【ゼルダの伝説】リンクルが時の勇者になるようです

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/20(火) 17:55:30.87 ID:z6SR5Igv0
305 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:55:12.73 ID:JlbP4/MV0
3DS版時のオカリナ始めたけど、時のオカリナこんな簡単だったっけってなってる

更新するよ
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 21:56:39.56 ID:a1g1iNW7o
成長したんだなぁ
307 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:58:12.79 ID:JlbP4/MV0
 ep.16 勇者の休日


――カカリコ村

コッコ姉さん「あ、リンクルちゃん」

リンクル「お姉さん! 無事だったんだね……!」

コッコ姉さん「うん、村のみんなも無事だよ」
コッコ姉さん「急に避難しろって言われた時はびっくりしちゃったけどね」

リンクル「良かったぁ」

手乗りコッコ「コッコッコッコッコ……」

リンクル「わっ、可愛い! ちっちゃなコッコ!」

コッコ姉さん「手乗りコッコっていうの。この子ならあたしも鳥肌立たないのよ」

リンクル「へぇー……あ、こっちの青い子も可愛いー!」

コッコ姉さん「あっ、その子は……」

「コッコッコッコ」

リンクル「こっこっこっこー」

コッコ姉さん「え……あのコジローが……懐いてる!?」

リンクル「えっ、な、何?」

コッコ姉さん「その子、コジローっていってね、うちの兄貴にしか懐かなかったの」
コッコ姉さん「うちの兄貴、根っこは良い人なんだけど、意地っ張りでさ……」

コッコ姉さん「その子置いて、どっかに行っちゃったんだ……」
コッコ姉さん「もし、旅先で会うことがあったら、早く戻ってこいって……」

コッコ姉さん「……お婆ちゃんも、もう気にしてないから……」
コッコ姉さん「薬の材料なんか、もういいから早く戻ってこいって、言ってやってよ」

リンクル「……うん。覚えとくね」
308 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:59:18.91 ID:JlbP4/MV0
――的あて屋

リンクル「これで最後っと」バシュッ

ナビィ「すごーい! 全部当てちゃったネ!」

的あて屋「おおー、ワンダホー! パーフェクト!」
的あて屋「ほら賞金だ」っ50ルピー

リンクル「ありがと」

的あて屋「もう一回やる?」

リンクル「うんっ、はい20ルピー!」チャリン


リンクル「よーし、全部当たった!」

ナビィ「すごいすごい! もう10回連続だヨ!」

的あて屋「お、おおー! すごいね、お嬢ちゃん」
的あて屋「まだやるかい?」っ50ルピー

リンクル「うん! 20ルピーだよね!」チャリン


的あて屋「……パーフェクトーワンダホー」

リンクル「やったー!」

ナビィ「流石に20回も連続でやってると疲れてこない……?」

リンクル「そう?」

的あて屋「はい、賞金……」っ50ルピー
的あて屋(どういう集中力してんだこの娘……)

ナビィ(うわぁ……おじさんの顔引き攣ってる……)

リンクル「もっかいやらせて!」チャリン

的あて屋「ああ、うん……」


的あて屋「……」

リンクル「パーフェクトっ♪」クルクル

ナビィ「もう30回だヨ……そろそろ別のとこ行こうヨ……」
ナビィ(何度も20ルピーもらって何度も50ルピー払う羽目になってるおじさんもいい加減可哀想だし……)

リンクル「ところでナビィ、“パーフェクト”ってどういう意味なの?」

ナビィ「知らなかったんだ……」ガクッ
ナビィ「“完璧”って意味ヨ……」

リンクル「そうなんだ! 良い言葉だね、パーフェクト!」

ナビィ(少なくともこの店のおじさんにとっては一生聞きたくない言葉になったと思うなぁ)
ナビィ「ねぇ、さっきも言ったけど、ナビィちょっと飽きてきちゃった。他のとこ行かない?」

リンクル「んー……じゃあこれで終わりにしよっか」
リンクル「次で最後にするね」チャリン

的あて屋「ハイヨロコンデー」
309 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 21:59:46.10 ID:JlbP4/MV0
――なンでも屋

リンクル「ボルトある?」

なンでも屋「ボルト? って、クロスボウの矢のことですか?」

リンクル「うん」

なンでも屋「こちらでよろしいでしょうか」っ鉄のボルト

リンクル「……他にある?」

なンでも屋「いえ、うちで扱ってるのはこれだけです」

リンクル「じゃあそれでいいや。そのセット頂戴」

なンでも屋「30本の束で60ルピーになります」

リンクル「はい、ありがと」チャリン

ナビィ(見た目すごくゴツイのに接客はすごく丁寧ネ……)
310 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:00:30.47 ID:JlbP4/MV0
――インゴー牧場改めロンロン牧場

エポナ「ヒヒーン」

リンクル「エポナの気の向くままに走らせてみたけど、まぁ、やっぱりここに辿り着くよね……」
リンクル「フフ、やっぱりお家がいいよね」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

リンクル「よっ、と……」スタッ

コッコ「コッコッコッコ」

リンクル「こっこっこー」
リンクル「なんだか前と雰囲気変わったね」

ナビィ「あっ、見て見て、リンクル!」
ナビィ「インゴー牧場じゃなくて、ロンロン牧場になってるヨ!」

リンクル「ほんとだ……おじさん戻ってきたのかな」

ナビィ「心入れ替えてちゃんと仕事してたりしてネ!」
ナビィ「あれ? あそこに立ってるのは……」
311 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:01:01.11 ID:JlbP4/MV0
リンクル「インゴーさん!」

インゴー「おう」
インゴー「……なんだよ」

リンクル「んー……前より楽しそうだなって」

インゴー「俺が?」

リンクル「うん。ね、エポナ」

エポナ「ブルルルッ」

インゴー「……そうかい」
インゴー「お前、本当にどうやってそいつを手懐けたんだ?」

リンクル「なーんにも。いつの間にか仲良くなっちゃったのよ」ナデナデ

エポナ「ブルルッ」

インゴー「……元気そうだな」
インゴー「放牧場にお嬢さんが居る。会ってみな」

リンクル「ん、ありがと」
312 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:01:30.26 ID:JlbP4/MV0
――ロンロン牧場 放牧場

リンクル「マロンー!」

マロン「ん、妖精ちゃん!」
マロン「エポナ元気にしてる?」

リンクル「ご覧の通り!」

エポナ「ヒヒーン!」

マロン「フフッ、やっぱり妖精ちゃんによく懐いてる」
マロン「ねぇ、エポナと一緒に障害物レースに挑戦してみない?」

リンクル「障害物レース?」

マロン「外周に柵があるでしょ?」
マロン「あれを飛び越えて行くの。二周のタイムを計ってあげる」

リンクル「何それ面白そう! やってみる!」

エポナ「ヒヒィーン!」
313 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:02:00.63 ID:JlbP4/MV0
パカラッ パカラッ

リンクル「はいやっ!」

エポナ「ヒヒィーン!」ダンッ

パカラッ パカラッ

マロン「あと一周!」
マロン「すごーい、やっぱり息ぴったりね」

ナビィ「ほんとにネ」
ナビィ(あれもリンクルの才能の一つなのかな)

パカラッ パカラッ

リンクル「あっはは、行くよ、エポナ! はいっ!」

エポナ「ヒヒィーン!」ダンッ

ナビィ(でも、久々にあんな楽しそうなリンクル見たかも)
314 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:02:56.02 ID:JlbP4/MV0
マロン「すごい! あたしより良い記録じゃない!」

リンクル「そう? やったね、エポナ!」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ!」

タロン「あの時の妖精のお嬢ちゃんか? 久しぶりだーよ」

リンクル「うん、久しぶり」

ナビィ「実はカカリコ村で一回会ってるんだけどネ……」

タロン「城だけじゃなく、牧場の問題まで解決してもらって、迷惑かけてばっかりで申し訳ないだ」

リンクル「いいのよ、ここの牛乳美味しいし、エポナが居てくれるお陰で旅も大分楽だしね」
リンクル「おじさんは仕事ちゃんとやってる?」

タロン「勿論だーよ」
タロン「今回の件で懲りただーよ……」

リンクル「そう?」チラッ

インゴー「……」
インゴー「んんっ、ごほん」

インゴー「タロンの旦那は戻ってきてから本当によく仕事してくれるようになったぜ」
インゴー「ま、俺は本来馬以外は専門外だからな。牛とコッコに関しちゃ旦那が居なくて困ってた」

リンクル「……」クスッ
リンクル「良かった、元通りになって」
315 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:03:41.38 ID:JlbP4/MV0
リンクル「痛っ……こんなとこ火傷してたんだ……」ゴシゴシ

マロン「妖精ちゃん、入るよー?」ガチャッ

リンクル「えっ?」

マロン「洗いっこしましょ!」

リンクル「え、えー……も、もうそんな年でもないかなー、って……」

マロン「年なんか関係ないでしょー?」
マロン「もう、また怪我してる! 女の子なんだからお肌気をつけないと!」

リンクル「冒険中にそんなこと気にしてられないよ」

マロン「そんなこと言ってー……」
マロン「むっ、妖精ちゃん、やっぱりおっぱいおっきくなったね」ムニュムニュ

リンクル「ひゃああっ!? ち、ちょっと!?」

マロン「やーらかーい」ムニムニ

リンクル「マ、マロンだって……っていうかあたしより大きいでしょ、マロン!」

マロン「フフフッ、まぁねー!」ドタプーン

リンクル「このーっ! こーしてやるこーしてやる!」ムニュムニュ

マロン「ひゃんっ! やったなー!」
316 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:04:09.25 ID:JlbP4/MV0
マロン「はぁー……はしゃいじゃったね」チャプン

リンクル「ほんと……」チャプン
リンクル(久しぶりに……ちょっと楽しかったかも)

マロン「……ねぇ、リンクル」

リンクル「うん?」

マロン「リンクルがどうして旅をしてるのか、詳しいことは知らないけど……」
マロン「もし、旅が終わったら、次はどこに行くかって決まってるの?」

リンクル「旅が終わったら? うーん……」
リンクル「何も決まってないかなぁ。終わったら終わったときだよ」

マロン「そっか……」
マロン「じゃあ、さ、その……」

マロン「もし旅が終わった時、何も決まってなかったらで、いいからさ……」
マロン「うちにおいでよ」

リンクル「ロンロン牧場に?」

マロン「うん。一緒に暮らそう?」

リンクル「……」
リンクル「……ありがとう。考えとくね」

マロン「約束、だよ……?」

リンクル「……うん」
317 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:04:43.99 ID:JlbP4/MV0
エポナ「(おひさー)」

馬A「(おっ、エポナ先輩! おひさっす!)」

馬B「(おひさっすー! めっちゃ速かったっすね!)」

エポナ「(リンクルは乗り方が優しくて走りやすいからねー。楽しいよー)」

馬A「(かーっ、やっぱめちゃくそ速ぇエポナ先輩は人間にも恵まれるんすね!)」
馬A「(俺もリンクルさんみたいな人間に乗られてぇっす!)」

エポナ「(あんたはインゴーさんに選ばれて最初ちょこっと乗られてたじゃん)」

馬A「(あ、見てたんすね! いや、あれマジで初めてかよこの人ってくらい上手かったっすよ!)」

馬B「(まーじで? くそー、あん時インゴーさんの近くに寄ってりゃ選ばれてたかもしれねぇのに)」

馬A「(へっへっへ、運が悪かったなぁ)」
馬A「(あ、そうだ! エポナ先輩、旅のお話聞かせてくださいよ! マジ気になるっす!)」

エポナ「(いいよー。っていってもあたしもあんまり詳しくは知らないんだけどねー)」
318 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:05:09.17 ID:JlbP4/MV0
――翌朝

リンクル「おはよ、ナビィ……」ノソノソ

ナビィ「おはよう、お寝坊さん」
ナビィ「マロンは?」

リンクル「……まだ寝てると思う」

ナビィ「ああ……それでインゴーさんが文句言いながら朝ご飯作ってるんだ」

リンクル「昨夜大分遅くまで起きてたからね……」

ナビィ「それで、今日はどうするの?」
ナビィ「また障害物レース?」

リンクル「あ、そうね……」
リンクル「もう一度、森の方に行こうと思うんだ」

ナビィ「森に? どうして?」

リンクル「ボルトを作ろうと思ってね」

ナビィ「いっつもその辺の木で作ってるけど、森の木と何か違うの?」

リンクル「森の木で作ったボルトの方がよく飛ぶの」
319 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:05:47.46 ID:JlbP4/MV0
――迷いの森

リンクル「昨夜はこの辺り雨だったみたいね」

ナビィ「靴が泥だらけじゃない。またマロンに怒られちゃうヨ?」

リンクル「あはは……」
リンクル「……?」

ナビィ「どうしたの?」

リンクル「誰か居る……コキリ族じゃないみたい」

ナビィ「ほんとだ……大人だ」
ナビィ「こんなとこで項垂れて……魔物になっちゃうヨ」

リンクル「早く出て行くように言わなきゃ」
リンクル「あのー……」

大工の息子「……」

リンクル「何をしにこの森に来たのか知らないけど、早く出て行った方が身の為だよ?」
リンクル「森の外の人がここに長く居ると魔物になっちゃうから……」

大工の息子「……お前は?」

リンクル「あたしは居てもいいんだってさ。ほら、妖精」

ナビィ「ハロー、ハイリア人のお兄さん」

大工の息子「そうか……この森に居られるってことは、お前、多分良い奴なんだろうな……」
大工の息子「頼みがあるんだ……これを……これをカカリコ村のクスリ屋のババアに届けてくれ」スッ

リンクル「……何これ? キノコ?」

大工の息子「時間が経つと消えちまう……頼む……!」

リンクル「……分かった。やってみるよ」
リンクル「あなたも、早めに森を出てね」
320 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:06:14.03 ID:JlbP4/MV0
――カカリコ村

リンクル「エポナ、ありがとね」ナデナデ

エポナ「ブルルルッ」

ナビィ「キノコは?」

リンクル「まだ大丈夫」
リンクル「クスリ屋って、登山道の前にあるあのお店だよね?」

ナビィ「うん」

リンクル「でも、あのお店にお婆さんなんて居たかしら……」タタタタッ
321 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:06:46.62 ID:JlbP4/MV0
――カカリコ村 クスリ屋

リンクル「こんにちはー」

クスリ屋の店主「いらっしゃい。何をお探しかな?」

リンクル「えーと、クスリ屋のお婆さんに、って言われたんですけど……」

クスリ屋の店主「ああ、あの人なら裏手の方のクスリ屋だよ」
クスリ屋の店主「そこの勝手口から繋がってるから、行ってごらん」

リンクル「ありがとうございます」
リンクル「……あ、それとその赤い薬一つください」

クスリ屋の店主「はい、毎度あり!」
322 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:07:25.78 ID:JlbP4/MV0
――カカリコ村 裏手のクスリ屋

リンクル「こんにちはー」ガチャ

クスリ屋の婆さん「……いらっしゃい」
クスリ屋の婆さん「クン……クン……」

クスリ屋の婆さん「この怪しげなニオイは……」
クスリ屋の婆さん「あんた……何か持ってるね?」

リンクル「え、分かるんですか?」

クスリ屋の婆さん「伊達に何十年もクスリ屋やってないよ」

リンクル「これ、森でもらったんですけど……」
リンクル「カカリコ村のクスリ屋のお婆さんに、って」っあやしいキノコ

クスリ屋の婆さん「……あのバカ、森に入ったのかい……そうかい」
クスリ屋の婆さん「そいつをよこしな」

リンクル「は、はい……」

クスリ屋の婆さん「そこで待ってな」


クスリ屋の婆さん「……ほら、これを持って行きな」
クスリ屋の婆さん「あのバカに会ったら渡しとくれ。約束の万能薬だ」っあやしいクスリ

リンクル「あ、ありがとう……」

クスリ屋の婆さん「尤も……これが効くのは人間だけだがね……」

リンクル「……!」ダッ

バタン

クスリ屋の婆さん「……バカにつけるクスリはない、っていうけどねぇ……」
323 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:07:52.32 ID:JlbP4/MV0
――ハイラル平原 森の入口

リンクル「……出てきた形跡はないね」

ナビィ「どうして分かるの?」

リンクル「足跡。あたしとエポナの分しかない」

ナビィ「ほんとだ……じゃあ、まだ森の中に居るのかな?」

リンクル「多分ね……」
324 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:08:26.90 ID:JlbP4/MV0
――迷いの森

リンクル「この辺り……あ、そうだわ。あの切り株の下」

ナビィ「居なくなってる……?」

リンクル「……」

「あの人、もう居ないヨ」

リンクル「!」ゾクッ
リンクル「……ファド」クルッ

ファド「私の名前知ってるの?」

リンクル「……いや、気のせいよ」
リンクル「それで、あの人は? 薬を渡さなきゃいけないの」

ファド「……ふぅーん」
ファド「森に入った人はみぃ〜んな居なくなる」

ファド「みぃ〜んなスタルフォス。だから居ないの、あの人」
ファド「残ったのはノコギリだけ。フフッ!」

リンクル「……」

ファド「それ……森から作ったでしょ?」
ファド「……返して!」ズイッ

リンクル「っ……!」ジリッ
リンクル「わ、分かったわよ。はい」っあやしいクスリ

ファド「フフ、じゃあこれあげる」っ密猟者のノコギリ

リンクル「……ありがとう」

ファド「お姉さん、不思議な人ネ」スッ
ファド「森の人じゃないのに、森の匂いがするヨ?」ペタペタ

リンクル「……あたしは、違うのよ」

ファド「そう? フフフッ」
ファド「あなたも……なっちゃう?」

リンクル「……」ザッ
325 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:09:19.95 ID:JlbP4/MV0
――ハイラル平原

リンクル「なんだか釈然としないなぁ」

ナビィ「お兄さんのこと?」

リンクル「うん」
リンクル「なんで、どういう理由があってあたしのお父さんは森に許されてたんだろ?」

ナビィ「さぁ……」
ナビィ「でも、もしかしたら森を大切にする人だったのかもしれないヨ」

リンクル「そんなもんなのかなぁ」
リンクル「ファイはどう思う?」

ファイ「明確に関係があるとは言い切れませんが、マスターの血筋については一つ気になる点があります」

リンクル「血筋?」

ファイ「イエス、マスター。これはハイラル王国の建国に関わることですが」
ファイ「あなたはファイの以前のマスター……“女神の騎士”と呼ばれた剣士の直系と思われます」
326 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:11:24.01 ID:JlbP4/MV0
リンクル「女神の騎士って?」

ファイ「ご存知ないのも仕方ありません。女神ハイリアに関する神話は王家にのみ伝えられているようです」
ファイ「女神ハイリアの名は知られていますが、その神話の多くは王家以外の者は殆ど知らないものと思われます」

リンクル「んー、確かに、デクの樹様から名前だけは聞いたけど、詳しくは聞いてないかも」
リンクル「どんな神話?」

ファイ「今から数百年前、ハイリア人の始祖となる人々が大地から切り離され空に浮かぶ地に暮らしていた時代」
ファイ「大地に封印されていた邪悪なる者が復活し、女神の転生した少女を襲いました」

ファイ「その少女を救うべく大地に降り立ち、邪悪なる者を再び封印したのが“女神の騎士”です」
ファイ「女神が転生した少女は大地でハイリア人の王国を築きました」

リンクル「それが今のハイラル王国ってわけね」
リンクル「空に浮かぶ土地、っていうのは初めて聞いたなぁ」

ナビィ「あたしも初めて聞いたわ……」
ナビィ「その土地は今も空の上にあるの?」

ファイ「把握しておりません」

リンクル「なーんだ」
リンクル「でも、まぁ、面白い話ありがとね」

ファイ「いいえ、マスター。お礼には及びません」
327 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:11:52.53 ID:JlbP4/MV0
――翌日 ハイリア湖畔 釣り堀

リンクル「なんとなーくハイリア湖来て釣り始めちゃったけど……」
リンクル「もう三日も遊んでるね。こんなことしてていいのかなぁ」

ナビィ「大丈夫だヨ。勇者も偶にはゆっくり休まなきゃ」
ナビィ「次は“砂の女神”に行くんでしょ?」

リンクル「うん」
リンクル「けど、結局それが何なのか全く分かんないんだよね」

ナビィ「そだネ……」

リンクル「みずうみ博士なら分かるかなー」

ナビィ「……リンクル、その竿動いてない?」

リンクル「えっ?」
リンクル「うわっ、引いてる!」カリカリカリ

ナビィ「頑張って!」
328 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:12:57.23 ID:JlbP4/MV0
――ハイリア湖畔 みずうみ研究所

みずうみ博士「おや、君は……この前の妖精のお嬢ちゃんか」
みずうみ博士「ハイリア湖はすっかり元通りじゃ」

リンクル「はい、知ってます」
リンクル「今日は別の用事で」

みずうみ博士「ふむ?」

リンクル「“砂の女神”……って言われて、何だか分かりますか?」

みずうみ博士「砂の女神、とな?」
みずうみ博士「うーむ……分かるようで分からんな……」

リンクル「……そう、ですか」

みずうみ博士「いや……もしかしたらアレのことかもしれん」

リンクル「アレ?」

みずうみ博士「ここから西に行くとゲルドの谷がある」
みずうみ博士「谷を抜けた先……道行く人を惑わせるという幻影の砂漠の、その奥にあるのが邪神の巨像じゃ」

リンクル「邪神の巨像……」

みずうみ博士「かなり昔に遠征に参加したという兵士に聞いた話でな、ワシも詳しいことは知らんが……」
みずうみ博士「確か邪なる女神の像だと言っておった。邪神は邪神でも女神じゃからな」

リンクル「うーん……」
リンクル「ありがとうございます、行ってみます」

みずうみ博士「西方はゲルド族の土地じゃ」
みずうみ博士「当然ながらハイリア人に良い印象は持っておらん筈だから、気をつけてな」
329 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:13:26.03 ID:JlbP4/MV0
――ロンロン牧場

マロン「本当に西の方へ行っちゃうの?」

リンクル「うん。危険だとは聞いたけど、行かなきゃならない場所が西にあるからね」
リンクル「また来るよ」

マロン「うん……待ってる」
マロン「食糧はそれで足りる?」

リンクル「三日分もあれば平気だって、おじさんが」
リンクル「西の関所跡までは馬車で二日ってとこらしいから、エポナならもっと早いよ」

マロン「そう……気をつけてね」

リンクル「うんっ!」
リンクル「あ、それと牛乳までつけてくれてありがとね! ここの牛乳元気が出るから大好き!」

マロン「あ、いや、今日のは商品用のロンロン牛乳じゃないんだ……ごめんね」

リンクル「そうなの? まぁいいよ、この牧場のならみんな美味しそうだから」

マロン「あ、ありがとう……///」

ナビィ「?」
330 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/02/27(火) 22:15:06.44 ID:JlbP4/MV0
とりあえずここまで

ゼルダはミニゲームがいっぱいあって楽しいよね


時のオカリナ3Dは時のオカリナが簡単というよりは多分BotWが難し過ぎるんだと思う(?)
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 22:22:59.65 ID:zrUd8XTL0
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 22:33:31.65 ID:2qUfUY9Ro

よかった
おっちゃんの頭の上の物は池の中で無くされなかったんだね・・・
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 09:35:27.71 ID:PVHGOI3KO
マロンまさか自分の……?
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 12:04:10.58 ID:ChOuogZRO
えっ、でるのマロン
335 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:54:25.52 ID:mlfzM24X0
ちょっとした要因で母乳出ちゃう例とかあるらしいね聞いた話だけど

3DSだとダークリンク弱過ぎて笑った
やっぱなんか色々難易度下げてある気がする


更新します
336 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:55:35.03 ID:mlfzM24X0
 ep.17 幻影の砂漠


――ハイラル平原

リンクル「段々空気が乾燥してきたね……」

ナビィ「風の感触も違うヨ……」

リンクル「……喉渇いた」
リンクル「牧場でもらった牛乳、飲んでみよっか」

ナビィ「そうだね。あんまり日持ちするものじゃないし……」

リンクル「んっ」キュポンッ
リンクル「んくんく」ゴクゴク

ナビィ「どう?」

リンクル「……なんだか、不思議な味」

ナビィ「不思議?」

リンクル「なんだろ……こう、いつものロンロン牛乳じゃないっていうか……」
リンクル「そもそもこれ牛乳なのかなって……」

ナビィ「ちょっと舐めてみていい?」

リンクル「うん」

ナビィ「……」ペロッ
ナビィ「……んんー、なんだろうねこれ……?」

リンクル「ファイは何だと思う?」

ファイ「不明。こうした成分の分析は賢者の間で出すことの出来る人の姿でしか出来ません」

リンクル「あ、そう……」
リンクル「ま、優しい美味しさだからこれはこれでいいや」
337 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:56:12.41 ID:mlfzM24X0
――ゲルドの谷 関所跡

リンクル「結構ハイリア人が居るね」
リンクル「カカリコ村や以前の城下町程じゃないけど、賑やかだ」

ナビィ「元々国境で砦があったから、まだそれなりに活気があるみたい」
ナビィ「ハイリアの兵隊さんも居るよ」

リンクル「あのー」

兵士「うん? 旅人かい?」

リンクル「はい。砂漠に入りたいんですけど……」

兵士「砂漠に? いや、入りたいというなら止めることは出来ないが……」
兵士「谷川の橋がゲルドの連中に落されてね、我々も渡る方法がなくて困ってるんだ」

リンクル「橋を?」

兵士「ああ。向こう側にカカリコ村の大工達が残ってるから心配だ……」

リンクル「親方達が……」
リンクル「分かりました、ありがとうございますっ」
338 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:56:55.35 ID:mlfzM24X0
――ゲルドの谷

リンクル「ほんとだ……橋が落ちてる」

ナビィ「どうしよっか?」

リンクル「んー……出来るかなぁ」
リンクル「エポナ、行けそう?」ポンポン

エポナ「ヒヒーン」

リンクル「……そっか」
リンクル「よーし、行くよ! はいやっ!」

エポナ「ヒヒィーン!」パカラッ パカラッ

ナビィ「えっ、ちょっ……ま、まさか」

リンクル「はいっ!」

ダンッ

エポナ「フーッ」ザッ

ナビィ「す、すごい……あの距離を飛び越えちゃった……」

リンクル「やったやった、すごいよエポナ!」ナデナデ

エポナ「ブルルッ」
339 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:57:22.48 ID:mlfzM24X0
リンクル「ん……あっ」

ナビィ「あのテントの前に立ってるのって……」

リンクル「親方だ! 久しぶりー!」

親方「んん……? なんだお前さんは……」
親方「……おっ、まさかあん時の森から来たって嬢ちゃんか?」

リンクル「うんっ! 覚えててくれたんだ!」

親方「まぁな」
親方「そんなことよりお前さんどうしたんだこんなところで」

リンクル「親方こそどうしたの?」

親方「元々は橋のこっち側にもいくつか店作る為に来たんだけどよ」
親方「ゲルドの奴らが橋を落としやがって、そっちも直さなきゃならなくなっちまった」

親方「けど、俺っちの仲間が居ねぇんで人手が足りねぇんだ」
親方「あいつら、“大工はダッセェから盗賊になる!”とか抜かしやがって……」

親方「ゲルドの砦の方へ行っちまいやがったんだよ」
親方「お前さん……ゲルドの砦へ行くなら俺っちの仲間の様子を見てきてくれねぇか」

リンクル「いいけど……親方は?」

親方「ゲルド族ってのは女だけの部族だからよ、迂闊に男が砦に近寄ると牢屋に放り込まれちまう」
親方「お前さんなら普通に近寄れるだろ。ハイリア人なら見境なし、ってわけじゃねぇだろうし」

リンクル「そんなもんかなぁ……」
リンクル「まぁいいや。ありがとう、行ってみるよ」

親方「ああ、それとな、ちょっと待て」

リンクル「?」
340 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:57:54.02 ID:mlfzM24X0
親方「お前さん、木を切る道具余分に持ってねぇか?」

リンクル「木を切る道具?」

親方「ゴロンの鍛冶屋が作った道具が折れちまってよ」
親方「あれがねぇのも仕事にならねぇから困ってんだ」

リンクル「うーん……いつも使ってる剣鉈は流石にあげられないし……」
リンクル「もう一個あるにはあるけど、これ本来あたしのじゃないからなぁ」

親方「何だそりゃ?」

リンクル「ほら、このノコギリ」っ密猟者のノコギリ

親方「ありゃ、なんでお前さんがそれ持ってんだ?」
親方「バアさんのとこに置いてきた筈なんだが……」

リンクル「どこかのお兄さんが森に持ち込んだんだって」
リンクル「あたしは森の子からこれもらったの」

親方「森……っけ、あのバカ息子め……」
親方「ありがとな、嬢ちゃん。ノコギリは俺っちがもらっとくぜ」
341 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:58:40.27 ID:mlfzM24X0
――ゲルドの砦前

リンクル「うーん、ここ門みたいだけど」

ナビィ「誰も居ないね……?」
ナビィ「こういうとこって門番とか居るのが普通だと思うけど……」

リンクル「お休みなのかなぁ」
リンクル「ま、いいや。通っちゃお」


ゲルド門番「きゅう……」

「……来たか……」
342 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:59:09.46 ID:mlfzM24X0
――ゲルドの砦

ゲルドA「おい、そこのお前!」

リンクル「はーい」

ゲルドB「ハイリア人……にしても見かけない顔ねぇ」

リンクル「遠くから来たからね」

ゲルドA「門をすり抜けてどうやってこんなところまで入ったんだ……」

ゲルドB「どうするぅ?」

ゲルドA「どうするもこうするも、牢屋に放り込むしかないだろう」
ゲルドA「動くなよ、少しでも抵抗したら痛い目を見るぞ」

リンクル「ええー」

ゲルドB「ごめんねぇ、規則だからぁ」
ゲルドB「まあ、牢屋で暫く大人しくしててよぉ。処遇はすぐ決まると思うからさぁ」
343 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 22:59:41.78 ID:mlfzM24X0
――ゲルドの砦 牢

ゲルドA「そこで大人しくしてろ」

ガコーン

ナビィ「捕まっちゃったネ……」

リンクル「うん」

ナビィ「持ち物も全部取り上げられちゃったけど、どうするの?」

リンクル「んー……暫くは何も出来ないかなぁ」
リンクル「第一にこれじゃロクに動けないし」ギチギチ

ナビィ「そだね……」
344 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:00:28.23 ID:mlfzM24X0
ガチャ

ナビィ「……」シュ……

リンクル「?」

「……ふーん、あんたが侵入してきたハイリア人?」

リンクル「うん」

ゲルド幹部「あたいはナボール様からここを任されてるもんだ」

リンクル「ああ、うん、よろしく」

ゲルド幹部「どうやって門を通った?」

リンクル「え、普通に……誰も居なかったし」

ゲルド幹部「……誰も居なかった?」
ゲルド幹部「あの門は交代で門番が立ってる」

ゲルド幹部「あんたが捕まった時の門番は、門の脇の岩陰で伸びてた」
ゲルド幹部「あんたがやったんだろ? 門番をぶん殴って、岩陰に隠したんだろ?」

リンクル「え……」
リンクル「そ、そんなの知らないよ」
345 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:00:59.26 ID:mlfzM24X0
リンクル「あたしはただ大工の親方に頼まれて大工さん達を探しに来たのと砂漠に行きたいだけで」
リンクル「別にゲルド族に何かしようとかは全然……」

ゲルド幹部「……緑のフード」

リンクル「?」

ゲルド幹部「緑の服、ハイリアの盾、やたらと上等な馬……」
ゲルド幹部「そして相当な業物の剣と二挺クロスボウを持った、ハイリア人にしては長身の女」

ゲルド幹部「ハイラル中……いや、世界中探したって二人と居ないね、こんな奴」
ゲルド幹部「そうだろう、時の勇者?」

リンクル「……!」

ゲルド幹部「時の勇者はガノンドロフ様から厳命されてる要注意人物だ」
ゲルド幹部「それがまさかノコノコこの砦に入ってきて、あっさり捕まるとは夢にも思わないよ」

ゲルド幹部「明日、お前は弓の的にしてやる……と言いたいとこだけど」
ゲルド幹部「あたいらも活気のないハイラルには辟易し始めててね、最近はどうも退屈で鬱憤が溜まってる」

ゲルド幹部「そこでね、ちょっとしたゲームを思いついたんだ」
ゲルド幹部「ルールは簡単。明日の朝、幻影の砂漠に送り出してやる。その代わり、持ち物はあの剣一本だけだ」

ゲルド幹部「もし生きて帰ってきたら預かってる持ち物は全部返してやるし、大工達も解放する」
ゲルド幹部「この話を断るんなら明日の朝あんたが居るのは砂漠じゃなくて裏の流鏑馬場の的場だ」

リンクル「……」

ゲルド幹部「まぁ、今夜ゆっくり考えるんだね」
ゲルド幹部「少なくとも明日の朝までは生きてんだから」
346 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:02:22.85 ID:mlfzM24X0
リンクル「……」

ナビィ「だ、大丈夫……?」

リンクル「……腕が痛い」ギチギチ

ナビィ「椅子に縛り付けられてるんだもんネ……せめて横になれれば楽かな?」

リンクル「どうだろう……」

ナビィ「もう日も暮れてるし、一旦寝ちゃえば? 起こしたげるよ?」

リンクル「そうしようかな……」

ガチャ

リンクル「……誰?」

ゲルド門番「あたしだよ」

リンクル「……?」
リンクル「いや、ほんとに誰?」

ゲルド門番「忘れたってのかい? ええ?」
ゲルド門番「あんただろ、後ろからいきなり殴りやがって!」

リンクル「し、知らないんだって、ほんとに!」

ゲルド門番「とぼけんじゃないよ!」
ゲルド門番「隊長は朝まで殺すなって言ってたけどね、あたしがこの場でぶっ殺してやる」シャキンッ

リンクル「……!」
347 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:03:10.52 ID:mlfzM24X0
ゲルド門番「楽には死なせないよ。身体中を切り刻んで、腸を引きずり出してやるからな」

リンクル「……やっぱりちょっと思い出せないからもう少し顔をよく見せてよ」

ゲルド門番「ああ?」
ゲルド門番「あたしの面今更思い出すって?」ズイッ

リンクル「ふんっ!」ゴシャッ

ゲルド門番「ぐふくっ!?」ドタッ

ナビィ(頭突きが顔面にモロに……うわー、痛そう……)コッソリ

リンクル「すぅー……」
リンクル「ふっ!!」ダンッ

ナビィ(えっ……椅子ごと宙返りなんて……)
ナビィ(足は椅子に縛られてて使えないから、まさか身体で勢い付けただけで飛んだの……?)

ゲルド門番「……!!」バッ

バキャンッ

ナビィ(椅子は壊れて足は自由になったけど、手が使えない状況でどうするんだろう……?)

ゲルド門番「おっ……お前ぇぇぇ!」

リンクル「はっ!」ドコッ

ゲルド門番「ぐうっ!」

カランカラン

ナビィ(そうだったね、以前は足技で魔物と戦ってたんだもんネ……)
ナビィ(ていうか改めて見ると人間離れしてるなぁ、リンクル……)
348 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:04:00.83 ID:mlfzM24X0
ゲルドA「何だ、騒がしい」

リンクル「くぅ……ぅぅ……!」ギリギリギリ

ゲルド門番「うぐぐぐ……!」パタパタ

ゲルドA「なっ……おい、お前! 何してるんだ!」
ゲルドA「お前もなんでこんなところに居る!」

ゲルドB「何事ぉー?」ヒョコッ

ゲルドA「こいつらを引き離せ!」

ゲルドB「あらまぁ」

ゲルド門番「ちっ……命拾いしたね」

リンクル「そっちこそ……」

ゲルドA「縛ってたのになんて奴だ……」

リンクル「遅いよ……危なく殺されるとこだった……」ボソボソ

ナビィ(つい見物しちゃってたけど、早めに警備の人誘導してくるべきだったね……ごめんね、リンクル……)
349 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:04:57.74 ID:mlfzM24X0
――翌朝

ゲルド幹部「昨夜は散々だったね?」

リンクル「ああ、まぁね……」

ゲルド幹部「で、どうする?」
ゲルド幹部「剣一本持って幻影の砂漠に繰り出すか、大人しく流鏑馬の的になるか」

リンクル「……」
リンクル「砂漠に行くよ。マスターソード返して」

ゲルド幹部「ふふん、生きて帰れると思ってんだね」
ゲルド幹部「精々頑張ってよ」
350 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:05:34.35 ID:mlfzM24X0
――幻影の砂漠

ゲルドA「前方に砂嵐が見えるな?」

リンクル「うん」

ゲルドA「あの向こうには魂の神殿がある」
ゲルドA「もしもあの神殿から何か持ち帰ることが出来たら、お前の勝ちだ」

ゲルドA「尤も……あそこはツインローバのお二人が護る神殿」
ゲルドA「辿り着くことも困難だろうが、辿り着けてもそこで殺されるのがオチだろうな」

リンクル「……そう」

ゲルドA「……まぁ、お前のことは嫌いじゃないからな」
ゲルドA「砂漠を越えるヒントを一つやる」

ゲルドA「“真実を見抜く目を持つ者は幻の案内人がその道を示すだろう”」
ゲルドA「さぁ行け。せめて死なないようにな」

リンクル「……ありがと」

ゲルドB「気をつけてねぇ」
351 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:06:27.76 ID:mlfzM24X0
ゲルドA「本当によろしかったのですか?」

ゲルド幹部「何が?」

ゲルドA「時の勇者です。あんな小娘ですが、もし魂の神殿に辿り着いたら……」

ゲルド幹部「どうだろうね。実際あの神殿の様子はあたいらも知らないわけだし」
ゲルド幹部「ナボール様含む、あの神殿に駐留してた仲間達のことも心配だよ」

ゲルドB「砂嵐が起きるようになって以来、あそこに居た仲間とは連絡不能ですもんねぇ」

ゲルド幹部「ああ。ツインローバのお二人も全然教えてくれやしないしね」
ゲルド幹部「それなら、いっそあいつに行かせて辿り着かせちまえばいい」

ゲルド幹部「途中でくたばったって、あたいらは大して困んないし」
ゲルド幹部「それより昨晩あいつを勝手に殺そうとした奴だけど」

ゲルドB「あれですねぇ」
ゲルドB「あの子、今朝になって目が覚めたんですけど、どうも数日前からの記憶がないんですよぉ」

ゲルド幹部「……とすると、やはりツインローバのお二人か」

ゲルドB「その可能性が高いですねぇ」

ゲルド幹部「まったく……さっぱり分からない砂漠越えのヒントに今回の気まぐれな洗脳……」
ゲルド幹部「あのお二人の気まぐれには頭痛がするな……」
352 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:11:38.64 ID:mlfzM24X0
リンクル「ほんとにマスターソード一本なのね……」
リンクル「身が軽いのは良いけど、なんだか盾もクロスボウもないのは不安だなぁ」

ファイ「警告。砂嵐の中では顔を何かで覆わないと危険です」

リンクル「ゾーラの里の時のマフラー顔に巻いとこ……」
リンクル「しっかし、“真実を見抜く目”ってなんだろうね。分かりそうで分からないような……」

ナビィ「リンクルー!」リリリリン

リンクル「あっ、ナビィ!」

ナビィ「やっと見つけた!」

リンクル「どう? 何か持ってこられた?」

ナビィ「ゴメンネ、あたしの体じゃまことの眼鏡しか持ってこられなかった……」

リンクル「いいよ、まことの眼鏡だけでも十分助か……ハッ」
リンクル「……大当たり」

ナビィ「え?」
353 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:12:27.93 ID:mlfzM24X0
ポウ「行きはヨイヨイ、帰りはイナイ」フヨフヨ
ポウ「砂漠を越えたきゃオイラについてきな」フヨフヨ

リンクル「幻の案内人、ね……」

ナビィ「何が見えてるの?」

リンクル「幽霊。案内してくれるんだってさ」

ナビィ「へぇ……」
ナビィ「……あ、大当たり、ってそういうこと?」

リンクル「そういうこと」
リンクル「ただ見失わないように気をつけないとね」
354 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:19:26.26 ID:mlfzM24X0
――巨大邪神像

リンクル「はぁ……はぁ……」ザッザッ
リンクル「ふぅ……ん?」ザッ

ナビィ「砂嵐が晴れた……?」
ナビィ「Look! 大きな石像! あれが女神かな?」

リンクル「多分……あれが、邪神?」
リンクル「邪神、っていうからもっと禍々しいものかと思ってた」

ファイ「あれはハイリア人が信仰している女神と同一の女神、女神ハイリアを模したものと推測されます」

リンクル「ゲルド族も同じ女神を信仰してるの? それにしてはなんだか雰囲気が違うような……」

ファイ「像を作った時代の人々は実際に女神ハイリアを見たわけではない為と思われます」

ナビィ「同じ話を聞いても人によって想像する光景は違う、っていうものネ」

リンクル「成程……じゃあ、あのトライフォースが描かれた台座は?」

ファイ「ゲルド族ではなく、統一戦争時にここまで侵攻したハイラル軍が刻んだものと推測」
ファイ「また、像が破壊されているのも、自然による風化等ではなく何者かが破壊行為を行ったものと思われます」

リンクル「ふーん……また統一戦争かぁ」
リンクル「あれさ、顔の辺りを重点的に破壊されてる気がするけど、そんなに気に入らなかったのかな」

ナビィ「さあ……?」

リンクル「同じ神様を信仰してるのに、こんなに違うなんて変なの」

ファイ「人にとって神は実際に見るのではなく口伝を解釈するものである為、このような違いが生まれます」
ファイ「ゲルド族にとっての女神ハイリアの姿はハイリア人にとっては受け入れ難いものであったと思われます」

リンクル「ふーん……」
355 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:20:13.57 ID:mlfzM24X0
――大妖精の泉

魔法の大妖精「よくここまで来たわね、リンクル」
魔法の大妖精「ここではあなたに魔法のアイテムを授けるわ」

リンクル「ディンの炎、フロルの風に続く魔法のアイテムですね」

魔法の大妖精「さあ、受け取って」

リンクル「ありがとうございます」

魔法の大妖精「それはネールの愛。少しの間、敵の攻撃からあなたの身を護る魔法よ」
魔法の大妖精「どんな攻撃も弾き返せるけど、魔力の消費が激しいから、ここぞという時に使ってね」

リンクル「攻撃、ワープと来て、今度は防御ね」
356 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:20:46.70 ID:mlfzM24X0
――巨大邪神像

リンクル「さて……取り敢えずここで暫く休憩するとして、次は魂の神殿だよね」
リンクル「もう一度あの砂嵐に入れば別の幽霊が居るのかなぁ」

ファイ「マスターに報告。あの像の内部には巨大な空間があると推測されます」
ファイ「ゲルド族とハイリア人ではこの像に対する認識が違う為、マスターの解釈には食い違いがある確率65%」

ナビィ「……あ、そっか。ゲルド族にとってはこれは“邪神”像じゃないんだ」
ナビィ「ハイリア人は邪神像って呼ぶけど、ゲルド族はもっと別の名前で呼んでる筈だよネ」

リンクル「あー……じゃあ、そうするとこれがゲルド族の言う魂の神殿かもしれない、ってこと?」

ファイ「イエス、マスター」

リンクル「んー、確かに入口っぽいのは見えるね」
リンクル「それじゃ、あの像の中入ってみよっか」

ナビィ「何か持って来いって言われてたんだったネ」
ナビィ「もしかしたらすごいお宝があったりして!」

リンクル「どうかなぁ……何か居るって話だったし」

ナビィ「あー……そうだね。用心はしとかないと」
ナビィ(……あれ? じゃあなんでリンクルにこんなことさせるんだろう、あの人達……?)

ナビィ(あの人達が言ってた“ツインローバ”って、多分ゲルド族の誰かよね?)
ナビィ(リンクルを確実に倒せるっていうよっぽどの自信がある? それともリンクルに倒してほしいとか?)

リンクル「ん、ここだここだ」
リンクル「よーし、行くぞー」

ナビィ(なんだかいつも以上に不安だなぁ……)
357 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/05(月) 23:22:03.56 ID:mlfzM24X0
取り敢えずここまで

めっちゃ眠かったのでどっか変なとこあるかもしんないけど質問等あればどうぞ
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 00:46:44.21 ID:fkYYhAV/0
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 09:28:47.94 ID:zQU10sBuo
リンクルレズ尋問しないとかゲルドおめーら子宮付いてんのかおぉん?

360 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:10:32.78 ID:XhXxrjet0
なんか店長が娘との結婚を強力に勧めてくるけど、30一歩手前の腐女子と結婚とか怖すぎる


実は最初、ゲルドの砦で慰安婦として飼われるか砂漠に行くか選べとでも言わせようかと迷った


今日で完結まで持っていこうかなぁ
361 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:11:15.32 ID:XhXxrjet0
 ep.18 魂の賢者


――魂の神殿

ファイ「マスターの読み通り、この像の内部が魂の神殿である確率90%」

リンクル「へぇ……これ、石像の中が神殿なんだ……」

「今となってはツインローバの実験場だけどね」

リンクル「……シーク」
リンクル「あんたってどこにでも現れるんだね」

シーク「僕は旅の吟遊詩人。僕の行き先と君の行き先が偶々同じだけさ」

リンクル「ふーん……」
リンクル「ところでさ、あんたは幻影の砂漠をどうやって越えたの?」

リンクル「あたしはまことの眼鏡があったから来られたんだけどさ」
リンクル「あんたもそれと同じようなものがあるわけ?」

シーク「……」

リンクル「……」
リンクル「……まぁ、いいけど」

リンクル「……話変わるんだけど」
リンクル「シークさ、自分の姿を鏡で見たことある?」

シーク「……」

リンクル「……だんまり」
リンクル「答えたくないことだらけなんだね」

シーク「……リンクル、君は」

リンクル「いいよ、今は答えなくて」
リンクル「いつかあんたが教えたくなったら、教えてね」

シーク「……」

リンクル「それより、この神殿のこと教えて」
362 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:12:00.64 ID:XhXxrjet0
シーク「ツインローバは双子の魔法使いの婆さんだ」
シーク「ガノンドロフの教育係も務めたと聞く」

リンクル「ガノンドロフの……!」

シーク「この神殿は遥かな昔からここにあり、ある時代にゲルド族が今の形に造り替えたといわれている」
シーク「複雑な内部はゲルド族の要塞としても機能し、統一戦争時にはこの地で多くの血が流された」

シーク「ハイラル軍が撤退して久しい今となっても、ゲルド族はここを拠点の一つとしているらしい」
シーク「そしてガノンドロフ軍の大物である、ツインローバがここを護っている筈だ」

リンクル「そう……ありがと」

シーク「気をつけるんだリンクル。奴らの趣味は洗脳……」
シーク「君が捕まらないのは兎も角、ゲルド族には注意するんだ」パァン

リンクル「うっ……!」
リンクル「……消えた」

リンクル「もう、今度こそ一緒に来てくれるのかと思ったのに」
リンクル「……む」シャキンッ

ガチャン……ガチャン……
363 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:12:27.94 ID:XhXxrjet0
アイアンナック「……」ガチャン ガチャン

リンクル「……大きな斧を持った、鎧の戦士?」

アイアンナック「……オォン!」ブオンッ

リンクル「っ!」バッ

ナビィ「気をつけてリンクル! 今は盾がないから攻撃を防ぐには……」

ファイ「マスターに警告。あの敵の攻撃は斧自体の重量と機械の補助により、非常に威力が高いと思われます」
ファイ「盾があっても攻撃を防げない確率90%。受け止めたりせず、回避することを強く推奨します」

リンクル「確かにあんなのもらったら一撃で真っ二つにされそうだもんね……おっと!」バッ

アイアンナック「フンッ!」ドコッ

リンクル「……あの鎧、重そうだね」

アイアンナック「ハアッ!」ブオンッ

リンクル「よっ」バッ
リンクル「足元ががら空きよ!」ダッ

ガチャーン
364 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:13:16.90 ID:XhXxrjet0
アイアンナック「ウオォッ!」

ナビィ「鎧が少し剥がれた!」

アイアンナック「……!」ブオンッ ブオンッ

リンクル「うわっ!」バッ

ナビィ「Watch out! 敵の動きが素早くなったヨ!」

リンクル「このっ……!」タンッ

アイアンナック「……!」

リンクル「せいっ!」バキンッ

アイアンナック「グオアアッ!」

リンクル「っと」シュタッ

ナビィ「やった、兜を叩き割っちゃった!」

ガチャン ガチャガチャ……

アイアンナック「……」ドサッ

ナビィ「……?」
ナビィ「!」

ゲルド「」

ナビィ「Look! リンクル!」
ナビィ「あの鎧の中身、ゲルド族だったんだ!」

リンクル「え……」
365 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:13:49.33 ID:XhXxrjet0
リンクル「生きてるの?」

ナビィ「ううん……兜ごと頭を叩き割られちゃったみたい」

リンクル「……も少し加減して叩けば死ななかったかな」

ナビィ「……」

リンクル「……まぁ、いいや。気にしても仕方ないし」
リンクル「ゲルド族がこんな重苦しい鎧着込んで、重たい斧使ってくるなんて変だね」

ナビィ「そう?」

リンクル「城下町で見たゲルド族は2本の曲剣を使ってた」
リンクル「ゲルドの砦に居た人達もみんな曲剣か槍ばっかり。弓の人も居たけど、斧はなかった」

リンクル「多分、みんな軽い武器が得意なんだと思うけど……」
リンクル「なんでこの人だけこんなことしてるんだろ」

ファイ「マスターに報告。この鎧の内部の機械に使われている技術は古代の文明の技術と一致します」
ファイ「この鎧は古代の機械人形を復元したものと思われます」

リンクル「人形? このゲルドの人は生きた人間だった筈よ?」
リンクル「ほら、体温もまだ残ってる。さっきまで生きてたんだわ」ペタ

ファイ「イエス、マスター。しかし、この機械人形には動力に当たる部品が見受けられません」
ファイ「機械人形をそのまま動かすのではなく、あくまで人間の力を強化する為に使っているものと推測」

ナビィ「この鎧はあくまで兵士を強化する補助の道具ってことね」

ガチャン……ガチャン……

リンクル「げっ」

アイアンナックA「コォォォ……」ガチャン ガチャン

アイアンナックB「ヌゥゥ……」ガチャン ガチャン

リンクル「に、二体……!?」
リンクル「こんなの二体も同時に相手してらんないよ!」タタッ
366 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:14:16.63 ID:XhXxrjet0
アイアンナックA「……」ガチャン ガチャン

リンクル「……」コソコソ

ナビィ「……行ったみたい」

リンクル「……ふぅ」
リンクル「あれ……?」

ナビィ「わ、中にもあったんだ、この女神像」

リンクル「こっちは壊されなかったんだね」
リンクル「そこの扉、入ってみようか」
367 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:14:46.85 ID:XhXxrjet0
リンクル「……!」

「ホッホッホ……誰か来たようですよ、コウメさん……」

コウメ「ヒッヒッヒ……そのようですねぇ、コタケさん……」

コタケ「我らの神殿へ侵入するとは、恐れを知らない不届き者よのぉ、ホッホッホ……」フワリ

コウメ「では、その不届き者に罰を与えてやりましょうかねぇ、ヒッヒッヒ……」フワフワ

コタケ「我らの忠実な下僕よ……」

コウメ「我らに代わり、侵入者を殺せ!」

アイアンナック「……」ガチャン

リンクル「またあの鎧……!」
368 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:15:13.82 ID:XhXxrjet0
アイアンナック「……」スッ
アイアンナック「……?」ケンガナイ?

リンクル「……?」

アイアンナック「……」コノオノツカウンダッタ
アイアンナック「オォッ」ブオンッ

リンクル「っと……!」バッ
リンクル「最初の空振りは斧だとは思わせない為のフェイク? それとも……」

アイアンナック「フンッ!」ドコッ

リンクル「おっと!」バッ
リンクル「その鎧重いでしょ!」ダッ

ガチャーン

アイアンナック「オオオッ!」ブオンッ ブオンッ

リンクル「もう分かってるのよ!」バッ
リンクル「せぇぇいっ!」タンッ

バキンッ
369 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:16:17.95 ID:XhXxrjet0
リンクル「今度は……」シュタッ

アイアンナック「ウオォォ……」ドタッ
アイアンナック「う……!」

リンクル「……生きてるみたいね」

「あ、あたいは一体……?」
「……何者だ!?」ザッ

リンクル「……ただの旅人」

「何……?」
「そんなのあたいが信じると思って……」

リンクル「じゃあ時の勇者だって言ったら信じる?」チャキッ

「時の勇者……」
「……ガノンドロフを倒そうとしてるハイリア人とは聞くけど」

「あんたみたいな小娘だとは俄かには信じがたいね」
「ただまぁ、その剣見る限り、相当腕は立つってのは分かるよ」

「剣を下ろしてよ。あんたがガノンドロフを倒したいってんなら、あたいは敵じゃない」
「あたいもガノンドロフを何とかしたいんだ。手を組まないかい? 時の勇者」

リンクル「……」シャキン
リンクル「……リンクルって呼んで。あなたの名前は?」

ナボール「ナボールだよ。よろしくね」

リンクル「うん」
リンクル「ここで何があったの?」
370 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:17:14.66 ID:XhXxrjet0
ナボール「ここで何があったか……ね」
ナボール「色々だよ」

ナボール「10年かそこら前に、砂漠の古い遺跡から変なもんが出てきたんだってさ」
ナボール「ツインローバの婆さん達は古代の遺物、機械人形だって言ってたけど」

リンクル「ファイが言ってた古代文明の技術ね……」

ナボール「その研究の為に、婆さん達はこの神殿にそれを持ち込んで、ずっと研究してた」
ナボール「それで、ちょっと今どのくらい時間が経ったのか分かんないけど」

ナボール「あたいにとってはつい昨日のことだよ」
ナボール「ついに機械人形を復元したって言われて、そのお披露目にあたい達は集められた」

ナボール「変な甲冑だったけど、言われてみれば強そうだったかな。背丈もあたい達より一回りでかかったし」
ナボール「ただ、そこから記憶がちょっと曖昧でね……変な魔法をかけられたのは覚えてんだけど」

ナビィ「……話が見えてきたヨ……」

ナボール「あん?」

ナビィ「ナボール、あなたね、その機械人形の中に居たの」

ナボール「はっ!?」

ナビィ「多分、ファイが言ってた“動力に当たる部品がない”“人間の力を強化するだけ”っていうのは……」

ナボール「……あたい達を洗脳して、その動力代わりにしてたってわけか」
ナボール「クソッ、あの婆さん達絶対に許さねぇ!」
371 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:17:43.14 ID:XhXxrjet0
リンクル「取り敢えず、ツインローバを何とかしなきゃならないのね?」

ナボール「ああ。そうすりゃ魔力が途切れて仲間達の洗脳も解ける筈さ」
ナボール「ただ、連中は魔法使いだ。一筋縄じゃいかないよ」

ナボール「この神殿にはあの婆さん達の研究してる魔法の道具が沢山ある」
ナボール「その中にはあたいらにも使えるような道具もあってね」

ナボール「あたいの考えが正しければ、確実に奴らの優位に立てるものが一つある。秘策ってやつだね」
ナボール「あたいはそれを取ってくるから、あんたは奴らがどこに隠れてるかを見つけるんだ。いいね?」

リンクル「うん、分かった」
リンクル「じゃあ、また後で」

ナボール「ああ!」
ナボール「くれぐれもあんたが先に見つかんないようにね! 事が済んだらイイコトしてやるよ!」
372 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:18:30.40 ID:XhXxrjet0
リンクル「“イイコト”ってなんだろね」コソコソ

ナビィ「さ、さあ……?」

リンクル「……っと」ササッ

アイアンナックA「……」ガチャン ガチャン

リンクル「はぁーい、背中ががら空きよ!」ダッ

アイアンナックA「!」ブオンッ

リンクル「ほっ!」タンッ
リンクル「せぇいっ!」バキンッ

アイアンナックA「ウオオッ……」ガクッ

ナビィ「横に振られた斧を足場になんて、よく反応出来たネ……」

リンクル「何度も見てれば、どの辺りで動きが止まるか予測出来たからね」
リンクル「うわ!」バッ

アイアンナックB「フンッ」ドコッ

リンクル「案外近くにもう一体居たのね……」
リンクル「こっちまでおいで!」タタタタッ

アイアンナックB「コォォォ……!」ガチャン ガチャン

アイアンナックA「」ガチャガチャ……

ゲルドC「……う……」
ゲルドC「うぅ……ん?」
373 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:19:07.26 ID:XhXxrjet0
リンクル「振り切ったかな……?」コソコソ

アイアンナックB「……?」ガチャン ガチャン

リンクル「……よし」

「バカな子だねぇ、自分からガノンドロフ様に捧げる生贄になりにくるなんて……」

リンクル「なっ……!?」

コウメ「あたしの炎で骨まで焼いてやる……」フワフワ

コタケ「あたしの冷気で魂まで凍るがいい……」フワフワ

双生魔道師 ツインローバ

リンクル「し、しまった……まだ盾がないのに!」

コウメ「ヒッヒッヒ……炎を喰らえ!」ボウッ

リンクル「くっ!」バッ

コタケ「ホッホッホ……次は冷気だよ!」コオオッ

リンクル「ネールの愛!」パシュンッ

ナビィ「大妖精様からもらった魔法!」
ナビィ「このまま逃げましょ、リンクル!」

リンクル「うんっ……!」タタタタッ
374 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:20:01.72 ID:XhXxrjet0
ファイ「警告、間もなくネールの愛の効果が切れます」

コウメ「そろそろかねぇ、コタケさん」

コウメ「そろそろだろうねぇ、コウメさん」

リンクル「ちっ……さっきから分かってて攻撃してこなかったのね!」タタタタッ
リンクル「って、言ってたら効果が切れた!」シュゥン

コタケ「中々しぶとかったねぇ……」コオオッ

リンクル「えぇいっ!」バッ
リンクル「せめてクロスボウがあれば!」タタタタッ

コウメ「ヒッヒッヒ……そこは行き止まりだよ!」ボウッ

リンクル「うっ……!」
リンクル「ぉぉおおおおっ!!」バシュンッ

ファイ「魔法反射」

コウメ「何っ……!?」

リンクル「はぁ……はぁ……!」

ナビィ「す、すごい! 魔法を弾いちゃった!」

リンクル「まぐれだよ……!」
リンクル「次が来たら、確実に殺される……!」

コタケ「ホッホッホ、驚いたねぇ……」
コタケ「だけど、次で終わりだよ小娘」

リンクル「っ……!」

「待ちなっ!」

コウメ「おや……お前は」
375 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:22:44.42 ID:XhXxrjet0
ゲルドC「ナボール様から話は聞いたよ!」
ゲルドC「リンクル! こいつを使いな!」ビュンッ

リンクル「これは……!」パシッ

ゲルドC「銀のグローブだ! 重いものを易々動かせるようになるお宝さ!」

コタケ「ふん、そんなものが何になる!」コオオッ

リンクル「っ!」バッ
リンクル「こうすんのよ!」ボコッ

コタケ「なっ、タイルを剥がして……!」

リンクル「こ、れ、で、も」グルンッ
リンクル「喰らえっ!!」ブンッ

コウメ「おおっと!」バッ

コタケ「コウメさん!」

タタタタッ……

コウメ「ちぃっ……!」
コウメ「取り逃したか……!」
376 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/06(火) 21:24:40.38 ID:XhXxrjet0
リンクル「ありがとう、助かったわ……」

ゲルドC「いいってことよ」
ゲルドC「あんたもあたしを助け出してくれたんだろ?」

リンクル「それは……」

ガチャン……ガチャン……

リンクル「……!」

ゲルドC「こいつは……!」

アイアンナックB「コオオォォ……」ガチャン
アイアンナックB「フンッ!」ドコッ

リンクル「くっ!」バッ

ゲルドC「このっ!」ドカッ

アイアンナックB「ホアッ!」ブオンッ

ゲルドC「うっ!」バッ

リンクル「肩借りる!」タンッ

ゲルドC「あいよっ!」

リンクル「えぇーいっ!」バキンッ

アイアンナックB「オアアッ……!」ガクッ

ガチャガチャ……

ゲルドD「ぅ……」

リンクル「はぁ……ふぅ……!」

ゲルドC「兜だけ割るなんて器用な真似するね……頭ごとかち割っちまうかと思ったよ」

リンクル「そうしてたらあなた今頃死んでたわよ」
377 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:23:58.71 ID:E2VnydgG0
ゲルドC「取り敢えずこいつはあたしが面倒見とくよ」
ゲルドC「ナボール様、来ないね……」

リンクル「ほんとにね」
リンクル「このままじゃツインローバに見つかったら殺されちゃうわ」

ゲルドC「困ったね……」
ゲルドC「……後ろ!」

リンクル「!」バッ

コウメ「うるさい小娘だねぇ」ボウッ

ゲルドC「きゃああーっ!?」ボオオッ
ゲルドC「いやああああああっ!! ああああああっ!!」ゴロゴロゴロ

リンクル「そんなっ!」

ゲルドC「ああああ! あああぁぁぁ……!」ジタバタ

リンクル「ど、どうやって消せば……! ナビィ!」
リンクル「ナビィ!? どこに行ったの!?」

ゲルドC「あぁ……あぁぁぁ……」ズルズル
ゲルドC「」ガクッ

リンクル「あ、ああ……!」

コウメ「おやおや……小娘に火が移らないよう自分から反対方向へ行こうとするなんて見上げた根性だ」

コタケ「是非とも生かして手駒にしておきたかった逸材だったのにねぇ……」

コウメ「ヒッヒッヒ……まぁ、残念だけどあたし達の邪魔をするからそうなるんだよ」

コタケ「ホッホッホ……次はお前の番だ、小娘」コオオッ

リンクル「くっ!」バッ

ゲルドD「」パキパキパキ

リンクル「そんな、あなたまで!」
リンクル「うう……早く来てよ、ナボール!」タタタタッ
378 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:24:30.93 ID:E2VnydgG0
ナビィ「リンクル!」

リンクル「ナビィ! どこ行ってたの!?」

ナビィ「こっちヨ、ナボール!」

ナボール「悪い、あんたを探してた!」

リンクル「遅いよ! あんたの仲間みんな死んじゃったんだよ!?」

ナボール「何っ……! そいつは聞き捨てならないね、婆さん達!」

コウメ「ヒッヒッヒ、獲物が増えたねぇ、コタケさん」

コタケ「ホッホッホ、そのようですねぇ、コウメさん」

コウメ「だけど散々逃げ回ってあたし達を梃子摺らせてくれたお礼に」

コタケ「ちょいとばかしとっておきを見せてあげるよ」

リンクル「とっておき……!?」

コタケ&コウメ「コタケ&コウメの、セクシーダイナマイツアターック!」クルクルクルクル

ボンッ

リンクル「な……!?」

ナボール「え、ええー……」

ツインローバ「ウフフ、さぁとどめよぉ!」
379 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:25:11.36 ID:E2VnydgG0
ツインローバ「炎がお好みかしら? それとも冷気?」

ナボール「どっちもご遠慮願いたいねっ!」
ナボール「どうすんだい?」ヒソヒソ

リンクル「あたしも追いかけっこには疲れちゃってたとこよ!」
リンクル「どうするもこうするも、あんたの言う秘策しかないでしょ!」ヒソヒソ

ナボール「けどまさか合体するなんて思わなかったからさ……」ヒソヒソ

リンクル「はあ?」ヒソヒソ

ナボール「と、兎に角、やってみるしかないよ!」ヒソヒソ

ツインローバ「フフフ、作戦会議はお終いかしら?」
ツインローバ「それじゃ、死に方は選ばせてあげるわ。どちらがお好み?」

リンクル「……」コクリ
ナボール「……」コクリ

リンクル「炎!」
ナボール「冷気!」
380 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:25:39.62 ID:E2VnydgG0
ツインローバ「あらあら、分かれちゃったわねぇ……」
ツインローバ「まぁいいわ。同時に撃つことだって不可能じゃないしね」

ツインローバ「それじゃ、さようならよ」ヴゥン
ツインローバ「来世ではこんなことに巻き込まれない人に生まれるといいわねぇ!」ドオッ

ナボール「今だ!」っミラーシールド

リンクル「!」

カッ

ツインローバ「何っ!?」

バシュウゥゥッ

ツインローバ「ああぁぁぁんっ!!」ドオオオオッ
381 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:26:15.93 ID:E2VnydgG0
ナボール「上手く跳ね返せたね……!」

リンクル「あっ、ツインローバが元に戻った!」

コウメ「えぇい、ちょこざいな……今度こそ本気でいくぞい。のぉ、コタケさん!」フヨフヨ

コタケ「おや……? コウメさんや、その頭の上のわっかは何じゃ……?」フヨフヨ

コウメ「そーいうあんたの上にもあるぞ、コタケさん……?」フヨフヨ

リンクル「……あ、もしかして」

ナボール「お迎えが来てるぜ、婆さん達」

コウメ「あ、あたしゃまだ400年しか生きてないんだよ!?」フヨフヨ

コタケ「あたしなんて380年だよ!」フヨフヨ

コウメ「双子なのに20年もサバ読むんじゃないよ!」フヨフヨ

コタケ「あんたこそボケてんじゃないの!」フヨフヨ

コウメ「誰がボケてるって!? それが姉に対して言う言葉かい!?」フヨフヨ

コタケ「双子に姉も妹もあるかい!」フヨフヨ

コウメ「キィー! この薄情者ぉー!」フヨフヨ

コタケ「何だい、この恩知らず!」フヨフヨ

コウメ「薄情者!」フヨフヨ

コタケ「恩知らず!」フヨフヨ

パアアァー

コタケ&コウメ「化けて出てやるぅー!」
382 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:26:46.49 ID:E2VnydgG0
リンクル「……」

ナボール「……」
ナボール「なんつーか……」

ナボール「……やったな! うん、やったな、あたい達!」
ナボール「仲間達の敵も討ったし、ガノンドロフの有力な部下もやっつけた! やったよな!」

リンクル「あ、うん、そう! そうだね! やったね!」

ナビィ(なんだかなぁ……)

ナボール「……お」

リンクル「?」

ナボール「リンクル」
ナボール「仲間達のことは残念だったけど……」

ナボール「あんたにはまず礼を言わせてもらうよ」
ナボール「約束だし、イイコトしてやるからね」

ナボール「……と、言いたいとこだけど」
ナボール「あたいが魂の賢者だなんてね、驚いちまうよ」

リンクル「そうなんだ……」

ナボール「そんな顔すんなって。一緒にガノンドロフにひと泡吹かせてやろうじゃないか!」
ナボール「あーあ、こんなことならもっと早くにやっとくんだったね」ポゥ……

リンクル「ナボール……」
リンクル「……ありがとう」
383 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 01:27:36.95 ID:E2VnydgG0
取り敢えずここまで

途中で寝落ちてたすいません
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 03:06:54.77 ID:LkZhs/Ipo
乙乙
リンクルちゃん順調に病んでるね
385 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:39:46.42 ID:YAY4KVJ+0
どうやっても結局病んじゃうのが時の勇者


更新します
386 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:40:57.22 ID:YAY4KVJ+0
 ep.19 決戦の地へ


――巨大邪神像

『リンクル……リンクル、聞こえるか』

リンクル「?」

ラウル『ラウルじゃ……久しぶりじゃな』
ラウル『ついに我ら六賢者は復活した。魔王との対決の時がきたのじゃ』

ラウル『その前に、お前に会いたがっている者が居る』
ラウル『その者は時の神殿でお前を待っておる……』

リンクル「……分かった」

ナビィ「見て見て、砂嵐が晴れてる!」

リンクル「ほんとだ……ツインローバの魔法だったのかな」
リンクル「取り敢えず、ゲルドの砦に行って、装備返してもらわなきゃ」ザッザッザッザ
387 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:41:32.82 ID:YAY4KVJ+0
――ゲルドの砦

ゲルドA「も、戻って来られたのか!?」

リンクル「砂嵐晴れたからね」
リンクル「はい、ミラーシールドと銀のグローブ」

ゲルド幹部「本当に持ってくるとは……」
ゲルド幹部「……そうだ。魂の神殿は? 様子はどうだった?」

リンクル「それ、なんだけど……」
リンクル「まず、あんた達の仲間はみんな殺されちゃったわ」

ゲルドA「何!? 仲間達を殺したのか!?」チャキッ

リンクル「違う。ツインローバの実験よ。砂嵐の向こうで、古代文明の機械人形がどうこうって研究をしてたの」

ゲルド幹部「ああ、あの神殿はツインローバのお二人の研究所でもあったからな」

リンクル「あの神殿に居たゲルド族は機械人形に閉じ込められて、最終的にツインローバに殺された」
リンクル「あたしも殺されかけた。生き残ったのはあたしとナボールだけよ」

リンクル「……そのナボールも、魂の賢者として目覚めて、結局あたし一人で帰ってきたんだけどね」
リンクル「信じてもらえないのは分かってるけど、事実としてこう伝えるしかないわ」

ゲルド幹部「……」
ゲルド幹部「……いや、信じるよ」

ゲルド幹部「まさかとは思っていた……っていうか、思いたかった」
ゲルド幹部「ガノンドロフ様も、ツインローバのお二人も、あたいらを便利な駒くらいに思ってんじゃないか」

ゲルド幹部「神殿の仲間達はツインローバの実験の道具にされたんじゃないかとは、薄々思ってたよ」
ゲルド幹部「的中してほしくはなかったけどね……」

ゲルド幹部「元々あたいらゲルド族もガノンドロフ様に対する不信感が全くなかったわけじゃない」
ゲルド幹部「100年に一度生まれる男は族長になる……と言っても、何でもしていいわけじゃないからね」

ゲルド幹部「ご苦労だったな。持ち物は全部返してやるよ」
ゲルド幹部「ついでに部屋も貸してやるから、今夜はここでゆっくり休んでいきな」

リンクル「……ありがとう」
388 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:42:13.01 ID:YAY4KVJ+0
――翌朝 ゲルドの谷

イチロー「親方ぁー!」

親方「てやんでぃ、べらぼうめ! おめぇらどこほっつき歩いてやがったんだ!」

ジロー「それが酷いのよ! ゲルドの盗賊達ったら、あたし達が男だからってだけで牢に入れたんだもの!」

サブロー「もう盗賊なんてこりごりよ! やっぱり大工しかないのね、あたし達……」

親方「ったりめーだ、バーロー! さっさと仕事の準備しろぃ!」

シロー「はーい!」

リンクル「はぁー、やれやれね」

親方「ありがとな、嬢ちゃん。お前さんには助けられっぱなしだ」

リンクル「いいのよ、家に泊めてもらったしね」
リンクル「それじゃ、行くよエポナ!」

エポナ「ヒヒィーン!」

親方「気ぃつけてなぁー!」
389 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:43:02.68 ID:YAY4KVJ+0
――翌日 ロンロン牧場

ナビィ「丸一日走り通すなんて無茶しすぎだヨ……」

リンクル「ごめんね……」ナデナデ

エポナ「ブルルッ……フー」

マロン「あっ、リンクルー!」タタタタッ

リンクル「マロン!」

マロン「大丈夫? 怪我とかしてないよね?」

リンクル「平気」
リンクル「それより、明日城下町の方へ行くから、今夜はここに泊めてくれる?」

マロン「勿論よ! ここに住んでくれたっていいのよ!」

リンクル「考えとくわ」クスッ
390 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:44:08.86 ID:YAY4KVJ+0
マロン「そういえば砂漠に旅立つ前に渡したミルク、どうだった?///」

リンクル「あ、うん、あれね」
リンクル「すっごく美味しかったよ。いつもと違う感じだったけど、あれはあれで美味しかった」

マロン「そ、そう……///」
マロン「よ、良かったら、今度搾ってるとこ見てみる?///」

リンクル「ほんと!?」
リンクル「是非お願い! どうやって作ってるのか見てみたかったんだ!」

マロン「///」

ナビィ(……あっ、なんとなく何のミルクか分かっちゃった……)
ナビィ(でも子供とか居るようには見えないし、そういう体質なのかな……)

ナビィ(どっちにせよリンクルにそんなもの飲ませるなんて……)
ナビィ(マロンって結構変な子よネ……)
391 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:44:37.01 ID:YAY4KVJ+0
――翌日 ハイラル城下町

リンクル「相変わらず嫌な空気……」カツカツ

リーデッド「ウォォン……ォォォン……」

リンクル「……」カツカツ

リーデッド「キョォォッ!」ギロッ

リンクル「!」プイッ
リンクル「見ない見ない見ない!」タタタタッ

リーデッド「ォォォン……ウォォォン……」

ナビィ「すっごい雑な回避法ね……」
392 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:45:03.78 ID:YAY4KVJ+0
――時の神殿

リンクル「……誰か居るのかな」カツカツ

「待っていたよ、リンクル」

リンクル「……シーク」

シーク「時の勇者リンクル……」
シーク「君は数々の苦難を乗り越え、六賢者を目覚めさせてくれた……」

シーク「そして、今また魔王ガノンドロフとの対決の時を迎えようとしている……」
シーク「その前に、君だけに話しておきたいことがある」

リンクル「あたしだけに?」

シーク「闇の民、シーカー族に伝わる、トライフォースの知られざるもう一つの伝説だ……」
シーク「聖なる三角を求めるならば、心して聞け」

リンクル「……」
393 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:45:31.19 ID:YAY4KVJ+0
 聖なる三角の在るところ……聖地は己の心を映す鏡なり。
 そこに足踏み入れし者の心、邪悪なれば魔界と化し、清らかなれば楽園となる。

 トライフォース……聖なる三角。
 それは力、知恵、そして勇気……三つの心を量る天秤なり。

 聖三角に触れし者、三つの力を併せ持つならば万物を統べる真の力を得ん。
 しかし……その力なき者ならば聖三角は力、知恵、勇気の三つに砕け散るであろう。

 あとに残りしものは三つの内の一つのみ……それが、その者の信ずる心なり。
 もし、真の力を欲するならば失った二つの力を取り戻すべし。


 その二つの力……神により新たに選ばれし者の手に甲に宿るものなり。
394 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:46:05.68 ID:YAY4KVJ+0
シーク「ガノンドロフは七年前、君が開いた時の神殿の扉をくぐり、聖地へ到達した」
シーク「しかし、奴がトライフォースを手にした時、伝説は現実となった……」

シーク「トライフォースは三つに砕け、ガノンドロフの手に残ったのは力のトライフォースのみだった」
シーク「奴はトライフォースの力によって魔王となったが、その野望は果てることはなかった」

シーク「完全な支配の為、ガノンドロフは残る二つのトライフォースを持つ、神に選ばれし者を探し始めた」
シーク「その一人は、勇気のトライフォース宿りし者……時の勇者リンクル」

リンクル「……え」
リンクル「あ、あたし?」

シーク「そう、君だ」
シーク「そして、もう一人……知恵のトライフォース宿りし者。賢者の長となる、七人目の賢者……」カッ

リンクル「うっ……!?」

ポゥ……

ナビィ「……あっ!?」

ゼルダ「この私……ハイラル王女ゼルダです」
395 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:46:53.03 ID:YAY4KVJ+0
ゼルダ「魔王の追及を逃れる為とはいえ、シーカー族と偽り接してきたこと、どうか許してください……」

リンクル「……いいよ。実は、ゼルダ姫じゃないかって思ってた」

ゼルダ「え……?」

ナビィ「えっ、リンクル気付いてたの!?」

リンクル「まことの眼鏡。真実を見通す目なんでしょ?」
リンクル「シークを見た時、流石にゼルダ姫の姿が見えたわけじゃないけど、なんだか変な感じだったから」

ゼルダ「……流石リンクルですね」クスッ
ゼルダ「七年前のあの日……ハイラル城は、ガノンドロフの襲撃を受けました」

ゼルダ「覚えていますか……インパに連れられて逃げる私が、あなたに時のオカリナを託した時のこと」
ゼルダ「オカリナがあなたの手にある限り、ガノンドロフは聖地へは入れないと思ったのですが……」

リンクル「……結果として、あたしはマスターソードによって聖地に封印されちゃった」
リンクル「あたしが“時の扉”を開いたりしなければ……とは何度も思ったよ」

ゼルダ「ごめんなさい、私があんなことをあなたに提案したばっかりに……」

リンクル「ううん……まだこれからよ」
リンクル「賢者は揃った。今のあたしならマスターソードだって扱える」

ゼルダ「……ありがとう」

リンクル「そういうことは全部終わってからだよ」

ゼルダ「……そうですね」クスッ
ゼルダ「あなたが帰ってきた今、魔王ガノンドロフの支配する暗黒の時代は終わるのです」

ゼルダ「六賢者が開いた封印にガノンドロフを引き込み、私がこちらの世界から閉じる……」
ゼルダ「それで魔王ガノンドロフはこの世から居なくなるでしょう」

ゼルダ「リンクル……あなたの勇気が、今一度必要です」
ゼルダ「魔王の守りを破るもの……選ばれし者に神が与えたもう力、聖なる光の矢の力をあなたに差し上げます」

リンクル「光の矢……」
396 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:47:39.64 ID:YAY4KVJ+0
リンクル「ディンの炎で作る炎のボルトと同じ要領で撃てばいい?」

ゼルダ「はい。あなたの魔力を消費し、矢に光の力を纏わせることが出来る筈です」
ゼルダ「それに、それだけ沢山のボルトを用意したのですから、きっと矢が尽きて困ることもないでしょう」クスッ

リンクル「あいや、最後だし、流石に手強いだろうと思ってさ」クスクス

ゼルダ「フフ……久しぶりにあなたの笑顔を見ました。素敵な笑顔……」

リンクル「そ、そう? えーと……ありがとう、ゼルダ姫」
リンクル「一緒にガノンドロフを倒しましょ」スッ

ゼルダ「はいっ」スッ

ゴゴゴゴゴ……!

ゼルダ「……!?」

リンクル「な、何? この地鳴りは一体……!?」

シュウゥゥンッ パシュンッ

ゼルダ「!?」

リンクル「ゼルダ姫!」

ナビィ「ま、魔法の結晶! 術者が居る限りどうしたって割れないヨ!?」
397 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:48:20.82 ID:YAY4KVJ+0
『愚かなる反逆者……ゼルダ姫よ』
『七年もの長き年月……よくぞ俺から逃げおおせた』

ゼルダ「この声は……!」

リンクル「ガノンドロフ……!」

ガノンドロフ『だが……油断したな』
ガノンドロフ『この小娘を泳がせておけば、必ず現れると思うておったわ!』

ガノンドロフ『俺の唯一の誤算は、その小娘の力を少々甘く見ていたことだ』
ガノンドロフ『……いや、その小娘の力ではない。勇気のトライフォースの力だ』

リンクル「なっ……!」

ゼルダ「リンクル!」

ポウゥ……

ナビィ「つ、連れて行かれちゃう……!」

ガノンドロフ『ゼルダを助けたくば我が城まで来い!』
ガノンドロフ『その時こそ、お前の勇気とゼルダの知恵、二つのトライフォースを俺が手に入れる時だ!』

リンクル「……ガノンドロフ!」
リンクル「絶対に……絶対に、許さない!!」
398 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/07(水) 21:50:03.45 ID:YAY4KVJ+0
ちょい休憩

ここまでで一番今作のヒロインっぽいのって誰でしょうね
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 22:03:20.27 ID:mm/tOvaT0
400 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 07:36:15.50 ID:Fx2YJsyH0
ちょい休憩(ガチ寝)


ちょっと更新
401 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 07:36:45.93 ID:Fx2YJsyH0
 ep.20 ガノン城


――ガノン城

ゴォォォォ……

リンクル「……これが……ハイラル城?」

ナビィ「うぅ……城下町より、更に邪悪な魔力が……」
ナビィ「ハイラル城を取り潰して、新たに城を建てたみたいネ……」

リンクル「綺麗だったお城が、こんなに禍々しく……」
リンクル「……あれ? あの城さ……」

ナビィ「うん?」

リンクル「宙に浮いてない……?」

ナビィ「……そうネ」

リンクル「どうやって入ればいいのよ……」
リンクル「誰も彼もが自由に空飛べるわけじゃないのよ……」

ラウル『勇者リンクルよ……聞こえるか、賢者ラウルじゃ……』
ラウル『我ら、六人の力を結集し、ガノンドロフの城へ橋を架ける』

ラウル『城へ突入した後じゃが……城の中心の塔は邪悪な結界によって守られておる』
ラウル『その結界を解き、ゼルダ姫を救うのじゃ!』

リンクル「……うんっ」

ラウル『うむ……良い返事だ』

パアァッ

リンクル「光の橋が……!」
リンクル「ありがとう、みんな……っ!」タタタタッ
402 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 07:37:21.12 ID:Fx2YJsyH0
――ガノン城 内部

リンクル「あれが中心の塔ね」
リンクル「確かに結界が張ってあって近づけないや」

ナビィ「Look! そっちの扉は入れるみたい!」

リンクル「結界を解けってことね」ガチャ

ウルフォス「アオォーン!」

リンクル「邪魔!」バシュッ

ウルフォス「キャインッ!」

リンクル「燭台が四つ……ディンの炎かしら」ドヒュンッ

ガコーン

ナビィ「扉が開いたヨ!」

リンクル「よしっ」タタッ
403 : ◆R/MMXv4xbuiy [saga]:2018/03/08(木) 07:37:57.38 ID:Fx2YJsyH0
リンクル「うわっ、これ氷の洞窟……!?」

ナビィ「これまで冒険してきた場所を再現してきてるのね」
ナビィ「きっとさっきの部屋は森の神殿の再現よ……って危ない、リンクル!」

フリザド「コオオオォォォ」

リンクル「二度目はないわ」バシュッ

フリザド「ジュッ」

ナビィ「ふぅ……」
ナビィ「そこの氷のブロック、足場に出来そうじゃない?」

リンクル「それ名案」
リンクル「よいしょ、っと」ズズ
429.13 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報R 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)