドクリームと一緒に並べてある…

グレイ提督「それではいただきます…今日はホワイトティーの気分ですわ」…風習やしきたりに関してはかなり頑固なグレイ提督だけに絶対に「MIF」をせず、紅茶を注いでもらってからミルクを入れた

(※MIF…ミルク・イン・ファースト。ティーカップへミルクを先に入れるやり方。長く「お茶をごちそうになったときにミルクを多くせしめようとする貧乏人のやり方である」ため不作法とされてきたが、近年『王立紅茶協会』から「紅茶のタンニンをミルクが包んで苦みやえぐみを抑えられるため、より美味しく紅茶を飲むことができる」と科学的な知見が発表された……「ホワイトティー」(White tea)はイギリスで言う「ミルクティー」の事)

提督「シャルロッテはミルクを…?」

ヴァイス提督「いえ。ストレートでいただきます」

提督「ええ、分かりました…♪」提督はミルクと砂糖を入れ、一緒にビスコッティをつまんだ…

グレイ提督「それにしてもイタリアにも紅茶があって助かりましたわ…数年前に米海軍と共同作戦をしたときなど……ふぅ」

提督「あー…例の「塩入り真っ黒け」コーヒーですか」

グレイ提督「ええ…思わず眉をしかめてしまいましたわ……」

提督「私もノーフォークのミッチャー准将……あのマーク・ミッチャー提督とは親戚でも何でもないらしいそうですが……とにかく、彼女にコーヒーをごちそうになったときは舌がおかしくなったのかと思いました」

グレイ提督「ですわね…英海軍の洋上勤務中はとろっとした熱いココアか紅茶と決まっておりますから、あれには驚きましたわ」

提督「ふふ…ところでヴァイス提督、ドイツ連邦海軍はコーヒーですか?」

ヴァイス提督「ヤー。ブンデスマリーネ(ドイツ連邦海軍)は基本的にコーヒーです……何だ、どうした?」ルチアが足元にすり寄り、舌を垂らしてヴァイス提督を見上げている…

提督「もう、ルチアったら……どうぞサンドウィッチのパンかクッキーのかけらでもあげて下さい…チョコレートは絶対にダメですが」

ヴァイス提督「確かチョコレートに入っているテオブロミンが犬には分解できず、心臓をおかしくしてしまう…でしたか」

提督「ええ、その通りです……ほぉらルチア、シャルロッテがパンの耳をくれるそうよぉ…良かったわねぇ♪」

ルチア「ハフッ、フガフガ……ワンッ♪」

提督「…ふふ、こうやっていると時間が経つのさえ忘れてしまいそうですね♪」

グレイ提督「全くです……風も心地良いですし、紅茶も美味しいですわ」

ヴァイス提督「ですが建造完了まではあと二時間三十二分…あまり時間が経つのを忘れてしまうのはいかがかと思います」時計の目盛りを見て言った

提督「ふふ、さすがですね。私は適当な所で戻ろうと思っていたのですが」

ヴァイス提督「あー、いや……残り時間は計っておいた方がよいかと///」

提督「助かります♪」
198 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/29(日) 03:37:02.10 ID:LBt+Ira50
…しばらくして・工作室…

提督「さてと…そろそろ時間ですね」

グレイ提督「ふふ、今回はどんな娘が来るのでしょうね?」

提督「それが楽しみで建造をしているようなところもありますから…♪」

フルット「私も待ち遠しいです……私にとっては素敵な年上の従姉妹のようなものですから」

ジャンティーナ「そうですね…私も楽しみです……♪」

提督「さぁ…そろそろ時間ね……♪」

ヴァイス提督「…うっ!」


…相変わらずの眩しい青い光が消えると、中学生程度の大きさをした艦娘が十二人並んでいる…髪や瞳は一人づつ異なっていてカラフルだが、いずれも揃って「可愛い」と言うより「美しい」に近い透き通るような美少女揃いで、灰色に灰緑色や濃い灰色の斑点迷彩を散らしたウェットスーツのような「艤装」をまとい、きちんと整列している……


提督「ボンジョルノ…初めまして♪」きちんと敬礼を返すと一転してにこやかな笑みを浮かべる提督…

艦娘「初めましてぇ…♪」胸元に手を当てて伸びのある美しい声で挨拶をする艦娘…よく見るとくるぶしには人魚のヒレのような飾り物を付けていて、声を聞いているだけでうっとりとしてしまう……

提督「ふわぁ……っ、いけないいけない……えぇと、お名前をうかがっていこうかしら♪」声を聞いただけですっかり骨抜きにされそうだったが、自分の頬を軽く叩いてようやく意識を取りもどした…

艦娘「シレーナ級中型潜…ネームシップのシレーナ(セイレーン)です……ららら…ぁ♪」軽くベルカント唱法も効かせて、オペラのようにリズムに乗せる

提督「ふわぁぁ…で、貴女は……///」慌てて隣の紫色の瞳をした艦娘に声をかける…

艦娘「シレーナ級、アメティスタ(アメジスト)です……貴女に誠実さと心からの愛を捧げます♪」……そう言って提督の手の甲に軽くキスをするアメティスタ…髪も綺麗なアメジストの色で豊かに房をなしていて、首元にはティアドロップ(涙滴型)のアメジストをあしらった綺麗なネックレスと、楕円形のアメジストをはめ込んだ銀の指環を付けている…

提督「ありがとう、嬉しいわ……それじゃあ次は…」

艦娘「シレーナ級、ディアマンテ(ダイアモンド)よ…誇り高く壊れない、永遠の絆を貴女に」ダイアモンドのように七色にきらめく白い髪とダイアモンドを散らしたネックレス…それと頭には「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘップバーンが付けていたような、美しいダイアモンドのティアラを付けている…

提督「ありがとう…♪」

艦娘「次は私ね…シレーナ級潜水艦「ルビノ」(ルビー)よ……提督、心から愛してるわ!」綺麗な紅い瞳に鮮やかなルビー色の髪…耳にはルビーのついたイヤリングが下がっていて、当然指には「ルビーの指環」がはまっている……と、いきなり提督の頬を押さえつけると舌をねじ込んで熱いキスを浴びせた……

提督「んぅっ…んぅぅぅっ///」

ルビノ「ぷはぁっ……私は情熱と純愛に生きているの、心から大好きよ…提督♪」

提督「ご、ごちそうさま…とっても熱いキスだったわ///」

ヴァイス提督「あぁ…ぁ…///」

艦娘「じゃあ次は私ね?…シレーナ級「スメラルド」(エメラルド)です。歴史は古くローマの頃から好まれていました…貴女に幸運と希望がありますように♪」エメラルド色をした波打つ髪とすっきりした光を帯びた瞳をしていて、エメラルドを三つあしらったネックレスをしている…

提督「グラツィエ……と言うことは貴女はきっと…」

艦娘「ええ、トパツィーオ(トパーズ)よ…性格は誠実だと思うの。ぜひ友達になりましょうね?」透き通った黄色い瞳に、鮮やかな金色がかったトパーズ色の髪をセミロングに伸ばし、先端を内向きにカールさせている……指には楕円にカットしたトパーズの指環と、額にトパーズのはまったサークレットを付けている…

提督「ふふ、ありがとう…私もトパツィーオと仲良く出来たら嬉しいわ……それで貴女が…」

艦娘「初めまして…シレーナ級「ザフィーロ」(サファイア)です……慈愛と高潔をもって貴女にお仕えさせてもらいます」ザフィーロはすっきりとした綺麗な青い髪をお姫様風に頭の周りで結い上げ、慈愛に満ちた青い瞳をしている。指には驚くほど大きくて美しいサファイアの指環をし、頭にもサファイアを散らした銀のティアラを付けている……と、ザフィーロが提督の前にひざまづいて一礼した…

提督「そんなにかしこまらなくて大丈夫…でも嬉しいわ♪」額にキスをして立たせてあげる提督…
199 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/29(日) 04:06:44.58 ID:LBt+Ira50
提督「次にあなたが…」

艦娘「シレーナ級、アンフィトリテ……もしここにトリトーネ(トライトゥンあるいはトリトン)がいるなら母親になるわ……海を従えるのはこの私よ、提督さん」…神々しいほどのきらめく美しさに豊かな髪…そして手にはネプトゥーヌスとトリトーネの持ち物でもある「三叉の鉾」と「ほら貝」を持っている…


(※アンフィトリテ…ギリシャ・ローマ神話の海の神「ポセイドン」(ローマではネプトゥーヌス…英語ではネプチューン)の妻でオケアノス(海)の孫にあたるニンフ(妖精)…トライトゥン(トリトン)はネプトゥーヌスとアンフィトリテの子)


フルット「トリトーネは私の妹にいるわ、アンフィトリテ…♪」

アンフィトリテ「と言うことは、貴女はフルット…?」

フルット「いかにも……んちゅっ、ちゅぅ…♪」

アンフィトリテ「私のお馬さんはもう来ていたのね…ふぅぅ…んっ、んちゅっ……♪」(※波…白い波頭はポセイドンの馬で、人類はポセイドンから馬をもらったとされる)

ヴァイス提督「…うわ……いきなりこんな…///」

グレイ提督「…まぁまぁ、さすがイタリアですわね」

提督「こほん…えーと、それで……」

肌の白い艦娘「ガラテアよ、提督……最初は大理石、次は鋼鉄で…やっとこの身体になれたわ……♪」白い肌にえもいわれぬ美しさ、ほのかな桃色の頬に鮮やかな色の唇、すっきりとした身体のラインにふくよかな胸…と、女性の身体の理想をかなえたようなしなやかな姿をしている……


(※ガラテア…ギリシャ神話の「ピグマリオン伝説」による。理想の女性像を追い求めていたキプロス王「ピグマリオン」が自分で彫刻した大理石像を愛してしまい、愛の女神アフロディーテ(ローマでは「ウェーヌス」。英語では「ヴィーナス」)に「像を生きた女性にして欲しい」と願い、それがかなえられ人間になったという石像)


提督「ええ、歓迎するわ……愛の女神にも感謝しないと///」

ガラテア「ふふ…そうですね♪」

提督「それで貴女は…水の妖精みたいね?」

艦娘「あら、分かってしまったかしら?…シレーナ級潜水艦「ナイアーデ」です♪」

(※ナイアーデ…ギリシャ神話の水の精)

提督「ふふ、何となく…ね♪」

艦娘「それじゃあ私は……どうかしら?」ちょっといたずらっぽくコケティッシュ(色っぽい・艶やか)な魅力を振りまく艦娘

提督「きっと海の精ね…どう?」

艦娘「正解。私は「ネレイーデ」…海の精よ♪」

(※ネレイーデ…ギリシャ神話の海のニンフの総称「ネレイス」のこと。父ネレウスと母ドリス(オケアノスの娘)の間にできた50人あまり(!)の娘たちを指す。アンフィトリテや英雄アキレウスの母テティスなどがいる)

提督「よろしくね、ネレイーデ…それで貴女が……」

艦娘「私がオンディーナ…水にたわむれ、水と共にあるものよ……♪」淡い水色の瞳にほっそりした妖精のような身体つきで、身のこなしも軽く提督の周りを跳ねまわった…

(※オンディーナ…フーケーの物語などにある水の妖精「ウンディーネ」)

提督「それじゃあこれで全員ね…まずは「タラント第六」にようこそ、歓迎するわ♪」

フルット「きっとお昼の食膳も整っている頃ですから……一緒に食事でもしながら積もる話でもいたしましょう…?」

提督「それがいいわ。ワインでも飲みながら…ね///」触ったら軽やかな音がしそうなシレーナたちとそっと手を握り、美しさに胸をときめかせつつ食堂に向かった……

………
200 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/29(日) 04:13:15.88 ID:LBt+Ira50
…とりあえず今回の投下はここまでで「艦娘紹介」は次回に回したいと思います…

…思っていたより宝石の「石言葉」やギリシャ神話の由来を調べるのに時間がかかり大変疲れました…しかし潜水艦とは思えない何とも優雅な名前がついていますが、ドイツのように大量生産できなかった分、名前にこだわりが持てたと言うことでもあるのでしょう…

…また、読んでいる方の誕生石が艦名にあるかもしれませんね。もしそうした艦があればリクエスト次第で出していこうと思います
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 17:58:50.58 ID:vrN78mY5o

中型って高校生くらいのイメージでいいのかな?
202 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/30(月) 00:29:33.81 ID:KQGGRw0c0
>>201 一応中型潜(600トンクラス)や駆逐艦などは身長や外見的に中学生前後(場合によってはもっと幼く見えたり…)でイメージしています…また大型潜や軽巡が高校生〜大学生、重巡が高校生〜大学生程度、戦艦は(特にリットリオ級以外は旧型のリファインが多いので)妙齢の貴婦人でイメージしてもらえれば……もっとも外国の女の子は大人びて見えるのでもう少し年上っぽい感じだと思います…


…ちなみにあまり出していませんが「イタリア海軍の華」である「MAS」や「MS」艇(いわゆる魚雷艇)や「縁の下の力持ち」である駆潜艇、掃海艇、コルヴェットのような小型艦艇を登場させるとしたらせめて小学生程度はないと……と考えて逆算したと言うのもあります



……要は見た目は幼い「MAS」艇の艦娘がお高くとまっているイギリス艦の深海棲艦を百合らんぼうするわけですね…そのうちにエーゲ海方面の鎮守府をネタに登場させるかもしれません…


203 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/30(月) 01:19:04.19 ID:KQGGRw0c0
…食堂…

提督「それじゃあ…乾杯♪」

ガラテア「乾杯…♪」年代もののワインが入ったグラスをこつん…と合わせ、シレーナ級着任にかこつけて「食後の一杯」を楽しむ提督と艦娘たち

シレーナ「あぁ、何と美味しいんでしょ…う♪」ベルカント唱法のように声を震わせ、節をつけるシレーナ……それを聞いただけで近くにいた数人がとろりと表情を崩し、吸い寄せられるように近くの席に座った…

シレーナ「ららら…ぁ♪」歌に聞きほれて近寄った人を襲うという「シレーナ」(セイレーン)だけに、ふらふらと近寄ってきた数人を見てニヤリといやらしい笑みを浮かべた…

提督「…」提督は無言でレコードやCDの並んでいる一角に行くと、クラシックのCDをセットする……途端に「カルメン」からシンバルの音もけたたましい「トレアドール」(闘牛士の歌)が流れ、シレーナのささやくような歌声をかき消す…

ニコロソ・ダ・レッコ(ナヴィガトリ級駆逐艦…提督の通称「ニコ」)「はぁぁ…あれ?」

ジョヴァンニ・ダ・ヴェラサーノ(ナヴィガトリ級)「ふぁぁ……えっ?」

ニコロ・ツェーノ(ナヴィガトリ級)「はへぇ……んんっ?」

シレーナ「あぁ…ら、残念ねぇ……らら♪」

ニコ「なるほど、何だかむしょうに隣に座りたくなったのは「シレーナ」だからか///」

ヴェラサーノ「危ないあぶない……シレーナなんて船乗りには大敵じゃない…」大航海時代の「航海者」から艦名が来ているナヴィガトリ級だけにシレーネの歌声には弱い…ナポレオンのような三角帽子をかぶった自分の頭をげんこつで小突きながら、首をぶんぶん振った…

提督「ふぅ、危なかったわね…」

…いくらシレーナの「魔性の歌声」を防いだとはいえ昼下がりの気だるい時間に「カルメン」は厳しすぎるので、提督は甘いフルートアレンジのクラシック集をセットして席に戻った……席の両隣には「アメティスタ」(紫水晶)と「スメラルド」(エメラルド)が座り、他にもライモンや重巡の「トレント」、コルヴェット艦の「ガッビアーノ」などもいて、グレイ提督の随伴艦「エメラルド」はエメラルド同士「スメラルド」と一緒にワインを味わっている…

シレーナ「もう、邪魔をしないで……ルルル…ララ…♪」

提督「んっ…く///」聞いているだけで下腹部がうずくようなシレーナの甘い歌声を聞かないよう、一生懸命クラシックに耳を傾ける…

ライモン「んっ…提督、この曲はロッシーニの……///」

提督「ええ、「セミラーミデ」の序曲よ……ん///」

シレーナ「もう…私の歌を聞いてくれないなら他の娘に聞かせて来るから……それじゃあ、チャオ…らら♪」

提督「ふぅぅ…」

ライモン「すみません…わたし、ちょっと化粧室に……///」

ガラテア「本当にシレーナお姉さまは……船乗りを惑わせるイケナイ女(ひと)ね…♪」

提督「みたいね……そう言えばトレント」

トレント「はい、何でしょう?」

提督「10月4日は貴女の「二度目のお誕生日」ね……お料理は何がいい?」

ディアマンテ「あら…トレントは二度もお誕生日会をするのですか」

トレント「いえ、私はいいって言ったのですが……提督が…///」軍艦史上初の「バルバス・バウ」を採用したりと革新的な設計で、大戦に参加したイタリア重巡の七隻では最古参……しかしながら軽防御で、当初「軽巡」扱いだったこともあり立ち位置があいまいで控えめな性格の「トレント」と「トリエステ」…ディアマンテに首を傾げられると真っ赤になって恥ずかしがっている…

提督「ふふ、そこは史実通りに……というわけなの♪」

………

204 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/30(月) 02:31:48.72 ID:KQGGRw0c0
…さかのぼって9月4日…

提督「…それじゃあトレント、一回目のお誕生日おめでとう♪」

一同「「おめでとう♪」」わぁぁ!!

トレント「うぅ…恥ずかしいですよ、こんなのマヌケですし……///」

トリエステ「まぁまぁ姉様……提督を始めみんなで祝ってくれているんですから」

ザラ「そうそう、いいじゃないそう言うのも…さ、スプマンテで乾杯しましょう♪」しゅーっ…と泡立つスプマンテをシャンパングラスに注いだ…

ポーラ「それにしてもぉ、トレントはおっちょこちょいですよねぇ〜♪」

フィウメ「まさか進水式で失敗なんて…ふふふっ♪」

トレント「い、言わないで下さいよ……思っていたより勢いがつかなかったんですから///」

ゴリツィア「まぁまぁ、それも味がありますよ…はい、プレゼント♪」控えめなトレントに似合う、あっさりした柑橘の香りがする香水をプレゼントする…

提督「それじゃあ私からも…トリエステとペアになっているから、これからも姉妹仲良くね♪」…白百合の形をしていて、銀と小粒の真珠で出来た髪飾りを渡した

アントニオ・ダ・ノリ(ナヴィガトリ級)「それと私たちからも…」

ルカ・タリゴ(ナヴィガトリ級)「そう、私たちからも……♪」

レオーネ・パンカルド(ナヴィガトリ級)「同じ29年生まれ(竣工)組の…」

アントニオット・ウソディマーレ(ナヴィガトリ級)「…トレントに素敵なプレゼントですよ♪」横一列に並ぶと、革のケースに入った立派な双眼鏡を差しだした

トレント「わ…こんなに一杯もらっちゃって……困ります///」

アントニオ・シエスタ(バリラ級大型潜)「気にしない気にしない…はい、これをどうぞ」…艦名が「アントニオ・『シエスタ』」だけにシエスタ(昼寝)用のクッションを渡した…

トレント「ありがとうございます……///」

ゴフレド・マメリ(マメリ級中型潜)「そして我らも『同い年』と言うことでな…貴君には詩集を贈る♪」愛国詩人でガリバルディと共闘したマメリは姉妹四人でお金を出し合ったのか、ヴェルギリウスの立派な詩集をプレゼントに加えた…

トレント「うわ…わわ……っ///」お嬢さまのお買い物に付き合わされた執事のような具合で、両手に山のようなプレゼントを抱えているトレント…

ヴェットール・ピサニ(ピサニ級中型潜)「そして私たちも29年組として贈り物だ……無論、この贈り物を使う場面がないのが一番だが…そうした場面に陥った時、役立ててもらえれば嬉しいぞ?」

…地中海の覇権を争って海戦を繰り広げた中世ジェノア(ジェノヴァ)やヴェネツィア、それにナポリの提督から名を取っている「ピサニ」級だけに、見事な金細工が鞘に施されたサーベルと、ベレッタの小型ピストルが贈られた…

トレント「こんな見事な品を……ありがとうございます」

デス・ジェネイス(ピサニ級)「いいえ…さ、これで礼儀正しい時間は終わったわね……提督諸君、一杯飲みましょうか!」

ジョヴァンニ・バウサン(ピサニ級)「ジェネイスはそれが目的だったものね…付き合ってあげる♪」

ピサニ「海戦でも飲み比べでもジェノヴァに負けるわけがないな……一番大きいグラスで飲んでやろう!」海戦でジェノヴァに勝利したヴェネツィアの提督「ヴェットール・ピサニ」だけに、金魚鉢ほどの大きさがありそうなグラスを探し出すとワインの瓶を持ちだした…

ジェネイス「面白いわね…受けて立つわ!」艦名の由来になった「ジョルジョ・アンドレア・アーネ・デス・ジェネイス」は「イタリア半島一の海軍国」を自認している「ジェノア」出身だけに、ヴェネツィアに負けるのだけは面白くない…

(※ジェノア…生粋のジェノヴァ人は「ジェノア」と発音するらしい)

バウサン「なら私だって…♪」こちらも誇り高い「両シチリア王国」こと、ティレニア海に面する「最強の海軍国」ナポリの提督だけに、三角帽を脱いで大きなグラスを取り上げた…

提督「…こぉら、せっかくのワインをそういうことに使うんじゃありません!」ボトルを没収しポーラに預ける提督

ポーラ「全くですよぉ〜…あ、そう言えばトレントの「アレ」がまだでしたねぇ〜♪」

トレント「…「アレ」ってなんです?」

ポーラ「それはもちろん進水式なんですからぁ〜、艦首にスプマンテをぶつけないと、ですよ〜……えへへぇ♪」

提督「そう言えばそうだったわね…はい、それじゃあみんな波止場まで行きましょう♪」

トレント「…いや、でも進水し損ねているわけですし……わわっ」

ザラ「そう言わずに…さ、行きましょう?」後ろから押して行くザラ…

ポーラ「んー……美味ひぃれすねぇ♪」わいわいと騒ぎながらトレントが連れて行かれる間に、さりげなく高いワインをたっぷりと喉に流し込む…

………
205 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/04/30(月) 02:40:19.20 ID:KQGGRw0c0
…というわけで重巡「トレント」の小ネタをお送りしました……実際「トレント」は1927年9月4日の進水式で滑走台を滑りきれずに止まってしまい、改めて10月4日に進水式のやり直しと言う何ともマヌケなエピソードがあったので、小ネタにさせてもらいました

…ちなみに当時のモノクロ写真で、艦首部に乗っていたり周辺にいる工員が困っていたり呆れている様子が撮られています…


206 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/30(月) 11:03:48.89 ID:uzpdZJAro
>>202
なるほど、ありがとうございます
いいですね
207 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 00:28:37.93 ID:Ym7Nn+VP0
>>203 どういたしまして、引き続きゆっくりながら続けていきます…


……そのうちに様々な外国海軍の提督たちも色物として登場させたいところですが、第二次大戦当時有力な海軍があった国と言うと枢軸側の日・独・伊、連合側の英・米・仏程度なのでなかなか…
208 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 00:31:43.31 ID:Ym7Nn+VP0


>>206 の方へのコメントでした、失礼しました… 
209 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 01:17:57.28 ID:Ym7Nn+VP0
…夜・廊下…

提督「さてと…そろそろ明日、明後日には基地祭用の資材が届きはじめるわね」

ライモン「えーと、出店が十数軒に…舞台ではオペラ「ロメオとジュリエッタ」か歴史劇として「ガリア戦記」……他に写真や模型の展示と、飛行艇や水上機のデモフライト…それとわたしたちが沖合いに自分の艦を錨泊させて「ミニ観艦式」……なかなか充実しているように思えます」

提督「ええ、主計部相手に頑張ったかいがあったわ……何しろ最初は「予算40万でどうにかして下さい」って言ってたのよ?…学芸祭でもあるまいし」

ライモン「40万ユーロ…ですか?」

提督「40万リラでよ……もっとも私もお返しに「…基地祭には海軍士官を目指すかもしれない子供たちや、鎮守府に文句ひとつ言わないでくれている地元の方々、それに地方議員や退役軍人の方も大勢来るはずです♪」って皮肉ってあげたわ……」

ライモン「それでこの額ですか」

提督「ええ。今のところ主計部の担当官が一番厄介だったわ……中にはいい人もいるのだけど、どうしてもお金にうるさい人が多いのよね…って、あら?」会議室の中から明かりとおしゃべりの声が漏れている…

提督「?」

…そっとドアを開けると、駆逐艦と潜水艦、植民地スループの「エリトレア」、コルヴェットの「ガッビアーノ」(カモメ)と「チコーニャ」(コウノトリ)の、合わせて二十人余りが座って映画を見ようとしている……そばにはエリトレアが作ったらしい小さいサンドウィッチと飲み物が並べてあり、どの作品を見るかでわいわい話し合っていた…

提督「…ねぇ、みんな?」

一同「「!?」」

提督「あぁ、驚かせてごめんなさいね…映画でも見るの?」

エリトレア「えっ、ええ…そうなんですよ。私も厨房の後片付けも終わったからいいかなぁ…なんて♪」

提督「ふふ、そんな言い訳がましく言わなくたっていいわよ……ただ、終わったらちゃんと電気を切っておいてね?」

カミチア・ネラ(ソルダティ級駆逐艦「黒シャツ隊員」)「了解、提督。私が駆逐艦代表としてきっちりやっておくから……ところで一緒に観る?」

提督「そうねぇ……候補は何があるの?」

フォルゴーレ「昼も観た「機動戦姫カンムス」シリーズなんだけど……一応これね」

提督「ふむふむ……まずは「機動戦姫カンムス…宇宙世紀秘録・艦娘ISUZU」と」

フォルゴーレ「試験部隊と歴史に現れなかったテスト兵器のエピソードを描いた作品ね」

提督「それから…「機動戦姫カンムス1943…ソロモン海戦メモリー」…に」

フォルゴーレ「うんうん」

提督「で、お次が「機動戦姫カンムス・第08駆逐隊」と……三シリーズもあってそれぞれ十数話づつ…しばらくは見るものに困らないわね?」

フォルゴーレ「うん…で、みんなでどれを見ようかと話していたんだけど、なかなか決まらなくて……提督、決めてもらえる?」

提督「そう、それじゃあこれがいいかしら…」

フォルゴーレ「了解、それじゃあこれにするわ♪」

………

…上映中…

プロパガンダ放送「とぉころが何とこの新型駆逐艦は、主機のトラブルでまぁったく役に立たないと言うのです…これを新型とはおかしいですねぇ!」

五十鈴「貴様ぁ…こんなのは敵のプロパガンダに過ぎない!」



連合軍機「ひゃっはぁ、喰らえ!」

まるゆ艇「うわぁぁ…っ!」

五十鈴「…えぇい、あれは一体何をしているのだ!?」

明石「あれは陸軍の潜水艇です…彼女らは溺れて……海で溺れているんです!」



島風「……私はもはや…ゴーストファイターではない!」

………
210 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/01(火) 02:11:48.59 ID:Ym7Nn+VP0


提督「…つい見ちゃったわ。えーと、私は見回りがあるから……後はみんなでどうぞ♪」

フォルゴーレ「了解、それじゃあね♪」ちゅっ♪

提督「はいはい…♪」


…廊下…

提督「さーてと…そう言えば建造に取りまぎれてすっかり忘れていたけれど、ちゃんとシレーナ級の部屋に寝具は用意しておいたかしら?」

ライモン「確かフルットたちが「年上の従姉妹みたいなものだから、私たちで準備しておきますよ…」って言っていましたが……」

提督「そう、でも一応確認に行きましょうか……ついでにちょっとお話でもして♪」

ライモン「それもいいですね…提督は誰がお気に入りですか?」

提督「それはもう……あら、不意打ちとは驚いたわね」

ライモン「あ、ばれちゃいましたか……いえ、提督に好みの娘がいれば…わたしもその娘を参考にしようと///」

提督「そう言う意味ね…それならライモンね」

ライモン「…え!?」

提督「だって…笑顔は可愛いし、律儀で真面目だし、怒ってもちゃんと謝れば許してくれるし、料理は上手だし、瞳は綺麗できらきらしているし、肌は白くて滑らかで、髪はしなやかで手ざわりがいいし……」一つづつ指折り数える提督…

ライモン「も、もう結構ですっ……十分わかりましたから…///」

提督「そう?…とにかく、何のかのと言って一番頼りにしているわ……♪」ちゅっ…♪

ライモン「///」

提督「ふふ。さぁ、ついたわよ……んっ?」ノックをしようと手を丸めた途端、室内の声を聞いて手を下ろした…

ライモン「どうしたんです、提督?」

提督「…しーっ」ドアに耳を当てる提督

ライモン「?」


…シレーナ級の部屋…

トリトーネ(フルット級中型潜)「それにしてもアンフィトリテが来るなんて…神話で言えば私の「お母さん」だものね」トライトゥンだけに三つ又矛を持ちほら貝を腰から提げている「トリトーネ」…が、三つ又矛は壁に立てかけ、ほら貝も素っ気ない金属のデスクの上に放り出してある……

アンフィトリテ「そうね……私も「娘」に会えて嬉しいわ。もっとも、年で言えば姉妹みたいなものだけれど…♪」

トリトーネ「それでも私の「お母さん」なのは変わらないわ……何だか落ち着くし…」

アンフィトリテ「そうね、私もトリトーネとずっと一緒にいたような気分がするわ……ほら、私の膝の上においでなさい?」

トリトーネ「ええ…///」アンフィトリテのひざに頭を乗せて髪を撫でてもらうトリトーネ…美しいがどこか嵐を予感させる普段の様子が、まるで嘘のようにおさまっている……

アンフィトリテ「ふふ…よしよし……」

トリトーネ「……お母さん///」

アンフィトリテ「はい、私はここにいますよ…」

トリトーネ「あの…さ……」

アンフィトリテ「何かしら?」

トリトーネ「いや…もっと母娘みたいなことがしてみたくて……ごめん、おかしなことを言って///」

アンフィトリテ「…ううん」するりとネグリジェをはだけ、慎ましやかな乳房をさらけ出すアンフィトリテ…

トリトーネ「アンフィトリテ……それって///」

アンフィトリテ「たとえほんの数年しか違わなくたって「私の娘」だもの……「お母さま」は母乳こそ出ないけれど…さ、いらっしゃい?」

トリトーネ「お、お母さまぁ……んんっ…ちゅぱ……ちゅうぅぅ…///」

アンフィトリテ(シレーナ級)「ふふ…一生懸命吸って……んっ、くぅっ///」ベッドに座ってほぼ同じ大きさのトリトーネを膝に乗せてあやしつつ、胸をはだけて授乳…の真似をしている二人……

提督「…うちの実家にも負けない母娘関係ね///」

ライモン「ふわぁ…ぁ///」
211 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/02(水) 01:21:14.80 ID:s8RH1uUg0
提督「……さて、あんまり聞き耳を立てるのも趣味が悪いし…とりあえず「仲良く」しているようだから、他のみんなの所に行きましょうか♪」

ライモン「り、了解です……///」

提督「となると…この辺りは潜水艦の娘たちの部屋が多いわね」

ライモン「あ、それじゃあ「R」級の二人の所はどうでしょう?…すぐ近くですし、おしゃべりは好きな方だから喜んでくれると思いますよ?」

提督「そうね、それじゃあそうしましょう……って、あら…」

ライモン「ま、またですか…///」

提督「ええ、そうみたい…あ、ドアの隙間からちょっとだけ見えるわ……」中腰になって片目をつぶり、ドアの隙間から中をのぞきこむ提督…

ライモン「……どうなってます?」

提督「あー…ローマがいるわ」

ライモン「でも珍しいですね、ローマはそういうタイプではないと思っていましたが…」

提督「まぁ、でも「ローマを作った」二人にはかなわないんじゃないかしら……うわぁ///」


(※ロムルスとレムス(ロモロとレモ)…「ローマ建設を行った」という伝説上の双子で、父は戦の神アレス(ローマ神話のマルス)。兄がロモロ(ロムルス)で弟がレモ(レムス)……赤ちゃんだった二人は祖父の王位を乗っ取った叔父によってテヴェレ川に流されたが、マルスが助けてやろうと陸にたどり着かせた…その流れ着いた先にいた雌狼の母乳で二人は育てられ、後に猟師に拾われる。立派な若者になってから事情を知ると叔父を倒し祖父に王位を返すが、二人は狼に拾われたテヴェレ川岸に新しく町を築こうとする…この時、地面に線を描いて計画を立てていた兄を馬鹿にしたことで兄弟の決闘になり弟レムスは死ぬ。しかし兄ロムルスが「これから敵は誰ひとりローマの街に入ることはできない」と弟の血に誓った事から、以後ローマは難攻不落になったという……そののち、開拓地にありがちな「お嫁さん不足」を解消しようと祭にかこつけて近くの異民族の町から女性を誘い出した「ザビーネ女の略奪」は彫刻にもなっていて有名)


…十数分前・大型輸送潜水艦「R」級の部屋…

ロモロ「ようこそ私たちの部屋へ…ローマ♪」

レモ「歓迎するよっ♪」狼のような白い八重歯を見せてにっこりする二人…とはいえ水上排水量で2000トンを超えるイタリア一の巨大潜水艦だけに、あどけないような表情と違ってむっちりした大人の身体が動くたびにたゆんたゆん揺れる……

ローマ「そう、それはどうも……なかなか綺麗なお部屋ね」まだ直していない度の強い眼鏡のせいで目を細めている…そのためかいくらかツンとした表情に見えるローマ……

ロモロ「ありがとう、今お茶でもいれるから……それともカプチーノの方が好み?」

ローマ「ええ、カプチーノの方がいいわ…それにしてもこの部屋はちょっと暑いわね。どうして窓を閉め切っているの?」夜とはいえまだ入浴する前だったので、ローマは淡い灰色のブラウスで胸元に細いリボン、下はベージュの膝丈スカートに黒い薄手のタイツとスリッパ姿で、髪を下ろしている……軽く手で扇ぎながら、閉め切られた窓を見て怪訝な表情を浮かべる

ロモロ「ふぅ…それはねぇ……っ♪」にやりと牙…のような八重歯を見せ、ベッドに突き倒すロモロ

ローマ「きゃっ…!?」

ロモロ「はぁ…ふぅ、ふぅ、ふぅ……ふぅぅ…♪」強引なキスをしながらブラウスのボタンを引きちぎるような勢いで外し、左右に開く…

ローマ「い、一体なにを考えているの…っ!?」

レモ「ふぅぅ…がるるぅ……それはもちろん「いやらしいこと」だよ…///」服を脱ぐのももどかしい様子で自分のワンピースを放り出すとローマの太ももにまたがり、腰を擦り付けるレモ…

ロモロ「んんぅ、ちゅぱ…れろっ、じゅるっ……ちゅぅぅっ♪」ゆさゆさと自分の大きな乳房を揺らしつつ、意地汚い獣のように形よく張った胸にしゃぶりつくロモロ…

ローマ「ふ、二人ともいきなり…っ///」顔を真っ赤にして身をよじらせるローマ…昼の熱気がこもった部屋のせいで、たちまち全身が汗でベタベタになる……

レモ「んー…汗ばんだローマのデリシャスメル……れろぉ…♪」脇腹からふとももまでをねちっこく舐めあげつつ、自分も汗ばんだ肌でのしかかるレモ…

ローマ「ふ、二人ともっ…汗を舐めるなんて汚いから止めて…っ///」

ロモロ「いいえ…むしろ私はもっと汗臭いくらいが好みなんだけど、あんまり部屋が暑くなってなかったわ……失敗しちゃった♪」にたりと牙を見せて笑みを浮かべるロモロ…

ローマ「わざわざそのためだけに一日中窓を閉めきって…んひぃぃっ!?」

レモ「そうだよぉ、レモは狼さんだから…むせ返るような濃い匂いがしないと興奮しないの……だからここのみんなにはちょっと不満なんだよねぇ♪」指でつまんで引き延ばしてから、強引に黒タイツを引き裂く…

ローマ「清潔にして何がいけないのっ……野蛮なフランス人じゃないんだから…んぃ゛ぃぃっ♪」

レモ「えへへぇ、やっぱりここも綺麗にしちゃってるんだぁ…残念っ」じゅる、じゅぅぅ…じゅるっ♪……ローマの股間に顔をうずめて探るように舌をねじ込むレモ…

ローマ「ひっ、い゛ぃ゛ぃぃっ…そこは汚いから…っ///」

レモ「らいじょうぶ……ぷは、ローマは汚いなんてことないよ…むしろきれいすぎてちょっとがっかりかな……じゅるっ、じゅるるっ…」

ロモロ「ふぅ…私も混ぜてもらおうかな……レモ、ちょっとどいて?」

レモ「えー、お姉ちゃんはいっつもそうやって……仕方ないなぁ」

ロモロ「それじゃあ二人でしようか…ねっ♪」

レモ「うんっ…♪」じゅるっ、ずずっ…じゅくっ、ぢゅるぅっっ…♪

ローマ「ち、ちょっとぉ…ひぁぁっ///」ぷしゃぁぁ…っ///

………
212 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/02(水) 01:51:55.80 ID:s8RH1uUg0
提督「あーあ…二人ともローマのパンティストッキングをびりびりに破いちゃって……まるで発情期のけだものね♪」

ライモン「…うぅ、もう聞かせてくれなくていいですから///」

提督「あー、綺麗で清らかなライモンにはちょっと厳しいわよね…それじゃあ行きましょうか」

ライモン「もう、みんなどうしちゃったんですか……何か媚薬でもまかれたとか?」

提督「ふふっ…そんなものがこの世の中にあったら、世間の「お姉さま方」は可愛いお嬢さんを口説くのに、花を買ってあげたり贈り物をしたりなんてしないでしょうよ♪」

ライモン「それはそうですけれど……に、してもですよ」

提督「ふぅ、それじゃあ鎮守府一の発明家にして「世界一の大天才」に聞いてみましょうか」


…大型潜水艦「マルコーニ」級の部屋…

提督「今度は大丈夫よね……失礼、ちょっといいかしら?」ドアの隙から室内をのぞいて、大丈夫と確かめてからノックをした

マルコーニ「はい、どうぞ?」

提督「こんばんは、マルコーニ…作業中にお邪魔してごめんなさい」

マルコーニ「いえ、別に大丈夫ですよ……ちょうど作業も終わりましたから」六人それぞれの居室が奥に並び、入り口側に共同スペースとして「談話室」が出来ているマルコーニ級の部屋……提督を出迎えたマルコーニは無線電信の発明で有名な「グリエルモ・マルコーニ」だけに、はんだごてと基盤で何かを作っていた…

提督「そう。ところでそれはなぁに?よかったら教えて?」

マルコーニ「これはハム(アマチュア無線)の通信機ですね。この小さい風車を窓の外に付けて発電して、それであちこちと通信できるようにしようと……そうすれば通信費はただになりますから♪」

提督「なるほど…ところでダ・ヴィンチはいる?」

マルコーニ「ダ・ヴィンチですか……今は「錬金術士の集まり」だったと思いますよ?」

提督「それじゃあアルキメーデ級の所ね?」

マルコーニ「ええ、そうです」

ライモン「……錬金術士の集まり?…あぁ」

提督「それじゃあ失礼するわ……お休み、可愛いマルコーニ♪」ちゅっ♪

マルコーニ「///」トトン・ツー・トト・ツー・トン……顔を赤らめて何も言わないが、提督が廊下に出る直前に指で机を叩いてモールスを送った…

提督「えーと…今のモールス信号は「おやすみなさい、私の大事な提督さん」ね……まぁ、うふふっ♪」

ライモン「…いいから行きますよ」

提督「はいはい……ライモンったら妬いちゃって♪」

ライモン「別に妬いてなんかいませんっ…///」

提督「大丈夫、私の「ここでの初めて」を持って行ったのはライモン……貴女だもの♪」

ライモン「もう…っ///」

提督「ふふっ…♪」

213 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/02(水) 03:00:31.80 ID:s8RH1uUg0
…大型潜水艦「アルキメーデ」級の部屋…


提督「こんばんは……お邪魔してもいいかしら?」入り口のドアには「アルキメーデのアトリエ」とお洒落な飾りのついた木のプレートがかかっていて、ノックをしたり開け閉めするたびにマヌケな感じで傾くのがお約束になっていた…

ガリレオ・ガリレイ(アルキメーデ級)「はーい、どなた?」

提督「私とライモンだけど…入っても大丈夫?」

ガリレオ・フェラリス(アルキメーデ級)「あぁ、提督……どうぞ入って下さい」

提督「それじゃあ失礼して……うわ」


…二隻はスペイン内乱時にフランコ側に渡ってしまったが、残り二隻も学者の名前を持つ大型潜「アルキメーデ」(アルキメデス)級と、他にも艦名に学者の名前がついている潜水艦が集まっている……中世の科学者は多かれ少なかれ「錬金術」をたしなんでいたせいか、みんな可愛らしいケープやマント、おしゃれな飾り付きの帽子や羽根飾りを身に着け、装飾のついた杖を持っていたり、丸底フラスコを揺すぶっている……談話室のスペースには科学の本や雑誌、草花の干したものや羽根や石ころが散らばり、火事にならないようレンガで囲われた中央部には、小ぶりながら立派な脚付きの丸釜が置いてある…


ガルヴァーニ(ブリン級大型潜)「それで…提督もやっと私の実験に参加してくれる気になったの?」…神経伝達は電気信号であることを発見して「神経生理学」の開祖となり、それが「ヴォルタ(ボルタ)電池」の発明にもつながった科学者「ルイージ・ガルヴァーニ」……とはいえ「カエルの脚に金属板をくっつける」という実験のためか、からかい半分でマッドサイエンティストのようなふりをしている……

提督「そうね…遠慮しておくわ♪」

ガルヴァーニ「残念だ…ライモンドはどうかな?」

ライモン「嫌ですよ……この間の「静電気マッサージ」はひどかったですし…しばらくしびれて口がきけなかったじゃないですか」

ガルヴァーニ「それだから面白いのよ……ほら、あげるわ」

ライモン「ひゃあ…っ!?」

ガルヴァーニ「大丈夫、偽物よ」樹脂でできたカエルの後脚を二本の指でつまみ、ぶらん…とぶら下げた

ライモン「もう、ガルヴァーニ…!」

カエル「……ケロッ!」

ライモン「うわ…っ!?」

トリチェリ(ブリン級)「もう、ガルヴァーニったら…止めてあげなさい?」


…包囲された紅海から脱出を図るも対潜グループに捕捉され、英駆逐艦三、スループ一隻と浮上砲戦を余儀なくされたが、駆逐艦「カルトゥーム」を返り討ちにしスループ「ショアハム」も損傷させ、乗員が脱出してから艦を自沈…とイタリア潜の中でも特に勇敢に戦った大型潜「トリチェリ(U)」……それだけに大型潜水艦たちの間ではかなり尊敬されている…艦名は物理・数学者で「ガリレオ・ガリレイ」の弟子「エヴァンジェリスタ・トリチェリ」で、大気圧を測るのに「片方が閉じた筒を水銀の中に沈めても中はいっぱいにならず、上の方に真空が出来る」という「トリチェリの真空」を発見した人物……それだけにガリレオを「先生」と言って尊敬し、ガリレオの略号が「GL」だけに、百合についても英才教育を受けている……


ガルヴァーニ「仕方ないわね……ライモンド、鳴き声はこれのせいよ」指で押すと「ケロッ!」と音がなるおもちゃを、隠していた左手から出す…

ライモン「あぁ、もう…」

トリチェリ「それで、何のご用なのかしら……先生も気になるでしょ?」

ガリレイ「まぁそうね。提督、ご用は何かしら?」天体望遠鏡を初めて作ったガリレオだけに腰のベルトには望遠鏡を挟んでいるが、片方の手はしっかりトリチェリの腰に回している…

提督「あー…実を言うとかくかくしかじかで……」

レオナルド・ダ・ヴィンチ(マルコーニ級)「なるほど…そう言うことならこの「不世出の天才」ダ・ヴィンチに任せておいて♪」

…普段から木、歯車、滑車、それにロープだけで便利な…時にはアイデア倒れな発明品を作っているダ・ヴィンチ……今回はえんじ色のケープに羽の形をした飾りが付いた杖、羽根つきのベレーのような帽子をかぶっていて、服は長袖なのになぜかおへそが出ている……提督にはよく分からなかったが、「砂時計」を腰から提げているのはその格好にとって欠かせない意味があるらしい…

提督「お願いするわ……とりあえずおかしな薬とか、変なものとかは作ってないわよね?」

ダ・ヴィンチ「ふむ、そうねぇ……」

ライモン「もしかしたらたまたまなのかもしれません……私たちは別にどうともなっていませんし」

ダ・ヴィンチ「むー……この間作った薬は何だったかしら」

ガリレイ「あれは疲労回復に効果のある栄養剤だったわ」

ダ・ヴィンチ「その後は?」

トリチェリ「確か育毛剤で名前が「竹林」だとか何とか言っていませんでした?……確かチェザーレが「最近髪のコシが無くなった気がする」とか何とか言って…」

ダ・ヴィンチ「あぁ、そうだったわね…無いなかでどうにか竹の板を探してきて作ったのよね」

提督「……意外と色々やっているのね」


………

214 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/05(土) 00:36:44.76 ID:wV+taHey0
ライモン「で、結局あれは「媚薬」によるものだったんでしょうか?」

ダ・ヴィンチ「うーん、私には思い当たるようなものがないわ……しいて言えば「媚薬」とはちょっと違うけど、頭を空っぽにしてすっきり出来るような薬を作ったことはあるわ。以前のは上手く行かなかったから適当な瓶に入れて放りだしちゃったけど」

提督「…すっきり出来るような薬?」

ガリレイ「はい。えーと、確かこの空き瓶に…」

提督「瓶には「バニラエッセンス」って書いてあるわね?」

ガリレイ「あぁ…できた薬はたいていディアナとエリトレアに頼んで、空いた香辛料やお酒の瓶に入れてあるから……」

トリチェリ「ねぇ先生?…まさかとは思うけど、誰か間違えてそれを使っちゃったんじゃないでしょうか?」

ガリレイ「まさか、そんなマヌケな娘がここにいるかしら?……だいたいこのアトリエをひっかきまわすようなふらちな…あ」

提督「何か思い出した?」

ガリレイ「いえ…実は今日の昼頃、暑かったからロモロとレモに錬金術の実演も兼ねて「試験管アイス」なんかを作ってみせたんだけど…もしかしてその時……」

…数時間前…

ガリレイ「…というわけで、氷水に塩を混ぜると氷点が下がってこれが凍りつくわけね……ま、とりあえず手順は書いてあるからやってみて?その間に私は追加の氷を取って来るから……」

ロモロ「わざわざありがとう、急なお願いだったのに」

ガリレイ「いいのいいの…暑いなと思ってたし、出来上がったら私にも一本ちょうだいよ?」ガチャ…

ロモロ「了解……おー、もう固まってきた♪」

レモ「……ねぇお姉ちゃん、アイスには香りがないとダメだと思うな♪」

ロモロ「そうは言っても……ここにあるのは…胡椒、オールスパイス…クミン、ナツメグ……うーん」

レモ「ねぇ、それは?」

ロモロ「あっ、バニラエッセンス…それじゃあひとたらし♪」ごぼごぼ…ごぼ……

レモ「…できたぁ♪」

ロモロ「うんうん、なかなか上出来……おいひぃ♪」ちゅぅ…ちゅぱ♪

レモ「おいひいねぇ…♪」ぺろっ…しゃくっ……♪

ガリレイ「戻ったわよ…って、全部食べちゃったの……」

ロモロ「あっ……ごめんね、ガリレイ」

ガリレイ「ふぅ、まぁいいわ…私は錬金術の実験があるからどうぞ帰ってちょうだい」

………

ライモン「…それじゃないですか?」

ガリレイ「うーん、かもしれない…途中で抜けたのはその時だけだし、食べ物を持ちこんだような事があったのはその時くらいだから……」

提督「それで、効果はいつ切れるの?」

ガリレイ「うーん……ダ・ヴィンチなら分かる?」

ダ・ヴィンチ「そうね…失敗した試作品だし、バニラエッセンスと間違えたのなら入れても数滴だと思うから…ごく短い時間で済むはずよ。そんなに被害は出ないと思うわ」

ライモン「それが結構な被害が…///」

ダ・ヴィンチ「え?」

ライモン「いえ、何でもありません…っ///」

提督「いずれにしても、今度からは「劇物」とでも書いたラベルを貼っておくこと…基地祭のときにそんな騒ぎを起こされたら困るもの」

ガリレイ「了解」

215 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/05(土) 00:43:15.13 ID:xCIUd0hao
媚薬すごい
216 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/06(日) 00:10:48.45 ID:pszz9pYp0
>>215 ひ゛やくのちからってすけ゛ー!

……当初案では「疲れがポンと飛ぶ」疲労回復薬…略して「ツカポン」とでも書こうかと思いましたがさすがに…

217 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/06(日) 01:20:59.38 ID:pszz9pYp0
…だいぶ遅ればせながらですがここで「シレーナ」級の艦娘紹介を…


…艦娘紹介…


中型潜水艦「シレーナ」級。1933〜34年生まれ。12隻


近海用潜水艦として成功作だった「アルゴナウタ」級に続く「600」(セイチェント)シリーズ第二弾として建造された潜水艦

基準排水量がおおよそ600トンだったことから「600」型とひとくくりにされる一連の「単殻、サドル・タンク型」構造をした沿岸・近海用潜水艦で、構造が(イタリア潜にしては)簡易で大量生産に向き、運動性や潜航の速さもこれまでのイタリア中型潜よりぐっと良くなった傑作潜水艦


排水量は680トン/837トン、主機1200馬力(ディーゼル)/800馬力(電動機)で速度14ノット/7ノット…武装は533ミリ魚雷発射管4門(艦首)/2門(艦尾)、100ミリ単装砲(艦首甲板上)一基、13.2ミリ機銃二基(司令塔後部張り出し上)と全体的にごく普通


大戦前はイタリア潜にありがちだった大きな司令塔と目立つ潜望鏡支柱を設けていたが、被発見率が高くなることから改装されドイツUボートそっくりな暴露型司令塔に改装するなどした



大戦中は航続距離が短いことから地中海で哨戒・英輸送船団攻撃に活躍したが、陸地が近く対潜哨戒機の攻撃が厳しい地中海だったことや、1943年の休戦後にドイツ軍に渡すまいとヴェネツィアで自沈した艦も多かったことから、結果12隻のうち「ガラテア」を除く全艦が戦没…と、制空権のなかったイタリアの厳しい現状を表している


………

艦名は神話と宝石から名付けられ、ギリシャ・ローマ神話からは…

海神ポセイドンの妻「アンフィトリテ」、水の精「ナイアーデ」、海の精「ネレイーデ」


特にネームシップの「シレーナ」(セイレーン)はギリシャ神話に出てくる「美声で船乗りを魅了し海に引きずりこむ」と言われたカプリ島の「魔女」たちのことで、前級「アルゴナウタ」(イタリアでは「クラゲ」の事を指すらしいが、もちろん「アルゴー号の乗員たち」の意味もある)を誘惑したことから、ちゃんと神話の物語がつながっている気の配りよう


また、ギリシャ神話以外からは「オンディーナ」(水の精「ウンディーネ」としてフーケーの物語にかかれた妖精)があり、いずれも水にまつわるものが多い


宝石からはそれぞれ…

二月の誕生石「アメティスタ」(アメジスト・石言葉は「誠実」「愛情」…古代ギリシャ・ローマでは「酔いを防ぐ」効果があるとも言われていた)
四月の「ディアマンテ」(ダイアモンド・「永遠の絆」)
五月の「スメラルド」(エメラルド・「幸運」「希望」…古代ローマでは大変好まれ、治療に用いられたりもしたという)
七月の「ルビノ」(ルビー・「情熱」「純愛」)
九月の「ザフィーロ」(サファイア・「慈愛」「高潔」)
十一月の「トパツィーオ」(トパーズ・「誠実」「友情」)となっている


この中で「トパツィーオ」は連合軍に降伏していた43年にイギリス哨戒機に誤認されて撃沈された


………


艦娘「シレーナ」級は体型的には中学生と言ったところで、それぞれモチーフになった神話や宝石をイメージさせる特技や色を持っている……特に「アメティスト」をはじめとする宝石・奇石が艦名がついた艦娘たちは髪と瞳がそれぞれ自分の石を表す色をしていて、また由来になった宝石を惜しげもなくあしらった装身具を身に付けていて大変美しい…中でもキプロスの王が大理石で理想の女性像を彫り上げ、愛の女神アフロディーテにお願いして命を吹き込んでもらったという「ピグマリオン伝説」をモチーフにした「ガラテア」は息を飲むほど……


………
218 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/06(日) 02:10:51.35 ID:pszz9pYp0
…とある日・鎮守府の波止場…


提督「そのまま…そのまま…もう少し右に……はい、大丈夫♪」快晴で波のない昼間、波止場に集まっている数十人の艦娘たちと提督……

ドリア「ふぅ…いい運動ですね。私のようなおばあちゃんには大変でした♪」

提督「そんな色っぽいおばあちゃんがあってたまるもんですか…♪」むにゅ♪…いたずらっぽい顔をして、前からドリアの柔らかな乳房を揉みしだく提督……

ドリア「うふふっ…もう提督ったら、おいたがすぎますよ♪」ぎゅ…っ!

提督「わぷっ!…むぐぅ……むぅ///」かなり長身な提督もドリアの前では頭半分ほど背が低く、むずと掴まれて胸元に顔をうずめられた…

ドリア「…お分かりになった?」

提督「ぷはぁ…はい、分かりました///」

アヴィエーレ「……いやはや、それにしても助かったよ…基地祭の前に予備飛行させておきたかったからね♪」提督たちのいちゃつきぶりに苦笑いしながら、波に揺れている二機の飛行艇を眺めているアヴィエーレ……艶のある真っ赤な表面はいかにもレーサー機の塗装で、ちゃんと綱止めにもやい綱がかけてある…

ランチエーレ(ソルダティ級「槍騎兵」)「確かに綺麗な機体ね♪」

アヴィエーレ「そりゃそうさ…マッキM.33とピアッジォ(ピアッジョ)P.7……イタリアの誇る最高の飛行艇だからね」

エリザベス「それでわたくしたちもお呼ばれしているのですね…どうしてわたくしのウォーラスが必要なのかと思いましたが、これで納得いたしました♪」

ティルピッツ「私のアラド水偵も準備は出来ています」

アヴィエーレ「どうもありがとう…まぁせっかくだから一緒に飛ばしてみたくてね。波もないしさ♪」白いマフラーを後ろに跳ねあげると「ふっ♪」…と格好のいい笑みを浮かべる…

エリザベス「…なるほど。お茶をいただきながら水上機の飛行を眺める……優雅でございますね」

提督「…ねぇアヴィエーレ、それはいいけれど……」

アヴィエーレ「ん、何かな?」

提督「マッキはともかくピアッジォは…」

アヴィエーレ「嫌いかな?」

提督「別に嫌いなのじゃなくて…飛べるの?」

ライモン「?」

アヴィエーレ「あー…そう言うことか」

提督「ええ」

アヴィエーレ「なぁに、そんなこともあろうかと工作室であちこちの伝達ギアを調整したり改造したりしたからね…ちゃんと飛べるさ♪」

提督「ならいいけれど……でもそれを聞いたら私も楽しみになってきたわ♪」

アヴィエーレ「だろう?…よーし、諸君!」

チェザーレ「うむ」

ジュッサーノ「はい」

バリラ「なぁに?」

トレント「何でしょうか?」

アヴィエーレ「…これからこの二機の試験飛行を行おうと思う……まばたきせずに、かぶりつきでご覧あれ♪」もやい綱を解いて「パチン」と指を鳴らすと、半分幻のような操縦士がエンジンを回し、周囲に轟音と水しぶきが飛び散る…

リベッチオ「わぁぁ…すごいねぇ♪」

ベネデット・ブリン「ふむ…ブリン造船中将もこれを見ていたら飛行艇設計者に乗り換えたかも分かりませんな」

アヴィエーレ「うぅん…このエンジン音……それじゃあ離水させるよ♪」白い航跡を残しつつ一気に加速していくマッキとピアッジォの飛行艇と、そのあとに続くようにグレイとグリーンの二色迷彩を施した「ウォーラス」水陸両用飛行艇と濃いグリーンのアラドAr196水偵が滑走していく……

提督「わぁ…♪」

219 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/06(日) 03:15:52.12 ID:pszz9pYp0
アヴィエーレ「さて…問題の離水は上手く行くかな……?」サングラス越しにピアッジォP.7をじっと眺めるアヴィエーレ…次第に水中翼の効果でピアッジォの艇体が持ち上がって行く……

提督「…」両手を組んで祈るような姿勢の提督…

ライモン「…」どういうことかは分からないが事故が起きないか心配なライモン…が、事情をしらない他の艦娘たちはわいわい言いながらはしゃいでいる


(※ピアッジォP.7…1929年のシュナイダー・トロフィー・レースに向けて試作された高速水上レーサー機。特徴は離水後デッドウェイトになるフロートを付けないで高速を出そうとした斬新な設計にあり、1000馬力級のエンジンと空気抵抗の少ない短い主翼、軽量な機体とがあいまって600キロは出る……予定だった。理論的にはエンジンをかけて機体後部にあるスクリューに接続し「船」として加速、艇体にある水中翼の効果で機首が持ち上がったところでスクリューへの動力伝達を切りつつ機首のプロペラへとギアをつなぎ、同時に機首を上げ角に保ってプロペラが水面を叩かないようにしながら離水する…のだが、そもそも操縦補助装置がほとんどなく機械の精度もまだまだの時代に「手が四本いる」ほど複雑な操作をして、さらに「船」モードで水面に起きた波によって視界がゼロになっている中離水するのは「不可能」とテストパイロットも飛行を投げ、飛ばずに終わった)


アヴィエーレ「頼むよ…上がってくれ……」

提督「……あっ、離水したわ!」

アヴィエーレ「よぉし!」

ライモン「…ふぅ」思わずため息をつくライモン…

グラナティエーレ(ソルダティ級「擲弾兵」)「やったじゃない?」

アヴィエーレ「あぁ…君のおかげさ♪」親指を立ててみせるアヴィエーレ

グラナティエーレ「もう…///」

ティルピッツ「カンピオーニ提督、失礼ながらあの飛行艇は飛ばすのがそんなに難しいのですか?」

提督「ええ…と、言うより飛んだことがないわ」

ティルピッツ「?」

提督「……かくかくしかじか」

ティルピッツ「はぁ…まるでブローム・ウント・フォス辺りで思いつきそうなアイデアですね。私の水偵がアラドでよかったです……」(※ブローム・ウント・フォス…ドイツの航空機メーカー。戦中に機体が非対称の偵察機「Bv141」などかなりのキワモノ飛行機を設計している)

提督「アラド196は堅実な水偵だものね…エリザベスのウォーラスもそうだけれど」

(※アラドAr196…戦中ドイツ艦の標準的な単葉、単発エンジンで複座の水偵。武装は20ミリ機銃二門と13ミリ機銃、50キロ小型爆弾等で、最高速度300キロ前後。エンジンは960馬力のBMW132空冷エンジンで、堅実な性能が幸いし輸出やライセンス生産もされたベストセラー機。ビスマルク級には4機搭載可)

エリザベス「いかにも…堅実なのが一番でございます」

提督「イギリスだものね……とにかく頑固なんだから…」

エリザベス「何かおっしゃいました?」

提督「いいえ♪」一同は庭の方にぞろぞろと歩いていき、提督は庭のデッキチェアに寝ころぶとパラソルの下からピアッジォとマッキの優雅な飛行姿を眺める……ドリアやチェザーレのような戦艦は提督と一緒にデッキチェアに座り、一方で活発な駆逐艦たちはとっとと水着になったり裸になったりして海に駆け込んで行った…

提督「おー…駆逐艦と潜水艦の娘は元気ねぇ♪」

チェザーレ「うむ。何しろ「あの時」も、燃料切れでへたり込んでいたチェザーレたちの分まで駆けずり回っていたからな……見た目こそ小さいが頼もしく思うぞ」

提督「そうねぇ…それに私はあの張りのある肌と元気さがうらやましいわ♪」

チェザーレ「ふむ…」むにっ…

提督「ひゃあっ///」

チェザーレ「…別に提督の肌とて、駆逐艦の娘らと変わらぬくらい張りがあるぞ?」

提督「そ、そう?」チェザーレの嬉しい褒め言葉にニヤけている提督…上空ではピアッジォが他の機体を引き離している……

アヴィエーレ「おぉぉ、いい調子だ…♪」

提督「よかったわね、アヴィエーレ?」

アヴィエーレ「あぁ、これで基地祭の時には派手な展示飛行が出来そうだよ…♪」

提督「それを聞いて私も嬉しいわ……あら、あそこで泳いでいるのはオタリアね…手を振っているわ♪」手を振りかえしてあげる提督

オタリア(グラウコ級大型潜「アシカ・オットセイ」)「あ、手を振ってくれたわ…嬉しい♪」オタリアだけに長い艶のある黒褐色の髪をなびかせ、ぴったりした黒の競泳水着にメリハリの効いた身体を包んでいるオタリア…と、その下の海中から濃い灰色の何かがゆっくり迫ってくる……





220 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/06(日) 11:16:49.64 ID:vUAY7ejHO
ジョーズじゃないすか!((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
221 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/06(日) 23:41:25.80 ID:pszz9pYp0
>>220 「♪〜テーレン…テーレン…テレテレテレテレ……」

…と、見せかけて元ネタになったドヴォルザークの交響曲「新世界より」から第四楽章と言う可能性も……(笑)

222 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/07(月) 01:16:17.36 ID:lpYrGx040
オタリア「それにしても今日は波が暖かいし気持ちいい……ひぁぁっ!?」いきなり下から突き上げてきた「何か」にびっくりするオタリア…

スクアロ(スクアロ級中型潜「サメ」)「ばぁ♪……ふふっ、ずいぶんと可愛い悲鳴を上げてくれて……♪」

オタリア「も、もうっ…驚かせないで下さい!」

スクアロ「仕方ないでしょう、潜っていたらオタリアの脚がゆらゆらしていたんだもの…それにしても相変わらず喰らいつきたくなるような柔肌で……たまらないわ…♪」

オタリア「ひぅっ…い、一体どこに手を入れて……んくっ///」立ち泳ぎの状態で後ろから抱きつき、オタリアの吸いつくような競泳水着の裾から手を入れて秘所に指を入れるスクアロ……

スクアロ「ふふっ…サメっていう生き物はアシカもオットセイも食べるのよ……何しろこんなに柔らかくて美味しそうなんだもの、我慢できるわけないわよね…♪」

オタリア「ひぐぅぅ…いっ……んあぁっ、脚がつっちゃいますから……っ///」

スクアロ「もしそうなったら私が運んであげる…ふふ、もう我慢できないから……」すーっと潜ってオタリアのふとももを甘噛みし始めるスクアロ…

オタリア「あふっ…ひぅ……ひゃあぁぁ……んふぅ、んくっ///」

フラテッリ・バンディエラ(バンディエラ級中型潜)「どうした、オタリア?」

オタリア「べ、別にどうもしません……っ///」

バンディエラ「そうか?…具合が悪いなら上がった方がいいぞ?」

オタリア「え、えぇ……んんっ///」唇をかんで必死に喘ぎ声をこらえるオタリア…その間もスクアロが水中でふとももを甘噛みしたり、花芯をねちっこくかき回したりしながら潜水を続けている……

バンディエラ「…ならいいけどな?」

オタリア「は、はい…お気遣いありがとう……あっ…ん///」一瞬目が焦点を失ってとろんとした表情になったオタリア…が、バンディエラはもう岸辺に向かって泳いでいたので気付かれずに済んだ……

スクアロ「ふふっ…水中でイっちゃったみたいね……んふふっ」

オタリア「ひぅぅ……あへぇ…///」

スクアロ「…ふふ、やっぱり喰らいつくなら柔肉に限るわ……って、向こうもお楽しみの最中みたいね♪」沖合を眺めた…

…一方・少し沖合の波間…


フィザリア(アルゴナウタ級中型潜「カツオノエボシ」)「ふわぁぁ…気持ちい……い♪」ほとんど透明で、大事な部分とひらひらした縁取りだけが美しいスミレ色と紅をした、「カツオノエボシ」らしいネグリジェの風の際どい水着姿で、ぼんやりとあお向けに浮いているフィザリア……隣ではフルット級の「スパリーデ」(鯛)が息も絶え絶えでフィザレアにつかまっていて、時折ひくひくと身体を振るわせては美しい顔を台無しにするようなとろけた表情を浮かべ、だらしなく涎を垂らしている……

スパリーデ「はへぇ…あへぇぇ……もっろ……ぉ///」

フィザリア「ええ……ここがいいの?」にちゅっ…ぐちゅっ♪…水中で長い脚を絡ませ、ついでに腕を伸ばすとスパリーデのきゅっと引き締まったアナルに指を入れ、ゆったりと責めたてるフィザリア…

スパリーデ「えぇ…そこぉ……んはぁ…はへぇ、んぁ……///」

フィザリア「私「お魚」は大好物なの……どう、痺れてきたでしょう?」透明なビニール浮き輪に身体を預け、ゆったりとたゆたっているフィザリア…が、水中ではとろとろに濡れて温かくなった秘所を重ね、同時にスパリーデの引き締まったヒップも責めたてている……

スパリーデ「はへぇ…んひぃぃ……んあぁぁ…いいの……ぉ///」

フィザリア「気持ちいい?」

スパリーデ「あへぇぇ…はひぃ……きもひいぃれひゅ……ぅ♪」

フィザリア「そう、ならよかった……あ…」

スパリーデ「ろうしたの…ぉ?」相手が猛毒の「カツオノエボシ」だから…と言うわけでもないが、すっかり舌も回らなくなっているスパリーデ……

フィザリア「ふふ、私もイきそ…う……はぁぁ、んぅ…♪」

スパリーデ「ねぇ…フィザリアぁ…もっと、もっと……ぉ♪」

フィザリア「それじゃあ私がじっくり溶かしてすすってあげる……って、ジャンティーナ……」

ジャンティーナ(アルゴナウタ級「アサガオガイ」)「あー…フィザリアはここだったんですね……やっと会えました…♪」

フィザリア「ええ。何かご用……?」

ジャンティーナ「はい……実を言うとジャレアお姉ちゃんとサルパお姉ちゃん(どちらもクラゲの一種)はもうすっかりへとへとになっちゃって……だからフィザリアを探していたところだったんです…♪」…ジャンティーナはクラゲを主食とする殻のあるクラゲの一種「アサガオガイ」だけに、水色の巻き貝を頭飾りにしていて、波にゆったりと漂いつつフィザリアのそばまでやってきた……と、そのまま胸を優しくこね回し、腰を擦り付けつつ舌を入れてキスをした……

フィザリア「うぅ…んくぅ……あへぇぇ……♪」

ジャンティーナ「あははぁ……お姉ちゃんの膣内はねっとりして温かくて、とっても気持ちいいです……♪」ゆったりと波に揺られながらフィザリアの花芯に指を差しいれて、「にちゅっ…くちゅっ…♪」…と優しく責めあげる

スパリーデ「あんっ……私も、もっと…ぉ///」

ジャンティーナ「ほぉら、フィザリアお姉ちゃん……三人で一緒に気持ち良くなりましょう…?」

フィザリア「はへぇ…あへぇぇ……♪」

スパリーデ「気持ひいいれふぅ…あへぇ、んぁぁ…♪」

223 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/07(月) 09:03:58.46 ID:lpYrGx040
…パラソルの下…

提督「…太陽の照り返しでよく見えないけれど、スパリーデたちは沖合で仲良く泳いでいるみたいね♪」

ドリア「いえ、仲良く泳いでいると言うよりも…あれは……」

提督「違うの?」

ドリア「えーと、いえ…仲良くしていますよ♪」

提督「何か引っかかる言い方ね…チェザーレはスパリーデたちがどうなっているか見える?」

チェザーレ「あー、チェザーレにはよく見えるが…世の中には知らないでいる方がいいこともある……そう言うことだ」

提督「ふぅん?」

アヴィエーレ「ま、まぁそう言うことだね……とりあえず飛行艇は無事に飛べることが分かったし、そろそろ着水させるよ///」

提督「また手伝いが必要かしら?」

アヴィエーレ「うーん、戻りは大丈夫かな…グラツィエ♪」

提督「いえいえ……あ、オタリアが戻ってきたわ♪」

オタリア「はぁ、ふぅぅ…ぜぇ、はぁぁ……」

提督「お帰りなさい、泳いで疲れちゃったみたいね?」

オタリア「あー…はい、結構頑張って泳いできましたから…」

提督「そう……それにしてもずいぶん顔が火照っているみたいだけれど?」

オタリア「いえ、それは……結構太陽が眩しかったので///」

提督「それじゃあ午後はゆっくりお昼寝でもするといいわ…♪」

オタリア「はい」(ふぅ、どうにか無事にごまかせたようです…)

提督「ところでオタリア…スクアロのえっちはどうだった?」

オタリア「!?」

提督「ふふっ、驚かなくたっていいじゃない…オタリアの後ろからスクアロが抱き着いているのは私にも見えたの……いきなり水中から襲ってくるところは、まるで「ジョーズ」だったわ♪」

スクアロ「…サメだものね、何しろ」

提督「あら、お帰りなさい」

スクアロ「ただいま……むちゅ、ちゅぅ…♪」

提督「んぅぅ、んむっ…ちゅむっ……もう、スクアロったらキスの仕方が乱暴なんだから///」

スクアロ「ふふ、悪いね…ほら、シャワーを浴びに行こうか♪」

オタリア「え、ええ…///」

提督「さてと、それじゃあ私は着水の様子でも見に行きましょうか」

アヴィエーレ「ああ、見物においでよ」

提督「ええ…それじゃあエスコートはお願いね?」アヴィエーレと指を絡めて手を握り、にっこりと微笑みかける

アヴィエーレ「もちろん。任せておいてよ…///」(…なんて柔らかい手なんだろう///)

………

224 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/07(月) 11:13:22.60 ID:lpYrGx040
提督「それはそうと…フロートのないピアッジォP.7の着水ってどうするの?」

アヴィエーレ「それは自分で見て確かめてくれればいいさ…きっと度肝を抜かれるよ」

提督「せっかく珍しい機体なんだから壊れないといいけど……まずはウォーラスとアラドね」

アヴィエーレ「ああ…まさかお客様の燃料を無駄遣いさせるのもどうかと思ってね……さすがクィーン・エリザベスだね、降下角も速度もばっちりだ……」

エリザベス「お褒めいただき光栄でございます」

アヴィエーレ「うわ!」

エリザベス「さて……それでは着水いたします♪」片手の手のひらをエレベーターガールのように上に向けた……

アヴィエーレ「おぉ…見事だね」グォォ…ォンと接近するにつれてエンジン音が耐え難いくらい大きくなったと瞬間、ふっとウォーラスが着水した…

提督「本当にエリザベスは上手ね♪」

エリザベス「恐縮でございます…さぁ、ティルピッツもどうぞ見事な着水を見せて下さいませ♪」

ティルピッツ「ぐっ…」(…私はフィヨルドに閉じこもっていたから水偵の離着水は苦手なのに……えぇい、ままよ!)

アヴィエーレ「うーん…まぁなかなかじゃないかな?」

提督「なかなか上手なのじゃないかしら…それにいつもの場所と勝手が違うものね?」

ティルピッツ「いや、お世辞はいい……あんまりうまく降ろせなかったから」

提督「そう言うこともあるわ…ね♪」

ティルピッツ「うー…」

アヴィエーレ「さてと…二人が水偵の航跡で波を打ち消してくれたから、着水するなら今だね……♪」マッキM.33が上空で優雅に旋回しつつ待機している間に、真っ赤な矢のようなピアッジォが高速で降下をかけてくる…

提督「ち、ちょっと降下が早い気がするのは気のせい?」

アヴィエーレ「いや、気のせいじゃないよ……さぁ、タイトロープ(綱渡り)の始まりさ!」早い速度のまま低空まで降りてくると、水面すれすれで失速速度ぎりぎりまで持ち込みプロペラへの動力をカット…着水した瞬間にスクリューへ動力をつなぐ……

提督「はぁぁ…まるで曲芸ね……」

アヴィエーレ「……ふぅー」額に浮いた汗を拭う…

エリザベス「お見事ですわ」

ティルピッツ「ええ、称賛に値します」

アヴィエーレ「ふっ、飛んでいるものはいつか降りるものさ……でも、ありがとう♪」サングラスを外してウィンクをする…

提督「アヴィエーレ、とっても上手だったわ…♪」抱きついて頬にキスをする提督…

アヴィエーレ「あ、あぁ…なんでもないさ。さ、今度はマッキを着水させるからね……名残惜しいけど離れてくれ///」

提督「はいはい…♪」ヴォォ…ンッ……とエンジン音を轟かせ、真っ赤なイタリアンレッドも陽光に鮮やかなマッキM.33が滑らかに海面へ滑り込んでくる……明るい太陽に黄色いレンガ敷きの波止場、きらめく海面…南イタリアの晩夏ならではの美しい風景に古き良き「飛行艇時代」の機体が映える……

アヴィエーレ「よし、決まった…それじゃあ私は機体の整備に取りかかるから、チャオ♪」

提督「チャオ、アヴィエーレ…食事の時間には戻って来てね♪」ちゅっ♪

アヴィエーレ「了解した…///」

ティルピッツ「……どうしてマカロニの連中はこうも簡単にキス出来るのか……うぅ、顔が火照ってきた///」

提督「ふふ…これが愛のなせるわざよ♪」

エリザベス「相変わらずカンピオーニ提督は口がお上手でございます」

提督「かもね…うふふっ♪」ぱちっとウィンクをして手をひらひら振ると、エリザベスたちを残して庭の方へと歩いて行った……

………
225 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/05/09(水) 01:18:57.16 ID:RVy5WGke0
…とある日・厨房…

ディアナ「ふむ…これは少々困りました」お茶の時間になって提督が何かつまもうと厨房に入ると、ディアナが白いエプロン姿で冷蔵庫の食材リストを見ながら考え込んでいる……

提督「…どうしたの、ディアナ?」

ディアナ「あぁ、提督……いえ、実を申しますと…」

提督「……なるほど、最近「鶏もも肉や手羽の献立が多くて、その分胸肉を余している」…と」

ディアナ「ええ、その通りです。丸鶏の方が割安なのでつい買いこんだのはいいのですが……困ってしまいますね」

提督「ふぅん……ねぇディアナ、よかったら私にやらせてくれないかしら?」

ディアナ「提督には何かアイデアがおありですか?」

提督「ええ、いかにも「アイデアがおあり」よ…エプロンに着替えるわ♪」

ディアナ「それではよしなに…」

提督「はいはい♪」

ディアナ「……さて、これでどのようなお料理になるのでしょう?」


…調理台の上には余っている鶏胸肉が十数切れと塩、砂糖に粗挽き胡椒、バジリコ……と、基本的な調味料が一揃い置かれ、隣には幅広のラップひと巻きと真空パック、袋を閉じる針金と底の浅い平鍋が置いてある…


提督「ふふ、まぁとくとご覧あれ…♪」まずはラップの上に乗せた分厚い胸肉を、包丁で中央から左右に広げるように削いでいって薄手の大きな一枚肉にする…

エリトレア「…あ、今日は提督が厨房ですかっ♪」

提督「まぁ色々あって…ね♪」薄くなった一枚肉に軽く塩と砂糖をまぶす…

ディアナ「砂糖ですか…?」

提督「ええ。大丈夫、間違いじゃないわ」ついでに粗挽き胡椒や刻んだバジルを中央部に散らし、端っこの部分から肉を巻いていく…

ガッビアーノ(コルヴェット「ガッビアーノ」級)「…おや、なんだか美味しそうなものを作っているみたいだ…よかったらこの孤独なカモメにもくれるかな……」お菓子でも探しに来たのか、ひょっこり顔を出したガッビアーノは黄色い瞳にそこはかとない哀愁感……その割に意地汚いほど何でもよく食べるあたりはいかにも「ガッビアーノ」(カモメ)らしい…今もじっと提督の手元を見つめ、何かつまみ食いできそうな物がないか確認した……

提督「出来上がったらね?」

ガッビアーノ「分かった…それじゃあ失礼しよう……」対潜捜索時に静粛航行するための補助電動機がある「ガッビアーノ」級だけあって、さりげなく冷蔵庫に残っていたハムサンドウィッチを手にして静かに退却していった…

エリトレア「…あーっ!?」

ガッビアーノ「どうも、ごちそうさま…ほど良くしっとりしていていい塩梅だったよ……」

提督「ふふ、ガッビアーノは相変わらず食べるのが好きね?」苦笑しながら巻いた鶏肉の形を整えると、ラップを使って長細いキャンディのように包み、ねじりあげたラップの端っこを針金で留めた…

ガッビアーノ「なに、提督ほどじゃないさ……」

提督「…余計なお世話よ♪」

ディアナ「それはそうと……何やらソーセージみたいな形になりましたね?」

提督「ふふ、ご名答……これは「鶏胸肉のソーセージ」よ♪」

ディアナ「なるほど…その手がありましたか」メモを取りつつ感心した様子のディアナ…その間に平鍋のお湯が沸き、提督は出来上がったラップ包みの「ソーセージ」を真空パックに入れ、空気を抜くと真空パックごとお湯に浸けた……

提督「さてと…後はこれで十五分も浸しておけば熱が通るから、その後はお湯が冷めるまで鍋に浸けて……最後はバラバラにならないよう固まるまで冷蔵庫に入れておくだけ」

エリトレア「わぁ、美味しそうですねっ♪」

提督「ええ、結構美味しいわよ…そのうえ鶏の胸肉なら安いものね♪」

デュイリオ「……それに鶏肉なら提督の「低カロリー生活」にもよいでしょうし♪」後ろでティーセットを取り出しながら、くすくす笑うデュイリオ…

提督「むぅ……あなたたちはみんなして私に質素な食生活を送らせようとするのね?」

ジュセッペ・フィンチ(カルヴィ級大型潜)「うむ…というわけで提督にはこの「バランス栄養食」を使って、日本のゲイシャのようにダイエットを進めてもらいたい」…自称「日本通」のフィンチは、ハンディサイズの黄色い箱に入った「クッキーみたいなブロック」を差しだした……

提督「それはどうも……んむ、んむ…」

フィンチ「……で、お味は?」

提督「ごくん…っ……そうね、ちょっと後味が風変りだけれど…チーズ風味でなかなか美味しいわ。でもこれじゃあおやつにしても寂しいわ」

フィンチ「それはおやつじゃない…それで一食をまかなうんだ」

提督「え…せっかくの食事の時間にこれだけじゃ生きていけないわ……!」

フィンチ「やれやれ……提督が理想の細身を手にするのはまだまだ先のようだ」

………
226 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/10(木) 02:04:23.69 ID:aYHaZrGz0
…昼食時…

提督「……という風に言われまして」…ペールグリーンで胸元の襟ぐりが深いミドル丈のワンピーススタイルで、髪型はライモンとお揃いの高く結ったポニーテール…そして何か身動きするたびに「たゆん…」と白桃のような乳房が弾む…

グレイ提督「まぁ…ずいぶんな言われようですこと?」細身ですらっとしているグレイ提督は「高みの見物」と、上品に口元を押さえてくすくす笑った…

提督「全くですよ…せっかく私が美味しく食べられるように料理したのに……」そう言いつつも粒マスタードをつけた鶏ハムを数切れと、ズッキーニとナスのトマト煮込み、熱々のラザーニアをたっぷりとよそい、パン皿にはもちっとしたフォカッチャを一つ二つ…さらにワインをたっぷりグラスに注いだ…

カヴール「あら、提督…♪」にこにこしつつもとがめるようなカヴール…

提督「いいの。私は欲求に従って食べることにしたから……止めたって無駄よ?」

ライモン「はぁ…やれやれですね……」

提督「…もし私を断食させたいならイギリスにでも連れて行くといいわ!」

グレイ提督「……ふふ、面白い意見ですわね…フランカ?」

提督「あっ…失礼しました」

グレイ提督「いいえ、構いませんわ……ですが今度また「メイドごっこ」でもいたしましょうね…♪」こっそり耳打ちするグレイ提督…

提督「…は、はい///」

エメラルド「あー……閣下に弱みを見せたら最後です。まず助かりませんから…」

エリザベス「…さようでございますね♪」

ドリア「……ところで提督、もう少しラザーニアをいかがです?」こちらも美食には目がない「アンドレア・ドリア」だけに、にっこりと笑みを浮かべて取り分け用のスプーンを差しだした…

提督「ありがとう、いただくわ……んふぅ、はふぅ……美味ひぃ…♪」

ゾエア(大型敷設潜「フォカ」級)「美味しいですか、提督…?」エビ・カニ類の幼生「ゾエア」を名に持つだけあって、抜けるような白い肌と淡い青色の透けそうなワンピースで座っている……

提督「ええ、とっても美味しいわ♪」

ルイージ・トレーリ(大型潜「マルコーニ」級)「うーん…それは喜ばしいことなのか……はたまたとがめるべきことなのか悩みますね?」

チェザーレ「なに、構わぬさ…食べられるときにうんと食べるがよい♪」

提督「チェザーレにそう言ってもらえると心強いわ…それでは……きゃぁ、熱っ!?」スプーンですくったラザーニアから、とろとろのホワイトソースが胸元に垂れ、ふっくらと丸みを帯びた提督の乳房に沿ってたらりと流れる…

ライモン「提督、今濡れふきんを……っ!?」

ドリア「ちゅっ…れろっ……ぺろっ…///」

提督「ひゃぁ……んぅ♪」

カヴール「あら、ドリアったら……うふふふっ♪」

エウジェニオ「…ドリアもなかなかやるわね……ふふ、貴女たちも私で試してみたい?」左右や向かいに座っている駆逐艦や潜水艦に向かって、いたずらな笑みを浮かべた…

パンテーラ(駆逐艦「レオーネ」級)「うぅ…さすがにここでそれは恥ずかしいわ///」

アルベルト・グリエルモッティ(大型潜「ブリン」級)「な、何と破廉恥な…///」艦名が神父に由来するとされるグリエルモッティは修道女の格好をしていて、エウジェニオの刺激的な申し出を聞くと真っ赤になって首を振った…

アルヴィセ・ダ・モスト(駆逐艦「ナヴィガトリ」級)「…エウジェニオがいいなら……ぜひ♪」

ニコ(ナヴィガトリ級「ニコロソ・ダ・レッコ」)「…うん///」

エウジェニオ「ふふ、貴女たちったらいつも新しいことに興味津々ね…♪」

レオーネ・パンカルド「何しろ航海者ですから…♪」





227 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/10(木) 03:14:28.29 ID:aYHaZrGz0
…午後・提督寝室…

提督「ふわぁぁ……美味しいものを食べていいワインを飲んだら、急に眠くなってきちゃったわ……ふぁぁ…」

ライモン「ふふ、仕方ないことですよ…しばらくお休みになったらいかがです?」

提督「そうねぇ……それがいいわね…まだ昼下がりは焼け付くようだし、動くには向いていないものね?」

ライモン「ええ」

提督「…よかったらライモンもお昼寝する?」提督はワンピースと花柄のショーツ以外なにもまとっていなかったので、するりと脱ぐとベッドに寝転がり、ベッドの空いているスペースをぽんぽんと叩いた…

ライモン「いえ、今日はムツィオと一緒にお昼寝しますから……どうぞゆっくりなさってください」

提督「そう、それじゃあお休みさせてもらうわ…また後でね♪」

ライモン「はい」少しでも涼しい風が入るようにと、気を利かせて窓を開けて出て行った…

提督「ふわぁぁ…あ……んふふ、気持ちいいっ♪」一糸まとわぬ姿で洗いたてのタオルケットの上を転がってみる提督…ほのかな「太陽の匂い」と甘い洗剤の香りがするタオルケットを抱き枕のように抱きしめたり、ネコのように「うーん」と伸びをしてみたりする……

提督「基地祭の資材も数日中には届くし…残りの潜水艦の娘たちもそのころまでには建造してあげられそうだし……♪」と、執務室のドアをノックする音が聞こえた……

提督「はぁ…い?」鎮守府全体が静まり返る昼寝の時間にわざわざやってくることに驚きを感じながら、バスローブを羽織ってドアを開けた…

リットリオ「こんにちは、提督っ……お邪魔しに来ました♪」床の石材からしみ出す冷気を感じたいのか、靴やスリッパをはかない白いストッキングだけの素足に、えんじ色のひざ丈フレアースカートとシンプルなシルクのブラウス…長身のリットリオを引き立たせるすっきりしたシルエットが爽やかな印象を与える……

提督「あら、リットリオ…妹たちはいいの?」

リットリオ「はい。ヴェネトたちが寝てから来ましたから…♪」くりっとした瞳に可愛らしい顔だちのリットリオが無邪気な様子でにっこりした…

提督「……私もこれからお昼寝するところだけれど…一緒に添い寝でもする?」

リットリオ「はい…ぜひ提督と一緒にお昼寝したいです♪」

提督「ふふ……分かったわ、それじゃあいらっしゃい」もう一度寝室に戻るとバスローブをハンガーにかけ、裸でタオルケットの上に寝ころぶ…

リットリオ「それじゃあ私も…えいっ♪」しゅるっ…とブラウスとスカートを脱ぐと、紅いリボンの縁取りが付いたストッキングとランジェリーを組み合わせた姿でベッドに潜りこんできた……

提督「……それにしてもリットリオは脚が長いわね。七頭身はありそう」

リットリオ「そうですねぇ…七頭身までは行きませんが「6.8頭身」って言ったところです♪」

(※6.8頭身…リットリオ級のL/B値(縦横比)はおよそ6.8。主砲斉射時の「据わりをよくする」ためであったり装甲重量で安定を失わないよう、各国では縦横比が5に近い戦艦が多い…その中でリットリオ級はかなりスマートで、巡洋艦らしいデザインで高速を狙うイタリア戦艦らしい)

提督「そうねぇ…それに肌がすべすべで……きめ細やかで触り心地がいいわ♪」

リットリオ「もう、くすぐったいですよっ…♪」

提督「それで…私の所に一人で来るなんてどうしたの?」

リットリオ「いえ…ヴェネトにローマと、提督が私の妹たちを「建造」してくれたので、改めてそのお礼を言いたいなぁ……って///」

提督「いいのよ。リットリオは何かと忙しい時に手伝ってくれたし、姉妹で仲良く思い出を作って欲しいもの……もし出来ることなら「インペロ」だって呼んであげたい所だけれどね」

(※インペロ(皇帝)…リットリオ級戦艦四番艦。「ローマ」と対になる「リットリオ級・第二グループ」になる予定だったが、資材不足と小型護衛艦艇の優先により作業が先送りされ未成)

リットリオ「いいんですよ。ローマまで来てくれて私は充分満足してますから……それより提督…///」

提督「なぁに?」

リットリオ「…ちゅぅぅ…ちゅぱ……ちゅむっ…♪」

提督「んふぅ…っ!?…んちゅ……れろっ、ちゅる……♪」

リットリオ「ぷはぁ……私、提督と愛し合いたいです♪」

提督「……可愛いリットリオに言われたら断れないわ」

………
228 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/11(金) 02:13:58.16 ID:seBLmBr70
…一時間後…

提督「はぁ、はぁ、はぁ……///」

リットリオ「んはぁぁ…もっと……ぉ♪」

提督「ふひぃ…ふぅ……ぜぇ、はぁ……///」火照った提督の身体から汗がしたたり落ち、リットリオと触れ合う肌がぬるぬるする…

リットリオ「提督、もっとですよぅ…それとももう疲れちゃったんですか?」

提督「そんなこと…ふぃー……あるわけないわ……ふぅ、ふぅぅ……」提督はリットリオにのしかかられ、胸の谷間に顔を押し付けられているせいで声がくぐもっている……まるでサンドウィッチから具がはみ出すように提督の脚のつま先と長い髪、それにリットリオの背中に回されている手だけがベッドからのぞいている…

リットリオ「それじゃあもっと愛して下さいねっ…フォルツァ(頑張れ)、提督っ♪」

提督「ふー…はー……それじゃあ…♪」くちゅっ…にちゅっ……

リットリオ「ひゃあっ……んっ♪」髪を振り乱して濡れた花芯を合わせるリットリオ……いつもの親しげな瞳は色情で熱っぽく輝き、その視線を浴びるたびに提督は電撃を浴びたように身体がしびれ、とろっと蜜を垂らした…

提督「もう…まだ満足しないの……?」

リットリオ「はい、こうやって誰かと一緒に昼下がりのベッドにいられると思うたびに……嬉しくて…んくぅ♪」指を唾液で濡らすと自分の花芯に差しいれて「くちゅり…」とかき回しつつ、甘えたような声を上げる…

提督「も、もう……そんな言われ方をしたら私だって優しくしてあげたくなっちゃうじゃない…///」

リットリオ「はいっ、優しくして下さいっ…♪」

提督「あぁ、もう……午後は書類を片づけるからしっかり昼寝をしておきたかったのに…」

リットリオ「ふふ、ごめんなさい…♪」

提督「まぁいいわ…書類なんか明日だっていいもの……それより、今はリットリオがいいわ…♪」

リットリオ「そうですかぁ…それじゃあ私も頑張っちゃいます!」提督の上で膝立ちになり、馬にまたがるように秘部を擦り付けるリットリオ…

提督「あひぃ、ひぅぅ…んぁぁっ、いいっ……あぁぁっ♪」

リットリオ「あふっ、んっ…ふぅっ……どうですかぁ、気持ちいいですかっ?」

提督「はひっ、んっ、んあっ……ちょっとリットリオ…は、激しい……っ///」

リットリオ「んっ、んぅっ…はぁ、んぁぁ……そうですか…ぁ?」

提督「ええ……これ以上…はぁぁ、ん゛あぁっ……されると……腰に…きそう……で…///」

リットリオ「えー?…もう、提督なら大丈夫ですってば…♪」

提督「そう言われても…っ……私が大丈夫じゃないって……ん゛ぁ゛ぁぁっ…言っているのにぃ…っ♪」

リットリオ「あははっ♪…提督ったらよだれ垂らしちゃって、とっても気持ちよさそうですよっ?」

提督「それとこれとは…ひぐぅぅっ……話が別…んはぁぁっ♪」

リットリオ「大丈夫ですよっ、リットリオが優しくしてあげますからっ♪」

提督「り、リットリオの…あぁぁっ!…「優しく」は…っ、超ド級艦基準の…「優しく」だからっ………ちっとも私に…んひ゛ぃぃっ……優しくない…の゛ぉ…っ♪」

リットリオ「えー、そんなことないですってばぁ……んぁぁっ、今の気持ちいいっ♪」

提督「んひぃぃっ…んあぁぁっ///」ぷしゃぁぁ……

リットリオ「わぁぁ、提督のふとももべとべとですねっ…ふふっ、とっても暖かくてぬるぬるしてますっ♪」

提督「……あーあ…今日洗ったタオルケットとシーツなのに……んっ、んぁぁ……っ///」ぐちゅ…にちゅっ……ベッドの上で顔を横に向け、気だるい焦点の合わない目で転がった枕を眺める提督……その間もリットリオは汗を滴らせながら脚を絡めてくる……と、リットリオが時計に視線を向けた…

リットリオ「あ…もう1500時ですね……提督はそろそろ午後の執務に取りかかる時間ですか?」

提督「あー、もう今日はいいわ…こうなったらとことんまで付き合ってあげる……ん…じゅる……ぐちゅっ…///」

リットリオ「ふふっ、提督は優しいですねっ♪」

提督「えぇ、まぁね……全くもう…♪」リットリオの超ド級の色欲に苦笑いしながら滑らかなふとももに舌を這わせた……

………
229 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/12(土) 01:38:29.26 ID:gpKb5FU20
…夕方・工作室…

提督「……そう言うわけで座ったままだけど…ごめんなさいね……うー、腰が……」制帽を脱いで作業台の上に置き、ぐでっ…と工作室の椅子にへたり込む提督……

カヴール「それでこの時間ですか…ふふっ、リットリオは無邪気な所がありますものね♪」

グラウコ(大型潜「グラウコ」級)「……構いませんよ。どうぞ私たちに任せて座っていて下さい」

…濃い青色の瞳としっかりメリハリのある身体をしている大型潜「グラウコ」は妹の「オタリア」(アシカ・オットセイの類)と一緒に、戦前ポルトガル潜として発注されたものの起工直後にキャンセル…イタリア王国が引き取って建造したところ大変優秀で、以後のイタリア大型潜のモデルとなった……と、優等生だけあって何でもそつなくこなせるので、提督に代わってテキパキと建造の準備を進めた…

提督「三人ともありがとう…あいたた……」

オタリア「さすってあげましょうか?」

提督「うー……お願いしていいかしら…」

オタリア「はい、いいですとも…♪」黒褐色のつやつやな髪をしたオタリアが優しく後ろからさすってくれる……

提督「…あ゛ー…気持ちいいわ……しびれが取れるみたい…」

カヴール「ふふ…おばあちゃんの私でさえそんなマッサージをお願いしたりはしませんよ?」

提督「…それはリットリオとえっちしたことがないからよ……どう、大丈夫そう?」

グラウコ「もちろん…準備は出来ました」

提督「ありがとう…それじゃあ……いたた…ぁ」腰やふとももの筋肉のあげる悲鳴に顔をしかめている提督はカヴールに支えられつつレバーに近寄ると、グラウコとオタリアの手に自分の手を重ね、ぐいっ…とレバーを引いた……

グラウコ「さて…これで数時間もすれば、また新しい娘たちが来てくれるわけですね?」

提督「ええ、それで今回の……きゃっ!?」いつもはほのかに青い光を放ちつつ、ゴトゴトと静かな音を立てる、建造装置…通称「ド○ター・フーの電話ボックス」あるいは「お洒落なクローゼット」が突然ガタガタと震え、何回かバフッ…と「咳き込み」をおこした……

提督「…」

オタリア「…」

カヴール「……大丈夫でしょうか」

グラウコ「…あー、こういう時は……」バシッ!…と「電話ボックス」の脇を引っぱたき、一歩下がって様子を見た……

カヴール「えーと……どうやら静かになりましたね」

グラウコ「…この手に限るわ」

提督「あー……それで、建造にかかるのが……144時間っ!?」

カヴール「あら…これはまたずいぶんとかかりますね……」

グラウコ「おおよそ六日と言ったところですね……待ちますか、提督?」

提督「いいえ。いくら私の気が長くても、さすがにそれはないわ……建造装置がどうなっているかも分からないし、今日はこれだけにしておいて…六日後、この建造で誰が来るかを確かめてから、次回の建造に取りかかりましょう」

カヴール「そうですね…もしかして深海棲艦か何かが出て来るかもしれませんし……」

提督「ええ…今の所は建造装置でトラブルがあったとは聞かないけれど…何があるか分からないものね……」

オタリア「あの、提督……ここは小銃を持たせた見張りでも置いた方がいいのではないでしょうか?」

提督「うーん……確かに待機室の中から数人づつ立哨に立ってもらった方がいいわね……それと武器庫から短機関銃を持ち出しておくわ…」

カヴール「でしたら提督には夕食の時にでも、全員にお話しして頂いて…」

提督「ええ、そうするわね……」ゴトゴト動いている建造装置を恐るおそる眺めた…

230 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/15(火) 01:00:37.07 ID:xl/WhS+80
…夕食時…

提督「……という訳でして、グレイ提督とヴァイス提督も工作室へ一人では近づかないようになさってください」…改めて英語で二人に説明する提督

グレイ提督「それであんなに物々しい態勢だったのですね?」

ヴァイス提督「確かに…私も訓練か何かかと思いました」

提督「どうもお騒がせしてすみません…とはいえ何が起こるか分かりませんから」…建造が終わるまでは工作室の前に交代で二人組の見張りを置き、そばには提督が武器庫をひっかきまわして持ち出してきた「ベレッタ・M12S」短機関銃と、イタリアンM14こと「ベレッタ・BM59」オートマティック・ライフルが立てかけてある……


(※ベレッタBM59…7.62×51ミリ口径のオートマティック・ライフル。戦後アメリカから供与されたりライセンス生産したものの旧式化したM1「ガーランド」小銃が余り、これをNATO共通7.62ミリ弾に口径を変更、箱型20連弾倉をつけることでオートマティックライフルに生まれ替わらせたもので、ベレッタAR70/90アサルトライフルの配備まで長くイタリア軍で採用されていた……本家アメリカが同様の経緯でM14を開発するより早かったが、イマイチ知名度は低い)


グレイ提督「いいえ、構いませんわ……あら、どうしたの?」…足下にやって来て尻尾を振り、何かおやつをもらえないものかとグレイ提督を見上げているルチア……

提督「あー、すみません…どうも食い意地が張っている子で……もうないわよ?」

ルチア「ハフッ、ワフッ……ハッハッハフッ…♪」ちょこんと座って首を傾げ、舌を垂らしてグレイ提督を見上げている…

提督「まったく……どうぞ、メアリからあげて下さい」パンをちぎって差しだす提督

グレイ提督「あら、嬉しいです」小さくちぎった欠片を指でつまみ、ルチアに食べさせるグレイ提督……

ルチア「ワフッ…ハフッ……」

提督「もう…これじゃあ食べさせてないみたいじゃない……シャルロッテもあげてみますか?」

ヴァイス提督「よろしいのですか…?」

提督「ええ、もちろん…はい、どうぞ♪」

ヴァイス提督「ダンケシェーン……おいで」

ルチア「ワフッ…♪」

ヴァイス提督「待て……そのまま…」

ルチア「…フゥーン……」

ヴァイス提督「……よろしい、食べてよし!」

ルチア「ハフッ、ハフ……ワンッ♪」数口でちぎったパンを飲み込むと、まだ物欲しげにヴァイス提督の方を見上げている……

ヴァイス提督「あの…カンピオーニ提督」

提督「ええ」

ヴァイス提督「その…足元からどいてくれないのですが……」

提督「それは困りましたね……どれどれ?」テーブルクロスをめくってヴァイス提督の足もとを見ると、ほっそりした白い脚を包む灰色のストッキング…と、その足の脇に寝そべり、時折横目でヴァイス提督の食べる様子を眺めているルチアが見えた……

提督「ふぅ…ルチア、もうないのよ?」

ルチア「…クゥーン?」

グレイ提督「ふふ、こういう時は何もあげなければ勝手にどこかへ行きますわ……実家でもそうでした」

提督「そう言えばメアリは実家に犬を飼っているそうですね…確か黒のラブラドールとウエルッシュ・コーギーだとか……よかったらどんなワンちゃんなのか聞きたいです♪」

グレイ提督「ええ、構いませんよ」食後のコーヒーにキアンティを垂らし、それからイギリス上流階級らしい鼻にかかった英語で話し始めた……


231 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/15(火) 02:01:33.90 ID:xl/WhS+80
………

…十数年前・イギリス東部…

グレイ提督(少尉)「お父様、どうでしょうか?」


…グレイ提督の実家はカンタベリーからそこそこ離れた、森や畑が散らばるのどかな田園地帯にあり、敷地はまるで児童文学「小公子」に出てくる「ドリンコート伯爵」の実家そこのけに広く、屋敷の中ではメイド数人と執事、それに運転手のセバスチャンがいつも控えている…


グレイ伯爵「うむ、よく似合っておる…わしも、わしの父親……メアリから見たらお祖父さんだな……も、若い頃はそうやって慣れない制服に袖を通してはぎくしゃくと動いていたものよ…」暖炉の前で肘かけ椅子に腰かけてマントルピースの上にかけてある先祖の肖像画を指差し、それからグレイ提督が海軍少尉の正装に身を包んでいる様子を誇らしげに眺めた…

グレイ少尉「やはりそうなのですね…お父様?」

グレイ伯爵「もちろんそうだとも…世の中では『アールグレイ』の由来になったグレイ伯爵の方が有名だが、我が家の家系…『リリーフォードのグレイ伯爵家』とて捨てたものではないのだぞ?……古くはネルソンと同時代にナポレオンの野望をくじくため戦列艦を率い、第一次大戦ではジュットランド沖海戦で「フォン・デア・タン」と砲火を交え…第二次大戦ではカニンガム提督と肩を並べ、地中海の枢軸軍を相手に奮闘したのだよ」

グレイ少尉「それではわたくしが海軍に入ったのはいわば必然ですのね?」

グレイ伯爵「うむ、そう言うことだ…何しろリリーフォード・グレイ伯は第一海軍卿こそ輩出してはおらんが、歴代当主はほぼそれに肩を並べる実力を持っていて、海軍上層部にもずいぶんと顔が効くのだ……メアリ、あそこを見てみなさい」(※第一海軍卿…海軍最高司令官)

グレイ少尉「何でしょうか、お父様?」

グレイ伯爵「あれは、当時のフィッシャー第一海軍卿が我が家においでになった際に撮られた写真だ。歴代の海軍首脳部をお招きするのが我が家の伝統で……わしが父上に聞いたところによると、その伝統は英仏戦争の頃にできたものらしいがな……その時は貧しかったものの、後に本国艦隊の司令官にまでなった若手士官を夕食に招いたことから始まっているそうだ」

グレイ少尉「では、わたくしも頑張らなくてはなりませんね?」

グレイ伯爵「そうだな…メアリが艦隊司令官になれば、我が家で夕食会が出来るぞ?」

グレイ少尉「ふふ、それではなおの事頑張りますわね……そう言えばブラッキーのお散歩がまだでした」

グレイ伯爵「あの黒いラブラドールの子犬か。一緒に遊んでやるのは構わんが、まずは正装を脱いで行きなさい……汚してはまずいだろう」

グレイ少尉「分かりましたわ、お父様」

………



グレイ提督「…ラブラドールの「ブラッキー」はわたくしが海軍士官候補生だったころに子犬として産まれ……いまではすっかり立派な成犬ですわ」

提督「なるほど……しかし、その…何というか……」

グレイ提督「なんでしょう?」

提督「…生まれの違いを実感するようなお話でした」

ヴァイス提督「ヤー…同感です」

グレイ提督「そうかもしれませんわね……ですがわたくし、候補生時代にはちゃんと二段ベッドで就寝いたしましたし、自分で服を畳みもしましたわ?」

提督「……それを特別な経験として語ることが出来るのがメアリらしいです」

グレイ提督「あら、これでも訓練係の下士官たちからは「飲み込みがいい」と褒められたものですのよ…♪」

提督「うーん…」

グレイ提督「ふふ…ではコーギーのお話をいたしましょうか」



232 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/16(水) 02:00:44.55 ID:g6SgyiRE0
………

…十年ほど前・ロンドン…


グレイ提督(中佐)「久しぶりのロンドンですが…相変わらずで安心しましたわ」

…それまで東インド艦隊やスカパ・フローのグランド・フリート(本国艦隊)で駆逐隊や巡洋艦戦隊司令官を務めていたグレイ提督は、今度はイギリス南部の「ポーツマス管区」の一司令官として海軍司令部に呼び出された後、数日もらえた休暇を使って家族を呼び、ロンドンでの買い物を楽しんでいた……

グレイ伯爵(父)「うむ、わしも久しぶりにロンドンに来たからな……いつもは我が家へ仕立てに来てもらうが、今日は久々にサヴィル・ロウの洋服屋「キングスマン」に行くつもりだ」

(※サヴィル・ロウ…高級紳士服店が並ぶ通り。「背広」の由来になったとも)

グレイ提督「分かりましたわ……その間わたくしとお母様は服地でも見て参りますわね」

グレイ父「うむ。たまさかの休暇なのだから好きなようにしなさい…アン、君も一緒にいてやってくれるね?」

グレイ伯爵夫人(母)「ええ、もちろんわたくしもお供いたしますわ……何しろメアリの昇進祝いなのですから」

グレイ父「そうか…でもあまり高いのはいけないよ、わしの心臓に悪いからね」

グレイ母「ええ、そうですわね。それではメアリ、一緒に参りましょう?」

グレイ提督「はい、お母様♪」…セバスチャンの運転する「ロールス・ロイス・ファントムW」から降りると母親に手を貸し、優雅な歩調で歩き出す……


…途中の道すがら…

グレイ母「…ふふ、お父様はあなたの記事が「ロンドン・タイムズ」に出ていると、必ず切り抜いているのよ?」

グレイ提督「いかにもお父様らしいですわ……それにしてもグランド・フリートの「クルーザー・スコードロン」(巡洋艦戦隊)の次はいきなりポーツマスとは…ザ・アンドリュース(英海軍)もよほど人材が足りないようですわね…」整った細い眉をひそめるグレイ提督…

グレイ母「それだけ期待されているのよ…私はあなたが誇らしいわ」

グレイ提督「ありがとう…お母様」…と、向こうからやってきた艦娘……頭や耳に控えめな花飾りを付け、甘い匂いをさせた小柄な数人が一斉に駆け寄ってきた……

艦娘「「…グレイ戦隊司令!」」

グレイ提督「まあ、久しぶりね……エリカ(ヒース)にダイアンサス(ナデシコ)、それにクロッカスも」


…大戦初期から商船構造のずんぐりした小柄な船体で荒波に耐え、船団護衛やUボート狩り、掃海、撃沈された船舶の船員救助と駆けまわっていた「花」(フラワー)級コルヴェットはイギリス海軍としては忘れられない功労艦たちで、艦娘の「花」級も小さい身体で深海棲艦のUボートや爆撃機相手によく頑張っていた……グレイ提督も駆け出しの海軍少尉だったころはコルヴェット数隻の戦隊を率いていて、その頃の艦娘たちとひょっこり出くわしたので、お互いに礼を失しない程度に親しげな挨拶を交わした…


グレイ提督「あなたたち、今日は休暇でロンドンに?」

エリカ「はい、司令……失礼しました、中佐……映画「バウンティ号の叛乱」を見てきました♪」

(※「バウンティ号の叛乱」…1935年アカデミー賞の白黒映画。当時にして250万ドルとも言われる巨額の製作費で作られた、実話をもとにした傑作映画…後に数回リメイクされている)

グレイ提督「そう。あの映画は指揮官にとってはいい教訓になる映画だったわ」

ダイアンサス「あ…そう言えばグレイ司令、中佐への昇進おめでとうございます」

グレイ提督「ありがとう、ダイアンサス……今の戦隊司令はいい方かしら?」

ダイアンサス「おかげ様で立派な海軍士官の方です……とはいえグレイ司令ほどではありませんが」

グレイ提督「ありがとう」

クロッカス「グレイ戦隊司……中佐はおかあさまとお出かけですか?」

グレイ提督「司令でいいですよ…ええ、そうですよ……お母様、こちらは私の最初の艦娘たちの一部で「フラワー」級コルヴェットの「エリカ」「ダイアンサス」「クロッカス」…三人とも、こちらは私の母親…リリーフォードのアン・ベアトリクス・グレイ伯爵夫人」

三人「「初めまして」」

グレイ母「初めまして…可愛らしい娘さんたちね」

グレイ提督「可愛らしいだけでなく、護衛任務ではずいぶんと頑張ってもらいました……私は今度ポーツマスですから、良かったらお手紙をお書きになってね?」

三人「「はい、戦隊司令♪」」

グレイ提督「それでは、また会いましょうね」

グレイ母「……あなたはずいぶんと艦娘の子たちに好かれていたようで、お母様は嬉しいですよ」

グレイ提督「別段彼女たちに気に入られるようなことはしておりませんでしたわ」

233 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/16(水) 03:02:17.32 ID:g6SgyiRE0
…しばらくして・車内…

グレイ提督「……さてと、わたくしたちの買い物は終わりましたけれど…お父様はまだ時間がかかりそうですわね」

グレイ母「そうね…それではセバスチャンにそう言ってデパートでも見て回りましょう?」後ろから声をかけようとするグレイ伯爵夫人…

グレイ提督「ええ……あら、あの娘は…?」

グレイ母「あの艦娘の子も知り合いなの、メアリ?」

グレイ提督「ええ…車を停めて、セバスチャン?」

褐色の艦娘「困ったナァ……」

グレイ提督「…お久しぶりね、ソマリ?」イギリス海軍士官としての習慣から、つい手を後ろに組んで話しかけるグレイ提督…

ソマリ(トライバル級駆逐艦)「…あ、グレイ戦隊司令!?」休暇らしく色鮮やかな民族衣装に身を包み、霧のロンドンではひどく目立つ褐色の肌をしている「トライバル」(部族)級駆逐艦「ソマリ」が、表通りから少し入った薄暗い道端でしゃがみこみ、困ったような顔をしている……

グレイ提督「ええ、わたくしですよ……こんなところでどうかなさったの?」

ソマリ「あの、それが……」ロンドンの高級な街区にはなはだふさわしくない薄汚れた段ボール箱を持ち上げて中を見せる…

グレイ提督「まぁ、子犬…?」

子犬「クゥーン…」小刻みにぶるぶると震えている小さな犬が数匹、段ボールに入っている…

ソマリ「はい、そーなんです…どーも捨てられているみたいなんですが、お店の人に言っても引き取ってくれる訳もないし……スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)を呼びたくても、電話も持ってなくて……そもそも私の英語じゃあんまり通じないから…」訛のきつい英語で困ったように子犬を見おろす…

グレイ提督「あなたの所属する駆逐隊でも引き取るのは難しいものね……分かりました」

ソマリ「何ですか、司令…?」

グレイ提督「その子犬はわたくしが何とかいたしますわ……あなたは休暇を楽しみなさいな」

ソマリ「でも司令……司令だって休暇中でしょ?」

グレイ提督「…大英帝国海軍のモットーは何かしら、ソマリ?」

ソマリ「『見敵必戦』です、司令」

グレイ提督「そうね…ですからわたくしもここで、この子犬たちを見捨てる訳には参りません……さ、わたくしにその箱をお貸しなさい?」

ソマリ「でも…この箱汚いですよ、司令?」

グレイ提督「構いません……セバスチャン、この箱を後部座席に置いてもらえる?」

セバスチャン「はい、お嬢さま……おや、この子犬はコーギーですね」

グレイ提督「ええ、そのようですわね…お父様と合流したらすぐに獣医の所に連れて行きますから」

セバスチャン「承知いたしました、お嬢さま…」

グレイ提督「ソマリ、よかったら乗っていきますか?」

ソマリ「平気です、司令……それよりその子犬を獣医のせんせーに見せてあげてください」

グレイ提督「ええ、それはわたくしが淑女の名誉にかけて守りますわ」

ソマリ「よかった…♪」

グレイ提督「ええ、わたくしもそう思いますわ」

………



グレイ提督「…というわけで、まだ尻尾も切っていなかった数匹のウェルシュ・コーギー・カーディガンを引き取り、里親のなかった一匹をわたくしが飼うことにいたしましたの」

提督「……優しいんですね、メアリは…ぐすっ……」

グレイ提督「まぁ…何も涙ぐむほどの事ではございませんでしょうに……わたくしは淑女としてするべきことをしたまでですわ?」

提督「…いえ、それが出来ない人は大勢いますから……それにしても子犬を捨てるなんて…」

グレイ提督「全くですわ」

提督「……それで、そのコーギーにはどんな名前を付けたのです?」

グレイ提督「ええ…わたくし、その子が立派に育つよう「アーサー」と」

提督「ふふ、それは立派に育ちそうですね…♪」

………
234 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/17(木) 01:30:23.91 ID:GdeMMabu0
…二日後…

提督「はー…建造装置から何が出て来るか分からない手前、鎮守府を留守にする訳にもいかないし……かといって書かなきゃならない書類はもうないし……暇で仕方ないわ…」万年筆をもてあそびながら所在なげにしている提督…

カヴール「そうですねぇ、だからと言ってお茶を飲み続ける訳にも参りませんし……映画はどうですか?」

提督「朝から映画なんて見たら、もう何もやる気にならなくなっちゃうわ。それにせっかくいい天気だから、何かこう…お日さまとたわむれたい気分なの」

カヴール「同感ですね……それではあれこれと思い悩む前に、とにかく庭に出てから考えませんか?」

提督「ええ、それもそうね♪」立ちあがって制服を脱ぎ捨て、シンプルなワンピースに着替える提督…

カヴール「ふふ、それでは私もお供いたします…♪」こちらは膝丈で淡い青灰色のサマードレスに革のサンダルを履き、つばの大きい貴婦人のような帽子をかぶっている…


…鎮守府・菜園…

提督「…うわ、しばらく見ない間にずいぶん茂ってくれちゃって……」

…鎮守府の横手にあるハーブと野菜の畑は晩夏の日差しに照らされて、畝には赤く熟れきったトマト、青々としたバジル、ほど良く色づいて艶やかな唐辛子…それに育ちすぎてちょっとした灌木サイズになっているセージがぼさぼさと生えている……提督は肩をすくめて裏手の物置に行き、小ぶりなハサミを持ちだした……

カヴール「お手伝いいたしましょうか?」

提督「大丈夫、それにたまにはこういう作業もいいわ…♪」むっと蒸れているセージのやぶの下に風が入るよう、腰掛けに座り込んでパチリパチリとハサミを入れていく提督…麦わら帽子をしていてもカーンと照りつける日差しは厳しいが、時折海からのそよ風が優しく頬をなぶっていく…

ジュッサーノ「あ、提督……何もこんな暑い時にやらなくたっていいじゃない?」たまたま通りがかったジュッサーノがあきれたように首を振る…

提督「だって午後になったらもっと暑くなるし…それにこんなになっていたら放っておくわけにもいかないでしょう」

ジュッサーノ「提督ったら律儀なのね…何か私に頼みたいことは?」腰に片手を当てて、もう片方の手のひらを上に向けた…

提督「そうね、それなら厨房からレモン水でも持ってきてほしいわ……」

ジュッサーノ「了解、ちょっと待ってて?」

提督「ええ……ずいぶん刈り込んだけれど、これでどうかしら?」

カヴール「なかなかいい具合に見えますよ♪」周囲には切られた枝や茎が散らばり、つんと香ばしいセージの香りと、日差しに照らされて光を発しているような紅いセージの花が風に揺れている…

ジュッサーノ「はい、お待たせ…ちなみにディアナから伝言で「一緒にお塩も補って下さいね」ですって……それじゃあ、チャオ♪」

提督「ええ、ありがとう」お盆を受け取るとカットグラスの水差しに入ったレモン水をグラスに注いで、ごくごくと飲み干す……お盆の上にはローストしたピスタチオの小皿も載っていて、提督はさっそく一つ割った…

提督「…カヴールもどう?」割ったピスタチオをつまんで差しだす…

カヴール「わたくしはレモン水の方をいただきます…♪」

提督「そう、それじゃあ暑気あたりにならないようにいっぱい飲んでね?」カリッ…とピスタチオを噛みしめ、一つまたひとつと口の中に放り込んでいく……口がパサつくとカヴールからグラスを受け取り、氷の入ったレモン水をあおる…

提督「ふー……すっかり喉の渇きは収まったわ…カヴール、私が切った枝を運んで行く間にお盆を戻してきてくれないかしら?」

カヴール「ええ、分かりました」…お盆を受け取り、ゆったりとした優雅な歩き方で厨房に向かうカヴール……その間に提督は一輪の手押し車を持ち出し、切った枝を積み込んで裏手…地面に穴を掘って果物の皮やコーヒーの引きかすを放り込んである肥料置き場…に持って行った……

カヴール「戻りましたよ、提督」

提督「お帰りなさい……ふー、すっかりいい汗をかいちゃったわ…浜辺のパラソルの下で涼みましょう?」

カヴール「ええ、それがよろしいです♪」

…鎮守府・浜辺…

提督「うーん、やっぱり海はいいわねぇ…」金色の砂浜にしゅうぅぅ…と音を立てて打ち寄せる白い波の花と、濃い青色の海……明るい白と濃い青のパラソルに涼しげなデッキチェア…抜けるような青い空と白いはぐれ雲……

カヴール「いつ見ても見飽きませんものね…」

提督「ええ…それじゃあゆっくりするとしましょうか?」

カヴール「ふふ、私はこれまでもずいぶんゆっくりさせてもらいましたが…提督が一緒ですと不思議と飽きませんね」

提督「あら///」

カヴール「うふふっ…ちょっとおセンチでしょうか?」

提督「いいえ……嬉しいわ♪」軽くウィンクをすると服からセージの葉っぱを払い、デッキチェアに寝ころんで伸びをした…

235 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/17(木) 02:27:35.65 ID:GdeMMabu0
提督「んー、気持ちいいわね……でもちょっと汗でベタベタするわ…」眉をひそめて自分の服を見おろす提督…と、褐色の艦娘が弾むようにして提督のそばに駆け寄ってくる……

リベッチオ「チャオ、提督っ…私たちと一緒に遊ばない?」よく日に当たっているせいか、褐色に日焼けしているリベッチオ……そして鎮守府の周辺が立ち入り禁止区域なのをいいことに、しょっちゅう全裸で日光浴をしたり水遊びをしているせいで、全身が綺麗にむらなく焼けている…

提督「そうねぇ…今日はなんだか身体を動かしたい気分だから……ええ、お付き合いするわ♪」

リベッチオ「やったぁ…それじゃ一緒に行こっか♪」

提督「はいはい…カヴールも来る?」

カヴール「いいえ、私のようなおばあちゃんでは駆逐艦の娘たちにはついて行けませんから……リベッチオ、あんまり提督を引っ張りまわしちゃだめですよ?」

リベッチオ「はぁい♪」

提督「ちょっと、あんまり引っ張らないで…ふふっ♪」提督は腕を引っ張るリベッチオの張りのあるヒップやきゅっと引き締まったふくらはぎを見て、すっかりニヤけている…

リベッチオ「何がおかしいの?」

提督「いいえ、何も……んふふっ♪」

リベッチオ「ふふ、おかしな提督…♪」

提督「…かもしれないわね♪」

…波打ち際…

リベッチオ「お姉ちゃん、提督を連れてきたよっ♪」

マエストラーレ「え、ちょっと…///」まだまだ裸には抵抗がある長女「マエストラーレ」は褐色の肌を際立たせる白いフリル付きのビキニスタイルで、提督を見て顔を赤らめた…

グレカーレ「ふふっ…ようこそ、提督♪」きゅっと引き締まって張りのある艶やかなお尻に、ほど良く控えめでつんと尖った胸…活発な駆逐艦らしい身体と、褐色の肌を際立たせる日焼け用オイルが目にまぶしい…

シロッコ「これはこれは……」全裸は恥ずかしいと思ったのか、一応水着を着ているシロッコ…が、明るい水色の水着からは乳首が透けて見え、あそこの割れ目もくっきりとシルエットになって浮き出している…

提督「ふふっ…それじゃあどうやって遊びましょうか♪」

グレカーレ「うんっ…さっきまで水のかけっこをしていたんだけど……提督はサマードレスだから…うーん」

提督「…それじゃあ脱ぎましょうか?」

マエストラーレ「え、ちょっと…!?」

提督「私は別に構わないわよ…リベッチオだって裸だし、別に街中で脱ぐわけじゃないもの♪」

リベッチオ「それじゃあ提督も脱いじゃおっか♪」

提督「…お腹がたぷたぷんしていても笑わないでね?」

グレカーレ「大丈夫、笑わないよ…それにむっちりした身体の方が好みだし///」

提督「あら、お上手……それじゃあ、よいしょ…と♪」連絡用の携帯電話を首から外し、ワンピースとショーツも脱いでリベッチオたちのデッキチェアにまとめて置いた……汗で蒸れていた胸の谷間やふとももの間に風が入ってきて心地良い…

リベッチオ「おぉー♪」

グレカーレ「へぇぇ…♪」

マエストラーレ「わ、わっ…///」

シロッコ「おぉ、これは……まさに私は歴史の立会人になったな…///」

提督「はぁぁ…涼しい……気持ちいいわね、これ♪」

リベッチオ「ね、気持ちいいでしょ…提督っ?」

提督「ええ……普段はなかなかこんなことできないもの…あなたたちに見られているからちょっとくすぐったい気分だけれど……いいものね」

リベッチオ「ふふーん……それっ♪」ばしゃっ!

提督「きゃあっ…もう、奇襲攻撃とはやってくれたわね♪」ざばぁ…っ!

リベッチオ「だって提督がぼーっとしてるか……わぷっ!?」

グレカーレ「ふふ、リベッチオにかかりきりでこっちがお留守だよ…提督っ!」ばしゃん!

提督「んっ、この…ぉ♪」

グレカーレ「…っ、ぷはぁ!」

シロッコ「うっぷ……えぇい、やってくれるわね!」

マエストラーレ「むぅ、こうなったら私が指揮を執るわ!…リベッチオは右、シロッコは正面から牽制攻撃、グレカーレは私に続いて!」

提督「うっぷ、ぷはぁ…っ!」
236 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/05/18(金) 02:12:14.12 ID:UI02SxFd0
リベッチオ「ほぉら、こっちだよっ♪」ばしゃ!

マエストラーレ「えいっ…!」ばしゃん…っ!

提督「…っ!」ちょこまかとあたりを駆け回り、威勢よく水を浴びせかけてくるマエストラーレたちを持て余し気味の提督…次々とつるべ撃ちに水をかけられて息をつく暇もない……

シロッコ「それっ…!」

提督「ぷは……もうっ!」提督は周囲を取り囲んでいるマエストラーレたちの包囲を抜けようと、バシャバシャと駆け出した……が、もとより走るのは苦手な上にふくらはぎ辺りまで水に浸かり、さらに砂に足を取られている状態では上手く走れる訳もなく、たちまち情けない具合につまづいた…

リベッチオ「わわっ…!」

提督「きゃあっ…!?」リベッチオを巻きこみ、派手な水しぶきを上げて飛び込む形になった提督…

マエストラーレ「ちょっと、二人とも大丈夫!?」

提督「ええ…どうにか。…私はいいけれど、リベッチオは……?」ぷーっ…と口に入った海水を吐きだし、海水で痛む目をしきりにぱちぱちさせながらも様子を見ようと上半身を起こした…

マエストラーレ「リベッチオは……えーと…///」

提督「どうなの?…怪我とかしていない?」

リベッチオ「大丈夫だよ、提督……///」ひっくり返った提督の上に抱き着く形でしがみついているリベッチオ…提督のお腹にきゅっと固くなった胸の突起が当たっている…

提督「あ、あー…転んだ時にすりむいたりしなくてよかったわね、リベッチオ」

リベッチオ「う、うんっ…提督が下敷きになってくれたからだと思うな…///」リベッチオの褐色の肌が提督のクリーム色をした肌に重なり、お互いの火照った身体の熱がじんわりと伝わってくる…

提督「そう、それはよかったわ…ね?」…と、はしゃぎまわったせいかすっかり頬を紅潮させているリベッチオが提督の身体に手をかけると、跳び箱を跳びそこねて上に乗ってしまった時のようにして、ずりずりと胸元の方へ這いずってきた…

リベッチオ「ねぇねぇ、提督…///」

提督「…な、なぁに?」リベッチオのぽーっと熱っぽい瞳につんと尖った形のいい乳房…ぷりっとした唇を半開きにして、波打ち際で両手を投げだしてひっくり返っている提督をじっと見おろしている…

リベッチオ「せっかくだし…「ちゅぅ」……しよっか♪」

提督「えっ…で、でも……マエストラーレたちも見ているわよ…?」

リベッチオ「いいよ…むしろお姉ちゃんたちに見せつけちゃおうよ……♪」

提督「そ、それに……だって…」

リベッチオ「……言っておくけど、私は提督よりオトナだよ?」無邪気な笑顔を浮かべると、提督のたわわな乳房に手を這わせた…

提督「あんっ……んっ♪」小さいリベッチオの手が固くなった胸の先端をつまみあげ、もっちりした乳房をこねくり回す……

リベッチオ「えへへ、提督ってばいやらしい声を上げちゃって……んちゅぅぅ、ちゅぅぅ…♪」

提督「んちゅぅ…ちゅっ…そ、それはリベッチオの触り方がいやらしいから……あんっ、んふぅ…っ♪」お互いにしょっぱい唇をむさぼり、汗をかいたせいですっかり水気が無くなったねばつく舌をにちゃにちゃと絡める…

リベッチオ「なーんだぁ、提督ってばすっかりえっちしたい気分なんじゃない…っ♪」

提督「んんぅ……だってそんな風にされたら…身体がうずいて……///」

リベッチオ「あれ、じゃあさっきの「マエストラーレたちに見られているから」…っていうのはどうしたのかな?」

提督「だ、だから…リベッチオはお姉ちゃんたちに見られながらなんて恥ずかしいこと……」

リベッチオ「私は平気だよっ?……それとも、うぶな提督にはできないかな…っ?」

提督「ふふっ…むしろたまらないわ♪」くちゅ、にちゅっ…♪

リベッチオ「えへへっ、そうじゃなくっちゃ……あ、提督のここはとっても暖かいねっ♪」ぬちゅっ、ぐちゅぐちゅっ♪

提督「あんっ、そんなこと言って…リベッチオこそとろとろで指が吸い込まれそうよ……あっ、んぅぅ♪」くちっ、にちゅっ…♪

マエストラーレ「ばか、二人とも信じられないっ!…わ、私たちの目の前で……っ///」

グレカーレ「まぁまぁ姉さん、そう怒らないで……今度ライモンドを誘ってやってみようかな…///」

シロッコ「…こ、ここは「歴史の立会人」としてじっくり眺めておかねば……おぉぉ///」

リベッチオ「……ねぇ見てみて、提督?…お姉ちゃんってば顔を真っ赤にしてるくせに、穴が開きそうなほどこっちを凝視してるよ?」

提督「ふふっ…リベッチオがおませさんだからでしょう?」

リベッチオ「あははっ、お姉ちゃんが引け腰なだけだってば……マエストラーレお姉ちゃーん、ちゃんと見てるぅ?」提督の上にまたがりながら片手を振る…

マエストラーレ「も、もう…ばか、スケベ、変態っ…私は先に戻るから勝手にいちゃついてなさいよ…っ///」

リベッチオ「あらま、行っちゃった……それじゃあ…リベッチオがもっと気持ち良くしてあげるね……かぷっ♪」身体をすり寄せると耳元でささやき、それから耳たぶを甘噛みした…

提督「んっ、あぁぁんっ…んはぁぁ♪」びくびくっ…ぷしゃぁぁ……

237 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/19(土) 01:21:59.42 ID:f0pFhuZr0
………

…しばらくして・パラソルの下…

リベッチオ「んー…冷たくって美味しいねぇ♪」そばに脱ぎ散らかしている服の上に携帯ラジオを置いて番組を流しつつ、冷たいカフェラテをストローですすりながら、デッキチェアの上にひっくり返っているリベッチオ…よく引き締まった褐色のお腹、ほっそりした腕、つるりとした下腹部を、海水の雫がつぅーっ…と流れていく……

提督「…うー…リベッチオはとっても可愛かったけれど……あぁ、もう…///」隣のデッキチェアでは提督がカフェラテをすすりながら頭をかかえている…

リベッチオ「えへへ…でも気持ち良かったし、開放感があってよかったよ?」

提督「そ、そう…?」

リベッチオ「うんっ♪」

提督「な、ならお互いに同意の上と言うことでいいかしら…?」

リベッチオ「もちろん。提督とならいいに決まってるよっ…ちゅっ♪」

提督「んふふっ……なら安心ね♪」

カヴール「あら、そうですか…ちなみに私も一部始終は見物させていただきました♪」

提督「!?」げほっ…と、コーヒーにむせる提督…

カヴール「うふふ、それにしても提督は…太陽の出ている間からずいぶんとお盛んでいらっしゃいますね♪」

提督「あ、あー…それはその……」と、ラジオから60年代の音楽が流れ始めた……とっさにラジオに手を伸ばし、音量を上げる…

ラジオ「それでは『懐かしのイタリアン・メロディー』…今度の一曲は61年のパワフルなロック・ナンバーをお送りいたしましょう!」

提督「わ、わぁ…ちょうど一曲聞きたかったのよねー……」

カヴール「あら、そうですか…♪」

ラジオ「…当時歌ったのはリトル・トニー、そして作曲者でもあるアドリアーノ・チェレンターノ……61年の「サン・レモ音楽祭」では二位に入賞したナンバーです……『ヴェンティクァトミア・バーチ!』」(※Ventiquattromia Baci…日本での曲名は「二万四千回のキッス」)



ラジオ「♪〜…アーマぁーミぃぃ…ティ…ヴォッリォ……ベーネぇぇ…!」
(♪…愛しておくれよ……好きなんだ!)


「♪〜コンヴェンティクァトミア、バぁぁーチぃ!…オッジ、サプラィ、ペルチェラモーレ!…ヴォレ、エニスタンテ、ミレバぁーチぃぃ!ミレカレッツェ、ヴオーレ、アロぉぉーラ!」
(♪〜二万四千回のキッスでいま知るんだ!…恋には一度に千回のキッスと、一時間に千回の抱擁がいるわけを!)

「♪〜コンヴェンティクァトミア、バぁぁーチぃ!…フェリシコロノ、レ、オぉぉーレ!…ドゥ、ジョルノ、スプレンディド、ペルチェ…オッニ、セコンド、バチォ、テ…!」
(♪〜二万四千回のキッスで時は幸せに過ぎ、素晴らしい一日になる…一瞬一瞬が君にキッスをする!)

「♪〜ニエンテ、ブジ、メラヴィリオぉーセ…フラシィダモレ、アパッシォナぁぁーテ……マ、ソロ、バァチ、キエドぉ、ア、テぇ…イェー、イェー、イェー、イェ、イェー、イェ!」
(♪〜可愛らしい嘘も、アパッシォナート(情熱的)な愛の言葉も要らない…君にあげるのはただただキッスだけ!)




提督「♪〜……コンヴェンティクァトミア、バぁーチぃ……コシ、フレネティコ、エラモーレぇぇ…イン、クェスト、ジォルノ、ディ、フォーリア…オッニ、ミヌート、エ、トゥト、ミーオぉぉ…!」
(♪〜二万四千回のキッスで恋に狂った、あの日の激しさ…あの一瞬一瞬が全て撲のもの…!)

カヴール「まぁ…///」

提督「……んちゅ、ちゅうぅぅ……んふぅ、ちゅっ…ちゅぷっ…んちゅるっ……ちゅくぅぅっ…♪」

カヴール「あふっ、んぅぅ///…んちゅ、んんぅ、ちゅく…れろっ……むちゅっ…ちゅぱ……」

リベッチオ「二人には曲の続きは必要なさそうだね…っ♪」邪魔にならないようにラジオの音量を下げた…

………
238 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/19(土) 02:21:34.54 ID:f0pFhuZr0
提督「はぁ、はぁ…はぁ……まさか気を失いかけるまで放してくれないとは思わなかったわ……ふぅぅ…」

カヴール「だって……提督があんな事をおっしゃるんですもの…///」

提督「ひぃ、ふぅ……さすがに息が切れちゃって……はぁ…」

カヴール「ふふ、情熱的で素敵でした…♪」

提督「……今度は私がのびちゃう前に切りあげて欲しいわ…」そう言ってもう一度デッキチェアにひっくり返る提督……長い髪はデッキチェアの布地の上いっぱいに広がり、滝のように左右に流れ落ちている……淡いクリーム色をした汗のしたたる裸身に「たゆんっ」と揺れる丸っこい乳房…相変わらず肉付きが気になるすべすべのお腹周りに、張りのある白いむっちりしたふともも……

カヴール「いいえ、ダメです。さっきのは浮気な提督へのお仕置きなんですから……提督に主導権はありません♪」

提督「ふふ…あれが浮気のお仕置きなら、毎日でも浮気しちゃおうかしら♪」

カヴール「……そういうことをおっしゃるなら、私も別な案を思いついてしまいますよ?」

提督「むぅぅ…それなら仕方ないわね……ところで沖合で泳いでいるのは誰かしら?」

リベッチオ「えぇ…と……ごめんね、あれだけ遠いと良く分からないかも…カヴールには見える?」

カヴール「ええ、スクアロ級の「デルフィーノ」ですよ」

提督「通りで泳ぎが早いと思ったわ…ほら、もうそこまで来ているわ♪」

デルフィーノ(スクアロ級中型潜「イルカ」)「…ふぅ……あれ…さ、三人そろって私を見てますけど…私がどうかしました…かぁ///」デルフィーノは濃いグレイと淡いグレイで出来たツートンカラーのぴちっとした競泳用水着に身を包み、妙にもじもじとお股のところを押さえている…

提督「いいえ。デルフィーノは泳ぐのが速いわね…っていうお話をしていた所よ。よかったら冷たいカフェラテでもいかが?」

デルフィーノ「い、いえっ…大丈夫ですから……///」

提督「そう…?」

デルフィーノ「え、ええ…デルフィーノは大丈夫です…ぅ///」

提督「ならいいけれど…暑気あたりを起こさないようにちゃんと水分はとるのよ?」…と、たたんだ服の上に置いてある携帯電話が「ヴーッ、ヴーッ」と震えだした……

デルフィーノ「…えっ、ちゃんと切ったはずなのに…ぃ!?」

提督「うわ……もうこんな時に限って…はい、もしもし?」

デルフィーノ「……あ、提督の携帯電話でしたかぁ…///」

カヴール「?」

リベッチオ「…んっ?」

デルフィーノ「あ、いえっ…なんでもないですぅ……ふぅ、いけないいけない…っ///」顔を妙に赤らめたまま、歩いて行こうとするデルフィーノ…

提督「…デルフィーノ、ほどほどにね?」通話口を押さえてから背中に向かって声をかけた…

デルフィーノ「は、はい…っ///」

カヴール「提督…何が「ほどほどに」なのですか?」

提督「ふふっ…まぁ何をするにも「あんまり夢中になり過ぎないで」…って言うところかしらね?」

カヴール「えぇ、それはまぁ……そうでしょうけれど…?」

提督「まぁ気にしないで?…もしもし……あら、ジェーン♪」電話の相手がノーフォークのミッチャー提督と分かって声が跳ね上がる提督…

ミッチャー提督の声「ハーイ、元気にしてる?」

提督「ええ、おかげさまで元気よ……この時間だとそっちは時差で大変じゃないかしら?」

ミッチャー提督「センキュー、お気遣いどうも…いや、実を言うと今日は寝ずの当直をする日でね……暇で仕方ないから、真っ黒けなコーヒーとまずいチキンサンドウィッチをお供に電話しているわけよ」

提督「あら、大変ね……でも大丈夫?」

ミッチャー提督「…ワッツ(何が)?」

提督「私の携帯電話は秘話回線じゃないのに、「アメリカ海軍のサンドウィッチがマズイ」なんて重大な機密情報を話しちゃって…♪」

ミッチャー提督「あっはははは…そいつはもうモスクワからサンタクロースまで、全世界の人間が知ってるわ♪」

提督「ならいいけれど…それじゃあ……『せんせー、アメリカ海軍の潜水艦はどのぐらい深くもぐれゆの?』」舌っ足らずな赤ちゃん言葉で冗談めかした…

ミッチャー提督「はい、我らがアメリカ海軍の公式解答は『セイルが隠れるくらいまでは潜れます』よ…♪」

提督「うふふっ…♪」

ミッチャー提督「あはははっ♪」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/19(土) 13:18:05.39 ID:PSjND+cYo
デルフィーノをもっと詳しくお願いします
240 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/20(日) 00:43:54.79 ID:WYZVcsNZ0
>>239 了解、少々お待ちを…それにしても頭のいい海生哺乳類だけあってイルカの自慰は想像の斜め上を行っているらしいです……何でも数匹でフグをつつき回して毒(テトロドトキシン)を放出させて、ほど良くキマってるところでするのだとか……


…ちなみに以前出てきた「バニラエッセンス」の小瓶ですが、またどこかで騒ぎを起こす予感が……
241 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/21(月) 01:49:06.91 ID:986TNdHx0
提督「それで、ノーフォークに戻ってからはどんな具合?」

ミッチャー提督「ウェ…ル(そうね)、最近は北大西洋もだいぶ静かになったわ。で、大戦の時と同じく北大西洋の西半分はこっち…東半分はイギリスの連中が請け負うことになってるわ」

提督「イギリス海軍ねぇ……ちなみに共同作戦の時はどんな具合?」

ミッチャー提督「まぁ、とにかく頑固ね…こっちがどんなにいいものを貸してやろうとしても、絶対に受け入れないわ」

提督「…ふふっ、確かにイギリス海軍にはそう言うところがあるわよね……いま交換プログラムで来ている「ジブラルタル第二」の司令官も、そう言うところがあるもの♪」

ミッチャー提督「ジブラルタル第二……ねぇ、もしかしてその提督って、「グレイ」とか言うガチガチの貴族だったりする?」

提督「えぇ、そうよ…「リリーフォード・グレイ伯爵令嬢」のメアリ・グレイ少将だけれど……なぁに、知り合いなの?」

ミッチャー提督「あー…以前数回ばかしUボート狩で共同作戦をやったことがあるんだけど、まぁ絵に描いたようなイギリス貴族でさ……その時はあちらさんの艦載機があんまりだから、こっちのF4F「ワイルドキャット」とTBM「アベンジャー」を提供するって言ったんだけど……」

提督「言ったけれど……断ったのね?」

ミッチャー提督「ザッツ・ライ(その通り)…あのすまし屋のレディときたら「そちらの機体はイギリス空母で運用するには自重が重く、少々不便な所がありますので……お気持ちだけ受け取っておきますわ」とか言って受け取らなかったわ……自分の所には「フルマー」と「ソードフィッシュ」しかないくせに」


(※フェアリー・フルマー…戦前から第二次大戦初期にかけて運用されたイギリス艦上戦闘機。デザインは液冷エンジンと言うこともありすっきりしていて「スピットファイア」のようではあるが、戦前のイギリス海軍航空隊の考えによると「パイロットの単独洋上飛行はレーダーや誘導装置、あるいは航法技術が未発達のため危険」と言うことで、ナヴィゲーター(航法士)の席を付けた縦列複座の機体として開発された…当然搭乗者二人分の艤装などで重量が増え、低性能の艦上戦闘機となってしまった……それでも爆・雷撃機の迎撃や哨戒・連絡等には使われたが、わざわざ生産ラインを別にしなくとも「ハリケーン」や「スピットファイア」の艦上型で十分と、徐々に前線から下げられていった)


提督「あー…メアリなら言いそうね」

ミッチャー提督「ちっちっちっ…フランチェスカ『メアリなら言いそう』じゃなくて、実際に言われたのよ……しかも北大西洋だっていうのに、駆逐艦の航海艦橋は後ろが開いてる露天だし…主砲だって砲塔じゃなくてちょっとした防盾しかないのよ?」

提督「あー…それはメアリに言わせると「航海艦橋が露天なのは風や天気を肌で感じることで気象の変化を敏感に感じとり、シーマンシップの涵養(かんよう)にも役立つ」からで、旧型駆逐艦の主砲が全周で覆われていないのは「手動旋回なので重量軽減のため」だそうよ」

ミッチャー提督「はぁ…全く、イギリス海軍ときたらそんなことばっかり言ってるのよ……」

提督「でもメアリは艦隊の運用が上手よ?」

ミッチャー提督「そりゃあ、あれだけやってればね……そう言えばそっちの基地祭はそろそろじゃなかった?」

提督「ええ、あと一か月くらいね」

ミッチャー提督「そっか。あーあ…そっちの食べ物は美味しいし、その時に行ければ良かったわ……」

提督「まぁまぁ、ジェーンだってノーフォークでバーベキューとかをするんでしょう?」

ミッチャー提督「ええ、するわよ…もっとも、最初の時は散々だったけど」

提督「…と言うと?」

ミッチャー提督「えーと、あの時だから……数年前って所かしら」

………

…数年前・ノーフォーク鎮守府…

ミッチャー提督「オーケー、ガールズ……今日は好きなだけ食べて頂戴。もちろんビールもね!」鎮守府のコンクリート舗装した波止場の脇で、瓶ビール片手に、数百人の艦娘たちに向かって大声を張り上げた……そして目の前には大きな「バーベキュー用」の鉄板が置いてある…

一同「「センキュー・マーム!!」」…食べ盛りの駆逐艦や空母の艦娘たちが泡の立つ「バドワイザー」を喉に流し込み、脂がじゅうじゅうと跳ねるTボーンステーキや巨大ソーセージにかぶりつく…

ミッチャー提督「あはは、お礼なんていいって……それじゃあ私もいただこうか…な?」

エンタープライズ「どうかした、マーム?」

ミッチャー提督「いや…ちょっとこの肉、妙に油臭いような気がしたんだけど……」

エンタープライズ「そう?…いっぺんにこれだけ焼いているし、マームったら油酔いでも起こしたんじゃない?」

ミッチャー提督「そう言われればそうかもね…オーケー、じゃあ冷たいやつですっきりさせるわ♪」氷の詰まっているクーラーボックスからバドワイザーを取り出し、王冠を鉄板の縁で跳ね上げた…

ミッチャー提督「あー、うまい……それじゃあこのでっかいスペアリブを…♪」

フレッチャー「マーム、これ美味しいわね!」

ミッチャー提督「ふふーん…何しろ私の「オリジナル・バーベキューソース」で味付けしておいたからね……いっぱい食べな?」

フレッチャー「アイアイ・マーム♪」

………

242 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/21(月) 02:36:52.90 ID:986TNdHx0
提督「楽しそうで何よりじゃない…それがどうして「散々なこと」になっちゃったの?」

ミッチャー提督「いや、それがね…私とフレッチャー、それに「ビッグE」で買い出しに行っている間に「何かバーベキュー用の鉄板を見つけておいてちょうだい」ってうちの娘たちに頼んでおいたんだけど……なんとまぁ、それが倉庫に放り込んであったまっさらな仮舗装用の鉄板でね…つまり工業用オイルがついていたらしいのよ」

提督「うわ…ぁ」

ミッチャー提督「私も最初のバーベキューでハチャメチャに忙しかったから、そこまで見ている余裕がなくってね……まぁおかげで大変だったわ」

提督「でしょうね、工業用オイルなんてついている板でバーべキューなんてしたら……数十人はお腹を壊したでしょうし…」

ミッチャー提督「…それが笑えることに、お腹を壊したのは私一人なのよ?」

提督「え?」

ミッチャー提督「なんと、うちの艦娘たちはお腹いっぱいで何事もなくケロッとしてるの…そのせいで私がお腹を壊したのは「マームが食べ過ぎたか飲みすぎたかしたせいだ」って言われるし、こっちはソーナーで捉えたソ連のイカれた原潜みたいにお腹がゴロゴロ鳴りっぱなし……改めて「艦娘」って言うのは丈夫なもんだと思ったわ」

提督「ふふふっ、それは災難だったわね…♪」

ミッチャー提督「全くよ……フランチェスカも何か鉄板で焼くものを用意するときは気を付けなさいね?」

提督「ええ、肝に銘じておくわ」

ミッチャー提督「よろしい……おっと、うちの管区じゃないけど「深海棲艦」のコンタクトが出たわ…ちょっと忙しくなりそうだから、また今度ね」

提督「ええ、いつでもどうぞ♪」

ミッチャー提督「ありがとね…バーイ」

提督「…ふふふっ、ジェーンったら相変わらずね♪」

カヴール「ノーフォークのミッチャー提督でしたか…お元気でいらっしゃいました?」

提督「ええ、相変わらず元気そうだったわ♪」

カヴール「せっかくの機会でしたから、基地祭の事で色々おたずねになれば良かったのでは?」

提督「あー…言われてみれば……」

リベッチオ「くすくすっ…提督ってば時々お間抜けだよねっ♪」

提督「もう、余計なお世話よ…さてと、そろそろ上がらせてもらうわね……♪」

カヴール「…お昼の準備ですか?」

提督「ええ。今日はたっぷりトマトが収穫できたらしいから、昼のパスタは「プッタネスカ」にでもしましょう♪」

リベッチオ「私もプッタネスカは好きだよっ♪」

提督「それじゃあなおさら準備してこないと…ね♪」リベッチオの少し塩辛い唇に軽くキスをすると、砂粒のついた身体をはたいてサマードレスに袖を通す……が、まだふとももは湿っていたので、ショーツは履かずに丸めて手に持った…

カヴール「まぁまぁ…裾がめくれたら恥ずかしいことになりますよ?」

提督「大丈夫。部屋に戻ったらちゃんと着替えるわ、それに……今は夏だもの♪」

カヴール「ふふ…それもそうですね」

リベッチオ「それじゃあ美味しいのを期待してるねっ?」

提督「ええ♪」

………
243 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/23(水) 01:47:36.11 ID:9OpwdMO+0
…一方・中型潜「スクアロ」級の部屋…

デルフィーノ「あー、びっくりしたぁ……まさか提督の携帯電話だなんて…///」滑らかに磨き上げられひんやりした石造りの廊下を困ったような表情を浮かべながら、裸足でぺたぺたと歩いているデルフィーノ…

デルフィーノ「…ただいま、お姉ちゃぁん…って、誰もいない……いい天気だし、お姉ちゃんたちもお庭かなぁ……?」


…窓を開け放っていて、爽やかな海風が入ってくるスクアロたちの部屋……共有部分になっている「談話室」の壁には、展示箱のような入れ物に収まっている「スクアロ」(サメ)の歯の化石にヒレの置物、読み終わった自然科学の雑誌から切り抜いた「デルフィーノ」(イルカ)の跳ねている写真、ナルヴァーロ(イッカク)が日頃つけている一角獣のような銀の「角付きサークレット」、トリケーコ(セイウチ)の牙の置物が飾ってあり、それぞれの上には提督が絵ハガキのセット「イタリア王国海軍・艦艇写真集」から分けてくれた、各艦の進水式の白黒写真がブロマイドのようにして額に収めてある…


デルフィーノ「…提督は分かってて言わないでいてくれたみたいだけど……誰かに知られたらと思うと恥ずかしいです…ぅ…んんぅ///」…ぴちっと身体に張りついたゴムのような水着のスリップ(肩ひも)を外そうと、身体をよじったり引っぱってみたりするデルフィーノ……ようやく片方の肩からスリップが外れると、胸元から手を入れて股に手を伸ばす…

デルフィーノ「……さすがに遠泳するときは止めた方がいいかも知れないです……イきすぎて脚がつりそうにになっちゃいましたもの……んっ///」秘所に入れていたバイブレーターを引き抜こうとすると「ぬちゅ…っ」と、打ち上げられた海藻のような粘っこい水音を立てた…

デルフィーノ「も…もうちょっとだけ……お昼までまだ時間はありますし…ぃ……んくっ、んんぅ///」抜きかけたところでもう一度スイッチを入れ、「じゅぶ…っ」と奥まで入れなおす……と、視線の先に姉妹でカードやお茶を楽しむ小さなカフェテーブルが入って来た…

デルフィーノ「はぁ、はぁ……今だけ…お姉ちゃんたちが帰って来る前には終わらせますし…ぃ……んぁぁ///」普段は賢く、その上くりっとした瞳の愛らしいデルフィーノが、バイブのスイッチを入れたままテーブルの角に秘所を押し付け、トロけた表情で天井を向いている……

デルフィーノ「はひぃ、はへぇ…恥ずかしかったですけれど…ぉ……やっぱりマルチェロさんたちに買ってきてもらって正解でした…ぁ……ん、くぅっ///」


…夏季休暇の前、デルフィーノは中世ヴェネツィアの提督としてヴェネツィアの表から裏まで知り尽くし、酸いも甘いも噛み分けている大型潜の「マルチェロ」たちに、恥ずかしいのをこらえて何か「玩具」を買ってきてほしいとお願いしていた……頼まれたマルチェロたちは面白半分で、ヴェネツィアの「刺激的なお土産店」でデルフィーノの気に入りそうな「玩具」をしこたま買ってきてくれていた…


デルフィーノ「…んっ、く…ぅぅ///」力の入らない腰をがくがくさせてカフェテーブルにしがみつき、天井を向いたまま半開きの口からよだれを垂らしている…

デルフィーノ「はうぅぅ…きもひいぃれす…よぉぉ……///」ずり落ちそうになってきた水着を引き上げようとすると、お股の所が引っ張られてバイブが膣内に押し込まれる…と同時に、アナルにも入れていたバイブが奥にねじ込まれて、ひくひくと身体がけいれんする…

デルフィーノ「はひっ、あへぇぇ…きもひぃ……はひぃ…あっ、あっ……腰が…抜けちゃいます…ぅ……///」とろっ…ぷしゃぁぁ♪……うつろな目をさせてぺたんと床にへたり込み、水着の中にねっとりと愛蜜を噴きだした…

デルフィーノ「はひぃぃ…これ……いいれひゅぅ……んぁぁぁ…///」とろっ…しょわぁぁ…♪……ぐしょぐしょに濡らした水着の中ではまだとろとろと蜜が噴き出し、快感のあまりしてしまったおもらしで水たまりを作っている……

デルフィーノ「あひっ…んぅぅ……はひっ……き、気持ち良すぎて立てないれす…ぅ///」…と、「カツッ…カツッ」と近寄ってくる靴音が聞こえる……

デルフィーノ「……あっ、あっ…ど、どうしよう……///」どうにか立とうとカフェテーブルにつかまってみるものの腰に力が入らないまま、小鹿のように脚をがくがくさせている…

デルフィーノ「あうぅ…も、もういいです……お姉ちゃんたちはデルフィーノがよくひとりえっちしているの知っていますし…ぃ///」びしゃっ…もう一度へたり込んで生暖かい愛蜜にふとももを浸しながら、とろけきった表情で足音が近づいてくるのを待っている……

提督「……デルフィーノ、いる?」

デルフィーノ「はへぇ…て、提督…?」

提督「ええ…実はさっきデルフィーノが上がって来た時、あそこに何か玩具を入れていたみたいだから、ちゃんと「安全な使い方」かどうかとか、ちょっと気になって……パスタの準備を済ませてからちょっと様子を見に来たのだけれど…って、あら///」

デルフィーノ「あのぉ…提督ぅ///」

提督「これはまた……ずいぶん気持ちよかったみたいね…///」

デルフィーノ「はい…デルフィーノ、もうイきすぎちゃって立てそうにないんです…ぅ///」

提督「…じゃあ私が片づけるのを手伝うから……雑巾はどこ?」

デルフィーノ「洗面台の下に…んくぅぅ///」ぷしゃぁぁ…♪

提督「あー…よっぽど好きなのね、デルフィーノ?」

デルフィーノ「…は、はい…それは、そのぉ……///」
244 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/23(水) 02:18:48.94 ID:9OpwdMO+0
提督「まぁいいわ…中には「食べる」とか「お酒を飲む」みたいな、「艦娘の身体」で出来る色んなことに夢中になってしまう娘もいるらしいから…とにかく、スクアロたちが帰って来る前に拭かないと……どう、立てそう?」

デルフィーノ「そ、それが……んんぅ、ひぅぅっ///」じゅぶっ…とぽとぽっ、ぷしゃぁぁ♪……力の抜けきった手でどうにか前後のバイブを抜き取ると「どぽ…っ」と愛液がこぼれる…

提督「あー……前後に入れていたの?」

デルフィーノ「は、はい……何だか、魚雷発射管の魚雷と同じで……前後に収まっていないと落ち着かなくて…ぇ///」

提督「…まさか「魚雷と同じ」で、前後に四本づつ収めていたりはしないわよね?」

デルフィーノ「さすがにそれはありませんよぅ……で、でも…二本くらいなら……///」

提督「…それは止めた方がいいと思うわ……あと、そう言う玩具はちゃんとしたものを使うようにね?」

デルフィーノ「はぁ…い……んくぅ///」

提督「そもそもはそれを言いに来たのだけれど……知り合いの士官でそう言う玩具が取れなくなって、軍の女医さんの前で恥をかいた人を知っているの」

デルフィーノ「うわ…デルフィーノもそんな恥ずかしいのは嫌ですよぅ……」

提督「ええ。何しろ車を出して病院へ付き添っただけの私まで恥ずかしかったくらいだから……それに私は肝心な時に指とか舌以外を使ってするのは、どうも…ね///」

デルフィーノ「それで提督はえっちの時におもちゃを使わないんですか…?」

提督「ええ…なんだか道具に頼るのも相手に失礼な気がするし……もっとも、これも私の「おばさま」の影響かもしれないわ」

デルフィーノ「…それじゃあ、提督のおばさまは道具を使わない女性なんですかぁ?」

提督「ええ…そのせいか私も「雰囲気を作るため」とか「相手に求められたら」いろいろ使うけれど、自分ではあんまり使おうとは思わないわね……」

デルフィーノ「なるほど…ぉ」

提督「あー…そう言えば一度だけ身体のにおいの強い人がいて閉口したことはあったわ……まぁ、でもそう言う時は指を使えばいいし…」

デルフィーノ「もう、提督ってばそういう事を言わないで欲しいです……せっかくデルフィーノが甘い気分にひたってたのにぃ…///」

提督「ふふっ、ごめんなさい…もっとも、ここの娘はみんな清潔にしているから甘い石けんの香りとか素敵な香水……ちょっと汗ばんでいても甘酸っぱいような香りだから、私は好きよ?」

デルフィーノ「もう、今さら言っても遅いですよっ…」

提督「はいはい…それで、そろそろ立てるようになった?」

デルフィーノ「どうでしょう…か…よいしょ……っと」

提督「あらあら、大丈夫?」よろめいたデルフィーノを受け止める…

デルフィーノ「はい、大丈夫です……すんすん…っ」

提督「…なぁに?もしかして汗臭いかしら?」

デルフィーノ「いいえ…むしろ美味しそうなトマトソースの匂いですよ?」

提督「あー…きっとお昼の準備でプッタネスカを作っていたからじゃないかしら?」

デルフィーノ「ふふ…トマトの香りがする香水があったら美味しそうでいいかもしれないですね…っ♪」

提督「ふふ、それは面白いわね……むしろ私ならバジルの香りがいいわ♪」

デルフィーノ「きっと食欲をそそりますねっ…ね、提督?」

提督「ふふ、そうね……♪」デルフィーノのすべすべした肌を撫でつつ手を引っ張って立たせる…

デルフィーノ「ふぅぅ…提督、デルフィーノが汚しちゃったのに片づけてくれてありがとうございます…っ♪」

提督「いいのよ……とにかくシャワーを浴びて、それから着替えていらっしゃい♪」

デルフィーノ「はい///」

提督「…そろそろお昼の時間だからあんまりシャワーで「刺激」したりしていないで、早めに上がっていらっしゃいね?」

デルフィーノ「は…はぁい///」

提督「…図星だったみたいね……全くもう♪」

………
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 22:20:09.02 ID:Hu9TJ06Bo
感謝感謝
イルカかわいいよね
246 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/24(木) 00:45:20.16 ID:6l21Rb3C0
>>245 気に入って頂けて何よりです…時間ばかりかかっていますが……

247 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/25(金) 01:17:20.73 ID:PbwQNLux0
…食後…

提督「ふー、美味しかったわ…それで、食後のドルチェは何かしら?」

ディアナ「今回はシフォンケーキに挑戦してみたのですが…バニラエッセンスは垂らしてみたものの香りが飛んでしまっていたようで、横に添えたクリームは今一つかもしれません……お味はいかがでしょうか?」

提督「どれどれ……んっ♪」フォークで切ろうとするとふっくらとした生地が沈み込み、それからすんなりと切れる……ほんの少しだけバニラの香りがするホイップクリームとダージリンの香りがする淡い茶色の生地が合わさって、ふわりと口の中に広がる…

グレイ提督「そうですね…クリームこそバニラの香りが足りませんが、ケーキそのものはふんわりしていて美味しいですよ?」

ヴァイス提督「ヤー、ほど良く焼けていて美味しいです……この馬鹿者が…!」提督から見えないよう、隣でシフォンケーキをがっついているビスマルクにひじ打ちを浴びせる…

ビスマルク「…何だ?……あ…あぁ……その、まぁ…なんだ……ウマいと思うぞ!」

ヴァイス提督「…」

ティルピッツ「…姉上……///」

提督「ふふっ♪」

エリザベス「ふふふ……やはりジャガイモの国はマナーを知らないイモ娘ばかりになるようですね…?」小声でグレイ提督に耳打ちする…

エメラルド「ぷっ…くすくすっ…♪」

グレイ提督「ふふふっ…そういうことをいうのはおよしなさいな、エリザベス?」

エリザベス「失礼いたしました……わたくしはつい思ったことが口から出てしまう素直な性格でございまして…♪」

グレイ提督「…うふふ」

提督「それにしてもバニラの香りが足りないとはいえクリームはしっかりしているし………って、バニラ!?」

グレイ提督「まぁ、いきなりそのような声をお上げになって…どうかなさいましたの?」

提督「ね、ねぇ……ディアナ」

ディアナ「はい、何でございましょう?」

提督「私の勘違いだったらごめんなさい…確かバニラエッセンスは先週使い終わって、次は食料品配達の日まで来ないはずよね?」

ディアナ「ええ、さようでございます……ですがわたくし、数日前からシフォンケーキに挑戦してみたかったものですから「誰かバニラエッセンスをお持ちではありませんか?」と声をかけまして…チェザーレがわたくしのために探し出してきてくれたのでございます」

提督「そう……チェザーレ」

チェザーレ「うむ、チェザーレに何か用か?」

提督「…ディアナのためにバニラエッセンスを探してきてくれたそうね?」

チェザーレ「うむ…あちこち探し回っていたらなぜか提督の机の上にあってな……黙って持って行くのも申し訳ないとは思ったが、美人の頼みには変えられぬ…ゆえに拝借させてもらったという次第なのだ」

提督「……それであの瓶がなくなっていたのね…私はてっきりライモンが片づけてくれたものかと……」

チェザーレ「あー…もしやあの瓶には何か別なものが入っていたのか?」

提督「ええ……ガリレオ!」

ガリレオ・ガリレイ「なに?どうかしたのかしら?」

提督「この間の失敗した疲労回復薬…と言うより「媚薬」を覚えている?」

ガリレイ「ええ、あれは「危険だから預かる」って提督が持って行ったわね…それがどうかしたの?」

提督「いえ…実を言うとラベルに「劇物」って書こうと思ったら油性ペンがないことに気がついて……そこで油性ペンを探しに行ったら倉庫が思っていたより散らかっていて……で、つい片づけに夢中になっている間に瓶の事を忘れて、机の上に置きっぱなしにしている間に……」お役所の書いた答弁よろしく、もごもごと言い訳がましい事をつぶやく提督……

チェザーレ「……チェザーレがちょうどいい所に「バニラエッセンス」があると勘違いをしてディアナに渡し…」

ディアナ「…それを私がホイップクリームの香りづけに垂らしてしまった…というわけですね?」

提督「ええ……どうしようかしら、もし鎮守府全体があんな風になったら///」

チェザーレ「むぅ……それは何とも楽しみ…もとい、大変なことになるな」

ガリレイ「それは困ったわね…とりあえず「アレ」は疲労回復のために身体の血行を良くする薬だから……とにかく身体のほてりを覚えたら冷やせばいいわ」

提督「あー、もう……それにしたって、グレイ提督とヴァイス提督には何て言えばいいの…?」

グレイ提督「……どうかなさいまして?」

提督「いえ、あのっ…まぁ……その…ぉ///」

グレイ提督「…ふむ?」

248 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/25(金) 02:49:57.40 ID:PbwQNLux0
ガリレイ「とりあえず身体の小さい方が薬の効果が大きいから…駆逐艦と中型潜には部屋に引っ込んでいてもらうのがいいと思うわ」

提督「そ、そうね……ちょうどお昼寝の時間だから、それとなく通信室から放送をかけて来るわ///」

ガリバルディ「……ふぅん、小さい娘たちが身体を火照らせているわけね…ならこのガリバルディが鎮めてあげないと♪」放送を聞いて舌なめずりをする女好きのガリバルディ……

エウジェニオ「うふふ、それが駆逐隊を率いる軽巡の務め……だものね♪」こちらはギリシャ風のレズ気質がすっかり染みついているエウジェニオ…

アオスタ「あ、あのねぇ…そういうことはしてはいけない…って!?」

エウジェニオ「姉さんは部屋で休んでいて?…その間に私は「身体を張って」駆逐艦の娘たちを助けて来るから……ふふっ♪」姉のアオスタが止めようとすると、エウジェニオが唇に指を押し当てた…



…重巡「ザラ」級の部屋…

ポーラ「…ふわぁぁ…身体がぽかぽかして気持ちいいですねぇ〜……ザラ姉さまぁ、一緒にお昼寝しましょ〜…んぅ、ちゅっ♪」

ザラ「ええ…さっきの「薬がどうのこうの」とかがなくっても、私はポーラたちが大好きよ?……ちゅむっ…れろっ、ちゅるっ♪」

フィウメ「…わわわ……姉様たちのキス…いつもよりねちっこいです…///」

ゴリツィア「ふふ、フィウメ姉さんったら……薬の効き方まで一番遅いんですね…ちゅるっ、ちゅぽ…っ♪」(※フィウメ…公試速力32.95ノットでザラ級四隻中最低だった)

フィウメ「そ、そう言う話じゃ……んちゅぅぅ、ちゅるぅ///」


………

…駆逐艦「セラ」級の部屋…

セラ「はぁぁ…んっ……んんぅ///」氷枕をふとももに挟んで火照りを鎮めようとしながら、秘所に指を入れて激しくかき回すセラ…

クリスピ「全く、こんなのって……聞いたことがないわ…んっ、あぁぁぁっ///」鎮守府の駆逐艦では一番小さい955トンの「セラ」級だけに薬もよく効いたらしく、顔を火照らせ息を荒げている……

セラ「はぁぁ…っ、気持ちい…ぃ!」にちゅっ、ぐじゅっ…じゅぷっ♪

クリスピ「姉さん、あんまり刺激しないでっ……私は必死になって我慢しているんだから…っ!」シーツの端を噛みしめてふとももをこすり合わせているクリスピ…

セラ「そんなこと言ったって…ぇ……はぁぁ、んっ…♪」普段はMTM(爆装艇)のラジコン模型を抱えている大人しいセラが、あどけなさの残る見た目からは想像もできない色っぽいため息をつきながら、夢中で花芯をまさぐっている……

クリスピ「もう……姉さんのそんな声を聞いたら…我慢できなくなっちゃったじゃない…んんぅ…っ///」じゅぷ…っ♪

セラ「クリスピ…それなら一緒に……ね?」

クリスピ「あ、あっ、あっ……///」

………

…中型潜「シレーナ」級の部屋…

アメティスタ(アメジスト)「あふぅ、んくぅ……き、気持ちは嬉しいですがもうだめです……ねぇ、お願いですから……んちゅぅ、ちゅぅ///」民間療法では「酔いを防ぐ」と言われていた「アメティスタ」だけに薬もほとんど効かず、そのせいでかえって姉妹にいいようにされている…とはいえ石言葉の「愛情」を感じさせる熱いキスにまんざらでもない気分で、押しのける手つきもほとんど形ばかりで表情をとろけさせている……


ルビノ(ルビー)「はぁ、はぁっ……愛しいアメティスタ…好き、好き、好き…大好きよ、キスさせて!……もしダメでも無理やりいただくから……んちゅるっ、ちゅぷっ、れろっ…んちゅぅぅっ!」一方「ルビノ」は石言葉の「情熱・純愛」どうりに真紅の髪を振り乱し、床に押し倒したアメティスタをむさぼっている…

ガラテア「……ふぅ、そんなに私がいいのですか?」一方、自分の作った大理石像を愛した王「ピグマリオン」の願いでアフロディーテ(ヴィーナス)に命を吹き込まれた理想の女性像が艦名になっている「ガラテア」…そのすっきりとした白い肌をさらけ出してしなやかに立っていて、足元にはスメラルド(エメラルド)とザフィーロ(サファイア)がまとわりついて、滑らかな肌に頬ずりをしている……

スメラルド「ええ…ガラテア……私の変わらない「誠実さ」をどうか受け取って…///」

ザフィーロ「私は「慈愛」をもってガラテアに尽くします…はぁ…ん///」

ガラテア「困りましたね……分かりました、こちらへいらっしゃい…ね?」

スメラルド「あぁぁ、ガラテア……嬉しい…っ///」

ザフィーロ「愛してます…っ♪」…すっかりメロメロになっている二人は困った様子のガラテアに手を引かれて、彼女の私室へ入っていった……

トパツィーオ(トパーズ)「……私はあんな風には出来ないけれど……ずっと一緒に仲良くしましょうね、ディアマンテ?」黄色い石の「トパツィーオ」(トパーズ)は「誠実・友情」が石言葉で、ディアマンテと両手の指を絡めてきらきらとした瞳で見つめあっている…

ディアマンテ(ダイアモンド)「ええ…私たち二人の「永遠の絆」ね……ちゅっ♪」

トパツィーオ「ええ…それじゃあ一緒に……///」

ディアマンテ「そうね…トパツィーオ……ちゅ♪」軽く唇を重ねると、お互いに仲よく手をつないで座っている…

………
249 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/26(土) 01:57:27.62 ID:c/9cS0wL0
…その頃・グレイ提督の客室…

エメラルド「…はぁ、ふぅ……///」提督から事情を聞かされたものの、半信半疑で部屋にこもったグレイ提督一行……が、軽巡「エメラルド」はほっそりと端正な、まるでエルフのような顔を火照らせている…

エリザベス「どうかいたしましたか、エメラルド?」

グレイ提督「……顔が紅いようですわね」

エメラルド「な、何でもありません……はぁ、ふぅ……///」

グレイ提督「そうかしら…おでこを出してご覧なさい?」ぴた…っと額に手を当てるグレイ提督……古風な美しさを持った卵型の顔が迫り、琥珀色をした瞳がじっとエメラルドを凝視する…

エメラルド「閣下…ち、近いです……っ///」

グレイ提督「それが何か?……少々熱っぽいようですわね、カンピオーニ提督の所へ行って薬か何かをもらってきてあげましょう」

エメラルド「いえ…わ、私は提督…と……うぅ///」

グレイ提督「わたくしと…何です?」

エメラルド「はぁ…んぅぅ……わ、私は提督と女王陛下のためにこの身体を捧げております…ですが、もし…わがままを許していただけるのなら……///」

グレイ提督「ええ、許してあげます……さ、どうぞ申してご覧なさい?」

エメラルド「……そ、その…ほんの一時で構いません……私の……唇を…///」

エリザベス「まぁまぁ…何ともそれは……大胆でございますわね?」

グレイ提督「エリザベス…エメラルドはドイツやイタリアの艦娘ではないのです、からかうのはお止しなさい?」

エリザベス「失礼いたしました…」

グレイ提督「よろしい……エメラルド、わたくしでよろしいのね?」

エメラルド「は、はい…」

グレイ提督「分かりました…では、わたくしが女王陛下と大英帝国海軍に貢献するそなた「エメラルド」に祝福の接吻をいたしましょう……」ちゅぅ…♪

エメラルド「は、はぁぁ……提督は紅茶の香りが……とても…いい香りです……きゅぅ///」

エリザベス「…あらあら、気を失ってしまったようございますね?」

グレイ提督「わたくしの口づけがそんなにも嬉しかったとは、光栄なことですわね……しかし、どうやらカンピオーニ提督がおっしゃっていた「媚薬」とやらも事実のようですし…ふふ、何ともイタリアらしいと申しましょうか……」

エリザベス「ですが提督、ここは普段から「あの調子」ですから…本当に媚薬の効果があったかどうか分かりそうにはない、と存じます♪」

グレイ提督「ふふふ…まったくですわね。まぁ、しいて言うといつもよりも甘ったるい嬌声がたくさん聞こえる…と言った程度ですわね」

エリザベス「……それにしてもヴァイス中佐とビスマルクたちはどうなっているのやら…想像するだけで愉快でございます」

グレイ提督「なるほど、それはなかなか愉快ですわね…あの堅物のヴァイス中佐がビスマルクとティルピッツに迫られて、しどろもどろになっていると考えると……ふふ♪」

エリザベス「それにあの不作法な「ビスマルク」の事ですから、きっと野太い吼え声で喘いでいるに違いないと存じます…♪」

グレイ提督「まぁまぁ、何とも想像しやすい場面ですこと……ふふふ、おかしいですわ♪」紅茶を注ぎながら、いつもより毒気の強い皮肉を吐くグレイ提督……

エリザベス「それにしても、エメラルドはどういたしましょうか」

グレイ提督「寝台に寝かせてあげなさい……わたくしも手伝いましょうか?」

エリザベス「いえ、わたくしエリザベスは「か弱い」艦娘に過ぎませんが……エメラルド一人程度ならば大丈夫でございます♪」そう言いつつひょいとエメラルドを持ち上げ、ベッドに静かに下ろした…

エメラルド「うぅん……メアリ様ぁ………ふふ…っ///」

グレイ提督「まぁまぁ、気を失ってなおわたくしの事を……提督としてこれ以上の名誉はありませんわね…」

エリザベス「まぁ…このエリザベスも、いつも提督の事をお慕い申し上げておりますわ」

グレイ提督「ふふ……エリザベス、貴女もいつになく正直ですわね…これが薬の効果かどうかは存じませんが、フランチェスカには感謝せねばなりませんわね…?」

エリザベス「ええ、それにエメラルドの面白……いえ心に秘めた本音を聞くことも出来ましたから♪」

グレイ提督「ふふ…ヴァイス中佐とカンピオーニ提督の様子を見に行けないのは残念ですけれど……少なくとも「元は取った」と言ったところですわね」

250 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/26(土) 11:04:03.83 ID:c/9cS0wL0
…ヴァイス提督の客室…

ヴァイス提督「……は、は…はくしっ…!」

ティルピッツ「大丈夫ですか、提督?」

ヴァイス提督「ヤー…誰かに何か噂された気がしたがな……ティルピッツ、具合はどうか?」

ティルピッツ「…私は平気です……一切れしか食べなかったのでクリームもそこまでつけませんでした…それより姉上が……///」

ビスマルク「……「いいかティルピッツ…私はなぁ……実は貴様の事が…」……あぁぁ、妹に面と向かってこんなことが言えるわけがあるか!」

ヴァイス提督「…何やらテーブルに額を叩きつけているが…大丈夫なのか?」

ティルピッツ「いえ……姉上は狼のようにがっついていましたから…どうも薬が回ってしまったようで……」

ヴァイス提督「だからあれほど食べ過ぎるなと…まったく、身から出た錆だ」

ティルピッツ「すみません、提督…でも私では姉上を止めるには実力不足で……」

ヴァイス提督「いや、構わん……それより効果が切れるまでビスマルクをどうするかだな…まぁ、ああして悶々としているだけなら何の問題もないが……」

ビスマルク「……むむむ、こうなったら力づくでも私が妹と提督に好意を持っていることを示さねばなるまい…うむ、そうだビスマルクよ…恐れずに『鉄血政策』あるのみ……ティルピッツ!」

ティルピッツ「は、何でしょうか姉上!」

ビスマルク「うむ…あー……どうもいつもは上手く言えんのだが…私はなぁ、実は…妹である貴様の事がなぁ……その…///」

ティルピッツ「…姉上?」

ビスマルク「えぇい、こうなったら構うものか……ティルピッツ!」ティルピッツのネクタイを引っ張り顔面に引き寄せる…

ティルピッツ「ひっ…な、何でしょうか……姉上…!」

ビスマルク「…き、貴様が好きだぞ!」んちゅぅぅ…♪

ティルピッツ「んんぅ!?……んふっ、んむぅ…///」

ビスマルク「……ぷはぁ…我が妹ながらなんと甘い唇だ……!」

ティルピッツ「…ふぁぁ///」

ビスマルク「うむ…一度したら勇気が出た、これならば……提督!」

ヴァイス提督「何だ、ビスマルク……その…私とも……したいの…か?」

ビスマルク「いかにも…こうなれば一度するのも二度するのも変わらん!」

ヴァイス提督「分かった…そのかわり、きっちり反省してもらうからな……ん」

ビスマルク「よ、よし…ならば参るぞ……んちゅぅ、ちゅぅ……///」

ヴァイス提督「んくっ…んっ、ちゅっ……はぁ…っ///」

ビスマルク「…おぉぉ、おほぉぉ…なんと甘酸っぱくかぐわしいことか……モーゼルの白ワインのような味わいで…頭がくらくらする…ぞ!」

ヴァイス提督「ばかを言え…たかだか唇同士のくっつけ合いに過ぎんものにそんな効果があるわけ……お、おい…何をする気か?」

ビスマルク「提督は頭がいいのだ…こうして私がベッドに押し倒している時点で察しが付くだろう?」

ヴァイス提督「まさか、ビスマルク……本気で…///」

ビスマルク「いかにも…ちっ、シャツのボタンを外すのさえ……もどかしい…っ…えい、構うものか…!」びびぃ…っ、ぶちん……っ!

ヴァイス提督「…だからと言って引きちぎるやつがあるか……んくっ、んふぅっ…///」

ビスマルク「…んふっ、ちゅる…っ…じゅるぅ……っ!」

ヴァイス提督「んっ、んっ、んんぅ…っ!」

ビスマルク「はぁ…はぁ、提督の胸の何と白い……まるでエーデルヴァイスの花の色だ…な!」

ヴァイス提督「よ、余計なお世話だ…んひぃ゛ぃぃっ!?」

ビスマルク「おっ、お゛ぉ゛ぉぉっ…あ゛ぁぁっ!」部屋中に響き渡るような咆哮をあげつつ馬乗りになるビスマルク…

ヴァイス提督「んっ、くぅっ……馬鹿ぁ…もっと、優しくは…出来ないのか……っ///」

ビスマルク「出来るわけあるまい…っ、提督が綺麗なのがいかんのだ……あぁぁっ!」

ヴァイス提督「んくっ…んぁぁぁっ!」

………
251 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/29(火) 01:34:10.50 ID:bPf8OvDE0
…一方・提督寝室…

提督「……で、結局こうなるわけね」裸でベッドに寝転がりつつ、提督の片腕を抱きしめながらすやすやと眠っているライモンの頭を撫でる…

ライモン「…すぅ…すぅ…むにゃ……すぅぅ…」

カヴール「ふふ、この程度でよかったですね…提督♪」むっちりと魅力的な白い身体をさらに引き立たせる、ミラノ製の黒レースのランジェリーで提督の左側に寝そべり、片肘を立てて頬にあてがいながら微笑している…

提督「…まぁね」足もとでは大型潜の「エットーレ・フィエラモスカ」と大型敷設潜「ピエトロ・ミッカ」が疲れ果ててぐっすり眠りこけている……

カヴール「提督はもっと大変な事を想像していたのでしょう?…例えば……」


………



提督「…はぁ、はぁ、はぁ……ど、どうしよう…!」提督用浴室の隣、小さな個室になっている化粧室に閉じこもって鍵をかける……

リットリオ「…提督ぅー…ど〜こで〜すかぁ〜……♪」

ローマ「私たちと一緒に…「イイコト」しません?」

ヴィトリオ・ヴェネト「えへへ…早く出てこないと……お仕置きですよっ?」

提督「…ひっ……!」腰のベレッタ・ピストルをホルスターから抜いて、震える手でスライドを引く…と、ドアが音を立ててゆがみ始める……

提督「ひぃぃ…こ、来ないで……来たら本当に撃つわよ…っ!?」

リットリオ「ふふ、優しい提督がそんなことする訳ないじゃないですかぁ……それに…」

提督「……そ、それに?」

リットリオ「…私を止めたいなら、9ミリのピストルくらいじゃダメですよ……っ♪」そう言いながら隙間に指を入れてメリメリと扉をこじ開ける…ドアに掛けていたチェーンが基部ごとはじけ飛び、蝶つがいがゆがんでいく…

提督「あ…あぁぁ……」恐怖のあまり制服のタイトスカートを濡らし、化粧室の床にへたり込む…と、半壊したドアから満面の笑みでリットリオが顔を出す……

リットリオ「……みぃつけた♪」

提督「いやぁぁ!…やめてっ、お願い…何でもしてあげるからっ!」

リットリオ「ふふっ…大げさですよっ、提督?…ただ……提督が「何でも」してくれるなら、イロイロしちゃいますねっ…んふふっ♪」

ヴェネト「ふふふ…っ♪」

ローマ「じゅる…っ♪」

提督「いやぁぁあぁっ…!」

………

カヴール「と、まぁ…こんな感じかと♪」

提督「……まるでホラーね」

カヴール「ふふふっ…それに引き替え現実は可愛いライモンドに、一人っ子の「フィエラモスカ」と「ミッカ」……それと私だけなんですから、提督からしたら「お茶の子」だったでしょう♪」

提督「あのね……正直に言って、腰ががくがくして立つことも出来そうにないのだけれど…」

カヴール「ふふ、ならお休みになればいいじゃありませんか…子守歌でも歌ってあげましょうか?」

提督「カヴール、世の中には「疲れすぎて眠れないことがある」…って知らないかしら」

カヴール「あらあら…私は提督を疲れさせないよう、チェザーレにデュイリオを交ぜて一戦こなしてから参りましたのに……そんなことを言っているようでは大作戦の時に体力が持ちませんよ?」

提督「作戦とえっちを同列に論じないで欲しいわ……はぁ…」

カヴール「それにしても…今回の「バニラエッセンス」はずいぶんと士気を高める役に立ってくれましたね♪」開いた窓からあちこちの部屋から漏れてくる嬌声が聞こえてくる…

提督「…そんなことで士気を高められても…それと…まぁヴァイス提督はともかくとしても……メアリに鎮守府の「奔放な百合事情」を知られちゃったのはね///」

カヴール「あら…グレイ提督に知られて何か問題でも?」

提督「だってメアリはイギリスの提督よ?…多かれ少なかれ「SIS」みたいな諜報組織と関係があるでしょうし、使えるとなったらスキャンダルだろうが暴露写真だろうが構わず武器にしてくるわ……」

(※SIS…イギリス秘密情報部。よく間違って「MI6」と呼ばれていて、最近では半ば公式のニックネームになっている…ちなみに「007」こと「ジェームズ・ボンド」もここの所属と言う設定)

カヴール「提督ったら少し考え過ぎで…いえ、イギリスの事ですからあながち「ない」とも言えませんね……」

提督「ね?…こうなったら機先を制してコリドーニにメアリの恥ずかしい写真でも撮っておいてもらおうかしら……」

………
252 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/05/29(火) 02:37:04.24 ID:bPf8OvDE0
…別の日・厨房…

提督「……それじゃあ私も手伝うから、一生懸命やるように!」

…よれよれのカットソーに下着のショーツ一枚で、手にはゴム手袋をしている提督……見上げる先にはひと月分の油汚れが溜まって、ギトギトになっている換気扇が「タワーリング・インフェルノ」(そびえたつ地獄)となって立ちはだかっている……すでに調理器具はディアナとエリトレアが「退避」させていて、ガス台も元栓を閉め、調理台の上には読み終わった新聞紙が広げてある……

ガリレイ「…了解…せっかくのいい天気の日に私はこんな事をしている……それでも地球は回ってるのよね…」

ガルヴァーニ「それは誰のせいだと思っているのかしら……ガリレオにはあとで電気ショックでも浴びせてあげようかしら…ぶつぶつ……」

トリチェリ「うぅ…先生の起こしたトラブルだから私も連帯責任ですよね……ふぅ、こうなったら頑張りますよ…」

フェラリス「あーあ、いくら私の姉とはいえ…恨み言の一つも言いたくなるわ…」

アルキメーデ「まったく、嫌になるわね……」

チェザーレ「いかにも…だいたいなんでチェザーレまで罰を受けねばならんのか……提督、チェザーレが好きなものを買ってやるから見逃してはくれまいか?」

提督「…そう言う賄賂(わいろ)を使うような娘は罰が倍になるわよ?」

チェザーレ「く…やはり提督は元老院のようにはいかぬか……」

(※ユリウス・カエサルは地位を得るまでにもの凄い額の賄賂を使い、当時の任地イスパーニア(スペイン)の寺院に納められた寄進の金銀までくすねて元老院議員にばら撒いたことで有名だった…らしい)

提督「文句を言わない…さぁ、それじゃあ始めましょう……終わったら冷たい飲み物が待っているんだから♪」

ダ・ヴィンチ「仕方ないわね…ここは私が素晴らしい発明品で……!」

ガリレイ「うん、さすがは世界の大天才ね!……で、どんな道具があるの?」

ダ・ヴィンチ「…はい♪」

ガリレイ「えーと……なにこれ」

ダ・ヴィンチ「見ての通り、食器用洗剤と使い古しの歯ブラシよ」

ガリレイ「…は?」

ダ・ヴィンチ「なに、ガリレオは知らないの?」

ガリレイ「いや……何が?」

ダ・ヴィンチ「あのね…換気扇の汚れなんてたいていは油なんだから、50℃くらいのお湯に食器用洗剤を溶かして漬けちゃえばあっという間に落としやすくなるのよ…そうでしょう、提督?」

提督「ええ、そうよ……ただしそうするには、あの地獄の底みたいに汚れた換気扇のフードの中に頭を突っこんで、フィンとカバーを取りはずさなきゃならないわけだけれど…ちなみに私はパス♪」

チェザーレ「チェザーレも髪を汚したくないから遠慮させてもらおう♪」

トリチェリ「わ、私は他の所で頑張りますから……」

ガルヴァーニ「ま、一番の原因なんだからガリレオがやるべきよね……ふふ」

ダ・ヴィンチ「異議なし♪」

ガリレイ「え、ちょっと待って…私だって嫌なんだけど?」

提督「……ふーん」

ガリレイ「う…分かった、分かったわよ……それでも地球は回っているものね!!」

提督「…ガリレオ、顔を突っこむ前にこれを付けてね?」目に油の雫が入らないよう古い水泳用のゴーグルと、髪を汚さないよう縁がほつれているスカーフを渡した…さっそくゴーグルをかけてスカーフを頭中に巻きつけたガリレオ…

ガリレイ「はいはい…どうもありがとう、提督……うわぁぁ…」

ディアナ「…中はひどいことになっているでしょう?」様子を見に来たディアナが下からのぞきこみながら声をかける…

ガリレイ「……心底見なきゃよかったわ…パネルを外すわよ」フィンとカバーを取り外し、あちこちに酸化した油独特のすえたニオイのする汚れを付けて降りてきた…

提督「ご苦労様。それじゃあ後はみんなでやりましょう」ハブラシと洗剤を持って換気扇のフィンをにらみつける提督…

チェザーレ「うむ…こうなったら仕方あるまい」

トリチェリ「私もがんばりますから、一緒に頑張りましょう?」

アルキメーデ「まぁ…トリチェリに言われたら仕方ないわ」

フェラリス「ええ、そうですね」

………
253 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/06/01(金) 01:14:37.62 ID:nOzQ/z1p0
アルキメーデ「……トリチェリ、その歯ブラシをとって?」調理台の上にまとめて放り出してある使い古しの歯ブラシを指差した

トリチェリ「あぁ、はいはい…油汚れが相手ではすぐダメになっちゃいますものね」

アルキメーデ「そうなのよ…って、これ……」手渡された白と青の歯ブラシをしげしげと眺め、油汚れに触れていない事を確かめると…そっとポケットにねじ込んだ……

トリチェリ「ん…どうかしたんですか?」

アルキメーデ「あぁ、えーと…そうそう!…いちいち取ってもらうのも面倒でしょうし、数本まとめて取ってもらえれば…って思ったの」

トリチェリ「なるほど、それもそうですね……はい、どうぞ♪」

アルキメーデ「ありがと。ふふ、きっと日頃の行いがよかったのね…」アルキメーデがそっと隠した歯ブラシは、「キスしたときに食べかすがついていたりしたら恥ずかしいから…」と、普段から歯ブラシ選びにこだわりを持っている提督の使い古しだった…

アルキメーデ「……ふふーん、ふーん…♪」

チェザーレ「ほう、ずいぶんと上機嫌ではないか…♪」

アルキメーデ「いや、だって…その……何か汚れていた物が綺麗になるっていい気分だもの」

提督「ふふ、アルキメーデは綺麗好きなのね…えらいえらい♪」

アルキメーデ「…まぁね」

フェラリス「うぅ、それにしてもフィンの汚れにフィルターの汚れ…はぁぁ……」

ダ・ヴィンチ「食器用洗剤でも落ちるものだけれど…もうちょっとひと工夫が必要だったかもしれないわ……」

ガルヴァーニ「本当にね…ねぇ、ダ・ヴィンチ?」

ダ・ヴィンチ「んー、何かしら?」

ガルヴァーニ「…あなた、世界の大天才なんでしょう?ここで汚れが綺麗に落ちるような工夫を思いついてくれない?」

ダ・ヴィンチ「うーん……そう言われても…」

提督「はいはい、考えている間も手を動かせば早いわよ…歌でも歌いながらやれば気分よくできるでしょう?」

ガリレイ「こんな油汚れの中で気の利いた歌なんか出る訳ないわよね…まったく……」

提督「もう、ぶつぶつ言わないの。私だってこうして汗だくでやっているのだから…ね?」

トリチェリ「そうですね、提督ったら汗びっしょりで……す///」水色のカットソーは汗でしっとりと濡れ、つんと突き出した乳首と布地に張りついた豊かな乳房が透けて見える……

チェザーレ「うむ…その上頑張ってこすっていて……何とも良い眺めであるな…♪」提督が歯ブラシで浮いた汚れをかき落とすたびに、たゆんっ…と胸が弾む…

提督「それって…もしかして「努力する人は綺麗に見える」って言うことかしら?」

チェザーレ「あぁ、うむ…そう言う意味であるな……もとより綺麗な提督が真剣な顔をしていると、なおの事引き立つと言うものだ…///」

提督「ふふ、嬉しい…じゃあもっと頑張らないといけないわね♪」

チェザーレ「なに、チェザーレもここにいるのだ……ぜひとも頼ってもらいたいな♪」…揺れる提督の胸を目で見て楽しみながら、ごしごしと換気扇の羽根をこする……

トリチェリ「あの、提督…良かったらここを押さえてもらえますか?」

提督「ええ」…トリチェリに近寄ると腕の間に手を伸ばし、下から換気扇の部品を支える提督……

トリチェリ「え、えーと…もうちょっと奥を支えて下さい……///」…二人羽織りのような具合で後ろに立った提督……一方のトリチェリからは背中に当たって柔らかく押しつぶされる乳房と、耳元にかかる荒い息づかいに甘い吐息が感じられる……

ガリレイ「…ちょっと近すぎじゃないかしら?」

トリチェリ「私は「部品を支えてください」と提督にお願いしているだけです……ちょっと勘繰り過ぎではありませんか///」

提督「ええそうよ、ガリレオ……それにトリチェリが一生懸命やっているのに、水を差すような事を言うのはどうかと思うわ」

ガリレイ「いえ、私は単に思った事を…まぁいいわ」

トリチェリ「…それでは提督、申し訳ないですが今度はここを……」もっと身体を押し付けてもらえるよう、わざと手の届きにくい所を支えてくれるよう頼む……

提督「分かったわ……で、胸を押し付けられた気分はいかが…?」耳元でいたずらっぽくささやく…

トリチェリ「……はい、むちむちで素晴らしいです…///」

提督「ふふっ、私もトリチェリに抱きつけて幸せよ?……さぁ、これ以上視線を集めないように手早く終わらせましょう」

トリチェリ「…はい///」
254 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/01(金) 02:23:16.46 ID:nOzQ/z1p0
…しばらくして…

チェザーレ「うむ…終わったな♪」汚れた服を洗濯機に放り込み、シャワーでさっぱりとした気分になってから食堂に戻ってきた提督たち…

ガリバルディ「リベッチオ、これを運んでおいてちょうだい……ほら、みんな手際よく動きなさい?」

リベッチオ「うんっ!」

ドリア「ふふ、今日のお昼はなんでしょう……考えるだけでお腹が空きますね♪」

…辺りであくせくしている空腹の艦娘たちはディアナが厨房を元に戻すまで昼ごはんにありつけないので、時折テーブルの上に出されたチーズやオリーヴをつまみながら、積極的に手伝っている…

アルキメーデ「…はー、それにしても疲れたわ……」そう言って力なく椅子に腰かけている…

提督「みんな、お疲れさま…これで換気扇掃除は完了ね」

ディアナ「ええ、皆さんがやってくれたおかげで助かりました…感謝いたしますよ♪」

ダ・ヴィンチ「どういたしまして…それにしてもくたびれたわ……」

ガリレイ「ええ…ところで提督」

提督「なぁに、ガリレオ?」

ガリレイ「後で換気扇のフードに、メッセージを刻んだプレートを取り付けていいかしら…」

提督「メッセージ…どんな?」

ガリレイ「……ダンテじゃないけれど「すべての希望を捨てよ」って」

提督「…笑えるわ……でもこれで一カ月は見なくても済むのだから、そう言わないの」

ガルヴァーニ「そうね、そもそもはガリレオがあんな薬を作ったせいなんだから…少しは反省しなさいよ?」

ガリレイ「ちょっと待って、まるで私だけが悪いみたいに言われているけれどね……そもそも調合自体はみんなでやったじゃない」

トリチェリ「でもバニラエッセンスの瓶に入れたのはガリレオ先生ですよ?」

ガリレイ「うっ…弟子にまで言われるとはね……分かったわ、黙ってコーヒーでも飲んでいればいいわけね」

提督「でも思っていたより時間がかかったせいで、お昼の時間に食いこんじゃったわね…ディアナ、今からで悪いけれど何か作れる?」

ディアナ「ふふ……わたくし、そこに抜かりはありませんよ。お昼は『ポークソテーの冷肉・南イタリア風』です♪」冷蔵庫から取り出した大皿にはカリッと焼いてあるポークソテーの冷やしたものが並び、上には「ソース」と言うより、ざく切りのサラダのような具だくさんの「サルサ・ポモドーレ」(トマトソース)がかかっている…

提督「まぁ、美味しそう♪」


…コールドポークにかかっている「サルサ・ポモドーレ」は、みじん切りにしたたっぷりの野菜をニンニクと唐辛子で香りづけしたオリーヴオイルで軽く炒め、そこにたっぷりと荒みじんにしたトマトを入れる……ある程度トマトが煮詰まって生の紅色が濃い柿色に変わったら塩胡椒、少しのコンソメスープ、オレガノ、オールスパイスのようなちょっとした香辛料を利かせる……もっとも、スパイスがなくても甘酸っぱいトマトと豚肉の相性は抜群で、素焼きのカップで飲むような素朴なテーブルワイン、普通のパン…あるいはクラッカーを並べただけだとしても美味しく食べられる…


チェザーレ「おぉ…何ともよい香りだ♪」…オリーヴの酢漬けとひよこ豆のサラダをつまみながらちびちびと赤ワインをすすっていたが、大皿を見て微笑を浮かべた……

アッテンドーロ「ふぅ、こっちも待ちくたびれたわよ……それじゃあさっそく♪」カリッと焼けた豚の脂身の多い所を選んで取り、粒マスタードを添える…

ライモン「もう、ムツィオったら提督も取らないうちに…はしたないですよ?」

アッテンドーロ「悪いわね、提督……こっちはさっきまで訓練をしていたからお腹がぺこぺこなの」

提督「いいわよ…その代わり私にも取ってくれる?」

アッテンドーロ「ですってよ、姉さん?」

ライモン「でも…あなたが言われたのよ、ムツィオ?」

アッテンドーロ「知ってるわ……でも「愛しの提督」には、姉さんがよそってあげた方が気が利いているでしょうよ♪」

ライモン「…も、もう///」

ドリア「うふふっ…ライモンドによそってもらったら美味しさも格別ですね、提督?」

提督「ええ♪」

ライモン「まったくもう…みんなしてわたしをからかうんですから……はい、どうぞ…///」

提督「ええ、グラツィエ……ライモン♪」お皿を受け取ると、トマトソースの跳ねたライモンの指先を「ちゅっ♪」と舐めとった…

ライモン「///」

………
255 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/02(土) 11:25:43.92 ID:Cmorf5lF0
…数日後・工作室…

提督「……ついにこの日が来たわね」


…六日前にガタピシとおかしな音を立て、建造完了まで「144時間」などという数字を弾きだした建造装置を不安げに眺める提督……周囲には土のうを積み、そこに「ベレッタ・BM59」オートマティック・ライフル、「MG42/59」軽機関銃、手榴弾数個を立てかけて、何が出てきても大丈夫なように身構えている一同……提督は旧イタリア王国士官風の白い詰襟にフリッツ・ヘルメットをかぶり、髪をお団子に結い上げて、土のうの陰にしゃがんでいる…


ガリバルディ「大丈夫よ、私がついているわ」

チェザーレ「うむ、チェザーレもそばについているからな…ローマ軍団が後ろに控えているつもりでいればよいぞ」

コルサーロ(ソルダティ級駆逐艦「アラビア海賊」)「あたしだってついてるぜ、提督……深海の連中なんて出て来てみなよ、この三日月刀に物をいわせてやるさ」青いターバンを頭に巻き、つま先の尖った靴を履いているコルサーロ…

スクアロ(スクアロ級中型潜「サメ」)「…ふふっ、いざとなったら私がこの丈夫な歯で噛みちぎってやるわ…♪」

ムレーナ(フルット級中型潜「ウツボ」)「ええ…ハチの巣も悪くはないでしょうけれどね……」冷たい微笑を浮かべると、ベレッタM38「モスキト」短機関銃のボルトを引いた……二本ある引き金の手前側に指をかけ、銃身を土のうに乗せて待ち受ける…

提督「…ありがとう、心強いわ」

ライモン「さぁ、来ますよ…残り時間…3…2…1……建造完了です…!」

提督「……うっ!」…いつもと変わらないラピスラズリのような光が工作室を照らし、一瞬目を眩ませる……

チェザーレ「むむっ…!」

ガリバルディ「出てくるわよ!」

コルサーロ「はんっ、待ちくたびれたよ…!」

提督「こんなに時間がかかるなんて一体どんな……って、あら?」


…青い光が薄れると、建造装置の前に中型潜くらいの艦娘が二人だけ立っていた……片方は淡いグレイの水着のような「艤装」にギリシャ風のアップに結い上げた髪、一方の肩には金の毛皮をかけている……もう一人は少しぼんやりした表情でゆらゆらと身体を揺さぶりながら、水着の上にシースルーの青い薄物を羽織り、頭には透明なガラスのようなカチューシャを付けている…


艦娘?「…ボン・ディア、提督さん……鎮守府までこの様子だと、かなりの激戦地に来ちゃったみたいね?」…いきなりポルトガル語で「こんにちは」とあいさつする艦娘…周囲の物々しい様子を眺めてから、足もとに気を付けて前に出た

提督「ボン・ディア……えーと、貴女は…?」

艦娘?「そうね、まずは自己紹介から…私は中型潜「アルゴ」級のアルゴ……勇士と思うものは私に乗れーっ!」

提督「それで六日もかかったのね……ふふ、深海棲艦じゃなくてよかったわ♪」自己紹介を済ませると、迷彩カバーをかぶせてあご紐までかけているヘルメットを眉の上まで持ち上げ、「アルゴ」の頬に音高くキスをした…

アルゴ「んぅっ…もう、提督ったらずいぶん慣れなれしいじゃない♪」

提督「ふふっ…それで貴女が……」

艦娘「はい…中型潜「アルゴ」級の「ヴェレラ」です……もしかして、触ると毒かもしれません……よ…?」綺麗な青色の瞳に透明感のあるぷるぷるの肌…端正な見かけと長い髪が、病弱なお嬢さまのように見せている……

提督「ふふ、刺さないでね…?」軽く左右の頬にキスをすると、ぱちりとウィンクした…

ライモン「はぁ……ちゃんと艦娘でよかったです…」

コルサーロ「…まったくさね」

提督「ふぅ、杞憂でよかったわ……こちら工作室」携帯無線機を取り上げて「送信」を押す…

ドリアの声「はい、こちら第一戦隊…工作室どうぞ?」

提督「出てきたのは艦娘…繰り返します、出てきたのは艦娘……警戒状態は解除してください、どうぞ」

ドリア「了解、それはよかったです…どうぞ」

提督「ええ……武器を武器庫へ戻したら、手を洗ってごちそうの準備に取り掛かって下さい…以上、通信終わり♪」

ムレーナ「…歓迎するよ…さ、ひざまづいて私の指輪にキスをしてもらえるかな?」

提督「もう、いきなりそれはないでしょう……それより、早くお昼にしましょうね♪」

チェザーレ「うむ、土のうを片づけんといかんからな」

アルゴ「……一体何に備えての準備だったの?」

提督「あー…えーと……///」

ムレーナ「…みんなの心が生み出した疑心暗鬼にさ……さ、一緒に来るといい」ギャングの大ボスが良く出来た部下にやるように、肩に手を回してぽんぽんと軽く叩いた…

………
256 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/02(土) 12:13:02.36 ID:Cmorf5lF0
…艦娘紹介…


中型潜「アルゴ」級。1937年生まれ。二隻

排水量は780トン/1000トン、完全複殻式


イタリア王国海軍が第一次大戦後、初めて建造した複殻構造の大型潜「バリラ」級の系譜を継ぐ中型潜。

本来は1931年に、大型潜「グラウコ」級二隻と同じくポルトガル海軍に発注されたがキャンセルされ、35年にイタリア王国海軍が引き取って完成させたもの……が、ポルトガル海軍のキャンセルやその後の扱いに関する処理などで建造が中断していたこともあり、1931年に建造を開始してから37年に完成するまで、なんと6年もかかったという記録破りな潜水艦……イタリアがスローライフの国とはいえかなりのカタツムリぶりではある…

…とはいえ肝心の性能はすこぶる優秀で信頼性に富み、このクラスを参考にイタリア中型潜の完成型である「フルット」級が生まれたことからも意義深い二隻


主機は1500馬力(ディーゼル)/800馬力(電動機)で14/8ノット

武装は533ミリ魚雷発射管4門(艦首)/2門(艦尾)、100ミリ単装砲1基、13.2ミリ連装機銃2基

………

戦中は地中海と大西洋で有効活用され、ネームシップ「アルゴ」は43年に建造所CRDA社で修理中に休戦となり、ドイツ軍に接収されるのを防ぐため自沈、ヴェレラもやはり43年ごろ、英潜の雷撃によって撃沈された


艦名は「アルゴ」(Argo)がギリシャ神話の有名な冒険物語、「金羊毛」を求めたイアーソーンと勇者たちの乗った船「アルゴー号」で、ヴェレラ(Velella)は青い胴体と、透明な空気袋を「帆」にして海上を漂うクラゲの一種「カツオノカンムリ」から…ちなみに「カツオノカンムリ」は毒があり、触ると数日は入院することになるという…

………


艦娘「アルゴ」は女神ヘーラー(ローマでは「ユーノー」、英語では「ジュノー」)から授けられたという、「未来を予知する柏の小枝」を模した小枝を持っていて、肩には金羊毛を模した金の毛皮をかけている…艦娘「アルゴナウタ」(「アルゴー号の乗組員たち」…一般的な「勇敢なもの」と言う意味の他に、イタリア語では「イカの一種」を指すこともあるらしい)とは当然乗ったり乗られたりの関係に…

ヴェレラは「カツオノカンムリ」と同じような青いシースルーのケープやベビードール、透明な「帆」のようなカチューシャを付けていて、よく風任せにふわふわ、ぼんやりしている……どちらもポルトガル海軍にキャンセルされた経緯からか、ポルトガル語に堪能で甘いものが好き…


………

257 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/02(土) 12:20:37.03 ID:Cmorf5lF0
…ずいぶん投下が遅くなってしまいましたが、これで時間のかかった「アルゴ」級の建造を小ネタに使うことが出来ました……この後は「600」型シリーズの数クラスを登場させれば、主だった艦艇は全部登場したことになります…


…他にも提督の回想(子供時代・少尉〜大尉時代)や百合っぽいシチュエーションも多少思いついてはいますので、また思い出した頃にのぞいてみてもらえればと思います…
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 12:11:46.58 ID:M1oLGrdDo
乙。読んでるよ
259 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/04(月) 01:06:14.02 ID:kGuf3bgl0
>>258 グラツィエ、読んで下さってありがとうございます…更新は遅いですが、どうぞごひいきに……
260 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/04(月) 02:02:11.76 ID:kGuf3bgl0
…数日後・提督執務室…

提督「さてと…飲み物はコーヒーに紅茶、ミルクにレモン水……どれにする?」鎮守府の暮らしに何かと戸惑うこともあるだろうと、提督は「アルゴ」級の二人を執務室に呼んで、世間話をしながら悩みを聞いていた……

アルゴ「ならカフェラテを…ミルクたっぷりで甘いのを♪」

ヴェレラ「あ、私も甘くして下さい……」

提督「ふふっ、分かってます……お菓子は何がいいかしら?」棚からお菓子の入っている蓋つきのお皿を持ってきた…

アルゴ「えぇと…それじゃ……どれにしようかなー…っと」神話のアルゴー号が船出する際に女神ユーノーから贈られたという「未来を予知する柏の枝」…の飾り物を手に考え込み、それからおもむろに顔をあげた……

提督「どう、決まった?…別に一つじゃなくてもいいわよ♪」

アルゴ「ふふ、そう言ってくれると思った……カステーラにクッキー…あ、あとこの美味しそうなチョコレートをもらうわね♪」

提督「ええ、どうぞ…ヴェレラも欲しかったら好きなだけ取っていいわよ?」

ヴェレラ「わ…そうですか……それでは…ビスコッティにケーキを…あ、カンノーロも美味しそうですね……」

提督「はい、どうぞ♪」

ヴェレラ「わぁ…うれしいです……あむっ……♪」

提督「…美味しい?」

アルゴ「とっても美味しいわ…砂糖をいっぱい使ったお菓子が自由に食べられるなんて、いい時代になったものね♪」

ヴェレラ「そうですね……ここに来られてよかったです……んむ…っ…♪」口の端にクリームをつけて、幸せそうにケーキを味わっている……

提督「ふふ…クリームがついているわよ?」小ぶりな応接用のテーブルに両肘をつき、手をあごに当てて目を細めている…

ヴェレラ「ん……どっちですか…?」

提督「もうちょっと端っこに……もう、ふふっ♪」指を伸ばしてつぅ…っとクリームをすくい取り、そのまま口に含んで舐めとる提督…

ヴェレラ「……ん♪」

提督「はい、取れたわ」

ヴェレラ「ふぁ…ありがとうございます……///」

提督「どういたしまして…それじゃあ鎮守府暮らしはまぁまぁって所ね?」

アルゴ「まぁまぁどころか……こんな楽な暮らしをしてて「バチが当たらないか心配」ってくらい♪」

提督「ふふ…っ♪」

ヴェレラ「…それにしても……提督の執務室は立派ですねぇ……んー…と?」甘いものをたっぷりお腹に収めて、とろとろと眠そうな表情のヴェレラ……左右の壁をゆっくり見回して額に入っている数枚の感状に気が付くと、トコトコと歩み寄って書いてある文章を眺めた……

アルゴ「なに…って、提督への感状?」

ヴェレラ「うん……「カンピオーニ少尉の卓抜せる勇敢さと功績をたたえて、ここに『海軍青銅勲章』を授けるものである」…ですって…ぇ……♪」

提督「あぁ、それね…せっかく立派な額縁もあるし、ファイルにしまうのも何となくもったいないような気がして……べ、別に見栄っぱりだから飾っているわけじゃないのよ…///」

アルゴ「ふふ、そんなこと言ってないでしょ……ね、せっかくだから聞かせてちょうだい?」

提督「そうねぇ…まぁライモンやカヴールも知っていることだから……」

アルゴ「やったぁ…私、英雄豪傑とか勇敢なお話は大好きよ♪」

ヴェレラ「それじゃあ…せっかくなのでお話、聞きたいです……♪」

提督「…ふぅ、分かったわ」

261 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/05(火) 02:10:32.76 ID:JFQuf9Xe0
………

…十年ほど前・ナポリ…

提督(少尉時代)「ふふ、どうかしら?…お母さま、シルヴィアおばさま♪」制服を見せびらかすように、軽くくるりと回ってみせる…

シルヴィア「とっても似合ってるわ」ちゅっ…♪

クラウディア「ええ、フランカは色白だから黒がよく似合うけど……白い夏服も爽やかでいいわね♪」んちゅっ…ちゅぅっ♪


…狭いベッドに、女性士官専用どうしとはいえプライバシーのほとんどない艦内生活……そうした部分にはいくらか閉口したものの、船酔いになることもなく、無事にフリゲート艦「インパヴィド」級での遠洋航海任務を終えた提督…シルヴィアとクラウディアはそんな提督を出迎えるために、わざわざナポリのホテルに部屋を取ってまで来てくれていた……白い制服も初々しい提督を抱きしめ、熱いキスを交わすシルヴィアとクラウディア……


提督「ふふっ、来てくれてありがと…♪」

シルヴィア「いいのよ、たまには出かけた方が頭の体操になるわ」

クラウディア「それに初めての洋上勤務だもの、ちゃんとお出迎えしてあげたかったの……さ、行きましょう♪」

提督「ええ、ホテルに着いたら制服を脱いで…うんと美味しいものを食べたいわ」

クラウディア「ふふ、そうね♪」

………

…しばらくして…

提督「お母さま、シルヴィアおばさまとちょっと出かけて来るわね?」

クラウディア「ええ、いいわよ…どこに行くの?」

提督「ふふ、ちょっとね……大丈夫、レストランの予約時間までには戻ってくるから」

クラウディア「そう、それなら大丈夫ね♪」

シルヴィア「一人にさせて悪いわね」

クラウディア「ううん、気にしないで…早く戻って来てね?」ちゅ…♪

シルヴィア「ええ」ちゅぅ…♪

…街中…

提督「ねぇシルヴィアおばさま……お母さまは喜んでくれるかしら?」…初めての遠洋航海手当で何かプレゼントを贈って驚かせようと考えている提督…クラウディアの好みが良く分かっているシルヴィアについてきてもらい、あれこれと遠洋航海の話をしながら連れだって歩いている……

シルヴィア「ふふ、喜ぶに決まっているわ……でも、それにはまずお金をおろさないとね…?」

提督「分かってるわ♪…大丈夫、艦内の酒保(売店)で買えるものはあんまりなかったし、お給料はいっぱい貯まっているの」

シルヴィア「…それでも足りないようなら私も出してあげるから……何よりクラウディアの好きなものを選んであげましょうね」

提督「ええ……あ、あったわ♪」




262 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/05(火) 10:58:01.30 ID:JFQuf9Xe0
…銀行…

提督「…何でこんなところにパン屋のバンが停まっているのかしら……」銀行の脇道からはみ出すような形で無神経に停めてあるパン屋のバンに、提督は眉をひそめた…

シルヴィア「…」軽いグレイのブレザーを羽織っていたが、暑いのか前のボタンを外している……

行員「…いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件でしょうか?」

提督「あ、えーと…口座からお金を下ろしたいのですが……」

行員「はい、それでしたらこちらへどうぞ…お客様はご本人様でいらっしゃいますか?」

提督「ええ、そうです」

行員「そうですか…では通帳と、お客様がご本人様であることが分かるものを提示して頂けますか?」

提督「あぁ、はい……これでいいですか?」まだ慣れない銀行でのやり取りにまごつきながら、海軍の写真つき身分証を取り出す…

行員「はい、結構でございます…ところでお客様は新しいサービスである……」大人しい感じのする提督に、ベテランらしい行員のお姉さんはさっそく色々なサービスプランや契約を持ちかける…

提督「えーと…つまりこのカードで電子決済が出来るようになると……ごめんなさい、特に必要がないのでいらないです」…その頃は提督もまだまだ真面目で、ある程度話を聞いてから丁寧に断っている

シルヴィア「……何してるの?」

提督「あぁ、おばさま…えーと……」

シルヴィア「ふぅ……申し訳ないけど、今日は投資信託も電子決済もクルーザーもビジネスジェット機もなし…大事な人を待たせているから手際よくお願い」

行員「あ、これは失礼いたしました…」

提督「……ふぅぅ、ありがとう」

シルヴィア「あのね、そういう時はとりあえず「必要ないです」って言っておきなさい……いちいち話を聞いていたら日が暮れるし、向こうだってあれだけしゃべらされたら舌がくたびれるわ」

提督「ええ、今度からそうするわね…」やっとお金を下ろして銀行を出ようとしたとき、突然脇道のバンから覆面姿の数人が勢いよく飛び込んできた……

強盗「金を出せ!!」

強盗B「全員床に伏せやがれ!!」

強盗C「いいか、足もとの警報ベルを押そうなんて考えるなよ!」

シルヴィア「ね、これだから銀行で長居をすると良くないのよ…それにしてもこんな時に……」床に伏せたまま肩をすくめるシルヴィア…

提督「ええ…お母さまが待っているのに……」

シルヴィア「そうね……はぁ、取るなら取るでいいから早く済ませてくれないかしら…」

強盗「くそっ、早くしやがれ…!」ショットガンの筒先で行員のお姉さんをぐいぐいと押す…

行員「は、はい…今開けます……」

強盗「…どけっ!」手が震えて引き出しを開けられない行員に業を煮やし、平手で頬を張り倒す強盗……引き出しをこじ開けると現金を引っつかみ、あちこちからかき集めさせた他のお金と一緒に麻袋へ突っ込む……

強盗「いいぞ、ズラかれ!」玄関ドアを蹴り開けて表に飛び出していく三人……

シルヴィア「…フランカ」履いている革のショートブーツにそっと手を伸ばし、小さいベレッタ・ピストルを取り出す…

提督「…ええ!」

…銀行前…

強盗B「あぁ、くそっ…!」麻袋がほつれていて、十数枚のリラ札がひらひら舞い落ちる……慌てて拾い集めようとする覆面男…

強盗「そんなのほっとけ…早く乗れ!」

シルヴィア「…」パン、パンッ!

強盗B「うぐっ…!」

提督「…」パンッ、パァン!

強盗「ぐわあ…っ!」

強盗C「ち、畜生っ…!」慌ててアクセルをふかすがギアが上手く入らない…

提督「…」パン、パンッ…パンッ!

強盗C「うわ…っ!」腕を撃ち抜かれて運転席から転がり落ちてきた強盗……

提督「はぁ…はぁ……はぁぁ……」追いかけた瞬間は何でもなかったはずが、ほっとした瞬間に脚が震えてへたり込む提督…

………
263 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/05(火) 11:59:24.38 ID:JFQuf9Xe0
提督「…って言うようなことがあって、それで表彰されることになったのだけど……今思い返しても恥ずかしいわ///」

アルゴ「いいじゃない、とっても格好いいわ!」

提督「いえ…だって強盗を追いかけておいて腰を抜かすなんて間抜けもいい所よ?……しかもその後の数日は「女性海軍士官、強盗を退治!!」って新聞に書きたてられて…」

ヴェレラ「…ほぇぇ……♪」

提督「おかげで当日の夕食すっかりおじゃん…警察署のカフェテリアで買った薄っぺらなチーズサンドウィッチを一つ食べただけで、数時間も事情聴取を受ける羽目になって……」

アルゴ「あらら…それにしても、どうして提督と「シルヴィアおばさま」は後を追いかけたの?」

提督「んー…私はかーっとなっていて、なんで追いかけたか自分でもよく分からないのだけど……シルヴィアおばさまは冷静で「無抵抗の女性の頬を張りとばすなんて許せなかったから」らしいわ」

アルゴ「へぇ、提督のおばさまってかなり「いさぎよく、カッコよく」生きている人なのね!」

提督「ええ、私のあこがれね♪」

アルゴ「それにいつもピストルを忍ばせているなんて、スパイみたいじゃない…♪」

提督「それは……どういう訳かピストルの携行許可を持っているのよね…」

アルゴ「ふぅーん」

提督「あぁもう、やめやめ…この話はおしまい///」

アルゴ「んもぅ……もっと自慢すればいいのに」

提督「イヤよ。記者に追いかけれられていたら、綺麗なお姉さまたちと出かけることもできないじゃない?」

アルゴ「ぷっ…理由はそこなのね!」

提督「ええ……恋愛はすべてに優先するわ♪」

アルゴ「くっくくく…ただし「食べることをのぞいて」よね?」

提督「ふふっ、そうね……だってお腹が空いていたら恋なんてできないもの」

ヴェレラ「…ふふ…提督って面白い……♪」

提督「そう?」

アルゴ「ええ♪」

提督「ふふふ…それはどうもね♪」

アルゴ「どういたしまして……ねぇ、提督」

提督「なぁに?」

アルゴ「よかったら……私に乗ってくれてもいいわよ♪」

提督「…アルゴったら、私にそんなことを言って……本気にしちゃうわよ?」目を細め、口の端にえくぼを浮かべている…

アルゴ「ええ、だって英雄や勇士を乗せるのは大好きだし……提督には十分「その資格あり」よ♪」

提督「……アルゴ…♪」

アルゴ「ふふ、提督っ……♪」

ライモンの声「……失礼します、提督…文書便の受け取りをお願いします」

アルゴ「ふぅ…残念、邪魔が入っちゃった」

提督「ふふっ……それじゃあ、機会があったらまた…ね♪」

アルゴ「そうしましょう…ヴェレラ、行きましょ?」

ヴェレラ「…うん……いい天気だねぇ……♪」

アルゴ「はぁぁ…相変わらずぼんやりしてらっしゃることで……それじゃ、チャオ♪」

提督「うふふ…チャオ♪」


264 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/07(木) 01:16:39.76 ID:B/LDve8w0
…夕食後・バーカウンター…

ライモン「…あー、やっぱりあの感状のことを聞かれたんですね」

提督「ええ……みんな私の部屋に来るたびに聞いてくるし、本当にしまっちゃおうかしら」

グレイ提督「そういえば確かに立派な感状が二枚、お部屋の壁に飾ってありましたわね」

提督「えっ……前に来た時はそんなに室内を見渡しているようには見えませんでしたけれど…?」

グレイ提督「ふふ、わたくしったらいけませんわ…相手の能力が気になって、ついあれこれ調べようとしてしまう……これも軍人のサガですわね、きっと」

ライモン「…提督、もしかしてグレイ提督は非常に記憶力の優れた方なのでは……」ひそひそと提督に耳打ちするライモン

提督「あー、だとしたら……メアリ、私の執務室にある椅子のクッションは何色でした?」

グレイ提督「まぁ、フランチェスカは急に面白い事をおたずねになるのね。クイズかしら?」

提督「まぁそう言ったものでしょうね…どうですか?」

グレイ提督「ふむ…クッションでしたらクリーム色に淡いセージグリーンの線と、ピンクのバラですわ」

提督「…未決書類の箱は私から見て……」

グレイ提督「左でしたわね」

提督「…」

ライモン「…」

グレイ提督「……ちなみにカンピオーニ少将は本当によがっているとき、右脚より左脚の方がピンと伸び…」

提督「わ、わわわ…っ///」

グレイ提督「…それと「愉快な小道具」の数々はクローゼットの下から数えて……」

提督「メ、メアリ…!」

ライモン「提督、あとでお話しをする必要がありそうですね…♪」

グレイ提督「あら……わたくしはてっきり、ここにいる全員が知っているものと思ってお話していたのですが…違いましたの?」

提督「そ、そんなわけ……」

グレイ提督「…ありませんか?」

提督「いえ、まぁ…それはきっと……多分…知らない娘もいるだろう……と、こう思っているしだいでありまして…///」

グレイ提督「つまりほぼ全員が知っているのですね……でしたら別段お隠しになることもないでしょうに…ふふ♪」

提督「も、もう…メアリのいじわる///」

グレイ提督「ふふふ……わたくしはいじわる?」十数年もののグレンリベットを舐めながら首を傾げるグレイ提督…その見下すような表情が混じった微笑に、提督の下腹部が「きゅん」とうずいた……

提督「ええ、いじわるです…♪」

グレイ提督「まぁ…わたくし、面と向かって「いじわる」と言われたのは初めてですわ♪」

提督「……ふふっ」

グレイ提督「ふふふ…♪」

ライモン「…はぁ、提督の選り好みのなさにはついて行けません……すみません、ポーラ…もう一杯下さい」

ポーラ「はぁ〜い…少し強めにしておきますねぇ〜?」

ライモン「ええ…まったく、提督は隠す気があるのかないのかはっきりして下さいよ……」

提督「ふふ、メアリはもう「隠さなくていい相手」だから隠さないの……ね♪」

グレイ提督「あら、一体何の事でしょう?」

提督「あー、メアリったらそう言う風に自分だけ……ふふーん、「あの時」の事を話してもいいのかしら?」にやにやと小悪魔的な笑みを浮かべてグレイ提督のふとももに手を置く…

グレイ提督「ええ、構いませんわ…そうすればわたくしも、あの時「お庭で何があったか」をお話できますものね♪」

提督「…っ///」

グレイ提督「……ふふ、イギリスに勝つにはまだまだ修行が必要ですわね?」耳元でいたずらっぽくささやいた…

提督「むぅぅ…」

ライモン「?」
265 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/07(木) 02:18:25.51 ID:B/LDve8w0
グレイ提督「…それにしても」

提督「何ですか?」

グレイ提督「いえ……ヴァイス中佐の堅いことと言ったら、フランチェスカとはまるで対照的ですわね」

提督「柔らかくて悪かったですね…♪」

グレイ提督「いいえ、わたくしはローストビーフも柔らかい方が好みですから…ご安心なさいな」

提督「私はローストビーフですか…」

グレイ提督「…もしそうならポテト・ピューレを添えて、上からグレーヴィー(肉汁から作るソース)をかけないといけませんわね」

提督「…」

グレイ提督「ふふ…冗談はさておき、フランチェスカはヴァイス中佐のあだ名を聞いたことがありまして?」

提督「あだ名、ですか…特には聞いていませんが?」

グレイ提督「それが、わたくしが聞いたところによりますと…彼女のあだ名は「鋼鉄のヴァイス」だそうですわ……まぁ、あまりにもお似合いで……ふふ」

提督「あー、確かに……ちなみにメアリにはあだ名がありますか?」

グレイ提督「え、わたくしですか?」

提督「ええ、メアリほどの提督ならきっとあだ名があると思ったのですが…」

グレイ提督「本当に聞きたいのですか?」

提督「ええ……もちろんメアリが教えてくれるなら、ですが」

グレイ提督「ふぅ、致し方ありませんわね……わたくしのあだ名は「気どったメアリ」ですわ」

提督「ぷっ……んふふふっ…♪」

グレイ提督「…ちなみに他には「氷のメアリ」「ブラッディ・メアリ」……と言ったところですわね」

提督「な、なるほど……うふふっ…♪」

グレイ提督「さて…こうなるとフランチェスカのあだ名もお伺いしたいところですわね」

提督「わ、私ですか……まぁメアリのあだ名を聞いた以上は、私のも教えないといけませんよね…」

グレイ提督「ええ、それがフェアと言うものですわ」

提督「それが、私もいくつかありまして……」

グレイ提督「そうですか」

提督「ええ…えーと、まずは「ドルチェ(甘美)のフランカ」「口説きのフランチェスカ」に「女性専用サッキュバス」…われながらひどい言われようですね……」

グレイ提督「…きっと日ごろの行いですわね」

提督「まぁ…あとは「女性士官なだめ」に「処女の皮をかぶった女たらし」……他には「フォルテ」、あるいは「フォルティッシモ」ですね」

グレイ提督「ふむ、「フォルテ」に「フォルティッシモ」ですか…どちらも音楽記号ですわね?」

提督「ええ…「強く」と「とても強く」の意味ですが……」

グレイ提督「他のあだ名は何となく想像がつきますけれど…どうしてフランチェスカが「フォルテ」なのですか?」

提督「あー……話すと長いのですが…」

グレイ提督「構いませんわ…上等なお酒をいただきながら昔話を聞くのも一興ですわ」

提督「そうですか……あー、実を言うとこのあだ名がついた原因というのが、二枚ある感状のもう一枚をもらった理由でもありまして……」

グレイ提督「あら、そうなのですか」

提督「ええ…もう数年ほど前になりますが……」


………
266 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/09(土) 11:07:24.59 ID:4tb+7uw/0
…数年前・リヴォルノ…


カンピオーニ中佐(提督)「ふー、夕食は美味しかったし夜風も涼しくて心地いいし…トスカーナ地方はいいところね」…着任して半年あまり、まだまだ任地に飽きの来ていない提督はエアコンの効いた通信隊の建物に戻ると、当直を終えたおしゃべりな大尉と夕食の話になった…

大尉「ええ、このあたりは最高ですよ……たとえ観光客が多くてもね♪」


…ナポレオンが一時幽閉されていた歴史ロマンあふれる「エルバ島」や、風景画のように美しい「ジリオ島」など、イタリア半島でも特に風光明媚な島々が多く、「ピサの斜塔」や「芸術の街」フィレンツェもあるトスカーナ地方…そのなかの港町にして有数の軍港「リヴォルノ」で、海軍通信隊の基地司令をしていた提督…森が多く狩猟が盛んなトスカーナだけに、ウズラやハトのような野鳥にイノシシやウサギ、あるいは鹿肉が有名で、提督も当直の前でワインが飲めないのを残念に思いながら、炭焼きのイノシシを味わってきていた…


提督「ええ…シチリアにナポリ、ローマにヴェネツィア……いろいろ食べてきたけれどトスカーナはまた格別ね♪」

大尉「そうでしょうとも、特に肉料理が一番おいしいのはトスカーナですよ…間違いなしです!」…人差し指を舐めるような仕草をしてから片目をつぶり、「むむむ」と食通のようなうなり声を出す大尉……

通信士(黒髪ロング)「ふふふ…お二人のやり取りを聞いていると、まるで美食巡りをしに来たみたいですね?」

大尉「かもね…ま、少なくとも中佐はそうよ……そうでしょう?」

提督「えー、そんなことはないわよ?」

通信士(茶髪ショート)「またまたご冗談を…この半年で制服がきつくなったんじゃないですか?」

提督「…秘密よ」

大尉「でしょうね…ま、中佐の体型の話には口を突っこまないでおきましょう……うかつなことを言うと階級章をむしられちゃうもの」

提督「もう、そんなことしないわよ…それじゃあゆっくり夕食を味わっていらっしゃい」

大尉「ええ、そうさせてもらいます……それではまた明日」

提督「チャオ…さぁ、みんな当直に戻って?」

黒髪「了解」

茶髪「…どのみちクルーズ船数隻だけですけどね」

提督「まぁそうね……でももしかしたら、潮の状態や港の入港待ちの順番を聞きたがる船長がいるかもしれないわよ?」

茶髪「私たちは海軍ですから…そんなのは港湾当局に回しちゃいますよ♪」

提督「こぉら、手抜きしない……ま、時々なら目をつぶってあげるから」

茶髪「了解……ふわぁぁ…」

提督「もう…少したるんでるわよ?」

黒髪「中佐のお腹みたいにね」

提督「またそういうことを言う…黙ってヘッドフォンを当てていなさい」

黒髪「……ですってよ?」

茶髪「え…あたし?」

提督「もう、二人ともよ」

黒髪「はっ、それでは心を入れ替えて任務にまい進いたします…♪」

茶髪「…右に同じ♪」

提督「ふふっ…よろしい♪」

267 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/09(土) 12:20:12.39 ID:4tb+7uw/0
…数時間後…

茶髪「…海軍曳船『603』号…貴船はチヴィタヴェッキアを過ぎたところで南部ティレニア海管区の管制下に入りますので、それ以降はナポリの管制から指示を受けて下さいとのことです……では、よい航海を」

黒髪「……リヴォルノ了解、そちらの通信をローマのスーペルマリーナ(海軍最高司令部)に転送します…以上、通信終わり」

提督「静かな夜で結構ね。お月様も綺麗だし」

茶髪「そうですね…これだけ明るいと新聞でも読めそうですよ」

提督「本当にね…って、何これ……?」窓から月夜の海を眺めていたが、ふとレーダー画面に映ったシルエットに気づいてヘッドセットを取り上げた……

黒髪「どうしたんです、中佐?」

提督「この船…ほら、レーダー画面の……こんな海岸沿いに航行してどうするつもりなのかしら…」

黒髪「…確かに航路を逸脱していますね」

提督「……レーダー符号は客船のだから港湾当局の管轄だけど…声はかけているのかしら?」

茶髪「えーと…港湾当局が航路を訊ねていますが……どうも二等航海士か誰かで、要領を得ないみたいですね」ぱちりとスピーカーにスイッチを入れた

港湾当局「…繰り返す、「コッタ・コットゥーラ」…貴船は航路を逸脱しているのではないか?…ただちに航路を再確認せよ…島の海岸に寄り過ぎではないのか?」

提督「…『コッタ・コットゥーラ』号ね……あったわ、おおよそ一万トンのクルーズ船ね」

黒髪「結構な大きさですね」

提督「中型クルーズ船と言った所ね…本当に大丈夫かしら……?」船舶カタログと見比べると、水深はクルーズ船の喫水ギリギリしかない…

港湾当局「こちらリヴォルノ港湾当局、「コッタ・コットゥーラ」…船長はブリッジにいるのか?」

クルーズ船「…船長はダイニングホールでお客様の相手をしているようだ…よくは知らない」

港湾当局「ではただちにブリッジに呼びだし、適切な回避措置を取れ…どうぞ!」

茶髪「……中佐、これはちょっとマズイかもしれませんよ?」

提督「ええ…この船の船長は何をやっているのかしら…」

黒髪「あっ……レーダーのシルエットが減速中……いえ、動かなくなりました!」

提督「ほら見なさい、やっぱり座礁したわ……こちら海軍のリヴォルノ通信隊、港湾当局へ…レーダー上でクルーズ船の座礁らしき状況を確認、何か支援できることはありますか、どうぞ?」

港湾当局「こちら港湾当局……そちらの通信機の方が出力が強いので、当該船との交信を願いたい!」

提督「了解しました…「コッタ・コットゥーラ」こちらは海軍のリヴォルノ通信隊…状況を知らせよ、どうぞ?」

クルーズ船「…こちら「コットゥーラ」…リヴォルノ、状況はコントロール出来ているから問題ない…どうぞ」

提督「了解。乗客の避難はどうなっているか……支援は必要か?」

クルーズ船「大丈夫だ…座礁したが傾斜は数度だけだ」

提督「了解。「コッタ・コットゥーラ」…繰り返すが乗客の避難準備は出来ているのか?」

クルーズ船「あー……おそらく大丈夫だ。救命ボートもあるし…」

提督「…船長はどこにいて、乗客の避難を指揮しているか分かるか?」

クルーズ船「私には分からない……多分お客様と一緒だからそうしているだろう」

提督「なら状況を把握し、直ちに詳細を連絡するように…以上!」

クルーズ船「了解」

268 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/10(日) 01:44:48.37 ID:H+pGILjD0
…数十分後…

黒髪「哨戒艇121号、船の様子はどうなっていますか…傾斜が増している?……了解、サーチライトを全てつけ、救命ボートなしで流されている人を収容して下さい」

茶髪「……そうです、救難ヘリの到着まであと十分。また、ローマ、トリノからも支援が急行中です……ええ、はい!」

大尉「いいわね、手すきの者は電話応対にあたるように!」

…クルーズ船の座礁から数十分もしないうちにリヴォルノ港は上を下への大騒ぎになり、提督も休憩中の要員から非番の隊員まで全て呼び出して、無線機のコンソールについたり鳴り止まない電話応対に駆けまわっていた……が、港から見て目と鼻の先のような場所での座礁…しかも波の穏やかな月夜だったので、乗客も無事に救命ラフトやボートに乗っているだろうと思い、少しは安心していた…

港湾当局「…港湾当局よりリヴォルノ通信隊、聞こえますか」

提督「こちらリヴォルノ、港湾当局どうぞ?」

港湾当局「実はちょうど今、岸壁にいる警官とカラビニエーリ隊員から連絡が入ったのですが…救助された乗客が「真っ先に船長以下のクルーが救命ボートで脱出してしまい、まだたくさん乗客が取り残されている」と伝えてきたとかで……詳細は不明ですが、そちらで確認が取れますか?」

提督「まさか……さっきも交信で「状況をコントロール出来ている」と聞いたばかりですよ!?」

港湾当局「分かりません、こちらも難船者の救助と通信で手一杯なんです…そちらはクルーズ船のクルーと通信出来ているようですし、問い合わせてみてくれませんか?」

提督「了解、すぐ問い合わせます…それと海軍の救難ヘリは十分以内に現場に到着します」

港湾当局「了解」

黒髪「…どういうことでしょう」

提督「分からないわ……「コッタ・コットゥーラ」聞こえますか?」

船員「こちらコットゥーラ、聞こえています」

提督「すぐ船長を出して下さい…今すぐ!」

船員「り、了解……船長」

船長「あー、はい…こちら船長」

提督「…船長、名前は?」

船長「…スケッティです……ジュセッペ・スケッティ…」

提督「了解。スケッティ船長、状況はどうなっていますか…船の浸水状況は?乗客には救命胴衣が行き渡っていますか?…救命ボートはもう降ろしたでしょうね?」

船長「えーと…それは……」

提督「……そもそもあなたは今どこにいるんですか?」

船長「…いや、それが……」

提督「答えなさい…ブリッジで退船の指示を出しているのですか?」船長の煮え切らない返事に、普段は温厚な提督も声がとげとげしくなる…

船長「いや…それが救命ボートに……」

提督「何ですって?」

船長「じ、実は……一等航海士と一緒にブリッジに向かおうとしたのですが…退船する乗客たちに巻き込まれて…」

提督「なら救助の船に救命ボートの乗客を引き渡し、直ちに戻って指揮を執りなさい!」

船長「いや、それがダメなんです…何しろ船はとても傾いているけれど、上るためのハシゴがあるわけじゃないから……波もあるし…」

提督「すでに右舷には救助隊を送り込むための縄バシゴがかけてあるし、今日ほどの凪の日はないでしょう…スケッティ船長!」

船長「…いえ…それが…」

提督「まだ何か?」

船長「…実を言うともう岸に上がっていて、安静にしていてくれと医者に……」

提督「それは乗客の話でしょうが!……この、この人でなしの恥知らず!地獄のディアボリ(悪魔)にでも喰われてしまえばいいわ!!」

船長「そ、そんなことを言ったって……」

提督「スケッティ、直ちに船に戻り乗客の命を救いなさい!さもなければ私が生きたまま心臓をえぐり出してやるから!!」

茶髪「…」

黒髪「…」

大尉「…ひぇー」

………
269 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/10(日) 02:49:47.85 ID:H+pGILjD0
グレイ提督「…わたくし、初めてお会いした時からどこかでお見受けしたようなお顔だと思っておりましたが…一時は話題になりましたわね?」

提督「ええ…まさかあの通信を録音している人がいたとは思っていませんでした……///」

ライモン「あー、覚えていますよ…芝居っ気の強い船長が「島に挨拶するんだ」って起こした事故でしたね……」

チェザーレ「幸い死者こそ出なかったが……近頃の船長は船と一緒に死ぬこともしないのかと、チェザーレたちはずいぶん軽蔑したものだ」

ヴァイス提督「…それにしても、その悪態の数々……普段大きい声一つ出さない方とは思えませんね」

グレイ提督「口が上手なイタリアの方らしいではありませんか」

提督「どうも…何しろ子供時代に同じ年頃の遊び相手がいなかったせいか、物静かな親の話し方に合わせる癖がついていたのですが……あの時は頭に血が上って……」

ガリバルディ「いえ、それでこそイタリア人よ…乗客を置き去りにした船長をののしったあの痛快な文句にはしびれたわ♪」

エウジェニオ「あの雄弁な美人士官には一度会って抱きたいと思ってたけど…まさかうちの提督とはね♪」

提督「もう…おかげでしばらくは海事法廷だの取材だのでひどかったんだから……」

グレイ提督「……しかし、それがどうしたら「フォルテ」というあだ名になるのですか?」

提督「あー…それが、あの時の音声を聞いた口の悪い同僚たちに「F・カンピオーニの『F』はフランチェスカじゃなくてフォルテの『f』でしょ?」などと言われて、それ以来「フォルテ」と……で、しまいにはミドルネームみたいにフランチェスカ・『フォルテ』・カンピオーニと……」

グレイ提督「なるほど…それを略して『ff』…フォルティッシモなのですね?」

提督「ええ、そうです…///」

カヴール「まぁまぁ、いいあだ名ではありませんか…だって乗客の方は無事だったのですし♪」

提督「んー…まぁそう言われればそうなのだけれど、あの船長はちゃんと私の罵詈雑言なんかより重い罰を受けたわけだし……正直、みんなが思っていたことを直接言える場所にいただけで感状と昇進っていうのは…ちょっとね」

アッテンドーロ「いいじゃないの…ま、せっかくだし今日は私がおごってあげる……ポーラ、提督に一杯差し上げてちょうだい♪」ぱちんと指を鳴らしウィンクする…

ポーラ「はぁ〜い…なんにいたしましょ〜?」

提督「えーと、それじゃあ赤で……って、ここのお酒ってみんなの手当から出しているから無料みたいなものよね?」

アッテンドーロ「まぁまぁ、そう言う身もふたもないことは言わない…何でもムードっていうのがあるじゃない?」

提督「んー、何か引っかかるけど…それじゃあいただくわね?」

アッテンドーロ「ええ、そうしてちょうだい♪」

チェザーレ「むむ…ポーラよ、あちらのお客さんに「チェザーレから」と言って一杯出してくれ」

ライモン「……ポーラ、赤を二つ下さい…提督、飲みきれないので手伝ってくれますか?」

カヴール「私に「フレンチ75」を一杯……提督、よかったら軽く味見をしませんか?」

提督「…みんなして私を酔い潰すつもりなの?」

デュイリオ「ふふ、まさか……わたくしたちが提督を酔い潰して何の得があります?」

リットリオ「そうですよっ、酔ってお休みになった提督のベッドに潜り込んで……なんて考えてもいませんよ?」

メドゥーサ(アルゴナウタ級中型潜)「んふふっ……そうよ…だからほら、私の特製カクテルを召し上がれ……♪」妖艶な仕草で身体をくねらせながら、暗緑色をした毒々しいカクテルを差しだすメドゥーサ…

ダ・ヴィンチ「ええ、そうね…別に媚薬とかそんなのは入ってないから……さぁ、ほら♪」こちらは縁にマラスキーノ・チェリーを添えた、ピンクと紫の二層になっている妖しげなカクテルを手元に置いた…

提督「…」

グレイ提督「あらあら…大変ですこと♪」ストゥール(腰掛け)の間に割り込んで「お座り」しているルチアの頭を片手で撫でつつ、ウィスキーをゆっくり口に含んだ…


………
270 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/13(水) 01:35:11.68 ID:MB3UFcE10
…翌朝・提督寝室…

提督「…おはよう……う゛ー…」提督はベッドの上で起き上がり、鈍い頭痛が残るこめかみを押さえて唸っている……口の中はカラカラで、まだふとももがひくついているような気がしている……

デュイリオ「おはようございます、提督♪」提督のげっそりした様子とは対照的に、内向きロールの長髪もばっちり整え、うっすらメイクも施しているデュイリオ……

提督「…素敵な笑顔ね…私は朝からぐったりだけれど……」

デュイリオ「うふふ…それはもう、うんと愉しませていただきましたから♪」

リットリオ「とっても素敵でしたよ、提督っ…♪」

メドゥーサ「んふふふっ、蛇は愛欲の生き物なんだけど……愉しんでいただけたかしら?」

提督「まさか順番を決めて来るとは思っていなかったし……メドゥーサのひとにらみで金縛りにあったときは、もうちょっとで死ぬかと思ったわ……うー…今日は建造の予定があるのに……よいしょ…」よろめきながらベッドから下り、浴室に入っていく提督…

デュイリオ「あらあら…ところでわたくしたちは引き揚げますけれど、カヴールはどうします?」

カヴール「私は秘書艦の務めがありますから……せっかくですし、デュイリオは提督の朝食を用意してあげてくださいな?」

デュイリオ「ええ、分かりました…それではまたね♪」

カヴール「はい……さて、と…」提督用に酔い覚ましの濃いエスプレッソを用意し、執務机には朝の気象通報と任務スケジュールのプリントアウト、朝刊を置く……それから寝室にあるバスローブをとってくると肩の部分を広げて持ち、浴室の入り口に立った…

提督「…うー、どうにか目が覚めたわ……んしょ……」カヴールが広げているバスローブに「ぽふっ」と飛び込むと、もそもそ身動きしながら羽織り、それから前をはだけたままの姿で、姿見をじっと眺めた…

カヴール「どうしました?…またお肉がつきましたか?」

提督「いえ…あれだけ色んなカクテルを飲んだ割には、身体が虹色にならずに済んだと思って……」

カヴール「うふふ、提督は面白い事をおっしゃいますね……さ、エスプレッソをどうぞ?」

提督「ありがとう…ふー…」寝ぼけまなこでエスプレッソをすすると、頭にタオルを巻いたバスローブ姿で気象通報を読み、それから任務表を読み込む……鉛筆でいくつか注意事項やメモを書きこむと、今度は朝刊の「レプブリカ」と「コリエーレ・デラ・セラ」にざっと目を通す…

提督「…んー、風は南西から南東に回りつつあり、風速2から3メートル毎秒……波高1ないし1.5メートル程度…相変わらず穏やかね」

カヴール「ですね…新聞には何か面白い記事がありました?」

提督「…そうねぇ……首相がまた失言したそうよ」

カヴール「あらまぁ…こりませんね、あの方も…今度は何と?」

提督「それじゃあ読むわね…「ベルッツィオーニ首相、またも失言……女性の地位向上を訴える活動家が裸の上半身にメッセージを書き込んで現れたことに対し『他の陳情もみんなああいう風だったら来てほしいね』と発言」…だそうよ」…大きな口に満面の笑みを浮かべた恰幅のいい首相……の顔写真が写っている一面をひらひらさせた…

カヴール「まぁまぁ…」

提督「後はセリエAの結果ぐらいかしら……相変わらずインテルナツィオナーレ・ミラノが強いわね…」

カヴール「では読み終わりましたら貸して下さい…待機室に置いてきますから」

提督「ううん。特に気になる記事もなかったし、もういいわ」

カヴール「分かりました……朝食はデュイリオが用意してくれていますから、食堂へどうぞ」

提督「グラツィエ」

271 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/06/13(水) 02:18:52.85 ID:MB3UFcE10
…食堂…

提督「おはよう、みんな…それとメアリにエリザベス、エメラルドもおはよう♪」

グレイ提督「モーニン……よいお日柄ですわね」

エリザベス「ご機嫌よろしゅう、カンピオーニ提督」

エメラルド「おはようございます」

提督「ええ…ライモン、おはよう♪」

ライモン「おはようございます、提督。朝食はデュイリオさんが用意してくれましたよ……よかったら一緒に食べませんか?」

提督「ええ、ぜひそうさせてもらうわ」…ライモンの向かいの席に腰を下ろし、パリパリのクルミ入りパンにたっぷりバターを塗る……具だくさんのミネストローネに厚切りのモルタデッラソーセージ数枚、バジルとトマトのサラダに、グリュイエールチーズのスライス…四つ割りにしたイチゴにはクリームがかけてあり、あとは冷たい牛乳と砂糖入りのコーヒー…

ライモン「ふふ、ご一緒できてよかった…お味はいかがですか?」

提督「美味しいわよ」

ライモン「ふふ、実はわたしも手伝ったので…♪」

提督「それでこんなに美味しいのね♪」

ライモン「…そうかもしれないですね///」

提督「きっとそうね……ところでデュイリオは?」

ライモン「さぁ…朝食のパンからクルミをほじくり出していたと思ったら、急に出て行っちゃいました」

提督「クルミを?…なんでかしら?」

ライモン「分かりません…さっき菜園からバジルを摘みに行ったと思ったら、急に余っている大きなかごや古いふきんを持って行ってしまって……」

提督「妙な話ね…別に害になるようなものでないなら何をしたっていいのだけれど……」

エウジェニオ「ふーん……そう言えば今朝のデュイリオはチーズのかけらやパンくずも集めていたわね」

提督「…野ネズミでも飼うのかしら?」

チェザーレ「ふぅむ…デュイリオか……ならばアレだな…」

提督「チェザーレは何の生きものか分かる?」

チェザーレ「うむ、チェザーレはすぐにピンときたぞ…諸君もちゃんとローマの歴史を学んでいたなら分かるであろうな」

提督「デュイリオ……カイオ・デュイリオ…うーん」

チェザーレ「まぁ分からぬとしても致し方あるまい…だがデュイリオの事だから、きっと教えてくれるであろうよ♪」

提督「そうね…後で聞いてみるわ」

ライモン「きっと姉妹のドリアさんも教えてくれるでしょうし」

提督「そうね」

チェザーレ「ふむ…それにしてもチェザーレも何かシンボルになる……」

ロモロ「…がつがつ……むしゃむしゃ…んぐ……このハム美味しい♪」

レモ「…はぐはぐっ…がぶっ……むぐむぐ…ほんと、皿ごといただきたいぐらいだねぇ♪」

チェザーレ「おぉ、そうだ…ローマと言えば「ロモロとレモ」ではないか♪」

ロモロ「…むしゃ…ん、チェザーレ?」

レモ「どしたの?」

チェザーレ「いや、なに…せっかくローマ繋がりで縁があるのだ……今度チェザーレが何でも好きなものを買ってあげようではないか!」

ロモロ「わぁぁ、いいんですか?」

レモ「やったぁ♪」

チェザーレ「うむ、もちろんだとも……何でも言ってみるがいい♪」

レモ「それじゃあパルマの生ハム、後脚一本丸ごとで…一度そのままかぶりついてみたかったの!」

チェザーレ「生ハムの脚一本分……ま、まあよい、チェザーレが買ってあげよう!」

ロモロ「わぁぁ、チェザーレってば太っ腹♪」

チェザーレ「…う、うむ」

提督「…」
272 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/15(金) 01:44:51.19 ID:GO7m9R2O0
…少しして・戦艦「C・デュイリオ」級の部屋…

提督「デュイリオ、入ってもいいかしら?」…潜水艦の建造までまだ時間があったので、デュイリオが見つけた「生きもの」を見に行くことにした提督…朝食後ののどかな時間の暇つぶしと、普段は大した事件も起きない鎮守府での物珍しさと言うこともあって、野次馬半分で数人がついてきた…

デュイリオ「少し待って下さい……はい、いいですよ」

提督「失礼、お邪魔するわね」

デュイリオ「はい、ようこそ♪」白いハイネックのワンピースを着て、目を細めて提督たちを招き入れるデュイリオ

提督「…結構暑い日だけど、窓は開けないの?」天井についている木製ファンのクラシカルな扇風機は回っているが、大きな窓は閉めてある…

デュイリオ「ええ…何しろこの子がおりますから」長い髪を内向きカールにしているデュイリオが、軽く首をかしげてにっこりする…部屋の棚の上には、朝方持って行ったという大きなカゴが置いてある…

ドリア「そうね、少し暑いのは難点だけど…せっかくデュイリオが可愛がってあげるつもりなんですもの、出来るだけ協力してあげないと♪」

提督「窓を開けたら出て行っちゃう生きもの…野鳥か何か?」

デュイリオ「ええ、そうです♪」

ライモン「…ヒバリですか?」

デュイリオ「うふふ、残念…さて、どなたか正解を答えられるでしょうか?」

チェザーレ「ふむ、チェザーレは分かっているから黙っておこう……ドリア、そなたもな」

ドリア「ええ」

ガッビアーノ「分かった…私と同じ、ガッビアーノ(カモメ)だね……」

デュイリオ「残念、外れです…♪」

ロモロ「それじゃあセキレイね?」

デュイリオ「いいえ…確かにセキレイは人なつっこい鳥ではありますが……もっと大きいですよ♪」

レモ「じゃあ鷹でしょ?…レモかしこーい!」

デュイリオ「残念…それに鷹や鷲でしたら、チェザーレの方が似合います♪」

チェザーレ「確かにな…ローマ軍団の象徴でもある」

提督「んー、それじゃあ何かしら……」

デュイリオ「うふふふっ…♪」にこにこしながらカゴの前に立って、脇から見ようとするレモやガッビアーノをさえぎるデュイリオ……と、カゴの中から鳴き声がした…

カゴ「カー…!」

提督「え……もしかしてカラス?」

デュイリオ「あらあら、ばれちゃいましたねぇ…ええ、カラスです」

ライモン「カラスって……あの「カラス」ですよね?」

デュイリオ「ええ。黒い艶やかな羽根と鳥類の中で最も賢い頭脳を持つ、そのカラスです……さぁ、おいで♪」よく見ると鷹匠の革手袋のように、手首の辺りにふきんを巻きつけているデュイリオ…中をのぞき込みながら、丁寧に大きなカゴのフタを開ける

カラス「カー」…ぴょんとカゴから出てくると、デュイリオの手首にちょこんと止まった

ロモロ「わ…近くで見ると大きいのね」

レモ「突っついたりしない?」

デュイリオ「カラスはとってもお利口ですから、いじめたり怒らせたりしなければ大丈夫ですよ…そうですよね?」…頭を優しく撫でながら問いかけるデュイリオ……

カラス「カー」翼をばたばたさせながら返事をするカラス…

デュイリオ「ね?」

提督「それにしてもこんな大きなカラス…どうしたの?」

デュイリオ「いえ…実は朝食の前に、厨房で料理をしていたディアナから「バジルを摘んできてほしい」と頼まれまして……」


273 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/15(金) 02:48:49.91 ID:GO7m9R2O0
…朝食前…

ディアナ「ふぅ、こうしてみるとミネストローネの材料は意外と多いものですね……とはいえ、ハムは切って並べてありますし、チーズもスライスできていますね…それにトマトのサラダも……あ、これはいけませんね…」

デュイリオ「何か足りない物でもありました?」時おり頼まれごとを手伝いながら、ディアナの手際のいい調理を見物していたデュイリオ…微笑を浮かべながら頬杖をついていたが、優雅に立ち上がった…

ディアナ「はい…わたくし出来るだけ新鮮なままお出ししようと思って、サラダに合わせるバジルを摘んでくるのを失念しておりました……まだ余裕はありますし、ゆっくりで構いませんから摘んできてはいただけませんか?」

ライモン「あ、それならわたしが…」

デュイリオ「ふふ…ライモンドはディアナと協力して、愛しい提督のために美味しいミネストローネを作ってあげてくださいな……それでは行ってまいりますね♪」小さい園芸用ハサミとカゴを持って、横手の菜園に向かうデュイリオ

ディアナ「助かります」

ライモン「いってらっしゃい///」

デュイリオ「はい、行ってきます♪」

…菜園…

デュイリオ「…ふー、ふふーん…それにしても朝の風が心地いいこと♪」ぱちりぱちりとバジルの枝を切り取りながら、うんと深呼吸する…

デュイリオ「ふぅ……この時間に裏手の丘に上ったら、さぞ海が綺麗でしょうね……このバジルもサラダに和えるだけならすぐ出来るでしょうし、ちょっと「寄り道」といたしましょう♪」…ぴったりと身体にあった古風なワンピースごしからでもよく分かる、むちむちの太ももに張りのあるヒップ、服を高く持ち上げる柔らかな乳房…とても「おばあちゃん」とは思えないみずみずしい身体を軽やかに揺らしつつ、裏手のあずまやに続く階段を上って行った…

…裏手の丘…

デュイリオ「まぁ…やっぱりいい眺めですね、上って来て正解でした♪」白い石造りの丸天井とベンチ、それに聖母マリアの彫像が建っている裏手のあずまや……晩夏の南イタリアらしい乾いた黄色い土に、爽やかな松の香りが漂っている…

デュイリオ「ふぅぅ…よいしょ」バジルの入ったカゴとハサミをかたわらに置くとベンチに腰掛け、海風にあたりながらきらめく海面を眺めるデュイリオ…

デュイリオ「ふふ、風が涼しくてちょうどいいですね…♪」目を細めて、「さぁぁ…っ」と松葉を鳴らしながら吹き抜ける風で涼む……と、かたわらで何か黒いものがばたばたしている…

デュイリオ「あら、こんなところに……何でしょう?」足首まで隠れた白いハイネックのロングワンピース姿で、しゃなりしゃなりと優雅に歩みよるデュイリオ…

デュイリオ「……まぁ、カラス?」

カラス「カー…カー……」カタハネを傷めているのか、地面で元気なくばたついている若いカラス…

デュイリオ「ふむ……私、「カイオ・デュイリオ」があなたを見つけたのも何かの縁でしょうね…少し待っていてくださいな?」そっと手を差し伸べても怒るそぶりを見せないので、頭を軽く撫でると、一旦あずまやのベンチまで運んでからそっと下ろした……

…厨房…

デュイリオ「…摘んできましたよ、ディアナ」

ディアナ「あぁ、助かりました」

デュイリオ「いえいえ……ところでディアナ、大きなふた付きのカゴと、古くなったふきん数枚をちょうだいしたいのですが…どれを持って行ったらよろしいかしら?」

ディアナ「…それでしたら、そこにあるカゴは持ち手が切れそうなので使っておりませんよ……それと、古くなったふきんは後でかがって雑巾にでもしようかと思っておりましたので…そこに積んであります」

デュイリオ「それではこれをちょうだいいたしますが、構いません?」

ディアナ「どうぞ、よしなに…?」

デュイリオ「グラツィエ…それではちょっと失礼」いつも貴婦人のように優雅なデュイリオ…にしては珍しくあたふたと出て行った……

ライモン「どうしたんでしょう?」

ディアナ「なんでしょうね…ですがデュイリオは優しいですから、何か小動物でも助けてあげるつもりなのではありませんか?」

ライモン「そうかもしれないですね…♪」

ディアナ「きっとそうでしょう……ライモンド、ミネストローネが出来ましたから味見をしてみてくださいまし」

ライモン「あぁ、はい……うん、甘酸っぱいトマトに、野菜の滋味豊かな味わいが美味しいです♪」

ディアナ「それはよかったです…提督にも喜んでいただけますね」

ライモン「…はい///」

………
274 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/19(火) 02:20:06.12 ID:HLj5+czc0
…数分後…

デュイリオ「ほら…もう大丈夫ですよ、出ていらっしゃい?」大事そうに胸に抱えたカゴを低い飾り棚の上に下ろすと、フタを開ける…どうやらカラスも悪さをしないと分かったらしく、ひょっこり顔を出した…

ドリア「おはよう、デュイリオ…そのカゴはどうしたの……って、カラス?」

デュイリオ「ええ…裏の林で飛べなくなっているのを見つけて……飼ってもいいかしら?」

ドリア「ええ、いいわよ♪…餌はあげた?」

デュイリオ「いえ、まだですけれど……まずはお水をあげようと思いまして」プラスチックの容器に水を注ぐと、頭を上に向けて水を喉に流し込むカラス…

ドリア「あら、かわいそうに…ずいぶん水を飲んでなかったのね」

デュイリオ「みたいです……それじゃあ今度は餌をあげないといけませんね」

ドリア「カラスって何を食べるものなの?」

デュイリオ「そうですね…カラスは雑食ですから木の実とか、昆虫とか…小動物なども食べるはずですよ?」

ドリア「そうなのね……じゃあとりあえず、食堂から何か持ってきてあげましょうか?」

デュイリオ「はい、それじゃあ一緒に参りましょう?」

ドリア「ええ、髪をセットしたらね…♪」

…しばらくして…

デュイリオ「食べてくれるといいけれど…どうぞ、召し上がれ?」朝食のくるみパンから「採掘」してきたクルミとパンの皮、チーズひと欠けにイチゴが数粒…

カラス「アー…♪」最初こそ警戒して遠巻きにしてみていたが、そのうちにクルミやチーズをついばみ始めた…

デュイリオ「ふふ、よかった…♪」

ドリア「お気に召したみたいね、デュイリオ?」

デュイリオ「ええ♪」

カラス「カー」

ドリア「あらあら、返事をするなんてお利口ね♪」

カラス「カー…♪」くるっと丸い利口そうな目でドリアとデュイリオを眺めた…

………



デュイリオ「……と、いう訳なのです♪」

提督「なるほど…で、「カイオ・デュイリオ」とカラスのつながりって……あ」

デュイリオ「思い出しました?」

提督「何だったかしら……古代ローマ史で勉強したことがあったようななかったような…」

デュイリオ「うふふ…♪」

ガッビアーノ「…流浪のカモメである私には分からないな…降参するよ……」

ライモン「うーん、もうちょっと近代の事なら分かるのですが……私も降参です」

チェザーレ「提督もあきらめてデュイリオの講義を聞いてやるがよかろう」

提督「むー…答えられないのは何となくくやしいけれど、覚えていないのだから仕方ないわ……デュイリオ、「カイオ・デュイリオ」とカラスのつながりってなぁに?」

デュイリオ「ふふ、それでは教えてあげますね♪……時は第一次ポエニ戦争の頃…」



275 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/19(火) 03:17:12.65 ID:HLj5+czc0
提督「ふむふむ…?」

デュイリオ「当時ローマ帝国は、北アフリカからシチリアを治め、たびたびローマ帝国侵略の機会をうかがっていたカルタゴと戦争状態にありました…」

チェザーレ「それがかの有名なポエニ戦争であるな」

デュイリオ「そうですね…それまでローマ帝国は、陸戦でこそ無敵のローマ軍団を擁しておりましたが海には不慣れで、その上地中海の向こう岸にあるカルタゴを攻めるには大艦隊が必要でした……そこでローマは大型の軍船を建造し、今でいう「海軍」を作ることといたしました」

ライモン「言うなれば、それが私たちイタリア海軍のルーツになるわけですね」

デュイリオ「ええ…そして艦隊指揮官に選ばれたのはローマにおける名家、スキピオ家の一族であったグナエウス・スキピオでした…」

チェザーレ「第二次ポエニ戦争でハンニバルを下した名将「スキピオ・アフリカヌス」の祖父の兄(大おじ)にあたる人物であるな」

デュイリオ「ええ、そうです……そしてグナエウス・スキピオは完成したばかりの大型軍船十数隻で、哨戒と訓練を兼ねた航海に乗り出します…と言っても当時の事ですから、陸地を見ながら進むものでしたが…そしてシチリアまで航海したころ、グナエウスはとある情報を入手します」

ライモン「…とある情報?」

デュイリオ「はい…その情報とは、カルタゴ側についていた「リーパリ」がローマに寝返る用意をしている…と言うものでした」(※リーパリ諸島…シチリア島の北にあり、メッシーナ海峡北端を臨む場所にある。現在は風光明媚な観光地)

ライモン「なるほど…」

デュイリオ「当然、一番乗りの栄誉や褒美は素晴らしいものになると、グナエウスは艦隊を急行させてリーパリへの上陸・進駐を急がせます……ところが」

レモ「ところが?」

デュイリオ「それは智謀に長けた敵将「ハンニバル・ギスコ」の流した偽情報で、湾内に入ったローマ艦隊は潜んでいたカルタゴの艦隊に湾を封鎖されてしまいます……こうなると海に不慣れなローマ兵は慌てふためき、船を捨てて陸戦に持ち込もうとします…ところが不意打ちと言うこともありローマ軍は敗れ、軍団長であったグナエウスも捕虜になってしまいました……」

チェザーレ「…まったく、情けない限りだ……」

デュイリオ「ですね……しかし、後衛艦隊を率いていた無名貴族の指揮官「ガイウス・ドゥイリウス」はこの報を聞き、残存の艦隊を率いて救援に向かいます」

チェザーレ「さよう」

デュイリオ「そこでドゥイリウスは海戦に長けたカルタゴの軍船に対して、「コルウス」(カラス)と呼ばれる一種のハシゴを引っかけて切り込み戦術を行いました」(※コルウス…先端に「爪」のある揚陸艇の道板のようなもの。マストに固定されていたらしい)

提督「うんうん」

デュイリオ「接近戦となればローマ軍団はカルタゴなどものともしません…敵将ギスコを捕え、多くの軍船も鹵獲し、さらには捕虜になっていたグナエウスも救出することが出来ました……こうしてローマ艦隊の敗戦を覆した「ガイウス・ドゥイリウス」はローマで凱旋式を行う栄誉を得て、その後は要職を歴任することとなりました…」

ドリア「そして、その「ガイウス・ドゥイリウス」のイタリア語読みが「カイオ・デュイリオ」というわけ…つまり私の妹は海軍にぴったりの名前なの♪」

提督「そうだったわ……でもローマ海軍が海戦に慣れてからは、船がトップヘビーになるコルウスは使われなくなったのよね」

チェザーレ「いかにも…そしておまけの話だが、功を焦ってうかつにも捕虜になったグナエウス・スキピオはそれ以降からかいの対象となり「グナエウス・スキピオ・アシナ」と言われるようになったのだ」(※アシナ…雌のロバ。要は「雌ロバのスキピオ」)

提督「はー…カラス一羽に大変な歴史の講義がついてきたわね……」

ドリア「何しろ歴史ある国ですから…ね♪」

提督「まぁね」

デュイリオ「うふふっ…という訳で、この子を飼うことにしたいと思います」

提督「いいんじゃないかしら…今度動物病院に連れて行って翼の具合と、それから病気がないかどうかも見てもらいましょうね」

デュイリオ「はい……よかったですね?」

カラス「カー…♪」

提督「さてと…歴史ロマンの話で盛り上がったけれど、私は建造に行かないと……うちの鎮守府に軽巡枠が足りなくてよかったわ」

ライモン「どうしてです?」

提督「もしカピターニ・ロマーニ級の「スキピオーネ・アフリカーノ」がここにいたら、きっと毎回デュイリオに「貴女の大おじ様は『雌ロバのスキピオ』って言ってね…♪」ってやられたと思うの」

デュイリオ「もう、提督ったら…私はそんなこと……」

提督「しない?」

デュイリオ「……ちょっとだけは♪」

提督「ほら、やっぱり♪」

チェザーレ「ははははっ!」

ライモン「ふふっ♪」

ドリア「まぁまぁ…♪」

………
276 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/21(木) 12:04:47.23 ID:xnK2Y7oF0
…工作室…

提督「さてと…それじゃあ建造しましょうか」

ゴルゴ(フルット級中型潜「渦」)「了解…」

ヴォルティーチェ(フルット級「渦動」)「はい、喜んでお手伝いいたします」…白い髪が右の側頭部で羊の角のように渦を巻いている「ゴルゴ」と、薄青い髪が左の側頭部で巻いている「ヴォルティーチェ」……

提督「ありがとう、じゃあレバーを引くわよ…せーの!」

ゴルゴ「…動いたみたい」

ヴォルティーチェ「誰が来るのか楽しみです」

提督「ええ、私もよ…♪」

ライモン「あとは時間まで待つばかり…ですね」

提督「その間にお茶でもいただきましょうか」

マレア(フルット級「潮」)「結構ですね……それでは準備します」

提督「大丈夫、私がやるわ。お菓子は何がいい?」

ナウティロ(フルット級「オウム貝」)「甘いのなら何でもいいですよ…♪」

提督「あー…やっぱり戦中生まれだと甘いものに目がないわよね」

ライモン「特にフルットたちは42年、43年組ですし……いろんな物が払底していた時代ですから」

提督「戦意高揚のポスター以外はね」

ライモン「ええ…さ、それじゃあうんと甘いお紅茶でも淹れましょうね♪」

ナウティロ「ありがと、ライモンド♪」

ライモン「いえいえ……えーと、砂糖つぼは…」

提督「そこの引き出しの中よ」

ライモン「あぁ、ありました」

提督「それと紅茶が……今日はセイロンのブレンドにしましょう♪」

グレイ提督「セイロンですとミルクにも合わせやすいスタンダードな紅茶ですものね……皆さん、ご機嫌いかが?」

提督「…出たわね、紅茶妖怪……」

グレイ提督「ふふ、何かおっしゃいまして…?」

提督「何でもないわ♪」

グレイ提督「さようですか……どうやらフランチェスカはまた「お散歩」に連れて行って欲しいようですわね…?」耳元に口を寄せてぼそっとつぶやく…

提督「…ごめんなさい」

グレイ提督「よろしい…さて、紅茶を淹れる時は沸騰したお湯でないといけませんわ♪」

ライモン「ちゃんと沸いてますよ」

グレイ提督「あぁ、それは何より……それからポットやカップに軽くお湯を注いで、ほどよく熱してあげることが肝心ですわ」

提督「ふぅ…それじゃあ紅茶はうるさ型の……もとい、本格派のメアリに任せて、私たちはお菓子を選びましょう?」

ナウティロ「はい…いっぱい欲しいです♪」

提督「あんまり食べ過ぎるとお昼に差し支えるわよ?」ぱちんとウィンクをして、棚の引き出しからあれこれとお菓子を取り出した……
277 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/06/23(土) 02:58:57.15 ID:rQ261t9j0
グレイ提督「…さぁ、お茶が入りましたわ」

提督「ありがとうございます…うーん、いい香り」

グレイ提督「紅茶を淹れるには正しい淹れ方をしませんと、こういう風に綺麗な水色と華やかな香りは出ないのです」

提督「それではいただきます…ふー……すすっ…」

グレイ提督「いかがかしら?」

提督「とっても美味しいです…香りがよくって、鼻から抜けていくような感じがしますね」

グレイ提督「それはよかったですわ」

提督「ええ。それでは失礼して…」最初の一口は淹れてくれたグレイ提督への失礼にならないようストレートですすり、それから改めてミルクを入れた…

グレイ提督「では、わたくしもいただきましょう…」工作室の腰掛けに軽く腰を下ろし、優雅な手つきで紅茶をすする…

ナウティロ「はむっ…あむっ……うん、美味しいです…♪」さっくりした「チョコレートがけのパイ」をぱくつき、時々ふーふーと冷ましつつ紅茶をすする…

グレイ提督「喜んで頂けて何よりですわね……しかしこうして紅茶をいただいていると、ジブラルタルにいるわたくしの艦娘たちも、今頃はアフタヌーン・ティーを楽しんでいるのだろうと思われてなりませんわ…」

提督「ホームシックですか、メアリ?」弱音にも聞こえるような言葉を艦娘たちに聞かれたくないだろうと、首をかしげつつ英語でたずねる提督…

グレイ提督「いいえ、ふと心に浮かんだだけですから…お気遣いに感謝いたしますわ」

提督「そうですか……ところでメアリ」

グレイ提督「何でしょう?」

提督「メアリはイギリス海軍の「地中海艦隊」所属の提督でしたよね?」

グレイ提督「ええ、いかにも」

提督「艦娘たちに大戦中の編制を継承させているイギリス海軍なら、メアリの所属はマルタ島ではありませんか?」

グレイ提督「あぁ、そのことですか……確かに本来なら、ジブラルタルに所属しているわたくしは「北大西洋部隊」の所属になるはずですわね」

(※ジブラルタル…スペインにある英領の飛び地で、イギリス海軍にとって重要な海軍基地。地中海の入り口をふさぐ要衝にあり、ジブラルタル海峡の狭さから『ガット』(腸)…あるいは目印の大岩から『ザ・ロック』(岩)と呼びならわされていた。小説版「Uボート」によると元はアラビア語の「ジェベル・アル・タリク」(タリクの山)で、それがなまったものらしい…狭水道を挟んだスペイン側はスペイン本土の要港アルヘシラスで、ジブラルタル海峡を挟んだ北アフリカ側の対岸は、モロッコにあるスペインの飛び地セウタ)

提督「ええ…よく考えたら在マルタの(戦中は散々イタリアを苦しめてくれた)英軍はずいぶんと少ないですし、アレクサンドリア(エジプト)にも形ばかりで……」

グレイ提督「…わたくしからは申し上げにくい事柄ですので、お答えはいたしませんが……「栄光ある大英帝国も昔のようにはいかない」と言うことですわ」

提督「あー…それでですか」(イギリスも予算がないのね…)

グレイ提督「そういう事ですわ。ジブラルタルはイギリス領ですから、エジプトやマルタに駐留費を払う必要もございませんでしょう?」

提督「なるほど……」

グレイ提督「それにジブラルタルなら基地施設は揃っておりますし、電化製品もイギリス規格になっておりますの……外国に来て困るのはそう言ったところですから」

提督「確かに…あ、そろそろですね」

グレイ提督「今回は一体どんな戦歴の艦が「艦娘」になってやって来るのでしょうか…「わたくしでも知っているような」有名な娘なのかどうか、気になりますわ」

提督「むぅ……そう言われてしまえば、イギリス海軍の名艦たちほど有名な娘はいないでしょうね……でも、大局的にはふがいないと言われようが、どこかでピリッとしたところがあるのがイタリア海軍ですから♪」それとない皮肉を受け流してやり返す提督…

グレイ提督「よく存じております…わたくしたちの先人たちも「マカロニ艦隊」とあなどっては、時折チクリと刺されることがありましたもの……」

提督「ええ、そう言うことです♪」

ナウティロ「ふふ…ん♪」

グレイ提督「ふふ、わたくしは気を付けますわ……それと少なくとも、フランス海軍よりはよく行動いたしましたわね」

提督「ふふ、メアリったら…いつぞやマリーにイヤミを言われたのを、まだ根に持っているのですか?」

グレイ提督「いいえ。わたくしは根に持ったりする性格ではありませんもの……ただ、いつかその相手が溺れてでもいるような時に、過去の言動を思い起こして「ロープを投げるかどうか」の判断材料にはいたしますわね…♪」

提督「…」

…フランス・トゥーロン第七鎮守府…

エクレール提督「くしゅっ…!」

ジャンヌ・ダルク(練習軽巡)「大丈夫ですか、モン・コマンダン(私の司令)?」

エクレール提督「ええ、大丈夫ですわ……きっとフランチェスカあたりが噂でもしてくれているのでしょう…まったく」

リシュリュー(戦艦リシュリュー級)「でしたらなおの事気を付けませんと…イタリアは風向き次第でいつ寝返るか分かりませんので…」

エクレール提督「ええ……といっても、フランチェスカに限ってはその心配はありませんわ///」昔プレゼントされた趣味のいいネックレスをもてあそびながら、頬を赤くした……
278 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/27(水) 02:09:14.27 ID:ak3rJng00
…同じころ…

提督「さて…そろそろ出てくるわね」

ゴルゴ「やれやれ、待ちくたびれたわ」

ヴォルティーチェ「結構かかりましたものね♪」

ナウティロ「んぐ、んむっ…ごくん……ごちそうさま、美味しかったです♪」

提督「ずいぶん食べたわね、お昼が入らなくなっちゃうわよ?」

ナウティロ「大丈夫ですよ、提督…♪」

提督「そう…ふふっ♪」綺麗なえんじ色と白髪が房ごとに分かれているナウティロの頭を軽く撫で、制服の裾を直して待った…

…建造装置のカウンターがゼロになるとドアが開いて、中から漏れ出した青い光が目を眩ませた…光が収まると中学生ぐらいのすんなりした艦娘がきっちり十人整列していて、それぞれが違った宝石を身に着け、色とりどりの瞳が夏の海のようにキラキラときらめいている……

艦娘「…こんにちは……えーと、提督…さん?」

提督「ええ、初めまして…タラント第六へようこそ。司令のカンピオーニです♪」

艦娘「ボンジョルノ(こんにちは)、提督さん…自己紹介が必要ですね?」

提督「ええ、よろしく…♪」

艦娘「こほん、それでは…中型潜水艦「ペルラ」(真珠)級ネームシップの「ペルラ」です……あの時は捕まったりもしましたが、今度こそ「健康」と「長寿」、そして「富」を鎮守府にもたらしますから…ちゅっ♪」…「ペルラ」はパールピンクと白の混ざったような艶やかな髪に白っぽい瞳…そして提督の給料では手が届かないような大粒の美しい真珠のネックレスとブレスレット、イヤリングを付けている……敬礼が済むと、提督の手の甲にしっとりした唇で軽くキスをした…

艦娘「次は私ですね…潜水艦、「アンブラ」(琥珀)です。イタリア潜で一番の大物を沈めた実力、今度も発揮したいと思います♪」…明るい琥珀色の瞳に綺麗な金色がかった琥珀色の髪をなびかせ、両脇と腰にSLC(※人間魚雷…水中スクーター)の格納筒を抱えている……首元にはウズラの卵ほどありそうな琥珀のブローチを付けている…

提督「よろしく、アンブラ…沈めたのはイギリス軽巡だったわね?」

アンブラ「はいっ、軽巡「ボナベンチャー」です…ご存じとは嬉しいです///」

提督「ふふ、復習しておいたの…♪」ちゅっ…と左右の頬にキスをすると次の艦娘の前に立った…

艦娘「初めまして。ペルラ級中型潜「ベリロ」(ベリル・緑柱石)です…石言葉は「永遠の若さ」と「聡明」です……どうぞ長いお付き合いが出来ますように…♪」…髪はすっきりしたベリルの緑色でセミロングに伸ばし、瞳は初夏の木々のような鮮やかな緑色…手首のブレスレットと髪止めのベリルも透き通った緑色で、涼やかで美しい…

提督「初めまして……私にもその若さを分けて欲しいわね♪」にっこりと微笑みかけて、軽くぱちりとウィンクをする…

艦娘「それでは私の番ですね……ペルラ級「コラーロ」(珊瑚)です。「成長」と「威厳」、そして「長寿」をもたらしましょう…」ポニーテールにしている深い赤色の髪を真っ赤な珊瑚珠(さんごじゅ)の髪止めで結んでいる…首にはピンクコーラルのネックレスをつけ、赤く艶のある瞳で提督をじっと見つめた…

提督「グラツィエ…あなた自身にもね♪」

艦娘「ボンジョルノ、提督…ディアスプロ(ジャスパー・碧玉)です!…石言葉は「勇気」、それに「多種多様」です!」ぐっと身を寄せると軽くつま先立ちして、提督の唇ギリギリのところにキスをした…

提督「んんぅ…ふふ、元気いっぱいのようね……それで、貴女…が……?」…唐突に流れ始めたエンニオ・モリコーネのウェスタン映画の音楽に驚いて、辺りを見回す提督……さぁーっと吹き付ける乾いた風に乗って、足もとをコロコロと埃の固まりが転がった…

艦娘「…やぁ、あんたが提督さんか……私がジェンマ(宝石)だ。名前はそれだけでいい…今度は味方にやられないよう気を付ける……」黒地に銀の縁取りがついたテンガロンハットに黒のブレザーとズボン…足元は銀の拍車がついた黒のブーツで固め、腰には「コルト・ピースメーカー」を左右に吊るしたガンベルト……帽子を軽く持ち上げると、帽子の影になっている下からニヒルな笑みが見える…

提督「あー…それでエンニオ・モリコーネの曲なのね……よろしく頼むわね♪」

(※ジュリアーノ・ジェンマ…イタリア映画界がハリウッドでのウェスタン映画ヒットを見て次々に作った一連の西部劇映画、通称「マカロニ・ウェスタン」で多く主役を務めた俳優。エンニオ・モリコーネは有名な映画音楽の作曲家で、マカロニ・ウェスタンの曲も多く手掛けた……たいていは口笛と鞭の音が入っていてどれがどれやら分からないが、ウェスタン・ムードはたっぷり)

ジェンマ「……ジェンマだけにな……それじゃあ、よろしく…」
279 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/27(水) 02:54:04.68 ID:ak3rJng00
提督「ええ、それで…」

艦娘「ブエナス・タルデス(スペイン語で「こんにちは」)…私が中型潜「ゴンサレス・ロペス」……じゃなかった…ボンジョルノ、中型潜「イリデ」(虹・アヤメ)です…伝言なら私にお任せです♪」スペイン国旗の赤と金のリボンにアヤメの髪飾りを付けたポニーテールの髪に、プリズムのように変化して見える輝く瞳……両脇には四本の人間魚雷格納筒を装備している…

提督「ええ、グラシアス…ブエンベニード(ようこそ)♪」

イリデ「へぇぇ、提督はスペイン語が出来るんですね…今度一緒にパエーリャでも食べましょうね♪」

提督「ええ、そうしましょう♪……それから貴女が…っ…!?」

艦娘「んふふ…私が「マラキーテ」(マラカイト・孔雀石)よ。石言葉は「危険な愛情」に「恋の成就」……どう、私と火遊びしてみない?」提督の腰にふとももを擦り付け、胸の谷間に手を這わす「マラキーテ」……青緑色の瞳が妖しく光り、長い髪がまとわりつく…

提督「だ、ダメよ……こんな所じゃムードも何もないし…あ、でもちょっとキスするくらいなら……///」

ライモン「…こほん!」

提督「あ、あぁ……まだ自己紹介が終わっていないから、待ってちょうだいね…えーと///」

艦娘「中型潜、「オニーチェ」(オニキス・しまメノウ)です…一時期はフランコ将軍の下で「アグィラール・タブラダ」として頑張っておりました。「和合」と「夫婦の幸せ」がありますように…♪」黒い髪に黒い瞳のすっきりした美人のオニーチェ…黒髪を縛っているスペイン国旗の色がよく映えていて、額のサークレットと指輪のオニキスが光っている…

提督「んー…夫婦というよりは「婦妻」だけれど……よろしくね♪」

艦娘「最後が私ですね…ペルラ級「トゥルケーゼ」(トルコ石)です。提督に繁栄や成功がありますように♪」水色の瞳に水色の髪を難しく結い上げ、胸元の二重ネックレスと、指の大きなトルコ石がエキゾチックな雰囲気をかもしだしている…

提督「ええ、グラツィエ…それじゃあ何はともあれ、食堂に行ってお昼にしましょう♪」

ペルラ「了解♪」

…食堂…

ドリア「まぁまぁ、これはまた色鮮やかな娘たちで…ここも一層にぎやかになりますね♪」

提督「本当にね……エリトレア、よかったら始めましょうか♪」

エリトレア「了解しました♪…それでは、どうぞ召し上がれっ♪」

フルット「ふふふ、何とも国際色豊かで美味しそうですね…」

ルイージ・トレーリ「それじゃあ今度は、私も和食を皆さんにごちそうします…いいでしょうか、エリトレア?」

エリトレア「もちろんですとも♪」

提督「ここにいながら外国の料理を楽しめるなんて素敵ね…もし注文したい材料があったら、遠慮なく私に相談してね?」あれこれと目移りしながらも、取り分け用のスプーンを忙しく動かす提督…

ライモン「もう、またそんなに食べて…後で運動して下さいね?」

提督「はいはい…んー、こっちの料理も美味しそうね♪」

ドリア「提督、私にもよそって下さい♪」

エリトレア「器に乗りきらなかっただけで、まだおかわりもありますからねっ♪」


…紅海を脱出してからは東南アジア方面で補給任務をしていただけに、エスニック風料理の得意なエリトレア……優しく海風の吹き抜ける食卓には、ライスをたっぷりのタマネギとひき肉で炒め、バジルを乗せたピラフのような「東南アジア風ライス」や、ナスと鶏肉をココナッツミルクでまろやかに仕上げた「タイ風カレー」が並んでいる……もちろんイタリアらしさも忘れずにいて、「ピッツァ・マルゲリータ」と「パスタ・アラビアータ」がしっかりと並んでいる…


提督「うん、ひき肉の風味がほどよく染み込んでいるわ…美味しい♪」

…ひき肉から出る油でタマネギとニンニクを炒め、そこに固く炊いたご飯を投入したらしい「東南アジア風ライス」……百合姫提督が欲しくなるだろうと用意しておいた醤油は結局そこまで使わずに余していたが、それをうまく使って、いかにもアジア風な香りがついている…香ばしいようなしょっぱいような香りに、山ほど散らしたバジルがインドネシア辺りの混みあった市場を連想させる…

ディアスプロ「これも美味しいです…!」

…タイのカレーと言えばたいてい入っている「コブミカンの実」に代えて、カクテル用に用意してあるライムジュースを少しだけ垂らしてある黄色っぽいカレー…ピリリと辛いが爽やかな青唐辛子と、よく煮こまれてとろりと柔らかいナス……鶏肉は小骨の多い部位や余していた部分を軽くソテーしてから入れてあるので、表面は香ばしく、それでいて肉は簡単にほぐれる…

提督「そうね、こんな快晴の日にはいいわね…ふぅー、暑くなってきたわ…」意外と辛いカレーに汗を滴らせ、すっきりした白ワインで口の中をさっぱりさせる提督……夏季略装のブラウスがぴったりと張りつき、黒いレースのブラがはっきりと透けて見える…

グレイ提督「…ふぅ、なかなかスパイシーでよろしいですわね」耐熱ガラスのカップで熱いストレートティーをすすっているグレイ提督…インド料理などにぴったりな熱い紅茶は、すっきりと辛さを抑えてくれる……

ヴァイス提督「これは美味しいが……どうも辛いな…」そっとハンカチを取り出して額を拭うヴァイス提督…隣ではビスマルクが汗をかき、ビールをあおりながら料理をむさぼっている……

提督「ペルラ級のみんなはどうかしら…美味しい?」

ペルラ「はい、美味しいです♪」

マラキーテ「後は食後のドルチェだけ…ね、提督♪」ぺろりと舌舐めずりをするマラキーテ…

提督「…ええ、午後の執務に差し支えなければ……ね♪」いたずらっぽい笑みを浮かべ、そっとウィンクをする提督…

………
280 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/27(水) 03:04:34.23 ID:ak3rJng00
…お待たせしていましたが、艦娘の紹介は次回以降に持ち越してこの辺りで止めます……「ペルラ」級に付けられた宝石の「石言葉」を調べようとしたところ、パワーストーンとしてのスピリチュアルな情報ばかり出てきて苦労しました…あと「石言葉」は国によって違うようなので、日本で知られている石言葉は日本独自のものか、欧米のを翻訳したものが多いようです…


…残る「600」型系統の中型潜は2クラスなのですが、イタリアらしからぬ量産数なので書くのが大変そうで……しばらくはお茶を濁す形で百合百合したり、だらだら書いていくと思います(アメリカ海軍でやらないでよかった)…
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 23:46:49.56 ID:0tp1Tnwco

姉妹が多ければ多いほど目の保養になるじゃない
282 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/06/30(土) 10:01:49.64 ID:Uici38xW0
>>281 なるほど、いい考え方ですね(笑)

……一応それぞれの戦歴などを調べ直したうえでキャラを考えるので、しばしお待ちを…
283 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/01(日) 02:38:26.77 ID:KbycTOfc0
…とある日…

提督「んー…書類仕事も終わったし、後はみんなの様子でも見て回りましょう♪」

カヴール「でしたら私がお供いたします…♪」

ライモン「あ、わたしも行きます」

提督「それじゃあ待っていてあげるから、ファイルだけ戻しておいて?」

ライモン「了解……それでは行きましょう」

………

…駆逐艦「ソルダティ」級の部屋…

提督「こんにちは…あら、アヴィエーレ♪」

アヴィエーレ(ソルダティ級「航空兵」)「やぁ、提督……これからゲームでもしようかと思っていたところなんだ♪」提督の左右の頬に音高くキスをすると座り心地の良さそうなひじ掛け椅子に座り、テレビとゲーム機の電源を入れた…

ランチエーレ(ソルダティ級「槍騎兵」)「私もいるわよ…見ているだけでも意外と面白いもの♪」

カミチア・ネラ(ソルダティ級「黒シャツ隊員」)「そうね……それに今日は暑すぎて…表にいたら焦げそうよ……」

提督「カミチア・ネラは黒シャツだものね……後ろから見ていてもいいかしら?」

アヴィエーレ「もちろん構わないよ、ジェット戦闘機だったらさしずめナヴィゲーター(航法士)だね……」

提督「ふふっ、そうね…あら、戦闘機のゲーム……?」空いている椅子を引っ張って来て腰かける…

アヴィエーレ「そうだよ…このオープニングの曲がよくってね……♪」

提督「確かに…フラメンコみたいなテンポのいい曲ね」

アヴィエーレ「…そうだ、せっかく提督が来たんだし……今のオープニングをもじって、一つちょっとした冗談を…♪」椅子の前後を逆にして座るアヴィエーレ…もう一度オープニング画面を流しつつ、セリフを重ねる…

提督「?」

アヴィエーレ「…知ってるか?……レズは三つに分けられる…相手を追い求めるタチ…身を任せて生きるネコ……そして空気の読めるリバ…この三つだ」…親指、人差し指、中指と開いて数え上げるアヴィエーレ…

カヴール「…ふふっ♪」

提督「ぷっ…くすくすっ♪」

アヴィエーレ「彼女は「カタハネの妖精」と言われた女……「彼女」の相手だった人物だ…」

ランチエーレ「くくっ…何それ…♪」

アヴィエーレ「…『エリア「Y7R」で大規模な百合発生!』…『増援か…どこのタチだ!?』……」

ライモン「もう、アヴィエーレ…///」

アヴィエーレ「……その戦いでは誰もがタチになり、誰もがネコになる……そして誰がフェムで、誰がリバだったのか…」

提督「ふふふっ、もういいわ……ふふふ、お腹が痛い…っ♪」

アヴィエーレ「そうか、それじゃあこのくらいにしておこう…では改めてコックピットに座らせてもらおうかな」椅子を戻すとコントローラーを手に取った…周囲には提督を含めて十人近い観客が座っている…

………

…しばらくして…

アヴィエーレ「……えぇい、「フォックスハウンド」のくせに旋回戦なんか…おまけに赤と黒のカラーリングときた……ぐぅぅ…っ」本当にGがかかっているかのように歯を食いしばり、スティック(操縦桿)…の代わりにコントローラーの「ぐりぐり」を動かすアヴィエーレ…

(※MiG−31「フォックスハウンド」(キツネ狩り用の猟犬)…ベレンコ中尉の函館亡命事件で有名になったソ連のMiG−25「フォックスバット」(オオコウモリ)の後継機で、戦闘機初のフェイズドアレイレーダー搭載などFCSが優秀。単座の「フォックスバット」と違って複座になっている…もともとはアメリカの計画していたXB−70超音速爆撃機「ヴァルキリー」を迎え撃つための迎撃戦闘機だったので、トップスピードはマッハ3が出るが、旋回性はあまり良くない)

アヴィエーレ「あっ!?…しまった、ダメだったか……」

提督「あらまぁ…」

アヴィエーレ「うーん…まぁいいさ、負けたから交代しよう」

ランチエーレ「じゃあ私が!」

アヴィエーレ「よし、任せたよ…うまくやってくれ♪」

提督「それじゃあ仲よくね…♪」

カラビニエーレ(ソルダティ級「カラビニエーリ隊員」)「はい、私がちゃんと順番を守らせますから」カラビニエーリ(軍警察)隊員だけあって規則や順番にはうるさいカラビニエーレが、カチリとかかとを合わせて敬礼する…

提督「よろしくね……それじゃあ次は…と」

284 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/01(日) 03:39:07.28 ID:KbycTOfc0
提督「やっぱりペルラの所かしら…来たばっかりで戸惑っているでしょうし」

カヴール「ええ、それがよろしいかと思います…♪」

ライモン「そうですね」

提督「じゃあそうしましょう……その後で待機室に行って、待機組のみんなに声をかけることにすればいいわね」

ライモン「はい、分かりました」

………

…中型潜「ペルラ」級の部屋…

ペルラ(真珠)「まぁ…提督、よく来てくれました♪」

ベリロ(ベリル)「歓迎いたします……ようこそ、私たちの部屋へ♪」

アンブラ(琥珀)「来てくれて嬉しいですよ…ほら、ぶーちゃんも挨拶しなさいね?」

提督「…『ぶーちゃん』って?」

アンブラ「この子ですよ…ほら♪」両の腰と背中にマウントしているSLC格納筒の一つを開けると、中にピンク色をしたブタのぬいぐるみが収まっていた…

提督「あら可愛い…それはいいけれど、またどうして……あ」

ペルラ「ふふ、そうです…SLCの通称が「豚」だったからなんです」

アンブラ「安心してくださいね…艦には「ホンモノ」が収まっていますから……よしよし♪」ピンクの「ぶーちゃん」を撫でると、また格納筒を閉めた…

提督「……まぁいいわ。あと困っていることとか、欲しい家具なんてあったら……」そう言って部屋を見渡すと、左右の壁や化粧台にキラキラと光る宝石や奇石のアクセサリーが積まれている……

提督「…まるでミラノの宝石店みたい……」

ライモン「…眩しいです」

カヴール「ふふ、きれいですね…私のようなおばあちゃんでさえ、身に付けてみたくなってしまいます♪」

ペルラ「……私のよければ構いませんよ?」

カヴール「あら、いいの?」

ペルラ「ええ…せっかくの機会ですから」

オニーチェ(オニキス)「よかったら提督とライモンドもどうぞ…そこに座ってくれればつけてあげますよ?」

ライモン「いえ、そんな…わたしは宝石の似合うような貴婦人じゃありませんし……」

提督「まぁまぁ、せっかくそう言ってくれているのだから……そうよね、オニーチェ?」

オニーチェ「ええ…ライモンドは綺麗な金色の髪ですし、私の黒はよく似合うと思います」

提督「ふふ、それじゃあついでに髪型も…♪」二人がかりでライモンを座らせると、化粧台の鏡に映るように微笑みつつ、髪をまとめているヘアゴムに手をかける…

ライモン「え、ちょっと…提督、何をするつもりですか///」

提督「まぁまぁ…せっかく落ち着いた風合いの金髪なんだもの……いつものポニーテールもすっきりしていていいけれど、たまにはお嬢さまみたいに…♪」髪をまとめているゴムを外すと、ふわりと髪が波打った…

ライモン「あの…提督……」

提督「ふふっ、ライモンの髪……いつも通りしっとりしていて、すごくいい手ざわりね……すぅ…はぁ…♪」豊かに流れた髪の房に顔をうずめて甘い香りを吸い込む……

ライモン「も、もう…っ///」

トゥルケーゼ(トルコ石)「それじゃあ私は提督に似合いそうな…マラキーテも提督に見繕ってあげたら?」

マラキーテ(マラカイト)「いいわねぇ…ふふ、私の身に着けた宝石を提督が、なんて……んふふ、たまらない…♪」

提督「あらまぁ、こんなに宝石を身に着けたのは生まれて初めてかもしれないわ……ふふ、ちょっと重いくらい♪」マラカイトのネックレスにトルコ石の腕輪をつけ、いたずらっぽい笑みを浮かべた…

ライモン「うぅ…素敵なアクセサリーですけど、こんな贅沢なのを身に付けていると…似合わないのに背伸びをしているみたいで恥ずかしいです……ど、どうでしょうか///」オニキスのサークレットにカメオのブローチ…耳には複雑に絡み合ったオニキスと銀のイヤリング……肩に流れる髪とごくあっさりとした淡灰色のサマードレスがライモンのすっきりした顔をぐっと引き立て、モノトーンならではのモダンな美しさを感じさせる…

提督「……とっても素敵よ///」

カヴール「ええ、本当に綺麗ですよ……ふふ、でもこうしていると欲しくなってきてしまいますから……ペルラ、つつしんでお返しします♪」二重になったパールのネックレスにティアラをつけて、貴婦人そのもののカヴール…が、優美ながら気どらないカヴールはにっこり笑ってアクセサリーを外し、ペルラに礼を言って返した…
285 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/03(火) 02:14:45.10 ID:UhXl/ke10
…廊下…

提督「ペルラたち、思っていたより大丈夫そうだったわ…ここの生活には馴染みやすいのかしら?」

カヴール「かもしれませんね♪」

ライモン「……それも提督がいるからこそなんですよ…///」

提督「んー?」

ライモン「いえ、何でもないです…っ///」

提督「そう?」

ライモン「は、はいっ…それより早く待機室に行きましょう!」

提督「はいはい……そう言ってもらえて嬉しかったわよ、ライモン…♪」耳元に唇をよせ、そっとささやいた…

ライモン「///」

カヴール「ふぅ、それでなくても暑いくらいの陽気ですのに…ますます暑くなってきますね♪」

提督「それはもう…ね♪」

…待機室…

カヴール「ふぅ…お二人の甘いやり取りの後ですから、冷房が余計涼しく感じますね?」

ライモン「もう、言わないで下さいよ…///」

提督「ふふ…チャオ、みんな」

ガリバルディ「あら提督…こんなところまで来てくれて嬉しいわよ♪」

アオスタ「提督、待機組は全員異常なしです」

提督「了解。アオスタがいると楽できるから助かるわ…♪」冗談交じりにウィンクを投げる

アオスタ「はい、頼りにして下さってありがとうございます…ですが、提督もきっちりご自身の目で確かめて下さい」

提督「そうよね…まぁ、そう思ったから来たの♪」

アオスタ「よい心がけです」

提督「どうも……って、ここでもゲーム中なのね」

アオスタ「…まったく、みんないい歳しておきながらゲームなんかにかじりついて……それに一時間ごとに十五分は休憩を挟むよう説明書にも書いてあったでしょう?」…戦後ギリシャに渡ったせいで、すっかり「堕落」した女たらしの妹「エウジェニオ・ディ・サヴォイア」と違い、ソ連に引き渡されて生真面目な委員長気質が染みついたアオスタ……

提督「まぁまぁ…で、ここではどんなゲームをやっているのかしら……」待機室にある居心地のいい肘掛椅子に数人が腰掛け、わいわい言いながらゲームを見物している……

デュイリオ「…」

提督「あら、デュイリオがゲームなんて珍しいわね?」

アルフレド・オリアーニ(オリアーニ級駆逐艦)「あ、提督……それがデュイリオったらすごく強いのよ!」

ジョスエ・カルドゥッチ(オリアーニ級)「ええ、本当に…惚れ惚れしちゃいます……///」

ヴィンチェンツォ・ジオベルティ(オリアーニ級)「ね…今までプレイしてたみんなとはけた違い♪」

ヴィットリオ・アルフィエリ(オリアーニ級)「ですからこうやって応援しているんです」

提督「へぇぇ…なになに『ARMORED艦CORE2』?……ロボットの戦闘ものみたいだけど…」

デュイリオ「……「AC」と言って下さい、提督……カラサワ…カラサワ…」いつも通り甘い表情を浮かべているが凍りついたような笑みで、まばたき一つせず画面に向かっている…

提督「あら、ごめんなさい…で、デュイリオがその操縦士なのね?」

デュイリオ「ええ…ちなみに操縦者ではなく「レイヴン」です……小ブースト…小ブースト……」

提督「レイヴン(大カラス)……だから『コルウス』(カラス)を使ったデュイリオが得意なのね…♪」

オリアーニ「そうなの。ちょっと怖いくらいよ……さっきからみんなで交代しながら「アリーナ」に挑んでいたところなんだけ……あ、あの難敵を倒しちゃったわ……!」画面には黒く煙を噴く、黒と紫のカラーリングを施した相手の四脚型ACが映っている…

デュイリオ「……カラサワ…カラサワ………あら、提督?」

提督「…こんにちは、デュイリオ……大丈夫?」

デュイリオ「何がです?」

カヴール「…誰かに強化人間手術を受けさせられた…とかありませんか?」

デュイリオ「ええ?……って、あら…ほんの少したわむれにやってみようと思っただけでしたのに、もうこんな時間…ゲームなんて触ったこともありませんでしたけれど、待機時間の暇つぶしにはもってこいですね♪」

提督「…アオスタの言う通り、少しゲーム禁止令を出した方がいいような気がしてきたわ……」
286 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/07/04(水) 02:12:27.70 ID:7/5xxA4x0
…屋外射撃場…

提督「はー…暑いわねぇ……」

カヴール「そうですね…見回りはこのくらいにして、執務室に戻りますか?」

提督「ううん、運動も兼ねてとりあえず一周はしようと思って…暑いのは後でシャワーを浴びればいいもの……って、向こうに誰かいるわね…?」小手をかざして目を細め、射撃場のレンジに向かっているのが誰か見極めようとする提督…

♪〜「荒野のガンマン」のテーマ〜

ジェンマ(ペルラ級中型潜「宝石」)「……誰だ?」…的に向かっていたのは鎮守府に来たばかりのペルラ級中型潜「ジェンマ」で、多くの艦娘たちが甘い香水や化粧品の香りをさせている中、一人だけ砂ぼこりと硝煙のにおいをさせている……ニヒルな笑みを浮かべて「荒野のガンマン」を口笛で吹きつつ、手際よく的を撃ちぬいている……

提督「私よ、ジェンマ…射撃の練習中?」

ジェンマ「提督か……ああ、そうだ…」ジャキン…ッ、バンッ!…ジャキンッ、バンッ!

提督「…さすがジェンマね」ひとり言をつぶやく提督…

ジェンマ「どうも……さて、これでおしまいだ…」ガシャッ……バンッ…!

提督「お疲れさま…この日差しだから、暑気あたりを起こさないように注意してね?」

ジェンマ「ああ」

提督「よろしい♪……それにしても綺麗な仕上げのウィンチェスター・ライフルね…M1873?」


(※ウィンチェスター・M1873…当時としては速射が利き、そのうえ物の届きにくかった西部の開拓地で「コルト・シングルアクションアーミー」(ピースメーカー)と同じ弾を撃てるということから、絶大な人気を誇ったレバーアクション式ライフル。初期のモデルは真鍮の機関部から「イエロー・ボーイ」のあだ名で親しまれ、モデル1873は映画「ウィンチェスター銃73」などで名銃として描かれたことから名高く、ピースメーカーと合わせて「西部を征服した銃」などと呼ばれる…のちに故障が少なく安価なボルトアクション式ライフルが生まれたことで廃れていったが、まだまだ愛好家は多い。口径は.45ロング・コルトなどモデルにより様々)


ジェンマ「ほう…提督は「ウィンチェスター73」をご存じか」

提督「ええ、触ってもいいかしら?」

ジェンマ「……ああ」

提督「うーん…艶のある木のストックに綺麗な仕上げの銃身……さすがウベルティね♪」(※アルド・ウベルティ…戦後イタリアのロンバルディア州で生まれた小火器メーカー。アメリカや欧州で人気がありながら、パテントが切れて特許料のいらない西部開拓時代の銃を丹念に作っている)

ジェンマ「そうだな…こっちもウベルティのだ」腰に差したニッケルメッキのピースメーカーをあごで指し示した…

提督「ねぇ、ジェンマ…ぁ♪」

ジェンマ「何だ……いきなり甘ったるい声を出して」

提督「……数発だけ試し撃ちさせて?」

ジェンマ「…なんだ、それだけの事か……構わないからやれよ…」

提督「ふふっ、ありがと……ふぅ…」ジャキンッ…バァン!

ジェンマ「……ヒュゥ、上手いもんだな…!」

提督「…」ジャキッ、バンッ!…ジャキンッ、バンッ!……ジャキン、バンッ!

カヴール「まぁまぁ…♪」

ライモン「わぁぁ…!」

提督「……ふぅ、やっぱりウィンチェスターのこのクラスは細身でいいわね…私でも持ちやすいわ♪」

ジェンマ「ふふ、それじゃあ……こいつはできるか?」食堂からもらって来たらしい空き缶数個を揺さぶった…

提督「…やってみましょうか?」

ジェンマ「西部劇ではお馴染みだからな……ライモンド、合図してくれ」腰のピースメーカーに手をかけた…

ライモン「わ、分かりました……トーレ、ドゥーエ、ウーノ…はい!」

ジェンマ「そら…っ!」

提督「んっ!」ジャキンッ…バンッ!……投げ上げられた缶を撃ち抜いて、もう一度空中に跳ね上げる提督…

ジェンマ「…ふんっ!」バンッ、バンッ、バァン…ッ!……腰のホルスターからピースメーカーを抜くと落ちかけた缶に次々と撃ちこみ、水切りする小石のように数回も跳ね上げた…

カヴール「あら…あらあらあら♪」

ライモン「……すごい!」

提督「ふふーん♪」

ジェンマ「ふ…提督とは仲良く出来そうだ……それじゃあ…♪」黒と銀のテンガロンハットを軽く傾けて会釈すると、哀愁と硝煙の香りを漂わせて戻って行った…

………

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