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俺のグレートフルデイズを聞いてくれないか? - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 14:28:58.71 ID:b4oIJCEo
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 14:31:02.15 ID:b4oIJCEo
俺は皆がヒクくらいド田舎の漁師町で生まれた。
漁師町は気の荒い奴が多く、更に格闘技の道場が乱立していたこともあり、
俺の周りはいわゆるヤンキーだらけだった。

兄貴はそんなヤンキーの中の一人で、地元では結構名の通ったヤンキーだった。
3コ上で格闘技経験者でヤンキーの兄貴に当然勝てるわけも無く、
小学生の時、俺はしょっちゅう全身の骨という骨をパキポキ折られた。

その時の後遺症で俺は今、正座ができない。
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 14:32:20.23 ID:b4oIJCEo
俺は兄貴に勝つ為に、中学入学と同時に地元の柔道部に入部した。

その柔道部はなんと部員が三年二人。
部長は中学生ながらベンチプレス90kgを持ち上げるというパワフルなアウトロー
それに加えてホモの気があり、美形の後輩(男)に洒落にならん性的いたずらをブチかます
ジャニーさんまっつぁおのヤバい人だった為、部員は残らなかったらしい

その人の必殺技に「アイヤー」というものが存在した。
その「アイヤー」はケツの穴に指をぶち込んで高速で振動させるという
ちょっと常人には思いつかない妙技である。
事情を知らない新入部員5人は当然速攻アイヤーの餌食となった。
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:33:55.83 ID:b4oIJCEo
しかし、その柔道部は外部指導員が昔オリンピックで金をとった山下と
同じ柔道部にいたほどの猛者で、実際に強くなりたいと思って入った俺にはいい環境であった。

練習はウォームアップの約5kmマラソン、腕立て100回、腹筋200回、
バービージャンプ(スクワットしてジャンプみたいなの)10回×50セットから始まり、
その後、準備運動、柔軟運動、打ち込み500本、投げ込み100本、技の解説、
最後に乱取りというのが毎日のメニューだった。

中学校一年生にはキツイ内容で初めの半年間はウォームアップの時点で
足ガクガク、腕上がらないというのがデフォだった。

着実に力をつけていった俺だが、俺が中学校2年の時、兄貴は家出をした。
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:34:53.54 ID:b4oIJCEo
目標を失った俺がドンドン荒んでいったのは言うまでもない。

部員が二人だけになり、団体戦にすら参加できない柔道部を退部し、
タバコを吸うようになり、いわゆるヤンキーと呼ばれる先輩と遊ぶようになった。
先輩に気に入られ、違反学生服をいっぱいもらった俺は特注の刺繍短ランに
ケーヨシヒロというボンタンブランドのマッキャンべロというふっといズボンをはいていた。
当時はこれが超イカスと思っていたのだが、今思いかえすと死にたくなるファッションである。
そんなダサダサファッションと柔道をやっていたこともあいまって中学の同級生で歯向かう奴はいなくなり、
肩で風切って歩くようになった。

そんな風に増長していると、ある日ある先輩に絡まれた。
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:35:49.39 ID:b4oIJCEo
その先輩はいわゆる地元のウザい系の先輩だ。

昔やんちゃやってた人なら分かるだろうが、地元でたむろっていると、
必ずといっていいほど「先輩」という人が現れる。
そういう人は大抵大仏のようなパンチパーマに伊達メガネ、
何色使ってんだよ!とツッコミたくなるような色彩検定本の悪い例に挙げられそうな
センスのないセーターに地味な色のスラックス姿で我々とエンカウントする。
そして年齢は必ずといっていいほど20↑である。さらに例外なく超偉そうである。
どっかの工場で量産体制が整えられてんのかってくらいそういう先輩は多い。

普通はそういう先輩にお金を挙げないといけないという決まりごとがあるのだが、
俺の兄貴の時代は地元始まって以来の荒れた学年で、そういう先輩をオール無視していた。
兄貴も当然そんな中の一人で、こともあろうにその先輩をボコボコにしたことがあったらしい。

兄貴の偉業のおかげで俺はその先輩の車に乗っけられ、先輩と先輩の後輩2人に
地元から2時間かかる山奥に連れられ、服を燃やされ木刀でぶん殴られまくった。
翌日、下山し、オカンに電話をかけて迎えに来てもらった。
オカンは泣いた。俺はオカンに怒鳴るだけだった。
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:36:47.31 ID:b4oIJCEo
それからやっぱり真面目に頑張らないとイカン!と思い、髪形と服装を変え、心を入れ替えた。

これまでの遅れを取り返すべく一生懸命勉強をして、二年の頭に150/150だった成績が
二年の一学期が終わる頃には100/150くらいになった。
そんな姿を見てオカンは、「塾行きたいんなら言ってくれ」と言ってきたので
言葉に甘えさせてもらった。親父は兄貴も俺もフルシカトだったので反対したらしいが。
塾に行きだすと、成績はみるみる伸びた。三年の一学期からは5/150に常に入るようになった。

内申書はボロボロかと思いきや、うちの学校(地区?)は2年から付け出すかったらしいので、
俺が真面目に勉強をしている姿を見て、先生はかなり良く書いてくれてたらしい。
それは俺にとってかなりプラスに働いた。

おかげ様で県下2番目の東大毎年10人は排出する進学校に進学できた。
オカンはその時も泣いた。いや、今思うとよく泣くオカンだわ。
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:39:11.93 ID:b4oIJCEo
基本ペラペラよく喋る俺なのだが、周りの生徒となんとなく波長が合わず、席近い奴で友達はできなかった。
俺の個人的な感想なのだが、なんか進学校の生徒は礼儀がないのだ。
その人がどんな人なのかも分からないのに、いきなりタメ口で、更に上から目線で、
初対面で第二人称が「おまえ」だったりする。
今思えばどうでもいいことなのだが、それがなんとなく気に食わず友達ができなかった。

しかし、新入生歓迎テストをうけると、全体生徒中2位だった。
ウチの学校は上位30位までは名前が張り出されるというシステムをとっていた為、
「○○君すごいんだねー」とか「勉強教えて」みたいなことを女子に言われるようになった。
それと共に男子の間では何故か俺はガリ勉キャラが定着していったらしい。
女子のが優しかった。男子はなんとなしに俺に冷たくなっていった。

進学校と言えどもヤンキーくずれみたいな奴がいる。
ある日、そのヤンキーくずれが悪い意味で俺に絡みだすようになってきていた。
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:40:24.47 ID:b4oIJCEo
そいつは俺の机に「ガリ勉」と油性マジックで落書きしたり、
椅子にかけてた俺の学ランを何を思ったか床に落としたりなど他愛のないものだった為、
俺は親に迷惑をかけたくないし、自分に直接的な危害はないので極力無視していた。

そいつはおそらく太さからしてリバックスメンズというボンタンブランドのルーセントというズボンをはいていた。
皆さんご存知の通り、ルーセントは違反学生服でも標準に近く、ちょっと太いだけの
ヤンキーでもかなりしょぼい奴しかはかないズボンだ。
更にこれには呆然としたのだが、短ランの材質がざらざらなのである。
これも皆さんご存知の通り、違反学生服は購入当初からちょっとテカテカしてて材質が違う。
おかしいなーと思ってどこのブランドの短ランだろ?と思って体育の時間に確認すると、
なんと標準学生服を折って縫って短ランをハンドメイドしていたのである。
俺の中でそいつをハンドメイダーと呼ぶことにした。

そんなこんなしていると、ある時そいつは増長して、授業中に俺の髪をガッと引っ張ってきた。
今までも色々細かいことは仕掛けてきていたが、俺に直接危害を加えたのは初めてである。
その瞬間全てがどうでも良くなり授業中にも関わらず、後ろを向いて「コラァ!」と叫んでいた。
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:41:28.43 ID:b4oIJCEo
言った瞬間かなり後悔したが、もうひくことはできない。
俺もそいつも帰宅部だったことは知っていたので、とりあえず「放課後話あるから残れ」とだけ言った。
先生に叱られ、更に謝ることが何より嫌いだった俺は無言を通したが、その後職員室に呼ばれた。

職員室から教室に帰ると、ハンドメイダーは俺を指指してケラケラ笑っていた。
その瞬間ブチ切れた俺は気づくとハンドメイダーの髪を掴み顔にヒザを入れまくっていた。
最終的に先生に止められた。メイダーは全治一ヶ月になった。
俺は、停学2週間になってしまった。

オカンは泣いた。親父は切れた。俺は情けなさすぎて死にたくなった。
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:42:21.84 ID:b4oIJCEo
停学中、あまりにも暇だった為、地元のパチ屋に行っていた。
当時のパチ屋はスロットメダルがごろごろ床や受け皿下に落ちていて、
一時間あれば100枚(2千円分)集めることも可能だった。
そのコインでATを引いて一撃7000枚を持ち帰ったこともあった。

その日もせっせとメダルをかき集めていると、中学時代の先輩に遭遇した。
かなり疎遠になっていたが、その先輩はご飯を奢ってくれると言うので、飯を食うがてら色々な話をした。
当然メイダーの話もした。
最後には「勉強頑張れよ」「○○高校の人間がパチ屋なんか来んなww」と言ってくれて別れた。

停学が解け、学校に行くとクラスはざわめいていた。
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:43:29.28 ID:b4oIJCEo
俺はデビルイヤーを使い噂話を全力で聞いていると、どうやら
その話した先輩がハンドメイダーの病室に行って脅しをかけたらしいのだ。
今思えば迂闊だった。入院している病院名とメイダーの名前を出してしまっていたのだ。
おかげ様で俺は停学明け早々に職員室に行って厳重注意を受けることになった。

内心退学になるんじゃないかとビクビクしていた俺は、先輩の家に行くことにした。
先輩の家に行くと、懐かしい先輩がいっぱいいて、昔話や近況とか聞きたくもなったが、俺は先輩に言った。
「メイダーに脅しかけるの気持ちは嬉しいんですけど辞めてやってくれませんか?」
みたいな感じで言った。すると先輩は
「お前の為思ってやってんのに何よそれ。○○君の弟だからって調子のんなよ」
みたいなこと言われた。

俺はあー、結局俺は兄貴の弟だから仲間だっただけなんだなと悲しくなった。
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:45:22.33 ID:b4oIJCEo
かなり雰囲気が悪くなり、一触即発だったが、その場にいた心の広い先輩が
お互いをなだめてくれてその場は事無きを得た。

しかし脅しをかけた先輩(以降福田先輩:仮名)は納得しておらず、終始鼻息が荒かった。
その時、俺は先輩達と違う世界に行ってしまってるんだなと思うと共にヤンキーにも進学校生にもなりきれない
中途半端なコウモリのようで情けなくなった。

俺は自分についてよく考えるようになり、無口になることが多くなった。
さらに事件を起こしているので、学校内でのポジションは最悪になった。
成績はなんとか10段階評価の10にいたが、毎日がつまらなくてしょうがなかった。

そんな中、体育大会が始まった。
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:46:42.67 ID:b4oIJCEo
ウチの学校の体育大会はかなりガチでやっており、学校から団ごとに数十万円を渡して
衣装を買うなり小道具を買うなりしてくれみたいなカタチをとっていた。
中にはマンスリーレオパレスを借りてそこで練習をするなり酒盛りしたりという不届きな団もいた。
毎年体育大会の為に団のリーダーは毎日のように公園で振り付けの練習をしたりするのだ。
どの部でも、その間は部活をサボっても文句は言われないらしい。

団のリーダーは3年が15人程度、2年が5人、1年が2人という構成だ。
その団リーダーは酒盛りなどがついてまわる為、カップル成立率およそ90%という脅威の数字を誇っており、
さらに、打ち上げor練習中にセックスするけしからん団員も毎年居る為、誰もがなりたがる。
それゆえ、団リーダーはクラスの投票によって公平に決められるのだ。

ハイハイどーせ俺には縁もゆかりもないイベントですよワロスワロス
とか思っていると、俺が団リーダーになることになった。
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:50:49.64 ID:b4oIJCEo
無記名の投票で何故俺が選ばれたのか今思うと全くもって意味不明だが、やれと言われた以上頑張るのが俺だ。
一年二人のウチもう一人は、現在地方局ではあるが、アナウンサーになったほどの美人(以下クイズ:仮名)で、
俺のテンションが上がらなかったはずはない。
更に、これを機にクラスと打ち解けるチャンスでもあるのだ!正に一粒で二度美味しい!

その日から毎日体育大会の練習に明け暮れることになった。
帰りが夜10時を超えることがザラだった為、親父やオカンはまた俺が荒れだしたと心配したが、
そこは説明責任を果たし、むしろ頑張れと言ってくれた。

団リーダー内では、俺の事件を知る人も少なく、素直に楽しかった。
クイズもかわいいだけではなく、ノリも良くて頭の回転の速い優しい子だった。
お互いが団リーダー内で唯一の一年だったこともあり、加速度的に仲良くなっていった。
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:51:52.20 ID:b4oIJCEo
そして体育大会本番。
ウチの学校は100、1500メートル走とリレーの配点が高く、他の種目はゴミ同然なのだ。
100メートルは全学年のクラスの代表で予選を行って、1位が決勝にでるという形式をとっていた。
得点があるのは予選1位と決勝1,2,3位のみであり、更に予選1位の得点が騎馬戦の優勝チームの得点、
決勝1位が騎馬戦の2倍という超シビアな配点だったので100メートルは毎年盛り上がる。

実は脚の速さだけは自信があった。
予選は陸上部をぶっちぎって1位になった。
決勝も3年の陸上部をぶっちぎってまたもや1位になった。
応援の声で「いいぞーヤンキー」とか聞こえてたがこの際なんでもいいやと思ってた。

我々が一生懸命やっていた応援の部は惜しくも2位だったが、総合では1位に輝いた。
この時が今思えば人生の絶頂だったかも知れない。
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:53:23.26 ID:b4oIJCEo
体育大会が終わると、打ち上げがある。
ド田舎なので、広い家は腐るほどあり、その中でも両親が寛容な家で酒盛りが執り行われる。
いわゆる夜の体育大会である。

中学生の時、先輩に日本酒を一気させられまくっていた俺は高校生としては酒が強い方で、
周りがチューハイをちびちび飲んでる横でビール、日本酒を一気しまくっていた。
すると先輩にも気に入られ、俺はすっかり機嫌がよくなっていた。
酒盛りも佳境で、俺のペースに合わせて一気をしている先輩がぶっ倒れていく中、
さっきから全然酒を飲んでいないクイズが話があるから外行こうと言ってきた。

うは、これセックスか?やべーゴム持って来てねー。
とかふしだらなことを考えている俺は極力顔に出さないように若干ニヤけながら
精一杯クールに振る舞い「おう」と言って夜の田んぼ道へと繰り出した。
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:54:29.41 ID:b4oIJCEo
外に出ると、クイズは一枚の写真を取り出した。
その写真は100メートル走優勝の瞬間の写真だった。
「よくこんな写真撮れたねスゲー」と俺
「優勝すると思ってたから」とクイズ
酒に酔いながらもドキドキしているとクイズは「写真の裏を見て」とか言ってきた。
裏を返すと、かわいらしい字でメッセージが書いてあった。

○○君、100メートル優勝おめでとう。
かっこよかったよ。こんな内気な私だけど付き合ってくれますか?

とか書いてあった。
俺は、「内気じゃないやろ」とか笑いながら言いつつ、
「いいよ」なんて言っていた。
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:55:27.62 ID:b4oIJCEo
それからは毎日が楽しくてしょうがなかった。
体育大会の練習期間中、授業をほぼ全部寝ていた俺は10段階評価の10から6くらいまで転落していた。
しかしクイズと一緒に図書館で勉強したりしている内にみるみる成績は上がっていった。
デートらしいデートは一切せず、チャリで一緒に帰ったり、図書館で勉強したりばっかだった。
冬休みに突入すると、クイズが俺の家に来てみたいと言い出した。

これは童貞を捨てるチャンスじゃね?とウキウキしながらしていると共に
イチモツの不安、いや、一抹の不安がよぎった。

その昔、中学時代の先輩がマンコの場所が分からず、
ケツの穴にぶっこんで超嫌われて振られたという悲劇を思い出したのである。
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:56:23.64 ID:b4oIJCEo
現在はそれこそワンクリックで無修正動画が見れる時代だが、
当時は裏ビデオなどチートアイテム、伝説の神々の装備であった。
所持しているだけでちから+10すばやさ+100かしこさ-100かっこよさ+50うんのよさ+∞
くらいの感じだ。俺も当然マンコを見たことがなく、悲劇を繰り返すのではないか・・・

急速に不安になった俺は前にでた心の広かった先輩(以下浜野先輩:仮名)に相談することにした。
浜野先輩はヤンキーなのにオシャレさんで、更にジャニーズ系顔の先輩でモテモテだった。
浜野先輩はワケアリの先輩で高校生ながらマンションで一人暮らしの先輩だった。
浜野先輩の家に行き不安をぶちまけると「大丈夫だって」とは言ってくれたが、不安でしょうがない俺に
「じゃあ今からリサ(仮名)に女友達連れてきてもらってマンコ見してもらおうぜ」とか言い出した。
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:57:23.67 ID:b4oIJCEo
このリサと言う先輩はかなりのヤリマンで有名で、更に俺に好意を持ってくれていたらしく、
飲み会がある度によく乳を揉ましてもらっていた先輩だ。
「さすがにそれは鬼畜すぎるから無理っすよ」とか言ってるのを尻目に浜野先輩はリサさんに電話をかけていた。

数分後リサさんが女友達二人を連れて浜野先輩の家に来た。
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 14:59:00.25 ID:b4oIJCEo
もちろん俺は「マンコ見して下さい」なんて言えるわけもない。
浜野先輩も言うわけがない。とりあえず酒を飲むことになった。

酒が入ると次第に打ち解けてきて、クイズの話とかを「むっちゃかわいいんすよ」とか
「でも童貞なんで不安です」とかってガンガンしていた。
リサさんは「いいなーなんか若くて」とか言っていた。
そんなこんなしていると浜野先輩は寝室に女二人と消えて行った。
(うは、浜野先輩マジパネェっす)
とか思っていると、リサさんはおもむろに乳を揉ませてきた。
そして無言でキスをしてきた。
こうなると、歯止めが利かず、そのままあれよあれよとセックスをしてしまった。

ちなみに言っておくがリサさんは身長160くらいでゆうに60kgはありそうというメタボで、
顔はスタン・ハンセンに似ていた。
男なんてこんなもんなんですよね・・・。
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:00:21.18 ID:b4oIJCEo
ことが終わると俺はガーガー寝ていた。
家に帰るのも忘れ、翌朝起きると、そこにはリサさんも女2人もいなかった。
冬休みなので、学校もなく、ボーっとしていると浜野先輩がコーヒーを入れてくれていた。
ふと携帯に目をやると着信もメールもめちゃめちゃあった。
誰だろうと思って見ると、相手はクイズだった。

メールは
「○○がそんなこと考えていたなんて知らなかったよ。もう二度と私に話しかけないで。」
みたいな内容だった。
はてなマークで一杯になっていると、俺からクイズの送信メールに
「セックスもさせてくれん彼女って何なん?マジうぜぇ」みたいなメールがあった。
まさか・・・リサさん?
そんなこと思ってる暇もなく弁解のメールを送って電話を試みた。
「いや、マジでこれ俺送ってない」とか「とりあえず電話でて」と言って何とか電話を取り付けた。

クイズは超キレていた。

24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:01:50.33 ID:b4oIJCEo
静な話し合いにはとうていならなかったが、要約するとこうだ。

メール送られる⇒電話かける⇒つながらない⇒俺が裸で女と写ってる写メ届く

だったらしい。俺の携帯は写メールつきじゃなかったので、リサさんのアドレスから送ってこられたらしい。
これはどう言っても言い訳できない・・・俺は泣きたい気分だった。
そして向こうから電話は切られた。

俺はリサさんに速攻で電話をかけブチ切れた。
リサさんは泣いてた。俺のメモリーを消すようにきつく言って電話を切った。
しばらくして冷静になると俺は自己嫌悪で死にたくなった。
浜野先輩にも事情を話すと、浜野先輩はこんな俺に土下座をしてくれた。
それを見てまた泣きたい気持ちになった。
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:03:33.90 ID:b4oIJCEo
冬休みが空けると体育大会で回復した俺の評価は女子を中心としてガタ落ちだった。
クラスの誰もががその顛末を聞いたようだ。
またクラスで孤立した。しかも今回はマジで正真正銘友達がいない。

そんなこんなしていると福田先輩からメールが来た。
コンビニに呼び出された。福田先輩は超怒っていた。
リサさんは福田先輩と付き合っていたらしい。

リサさんは福田先輩に俺とヤったことやメモリー消せと言ったことを全て言ったようだった。
福田さんに殴られた。前歯を折られた。
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:04:42.30 ID:b4oIJCEo
地獄のような三学期を終え、二年になった。
どーせ俺みたいな半端モンは友達なんてできるわけねーっすよハイハイとか思ってたら、

男子で一番人気者のハリー(仮名)が俺に興味を示したようだった。
ハリーは誰に対しても優しく、面白い奴だったが、何故か特に気に入られてほぼ毎日一緒に食堂に行くようになった。
他の奴も最初は「俺と仲良くする=女子に嫌われる」の為、俺に話しかける奴はいなかったが、
ハリーの変わらぬ人気ぶりを見て色々話しかけてくれるようになっていった。
俺も心を開き、リサさんとのことを話したり、メールの真相を話したりした。
そんなこんなで人望を少しずつ集めて行くと、ハリーからある相談をされた。
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:05:38.35 ID:b4oIJCEo
ハリーは別クラスにかわいい彼女がいるにも関わらず、
同じクラスにいる小学校の時からの幼馴染のノンちゃん(仮名)とセックスをしたらしい。
更にそのノンちゃんは結構メンヘラで、セックスをしてからと言うもの学校に来てないらしい。

ハリーとノンちゃんの家は家族ぐるみの付き合いなので、情報が入る。
ハリーが親から聞いた情報によると、ちょっと前にバファリンを三箱一気飲みして病院に担ぎ込まれたそうだ。
ハリーはそれが色んな意味で心配で心配で仕方がないらしい。
しかし、ハリーが連絡をとっても全部無視するらしいし、不安でしょうがないそうだ。
そこでこんな相談できるのは俺だけだからと相談してきた。

そこで俺はハリーから番号聞いて俺の携帯で電話をかけて、それからハリーに代わって話せばいいんじゃね?
と提案した。高校生の浅知恵だが、知らない番号からかかってきた電話はとるだろうと計算した結果だった。

早速その場で電話をかけるとあっさり出た。
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:06:40.24 ID:b4oIJCEo
「あ、同じクラスの○○だけど、学校休んでてハリーが心配してるから話しだけでも聞いてやってよ」
と言ってハリーに代わった。
ハリーはそのまましばらく話し込んで、とりあえず当面の不安は取り除けたみたいだった。
ハリーに感謝され、俺もホクホクだった。何か久しぶりに人に感謝された気分だった。

そしてその翌日
ノンちゃんはまた学校を休んでいた。
ハリー心配するってのなんて思っていたら、メールが届いた。知らない番号だ。
メールはノンちゃんからだった。当時J-phoneは同社同士のメールが無料(今でも?)だった為、
高校生に人気があったのだ。ノンちゃんは昨日かけた電話番号からメールを送ってくれたらしい。
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:07:39.34 ID:b4oIJCEo
内容は
「昨日は色々ごめんね、ハリーと話せて良かった。ありがとう。」
みたいな感じだったと思う。俺は、
「そうやなーハリーも俺も心配しとるし取り敢えず学校おいでや」
みたいな感じで返したと思う。
するとノンちゃんは
「ハリーからどこまで話聞いたの?」

と聞いてきたので何にも聞いてない設定を即座に頭で作り出し、
幼馴染だから心配してるってことだけを伝えた。

すると、
「○○君部活やってたっけ?」
と聞いてきた。帰宅部だよと言うと、
「じゃあ今日○○にある公園って来れるかな?」
と聞いてきた。
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:09:01.05 ID:b4oIJCEo
ノンちゃんはかわいいのだ。顔は酒井若菜を一般人にした感じで乳もFカップ。
更にパンパンに張った乳でいかにももみごたえのありそうな一品である。
超仲良くなりてーと思ったが、メンヘラっぷりはハリーから良く聞いていたので
なるべく触らないようにしようとしていたのである。
そこで、「いや、今日は用事あるから無理やわ、ごめんな」
と返すと「うん、じゃあまた今度ね(ハートの絵文字)」と送られてきた。

しばらく理解に苦しんだが、あまり深く考えないようにした。
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:10:26.89 ID:b4oIJCEo
その後、一週間経ってもノンちゃんは学校に来なかった。

ハリーも心配して電話をかけたそうだが、でないそうだ。
マジで自殺までありえる分、ちょっと我々は不安になってきた。
俺から再度電話をかけるとあっさり電話に出た。
別段沈んでいる様子も無く、普通だったので安心して
「学校来んの?」と言うと「勉強自分でしてるから大丈夫」と答えた。
「そっかー、ハリーも心配してるから早くきなよ」と言うと
「色々やることあるからそれ片付いたら行くよ」なんて言っていた。
俺は幾分安心して電話を切った。
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:11:50.42 ID:b4oIJCEo
そんな中、俺にも春が来た。
中学校の時の女友達がコンパを開いてくれるとのことだ。
その友達は女子高に行っていたのだが、コンパしたいから面子を集めてと言われた。
俺はハリーとコニ(面白い奴)という奴と三人で行くことになった。

俺の県は田舎すぎて、コンパをする時は必ずカラオケ屋と決まっていた。
そこにジンとウォッカをビンで買っていき、フリードリンクのジュースを割って飲む、といった具合だ。
酒も進んでいくと、皆ノリノリになり、ラブホテルのパーティールームに行ってみようと言う意見で満場一致になった。
当時俺は夏休みは海の家でほぼ毎日朝8時から夕方5時までバイトをしており、高校生にしては金をそこそこ持っていた。
コニもショッピングセンターでひたすら玉葱を詰めまくるという謎いバイトをしていたので金があった。
ハリーはやめとくらしく、もう一人の女の子は門限があるので帰ることになった。

そこで、俺とコニの奢りで女の子二人とパーティールームに行くことになった。
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:12:58.84 ID:b4oIJCEo
パーティールームは田舎で土地が安いのでめちゃめちゃ大きかった。
てかほとんどホテルのスイートのような感じだ。

とりあえずビールを山ほど買い、皆で飲んでいると、女の子の一人が滅法吐き出した。
コニがもう一人とひたすら談笑をしている中、俺は黙々とゲロ処理をして、女の子を介抱していた。
その吐いた方の女の子は元モー娘の中澤裕子を若くしたような子(以下ユウコ:仮名)で、
気も酒が強そうなのだが、実は酒が弱く、かなり無理をしていたらしい。

トイレで背中をさすっていると、コニが「女の子送って帰る」と言って帰って行った。
パーティールームで女と二人!どーする俺!?どーする俺!?
と普通は考えるだろうが、めちゃめちゃ吐いてしんどそうなのだ。
鬼畜にも弱っているところをセックスなど間違ってもできない。

とりあえず今日帰るのはしんどそうなので家に電話をかけさせ、ベッドに寝かせることにした。
寝かせ終わった後、一人で残りのビールの処理をし、タバコを吸って一息つけていた。

一時間程経つと、ユウコは起きた。
吐いて寝たことですっきりしたみたいだ。
とりあえず歯を磨いて、シャワーを浴びると言っていた。
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:13:53.68 ID:b4oIJCEo
ハズカシながらラブホが初めてだった俺は漫画やドラマで見た知識をフル活用すると
シャワー浴びる=セックスという考えにしか至らなかった。
元気になったユウコと一緒に風呂に入ることになり、その後セックスをした。
結局ヤるんやん!と思ったがそれは若さゆえ。
ユウコは処女だった。

ピロートークでユウコは付き合ってくれと言ってきた。
俺は当然断る理由もないので、オーケーを出した。
後で幹事だった友達に聞くと、ユウコは遊んでそうに見えるけど
真面目な子だから大事にしてあげてと言われた。

夏休みが空け、新学期が始まった。
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:14:48.93 ID:b4oIJCEo
新学期が始まるまでユウコを家に呼んでひたすらセックスばかりしていた。
俺はセックスオリンピックがあれば地区代表くらいになれると確信していた程のセルフコントロールマンで
フルボッキのまま4時間つきまくることも可能だし、3分でイクことも可能であった。
そんな中ユウコはどんどんエロくなっていった。

新学期が始まると、ハリーが顔面蒼白でこちらに来た。
どうしたのかと聞くと、ノンちゃんのことだった。
ノンちゃんの家はあまり裕福ではなく、家庭の事情でノンちゃんはバイトをしていた。
1学期に学校に来なかったのはそのせいもあったんだそうだ。
そのバイトでどっかの暴走族の下っ端と付き合いだしたらしく、そいつがハリーに怒り狂っているらしい。
ノンちゃんはハリーはそんな奴じゃないと説得したそうだが、
そいつはノンちゃんを殴ったりして「絶対ハリー[ピーーー]、お前は口出しすんな」とか言ってるらしい。

ノンちゃんはハリーに気をつけてと言ったらしいが、ハリーはもう同じ学校で苗字も割れているので焦っていた。
ここは俺が一肌脱がねばなるまい。
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:16:15.32 ID:b4oIJCEo
福田先輩にはもう話はできないが、浜野先輩が色んな先輩に俺とリサさんとのことを弁解してくれたらしく、
俺は先輩達の間でそれほど嫌われてはいなかった。

俺は早速浜野先輩に連絡をとり、浜野先輩のマンションに行った。
あまりいい思い出のあるマンションではないが、マンションに行くと、浜野先輩が
広田先輩(仮名)という先輩を呼んでいた。
広田先輩は極真空手を小学生からずっとやっており、茶帯の実力者だ。
県の個人の大会で優勝したこともある。
喧嘩がしたい為に駐車場で集まる族(と言っても5人程度だが)をフルボッコにするような人だ。
喧嘩が取り敢えず大好きで、皆に「喧嘩あったら呼んでやー」と言うような漫画みたいな人なのだ。
しかしカツアゲのようなマネは一切せず、当時吉野家のバイトをしていた。
そんな人なので地元で最強と呼ばれる族の一番トップの人と超仲良しで、大抵の無理が通る。
浜野先輩がひっかけた女が族関連だった時などその人がまとめることが多かった。

そのノンちゃんの彼氏の族の名前が分かっていたので、広田先輩とハリーがその族の頭と話すということになった。
話はあっさりとつき、更に最後に本人に「文句あるんなら俺んとこ来い」と脅しをかけたのでハリーは事なきを得た。
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:17:20.45 ID:b4oIJCEo
広田先輩にはお世話になったので俺はその後、
パチスロ北斗の拳の北斗揃いレインボーオーラをあげた。

そのような一連の出来事がノンちゃんの耳に入ったらしく、
「色々とありがとう」というメールが来た。
「いえいえ」と送ると、
「かなり前に言ってた公園に来れる?」と来た。
別に断る理由もないので、その日の放課後に公園に行くことにした。

公園に行くと、ノンちゃんはいた。
学校ではしない化粧もしてかわいかった。
広田先輩のことや、ハリーのこと、最近の学校のこと、クイズのこと等
ほとんど俺が話していたような気がする。

ノンちゃんと話していると、公園のすぐ近くをノンちゃんの友達が通った。
三人で少し談笑をしてその日は家に帰った。
家に帰るとノンちゃんからメールが届いた。
「明日学校二人で早く行かない?」
俺は「何時くらい?」と聞くと朝六時だそうだ。
今思えば俺はこの時から邪な気持ちを持っていたのかもしれない。
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:18:50.25 ID:b4oIJCEo
翌日朝五時に起き、急いでシャワーをして学校を目指した。

学校につくと誤算に気づいた。
スポーツがあまりさかんではなかった我が高では朝練などが一切ない為、
六時にはまだ守衛さんが門と校舎の鍵を開けていないのだ。
その事実に気づいた俺は、ノンちゃんに速攻で電話をした。
するとノンちゃんも知らなかったらしく、とりあえず校門近くに来ることになった。

そこで俺は閃いた。
ウチの学校にはホッケー部があったのだが、大会参加経験も無く、部員は当時一人だけだった。
そのホッケー部の部室の合い鍵の隠し場所を俺は団リーダーの際、その一人である先輩から聞いていたのだ。
部室は校舎外にプレハブみたいな感じであるので、校舎が入れなくてもそこは出入り自由である。

とりあえずノンちゃんにその旨を伝えると、「行こう」ということになった。
部室に入り、二人で話していると、ノンちゃんは自分の好みのタイプを語りだした。
しかも驚くことにそれがことごとく(主に外見上の)俺の特徴なのだ。
フォーリンラブとか言ってレッドカーペット出てる芸人みたいな感じだ。
なので俺も負けじと、
「俺のタイプは身長がこれくらいで、色白で、胸大きくて、優しくて、頭が良くて、
一緒に朝ホッケー部の部室で話してくれるようなかわいい子かな」なんて言っていた。
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:19:56.20 ID:b4oIJCEo
その瞬間ノンちゃんは俺にキスをしてきた。
しかも抽象画を描くかの如くめっちゃ舌が動きまくるような超ディープなやつだ。

俺も気分がノってきて服を脱がして、乳に吸い付きまくってクンニをしまくっていた。
チンポを入れてノンちゃんが3,4回イクのを確認し、さてそろそろ抜こうかなと思っていると、
ノンちゃんは「安全日だから中に出していいよ」と言ってきた。
当時、中出しモノのAVなどあまり存在せず、中出しという響きだけで未知の世界との遭遇であった。
今だったら完全にためらうが、当時の俺はラッキー!と思い、思いっきり中出しをした。
お互いすっきりしてしまい、授業中は二人とも爆睡していた。

こんな生活が2か月ほど続き、かなりの頻度で中出しをしていた。
お陰様で10段階評価10に戻した成績も7くらいまで落ちた。
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:21:13.65 ID:b4oIJCEo
そんなただれた生活を繰り返していると、文化祭が始まった。
ウチの学校は文化祭は二年生から出し物に参加するシステムだったので初文化祭だ。
文化祭期間中、ノンちゃんはバイトが忙しい為、ほとんど手伝いができずに帰っていた。

文化祭でどっかの馬鹿が「女装喫茶をしよう」と提案しやがり、
何の間違いかそれが圧倒的多数で決まってしまった。
しかもウエイター(この場合はウエイトレスか?)が5人なのだが
何故か俺がその不運な5人に選ばれてしまい、化粧を施され、恥を晒す結果になった。
文化祭の準備期間でも何度か化粧をされ、その姿を見て「かわいい」などとほざかれる姿を見て
ノンちゃんは結構やきもちを焼いていたらしい。
しかし俺は、ノンちゃんに彼女をいることを言っていたし、ノンちゃんも例の彼氏がいるので
そんなことを考えていたなんて夢にも思わなかった。
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:22:05.66 ID:b4oIJCEo
その時点で俺はユウコに対する気持ちを失っていた。
ユウコも好きだったが、完全にノンちゃんの方が好きだった。
なんなら文化祭の準備の時につかもっちゃん(仮名)という女の子も相当気になっていた。
本当に今思い返すと俺って最悪なのだが。
ユウコに対する罪悪感は常につきまとっていた。

ある日ユウコが家に来た時、俺は罪の意識に耐え切れずついに浮気をしていることを切り出した。
ユウコは2時間くらいずっと泣きっぱなしだった。その日からユウコからは連絡が来なくなった。
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:23:08.67 ID:b4oIJCEo
俺は女の涙には滅法弱い。
本当に身勝手なのだが、ノンちゃんにある朝言った。
「こういう関係はもうやめた方がいいと思う」
ノンちゃんも泣いた。目を腫らして授業受けてた。
本当二人とも泣かす結果になってしまった。

当然のことながら俺が凹もうが、ユウコが泣こうが、ノンちゃんが泣こうが文化祭はちゃんと行われた。
仏頂面な俺は多分世界一愛想のないウエイトレスだっただろう。
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:24:11.88 ID:b4oIJCEo
文化祭が終わって、俺はまた考え事をすることが多くなった。
ノンちゃんは俺が切り出した日から学校に来なくなっていた。

一週間ほど経つと、ノンちゃんからメールが来た。
「一回ちゃんと話したい」
俺は「部室以外ならいいよ」と送った。
すると最初に会った公園で話すことになった。
ほんの一週間前はハートマークだらけだったメールも不思議なもので
たった一言で絵文字皆無のメールに変わるんだなぁなんて思ってた。

公園に行くとノンちゃんは最初全く話さなかった。
30分程俺が他愛のない話をしながらいると、ノンちゃんが口を開いた。

「生理が来ないの」

俺はカイジみたいにぐにゃ〜〜〜〜ってなった。
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:25:26.72 ID:VKNjM1co
支援
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:25:28.94 ID:b4oIJCEo
「それって俺の子供?彼氏じゃなくて?」
と聞くと、「彼氏とは○○とエッチしだしてから一切会ってない」

俺もノンちゃんも人望の厚い方ではなかったので、カンパを頼めそうな奴はいない。
さらにW浮気であったため、周りの目を気にする思春期に他の誰かに話せようはずもない。
一番仲の良いハリーさえも事情が事情なだけに相談するのが微妙だ。
これはバイトをして堕胎費用を捻出するしかないと考えていた。

するとノンちゃんは「私一人でも育てるから生んでいい?」と言い出した。
今思うと、ノンちゃんは事情のある家庭なので中学校時代からずっとバイトをして
家計を支える一端を担っている。それゆえ、母一人子一人でも暮らしていけると考えていたのだ。
当然実際は不可能であるだろうが。

当時の俺はそんなことを冷静に考えることも不可能で、
「ちょっと考えさせて」と言ってその日は帰るしかなかった。
翌日ファミレスのバイトの面接の予定を入れ、とりあえず金を稼ごうと考えた。
しかし、ノンちゃんに堕胎を納得させる自信が無かった為、連絡はとらなかった。
本当に俺って最悪。
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:26:20.19 ID:b4oIJCEo
中学校時代の女友達に既に2回子供をおろしていたプロがいたので、
そいつに意見を聞くと、妊娠3週間だか3か月までは安くて安全と言っていた。

これは一刻の猶予もならん!ノンちゃんを説得せねば。
そう思った俺はノンちゃんに電話をかけた・・・がつながらない。
メールを送っても返ってこない。

これは本気で子供生む気か自殺かありえると思った俺はハリーに事情を話し、
ノンちゃんの家を教えてもらって、訪ねることにした。

家に行くとノンちゃんが出てきた。
俺は悪徳セールスマンの如く家に上がりこんで無理矢理話をすることにした。
俺は冷静に子供を育てるのは今の経済力だと無理という旨を伝え、
今回はおろすしかないと思うと伝えた。かなり自分本位に語った。最悪。

ノンちゃんは泣いていた。
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:27:14.06 ID:b4oIJCEo
泣きながら言った。
「私はこんなに○○が好きなのに○○はエッチしたかっただけなんでしょ?」
と泣いてた。

俺はこの後に及んで
(うむぅ・・・まぁ結果的にそんな感じなっちまったけど本気で好きだったんだがなぁ)
(てか最初誘ってきたんそっちじゃん)なんて思っていた。ホントクズ。

俺は取り敢えず口だけでも「そんなことない」「お前が好きだ」なんて言ってた。
でもその日はノンちゃんが泣きすぎて話しにならず帰った。
その後、こっちから連絡をとろうとしても一切返信はなく、家に行っても出てくれなかった。
2週間ほど経った時、ハリーからノンちゃんに生理がきたことを聞いた。
安心すると共に何故だか心にぽっかり穴があいたような気分だった。
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:27:27.83 ID:v3xkCQSO
支援
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:28:12.62 ID:b4oIJCEo
昔サンデーでやってた河合克敏の漫画でモンキーターンという漫画がある。
それにドウグチってキャラがいるのだがそいつが28巻くらいで

「人の気持ちに気づくのが遅くて、気づいた時にはその人はいない、それが俺だ。」

と言う。その時の俺は正にそう思っていた。
ユウコ、ノンちゃん皆離れていく・・・等と悲劇のヒーローぶっていた。
原因をつくったのは他ならぬ俺なのに。

体育大会や文化祭のようなイベントも終わり(2年の体育大会は俺欠席)
ノンちゃんの妊娠騒動時の俺はバイトで忙しくなったことと寂しさから10段階評価3まで成績が落ちていた。
その成績を盛り返すべく、俺はひたすら勉強に励んだ。
冬休みに突入するまでなんとか10段階評価8程度にまで盛り返し、
ノンちゃんへの愛も薄らいできて、生活に張りがでてきた。
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:29:14.34 ID:b4oIJCEo
冬休みに入ると、中学校時代の友人から連絡があった。
「元クラスのメンバーで忘年会するんだけど○○さんも来る?」
その頃にはかなり立ち直っていたので、二つ返事でオーケーを出した。

忘年会に行くと、ほとんど全員クラスメイトがいた。
そんな中、中学校時代にマドンナ的存在だったキサちゃん(仮名)がいた。
キサちゃんはとにかくいい意味で日本人離れした容姿で自分から喋ることはほとんど無かった。
いつもウフフって笑ってるようなイメージの子だ。
バレーボールをやっていて中学校時代県選抜にも選ばれたほどのスポーツウーマンで勉強も得意で
それでいて嫌味なところがなく同姓からの人気も高い、正に完全な女性だった。
一年の時、姉が三年にいて、姉もモテモテだったがキサちゃんも三年の先輩から告られまくっていた。

俺はキサちゃんと近くの席だった。
中学時代ほとんど話したことがなかったので、お互い知らないことだらけで大変楽しかった。
そのキサちゃんは中学校時代タカ(仮名)という男と付き合ったのだが、タカが浮気をした為別れたらしい。
それ以降、彼氏はいないんだそうだ。
(かわいいのに意外だな)と思ったが、控えめな性格なのでそれも分からなくもなかった。
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:30:19.27 ID:b4oIJCEo
中学校の知り合いは酒豪が多く、「いいちこ」をビン一気をするような奴もいた。
そんなペースで飲んでいると、俺は当然すぐに酔っ払ってしまい、ベロベロになっていた。
するとキサちゃんは「実は中学校の時○○君のことずっと好きだったんだよ」と言った。

俺は中学生の時、キサちゃんをかわいいなと思ったことはあったが、
俺は決してイケメンでは無く、口がうまいわけでもなかったのでキサちゃんを意識することなど一切なかった。
どっちかって言うと手の届きそうなアイちゃんって子の方が気になっていた。
しかし、中学校時代の一番の友人にあたるクニ(仮名)はキサちゃんの親友と付き合っており、
卒業式の日にクニは「キサちゃんお前のこと好きらしいぞ」「今日行かんでいつ行くん?」などと言っていた。
俺はキサちゃんの親友と付き合っていたクニからの情報というソースの確かさから
少し意識したが、ヘタレのクセにプライドが激高だった為、自分からいくのは躊躇っていた。
そして携帯の電話番号を聞くどころか、一言も言葉を交わさないまま卒業式&打ち上げは終わっていた。

しかし今の俺は違う!様々な女性との経験が俺を強くした!(とは言っても三人だが)
ハートが強くなった俺は酒の勢いも手伝い、ベロベロになりながらも
「俺は昔から今までずっと好きだったんだよ」なんて言っていた。
本当身勝手で自分に都合いいようにしか動かない俺の口、この時ばかりは褒めてやりたかった。
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:31:12.88 ID:b4oIJCEo
今思い返せばキサちゃんもかなり酔っていた。
全然俺のことなんて思ってなかった可能性も全然あるのだが、
俺はすかさず携帯の番号をゲットし、その日の忘年会は大いに楽しんで帰った。

キサちゃんは超校則が厳しい高校に通っていた。
俺の高校は多少なら髪が茶色くても長くてもそれほど注意はされないが、
キサちゃんの高校は地毛でも停学とかになるというレベルである。

なので、当然携帯はNG、ゆえにメールを送っても家に帰るまでは返ってこない、
さらに部活をしているので家に帰るのは8時くらいだ。
キサちゃんは10時には寝るので、この二時間をいかに活用するかが争点となっていた。
しかし、部活が土日もあり、超体育会系なので遊ぶ約束を取り付けようにも鉄壁だった。
全く進展がないままバレンタインデーになった。
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:32:07.57 ID:b4oIJCEo
バレンタインデーは平日にも関わらず、キサちゃんは部活を休んでまで俺にチョコを渡しにきてくれた。
そして「付き合って下さい」と正式に申し入れがあった。
俺は有頂天で「俺の方こそ付き合って下さい、本当は俺から卒業式に言いたかったけどな」
なんて言って晴れて付き合うことになった。

付き合いだすと鉄壁だったキサちゃんも土日の部活を午前中で切り抜けてきたり、精一杯時間をとってくれた。
そして、初めて家に来た時にセックスをした。
キサちゃんは処女ではなかったが、スポーツで鍛えたことと男がいなかったことも手伝って大変な名器だった。
痛がっていたが、「○○を気持ちよくさせたいから我慢する」なんて言ってくれて
こいつどこまで優等生やねん!なんて思ってた。

会えるのは週に一回、それでも俺は楽しかった。
バイトも辞め、平日が暇になったので塾に行くことにした。
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:33:07.17 ID:b4oIJCEo
三年生になると、いよいよ受験を意識し始めた。
東大OPなんかを受けてみるとむつかしくてD評価とかだったことにショックを受けた俺は
学校の方針に沿わず、塾(代ゼミのビデオ見るところ)の方針に沿いつつ自分でカリキュラムを立て
勉強をするようにしていた。おかげで学校の定期試験は常にほぼ白紙で提出していた。
と言うか、学校は遅刻早退欠席だらけでほとんど行かず塾に入り浸っていた。

キサちゃんの帰る時間とカブることが多くなったので、一緒に帰る機会が増えた。
幸せではあったのだが、何か物足りない感覚を覚えていたのも確かかもしれない。

文理分けとクラス設定の関係からクラスのメンバーは1/3程度しか変わらない。
俺は三年でもノンちゃんと同じクラスになっていた。
その頃にはお互いを全く気にしていなかった・・・と思っていた。
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:34:11.48 ID:b4oIJCEo
ノンちゃんは例の族の男と別れ、同じ学校の別の組の男と付き合いだしていた。
男の愚かなところで、一度でも好きと言ってくれた女はいつまでも自分のことを好きだと思ってしまう傾向がある。

俺はキサちゃんという素晴らしい彼女がいるにも関わらず、また自分に彼女をいることを棚に上げて
ノンちゃんに「そんなアッサリ僕なんぞ忘れられましたか?へーそれでも人ですか?」
なんてクズみたいなことを思っていた。

そしてどうにか振り向かせようとせっせと細かい工作を始めるようになった。
友達に頼んで無理矢理ノンちゃんの横に席替えをしたり、頻繁に話しかけたり、一緒の委員会に入ったりなどなど。
今思えばセコイし、その彼氏の気持ちを考えると最悪すぎる話だが当時は必死だった。
しかしノンちゃんは基本無視でどうしても話さないといけない用事以外は口をきいてくれなかった。
しかも話をする時は常に敵意剥き出しにした目をしていた。
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:35:07.15 ID:b4oIJCEo
そんな細かい工作をしていると、俺は本気でノンちゃんが好きになってしまっていた。
どうやら俺は一度思い込むと突っ走ってしまうタイプらしい。
そのせいでこれからも色恋沙汰以外でも多くの災害がつきまとうわけなのだが。
キサちゃんは最後の大会の為に部活に打ち込んでおり、春休みのように時間は取れなかった。
学校推薦で専門学校に行くことから大会が終わっても秋の大会まで練習参加しなければならなかったので
1か月に会えるか会えないかといった状況が続いた。
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:35:58.24 ID:b4oIJCEo
そして夏が来る。
夏には体育大会があり、体育大会は三年生こそ一番盛り上がるイベントなのだ。
そして三年生時はクラスの1/3程度が団リーダーに就任するので、投票ではなく、立候補制なのだ。
ノンちゃんはバイト先に元彼がいる為、いづらくなってバイトを辞めていた。
そんなノンちゃんに団リーダー面白いからやってみなよと俺はさかんにすすめていた。

さすがにノンちゃんとて鬼ではない、その頃には敵意も和らいでおり、
普通の会話くらいは普通にしてくれるようになっていた。
「じゃあやってみようかな」
そう言った瞬間から俺はトレーニングを開始していた。
少しでもリレーor100mでいいとこ見せる為じゃい!
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:36:54.50 ID:b4oIJCEo
団リーダーが決まった。
メンツは男はかなり面白い奴ばかりで、俺から見たら女はノンちゃん以外オールブスという奇跡の布陣になった。
いや、いい子ばっかりだったんですけどね。

ノンちゃんはあまり喋るタイプではない。
なので俺がノンちゃんの意思を翻訳して代弁をすることがままあった。
深まる絆!なんて調子こいてると練習中に彼氏が迎えにきやがったりする。ちきしょう[ピーーー]。
でもノンちゃんは頑張り屋さんで彼氏に遅くなるからまた今度ねとか言って断ることが多かった。エラい!
ハァ・・・俺本当にクズだわ。

そんな中事件が起こった。
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:38:08.87 ID:b4oIJCEo
進学校では「俺って悪だぜぇ〜」みたいのがかっこいいという風潮があるのだ。
普通の喫煙者はバレないようにタバコを吸うのに団リーダーの一人が練習中やチャリに乗ってる時にタバコを吸うのである。
俺達は全員それを咎めていたのだが、そいつは
「これはタバコ吸う奴しか分からんと思うけどないとしんどいんよ」
なんて言ってやがる。(そいつは喫煙者は自分だけだと思っていた)
バージニアスリムライトみたいな女子供が吸うようなタバコ吸ってアホか!
こっちゃショートホープ我慢しとんねや![ピーーー]!なんて思ってた。

すると、そいつは案の定補導された。
そして巻き添え食って学校外での体育大会の練習は規制されることになった。
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:39:07.02 ID:b4oIJCEo
実際練習何回しようがたいして変わるものではない。
単純にみんなでワイワイやりたいだけなのだ。サークルみたいなものだ。
それが学校のみになると面白さ半減てか消滅。途端に皆やる気を無くした。
最低限の振り付けを合わせ、即帰るという最悪の流れが出来上がってしまった。

俺がショボーンとしているとノンちゃんは
「練習できる時間少ないけど頑張るしかないよ」なんて言ってた。
いやいやそういうことじゃないんだよ。
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:40:12.08 ID:b4oIJCEo
体育大会前日

当日、団リーダーは皆より早く来て会場設営や最後の練習を行う。
一年前二人だけのデートをしていた時に戻ったみたいだ。
前日は男は友人の家に泊まることになった。
ここで面白い奴がほぼ全員来ていた為、翌日4時起きにも関わらず、
俺達は日本酒を飲みだした。結局寝たのは2時半だった。

当日

頭がグワングワンする中、学校へ向かう。全員顔が土気色だ。
会場設営の際、5メートルくらいの高さから落ちそうになる。アブネーアブネー。
応援の際、バク転5回転くらいしながらはけていく場面があるのだが、
終わると全員吐きそうになっている。
こんなんで走れんのか?俺。
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:41:17.77 ID:b4oIJCEo
100メートル予選が始まる。
なんとか一位で決勝に進むことが決定した。
おうおう団席沸いとる沸いとる。
リレーが始まる。
サッカー部は抜けたが、陸上部はやっぱはえーでも離されもしなかったぞ。
100メートル決勝が始まる。
その頃は体調も戻り好調!でも三位だった。ま、いっか点数入るし。

そんな感じで淡々と体育大会は終わった。
本当はもっといいとこ見せたかったけど頑張った方だし、いっか。
問題は夜の体育大会である。

夜の体育大会には全員が参加した。
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:42:27.96 ID:b4oIJCEo
俺はハナからノンちゃんにスッポンディフェンスをかます気満々だった。
というか極端に人見知りなノンちゃんも友達があんまりいないというか話せる奴が俺くらいなので
自然とそんな感じになるのだ。

酒も入り、俺は酔ってもいないが酔ったフリをしてノンちゃんに聞いていた。
「あのさ、高杉(彼氏)と付き合ってるよね?」
ノンちゃんは「そうだよ」と答えた。
「どういうところが好きなん?」
と聞くと「うーん・・・」と考えこみだした。
ノンちゃんはかなり酔ってそうな感じなんで普通に受け答えができなかっただけかも知れない。
そしてしばらく考えた後に「私を好きなことかな」なんて答えた。

俺は頚椎くらいまで(俺もお前好きだし!)と出かけたが、
ノンちゃんは「誰かさんと違って」なんて嫌味たっぷりで言った。
俺は苦笑いをするしかなかった。
俺は「いい奴なん?」と聞いた。
その頃は酔った演技をするのも忘れていた。
するとノンちゃんは「分からない」と答えた。

ハァ?とでかかったが、女なんて皆そんなモンなんかねと思い。
俺は「ふーん」と言うだけだった。
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:43:27.35 ID:b4oIJCEo
酒はオーケーでも人ンチなので、タバコはNGだ。

俺はタバコを吸う為に外に出て、月を見ていた。
綺麗な満月だった。
当時バイブルだった難波金融道で、

「三日月より満月よね、だって満月は人の心に刺さらないもの」

みたいな感じのことを市村朱美さんが言っていたが、それが分かる気がした。
すると向こうで話す人がいなかったのか、ノンちゃんがトコトコやってきた。
満月の下で見るノンちゃんは一段と可愛かった。
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:44:33.64 ID:b4oIJCEo
俺は市村朱美さんの言葉をまんまパクって言った。
「そうかもね」とノンちゃんは言った。
「私を月に例えたら満月?三日月?」なんて聞いてきた。
そこで俺は、どっちでもないと言った。
「じゃあ何?」と聞いたノンちゃんに
「月は俺の方。月って言うのは太陽に照らされてるデクノボウに過ぎんからね。ノンちゃんは太陽だったよ」
なんてことを言い出した。実はこれも難波金融道で金畑社長ってのが言った台詞なのだ。
うわー俺クセー。しかも引用元が漫画ってサミー。

なんて思ってたらノンちゃんはポカンとしてた。

は、はずしたぁ〜〜〜〜。
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:45:51.65 ID:b4oIJCEo
タバコも吸い終わったし、戻ろうと思ったらノンちゃんが後ろから抱き付いてきた。
ここでノンちゃんが「私をあなたを太陽にして!」とか言ってそれが今の奥さんです。
ってなったらうまくオチもついたけど、そうじゃなかった。

ノンちゃんは泣いてた。
俺はどうしていいか分からず沈黙。
「いっつも無責任なことばっか言って」みたいなことをチアノーゼを起こすかの如く
ひっくひっく言いながら泣いてた。

何か人の気持ちを弄んだみたいで自己嫌悪に陥った。
泣きはしなかったが泣きたい気持ちだった。
落ち着くまで部屋には戻れないので夜の道を散歩することになった。
ノンちゃんはずっと泣きやまなかった。
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:46:46.65 ID:b4oIJCEo
公園があったのでブランコに乗った。
俺は乗り物酔いが極端にひどく、あらゆる乗り物で酔うのだ。
ブランコとて例外ではなく、バッチリ酔った。

「ブランコ酔いした」と俺が言うとノンちゃんはようやく笑顔を見せてくれた。
落ち着いて話をしだした。

ノンちゃんは最初ほとぼりが冷めたら俺に謝ろうとしてたらしい。
でもそう思ってる時に俺とキサちゃんが一緒に帰ってるとことか見てたらしい。
そんで超やきもち焼いてたんだそうだ。しかも美人だったしムカついたんだそうだ。
それで高杉ってのにちょうど告られてたしOKだしたそうだ。
最初は冴えん奴だと思ってたんだけど案外男気もあって優しくて自分を好いてくれるから
好きになったんだけど、俺がノンちゃんチャチャ入れだしてから心が揺れだしたらしい。
こんな私ヤダとか言ってた。

俺こそそんな思いさせてゴメンと思った。
ハァ、マジで思い出す度に自分が嫌になる。
「じゃあこれからは友達になろう、これは友達からの意見、
よく知らんけどその高杉って奴を大事にしてやってくれ」
なんて言った。どんな奴でも俺よりゃマシだろ。

ノンちゃんは「ハイ」とか言ってた。なんで敬語やねん。
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:48:00.61 ID:b4oIJCEo
夜の体育大会も終わって気持ちの整理もついて、気分新たに受験モード。

なんせノンちゃんのことばっかり考えてたんで塾ずっとお留守だった俺。
自分で設定したカリキュラムをこなす為に一日18時間勉強を繰り返すことになった。
そうこうして1か月、キサちゃんの部活強制が解けた。

そこで俺本当に最悪だけど、これだけは話しておかなきゃならん!と思って、
キサちゃんに聞きたくないかも知れんけど聞いてくれと
クイズとかリサさんとかユウコとかノンちゃんのことを話すことにした。
娘十八番茶も出花って言うじゃん。
そんな大事な時間をこんなクズみたいな奴と過ごしていいのかい?と。
しかもキサちゃんと付き合ってたのにノンちゃんの気ひこうとしたりしてたよと。

まぁ馬鹿だったね、てか若かった。
「大事なのは過去じゃなくて現在と未来よ!」とか言って欲しかったわけさ。女々しいことに。
当然キサちゃんは聞きたくなかったわけで、その場では怒ってなかったけど
目に見えて凹んでた。帰った後にすぐにメールが来た。
「これからエッチしてる時も○○が他の人とエッチしてる姿想像しそうで怖い。別れよう」
みたいな感じだった。悲しくてみぞおちにボディブローを喰らったみたいだったけど
俺もこうなることも覚悟して言ったわけで別れることになった。
ただ最後は「ごめんね」じゃなくて「ありがとう」で締めました。
これが精一杯の誠意。
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:49:20.66 ID:b4oIJCEo
残すはいよいよ受験のみ。

高校の三年間はこの為だけにあると言っても過言ではない。
と自分に言い聞かせて、ひたすら勉強した。
今はセンター試験900点満点らしいが、俺の時は800点満点だった。
俺の志望校に受かる為には680点以上は欲しいとこだった。
しかし俺は○○大OPみたいな模試は得意でAかB判定だったが
センター形式の試験が滅法苦手でいつもはかったかのように640点程度だった。
二次試験の配点が高いから今思えば大したことないトリビアルだけど
受験生は物凄くナイーブなのだ。

うわー落ちる落ちるこえー。とか思ってた。
そんな中、キサちゃんからメールがあった。
「お久しぶりです。今何してる?」みたいな軽〜いメールだった。
「受験勉強だよ」とか返すと、「もし今度暇だったら勉強教えてもらってもいい?」とか来た。
キサちゃんは推薦だし、本気で何を考えているか分からなかったけど、
いくら自分が受験でしんどいからって昔彼女だった子の頼みを断るなんて日本男児として断じてできんったい!
「いいよ、じゃあ日曜ね」とか送っておいた。
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:50:27.22 ID:b4oIJCEo
ちなみにキサちゃんと別れてから二ヶ月後くらい。その間双方向からの連絡一切無し。

日曜ウチに来ることになった。
教えて欲しいってのは簿記のレポートだった。
いやいや、俺簿記とかやったことねーっすから!
とか思いながらも一緒に参考書を読みながら問題を解いていった。
いや、はて、しかしおかしいな。
勉強はできる子だったし、学校の課題程度で根を上げる子じゃなかったはずだが・・・
さてはこいつ、俺がまだ好きだなしめしめ。とかブラック俺が思い出した。
本当こういうところ直したい。

そんな妄想をしているとキサちゃんは携帯メールを打っていた。
俺はサッと携帯を取り上げて「誰?彼氏?見せて見せて」とか言ってた。
するとキサちゃんは超嫌がってバスケのヘルドボールの携帯版みたいな感じになりだした。

やべー、俺のことまだ好きなんかと勘違いしたけどこの反応ガチで彼氏じゃん!
いや、しかし彼氏だったら別に「ウン、彼氏だよ」でもよくね?
てか普通女の子はメール見られんの嫌がるよなぁ・・・うわぁ俺マジで最悪・・・
でもここまで来たら後にはひけんのじゃい!

「いやいや、携帯壊れるよ。彼氏だとしてもじゃあ勉強教えんよ
なんて言ったりせんし、怒ったり不機嫌なったりせんよ」
とか言って交渉をしだした俺。
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:51:30.62 ID:b4oIJCEo

そんなネゴシエーター俺の獅子奮迅の活躍もあり、
「じゃあ送信メールは見ないでね、受信メールだけならいいよ」
という確約を結んだ。

二人で顔をくっつけあってキサちゃん監視の元、粛々とメールを見ることになった。
今返そうとしていたメールは「今何してるの?」みたいなメールだった。
メールの送信者名は「○○豊」(どう見ても男の名前)だった。

その瞬間ふしゅーと空気が抜けていくような感覚に陥った。
そりゃ、キサちゃんもてるもんな、当然だよなアハハ・・・アハ・・
みたいな感じだった。最悪のアハ体験かも知れん。
メールを遡る内に雲行きがおかしい。
なんか「そっかーじゃあしゃーないなー」みたいのが多いのだ。

俺はもう辛抱たまらなくなって送信ボックスを見ようとした。
すると、絶対ダメ!とまた全力で止めにかかってきた。当然だ。
でもその顔がまたかわいくて麻薬絶対ダメ!のポスターに使いたいくらいだった。
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:52:22.25 ID:b4oIJCEo
ネゴシエーター本領発揮である。
この交渉術が大学で大いに役に立って行く或いは足を引っ張ることになるのだが、それはまた別の話。

とりあえず、時間をかけて誠意を見せることで見せてもらうことになった。
でもキサちゃんはちょっと泣いていた。ウワァーこいつマジさいってぇーと思った人も多いだろうが、
そうです、最低なんです。生まれてきてすいません。

送信メールと受信メールを繰り返して見ると、どうやら○○豊が付き合ってみたいなこと送って
最初はキサちゃんがOK出したけど、その翌日に断っているみたいな感じだったことが分かった。
その瞬間全てを悟った俺は、精一杯ニヤけるのを堪えながら泣いているキサちゃんに

「こいつどういう奴?」「付き合ったってことは気に入ったってことだよね?」
「やっぱ俺なんかよりかっこよくて、優しくて、キサちゃん大事にする奴なんやろ?」

とか言いまくってキサちゃんを精神的に追い込みまくった。
うわーこうして文字にすると俺最低のクズだな。しなくてもだけど。
キサちゃんは泣きながら首を振ったりするだけだった。

そこで最後に「でも、なんで振ったん?」と助け舟を出すと

「○○が忘れられなかったから」

ニヤリ
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:53:15.67 ID:b4oIJCEo
俺はもっと好きだよ!とか言って押し倒しそのままセックスをした。
事終わった後に、「改めて言います。付き合ってくれますか?」と聞くと
キサちゃんはまた泣いて首をブンブン縦に振った。

こんな感情を表に出す子じゃなかったけどなぁ、ようやく俺に心開いてくれたんかな?
なんてぼんやりと思っていた。
ひとしきり泣き終ったキサちゃんはかわいかった。いや、泣いてる時もかわいかったけど
なんかスッキリした顔で今まで以上に魅力的に見えた。

残すは受験のみ!
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:54:19.20 ID:b4oIJCEo
俺の行ってる塾は取り敢えず俺のようなクズみたいな奴ばっか集まっていた。

皆は屋上でタバコ吸って談笑してる時間とカラオケ行ってる時間のが長かった。
俺はカラオケとかに行きながらもセコく結構シコシコ勉強をしていた。
第一志望の大学に受かると思っていたので私立はセンター受験とICUのみにした。

そしてセンター試験、数学Bやってしまった。
忘れもしない大問2の(1)連立方程式立てて直線求めるだけみたいな問題だったのに
何故か解けず、更にファンヒーターの横という最悪のポジションだった俺は
熱さから汗がダラダラかいて30分くらい費やしてしまった。飛ばした時にはもう遅い。
半分もマークできなかった・・・俺理系なのに・・・。
自己採点貫禄の32点。多分俺の部屋で最低点だったと思われる。
しかし日本史と物理の満点、国語の高得点に助けられ採点が終わると640点程度だった。
とりあえず足切りにはあわないはず!

しかし強気になりきれない俺は後期の試験を数学の配点が少ない大学の学科を受験することにした。

前期試験・・・落ちました。
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:55:11.64 ID:b4oIJCEo
私立が決まっていた為、若干の余裕があったが、
それでもできれば折角全科目勉強したし、無駄にしたくないので国立に行きたかった俺は
後期を受けることにした。しかしランクを落としたことから若干イライラしていた。

さらにその国立に受かったとしても俺の県から遠いのだ。
当然キサちゃんは地元の専門だったので俺はそれが不満でしょうがなかった。
キサちゃんは「全然いいよ、○○が行きたいところ行ってくれたら」と言ってくれたが
第一志望落ちた時点でどっちも行きたいところではないのだ。

うーん、片道3時間余りかけて遠距離の大学生って大丈夫かよ。
受かってもいないくせにそんな心配をし出す有様であった。

ランクを落としたことと、俺の受けた時の試験問題が満点目指せるような後期試験だった為、
センターの傾斜配点勝負になり、後期試験は受かりました。

しかし時既に三月下旬、自分に一つの答えを出さねば・・・
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:56:15.55 ID:b4oIJCEo
俺は結局国立を選んだ。
様々な要因を考慮した結果だ。
きっとキサちゃんも分かってくれるだろう。

そして旅立ちの前日

そんな思いを胸に俺はキサちゃんに電話をした。

「俺、国立にした」
「じゃあ私四年間待ってる」
「いや、理系だし、多分大学院行くから6年だよ」
「え・・・」

ん?なんか雰囲気おかしいぞ?

「でもその間こっちちょくちょく帰って来るんでしょ?」
「そうだね、GWとか正月とかお盆なら」
「・・・」

俺はなんたる馬鹿だ。二つ返事で待っててくれるなんて思ってた自分が恥ずかしい。
しかも俺みたいな浮気っぽいクズが6年間も都会に出て何も無いと思わないはずがないではないか。
それは他ならぬ俺の口からキサちゃんに伝えたのだ。
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:57:09.68 ID:b4oIJCEo
長い沈黙。

俺は思った。このままではキサちゃんは確実に不幸になる。
その原因は他ならぬ俺なのだ。もー本当俺死にたくなる。

「遠距離はやっぱきついよね?」
「分かんない」
「そうだね、今までありがとう」
「・・・」
「俺はキサちゃんに会えて良かったよ」
「・・・うん」
「俺が大人になって奇跡的にキサちゃんに見合う男になってて、
これまた奇跡的にキサちゃんに旦那候補いなかった時、俺飛んで来るから」
「・・・・・・うん」
「ありがとう」
「こっちこそありがとう」



クズ野郎のグレートフルデイズ  第一部 完
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 15:57:54.44 ID:VKNjM1co
続き待ってるよ
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:04:00.30 ID:b4oIJCEo
>>78
ありがとう!
実は二部完結まではあるんだけど
色々修正しないといけないのでさっきより少し時間かかるんです><
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 16:05:09.38 ID:v3xkCQSO
結構面白かった。
かまわん、続けろ。
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:07:02.23 ID:b4oIJCEo
>>80
ありがとう!続けさせて頂きます。
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:08:09.43 ID:VKNjM1co
>>79
更新クリックしまくりながら見てた自分がいたよ
楽しみに待ってるからごゆっくり
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:14:48.77 ID:b4oIJCEo
>>82
ありがとう!ちょっとメシ買ってきてから修正加えながら貼るので遅くなります><
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:27:21.47 ID:b81gzgAO
楽しく読ませてもらってます!
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 16:29:53.41 ID:v3xkCQSO
>>1
今歳いくつ?
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:36:54.34 ID:b4oIJCEo
>>84
ありがとう!励みになります!

>>85
20中盤です


それでは第二部「関西地獄変」スタートです。
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:38:46.88 ID:b4oIJCEo
キサちゃんと別れ、寂しさを感じながらも俺は新天地関西へと向かった。

行きの飛行機の中ではミッチーこと及川光博の「展望デッキー夜間飛行ー」を中耳炎になるほど聞いていた。
今みたいにMP3プレイヤーなんてものは無い。時代はMDだ。

やりかけの恋を残して 生まれた国へ飛ぶ翼
別れ際の言葉 意味が分からないまま
切りすぎた髪の分だけ 幸せになればいい
よく似合うよ とてもよく・・・似合うよ・・・

ちょっと歌詞書いてて思ったけど、コレって地元帰る時の歌だよなぁ。
まぁ細かいことはどうでもいいのだ。

俺は大学に行くにあたってストイックにも自分に次の三つの戒律をつくっていた。

1.サークルには入らない
2.勉強はキッチリやる
3.本気で女を好きにならない
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:39:40.20 ID:b4oIJCEo
戒律をつくりながらも新天地にワクワクしている俺もいた。

関西と言えば都会だ。ど田舎出身の俺からすれば別世界に違いない。
きっと俺の知らないような楽しいことや気持ちいいことが待っているに違いない。グヘヘ。

それに加えて代ゼミの荻野先生(ぉーんの人)は
「大学なんて遊園地みたいなもんなんだからぁー、ぉーん」と言っていたのを俺は記憶していた。
俺はその言葉を鵜呑みにして後に痛い目に遭うのだが、それはまた後の話。

俺は絶対に関西で遊び倒してやる!と決意していた。

参考URL:オギノラップ(ttp://www.geocities.jp/mozi1129/flash/ogino-l.html
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:40:39.14 ID:b4oIJCEo
初めての一人暮らしが始まる。

後期入学の為、到着してすぐに入学式が始まるが、まずはバイトを探さねば・・・
俺はバイトを探すことにした。

地元に居る時は、バイトを探す時は募集してそうな店の貼り紙を見て電話をかけるか、
地元密着型情報誌(有料)を買うしかなかった。

しかし、こっちに来るとタウンワークがあるじゃないか!しかも無料。
これはおいしいおいし・・・ってエーッ!募集してるバイト多っ!

さすがは都会。俺は来て早々関西の洗礼を受けた気分だった。

若い人間が興味を示すのは高時給バイトである。
俺は人にモノを教えるのが結構好きで、先生になりたいと言う願望が密かにあったので、
家庭教師、塾講師バイトの面接を受けに行くことにした。一石二鳥でしょ?

しかし、これらのバイトは超時間勤務が不可能である。
超時間いけそうな奴なんか一個やっとこーと思った俺の目についたのは
「プロバイダ営業」であった。

なんと時給2000円。

勤務時間とか業務内容とか全く見ずに、
俺は携帯に向かって「タウンワーク見てお電話させて頂いたんですけど」とか言っていた。
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:41:56.48 ID:b4oIJCEo
「今から面接大丈夫ですか?」と聞こえて来る。
益々怪しくて、今の俺なら迷わず通話を切っていたが、
田舎モンの俺は怪しいと露ほども思わず、むしろ、

うっひゃー!話がはえぇや!さすが都会!
とか思っていた。

実家から送った原チャに乗って、その会社に面接を受けに行くことにした。

面接に行くと、もう既に一人がその場で面接を受けていた。
採用担当の人は二人いたが、ハンターハンターのグリードアイランド編のベラム兄弟ってのにそっくりだった。
俺は、(あいつに決まって俺採用されんかったらどうしよ・・・)とか思っていた。

しかし、そんな心配は全く必要無かった。
俺はそいつの隣の席に案内され、座ると、採用担当の人はいきなり業務内容を説明しだした。

俺は都会ってみんなこんな感じなのかもと思い取り敢えず内容を聞いていた。
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:42:58.83 ID:b4oIJCEo
ベラム兄が説明をし、ベラム弟は終始黙っていた。

ごちゃごちゃと長かったが、説明を要約すると、
「街頭で話しかけてインターネット接続の契約を取り付けろ」
ってことだった。昔ヤフーとかやってたのとは違う聞いたことないようなプロバイダだった。

俺は内心、それだけでいいの?それで時給制?ラッキー。
とか思っていたが、ベラム兄は続けて言った。

「ちなみに一日一件も契約がなかった場合時給の80%カット、一件だったら60%、二件だったら40%、
 三件だったら時給通り支払って、更に交通費を支給します。五件達成した場合は特別賞与一万円をつけます」

今思うと労働基準法とか大丈夫なのか?ってシステムだが、当時の俺は
「さらに一万円ももらっていいんですか?」とかマジで言っていた。
ベラム兄は苦笑いで「なかなか五件は難しいからね」と言っていた。

もう一人の男は「やっぱり今回はやめときます」とか言って帰って行った。
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:44:07.68 ID:b4oIJCEo
俺は早速翌日からバイトを始めることになった。本当に話が早い。
一日でマニュアルをなんとか頭に叩き込んだ。
マニュアルにはこういう言葉は使ったらダメとか、こういった勧誘の仕方はダメみたいなことが山ほど書いてあった。
さらにキャンペーン内容など覚えることは腐るほどあった。

ベラム兄は、最初は経験者の人とペアだから大丈夫と言っていた。
現地に行くとベラム弟がいた。

このベラム弟、歯が明らかにシンナーでごっそり溶けてるような感じで、滑舌が悪すぎてマジで何を言ってるか分からなかった。
それゆえ面接の日(とは言っても業務説明と給料の振込み口座書いただけ)は一切喋らなかったのだ。

滑舌の悪さを文字で表すならば、
「お前今日ちゃんと来たんか?」が
「ほふぁえほーひゃんとふぃふぁんふぁ?」
みたいな音声で出力されると思ってくれれば幸いである。

ベラム弟は続ける。
「ほーひほひほほうはひょうひゃひゅみふぁふぁらふぁふぁらんふぉほあっふぁふぁひぇんふぁ」
そして携帯を出していた。3回くらい聞きなおして分かった。

「もう一人の方は今日休みだから分からんことあったら電話(よこせ)」

そしてベラム弟は白いミニバンに乗り去っていった。
かくして俺一人の奮闘が始まったのである。
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:45:21.68 ID:b4oIJCEo
「○○いかがですかー?」
と叫んでいても話を聞いてもらえるわけはない。

当時、ライバルだったヤフーBBならばそれでも話を聞く人間がいたが、
こっちは弱小プロバイダ、話を聞いてもらえるわけがない。

俺は積極的に話を聞いてもらえそうなオバサンやオッサンに声をかけていた。
「あ、お家でインターネット接続されてらっしゃいますか?」

「あら、どんなの?」
一人のオバハンがヒットした。

俺は叩き込まれたマニュアル知識をフル活用し、この紙に必要事項を書いてもらえば、
業者が家に工事に行くので、一週間程度でインターネットが可能になるという旨を伝えた。

しかし、当時の俺は髪が長く、さらにアッシュの入った明るい茶色。
そんな兄ちゃんがいう契約書にサインするなど当然怪しさ大爆発であり、オバハンはひいていた。
結局何人かに話は聞いてもらえたが、契約者は0のまま昼になった。

ヴーンヴーンヴーンヴーン
携帯だ。

「はい」
「ふぃふぃふぃふぁふぇふゅーふぇー」

一時まで休憩だそうだ。
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 16:46:44.88 ID:v3xkCQSO
20中盤か。じゃ社会人まであるんだな。
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:47:01.49 ID:b4oIJCEo
休憩が終わる。
一件も契約をとっていない俺はちょっと焦っていた。
オッサンとオバハンからターゲットを青年とお姉さんに切り替えることにした。

俺は基本的に後ろからおっかけて声をかけていた。
スーツ姿の男性に後ろから声をかけると、振り向いたらどう見てもカタギじゃない顔の青年がこっちを向いた。
や、やってもたー。しかもその青年は話を聞く気満々で足を止めていた。

こうなった以上、後にはひけない。
プランの説明など等々を説明していると、超こっちを睨んで無言でどっかに去っていった。こえーこえー。

そんなプチハプニングが起こっている最中、ライバルヤフーBBが俺のすぐ横で
「ヤフーBBいかがですかー」とか言い出した。おい、場所を考えろ。
さらにヤフーBB側は「只今契約の方にこのパンダのヌイグルミをプレゼントします」とかやってやがる。
向こうは知名度の高いヤフー、さらにパンダのぬいぐるみ。こっちが勝てる要素が0になった。
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:47:54.97 ID:b4oIJCEo
かなり凹んでいると、ヤフーBB側の責任者(?)ぽいオッサンを三人くらいのニーちゃんが囲みだした。
話の内容も聞こえてきて、「誰に断ってここでやっとんねん」とか言われていた。
ヤフーBB側は速攻移動の準備を始め、遥か彼方へ消えていった。

ヤフーBBは三人PTで責任者、バイト♂バイト♀みたいな感じだったが、俺は一人だ。
俺は内心超ビビりだした。
(俺んとこ来たらどうしよう)

すると、ニーちゃんの内の一人が、こちらに歩いて来た。
え?え?え?

ニーちゃんは俺に向かって話しかけてきた。

「おっちゃんのとこの人やろ?」
ニーちゃんは俺にそう言った。



>>94
そのつもりです。
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:48:59.48 ID:b4oIJCEo
多分おっちゃんとはベラム弟のことだろう。俺は「ハイ」とか言っていた。
ニーちゃんは「見たことないけど今日初めての人?」と聞いてきた。
俺は「そうなんですよ、本当は先輩と一緒に入るはずだったんですけどその人が休んだんで僕一人なんです」
とか答えた。ニーちゃんは
「朝から見とったけど、初めてなのに頑張ってんなー」
とか言ってきた。俺も大分打ち解けてきて、
「いやー、まだ一件も契約とってないんですよ」
と言うと、ニーちゃんは
「いや、初めてで一人でこんだけできる奴は初めて見た、すごい」
とか言っていた。その後も30分程トークをしていたのだが、
俺はついつい調子に乗って、「何やってる人なんですか?」とか聞いてしまった。

聞いた瞬間、やってもた!と後悔した。
ヤクザ屋さんだったらどうしよ・・・。
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:52:04.19 ID:b4oIJCEo
ニーちゃんは名刺を取り出して俺に渡した。
名刺には「ファッションエステ○○ 吉本○○(仮名)」と書いてあった。

「へー、吉本さんエステやってるんですか?」
と聞くと、吉本さんは
「いやいやキャッチ」と言っていた。

説明するまでも無いかも知れないが、キャッチとは道端で女の子に声をかけて
オチンチンマッサージのお店などで働かせるという仕事だ。
当時の俺は分からなかったので、吉本さんに聞いたのだが。

「今日はどんな感じですか?」と聞くと
「全然ダメ」と言っていた。その後もしばらく談笑し、吉本さんは仕事に戻った。

この人に比べればインターネッツの勧誘なぞチョロイもんではないか。
俺はターゲットを絞らず、声をかけまくることにした。
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:53:13.42 ID:b4oIJCEo
さっき書き忘れたが、声をかけて足を止める人はめっちゃ少ないのだ。
体感で1/50くらい。そんな中、俺と同い年くらいに見える若いネーちゃん二人組が足を止めた。

俺はプランの説明とかしてると、
「大変やねー」とか言ってくれたので、俺も思わず
「本当大変なんですよ、僕今日始めてですし、本当はもう一人経験者の人来るはずだったんですけど、その人休みなんで」
とか言っていた。ネーちゃんは「学生さん?」とか聞いてきたのでそうだと答え、
「お二人は何されてるんですか?」と聞くと、二人も学生だと答えた。

しかし、彼女らは高校生だった。なんだよ、年下じゃねーか。
てか高校生やのにそんなメイクして巻っき巻きの金髪ってエーッ!

年下だと見るや否や途端にタメ口になった俺はしばらくネーちゃんと談笑することになった。
俺はモノマネのレパートリーが100近くあり、地元ではかなり好評価だったので、すかさずモノマネをかましたりしていた。
結構ウケていたので、調子に乗った俺は言い放った。

「ところで家でインターネットつないでる?」
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:54:26.34 ID:b4oIJCEo
二人ともインターネットはつないでないらしい。
これはイケる!と思った俺は、本来未成年は契約は無理なのだが、本契約は後日実家に送った書類の返送でやるし、
家の人が反対した場合はキャンセルもできるからと言う旨を伝え、契約をせまった。
本契約が無理で仮契約でも時給くらいは支払われるだろうと視野に入れた巧妙かつ斬新な作戦だ。

既にそいつらに時給システム等も話し、5件達成したらメシくらい奢るからと言うと
片方の女の子は仮契約してくれた。もう片方はしてくれなかった。
ようやく一件達成。

その日は結局その後契約はなかった。
こんだけやって時給800円ってコンビニのがええやんか。

しかし、一週間も経つと、俺は営業慣れしてきていた。
毎日入っていたのだが一日アベレージ二件は契約をこぎつけるようになっていた。
ちなみにその間ずっと一人だった。

バイトを始めてちょうど一週間、一度事務所に来るように言われた。
事務所に行くと、ベラム兄が俺に話した。
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:55:23.52 ID:b4oIJCEo
「頑張ってるね、ちょっとインターネットの営業以外もやってみない?電話の営業なんだけど」

俺はかなり興味があったので、話を聞いてみると、
まずクジを引いてもらって、おめでとうございます!一等が当たりました!
みたいなことを言って、今ならこの携帯が契約できます!みたいなことを言って
あくまでも納得させた上で契約を結ぶってバイトらしい。

まず給料がどんな体系なのか聞いた。
すると、完全歩合制で一件につき10000円支給らしい。
怪しいことこの上ないが、一応当時法律的には完全に白だったらしい。

興味全開の俺はとりあえずやってみることにした。
しかも今回はちゃんと経験者と二人組でやるらしい。
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:56:41.62 ID:b4oIJCEo
その翌日、近くの駅で経験者と待ち合わせをした。
経験者の吉原さん(仮名)は、パッと見た印象が阪急梅田にいたら5、6人は見つかりそうな人って感じ。

吉原さんはこれから滋賀に行くと言っていた。
滋賀って遠っ!初めて行くっての。
俺がアホヅラ下げて滋賀行きの切符を買おうとしていると、吉原さんは
「120円の切符で大丈夫やで、俺知ってる駅やったらそれで降りれんねん」
とか言ってきた。

いやいやいや、18にもなってキセルなんてやりたくないっすから。
俺は普通に切符を買った。
滋賀のある駅につくと吉原さんはフェンスを乗り越えていた。どんだけー。
そして俺達が着いたのは某ビデオチェーン店グループだった。
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:57:38.37 ID:b4oIJCEo
吉原さん曰く、そのビデオチェーンの人だと言ってはいけないが、
そう思わせて契約をとるのがポイントなんだそうだ。
これって詐欺なんじゃないの?とか思っていたが、吉原さんは
「只今当店ではキャンペーンを行っておりまして・・・」
とかゴリゴリ言っている。こ、この人やべぇー。

こんなん書いたらそんなんひっかかるわけないって思うじゃん?
それが当時は俺俺詐欺も給付金詐欺もないし、詐欺に対する警戒心が薄く、
一日5〜10人くらいは必ずひっかかっていた。

吉原さんは見かけは冴えない感じだが、肝に毛が生えているような人で、
ゴリゴリ契約をとっており、一日20件越えの記録も持っていたらしい。
うはぁーすげー。

しかし俺はどうしても「騙している」という感覚が強すぎる為、どうも慣れなかった。
そんなこんなしながら初講義が始まりつつあった。
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:58:38.47 ID:b4oIJCEo
入学式には一応参加したが、俺はあのサークルという奴が当時から大嫌いだった。
入学式に行くと、とりあえずサークルの勧誘がうざいのだ。
俺は渡した奴の目の前でビラを破るなど、最低な行為などをしながら歩いていた。
いや、本当今思うと大学生なんてまだガキなんだからひどいことしたもんだ。死にたい。

馴れ合って群れやがってチキショー。
楽しそうでいいなぁ、でも入りたくはないって感じだった。

初講義になる。

初対面の人間に話しかけるのはバイトのおかげで幾分か慣れてきたが、
何を話そうか、とにかく話題がない。
いきなりインターネットの勧誘をしたら俺はただの変人だし、
おめでとうございます!この携帯が当たりました!なんて言ったら警察かブラックジャックを呼ばれるだろう。
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 16:59:30.63 ID:b4oIJCEo
そんな妄想をしながら授業を受けていると、二週間丸々友人はできなかった。
周りの奴はもう仲良しグループつくってんのに。
さらにサークルにも入らなかったので、本当に孤立していた。
でも高校時代のガチ孤立よりはマシだ。とりあえず嫌われてはないんだから。
余りの寂しさから高校時代の塾の友人にベランダで電話をかける毎日だった。
するとそいつもそうだと言った。

俺は原チャでキレイな夜景スポットを探すことにハマり出した。
夜中で夜景を見ながらコーヒーとタバコで一服するのだ。
夜景を見ながらいると、自分がなんてちっぽけな人間なんだろうと考えさせられた。
よし、明日は友達をつくるんじゃい!

思い立ったら即行動!
早速近くの席に座った奴に話しかけるとそいつは俺の地元の隣県の奴だった。
方言トークなんかで盛り上がり、その日はそいつとそいつの友人と飲みに行くことになった。
こうやって少しずつ友達を増やしていくのじゃ!とか思ってた。
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:01:05.11 ID:b4oIJCEo
そんなこんなしていると、ある日、クラスの奴が学科全体で飲み会しませんか?なんて紙を回し出した。

互いが互いを牽制しあってる中、エラい!とか思いながら
アホヅラ下げて出席にマンコマークを書きそうになっていた。
男子のみならその程度のパンチは効かすべきだったが、ウチの学科は理系ながら全体の3割程度は女子なのだ。
そんなことをすると、俺の地位がヤバイ。
すんでのところで思い留まり、おとなしく○を書いた。

飲み会が始まる。

いや、やっぱ関西人すごいわ。全員が明石屋さんまかと思うくらい喋る。
そしてウィットに富んで面白い。中にはプライドだけ関西人もいたけど。

*プライドだけ関西人とは
関西人であることから自分は面白いと勘違いしている人を指す。
同じ関西人にも嫌われている一言で言うとマジでいらない存在。
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:03:12.59 ID:b4oIJCEo
皆各々のテーブルで盛り上がり、飲み会は大盛況だった。
その後、グループごとにカラオケなり花火なり飲み屋なりに別れて行った。

俺はカラオケが鬼のように好きだったので、カラオケにノコノコ着いて行った。
当時、going steadyがめちゃめちゃ流行っており、俺は「もしも君が泣くならば」を歌っていた。

誰も君のことを 悲しませたくない
誰も君の泣き顔 見たいなんて思ってない
胸の中にある気持ちを 決して恥じることはない
人間なんて誰だって駄目なんだ

なんとなく悲しいやら懐かしいやら複雑な気分になった。
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:04:19.87 ID:b4oIJCEo
そのカラオケの喫煙所で同じ学科の池田という奴に知り合った。
池田(仮名)はなんかニコニコニコニコしてて、全然喋らない奴だ。
割とモテそうな感じなのだが、他の関西人と一線を画しており、本当喋らない。
んで、口を開くとなんかメチャメチャかっこいい声なのだ。

カラオケが終わると、我々はそれぞれ下宿生の家に泊まることになった。
そこで池田の友人じっちゃん(仮名)と知り合った。
池田もじっちゃんも関西人である。じっちゃんは下宿生だが。
この二人とは大学研究室に入るまで、ほとんど一緒に行動することになる。

じっちゃんの印象はなんか目つきの悪い奴だなぁという感じだった。
こいつも池田に輪をかけてあまり喋らない。
珍しい関西人だ。
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:05:34.54 ID:b4oIJCEo
学校で話す奴が固まってきたので、俺は学校に行くのがそれほど苦では無くなっていた。
夜景スポットなどはほとんど行かない。それでもたまに行っていたのは今考えても不思議だが。

そうこうしていると、ある日、じっちゃんが麻雀やる人?と聞いてきた。
俺は友達に教えてもらってルールを知っている程度で符計算すらできない初心者だったが、
じっちゃんがやりたそうな顔をしていたので、「一応やるよ」とか答えた。

すると、早速その日、麻雀をやることになった。
本当関西人は話が早いぜ。

じっちゃんはビーちゃん(仮名)という男の家に俺を連れて行くことになった。
じっちゃんは「ビーちゃんは永遠のカモやから安心してくれ」とか言っていた。

ビーちゃんの家に着くとそこにはダル(仮名)という奴がいた。
ビーちゃんもダルも地方出身者で特にダルも俺の隣県だったのだ。
またもや方言トークで盛り上がった。俺方言の話ばっかだな、とか思っていた。
ダルは同じ学科、ビーちゃんは別学科だ。
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:07:24.54 ID:b4oIJCEo
麻雀が始まると、俺はそんなにうまくないのにビーちゃんがボロ負けしていた。
結果ビーちゃん一人負け、他三人浮きだった。
それに味を占め、俺とじっちゃんはその後、様々な場所に麻雀に繰り出すようになっていた。

そんな中、事件が起こった。

俺のやっていた営業バイトの給料が振り込まれていないのである。
この営業バイトは入りたい日の前日に事務所に電話をかけ、
いける場合は翌日の場所が指定され、いけない場合はまた今度っていうなんともアバウトなバイトだったのだが、
最近はあまり顔を出していなかった。

俺はおかしいなと思い、即座に事務所に電話した。
つながらない。

事務所の場所は知っていたので、事務所に行った。
鍵が閉まっていて誰もいない・・・

速攻で吉原さんに連絡をとると、吉原さんも給料が振り込まれていなかったらしい。
結果から言うと夜逃げらしいです。給料未払いのまま逃げやがりました。
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:08:22.02 ID:b4oIJCEo
バイト代およそ13万円は支払われず、俺は新しいバイトを探す羽目になった。
家庭教師は個人契約でなければ時給が安く、また時間も入れない。
塾講師は募集しているところが極端に少ない。

うーん。

と悩んでいると、ゲームセンターの求人があった。
これだ!と思った。時給は普通だが、ゲーセンって楽そうじゃん?
更に俺はゲームとゲーセンが超好きなので正にピッタリだと考えた。
すぐさま電話!面接に行くことになった。

面接に行くと、バイトなのに意外にちゃんと面接された。
中川家礼二クリソツの支配人に色々聞かれた。
バイト如きで志望動機なんか聞かれたのは後にも先にもここだけだ。
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:09:26.43 ID:b4oIJCEo
履歴書も嘗め回すように読んでいた。
俺は趣味・特技欄に「ものまね」と書いていたので、礼二は当然突っ込んできた。

俺は数あるレパートリーの内から、完成度が高く、尚且つ礼二の年齢に合わせて
「井上陽水」をチョイスした。

爆笑する礼二。これはもらったな。
バイトなのに、その場で採用を決めるのではなく、連絡は一週間以内に郵送でと言われた。
採用通知が届いたので、俺は晴れて採用となった。
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:10:37.10 ID:b4oIJCEo
俺の今までのバイト経験は、海の家、ファミレス、小料理屋、営業の4つだ。
その全ては同年代の人間がおらず、バイトで友達ができるなんてことはなかった。
せいぜいおっさんとかオバハンに好かれて終了である。

しかし、ゲーセンなら友達はできそうだ。若い奴多いだろ。
若干の期待を持ってゲーセンへと行った。
このゲーセンはかなり大きく8階立てとかのビルなのだ(駐車場含む)
これだけで察しのいい人はどこか分かるかも知れないが・・・
なのでバイトはめちゃくちゃ多い。全員合わすと100人以上はいたと思う。

研修をやるから来いとの指令がでていた。
研修に行くと、接客の仕方なるビデオを見せられた。

へ?ゲーセンなのに接客?
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:11:46.97 ID:b4oIJCEo
分からない人の為に説明しよう。
ゲーセンに行ってUFOキャッチャーをやっていると店員が来て
ぬいぐるみの位置を動かしてもらった経験はないだろうか?
あれが「接客」である。

別に契約書を交わして守秘義務を結ばされたわけじゃないので書くが
ゲーセンはPB(ペイバック)率という数値に沿って営業をしている。
ペイバック率はそれぞれの店で決まっており、それに沿ってメダルとかも払い出されるのだ。
メダルゲームのような機械ならば、PB率を設定しておけば勝手に調整してくれるが

UFOキャッチャーはそうはいかない。
何らかの手を加える必要があるのだ。
以前は、PB率に達した時、キャッチャーのアームの力を強くすることで
取れるようにするというエゲツない営業だったらしいが、そんな受動的なやり方は今やどこもしていない。
店員がPB率に達するまでお金を使わせるように調整しているのだ。
その為のぬいぐるみ移動ね。
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:13:09.62 ID:b4oIJCEo
今ゲーセンに行くといかにも取れそうだけど取れないぬいぐるみが多くある。
あれ実は既にマニュアル化されている綿密な計算の元、絶対取れないように調整されているのだ。
お兄さんやお姉さんが何気なくぬいぐるみを移動させるが、あれも実はお金を使うまでは
絶対にとれる位置に置くことはない。
仕事熱心じゃない奴と下手クソはたまにヘマをやらかすが。

ゲーセンの景品は風営法でたしか700円までと決まっている。
ほとんど景品は限度額の700円なのだ。
ウチの場合はPB率たしか30%なので2000円使うまでは取らせてはならない。
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:14:10.26 ID:b4oIJCEo
しかし考えて欲しい。

UFOキャッチャーをして、店員が取れ易い位置に動かしているのに
10回もやって取れずとなると普通怒るよね?
これがめっちゃ怒るのだ。
熱心な店員ほど殴られたり、胸ぐらつかまれたり、罵声を浴びせられたりするのだ。
それゆえ、入って一週間程度で辞めるバイトも多く存在した。
その追加補充で俺が採用されたのだ。

ウチは社員の人が利益率悪いとすぐに1時間とか説教するような店舗だったので
1か月続く奴は10人に1人くらいの割合だった。
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:15:07.93 ID:b4oIJCEo
俺は研修後、早速接客に取り掛かることになった。
元営業バイトだったので、抵抗無く話しかけることができるが、
如何せんUFOキャッチャーがド下手だったのでミスを連発した。

このままじゃイカンと思い、授業をサボって
客の少ない平日昼間にバイトをして、サービスボタンを押して何度も何度も練習をするようになった。

そんな姿をバイトの先輩山田さん(仮名)が見ており、俺に一言言った。

「練習してても売り上げ全然上がれへんで」

なーんて嫌な奴だ。
文字にすると分かりづらいが、練習している暇あったら接客しろってことだ。
俺は接客する為に練習してんのにうっせー!しかも客おらんやんけ!と思っていたら
二人いた。熱中しすぎていた。すんません。
てかお前こそ接客いけよ。
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:16:19.19 ID:b4oIJCEo
その日からチョイチョイ山田さんは俺にちょっかいを出すようになっていた。
これがびっくりするくらい嫌味ばっかりなのだ。ちなみに山田さんは男だ。

ある日、普通にバイトをしていると山田さんが超ガラ悪そうなおっさん3人組に絡まれていた。
おっさんはかなり酒臭く、ややこしい感じ満載であった。

普通そういうややこしい客が来るとインカムが入ったフリをして逃げるのが常套手段だったのだが、
インカムは人数分用意されておらず、早いモン勝ちなのだ。
山田さんはインカムを付けていなかった。

ざまーみろ。その内社員さん来るだろ。

そう思っていたが、
いやいやしかし、明日は我が身だし、こういう時はカットイン入れてフォローしないと山田さんは解放されない。
更にお客さん全員が帰らないと店を閉めれない。

俺は山田さんのとこに歩いて行き、おっさん達の前で言った。

「山田さん、インカム入ったんですけど赤井さん(社員の人:仮名)呼んでましたよ」
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:17:16.36 ID:b4oIJCEo
山田さんは逃げるようにエレベーターに乗り、逃げていった。
よしよし、と思っていると、次は俺のターンだ。
「コラ、兄ちゃん何勝手にアイツ帰してくれてんねん」とか言っていた。
俺は慌てず騒がず何があったかを聞き、それに対して謝って、
ものまねレパートリーを披露することで事無きを得た。

閉め作業をしていると山田さんが俺のところに来た。

「さっきはありがとうな、ラーメン奢るわ」

断る理由もないので奢ってもらうことにした。
ラーメン屋にいると、山田さんは色々と俺に話した。

山田さんは本業は調理師らしい。
しかも働いている店はマリナーズの佐々木とか元横綱も来たようなかなりお高い店なんだそうだ。
とりあえず山田さんは俺が嫌いだったらしい。
ウチのバイト先にウチの大学の奴はいなかった。てか大学生自体少なく、ほとんどがフリーターだった。
そんな中、目つきが悪く、髪も茶色で生意気そうな顔した大学生が入ってイラついてたんだそうだ。

山田さんは「お前も俺のこと嫌いだったやろ?」とか言ってきた。
まぁ確かにそうだったんだが、今となればもう過ぎたことだ。
「いえ、そんなことないですよ」とか言っていた。
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:18:15.00 ID:b4oIJCEo
山田さんは翌日仕事が休みだったので、酒を飲みにいくことになった。
色々話していると、本当に深く考えている人で勉強になる話は多かった。
それと共にちょろっと嫌味言われたくらいでその人を判断しようとしていた自分が恥ずかしかった。
俺も高校時代の話とかして話題が尽きることはなかった。

そんな山田さんは一回ゲーセンのバイト全員でバイトをサボってみたいと言っていた。
ウチのゲーセンはバイトこそ多いが、社員さんは常時三人体制と少ないのだ。
しかもその三人は別業務が山積みで、フロアにでてくることはない。
フロアは最低8人程度必要だ。
確かに社員さん達がどうでるか見てみたい。

「いつかやりましょうよ」と言ってその日は別れた。
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:19:06.20 ID:b4oIJCEo
俺はバイトばかりしていた。
バイトの仲間ともそこそこ仲良くなっていき、大学の友人も着々と増えていたので、
友達の少なかった高校時代とは比べものにならない程友達は増えた。

そんな中、池田が友達とコンパをすると言っていた。
俺は当然の如く速攻で参加の意思を表明した。

コンパのメンバーは
俺、池田、じっちゃん、トミー(仮名)、ガワ(仮名)、他二名の7名。
相手も7名という超大規模合コンになった。
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:20:14.70 ID:b4oIJCEo
コンパに向かうと、かわいい子が1名、普通の子が2名、ブス4人という
世の中を縮図で表したかのような構成だった。
彼女らは関西の女子大の一年生だった。

かわいい子(シップス:仮名)、普通の子A(ナオちゃん:仮名)、普通の子B(ガンタンク:仮名)
に人気が集まり、男性陣はこの三人以外と全く話さないという残酷な構図がとられた。

しかし、俺は女の子が、
「大学に入ったら色んなことがあるんだろうな、ワクワク」
「コンパに行ったら素敵な出会いとかできるかも、ワクワク」
とか思って大学に入ってコンパに来たのに、
まさかほっとかれっぱなしで帰るなんて可哀想で仕方がなかった。
俺が女なら100%家で泣く。

なので、一人で誰も話さない4人と話していた。
この性格のせいで後にブス処理班と名付けられるのだが、それはまた別の話。
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:21:12.96 ID:b4oIJCEo
そんな様子を察したナオちゃんもこっちの話に混ざってきた。
ナオちゃんはなんと俺と同郷であった。
知りあいのいる中学校だったので、そいつを知っているか聞いてみると、
そいつは今捕まって少年院らしい。

やってもた・・・

これが原因で元ヤンキーであることが全員に知れ渡ってしまった。
話題がないことからブス4人+ナオちゃんが話を聞かせてとかしつこく言って来るので
ライトな感じのエピソードとヤンキーにもいい人はいるみたいなエピソードを語った。
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:22:11.95 ID:b4oIJCEo
その後、全員でカラオケに行ってコンパが終わった。
俺と池田とじっちゃんはじっちゃんの家に行った。

これは本当理系男子のきしょいところなのかも知れないが、
俺達がはじめに行ったのはコンパの好感度調査だ。
1位3point、2位2point、3位1pointで勝った奴は酒を奢ってもらうというゲームをしだした。

俺は内心、圧勝する自信があった。
ブス処理班は伊達じゃない!

しかし1位は池田だった。なんじゃそらー!
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:23:15.11 ID:b4oIJCEo
その後、じっちゃんとシップス、池田とナオちゃんが付き合うことになった。
俺は誰とも特に連絡をとらず(最初はシップスにゴリゴリいっていたが)
大学一発目のコンパは楽しいイメージで終わった。

しかし、じっちゃんと池田は兵藤会長ばりにまだまだ欲しがっていた。
男なんてマジでこんなもんですよね。
それから池田の入っているサークルのつてからコンパをしまくる日々が始まった。

俺はバイトもあり、断ることもあったが、じっちゃんと池田は
金曜土曜日曜全てコンパで埋める週とかもあるくらい狂ったようにコンパに行った。

池田はどうにかして付き合わずにセックスがしたいと考えていた。
じっちゃんは一回の合コンで一回は付き合ってくれと言っていた。
お互い彼女いるのに。
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:24:23.66 ID:b4oIJCEo
ある日、他の学科の奴に誘われたコンパでの出来事である。
その時、反町(仮名)という男がいた。
こいつと俺は余り接点がなく、こいつは池田の友達である。
じっちゃんが来れなかったので、反町の友達3人と俺と池田の5:5だった。

反町は物凄く面白い奴で酒が入ると95%くらいの確率で脱ぐ。
その日も脱いでいた。女性もいるのでパンツ一丁で自重していたが。

また、酒癖がめちゃめちゃ悪くすぐ人に絡む。
俺は知り合いが池田だけなので立ち回りに困っていると反町が絡んできた。
今思えば俺がつまんなそうにしていたから気を使って声をかけてくれていたのだが、
当時の俺にはそれが全く分からなかった。

反町は「お前も脱げや」とか言ってきた。

俺はほぼ初対面なのになんてうざい奴だと思い、「嫌だ」と言っていると、
反町は無理矢理脱がせようとしてきた。

その瞬間ブチ切れた俺は「お前[ピーーー]ぞ!表出ろや!」とか
ちょっと洒落にならんくらいの声で怒鳴っていた。
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:25:18.26 ID:b4oIJCEo
皆楽しく飲んでいたのに一気に冷え込む空気。
ハァ、またやってしまったーとか思っていた。

すると、反町も引き下がり、俺も皆にゴメンと謝って無言になっていた。

おそらく俺は只の変人にしか見えなかっただろう。
そんな俺に気を使って対面の女の子(ミホちゃん:仮名)が俺に話しかけてくれた。
軽く談笑し、テンションも上がってきた俺は、ミホちゃんに携帯の番号を聞いた。

男というのはなんという不都合な生き物だろう。
おそらく右手か女に頼らないと生きていけないんじゃないだろうか。

じっちゃんと池田が彼女とヤリまくっている中、
俺はバイトと手淫かい!とか思っていた。

ミホちゃんとセックスしちゃるバイ!
そんなクズみたいなことを考えていた。
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:26:20.22 ID:b4oIJCEo
コンパの翌日。

その子に速攻で電話をかけた。
「今何してる?」すると、「今テレビ見てる」

俺はその子が一人暮らしでいることを既に知っていたので、
「なんか先輩からドンペリもらって、一人で飲むのももったいないから一緒に飲もうよ」
と言った。このドンペリは近くの酒屋さんで自費で買ったのだ。もらってなんてうっそー。

当時ホストがテレビでクローズアップされることが多く、
その際、必ずでてくるのがピンドン(ドンペリのピンク)だ。
とりあえずドンペリと言っておけば女の子は食いつくんじゃねーかという浅はかな考えだった。
ドンペリニヨン神父はきっとあの世で泣いておられるだろう。

すると、「いいよー飲も飲も!どこ行けばいい?」
やったぜ!俺は
「俺の部屋汚いからミホちゃんの家行ってもいい?」と聞いた。
「いいよ」と言っていたので財布にゴムを忍ばせワクワクでミホちゃんの家を目指した。
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:27:28.84 ID:b4oIJCEo
ミホちゃんは有名な高級住宅地の27階の3LDKみたいなとこに住んでいた。
俺はそこまでは知らなかったので、ビビった。オートロック二個くらいついてた。

いやいやいや、こんな家住んでるんならドンペリ如きで喜ばんでしょ・・・
しかもピンクじゃないし・・・少し怖気づく俺。

27階に上るとミホちゃんがいた。
ミホちゃんはめっちゃめちゃよく言えば井川遥に似ていた。
しかし顔が何かパンパンでアンパンマンみたいな感じだと池田に言われていた。
俺はかわいいと思ったのだが。

ミホちゃんは宅配寿司に特上寿司を頼んでいた。
アカン、この人ガチで金持ちだ。
ミホちゃんが酒に弱いことは前回のコンパでリサーチ済であった。

ドンペリ以外にもビールも山ほど買っていたので、
二人で飲みだした。
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:28:19.11 ID:b4oIJCEo
酔いが回ると金持ちだろうが関係ない。
俺はミホちゃんにボディタッチをしまくっていた。
ミホちゃんもまんざらじゃないようで、こっちの服の中に手を突っ込んだりしていた。

今だ!

と思った瞬間ミホちゃんを押し倒し、チューしていた。
ミホちゃんは無言だったので、「こんなん嫌だった?」と聞いてみると
黙って首を振った。「電気消そ」と言ってきたので、電気を消し、前戯が始まった。

なんかめちゃくちゃ敏感なのだ。
ノンちゃんもかなりの敏感っぷりを披露していたが、この子はそれ以上だ。
さてそろそろ入れようかねと思っていると、
めちゃめちゃ痛がっている。

どうやら始めてだったらしい。
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:29:24.53 ID:b4oIJCEo
当時の俺は18歳にしては相手の気持ちを考えてセックスできるタイプだったので、
あくまで優しく、ソフトにピストン運動をしていた。
それでもいつまで経っても痛がるばかりなので、チンコギンギンのままイッたフリをしてチンポを抜いた。

「気持ちよかったよ」と言うと「私も」とか言ってた。
無理して言わなくてもいいのに。いい子だな。

服を着ると、ラウンジに行こうと言われた。
このビルには最上階の30階くらいにラウンジがあり、そこは共有スペースなのだ。
そこから関西市街地一面が見渡せる仕様になっていた。
無類の夜景好きの俺は、当然行く!と言い、ラウンジを目指した。

ラウンジで夜景を見ていると、本当にこれで良かったのだろうかと考え出した。
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:30:22.18 ID:b4oIJCEo
俺はミホちゃんをかわいいとは思ったが好きかと聞かれるとそうでもなかった。
本当俺最低のクズ野郎なのだが。

正直な思いを言うと、ただセックスがしたくてセックスをしに来ただけなのだ。
惚れっぽい俺はセックスをすればすぐに好きになるのがデフォだったが、どうやらそうじゃなかったことに気付いた。
それと共にミホちゃんに申し訳なさ過ぎていたたまれなくなった。
俺はひとしきり考えを巡らすと、「明日バイトだし帰るわ」と言って家に帰った。

家では思いっきりオナニーをした。
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:31:27.57 ID:b4oIJCEo
その翌日、今度はミホちゃんから電話があった。
「明日テストだから遅くまでは無理だけど今日家来ん?」みたいな感じだった。
俺はその時、世界仰天ニュースを楽しみにしており、
「じゃあ俺世界仰天ニュース好きだし、見たら行くわ」
とかって言った。
「仰天ニュース見終わってたら、私寝るし今来てよ」
とミホちゃん。

こう書くと家に行くのを嫌がってるように見えるかも知れないが、
俺はマジで世界仰天ニュースが見たかったのだ。

それが分かってもらえなかった俺は段々イライラしてきて
「俺は今日世界仰天ニュースは絶対見るし、寝るんだったら行かんわ、じゃあね」
と言って電話を切った。
人の処女奪っておいてこの仕打ちって本当俺頭おかしいのだが。

その後、ミホちゃんからの連絡はなかった。
俺から連絡することもなかった。
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:33:31.19 ID:b4oIJCEo
クズな俺はちょっともったいねーかなーと思ったが、
大学に入るにあたっての戒律その3を思い出し、あまり深入りはしないことにした。
あんまり関わるときっと不幸にしちゃうしね。

その後、俺、池田、じっちゃんでまた違うコンパに行ったりした。本当懲りない俺。
しかしさすがに夏休みに入るとコンパのつても絶滅し、コンパラッシュは終わった。

そんなこんなでバイトをしながら生活をしていると、
俺達の間で麻雀が流行りだした。

学科の友人のシン(仮名)は、家の両隣が死んでんじゃねーかってくらいうるさくしても大丈夫な家だったので、
そこは雀荘シンと化していた。

俺はその当時、典型的オカルト雀士で、
流れがどうだからここはこれを切る、みたいなヘッポコだったが、所詮はギャンブル。
何故かそこそこ勝てていた。

シンは家に鍵を一切かけないので、勝手に出入りして麻雀を打ったりしていた。
雀荘シンは常に24時間体制で営業していた。
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:34:40.17 ID:b4oIJCEo
そんな中、山田さんが以前言っていた「バイト全員で休もう」という計画を実行に移すチャンスが来た。

今までは、なんせ人数が多いので、全体の飲み会とかは一切なかった。
しかし、俺の部署のみ(20人強)であるが、飲み会が開かれることになった。
会場はライブハウスで、幹事の友達のジャズミュージシャンが生演奏をする中、
酒を飲むという趣向だそうだ。

面白そうだ。全員が参加した。

そこで俺と山田さんはノリノリで休む計画を話した。
全員のった!と言っており、全員休むことになった。

実際その日は2人が普通にバイトに行ったらしいが、社員の赤井さんは大変ご立腹だったそうだ。

そして、結局分からずじまいだったが、誰かがチクり、
それを企てたのが山田さんと俺だと言うことがバレた。
俺と山田さんは「営業妨害で訴えてもいいんだぞ」とか言われながらバイトをクビにされた。

皆バイトクビって経験あるだろうか?あれはマジで凹むよ。
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:35:32.33 ID:b4oIJCEo
バイトが無くなり暇になった俺はじっちゃんとビーちゃんの家に入り浸るようになっていた。

ある日、服でも買いに行こうと街に出た時だった。
後ろから「すいません、すいません」と声をかけられた。
なんだろうと思って振り返るとそこにはイカつい系のニーちゃんがいた。

俺何かしたかな?と思っていぶかしんでいると、
ニーちゃんは今バイトしてますか?と聞いてきた。

俺はしていなかったが、なんとなく怖いので「はい」と言った。
ニーちゃんは「いい仕事あるんですけどどうですか?」と聞いてきた。
他人にそんないい仕事を紹介するわけがない、俺は「いや、結構です」
と言うと、「話だけでも聞いてもらっていいですか?」と言ってきた。

ムゲに断るのもなんなんで話を聞いてみることにした。
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:36:35.27 ID:b4oIJCEo
とりあえず二人で最寄りのマクドに入った。
奢ってくれるらしいのでテリヤキバーガーセットとナゲットと頼んでやった。
もっと高いメニューねーのかよ。ちきしょう。とか思っていた。

席に座るとニーちゃんは俺に名刺を渡して話しだした。
名刺には「キョウセイ企画 チーフ 前田○○」(会社名、苗字共に仮名)と書いてあった。

いい仕事ってのはキャッチのことだった。
以前吉本さんから話を聞いていたので、どんな業務内容かは既に知っていた。

今のことは良く知らないが、その当時関西ではキョウセイグループとアスカーグループ(仮名)
ってのがキャッチ会のトップに君臨していた。

前田さんはそのへんの事情も話し出し、
「アスカーは結構女の子に無茶をさせるけどウチはそんなことはない」
みたいなことを言っていた。

いや、アナタはキョウセイだからそう言ってるだけなんじゃないの?なんてことを当然思ったが、
チーフにも関わらず、こんな若造に丁寧にしてくれるところを見てもあながち嘘ではないかも知れない。
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:37:42.52 ID:b4oIJCEo
しかし、女の子をオチンチンマッサージの店で働かすのはちょっと躊躇われる。
俺は「いや、今やってる居酒屋のバイトが忙しいんで今回は断らせて頂きます。ご飯ご馳走様でした」
と言って帰ろうとした。

すると前田さんは
「じゃあもしやりたくなったら電話して下さい。携帯の番号教えてもらっていいですか?僕も教えますんで」
とか言ってきた。本当に断りたかったらこの時に、
いや、名刺に書いてあるんでいいですよ。その時はよろしくお願いします。
くらいに言っておけばよかったのにアッサリ応じたのはその時から少し興味があったからだろう。

前田さんに番号を教えることにした。

その後、一週間に一回くらいは前田さんから電話がかかってくるようになり
「居酒屋のバイトやめた?」と前田さんの口調が敬語からタメ口に変わるようになった。
俺はかわしまくっていたが、ある日、さすがに暇なのでキャッチを経験してみることになった。
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:38:43.19 ID:b4oIJCEo
キョウセイグループはスーツ、シャツ、時計なんとアクセサリまで貸し出してくれる。
そのような備品を借りたい人は、まず事務所に行き受付をするのだ。
稼いでる人になると全て自分の私物で済ますが、稼いでいるのは極一部なので、
大半が借りに行くことになる。

ざっくり説明すると、女の子を一人紹介するごとに5~15万円の報酬がまず支払われる。
紹介された女の子は事務所に行き、一回目の面接を受ける(と言っても希望調査みたいなもの)
なおその際、女の子を安心させる為にキャッチもそこに同席する。
その後、実際条件に合った店で2回目の面接をするのだ。
その時、女の子が風俗に行くと決めた場合、さらにその子の売り上げからバックが支払われる。
しかしキャバに行く子の方が多いのでほとんど期待できない。
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:41:03.58 ID:b4oIJCEo

なんでキャッチの先輩とかは超口のうまい人やイケメンばっかりだった。
中には俺と同い年だったのに稼ぎ倒している奴もいた。

しかし、イケメンでも口うまくもない俺は当然ひっかけることができなかった。
これがむちゃくちゃむずいのだ。暇そうな子に声をかけて、ものまねオンパレードしても
「今仕事やってますか?」と聞いた瞬間に「あーそんな話聞きたくないから」みたいな感じである。
声をかけやすそうな子はもう既にキャッチをうまくあしらって暇をつぶす術を知っているのだ。

じゃあどのようにして女の子を紹介しているのか?
当然普通に説得に応じ、その場で働くことを決める子もいるが、
稼いでいる先輩はほぼ例外無く肉体関係を持って店に紹介しているのだ。

鬼畜なように見えるかも知れないが、俺が思っている以上に都会の人はドライに生きていた。
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:42:03.75 ID:b4oIJCEo
完全歩合制のバイトなので、稼げそうにないなと思い、辞めようと考えた。
歩合制なのでやめるもクソもないと思ったかも知れないが、

例えば先輩AがBちゃんを勧誘しようとしている
しかし、先輩Aが以前勧誘したCちゃんからから連絡を受けた
このような場合、AさんがCちゃんをお店に紹介し、後輩キャッチがBちゃんをフォローするのだ。
分け前は折半。

しかし、実家にいた時ホスト(田舎だが一応あるのだ)をやっていた先輩が辞めると言うと
怖いお兄さんがでてきてションベンちびるくらい怖い思いに遭って、
さらにその怖いお兄さんが面倒を見ている族に引きずりまわされてボコボコにされ、
県外に逃げる羽目になったという恐ろしいエピソードを知っていた。
もしかして「辞めさせて下さい」なんて言ったら殺されるんじゃないだろうか?

ビクビクしながら前田さんに相談した。
するとあっさり前田さんは許してくれた。
キョウセイグループは素晴らしいグループです。
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:43:02.34 ID:b4oIJCEo
また暇になった俺は、麻雀をひたすら打っていた。
雀荘シンでメンツが集まらないことが多くなり、俺は雀荘にフリーで繰り出すようになっていた。

フリーとはぷらっと一人で雀荘に行き、そこに集まった見知らぬ人たちと打つということだ。
その際、場所を提供している店にお金を払う。
俺のよく行くとこは半チャン一回テンゴで300円、ピンで500円だった。
他県の雀荘にも行ったりしたが、トップのみ次の半チャン+100円だったりでだいたいこのくらいが相場だ。
楽しいので麻雀好きだけど雀荘行ったことないという人には是非ともおすすめしたい。

フリーでは色々ローカルルールの確認をまず最初にされる。
また、技術よりも運の要素を強くすることと、雀荘側が回転率を良くして場代を稼ぐことの為に
連チャンは親が上がった時のみ、そしてチップが導入される。

チップは一発と赤ドラと裏ドラ一枚につき一枚ずつ支払われる。
この一枚は日本円にしてテンゴで200円、ピンで500円が相場だ。というかそれ以外見たことない。

チップの導入によりリーチが増えるので半チャン一回1時間弱といったところだ。
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:43:58.82 ID:b4oIJCEo
俺は先に書いたように当時、オカルト雀士だったのだが、
何故か負けることが少なく、テンゴで毎回場代込みで1万円は持ち帰っていた。
今思えば、俺が超絶オカルトマンすぎてうまい人からすれば予想ができなかった為、勝っていたのだろう。

しかし俺は、(うほ、俺って天才雀士じゃん)とか勘違いしていた。

そんな中、麻雀の大会があった。

普通大会と言えば、その雀荘がイベントの一環として開くものを想像する人が多い。
実際大会と言えばそれがほとんどなのだが、その時はプロ連盟だか何だかが開いた
(名前は忘れた)プロじゃなく素人の大会の関西地区予選が開催されることになっていたのだ。

自らを天才雀士だと勘違いしていた俺は当然雀荘に貼ってあるポスターを見て速攻申し込みをした。
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:45:03.54 ID:b4oIJCEo
梅田駅からマイナーな線に乗り3駅離れたビルだらけのところにある建物で大会は開かれた。
大会へ行くと、3,40人程度しかいなかった。まあなぁ。
参加費を払い、開会式だ。

開会式ではなんとあの小島タケオがいた。ちょっと感動した。

5半チャン打ち、その総合点が高い4人で2半チャン打って優勝が決まるというシステムだった。
上位2だか3名が全国大会に進めたはずだ。

天才雀士だと勘違いしていた俺は、当然優勝すると思っていた。

が、しかしフルボッコにされ、-200という不甲斐ない結果に終わった。
麻雀やらない人の為に解説するが、5回やって-200とは野球で例えたら20-0で5回コールド負けみたいな感じだ。
ショックの余り、その日から麻雀は控えるようにした。
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:46:04.17 ID:b4oIJCEo
二年になり、俺はコンビニでバイトを始めることにした。
俺のコンビニは暇で暇でしょうがなく、深夜に漫画を読んでちょろっと発注して
掃除するだけで稼げるなんてなんて素晴らしいんだろうとか思っていた。

夏休みになる。

麻雀もやらず、パチンコもやらず、スロットもやらなかった俺は金が貯まる一方であった。
そんな中、高校時の友人がインドに行くという情報を聞きつけた。
本来この年の夏休みに車の免許を取る予定だったが、これはインドのが先決だ。

友人とインドに行くことになった。
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:47:05.67 ID:b4oIJCEo
皆さんはインドに行ったことがあるだろうか?

あそこは日本人が行くところじゃない。
ボラれる、腹壊す、それらが重なって友人と喧嘩になる等散々だった。
通貨を交換する時に、誤魔化されることから俺達の旅行は始まった。

俺達の旅行は一言で言うと「無計画」だった。

インドでは電車に乗るのに予約が必要だ。
しかし俺達はそんな事実すら知らなかった。

しょうがないので持参したガイドブックを読んで何か手はないか探したが、かなり厳しそうだ。
とりあえずインドの旅行代理店みたいなとこに行けばなんとかなるだろうという結論に至った。

代理店に行くとここはかなり綺麗だった。相当儲けとるな。

俺、菊、マサ、シロ(いずれも仮名)の四人で行ったのだが、
マサは泣く子も黙る東大文Tで尚且つ叔父さんだかがアメリカ人なのでリスニングは大丈夫だ。
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:48:07.38 ID:b4oIJCEo
代理店のおっさんは
「車と運転手を貸して泊まるところも用意するから一人400ドルでどうだ?一週間使い放題にしたるぞ」
と言っているみたいだった。

インドの物価がいまいちつかめてなかったが、高くはないだろう。
その条件で呑むことにした。おっさんは
「ホテルを取る関係からどういうルートで旅行するのか今の内に教えれ」
と言ってきた。

タージマハルは見たかったのでアグラ、ジャイプル、○○(名前失念)に行くことになった。

その日はデリー市内のホテルを紹介してくれた。
翌朝車でホテルまで迎えに来るとのことだ。

親切だなぁとか思っていたら大間違いだった。
ホテルにつくと、金はもう支払われていると思いきや、その場で請求される。
それだけならまだよかったが、ガイドブックに一人300ルピーと書いてあるのに1000ルピーとろうとする。
さすがにそれはガイドブックを見せて文句を言ったら300になったが。
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:49:20.89 ID:b4oIJCEo
翌朝、車が迎えに来た。
車に乗ると、インド人のおっさんが自己紹介をした。
名前は本気で忘れたので仮にマヒディンさんとしておく。

マヒディンさんは気さくな人だったが、このオッサンはマジで運転がやばい。
というかインドは運転が全体的になんか荒いのだ。
まずクラクションの用途を明らかに間違えている。
クラクションは普通、危なーーーい!って時に鳴らすじゃん?

しかしインドではクラクションはその道をあけろって時に使う。
鳴らされた方はとりあえず道を空けてそこを鳴らした方が突っ走って行くという感じだ。

それも90kmくらいで走っている時にそれをするのだ。
クラクション鳴らされた方がそれに気付かない場合、当然衝突事故が起こるだろうことは想像に難くない。
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:50:24.13 ID:b4oIJCEo
そんな超危険なドライブ中、小腹がすいたので道路にある小汚い店につけてもらうことにした。

今でこそ俺はインド大っ嫌いだが、当時は好きになろうとしていた。当然皆そうだ。
なので敢えて小汚い庶民料理屋に行ったのだ。

その店はメニューがなかった。
俺達はとりあえず違うテーブルに座ってる人の料理を指して、
「あれと同じものを持ってきて下さい」と頼んだ。

これが誤算だった。
そのテーブルの人が食べていたのは、ナン(パン)とカットフルーツとヨーグルトだった。

インドに行ったことない人はナンだけになんで?なんて思ったかもしれないが、
ナンはいいのだ。問題はカットフルーツとヨーグルトだ。
行きの空港で「これからインドへ行く方へ」みたいな貼り紙があった。

その貼り紙には伝染病予防の為に、次の食べ物は食べないで下さいと書いてあった。
カットフルーツ、ヨーグルト、ラッシーetc...

それがもろ目の前に出ているのだ。
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:51:27.98 ID:b4oIJCEo
飛行機内でラッシーはどんなものなのか飲んでみたいから飲むけど、他のはやめとこうなと話していた。

一同、残すのは失礼に当たるが、ヨーグルトだけは絶対やめとこう。
ということで結論がついた。
しかし俺は、そのヨーグルトがどんな味なのか気になって一口食べることにした。

するとその姿を見たシロが、
「絶対やめとこう」というのをダチョウ倶楽部もまっつぁおのフリだったのかと勘違いして
物凄い勢いでヨーグルトをかきこみだして「オラァ!」とか言っていた。
それを見た菊とマサもかきこみだして「オラァ!」とか言っていた。

俺も何かテンションが上がり、素早くかきこんで「どおだぁ!」とか言っていた。


翌日、全員が腹を壊していた。
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:52:21.70 ID:b4oIJCEo
インドは広い。
車は信号無しで100キロくらいで走っているが、移動時間10時間とかはザラなのだ。

そんな中、マサが「ヤバイ」とか言い出した。
「セカンドインパクト勃発」とか言ってる。
どうした?と皆で聞くと、漏らしそうなんだそうだ。

マヒディンさんは第二公用語である英語(第一はヒンズー語)があまり得意ではなく、俺達の言葉は通じないことが多かった。

俺達は最初、マサに余裕がありそうに見えたので、

「close to limit(限界がきてる)とか「he feels エクスタシー(彼はエクスタシーを感じている)」とか「he shout a big bomb(彼はビッグボムを出す)」
とか若干ふざけてマヒディンさんに言っていた。当然通じるわけもない。
マヒディンさんは「hahaha」とか言っていた。
しかし、「サードインパクト勃発」とかマサが言っている。

とりあえず俺と菊、シロでどう言えば通じるか考えていた。
ウンコという単語がどうしても分からなかった俺達は超困っていた。
学校でウンコの英単語を教えてもらったことはないのだ。

そんな中シロが「確かオシッコはピーって言う」と思いだした。
さすが常日頃からスカトロものAVをこよなく愛する男は違う。
とりあえず英文を組み立てて言ってみることになった。

「he wants to go to toilet but not ピー」
(彼はトイレに行きたい、しかしオシッコではない)

大学受験から一年経った男達の驚愕の英語力だった。
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:53:29.69 ID:b4oIJCEo
マヒディンさんは理解してくれたようで「オーケーオーケー」と言っていた。
しかし車を止める気配は一向にない。

おそらく次に店とかあったらトイレしたいから寄ってくれという程度にしか受け取らなかったのだ。
俺達は野グソという単語も知らない。絶対絶命だ。

とりあえず、単語で野グソ感を出そうと必死だった。
シロだけは「ネイチャーうんこ」とか言っていたが、俺達は真剣だった。
そこで発想の転換をした。

スペルは知らんが、よく軍人が林とかのことをブッシュというのを聞いたことがある。
これだけトイレに行きたい旨を言えば、「in ブッシュ」と言えば
林でウンコをさせてくれという旨が伝わるのではないか?
そう皆に言ってみるとその意見は即座に採用された。

「ノットピーインブッシュ」「インブッシュインブッシュ」
三人がそう絶叫している中、菊がびっくりするくらい冷静にいった。

「please stop the car」
(車を止めてください)
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:54:27.94 ID:b4oIJCEo
現代日本の英語教育の問題が浮き彫りになりつつも
何とかマサの野グソも無事完了し、アグラに着いた。

タージ・マハルはすごかった。
何がすごかったって建物もさることながら物乞いの数が半端じゃない。
しかもその物乞いがなんか重いのだ。

ある人は超皮膚病にかかってて人間の原形を留めてないような赤ん坊を抱えて
「プリーズプリーズ」と言っている。
ある人は片足片腕が無く、同じくプリーズと言っている。

なんかいたたまれない感覚になった。
更にすごいのは、マヒディンさんはそんな人たちにヒンズー語で怒鳴りちらしていたことだった。
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:55:26.63 ID:b4oIJCEo
タージマハルを一通り見学し終わるとマヒディンさんは
知り合いの絨毯屋があるからよかったら寄って行かないか?
そこで手作りの絨毯を作る様子を見れるぞと言ってきた。

我々は興味があったので当然行くことにした。

絨毯屋さんに行くと、緻密な職人技を見学することができた。
本当にいい経験をしたなと思っていると、工房につながっている店舗に行くことになっていた。
マヒディンさんは何故か車に戻った。

絨毯屋に行くと、主人がガンガン絨毯を広げ、一個一個の解説をしだした。
俺達はふんふんと聞いていた。

解説が一時間くらい続いただろうか。
俺はもう飽きたと思っていると、主人は「で、どれを買うんだ」みたいなことを言って来た。
俺達は学生だ。絨毯なんぞ買う予定はさらさらない。

「貧乏だからいらない」と言うと主人は
「俺がこれだけやってやったのに何も買わないなんてどういうことだ」
とか言ってキレだした。

マジで意味が分からない。
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:56:17.54 ID:b4oIJCEo
しばらく軽い口論になったが、菊とマサが買うと言い出した。
俺は別に買わんでもいいのにとか思っていたが、本人達は「イイモンだと思うから買う」と言っている。

主人は途端にニコニコで俺達は解放された。

夕食を食いに行くことにした。
そう言えばここまではしょっていたが、インドはマジでどこに行ってもカレーしかないのだ。
マトンかチキンか卵かの違いしかない。そんで、そのカレー全てが辛いと言うかなんかしょっぱいのだ。
俺は正直言ってボンカレーのが好きだった。
そんなこともあり、さすがに今日はカレーじゃなく、何かいいものを食べようと小奇麗なレストランに行くことになった。
メシを食いに行く時、世話になっているのでマヒディンさんも誘って奢ることにした。

インドビールで乾杯。
これがまずい。何かパンみたいな味がするのだ。
いっちょまえにキレが足らんなとか思っていると、マヒディンさんはベロベロだった。

インドではビールはかなり高価なのだ。
当時、ビンのコーラが9円くらいだったのにレストランで飲むビールは500円程度だ。
おそらくマヒディンさんはアルコールが高価なことと運転手という仕事上、
アルコールにあまり慣れていなかったのだ。
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:57:25.79 ID:b4oIJCEo
マヒディンさんは酒に酔うと、
「お前らは親友だ」とか「こんな素晴らしい奴らに会えたことが嬉しい」とか言っていた。
そして「もしお前らの文句を言ってる奴がいたら俺が殺しに行ってやる」とか言いだした。
いや、殺さなくても結構ですから・・・

帰り道をマヒディンさんが送ってくれることになった。
このドランクドライバーはマジで大丈夫だろうか。

ビスキーイズリスキ〜♪なんて歌っている。

ビスキーと言うのはウィスキーのことである。
これは現地に行って二日目くらいにようやく気付いたのだが、
インドではwwの発音がvに近いのだ。もしかしてマヒディンさんだけかも知れんが。
なんでウィンドウはヴィンドヴとかになる。それゆえたまにマジで通じないことが多いのだ。

二回ほど衝突事故を起こしそうになりながらも無事ホテルに帰ることができた。
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:58:38.12 ID:b4oIJCEo
翌日、ジャイプルというところに行った。
俺は全く聞いたことがなかったが、結構メジャーなとこらしい。
そこにウォーターパレスって言う湖の真ん中にある宮殿があったり、
ミラーパレスって言う鏡だらけの宮殿があったり見所は盛りだくさんだった。
タージマハルよりもこっちの方が俺は良かった。

観光が終わるとマヒディンさんが俺の知り合い工房があるとか言い出した。
皆は行きたいと言っていたが、俺はどーせまた押し売りだろとか思ってた。

今回はガラス細工工房だったのだが、絨毯屋と全く同じ手法で相手は迫って来た。
そしてまた、マサと菊が買った。
違うのは、マサと菊が買った後も、俺とシロに迫ってきたことだった。
俺とシロは断り通した。

その夜、今回のことで俺とシロはマサと菊に言った。
「お前らそんな金あんの?あんなん断ってたら大丈夫だからやめとけって」
すると二人は「いや、いいものだと思ったから買った」の一点張りである。
「てかお前らこそ何で買わんの?」とか言って来た。

普通だったらこんなことで気まずくなることはまずないが、
体調不良も重なって俺達の間は少しずつ、きまずくなっていた。
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 17:59:38.26 ID:b4oIJCEo
その翌日もジャイプルだ。
猿山みたいなところに行った。

この猿山の猿が人間に警戒心を全く持っていないのだ。
手の上においた餌とかをとってパクパク食べる。
かといって日光の猿みたいに人の荷物を持って行ったりということは一切ない。
それがかわいくてしょうがなかった。

しばらく猿と戯れた後、寺院に行った。
仏教とかに神話とかに超興味を持っている俺からすればそれもたまらなかった。

とてもいい気分だったが、次の瞬間ブチ壊しになった。
またマヒディンさんが知り合いの店に行こうと言い出したのだ。
俺達はその場で断ろうとしたが、マヒディンさんは宝石屋だと言うと
俺が真っ先に食いついてしまった。

俺はインドに来る前、ビーちゃんからジャラジャラしとるインド的なアクセサリー
おみやげに買って来てくれと頼まれていたのだ。

宝石屋へ向かった
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:00:30.87 ID:b4oIJCEo
宝石屋はインド的なアクセサリーショップでは無く、ガチ宝石だった。
宝石はやっぱ高い。一個数万とかなのだ。
多分ボッてるだろうが。

インドはマジでボるのだ。いや、どこでも日本人を見ればそれくらいするかも知れない。
絨毯屋の時もガラス細工屋の時も俺はすすめられる度に、どう見てもインドの物価で一万円くらいしそうな代物を
「1ドルだったら買ってもいいよ」と言っていた。
すると最初は300ドルだったモノが最終的に60ドルくらいまで下がるのだ。

俺は宝石屋でも迷わず言っていた。
「ハハハ、ジョーク」とか言っていたが、目だけは変わらず商売人だった。

俺はインド的なアクセサリーないの?と聞くと、変な小袋からしょぼい宝石を取り出した。
三千円とかくらいだったが、これはジャラジャラしていない。
身振り手振りでそれを伝えると、そういうのは無いと言った。

俺はもう用がないので帰ろうとすると俺の二の腕を思いっきり掴んできた。
これが痛い痛い。全力でつねられてる感じだ。

強制的に席につかされた。シロも帰ろうとしたが、同様に席につかされた。
また、出口はこれまたイカチーインド人が塞いでおり、買うまでは帰らせないといった様子だった。
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:01:25.75 ID:b4oIJCEo
俺はかなりイライラしていたが、原因を作ったのは俺だ。
俺は皆に俺がなんかしょっぼい奴一個買うから、それで帰ろうと言った。
買うとニコニコになり、解放された。全くなんて国だ。

その夜、今後マヒディンさんに何を言われようが絶対行くのはやめようという結論が出た。

夕食を食べにホテルの食堂に行くと、日本人観光客がいた。
その人は一人旅のようで、インド人ガイドと二人でいた。

なんとなく話しかけ辛いなーと思っていると、ガイドがトイレに行った瞬間こっちに来た。
「日本人の方ですよね?」
「はい」
異国の地で日本人に出会うのは本当に嬉しい。この人もきっとボられまくってるだろう。
きっと一気に四人の日本人に会えて嬉しかったはずだ。

と、次の瞬間インド人ガイドがすぐにその人を席に連れて行った。
俺達はそれの意味が分からなかった。

後に聞いたが、実はこれにはちゃんとした理由があるのだ。
先輩で大学を休学してインドに1年程住んで商売していた人がいる。
その人曰く、インドでは日本人をボりまくる為、人によって商品或いはサービスの値段が全然違うのだ。
ガイドは自分の客が騙されていると気付かないように、客同士に極力話をさせないようにするらしい。

そんな暗黙の了解あるってどんだけー。
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:02:23.95 ID:b4oIJCEo
いよいよラストの目的地だ。
今当時のガイドブックを見直してみるとジャイサルメールってとこがそれっぽいが、こんな名前じゃなかった気がする。
でも名前がないと話辛いのでジャイサルメールってことにしておく。

ジャイサルメールではラクダに乗れるって情報を得ていた我々は、早速ラクダに乗ることにした。
なんか如何にもシャムシールを持って襲ってきそうなターバン巻いたオッサンと話すと

「ラクダに乗ってどっかの民族のとこ行って民族ダンスを見ながら、夕食を食べるプランがある」
とか言い出した。俺達は単純にラクダに乗りたいだけなのだ。いらんと言った。
とりあえずラクダだけ乗せろと。

すると例によって、またオッサンは機嫌が悪くなりだした。
こんなんばっかやんけ。腹が立った俺は「じゃあ皆帰ろうぜ」と言って席を立とうとした。
宝石屋みたいに引き止めようが、周りには高価なものはなかったので投げ飛ばしてでも出て行くつもりだった。

するとオッサンは分かった、ラクダだけでいいからと言い出した。
値段を聞くといくらだったかは忘れたがとりあえず夕食つけても大して変わらん値段だった。
そこから叩きに叩き、確か3割くらいカットした。

どうせそれでもボってるんだろうなと思っていると
俺達の後に来た白人男性は三倍くらいの値段とられてた。
PB率調整してやがる。
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:03:19.98 ID:b4oIJCEo
ラクダに乗るとこれが速い速い。
原チャのフルスロットルよか速いくらいなのだ。
すっかり我々は機嫌を取り戻し、ラクダに乗っていた。

ラクダは当然、素人だけで乗るのではない。
ラクダ使い一家みたいな7人家族が同行して砂漠まで誘導するのだ。
砂漠に行って沈む夕日を見て戻ってくるといったロマンチックなプランだ。

しかし、着いたのはわけのわからん湖だった。

実はラクダに乗る前に変な花を渡されて、右手でずっと握ってるようにとか言われていたのだ。
その花をここで使うらしい。
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:04:10.42 ID:b4oIJCEo
その湖に着くと、TシャツにGパンのオッサンが俺達を湖の前に誘導しだした。
そして我々全員がオッサン達のゾーンプレスを受けることになった。
引き離されて全員がオッサンとマンツーマンだ。

オッサンは俺に説明を始めた。TシャツにGパンだけどこいつは一応僧侶らしい。
「ここはインドの三大神ブラフマーにまつわる湖だ、シヴァ神はヴァラナシ、ヴィシュヌはアグラ(だったっけな)だ」

サザンアイズや女神転生好きな人なら馴染み深い名前だと思う。
俺も超興味があり、へーすげぇーとか思っていた。

オッサンは別のオッサンに色々なものがてんこ盛りに載った銀のお盆を渡された。
そこに握ってきた花を加えた。オッサンは続ける
「今から洗礼を始める、この赤い米はお前の健康にいい、この緑の葉っぱはお前の精神にいい、・・・・」
みたいな感じで、10種類くらいの植物とかを俺にかざして湖に流すという作業を繰り返していた。

俺はなんとも崇高な気分になっていた。
そしてオッサンは「最後に願い事は?」とか聞いてきた。
俺はめちゃくちゃ悩んだが、何故かその時「家族の平和」とか答えていた。
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:05:07.88 ID:b4oIJCEo
オッサンは最後、湖に流しきれなかった銀のお盆上のものをごちゃ混ぜにして
親指に塗って、俺の眉間にミッと塗った。
あーこの点ってこうやってつくるんだーとか思って感心していた。

いい経験ができてよかったと思っていると、オッサンは「家族は何人いるんだ?」と聞いてきた
「俺を含めて4人です」と返すと、

「ハウマッチダラーズ?」

俺が「money?」と聞き返すと、オッサンは頷いた。
どうやら「How much dollars?(どれだけドルを払う?)」で間違いないようだ。

おい、オッサン。

しかし俺は、こんな崇高でいい気分になったので100ルピー(当時300円弱)くらいならいいかなと思っていた。
なんせコーラが9円である。それでも払いすぎかも知れない。

そこで、ワンハンドレッドルピーとか言うとオッサンは

「no, too little(全然少ねーよ)」

とかほざいてきた。いや、こういうのって普通に考えて善意だろ普通。
すると、オッサンは家族一人につき10ドル払えとか言ってきた。だから40ドル。
インドの物価で40ドルって舐めてんのか。
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:06:01.88 ID:b4oIJCEo
俺は、ホテルに金を置いて財布は500ルピー程度しか入れてなかった。
なので、財布を見せ、俺はこれだけしかないから無理だと言った。

するとそのインド人は「借りて払え」とか言い出した。
マジでブチ切れそうになった。

俺は無視していると、菊が来た。
「○○さん、俺30ドルボられたんやけど・・・」
こいつもやっぱやられてたかーと思っていると、すかさずインド人が菊の財布を奪い
勝手に40ドル抜いてとっていった。
これってインドじゃ犯罪になんねーの?

最初は「返せやオッサン」って思いっきり日本語で怒鳴ってたが、最後には怒りを通りこして呆れてきた。
マサも財布を取り上げられ、中身50ドル全部盗られていたらしく、怒りながらこっちに歩いてきていた。

問題はシロだ。
シロは財布に金を全く入れておらず、シロも借りろと言われていた。
無理だと言うと、羽交い絞めにされどっかに連れていかれそうになっていたのだ。

俺達は全員でマジで無いから離せと言ってもインド人は離さない。
ギャーギャー騒いでいると他のカモの目が気になったのか、ようやくシロを離した。

超イラつきながらラクダに戻ろうとすると、黄色い肌のバックパッカーがこっちに来た。
顔つきからもどう見ても日本人で、更になんとなく一人旅上級者的なオーラを漂わせていた。
その人が俺達にかけた第一声は次のようなものだった。

「なんぼボられました?」
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:06:59.55 ID:b4oIJCEo
その人はガイドも付けないガチ一人旅だった。
俺達がそれぞれボられた金額を言うと、「本当ひどいっすよね」とか言ってた。
その人も、50$ボられたらしい。

ちなみにその人はちゃんとリサーチをして、この湖に来たらしいが、
ガイドブックでは費用は100ルピーが適正価格なことを教えてくれた。
俺の金銭感覚あってたんじゃん。

そうやって文句を言い合っていると、10人くらいの屈強なインド人がこっちに来た。
その内の一人が「喋るな、ここは聖地だ」等と言い出した。
黙れ生臭坊主どもが。

するとバックパッカーはやっぱり旅行上級者だった。
「ハァ!?」とかって怒鳴り返している。スゲー。
インド人は俺達に「日本人か?」と聞いてきた。

俺達はついつい反射的に「イエス」とか言っていた。
しかしバックパッカーはお前もか?と聞かれると
「ノー!アイムコリアン!(俺は韓国人だ)」と返す。
「だからこいつらと話すのは勝手だろう」とか言っていた。

実際韓国人は日本人に比べるとボられにくいらしい。
旅行を続ける内に身に着いたテクニックなんだろうなと感心していた。
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:07:56.36 ID:b4oIJCEo
その後も俺達とバックパッカーが会話をしていると、
バックパッカーが羽交い絞めにされ、連れて行かれそうになった。
俺達は「離せや」といって阻止しようとしたが、俺達四人もすぐ羽交い絞めにされ
バックパッカーはどこかに連れていかれ、俺達はラクダまで連れていかれてしまった。

その後、バックパッカーがどうなったかはマジで分からない。

俺達は自称・僧侶達によってラクダに無理やり乗っけられ、砂漠に連れていかされた。
その時は俺達は怒りと、バックパッカーが心配すぎて頭がパンクしそうになっていた。

そんな時ラクダ使いの15歳くらいの少年が俺に話しかけてきた。
英語を使えるのはそいつだけで他はヒンズー語しか使えない。
少年は言った
「お前ら日本人だろ?俺は日本に彼女がいるんだ」
ハイハイワロスワロス。黙れよクソガキ。
と思いながら無言だった。
「だから日本には近い将来遊びに行く予定なんだ、お前の住所を教えてくれ」
そう言って紙と鉛筆を渡してきた。

俺はめちゃめちゃイライラしていたので

TOKYO DOME

と思いっきりでかく書いて渡してやった。
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:08:55.34 ID:b4oIJCEo
一時間半ほどかかり、夕日が見えるスポットに着く。

到着と同時に8歳くらいのラクダ使いの少年が簡易バイオリンみたいな楽器を弾きだした。
その音色がまたいい音でギスギスしていた俺達の心に響いた。

おそらく99%の確率でこいつらもグルだが、子供にはきっと罪はない。
なんとなしに反省した俺達は演奏が終わると拍手をしていた。

拍手が一通り終わると8歳の少年、いやクソガキは言った。

「チッププリーズ」

説明を忘れていたが、インドにはチップ文化が歪んで伝わっている。
元々は存在しなかったらしいが、他国人がインドに来ると、
その素晴らしい文化や歴史的建造物に感心し、やたらめったらチップを支払ったことで根付いたらしい。
欧米等でのチップはサービスに満足したもののみに支払われるのが普通である。
ゆえに従業員はチップを貰えるほどのサービスをしようと努力するのだ。
自分からチップをねだるなど、よっぽど程度の低い人間でなければやらない。

しかし、インドでは何をするにもチップなのだ。
レストランへ行けばどんな料理でどんな接客態度でも食事をすればチップだし、
ホテルに泊まれば一切サービスを受けなくても宿泊料にチップが勝手に含まれている。相場は確か料金の2割。
当然こんな文化なので、楽器をひけばチップを貰えると思っているのだ。

てかきっとこのガキは英語これしか分かんねーんだろうな。それもまた哀れ。
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:09:46.42 ID:b4oIJCEo
俺達はもう呆れてモノも言えなかったが、なんとか気合を奮い立たせ、
唯一英語の喋れる15歳くらいの少年に翻訳を頼んだ。

「お前らが連れて行った湖で財布の中身が全部取られたから払いたくても払えねーんだよ」

それを伝えるとラクダ一家は騒然としだした。
そして怒りながら15歳の少年は言った。

「俺達のチップはどうなるんだ?」

お前らのチップなんて知らんがな。
ブチ切れそうになりながらも、確かにこいつらも生活あるんだしなぁと思った。

色々考えた結果、次のようにしようと皆に持ちかけた。
幸い俺の財布の500ルピーは無傷だったので、これだけしか払えない旨を伝え、500ルピーを払う。
それで不満なら俺らは歩いて帰る。

皆胸糞悪いインド人の顔見るくらいなら歩いて帰った方がマシという意見で満場一致だった。
いや、いいインド人も当然いると思うけどね。

その話を15の少年に持ちかけると、一番ボスみたいな年とってた30くらいのオッサンと相談し、
俺らに言った。

「お前らが歩いて帰ると、俺らはボスに怒られる。500ルピーでいい」

とりあえず当面は何とかなりそうだった。
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:10:39.65 ID:b4oIJCEo
ラクダ一家はホテルの前まで行くと言った。
チップは少なかったのに、そこまでやってくれるのか、いいとこあるじゃんとか思っていると
それは大きな勘違いだったことにその後すぐに気付かされた。

ホテルに着くと、30くらいのオッサンがおもむろにナイフを出し
「ホテルマネー」と言い出した。

翻訳すると「ホテル(に置いてある)マネー(を持って来い)」だ。
さすがにこれは我慢できない。完全にぶち切れた俺はラクダを蹴って「ふざけんなコラァ!」と叫んでいた。
ほぼ同タイミングで菊もラクダを蹴っていた。

ラクダさんには全く罪はないのに。
あの時のラクダさん、このスレ見ているのならこの場を借りて謝ります。すいませんでした。

シロもマサもかなりキレていたので、一瞬にして一触即発の空気になった。
その空気を感じとったのかナイフはすぐに引っ込められ、ラクダ一家は去って行った。

俺達はその翌日インドを去った。日本はやっぱりいい。
自民党とかがよく叩かれていたが、あの人らはよくやってるよ、うん。
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:11:49.28 ID:b4oIJCEo
ちょと休憩します。
っていうかもう誰もいないかな?
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 18:13:33.96 ID:Hdwpki.o
俺ガイル
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 18:14:36.61 ID:v3xkCQSO
いるぞ
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:16:17.33 ID:b4oIJCEo
おお、人いてくれたんだ。ありがとう。
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 18:25:04.47 ID:3DXYjHko
しかし、これ読んだらインド行けなくなるな
今はかなりまともになってるかもしれんがww
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:25:10.86 ID:VKNjM1co
意外な方向に話しいってるが、年も近いしバックパッカーだったから楽しく読んでるよ
インドは行った事無いけどいいとこっていうやつと、一生いかねえってやつにはっきり別れるね
I'm Korean.っつうのはよく言ってたから分かるww日本人と分かった瞬間のやつらの目の色の変わりようはすごいから俺もしょっちゅう言ってたww
仕事辞めてまたいきたいのう
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:30:10.55 ID:b4oIJCEo
>>175
確かにかなり昔の話だから今はまともになってるかもですけど
個人的には絶対いきたくないですww

>>176
完全に私は後者ですww
ちなみに旅行の時アイムコリアンは多様させてもらってますww
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 18:33:35.16 ID:v3xkCQSO
お、質問タイムか?
>>1はイケメンじゃないって言ってるけど実はイケメンなんだろ?
誰かに似てるっていわれたことある?あと仕事は何してる?
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 18:47:46.74 ID:b4oIJCEo
>>178
自分ではそこそこイケてんじゃねーかって思った時期もありましたが、
人生を通してイケメンって言われたことは一回もないです。
ドラキュラに似てるって言われたことならあります。

職業はおいおい話していくつもりです。
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:08:54.72 ID:b4oIJCEo
インドから帰って来た後、高校時代の友人が関西に来るので飲みに行くことになった。
俺、菊、そいつの三人だ。

皆さんは京都木屋町に行ったことがあるだろうか?
京都で安く飲みたい時には是非おすすめしたい、情緒溢れるいいとこなのだ。
木屋町で朝まで飲み倒し、大いに盛り上がった。
朝、木屋町から四条を目指す際、ある看板を見つけた。

その看板には「サラリーマン夜の社交場」と書いてあった。

俺は風俗というヤツに行ったことが無かった。当然二人もだ。
サラリーマンの夜の社交場は一応ピンサロにカテゴライズされる店だ。

しかも驚きの低価格4500円30分。

健康な男子大学生は98%くらいが風俗に興味がある。だが、大抵の奴は勇気が足りず踏み出せないのだ。
それゆえ経験者に連れて行ってもらうことが多い。
かく言う俺も勇気が出せなかったクチである。

しかし、俺達はあのインドに行って成長した(ハズ)
今こそ勇気を出す時!とか思っていると、菊もそんな感じだったらしい。
三人で入ることになった。
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:10:01.53 ID:b4oIJCEo
分からない人の為に風俗について簡単に解説すると
風俗と一言で行っても俺的に言わせてもらえば、大きく分けて4つに分かれる。

ピンサロ、ヘルス、ソープ、ちょんの間の4つだ。

まずはピンサロだ。
ピンサロは大抵狭い部屋か椅子に女の子と並んで座り、
オチンチンをまず、ある特殊なおしぼりみたいので丁寧に拭く。
これは、オチンチンを綺麗にする為と思いきや、実はそのおしぼりには特殊な液体がついており、
病気を持っている場合はめちゃめちゃ痛いらしい。
そのチェックが終わった後、フェラッツィオをされる。口に中に出して終了だ。
セックスはNG、指マンは人によってはNGと言ったところか。

ヘルスはまず女の子と二人でシャワーを浴び、女の子に股間を中心として体をさっと洗われる。
その後、ベッドに行き、基本的にはフェラーリをされる。
だいたいの店が69可、指マン可、スマタは人によってはNGだ。
全身を嘗め回すプレイを得意とする子も入れば、
特技に「アナルドリル嘗め」と書いてる子もいる。
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:11:24.66 ID:b4oIJCEo
ソープは風俗の代表格だ。
まず、行くと体を洗われ、実際に二人で風呂に入る。
風呂からあがると、大抵の店ではマットプレイかベッドプレイかセレクトさせてくれる。
どちらでもセックスOKだ。ゴムは女の子が尺八でつけてくれる。
テクニックのある子は本当にすごい。口でサクッと一瞬でつける。あれは是非味わって欲しい。
個人的感想だが、初めての人はマットプレイはおすすめできない。
ローション塗り捲ってて超すべるので安定せず、そっちに集中してしまう。
初心者はベッドプレイをセレクトするのが勝利への道だ。

ちょんの間は正に至高の風俗と言っていいだろう。
おそらく全国各地に多く存在しているだろうが、俺が知る限り
関西では飛田新地、尼崎、沖縄では前原新町、吉原、と言ったところか。
時間は15分から30分程度という短期間で、即セックスをする風俗だ。
料金は他の風俗に対して割高である。
では何故至高なのか?実際にすぐ近くにいる女の子をチョイスできるのだ。
これだと分かり辛いので言い直すと、パネルマジックが一切ないのだ。
パネルマジックとは、風俗初心者が陥りやすいのだが、写真と実物全然違うやん!みたいな現象だ。
しかもちょんの間にいる女の子はマジでかわいい。芸能人レベルとかもいる。

総括して言うと、初心者の人は沖縄のちょんの間に行くのがいいだろう。
かくいう筆者自身も前原新町を歩いている時に、すれ違った学生っぽい男が
「金の続く限り・・・」と呟いている姿を見たほどである。
ちょんの間の相場が15分10000以上なのに対し、割安で15分5000円である。是非おすすめしたい。

って俺何熱く書いてんだ、死にたい。
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:12:35.12 ID:b4oIJCEo
長くなったが、俺、菊ともう一人はサラリーマン夜の社交場に行くことにした。
ここで第一の初心者が陥りやすいミスをおかしたのだが、指名をしなかったのだ。
風俗を指名無しで行くなど神をも恐れぬ所業である。

以前俺は、指名無しでぶっこんだお陰様でスターウォーズのマスターオブジェダイ
ヨーダ様に遭遇したことがある。そんくらいマジで危険なのだ。

ドキドキしながらソファに座り女の子を待っていると、
来たのは倉木麻衣の顔をした横綱だった。

ボリュームはあるが、顔はかわいい。
俺は「僕初めてなんですよ」とか言ってると「かわいい」とか言ってしゃぶられていた。

だが実はここでも初心者が陥りやすいミスを犯している。
「風俗が初めて」とアピールすると、サービスが向上すると思いきや、実は手を抜かれることが多いのだ。
これらの注意点を守って快適な風俗ライフを過ごして欲しい。

そんなこんなで俺達の初風俗は終わった。
その足でマクドに行って反省会をした。

低価格で無指名の時点で既に死亡フラグびんびんだった。
案の定二人ともクリーチャーとエンカウントしたそうだ。

なんとイったのは俺だけで、二人は「もう風俗はいらんわ」と言っていた。
しかし、考えて欲しい、もし出てきた子がかわいかったらどう思ったのだろうか。

俺はその日から風俗の調査隊になるのであった。
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:14:16.29 ID:b4oIJCEo
俺はじっちゃん、池田、ダルを即座に風俗に誘い、こちらの道に引き込んだ。
全員かなりノリノリになっていった。
その後、1月まで様々な風俗に行った。

そんな中、じっちゃんから連絡があった。
「あのさ、ユウコちゃんって覚えてる?」

ゲェッ!なんでこいつ高校時代の彼女ユウコ知ってんの??
俺はかなりテンパった。

「ユウコって○○ユウコ?」と聞くと、じっちゃんは
「あれ?苗字知ってたっけ?俺は知らん」とか言っていた。

「いや、よく分からんけど高校の時の俺の彼女やろ?」と聞くと
「いや、違う。前に写メ見した子」
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:15:09.43 ID:b4oIJCEo
そう言われて思い出した。
俺がじっちゃんの家に入り浸っていた時、じっちゃんの家で爆睡することが多かった。
じっちゃんはシップスと付き合っていたので、じっちゃんの家で
朝起きた時にシップスに遭遇するということがままあった。
俺はシップスが来た瞬間にビーちゃんの家に行っていたのだが、
ある日、シップスが三人でメシを食いに行こうと言い出したのだ。

何が悲しくてカップルとメシ食いにいかなあかんねんと思ったが、
とりあえず行くことにした。
すると、シップスは女を紹介したいと言ってきた。
これ実はじっちゃんが頼んでくれてたみたいだった。

別にそんな彼女が欲しいわけでもなかったが、
俺はドラクエの勇者の次に落ちているものは何でも拾うので、
シップスの解説の元、写メを見せてもらうことになった。

シップスの解説はほぼ全部「この子はいい子」という曖昧模糊とした表現だった。
話になんねーなーと思っていると、一瞬で引き込まれた子がいた。
それがユウコちゃんだ。
あまりに引き込まれた為、元カノと名前がかぶっていることすら忘れていた。
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:16:09.69 ID:b4oIJCEo
「俺はこの子はどんな子?」「彼氏おんの?」「好きなタイプとか分かる?」
など矢継ぎ早に質問を投げつけた。
返ってきた答えは「話したこと一回もない」だった。

チッキショーとか思ってると、
「ユウコちゃん気に入った?」と聞いてきたので
「気に入ったというより気になった」とか言っていた。

このユウコちゃんはシップスと同じ大学ではあるが、
学科が違うので接触が全くなかったのだ。ちなみに高校も一緒らしい。
高校一緒で大学一緒なのに未だ話してないとか完全に一生話さん人やんか。
そう思った為、全く脳に残っていなかった。
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:17:05.17 ID:b4oIJCEo
じっちゃんからの電話に戻る。
じっちゃん曰く、シップスがユウコちゃんの番号聞いて、
更に彼氏おらんことも既にリサーチしたから、紹介できるとのことだ。

俺は俄然テンションが上がり、速攻で番号&メアドを教えてもらった。

速攻でメールを送り、俺ン家で遊ぶ約束をとりつけた。

最初は「いきなり家ってちょっと・・・」とか言っていたが、
「いいじゃん何もせんし、手料理食ってもらいたいんよ」
とか言って誘いだすことに成功した。
約束は土曜日だった。

内心グヘヘとか思っていた。
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:17:57.87 ID:b4oIJCEo
ユウコちゃんが家に来ることが決まった日、俺は部屋を片付けまくって
酒を用意し、簡単なつまみをサっと調理して待っていた。

約束の時刻は確か昼の12時。
当時ユウコちゃんは俺んチから二時間くらいかかるとこの寮に住んでいたので、
10時くらいには「今家でたよ」みたいな連絡が来てもいいはず。
が、しかし、待てど暮らせど連絡は来ない。

おっかしーなーとか思っていると、11時半くらいに連絡が来た。

「今日はやっぱり無理になった。ごめんね」

みたいなメールだった。
ドタキャンですかい。
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:19:47.06 ID:b4oIJCEo
俺は楽しみが大きかった分、超怒った。
居酒屋でも当日キャンセルはNGだ。しかも30分前ってどんだけー。
怒りながら自分でつくったつまみをむしゃむしゃ食いながら買ってきた酒を飲み干していた。

グダグダになるまで飲んだ俺は夜に電話をかけることにした。
なんとかして翌日の日曜に呼び出そうと画策したのである。

電話はあっさりと出た。
「今日なんか用事入ったん?」と聞くと、
「うん、ごめんね」とユウコちゃん。
「明日って暇?」と聞くと「いや、忙しいかなぁ」

これはやばい、逃げる気満々である。
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:20:47.61 ID:b4oIJCEo
「どんな用事?」
「友達と買い物に行くんよ」
「じゃあ買い物行ってからこればよくね?」
「多分その後、ご飯行くし無理かなぁ」
「その用事は多分やろ?じゃあ今俺と約束すればよくね?」
「うーん・・・でも」

みたいな感じだった。
揺れてる揺れてる。ここまでこれば多少うざいこと言ってもも通るはずだ。

「今日会えると思って、準備してたのになー」
「ごめんね」
「全然いいよ、だって明日来てくれるんでしょ?」
「うーん」
「ちょっとだけでもいいから」
「うーん」
「明日買い物何時から行くん?」
「12時から」
「じゃあ明日3時ね」
「わかった」

こんな感じだったと記憶している。
俺は約束を取り付けると同時にユウコちゃんは押しに弱いという情報を得ることができた。
むしろ土曜日断ってくれてよかったかも知れない。
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:21:42.04 ID:b4oIJCEo
ユウコちゃんが家に来た。やっぱりかわいい。
さらに電話通した時よりも声が超かわいい。

ユウコちゃんは北陽のアブちゃんじゃない方をかわいくした感じだ。
ユウコちゃんは寮生の為、八時には俺ンチを出ないといけない。
時間が惜しい!

俺達は早速酒を飲み、話していた。
なんせ時間がないので、悠長に世間話をしている暇はない。
早速恋のから騒ぎの題目みたいな質問を聞いていった。

以下、ユウコちゃんに対して俺が投げかけた質問とその返答に対するリアクションを示す。
左:質問 右:返答に対するリアクション

どんな男がタイプなのか   ⇒ それって俺みたいな奴ってこと?
彼氏に求める条件は?    ⇒ 偶然にも全部当てはまる。これ運命じゃね?
絶対許せないことは?    ⇒ それは絶対許せないな、俺なら絶対しない。
してもらって嬉しいことは? ⇒ ユウコちゃんの彼氏になった時の為に覚えとく

要するにどんな返答にでも全部肯定し、それって俺のことじゃね?
みたいな感じで切り返すのだ。
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:23:18.77 ID:b4oIJCEo
読んでたら分かったかも知れないが、当時の俺は中学、高校の時と違いネガティブさが抜けていた。
というか、むしろ押せ押せキャラ、もっと言えば俺様キャラみたいな感じになってしまっていた。
なので、超うざい奴だった。しかし今思い返せば、人生を通してこれくらいうざい時の方がモテたことは確かだ。
この性格のせいで後に苦労するとも知らずに。

これは高校時代はなんとなくラッキーで転がってきた話にのっかっていた言わばごっつぁんみたいな形だったのが、
大学でミホちゃんや、インドのくだりを書きたすぎたのと、頭の中の時系列がめちゃめちゃになったお陰様で書き忘れたのだが、
アヤノさん(仮名)、マヤちゃん(仮名)、クレハさん(仮名)等との経験のおかげだ。
風俗のことなんてノリノリで書いてるんじゃなかった。俺の馬鹿。

マヤちゃんとのエピソードはあとで入れます。
薄いけど機会があればアナザーストーリーとして残り二人も書くつもりです。

それに加えて高校時代と違い、男友達が増えたことも主な原因の一つだ。
また、キャッチを除くどのバイトでもそこそこ結果を出せたことで自信がついたからというのもある。
本当に人は些細なきっかけで変わり得るのだ。
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:24:10.54 ID:b4oIJCEo
今の俺はとりあえずユウコちゃんを口説くことのみに熱中していた。
ユウコちゃんにまた質問を投げかける。
俺「なんで今彼氏いないの?」
ユ「女子大だから出会いもないし、なかなかいい人いなくて」
俺「いい人ってかっこいい人ってこと?」

こう言うと、初対面で「うん」と言う奴はレアだ。
そこですかさず、「気が合う人ってこと?」と間髪入れず聞く。
ここで時間をとると相手に考える時間を与えてしまう。
ユウコちゃんは「まぁそうだね」と答えた。
考える時間を与えると「オーラかな」などわけの分からないことを言われ、
結局顔で選考に漏れる可能性が高いのだ。

俺「俺さっきめっちゃユウコちゃんと気合ってたじゃん」
ユ「・・・」
俺「これは付き合うしか無くね?」
ユ「・・・」
俺「付き合って下さい」
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:25:07.64 ID:b4oIJCEo
酒に酔っていると正常な判断力を失う。
ユウコちゃんは頷いた。こうなると後は雪崩式である。
「俺のこと嫌いなん?」と「好きだよ」の連発でセックスに持ち込めることを
マヤちゃんとの死闘で既に学習していたのである。マジで書き忘れたのはミスだった。

「嘘つけ」「妄想乙」とか思うかも知れないが
その日はその二言オンリーでユウコちゃんとセックスをした。

ユウコちゃんも処女だった。
お互いユウコは仮名だが、ユウコちゃんの本名は処女率が高いのかも知れないなんて思ってた。
ユウコちゃんは女子高女子大なので無理もないかも知れない。
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:26:02.56 ID:b4oIJCEo
時遡って、ユウコちゃんと付き合う3か月ほど前、
俺とじっちゃんと池田には共通の女友達がいた。

その人がマヤちゃんである。

元々は池田とじっちゃんのサークルの友達であり、
女友達が少ない俺達にとっては女神のような存在であった。
マヤちゃんは違う学部だが同じ大学なので、飲みに行く時なんかは結構ついて来てくれた。

そんなマヤちゃんは池田が気になっていたらしいが、
池田には彼女がいたことを知っていたので、自ら身をひいていた。
ある日、ひょんなことからマヤちゃんと二人で飲むことになった。

ひょんなことってのは池田が自分のことどう思ってるかくだらない理由だったのだが。
今の俺なら精神誠意相談に乗り、俺なりにアドバイスをあげたり、背中を押したりするだろうが、
当時の俺はなんせ俺様キャラなので、うぜーとか思ってしまっていた。
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:27:02.12 ID:b4oIJCEo
きっとマヤちゃんはそんな俺の対応に酒を飲むしかなかったのだろう、
酒があまり強くないのにえっらいペースで酒を飲んでいた。

当然ベロベロになった。

しょうがないので肩を貸して家まで送ることになった。
家に着くといきなりベッドで寝ようとしだした。

このまま帰っても、鍵があけっぱになるので女の子の一人暮らしでは危険だ。
しょうがないのでマヤちゃんの家にあったお菓子をバリボリ食いながらテレビを見ていた。
するとマヤちゃんは「寝ないの?」とか言ってきた。

起きてたんならはよ言わんかい。
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:28:00.79 ID:b4oIJCEo
「起きてたんなら帰るわ。俺帰った後鍵閉めといてな」
と言うと「分かった」とか言ってまた寝だした。
イラっとして叩き起こそうかとも考えたが、思いとどまった。

なんか寝言というか寝息というか、それがたまらんのだ。
アフンとかアッとかウーンとか一歩間違えると喘ぎ声に聞こえるレベルである。
ここのところ演技の喘ぎ声を出すプロの方ばかり相手だった俺は興奮しまくった。
マヤちゃんは昔バトミントンやってた陣内なんちゃらって人を育児疲れさせたような顔だった。

俺は無言でもぞもぞと布団に潜りこんだ。完全なる変態である。
布団に入ると、また寝息が生々しいのだ。倅はテントをはっていた。

するとマヤちゃんは俺に抱きついてきた。
しかし、これが酔っているからたまたま抱きついているのか?
はたまた俺に興味があるのか?分からないでいた。

俺はこの世の中でレイプほど嫌いなことはないので、フルボッキでじっと耐えた。
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:28:58.36 ID:b4oIJCEo
ふと気付くと俺は寝ていて起きたらしい。
マヤちゃんはまだ寝ていた。

俺がマヤちゃんをゆすると、マヤちゃんは起きた。
マヤちゃんは俺に腕枕をされていることに全く驚かず、「おはよー」とか言っていた。
俺様キャラの当時の俺が(ん?こいつもしかして俺に気があるんじゃね?)
と思ったのは必然だろう。

マヤちゃんにキスをした。
舌を入れるとマヤちゃんも負けじと舌を動かしていた。
こいつぁとんでもねぇアバズレだぁ!とか思って乳を揉もうとすると、抵抗無く乳は揉めた。
下に手を入れようとすると、「そこは駄目!」と拒否られた。

なんでやねん。
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:29:52.33 ID:b4oIJCEo
納得がいかず、俺は「何で?」と聞くと
「私エッチしたことないから怖い」と言い出した。

また処女なんです。
これで正真正銘処女打ち止めなんですが、処女ばっかだから
当時マジで処女キラー或いは処女に好かれるスタンドを持つ男と言われていたのです。

そこで一生懸命無い知恵を絞って俺が弾きだした言葉が
「俺のこと嫌いなん?」である。
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:30:43.02 ID:b4oIJCEo
俺が考えついた言葉別で簡単に考察をつけてみよう。

「ええやんええやんヤラせてや」

女性は98%くらいがロマンチストなので、初めてのセックスがこんな感じだったらトラウマになる可能性すらある。
よって最悪。もう少し頭を使いましょう。

「一つになりたい」

これはやりすぎ。言い方によっては底知れぬ気持ち悪さを漂わせる呪いの言葉になりかねない。
うまくいけばいいかも知れんが可能性が薄すぎる。よって不適。

「心の壁を壊すんだ!マンコの膜を破るんだ!」

論外。

「俺のこと好きなんやろ?」

このクエスチョンだと「分からない」という逃げ道を与えてしまう。
逃げ道を断つのが兵法の初歩。でも方向性は間違ってないはずだ。

「俺のこと嫌いなん?」

これならば、「うん」とは言い辛い。せいぜい「嫌いじゃないけど」止まりだ。
しかし、「やっぱ嫌いなん?」とかしつこく言ってれば、その内「好きだよ」とか言うはずだ。
「友達として」とか言い出しそうになったらキスで口を塞げばいいのだ。優。
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:31:43.96 ID:b4oIJCEo
俺は「俺のこと嫌いなん?」を連発することでセックスを成功させることができた。
ちなみにマヤちゃんのパンツはマジで我慢汁(?)でベットベトでおしっこを漏らしたかのようになっていた。
セックスでは、痛がりすぎて腰を全く振れなかったので、これまた「俺のこと嫌いなん?」
を多用することで数分前まで処女だったにも関わらずフェラッツィオでヌいてもらうことに成功した。
もちろんその際は「歯を立てないでね」とか「もっと吸い付くようにして」とか注文をつけまくっていた。
風俗の研修ってこんな感じでテクニック教えるんかなとか思ってた。俺って・・・。

終わってみると、悲しい気分になった。
俺は当時彼女がいなかったが、マヤちゃんと付き合う気は無かったのだ。
にも関わらず一時の感情に振り回されたせいでマヤちゃんは純潔を失ったのだ。
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:32:42.21 ID:b4oIJCEo
及川光博の歌で「意味のないSEX SEXの意味」と言う歌がある。

スキと片仮名で二文字 たっぷり間をとって疑問符
眠れないムードに寝たふり 閉じれない四つの瞳

正にそんな感じだと思った。
これが元で数少なかった女友達が減ったらどうしようとか思っていた。
マヤちゃんはそんなことを考えられているとも知らず俺の腕の中で寝ていた。
閉じれないのは四つの瞳ではなく、二つの瞳だ。

しかし、それで友情が壊れることはなく、また四人で飲みに行ったりしていた。

一ヶ月後、池田もマヤちゃんとセックスをしたと言う事実を池田本人から聞いた。
俺は、「よお弟」とか言っていた。池田は「兄者!」とか言ってた。
マヤちゃんに聞かれてたら死なんといけんね、俺ら。

池田がセックスをしてからはマヤちゃんとは疎遠になっていった。
兄弟に揃って会うのはさすがにマヤちゃんもやり辛かったみたいだ。
じっちゃんはお前らセコすぎるぞ!とかって怒っていた。
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:33:54.96 ID:b4oIJCEo
時は戻り、俺はユウコと付き合うことになった。
ユウコの入っていた寮は超厳しく、外泊届けとか一週間前とかに出さないといけなかった。
さらに月間で3回までとかで、門限も10時と超厳しいのだ。
なんかキサちゃんの時みたいだとか思っていた。

ユウコは2ch的に言えば、かなりのスイーツな性格だった。
古い言い方をすればものすごいミーハーなのだ。

俺はその時、俺様キャラだったが、薄皮一枚のちっぽけなプライドを取り払ってやると
すぐにでもネガティブになるような奴だった。
心の底まではポジティブになりきれなくて、性格はかなり屈折している。

なので、そんなミーハーな趣味などクソ喰らえと思っていた。
なんなら当時はミスチルとかすらクソ喰らえと思っていた。
食わず嫌いだっただけで今は割と好きですけどね。
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:34:50.50 ID:b4oIJCEo
ユウコは花火大会とかみたいなイベントは絶対に行きたがる子だった。
俺は人ごみが大嫌いなので、断っていた。

ユウコは買い物なんかも一緒に行きたがっていた。
俺は一人の方が気が楽なので、断っていた。

ユウコが雑誌で紹介されてたチョコレートフォンデュを食べに行きたいと言った。
俺は甘いものが嫌いなので、嫌だと言った。

ユウコはコウダクミとか浜崎あゆみのライブに行きたがっていた。
俺は及川光博かリンキンパークじゃないと行かないと断っていた。

付き合う前は都合いいことばっか言っておいて、自分の彼女になるやいなやこの対応である。
政治家もまっつぁおだ。
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:35:43.78 ID:b4oIJCEo
それでもユウコはなんというか頑張り屋さんだった。
普通こんな手のひら返されたりしたら怒ったりするじゃん?
でも怒ったりとかは全く無く、
「そっかー、じゃあそうしよっか」とか言うのだ。
本当、できた娘さんやで。

俺は超わがままだったのでそれが当たり前だと思っていた。
本当クズですね。

そうこうしていると、ユウコは俺に言ってきた。

「○○は私とヤリ逃げする気でしょ?」

俺はドキっとした。
そういう気持ちもないではなかったのだ。
しかし、これはユウコが魅力的ではないと言う意味では断じてなく、
なんというかチャレンジングスピリットの問題だ。
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:36:35.87 ID:b4oIJCEo
男の98%は精神的に未熟な時、「どれだけの女性と関係が持てるか」
という目標を掲げるのだ。そして武勇伝が語りたいのだ。

自分にとって過ぎた女性が自分を好いていても、それだけでは満足できなくなる。
というか、好いていればいるほど次の子を口説きたくなるのだ。
俺はファイナルファンタジーが好きだが、何十回何百回とクリアする気にはなれない。
一回クリアしたらドラクエとかもやりたくなる。そんな感じだ。

GLAYの歌のLovers change fighters,coolという歌に

fallin'love 惚れた弱みか はじめに好きと言った方が
負けなんて 幾千年の男女の法則なの

とある。正にそんな感じだ。
「こいつ俺のこと好きだな」と思わせたら既に負けなのだ。

「ヤリ逃げなんて思ってない」と言いつつも、俺は戸惑っていた。
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:37:40.44 ID:b4oIJCEo
春休みになる。

俺は高校時代の友人と遊びたいが為に関東に旅行に行っていた。
塾の友人で、アカギ(仮名)という奴の家に2週間くらい泊まることになった。

アカギは無類の麻雀好きでほとんど麻雀を打って過ごしていた。
アカギは俺がアカギの家で寝ている間、バイトに行くことが多かった。
あまりにも暇で俺は「ときめきメモリアル3」を購入し、アカギの家でプレイしていた。

ときめきメモリアルはご存知の方もいるだろうが、所謂ギャルゲーという奴だ。
俺もアカギもときメモシリーズをプレイしたことが無かったので、
ネタのつもりで買ったのだが、これが意外とやってみると難しく、
ムキになってクリアするまでプレイしていた。三週目くらいでようやくクリアできた。
アカギはクリアできず、「ふっざけんなよ」とか言っていた。

わざわざ関東まで来てギャルゲーをやっている俺を不憫に思ったのか、
アカギはわざわざ合鍵をつくってくれて、「バイト中に遊びに行ってていいよ」と言ってくれた。
暇だった俺は当然関東の街をうろつくことになった。

関東はすごい。
関西に初めて行った時もすごいと思ったが、それ以上だ。
一つ一つの駅が梅田駅レベルの規模で、人がめちゃめちゃ多い。
感心しながら街を歩いていると、お姉さんに声をかけられた。
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:38:37.29 ID:b4oIJCEo
「今お時間よろしいですか?」
男から声をかけられたら当然断るが、女の人から声をかけられると当然暇だと言うに決まっている。
大丈夫と言うと、お姉さんは俺に名刺を渡しだした。

○○プロデュース 新人開発部門 藤本○○(仮名)

藤本さんは言う。
「サラリーマン金太郎とかリングとか見たことありますか?
 あそこに出演している○○とか△△とかはウチ出身なんですよ」

これって・・・まさか芸能界へのスカウト?
今でこそ全く興味が無くなったが、当時の俺は芸能人に興味深々であった。
説明を色々受けながらワクワクしていたことは否定できない。

しかし、これは後でアカギに聞いたのだが、関東に行くと田舎モンそうな奴は
95%程度はとりあえず声をかけられるらしい。そんな田舎臭かったかチキショウ。
アカギの知り合いで名刺を10枚持ってる奴とかもいるらしい。

しかし、そんなことを知る由もない俺は有頂天で、ニヤニヤしながら
「これってスカウトとかですか?」と聞くと、
「まぁ、言ってしまえばそうですね」とか言ってる。
「もしよかったらレッスン風景の見学だけでも」とかも言ってるので、
俺はスキップをしながらレッスンとやらに行ってみることにした。
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:39:46.84 ID:b4oIJCEo
事務所は小奇麗なビルの中にあった。
宇宙人の真似で「我々は宇宙人だ」って声だす時あるじゃん?
あの時の言い方で、皆なんか「アメンボ赤いなあいうえお」とか言ってる。
これは北原白秋の「あいうえおの歌」とかいう奴で滑舌の練習とかに使われてるらしい。

興味深いので、俺もその日から関西に帰るまでレッスンに混じることになった。

レッスンはロングトーン(長い間声を出す)、あいうえおの歌、ういろう売りの台詞がメインだった。

ここで、びっくりしたんだけど、皆凄いのだ。
ういろう売りの台詞ってのは落語かなんかの題目で、
「拙者親方と申すは・・・」から始まる偽の薬屋さんかなんかのお話だ。
かなり長くて、レッスンテキスト4ページくらいに渡って書かれてたと思う。
驚くべきことにレッスン受けに来てる全員がこれを暗記しているのだ。
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:40:41.17 ID:b4oIJCEo
その事務所では日本初紀(?)の音読もしてた。
出だしが「かれここにあまてらすおほみかみかしこみてあまのいはと」とかになるんだけど
これを全てその音のまま発音する。「あまのいわと」じゃなく「あまのいはと」ね。
これも全員がかなりの場所まで暗記している。

ロングトーンとかも息継ぎ無しで1分越える奴とかもザラにいる。

関西に帰っても支部があるからそっちでレッスン受けてみたら?とか言われたが、
俺はとてもじゃないけどそんな努力を重ねた上で、成功するかも分からない茨の道は歩く気になれないなと思って断った。

正直芸能人とか心の中で嘗めてたけどあいつら頑張ってるよ、うん。
テレビ出るクラスとかきっと死にもの狂いでレッスンしたんだろな、と思った。
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:41:32.78 ID:b4oIJCEo
関西に帰る前日、ユウコから連絡があった。

「関東楽しんでる?」

俺が色々あった旨を伝えると、ユウコは聞いてくれながらも
「明日帰ってくるんだよね?」と聞いてきた。
俺がそうだと答えると、「○○とディズニーランドに行きたい」
と言い出した。

俺はその行動力に舌を巻きながらもディズニーランドに行くことを了承した。
翌日、ユウコは関東入りし、一緒にディズニーランドに行った。

俺はディズニーランド自体、かなり小さな時分にしか行っておらず、全てが新鮮であった。
無邪気に喜ぶユウコを見ると、俺まで嬉しくなり、付き合っててよかったと思った。
関西に帰るのを一日先延ばしにし、翌日はディズニーシーに行った。
二人はディズニーを大いに堪能し、最高の関東旅行になった。

俺はこいつを幸せにしたい。そう思うようになっていた。
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:42:24.37 ID:b4oIJCEo
そんなこともありながらも春になる。

春になるとユウコは一人暮らしを開始していた。
俺の家に来る頻度も高くなり、二人は付き合った当初よりもラブラブになっていた。
その一因にユウコがゲーム好きだという事実が分かったことがある。

弟がいるユウコはかなりゲームをしまくっており、結構なんでもうまいのだ。
俺もゲームがメチャメチャ好きで、趣味が合った為、一緒にドカポンとか格ゲーとかやりまくっていた。
普通女の子相手だと、手を抜かなければ話にならないケースが多いが、ユウコ相手だとお互い本気である。
それがとても楽しく、どんどんユウコが好きになっていった。
今思えば、もしかして俺に合わせていただけかも知れないが。

大学に入るにあたっての戒律3は既に破られつつあった。
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:43:18.80 ID:b4oIJCEo
春になると、花見のシーズンだ。
ユウコは花見がしたくてしょうがないらしく、色々段取りをとっていた。
俺はどっちでも良かったが、いつも提案を断っていた俺は花見くらいは行こうと思って承諾した。

ところが、当日になると、俺の用事が長引いて行けるのが8時くらいになってしまったのだ。
当時関西では花をライトアップして夜桜が見れるというスポットが多く存在していたのだが、
8時になるとそのほとんど全ては終了してしまう。
結局夜桜は見れなかった。

遅くなる連絡はしていたのだが、色々段取りをしていたユウコとしては
夜桜が見れなかったことが残念でしょうがなく、ひどく落胆していた。

結局その日は居酒屋に行ったのだが、ユウコのテンションが戻ることはなかった。
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:44:09.96 ID:b4oIJCEo
その翌日、ユウコから家に備え付けてある電話に電話があった。

俺は当時メールも電話も好きではなく、業務連絡の際以外は連絡をとることは無かった。
ユウコもそんな俺に合わせて用事がある時くらいしか連絡をとらなかったのになんだろう?
と思って電話をとると、ユウコは怒っていた。

ユウコ曰く、
「せっかく私が段取りとって夜桜を見に行くことになったのに遅刻して見れないなんてサイテー」
とのことだった。

確かに遅刻は悪いが、不可抗力ではないか。
俺は内心そう思いながらも、謝り続けていた。
30分くらいなだめていると、ようやく落ち着いたらしく、事態が収束しつつあった。

そんな中、俺はやってはならないミスをした。
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:45:02.93 ID:b4oIJCEo
その時、電話と同時進行で池田とメールをしていた。
そこで、池田から「花見行かんで怒られるとかマジでお疲れ様やな」とかメールが来ていたのだが、
そのメールに対する返信
「花見程度でなんなんよって感じ、マジでB型丸出しやわ」(ユウコはB型)
をこともあろうにユウコに間違えて送ってしまったのである。

俺は送った瞬間は気付かなかったが、受話器の向こうでユウコはいきなり泣き出した。

「なんでこんなメール送るん?」

その瞬間俺はサーッと血の気がひいていくのが分かった。
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:45:58.34 ID:b4oIJCEo
ユウコは「もういい」とか「やり方が汚い」とか言っていた。
俺は弁解しようと思ったが、ここまで来たら後にはひけない。

「じゃあもういいよ、しばらく頭冷やしてみて」

とか言って電話を切っていた。マジで死にたい。どう見ても俺が悪いのに。
しばらくするとユウコからメールが来た。

「別れよう」

メールはそれだけだった。
この凡ミスは痛い。俺は凹みまくっていた。
俺はユウコが大好きになっていたのだ。おそらく今まで付き合った誰よりも。
最初の内は慢心ではなく(ヤリ逃げだと思わせるくらい)ユウコが俺を好きになっていただけのようだったが、
いつの間にかユウコは俺の中で大きな存在になっていた。

全身から力が抜けるのを感じつつ、俺は泣いていた。
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:47:13.30 ID:b4oIJCEo
一週間後、意を決してユウコにメールを送った。
「一回ちゃんと話したい」
これほどまでに好きになった女とメールだけで別れるのはツライ。
ふられるにしても面と向かって言われたい。
ワケの分からないプライドかも知れんが、そう思っていた。

するとユウコからメールが来た。
「じゃあ、今度の土曜日○○の家に行く」

案外あっさりと来てくれることになり、嬉しい反面、
もう割り切られているのではないかと不安になった。
好きの反対は無関心なのだ。

土曜日、ユウコが家に来た。
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:48:09.76 ID:b4oIJCEo
ユウコは家に来ると俺に謝りだした。
「この前は自分のことばっかでゴメン」

俺ははてなマークでいっぱいになった。

「私あの次の日友達に相談したら、それはユウコが悪いって言われたんよ」

友達グッジョブ!
俺は小躍りをしたい気分だった。

「いや、ユウコは悪くないよ。悪いのは俺だし」

そんな感じでダチョウ倶楽部の「いやいや俺が」ネタみたいな感じになった。
俺はこれはもしかして大丈夫かな?と思い、意を決してユウコに言った。

「また付き合えんかな?」

するとユウコは悩みだした。
俺は内心エーッ!って感じだった。
いや、だってこの感じなら戻れると思うじゃん。
沈黙が続く中、ユウコが言った。

「私が言う条件を守ったら、また付き合ってもいいよ」

俺はドキドキしながら「オウ」とか言っていた。
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:49:00.26 ID:b4oIJCEo
「まず、部屋を掃除して欲しい」

これはその通りなのだ。
俺の部屋にはゴミ箱という文化が欠如しており、超汚いのだ。
ユウコが来る時は当然ゴミ袋5袋分ほどは掃除をしているが、それでも汚い。
それが不満だと言う。俺は当然「分かった」と言った。
ユウコは二つ目の条件を告げた。

「夢を持って欲しい」

なんじゃそらー!と言いそうになったが、これには理由があるのだ。

書くのをはしょったが、ユウコはイギリスに3ヶ月間ほど短期留学したことがあり、
その時に某有名私立大学の男性に気に入られた経験があるのだ。
その男性は日本銀行に就職するのが夢らしく、留学中なんか熱く語り出したらしい。
しかもその男は彼氏のいるユウコの元へわざわざ関東から出てくるほどのイレコミようで、
その時に俺の悪口とか言いまくっていたらしい。別れた方がいいよとか。
会ったらブン殴ってやろうと思っていたのだが。
ユウコはそんな男の姿を見て俺に夢を持って欲しいと言ったのだ。
俺は少し納得いかなかったが、「分かった」と言った。

この調子なら多分大丈夫だろ、さぁ三つ目どんと来い!とか思って構えていると、
ユウコの口から信じられない言葉が投げ出された。

「コンパに行ってみたい」

ぐにゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:49:54.19 ID:b4oIJCEo
ユウコは合コンに行ったことがないのだ。
今ならば、そんなことを条件に入れるなんてかわいいな、ってなもんだが、
当時の俺は全身の力が抜けていくのが分かった。

ハハ・・・ハハハ・・・とか力無い笑いをしながら
「いいよ」と言う俺を見て、ユウコは泣き出した。

「ハァ私最低だわ」

俺は夢持てと言われるやらコンパに行きたいと言われるやら散々な上に
更に泣き出すユウコを見て完全にKO寸前だった。
しかし、女の涙にはどうも弱い。
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:50:48.53 ID:b4oIJCEo
「いや、全然最低じゃないよ。そりゃコンパ行ってみたいよね、いいよ」

とかって慰めてると、もっと泣き出す。
しょうがないので様子を見ていると、ユウコは泣きながら俺に語った。

「○○はこんないい人なのに私は最低だ」

とか言ってる。
ユウコには俺の過去を語ったことは無かった。
俺の本性はもっと最低な奴なのだ。いい人なんかでは断じてない。
「そんなことないよ」と心の底から言っていると、ユウコは言った。

「こんな最低な私だけどまた付き合ってくれますか?」

チッ、先に言われちまった。
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:51:47.02 ID:b4oIJCEo
ユウコとの一悶着も終え、夏休みに入る。
俺は今年の夏こそ免許をとらなければならない。
手っ取り早くとりたいので免許合宿に行くことにした。

皆さんは免許合宿に行ったことがあるだろうか?

これがすごい。
一般人の行くところでは到底ない。
びっくりするくらいヤンキーだらけなのだ。

俺が行ったのは中部地方のある地区。

駅から合宿所への送迎バスから降りると、おるわおるわ。
右見てもヤンキー左見てもヤンキーなのだ。

最初オリエンテーションが行われ、様々な注意事項が話される。

喧嘩をしたら退所、セックスをしても退所

色々あったが、これが主な戒律だった。
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:52:43.36 ID:b4oIJCEo
入所日に喫煙所で一人の男に話しかけられた。

「火借りていいっすか?」

そいつはスラムダンクの流川っぽかったので流川と呼ぶことにする。
火を貸してやると、世間話からそいつは色々自分のことを語りだした。

流川は今、県外の実家の自動車整備工場で働いている。
それで免許が一刻も早く必要なのでここに来たそうだ。

俺は中学時代に培ったスキルの一つとして、
「顔つきと体つきで喧嘩慣れしてそうかどうか分かる」
というものがあった。こいつは明らかに喧嘩慣れしている。
あまりイジったりして怒らせない方がいいようだ。

流川は「なんか周りしょぼい奴ばっかっスよね」とか言っていた。
いや、そんなことはないのだが。
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:53:46.29 ID:b4oIJCEo
俺は当時20歳、流川は18歳だった。
しかし話していると年齢など関係なくなる。
自然とタメ口で話し合うようになっていた。

入所前健康診断に行く、そこで何かすごい奴を発見した。
身長190以上、体重も100キロをゆうに越えそうなめっちゃごついドヤンキーだ。
そいつは視力検査で「多分右」とか「多分下」とか言っている。

ヤンキーは自分より目立つ奴が大嫌いという習性がある。
流川は当然そいつが気に喰わないらしく、ガンを飛ばしまくっていた。

(面倒なことだけにはならないでくれー)

と俺はヒヤヒヤしていた。
喧嘩とかになったら絶対勝てるわけがない。
俺と流川二人がかりでも絶対無理だ。
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:54:38.35 ID:b4oIJCEo
そんなこんなしてると、初教習が始まる。
とは言っても最初は学科ばかりだ。

その教習所では教習所が用意した学科試験二回を35/40でクリアすることで
本試験に進むことができ、本試験を35/40で通ってようやく学科をクリアというシステムだった。
学科を切り抜けねば第二段階に進むことができないばかりか、
期限までに学科をクリアできなかった場合、最悪退所まであるという鬼ルールだった。

勉強をまともにやったことのないヤンキーだらけの本合宿所では学科は皆超真剣にやる。

学科を受けていると、そこそこかわいい髪巻っき巻きの金髪の女と
まぁまぁかわいいストレートの茶髪の女と流川が話をしていた。
俺は隣にいるショウちゃん(仮名)という純朴そうな少年に話しかけられていた。
ショウちゃんも18歳だ。
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:55:43.72 ID:b4oIJCEo
流川は俺のとこに来ると、女を俺に紹介しだした。
巻いてる子がエリナちゃん(仮名)、ストレートがるびちゃん(仮名)だそうだ。
二人とも18歳だ。俺はショウちゃんを紹介した。

流川は学科キツイし全員で一緒に勉強した方がよくね?との意見だった。

俺は免許の学科如き受験に比べれば楽勝なので、別にそんな必要はないと思ったが、
流川は必死なのだ。とりあえず承諾した。

休み時間5人で話すことが多くなったので、俺はまたもやモノマネオンパレードを披露することになる。
これがそこそこウケて、エリナちゃんとるびちゃんに気にいられるようになった。
さらに自分では意識していなかったが、どうやら中部地区の人間からすれば俺は関西弁に聞こえるらしく、
「関西弁かっこいい〜お兄ちゃん(そう呼ばれていた)に惚れるわ〜」とか言われていた。
俺はまんざらでもなく、結構ニヤニヤしていた。

そんなこんなで一日目が終わった。久しぶりに気をつかったのでドっと疲れた。
俺や流川やショウちゃんは合宿所の抽選に漏れたので少し割高なホテルプランだった。
合宿期間中、ホテルに泊まりこむのだ。
俺はビールを買い込み、翌日に備え、グビグビと飲んでいた。
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:56:40.18 ID:b4oIJCEo
二日目になる。

朝食、夕食はホテルの食堂で食べることができ、結構うまい。
前日のビールが効いた為、朝起きれなかった俺は、朝食を急いでかきこみ、
流川、ショウちゃんが一足先に合宿所に行く中、合宿所を目指していた。

その道で、視力測定の時の190くらいの巨漢に会った。
その横には少し細い男がいた。二人ともどう見てもヤンキーだ。
その姿がジャイアンとスネオに見えたので、以下それで通す。

ジャイアンは俺に話しかけてきた。
「合宿行ってる人だよね?」
なんかトーン的にも気さくな感じだ。見た目とは違って。
俺は「そうだよ」と答えると、「ホテル(組)?」と聞いてきた。
そうだと言うと、どうやらジャイアンもホテルだったらしい。
「奇遇だね」とか言いつつ、合宿所まで行くバス乗り場を目指すと、
ジャイアンとスネオは自己紹介を始めた。二人は知り合い同士らしい。
ちなみに二人とも18歳。

バスの中でも軽く談笑していた。
俺は今流川とショウちゃんと一緒に行動していると告げると、ジャイアンは
「俺アイツ嫌いだわ」と言っていた。まぁ当然だよなぁ、メンチきってたし。
俺は、「そんなことないよ、話してみると結構いい奴だ」と言うと、
ジャイアンはふーんと言っていた。
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:57:41.33 ID:b4oIJCEo
合宿所に着く。

案ずるより産むが易しという言葉にある通り、
流川、ショウちゃん、ジャイアン、スネオは仲良くなった。
面倒ゴトに巻き込まれる心配はとりあえず一個消滅した。

今日からガンガン車に乗る。
2chで車スゲェムズイみたいなコピペがあったが、正にその通りだった。
あれ最初は本当人間の乗るモンじゃないと思うよね。
俺が悪戦苦闘している中、4人は一発目から超うまかった。
後で聞いてみると、流川、ジャイアン、スネオは無免で乗りまくってたから楽勝なんだそうだ。
ショウちゃんも家の手伝いとかで乗りまくってたらしい。下手なの俺一人。
ただ、学科は二日目でもう一発目の合格をもらっていた。
4人は到底無理だそうだ。

5人で談笑していると、皆のことが分かった。
ジャイアンは塗装工をやっていて、将来は職人になりたいと言っていた。
見かけはドヤンキーなのに仕事には熱かった。ちなみに小学校からずっと空手やってたらしい。
背中にでっかい龍の刺青があった。最近の若い子ってスゲェとか思った。

スネオはプーだった。親父が右翼屋さんらしくて街宣車ガンガン乗ってるらしい。
左腕にマリア様の刺青を入れてた。将来はヤクザになりたいとか言ってた。
ちなみに流川も肩にドクロの刺青入れてた。
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:58:38.80 ID:b4oIJCEo
この合宿所は入居者が二週間単位くらいで入ってくる。
なので同期のみで構成されているわけじゃなく結構カブるのだ。

入所5日目にしてジャイアンはボスみたいになっていた。
ジャイアンは好戦的ではないのだが、スネオが生意気そうな奴に片っ端から声をかけるのだ。
「お前、何ガンつけてんの?」とか「謝れや」とかガンガン言う。
当然ジャイアンに歯向かう奴は一人もおらず、言われた奴全員が「すいませんでした」だ。
スネオはナメられるのが大嫌いらしく、しょっちゅう喧嘩を売っていた。
相手が逃げるので一回も喧嘩が成立したことはなかったが。

ジャイアンはめっちゃ面白い奴で、人を笑わせるのが大好きだった。
俺とジャイアンはしょっちゅうアホな話をしていた。

そんなこんなしていると、ある日スネオがある情報を聞きつけた。
ホテルじゃない方の合宿所でセックスしたカップルを発見したそうだ。
脅して無理矢理合宿所の奴から聞き出したらしいが。
スネオは「許せん」と言っており、エラく怒っている。

そこでスネオは「あいつらバレたら退所なるし、それで脅してマワそうぜ」と言い出した。
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 19:59:31.28 ID:b4oIJCEo
俺は前にも書いたが、レイプほど嫌いなことはない。
「絶対やめれ」と全力でスネオを止めた。しかし流川はノリノリだ。ショウちゃんは無言だ。
止めるのは俺だけか・・・と思っているとジャイアンは言った。

「そんだけヤリたいんだったら俺と喧嘩して勝ったら行けよ」

か、かっこいい〜。
俺が女ならジャイアンに惚れていただろう。スネオは
「冗談だって、マジになんなよ」とか言ってるが、ジャイアンはまだキレている。
空気が気まずいので、「ムラムラしたし風俗でも行くか?」と切り出した。

そして俺は前にノリノリで書いてた風俗トークをしていた。
すると、風俗には行かなかったが、皆和んだようだった。
いや、風俗も詳しくなっとくもんだね。
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:00:25.01 ID:b4oIJCEo
ジャイアンが男気に溢れるいい奴と思った人もいるだろうが、
おおよそ間違ってはいないが基本的にはやっぱヤンキーなので無茶苦茶なのだ。

例えば5人で居酒屋に行った時、休前日なのでめちゃめちゃ混んでて
並んで待ってる人が20人くらいはいる店内をノシノシ入っていきおもむろに席に座りだす。
席に座ってた奴に「もうそろそろいいやろ?」等と言って半強制的にどかし、
いきなり注文を始め出すのだ。俺は唖然としていた。
結構そういうことをやるのだ。

そんなこんなで学科の本試験前のプレ試験である。

俺は両方一発で通り、ショウちゃんも少してこずったが通った。
流川はカンニングを駆使し、ショウちゃんのすぐ後程度で通っており、
通っていないのは残すところジャイアンとスネオだけになっていた。

しかし、流川にノウハウを教わったスネオもカンニングを駆使し、通ったのだ。
残すところジャイアンのみとなり、皆それとなく気を使うようになっていた。
ジャイアンはカンニングとか大嫌いだったのでちゃんと勉強していた。
なので俺も自分でつくったオリジナル要点ノートを貸してあげたりした。

そんなジャイアンが勉強していた時である。
スネオは苦手だった学科が通った嬉しさから
「学科なんてチョロい」「カンニングカンニング」などとエリナちゃんとるびちゃんに言っていた。
それがメッサうるさかったのだ。俺はその時、合宿所にあったクローズとかを読んでいた。

すると、ジャイアンが急にキレだしたのである。
スネオに「お前ちょっと来い」と言ってムナグラを掴んで消えて行った。
しばらくすると、半泣きのスネオが出てきてジャイアンは最寄りの壁をぶん殴っていた。
合宿所は静まりかえっていた。
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:01:18.04 ID:b4oIJCEo
その日、ホテルでビールを飲んでいると、ジャイアンとショウちゃんが俺の部屋に来た。
俺はワンケース買っていたので、二人にビールをあげ、談笑していた。

酒がまわると口もまわる。
ジャイアンは自分のことを話しだした。

ジャイアンは所謂虐待のひどい家庭だったらしい。
親父に殴られまくり、色盲と極端な視力低下になったくらいだそうだ。しかもほぼ総入れ歯。
視力測定の時に多分右とか言っていたのは調子にのっていたわけでは無くガチで見えないそうなのだ。
それでジャイアンの親代わりの人が現在の職場の親方らしい。
何を隠そう、合宿の費用も親方が出してくれたらしい。
ジャイアンは親方に曲がったことだけはするなと言われたので、入っていた族も辞めることにした。
辞める時に先輩に焼けまくったマフラーに腕をくっつけられてそれに耐えて辞めれたらしい。
火傷の後が今でも残っていた。今は職人になることしか考えてないそうだ。
業務上車を使う機会が増えるので、しょうがなく免許をとりにきたそうだ。
なので、退所処分を何よりも恐れており、問題を起こしそうなスネオがうざいと言っていた。
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:02:12.20 ID:b4oIJCEo
ショウちゃんも重かった。
ショウちゃんはなんとその当時、18歳ながら定時制高校一年生だった。
何故かと言えば、親父を殺してしまい、少年院に2年入っていたらしい。

それを聞いた時、以前スネオが「○○少年院のメシはコロッケばっかなんよ」とか言ってる時に、
ショウちゃんが「そうそう、焼き魚でた時が嬉しかった」とか言っていたのを思い出した。
俺はショウちゃんも院あがりかよ・・・なんて思ってたが、俺はその時深くは追求しなかった。
ショウちゃんは将来アメリカに行ってデザイナーになるのが夢らしく、一生懸命勉強していた。
ショウちゃんもスネオがうざい、しょうもないと言っていた。

とりあえず二人ともスネオのみならず、色々とたまるものがあったようだ。
今思えばこの時サインに気づいていればよかったのだ。 
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:03:06.72 ID:b4oIJCEo
その数日後、相変わらず学科ができず、鬱憤のたまっているジャイアンの為にも、
夜街にでも繰り出そうということになった。合宿所は郊外にあり、市街地は少し遠い。

当時の俺のファッションはスウェットに金髪でカチューシャをつけてオールバックという
どう見てもヤンキーにしか見えない格好だった。ショウちゃんは坊主で黒だったが。

地元ヤンキーからすれば見知らぬヤンキー4人+1である。
街を歩いていれば絡まれるのが当然だ。
俺とショウちゃんはストリートミュージシャンの演奏を聞いていた。

すると後ろからガヤガヤと音が聞こえる。
振り向くと、ジャイアンが地元ヤンキーにマウントポジションをとっていた。
きっとイライラしていたのだろう。ひくくらい殴っていた。
止めに入ろうとそちらに行くと、なんとジャイアンはそいつの足をナイフで刺した。
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:03:59.72 ID:b4oIJCEo
スネオはおそらく威嚇の為に、常にナイフを持ち歩いており、
ジャイアンはそのスネオのナイフで刺したみたいだった。

ショウちゃんが、皆をひっぱり、「逃げるぞ」と行って皆でダッシュで逃げることになった。
逃げている途中、俺は考えた。

18歳4人と20歳1人、これはどう考えても検挙された時、俺が主犯格にされる。やばい。
せめて救急車くらい呼んだ方がいいんじゃないだろうか。
俺はそうショウちゃんに言うと、ショウちゃんは超冷静で
「そんなん見た奴が呼んでるから大丈夫」と言っていた。

俺は「どうしよう」で頭が埋め尽くされていた。
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:04:52.51 ID:b4oIJCEo
俺は翌日その合宿所を退所することにした。
○○容疑者(20)と他未成年4名と報道されるのは真っ平ごめんだからだ。
しかし、最後にショウちゃんだけには言っておこうと思い、ショウちゃんを呼び出した。

ショウちゃんは、「そやなー○○成人だしなー」とか言っていた。
それと共に、「一応ジャイアンにも言っておいた方がいいと思う」と言っていた。
いやいやいや、ジャイアンとかキレだしかねんからまずいっしょ。
とか思っているとショウちゃんはジャイアンを呼び出した。
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:05:46.85 ID:b4oIJCEo
ジャイアンは俺の部屋に来ると、俺に土下座した。
殴りかねんと思っていたのに意外だった。ジャイアンは

「俺の我慢が足りんかったせいで、本当にゴメン」とか
「合宿代弁償するから」とか言っていた。

俺は合宿代はいいよ、楽しかったしとか言って、ジャイアンにカチューシャをあげた。
これからの人生キレそうなること一杯あると思うけど、
そん時はこのカチューシャを西遊記の孫悟空の輪っかだと思って耐えてな、と言って渡した。

ジャイアンは「分かった」とか言って泣いていた。いやマジで。
免許はとれんかったけど得るものは多かった。残りの金は返ってきたけど8万くらい損した。
翌日実家に帰ってそっちで免許はとった。

そろそろ大学で研究室というものに配属される。
本当の戦いはこれからだということを俺は知る由もなかった。
ここから俺は転落の一途を辿るのだ。


クズ野郎のグレートフルデイズ 第二部 完
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:09:08.99 ID:b4oIJCEo
これにて書き溜めてた第二部までが完結です。

見てくれた人長い自分語りに付き合ってくれてありがとう。
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 20:12:09.76 ID:v3xkCQSO
結局最後まで見ちゃったよ。乙。
三部はいつ書くの?
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:16:01.69 ID:b4oIJCEo
>>239
本当は三部から書きたくてスレ立てたんですけど
膨大な量貼ってたら疲れちゃいました。

この後、コソコソぼちぼち書いてきます。
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:25:46.10 ID:VKNjM1co
おつ!てか3部からが本題なのかww

俺も合宿行ってたから色々思い出しながら読んでた
なぜか忘れたけど山形か秋田に行ったな
ヤンキーなんてほとんどいなかったけど、訳ありっぽい中年のおっさん達が大型免許取りにたくさんいたな
おっちゃん達気前がめちゃいいから毎日おごりで飲ませてもらってたわww
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/22(日) 20:37:28.24 ID:b4oIJCEo
>>241
私が行ったところはおっちゃんはいませんでしたね。
ホントヤンキーばっかww
そういうの楽しそうでいいっすね!
243 : ◆pC19brR.EM :2009/11/22(日) 21:21:13.68 ID:b4oIJCEo
忘れてた、一応鳥つけときます
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/22(日) 23:47:03.80 ID:XssxRQDO
オラァ!ワロスwwwwww
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 00:54:46.93 ID:auq1EYSO
続き今日書くんじゃないのか
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 09:45:47.37 ID:8LizSMAO
グレイトフル・デッドかと思った
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/23(月) 13:05:26.85 ID:5ghfOcAO
JOJOか…
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:38:59.20 ID:auq1EYSO
続きマダー?
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 22:51:11.01 ID:auq1EYSO
>>1は20中盤なのか、俺と同い年かもな。
楽しみにしてるからちょっとずつでも書いてくれー
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 23:24:23.47 ID:boyktpA0
俺も楽しみにしてるぞ。時間かかってもいいから完結させて下さい。
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/23(月) 23:48:08.76 ID:auq1EYSO
俺だけかと思ったら俺だけじゃなかったのかww
252 :250 :2009/11/24(火) 00:03:28.36 ID:f.XpVbY0
俺は日曜のはじまった時くらいからROMってたww
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/24(火) 02:53:35.27 ID:gImhdcDO
僕もだ
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/24(火) 03:34:34.92 ID:0B9fNgSO
ワシもじゃー!
255 : ◆pC19brR.EM :2009/11/24(火) 05:12:45.40 ID:.cqZrGko
おはようございます。見てたくれた人いて感激です!
なるべく早い段階で書いていきたいと思ってます。
本当遅くなってしまって申し訳ないです。

今から仕事です。〆切ある仕事だらけで死にたいです。でわでわ。
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/24(火) 06:34:57.20 ID:ny3ElQSO
乙!仕事頑張って
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/24(火) 22:45:23.41 ID:ny3ElQSO
>>1はまだか?
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/25(水) 21:21:23.82 ID:uiPerMSO
次は土曜かな?
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/26(木) 22:56:19.36 ID:OQ5LDoSO
今日も進展無し
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/27(金) 18:42:57.69 ID:X.P7NoSO
今日の夜>>1が来るに50ペリカ
261 : ◆pC19brR.EM :2009/11/27(金) 23:12:01.31 ID:x.uME2Yo
お疲れ様です。誰もいないかな?
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/27(金) 23:15:47.38 ID:NcolMISO
ノシ
263 : ◆pC19brR.EM :2009/11/27(金) 23:37:11.07 ID:x.uME2Yo
お、いらっしゃいましたかww
それではつまらない駄文ですがお付き合いして下さいませww

第3部「地獄の始まり」
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/27(金) 23:40:16.15 ID:KIdeF8oo
続きwktk
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/27(金) 23:43:03.91 ID:X.P7NoSO
早く俺にペリカよこせw
待ってたぞー
266 : ◆pC19brR.EM :2009/11/27(金) 23:45:21.96 ID:x.uME2Yo
免許も無事ゲットし、夏休みを終えた俺は大学生活に真剣に取り組むようになった。

この中に理系大学生は何人くらいいるだろうか?
きっとびっくりするくらい多いと思うが・・・

卒業した人間なら皆言うと思うが、理系大学生は大学生活で「マジで」勉強しなければならない。
これは研究室というやつに配属されると誰しもそうなるのだ。

勉強と言っても受験勉強とかみたいなある一定区切りでゴールがある勉強とは違う。
本当に寝食を忘れて打ち込んでも駄目だったらデキナイ奴。
てきとーにやっても結果でた奴はデキル奴、と言った世界なのだ。
当然天狗になってた俺は後者足りえると勘違いしていた。


>>264
ありがとうございます!
今回は書き溜めてるわけじゃないので遅いです。
ごめんね。

>>265
口座書いてくれたら5円くらい振り込みますよww
267 : ◆pC19brR.EM :2009/11/27(金) 23:49:30.35 ID:x.uME2Yo
研究室配属は実にシビアに決定される。
テストの成績がいい奴から順番に入りたい研究室を選択し、悪い奴は残った研究室に突っ込まれる。
その様は四位主目の元にいた下忍・捨丸さながらである。
(参考:花の慶次〜雲のかなたに〜)

俺はあまりいい方ではなかったが、忙しい研究室に人気が集中するという傾向に助けられ、
結果さえ出していれば毎日学校サボってもOKという実力派研究室に配属になった。

研究室に配属されると、教官のオッサンは自衛隊上がりみたいなガタイで、
それでいて身長は160cm未満、3頭身程度のどことなくアスペクト比がおかしい関西弁丸出しのおっさんだった。

このおっさんはアマダさん(仮名)といい、指毛とつまらないギャグに定評のあるちょっとキモいおっさんだ。
どうやら俺の担当らしい。

研究室では大学に入りたての頃、一緒にコンパに行ったトニー(仮名)と家が雀荘と化していたシン(仮名)がいた。
とりあえずひとりぼっちにはならなさそうだ。
268 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:00:48.29 ID:UMaoqhYo
研究室に配属されたはいいが、ある程度名の通った理系大学生はすぐに大学院入試試験の準備に追われる。
通称・院試と呼ばれるこの行事は一大イベントである。
なんせもし落第しようもんなら、一年間それだけの為に留年しなければならないのだ。

ウチの研究室では特別な事情がない限り、院試勉強に没頭することができる。
院試が終わり次第、本格的に実験に取り掛かるのだ。

院試の難易度だが、普通自分の卒業した大学だと、教授の好みが分かるので、テスト問題がある程度予想でき、8割方落ちることはない。
但し、試験範囲は死ぬほど多い。
他大学出身だと、どこかの研究室に挨拶にいって、過去問や予想問題をもらいでもしない限り、通過は難しいと言える。
269 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:09:17.40 ID:UMaoqhYo
挨拶に行った時にもらえるのが各研究室ごとにある「スーパー資料」だ。

通常このスーパー資料は研究室によってクオリティがまちまちだが、高クオリティになると
過去20年分くらいの全ての過去問、模範解答、各年の予想問題などが一冊に収納されている。

このスーパー資料の存在のお陰様で、20年前の資料とか若干理論が変わっているので落ちる奴がでるほどの代物である。

俺は研究室の先輩に早速スーパー資料を求めた。

「先輩!例のアレ下さい!」

「ウチはないよ、他の研究室の友達にコピーさしてもらって」

ぐにゃ〜〜〜〜〜〜〜ってなりかけた。
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/28(土) 00:12:38.51 ID:DVH6gESO
さすがに口座はされせんw
今日はゆっくりか。レスしながら書かれると嫌な人?
271 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:16:28.74 ID:UMaoqhYo
そこで活きてくるのが人脈。
先ほど紹介したトニーは体育会系クラブに所属しており、そこの先輩が学科の過去問を多く所持していた。
俺たちはその資料を元に勉強をはじめることにした。

勉強をしている時に思ったのだが、毎日13時間アッパーとかで勉強した経験ってあるだろうか。
なんというか精神的苦痛がやばいのだ。
軽い窓際族気分を満喫できると共に、文字を書きすぎて、その文字が本当に正しいかどうか分からなくなるのだ。

暇な人は是非試して欲しいのだが、例えば「の」という字を200字くらい連続で書いてみて欲しい。
おそらく半数程度の人間は「あれ、「の」ってこんな字だっけ」と感じるはずだ。

「の」とかくらいならまだいいが、微分とか積分とかでこんな感覚になるのだ。
本当死にたくなる。

俺たちはそんな感情を振り切りながら勉強する為、互いに馬鹿話をしながらリラックスできる環境を整え、
勉強に励むことにした。

そんな中、事件が起こる。



>>270
全然嫌じゃないですよ。てかむしろ励みになりますww大歓迎です。
あ、読んでくれてる人いるんだってww
272 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:20:52.62 ID:UMaoqhYo
当然全員が全員、院試勉強のみに取り組めるわけではない。

中には既に企業と共同研究を任され、毎日〆切に追われながら勉強できない奴もいるのだ。
それがシンだった。
シンはちょっと変わりもので学校にほとんど顔を出さない時がある。
究極の気分屋なのだ。

そんな気分屋が毎日朝から朝まで寝る間もなく実験をやらされているとどうなるだろうか。
当然学校に来なくなる。

しかし、今大学はすべからく貧乏で企業と共同研究をしなければ好きな研究ができない環境にある。
そんな収益源を任されているにもかかわらず、学校をサボったらどうなるか、当然ありえない人数の人に迷惑がかかるのだ。

シンが〆切日にもかかわらず学校にこなかったので仲の良かった俺は呼びに行くことになった。
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/28(土) 00:22:38.60 ID:DVH6gESO
マジかw
とことん付き合うぜw
274 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:27:24.19 ID:UMaoqhYo
シンは普通家に鍵をかけない。
オナニー中でもかけないことがあり、女性にシコってるイチモツを目撃された経験があるほどの猛者なのだ。

シンの家に行くといつも通り鍵は開いていた。
部屋に入ると死にそうな顔で横たわっているシンがいた。

「おー○○(俺)来たんかーアンちゃん(仮名)に言われて?」

アンちゃんとは我が研究室のボス的存在でアマダさんの上司の準教授だ。

「おう、アンちゃん猛り狂っとるし、いったれよ」

俺がそう言うと、シンは死にそうな顔をしながら俺にメールを見せた。
内容は一文だけで、そこには

「しばくぞ」

と書かれていた。
275 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:32:39.79 ID:UMaoqhYo
ちなみにアンちゃんは当時48歳とかだ。
48歳のメールで「しばくぞ」だけって後にも先にも、もう見る機会はないだろう。きっと。

俺はその瞬間全てを悟り、「おらんかったって言っとくわ」といってシン宅を後にした。

シンはその後も学校にきづらくなり、院試の勉強もやらず、結果留年してしまった。
他の皆は院試に無事合格でき、晴れて大学院への進学が決まった。

そんな中、本格的に実験生活が始まった。
276 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:36:25.06 ID:UMaoqhYo
実験をスタートすると言ってもド素人のペーペーである。
まず配属時におおまかなテーマを与えられ、あとは勝手に結果だしてね。みたいな感じだ。

当然指導教官のアマダさんの力を借りることになる。
アマダさんがまず最初に出した指令は教科書と論文を読んで内容を理解しなさいとのことだった。

ここでいう教科書はブン殴ったらゆうに人を殺せそうな、ブロンズシールドみたいな本だ。
論文とは当然最先端のものを読まなければならないので、英語だ。

今であればどちらも俺には縁がなさすぎて、それを聞いただけでバファリンをダース買いすることは間違いないが、当時の天狗な俺は、「そんなモン楽勝っしょ〜」とか思っていた。
277 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:39:51.89 ID:UMaoqhYo
実際論文を読むと、正にチンプンカンプンである。
「この理論のことはこの論文でまとめてますよ」ってのが多すぎて量が半端ないのだ。
しかもオンライン上のデータベースは比較的新しい1990年代半ば程度のデータしかなく、
リファレンスを辿ると必ずといっていいほど詰む。

論文はあまり読まず、教科書を読んで初期の実験条件を策定することにした。
これがミスもミスの大ミスであった。
278 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:42:42.25 ID:UMaoqhYo
大学院や社会人になると嫌でも学ぶことだが、上司は基本的に「丸投げ」を最も嫌う。
あやふやで曖昧で適当な書類を上に一度あげると、その後一切の発言権を失ってしまうのだ。
要はちゃんと推敲した上で書類はあげた方がいいってことだ。

当時学生気分丸出しの俺は事実、
(どうせ違うとこあったらアマダさんが指摘してくれるだろ)

程度で実験条件を策定していた。これが一つ目の岐路だった。

実験条件を見せると、アマダさんは超しかめっつらをした。
そして即座に質問責めしてきた。

「この条件は検討しないの?予算はどこから出すの?何をみたいの?この効果は考えてる?
 そもそもやる気あんの?自分は忙しいからこんな紙切れ見てらんないから」

そう言ってボールペンで名前の部分以外にでっかく×を書いて突っ返された。
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/28(土) 00:45:37.91 ID:DVH6gESO
あるある。
理不尽だと思うよな。
280 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:50:21.73 ID:UMaoqhYo
今でこそシュンとしたフリをして、その場を凌いで後日機嫌がいいところを見計らって
修正したものを再提出するという機転が利くようになったが、当時の俺は無駄に鼻っ柱が強かった。

「こんな風に一方的に悪いって言われても僕自身成長できません。具体的に悪いところや改善案を出すのがスジだと思いますが」

そんな血迷った発言をしていた。
その瞬間、アマダさんの目が見開き、一瞬フリーズした。BIGが確定した。

アマダさんは言った。

「君の文書は見てもらおうって気がないねん、だいたいなんでバウチャー(裏づけ資料)が一個もないんや?
 人に見てもらうためにはそれなりに準備ってもんがいるねん。だいたいこっちはボランティアで教えてんねんから」

そんな感じだった。俺はおかしいなと思い、

「ボランティアじゃなくて指導教官の役割の一つじゃないッスかね」

と吐き捨てるように言った。俺の馬鹿。
281 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:56:51.79 ID:UMaoqhYo
するとアマダさんは

「そんなん言うてたら○○君は大学院に進学させられへんな」

と言った。うわぁーきっつーと思いながらも悔しい俺は

「じゃあ次は指導し易いような形でつくれるよう努力します」

とかかる〜く嫌味っぽく言って部屋をあとにした。
これが本当によくなかった。
282 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 00:59:18.90 ID:UMaoqhYo
一応どこの研究室でも第一線の研究をしている。
それゆえ、研究テーマにもよるが、まず最初にやる作業が今までの研究にはない実験装置の設計である。

しかし俺は建築学科ではない。製図のイロハなど知らんのだ。
アマダさんは頼りにできない。しょうがないので一から図書館で勉強することになった。

そもそもどのような装置を作れば実験計画に適合するかもちゃんと把握していない俺は正に風車に挑むドンキ・ホーテだ。
まともなものなどつくれようはずがない。そこで頼ったのが、一応俺の実験の直属の上司にあたる社会人ドクターのマミさん(仮名)だ。
後に説明するが、一応をつけたのにはちゃんと意味がある。
283 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:03:37.08 ID:UMaoqhYo
マミさんは女性で当時25歳。ちょうど俺の3歳年上だ。
社会人一年目で、仕事をする傍ら土日を利用してドクター取得を目指していた。

マミさんにメールで聞いた。
「すいません、製図とか分からないんですけどマミさん分かります?」
「ちょっとやったことあるから書いてみる」
そう答えてくれた。とりあえずなんとかなりそうだ。

そのメールの翌日、アマダさんから呼び出しをくらった。
マミさんに頼まれたからアマダさんが製図を担当してくれるらしい。

女の意見はそく採用ですかい。
284 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:08:17.59 ID:UMaoqhYo
理由はどうあれ、アマダさんが味方についたのはでかい。
早速草案を提出する日々が始まった。

アマダさんは細かい。
例えばレポートを提出する時に、名前の一番右の文字が行の最後にないとレポートを見てくれないのだ。
正に理系の人って感じだ。
その度に屁理屈を繰り返す俺とアマダさんは作業が進むと共に好感度を反比例させていった。

なんとか設計図が完成する。

その設計図をウチの研究室の一番おエライさんのドン(仮名)に見せることになった。
ドンはそのアイディアと出来に不満そうだったが、なんとか承認をもらえた。
時は11月。そろそろ卒業論文の準備をしなければ。
285 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:11:17.27 ID:UMaoqhYo
装置を設計し、動かす際、電子部品を扱わなければならなかったのだ。
電子部品は結構ゴツい説明書があり、この部品はナンタラカンタラ資格者の方以外は絶対に触らないで下さいとか書いてある。
俺は不安になり、とりあえずアマダさんに報告することにした。

「アマダさん、なんかこの説明書に資格いるって書いてあるんですけど・・・」

そう言うと、アマダさんは若干キレ気味で、

「自分で考えや!」

と言った。それを聞いた俺は設計図を描いてもらったこともあいまって、恥ずかしい気持ちになった。
(いつもあんだけアマダさんに反抗してんのに都合良く利用しようとした俺ってどないなん?)

反省した俺は図書館で電子回路のイロハを勉強し、部品に挑むことにした。
その日、部品が爆発した。
286 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:14:34.46 ID:UMaoqhYo
兎にも角にも時間がない。もう一ヶ月程度でデータをかためなければならないのだ。
更に、装置が動いたからといって結果がでるかどうかまだ分からない。
俺にはへこたれる余裕すらなかった。

即座にアマダさんに報告した。

「すいません、部品を爆発させてしまいました」
「ふーん、それでどうすんの?」

は???

「新しい部品を発注したいと思います」
「今度壊したら自分知らんで」

腸が煮えくりかえりそうになったが、そんな暇すらない。即座に発注した。

その翌々日、土曜日。

ドンが実験の進んでない俺の進捗を気にして様子を見に来てくれた。
その席にはアマダさんも同席していた。
287 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:17:22.01 ID:UMaoqhYo
俺はドンに報告した。

「すいません、僕の不手際で部品を爆発させてしまいまして、現在部品を発注中です」

ドンはハッハッハと笑って○○はしょうがない奴だな〜とか言っていた。
この人おおらかでいい人だな〜とか思ってるとオッサンの声が聞こえた。

「○○君全然自分のとこに報告来ないんで困りますわ〜」

おい、オッサン。
その時、こんなかっこ悪い上司いるんだなって思ったね。
こういう奴だけにはなりたくないと。
288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/28(土) 01:20:05.09 ID:DVH6gESO
俺はもう限界だ。おやすみ。
289 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:26:58.65 ID:UMaoqhYo
それから土曜日はドンが来てくれるようになり、アマダさんも俺に指導をくれるようになった。
時は12月中旬、アマダさんの結婚が決まった。クソ忙しいってのに新婚旅行に一週間行くらしい。

そこから孤独な戦いが始まった。

装置の製作にはハンダ付なんかやらなくてはならない。
ハンダ付なんか小学生以来だ。当然うまくやれるわけがない。
親指のツメほどのサイズの端子に32個ピンがついており、それを1ピン1ピンハンダで固定するのだ。
慣れてる人はチャッチャと片付けるだろうが、ハンダ初級の俺からしたら奇跡を連発しなければ不可能である。
当然何本もピンを折った。

その度に大阪は日本橋まで遠征(発注して待つ暇がない)し、端子を買い漁るのである。
多分かなり異様な姿だったと思う。
アマダさん新婚旅行中に全てが完了し、ようやく実験に移れるようになった。


>>288
おやすみなさい〜。
290 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:35:31.46 ID:UMaoqhYo
実験に移ると、これが結果がでないでない。焦るくらいでないのだ。
そもそもナノまではいかなくとも数ミクロン単位で調整する必要がある実験を手作りの装置で行うなど不可能に近い。
繰り返す度に違うデータがでるのだ。ほんとに涙がでそうになる。

そもそも実験計画自体に無理があるのだ。
しかしこれをやると決めた限りやらなければ仕方がない。
他大学の学生に聞いたのだが、ここで普通の学生ならば、何百回と実験を繰り返し、
たまたま理論と適合したデータを何個かピックアップして資料をつくるらしい。
外れた100以上のデータは誤差として処理されるのだ。

しかし俺は「自然科学は真理」と強烈に妄信していた為、そんな発想はなかった。
そもそも時間がない。
寝食を忘れて、毎日20時間は立ちっぱなし、平均睡眠時間2時間。
下宿に帰る頻度週に0.5回、最大不眠期間80時間オーバーという廃人のような実験生活を繰り返すことになる。
291 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:40:48.12 ID:UMaoqhYo
ウチの研究室は一応コアタイムぽいものがあり、朝10時から夕方5時くらいとなっている。
色んな意味で実際守ってる奴はほとんどいないが。

ある日のこと、連日の徹夜生活で疲れすぎたので、研究室に常備してある寝袋で寝ていた時のことである。
すやすやと眠っていると、頭を蹴られて起こされた。
起きるとそこにはアマダさんがいた。

「寝てる暇なんてあんの?」

時計を見ると朝9時だった。殺意が芽生えた。

また別の日に、食堂が7時程度に締まるのでメシを喰いに行っていた。
メールが届いた。

「何をやっているのですか?自分の立場を理解しているのですか?卒業する気がないんですか?
 もしそうでしたらそのように対応致しますのでよろしく アマダ」

何故日本国では殺人が犯罪なんだろうと感じた。

その後、すぐに学校に戻り、メシを喰っていた旨を伝えると、

「ご飯食べてる暇なんてあんの?」

寝るな、メシ喰うなって生きてけるかい。
292 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:44:51.30 ID:UMaoqhYo
そんなこんなもありながら自分の研究発表に目鼻立ちがつき始めたころ、
大学に入りたての頃、一緒にコンパに行ったガワ(仮名)から唐突に次のような連絡があった。

ガワ「おー○○か、お前スロット打つ?」

俺は先述した通り、ちょろっと打ったことならあったが、その当時はスロットを一切していなかった。
ていうか、むしろ「韓国は何故反日なのか?」ってサイトを見てかなり嫌いだった。
別に今は人種とか信教で人を差別するなんてナンセンスだと思ってますが。
というか自分のことでいっぱいいっぱいでそこまで頭が回らない。

俺はその当時知っている知識をフルに使い、ガワに忠告をした。

「お前な、ギャンブルってのは控除率ってのが決まってて、長くやればやるほどマイナスになるようにできてんだよ。
 ちなみにその控除率は競馬が25%、宝くじが48%くらい、お前の大好きなパチとかスロは店によっても変わるが
 平均してだいたい13%〜15%くらいに落ち着くんだぜ?
 だからお前がアホ面下げてサンドに千円ブチ込んだ時点でお前は870円から850円分の価値しかないコインないし玉を
 必死こいて増えたの減ったの言ってんだよ。アホか」

俺はすっかり論破した気になり、得意満面であった。
しかしガワは実に理路整然と俺に反論をしてきた。
293 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:50:53.45 ID:UMaoqhYo
ガワ「お前の言っていることは半分正しいけど、半分間違ってる」

俺は頭にはてなが浮かんでいた。
半分正しくて半分間違ってるってどないやねん。

ガワ「まぁいいや、俺ン家に来てくれ」

俺はとりあえずガワの家に行くことにした。

ガワは大学入学当初、俺と同じマンションに住んでいた。
それで仲良くなったのだ。しかし、途中でガワは引越しをし、それからというものすっかり疎遠になっていた。
連絡をとってくるのも久しぶりだ。

ガワの家に行くと、ガワの家はパチスロ台と攻略雑誌だらけだった。
ガワは俺に「PCを見ろ」と言った。

PCを見ると「パチ管」というソフトが起動されていた。
そのソフトはパチンコ・パチスロ収支管理だった。
294 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 01:54:55.51 ID:UMaoqhYo
ソフトの画面を見ると、そこには棒グラフがいっぱい並んでいた。
見ると、なんかその棒グラフがやばいのだ。
4月60万円、5月80万円、6月30万とかってプラスだらけ。
そしてガワは俺に説明を始めた。

ガワ「お前は今のスロットの事情知らんと思うから言うけど、今あるパチスロ機は店単位では控除率通りに経営できるけど、人単位では無理」

俺はいまいちピンと来なかったが要約するとこうである。
当時あったパチスロ機は4号機と呼ばれるものが主流だったが、その4号機はざっくり言うと
連チャン、ハマリ、連チャン、ハマリ、連チャンという波を繰り返すものが多かった。(今は無理)
波といってもそれは経過ゲーム数で管理されおり、必要とあればこのゲーム数から打てばこれだけの期待値
といった計算も可能であった。

ガワ曰く、この4号機ではうまく立ち回れば連チャンの部分のみを回すことができるといったものだった。

にわかには信じがたい話だが、小学校低学年程度の知能があれば当時、マジでそれが可能だった。
いや、ほんといい時代だったもんです。
295 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:02:28.65 ID:UMaoqhYo
詳しく説明を書くと超長くなるので要望がなければ割愛するが、
ガワの言っている連チャンだけを打つ打ち方というのはゲーム数狙い、天井狙いと言われる打ち方だ。
(スロット 4号機 ハイエナで検索すればでてくると思います)

そんなこんなでガワに言いくるめられた俺は、今日電話をしてきた真意を聞いた。
するとガワはこう言った。

「明日確実に高設定が入るイベントあるからそこに参加してくれ」

俺は寝食を忘れて目押しの練習をすることになった。
296 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:08:14.87 ID:UMaoqhYo
基本的にはガワは高設定狙いはしない。
何故ならリスクが高いからだ。

先述した天井狙いなどは期待値計算が可能であり、期待値が110%だから打つ、などと
ゲーム数を見ただけで期待値計算ができた為、理論上ノーリスクで収支のプラスが期待できるが、
高設定狙いとなるとそれが不可能になる。

そんな中でも俺を誘ったということはよっぽど自信があったのだろう。
俺は収支を残している(学校に行きながら年間500万くらい)ガワの言うことにおそらく間違いはないだろうと信じてみることにした。

そして翌日。

朝6時から並びイベントへ行った。
ちなみにこの日はガワが全ての金(投資分含む)を管理し、最終的に二人で儲け分ないし負け分を折半という
いわゆるノリ打ちという方法をとっていた。

ガワを信じるとは言えども若干の疑念を持つ中、打ち始めた。

帰りには一人頭12万勝ちの大勝であった。
297 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:12:00.35 ID:UMaoqhYo
俺はガワを師匠と仰ぎ、そこから研究が暇になった際は必ずスロットの確認にいくようになった。
当時はボロい台が散乱していたのだ。

俺は本職・研究室のスロッターにも関わらず、月収支30万オーバーになった。
※ちなみに今あるスロットは不可能です。打った時点で長い目で見れば負け確定なので好きじゃない人は打たないのが吉。

俺はいいバイトが見つかったとスロットばかりしていた。
ユウコの存在をないがしろにしてしまったことは否めない。

不幸はいきなりやってくる。
はじまりは一通のメールだった。
298 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:15:24.63 ID:UMaoqhYo
「別れよう」

それが発端であり、結末であった。
俺は急なことに最初何が起こったか分からなかった。
すかさず電話を入れる俺、が、、、でない。

俺はスロットにはまったと言えども、ユウコは変わらず好きだった。
今まで付き合った誰よりも。

しかし、何か分からない内にふられていた。
一番怖いのは分からない内に何かが起こることだ。
原因が分からない限り、こちらに動く術はない。

俺は「せめて別れる時は会って別れたい」などとメールを送ったが、
そのメールも返らない返信を待ち続ける運命となった。

俺には、何も、ない。
299 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:19:35.37 ID:UMaoqhYo
1カ月ほど経った頃、
卒業研究とスロットに没頭している俺に一通のメールが届いた。
ユウコからだ。

「前に○○が言ってたけど、やっぱり最後は会って話そ」

俺はその頃、もう気持ちにふんぎりがついていた。
今更会ってもなぁ・・・話すこともないし。

そう思っていたが、こういうことは一種の儀式だ。
何より自分で言い出したことだ。
俺はユウコとまた会うことになった。
300 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:27:07.74 ID:UMaoqhYo
ユウコに会うと、心なしかユウコはやつれていた。
とりとめもなく話していると、ユウコは自分から別れようと言った理由を語りだした。

ユウコは中学校の時、精神を病んで不登校になった経験があったらしい。
俺も聞いたのは初めてだったが。
そして、その不登校を直したのが、その時の中学校の担任だそうだ。

中学校の担任は足しげくユウコの家に通い、ユウコと会話し、最終的にはユウコの不登校を直した。
その時担任からユウコは「臨床心理士」という資格について聞いたそうだ。

あまり耳なじみがなかったこの臨床心理士とは、簡単に言うとカウンセラーとか心療内科のお医者さんだ。
その時から臨床心理士を目指しだしたユウコは猛勉強をしたそうだ。

「一人でも多く自分のような状態になった人の手助けをしたい」

そう思っていたユウコは心理学科に入った。
301 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:30:22.11 ID:UMaoqhYo
しかし、世の中はそう甘くない。
臨床心理士になる為には当然強い精神力が必要になる。
何故なら、患者の精神に巻き込まれて自分自身が病んでしまうケースが少なくないからだ。

その為、ユウコは研究室の教授にたっぷり(精神的に)シゴかれたみたいだ。

俺が人の夢に口出しするのもなんだが、ユウコは臨床心理士に向いていないと感じていた。
何故なら、感情移入が強すぎて、相手のことを思いやりすぎるからだ。

例えば、RPGのようなゲームなんかをしている時、敵キャラに感情移入しすぎて泣いちゃったりする。
そんなユウコがカウンセラーになって人を救えるだろうか?

俺と全く同じ疑問をユウコ自身が感じていたようである。
中学生の頃からの夢も破れ、傷心になったユウコは更に思ったそうだ。

(私は○○(俺)に依存しすぎている)
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/28(土) 02:35:09.76 ID:Jst3uA2o
最初のDQNっぷり読むと筑豊の奴かよwwwwwwって思ってしまう
303 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:36:03.76 ID:UMaoqhYo
それは確かにそうなのだ。
ユウコは極端な甘えん坊だ。
もしかして俺はユウコの心の支えになっていたのかも知れないとも思う。

そんなユウコは俺と一緒にいる限り、自立できないと感じて俺と別れることを決心したそうだ。

正直、当時の俺は(んなくだらん理由で・・・)とか思ったが、今の俺ならば分かる。

そしてユウコから再度、正式に別れを口にされた。

俺は、その話を聞くまでは正直本気で別れることも運命だと受け入れていた。
しかし、いざユウコを前にすると、ユウコを好きで好きでたまらない俺がいた。

俺はユウコの手をひき、タクシーに乗り、運転手に最寄のラブホテル名を告げた。
この時、きっと脳内ではFLOWのDAYSが流れていただろう。
304 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:43:08.85 ID:UMaoqhYo
ホテルに着くと俺はユウコにこれまでの俺の過去を話した。
もうやぶれかぶれだ、どうにでもなれ。そう思っていたと思う。
俺の話を聞くと、ユウコは泣いていた。
本当今思うと、なんで泣いたか意味不明だったけど。

俺は、こんな最低な奴だけどお前だけが好きなんだと伝えた。
それは本心だった。今まで会った誰よりも好きだ。

ユウコは「嬉しい」と言ってくれた。
後で聞いたんだが、これはそれだけ自分を出してくれたのが嬉しかったらしい。

「今度は俺から言わせてくれ、こんな最低な俺だけど付き合って下さい」

そう言った。この前は先を越されたからな。
ユウコは涙をふきながら、

「喜んで」

と言ってくれた。どこの居酒屋やねん。



>>302
筑豊ではないですww
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/28(土) 02:47:35.28 ID:Jst3uA2o
そっか(´・ω・`)
九州ではないの?
306 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:51:00.40 ID:UMaoqhYo
ユウコと再度付き合いだした俺は、今までの行動を見直すことにした。

当時の俺は極端に自分の予定を崩されることを嫌っており、メールとか長電話とか超嫌いだった。
本当わがままなだけなんですけど。

しかし、それはお互いにとってよくない。
今回のようなケースがまたあるかも知れない。
そう思った俺はMSNのメッセンジャーで時間のある夜はユウコと連絡を取り合うようになった。

お互いチャットだけが得意になっていく中、
ある日ビーちゃん(麻雀で永遠のカモと呼ばれていた男)から連絡があった。

ビーちゃん曰く、ネトゲをやらないか?ってことだった。

当時の俺はネットゲームなどしたことがなく、未知の体験だった。

好奇心が爆発した俺はさっそくキャラをつくってみた。
チャットも早くなったしね。
307 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 02:53:49.90 ID:UMaoqhYo
そのネトゲは登録料とか無料で今結構バナーとかでもガンガン宣伝してるやつなのだが、
当時はまだできたばかりで、公式を見ると「未実装・来春実装予定」とかばっかであった。

ビーちゃんは他の友達も誘い、リア友8人くらいでパーティーをつくってネトゲをするようになった。

皆さんはネトゲ経験はあるだろうか?
やった俺から言わせてもらえば、あれは絶対にやらない方がいい。
まず終わりがないし、限りなく最強に近づいても本当に時間の無駄でしかないからだ。

しかし当時の俺はスロットで儲かっていたこともあり、リアルマネーを突っ込みまくって最強を目指していた。
友達とワイワイやっていると、ユウコも興味を示しだし、参加することになった。

恋人同士でネトゲとか俺らカップルくらいだったんじゃないだろうか。

しかもユウコはなんというか頑張り屋さんすぎてネトゲに没頭しすぎて貧血になったこともあるほどである。



>>305
九州じゃないですよ。あんまり詳しくは書けないですがww
308 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:03:09.81 ID:UMaoqhYo
しかし、そろそろ我々も卒業研究発表である。
当然一人、また一人とネトゲ熱が冷めていき、俺たちのブームは完全に去った。

そのネトゲのしたらば掲示板では、俺たちのパーティーはちょっとだけ有名になっており、
急に全員が消えた理由とかが(妄想で)書かれていた。

○○:35歳ニート、人生に絶望して自殺

おい、俺35でもニートでもないし、何より生きてるぞ。

それはそれでいいとして、卒業研究発表は若干のハプニングもあったが、つつがなく終わった。
卒業研究が終われば我々は大学院生だ。

大学院が、、、ホントしんどかったんです。
309 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:10:07.02 ID:UMaoqhYo
大学院生活が始まるといっても基本的には何も変わらない。
普通に院の授業があって、今まで通り実験して、クソして寝るだけだ。

そんな中、俺は極めてクリティカルな事態にあった。

前にも書いたマミさんは全然自分で実験しないし、アドバイスもくれない。
しかも土日すら全然学校に来ない。
そんなマミさんが、俺の実験データだけではドクター取得が厳しくなったのである。

ドクターの取得には最低これだけの論文を提出しましたよって実績がないと不可能なのだが、
マミさんはこのままではその数が足りない為、留年しかねないとのことだった。

マミさんがとった行動は、信じがたいことに
自分が実験を頑張ってするとか、ちゃんと勉強してアドバイスをするとかではなく、

「○○(俺)の尻を叩いてくれ」と研究室の教授連中に告げ口することであった。
310 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:17:30.23 ID:UMaoqhYo
そうなると当然負担がいっきにかかるのが末端構成員である俺だ。

毎日毎日研究のトレースを受け、ここをああしてみろ、ここをああしろと
助手、準教授、教授からプレッシャーがかかる。
しかも全員が言ってることバラバラなのだ。
さらに全員が言っていることを実践してもそう簡単に結果などでない。

誰に従っていいか分からないと思っている俺に助手は

「そんなんじゃ○○君卒業させれへんな」

と言うばかりである。
というか、研究テーマに差がありすぎて「じゃあ他の奴にやらしてみろや」
と何度言いかけたか分からない。

しばらくの間、そんな劣悪な環境の中も耐えていたが、ある日何かがプツンッと切れた。
311 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:27:55.72 ID:UMaoqhYo
俺は無断で学校をサボりまくるようになった。

しかし、自分でも意識していないが、実は根がまじめなのかも知れない。
一日学校に行かないことで不安になり、その不安からまたその翌日も学校に行けない。
というように徐々に学校に行けなくなってくるのだ。
本当不登校の典型って感じ。

行かない期間ちゃっかり助手から

「卒業する気がないのはよく分かりました。自分は一切サポートしませんし、卒業はさせませんのでそのつもりで」

とかメールが来る。
そんなメールをもらって来る気になる奴が果たしているんだろうかって思うのだが。

俺は耐え切れず、不登校大学院生になってしまった。
312 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:40:38.34 ID:UMaoqhYo
こんな事態親にも言えない、仲のいい友達にも言いたくない。
ユウコにも言いたくない。

俺は現実と理想のはざまで苦しむことになった。

今書き出すと本当にしょうもないことなんだが、当時の俺は本当に必死だった。
というかそんな状態にも関わらずひたすら助手のアマダさんから送られてくる
心ないメールに、一時死を考えたこともあった。

メールの内容は

「私はあなたのことを3年間しか面倒を見なくていいからいいですが、
 企業の人は30年間も面倒を見ないといけないから大変ですね」

とか

「学校に来ないなんて中途半端なことは辞めて下さい。
 ○○課に行けば退学届がもらえますので、そちらで対応して下さい」

とか本当思い返しただけで腸が煮えくりかえってくる。
それが教育者が生徒に対して吐く言葉か、って毎日思ってたね。
313 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:52:50.80 ID:UMaoqhYo
俺は下宿で引き篭もるようになった。

本当に死を考えた時、やっぱりユウコに相談することにした。
だって、自分が付き合ってた奴がいきなり死んだらヤでしょ?

するとユウコは俺がこんな情けない状態でも毛嫌いすることなく、
心療内科に行くことを勧めてくれた。
本当にこいつが彼女でよかったと感じた。

心療内科に行くと、「自律神経失調症」と診断された。
これは本当に嫌だよ。

まず汗のコントロールができない。
周りに人がいるだけで汗が滝のようにでる。
俺は未だにそうなんだけど、酒を飲むか薬を飲むかしてない限り、
何もしてないのに汗がダラダラでる。

さらに、物覚えが極端に悪くなる。
忘れよう忘れようと脳が命令を出すので、本当に重要な情報でも覚えられないのだ。

心療内科で抗欝剤、抗不安剤を貰い、服用していた俺の精神はもうボロボロで、
自信満々なんかに死んでもなれなかった。
きっと俺はこの症状と一生戦っていかなきゃいけないんだろな、と思った。
今でもそう思う。
314 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:53:55.77 ID:UMaoqhYo
こんな情けない自分を人に見せたくない。
そう思った俺は実家に帰ることにした。

実家に帰るのは久しぶりだ。

正月くらいしか帰ってなかったので、実家に帰ると両親はびっくりしていた。
それとともに、兄貴とは違いまっとうな道を進んだ俺がこんな状況になったのを落胆している姿が見てとれた。

親の期待を裏切ったようで、なんだか申し訳ない気分がした。
生まれてこなきゃよかった、なんて本気で思ってた。
315 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:55:39.25 ID:UMaoqhYo
吉田兼好かなんかが、「人の世に親に愛に勝るものはなし」とかなんて
言ってた記憶があるが、やっぱりオカンはすごい。

俺の精神状態を見抜いてたみたいで、ある日オカンに飲みに誘われた。

飲みに行った時、オカンは俺に言った。

「昔、私が仕事辞めた時に○○だけ『お疲れ様でした』って言ってくれたやろ?」

俺はその記憶が全く残っていなかった。
俺のオカンは過去に小学校の教諭をやっていたのだが、
今でいうモンスターペアレントがひどくて俺の弟になるはずだったお腹の子の流産と共に退職を余儀なくされた経験がある。
その時に、俺の周りの親族達は「運が悪かったと思って諦めなさい、仕事は転勤なるまで辛抱すればいいんだし、もうちょっと頑張ってみたら?」
と言う中、どうやら当時小学校低学年だった俺だけが、

「お疲れ様でした」

と言ったそうなのだ。
316 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 03:59:35.52 ID:UMaoqhYo
オカンはその時もう仕事を辞めるつもりだったらしい。どんなことがあろうとも。
誰一人それに賛成してくれる人がいなかったことがショックだったそうだ。
そんな中、自分の息子が自分の今の気持ちに即した一言を言ってくれたことが嬉しかったんやって。

オカンは声をつまらせながら

「その時、本当にこの子を産んでよかったと思った」

と続けてくれた。

オカンは普段人前で泣いたりする女ではない。
世が世なら巴御前とタイマンはっちゃうような女だ。
そんなオカンが泣いた。

やっぱり雰囲気で俺が命を絶とうとしてるなんて分かったのだろうか。
俺が泣きたい気分だった。ありがとう、と。

でもどうやら自律神経のせいで汗が出すぎたみたいだ。
ごめんな、オカン涙がでないよ。
317 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 04:08:12.64 ID:UMaoqhYo
オカンと飲みにいったら、親父も俺を飲みに誘った。

かなーり前に書いたが、親父は俺を見捨てたこともある。
ちなみに普段寡黙な人で、ガッチガチの銀行屋だ。

会社に入ってからも同僚と飲みに行ったりせず、勉強ばかりして
税理士とか中小企業診断士上級とか持ってるような親父だ。

親父とサシで酒を飲むのは初めてだった。

どんな話をしていいか分からない。当時俺は22とか23だ。
親父の背中のデカさが分かる年ではあるが、親父と共通の話題なんてものもない。
俺が手持ち無沙汰に酒を飲んでると親父から口を開いた。
318 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 04:10:49.28 ID:UMaoqhYo
「学校しんどいか?」

普段寡黙なだけあって話す時はストレートやなぁとか思いながらも俺は

「うん、はっきり言って辞めたい」

とか言っていた。

親父は貧乏な家で育った。
俺のジィちゃんなんだが、とんでもないギャンブル狂で借金が山ほどあった。
親父はその為、学生時代、クラス全員が持ってる英語の辞書が高すぎて買えないほど貧乏だったそうだ。

なので大学受験の際は、英語がほぼ0点確実だったので、
その分、他の科目で頑張り大学に受かった。
大学は多分日本国民なら9割は知ってるような大学だ。

大学生活中は、バイトをして自分で学費を稼ぎ、下宿代を稼ぎ、教科書代を稼いでいたそうだ。
そして社会人になり、ジィちゃんが勝手に買った二世帯ローンを完済し、自分の家も建てた。
自分の家は二世帯ローンでは無く、親父が一人で完済した。

そんな苦労人の親父の前でのうのうと大学に行った俺が軽々しくも「辞めたい」などと言っている。
当然、キレられるか愛想つかされるかのどっちかだと思っていた。
俺は愛想をつかされたかったのかも知れない。
もう期待に応えられる自信がない。
319 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 04:15:28.09 ID:UMaoqhYo
しかし親父が発した言葉は意外だった。

「まぁ、大学院は卒業してなくても大学は卒業してるからいいだろ」

あの生真面目な親父がそんなことを言った。

「大学院なんて無理してでもいくようなとこじゃないから辞めていいぞ」

肩の荷が降りた気分だった。
今回の症状がでた原因の一つに「親父の期待に応えたい」というファクターもないではなかったのだ。
親父が親父なりに気を遣ってくれている。
どのような結末だろうが自分の中で決着をつけねば。
320 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 04:16:42.91 ID:UMaoqhYo
そんなことがあり、すぐに決断するのは漫画やドラマの世界だ。
俺は依然として、どうすべきか考えあぐねていた。
すると、兄貴が実家に戻ってきた。

先述した通り、兄貴はどうしようもないヤンキーで家を飛び出した男だ。
俺はどっかでノタレ死んでいるかと思っていた。

しかし、帰ってきた兄貴は以前とは別人だった。

兄貴は家をでて、一旦都会に行き、ヒモみたいな生活をしながら仕事を探したが、
学歴がないので門前払いをくらっていた。
しょうがないので、日雇いバイトなどをしていたそうだ。

負けず嫌いな兄貴は学歴をとろうと大検を受け、4年制大学に入学した。
しかし、2カ月程度で「あそこは行く価値がない」とか言って大学を辞め、
紆余曲折を経て資格試験の勉強を始めた。
詳しい職種は敢えて書かないが、有名大卒の人間もポコポコ落ちる
合格率3%だかの試験に合格し、現在開業している。
321 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 04:19:30.93 ID:UMaoqhYo
そんな兄貴は両親から俺の今の状況を聞いていたみたいだった。

兄貴は俺に「タクシーに乗れ」といってタクシーに乗せると、
地元ではおそらく一番の高級料亭のような店に連れていった。

この店はなんとメニューがオール時価。
一品に1万とられようが2万とられようが文句の言えない店だ。

俺は入る前から萎縮していた。

兄貴はずかずかと入っていき、そこでサシで飲むことになった。
なんか俺の家系サシ飲みばっか。。。
322 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 11:56:58.94 ID:UMaoqhYo
前にも書いたが、俺は兄貴が大嫌いだった。
むしろ兄貴を殺そうと思って中学時代柔道を始めたほどだ。

そんな兄貴と今サシで飲んでいる。

兄貴はたわいもない話を始めた。

二部くらいでも書いたが、好きの反対は無関心だ。
好きと嫌いは表裏一体の所に存在していて、
性質はかなり近いと俺は思っている。

兄貴が嫌いってことはまだ好きとかなり近い位置にあったのかも知れない。

そういえばガキの頃、何をするにしても兄貴の真似ばかりしていたような気がする。
兄貴が黒い服が好きだったから、俺も黒い服を着る。
兄貴が格闘技を始めたから、俺も格闘技を始める。

もしかして兄貴が荒れだしたから、俺も荒れていたのかも知れない。
かっこいい自慢の兄ちゃんだったもんな。
323 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 11:59:11.01 ID:UMaoqhYo
そんなことをぼんやり考えていたら、兄貴が核心に迫ってきた。

「大学辞めるんやって?」

その時俺は始めて兄貴がこの事態を前々から知っていたことを知った。
俺は「まだ分からんけど」とか言っていた。

親父とかオカンと違って兄貴はやっぱり兄貴だった。

「辞めれ、辞めれ、大学なんか行っても何の意味もないぞ」

とか言っていた。言うことが極端だな、相変わらず。

「俺は東大でてる同期の5倍は給料あるし、休みもあるぞ」

そんなことを言っていた。
これ後で知ったのだが、当時兄貴は全国ネットではないが、テレビに
コメンテーター的な有資格者としてちょいちょい出演してて、
それのおかげで問い合わせが殺到して目が回るような忙しさだったそうだ。

そんな中、わざわざ一日空けて俺に会いに来てくれてたらしい。
俺はそんなことも露知らず、

「だっていつ客がいなくなるか分からん不安定な仕事やろ?」

なんて言ってた。ちょっとふてくされていたかもしれない。
324 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 12:00:23.38 ID:UMaoqhYo
すると兄貴は

「俺はこのまま終わるつもりないぞ。億の金を動かす為には介護ビジネスだ。
 今介護資格をとる為に通信教育で大学生やってる。いずれでっかい介護施設建てるから見とけ」

と言った。更にその後、気まずそうに、こう続けた。

「だから、お前がもし就職とかうまくいかんでも俺が拾ってコキ使ってやるから安心しろ」

後でオカンに聞いたが、兄貴は俺がこういう状態になってるってことを知ってから、
めちゃめちゃ忙しい中、仕事しながらも通信教育で行ける大学を探したらしい。
介護の資格は実習経験がないととれないからどうしても大学に入る必要があるそうだ。
でも、どこの大学も自営業者の入学資格って中々認めないらしい。

やっぱり兄貴はかっこいい自慢の兄ちゃんだった。

俺は気がつくと、泣いていた。
325 : ◆pC19brR.EM :2009/11/28(土) 12:01:15.43 ID:UMaoqhYo
結構泣きやめなかったことを記憶している。
10分くらい泣いてたと思う。

兄貴は何も言わずにタバコ吸ってた。

こんなに恵まれた環境にいるのに俺は何やってんねん!って思った。
その時、俺は関西に戻ることを決心した。
助手にちょろっと嫌味とか連発されたくらいでへこたれてる場合じゃねーよな。

肝心なのはこれからだ。

そう思い、俺は関西へと戻るのであった。



クズ野郎のグレートフルデイズ第3部 前編 完
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/11/28(土) 14:50:35.88 ID:Jst3uA2o
なんか結構壮絶なリア充生活だな
大学行ってるリア充ってみんなこんな感じの生活してるの?
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/28(土) 17:09:20.93 ID:DVH6gESO
いや、>>1だけだろ多分
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/28(土) 17:10:15.92 ID:DVH6gESO
いや、>>1だけだろ多分
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/29(日) 07:50:44.74 ID:SpkUJwAO
続きまだかのー?
wktk
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/29(日) 13:22:55.70 ID:zqXKxESO
わしも楽しみじゃー
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/11/30(月) 20:36:22.42 ID:Bk7Mo.SO
パー速らしからぬリア充っぷりからすると見てるやつ少ないだろうな
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/01(火) 22:22:48.18 ID:.IYTz.SO
確かにパー速ぽくないけど俺は好きだ
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/02(水) 02:21:21.26 ID:Qh.Z7kSO
スレタイは一応ふせられてたけどブログにのってたよ。いいの?
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/03(木) 23:30:42.85 ID:J3q.TSEo
どこ?
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/04(金) 17:55:29.67 ID:F4hO06SO
今日は来ると予想
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/05(土) 19:20:58.65 ID:5v3b1QSO
もう来ないかもな
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/06(日) 22:51:49.01 ID:mnVErsSO
俺の唯一の週末の楽しみが…
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/08(火) 21:34:51.26 ID:vz2j16SO
マジでもう来ないのか?
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/10(木) 21:32:06.47 ID:7r/7MESO
忙しいんだか飽きたんだか
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/11(金) 05:00:30.10 ID:ILKLOOIo
おい
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2009/12/12(土) 18:17:39.64 ID:lKeM0wSO
失踪中
342 : ◆pC19brR.EM :2009/12/14(月) 22:17:03.41 ID:BA287N6o
すいません、仕事でバタバタしてて書き込みできませんでした。
まだ生きてますよ^−^
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2009/12/19(土) 04:02:03.75 ID:AmlhUCo0
お前のグレートフルデイズが聞きたい
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/21(木) 22:45:17.56 ID:tdmlDgSO
あけましておめでとう。
相変わらず更新ないな。俺は楽しみにしてるぜ。
続き書いてくれ〜
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/23(土) 17:17:21.05 ID:4N3Gp2SO
やっぱもう秋田か
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/24(日) 00:50:53.84 ID:vYn.B.SO
仕事忙しいんかな
347 : ◆pC19brR.EM [sage]:2010/01/24(日) 21:39:25.49 ID:abeTQ7Qo
あけましておめでとうございます!
ご心配おかけしました。忙しくてマジで更新できませんでした><
今日ちらっと読み返してみたら誤字・脱字ひどいですねww
またこそこそ更新するんでよろしくお願いします。
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2010/01/25(月) 00:01:42.61 ID:eOg1QoDO
おかえりー
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/01/26(火) 00:08:14.43 ID:yhM81QSO
超待ってた
350 : ◆pC19brR.EM [sage]:2010/01/30(土) 01:26:26.62 ID:edwOxUwo
(・ω・)
351 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/30(土) 01:36:37.40 ID:Ecw0VhQo
((*´∀`))
352 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/30(土) 01:53:35.16 ID:edwOxUwo
(。´Д⊂) <ローカルルール変わってたんだ
353 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 01:55:38.67 ID:kuG.9ISO
>>1
よぅ!
354 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/30(土) 02:05:51.68 ID:edwOxUwo
>>353
やあ
355 : ◆pC19brR.EM [sage]:2010/01/30(土) 02:50:43.83 ID:edwOxUwo
こんばんわ(〃^∇^)o彡
356 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/30(土) 03:27:40.88 ID:kuG.9ISO
今日は書かないの?
357 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/31(日) 17:09:14.39 ID:4BpKMMQo
^^
358 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/01/31(日) 17:10:36.76 ID:4BpKMMQo
(^p^)
359 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/01/31(日) 21:56:28.37 ID:fGilU6SO
^−^
360 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/03(水) 18:17:30.39 ID:L5B/5KQo
  あの……落としものですよ?

         .∧__,,∧
        (´・ω・`)
         (つ愛と)
         `u―u´

  あなたのすぐ後ろに落ちていましたよ?
361 : ◆pC19brR.EM [sage]:2010/02/06(土) 18:19:23.09 ID:pwjLrzco
地球なくなんねーかなー
362 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/06(土) 21:59:52.02 ID:nHbzpMSO
何があった?
363 : ◆pC19brR.EM [sage]:2010/02/08(月) 23:34:52.60 ID:xTXg/d6o
なんか色々人生に疲れました。
今週末くらいに書いてきます。。。
364 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/08(月) 23:36:20.62 ID:agrndZgo
すさんでるなww
一体どうしたんだ?
365 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/08(月) 23:40:20.99 ID:RlamfcSO
どうしたの?
366 : ◆pC19brR.EM [sage]:2010/02/09(火) 00:12:18.48 ID:8YRRzIEo
なんていうか俺ってクズだなーって最近改めて思いました。

それだけって言えばそれだけなんだけどね。
ケツメイシの「東京」って歌とザコブラツイスターズの「夢の旅人」って歌聞いて
ふと泣きたい気分になりました。

皆に幸がありますように。おやすみ。
367 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/09(火) 07:31:15.29 ID:7bDURUSO
大変だろうけど頑張れよ。ケツメイシいいよね。
368 :パー速のローカルルールが変わりました :2010/02/10(水) 22:57:41.82 ID:DBqX5cSO
名前をー呼ぶーきみの声が今も胸にのこーるー
369 :パー速のローカルルールが変わりました [sage]:2010/02/10(水) 23:00:53.03 ID:u5K2fcQo
グレートフル・デッドだと思って開いた俺が通ります
370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/02/14(日) 00:14:17.71 ID:dGq68.SO
今日も来ないか
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/03/07(日) 02:36:35.47 ID:3C1Ab/wo
そんなネゴシエーター俺の獅子奮迅の活躍もあり、
「じゃあ送信メールは見ないでね、受信メールだけならいいよ」
という確約を結んだ。

二人で顔をくっつけあってキサちゃん監視の元、粛々とメールを見ることになった。
今返そうとしていたメールは「今何してるの?」みたいなメールだった。
メールの送信者名は「○○豊」(どう見ても男の名前)だった。

その瞬間ふしゅーと空気が抜けていくような感覚に陥った。
そりゃ、キサちゃんもてるもんな、当然だよなアハハ・・・アハ・・
みたいな感じだった。最悪のアハ体験かも知れん。
メールを遡る内に雲行きがおかしい。
なんか「そっかーじゃあしゃーないなー」みたいのが多いのだ。

俺はもう辛抱たまらなくなって送信ボックスを見ようとした。
すると、絶対ダメ!とまた全力で止めにかかってきた。当然だ。
でもその顔がまたかわいくて麻薬絶対ダメ!のポスターに使いたいくらいだった。


ばいばいさるさんって言ってはじかれる・・・
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2010/05/27(木) 22:42:08.16 ID:AqDLi6SO
自殺フラグ
373 : :2010/11/15(月) 00:05:25.28 ID:zHCePLoo
鳥忘れちゃった(´∀` )ノ
スレがまだ残っていたことに感動
374 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/15(月) 00:14:47.99 ID:pkYXgUSO
てめぇのグレートフルデイズも今日まで
375 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 00:40:03.19 ID:zHCePLoo
こうだっけな?
376 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 00:42:20.75 ID:zHCePLoo
お、あってた(´∀` )ノ

>>374
プロシュート兄貴とそれは毎回見ますww
377 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 00:48:52.54 ID:zHCePLoo
さすがに当時見てた人いないか・・・(;´Д`)'`ァ'`ァ
378 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 19:06:37.70 ID:s4g4BsSO
いるぜ
早く書けよな
379 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 20:20:20.39 ID:Kxcx.sso
ここにもいるぜ
ずっと待ってるんだから
380 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 22:38:15.23 ID:w.vie0Uo
うほー(;゚∀゚)=3
こんなに嬉しいことはない・・・明日も朝早いんで
そんな長くはないけどちまちま書いてきます。
381 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 22:52:49.27 ID:w.vie0Uo
関西に戻った俺を待ち受けていたのは「いじめ」であった。

指導教官に超嫌われてしまった俺はアドバイスをもらえない、論文を見てもらえない、
教授が来る研究会以外(チーム内のもの)は参加できない。

などなど。。。

どうにもこうにも教官には嫌われていたのである。

研究室の仲のいい同期は俺が心療内科に行っていたことも知っていたし、心配をかけたくないので
一週間ごとに来る心ないメールはどんどん俺の心の奥に収納されていった。


思うように研究が進むわけもなく、途方に暮れる日々が続いた。

そんな鬱蒼とした雰囲気を打破したのが「就職活動」である。
382 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 23:14:48.03 ID:w.vie0Uo
「就職活動」と聞くと悪いイメージを持つ人が多いのではないだろうか?

例えば

「何社受けても落ちて鬱になってしまう」
「落ちる度に自分の人間性を否定されたようで鬱になる」
「落とされているうちに本当に自分のやりたいことが見えなくなり鬱になる」
「自分が社会不適合者ではないかと思い、就職そのものを断念してしまう」

などなど。

俺も当時そんな感じになるんだろうと思っていた。

就職活動を始める時期が遅く、エントリーシートの提出も全然できてなかった俺は
ファミコンソフト・ガチャポン戦士3英雄戦記で例えるなら、まさに「しんぺい」

「ベテラン」たちに勝てる予感が全くしてなかった。ましてやデフォで鬱状態だ。
完全にバグってるだろ、このゲーム・・・みたいなもんだ。

当時、2chの就職板で「祈られすぎて仏になりそうな奴集まれ(注)」とかいうスレを見て
心底恐怖したのを覚えている、と思って当時のスレ探したら時期が違った。
どうやらあのスレは就職してからだったらしい。
「縁が無さ過ぎて無縁仏になりそうな奴集まれ」とかだったかも知れない。

とにかくそれくらい恐怖していたのだ。


(注)就職活動中、履歴書なり面接で落とされた時の会社側からの連絡は9割型
   「あなたの就職活動の成功を心よりお祈りしております」みたいなメールが来るのだ。
383 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/15(月) 23:15:28.67 ID:pkYXgUSO
はじまってんじゃん
384 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 23:27:49.59 ID:w.vie0Uo
ただ、自分が浮かびあがる為には就職活動しかないのだ。

既に研究の分野では半ドロップアウトしてしまった俺を指導教官に何らかの形で見返すには
就職活動を成功させ、「あんたには嫌われましたけど世間には認められましたよ」と言うしかない!

・・・などと子供っぽい意地を持っていた。


今思えばその時点で鬱状態から立ち直っていたのだが、当時は当然そんなことは口には出せず、
不安に押しつぶされそうになっていたのを覚えている。

及川光博の歌で「その術を僕は知らない」という歌がある。

その中に「子供じみた夜、うずくまる大人一人」というフレーズがある。
まさにそんな感じだ。子供じみた欲望を持っているがうずくまることしかできない。

当時俺は21歳。

ガキの頃、えらい大人だと思った教育実習で来てたネーちゃんなんかよりも年寄りだ。
そんな大人がまだ見ぬ敵に怯えているのは、風車に挑むドンキホーテよりも滑稽この上ない。

そんな子供じみた大人の就職活動が始まる。
385 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 23:38:42.39 ID:w.vie0Uo
新卒の就職活動(既卒も?)は「エントリーシートの記入」からはじまる。

エントリーシート(ES)ってのはネット上の履歴書みたいなもんだ。

どんな会社も大抵身上事項書いて、最終学歴まで書いて、学生時代頑張ったこと書いて、
最後に自己PR書くとかそんな感じだ。

俺のようなしんぺいは書く度に何を書くか迷っていたが、
ベテランは何個かエピソードをつくっておいてその会社に合わせてコピペですませるらしい。

ニュータイプクラスになると、「みんなの就職活動日記」(通称:みんしゅう)の志望動機をパクりまくって通過するらしい。

社会人なってから人事の採用の奴に聞いたが、何書くかなんかよっぽど奇を衒ったものでない限り、
全く気にしておらず、ちゃんと文章が論理的で起承転結があるかくらいしか見てないらしい。
まぁ普通に考えれば当たり前だよね。
386 : ◆pC19brR.EM :2010/11/15(月) 23:49:05.49 ID:w.vie0Uo
どんな業界に就職するか?

これは人によって意見が実にまちまちだが、俺は「年収」のみで選択した。

俺が目指したのは金融業界だった。

金融は激務とか言われているが、どうせどんなとこ行ったって仕事はしんどいんだろうし、
それなら金もらえた方がいいじゃん!と思ったからだ。

理系院(工学系)行ってんのに何考えてんの?って感じだが当時研究の分野には進みたくなかった。
薄給なことも理由に挙げられるが、何よりも大きな理由が指導教官の延長線上にいたくなかったことだ。

俺ほんとガキ。

3社のエントリーシートを書いてワクワクテカテカ会社からの連絡を待った。
387 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 00:03:47.78 ID:fDcfiYso
俺みたいなもんが書いたエントリーシートなんて通るわけねーよな〜。

とか思って焦りだしてきた頃に面接の案内が来た。
やっぱ理系院という物珍しさがきいたのだろうか。

最初に連絡のあった会社は、業界としてはなんというか柔らかい感じの会社だ。

面接なんて初めてだ。

ドキドキしながら当日面接会場へ向かう。


面接会場に着くと、やたらかわいいネーちゃんがちょこんと机に座っていた。

なんだこのヌイグルミみたいな小娘は。


ESの印刷したの渡して話しかけると声優みたいな声で

「○○さんですね?本日ちょっと時間が押してますんで、こちらでおかけにお待ち下さい」

とか言う。

「ハイ」とか小声で言って座る俺。


10分くらいたったらまたヌイグルミが話しかけてくる。

「今日ちょっと押してますんで、もう少々お待ち下さい」

また「ハイ」とか小声で言う俺。


さらに10分くらいたったらまたヌイグルミがテクテク歩いて来る。

「今日ちょっと押してますんで、他にご予定ございましたら面接のお時間移させて頂きますけど・・・」

「イイエ」とか小声で言う俺。てかこの生き物何回押してるって言葉使うの。
388 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 00:12:08.90 ID:fDcfiYso
結局40分くらい待たされて面接会場に行く。

一応マンツーマンの面接だけど面接会場は長机に三人座るみたいな感じで、人でごった返し。
面接に向かう人々はさながら養鶏場のブロイラーのよう。声でかくてやかましいし。

自分の面接の席に行くまでに「私の長所は〜サークル活動で〜」とかって高らかと
「私は馬鹿です」と言わんばかりに絶叫してるアホウがいる。選手宣誓かよ。

サークルって入ったことないけどサークルとかに入ると皆こうなるのか?とか思ってしまった。

席につくと、車だん吉クリソツのおっさんが来た。
389 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 00:18:40.05 ID:fDcfiYso
一次面接ってのは大体聞かれることが決まっている。

「何故志望したか?」
「学生時代頑張ったこと」
「自分の長所・短所」

この三本立てだ。

さらに言えばこんなのは模範解答がネットで探せばいくらでもでてくるので、
悩む方が難しい。

だん吉も同じことを聞いてきた。

俺は何故志望したかは「金融システムに興味を持った、親父も金融業界」
学生時代頑張ったことは「研究」、長所・短所は「行動が早いこと・せっかちなこと」にしていた。

全然模範解答じゃないが、自分が喋り易いから使っていた。


一次面接は難なく通過した。
390 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 00:33:43.49 ID:fDcfiYso
その日のうちに通過の電話をもらい、二次面接の日程は翌日から予約可だったので、俺は翌日にした。

二次面接から少しだけその会社の特色がでてくる。

二次面接では最初に5枚のカードのうち3つを選択し、3分だか5分だかで構成して、
そのテーマに沿って10分喋れってものだった。
確か俺が選んだのが自己資本比率、バーゼルU、リスク管理だったと思う。
金融関係のテーマのみでふるいにかけてる感があった。
ちょっとでも金融の勉強をしておいてよかったと思った。

10分喋った後、フィードバックをくれる。
最初少し駄目出しをくらったが、その場でおっさんが
「君は多分この二次面接通ると思うから次頑張ってね」と言ってくれた。


その頃には就職活動が楽しくなってきていた。

俺が就職活動をしていた頃はリーマンショック前だった為、泣く子も黙る売り手市場だったのだ。

自分よりも人生経験豊富なおっさん達が俺みたいな若造のヌかす戯言に目をキラキラさせて
耳を傾けてくれる経験なんて後にも先にも就職活動以外ない、と思う。
大学でおっさんにいじめられてる俺からしたら売り手市場の就職活動は天国だった。


そして三次面接、しかしここで悲劇が起った。
391 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 00:44:21.37 ID:fDcfiYso
思いの他チョロく面接を通りすぎてしまっていたため、
「志望動機」という基礎中の基礎がお留守になってしまっていたのだ。

一次面接くらいなら先述した「金融システムに興味を持った、親父も金融業界」で大丈夫だが、

さすがに三次面接ともなると違う。

普通にやや圧迫面接気味に突っ込んでくるのだ。

金融業界を受けるにあたってかじった程度に勉強はしたが、所詮は浅知恵、プロの前ではあっけないものである。
俺の金融に対する認識の根底にあるのはバイブルだった難波金融道(漫画)の灰原達之(主人公)である。
そんな奴が吐く金融システムなど、所詮たかが知れてるのだ。


何も喋れず絶体絶命になった俺を助けたのは芸であった。

面接官の目がキラリと光ったのを今でも覚えている。
392 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 00:51:34.25 ID:fDcfiYso
(;´Д`)'`ァ'`ァ
393 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 10:45:40.15 ID:fhiX6UUo
おいww間空きすぎて話し忘れちまったぞww
394 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 11:18:13.11 ID:qLbb03co
wwktk
395 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 12:35:47.61 ID:t.TZxMSO
仕事中か
396 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 22:29:54.41 ID:Xd5qKr.o
仕事おわった(´∀` )ノ
誰もいない?
397 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/16(火) 23:30:42.41 ID:t.TZxMSO
ここにいるぞ〜
俺はまだ会社
398 : ◆pC19brR.EM :2010/11/16(火) 23:40:51.52 ID:Xd5qKr.o
お、人いた(´∀` )ノ

お仕事お疲れ様です。
399 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 00:05:25.71 ID:0Qy3k6SO
早く書けよww
400 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:19:54.99 ID:3O86Nvgo
すいませんww
それでは再開です(´∀` )ノ


面接官のおっさんは二人で、形式は一人(おっさんA)がずっと質問して、
もう一人(おっさんB)が黙りこんで俺の瞳を覗きこむといったよくあるパターンだった。

質問してる方はある程度和やかなのだが、

瞳を覗きこんでるおっさんは今にも俺に殴りかかってきそうな程何故か若干キレていた。


喋りかけてくるおっさんはエントリーシート内の趣味・特技欄について質問してきた。


おっさんA「○○君は特技に声帯模写と書いてるけどこれは何?」

俺「私はコミュニケーションツールの一環として活用しています」


声帯模写っては言うまでもないが、ものまねのことだ。
その瞬間、おっさんBの目がキラリと光った。

・・・これは、いける!

そう思ったと同時くらいに今まで一度も口を開いてなかったおっさんBが言い放った。

「どんなレパートリーがあるの?」
401 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:24:32.86 ID:3O86Nvgo
うむぅ・・・・。

確かにモノマネはたくさんあるが、おっさんの年齢を考えるとチョイスが実に難しいところだ。

俺は数あるレパートリーの中からヤッターマンのドクロ兵衛様をチョイスした。
年齢的にヤッターマンは見ているはずだ!

逆転を図るべく、俺は精神を統一させてモノマネを、いやコミュニケーションツールの一環を放った。


(・・・わしの生き様見さらせ!)


「おしおきだべぇ〜〜〜〜〜〜」


静かな部屋に実に伸びやかに響き渡る俺の声。

どや顔でおっさんAの顔を見た。

ぽかんとしていた。


同時におっさんBを見た。

びっくりするほどブチギレだった。
402 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:28:42.02 ID:3O86Nvgo
まずいなんてもんじゃない。

一次面接なんかではこんな感じでだだスベリして
アホ面下げてトボトボと帰っていくソルジャーが多いが、
さすがに三次面接でここまでだだスベリをする人間なんてほとんどいない。
てかモノマネ自体この状況でやる奴はそうそういない。

ましてやブチギレさした奴なんて俺くらいじゃないだろうか。

しかし、当時の俺はすかさず

「もう一つお願いします!」

と言っていた。


おっさんBが俺に首をカッ切らんばかりに飛びついてくる前に、おっさんAは「どうぞ」と
やや嘲笑めいた乾いた声で言った。

もう失敗は許されない、そう思った俺がチョイスしたのは「井上陽水」だった。

絶対に負けられない戦いが・・・ここに・・・ある。
403 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:34:40.30 ID:3O86Nvgo
「じゃあいきます」

ここで照れや気後れがあっては駄目だ、俺の全てをぶつける!
死ぬ時はせめて前向きに死にたい。そう、赤く美しく。
そう心に決めて熱唱を始めた。


「ホッテルはリバァ〜サ〜イド、街角リバ〜サ〜♪」


歌いながらちらっと前を見た。


おっさんA「・・・」

おっさんB「wwwwwwwwwwwwwwww」


これはモロタ。
俺は確信した。

おっさんBはなんと大爆笑。

一体このおっさんは過去に井上陽水と何があったと言うのだ。

おっさんBに釣られておっさんAも笑いだした。
そして俺も笑った。人類皆兄弟!

ありがとう井上陽水。
404 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:45:26.93 ID:3O86Nvgo
その後は今までの圧迫面接チックな空気は打破され、
びっくりするくらい和やかに面接は進んだ。

さらに俺がおっさんAの質問の返答にミスったりしても、おっさんBが

「いやいや、A君、○○君はそういうことを言ってるんじゃなくて
 こういうことを言いたいんだよ、そうだよね、○○君?」

「全く持っておっしゃる通りです」

これは通らないはずがない。

案の定、後日三次面接通過の連絡を受けた。

残すは最終面接のみ。
405 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:49:31.48 ID:3O86Nvgo
最終面接はいわゆる役員面接という奴だ。

相手は役員×5。さすがに今までとは威圧感が違う。
さらに面接時間は確か45分。

しかし相手が何でもどんとこいだ。


俺には研究室では持てなかった自信とプライドと井上陽水という武器がある。

自信満々でノックをし、「失礼します」と言って部屋へ入って行く俺はさぞかし男前だっただろう。


椅子に座ると意思確認をされる。

実ははしょっていたのだが、三次面接も意思確認スタートだった。

意思確認ってのは「ウチの会社は君の中で第一志望なのかい?」みたいな確認だ。


こういう時の模範解答は「第一志望群です」らしい。

何故なら「第二志望」と言ってしまうと印象が悪いし、
かと言って第一志望と言ってしまうと、内定をもらった後、
すぐに就職活動を辞めないと「第一志望って嘘ついてんじゃねーよ!」
って内定取消になってしまう(らしい)からなのだ。

実際に第一志望の奴なんて極少数なんで、結局皆第一志望群と言う。
第一志望群と言っておけば、内定をもらった後でも若干の猶予が与えられるのだ。


ただウチの会社の人事担当は役員の承認ももらって採用を決めてるから
第一志望と言っておいて「もう少し就職活動を続けさせて下さい」と言われようが
おいそれと内定取消になんてできないらしい。
もちろん他の会社は分からんが。
406 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 00:59:12.72 ID:3O86Nvgo
俺はどの面接でも第一志望と言っていた。

だってガチで内定でた瞬間就職活動辞めようと思ってたからね。

最終面接でも当然そうだ。


「第一志望です」

そう答えると、役員は俺に言った。

「君はA社やB社も受けてるそうだよね?なんでウチが第一志望なの?」

これは基本中の基本の就職活動の教科書7ページ目にくらいに載ってる内容だ。
当然同業他社との優位性を認識しておかなければならない。

「ディスクロージャー誌や開示情報を拝見し、御社の海外戦略に主眼を置いている点に魅力を覚えました」

俺は自信満々で言った。

実際その会社は業界内では最も海外戦略に重きを置いていたのだ。


「いや、金融業なんて現在どこも海外戦略に重きを置いてるよ?ウチじゃなくてもいいんじゃないの?」

・・・ムッ。

確かにそうなのだ。
これはどんな業界でもそうだが、内需だけでやっていける業界なんてあるわけがない。
どんな業種でも収益拡大を目指し、国外進出している。

当然俺はそれを承知の上で言ったわけで、その中でもとりわけ力を入れているからアナタの会社を・・・

と言っていたつもりだったのだが。

そもそも最終面接はどの会社も意思確認だけと「みんしゅう」で見ていた俺は、
そんなに喋ることを考えていなかった。
更に質問は飛んでくる。

「私としては、弊社よりもA社さんの方が海外戦略には力を入れてると思うけどね・・・」

自分の会社の志望者の前でなんてこと言ってるんだ、このおっさんは。
今思えば役員だった為、自社の利益力、戦略、人材を冷静に分析した結果、
本心でそう思っていたのかも知れない。
407 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 01:07:09.16 ID:3O86Nvgo
俺は予想外の事態に焦りだしていた。

「いや、私のような素人の目でも御社の海外戦略へかける意気込みは相当なもので・・・」

そんなわけの分からんことを言っていた。
直観的にこのまま喋るとまずいと感じていた。かといって喋らなかったらもっとまずい。
しかし話は変わりそうもない。

(どうしよう・・・どうしよう・・・)

そうやって焦っていると、矢継ぎ早に質問が飛んでくる。


「開示してる情報だけだと、中々経営戦略は見えないと思うんですけどねww」

「実際働いてみないと経営戦略なんて中々分からないものですしww」

「そもそもA社さんの方が利益率高いのをご存じないんですか?ww」


聞かれる質問に全て(まともに)答えられず、俺はヒヤ汗をダラダラかきながら必死にもがいていた。

(モノマネだ、モノマネさえできれば・・・)

その姿はドラゴンボールフリーザ編でスーパーサイヤ人化した悟空に
デスビームを当てようとするフリーザ様さながらである。

そう思っていると一人の役員がようやく趣味・特技欄に興味を示したようだった。

「○○さん、この特技欄の声帯模写って何なんですか?」

・・・ニヤリ
408 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 01:09:52.89 ID:3O86Nvgo
俺は水を得た魚のように急に流暢に喋りだした。

「私はコミュニケーションツールの一環として利用しております」

「何かやってみてよ」

これもチョイスが難しいところだ。
今回は50歳アッパーの男性五人だ。

知恵を絞り俺が弾きだした答えが、北野(ビート)武だった。

敢えてライトなモノマネの方が彼らにはうけると判断した為だ。
さらに彼らの世代なら北野武は英雄だろ。


首をクイッ、クイッと動かしながら

「ダンカン!馬鹿野郎!松村馬鹿野郎!」

と言ってみた。さて反応はどうか・・・。


「君は面接を馬鹿にしてるの?」



や、やってもーたー!
409 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 01:12:06.81 ID:3O86Nvgo
更に焦りだす俺。

(やっぱり陽水さんや!陽水さんじゃないとアカンかったんや!)

そう思っても後の祭りである。

俺の最大の武器は諸刃の剣だった。
素人にはおすすめできない。

そんなこんなで面接時間があと3分くらいになった。

既に俺はグロッキー状態だった。

面接官は「さて、これが最後ですが・・・」と前置きを入れて

「今日の面接の出来はあなたにとって何点でしたか?理由を添えてお願いします」

と聞いてきた。

俺はすかさず0点と言いそうになったが、自分ですら満足のいかない結果というのは失礼にあたると思い、

「40点です。自分の伝えたいことが伝えたいことが伝えられませんでした。とても半分はつけられません。」

と答えた。


すると次に面接官の言った言葉に度肝を抜かれた。

「では今から1分間差し上げますから残り60点を挽回して下さい、ハイどーぞ」


ハァ???

それができたらやってるちゅーねん!
どんな無茶ブリだよ!何Sっ気出してくれとんねん!


そう思いながらも健気に自己アピールをする俺。

その姿は憐れなおっさんたちの慰み者であったことは言うまでもない。


結果は当然落ちてました。
410 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 01:15:57.62 ID:3O86Nvgo
(´∀` )オヤスミ〜
411 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 01:32:35.41 ID:a4WHbYSO

いつも見てるよ
暇があったらまた書いてねー
412 : ◆pC19brR.EM :2010/11/17(水) 23:09:19.15 ID:/8Hfdc6o
ただいま〜(´∀` )ノ

こんな駄文読んでもらってありがたやです。
書きたいことやっと今一つ書けただけの超ローペースですが
よろしければお付き合いを(´∀` )
413 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/17(水) 23:24:31.38 ID:bc4bjCIo
待ってました!
414 : ◆pC19brR.EM :2010/11/18(木) 00:58:45.91 ID:914bVWAo
あう、洗濯物とか風呂入ったりしてて気づかなかった。

今日はもう寝るのです。本当にごめんよ(つ∀` )
気づいてたらもっとごりごり書いてたのに・・・。

ではおやすみなさい。
415 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 02:02:47.49 ID:gaCkVZoo
明日でもいつでも暇なときで良いから話を聞かせておくれよ
416 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/18(木) 23:14:15.75 ID:oF8hYMSO
今日は来ないか?
417 : ◆pC19brR.EM :2010/11/18(木) 23:56:14.71 ID:PuMka6Qo
今仕事から帰ってきました(´∀` )ノ

>>415
そう言ってもらえて嬉しいです。
ほんとつまらない自分語りですが、暇つぶしにしてもらえれば幸いです。
418 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:08:05.47 ID:mNIHdCAo
再開です(´∀` )ノ


時同じくして。

俺はモノマネで撃沈した会社の面接と同時並行で違う会社にもエントリーシートを提出しており、
エントリーシートを突破して面接にこぎつけていた。

この会社は業界最大手の超優良企業だ。

一時「就活生が入りたい会社ナンバーワン」だかに輝いていていた時期もあったらしい。
これだけでカンのいい人はどこだか分かってしまうかも知れないが。
とにかく就職活動中の人間にこの会社の内定をもらったと言えば、
10人に9人は「すげーな」と言うくらいのレベルだ。
419 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:16:52.76 ID:mNIHdCAo
この会社に大学の同期(文系)が入社していたのだが、面接前に聞いた話だと、
会社の同期がイケメン高学歴リア充揃いとのことだった。

その会社の研修中はAV女優との合コンを楽しみ、クラブに行っては女をひっかけまくりだったらしい。
ちなみにコンパに来たAV女優は今現在超売れっ子でソフトオンデマンドとかで単体で何本も出してるクラスだ。
現在でもエロネットサーフィンに1時間も勤しめば必ず5本はサンプル動画を見かける。

ちなみにその時コンパを開いた男はスポーツをやっててインカレ上位に必ず食い込む爽やかイケメンで
学生時代はファンクラブもあるほどの男だったらしい。

AV女優とコンパ、個人にファンクラブ・・・・。

サークルすらやらず、ギャンブルとネトゲに明け暮れていた俺からすれば、正に修羅の国。
俺の想像を遥かに超えていた。

俺は当然受かるわけもないだろうなと思いつつも、受かったらラッキーじゃんくらいのノリで志望していた。
420 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:22:25.80 ID:mNIHdCAo
最初は筆記試験&面接から始まった。

筆記試験は確率統計の問題が何問か出題され、難易度も理学部数学科にでも所属していない限り
簡単とは言えないレベルだった。

漸化式をつくって確率とか求めたの久しぶりだった。

当然数学に慣れている人間いないはお断りの試験だったため、
基本的には文系の周りの志望者が死亡者になっていく中、俺は腐っても理系。
そこまでひどい点数ではなかったと思う。

面接に向かう。
421 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:29:23.60 ID:mNIHdCAo
その時既に前述の会社で二次面接まで受けていた俺は就職活動が楽しくなっていた時だった。

この会社を知る人の中では、この会社は「志望動機を聞かない」面接をするということで有名だ。


面接は普通のトークだ。
本当に世間話をしているみたいな感じなのだ。

「今日はアツいね〜25度まで上がるらしいよ」

とかから始まったと思えば、最近の流行の話になったり、最近どこに旅行に行ったかなど。
面接とは思えない内容だった。

ほんとドコ見てたんだろ。

「○○について話して下さい」って言われた記憶がない。

結局何が目的なのか分からないまま面接が終わった。
422 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:34:49.70 ID:mNIHdCAo
その翌日電話がかかってきて二次面接の案内をされた。


二次面接はもう少しだけ普通っぽい面接だった。

一貫して志望動機は聞かれなかったが、学生時代頑張ったことや
長所・短所が申し訳程度(2、3分くらい?)に聞かれ、
最終的にはその当時俺がやってた分野の研究のトレンドを話してたら面接時間が過ぎていた。
特に印象に残る「やってやった感」も無く、かと言ってこれと言ったミスも無く面接が終わった。

結果は何故か通っていた。

ほんとにどこ見てたんだろ。
423 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:50:04.67 ID:mNIHdCAo
三次面接になる。

三次面接からが本番だ。
どの会社でも就職活動スキルが無ければ突破は難しい。
前の会社でも井上陽水という切り札が無ければ突破していなかっただろう。


案内されたのはキッレーなビル。

そのビルの最上階くらいで面接が行われる。
ビルからは大阪一帯が見渡すことができる。
俺の考えていたかっこいい社会人ライフが見えつつあった。


面接の形式は1対2。

相手はいかにも仕事のできそうな若い男性と、50歳くらいのおじさんだった。

若い男性に促されながら面接が始まる。
が、次の瞬間ギョッとした。

「○○さんは何故弊社を志望なさったのですか?」

えええー!

だってこの会社は志望動機聞かないんじゃなかったっけ?

そう思い、一瞬戸惑った。

「御社の社風と面接を受ける内に感じた“人”に惹かれました」

やっとのことで面白みも何もない最悪の返答を返してしまった。

「ハ、ハァ〜、なるほど〜」

やばい、相手呆れてる。

最悪のスタートをきってしまった。
424 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 00:55:21.91 ID:mNIHdCAo
就職活動において、「人に惹かれた」と「社風」はご法度だ。
頭が相当悪い奴だと思われる可能性が非常に高い。
多分俺が面接官でも面白く無さ過ぎてもう話を切りたくなる。
これから就職活動に向かう方は是非とも念頭において頂きたい。


スタートが駄目だと全てがグダグダだ。

いまいちピントのずれた返答ばかりしてしまう。

面接に限らず、会話に大事なのはキャッチボールだ。
相手の言っていることに過不足無く答える。
これがポイントである。

例えば「学生時代頑張ったことは?」に対する返答は固有名詞でないといけない。
「研究です」や「アルバイトです」や「サークル活動です」になるべきなのだ。

しかしグダグダになった俺は

「研究です。私の研究はウンタラカンタラでウンタラカンタラをしておりましてウンタラカンタラ」

と冗長に聞かれていないことまで喋ってしまっていた。
これは大減点もいいところである。

「研究です」と言えば、相手に「どんな研究なんですか?」や「どういったところに役に立つんですか?」など
当然聞いてくる為、相手に聞きたい情報を効率的に過不足なく与えられるのだ。

更に相手は時間に追われるサラリーマンだ。
暇人の学生のヨタ話に付き合ってる暇はないのだ。

俺の渡る世間は鬼ばかりもまっつぁおの長ゼリフを聞いた面接官はややうんざりしていたと思う。
425 : ◆pC19brR.EM :2010/11/19(金) 01:04:14.64 ID:mNIHdCAo
そんなこんなで俺のやる気が空回りする中、時間だけが過ぎていった。
俺は自分が良くない評価を受けていたことだけは感じていた。

時間だけが過ぎていく中、面接官はそれまでの流れをぶった斬って次の質問をした。

「あなたの最も尊敬する人は誰ですか?」

ふむぅ。

これも就職活動の教科書の3ページ目くらいに載ってるような問題だ。
しかし、俺は返答を考えていなかった。

少し悩み、俺が選んだ回答は「兄」だった。

その時、ようやく落ち着きを取り戻したのを覚えている。


当然面接官は「お兄さんを選んだ理由をお聞かせ下さい」と言ってきた。

俺は兄のことを包み隠さず話した。

俺をよくブン殴っていたこと、どうしようもない不良だったこと、家出をしたこと、
ヒモ生活をしていたこと、学歴をとろうと大学にいったこと、資格をとりだしたこと、
現在開業して活躍をしていること、そして新たな野望に向け大学生をやっていること。

面接官は神妙な顔つきでそれを聞いていた。
そして話が終わると、「すごいお兄さんですね」と言った。

当然だ。尊敬する俺の兄貴だからな。

「ではあなたはその尊敬するお兄さんのような生き方をしたいですか?」

そう言われると、俺は口籠ってしまった。
確かに兄のような生き方をしたいかと言われると、そうではない。

俺は比較的社会のレールに載って生きてきた。

そこそこの高校へ行き、そこそこの大学に行き、大学院へ進み、そこそこの企業に入ろうと思っている。
そんな今まで築いたものを崩して兄のような生き方をしようとは思わない。

大人になればなるほどずる賢さが備わり、守りに入り、
それがさも善かのように思っている俺はとても兄のようになれはしない。
そう思った俺は面接中にどう返答するか本気で悩んでしまった。

その悩んでいる姿がそのまま返答になったのだろう。

面接官はそれを察知し、「結構です。ありがとうございました。」と言って面接が終了した。


おそらく落ちただろうな、と感じていた。
426 : ◆pC19brR.EM :2010/11/25(木) 23:17:28.17 ID:avvYzooo
(´∀` )ノ
427 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/25(木) 23:39:09.17 ID:nqC8p6so
うお!
待ってたお!
428 : ◆pC19brR.EM :2010/11/27(土) 00:13:40.07 ID:McJEuSEo
書けなくてごめんよ(つ∀` )
友人の結婚式いってくるよ
429 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/11/27(土) 00:16:33.17 ID:pux3Nuco
いてら!
暇なときで良いんだぜ^^
430 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/11/27(土) 07:10:00.77 ID:X.P7NoSO
俺も楽しみにしてるお。
ゆっくりでいいから完結させてくれ。
431 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/07(火) 03:28:47.33 ID:KmKxhiAo
ゆっくりでいいとは言ったけど、また1年待つなんて嫌だからね!
年内・・・
年内忙しかったら年明けにでもお願いしまつ><
432 : ◆pC19brR.EM :2010/12/09(木) 02:59:19.73 ID:a/EBFcso
(´∀` )ノ
433 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/09(木) 20:51:57.89 ID:4wlMFdMo
存在確認!
434 : ◆pC19brR.EM :2010/12/10(金) 06:44:46.85 ID:k/zJuoUo
twitterつくってみた!遊び方誰か教えて下さいな(´∀` )ノ

仕事行ってきま〜す
435 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/10(金) 06:50:28.93 ID:4VIa4zso
いてらー
436 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/10(金) 08:26:45.53 ID:7r/7MESO
ツイッターはホリエモンの奴結構面白かった記憶がある。フォローしてみて。

俺去年からこのスレ見てて、今日仕事休みもらったから朝から読み直してたけどやっぱ面白いね。
>>1が成長してく姿がなんとなく文章に現れてて、更に一つ一つの出来事に考察ぽいものが付けられてる。
ふと自分の人生振り返ってみると、出来事について深く考えたことなかったなーと思う。
どう完結させるか楽しみだわ。気長に待ってるよ。一年間失踪は勘弁ww
437 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/10(金) 11:59:44.69 ID:2veFfOE0
追いついた。
面白い!!
続き期待してます^^
438 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/10(金) 22:09:41.39 ID:O1uIpJc0
続きマダカナー
439 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 01:25:23.18 ID:K1mzbw2o
こんばんわ(´∀` )ノ

読んでくれてた人多くて感激です。
440 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 02:39:01.95 ID:K1mzbw2o
誰もいない(つ∀` )
寂しい中再開です。

結果はやはり落ちていた。
分かっていたつもりではあったが、就職活動はそう甘いものではないのだ。

そこで俺はかなり追い込まれることになった。

俺がESを提出していた会社は全部で4つ。

そのうち2社の面接で落ちてしまった。
うち1社はESで落ちていることが確定しており、最後の1社は連絡すら来ていない。

俺は焦って追加のESを書くことになった。

しかし書くとなっても既に就職活動が始まってしまっている為、会社が見つからない。
ESの提出〆切が過ぎている会社が非常に多いのだ。
ぶっちゃけた話、研究室のコネを頼れば入れる会社はあるが、そうはしたくなかった。

このあたりになるとさすがに金融一本で絞るわけにはいかないと感じた俺は他業界にも手を広げることにした。
現在の就職氷河期ではこの時点で既に手遅れだが、売り手市場の当時はそれでもまだ募集している企業が多くあった。
しかし、多いと言えども希望である高給の企業などそうそう存在しない。

そんな俺が目をつけたのは「二次募集」であった。
441 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 02:49:02.21 ID:K1mzbw2o
企業側からすると内定を出しても、出した人間全てがその会社に入るわけではない。

何故なら志望企業が一社のみの学生など皆無に等しいからだ。

企業側が予定していた人員を割りそうな場合行うのが「二次募集」である。
但し、二次募集は企業によっては定員を割っていたとしてもやらない方針の企業もある。
位置付けとしては大学入試の後期試験に近い。

二次募集は既に一次募集で落ちた学生は受けることができない。
その為、志望者は一次募集と比較すると格段に少なくなる。当然その分内定者も少ないが。

俺は二次募集を利用して、一次募集の際ESを出そうと思っていたが、
なんとなく社風が固そうだったことから出さなかった企業にESを送ることにした。
名前がないと書きづらいので、この会社を仮に株式会社ロマサガとする。
ちなみにロマサガも文系企業だ。
442 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 02:58:33.83 ID:K1mzbw2o
二次募集のESの返事はとても早い。
提出してから一週間程度でES通過の通知がきた。
どうやら面接では無く、筆記試験を受けさせられるそうだ。

株式会社ロマサガは業界の中でも屈指のお固さで知られている。
その歴史を語ると、明治時代まで遡る。

このロマサガに一次募集の際ESを提出しなかった理由は前述したが、社風が俺に合わないと感じたからだ。
だってモノマネとかってESに書いた時点で悪い印象持たれちゃいそうじゃん?

そんな感じだったのでESにも当然声帯模写が特技とは敢えて書かなかった。

筆記試験で志望動機を書くような欄がある可能性もあるため、
志望動機等の内容をひとしきり考え、試験に向かった。
443 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 03:10:15.79 ID:K1mzbw2o
試験会場に行くと、人の多さに驚いた。
案内された大ホールにざっと見ても200名以上はいる。

さらに受験票の受験番号に「E-○○」と書いてあったところから、
少なくとも俺の前に既に4組(A,B,C,D)受験していることを窺わせる。

株式会社ロマサガの前年の採用実績は200名程度だ。
さらに二次募集なので採用されるのは多くてせいぜい30名程度だろう。

1000人の中の30人に入らなきゃいけないのか・・・。

俺は試験前からすっかり委縮してしまっていた。

試験の内容はSPIって奴の難しいバージョンみたいな奴だった。
SPIの訓練もしていなかった俺はこれといった手ごたえもなく、試験を終え帰宅した。

後日通過の通知を受け、面接日程を案内された。
444 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 03:19:56.86 ID:K1mzbw2o
面接に行く。

面接会場は大阪梅田付近の綺麗なビル。
様々なブランドのデザイナーズショップのビルが立ち並ぶ一角にロマサガはあった。

面接はマンツーマンだ。
俺の担当は藤野さん(仮名)という人でいかにも仕事のできそうな人だった。
20代後半から30代前半といったところだろうか。

二次募集なので、これまでの面接とは勝手が違う。
当然志望動機を集中的に聞かれる。

俺は志望動機には苦い思い出が多かった為、この部分を重点的に答えられるよう準備していた。
準備した内容を待ってましたとばかりに答え、一次面接は終始和やかな雰囲気で終わった。

1000人超のうち30人に入らなければならないと思っていた俺は
どうせ無理だろと思ってヤル気を失っており、いい意味で力が抜けていたと思う。
445 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 03:29:58.13 ID:K1mzbw2o
一次面接を通過し、二次面接になる。

二次面接の相手はなんとまた藤野さんだった。
藤野さん曰く、二次面接と三次面接は同時のタイミングで行うんだそうだ。
藤野さんに先日の内容のもう少し踏み込んだ内容を聞かれ、30分程度で面接は終わった。

その後、待合室で30分ほど待たされ、三次面接に案内された。

三次面接は大北さん(仮名)という人で40歳程度の男性だった。

話していて思ったのだが、この人は頭の回転がとても早く、
こちらが若干言葉足らずであっても即座に理解してくれてとても話し易い人だった。

志望動機等の形式的な質問が一通り終わった後、大北さんは俺に変わった質問をしてきた。

「最近金融商品が流行っていると思うけどそれについてどう思う?」

前述したが、この時はまだリーマンショック前だった為、日経新聞等では金融商品をベタ褒めしている時期だった。
俺は少し考え、少し長くなりますがよろしいですか?と前置きをとった後、次のように答えた。
446 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/12(日) 03:30:07.19 ID:lKeM0wSO
キテター
447 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 03:44:54.24 ID:K1mzbw2o

「私は余り詳しく知りませんが、権利を売買する商品というのは面白い発想だと思います。
 学生時代にマルクスの資本論を読んだ時があるのですが、私の解釈だとマルクスの発想は
 『世の中行き詰まりを見せた時新しい変革を生み出す』といったものだと思っています。
 すなわち狩り採集に頼っていては獲物のない冬の間は死に絶えてしまう、その為、
 農耕が生まれた。しかし農耕を行っても凶作や天災等の影響でこれもまた安定的に供給できるものではなかった、
 その為、その国の作物を管理する管理者「王」が生まれ、王政が始まった。
 王政の後、封建制度が生まれた。 しかし、身分によって職制が決まっている社会では能力ある人間が飛躍できない。
 その為、身分にとらわれず能力ある人間が恩恵を受けられるように 資本主義が始まった。
 しかしその資本主義も行き詰まりを見せている為、社会主義という新たな仕組みが必要だと感じたのがマルクスです。」

かなり長く話したので、正確には記憶していないが、そんな感じのこと言った。
大北さんが俺の話にうんざりしていないか確認した後、続けた。

「私は社会主義に賛成しているわけではありませんが、 このマルクスの『考え方』については大いに賛成です。
 つまり、行き詰まりを見せた時に新たな変革が生まれる、ということです。別の言葉だと試行錯誤と言いかえられるかも知れません。
 産業の形態は第一次産業、第二次産業、第三次産業と複雑・多様化しています。
 金融商品という権利の売買という発想は高度に発達した現在では当然の成り行きであり、時代の流れではないでしょうか?
 賛成や反対といった判断基準で敢えて判断するなら賛成と言えるかも知れません」

そんな感じで苦労も何も知らない青臭い学生の論理を話した。
大北さんはふむふむと言った感じで耳を傾けてくれて、口を開いた。



>>446
去年から見てくれてる方かな?
ありがとうございます(´∀` )ノ
448 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 03:56:42.34 ID:K1mzbw2o

「まさか理系の大学院生の人からマルクスの話を聞かされるとは思わなかったよww」

俺は喋りすぎたかなと反省していると大北さんは続けた。

「ちなみに弊社が金融商品を出すとするならどんなものがいいと思う?」

俺はまた少し考え、こう話した。

「金融商品の定義をいまいち理解していないので、誤っていたらご指摘頂きたいのですが、
 古くはよく使われていた化学物質で現在は全く使われなくなったものがあります。それはフロンです。
 フロンガスという言葉がメディアを騒がせていた時期がありましたが、元来フロンは実に優秀な物質なのです。
 安価で、熱媒として優秀で且つ環境負荷も少ない・・・と思われていました。
 しかしご存じの通りオゾン層が破壊されるという意味で環境負荷は実はあったのです。
 ところでフロンがオゾン層を破壊するとどういった実害がでるかご存じでしょうか?」

そう大北さんに伝えると、大北さんは「地球温暖化が進むとかじゃないの?」と答えた。
449 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 04:08:37.49 ID:K1mzbw2o

「当然地球温暖化に結び付くことは否定できませんが、もっと我々にとって明日迫るかも知れないリスクがあります。
 それが皮膚ガンです。オゾンによって遮断されている紫外線が人間の体に降り注ぐことによって皮膚ガンになるリスク
 は格段に増加します。私はあと10年もすれば国際的な問題になると考えています。」

そこまで話し、大北さんの様子を確認すると、関心を持っていることが確認できた。
よし、まだ続けても大丈夫そうだ。

「このようにフロンのような便利だが環境負荷があるといった物質は未だに使用されている例があります。
 私はこういった物質を使用する権利を売買できるような商品があると面白いと考えています。」

今各国でCO2排出量の売買が行われているが、それに似たような発想だ。
そう話すと大北さんはうーんとうなり、こう言った。

「それは商品にはできないねぇ、でも話としては興味深い」

確かに俺も話しながらそう思っていた。
全世界の国が足並みを揃えないと実現不可能な商品である。
各国で使用限度枠があるという状況で環境負荷の強い物質を使うと罰則があるという状況ではないと販売は不可能だ。
しかも民間の一企業がやるようなことでは無く、政治の問題である。

しかし実現可能かどうかは別として興味を持った大北さんと環境がビジネスになるという話をいくらかして面接は終了した。
話が思いのほか盛り上がり、30分の予定だった面接の予定を大幅にオーバーし、一時間程度は話していた。

内心これは通ったなと思っていた。
450 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 04:24:52.46 ID:K1mzbw2o
結果はやはり通っていた。

俺は最終面接に挑むことになった。

最終面接は例によっては役員面接だ。
お偉いさんの中に入り面接を行うことになる。

ここで俺はやってはならないミスをした。

面接の前日、友人の内定を記念して酒を飲みに行ったのだが、
思いの他盛り上がってしまい、朝5時まで酒を飲んでしまっていた。

面接は朝9時半から。

酒で頭がガンガンする中、面接会場に向かった。

面接に行くと、数字しか興味ありませんって感じのおっさんと温厚そうなおっさんの二人が相手だった。
メインは数字しか興味ありませんって感じのおっさんが話しかけてくる。

数字「○○君がうちを志望した理由はかくかくしかじかだと聞いてるけどそう?」

「その通りです」

そんな感じでなんか面接自体今まで話した内容を確認しているような面接だった。
淡々と質問が投げかけられる中、温厚そうなおっさんが俺に質問をしてきた。

温厚「君はうち以外にも受けてるって言ってたけど例えばどんな会社があるの?」

「そうですね、例えば化学メーカーやレンズメーカー、他に変わったところではバス会社なんかもあります」

これは事実であり、上記のような会社にESを書いていた。
すると温厚そうなおっさんはびっくりしたような顔をして聞いてきた。

温厚「バス会社ってなんでまた受けるの?」

「例えば私が関東に住んでいる友人に会いに行こうと思うと、新幹線を使うか夜行バスを使うかです。
 しかし経済的な問題で夜行バスを使うことがほとんどです。学生は暇があってもお金はありませんから」

温厚そうなおっさんはハハハッと大らかな笑いをする。

「私の友人連中もほとんどそうです。バスが安価になったのは2001年に起こった道交法改正による規制緩和の影響です。
 今まで競争に晒されてなかったバス業界は今生まれ変わろうとしています・・・・」

そこで俺は言葉につまった。温厚そうなおっさん、数字しか興味ないおっさんもこちらを注目していた。
そして次の瞬間自分でもびっくりすることを言ってしまった。

「・・・えっと今何の話をしてましたっけ?」
451 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 04:32:54.40 ID:K1mzbw2o
そう、寝不足で頭が痛い俺は自分で自分の話の着地点を見失ってしまったのだ。
本当はバス業界は変わりゆく場面なので、企業努力次第で顧客をいくらでも掴めるということを言いたかったのだが、
その過程がすっぽり抜けてしまったのである。

温厚「いや、それはこっちが聞きたいよww」

「確かにそうですね、失礼しました」

正直俺はこの時点でこの面接は終わった、と感じていた。

温厚「もうバスはいいよwwところで君ESの趣味特技欄に読書って書いてるけど、どんな本が好きなの?」

その刹那、俺は頭に一つのリーサルウェポンの存在が頭によぎった。
そう、俺にとっての趣味・特技と言えばアレしかないのだ。
(こうなればやぶれかぶれだ、一か八か声帯模写をするしかない!)

そう、封印を破る時は今こそ!
俺の頭の中ではあの名作RPGクロノトリガーの章タイトル「とけよ封印呼べよ嵐」が浮かんでいた。
452 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 04:54:24.90 ID:K1mzbw2o
読書について俺の好きな戦国時代、幕末、春秋戦国時代について軽くトークした後、
意を決して温厚そうなおっさんに言った。

「ESには書かなかったんですけど、実は私特技があるんですよ」

温厚そうなおっさんと数字しか興味なさそうなおっさんも興味を示した。

温厚「じゃあ何かやってみてよ」

固そうな社風の会社だが仕方あるまい、今こそやるしかない。
俺は自分のレパートリーの中でも芸としての評価の高い、その昔腹話術師のいっこく堂がやっていた衛星中継をやることにした。
衛星中継とは声と口の動きが微妙にズレているという芸である。

「あれ、声が遅れて、聞こえているよ」

そう言った俺を注視するおっさん×2
温厚そうなおっさんは関心して俺に言った。

「いや〜すごいね〜そんなんできる人初めて見たよ」

喜んでいる!これは・・・いけるか!?
なんせ前半に大失態を犯してしまった俺はかなり焦っていた。

その後、これといった見せ場もなく面接は終わった。

面接が終わって帰ろうとすると、藤野さんに声をかけられた。

「面接どうだった?」

声をかけられた俺は正直に答えた。

「いや、最初に大きなミスしちゃって正直言って自信ないですねww
 でももしこれで駄目だったら縁がなかったって諦めますww」

藤野さんと少し談笑し、家路についた。
453 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 05:04:39.86 ID:K1mzbw2o
面接が終わり一週間ほどたっただろうか、ロマサガから電話があった。

相手は藤野さんだった。

「○○君、内定おめでとうございます。」

第一声がそれだった。
最後に意思確認の為にビルに来てくれとの旨を受けた。


俺は翌日、そのビルに行くことになった。

ビルでは、藤野さん、温厚そうなおっさん、数字しか興味のなさそうなおっさんと会うことになった。
温厚そうなおっさんは俺は言った。

温厚「君ウチの筆記試験の成績内定者の中でダントツで悪かったよww」

なんと俺はダントツで成績が悪かったらしい。

温厚「でも君のことはこの藤野君も大北君もベタ褒めしててね、実は私の面接の前に内定をあげようってことになってたんだよww」

そんなことになってたなんて夢にも思っていなかった。
藤野さんと大北さんに頭の下がる思いだ。

温厚「じゃあ本題だけど、君はうちの会社に来るの?」

「はい、もちろん」

晴れて俺は株式会社ロマサガの内定をもらうことになった。
多くの会社を受けたわけではないが、就職活動がどんなものなのかを知ることができた。
しかし浮かれ気分も早々に、あの研究室に戻らなければいけない。
そう、まだ完全に大学生活が終わっているわけではないのだ。



クズ野郎のグレートフルデイズ第3部 中編 完
454 : ◆pC19brR.EM :2010/12/12(日) 05:07:28.99 ID:K1mzbw2o
おやすみ〜(´∀` )ノ
455 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 05:22:48.99 ID:gdJdKv2o
ふぅ〜 読みきったぜ

お疲れ〜ノシ
456 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/12(日) 05:35:32.75 ID:7Usa53g0
何このスレ面白い。続き期待して続きまってます。
457 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/12(日) 23:12:58.10 ID:ey.VcWYo
うおい きてた!

458 : ◆pC19brR.EM :2010/12/13(月) 00:10:57.95 ID:Zn8J71Mo
またまた友人の結婚式行ってきました(´∀` )ノ

この時期になると多いですね。
久しぶりの友人に会うとやっぱり楽しいです。
それとともに一人の友人とこれまでのように
気軽に遊べなくなるかと思うと寂しさもひと塩です。

寒くなってくるとなんとなく人生について考えます。

明日からも頑張りましょう、おやすみなさい。
459 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/13(月) 19:49:16.98 ID:uMu9nESO
なんか去年もコウイうレスを最後に失踪しなかったか?
460 : ◆pC19brR.EM :2010/12/14(火) 22:09:51.32 ID:t7wsrh2o
疾走しませんよ(´∀` )ノ
461 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 21:34:34.72 ID:WV.Lpsco
こばわ(´∀` )ノ
462 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/15(水) 21:44:28.56 ID:45icbqQo
こばわ(´∀` )ノ
463 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/15(水) 22:01:10.41 ID:nmYCGtQo
こばわ(´∀` )ノ
464 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 22:29:58.99 ID:WV.Lpsco
お、人いた。ウレシス(´∀` )ノ

それでは第3章 後編スタートです。


あいも変わらず研究室では典型的な駄目な奴な俺。
指導教官から嫌われていた俺は鬱蒼とした表情で研究をしていた。

しかし、言うなれば俺は文系就職をする身。
はっきり言ってもはや研究をする必要は全くないのである。

そう思った俺は研究もそこそこにパチスロにハマりだしたのである。

当時NEW島唄という機種があったのだが、この台は言ってしまえば素人殺しの台だった。

すごく簡単に言えばずっと回されているが、全然でてない台を打てば勝てる台なのだ。
なので知識のないおっさんやじいさんばーさんが回してみたが、諦められた台はすなわちチャンス台である。

当時のパチ屋ではこのチャンス台がごろごろ落ちており、小遣い稼ぎには最適だった。

しかし、この戦法は言うなれば我慢との勝負。
人が金を使えば使うほどチャンスになっていくので、誰かが回すまではじっと我慢しなければならない。

我慢に疲れた俺はガワと相談し、高設定狙いをすることになったのである。
465 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 22:46:23.05 ID:WV.Lpsco
かなり前に書いたが、高設定狙いは非常にリスクが高い。
目星をつけていても、朝イチの段階で予想が外れたらそれまでだ。
リスクを分散するためにノリ打ちをしていたのだが、それでもやはり限界がある。

そんな中出会ったのが、サイトウさん(仮名)だ。

高設定狙いをしようと我々のホームであるパチンコ屋で並んでいた時のことである。
いきなり後ろから声をかけられた。

「君ら今日は何狙い?」

第一声はそんな感じだった。

俺達は当時流行っていた「めんそーれ」という機種だと告げると、サイトウさんは衝撃的なことを言った。

「これ君らだから言うけど、今日はめんそーれに確実に設定入るからノリ打ちしない?」
466 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 22:52:25.61 ID:WV.Lpsco
俺達は最初???状態だったが、サイトウさんは続けて言った。

「いや、この店はサクラ使ってて、今日めんそーれのサクラ来てるから確実に設定入るんよ」

俺たちは通いつめていたにも関わらず、気付かなかったのが不覚だったのだが、
この店(ディアー:仮名)はサクラを使っていたのである。

サクラとは、言うまでもないが、店側の人間が雇ってさも出ているかのように見せる人のことだ。

さらに言えば出ているように見せるためだけではなく、雇われ店長の小遣いになったり、
もっと悪いとこだと脱税に使われていたりもする。

サイトウさん曰く、ディアーではサクラを10人くらい使っており、
人によって打つ台が決まっているらしい。

そしてその日はめんそーれを打つサクラが並びの列にいたので、確実に入るとのことだった。
467 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 23:02:01.04 ID:WV.Lpsco
そこまで聞いて事態を納得した。

つまりサイトウさんグループと俺達グループでめんそーれ全台を埋めてしまえば、
必ず誰かがサクラに座らせる予定だった台がとれる。

俺は納得し、ノリ打ちを了承すると、サイトウさんに黒い携帯電話を渡された。

「これ何ですか?」

そう聞くとサイトウさんは言った。

「店入ったらめんそーれにその携帯置いて一回集合して」

また何かわけのわからんことを言い出したな〜、と思っているとサイトウさんは耳打ちしてきた。

「その携帯やったら下皿に置いても見えにくいやろ?それ置いて遠くから観察してサクラが反応した台とんねん」

なるほど。目から鱗だ。

つまりはこうだ。
パチスロ台のメダルの出てくるところ(下皿)が黒いのだ。

薄暗いディアー店内では携帯が置いてあるかどうかは一目しただけでは大変見え辛い。
サクラは何も知らず、店側の指示に従って指定された台をとろうとする。
しかしそこは既に誰かの携帯が置かれているため、座れない。

携帯を置いた側からすれば、サクラのそんな反応が見えた台は高設定確定なのである。
全台抑える必要は全くない。

それを聞いた時、俺の頭の中には「常勝・海南大付属」という言葉が浮かんでいた。
468 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 23:11:11.93 ID:WV.Lpsco
実践してみるとこれがヤバい。

見事に我々の思惑通りにサクラが動いてくれるのだ。
朝イチの段階から高設定確定台をゲットした我々は閉店まで打ち倒し一人頭7万の勝利を収めた。

帰り際にサイトウさんがサクラのくるイベントの種類を教えてくれて、
今後も共闘してくれることを約束してくれた。

サクラのこないイベントはガセイベントなんだそうだ。

この戦法とサイトウさんのノウハウがあれば完璧だ。もう負けはない。
パチスロにのめり込んでしまうのも無理はなかったかも知れない。


そしていつものようにイベントで高設定台をもぎとり、大勝したある帰り道である。

俺とガワが風俗でも行こうかと歩いていると、いきなり首を掴まれてワゴンに乗せられた。
469 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 23:20:54.76 ID:WV.Lpsco
あまりにも急のことで驚いていると、ワゴンの中には地元のヤンキーっぽい感じの兄ちゃんが4人乗っていた。
俺とガワはそれぞれ兄ちゃんたちに両サイドを挟まれた。兄ちゃんは

「お前ら分かっとるよな?」

と言ってきた。
その時、我々はパチ屋で換金したばっかなのでカツアゲか何かだと思っていた。

「いや、分かんないス」

と言うと兄ちゃんは車のドアを殴り、

「お前らやりすぎやろ!」

と言っていた。

向こうも直接的なことは一切言わなかったが、相手の話しぶりからどうやらこの兄ちゃんたちはディアー側の人だった。
「もう二度と来んじゃねーぞ」とか「次店で見かけたらさらうぞ」とか言っていた。
つまり、サクラの台を我々がとりすぎて店が痺れを切らしたみたい。

俺とガワは知らぬ存ぜぬで通し、10分ほどで解放された。

車から解放され、怖かったなーと思っていると、車から誰かが出てくる音がして、また声をかけられた。

「もしかしておっちゃんとこでバイトしてた子?」
470 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 23:27:07.25 ID:WV.Lpsco
後ろから声をかけたのは第2章の頭くらいで出てきた吉本さんだった。
会うのが4年ぶりくらいだったので、車の中では分からなかった。

吉本さんは俺がプロバイダの営業のバイトをしていた時にちょこちょこ話をしていたキャッチのお兄さんだ。

「お久しぶりです。吉本さんですよね?」

そう挨拶すると、吉本さんは車に何か合図を送り、俺とガワを飲み屋に誘った。
飲み屋に着くと吉本さんは俺とガワに言った。

「お前らディアーの台とってたんやって?」

俺とガワは知らぬ存ぜぬで通していたので、「いや、やってないんですけど」と言ったのだが、吉本さんは

「いや、隠さんでいいから。でもあんまり派手にやらん方がええで。あの店こっち絡んでるから」

そう言って指で頬に傷をつけるようなジェスチャーをした。
つまりヤクザ屋さんが絡んでいるようだ。
471 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 23:29:16.33 ID:WV.Lpsco
「それにしても久しいな〜まだおっちゃんとこで働いてるん?」

そう言われたので、給料持ち逃げされた旨を伝えた。

「確かに最近見てないと思ってたわ」

吉本さんはそう答えた。

「吉本さんもまだキャッチ続けてるんですか?」

俺がそう聞くと、

「いや、俺やってたトコキョウセイって言うんだけど、潰れたから今はやってない」

・・・ん?キョウセイって俺がキャッチ一瞬やったとこじゃん!
てか、キョウセイって潰れたの?!

人の縁とはなんと数奇なものか。

キャッチをしていた時には気付かなかったが、吉本さんと俺は一時的に同僚になっていたのだ。
ちなみにキャッチをしていたのはインドのくだりの前くらいだ。

「自分もキョウセイで一回キャッチやったことありますよ、前田さんって知ってます?」
「知ってるわ〜チーフの奴やろ?」

そんな感じでキョウセイグループの昔話に花を咲かせた。
その後は普通に酒を飲んで話してディアーにはもう行かない方がいいと忠告されて携帯番号を交換して帰った。


この時は、この後自分に降りかかる波乱の存在を知る由もなかった。
472 : ◆pC19brR.EM :2010/12/15(水) 23:30:06.60 ID:WV.Lpsco
今日はここまでです(´∀` )ノ
おやす〜
473 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/15(水) 23:52:55.40 ID:nmYCGtQo
>>472
乙でした
もう少し読みたかったけど
しょうがない…

おやすみ〜(´∀` )ノシ
474 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/16(木) 00:21:53.66 ID:XQDj80so
最後の一文がベタだが魔法の言葉だな
続きが読みたくてたまらんww
475 : ◆pC19brR.EM :2010/12/18(土) 18:55:54.60 ID:CA/Id4go
こばわ(´∀` )ノ
476 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/18(土) 19:53:45.68 ID:fAxmz8Qo
わーい(´∀` )ノ
477 : ◆pC19brR.EM :2010/12/18(土) 20:44:28.12 ID:CA/Id4go
お、人いたウレシス(´∀` )ノ

再開です。

ディアーによるプチ監禁から俺たちはサクラの台とる作戦をやめていた。

そんな俺に吉本さんから電話があった。
一体なんだろうと思って電話をとると、吉本さんは言った。

「お前ピルーン(仮名)って知ってる?」

このピルーンって言うのはスロット打ちの間では語り草になっている有名店だ。
何が有名かと言えば、もはやカジノレベルの店なのだ。

パチスロ台は日本電動式遊技機工業協同組合の「検定」というものを通過しないと世に出すことはできない。
その検定によって台として射幸性が高いかの検討がなされるのだ。

つまり噛み砕いて言うとあまりにもギャンブル性が高すぎると、
「一発当てれば借金なんてチャラになるから突っ込む」って人が増える。
そうなると借金背負いまくって飛ぶ人が増えるから業界全体にとってもマイナスだし、
元々グレーな職種なので行政から何らかの罰則を受けるかも知れない。

日本電動式遊技機工業協同組合はそういった事態を避ける為に作られた自治組織みたいな感じだ。
478 : ◆pC19brR.EM :2010/12/18(土) 20:56:55.87 ID:CA/Id4go
しかし打ち手側からすればパチ屋にギャンブルをしに行っているのだ。
ギャンブル性が高い方が面白いに決まっている。

そういった打ち手の要望を叶えるべく、古くから一部のホールでは「裏モノ」というものが出回っていた。

パチスロ台のリールはステッピングモーターという電磁制御のできるモーターでつくられており、
それをROMと呼ばれる電子基板で制御しているのだが、このROMを店側が正規のものと入れ替えてしまうのだ。

それによって本来のパチスロ台とは見た目はそっくりでも全く別の挙動をする台がつくられる。

こういった裏モノは大抵、50万負けるか、100万勝つかみたいなとんでもない台が多い。
当然前者である可能性は極めて低いが。


吉本さんの言ったピルーンとはこの裏モノをガンガン使っている店のことだ。
普通こういったことをすると法律違反なので、警察のガサが入ると一発で摘発対象だ。

しかし、ピルーンは何故か裏モノで有名なのに昔から摘発されない謎の店だ。

吉本さんはピルーンのパターンを読んだから一緒に狙いに行こうと言う。
479 : ◆pC19brR.EM :2010/12/18(土) 21:00:52.77 ID:CA/Id4go
例え裏モノであろうと裏設定というものが存在する。
裏設定の高低によってある程度勝ち額、負け額が決まる。
吉本さんはピルーンの高設定の入るパターンが分かったから一緒にノリ打ちをしようと言うのだ。

・・・・ふむぅ。

一人のスロット打ちとしてはピルーンには興味を持っていた。

継続的に狙うのは実にリスクが高く、それこそ人生オワタ状態になることは間違いないが、
経験としてピルーンに行ってみたいというのが本音であった。

吉本さんにあんまりお金ないんで毎回は無理ですけど一回くらいならいいですよと答えた。
そもそもポッと仲良くなった俺を誘うのは何か理由があるのだろう。負ける可能性が非常に高い。

吉本さんはピルーンのイベントの日を告げ、一緒に狙いに行くことになった。
480 : ◆pC19brR.EM :2010/12/18(土) 21:27:41.51 ID:CA/Id4go
ピルーンは朝並んだ順番で店に入れる店だ。

店によっては入る順番を朝の抽選にしたりしている。
ちなみに前のディアーも並びの順番型だ。

並び順の為、当然アツイイベントになると朝から行列をつくる。
俺と吉本さんは朝6時に並んだ(開店は10時)が、既に前には人がいた。

吉本さんは俺に狙い台の番号を告げ、開店まで寝ると言っていたので、
俺は朝から森博嗣の推理小説を読みながら開店を待つことにした。


開店と共に皆一斉にダッシュする。

狙い台をしっかり抑え、俺と吉本さんは隣り同士で打つことになった。

なんというか吉本さんの打ち方はものすごい粗いのだ。
普通パチスロ機は目押しをして子役をとりながらやるものなのだが、
吉本さんは子役を全くとろうとしない。

今思えば裏モノは子役の出現率が極めて低いことが多く、
狙うメリットがあまりないからなのだが、俺はちょっとイラッとしていた。

昼12時になり、メシを一緒に食いに行く時には一人あたり12万負けになっていた。
481 : ◆pC19brR.EM :2010/12/18(土) 21:40:09.36 ID:CA/Id4go
このペースだと閉店までに50万くらい負けになってしまう。
そう思って焦った俺はメシの時に吉本さんに言った。

「あの台もう辞めませんか?」

すると吉本さんは言った。

「いや、あれでいい。今二人とも状態に入ってないからまだ高設定か分からんからな〜」

この状態と言うのは、裏モノ特有の連チャン状態のことだ。
裏設定が高いと状態に入る可能性が高く、継続する可能性が高い。

「でもこれだけ使って状態入らないってもう駄目っぽくないスか?」

そう聞くと、吉本さんは違うと言う。

「状態一回入ってみないとなんとも言えん。降りるんやったら別にいいぞ」

なかなか諦めそうにない。
しょうがないのでノリ打ちを続行することにした。

3時くらいになってもまだでていなかった。
この時点で20万ずつくらい負けている。
これは果たして勝ちに転じるのだろうか。

そう不安に思っていると、隣で打っている吉本さんが「きたぁ!」言った。
何があったのか聞くと、吉本さんは言った。

「俺の台状態入ったで」

今更何を・・・という感じだったが、吉本さんはハイテンションだ。
ハイハイと思っていた。
482 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/19(日) 00:14:26.04 ID:GpuWnYso
C
483 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 17:35:37.47 ID:4oimdbco
昨日予定入っちゃった(つ∀` )

再開です。


が、しかし状態に入った吉本さんの連チャンは止まらず6時まででっぱなしだった。

その時点で30万分くらい出していた。そして俺の台もその間ちょこちょこ状態に入り、15万分くらいは出ていた。
信じられなかったが、プラスに転じたのだ。

当然俺もハイテンションで

「吉本さんすげーっスね!」

と言っており、吉本さんも

「今日は勝ったな」

とか言っていた。
そんなこんなしてると店の人から抽選券を渡された。
なんでもビンゴ大会があるんだそうだ。
ふーんとか思っていると、場内アナウンスが始まった。

「はい!ピルーンエクストリーム恒例のビンゴ大会が始まりましたよぉー!」

目の前のうはうは感にあんまり興味を持っていなかったが、次の一言で目が覚めた。

「ほ・ん・じ・つ・の・商品はぁー!な・な・なんとぉーこのパジェロミニだぁー!!!」

たかがパチンコ屋のビンゴ大会で車がもらえるだと!?

これがピルーンのすごいところなのだ。
当時このピルーンは儲けまくっていたため、大きいイベントの際は椅子に座ってる人全員にビンゴカードを配り、
商品に車とかパソコンとかPS3とかをその景品にしていた。
484 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 17:53:26.27 ID:4oimdbco
残念ながら俺も吉本さんも商品はゲットできなかったが、
今は目の前のでまくっている状況の方が大事だ。

その日、吉本さんは約5万枚(100万程度)、俺は約3万枚(60万程度)出し、大勝もいいところだった。
一人頭50万超の儲けだ。

なるほど・・・これは道を踏み外す人間もでるわけだ。

そしてメダルを流す時である。
店員からおかしなことを聞かれた。

「あのー、○○市にお住まいの方でしょうか?」

俺が???という顔をして違いますと言うと、

「身分証のコピーをお願いしてもよろしいでしょうか?」

と聞かれた。

なんだと??

後で吉本さんに聞いたが、ピルーンではある枚数以上出すと身分証のコピーがとられる。
俺はこんな非合法丸出しの店でコピーをとられるなんて怖すぎるので、
ちょっと待ってくれと言って吉本さんのところに行った。

「何か身分証のコピーくれって言われました」

「あーそれやったら俺○○市出身やから俺の身分証貸すわ。それ見せて」

これで大丈夫かよと思いながら店員に吉本さんの身分証を見せると店員了承したようで、無事換金ができた。
なんなんだこの店は。

その後店を出て、吉本さんと勝ち額を分け合い、飲み屋に行くことになった。
485 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 18:08:39.00 ID:4oimdbco
「いやぁーやばいっスね、自分始めて裏モノ打ちましたよ」

俺がそう言うと、吉本さんは言った。

「マァーここは合法のパチ屋だからヌルいけどおもろいとこいっぱいあんで」

なんなんだこの人は。何か住んでる世界が違う。
さすがに就職を控えている身なので行きたくはないがどういうものがあるのか聞いた。

「例えば一円ポーカーとか、裏スロとかな、あのへんは勝てへんけどおもろいで」

ふーんとか思って聞いていた。

飲み屋を出ると吉本さんは女を抱きに行こうと言った。
俺は風俗か何かだろうか?と思って「そうッスね」と答えた。

吉本さんとタクシーに乗り、ある有名な市街地へ行った。

風俗に行くものかと思っていると吉本さんはマンション(?)ぽい建物へ行った。
マンションの部屋に入ると、制服を着たどう見ても女子高生って奴が10人くらいいて
本読んだり携帯いじったりTVゲームをしたりしていた。

入口のイカチー兄ちゃんに吉本さんは手を上げると

「いつもありがとうございます」

とか言われている。ここは一体なんなんだ?
そう思ってポカンとしてると吉本さんは言った。

「お前今日頑張ってくれたから好きなん一人選んでもええで」

へ?アナタナニヲイッテルンデスカ?
486 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 18:18:00.30 ID:4oimdbco
一度マンションの外へ出て、吉本さんに事情を聞くと、この娘たちは家出少女らしい。

キャッチをしていた時にひっかけたそうだが、当然未成年をキャバなり風俗に紹介するわけにもいかんので
吉本さんが遊び場を提供しているんだそうなのだ。
ところどころ怪しいところが有り、どこまで本当なのか分からんが。

一応彼女たちには出入り自由にしていて軟禁なり監禁しているわけではないと言っていた。

吉本さんの何者か分からなさを不気味に思った俺は女性を選ぶことを辞退し、
飲み直しませんかと近くにあるバーへ吉本さんを誘った。


俺は就職を控えた身だ。

しかしこの吉本さんは俺をどういう人間なのか知らない。
そして俺も吉本さんがどういう人間なのか知らない。

これは俺がある程度真っ当な人間で、非合法チックなことに手を出さないという旨を伝えた方がいいかも知れない。
そして吉本さんがどういう人間なのか知らなければならない。

そう思ってバーへ誘った。
単刀直入に俺は自分について話した。

「自分、今○○大学の大学院行ってて、就職控えてるんですよ。
 なんで女子高生とセックスできませんwwだって淫行で挙げられちゃうじゃないですかww」

そんなことをやんわりと言った。
ひとしきり自分について話し、吉本さんが何者なのか聞くことにした。
吉本さんは隠す様子も無く、自分のことを話した。
487 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 18:37:59.26 ID:4oimdbco
吉本さんはちょっと前まで大阪のホストクラブに務めており、結構人気だったらしい。
キャッチをやって顧客を捕まえてホストになるのは業界ではよくある話だ。

そこで2年ほど勤めた後、金を貯めたので自分の店を作ったらしい。

しかし一年も立たず店を潰してしまい、パトロンの女性から金を返せを迫られ、
ヤクザ屋さんみたいのに追われていたそうだ。


困り果てた吉本さんは昔勤めていた時に世話になった「会長」なる存在の人にその場を収めてもらって、
そのかわりに会長の為に働かされているそうだ。
会長の職種等については敢えて聞かなかった。おそらくヤのつく自由業の方だろう。

会長さんには感謝をしていた。

そんな感じのことを聞き、怖さを覚えた俺は吉本さんとは今後連絡とらない方がいいなと直観的に感じていた。
しかしどうしても気になっていたことを聞くことにした。

「なんでまた自分みたいなもんに連絡とられたんですか?」

そう聞くと、吉本さんは言った。

「実はお願いしたいことがあってな」

正直言って嫌な予感しかしない。
悪事の片棒を担がされるのはまっぴらごめんだ。

「自分にできることで合法的なことだったらいいですよ」

そんな感じで答えると、吉本さんは笑って、こう言った。

「全然合法やで、俺が抱えてる女の相手して欲しいんよ」

ん?この人何言ってるの?
488 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 18:58:54.40 ID:4oimdbco
吉本さん曰くこうだ。

売れっ子のキャバ嬢や風俗嬢なんかになると連日出勤で忙しく、男をつくる暇がない。
つくったとしても忙しさからすぐに別れてしまう。
店に来る客はヤることしか考えていないので論外。
しかし売れっ子たちは自分にとって「都合のいい男」が欲しいらしいのだ。
例えば愚痴を聞いたりとか車で送るとかメシ一緒に食いに行くとかね。

吉本さんは今会長さんの指示でその役目をやっているらしい。
しかしなんせ自分一人ではなかなかできない。
そこで知り合いに手伝って欲しいとのことだった。

それこそ自分の知り合いに任せりゃいいじゃんと思ったが、
吉本さん曰く、あくまで預かっている女性なのでセックスはNGらしい。
吉本さんの知り合いは確実にセックスをしてしまうから駄目とのことだ。

そこまで聞いても何か怪しさを感じる。
別に俺である必要はないだろう。そう思っていると、吉本さんは言った。

「お前○○大学でてるやろ?やっぱ学ある奴じゃないとこれは務まらんのよ」

そういえばプロバイダの営業やってた時に通っている大学については語ったことがある。
吉本さんは仕事上、こういっちゃなんだが大学生に会う機会はない。
それで俺と会った時に閃いたのか。

一応は矛盾しているとは思えないようにも思える。
しかし、なんといっても法の枠の外で生きていそうな人からの誘いだ。
両親や兄やユウコを泣かせるようなことはしたくない。

さらに当時ミナミの帝王で出張ホスト詐欺というのを見た記憶があり、
この話はそれにクリソツなのだ。なんとなく怪しい。
もう少し詳細に聞いてみないとどうも判断がつかない。
489 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:05:40.48 ID:4oimdbco
「例えば自分がやるとした時、辞めたりできるんですか?」

「それは全然大丈夫やで、あくまで俺がやってるのの手伝いやから俺に言ってくれればいつでも辞めてええで」

「お金とかって出るんですか?」

「メシ食いに行った時の会計用のカードは渡すし、月々何も無くても5万くらい出してもええよ」

月々5万かぁ〜セックス無しの生殺し状態にしては安いような気もする。
さらにこんなことやってるって知るとユウコを泣かすことになりかねん。
悩んだ挙句、俺は断ることにした。

「やっぱやめときます。今つきあってる女にも悪いですし」

そう言うと吉本さんは分かったと言ってその日は別れることになった。
これでよかったのだ。


数日後、吉本さんからまた携帯に連絡があった。

俺は研究室におり、電話をとると吉本さんは電話越しに言った。

「今すぐ○○駅まで来れる?」

一度向こうのお願いを断っている分バツの悪かった俺は吉本さんの元へ行くことにした。
駅に着くと、吉本さんは「今日コンパだから付き合ってくれ」と言ってきた。
周りにはユウキさん(仮名)とタクヤさん(仮名)という人がいた。
ユウキさんはSOPHIAの松岡充にそっくりのイケメンでタクヤさんは宮川大輔に似ていた。
490 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:14:28.29 ID:4oimdbco
コンパならば大歓迎だ。
俺は参加を表明し、女の子たちを待った。

さすが元ホストのコンパともなるとメンツが違う、来た女性はケバかったが、レベルは高かった。

吉本さんにいざなわれ、オシャレな飲み屋に行った我々は各々自己紹介を始めた。

相手はなんとなく話しぶりからお水関連の人っぽかった。

吉本さんを始めとしてユウキさんもタクヤさんもガンガン飲む。
俺もガンガン飲まされたが、すぐに吐いてしまい、完全に潰れていた。

店のトイレで死んでいると、女性側のクミさんという人が男子トイレにやってきた。

「○○くーん、皆帰るってー」

そう言われた俺は死にそうになりながらも

「僕多分動けないんで置いてってもらっていいです。すいません」

と言った。
そこから何度か吐き、ようやく動けるようになった俺はトイレを出ようとすると、クミさんが待っていた。

「若いのにだらしないな〜」

そう言われた俺は「いや、酒弱いんスよ僕」と言った。
皆がどうしたかを聞くと、店をかえたんだそうだ。

俺はじゃあ僕帰りますと言って帰ろうとした。
するとクミさんは「カラオケ行こう」と言ってきた。
491 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:24:35.44 ID:4oimdbco
もう電車はない時間だ。
タクシーに乗る前にもう少し酔いを覚ましたかったところだ。
俺は了承し、二人でカラオケに行くことになった。
これが間違いだったのだ。


カラオケでも当然死んでいる俺。
クミさんがあゆを歌っている中、俺は夢うつつだった。

クミさんは中島ミカをケバくした感じだ。

そうしていると、これが自分でも不思議だが、クミさんの乳をおもむろに揉んでしまった。
クミさんはバッと胸にある俺の手を払った。

(悪さしてしもたー)

と思っているとクミさんは唇を突き出してきた。
これはどうやらキスを求めているようだ。

俺はさっきゲロを吐いたばかりにも関わらずクミさんにむしゃぶるようにキスをし、乳を揉んでいた。
乳を揉んでいる手はそのままクミさんのパンツの中に入り、陰部を確認すると・・・

ビッショビショだわ、これ。

完全にテンションMAXなってしまった俺は自分のチムポをクミさんに触らせ、指を入れていた。
するとクミさんから

「ホテル行かない?」

と言われた。
当然ホテルの方がこちらとしても何かと嬉しい。
ホテルへ移動し、セックスが始まった。

事が終わり、クミさんと一緒に風呂に入った。

その時確認してはいけないものを確認してしまったのだが、
なんというかクミさんの手首にはためらい傷があった。
492 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:40:19.41 ID:4oimdbco
その翌日、何事もなかったかのように日常生活を送っていると、
吉本さんから電話があった。

「お前、クミちゃんとヤったんやって?」

俺がそうですと答えると、吉本さんは

「あいつやばいで、頭イってるから」

吉本さん曰く、クミさんは行動派メンヘラらしい。
ひとたび男に惚れるとストーカーまがいのことをしたり、
結婚してくれなきゃ死ぬとか言って目の前でリストカットするような人らしいのだ。

俺は恐怖を覚え、「自分携帯の番号教えちゃいました」と言うと、
今すぐ番号を変えた方がいいと言われた。
しかし、携帯番号をかえるとなると面倒臭いことが多い、俺は変えずにいた。

その後、クミさんから何度か遊びに行こうよと言われたが、研究忙しいんで、と言って断っていた。

言われた程の恐怖もないな、と侮っているとクミさんから怖いメールが来た。

「○○は○○大学だよね?私今から行く」

これはやばい。
研究室まで荒らされてはたまったもんじゃない。
俺は「それはやめて、土曜日に遊ぶから」みたいなことを言った。

かくして俺は土日のほとんどをクミさんに費やす羽目になったのだ。
ユウコをほったらかしにすることになった。

そんな生活をしている中、研究室の同期トニーが彼女に振られた。
493 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:44:28.38 ID:4oimdbco
このトニーについて語ると、語ることは実に多い。
学生時代体育会系バスケ部に所属し、一年の時からレギュラーをゲットしてブイブイ言わせていた。

しかし、とある家庭の事情からバスケ部を退部することになる。

その家庭の事情とは、実の父親が行方不明になったことだ。

トニーの父は経営者だったのだが、銀行筋だけでは無く、街金・闇金といった類にも多くの借金をしていたらしい。
それらの借金の存在は家族全員も行方不明になってから知らされたらしいが。

トニーが大学二年生の時に行方不明になり、三人兄弟の長男であるトニーは
私立大学に通う弟、小学生である妹のためにも家計の一端を担うべくバイトを三つ掛け持ちしていた。

バイトをしまくっている時に母親から
「こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、お父さんが見つからない方がいいかも知れない。死亡保険金がもらえないから」
と衝撃的なこと言われるくらい家族は困っていたそうだ。

そんなトニーが付き合っていたのはバイト先で知り合った女性。
本気で結婚する気だったそうだ。
494 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:45:00.58 ID:4oimdbco
そんなトニーがフラれてしまった。

トニーは彼女と付き合っている間、浮気らしい浮気は一切せず、彼女一筋だった。
俺が研究の途中にノンちゃんとヤリまくっていた昔の話などをしていると、

「そんなんやったことないわ〜○○いいな〜」

と言っていたものだ。

トニーが彼女にフラれてからと言うもの、周りの友人たちは今まで開拓されていない
トニーのバイトの友人とコンパをするようになった。
俺はユウコ一筋だったこととクミさんに時間をとられていたため、参加を断っていたのだが。

ここからトニーの快進撃が始まるのである。


トニーがコンパに行き始めてからと言うもの、トニーに変化があらわれだした。

トニーが行くコンパには必ずペナ(仮名)という奴が同行した。
ペナは色黒でイケメンで口がうまいキャラだ。
ちなみに学業成績も非常に優秀で、ウチの大学では大学院試験、奨学金ともに免除になっていた。

このペナはコンパで女性をエロトークにもっていくことに定評があった。
当時の我々にとってペナは世紀末救世主的存在だったことは言うまでもない。

トニーは当時お金が無いにもかかわらず、研究の忙しさから大学付近で下宿生活をしていた。

あるコンパで、ペナのファインプレイにより、コンパに来た女性を持ち帰ることに成功した。
その女性は20代後半なのだが、こう言っちゃなんだが股のゆるい女性で
仲良しになった友達にはついつい体を許してしまう女性だ。

当然トニーは持ち帰り次第セックスをし、人生初の彼女以外とのセックスを経験する。
それからと言うもの、トニーは自宅に持ち帰ることに全力を注ぐようになった。
495 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:51:37.60 ID:4oimdbco
トニーが毎週コンパをするようになってからのことである。
俺の友人にポコ(仮名)という奴がいた。

こいつは普通に面白い奴で彼女がいてもおかしくない奴なんだが、23歳にして童貞で、
年齢=彼女いない歴という奴だった。

そのポコがトニーと池田とコンパに行った時である。

ポコはノイちゃん(仮名)という子に気に入られたそうだ。
コンパ後も連絡を取り合って、ポコとノイちゃんは付き合いだすことになった。

しかし、ポコから話を聞くと何かおかしいのだ。

ノイちゃんは始めてポコの家に遊びに来る時に何故かお泊りセットを持参してきていたらしい。
その時点でセックスフラグが立ちまくりだと思うのだが、経験の浅いポコは容赦無くフラグをへし折っていた。

さらに泊まりに来た時に一緒のベッドで寝ていたそうなのだが、その際ノイちゃんが何かもぞもぞやっているらしい。

「どうしたの?」

とポコが聞くとノイちゃんは

「ブラがきついから外すね」

とか言うらしいのだ。
完全に誘ってるだろ・・・。

出会って一週間以内の出来事らしいので、最初の方はフラグを叩き折りまくっていたポコだったが、
さすがにノイちゃんの攻勢も激しく、セックスをしてポコは童貞を卒業した。
496 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 19:58:48.94 ID:4oimdbco
ポコがノイちゃんとセックスした翌日。

皆で話しているとポコが顔面蒼白でこちらに来てノイちゃんから来たメールを見せた。
メールの内容は長文だったのだが、要点は「別れよう」という内容だった。

皆でそれについて話し合っており、何かわけのわからん女だなーと言っていると、
なんとなくトニーの様子がおかしいのが見て分かった。

トニーは皆と別れた後、俺を呼び出し、言った。

「どうしよ、俺ノイちゃんに飲み会しよって誘われてんねんけど」

ん?どういうこと?

ノイちゃんはポコに別れようと言っている反面、トニーに飲みに行こうと言っているらしいのだ。
トニーにどうしたいのか聞いてみると、トニーは行くと言っている。

俺はそれはポコには伝えない方がいいという旨を伝えた。
さすがに初めてできた彼女で初めてセックスした相手と友達が飲みに行くってのを聞くのもいい気分はしないだろう。

トニーは結局二章の最初の方に出てきたダルと飲みに行くことにした。
497 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 20:11:36.77 ID:4oimdbco
飲みに行った後の話を聞くとトニーはノイちゃんとヤったらしい。

ちょっと前まで友達の彼女だったのによくやるなーとか思っていると、トニー曰く向こうからホテルに誘ったとのことだ。
てんで何を考えているのか分からない女だ。

さらにその一週間後。

今度はダルがノイちゃんとヤったと言ってきた。

いやいやいやいやポコが不憫すぎるでしょう。

と思っていると更にショッキングなことに、ダルがヤったのはトニーの家とのことだ。
つまり、トニー、ダル、ノイちゃん、あと一名(女)で飲んでいて、トニーの家に行き、
そのトニーの家でダルとノイちゃんがヤったらしい。
その時もノイちゃんが誘ってきたらしい。

本気でノイちゃんがどんな女なのか意味不明だ。

俺の友人でものの一カ月程で穴兄弟の奴が増えた。
なんとなくもやもやとした嫌な予感を感じていた。
498 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 20:21:06.53 ID:4oimdbco
土曜日、クミさんと遊ばなければいけない日だ。

行動派メンヘラなのできちんとケアしておかねばひどいことになりかねない。
クミさんと飲みに行った。

飲み屋に着くとクミさんは衝撃的なことを言った。

「○○って○○大学の○○学部の○○学科だよね?」

なんでそこまで知ってるんだ?
少し恐怖を覚えながらも「そうだよ」と答えると、クミさんは

「変わった名前だからインターネットで検索したらすぐ分かったよ。私○○の大学の子とエッチしちゃった」

と言いだした。
何かとても嫌な予感がする。

「ポコって子とトニーって子とダルって子と△△って子」


!?


嫌な予感はこれだったのか。
世の中はなんと狭いことか、なんとノイちゃん=クミさんだったのだ。
俺はあまりにも漫画のような展開に戸惑っていたが、向こうの口ぶりから事実なのは間違いない。
トニーがコンパをしまくっていたことは知っていたが、まさかクミさんとぶち当たっていたとは・・・。

その後クミさん、いやノイちゃんは続けた。

「私のこと大事にしなかったら○○のこと滅茶苦茶にするからねww」

笑いながら言っているが、非常に怖い。
行動派メンヘラとはこのことだったのか。
吉本さんが番号変えろと言った理由が今分かる。

ノイちゃんが本気を出したら俺の友人関係をボロボロにすることなんか簡単だ。

男はあらゆる面で女に弱いのだ。
簡単に言えば電車内で痴漢ですと言われただけで人生が終わる。
499 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 20:26:34.30 ID:4oimdbco
同じ研究室だし、せめてトニーくらいには言った方がいいか?
いや、ことがことだし一人に言ったら結局ポコの耳にも入りかねない。

ポコがこの話を聞いたらどんな顔をすることか。
始めての彼女が出来た時浮かれまくっていたポコだ。

そもそも誰かに相談して解決する問題じゃない。

ここで「浮気してんじゃねーよ!」ってキレて関係を無くしてしまうのがベストじゃなかろうか?
そう考えて俺はキレたフリをした。

「俺はクミさんのこと本気で好きやのに浮気するんやね」

俺がそう言うとクミさんは叫んだ。

「嘘つき!彼女いるくせに!」

ゲゲゲ、バレてる?

「飲み会の時に聞いたよ。彼女いるらしいね」

クミさん曰く、コンパの時に俺の名前を出して彼女がいるらしいことを聞いたらしい。
そういえばポコが行ったコンパで俺のことを知ってる人がいたと言っていたのを思い出した。
自分の名字が変わっていることをこれほどまでに怨んだことはない。

「今すぐ別れてよ」

クミさんはそう言った。
俺はどうしていいか分からず、「今日は帰る」と言って一人で飲み屋を後にした。
500 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 20:30:04.70 ID:4oimdbco
帰りの電車に載っている中、クミさんから長文のメールが来た。
内容は「さっきはゴメン・・・」から始まっていたが、読み進めて行くと、

「こういうことされると○○も○○の彼女もトニーもダルもポコも滅茶苦茶にするから」

みたいなことが書いてあった。
これは怖い。更に、

「トニー君とかダル君とかポコ君にも絶対言わないでね」

とか書いてあった。これはどうすればいいのだろうか。
今思えば一番最初の段階で言ってしまえばよかったのだが、俺はメールに従い、言わないことにした。

あまり頼りたくはなかったが、吉本さんに相談するしかないのだろうか。

内定を抱えている俺はクミさんに「レイプされました」と嘘をつかれ
警察に駆け込まれただけで内定取消になりかねないのだ。
この人ならその程度のことやりかねない。

その筋の方には貸しは作っても借りはつくらないが基本だが、背に腹はかえられまい。
501 : ◆pC19brR.EM :2010/12/19(日) 20:30:24.35 ID:4oimdbco
おやす〜(´∀` )ノ
502 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/19(日) 22:58:46.17 ID:wa1tOK6o
一乙!
503 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします :2010/12/20(月) 20:29:00.17 ID:bznE5ASO
スロットわかんねー悲しいぜ
504 : ◆pC19brR.EM :2010/12/21(火) 00:24:39.60 ID:BLQLsAAo
スロット分からんかったかーゴメンネ(つ∀` )
でもこのへんを語る上では外せない要素なのです。
多分もうちょっと出てきたりするけど勘弁してちょ
505 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/21(火) 18:57:44.19 ID:KeIShESO
気にしなくていいよ。
てかスロットってそんな勝てるもんなんだね
506 : ◆pC19brR.EM :2010/12/23(木) 23:42:14.77 ID:S4ziJ0go
いや、前の方でも書いてるけど今のスロットは勝てないよー(´∀` )ノ

昔だからこそできたって感じです。
今は座った時点で負け確定だと思った方が無難です。
507 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします [sage]:2010/12/24(金) 00:32:32.49 ID:Y73/4S.o
なんかこの感じだと今から転落が待っているのではないかと
読むのが怖いお・・・
でも読みたいんだぜ
508 : ◆pC19brR.EM :2010/12/25(クリスマス) 01:32:57.60 ID:GrVdxa6o
クリスマスですね(´∀` )ノ
私は当然の如く一人飲み屋行って一人カラオケ行って帰ってきましたが
皆さんは大切な人と過ごしているのでしょう、きっと。

今日ひょんなことから本作に出てきたノンちゃんが結婚して子供いることを知りました。
もういい年なんで当たり前っちゃー当たり前ですけど
皆それぞれの人生歩んでて何か寂しいですね。

ちなみにその時同時にこれまた本作に出てきたクイズが
何かちょっと有名なっててwikipediaのってることも知りました。

繰り返しになりますが、誰ひとりとして昔のままじゃないんですね。
いつまでも昔のままだと思っているのは私だけでした。

皆さんに幸がありますように。

おやすみなさい。
509 : ◆pC19brR.EM :2011/01/04(火) 23:39:43.11 ID:3NnbRmco
あけましておめでとうございます。
おみくじひいたら大凶でした。
今年あたり仕事クビなるのかしら。

今年もよろしくお願いいたします。
510 :あはっぴぃにゅうにゃぁ2011! [sage]:2011/01/05(水) 01:18:33.46 ID:lrgtbhso
大凶って実は一番あてにくいんだぜ
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2011/01/05(水) 22:52:03.50 ID:sLg.kwSO
大凶上等!
512 : ◆pC19brR.EM :2011/03/13(日) 14:23:43.56 ID:B6Jv8UXyo
(;´Д`)地震こえー
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/03/13(日) 16:19:00.97 ID:tpeIu3a6o
おおっ
久々に来てくれたか
生きているようで何より
514 : ◆pC19brR.EM :2011/03/13(日) 21:19:00.65 ID:B6Jv8UXyo
おお、まだ人がいてくれたことに感激です(´∀` )ノ
地震やばいですね。本当怖い(;´Д`)
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2011/03/13(日) 21:54:10.09 ID:tpeIu3a6o
1が話をしてくれるまでは[ピーーー]ないからな

被災者のために何かしてあげたい・・・

516 : ◆pC19brR.EM :2011/03/15(火) 22:33:11.43 ID:PO/+mxzYo
私、財形貯蓄やってたんで取り崩して10万円だけ寄付してみました。
東北には友達も住んでますからね(;´Д`)

というか原発への注目すごいですね。
学生時代チラッとだけ絡んだことある(当然専門ではない)んでやっぱ気になります。
というか制御棒を入れた時点で臨界の危険性が薄いし、一昨日くらいに海水とホウ酸ブチ込むって
言ってた時点で問題無いとは思ってましたが政府の後だし報道見てると一刻を
迫ってるんじゃないかなと思ってしまいます。

再臨界の可能性はあるんでしょうか?
現状の正確な解説が欲しいですね(´・ω・`)
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東日本) [sage]:2011/03/16(水) 16:00:24.53 ID:vtnlceseo
>>516
海から直接、海水を入れてるのでホウ酸いれてるのかちょっと疑問・・・
518 : ◆pC19brR.EM :2011/03/23(水) 23:46:10.60 ID:OGekvsyTo
>>517
なんかメディアも海水海水で結局ホウ酸入れてるか微妙な感じなってますね(´∀` )

全然大事にならないってのがすごいです。
519 : ◆pC19brR.EM :2011/04/30(土) 00:12:11.00 ID:lbme5PJXo
連勤やばい・・・GW返上キツすぎる(;´Д`)
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage]:2011/04/30(土) 00:26:17.81 ID:hS0nKAwWo
このスレあと何年か保つ気みたいだなww
いいぜ、何年でも付き合うから細々ゆっくりやっていこうぜ
さしあたりGW返上乙ww
521 : ◆pC19brR.EM :2011/06/10(金) 23:21:14.33 ID:Fzy7q8Zdo
(;´Д`)'`ァ'`ァ
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2011/06/13(月) 02:04:35.13 ID:hklG6vHDO
続き希望
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2011/06/23(木) 11:48:39.79 ID:RsBiRNhzo
続ききぼん
524 : ◆pC19brR.EM :2011/07/03(日) 02:46:37.94 ID:PSHqkyIho
(´・ω・`)
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2011/07/04(月) 00:52:00.93 ID:2encCB2O0
おかえり
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