イタリア百合提督(その2)「タラントに二輪の百合の花」

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44 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/24(水) 01:38:10.78 ID:iW9w/Wnt0
提督「はー…疲れた♪」提督はチェザーレと二人でルチア相手に流木を使って遊んであげていたが、無尽蔵に体力があるらしいルチアに走り回らされ、ヘトヘトになってパラソルの下に戻ってきた……全身に心地よい疲労感を感じて、シートに寝転がる提督…

提督「喉も乾いたし…レモネードがあったわよね」バスケットをごそごそとかき回し、瓶に詰めた冷たいレモネードとグラスを取り出した…

提督「ごくっ…ごくっ……ふぅー…」

チェザーレ「…やれやれ、何とも元気なワン公よ」

ルチア「ワフッ…♪」…びしょびしょに濡れた身体をぶるぶるっと身震いさせつつ、流木をくわえて満足そうなルチア……一方のチェザーレは置いてあった優雅な帽子をかぶり直すと提督の脇に座り、長い脚を投げ出した

提督「お帰りなさい、チェザーレ」

チェザーレ「うむ、今戻ったぞ…おや、何やら涼しげなものを飲んでいるな……チェザーレにも一杯もらえないだろうか?」

提督「ええ、そこのバスケットに入っているから好きなだけどうぞ…グラスはここにあるから……」シートの上に出したグラスを一つ取って、チェザーレに差しだした…

チェザーレ「うむ、かたじけない……おっと!」

提督「きゃっ!……チェザーレ、大丈夫?」提督の身体越しに上体を伸ばしてレモネードの瓶を取ろうとしたチェザーレだったがバランスを崩し、寝転がっていた提督の上にのしかかった…

チェザーレ「うむ、チェザーレは平気だが……提督の双丘はなんとも柔らかいな///」…とっさに両手をついたチェザーレだったが、その右手はむっちりと弾力のある提督の乳房をつかんでいた……しみじみと感想をもらしながら、改めて胸を揉むチェザーレ

提督「もう、チェザーレったら…ほーら、早くどいて♪」空いている右手で、つんっ…とほっぺたをつつく提督

チェザーレ「ほう……本当にどいてしまって良いのか、提督よ?」ゆったりと乳房をこね回しながら、ささやくように問いかける…

提督「……ううん、どかないで///」

チェザーレ「そうであろう、こんなにも太陽が眩しいのだからな……んっ///」そのまま顔を近づけ、そっと唇を重ねる二人……ルチアだけがその様子を見ながら、両前足に挟んだ流木をかじっている…

提督「んっ…んふっ……んんっ///」シートの上に押さえつけられながら、口中に熱い舌をするりと入れられた提督…その瞳はとろりと焦点から外れ、身体の力も抜けている……

チェザーレ「んふっ…じゅぷっ……れろっ…ん♪」

提督「んはぁ……はぁ、はぁ、はぁ……///」砂浜からの照り返しで金色に光る唾液の糸をたらしつつ、色つやのいい唇を半開きにしてチェザーレを見上げた…

チェザーレ「砂浜で愛を交わすと言うのも…一興であるな……♪」提督のきつそうな水着をほどくと、たゆんっ…と丸っこい乳房が揺れ、所々についていた砂粒がぱらぱらとこぼれ落ちた……

提督「そうね、せっかくの夏休みだもの……いっぱい愛して…ね///」

チェザーレ「そう言われると…たまらんな♪」くちゅり♪…水着の中に手を入れ、しっとりと湿った提督の秘所に指を差しいれるチェザーレ……

提督「あぁっ…んんぅ♪」

チェザーレ「ふふ…昨夜もライモンドとお楽しみだったであろうに、まだ足りぬのか」

提督「だって……んんぅ、んぁぁ♪」シートの上で身体をくねらせながら、とろけたような表情で続きをせがむ提督…

チェザーレ「全く、チェザーレもずいぶん好色な提督を持ったものよ♪」ぐちゅぐちゅっ、にちゅっ…♪

提督「ひっ、あぁぁっ…んあぁぁぁっ♪」

チェザーレ「おぉ、チェザーレの指がねっとりと粘っこいぞ……どれ、味見でもしようか」じゅぶっ…と指を引き抜き、しげしげと眺める

提督「だ、だめ…恥ずかしいわ///」そう言いつつ期待した表情を浮かべている提督

チェザーレ「なに、お互いに隠すことなどない仲ではないか…んむ、少ししょっぱいな♪」

提督「も…もう、何も言わなくたって///」

チェザーレ「まぁ、よいではないか……さて、今度はもっと奥まで参るぞ♪」

提督「……ええ、チェザーレにいっぱいかき回して欲しいの///」

チェザーレ「……済まぬ、提督よ…そこまで言われると、このチェザーレもこらえきれぬ」…ぐちゅぐちゅっ、じゅぶっ!

提督「あぁぁっ、ひぐぅぅっ♪…もう、チェザーレったら急に激し……んあ゛ぁ゛ぁぁっ♪」

チェザーレ「提督の喘ぎ声も捨てがたいが、ここは一旦静かにしてもらおう……んちゅっ、ちゅぅぅっ♪」

提督「ん゛ーっ、ん゛っ…んんっ……♪」がくがくと腰をひくつかせていたが水着から蜜をたらし、とろりとふとももを濡らした……
45 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/27(土) 01:32:27.74 ID:vGlgU3sI0
チェザーレ「じゅる、じゅるっ…ちゅぽっ……さてと、提督は物わかりがいいからチェザーレがこれ以上言わなくとも静かに出来るな?」

提督「…」かくかくと首を動かしてうなずいた

チェザーレ「うむ、よろしい…おや、ライモンドたちも戻ってきたようだ…」

ライモン「あ、提督はもう戻っちゃったのかしら…?」

アッテンドーロ「かもね。見たところチェザーレとルチアもいないし、クラウディアたちも……///」

ライモン「…せ、せっかくだからもう少しだけ遊んでいきましょうよ…ね、ムツィオ///」

アッテンドーロ「そ、そうね…///」

チェザーレ「ふむ、どうやらここに放り出してある着替えやらバスケットやらで二人からは隠れているらしい……となると、なおさらこんなところを見つかるわけにもいくまいな♪」ずぶっ…ぐちゅっ♪

提督「っ…んっ///」

チェザーレ「おやおや、チェザーレがそう言った矢先にとろりと濡らして…提督はこういうのもお好きか♪」くちゅくちゅっ…ぬちゅっ♪

提督「…っ、んっ……んふぅぅっ♪」唇を噛みしめ、ふとももをびしょびしょに濡らしながら上体を引きつらせて、必死にこらえているように見える…が、その表情はすっかりとろけきっていて、提督自身もすっかりこの状況を愉しんでいる……

チェザーレ「ほほぉ……月並みな表現だが、提督の暖かくてとろりと濡れた花芯がきゅうきゅうとチェザーレの指に吸いついてきているぞ…?」くちゅり…ぐちゅっ♪

提督「…ん……くぅ///」耳元でささやくチェザーレに、提督は脚を閉じてふとももをこすり合せた…

チェザーレ「ふふ…喘ぎ声をこらえる提督の何と愛らしいことよ……しかし、こうしてとろけた表情を見ていると…」

提督「?」

チェザーレ「何というか、こう……むらむらと嗜虐的な欲求が湧きあがって来るな…♪」

提督「…あ」にたりと口角をあげて微笑むチェザーレを見て、ぞくっとするような予感を覚えた

チェザーレ「うむ、決めた。さっきの口づけは大変よかったのでな……提督が秘所を責められつつ、どこまで息を止めていられるか試してみようではないか♪」

提督「……あの、チェザーレ…ちょっと待っ…」

チェザーレ「声を出したら可愛いライモンドやクラウディアたちにばれてしまうぞ?……それでは、始めるとしよう…ん、ちゅぅ…れろっ、んちゅぅぅ♪」同時に人差し指と中指を突き入れ、ぐちゅぐちゅと提督の膣内をかき回すチェザーレ…

提督「んっ、んぐぅ゛ぅっ……ん゛ーっ♪」

………

…しばらくして…

提督「はぁ、はぁ…はあっ……もう、チェザーレったら…危うく窒息するところだったじゃない」

チェザーレ「まぁそう言うな。不意のキスで目を丸くしている提督も可愛くてな…ついやってしまったのだ」

提督「…相変わらず口が上手いんだから」

チェザーレ「弁舌はキケロにも褒められたと言うのが自慢でな……さて、改めてレモネードをちょうだいしよう♪」

提督「はいはい…んっ///」

チェザーレ「ごくっ、ごくっ……どうした、提督よ?まだ身体がうずくのか?」

提督「え…ええ……あれだけされたから、腰がぞわぞわして…んっ///」ふとももをこすり合せるたびに「にちゅっ…」という、まるでタコや貝類を水槽から引きはがしたような音をさせている…

チェザーレ「ふふ…チェザーレは満足したぞ♪」

提督「もう、チェザーレの女たらし…///」

チェザーレ「ふふ、お褒めにあずかり恐縮である…提督、身体が熱いなら海でさっぱりさせたらどうだろうか」

提督「…なら立たせて///」

チェザーレ「承知承知♪それ、肩を貸そう♪」

ライモン「…あれ、提督?それにチェザーレとルチアまで?」

チェザーレ「おぉ、ライモンド…遠泳はどうであった?」

ライモン「気持ち良かったですよ……ところで、今まで何をしていたんです?」

チェザーレ「提督もチェザーレも疲れてしまってな、パラソルの下でぐっすりと寝こけていた所よ……ルチアは退屈だったであろうから、もう少し遊ばせてやってもらえぬか?」

ライモン「あ、はい…ルチア、おいで♪」

ルチア「ワンッ♪」

チェザーレ「…さ、早く海に入ってそのねっとりした愛液を流すことだ♪」

提督「…ええ///」
46 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/27(土) 02:20:39.91 ID:vGlgU3sI0
提督「あー…ひんやりして気持ちいいわ」

チェザーレ「うむ、少し焼けた肌に沁みるが……これも夏らしくて良い」

提督「ええ、そうね♪」…と、クラウディアがライモンたちに向かって「しーっ」と唇に人差し指を当てるジェスチャーをしながら、提督の後ろからそっと近づいた……

クラウディア「…フランカっ♪」ぎゅむっ♪…と後ろから飛びつき抱きついたクラウディア

提督「ひゃあっ!?…って、お母さま?」

クラウディア「うふふふっ…久しぶりの海水浴は楽しいでしょうけど、そろそろお昼にしましょう?」

提督「ええ、そうね……って、どうして裸なの///」振り向いて絶句する提督

クラウディア「さて、どうしてかしら…♪」ふざけてファッションモデルのようなポーズを取ってみせるクラウディア…白く輝く肌、大きくて柔らかそうな乳房にもっちりしたふともも…と、ふっくらと甘く柔らかそうな身体を惜しげなく陽光にさらしている

提督「もう、ライモンたちもいるのよ?」

クラウディア「うふふ…目の保養になるでしょ♪」

シルヴィア「目の保養どころか、その美味しそうな裸を見たら心臓麻痺を起こすわ…さ、死人を出す前にこれを着なさい」後からやってきたシルヴィアが、ゆったりしたパイル地のバスローブを渡した…

クラウディア「もう…シルヴィアったら、そんなに私の身体を見せたくないの?」

シルヴィア「ええ。私は欲張りだから、クラウディアは私だけのものにしておきたいわ」そう言ってぎゅっと後ろから抱きしめる…

クラウディア「まぁ…///」

提督「はいはい。お母さまたちの惚気は素敵だけど、聞いているとお昼を食べないうちにお腹が一杯になっちゃうわ…みんな、そうなる前にお昼をいただきましょう?」

ライモン「…そ、そうですね///」

アッテンドーロ「そうね、今のはかなり『ごちそうさま』だったわ」

チェザーレ「ふふ…まさに「この母親にしてこの提督あり」であるな♪」

提督「あー…ルチアもおやつにしましょうね?」

ルチア「ワフッ…♪」濡れた身体をぶるぶるっ…と震わせると、提督の脚元にまとわりついて尻尾を振った…

ライモン「ええ、ルチアにもちゃんとおやつを用意して……」急に振り向くと水平線に目をこらした

提督「…どうしたの?」

ライモン「今、沖合に何かいたような気がして…すみません、気のせいだったようです」

提督「少し疲れたんでしょう……後で一緒にお昼寝しましょうね♪」

ライモン「も、もう///」

………



青白い肌の娘「…見つけた」

全身白っぽい娘「…よろしい、後は接近できる機会を待て」

青白い肌の娘「…了解」

………
47 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/28(日) 03:05:56.79 ID:rtGIQUE+0
…数日後・朝…

声「……く、…とく」

提督「んー…むにゃ……」裸身をくるむ肌ざわりのよいタオルケットの感触と身体を揺すぶるやんわりとした揺れに身を任せ、心地よい眠りを堪能している…

声「…いとく……きてください……」

提督「んふふ……すぅ…」

別の声「…のね、フランカを……ときは……ると目を覚ますわ♪」

声「…かりました……ん、ちゅぅ///」

提督「ん……んっ、んんぅ?」柔らかな感触がいきなり唇に押し当てられ、甘い香りが鼻腔をくすぐった……息が苦しくなってぱっちりと目を覚ました提督…

提督「…ふわぁ…ぁ……」

ライモン「…さすがに効果てきめんですね///」

クラウディア「ね?…おはよう、眠り姫さん♪」

提督「おはよう、お母さま……今の「おはようのキス」はライモン?」

クラウディア「うふふっ、そうよ…さぁ、そろそろ朝食を食べにいらっしゃい♪」

提督「ええ……んーっ、今日もいい天気ね。こういう天気だと朝寝坊も気持ちがいいわ♪」

ライモン「もう、いくら何でもお寝坊ですよ…あんまり提督が遅いので、ムツィオと先に朝食を済ませてきちゃいました」

提督「いいんじゃないかしら…さてと、それじゃあ起きるとするわ♪」

…提督はベッドから「よいしょ」と起き上がると、ウォークイン・クローゼットになっているアルコーヴ(入れこみ)から洋服を取り出し、どうにか身体に合いそうなものを着た……その横では提督のお尻が悩ましげに揺れるのを見ながらライモンが頬を赤らめ、困ったような表情を浮かべている…

提督「それじゃあ私は朝食をいただくとしましょう…ライモン、よかったら食後のコーヒーを付き合ってくれる?」

ライモン「ええ、もちろんです///」

…食堂…

提督「ふふっ、どれも美味しそう♪」

シルヴィア「ええ、美味しかったわよ。何しろクラウディアの料理だものね…ん、ちゅ……おはよう、フランカ」

提督「んっ…おはよう、シルヴィアおばさま♪」

シルヴィア「さ、冷めないうちに食べなさい?」ほっぺたにおはようのキスをすると、また「レプブリカ」紙を読む作業に戻ったシルヴィア…傍らにはコーヒーカップが置いてあり、時折すすっては満足げなため息をついた…

提督「それじゃあ…♪」

…目の前のお皿には、もっちりとしたフォカッチャ風の生地とパリパリの皮が絶妙な丸パン、広げた手ほどもありそうな香味野菜入りハムのスライス……パンにじんわりと染み込んでいる黄緑色のオリーヴオイルに、トマトとナスにズッキーニで出来た冷菜、アンチョビを詰めた酢漬けのオリーブ……果物にはみずみずしいスイカとメロンのスライス……と、南イタリア風の献立がにぎにぎしくテーブルに並んでいる…

提督「…んぅ、おいひい♪」

クラウディア「美味しい?…よかった♪」目の前に座っているクラウディアは頬に手を当て、にこにこと笑顔を浮かべている

提督「んむ……このハムが好きなのも覚えていてくれたのね」…ハムは中に小さく角切りにしたチーズやインゲン豆、脂身が散らしてあって、小さい頃から提督の好物だった

クラウディア「ええ。今年の夏は帰って来るって聞いて、お肉屋さんで買って来たの♪」

提督「ありがとう、お母さま……ふぅ、食べたわ♪」…最後にオリーヴをつまんで口に入れると、食後のコーヒーに取りかかる提督……

アッテンドーロ「で、うちの提督は起きてきたの…って、起きてるじゃない」

提督「おはよう、ムツィオ♪」

アッテンドーロ「おはよう、提督。どうせ昨晩は姉さんとお楽しみだったんでしょう…隠しても無駄よ?」

提督「ええ、もちろん…それに隠す気なんてないわ♪」

ライモン「///」

シルヴィア「ふふっ…ところでフランチェスカ」

提督「なぁに、おばさま?」

シルヴィア「後で射撃でもどう?せっかく戻ってきたんだし、久しぶりにあなたの銃を調整したら?」

提督「そうね、最近この辺りにもお肉が付いちゃったし…姿勢が変わったから照準も合わせないと……」困ったように自分の胸を見おろしつつ、両手で下から支えるようにしてぽよぽよと揺らす提督…

シルヴィア「それじゃあ後でね…ライモンドたちもよかったらいらっしゃい」

ライモン「はい、お邪魔させていただきます」

48 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/29(月) 02:56:42.30 ID:6B9Fttih0
…シルヴィアの部屋…

シルヴィア「いらっしゃい。さ、入って」

ライモン「お邪魔します…わ、壁に銃が掛けてあるんですね……」

アッテンドーロ「へぇ、シックでいい趣味ね。気に入ったわ♪」

チェザーレ「うむ、丁寧に扱われている道具を見るのは気持ちがよいな」

シルヴィア「ありがとう…どうぞ、そこにかけて?」ライモンたちに椅子をすすめて、自分は作業台の片隅に軽く腰を下ろした

ライモン「…あ、ありがとうございます」…シルヴィアの部屋はシックな濃い茶色の家具と白い壁で統一されていて、ガンオイルと木部に塗る亜麻仁油の匂い、それに少しだけ煙草の香りが漂っている……壁のあちこちには散弾銃やライフルが専用のラックにかけたり、お洒落なヴェルヴェットを敷いたケースに収められて優雅に並んでいる…

提督「この部屋に入るのも久しぶりね…コレクションも相変わらずきれいだし、何だか落ち着くわ」

シルヴィア「褒めてもらって嬉しいわ。あなたの銃は今出してきてあげるからね」

ライモン「提督、提督…」鍵のかかった隣の部屋に入っていくシルヴィアを目で追いながら、ライモンが提督をつついた…

提督「なぁに、ライモン?」

ライモン「いえ…これってかなりすごいコレクションだと思うのですが……」艶やかなクルミ材の銃床も美しい、フランキの垂直二連ショットガンを眺めて言った…

(※フランキ…「ルイージ・フランキ」「ルイギ・フランキ」などとも言われるイタリアの銃器メーカー。散弾銃、狩猟用ライフルが主だが、以前は海軍制式採用の「フランキ・LF-57」短機関銃や「フランキ・SPAS12」散弾銃などの軍用小火器も作っていた)

提督「そうね…この散弾銃も軽く百万は下らないんじゃないかしら」

(※ユーロと復活したリラが並立している設定…リラと円がだいたい同じレートになっている)

ライモン「ひゃ、百万ですか…」

提督「おばさまは華美な飾りを入れないからその値段で済むけれど、もっと高い銃はいくらでもあるのよ?」

アッテンドーロ「…なかなか贅沢な趣味ってわけね。提督、この銃は?」かなり使いこまれているが綺麗に手入れされて、丁寧に壁のフックに載せてある一丁を指差した

提督「あぁ、これ?…ベネリの12ゲージ散弾銃で、おばさまのお気に入りなの……ほら♪」よく見ると引き金の上、機関部の金属に刻印が入っている…

(※ベネリ…イタリアの機械・銃器メーカー。「ベネリ・スーペル90」など軍用散弾銃を多く手掛けている)

アッテンドーロ「えーと、なになに…「シルヴィアへ愛を込めて…クラウディア」って彫ってあるわね」

シルヴィア「そうよ。それは私たちの結婚記念にクラウディアが注文してくれた散弾銃なの、今でも時々使わせてもらっているわ……はい、あなたの銃よ」口の端に笑みを浮かべて嬉しそうに言いながら、ガンケース数個を抱えて戻ってきた

提督「ありがとう、おばさま…さっそく開けさせてね♪」

シルヴィア「あなたのなんだもの、好きになさい…その間に私は隣で他のを手入れするわ」そう言って椅子にかけてあったエプロンをつけた…

チェザーレ「ほう、隣にも銃がしまってあるのか…よかったらチェザーレにも見せてもらえないだろうか」

シルヴィア「…フランカ」

提督「大丈夫よ、口は堅いわ…ね、チェザーレ?」

チェザーレ「うむ、何があってもチェザーレは他言しないと約束しよう」

シルヴィア「そう…ならどうぞ」

提督「せっかくだから私も行くわ…おばさまのコレクションは本当にすごいもの♪」

シルヴィア「ふふ、それじゃあみんなでいらっしゃい」

49 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/30(火) 02:48:45.69 ID:Jk7dVIxL0
…隣の部屋…

チェザーレ「おぉぉ…これは素晴らしい……」

ライモン「これだけあったら一個小隊ぐらい楽々とまかなえそうですね…」

アッテンドーロ「あきれた、鎮守府の小火器保管庫よりもたくさんあるんじゃない?…戦争でも始めるつもりなの?」

提督「私も初めて見た時はそう思ったわ……それだけじゃなくて状態もすごくいいの」

シルヴィア「貴重なコレクションだもの…そうね、あなたたちの世代ならこの銃はお馴染みじゃないかしら?」シルヴィアは壁に掛けてある数丁の短機関銃から一丁を選び出し、フックから下ろした…

ライモン「あ、知ってます…ベレッタ短機関銃ですね」そっと受け取って重さを確かめるように抱えた…

シルヴィア「ええ、M1938「モスキト」(蚊)ね…ちなみにどれもちゃんと動作するわ」

ライモン「え…」

提督「そうなの、だからこの部屋にある銃のほとんどは違法よ……民間人のフルオート火器の所有は許可されないし、これだけあるとなおの事…ね」

シルヴィア「まさかこれだけの歴史的遺産をスクラップにしろって言うの?…冗談じゃないわ、余計なお世話よ」…肩をすくめるとラックからカルカノM1891/38歩兵用ライフルを降ろし、きちんと手入れされ暖かみのある木部を撫でた……隣には戦中のドイツ軍が使っていたスコープ付きの「Kar98」狙撃銃がかけてあり、横にはフランキの「LF-57」短機関銃とイスラエル製の傑作短機関銃「UZI」(ウージー)が並んでいる…

アッテンドーロ「確かに綺麗な物ばかりね…」辺りを見回してしきりにうなずいている…

チェザーレ「これに比べたら海軍博物館もかたなしかも知れぬ…うぅむ」


…部屋にある博物館のようなケースにはピストルが並び、ベレッタ・ピストルはシルヴィアが揃えている分を年代順に「M1934・M1935」「M1951」「M84」「M92」と並べている…壁のカルカノ・ライフルは6.5ミリ口径の「M1891」、銃身の長い「M1891/41」など数丁が銃剣と一緒に掛けてあり、狙撃用スコープは棚の引き出しに収まっている……床には古くなった絨毯を敷いてあり、その上には「がらくた」として有名な「ブレダ・M30」軽機関銃が二脚を拡げて据えてあり、その隣にはどうやって入手したのか、大戦中のドイツ軍が頼りにしていた軽機関銃、「1943年製」の刻印もくっきりと入っている、ピカピカの「MG42」汎用機関銃が置いてある……


アッテンドーロ「あー…提督」…しばらく銃を観賞していたアッテンドーロが不意に声をあげた

提督「なぁに、ムツィオ?」

アッテンドーロ「提督が最初にこれを見たのはいつ頃なの?」

提督「あれはたしか……私が高校生ぐらいの頃だったと思うけれど…どうして?」

アッテンドーロ「いえ…初めてライフルを持った頃の話は聞いたけど、十代の頃の提督ってどんなだったのか気になって……」

提督「あー…その頃の私は大人しい「いい子」で勉強もよく出来たし、家庭教師のお姉さんにもうんと褒められていたわね」

アッテンドーロ「大人しいはともかくとして、「いい子」だったって言うのは本当かしら……学校の先生を口説いて色々と「おまけ」してもらっていたんじゃないの?」

チェザーレ「はははっ、提督ならやりかねんな♪」

提督「もう、失礼ね…私がそんなことすると思う?」

ライモン「えーと、申し訳ないですが……こればかりは提督を信じて「その通りです」とは言い切れないですね」

提督「むぅ…シルヴィアおばさま、今の聞いた?」

シルヴィア「聞いているわよ…そうね、フランカの学生時代がそんなに気になるのならクラウディアに聞いてみなさいな。きっと話したくてうずうずしているでしょうし」

提督「そうね、それがいいわ。私とおばさまは銃の手入れにしばらくかかるし、その間お母さまが一人ぼっちではつまらないもの…みんな居間でお茶でも飲みながら聞いてみたら?」

アッテンドーロ「そうね、それはいいかも知れないわ…姉さんはどうする?」

ライモン「うーん…そうね、せっかくだから聞いてみたいわ♪」

アッテンドーロ「じゃあ決まりね…チェザーレはどう?」

チェザーレ「ふむ…この銃器室も名残惜しいが、まだまだ夏休みはある……ご一緒させてもらおう」

提督「ふふ、じゃあ行ってらっしゃい…おばさま、一緒に銃の手入れをしましょう♪」

シルヴィア「ええ」

ライモン「…それでは提督、また後で♪」

提督「はいはい♪」

………
50 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/30(火) 04:06:13.67 ID:Jk7dVIxL0
…居間…

クラウディア「…あの子の学生時代?」

アッテンドーロ「ええ、どんな子供だったの?」

クラウディア「そうねぇ……この辺りは小さくて小学校が隣の自治体(コムーネ)にしかなくって…車で送り迎えするにしても小さいフランカには大変だし、授業もそこまで難しくなかったから、必要な分だけ出席したら後は家庭教師のお姉さんを頼んで、あんまり学校には通わせていないの」

ライモン「そうなんですか」

クラウディア「ええ。でもあの子ったらとってもお利口さんで…詩とかオペラの文章、歴史のお話なんて簡単に覚えていたわ♪」

………

…提督・十歳前後の頃…


提督(小)「おかあさま、みてみて♪」…半分にたわめた紙を後ろ手に持ちながらにこにこしている

クラウディア「なあに、フランカ?」新しい服のデザインを考えていたクラウディアは手を止めて小首をかしげた…

提督(小)「あのね、今回の「イタリア全国統一テスト」が返ってきて…結果のところに「歴史と国語がとってもよく出来ています」って書いてあるの♪」レーダーチャートのついた多色刷りの用紙を広げて見せる子供時代の提督…

クラウディア「そう、それじゃあお母さまに見せてね……まぁ、とってもいい成績じゃない♪」よしよしと頭を撫でるクラウディア

提督(小)「えへへぇ…ねぇおかあさま、ごほうびをちょうだい?」きらきらした目で見上げてくる提督

クラウディア「はい、よくできました…ちゅっ♪」

提督(小)「ん、ありがと…それじゃあシルヴィアおばさまにも見せてくる♪」

クラウディア「はいはい…あ、ちゃんとエンリカにも見せるのよ?」

提督(小)「はーい♪」

…しばらくして・提督の部屋…

エンリカ「さてと…統一テストが返って来たのよね?」…フィレンツェの美大を目指して貯金をしている提督の家庭教師「エンリカお姉さん」が椅子に腰かけ、隣にちょこんと座っている提督に尋ねた

提督(小)「うん♪」

エンリカ「その様子だといい結果だったのね?」

提督(小)「あのね「歴史と国語がよく出来ています」…だって♪」

エンリカ「どれどれ…へぇ、確かにほとんど満点ね」

提督(小)「ねぇねぇ、エンリカお姉ちゃん…」チュニックの袖を軽く引っ張る提督…

エンリカ「ん?…なに、どうしたの?」

提督(小)「あのね、クラウディアおかあさまとシルヴィアおばさまにはもらったけど…エンリカお姉ちゃんもごほうびをくれる?」

エンリカ「別にいいけど…「ごほうび」って言ったってお姉さんはお菓子とか持ってきてないし、あげられる物なんて筆記用具くらいしかないわよ?」

提督(小)「ううん…あのね、エンリカお姉ちゃん……」

エンリカ「なに、何が欲しいの?」

提督(小)「わたしね…エンリカお姉ちゃんに「ちゅう」して欲しいの///」

エンリカ「そうね、成績もよかったしそのくらいは……えっ?」

提督(小)「お姉ちゃん……「ちゅう」してくれる?」

エンリカ「えーと…「ちゅう」ってキスのことでいいのね?」

提督(小)「うん、おかあさまとおばさまにはしてもらったけど、エンリカお姉ちゃんにも「よくできました♪」って「ちゅう」して欲しいの……だめ?」

エンリカ「いや…お姉ちゃんがもしフランカちゃんと「ちゅう」したら、クラウディアお母さんやシルヴィアお母さんに怒られちゃう……」

提督(小)「んー…それじゃあお姉ちゃん、この「ちゅう」はお姉ちゃんとわたしで「二人だけのヒミツ」にしよう……ね、それなら大丈夫?」

エンリカ「えーと…あのね……」

提督(小)「おねえちゃん…「ごほうびのちゅう」は算数も出来ないとだめ?」少し悲しげに結果の用紙を眺めている

エンリカ「ううん…これだけできたんだもの、お姉ちゃんがちゃんと「ごほうびのちゅう」してあげる♪」

提督(小)「わぁ、ありがとう……んーっ」顔を上に向けて目をつぶり、唇を軽く突きだす提督…

51 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/01/31(水) 02:00:15.91 ID:Ywmr4LgL0
エンリカ「あ、えーと……それじゃあキスしてあげるからね…ちゅっ♪」額の髪をかきあげてエンリカが軽くキスをすると、提督(小)が目を開けて何やら不満げな顔をしている…

提督(小)「むぅ…」

エンリカ「え、なに…何か間違えた?」

提督(小)「エンリカお姉ちゃん……んっ♪」急に小さいふっくらとした両手でエンリカの頬を押さえ、上体を伸ばして唇を重ねた…ぷにっとした提督の唇の感触がエンリカに伝わってくる……

エンリカ「ぷはっ…ち、ちょっと!?」

提督(小)「あのね…お姉ちゃんとの最初の「ちゅう」は唇にしたかったの……わたしとお姉ちゃんの最初の「ちゅう」だから、だいじにしてね?」瞳をキラキラさせて、いかにも子供らしい生真面目な様子で言った…

エンリカ「…あ、ありがとう……大事にするわ///」

…数年後…

提督(中)「…エンリカ先生、できました♪」…十代も半ばの提督は急に胸もふくらみ、声も小さい頃より甘さが増していた……最初は子供の少ない田舎町で「年齢が近いお姉さん」と言うこともあって家庭教師をお願いしていたエンリカ…彼女も今や高校生になったが、クラウディアたちの好意もあって相変わらず隣で授業を教えている……

エンリカ「どれ、見せて……ふんふん、問題は「この時の主人公の気持ちを書きなさい」…ね」

提督(中)「…これでいいと思いますか?」

エンリカ「ごめん、ちょっと腕をどけて……あっ///」答案をのぞきこもうと身体を伸ばした瞬間に少しバランスを崩し、提督にもたれかかるような体勢になったエンリカ…

提督(中)「きゃっ…!」

エンリカ「ごめんね、大丈夫…?」

提督(中)「…私は大丈夫です。先生は?」

エンリカ「う、うん…私も平気……今どくからちょっと待って」(うわ…今まで数日おきに会っていたから気づかなかったけど、フランカったら凄く柔らかい///)

提督(中)「あの、先生……」

エンリカ「な、何かしら…フランカ///」

提督(中)「…どかなくても、いいです……んっ」

エンリカ「んっ…ん、ん、んちゅ……っ///」

提督(中)「…せんせい……///」

エンリカ「…し、しばらく休憩ね……ん、んちゅ……」

提督(中)「あふっ、んっ……先生」

エンリカ「なに、フランカ?」

提督(中)「私…エンリカ先生の事が好き…もっといっぱいキスしたい……♪」

エンリカ「…これでもし終わらなかったら、次回までの宿題にするからね……ん、ん、ん、んっ……んくっ…ちゅっ……ちゅるっ…んくっ、んぅっ……れろっ、ちゅるっ…///」

提督(中)「あふっ…ん、ん、んくっ…ちゅく、ちゅぽっ…んっ、んんっ……はぁ、はぁ、はぁ……んちゅっ、ちゅるっ…///」

エンリカ「…んちゅっ……はぁはぁ…ふぅ……ほら、休憩はおしまい///」(それにしても何て気持ちいいキス……これじゃあ年下の生徒なのに、丸っきりいいようにされてるじゃない///)

提督(中)「…エンリカ先生、大丈夫?」

エンリカ「大丈夫よ……それにしても、どこでこんなキスを覚えたの?」

提督(中)「えーと…誰にも言わない?」

エンリカ「言わないわ、先生の口が固いのは知っているでしょ?」

提督(中)「じゃあ……実は、お母さまとおばさまに教えてもらったの///」

エンリカ「うぇっ!?……え、映画とかじゃなくて?」

提督(中)「うん…お母さまは私が子供の頃から「いい、フランカ?…良い大人になるには教養が大事よ♪」って言ってて……」

エンリカ「…まぁ、それは大事よね」

提督(中)「それで私が子供の頃は「ピッツァの上手な食べ方」や「フォークとナイフの持ち方」とか…それで、最近は「相手の女の子が悦んでくれるようなキスは「好き」「愛している」って言う気持ちを込めたときにだけできるの♪」って……気持ちはいっぱい込めたけど、先生は……気持ち良くなってくれたかしら?」

エンリカ「えーと…ね、正直に言うと……」

提督(中)「…う、うん」

エンリカ「……とろけるみたいだったわ…ちゅっ、んちゅっ……///」

提督(中)「よかったぁ…ん、んふっ…んちゅっ///」

52 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/01/31(水) 03:37:02.11 ID:Ywmr4LgL0
…さらに一年後…

エンリカ「それにしてもフランカが高校生ねぇ…正直、急にあなたが大きくなったような気がするわ」

提督(高校生の頃)「ふふっ、そんなおばあちゃんみたいなこと言って…せいぜい三つぐらいしか違わないんですよ?……ところで、宿題でもらって来たこの問題が分からなくて…教えてもらえますか?」

エンリカ「ええ、ちょっと待ってね……何これ、最近の子はこんな難しい問題をやってるの?」

提督(高)「いえ、学校の国語(イタリア語)の教科書はちょっと簡単なので……高三クラスの教科書です」

エンリカ「あー、進度によって授業ごとにクラス分けするアレか…ちょっと待ってね……」あごに手を当てて眉をひそめている…

提督(高)「…ねぇ、先生///」そっとふとももに手を置き、耳元でささやいた…

エンリカ「ちょっと…あなたが「宿題が分からないので手伝って下さい」って電話してきたから来てあげたのよ?」

提督(高)「ふふっ…だってエンリカ先生に会いたくって///」

エンリカ「いいけど、宿題が終わらなくて困るのは誰?」

提督(高)「大丈夫です、分からないのはそれだけですから……あ、それともう一問だけ」

エンリカ「ほらやっぱり…なに、どの問題?」

提督(高)「その…先生にキスしてもらうにはどうしたらいいのか分からなくて……模範解答を教えてくれませんか///」

エンリカ「そんなの簡単よ、今みたいにおねだりすればいいわ…ん、んちゅ……ちゅるっ、ちゅぷっ…」

提督(高)「んふっ、んぅ……ちゅるっ…あ、んっんっ…んはぁ……ちゅぅっ…///」

エンリカ「ん…んくっ……んちゅ……んんぅ、舌が…入って……んふっ、んくぅぅ…///」

提督(高)「エンリカ先生……脱がしますね……んちゅ、ぴちゅっ♪」

エンリカ「普段からクラウディアさんみたいなきれいな人を見慣れてるあなたからしたら、私のがりがりの身体は面白くないんじゃ……あっ、んんぅ…ひゃうっ///」

提督(高)「先生の…ちゅっ……身体は、お母さまたちとはまた違うけれど…ちゅぅ…すらっとしてて……綺麗です…んちゅっ…♪」はだけさせたブラウスからのぞくエンリカの肌に顔を近づけ、鎖骨、胸元、脇腹…とキスしていく…

エンリカ「んんぅ…フランカ、あなたこそしっとりして柔らか……ちゅぷっ…んぅっ///」提督のふとももに手を伸ばして下着をずり下げると、絵筆で出来たタコのある指でぎこちなくまさぐった…

提督(高)「んんぅ…エンリカ先生……手もひんやりしてて…んっ、んんっ♪」

エンリカ「…フランカこそ、温かくてとろっとしてる……んあぁぁっ///」

提督(高)「あ……先生はここが弱いんですね…んふふっ、すごい濡れちゃってます…よ♪」

エンリカ「そうなのっ…んぁぁっ、そこっ……んっ、あぁっ///」

提督(高)「それじゃあ…ふとももをのせて……こうして…」

エンリカ「あっあっあっ…それ、いいっ……あぁぁっ!」くちゅくちゅ…と水音を立てて、昼下がりの日差しが照らす床で重なり合う二人……と、急にドアがノックされた…

クラウディアの声「フランチェスカ。エンリカ先生……飲み物を持って来たけど、入っていいかしら?」

エンリカ「…っ!?」

提督(高)「ちょっと待って、お母さま…今問題を解いているところなの♪」…くちゅっ、にちゅっ♪

クラウディア「そう、それならもう少し後にしましょうか?」

提督(高)「ううん、もうすぐ終わるから……そこで待っていてくれる?」

エンリカ「…ちょっとフランカ……んぐぅ!?」何かを言おうと開きかけた口に舌を絡められ、同時に濡れた秘部にほっそりした指を入れられた…

提督(高)「しーっ…ばれないようにがんばろう、先生っ?」

エンリカ「ん、くぅぅ…んんっ……んんぅぅっ///」奥歯を食いしばって身体をひくひくさせるエンリカ…ふとももをつたって蜜がとろりと垂れている……

提督(高)「…んふふっ。もし「お母さまに見られちゃったら」と思ったらすごくどきどきして気持ち良かった……さ、早く服を直さないと♪」

クラウディア「フランカ、そろそろいいかしらぁ…?」

提督(高)「もうちょっと……はい、終わったわ♪」

クラウディア「それじゃあ入るわね…二人ともこんな暑い時間に勉強していたから冷たいものが欲しかったでしょう♪」

提督(高)「ええ。ありがとう、お母さま♪」

エンリカ「ふー、ふーっ…ありがとうございます……」

クラウディア「……フランカ」ふと床に目を留めると、グラスを渡すときにこっそり耳打ちした

提督(高)「…なぁに、お母さま?」

クラウディア「…エンリカ先生の下着、落ちてるわよ♪」すっかりお見通しのクラウディアは、ぱちりと小さなウィンクをしてみせた…
53 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/01(木) 01:42:00.38 ID:II/4TQjd0
…夕食時…

アッテンドーロ「…って言うような話を聞かされたわ」…夕食に並んだピッツァ・マルゲリータを皿に載せ、さらに卵をたっぷり使った鹿肉のピカタを取る…さっぱりした赤ワインでニンニクの風味が効いた鹿肉を流し込む……

提督「あー…まぁそう言う感じではあったわ。ちなみにエンリカ先生は夢がかなってフィレンツェで芸術家になっているそうよ♪」…提督は薄い生地にチーズがとろりと溶けた、火傷しそうなマルゲリータをふーふーさせながらくるりと丸めて口に運んだ……それから夏場の常備菜になっている、バジルがほどよく使われた野菜の煮込みをたっぷりとよそい、唐辛子入りのオリーヴ油を少しかけた…

ライモン「あの、そう言う問題では…」

チェザーレ「はははっ、チェザーレもこれには参った♪」普段は威風堂々とした武人として提督を支えるチェザーレだが、女たらしで有名だったチェザーレらしく、意外に好色な所もある…今も提督の浮いた話を聞いて「分かっている」といった笑みを浮かべてみせた……

クラウディア「…ところでフランカ、あのつんとしたお嬢さんはどうしてるの?」

提督「どのお嬢さん…もしかしてマリーのこと?」

クラウディア「そうそう、前に一度だけ泊まりに来てくれたじゃない…フランス海軍のマリーちゃんよ♪」

提督「あぁ、マリーね…そう言えばまだ見せてなかったかしら」部屋に戻ると、数枚の写真と細長い箱を持って来た提督…

クラウディア「なぁに…それ?」

提督「この間の交流プログラムで「タラント第六」に来た提督たちの写真よ♪」

シルヴィア「へぇ、三人も来たのね…」

提督「ええ、来訪する提督たちは数の都合で前期と後期の二回に分けてあるのだけど……驚いたことに前期の提督は全員知り合いだったの。で、これがその時の写真♪」…写真には提督を始めミッチャー提督、百合姫提督、エクレール提督と鎮守府の艦娘たちがずらりと勢ぞろいしている…

クラウディア「あらまぁ、この黒髪のお嬢さんはとっても可愛らしいわ…あ、この金髪はマリーさんね♪」

シルヴィア「…こっちの褐色の人はアメリカの提督?」

提督「ええ。このグラマーな女性がアメリカのミッチャー准将…私がナポリにいた時から知り合いで「ジェーン」って呼んでいるわ♪」

クラウディア「それで、このお嬢さんは?」

提督「彼女が横須賀の百合姫提督。で、他の荷物にまぎれて忘れていたのだけど…お母さまたちに姫からのお土産♪」何やら金文字で漢字が印刷されている緑色の箱を渡した…

クラウディア「ねぇ、フランチェスカ…これ、なんて読むの?……シルヴィア、貴女ならわかる?」

シルヴィア「えーと、私も漢字はあんまり強くないけど…とりあえず「清酒」って書いてあるのは分かるわ。つまり日本のお酒ね」

提督「ええ、何でも鎮守府でしか買えないらしいの……えーと、もらったメモがどこかに…あぁ、あった」

クラウディア「開けてもいいかしら♪」

提督「お母さまたちへの贈り物なんだから好きにして?…えーと、このお酒は清酒「友鶴」っていうそうよ……口当たりはいいけどかなり度数が高いお酒だから「『友鶴』だけにひっくり返らないよう」注意してほしいって書いてあるわ」

シルヴィア「それじゃあ後でいただくとしましょう……ね、クラウディア?」

クラウディア「ええ、食後にちょっとずつね♪…あ、そう言えば」

提督「なに?」

クラウディア「この間、街の雑貨屋さんに売れ残った手持ち花火をもらったのだけど…よかったら後でしましょうか♪」

ライモン「わぁ、夜に花火なんてきっと綺麗です♪」

アッテンドーロ「へぇ、いいじゃない…ねぇ提督?」

提督「ええ、いいわよ。それじゃあ花火を楽しみながらワインでも傾けましょう」

クラウディア「それならいっそ、この「友鶴」を砂浜に埋めて冷やしましょう…ね、シルヴィア♪」

シルヴィア「クラウディアの好きなようにしていいわよ…それじゃあ後で浜に行きましょう」

提督「夜は意外と冷えるから、みんな羽織るものを忘れずにね?」

ライモン「はい♪」

チェザーレ「承知した」

アッテンドーロ「ええ、分かってるわ」

………
54 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/02(金) 02:16:55.81 ID:sKFudJ4p0
…夜・海岸…

提督「バケツの準備はいい?」

ライモン「はい、ここにあります…♪」残り火で火事になったり火傷をしたりしないよう用意したバケツを置くと、提督と手をつないで少し恥ずかしげな笑みを浮かべるライモン…

アッテンドーロ「さ、早くやりましょうよ」

クラウディア「ちょっと待ってね…チェザーレもどうぞ♪」

チェザーレ「うむ、かたじけない」

クラウディア「フランチェスカ、あなたにも…はい♪」

提督「ありがと、お母さま。…ライモン、一緒に火をつけましょう?」

ライモン「はいっ♪」

チェザーレ「ふふ、仲睦まじい光景であるな……どれどれ、チェザーレも一つやってみるかな」小さい打ちあげ花火と手持ちの花火が数種類入っていて、チェザーレのは火を付けるとシューッ…と紅い火が空に上っていった…

チェザーレ「おぉ、なかなか綺麗ではないか…♪」

ライモン「ふふ、こういう小さな花火もいいものですね…///」提督にくっつくようにして小さな手持ち花火を眺めている

提督「そうね。あら、ライモン…肩が冷えているわ……ほら」ゆるいガウンをふわりと肩にかけてやり、二人でくるむように羽織った

ライモン「…あ///」

アッテンドーロ「ふぅん…姉さんは提督と熱々のようだから、私は一杯いただくことにするわ……クラウディア、よかったら私にもくれないかしら」

クラウディア「はい、どうぞ♪…んー、このお酒、甘みがあって美味しい♪」

シルヴィア「あんまり飲み過ぎちゃだめよ」

クラウディア「ええ。でも…もし酔ったら抱っこして運んでくれる?」

シルヴィア「もちろん…」波が洗う砂浜に埋めておいた「友鶴」をきゅーっとあおり、ピックにさしたチーズや黒オリーヴ、刻んだタコと言ったおつまみをちびちびとつまんだ…


…しばらくして…

クラウディア「ふふふっ、楽しかったわねぇ…♪」

シルヴィア「クラウディアったら、少し酔っているみたいね……さ、約束通り運んであげるわ。フランチェスカ、悪いけれど後はお願い」クラウディアをお姫様抱っこし、慎重に小道を歩いていく…

アッテンドーロ「こうやって静かにやる花火もなかなかいいものだったわね…さてと、後はもう寝るだけ…と……ふぁぁ」花火のごみを持つとあくびをしながらシルヴィアに続いた

チェザーレ「ふむ、チェザーレはこれから入浴させてもらおう…それから髪の手入れを行わねば♪」

アッテンドーロ「うぇぇ…だとしたら数時間は化粧台の灯りが点きっぱなしね……」

チェザーレ「済まぬな、ムツィオ…しかし、最近はどうも髪の質が気になってな」

アッテンドーロ「別にどうもなってないわよ…するっと指が通るじゃない」

チェザーレ「そう言うな、これもチェザーレなりのたしなみなのだ……」

ライモン「…提督、それじゃあわたしたちも行きましょうか……少し名残惜しいですが///」

提督「ふふ、二人きりになれる機会はこれからもいっぱいあるわ…さぁ、行きましょう♪」優しく唇にキスをすると、そっと肩に手を回した…


…部屋に戻った提督はパジャマ姿のライモンを迎え入れ、化粧台の前に座らせたライモンの髪を優しく梳いてやりながら、穏やかな気分でおしゃべりを続けていた……が、急に額に手を当てるとあきれたような声を上げた…


提督「いけない…っ」

ライモン「どうかしましたか?」

提督「ええ、砂浜に置いておいた「友鶴」を忘れてきちゃったわ……ちょっと取りに行ってくるから、ここで待ってて?」

ライモン「でも、提督はもうナイトガウンですし…明日ではいけませんか?」

提督「あそこだと満ち潮になったら流されちゃうかもしれないし…姫が重いのにわざわざ持ってきてくれたお酒だもの、取って来るわ♪」

ライモン「足元に気を付けてくださいね…?」

提督「大丈夫、懐中電灯を持って行くわ♪」


55 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/02(金) 03:11:29.45 ID:sKFudJ4p0
…再び海岸…

提督「えーと、どこに置いたかしら…」懐中電灯を振りながら波打ち際を探す提督…と、黒く湿った砂の穴に半分埋めてある瓶を見つけた

提督「あー、こんなところに…ようやく見つけたわ……♪」ちゃぽちゃぽと瓶を振って量を確かめると、砂を軽く払ってから片手にぶら下げた…波打ち際に背を向け、家の方に戻ろうとする提督……と、音も立てずに二つのシルエットが海から上がってくると、そっと提督の背後に近寄った…

青白い姿「…」指を開いたり閉じたりしてハンドサインを送る青白い肌の娘…

白い姿「…」軽く頷く真っ白い肌の娘…胸元には白化したサンゴのような白っぽい首飾りが下がっている……

提督「さてと、それじゃあ戻るとしましょうか…ライモンも待っているでしょうし……っ!?」不意に腐りかけた海藻と潮の匂いが混じったような臭いが鼻をつき、気になって振り向こうとした提督…

白い肌の娘「…!」その瞬間に提督へとびかかり口元を押さえ、同時に昆布かイカのようにぬるぬるした腕で提督の首を締め上げる…

提督「ん、んっ…んんっ、んーっ!」長身の提督がもがいているにも関わらず、びくともしない白い肌の娘…

青白い肌の娘「…急げ」

白い肌の娘「…」ぎゅうぎゅうと首を締め上げ、じたばたと暴れる提督を押さえこむ…

提督「ん゛ーっ!…んっ、ん………」首にかけられた粘っこい筋肉質の腕を意識しながら必死で懐中電灯を振り回し、後ろの相手を引きはがそうとする提督…が、「きーん…」と甲高い音と同時に息が苦しくなり、とうとう視界が真っ暗になった……

青白い肌「…よし、撤収する」

白い肌「了解…」二人は提督を抱えたまま沖合のシルエットに向かって泳ぎだし、最後に「ちゃぽっ…」と水音を残して海に消えた…

…居間…

ライモン「それにしても、提督はずいぶん遅いですね……」

チェザーレ「ふぅー…入った、洗った、出た!」ほかほかと湯気を立てながらバスローブを羽織り、頭にタオルを巻いているチェザーレ…

ライモン「そんな、チェザーレじゃないんですから」

チェザーレ「いかにもチェザーレはチェザーレだが…それよりライモンドはどうしてここに?」

ライモン「えぇと、そう言う意味ではなく……実は、提督が忘れ物を取りに浜に行ってまだ戻ってこないんです。なので今から探しに行こうかと…」

チェザーレ「ほう?…よかったらチェザーレも同行するか?」

ライモン「いえ、わたしだけで平気だと思いますが……」

アッテンドーロ「二人ともどうしたのよ?」

チェザーレ「おや、ムツィオも来たのか…何でも提督が海岸に忘れ物を取りに行って、まだ戻らぬらしい」

アッテンドーロ「そうなの?じゃあ私が見て来るわ。…もしかしたら足でもくじいたのかも知れないし。姉さん、ルーチェ(灯り)を」

ライモン「持ってるわ…それじゃあチェザーレさん、ちょっと待っていて下さい」

チェザーレ「いや、チェザーレもついて行くとしよう…庭からも照らした方がよく見えるだろうからな」もう一つあった懐中電灯を取り上げ、入るかどうか試す…

ライモン「ありがとうございます」

チェザーレ「なに、構わぬよ…まぁ、提督の事だからな。きっと夜空に見惚れていたと言ったところであろう」

ライモン「ならいいですが…」

………

…海岸…

ライモン「…っ、ムツィオ!」

アッテンドーロ「ここにいるわ…これ、提督が持っていた懐中電灯なんでしょ?」

ライモン「うん、お酒の瓶も落ちてるし……それに何より」

チェザーレ「この生臭いような臭い…間違いあるまいな」

ライモン「あぁ、もう…わたしが一緒に行けば良かった……それにもっと早くにおかしいって気づけば…っ!」

チェザーレ「仕方あるまい…こんなことは前代未聞だからな。とにかく、付近を探すことにいたそう」

アッテンドーロ「探照灯でもあればいいんだけど…ねぇ、装具なしで艦を呼び出せると思う?」

ライモン「やってみなければ分かりません…とにかくあのバチあたりな深海棲艦に砲撃をお見舞いしてやります!」

チェザーレ「待て、ライモンド!提督ごと連中を撃沈する気か?…それより近隣の鎮守府に連絡を入れて、この辺りで不審な艦影を捉えていないか聞くのが先決だろう」

ライモン「ですが、このままでは最悪の事態すら…!」

チェザーレ「それはあるまい…もし提督を葬る気ならわざわざ連れて行ったりはせぬはずだ……とにかくクラウディアたちにも事情を説明して、それから対策を立てるのがよかろう」

ライモン「…了解……提督、無事でいてくださいね…」
56 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/02(金) 03:49:05.87 ID:sKFudJ4p0
シルヴィア「…フランカがさらわれた?」

チェザーレ「うむ…こちらも油断していたとはいえ、まさか海から上がって来るとは……」

クラウディア「それで……あの子は大丈夫なのかしら…」

チェザーレ「それについては何とも言いかねる…が、連中がどこの誰であろうとチェザーレは提督を助けるために全力をもってすることを約束いたそう」

シルヴィア「とりあえずはそれで十分よ…で、何か必要なものは?」

チェザーレ「まずは電話をお借りしたい。近隣の鎮守府に敵影を捉えていないか聞いて回るつもりなので…それに、場合によっては我が鎮守府の面々にも動いてもらうことになるやもしれんからな……」

ライモン「いえ、たとえ戦艦だろうと空母だろうとわたしが切り込んで海の底に送り返してやります!…提督、心配しないで下さいね。貴女のライモンが必ず助けに行きますから……」

アッテンドーロ「姉さん、少しは落ち着きなさいな…提督だって子供じゃないんだから、きっとうまい脱出の手段を考えているわよ」

ライモン「うぅ、それはそうですけど……」

シルヴィア「とにかく電話と…もし銃が必要なら好きなのを持って行きなさい」

チェザーレ「かたじけない…」


…一方・海中…

青白い肌の娘「こちら「トーベイ」…目標を確保、帰投する」…あちこちに白化したサンゴや牡蠣殻がくっついた幽霊船のような艦内で、通信用アンテナを伸ばして電文を発信する、戦時のイギリス潜「T」級第一グループの深海棲艦「トーベイ」……

白い肌の娘「こちら「タリスマン」……対象は気を失うも無傷、現在追撃なし」…同じく「T」級潜の深海棲艦「タリスマン」……胸に下げたタリスマンを片手でもてあそびながら、寝台に横たえた提督を眺めている……

トーベイ「これでキーズ大将もお喜びになることだろう…」感慨深げに腕組みをしつぶやくトーベイ…

タリスマン「ふふ…ロンメルほどの大物ではないにしろ、これならヴィクトリア・クロスも夢ではないな…それにしても、ムッソリーニの提督には女もいるのか……?」いぶかしげに眺めているタリスマン…


…カンピオーニ家・居間…

チェザーレ「あぁ、ドリアか…夏休み中だと言うのに済まぬ、実はな……」クラウディアの仕事部屋にある電話機を持ってきてもらい、事情を説明するチェザーレ…

チェザーレ「そうなのだ、おそらく連中にさらわれたらしい……何、出撃する?…出撃してどうするのだ、連中ごと提督を沈める気か?」

チェザーレ「さよう…もし皆がそれを聞いても動揺しないよう、ドリアには落ち着いてふるまってもらいたい」

チェザーレ「うむ、よろしく頼む」受話器を置くと、すぐ次の電話に取りかかった…

ライモン「チェザーレさん、わたしにも何かお手伝いをさせて下さい…何かしていないとわたし、心配で心配で…不安ばかり大きくなって……」

チェザーレ「承知した…ではライモンド、そなたは提督の携帯電話や手帳を見て、手を貸してくれそうな人を探してもらいたい」

アッテンドーロ「チェザーレ、私は?」

チェザーレ「ムツィオ、そなたはライモンドの見つけた人物のリストを作ってチェザーレに教えてくれ」

アッテンドーロ「了解…それなら姉さんのそばにいてやることも出来るわね」

チェザーレ「うむ…そうしてやってくれ」


………
57 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/03(土) 01:50:07.07 ID:ESolOgJe0
…一応、本編を進める前に解説を入れておきます……かなりのスロウスタートで申し訳ないですが、引き続きがんばりますので…



英潜「T」級…イギリス海軍が1930年代に整備していた「O」「P」「R」級を更新するために計画した複殻式船体を持つ哨戒用潜水艦で、ロンドン条約のあおりを受けてサイズを縮めなければならなくなったが、その分隻数を増やし、無難で堅実な設計が幸いし、イギリス潜水艦隊の中核を担った……大戦中は改良を加え続け、隻数はグループ合わせて53隻にも上る


基準排水量は1090トン、主機はディーゼル2500馬力(水上)・電動機1450馬力(水中)で速度15.75ノット/9ノット。

兵装は21インチ(53.3センチ)魚雷発射管を10門(艦首6門、艦首水上発射口2門、司令塔脇の舷側水上発射口に2門)、司令塔前面張りだしに4インチ(10.2センチ)砲Mk12(Mk]U)1基、他にブリティッシュ.303口径(7.7ミリ)の機銃3基を装備…魚雷16本は二回分の斉射に足りないので継戦能力は低い代わりに、一回に十発を同時斉射できるので大型艦でも撃沈できる


…大戦中はその優れた実用性のおかげか本来の哨戒、攻撃以外にもイギリスらしい様々なコマンド作戦や「奇想天外なびっくり作戦」の母船として駆け回り、ノルウェーに潜んでいた戦艦「ティルピッツ」に対する小型潜水艦による特殊作戦「ソース作戦」では豆潜水艦「X艇」の曳航などに活躍した


…「T」級第一グループの「タリスマン」「トーベイ」も1941年11月17日(ゴムボートでの上陸自体はその数日前)、英軍の攻勢の前に「敵の指揮官を取り除き、ドイツ軍をパニックに陥れる」ためのコマンド作戦、リビアのイタリア植民村だった「ベダ・リットリア」に居を構えたロンメル将軍の司令部を襲撃する作戦で、隊員を輸送する任務を請け負った……が、「砂漠のキツネ」ロンメル将軍は数か月前に前線近くへ移動しており不在、同じくらい重要な補給部の幹部将校もいたがメンバーの早とちりや指揮官の負傷などでこれも襲撃に失敗……この作戦の立案者でもあったイギリス・コマンド作戦の計画責任者キーズ提督の息子も戦死と、作戦は完全な失敗に終わった…

(詳しい資料としては当事者に取材しているパウル・カレルの「砂漠のキツネ」がある)

58 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/03(土) 02:52:55.39 ID:ESolOgJe0
…どこかの洞窟…

提督「むぅ…ん…」ずきずきする頭を抱え、うっすらと目を開けた提督…辺りは磯臭い湿った洞窟で、雫が滴るような岩が天井を形作り、湿っぽい粗末なマットレスを敷いた素っ気ないパイプベッドの上に寝かされていた……

タリスマン「おや、お目覚めか…」

提督「ええ。どうやらお客様としてお招きされたようね……招待状をもらっていたら、ちゃんとドレスを着てきたのだけど…」

タリスマン「冗談が言えるなら大丈夫だろう…私の後についてこい、陛下がPOW(捕虜)の話を聞きたいそうだからな」

提督「分かったわ…その前に化粧直しをさせてもらえる?」

タリスマン「髪をとかしたいならそこに櫛がある……言っておくがその櫛でどうこうできるほどこちらはひ弱ではないから、無駄な抵抗はするな」

提督「分かってるわ…まだ首が痛いもの……」どこかから流れ着きでもしたのか、柄が半分ほど折れているプラスチックの櫛で髪をとかす…鏡はないので仕方なく、岩のくぼみの水たまりで身づくろい出来たかを確かめる……

タリスマン「もういいだろう…」

提督「はいはい…全く、英国人はせっかちなのね……」提督は「深海棲艦由来」のねばねばした粘液が付いたナイトガウンを見おろして肩をすくめた…


…洞窟の廊下は意外と乾いた砂で出来ていて、所々に拾い物らしいランタンやランプが置いてある……時々行きかう深海棲艦はどれもセーラー服や英国風のドレススタイルに見えなくもない格好をしていて、色はいずれもイギリス地中海艦隊の迷彩にそっくりな、白っぽい地色に明るい灰白色と薄いグリーンの迷彩をしている…が、よく見ると地の色はすっかり白化したサンゴや波に洗われてしまった貝殻、灰色の部分は牡蠣殻やフジツボ、グリーンの部分はぬめぬめした藻類が張りついていて、まるで幽霊船に取り込まれ呪われた海賊たちのように見える……しばらくタリスマンに連れられて歩くと、急に天井の高い場所に出た…


タリスマン「陛下、例の捕虜を連れてきました」

女性の声「よろしい…トーベイ、タリスマン……ご苦労であったな」

提督「…」周囲にずらりと並んだ深海棲艦たちに多少緊張感を覚えつつも提督がじっと見つめると、広い空間の一番奥に岩棚が削れてできた玉座のような場所があり、そこに宝冠をかぶった深海棲艦が座っているのが見えた……と、その深海棲艦が座ったままラインダンスのように脚を上げると、ぬめっとした脚から何かを外した……

宝冠の深海棲艦「これをタリスマン、トーベイに与えよ…そなたらの働きに対する感謝の念であると…」お付きらしい深海棲艦にそれを渡し、そのお付きが二人に仰々しく授ける…

タリスマン「…身に余る光栄です、陛下」

トーベイ「これからも陛下と大英帝国のために、身命を尽くしてまいります…」

提督「…いったい何かしら……って、ガーターベルト…?」(もとよりガーター勲章はそう言う経緯で生まれたって言うけれど…ちょっと時代錯誤じゃないかしら)

深海棲艦たち「「ジョージ国王陛下、万歳!大英帝国に栄光あれ!」」

宝冠の深海棲艦「ありがとう、皆……ところで誰か、その捕虜を余の近くに連れてまいれ…話が聞きたい」

深海棲艦「さぁ、陛下の前へ…」大柄な深海棲艦に軽く腕をつかまれ、丁寧ながら否応なしに歩かされる……近くで見ると、岩でできた「玉座」には豪奢なクッションが置かれ、真っ白な深海棲艦の宝冠には綺麗な珊瑚珠(サンゴを磨いたもの…綺麗な紅や欧州で珍重されるピンク色がある)や真珠、小粒ながら見事なダイヤモンドがちりばめてある…

提督「………」冷たい目でじっと見られ、このままマストにでも吊るされるのかと思うとぞっとして、すくみあがりそうになる提督…

宝冠の深海棲艦「さて……」

提督「…ごくっ」

宝冠の深海棲艦「…まずは余の部下が手荒な真似をしたことをお詫びいたしましょう、カンピオーニ少将。…余はクィーン・エリザベスです」

提督「…その、女王陛下……そちらの招待の方法にはいささか驚きましたが…まだ無事でおりますから」

クィーン・エリザベス「…イタリアの提督に指揮能力があるかは存じませんが、少なくともユーモアのセンスがあるようですね」

提督「…お褒めいただき光栄です……それで、私のような一介の少将にどのようなご用でしょうか」

クィーン・エリザベス「あぁ…それはですね……」

………

59 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 13:25:48.13 ID:NdIXnyLSo
乙々のんびり読んでる。(スロウスタート面白いよね)
60 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/04(日) 01:23:20.95 ID:jSrQCDao0
>>59 グラツィエ。こちらも南イタリアらしく、ゆったりじっくりのーんびり…で進めていきます。あとは基本的にシリアスや無理やりなえっちはしません…

日々の疲れをほどよく癒してくれますね。えーかむの二人可愛いです……ちなみに「クラウディアお母さま」はえーこちゃんが大人になったようなふんわりした女性を想像してもらえるとだいたいイメージ通りです…


…しばしさらわれた提督の救出作戦が続きますが、特に命の危機にさらされたりはしませんのでご安心を……身体の方はともかくですが…


ちなみに節分なので豆を撒いて邪気を払いロールケーキで糖分を摂取したおかげか、いくつか百合小ネタを思いつきました…今後使う予定でいます
61 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/04(日) 03:19:12.60 ID:jSrQCDao0
…深夜…

ライモン「チェザーレさん、次はこの方です…ナポリ第十二鎮守府……駆潜艇隊ですね」

チェザーレ「うむ、駆潜艇隊か…潜水艦相手ならちょうどいいではないか」

…武人の迫力と雄弁、それに持ち前の女たらしの能力をフルに活用して提督の手帳に載っている提督や司令、それに力を貸してくれそうな軍内の愛人やら恋人たちに片っ端から電話をかけるチェザーレ……交換手がいた頃の壁掛け電話よりずっと近代的なボタン式の電話を慣れない手つきでぎこちなく押しながら、少し息を整える…

チェザーレ「むむむ、まだ出ないか……」

チェザーレ「…もしもし、タラント第六のジュリオ・チェザーレですが…夜分遅くに申し訳ない……いかにも、司令はカンピオーニですが…」

チェザーレ「…いえ、実を言うと司令どのにちょっとした「個人的」頼みごとを…この数日、そちらの担当海域で深海側の潜水艦を捕捉あるいは探知したことは……」

チェザーレ「…確かにこんな時間ではなく昼間に電話を差し上げればよかったのでありましょうが、カンピオーニは年度末の戦果報告書を仕上げている最中で、差し戻しをうけてしまい…当方で損傷を与えた潜水艦がティレニア海方面に離脱したまでは分かっておるのですが、それが確認されないと戦果として公認できないと……ええ、いかにも…」

チェザーレ「…ちなみに、司令どのにカンピオーニから伝言もうけたまわっておりまして「ごめんね…でも、夜の方が貴女と近づけるような気がして♪」と……さようですか、この数日は潜水艦の艦影はなし……承知いたしました、そちらの愛の言葉はカンピオーニにも伝えておきますゆえ…では」

ライモン「どうでした?」

チェザーレ「駄目であった、しかし提督の腕前は大したものよ…いかにも眠そうで不機嫌な声が、「カンピオーニ」の名前を聞いた途端跳ね上がったぞ」

アッテンドーロ「で、あの愛の言葉は即興で?」

チェザーレ「いかにもチェザーレの即興よ…面倒をかける手前、何かくすぐったい言葉の一つもつけてやらんと……で、次は誰にかけるのだ?」

ライモン「あぁ、はい…次は……」

………

…一方・洞窟の大広間…

提督「…話を聞きたい、ですか?」

クィーン・エリザベスの深海棲艦「ええ…先ごろそちらの捕虜になっていたG級駆逐艦が帰投し、なかなか興味深い話を携えて参りましたので……ぜひ他にも色々とお聞きしたいと思いまして。それと、そちらではなかなか厚遇して下さったようで、そのお礼も…彼女をここへ」

G級の深海棲艦「…グッド・イヴニング、アドミラル」


…真っ白な身体に牡蠣殻の付いていない彼女は、以前の作戦で鎮守府の艦隊と交戦・大破しても救助を拒んで抵抗し、とどめを刺されて沈んだと思っていたイギリス・「G」級の深海棲艦……その場では艦と一緒に沈んだと思われた彼女は、ぬらぬらした海藻のような髪をチェザーレのスクリュー軸に巻きつけ鎮守府までこっそりついてくると、出迎えていた艦娘たちや提督に襲い掛かって暴れ回り、最後は歓迎のために鎮守府の重巡「ポーラ」が用意した「五十年もの」のシェリーの瓶で後頭部を一撃されてようやくノックアウトした…提督はその後数日間、G級を鎮守府の空き部屋で寝泊まりさせ、最後は衣服数枚を渡し、鎮守府の中型潜水艦「フィリッポ・コリドーニ」も防水加工した写真などを手土産に持たせ海に帰してあげた…


提督「こんばんは…それで、一体どのようなことをお聞きになりたいのでしょう……」

クィーン・エリザベス「ええ…G級から聞いたところによると今は大戦も終わっているとか……面白いおとぎ話ですから、ぜひ聞かせて欲しいのです」

提督「お、おとぎ話ですか…」

G級「…前に言ったでしょう、心にも厚く貝殻が付いているからまだ大戦が続いているつもりなのよ」

クィーン・エリザベス「ふふ…証拠さえあれば余も信じますよ?」

提督「えーと…少しお耳を拝借」…周囲で瞳をぎらつかせている深海棲艦たちを見て、うかつなことを聞こえるように話す訳にはいかないと顔を近寄せた……

クィーン・エリザベス「…それで、今は何年だとおっしゃったのかしら…燃料の乏しいイタリア王国海軍がまだ活動しているのですから、きっと1941年あたりでしょうね?」

提督「失礼ながら……年です」

クィーン・エリザベス「まぁ、ふふ…面白いことをおっしゃる……ですが証拠がありません」

提督「…私を見てどう思いますか」

クィーン・エリザベス「ふふ…白くて柔らかい女性ね、可愛らしいですよ……それが?」

提督「…大戦中は女性が提督になれましたか?」

クィーン・エリザベス「いいえ…ですが敵国の事は分かりません、そうでしょう?……それにあなたの名前も聞いたことがありますよ、カンピオーニ提督」

提督「あー…私は戦中のカンピオーニ提督とは縁もゆかりもないのです」

クィーン・エリザベス「そう言って取引に使われないようにしているのですね…なかなか殊勝な心がけです」

提督「むぅ…話がまるで通じないわ……」

62 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/05(月) 01:24:32.57 ID:wimMWMBG0
クィーン・エリザベス「…それでは英国の話をなさってみたらいかが?それなら余も知っていることが大いにありましょうから」

提督「では、そうさせていただきます…えーと、英国は無事に戦勝国となりました」

クィーン・エリザベス(以下クィーン)「それは余も予見しております…いつでも英国は統治する(ルール・ブリタニカ)のですから」

提督「いえ…それが……」戦後のイギリスがたどった道をかいつまんで説明する提督…

クィーン「なるほど…」

提督「いかがでしょう、これでお分かりになられたでしょうか…」

クィーン「ふふ、なかなかうがった物の見方と優れた脚本でできた物語ですね…ですがジョージ国王陛下のもとにありながら、この大英帝国がそこまで衰微するはずがないではありませんか」…冷たい瞳をきらりとひらめかせ、口もとに形ばかりの笑みをうかべた

提督「いえ、先ほども申しあげたとおり、今はエリザベス女王の治世なのです……現に「クィーン・エリザベス」級という新型空母も建造されております」

クィーン「ふふ、余の気を引こうとそのような可愛らしい戯れ言を…構いませんよ、気持ちはありがたく受け取っておきます」

提督「むぅ…あ、そう言えば」G級を見て何かを思い出した提督…

G級「…私の顔を見てどうしたの、何かご用?」

提督「ええ。前回さよならしたときにコリドーニが写真を渡していたでしょう…あれを持ってきてもらえる?」

G級「別にいいけど……陛下、よろしいですか?」

クィーン「結構ですよ、今度はどんなお話を聞かせてくれるのか楽しみです」

G級「……持って来たわ…これで陛下の意見が変わるとはとても思えないけど」提督に向けてあざけるような冷笑を浮かべるG級…

提督「さぁ、どうかしら……クィーン、この写真を見てどう思いますか?」

クィーン「どう思うか、ですか……暖かい陽光に照らされて、貴女が笑顔を浮かべている…楽しげな写真ですね」

提督「こんなきれいなカラー写真や、水につけても濡れない写真の加工法が大戦中にありましたか?」

クィーン「そうですね…我が方にはありませんでしたが、もしかしたらあなた方の国にはそうした技法があるのかもしれませんね」

提督「…クィーンはなかなか頑固でいらっしゃいますね」

クィーン「頑固なのではなく、堅実なのです…余は自分で見聞きしたものしか信じないだけですよ」

提督「これでも駄目ですか……って///」

…艦名の由来がムッソリーニとも親交のあった右派のジャーナリスト・作家だけあって、鎮守府の新聞や書き物、紀念写真などを一手に取り仕切っている中型潜「フィリッポ・コリドーニ」…彼女がG級へ手土産として渡した写真にはコリドーニ言うところの「鎮守府の士気を高める商品」こと、提督があられもない姿になっている合成写真も入っていた……写真の提督は鎮守府の執務机の上に制服を脱ぎ散らかし、裸体をさらして気恥ずかしげな笑みを浮かべている…

クィーン「どうなさいました…失礼?」すっと指でつまんで写真を取りあげるクィーン…

提督「あっ…///」

クィーン「まぁ…なかなか刺激的ですね……ご自分で志願されたの?」

提督「いえ…その……///」

クィーン「勝手に作られたのですか…確かにそちらはそう言ったプロパガンダや写真の合成がお得意ですものね」イギリス人らしい皮肉をたっぷりきかせつつ、興味深げに写真を眺めている…

提督「その、クィーン…あまり見ないで下さい……鎮守府の娘がいたずらで作ったものなので///」

クィーン「さようですか……さて、もっとお話したいのはやまやまですが余は執務もありますし、とりあえず今日はここまでにしておきましょう……また明日、今度はお茶でもご一緒しながら楽しい物語を聞かせて下さいね…改バーミンガム、そなたとG級のあなたは彼女をお部屋にお連れしてあげなさい。…丁重に扱うのですよ?」

長身の深海棲艦「はい、陛下…さぁ、こちらへ」

G級「ほら、だから言ったでしょう……まぁいいわ、私も一緒について行ってあげる」

提督「ふぅ…まるで話の通じないおばあちゃんね」

G級「…このブラッディ・フール(大間抜け)!…ここでそういうことを言うなんてどういうつもりよ……私からもお願いするわ、今のは聞かなかったことにしてもらえる?」

軽巡「改バーミンガム」級の深海棲艦「…そうね、聞かなかったことにしてあげます……代わりに…」

G級「…あれを回せばいいんでしょう?」

改バーミンガム級「そう、それでいいわ…」青ざめた色をした「改バーミンガム」級の深海棲艦はやせた身体とアンバランスな長身をゆらゆらさせながら、片手で提督の腰を押して部屋まで案内した…

改バーミンガム級「それでは、何か必要なものがあったら声をかけるよう…それと陛下のお召しがあってもいいよう、なるべく身ぎれいにしておくように……では、グッド・ナイト(お休み)」

提督「…ええ、そうさせてもらうわ」湿っぽい部屋とじっとりと濡れたマットレスを見て、ため息をつく提督…

………
63 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/05(月) 02:34:32.59 ID:wimMWMBG0
…数時間後…

提督「うぅ…ん……」寝心地の悪いベッドからマットレスを外し、直接砂の上に置いて寝ようと試みた提督……が、カビ臭いマットレスに湿っぽい岩屋のせいで、うなされるような夢ばかり見る…

………



アンドレア・ドリア「あんっ…もう、提督ったらくすぐったいです♪」

提督「うふふっ、いいじゃない……あら、おはよう。ライモン♪」鎮守府の提督寝室に据えてある天蓋付きベッドで、むちむちの戦艦「アンドレア・ドリア」といちゃいちゃしながら朝寝をしている…と、ベッドの脇にライモンが立っている……

ライモン?「おはようございます、提督…ドリアさんと朝から添い寝ですか……良かったらわたしも交ぜてくれませんか?」急にずるりとライモンの身体が崩れ、緑色に腐乱した腕が提督の頬を撫でる…

提督「えぇと…いえ、だって……ライモンのその身体も悪くはないと思うけど…抱いたら崩れてしまいそうで……」

アッテンドーロ?「ふふ、遠慮なんてしなくていいわ……ほら、わたしとも仲良くしましょうよ♪」反対側には青ざめてぬるぬるとした深海棲艦のような姿をして、手招きするムツィオ…

提督「え、ちょっと待って…あぁぁっ!」

………



提督「……えぇ…と、みんな揃ってどうしたの?」今度は白いマーメイド・スタイルのウェディングドレスに身を包んで白百合の花束を抱え、どういう訳か鎮守府の食堂に立っている……周囲に立っている艦娘や提督たちも全員ウェディングドレス姿で、それぞれ手を差し伸べている…

カヴール「うふふっ、今日は私と提督の結婚発表会見の日ではありませんか……すでに大統領と首相もいらしておりますよ♪」

ドリア「あら、カヴール…提督は私と結婚するんですよ?……何しろヴァチカンのサン・ピエトロ寺院の真ん中でえっちした仲ですし…///」

ライモン「お二人とも、今日はわたしと提督の結婚式ですよ?…見て下さい、全イタリア海軍の艦艇が白塗りになって……新婚旅行はどこにしましょうか♪」

アヴィエーレ(駆逐艦「ソルダティ」級)「ふふっ…悪いけど提督は「操縦士」の私が連れて行くよ……式は成層圏であげて、イタリア中に結婚報告のビラをばら撒こう」

エクレール提督「あら、フランチェスカはわたくしと結婚するんですのよ……結婚式の引き出物として、フランスからコート・ダジュールとコルシカ島を差し上げますわ♪」

百合姫提督「フランチェスカ、子供の出生届けに書く名前はどうすればいい?…やっぱり「雪風」がいいかしら?」

ミッチャー提督「あははっ、相変わらずモテモテだね…でも大丈夫、うちの大統領からマリーン・ワン(大統領専用ヘリ)とシールズの連中を借りてきたから……ここから「ゲッタウェイ」としゃれこむわよ♪」

提督「え、えぇと……」

足柄「…まさかうちの提督を袖にする気じゃないでしょうね?」

龍田「あらぁ…そんなことをしたら……うふふっ♪」まさに「抜けば玉散る氷の刃」…すらりと白鞘の日本刀を抜き放つ龍田……

………



提督「ひぃっ!……はぁ、はぁ、はぁ…」心臓をどきどきさせ、汗をびっしょりとかいて目を覚ました提督…海の匂いがする湿っぽい空気は相変わらずで、洞窟の中なので時間も分からない……と、やせこけて真っ白な肌をした深海棲艦がのしかかるようにして提督にまたがっている…

提督「ひぅ…っ!?」

深海棲艦「起きなさい、朝食の時間よ……しかも陛下が同席を求めているわ」

提督「あ、あぁ…そうだったのね……すぐ準備するわ」

深海棲艦「ん、それでいい…あまりお待たせしない事ね」

提督「ええ……うわ、なんだか身体がぬるぬるする…」昆布やめかぶのようなぬるぬるが全身にまとわりついていて、さらわれた時に着ていたナイトガウンがぐっちょりと張りついている……

深海棲艦「何をしているの…?」

提督「いえ…少しだけ向こうを向いていてもらえる?…身体を拭きたいから」

深海棲艦「それならシャワーでも浴びたらどう…あんまり時間をかけないなら連れて行くわ」

提督「シャワーがあるの?……それならお願いするわ」

深海棲艦「いいわ…ついていらっしゃい」

64 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/07(水) 01:18:40.47 ID:fQ2G4qtM0
…洞窟の一角…

深海棲艦「さぁ、どうぞ」

提督「えーと…これ?」

深海棲艦「これが何か?…真水よ?」

提督「あー…そうね、海水じゃないだけでも贅沢よね……はぁ…」水が流れている岩の間に木箱が挟んであり、箱にはじょうろのハス口のような細かい穴があけてある…下に立ってかたわらにある紐を引くと、箱から冷たい水が降りかかる仕組みになっている……

提督「その…見ないでいてもらえると助かるのだけど……」

深海棲艦「…脱走しないよう監視せよとの命令を受けている」

提督「…分かったわ……よいしょ……」しゅるっ…

深海棲艦「…」

提督「あの…そんなにじっと眺めることもないでしょう///」

深海棲艦「…その身体は実に興味深いわ」…よく見ると何人かの深海棲艦が食い入るように提督を見つめている……

提督「…わ、冷たっ……」青白かったり蒼白だったりとどれも血色の悪い深海棲艦たちに見られながら冷たい水を浴び、ぶるぶるっと身を震わせる提督…

やせこけた深海棲艦「…先端のサクランボは桃色ね……くふふっ…」

青白い深海棲艦「…ふふ、マカロニの女は柔らかそうね…「アレ」を見た後だとなおの事興味深いわ……」

提督「…もう」身体を舐めまわすような視線を浴びつつそそくさとシャワーを浴びると、用意されていた着替えに袖を通す…

深海棲艦「準備できたわね…ついて来なさい」


…大広間…

クィーン「グ・モーニン……よく眠れました?」豪奢なドレス…あるいはそう見える外装に身を包み、ずらりとそろった深海棲艦たちにかしずかれている…

提督「寝具に着替えと、数々の親切痛み入ります…慣れないベッドでしたがどうにか眠れました……」あてがわれた席に腰かけ、目の前の皿を眺めた……どうやら最近沈没した客船から拾い上げたり、航行中の貨物船から分捕ったりしたものらしく傷んではいない…

クィーン「それは結構…普段はあまり空腹を感じないのですが、今朝は余も朝食の席をお付き合いしましょう」上品にスプーンを取り上げ、料理を口に運んだ…

提督「…あ、ありがとうございます……んむっ…」皿に載せられていた茶色の「何かを煮込んだもの」にスプーンを入れ、おそるおそる口に運ぶ…味は大豆のようだが、もはや形も残らないほどに煮えている……

提督「あー、その…喉ごしのいい食べ物ですね……」皿の上にぐしゃりと盛られている「豆のペースト」を眺め、どうにか失礼でない感想を探す…

クィーン「ふふ、イングリッシュ・ブレックファーストは美味しいでしょう」冗談なのか本気なのかも分からないポーカーフェイスで、口角だけかすかに吊り上げて微笑みらしいものを見せている…

提督「さ、さようですね…」小ぶりなボウルには白いお粥状のものが入っている…そーっとしゃくって慎重に食べる……

クィーン「オートミールはいかがですか?」

提督「え、ええ…」(甘くもしょっぱくもない……おまけに燕麦がごそごそする…)

大柄な深海棲艦「…美味しいでしょう?」

提督「ええ…まぁ……」

大柄な深海棲艦「これこそ我が英国海軍の力の源ですからね…捕虜とはいえ海の者同士で遠慮は無用、うんと食べなさい」ほとんど減っていない朝食のプレートへさらにおたま一杯分の泥土…のようなペーストを盛った…

提督「…」それだけでも十分げんなりしているところへ追い打ちをかけるように、大皿の脇には脂がギトギトで、しかも焦げてチリチリになっているベーコンが数枚と、火をくわえ過ぎてすっかり固くなっている卵二つ分の目玉焼きが載っている……

クィーン「…朝はあまり食が進みませんか?」

提督「……ええ、まぁ」パンも湿っぽい洞窟の中にあったせいか磯臭い臭いがする上にかなり焦げ、そこにこってりとバターが塗りたくってある…

大柄な深海棲艦「さぁさぁ、遠慮はいりませんよ?」

クィーン「…無理強いはいけませんよ、カウンティ級……」

「州」級重巡の深海棲艦「はっ。…申し訳ありません、陛下」

クィーン「分かればよいのです…ですが彼女の言うとおり、捕虜であっても遠慮はいりませんよ」

提督「は、はい…もう充分堪能いたしました」(…全く「イギリス料理らしさ」を充分に味わわせてもらったわ……下手な尋問よりよっぽど効果があるんじゃないかしら…)

クィーン「そうですか、なら食後のお話をしていただきましょう」

………
65 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/02/07(水) 02:23:55.34 ID:fQ2G4qtM0
…昼食時…

提督「これも信じて頂けませんか…」

クィーン「ええ、証拠にはなりませんね」どうやら提督に議論を吹っ掛けるのを楽しんでいるらしいクィーン…と、そこにティーセットが運ばれてきた…

改バーミンガム級「陛下…お茶の時間です」

クィーン「おや、もうそんな時間ですか…よかったらご一緒にいかが?」

提督「はい、ありがとうございます」(イギリスのお茶は美味しいし、きっとこれなら…)

クィーン「さぁ、スコーンをどうぞ?」

提督「いただきます…んむ……んむ…」朝食よりはずっと美味しいスコーンではあったが、どういう訳か入っているドライフルーツにシナモンが効きすぎていて、提督の好みではなかった…痛みかけているらしく多少酸っぱいクローテッド・クリームをつけてどうにか口に入れる提督…

G級「給仕をします……どう、英国の味は?」小声で聞いてくるG級…

提督「世界で一番薄い本の題名が「英国の美味しい料理」なのがよく分かったわ……」

G級「さすが無知なイタ公ね。衛生って言うものを知らないのかしら?…生焼けや生煮えは食中毒の危険があるからよくないのよ?」

提督「…だからって焦げるまで焼く必要はないでしょう?」

G級「ふん、まぁいいわ…しばらくはごちそうを出すんだからクィーンに感謝して欲しいわね」

提督「ごちそうねぇ……何だか不安でしかないわ…」

改バーミンガム級「…ところで、紅茶の味はいかがですか?」

提督「ええ、美味しいです…ダージリンですね?」

改バーミンガム級「いかにも。勝利の味とダージリンの香り……まさに紳士の特権ですからね」真っ白な髪をいじくりつつ、ちょっと高慢な表情を浮かべた…

提督「なるほど…ごちそうにあずかり感謝しています」そう言って湿っぽいきゅうりのサンドウィッチをぱくついた…海水のせいで今一つの食感になっているが、味の方はほどほどに塩気が効いている…

クィーン「ふふ、朝はあまり食べられなかったようですからティータイムがあってよかったでしょう…ですがせっかく来ていただいたのですから、伝統あるイギリスの晩餐に期待していて下さいね?」

提督「ええ、楽しみです……はぁ…」


………

…夕食時…

提督「…見事な装飾ですね」

クィーン「お気に召しました?」


…大広間にはしまってあったらしい銀の燭台や拾い物らしいキャンプ用のランタン、古い木箱を薪に使った暖炉の火が揺らめいて、そこに白や灰色、淡い緑色の地中海仕様の迷彩になった服(甲殻?)をまとった深海棲艦たちがずらりと居並んでいる……クィーンの脇にはもう一人、昼には見かけなかった大柄で高貴そうな深海棲艦が座り、じっと提督を眺めている……岩壁には「ホワイト・エンサイン」(イギリス海軍旗)が掲げられ、きらきらと銀の食器が火に照らされて輝いている…


クィーン「…さぁ、どうぞ」

提督「感謝します……」どこかから手に入れてきたらしい古めかしい白いドレスを着せられ、多少カビ臭い白手袋をつけている提督…食卓につくと目の前に埃をかぶったワインの瓶が置かれ、切子細工のワイングラスに注がれると、年代ものらしい見事な紅色をしたワインが香りを放った…

クィーン「それでは、わが方の勇敢なる「T」級潜水艦、「トーベイ」「タリスマン」がお連れしたイタリア王国海軍のアドミラル…カンピオーニ少将に乾杯いたしましょう……彼女は燃料不足の中、劣勢のイタリア艦隊をもってよく戦いました…今や囚われの身となりましたが、その戦いぶりに惜しみない称賛を与えようではありませんか…それでは、乾杯♪」

深海棲艦たち「「乾杯…!」」

提督「…感謝いたします、クィーン」

クィーン「いいえ。破れた敵とはいえ敬意を表すべきところには称賛を惜しまない…それがロイアル・ネイビー(英国海軍)のやり方ですので……さぁ、うんと召し上がれ」給仕係らしい駆逐艦クラスの深海棲艦が次々と皿の蓋を開ける…

提督「………」深海棲艦の提供するイギリス料理とはいえ、「ごちそう」と聞いて多少は期待していた提督…が、目の前にある料理は見た目からしてかなり衝撃的だった……

提督「これは…その……」

クィーン「イール(ウナギ)のゼリー寄せですね…お取りしましょうか?」灰色のぶるぶるしたゼラチンの塊の中に、ぶつ切りのウナギが散らばっている…

提督「いえ…別のものにさせていただきます……これは…」やはり灰色で、ふくれた風船のようなものを凝視している……

軽巡らしい深海棲艦「こいつはハギスだ…スコッツ(スコットランド人)がよだれをたらす料理さ……食うか?」…牛の胃袋に細切れの臓物やひき肉を詰めて茹でた料理…と聞いていた提督は現物を見てさらに食欲をなくした……隣には固いパンかタルトの底だけを焼いたような「ヨークシャー・プディング」が山ほど置いてある…

クィーン「何か取って差し上げましょうか…?」

提督「え、えぇと……」



66 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/07(水) 03:14:24.69 ID:fQ2G4qtM0
…今日はここまでで、しばらくは提督がイギリスの「ごちそう」に悪戦苦闘する予定です…食べたことがないのにイギリス料理を悪くえがいてしまい申し訳ないですが、深海側の調理が悪かったとか、美食に慣れた提督からの主観が入っていると言うことで……


…あと訂正を一つ…(どうでもいいかもしれませんが)ハギスは牛ではなく羊の胃袋に詰めるものらしいです……どちらにせよ美味しそうには見えないですが…他には「まずい」カレーやローストビーフが提督に出されるイギリス料理の候補になっています、ご期待ください…
67 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/08(木) 01:34:24.99 ID:DJ44GQDx0
軽巡「カヴェンディッシュ」級(改バーミンガム級)「ならローストビーフは…?」

提督「ええ、では数枚下さい…」(ローストビーフなら不味いなんてことはないはず…)

カヴェンディッシュ級「…どうぞ」

提督「センキュー…あむっ……」

カウンティ(州)級重巡「で…どうだ?」

提督「…ごくん……美味しいですよ」(お洒落なソースも飾りもなし、おまけにすっかり脂が抜けきってパサパサだけど…他の物よりはまぁ美味しいわね…)

カウンティ級「そうかそうか…もっと彼女にローストビーフを!」

提督「あ、いえ…」

カウンティ級「なに、遠慮はするな…さようですな、陛下?」

クィーン「いかにも…さ、ワインを注いであげなさい……それともスコッチ・ウィスキーにしますか?」…と、別の席で騒ぎ声が上がる……

見た目の整った深海棲艦「ふざけないでよ、アイルランドの酒がないじゃない!」

同クラスらしい深海棲艦「落ち着きなさい、ベルファスト…ギネスの黒ビールがあるでしょう」

軽巡「ベルファスト」の深海棲艦「ん、ならよし…うぃ……ひっく」適当にハープを奏でつつ詩を口ずさみ、時折周囲の深海棲艦に絡んでいる…

軽巡「エディンバラ」の深海棲艦「やれやれ…」

提督「…」

クィーン「お見苦しい所をご覧に入れてしまいましたね……さ、もう一杯いかがですか」

提督「感謝します…」


…しばらくして…

駆逐艦「チーズをどうぞ…」

提督「ありがとう…ふぅ、何だか暑くなってきたわね……」

…食べ物がどれも絶望的な中でワインとウィスキーだけは上等だったことと、クィーンの杯を断ったらどうなるか分からないこともあって、ついグラスを重ねてしまった提督…晩餐も終わりに近づき、見た目も固さも薬用せっけんそっくりなレッドチェダー・チーズを食べる頃にはかなり量を過ごしていた…

カウンティ級「ふふふっ、貴官はロンドン橋を見たことがあるまい…ビッグ・ベンの鐘の音も!」わめいているのはどうやら重巡「カウンティ」クラスの一グループ「ロンドン」級のネームシップ「ロンドン」のようで、しきりに自慢話を聞かせてくる…

提督「…そうですか。でもロンドンがいかに素晴らしくとも、ローマほど古く美しい都市はありませんよ……何しろイギリスが未開の原野だったころからありますし♪」酔いが回っているせいか、つい切り返してしまう…

ロンドン「…ぐっ」

ベルファスト「ははっ♪…そうだ、いまいましいイングランドの街なんぞアイルランドにはかなうまい……!」

ロンドン「何を…アイリッシュのくせに」

ベルファスト「それのどこがいけないって言うんだい、少なくともここには熱いアイリッシュの魂があるのさ…装甲もペラペラの「重巡」とは訳が違うのよ」

ロンドン級「なにやら…失礼な軽巡ね」

ベルファスト「へぇぇ、ならどうする?」

ロンドン「…余人は手を出すな、さしでケリをつけてやるから……さぁ、どうした?」

G級「あーあ…またイングランドとそれ以外の喧嘩が始まった……酒が入るとすぐこれなのよね…」

提督「ねぇ…そう言えばデザートは何かしら♪」

ベルファスト「え?」

ロンドン「えぇと、そうだな…きっとパウンドケーキだろうが……いったい何が用意されているのか、アドミラルにお答えせよ」

駆逐艦「はっ…パウンドケーキかジャム入りプディングです」

ロンドン「よろしい…ではアドミラル・カンピオーニに持ってくるように」

提督「…良かったら一緒にいかがですか」

ロンドン「あ、あぁ…ではご一緒しようか」

ベルファスト「ふんっ…イングランドのくだらないケーキなんぞ欲しくないわ……アイリッシュ・ウィスキーを持ってきなさい!」

クィーン「…では、余も一切れいただきましょう」

………


68 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/08(木) 02:57:48.74 ID:DJ44GQDx0
…食後・廊下…

クィーン「先ほどは場をしずめて頂いて感謝しております…」

提督「いえ…私も巻き込まれるのは遠慮したいところでしたから」

クィーン「ふふふ…さてと、それでは食後にまたお話を聞かせてもらいましょうか……大広間は彼女たちが飲んでいますから、別の場所で」…そばに控えている軽巡「カヴェンディッシュ」級と一緒に階段を上るクィーンと提督…

提督「はい……っと…」ドレスの裾で足が隠れているせいか目算を誤り、石の段差にけつまずいてクィーンに腕を押さえてもらった提督…ぬるりとした氷のように冷たい手が腕をつかみ、思わず背筋に寒気が走る…

クィーン「…貴女はずいぶんと熱いのですね…まるで焼けてしまいそうなぐらい……」

提督「ええ、イタリアの女は情熱的なのです…」ぞっとするほど感情のないクィーンの目を見て、慌てて冗談めかしたウィンクを投げる提督

クィーン「ふふ…さ、どうぞお入りなさい……下がってよろしい」

カヴェンディッシュ級「…では失礼します、陛下」


…クィーンの部屋…

クィーン「…いかがですか、余の部屋は」

提督「ええ…大変豪華なお部屋でいらっしゃいます」…映画の幽霊船のようにホコリにまみれクモの巣が張っている部屋を想像していた提督だったが、岩をくりぬいたような部屋には立派な執務机、金の六分儀に宝石を散らしたサーベル、それにふっくらと柔らかそうな布団が敷いてある天蓋付きベッドが鎮座していた…

クィーン「さようですか…さてと、それではお話を聞かせてもらいましょう……」灰色のマントを椅子にかけ、白骨のように真っ白な笏と宝石をちりばめたティアラ(宝冠)を所定の場所らしい台の上に置いた…

提督「えぇ…と、どのような話がよろしいですか?」

クィーン「何でも構いませんよ…イタリア王国海軍、地中海の暮らし……貴女のいる司令部の話でも…いずれにせよ、余が信じるにはそれなりの証拠が必要ですが」

提督「ふぅ…ここに連れて来られてからと言うもの、そうしたことは毎日のように説明している気がするのですが……とはいえ私も身体一つで来てしまったので、何か証拠になりそうな物を示すことが出来ないのがもどかしいです…」

クィーン「さようですか…ところで、この写真ですが……」提督があられもない姿になっている合成写真を卓上から取り上げた…

提督「…うわ///」

クィーン「…帰投してきた折にG級から、そなたの艦隊にいる「艦娘」とやらの話を聞きました……どうやら余、あるいは余の部下たちと同じように娘の姿をしていながら、そなたと夜も共にしているとか…どうも聞き違いでもなさそうですが、説明してもらえますか?」

提督「説明…と、言いますと?」

クィーン「つまり…それは指揮官に対する「信頼」と言う意味なのですか?」

提督「ええ、まぁ…それもあります///」

クィーン「それで寝床を共にする…あるいは情を交わす……どうも理解できかねます…」

提督「えぇと…それはつまり……」

…言い回しの難解なイギリス英語と、提督の言うことを信じようとしないクィーンの頑固な態度…まずい食事のせいもあってワインや高級なウィスキー、ブランディと言ったお酒を飲みすぎた提督は、クィーンの取り澄ましている貴族的な様子にいい加減飽き飽きしてカーッとなっていた…

クィーン「…つまり、どういうことですか?」

提督「つまり……こういうことです…っ!」

クィーン「…んむっ!?」

提督「んっ、んんっ…ぷはっ……分かって頂けましたか?」クィーンの青ざめた冷たい唇に自分の唇を重ね、キスを済ませると手の甲で唇を拭った…

クィーン「…なるほど…確かに余の時代にこんなことは滅多にありませんでした……」

提督「…やっと信じてもらえましたか」

クィーン「ええ…それにしてもなかなか大胆ですね……捕虜が敵国のクィーンたる余の唇を奪うとは」かすかに笑みを浮かべて見せるクィーン…

提督「ここまでしないと信じて下さらないのですから…仕方ありません」

クィーン「…とはいえ、貴女は捕虜の身でありながら余の唇を奪ったのです……それ相応の罰を与えねばなりませんね」

提督「あっ…」(罰ね……きっとマストに吊るしたりするつもりなのね…ごめんなさい、ライモン…もう会えないかもしれないわ……)

クィーン「では、刑を申し渡します……もう一度口づけしてみて下さい。どういうものなのか一瞬では理解できかねましたので」

提督「…え?」

クィーン「聞こえませんでしたか?」

提督「いえ、よく聞こえましたが……本気で…?」

クィーン「余に二度も繰り返させるつもりなのですか、アドミラル?…イタリア人は色恋の戦術には優れていると聞きますが、それも敵国向けの宣伝ですか?」

提督「…いいえ、イタリア人は恋も海戦も一流です♪」ちゅっ、ちゅぅっ…♪
69 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/10(土) 02:05:20.17 ID:3w0OVfKG0
…しばらくして…

クィーン「ん…んちゅぅ……ちゅぅぅ…ん///」蒼白な舌から唾液を垂らし、さっきまでの冷たい表情も崩れて目をとろんとさせている…

提督「はぁ、はぁ……どう、なかなか気持ちいいものでしょう…?」(味は…痛みかけた貝類みたい……さっきのイギリス料理といい勝負ね…)

クィーン「いいえ…今が大戦中でない事は信じてもよろしいですが、余が捕虜の小娘ごときにいいようにされるようでは艦隊に示しがつきませんので……そちらこそあきらめて「お得意の」降伏をなさったらいかが?」

提督「あら、そうですか……それなら私も女としての意地をかけて、クィーンがはしたなく喘ぐまでやってあげます…っ♪」

…カビたシルク生地が傷んでいて、あちこちに擦れもある古いドレスの胸元を引っつかむと力いっぱい引き裂く提督…ビリッ…ビビィィ…ッ……と音を立てて生地が破れると、「たゆん…っ♪」と白いもっちりした乳房が弾んだ…

クィーン「…何をなさるつもり……?」

提督「…私の愛がこもった乳房に包まれたら、その皮肉で冷たい態度もどうにかなるかと思いまして…っ!」むにっ…♪

クィーン「んぷっ…んむっ、むぅ……」提督の谷間に顔を埋めさせられ、後頭部を押さえられているクィーン…

提督「はぁぁ…お酒のせいで身体が火照っていたのだけど、冷たい顔が当たって気持ちいいわ……それで、私の谷間はいかが?」

クィーン「…んぅ……むぅ…っ!」頭を押さえつけていた提督の手を振り切り、提督をじっと凝視する…

提督「…で、ご感想は?」

クィーン「……がした」

提督「んっ?」

クィーン「…あ、アップルティーのような甘い香りがしました……余が忘れていた感覚を思い起こさせるような…///」

提督「そう…よかった♪」

クィーン「よくありません…こんな気持ちは国王陛下に仕える者には不要…むしろ判断を鈍らせ、雑念を招きます……こんな感情は一体どうすればよいと言うのです…///」ふいっ…と提督から目をそむけた途端、卓上に置いてあった提督の合成写真が視界に入り、また視線を動かした…

提督「んー…それなら一度、思い切り発散してみたらいかがですか?」

クィーン「そしてそれを「艦隊中に知られてしまえ」と…?」

提督「うふふっ……でしたら私とならいかが?」

クィーン「……物好きにもほどがあるようですが」

提督「いいえ…えっちの事になると急におどおどしているクィーンを見るの……結構愉しいですから♪」

クィーン「…余をおもちゃにしようと言うか……面白い。海戦であろうと夜伽であろうと余は「クィーン・エリザベス」…小娘、そこまで言うならイタリア女らしく余を愉しませてくれるのでしょうね…?」固いコルセットのようになっているドレス、あるいは「殻」を脱ぐと、ぬるりと粘っこい糸を引いた真っ白な身体が出てくる…

提督「…ええ、きっとクィーンがアレクサンドリアでなったように、腰が砕けてベッドに着底することでしょう♪」

クィーン「あとでその言葉を思い出させてあげましょう…!」提督を引きずり、布団に押し倒すクィーン…

………

…数時間後…

クィーン「あふっ、ひぐっ……こんな………はぁぁぁっ…」ギシッ…キシィ……ギィ…

提督「ふふっ……クィーンの指ったら冷たくって、私の花芯もきゅうきゅう疼きました…♪」クィーンの身体をすみずみまでこねくり回し、ぬらぬらした身体をいじくり倒す提督…傷んでいるベッドをきしませながら、甘ったるい笑みを浮かべてクィーンにまたがっている…

クィーン「余は…余はクィーン・エリザベスです……レナウンたちに見つかったら、あなたは八つ裂きにされてもおかしくないのですよ?」

提督「あー…クィーンの隣に座っていた深海棲艦は「レナウン」でしたか…「アーク・ロイヤル」はいました?」

クィーン「余の右側にいた背の高い…んんっ、余の話している時に……」

提督「ふふ…だってクィーンの胸が話すたびにふるふる揺れて……先端は青っぽいのね♪」いたずらっぽい笑みを浮かべ、固い先端を指でピンッ…と弾く提督

クィーン「んんっ…どうして……余がこんな、マカロニの提督ごときに…///」

提督「うふふっ…イギリス海軍はいつも不意打ちには弱いようですから……ね、クィーン♪」にちゅっ…ぐちゅ、ぐちゅ…っ…♪

クィーン「あっ…あ゛あ゛ぁぁっ!」

提督「んふふっ、ほら…腰が砕けてベッドに着底するって言ったでしょう♪」

クィーン「んはぁ、はぁ、はぁ、はぁ…ふぅ、はぁ……」

………
70 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/10(土) 02:55:34.38 ID:3w0OVfKG0
…しばらくして…

クィーン「…余も明日の執務があります。そろそろ部屋に戻りなさい…それと、このことは口外しない事……よろしいですね?」

提督「はい、クィーン…それと、こちらの約束もお忘れなく♪」ぱちりとウィンクをして、びりびりに破いたドレスを取り繕いながら着る提督…

クィーン「余は約束したことは守ります…さぁ、行きなさい」

提督「ええ、それでは…グッドナイト♪」

…廊下…

カヴェンディッシュ級「……部屋に戻るのだな?」

提督「ええ…♪」

カヴェンディッシュ級「…それで」

提督「なぁに?」

カヴェンディッシュ級「……その、陛下があんなになるとは…「情を交わす」とはそんなにいいものなのか…」(陛下があんな獣のような声を…それに何ともみだらな光景だった……)

提督「もう…「下がれ」って言われていたはずでしょう?それなのにのぞいていたの?」

カヴェンディッシュ級「バカを言うな。ただ、陛下のただならぬお声が廊下に聞こえてきて……それで、陛下の身を案じて…」

提督「非力な人間の提督が深海棲艦のあなたたちにかなう訳ないじゃない…それなのにのぞくなんて」

カヴェンディッシュ級「し、仕方あるまい…軽巡は索敵が任務の一つなのだ……」

提督「…キスだけでよかったら」

カヴェンディッシュ級「なに?」

提督「私も疲れたし…キスだけでよかったら、してみる……?」

カヴェンディッシュ級「……では」

提督「了解、それじゃあ…んっ…んっ、んっ……んちゅっ///」

カヴェンディッシュ級「んんっ!?……ん、んんぅ…んはぁ」

提督「どうだった…?」

カヴェンディッシュ級「…お、おかしい……私は地中海艦隊の一隻として、それに「エリザベサン」級ともされるこの級名に恥じぬよう陛下にお仕えし、大英帝国の勝利の日まで任を全うすることこそが本義のはず……なのに…」

提督「愛は任務なんかよりもずっと大事よ?…それじゃあ、着替えて寝るから……ドレスは片づけてもらえる?」

カヴェンディッシュ級「ああ、承知した…」(…今までこの女が着ていたドレスか……)

………

…翌朝?…

提督「うぅ…ん…」妙に肌寒い気がした提督は眠気にあらがって薄眼を開けた…と、なぜか寝巻き代わりに渡されたはずのキャミソールと湿ったブランケットが引きはがされている……その上、数人の深海棲艦が周囲を取り囲むようにして立ち、提督の裸体を食い入るように見つめている…

提督「…え!?」慌てて跳ね起きると毛布で身体を隠した…

駆逐艦クラス「!?」

軽巡クラス「…!」

提督「…ちょっと、どういうつもりなの?」

軽巡「ふん、少しイタ公の身体を眺めてみたくなったのだ…安心しろ、別に取って食ったりはしない……」

提督「ねぇ…もしかしてこの間私の身体がねとねとだったのもそういう訳なの?」立ち上がると腰に手を当てて問い詰めた…

軽巡「…捕虜に答えてやる義務はない」

提督「私とクィーンでお話しする機会はまだまだありそうだけど…今度は何を話題にしようかしら♪」

軽巡「あ、あれは私ではない…駆逐艦の数隻が……だいたい、あの宣伝写真のせいなのだから、そちらにも責任の一端はあるのだ…」

提督「え…あれをみんなで見たの……?」

軽巡「ウェ…ル(えーと…)」

駆逐艦「まぁね…出撃がない時は手持無沙汰だし、ここの酒保には大して買えるものもないから……触ったりした連中はいたってことよ…」

提督「あー、もう…信じられないわ///」
71 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/11(日) 02:30:11.42 ID:5DDzoYWB0
…朝食…

提督「それはそうと…」周囲にそっと視線を走らせる…



…連れてこられた時は敵意を持った視線や「マカロニの捕虜」に対する冷笑をひしひしと感じていた提督…が、この数日は深海棲艦同士で回して見たらしい「例の写真」やクィーンとの「交流」があったせいか、食卓に並んでいる深海棲艦たちの視線が心なしか欲情したような、どこかぎらぎらしたものに変わっている……時折胸やふとももに向けられた視線を感じて、別な意味で危険を感じている提督……


G級「…なにか?」

提督「…いえ」あきらめて食卓に視線を戻す提督…相変わらず縁がチリチリになったハムと、ゴムそこのけに固くなった卵で出来たハムエッグス……そこについている焼きすぎのトーストに煮込みすぎて形もないベイクドビーンズ……おまけに卓上には黒い樹脂のようなものが鎮座している…

ケント級「…あむっ…むしゃむしゃ……」あまり空腹を感じないらしい深海棲艦たちは数日に一度の食事で済むらしく、今朝は三人の重巡「カウンティ」級とC級軽巡グループでも「ケープタウン」級に属する「カイロ」、パース級軽巡「シドニー」、大型の駆逐艦「トライバル」級が数人座っている…

軽巡シドニー「カイロ、それを取ってくんなよ」

C級軽巡「どうぞ」

シドニー「おーし、やっぱり『ベジマイト』がないと始まらないってもんよ…ずずずぅ…」マナーもへったくれもない様子で片脚を上げたまま「ベジマイト」を塗りたくったパンをがつがつと胃に放り込み、イギリス海軍伝統のホットココアで流し込む…

(※ベジマイト…野菜と酵母を発酵させて作るオーストラリア特産のスプレッド。ビタミンが多いらしいが味は「オーストラリア人専用」とのこと……)

提督「………」

G級「…早く食べないと冷めるわよ、アドミラル?」

提督「…ええ」


………

…昼食…

クィーン「今日はインド風昼食ですか、カイロ…見ているだけで「タージ・マハール」が目に浮かぶようです」

カイロ「ありがたきお言葉…どうですか、本場で仕込んでイギリス風にアレンジしたカリーは美味しいでしょう…」

提督「え、ええ……」辛さも今一つで水っぽく、風味もピンとこない不味いカレーを前にげんなりしている提督…仕方なしに濃いストレートティーを飲みながら黙々と食べる…

デリー(D級軽巡)「美味しい、これこそ故郷の味ね…」

クィーン「ふぅ…美味でしたよ、カイロ」

カイロ「恐縮です、陛下…」

………

…夕食…

ロンドン「…さて、我々の捕虜とはいえせっかくの機会ですから…アドミラルには世界の中心地、ロンドンの味を食べてもらわないと」

提督「…」目の前にドシンと置かれた大皿には、種類も選ばずぶつ切りにして焦げそうなほどガリガリに揚げた数種類の魚と、油っぽいポテトフライが載っている…

提督「えーと…これは「フィッシュ・アンド・チップス」でいいのかしら?」

ロンドン「いかにも…高尚な食べ物ではないが、ホワイトホール(イギリス海軍省)に行くまでの小腹ふさぎにと、若手の士官たちもつまんでいたものよ」

提督「…い、いただきます」ひくひくと口もとを引きつらせながら、魚のフライに取りかかる…

ロンドン「どうだ、ロンドンっ子の力の源は?」

提督「…あの、この魚ってウナギ?」ぶつ切りにされたウナギをぬめりも取らずに衣をつけ、すっかり固くなるまで揚げてある……

ロンドン「知らん。とにかく魚を揚げればいいのだからな」

提督「……ちょっといいかしら」

G級「何?」

提督「ここにも厨房とか食料庫はあるのよね?…明日必ずそこに連れて行きなさい。いいわね?」

G級「わ、分かったわよ…ずいぶんな剣幕だこと……」

提督「…ごちそうさまでした、もういいわ……」

ロンドン「そうか、なら私が……んぐ…何だこの魚は、えらくマズイな……」

提督「あー…きっとそう言う魚なんでしょうね…」(…ウナギを「フィッシュ・アンド・チップス」に使うからでしょうが…やっぱりイギリスの深海棲艦はセンスもイギリス流なのね…きっと永遠に分かり合えないわ……)

………
72 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/12(月) 02:29:44.84 ID:K8G9/ZQi0
…翌日…

提督「それじゃあ昨日言った通り、厨房に案内してもらうわね」

G級「全く、捕虜のくせにいちいち面倒な事を……せっかくクィーンが許可してくれたのだから、脱走を試みたりしないことね…」

提督「はいはい…どのみち出口の場所も知らないのに脱走も何もないわ」肩をすくめて案内されるままに廊下を進む提督…

G級「ほら、ここよ…」

提督「えーと…なにこれ……」

G級「厨房よ。私たちはそんなにお腹もへらないし、これだけあれば充分なの…」


…洞窟の一角にある「厨房」の天井には煙突のような空気穴が抜けていて、提督の目の前で数人が何かを作っている……が、置いてある厨房用具は岩の張りだしの上に置いてあるまな板らしい板切れとナイフ数本、明らかに拾い物のアルミ鍋とフライパンがいくつか…水道代わりにちょろちょろと流れている水をためている隅っこのドラム缶、それに海岸から流れてきた…あるいは捨てられたものを拾ったかしたキャンプ用のグリル台と、暖炉のような直火の調理台だけしかない…


提督「…」

G級「で…ご感想は?」

提督「とりあえず使える道具の種類は分かったわ…今度は食料庫に案内して?」

G級「はぁ、面倒ね……出来上がったら私にも分けるのよ?」

提督「ええ、これは相当頑張らないといけないわね…」


…食料庫…

G級「で、こっちはどう?…マカロニの提督ならきっとすごいものが作れるわよね」

提督「ええ、そうね…」相変わらず皮肉な言い方は変わらないG級をよそに、提督は箱や缶詰の間にしゃがみこんで周囲をごそごそとかき回している……まず拾い上げたのは難破した貨物船あたりから回収したのか、外箱がすっかり壊れているスパゲッティの青い袋…

提督「これでとりあえずパスタが作れるわね、後は…んー……あ、トマト缶♪」賞味期限は明らかに数年前ながら「まだどうにかなりそう…」と、拾い上げて小脇に抱える…

G級「持っててあげるわよ…」

提督「ありがと♪……それに…わ、アンチョビがあるわ♪」しゃがみこんでアンチョビの缶を拾い上げる…

G級「ふぅん…艦隊指揮はからっきしなのに、イタリア人って言うのは料理の事になると手際がいいのね」

提督「かも知れないわね…あとは……」G級のイヤミに生返事をしながら缶詰や瓶詰を選び取る…

提督「…うん、これでどうにかなりそうね♪」

G級「あらそう、よかったわね…」

提督「ええ、ようやく人間の食べるものが食べられるわ…♪」途端にきゅぅ…とお腹が鳴る……

提督「もう、私のお腹ったら素直だこと…///」

…厨房…

提督「さてと…♪」与えられたよれよれのキャミソールを着ている提督は手を洗うと、深海棲艦に鍋を借りた……漂着物の拾い物らしい鍋は「取っ手が取れる」が売りのフランス製でもないのに柄が行方不明で、おまけにあちこちへこんでいる…

提督「…まぁいいわ、とにかくお湯を沸かしましょう♪」…久しぶりにまともな料理が食べられそうとあって、うきうきした様子の提督…深鍋にお湯を沸かしつつ、塩を小さじ二つほど入れる…

提督「それから…と♪」

…これもずいぶんゆがんでいるフライパンにオリーヴオイルを注ぎ、赤唐辛子と刻んだニンニクひとかけを入れて温める……赤唐辛子の辛さは油に溶け出すので焦げやすいニンニクよりも先に入れ、じっくりと風味を出していく…しばらくしてニンニクがカリカリといい音を立てはじめたら、食料庫にあったアンチョビの缶詰に黒オリーヴの輪切り、ケイパーの塩漬けを入れて木べらでほぐしていく…

深海棲艦「…ふんふん」冷たい表情は相変わらずながら、興味深そうに香りを嗅ぐ数人…

提督「んー…いい香り♪」

…ほど良くほぐれたアンチョビと黒オリーヴの所にトマト缶を空け、焦がさないよう注意しながら濃い赤が鮮やかな柿色になるまで火にかける……最後に茹で上がったスパゲッティを絡めて黒胡椒を振ると、恍惚の表情を浮かべながら香りを胸いっぱいに吸い込み、さっと大皿に盛りつけた…

G級「へぇ…それで、この料理の名前は?」

提督「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ(娼婦のスパゲッティ)…「水商売のお姉さんが活力を付けるために作った」とか、そう言うお姉さんたちと同じで「たまにならいいけど毎日だと飽きるから」とか言われるナポリの味よ……あぁ、空腹にはたまらない香りね♪」

G級「椅子ならここにあるわよ…」古いオレンジの木箱を持ちだしてきた…

提督「ありがとう。それじゃあさっそくいただくわね……んーっ、美味しい♪」身もだえしながらスパゲッティを口に運ぶ提督…

G級「…ごくっ」

深海棲艦「…」

………
73 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/13(火) 01:59:32.89 ID:FWz1EF2O0
…そのころ・提督の実家…

チェザーレ「うむ、了解…大佐どの、改めてカンピオーニからもお礼を贈らせていただきます……それでは」受話器を置くと肩を回した…

ライモン「…チェザーレさん、まだ提督の行方について手がかりはなしですか?」

チェザーレ「うむ…提督の手帳にあった名前からラ・スペツィア、ナポリ、サルデーニャ島のカリアリ…シチリア島のアウグスタとメッシーナ…イオニア海管区のレッジョ・ディ・カラーブリア、タラント……もしかしたらアドリア海方面に誘拐されたかもしれぬからブリンディシとヴェネツィアにも電話はかけた……後はパレルモ航空隊のアントネッリ中佐は提督の「親しいお友達」なのでな、色々調べてくれたぞ」

ライモン「なのにかいもく見当がつかないなんて…いったいどこにさらわれてしまったのか……うぅ、きっと今頃深海棲艦に取り囲まれてあれこれと厳しい尋問を受けているに違いありません…」

チェザーレ「まぁ落ち着け、ライモンド…提督はなかなか頭の回転が速い。きっと脱走の機会をうかがうか、さもなければここに返してくれるように深海の連中に掛け合っているはずだ……それにあの提督に限って愛しい女性を悲しませるような事をする訳があるまい。違うか?」

ライモン「…そ、それはそうですが///」

チェザーレ「そうであろう?……それにさっきムツィオが手伝っていたからな、そろそろあのナポリ鎮守府のカント水偵が離水できるはずだ…行ってその目で捜索してくるといい」

ライモン「はい。それでは留守をお願いします」

チェザーレ「任せておけ。…必要ならこのチェザーレが賄賂だろうが何だろうが用意してみせるから、後ろにローマ軍団が付いているつもりでいればいい」ポンと肩を叩き、口元に笑みを浮かべて見せた…

クラウディア「…必要なものがあったら何でも言ってね?」

シルヴィア「もし銃がいるようならいくらでも出してあげるから、そう言いなさい…あと、これ」装填済みのベレッタ・M1938短機関銃を渡した…

ライモン「これは?」

シルヴィア「お守り代わりに一応……「ウサギの脚」よりは効果があるでしょうし」

ライモン「ありがとうございます…それでは、しばらく上空から探してみます」

アッテンドーロ「姉さん、水偵の準備が出来たって」

ライモン「分かったわ…それでは、上空から捜索してみます」…ライモンは短機関銃を肩にかけると岸辺に着水している三発エンジンのフロート機、カントZ506「アイローネ」(※Airone…アオサギ)の後部席に乗り込み、しばらくするとカント水偵は浜辺に砂と波を巻き上げて離水していった……

チェザーレ「…提督、もし戻ってこなかったらライモンドに代わってチェザーレが怒るぞ……?」

………

…一方・深海棲艦の洞窟…

G級「…んむ……んむっ…まぁ美味しいんじゃないの?」提督にパスタを分けてもらうと勢いよく食べ、口の端にトマトの汚れまで付けていながら辛口の評価を下す…

ケント級重巡「ふむ、なかなか美味い…」一方の重巡「ケント」級はさすがの貫録で、無表情ながら一応感心したような声を上げた…そのうちにいい匂いに誘われたのか、次々と厨房に姿を見せる大小の深海棲艦たち……

提督「ふぅ…まさかせっかくの夏季休暇を深海棲艦の司厨長として過ごすになるとは思ってもみなかったわ……」次々と顔を出してくる深海棲艦たちに汗だくで「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ」をごちそうする羽目になっている提督…

クィーン「…何事ですか」

C級軽巡「…陛下、このような場所にまでお越しになるとは……お気遣い、痛み入ります」

クィーン「余はあらゆるものに目を通さなければなりませんから。で、何をしているのですか…アドミラル?」

提督「えぇ…と、料理を作っておりました……良かったらいかがですか、クィーン♪」

レナウン(巡洋戦艦)「陛下に対してそのような口を利くなんて失礼よ…?」

クィーン「よいのです、レナウン…イタリア人の捕虜なのですから、礼儀を知らずとも致し方ないでしょう……?」さりげなく失礼なことを言うクィーン…

提督「む……クィーン、これは『娼婦のスパゲッティ』などと申す一品で、はなはだお口汚しかと思いますが…よろしければお召し上がりになられますか?」

クィーン「…そうですね、それでは味見程度に頂戴いたしましょう……」さっと用意された椅子に軽く腰掛け、ほんの少しだけパスタを巻きとって口に運んだ…

提督「…」

クィーン「……なかなか美味しいではありませんか」

提督「感謝します、クィーン」

クィーン「いいえ…ところでアドミラル」

提督「はい」

クィーン「あとで話がありますから、余の部屋へお越しいただければと思います……それでは…」しゃなりしゃなりと優雅な歩みで出ていくクィーン…

提督「…分かりました」(…まさか「『娼婦のスパゲッティ』なんて言うものを食べさせて、無礼だから処刑する」とかじゃないわよね……)

74 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/13(火) 02:45:06.18 ID:FWz1EF2O0
…しばらくして・クィーンの部屋…

G級「連れて参りました、陛下」

クィーン「ご苦労様です…下がってよろしい……」

提督「…それで、私にどのようなご用でしょうか?」

クィーン「ええ…実を言いますと、そろそろアドミラルにはお帰りになって頂きたいと思っているのです……」

提督「そうですか」(ふぅぅ…これでようやくライモンに会えるし、深海棲艦の作るイギリス料理ともおさらば出来るわね♪)

クィーン「はい……この一週間ばかりアドミラルを「捕虜」とはいえ我が方でもてなしておりましたが、あまりアドミラルにいられると余の部下たちに悪影響があると考えているのです…したがって、余はアドミラルを数日中に潜水艦に乗せてお返しするつもりです……」

提督「悪影響ですか…「あまり美味しいイタリア料理を食べさせるな」という訳ですね♪」

クィーン「ふふ……それもありますが、アドミラルもお気づきでしょう…彼女たちの態度を」

提督「…と、言いますと?」

クィーン「アドミラルの写真を回しては色欲を覚えている者たちがいるのですよ…なかなか刺激的な写真ですから……」

提督「あ、あれは…その…///」(もうあちこち触られたりしているけど…)

クィーン「…存じております。とにかく余は地中海での勝利のために戦っているのですから、イタリア料理や数枚の写真のせいで戦意を失ったり、集中を乱されては困ります……それに、なかなかあのG級を手厚くもてなしてくれたそうですから、その礼として解放することに決めました……ついてはこれを」一枚の便せんとペンを差しだした

提督「…これは?」

クィーン「受け渡しに際して余の部下を攻撃しないようアドミラルの艦隊に伝えるのです…さぁ、お書きなさい」

提督「はい……これでよろしいですか?」

クィーン「よろしい…余に嘘をついていればわかりますから。では、どうぞお戻りなさい……」

提督「はい、クィーン」(…あぁ、やっと太陽の下に戻れるのね♪)

クィーン「それと言っておきますが、ここにも日の当たる場所はありますよ…」

提督「…え?」

クィーン「…聞かれませんでしたから余も言いませんでしたが、廊下の石段を登って行けば見張り台があります……」

提督「…では後で日光浴をさせてもらいます」

クィーン「ええ、ご自由に…」

………

…その日の夜・カンピオーニ家の海岸…

ライモン「…ふぅ」青っぽい明るい月を眺めながらため息をついているライモン…横には提督にもらった豪奢なナイトガウンを羽織ったチェザーレが立っている……

チェザーレ「ライモンド、今日はもう疲れたろう…もう休むことだ」

ライモン「ええ……ですが提督もどこかであの月を見ているかもしれないと思うと、なかなか戻れなくて…」

チェザーレ「うむ、気持ちは分かるが……ん?」ふと視線を落とし、波打ち際に揺れている瓶を見つけたチェザーレ

ライモン「どうしました?…あ、瓶ですね……中に何か入っています…」

チェザーレ「うむ、手紙のようだが……ちょっと待て、ライモンド。この字は提督のものではないか?」

ライモン「!?」慌てて瓶の外から見える字を月明かりにかざす…

チェザーレ「どうだ?」

ライモン「…はいっ、間違いありません!……ムツィオ、クラウディアさん、シルヴィアさん!」瓶をしっかり抱えると、家に通じる小道を駆け上がっていく…

チェザーレ「…ふふ。それにしても、さすがチェザーレたちの提督よ…「瓶に入った手紙」とはなかなかロマンティックではないか……ライモンド、そう慌てると転んでしまうぞ?」ライモンの後を追って小道を上るチェザーレ…





75 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/13(火) 11:14:23.51 ID:FWz1EF2O0
…居間…

アッテンドーロ「…それじゃあ姉さん、内容を読んでよ」

ライモン「ええ……「愛しのみんなへ…」もう、こんな時にまでこういうことを言うなんて提督らしいですね///」

シルヴィア「ふふ、それだけ愛されているのよ」

ライモン「///」

アッテンドーロ「で、続きは?」

ライモン「ちょっと待って…「今、深海棲艦たちの巣窟の中でこれを書いています。ずっと太陽の見えない場所にいたので何日経っているのかもわかりませんが、とりあえず身体に問題はありません…どうやら深海側は、以前の作戦で鎮守府が「捕虜」にした「G」級の扱いに感謝し、お礼を言いたかったようです」…と書いてあります」

チェザーレ「全く。深海棲艦の奴ばら、いらぬところで律儀な真似を…心配で夜も眠れなかったというのに……」

ライモン「えーと…「とりあえず数日中に帰してくれるそうなので、私を乗せた深海棲艦を攻撃したりしないよう手はずを整えておいてください。搭乗するのはおそらく深海側の潜水艦「T」級になるはずです…」ですって!」

クラウディア「まぁまぁ…フランカが無事でよかった、うんとごちそうを用意しないと♪」

アッテンドーロ「じゃああのふざけた連中を沈めたりしないように準備しないとね…チェザーレ、また電話することになりそうですね?」

チェザーレ「提督が無事に帰って来るなら電話くらいお安いものだ…他には何か書いてあるか?」

ライモン「はい…「みんなにうんと心配をかけた分、休暇の残りは好きなだけわがままを聞いてあげるつもりでいます…とにかく無事にみんなに会うこと、それと温かいお風呂、美味しい食事が待ち遠しくてなりません」…だそうです」

クラウディア「ふふ、そうだろうと思ったわ♪」

シルヴィア「ふぅ…これでようやく安心して過ごせるわね」提督のいない間寂しげに鳴いていたルチアの頭を優しく撫でる…

ルチア「クゥーン…?」

………

…数日後・深海棲艦の洞窟…

クィーン「…数日前に申し上げた通り、準備していた捕虜返還の手続きが整ったので…本日をもってアドミラル・カンピオーニをイタリア側に返還することとなりました……」

タリスマン「それは残念だ…せっかく捕虜にしたのに」提督の側に座っている「タリスマン」がぼやく…

トーベイ「仕方あるまい……まぁまた捕虜にすれば良いではないか。わが軍はこれまでもイタリアの将官など網ですくえるほど捕えているのだから」

提督「…陸軍はともかく、海軍は別よ?」

クィーン「皆、静かに。それでは乾杯するとしましょう……アドミラル」

提督「あぁ、はい」グラスを持って立ち上がった…

提督「えーと…なにはともあれ、イギリス地中海艦隊のもてなしに感謝しております。少なくとも今回は砲弾ではなくウィスキーでしたから」提督の冗談にそこそこ笑いらしいものが漏れる

提督「それでは、お互いに武運長久を願って…げほっ、ごほっ!?」グラスを持ち上げ透明な液体を一気に流し込んだ提督…と、カッとするような味が喉を焼いた……

ベルファスト「…へへっ、うまくいった」数人が底意地の悪い笑みを浮かべている…

提督「…なに、これ……!?」

クィーン「…三倍量(トレブル)のジンに純アルコールを数滴……そうでしょう?」

ベルファスト「ええ、クィーン…どう、アドミラル。ダイナマイトでしょう…?」小さいハープを片手にイェーツの詩か何かを口ずさんでいる…

提督「うぇぇ…ひどい味……」顔をしかめている間にも意識がぼんやりして、目の前が揺らぎ始める提督

クィーン「…余も出口の場所を見られるのは好ましくありませんので……許しなさい、アドミラル…」今度はいきなり背後から目隠しをされ、ひょいと誰かに持ち上げられた…

提督「えっ、もう出発ですか…?」

クィーン「いかにも…それでは、よい航海を……」

提督「うぅ…ん」…急に持ち上げられたりしたせいでアルコールが回り、ふっ…と意識を失くした提督

クィーン「それでは頼みましたよ…」

トーベイ「了解…トーベイ、出撃します」

………
76 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/15(木) 01:17:59.12 ID:8UcHvThF0
…数日後・深夜…

ライモン「それにしても…深海棲艦たちは本当に約束を守ってくれるでしょうか?」ざぁぁ…っ、と波音だけが響く浜辺に立って合図の懐中電灯を持ち、不安げな表情のライモン……

チェザーレ「…ブリタニアの二枚舌が信用できないか、ライモンド?」

ライモン「ええ…いきなり提督をさらっていくような相手ですし」

アッテンドーロ「まぁね、姉さんの言うことも分かるわ。でもわざわざ瓶入りの手紙まで送りつけておいて「嘘でした」って言うことはないんじゃない?」

ライモン「うん…わたしもそう思うけど……」

アッテンドーロ「じゃあ姉さん、合理的に考えてみましょうよ…私たちに提督を返すふりをすることで、あちらさんが何か得をすることがある?」

ライモン「うーん……わたしたちがショックを受けるとか」

アッテンドーロ「それだけならこんな回りくどいことなんてしないわよ…ね?」

ライモン「そう言われてみればそうかも…でも提督が戻って来るまでは安心できないわ」

アッテンドーロ「まぁね……って姉さん、あれ!」…沖合に浮上した潜水艦のぼんやりしたシルエットが霞んで見え、豆電球のようなぽっちりした明かりが点滅した

チェザーレ「合図で間違いないようだ…ライモンド」

ライモン「は、はいっ…!」懐中電灯を点滅させ、合図を返す…

チェザーレ「…さて、どこから来るのやら」

ライモン「そうですね……あ!」浮上した潜水艦とは別の方向から一隻のゴムボートが近づいてきて、砂浜に乗り上げると誰かが降りてきた…

タリスマン「……捕虜の返還に来た」

ライモン「…提督、提督っ!」

提督「…」くしゃくしゃで染みだらけになったナイトガウンを羽織り、タリスマンに担がれてきた提督…

アッテンドーロ「…提督におかしな真似はしていないでしょうね?」

タリスマン「ああ…少し気を失っているだけだ、すぐ回復する……それと…」

チェザーレ「何だ?」

タリスマン「陛下からのアドミラル宛ての親書がある…後で渡してもらいたい」

チェザーレ「うむ、なら受け取っておく…これでよいな?」

タリスマン「結構だ……では失礼する、次に見るのは照準器越しだろうな…」

アッテンドーロ「それはこっちの台詞よ…もう用はないからとっとと海の底にでも帰りなさい」

タリスマン「言われなくとも……それでは…」ゴムボートを押して浜から出すとひらりと乗り込み、そのまま沖合に消えて行った…

チェザーレ「なかなか素早かったな…ところで提督は?」

ライモン「いま起こしています……提督、提督っ!」

アッテンドーロ「ちょっと、本当に無事なんでしょうね……」

提督「…う、うぅん……」

ライモン「提督…っ!」抱きついて砂浜に押し倒し、あたり構わず身体中にキスを見舞いつつ涙をこぼした…

提督「…ただいま、ライモン……泣かないで、ちゃんと私は戻ってきたわ…ん、ちゅ…っ……」提督は綿のように疲れ切っていたが、それでもライモンにキスを返し、アッテンドーロとチェザーレにもうなずいた…

ライモン「あぁ、よかった……本当に心配で心配で…わたし、どうにかなっちゃいそうでした……」

アッテンドーロ「本当よ、まったく…姉さんったら自分を責めるわ、艦隊のみんなに電話をかけようとしたりで、もう大変だったんだから」

チェザーレ「まぁ、何はともあれ「終わりよければすべてよし」と…しかし、よく返してもらえたものだな?」

提督「あー…うん。それがどうも、私が料理を作ったり現代の事を色々教えたりしたら「戦意高揚の邪魔」になるって思ったみたい」

チェザーレ「なるほど…確かに美味い物を食って、恋だの愛だのを知ったら深海暮らしなどやってられんだろうからな……」

提督「ええ、そう言うことだったみたい……ライモン、んーっ♪」

ライモン「はいっ…ちゅぅぅっ……んっ?」

提督「…どうかしたの?」

ライモン「…何だか今日の提督は変な味がします……もしかして深海棲艦ともしたんですか?」

チェザーレ「あー…ところで提督よ、ひどく磯臭いな……クラウディアが風呂を沸かしているはずだから、汚れを落としてさっぱりしたらどうか?」

77 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/15(木) 01:58:20.73 ID:8UcHvThF0
ライモン「むぅ…チェザーレさん、わざとですか?」

チェザーレ「何がだ、ライモンド?…とにかく提督を家まで運ぶのが先決ではないのか?」

ライモン「あっ、そうでした…提督、わたしにつかまって下さい」

提督「うん、ありがとう……よいしょ…」むにゅ…と提督の柔らかい乳房が背中に当たり、頬を赤らめながら肩を貸すライモン……


…カンピオーニ家・玄関…

ライモン「よいしょ…ここまでくればもう大丈夫ですね?」

提督「ええ、チェザーレも、ムツィオもありがとう…ちゅっ♪」

チェザーレ「…なに、愛しい提督のためならこのくらい構わぬよ♪」

アッテンドーロ「ええ…姉さんにばっかりキスしてるから、私たちの事は忘れているのかと思ったわ」

提督「ふふ、そんな訳ないでしょう…」と、玄関先にシルヴィアとクラウディアが立っていて、足下に寄り添うようにルチアも座っていた……

クラウディア「…フランカ!」

提督「ただいま、お母さ…んむっ!」いきなり抱きつかれ、甘い匂いのする胸元に顔を押し付けられる提督…

クラウディア「もう、無事でよかったわ…怪我はない?…お腹が減ったでしょう。お風呂も準備してあるわ…それより一晩寝たいかしら?」

提督「んー…んーっ……」

シルヴィア「いいけど、とりあえず放してあげたら?…フランカが窒息するわよ」

クラウディア「あら、いけない///」

提督「ぷはぁ……改めて迷惑をかけてごめんなさい、お母さま、シルヴィアおばさま…でもどうにか無事で済んだわ」

シルヴィア「いいのよ、ちょっとぐらい迷惑をかけるぐらい……クラウディア、これでようやく安眠できるわね?」

クラウディア「ええ。ところでシルヴィア…私、安心したら人肌が恋しくなっちゃったわ……///」

シルヴィア「はいはい、まずはフランカの面倒を見てからね」

ルチア「ワンワンワンッ…!」尻尾をちぎれそうな勢いで振り、提督に飛びつくルチア…

提督「あー、よしよし…ごめんね、ずっと心配させて」

ルチア「ワフワフッ…♪」


…しばらくして・浴室…

提督「…あいたた」洞窟の中で過ごしていたせいか、あちこちに擦り傷やちょっとした切り傷を作っていた提督…後ろからライモンに洗ってもらいながら、痛みに顔をしかめている…

ライモン「大丈夫ですか?…深海棲艦たちに拷問とか、ひどい目に合わされたりしませんでしたか?」

提督「拷問はなかったけれど、ひどい目にはたびたびあったわね…」

ライモン「一体どういう目にあったんですか、提督?…今度深海棲艦を捕まえたら同じ目にあってもらいますから」

提督「ありがとう、ライモン…気持ちは嬉しいけど、イギリス料理じゃ深海棲艦には効果ないでしょうね」

ライモン「えっ?…あー、イギリス料理を食べさせられたのですか……」

提督「ええ、出来るものなら二度と経験したくない味だったわ…あっ、そこ気持ちいい……あふっ♪」優しく谷間を撫でるライモンの手に甘い吐息をもらす…

ライモン「も、もう…あんまり甘い声を出さないで下さい……提督?」

提督「すぅ…すぅ……」

ライモン「あ、寝ちゃいましたか……仕方ありませんね…」そっと残りの部分を洗うと優しくタオルで拭き、寝室のベッドまでお姫様抱っこで運ぶ…

提督「…んぅ、ライモン……」

ライモン「はい、わたしはここですよ…///」そっと服を脱ぐとベッドにもぐりこみ、お風呂上がりでまだ暖かい提督の身体にぴったりと寄り添った…

提督「んふふ……すぅ…」

………
78 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/15(木) 03:32:14.30 ID:8UcHvThF0
…思っていたよりずっと時間がかかってしまいましたが、これで「提督が深海棲艦に捕まる」ネタは完了ですね…

…ちなみに深海棲艦たちのモデルになった艦はそれぞれ……


戦艦…クィーン・エリザベス級

第一次大戦時の最新鋭高速戦艦。四隻の計画であったが英領マレーからの献金で建造された「マレーヤ」を含む五隻に。第一次大戦時には史上最大の海戦「ジュットランド海戦」などに参加し奮戦。
第二次大戦に際しては「長門」型のような舷側副砲を廃止して4.5インチ(11.4センチ)連装高角砲の搭載など近接対空火力増強の改修、一本煙突化による甲板の有効利用、ウォーラス水偵の格納庫を増設するなど航空艤装の強化を受け、ノルウェイ、地中海、インド洋と転戦。特に「ウォースパイト」の活躍が有名


巡洋戦艦…リパルス(レパルス)級

第一次大戦時の第一海軍卿(海軍司令長官)フィッシャー海軍卿の肝いりで建造された巡洋戦艦の一つ。

帝政ドイツ海軍の巡洋艦を捕捉・撃破できる火力と29ノットと言う高速を求めた分装甲は薄かった…が、ジュットランド海戦では戦艦隊到着までのつなぎ、あるいは高速戦艦の扱いを受けてドイツ主力艦隊と交戦。数隻が火薬庫の引火で轟沈するなど防御面の不足が目立ち、第二次大戦前に舷側装甲や航空艤装の追加など数々の近代化改修を受けている。

リパルスは極東艦隊の一隻としてマレー沖海戦に参加、「プリンス・オヴ・ウェールズ」と共に一式陸攻や九六陸攻の猛攻を受け戦没したが、その優れた指揮と高速で多くの魚雷をかわしてみせた。一方、二番艦の「リナウン」は本国艦隊や地中海艦隊などを歴任し無事に退役。


重巡…「カウンティ」(州)級

ワシントン条約の範囲内で七隻を建造した「ケント」級、その改良型で四隻建造の「ロンドン」級、最終型として二隻建造された「ノーフォーク」級と、「ロンドン」をのぞいていずれもイギリスの州から名前を取っている8インチ(20.3センチ)砲重巡。

広大な植民地警備のため安くて小型の軽巡を多数整備したイギリスながら、敵の軽巡や仮装巡洋艦を撃破するため8インチ砲を搭載し、長い航続距離を持つ重巡として整備したクラス。
通商ルート保護のための遠距離航海が多くなることを想定していたため居住性や航続距離はよかったが、予算や隻数の都合で「一万トン以内」に押さえようとしたことから防御を削り、重巡でありながら舷側装甲が25ミリという弱体な艦に…第二次大戦前にそれぞれ対空火器や装甲の増設を行っているが、どの艦もバランスが悪かったり、後発組だった日米独伊などの重巡に比べて能力が劣るので評価自体はあまり良くない

スピットヘッド観艦式で日本の「足柄」と比較され、「客船」などと言われたのもこのクラス


軽巡…「C」級

第一次大戦から似たような艦を連続して建造していたイギリス「C」級軽巡のうち、第二次大戦に投入された「カレドン」級四隻に「シアリーズ」級五隻、「ケープタウン」級五隻。

4000トン余りの小ぶりな艦に6インチ(15.2センチ)単装砲をおおよそ5基、21インチ(53.3センチ)連装魚雷発射管4基と言った火器を搭載していた…が、第二次大戦時には旧式化していたため、当時は珍しい防空軽巡として改装、各国海軍の注目を浴びた。特に陸が近く空襲の激しい地中海方面に投入されて多くが戦没している


軽巡…「カヴェンディッシュ」(改バーミンガム)級

第一次大戦にイギリス海軍を振り回した仮装巡洋艦や通商破壊任務を帯びた艦を捕捉・撃破するために整備された巡洋艦。一万トン近い大柄な艦形に敵艦をアウトレンジ出来る7.5インチ(19.1センチ)砲を7基搭載し、速度も30ノットに届こうという強力な「軽巡」……だったが、第一次大戦後の海軍軍縮条約で「6インチ砲以上の艦」と言うことで「重巡」扱いを受けたり、大型の船型から何かと実験に使われ、ネームシップの「カヴェンディッシュ」が一時期空母「ヴィンディクティブ」になったりと忙しかった…第二次大戦では対空火器を増強して船団護衛などで活躍


クラス名もネームシップから「カヴェンディッシュ」級、二番艦から「ホーキンズ」級、軽巡「バーミンガム」級の改型と言うことで「改バーミンガム」級、エリザベス一世時代の提督名から来ていることから「エリザベサン」級などとさまざま…


軽巡…「エディンバラ」級

町の名前を冠した戦前の新型軽巡「タウン」級の最終グループで、「エディンバラ」と「ベルファスト」の二隻。

竣工が1939年と第二次大戦勃発時には最新鋭艦で、三連装6インチ砲を四基搭載した一万トンクラスの堂々とした軽巡。公称32ノットと言う速度に甲板防御、舷側防御を増した船体はマルタ島を救援する輸送船団の護衛役として最適だった。ネームシップ「エディンバラ」は戦没したが、「ベルファスト」は戦後も生き延び、テムズ川で記念艦になっている


ちなみに深海棲艦「ベルファスト」が竪琴を持っているのは1586年に「アイルランドのシンボル」としてエリザベス一世が選んだ「ブライアン・ボル・ハープ」という竪琴から…モデルの竪琴はダブリンの「トリニティ大学博物館」にあるということで、アイルランド生まれのビール「ギネス」にも描かれている…





79 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/15(木) 17:20:11.82 ID:P/qRRQWGo
80 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/16(金) 01:47:49.79 ID:wqApxChN0
…翌朝…

提督「…ん、んんぅ……朝の光が眩しいわね」一週間近くもの間、ずっと洞窟のような場所にいたせいか日差しが目を射る……目を細めてサングラスを探す提督…と、ベッドで寝息を立てている可愛らしいライモンの姿が目に留まった…

提督「…♪」いたずらっぽい笑みを浮かべると化粧台をから何かを取りあげてライモンに近づき、それから下の階に下りて行った……

…食堂…

提督「おはよう。お母さま、おばさま…それにチェザーレ♪」ちゅっ…と頬にキスをすると、食卓についてコーヒーと新聞を取った…

チェザーレ「うむ、おはよう…この何日かはチェザーレはなかなか寝つかれなくてな、昨夜は泥のように眠らせてもらった……アッテンドーロもまだぐっすり眠っているぞ♪」

提督「ごめんね…心配をかけたわ」

クラウディア「いいのよ、フランカが無事に戻って来ただけで充分…はい、朝ご飯よ♪」

提督「ありがと、お母さま♪」

シルヴィア「ま、いい刺激になったわね…」

提督「ふふっ…おばさまったら♪」

ライモン「…ふわぁぁ……提督、こちらでしたか…おはようございます♪」珍しく寝ぼけまなこで下りてきたライモンは、左右の頬にキスをしてから食卓につこうとする…

チェザーレ「ほう…なかなか大胆だな♪」

クラウディア「あらあら…うふふっ♪」

シルヴィア「へぇ…」

提督「…くすっ♪」

ライモン「あの……わたしの顔に何かついてます?」

チェザーレ「ふふふ、鏡を見てみるといい…♪」手鏡を差しだすチェザーレ

ライモン「…鏡ですか…って、あぁっ///」ほっぺたに濃い紅のルージュでキスマークが付けられている…

提督「くっ…ふふっ、あははっ♪」

チェザーレ「ははははっ、傑作だ♪」

ライモン「も、もう…提督がさらわれてからというもの、わたしが寝ずに頑張っていたのにこのいたずらですかっ……///」

チェザーレ「と、口で言う割にはにやけているな…♪」

クラウディア「もう、フランカったら……ほら、ライモンちゃん。メイク落としを貸してあげるから…」

ライモン「…そ、そうですね……でも少しもったいないような///」

シルヴィア「ふぅ…朝から甘いわね……」


…食後…

提督「はぁぁ…美味しかったぁ……幸せ…♪」

クラウディア「うふふ、お昼にはフランカの好きなものをいっぱい作ってあげるから…ね♪」

チェザーレ「うむ、無事に戻ってきたお祝いという訳だな…ところで……」名前が並んでいる紙を渡される…

提督「なぁに、これ…みんな私の知り合いばっかりだけど?」

チェザーレ「いかにも…このリストに書いてあるのは提督が連れ去られてから情報を聞き出したり、「損傷を与えた敵潜の撃沈確認」と言う名目で手を借りた軍のお知り合い方だ」

提督「こんなに聞いて回ってくれたの……本当にありがとう…///」

チェザーレ「うむ…が、間違っても公にすることも出来ぬ事ゆえこの方々には本当の事情は伏せておき、その上で「提督からの個人的な頼み」と言うことにして聞き出したのだ……つまり、「見返り」が必要という訳だな」

提督「…え、ちょっと待って」

チェザーレ「…夏季休暇の残り数日はプレゼントの購入とお礼の電話にかかりきりになってもらうのでな、よろしく頼むぞ…♪」

提督「…うぇぇ」
81 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/18(日) 01:46:25.00 ID:JBRTlGme0
…夏季休暇最終日…

提督「はぁ…ふぅ……ひぃ…」暑い夏の最中にランチアと自宅を往復する提督…隣にはシルヴィアのオープンクーペ、綺麗なイタリアンレッドの「アルファロメオ・ジュリエッタ」が停まっていて、クラウディアもリボンやおしゃれな包み紙に包まれた贈り物をトランクから降ろしている……

チェザーレ「やれやれ…これでようやく全部用意できたな」

アッテンドーロ「私たちに心配をかけたんだから、そのくらいはしてもらわないとね」

提督「それにしたって…お礼の電話と礼状、それにプレゼントのお買いもの…まったく、これじゃあちっとも夏季休暇にならないわ……」

ライモン「まぁまぁ、またお世話になることもあるかも知れませんし…ね?」

提督「ええ、そうね…はぁぁ……」

クラウディア「うふふっ、お疲れさま…それじゃあこれは宅配便にお願いしておくから、宛て名とあなたの任地だけ書いておいてね♪」

提督「はぁーい……お母さま、おばさま…買い物につき合ってくれてありがとう」

クラウディア「いいのよ、お買いものするの楽しかったもの♪」

シルヴィア「それにしても時間がかかったけれどね…ま、たまには「ジュリエッタ」も走らせてあげないといけないし」

提督「車を出してくれて本当に助かったわ、シルヴィアおばさま」

シルヴィア「別にいいわよ…さ、お昼にしましょう?」

提督「はぁい♪」


…翌朝…


提督「それじゃあ忘れ物はなーい?」抜けるような快晴の空の下、すっきりしたサマーワンピースとサングラス姿の提督

ライモン「はい、大丈夫です」

アッテンドーロ「同じく、ばっちり準備したわ」

ルチア「ワフッ…♪」後部座席の床に寝そべり、ムツィオに頭をかいてもらっている…

チェザーレ「うむ…それに忘れていることに気づいたら忘れ物ではあるまい」

提督「そういうことを言わないの…それじゃあ、お母さま、おばさま……また冬の休暇の時にでも戻ってくるわ。あと、秋の初めに基地祭があるから、よかったら来てね♪」

シルヴィア「そうね、その時にはお邪魔するわ…」

クラウディア「ええ…あ、そう言えば♪」

提督「なぁに、お母さま?」

クラウディア「よかったらこれを持って行って?」口にテープを貼って閉じてある大きな紙袋を渡した…

提督「これ、なあに?」

クラウディア「ふふっ、それ?お母さまから可愛いフランカへ悪ふざ……フランカが艦娘の女の子たちと親睦を深めるのに使えるように用意したの♪」

提督「今、「悪ふざけ」って聞こえた気がしたのだけど…」

クラウディア「ふふっ、そんな訳ないじゃない♪…それじゃあ、タラントについたら電話をちょうだいね?」…ちゅっ♪

提督「ええ、そうするわ…それじゃあ、行ってくるわね」

シルヴィア「行ってらっしゃい…♪」

提督「ええ、行ってきます♪」運転席から手を出してクラウディアとシルヴィアに手を振ると席に座り、滑らかにアクセルを踏み込んだ…

ライモン「おかげで忙しい夏休みでしたが、なかなか刺激的でしたね…?」

提督「ええ、それにしても刺激的すぎたけど……さ、タラントまで飛ばして行きましょう♪」
82 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/18(日) 02:23:29.99 ID:JBRTlGme0
…鎮守府…

提督「はぁぁ…着いたわね」電動ゲートに暗証番号を入れて門を開けると、ランチアを鎮守府の道に乗り入れる…

ライモン「ふふ、なんだか懐かしいですね♪」

アッテンドーロ「あーあ、これで夏休みも終わりなのね…改めて実感しているわ……」

チェザーレ「そう言うな、ここでもたいていはゆっくり出来るではないか♪」

アッテンドーロ「まぁね…それより、施設の掃除とか電源の立ち上げとかしないといけないんでしょ……提督、私も手伝いましょうか?」

提督「お願いできる?」

アッテンドーロ「いいわよ…それに電気と水道なしじゃ困るのはこっちだもの」

提督「ありがと♪」

…そう言っている間にも提督のランチアは入り口側に建っている「事務棟」こと、無機質なコンクリート二階建ての建物を回り込み、一変して花の咲いている前庭と建物の明るい黄色が陽光に映える、両翼の広い別荘風の「本館」前に車を停めた……提督は三人と一匹に降りてもらうと横手の車庫にランチアを入れ、入り口の石段に荷物を降ろすと、大きな観音開きの玄関を開けた……途端にむっとした空気が押し寄せてくる…

ライモン「うわ…!」

チェザーレ「むむむ……」

アッテンドーロ「ちょっと、ひどく空気が蒸れているわね…」

提督「本当ね…それじゃあ手分けして全部の窓を開けましょう、ルチアはゆっくりしてて良いわよ♪」

ルチア「ワンッ♪」提督の足下にまとわりついて尻尾を振る…

提督「あらそぉ?それなら一緒に行きましょうねぇ♪」

チェザーレ「相変わらずルチアと一緒になると甘ったるい話し方になるのだな…」

ライモン「…全くです」

…しばらくして…

ライモン「ふぅぅ…全部の窓を開けてきました……やっぱり海風が入ってくると涼しいですね♪」

提督「そうね。それじゃあ次は蛇口を開けて水を流して、あと建物のブレーカーを入れないと」

アッテンドーロ「電源ってレーダーは別なのよね?」

提督「ええ、あれは別に電源があるし、通信室と冷蔵・冷凍室はいつも稼働状態だから…あくまでもみんなの部屋の分ね」

アッテンドーロ「だったらなおの事ね…とっとと入れて来るわ」

提督「あ、電源は私がやるから水道をお願い♪」

アッテンドーロ「了解…はぁ、みんなにも早く戻ってきてほしいわね」

提督「あら、誰に会いたいの?」

アッテンドーロ「そういうのじゃなくて、色々やることが多いからよ…とりあえず、水道の栓を開きっぱなしにすればいいのね?」

提督「ええ。…それと、手伝ってくれたムツィオたちには私の特製パスタをごちそうしてあげる♪」

アッテンドーロ「ならいいけど……格別美味しいのを頼むわよ?」

提督「はいはい♪」


83 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/19(月) 01:37:05.14 ID:jYbvcxdU0
…お昼時…

提督「それにしても三人ともごめんなさいね、私と一緒だと一日は休暇が短くなっちゃうのをすっかり失念していたわ…」

チェザーレ「なに、構わぬよ。提督と一緒だとなかなか愉快であるからな」

ライモン「ええ…それに、提督と一緒にいられるならどこだって嬉しいです///」

提督「まぁ…ライモンったら///」

アッテンドーロ「へぇ、姉さんもやっと愛の言葉を言えるようになってきたわね♪」

ライモン「もう、からかわないで///」

提督「うふふ…それじゃあ愛情たっぷりのお昼にしましょうね♪」

チェザーレ「うむ、チェザーレも手伝おう」


…厨房…

提督「さーてと…何があるかしらー……と」ごそごそと冷蔵庫と奥の食料庫を探し回る提督…

提督「…あ、パルメジャーノ・レッジァーノがあるわ♪」奥の冷蔵室に入っていたパルメジャーノ・レッジァーノ(パルメザン)チーズの塊を見つけ、ニンニク一個と唐辛子数本を一緒にカゴに入れ、意気揚々と厨房に戻ってくる…

ライモン「何かありました?」

提督「ええ、チーズにニンニク、唐辛子、冷凍の海老とイカが少し……菜園のトマトとバジルはまだ残っているかしら?」

ライモン「わたしが見てきます…ムツィオ、一緒に行きましょう?」

ムツィオ「ええ、姉さん♪」

提督「お願いね、その間に準備しておくから♪」


…冷凍になっていたシーフードをビニール袋ごと水につけて解凍しながら、手際よくニンニクを刻み、唐辛子を輪切りにする……すでに大きなパスタ鍋にはお湯がかけてあり、フライパンも準備してある……と、厨房の片隅でカサコソ言う音が聞こえる…

提督「…?」材料を刻むと音のする方に視線を向け、途端に固まった提督……

提督「チェザーレ…来て!」

チェザーレ「提督、どうしたのだ?」

提督「えーと…厨房の床に……私、あれだけはどうも苦手で…」イタリアやスペインで言うところの「ラ・クカラーチャ」を見て引け腰の提督…

チェザーレ「どれ…あー、確かにいるな……少し待っておれ」食堂の片隅に置いてあったローマ風の長剣を持ってくると鞘ばしる音もさせずに抜き放ち、猛烈な突きを放った…

チェザーレ「…えいっ!」

提督「…ど、どう?」

チェザーレ「うむ、仕留めた…ほれ」

提督「あー、わざわざ見せなくていいから捨ててきて……後で殺虫剤でも撒かないと」

チェザーレ「…提督、捨ててきたぞ。それにしてもあれが苦手とはな、よく森の中にもいるではないか」

提督「森の中なら別にいいの…でも屋内にいるのは勘弁してほしいわ」

チェザーレ「細かいのだな…ところでな、パスタの湯が噴きこぼれそうだぞ?」

提督「わ…いけない!」

ライモン「提督、トマトをもいできましたよ。…どうしたんです、チェザーレさん?抜き身の剣なんか持って?」

アッテンドーロ「ネズミでもいたの?」

チェザーレ「あぁ、近いな…実はさっきそこに……」

提督「…ライモン、そのトマトをちょうだい」

ライモン「あっ、はい」

84 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/19(月) 02:23:28.25 ID:jYbvcxdU0
提督「それで…と」


…解凍された海老とイカは鎮守府の厨房を取り仕切る「ディアナ」が下ごしらえをした上で冷凍しておいてくれたものだったので、海老の背わたも取ってあった……それをさっとレモンと胡椒で揉んで、生臭さを取る……ニンニクと唐辛子の香りが空腹を誘うフライパンにイカと海老を入れて白ワインを注ぎ、軽く火を通すと一旦どけて、今度はもいできたばかりのトマトを刻んで入れ、形が無くなるまで煮詰めるようにしていく……ほとんどトマトの形が無くなったところにイカと海老を戻し、塩と粗挽き胡椒、オレガノで軽く風味をつける…


提督「はい、フェデリーニのペスカトーレ完成♪」くるりと巻くように大皿に盛りつけ、可愛らしくバジリコの葉っぱを上に載せる…

ライモン「わぁ、美味しそうですね♪」

アッテンドーロ「いい匂いね…たまらないわ」

提督「ふふっ…待っててね、もう一品作るから♪」


…今度はトマトのヘタを落とし串を刺すと、お尻の部分から皮に軽く十字の切り込みを入れ、湯剥きにする……極細のカッペリーニを茹でて軽く冷水で締めると、同時に作っていたトマトとニンニクだけのあっさりしたソースに軽く絡める。できたパスタをガラスの大皿に盛ったところへ氷水で冷やした湯剥きトマトを載せ、上からチーズおろしでパルメジャーノをかけると、すっきりした「トマトの冷製パスタ」が出来上がった…


チェザーレ「おぉ、なかなか洒落た一品ではないか」

アッテンドーロ「さすが、「パスタ大好き提督さん」ね…それじゃ、頂くとしますか♪」

提督「ふふっ…遠慮せずにどうぞ、ルチアには茹でたパスタに白茹でのお肉を乗せたのがあるからね♪」

ルチア「ワフッ…フガフガ……」

チェザーレ「ん、美味いな…カッペリーニはあっさりしていて、トマトの酸味がよく効いているな」

アッテンドーロ「こっちのペスカトーレも…んむ、美味しいわ」

ライモン「うーんっ…おいしいです♪」

提督「そう、よかった♪」

アッテンドーロ「それにしてもこれだけ広い場所に四人と一匹って言うのは少し静かすぎるわね…みんな戻ってこないかしら」

チェザーレ「うむ、ローマ観光に行ったガリバルディたちの土産話も聞きたいものだな」

ライモン「そうですね、みんなが帰ってきたら色々お土産も渡してあげないと」

提督「ふふ、そうね…♪」

ルチア「ワフッ」

………

…その頃・どこかの薄暗い部屋…

渋い男「…これが今回の目標だ」きっちりした姿の中年男が一冊のファイルを渡し、低い声で言った

女「なるほど……しかし、それほどの人物には見えませんが」女の方はきっちりとまとめた髪に眼鏡姿で、服にはチリ一つ付いていない…ファイルに記載された顔写真や経歴を読み進め、時々手元の手帳に何やら書き留める……最後にファイルを閉じて男に返すと切り捨てるように言った…

男「見た目から判断するな。一見穏やかそうだが、これまでに担当した三人が使い物にならなくなっている」

女「それで…開始はいつですか?」

男「ああ、今度の週明けからだ…うまくやれ」

女「了解」

………
85 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/02/20(火) 14:08:48.83 ID:uAodHy1O0
…翌日…

ライモン「あ、ナポリからのバスが来ました…みんな元気そうですね」門の前で海軍の借りたバスから降りると、両手いっぱいに荷物を持って入ってくる艦娘たち…中の数人は出迎えの提督たちに向けて大きく手を振っている

提督「休暇中何もなかったようでよかったわ…おかえりー♪」提督が手を振りかえすと、スーツケースを後ろに引き、手にも紙袋や箱を抱えているリットリオが真っ先に近寄ってくる

リットリオ「ただいまです、提督っ!……んちゅ、んふ…ちゅっ……じゅるっ…♪」荷物を地面に置くと提督に抱きつき、うなじに両手を回して押さえつけると、熱い口づけを交わす…

提督「んぅ、んちゅ…んふぅ……もう、リットリオったら…こんな熱いキスは…お昼にするものじゃないわ……♪」

リットリオ「だって、提督とキスしたかったんです……ふふ、あまーい味がしますね♪」

提督「ええ、ドルチェにカスタードのロールケーキを食べたから…お帰りなさい、リットリオ」

リットリオ「はいっ…♪」

エマニュエレ・フィリベルト・デュカ・ダオスタ(アオスタ)「提督。軽巡アオスタ、ただいま戻りました」

提督「お帰りなさい、アオスタ…ナポリはどうだった、楽しかった?」ちゅっ…と左右の頬にキスをして、いたずらっぽくウィンクをする

アオスタ「ええ。途中でコレオーニがはぐれそうになったり、お店で勘定を間違えられそうになったりしましたが…こうしてちゃんと戻ってきました」

提督「ふふ、何はともあれ楽しそうでよかったわ♪」

アオスタ「それはもう…予算もオーバーしませんでしたし、提督へのお土産もちゃんと買えましたから」…戦後賠償艦としてソ連に引き渡されたせいもあってか理詰めの委員長気質で、何にせよきっちりした性格のアオスタ

提督「ありがと…あ、ローマからのバスも戻ってきたわ♪」楽しげに談笑しながらバスから降りてくる数人…と、カヴールが同行していた軽巡ガリバルディに荷物を預けてやってきた…

カヴール「…提督っ!…深海棲艦に誘拐されたと聞きましたが大丈夫でした?…身体に不調はありませんか?」

提督「心配させてごめんなさいね…大丈夫よ……ちゅっ♪」提督より大柄なカヴールの頭をつま先立ちして撫でると、キスを交わす…

カヴール「よかった…チェザーレから電話で聞いた時は心臓が止まるかと思いました……私を心配させるいけない提督にはお仕置きです♪」…さわっ♪

提督「きゃあっ♪…もう、いきなりどこを撫でているのっ……///」そう言いつつもちっとも嫌がっている様子はない提督…

カヴール「うふふっ♪…それはもう、提督のむっちりしたヒップを……また一段とむちむちになりましたね♪」

提督「もう…カヴールのえっち♪」

ガリバルディ「ねぇカヴール、よかったら私にも触らせてくれる?」

カヴール「あぁ、はいはい……ふふっ、独り占めはいけませんものね♪」

ガリバルディ「そう言うこと…提督は相変わらずいい手触りね♪」むにっ…♪

提督「あんっ、もう…♪」

ロモロ「…ねぇ提督、私たちのことを忘れてない?」

レモ「ほんとだよ、レモだってローマのお土産を買ってきてあげたんだからねー?」狼の乳で育ちローマを建国したと言う伝説上の双子を名前に取った「R」級大型輸送潜水艦、「ロモロ」と「レモ」が潜水艦とは思えない巨乳を提督に押し付ける…

提督「大丈夫、忘れてないわ…お帰り、ローマは相変わらずだったでしょう?」

ロモロ「そうね、むしろずいぶん立派になってて驚いたかも……うん、久しぶりの提督はいいねぇ…♪」ふとももを撫で回すロモロ…

レモ「でも車が多くてほこりっぽかったなぁ……物の値段も高くて、レモびっくり」

提督「うんうん…さ、荷物を置いて着替えていらっしゃい♪」

ロモロ「了解♪」

レモ「はぁーい♪」
86 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/21(水) 01:41:48.91 ID:+xaI95PI0
ライモン「提督、ヴェネツィア組も帰ってきましたよ」

提督「そうみたいね…ずいぶんと肌が艶めいているようだけど……」

アミラーリオ・ディ・サイント・ボン「提督、サイント・ボン帰投いたしました」水中で2000トンを超える大型潜水艦、「カーニ」級大型潜の「サイント・ボン」がピシッと敬礼をする…と、「R」級と同じように潜水艦とは思えないわがままボディが「たゆん…っ♪」と揺れる…

提督「お帰りなさい、ヴェネツィア海軍博物館は面白かったかしら?」

サイント・ボン「ええ…色々と勉強になりましたし、案内の士官さんも丁寧でした」オーストリアに惨敗した「リッサ海戦」以降のイタリア王国海軍を復活・躍進させた偉大な海相の名前を取っただけあり、立っているだけで立派な存在感があるサイント・ボン…

提督「それはよかったわ…お帰りなさい、マルチェロ級のみんな。…その様子だとたっぷり休養できたみたいね♪」

ロレンツォ・マルチェロ「いかにも。なかなか刺激的でいい休暇になった…おっと、マルチェロ級大型潜マルチェロ、ただいま帰投!」

アゴスティーノ・バルバリゴ「同じくバルバリゴ、ただいま帰投…提督にも後で聞かせてあげよう♪」

アンジェロ・エモ「同じくエモ、帰投しました!……まったく、お姉ちゃんたちったらあんな騒ぎを起こして…」

エンリコ・ダンドロ「同じくダンドロ、帰投!相変わらず提督はしゃぶりつきたくなるような美人だな♪」

提督「うふふっ…もう♪」ヴェネツィア出身の中世の提督たちを艦名に取った「マルチェロ」級大型潜水艦たちが形のいい敬礼をする…提督はきりりと表情を引き締めて答礼すると、急に表情を崩して抱き寄せた……

フランチェスコ・モロシーニ「おい、抜け駆けとはずるいぞっ…!」

ラッツァロ・モチェニーゴ「待て待て、本官にも抱かせろ♪」

提督「大丈夫よ、逃げたりしないから…それより手を洗って来たらお茶にしましょうね♪」九人のマルチェロ級をやってくる順に次々と抱きしめる…と、今度は可愛らしい二人が荷物を抱えてやってきた…

クィンティノ・セラ(セラ級駆逐艦)「…ならヴェネツィア土産のお菓子がありますから、一緒に食べましょう…ね、提督♪」

フランチェスコ・クリスピ「そうね」

提督「あ、セラにクリスピ…ちゃんとMTMは見学できた?」

…排水量955トンの小さな駆逐艦「セラ」級はセラとクリスピの二隻で、41年にはクレタ島に隠密接近し、乗員が体当たり直前に脱出する危険な爆装モーターボート「MTM」(爆装艇)6隻を発進させると、イギリス重巡「ヨーク」とタンカー、貨物船を大破・撃沈させている……いつもは人の少ない時間に大浴場で「MTM」のラジコンを走らせているが、今度もお土産に買ったらしい「MTM」艇のプラモデルが入っている箱を抱えている…


提督「あら、イタレリの爆装艇?」(※イタレリ…イタリアのプラモデルメーカー。日本のタミヤとも協力関係にある)

セラ「そうなんです、おおきいスケールで見つけたので買っちゃいました…作るのはアヴィエーレに教えてもらおうと思って///」少し気恥ずかしそうにもじもじしている…

提督「いいじゃない、とりあえずそれは部屋に置いていらっしゃいね」

セラ「はい♪」

提督「ふふ、可愛いわね…お帰りなさい、ドリア、デュイリオ♪」

ドリア「戦艦ドリア、戻りました……んっ、ちゅぱ……ちゅぅ♪……もう、心配したんですからね?」

提督「んぅ、ぷはっ…ごめんなさい、心配をかけて♪」

デュイリオ「んふふっ♪…いいんですよ、提督……ちゅっ、じゅる…っ、んちゅ、れろっ…♪」


…1915年生まれの「おばあちゃん」ながら戦前の大改装で艦の6割を改造、新戦艦なみのぴちぴちな姿に一新されたお洒落なド級艦「カイオ・デュイリオ」と、やはり大改装を受けたむちむちの美魔女、1916年生まれの戦艦「アンドレア・ドリア」…どちらも提督には甘々で、その豊満な身体と燃料不足の影響で力を持て余していた戦前の記憶からか、むらむらと湧きあがる色欲を思う存分ぶつけてくる…


提督「んちゅぅ…もう、こんなところでは駄目よ……まずは荷物を置いて、着替えてからにしましょう?」

デュイリオ「はい…それでは、午後のお昼寝の時間にお邪魔します♪」

ドリア「…あら、私もお邪魔しようと思っていたのに」

デュイリオ「それなら二人一緒にお邪魔したらどうかしら…ね、ドリア♪」

ドリア「まぁまぁ、それも楽しそうね…ふふっ♪」

提督「…さっそく身体中の関節がきしむことになりそうね」

ライモン「そう言いながら顔がにやけていますよ、提督」
87 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/21(水) 03:12:42.84 ID:+xaI95PI0
…しばらくして・食堂…

ガリバルディ「スペイン広場は大変な人混みで…ジェラートの屋台も辺りを散らかすからって移動させられていたけど、私たちはカフェで食べてきたの」

提督「あら、そうだったの♪」美味しいコーヒーとお菓子を前に談笑する艦娘たちは、それぞれお土産や贈り物をあげたりもらったりしてはきゃあきゃあ言ってはしゃいでいる…と、チェザーレがいくつもラッピングされた包みを持って明るい大食堂を歩き回っている……

チェザーレ「おぉ、アヴィエーレ…ちょうどいい」

アヴィエーレ(ソルダティ級駆逐艦)「どうしたんだい、チェザーレ…私に用事かな?」艦名が「航空兵」だけにローマの航空ショーとガルダ湖畔の博物館で戦闘機尽くしの時間を過ごしてきたアヴィエーレ…相変わらずサングラスとオールバックの髪に、革のブーツで格好よく決めている…

チェザーレ「うむ…実は、アヴィエーレにこれを渡したくてな…よかったら受け取ってもらえるか?」手に乗る程度の大きさをした、細長い包みを渡す…

アヴィエーレ「もちろんさ、どうもありがとう…開けていいかい?」

チェザーレ「うむ、チェザーレなりに吟味したつもりなのでな…喜んでもらえると嬉しい」

アヴィエーレ「どれどれ…って、これは」包み紙を剥がすと、銀色の精密そうなピンセットのセットが入っていた…

チェザーレ「うむ、模型用のピンセットなのだが…アヴィエーレはよく飛行機模型を作っているだろう?チェザーレの気持ちがこもったこれを手許に置いてもらえたら…そう思ってな」

アヴィエーレ「このピンセット、前から欲しいと思っていたんだ…嬉しいよ、チェザーレ///」

チェザーレ「うむ、愛用してもらえると嬉しいぞ…」

提督「……チェザーレ、最後の数日間ですごい額の買い物をしていたけど…まさかね」

チェザーレ「ディアナ、そなたに贈り物があるのだが…」

ディアナ「あら、ありがとうございます…何でしょうか?」優美なデザインで最大32ノットを出していた高速スループ「ディアナ」は重要物資の輸送任務が多かったが、鎮守府では食堂をきりもりしている…艦娘「ディアナ」はボリュームのある淡い金髪で「ディアナ様」だけに水色の瞳に水色の口紅を引いている…

チェザーレ「うむ…これなのだが」

ディアナ「まぁ、ミラノ製の調理道具セット…わざわざ買ってきてくれたのですか」

チェザーレ「いや、他に思いつく物がなくてな……これでディアナが楽に調理できるようになれば嬉しいぞ」

ディアナ「ええ、大事に使わせてもらいます♪」

提督「…」

チェザーレ「…ポーラ、構わぬか?」

ポーラ(ザラ級重巡)「はぁ〜い、何でしょ〜♪」

…重防御と攻撃力、ほどほどの速力をバランスよくを兼ね備えた重巡ながら、淡いグレイの髪にえんじ色のフレアースカート、淡い灰色のブラウスとふんわりとした印象のポーラ……ワインや洋酒に関してはかなりの目利きで、食卓にのぼるワインやリキュールの発注や時々ある押収品の競売では競り落とし役なども任されている…また、姉妹のザラ、フィウメ、ゴリツィアたちとは「あの時」の悲惨な結末の反動もあって一緒に過ごせることが嬉しくてたまらず、昼夜問わずにかなりの姉妹愛を育んでいる。最近はザラ級の改修型で一人っ子の「ボルツァーノ」もその渦に巻き込まれつつある…

チェザーレ「いや…ちょっとした贈り物なのだが……」

ポーラ「贈り物ですかぁ〜、嬉しいです〜♪」

チェザーレ「ふっ、中身を見たらもっと喜んでもらえるはずだ…さ、開けてみてくれ」

ポーラ「はぁ〜い……わぁぁ、五つ入りのグラスセットですねぇ♪」

チェザーレ「うむ…銀製でフィレンツェのアンティークなのだ。これなら落としても割れぬから、姉妹の愛と友情をずっと祝い続けてくれるだろう…それと五つ目は仲良くしてくれているボルツァーノのために、そう思ってな」

ポーラ「ポーラ、嬉しいですっ…♪」

チェザーレ「…なに、たまたまチェザーレの目に留まってな……姉妹でワインを傾けるときにでも使ってくれ」

ポーラ「ありがとうございます、チェザーレ♪」

提督「…道理でお財布がすっからかんな訳ね……」

チェザーレ「…トリチェリ、素敵な錬金術士に似合いそうなケープを欲しがっていたであろう……チェザーレの見立てなのだが、着てみてくれぬか?」

トリチェリ(ブリン級大型潜)「そんな、こんな高そうな……ふんわりと軽くて、とっても馴染みますね……ガリレイ先生、チェザーレさんからこんな立派なケープを頂いてしまいました♪」

…フランコのナショナリスタ側スペインに引き渡された先代に続く二代目の「トリチェリ」は浮上砲戦に追い込まれ駆逐艦三隻、スループ艦一隻と交戦しながらも乗員の脱出・自沈までに英駆逐艦一隻を撃沈、一隻を損傷させるなど勇敢な艦で、名前をガリレオの弟子で物理学者の「エヴァンジェリスタ・トリチェリ」から取ったことから鎮守府の「錬金術士」組として淡い桃色と水色のケープや、クリーム色とセージグリーンのマントなど、お洒落な格好をしていることがある…

ガリレオ・ガリレイ「あら、よく似合ってる…チェザーレ、トリチェリに素敵なケープをありがとう♪」

チェザーレ「ふふ…ガリレイにはこれを使ってもらおうと思ってな」

ガリレイ「あ、素敵な帽子♪」

チェザーレ「…羽飾りがいかにも「錬金術士」らしいと思ってな。ぜひ使ってくれ♪」

ガリレイ「まぁ、嬉しい。しかも大きさもぴったり……今度、ぜひ「ガリレイのアトリエ」まで来て?…色々おもてなししてあげるから♪」

チェザーレ「そうか、では今度お邪魔させてもらおう…♪」

提督「…古代ローマのチェザーレは女たらしで有名だったって言うけれど……うちのチェザーレもいい勝負ね…」
88 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/22(木) 01:44:41.58 ID:aU/uTKjy0
マルチェロ「あれは天才のなせる技よな…ところで提督、隣に座ってもよいか?」

提督「ええ、どうぞ♪」

ライモン「コーヒーもどうぞ、マルチェロ」

マルチェロ「かたじけない……いや、せっかく行って来たのでヴェネツィアの話をしようと思ってな…このように写真もあるぞ♪」

提督「どれどれ…あら、上手♪」

バルバリゴ「全く、ずいぶんと羽目を外させてもらったよ…あれは楽しかったな♪」

提督「そんなに楽しかったの…よかったわね♪」

プロヴァーナ「何しろヴェネツィアで味わえる歓楽は全て堪能したのでな…痴態の限りを尽くしたと言ってもいいかも知れん♪」

提督「まぁ、そんなに遊んだの?」(ふふ、マルチェロたちは大げさなんだから…♪)

エモ「それにしたって…さすがに警察沙汰になったのはまずかったですよ……」

提督「…え?」

モロシーニ「こらこら、話の一番いい所をばらしてどうするのだ……マルチェロ、先任として提督に話してあげてくれ♪」

マルチェロ「分かってる、実はヴェネツィアでな……」

提督「…なんだか聞かないでおいた方がいいような……」

………

…夏季休暇数日目・ヴェネツィア…

マルチェロ「…これで海軍博物館も観たし、美術館も巡り、買い物もしたな♪」明るい午後のヴェネツィアを堂々と闊歩するマルチェロたち…

ダンドロ「いかにも…ヴェネツィア人の教養はだいたい済ませたな……もう言うことなしだ♪」

エモ「本当ですね、カナル・グランデ(大運河)も相変わらずですし…もっとも、こんなに外国の観光客が多いとは思いませんでした♪」

マルチェロ「おいおい、何を寝ぼけたことを言っているのだ……諸君、まだ少し足りんものがあるだろう…違うか?」

ヴェニエーロ「ほう…何です、マルチェロ提督?」

マルチェロ「それはもちろん、ヴェネツィア美人を抱くことに決まっている…気に入らなければ王侯貴族でも相手をしないと言う『クルティザン』のお姉さま方を口説かなければいかんだろう♪」

(※クルティザン…ルネサンス期ヴェネツィアにいた超高級娼婦のお姉さま方。大変教養がありながら橋の上で堂々と胸を露出したり、乳房を大きく見せるファッションで美しい身体であることを誇っていた。王侯貴族の愛妾になった女性も多い)

エモ「えっ…いいんですか?」

マルチェロ「何がいけないのだ、ヴェネツィアと言えば…クルティザンだろう。提督もいいがたまには違う味も楽しまんと……な♪」そう言って歓楽街に足を向ける…

ヴェニエーロ「ははは、昼からとはマルチェロ提督は大変な助平でいらっしゃるな♪」

マルチェロ「何をいうか…ヴェネツィア美人の柔らかな身体を触らずに鎮守府に戻るなど……っと!」

若いあんちゃん「…あ、ぶつかっちってすんません!」慌てているようで足早に立ち去ろうとする…

マルチェロ「構わんよ……が、この手は何だ?」

あんちゃん「…」

マルチェロ「この生粋のヴェネツィア人から財布をすろうとはなかなか向こう見ずだな…?」

あんちゃん「ちっ…おい、あんまりでかい口叩くなよ……お嬢ちゃんよぉ!」

ちんぴら「おうおう、やろうって言うのかよ!」

ちんぴらB「いい度胸だぜ!」…それぞれ折り畳みナイフを抜いて構えた

マルチェロ「…おや、仲間連れか……スリの腕も二流なら追いはぎに早変わりと言う態度も気に入らん…諸君!」腰に差していた金の鞘をしたサーベルに手をかける…

エモ「マルチェロ、一般人相手の抜刀は禁止ですよ…っ!」

マルチェロ「そう固い事をいうな、アンジェロ…先に抜いたのはあっちだぞ?」

スリ男「…がたがたうるせぇんだよ、畳んじまえ!」

89 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/22(木) 02:31:26.32 ID:aU/uTKjy0
チェザーレ「ほう、面白くなってきたな…それで、その不届き者はどうなったのだ?」

マルチェロ「まぁまぁ、物語は順を追っていかないと…♪」

アオスタ「一般人相手に喧嘩なんて…私たちは本気になったら力が違うんですから、そういうことはしてはいけないって言われているでしょう……」

ジャコモ・ナーニ「まぁまぁ、今はマルチェロの活躍を聞いてあげて下さい…♪」

………

スリ男「おらっ…!」

マルチェロ「ふんっ…本気でヴェネツィアの海軍提督にかなうと思っているのか……?」手刀で手首を一撃してナイフを弾き飛ばすと、みぞおちに見事な蹴りを叩きこむ…

スリ男「ぐえっ…!!」

ちんぴら「てめぇら…!」オープンカフェの看板をひっくり倒しつつ、少し気弱そうなエモに向かってナイフを突き上げる…

エモ「…いやっ!」身をかわしつつ、とっさに急所を蹴り上げるエモ

ちんぴら「う゛ぉ…っ!」

ちんぴらB「くそぉ、小娘だからってもう容赦しねぇぞ!」

ダンドロ「よーし…来いっ♪」サーベルを鞘ごと持ってナイフを受け止めると、腕をねじってから鞘で喉元を締め上げる…

ちんぴらB「ぐぇ…っ……」

ダンドロ「…片付いたな、マルチェロ」

マルチェロ「全く、何とたわいのない……襲う相手を間違えたな」…辺りからは「生粋のヴェネツィア人」への喝采と同時に「警察を呼んだから引き渡しておくよ」という親切な声も聞こえる

マルチェロ「…親父さん、看板は済まなかったな。取っておいてくれ」ひっくり返ったテーブルや看板を見て、数枚のリラ札を取り出すマルチェロ

カフェのオヤジ「あぁ、悪いね…それにしても「艦娘」って言うのはすごいもんだ、身体はそんなに大きい訳でもないのに……あっという間にちんぴら三人を片づけちゃったよ」

マルチェロ「はは、少しばかり鍛え方が違うんでね…それに生粋のヴェネツィア人って言うのは「弱きを助け、強きをくじく」じゃないと」

オヤジ「ああ、全くだね…もっとも、あんなおっかない連中を張り倒すなんて俺にはできないが……」

マルチェロ「なに…必要ならいつでもやってあげますよ……そうだ♪」運河を行き来する、艶のある木の外板も美しいモーターボートの水上タクシーに目を付けた…

エモ「どうしたんです、マルチェロ?」

マルチェロ「せっかくのヴェネツィアだから、水上タクシーで運河めぐりをしよう♪」

モチェニーゴ「そりゃまた急に…クルティザンのお姉さんと遊ぶんじゃなかったのか?」

マルチェロ「いや、そこに伸びているやつを少し綺麗にしてやろうと思ってね…♪」

ナーニ「あっははは、それはいい…おーい、そこのボート♪」

…数分後・運河…

水上タクシーの艇長「あの、お客さん…」

マルチェロ「どうかしたか、艇長?」ヴェネツィア民謡「ヴェネツィアの舟歌」を口ずさみながらご機嫌のマルチェロ…

艇長「いえ…ね、そろそろやめてあげたらどうですか?」

スリ男「がぼがぼ…ぶはぁ!……うえっ…がぼがぼ…ごぼ…」スリ男はボートの舷側から運河に頭を突っこまれ、時々髪をつかまれては息継ぎに頭をあげさせられている…

マルチェロ「そうか?…中世の艦隊では盗みは鞭打ち…追いはぎは吊るし首だったのだから、ずいぶん優しいと思うがな?」

艇長「いえ、そりゃそうかもしれませんがね…」

マルチェロ「まぁよい、ちょうど一周したからな…次で降りる♪」

艇長「毎度あり…今度はこういうのは無しで頼みますよ」

マルチェロ「了解だ、艇長…いい舵さばきだったぞ♪」

ダンドロ「ははは、これでこやつも海軍提督を襲うとどうなるか身に染みたろう♪」

モチェニーゴ「身体もきれいになっただろうしな♪」

マルチェロ「…それでは、お待ちかねのヴェネツィア美人としゃれこもう♪」

エモ「お、おー…」

ヴェニエロ「よしきた♪」

90 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/22(木) 03:21:01.12 ID:aU/uTKjy0
…ヴェネツィア・歓楽街の橋…

マルチェロ「おーおー…いるいる♪」

モチェニーゴ「美人が多いのは相変わらずだ…もっとも、百合専門のお姉さまたちがいるとは……いい時代だな♪」

ナーニ「ふふ、それではここからは単独行動だな…お互いに大漁を♪」

エモ「…う、うん……ほんとにいいのかな…」

娼婦のお姉さん「…あら、可愛い水兵さんね……でもね、こんなところをうろついてちゃ駄目よ」…お姉さんは金のバックルが付いたラメ入りの黒いベルト付きミニワンピースと紅いエナメルハイヒールを着こなし、肩からグッチのバッグをかけている…冷たいつんとした顔だが、少しだけ驚いたような表情とからかうような声が混じっている…

マルチェロ「はは、ヴェネツィアのヴィーナスはなかなかきついことを言う。ま、せっかくこうして声をかけてもらえたのだ……海軍さんでよければ、少しおしゃべりをさせてもらおうか」橋の欄干に背中を預け、行きかうゴンドラや水上タクシーを眺めている…

お姉さん「別にいいけど……会話もできないような野暮な人は嫌よ?」

マルチェロ「そう言われると自信がないな…そのお洒落な服はヴェルサーチかな」

お姉さん「惜しいわね、フェンディよ」

マルチェロ「おやおや…黒のドレスだからそう言ったのだが……」

お姉さん「ふふ、でもなかなかやるじゃない…遅いお昼くらいなら付き合ってあげてもいいけど?」

マルチェロ「それは光栄だ、では「ボッタルガのスパゲッティ」でもいただこう♪」(※ボッタルガ…カラスミ。ヴェネツィア周辺の名物)

お姉さん「あら、分かってるわね…アメリカナイズされた「ピザ」とか言ったら帰るところだったわ……フローラよ」

マルチェロ「フローラ…確か、片方の乳房を出してこちらを見ているパルマ・イル・ヴェッキオの描いた美人絵にもそんな名前の女性がいたな……しかしだ、私はどこか媚びるような「彼女」の絵より、凛とした君の方が好きだぞ?」

フローラ「へぇ、海軍さんはお上手なのね…いいわ、お昼は私がおごってあげる」

…一方…

エモ「…あの、私でいいんですか?」

お姉さん「ええ、いいわよ…お名前は?」

エモ「アンジェロ・エモです…えーと、お姉さんは……」

お姉さん「『ルクレツィア』よ♪」艶やかな笑みと明るい色気を振りまきつつ、エモの腕に自分の腕を絡める…薄いドレス越しに小ぶりな胸の感触が伝わってくる…

エモ「…ルクレツィア……ボルジア家にもそう言う名前の方がいましたね」

ルクレツィア「そう、正解よ…エモは歴史にも詳しいのね♪」

エモ「いえ……あれ、でもルクレツィア・ボルジアって…///」

ルクレツィア「そう。夜毎に相手を取りかえると言われて、みだらな女で有名だったのよ…利用されていただけとも言うけれど、真相は分からないわね……」

エモ「詳しいんですね、ルクレツィアは…///」

ルクレツィア「ええ。私、普段は中世史の研究をしているの……よかったら、しばらく歴史散歩でもしましょうか♪」

エモ「は、はい…///」


………
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/24(土) 22:56:19.53 ID:5bKaDpmHo
92 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/02/27(火) 10:31:24.30 ID:EyPC3YVZ0
しばらく投下できずにいてごめんなさい、インフルエンザって怖い……身体に相談しつつちまちま投下していくので、よかったらお付き合い下さい…


…ちなみにもう少しでイギリスのグレイ少将とドイツのヴァイス中佐が登場してきます
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 16:23:40.60 ID:OEqJEJFto
いっち、ちゃんと食べろよー
94 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 00:12:41.12 ID:bBCc8HBA0
>>93 グラツィエ…土曜日辺りは暖かい紅茶に砂糖とレモン、ラム少々を垂らしたものやショウガ入りスープで過ごしていましたが、おかげさまでこの数日は口も開くようになり、ちゃんと食べてます……とりあえず、せっかくなので少し投下していきます…
95 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 01:29:34.29 ID:bBCc8HBA0
提督「じゃあマルチェロたちはクルティザンのお姉さんたちと刺激的なひとときを過ごしたわけね♪」苦笑しながら両手を上げ、肩をすくめた提督

マルチェロ「いや、それで済めば良かったのだがな……本官がフローラ嬢のお店にお邪魔していた時に…」

提督「…え、まだ何かあるの?」

………

…ヴェネツィア・高級娼館「白百合館」…

マルチェロ「…ふぅぅ……何とも刺激的であったな……さすがに…息が…切れた……」ベッドにあお向けにひっくり返り、美しい天使と女神たちがみだらな行為にふけっているルネサンス風の天井画を眺めている…

フローラ「そう、ならよかったわ。こっちも愉しませてもらったし…」黒いガーターベルトだけの姿で吸い口をはめた細いシガレットに火を付け、しばらく紫煙をくゆらせると、脱ぎ散らかしたマルチェロの服や綺麗に畳んであるフローラ自身の服、ベッドに放り出してあるべとべとになった玩具や道具を片づける…

マルチェロ「…そうか、それはよかった……ところで、これだけの美女と愉しませてもらったのだ…それ相応の物が必要だろうな……?」たっぷりとリラ札を詰めてきた財布をちらりと眺めた

フローラ「…あぁ、いいのよ。さっきの分で充分だわ」

マルチェロ「そうか?…ところで皆はどうしているかな」

フローラ「ふふ、それぞれうんとお楽しみなんじゃないかしら……特にルクレツィアにつかまってたあの娘…きっと腰が抜けてるわ」

マルチェロ「はははっ…あの可愛いエモがか……見られなくて残念だな♪」…と、せわしないノックと同時に「開けて下さい!」と命令口調の声がする

フローラ「…はぁ……こんな時に風紀課の手入れかしら」

マルチェロ「…よかったら本官が時間を稼ぐが?」

フローラ「大丈夫よ、どうせこの辺りの婦警はみんな骨抜きにしているんだから……どなた?」

…ドアを開けると白の制服をかっちり着こなした女性二人が立っていて、一人がドアの外に立つと、もう一人がずかずかと入ってくる…マルチェロは入ってきた女性の格好からすぐに憲兵隊だと察しを付けた…

フローラ「…なに、警察じゃないの?」

憲兵「海軍憲兵です…貴女ではなくそちらの艦娘に用があります……とりあえず何か身に付けてください」マルチェロにむかって言った…

マルチェロ「そうか、お役目ご苦労…本官に何か用か?」全裸でベッドの上に起き上がると、中世の提督らしい三角帽子だけをかぶって敬礼した…

憲兵「はい。一時間ほど前に市警察から連絡がありましたが……運河沿いで一般人ともめ事を起こしたそうですね?」

マルチェロ「一般人…あぁ、スリに財布を盗られそうになって取り押さえようとしたら、けちなナイフを抜かれてな……正当防衛だと思ったが」

憲兵「武器を取り上げるだけなら正当防衛ですが…その後何かしませんでしたか?」

マルチェロ「さて…どうだったかな……美女ならともかく、あいにくちんぴらに割ける時間はなかったのでな。そこらのカフェの店主たちに預けておいた」

憲兵「…そう言う時は警察か憲兵隊、カラビニエーリに通報するのが義務です。それに水上タクシーに乗り、くだんの人物を水に突っこんでいたという証言もありますが?」

マルチェロ「ふむぅ……何かの勘違いではないか?本官は橋の上でこちらの春のように可憐な女神と談笑していたのだ…そんなむさくるしい連中と一瞬でも長く付き合おうとは思わんが」

憲兵「…まぁ良いでしょう。幸い市警察からも「街の風紀を乱す連中を懲らしめてくれた」と言うことで、大目に見ると言ってきていますから……ただし、規則ですから所属の管区には報告を送ります。身分証はありますか」

マルチェロ「あぁ、ここにあるぞ…それ」

憲兵「なるほど…イオニア海管区の「タラント第六」ですね……話は以上ですが、今後はそう言ったことはしない事です。それでは」

マルチェロ「承知した……たわけめ、情事の余韻にしかめ面で入って来おってからに…」憲兵が帰るとしきりに文句をいうマルチェロ…

フローラ「ふふっ…それじゃあ、もう一回してあげましょうか……お代はその「面白そうな話」を聞かせてくれるって言うことで…どう?」

マルチェロ「うむ…それでは気分直しにもう一戦と行こう♪」フローラにまたがってもらうと、陶器のような肌に手を這わせた…

………
96 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 02:14:36.47 ID:bBCc8HBA0
マルチェロ「…という訳で、素敵な時間の最中だと言うのに無粋な憲兵に踏み込まれた……という訳なのだ」

提督「…」

リットリオ「ふふっ、それもいい思い出ですよ♪」

ガリバルディ「そうよ…それにそのちんぴらを運河で「洗ってやった」話、痛快でいいわ♪」

トレント(トレント級重巡)「そうですね…少しはらはらしましたけど、なかなか面白いお話でした」

スクアロ(スクアロ級中型潜)「…私ならもっとシンプルにかたをつけていただろうがね……たとえばそのスリが逃走中に「不慮の事故」で橋から転落するとか……いずれにせよお楽しみの最中に憲兵とは…興ざめだったろう」


…艦名がサメ(海のギャング)にちなんでいるからか、びしっと決めたスーツ姿だったり「ゴッドファーザー」に出てくるアル・パチーノの物真似が得意なスクアロは、物騒な事をさらりと言ってのける…


コルサーロ(ソルダティ級駆逐艦)「あぁ、そいつはまったく災難だぜ…だいたいあたしに言わせれば、憲兵だの警察だのって言うのはガミガミ言ってばかりでロクな事をしやがらねえ」兵種を艦名にしているソルダティ級の中では珍しい名前の「コルサーロ」(アラビア海賊)が息巻いた…

エモ「…でも、お姉さんたちはすごかったから///」

ダンドロ「いかにも…相変わらずヴェネツィアのクルティザンたちは素晴らしかった♪」

モチェニーゴ「ああ、あれだけの女性たちを抱けるなら……提督、どうかしたか?」

提督「はー……あなたたち、憲兵隊と揉めてくれたわけね…」

マルチェロ「…まずかったか?」

提督「まずいとは言わないけど…憲兵隊の事だから、きっと査察か特別監査か……参ったわ」

マルチェロ「あー…本官が至らないばかりに迷惑をかけてしまった……申し訳ない」

提督「あぁ、いいのよ…むしろ聞いていて面白かったわ」

マルチェロ「そうか?」

提督「ええ…ただし、今度はスリを捕まえても「水浴び」をさせたりはしないようにね?」

マルチェロ「了解した♪」

………

…数日後・執務室…

カヴール「提督、年度替わり最初の書類が届きました」

提督「はぁぁ…相変わらずどっさりね……」

カヴール「まぁまぁ、私も手伝いますから…ね?」

提督「ありがとう……実際、一人で片づけられる量じゃないわよね」

カヴール「そうですね…よかったらライモンドとドリアも呼びましょうか?」

提督「そうねぇ、しばらくだけ手を借りましょうか……はぁい?」軽いノックの音に返事をする

リットリオ「提督、いいですかぁ?」

提督「あら、リットリオ…そうね、お話くらいならいいけれど、この書類が片付くまでそれ以上の事は出来ないわよ?」

リットリオ「それならリットリオも手伝いますよ?」

提督「あら、本当?…ありがとう、助かるわ♪」

リットリオ「…ふふっ、提督にキスしてもらっちゃいました♪」

カヴール「おかしいですね……私はさっきからお手伝いしているのに」

提督「貴女は秘書艦でしょう?…でもいいわ♪」…ちゅっ♪

カヴール「うふふっ、これでまた頑張れます♪」

提督「そうね、協力して片づけましょう」
97 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/01(木) 22:34:04.02 ID:bBCc8HBA0
…しばらくして…

カヴール「はい、この書類は処理できました」

提督「ありがとう、カヴール」

リットリオ「…ふーん、ふふーん♪」てきぱきと書類を片づけるカヴールと、少し飽きっぽい代わりに速度の速いリットリオ…

提督「ふぅ、そろそろ五分の一は終わりそうね……って、やっぱり…」

カヴール「どうなさいました?」

提督「あー…これを見て」ひらひらと振ってみせた大仰な海軍の紋章入り書類には「特別監察の実施について」とある

カヴール「あらあら、憲兵隊の……ふふっ、悪いことはできませんね?」にこにこしながら冗談めかすカヴール

提督「笑えないわ…きっと何につけてもねちねちと文句を言ってくるつもりでしょうし……まぁいいわ、今日はこれでおしまい♪」残りの書類を「未決」の箱に乗せると、椅子の上でひっくり返った…

カヴール「お疲れさまでした、提督♪」

提督「いいえ。二人のおかげでずいぶん助かったわ…さぁリットリオ、ご用はなぁに♪」執務机に腕をおいて頬杖をつくと、小首を傾げてリットリオの方を向いた…

リットリオ「はいっ、実は……妹が欲しいんですっ♪」

提督「そうねぇ…妹、いいじゃない……って、ちょっと待って」

リットリオ「はいっ。私の妹たちを鎮守府に迎えてくれませんか?」

カヴール「リットリオ級と言うことは…」

提督「未成艦の「インペロ」をのぞいた二隻ね…一応建造枠は余してあるけれど、出るかどうかは確約できないわ……」

リットリオ「ですから、試してもらえませんか?やっぱり一人ぼっちだと部屋が広すぎますし、姉妹で楽しく過ごしたいです」

提督「まぁ、それもそうね…いいわ、今度の建造の時に試してみましょう」

リットリオ「わぁぁ…やっぱり提督は優しいですねっ♪」…ぎゅっ♪

提督「ふふっ、いえいえ…♪」さわっ…♪

リットリオ「あんっ、提督ったらどこを触ってるんですかっ♪」

提督「それはもうリットリオのすべすべな船底のバルジを…」そう言いながらスカートの中に手を差しいれ、すべすべのヒップの感触を楽しむ提督…

カヴール「…そうですよね、やっぱり新型戦艦の方が旧式の改装戦艦よりもいいでしょうね」

提督「もう…カヴールは堂々たるド級艦でしょう?そう簡単にすねないの♪」

カヴール「でしたら私の機嫌がよくなるような一言を下さいな、提督?」

提督「んー、そうねぇ……大人の女性って素敵よ、カヴール♪」…ちゅっ、と頬にキスをしながら耳元にささやいた

カヴール「うふふっ…いいでしょう。ただし、後でお昼寝もご一緒させてもらいます♪」

提督「ふふっ、了解…♪」

98 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/01(木) 23:36:13.60 ID:bBCc8HBA0
…夕食時…

ムレーナ(フルット級中型潜)「それにしても査察か…なんなら私が片を付けようか」


…滑らかに波打つ金褐色の髪がウツボの尾びれのように背中に流れているフルット級中型潜の「ムレーナ」(ウツボ)……級名が「波」の優雅な言い方から来ている「フルット」級だけあってどの娘も端正な身体付きで、顔もミュシャの絵のように美しく、実際の性能もイタリア中型潜の中でも最も優れていたとされる……スクアロ級の「スクアロ」がしていたアル・パチーノの物真似は「本家」ムレーナの物真似で、こちらの物真似は絵のように美しい顔立ちもあいまってすごみもある…


提督「駄目よ、憲兵相手にもめ事をおこしちゃ」

ムレーナ「そうか…必要ならボート遊びに連れ出して、沖でこうしてもいいのだが……」しゅっ…と喉を切り裂く仕草をしてみせる

スクアロ「あぁ、そうね…内勤ばかりの憲兵に喰らいついて……柔肉を食いちぎる…ふふっ♪」

デルフィーノ(スクアロ級中型潜)「だからなんでそんな怖い話をするんですかぁ…もう、提督ぅ!」

提督「はいはい、こっちにいらっしゃい♪」

デルフィーノ「もう、スクアロったらひどいんですよぅ…帰ってきて早々にホラー映画を見せて来るし!」…頭がよく愛嬌のあるデルフィーノ(イルカ)はいたずらでよく姉のスクアロに怖い目に合わされている……が、イルカだけに自慰にふけってしまう性質であったりもする…

提督「もう、スクアロもいい加減止めてあげなさい?」

スクアロ「ふふっ…デルフィーノの怖がる姿を見るとむらむらして…♪」

提督「デルフィーノは可愛いものねぇ…一人で喘いでいるのを聞くと私だってぞくぞくしてくるもの…♪」ひざの上に大き目な中学生くらいの「デルフィーノ」を乗せ、綺麗な淡灰色の髪を撫でている…

デルフィーノ「…だ、だって///」

ポーラ「いいじゃないですかぁ〜…ね、デルフィーノ♪…一人でするのも刺激的ですよねぇ?」

デルフィーノ「は、はい…///」

ザラ「それにしたってポーラ、あなたは少し頻度を考えなさい?」

ポーラ「……そう言っておきながら、いつも一番乗り気なのはザラ姉さまじゃないですかぁ〜♪」

ザラ「う…だってポーラたちが可愛くって仕方ないんだもの……姉妹えっちだって気持ちいいし///」

ポーラ「あー、ザラ姉さまったら赤くなってますねぇ〜…か〜わいいっ♪」…ちゅっ♪

フィウメ「ザラ姉……私もザラ姉のこと、好きですよ♪」

ゴリツィア「私もです…姉様たちの事……離したくないくらい///」

デュイリオ「あらあらぁ、見せつけてくれますね……ドリア、お部屋で私と一杯いかが?」

ドリア「ふふっ、そうですね…今日はデュイリオだけに熱々のドリアを振る舞ってあげましょうか……♪」

デュイリオ「まぁ、それは美味しそうね……きっと中はとろっととろけて…♪」

ドリア「ねっとりと絡みつくような…さ、行きましょう♪」二人は指を絡めて手を握ると、意味ありげな笑みを交わしながら出て行った…

提督「…さーて、私もお風呂にしましょう……エリトレア、今日の夕食も素敵だったわ♪」

エリトレア「はいっ、満足してもらえて嬉しいですっ♪」

…植民地用スループと言うことで航続距離はあったが低速の「エリトレア」はそこそこの性能の割にはかなりの幸運艦で、エリトレア・マッサワ港から東南アジアへの脱出を阻止しようとする英海軍や、反対にイタリア敗戦後には東南アジアのサバンからインドの英海軍に投降しようとして日本の軽巡「球磨」に追われ、それも振り切るなどなかなかの幸運の持ち主でもあった……今はディアナと交代で厨房を担当していて、戦時に駆け回っていたせいか東アフリカ風料理や、エスニックな東南アジア風料理が得意だったりする…

提督「それじゃあ、バーカウンターの店じまいはいつも通り0100時までにね♪」…食堂の隅っこに作られているバーカウンターでシェーカーを振っているフルット級「ヴォルティーチェ」(渦・渦動)に声をかけると、ライモンを連れて大浴場に向かった

99 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/02(金) 00:30:07.95 ID:wfZkV8FD0
…ある日…

提督「はぁ…海外の提督さんたちが来る前に特別監察なんて……まったく、憲兵隊には私の事を恨んでいる誰かがいるに違いないわ」優雅な姿勢でコーヒーにグラッパ(※ぶどうの絞りかすブランディ…イタリア特産)を垂らすと、香りを楽しんでからすすった

チェザーレ「提督ほどの女たらしならそれは恨まれるだろうな…んっ!」

提督「だとしてもそれを特別監査でぶつけてくるなんて…まったく、底意地が悪いわ」

チェザーレ「かもしれぬな…ぐぅっ!」

提督「…チェザーレ、さっきから剣の鞘を背中に回して何をしているの?」

チェザーレ「いや…どうにも肩甲骨の下あたりがかゆくてな……手も届かぬし、長剣の鞘ならと思ったのだが…」

提督「ふふ、そんなことなら私が…」

ダ・ヴィンチ(マルコーニ級大型潜)「…ちょっと待った!この不世出の天才「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が新しい発明を持ってきましたから、ぜひ試してみて下さい♪」

チェザーレ「…ダ・ヴィンチか、今度はどんな発明品なのだ?」

ダ・ヴィンチ「ふふ…気になりますよね?……はい、どうぞ使ってみて下さい♪」木でできた板状のものを渡した

チェザーレ「あー…チェザーレの目には薄い木のヘラにしか見えぬが」

ダ・ヴィンチ「んー、惜しい…よく見て♪」

チェザーレ「…よく見ると片方に曲線が付いているな、そしてそこに刻み目が入れてある……これで背中をかけばよいのか?」

ダ・ヴィンチ「はい、そうですよ…さぁさぁ、遠慮せず♪」

チェザーレ「ふむ…なるほど……おぉぉ…まさに「かゆいところに手が届く」な♪」

ダ・ヴィンチ「そうでしょう、まさに大発明です♪」

ジュセッペ・フィンチ(カルヴィ級大型潜)「待て、ダ・ヴィンチ…たしかジァポーネにはそう言う道具があるぞ」


…声をかけたのはカルヴィ級大型潜の「ジュセッペ・フィンチ」(フィンツィ)…フランス・ボルドーの前線基地から日本まで物資輸送任務に就く予定で改造されたがその前にイタリアの休戦を迎え、ドイツ潜「UIT.21」として戦没した経歴がある……そのせいかドイツ風の革長靴とかっちりした物腰、それに妙に間違った日本の知識をため込んでいる自称「日本通」で、鎮守府には実際に神戸まで到着した「ルイージ・トレーリ」などがいるにも関わらず、相変わらず的外れなことばかり言っている…


ダ・ヴィンチ「そうなんですか…ジァポーネに先を越されましたか」

フィンチ「いかにも!それはジァポーネで言うところの「猫の手」というもので、ことわざにも「猫の手でも借りたい」と言う風に名前が出てくるのだ」

ダ・ヴィンチ「なるほど…」

ルイージ・トレーリ(マルコーニ級大型潜)「…あの、フィンチ」

フィンチ「何だ、トレーリ。ジァポーネにこういう道具はあっただろう?」

トレーリ「ええ、ありましたが…これの名前は「孫の手」で、猫の手じゃありませんよ……」トレーリは1000トン越えの大型潜らしい高校生くらいに見える姿と豊満な胸、きゅっと引き締まった腰、それに可愛らしい顔立ちながら、イタリア・ドイツ・日本の軍籍に属しただけあって三カ国語もぺらぺらで物腰も礼儀正しい…と、非の打ちどころがなく、滑らかな髪には日本らしいヒスイと銀の髪飾りをつけている…

フィンチ「そうか…間違えてしまったな……とにかく、こういった道具はジァポーネに古くからあるのだ」

ダ・ヴィンチ「それは残念…新発明だと思ったのに」

チェザーレ「ふむ…最初の発明者ではないにせよ、背中はかけるし良い道具だと思うぞ。ダ・ヴィンチ」

ダ・ヴィンチ「チェザーレ、ありがとう♪…それではもっとたくさん発明しますから、ぜひ実験につき合ってくださいね♪」

チェザーレ「う、うむ……参ったな」弾むようにアトリエに戻っていくダ・ヴィンチを見てげんなりしている

提督「チェザーレも大変ね?」

チェザーレ「うむ…」



100 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/02(金) 23:44:04.48 ID:wfZkV8FD0
バンデ・ネーレ「どうかしたの?」…相変わらず「黒備えのジョバンニ」だけあって黒一色の格好をしているジュッサーノ級軽巡「ジョバンニ・デレ・バンデ・ネーレ」……中性的な顔立ちで背が高く、かなり華奢な身体付きをしている…

提督「いえ、ダ・ヴィンチの発明品の話…そういえば、ミラノはどうだった?」

バンデ・ネーレ「うん、楽しかった。いっぱい買い物もできたし、黒い服もうんとあって…そうだ、ちょっと着替えて来る♪」…部屋に駆けていくと、しばらくして戻ってきたバンデ・ネーレ

バンデ・ネーレ「どうかな…ボクに似合うって店員さんは言ってくれたけど」黒のしっとりしたスカートに袖なしのハイネックセーター、それにオニキスをあしらった銀のアクセサリー…

提督「…とっても綺麗よ、バンデ・ネーレ……同じ黒でも、すーっと吸い込まれそうな艶のある黒ね」

バンデ・ネーレ「…て、照れるな///」

提督「ううん、お世辞じゃなくてよく似合うわ…♪」

チェザーレ「うむ…ぐっと大人びた魅力が出ているぞ」

バンデ・ネーレ「ありがとう、でももういいよ…これ以上言われたら顔が火照ってきちゃうから///」

提督「…あらあら、行っちゃったわ♪」

チェザーレ「ふふ、可愛いものだな」

リベッチオ(マエストラーレ級駆逐艦)「どうしたの?」

…今度は褐色の駆逐艦「リベッチオ」が提督の横からひょいと顔をのぞかせた…北アフリカ向け船団護衛任務に就いた艦が多い中でどうして「マエストラーレ」級だけが褐色なのは謎ではあったが、少し船型を拡大した以外はほぼ同じ姿をしている「オリアーニ」級の艦娘たちと見分けがつきやすいので、提督としては便利ではあった…

提督「あら、リベッチオ…日光浴はもういいの?」

リベッチオ「うんっ、いっぱい太陽を浴びてきたから♪」

提督「そう、よかったわね♪…相変わらず裸で日光浴をしているの?」いたずらっぽい笑みを浮かべて聞いた

リベッチオ「そうだよっ、だってその方が気持ちいいもの…相変わらずマエストラーレお姉ちゃんは水着を着ているけど♪」

提督「ふふっ、もったいないわよね♪」

リベッチオ「そうだよね♪それじゃあ、また後で♪」

提督「ええ♪」

ライモン「…にやけていますよ、提督」

提督「だってねぇ…あのぷりっとした玉のような肌をしたリベッチオたちが全裸で日光浴をしていたら表情も緩むわ♪」

エウジェニオ「そうね、まるでレスボス島で愉しんできた私みたいにね。そうでしょう…て・い・と・く?」…後ろから背中にくっつくと、耳元に息を吹きかける軽巡「エウジェニオ・ディ・サヴォイア」…

…エウジェニオは「R・モンテクッコリ」級に始まるイタリア軽巡の華とも言うべき新型軽巡の一隻で、艦娘としても整ったしなやかな肢体に白い肌、長いまつげに玉を転がすような涼しげな声が特に優美で美しい…が、戦後をギリシャで過ごしたせいかすっかりビアン気質が染みつき、鎮守府の艦娘という艦娘を誘惑している…

提督「あら、エウジェニオ…ギリシャはどうだった?」

エウジェニオ「一言で言えば最高だったわ…綺麗な女性から可愛い女子学生まで食べ放題で……ふふっ、久しぶりに別名で遊んできたわ♪」

提督「…別名って?」

エウジェニオ「あぁ、私の別名は「エリ」っていうの。戦後賠償でギリシャに行ってからつけられた名前だけど、今回はうんと活用させてもらったわ…♪」

提督「あら、本名を隠してだなんて…いけない娘ね♪」

エウジェニオ「いいじゃない、おかげで欲求不満そうなフランスの小娘からギリシャの花売り娘まで巻き込んでうんと遊ばせてもらったわ♪」

提督「まぁまぁ…憲兵隊の査察の時は黙っていた方がいいわね♪」

エウジェニオ「あら、憲兵なんて私にかかればすぐベッドの上で撃沈させてあげるわ。それじゃあ、アオスタ姉さんを待たせているから…チャオ♪」軽く提督の耳たぶを甘噛みすると、足取りも優雅に出て行った…

提督「もう、エウジェニオったら相変わらずなんだから…♪」

ライモン「提督。コーヒーの時間もいいですが、そろそろ書類の整理に取りかからないと査察の時に困りますよ?」

提督「分かったわ…はぁ……それじゃあね、チェザーレ」

チェザーレ「うむ、チェザーレも時間が出来たら応援に参るぞ」

提督「ありがとう。…それじゃあライモン、行きましょうか」

ライモン「はい」
101 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/03(土) 00:24:48.17 ID:Rd+pmMDk0
…数日後・食堂…

提督「……いよいよ特別監査の日ね。ライモン、準備はいいわよね?」

ライモン「はい、万全の態勢を整えてあります」

提督「助かるわ…みんな、今日は海軍憲兵隊の査察があるから、くれぐれも粗相をしたり裸でうろついたりしない事……廊下でキスしたりもダメよ」

エウジェニオ「あら、あいさつもいけないの?」

提督「あんまり唇に近いのはね。とにかく、真面目に振る舞っておくこと…いいわね?」

一同「「了解」」

提督「よろしい…そろそろ到着時間だと思うけど……」

ドリア「提督、門に憲兵隊の車が来ました」

提督「了解、すぐ行くわ」

…鎮守府・門…

提督「よくいらっしゃいました…さぁ、どうぞ?」…海軍カラーに塗られた「フィアット・パンダ」を迎え入れる提督

憲兵「ええ、少将」女性の憲兵隊士官はかっちりまとめた髪、シワ一つない制服と眼鏡姿で、採点するように提督を眺めた…

提督「…」(うわ…この人今までに笑った事ってあるのかしら……)

憲兵「ここが鎮守府の本棟ですね?」

提督「え、ええ…そうですよ。それで少佐のお名前は…?」

憲兵「私の名前が必要ですか、少将?」

提督「ええ、まぁ…いつまでも「少佐」では肩が凝りますし」

憲兵「そうですか?……まぁ良いでしょう。憲兵隊少佐、アンジェリカ・カルディナーレです」

提督「フランチェスカ・カンピオーニです…よろしくお願いします、カルディナーレ少佐♪」

カルディナーレ「ええ、よろしくお願いします」

提督「…長旅でお疲れでしょうし、まずはコーヒーでも……」

カルディナーレ「いえ、結構です。各鎮守府での「もてなし」は受けるなとの指示がありますので」

提督「あら、そうですか…」

カルディナーレ「それより、司令官の執務室に案内していただきたいのですが」

提督「…どうぞこちらへ」


…執務室…

提督「どうぞ、おかけになって下さい」小さいテーブルを挟んで椅子を二脚並べてあり、カルディナーレ少佐の方には鎮守府の中で一番座り心地の悪い椅子を用意しておいた提督…

カルディナーレ「失礼します」椅子に座ると早速ファイルとペン、ノートパソコンを取り出した…

ライモン「…良かったらどうぞ」コーヒーとお茶菓子を置く

カルディナーレ「いえ…そう言ったもてなしは結構ですから」

提督「…そう言わずに。せっかく淹れたコーヒーを無駄にしたくないですから」

カルディナーレ「いえ、ですが指示がありますので…」

提督「その指示は鎮守府で酒食をごちそうになり、査察の基準が鈍るといけないという判断からでしょう?……私はカルディナーレ少佐を「コーヒー一杯で手心を加えてくれるような不真面目な方」だとは思っていませんよ?」(…普段生真面目な女性は真面目さや律儀な所を素直にほめてもらうと喜ぶのよね♪)

カルディナーレ「それはもちろんです」

提督「でしたら冷めてしまわないうちにどうぞ」

カルディナーレ「…いただきます……いいコーヒーですね」

提督「ええ、いつも艦娘たちは激しい任務に就いていますので…せめてコーヒーぐらいは美味しいものを飲ませてあげたいですから」

カルディナーレ「…なるほど」

102 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/04(日) 23:24:53.64 ID:kgnaoGaY0
カルディナーレ「それでは早速ですが…カンピオーニ少将」パラパラとファイルをめくる…

提督「何でしょう?」

カルディナーレ「これからいくつか質問をさせていただきます…別に公式な査問という訳ではありませんが、正直にお答えください」

提督「ええ、どうぞ」

カルディナーレ「…まず、あなたの経歴ですが……士官学校を優秀な成績で卒業。運動は全般的に不得意ながら水泳と射撃は成績上位で、座学では特に海軍史、文学で優秀な成績。卒業後はフリゲート「インパヴィド」級での海上勤務を始め、ナポリ、ミラノ、ジェノヴァ、ヴェネツィア、ローマなど主だった司令部や基地で勤務していますね」

提督「ええ」

カルディナーレ「さらに士官学校卒業からここに着任するまでに「卓越した指揮および勇敢な行動」により勲章および感状数回…特進も二回ありますね」

提督「ええ、そうですね」

ライモン「…♪」(やっぱり、提督ってすごい人なんだ…♪)

カルディナーレ「ですが同時に…」

提督「……ほーら来た」

カルディナーレ「何か言いましたか?」

提督「いえ、別に」

カルディナーレ「そうですか…とにかく、士官学校在籍時に「候補生同士で不適切な関係を結んだ」という嫌疑が数回」

提督「はい」(本当は教官も含めて「数回」どころじゃなかったけど…ふふっ♪)

カルディナーレ「少尉の時に女性士官宿舎で「みだらな行為をしているようだ」と憲兵隊への通報数回…中尉、大尉時にも同様の通報ありとなっていますが」

提督「あー…それにはいずれも「誤報」とあるはずです。…事実、私の部屋で持ち寄りパーティを開いていたり、ワインを飲みすぎた同僚が少し騒いだだけなんです♪」(…あの時は憲兵さんがそういうことにしてくれたのよね♪)

カルディナーレ「…しかしこれだけ回数が重なると、間違いにしても疑わしく思えてきますが」

提督「疑わしいだけで取り調べを受けるのですか?」にっこり微笑んで切り返す…

カルディナーレ「いえ…さっきも申しあげた通り査問ではありませんから。単にお尋ねしているだけです」

提督「そうですか…ではもうよろしいですか?」

カルディナーレ「そうですね……あぁ、あともう一つだけ」

提督「何でしょう?」

カルディナーレ「カンピオーニ少将…着任以来、鎮守府の「艦娘」たちと不適切な関係は結んでいませんね?」

ライモン「…っ///」

提督「ええ、もちろん節度をわきまえております♪」(執務中はえっちしないもの…♪)

カルディナーレ「そうですか…質問は以上です」パタンとファイルを閉じた

提督「そうですか…それで、この後は?」

カルディナーレ「鎮守府の査察を行いますから、案内をお願いします」

提督「分かりました…それじゃあライモン、一緒に行きましょうか」

ライモン「はい」

カルディナーレ「ライモン?…個人的なあだ名をつけるとは、少将と「ライモンド・モンテクッコリ」はずいぶんと親密なようですね?」

提督「そうですか…通信でも聞きとりやすいですし、便利だと思って呼んでいるのですが?」そっとライモンにウィンクをする提督

ライモン「///」

カルディナーレ「ふぅむ…まぁ良いでしょう……」
103 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/05(月) 00:02:20.68 ID:YO26LppB0
…鎮守府・廊下…

カルディナーレ「それにしても立派な施設ですね、手入れもよく行き届いているようです」

提督「ええ、毎日過ごす施設ですから…まずはどこを見たいですか?」

カルディナーレ「そうですね、まずは通信室を」

提督「分かりました…あら、ルチア♪」

ルチア「…ワフッ♪」

カルディナーレ「…い、犬ですか」そっとルチアから距離を取り、意識せず提督に近寄る形になったカルディナーレ…

提督「犬は苦手ですか?」

カルディナーレ「いえ…ですがこんなに大きい犬は初めてで……」

提督「大人しい子ですから大丈夫ですよ…ね、ルチア♪」(…あら、カルディナーレ少佐ったらなかなかいい匂い♪)

ルチア「♪」ぱたりと尻尾を振りながらカルディナーレの匂いを嗅ごうと鼻を寄せた…

カルディナーレ「…ひゃっ!」タイトスカートの中へ鼻を突っこもうとするルチアにすっとんきょうな声を上げる

提督「あぁ、こらっ…大丈夫ですよ、カルディナーレ少佐」

カルディナーレ「あぁ、どうもありがとうございます…」


…しばらくして…

提督「通信室、建造施設を見ましたが…次はどうしますか?」さりげなく後ろの方にディアナが付き従っている…

カルディナーレ「そうですね……使用頻度が高い食堂や体育館を見るつもりですが、その途中で艦娘たちの部屋を見させてもらいます」

提督「分かりました。それでは、どの娘の部屋にしましょうか?」

カルディナーレ「では、まずは一番近い部屋を」

提督「それでしたら駆逐艦「ソルダティ」級の部屋ですね…駆逐艦では最も姉妹艦の多いクラスですよ」

ディアナ「…」すっと離れて角を曲がった…

…ソルダティ級の部屋・共有スペース…

ランチエーレ「あー…庭で駆け回れないのは退屈ね」

コルサーロ「全くだぜ、あたしも…アヴィエーレ、何を読んでるんだ?」

アヴィエーレ「んー…漫画さ」

コルサーロ「漫画なのは分かってるって…何の漫画だって聞いているんだよ」

アヴィエーレ「架空戦記ものだよ…「エリア八八艦隊」ってやつ」

コルサーロ「面白いのか?」

アヴィエーレ「死ぬほど面白いよ……「坂井」とか「ヒゲだるま」とかいろんなあだ名のエースが出て来てね」

コルサーロ「へぇ…よかったらあたしにも……」と、ジリリリン…ッと電話が鳴った

ランチエーレ「わっ…はい、ランチエーレ……はい、了解」

アヴィエーレ「どうした?」操縦士だけに電話の音を聞くと身構えてしまう…

ランチエーレ「憲兵の査察よ、漫画を片づけて!」

カラビニエーレ「任せて、私からすれば同業者みたいなものだから…よし、これでいいわ」艦名が「カラビニエーリ隊員」だけにきっちりした性格のカラビニエーレがあちこち手直しする…

…廊下…

提督「ここがソルダティ級の部屋です…ちょっといいかしら?」ノックをする提督

カラビニエーレ「どうぞ!」

提督「それじゃあ、ご覧になって下さい♪」

カルディナーレ「…失礼します……なかなか片付いているようですね」

アヴィエーレ「〜♪」

提督「ええ。艦娘たちはみんな真面目ですし、私も「イタリア海軍の名に恥じぬよう行動せよ」と常々訓示しておりますから…♪」カルディナーレに見えないよういたずらっぽく笑ってウィンクした

ランチエーレ「ぷっ…♪」
104 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/05(月) 00:33:57.69 ID:YO26LppB0
提督「次はどうしますか?」

カルディナーレ「そうですね…重巡ザラ級の部屋はどうなっていますか?」

提督「ザラ級ですね、ではこちらへ…♪」

ガリバルディ「…」ガリバルディがすっと手近な部屋に入って行った…

…ザラ級の部屋…

ザラ「あぁぁ…んっ♪……んぁ、あぁぁぁっ♪」

ポーラ「ザラ姉さま…ぁ、明るい所だとザラ姉さまの綺麗なあそこがよく見えますよぉ〜♪」くちゅっ、じゅぶっ♪…蜜をとろとろとしたたらせているザラのふとももに頬ずりしながら、すんなりした白い指で秘所をまさぐるポーラ…

ザラ「あっ、ひぅっ♪…いいっ、そこっ……いいのぉ♪…ポーラ、ポーラもっと…ぉ♪」立って壁に背中を預けながら両手でスカートをたくし上げ、腰を突きだして愛蜜を垂らすザラ…

フィウメ「…もう、ザラ姉の妹はポーラだけじゃないんですよ……それっ♪」じゅぶっ…♪

ザラ「あぁぁっ、いぃっ…ひぐぅぅっ♪」ぽたぽたっ…とろっ……♪

ゴリツィア「私も…お姉さまたちの事……大好きです…///」ぬちゅっ…くちゅっ、ずりゅっ……♪

ザラ「あぁっ、んぅ…ゴリツィア……そこ、気持ひいぃ……♪」

ポーラ「えへへぇ…ザラ姉さまぁ〜♪」…んちゅっ、ちゅっ♪

ザラ「ん、ふ…待って、ポーラ…電話が……」

ポーラ「もぉ〜、興ざめもいい所ですねぇ〜……もしも〜し、はい…分かりましたぁ〜♪」ガチャリと受話器を置いた

ザラ「…はぁ………ふぅ…で、何だったの?」

ポーラ「憲兵さんの視察だそうですよぉ〜…さぁ、片づけましょ〜♪」

ザラ「嘘でしょ…早く着替えないと……んっ、く!」ぐちゃぐちゃに濡れて肌に張りつく下着をどうにか引きおろし、代えの下着に脚を通すザラ…

提督「…ザラ、お邪魔してもいいかしら?」

フィウメ「わっ、提督!?…ちょっと待ってくださいね!」

…廊下…

提督「ふふ…きっと何かおもてなしの準備でもしているのでしょう♪」

カルディナーレ「そう言ったものは不要と先ほどから…」

提督「あ、準備が整ったようですよ♪……もういいかしら?」

ザラ「は、はい…どうぞ……」

カルディナーレ「失礼…なんだか甘酸っぱいような刺激的なにおいがしますね」眉をひそめる

フィウメ「えーと…それはきっと……」

提督「家具の一部は仕立てなおしたものなので、どうしても接着剤の臭いがしたりするんです…それをどうにかしようと思って香水を撒いてみたりするんですが、どうにも……ね?」

ポーラ「そうなんですよぉ〜…もっといい家具をそろえて欲しいですねぇ〜♪」

カルディナーレ「それは私ではなく主計官の方にお願いして下さい…なるほど、小ざっぱりしていて掃除は行き届いていますね」

ザラ「…ふぅ」

提督「それではここはもういいですね?」

カルディナーレ「ええ…次は食堂に案内してください」

提督「ええ…お邪魔したわね、ザラ♪」

ザラ「…は、はい///」

ライモン「///」

………


105 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/06(火) 01:50:23.23 ID:Mzi6XeuM0
…食堂…

提督「ここが食堂です…食事の邪魔になるのでテレビは置いてありませんが、レコードとCDのプレーヤーは置いてあります」…さりげなく隅のバーカウンターには布をかけて、見えないようにしてある

カルディナーレ「そうですか…そう言えばちょうどお昼時ですね」

提督「…よかったらお昼を食べていきませんか?」

カルディナーレ「いえ、結構です……昼食は査察を終えてから、来る途中にあった町で食べますので」

提督「そうですか?…まぁ、断食をなさりたいならそれでもいいと思いますが……」

カルディナーレ「…は?」

提督「いえ…いくらタラントの近くとはいえ、ここは南イタリアの田舎ですよ?昼の時間を過ぎて料理屋が開いている訳ないじゃありませんか♪…シエスタ(お昼寝)の時間ですからお店は軒並み閉まっていますよ」

カルディナーレ「え…ですがちょっとしたレストランやピザ店ぐらいなら探せば……」

提督「そんなローマやナポリみたいな観光客向けのお店なんかありませんよ?人のいいおじさんがやっている料理屋とカフェが数軒があるだけです」

カルディナーレ「…そ、そうですか」

提督「ですからどうぞここで食べていって下さい…なんならかかった材料の分の請求書だって書きますよ?」

カルディナーレ「いえ、そこまでは不要で……///」きゅう…とお腹が鳴り、耳を赤くするカルディナーレ

提督「ふふっ…さぁ、ここにおかけになって?」カルディナーレの肩を押さえて椅子に腰かけさせると、厨房に入って行った…

カルディナーレ「ところで…さっきの話は本当ですか?」

ライモン「お店の話ですか?まぁ本当ですね」(…多分、おじさんを起こして頼み込めば何か作ってはもらえるでしょうけど)

カルディナーレ「はぁ…つくづく南イタリアと言うのはのんきなものですね」

提督「…お待たせしました。さぁ、召し上がれ♪」コトリと置かれたのは大皿に入ったパスタで、細めのフェデリーニに緑も鮮やかなキャベツと紅い唐辛子、それにカラリと揚がっているニンニクの薄切りが散らしてある…

カルディナーレ「キャベツ入りペペロンチーニですか。いただきます……」くるりと巻いて口に運び、途端に不思議そうな表情を浮かべる

提督「いかがですか?」

カルディナーレ「…美味しいです。ただのペペロンチーニではないようですね?」

提督「ええ、オイルサーディンの缶詰が残っていたので…ニンニクの香りが効いたオリーヴオイルの中でほぐして、茹で上がったパスタに絡めただけですよ♪」

カルディナーレ「いえ…本当に美味しいです、仕上げの粗挽き胡椒も風味が効いていますし……んっ!」

提督「あ、喉に詰まって……さ、飲み物をどうぞ」グラスを差し出す

カルディナーレ「んくっ、んっ……はぁ、失礼しました」

提督「いいえ。パスタの一口目って時々のどに詰まりそうになりますものね♪」

カルディナーレ「ええ…って、ワインですか」

提督「すみません、どうしてもこの辺りは水道水があまり良くないので……つい」(本当はミネラルウォーターもあるけれど…♪)

カルディナーレ「…なるほど、それでは仕方ありませんね……でも少しにしておいてください、帰りも車なので」

提督「ええ、それでもパスタを流し込むだけに飲んだこの一杯だけと言うことはないでしょう…どうか二杯目はちゃんと味わって下さいね?」

カルディナーレ「ええ、それはそうかもしれませんが…ではその一杯だけで……///」空腹だった上に普段飲みつけない高級なワインがしっとりと喉を流れ落ち、ぽーっと頬が紅くなる…

提督「パスタのおかわりが欲しくなったらそう言って下さいね♪」

カルディナーレ「いえ…もう結構れす……失礼///」少し舌が回らなくなり、慌てて謝る…

提督「いいえ♪…良かったら酔いが覚めるまで空き部屋でお休みしたらいかがですか。その状態で運転はまずいでしょう?」

カルディナーレ「…ええ、それもそうですね……ですがまずは査察を終わらせましょう」

提督「ええ、そうですね…♪」

106 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/06(火) 02:33:06.57 ID:Mzi6XeuM0
…鎮守府・廊下…

提督「ではこれから体育館の方へ…」

カルディナーレ「ええ…///」頬が桜色に染まり、しきりに眼鏡をずり上げては目をぱちくりさせている…

提督「どうかしましたか?」

カルディナーレ「いえ…どうも先ほどのワインが思っていたよりも効いてしまったようで……」

提督「あらあら…気分が悪くなったりしたらすぐ言って下さいね、どこかで休憩を挟みますから」

カルディナーレ「大丈夫です」

提督「そうですか、なら心配いりませんね…♪」そっと手を重ねる提督…

カルディナーレ「…どうして手を?」

提督「いえ…腰や身体ですとなれなれしいかと」(…こういう場合「真面目な女性は無理に親しさを装って触ったりし過ぎてはダメ」なのよね、おばさま♪)

カルディナーレ「…ええ、そうですね」と、ルチアがいつも一緒に歩くときのように提督の脇へとすり寄ってきた…

ルチア「ワフワフッ…♪」

提督「あら、ルチア…遊んでほしいの?今は駄目よ」

ルチア「ワンワンッ!」構ってもらいたいルチアが提督とカルディナーレの足元にまとわりついてウロウロする…

カルディナーレ「本当に大きい犬ですね……っ、きゃあっ!?」ルチアが踏み出した脚の間へ入り込むような形になってたたらを踏む…

提督「…っ、アンジェリカ!」…ぽすっ

カルディナーレ「……あ、ありがとうございます///」見事に提督の腕の中に収まったカルディナーレ…オーバルレンズの眼鏡が胸の谷間で斜めにずれて、鼻にかかっている……

提督「いえ…もう、ルチアったら!」

ルチア「クゥーン…」

提督「仕方ない子ね…ライモン、悪いけれどルチアを散歩にでも連れて行って?」

ライモン「はい。…もう、提督の邪魔をしたら駄目ですよ。さぁ、散歩にでも行きましょう?」

ルチア「ワフッ…♪」

提督「ふぅ…うちのルチアは可愛いですしたいていはお利口なんですが、時々ああいう子供みたいなところがあるんです」

カルディナーレ「…それより、少将///」(…今、私の事を「アンジェリカ」って///)

提督「はい、何か?」

カルディナーレ「…そろそろこの体勢を止めませんか……どうにも恥ずかしいので///」

提督「…そうですか?」カルディナーレの両手に自分の手を重ねると指を絡ませ「恋人つなぎ」にする提督…

カルディナーレ「あの…っ///」

提督「…アンジェリカ、私……貴女の事が好きみたいです///」

カルディナーレ「…じ、冗談は止して下さい。まだ数時間しか会ってもいない相手に……」

提督「いいえ…だってアンジェリカは……」

カルディナーレ「…なんですか?」(…どうせ「私の前に舞い降りた天使(アンジェ)のような女性だから♪」とでも言うのでしょう?…はぁ、そう言うのは聞き飽きてます)

提督「…とっても律儀な人だから」

カルディナーレ「…えっ!?」

提督「キンキン声で話す子供みたいな女性や、頭の悪い可愛いコぶっている女の子なんかと違って…真面目で、真剣で……///」

カルディナーレ「あ、あの…っ///」

提督「よかったら…貴女の手にキスさせて下さい……」

カルディナーレ「…いえ、こんな所で……誰かに見られたら…っ///」

提督「でしたら…こちらへ……///」目を伏せてそっとカルディナーレを見上げ、まつ毛をぱちぱちさせつつ角を曲がる…左右に人気がないのを確認してからそっとカルディナーレの薄い唇に自分の唇を重ね合わせた…

カルディナーレ「んっ…ふ……ん、ちゅっ…///」

提督「ちゅっ……素敵でしたよ、アンジェリカ…♪」

カルディナーレ「…ふぁぁ///」

………
107 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/07(水) 01:31:28.57 ID:Pw0TOCG/0
…しばらくして・執務室…

カルディナーレ「…それにしても、カンピオーニ少将」床にひざをつき、提督の膝の上にあごを乗せていたカルディナーレがおもむろに口を開いた…

提督「んー?」椅子に座ってカルディナーレの頬を優しく撫でながら小首をかしげる…

カルディナーレ「さっきの言葉ですが…正直私にそこまでの魅力があるようには思えません」

提督「そんなことないわ♪」

カルディナーレ「では到着してからのほんの数時間で、どんなところに魅力を感じたというのです?」

提督「そうねぇ…最初に質問をしてきたときかしら。指がとっても綺麗だし、手もすべすべで……愛撫されたいと思ったわ///」

カルディナーレ「///」

…一方・ドアの外…

ドリア「まぁ…提督ったら相変わらずお上手♪」

エウジェニオ「…ふふっ、いい口説き文句ね。今度私も使わせてもらおうかしら」

カルロ・ミラベロ(ミラベロ級駆逐艦)「そうね、あんなことを言われたら身体がうずいちゃう…♪」…駆逐艦の中でも特に小さい1000トン未満の船型から小学生にすら間違われそうな身体ながら、1916〜17年に就役した第一次大戦型の駆逐艦だけあってめっぽう耳年増なミラベロ級……ドリアたちと一緒にドアの隙間から漏れてくるやり取りに耳を傾けながらぞくぞくしたような表情を浮かべ、ふとももをこすり合せている…



提督「アンジェリカ…もう帰るの?」

カルディナーレ「ええ、査察は済みましたし…そろそろ戻らないとローマへの飛行機に乗り遅れてしまいますから」

提督「そう…残念ね……せめてお別れにキスだけさせてもらえないかしら」

カルディナーレ「…いえ、ですが///」

提督「一回でいいわ…貴女と出会えた思い出に、私の唇を捧げたいの///」

カルディナーレ「で、では…一回だけ……」顔を上に向けると、提督の方に近寄せる…

提督「ん…ちゅっ……ちゅ、ちゅぷっ…♪」

カルディナーレ「んふっ…あむっ……ちゅる…っ……んちゅ…っ♪」

提督「んんっ…んぅ……あふっ…んあぁ……ちゅ…ちゅぽっ…れろっ……ちゅぅ♪」



ドリア「まぁまぁ…提督ったらあの堅そうな憲兵さんをすっかりその気にさせてしまいましたね♪」

エウジェニオ「ふふ、百合の香りからは逃れられないのよ…♪」

ミラベロ「もう…あんなキスされたら腰が砕けちゃうわ……きっと♪」



提督「ぷは…ぁ……ふぅ、はぁ…とっても熱いキスだったわ、アンジェリカ♪」

カルディナーレ「あっ…いえ、つい夢中になって……はしたない真似を///」

提督「いいえ、いいのよ?…恋は理性でどうこうできるものでもないし、それに……禁断の愛であるほど甘い味がするものよ♪」ぱちりとウィンクを決めると、手を取って立ち上がらせた

カルディナーレ「///」

提督「…それでは、本日は監査のためにおいでいただき、まことにご苦労さまでした」

カルディナーレ「あぁ、はい……こちらの鎮守府には何も問題ありませんでした。上官にはそう報告する予定です」

提督「それはよかった…では、気を付けて帰ってくださいね♪」



ミラベロ「いけないっ、憲兵が出てくるわ…」

ドリア「ふふふ…っ♪」

エウジェニオ「…素敵なひと幕に感謝するわ、提督♪」そっとドアの前から立ち去る三人……

………
108 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/07(水) 01:47:59.27 ID:Pw0TOCG/0
なかなか進まないのですが、今日はこの辺で投下を止めます……時間がかかりましたが、いよいよイギリス海軍のグレイ少将にドイツ連邦海軍のヴァイス中佐が出てきます

…ちなみに前スレでグレイ提督の愛車を何にするか迷っていたところ、「アストンマーチン・DB4」辺りがいいのではというリクエストがありましたので、それを採用するつもりでおります。またヴァイス中佐は紺の無難な「BMW・320i」です


あと、銃は多分グレイ提督が(いつもは)制式のSIG・P226辺りの軍用オートマティックで、趣味として.38ブリティッシュ口径のウェブリー&スコット・リボルバー…ヴァイス中佐はやっぱり軍用のSIG・P226かワルサー・P1(名銃ワルサー・P38の戦後型)辺りだと思っています…

109 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/08(木) 00:48:44.12 ID:1/t9zx700
…数日後・執務室…

提督「メイク…完了。制服……よし。軍帽…よし」髪はアップに結い上げ、頬には軽くファンデーションをのせ、唇には自然な感じに見えるピンクのルージュを引く…そして豪奢な白い礼装に身を包むと、鏡の前で糸くずが付いていたり、金モールのよじれがないか確かめる…

カヴール「背中は大丈夫ですよ…よく似合っていらっしゃいます♪」

提督「ありがとう、カヴール…でも少しふとももがきついかも……」お洒落にうるさいイタリア軍だけあって、軍服のシルエットはどれも細めに出来ている…が、鎮守府着任以来の食生活がたたって白のスラックスがぱつぱつに思える提督…

カヴール「でしたらタイトスカートになさったら?」

提督「そ…そうね、そうしましょう」

ライモン「提督、お客様の到着予定時刻まであと数十分ですよ」

提督「ええ、ありがと。…時間が少ないしちょっと急がないと…カヴールは大丈夫?」

カヴール「ええ、もちろんです……年を取るとせっかちになりますからね♪」…ころころと甘い声で笑うカヴールはボリュームたっぷりの長身をイタリア海軍らしい、白に近い淡いグレイの上衣と膝丈のプリーツスカートでまとめている

提督「ごめんなさいね。まさかここまでバタバタするとは思わなかったわ…」

カヴール「いいえ…それに前回は提督のお知り合いでしたから、あまり肩が凝るような準備は必要なかったではありませんか♪」

提督「ええ、そうね…それに引き替え今度はイギリス海軍の少将にお堅いドイツ海軍の司令だもの……あー、今から胃が痛むわ」

カヴール「ふふっ、話してみたら存外いい人かもしれませんよ?…はい、大丈夫です」

提督「ありがとう、助かったわ…さぁ、行きましょう♪」

…しばらくして・庭…

カヴール「全体、アテンツィオーネ!(気を付け!)」ずらりと並んだ艦娘たちと提督が敬礼する中、軍が用意した二台のマセラッティからイギリス海軍のグレイ提督とドイツ連邦海軍のヴァイス提督(正しくは司令)、それにそれぞれの随伴として艦娘二人づつが降りてくる…


…鎮守府本棟の前に立っている国旗掲揚のポールにするすると「ユニオン・ジャック」(イギリス国旗)と、「シュヴァルツ・ロート・ゴルト」(黒・赤・金…ドイツ国旗)がタイミングよく昇って行く……提督の敬礼に二人の提督が答礼すると、レコードプレーヤーから「ハート・オヴ・オーク」(樫の心…英海軍唱歌)、続いてドイツ連邦国家が流れた…


提督「…この度はわが鎮守府までお越しいただき、大変光栄に思っております。栄光ある大英帝国海軍の皆様、それに質実剛健なドイツ連邦海軍の皆様…本官を始め、タラント第六鎮守府は皆様を心より歓迎いたします」

グレイ提督「…感謝いたします、カンピオーニ提督。わたくし、イタリア海軍の独創性には常々学ぶところも多いと思っておりました…この機会を大いに有効活用させていただきたいと存じます」

ヴァイス提督「少将閣下を始め、貴鎮守府の心よりの歓迎、感謝いたします…本官も多くを学ぶべく尽力いたしますので、なにとぞご教授下さい」

提督「こちらこそ、ロイヤル・ネイビー(英海軍)とブンデスマリーネ(連邦海軍)の皆様を迎えられて嬉しく思います…」

ティルピッツ「…う、うぇっ……」

ビスマルク「…おい」青ざめた顔で直立不動の姿勢を取っている艦娘「ティルピッツ」と、それを横目でちらりとにらんでから厳格な表情に戻る姉の「ビスマルク」…

提督「……以上で、歓迎式典を終わります」

カヴール「気を付け!」

提督「…ではグレイ提督、ヴァイス提督……紅茶が用意してありますから、こちらへどうぞ♪」

グレイ提督「ふふ、ありがとう…♪」

ヴァイス提督「はっ」

………









110 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/08(木) 01:43:08.20 ID:1/t9zx700
…午後…

提督「…ヴァイス提督」式典を終えると礼服を脱ぎ、ブラウスにスカートの軽い制服に着替えてきた提督は、食堂前の廊下でヴァイス提督を見つけて話しかけた…

ヴァイス提督「はい、カンピオーニ提督」

提督「あー…私の事は気軽にフランチェスカと呼んで下さって構いませんよ」

ヴァイス提督「いえ、たかが中佐が少将に向けて呼び捨てなどしたら規律が乱れてしまいますから。…それで、何かご用でしょうか?」

提督「ええ、ティルピッツの事で…多少顔色が悪そうでしたから、何でしたらお薬でも……?」

ヴァイス提督「…大丈夫です、お気になさらず。今正装を脱いでいる所ですから」

提督「そうですか?」

ヴァイス提督「ええ…彼女は北海での作戦行動が多かったので顔色が白く見えますが、いたって健康ですので」

提督「ならいいのですが…もし具合が悪いようでしたら遠慮せずに言ってくださいね?」

ヴァイス提督「はっ、感謝します」

提督「私は無帽なのですから敬礼は不要ですよ…ヴァイス提督♪」

ヴァイス提督「…失礼しました///」

…一方・ドイツ艦の客室…

ティルピッツ「…だいたい、イタ公の運転手は飛ばし過ぎだ……マセラッティだか何だか知らないがラリーみたいに…うぇぇ…」洗面台に屈みこみ、蒼白になっているティルピッツ…

ビスマルク「全く、車酔いとは情けない……それでもドイツ海軍の戦艦か?」コップに水を満たし洗面台に置くと、酔い止め薬を差しだすビスマルク…反対の手で背中をさすってやりながら、あきれたように首を振った…

ティルピッツ「仕方ないだろう…姉上もよくご存じのはずだ、私は身体が弱いんだ……うぇ…っ」

ビスマルク「だらしないな、ティルピッツ提督が泣くぞ?…ほら、飲め」

ティルピッツ「ごくっ…ごくっ……ダンケ(ありがと)、姉上」

ビスマルク「ビッテシェーン(どういたしまして)…さぁ、食堂のティータイムに顔を出さんと英国海軍の奴に気どられるぞ」

ティルピッツ「うん……ふぅ、少し元気になった」

ビスマルク「全く…世話の焼ける妹だ」

…同じ頃・食堂…

提督「グレイ提督は紅茶とコーヒー、どちらになさいますか?」

グレイ提督「わたくしは紅茶を…♪」かっちりした正装でなくても常に姿勢が正しく、生まれながらにして優雅なグレイ提督…隣には無言の威圧感がある戦艦「クィーン・エリザベス」と、端正でエルフのように美しい軽巡「エメラルド」が控えている…

提督「お二人は?」

クィーン・エリザベス「わたくしも紅茶をお願いいたします…♪」

エメラルド「私も同じく…」

提督「それじゃあ、ディアナ…お願いするわ♪」

ディアナ「承知いたしました…♪」しばらくしてティーセットがテーブルに並ぶ…提督はよくティータイムに見られる「銀の鳥かごのようなアレ」がティーセットを広げられない貧乏貴族の家で使われるものと知っていたので、わざとテーブルいっぱいにお菓子ときゅうりのサンドウィッチを並べさせた…

グレイ提督「まぁ…イタリアのお菓子は色鮮やかで綺麗ですこと。よかったら紅茶を頂いてもよろしいでしょうか?」

提督「ええ、ダージリンですが…お好きですか?」

グレイ提督「あら、わたくしの好みです……この香りはトワイニングですね?」

提督「ええ…フォートナム&メイソンは手に入らなかったので、我慢して頂けますか?」(※フォートナム&メイソン…高級紅茶ブランド)

グレイ提督「いえいえ、トワイニングは肩の凝らないお茶の時によく飲むので好きですよ♪」

提督「ならよかったです」提督はポットで淹れた紅茶を漉してティーサーバーに移すと改めてグレイ提督のカップに注ぎ、ほどのいい所でグレイ提督はミルクポットから常温のミルクを入れる…

クィーン・エリザベス「わたくしも紅茶は大好きです…それに何と可愛らしいお菓子たち……このエリザベス、視線が迷ってしまいます♪」

エメラルド「そうですね…でもやっぱりスコーンを……♪」









111 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/08(木) 02:28:34.60 ID:1/t9zx700
提督「それにしてもいい天気でよかったですね♪」

グレイ提督「ええ…出撃にうってつけの好天ですね」(※好天艦隊…大戦中の英首相チャーチルがイタリア艦隊を指して言った皮肉)

提督「…そうですね♪」

ライモン「…」

カヴール「…さぁ、お菓子はいかがですか?」

クィーン・エリザベス(エリザベス)「ええ、美味しゅうございますね…♪」

カヴール「あまり食べ過ぎて速度が落ちないようになさってくださいね♪」

(※クィーン・エリザベス級…25ノット。コンテ・ディ・カヴール級…公試速力27ノット)

提督「…こらこら、カヴール♪」

ライモン「…ふふっ♪」

ヴァイス提督「あー……カンピオーニ提督、このお菓子は何と言うお菓子ですか」

提督「それはカンノーロ(カンノーリ)です。筒状の生地を揚げて中にクリームを詰めたものですよ」

ヴァイス提督「なるほど…ところで、イタリア戦艦の測距儀についてですが……」

提督「ふふ、お茶の時間にですか…♪」

ヴァイス提督「あ…いえ、すみません///」

提督「いいんですよ、ヴァイス提督…階級はあんまり気になさらないでくつろいで下さい♪」

ヴァイス提督「はっ。お気遣い痛み入ります、そろそろビスマルクたちも来るころかと…」

ビスマルク「エントシュルディゲン(失礼)…着替えに少々手間取りまして」あまり軍服と変わらないようなダークグレイのブレザーとスラックス、ホワイトのシャツ、それにグレイグリーンのネクタイを締めている…

ティルピッツ「…申し訳ない」こちらはジャーマングレイのスラックスに淡い灰色のブレザー、白のシャツとペールブルーのネクタイで、まるで北海用の迷彩を選んだように見える…

グレイ提督「…なかなか渋いお召し物ね」

エリザベス「…」かすかに眉をひそめるグレイ提督と随伴の艦娘たち…

提督「えーと…二人は紅茶とコーヒー、どっちがいいかしら?」

ビスマルク「司令と同じものを」

ティルピッツ「姉上と同じものを」

提督「ふふっ…なら紅茶ね?」

………

…しばらくして・執務室…

提督「あー…肩が凝ったわ」肩を回し、げんなりしている…

ライモン「…わたしも疲れました、緊張した雰囲気でしたから……」

カヴール「ええ、それにイギリスの提督はなかなか皮肉がお上手で…♪」

提督「まぁまぁ、カヴールも一本取ったんだから…それにしても参ったわねぇ」

カヴール「絵に描いたような貴族のグレイ提督と「典型的ドイツ人」のヴァイス提督…ですか?」

提督「うーん…グレイ提督はさすがに「ホンモノ」の貴族だけあって上手く空気を和ませてくれるけど…クィーン・エリザベスがね……」

ライモン「もの凄い威圧感でしたね」

カヴール「それにドイツ艦の二人も…まるで棒を飲みこんだようでしたね」

ライモン「…あれでくつろげるものなんでしょうか?」

提督「ヴァイス提督もお話しのタネに困っているようだけど…まさかお茶の時間に『ガリレオ社製トリプル・ファインダー測距儀』の講義をさせられそうになるとは思っていなかったわ」

カヴール「夕食でワインが入って、少しは変わるといいのですが…」

提督「そうね…今夜はディアナに言ってうんと美味しいものを作ってもらうわ」

………
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 12:00:12.17 ID:xgbrKxhPo
ドイツいいね
113 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/10(土) 00:15:07.92 ID:7POlESz90
>>112 ダンケシェーン…ドイツ艦の方は知識が未熟なので資料を読み漁りつつ小ネタを収集しております。そのうちにヴァイス提督以下のエピソードもお送りする予定です


今後は一応「基地祭」でのネタと、その前後で提督×ドイツ組、あるいはイギリス組での百合を投下する予定ではいます、提督同士になるか提督×艦娘になるかはその時の勢いと気分ですが……それでは少々投下させていただきます
114 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/10(土) 01:25:51.10 ID:7POlESz90
…夕食前…

提督「手伝いに来たわ、ディアナ♪」…半袖のチュニックと適当なチノパンツ姿でやってきた提督は手を洗い、腕時計やアクセサリーを外すと白いエプロンをかけた

ディアナ「まぁ、提督…助かります」

提督「ふんふん…いい匂いね。今日の献立はなぁに?」

ディアナ「まずはパプリカとカリフラワーで色彩豊かな夏のマリネ…それとペンネ・アラビアータ、サーディンの重ねパン粉焼き……メインはローストした牛のあばら肉をトマトのスープと一緒に煮詰めたものと、魚介たっぷりのアクアパッツァ……ドルチェはティラミスかシャーベットを…いかがでしょう?」

提督「ふふ、とっても美味しそうね…特にサーディンのパン粉焼きはタラントの味だものね、私も手伝うわ♪」

ディアナ「よしなに…♪」


…重ね焼きは開いたサーディン(いわし)を深めの焼き皿に並べ、塩やオリーヴオイルをまぶしパン粉を振りかけ、その上にまたサーディン……と重ねて行き、刻みパセリや粗挽きの黒胡椒でアクセントをつけ、オーブンでこんがりと焼き上げるだけのシンプルな一品…臭みのない新鮮なサーディンがたくさん取れるタラント周辺で生み出された、飽きの来ないごちそうがパリパリといい具合に焼きあがっていく…


提督「んー…いい色♪」オーブンミトンをはめて焼き皿を取り出し、美味しそうな香気をいっぱいに吸い込む。それからおもむろに端っこの形が崩れた部分に指を伸ばす…

提督「ちょっと味見させてもらおうかしら……っ!」手を慌てて引っ込める提督

ディアナ「大丈夫ですか、提督っ?」

提督「ノン・ファ・ニエンテ(何でもないわ)、指先が少しだけ焼き皿に触っ……ディアナ?」

ディアナ「火傷するといけませんから…ん、ちゅぽっ…ちゅぅ///」

提督「それだったら冷水にさらすのが正解だと思うけれど…あ、でも気持ちいい……んっ///」ディアナのしっとりした舌が指先を優しく舐めてくれる…

ディアナ「…はい、わたくしの応急処置はお終いです……さぁ、後は冷水にどうぞ。手が冷たくなったら時々出していいですから、十分はそうしていて下さいませ」氷水を張ったボウルに手を優しく浸けてくれる…

提督「ありがとう、ディアナ///」


…夕食時…

提督「それでは改めて…ようこそ、タラント第六鎮守府へお越しくださいました」礼装ではないものの白の制服に身を包み、演説台で歓迎のスピーチをする提督…が、一部の艦娘たちはごちそうをにらみつつじりじりしていたり、それなりに長い各提督のあいさつに飽きてもぞもぞしている……

提督「…これで、歓迎晩餐会のあいさつを終わらせていただきます。どうぞグラスを持ってご起立ください」…ガヤガヤ

提督「では……この交流が素晴らしいものになりますよう、そして英海軍とドイツ海軍の旗が輝かしい戦果で飾られることを祈って…乾杯!」

一同「「乾杯!」」

提督「んくっ、こくんっ……ふぅ」爽やかな喉ごしのシャンパンを喉に流し込み、席に着く提督…向かいにはグレイ提督とヴァイス提督が制服姿で座っている……

グレイ提督「ふふ、素晴らしいあいさつでいらっしゃいましたね」

ヴァイス提督「見事なものでした」

提督「いえいえ…さ、アンティパスト(前菜)をどうぞ♪」マリネ以外にも生ハムとメロンの盛り合わせや、ピック(楊枝)で刺したオリーヴとチーズ、輪切りにしたナスの揚げ焼きなどがこぎれいに並んでいる…

グレイ提督「では失礼して…まぁ、美味しい♪」貴族らしく社交術に長け、場の空気を和ませるのも上手なグレイ提督はさっそく前菜を摘まんで、奥ゆかしい驚きの声を上げてみせる…

ヴァイス提督「あ、では私も同じものを…」一方、少将二人に挟まれてがちがちになっていたヴァイス提督はその声を聞いてようやく取り皿に前菜を載せ始めた…

提督「ふー…カヴール、私にもナスをもらえる?」

カヴール「はい♪」

…左右の横に座っているのは戦艦カヴールとフルット級潜水艦「フルット」で、カヴールはふわりと髪をカールさせ、ロココ調のような甘く優雅な桃色のドレスがおっとりした優雅な貴婦人のように見える。一方フルットはメリハリの効いた細身の身体にしっとりと張りついている淡いブルーグレイのドレスで、それがすっきりとした美しさを引き立てる…

ヴァイス提督「…」

グレイ提督「カンピオーニ提督、こちらも美味しいですね」

提督「それは何よりです…よかったらワインをどうぞ?」

グレイ提督「ええ、それではいただきましょう♪」

ヴァイス提督「…」

提督「ヴァイス提督は白の方がお好みですか?……リースリング種を使ったモーゼルですよ?」

ヴァイス提督「え、ええ…それでは白を」

提督「ふふ、分かりました♪」キュポン…ッ、とコルクを抜き、金色がかった綺麗なワインを静かに注ぐ…

ヴァイス提督「ダンケシェーン(ありがとうございます)」

提督「ビッテシェーン(どういたしまして)♪」

115 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/10(土) 02:17:38.47 ID:7POlESz90
…しばらくして…

提督「んー…美味しい♪」

グレイ提督「ええ、とても美味しゅうございますね……噂や冗談と言ったものにも、一抹の事実が含まれているのかもしれません」(※冗談の一つで「飯の美味い国は戦争が弱い」)

提督「ふふ、かもしれません…ですが、いくら戦いに勝っても食事が貧しいのでは何のための勝利か分かりませんね♪」

グレイ提督「ふふ、そうかもしれません…あ、でしたら腕のいい料理人を連れて来ればよいのですよ」

提督「なるほど……ところでイギリスにはインド料理店が多いそうですね♪」

グレイ提督「ええ。わたくしが思うに…イギリスは他国のいい所を取り入れて、自国の風土に合わせてアレンジするのが得意なのです♪」

提督「イギリス風になるわけですね?」

グレイ提督「ええ♪」

提督「…それであんなに……いえ、何でもありません♪」(…さすがに深海棲艦の作ったカレーを食べただけで「だからイギリスのカレーは不味いのですね♪」っていう訳にもいかないわね)

グレイ提督「ふふ…ところでヴァイス提督、ドイツの料理はどんなものがあるのですか?よかったらわたくしに教えて下さいな」

ヴァイス提督「ドイツ料理ですか……代表的なのは白ソーセージや「血のソーセージ」、ザワークラウトなどがありますが」

グレイ提督「まぁ、美味しそうですね…それで、それを「使った」どんなお料理がありますか?」

ヴァイス提督「え…あー、その…私はあまり料理が得意ではないもので……」グレイ提督が放つイギリス流の皮肉を浴び、答えに詰まる…

提督「まぁまぁ…ヴァイス提督、良かったらイタリアの味を試してみて下さい♪」たっぷりとペンネ・アラビアータをよそってあげる提督

ヴァイス提督「ど、どうもありがとうございます…美味しいです」

提督「あぁ、それはよかったです……お飲み物は?」

ヴァイス提督「いえ、ワインを頂いておりますので…こんなにいいワインを飲んだのは初めてかもしれません」

提督「よかったらビールも用意しておきましたが?」ちらりとビスマルクたちの方に視線を向ける…

ヴァイス提督「?」

…テーブルの中央部…

ビスマルク「あー…いい心持ちだ、やっぱり飲み物は泡を引くビールに限る!」中くらいのジョッキに注がれた「レーヴェンブロイ」をぐいぐいと傾ける…

ティルピッツ「ですね…んっ、んっ、んっ……ぷは…ぁ♪」

チェザーレ「おぉ、見事な飲みっぷりではないか♪」(…さすが未開の地ゲルマニアに住まう原始人たちだ、まともなワインも知らないのだろう♪)

ポーラ「よかったらぁ、もう一杯いかがですかぁ〜?」ポン♪…と瓶の王冠を抜いてジョッキに近づける…

ビスマルク「あー…気持ちは嬉しいがな、フロイライン(お嬢さん)…さすがにビールばかりがぶ飲みしていてはどうかと思われるので、もう結……」

ポーラ「えへへぇ…ポーラはぁ、練習して上手な泡を出せるようになったんですよぉ〜♪」

ビスマルク「たしかにきめ細やかな泡が実にいい……では、もう一杯だけもらおう!」

ティルピッツ「あ、姉上…」袖を軽く引っ張るティルピッツ…

ビスマルク「…なんだ!?……このビスマルクがビールの数杯で不覚を取るとでも思ったか?」

ティルピッツ「い、いえ…」

ビスマルク「ならよし…うぅむ、いい泡だ」



ヴァイス提督「…シャイス(くそっ)」

提督「何か?」

ヴァイス提督「いえ…では一杯だけもらいます」

提督「ええ、どうぞ♪…グレイ提督には「イギリスらしく」ギネスの黒がありますが、どうします?」(ふふ、もちろん「ギネス」はアイルランドよね♪)

グレイ提督「ふふふ、「ギネス」はアイルランドのビールですよ♪」(イングランドとアイルランドを一緒にするなんて、なかなか皮肉の効いた冗談がお好きなようね♪)

提督「あ、これは失礼しました…♪」

カヴール「まぁ…提督ったら♪」

フルット「ふふ…っ♪」


………
116 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/11(日) 02:35:52.67 ID:yDcvkucQ0
…しばらくして・提督寝室…

提督「はぁぁ…いい気持ちだったわ……」

…お風呂上がりの提督はパイル地のバスローブ一枚で椅子に腰掛け、脚をもう一脚の椅子に載せてくたっとしている。手元には小さい冷蔵庫に入っているミネラルウォーターのペットボトルがあり、思い出したようにそれをあおる……提督の足元にはやはりほかほかと湯気を残し、肌もほのかに桜色になったカヴールがいて、爪ヤスリで提督の爪を磨いている…

カヴール「…うふふっ♪」

提督「なぁに、その含み笑いは?」

カヴール「ふふ……これからもっと気持ちいい事をするのにそんなにだらけていられては、張り合いがありませんね♪」

提督「んー…私もさすがに疲れたし、今日はしないわよ?」

カヴール「これはまたご冗談を。提督がひと晩でも誰かの添い寝なしで寝られるとは思えません♪」

提督「失礼ね♪……まるで私をさかりのついた猫みたいに言って」そう言いながらカヴールに爪を磨いてもらっていると、ギャング映画のドンが床屋ときれいなブロンド女性に身だしなみの手入れをしてもらっている光景に似ていないこともない……と、そこに内線電話が「リリリン…ッ」と鳴った

提督「何かしら……はい、執務室」

ディアナ「もしもし、提督…申し訳ありませんが至急食堂までおいで願えますか……少々厄介な問題が起きておりまして」

提督「厄介な問題…?」

ディアナ「ええ…火元はドイツ、イギリスの艦娘たちなのですが、放っておくと「黒歴史」になりそうな勢いで……こればかりは提督のどなたかでないと収まらないかと」

提督「分かった、すぐ行くわ」

カヴール「…どうやらベッドに入るのはもう少し後になりそうですね。私も一緒に行きましょうか?」

提督「いいえ、大丈夫よ…もし眠くなったらベッドに入っていても構わないわ」

カヴール「はい…それでは提督のベッドを暖めておきます♪」

提督「はいはい♪」

…食堂…

提督「ディアナ、どうしたの?」厨房寄りのドアからさりげなく食堂に入って、心配顔のディアナに話を聞いた…

ディアナ「いえ、それが……わたくしにもどうにも止められそうにないのです…」

ビスマルク「……ほぅ、この「鉄血宰相」にかなうと思うのか…「フッド」の二の舞にしてくれん!」

エリザベス「このエリザベス、いささか荒事の心得もございます…遠慮はございません。どうか撃沈させるつもりでおいでくださいませ」

提督「あー…まるでノルウェー沖の海戦みたいね」

ディアナ「はい、しばらく前までは大人しく飲んでおられたようなのですが……」

…数十分前…

ビスマルク「重巡「ポーラ」……だったか、貴様はいい奴だな…そんな貴様のために一曲かけよう!」ビールとキルシュヴァッサーと白ワインですっかり出来上がったビスマルクがポーラの肩を抱き、酒臭い息で声を張りあげる…

ポーラ「わ、わぁ〜い…ポーラ、嬉しいです〜……」

ビスマルク「なに、イタリア海軍がやる気に欠けるからとて卑屈になることはない…よし、「ヴィールファーレン・ゲーゲン・エングランド」を頼む!」(※ヴィールファーレン・ゲーゲン・エングランド…軍歌「いざ英国に進撃せん!」)

フィウメ「いえ、その曲のレコードはさすがにここには……」

ビスマルク「ないのか…仕方ないな、なら伴奏なしでも歌うぞ……ティルピッツ、一緒に歌え!」

ティルピッツ「ヤヴォール!」

エリザベス「……何とも無粋な歌でございますね。不屈のジョンブル魂はドイツ軍の空襲でも…まして軍歌ごときでは揺るぎもしないことを証明いたしましょう」ちびちびとブランデーを傾けていたが、わずかに眉をひそめた…

エメラルド「では「ハート・オヴ・オーク」を?」

エリザベス「無論でございます…さぁ、エメラルドもご一緒に♪」

………

提督「で、今に至る…と」

ディアナ「はい…グレイ提督は先に部屋へお戻りになられ、ヴァイス提督もお部屋で今日の報告書を書き上げてから戻ると……」

提督「あー…ディアナ、一応二人の提督に再度連絡をお願い……その間にどうにか止めてみるから」

ディアナ「承知いたしました」

117 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/12(月) 01:04:25.42 ID:u1OXf+3y0
提督「とはいえ……」

ビスマルク「貴様…ぁ」ゴゴゴ…

エリザベス「…ペルソナカード…ドロー♪」ゴゴゴゴ…

提督「うかつに割って入ったら火傷じゃ済みそうにないわね……」

ザラ「提督、そんなこと言ってないでどうにか止めさせてよ…あそこにはポーラもいるのよ?」

ポーラ「…ひぃぃ」

提督「確かにテーブルの下で這いつくばっているわね……はぁ、あんまりやりたくはないけれど…仕方ないわ」

ザラ「何かいい案が?」

提督「ええ…ザラ、ちょっと私の寝室までひとっ走りして、「実家でもらった手土産の紙袋」をカヴールから受け取って来てもらえる?」

ザラ「紙袋?」

提督「ええ…英独の開戦を防ぐためだもの、こだわっているわけにもいかないわ」

ザラ「よく分からないけど…とりあえずカヴールから「実家の紙袋」をもらって来ればいいのね?」ぱっと廊下に飛び出していくザラ…

提督「ええ、よろしく……ディアナ」

ディアナ「はい」

提督「グレイ提督たちはつかまった?」

ディアナ「いいえ…ですから、わたくしが直接お部屋にお伺いしようと存じます」

提督「お願い。ぜひとも32ノットの高速を発揮して?」

ディアナ「よしなに…」

ザラ「…提督っ、戻りました!」

提督「早かったわね…それじゃあ私は廊下で「準備」しなくちゃいけないから、ザラは合図したら食堂の灯りを落とせるようにしておいて?」

ザラ「了解」

ビスマルク「…むむむ!」

エリザベス「ふっ」

アブルッツィ「今度の当番の分をビスマルクに♪」

エウジェニオ「そう…なら、私はエリザベスに賭けるわ♪」にらみ合いが続いているテーブルの中央と、その周辺から離れてざわめいている艦娘たち…と、急に電気が消えた

ビスマルク「なに、停電か?…もっとも、私には優秀なレーダーがあるが」

エリザベス「わたくしも多少ならお相手できますので、夜戦と致し……」

提督「ザラ、ルーチェ!(灯り!)」

ザラ「はいっ!」急に演説台の周りだけ明かりがともり、全員の視線がそちらに集中する

ミラベロ「…へぇ、やるじゃない♪」

バリラ(大型潜バリラ級)「まぁまぁ…提督ったらお母さんにそんな姿を見せちゃって♪」

ザラ「え!?…ちょっと、紙袋の中身って///」一段高くなっている箱状の演説台に立って、灯りに照らされている提督…

提督(バニーガール)「えー……せっかくなので余興として私が一曲歌いたいと思います///」むっちりしたふとももや丸っこい胸が今にもこぼれ落ちそうな網タイツと黒いハイレグのバニーガール姿で、少し恥ずかしげにヒップの食い込みを直そうとする提督……

リベッチオ「提督、可愛いよぉ!」

エウジェニオ「ふふ、ちょっと露骨なお誘いだけど……そう言うのも嫌いじゃないわ♪」

提督「///」

ビスマルク「な、何だ…!?」

エリザベス「まぁ///」

ティルピッツ「!?」

エメラルド「///」…と、そこに冷たい怒りの表情を浮かべて駆け込んでくるヴァイス提督

ヴァイス提督「ビスマルク!ティルピッツ!お前たちは一体どういう……か、カンピオーニ提督!?…その格好は///」

提督「あー…開戦を阻止しようと頑張っていたところです///」
118 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/12(月) 02:22:22.24 ID:u1OXf+3y0
…しばらくして・執務室…

ヴァイス提督「…お邪魔して早々に大変ご迷惑をおかけしました……お前たちも早く謝らないか」小声で叱り飛ばすヴァイス提督

ビスマルク「全く申し訳ない…我々姉妹がイギリス艦ごときの挑発にやすやすと乗ってしまい、大変ご迷惑をおかけした」

ティルピッツ「…いや、でも元はと言えば姉上が酔った勢いで「ヴィールファーレン・ゲーゲン・エングランド」をかけろなどと言わなければ……」

ビスマルク「…何か言ったか?」

ティルピッツ「いえ……とにかく申し訳ありませんでした、カンピオーニ提督」

提督「いいの、気にしないで…何はともあれ喧嘩になったり、怪我をしたりしないでよかったです」

ヴァイス提督「それについてはいくらお礼を述べても足りません……あんな格好までしていさかいを止めていただき、どう謝罪をすればいいか…」

提督「えーと、まぁ……とにかく全員無事で良かったですし、謝罪もこれで充分ですから…どうぞお休みになって下さい♪」(恥ずかしかったのは嘘じゃないにしても「あんな格好」って言われたわ…)

ヴァイス提督「はっ、それでは失礼いたします……二人とも、後で私の所に来るように」

ビスマルク「…ヤヴォール」

ティルピッツ「うぇぇ、どうして私まで…」

ヴァイス提督「…連帯責任と言う言葉を知らないか!……全く、お前たちは……」さっそく廊下でお説教が始まり、それがだんだん遠のいていく…

提督「ふぅ…」

カヴール「うふふっ、お疲れさまでした…それにしても提督の可愛いバニーガール姿を見損ねてしまうなんて、つくづく残念です♪」

提督「もう、止してよ…結構恥ずかしかったんだから」

カヴール「あら、私と裸でいるのは大丈夫なのにもかかわらず……ですか?」

提督「だって…あれは好きな人と一緒にいる訳だから///」

カヴール「あら♪」

提督「さぁ…グレイ提督も謝りに来て、ヴァイス提督も来たわけだから……寝る前にもう一度お風呂に入って来るわ」

カヴール「ふふ、嫌な汗をかきましたか?」

提督「まぁね…疲れたからお風呂で身体を伸ばすわ…」

カヴール「はい…ではバスローブを用意しておきます♪」

…大浴場…

提督「あー……」ちゃぽ…っ……

…時おり源泉の色が変化する不思議な温泉の湯は淡い緑白色に濁っている……浴室の工事中にいきなり現れて、工兵隊に素晴らしいインスピレーションと設計図を残していった謎の古代ローマ風の男「ルシウス」が残したアイデア通りローマ建築と異国風が上手く融合した大浴場は、丸天井のついたあずまや風の個室風呂だったり、冷水浴の浴槽だったり、はたまたアクセントの蘭や観葉植物の植え込みが湯気の中で煙っていたりする……鎮守府の艦娘たちも古代ローマの雰囲気に合わせようと、基本的に水着を着ないで入ることになっている……提督も今ではすっかり裸での入浴に慣れ、たわわな乳房にお湯を跳ねかけている…

提督「うぁー…」と、大浴場の湯気の向こうに誰かのシルエットが霞んで見える

提督「?」

ヴァイス提督の声「全く……ビールを飲みすぎて喧嘩騒ぎを起こすなど…ハンブルグやキールの連中じゃあるまいに…」

提督「…ヴァイス提督も大変ね」小声でつぶやくと、ぱちゃぱちゃとお湯をすくった

ヴァイス提督の声「…それにしても立派な浴室だ…うちの浴室の数十倍はある……イタリア海軍は肝心の装備よりもこう言うところにお金をかけると言うが…本当だな」

提督「…余計なお世話です」

ヴァイス提督の声「…それに裸で入るのが規則だとか……あの艦娘に教えてもらって間違わずに済んだのはいいが…どうにも恥ずかしいな…」

提督「誰かしら…」

ヴァイス提督の声「あの艦娘…「カイオ・デュイリオ」だったか……旧式のド級艦を改装した中型戦艦で、確か主砲は32センチ……6割も改装するぐらいなら、いっそ新型戦艦を作った方が効率的だと思うが…」

提督「…そう思う人は多いわね…でも当時のイタリアはお金やら資源やらで色々と事情がありまして……」

ヴァイス提督の声「…それにしても彼女は…なんであんな微笑を浮かべて私の裸をちらちら見ていたのだろう……そんなに私の身体はおかしいだろうか…?」

提督「もう…デュイリオったら……♪」

ヴァイス提督の声「……ふむ、別に胸や腹周りにも変なたるみや贅肉はないし……下の毛だってはしたなく見えないように整えてあるしな……」

提督「そうね…制服の上から見ても引き締まっていて、アスリートみたいな身体つきだったわね……」

ヴァイス提督の声「…そもそもここの提督や艦娘は、お互いに礼儀を欠いているように見えるほど親しげだが…やっぱりイタリア海軍はラテン民族なのだな……カンピオーニ少将もあいさつの時に頬にキスしてきて…儀礼にしてはずいぶん優しいキスだったが……ヴィルヘルムスハーフェンで私があんなことをしたら、頭がおかしくなったと思われかねないな……」

提督「…ふふ、冷たいけれどしっとりした肌だったわ……♪」

119 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/13(火) 00:41:39.74 ID:t7y+Cy3V0
………

…数日後・午前…

提督「さーてと、おかげで憲兵隊の特別監査も終わったことだし…もう心配なことは何もないわね♪」

ライモン「提督、数日後には年度初めの備品確認がありますが」

提督「あー…憲兵隊の次は主計部っていうわけね……はぁ、嫌になるわ」

ライモン「提督の着任前はそこまであれこれ買ってもらえなかったせいもあるでしょうが…そんなにですか?」

提督「ええ。憲兵隊もたいがいだけれど、何しろユーモアが通じないわ」

ライモン「そうですか…」

提督「ええ」

ライモン「なるほど…でも提督は書類をちゃんと片づけていますし、きっと大丈夫ですよ」

提督「ありがとう。でも考えると気が滅入るわ……楽しみにしていた百合漫画が急に終わってしまうくらいね」

ライモン「それほどですか…だいぶ重いですね」

提督「ええ……まぁいいわ、ちょっと運動がてらみんなの様子を見て回りましょう?」

ライモン「では、お供します」

…駆逐艦「ナヴィガトリ」(航海者)級の部屋…

提督「もしもし…入ってもいいかしら?」ノックをして声をかける

ニコロソ・ダ・レッコ(通称ニコ)「提督?…もちろんいいよ」

提督「ありがと、お邪魔するわね♪」

ニコ「あ、ライモンドも…どうぞ座って?お茶でも出そうか?」部屋の共有部分には相変わらず昔の地球儀や羅針盤、六分儀に真鍮の伸縮式望遠鏡が飾ってあり、ニコ自身も昔の航海者らしく見えるような三角帽子に燕尾のついた上着、白のぴっちりした半ズボンを着ている…

提督「いえいえ、ちょっと見に来ただけだから……何を読んでいたの?」

ニコ「うん、日本の漫画なんだけどね…「キソの旅」って」

提督「あぁ、タイトルだけなら百合姫提督から聞いたわ。…確かシニカルな軽巡「木曾」が日本の軍用オートバイ「陸王」に乗って、腰には「南部十四年式拳銃」と「ブローニング・M1910」を下げているって……」

ニコ「詳しいね、その通りだよ…ま、どうぞ♪」

提督「あら、ありがと♪」出された小さなパイをつまむ提督

アントニオ・ダ・ノリ「ニコ、誰か来てるの?……って、提督♪…よかったらお菓子でも食べる?」

提督「あらまぁ…ごちそうさま♪」中心にジャムのついた円盤状のクッキーをもらう提督…

ライモン「あの…あんまり提督に餌付けしないでもらえますか」

ニコ「…だそうだよ、提督♪」

提督「はーい…それじゃあまたね」

ダ・ノリ「いつでもどうぞ♪」

…廊下…

提督「今度はどこにしましょうか」

ライモン「そうですね…姉妹艦のいない重巡「ボルツァーノ」とか大型潜の「エットーレ・フィエラモスカ」あたりがよいのでは?」

提督「なるほど、いい考えね♪」

120 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/13(火) 01:31:42.97 ID:t7y+Cy3V0
…重巡「ボルツァーノ」の部屋…

提督「…いないみたいね?」

トリエステ(重巡トレント級)「提督、どうかしました?」

提督「あ、トリエステ…いえ、ちょっとぶらぶら歩きを兼ねてボルツァーノの所に来たのだけど……どうやらお留守みたいね?」

トリエステ「あぁ、そういうことでしたか…ボルツァーノならさっきザラ級の四人と一緒にお庭へ行きましたよ?」

提督「そう、ならいいわ……トリエステ、よかったら私たちとおしゃべりする?」

トリエステ「あー…ごめんなさい、提督。「それはぜひ」と言いたいのですが、ちょうどトレント姉さんと泳ぎに行くところなので……」

提督「あら…ならトレントと一緒の方がいいわ。二人で仲良くしていらっしゃい♪」

トリエステ「はい、それでは」

提督「チャオ♪」

ライモン「フィエラモスカさんも潜水艦たちに戦術の講義中…ボルツァーノもザラ級のみんなと一緒……他に姉妹のいない艦と言いますと…」

提督「そうねぇ…あ!」

ライモン「どうしました、急に大きい声を出して?」

提督「いえ、姉妹で思い出したけれど…リットリオに頼まれていたことを思い出したわ」

ライモン「あ、そういえば「妹が欲しいの♪」って言ってましたね」

提督「ええ、もう建造許可は下りているし……さ、リットリオの部屋に行きましょうか♪」

…戦艦「リットリオ」の部屋…

提督「…リットリオ、いるかしら?」

リットリオ「はぁい、どうぞ」

提督「失礼するわね…まぁ、可愛い♪」

…部屋に入ると、波打つ明るい茶色の髪をポニーテールに結い上げたリットリオが夏季休暇のお土産らしい服に袖を通していた……淡いグレイのブルゾンを羽織り、白い薄手のタートルネックと明るいイタリアンレッドのプリーツスカート…そして頭にはちょこんとパールグレイのベレー帽がのっている…

リットリオ「可愛いですか?」

提督「ええ、可愛いわ…そうね。ちょっとしたネックレスとハンドバッグでもあればぐっと大人の女性らしく見えるし、バスコ(ベレー帽)を麦わら帽子みたいなつば付きの物に替えればもっとチャーミングな感じになるわ♪」

リットリオ「わぁ、提督ったら洋服の事も詳しいんですね♪」

ライモン「それはもう…提督のお母様は服飾デザイナーですから」

提督「んー…と言うより、そう言う服を着たリットリオを想像したら可愛いな……って♪」

ライモン「あー…そっちですか」

リットリオ「ふふ、でも嬉しいですよ…ところで、何のご用ですか?」

提督「ええ…実は、あなたが私に頼んでいた「リットリオ級」の建造にそろそろとりかかろうと……って、んっ///」

リットリオ「提督っ、嬉しいですっ!……んー、むっ♪…むちゅぅぅっ♪」

提督「ちょっとちょっと…別にそんなにキスの嵐を浴びせなくても……んぅぅ♪」

リットリオ「だって、やっと私にも妹たちがやって来るんですもの…嬉しいに決まってます♪」そう言いながら提督のヒップに手を伸ばし、もちもちしたお尻の肉を優しくこねるようにつかむ…

提督「だからってそんなに……あんっ、もうっ♪」まんざらでもない様子でリットリオを見つめる…

リットリオ「…提督、まだお昼前だけど……嬉しい気持ちが一杯なので愛し合いたいです///」

ライモン「こほん…リットリオさん」

リットリオ「あっ…ごめんね、ライモンド♪」

ライモン「とにかく、建造するにしても日にちを考えませんと…でしょう?」

提督「それもそうね……えーと、リットリオ。とりあえず建造に取りかかるのは数日後になると思うから、その時はお手伝いをよろしくね?」

リットリオ「はいっ♪」
121 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/13(火) 01:37:25.07 ID:t7y+Cy3V0
…えー、という訳で次回の投下でリットリオ級二番艦「ヴィットリオ・ヴェネト」と三番艦「ローマ」を建造する予定です……のびのびにしていて申し訳なかったですが、ようやくですね……次回は数日後になってしまうかもしれませんが、コツコツ投下していきます…


…他に「基地祭」での小ネタ少々に追加して「提督の百合談義」、それと外国提督たちとの交流ネタは多少思いついています
122 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/16(金) 00:57:25.78 ID:yMMbjakS0
…数日後…

リットリオ「それじゃあ、頑張りましょう♪」

提督「ええ」…手元にはリットリオお手製の「ヴィットリオ・ヴェネトおよびローマ建造の手引きマニュアル」が握られている

ライモン「何と言うか…ここまで準備が必要とは思いませんでした」

提督「そうね、必要な書類を読んでいるとこの前の作戦を思い出すわ」

ライモン「ヴィットリオ・ヴェネト(Vittorio Veneto)作戦……『V・V作戦』では長いですし、『V作戦』と言ったところですね」

提督「なんだか聞いたことのあるフレーズだけど…まぁ良いわ、とにかくヴィットリオ・ヴェネトとローマの建造を準備しましょう」

リットリオ「おー♪」

………

提督「むぅ…まずはイオニア海・軍管区への理由説明ね……まぁ、どうにか思いついてみましょう」

リットリオ「うーん…」

ドリア「失礼します。提督、良かったら一緒にお茶でもいかがですか♪」

提督「ありがとう、でも今はいいわ…申請書類を書かないといけないから」

ドリア「そうですか……それではまた後で♪」

提督「ええ。……そうねぇ、『カヴール級およびデュイリオ級では火力・防御面において深海側の戦艦群に対しいささかの不満なしとせず…また、リットリオ単艦では運用上、艦隊の編制はなはだ難しく……』とでも書きましょうか」

リットリオ「なるほど、お上手ですね♪」

提督「まぁね。少尉になりたての頃から需品の申請なんかでよく代筆したものよ…さてと、次に……」

………

提督「あー…今度は主計部に申請書を出さないと……ふぅ」

リットリオ「…軽く数十枚はありますね……さすがに疲れました?」

提督「大丈夫よ、日課の書類はカヴールとライモンに任せてあるし…それにリットリオの可愛い妹たちのためだもの♪」ちゅ…♪

リットリオ「提督…っ♪」

提督「ふふ、いいのよ♪」

ドリア「……あの、提督…よかったら午後のお茶でも……提督のお好きなお菓子を用意しておきましたよ?」

提督「あら、わざわざ気を使ってくれてありがとう…でも今日はいいわ、この申請書類を片づけないといけないの……ごめんなさいね」

ドリア「いえ…いいんですよ、でしたらお菓子だけお届けしますから」

提督「ふふ…ありがと♪」

………

ヴァイス提督「…という訳で、この時に「アトミラル・ヒッパー」「リュッツォウ」以下の戦隊が敵艦に対し果敢に攻撃を敢行していれば、間違いなく『JW51B』船団は壊滅していたはずです」

提督「それはあくまでも後知恵に過ぎないと思います……何しろクーメッツ提督とシュタンゲ大佐は「どのような形であれ艦の損害を避けよ」と厳命され、「同等の戦力であっても慎重に作戦すべし」と指示されていたのですから」

グレイ提督「対し我が方のシャーブルック大佐…彼が負傷してからも直接護衛の駆逐隊は「見敵必戦」で戦闘を行うよう意識づけされており、またノルウェーで長らく停泊していたドイツ艦と違い、常に戦闘行動を行い自信をつけておりました…特に「オンスロウ」「オーウェル」の擬似魚雷攻撃はそれだけでドイツ艦の動きをすくませておりますね」

提督「いずれにせよ、英駆逐艦の積極的な行動はドイツ側に疑念を抱かせ、結局は反転する結果をもたらしたと言えるでしょうね……以上でよろしいですか?」

ヴァイス提督「ええ…しかしどうも、イギリス海軍は強力な敵と分かっていても戦闘をあきらめない傾向があるようですが……理論的には12.7センチ砲の駆逐艦は20.3センチ砲の重巡には勝てないはずです」

グレイ提督「きっと…そちらがそう思っている所に駆逐艦が攻撃を敢行するから、面食らってしまうのでしょうね」

ヴァイス提督「なるほど……これもまたよく練られた心理的な戦術なのですね」

提督「と言うより、イギリス人のやせ我慢…あるいはこれが『ジョンブル魂』なのでしょうね♪」

ドリア「…提督、お疲れさまでした。よかったら夕食の席をご一緒して……」

ヴァイス提督「失礼…カンピオーニ提督。提督は先ほど「ヒッパー」の動きについて興味深い事をおっしゃっておりましたが……」

提督「あぁ、それは…ゴメンなさい、ドリア」

ドリア「……ええ」

………
123 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/16(金) 01:52:52.86 ID:yMMbjakS0
…工作室…

提督「それでは…カンムスカード……ドロー!」…青いラピスラズリのような光が辺りを照らし、提督はずっしりした図鑑のような「艦娘全書」を左手に持ったまま、右手で投げ上げた白紙のカードを受け止める

グレイ提督「イタリア海軍はその青いタロットのようなカードで建造できる艦や装備が分かるのですか…面白い仕組みですね」

ヴァイス提督「我が方は機械的に生成される艦種や装備が各鎮守府の戦力や方向性に基づいて配布されますから…なかなか斬新ですね」

リットリオ「どうですかっ、提督♪」

提督「だめ…37ミリ・ブレダ対空機銃」

リットリオ「がんばって下さい、リットリオも応援してますから♪」

提督「ええ…ドロー!」

リットリオ「どれどれ…むぅ、20ミリブレダ連装機銃ですね」

提督「大丈夫、頑張ってみるわ」

リットリオ「はいっ♪」

提督「ドロー…!」

ライモン「あの、提督…」

提督「なぁに、ライモン…急ぎの用かしら?」

ライモン「急ぎ…ではないですが」

提督「んー、それだったらお昼の後でいいかしら?……もうちょっとでヴィットリオ・ヴェネトが出そうな気がするの♪」

ライモン「…そうですか」

提督「ごめんなさいね、この数日ヴィットリオの建造にかかりきりで」

ライモン「いえ、わたしは平気ですから」

提督「そうなの?…ん、今「わたしは」……って言った?」

ライモン「え、ええ」

提督「って言うことは、「わたし」以外で平気じゃない人がいるのね?」

ライモン「平気ではない…と言いますか、このところ提督がご一緒してくれなくて「さみしい」と言っている方が数名……」

提督「言われてみれば…リットリオと建造の準備、グレイ提督たちと有名な海戦の図上演習と戦術論…それに書類の片づけ……食事時以外はあんまりみんなとお話してなかったわね」

ライモン「はい、忙しいのですから仕方ないですが…」

グレイ提督「…カンピオーニ提督、よかったらお茶にしましょう?」

提督「…そうですね。では建造の様子は、また後でお見せします」

グレイ提督「ええ、ぜひそうなさってくださいな」

提督「それじゃあライモン…行きましょう」

ライモン「はい…っ♪」提督の差しだした腕に自分の腕を絡めて寄り添うライモン…反対側にはリットリオが同じようにくっ付いている……

………
124 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/16(金) 02:38:50.02 ID:yMMbjakS0
…執務室…

提督「…それじゃあお茶の時間にふさわしく、少し軽い格好に着替えるわ」

ライモン「はい、でしたら先にお茶の用意をしてきます」

リットリオ「私は提督のお側にいたいです…いいですか?」

提督「ふふ、いいわよ…まったく、リットリオったら立派な戦艦なのに甘えん坊さん…ね……」ドアを開けて固まった提督…

ドリア「あら、提督……今日もリットリオと一緒なんですね。まぁ私のようなおばあさんとちがって可愛いですものねぇ♪」にっこりと笑みを浮かべるドリア…が、その表情は強ばっている……

ポーラ「えへへぇ…提督のベッド、いい匂いがしますねぇ…ん、んっ♪」…くちゅくちゅっ♪

ジョスエ・カルドゥッチ(オリアーニ級駆逐艦)「んはぁ…すぅ……はぁ……提督、提督っ……///」

…開いている寝室へのドアからは、クローゼットの下の引き出しに顔を埋めてランジェリーにまみれているカルドゥッチが見え、ベッドで喘ぎ声をあげているポーラの嬌声も聞こえる…

提督「あー…」(これはアレね…一つでも間違ったら間違いなく刺されるわ……)

リットリオ「ひっ…!」

ドリア「どうしました、リットリオ…別に怖がることなんてないじゃありませんか、私みたいな「おばあさん」なら簡単に沈められますもの……ね、そうでしょう♪」

提督「ち、ちょっと…ドリア」

ドリア「はい、何でしょうか……提督♪」

提督「あ、あー…リットリオ、ちょっと外してもらえる?」

リットリオ「は、はいっ……!」

提督「…これでよし、と」ポーラたちはそのままに寝室のドアを閉めた

ドリア「…提督、別に構いませんよ……私の用事なんてリットリオのお願いに比べたら大したことなんてないですものね♪」

提督「もう…ドリアったら」…ぎゅっ♪

ドリア「ふふ、リットリオの張りのある肌に比べたら……わたしの身体なんて樽みたいなものでしょう?」

提督「もう…ドリアったら何を勘違いしているの?」

ドリア「…あら、この期に及んで言い訳ですか」

提督「あのね……このところリットリオとばかりいて、ドリアのお誘いを断って来ちゃったわよね?」

ドリア「ええ…別に構いませんよ……リットリオの方が若くて可愛いですからね」

提督「ふふ、すねないの……あのね、そうでもしないと見境が無くなりそうだったんだもの……///」

ドリア「…」

提督「だって……グレイ提督とヴァイス提督が来ている手前、あんまりドリアとえっちしてる訳にも行かないじゃない?」

ドリア「そうですか…でも、リットリオとならいいんですか?」

提督「ふふ…リットリオは超ド級艦だけあって、あの色欲でしょう?…放っておいたら発情して何をしでかすか分からないわ。だから手元において手綱を取っていたわけ♪」

ドリア「でも…私だって提督と……///」

提督「分かってます。我慢させちゃったのは悪かったわ……でも、ドリアは大人の女性だし、デュイリオもいるからどうにかしてくれると思っちゃったの…寂しくさせてごめんなさいね?」

ドリア「提督……提督っ!」

提督「きゃあっ///」

ドリア「もう、寂しかったんですからね…っ!」んちゅっ、ちゅむ、ちゅぅぅっ……ちゅぷっ♪

提督「んぅ、んっ…ん……ドリア…私も……我慢できないの///」

ドリア「ふふ…それじゃあ「年増の魅力」をうんと教え込んで差し上げます♪」ぬちっ…ぐちゅぐちゅっ!

提督「あっ、ふあぁぁっ……あ゛っ、んあぁぁぁっ♪」ドリアに抱き上げられ、多少乱暴に指をねじ込まれる…柔らかなドリアのもち肌にしがみつき、口を開けて喘ぐ…

ドリア「……しばらく放してあげませんから♪」

提督「…あ゛ぁ゛ぁぁっ、いいっ…んぁぁっ、あふっ……ひぐっぅぅっ♪」ぐちゅぐちゅっ、とろっ…にちゅっ♪

………
125 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/19(月) 00:56:12.35 ID:VUHSzbKi0
…翌朝・食堂…

グレイ提督「モーニン。アドミラル・カンピオーニ……ご機嫌はいかがですか?」

提督「……どうにか生きています」どこか嬉しげながらもすっかり疲れた顔で、よたよたと朝食の席にやってきた提督

グレイ提督「ふふ、面白いお返事ですこと…よろしければ隣でご一緒なさいませんか?」

提督「え、ええ……あいたた…」

グレイ提督「…どうかなさいましたの?」

提督「えぇ、少し腰が…」そーっとテーブルにお盆を置き、牛乳を飲み干す提督…と、機嫌の良さそうなドリアを始め数人が何くれとなく世話をしてくれる……

グレイ提督「あらあら…カンピオーニ提督は艦娘たちに慕われておりますのね?」

エリザベス「仲がよろしいようで何より…でございます」

エメラルド「そうですね……それにしてもずいぶん親しげで…もしや……?」

グレイ提督「…ふむ」

提督「あ、あー……そう言えば、今日こそはリットリオ級戦艦の建造をお見せしますよ」

グレイ提督「ふふ、それは楽しみです…あの古い電話ボックスのようなお洒落な機械が動くのですね?」

提督「ええ、そうです」結局一睡もさせてもらえなかった前夜の猛烈な「夜戦」のせいで、お腹が背中にくっつきそうなほど空腹な提督…


…朝食は生クリームとチーズのリゾット、中にマッシュルームが混ぜ込んであるふわっとした卵二つ分のオムレツに、昨夜の残りのチキンが化けた美味しい冷肉……鶏モモ肉のローストを裂いて、そこに粗挽きの黒胡椒とバジルを散らしたもの……それを取ってもらうと、丸パンと一緒に食べ始めた…


グレイ提督「ふふ、朝からたくさん召し上がって……見ていて微笑ましいですね」…グレイ提督が「労働者階級は朝からうんと食べ、貴族や有閑階級は朝をほとんど食べない」ことをさりげなくあてこすってくる……

提督「ええ、何しろイタリアの朝食は美味しいですから…もっとも、「朝食だけ」ではなく昼も夜も美味しいですが♪」提督もサマセット・モームの言った「イギリスで美味い物を食いたかったら朝食を一日三回食べろ」を引用してやんわりとやり返す……と、テーブルの一角にきっちりと座っているヴァイス提督とドイツ艦たちに目が行った…

ビスマルク「…イタリア人と言うのはいつも祭日のような食べ物を食べているのだな…むしゃむしゃ……しかしだ…ドイツの食事だって美味いから、そこまで気を引かれるわけではないが……作ってもらっている以上、義務として味は見ておかないといかん……むしゃむしゃ…」

ティルピッツ「…これも美味しい……姉上、よかったらこれもどうぞ」

ヴァイス提督「…えーい、全く揃いもそろって食い意地ばかり……」

ディアナ「ビスマルク、イタリアの食事はいかがですか?」

ビスマルク「ふむ…何とも豪華で美味な食事である、このビスマルクが褒めてつかわそう」

ディアナ「ふふ…よしなに♪」

提督「あー…ヴァイス提督、食事の方が済みましたら今日こそ建造に取りかかりますので」

ヴァイス提督「ヤヴォール……おい、いい加減にしないか…」

ビスマルク「待て、戦闘前には腹に燃料を詰め込んでおかなくてはならん」

グレイ提督「ふふ…わたくしは待っておりますから、『以前食べられなかった分』もいっぱいお食べになって?」(※ビスマルクは派遣されたタンカーと合流する前に撃沈された)

提督「あー…ヴァイス提督。こちらもゆっくり準備をしますから、もうしばらくたったら工作室に来てください」

ヴァイス提督「失礼ながらカンピオーニ提督…もうしばらくとは何時ごろでしょうか、指定をお願います」

提督「えっ?……えーと、それでは0930時頃にお願いします」

ヴァイス提督「ヤヴォール。……二人とも、もういいだろう。これから支度に二十五分はかかるのだ…あと五分で朝食を終えろ」

ビスマルク「む、仕方ない…ティルピッツ、切りあげろ」

ティルピッツ「ですがまだ朝の甘い物を……」

ヴァイス提督「…部屋にバウムクーヘンがあるからそれですませておけ……残り三分だぞ」

ティルピッツ「…ヤヴォール」

提督「…」
126 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/19(月) 01:50:29.28 ID:VUHSzbKi0
…しばらくして・工作室…

提督「…で、後はこのレバーを引けば建造が開始されるわけです」…相変わらず「ド○ター・フー」に出てくる電話ボックスとお洒落なクローゼットのあいのこ……のようなデザインをした建造装置の前に立ち、説明を終えた

グレイ提督「なるほど」

ヴァイス提督「ふむ、そう言う仕組みなのですか」

提督「ええ…では実際にお見せしましょう。リットリオ?」

リットリオ「はいっ♪」提督がレバーに置いた手の上に指を重ね、横目で愛おしむように提督を見た…

提督「では、建造を開始します」レバーを引き、周囲に低い機械音が響き始めた…

………



提督「さてと…あのカウンターがゼロになったら建造が完了します」

グレイ提督「ふふ、それにしてもお茶の時間を挟んだ上でまだかかるとは思いませんでした……さすがに戦艦ともなると時間がかかるのですね♪」さりげない口調ながら、それも「イタリアの造船所は能力が低いから」という意味での皮肉であることにピンと来た

提督「その分斬新なアイデアと進取の姿勢は持ち合わせておりますから♪」

グレイ提督「ふふ、言われてみれば……ド級艦のアイデアも、もともとそちらの物でしたものね」

ヴァイス提督「性能のバランスが取れていて、短距離の作戦では優秀な性能を発揮しうると思います」

提督「そうですね……さぁ、出てきますよ♪」

リットリオ「やっと二人に会えます……もう嬉しくてたまりません…っ♪」

…建造装置の上についているカウントダウンのタイマーがゼロになると、相変わらず目を開けていられないような瑠璃色、あるいは群青色の強烈な光が目を眩ませ、同時に建造装置のドアが中から開かれた…

明るい茶髪の艦娘「…」

栗色の髪と眼鏡の艦娘「…」

…リットリオ級の二人は長身で、メリハリの効いた身体は張りがあり、胸を強調するような淡いグレイのブラウスに黒のコルセット、折れ線の幾何学迷彩を意識した淡いグレイと濃いグレイのプリーツスカート、それと艦首を1.7メートル延長したことがあるせいか、黒いエナメルハイヒールを履いている…片方は髪を三色旗のリボンでアップに結い上げ明るい笑みを浮かべていて、もう片方は栗色の髪で眼鏡をかけ、なぜか多少不機嫌そうに目を細めている…

提督「初めまして、お二人とも…ようこそ♪」

茶髪の艦娘「ボンジョルノ……えーと…?」

提督「タラント第六鎮守府司令官のフランチェスカ・カンピオーニ少将です…よろしく♪」挨拶として左右の頬にキスをし、リットリオと同じような甘い匂いと張りのある肌を楽しむ提督…

茶髪の艦娘「それでは私も…リットリオ級戦艦二番艦、「ヴィットリオ・ヴェネト」です。活躍させてくれると嬉しいです♪」

眼鏡の艦娘「同じくリットリオ級三番艦。戦艦「ローマ」です。好きなものは『永遠の都』ローマに関わること全般、嫌いなものは航空攻撃と誘導爆弾です……よろしくお願いします、提督」

提督「ええ、よろしくね…あの、ローマ?」

ローマ「何ですか?」

提督「私が何かしたかしら?」

ローマ「いいえ、別に…いったいどうしてです?」

提督「だって……なんだか不機嫌そう」

ローマ「いえ、むしろ上機嫌ですよ……ただ、眼鏡の度が強くて…」

提督「あらあら……そのうちに直してもらいましょうね♪」

ローマ「そうして頂けると助かります」

ヴィットリオ・ヴェネト「それで、提督さんは……きゃあ!?」

リットリオ「んー、ちゅうぅっ!……よく来てくれましたねぇ、お姉ちゃんですよっ♪…覚えてます?」

ヴェネト「わ、分かってます、分かってます!……リットリオ姉さまでしょう?」

リットリオ「そうですよっ…わぁぁ、懐かしいですねぇ……はい、ローマも……んーっ♪」

ローマ「…ん、んんっ!……も、もう…リットリオ姉様は愛情表現が過激すぎです、もっとこういう物は時間をかけて…///」

リットリオ「そうかしら、いつも提督にしているのにくらべたらこんなの……あっ」

ヴァイス提督「…な、何!?」

グレイ提督「…なるほど、それで納得がいきましたわ」

提督「あー…」

127 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/20(火) 11:37:25.08 ID:RK1r9fFE0
…しばらくして…

グレイ提督「…なるほど、それで納得がいきましたわ」優雅にティーカップのダージリンをすすりつつ眉を上げて見せた

ヴァイス提督「まぁ…その……とにかく、カンピオーニ提督が鎮守府の指揮を見事にこなしていることは間違いありません」

提督「…ヴァイス提督」

ヴァイス提督「は、はっ!……何でしょうか」

提督「あー…そこまで態度がぎこちないと、さすがに私も悲しくなります」

ヴァイス提督「も、申し訳ありません…」そう言ってちらりと提督の奥に目をやる…

リットリオ「はい、あーんっ♪」

ローマ「別にあーんしてもらわなくても食べられます……あーん///」

リットリオ「ふふっ、じゃあ今度はヴェネトね…「あーん」して?」

ヴェネト「あーんっ♪」

リットリオ「えへへっ…美味しい?」

ヴェネト「ええ、とっても♪」

ヴァイス提督「…」

提督「…可愛いですよね、リットリオたちは♪」

ヴァイス提督「いえ、そのっ!……別に私はそう言う目で見ていたのではなく…カンピオーニ提督から「そう言う関係である」と教えて頂いてから改めて観察すると……」

ザラ「…もう、口の端にクリームが付いてるわよ♪」

ポーラ「じゃあとってください、姉さま♪」

ザラ「はいはい…♪」ぺろっ♪

ポーラ「あんっ、もうザラ姉さまったら…///」

グレイ提督「確かに……皆さんずいぶんと親しげな感じがしておりましたが、これもまた「イタリアらしさ」なのかと思っておりましたわ」

提督「いえ…ここが特別に「仲良し」なだけで、中にはお互いに素っ気ない鎮守府もあると聞いております」

グレイ提督「なるほど…ところでカンピオーニ提督」

提督「はい、何でしょう?」

グレイ提督「よかったらわたくしに「百合」について教えて下さらない?」

ヴァイス提督「!?」

提督「別に構いませんが…グレイ提督にその趣味はないのでしょう?」

グレイ提督「ええ、今まで特に感じたことはありませんわ……ですが、イギリス海軍内にも様々な趣味の提督たちがおりますし、予習しておくのはいいことですから」

ヴァイス提督「…で、でしたら私も……」

提督「嫌なら別にいいんですよ、ヴァイス提督?」

ヴァイス提督「いえ、とんでもない…ただ、カンピオーニ提督からそれを聞いて、どうお付き合いすればよいのか少し……」

提督「別に、今までと変わりなく話しかけてもらってかまいませんよ……いきなり取って食べたりするわけじゃありませんもの♪」いたずらっぽいチャーミングな笑みを浮かべると、指先ですっと頬を撫で上げる…

ヴァイス提督「…り、了解」

チコーニャ(ガッビアーノ級コルヴェット)「…はい、あーんしてください♪」赤ん坊を連れてくるという「コウノトリ」だけあって、いつも何かしらのお菓子や食べ物を持っているチコーニャ…

ガッビアーノ「むぐむぐ……とても美味しいよ、もう一口欲しいな」澄んだ黄色の目をしたガッビアーノは「カモメ」らしくぼーっと海を眺めていたり、寂しげに漂っているような様子に見えるが、実は食い意地が張っていて何でもよく食べる……

チコーニャ「はい、どうぞ……あんっ、指まで食べちゃだめですよぅ♪」

ガッビアーノ「ふふ、美味しそうなものだから…つい♪」

チコーニャ「もう…お姉ちゃんたらぁ♪」ちゅ…っ♪

ヴァイス提督「…あんな小さな娘なのに、大胆というか…私だってあんな真似はしたことがないぞ……」

ビスマルク「…全く、度し難いな」

ティルピッツ「……私も姉上とあんな風に……いやいや、私は何を考えているんだ///」

128 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/21(水) 00:59:43.83 ID:3rhe7pTR0
…しばらくして・会議室…

提督「さてと…まずはどれから始めましょうか」

ライモン「うーん…これなんかどうですか?」図書室や提督の寝室から十数冊ばかり漫画を持ってきてくれたライモン…

提督「なるほど。「あの子にキスと不知火を」ね?」

エウジェニオ「そう?…私としてはやっぱりこっちの方がいいと思うけど♪」エウジェニオはとある「いちごパニック」な漫画を取り上げる…

グレイ提督「なるほど、結構こうした分類の漫画や小説も多いのですね」パラパラとページをめくりながら、感心したように百合本の山を眺める

エリザベス「何とも……興味深いものでございます」

エメラルド「…で、でもこんな風にキスしたりするなんて……///」

提督「まぁまぁ、「桜に錨Trick」はキスシーンが多めだから…でも絵柄は可愛い感じだし、入門にちょうどいいでしょう?」

ビスマルク「こ、これが入門なのか…!?」

ティルピッツ「…う、うわぁ///」

提督「ふふ、好きなのを選んでね?…もし必要なら訳して読んであげるわ♪」

デュイリオ「あらあら、ビスマルクにティルピッツ……貴女たちにはまだ早いかしら♪」

エリザベス「何しろ二人ともお若くていらっしゃるものね…♪」

ビスマルク「む……このビスマルクが何かで遅れを取ることなどあり得ん。ましてや漫画ごときではな!」

デュイリオ「…でしたら一緒に読みましょうか♪」

ビスマルク「あぁ、ぜひそうさせてもらう!」

提督「…それではヴァイス提督、私と一緒に読みませんか?」

ヴァイス提督「え、ええ…漫画など読むのは子供のころ以来ですが……ドイツの物に比べてカラフルで綺麗ですね」

提督「そうですね、ここにあるのはだいたい日本の漫画ですし♪」ヴァイス提督の横に座ると肩を寄せ、ぱらりとページをめくった…

ヴァイス提督「///」

…しばらくして…

提督「いかがでした?」

ヴァイス提督「…あー…その……何と言いますか///」

グレイ提督「ふふ、なかなか面白かったですわ」

エリザベス「わたくしもこの胸の内にあふれる好奇心をくすぐられましてございます…♪」

エメラルド「…はぁぁ、世の中にはこんな世界があるのですか///」

デュイリオ「ふふ、面白かったでしょう?」

ビスマルク「し…しかしどうして女同士で……その…ベッドを共にするのだ……///」

デュイリオ「ふふ、それが愛というものです…理屈なんてないのですよ♪」

ティルピッツ「うぁぁ…なんだか恥ずかしくて、姉上を直視できない…っ///」

提督「あらまぁ…良かったらアニメもあるけれど、見る?」

ビスマルク「いや、もう結構だ…!」

ティルピッツ「……わ、私はもう少しだけ見ていきます…その、せっかく用意して下さったのですから///」

提督「じゃあこの席の方がよく見えるわ…さ、どうぞ♪」

ティルピッツ「…ダンケシェーン」

エウジェニオ「ふふふっ…隣、失礼するわね?」

ティルピッツ「…あっ、あぅ……///」

ヴァイス提督「わ、私も一応見ていく…その、途中で退席するのも規則に反しているような気がするので……」

ビスマルク「規則か……なら私もとどまるぞ、最後の一発まで忠誠は失わぬ…!」

提督「ふふ、どうぞごゆっくり♪」
129 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/21(水) 01:55:03.32 ID:3rhe7pTR0
………

…数時間後…

提督「…いかがでした?」

グレイ提督「ええ、なかなか面白かったですわ……なんと申しましょうか…これからは愛情に近い感情を持って、より一層わが艦隊の娘たちに思いやりを持ってあげられそうですわ」

提督「それはよかったです♪…ヴァイス提督、どうしました?」

ヴァイス提督「いえ、何でもありません……うぅ、顔が熱い///」

エウジェニオ「あらあら…いつもは厳格なドイツの海軍将校が真っ赤になって……可愛いわね♪」

デュイリオ「ふふ、それを言ったらビスマルクも顔を赤くして…うふふっ♪」

ビスマルク「し、しかし……むしろあんなのを見て平然としている貴様の方がどうかしているのではないか!?」

デュイリオ「まぁまぁ、ずいぶんと怖い表情ですこと…♪」

ビスマルク「お、おのれ…イタリアの年増女がこの『鉄血宰相』ビスマルクを愚弄するとは……!」

デュイリオ「あらあら…可愛いちっちゃなビスマルクが何か言ってますね……そう言えばビスマルク」

ビスマルク「何だ!?」

デュイリオ「実を言うと私、年下の娘が好きなのですが……ビスマルクは顔が整っていますし、身体も引き締まっていて……うふふっ♪」

ビスマルク「!?」

ティルピッツ「待て、姉上は私の物だ!」

ビスマルク「……ティルピッツ、今何と言った?」

ティルピッツ「あっ…いや、それは同型艦、あるいは姉妹としてと言う意味で……///」

エウジェニオ「ふぅん…仲睦まじいのはいいことよね♪」

提督「エウジェニオのそれはちょっとオーバーだけれど…ね♪」

グレイ提督「まぁ……百合は姉妹であっても成り立つのですか」

提督「ええ、むしろお互いの事を知り尽くしている姉妹だからこそ…だと思います」

グレイ提督「だんだんと話が難しくなってきましたが…つまり百合と言うのは姉妹・母娘・友人・上司と部下・その他もろもろ……いずれにおいても成り立つと?」

提督「ええ、もちろんです」

グレイ提督「…そうですか……ところで」

提督「何でしょう?」

グレイ提督「もしぶしつけな質問でしたら許して下さいね……このイラストですが…」

提督「二人がキスをしているところを見られている…これですか」

グレイ提督「ええ……それで、この二人は誰を見て驚いているのですか?」

提督「んー…それはきっと二人のお姉さんかもしれませんし、あるいは母親…背景は礼拝堂みたいですし、もしかしたら修道女かもしれません……それを想像するのも楽しみの一つでしょうね♪」

グレイ提督「なるほど…」

ヴァイス提督「…ど、どうすればいいのだ……あれだけ色々見せられた後だと、全員の仕草一つひとつが意味ありげに見えてきてしまうな……」

提督「ヴァイス提督?…よかったら冷たいお飲み物でもいかがですか?」

ヴァイス提督「い、いえ……それより少し体育館を使わせていただきたいのですが///」

提督「ええ、遠慮なさらずにどうぞ♪」

ヴァイス提督「は、ありがとうございます…二人とも、行くぞ」

ビスマルク「ヤヴォール」

ティルピッツ「り、了解…///」

グレイ提督「では、わたくしたちも失礼いたします」

エウジェニオ「……くふふ、ビスマルクたちは真っ赤になってたわね♪」

提督「こぉら、あんまりからかわないの……でも、ヴァイス提督も普段は厳格な女性なのに、漫画数冊であんなになって可愛かったわね♪」

デュイリオ「うふふ…色々教えてあげるのが楽しみです♪」

ライモン「…みなさん悪い笑顔になってますね……」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 16:30:08.69 ID:9y728Tvj0
めちゃめちゃどうでもいいかもしれんが前作で提督の実家に戻るときにガソスタで会った奴って某英国のハゲだよな…?
131 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/22(木) 00:27:37.97 ID:qNp1uz/t0
>>130 いえいえ、前作から読んで下さっている上に気づいてもらってうれしいです……もちろんその「英国のハゲ」ですよ(笑)

投下がなかなか進みませんが、基地祭のネタに絡めて百合姫提督と「横須賀第二鎮守府」の日常も多少お送りしようかとは考えております…ご期待下さい





132 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/22(木) 01:39:02.23 ID:qNp1uz/t0
…夕食時・食堂…

エリトレア「えー…という訳で、今日はお客様に合わせてイギリス・ドイツ料理を作ってみました…わー、ぱちぱちぱち♪」自分で拍手と歓声を上げるエリトレア

チェザーレ「うーむ、まさか食事が不味い国の上位二つが揃うとは……チェザーレは出された物は食べるとはいえ、好んで手を出したくはないな……」

ドリア「…焼野原の方がまだ食欲をそそりますね」

カヴール「少なくとも焼野原ならセンスのなさはありませんからね……」食べ物にはうるさくないチェザーレさえ眉をひそめ、日頃から美食でならしているドリアはかなり辛辣な意見を吐いている…

提督「あー……たしかにいつもとは雰囲気の違う料理が並んでいるわね」トマトの赤にバジルやズッキーニの緑や黄色で特にカラフルな南イタリアの料理に比べ、食欲の出ない地味な色合いの料理が並んでいる……

ヴァイス提督「おぉ…グラーシュがある」(※グラーシュ…あるものを色々と入れて煮込むドイツ風シチュー。一方ハンガリーではパプリカパウダーで紅も鮮やかな世界最高のスープ「グヤーシュ」がある)

ビスマルク「白ソーセージか…ビールがないとな」

ティルピッツ「それならやっぱりピルスナーでしょうか…コミスブロートもありますね」(※コミスブロート…ドイツ黒パン。酸味があって胃に溜まる感じのする重いパン)

グレイ提督「…スターゲイザー・パイもありますね」(※スターゲイザー・パイ…「星を見るもののパイ」パイ皮の表面からニシンの頭が林立しているパイ。味も見た目もイギリス人専用とか)

エリトレア「それだけじゃありませんよ…じゃーん♪」オーブンミトンを両手にはめて、大きな四角いパイ皿をグレイ提督たちの方に向ける……パイ皿にはこんがりと焼けたパイが収まっているが、表面をよく見ると飾りとして細く切ったパイ皮の帯を縦・横・斜めに乗せて焼いてあり、パイが見事な「ユニオン・ジャック」(英国旗)になっている

グレイ提督「まぁ♪」

エメラルド「それで、中身は何なのでしょう…♪」

エリトレア「はい、中身はステーキ・キドニー・パイですっ…初めて作ったのですが、きっとうまく出来てますよっ♪」(※ステーキ・キドニー・パイ…牛の内臓や尻尾など、普通に食べるには難しい部分を煮こんだりして詰めたパイ)

エリザベス「まぁ、それは楽しみですわね」

ローマ「……もし着任早々の食事がこれだけだったら自沈するわ」

ヴェネト「まさか、そんなことはないですよ……ね?」

エリトレア「もう、大丈夫に決まってるじゃないですか…ローマ風の四角いピッツァもばっちり焼きあがってますって♪」

提督「ふふ、私の特製カルボナーラもね…熱々のフェットチーネに絡めてあるわ♪」

ヴェネト「グラツィエ!……提督は素晴らしい女性ですね♪」

ローマ「ええ、そのようね…ところで提督」

提督「ええ、なぁに?」

ローマ「貴女の階級は?」

提督「海軍少将だけど?」

ローマ「ふーん…海軍少将って「アミラーリオ・ディ・ディヴィジォーネ」と同じ階級で合ってるのね?」(※Ammiraglio di Divisione…旧イタリア海軍少将)

提督「ええ……私の階級がどうかした?」

ローマ「どうして海軍少将が自分でエプロン付けてパスタなんて茹でていたの?」

提督「んー…海軍少将はエプロンをつけてパスタを茹でたらいけないの?」

ローマ「いけなくはないけど…少なくとも私の知っている限りでは例がないわね。だいたい、旧王国海軍で提督だけ……しかも女性しかいない司令部なんて聞いたこともないわ」

提督「まぁね…とはいえここは比較的のんびりした鎮守府だから私と秘書艦の娘だけでも書類は片づけられるし……それより、早くしないとパスタが冷めちゃうわよ?」

ローマ「それはいけないわね…では……」くるりとフェットチーネを巻きとり、口に運んだ…と、口の端にえくぼが浮かぶ……

提督「…お味はいかが?」

ローマ「ボーノ…とっても美味しい♪」手を口もとに当てて「おいしい」と、投げキッスのような仕草をする…

提督「ふふ、よかった…ヴィットリオは?」

ヴェネト「もちろん美味しいです……ワインも最高級で言うことなしです♪」

リットリオ「ふふっ…だって二人のために数十年物のキァンティをポーラに見立ててもらいましたから♪」

提督「私までお相伴にあずかっちゃって悪いわね……んー、本当に美味しい♪」

ロモロ(「R」級大型輸送潜)「どころか私までごちそうになっちゃって……ふぅ」

レモ「レモ、頭がぼーっとしてきちゃったぁ…提督、もたれかかってもいーい?」

提督「あらあら…どうぞ♪」排水量2000トンはある「R」級潜水艦の艦娘だけに「ばるん…っ♪」……と弾むたわわな胸とむっちりした豊満な身体で、提督にもたれかかってくる…そのもちもちした肌触りに思わず顔がほころぶ提督……

カヴール「むぅぅ……リットリオの次はロモロとレモですか」

ライモン「相変わらずですね…」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 10:07:16.83 ID:nXf7BuIa0
開発で是非サボイアs21(見た目はマッキm33)を出して頂きたい…
134 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/23(金) 02:39:20.30 ID:VjluLH8N0
>>133 それならきっと真っ赤に塗った「シュナイダー・トロフィー・レース」仕様でしょうね……大戦中のイタリア水偵はたいてい「カント25AR」飛行艇か「メリジオナーリ・Ro43」水偵でしたからなかなか機会がありませんが、駆逐艦「アヴィエーレ」の模型飛行機か、開発時に一種の「ハズレ」カードとして出したいものですね……


…後はザラ級重巡フィウメ(あるいはポーラ)が戦前にスペインの「ラ・シエルヴァ」ジャイロコプターの発艦試験を行ったとか……そうしたちょっとした「こぼれ話」も機会があれば小ネタに取り入れていく予定です


…今日はちょっと投下できませんが、この後はヴァイス提督の苦労話を聞いてあげる提督(場合によっては提督×ヴァイス提督)や、百合姫提督の鎮守府から小ネタを……などと思っています
135 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/24(土) 01:21:03.97 ID:JNBzrhLS0
…食後・バーカウンター…

グレイ提督「…あら、グレンリベットがありますね。ストレートで頂きましょう」

ポーラ「はぁ〜い、どうぞ♪」

エリザベス「わたくしはビーフィーター・ジンを…ダブルで」

エメラルド「えーと…それではグロッグをお願いします」(※グロッグ…ナポレオンの時代から英国海軍の伝統だった水割りラム酒。水で割ったラムを配給させた提督に対する皮肉から、その提督の着ていた上衣の生地から名前を取ったとも。…ちなみにオーストリアのピストルは『グロック』で、全く関係はない)

ポーラ「はぁ〜い♪」

ビスマルク「よし、シュナップスだ!」

ティルピッツ「姉上…また騒ぎを起こしたら怒られますよ?……キルシュヴァッサーを頼みます」(※キルシュヴァッサー…ドイツ産チェリーブランデーの一種)

ビスマルク「なに、この前は少し飛ばし過ぎただけだ…今度は間違い(アクシデント)など起こさん!」

エリザベス「あれがアクシデント…ふふ、あれは貴女の虚栄心が生んだ必然……でございます♪」

ビスマルク「…なめるな!」一気にシュナップスをあおってみせるビスマルク

グレイ提督「おやめなさいエリザベス……それにビスマルクも」

エリザベス「失礼いたしました、何しろビスマルクが簡単に乗ってくれますので……このエリザベス、ついからかってしまいましてございます♪」

ビスマルク「……おのれ、老いぼれのアルビオンめ」

グレイ提督「こほん…そう言えば、ヴァイス提督はどちらに?」

ティルピッツ「は、何でもカンピオーニ提督とお話があるとかで…」

ビスマルク「……そのままイタリア娘に手籠めにされなければいいが…ちゃんとピストルは持って行っただろうな?」

チェザーレ「…なかなか失礼な小娘であるな…そなたの目には、チェザーレたちの提督が嫌がる女を無理やり抱くように見えるのか?」

ビスマルク「常に女をはべらせ、にやけているあの様子ではやりかねんだろうが?」

チェザーレ「ビスマルク…提督に限ってそんなことはない。安心いたせ」

ビスマルク「そうか?……よし、カエサルがそこまで言うなら信じてもよいぞ」

チェザーレ「結構。…ただし口説き落としてベッドに連れ込むかどうかについては保証できぬが♪」

ビスマルク「…なんだと?」

チェザーレ「ポーラよ、チェザーレにカンパリソーダを」

ポーラ「はぁい♪」

ビスマルク「おい…!」

グレイ提督「わたくしにもう一杯…♪」

エットーレ・フィエラモスカ「うぃー…先生にチンザノを下さいな…♪」大型潜「エットーレ・フィエラモスカ」は姉妹のない単艦で、戦前は長距離航海や記録作りでならしていたが、大戦時にはすっかり旧式化していたこともあり訓練用潜水艦として過ごしていた…そのせいか、鎮守府では潜水艦組の先生として定着している……

ポーラ「あまり飲むと毒ですよぉ〜?」

ザラ「貴女が言えたことじゃないでしょうが…」

ポーラ「えぇ?…でもぉ、ポーラはぁ〜……自分で限界が分かってますっ♪」

フィウメ「確かにポーラ姉さんはいくら飲んでも絡んだりしませんよね」

ザラ「うーん……そう言われると吐いたこともほとんどないわね」

ポーラ「だってぇ〜、吐いたらもったいないじゃないですかぁ〜……えへへぇ♪」手早くカルーアミルクを作るときゅーっと飲み干す…

ザラ「ふぅ…仕方ないわね。それじゃあ私にカンパリ・オレンジを一杯ちょうだい?」

ポーラ「はぁ〜い、りょ〜うか〜い♪」

ザラ「…それにしても提督は何の話をしてるのかしらね?」

136 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/24(土) 02:26:19.77 ID:JNBzrhLS0
…そのころ・執務室…

提督「…それで、私に聞きたいこととは何でしょう?」いつもならみんなとおしゃべりとカクテルを楽しんでいるか、ゆっくり入浴しつつ身体をほぐしているか、あるいは誰かとベッドに入っている提督……が、真剣な表情のヴァイス提督に相談事を持ちかけられ、執務室で略装の白ワイシャツとタイトスカートのまま座っている…

ヴァイス提督「は、それが……」

提督「それが…?」

ヴァイス提督「…どうやったらあのように艦娘たちと打ち解けられるのでしょうか……ぜひともやり方を教えて頂きたい」

提督「うーん…そうは言っても私が着任してすぐにあの娘たちのほうから『仲良く』してくれたので……私は特に何かをしたと言うほどでも…」

ヴァイス提督「いえ、そんなことはないと思います。…もちろん本官も命令を下す立場であり、規則の上でも、あまり公私をわきまえぬような付き合いはどうかと思いますが……それでも、ビスマルクたちを始め所属の艦娘たちには常々信頼していることを伝えたいと思っているのです」

提督「あー…」(別に意識をしないで言っているのでしょうけど……絶賛公私混同中の私の耳にはちょっと痛いわね)

ヴァイス提督「いかがでしょうか、カンピオーニ提督……無論このような相談事を他国の少将にお尋ねするなどあり得ないことかと思いますが、同僚や上官にはなかなか相談しづらいもので…」

提督「いいえ、構いませんよ♪……えーと、それでは何か「感謝の意を表せるような贈り物」はどうでしょうか?」

ヴァイス提督「贈り物ですか…これまでにも幾度か試みてはみたのですが、やはりそれが一番ですか」

提督「そう思いますよ?やっぱり、何かをもらえると言うのは嬉しいものですし♪」

ヴァイス提督「なるほど……しかし我が方の鎮守府全員に贈るとなると数十個は必要か…とすると予算を一人当たり10ユーロとまでとして……」

提督「あの…ヴァイス提督、贈り物は全員にではなく数人に贈るのですよ?」

ヴァイス提督「…しかし、それはえこひいきなのでは?」

提督「ふふ…そうは言っても全員に同じプレゼントをあげたら、「特別さ」が薄れてしまうでしょう?……ですから、何か理由をつけて数人にだけ贈るか、一人一人の好みに合わせて違うものを贈ってあげるのがいいかと思いますよ?」

ヴァイス提督「…なるほど……」手帳にペンを走らせる…

提督「たとえばビスマルクの趣味は何かありますか?」

ヴァイス提督「趣味、ですか…」

提督「ええ。私室に何か……たとえば花とか、絵画とか…宝石とか♪」

ヴァイス提督「いえ、鎮守府で黒ネコは飼っていますが……部屋にはティルピッツやヒッパーたちの写真があるくらいで」

提督「…それならカメラはどうでしょう?「今度ティルピッツと一緒に撮るといい」と言ってプレゼントしたら喜ぶと思いますよ?」

ヴァイス提督「いえ…あくまで着任時のアルバム写真ですから、自分で撮るわけではないかと」

提督「あー…」(…こういう時はドイツ人の生真面目さがうらめしいわ)

ヴァイス提督「…」

提督「えーと……でしたら、何かスポーツは?」

ヴァイス提督「あぁ…ティルピッツはスキーを良くします」(※スキー…ティルピッツがノルウェーで無駄に係留されていた間、乗員はスキーに興じるのが唯一の楽しみだったという)

提督「それならビスマルクとティルピッツを連れてスキー旅行に連れて行ってあげるとか…どうでしょうか?」

ヴァイス提督「…なるほど」

提督「もちろん軍の施設などではなくて、観光ホテルにでも泊まって…そうすればきっと親しみやすい部分も出てきますよ♪」

ヴァイス提督「ふむ…参考になります」

提督「あとは……私の場合はよくキスをしたり、抱きしめてあげます♪」

ヴァイス提督「いえ…それは私には無理です……軍規にも『艦娘たちと必要以上に親密になることは好ましくない』とありますから」

提督「ええ、ですから「必要以上に」親しい状態にならなければいいんですよ……何しろこちらの規則にも『艦娘たちと不純な交友関係を持つことを禁じる』とありますし」

ヴァイス提督「しかしカンピオーニ提督は……こほんっ」

提督「ふふ、ですから私も執務中にえっち…つまりレズセックスはしないと決めています♪」

ヴァイス提督「…と、言うことは……その…///」

提督「ええ、ですから書類仕事の時はこうやって……はい、これで執務中ではありませんよ♪」書類を取り上げると、改めて執務机に置いてみせた

ヴァイス提督「…ず、ずいぶん規則を柔軟に運用しているのですね」

提督「ええ、結局「鎮守府の艦娘たちがどれだけ暮らしやすいか」ですから…ね♪」

ヴァイス提督「な、なるほど……では相談ついでに、もう一つだけよろしいですか」

提督「ええ、どうぞ♪」
137 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/26(月) 12:26:39.46 ID:N62CQbQE0
ヴァイス提督「実は、以前キールに赴任していたのですが……」

提督「キールと言うと…潜水艦戦隊ですね?」(※Unterseeboot・flotte…潜水艦戦隊)

ヴァイス提督「ええ…と言っても戦前の編制と違って各Uボート群から戦果に応じて艦を選り抜いたり、組み換えているので同じではありませんが……」


………

…数年前・キール潜水艦戦隊…

ヴァイス大尉(当時)「…さて、いよいよここの艦娘たちと話す訳だ……全員無事に帰投させ、かつ戦果を残せるように努力せねば…!」前任者との交代式典を終えたばかりの、真っ白なチリ一つない制服に身を包み、艦娘たちが待っているはずの「食堂」と書かれたドアを開けた…

ザール(潜水艦母艦)「…大尉、そのようにあまり気負われますと……」

Uボートの艦娘「…あっははは!…何しろ私は「イギリスの女王」を手籠めにしてやったからな!」(※エンプレス・オブ・ブリテン…42350トンと言われる元豪華客船。兵員輸送船になっていたがZA型「U32」に撃沈さた。Uボートの撃沈史上最大の商船)

鼻息の荒いUボート艦娘「うわっははは、違いない!…こっちは「王室の樫」をへし折ってやったけどな!……で、何だっけ…あぁそうだ、トミーのやつらはこっちのPK(宣伝中隊)そこのけに大ぼら吹きだ!…二隻目を水上機母艦の「ペガサス」だなんて言いやがって。あんなちっこいオンボロ汽船をリパルスと見間違う訳ないだろ!」(※王室の樫…ロイアル・オーク)

芝居がかったUボートの艦娘「…さてさて、ではこの私がいかにしてあの船団をこましてやったか……とくとお聞かせしよう!」

Uボートの艦娘「ははは、そんなことを言ったら私なんて映画のモデルになったよ!」

物静かなUボートの艦娘「……一雷一殺。…隠密接近して外周の護衛艦艇をすり抜けてから雷撃する。それだけだ……」

大柄なUボートの艦娘「…おいおい、たぷんたぷんのいい身体をしてるじゃないか……ほぉら、「乳牛」なんだったら吸わせろよ…こちとら遠距離航海で喉が渇いているんだからな…っ♪」…もみっ♪

ぽっちゃりしたUボート「あんっ…いやぁぁ♪」


…広い食堂には中学生か高校生くらいに見えるUボートの艦娘たちが百人近く座っている……が、あたりは雑然としていて、シガレットの煙がたちこめる室内にはビールとブランデーの空き瓶が転がり、食べかけのジャガイモやサーディンの皿はひっくり返り、果ては床に落ちたテーブルクロスの上で寝ている艦娘までいる…


ヴァイス大尉「…アハトゥング!(気を付け)」

Uボート「おいおい、何だぁ…?」

Uボート「おや、新任の大尉さんじゃありませんか…「ウェッジゲン潜水クラブ」に何かご用ですか…ってね♪」(※キールの第一潜水隊は第一次大戦のUボート・エースの名前から「ウェッジゲン潜水隊」と呼ばれていた)

Uボート一同「「あっはははっ…!」」

ヴァイス大尉「……一体全体なんだ、このざまは!」

芝居がかった艦娘「…これはこれは見目麗しきフロイライン(お嬢さん)に、見苦しいものをお見せしました……わたくしめは「ZB型」Uボート、U100にございます…して、何かご用ですかな?」よれた革のコートに白の艦長帽をかぶり、ニヤニヤしながら一礼すると拍手喝采が上がる…

ヴァイス大尉「貴様がU100か…なぜきちんとした格好をしないか」

U100(ZB型…艦長シェプケ)「おやおや…われらUボートに戦艦のような白制服と金モールをお望みで?」

U99(ZB型…艦長クレッチマー)「…ふん、格好で戦果が上がるわけでもあるまいに。…下らんことを言う」…物静かで宣伝を嫌った「沈黙のエース」クレッチマーらしく静かに言う

鼻息の荒い艦娘「はんっ、戦果ならうんと挙げてるが?」…わざとらしく首元にかけている騎士十字章をチャラチャラいわせる

ヴァイス大尉「…誰だ」

鼻息の荒いUボート「私か、ZB型Uボートの「U47」だ…ご存じないかな?」

ヴァイス大尉「…ギュンター・プリーンの『ボート』か」

U47(ZB型…艦長プリーン)「いかにも!」

Uボート「…そうそう、「スカパ・フローの牡牛」さ♪」

ヴァイス大尉「…」唇をきっと噛みしめ、めちゃくちゃな食堂の中をにらんでいる…

………
138 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/27(火) 01:40:30.78 ID:wlDgRadb0
ヴァイス提督「…と言うことがありまして、どうにか規律を守らせようとしたのですが……」

提督「あー…何と言うか……新任の大尉さんにはつらい鎮守府でしたね」

ヴァイス提督「ええ、何しろ……」

………


ヴァイス大尉「よし、順番に艦名を名乗れっ!…これからはドイツ連邦海軍の一員として、規則をきっちりと守ってもらう!」

U32(ZA型)「ZA型Uボート、U32…そういう訳で、「エンプレス・オブ・ブリテン」をレズレイプ…になるのかな?……とにかく、あの高慢な女王を犯してやったのは私さ…戦果を挙げている以上、文句を言われる筋合いはないね♪」

U38(ZA型)「同じくZAUボート、U38!……あたしはね、リーベ大尉やシュッヒ大尉と一緒に戦って来たんだ!戦艦の連中じゃあるまいし、新任の大尉さんに格好の事までうだうだ言われたくないね!」

(※ハインリッヒ・リーベ大尉…Uボートエース第十位の艦長。スコアは撃沈30隻。162333トン。U38は他の艦長とも出撃し、35隻、187077トンを記録…敗戦時ドイツの軍港にあり乗員が自沈させた)


U47「さて、改めて自己紹介が必要なようだな!…本来は「第七潜水隊」所属なのだが、今はここに配備されている「U47」だ!」プリーンのあだ名と第七潜水隊の紋章にもなった「鼻息を吹く牡牛」のイラストを基にした記章が、よれた革ジャケットの胸につけてある……

U99「…ZB型、「U99」だ」白い艦長帽はシミだらけで、長い金髪は後ろでしばって垂らし、黒の革ジャケットに双眼鏡を胸から下げ、黒のよれよれスカートをはいている…

U100「それではわたくしも…改めましてU100でございます、港に居並ぶスマートで小ぎれいな戦艦や重巡の『お姉さま』たちには格好でこそ劣りますが、その分戦果を挙げておりますのでなにとぞご勘弁を♪」…何事も芝居がかっていたというシェプケ大尉を真似ているのか、おどけたように一礼した


U96(ZC型)「ウンターゼーボート「ZC」型のU96だ……西ドイツの映画になったのは私さ!」名作映画「U・ボート」のモデルになったとされるU96は、映画の「デア・アルテ」(※おやじ…艦長のこと)と同じようにボロボロになった私服のタータンチェックのシャツに鉄十字章をぶら下げ、ジャーマングレイの薄汚れたズボンをはいている…


U66(\C型)「あたしは\C型のU66…アメ公の護衛駆逐艦となぐり合ったのはあたしだ、文句があるならあとで勝負しな!」

(※U66…小説・名作映画の「眼下の敵」でモデルになったと思われるUボート。1944年5月6日の深夜、護衛空母「ブロック・アイランド」を中心にした対潜空母グループに捕捉され、航空攻撃の間に隠密接近したTE級護衛駆逐艦「バックレイ」の砲・銃撃の後、衝角攻撃を受け絡み合ってしまい、「総員退艦」をかけてから「バックレイ」の乗員と小火器などで交戦した。「バックレイ」側もピストルからげんこつ、空薬莢、コーヒーカップなどで応戦し、最後は損傷したU66が沈没)


胸を揉んでいた艦娘「わたしは「\C」型のU510だよ、遠路はるばる日本の神戸まで行って、しかも帰りだってどうにかフランスまでは戻ってきたんだ……ちょっとくらいだらしない格好だからって怒らないでほしいもんだね♪」

(※U510…おもにインド洋などで作戦し、1944年には神戸まで到着。45年1月になって故国に戻ろうと厳しい警戒をくぐり抜け、何とフランスまで到着した……が、燃料が尽きサン・ナゼール港でフランス軍に降伏。戦後も59年までフランス潜として活躍した)


揉まれていた艦娘「…私は補給型Uボート、Uタンカーの「]W」(14)型、U459です……「乳牛」なんて言われることもあります」…ぽっちゃりとしたお腹や、ばるんっ…と揺れる乳房は、誰が見ても補給に活躍し潜水艦隊に愛された「Milchkuh」(乳牛)にふさわしい……

ヴァイス提督「うむむ……では、今日の所はひとまず解散!明日からはちゃんとした制服を着用のこと!」

U47「ヤヴォール」

U100「はいはい、了解りょーかい」

U96「…ビールの気が抜けた……ザール、おかわりを!」

ザール「…は、はいっ!今すぐ!」

ヴァイス提督「……秘書艦がこれでは規律を正すのは到底無理か……仕方ない、こうなったら戦艦でも何でも呼んで規律を整えさせるしかないな…」

………



提督「…それで戦艦を配属してもらったのですか?」(…いやーな予感)

ヴァイス提督「ええ…ところが……」
139 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/27(火) 02:20:36.20 ID:wlDgRadb0
ヴァイス大尉「本日をもって秘書艦を潜水艦母艦「ザール」からこの「ティルピッツ」に交代する!…今後は厳格に規律を励行し、違反があれば容赦なく罰則を与える!」

ティルピッツ「…秘書艦となったビスマルク級二番艦「ティルピッツ」です。司令のおっしゃる通り、今後はきちんとしてもらいます!」

U100「結構なことでございますな……ところでお美しいティルピッツどのは撃沈何隻、何トンになりますので?」

ティルピッツ「いや…それは……」

U47「…何度も出迎えはしてくれただろうが、出撃したことはあるのか?」

Uボート一同「「あっはははは!!」」

ティルピッツ「うぅ…これでもビスマルク級の二番艦としてノルウェーからにらみをきかせていたんです!」

U100「…スキーと海水浴を楽しみながら?」

ヴァイス大尉「…いい加減にしないか!……規則に文句があるなら私が相手になるが!?」

U100「いえいえ…とんでもございません、わたくしどもはこの美しいユングフラウ(若い乙女)の活躍を聞きたかっただけなので♪」

U38「…けっ、図体ばかり大きい戦艦が」

U47「……ロイアル・オークの代わりにG7e魚雷で沈めてやってもいいかもな」

U96「…私みたいに銀幕デビューしてから言って欲しいね」

U510「…こっちは日本まで行ってきたんだから、あんまり指図されたくないね」

ティルピッツ「うぅぅ…」

ヴァイス大尉「もういい!…以上、解散っ!!」

ティルピッツ「…司令、この任務は私に向いてないのではないでしょうか……」

ヴァイス大尉「気にするな。ティルピッツは職務にまい進すればいい」

ティルピッツ「……は、命令とあらば頑張ってみせます!」



………

提督「あー…やっぱり」

ヴァイス提督「ええ…それで数週間もすると……」


………

ヴァイス大尉「一体どうなっているのか…ザール!」

ザール「は、はいっ…!」

ヴァイス大尉「これで規律が保たれていると言えるのか?」


…艦娘用の食堂には大音量でUボートの歌が流れ、同時にエディット・ピアフのシャンソンやララ・アンデルセンの「リリー・マルレーン」もかけられている。…皮肉で現実主義者なUボートの艦娘たちはビールやコニャック、シュナップスを浴びるように飲みながら、胸を強調するようなドイツの民族衣装を着せられ、きゃあきゃあと嬌声をあげているU459たち]W型「乳牛」の身体を揉みしだいている…


ザール「い、いえ…」

ヴァイス大尉「ティルピッツ!……ティルピッツは?」

U100「どうやらおねんねの時間みたいですなぁ…♪」一同が爆笑する

ヴァイス大尉「…U100、ティルピッツに何かしたのか?」

U100「いいえ…♪」

ヴァイス大尉「…ふむ、いずれにせよ諸君は規律を守る気がないようだ」

U99「規律はともかく戦果は挙げています…一魚雷につき一隻で」

U47「私の牡牛の角だって相変わらず冴えわたっている…レッド・エンサイン(※英商船旗…赤地の旗の隅にユニオン・ジャックが入っている)があれば突進してやるさ!」

U29(ZA型)「…うまいっ、私が「カレイジャス」を撃沈した時みたいに冴えてるな!」(※カレイジャス…英空母。1939年9月17日に撃沈された)

ヴァイス大尉「…もう結構。この調子なら私も他の手を考えさせてもらう」

………
140 : ◆b0M46H9tf98h [saga]:2018/03/27(火) 03:28:34.74 ID:wlDgRadb0
提督「…それで?」

ヴァイス提督「ですが結局のところ、ひんぱんに長期の出撃をさせられて、かつ戦果もあげているUボートたちが唯一持てる休息時間であることを考えると強く出ることも出来ず…ティルピッツも戦果が少なかったことからUボートたちにはにらみがきかないままで……」

提督「…そのまま転属に?」

ヴァイス提督「ええ……昇進はしましたが、結局キールの潜水艦隊では勝手放題されたままで終わってしまいました。ティルピッツもそのせいでより病弱になってしまい……カンピオーニ提督はどうやってあんなに和気あいあいと艦娘たちを仲良くさせているのですか…っ!?」

提督「落ち着いて下さい、ヴァイス提督…ね?」よく見るとヴァイス提督の頬がほのかに紅くなっている…食事中に出した美味しい白ワインと質量ともにたっぷりの夕食がついついグラスを誘い、飲みすぎてしまったらしい……

ヴァイス提督「しかし…っ、カンピオーニ提督は一見すると何も厳しいことは言っていないのに、どうしてこのように上手く……くっ!」テーブルの上に出してあったワインを一気にあおるとくやしげな表情を浮かべた……

提督「…シャルロッテも大変だったのね……よしよし」そっと席を立ってぎゅっとヴァイス提督を抱きしめると柔らかなプラチナ・ゴールドの髪を撫でつつ、そっと髪を束ねていたゴムを外す…

ヴァイス提督「…カンピオーニ提督…っ」

提督「……よかったら、髪をとかしてあげますね」寝室の化粧台からヘアブラシと香水を持ってきて、ヴァイス提督の後ろに立った…

ヴァイス提督「あ…いえ、そのようなお気遣いは不要です……///」

提督「まぁまぁ…」さらさらでくせのない髪に優しくブラシをかける……

ヴァイス提督「こんな…恥ずかしい物語まで聞いていただき、その上で少将に髪をくしけずらせるなんて……」

提督「ふふ、かまいませんよ…ヴァイス提督はまるでレーヴェ(ライオン)のように誇り高く、芯の強い方なのですね♪」

ヴァイス提督「……そ、そんなことは///」

提督「…ありますよ。さ、せっかくですからお化粧もしてみましょう?」ヴァイス提督の髪に、さっぱりしたシトラス(citrus)系の香水をひと吹きし、寝室に案内する…

ヴァイス提督「いえ…私に化粧など似合いませんから……」

提督「そう言わずに…私も気分が落ち込んだ時はお化粧に時間をかけて集中するんです。いい気分転換になりますし、何よりお化粧は女性の特権みたいな物ですから♪」

ヴァイス提督「……そこまでおっしゃるのなら、お願いします」

提督「ええ♪」


…提督寝室…

提督「さて…と」化粧台の前に座らせ、チークの粉やルージュが制服に付かないように、適当なバスタオルを首からかけた…

ヴァイス提督「…化粧品だけでこんなに……これだけの物をいったいどこに使うのですか?」

提督「んー…いつも使うのはほんの数種類で、ここに並べてある化粧品はたいていもらい物なんです」

ヴァイス提督「もらい物…男性からのプレゼントですか?」

提督「いいえ?…ここにあるのは基本的にお付き合いのあった以前の恋人たちや、軍の上官や同僚……元部下の娘たちや、私が親たちからもらったものもあります♪」

ヴァイス提督「えーと…しかし、時には男性士官からもらうこともあったのでは?」

提督「お付き合いできない方に贈り物をもらうのは申し訳ないので、全てお返ししています」

ヴァイス提督「……そ、そうですか」

提督「ええ…さ、まずは下地を作りましょうか♪」すっ…と指先で頬を撫で、後ろから身体を寄せる

ヴァイス提督「…うわっ」

提督「ふふっ…大丈夫ですよ、とって食べたりはしませんから♪」パフで下地をのせて行き、暗くなりがちな喉元や頬骨の下のエリアへ軽く白粉をはたく…どちらかと言えば白っぽく血色の悪いヴァイス提督の頬には軽く頬紅をのせ、目の下も暗くならないように明るい色を置く……上まぶたにはパッと明るいパステルピンクのラメ入りアイシャドウを引き、厳しい表情を少しぼかす…

ヴァイス提督「…なんだか、自分の顔が変わっていく気がします」

提督「ふふ、これは新型の迷彩ですから…少し時期外れですが、華やかな花畑でクロッカスやアネモネに偽装できるような春用の迷彩ですよ♪」…きゅっと引き締まっている薄い唇には華やかで優しいピンクパール色のルージュを引き、こてをあてて髪を軽くウェーブさせる…

提督「さぁ、できました…どうですか?」

ヴァイス提督「…何と言うか、軍人にはふさわしからぬ雰囲気ですが……休暇の時に時間があれば、こうした格好をしてみるのもいいかもしれません」

提督「ふふ、それじゃあせっかくの機会ですし…時々ここに来てもらって、戦術以外にお化粧も覚えていったらどうでしょう♪」

ヴァイス提督「…いえ、そこまでしていただくのも……そもそも今回のプログラムでは戦術論を学習し、帰国してからの艦隊行動に活かすために来ているのですから」

提督「ふふ、分かっています…でも、覚えられる事を覚えないで済ますのは「時間の有効活用」を考えるとひどくもったいないでしょう?」

ヴァイス提督「…たしかに。たかが化粧と言えども、何の役に立つかは分かりませんね」

提督「でしょう?」

ヴァイス提督「……分かりました。とりあえず今日は話を聞いて下さって、ありがとうございます」

提督「どういたしまして♪」
141 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/29(木) 00:55:17.94 ID:B3eVOtYu0
…翌日…

ヴァイス提督「…昨夜は申し訳ありませんでした、少将閣下!」直立不動の姿勢で提督に平謝りしているヴァイス提督に、食堂で午前のコーヒーや紅茶を楽しんでいる艦娘たちは何事かと注目している…

提督「そんな、お気になさらず……私と『親しい』日本の提督も「困ったときはお互いさま」ってよく言っていますし…ね?」

ヴァイス提督「いえ…昨夜は夜分遅くにもかかわらずお部屋にあがり込んで、大変ご迷惑をおかけしました……さらに化粧品までいただいてしまい、申し訳ない限りです…!」

提督「ふふ、いいんですよ……差し上げた化粧品は私にはあまり似合わない、きりっとした雰囲気の物でしたから…ヴァイス提督に使ってもらった方が「効率的」でしょう?」

ヴァイス提督「それは……まぁ、たしかに効率的で無駄がないですね」

提督「でしょう?…ところで、よかったら一緒に午前のお茶でもいかがですか♪」

ヴァイス提督「は、それではちょうだいいたします……」

提督「…どうかしました?」

ヴァイス提督「いえ…どうも先ほどから艦娘たちからの視線があるのですが」

ライモン「……あの、カヴールさん…今の、まさかとは思いますけど…」

カヴール「ええ…ヴァイス提督が確かに「夜分にもかかわらず上がり込んで迷惑をかけました」とおっしゃってましたね…これはどういう意味か提督にお聞きする必要がありそうですね♪」

リットリオ「もぉ、私が妹たちと「仲良く」している夜に限ってドイツの提督を部屋に連れ込むなんて……提督もなかなか捨てておけないんだから♪」

ローマ「…っ///」

ヴェネト「もう、姉さんったら…みんなに聞かれちゃう///」

デュイリオ「あらまぁ♪……それはそうと、ヴァイス提督のかけた「迷惑」とやらについて、今夜はたっぷりと提督に尋ねないといけないわ♪」

提督「…あー」

ヴァイス提督「その…申し訳ありません。私がお邪魔したせいで何か艦娘たちと予定していたことが出来なくなってしまったのですね?」

提督「えーと…ヴァイス提督の考えているような真面目なこととはおそらく違いますからお気になさらず……それで、飲み物は…」

ヴァイス提督「カンピオーニ提督と同じものを」

提督「ええ、分かりました……エリトレア、私とヴァイス提督にカプチーノの砂糖二さじ、ミルクはぬるめでスプーマを(泡)多めにして、濃く淹れたものをお願い♪」

エリトレア「はぁーい♪」

ヴァイス提督「あの…カンピオーニ提督……」

提督「ええ、なんですか?」

ヴァイス提督「今頼んだのはコーヒーですか?」

提督「そうですよ?」

ヴァイス提督「イタリアではコーヒー一杯にそんなに色々言わないといけないのですか……」

提督「えーと…私は注文の少ない方なのですが……そんなに多かったですか?」

ヴァイス提督「ええ…そう思えました」

提督「ふふ…それじゃあきっと「お国柄」でしょうね♪」カプチーノを受け取ると眺めのいい席に座り、鮮やかな海を眺めつつゆっくりとすすった…

提督「…ふぅ、美味しい♪」

ヴァイス提督「…確かに美味しいです」

アヴィエーレ「やぁ提督……隣、いいかな」

提督「あら、アヴィエーレ…今日もエースパイロットみたいで格好いいわね♪」アヴィエーレは毛皮の襟付き革ジャケットとサングラス…グレイグリーンの乗馬ズボンの裾は黒の革長靴につっ込んであり、航空チャートも一緒にねじ込んである…

アヴィエーレ「グラツィエ…ところで提督、ちょっと欲しいものがあるんだ」

提督「欲しいものねぇ……家具とか?」

アヴィエーレ「いや、家具は充分にあるよ……ふふ、何が欲しいか分かるかな♪」

提督「なら香水とか…でもアヴィエーレはあんまり香水や化粧品は使わないものね……じゃあプラモデルの道具や機材とか…でも休暇で一杯買って来たのよね?」

アヴィエーレ「あぁ、そうだね…どうだい?」

提督「うーん、何かしら……だめ、降参するわ♪」両手を上に持ち上げて肩をすくめた

アヴィエーレ「そっか、なら教えるよ…♪」ちゅっ♪…と頬に軽くキスをしてから、ぐっと身を乗りだした……

142 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/29(木) 01:51:46.88 ID:B3eVOtYu0
提督「…なるほど。「戦前の飛行艇を開発で出せないか」……ねぇ?」

アヴィエーレ「ああ、そうなんだ…ほら、提督がこの間「ここの基地祭がある」って言っていただろう?」

提督「ええ、まだひと月は先だけど……それで?」

アヴィエーレ「いや、せっかく基地祭があるんだから、私の作ったプラモデルでも並べようかと思ったんだ…だけどね、1/72スケールの飛行機じゃ並べてみてもちょっと小さいし、お客さんの印象に残らない気がするんだ……で、開発用のタロットで少し「いたずら」できないものか…とね♪」

提督「なるほど…それにしてもアヴィエーレは今から基地祭の事を考えてくれているのね♪」

アヴィエーレ「なぁに、操縦士って言うのは派手なのが好きだし…我が国のアクロバットチーム「フレッチェ・トリコローリ」と言えばなかなかの物だから、ここでもちょっと真似事みたいなことが出来たら楽しいだろう?」

提督「なるほど……でもここには滑走路がないから、海面から離水できる飛行艇や水上機が欲しい…と」

アヴィエーレ「そういうこと…で、どうかな?」

提督「うーん…主計部の査察はあるけど、「カンムスカード」で外れが出ることはままあるし……いいんじゃないかしら♪」

アヴィエーレ「よしっ……実は出してほしい機体もある程度決まっているんだ♪」

提督「あら、そうなの?」

アヴィエーレ「あぁ…この飛行艇なんだけど……提督でもさすがに知らないかな?」革ジャケットのポケットからモノクロ写真を取りだした…水面に浮かんでいる飛行艇は流麗な胴体と速度の出そうな薄翼、それに胴体の支持架に取り付けられたエンジンが特徴的で、モダンでスマートなスタイルが美しい…

提督「えーと……この機体は確か、「マッキM33」よね」

アヴィエーレ「お…さすが提督だ。正解者にはアマルフィ海岸の旅を一週間……と言いたいところだけど、チケットがないからね…代わりにキスをあげよう♪」

提督「あら、ありがと…♪」ちゅ…っ♪

ヴァイス提督「…これがイタリアでは普通なのか…わが国では考えられんな……」コーヒーをすすりながらなかばあきれ、なかば感心した様子のヴァイス提督…

提督「それにしても「マッキM33」ねぇ…25年のシュナイダー・トロフィーだったかしら?」

アヴィエーレ「ああ、そうだよ…二機制作されて一機はレースで三位に食い込む腕の冴えを見せたんだけど、エンジンに他国のお下がりを買ってくるようなフトコロ具合だったからね……それにアメリカのパイロットはあのドゥーリットルだったはずだし」


(※ドゥーリットル…太平洋戦争初期に米国民の士気を高揚させるべく、空母「ホーネット」からB-25「ミッチェル」中型爆撃機を発進させ東京を爆撃する「トーキョー・エクスプレス」を実行した飛行隊長。米軍屈指の腕利きパイロット)


提督「なるほど、それは分が悪かったわね」

アヴィエーレ「ああ…だからもう一度飛ばしてあげたいのさ♪」

提督「分かったわ……それじゃあ、今度の建造の時にやってみるから一緒に来て?」

アヴィエーレ「了解♪」

提督「…さてと、それならしばらく午後の映画は飛行艇の映画にしましょうか♪」

ヴァイス提督「…それはそうと構わないのですか」

提督「何がです?」

ヴァイス提督「開発に使うべき資材や労力をそのようなことにつぎ込んでしまって、鎮守府運営の妨げになりませんか」

提督「妨げになるようなら許可しませんし…それに、いつも戦闘のためにだけ労力を割いていたのでは気が休まらないでしょう?」

ヴァイス提督「なるほど…そう言う考え方もあるのですか」

提督「ええ…もっとも、陸軍と違って砂漠でパスタは茹でませんが♪」

ヴァイス提督「…そのエピソードは聞いたことがあります……が、本当なのでしょうか?」

提督「ふふっ、もちろん冗談に決まっていますよ♪…だいたいイタリア王国陸軍の主食は軍用ビスケットでパスタではありませんし、陸軍は補給が乏しかったのでパスタにありつけるような事はあまりなかったはずです」

ヴァイス提督「なるほど…てっきり本当の事かと思っていました」

提督「まさか…ヴァイス提督だって「ドイツ人は朝・昼・晩とジャガイモを食べている」なんて言われたら冗談だって分かるでしょう?」

ヴァイス提督「ええ、それは明らかに冗談ですが……でも、ちょっと待ってください…」手帳をめくり始めるヴァイス提督…

提督「?」

ヴァイス提督「いえ…出発前の食事ですが……朝食にポテト・パンケーキ、昼は焼きジャガイモとソーセージ…夜はアイントプフでジャガイモが入っていました……」(※アイントプフ…ポトフのような具の多いスープ)

提督「…」


………
143 : ◆b0M46H9tf98h [sage saga]:2018/03/30(金) 01:10:26.19 ID:lLRiExqy0
…工作室…

提督「さてと…ジャガイモの話は忘れて開発にいそしむとしましょう♪」

アヴィエーレ「ああ、そうしよう…じゃあまずはイメージトレーニングをしてもらおうか」有名な「紅の飛行艇を駆るブタ」が主人公の漫画を取り出し、提督の手に押し付ける

提督「はいはい、分かりました♪……よいしょ」隣の船渠でたゆたうさざ波からの照り返しがちらちらと天井を彩り、涼風が吹き抜ける…

アヴィエーレ「…どうだい?」

提督「ええ……前に読んだことはあったけれど、相変わらずこの作中に流れているエスプリ…っていうのかしら、雰囲気がとっても好きよ♪」

アヴィエーレ「だね…私も操縦が出来たなら提督を前席に乗せてあげるんだけどね」

提督「ふふ、ならシュパンダウ機銃を一丁降ろさないと♪」

アヴィエーレ「ははっ、そうだね……もっとも、提督は小島の持ち主でシャンソンを歌っている方がいいかな…そうすればここの艦娘はみんな提督に恋をすることになるからね♪」

提督「それは嫌よ…だって、好きになった人に限って空に上がって行ってしまうんだもの……でしょう?」ぎゅっとアヴィエーレの手を握りしめる…

アヴィエーレ「…ふっ、そう言われると返す言葉もないよ……提督…///」ぐっと提督のあごを持ち上げ、唇を近寄せる…

提督「…ん///」…と、そこに三角帽と燕尾付きの上衣だったり、白の詰襟だったりする艦娘の一団がどやどやと入ってきた……艦名に提督や艦長、あるいは海相の名前が付いている潜水艦たちで、わらわらと提督を取り囲む…

マルチェロ(マルチェロ級大型潜)「…さてさてカンピオーニ君、ご機嫌いかがかな……潜水艦を建造すると言うのに本官に教えんとは水くさいではないか♪」

エモ(マルチェロ級)「提督、私でよかったら何でも言いつけて下さい♪」

ファー・ディ・ブルーノ(カッペリーニ級大型潜)「私にもぜひお手伝いさせてもらいたいですね」

ベネデット・ブリン(ブリン級大型潜)「いかにも…本官もお手伝いいたします。何しろ「ベネデット・ブリン」と言えば造船中将としてそこそこ有名でしたからな♪」

サイント・ボン(カーニ級大型潜)「提督。マルチェロたちに聞きましたが、何でも新しく建造を行うそうですね……本官も今は「イタリア王国海軍を育てた海相」としてお手伝いに参りましたぞ♪」


アヴィエーレ「…やれやれ、とんだ邪魔が入ったね」

提督「ええ…でも後の楽しみが出来たじゃない♪」

アヴィエーレ「ふふ…かもね。……さ、それじゃあ開発にいそしもうか!」…白紙の「カンムスカード」と青い図鑑のような「カンムス全書」を机に置いた

提督「ええ…それじゃあ行くわよ……ドロー!」さっと群青色の光が辺りを照らすと提督は「カンムス全書」を左手で持ち、カードを右手で投げ上げる……

アヴィエーレ「うーん…カント25AR飛行艇だ……大戦初期の割とありふれた水偵だね…」提督はパシッとつかんだカードをアヴィエーレに渡し、二人で絵柄を確認する…

提督「まぁ、そんな簡単には出ないわよね…じゃあ、もう一回……ドロー♪」

アヴィエーレ「今度はRo43水偵か…アルカナは「航空兵装」だから近いとは思うんだけど……」

提督「思っているカードが出ないのも何だかすっきりしないわね…せーのっ、ドロー♪」

アヴィエーレ「むむ……またRo43か…せめて飛行艇が来ないかな」

提督「んー…意識はすっかり紅の飛行艇になっているんだけど……頭の中で「ウォォォォ…」っていうエンジン音の描きこみまで再生されているのよ?」

アヴィエーレ「じゃあもう少しなのかね……応援してるから頑張って」

エモ「うーん…何が欲しいのかは知りませんが、私も応援してますよ♪」

ブリン「本官も応援しております。何しろそれが終わらんと、潜水艦の建造に取りかかれないのですから♪」

プロヴァーナ「全く同感ですな…それに、提督には憲兵の特別監査の時ずいぶんかばってもらった恩義があるので♪」

モロシーニ「ヴェネツィアでちんぴらの頭を冷やしてやったり、クルティザン(高級娼婦)のお姉さま方と遊んだのがそんなに「いかん」と言われるとは、何とも理解に苦しむがな……とはいえ、提督に迷惑をかけた分はちゃんとお返しせねばならん」

バルバリゴ「いかにも…真のヴェネツィア人は律儀で情に厚く、強きをくじき弱きを助ける好漢揃いなのだ!」

提督「ふふ…ありがと♪」

アヴィエーレ「…ふふ、何とも言い話じゃないか……って、「ピアッジョP7」だって!?」ひょいと受け取ったカードを脇に置こうとして、慌てて絵柄を見直す

提督「ピアッジョP7……って、あの「手が四本必要」な飛行艇?」

アヴィエーレ「ああ…それにしてもこんな珍しいのが来るとは驚いたなぁ!」

提督「…ちょっとよそ見をしているくらいの方がいいのかもしれないわね」

アヴィエーレ「ああ…それじゃあ……ちゅっ♪」

提督「…んっ!?」

アヴィエーレ「…さて、結果はどうかな……っと」

提督「もう…さっき「後でしてあげる」って言ったのに……ふふっ///」
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