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眠れないので好きだった人の話をします - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :1 :2013/03/28(木) 00:20:01.82 ID:/Fup3l0a0
眠れないので昔のことを思い出しながら書きます。
書き溜めはありませんし、幾分昔のことを思い出しながら書くので進行はゆっくりになると思います。
途中フェイクを交えたり、会話などを補完しつつ書くので、はじめから創作だと考えていただいたほうが良いかもしれません。
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/03/28(木) 00:21:31.86 ID:Rcjh5UnTo
どうぞ
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2013/03/28(木) 00:22:34.31 ID:4Ue7H6os0
かもん
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) :2013/03/28(木) 00:24:27.86 ID:c1zb78Sm0
どっからでも
5 :1 :2013/03/28(木) 00:25:14.68 ID:/Fup3l0a0
お互いがお互いを知るきっかけはとなったのは高校二年のクラス替え。
僕の隣に彼女が座った時からでしょうか。
学校に慣れたからと言って中だるみをすることの無いように、という担任の話が終わると、各人の自己紹介が始まりました。
クラスの半分ぐらいは話したことの無い人だったので、どんな人が同じクラスなのかなと色々な期待があります。
6 :1 :2013/03/28(木) 00:33:49.53 ID:/Fup3l0a0
思い返すと中々に濃いメンバーが集まっていたのですが、本筋にはあまり関係がないので割愛します。
そんなこんなで回ってきた彼女の番。
「○○といいます。吹奏楽部に所属していてパートはトランペットです。
うちの部は春のコンクールで演奏できることになったので、よかったら皆さんも会場に足を運んで見てください。よろしくお願いします。」

澄んだ声だった。あまり高くはないのだけどどこか愛嬌のある声。
当然、隣に座っていた僕は少し意識することとなった。
7 :1 :2013/03/28(木) 00:39:39.08 ID:/Fup3l0a0
次にめぐってくるのは僕の番、前の人たちの話を熱心に聞いていたため、直前になって焦り始めました。
そんな僕のことはいざ知らず、担任の先生が僕を指名します。

ふぁ、ふぁいぃ!

何ともまあだらしのない返事をしたことだろうか。
クラスの何人かはクスクス言って笑ってる。
僕は顔を熱くしてその場に立っているだけでやっとだ。
何か話さないと、と思うほど上ずってなかなか声が出ない。

そんな僕に微笑みながら声をかけてくれたのが彼女だった。
8 :1 :2013/03/28(木) 00:47:15.16 ID:/Fup3l0a0
「落ち着いて。がんばれ。」
澄んだ声で、僕にだけ聞こえるように、彼女はそう囁きます。

当時の僕は今でいうコミュ障だったのだろう。
普段から会話をするだけならまだしも、大勢の前で話すことは大の苦手でした。

ただ、その時はどういうわけか肩の力が抜けて行って、すんなりと話すことができました。
ひとえに彼女のおかげでしょうか。

この時だけではありません。
のちにも僕は彼女に色々と励まされることになります。
そして僕を変えてくれたのも彼女です。
今の僕があるのは彼女がいたから、というのは大げさかもしれませんが、少なくとも彼女から影響を受けたのは確かです。
9 :1 :2013/03/28(木) 00:56:05.58 ID:/Fup3l0a0
自己紹介も難なく、もとい難ありまくりで終えました。
神様がいるとしたら、それはもう気まぐれな方でしょうね。
僕と彼女を出会わしてくれたんですから。
昔を思い返して、今ふっとそう思いました。

ホームルームが終わると次は大掃除。
席が隣同士の僕と彼女は同じ班で掃除をすることになりました。
担当は僕が机を運んで、彼女がその下を箒で掃くというもの。
はたから見たら彼女に話しかけるには絶好のチャンスです。

まあ言うまでもないでしょう。
チキンな僕は話しかけることはおろか、彼女の顔を見ることすらままなりませんでした。
10 :1 :2013/03/28(木) 01:05:25.41 ID:/Fup3l0a0
ここでも話しかけてくれたのは彼女のほうからでした。

「1君は部活何してるの?さっきは話してなかったみたいだけど。」

当時帰宅部だった僕。
そのことを彼女に知られるのは物凄く恥ずかしいことだと思った僕は、何を思ったかこんなことを言ってしまいます。

「今は何もしてないんだけど、前の学年の担任の先生と一緒に新聞部を立ち上げようと思ってるんだ。」

確かに、前の担任の先生からは先輩が卒業して部員がいなくなった新聞部の新しいメンバーとして是非どうか、という勧誘を受けてはいました。
文章を書くのがうまいだとか、写真の技術を持ち合わせているとかではなく、単に帰宅部だったことから目をつけられていたのです。
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) :2013/03/28(木) 01:07:58.25 ID:9Or14nxR0
新聞部いいね
12 :1 :2013/03/28(木) 01:12:58.52 ID:/Fup3l0a0
そんなことは彼女が知る由もありません。
驚いたかのように目を大きくして、床を掃く手を止めました。

「すごいね!新聞部ってことは、1君ってやっぱ頭いいんだ?
かっこいいよねーそういうの。私もやってみたいなーとか思うんだけど私国語の成績だけ異様に低くってww」

最後のほうで彼女が照れるようにはにかみました。
顔をくしゃっとして笑うその表情にとても惹かれた僕がいました。
13 :1 :2013/03/28(木) 01:29:23.93 ID:/Fup3l0a0
そうは言ったものの、新聞部に入るつもりなどはじめは毛ほどもありませんでした。
なんせその担当の先生が大の苦手だったものですから。

家に帰った僕はどうやって彼女を誤魔化そうかなどとばかり考えます。
色々なことを天秤にかけました。
部活を始めることによって自分の時間が減るだとか、担当の先生といやでも顔を合わせないといけないだとか。
はたまたは内申書の部活の欄が空欄にならずに済むだとか。

そんなこんないろいろ考えましたが、結局最後に残ったのは、彼女に言い顔をしたいという何ともまあ健全な高校生らしい結論です。
翌朝、それまでは近づこうともしなかった国語主任兼新聞部顧問の部屋の扉をたたきました。
14 :1 :2013/03/28(木) 01:37:47.62 ID:/Fup3l0a0
はじめ先生は驚いたような笑ったような顔で、

「ようやく新聞部に入ってくれる気になったのww」と一言。

何度も拒んできた僕に言ったセリフですから冗談だったのでしょうか。
僕がはい、と即答して入部届を机に置くと本気で驚いたようで、手に持っていたコーヒーをこぼしてしましました。
出したてほやほやの入部届は先生の手に渡る間もなく、見るも無残に茶色く染まりました。
15 :1 :2013/03/28(木) 01:51:39.97 ID:/Fup3l0a0
「ごめんごめんwwあまりにもびっくりしたものだからついww
でもねこんなになってからっていうわけじゃないけど、この入部届は受け取れないのよねー。」

「え、どうしてですか?」

「どうしても何も、今のうちの学校には新聞部っていうくくりがないの。
先輩たちが卒業して部員がいなくなったでしょ?
それで新聞部はこの前正式に抹消されちゃったってわけ。
先生も上にいろいろ交渉したんだけどね、駄目だった。」

そう口にした先生はうつむいてひどく悲しそうな顔をしていました。

そんな先生の顔は見たことがありません。
僕はどうしていいかわからず、その場に立ち尽くしていました。
ただ、僕はどうしようもなくなるとついつい大きなことを話してしまうきらいがあったようです。
この時も本当に突拍子もないことを先生に持ちかけました。
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/03/28(木) 02:03:29.39 ID:zs5m8W0Z0
期待。
17 :1 :2013/03/28(木) 02:08:55.46 ID:/Fup3l0a0
「じゃあその入部届は捨ててください。
創部の規定である5人を僕が集めます。
その時に新しい入部届を書いて持ってきますから、それまで待っていてください。」

顔を上げた先生の目が少し赤くなっていました。

「ありがとう。でも無理しなくてもいいんだよ。5人を集めるなんて簡単なことじゃないし。それに・・・。」

「それに、なんですか?」

「先生ね、今年度から書道部の顧問になったの。
だから部員があつまったとしても、顧問不在で創部の届けは出せない以上、本当に新聞部ができる保証がないの。
あいにく今空いてらっしゃる先生もいないみたいだし。だから無理しなくてもいいのよ。
ごめんね1君。この前までしつこいぐらい誘ってて、その気になってくれたとたんこんなことになっちゃって。本当にごめんね。」

こらえきれず泣き出す先生。
僕ももらい泣きしそうになりましたが、そこはこらえてこう言いました。
18 :1 :2013/03/28(木) 02:25:21.10 ID:/Fup3l0a0
「じゃあ回りくどいことは良いです。
僕が個人的に校内新聞を書きますから、先生は添削のお手伝いをしてください。
去年度まであった校内新聞が急になくなると色々と寂しいじゃないですか。だから、お願いします。」

そう言って頭を下げた。
先生の涙を見てしまった以上後に引きたくない気持ちが強くったし、彼女に嘘をつくのも嫌だったのだと、振り返ってそう思います。

先生の返事はそれまでと打って変わって明るいものでした。

「ありがとう!本当にありがとう!
先生ねこの学校が大好きで、毎月新聞を発行するのが本当に楽しみだったんだ。
それなのに新聞部がなくなっちゃって、どうしたらいいのか悩んでた。
でも今日1君がそんな風に言ってくれて、救われた気持ちになったよ。本当にありがとうね。」

泣き笑いする先生のはにかんだ顔は、だれかのそれに似ているような気がしました。

こうして僕と先生の二人による校内新聞製作が始まったのです。

19 :1 :2013/03/28(木) 02:32:06.91 ID:/Fup3l0a0
スレタイでああ謳ったのにずっとディスプレイに向かってたら眠気が来てしまいましたww
今から風呂に入るために落ちようと思うのですが、何か質問やこれは書いておいたほうがいいっていうものはありませんかね?
風呂から上がってそのまま寝落ちしなければお応えできるかと思います。

思ってたより長くなりそうなので、時間を見つけてはゆっくり書き込みます。
ゆっくりとした進行になりますがお付き合いいただけると嬉しいです。

あと、先に言っておくと誰にとってもバッドエンドにはなりません。
そこだけはご安心ください。
20 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 02:35:23.30 ID:/Fup3l0a0
トリップつけておきますね。
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/03/28(木) 02:41:39.92 ID:gnvcmrzqo
SSとしてROMっとくは
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/03/28(木) 02:55:12.74 ID:zs5m8W0Z0
>>1のペースでがんばれ
23 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 02:55:47.63 ID:/Fup3l0a0
>>21
そう受け取っていただいたほうがこちらとしても気が楽です。
上で書いたのも三割くらいが脚色ですからSSと何ら変わりませんねww
24 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 03:07:19.56 ID:/Fup3l0a0
>>22
ありがとうございます!


続きを書こうとも思ったのですが、うつらうつらこきだしたのでそろそろ落ちますね。では
25 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 12:37:47.10 ID:/Fup3l0a0
ちょっとだけ続き

新聞を作ることになったわけですが、当然帰宅部の僕に新聞を作った経験などありません。
頼れるのは先生と、過去に発行された校内新聞の制作メモだけでした。

先決なのは何を一面に持ってくるのかということ。
それで新聞の見映えが変わってきます。
僕が作る初めての新聞でしたから、ここばっかりはだれにも頼りたくないという思いがありました。

悩むこと数刻、僕の中にふと思い浮かんだのは、彼女が参加すると言っていた春のコンクールでした。
うちの学校の吹奏楽部は中々に規模が大きく、毎年コンクール入賞を果たしていて、
部員の層も厚く、二年生になったばかりでメンバーに抜擢されたは、彼女を含め数人であったことを後に知ることとなります。
26 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 12:50:28.92 ID:/Fup3l0a0
テーマが決まればあとは取材を繰り返すのみです。
とは言え、吹奏楽部の知り合いと言えば彼女しかいません。
真っ先に取材に向かったのは彼女の元でした。

「今度校内新聞を作ることになったんだ。
それで一面に」は吹奏楽部の活躍を取り上げようと思うんだけど、いろいろ話しを聞いてもいいかな?」

「本当?私でよければ何でも協力するよ。
あ、そうだ、今日の放課後の練習見にくれば?
先生には私から言っておくからさ。」

「ありがとう。助かるよ。
じゃあ放課後にお邪魔させてもらうね。」

コミュ障でどうやって取材を進めればいいのか迷っていた僕にとって、彼女の申し出は願ってもないものでした。
27 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 13:14:58.30 ID:/Fup3l0a0
放課後、吹奏楽部が練習をしている教室にお邪魔します。
出迎えてくれたのはやはり彼女。ほかのメンバーに僕のことを紹介してくれました。

「今回の校内新聞を書いてくれる1君です。
私たちの部が一面に取り上げられるらしいので、皆さんもぜひ協力してあげてくださいね。」

思っていた通り彼女は人気者でした。
そのおかげもあって、僕と彼女の周りには人だかりができます。

「新聞部ってつぶれたんじゃなかったの?」
「顧問の先生ってあの国語主任でしょ?怖くない?」
「新聞部ってことはやっぱ頭いいの?」
「そもそも1君と○○さんってどういう関係?もしかしてできてる?」

聖徳太子でも返答に窮するであろう程の質問を矢継ぎ早に浴びせかけられました。
当然僕は、えーとか、はいとかしか返す術がありません。
一方で彼女は快活に質問に答えています。そんな彼女の横顔を眺めていると、ふと彼女と目があいました。

「1君とは教室の席が隣でいろいろ話したりするんだよねー。
この前私が教科書忘れたときなんか、わざわざ私に教科書見せてくれたんだ。ね、1君?」

彼女がそう言うと、どこかで囃し立てるように口笛が聞こえます。
この時の彼女の無邪気な笑顔を見て、次第に惹かれていくようになったのは言うまでもありませんでした。
28 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 13:15:44.06 ID:/Fup3l0a0
休憩も終わるのでそろそろ落ちますね。
また夜に再開できればなと思います。
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/03/28(木) 13:44:57.42 ID:zs5m8W0Z0
1乙
夜まで待っとくわ
30 : ◆/XdD8sN3s6 :2013/03/28(木) 20:12:14.17 ID:/Fup3l0a0
ただいま戻りました。

今からご飯作って、風呂にも入りたいので、再開は10時からにしたいと思います。

>>29
ありがとうございます!もう少しお待ちください!
31 : ◆/XdD8sN3s6 :2013/03/28(木) 20:15:50.10 ID:/Fup3l0a0
酉変わってますね・・・。
昨日は寝ぼけながらだったので、違う酉で立てていたみたいです。
これからはこの酉で通していきますね。
紛らわしくてすみません。
32 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 22:09:14.72 ID:/Fup3l0a0
続けます

彼女や吹奏楽部のメンバーの助けもあり、新聞製作は滞りなく進みます。
嬉しいことに、彼女たちもコンクールで良い成績を残すことができたので、
僕の第一号となった校内新聞は、華々しいものになりました。

学校のみんなや、先生方の評価もなかなかのもので、ページ数さえ増やせば、
いつ県のコンクールに出してもいいレベルだとも言われました。
見てくださった先生の推敲が素晴らしいものだったので、僕一人の力ではなかったのですが、
先生は僕に華を持たせてくれたようです。

このころになると、クラスでなじみのなかった人たちや、先輩後輩に話しかけられる機会が増え、
僕の交友関係は一年時に比べとてもひろいものになっていきます。
それに拍車をかける出来事もありました。
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/03/28(木) 22:14:30.42 ID:gnvcmrzqo
新聞やってたからか読みやすいな
34 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 22:19:02.39 ID:/Fup3l0a0
その出来事とは、それまであまり関わりたくなかった不良グループ、今でいうDQNのグループと僕が急速に接近する出来事でした。

その日僕は新聞の記事になるものは何かないかと、クラスで取材をしていました。
その僕に声をかけてきたのが不良グループの一人です。
校則を無視した髪型に、大きめの制服。典型的な不良で、僕としてはあまり関わりたくなかったのですが、
良い新聞を作るためには多くの人の意見を聞かなければなりません。
僕は恐る恐る彼の話を聞くことにしました。

「なあ1、購買にアイスおいてもらえるように記事書いてくんない?
俺も先輩から聞いた話なんだけど、昔購買にアイスが置いてあったらしいんだよ。
お前も体育の後とか、アイス食いたくね?」

それを聞いた、ほかの不良たちも食いついてきました。
徐々にアイスコールがクラスに広まり、騒ぎを聞きつけた先生が教室まで様子を見に来るほどで、
多くの生徒がこの話に興味を持ったようです。
35 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 22:30:18.01 ID:/Fup3l0a0
>>33
そう言っていただけると嬉しいです。
僕自身はじめはあまり文章を書くのが得意なほうではなかったので、先生にしごかれたのが大きかったのだと思います。

多くの生徒がアイスの件に興味を持った以上、僕としても記事にしないわけにはいけません。
とは言え、僕の力だけではどうしようもない話でもあったので、同じクラスの生徒会のメンバーに話を持ち掛けることにしました。

話を聞く限り、購買にアイスを置くためにはまず生徒集会で全校生徒の過半数の同意を得ることが最低条件で、
そのあとに教員による賛同を得て初めて実現するということでした。

昔はあったものが今はなくなっている以上、何らかの問題があったのは容易に想像がつき、
実現するのは険しい道のりだと覚悟せざるを得ません。
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2013/03/28(木) 22:37:57.76 ID:zs5m8W0Z0
1待ってたぜ!!

はい、静かにROMっときます。
37 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 22:43:39.11 ID:/Fup3l0a0
昔から勤めていらっしゃる先生に話を伺ったところ、アイスが設置されなくなったのにはやはり訳があり、
ごみが増えること、休み時間に食べきれなかった時の処理が困ることなどが理由として挙げられ、
昔は教育員会の間でも問題になったことがあるということでした。

僕と生徒会は協力して先生に訴えかけ、新聞の記事として取り上げたり、
生徒の署名を持っていくなど、考えられるだけのことはつくしましたが、
結局先生方に認められることはありませんでした。

その妥協案として生まれたのが、凍らしたペットボトルドリンクの販売で、翌年の夏からの販売が始まりました。
余談ですが、この前母校を訪れたときにはアイスが売られていたので、そのあとにも働きかける人が多くいたようですね。
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) [sage]:2013/03/28(木) 22:47:26.24 ID:9Or14nxR0
支援。
俺も学校にアイス欲しかったなぁ
ゼリーとかプリンはあったんだけどねww
39 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 22:53:30.68 ID:/Fup3l0a0
>>36
お待たせしました!
ゆっくりですが続けていきますね。

生徒や先生に取材を繰り返すうちに僕のコミュ障っぷりはなりをひそめました。
誰と話すにしても、大勢の人を前に話すにしても緊張をすることがなくなり、
人の目を見て話すことができるようになったので、自然と友達も増えていったのです。
何人かに告白されることもあったのですが、それはまた別のお話。

またこのころから、例のドリンク設置の功績が認められたのかどうか、不良にも話しかけられることが増えました。
とはいうものの、それなりの偏差値の高校であったので、本当に不良じみた人などおらず、
話してみればみんな根は良い人ばかりで、あの特有のノリについていくのも、それはそれで楽しいものでした。

先の彼女と距離が縮まっていったのは、この出来事の少し後、期末試験に入ったころからでした。

40 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:04:17.94 ID:/Fup3l0a0
>>38
僕の学校にもゼリーならありましたね。
一時期冷凍庫に入れて凍らせるのがブームになったりもしました。


夏休み明けの生徒集会でドリンクの設置が決まり、迎えたのは文化祭でした。
それぞれのクラスが工夫を凝らして出し物を作り上げていきます。

僕たちのクラスは早くから喫茶店をすることに決まっていたのですが、それだけでは味気ないということで、
校内新聞のバックナンバーを展示することにしました。
正式な部ではない以上、出し物をするための教室を借りることができなかった僕にクラスのみんなが気を利かせてくれたのです。

学校の創立時から発行され続けた校内新聞。
僕としても多くの人に見てもらいたかったので、願ってもない企画でした。
協力してくれた当時のクラスのメンバーには頭が上がりません。
41 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:10:39.30 ID:/Fup3l0a0
クラスのみんなの協力もあり、展示は大成功を収めました。
出し物の校内審査で賞を取ったのは良い思い出です。

さてさて、遊んでばかりいられないのが高校生。
文化祭が終わるとすぐに、期末試験週間に入りました。
高2とは言え、翌年には受験があるわけですから、みんな一年のころとはやる気が違います。
僕も朝早くから学校の図書館で勉強をするようになりました。

いつもの電車より一時間以上早い電車に乗ろうとしたその日、
駅で偶然にも一緒になったのが例の彼女だったのです。
42 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:20:37.67 ID:/Fup3l0a0
「おはよう。1君も図書室に行くの?」

「おはよう。そうだよ。僕もそろそろ真剣に勉強しないとまずいなって思ったんだ。」

「またまたーww1君ってすごく勉強できるじゃん。テストの順位もいつも一桁だし。
あ、そうだ、数学で分からないところがあるから教えてくれないかな?
昨日何回も解いてみたんだけど、やっぱり自分だとわからなくって。」

いつもは寝て過ごす電車の中の30分間。
今日は隣に笑顔の彼女が座っています。
この日ばかりは、早起きしてよかったなと思いました。



43 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:37:56.35 ID:/Fup3l0a0
電車を降り、学校までの道中も彼女の隣を歩きました。
いつもは時間ぎりぎりで走っていた道も、彼女の横をゆっくりと歩くだけで違った景色になります。

僕の視界の隅には、単語帳をペラペラやる彼女がいて、考え顔で僕に問題を出してくる。
僕がわからない単語があったら、したり顔でこっちを見て、単語の意味を自慢げに話す。
僕がすんなりと答えると、頬を膨らませ口を尖らす。

どの表情をとってみてもかわいい。
そんな彼女の横を歩いている僕は幸せ者だ。
この時真剣にそう思いました。

彼女のことが好きだ。
いつか告白して、また彼女の横を歩きたい。
そう胸に決めたとき、学校の正門が見えてきます。

「ここから正門まで競争ね。負けた人はジュースおごり!」

そう言って彼女が走り出しました。
正門まで残り十メートルほど。
スタートを切っていない僕が追いつけるわけもなく、彼女が先にゴールしました。

「おごり!おごり!」

そう言ってはしゃぐ彼女。
そんな彼女と過ごす時間が増えるなら100円や200円などやすいものです。
口でははいはいと言いながらも、内心ガッツポーズであったのは、言うまでもありません。
44 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:48:24.17 ID:/Fup3l0a0
学校につくと黙々と勉強を始めました。
彼女が悩んでいた数学の問題もちょっとしたもので、コツを教えてあげると彼女の表情が晴れました。

「やっぱりすごいね1君は。先生が教えてくれる何倍も分かりやすかったよ。」

「そんなことないよ。○○ちゃんほとんど理解してたじゃん。
僕はほんのちょっとしたコツを教えただけだよ。すぐにほかの問題もできるようになるって。」

「ありがとww1君にそう言ってもらえるとうれしいよ。」

楽しいひと時でした。
いつも苦になる勉強も、隣に彼女が座っているだけで俄然やる気が出てきます。単純なものですね。
45 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:57:39.66 ID:/Fup3l0a0
二週間朝と放課後に彼女と一緒にみっちり勉強した甲斐もあって、僕と彼女は学年で一桁の順位を取りました。
僕が数学と理科、彼女が英語と歴史が得意ということもあり、お互いの足りない部分を相談できたのも大きかったのでしょう。

試験が終わった後の教室は、開放感から騒がしくなります。
そんな中で彼女が僕の耳元に顔を近づけてきてこう囁きました。

「ねえ1君、テスト週間終わっちゃったけど、放課後一緒に帰れないかな。
あのね、その、話したいことがあるんだ。」

そう言って離した彼女の顔は、どこか赤らんでいました。
その顔を見て僕の心臓がトクントクンと何回かはねたのを覚えています。
46 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/28(木) 23:58:56.34 ID:/Fup3l0a0
あれ、また酉戻ってますね。なんでだろ?
上の酉のレスも僕のレスなんで気になさらないでくださいね。
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(滋賀県) :2013/03/29(金) 00:06:49.50 ID:7kOO5O8z0
放課後、隣を歩いてはいるものの、二人の間に会話はありません。
彼女はうつむきがちだし、僕も目が泳いでいました。
まああんな風に彼女に言われた以上、当然といえば当然なのですが。

そえでも話したいことって、なに?
そう彼女に尋ねることはひどく卑怯なことに思われました。

僕は彼女のことが好きだ、仮に彼女がそういう話をするのであれば、男の僕からするべきではないのか?
でももしそうじゃなかったら・・・。

そうこう悩んでいるうちに、最初に沈黙を破ったのはやはり彼女のほうからでした。

「あのね、1君。」

そう切り出した彼女の声は、澄んだいつもの声と違って少し上ずっているようでした。
48 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 00:26:42.90 ID:7kOO5O8z0
「わたしね、1君のこと、前からいいなーって思ってたんだ。
アイスのことで話題になった時、中心になってたのって1君だったでしょ?すごくかっこいいなって思った。
それにね、この二週間も一緒にいられてすごくうれしかったし、成績もすごく伸びたんだ。1君のおかげだよ。」

そう言って再び訪れる沈黙、彼女の目は地面のほうを向いています。
今度こそ話さなければいけないのは僕だ、そう思いました。

「○○ちゃん、僕の話も少し聞いてくれないかな?
この二週間、僕もすごく楽しかったよ。○○ちゃんと一緒に勉強してると、すごくはかどったし、
朝と夕方一緒に帰るのも楽しかった。僕も○○ちゃんのこといいなって思ったんだ。
これからもこうやって一緒に歩きたいし、これからのことは○○ちゃんと一緒にがんばっていきたい。
好きです、僕と付き合ってください。」

言い切りました、何とも言い難い達成感と緊張感が僕を襲います。
顔を上げた彼女の顔は少し涙ぐんでいるようでした。
49 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 00:31:08.65 ID:7kOO5O8z0
pc重くて調子が悪いのでここらで落ちます。
一番盛り上がるところで、ぶった切ってしまって申し訳ありません。
また明日の夜におつきあいいただければなと思います。

一つだけ言っておくと告白のセリフはほとんどフェイクです。
ニュアンスは大体こんな感じですが、実際はもっとくさいセリフなので、ここで晒すには少し恥ずかしすぎますww
そこのところご勘弁ください。では。
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/03/29(金) 00:40:33.17 ID:37alA30g0
乙!

明日の夜も期待して待ってるよ!
51 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 19:58:46.20 ID:7kOO5O8z0
>>50

お待たせしました。
今日はほんの少し書き溜めてあるので、先にその分だけ投下しますね。
投下し終えたら、ご飯を食べてきたいと思います。
52 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 20:00:44.32 ID:7kOO5O8z0
涙ぐんだ表情で顔を上げた彼女、まだ不安げな顔でこちらを窺います。

「本当?私なんかで良いの?」

「もちろんだよ。僕も○○ちゃんのことずっと好きだった。」

「へー、そっかー、へー。それじゃあ両想いだね。うれしいなー。」

そう言って綻んだ彼女の表情は今でも忘れられません。
彼女のそばでずっとこの表情を見ていたい、そう思わせる表情でした。
53 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 20:03:35.32 ID:7kOO5O8z0
二人の友人や吹奏楽部のメンバーはみんな僕たちのことを祝福してくれました。
僕のほうは気の置けない友人たちにいじられこそしましたが、それも彼らなりの祝福だったのでしょう。
そんなことよりも驚いたのは、例の先生が僕たちの関係を知っていたことです。

「聞いたぞー1君。○○ちゃんと付き合ってるんだって?ww」

「ど、どうして知ってるんですか?」

「そりゃまーねー、先生にだって情報網の一つや二つあるよ。
ところでさ、どこまでいったのよ?ww先生に教えてみなさいww」

「まるで子供みたいですねww」

そう心の中でつぶやいたつもりが、声に出てしまっていたようです。
先生に手痛いチョップをお見舞いされました。
54 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 20:05:46.84 ID:7kOO5O8z0
不思議なものですね。
一年時はあれほどつんつんしているように見えた先生が、こうして間近で話してみると、
どこか愛嬌があって、お茶目さすら感じます。

その時から、先生ともよく話しをするようになりました。
新聞製作のこと。進路のこと。そしてたまに彼女のこと。

たいてい彼女の話を吹っかけてくるのは先生なのですが、僕がいろいろ話し始めると、

「あーもうおなか一杯。惚気るんなら帰った帰ったww」

などと言って遮ろうとします。理不尽だなと思いました。
55 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 20:07:10.15 ID:7kOO5O8z0
書き溜めはここまでです。
ご飯食べたら再開しますね。
56 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 21:30:13.88 ID:7kOO5O8z0
戻りました。続けますね。


新聞製作は相変わらず順調です。
先生方からの評判も上々で、県のコンクールに出品してみてはどうかという話もいただきました。
その結果によっては、特例措置として人数の足りない新聞部の結成を認めてもよいとのことです。

そのことを真っ先に先生に話したところ、子供のように喜んでくれました。
両手を上げて膝をまげてジャンプする喜び方など、めったに見られるものではありません。

「本当!?じゃあ今日から新しい新聞の構成を考えないと!じゃあ今日の放課後、先生の教室まで来てね。
いろいろ案を考えて、とびっきりの新聞にしようじゃない!
それでさ、もし良い結果が残せて、部が作れることになったら先生が顧問を兼任できるようにお願いしてみるよ!」

この時、前の新聞の制作が終わったばかりで、僕も先生も、少し疲れが溜まっていたはずですが、
そんなことを言うような雰囲気ではありませんでした。

周りの期待に応えるため、応援してくれる彼女のため、
そしてなりより、誰よりも新聞部の再建を望んでいた先生のために、
僕は新しい新聞の制作を開始しました。
57 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 21:46:31.53 ID:7kOO5O8z0
今更ながら、捕捉で人物描写入れておきますね。
そのほうがイメージしていただきやすいと思うので。

1
身長高め
痩せ型
眼鏡
理系

彼女
背が小さくて僕の肩あたりまでしかなかった
髪は肩にかかるくらいのセミロング
笑うと顔がくしゃっとなる
文系

先生
若くしてうちの高校の国語主任
授業の時は厳しく、苦手な生徒も多かった
実際は話してみると子供っぽくて親しみやすい
髪はいつも後ろで一つに結っていた
眼鏡
58 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 22:06:04.66 ID:7kOO5O8z0
県のコンクールは年明けにあります。
この時すでに11月の頭で、残された時間はそう多いとは言えません。
僕は放課後学校に残ることが多くなりました。
当然彼女にはその旨を伝えており、一緒に帰る機会も減っていたのですが、
彼女は文句を言うでもなく、自分の部活が休みの日には僕を手伝ってくれるようになりました。

一人手伝ってくれる人が増えただけで、新聞の制作はかなり捗るようになります。
物理的な面もそうですが、何より大きいのが、新しい視点が増えたことで、
新聞の切り口がより多角的になっていったことでしょうか。

彼女の協力もあり、新聞の制作は予定よりもかなり早い、冬休み前に終わりました。
贔屓目なしに、先生方や生徒の声、地域住民の声も多く反映させた、素晴らしい新聞であったと思います。
最後の校正を終えた僕たち三人は、飛び上がってハイタッチを交わし、そんな素晴らしい新聞の完成に胸を躍らせました。

これなら入選も狙える、そんな自信があったのです。
59 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 22:29:16.03 ID:7kOO5O8z0
新聞の制作も終わると、学校は冬休みに入りました。

彼女と過ごす初めての冬休み。
受験を考えると、思いっきり楽しめる最後の冬休み。

僕たち二人にとって、この冬休みは色々な意味がありました。
二人で炬燵に入って、学校のことや、将来について話し合ったり。
たったそれだけで暖かな気持ちになれました。

そして迎えたクリスマスイブの日。
僕が彼女と一緒にケーキを食べていると、呼び鈴が鳴らされました。

「誰だろうこんな時間に。」

「僕が見てくるから、○○ちゃんはケーキ食べてて。」

そう言い残してドアのそばまで行くと、ドアの向こうに、誰かいるのだけど息をひそめて隠れている。
そんなような感じがしました。
60 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 22:46:49.82 ID:7kOO5O8z0
「どちら様ですか?」

すこし震えた声だったと思います。
相手の返事を聞くまでは。

「サンタです。」

「え?」

「サンタです。トナカイもいます。プレゼントを持ってきました。」

僕はここでようやく気づきました。
声色こそ変えているものの、声の主は紛れもなく僕の友人のものでした。

ほっとしつつドアを開けます。

「メリークリスマス!」
そう言って鳴らされる大音量のクラッカー。
近所迷惑はなはだしいほどです。
61 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 23:04:49.56 ID:7kOO5O8z0
その音の先にいたのは、僕の友人のKと、その彼女のM。
サンタとトナカイの着ぐるみを着ていました。

「どうしたのそんな恰好して?それもこんな時間にww」

「○○ちゃんと相談してさ、1君を驚かそうって話してたんだ。ね、○○ちゃん?」

後ろを振り返ると、彼女が満足げな顔でこちらを見ていました。

「どう1くん、びっくりした?ww」

Mが付け加えます。

「○○ちゃんねー、1君の色んな顔みてるつもりだけど、本気でびっくりした顔だけは見たことなかったんだって。
それでいろいろ計画して、こんな運びになったんだけど、真面目な顔して惚気るのもいい加減にして欲しいよねーww」

「もう!Mちゃん!それ恥ずかしいから言わないでって言ったのに!」

顔を真っ赤にしてそういう彼女。
ほほえましい光景でした。
ただ声のボリュームは少し落としてほしかったですね。
後でご近所さんに怒られるのは僕なんですから。
62 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 23:18:13.52 ID:7kOO5O8z0
その音の先にいたのは、僕の友人のKと、その彼女のM。
サンタとトナカイの着ぐるみを着ていました。

「どうしたのそんな恰好して?それもこんな時間にww」

「○○ちゃんと相談してさ、1君を驚かそうって話してたんだ。ね、○○ちゃん?」

後ろを振り返ると、彼女が満足げな顔でこちらを見ていました。

「どう1くん、びっくりした?ww」

Mが付け加えます。

「○○ちゃんねー、1君の色んな顔みてるつもりだけど、本気でびっくりした顔だけは見たことなかったんだって。
それでいろいろ計画して、こんな運びになったんだけど、真面目な顔して惚気るのもいい加減にして欲しいよねーww」

「もう!Mちゃん!それ恥ずかしいから言わないでって言ったのに!」

顔を真っ赤にしてそういう彼女。
ほほえましい光景でした。
ただ声のボリュームは少し落としてほしかったですね。
後でご近所さんに怒られるのは僕なんですから。
63 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 23:31:41.80 ID:7kOO5O8z0
「まあまあ、こんなとこで話すのもなんだから二人とも上がってよ。
ケーキも二人分くらいなら残ってるし。」

「わーい、ありがと1君っ!」

そう言ってMが僕の腕に抱き付いてきます。
彼女とKの目が痛かったのは言うまでありません。
Kなんかは僕の頭を小突いてきました。

Kに僕悪くないじゃん、と弁解すると、
Kは、それもそうだなと言って笑い、後ろを向きながらこう言います。

「先生もそんなとこ隠れてないで、こっち来てくださいよ。」

僕が何のことだと疑問に思っていると、見慣れた顔がポストの陰から出てきました。
紛れもなく、あの先生の顔です。

「みんなして楽しそうにしちゃってさー、
独り身には応えるよねー、そうだよねー、冬だもんねー。
というわけだからお邪魔するね、1君。
あ、鍋の材料も持ってきたんだ。みんなで食べようよ。」

いきなりでなんのことだかさっぱり分かりません。
人の家に来ていきなり鍋をしようだなんて、
そもそも、どうして独り身だとふてくされる先生が僕の家に来たのでしょう。
三人分のケーキなんて残ってないんですが・・・。
64 :1 ◆yR70KVsnP2 :2013/03/29(金) 23:35:33.08 ID:7kOO5O8z0
まあこういったわけで僕と彼女の初めてのイブは、
僕、彼女、K、M先生で過ごすことになりました。

書き忘れてしましましたが、場所は僕の家で、
僕の両親と姉は僕に気を利かせて、近くにある母親の実家に帰っています。
年の離れた姉がいたので、そういうことには寛容だったのでしょう。

今日はこのあたりで落ちますね。
明日からかなり忙しくなるので、今日は早めに寝ておきたいのです。では。
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/03/29(金) 23:53:13.90 ID:37alA30g0
1乙

おやすみ
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛媛県) :2013/03/30(土) 00:17:19.38 ID:AMLwoVXF0
wktk
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/03/30(土) 00:33:40.12 ID:YTVWfZjzo
M先生ってそそるなwwww
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2013/03/30(土) 02:04:15.91 ID:lGEWQTeL0
続き楽しみにしてるぞ!
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/03/31(日) 19:37:16.40 ID:UiMg3TWd0
1なかなかこないな
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) [sage]:2013/04/01(月) 00:46:12.88 ID:2LRjcmMo0
今忙しいみたいだけど1頑張れ
待ってるから1のペースで書いてってな
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) :2013/04/02(火) 12:10:12.30 ID:PqzckOUA0
支援
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2013/04/11(木) 00:38:47.44 ID:4D0oxk4xo
しえん
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