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御頭「お前に、兄殿の警護を御願いしたい」 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:43:40.99 ID:AMZQXYw0
ニュー速のほうのスレが落ちてしまったので
今後はこちらで続けていきます
登場人物は一貫しているので、
まずは第一部から読んでもらえると幸い


第一部 老「御主に姫様の護衛を命ずる」(完結)
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1218639888/
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/onusi_ni_himesama_no_goei.html

第二部 御頭「お前に、兄殿の警護を御願いしたい」(途中)
http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1219411469/
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:48:36.73 ID:AMZQXYw0
第二部の途中でスレが落ちてしまい
何処まで書けていたのか俺も判らなくなったので
もう一度、第二部を最初から始めます

書き溜めしておいたのを投下するだけだから
ちょっと早いよ
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:50:40.55 ID:AMZQXYw0
御頭「お前に、兄殿の警護を御願いしたい」
くの一「兄殿?」
御頭「ああ。上様の実の兄上だそうだ」
くの一「へぇ、上様に御兄様がいらっしゃったとは…」
御頭「小さい頃から病弱だったそうでな、今は市井にお住まいだ」
御頭「お前には警護という名目で、兄殿と一緒に住んでもらう」
くの一「承知致しました…しかし、何故警護を?」
御頭「その事については、申し訳ないがまだ秘密になっている」
くの一「はぁ…ま、将軍家なら秘密も慣れっこですけどね」
御頭「面倒を掛けるな…一つ、宜しく頼む」
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:51:51.62 ID:AMZQXYw0
くの一「えーっと…地図によるとこの辺りなんだけどな」
くの一「…まさか、此処? 随分薄暗い場所だなぁ…ま、とりあえず」

たんたん

くの一「ごめんくださーい」
兄「…はい、何方でしょうか?」
くの一「上様の使いできました、戸を御開け下さい」
兄「弟の? わかりました、少し待って下さい」
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:53:24.27 ID:AMZQXYw0
がらっ

兄「やぁ、どうも今晩和」
くの一「こんばんは(なんか、イメージとは違うな…穏やかな顔をしてらっしゃる)」
兄「おやおや、これはまた可愛らしい使いの方だ。さ、中へ。少々散らかってますが」
くの一「あっ、は、はい」
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:53:55.12 ID:AMZQXYw0
兄宅、仕事場
兄「よいしょっと…いや、すみませんね。日頃客なんて来ないから」
くの一「いえ、滅相もございません…」
くの一「(すごい量の浮世絵だ、風景画もある…しかも、凄い上手い)」
兄「何か、お気に召す絵でもありましたか?」
くの一「えっ!? あ、すいません。つい見取れてしまって…」
くの一「此処にある絵は、皆兄様が御描きに?」
兄「ええ。僕は絵師として生活いるのですよ」
兄「そこまで売れませんけどね。弟がたまに買ってくれているのが頼りです」
くの一「ああ、そういえば城で見た事があるような…」
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:56:06.55 ID:AMZQXYw0
兄「それで、弟の使いという事でしたが。一体どういった御用件で?」
くの一「ええ、その事なのですが…」

(くの一説明中…)

兄「…ふむ、僕の警護ですか。成る程なぁ」
くの一「理由については、教えられてないのです。申し訳ありません…」
兄「いや、貴女が謝る事ではないですよ。それに、弟がしてくれる事に間違いはない」
兄「判りました。住まいはこんな処ですが、ひとつ宜しく御願いします」
くの一「はい」
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:57:46.47 ID:AMZQXYw0
兄「…ああ、そうだ。僕は貴女を何と呼べば宜しいのかな?」
くの一「え? ああ、そうですね…では、“お市”と御呼び下さい」
兄「判りました。お市さん」
お市「はい、兄様」
兄「はは、様付けなんていらないですよ。僕は一介の絵描きだ。呼び捨てで構いません」
お市「そ、そうですか? では…兄さん、で宜しいでしょうか?」
兄「うん、そのほうが気軽で楽で良いです」
お市「それでは改めて…兄さん、こちらこそ宜しく御願い致します」
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 15:59:34.07 ID:AMZQXYw0

お市「(ん、もうこんな時間か…起きなくては…)」
兄「やぁお市さん。早起きですね」
お市「! 兄さん、もう起きてらしたのですか?」
兄「ええ、早起きな性分でしてね。こうして日が昇る前に起きるのが好きなんです」
お市「僕らは普段任務があるので普通の人より起きるのが早いのですが…」
お市「まさかそれより早いとは…正直驚きです」
兄「ははっ、小さい頃からの習慣ですからね。三つ子の魂、百までとも云います」
すたっ
兄「どうですか? まだ外は暗いですが、空気を吸いにでも」
お市「はい、御供させて頂きます」
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:01:14.27 ID:AMZQXYw0
夜明け前の川沿いの道
お市「こうして市井を歩くのは、なんだか不思議な気分です」
兄「そうなんですか?」
お市「ええ、普段は忍装束を来て、人目に着かぬよう屋根上を伝い行動してますので」
兄「そういえば一度、うちの近くで大きな音がしたな。あれはもしかして、お市さんだったのかな?」
お市「…ああ、それは多分僕の弟子です。瓦に足を引っ掛けてしまいましてね…」
お市「よりによって兄さんに聞かれていたとは…」
兄「ははっ、お市さんの弟子かぁ」
兄「しかし御弟子さんがいらっしゃるとは、お市さんは相当腕が立つようですね」
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:02:10.03 ID:AMZQXYw0
お市「いえ、御頭に比べたら私なんてまだまだです。もっと頑張らないと…」
兄「向上心があるのは良い事ですよ。それが活動の原動力になりますからね」
兄「僕も絵の腕はまだまだ…御師匠には遠く及びませんから、頑張らないといけない」
お市「僕はあの絵でも、十分素晴らしいと思いますよ?」
兄「ふふ、有り難う御座います」
兄「さ、ではそろそろ戻りましょうか。朝御飯にしましょう」
お市「わかりました」
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:03:12.80 ID:AMZQXYw0
兄宅、居間
兄「すいませんね、こんなものしかなくて」
お市「いえ、住まわせて貰っている身です。これでも十分ですよ」
兄「貴女が来ると判っていたらもう少しましな物を用意しておいたのですがね…」
兄「さ、どうぞ召し上がって下さい。といっても、白米と味噌汁と漬け物しかないですけど」
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:04:27.23 ID:AMZQXYw0
お市「では、いただきます」

ぱくっ

お市「あ、美味しい…」
兄「本当ですか? いつも僕好みで炊いていたので不安だったのです。よかった…」
お市「この味噌汁も美味しいです…御漬け物も丁度いい塩加減…これ、全部兄さんが?」
兄「ははっ、男独り身で暮らせば自然と家事は覚えますよ。今日に始まった頃じゃあない」
兄「それにこんな事、世の女性に云わせたら鼻で笑われてしまいますよ」
お市「(僕も女なんだけど、家事は全く出来ないんだよなぁ…兄さん、凄いや…)」
兄「さて、じゃあ僕も食べようかな」
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:07:01.36 ID:AMZQXYw0
昼間、兄宅、仕事場
兄(創作中)「……」
お市「(暇だなぁ…)」
兄「…お市さん?」
お市「はっ、はい!?」
兄「いえ、暇を持て余しているようでしたので…」
お市「も、申し訳ありません…ついぼーっとしてしまって…」
兄「僕は大丈夫ですから、外にでも行って来てはどうでしょう?」
お市「いっ、いえ! そういう訳には…」
兄「いつも任務で御忙しいのでしょう? たまには羽を伸ばすのも必要ですよ」
お市「しかし…」
兄「僕はここで絵を描いてますから、ね?」
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:09:19.68 ID:AMZQXYw0
市井
お市「(結局出て来てしまった…警護任務だというのに、いいのかなぁ…)」
お市「(しかし今日はいい天気だ。こんな昼間を歩くのは久しぶりな気がする)」
お市「(…一人だとつまらないな…兄さんも来れればよかったのに)」
?「せんぱーい!」
お市「ん? 今呼ばれたような…」
?「先輩っ! 後ろッスよ!」
お市「あっ、玖ちゃん!」
玖「お久しぶりッス! 元気でした?」
お市「まぁね。玖ちゃんこそ、元気だったかい?」
玖「アタシはいつだって元気ッスよー!」
お市「ふふ、相変わらずのようで安心したよ。しかし、何故江戸に?」
玖「ひじょーしょーしゅー、だそうッス。よく判んないんスけどね」
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:10:55.15 ID:AMZQXYw0
玖「それはそうと、先輩は何してたんスか?」
お市「ああ、それはね…」

(事情説明中)

玖「へぇー! 上様のお兄さんッスか! 見てみたいなぁ」
お市「なんだったら今から来るかい? 別に大丈夫だと思うけど」
玖「いやぁ、本当なら今すぐにでも行きたいんスけど…」
肆「…こんな処で時間を潰してたのか」
玖「ひっ! 肆先輩!」
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:13:28.33 ID:AMZQXYw0
お市「ああ、肆くんも来てたのかい?」
肆「…まぁ、同じ管轄下だからな。一緒に呼ばれただけだ」
肆「…全く、お前というやつは幼児性が抜けんやつだな。世話が焼ける」

ぎゅいー

玖「ひゃー! はらひてくらはいしひぇんひゃい!」
肆「…すまんな、久しぶりなのに迷惑を掛けた」
お市「ううん、気にしてないさ。久しぶりに会えて嬉しかったよ」
肆「…ほれ、行くぞ」
玖「ひー、酷い目にあったッス…先輩! 時間出来たら遊びに行きますからねー!」
肆「…お前な…まぁ少しならいいか。それじゃあ、またな」
お市「うん、またね」
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:15:58.04 ID:AMZQXYw0
玖「ふぇー、まだ痛むッス…ちょっと肆先輩、加減して下さいよ!」
肆「…こうでもせんと、お前懲りんだろう。仕置きだ、仕置き」
玖「ぶー」
肆「…しかし、江戸も少し見ん内に変わったな。異国の者が普通に歩いてやがる」
玖「アタシらのいる藩じゃあ在り得ない光景ッスよねー」
肆「…面倒事でも起さなければ、いいんだがな」
玖「大丈夫ッスよー、南蛮の人、アタシ好きッスよ! 優しいし、眼の色綺麗だし」
肆「(…果心居士様に頼んで俺も…いや、何を馬鹿な事を)」
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:18:18.97 ID:AMZQXYw0
玖「にしてもなんなんスかね? 非常招集って」
肆「…さぁな、行けば判る事だろう。ほれ、行くぞ」

ぎゅ(手を握る)

玖「ひゃあ!?」
肆「…嫌だったか?」
玖「え!? い、いや、いきなりだったから吃驚しちゃって…全然嫌じゃないッス!」

ぎゅーっ

肆「…そうか」
玖「えへへ…なんかアタシら恋人みたいッスね」
肆「…ああ、まぁ、そうだな…離さんから、少し力弱めろ」
玖「絶ー対に嫌ッス!」
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:20:57.81 ID:AMZQXYw0
兄宅
お市「ただいま戻りました」
兄「ああ、お帰りなさい。気分は晴れましたか?」
お市「ええ、御陰様で。何かお変わりはありませんでしたか?」
兄「いや、特に大事はありませんでしたよ。それより、なにかあったのですか?」
お市「え?」
兄「いえ、随分楽しげな顔をしてらっしゃるのでね」
お市「ああ…古い友達にばったり会ったのですよ。久しぶりに話が出来たので嬉しかったです」
兄「ふふ、良い事ですね。古い友人に会う、というのは色々な事を思い出させてくれる」
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:21:52.47 ID:AMZQXYw0
兄「さて、ではそろそろ昼御飯にしましょうか。朝御飯とほぼ同じですけど」
お市「ん、この匂い…沢庵漬ですか?」
兄「おや、よく判りましたね。お市さんは沢庵お好きで?」
お市「ええ、もちろ」

ぐぅー

兄「あ」
お市「……」
兄「……」
お市「…申し訳、ありません…」
兄「ははっ、お市さんにも、腹の虫がいるのですね」
お市「(は、恥ずかしい…)」
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:24:00.54 ID:AMZQXYw0
兄、仕事中
兄「…うーん」
お市「どうかなさいましたか? 兄さん」
兄「いえ、美人画を頼まれてるのですが、どうも上手く描けなくて…」
兄「…嗚呼、駄目だ、これじゃ」

くしゃくしゃ
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:25:53.25 ID:AMZQXYw0
兄「うーん、参ったな…ん」
お市「?」

じーっ

お市「あ、兄さん? どうかなさいましたか?」
兄「…お市さん、其処に座ってもらえませんか? 見返りでこっちを見るように」
お市「え? あ、ああ。判りました」

すっ

お市「…これで、宜しいですか?」
兄「有り難う御座います! よし、これでいいものが描けそうだ!」
兄「すいませんが、そのままで暫く居てくれませんか? 下書きだけやっちゃいたいんで」
お市「わ、わかりました…(この格好、結構疲れるなぁ…)」
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:27:00.28 ID:AMZQXYw0
一刻後
お市「(く、首がそろそろマズい…)」
兄「…よし! お市さん、もう結構ですよ」
お市「ふぅ…どうですか? いい絵は、描けましたか?」
兄「ええ、満足の行くものになりましたよ。あとはこれを清書すれば完成です」
お市「わぁ…凄い…下書きだけでも、まるで本物みたいですね…」
お市「(嗚呼、でもやっぱり僕じゃないんだな…ポーズこそ同じだけど…)」
お市「(でも、当然だよね。僕みたいな女の絵じゃ、売り物にならないもの…)」
兄「いや、本当に助かりました。女性の身体はあまり本物を見る機会がなかったもので」
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:29:20.09 ID:AMZQXYw0
兄「あっ、そうだ! 何かお礼に僕が出来る事はありませんか?」
お市「えっ? いえ、お礼だなんてそんな…」
兄「何を言ってるんです。お市さんがいなければこの絵は描けなかったんです」
兄「お返しをしなければ僕の気が収まりません。なんでもやりましょう!」
お市「…なんでも、やってもらえるんですか?」
兄「はい、勿論ですとも!」
お市「じゃあ…僕の絵を描いてくれませんか?」
兄「絵…ですか?」
お市「駄目でしょうか?」
兄「いや、全然構いませんけど。本当にそれでいいんですか?」
お市「ええ。お願いします」
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 16:31:24.05 ID:AMZQXYw0
また一刻後
兄「…よし、これでいいかな。お市さん」
お市「はい」
兄「今日の処は下書きで止めにしておきましょう」
兄「明日、依頼のが終わったらすぐ完成させますから」
お市「なんか、お仕事の邪魔をさせてしまったようで、すみません…」
兄「はは、これくらい全然大丈夫ですよ。僕も描いていて楽しかったですし」
お市「楽しかった、ですか?」
兄「ええ、美しい物を描いている時は楽しいものですよ、風景であれ、人であれ」
お市「……」
兄「さ、そろそろ日も暮れましたね。夕飯でも食べに行きましょう、お市さん」
お市「…あ、はい…」
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 19:56:30.30 ID:J4aCJLI0
>>1来ないの?ずっと待ってるんだが・・・。
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:17:39.30 ID:AMZQXYw0
ゴメス
人こねーとか思いながら飯食ってた
続き始めるよ
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:19:52.98 ID:AMZQXYw0
町の通り
お市「(“美しい物を描いている時は楽しい”、か…)」
お市「(じゃあ僕を描いてる時、楽しかったって事は僕も…)」
お市「(…何を考えているんだ僕は! そんな訳! …そんな訳…)」

兄「お市さん?」
お市「はっ、はいっ!? …あ」
兄「…どうかしましたか? 先程からぼうっとされていたので」
お市「な、なんでもないですよ!? 本当!」
兄「ならいいんですが…そうだ、お市さんは牛肉と魚、どちらがお好きで?」
お市「えっと…魚ですね。というより、牛肉を食べた事がないのです」
兄「じゃあ折角ですし、牛肉を食べに行きましょうか」
お市「よろしいんですか?」
兄「ええ、同居人が来たお祝いです。行きましょう」
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:21:17.46 ID:AMZQXYw0
ももんじ屋
ざわざわ
お市「ここがももんじ屋…初めて来ました」
兄「鵡蔵あたりで捕った獣を運んで、ここで客に食べさせているんですよ」
お市「兄さんはよくこちらに?」
兄「ええ。昔から体力付けにと、肉をよく食べさせてもらっていたんです」
お市「へぇ…」
店員「へい、いらっしゃい! おや、誰かと思えば先生じゃないさ!」
兄「どうも。御無沙汰だったね」
店員「今日は一体どうしたの? そんな可愛い娘さん連れちゃってさ!」
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:25:48.55 ID:AMZQXYw0
お市「かっ、可愛い!? 僕が!?」
店員「当たり前じゃない! 他に誰がいんの?」
お市「え、ええと…その…あわわ…」
兄「…とりあえず鶏のを貰えるかな? 串に刺したのを」
店員「あいよっ! じゃあちょいとばかし待ってて頂戴な!」
兄「…お市さん、落ち着いたかい?」
お市「ごめんなさい、取り乱しちゃって…」
兄「許してやってくれ、彼女は悪気があって云ってるんじゃないんだ」
お市「ええ、わかっています…けど人前で“可愛い”なんて云われたの、初めてで…」
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:28:34.26 ID:AMZQXYw0
兄「ふふっ…お市さんは随分と“うぶ”なんだね」
お市「そ、そうでしょうか?」
兄「うん。お市さんは、もっと自分に自信を持っていいと思うよ」
兄「彼女の云う通り、可愛いと僕も思うしね」
お市「えっ!? あ、あっと…えと…あ、ありがとうございます…」
店員「はーいっ、お待ちどう様っと! …あら、もしかして御邪魔だったかしら?」
兄「はは、まぁちょっと邪魔だったかな? ね、お市さん」
お市「ええ、そうですね…って、え、ええええ!? い、いや、その…」
店員「あはは! 先生も随分意地悪だなぁ! ま、今日はゆっくりしてってよ!」
兄「ああ、そうさせて貰うよ」
お市「(あ、兄さんが可愛いって云ってくれた…何故だろう、凄い嬉しい…)」
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:29:40.94 ID:AMZQXYw0
夜、兄宅近くの屋根上
お市「遅いな…」
?「はっ…はっ…」
お市「ん、来たかな」

がっ

?「わぁっ!」

ごちん

お市「……」
?「はぁ、痛たた…」
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:32:58.80 ID:AMZQXYw0
お市「また転んだ…瓦には気をつけなって、何度もいってるだろう? 辰」
辰「えへへ…ごめんなさい、御師匠」
お市「市井の民を守るのも僕らの仕事なのに、安眠妨害しちゃ世話が無いだろう?」
辰「どうにも慣れなくって…最近整備してなかったからなぁ」
お市「してなかったのかい? まさか、まだ御頭に見てもらってるんじゃ…」
辰「ぎくっ」
お市「…はぁ、僕は義体を持ってないから判らないけど、いい加減覚えた方がいいんじゃないかい?」
お市「いずれは単独任務なんかもしなきゃならなくなるし、現地で調子悪くなったら大変だろう?」
辰「はぁい…」
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:36:39.60 ID:AMZQXYw0
お市「…まぁいいや。それより、どうだい? 城内の様子は」
辰「はい。相変わらず、外人の人が良く出入りしてます」
お市「ああ、あの外交官だったっけ。まだ諦めてないのか…」
辰「どうにかして国交を成立させたいみたいだけど、上様も頑固な人だから…」
お市「まぁ今日日に始まった事じゃないし、それに平行線を辿ってるなら今は大丈夫だろうね」
お市「引き続き定期連絡をお願いするよ。城内で動きがあったら、直ぐに知らせるように」
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:37:36.45 ID:J4aCJLI0
>>28
待ってたよ。あんだけ保守してこない訳がないじゃまいかwwww
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:40:13.45 ID:AMZQXYw0
辰「はいっ!」
お市「…それと、帰りにくれぐれも転ばないようにね」
辰「は、はい…あの、御師匠」
お市「ん? なんだい?」
辰「何か良い事でも、あったんですか? なんていうか、ちょっと嬉しそうな顔してるから」
お市「んー、そうだね。良い事、あったのかな? ふふ…」
辰「?」
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:43:33.70 ID:AMZQXYw0
>>36
みんなこっちで続けてるって気づいてないのか
それともROMってるだけなのか
どっちでもいいか、兎に角続けるよ
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:45:35.81 ID:AMZQXYw0
江戸城天守閣
将軍「そうか…まだ客人の船は停泊したままか…」
御頭「どうやら向こうも、相当の頑固者のようですね」
将軍「はは、それでは俺まで頑固者のようではないか。ま、それもまた事実か…」
将軍「…忍、俺はどうすればいい? この国はこのままで良いと思うか?」
忍(御頭)「私としては、連中の話に乗るのは賛同しかねます」
忍「西の国や北の国も外交を開き、そのまま占領されたと聞きますから」
将軍「ああ、それは俺も承知している…きゃつらの軍事力の大きさもな」
忍「江戸にある物では、対応出来ない程のものと聞いております」
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:46:41.40 ID:AMZQXYw0
将軍「ああ、恥ずかしながらな…永岡藩の助力を得られるなら、まだなんとかなるやもしれんが…」
忍「駄目なのですか?」
将軍「つい二日程前から永岡藩との連絡が途絶えておる。恐らくは…」
忍「…まさか、東の国と繋がりが?」
将軍「ああ。最後の連絡に連射筒を大量に購入したとあった。連中から買い付けたものだろう」
忍「なんて事だ…国家の非常事態だというのに」
将軍「永岡藩や従属する藩は、昔から帝寄りだったからな。最近じゃ官軍などと呼ばれておるが」
将軍「…もしもの事態にならば、俺も覚悟を決めねばなるまい」
忍「殿…」
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:48:42.49 ID:AMZQXYw0
将軍「忍、俺はこの国を心の底から愛している。俺の故郷、俺の全てだ」
将軍「俺は全身全霊を賭けてでも、この国を守る。邪魔するものは薙ぎ払う」
将軍「俺の剣の一部として、お前には戦って欲しい」
忍「元よりそのつもりで御座います、殿」
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:51:59.10 ID:AMZQXYw0
天守閣、奥の間
将軍「(今宵は綺麗な月だ…港まで見通せる程に)」
将軍「(あの船を沈める手段、今の俺にあるのだろうか…)」
姫「貴方、まだ起きていらっしゃったのですか?」
将軍「応、姫か…忍と話をしていた」
姫「…もしやとは思いますが、忍達を危ない目に遭わせるような事は」
将軍「判っている。お前との約束、忘れる筈なかろう」
姫「有り難う御座います…」
将軍「しかしだ、姫よ。近いうち、それを無理にでも破らなければならなくなるやもしれん」
将軍「その時は俺も忍と同じ運命を辿るだろう。その事は、覚悟しておいてくれ」
姫「わかっております。私も将軍の妻、そのくらいの覚悟は嫁ぐ前からしてましたわ」
姫「けど、出来るだけ長く生きて下さい。貴方は私の夫なのですから…」
将軍「ああ…判っているよ、姫」
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:55:21.24 ID:AMZQXYw0
朝、兄宅
兄「ふぁあ…ん、しまったな。寝過ぎたみたいだ…」
お市「お早う御座います、兄さん」
兄「やぁ、お市さん、お早う。すまないね、少し寝坊してしまった」
お市「いえ、滅相もありません」
兄「すぐに朝食の準備するから、待っていて」
お市「それなのですが…兄さん、今日は僕に任せて下さい」
兄「え? お市さんが作ってくれるのかい?」
お市「はい。住まわせてもらっている身、何か助けにでもなればと思いまして」
お市「昨日、ももんじ屋で肉を少し分けて貰ったんです。これを使います」
兄「へぇ、お市さんの手料理か…よし、じゃあ御言葉に甘えようかな」
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 20:58:08.62 ID:AMZQXYw0
兄宅、居間
兄「(うーん、此処の部位はこの色で…ん?)」

がたっ

お市「わあっ! まな板が!」
兄「……」

すぱんっ

お市「あー肉が飛んだ!」

がしゃーん

お市「きゃー器が!」

すとんっ

お市「う、うわぁー!」
兄「(大丈夫かな…)」
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:00:49.41 ID:AMZQXYw0
半刻後
お市「……」
兄「お、お市さん。大丈夫?」
お市「申し訳、ありません…台所を汚して、さらには器まで割ってしまって…」
兄「いや、過ぎた事だし、大丈夫だよ。それより指とか切ってないかい?」

すっ

お市「(! あ、兄さんが僕の手を…!)」
兄「あっ…切り傷があるじゃないか! 待ってて、直ぐ薬を付けないと!」
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:04:21.91 ID:AMZQXYw0
お市「え? ああ、でもこれくらいならどうって事…」
兄「何云ってるの! そこから化膿したらどうするんだい!?」
たたっ
兄「ええと、確かこの辺りに…」
お市「(あんな失敗をしたのに、僕の怪我に気を使ってくれるなんて…)」
兄「あっ! あった! お市さん、これをつけ…」

がっ

兄「あ」
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:07:06.19 ID:AMZQXYw0
お市「あ、兄さん!」

がたたっ

お市「兄さん! 大丈夫ですか!?」
兄「ははは…足下を見てなかったから躓いちゃったね…痛っ」
お市「も、もう! 僕は大丈夫ですから、兄さんのほうに先に薬塗らないと…」
兄「ふふ、本末転倒ってやつかな?」
お市「僕は兄さんの警護で来てるんですから、危ない事されちゃ心配で仕方ないです!」
兄「ごめんごめん。…ありがとうね、お市さん」
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:10:51.02 ID:AMZQXYw0
(薬塗り中)

ぺたぺた

お市「えっと、あとはこの包帯を…」
兄「…そういえば、お市さん」
お市「なんですか?」
兄「お市さんって自分の事を“僕”っていうよね。それは昔からなのかい?」
お市「え? ああ、そうですね…変だともたまに云われますけど、もう慣れてますし」
お市「…やっぱり、女が僕なんていうの、可笑しいですよね…」
兄「そんな事ないよ。僕だって、昔は城の人に“男らしくない”なんていわれたものさ」
兄「でも自分をどう云おうがその人の勝手じゃないか。気兼ねする必要なんてないんだよ」
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:14:36.10 ID:AMZQXYw0
お市「そ、そうでしょうか…」
兄「うん、他人は他人。お市さんはお市さんだよ」
お市「…なんか、少し自信が出た気がします。有り難う御座います、兄さん」
兄「それはよかった…あ、包帯もうそれくらいでいいよ。これ以上はキツいから…」
お市「ああっ! ご、ごめんなさい…」
兄「(元々大した怪我じゃないんだけど…でもお市さんの好意を無駄にしちゃいけないよね)」
お市「…よしっ、これで大丈夫」
兄「ありがとう、お市さん。それじゃ、お礼といっちゃなんだけど…はい、どうぞ」
お市「え? …これってもしかして、僕の絵ですか?」
兄「うん、待っている間に描き終わっていたんだ。どうかな?」
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:17:31.67 ID:AMZQXYw0
お市「(こ、これが僕…? い、いや、絵だもの。そう、絵だ…これは絵…)」
兄「ちょっと着物とかは僕の想像で描かせてもらったんだけどね」
兄「こんな服だったら、きっと似合うだろうなぁって。どうかな?」
お市「あっ、有り難う御座います! 僕、これずっと大事にします!」
兄「今度機会があったら、弟に頼んでその服を呉服屋に作ってもらおうか」
お市「え?」
兄「きっと、とても良く似合うと思うよ。お市さん」
お市「そ、そんな…実際に着たらきっと似合わないですよ…」
兄「自信を持って、お市さん。君は君が思っている以上に綺麗な人だから」
お市「兄さん…」
兄「さ、じゃあ朝御飯にしようか。といっても、もう昼だけどね」
お市「は、はいっ」
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:24:20.56 ID:AMZQXYw0
夜、港に停泊している外国船内
外交官『全く、この国の統領は随分頭が固いな…』
秘書『長年、他国との交流を殆ど持たなかった国だからでしょうか?』
外交官『さぁな…理由はどうであれ、このまま国に帰ったらボスに何をされるか判らん』
外交官『どのような手口を使ってでも、とのお達しも受けているしな…』
秘書『それでは、戦争ですか?』
外交官『やれドンパチやらかせば開く扉とも思えん。それに民に被害を出す訳にはいかん』
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:27:57.51 ID:AMZQXYw0
秘書『では、どうするのです?』
外交官『この国は変わっていてな、西のほうにもう一人統領がいるそうだ』
外交官『そっちは開国に興味を持っているから、そちらにも助力を乞おうと思うのだ』
秘書『成る程、国内を二分化させるわけですな』
外交官『あと、今部下に調べさせているんだが、一人使えそうな奴がいるのだ』
秘書『使えそうな奴、ですか?』
外交官『ああ。ま、そいつは切り札に取って置きたいからな。西の統領に期待しよう』
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:30:55.56 ID:AMZQXYw0
確かニュー速のスレでは、ここまでだったかな?
ちょっと一休み
dat落ちの恐れと投稿規制がないのは素晴らしいな
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 21:57:42.28 ID:J4aCJLI0
>>53 ここまでだったね。本当だよ、これで安心して眠れる・・・。
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 22:51:04.09 ID:AMZQXYw0
再開
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 22:51:38.27 ID:AMZQXYw0
一ヶ月の月日が流れる
東の国の船は未だに停泊を続け
将軍との会見も数える事を忘れるまでに至った
しかしそれでもなお、市井は平和であった――
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 22:55:38.76 ID:AMZQXYw0
兄宅
お市「兄さーん、御飯ですよー」
兄「ああ、有り難うお市さん。ここ最近、ずっと任せきりだね」
お市「何云ってるんですか、私は住まわせてもらってる身。これくらいやらないと」
兄「もうお市さんが来て一ヶ月とちょっと経つのかぁ…料理も、上手くなったね」
お市「最初の頃からすれば、進歩してますよね?」
兄「うん。でもまだ御焦げが多いから、御飯炊きはまだまだかな?」
お市「も、もう! 兄さんの意地悪!」
兄「ははっ、それじゃ、頂こうかな」
兄・お市「いただきます」
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:00:41.22 ID:AMZQXYw0
江戸郊外、砲軍訓練処
兵長「総員、構えー!」
がちゃり
兵長「撃てーっ!」
ずどんっ
忍「相変わらず凄い音だな…」
案内役「種賀より買い付けた遠距離火筒です。射程距離は大体五十間かと」
忍「恐ろしいな…あれで狙われたら、俺も危ないかもしれん」
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:06:47.82 ID:AMZQXYw0
案内役「こちらです、どうぞ。では、私はこれで…」
忍「ああ、ありがとう」

すうっ

伍「…一番恐ろしいのは、あんなモン考えて使う俺達人間だぜ、御頭」
忍「元気そうだな、伍。どうだ、幕府軍砲軍指揮官の役目は」
伍「ああ、居心地は悪くはないな。おやっさんにも怒鳴られねぇ。捌のやつ、羨ましがるだろうよ」
伍「…ま、それでも俺はあの時が一番楽しかったがな…」
忍「ああ、今でも思い出すよ。昨日の事のようにな…」
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:10:43.16 ID:AMZQXYw0
伍「それで、将軍直属の御庭番衆頭領のお前が俺になんの御用で?」
忍「ああ、上様からの命書を預かって来た。これだ」

すっ

伍「へっ、こんなもん使いのもん寄越せば済むだろうって…お、おい、忍。これって…」
忍「…そこに記してある通りだ。本日より、幕府各軍に無期限の戦闘待機命令が下った」
忍「砲軍含む全陸軍、水軍も無論だ」
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:18:55.41 ID:AMZQXYw0
伍「おいおい、なんだってまた…戦争でもおっ始めるつもりかよ…」
忍「始めるのは俺達ではなく、東の国かもしれん。もしくは、西京の連中だ」
伍「あー、尊王開国派ってやつか…チッ、面倒掛けさせやがるぜ…」
忍「すまんな、伍」
伍「何、お前は気にすんな忍。判った、部下にも伝えておく」
忍「じゃ、宜しく頼んだぞ」

すっ

伍「…おーい! 誰かいねぇか!」
部下「はっ、御呼びですか」
伍「今此処に居る兵士、兵長その他諸々、全部ひっ掻き集めて野戦訓練場に集めろ! 早急にだ!」
部下「ははーっ!」
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:25:09.36 ID:AMZQXYw0
野戦訓練場

ざわざわ

兵士A「おい、一体なんなんだ? 非常召集って」
兵士B「さぁなー。ただ俺ら下っ端だけでなく、兵長級まで集められてるからな」
兵士C「上から待機命令でも降りたんじゃねーの? 最近何かと物騒だし」
兵士A「まっさかー」
兵士B「そりゃいくらなんでもねぇって」
兵士C「だよなー」
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:28:28.44 ID:AMZQXYw0
伍「うーし…全員集まったな?」
部下「はっ」
伍「よぉおおおし! お前らよおっく聞け! つい先程江戸の上様から直令があった!」
伍「本日より俺達、幕府陸軍所属砲兵軍は無期限の戦闘待機に入る!」
兵士A・B・C「ちょwwwwwww」
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:32:48.94 ID:AMZQXYw0
伍「いっとくが、俺達だけじゃねぇ! 幕府の軍全体にこの命が下った! 判るな!?」
伍「最近東の国やら西京がざわついていやがる! それこそ一触即発の状況だ!」
伍「俺達砲兵は近代戦術の象徴! いわば軍の要だ! 気ぃ抜くんじゃねぇぞ!」
伍「俺達の手で! 江戸を守るんだッ! 判ったかテメェら! 判ってんなら返事しやがれッ!」
兵士達『おおおお――――!』
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/23(土) 23:51:44.51 ID:AMZQXYw0
今日の所はこれで仕舞
しかしこれ見てる人って何人いるんだ…
人が多かろうが少なかろうが
この部は終わらせるつもりだけど
第三部以降は辞めた方がいいのかもね…
それじゃまた明日
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/24(日) 00:00:04.91 ID:2tVhyL20
>>65 乙。期待してる。
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/24(日) 16:13:32.53 ID:pUVq7Pco
無理に続けるなら止めた方がいいけど
話が広がるならどんどん続けて欲しいな
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/24(日) 20:19:48.80 ID:TNq4.DUo
>>1の中で完全な「完結」を迎えるまで
続けて欲しいと思う俺ガイル

設定画を描きかけてんだぜ俺ww
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:16:27.93 ID:WhDHGCI0
ごめんよーバイトで遅くなっちったい>>1です
続き今から書き始めるけど、その前に

今の所、あと二回分くらい話は出来てるんだ
たっちゃんメインのと、最終回みたいな感じで
筆無精だし、長編なんて書いた事ないけれども
見てくれてる人がいるんだったら頑張るよ

そいじゃ始めようか
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:21:29.27 ID:WhDHGCI0
夜、兄宅近くの屋根上
お市「そう、幕府軍全体に待機命令ね…」
辰「伍さんのトコもだそうです」
お市「東の国の船もまだ停泊してるし、これは彼らと、西京への対策と見ていいかな」
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:28:59.72 ID:WhDHGCI0
辰「やっぱり、戦争が…?」
お市「まだ早計かもしれないけどね。でも、可能性は拭えない」
お市「僕らは使われている身だ。上から動いてくれないと、どうにも出来ない」
お市「今は上様と、御頭からの命令を待とう。近いうちに何かあるだろうからね」
辰「わかりました!」
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:32:28.02 ID:WhDHGCI0
江戸城、御庭番詰所
忍「…ん」

すっ

御庭番「御頭、御報告があります」
忍「おう、お前か。どうした」
御庭番「東の国の連中で、市井に出ている奴らなのですが…」
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:40:08.18 ID:WhDHGCI0
御庭番「最近、兄殿近くに定期的に同じ奴が出ているのです」
忍「何? …偶然ではないんだな?」
御庭番「はっ。毎日一刻ほどずらしてきておりますが、恐らく」
忍「(いよいよ兄殿に矛先が向いたか…そろそろかもしれんな)」
忍「判った、お市にその事を知らせろ。奴なら守ってみせるだろう」
御庭番「御意に」
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:46:08.70 ID:WhDHGCI0
雨の日、兄宅近く
お市「ええっと…材料はこれでいいかな? 大根は家にあったはず…」
?「(お市殿…)」
お市「ん…御庭番かい?」
御庭番「申し訳ござらぬ。事を急ぐ故、ここで手短に話させていただけぬか」
お市「わかった…用件は?」
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:51:51.36 ID:WhDHGCI0
御庭番「最近東の国の人間が、兄殿の家の周りをうろついております」
お市「!」
御庭番「恐らく、兄殿になんらかの目的があるものと思われます…」
お市「…わかった、注意しておくよ」
御庭番「それでは、御武運を…」

すっ

76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 00:58:58.13 ID:WhDHGCI0
兄宅

からから

お市「只今戻りました」
兄「ああ、お帰りなさい。雨降っているのに、申し訳なかったね」
兄「仕事なかったら、僕も行きたかったんだけど…」
お市「大丈夫ですよ、兄さんは自分の御仕事をしっかりなさって下さい」
お市「料理は、僕の仕事ですからね」
兄「ははっ、じゃあそうさせてもらうよ」
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 01:05:14.39 ID:WhDHGCI0
とんとん

お市「(異国の連中が、兄さんを狙ってる…)」
お市「(理由はまだはっきりしないけど、でも…)」
お市「(兄さんに手出しはさせない…絶対に…!)」

すとんっ

78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 01:09:41.62 ID:WhDHGCI0
ちょっと早いけど、今日はこの辺りで…
サーバー重いみたいで上手く書き込みが出来ないんだ
明日にはきっと復旧してると思うから
そしたら一気に話を進めるよ
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 01:10:37.58 ID:WhDHGCI0
ちょっと早いけど、今日はこの辺りで
サーバー重いみたいで上手く書き込みが出来ないんだ
明日にはきっと復旧してると思うから
そしたら一気に話を進めるよ
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 01:39:44.84 ID:ZkrWxzE0
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 22:28:49.93 ID:8h3oXlQ0
その晩、市井
岡っ引き「ういー寒いなぁ畜生め…ん?」
?「……」
岡っ引き「(なんだぁありゃ? 真っ白な格好しやがって…怪しい奴め!)」
岡っ引き「おいっ! そこの奴止まれっ!」
?「……」
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 22:34:23.57 ID:8h3oXlQ0
岡っ引き「なんだぁその酔狂な格好は…ツラ見せ」

どすっ

岡っ引き「ぐぎゃっ…あ、あが…」

ぐちゃ…ずぶ…ぶしゅ

?「神の御加護が、在らん事を…」
岡っ引き「か、かみ…だ…と」

ずるっ…
どさり
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 22:39:20.11 ID:8h3oXlQ0
?「(がさごそ)」

ちりん
ばばっ

?「決行の時だ…警護によく判らん女がいるらしいが、こいつは殺さんでもいい」
?「兎に角、俺らは兄を攫う…それだけでいい。行くぞ…」

たたたっ
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 22:46:24.82 ID:8h3oXlQ0
兄宅、寝室
お市「ッ! (…近づいてくる、五人…いや、六人かな)」
お市「(手裏剣は…四つか。逃げ回って撹乱したいけど、兄さんがいる…)」
お市「(はぁ…仕方ない。あまり[ピーーー]のは好きじゃないんだけどな…)」

かちり

兄「う…ん、お市さん?」
お市「兄さん…起してしまいましたか?」
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 22:51:24.35 ID:8h3oXlQ0
兄「いや、大丈夫。それよりどうしたんだい? 刀なんて出して」
お市「何者かがこちらに近づいて来ているのです。多分東の国の連中でしょう」
お市「先程、部下から連絡がありました。奴らは、兄さんを狙っているのです」
兄「そうか…しかし、なんで僕なんかを狙うんだろうね」
お市「それは彼らに聞けば判る事です…兄さん」
兄「うん?」
お市「御心配なさらないで下さい。僕が必ず、兄さんを御守りします」
兄「お市さん…」
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 22:57:39.15 ID:8h3oXlQ0
お市「(気配がかなり近い…そろそろ来るか)」

かたん

お市「(! 連中の気配が消えた!?)」
お市「(くそっ、何処から…)」

ばんっ

兄「! お市さん、上だ!」
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 23:03:58.63 ID:8h3oXlQ0
お市「くっ!」

きぃん

?「$'#*+`O!=")!!」
お市「この…うる、さいっ!」

どかっ

お市「な、なんなんだ一体…こいつらは…」
兄「この人の格好…書物で見た事がある。確か、アサシンだ」
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 23:08:50.56 ID:8h3oXlQ0
兄「この人の格好…書物で見た事がある。確か、アサシンだ」
お市「アサシン…?」
兄「僕らの言葉で云う、刺客だよ。彼ら、どうやら本気みたいだね…」
お市「……」

がしゃんっ

お市「! またっ…! (くそっ、なんで気配が読めないんだ!?)」
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 23:14:58.06 ID:8h3oXlQ0
アサシンA「#*+>?~="#)!」
お市「はぁっ!」

どすっ

アサシンA「――`?*>}+`?{`!!」

がたがたっ

お市「なっ! う、後ろから!?」
アサシンB「@;#{[;.!!」

がっ

お市「かはっ…!」
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 23:22:32.12 ID:8h3oXlQ0
兄「お市さん! …んぐッ!」
お市「! 兄さんっ!」
隊長「…よし、連れて行け」
アサシンA・B「(こくり)」

ばばっ

お市「兄さん…く、くそっ…身体に力が入らない…!」
隊長「恨むなら、力が無い自分を恨むんだな、女」

すっ

お市「ま、待て…! 兄さん…あに、さ…」
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 23:24:23.44 ID:8h3oXlQ0
パー速だと“ころす”は隠されるんだった…忘れてた
明日はちょっと忙しくなるから、次は明後日以降かな
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/25(月) 23:32:37.63 ID:ZkrWxzE0
乙〜
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/08/26(火) 23:44:24.67 ID:3resv7co
一気に終わるよりちょっとずつの方がwwktkできる
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/29(金) 00:00:29.72 ID:MAtM2fw0
江戸城、御庭番詰所
お市「…あ、あにさん……はっ!」
忍「気がついたか?」
お市「御頭! こ、此処は…」
忍「心配するな、詰所だ。それより、身体のほうはどうだ?」
お市「はい、大丈夫です…しかし、兄さんが…」
忍「俺の部下が行った時には、すでに周りには誰もいなかったそうだ…」
お市「(兄さん…僕が不甲斐無いばかりに…!)」
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/29(金) 00:08:30.35 ID:MAtM2fw0
忍「しかし、お前が簡単にやられるとはな…何かあったのか?」
お市「実は…気配が突然消えたのです。家のすぐ前に来るまでは読めていたのですが…」
忍「気配が消えた、か…お前に限って読み間違えたなんて事はないだろうしな…」
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/29(金) 00:21:08.60 ID:MAtM2fw0
忍「わかった。その辺りの事も考えて、俺の部下に探らせよう。今はゆっくり休め」
お市「はい…」

すっ

忍「気配を消す、か…厄介な相手だな。仕方ない…」

ぴぃっ
すたん

部下「御呼びですか、御頭」
忍「各藩に知らせを出せ。俺からの連絡といえば判るだろう」
部下「御意に」
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/29(金) 00:24:45.47 ID:MAtM2fw0
将軍「そうか、兄が…」
忍「どうかお市を攻めないでやって下さい。彼女も彼女なりに力を尽くしたはずです」
将軍「ああ、それはわかっている…しかし、やはり兄を使おうとするか」
忍「脅迫…兄殿の身柄と引き換えに条約を結ぼうとしているのでしょうか?」
将軍「だろうな。予想していた事が現実になるとは…」
忍「今、部下を総動員して捜索しています。各藩からも、私の元同僚も呼び寄せています」
忍「御任せ下さい、兄殿は我々が必ずや助け出してみせます」
将軍「ああ。頼んだぞ…忍」
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/08/31(日) 18:13:10.04 ID:cAmyDXw0
流石に遅いな、忙しいのかな?
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/01(月) 01:52:26.11 ID:r/faccgo
ゆっくりでいいのがパー速の利点と考えるんだ
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/09/01(月) 18:53:55.80 ID:2jBZtkDO
wktk
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/09(火) 00:27:02.65 ID:n/URmIDO
のんびりまってるよん。
期待age
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/21(日) 10:08:08.52 ID:ybq2XGk0
まっだかな
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/09/24(水) 20:57:28.91 ID:Zqjfq4s0
心配になってきた・・・。受験とかかな?
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/10/05(日) 01:54:58.68 ID:WFxuc260
どうも、>>1です
最後に書き込みしてから一ヶ月くらい経ちました
当時、あまりにも見ている人が少ない事でモチベーションが低下し
さらに大学も始まる頃だったので
『もういいや、やってられっか』と投げ出していました

でも、まだ続きを待っていてくれている人がいるので
この話の続きを書こうと思います
どのツラ下げていってやがるんだ、と云われそうですが
どうか温かい眼で見守ってやってください

それでは、近いうちにまた
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/10/05(日) 17:12:02.61 ID:AWPGkw2o
まってるよん
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/10/08(水) 03:38:24.53 ID:SA2.4wSO
続き楽しみo(^-^)o
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/10/13(月) 00:20:19.28 ID:BP6b5Oko
はよ書けや
こっちは楽しみにしとるんじゃい
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/11/05(水) 02:28:35.91 ID:AfTbAMDO
のんびり待つのも時にはありかな
地道は近道
のんびり行こーか
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/11/06(木) 21:45:33.25 ID:Y7sBXxIo
更新があれば見に来るぜ
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/11/09(日) 13:00:52.67 ID:q42ejYA0
続き待ってるよ
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/11/18(火) 09:34:06.51 ID:47L8EUSO
まだ…………だと………………?
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/12/04(木) 00:36:36.87 ID:8uzaQADO
今年中にくるかなぁ?
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/12/07(日) 20:35:22.74 ID:5qv6NMDO
書くって言って二ヶ月か・・・

待つしかないか
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/24(水) 20:47:40.90 ID:iliz0ps0
くるのは来年になりそうだな
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/12/29(月) 19:58:37.88 ID:FyaU6rIo
正月番組のつまらなさが筆を進めてくれるのを期待
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:16:17.00 ID:wDy3kLY0
数日後、お市の部屋
お市「……」
下忍1「壱殿、失礼致します」
お市「…うん? ああ、どうぞ…」

すっ

下忍1「御身体のほうは…」
お市「ああ、もう殆ど大丈夫だよ。心配かけたね」
下忍1「いえ…」
お市「それで、何か用かい?」
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:20:35.96 ID:wDy3kLY0
下忍1「はっ。御頭からの言伝を預かって参りました」
お市「言伝?」
下忍1「“皆が来る”、との事です」
お市「! …そう。皆が、来るんだね…」
下忍1「それでは、伝えましたので私はこれで…」

ぱたん

お市「(僕の失態の為に、皆を集めたんだろうな…)」
お市「(…駄目だ、このままじっとしてるなんて、僕には出来ない)」
お市「(御頭…いや、忍。ごめん。僕の最後の我侭だ、許してくれ…)」
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:23:54.99 ID:wDy3kLY0
翌朝
忍「…何? 壱がいなくなった? どういう事だ?」
下忍1「申し訳ありませぬ…今朝、部屋を見た時にはもう…」
忍「そうか…」
下忍1「捜索の者を出しましょうか?」
忍「…いや、いい。あいつの事だ。何か策あっての事だろう」
忍「今はそれよりも、東の国と西京の連中だ」

119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:27:43.86 ID:wDy3kLY0
下忍1「昨晩、西京から軍が都に向けて立ったそうですね」
忍「ああ…東の国の連中も悪知恵が働くものだ」

とんとん

忍「入れ」
下忍2「御頭、客人が来ておられます」
下忍1「客人?」
忍「ふ…もう来たか。皆早いな…通せ」
下忍2「はっ」
下忍1「…御頭、一体何方なんです? 客人って」
忍「俺の部下さ、昔のな」




120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:31:09.19 ID:wDy3kLY0
城内、広間
忍「皆、忙しいだろうによく集まってくれたな」
仁「いつ呼ばれるか、待ちくたびれていたんだぜ? 御頭」
参「全くだな! もう待ちきれんで、勝手に来ようかと思ってたぞ!」
肆「…藩より、御頭の命の方が大事だからな」
陸「やれやれ、隠居生活の儂を駆り出すとは、人使いが荒い御頭だのう」
薙「こうして皆揃うのも、久方ぶりですね…」
捌「まぁ伍のヤツはおらんがなぁ。アイツは軍属だからの」
玖「残念ッスね…人でも欠けると、なんか寂しいッス」
忍「伍のほうには、俺が先に伝令を出しておいた。もう届いているだろう」

121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:35:12.40 ID:wDy3kLY0
忍「昨日、西京の近衛衆兵の大軍が都に向けて出立した」
忍「これは推測だが、恐らく東の国の連中と組んでいるのだろう」
忍「兄殿を人質として取り、幕府に開国を迫りつつ、
  さらに内部からも開国を進めようとしている訳だ」
仁「やれやれ…姑息というか、よくもまぁ知恵が働くな」
陸「それで、兄殿は今何処におるんじゃ?」
忍「連中の船の中だ。先日、脅迫状が届いて、其処に記してあった」
肆「…敵の本陣か。厄介だな」
参「力で押し通す訳にはいかんのか? やるなら儂に任せてくれれば…」
忍「そういう訳にもいかない。船が停泊しているのは港だ。民家も近い」
忍「それに、万が一兄殿の身に何かあれば元も子もない」
薙「兄殿って、確か病をお持ちだったでしょう? 大丈夫でしょうか?」
忍「そう。俺が本当に怖いのはそれなんだ。連中がそれを知っているかどうか、な…」

122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:41:01.81 ID:wDy3kLY0
捌「此処でいっておっても仕方あるまい。儂らは儂らに出来る事をするまでよ」
忍「…ああ、そうだな。俺達十人…」

辰「ちょっと待ったー!」
全員「!」

玖「あっ! も、もしかして…たっちゃん!?」
辰「もうっ! 私を忘れるなんて酷いですよ御頭!」
陸「おう、辰か。随分大きくなったもんじゃな」
辰「おじいちゃんも久しぶり! 皺、増えたんじゃない?」
陸「ぐむ…云う様になったのぅ…」
仁「そうかぁ、そういやたっちゃんも御庭番になってたんだよな」
参「確か壱についてるんだっけ…そいや、壱はまだ起きれないのか?」
忍「ああ、それなんだがな…」

123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:45:22.56 ID:wDy3kLY0
玖「い、居なくなったって…なんでッスか!?」
忍「アイツは、自分のした事は自分で始末しなければ気がすまん奴だった」
忍「恐らく、今回もそういう事だろう…全く、完治もしてないというのに」
肆「…追わなくて、いいのか?」
忍「最初は追っ手を出そうとも思った。だが、な…」
参「? だが、なんだ?」
薙「…参。壱も、彼女も女だと云う事よ」
肆「…成る程、な」
仁「まさか…兄殿を助け出すつもりか!?」

124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:50:52.52 ID:wDy3kLY0
玖「そんな…一人でなんて無茶ッスよ! 私達も…!」
肆「…いや、行かせてやれ」
玖「せ、先輩!?」
肆「…もし、お前が何者かに攫われたら、俺も壱と同じ様にするだろう」
玖「先輩…」
肆「…そういう事だな? 忍」
忍「ああ。これは壱だけの問題だ。俺達が口出しする訳にはいかん」
忍「それに、壱は一度負けはしたが連中と殺り合っている。少しは有利な筈だ」

125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:51:39.95 ID:LP.946DO
やっときたー!
まってたぜ
支援
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 02:55:36.67 ID:wDy3kLY0
捌「そういう事なら、致し方無しか…」
辰「大丈夫だよ! 御師匠は、あんな奴らに負けない!」
仁「…そうだな。壱なら、やってみせるだろう」
陸「なら、儂らが今すべき事はただ一つ」
薙「彼女が兄殿を助けるのと同様に、私達も都を守るのよ」
参「東の国の奴らにも。西京の奴らにも手出しはさせん!」
玖「私達が、都を守るッス!」
肆「…決まりだな、忍」
忍「ああ…皆、宜しく頼むぞ!」
全員「「「「「「「「「「御意」」」」」」」」」」


127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 03:02:37.69 ID:wDy3kLY0
どうも、>>1です

まず、謝らせて下さい。本当すいませんでした
書くよ! っていったのはいいものの
話はなかなか決まらないわ、学園祭やらレポートやら課題やら
というかそもそも書き手自身が話を忘れていて
書こうにも書けず仕舞でした
ですが、なんとか話も思い出して内容も纏まったし
個人的に忍達の話は好きなのでちゃんと続けてやりたいので
遅くなりましたが、再開したいと思います
考えてる中では、この壱の話の後に辰の話が続いて
その次ので最終章となっているのですが、さて行けるかどうか…

それでは、今年は此処までですが
来年もどうかお願いします


128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2008/12/30(火) 03:13:39.80 ID:LP.946DO
なるほど、ならば来年までまた待つか

御意!
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2008/12/31(水) 00:26:09.36 ID:HAAQwZMo
我ら一同>>1殿の恩為ならばこの身苔が生すまで待ち続ける所存
130 :以下、2009年まであと66182秒。。。 [sage]:2008/12/31(水) 05:36:59.15 ID:DsteXQSO
めっちゃ唐突で笑ったwwwwwww
>>1乙楽しみにしてるぞ!
さて話しが思い出せないから読み直すか…………
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/03/15(日) 04:33:07.75 ID:mX5.mx60
支援
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/09(土) 22:22:06.77 ID:2OKjJuw0
>>1です

来週中に書く様に宣言しときます
随分間が空いたので読み返しておいて貰えると幸いです
っていうか書き手自身読み返してます。あじゃぱー

133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/10(日) 16:40:19.94 ID:3B2wH2.o
御頭ーー!!
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/05/11(月) 15:54:43.10 ID:/wLXaUSO
待ってやした!!
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/18(月) 00:32:01.27 ID:le1lmgs0
半月後、深夜の市井

?「……」 ちりん――ちりん――
?「待て」
?「…?」

――ドッ

?「…やっぱりそうだ。こいつは…」
?「0!')JNA#"'!%!」 ザザッ
?「チッ…」

――キィン


136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/18(月) 00:36:57.10 ID:le1lmgs0
翌朝

ざわざわ

町人A「やぁーねぇ、また人斬りですって。もう五人目よ」
町人B「最近異国が恐ろしいっつーのに、たまったもんじゃねぇやな」
町人C「そういえば、今度斬られた人、異国の人らしいわよ」
町人A「やだ、それ本当なの?」

岡っ引き「ほら、どいたどいた! 見せモンじゃないよ!」
組頭「ふぅむ。こりゃまた随分珍しい、そんでひでぇ仏様だな…」

137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/18(月) 00:43:26.04 ID:le1lmgs0
組頭「今までと全く同じ手口だな。傷の付き方もよぉ似とる。しかし、こらまた古い傷だな」
岡っ引き「大方、どっかに閉じ込めておいたのを解放したと見せかけて殺したんでしょう」
組頭「…いや、そうじゃねぇな。こりゃあどうも臭いぜ」
岡っ引き「臭ぇって、何がです? あ、厠行った後だからあっしですかね…」
組頭「だぁほ。この仏さんの傷がよ。此処までやってんなら普通とっくに死んでる。胸の見てみろ」
岡っ引き「え? どれどれ…って! こ、この刺し傷…臓に達してるんじゃ…?」
組頭「恐らくな。だけどこの仏さんはそれでも生きていた、というより“動いていた”」
組頭「…全く、嫌な事するヤツはどんなトコにでもいやがるんだな」


138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/18(月) 00:49:01.07 ID:le1lmgs0
夕刻、町の一角にある茶屋

店長「はいよ、お汁粉お待ち!」
?「ありがとう。やぁ、これは美味しそうだ」
店長「お客さん、べっぴんさんだからね! 白玉多めにしといたよ!」
?「フフフ、それはどうも……うん、美味しい」
店長「いやしかし、最近は随分恐ろしいねぇ。人斬りは耐えんし」
店長「もっといやぁ、西京の帝様の軍勢が動いている、なんて噂も聞くしなぁ」
?「へぇ…西の帝様が?」
店長「こいつぁきっと、大きな戦が起きるぜ」
?「戦ね…まぁどのみち、僕達には関係ないよ」
店長「ハハ! 違いねぇな!」
?「…ふう、御馳走様。美味しかったよ」
店長「へい! まいど!」


139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/18(月) 00:56:30.79 ID:le1lmgs0
?「(西が動き出したか…忍の元を離れてから、そういう情報は入らなかったからなぁ…)」
?「(いよいよ、奴らの場所に乗り込まないとならないか…)」
?「(…いや、その為に今までこうして市井に紛れてきたんだ。今度こそ…っ!)」

――ザッ

アサシン達「……」


140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2009/05/18(月) 00:58:54.51 ID:le1lmgs0
?「はっ、まさかそちらから来てくれるとはね…大方、僕を殺そうっていうんだろう?」

――ババッ

?「だけど、そうはいかない」

きぃんっ

壱「其処をどいて貰うよ。兄さんは、僕が助け出す」


141 :旧サーバーにロールバックしましたFrom vs302.vip2ch.com sv [sage]:2009/05/25(月) 16:20:41.65 ID:nGTvE.SO
乙!
次回はいつになりそう?
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/10/28(水) 19:41:27.54 ID:CFFkt0.o
もう5ヶ月か
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