俺「アライさんパーク?」

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182 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 00:06:31.10 ID:HhXzmw22o
次はふれあいで決定か……?
183 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/26(木) 19:44:59.61 ID:BqcN3xYo0
次回のエリアは、【ふれあい広場】でいきます。

【スポーツエリア】って意見が無くて、意外でした。
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/26(木) 22:06:48.38 ID:7LFmCm7Z0
今までの催し物がスポーツ要素があったからなあ・・・
ある意味予想がつかないのがふれあい広場
185 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:32:42.21 ID:mYpfqk/J0
休憩所でリフレッシュした俺たちは、新たなエリアに移動していた。

俺「今度はどのエリアに行くんだ?」

友人「次は【ふれあい広場】かな?」

俺「なぁ、あれと触れ合うって正気か?」

友人「ま、行けば分かるさ。」

俺は一抹の不安を抱えながら、【ふれあい広場】へ向かった。
186 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:34:27.28 ID:mYpfqk/J0
俺「意外に人がいる...」

まだ【ふれあい広場】の入り口にもかかわらず、結構な人が集まっていた。
俺はさすがに、人の多さに驚いた。

友人「そんなに驚くことか?」

俺「そりゃ、そうだろ。」

俺はパンフレットを開き、ある場所を指さした。

俺「『ここでは、色んな方法でアライさんの駆除を体験できます。』って書いておきながら、触れ合う、って矛盾してないか?」

友人「まぁ、落ち着けって。」

俺「あ、あぁ、スマン...」

友人「大丈夫か?」

俺「いや、まぁ...、ある程度は。」
187 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:35:52.02 ID:mYpfqk/J0
友人はこちらの顔色を窺いつつ、口を開いた。

友人「確かに、俺みたいに『アライさんは完全悪』って思ってる『アラ虐派』の奴がいるのは事実だ。」

友人「でもな、『アラ虐派』でもなければ、『アラ信派』でもない奴がいるのも事実なんだよ。」

俺「それって、どんな派閥なんだ?」

友人「それは、」

???「『調和派』だね。」

突然、後ろから声がかけられた。
俺は思わず後ろを振り返った。

そこには見知らぬ男性が立っていた。
歳は俺たちよりも上なのは分かるが、30代半ばといったところか。
188 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:37:46.78 ID:mYpfqk/J0
???「久しぶりだな、タク坊。」

友人「カズにぃ、久しぶり。」

どうやら、友人の顔見知りのようだ。
突然の展開に俺はついていけなかった。

カズ「タク坊、この子は誰なんだ?」

友人「あぁ、こいつは俺の友人の、シキです。」

俺「どうも...」

俺は軽く会釈をした。

カズ「おぉ、きみがシキ君か。 タク坊からはそれとなく、話は聞いていてね。」

俺「は、はぁ...」

俺は戸惑いながらも、何とか会話を続けようとした。

カズ「にしても、何でそんな話をしていたんだ?」

友人「シキはニュースとか全然見ないんで、アライさんの知識もほとんど無いんですよ。」

友人は大げさに、手を広げたようなポーズで呆れて見せた。

俺「まぁ、アライさんに限らず、世間的な事を知らないんですけどね。」

友人「完全にインドアなんで、ゲームや漫画といった系だけは強いんですけど。」

簡単にではあるが、俺の情報をカズさんに伝えた。

カズ「そうなんだね。」

カズさんは深くまでは追及してこなかった。

カズ「なら、さっきの続きは私から説明させてもらってもいいかな?」

友人「大丈夫ですよ。」

友人から承諾をもらったカズさんは、俺に対して話をしてきた。

カズ「『調和派』というのはね、理解しあえるアライさんだけを保護して、それ以外のアライさんは排除しよう、といった考えを持つ人たちのことさ。」

俺「それって、何か意味がありますか?」

カズ「まぁ、『アラ虐派』と『アラ信派』の対立は根深いものだから、それの妥協案として『協調派』が生まれたんだと思ってるよ。」

友人「【ふれあい広場】ってのは、その『協調派』の考えを取り入れた試験運用の場、ってわけ。」

俺「なるほど、ねぇ。」

白と黒をはっきりさせよう、とはしない考え方なわけか。
189 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:39:49.01 ID:mYpfqk/J0
カズ「アライさんのことをよく知らない、とのことだけど、現状でいいんだ。」

カズ「君はアライさんのことをどうするべきか、みたいなことを考えていたりする?」

カズさんは俺に質問をしてきた。

俺「いえ、まだ何とも...、うん、言えないですかね。 全然分かってないんで。」

カズ「そっか...」

そういうカズさんの言葉は、寂しさに似た何かしらの感情があった。
俺にはそれがよく分からなかった。

友人「そういえば、カズにぃはどうしてここにいるの?」

カズ「あぁ、それはアライさんを大量に捕獲したもんだから、処分がてら、ってところかな。」

友人「こういうところ好きじゃないのにね。」

カズ「やっぱり、ハンターの資格持ちとしては、自らの手で処分することに意義があるとは思ってるよ。」

カズ「ただ、資金的なことを考えると、時々はこっちを利用してしまうかな?」

俺は、そこで疑問に思ったことを口にした。

俺「持ってく場所によって、もらえるお金が違うんですか?」

カズ「そうなんだよ。 ここだと生きたアライさんが貴重だから高値で引き取ってくれるんだよ。」

友人「ハンターを続けるには、色々と金がかかるもんさ。」

俺「そうなんだ。」

カズ「あ、ごめん。」

カズさんは腕時計を見ながら、そう言葉にした。

カズ「そろそろ戻らないと、カミさんが怒り出すかも。」

友人「でしたら、また話を聞かせてください。」

カズ「いいよ。 それじゃ、またね。」

カズさんはそういうと、手を振りながらその場から立ち去った。
友人はそれを手を振り返して見送り、俺はただ眺めているだけだった。
190 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:41:33.67 ID:mYpfqk/J0
カズさんの姿が見えなくなった頃、友人は口を開いた。

友人「どうだった?」

俺「何だか、優しそうな人ではあったな。」

友人の質問に、俺は答えた。
そして、カズさんと出会ってから気になっていたことを尋ね返した。

俺「つか、あの人との関係は何なんだ?」

友人「カズにぃは、俺の仇をとってくれた人だよ。」

俺は友人の返事に言葉を失った。

俺「...すまん。」

それが、俺が返せる最大の言葉だった。

友人「気にすんな。」

友人は、微笑みながらそう返してきた。

友人「あの人に弟子入りする形で、俺もハンターになったんだよ。」

俺「弟子入り?」

友人「そう、俺が無理やり頼み込んで、教えてくれてるのさ。」

俺「そうだったんだな。」

友人「ま、この話はまた今度してやるさ。」

友人「さ、行こうぜ。」

俺たちは、目の前にある施設に入っていった。
191 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/04/29(日) 00:42:20.39 ID:mYpfqk/J0
とりあえず、今回はここまで。

次回は【ふれあい広場】の内部を書いていこうと思います。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 02:49:04.64 ID:iT4/mHK90
乙、カズさんは友人の師でもあるのか
こらからアライさんと触れ合えるのが楽しみ
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 03:03:28.02 ID:Vr2DJvy90
乙です
広場の人達が各々どのような“ふれあい”をしているのか、次回が楽しみです
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/04/29(日) 08:35:48.56 ID:DszUVUIco
生きたアライさんは貴重だったのか
195 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/01(火) 22:27:40.92 ID:2OdjSwdu0
<アライちゃんのふれあいコーナー>

俺「ここが入り口か。」

友人「ここは意外に人気コーナーなんだよ。」

俺「そうなんだ。」

俺は辺りを見回した。

俺「あれ?」

俺は入り口横に立て看板があるのを見つけた。
そして、何が書いてあるか確認するため、そこへ近づいていった。


ふれあいコーナーにおける注意事項

一.当コーナーは、火気厳禁です。
一.当コーナーは、危険物の持ち込みは禁止です。
一.当コーナーに入っていただく前に金属探知機があります。該当品を身に着けている場合は、事前に入り口横のロッカーに預けてください。
一.当コーナーでは、暴力行為は禁止です。そのような行為を楽しみたい方は別エリアへの移動をお願いします。
一.指定された食べ物以外は与えないで下さい。
一.他のお客様のご迷惑となる行為はお止め下さい。
一.係員の指示には、必ず従って下さい。
一.その他、マナーの向上にご協力下さい。

以上のことをお守りいただきますよう、ご協力をお願いします。


俺が注意事項を読んでいると、後ろから声がかかった。

友人「要するに、他人に迷惑かけんなよ、ってことさ。」

俺「まぁ、普通のことが書いてあるだけだな。」

友人「ちなみに、財布とかもアウトだから。」

俺は簡単にセルフチェックを実施した。
ズボンのポケットに財布が入っている以外は特には無い...

俺「そういえば、ベルトは?」

友人「係員がボディチェックして、問題なければベルトはOKだな。」

俺は、面倒だな、と思ってしまった。

友人「とりあえず、飛行機の搭乗ゲートの感覚でいいよ。」

俺「まず、飛行機に乗ったことがないよ。」

友人「意外だな。」

俺「誰もが乗ったことあるわけじゃないんだから。」

友人「国内線は? 北海道とか。」

俺「俺の人生で行ったことがある日本の最北端は、栃木だよ。」

友人「それはスマンかったな。」

一先ず、俺たちはロッカーに荷物を預けて、ゲートを通った。
案の定、ベルトが反応したため、ボディチェックを念入りに受けた後、中に入っていった。
196 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/01(火) 22:28:21.93 ID:2OdjSwdu0
内部については、今書いてます。

今日中に上げれないかも...
ご了承ください。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 02:13:16.13 ID:2KqkLXYk0
乙です。気長に待ってます
198 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 20:56:26.25 ID:fP1dLGro0
前回の続きを書いていきます。
なので、タイトルは省略します。
199 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 20:56:57.56 ID:fP1dLGro0
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頭がおかしくなりそうだった。

ふれあいコーナーの広さとしては、学校の体育館ほどであった。
その中に、アライちゃんが50匹以上はいるような気がする。
とりあえず、蠢いていて気持ち悪かった。

俺「気が狂いそう...」

友人「俺もだ。」

俺「なら、何故来たんだよ。」

友人「いや、お前は痛めつける系が苦手そうだったから、ここなら大丈夫かと思って。」

俺「お前は俺をどうしたいんだ?」

友人「まぁ、お前がアライさんにどんな感情を抱いているのか、っていうのを知りたい、っていうのが発端だけど。」

友人も悪気があって連れてきているわけではないことは分かっていた。
そもそも、この中を案内してくれ、って言ったのは自分なんだし。
要は、自業自得、ってやつだな。

とは言え、この空間は異常で耐えられそうにない。
200 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 20:58:00.13 ID:fP1dLGro0
女性客1「キャー!! カワイイー!!」パシャパシャ
女性客2「こっちを見てー!!」パシャパシャ

アライちゃんF12「のりゃりゃりゃりゃ! アライしゃんをかわいくしゃつえいしゅるのりゃ!!」
アライちゃんF25「アライしゃんのほうが、かわいいにきまってるのりゃ!!」

とある客は、アライちゃんをカメラ撮影をしていた。
つか、スマホの持ち込みはいいのか?

男性客1「おぉー! ご飯を食べたぞ。」

アライちゃんF33「おいちいのりゃ! もっとよこちゅのりゃ!」クッチャクッチャ
アライちゃんF14「アライしゃんも、もっとたえたいのりゃ!」クッチャクッチャ

とある客は、アライちゃんを餌付けしていた。
どうやら、ふれあいコーナーの隅に無料のエサが置いてあるようだ。
1ヵ所だけじゃないみたいだな。

高さは、アライちゃんが飛びかかっても届かないように設定されているようだ。

女性客3「この子、賢いわね。」パンパン
男性客2「お、これはすごいな。」パンパン

アライちゃんF35「アライしゃんのしっぽのりゃんす、すごいのりゃ?」シッポフリフリ
アライちゃんF49「このちっぽのりゃんしゅれ、ひとしゃんをメロメロにしゅるのりゃ!」シッポフリフリ

とある客は手を叩き、それに合わせてアライちゃんが尻尾を振っていた。
どうやら、ダンスのつもりらしい。
201 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:00:00.54 ID:fP1dLGro0
いろんな場所で、いろんな客が、いろんなアライちゃんと戯れていた。

俺「触れ合い方は千差万別、ってことだな。」

友人「注意事項にも書いてあったように、暴力行為は禁止されているからな。」

俺「もし、それをやった場合は?」

友人「業務妨害罪で逮捕されるな。」

俺「ここって、秘密の場所じゃなかったのか?」

友人「噂だと、裏で色々と繋がっているみたいだぞ。」

 のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!! のりゃーーーーーん!!
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 ヨチヨチコスリコスリコスリコスリヨチヨチヨチヨチヨチヨチヨチシッポフリフリフリフリフリフリヨチヨチヨチコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリコスリクッチャクッチャヨチヨチヨチクッチャクッチャヨチヨチ

幸い、ここがうるさいこともあって、友人との話は他の人には聞かれていないようだった。

俺「...意外に怖い場所なんだな。」

友人「ルールさえ守っていれば、問題ないさ。」
202 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:01:01.47 ID:fP1dLGro0
その時だった。
ズボンを引っ張られる感覚があった。

俺「何だ?」

俺は足元を見た。

アライちゃんF59「うゆ? ひとしゃん、どうしたのりゃ?」キョトン

足元にアライちゃんがいた。
大量に見れば蠢いて気持ち悪かったが、1匹だけならそうでもない印象を受けた。

よく見ると、額に「59」と書かれていた。

俺「この額のは何だ?」

俺はしゃがんで、アライちゃんの額を触った。

友人「これな、識別番号のようなものさ。」

俺がしゃがんだのを見て、友人もしゃがんで説明をしてくれた。

俺「これ、書いたものじゃないな。」

アライちゃんF59「くしゅぐったいのりゃ!!」ケラケラ

友人「まぁ、焼き印だからな。」

俺「マジか。」

そこで俺は気付いたことがあった。
俺の手を払いのけようとしているアライちゃんの手を見たところ、親指以外の指が無かった。

俺「指が無いな。」

アライちゃんF59「これ、わるいひとしゃんにとられちゃったのりゃ...」ウルウル

友人「客に危害を加えないようにするための処置ってやつさ。」

友人が説明してくれる中、疑問に思ったことがあった。

俺「そういえば、お前ってこの場所って大丈夫なのか?」

そう、『アライさんは完全悪』といった人間だ。
このコーナーは相当堪えているに違いない。

友人「まぁ、確かにイライラしてるよ。 でも、別エリアで憂さ晴らしが出来る、って考えたら、多少の我慢はできるさ。」

友人はアライちゃんをじっと見つめながら、そう言った。

アライちゃんF59「ひとしゃん、イライラしてるのりゃ?」

アライちゃんF59「だったら、アライしゃんのしっぽのリャンスをみて、げんきをりゃすのりゃ!」キャッキャッ

そう言うと、アライちゃんは向きを変えてこちらに尻尾を向けた。

アライちゃんF59「のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃ♪ のりゃりゃ♪」シッポフリフリ

その様子を見て、俺はメトロノームしか出てこなかった。
いや、向きが逆か。
203 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:02:30.28 ID:fP1dLGro0
俺「ここって、これだけなのか?」

友人「いや、ここはとっておきがあるのさ。」

友人は不敵な笑みを浮かべたが、俺には意味が分からなかった。

その時だった。

男性客3「いってーーーーー!!」

突然、男の叫び声が聞こえてきた。

アライちゃんF55「アライしゃんは、ヒトなんかとなれあわないのりゃ!! はやく、おててをかえすのりゃ!!」フゥー

どうやら、アライちゃんに噛みつかれたようだ。

ピーーーーーーーーーーッ

突然、会場内に鳴り響く笛の音。

『ミナサン チュウオウニ オアツマリ クダサイ』

あの機械音声が響き渡った。

『アライチャンヲ チカクノ コンベアニ ノセテ クダサイ』

気付くと、中央に透明な何かに覆われた、部屋のようなものが現れていた。
そして、周りで触れ合っていた客が一斉にベルトコンベアにアライちゃんたちを乗せていた。
向かう先は、中央の部屋の前のようだ。

つか、どこからコンベアや部屋が出てきたんだよ。
原理が分からないぞ。

アライちゃんF59「のりゃ!? なにがおきるのりゃ!?」ブルブル

突然のことに、アライちゃんは驚いていた。

友人「すぐに分かるよ。 いってらっしゃい。」

友人はアライちゃんをつまみ上げると、素早くコンベアに乗せた。

アライちゃんF59「のりゃーーーーー!?」

アライちゃんは叫び声と共に、運ばれていった。

友人「じゃ、俺たちも行くか。」

俺は友人に言われるがままに、中央部へと向かった。
204 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 21:03:40.66 ID:fP1dLGro0
一旦ここまで。
続きは、少々お待ちを...
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 21:40:23.46 ID:AxM8X8WsO

F55は今までよく生きてこられましたね…
206 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:22:17.34 ID:fP1dLGro0
>>203

そこに辿り着くと、部屋の周りを囲うようにアライちゃんが並んでいた。
しかも、中央の部屋を見るように頭を固定されている。

アライちゃんF1「もうみたくないのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんF20「いやぁーーーーー!!」ジタバタ
アライちゃんF59「こわいのりゃーーーーーー!!」ビエーン
アライちゃんF38「なんなのりゃ?」キョトン
アライちゃんF31「な、なにがはじまるのりゃ?」ビクビク
アライちゃんF12「これいじょう、ひどいことをしないでほしいのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんF6「たすかりたいのりゃ...」ビクビク
アライちゃんF47「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF42「アライしゃんをはなすのりゃ!!」ジタバタ
アライちゃんF14「うるさいのしゃ!! しずかにするのりゃ!!」フゥー

泣き叫ぶものもいれば、怒りに狂うものがいたり、表情は様々だった。

俺たちは、ちょうど見やすい位置が空いていたので、そこで見ることにした。

すると、中央の部屋の上にスポットライトが集中した。

???「レディーーース、エーーーンドゥ、ジェントルメーーーン!!」

そこには、スーツを身に纏った男がいた。
スーツはラメが入っているのか、キラキラして鬱陶しかった。

???「さぁさぁさぁ!! エックスがお送りする、特別ショーのお時間です!!」

自らをエックスと名乗る男は、この場で「特別ショー」を行うようだ。

俺「なんでここで?」

友人「まぁ、見てれば分かるよ。」

友人に言われるまま、中央の部屋を見た。

エックス「今回協力してくれるのは、全部で3匹だーーー!!」

ウオォーーーーーーーーーー

エックスがそう言うと、周りから歓声が上がった。

アライちゃんたちの一部分は、何が起こっているか分からない様子であった。
207 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:28:37.13 ID:fP1dLGro0
エックス「まずは、ナンバーーー、フィフティーーー、フゥァーーーイブ!!」

エックスがそう言うと、並べられたアライちゃんの後ろから人がやってきた。
着ているポロシャツには、ASPの文字があった。
「(A)アライ (S)さん (P)パーク」ってことか?
つまり、係員、ってことか?

そんなことに気を取られてるうちに、額に「55」と焼き印の押されたアライちゃんは縛り上げられていた。

アライちゃんF55「なんなのりゃ!! はなすのりゃ!!」ジタバタ

エックス「次に、ナンバーーー、エーーーイトゥッ!!」

アライちゃんF8「ぴぃぃぃぃーーーーー!!」ジタバタ

このアライちゃんも他の係員の手によって縛り上げられた。

エックス「最後は、ナンバーーー、トゥウェンティーーー、トゥーーー!!」

アライちゃんF22「ア、アライしゃんはなにもわるいことしてないのりゃ!!」ジタバタ

最後に読み上げられたアライちゃんも縛り上げられてしまった。
そして縛り上げられたアライちゃんたちは、滑車を使ってエックスの近くまで連れていかれた。

エックス「さぁ、これからこのアライちゃん達には、私のショーに協力してもらいましょう!」

そう言ったエックスだったが、突然周りを見渡し始めた。

エックス「そうそう、忘れていましたね。 さらに協力してくれるものをお呼びしよう!」

パチン

わざとらしい演技の後、エックスが指を鳴らすと中央の部屋の下から何かがせり出してきた。

 グオォー...

あのタテガミは...間違いない。
百獣の王と呼ばれている、ライオンだ。

エックス「ここにアライちゃんを投入します!」

 ゴアァー!!

エックスの声と共に、ライオンが吠えた。

エックス「果たして、アライちゃんたちは無事に生きて帰ることが出来るのでしょうか!?」

ウオォーーーーーーーーーー

エックスの進行にまた歓声が上がった。

俺「つか、そんなことできるのか?」

友人「見てりゃ分かる、って。」
208 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:32:47.19 ID:fP1dLGro0
俺が友人に尋ねている間も、進行は続いていた。

エックス「それでは、投入する前にここに呼ばれたアライちゃんたちを紹介しよう!!」

エックス「まずは、こいつだーーー!!」

エックスは吊り上げられた内の1匹のロープを掴んだ。

アライちゃんF55「はなせーーー!! はなすのりゃーーー!!」ジタバタ

エックス「こいつは今しがた、客の手を噛んだ大、悪、人、だーーー!!」

そう言うと、エックスはロープから手を離し、別のアライちゃんのロープを掴んだ。

アライちゃんF8「のりゃーーーーー!! のりゃーーーーーん!!」ジタバタ

エックス「こいつは、ここに来てから客と遊ぼうとせずに、会場の隅で丸くなっていたチキン野郎だーーー!!」

俺「野郎、って雄じゃないだろ。」

俺は思わず、気になったことを口にした。

友人「まぁ、そこは雰囲気っていうか?」

エックスの進行は続く。
エックスは先ほど同様、ロープから手を離して最後のアライちゃんのロープを掴んだ。

エックス「最後にこいつの紹介だ!!

エックス「こいつは、餌のある台の付近から動かなかった怠け者だーーー!!」

アライちゃんF22「おろすのりゃーーーーー!! おーーーーーろーーーーーせーーーーー!!」ジタバタ

エックスの紹介が一通り終わると、エックスは手を広げた。

エックス「さぁ、ゲームを始めよう!!」

エックスを乗せた足場が下がり、アライちゃんも一緒に下がっていった。

エックス「この中央の台にアライちゃんを乗せます!!」

エックスに気を取られていたため気づかなかったが、部屋の中央に円形のステージがあった。
円形のステージは、4本の柱によって支えられているようだった。

エックス「10分間だぁ!! この台の上で待つことが出来れば、君たちは元の生活に戻ることが出来るぞーーー!!」

エックスはそう言いながら、アライちゃんをロープから解放して、台の上に乗せていった。

アライちゃんF55「なんで、こんなことをしないといけないのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF22「のりゃりゃりゃりゃ... たいへんなことになったのりゃ...」ビクビク

エックス「それでは、ゲームスタート!!」

アライちゃんからの苦情を無視して、エックスはゲームを始めた。

ビーーーーーーーーーーッ
209 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:34:39.41 ID:fP1dLGro0
台の上に放置されたアライちゃんが3匹と、台の下にライオンが1匹。
台の上は観客から見ることが出来ない高さのため、俺たち、観客はカメラ越しに様子を見ていた。

アライちゃんF55「なんで、こんなことをしないといけないのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF22「のりゃりゃりゃりゃ... たいへんなことになったのりゃ...」ビクビク

3匹は台の上から一歩も動いていなかった。

俺「これ、台から動かなければ終わりじゃないかな?」

友人「それで済むんだったら、このショーの意味が無いわな。」

俺「意味?」

友人「間引きだよ。 あと、見せつけだな。」

俺「なんだそりゃ?」

その時だった。

 ゴゥ

ライオンが軽く唸り声をあげた。

アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン
アライちゃんF55「したのやつが、うるさいのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF22「うるさいとおもうなら、たおしにいけばいいのりゃ...」ビクビク
アライちゃんF55「おまえがたおしにいけばいいのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF22「ア、アライしゃんは、べつにうるさいとおもって、な、ない、のりゃ...」ビクビク
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン

言い寄るアライちゃんと言い寄られるアライちゃん、そして、会話に入っていかないアライちゃんの構図が出来上がっていた。

アライちゃんF22「じぶんからいかないのは、こわいからなのりゃ...?」ビクビク
アライちゃんF55「べつにこわがってないのりゃ!! いいがかりはやめるのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF22「だ、だ、だったら、だったら!! アライしゃんをつかわずに、じぶんでいけばいいのりゃ!!」フゥー

言い寄られていた方が、とうとうキレたようだ。

アライちゃんF22「そうやって、イケイケいうのはこわがってるしょうこなのりゃ!! このよわむしが!!」フゥー
アライちゃんF55「ア、アライしゃんはよわむしじゃないのりゃ!! むてきなのりゃ!!」フゥー

とうとう、睨み合って一触即発の状況だな。

アライちゃんF22「もうがまんのげんかいなのりゃ!!」フゥー
アライちゃんF55「かえりうちにしてやるのりゃ!!」フゥー

ヨチヨチヨチヨチ

ポカポカポカポカ

俺「あぁ、殴り合いに発展したか。」

友人「といっても、威力は知れてるんだけどな。」

アライちゃんF22「のりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
アライちゃんF55「のりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
210 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:35:23.50 ID:fP1dLGro0
台の上で、アライちゃんが殴り合いの泥仕合を繰り広げているときだった。

 グワァー

ライオンが台に手を掛けた。
その途端、台がゆっくりと倒れ始めた。

アライちゃんF8「のりゃ!?」ビクッ
アライちゃんF22「のりゃ!?」ビクッ
アライちゃんF55「のりゃ!?」ビクッ

そして、完全に崩れてしまった。

俺「あれって、固定されてなかったのか。」

友人「さぁ、ここからだぜ。」

友人が指さす先には、崩れた台から投げ出されたアライちゃんがいた。
そこは、ライオンがすぐに手を出せる高さだった。

俺「そういうことか。」

友人「そう、ライオンのお食事タイムってわけ。」
211 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:37:00.80 ID:fP1dLGro0
アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!!」ビエーン

ライオンは、泣き叫んでいるアライちゃんの元へと向かった。

アライちゃんF8「のりゃーーーーーん!! のりゃ...、」

アライちゃんはようやく自分の元へ向かってくる影に気が付いた。

アライちゃんF8「のりゃ?」キョトン

プシャ

その瞬間、アライちゃんの上半身はライオンに喰われていた。
そして、ライオンはそのまま口の中でそれを噛み砕いた。

アライちゃんF22「あ、あぁ、あいつのところにきてしまったのりゃ...」ブルブル
アライちゃんF55「なんなのりゃ、あいつは!?」ビクッ

ライオンは残りの2匹に目をくれることなく、残りの体を食べ尽くした。

俺「な、なぁ...、あれ、えーっと、ア、アライちゃんって、あーっと、骨まで、んー、食え、るのか?」

俺はパニック状態になっていた。

友人「確か、幼獣の時はまだ骨が柔らかいから、あぁいった肉食獣は問題なく食べれる、んだと。」

俺「へ、へぇー...。」

俺はそう言うのが精一杯だった。
212 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:37:51.51 ID:fP1dLGro0
ライオンは顔を血で染めながら、残ったアライちゃんの方を見た。

アライちゃんF22「のりゃ!! に、にげるのりゃ!!」ヨチヨチ
アライちゃんF55「アライしゃんもにげるのりゃ!!」ヨチヨチ

2匹は別々の方向へ逃げていった。
そして、ライオンは次のターゲットに向かっていった。

アライちゃんF22「のりゃーーーーー!! きちゃダメなのりゃ!!」ヨチヨチ

アライちゃんF55「ア、アライしゃんはたすかったのりゃ!!」ハァハァ

必死に逃げるアライちゃん。

アライちゃんF22「のりゃーーーーー!!」ヨチヨチ

アライちゃんF22「げぶっ!!」ヨチヨチ

しかし、ライオンとの体格差、歩行速度などから、すぐに捕まってしまった。
アライちゃんはライオンに腰を抑えられる形になっていた。

アライちゃんF22「ア、アライしゃんをみのがし、げえぇえぇぇぇぇぇーーーーー!!」ビクンビクン

ライオンはアライちゃんの背中に噛みつき、そのまま噛み千切ったのだった。

アライちゃんF22「ア、アラ、アー...」バタバタビクンビクンバタバタビクンビクンビクンビクン

アライちゃんは目が虚ろになり、口からは涎を垂らしていた。
そして、ライオンはアライちゃんの様子など構うことなく、食べ進めていった。

しばらくすると、そこには血痕だけ残されており、他は何も残されていなかった。
213 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:38:34.67 ID:fP1dLGro0
そしてライオンは残りのアライちゃんへ目を移すのだった。

アライちゃんF55「のりゃ!! に、にげるのりゃ!!」ヨチヨチ

アライちゃんが逃げる動作に移ったその時だった。

ビーーーーーーーーーーッ

エックス「ゲーム、しゅーーーーーりょーーーーー!!」

ブザー音と共に、エックスが叫んだ。

その声を聞いたライオンは歩みを止めたのだった。

俺「ライオンを躾けてあるのか。」

友人「そうでないと、ショーが成り立たないからな。」

俺「あのライオン、すげぇな!」
214 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:40:14.27 ID:fP1dLGro0
俺たちがそんな会話をしているとき、エックスの進行は続いていた。

エックス「さぁ、10分が経過したぞ!!」

アライちゃんF55「は、はやくアライしゃんをたすけるのりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんがエックスに助けを求めていたが、エックスは助けるような素振りを見せなかった。

エックス「あれぇー? アライちゃんは、ルールを聞いてなかったのかなぁ?」

アライちゃんF55「その、じっぷん、ってやつまでいきのこればたすけてくれる、っていったのりゃ!!」ジタバタ

エックス「確かに言ったね。」

アライちゃんF55「うそつきなのりゃ!!」フゥー

エックス「あれぇ? 何か忘れてないかなぁー?」
215 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:40:58.82 ID:fP1dLGro0





エックス「私は、『台の上で』10分間耐えたら、って言ったんだけどなぁー。」




216 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:41:58.74 ID:fP1dLGro0
確かに、エックスはそう言った。
そして台が崩れたことによって、アライちゃんは投げ出された。

エックス「台の上にいないんだから、アライちゃんは敗者になるんだよねぇ。」

エックスは不敵な笑みを浮かべ、そう言い放った。

投げ出されたとはいえ、土台となっていた所は壊れずに残っている。
つまり、投げ出された後にライオンに喰われないよう、そこへ戻っていれば勝者になっていたのだ。
217 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:44:28.81 ID:fP1dLGro0
パチン

エックスが指を鳴らした。
その音に反応して、ライオンがアライちゃんに向かっていった。

アライちゃんF55「そんなの、インチキなのりゃ!! やりなおすのりゃ!!」フゥー

アライちゃんは必死にエックスに向かって抗議をしていた。

エックス「それはいいとして、後ろは大丈夫かい?」

アライちゃんF55「うしろ? うしろになにがあるのりゃ?」クルッ

振り返ったアライちゃんの目の前には、ライオンが迫っていた。

アライちゃんF55「のりゃーーーーー!! ぐぇぁぁぁえぁえぁぇあぇあぇ!!」ビクンビクン

アライちゃんは逃げることもできず、ライオンに噛みつかれた。
そして、ライオンは容赦なくアライちゃんのお腹を噛み千切ったのだった。

アライちゃんF55「やべ、あーーーーー!! やべびゅのあーーーーー」バタバタビクンビクンバタバタビクンビクンビクンビクン

アライちゃんの抵抗も虚しく、ライオンは食べ進めていった。

アライちゃんF55「や...、え...」バタバタビクンビクンバタバタビクンビクンビクンビクン

徐々にアライちゃんの動きは弱くなり、ライオンはそれを完食したのだった。
218 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:45:23.52 ID:fP1dLGro0
その様子を目の前で、しかも、目をそらすことさえ許されなかった、残りのアライちゃんたち。

エックス「そこで見ていた、アライちゃんたち!! よーく、聞いてな!!」

エックス「今の不良品みたいに、ヒトと、ちゃんと交流できない愚か者は、この子のエサになってもらうからね!!」

 グワァー

エックスの説明に合わせて、ライオンが吠えた。
219 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:49:00.09 ID:fP1dLGro0
俺「ちょっと離れようぜ。」

友人「いいよ。」

ショーが終わったようだったので、俺たちはその場を離れた。

俺「『協調派』の意味が分かったよ。」

俺は、友人にそう言った。

友人「聞かせてみ?」

俺「つまり、人間に媚を売ってる分には助けてやるけど、反抗したり無関心だった奴は殺処分、ってわけだな。」

友人「そう言うこと。」

俺「で、処刑シーンを何度も見せつけて、こうなりたくなければ言うこと聞けよ、って見せつけるわけか。」

そう、友人はショーが始まった時に、これを「見せつけ」と言っていた。

俺「恐怖政治だな。」

友人「多分、処分された奴は入ってきて間もない奴だったんだろうな。」

俺は友人の言葉に疑問を持った。

俺「あれ? 番号が若くなかったか?」

友人「必ずしも通し、ってわけじゃないんだよ。 穴が空いたら、その番号の穴埋めをしなくちゃいけないからな。」

俺「だとしたら、あの中でどれが古参か分からないな。」

友人「んなもん、知らなくていいんだよ。」
220 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/02(水) 23:51:42.83 ID:fP1dLGro0
俺「もう、出ようぜ。」

友人「分かった。」

俺たちは出口に向かって歩いていた。
その時だった。

アライちゃんF43『アライしゃんをたすけるのりゃ!!』ドンドン

透明なボウルのようなものに閉じ込められているアライちゃんを発見した。

俺「なんだありゃ?」

友人「見てくか?」

俺たちはそのアライちゃんへと向かっていった。
221 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/03(木) 00:01:08.31 ID:LMHvHkui0
アライちゃんF43『そこのヒト、あらいしゃんをたすけるのりゃ!!』ドンドン

俺「閉じ込められてるのか?」

友人は何かに気付いた様子だった。

友人「あれだよ。」

友人が指さした先には、茶色いものがあった。
つまり、排泄物だ。

俺「うわっ、気持ち悪っ...」

アライちゃんF43『なっ!! きもちわるくないのりゃ!!』ドンドン

アライちゃんは怒った様子で抗議していた。

友人「ここな、アライちゃん専用のルール、ってあるんだよ。」

友人はアライちゃんのことを無視して、話を進めた。

俺「ルールって?」

友人「このエリア内で、決められた場所以外では排泄禁止、ってね。」

俺「トイレみたいのがあるのか?」

友人「そうなんだよ。 で、ペナルティがこれってわけ。」

友人は、アライちゃんを指さした。

アライちゃんF43『いいかげん、たすけるのりゃ!!』ドンドン

友人「ペナルティとして、自分が出したものをキレイにしないといけないんだ。」

友人は尚もアライちゃんを無視して、話を進めた。

俺「キレイに、ってどうするんだよ。」

友人「食べる、それ以外の方法は無いわな。」

俺は軽く想像しただけで吐きそうになった。

友人「それをしなかったら餓死するだけだし、してもただただ臭いだけだから殺処分だな。」

俺「それ、未来無いんだな。」

友人「粗相をした段階で、未来は無いんだよ。」

アライちゃんF43『こらーーーーー!! むしするなーーーーー!!』ドンドン

友人「さて、外に出ようぜ。」

俺「あぁ、分かった。」

こうして、俺たちはふれあいコーナーから出ていった。
222 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/03(木) 00:03:20.58 ID:LMHvHkui0
友人「しっかり手を洗えよ。」

俺「なら、こんなコーナー作るなよ。」

俺たちは、ふれあいコーナーを出てすぐのところにある手洗い場で、手を消毒した。

アライさんと触れ合って手を洗う、なんて、皮肉だな、と俺は思った。
223 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/03(木) 00:04:34.61 ID:LMHvHkui0
今回はここまで。
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:13:02.26 ID:ruLy3UXQO
乙です
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:31:49.85 ID:eHCJH//Y0
おつ
結構な勢いでアラ虐して消費してるように見えるけど、それでも追いつけないくらい生まれてるんだろうか
それともこれのおかげで絶滅へ進みつつあるのだろうか
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 00:38:44.49 ID:oB3ztX/Zo
おつ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 01:33:23.38 ID:NSAdWr+z0
乙です。こういう見せしめのショーは楽しいですね。次回も楽しみです
たしかに野生の捕獲だけじゃこういう施設を賄えるか疑問だけど、事情をより鮮明に明かされる時はくるのかな?
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/03(木) 10:10:25.33 ID:ILgLm7otO
流石に50匹蠢いてるのは気持ち悪いな
限度ってもんがある
229 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/04(金) 00:07:03.24 ID:zTHMQKl40
【ふれあい広場】はもう1ヵ所紹介する内容があるので、それが終わったら次のエリアに進みます。
230 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/04(金) 00:10:04.48 ID:zTHMQKl40
アライさんの数について疑問があるようなので、答えます。

一応、こちらの世界では季節問わず、アライさんが繁殖しているイメージです。
そのため、数が多いです。

基本的に俺視点で話が進みますが、希望があればパークの裏側を書いてもいいと思っています。
ただ書くにしても、この「パーク訪問編」が終わったタイミングにあるため、かなり遅れてしまいますが。
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 03:30:52.32 ID:XkI6lNya0
ご説明、乙です。裏側も是非とも知りたいので気長に待たせていただきます
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 18:38:23.43 ID:+nAcDwr/0
解説乙です
何だか想像異常に厄介な存在だなアライさんは
裏側も相当闇が深いんだろうな
233 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:14:28.83 ID:0I/ONFFm0
<エサやり体験>

友人「次はここか。」

【ふれあい広場】にある別のコーナーへ俺たちは来ていた。
看板には「エサやり体験」と書かれていた。

俺「どいつにエサをやるんだよ。」

友人「ま、見れば分かるって。」

俺は、謎のエリアに足を踏み入れた。
234 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:15:18.07 ID:0I/ONFFm0
エリア内は、さながら動物園といった感じだった。
ただ、ライオン、トラ、ワニなどといった、肉食動物しか見当たらない。
動物園でよく見られる、堀を使った展示法が主のようだ。

俺「色んな動物がいるな。」

友人「動物園に行くぐらいなら、ここに来た方が楽しめるからな。」

突如現れた動物園に気を取られてしまったが、俺は友人に疑問を投げかけた。

俺「で、肝心のアライさんがいないんだが。」

友人「そうだなぁ。 どっか良い場所は、っと...、お、あったあった。」

友人は俺の質問には答えずに、案内掲示板のようなものを見ていた。

友人「ワニんところが今からやるみたいだから、そっちに行くぞ。」

俺「やる? 何を?」

友人「行ってからのお楽しみさ。」

結局俺の疑問は解消されないまま、友人の案内でワニの展示場所へ移動した。
235 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:17:21.98 ID:0I/ONFFm0
俺たちはワニの展示場所へ移動してきた。
そこはかなりの人で賑わっていた。

俺「すげぇ人だな。」

友人「そりゃ、エサやりタイムだからな。 見てみたい人は多いだろうな。」

俺「エサやりタイム?」

俺が友人に疑問を投げかけたとき、カートを引いた人物が2人現れた。
ポロシャツに「ASP」と書かれている。
おそらく、このパークの関係者なのだろう。

係員A1「はい! 今から、エサやりタイムを開始します!」

 ワァーーー!!

観客からの歓声がすごかった。
待ってました、と言わんばかりの反応だ。

係員A1「今回用意したのは、新鮮なアライちゃん10匹でーす!」

 ワァーーー!!

説明していない方の係員がカートを覆っていた布を取り外した。
そこには、透明なケースの中に蠢くアライちゃんが10匹入っていた。

アライちゃんは、壁を叩いたり、泣いていたり、様々な反応をしていた。
しかし、観客の反応がすごくて何を言っているのか聞き取れない。

俺「すげぇ盛り上がりだな。」

友人「そりゃあ、な。」

俺は観客の熱に圧倒されていた。

係員A1「事前の抽選で当選した方は前へ来てください!」

係員の案内で、数名の観客が前に出てきた。

ワニ、エサやり、アライちゃん...

俺「そういうことか...」

俺は何となく察した。

友人「分かったのか?」

俺「アライちゃんをあの中に放り込むんだろ?」

友人「正解。」
236 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:20:55.03 ID:0I/ONFFm0
係員A1「必ず手袋を着用してくださいね。」

係員が観客に手袋を渡していた。
よく見ると、係員も同じ手袋をしていた。

俺「あの手袋は?」

友人「アライさん専用の手袋だな。」

俺「何だそりゃ?」

友人「どうやって作られているのか分かんないけど、アライさんの爪や牙さえも通さない手袋らしいな。」

俺「お前は持ってんの?」

友人「当然、あれは便利だぞ。」

俺「それ、どこで売ってんの?」

友人「ホームセンターで普通に買えるぞ。」

そんなハイテクな道具があるなんて知らなかった。
でも、それに対して一つ疑問が浮かんだ。

俺「他の動物に対しては、えーっと、頑丈さ、っていうの? それは大丈夫なのか?」

友人「検証動画が上がってるみたいだけど、ダメっぽいな。」

俺「原理が分からんな。」

友人「気にしたら負けだと思ってる。」

俺の疑問はますます深まるばかりだった。

係員A1「餌を放り込むときは、遠くに飛ばし過ぎないようにしてください。」

係員は、手袋を付けている観客に向かって注意事項を話していた。

俺「何で、遠くに飛ばし過ぎちゃいけないんだ?」

友人「遠すぎると、水の上に落ちないからな。」

ワニの展示法として、手前が水、奥が陸地となっている。
また、水辺から観客のいる位置まで危害が加えられない程度の高さがある。

つまり、遠くに投げてしまうと陸地にぶつかってしまう、とのことだった。

友人「陸地にぶつかって痙攣しているのを見に来てるわけじゃないんだよ。」

俺「エサやり、だから、喰われる姿を見に来ている、と。」

友人「そういうこと。」
237 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:22:08.97 ID:0I/ONFFm0
係員A1「それでは、エサやりタイムを開始します!」

 ワァーーー!!

友人の説明を受けている間に、準備が完了していたようだ。

係員A2「はい、尻尾をしっかり持ってね。」

説明係ではない係員が、ケースからアライちゃんを取り出して、観客に手渡していた。

アライちゃんG1「きゅるるるるる!! このーーーーー!! アライしゃんをはなしゅのりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんは逃れようと必死に暴れているが、観客が尻尾をしっかり握っているため、それは叶わない様だ。

アライちゃんG1「アライしゃんの、きゃわいいちっぽをはなしゅのりゃ!!」ジタバタ

係員A2「お客さんの好きなタイミングで投げ込んでください。」

男性客A1「分かりました。」

アライちゃんの訴えを無視して黙々と進められていた。
ワニたちも察知してか、陸地から水の中へと移動していた。

ワニは全部で3匹いるようだ。

男性客A1「どうやって、投げ入れようかな。」

アライちゃんG1「このーーーーー!! ヒトなんて、アライしゃんのちゅめで、ギッタンギッタンにしてやるのりゃ!!」ジタバタ

男性客A1「うるさいから、そのまま落とそうかな。」

パッ

アライちゃんG1「ふぇ? あああああぁぁぁぁぁーーーーー!! おちてるのりゃーーーーー!!」ジタバタ

ドボーン

アライちゃんG1「あ、あちが、とど、か、な、のりゃ!! お、ぼ、おか、おかーしゃーーーーーん!!」ジタバタビエーン

バクッ

壁際を真っ逆さまに落ちたアライちゃんはパニック状態になり、母親に助けを求めながらワニに喰われていった。

俺「無慈悲だな。」

友人「慈悲なんて与える価値もないよ。」
238 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:23:13.81 ID:0I/ONFFm0
そんな会話をしている間にも、次の人の準備は進められていた。

係員A1「はい、気を付けて持ってくださいね。」

女性客A1「こ、こうかしら?」

アライちゃんG2「アライしゃんのしっぽ、もっちゃダメなのりゃ!!」ジタバタ

女性客A2「もっとしっかり持った方がいいんじゃない?」

アライちゃんG3「ピギィーーーーー!! しっぽがいたいのりゃーーーーー!!」ジタバタ

女性客A1「しっかりと、ってこんな感じ?」ギューッ

アライちゃんG2「ピギィーーーーー!! そんなにちからいれちゃダメなのりゃ!!」ジタバタ

女性客A2「せーの、で投げ入れる?」

女性客A1「いいわよ。」

アライちゃんG2「おろせーーーーー!! おろすのりゃーーーーー!!」ジタバタ

アライちゃんG3「おかーしゃん!! アライちゃんをたすけるのりゃーーーーー!!」ジタバタ

女性客A2「行くわよ。 せーの!」

女性客A1「はい!」

ポーイ

アライちゃんG2「アァァァーーーーー!! とんでるのりゃーーーーー!!」ジタバタ

アライちゃんG3「ピギィーーーーー!! のりゃーーーーー!!」ジタバタ

ドボーン

アライちゃんG2「ぷはっ!! ここはおみずなのりゃ!? あ、あそこにあるけるばしょがあるのりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんG3「ぷはっ!! あ、あそこににげるのりゃ!!」ジタバタ

バクッ

アライちゃんG2「ピギィーーーーー!! あんよがいたいのりゃ!!」ジタバタ

アライちゃんG3「!? うしろにへんなのがいるのりゃ!!」ジタバタ

バクッ

女性客に放り投げられたアライちゃん2匹は陸地近くの水辺に落ちたが、運悪くワニが近くにいたため、足を食べられてしまった。
そして、そのまま全身を食べられてしまったのだった。
239 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:24:02.25 ID:0I/ONFFm0
俺「なかなか強烈だな。」

友人「まだ見てくか?」

俺「いや、止めとくよ。」

俺たちはワニの展示場所を後にして、別の場所へと移動した。
240 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:39:16.46 ID:0I/ONFFm0
俺たちが出口に向かっていると、ヘビの展示エリアがあった。

部屋が全部で3つあり、各部屋の中にはニシキヘビが1匹づつ展示されていた。
観客とヘビとの間はガラスで遮られている、普通の展示法のようだ。

俺「中々大きいな。」

友人「俺も久しぶりに見たわ。」

すると、ヘビの部屋の上部が開いて、何かが落ちてきた。
よく見ると、アライちゃんだった。
しかも2匹。

他の部屋も同様のようだ。

友人「これも見てこうぜ。」

俺「おぅ。」

俺は、アライちゃんの食べられる可哀そうな姿を見たくない、という気持ちより、ヘビの捕食シーンがどういったものか、という興味の方が勝ってしまっていた。

ガラス越しでアライちゃんの言葉は聞こえないが、落ちてくるときに展示物の木にぶつかった影響で、大した怪我はしていなかった。
ヘビを見て威嚇をしているようだが、危害を加える様子が無いと分かると、木登りをして遊び始めた。

俺「こんなに和んでていいのか?」

友人「こっからじゃね?」

しばらくすると、ヘビはアライちゃんに少しずつ近づいていき、お尻に噛みついたのだった。

噛みつかれたアライちゃんは泣いているようで、ジタバタと暴れていた。
それを見た別のアライちゃんは、助ける様子もなく、逃げ出してしまった。

ヘビは前屈のような恰好になったアライちゃんをそのまま飲み込んでいった。

俺「こんな風に食べるんだな。」

友人「中々見る機会無いし、これはいいかもな。」
241 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:45:11.75 ID:0I/ONFFm0
ヘビは、もう1匹のアライちゃんに目を付けると少しずつ近づいていった。
アライちゃんは必死に逃げようとするが、ヘビは体を使ってアライちゃんを取り囲んでいた。

俺「ヘビって意外に賢いんだな。」

友人「ヘビに謝れ。」

アライちゃんは諦めたのか、座り込んで泣き出してしまったようだ。
ヘビはそんなアライちゃんを頭から捕食していった。

アライちゃんは逃れようと、ヘビに爪で引っ掻いたりして抵抗しているようだが、それも虚しくそのまま食べられてしまった。

俺「...こうやって、他の動物に食べられる様子を観察するのが、このコーナーなんだな。」

友人「面白かっただろ?」

俺は友人の質問に答えることが出来なかった。
242 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:47:13.20 ID:0I/ONFFm0
俺たちは出口に向かっていた。

友人「さて、と。 別のエリアに移動しますか。」

俺「そう、だな。」

俺たちは【ふれあい広場】を後にして、次のエリアに向かうことにした。
243 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:47:44.19 ID:0I/ONFFm0
今回はここまで
244 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/09(水) 22:48:57.71 ID:0I/ONFFm0
とりあえず、次のエリア紹介はどこがいいですか?

スポーツエリア
レーシングエリア
ショーエリア
フードコート

今回も時間を設けて、意見の多かったエリアから紹介しようと思います。

5/11(金)22:59まで、アンケート期間にしようと思います。
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 22:50:09.57 ID:hZtnYagJO

あちこち回って足が疲れたかもしれないので、そろそろ腹ごしらえ(フードコート)もいいかもしれませんね
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/09(水) 23:06:47.03 ID:HJRhsMIY0
乙です
エサの様子からすると自分たちが食われる事は直前まで知らないのですね。食われる運命を知った時の描写が気になります

フードコートが普通のエリアなのか、それとも・・・気になるので次回はそっちを見てみたいですね
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/10(木) 01:34:26.11 ID:N47jh7Gn0
乙です
レーシングエリアかな、アライさんが走って競争するのか、
某SSみたいにカートに乗って競争するのか?
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/05/11(金) 22:43:49.58 ID:M0XI6caT0
スポーツもありかな。
249 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/11(金) 23:17:28.85 ID:Ou/MdIhJ0
回答が4つで、フード2、レーシング1、スポーツ1、と。

フードでいいですかね?
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/12(土) 03:00:58.24 ID:zHAynwAK0
まぁ、多数決的にフードで決まりかな
他のも見てみたいのもあるけど
251 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/13(日) 04:45:31.66 ID:8meul/Lm0
>>250
全部書きますよ。
252 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/16(水) 23:22:54.04 ID:MoPEh2v10
友人「そろそろ腹減らないか?」

友人の言葉に、俺は腕時計を見た。
時間は13時になろうとしていた。

俺「そういえばそうだな。」

友人「なら、昼飯にするか。」

俺「いいぜ。」

俺たちは、食事が出来る休憩所へ移動することにした。
253 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/16(水) 23:23:23.78 ID:MoPEh2v10
次回、フードエリアです
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 00:16:33.51 ID:+MkOrmFl0
乙です。楽しみに待ってます
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 00:28:37.84 ID:0nGl4s5/o
乙乙
どんな料理が出てくるか楽しみ
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 04:49:27.06 ID:gsB4nPbE0
乙です
やはりあの料理なのか・・・?
257 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 21:53:04.63 ID:+dClt9Ho0
俺「ここは?」

友人「食事処だよ。 まぁ、フードコートって言い方がしっくりくるかな?」

俺「フードコート?」

聞きなれない言葉に。俺は聞き返した。

友人「あれ? ショッピングモールとか行かない?」

俺「買い物は、ネットかコンビニで済ましてるよ。」

友人「そっかぁ。 じゃあ、大学の食堂...とは、んー、違うんだけど...、まぁ、そんなところだと思っておいてくれればいいかな?」

友人はそう言いながら、苦笑いをしていた。

友人「あ、注文の前にメニューを見ておくか。」

俺「は? メニューって、席についてから見るんじゃないのか?」

友人「ここ、食券方式だから。」

俺「あ、そうなんだ。」
258 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 21:55:05.63 ID:+dClt9Ho0
食券の前には、食品サンプルが置かれた棚があった。

メニューは、とんかつ、カレーライスなど、一般的なものが並んでいた。

俺「メニューはいたって普通なんだな。」

俺はそう言いながら、どれにしようか悩んでいた。

友人「それは、慣れてない人向けだよ。」

俺「え? 食事に、慣れてる、慣れてない、なんてものはないだろ?」

俺は友人の方を見て、そう言った。

友人「こっち見てみろ。」

友人が指さす先には、写真付きのお手製メニューが掲示してあった。

俺「何だこ、れ...」
259 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 21:56:26.82 ID:+dClt9Ho0
俺は息を飲んだ。
友人の言った意味がようやく理解できた。

そこには、アライフライ、アライ揚げ、アライ焼き、などといった、調理済みのアライちゃんが写真付きで掲載されていた。
写真を見る限り、どれもアライちゃんの体をそのまま料理に使っている感じだった。

友人「お前はこれ、食べれる?」

俺「...無理。」

俺は、首を振った。

友人「俺がこれを食べる、って言ったら?」

俺「...無理。」

友人「でしょうね。」

俺たちは、普通のメニューを頼むことにした。
俺はカレーライス、友人はカツ丼。

俺たちは食券を買い終えると、列に並んだ。
260 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 21:59:10.31 ID:+dClt9Ho0
友人「俺は頼んでないけど、周りだとさっきの写真みたいなのを頼んでる奴もいるから、それは我慢してくれよ。 な?」

俺「...なぁ、飯食う場所ってここ以外ないのか?」

友人「無いな。」

即答だった。

友人「ここは、飲み物の持ち込みはOKだけど、食べ物の持ち込みは禁止されてるからな。」

俺「不便だな。」

友人「そもそも、ここに来るのはそういうのもひっくるめて楽しみに来てる奴らだからな。」

俺「まぁ、自業自得...、だから仕方ないか。」

俺はため息をつき、ガラス越しに厨房を見た。
いや、見てしまった。


 まな板の上に乗せられたアライちゃんに包丁を突き付けるコックの姿が。


俺は慌ててフロア側に首を振った。
その様子に気付いた友人が厨房の方を見て、何か納得している様子だった。

友人「大丈夫か? なんだったら、俺が食事を受け取ってやるから、席を確保しに行ってくるか?」

俺「そうするよ。」

俺は自分の食券を友人に預けて、席を探しにフロアへ向かった。
261 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:02:21.18 ID:+dClt9Ho0
俺「さて、窓際は、っと。」

俺は窓際の席を探していた。
中央の席で周りをアライちゃんに囲まれるよりも、少しでも見る機会を減らしたかったからだ。

ちょうど、席取りがされていない場所を見つけたので、そこに腰かけた。
受け取り口からここまでは見やすいはずだ。

俺は窓に目を移し、山を眺めることにした。

俺「こんな自然に来るなんて、何年ぶりだろうな...」

そんな独り言を呟いた時だった。

ふわっ、と横を香ばしい匂いが通っていった。
そして、そちらに目を向けてしまった。

男性客B1「おっまたせー。」
男性客B2「おっせーぞ。」
男性客B3「腹減った。早く食おうぜ。」

そこには男性の集団がいた。
そして、お盆の上には、こんがり焼かれたアライちゃんの姿が3匹...

男性客B1「ほらよ。」
男性客B2「サンキュー。」
男性客B3「ここに来たら、やっぱこれだよな。」

男性客たちは、串に刺さった焼きアライちゃんの腹にかぶりつき、おいしそうに食べ始めたのだった。

男性客B1「んー、やっぱうめぇわ。」
男性客B2「焼いたのは初めてだけど、これはジューシーでうまいな。」
男性客B3「だろ? フライもいいけど、そのまま焼いたのが一番だって。」

その後、腕や足をもぎ取って食べていた。

俺はこの時に悟った。
何事も中途半端に興味を持ってはいけない、のだと。

そして、俺は山へ視線を戻したのだった。
262 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:03:24.94 ID:+dClt9Ho0
友人「お待たせ。」

そうこうしてるうちに、友人が食事を持って現れた。

友人「どうした?」

俺「どうした、って何が?」

友人「いや、めちゃくちゃ汗かいてるぞ。」

俺は言われてから、自分の顔を触った。
確かに顔が湿っていた。

俺「い、いや、何でも...」

友人「...まぁ、いいや。」

友人は近くに置いてあったペーパーナプキンを何枚か持ってきてくれた。

友人「これで顔を拭けよ。」

俺「ありがとう...」

俺がペーパーナプキンで顔を拭いているうちに、友人がセッティングしてくれた。
263 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:05:13.84 ID:+dClt9Ho0
友人「さてと、食べるか。」

俺「そうだな。」

俺たちは手を合わせた。

友人「いただきます。」

俺「いただきます。」

俺はカレーを口に運んだ。

俺「ん、うまいな。」

友人「ここで普通のメニュー、初めて食ったけど、中々だな。」

何度かカレー専門店に行ったことがあったけど、それに匹敵するくらいのコクが出ている。
少しサラサラしていて、スープカレーとはちょっと違う印象だ。
辛さも抑えられていて、子供でも食べやすい辛さだと思う。

具材も、肉、ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモ、といった、昔実家で見たようなオーソドックスなラインナップだ。
しかし、少し違和感があった。

俺「この肉...、何だ?」

牛、豚、鳥、いずれでも無いことは分かった。
ただ、他の肉を食べたことが無いため、思い当たるものが無かった。

いったい何の肉なんだ?
264 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:06:22.86 ID:+dClt9Ho0
友人「それ、アライさんの肉だよ。」

俺は思わず固まった。

俺「...は?」

俺はそう返すのが精一杯だった。

友人「ん、それな、普通のメニューに見えて、肉だけはアライさんなんだよ。」

俺の思考は追い付いていなかった。

友人「まぁ、アライちゃんは写真にあったように提供して、アライさんは肉の部分を削いで加工して提供、って感じだな。」

俺「そう...、なんだ。」

その後の味はよく覚えていない。

気付いたら、カレーは無くなっていた。
265 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:08:34.67 ID:+dClt9Ho0
友人「ふぃー、うまかったな。」

俺「...おぅ。」

俺は徐に、お腹に手を置いた。

何故か、お腹の中でアライちゃんが這っているような感覚に襲われた。
しかも頭の中で、のりゃー、という声まで聞こえるような気がする。

俺「疲れてるのかな?」

友人「なんか言ったか?」

俺「いいや、何でもないよ。」

俺は水を一気に口に含み、飲み込んだ。
少しでも気を紛らわすために。

友人「おいおい、そんな慌てなくてもいいぞ。」

俺「お、おぅ。」

俺たちは少し休憩したのち、返却口に食器を返すと、出口に向かった。
266 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:11:41.60 ID:+dClt9Ho0
とりあえずここまで

>>230 で書いたように、パークの裏側を書くときに厨房の様子も書こうと思います。
今回は俺視点のため、カットしました。
267 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/17(木) 22:12:50.35 ID:+dClt9Ho0
さて、次のエリアはどこにしましょうか?

スポーツエリア
レーシングエリア
ショーエリア

5/20(日) 18:00まで、受付期間にしようと思います。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 22:16:00.08 ID:+MkOrmFl0
乙です。厨房での調理の様子は是非とも見てみたいですね

次はショーエリアに1票
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 22:21:40.45 ID:2bEeOGsQ0


ショーエリアで
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/17(木) 22:33:19.69 ID:60B2e8RYo
乙ー
ショーエリアでお願いします
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/05/18(金) 01:25:28.53 ID:12qxH/mz0
レーシング
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 01:27:11.03 ID:xQEB0r5ko
レーシング
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 10:37:57.25 ID:8hWMxnnc0

ショーエリアかな
虐描写じっくり見たい
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 10:44:43.71 ID:bRazLPh40
乙乙
俺さんの正気度が減ってる音がするww
アンケはショーエリアで
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/18(金) 11:41:40.28 ID:2Fkjafh4O
確かにじわじわと狂気に侵食される俺さんこそがメインっぽい
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage saga]:2018/05/19(土) 00:52:17.70 ID:VJeFCzQI0
スポーツが人気ないのかな。
277 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/20(日) 22:02:02.89 ID:mxJKY9Tb0
この感じだと、次回はショーエリアですかね。
スポーツが少ないのは私としても意外ですけど。
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 00:12:06.97 ID:gYQV5czX0
スポーツはアンチスレでアライスポーツセンターを2編やったからじゃない?
レーシングはどんな感じなのか気になるけど
279 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/21(月) 22:52:21.45 ID:C6pQV9RW0
友人「さて、次のエリアに向かうか。」

俺「...次のエリアは、何があるんだ?」

友人「アライさんによる、ショーがやってるんだよ。」

俺「...あれに何か芸をやらすことなんてできるのか?」

友人「ま、見てみればわかるさ。」

俺たちは【ショーエリア】へ向かったのだった。
280 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/21(月) 22:53:28.04 ID:C6pQV9RW0
俺「な...、なんだこれ...」

俺は驚きを隠せなかった。

建物の見た目こそボロかったが、内装はとても綺麗だった。
スタッフの装いも他のエリアと違い、ポロシャツではなくスーツ姿で、私服でいることが恥ずかしくなるほどだ。

しかし、周りの人たちはそんなことも気にしていない様子だった。

友人「中々だろ?」

友人はそう言うと、電光掲示板の前に移動した。
その後を追うように、俺も移動した。

友人「さて、何から見てこうかな。」

友人は電光掲示板を指さしながら、何かを探しているようだった。

友人「お、時間的にちょうどいいのがあるな。」

友人「よし、移動しようぜ。」

俺は何も分からないまま、友人の後についていくことにした。
281 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/21(月) 22:55:29.13 ID:C6pQV9RW0
奥に進むと、まさに映画館といった雰囲気の廊下があった。

俺「な、なぁ...、ショーって何やるんだ? マジックか?」

友人「そう言うのもあるけど、時間が合ってないからなぁ。」

すると、友人はとある扉の前で足を止めた。

友人「えーっと...、うん、ここだな。」

友人が扉に向かうと、扉の横にいた係員が呼び止めた。

係員B1「入門証のご提示をお願いします。」

友人「これで。」

友人が胸ポケットから入門証を取り出し、係員に見せていた。

係員B1「...はい、確認いたしました。 中へお入りください。」

友人「おーい、中に行くぞ。」

俺「お、おぅ。」

俺は何も分からないまま、扉の中に入っていった。
282 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/21(月) 22:56:12.70 ID:C6pQV9RW0
ここまでで。
とりあえず、導入部です。

次回から、内容を上げてきます。
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 23:12:30.00 ID:6bsOfuxU0


アライさんマジックって、脱出失敗とか胴体切断しか思いつかねぇwwww
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/21(月) 23:29:36.56 ID:CbrVc/eCo
乙ー
アライさんマジックはタネがなさそう
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 00:40:04.90 ID:SbxcGNRs0
乙です。マジックも気になりますが他にはどんなショーがあるのかワクワクが止まりませぬ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 19:08:09.59 ID:/4CezIE3o
失礼を承知で言わせてもらうけど、閉じ括弧前の句点が気になる。
287 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/22(火) 19:44:55.03 ID:/u/KpKXk0
>>286
変ですか?
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 20:24:21.30 ID:fsAPMFzo0
んー、人それぞれじゃない?
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 20:27:33.86 ID:qbMPOI/A0
>>286の言う通りではあるけど、個人の趣味で書いているネットSSにそこまで突っ込む気はしないというか
気にならないというかぶっちゃけどうでもいい
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 20:31:22.39 ID:BDClmgamo
別に気にならないかな
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 21:56:13.86 ID:SbxcGNRs0
>>286で書かれるまで気づかんかった。でも特に気にはならないかな、僕は
読みづらいとか、そういう話でもないし
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/22(火) 22:11:50.35 ID:i27uJIzso
>>256
他の所でも同じ様な書き込みあったしそういう奴なんだろう
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 02:27:02.24 ID:I7yBcot+0
>>292
>>256が・・・?
アラジビについてなら何となく察するでしょ?
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/23(水) 03:29:22.51 ID:HnR7Cihoo
>>293
すまんな>>286の書き間違えだった
295 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/26(土) 01:15:38.40 ID:bBWB9y1D0
ザワザワ

友人「結構人がいるな。」

中に入ると、円形の部屋の中央にステージが用意されていた。
大学の大講義室くらいの広さ、いや、それ以上かも。

また、扉から入って右手と左手の観客席の上部に大きめのモニターが設置されていた。
あそこにステージの映像でも流すのかな?

友人「えーっと...、お、あそこが空いてるな。」

友人が空いている席を見つけたようなので、俺はその後についていった。

ドスッ

友人「いい席が空いてたな。」

それは左手の最前列の席だった。

俺「何のショーか分からないのに、最前列とか怖すぎだろ...」

友人「あれ? 何か言ってなかったっけ?」

俺「言ってねーよ...」

俺は呆れるようにそう返した。

すると、観客側が徐々に暗くなった。
そして、ステージ上に一人の男が現れた。

???「皆様、お集まりいただき、誠にありがとうございます。」

???「これより『アライファイト』の始まりです!」

男がそう言うと、派手な音楽が鳴り響いた。
それと同時に、観客から大きな歓声が上がった。

しばらくすると、音楽のボリュームが下がり、歓声も静かになっていった。

???「進行は私、ジョン・レフリーでお送りします!」

俺「いや、ジョンっていう要素どこ? 完全に日本人じゃん。」

友人「そこはツッコんだら負けだよ。」

どうやら、友人もそう思っていたらしい。

俺「まだエックスは顔立ちが外人寄りだったから疑問に思わなかったけど。」

友人「エックスはクォーターらしいぞ。」

俺「何で知ってんの?」

友人「裏情報。」

俺は深くは聞かないことにした。

ジョン「では、今回の参加者にご入場いただきましょう!」

パチン

ジョンが指を鳴らすと、ステージの下から5つの檻がせりあがってきた。
でも、よく見ると、檻の内側に透明な板が仕込まれているみたいだった。

ちなみに、檻の中は騒がしかった。

俺「檻の内側にある透明な板、あれってなんだ?」

友人「あれは強化プラスチックで、隙間からの逃走防止用だな。」

隣に解説役がいるのは疑問解消にはちょうどいい。
296 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/26(土) 01:16:33.96 ID:bBWB9y1D0
ジョン「では、参加者の紹介をしていこう。」

ジョン「エントリーナンバー、ワンッ!」

ジョン「とある山で貴重な野生動物を殺していた、殺人一家です!」

アライさんEN1-1「アライさんをここから出すのだ!」ガシャガシャ

アライちゃんEN1-1「アライしゃんはなにもわりゅいことしてないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN1-2「ここからだしてほしいのりゃ!」ビエーン
アライちゃんEN1-3「おいちいおにくをはやくよこちゅのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN1-4「ごはんがたべたいのりゃ!」ビエーン

ジョン「次に、エントリーナンバー、ツー!」

ジョン「街中の公園の樹を痛めつけて巣にしていた、環境破壊の一家です!」

アライさんEN2-1「アライさんをお家に返すのだぁ!」ガシャガシャ

アライちゃんEN2-1「きのおうちにかえりたいのりゃ!」ビエーン
アライちゃんEN2-2「あのころはたのしかったのりゃ...」シューン
アライちゃんEN2-3「おねーちゃん、いつかかえれるのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN2-4「そうなのりゃ! あきらめなければかえれるのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN2-5「のりゃー...」スゥー

ジョン「次に、エントリーナンバー、スリー!」

ジョン「とある村の畑を荒らし続けた、泥棒一家です!」

アライさんEN3-1「あのまんまるを早く寄こすのだ!」ガシャガシャ

アライちゃんEN3-1「まんまるがたべたいのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-2「はやくよういするのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-3「ヒトはむのうなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-4「ごはんをもってくるのりゃ!」フゥー

ジョン「次に、エントリーナンバー、フォー!」

ジョン「空き家に住み着いて悪臭を振り撒き続けた、不法侵入一家です!」

アライさんEN4-1「あれはアライさんが初めに見つけたのだ!」ガシャガシャ

アライしゃんEN4-1「ふほうしんにゅうはいいがかりなのら!」フゥー
アライしゃんEN4-2「アライしゃんいがいにだれもいなかったのら!」フゥー
アライしゃんEN4-3「アライしゃんからおうちをうばったヒトのほうがよっぽどわるいのら!」フゥー
アライしゃんEN4-4「かえすのら!」フゥー
アライしゃんEN4-5「アライさんのおうちをうばったきょあくなのら!」フゥー

ジョン「以上、挑戦者の紹介でした。」

ジョン「現在3連勝中の王者に打ち勝つ者はいるのか!」

アライさんCP1「フハハハハ! 誰が向かってこようとも、アライさんの敵ではないのだ!」ピカピカガイジガオ

アライしゃんCP1「おかーしゃんはつよいのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP2「むてきのおかーしゃんなのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP3「あんなやつら、いっぱつでやっつけちゃうのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP4「おかーしゃんのれんしょーきよくはとまらないのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP5「おかーしゃんがまけるはずないのら!」ピカピカガイジガオ

ジョン「以上、参加者の紹介になります。」
297 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/26(土) 01:18:48.25 ID:bBWB9y1D0
ジョン「では次に、ルールを説明しましょう。」

ジョン「知っている人も知らない人も、よーく聞いていてくださいね。」

ジョンの説明はこうだ。

対戦内容は、有刺鉄線デスマッチ。
制限時間は15分で、相手の息の根が止まるまでやりあう。
制限時間内に決着がつかない場合は、両者敗北扱いになる。
ちなみに、闘うのは親のアライさんで、子供のアライさんは檻の中から応援することになる。

挑戦者がトーナメント方式で戦い、最後の勝者はチャンピョンと闘う。
その戦いの勝者がチャンピョンになる。

つまり、挑戦者は2戦の後にチャンピョン戦をやらなければいけない、というハードなものだ。

俺「有刺鉄線の壁、あれって倒れたりしないのか?」

友人「何回か見てるけど、そんなことないな。」

アライさんのタックルを受けることもあるだろう。
俺はそれに耐えうる設計が気になった。

ジョン「では、早速第1試合を始めましょう!」
298 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/26(土) 01:19:42.55 ID:bBWB9y1D0
今回は、前置きまで。
次回からバトります。

さて、誰がチャンピョンになるでしょうか?
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 03:38:02.38 ID:5kwMd2cL0
乙です。果たしてチャンピョンに勝てる奴はいるかな?

挑戦者4匹の中じゃ4番目は弱そうっぽい
1番目が相手していた動物が気になる
2番目が巣にしていた樹の強度によっては勝ち目ありそうかも
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/26(土) 20:49:32.12 ID:E6za2WC00
乙です
横から失礼ですが
×チャンピョン
◯チャンピオン
かと
301 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/05/26(土) 21:41:04.26 ID:bBWB9y1D0
>>300
長年、ずっと間違えて使っていました。
指摘していただき、ありがとうございます。
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2018/05/26(土) 23:34:15.48 ID:b7iSd2D10
>>301 いや、アライさんにはそう言った方が似合うかもしれんと私は思う
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 10:12:48.21 ID:zq7tbMEI0
>>302
アライさんが死ぬ間際に「アライさんはチャンピョンなのだー!」とほざくんだけど、
チャンピオンだと訂正されながら死ぬと尚更良さそうですね
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/27(日) 10:33:05.84 ID:Zu3Fo3Loo
>>303
素晴らしい
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/05/29(火) 12:37:20.74 ID:qpq/kHfq0
乙乙
今更だけど友人くんがイケメンで文武両道なのに何で彼女できないんだろうって所、分かる気がする
大概サイコパスっぽいからだな、ここまでの反応見てれば俺くんがアラジビ口に入れる前に一言言う、いい意味でアラ虐向きな性格やな
306 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/01(日) 22:11:57.20 ID:lRfIhsNM0
【予告】

躍動感のある話が書けず、現在手間取っています。

7月上旬には、続きを更新したいと思います。
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 22:14:45.59 ID:z4bFUrkno
報告乙です
待ってますのでごゆっくりー
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/01(日) 22:37:27.63 ID:798gKTdv0
楽しみに待ってまーす
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 01:37:11.49 ID:WxK4JSuG0
ここ最近、アラ虐自体の盛り上がりが下降してるから、
中々ネタが浮かばないのも無理ないと思う
それでも、アライさんパークは最後まで書き切って欲しい
310 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/03(火) 19:29:08.70 ID:TZNglXuT0
>>309
ネタは思いついてますよ。
ただ、アライさんのファイトシーンがうまく書けないだけです。
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/03(火) 19:53:56.66 ID:e07l3bzDo
戦闘シーンは書きながら修正するのもダメだし書いてから推敲のもやめたほうがいい
とりあえず書きあげて投下するんだ
あとは読者が脳内補完するから問題ない……って偉い人がいってた
312 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:08:47.72 ID:PbZBnVdC0
>>297 の続きから...

ジョン「では、早速第1試合を始めましょう!」

ジョンがそう言うと、2つの檻に突如ガスが充満した。

アライさんEN1-1「ゴホッ! 何の煙なのだ、ゴホッ!」ゴホッゴホッ

アライちゃんEN1-1「やめるのりゃ!」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN1-2「なんなのりゃ!」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN1-3「ぴぃ! にげる、のりゃ!」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN1-4「このけむり、おいしくないのりゃ!」ゴホッゴホッ

アライさんEN2-1「や、やめるのだ!」ゴホッゴホッ

アライちゃんEN2-1「られかたすけるのりゃ!」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN2-2「なんなのりゃ!?」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN2-3「やめてほしいのりゃ!」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN2-4「あきらめないのりゃ!」ゴホッゴホッ
アライちゃんEN2-5「のりゃー...」スゥー

残りの3つの檻にはガスは充満していなかった。

アライさんEN3-1「な、何なのだ!? あの白いのは!?」ビクッ

アライちゃんEN3-1「ふわふわしておいしそうなのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN3-2「なんだかあばれてるのりゃ!」キョトン
アライちゃんEN3-3「はやくたべてみたいのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN3-4「おなかすいたのりゃ!」フゥー

アライさんEN4-1「仕方ないのだ。 いつかここから抜け出してあのお家に帰るのだ。」

アライしゃんEN4-1「いつか、っていつなのら?」キョトン

アライさんEN4-1「分からないのだ。 人は間抜けだから、抜け道があるに違いないのだ!」

アライしゃんEN4-1「さすがなのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-2「おかーしゃんは、めいさくし?なのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-3「おかーしゃんにまかせておけば、かいけつするのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-4「はやくかえりたいのら!」フゥー
アライしゃんEN4-5「ここからぬけだしたら、ひとをギタギタにしてやるのら!」フゥー

アライさんCP1「あれが始まったのだ...」ジーッ

アライしゃんCP1「こんかいもらくしょーなのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP2「むてきのおかーしゃんなのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP3「あいつら、よわそうなのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP4「こんかいもおかーしゃんがかつにきまってるのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP5「おかーしゃんがまけるはずないのら!」ピカピカガイジガオ

残りのアライさん一家は思い思いの言葉を口にしていた。
これはもしかして、今から戦うアライさん一家だけ眠らせているのかな?

しばらくすると、ガスを吸ったアライさん一家は静かになり、寝息を立てているようだった。
313 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:13:50.79 ID:PbZBnVdC0
檻の外から寝ていることを確認した職員が中に入り、親のアライさんのみを回収して中央のステージに移動された。
もちろん、ガスマスクを付けて、だ。

俺「あのガスって?」

友人「催眠ガスだよ。」

俺「意外と原始的なんだな。」

友人「まぁ、これが一番安全だからかな?」

俺「耐性が付いたらどうするよ?」

俺はチャンピオンのアライさん一家を指さして、そう言った。

友人「パーク側もそれくらい考えてるでしょ。」

俺たちがそんな会話をしているうちに、準備は整ったようだ。

職員が連れ出したアライさん2匹がステージ中央に横たわり、有刺鉄線の扉は外からカギを掛けられた。
流石に、取っ手部分は有刺鉄線では出来ていないみたいだ。

アライちゃんが取り残された檻には外側からカギを掛けなおしているみたいだ。

これでアライちゃんたちは、アライさんの闘いを檻から応援するだけになってしまった。

俺「で、アライさんが目覚めるまで俺たちは待っているのか?」

友人「いいから見てな、って。」

俺は友人に促され、中央ステージを見た。

アライさんEN1-1「すぅー... すぅー...」

アライさんEN2-1「すぅー... すぅー...」

アライさんは気持ちよさそうに寝ている。

アライちゃんEN1-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-4「しゅぅー... しゅぅー...」

アライちゃんEN2-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN2-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN2-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN2-4「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN2-5「しゅぅー... しゅぅー...」

アライちゃんも気持ちよさそうに寝ている。

俺「実は気持ちよく寝ているアライさんを鑑賞する会だったり?」

友人「しないな。」

俺「よく分からんな。」
314 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:25:12.61 ID:PbZBnVdC0
周りを見回すと、観客は静かに中央ステージの方を見ていた。
この時、会場には闘い待ちのアライさんの声しか聞こえなかった。

アライさんEN3-1「あいつらは何で寝てるのだ?」キョトン

アライちゃんEN3-1「まぬけのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN3-2「きもちよさそうにねてるのりゃ。」シッポフリフリ
アライちゃんEN3-3「さっきのしろいのを、あらいしゃんにもよこすのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-4「はやくよこさないと、ひどいめにあわせるのりゃ!」フゥー

アライさんEN4-1「ここから抜け出そうにも見えない壁があるせいで隙間を抜けれないのだ。」

アライしゃんEN4-1「おかーしゃんとあらいしゃんがいっしょにこうげきすればこわせるのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-2「おねーしゃんのゆーとーりなのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-3「やってみるのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-4「かぞくのきずなをみせつけるのらのら!」シッポフリフリ
アライしゃんEN4-5「がんばるのら!」シッポフリフリ

アライさんCP1「さて、どっちが勝つのだ?」ジーッ

アライしゃんCP1「どっちがかってもかんけいないのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP2「おかーしゃんのあいてにならないのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP3「あいつら、よわそうなのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP4「おかーしゃんにてきなんていないのら!」ピカピカガイジガオ
アライしゃんCP5「てんか?むてきのおかーしゃんなのら!」ピカピカガイジガオ

相変わらず騒がしい。

会場を見回すと、俺は時計があることに気付いた。
時間制限付きであるため、当然ではあるんだが。
しかし、俺はおかしなことに気が付いた。

俺「タイマーが、動いて、る?」

すでに、タイマーは残り13分を切っていた。

俺「え? まだ、起きてないのに動いてるのか?」

友人「ん? 言ってなかったか?」

俺の声に気付いた友人が反応した。

俺「ジョンは何も言ってなかっただろ?」

友人「あれは起きるまでの時間も込みの制限時間なんだよ。」

俺「じゃあ、起きるのが遅かったら引き分けになるんじゃ...」

友人「確かに仕留めきれないわな。」

俺「まさか、引き分け前提のゲームなのか?」

友人「そんなことは無いぞ。起きる速さは個体差があるだけだしな。」
315 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:29:15.64 ID:PbZBnVdC0
その時、中央ステージに動きがあった。

アライさんEN2-1「ん、んー...」

片方のアライさんが目を擦っている。

アライさんEN2-1「さっきのは何だったのだ?」

先に起きたアライさんは体を起こし、伸びをしながら周りを見た。

アライさんEN2-1「のだ!? チ、チビ達がいないのだ!」

大声を出して周りを見回すアライさん。
当然、その声に反応して寝ていたアライさんがもぞもぞし始めた。

残り時間10分。

アライさんEN2-1「あ! チビ達がいたのだ!」

このアライさん、ルールを忘れているのか?
自分のアライちゃんの方へ走っていった。

アライさんEN2-1「チビー!」

アライさんはそう言いながら、壁に手を掛けた。
しかし、それは有刺鉄線。

アライさんEN2-1「のだーーーーー!!」

どうやら、握りしめてしまったみたいだ。
手から血が滲んでいる。

アライさんEN2-1「痛いのだーーーーー!!」ジタバタ

アライさんが暴れている。
手を放して、後ろに体重移動すればいいのでは?

寝起きだからか、頭が回っていないみたいだな。

そんなことをしていると、もう1匹のアライさんが目を覚ましたようだった。

アライさんEN1-1「うるさいのだ...」

目を擦り、ゆっくりと伸びをするアライさん。
ようやく目が覚めたであろうアライさんは、壁際で喚いているアライさんを見つけた。

アライさんEN1-1「えーっと、確かあいつをやっつければよかったはずなのだ。」

アライさんはゆっくり立ち上がると、静かに移動し始めた。

アライさんEN2-1「チビーーーーー、起きるのだーーーーー!! アライさんを助けるのだーーーーー!!」ジタバタ

そうこうしてるうちに、後から起きたアライさんが近づいてきた。

アライさんEN1-1「今なのだ!」シュッ

アライさんEN2-1「のだ?」キョトン

ザシュッ

アライさんEN2-1「痛いのだーーーーー!!」ジタバタ

後から起きたアライさんは後ろからひたすら引っ掻き攻撃を続けた。

ウォーーーーーー

周りの観客は戦闘が始まった瞬間、歓声が上がった。

その内、アライさんの背中は血だらけになり、肉も見えるような状態になった。

それでも、アライさんは立っていた。
316 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:32:06.25 ID:PbZBnVdC0
残り時間は7分を切っていた。

俺「そう言えば、ジョンは実況とかしないのか?」

俺は、ふと浮かんだ疑問を口にした。

友人「実況をすると、アライさんがすぐに起きちゃうからな。」

俺はステージをジッと見つめるジョンを見た。

友人「前にそれでクレームがあったみたいだから、進行だけに専念してるみたいだな。」

俺「何それ、不憫。」

そこで俺は新たな疑問が浮かんだ。

俺「だったらさ、これだけ周りがうるさいなら、実況しても問題ないんじゃ?」

友人「実況するとアライさんの声が聞こえないから止めろ、って苦情もあったみたいだな。」

俺「何それ、不憫。」

俺はステージではなくジョンを見てみた。
何となく目が寂しそうに感じた。

俺「何つーか、可哀そうだな。」

友人「アライさんが、か?」

俺「いや、ジョンのことだよ。」

友人「あー、そっちね。」

俺「仕事とはいえ、大変だな。」

俺は生き生きしていたエックスを思い出しながら、ステージを見た。
317 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:51:31.25 ID:PbZBnVdC0
すると、攻撃していたアライさんが相手のアライさんの頭を掴み、有刺鉄線に押し当て始めた。

アライさんEN1-1「いい加減にくたばるのだ!」

アライさんEN2-1「ひ、ひあいのあ!!」ジタバタ

押し付けられたせいで有刺鉄線が顔に食い込んでいた。
そして、元の原形をとどめていないほどに、顔は血塗れになってしまった。

その時だった。
寝ていたアライちゃんがもぞもぞし始め、起きたのだった。

アライちゃんEN1-1「んー...」ボォー
アライちゃんEN1-2「あれ? おかーしゃんは?」ボォー
アライちゃんEN1-3「まだねむいのりゃ...」ボォー
アライちゃんEN1-4「のりゃー...」ボォー

アライちゃんEN2-1「おかーしゃん?」ボォー
アライちゃんEN2-2「ここはどこなのりゃ?」ボォー
アライちゃんEN2-3「のりゃー...」ボォー
アライちゃんEN2-4「ねむいのりゃ...」ボォー
アライちゃんEN2-5「まだねむいのりゃ...」ボォー

攻撃の手が一瞬緩んだ隙に、アライさんは叫んだ!

アライさんEN2-1「チビーーーーー、アライさんを助けるのだーーーーー!!」ジタバタ

その声を聴いたアライちゃんは一斉に声のする方を見た。

アライさんEN1-1「お前に勝ち目はないのだ!」

アライさんEN2-1「あぁーーーーー!!」ジタバタ

その光景を見て、アライちゃんもようやく状況を理解したようだった。

アライちゃんEN1-1「おかーしゃん、すごいのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN1-2「いけー! ぶっこりょせー!」シッポフリフリ
アライちゃんEN1-3「おかーしゃんはつよいのりゃ!」シッポフリフリ
アライちゃんEN1-4「そこなのりゃ!」シッポフリフリ

アライちゃんEN2-1「おかーしゃん、なのりゃ?」
アライちゃんEN2-2「お、おかーしゃんは、あんなにみにくくないのりゃ!」
アライちゃんEN2-3「おかーしゃん、どこにいったのりゃ!」
アライちゃんEN2-4「アライしゃんたちをたすけてほしいのりゃ!」
アライちゃんEN2-5「おかーしゃん、おかーしゃん!」

攻撃をされているアライさんはすでにボロボロだ。
その姿を今まで見たことが無いため、アライちゃんたちはそれを母親と認識できていないようだった。

アライさんEN2-1「チビ、アライさんはここにいるのだ!!」ジタバタ

アライさんはアライちゃんに一生懸命呼び掛けていた。

アライちゃんEN2-1「おまえなんか、おかーしゃんじゃないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「アライしゃんのおかーしゃんはな、そんななにみにくくないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「こっちにむかってはなしかけてくりゅな!」フゥー
アライちゃんEN2-4「きもちわるいのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「おあえはおかーしゃんじゃないのりゃ!」フゥー

しかし、アライちゃんから帰ってきた言葉は辛辣なものだった。
今まで一生懸命育てた子供たちが自分のことを全否定している。

それはアライさんにとっては堪えるものなのではないだろうか?

アライさんEN2-1「ア、アライさんは...」

攻撃を受けていたアライさんはそう口にすると、言葉を発しなくなってしまった。

残り時間、3分。
318 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 22:57:19.85 ID:PbZBnVdC0
友人「アライさんは今まで見ていたものが豹変すると、受け付けない習性があるみたいだな。」

俺「なんだそれ。」

俺は唐突に解説を始めた友人を見た。

友人「さっきのアライちゃんたちがいい例だ。」

友人「あそこで顔を攻撃されてなかったら、アライちゃんたちも応援していい勝負になったかもしれないけどな。」

俺「顔がめちゃくちゃになったことで、あれを母親と認識しなくなった、ってことか?」

友人「認識したくても、衝動的に否定から入る、って感じかな?」

俺「変わった習性だな。」

友人「あのアライさんは、子供に否定されたことで抵抗する気力が完全になくなったみたいだな。」

俺「そう、みたいだな。」

俺はステージに目をやった。

アライさんは絶えず攻撃を続けて、子供に否定されたアライさんは涙を流しながらされるがままの状態だった。
319 : ◆/87jeglEwfUL [saga]:2018/07/10(火) 23:00:28.74 ID:PbZBnVdC0
とりあえずここまで。
中途半端ですが、申し訳ございません。

結末は次回に持ち越します。
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:10:42.44 ID:y2u/7hEcO
お待ちしておりました
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 00:21:18.19 ID:I+jIU44go
乙ー
勝負の結果が楽しみです
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 02:10:47.86 ID:dCdyMSDI0
乙です
この状況から逆転はあるのか、それとも・・・次回も楽しみです
323 : ◆/87jeglEwfUL [sage]:2018/07/16(月) 18:56:29.02 ID:p+zG5vXz0
どうやら、別の場所で偽物が湧いているようですが、私とは関係ありません。
ご了承ください。

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1521361858/74/
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 22:20:32.02 ID:u4LUWTwH0
酉割れたなら変更した方がいいかも
325 : ◆/87jeglEwfUL [sage]:2018/07/17(火) 00:10:24.37 ID:RaDE4SKW0
>>324
そこは、次回の更新時に変更します。
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/27(金) 11:25:20.64 ID:E3TDg2AWO
待ってます
327 : ◆sUA3cfRxvJjG [sage]:2018/07/31(火) 19:31:13.58 ID:2b7jK1AR0
これから続きを更新します。

今後は上記の名前で活動します。
328 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:32:27.52 ID:2b7jK1AR0
そして、15分が経過した。

ビーーーーーーーーーーッ

ジョン「そこまで!」

ジョンが終了の合図を出した。
しかし、アライさんは攻撃の手を止めていなかった。

ジョン「はい、アライさん、終わりだよ。 ステージの真ん中あたりに戻ってね。」

ジョンは壁越しにアライさんに話しかけた。

アライさんEN1-1「あ!? ん? もう終わったのだ?」

アライさんEN2-1「う...あ...」

圧倒的だった。
子供に見捨てられ、一方的に攻撃されたアライさんは血まみれでされるがままだった。

そのため、攻撃していたアライさんは無傷で闘いを終えたのだ。

アライさんEN1-1「この辺りでいいのだ?」

攻撃していたアライさんは指示通り戻ったが、ズタボロのアライさんはその場から動くことすらなかった。

アライさんEN2-1「チ...ビ...」

目は虚ろで、絶えず涙を流していた。
その目は、自分の子供たちへと向けられていたようだった。

アライちゃんEN2-1「へんなのがまだみてりゅのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「きもちわりゅいのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「おかーしゃーん、どこにいりゅのりゃ!?」キョロキョロ
アライちゃんEN2-4「はやくあいつをやっつけりゅのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「あいつ、こわいのりゃ!」ビエーン

しかしながら、最後の最後まで拒絶されている辺り、可哀そうだな、と思ってしまった。
329 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:35:31.83 ID:2b7jK1AR0
ジョン「結果発表!」

ワァーーーーー!!

ジョンの一言で会場が沸いていた。

ジョン「結果は明様だが...、勝者は、ナンバーーー、ワンッ!!」

ワァーーーーーーーーーー!!

ジョンが結果を読み上げると、さらに会場が沸いていた。

アライさんEN1-1「フハハハハ!! 当然の結果なのだ!!」

アライちゃんEN1-1「おかーしゃんはつよいのりゃ!」ピカピカガイジガオ
アライちゃんEN1-2「さすがなのりゃ!」ピカピカガイジガオ
アライちゃんEN1-3「やったー、なのりゃ!」ピカピカガイジガオ
アライちゃんEN1-4「おかーしゃんはさいきょーなのりゃ!」ピカピカガイジガオ

勝者のアライさん一家は調子に乗った発言をしていた。

俺「そもそも、強いのであればこんな所にいないはずなんだけどなぁ。」

友人「それは言っちゃいけない。」

俺「大体、一方的なんて試合になってないだろ。」

友人「こういうパターンは珍しいんだけどな。」

俺「そうなのか?」

友人「負けたアライさんは自分の子供に意識を取られすぎて周りが見えてなかった。」

友人「それが原因だからなぁ。」

俺「それだけ子供思いだった、ってわけか。」

友人「アライさんが子供思いだとしても、害獣であることに変わりは無いさ。」

俺は改めて、敗者を見た。

アライさんEN2-1「も...」

息も絶え絶えなのだろう。
涙は枯れたのか、もう泣いていなかった。

そして、周りには夥しい量の血液が広がっていた。
あれでは助かることはないだろう。

そんな中、敗者のアライちゃんが猛抗議をしていた。

アライちゃんEN2-1「こんなのおかしいのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「おかーしゃんはたたかってないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「おかーしゃんがいれば、あんなやつコテンパンなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「おかーしゃんをはやくつれてくるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「ふこーへーなのりゃ!」フゥー

ジョンがアライちゃんの元へ近づいていった。

ジョン「あのね、君たちのお母さんはあそこにいるよ。 分からないのかな?」

ジョンはアライちゃんに対して、優しい言葉で話しかけた。
そして、ステージを指差したのだった。

ジョンが指差した先には、敗者のアライさんがいた。

アライちゃんEN2-1「うそなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「あんなのおかーしゃんじゃないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「おかーしゃんはあんなにみにくくないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「おねーちゃんのゆうとーりなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「ヒトのゆーことはしんじられないのりゃ!」フゥー

ジョンが諭してもアライちゃんは母親のことを認識できていなかった。
330 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:36:48.20 ID:2b7jK1AR0
俺「アライちゃんって、自分の母親のこと認識できないのか?」

友人「そんなことは無いぞ。」

俺「じゃあ、あんな風に顔が変わっちゃった場合はどうなんだ?」

俺は敗者のアライさんを指差した。

友人「まぁ、場合によるだろうな。」

俺「場合、ってのは?」

友人「俺の推測だけど、あのアライちゃんはまだ小さい気がする。」

友人「『街の公園の樹を痛めつけて巣にしていた』って言ってたから、たぶん出産のときにそこを巣にしたんじゃないかな?」

俺「で、子育て中に捕まった、と。」

友人「子育て中に捕まるなんてことは普通なんだけどな。」

友人「要は、親子の時間が長かったかどうか、なんだよな。」

俺「あのアライちゃん達は産まれてから親子の時間が短かったから、顔が変わっちゃった親のことを認識できていない、ってこと?」

俺の問いに、友人は頷いた。

友人「たぶんな。」

友人「もう1つ、考えられることがあるんだよな。」

俺「それは?」

友人「アライさんは視覚が弱い分、嗅覚が優れているんだよ。」

友人「アライさんは似たような顔をしているけど微妙に違うみたいで、匂いも違うらしいんだ。」

友人「でも、産まれたばかりだとそういった感覚がまだ備わっていないんだよ。」

俺「つーと、匂いで親のことが分かるはずだけど、まだ小さいから分からない、ってことか?」

友人「他のアライさんもいるから、匂いが混じってさらに分かりにくくなってる、ってこともあるかもな。」

俺「なるほどな。」

俺は友人の講義を聞き終えて、再びジョンを見た。
331 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:39:12.19 ID:2b7jK1AR0
ジョン「これだけ言っても、理解しないか。」

アライちゃんEN2-1「いいかげんうそはやめるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「はやくおかーしゃんをつれてくるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「アライしゃんたちのおかーしゃんをかえすのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「そうなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「はやくするのりゃ!」フゥー

ジョン「まぁ、君たちが否定してもここにはオーディエンスがいるからね。」

ジョン「さて、皆さん! このアライちゃん達が試合内容の講義をしていますが!」

ジョン「この試合に不正は無かったと思う方は、拍手をお願いします!」

ジョンが会場に拍手を求めた。

ジョンの言う通り、確かに不正は無かった。
俺は素直に拍手をした。
周りからも拍手が聞こえた。

パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ

ジョン「おーっと、満場一致で不正は無かったということですね!」

アライちゃんEN2-1「うそつきなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「そんなはずないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「アライしゃんはりゃまされないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「ありえないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「うそばっかなのりゃ!」フゥー

観客の意見を聞いてもアライちゃん達は納得していなかった。
332 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 19:41:13.05 ID:2b7jK1AR0
これには、ジョンも溜め息しか出ない様子だ。

ジョン「仕方ないですね。」

ジョン「では、試合を控えている他のアライさん一家に話を聞いてみましょうか。」

アライちゃんEN2-1「そんなのきくまでもないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「そうなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「おかーしゃんをかえせぇ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「はやくしないとズタズタにしてやるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「いいかげんにするのりゃ!」フゥー

ジョンがどこかに合図を送っていた。
すると、スタッフらしき人物が3人出てきて、それぞれのアライさんにマイクを向けていた。

ジョン「では、順番に話を聞いていきましょう。」

アライさんEN3-1「試合? そんなことよりもお腹がすいたのだ!」フゥー

アライちゃんEN3-1「なにかたべさせるのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-2「はやくよういするのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-3「おなかがクークーなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN3-4「さっきのしろいのをたべたいのりゃ!」フゥー

アライさんEN4-1「今、アライさんは忙しいのだ!」キーキー

アライしゃんEN4-1「ここからぬけだすためにいそがしいのら!」キーキー
アライしゃんEN4-2「このいた、かたいのら!」キーキー
アライしゃんEN4-3「つめがいたくなってきたのら!」キーキー
アライしゃんEN4-4「しまいのきずなはこんなことではこわれないのら!」キーキー
アライしゃんEN4-5「もっとこうげきするのら!」キーキー

挑戦者のアライさんは自分のことしか考えていなかったようで、話にならなかった。

俺「つか、4番目のアライさん一家、脱出を企ててるみたいだったけど、いいのか?」

友人「どうせ抜け出せないから、気にするだけ無駄だよ。」

友人の言う通り、ジョンやスタッフも4番目のアライさん一家がやっていることはスルーのようだ。

そして、最後にチャンピオンに話を聞くだけとなった。

ジョン「では、最後にチャンピオンに話を聞いてみましょう。」

アライさんCP1「アライさんは見ていたのだ。あそこで倒れているアライさんは、文句を言っているチビ達のアライさんなのだ。」

アライしゃんCP1「アライしゃんもみていたのら。」
アライしゃんCP2「おかーしゃんのゆーとおりなのら。」
アライしゃんCP3「じぶんのおやがわからないなんて、バカなのら!」キャッキャッ
アライしゃんCP4「じぶんのおやをひていするなんてさいてーなのら。」
アライしゃんCP5「すくいようがないのら。」

どうやら、チャンピオンのアライさん一家は試合をしっかり見ていたようだった。

ジョン「さて、観客とチャンピオンから証言を頂きました!」

アライちゃんEN2-1「ありえないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-2「むこーなのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-3「あれがおかーしゃんなわけないのりゃ!」フゥー
アライちゃんEN2-4「ふざけてないれ、おかーしゃんをかえせぇ!」フゥー
アライちゃんEN2-5「うそつきなのりゃ!」フゥー

これだけのやり取りをしても納得をしていないアライちゃん達だった。

俺「グダグダだな。」

友人「まぁ、毎回始めはこんな感じだよ。」

俺「そうなのか?」

友人「だって、ルールを理解してるのなんて、チャンピオン以外にいないからな。」

俺「なるほどね。」

毎回こんなやり取りをしているのかと思うと、ジョンは大変だな。
ジョンが自らこの持ち場を希望したのか、ちょっと気になった。
333 : ◆sUA3cfRxvJjG [sage]:2018/07/31(火) 19:42:10.93 ID:2b7jK1AR0
一旦ここまで
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 20:03:51.52 ID:2iQ8iQ/gO
乙です。
敗北者家族にどんな罰ゲームが待っているのだろうか…
335 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 21:56:45.09 ID:2b7jK1AR0
ジョン「というわけで、罰ゲーーーーームッ!!」

アライちゃんの言い分を聞き流して、罰ゲームのコールが入った。

ワァーーーーーーーーーー!!

会場は、大いに盛り上がっていた。

ジョン「装置、カモン!」

ウィーーーーーン

敗者のアライちゃんがいる檻の四隅から何かが出てきた。

何かの口みたいだけど、何が出るんだろう?

ジョン「放水!」

バーーーーーッ

ジョンの一言で、檻の中に水が流れ込んだ。

アライちゃんEN2-1「へんなのがながれてきたのりゃ!」ビクン
アライちゃんEN2-2「おい! とめるのりゃ!」バンバン
アライちゃんEN2-3「に、にげるのりゃ!」ヨチヨチ
アライちゃんEN2-4「おかーしゃーん!」ヨチヨチ
アライちゃんEN2-5「たすけるのりゃ!」バンバン

アライちゃんは逃げ惑っていたが、すぐに水に飲み込まれてしまった。
その様子は、会場上部のモニターに映し出されていた。
336 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 21:58:03.48 ID:2b7jK1AR0
俺「なぁ、あれって水漏れしないのか?」

友人「あれって、強化プラスチックのことか?」

俺「そう、それ。」

友人「罰ゲームに関しては水責めが通例だし、そこらへんの対策はちゃんと出来てるみたいだぞ。」

友人「なにより、今まで『水漏れした』なんて話は聞いたこと無いしな。」

俺「なるほどねぇ。」

友人「使うからには、流石に検証してるでしょうよ。」

俺「それもそうか。」

モニターに視線を戻すと、放水は止まっていた。

よく見ると、アライちゃんの足が付くか付かないかぐらいの水が注がれていた。
337 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 21:58:47.87 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-1「わぷっ! みて、な、たすけ、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「いき、でき、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「おか、しゃ、たす、け、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-4「がはっ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-5「しず、のりゃ!」バチャバチャ

アライちゃん達は中央付近に集まっていた。
四隅から水が流れこんで来たからかな?

すると、1匹のアライちゃんが他のアライちゃんの上に乗っかった。

アライちゃんEN2-1「アライしゃんがたすかるために、からだをはるのりゃ!」ガバッ
アライちゃんEN2-4「おね、しゃ、やめ、いき、でき!」バチャバチャ

1匹が乗った途端、他のアライちゃんも真似しだした。

アライちゃんEN2-2「アライしゃんも、まねするのりゃ!」ガバッ
アライちゃんEN2-5「のっちゃ、ダメ、な!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「アラ、しゃ、も、のる、のりゃ!」バチャバチャ

どうやら、1匹乗り損ねたようだった。

アライちゃんEN2-1「なんとかたすかったのりゃ!」ハァハァ
アライちゃんEN2-4「おね、しゃ、どく、の、りゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「アラ、しゃ、も、のせ、の、りゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「おまえまでのったらダメなのりゃ!」ゲシゲシ
アライちゃんEN2-5「ガホッ! も、つか、のりゃ!」バチャバチャ

まるで蜘蛛の糸を再現しているかのような光景だった。
とはいえ、この場にお釈迦様はいないけど。
338 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:01:27.98 ID:2b7jK1AR0
俺「なぁ、これっていつまで見なきゃならないんだ?」

友人「全員が溺死するまでだな。」

俺「苦痛だな。」

友人「その時間を楽しみにして来てる奴らもいるんだよな。」

俺は周りを見渡した。

ワァーーーーーーーーーー!!

周りからの歓声はすごかった。
早くくたばれだの、もっとやれだの、中々過激だった。

俺「異常な光景だな。」

友人「ほら、プロレスとかボクシングとかの格闘技を見る感覚だよ。」

俺「いや、スポーツ見ないし。」

友人「そういえばそうだったな。」

俺「ったく、何が楽しいんだかな。」

友人「人それぞれ、ってやつだよ。」

そんな会話をしながらも俺はモニターを見ていた。
俺も周りも大概なのかもしれないな。
339 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:03:08.60 ID:2b7jK1AR0
さて、足場にされたアライちゃんの様子が変わり始めた。
どんどん弱弱しくなって、バタつくことも少なくなってきた。

アライちゃんEN2-4「...」
アライちゃんEN2-1「いもーと、しっかりするのりゃ!」シッポブンブン
アライちゃんEN2-5「...」
アライちゃんEN2-2「このままだと、バチャバチャのなかにはいっちゃうのりゃ!」シッポブンブン
アライちゃんEN2-3「つ、わぷっ! かれ、の、りゃ!」バチャバチャ

足場にされたアライちゃんはもうダメなのかもしれないな。
そう思っていたら、そのアライちゃん達がどんどん沈み始めた。

アライちゃんEN2-1「またバチャバチャのなかにもどるのりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「こうなったら、べつのいもーとをあしばにするのりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「! やめ、の、りゃ!」バチャバチャ

足場にされた2匹のアライちゃんは底に沈み、再び水の中で暴れだしたアライちゃん。
今度は、休むことなく手を動かしている妹を足場にしようとしているようだ。

自分だけ生き残ろうと必死の様子だ。
340 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:07:55.47 ID:2b7jK1AR0
俺「あのアライちゃん達、『水』というものを知らないのかな?」

友人「たぶん、まだ教えてもらえてないんだろうね。」

俺「まだ?」

友人「アライさんも子供を産む以上、生きていくための術を子供たちに教えるんだよ。」

俺「そこは俺達を変わらないな。」

友人「甚だ迷惑だけどな。」

友人としては実害を被っているのだから、そう思うのは当然かもしれない。

俺「さっき産まれたばかりかも、って推測してたけど、そこが関係してるのか。」

友人「そうだろうね。」

俺「もしかしたら見たことすらなかったり?」

友人「見たことあるなら、流石に知ってるはずだけどな。」

友人「もしかしたら、まだ離乳出来てなかったのかもな。」

俺「なるほどな。」

離乳前で巣から出たことのないアライちゃん、ってことなら納得がいきそうだな。

俺「水のことをバチャバチャって表現してるのは、そう聞こえるからかな?」

友人「教えてもらってないことをどう表現するのか、それはそいつら次第だけどな。」
341 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:08:26.57 ID:2b7jK1AR0
モニターに目を戻すと、足場にされるアライちゃんを決めるために必死に争っていた。

アライちゃんEN2-1「いも、とは、おね、しゃん、のため、から、はる、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「おね、しゃ、は、いも、とのた、から、はる、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「さっき、らくし、から、こん、は、アラ、しゃ、の、ばん!」バチャバチャ

生き残ったアライちゃんは、そこに沈んだ妹を蹴っては浮かんで、蹴っては浮かんでを繰り返していた。
342 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:10:32.07 ID:2b7jK1AR0
俺「そもそも、沈んだ奴らの上に立てば良くないか?」

友人「さっきも言ったけど、離乳前のアライちゃんっぽいから、まだ立つことを知らないんだよ。」

俺「そうなのか?」

友人「あぁ、立つにはまだ体が発達して無さ過ぎる。」

俺「命の危険を感じて覚醒して立てるようになる、とかは?」

友人「ゲームのやり過ぎだ。」

友人「そもそも、浅瀬で溺れたハイハイの赤ちゃんが命の危険を感じて立つような事、あると思うか?」

俺「無い、だろうな。」

友人「まぁ、例えがあれだったけど、筋力的にありえないんだよ。」

俺「なら、泳ぎは?」

友人「そもそも教えてもらえなければ、泳げないだろ。」

俺「まぁ、そうなんだけどさ、浮くぐらいは出来ないのかな?」

友人「それも教えてもらわないと出来ないだろ。」

友人「そういうのが出来ないから、アライちゃんはあんな感じでパニくってるんだろ。」

俺「そっか。」
343 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:11:00.59 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-2「やったのりゃ!」ハァハァ

アライちゃんの歓喜の声が聞こえたため、モニターに目を戻した。

アライちゃんEN2-2「しまいをうつくしいきずなのりゃ!」ハァハァ
アライちゃんEN2-1「おま、うえか、ろく、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「おね、しゃ、ずる、の!」バチャバチャ

どうやら、2匹を足場にして1匹が上に乗るという方法をとったみたいだ。
344 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:11:54.25 ID:2b7jK1AR0
俺「つか、姉妹を犠牲にしてる時点で『美しい絆』なんて無いだろ。」

友人「あいつ等はあれで美しいつもりなんだよ。」

俺「何だかなぁ。」

とはいえ、あれもすぐに限界が来る。
あのアライちゃんは使える足場をすべて失ったとき、どうするんだろうか?

多分、1匹でギャーギャー言いながらパニくるんだろうな。
345 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:16:05.40 ID:2b7jK1AR0
そういえば、ジョンがまた静かな気がする。
ジョンの姿を探すと、なにやら回りのスタッフに指示を出していた。
しかも、ステージ中央では勝者であるはずのアライさんが倒れている。

俺「あれ!? あのアライさん勝ったはずなのに倒れてる!」

俺は思わず身を乗り出してしまった。

友人「まぁ、落ち着け。」

俺「お、おぅ。」

友人に宥められ、俺は席に座った。

友人「あれは麻酔銃で眠ってるだけだ。」

俺「そうなのか?」

友人「罰ゲームをモニターに映して観客の気をそっちに集中させてるうちに、次の準備をするんだよ。」

俺「それがあれか?」

俺はステージを指して確認した。

友人「そうだよ。まず、勝者のアライさんを麻酔銃で眠らせて、その子供が入った檻に再度ガスを投入する。」

友人「そんでもって、ステージのアライさんを檻の中に運搬する、ってわけだ。」

俺「じゃあ、その時に敗者のアライさんも運び出すのか?」

友人「ほら、あれ。」

友人が指した先にはブルーシートに包まれた「何か」が運び出されていた。

友人「あれが敗者のアライさんだよ。」

俺「あんな方法で運び出すのか。」

友人「ここはまだ機械化が進んでないから、大体人力なんだよ。」

俺「敗者を運び出したり勝者を眠らせたりで、大変なんだな。」

友人「スタッフの作業のおかげでこのショーが成り立ってるんだよ。」

ジョンを含めたスタッフも大変な思いをしてるんだな。

次の準備のために動き回るスタッフからモニターに目を戻し、再度アライちゃんの悪足掻きを見ることにした。
346 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:16:41.61 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-2「いもーとがつかえなくなったのりゃ!」シッポブンブン
アライちゃんEN2-1「こい、アラ、しゃ、の、うえ、から、この!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-3「...」

どうやら、何にも捕まることが出来ず、絶えず手を動かしていたアライちゃんは力尽きてしまったようだ。
徐々に体が沈みつつある。

残されたのは2匹。

さて、ここからどうするのか。
347 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:32:14.98 ID:2b7jK1AR0
アライちゃんEN2-1「いい、かげん、する、のりゃ!」グイ
アライちゃんEN2-2「のりゃ!?」ザブーン

足場にされていたアライちゃんは、上で振られていた尻尾をタイミングよく掴んだ。
そして、前転するような形で上のアライちゃんを巻き込み、水の中へ引きずり込んだ。

アライちゃんEN2-2「な、なに、す、る、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-1「おま、え、わる、のりゃ!」バチャバチャ

元の溺れかけの状態に戻った2匹は、喧嘩をし始めた。

アライちゃんEN2-1「おま、え、こう、して、や、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「や、め、のりゃ!」バチャバチャ

足場にされていたアライちゃんは手を動かす勢いで、上に乗っていたアライちゃんに攻撃をし始めた。

アライちゃんEN2-2「この、こっち、こう、して、や、のりゃ!」バチャバチャ
アライちゃんEN2-1「くっ! いも、と、ゆるさ、な、のりゃ!」バチャバチャ

2匹の攻撃が激しさを増していく。
しかし、そんなことをしていれば体力は削られてしまう。

アライちゃんEN2-1「も、らめ、な、のりゃ。」バチャバチャ
アライちゃんEN2-2「アラ、しゃ、も、つか、れ、のりゃ。」バチャバチャ

2匹の周りがうっすらと赤くなりながら、手の動きが弱まってきた。

アライちゃんEN2-1「...」
アライちゃんEN2-2「...」

そして、2匹は動かなくなってしまった。
348 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/07/31(火) 22:40:05.16 ID:2b7jK1AR0
ジョン「フィニーーーーーッシュ!!」

檻の中が静かになったタイミングで、ジョンが終了の合図を出した。

ステージの周辺を見ると、既に他のスタッフは撤収した後のようだった。

アライさんEN1-1「すぅー... すぅー...」

アライちゃんEN1-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-4「しゅぅー... しゅぅー...」

しっかりと、勝者のアライさん一家も檻に収められていた。

ジョン「さぁ、1回戦目から苦情が入ってしまいましたが、いつものことですね!」

ジョン「敗者のアライさん一家にはしっかりと罰ゲームを受けてもらいました!」

ジョン「皆さん!! 見て頂いたように、我々は不正をしていません!」

ジョン「公平な勝負を提供する! それが『アライファイト』なのです!!」

ワァーーーーーーーーーー!!

ジョン「さぁ、次の第2試合の準備といきましょう!」
349 : ◆sUA3cfRxvJjG [sage]:2018/07/31(火) 22:40:40.54 ID:2b7jK1AR0
今日はここまで。

第2試合は、8月中にあげます。

スマソ
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 22:42:22.23 ID:LdITsrIr0
乙です!更新待ってます!
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 23:52:02.19 ID:G/xYU6qE0
乙乙
アライちゃん達がもがく姿好き
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/01(水) 09:36:34.00 ID:R4f1BhKpO
353 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:26:45.97 ID:C6zsAaNm0
ジョン「さぁ、次の第2試合の準備といきましょう!」

第1試合と同じように、3番目と4番目のアライさん一家の檻に催眠ガスが投入され、スタッフによる試合の準備が進められていた。

俺はふと、あることが気になった。

俺「なぁ、罰ゲームのアライちゃんはあのままなのか?」

先程、罰ゲームを受けたアライちゃんの檻には水が満たされたままになっていた。
また、沈んだアライちゃん3匹、うつ伏せで浮かんだままのアライちゃん2匹もそのままだった。

友人「そうだな...、あれが片付けられるとしたらチャンピオンが決まって、今回の『アライファイト』が終わった後だろうな。」

俺「すぐに片付ければ良くないか?」

友人「すぐに片付けたら、ちゃんと死んだかどうか分からないだろ?」

俺「どういうことだ?」

友人「仮に、アライちゃん達が死んだフリをしている可能性も否定できないからな。」

俺「いやいや、体力的に無理があるんじゃないか?」

友人「例えばの話だよ。」

友人「さっき罰ゲームを受けたアライちゃん達はともかく、野生で十分に教育されて潜水訓練を受けていたアライちゃんは息止めが長く出来るはずだからな。」

俺「そんなのがいるのか?」

友人「いない、とは言い切れないな。」

友人「野生のアライさんで、川を生活圏にしている場合は魚を捕ったりするときにそういうこともするらしいしな。」

友人「そういう意味だと、あの3番目のアライさん一家は気になるところだな。」

俺「えーっと、確か『とある村の畑を荒らし続けた』とか言ってたっけ?」

友人「そう、その村の近くに川があった場合、そういう訓練もしている可能性があるからな。」

俺「畑に飽き足らず、川も汚染していた、と。」

友人「あくまで可能性の話だけどな。」

俺「なるほどね。」

友人「ま、3番目の一家に関しては実際分からないとして、話を戻すと、あの水入りの檻はしっかりと罰をする意味で最後まで残してるんだよ。」

俺「いろいろと考えられてるんだな。」

そうこうしている内に、次の試合の準備が出来たようだった。
354 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:27:34.82 ID:C6zsAaNm0
ステージには、眠った状態のアライさんが2匹。

アライさんEN3-1「すぅー... すぅー...」

アライさんEN4-1「すぅー... すぅー...」

そして、それぞれの檻にはアライさんの子供が眠っていた。

アライちゃんEN3-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN3-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN3-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN3-4「しゅぅー... しゅぅー...」

アライしゃんEN4-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-4「しゅぅー... しゅぅー...」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

こうして、静かに第2試合の幕が上がり、時間のカウントが始まった。
355 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:28:30.86 ID:C6zsAaNm0
しかし、開始から5分経っても、どちらのアライさんも起きる気配が無い。
しかも、檻の中の子供たちも眠ったままだ。

ちなみに、先程の試合に勝ったアライさんはどうやら目を覚ましたようだ。

アライさんEN1-1「ん、んー! よく寝たのだ。」ノビー

だが、その子供たちはまだ寝ているようだった。

アライちゃんEN1-1「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-2「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-3「しゅぅー... しゅぅー...」
アライちゃんEN1-4「しゅぅー... しゅぅー...」

俺「まだ起きないな。」

友人「そうだな。」

俺「催眠ガスの投入量ってどうやって決まってるんだ?」

友人「一応、これくらいの大きさにはこれくらいの量を投入すると何分後に起きる、みたいな指標はあるみたいだけどな。」

俺「一応はあるんだ。」

友人「でも、一家単位になると数や大きさによって量が変わってくるのは当然として、細かいところまで計算してるわけにはいかないしな。」

友人「まぁ、研究所とかだったらデータ採りのために正確な量を投入したりするんだろうけど。」

俺「つーことは、指標からざっくりとした量を投入してるのか?」

友人「そうだろうね。」

俺「適当だなぁ。」

こうしている間にも残り時間は減っていく。
タイマーを見ると、残り時間は8分を切っていた。
356 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:30:43.83 ID:C6zsAaNm0
その時だった。

アライさんEN4-1「ん、ん〜...」モゾモゾ

片方のアライさんが起きるような気配を見せていた。

アライさんEN3-1「ん〜? 何なのだ...」モゾモゾ

どうやら、もう片方のアライさんも起きそうな兆しがあった。

そして、両者共に目を覚まし、大きく伸びをし、手の甲で顔をこすりながら、目を合わせた。
その姿は、まるで合わせ鏡のようだった。

アライさんEN4-1「ん〜、お前は何なのだ?」

アライさんEN3-1「お前こそ何なのだ?」

何だか間抜けな声の掛け合いをしていた2匹のアライさん。
次の瞬間、目を見開いて急に立ち上がったのだった。

アライさんEN3-1「そうだ! お前を倒さないといけないのだ!」

アライさんEN4-1「倒されるのはお前のほうなのだ!」

ようやく現状が理解できたのか、戦闘体勢に入るアライさん。
この時、残り時間は5分になろうとしていた。
357 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:31:46.38 ID:C6zsAaNm0
友人「ようやくか。」

俺「つーか、起きるの遅くないか?」

友人「確かに遅い。 遅すぎて、周りも盛り上がっちゃいないな。」

確かに、周りから歓声があまり聞こえない。
溜め息や失笑が多く聞こえるくらいだ。

友人「こりゃ、引き分けかな。」

俺「さすがに5分じゃ決着は付かないか?」

友人「武器を持ってるんだったらいけるんだろうけど、無理だろうな。」

俺「仮にさ、決着がつかなかった場合は引き分けになるとして、その場合はどうなるんだ?」

友人「ま、それはお楽しみ、ということでね。」

俺にとっては楽しみもあったものじゃない。
だんだん感覚が麻痺しているとはいえ、目の前で死ぬのはさすがに勘弁だ。
358 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:32:36.95 ID:C6zsAaNm0
さて、ステージのアライさんはというと、お互いに引っ掻きあっていた。
そして、戦っているアライさんの子供たちはというと、眠ったままだった。

俺「あっちはあっちで、起きないんだな。」

友人「あっち、って?」

俺「檻に残ってる子供たちのことだよ。」

友人「あぁ、それね。」

友人「まぁ、あれに関しては罰ゲームのときにしか注目されないし、今起きなくても問題ないからね。」

俺「眠った状態で罰ゲーム、何てことあるのか?」

友人「それはあるな。」

友人「眠った状態から水を浴びせられて、パニくって溺れ死ぬ感じかな?」

俺「なんか嫌だな、それ。」

友人「見てる分には楽しいけどな。」

俺「さすがに俺はその域には、なれないな。」
359 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:33:57.33 ID:C6zsAaNm0
残り2分を切ろうとしていたときだった。

アライしゃんEN4-1「うーん...」

片方のアライさん一家の子供たちが起きようとしていた。
脱出を企てようとしていた方だ。

アライしゃんEN4-1「うーん...」
アライしゃんEN4-2「あれぇ?」
アライしゃんEN4-3「アライしゃんたち、ねてたのりゃ?」
アライしゃんEN4-4「よくねたのりゃ...」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

全員は起きなかったようだが、周りをキョロキョロしていた。

アライしゃんEN4-1「おかーさんがいないのら!?」
アライしゃんEN4-2「ろこにいったのら!?」
アライしゃんEN4-3「おかーさんらけ、にげちゃったのら!?」
アライしゃんEN4-4「だとしたら、にげみちがろこかにあるのら!」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

バンバン

檻の強化プラスチックを叩き始めたアライしゃん達。
そして、ステージに面した壁に来たときにアライさんの姿を発見した。

アライしゃんEN4-3「おかーさんがあそこにいたのら!」
アライしゃんEN4-1「ほんとなのら!」
アライしゃんEN4-2「おかーさん、ろーやってそこにいったのら!」
アライしゃんEN4-4「おかーさんらけ、ずるいのら!」
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

しかし、肝心のアライさんは子供たちの様子に気付くことも無く、ただ戦い続けていた。
360 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:34:44.87 ID:C6zsAaNm0
アライさんEN3-1「そこなのだ!」ヒュッ

アライさんEN4-1「ぐっ!」

相手の引っ掻き攻撃を腕で受け止めるアライさん。

アライさんEN3-1「アライさんのターンは終わらないのだ!」

更なる攻撃をするために相手が間合いを詰めて来る。

アライさんEN4-1「隙がありすぎなのだ!」ヒュッ

先程防いだ腕とは逆の腕からカウンターを繰り出すアライさん。

アライさんEN3-1「イタッ!」

相手は思わず、後ろに下がったようだ。

アライさんEN4-1「今なのだ!」

アライさんの攻防が繰り広げられている中、子供たちは必死に声を荒げていた。

アライしゃんEN4-1「おかーさん、アライさんたちをたすけるのら!」バンバン
アライしゃんEN4-2「ろーしてむしするのら!」バンバン
アライしゃんEN4-3「おかーさん、おかーさん!」バンバン
アライしゃんEN4-4「むしするなぁ!」バンバン
アライしゃんEN4-5「しゅぅー... しゅぅー...」

子供たちの声が届いていないのか、戦いに没頭するアライさんだったが、

ビーーーーーーーーーーッ

ジョン「そこまで!」

無常にも終了の合図が鳴り響くのだった。
361 : ◆sUA3cfRxvJjG [saga]:2018/08/19(日) 18:35:56.89 ID:C6zsAaNm0
一旦ここまで

結果はお察しでw
罰ゲームパートは、8月中に上げれるように頑張ります。
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/19(日) 21:37:55.75 ID:+FoY7Igb0
乙でした
罰ゲーム楽しみです
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/08/19(日) 21:39:44.25 ID:21JZhq2To
乙乙
2家族の結末や如何に!?
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2018/09/01(土) 06:30:19.71 ID:IZeIAl+ro
続きが見たいのだ!
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします [sage]:2019/01/03(木) 18:58:52.91 ID:46NZjaLu0
続きはまだなのだ?
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