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【ガルパン】みほ「肉欲に溺れた悪魔」
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112 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:23:03.90 ID:sIb+lDG8O
「・・・え?」
「興奮というか・・・、その。会長に痛い思いをさせることを想像したら・・・。下着が、びちょびちょになっちゃって」
「・・・えっと、に、西住ちゃん?」
「この意味・・・、わかりますよね?」
「・・・ぁ」
会長が、いよいよ怯えた顔になりました。
このままでは大声を出されてしまう。
そう思ったわたしは。
「・・・んむ!?」
会長の口を、わたしの口でふさぐことにしました。
突然のわたしの行動に、会長は顔を真っ赤にして茫然としていましたが、やがてじたばたと暴れ始めました。
113 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:24:36.78 ID:sIb+lDG8O
「んうー!!」
「ん・・・、ぷは。会長、静かにしてください」
そして、わたしは会長のお腹をまた殴りました。
「うぐ・・・」
「それに会長、ここに人が来たらまずいと思いますよ」
思わず、くすくすと笑いが漏れてしまいました。
「きっとわたしは退学。そうなると、大洗の廃校を誰が止めるんですか?」
わたしの言葉を聞いて、会長は一瞬目を見開きましたが。
すぐに、あきらめたように下を向きました。
「会長、いい子です。もう大声、出しませんよね?」
わたしはそう言って、会長の髪を撫でました。
すると。
「西住ちゃん・・・、やめよう。今ならまだ、あたしもなかったことにしてあげるから」
何やら生意気なことを言って来ました。
まだ自分の立場が分かっていないようなので、またお腹を殴ると、少し呻いて静かになりました。
114 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:26:17.61 ID:sIb+lDG8O
「うーん、お腹ばかり殴ってもかわいそうですし・・・。こんなのはどうでしょう?」
わたしは、会長のスカートの下に手を潜り込ませました。
「げほっ・・・。・・・え? に、西住ちゃん、なにを・・・っ」
「何をって、決まってるじゃないですか」
会長の下着をゆっくりとさわり、そしてその中に手を潜らせました。
さらさらと、産毛のような会長の毛がわたしの手に触れます。
指先からの刺激は、わたしの官能を強くくすぐりました。
「あ・・・! やっ、やめて・・・。西住ちゃん、なんでもするからそれだけは」
「えいっ」
ぐちゅり。という感触が、わたしの指に伝わりました。
115 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:27:50.53 ID:sIb+lDG8O
「いったぁああっっ・・・!!!」
会長の中に、二本の指を突っ込んだのです。
「いたい・・・。いたいよぉ・・・」
会長は、ぐすぐすと泣きべそをかき始めました。
指先に、ぬるぬるした感触が加わります。
一瞬、会長も喜んでいるのかと思いましたが、感触から察するに、血液の様でした。
・・・つまんないの。
「あれ? 会長、はじめてだったんですか?」
「うう・・・、と、当然、じゃん・・・」
「まあ、そうですよね。ここ、女子高ですし。・・・見てください、ほら」
わたしは、会長の中から指を抜いて。
血まみれになったそれを、会長の顔の前に持っていきました。
「会長の初めて、いただいちゃいました」
116 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:31:50.11 ID:sIb+lDG8O
会長は顔をかっと真っ赤にさせ、自分の手で顔を覆いました。
「ひど、い・・・。ひどいよ、にしずみ、ちゃん・・・」
「それじゃあ、また入れますね。今度は・・・三本、行ってみましょうか」
「え!? も、ゆるして」
「ぐちゅぐちゅ作戦です♪」
「いっだぁあああ!!」
ぬるりという感触を伴って、わたしの指は再び会長の中へ入っていきました。
全く濡れていなかった先ほどと異なり、潤滑油を得た会長の膣は、幾分スムーズにわたしの指を咥えこみました。
「ああああっ!! ぐぅっ・・・」
会長の苦痛の方は、どうなってるのか知らないけど。
117 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:32:57.36 ID:sIb+lDG8O
「ぐちゅぐちゅ作戦かあ・・・。ふふっ。わたし、こんな感じで楽しい作戦名を考えながら戦車道やりたかったなあ」
指先をぐいぐいと広げると、会長はさらに苦悶の表情を浮かべました。
「いだい・・・、いたいぃ! 抜いて、抜いてよぉっ!」
「ほら。我慢して声を押さえないと。人が来たら、廃校になっちゃいますよ?」
「いた・・・い。いたいよ。こやま、かわしまぁ・・・」
小山先輩と河嶋先輩。
会長が、おそらく最も信頼しているであろう相手。
・・・当然、わたし以上に。
なんだか腹が立ったわたしは、さらに指の動きを激しくしました。
「いづっっ・・・・!! ああ・・・っ、ぐぅっ・・・・」
「わたしとエッチなことしてる時に、他の女の名前を出さないでください。エッチの時の常識ですよ?」
118 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:33:48.69 ID:sIb+lDG8O
「うぐ・・・、わかった、わかったからぁ・・・っ、はやっくぬいて・・・っえ」
「ふぅ・・・、わかりました。会長の初めても奪いましたし」
わたしは、会長の中から指を抜きました。
「はあ・・・っ、はあ・・・・」
会長が、真っ赤な顔をして荒い息をしていました。
・・・会長の顔、これ以上赤くってなるのかな。
そう思ったわたしは。
「ぐっ・・・!!」
会長の首を思いっきり絞めてみました。
119 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:35:01.89 ID:sIb+lDG8O
「かっ・・・! くくっ・・・!!」
会長が、大きく目を見開いてわたしの腕をがりがりと引っかきます。
腕が痛かったので、手を離すことにしました。
「がはあっ!! げほっ、げほげほ! はぁ、はあ・・・」
苦悶の表情を浮かべる会長。
「・・・可愛い」
太ももに、何かが伝る感触がありました。
触ってみると、ねばねばした透明な液体でした。
それを会長の目の前に持っていきます。
「見てください。今の会長を見て、わたし・・・。こんなに濡れちゃいました」
「はあ、はあ・・・。げほ、ごほっ! っぐ、はぁ、はあ・・・」
「会長・・・、わたし、気づいたんです。わたし・・・会長のことが、世界一嫌いで、世界一好きだって」
「はあ、はあ・・・。にし、ずみちゃん・・・」
「だから、会長・・・」
わたしは、上に着ているものを脱ぎ、ブラジャーを外しました。
「今から、わたしも気持ちよくなります。会長も、手伝ってくださいね?」
わたしがにっこりと笑いかけると、会長は一瞬だけ絶望したような表情を浮かべましたが。
「もう・・・、好きにしてよ」
そう言って、力ない笑みを浮かべました。
120 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:35:59.17 ID:sIb+lDG8O
その後、わたしは会長を激しく犯しました。
時には髪を引っ張り、時には体を殴打し。そして、時にはやさしく抱きしめて。
会長は、わたしのそんな行為を、たまにうめき声をあげるものの、甘んじて受け入れていました。
閉じた瞳に、うっすらと涙を浮かべながら。
わたしは会長の顔の上にまたがったり、会長のと自分のを擦り合わせたりして、何度も果てました。
会長も、行為の最中に嬌声をあげることもありましたから、おそらく気持ちよかったのだろうと思います。
悲鳴を上げている時間の方が、長かったかもしれないけど。
わたしがすっかり満足したころには、会長は血液やら他の体液やらでどろどろのカピカピになっていました。
121 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:36:47.65 ID:sIb+lDG8O
「はあ、はあ・・・。っぐぅ、はぁ・・・・」
「ふぅ・・・。そうだ会長、お風呂行きませんか?」
「おふ、ろ・・・?」
「ええ。会長もわたしも、汚れちゃいましたから。生徒会専用のお風呂があるんですよね?」
前に、誰かがそんなことを言ってたような気がします。
「わか、ったよ。・・・ほら、そこから行けるから」
「会長も一緒に入りましょうね。さあ、行きましょう」
「・・・うん」
その後は、会長の体を洗ってあげて。
何度も、何度も。会長と、その体のあざにキスをしました。
わたしがつけたあざ一つ一つが、いとおしく思えて。
わたしがあざにキスをするたびに、傷が痛むのか、会長は小さな声をあげました。
会長は、わたしとお風呂に入っている間、ぎこちない笑みを浮かべていました。
・・・目だけは、どこか遠いところを見ているようでしたが。
122 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:38:00.24 ID:sIb+lDG8O
「会長」
お風呂の後、会長の髪をとかしながら、わたしは会長に話しかけました。
「・・・どしたの、西住ちゃん」
「今日は、すみませんでした。・・・痛かったですよね」
さっき会長につけたあざを、指先でなぞると。会長は、びくり、と体を震わせました。
「いや・・・、うん。まあ、痛かったけど、さ。わ、わわ、悪いのは、あたしだから」
声を震わせながら、会長はそう言いました。
なんだかそんな会長がとてもいとおしく思えて、わたしは会長を後ろから抱きしめました。
「・・・西住ちゃん」
「会長は、優しいんですね」
123 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:39:15.39 ID:sIb+lDG8O
「そんなこと・・・、ないよ」
そんなことないわけがありません。
だって。
「じゃあ、もうちょっとだけ会長のやさしさに甘えちゃおうかな・・・」
「・・・え?」
「これからも、今日みたいによろしくお願いしますね、会長!」
こうやって、わたしがつけ込めるぐらい、会長は優しいんですから!
「明日も、明後日も、その次も・・・。えへへ、なんだかわくわくしますね!」
会長が、肩をぶるぶると震わせ始めました。
不思議に思ったわたしが、会長の顔を覗き込むと。
会長は、大粒の涙をぼろぼろとこぼしていました。
「会長・・・?」
「う、うん・・・。よろ、しくね。西住、ちゃん」
会長は、こぼれてくる涙をぬぐおうともせず。
無理やり笑顔を作って、わたしにそう言いました。
じわり。と。
嫌な感触が頭に広がりました。
ああ。もうわたしは。
後に引くことは、できない・・・。
124 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
:2018/06/06(水) 19:42:32.50 ID:sIb+lDG8O
以上になります。
会長の文字がゲシュタルト崩壊してきました。
ついにミホーシャに襲われてしまった会長。
その運命やいかに!?
あ、ちなみにサンダース戦ではケイが無線傍受に気付く前にアリサがとっととボコられたって設定になっています。
ケイ隊長はこんなどうしようもない世界でもフェアプレーを重んじる名将なのです。
それでは、また。
恐らく次回が最後になるかと思われます。
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/06(水) 21:20:38.81 ID:VjGXyJOH0
乙です
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/07(木) 02:40:40.79 ID:DZpq+3++o
乙
いいね👍
127 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:08:37.69 ID:5UbfVgriO
おはようございます。
ガルパンってすんげー面白いですね。
見直すと改めて思います。
では、投下します
128 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:11:06.70 ID:5UbfVgriO
そして、次の日も、また次の日も。
わたしは、会長を犯し続けました。
会長もまた、わたしが来るのを見越して、河嶋先輩と小山先輩を先に帰らせるようになりました。
会長は毎回苦痛に顔を歪ませ、涙を流しながら、しかし決して拒むことはしませんでした。
河嶋先輩と小山先輩を帰らせなければ済む話なのに。
たったそれだけで、わたしは会長に手出しできなくなるのに。
・・・もっとも、その二人はとっくにわたしの行為に気付いているようでしたが。
129 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:12:29.31 ID:5UbfVgriO
戦車道の時、いつも河嶋先輩に睨まれるようになりました。
何度も小山先輩から呼び出されそうになりました。
だけど、その度に会長は彼女を咎めて。結局、一度も呼び出しに応じる必要はありませんでした。
呼び出しに応じたら、何をされてしまうんだろう。
そう思うと背筋が寒くなってしまうほど、小山先輩の瞳は冷たいものでした。
悪魔。
小山先輩の唇は、わたしに向かって、幾度となく、その言葉を投げつけました。
音を伴わない、唇の動きだけの言葉として、何度も。
悪魔、か。
・・・。
あの日、あなたたちがわたしにした行為こそが、悪魔の所業だったと思いますよ?
だって、あのときからずっと。
憎しみと悲しみと、苦しみの連鎖が、続いているんだから。
130 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:14:11.72 ID:5UbfVgriO
だんだんとわたしたちの行為はエスカレートし、最近では戦車道の練習まで早く切り上げて行為にふけるようになっていました。
会長の机を見ると、日に日に詰まれた書類が増えています。
仕事が進んでいないのは、明白でした。
戦車の補強のための、予算を組んでいる。
会長はそう言っていました。
だけど結局、補強というのはポルシェティーガーが追加されただけ。
そもそもが失敗兵器ですから、足回りは不安が多く、走るかどうかもわかりません。
戦力的に、黒森峰の足元にも及ばないことは誰もが悟っていました。
・・・会長の仕事が予定通りに進んでいれば、もっと補強できたかもしれないけれど。
131 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:14:54.88 ID:5UbfVgriO
ですが、わたしはなんだかどうでもよくなっていました。
プラウダ戦で、会長が廃校のことを打ち明けた時。
わたしが一瞬だけ心に思い描いた、ひょっとするとありえたかもしれない幸せな時間。
みんなと、笑って戦車道をやっているような、そんな未来。
だけど。もうその時間は絶対にやってこない。
だってわたしは、もう。
取り返しのつかない道を歩んでしまったんだから。
132 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:15:29.05 ID:5UbfVgriO
毎日、毎日、毎日。
会長が泣いても。先輩に睨まれても。わたしは会長のもとへ向かいます。
会長を犯している時だけは、戦車のことを考えなくて済むから。
会長に痛いことをしている時だけは、嫌な過去を振り払えるから。
会長と気持ちいいことをしている時だけは、あったかもしれない未来を羨むことがないから。
狂ってる。
最初から、そう思っていました。
だけど、今となってはもう。
わたしの心を満たしてくれるのは、会長との時間だけでした。
133 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:16:29.78 ID:5UbfVgriO
迎えた、決勝戦当日。
わたしが戦車の整備をしていると、アンチョビさんがやってきました。
「おー、西住! 元気・・・か?」
笑顔で手を振りながらやってきたアンチョビさんでしたが、わたしの顔を見ると少し表情を曇らせました。
「はい、元気です。アンチョビさん、来ていただいてありがとうございます」
「う、うん・・・。そ、それよりだな。どうだ? 決勝戦への意気込みは」
勝てるわけ、ないじゃないですか。
その言葉を、ぐっと飲みこみました。
134 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:18:27.31 ID:5UbfVgriO
「あとは、今までやってきたことをやるだけです」
「そうかそうか! うん、アンツィオのノリと勢いを分けてやる!! これで百人力だ!」
アンチョビさんは、わたしの手を掴んでぶんぶんと上下に振りました。
「あはは・・・、ありがとうございます」
久しぶりに、こういう人に会ったなあ。
みんな、最近は死んだような目をしてるから。
あ。
一番、目が死んでいるのはわたしだっけ。
135 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:19:43.10 ID:5UbfVgriO
「じゃあわたしはこれで。健闘を祈るぞ! アリーヴェデルチ!」
アンチョビさんは、そう言い残して去っていきました。
・・・いい人。
明るくて、美人で、人望もあって。
・・・今日は、副隊長二人はいないみたいだけど。
ああ。もしもわたしがこんな隊長だったなら。
そう思うと、息が苦しくなってきました。
過呼吸。
何度もその発作を経験してきたわたしは、もはやその対処にも慣れていました。
大丈夫。呼吸を止めればいいだけだから。
しばらく呼吸を止めると、なんとか発作は収まりました。
その後、黒森峰にいたときに大量に処方してもらった抗不安薬を、戦車の陰で飲み下しました。
136 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:21:51.63 ID:5UbfVgriO
「それではこれより、大洗女子学園対黒森峰女学園の試合を開始する。隊長副隊長、前へ!」
審判の方々に促され、わたしは河嶋先輩とともにお姉ちゃんと逸見さんの前に対峙しました。
「弱小校だと、あなたでも隊長になれるのね」
逸見さんが言いました。
・・・去年は一兵卒だったくせに。
たとえわたしが黒森峰に残っていたとしても、お姉ちゃんの後はきっとわたしが隊長だったと思うんだけど。
そんな言葉をぐっと飲みこんで、お姉ちゃんのほうを見つめると、お姉ちゃんはなんだか寂しそうな目をしてこちらを見ていました。
「それでは、礼!」
「「よろしくお願いします」」
礼を交わして、戻ろうとすると。
逸見さんが再びわたしに声をかけてきました。
137 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:22:49.25 ID:5UbfVgriO
「あ、そうそう・・・。あんたが助けた赤星小梅だけどね」
138 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:24:19.74 ID:5UbfVgriO
「え・・・?」
どくり。と心臓が脈打ちました。
赤星さんが、どうしたんだろう。
「・・・エリカ、よせ」
「逸見さん、赤星さんがどうしたの?」
わたしが思わず詰め寄ると、逸見さんは、少しだけ何かを躊躇するように唇を噛んでましたが、次の瞬間。
「よせ!! エリカ!!」
お姉ちゃんの制止も聞かず。
吐き捨てるように。
「死んだわ」
そう、言い放ちました。
139 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:26:17.37 ID:5UbfVgriO
「エリカ!!」
お姉ちゃんが、逸見さんをすさまじい形相で睨みつけました。
普段の逸見さんなら、間違いなく黙るのに。
借りてきた猫みたいに大人しくなるはずなのに。
今の逸見さんは、わたしのことを睨みつけたままでした。
「どう、いう・・・、事なの?」
「どうもこうもないわ。あなたがいなくなった後、あの子は死んだ。・・・自室で首をつってね」
逸見さんの目に、涙が溜まり始めました。
「あなたが大洗に逃げたあと! 小梅は死んだのよ! あなたがぬくぬくと隊長ごっこをしている間にね!!」
逸見さんは、あふれる涙を隠そうともせず。
むき出しの感情をわたしにぶつけてきました。
「どうして逃げたりしたのよ!! あなたが逃げなければ、批判の矛先があの子に向くことはなかった!!」
140 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:26:45.21 ID:5UbfVgriO
「あなたがあの子を・・・っ、殺したのよ!! この、人殺し!!」
141 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:27:33.84 ID:5UbfVgriO
「エリカ!!」
お姉ちゃんが、悲鳴のような声を上げました。
「それ以上・・・、やめろ」
「頼むから、やめてくれ・・・」
お姉ちゃんは、拳をぶるぶると震わせていました。
「嘘・・・、だよね・・・?」
わたしは、そう喉から絞り出すのがやっとでした。
嘘じゃないのなんて、火を見るより明らかなのに。
お姉ちゃんの顔を見れば、すぐにわかるのに。
「・・・信じないっていうなら、それでもいいわ」
逸見さんは、そう言って私に背を向けました。
「あなたにこの試合で思い知らせてあげる。あの子がどれだけつらかったか。・・・あなたを叩きのめして、少しでも味わわせてやるわ」
そんな言葉を、捨て台詞にして。
お姉ちゃんは、しばらく下を向いて歯を食いしばっていましたが。
「・・・守ってやれなくて、すまなかった」
そう言い残して、わたしの前から去っていきました。
残されたわたしは、呆然と立ち尽くしていました。
142 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:28:17.89 ID:5UbfVgriO
「西住・・・」
横にいた河嶋先輩が何事か声をかけてきましたが、全く耳に入ってきません。
Aチームのみんなは、無言でした。
秋山さんだけが何かを言おうとしていましたが、冷泉さんに制止されていました。
赤星さんが、死んだ。
わたしのせいで、死んだ。
その事実は、わたしの心を折るのに十分すぎるほどの威力を持っていました。
143 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:29:04.03 ID:5UbfVgriO
「大洗女子学園フラッグ車、走行不能。よって、黒森峰女学園の、勝利!!」
どこか遠くで、そんなアナウンスが流れていました。
森を突っ切った電撃戦。
アルデンヌの森を越えてきたドイツ軍によってマジノ要塞を蹂躙されたフランス軍のように、わたしたちはなすすべもなく敗れました。
わたしが覚えているのは、逸見さんの乗るティーガーUの砲塔がこちらを指向したことだけ。
次の瞬間、W号から白旗が上がっていたような気がします。
わたしは、もはや何も考えられませんでした。
144 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:30:08.27 ID:5UbfVgriO
「・・・西住隊長は、悪くない」
エルヴィンさんが、そう言いました。
一年生たちが、泣いています。
澤さんが、それを叱っています。自身も、涙を流しながら。
河嶋先輩と小山先輩が、呆然としています。
そど子さんたちが、何やら喚いています。
そんなことが、どこか遠いところで起こっているような気がしました。
ですが、非情にも、それは現実以外の何物でもありませんでした。
小梅さんが、死んだのも。
わたしたちが、黒森峰に負けたのも。
大洗女子学園が、廃校になるのも。
紛れもない、現実。
ですが。
誰も、わたしを責めませんでした。
もはや、責めてすらくれませんでした。
145 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:31:34.63 ID:5UbfVgriO
「・・・みほ」
お姉ちゃんがやってきました。
わたしは、顔だけそちらに向けました。
「その・・・、試合前に、あんなことを言って、すまなかった」
そう言って、頭を下げています。
「だが、・・・無理なことだろうが、エリカを許してやってほしい。お前がいなくなった後、小梅の一番近くにいたのは、エリカだったんだ・・・」
お姉ちゃんは、袖で目元をぬぐい、そして再びわたしを見つめました。
「それから・・・。お母さまが、みほは勘当する、と言っていた。」
「わたしはお母さまを説得しようとしたが・・・、できなかった。・・・本当に、本当に、すまない」
勘当。
いつか言われるだろうと思っていたその言葉は、しかし、すんなりとわたしの耳をすり抜けました。
「本当に、重ね重ね・・・。わたしが無力で、すまない・・・」
お姉ちゃんは、深く頭を下げました。
いつまでも、頭を下げたままでした。
わたしが、回収車に乗り込んだあとも。
黒森峰の人たちが、ほとんど見えなくなるほどに小さくなっても。
いつまでも、いつまでも・・・、
頭を上げることは、ありませんでした。
146 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:33:03.39 ID:5UbfVgriO
学園艦に戻ると、あわただしい空気が流れていました。
・・・当然か。
この学園艦に乗船している約3万人の人たちが、3月までに引っ越しを済ませなければならないんだから。
それが、わたしがこの学校に来た結果なんだから。
河嶋先輩が、涙をボロボロとこぼしながら、戦車道チームの解散を宣言しました。
名残惜しそうに戦車を眺めていた一同でしたが、やがて散り散りに解散を始めました。
「みぽりん、一緒に帰ろう?」
沙織さんから、そう声をかけられました。
だけどわたしは。
「ごめんなさい。今日は、一人で帰るね。みんな、お疲れ様でした」
と言って、家と反対方向へ歩いていきました。
わたしがなにをしようとしているか、Aチームのみんななら分かっていたのかもしれません。
ですが、それを咎める人は、もはや誰もいませんでした。
147 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:35:22.38 ID:5UbfVgriO
わたしは、学園艦の最後尾に立っていました。
船が進んだ後が、白く泡立っています。
学園艦はとても大きいですから、その泡のスケールもとても大きなものでした。
だけど、どんな大きな泡も、しばらくすると弾けて消えてしまうのでした。
ああ。やっと。
わたしも、あの泡のように・・・。
そう思って、学園艦の端に足をかけた瞬間。
148 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:35:49.20 ID:5UbfVgriO
「待ってよ、西住ちゃん」
聞き覚えのある声が、わたしを呼び止めました。
149 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:36:27.03 ID:5UbfVgriO
わたしがこの世で一番嫌いで。
わたしがこの世で一番好きな人。
振り返ると、会長が息を切らしながら立っていました。
「会長・・・」
どうしたんですか。
わたしがそう問いかける前に、会長はその問いに答えました。
「あたしも、連れてってよ」
「・・・え?」
「死ぬ気なんでしょ? そこから、飛び降りて」
・・・はは、やっぱり。
わたしはこの女、大嫌いです。
だって・・・。
わたしの全てを見透かしているんだもん。
150 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:37:25.79 ID:5UbfVgriO
「はい。責任を部下に押し付けて逃げた後、無抵抗の生徒会長を連日レイプし続けて、あげく学校を廃校に追い込む屑に生きる場所はありませんから」
「だったら、あたしも一緒に死ぬよ。だって、西住ちゃんを戦車道に引きずり込んだのはあたしなんだから」
「そのことなら、もういいです。・・・だって、もうそんなのと比べ物にならないくらいひどいことを、わたしは」
「うーん・・・、わかってないなあ。西住ちゃんは」
会長は、そういうと、頭をかきながらわたしの方に近づいてきて。
わたしを船の端の柵に押し付けました。
このまま落とされて殺される。
そう思ったわたしでしたが。
次の瞬間、会長の唇がわたしの唇に重ねられていました。
151 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:38:44.95 ID:5UbfVgriO
「ん・・・」
「・・・ぷは」
「つまりさ、あたしも同じなんだよね」
あたしも、西住ちゃんのことが好き。
そう言ってくれると期待してしまいました。
だって、もしこの人からそんな優しい言葉がかけられるのならば。
大嫌いだけど、大好きな人から、そんなことを言ってもらえるのならば。
ここで死ぬことをあきらめて。
この人と一緒に歩んでいくのもいいかもしれない。
そんな風に思ってしまったから。
152 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:39:40.72 ID:5UbfVgriO
しかし。
会長は、わたしの首を思いっきり絞め上げたのです。
153 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:40:48.78 ID:5UbfVgriO
「ぐっ・・・・・・!」
何が起こっているのかもわからないままに視界がかすみ始めたころ、会長はわたしを開放しました。
「あはは、なんて顔してんの、西住ちゃん」
「げほっ、げほ、がほっ!!」
「あーあ、そんなに咳き込んじゃって・・・。だから言ったじゃん、あたしも西住ちゃんと一緒だって」
そう言って、会長は。
まだ咳が止まってないわたしの顔を掴み、再び唇を重ねてきました。
「ちゅ・・・、んむぅ・・・」
時間にして五分ほどだったでしょうか。
散々舌でわたしの口の中を蹂躙した後、会長はようやくわたしから顔を離して言いました。
154 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:41:24.38 ID:5UbfVgriO
「わたしも西住ちゃんと同じ気持ちだよ」
「西住ちゃんのこと、殺したいぐらい憎いし・・・。殺してほしいほど、愛してる」
そういって笑った会長の顔はひどく蠱惑的で。
わたしは、強く官能を刺激されるとともに。
ああ、本当にわたしの命はここまでなんだなあ、と。
諦観。悟り。恐怖。
そうした感情が、巻き起こりました。
「・・・ふふっ、じゃあ、仕方ありませんね」
「ああ!」
155 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:42:14.73 ID:5UbfVgriO
「じゃあ、行きましょうか」
「うん・・・。その前に、西住ちゃん」
「どうしました、会長?」
「もう一回・・・んむっ・・・・」
「んちゅ・・・。しょうがありませんね、会長は」
「まあ、これが本当に人生で最後なんだから。ちょっとぐらいわがまま言わせてよ」
「会長、震えてますね」
「まあね。死ぬのって、初めてだし」
「えへへ。奇遇ですね。わたしもです」
「・・・じゃあ、西住ちゃん。ここに足をかけて」
「はい。・・・よし、せーので飛びましょう」
「うん。・・・いくよ。せーのっ!」
完
156 :
らぐB
◆asJU3gh8ZA
[saga]:2018/06/07(木) 23:49:49.56 ID:5UbfVgriO
以上になります。
改めて見るとめちゃくちゃ長いですね。
ここまでお付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました。
どうせ鬱にするなら思いっきり鬱にしてやれと思って小梅にはご退場願ったのですが、なにもそこまでしなくてもよかったかなあと思います。
あと、最後の描写は、皆さんにご想像の中で補完してもらいたいと思い、曖昧にしてあります。
果たして本当に杏はみほと心中することを選んだのでしょうか?
それとも・・・。
あと、ここまでやらせといてなんですが、このみほは本当は杏のことなんて好きでもなんでもないんじゃないかと思います。
もちろん逆も然りですね。
これ書き上げたのが4月の頭とかなんで、色々と筆者の中でも考察が進んでしまいました。
みなさんも暇なら是非色々考えてみてください。
きっと忙しいので考えない人が大半だと思いますが。
それでは、また。
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/07(木) 23:50:16.31 ID:yCZN8RMwO
乙
残った面々がどうなったか後日談的なものが欲しいかな
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/08(金) 02:49:05.93 ID:Hfn7We2Q0
乙
昔ラノベ読んでた頃を思い出したわ
ビターなのも良いね
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2018/06/08(金) 04:18:42.78 ID:xuGv9qNQo
乙
小梅ちゃんには悪いけど中途半端なのは良くないしね仕方ないね
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2019/01/11(金) 11:07:53.49 ID:n7lD6rp1O
この手の作品だと高確率で死ぬ小梅かわいそう
161 :
◆11oNz.WdNw
[sage saga]:2020/09/23(水) 21:12:53.93 ID:H90pPn340
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