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【天空に描け】能力者スレ【光のアーク】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) :2014/06/14(土) 01:15:42.95 ID:HWzDyONto
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1400326087/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/14(土) 01:34:47.70 ID:eGGuhRMe0
>>1乙ですの!
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/14(土) 01:35:39.73 ID:BIqpxMrLo
>>1乙です
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/14(土) 02:08:09.49 ID:ixeGDhYl0
乙一!
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 02:08:40.52 ID:anVYGqNV0
>>1乙です
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/14(土) 02:11:05.74 ID:InFrU4/7o
>>1乙なのですよ!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 02:14:11.87 ID:o7WGvcV+0
/>>1乙ッ…!

>>前993


「種族は人間なはずなんだけどなぁ――――ま、外れきってるのは否定しないけどさ。
 だから、こうして好きにやって暮らしてる訳だ。悪人だよね、私も。

 息を吸う様に磔を創って、死人が生きてる数より多くなる様に壊すための “力” だけばら撒いて――――
 そんな私が、今の私よりきれいに見えるのかな?
 綺麗なモノなんてないし見えないよ。……ま、悪くないものなら偶にはあるけどさ」

【今宵の享楽的な言葉の数々、“外れきってる”事が悪くないと言いたげな声。殺人の意味を理解して重ねる者らしい其れだ】
【―――“人間のよう”。複雑な感情と、激情と逆しまと。生じれば】
【―――トクン、と心音をひとつ意識して。けれど何ら表情に変化を生じることなく、けものはケモノとして紡ぐ言葉を続ける】

【くつっ、と最後に鳴る音は殺人に慣れたものが“同種”に微笑いかける様。或る意味、殺人的なものがあっただろうか】
【けれど同性ならまぁ気にしない。だから無意識の仕業だと自分の内側で片付ける。】
【そして “綺麗なもの” とやらの否定に走るのだが――――やはり “偽りきれない” 何かが好きなケモノの言葉は漏れて】
【けれどそれが善なのか、悪なのか。何を評したかを悟られぬ様にと、視線を外すのだろう】

【その後、何か――或いは少しの時の経過があれば、ダリアはまた正面を向いただろうか。口にするのは“教会”の話題。】


「……ユニコーン? ペガサス? それに……死神? 教会が。……、……。
 死神を殺すのはまぁ楽しそうだけど、名乗るだけの人間じゃ相手には不足か――――
 まぁ、期待だけしておこうか。殺すとき、どんな風に泣いてくれるのか、ね。

(……、髪が……――――――)

 ……“機関”が私の何なのか?
 さあ、何なのかな――――
 帰るための場所じゃなく、効率よく殺すための道具でもなく。
 
 ……“振り回して楽しめる愉快な箱庭”? 内側で、足を踏み入れたうちの一人としてさ。
 力の揮い場所ではあるのかな―――――……一人だろうと “機関” だろうと、結局生き方としちゃ変わらないけどね。 」

【―――機関全体を振り回すのか、仲間内の話なのか。どちらとも取れる言いぐさで、或る意味彼女らしい放言を口にした】
【只一つ確実に言えるとすれば、彼女が其れを自らへの鎖と認識していないことだろうか。規律も、立場も“恵まれた”能力と異能であるがままに振舞えるだけの感覚があった、か】
【その様に自負して来た―――彼女だが、触れられることにはやはり慣れない。……段々と思考が溜まって踊る。】

(この……っ、本当に人を玩具にするのが好きなやつだな。
 そう言えば見た目通りの歳じゃないんだっけ? ……手玉に取るのは、私の側だろう…ッ!)

「……で、何時まで触ってるのさ? 逆十字――――気に入ったなら似たものは送るけど何がしたいんだ、アリス」

【表層思考――――気に入らない、誰に触れてるつもりだこいつ。……いや、此処で消し飛ばさない私が可笑しいのか? 】
【徐々に困惑が交じって行く刺々しい思考と裏腹に撥ね退けることがないのは、“これまで” からすればダリアの自由意思ではある様で】
【そこに、アリスは何かを見出してもいいのだろう。退屈凌ぎの砂粒のひとつ。見出さなくてもそれは戯れで、どう、話を運んでも構わないのだろうけど―――】

8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 02:16:14.04 ID:o7WGvcV+0
/>>7

「殺すとき、どんな風に泣いてくれるのか、ね。」
 ↓
「殺すとき、どんな風に泣いてくれるのか。どれだけ楽しめる相手なのか――――ね。」

…でしたッ…o...rz
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/14(土) 02:27:20.82 ID:InFrU4/7o
>>1000

【――槍が突き刺さり、爆発が起こり、やがてぐしゃりと地に伏す】
【ジョオウハッチョウの最後を見届けたフレデリックは】
【周囲のハッチョウ達を粗方片付けると、どかりと座り込んで】

チぃ……!高々虫と侮っていたが……数が多いと、面倒な…!
騎士団が解散する前であれば集中砲火で一気に焼き払う様な相手だったとは、な…。

まあ、良い……いや、あまり良くはないか。
この姿のままで戻ればマリアに何を言われるか分かったものではない……ふむ。
……おい貴様ら、解毒剤と消毒液、それに包帯も―――。

【駆けつけた一郎に、そんな調子で応急処置の道具を幾らか要求し】
【槍は転移魔術の応用で回収して、更に転用で先に何処かへと送ってしまえば】

【これ以上、ちまちまと小虫を潰すほどの余裕も暇も無いというように車に乗り込むだろう】
【全身ぐっしょりと血で汚れていて、刺や虫の死骸なんかもそこかしこに付いていたが】
【泣き言どころかうめき声一つ挙げない彼は、また別の心配に駆られている様子だった】

【―――ともあれ、戦いは終わりだ。フレデリックのそれもまた、終わり】
【街へ戻れば報酬を受け取って、自信もまた魔術に寄る転移で姿を消すのだった。】

/主催様、他のお二人もお疲れ様でしたっ!ありがとうございましたー!
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 02:37:13.08 ID:HWzDyONto
>>1000

【三人の攻撃を受け、ジョオウハッチョウが墜落していく。遠くで響く「ぐしゃり」という派手な音……あれなら、わざわざ近づいて生死を確かめるまでもないだろう】
【生き残りのセイハッチュウたちが必死でそちらへ向かっていく姿は、少しばかり憐れでもあったが。彼らが人に害を成した以上、誰かがやらねばならなかったことだ】
【そして、それをやるのが自警団という仕事。幼くとも砂の国自警団の端くれとして……レラもカティアと同じく、そのことは弁えていた】


――――ふ、ぅ………。
虫は好きだが、さすがに今日はこたえたな………。


【空を見上げたまま深呼吸して、レラは上体を起こした。服のあちこちには血が滲んでいるものの、派手な出血はないようだ】
【重傷こそないが無数の軽傷を負った、そんな姿。……メスに刺された足はまだ痛むが、早めに処置してやればきっと大丈夫だろう】
【……レラはその後ちょっと嬉しそうに立ち上がり、死骸から素材の採取を行うだろうか。とりあえず持てる分だけ回収し終わると、三郎の用意した車に乗り込むはずだ】


うむ、ぶじににんむたっせい≠ニいうわけだな! 二人ともっ、実によいはたらきだったぞ!

カティアはみずのくにじけいだん≠フしょぞくであったな。ならばまたきょうとう≠キることもあろう、よろしくたのむぞっ。

……それと、フレデリック。おまえのことは正直、よくわからないが……。
きしだんちょう≠ニいうことは、マリアのともだち≠ネのだろう? ……だったら、なかよくしてやってもよいぞ!


【車に乗り込んだレラは、痛々しい体ながらも得意げに表情を変えて一郎たちを見やる。その視線はその後、カティアとフレデリックに向くだろうか】
【カティアへは、同じ自警団員としての言葉を。そしてフレデリックには――――友達の友達だから仲良くしてやろう、などと妙に偉そうな口ぶりを】
【それぞれに送った後、レラは早速傷の処置に取り掛かる。忍者≠ニして一通り術を学んでいるのか、処置は的確かつ素早い】
【もし自分で出来なかったりやり辛いということがあれば、レラに頼んでみるのも手だ。出来る限り痛みの少ない方法で応急処置を行ってくれるはずで】

【――――車が医療班の元へ辿り着いて本格的な処置が行われれば、レラは二人に「じゃあなっ!」と元気よく告げて去っていくだろう】
【『虫が好き』との言の通り、提示された報酬だけでなくハッチョウたちの素材もたんまり持ち帰ってご機嫌そうにしていたというのは、また後日の話である】


/参加者様&主催者様、お疲れ様でしたー!
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 02:38:43.02 ID:anVYGqNV0
>>前1000

【カティアは自然落下していくジョオウハッチョウから飛び降り、四つ足をついて吸い付くように着地する】
【いわゆる猫ひねり≠ニいう動作である。柔軟性を強化された関節と筋肉が、この獣じみた挙動を行わしめるのだ】

【地に足着いて、人心地ついて――という所で、急激に集中力の減退を感じた】
【血潮に満ちたアドレナリンが失せ、よりハッキリと痛みを感じるようになって初めて、自分の身体が血まみれであることに気付く】
【生体兵器といえども、多量の出血と疲労の蓄積には勝てない】
【カティアは糸の切れた人形のようにぐんにゃりと倒れそうになったが、せめて車に乗るまではと必死に足場を確かめていた】


……じゃ、支部行く。医療班あるなら……お風呂も、あるよね?
なにせフェロモンの臭いが、死活問題って感じだから……女の子には……。


【一郎の言葉に途切れ途切れに答え、応急処置班を呼びつけ、特に左腕を念入りに拭かせる】
【それから車に乗り込むと、すぐに微睡みが襲ってきた。本当であれば、フレデリックなる大男や、同い年ぐらいに見えるレラと話したいこともあるのだが――】


ふにゃ……みんな、おつかれ……。


【そんな言葉を残して、お気に入りの帽子を抱きかかえながらカティアは眠りへと落ちてしまうのだった】

/主催者様、フレデリックさん、レラさん、ありがとうございました!
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/14(土) 02:56:37.90 ID:ixeGDhYl0
>>7
「言ったでしょう?感じ方なんて人それぞれなのよ
まぁ、私は人では無く“悪魔”だけれど。悪魔にだって感情も思考もあるのよ
その中で、私は血という色が好きなだけ。赤色でも赤黒い色でも無い。血の色

人は貴女に言うことでしょう。もう罪を重ねるな、今ならばまだ白に戻る事が出来る、と
――――だけど、私はこう言うの。まだ罪が足りない。まだ染まり切れていないから人を殺めなきゃ……って」

【誘い、誘い。たった一度の命、他人のために使わず己の為に使わなければ後悔するだけだ】
【守る為では無い、奪うために。満たす為では無い、満たされるために。――――持って居る力を使う事に何の罪があるだろうか】
【持つべくして与えられた因果。ならば其れをどの様に使おうがその者の勝手だ。誰かに強要されて使う物ではない】

【私はただ其れを特等席で見ているだけ。何時の時代も変わらない人間同士の殺し合いを、少しの干渉をしながら眺めているだけ】
【――――人は何をしてくれるか分からないから、自分で直接手を下すよりも楽しく見れる】
【負の連鎖を作り出す本人。古来から忌み嫌われるも、未だ存在する悪意。…………人間は誰でも心の隅に負の感情を抱いているからこそ、何時の世も悪魔は嗤っている】


「そうねぇ……ペガサスと死神だけは気を付けた方が良いかもしれないわよ?他にも色々居るでしょうけど、私が面識あるのは二人
後はキサラギやアンジェルなんかもそうだけれど――――嗚呼、後者は何か色々あったみたいだから今は分からないけれど

――――へえ、そんな風に思って居るのね。カノッサに属する人達はみんな不思議な考え方を持って居て好きよ
でも、私は其処に居ようとは思わないけれど。何時の時も特等席でお話を見れなければ詰まらないものね
私は私として存在して、種を播くの。機関の私としてでも無く、悪魔の私としてでも無く」

【果たして何時の時から生きているのか分からないが、悪魔を縛る物はないのだろう】
【正義の存在も、神の存在もきっとただの物として認識しているだけだ。自分の話にスパイスを加えてくれるならば何でも良い、と】
【――――私は私以外の何者でも無いのだ。アリスの名は多く有っても“アリス”は私一人だけ】
【ずっとそうして生きてきたから、“機関の”アリスでも“悪魔の”アリスでも無く、ただの“アリス”】


「あら、ダリアは汚らわしい悪魔に触れられるのが嫌かしら?
それとも、もっと素敵な人じゃなきゃ触れられて欲しく無かったかしら?
――――フフ。何がしたい訳でも無いわよ。ただの指遊び以外の何でも無いのだから気にしなくてもいいのよ?

この逆十字は素敵だけれど、其れと対になる私が付けていたら様にならないわ
だから、こうして手に届く場所にある内に触れていただけ。十字架に触っていただけで身体が溶けていったのなら面白いのだけれど」

【再び外見が変われば、また歳も変わった――――かと思えば、少年へと代わり、青年へと変わる】
【一巡すればやがては少女としてのアリスに戻り、其処で漸く逆十字から手を離すのだろう】
【全ては退屈凌ぎ。元々狂った存在なのだから、これ以上狂うことも無いのだけれど】


「――――さて。そろそろ丁度良い時間ね
多分帽子屋さんも戻って来る頃だからお別れも近いし…………誰かさんが引き起こした火事を突き止めようとする正義の味方さん達もそろそろ来ちゃうかもしれないわね
フフ。もし貴女が捕まっても契約して代償をくれるならば、出る手助けをしてあげても良いけれど」

【そう、火災が発生してから時間も大分経ったか。ならばそろそろ自警団の者達が駆けつけても可笑しくない時間だ】
【――――故に、そろそろこの場から撤退するのが好ましいだろうか。もし捕まってもとIFの話を持ち出すが、嫌味の含んだ其れでは無いのだから脱出の手助けをする程度の好意はあるのだろう】
【尤も、悪魔との契約が何を意味するのか直ぐにでも理解出来そうなもの。対等な取引とは言えないのは確か】
【兎にも角にも、もう別れが近い事は分かっているからそんな言葉も投げかけて】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/14(土) 04:46:48.23 ID:P2GFmJlp0
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 04:47:37.68 ID:o7WGvcV+0
>>12

(、―――――――)

【誘い。今は、言葉を返すことがない。闇のなか、より深き闇へと手招くと語る様にダリアには聞こえた。】
【けれど、それは、聞く者によっては峻厳な光を一瞬瞳に走らすもので――――、】
【静寂、そして忠告への返答が起こる。思案気な声。】


「……へぇ……まぁ気には留めとくよ。今以上に警戒してても構わないのかな?
 結局最後は殺すわけだし、油断しないやつらなら最高に激しくやり合えることを期待しちゃうよね。
 それにしても皆……、ねぇ――――――

 ……別に、アンタだから嫌な訳じゃない。や、何か仕掛けられそうなのは確かに困るけど―――――。 」
 

【踏み荒らし、叩き潰す事に慣れた将兵。そんな印象を与えるであろう、自らへの過信とすら思える―――けれど、難敵に対するものであろう言葉を吐けば、】
【“皆”≒“機関”の特異な者たちを思う。……その、一つではあるのか。そしてからかいの様な言葉に対し、若干ペースを乱されつつもダリアは答えて】

【さて別れの時も近いのだしと――――認識し、計画し、燻っていた数秒/数十秒前の激情(けいかく)を実行する、】

【ごうごうと死の音を立てる黒い都市構造に、手首を捻る程度の所作で巨大な黝き槍錐を緋の魔物が放つ。――――轟音、】
【着弾の爆轟。壁面全域に巨大な逆五芒を描いていた筐型は、既に内部が巣食われて居たのかあっけなく中ほどから折れて宙を舞い】
【停滞は一瞬/反転は急峻――――無論地上に落下する両断されし方形は、安全を確保されていた筈の観衆を押し潰して、】

【―――――――――――――――――――――――――――――。】


「……誰であれ王サマであれ聖人であれ、敵になればこんな風に真っ黒に燃やすだけ。
 今まで望むだけ重ねて来た――――
 これからもその軌道は変わらない。初めから、私の生き方はこの色合いだっただけだ」

【黒―――僅かに血の色が光すら呑み込むそのいろの深みに交じる様な。】
【恐怖を以て地上を染める焔と闇は、その歓喜を象る様だった。笑う声すらも錯覚させて、燃え盛る朱が月に手を延ばす。】
【後戻りなど疾うに捨てている。過剰なまでの攻撃の発現。何を意味するのかは――――読み取る者の指先次第で】


【やがて訪れた感情の色の見出せない静寂から、やがて榛色の瞳が覗くのだろう】
【好きに生きて。好きに死ぬ。死ぬのは一瞬。生も一瞬。……ならば、この一瞬の感情は私のものだ。】
【くつっ、と乾くなにかを听う音――――魔族の少女と向かい合う緋色の影は、ただ、知己に対する様に微笑みを浮かべて】


「じゃねアリス。気が乗ったらまた会おう?
 そのとき何人死んでるのかは、賭けにしてみるのも面白そうだけど――――
 “せいぜい気をつけなよ、悪魔さん”。馬鹿にしてるとヒトは牙を剥く、足許掬われても知らないよ」


【ひどく悪魔らしい悪魔――――アリスらしいアリスと呼ぶべきか。そんな彼女に冗談交じりの/同じ言葉を返す様な今宵の別れを告げて、】
【望むまま、影は物陰へと歩き出すのだろう】
【また一つ狂った自分を自覚しながら、そう悪いものとは思わない。……寧ろ、どこか愉快なものさえも感じる。】
【堕ちてゆく悦びとは、こんなものを言うのだっただろうか? ……本当は、何が愉快なのか分かってもいたのだが。】

【茶葉の袋を抱えて帰投する――――懐から取り出した薄黄色の結晶体が破裂して。光が僅かな一瞬だけ灰色を照らせば、転移は既に完了していたことだろう】
【いつも通りの足取り。……殺人者には見えない程に。自室へと返り眠りにつくダリアは、束の間の、混じり気のない微笑みを浮かべていたという】

/この辺りでしょうか……!
/二日間、遅くまでお疲れ様でしたっ。ありがとうございましたー!!
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 04:59:07.51 ID:o7WGvcV+0
/
【また一つ狂った自分を自覚しながら、そう悪いものとは思わない。……寧ろ、どこか愉快なものさえも感じる。】



【新たな知己を得てまた一つ狂った自分を自覚しながら、そう悪いものとは思わない。……寧ろ、どこか愉快なものさえも感じる。】

…です、はい。このレスはスルーして頂いても構わないのですが…ッ、では、改めてありがとうございましたっ!
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/06/14(土) 10:10:40.14 ID:BQC5QVoC0
【そこは日の光すら拒絶される闇】
【人々の雑踏が立ち入れない、忌むべき場所】
【路地裏と呼ばれる場所には、一人の少年が座り込んでいた】

ハァ……ハァ……

【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【薄手の灰色のコートを身に纏う】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【息が荒く、赤く染まった頬はまるで激しい運動後のようだ】
【壁にもたれてその息を整えようと休息中に見える】
【だが、顔を隠すように目深くかぶったフードを見る限りそれだけではないようだ】

まだ……追ってるのかな……

【そう、目線をあげながら呟いて表通りの様子を伺っている】
【だが、すぐに顔を潜めた】

【その目線の先には黒服で身を固めたサングラス姿の男たちが数人】

「どこに逃げやがった……生死は問わない! 絶対に見つけ出せ!」
「「了解です!」」

【様子から察するに決して公にできるような人たちではないのだろう】
【チンピラの類か、はたまた何らかの裏組織か】

【そんな彼らの存在に恐怖の色を隠せない少年を、あなたはどう捉えるか】

どうしよう………このままじゃ……

【彼の様子は表通りからも見えないことはない】
【この怪しい男たちに追われている――――、それぐらいは察しがつくだろう】
【そんな少年に、貴方はどうするのだろうか――――?】
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/14(土) 12:15:56.33 ID:ixeGDhYl0
>>14>>15
「そうね――――私は気紛れだから、次に会うのが何年も先か何百年も先か……もしかしたら次の日に、何て事でも可笑しくないもの
それじゃあね、悪魔にも似た人間さん。人間は英雄物語を好むのだから、その糧にされてしまわない様に気を付けてね?」

【何時だってそうだ。忘れた頃にやってくるのが悪魔であって、忘れた頃に囁きかけるのが少女であって】
【――――……逃れる術なんて幾らでもある。然れど、逃れたくないと思わせる程に堕としていくのが楽しいのだ】

【小さく手を振りながら送れば、その存在が消える寸前に送る言葉は忠告だ】
【人とは英雄の話を好むもので、自らもその英雄になりたいと思うもの。――――だから、正義なんて存在も世に蔓延る】
【何時だって絶対正義と悪が存在するのだから、其処は唯一飽きない所でもあるのだけれど】


「ダリア、ね。面白い子だったわ。貴方はどう思うかしら…………帽子屋さん?」

【彼女が居なくなってからも余韻を引き摺る様にその表情には笑みがあって】
【――――背後に帽子屋さんなる彼が現れた事に気付いたのだろう。さも当然の如く問い掛ければ…………返って来るのはその考えに賛同する声】
【「それなら良かった」と言葉を紡げば古びた本の表面を撫でて】
【それから数秒もしない内に、ティーセットだとかの物は全て虚空へと消えるのだろう。まるで、先程までの出来事が夢であったと思わせる様に】

【やがてはアリスと呼ばれる現象もその場から消える事となる。また、何処かの無垢な者達に悪意の種でも植え付けるのかそれは分からないけれど】
【この世界で碌でもない事だけは確かな事であろうか】


/こちらこそ、有り難う御座いましたですよ!お疲れ様でしたっ!
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 13:19:20.46 ID:xs5Cju0+o
>>16

あ、あの……大丈夫……ですか?


【少年に向けて、どこからかこそこそとした声が掛けられた】
【もしその声の方向に視線を向けたならば】
【表通りの方から、覗き込むようにして少年を見ている人物が目に留まるだろうか】


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


え、えと……その……何やら、お困りの様子で……
ご迷惑でなければ、そちらに行っても……よろしい、でしょうか……


【はっきりとしない、たどたどしい口調で少々意図が掴みづらいが】
【恐らくは、先程の物騒な黒服が通った事などから少年が追われる身であることを知って】
【何らかの手助けをしようと考えているのだろう】

【もし拒絶されなかった場合は】
【黒服達に見つからないよう左右を確認したあと、少年の元へとトコトコ歩み寄ってくるだろう】


【この少年は一見無害で脆弱そうな見た目ではあるが】
【先の連中の関係者でないという保証はない】
【信用するかどうかは、少年の意志次第であった】

19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/14(土) 13:39:08.40 ID:BQC5QVoC0
>>18
っ……! だ、誰……ですか?

【ひどく疲弊しているのだろう】
【たとえ掛けられた声が自分の追っ手とはまるで違う雰囲気を持つ少年が相手でも】
【得物か何かを仕込んでいるであろう着ているコートの内側に手を突っ込みながら振り返った】


こ、こないで下さい…! ぼ、僕に……近づかないで…!


【追っ手のことを考慮して声のボリュームこそはかなり絞られているが、その顔、口調はその真逆だった】
【極度の恐怖と緊張が全身の筋肉と思考をガチガチに固めており、手足は震えている】

【少し考えたらわかるだろうに、彼には目の前の少年が自分に対する恐怖の塊だと】
【そう認識してしまっているらしい】


こない……で、くだ……さい……!


【だが、この怯えた少年にとって今必要なものは何か】
【孤独から得られるひと時の安全か】
【それとも、誰かといられることで得ることができる安心か】
【涙ぐみ、視界を自分の弱さで曇らせている少年にしてあげるべきことは】


「もう少し範囲を広げよう」
「人気の少ない路地裏、廃屋を重点的にだ」


【真っ黒の無駄に高級車に乗り込んでいき、黒服の姿はとりあえず消える】
【それに気づいたのであれば真の恐怖がいない今、君にだって何かできることはあるはずだ】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 13:54:30.47 ID:xs5Cju0+o
>>19

…………

(すごく、怯えちゃってる……)
(あ、あんな怖い人に追いかけられてちゃ当然だけど……どうしよ、かな……?)


【少年の声を聞いて、進もうとした動作を止めてその場に留まった】
【単純に声を無視して近づこうとしても逃げられるだけだろう】
【未だ人生経験が深いとはいえない金髪の少年は】
【この状況をどうしようかと考えたが画期的な方法もすぐには思いつかなかった】


あ、あの……僕は、その……
あなたに怖いこととか、痛いこととか……しようと思ってるわけ、じゃなくて

こ、怖い人に追いかけられてる……みたいでしたから
ちょっとだけでも……あなたの力に、なれないかなって思って……うぅん……


【普段から気弱で控えめに生きてきたこの少年では】
【やはり、大人のように上手く説得するような言葉は湧いてこない】
【己の口下手さを自戒し、顔を少し俯かせながら】


……ダメ、ですか?
あの、ずっと匿ってあげる……とかは難しいですけれど……
ゆっくり休んで……ご飯、食べる場所くらいなら用意してあげられるかな……って


【相変わらずの拙く、自信なさげな声色で】
【しかし悪意のない純朴な感情を込めながら少年にそう語りかけた】

【これで許されるならば、金髪の少年は彼に向かってゆっくりと歩み寄ろうとする】
【そうならなかったならば、もう少しこの距離で遣り取りをすることになるだろうか】
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/14(土) 14:17:10.61 ID:BQC5QVoC0
>>20
そ、それは………


【困惑、その表情から伺える】

【声の続きが出なかった】
【激しくなりつつあった呼吸か少しずつ収まって、目の前の少年を認識はできた】
【熱くなりすぎた思考が冷却気味になったからこそだ】

【きっと目の前の少年は自分の敵ではない、だが良くて好意的中立者といったところだろうか】
【だから、巻き込むことは避けたかった】
【無関係な少年を、自分の不始末に他人を巻き込んでしまうのは】


危ない……から、あの人たちは……とても……

【思わず少年はその顔を伏せる】

【生死は問わない、と黒服は言っていた】
【彼らは僕を捕まえるのに手段は問わないのだ】
【邪魔するものの、命でも】


大丈夫なんですか……僕なんかを……

【不安、その感情が湧き上がる】
【伏せた顔が見えなくても、その感情は伝わるだろう】

いいん……ですか………?

【か細く弱い少年の声】
【辛く、苦しい現実に押しつぶされるその声を――――聞くことはできたのだろうか?】
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 14:35:54.38 ID:xs5Cju0+o
>>21

大丈夫……ですよ。その、貴方がよければですけど……

僕の"お店"なら、目立たないところにありますから……
きっと、怖い人にも見つからないし……落ち着くまでなら……いい、ですよ?


【彼の声――それが耳に届けば】
【金髪の少年は、恐怖を与えないようにゆっくりとした足取りで近づく】

【初対面で、しかもどう見ても訳あり】
【普通ならば関わりあいになりたがる人間はそうそういないだろうが】
【どうやらこの金髪の少年はその"普通"に当て嵌らないらしい】


【そうして、彼との距離が近くになれば】
【少しだけ緊張したような面持ちで、すぅ……はぁ、と深呼吸を一つした後】
【そっと、少年に向けて自身の右手を差し出すだろう】


ですから……その、今だけでも僕を信じてくれたら……嬉しいです

こう見えても僕……ちょっと強いですから
貴方のことも……守ってあげられるかも、ですし…………うぅ


【後半の言葉は少年を安心させるために吐いたのだろうが】
【自分で言っていて恥ずかしくなったのか、ちょっとだけ顔を逸らす】


【きっと手を取れば、金髪の少年はそっと握り返すだろう】
【そうなればほんの短い、ささやかな"契約"は交わされる――】
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/14(土) 15:13:13.35 ID:BQC5QVoC0
>>22

【その差し出された右手を見つめる】
【その意味を、少年の意志を、理解する】


あ、……ありが……


【自分も、その手を差し出してみる】
【傷だらけに、汚れてしまったやわらかい手だ】
【そんな手を、彼は握ってくれた事実に、少年は目頭が熱くなる】


ありが……とう………っ!


【右手同士で握られた手の上にさらに左手を重ねて強く握り返した】
【溢れた涙を拭くこともままならないのは、深い感謝ゆえなのか】


ごめんね……迷惑を掛けちゃう…な……


【そして手を握ったまま少年は涙を拭きながら立ち上がった】
【何か行動がなければ、少年についていくだろう】
【ちなみに手をつないだまま】



【そのとき、視界の端に何か見えるだろう】
【袖口から覗く、服に染みこんだ赤い染みらしきもの】

【怪我をしているのだろうか、もともと色白だからか傷口の色は目立つみたいだ】
【見れば全身いたるところに怪我が見受けられる】
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 15:27:14.38 ID:xs5Cju0+o
>>23

どういたしまして……です……

……えと、ね……僕にもその……
どうしようもなくて、誰も頼ることが出来なくて……
そんな時に手を差し伸べてくれた人がいたんです……

だから――


【「だから、ちょっと貴方を放っておけなかったんです」と】
【金髪の少年は、彼の手をきゅっと握ったまま】
【野に咲く蒲公英のように、ふわりとした笑みを浮かべて受け入れた】


(まだ、怖いのかな……だったら……)


【そして片手を繋いだまま、二人で表通りの方へと歩き出す】
【少年が離さないのは、今まで極度の緊張と恐怖に囚われていたからだと考え】
【心を安心させるために彼の行動を拒絶することはなかった】

【服の上からでも分かる怪我の具合も気になるところだ】
【精神的にも、肉体的にも追い詰められていた少年に、負担を掛けないよう】
【その足取りはゆっくりと、労わるようなものになるだろうか】


あっ……そういえば……


【歩みを進めながら、ふと何かに気づいたのか】
【金髪の少年は彼の方へと顔を向けて言葉を紡ぐ】


……僕はジョシュア……ジョシュア・ランドバーグっていいます……
えっと……貴方のお名前も、教えてもらっていいですか……?


【少年――ジョシュアは、少年の名を問うた】
【そういえばまだ、お互いのことは何も知らない。まずは、ここからである】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/14(土) 15:48:09.37 ID:BQC5QVoC0
>>24
ジョシュアくん……ですか……


【心の中で何回も唱える】
【彼の手から伝わる体温、声、笑みの全てが】
【自分の心の緊張の糸を少しずつ解いていく】


僕の名前は……岸織、岸織詩織……です


【そして少年は自分の名前を呟く】
【その女の子みたいな容姿にぴったりな名前だ】


その……よろしくね…ジョシュアくん………


【照れたような赤い笑顔で口にしたs】
【少し握っている手が温かくなった気がするのは、気のせいかも知れない】


あの人たちは……いない…?


【周りの雑踏を、詩織は不安げに聞いてきた】
【街のどこに黒服集団がいるのかはわからない】
【見える限り見当たらないが、不安になるのは当然だ】

【何も異常がなければ詩織はジョシュアの手を握ったまま、彼についていくだろう】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 16:05:43.72 ID:xs5Cju0+o
>>25
はい、よろしくお願いしますね――

それで、その……あなたのこと詩織くん……って呼んでもいいですか?
ぼ、僕より……年上の方かもしれないので……失礼かも、ですが……


【見た目的には詩織の方が身長も高く、年上に思えたため】
【少し遠慮がちに「くん」付けで呼んでいいかと訊ねた】
【「さん」付けでないのは、ある種の親しみを込めた意味が含まれているのだろうか】


【――】


た、多分大丈夫……だと思いますけれど……

沢山いるみたいでしたし……
そのまま歩いたら、見つかっちゃうかもしれませんね……


【詩織の言葉を聞いて、ジョシュアは表通りに半歩踏み出して】
【きょろきょろと首を動かして周囲を確認する】

【しかし、今周囲にいなくても移動中に見つかる可能性は高い】
【それを考慮したジョシュアは】
【繋いでいない方の手で自分の懐を探って、何かを取り出した】


あの……ちょっと、"ふわっ"て来るかもしれませんが我慢してくださいね――


【そう一言断ってから、ジョシュアは"何か"をギュッと握り締めた】
【取り出したものは、緑色をした一つの弾丸】
【この気弱な少年とは不釣り合いな凶器は、握られると同時に蛍光のように分解され】
【周囲に若干の魔翌力波と、風が肌を撫でて通り過ぎていった】


【それが終われば、周辺の光景が少しボヤけて見えるようになっているだろう】
【"風の魔法"――自身らの存在を隠蔽する類のモノだ】
【絶対的な効果はないものの、使わないよりは格段に発覚する確率は下がる】


【「これで大丈夫ですよ……たぶん」と】
【ちょっと頼りない言葉とともに優しく微笑みかけながら】
【二人で表通りへ歩みを進めていこうとするだろう】


【もし何事もなかった場合は、町外れまで移動し】
【ジョシュアは小さなお店の前で足を止めることになるだろうか】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/14(土) 16:29:01.21 ID:BQC5QVoC0
>>26
……うん! いいよ……!!


【"くん"と呼ばれたのはいつ以来だろうか】
【そもそも同年代の知り合い自体そんなに多くはいないから】
【そういう小さなことが、詩織にとってうれしかった】


人数はたくさんいるだろうし……って、それは弾丸…?

……ってう、うわっ!


【詩織に魔術的な知識はないことはない】
【だが、その弾丸を使うそれを見たことないもので直後現れる視界のぼやける現象に少しだけ驚いていた】
【ぼやけた視界の効果を察し、そして握る手を少しだけ強くして】

【店の前に、何の問題もなく到着するだろう】


えっと………義肢…ま、魔銃……? お店は…なんて読むんだろう……?


【そう小声で呟きながら、かわいらしい店に目を配る】
【御伽噺の挿絵にに、こんな屋敷を見たような】
【そんなやさしい思い出が詩織の脳裏に浮かびわずかに笑みがこぼれる】

【そして容姿と似合い、こういう「可愛らしい」ものは好きみたいで好奇心に負けて】
【少し駆け足で店内に入ろうとするだろう】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 16:43:24.38 ID:xs5Cju0+o
>>27

ようこそお客様、僕のお店<Fairy's Gift>へ――

……な、なんてね。
その詩織くんはお客様じゃないけど、その……気にしなくていいからね?


【ちょっと気取った風に自分の経営する店を紹介するが】
【あまりに似合わない言葉が気恥ずかしかったのか】
【頬を薄く赤らめて、誤魔化すように早口気味にそう声を掛けた】


【扉を開けて中に入れば、恐らく想像とは全く違う光景が目に入るだろう】

【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】
【銃や義体を専門に扱う工房――これがジョシュアの経営する店であった】


ちょ、ちょっと散らかってるけど……ごめんね?
お店狭いから……あんまり中は可愛くできなくて……

その、奥の方が居住スペースになってるから……そっちに案内するね


【期待を込めた様子だった詩織に、申し訳なさそうな色の混ざった声で語りかけてから】
【店の中央の道を歩き、カウンター席の横を越えて中へと入っていこうとするだろう】

【もし何事もなく上記の行動が成立した場合は】
【ジョシュアとともに店の奥の居住スペースへと歩を進めることになる】

【そこは取り立てていうような事もない内装――小さな台所や冷蔵庫】
【テレビにテーブル、そして何処かに繋がる4つほどの扉が存在した。殆ど一般家庭の其れと思っていいだろう】
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/14(土) 17:00:59.25 ID:BQC5QVoC0
>>28

【工房と呼ばれる空間に立ち入った経験はあまりない】
【目の前に広がったあらゆる機材や素材、そういったものが無骨においてあり、目を引かれる】


ううん……すごいよ……かっこいい!


【こういう、言葉にしがたい物作りの空間】
【そういった職人の雰囲気はとても格好の良いものだ】


【きっと何か不思議で面白いものが見つかるかも知れない】
【そんな好奇心を抑えつつも、詩織はジョシュアについていき、奥に存在する居住スペースに向かう】


【その空間は決して特別なものではない】
【だが、その内装から感じられる"温かみ"というのだろうか】


【そんな普通なものにどこか寂しさを感じて】
【数日間追い回された結果、こういった普通なものに大切さを感じていた】


………ありがとう、ジョシュアくん


【そう呟いて、彼の後に着いていって居住スペースに入っていくだろう】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 17:20:11.95 ID:xs5Cju0+o
>>29

か、かっこいい……――
あ、あの……えと、お、お世辞でも嬉しい……です


【それを言われた瞬間、ジョシュアは何と答えていいのかわからなくなった】
【人生に於いて"格好いい"などいうワードとは殆ど無縁だった存在だ】
【自身ではなく、店を褒められた言葉であったとしても、どうしても照れが来てしまう】

【声は進むにつれて尻すぼみになり】
【歩調がロボットのようにぎくしゃくとした風になる】
【一歩前を先導しながら、後ろ手に繋いでいるような状態であるため】
【振り返っていない今は、詩織からは表情は見えないだろうが――その顔は真っ赤であったという】


【――】


あはは……気にしなくていいよ、詩織くん……
僕がしたくてしたことなんだしね……

えと、自分のお家みたいに……は難しいかもだけど
僕に遠慮しないで、ゆっくり寛いでくれると嬉しいな……


【再度告げられた"ありがとう"に、柔らかな微笑みで返しながら】
【ここでそっと、負担をかけないようにゆっくりと手を離す】

【此処まで来れば、まさか黒服が踏み込んでくることもないだろう】
【少し不安であったが、いつまでも手を繋いだままという訳には行かない】


その……向こうにある、右から二番目のお部屋を使っていいからね


ご飯は、詩織くんがいいなら僕が用意するけど……どうかな?
僕、その……あんまり作ったご飯食べてくれる人いなくて

あ、あんまり美味しくないかも、だけど……"友達"に食べて貰えるなら嬉しいかな……って


【おずおずと、詩織に向けてそういった確認の言葉を掛けた】
【自然な流れで彼のことを"友達"と呼んだ事に対して、反応を窺いながら】


【そして居住スペースにある4つの扉】
【右から順に「ジョシュアの部屋」「(空き部屋)」「――の部屋」「物置」】
【と書いてあり、空き部屋となっている二番目を自由に使ってもいいようだ】

【三番目の部屋だけ、恐らく名前が刻まれていたであろう部分だけが無くなっている】
【昔誰かが住んでいた名残であろうか、今はそこから生活の気配は漂っていなかった】

【内装は非常に簡素だ。タンスと、ベッドと窓と……必要最低限のモノだけが揃っている】
【中に何かを持ち込んだりすることは自由だろう】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/14(土) 20:01:45.44 ID:Igws2bih0
【――――――――雷の国『セードムシティ』】
【機関に占拠されて後、ほぼ1年が経とうとしていたこの都市で、いよいよ最後の決戦が始まる】
【未来を得るのは、はたして美徳か悪徳か――――それは、この世界の人間の価値観における、1つの代理戦争とも言えるものだった】
【力で都市を支配する機関の『RAGNAROK LABORATORY』と、力で解放せんとする雷の国国軍】
【築き上げられる屍の山は、はたしてどちらの道を切り開くのだろうか――――――――】



【――――『セードムシティ』上空 高度6000m】
【周辺に展開される防衛網を攻撃し、本体を突入させるための『抑え』と『囮』を担う対地攻撃用ヘリコプターが、速度を上げて接近していく】
【そして始まる降下――――眼下に、物々しく動き出す都市の姿、そして大量に接近してくる、巨大な『鷹』達の姿が一望できる光景だ】

――――『ガルーダ』の一団が接近してきます!
まずはここを越えなければ、対地攻撃は困難、更に敵の対空砲撃も!
「――――んな事は分かってる、事前に聞いてるだろう!? パイロット、お前はとにかく対空砲火だけ意識してれば良い!
 『ガルーダ』の抑えの為だけで、俺はここに居るんだからな……ッ」
<ま、私たちがちゃんとやらなきゃ、本丸が突っ込もうにも突っ込めないんだから、頑張るしかないってね
 精々露払い、頑張っちゃお……!>
「……言われずともだ。ガンナー、麻酔銃と催涙ガス、ちゃんと用意しとけよ……!」

【ハッチを開き、左右から1機づつ展開する銃座の後ろに、それぞれ兵士とは別に身を乗り出している影がある】
【赤いぼさぼさに伸び放題の髪をした青年と、ピンク色のセミロングの髪をはためかせている女性――――】
【高度故か、口に酸素吸入器を括り付け、転落防止用のベルトを装着しながら、銃座に備えるガンナーに寄り添う様にして、接近する『鷹』達を見据える】

【一瞬の間をおいて。展開しようとする『鷹』の集団に対して、そのヘリコプターから閃光が走り、叩きのめされた『鷹』が墜落していく】
【更に女性の放つ閃光は二度三度と閃き、青年の閃光は意志を持つ様に旋回しながら、更に『鷹』を穿ち、その動きを大きくかき乱していった】

「よし今だ、残りの機体も下ろして対地攻撃を始めさせろ! もう一度言うが、お前らはとにかく地面に注視してれば良い!
 俺が居るからには、空の連中は1匹だって逃がしゃしないからな……ッ!」
<言っとくけど、対空砲火だけは絶対に避けてよね!? 私たちはともかく、あんたたちはそんなの喰らったら生きてられないんだから!>
りょ、了解!!

【上空の乱れを突く様に、雲間から更にヘリコプターが降下してくる。その数、都合5機――――展開と同時に、上から下から銃撃の行きかう撃ち合いが始まる】
【違うのは、上からの銃撃が麻酔弾や催涙弾をメインとしているのに対し、下からの銃撃は対装甲弾や炸裂弾である事だろうか】
【ぶつかり合いとしては小規模な、小競り合いと言う様な光景。過去に繰り広げられた戦場から言えば、そう表現する事も出来るだろう】
【だが、決して命懸けの戦いである事には変わりなく。何より――――そんな小競り合いで終わる様な決戦ではない】

「――――頼むぞ……ッ!」

【尚も行き交う『鷹』を睨みつけ、旋回し飛び回る閃光で叩きのめしながら。赤い髪の青年は上空へと視線を移してポツリと呟く】
【この戦いの行く末を決する『本丸』――――それが動き出すのはこれからだ】

/セリーナの方、続きをお願いしますー!
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!蒼_res]:2014/06/14(土) 20:06:12.71 ID:hRpym2aVo
【―――暴風。悪意の渦巻く"神鳴り"の大地に、強く激しい風が凪ぎこんでいた。】
【終わる事のない戦いに、終止符を撃たんとすべく。鋼鉄の翼を持った巨大な鳥が、空を舞う時。】
【傲慢なる大地の支配者は、天空から降る"正義"の光により穿たれ、貫かれ、そして裁かれることだろう。】
【―――まさしく其れは、"神"の"審判"が下る時、と言い換えても良い。"雷光"となった護国の意思が今、大空より舞い降りる―――。】

>>ALL

【夕闇が降り始めた時刻、『雷』の名を持つ国土の上空付近を、一機の巨大な兵員輸送機が飛行していた。】
【窓から見た空の向こうでは既に、陽が殆ど沈みかけており、真っ赤になった陽光が雲の海間を妖しく染め始める。】
【機体は気流に揉まれながら高高度を真っ直ぐに飛行して、時折内部に振動をガタガタ、と伝えながらも戦地へと向かっていく―――】

【雷の国・国軍が用意した大型兵員輸送機、その名を『AAPC(Air Armored Personal Carrier)−U フレズヴェルグ』。】
【今日、今この機体内部に集まっているのは通常では考えられない面子―――総勢9名もの、正義を名乗る能力者の戦士達だ。】
【本来軍用である筈のこのフレズヴェルグの内部に、兵士より多くの"能力者"が乗員しているという状況が、現状の全てを物語っていた。】

【集った全員が神妙な面持ちになっているかどうかはともかく、戦場に機体が近付くに連れ、緊張が高まるのは皆同様か。】
【差し迫った最終決戦への幕開けが、まさか地上からの攻撃ではなく高高度からの降下作戦になろう等と、誰が予測出来ただろう。】
【―――まず、予測など出来まい。何故なら本作戦の立案を担当した当の本人でさえ、突拍子もない作戦だとそう考えていたのだから。】

【その時、"Beeeeee!!"―――という警告音声が機内に響き渡った。それは降下準備の開始を意味する音だ。】
【作戦内容・概要に関しては逐一、機内においても搭乗後に軍本部の人間から全員に説明がなされていたのだが】
【此処でもう一度、その内容を確認すべく―――というよりもむしろ、前代未聞の突入作戦直前に、気合を入れるべくして】
【機体に乗ってからずっと沈黙していた一人の女―――テンガロン・ハットが特徴的な"ガンマン"の彼女が、立ち上がり、口を開いた。】

/続きますよー
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!蒼_res]:2014/06/14(土) 20:07:46.63 ID:hRpym2aVo
――――――――――――――――ふぅ。オーライ。
  
  ……なんだか、予想外に落ち着かないモンだね、そもそもアタシが飛行機慣れしてないってのも、影響してるのかな。
  旅客機だったらもうちょっとは静かに、愉しく旅を出来るのにね。この機体、頑丈さとスピードがウリらしいんだけど、
  機内食は愚か、スプライトやダイエット・コークの一つも出てこないとなると、皆も緊張して肩肘張っちゃうよね。ふふっ。

  ―――さて。紹介が遅れて申し訳ない。
  アタシが今回の降下作戦を軍の皆と一緒に考え、立案した張本人の―――セリーナ・ザ・"キッド"だ。
  ここに集まってくれた皆には、むしろ"UT"……UNITED TRIGGERの創立者、って言った方が分かりやすいかな。
  
  ……って言っても、殆どの人はアタシと面識があるんだけど、ね!
  まさかこんなに豪華なメンバーが集まってくれるとは思わなかったから、本当に今ビックリしてるんだ!

  だから―――作戦計画者として、先ずは今日集まってくれた皆に、お礼を言わせて貰うよ。
  こんな危なっかしい―――とんでもなく危険な、命知らずの作戦に駆けつけてくれて本当に、ありがとう。
  
  始る前に最後の確認になるけど―――今回の作戦の目的はたった一つ。
  それはグラトンの捕獲でもカノッサ兵の撤退でもなければ、ましてや都市自体の奪還でもない。
  
  あくまで―――我々の大本の目的は変らず、たった一つだけ。
  それは、今現在も敵として囚われている『住民』達の本当の意味での、"解放"だ。

  どういう経緯があったにせよ、彼等は今、進んでカノッサの兵力に加わって『対外ボランティア』なんて名乗って
  アタシ達を迎撃する手筈をそろえている筈だ。これは正直言って、余りいい状況とはいえない。
  カノッサの兵士だから気軽に撃ち殺せる、とか。そういう意味で言ってるんじゃないよ。
  どうあれ人の命は重い、そこはきっとここに集まった皆なら、分かってくれてる筈だしね。


  ―――ただ、問題はその気じゃなかった人間がそういう気になってしまう状況を、
  あの狂った科学者は人為的に作り出すことが出来る技術を持ってる、っていうその点だ。
  これが広がれば、何れ世界は誰一人として彼に対する抵抗をする事無く、支配下に置かれる事になる。

  そんな―――そんな、悲しい世界に、人としての尊厳や、自由は存在しない。
  そして其れは今、現状雷の国に住む人々の多くが、"自由"を奪われている事も意味しているんだ。


  ハッキリ言わせて貰うけれど、グラトンの『捕獲』及び『撃破』と言うのは、この目的を達する為の手段に過ぎない。
  だからこそ、絶対に必要な事なんだけれど―――大本を辿れば、その本分は『民間の救助』にある。
  これからアタシ達が降下する地獄のような場所では、そんな当たり前の事が分からなくなってしまうかも、しれない。

  だから今一度、ここに集った皆にはこの作戦の本当の目的を胸に刻んで欲しい。
  アタシが銃を握るのは―――いや、アタシ"達"が、武器を握るのは、決して"敵を殲滅する為"じゃあ、ない。

  
  "―――人を助けてこその、英雄(ヒーロー)だ。"


  ……もうこの世界には居ないけど、昔アタシの憧れだったある人の、残した最後の言葉。
  これを戦地へ向かう諸君らへの最後の手向けとして、挨拶を終了したいと思う。
 
/まだいきますよー
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!蒼_res]:2014/06/14(土) 20:08:26.28 ID:hRpym2aVo


【『"キッド"さん、間も無く目的地上空付近到達だ!5分で降下開始してくれ!!』―――そんな言葉が聞こえてきたのは】
【長いセリーナの独白が、やっと終了してからの事だった。レッドだったランプの色が『グリーン』へと早変わりし、再び警告音が鳴る。】
【セリーナは何時もの服装の上に降下用の装備を身につけ、分厚い軍服を身に纏うと、開閉したハッチの方へ向かい颯爽と、踊り出た。】


  ―――ロウさん。
  貴方は何時も、アタシの中で輝かしい戦歴を誇る、"英雄"だ。
  今日もそのお手並みを、じっくりと見せてもらいます。よろしく頼みましたよ、"先輩"ッ!

  ―――ミハエルさん。
  UTの1メンバーとして、貴方の活躍には大いに期待しています。
  軍部で培った実力、それをこの作戦でも存分に発揮して、正義を見せ付けてやってください。

  ―――カズネちゃん。
  また、こうして一緒に仕事が出来ることを心から誇りに思います。
  貴女の爆発的な火力は、アタシのソレを超える。怒りの"鉄槌"を、これでもかってくらい下してやって!

  ―――アゾットさん。
  初任務、随分大変なモノになっちゃったね。でも―――貴方が作ってくれた、
  このUTのエンブレムを胸に刻んで、一緒に頑張ろう。今度こそ、"護る"為に、ね。

  ―――谷山さん。
  久しぶりに出会えたと思ったら、まさか戦場だったとはね。
  でも、ある意味アタシも貴方も、そっちの方が"似合い"、なのかもしれない。 
  貴方の正義を必要としている人間が居る、この戦いで起こった全てを―――しっかり、伝えて欲しい。

  ―――ライラくん。
  君とはこうして、大きな戦場で再会することが多いね。
  そのたびに、何時も君の底力には助けられて―――本当に、感謝してるよ。
  今日もまた、おねーさんは情けない姿を晒す事になるかもしれないから―――しっかりサポート、よろしくっ!

  ―――ワイルドさん。
  ずっとずっと、お世話になりっぱなしだけど、これで"ハート"の一件にも、ようやくケリが着く。
  貴方から貰った新しい武器―――このパーム・オブ・ストレングス<剛毅の掌>で
  アタシはアタシの正義をきっちり、切り開いてみせるよ。

  そして―――カミナさん。
  一緒に戦うのはこれが初めてになるけど、アタシ達は皆、上手くやれるとそう信じてる。
  想いは其々違えど、集った理由は皆同じ、この作戦で―――連中との何もかもを、終わらせてやろう。


                 さあ……みんなで、"英雄"になろうじゃないかい。
                UT・及び能力者合同作戦突入部隊―――出撃開始ッ!!

【―――ゴォン、という鈍い音と共に、ハッチが全開状態になると、夕焼けが機内へとなだれ込む。】
【セリーナは全員に背を向けると先ず、最初にハッチから飛び出し、そして―――降下を、開始した。】
【続く全員が機体から飛び降りたのならば、まさにそれは雷の国に降り注ぐ"稲妻"のようにも見えて―――】

/これより、イベント『RAGNAROK LABORATORY―審判の日』を、開始します!
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/14(土) 20:11:43.39 ID:Igws2bih0
【――――『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』第6小規模実験棟】
【光量の落とされた室内にも、外からの銃声や怒号が、ひっきりなしに飛び込んでくる】
【もはや稼働する事無く、半ば打ち捨てられた様なその屋内に、4人の人間の影があった】

――――いよいよ、じゃな……わしらが勝つか、それとも負けるか。世界を下すか、それとも飲み込まれてしまうか……
全部が全部、この一事に掛かっておる……今日、この時の為にわしも、そしてお前たちも存在していた様なもんじゃ……
「…………」{…………}<…………>

【薄暗い室内に、ぼうっと浮かび上がる4つの影。しわがれた老人の声が響く中、それに向かう3つの小さな影は、ただ沈黙する】
【やがて老人の声も収まると、シュルシュルと衣擦れの音が響き始め、4人は身に纏ったものを脱ぎ捨てていく】
【互いの顔すら良く見えない暗闇の中、少しづつ緊張感が高まっていった】

……往くぞ。今まさに死地の中へ……この世界に、最後の勝利を齎す為に。この混迷を、終わらせるために……じゃ
{うん……}<ウゥッ……>
「……おじいちゃん……」
どうした……? 今ここで足を止めても、残るのは『負け犬』の道だけじゃ……それはお前の最も嫌うところじゃ無かったかの……?
お前は違うのじゃろう……あの『負け犬』とは…………
「…………負ける、くらいなら…………私は……『私』なんて、要らない…………! 『負け犬』になる、くらいなら……!」
…………そうじゃ、それで良い…………ッ

【全てを脱ぎ捨てた4人の影が、寄り添ってその身体を抱き合わせていく。強く強く、まるで互いを絞め殺す様に】
【――――グシュッ……ブシュリ……ギチッ……ニチャ……ガシィッ――――】
【隔離されているこの空間はその瞬間、時の流れすら置き去りにして。ひたすらに全ての事象を内向きに閉じ込めていった】



〔――――時間を稼げ! 1秒でも多く、時間を稼ぐんだ!〕
〔敵が来たら迷う事は無い! 後の事なんて考えずに全弾撃ち尽くせぇぇぇ!!〕
〔は、はい!! …………撃ち殺して、食ってやる……!〕

【そんな実験棟の外では、わずかにこの地に残った20人ばかりの兵士たちが、その手に思い思いの火器を携え、侵入してくる敵を迎撃するべく乱射していた】
【2種に分けられた制服を着込んだ兵士たちは、とにかく前方だけを見据えて、狂った様に弾丸をまき散らす】
【否――――実際、狂っているのではないか、そんな事を思わせる様な兵士も、中にはいる】
【眼を血走らせ、歯ぐきを剥き出しにして口を食いしばり、口から唾液を垂らしながら、おぼつかない手つきで火器を前方へと向ける――――そんな兵士が、一定数】
【彼らが侵入者に対して、こうも過剰な火力をぶつけて『時間稼ぎ』を行っている理由は、実に単純明快である】

【侵入者たちが、常識を超えた力を身に纏う戦士たちである『能力者』だから。そして、「切り札の準備のため」と言って中へと入っていった≪No.6≫を守り切る為に――――である】
【一部では脱出すら始まっている中で、総大将とも言うべき≪No.6≫が取ったこの行動は不可解だが、侵攻軍としては見逃す理由は無い】
【そんな状況だからこそ、この場の空気は最初から、炎上した火薬庫の様に狂熱を帯びたものとなっていた】

/こちら主催です。よろしくお願いしますー!
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 20:20:08.40 ID:HWzDyONto

【『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』内の一角――――】

【正義≠掲げる者たちによる空からの電撃的な襲撃により、仮説プラント内の機関員達はいままさに混乱の極みにあった】
【研究物資や資料の運搬および処理のため、兵士と研究員とが忙しなく走り回る。中には恐怖に呑まれ、職務を忘れて逃げ惑うものさえいた】
【……この場にも間もなく、正義≠フ面々がやってくることだろう。この統制の取れていない状態が続けば、最悪全員捕縛されてしまうことさえあり得て――――】


――――狼狽えるな!
非戦闘員は主要な研究資料を回収して退避、一班は分散して彼らを運搬口へ護衛せよ!
二班はこの場に残り、残存資材とデータベースを速やかに破棄! 完了次第撤退を開始しろ!


【それはしわがれた、しかし狼の遠吠えを連想させるような怒号だった。ゾクリと背筋を撫でる重厚な声が職員達の注意を無理矢理こちらへ向けさせる】
【吼え上げるように下される指示。そこに特別な能力も、強制力もないはずなのに――――その圧倒的な迫力が、老人を一瞬にして群れ≠フ主へとのし上げた】
【もちろん、それは命令が十分に合理的であったからこそだ。研究員達はデータを回収すると、護衛と共に各方向の運搬口を目指していく】
【残る数十名の兵士達はしばしプラント内に残り、機材の一部を物理破壊して機密を保持。……彼らとて機関の一員なのだ、統制さえ取れれば行動は的確だった】

【そして――――舞台は、未だ混乱から抜け切れない様子の非戦闘員たちと、老人を含めた六名の護衛とを連れ立って、『第2運搬口』へと移る】


……あの者どもは儂と残り三名で対処する。お前たちは非戦闘員を避難させよ。


【老人は敵≠フ気配を察知すると、五名の兵士を二班に分けた。二人は非戦闘員の誘導に当たらせ、残り三人と自身は敵の殲滅を請け負う】
【この五人の名は『対外ボランティア』。『RAGNAROK LABORATORY』の技術を結集したFシリーズ≠ニいう特別な装備を身に纏った、セードムシティの住人――――】
【老人は彼らの一員ではないのだが――――混沌としたこの場において誰の指示に随うのが一番効率的かを瞬時に理解し、兵士達は老人の言葉に随った】

【避難誘導に当たる二名は、腰回りから背中にかけて機械的な装備を取り付け、通常の銃口の下にアンカーショットの発射口を備えたハンドガンを所持しており】
【この場に残った三名は、機動力重視の軽装に片手で刀剣を構え、腰元には何やら機械的なグリップのようなものを吊り下げているだろうか】

【そして――――たったいま抜刀し、左手にレイピア、右手にマインゴーシュという決闘者じみたスタイルを取った老人】
【刻まれた無数の皺、オールバックにした長めの白髪、立派に蓄えられた口髭と顎髭。そんな外見からするにおおよそ六十は越えているだろうか】
【服装はウィングカラーシャツの上にジレ、下はスラックス。金色のアスコットタイを絞めてシルクハットを被った、戦闘員というより単なる紳士に見えるもの】
【しかし、二本の剣を構えて佇むその姿を見れば、決して甘い考えは持てないはずだ。全く隙のない立ち振る舞いからは、騎士じみた厳かな闘気が漂っている】


悪いの、君たち。ここを通すわけには行かぬ――――どうしても罷り通るというのなら、儂らを見事退けてみせよ。

……しかし、よもや女に犬とはのう。天下の『UNITED TRIGGER』もずいぶん面白い人材を揃えているものよ。
まあ、ここに来たということは相応の実力者と考えてよいのだろうな。……せっかく雷くんだりまで来たのじゃ、退屈させてくれるなよ。


【第2運搬口へ現れるはずの二人――正確には一人と一匹だが――へ向けて、老人はそんな言葉を投げかけるだろう】
【マインゴーシュの護拳に刻まれた逆五芒星≠ェ、茶褐色の峻烈な双眸とともに、そちらをじろりと睨んでいるようにも見えた】
【紳士的なようでもあり、挑発的でもある態度。老人らしい落ち着きがありつつも、戦いを楽しむ危険な光を宿した瞳。そんな相克が場を満たしている】

【……現在二人に相対しているのは、老人と三人の兵士だけだ。避難していく非戦闘員へ手を出さない限り、残り二人の兵士はまだ無視していてもいいだろう】
【老人は中央に立って微動だにせず。両手で刀剣を構えた兵士達は少しづつ間合いを測りながら、二人を取り囲むように外側へと陣形を広げていく】
【四人の敵はまだ、自分達から仕掛けてくることはないはずだ。今宵の戦いの初手は、二人の選択に託されている――――】
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 20:20:34.67 ID:HWzDyONto
/この文だけ入らなかったので分割……↑はヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダムです
/カズネさんの方&Azothさんの方、本日はよろしくお願いします!
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/14(土) 20:34:36.15 ID:coNjF5lA0
>>31-34

【『セードムシティ』市庁舎前】

【かつて、最初の戦いの際に戦場になった一つの箇所】
【今は、かつての面影を残しつつも占領軍司令部の一つとして使われている】
【そんな場所に一人無線機に静かに命令する男の姿がある】

 もしもの場合の重要書類の処分などの準備をしておけ、それと脱出のルートの確認もな
 その後順次撤退していけ
『は、了解しました』

【その応答とともに彼は無線機を自分の胸ポケットにしまいこむ】
【彼がここの司令官とそう認識していいだろう、とはいえ全体の指揮官ではないが】
【さて、ここの司令官たる彼の格好は戦闘服を着用し、ゴーグルをつけている】
【そして袖口にはカノッサ機関の逆五芒星が刻まれている】

 ふむ、この占領地の撤退援護と言われたがどうやら敵は少数での侵攻をしてきたか
 今ここにいる戦力のほぼ大半が外周の敵の対処にいっている――その隙を狙ったな

【一人そのようにして一人心地につぶやきながらも周囲の警戒は怠らず】
【肩にかけているRK-11アサルトライフルが彼の動きにとともに少しばかりゆれた】

 さて、そろそろこちらに敵が付く頃合か、始めよう

【そのように言ってから、肩にあるRK-11を自分の手に移動させる】
【そして、そのままRK-11を構えず手に持ったまま静かに敵を待つ】

/こちらバッド中身ですW-1≪ワイルド=ワン≫さんよろしくお願いします
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/14(土) 20:35:18.51 ID:coNjF5lA0
/おっと、安価部分は自分のミスですあんまり気にしないえください
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/14(土) 20:38:06.01 ID:BIqpxMrLo
【雷の国 『セードムシティ』】

【この国で生まれ落ちた狂気の頭脳の支配によって、長きに渡り悪夢の中を彷徨い続けていた都市】
【今宵、この都市は一つの結末を見ることになるだろう。それがいかなるものかは、まだわからないが】
【ここに集いし、数多の者たちの思惑と信念と狂気のぶつかり合いが、ここに何らかの結末をもたらすことと】
【形作られる物語が、鮮血の色をしていることだけは、きっと確かだったのだろう】


【『セードムシティ』 栄光と慈悲の広場 交差点】

【在りし日は、太市やチャリティーイベント用の臨時スペースとして用いられていたという巨大な広場】
【周囲を取り囲むロータリー式の交差点は、きっと活気に満ち溢れていたのだろう】
【その日々を懐かしむことすら出来ないほど、今は見る影もないありさまだったが】

【地面を染め上げる夥しい血痕。辺りに漂う腐臭は文字通りの死の香り】
【広大なスペースがあるにも関わらず、それを感じさせないほどに地面に散らかされているガラクヤや危険物】
【瓦礫、ガラス片、金属片、その他元がなんだったかすらわからないようなものまで。広場は、惨劇の破片に侵食されていた】


【都市の中央たるこの場に、我が物顔で鎮座する存在が二つ。いずれも、巨躯の異形であった】

【片方は、身長2メートルを超えているであろう大男だった】
【薄汚れた灰色の作業着の上に黒いラバー地エプロンを着用し、足には黒いゴム長靴を履いている】
【角ばった顔つき。短めに切り揃えられた黒髪。両目は右が青、左が黒。双方とも義眼だ】

【両耳は黒ずんで形が歪み、両手の指も黒く細長い。アンバランスな大男の醜貌を集約するは】
【その額に埋まった一つ目だった。黒い瞳の単眼。面積一杯を埋める巨大な眼球。ギョロギョロと動いて、周囲を睥睨している】
【口元はマスク型の人工呼吸器で覆われ、細い呼吸音がそこから漏れる。人の姿をしていながら、人かどうか疑わしい怪物がそこにいた】

【さらには、大男は全長1メートル半にもなろうかという、長大なバトルアックスを携えていた】
【黒と金をベースカラーとしたその武器の柄の部分にはカートリッジが存在し、そこに嵌め込まれた白いマギタイトが、煌々と光を放っている】
【獲物を待ちわびるかのように。その刃が、大男の嘆願と共に、悪意にぎらついていた】


【その大男の背後に控えるもう一つの異形。これは、確実に人間ではなかった】
【それは、熊だった。陸上最強と言っても過言ではない肉食獣。この場にいる以上、ただの熊であるはずはない】

【まず、大きさが尋常ではない。前に立つ大男すら霞むほどの巨体は、3メートルを軽く超えている】
【両肩と頭には発達した角が生えている。鋼鉄すら貫通するのではないか、というほどの鋭さだ】
【分厚い剛毛に覆われた全身を構成するその骨格・筋肉、全てが規格外であろう】

【何より、この熊を生物兵器足らしめる、鋭い爪を備えた太い四肢。大地を踏みしめ、戦場を駆け巡り、振るうだけで数多の命を吹き飛ばすだろう、四つの凶器】
【その四肢を畳んで、熊は大男の背後で待機している。呼吸以外は微動だにしない。だが、その血走った眼は、獲物を求めて飢えていた】


【――やがて、その時が訪れる。閃光と、空中戦がもたらす轟音。激しく撃ち合う音が、間断なく響き渡る】
【その隙間を縫って、雷光のごとく。彼らは、戦場に降り立った。終わらせるために、守るために、己の信念を貫くために】
【大男が空を見上げ、破顔一笑した。人工呼吸器の上からでも形がわかる、醜悪な笑み】

……始まるぞ。戦争だ。いつぶりかの、大戦争だ。この都市の、始まりと終わりを告げる、一世一代の殺し合いだ……
この審判の日に立ち会える幸運を嬉しく思うよ……

【発せられた言葉は、意外なほどに通りがよく。広場全体に響きくだろう】
【バトルアックスを振るい、大男が一歩前に出る。その空を切る音に反応したかのように、背後の熊も立ち上がる】
【怪物どもの影が広場に落ち。この場に降り立つ正義を待ち受けて、蠢いた】

カノッサ機関、≪No.29≫カニバディール。今宵は、RAGNAROK LABORATORYの……偉大なる狂気の科学者、≪No.6≫グラトン=ブルーガー=ウルバヌス博士の刺客が一人
さあて、存分に殺し合おうじゃあないか……なあ?

【来るべき敵たちに、笑みを浴びせ。大男・カニバディールは宣戦を布告する。眼前に立つ二つの正義に。自らの敵に】
【審判の時、来る――】

/防衛側、カニバディールです!
/カミナさんの方、ミハエルさんの方、よろしくお願いします!!
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!蒼_res]:2014/06/14(土) 20:56:18.79 ID:hRpym2aVo
>>35

【―――降下の完了。着地に見事失敗したセリーナは『うわっ、わわっ!?』だの『これ、絡まって、ひもがぁ―――だのと』】
【散々低空域でのたまった後、尻から地面に激突。パラシュートが無様な姿を隠す様にしてその上にはらり―――と被さった。】
【なんとも、締まらない始まり。だが、ある意味でこの女らしいと言えばらしいのだが―――ともあれ、彼女はパラシュートを剥ぎ取った。】


  ―――ぶはぁっ!? はっ、はぁっ、はぁっ……―――――――ふぅ。楽勝だったね。
  もう二度とやりたくないけど。……昔は遊園地でよく、バンジーだのジェットコースターだの乗ったもんだけどなぁ。
  いやはや、歳を取るってのは怖―――って誰がおばさんだ。アタシはまだ、20台だっての。

【そんな事を呟きながら、突入用の軍服を脱ぎ捨てるとセリーナは何時もの格好に戻り、ハットを大事そうに被って。】
【腰元に備えた二挺の拳銃―――愛銃、"弾"末魔とColt.SAAの有無を確認してから、颯爽と仮想プラントの方へ駆けつけた。】
【幸い、降下地点付近には見張りの兵士も居なかったのだが―――矢張り、プラントに近付くに連れ、チラホラと見えてくる敵兵の影。】


  (……ラボの仮説プラント、恐らくは此処に奴が居る……筈。その証拠に警備が段々と手厚くなってきてる。)
  (兵士の数は―――ざっと数えて20、前後か。それにしても様子が―――……オーライ。"アレ"が、対外ボランティアさんか。)

  ―――ってぇ事は。身体をブチ抜いて眼を覚まさせる方法は、あんまり好ましくない、ってワケだね。


【―――実験棟の外、プラントを守護しようとする兵士達の前に、彼女は物陰から堂々と、姿を現し声を掛けた。】
【テンガロン・ハットに白のシャツ、土気色のベストには"UT"のエンブレムを携え―――そして腰には、ガン・ベルト。】
【ウェスタン・ブーツが『セードムシティ』の大地を踏み抜けば、一陣の風がびゅう、と靡き―――金色のショートヘアを、揺らした。】


  "……迷う事は、無い"―――ね。確かにそうだ、敵を見つけたら撃て、すかさず撃て、それが戦闘の基本。
  だけどその前に、敵かどうかを見極める大事な作業がある、って事を、みんなちょっと忘れてるんじゃないかい。

  ……だから、敵かどうかも分からない相手に向けて銃を向けるのが怖いから、そんなにライフルを握る手が震えるのさ。
  人間が戦うにはね、覚悟、ってモンが一番重要になるんだ。元々"兵士でもない"アンタ達に―――その、覚悟はあるかい。

  銃を握り。人に向け。構え。引き金を引き。命を奪う。その―――覚悟が、あるのかい。
  残念だけど、震える手で撃つ銃が、良い結果を残す事なんてこの世には絶対に無いんだ。断言するよ。

  ―――悪い事は言わない。全員、道を空けて投降しろ。警告は、一回までだ。
  この警告を無視し、アタシ達に銃を向ける場合―――アタシはアンタ達を、"鎮圧"するよ。

【そうして、たった一度の警告を告げる。撃つな、投降しろ、と。】
【ソレもそのはず、相手は対外ボランティア、つまりはこの街の住民達だったのだから。】
【だがそれでも、戦うと言うのなら―――セリーナはガン・ベルトにゆっくり手をかけ、眼前の兵士らを睨むだろう。】

【―――とはいえ、当然殺傷するつもりは無いのだが。しかし銃使い<ガン・スリンガー>がこの窮地を】
【犠牲者を出さずに切り抜ける事が出来るのかどうかは―――まだ、わからないのだった。】    
 
/よろしくおねがいします!!
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 21:03:11.73 ID:LzO/A2hTo
>>31->>35

【―――大きな闘いが、いままさに始まろうとしている】

【そんな中、『彼』はいつものようにその巨躯で優雅に立ちすさみ、白衣をはためかせて作戦開始の合図を行うセリーナに真っ直ぐ向き合い】
【日頃被っていた派手な帽子は被らずその黒の短髪を表に出して、トレードマークの髑髏のネクタイを丁寧に締め直しながら】
【いつも人相を隠しているその穴だらけのホラーな仮面の顔のまま"WILD"は言葉を紡ぐ】


おうさ、任せておきなさい……人命救助から殴り合いまで全部やり切ってこその紳士だ
ようやくハート君の一件にケリが着くかと思うと気分もなんだか『清らか』だ。私も『彼女』も暴れたくってうずうずしている所なのだ
なにも気にする事はないし今この場で再確認するまでもない、現場についたらキミも私も目の前の仕事を全うすればいい

だから安心してこの"WILD"を――――否、このジンジャー・ユースロットを信じてくれたまえ!


【開いたハッチを背に―――白衣の紳士がその仮面に手をかけて、おもむろに取り外してその素顔を晒すだろう】
【グラトンとの決着を前に初めてセリーナに晒したその顔は……仮面の上から想像しうるイメージよりもずっと若そうに見える顔立ちだった】
【櫻の国、あるいは日本人のような特徴の顔、自信に満ちどこか無邪気さを内包した微笑みを浮かべ続けるその顔をしっかりと見せつけると】


では諸君!早速だが逸るこの気持ちをあえて抑えずお先に失礼させていただくよ!


【なんとそのまま背面から、パラシュートも付けずに飛び降りた………!?】

>>38

【市庁舎前の上空からその男が自由落下してくることが、ライフルを手にする男にも見えるだろうか】
【加えて、その人物目がけて北北東の方角からすごい速度で急接近してくる飛行物体がある事にも気が付くだろう】
【パラシュートなど付けなくとも死ぬことはないと確信しているかのように空中で優雅に両手を広げ、己に近付いてくる『それ』の接近を待っている事も見えるだろうか】

【―――なにか双眼鏡でも使用すれば、その男に飛来してくるのも小柄な『人影』だという事が分かるだろうか】

【その人物は、純金の三日月の髪飾りで長くつややかな黒髪をポニーテールにして整えていた】
【耳をアンテナヘッドホンのような機械で覆い隠した、銀色のカフスボタンが袖に付いた黒を基調とした丈がくるぶし部分まであるロングドレス】
【その上にフリルだらけの常に汚れ一つない真っ白なポケット付きエプロンを着用して、メタリックカラーの小さなブーツを履いた…俗に言う侍女服の少女】

【彼女は背中から飛行用のジェットパックを出してその噴射でジンジャーの方に近付いており、その手には日頃彼女がアイテムを運ぶための小型スーツケースが握られている】
【接触までもう目と鼻の先と言う所で彼女はジンジャーにその手のスーツケースを放った―――すると彼は見事取っ手の所をナイスキャッチしてみせる】
【それを見届ける事もなく侍女の少女は彼の背後に回り腹部を両腕で抱き留め、その大柄な体躯を容易く抱えたまま地上めがけて低空飛行を続行するだろう】

【最後に垂直姿勢に戻りながら二人は司令官の男の目と鼻の先に着陸しながら発言するだろう】


「―――おまたせいたしましたハカセ、メイドロボ『ジャンクちゃん』、定刻通りに到着いたしましたデスヨー」

ご苦労様、さてそこの戦闘服の君……ごきげんよう
ひとまず名乗らせていただこうかな?私はジンジャー・ユースロット、もう言わないでもわかるかもしれないが
私は君の敵でここに囚われている人々を解放しにやってきた者たちの一人だ、邪魔するなら容赦しない―――どうだ、何か言いたい事はあるかね?


【敵を前にして己のペースを一切崩すことなく、ケースを持たない手の指で戦闘服の男を指さして発言を促してくるだろう】
【その立ち振る舞いに一切の乱れはない―――凛とした表情で目の前の敵に話しかけてくる】

/そういうわけでW-1です!どうもです!
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 21:03:53.80 ID:xs5Cju0+o
>>31>>33
【作戦開始地点に向けて上空を行く輸送機の中】
【集まった9人の正義の能力者の内一人――カミナ・ゲルギルは】
【今代の英雄、正義の筆頭セリーナ・ザ・キッドの演説を口を挟まず聞いていた】
【その視線は、最初は何かを見極めようとするかのように厳しいものだったが】
【彼女の語る言葉を耳にする内に徐々に軟化し、最後には口元を吊り上げて笑みを浮かべていた】

――良いな。口先だけではなく、言葉の一つ一つに人を惹きつける"力"があるのじゃ
此処までは文句なしの合格点をくれてやろう

言われるまでもない、カノッサの下衆共の顔はいい加減見飽きておったからな
御主も仕損じるでないぞ……"正義のリーダー"よ

【彼女から掛けられた声に対して】
【短く……だが、妙に感情が篭った重々しい声色で応えると】
【それ以上コミュニケーションを取ることもなく、"降下準備"を始めた】

(――谷山とジンジャー……あとは、いつか見たロウとかいう男か)
(他の者の安否も、いずれは確認したいものじゃな)

【最後に、参加者達の顔を一瞥した後――胸に緋色の鷹の紋章を刻んだ少女は戦場へと舞い降りた】

>>40

【栄光と慈悲の広場上空に一瞬巨大な影が差した】
【もしそれを見上げたならば、影の正体を察することは難しくないだろう】

【それは巨大な"鳥"。翼長は15mに達し、其の全身は純白に染まっていた】
【視力に優れていれば、その鳥が純粋な生物ではなく何かで作られた模造品】
【"折り紙"によって生成された物体であると知る事も可能であろうか】
【そして――その鳥の背から、其れと比較して余りに小さな何かが飛び降りた】
【空を裂く帯のように髪を靡かせ、背中の"翼"を羽ばたかせながら】
【左右に2mにも及ぶ突撃槍の如き物体を従えて――】


――――カニバディィィィィイイルッッ!!


              【<貴宝院流不切正方形一枚折り・槍飛行機>】


【――一人の人物が、倒すべき"悪"の名を叫びながら降下してくる】

【身長は140cm程度であろうか。長く伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をした少女だ】
【身に纏う桜色の和服の背から白い三角形の翼を伸ばし、大きく羽ばたかせながら】
【一直線に加速し、矢の如き勢いで地表に接近すると――左右に追従させていた"折り紙"をカニバディールに向かい射出した】
【それは巨大な"紙飛行機"。神気により特性付与されたことにより先端が鋼鉄に近い強度となっており】
【降下の勢いをそのままに加速させた其れは、直撃すれば凄まじい貫通力となって襲いかかるだろう】

【だが反面軌道自体は読みやすく、また先端を外せば威力は激減し】
【水や火などにも弱く、それらをぶつけられることで弱体化することもあるだろう】

【少女は、カニバディールらから5m程度離れた位置に】
【"翼折り紙"をホバーのように作用させながら着地し、射[ピーーー]かのように苛烈な意志を込めた視線で睨みつける】
【この程度の小手先の技、挨拶替わりにもなるまい。恐らく今宵は、互いに死力を尽くすのだから――】


約束通り、貴様の醜い首を貰いに来たぞ!
――貴様らも年貢の収め時じゃ、今から念仏でも唱えておくがよい――!


【隠しもしない敵意と、殺意を振りまきながら吐き捨てるようにして宣言すると】
【――少女、カミナ・ゲルギルの左右の空間がじわりと歪み、大きな"紙"が出現する】
【紙は空中で見えない手に操られるようにしてパタパタと折られ、何かの形を作り始めた】

/カニバディールの方、ミハエルの方よろしくお願いします!
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 21:12:03.14 ID:wOk9VgKho
>>33-34

――――――――

【物々しい雰囲気の機内はさながら棺桶のようだ】
【ごうんと鳴り響く様々な機材の音、けたたましいばかりのエンジン音】
【ああ、でもこういう音は私には不思議と心地よかった】

【それと、知っている顔もいるから……か】


【その知人は立ち上がり、言の葉を紡ぐ】
【囃し立てもせず励ましもせず駆り立てもせず、ただ聞くことに徹する】
【プログラムに不備があっては駄目だ】

――――――――ええ、やりたいようにやるだけよ

【自分の名前を聞いて頷く、言葉は短く、そして彼女は飛び立ってならば私も羽ばたこう】
【装具……という程ではないいつもの寂れたローブとゴーグル、「静かの海」という銀のアクセサリ、首から下げた弾丸】
【ローブに隠した腰のホルスターには「アストレア」という銘の銀銃がひとつ、ずっしりとその存在を示していた】

さあ、いきましょ……

【点検が終わったならばハッチに向かう、降下用の装具は要らない】
【およそ普通に生きていれば縁のない高高度に足は竦むがその弱さを許しはしない】
【「静かの海」へ魔翌力を流し起動の合図、見下ろす街の明かりは怪物のようにも見えた】

【構わない、所詮怪物は倒されるだけの存在でしかない】
【ならば魔術師の足取りは軽く、空へと舞う】

【降下、降下、降下、降下】
【風圧は暴力のように身に迫る、だが暴力はこちらも所有している】
【膨大な魔翌力の飽和は紅く紅く瞬く、球状に展開された姿はさながら暁のように】
【朱球が割れれば姿を現す、魔翌力を糧として稼働する化け物じみた「銀の爪達」】

(慣性操作、風圧測定、射出角度、着地予定地……なんてことはない、か)

【フリーフォール、速度が緩む事無くさながら放たれた矢】
【合わせて7つの影は地上300m程で魔翌力を噴流させ速度を押しと留め止める】
【魔術師を軸にくるくると廻る爪は微弱な噴流を操り、術者を静かに地表へと送り届けた】

【そんな戦闘開始前の、ワンシーン】


/続きます
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 21:12:20.12 ID:wOk9VgKho

>>36

【街が怪物ならばここは腸か】
【いや、どこであろうと関係などなかった】
【蠢く爪は私の剣、その脈動は私の心臓、そして纏うは私の意志――――】

あら、ゴメンナサイね。ここを通して貰うわ――――どうしても邪魔したいっていうなら、私を叩き潰してみなさい……なんてね

【騎士然とした雰囲気をもつ老人、その出で立ちに或いはもう少し若ければタイプかもしれなかったが機関員であるからには容赦はない】
【エンジンをトップへと移行させる、血流が早まると同時に流れる魔翌力も増えてゆく】

でも、安心して―――――――退屈だけはさせてあげないから!

【きっ、と瞳を見開いて右掌を突き出す】
【追従する3つの爪その先端から漏れだすのは魔翌力の光、やがてガトリングのように回転を始め……そして咆哮をあげる!】
【錆色の魔弾の連射、矢継ぎ早に放たれるそれは単発は弱いが数でカバーするタイプの武装】
【こと今においてその単発の弱さは役に立つ、狙うは老人ではなく3人の兵士……邪魔者を先に昏倒させる算段】


(とは云うけど、近接相手は正直辛い……上手く立ち回らないとワンサイドゲームを受けちゃうわ)

【最中に老人の得物、その2つを見つめ静かに恐れを抱く】
【魔術師は基本的に接近されてしまえば負ける、最悪なことに老人は近接に心得があるようで】
【これから優先して対応すべきはやはり彼であると……自分へと言い聞かせ】


【放たれた魔弾は開戦の合図であり】
【ならばのろしは、あがる―――――――】

/カズネです!よろしくどーぞ!
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/14(土) 21:14:33.58 ID:f3A5+C4so
>>31-35,41
【ヘリの中、緊迫した空気の中でうつむき気味に佇む一つの青年】
【平常時以上に念入りに刺々しく逆立てられた、新雪よりも白骨よりも遥かに白い短髪】
【服装は、アンダーアーマーにカーゴパンツ、防刃繊維のジャケット、安全靴といったもの】
【腰に巻いたベルトポーチはパンパンに膨れ上がり、幾つものナイフの鞘とリボルバーのホルスターも下げられている】
【ベルトポーチの中を両手で確認し、装備に不備がないかの最終チェックを行っていく】
【戦草を煎じたドリンクを、一気に煽る。身体に巡り来る活力、いざというときの為の物だが、今がいざというときだ】

「英雄、か」

【セリーナの口上を、装備の確認をしながら耳に収めていき、自嘲気味な笑みを浮かべた】
【右目の傷を左手でなぞる。汚れた力と混ざり合ったこの肉体で、英雄を名乗れる自信は無い】
【だが、だからといって谷山は英雄たち≠ニ並び立つことを恐れない、ためらわない】
【なぜなら――――】

「――ヒーローは俺の仕事じゃァない。……だが、ヒーローを作るのは俺の仕事だ。
ヒーローの活躍を伝えるのが俺の仕事だ。俺は俺のするべきことをするだけだ。
俺は、俺の進むべき道を歩むだけだ。――元justice……行かせてもらうよ」

【――――英雄になれなくても、英雄を生み出すことは可能だから】
【伝えるもの。この英雄の群れの為すだろう偉業を、余すこと無く伝えなければならない】
【彼らのなす事を正しく伝えるために、奴らのなした事を正しく伝えるために】
【動く。立つ。歩む。走る。――――刮目し、その目で全てを見届け、生還する道を】
【飛翔。風が身を叩く、速度が増していく。青年の五感が変容していく、最適化された世界を捉える為に】

【着地。パラシュートの制御を上手く行い、なんとか事なきを得た】
【服装の乱れを整え、風で乱れた剣山のような短髪を逆立て直して、己の頬を強く叩く】

「ま、なんだ。こういう場でなきゃ普通にもっかい位飛んでも良かったかね。
割りと涼しいし、悪くなかったよ」

【ニヤニヤとセリーナの方に目線を向けながら、谷山は軽く屈伸をして】
【そして、迷うこと無く駈け出した。前に進む動作に、淀みは無かった】

【『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』第6小規模実験棟】
【無数の銃弾の群れ、20人ほどの兵士の群れ。恐慌し、狂ったその姿は尋常の空気ではない】
【だが、その空気を引き裂き加速する影が有る。その内の一人の髪が、瞳が神経系が――ライムグリーンの燐光を得た】

「――Hello World.」

【変貌する姿、変貌する気配。人の本能的恐怖を煽る、哲学者の卵の気配が周囲の空気に混ざりこんだ】
【ライムグリーンの瞳の光は、兵士たちに向けられて。説得をするセリーナの一歩前に、谷山は歩みだした】

「……俺は他の連中程優しくない。逃げるなら追わねえ、見ないふりをするなら潰さねえ。
だが、俺の前に立ちはだかるなら。俺の正しさ≠ノ立ちはだかるなら。
俺はお前らを鎮圧する事も、お前らを蜂の巣にする事も、ぶち殺す事も。躊躇いやしねえぞ?」

【谷山は、左腕を兵士たちに向かってかざした。半袖のボディーアーマーから覗くその左腕は人のそれに見えるもの】
【そらが瞬間的に破砕。そして、無数の結晶が空中に生成されて、それがあるべき場所≠ノ収束していく】
【収束した結晶は混ざり合い、最終的に新たな左腕を生み出した。無数の黄緑色のライン/回路が浮かんだ腕だ】
【その回路から、黄緑色の燐光が漏れだしていく。不吉な気配を帯びた、余りにも人工的な光の群れだ】

【その燐光は、視界を塞ぐ。燐光が触れれば、五感が歪む】
【感覚の異常の持続は大凡10秒程度。そして、その10秒で谷山はこの20人を何とかする事はできない】
【だが、その10秒があれば。谷山以外≠ェなんとかしてくれる。そう信じていた】
【兵士を観察する。微細な動き、特に指先に注視する。一人でもトリガーを引こうとすれば、谷山は迷いなく左腕を薙ぐ】
【薙いだ腕から放射される燐光は、先述したとおりの効果を与えるように飛び散っていくだろう】

(嫌な気配がするな――。いつもと変わらないとも言えるが……)

【奥から感ずる、嫌な気配。谷山基樹の異様な五感が、分厚い扉の奥の事象をおぼろげに認めたのだろうか】
【背筋を駆け抜ける寒気。その寒気を谷山は恐れた。そして、その恐れを指針とした】
【恐怖を、怒りを、絶望を飼いならし谷山基樹は己の五感を、思考速度を一段階強く強化した】
/*主催者様、セリーナの方、ライラの方よろしくお願い致します!*/
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/14(土) 21:16:14.98 ID:RQaY++klo
>>31-34
【人員輸送船、その中に人員ではないものが混ざっていた】
【それは犬である、犬がいた、背中にパラシュートをしまった小さな箱を背負った犬である】

なんで犬用の降下兵装はないんだか……

【そのパラシュートはどう考えても旧式で、身体の小さな人用のモノを無理やり背負っているという有様である】
【体格の問題は難しいものがあるのだろう】
【ぶつくさと呟いている犬はブザーの音に一々反応したりしてせわしない】
【だが、セリーナが話し始めればそんななりをひそめ、厳かにその声を聴く】
【初めての――そして最後になりえる可能性のある任務だった】

……大切なものを守るだけでは足りない、その周りのモノを守って、その周りの周り……果てまで守り続けなければならない

それがどれだけ苦痛を伴うものであろうとも、な

【そう呟くと、犬は開いたハッチから飛び降りていく人々を見送った後、最後に飛び降りた……】

>>36
【雷の国、上空より迫りくる影在りて、稲妻のごとく降り注ぐ】
【そして、幾条にもわかれた"それ"のうちの一つは、仮設プラントの搬入口の一つへと着雷する……!】
【……いや、どちらかというならばふわふわと落ちてくるといった感じだろう、それでも結構なスピードではある】

……いたたた……、空飛べるわけじゃないからな……

【地面にぱさりと広がった白い布――パラシュート……その中から這い出てくる一匹の灰色の毛並を持つ中型か、大型といった犬】
【首には青いスカーフを巻き、右前脚にはおしゃれなのかよくわからないが真白な包帯を数重に巻き付け、その目にはゴーグルをかけている】
【ふぅ、と溜めていた息を吐き、すくっと二本の後ろ足で立ち上がる、犬の骨格で二足歩行というのは無茶がある、だがこの犬はそのまま緩やかに歩きだした】

【未だに混乱の残る――もっとも誘導のなされた今ではそれも収束に向かいつつある――中、犬は自身に向けられた害意を感じ取る】
【すっとゴーグルの付けられた目を其方へと向け、そちらへと歩みを進める】
【騎士然とした老人、それに相対する犬と女】

……爺さん、無茶をしては体を傷めるぞ
こちらは女と犬、そちらは老人と……"ボランティア"三人、お互い手加減しても罰は当たらないと思うが?

【そんな中、犬がスラスラとしゃべりだす、お互い手加減しようと】
【だが、答えがわかり切った問いかけだとわかっているのか犬の方もどこか諦めにも似た表情を浮かべている――犬の表情がわかればの話だが】
【そしてこの犬は一切、なにも装備していないように思える】
【身を守る鎧も、人を傷つける武器も、また、戦況を変える道具でさえ】
【身に着けているのは先ほど述べたスカーフと、ゴーグル、包帯といった類】
【それでどうやって戦うのかという部分はある】

戦闘狂の爺さんか……
悪いが負ける気はない、出来る限りここを早くに鎮めて……他の場所への負担を軽くしなければな

【そういいつつ、犬はタンッと前足を地面に付き、四足歩行へと戻る】
【グウウウと唸る様は犬らしいといえば、らしい】
【そして――発条のように撓んだ体を一気に伸ばし、カズネの狙う三人とは別に老人を狙う!】
【しかし速度も、威力も、何一つ普通の犬と変わらないそれ、人間よりかは早く、強いが、果たしてその爪は届くのか……?】

//Azothです、本日はよろしくお願いします
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 21:17:09.03 ID:3+pWGuVo0
【『セードムシティ』 ルート55 市警察署前――――中間地点】

【すべての終わる夜、鋼の鷹は夜天に姿を現わした】
【各地で鳴る警報と戦闘音。銃声が、剣戟が血飛沫く音がここが決着(おわり)の舞台なのだと誰もに伝えながら】
【―――――角笛が鳴る。角笛が鳴る。角笛が鳴る。角笛が鳴る。邪悪と正義の相容れざる意志を得て事態は加速する。】


【ビルの立ち並ぶルート55、<機関>の街がメインストリート――――外部と闇を繋ぐ大通りの中心に、静かに佇むひとつの人影が有った】

【榛色の勝気な双眸。ふわりとした深緋色の長髪は宙に軽やかに流れ、しなやかに風を受ける躰に纏うはカーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】 
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】
【目に映るのは遠景の敵たち。一度は正義の駆逐されたこの異形の都市に、奪還を期して再び姿を現わしたのだ 】

【……恐らくは、彼らがこの警戒の理由。ごく少数でこの戦闘都市の機能を停止させる程に、その力は優れたものを隠しているのだろう】

【時を稼ぐ―――――常識としてはそんなところ。】
【戦力を削ぐ――――撤退戦を務める殿としてはなかなかに定石。】
【“一般的な”機関兵や軍勢や学者に、その様にきっと己は求められて―――――、】

【―――――――なんて、背徳の軍勢らしくもなく欲のない。くつりと静かに沸き上がる欲求に邪悪が笑う。】
【さあ解き放たれよう血色のケモノよ、喰らい引き裂こう<機関>の敵を。あらゆる総てはその贄として、今宵逆五芒が宴に供されたのだ――――、】

「よく来たね正義の味方サマ、だけどこの瞬間にさよならだ―――――――
 …………お前たちが、狩られる側だ。微塵と砕けて早急に死ね――――――直ぐに、お仲間に後を追わせてあげるからさぁ!」

【碧い影を女は見た。瞬時に破壊を望み実践する。】
【微笑みと悪意が夜を突き抜けた。報告のあった標的を完全に視界に捉え――その様に意識、黝き“力”が遂に放たれる 】

【〇・三秒、異能の織る爆炎が虚空を翔け抜けた。同じ空間に、凍て果てた氷の弾頭が降り注ぎ“炸薬”が命を呑み込まんと灼熱の嵐を拡げる。】
【雨の様に破滅が降る。凄まじい力を行使する歓びが榛色をくすぐるが、“機関”の手の者による迎撃は苛烈さを増し続ける。】
【焔、炎、都市の悲鳴、哭き叫ぶ獄炎――――――リズミカルに砕け散る鋼鐵やモルタルや木々の音は、異能の原型を生成するこの地点まで届いて躍動するその殺意をどこまでも高揚させて、】

(――――、……!)

【けれど、侵入者の気配は途絶えていない。何らかの異能を以て回避・防御に成功したのか、初撃以外は爆炎に紛れて見失ったのか――――、】

「……未だ、終わりになんてならないんだろ?
 未だ、その足は手は頭は動くだろう?

 立ち上がれ、抜きなよ正義の味方――――――――――――死ぬまで一緒に踊ってあげる」

【どちらでも、己には同じこと。殺して殺して戮すだけ――――そして逆五芒は許されざるその目的を果たすのだと。】
【そしてひとがたの魔物は戦火に彩られた夜景を見る。能力者。正義の使徒。“機関”の齎すものと未来を否定するもの――――】
【混沌を、破滅を否定するのは正しいのだろう。……失えぬものを、抱くのならば。】

【黒き邪悪に向かい合うは銀の弾丸(シルバー・バレット)――――獣を穿つのはひとの意志か、最後の銃火の煌めきなのか。 】
【全てを賭して牙を剥く“悪”なるケモノは、百戦錬磨たる古強者を前に悍ましくも歓喜に満ちた咆哮をあげた。】

/遅れました……ッ、申し訳ないっ
/防衛側、≪No.12≫ダリア・レオンフィールドとなります。ロウさんの方、よろしくお願いします……!

/…何やら滅茶苦茶なコトをやってますが、完全に回避しちゃって下さい(懇願)。
/能力でも、街の構造(マンホールetc.)を使ったりでも大丈夫なので……!
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 21:19:28.36 ID:ciHM2vAzo
>>31-35 >>41 >>46

「―――……カノッサに堕ちたセードムシティと関わるのは、これが最初で最後って訳か」

【大型兵員輸送機、フレズヴェルグの中。夕焼けと宵闇が入り混じり、時折ガタゴトとその体を揺らす機内で男はそう呟いた】
【魔女が被るような大きな紫色の帽子を被り、同色で縁に金色の刺繍が施されたローブを羽織る】
【手に持っているのは、男の身長ほども有る長い木製の杖。つまる所、お伽話に出てくるような魔法使いの格好だ】

【呟いたその表情は、何とも形容しがたいそれであった】
【この街の住民たちは、何らかの手段でもって自分達の敵となってしまったのだから。"彼女"の言う「狂った科学者」は、それを人為的にしてしまったのだという】
【だから、普段カノッサの能力者達を相手にしているようには出来ない。しかし、彼らを何とかしなければ強大な悪にたどり着くことさえ出来ない】

「狩人(ハンター)って訳にはいかねーか。……でも」

【しかし男の顔は、決意を露わにしていた】
【彼らに対し、狩猟(ハント)は出来ない。けれども、この街に巣食う悪の科学者を倒せば、彼らを救う事が出来る】
【セードムシティの住人を救い出す。その決意と覚悟は、確りと刻み込んだようで】


「―――英雄(ヒーロー)になるのも、悪くねーかもな」


【頬をパチンッと叩いて、男の精神的な準備は完了した。後は降下用の装備を着こみ、悪の根城へと踏み出すだけ】


【……いや、まだだ。"彼女"が1人づつに声をかけ始めた。その声の向く先に合わせて視線を振ってみれば、何だか特殊な人も居るようで】
【そんな場違いなことを考えている内に、"彼女"は自分へと、サポートを宜しくと声を掛けてきた。男の言うことなんて、もう決まっていた】

「こちらこそだ、セリーナ。……っつっても、助けられてるのは何時も俺の方だけどな……。
 1人じゃねーんだ。皆で力を合わせれば何でもできる―――何てことは、言うのも恥ずかしいから言わねーけどよ。

 今日は英雄(ヒーロー)として、戦わせて貰うぜ。宜しくな!」

【男――ライラはそう言い切って。最後に左手の掌と右手の拳を突き合わせた。その数分後、ライラは人生初のスカイダイビングを経験する―――!!!】


【『RAGNAROK LABORATORY仮設プラント』第6小規模実験棟――ライラは勿論、その名を知らないが――、その上空】

【其処からでも僅かに見える、制服を着込んだ兵士たち。その絶叫を聞きながらライラは、彼らの実態をやっと理解する】
【洗脳というか、何かに取り憑かれて狂気を顕現させているといったほうがいいだろうか―――本当にこの街の住人だったのかと疑いたくなるような光景だ】
【しかし、残念ながらそれは事実。彼らを倒さねば、奥の棟内へと侵入できない事も事実。殺さず、無力化するのが一番の手段だろう】

【余裕綽々といった表情で(本当は冷や汗を隠しきれていないが)着地したライラはすぐさま装備を脱ぎ捨て、何時もの魔法使いの格好へと変貌する】
【なっさけねーな……と近くにいる誰かさんに呟きながら、ライラも早速、行動を開始する。このプラント内の悪へ向けての"雷"撃戦】
【見えてきた敵兵――洗脳されたセードムシティの住民――に軽く舌打ちをしつつも、やはりライラもその銃口の前へ、堂々姿を表した】


「……お前らの顔を見て理解したぜ。テメーら、どっぷりカノッサに漬かってる訳じゃねーだろ? ……だったら話は早いぜ、道を開けな。

 ―――そんな玩具で、俺を撃てると思うなよ? 今日此処でテメーらをカノッサの手から救い出す、このライラ=フェルンストレームをな」


【手に持った杖を前に突き出しながら、そう啖呵を切るライラ。右腕に填めた5本――5色のブレスレットは、既に発光していた】
【それがどのような意味を持っているのか、対外ボランティアの彼らにはわからないだろうが……その威圧感だけは、確りと感じ取ることが出来るだろうか】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 21:22:57.17 ID:ciHM2vAzo
>>31-35 >>41 >>46

/挨拶忘れてたぁぁぁ!
/それでは主催者様、セリーナの方、谷山の方、よろしくおねがいします!
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/14(土) 21:27:13.53 ID:Igws2bih0
>>41>>46>>49

〔っ、耳を貸すな!! お前たちがすべき事はなんだ!? 機関の為、命を捧げる事だ!!〕
〔っぁ、があああああああああぁぁぁぁッッ!!〕

【所詮、と言うべきか。20人の一般兵士如きで、能力者の、それも選りすぐられた精鋭たちを止められるはずもない】
【良く見れば、恐慌をきたしている兵士は、2種の制服の片方ばかりに集中している事が分かるだろうか?】
【つまりは、そちらが現地徴用兵たる『対外ボランティア』で、比較的マシな方が、機関の古参兵に当たる面々なのだろう】
【しかし、恐慌をきたしている兵士たちの中にも、様子がおかしいものがいる――――牙をむき出しに、唾液をまき散らす様に『吼える』者が】
【――――≪No.6≫の狂気の産物の1つ『食人鬼兵(グールソルジャー)』。既に引き返せないその一線を越えさせられたものもまた、その場には居たのだろう】

【――――だが。時間稼ぎを命じられて、矢面に立たされた彼らは、結局のところ『捨て駒』でしかない】
【この兵士たちの行く末など、初めから決まっていたのである】

〔――――っぁ、うああああああああああああッッッ!?〕

【――――突如。彼らが背にして守り続けてきた実験棟が、大爆発を起こす。その余波を不意に背後から喰らい、その場にいた兵士たちも吹き飛ばされる】
【あるいはゴロゴロと無様に転がり、あるいは腕があらぬ方向にへし折れ、あるいは地面に赤い花をぶちまけながら身体の一部を砕き散らし】
【もはや彼らに時間稼ぎの役目を担うだけの力は失われてしまった――――否、もはや必要ないのだ】

――――――――ッフッフッフッフッフッフッフッフッ…………カッッッハッハッハッハッハッハッハ…………!!

【爆炎を背後に飛び出した『それ』は、ギシィッとアスファルトの地面を踏み砕きながら着地し、ゆっくりと面を上げる】

【――――全高が4mほどはありそうな、どす黒い色彩のメタリックブルーで彩られた、筋肉質の人型】
【背中には、その体躯を支えてなお余りあるだろうと言う説得力を持つ、巨大な一対の翼が折り畳まれ】
【肩口からは太く長い触手の先端に、それぞれ黒い髪の少女と赤い髪の少女の上半身だけが残っているものが、うねりながら飛び出していて】
【胸部には、様々な機械が無節操に肉塊で繋ぎ合わせられた上から、筋肉の蠕動によって不規則に開閉を繰り返す装甲板が被せられ】
【そしてその頭部は――――『半透明の蛸』としか表現の仕様が無い形状をしており、額の青い石と黄色の瞳を不気味に光らせる】
【蛸の頭――――本来は腹なのだが、一般にはそう呼び習わされている箇所には、半透明の中に2つの人間の脳が鎮座して、一方が一方を絡め取っている】

【そんな――――――――『化物』や『悪魔』と言う以外に表現しようのない何か。『それ』がこの場に姿を表したのだ】

……地獄の釜の蓋は、今開かれた……!! これがこの世界の終わりの始まり……!! 成功じゃ……この『身体』ぁ……!!
貴様らはもう、わしには勝てん!! わしが許す事はただ1つ――――『死ね』ぇぃッ!!

【既に人間の物ではない口から発せられるのは、しゃがれた怒号。その声に聞き覚えのある人物がどれほどいるかは分からないが――――それは正しく≪No.6≫、グラトン=ブルーガー=ウルバヌスのものだった】
【つまりはこの異形、彼の、グラトンのなれの果ての姿なのだ。その事実を信じられるだろうか?】
【確かにグラトンの研究は、生物の改造と言う分野にも及び、それによって生み出される産物をひたすらに求めていた。だがそれでも、人間がこんな風になる事など、想像できるだろうか?】

――――――――クゥァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッッッッッ!!!
〔あ、ガアアアアアあ、あ、あ、ああアア、ア……ッッッ!!〕

【そしてそのまま、グラトンの変異したその怪物は、咆哮する。それは『地獄の象』『悪魔の象』と言うのがいるなら、こんな叫びだろうと思わせる様な】
【そんな、甲高く全てを引き裂く様に耳を劈き、それでいて低く全てを押し潰す様に身体に轟く、暴力的な咆哮だった】
【かろうじて生き残っていた兵士が、頭を抱えながら身体を蝦反りに折り曲げ、そのまま身体を引き攣らせて硬直し絶命してしまう様な、死の咆哮】
【それは正しく、やってきた戦士たちを前にして絶望を叩きつける、悪魔の産声と言うべきものだった】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/14(土) 21:36:37.02 ID:O3v59YQQO
【機内でミハエルはセリーナの演説を聞いた、しかしその口は閉じられたままで】
【緊張感から来るものなのか、それは誰にも分からないだろうが、一つだけ確かな想いが彼にはあった】
【それは生きて帰ること、セリーナが自分の名を呼んだとき、少しだけ口を開いた】

……ああ、全員無事で帰ろう。

>>40

【パラシュートで降下していくと、自分の向かう先には広場が見える、しかしそれよりも目を引くものがそこには居て】
【まず目に写るのは 二つの異形、広場の光景はその次になる】
【それほどまでに目の前の異形は浮いていて、まるで水彩画の中に描かれた油絵だった】

【それらを瞳に写す人間の内の一人は、身長180以上はあるだろう男】
【アシッドグレイの長髪は後ろで一本に纏めていて、顔は20代後半程であろうか】
【白いワイシャツと黒のスラックス、靴は動きやすい黒のスニーカー】
【全て動きやすい服を選び、髪も結んでいることから 戦闘を想定した服装なのだろう】

>>43のカミナがカニバディールに攻撃するのを見たなら、自分の相手はその傍にいる怪物になるのか】
【何にせよ、地上まで十数メートルのところでミハエルはパラシュートを外す】
【高い場所からの着地なら幾らか訓練されているし、何より的になるパラシュートでいつまでも飛行している訳にもいかない】
【しっかりと受け身をとって着地したなら】

(カニバディール…………昼の国の事件のアイツか……!)
生で見るのは初めてだ、お前がNo.29、カニバディールか……
一つ言っておく、俺は生け捕りなどと考えてはいない、お前が今言った通りだ。

…………殺し合いではない、殺すのは俺だけだ……!

【彼……ミハエル・ガーナランドは、これから目の前の敵と交戦することになる】
【正義とは思えないような言葉を放つ彼は、灰色の瞳でカニバディール達を見据えて】
【戦場という環境が、彼をそうさせるのだろうか】

【ミハエルは構える、と同時に彼の隣には小型のスロットマシンが出現して そのルーレットを回し始める】
【少ししてから止まると、そこには『4』と記されていた】
【その直後 彼の手には一つの武器が現れる、トンプソン機関銃に近い形状、やはり銃だろう】

【ミハエルはそれをカニバディール達に向けて乱射する、勿論容赦はない】
【十数秒間撃ち尽くしたなら、相手の出方を伺うだろう】

/ミハエルです、お二人様、本日はよろしくお願いします!
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/14(土) 21:36:37.95 ID:coNjF5lA0
>>42

【空中で優雅に自分が担当している場所に来る人物――彼はそれを確かに見た】
【彼が使っているゴーグルそのゴーグルにはさまざまな機能がついており望遠鏡の代わりにもなる】
【彼はその手をゴーグルの横の調整装置を使いその人影を見た】

 やれやれ、敵か打ち落とすのは――無理か

【こちらに残った戦闘員からの攻撃するかどうかの無線が聞こえるが降下してくる『人影』は射程距離から外れている】
【攻撃すべきか否か無線が聞こえていたが射程距離から外れたのかわかったらしく無線から声は聞こえなくなった】
【その後二人の人物がこちらの目と鼻の先に着地してくると静かにRK-11を構える】

 …………

【彼はそのジンジャーと名乗った男に対して対しては一切の反応も言い返そうともせずにRK-11の安全装置を解除する】
【そして彼は何の躊躇もせずにどちらにも目標を定めずにRK-11をぶっ放した】

 例のアレの準備を、ああアレだ、非人道的であろうと気にするなどーせこちらはそういう組織だ

【攻撃をした後に彼は全力で後ろを向いて走る、その途中で無線機に対してそのように言うだろう】
【彼が無線機に対して言った言葉ははたして二人に対して聞こえているだろうか?】
【さて、彼が移動した先はちょうど土嚢が用意されている、その場所に彼は隠れるだろう】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 21:45:40.48 ID:HWzDyONto
>>45


ふ………威勢の良い女子じゃの。正義を背負い立つというからには、それぐらいは言ってもらわねば張り合いもない。

――――――――散開せよ! 始めるぞ!!


【老人は静かに、カズネの一挙手一投足を睨んでいた。その勝気な言葉を楽しそうに受け取って――――彼女が右掌を突き出したときにはもう、叫んでいた】
【『対外ボランティア』の三人が、その声に弾かれるようにバラバラに動き出す。元は単なる住人でしかなかったのだ、表情に焦燥が浮かんでいるのは仕方ないが】
【刀剣を盾としつつ、魔弾に対して移動し続けることで被弾数を少しでも減らす。多少なりともダメージは入ったが、残念ながらまだ昏倒にまでは至らないだろう】


なるほど、先に取り巻きを散らすか。悪くはない判断だが……。
ここは戦場。女であろうと手加減は出来ぬ――――この儂の前でそのような甘い判断を下したツケは、払ってもらう!!


【そして、カズネが放つ魔弾が自分に向かってこないと判断するや――――もしこの時、老人の動きにしっかり注意していなければ】
【気付いたら、老人が目の前にいた、と。そんな風に思ってしまうかもしれない。そうなった場合、この戦いは一瞬にして終わるだろう――――】
【……それは風よりも速い疾走であった。たったの数歩で、一秒に満たない時間で、老人はカズネの目前にまで踏み込み≠行い】
【打ち込まれるは神速の一閃。銃弾にすら匹敵しかねない速度を帯びたレイピアでの刺突が、カズネの喉元へ叩き込まれる!】

【一打目から脅威としか言いようがないが……刺突ゆえ、攻撃範囲自体はごく小さい。老人の尋常ではない速度≠ウえ見切れれば、回避はそれほど難しくなく】
【また、当たるにせよ当たらないにせよ、老人は突き出したレイピアを即座に引き戻す≠セろうか。これにより、攻撃後の隙は極端に小さくなるが】
【突き込みに全力を注いでいない分、威力自体はそう高くない。盾などの防御を貫通するほどの力は無いはずだ】


>>47


儂は君らに期待しておるのじゃよ。手加減などできぬ相手であって欲しいと。
女子供だろうが犬っころだろうが、戦場に立った以上は平等。
この儂を悪≠ニし、自分自身を正義≠ニ名乗るのであれば――――相応の力を見せてみよ。


【世にも奇妙な『喋る犬』が目の前に現れても、老人は薄ら笑いを浮かべるだけで別段驚きはしなかった】
【長い年月を経て積んできた経験が、老人に尋常でない胆力を与えているのだろう。言葉尻からも戦いにかける想いが強く伝わってくる】
【――――戦場に命の貴賤はない。人間だろうが化け物だろうが、死ぬ奴は死ぬ。老人の双眸はそう語り掛けるようで】
【……悪≠背負った老人は、それ以上を語らなかった。後は刃を交えて語るのみとばかり、犬の瞳を強く睨みつけ、吼える――――】


――――儂がこの女の相手をする! お前たちはその犬を押さえよ!


【時間軸としては、これは老人がカズネの方へ攻撃したのと同時である。そしてその指揮は、少しばかり不味いものであったかもしれない】
【老人はこの一瞬で、カズネが近距離戦を苦手としているのではと推測したようだった。近接戦を得意とする老人がカズネの相手をし――――】
【残る兵士達が戦法の読めないAzothを抑えるという、嫌らしい戦術。個人としての技量のみならず、戦術眼に長けていることが伺えた】


「了解! ……う、うわぁっ!?」

「この、犬風情がああああああああああああああああッ!!」


【その指示を受け、三人のうちの一人がAzothと老人との間に滑り込む。刀剣を構え腰を据え、Azothの爪を受け止める】
【老人と比べると彼らの技量はかなり劣るようだ。攻撃を受け止めた兵士は勢いに負け、そのまま尻餅をついてしまうだろうか】
【チャンスではあるが、しかし――――兵士が一人ではないことを忘れてはならないだろう。残り二人はその間に、Azothの左右に回り込み】
【狂ったように叫びながら、胴体へ向けて同時に刀剣を振り下ろす――――!!】

【……力任せの一撃ゆえに威力は高いものの、その分隙の大きい攻撃だ】
【回避することさえ出来れば、カズネの助けに向かうでも兵士へ反撃するでも、選択肢の幅は多いだろうか】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/06/14(土) 21:51:45.52 ID:23v+MdUk0
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/14(土) 21:52:49.55 ID:eGGuhRMe0
【街外れ――丘のある公園、ちいさな丘の上】
【満月から少し通り過ぎたお月様が真っ直ぐに世界を照らす、街灯は遠いが、十分すぎるぐらいに明るくて】
【しゃりしゃりと紙の擦れる音がして、ちょこんと座り込んでいた人影が動く、――ふと、視線を上げたと思えば】

…………雨降りそ、?

【そう呟いて――暗雲の立ち込める空を見つめるのだった、ぱちくり、疲れたように瞬く視線は、文字を追いかけすぎた代償】
【その手の中にあるのは新聞紙、これが、さっきから。時折がしゃしゃと音を出していたらしい、それをはんぶんこに折りたたんで】

【雲のほんの隙間に見える月を見上げてぼんやりとする、ふああっと欠伸なんて零せば、ずいぶんと気の抜けているのが窺えて――】

【空とよく似た色をした真っ黒の髪色、三つ編みにしたハーフアップが湿っぽい夜風に揺れて、緩く靡き】
【黒色と赤色のオッドアイがまあるく艶めく、それから――右の耳にだけ付けられたピアスが、きらっと煌いて】
【白色のブラウスに締めた濃灰色のリボン、黒を基調にしたジャンパースカートは、パニエにふっくらと膨らんでいて】
【爪先の丸い木底靴は爪先をきちんと揃えた体育座り、その足をぐーっと伸ばしたなら、膝の上に両手を置いて】
【――少女だった。こんな場所で新聞を読んでいるというのは、すこしだけ、不思議だったけれど――】

降るのかな……、……傘持ってないや。

【両足の間に手を入れて。疲れた足をぱたぱたとすればそのたびにスカートがひらひらと揺れる、太ももが僅かに覗き】
【じっとりと湿った風は遠くの雨の気配を連れてくる、まだ降り出しそうにないけれど――気をつけるに、越したことはないはず】

【――とりあえず。宝玉の欠片を身につける少女はぼんやりと雲を見上げることにしたらしい。その視線の先を、鴉が一羽通り過ぎて】
【かーっと鳴き声が置き去りになる、物音といえばそれと、風の音ぐらいで――静かな、夜ではあった】

【(その少女が身につけた宝玉の欠片から零れる水属性の濃い魔力、それが、静かなままで確かな存在感を放ち)】
【(静かではあるのだけれど、不思議とその少女の姿は目立つのだった。ぱたんと足が地面を叩いて、しゃらと微かに鳴る草の音)】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/14(土) 22:02:48.46 ID:RQaY++klo
>>54
だろうな

【予想していたかのように、あきらめにも似た一言をぽつりとつぶやく、犬】

生憎、私は自身を正義とは思ってはいない――悪でもないがな
――爺さんが戦いに楽しみを見出しているように、私は戦いを持って示すだけだ
……正義はそれに付随するだけだ

【自身のために目的のために"正義"を背負った男……いや、雄】
【その犬は老人へととびかかり……ものの見事に間に割りいられる】

(疾い……)

尻もち程度でよかったな!これが銃だったら死んでいただろうな!

【そしてタンッと自身の爪を受け止めた剣を押し、そのまま空中で後転……迫る剣を避ける】
【どうやら、魔法を使うわけでもなく、特殊な能力も見られない、犬の身体能力で回避している】

悪いが必要以上に傷を負いたくはないからな

(あいつを抑える必要がある……あの三人は威力はあるが避けることはまだ容易い)

【チャッと爪がコンクリートの床に擦れて音が立つ、カズネの方を見れば近接戦を強いられている模様】
【パッと見たところ彼女は魔術師のようであり、そういう人間は往々にして近接が苦手なものである】
【この犬の勝手な思い込みだが、それは今回は的を得ていた】

(待ってろ……!)

【既に"突き"の放たれた後、もう勝負はついているかもしれない】
【だが、もしそうだとしても背後を討たれるよりはましである、そう考え、犬はカズネと老人の元へと駆け、二人の間に割り込もうとするだろう……!】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 22:05:52.92 ID:wOk9VgKho
>>54

やっぱりアンタが頭って訳ねっ!

【連射が終わった爪から小さく煙が立ち上る】

【老人の指揮により結果魔弾は目的を果たせなかった】
【当初の予測通り彼がこの場を纏める頭で間違いはないようだ、そしてつまりそれは――――――――】

(アイツを倒せばこの場を治める事も可能ってコト!!)

【ここで兵士から老人へと目的をシフトさせる】
【魔翌力の流れを視覚的に捉える錆の瞳は強く老人へと向けられる】

【それにより老人の動きが僅かとはいえ捉えられたのは幸いだった】

払うも何もっ―――――――はやっ!?

【息を呑む程度の刹那言葉を返す間もなく彼はいた】
【死がここまで近くにあったことはなかった、幸い?目の前に迫る死を見る事が果たして幸いなのか】
【叫び声をあげる暇もなしに、必死にその場にしゃがみ込む風が吹き込む音が聞こえたのは気のせいではない】

このじいさん!冗談じゃ、ないわよっ!!

【この老人は間違いなく自分の天敵だった、極端に高鳴る鼓動と額を流れる冷や汗が語っている】
【とにかくこの厄介な敵を引き離さなければ打つ手がない】

【声と共に3つの爪のその先端部及び中腹部の装甲を展開、装甲が下がる事により内蔵している魔翌力炉が露見】
【そして内包する魔翌力を放ち剣状に形成、実体なき魔翌力の剣は奔流により焼き切る為のもの】
【3つの火線ともいうべき剣をただ無作法に老人の腹部に向けて薙ぐように振る】

(迎撃、迎撃、迎撃――――――――!)

【今必要なのは距離という概念だ、自分の必殺の間合いを保たなければ勝利はない】
【右方に構える3つの爪は再び回転を始めざっくばらんに魔弾を放つ】
【正確な弾道計測は一切ない、ただ相手を引き離したいが為の攻撃……】
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/14(土) 22:08:51.07 ID:hRpym2aVo
>>46>>49>>51

【―――ほんの一瞬だけだったが、セリーナは目を伏せた。そして止むを得ない、そう判断したのだろう。】
【すかさず名銃・コルトSAAを引き抜き、腰元で素早くファニング、クイック・ショットを決めようとした―――その時。】
【まず、結論から言えば弾丸は放たれなかった。兵の持った銃器を狙って放たれるはずだった45.は、放たれる事無く、銃毎地に落ちる。】

【そして更に言うならば―――その唐突な"爆発"、兵の護っていたプラントの崩壊の余波を受け】
【セリーナは爆風で吹き飛び、兵士達同様、風と地面に叩き付けられたダメージで幾つか、身体を痛めるが―――】
【それ以上に、彼女は激怒していた。痛む身体を押さえて無理やりに立ち上がり、その光景に眼を奪われ―――瞬間、吼える。】


         ―――――――グ、ラ、トン……!! ――――おまえ……ッ!!

                  それが―――……それが、"仲間"に向ける言葉かァッ!!


【手駒、確かにその通りなのだろう。役目が終わった、それも正しいかもしれない。だが、だがしかし。】
【彼等は半数が街の住民で、そしてもう半数はグラトンの、カノッサの仲間であったはずなのに―――この仕打ち。】
【奥歯をぎりり、と噛み締め。彼女は吹き飛んだコルトを拾い、素早く"弾"末魔を引き抜くと―――もはや、躊躇もせずに。】


          『パーム・オブ・ストレングス/剛毅の掌』―――起動、アーマードチェンジッ!!
  
              騎士怪醒――― ティターン・アーマー "RV" (レボリューション)

/続きますっ
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/14(土) 22:09:06.27 ID:hRpym2aVo
>>46>>49>>51

【瞬間、彼女の身につけていた新型装備―――シンボリックウェポン、"剛毅の掌"が起動、変形。】
【通常状態ではガントレット型の装備であったそれが姿を変え、"弾"末魔の銃身に覆いかぶさるようにすると】
【ストック、狙撃スコープ、超ロング・バレルが"Colt Navy 51"のボディに追加装備として備わり―――刹那、発砲ッ!!】

【以前よりも威力を増した強烈な"魔弾"が、紫と黄金の交じり合った閃光を放ちながら眼前で停止、すかさず召還陣を起動ッ!】
【進化した"弾"末魔が放った召還陣は、蒼白いソレではなく美しい黄金に輝いており、その前面がセリーナの身体を透過した、瞬間。】
【セリーナはセリーナで、なくなっていた。太古の巨人族、ティターンの皮膚を模した強靭な魔力装甲の魔導鎧を装着し、怪物の様な姿に】

【―――だが、以前にティターン・アーマーを見た事がある者ならば、今回呼び出されたその武装に変化がある事に気付くか。】
【まず眼を引くのは大きな群青色のマント―――ガンマン風の装備に例えるならばポンチョにも似たそれは、対刃防弾の特殊繊維で】
【その上両腕部には二対の巨大なガントレットが付加され、更に胸部装甲、脚部装甲も追加の鎧で大幅に防御力を上昇させている。】

【そして見た目に一番大きな変化と言えば―――背中から肩にかけて装備された一つの巨大な"魔装銃"の存在。】
【折り畳み式の副銃身を持ったそれは控えめに見ても強烈なインパクトを残し、そして頭部、主に眼の部分には追加で】
【スカウターの様な装備も現れており―――つまり、ティターン・アーマーは"進化"していた。それも、革新的<レボリューション>に。】


  グラトン……此処にいた兵士達は、半分は町の人間、そしてもう半分は、アンタの仲間だった人間達だぞッ!!
  それを、こんなに……こんなに、傷つけて……あまつさえ"嘲哂う"その腐った性根、今度こそ……

  今度こそこの―――セリーナ・ザ・"キッド"が、完全に叩き潰してやるッ!!

  新しく手に入れた、『パーム・オブ・ストレングス』と―――進化した、"相棒"<弾末魔>の力でッ!!


【叫んだセリーナは咆哮の織り成す"音"の衝撃波を防ぐべく、マントを翻し前面に展開ッ!】
【すかさず襲い掛かった衝撃波を防ぎ切るが、それにより防護繊維は消耗、そしてセリーナ自身も後退、したが】
【―――それを物ともせず、彼女はマントを翻すと爆走、重い鎧のボディを風の様に奔らせ、そして両腕部の武装を起動ッ!!】


  "コイツ"が―――生まれ変わったティターン・アーマーの、新しい武器だッ!!
  
【両腕部の副次装甲が展開すると、そこから特殊な形状をした銃口が左右の腕に一つずつ現れて】
【セリーナが両腕を構えると、その動作に伴い銃口は一斉に光り輝き、弾丸を発射―――否、放たれるのは弾丸ではなく。】
【もっと大型で、そしてそれでいて"矢"のような形をした特殊な―――ティザー・ダートだ。つまりは、電撃を発生させる鎮圧武装ッ!!】

【対人用の護身武器として活躍する、電撃を与える事で敵を無力化する小型の物は民間にも存在するが】
【このティターン・アーマーRVに装備された両腕のティザー・ショットは電力の大きさを自在に変化させられる優れもの。】
【民兵に対しては痙攣で済むレベル、そして強大な生命体に対してはその行動を阻害するような強烈な電気ショックを―――放つッ!!】

【ダートが命中すれば、そこからは肉体の、筋肉に作用するような高電流の電気ショックが一定時間、流出する。】
【セリーナの両腕から放たれたダートの数は左右二本ずつ、計四発の矢が巨大なボディめがけて直進するだろう。】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 22:12:34.12 ID:BIqpxMrLo
>>43
【影。自分たちの巨体すら、覆いつくさんとするそれは、古き正義の軌跡】
【視線を上に。大男の単眼と熊の両眼が捉えたのは。純白の巨鳥であった。幻想的とすらいえる光景は、惨劇の地には似つかわしくない】
【以前の目よりも高性能な単眼が、それを"折り紙"であると持ち主に伝え。持ち主はそれを受けて醜悪な笑顔を顔いっぱいに浮かべた】
【この男は、知ったのだ。今宵の敵の片割れが、何者であるかを】

――――貴宝院 織守ィィィィッ!!!

【放たれた矢の如く、まっすぐにこちらへと降りてくる彼女の叫びを受けて、大男も叫び返した。倒すべき正義≠フかつての名を】
【叫びと共に放たれたのは、"紙飛行機"。彼女の扱うそれが、いかに侮れない武器かは身をもって知っている】
【早く鋭く、だがそれゆえにその動きはよく見えた。大男は、バトルアックスを振るってそれを迎え打つ】

【斧の刃が、紙飛行機の先端を弾き、攻撃力を低下させると同時に軌道を自分から外す】
【地面に紙飛行機が突き立てば。体勢を立て直して、大男は降り立った彼女の姿を視界に捉える】
【抜身の殺意が、こちらへ叩きつけられる。空気がビリビリと震える。この場に染みついた腐臭すら、蹴散らすほどに】

こうも早く再会の時が来るとはな――失意の目覚めからは、立ち直ったというわけかね?
ハハハ、今更念仏など唱えたところで、神も仏も我々は救えないだろうよ。ならば、お前たちへの呪詛でも吐いたほうが、まだ有意義というものだ
お前たちなら、念仏も意味があるだろうがな。一つ、唱えてみたらどうだ

【向けられる敵意、殺意に真っ向から悪意を持って相対し、醜悪な笑みで吐き連ねる。その単眼の前で、構成されていく折り紙】
【彼女の戦闘態勢。それを先に潰そうと、カニバディールが身構える。が、もう一人の正義がそれを許さなかった】


>>52
おっと、新手か……

【パラシュートを空中で外して、地上に受け身を取って着地。鮮やかなものだ。感心したように、大男が息をつく】
【現れた男は、第二の敵。初めて見る顔だが、相手は自分を知っているらしい】

その通りだ、私がカニバディールだよ。それで、お前はどこの何者だね? 名前と所属、くらいは聞かせてくれてもいいだろう?

当然だな。戦場で、敵を生捕ることを考えているような余裕などあるまい
だが、殺すのはお前だけだと……? それは少々、うぬぼれが過ぎるぞ

【単眼が、彼の灰色の視線を睨み返す。ここでは、彼は正義であると同時に戦士だ。投げつけられる言葉も当然といえよう】
【と、彼の力が発動する。スロットマシンの出現。さすがのカニバディールも、わずかに面喰った顔をする】
【ルーレットの回転、示された数字。召喚される武器。容赦のない、弾丸の嵐】


ぬう――!!
「ゴガアアアアアアアアアア!!」

【放たれた弾丸が、二体の異形を襲う。カニバディールは、作業服の袖を押し破って膨張させた肉塊で、その大半を受けた】
【肉塊の表面にいくつも穴が開き、血が流れるがその量は大したものではない。肉を盾にして致命傷を防ぐ、カニバディールの常とう手段だ】

【一方の巨熊。カニバディールの肉が銃弾のいくつかを受けるも、全てを捌き切れはしない】
【必然、その身を銃弾に射抜かれる。が、そこはあのグラトンが作り上げた生物兵器。ダメージはあれど、倒れはしない】
【厚い筋肉と適度な脂肪、全身の剛毛がダメージを軽減。カニバディールと同じく、鮮血を流すに留まった】

ぐ……なかなか愉快な能力を使うな……

/続きます
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 22:12:53.60 ID:BIqpxMrLo
>>ALL
さて……この場の役者は揃ったらしい。それでは、改めて紹介しよう
『ウェンカムイ』。RAGNAROK LABORATORYが産み落とした狂気の生物兵器の一つだ
開幕から無粋な銃弾を浴びてしまったが、何、獣は手負いでこそ獣だよ。なあ、ウェンカムイ……

【背後の熊を指してそう言いつつ、カニバディールが熊の側を向く。と、熊がその身を地面に伏せた】
【カニバディールが、素早くその背によじ登り。バトルアックスを構えた】

【音が、聞こえ始めた。これは、口笛の音だ。高く低く、正確な音程で奏でられる口笛】
【その主は、眼前のカニバディール。この異形には似つかわしくないほどに澄んだ音色だった】
【能力によって身体に生やした口でもって吹く曲目は、有名な童話で使われているものだった】
【力持ちの少年が、勝負で負かした熊を子分にして活躍する、そんな筋の童話。そのテーマ曲】

【それに反応したかのように、ゆっくりとウェンカムイが立ち上がる。そこに現れたのは、斧を携えた肉の怪物を背に乗せた熊の化け物】
【童話になぞらえたつもりか。それにしては、醜悪にも程があった。カニバディールの表情は、笑う形に歪んでいる。一片のユーモアも含まない、悪ふざけ】


【ともあれ、戦闘態勢が整う。わずかな沈黙は、熊によって破られた】

「グゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

【広場を揺るがす咆哮と共に、ウェンカムイが地面を蹴って駆けだした。四足での走行。データでは、最高時速81km/hを記録したというほどの俊足】
【向かう先は、>>52のミハエル。瓦礫を蹴散らしながら、まっしぐらに迫っていく。巨獣の突進、しかも角のおまけつき。直撃すれば、無傷では済むまい】
【突進自体は見切りやすいが、四肢がまき散らす足元の瓦礫が厄介だ。ランダムに飛び散るそれらも、当たればその身を削るだろう】


【ウェンカムイにまたがるカニバディールは、単眼を>>43のカミナへ向ける】
【バトルアックスを振りかぶると、柄のマギタイトが光り始め、その刃に魔力の光が纏わりつく】
【横殴りに、空中で斧が振るわれた。ミハエルに向かっている以上、カミナとの距離は離れているはずなのに。だが、この武器はその距離を踏み越える】

【マギタイトによる魔力を付与された光の刃が、空中を滑るようにカミナへと向かっているのだ】
【命中すれば、その身に熱による火傷を刻まれることになる。軌道はやはり単純、しかし横に広がった光の刃の攻撃範囲は広い】

【ミハエルに向かう熊の突進。カミナへ迫る光の刃】
【二人はいかにしてこの攻撃に対処し、熊に乗った単眼という醜悪な合わせ技に対抗するのか――】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/14(土) 22:17:51.07 ID:f3A5+C4so
>>49-51,59-60
「――ちィ……ッ!!」

【五感を強化し、思考を加速していたのが功を奏した】
【眼前で生じた爆発。無数の瓦礫の群れ、一歩前に出ている己。取る行動は決まっていた】
【右腕をホルスターに伸ばし、リボルバーを引き抜いた。都合六度、狙いなど決めること無く引き金を引く】
【放たれる弾丸の群れは散弾。Taurus M513 JUDGE MAGNUM=B世にも珍しい散弾拳銃≠セ】
【狙いはなく、ただ放たれる散弾によって瓦礫を散らすことを目的としたその行動は成功。致命傷は無かった】
【手早くベルトポーチからムーンクリップを取り出し、排莢。弾を入れ替え谷山はジャッジをホルスターに戻した】

【爆風を突き抜けて現れたのは、無機質と有機質の混ざり合った異形そのもの】
【それを見て、それを認識して。谷山は口元に笑みを浮かべた、正義を名乗るには余りにも歪なそれを】
【ばちりと紫電が神経系から放出される、右目と左腕から放たれる燐光が光量を増す、負の気配が増幅していく】

「――おーおー、醜いねェ糞野郎。
どーしてくれんだ、俺のサイトに載せる前に画像処理してモザイク掛けとかなきゃならねーじゃねーかよ。
……改めて理解したぜ。お前は敵だ。お前がお前にとっていくら正しかろうか知ったこっちゃない。
俺の正義の敵は、俺が斃す。俺が許すことも一つだけだ。『死ね』ゴミクズ――――ッッッ!!」

【言葉を連ね立てていく。その言葉が連なるほどに谷山の瞳には、言葉には、姿には熱が宿っていく】
【己の正義の敵≠斃すという強い意思の発露は、燐光の増加で如実に現出する】
【左手を右目にかざす。右目をえぐり出さんとばかりに強く強く、爪を立てて戦意を解き放つ】

「Hello World――――Over Clock!!」

【谷山の左腕だけに浮かんでいた黄緑色のラインが、右目の周囲に広がっていく。皮膚の一部が結晶化した】
【顔や首元から突き出る黄緑色の結晶は、アートマン体。生体とアートマンが混ざり合う谷山もまた、異形だ】
【そして、そのコンマ数秒後に襲いかかってくる咆哮。それに対して、谷山は息を深く吸い込んだ】

『シャアァ――――――!!』

【吐息に混ざるライムグリーンの燐光、結晶。そして強まる気配は――哲学者の卵のもの】
【与えられる恐怖と絶望を、谷山は己のよく知る狂気で上塗りした】

「ッハハハハ……! クズだなァテメェ。
だから死ね。――セリーナ! ライラ! 俺が隙を作る! テメェらは隙が出来たら好き勝手すればいい!!
んじゃ、死んでも死ぬなよ――ッ!! Code-BlackOut!!」

【左腕に纏わりつく燐光を収束し、腕をなぎ払うことで視覚化されたデータの波動を前方へと解き放つ】
【強い光は視界を遮り、触れたならば神経系に大量の不要な情報を送り込むことで、五感に異常を起こす効果を持つ】
【そして、右腕を跳ね上げるようにして動かし、その光の後に銀色の線を引く。ダガーナイフだ】
【それにもまた、違う効果が載せられている。当たってもダメージこそ殆ど無いだろうが、神経系を強化≠キる効果を発現させるものだ】
【痛覚を異常に励起させ、些細な動作にも痛みが付随する状態を起こすそれ。全身知覚過敏≠ニも言える異常だろうか】
【それらのどれもが、それ単体ではグラトンを斃すことは決して適わないもの。だが、それ以外が有れば良い】
【そして、今此処にはそれ以外がある。だから谷山は――徹底して相手を妨害し、隙を作ることに注力することとした】

(――いざとなりゃ、奥の手の奥の手。
4つ以上は使ったことは無いが。やってやるしかねェな、やるしかよォ……!)

【己のベルトポーチのポケットの一つに収まる哲学者の卵。それに意識を向けつつ】
【谷山基樹は鞘に収められていた肉厚の短刀身タイプのシースナイフを右手に握り、左手の中指と人差し指を滑らせた】
【そして、五感に意識を向ける。今から得られる情報は、全て敵を倒す術の策定とプロファイリングの材料となるものだ】
【相手の肉に覆われた関節部の構造、全体の筋量、重心のバランス、装甲板により阻害される動作範囲】
【異能を使用しない場合でその翼を用いることでどの程度の高度まで飛行が出来るのか、持続時間はどの程度か】
【その見ているだけで不快な異形の姿を、谷山は五感の全てを思考の全てを用いて認識し、分析を開始していた】
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 22:30:27.05 ID:ciHM2vAzo
>>51 >>59 >>63

「……そうか、あっちの方が『対外ボランティア』って訳な……!」

【二種に分けられた制服と、恐慌とその制御に大別された彼らの反応は一致している。機関兵と対外ボランティアの見分けは一瞬で付いた】
【問題は、彼らをどう捌くか―――。見れば、対外ボランティアの方にもその様子がおかしい人間が居る。彼は、他よりも『一歩進んでしまった』のか】
【そんな彼らを魔法で、或いは二人の能力で、どうすればいいのだろう――――――そんな思考は、最初から必要なかった】


「クッ――――――ッ!!! なんだ!? 何、が――――――」

【突然の爆発。兵達は対処できなかったのか、はたまた対処など初めから想定されていなかったのか、その爆炎に次々と命を散らしていく】
【そんな一瞬の出来事の中、ライラには彼らを救う何て英雄じみたことは出来なかった。出来たのはただ、顔を腕で覆ってその熱気から逃れることだけ】
【遂には耐え切れず、後ろへと転がり、そして止まる。立ち上がった刹那、飛び出してきた『何か』に反射的に言葉を紡ごうとして―――口が止まり、息が詰まった】


「――――――あれが……、アレが人間だったっていうのか……!?」


【巨大で、おおよそ人間とは思えないような色で彩られた体躯。背中からは翼が生え、肩からは触手。その先端には少女の上半身】
【人体と機械をミキサーで混ぜ合わせたかのような胸の構造。そして頭は最早人頭ではなく、半透明の蛸。一つの脳が、もうひとつの脳を絡めとる】

【―――冒涜的だ。しわがれた声は、正しく出撃の前に聞いたグラトンというカノッサのNo.6。悪魔を体現した科学者のそれそのものだ】
【しかし彼も、また人間のはず。それが、コレの元の姿だというのだろうか】
【ライラは、沢山の異形の者を見てきた。特に、機関No.29の彼とは因縁が深い。だが彼も、その配下である盗賊団も、コレのようではなかった】
【こいつは既に、人間の領域を大きく外れているのだ。人間を止めたその怪物。もう人に戻ることなど出来ないのだろう】

「ッ……テメー……やってくれるじゃねーか。
 セードムシティの住人だけじゃなく、カノッサの兵まで捨て駒ってか? 笑わせてくれるぜ……。


 本ッ当に! 舐め腐ってんじゃねーぞグラトンッ!! その自慢の体、テメーの目論見ごと徹底的にぶっ潰してやるぜ!!!」

【直後、襲い来る咆哮に対してライラは防ぐ術を持っていない。だが、持っていなくても十分だった】
【なぜならば、ライラには精神力があったから。何度倒されても決して折れないそれを】
【数々の英雄たちに比べればまだ脆くても、グラトンの咆哮に十分耐えきれるような強靭なそれを持っていたから】


「  F  2  S  1  ! ! !   F r a m e   B o m b e r ! ! ! ! 」 


【防ぎきれば今度は此方の手番。赤と緑のブレスレットが減光し、ライラの眼の前に現れた同色の魔法陣を杖で思い切り突き上げれば】
【出現したのはサッカーボールほどの紅い球体だ。それが放物線を描き、さながらサッカーのループシュートのごとくグラトンへと迫るだろう】
【何も障害がなければ当たるのは胸の辺りだが、もし何かに当たることが有れば、その瞬間その球体は炎と衝撃波をまき散らして爆発する!】
【だが、グラトンの体と比べればその攻撃翌力は大きくないかもしれない。様子見の攻撃をしかける所、ライラも強かさを手に入れたようで】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 22:31:04.30 ID:LzO/A2hTo
>>53

「――――ッ!!」

【何も言い返すことなく、銃の安全装置を解除した瞬間にジャンクちゃんが前に飛び出し、跳ね上がる】
【飛来してくる弾丸、その内ジンジャーの体を貫きかねない軌道の数発を見極めると―――そのまま弾丸めがけてジャブを放つ事だろう】
【防御し終えた所で、指の関節に引っかかった弾丸を払い落すと、改めてジンジャーの方に視線を向ける】

【彼は反応を返さない事には特に気にする事もなく、先ほど手渡されたスーツケースをその場で開き、中身を改める】
【その中に入っているのは精巧な機械のアイテム―――中央の丸い部分は『W』とエンブレムが塗られたシャッターで閉じており】
【その両サイドに球状の窪みと長方形のスリットのあるアイテム―――その中身をがし、と掴むのを見ると、侍女はそのまま言葉を続ける】


「―――≪ワイルドライバー≫、最終調整まで全て完了したしました
しっかりと作動すれば、97,4%の確率で起動テスト時通りの動きは問題なく可能でございますデスヨー」

よろしい、では君―――今のは宣戦布告と受け取って問題ないね?
前回のアンジェル君の時とは事情が大きく違うからな、私に君をぶん殴る事に躊躇いなどない、やめておくなら今のうちだ


【最後の警告を済ませたならば―――彼はそのままその機械を下腹部に当てると、そのまま彼の腰に銀色の帯が出現し、そのベルトの装着が完了するだろう】

【彼がその腰に装着した楕円形の機械のベルト――≪ワイルドライバー≫、相手から見て右側には丸い窪みがあり、手の平サイズの球体をはめ込むことができそうだ】
【そのすぐ隣の中央の円形のパーツ、『W』と書かれたエンブレムの塗られたシャッターが開く事で、その中央にはやや大き目の風車が搭載されていることがわかるだろうか】
【最後に左側には長方形のスリットがあり、なにか四角い端末をその部分にはめ込む事ができそうだ】

【ジンジャーが両腕を交差しながら前に付きだし、左手の赤い"哲学者の卵"、右手の彼用のW-Phomeを相手に向けて突き出すと、まず彼は軽く宙にスピンをかけながら卵を宙に放ると】
【すぐに勢いよく卵をキャッチして丸い窪みの所にそのままジャコン!と音を立ててはめ込んだ!】


≪―――――incubator Standby≫


【電子音声が流れるとともに右手の端末を顔の横に引き、左手の人差し指で『W・I・L・D』とタップ】
【左手の拳を握り腰の所まで引いて、右の端末を左斜め前に突き出し、ゆっくりと頭上で半円を描き】
【最後に左手の指を開いて右斜め前に突き出し、右手の端末をベルトの左側の長方形のスリットにセットしながら―――!】


変……身 ッ !!

≪Chenge now   ―――   Fight power!Fight power! Fight Fight Fight Fight fa・fa・fa Fight!≫


【叫んだ直後、軽快な電子音声が鳴り響くと同時に傍らのジャンクちゃんがその場で粒子化し始め、彼の体に纏わりつく】
【そのままはめ込んだ卵が縦に割れ、その中から眩いばかりの光が勢いよく放たれる――――!】

/続きます
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 22:31:26.53 ID:LzO/A2hTo
>>65続き

【そして、その光が完全に収まったのならば、その場にいる人物が一人減って、その場には見慣れない『戦士』の姿が残っている事だろう】

【それは、彼が"WILD"時に愛用していた穴の空いたホラーマスクをベースに、それぞれ両目の位置に赤く大きな複眼が二つ】
【下半分の口のあたりに虫の歯のような装飾と額に下三日月型の装飾が施された、異形の面で頭部を覆われていた】
【そして白を基調としたアームドウェアに身を包み、銀色の鋼鉄製素材で胸部のアーマー部分やアームガード、フットガードなどの防護用の装備が施されている】
【なにより大きく右肩からはみ出したショルダーアーマーが目を引き、その表面に≪W-1≫と刻印されている】

【そしてベルトの左腰には帯刀するように先の戦いで使用した『クラークタクト』を携えており、右腰には複数の卵のホルダー、その背中には赤色の機械型の弓矢を背負っている】

【突如、男の目の前で誕生したその戦士は機嫌がよさそうにその武装に覆われた自分の手を見て、手指をグーパーしながら呟く】


ふふ、いいじゃあないか……問題なく起動したようだな、なかなかの着心地だ
さて始めようじゃあないか名も知らぬ戦士よ、そんな所に身を隠していないでな―――!

『―――Arrow now』


【ベルトの端末、画面の表示キーを数字表記にし、『109』とタップ、すると上記の電子音声が鳴り響き】
【背に手を回して出現したその弓矢の持ち手を手にすると、弓の両サイドから鋭いブレードが展開、さらに矢の部分が前に突き出て発射用意を完了させる】
【そしてそのまま鏃を摘み、男の逃げ込んだ土嚢の方向に狙いを定めるとキリキリと引き絞り―――】

【その手を放すと矢の先端から赤い光の矢が勢いよく発射される!――――思いのほか貫通力も高く、このまま身を隠していると土嚢ごと貫かれてしまうだろう】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/14(土) 22:33:48.92 ID:Q9JMlHKxo
>>48

【―――去年よりも、運が悪い。爆炎が視界を覆わんと襲い掛かった瞬間、そのような憂鬱な想いが彼の心内に充満していた】
【約1年前になるだろうか。あの時もこの町のこの場所で、機関員を相手に死闘を繰り広げた。その時の敵はもう少し落ち着いていたが今回はどうやら―――正反対らしい】
【悪意が命を奪わんと差し掛かる。そのギリギリの、瞬きすら許されない薄く細い時間の切れ目で―――ペンダントの宝玉が輝き、芳醇な魔翌力を一気に放つ】
【―――しかし彼の姿は爆炎が完全に包み、続いて轟音が殷々として鳴り響きながら追撃の焔が彼の居る位置めがけて何度も何度も飛来していき―――】

【―――音が鳴り止んだ頃には、本来の姿とは大きく離れた凄惨たる町並みがあった。どれほど猛烈で暴力的な攻撃だったかを、十二分に示すほどの崩れた姿だった】
【……煙が段々と薄くなっていき、彼が居たはずの場所がどうなっているのかを明らかにするだろう。形も残らず焼け焦げて死んだのかどうかを】

―――……くっそ、いきなり3発と宝玉使っちまったぜ……あー、クイックドロウなんて慣れてないことやったから左の人差し指がヒリヒリしやがる……
―――ったくよォ、姿が見えた瞬間この有り様ってホント……涎垂らした獣かっての。そんで格好だけはお上品なんだからさ……。

【―――氷の、ドーム。そう言える不自然極まりない透明なオブジェが、彼が居た筈の場所に造られていた】
【そしてその中に彼は居た―――彼女が攻撃を放った時から、一歩も動くこと無く。両手で握られた蒼い拳銃を見れば、どうやら氷のドームがこの銃によるものだと推測できる】
【かなりの厚みをもった氷のドームも、所々凹んでいたり、薄くなっていたりと数多の傷を負っている。ロウはドームの薄い部分に軽く前蹴りをかませば、脆く氷は砕け散った】

うわ、こりゃ下手すりゃ死んでたぜ……宝玉込みの「Ice cocoon」でもコレってどんな威力してんだよ……

【氷の繭からひょっこりと顔を出し、そして彼女の正面―――大体7,8m位の間合いまで歩めば。右手を蒼い銃から外し、そして空いた右手に赤い拳銃を具現化させる】
【その銃口でクイ、と押し上げたのは被っている蒼のソフト帽。灰色のジレに羽織られた白いシャツの右肩部分には、SCARLETの所属を示す紋章】
【ジーンズが履かれた腰には、2丁拳銃専用のガンベルトが巻かれており、そこには今握っている銃ではない、赤と蒼のリボルバーが収められている】

【そして首元には、宝玉のペンダント。そこから発せされる特殊な魔翌力を感じ取れたなら、其れが異質なモノ―――更に勘が良ければ「宝玉」であると解るだろうか】
【カノッサ相手に宝玉を晒す行為は、追われる覚悟を背負うと言う事。そして其れを跳ね返す自信も見える行為でもあった】

/すみません続きます
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/14(土) 22:34:13.08 ID:Q9JMlHKxo
よう、下品な獣ちゃん。俺はエレガントに、紳士的に振る舞わせて貰うぜ。―――櫻の国のニンジャの一部には、お互いに礼をして名乗ってから闘うって文化があるらしい。
流石に礼まではしないが、名乗りぐらいはしておこうかねェ。 ……ロウ。マーシャル・T・ロウ……UTじゃあないが、アンタの言う通り正義の味方さ。

―――死ぬまで……ねェ。それ、撤回したほうが良いぜ?……俺は「不殺」だ。俺もお前も死なねェよ。
あとさ……俺銃撃以外センス殆どねェんだわ……つまりダンスは―――ド下手ってことだよォッ!!!

【会話の端々に見える余裕は、あくまでも演出。彼は彼女のような破壊的な威力の全体攻撃を持ちあわせていないが、盤面をコントロールする能力には長けている】
【この余裕や軽い挑発を魅せつけることも、コントロールの為の重要な要素。紺碧の瞳には清冽な光を湛えて、その中に使命感の蒼い炎を隠す】
【この「ケモノ」に付き合うような闘うをすれば、圧倒的な暴力の前に叩き潰されるのがオチだ。自分らしく、老獪にトリッキーに、そして苛つかせるような立ち回りで】
【―――不殺を、実現してみせる。軽い印象の男かも知れないが、背負う使命はとてつもなく重い。ソフト帽に隠された頭脳がフル回転し、そして思考が行動へと変わる―――!】

/>>67の続きです

【使っていない右銃がまず唸りを上げ、彼女の足元へと差し掛かる。とは言うが、彼女が一歩も動かなければその弾丸は手前で地面に当たるだけだ】
【しかしその弾丸は飛来しながらも赤く輝いており、その正体は「灼熱弾」。地面に当たれば3秒ほど火柱を上げて、うまくいけば彼女の視界を炎で包み隠す妨害を果たす】
【つまり本命は左。―――左の蒼い銃が遅れて唸りを上げれば、それも先程と同じく地面へと飛ぶ。しかしこの場所、彼女が破壊の限りを尽くしたことも有り―――】
【……彼にとっては戦いやすフィールドへと変化していたのだ。その理由は、弾丸の軌道を辿るだけで説明できるだろう―――】

―――……アンタに比べりゃ地味だろうが、こいつが俺の「牙」だッッ!!

【―――……跳弾。ロウの十八番であり生命線。これを実現させるのは、様々な障害物。砕け散った石片や、崩れた家から見える鉄筋などは彼の味方なのだ】
【巷では跳弾の軌道を賞賛して彼を「不殺の跳弾アーチスト」などと呼ぶ変わり者を居るようだが、今宵の彼は違う。芸術家ではなく、猛獣を捕獲するハンターだと言えた】
【跳弾してVの字を描いた弾丸は炎の膜を抜け、彼女の右肩へと襲いかかる。殺意を振り撒くこの猛獣を、殺さずに捕まえる為に―――!!】

/こちらも遅れて申し訳ないです、ロウですお願いします!




69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/14(土) 22:35:14.86 ID:Q9JMlHKxo
>>48
/すみません、変な所に「>>67の続きです」と入ってしまいましたが無視してください……
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 22:45:29.48 ID:umqR4nS+o
>>57


儂とて、戦いを楽しむためにここにいるわけではない――――君と儂は同じようじゃな。
目的のための行動が結果として、君は正義≠ニなり、儂は悪≠ニなっておる。ただ、それだけよ。


【Azothの言葉を聞くと、老人は変わらず楽しそうに、しかし少しだけ寂しそうに目を伏せて、そんな言葉を掛けた】
【戦いを楽しむ心がないわけではない。しかし老人がこの場で戦い、そして二人を殲滅せんとするのは、あくまで自分の目的のため】
【それ以上は、やはり語らなかった。老人は一度だけAzothを見やり、すぐに兵士達へ強い視線をやった】


「っ、黙れ! ケモノの分際で! 俺たちの邪魔をするなぁっ!!」


【一人は防御に失敗して転び、二人は攻撃を回避されて。その隙を突き、Azothの体が躍動する】
【しかし兵士達も、黙って見ているわけがなかった。老人の方へと走るAzothの背中へ侮蔑の言葉を吐いたのはいま転ばされた兵士】
【彼はすぐに起き上がるとAzothを追いかけ、右手で刀剣を投げつけるだろうか。狙いは脚、当たりさえすれば相当のダメージにはなるが、大雑把な攻撃だ】
【……ただ、そちらは本命ではない。兵士は代わりに、腰元の柄のようなものを引き抜いて機構を作動させ――――柄から繊維≠ェ伸び上がる!】


「行かせるかクソ犬――――――ッ!!」


【――――出来上がったのは鞭≠ナあった。『F-339』、マイティロッドとも呼ばれるFシリーズ≠フ可変武器だ】
【兵士は恐怖に突き動かされているような表情で鞭を振り回し、その背中へ打撃を叩き付けることで、老人との間へ滑り込まんとするAzothを妨害する!】
【こちらも当たりさえすれば威力は高いが大雑把。ただ、先に投げた刀剣の方に気を取られた場合、回避はそれだけ難しくなるだろ】

【攻撃の成否に関わらず、一人は鞭、残り二人は剣という体制となった三人の兵士達はAzothを追いかけていくが】
【まだ完全に追いつくまでには時間がある。この剣の投擲と鞭の打撃さえ凌げれば、今度こそ老人とカズネとの間に入り込むことが出来るだろう】



>>58


………彼らは強いが、兵法を知らぬ。儂がそれを正してやっておるまでよ。


【厳密には頭ではなく、頭になってしまった、とでも言うべきか。兵士達は特殊な洗脳教育を受けているだけの、元一般人なのだ】
【そこそこの強さがあり、同時にある種の人質のような攻撃しづらい立場も持っているが、戦いに際して冷静でいられるほどの精神はない】
【……その中で的確な指示を下す老人へ、彼らは自身の意志の薄弱さゆえ、縋るしかなかったのかもしれない】


どうした、儂の剣をかわしておいてなんじゃそのザマは!
もっと頭を回せ! そのような能力頼りの動きでは、この儂を捉えることは出来んぞ…………!!


【自身の必殺の刺突を回避したことは素直に称賛に値した。その事は、老人の口元に浮かぶ微笑が示しているだろうか】
【しかし、その後の反撃に対しては不満が残るようで――――振り回される魔力の剣を、老人は素早いバックステップで回避するだろう】
【紙一重と言ってもいい程のギリギリの機動。予想より剣の出力が強かったか、腹部のシャツが焦げて三本の線が残されるが、それだけだ】

【――――そして、驚異的なのはここから。続いて飛翔してくる魔弾に対し、老人はなんと極限まで身を低くして突進していく】
【先程と同じ、とんでもなく敏捷な踏み込みだ。その上両手の剣を最小限の動きで振り回し、急所に飛んでくる魔弾のみを正確に弾いている】
【流石に全弾回避とは行かず、肩や脚を数発の魔弾が掠めて血が滲むものの、まだ行動に支障の出るレベルではない――――】


――――――――ぉおおおおおおっ!!


【しかし一つ有効だったのは、老人の剣を防御のために使わせたことであった。バックステップで離した距離が詰まるのはほんの一瞬だが】
【カズネに肉薄したとき、老人は既に剣を振り切った体勢であり。この状態なら刺突は繰り出せない……のだが、】
【勿論、攻撃の手を休めてくれるわけがなかった。刺突の代わりとしてカズネの鳩尾へ叩き込まれるのは、突進の勢いと体重を存分に乗せた膝蹴り≠セ!】

【刺突と違って致命性を負わせるほどの力はないが、そこに籠もった威力は高い。女性の柔い体ならなおのこと、骨の二、三本は軽くへし折ってしまいそうで】
【しかし……この時には既に、Azothもかなり近くまで来ているはずだ。ここを越えれば、この不利な戦況を覆す一手も打てるかもしれない】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 22:45:48.01 ID:xs5Cju0+o
>>52

(――あやつは、確かミハエルと言う名であったか)

(カニバディールのみならば相手取れるが、あの獣が加われば分が悪いのじゃ)
(必要に応じて、何らかの連携をする必要もあるかの……)


【カミナは"上空からの視界"で、輸送機の中で顔を合わせたミハエルが近くに降りたのを確認し】
【その動きにも、ある程度意識を割く様に考えた】
【今はまだバラバラに戦っていても問題はなさそうであるが――】



>>61-62

【軌道を外された紙飛行機は、カニバディールの付近に突き立り動きを止めた】
【槍という性質を持つが故に、打点を外されれば途端に威力は低下する】


ふん、阿呆が――死にもせぬのに念仏など唱えるものか

神でも救えぬ穢れた命ならば、丁度よいわ!
光栄に思え、わらわ自ら冥府の底に叩き落としてくれるのじゃ――ッ!!


【カニバディールの吐き出す台詞を真っ向から叩き切り】
【裂帛の気合と共に、内に宿る狂信的なまでの正義の心を奮い立たせた】
【所属する組織を含めて因縁のある相手だ、手心など加える事は端から頭にない】
【かくして今宵の死闘は、幕を開けていくのだった――】


【――】


はっ――その面で金太郎気取りとは、冗談にしても笑えぬのじゃ!
生憎と、貴様などと相撲を取ってやる謂れもないのでの――!!


【化物熊"ウェンカムイ"を操り】
【地を砕きながら、破壊的な疾走を始めたカニバディール】 
【騎上の単眼が得物を振るい、その先から放たれた光の刃を知覚した瞬間】
【カミナは背の翼折り紙に神気を注ぎ、特性を発動する】

【飛翔と推進。空中を高速で移動することのみを目的とした補助折り紙】
【横薙ぎに迫る光の刃を、宙に舞うことで回避――一瞬前までカミナのいた位置を高熱の刃が通り過ぎた】

【そしてそれと時を同じくした頃に、カミナの生み出していた"紙"が完成する】
【紙で出来た"二本の斧"は神気を組み込まれボコボコと立体化し、特性が付与され鋼鉄の硬さを持つこととなる】
【サイズはカニバディールの其れと比べても遜色なく、刃の部分が強調され肥大化したギロチンのようになっていた】


まずは、騎手を叩き落とすところから始めてやろうかの――!


【二つの紙の斧は、カニバディールに向かい】
【左右から挟み込むように湾曲した軌道で、勢い任せに叩き切らんと襲いかかる】
【だが、その狙いは言葉とは裏腹にカニバディールではなく"ウェンカムイ"だ】

【直前で下向きに軌道を変え、斧は"ウェンカムイ"の両前足付近を断ち切らんと迫るだろう】

【カミナの前斜め上、頭上に紙が出現し折られ始めた】
【この術は兎に角、始動が遅い。常に折り紙を作り続け戦線を維持しなければならない】 
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/14(土) 23:01:06.90 ID:Igws2bih0
>>59-60

クハッ……カッハッハッハッハッハ…………!! お前が来たのか、セリーナ!!
あの『ガラクタ』に、物好きにも憐憫の情など抱きおって……1つの組織のリーダーと聞くが、その言葉……それこそお笑い草じゃのぉ!!
……命など所詮、戦いに勝つための駒じゃろうに……我も彼も、全ては駒じゃよ!!
「負け犬が……生きる必要なんてないのよ!! 全ては勝つ事、勝った者こそ全てなのよッッ!!」

【蛸に、人間らしい表情を表す事は出来ない。ただその両の眼をギロリと向けながら、むしろその感情をこれ以上なく声に乗せてグラトンは嘲笑する】
【――――戦いを行う以上、マクロ的視点から見れば、確かに全ては1つの駒に過ぎない】
【それをグラトンは、己が命すらそれに過ぎないと言い放った。命の価値など――――こんな人間に説いても無駄に終わるだけだろう】
【そして、彼の一付属物と化した、黒い髪の少女――――シュバルツガイストもまた吼える。勝つ事こそ、全てに優先されると】
【自己の姿すら捨てて。それでもなお、彼女にとっては力を得て、敵に勝つ事の方が、ずっと重要だった】

>>63

っっぬっっ!? 貴様、その声…………ッカッハハハハハハ、そうか、貴様か……3年前のあのビル以来じゃのぉ……!!
貴様はわしを覚えてはおらんようじゃが……あの『ガラクタ』との『遊び』は、楽しかったかのぉ!?

【始め、その声にグラトンは一瞬思考を切り替える。それは、過去の記憶を呼び起こす為の運動で】
【求めていた情報は、割合すぐに引き出す事が出来た――――あの時、当時まだ≪No.616≫だった、ブラックハートと死闘を演じた少年の、あの声だ】
【「どこまでも追い詰め、そして殺す」と、姿も見ずに言い放ったあの少年が、こうも大仰に戦場に乗り込んでくるとは思わなかった】
【全く、これだから長生きとはしてみるものなのだ――――この奇妙な偶然に、グラトンはてらいなく喜びの感情を垣間見せる】

さあ、今こそ……今こそ、じゃ。死は、すぐ隣に待っておる。それがわしを迎えに来たのか、お前を迎えに来たのか……精々確かめようじゃないか!!
死の間際にいるからこそ、楽しまなきゃあ損じゃぞぉ!!

【グラトンは、死を恐れない。それは、2年9ヶ月前のあの時から何も変わらない】
【「こんな老いぼれにとって、死は隣人であり、かつ友人である」とまで言い放つこの狂人には既に、死への恐怖など無くなっている】
【今のこの言葉の応酬も、ただ子供がゲームに興じるような感覚で『楽しい』としか思っていないのだろう】

>>64

その通り……わしもつい30秒前までは、人間じゃったよ?
こんな一品物の身体、わしの主義からすれば褒められたもんじゃァないが……今お前たちに絶望を叩きつけるには、丁度良かろうッ?

【唯一、その外見に恐慌をきたしてくれた――――違う反応を返してきた――――完全に記憶にない男に、グラトンは自慢げにそう言葉を返す】
【ただ、その口調はどこか『ずるいことしちゃったよ』と言う様な、やりきれない色をも含んでいた】
【――――戦いは、質・量ともに揃えられた兵士がいてこそ。それがグラトンの命題であり、今までの研究の信条そのものだった】
【だからこそ、こんなイレギュラーな突出した強化は、本人の意に反していたのだが――――この窮地で頼るには、まあ丁度良い】
【――――狂った頭脳は、その程度の事しか考えていなかった】

さあ……吠えろ吠えろ。それもいつまでももたんのじゃから、今のうちに吠えたいだけ吠えとくんじゃよ……ッ!!
<アハハハハハハハ!! フゥアアアアアアアッッ!!>

【グラトンも、赤い髪の少女も、狂った様な激昂を滲ませていく】
【――――現在における機関の悪意の体現者。そんな言葉で形容されるのであろう老人も、その産物も、全てが狂っていた】

/続きます
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/14(土) 23:01:57.14 ID:Igws2bih0
>>59-60>>63-64

さあ……わしもこの身体は初めてじゃ。まずは気になる所から、テストしてみようかの……!!
「ッッ、うああああああぁぁぁぁッッ!!」

【ゆらりと身体を起こし、身構えるグラトン。その体躯はもはや、『ウェンカムイ』よりも一回り大きな怪物と化している】
【ついさっきまで、動きは軽快なものの枯れかけていた老人の身体だった彼には、流石に違和感もあるのだろうが】
【それでも、自分の成すべき事は、全て頭の中に入っている。今はそれを実践しながら、身体で覚えていくだけだ】

【――――そこに、牽制とばかりに投げつけられる>>63のダガーナイフ。それに反応したのは、肩口から『生えて』いる黒い髪の少女だった】
【その両腕をクロスさせて、ダガーを受け止める――――彼女の腕は、鋼鉄の義手となっていた。生体に当てるよりも、そのダメージは少なく済む】
【――――ブラックハートの後継機である彼女ですら、この強大な悪魔の、あくまで一パーツに過ぎないのだ】

奇遇じゃのぉ!! わしも同じ様な武器を作ったよ……その時に苦労したのはなんじゃったか分かるか!?
簡単に電磁界が拡散してしまっては、役を成さんと言う事じゃよ!!

【隠そうともしない怒りを乗せて放たれる>>60の電撃。それに応え、グラトンは左手を向ける】
【次の瞬間、腕の一部が半液状に溶解し、人の頭ほどの細胞の塊が発射される。それは電撃と真っ向からぶつかり合い、爆ぜる】
【――――本業が兵器開発の科学者だったからこそ、そして似た様な兵器を見ているからこそ。グラトンにはその対処が取れた】
【そして、本来ジ・エンブリオンの特性だった細胞操作の、そのやり方の予行演習を、この瞬間にやってのけたのだ】
【――――同時に、電撃とぶつかり合い、爆ぜた細胞の一部が、飛沫となってセリーナへと振りかかろうとする】
【大部分は高熱で焼かれているものだが、『生きている』一部の細胞は、もし付着すれば浸食を起こし、免疫異常を引き起こさせ肉体にダメージを与えようとする】
【量は少数といえども、まともに浴びるのは推奨されないだろう】

うむ! 良い調子じゃ――――――――ッぶぉぁ!?

【細胞操作のコツは、今の一時で大体分かった。頷くグラトンだが、そこに>>64の放った球体が直撃する】
【まるでボクシングの選手がアッパーを浴びた様に、頭ごとのけぞる様にしてその場でたたらを踏む】
【――――強力な力を持っているとはいえ、グラトン自身が戦いに慣れている訳ではない。迂闊な隙を、見事に突かれた格好と言える】

<ッアアアアアアァァァァ!!>

【まるで、それを見て怒りを発した様な叫びを放ちながら、赤髪の少女が左手に持った銃を放つ。それは、電撃を弾丸にして発射する『ボルトシューター』】
【その30%出力の炸裂弾が、真っすぐに>>64向けて放たれた。被弾すれば、電撃のスタント炸裂のダメージを同時に受けてしまう事になる】

……ほれほれ、今度はこっちじゃぞ!!

【そしてグラトンの胸元から、不格好に突き出た2本の鋼鉄の足が、>>63>>64に向けて散弾を発射した】
【元はと言えば、それは黒い髪の少女、サイボーグ戦士の、今は不要となった足。そしてそこに仕込まれたショットガンだった】
【それを、胸元から真っ向に向けて発射したのだ。腕など介する必要はない。その恩恵を最大限に生かして】

【――――>>63には、この一連の動きを見れば分かる事があるだろう。その全身の細胞は、グラトンの意のままに操り、更に変化を果たす事が出来る】
【その万能性は尋常ではなく、更に内に秘めているエネルギーも恐らくは、普通の生物とは峻別される大きなものだ】
【『一部だけ切り離す』『液化する』などの荒行も難なくこなす辺り。その全容をうかがい知るのは至難の業と言って良いだろう】
【しかもそれを攻撃に転用までしてくるのである――――戦士ですらないグラトンの、自信に満ちた態度の理由が分かるだろうか】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/14(土) 23:10:25.10 ID:RQaY++klo
>>70
……

【犬も、それ以上何かを語るような真似はしなかった】
【ただ、一瞬だけ老人の目を見た、それだけであった】

喚くな人間風情が!
その喉笛かが真っ赤に染まりたくなかったら黙っていることだな!

【背中に投げつけられた言葉に振り返り律儀に返す犬、無論本心から喉笛をかみちぎろうとは考えていない】
【ただ、こういう発言は余裕ゆえだ、余裕だからこそ、叩ける言葉】
【また飛んでくる剣はすぐさま横に躱す、振り返って口を返していなければ避けられなかったかもしれない】

(また変な武器が出てきた……鞭、あれは痛い、激痛を与えるための武器……)

喋るなっつってるだろクソ人間――!

【その瞬間、タッと床をけった犬はそのまま回転し左前腕部で鞭を払いのける】
【ビシィッ……!という音とともに、犬の左前腕部が赤く滲む】
【背中に傷を受けることは防いだが、その分前足に鞭を受けたのだ】
【しかし、どうしたことだろうか、前足に傷を受けたというのに、犬の動きは遅くなることはない】
【――もしわずかな差でも見分けられるのなら犬の走る速度が僅か、本当に僅かだが、上がっていることがわかるだろう】

【僅かな隙は開いたが、それを埋めるかのごとく駆ける犬は、老人とカズネの間に入り込もうとするだろう】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 23:18:23.29 ID:wOk9VgKho
>>70

(――――――剣は避けられたけど、距離は稼げた!)

【僅かな一瞬で見えた老人の笑み、老体と侮る訳にはいかない事を示しているようだった】
【空を裂く剣を収め元の状態へと戻す】

【それでも余裕は稼げた、直ぐ様立ち上がり更なる迎撃を加えなければならない】
【その最中に信じられない物を視る】

っつ!?なんでこの魔弾の雨の中に突っ込んで来るのよ!!

【普通の神経をしていれば老人の行動は有り得ない】
【ならば普通ではないのだろう、刹那の度に魔弾を捌く様はある種芸術的でさえあった】
【人の「技」の極致とでも言わんばかりの突撃に、装具を用いる魔術師でしかないカズネはいよいよ戦慄を覚える】

【右方の魔弾を継続して放ちつつも勢いは止まらない、冗談ではない】

防御機構!急いで!!

【左方の爪の1つの装甲を展開し防御機構とする】
【本来は装甲の隙間から魔翌力を噴流するが老人の攻撃は物理のみ、余計な浪費は避けたい】
【極近接、僅かな時間では爪の接続数は稼げなかった】

――――っつう!……!!

【鳩尾へのダメージは避ける事が出来た、がその衝撃たるや恐るべき物で】
【衝撃全てを受ける事叶わず盾と同時に後方へと飛ばされる】

(……っ、とんでもないじーさん!!)

【転がりながらも命からがら姿勢をただし向き直る】
【攻撃を受けた装甲は老人の膝の形に僅かに凹んでいる、爪と直接接続しているからこそ理解るその脅威】
【生身で受けていれば或いはそのまま殺されていた……】

盾はそのままっ!数で、点で駄目ならラインで攻める!!
接続っ!射出形式変更!――――――ってえーーーい!!

【2つの爪を接続、装甲が展開され組まれた爪の姿は無機物な鰐の顎にも見える】
【身を焦がすような赤い輝き、砲身が湛えるのは圧縮された魔翌力!照準は大雑把で構わない!】
【なぜならこれは弾ではなく光線だ、手元の角度さえ変えれば幾らでも敵を追尾する事が出来る】

【振り上げた掌を合図に赤い魔翌力光は一気呵成と放たれる】
【初弾は当たらない、されど出力は変わらないままあらゆる障害を越え光線は奔る】
【有象無象を焼き尽くす暴力の燐片は老人の胴体を薙ぐように迫るだろう】


>>74

っと、降下の時のワンちゃん……っ

【人の戦いに彼がいるのは妙に思うがそれ以上に彼が人語を介する事が不思議……】
【と、そんなことをくっちゃべっている暇ではない、戦場は待たないし死は万人に訪れる】

……っ、守ってくれるならお言葉に甘えるわ!
でも射線には立たないでねっ、最悪こんがり焼けちゃうんだから!!

【ワンちゃんと称した彼を極力傷つけないよう】
【砲塔の側部装甲から姿勢制御の為に魔翌力を噴流し光線の推移方向を変更する】
【無茶な行動故に砲塔からは軋む音がするが攻撃に問題はない】

【不思議な共闘者は既に損傷を受けている】
【彼の戦場に居る理由は定かではないがそこまでしてまで戦うのだ】
【内に秘める物があるならば心強い、微笑みが漏れてしまうのはその為だろう】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/14(土) 23:20:30.43 ID:coNjF5lA0
>>65-66

【敵の最後の警告、そんなものに対しても彼は特に反応も示さずによく敵を観察する】
【顔が異形の頭部を覆われて体がアームドウェアに身を包んでいたりとこれは――】

 変身、か――特撮と言うやつのヒーローか
 やれやれ、ビックリドッキリ系の人間が来るな。

【土嚢に隠れながら冷静につぶやく、どうやってアレを倒すか考える】
【そんなことを考えている彼の頭の中は自分でもびっくりするほどに冷静だ】
【火力が高い武器ならばアレを倒せるか?――考え無線機に対して言葉を送る】

 火力の高い武器をもってこい、何でもかまわん、今回の戦いの目的は撤退することだからな

【そのように無線機に対して言葉を伝えつつも相手を見ている――すると相手から電子音声が鳴り響く】
【その電子音を彼は何かの予兆として敵に武器を構えるが――敵のほうが早く攻撃してくる】

【一直線にこちらの向かってくる矢よりも先に横にローリングしたあとに矢がちょうど自分の隣の土嚢に刺さる】
【いい音とともに矢が刺さる音を横に聞きながら彼はRK-11に装着されているグレネードランチャーに攻撃を切り替える】

 さて、こいつはどうかな

【敵がスコープに入った瞬間彼は引き金を引いて、グレネード弾を発射する】 
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/14(土) 23:21:09.23 ID:O3v59YQQO
>>61-62

……UNITED TRIGGER所属、元水の国国軍少佐、ミハエル・ガーナランドだ。
以前昼の国でお前らが起こした事件の時、俺もそこにいた。
仲間が随分と世話になったらしいな、借りは利子をつけて返させて貰おうか。

【カニバディールの問いに ミハエルはそうはっきりと答えた、聞けば元軍人、それも少佐という階級だったらしい】
【そんな階級を自ら捨ててまでUTに入ったのなら、彼の意志の強さも想像出来るだろうか】

自惚れだと言うのか、ならば戦って見せてやろう……
自惚れだと思う事こそが、真にお前が自惚れている証拠だということをな……!

【その言葉は、きっ機関銃乱射の前の言葉だろう、撃っている間は敵を観察していて】
【話には聞いていた、相手は自身の肉体を自在に操るらしいと、しかし実際に見てみるととても厄介な能力と見える】
【あの肉のガードを崩さない限りは、きっと大きなダメージは通らないのだろう】


ウェンカムイ……か、大人しく蜂蜜でも舐めていた方がまだ可愛いな。
しかし、どうあがいてもそんな風には見えないな……容赦はしない。

(やれやれだ……子供が見たら泣くだろうな、だが……)
(直ぐにそこから降ろしてやろう……ッ!)

【咆哮と共にウェンカムイが此方に突撃してくる、その巨体に似合わず かなりのスピードだ】
【しかし真っ直ぐならば対処は難しくない、ミハエルは当然横へと逃れる】
【いくつか飛び散った瓦礫が此方へ飛んでくる、腕でガードするが当たった箇所からは内出血を起こして】
【それでも突進を食らうよりかはましだろう、この程度は彼には許容範囲で】

……ッ……! なるほど単に機動力を上げるだけではないようだな……しかし……!

【ミハエルはカニバディールとウェンカムイが通り過ぎる瞬間、何かを引っ張るだろう】
【その手に握られているのはワイヤー、引っ張るとミハエルの反対側にある瓦礫の下から何かが飛び出してくる】
【それは一つの手榴弾、ワイヤーの一番先についている、まるで重しの様に】

能力だけに頼ると思ったら大間違いだ、戦う前に策を練っておくものなのだからな……!

【ミハエルが持つワイヤーはカニバディールを経由している、つまり引っ張れば絡まるのだ】
【そこから更に強く引っ張れば、手榴弾のピンが外れる、カニバディールとウェンカムイを巻き込んで起爆するだろう】
【これは焼夷弾、爆発するかのように相手を炎が包む!】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/14(土) 23:33:34.53 ID:hRpym2aVo
>>63>>64

  ―――オーライッ!! 諸々了解したよ、基樹君ッ!!
  それじゃアタシの方は、デカイのをバンバン撃たせてもらうから―――接近戦は、任せたねッ!!

【変貌した谷山、そして魔法を放つライラ。セリーナは電撃を放った直後に今度は身を翻し、左方へと前転。】
【素早く敵の攻撃の軌道を見極め、そして自身は後方支援―――十八番の"火力攻撃"に移る為、一歩下がるだろう。】

>>72-73

【自らの肉体すらも―――いや、むしろ精神すらも『駒』だと吐き捨てる、その形相のなんと、恐ろしい事か。】
【彼の外見は今、この世のどんなモンスターよりも歪に、恐ろしいモノへと変化していたが―――その見た目以上に】
【彼は最初から、まだ変容する前の段階から既に、人間ではなくなっていたのだろう。それこそ、その意思は怪物のそれだ。】


  ―――……違う、そんな事無い……ッ!
  全てを捨てて勝利に走ったところで、本当に得たい物を得られるとは、限らないんだッ!
  最初から一つの目的のみに固執したら、人の可能性はそこで閉じてしまう―――アンタの求める勝利は、不完全だッ!!

【電撃と、肉体の衝突。爆ぜたそれらが飛び散って、広い範囲へと拡散する―――回避行動を取っていたセリーナにすら】
【その細胞はペチャリ、と張り付いて―――防護用マントが犠牲になり、それは急激な腐食を開始。マントの一部は、ひしゃげた。】
【眼帯状の『スカウター』に映る敵の能力は大きく分けて二つ。細胞を用いた多彩な力と、合体した少女達の個々が織り成す攻撃だ。】

  (……あの脚部のショットガン、あれも以前に戦ったサイボーグ少女の一部……ッ!)
  (ていう事は、その少女達とグラトンは"思考レベル"で融合している―――? だからこそ、)
  (戦士ですらないグラトン自身がああも上手に細胞の分解・結合を行えるんじゃ―――……クソッ!)

  ……考えたって、仕方が無い。電撃がそう、簡単に防がれるなら―――……今度はもっと強烈なのを、お見舞いしてやるッ!!

【追加装甲を身に纏い、今や拳銃からリボルビング・ライフルへと変化した愛銃・"弾"末魔を構え、そして発砲。】
【轟音が鳴り響き、再びの発射と共に召還陣が展開―――瞬間、空間内にまたもや新たな武装がイン・ストールされていく―――!】


               番犬吼々―――――――ケルベロス・マグナム " KO"(ノック・アウト)

【召還陣から取り出されたそれは―――銃、のような"何か"。否、そうとしか形容できない程の巨大な、武装。】
【拳銃と思わしき形状ではあるが、しかしそれでもグリップは驚く程大きく、なおかつ中心のシリンダーのサイズは、それこそ】
【通常のリボルバー拳銃とは比較にならないほどに巨大で、そして独特の存在感を放っている。装填される弾丸の大きさなど】

【大口径の特殊弾頭―――所謂、『スマートグレネード』等に代表される弾薬だ。なにより、このバケモノじみた拳銃の最大の特徴】
【それは銃身、つまりシリンダーから敵へめがけ真っ直ぐに伸びたそれ<バレル>が三つも、"三連装"に連なっている事だろうか。】
【西部劇にも良く出てくる、水平ニ連装のショットガンの上部に、もう一本のバレルを継ぎ足したかのような"歪"過ぎるフォルム―――。】

【銃身基部にはレリーフとして、地獄の番犬<ケルベロス>を模して精製された事を伺わせる彫像まで用意され。
【まさに、三つ首の砲身。そうとでも呼ぶしかない、強力な武装が姿を現した。だがこれもまた、今までの武装とは変わって】
【"ティターン・アーマー"同様に、見た目からして過去のケルベロスとは細部が異なっている。まず、眼を引くのは長くなった銃身だ。】

【今までのケルベロスが短銃身のバレルを三つ重ねた物だとすれば、この"KO"はロングバレルの銃を三つ重ねた様な肥大さを誇り】
【更に言えば三つ連なった銃身のその真ん中部分―――丁度穴になっているその部分にすらも、何かの"装飾"のようなものが見えて】


   ―――雷でダメなら、今度は燃えてみな、グラトンッ!!

【グルン、とバレルが回転。放たれた弾丸は以前の20mmスマート・グレネードを更に大幅大口径化した、爆裂マグナム弾。】
【30mmにもなろう巨大な弾丸が爆音と共に放たれると、猛スピードでグラトンめがけ飛翔、命中すれば炎と爆風を撒き散らすッ!】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/14(土) 23:41:22.70 ID:f3A5+C4so
>>64,72-73,78
「そうか――てめェがブラックハートを作った奴か。
……なるほど。なるほどなァ――殺すしか無ェなァ……!」

【グラトンから発せられた言葉。それを受けて谷山の記憶が即座に検索され回答を返す】
【その回答には、静かながらも確かな敵意、悪意、殺意、狂気】
【声、体躯、燐光。それらから漏れだす気配の歪さが次第に増していく】
【哲学者の卵を使い続けてきた結果染み付いた、狂気の気配。それが、敵の狂気とせめぎ合う】
【支配された狂気によって、目の前の狂気に相対する青年。その瞳には、理性と狂気が同居する】

【己の牽制は通らず。そして、強者たるセリーナとライラの攻撃を様々な手法で捌いていくグラトン】
【まさに万能、まさに究極とも言えるその戦闘能力。得意に成るのもわかるというものだった】

「――っしゃァ!!」

【駆動音を耳に捉える。散弾を発射する前動作を開始する音に反応し、右腕が閃く】
【散弾の散布界を乱すように投擲されるナイフ。膝を曲げ、半身になることで命中範囲を狭くする対処】
【全身を貫く数発の散弾。盲管銃創が生まれ、鮮血がいくらか飛び散り、傷口からは燐光が漏れ、結晶が溢れだした】

「――――なるほど、なるほど。厄介だなァ。
普通の脳みそなら、これだけの並列処理を容易く成し遂げられるはずはない。
変更できないものは、それこそ脳程度って所、かねえ。いやぁ――これ、出し惜しみしてられねェな」

【分析する。もはや関節部の可動範囲や、装甲による可動の阻害も恐らく役には立たないだろう】
【弱点と言えるのは、グラトンの戦闘能力。言わば、直接戦闘の経験ともいえるもの】
【そして、脅威は状況対応能力と手数。その時点で、谷山は己の取るべき行動を決定した】
【左腕の傷に指を滑らせ、痛覚をごまかした。そして、右目と左腕がその光を俄に強めていく】

「Over Clock――――Quad Core」

【両手をベルトポーチに伸ばし、引きぬいたのは4つの哲学者の卵=z
【それを空中に放り投げ、それに向けて圧縮された光――悪意のデータ≠食らわせる】
【孵化に足るだけの餌を与えられた哲学者の卵は、宿主を持たぬままにその孵化を開始し、その力を解き放つ】
【無軌道に暴走していくその力の群れ。それに対して、谷山は右手を伸ばしていく】
【砕け、歪に、無軌道に成長していくその右腕に無数の口を彷彿とさせる裂け目が生まれ、そこに悪意の力だけが吸い込まれていく】
【地面に落ちて残ったのは、透明の結晶となった哲学者の卵。そして、青年の生身の左目が直後に崩れていく】
【崩れた左目の隙間を埋めるように結晶体が生成される。皮膚も崩れ、それを補うように結晶体が体表を覆う】
【神経系が粉砕し、粉砕された神経系がアートマンのそれに取って代わり、拡張。機能追加が行われていく】
【体組織の大凡30%のアートマン化。人とアートマンのもはやどちらとも言えないその姿、蛍石の戦士は口を開く】

『――――NEXT World=x

【無機質さと、濃厚な感情を併せ持った歪極まりない声。全身から突き出すライムグリーンの結晶が光を放射する】
【光を手元に収束させ、それを散弾としてグラトンに向かって射出する】
【その光は、実際は微細なアートマン体の結晶の群れ。表皮に食い込み、内部に記録されたデータを使用し切るまで存在しつづける】
【もし命中したのならば、決勝が消失するまでの5秒弱の間、視界には別の光景がオーバーラップし、聴覚には此処に居ないだれかの叫び声が木霊する】
【触覚には無数の人が触れる感覚が襲い来る、嗅覚には腐肉の匂い、味覚には嘔吐を感じさせるだけの】
【常人なら狂ってしまうだろうその異常も、恐らくグラトンの精神を壊しはしない。もはや壊れているのだから】
【だがしかし、五感全てにノイズが混ざる事で相手の行動に対する確実な妨害と為すことは可能だろうとした行動だった】

(思考を乱し続ける、判断力が落ちればあの対応力、応用力は少しでも削げるはず。
あの自由度、応用力は裏を返せばそれだけ思考力と判断力が必要となるもの。
なんだってできるからこそ、何をするかを良く考えなければならない――筈。
だったら、その考えをおかしくしてやればいい。おかしくし続けてやる……ッ!!)

『――――Imitation Saber』

【目を細め、己の中でイメージを固めていく】
【己のこれまで見てきた必殺技の見た目だけを再現し、その見た目という殻に己の異能をつめ込むその贋作の必殺】
【この異形を屠るにふさわしい技がないかどうか、谷山は己の脳内のアーカイブを検索し始めるのだった】
80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/14(土) 23:51:22.40 ID:BIqpxMrLo
>>71
【地面を貫く紙飛行機の先端。まさしく、紙の槍だ。直撃していれば、どうなっていたことか】
【やはり、正義の刃は些かも衰えてはいない。これがjustice。形を変えてもなお、彼らの心に宿る正義=z

おいおい、念仏を唱えられるのは生きているうちだけだぞ。自信も行き過ぎると己の首を絞めることになる

ふ、ふふふ……遠慮しておくよ。どうせ地獄行きになるなら、出来る限り罪を重ねてからにしたいのでね
お前は、もう十分に戦ったじゃあないか。そろそろ、昇天しても誰も責めはしないだろうさ

【気合の一声でこちらの悪意を切り捨てる彼女に、上塗りするように粘つく声音が絡みつく】
【こちらも、容赦などする気は毛頭ない。この男は悪党なのだから。増して因縁の繋がる正義】
【互いに互いを許容することはない。ならば、どちらかが倒れるまで――】

ハハハハハ!! 面白くなかったか!! やはり、人を笑わせるのは苦手だな……
つれないな、せっかく敵味方として出会ったのだから、殺し合いを兼ねた相撲くらいとってくれてもいいだろうに

【ウェンカムイの背中から叫び返すカニバディール。だが、単眼ではしっかりとカミナの動向を観察している】
【その視界で、彼女が飛んだ=B折り紙で空を飛ぶ、万能とすら思える能力の片鱗。見事な回避】
【さらに、生み出される紙の斧。二本。自分のものと同じくらいに巨大な――】

おいおい、『将を射んと欲すればまず馬を射よ』をいう言葉を、知らないのか――!?
「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!??」

【言葉すら、武器。こちらへ向かう紙の斧を迎撃しようとした瞬間、斧は下へと落ちた】
【狙い通り、見事に斧はウェンカムイの足を断つ。剛毛の軽減すら押しのけるほどの鋭さ】
【巨体がバランスを崩す。当然、カミナの攻撃準備に対処する暇などない】


>>77
UNITED TRIGGERか……お前たちにもたびたび煮え湯を飲まされたな
それも元軍人……人材の坩堝だな、あの組織は

同じセリフをお返ししよう。ヴェンドゥラーで同僚に歯向かってくれたということだろう?

【軽口をたたきつつも、警戒は怠らず。不倶戴天の敵組織にして、元軍人。そのポテンシャルは到底計り知れない】
【先の容赦ない銃撃を見ても、油断ならない相手。何より、その信念。何より恐ろしい武器だ】


ふ、ふ。口だけならば、互いに何とでも言えるな。この戦いの結果で語るとしようか

【同じく、返すセリフも乱射前。こちらには、防御に専念して相手を観察する間もない】
【肉のガードだけで、どこまでもつか。内心で冷や汗をかき始める】

ハハ、それはそうだ。これを見てかわいいなどと言うやつがいたら、そいつは私以上の狂人だ

【ダメージに蝕まれる肉体と精神を、表出はさせず。余裕を見せつけるように語る】
【さすがに、単純な突進は通用しない。飛び散った瓦礫にも、きちんとガードがされている。冷静な判断】
【ならば、もう一度――と攻撃を試みた瞬間。カミナに足を裂かれてバランスが崩れ。さらにミハエルのトラップ】

何――!!?

【戦う前の準備。計算された策。引き出されたワイヤーが巨躯に絡まり、勢いが止まらないまま焼夷弾を発動させてしまう】
【爆発。炎上。巨躯が燃え上がる――】


>>ALL

ぐ、があああ――――!!!!
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ…………!!!!!」

【肉の焦げるにおいが辺りに広がる。絶叫がそれを拡散するように響き渡り】
【半ば、暴走状態となったウェンカムイが、広場を走り回り始める。カミナもミハエルも、この暴走の範囲には入るまい】
【すぐに、巨躯は崩れ落ち。広場の地面にうずくまる。二体の怪物は、炎に焼かれながら動かなくなった】
【燃え続ける業火。悪党にはふさわいい末路、と言えるだろう――】

【もぞり、と。焼けた肉の塊が動いた。まだ、生きているのか。とどめを刺すか、経緯を見極めるか、二人の選択は――?】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/14(土) 23:52:05.70 ID:ciHM2vAzo
>>72
「チッ……こっちにとっちゃ助かったけどな……テメーみたいなのが世界にわらわら出てくるなんざ怖気が走るぜ。
 だから、今此処で"狩る"ッ!!!」

【その通り、ライラは恐れた。見たことのない異形の生命体は、ライラの恐怖心を煽るには十分すぎるほどだ】
【だが、ライラも此処一年と数ヶ月の戦いの中で成長した。まだまだ未熟ながらも、冷や汗を垂らしながらも、そう杖を突きつけて言い放てる位には】

「吠えてやるさ、けど、最終的に負けるのはテメーの方だ、グラトン。
 冥土の土産に覚えとけ、俺の名はライラ=フェルンストレームッ!! テメーを地獄に送るカノッサ機関ハンターだッ!!!」

【グラトン、そして肩から生えた少女の激昂にも、ライラは負けない。カノッサ機関のNo.に、絶対に負ける訳にはいかない】
【カノッサ機関ハンターとしての矜持が、ライラを名乗らせた。獲物を見る獅子のような瞳で、ライラはマッドサイエンティストだった何かを睨みつける――――――】


>>73 >>79 >>78
【ライラの初撃は、一応の成功と見ていいだろう。よくよく考えて見れば、グラトンはカノッサ機関のNo.とはいえ、ただの科学者だったのだ】
【そんな彼が、戦闘に慣れているはずもない。だからこそ、偶然とはいえ二人の攻撃の隙に入り込んだ「Frame Bomber」は、グラトンにたたらを踏ませたのだろう】

「……だけど……―――ッ!!!  グッ……!!」

【「Frame Bomber」はライラの魔法の中でも中位の威力を持つ物だ。それが、たたらを踏ませる程度。やはり防御力と耐久力が桁違いだとライラは思案し】
【その直後、グラトンの武器をもう2つ理解することになる。―――触手の先に生えた少女達。絶叫するその姿は、先ほどの兵士に少しだけ被っていた】
【バチィ!! と音がして、銃から発射された電撃を咄嗟にガードした右腕がビリビリと痺れを来す。そして続けざまに、襲い来るショットガン】

「く……っそが!!!」

【脚に力を込めて横に跳び、全弾命中という悪夢から逃れようとするライラ。1,2発が左足を掠るが、未だ動けないほどの傷ではない】
【さらに言えば、電撃の弾丸を受けた右腕も痺れている程度だ。グラトンが知る由は無いが、ライラのが纏う服はとある姫の織った織物で出来ている】
【ニッ、と不敵な笑みを返すライラ。……だが、自我が3つ。1つの意志で全てを制御しているよりも厄介な相手だと、直感する】


「良いか! グラトンもテメーら二人もよく聞いとけ!

 勝つ事こそが全てじゃねーんだッ!! 負けて手に入る物も有るってこと、今からテメーらに教えてやるッ!!


   S  3  !  !  !   W i n d   B l a d e  ! ! !」


【何もかも、勝つためだけに捨て駒とする彼の言葉。ギリギリと歯ぎしりが止まらない】
【バッと手を突き出し、其処に緑の魔法陣が展開される。杖でたたっ切るように魔法陣を断てば、現れるのは緑色の所謂鎌鼬だ。三日月形で、直径は1mほどだろうか】
【それが2枚、それなりの速度で持ってグラトンへと迫る。狙いは胸部……ではなく、少女達の生えた触手の根本!!】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/14(土) 23:54:03.85 ID:qc0lt34+o
>>74


「何だとッ!! この――――待ちやがぇっ!!」


【見下していた相手から逆に見下すような言葉を掛けられ、兵士は激昴した様子を見せる。残り二人と一緒になってAzothの後を追うが――――】
【Azothは見事剣を避け、鞭の攻撃も直撃を防いでみせた。こうなるともう、人間の速度では犬の加速力に追いつくことは出来ず】
【Azothの速度が僅かばかり早くなったことに気づき、咄嗟にそちらへ注意を向けられたのは、老人ただ一人であるのだった】

――――喚くな、たわけ者が!!
仕方がない、陣形を変える! お前たちで女の方を抑えろ!
決して距離を離さず、囲い込んで攻撃せよ!!

「りょっ、了解です!!」


【そのまま怒りに我を忘れてくれれば楽だったかもしれないが、この場には老人という優秀な指令塔がいて】
【兵士達の失態とAzothの予想以上の機動力により、さしもの老人も策を変えざるを得なかった。老人がAzothへ、三人がカズネへ、陣形が逆転する!】
【三人の兵士達は散開し、指示通りカズネを囲い込むように移動。もう阻む者はなく、Azothは無事に老人と相対することとなるだろう…………が】


往くぞ、犬っころ――――――――≪雷(トゥーネ)≫!!


【――――それは犬の反射神経を以てしてもなお、捉えがたいほどの踏み込み≠ナあったかもしれない】
【恐るべき事に、最初にカズネへ放ったものよりも更に上。揺らぐ闘気がその場に残像すら刻んだようにすら錯覚させる程の疾さ≠ェそこにはある】
【速度と体重が乗算され、左腕に集約――――まさしく雷≠ニ表現するのが相応しい、音すらも置き去りにせんばかりの必殺の刺突が、Azothへ牙を剥く!!】
【威力もまた初撃より上。その神速を見切ることが出来なければ、狙いが腹部であることすらわからないまま命を落とすことになってしまうだろう】

【……しかし攻撃が当たるかどうかに関わらず、老人は下記の通り、この後すぐにカズネの攻撃を避けるべく走り出す】
【これで仕留められるようなことがなければ。カズネの攻撃に老人が回避に気を取られているその瞬間は、老人へ攻撃を加える大きなチャンスとなるだろう】


>>75

【間一髪で膝蹴りが防がれたことを確認し、老人は若干ながら顔をしかめた。一度ならず二度までも防ぐとは――――もはやまぐれではあるまい、と】
【次の老人の行動は上記の通りである。兵士達へ指示を飛ばした後、Azothへ刺突を繰り出すのであるが】
【……その後に続くのが、カズネの放つ光線だ。レーザーのような放射型の攻撃を使ったのは賢いと言える、これなら剣で凌ぐことなど到底不可能であった】


ちっ、ずいぶんと便利なモノを持っておるようじゃが――――忘れるな、儂は一人ではないぞ。
――――今じゃ、やれ!!

「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」」」


【老人はAzothに放った強烈な刺突の勢いを逆に利用し、前方へ転がり込むようにして疾駆に移る。この動作一つ取っても常人には成し得ない領域だ】
【ただ、Azothに放った≪雷≫という技は攻撃後の隙がやや大きいという欠点があり、走り出すのが僅かに遅れて、光線が背中の肉を薄く焼いていくが……】
【その痛みに顔をしかめつつも老人はどうにか移動を開始する。そして一度走り出してしまえば、老人には例の疾さ≠ェあって】
【まるで老いを感じさせない走力でもってカズネの前をジグザグに移動し、光線から細かく逃げ回ることだろう】

【……が、老人への攻撃にばかり気を取られていると危険である。老人の動きは自分の回避であると同時、残る三人の兵士が攻撃する隙を作るためのものでもあった】
【雄叫びを上げた三人の兵士。まず刀剣を構えた二人が左右から挟み込むように突撃、カズネの両腕を切り落とすように横薙ぎが二つ放たれ――――】
【それと同時、カズネの真後ろの少し離れた位置に陣取ったもう一人が、例の鞭による打撃をカズネの頭部目掛けて打ち放つ!!】

【三方向からの同時攻撃。どれも軌道自体は力任せだがその分威力があり、かなり厄介ではあるが……】
【先程まで相手にしていた老人の神懸かりな動きと比べれば、三人の動きは見劣りするどころの話ではないはずである】
【Azothの支援もあり、戦況が好転したのは間違いないはずだ。全員近接戦闘型ではあるものの、兵士達への反撃の余地は十分にある――――】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 23:57:10.68 ID:jwHUA4NG0
>>67-68

【消し尽くすための爆炎の嵐、辺り一帯を破壊した死の残滓。無事な彼の姿が目に映れば些か程度の驚きを浮かべるも、宝玉に対する事務的な“奪取”への光とともに言葉を返す。】

「はッ―――――――不用心というか、潔いというか。

 ……だけど、あの一瞬でそこまでやる機転は流石だね。

 マーシャル・T・ロウ―――――
 最初の戦いで少なからず街の連中を逃がしたと聞いてるよ―――― もう、守るべき命なんてどこにもないけど」

【“殺したから”、“皆が機関の手に堕ちたから”。……後者が洗脳状態にあることは伏せて、彼にある希望を否定する様に残酷な言葉を突き付ける。】
【事実彼女には似た様なものだっただろう。彼は死ぬ。……己は、そうするために此処に居るのだ。 】
【故に挑発、彼女を獣とあざける言葉自体への返答はない。悪意は、既に殺すのに十分なものがあったのだから】


「……カノッサ機関Numbers 12、ダリア・レオンフィールド――――氷空綺藍=iアズライトヘイル)。
 
 ……確かめるけど、『殺さない』なんて言葉を言ったのかな? それにそんなアンタに私が敗ける、と――――

 っ……くくっ、そうか、そうか、そんなに楽しくここに来られた、か――――
 それじゃあアンタが滅びるだけだね――――私を舐めきったその愚昧、塵と灰になったその後で絶望しろッ!」


【名乗りを返し――――確認めいた単純作業を経て声は微笑へ、】
【それはそのいろを維持したまま不殺などという “余裕”への殺意を加え、】
【兇暴な笑みを真っ直ぐに浮かべて、破壊的な言葉で口火を切って――――緋に彩られた自由なる悪意は、戦場に完全に身を投じた。】

【彼が二挺の拳銃を執る。一発が足許へと着弾し、“自分自身には当たらない” 吹き上がる炎が否応もなく視界を狭める。】

(――――――! この高軌道、跳弾か……!? だけど、この程度の回転なら……!)

【そして炎の幕を突き破り迫る弾丸に、一瞬の衝撃を受けるも即座に思考を構築/複数の防御形態中、もっとも多くの可能性に対する最適解を選択、】

【空中に瞬間的に展開した氷壁が銃弾を僅かな傾斜から弾き流し、遮る様に射線を断った】
【金属音/ダリア・レオンフィールドの銃弾への対処を彼に伝える、】
【多面体には摩擦熱から蒸発した擦過痕すら見受けられない。尋常の氷でない特質の証左――――だが、】

「…………ッ!」

【さらなる跳弾。右肩への直撃こそ叶わなかったものの、氷壁が弾いた銃弾が、再度の変化を以て衣服ごと腕を抉る軌道を描いていた】
【それすらも彼の計算のうちなのか―――――あるいは彼に天分が味方して起きた偶然なのか。……募る思考/不意の痛み、】

【…………“いや、何も変わらない”。】

【そんな程度では逃さない。油断はない。瞬息で戮す―――――激情とともに鋭利さを増して積み重なる思考、】
【軽微な傷を身体の感覚でだけ確かめたダリアは、氷壁を消去すると同時に横ざまに駆け出した】

(……、――――――――――――。)

【氷の盾を消し去ったのは、それが通用する相手でない故の迅速な選択。最善の視界を維持する必要がある―――強固なる意志ごと彼を殺すために、】
【そして、最効率で死を突きつけ続けるのだ。芸術家、狩人、      ―――――思い上がりだと叩き付け、

【彼から見て左側の一点で疾駆するダリアは減速し、構えた左掌の前に生成されたのは氷の薄壁。】
【そして右掌を中心に集まるのは黝き “力”―――――】
【手首を返して叩き付ければ、発生した爆風が意図的に齎した脆弱性から鋭利な破片へと“氷壁”を変えて】


【氷の散弾、虚空を裂く花弁の様な六枚の兇刃が彼を襲う。読めないこともないが軌道はやや不規則、さらには“高強度の”氷壁が砕け散ると言う心理的効果―――――】
【防御には一定の労力を割くことが必要だろう。……彼に、確実に複数の弾丸を消費させる狙いが有った。  】
【そして “多く撃てばそれだけ隙は増す”――――――、】

【さらなる強大なひとつの異能が、恐らくは先程の爆炎の源が鼓動する。この氷片の一撃を以て守勢に回らせ、熄し殺すため。イニシアティヴを握るのはどちらか――――?】
【……彼は、この状況で何を選択するのか。一片の容赦もないけものの思考。乱せれば、それは一つの確実な好機となるのだろうけど――】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/14(土) 23:58:52.11 ID:jwHUA4NG0
/>>83

【事実彼女には似た様なものだっただろう。彼は死ぬ。……己は、そうするために此処に居るのだ。 】


【事実彼女には似た様なものだっただろう。彼は死ぬ。ならば救われるモノもない。……己は、そうするために此処に居るのだ。 】

でしたッ…
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 00:00:32.41 ID:Tmc5XUWQo
>>76

【矢を放ち終わった後、それを視認すると同時にその戦士は赤い複眼をチカチカ光らせながら言葉を発する】
【今度は先ほどの侍女服の少女の声だ、この状態でも普通に意思疎通ができるらしく、己の目で探知した回避後の敵を見ながら……】


「―――第一射、回避されました……結構身軽な奴なのデスヨー!」

そう容易くしとめられるとは考えてはいないさ、こんな距離でやり合ってもらちが明かない
あのデカいのを撃たれる前に距離を詰めようか、我々お得意の至近距離の殴り合いなら……どこまでやれるか試してみたい!


【遠くで、相手が火力の高い弾に切り替えたのを見るなり、ぐ、と腰に力を入れて脚の筋肉のバネに溜めを作ると】
【トンッ!と一歩目の踏み込みで『戦士』の体が急加速を始める―――そのコンマ数秒後、放り込まれたグレネード弾が音を立てて破裂するが】
【それが作り上げた爆風の中から―――機体にダメージを追いながらもさらに勢いを増して男の方向に距離を詰めてくる】


……おおう、中々にキツイのを喰らったと思ったが……この程度の損傷で済むとはな……!
以前以上のさらなる強度……それにこの身の機動力……なんと心地いい事か!

続いて、パワーの方は……どういった感じかな!?


≪chainsaw now≫


【至近距離まで詰めたならば、腰からそのクラークタクトを引き抜き、『チェーンソー』のコマンドを入力】
【そのままタクトから一本の長柄の刃―――光を乱反射するかのように煌めくその刃を発現させると、その刃を持って『戦士』は一直線に胸部めがけて『突き』を放つ】

【―――ただ、こちらの攻撃は本命ではない……この時彼はわざと避けやすい単調な軌道でその『突き』を放ったのだ】

【この一直線の『突き』を回避し終わった男の体が反応しきれないように、その次のコンマ1秒のタイミングを見計らって】
【もう片方の手で持っている弓のブレードで男の右肩から胸にかけて縦に切り裂きにかかる―――!こちらが本命の攻撃!どう対応するか?】
86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 00:14:50.99 ID:0lfbTfD4o
>>80

【斧は"ウェンカムイ"の前足を断ち切った後に】
【焼夷弾の炎に巻き込まれ、焼き尽くされて消滅する】

【業火に焼かれながら、絶叫と共に暴走する単眼の怪物と狂獣】
【長き時間も経ずに其れも終わりを告げ、地面に転がり動かなくなった】

【真っ当な人間であれば、これで終わりだろう】
【あれ程の皮膚を焼かれて生きているのは、大凡常人を逸脱している】
【そう――常人の基準で見た場合は、だ】


【カミナは肉の焼ける不快な臭いを、翼を払って退けながら】
【炎の中で蠢く肉塊を強く、強く睨みつけた】
【あの肉の怪物をこの程度で屠れるなどと毛頭考えてはいない】
【スッ、と翼折り紙で1.5m程の高度を維持しながらも右腕を振り上げて】


似合わぬ大道芸の次は死んだ振りとはな
――下らぬ余興はこれまでにしておくがよいわカニバディールッ!!


                 【<貴宝院流不切正方形一枚折り・亀甲/猪頭>】


【空を切るかの如き勢いで――振り下ろした】
【瞬間、カミナの周囲で生成されていた折り紙が完成する】
【一つは斜め上前方で折られていた紙――それは"亀甲"であった】
【全長2m程度の亀の甲羅は、その場で浮翌遊しながら動く気配はない――防御用。今後の動きに最大限の警戒を持っている為だ】

【もう一つ、頭上で生成されていた紙は"猪の頭"を模した折り紙として完成する】
【神気を含むことで立体的に変貌し、太く長い牙を持つ凶暴な面立ちを以て宙に浮かび】
【カミナの"合図"を受けることで行動を開始――弾かれたような勢いでカニバディールに向かい突貫する】

【非常に直線的な動きであるが】
【直撃した際は凄まじい衝撃とともに牙で傷つけられる可能性がある】
【しかし、"炎上している"という状況であるため持続力は皆無となっており】
【触れれば数秒と保たずに焼け落ちて灰になる】

【カミナの左右に新たに2枚の紙が出現し。折られ始める】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 00:21:12.28 ID:NNVAXpmVo
>>75
そういうあんたは……カズネ、だったか

【降下前のセリーナの発言から、きっとこの女性はカズネという名前なのだろう】

(人間の顔は少し識別しにくい……)

【犬は少し失礼なことを考えつつも、射線に入らないように気を付ける】

犬の丸焼きなんて悪趣味なモノ、食べたくないからな

【そんな口を叩くのは、余裕の表れ】
【少し傷を負っているにしては、余裕すぎる態度】
【それはお気楽だからか?それとも別の何かがあるのだろうか】


>>82
あーあー、喚く人間ほど弱そうに見えるものはないなぁ……哀れ哀れ

【あくまでも煽っていく犬、しかし老人という司令塔はこういう時でも冷静に、陣形を整えなおした】
【それを内心忌々しくも、そしてどこか感嘆にも似た感情を覚える】
【戦闘慣れしている、この老人は】

よかったのか?
彼女はあの兵士を一瞬にして無力化してしまうかもしれないのだが

【どこかあくどい響きを含ませながらつぶやく、動揺を誘おうとしているのだろうか、本気で言っているのか】
【しかしこの現状、どうあがいたってこの犬の方が悪にしか見えない】
【そして、望んだとおり――あるいは望まなかった通り、Azothは老人と対面する】

……こいよ老い耄れ、その一撃……ッ!

【その瞬間、踏み込み、薙ぐ、風、感じたのは、痛みが先か】
【この犬は、あくまで犬並の感知能力でしかない、そんな犬が"雷"と表現するに足る刺突を、避けることができるか】
【――答えは、否だ】

……速いな、爺さん……!

【ずしゃりと、血が吹きでる、腹を貫いた刺突は"普通であれば"致命傷になりえただろう】

【そう、"普通ならば"】

……でも、私は避けるとも受け止めるとも言ってない

【負け惜しみのような一言……ついで、老人のすぐそばを弾丸のように飛来する"赤い結晶"】
【もしかしたら感じるかもしれない、新鮮な、血の匂いを】

ああ、うん、この感覚、ははは、いいね、いい

【犬はまだ立っていた、いや、まだという表現は正しくないか――余裕で立っていた】
【腹を貫かれた、だから何だというのか、そういわんばかりに】

【見れば腹から滴っているべき血は流れていない、その代わりに、赤い、血の匂いのする結晶が、鎧のようにその部分を固めているだろう】

……その一撃から、力を貰い受けるよ……!

【その瞬間、犬が――疾ける】
【これまでとは比にならない、まるで実力を隠していたかのように、駆ける、駈ける、疾ける――!】
【狙いは老人……神速、とまではいかないがかなりのスピードをもって迫る】
【そしてまた、先ほどまでよりも強くなった力で、老人の腕へと噛みつこうとする】
【だが、直線的な動きで、避けることも迎撃することも可能ではあるだろう】
【また、一撃の威力を狙ったため噛みつかれても、すぐに犬は速さの反動で反対側へと飛んでいくだろう――それは、大きな隙である】
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 00:29:48.03 ID:tc1R8eM+0
>>78

「じゃあ負けてみなさいよ!! 負けは死、そしてみんなそこで終わり!! 不完全だから意味が無いって言うんなら、あんたから負けてみなさいよッッ!!
 ここであんたが負ければあんたは死ぬし、私が負ければ私は死ぬんだ!! 勝たない事の、どこに正しさがあるって言うのよッッ!!」

【勝利に固執するその執念――――もはやそれは『妄念』と言えるレベルのそれだ。シュバルツガイストの言葉は、それに支えられて淀みなく反発する】
【負けは、即ち死――――彼女の家族、母も弟妹も、その真実に飲み込まれて死んでいった。それがシュバルツガイストの、全ての始まりだった】
【だからこそ、彼女は負ける事を極端に嫌った。それは『負け犬』、死に逝く者の辿る道でしかないと】
【――――実際、彼女を含めたこの場の戦士たちが行っているのは殺し合いだ。負けは、そのまま高い確率の死へと直結する】
【そんな言葉を吐くぐらいなら、今ここで負けて見せろと、シュバルツガイストは吼える】
【勝ちにこだわる事の――――その為に自身すら犠牲にする事の――――何が悪いのかと】
【――――『覇道』『最終勝利』を目指すグラトンにとっては、そんなシュバルツガイストの信条は、実に都合が良いものだったのだが】

>>79

……思い出したか、少年? 懐かしいのぉ、ヒャハァァァァァッハハハハハハハハハハ!!
さあ殺し合おう、今すぐ殺し合おう!! きっとあの時より、もっとずっと楽しいものじゃぞぉぉぉッッ!?
なんと言っても、わしが殺せるんじゃ!! お前も楽しめないはずが無い!! じゃからお前も死ぬんじゃよぉぉッッ!!

【感情とは、やはり共有されてこそである。グラトンは、自分が一方的に思い出している状況が改善され、自分の事も思い出された事で、歓喜する】
【あの時は、互いにとって不完全な邂逅でしかなかった。あれから3年近い時が経ってしまったが――――今こそ、決着の時】
【いつもの狂った昂りに、そうしたカタルシスが更に味を添えて。グラトンが激昂する】
【もはやこのまま、狂気の化身から狂喜の化身になってしまうのではないかと、そう思わせるほどに――――】

>>81

仕方なかろう。世界の最後の戦争なんて言うものは、得てしてそう言うもんじゃって言うからなぁ!!
わしとて、半端な覚悟で『RAGNAROK LABORATORY』などと名乗っとる訳じゃあありんせんのじゃよ!!

【究極的に突き詰めた兵器などと言うものに、美しさなど存在しない】
【いや、あるいはその機能美とも言うべきものは、確かにそこにはあるかもしれないが、そこに万人が感じ入る感動など、あるはずもない】
【嫌悪感など、あって当たり前。それを極限まで追求する為に、グラトンの研究は、今まで続けられてきたのだから】

っふっほほほほぉ!! カノッサ機関ハンターとは、これまた豪気な名乗りじゃ!! ま、一面で滑稽とも取れるがのぉ……!
ならばお前も知るが良い! わしはグラトン=ブルーガー=ウルバヌス……この世界に『最後の勝利』を齎すものじゃよ…………!!

【カノッサ機関を狩る事だけを存在意義と見做しているその名乗り。滑稽ながら、実に面白い――――グラトンの思考はそれだった】
【そんな、ほんのとっかかりだけでもグラトンは興味を抱き、そしてそれを笑い飛ばせる。それも彼の狂気故の反応なのだろうが】
【だが、蛸の目はほんの一瞬『最後の勝利』を口にする時だけ、真剣な光を帯びた】
【彼自身も、それについては確固たる思いを込めている――――そんな眼をしていたのだ】

/続きます
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 00:30:03.97 ID:DpfyO+25O
>>80

【カミナの紙の斧、それによってカニバディールの乗るウェンカムイの体勢が崩れる】
【カニバディールの動きが妨害された事によってミハエルのトラップは成功する、互いに狙った訳ではないのだろうが、即興のコンビネーションプレイとしては十分過ぎる結果を与えてくれた】

【炎上するカニバディールとウェンカムイ、不意を突けば肉のガードも間に合わないだろうという策は、どうやら効いたようだ】
【暴れ回り始めるウェンカムイからは、やはり数歩距離を離して】
【やがて炎に焼かれた異形二体は動かなくなる、倒せたのだろうか】


【スロットが回り始め、止まり、今度は『5』という数字が示される、するとミハエルの持っていた銃は光の塊になって形を変えて】
【彼の背丈と同じ位の大鎌となる、出た目によって武器が変化するのだろう】

ほう……お前を地獄の淵に沈めるには相応しい、死神の鎌だ。
地獄の業火はその炎ほど温くはないだろうな……覚悟しろ。

【ミハエルは鎌を頭上に上げて、そこからギロチンの様に降り下ろそうとするだろう】
【大鎌はその刃を見るだけで容易に切れ味の想像はつく、恐らく骨ごと切り裂けるほどには見える位に鋭く残酷なまでに輝いていた】

【まだ息が有るのなら決して油断はしない、しかし どうなるかの想定までは出来ないのもまた確かであって】
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 00:30:53.58 ID:tc1R8eM+0
>>78-79>>81

フハッ、あまり遊んどる場合でも無いのぉ……!!
さあ、お前たちには地獄を見せてやろう……これからたんまりとぉ…………ッ!?

【身体を成らすのに時間は必要だったが、だからと言っていつまでも準備運動をしているのも命取りだ】
【本格的に、敵を攻撃する方法を模索していかなければならない。その辺は、やはり慣れのないグラトンには『思考』のしどころなのだが】
【そんな暇すら切り裂いてしまう様に、>>81の鎌鼬が飛来する。巨体と言うだけならそうでもないのだが、慣れていない身体に咄嗟の回避は無理があった】
【ザクッ――――と、場違いなまでに小気味良い音を立てて、両の触手に深い切れ込みが入る。そのまま後ろに裂ける力が働き始めるほどの――――】

「きゃぁっ!! この……小賢しい真似をッッ!!」
<ウアッ!? グググァァァァァッ!!>

【――――半ば取りこまれているこの状況で切断などされようものなら、自分たちの命が危ない】
【咄嗟に2人の少女は、グラトンの体躯の肩に掴まる様にして、自分の根元を抱き寄せて耐える】
【行動は封じられるが――――この肉体には再生能力もある。何とかこのまま耐えきれれば良いのだ……】

……負けて作り上げる世界が、一体何になると言うんじゃろうのぉ!?
その為に、どれだけの代償を支払い続けるのか……勝ちを得ない限り、世界はいつまでも負け続けると言うのにのぉ!!
それも分からずに――――――――――――――――ッッ!?

【何か、グラトンにも思う所はあったのだろう。何らかの反論の様な言葉が紡ぎ出されようとしていたが、それよりも前に、>>79の結晶が降り注ぐ】
【そこから始まるトリップ、トリップ、トリップ――――ほんの一瞬での、認識する世界全ての変化は、グラトンに続く言葉を言わせなかった】
【何が起こったのか――――それを確認するよりも前に、グラトンはその光景に翻弄される】

おほぉぉぉほほほほほ!! なんじゃこれは!?!?!?
いつの間に麻薬など浴びたんじゃ、すぐに解毒しないとのぉ!!

【――――普通なら恐怖と錯乱に見舞われそうなその感覚も、グラトンにとっては楽しいものだった様で】
【だが同時に、現在の状況に望ましくないと言う認識も、また働いているらしく、麻薬の解毒をしなければ、と口走る】
【あるいはそれも錯乱の症状なのか――――あるいは、グラトンは本当にそんな事が出来るのか】
【麻薬で狂わされていく人間たちの事を思えば、それも恐ろしい話である――――もしグラトンが、真っ当にそれを活用していたら――――そんな事を考えるのは、野暮なのだろう】

これでも…………喰らえ!!

【やるべき事は、ただ敵に備える事。何が敵への備えになるのか――――それを考えるより前に、攻撃をしろ】
【それだけが、今のグラトンの思考出来た事の全てだった。そしてこの力は、それだけあれば十分なのだ】
【――――腹部から、強大な2本の肉の棒が隆起する。それには頭が付いていて、そして触角が付いていて――――巨大な蛇の姿をしている】
【――――生物兵器『オロチ』。その姿を、その細胞で模したものを、腹部から生やしたのだろう。そして、その特性である神経毒を、そこからまき散らす】
【辺り構わず、狙いなど付けず、ただ『まき散らす』――――散布する。どれだけ決められるかは分からないが、それでも多少の効果はあるだろうと】

――――――――ごぅあッッッ!!

【――――そんなフラフラに状況にあっては、>>78の爆裂マグナム弾も難なく命中する。炸裂するそれを受けて、グラトンは後ろへとよろめき、咄嗟に翼をはばたかせて後退する】
【片膝をついてしゃがみ込むグラトンの腹部には――――思ったよりも大きなダメージが見てとれた】
【どうやら、体表に突き出た機構の一部に、誘爆でも起こしたらしい。ダメージらしいダメージが見てとてる有効打だが――――それもあるいは治癒は不可能ではなさそうだ】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 00:30:54.46 ID:Ra8jSuVJo
>>82

(―――――――ち、やっぱ速度が足らない……飽和攻撃ならチャンスはあるんだろうけど)

【猛烈な加速度を誇る老人の動きに砲台の回頭は間に合わない】
【さながら川魚を捕らえようとして逃げられるようだ、忌々しいことこの上ない】
【爪に一時的に流した魔翌力もやがて尽き、光芒は掠れて消滅した】

ち、うっさいわね!考える頭もない人達に戦いを強いて!一人じゃないなんてよくもまあ言う!
本当は手荒な真似なんかしたくないんだけど……アンタ、ここまでして何が目的なのよ!!

【残る3つの爪を起動】
【背部装甲を展開し魔翌力を緊急圧縮、同時にカズネを中心として同距離の円周上に配置】
【魔翌力の接続は目に見える、魔翌力光の赤色も相まって血管にも似ている】

悪いけどっ!私に近づかないでっ!!

【兵士達が接近する瞬間に合わせ圧縮した魔翌力を放つ、奔流としての砲撃はショックガンに似た効果を示す】
【即ち純粋な衝撃として兵士たちの身体を襲う!一瞬であるからこそその衝撃は大きい】


(なんにせよ……形勢は入れ替わった、ここで兵隊を倒せれば……時間は稼げる)
(速度も関係なしに一気に仕留められる機構……大規模砲撃か、それとも高速弾道か……)
(どちらにしろ失敗したら回路が焼き切れる可能性はある――――――――いっそ囮に徹するべき?)

【考えられる作戦は6つの爪の全接続による攻撃】
【ひとつは大規模砲撃、この場全体を打ち壊す暴力の奔流で相手を滅する】
【もう一つは高速弾道による射撃、その名の通り視認を越える速度を持って相手を射[ピーーー]】

【ただ、前者は魔翌力充填までの時間が掛かり後者は高速で動く相手のロックが難しいというデメリットがある】
【ならば相方であるAzothに攻撃を委ね自分は囮を務めるか……打たれ弱い自分に務まるかという疑問が浮かぶ】
【なんにせよ状況を選ぶのはこの後にすべきだろう、標的が確実になってこそ策に意味はあるのだから】


>>87

―――――――っ、大丈夫ワンちゃ……!?

【老人の人知を越えた速度にAzothの腹部が貫かれる様を見る】
【早打つ魔翌力回路がより高く、逆巻くようにざわめくのは怒りに駆られての事】
【しかし、かのAzothという獣は知ったことかと平然としていた】

(何事……?……能力持ち……!?)

【結晶化した赤色は恐らくは血】
【流血を止める為かなるほど血を利用するのは理に適っている】
【が、傷が治るという訳ではあるまい……ダメージはダメージとして残っているに違いない】

(ワンちゃんがあれだけしてるんだから、こっちも相応に頑張らなきゃ女が廃る!!)

【獣にさえ戦う意志があるならば人はその尊厳を示すべきだ】
【その為に私はここに居て、そして振るうべき力を持っている】
【拍動のギアを更に上げる……視界が明滅するように感じるのは血流が拡大している為】
【構わない、力の行使に犠牲は無くてはならないもの――――――ならば躊躇いはない!】
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 00:46:56.93 ID:8lB6eokno
>>86>>89
【向けられる二人の正義の声に、返答はない。ただ、肉が焼けはぜる音が空しく返ってくるのみだ】
【カニバディールもウェンカムイも、生物ではある。炎に焼かれて、平然としていられるはずもない】

【事実、彼らの肉は焼け落ち続けている。そう、長時間にわたって、次々と――】


――ああああああ……!! がぐ、ぎ――!!
く、ぐ、ふ、ふふふ、ふ……!! まあだ……まだ、あ……あああああああ!!!
「グウウウウウウゥゥゥゥゥ……ガルルルルアアアアァァァァ……!!!」

【一つ目が、凄まじい苦痛と当初に倍する悪意を秘めて見開かれた】
【ウェンカムイとカニバディール、二体の異形が一体化したかのごとき姿で、怪物たちは立ち上がった】
【以前、その肉は燃えている。そう燃え続けている。カニバディールの能力で、後から後から湧き出、膨張し続ける肉が】
【カニバディールの本体とウェンカムイを覆って炎のダメージを可能な限り代替わりしているのだ】

【下側のウェンカムイが二足で立ち上がれば、その全身を覆い尽くすカニバディールの肉が見えるだろうか】
【カニバディール自身は、胸部と両腕、頭部のみがウェンカムイの首の後ろ辺りから生えているようにしか見えない有様だった】

【火勢は衰えるところを知らず。もはやそれは、カニバディールとウェンカムイの肉体、そして炎を融合したような】
【わけのわからない姿をした生物になっていた。焼かれながら活動するために、全体を覆う肉は絶えず脈動し、膨張し続けている】
【ウェンカムイが、二足で立つ。一歩踏み出せば、焼け焦げた肉が崩れ落ちる】


【異形が、動いた。ウェンカムイの燃え盛る右腕が振るわれ、迫ってきていたカミナの猪頭に叩きつけようとする】
【首尾よくいけば、衝撃と炎が猪頭を炭クズに変えてしまうだろう】


【ミハエルの召喚した鎌は、ウェンカムイの左腕の肉の一部と、そこを覆っていたカニバディールの肉の大部分を切り飛ばした】
【しかし、先ほどとは違って怪物は止まらなかった。単眼と両眼、怪物の三つの目がミハエルを睨み】
【彼に向けて、攻撃を開始する。ウェンカムイの右腕が、真横から振るわれる。軌道上にあるものを薙ぎ払う爪と拳の一撃】

【さらに、その間隙をついてカニバディールの肉が触手のように伸び、ミハエルを締め上げようとするだろう】
【当然、隙間なく炎に覆われている。掴まれれば、締め付けと炎の同時攻撃を受けることになるはずだ】


【炎に包まれたこの状況、周囲への警戒などできてはいない。狙われているのはミハエルのみ】
【カミナには、目もくれていない。彼女の次の一手は、制限を受けることはないはずだ】
【肉と業火の融合体と化し、なおも足掻くカニバディールに、二人が取る行動は――】
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/15(日) 00:49:36.88 ID:q/Occmuj0
>>85

 チッ、やはりこれだけではしとめられないか

【自分の攻撃を行った結果を見て、すぐに別の行動へと切り替える】
【敵が接近してくる前に彼はすぐさまRK-11をほおり捨てると同時に腰にある自動式拳銃K666を取る】
【それと同時にK666の発射機構に直接特殊弾丸steelを装填する】
【特殊弾丸steel――厚い鋼鉄を軽くぶち抜ける弾丸、主に硬い敵などによういられる】
【だが弾速が遅く使いどころが難しい銃弾である】

(さて、これを撃つと決めたからには痛い思いをしなくてはいけんか)

【重ねて言うがこの弾丸は遅い、だからこそ遅くなったり弱ったりしたときに使う】
【だが、それいがいの場合でも彼は必要ならこの弾丸を躊躇なく使う】
【たとえ自分が死に掛けても最終的には勝利すればいい――そんな男なのである、ゆえに】

 接近戦上等、必ずこの弾を叩き込む

【そのように静かにつぶやき彼は面白そうに笑みを浮かべた】

【そして、敵が接近して刃を発現させて、彼めがけて単調な突きを放ってきた】
【無論、そのような攻撃を彼がかわすのは容易だ、だがこの敵が放った攻撃は単調すぎると何かすると予測する】
【そして敵が本命である攻撃を仕掛けてきた。彼はこの行動をある程度予測しすぐさま後方へと飛びのく】

 ぐっ…!、だぁがこれでッ!

【攻撃は食らったしかし飛びのく、この行動のおかげで彼はあの本命の攻撃に対して直撃せずにすんだ】
【だが、その攻撃は直撃こそしなかったもののけっして軽傷ではなく、中傷といったところだった】
【だが、彼はそんなこときにせずにすぐさま用意してあったK666を敵に向け――発射する】
【当然その中身は特殊弾丸steelだ、弾速が遅いとはいえこの距離、回避するには難しいが――】
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/15(日) 00:54:02.70 ID:X9rWTPP6o
>>83

【突き付けられた残酷な言葉。その時一瞬だけロウの表情に暗澹が見えただろうか、伏せられた瞳に映る悲しみの蒼も一瞬ながら確かに描かれて―――】
【そしてそれを払拭するように顔を上げ大きく瞳を開き―――見据える。恨みの感情ではない。怒りの感情でもない。―――もうコレ以上死なないようにという決意の、瞳】
【負の感情が生み出す濁りもない深みある紺碧は、正義の味方に相応しき眼光。今にもこのセードムシティには、絶望に打ち拉がれる市民がいるだろう】
【―――見えぬはずの暗涙に咽ぶ姿が見える。聞こえぬはずの咽び泣く声が聴こえる。そう考えるだけで力が湧いて止まないのだ】

……お前を殺さずに「止める」。確かに俺はそう言ったぞ、ダリア。
―――もうコレ以上人を殺させやしない。そしてこの町を取り戻し……この町に住んでいた人の笑顔を取り戻す。
……そうすることが、アンタ等カノッサに殺されたセードムシティの人々に対して俺等が出来る唯一の事……そしてアンタを殺さないってのは―――俺のくだらんポリシーさッ!!

【先程放った弾丸の対処で見えたは彼女の能力。ロウ自身と同じ、氷の壁を作る能力も持ち合わせている―――と言うことか】
【先制攻撃で見えたあの破壊力に加え、堅牢な盾を携えている。不殺の精神に神が微笑んだのか、偶々弾丸は命中するもかすり傷。大きく戦況を変える力はない】
【―――やはり一筋縄ではいかない、などと警戒を強めるロウに対し―――愚直なまでの殺意を秘めた反撃が襲いかかる……!!】

―――ッッ、それは……ッッ!!
(―――……俺の常套手段じゃねーかよォッッッ!!)

【能力を属性に分けるとすれば、お互いが炎と氷―――相反する2つを操る能力者。故に戦闘における工夫も似るのか。ロウ自身が―――この攻撃の凶悪さを知っている】
【強い行動だとロウも分かっているこそ、彼の常套手段でもある。相手の視界を盾で狭めながら、盾を破壊し礫に変える。視界を奪えば、盤面をコントロールしたも同然なのだ】
【だが反対に、その行動への対策も熟知している。今まで色々な悪党と対峙して来た中で、奴等はどう対処してきたか―――走馬灯のように場面が浮かび、そして身体が動く】

―――……必要経費だ、こんちくしょうッッ! ぐゥッ……、〜〜〜〜〜ッッ!!

【―――選んだ選択は、「防御しない」というものだった。視界だけはと顔を背け目を左腕で覆うも、六枚の兇刃は各部分を鋭く裂く。脇腹や肩、ふくらはぎ等から朱が流れた】
【裂くだけならば良かったが、3枚は彼の肉に突き刺さっていた。左の二の腕に1枚、左脛に2枚。痛みに歪んだ表情と漏れた声が、その苦しみを十二分に示す】
【しかしその痛みに藻掻き苦しんでいる暇はない。「必要経費」と彼は言ったのだから―――反撃しなければこの痛みは食らい損になってしまう】

【顔を右に背けながら左腕で目を守るように覆い、やや右半身が下がっている状態の中で、彼は右腕を背面から通し―――背面投げならぬ背面発砲を放つ】
【トリッキーな発砲が狙うは彼女ではなく。チラリと見えた左奥の鉄筋。彼女の先制攻撃によって家が壊れ、剥き出しになっていたのだろう】
【一瞬全く見当違いの方向に放ったかのように見えるが―――老獪な男が無駄弾を作る筈がない。キン、という金属音と共に銃弾が跳ね返れば―――】
【彼女から見れば右斜め後ろから、右脇腹目掛けて弾丸が飛来する。普通ではない構えから、普通ではない軌道の弾丸。獣の嗅覚は其れに反応し、対応できるのだろうか】




95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/15(日) 00:55:29.99 ID:1k/es8eNo
>>79>>81>>88>>90

【一撃を撃ち放ったケルベロスの銃身が鋭く焼きつき、そして先端が融解を始める―――たったの一発で、だ。】
【どれほどまでに強烈な攻撃を加えているのか、それだけで分かろうと言う物。セリーナは素早くハンマーを叩き起こし】
【直ぐに次弾を装填―――残る二発の弾を備えた"シリンダー"と共に、三連バレルもグルン、と回転し、次なる銃身が設置された。】
【一発、一発を撃つごとに銃身を消耗するからこその、三連バレル―――全弾を撃ち終える為に装備されたのが、この極限威力の銃だ】


  (―――もっとも、それですら効果は"バツグン"―――……と言い難いのが現実、か。)
  (悲しい事だねぇ、パワーアップしたケルベロスが直撃しても"コレ"か……なら、二発連続で、やるしかないッ!!)

  ……だから、不完全だって言ってるんだよ。
  シュバルツガイスト、アンタの"不完全さ"は―――その"決め付け"にあるんだ……。
  死が負けを意味する、それは確かだろう。けどね―――"負けがイコールで死に繋がる"とは、限らないんだ。

  ―――ボロボロに負けてこそ。そして、負けて尚、無様に這いずり回って"生きて"こそ……ッ!
  掴める本当の勝利があるッ!! アンタはそれを知らないだろう……ッ!!
  だから固執する、勝つことは相手を倒すことだけだと、"そう決め付けて"いるから……ッ!!

  良いかい……アンタは決して、強くなんか無い。むしろ何も知らない、弱い存在だ、シュバルツガイストッ!!
  それを―――……アタシが証明してやる。


【―――仮に、グラトンが融合することで強力な力を得ているのだと、するのならば。】
【こうは考えられないだろうか―――……彼と、"彼女等"を、"分離させられれば、或いは"―――と。】
【セリーナはそう考えた。シュバルツガイストの言葉を聴く限り、彼女もまた、ハートと同じ、悲しい生い立ちを持つ存在―――なら。】


  (……シュバルツガイストに限らず。合体してるほかの女の子達も、バラバラにできれば……ッ!!)
  (残ったグラトン一人で、全てが担えるとは思えない、だからこそ、"救う"価値がある……ッ!!)


>>ALL(ライラ、基樹)


  ……ライラ君、それに基樹君。アタシに考えがある。
  ちょいと耳を貸してくれるとありがたいんだけど―――どうだろう、少しは余裕が、あるかなッ!

【セリーナは二人に向かってそう叫ぶと、すかさずケルベロスのニ撃目を発砲―――それも、地面目掛けて、だ。】
【着弾したケルベロスは轟音と共に爆風を撒き散らし、そして更に言えば―――付与された"風"の属性により、暴風を巻き起こす。】
【結果的にこの激しい風は>>90にて放たれた毒ガスを広範囲に散布することで薄め、吹き飛ばす効力を為すはずだ―――とはいえ。】

  う、くぅ……ッ!? ごほっ、けほっ、……つ、くっ……ッ!!

【その全てを防ぎきれる筈も無く、強力なガスは鎧を通過しセリーナの肉体にダメージを刻む。】
【しかしそれでも、彼女は再び次弾を装填すると二人に向き直って、こんな言葉を告げる筈だ―――。】


  ……どうも、見た限りじゃ"怪物"さんには再生能力もあるらしい、コッチの手数が限られてる以上、これは明らかに不利だ。
  持久戦に持ち込もうにも向こうは化け物、こっちは能力者と人間に魔法使い―――……多分、押し切られるのは時間の問題。
  だから、ってワケじゃないけど……連中の力の源を絶つ、そんな戦いをしようと思う……ッ!!

  ―――元はどうあれ、グラトンは科学者だ。一介の科学者に、こんな戦闘を行える能力があるはずも無い。
  であればこの力の根源は何か―――単純さ、合体してる女の子の力が、ソレだ。
  だから端的に言うけど、この融合を解く方向で戦いを進めれば……勝機が見える、かもしれないッ!!

  只闇雲に攻撃を重ねるんじゃない、あの少女達を救―――……。
  ……分離させて、戦うんだ。乗ってくれるかい?


【―――後半に出た言葉は、彼女の本心か、それとも単純に、効率を優先した結果なのか。】
【少なくとも、このまま戦力の力比べを続けても活路は見出せないと、セリーナはそう判断し―――彼らに、提案するだろう。】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 01:15:01.08 ID:Tizm9Unpo
>>87


……元より彼らは、戦場に立つべくして立った訳ではない。ここで脱落するようであれば、それまでよ。


【カズネが三人を倒してしまう可能性は、老人とて考えていたようで。それでも向かわせたのは、戦況の流れ上仕方がなかったというところも大きい】
【しかし……『対外ボランティア』という存在の価値を語る老人の口調は、少しばかり重いだろうか。彼らが洗脳された住人だというのは老人も知っているようであり】
【――――あるいは。老人も此度の首謀者である≪No.6≫と同じ機関員でこそあれ、それに対して良い感情を持っていないことが伺えるかもしれない】


ぬ、っ…………! それが君の能力≠ゥ!!
我が剣技を受けてなお立つとは――――全く、羨ましい限りじゃよ!!


【防がれた訳でも、回避された訳でもない。レイピアは確かに腹部を貫いたはず――――この血を結晶化させる奇妙な能力が、Azothを救ったのか】
【カズネの攻撃の回避へ向かう去り際、老人が残していった言葉は少しばかりの羨望を含んでいる。犬に嫉妬するのもおかしな話で、同時に自嘲も感じられるが】
【……そう言えばこの老人、この剛勇無双の剣技が能力でないとするならば、まだ一度も異能≠轤オいものを見せてはいない】


な、にっ――――!
厄介な、よもや手傷を負えば負うほどに強くなるとでも………!?


【そして、時間軸は現在に戻る。カズネの光線を避けるべく回避に徹していたところへ、老人の予測を遥かに超える速度でAzothが迫り来る!】
【即座にAzothの能力の正体を推理し、不意を突かれる形でありながらも、咄嗟の判断で狙われた右腕を動かしたのは流石だったが……】
【今度は一筋縄で対処することは出来なかった。直に噛み付かれることこそ無かったものの、Azothの鋭い牙は老人の右腕に深めの裂傷を残していくだろう】

【……だが、老人もただでは終わらない。それとカウンターになる形で右腕を真下に潜らせ、すれ違いざまに強烈なボディブローを叩き込まんとする!】
【忘れてはならないのが、老人が右手にマインゴーシュを握っていることだ。老人の拳は護拳≠ニ呼ばれる金属のパーツで覆われており、威力はその分高まる】
【直撃すれば骨折のみならず、内臓へのダメージも覚悟しなければならないだろう――――】


/遅れてすみません、続きます!
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 01:15:24.14 ID:Tizm9Unpo
>>91


――――その言葉は、彼らへの侮辱じゃよ。
確かに彼らは、グラトンらによる洗脳≠受けてはいるが……それは自意識を奪うほどのものではない。
無論、根底に連中への恐怖があることは間違いないが。ここに居るのはあくまで彼ら自身の意思で、彼ら自身の選択じゃ。

彼らは、弱い。ゆえに戦い方を知らねばならぬ。……二度と、己に負けぬように。


【カズネの言葉に、老人は少しだけ表情を硬くした。ちらりと眺める三人の形相はどれも必死であり、見えない恐怖に駆られているかのよう】
【本当の意味での洗脳を受けているのならば、そもそも話すことすら出来ないだろう。戦うように考えを強制された、というのが恐らくは正しいか】
【――――意図的にか、老人は自分の目的については一言も語らなかった。ただポツリと呟きながら、三人の兵士達を眺めて】


「ひっ………うわあああああああああああああ!!」

「ちくしょう、ちくしょう――――ッ!」


【最初に魔弾によるダメージを受けていたこともあって、兵士達はカズネの放つ衝撃≠受けるとあっさり崩れ落ちてしまうだろうか】
【離れていた鞭使いだけは無事だが、残る二人は剣を取り落として倒れ込む。……相当のダメージは負ったが、まだギリギリで気を失ってはいなかった】
【だというのに、彼らは立ち上がろうとしない。ダメージよりも精神的な要因が大きいのだろう、このまま寝ていれば楽になれると――――】


――――どうした、剣を取れ! 立ち上がれ!
いま目の前にいる者を見よ、このような女も! 犬畜生でさえも!! 数で劣る戦況に屈せず、立派に己の正義≠貫いておるではないか!

貴様らはそうして豚のように、一生恐怖から逃げ続けるのか!? ここで助けられた後も卑屈に生き続けるのか!!
変わりたければ奮起せよ!! 自らの意思を誇れ!! 己が恐怖と立ち向かえ!! ――――闘えッッ!!!


【まるで軍隊――――上官から、部下達へと飛ばす叱責のように。荒れ狼≠フ咆哮の如き憤激が、兵士達の体を打ち据えるだろうか】
【無理矢理随わされ続けていた彼らからすれば、理不尽で身勝手な理屈であった。……それでも、何かも思うところでもあったのかもしれない】
【――――立ち上がる。一人は涙を浮かべて、もう一人はやる方ない怒りを浮かべて、それぞれ剣を取った】



「う――――うぉああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!!」



【今度の攻撃に狙いはない。ただ力任せに、八つ当たりのように、カズネへ二本の剣が叩きつけられるだろう!】
【注意しなければならないのは、この剣が『F-255』――――通称『蟷螂剣』と呼ばれる特殊な刀剣であることか】
【意図せず、力んだ兵士の手がグリップを操作する。振り下ろされた刃の中間部分にある『節』が突如折れ曲がり、剣から鎌≠ヨ姿を変える!】
【これにより、攻撃は斬撃ではなく刺突≠ノ変わり。折れた刃の分だけリーチが伸び、攻撃のタイミングがワンテンポ早まる。注意していなければ少し危険だ】

【……そして、攻撃の成否に関わらず。元よりカズネの衝撃を受けて限界が来ていた二人の兵士は、攻撃後に今度こそ限界を向かえ、地面に倒れ伏すだろう】
【残された鞭の男の方は――――やはり老人の言葉に思うところでもあったのか、戦意を喪失したように佇んでいる。……とりあえず捨て置いても大丈夫そうだ】



>>ALL


――――――出力三十! 撃て(フー)<b!!


【二人への攻撃がそれぞれ終わった後――――老人はふと軽く手を挙げ、そして唐突に叫ぶだろうか】
【その意味を理解するには、二人が振り返って斜め上を見る必要がある。……中止すべきは、少し離れた位置にあるスロープの上】
【――――非戦闘員の避難誘導に当たっていた、銃≠持っている二人が戻ってきたのだと、わかるだろうか?】

【そして号令と同時、『F-166』――――通称『ボルトシューター』から射出されるのは、バチバチと光を発する大きな電撃弾=I!】
【それも単なる電撃弾ではない。着弾した瞬間に炸裂≠オ、電撃と同時に衝撃を撒き散らす凶悪な弾丸である】
【狙い自体は二人の胴体だが、躱したとしても地面に着弾して炸裂するため、完全に回避するためには相当移動しなければならないだろう】
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/15(日) 01:17:01.72 ID:XF+n2rDHo
/*分割します!*/
>>81,88,90,95
【谷山の思想は、どちらかと言うとグラトンに近い】
【敗北に価値がないわけではないが、最後には勝たなければならないという思想だ】
【そして、今この場に恐らく次はない。だから今この状況に於いては――】

『――勝つことが全てだッ! そこだけは認めてやる。
ああそうさ。生きて、最後に勝ってみせる。俺は勝つためなら負けることだって選んでみせる!!』

『ッ――――Imitation Saber魔剣ダモクレス!!=x

【そう、谷山は迷うこと無く宣言する。そして、谷山は虚空から兵器を引き出した】
【アートマンの結晶体を収束して創りだした、一撃で砕け散るその兵器。その姿の名は、魔剣ダモクレス=z
【この場に居るセリーナが用いる、強力な装備。それを見た目だけ再現したものだ】

『俺は殺す。人を殺すのは初めてじゃあない。
だがな、俺にとって殺人は手段であって目的じゃない。――そこが俺とお前の違いだ。
俺は戦いも殺し合いも全部――大っ嫌いなんだよォ!!
だから、争いを、殺し合いを、戦いを生むてめえみたいな奴は例外なく消してやるよ、殺してやるよォ!!
ああそうだ――――てめェは死ねェ!! 俺は生きてやる、絶対に、絶対にだァ――――ッ!!』

【グラトンの言葉に対して、安定性を欠いた谷山の精神は、むき出しの悪意と殺意と敵意を発露させる】
【谷山は正義だ。紛れも無く、正義だ。だが、善人ではない、そして悪人でもない。悪事も善行も双方行ってみせる】
【清濁併せ持つ、渾沌とした正義。セリーナのそれや、ライラのそれとは違う――歪で、狂って、折れ曲がっているのに真っ直ぐな意思】
【その正義は、哲学者の卵の影響によって殺意としてこの場には具現している。そして、その殺意は手元に剣となっている】

『……は、毒じゃねェよ。ハックだ。
てめえをハックして、クラックして、ブレイクしてやるよォ……!
分析して、脆弱性を見つけ、その脆弱性の対策をするだけ。
てめェをブチ斃すのはサーバー相手にするのとそう変わりゃあしねえわなァ!!』

【グラトンはたしかに強い。無数の攻撃手段を持ち合わせ、無数の防御策を持ち合わせる】
【だが、できることが多いものほど、把握しきれない弱点が多いものだ】
【機能制限という言葉を知らないようなグラトンは、高機能だが脆弱性の多いサーバのようなものでもある】
【要するに、谷山の選んだ戦いは、グラトンに対してゼロデイアタックを仕掛けるようなものだった】

『カ……ァ……ッ!!
この程度でェ……! 俺を、止められると思うかァアァァァアァァ!!!
神経が侵されたならダメな部分ぶち壊してもう一度作り直しゃいいだろうがよォ!!』

【神経毒。それを浴びた谷山は、しかしながらうろたえない】
【侵された部位を即座に放棄し、自壊と生成を繰り返し続けることで毒の効果をある程度軽減していく】
【と言っても、自壊と生成を繰り返す度に体躯と精神には負荷がかかり続けている事は間違いなかった】
【そして、セリーナから告げられる作戦。それを受けて、谷山は笑みを浮かべる】
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/15(日) 01:17:27.31 ID:XF+n2rDHo
>>81,88,90,95,98
『俺に出来ることは大して多くない。せいぜいあいつらの五感とかそういうのを狂わせる程度のもんだ。
俺の技は威力を持たない。だが、当たれば確実にあいつらに隙を作ってやることは出来る。そして俺は必ず当てる。
だから――、俺を信じろ。俺を信じて、準備をしておけ。――――哲学者の卵の力で、目にもの見せてやっからよォ』

【谷山は、このような大規模戦闘の場合には殆ど肉体にダメージを与えることができていない】
【それは、本人の身体能力の問題でもあったし、異能の適性の問題も有った】
【だが、今此処には2名の火力を持ったものが居る。そして、大切なのは適材適所】
【谷山はグラトンを倒せない。だが、倒すための布石になることは可能だ】

【笑みながら一歩前に出て、谷山は手に握りしめる剣を掲げた。そして、全身に燐光を纏っていく】
【纏わりつく燐光は、結晶となる。谷山の体表を、鎧のように覆い隠していく蛍石の群れ】
【足りない身体能力を一時的に底上げするために、谷山ははアートマンを纏った≠フだ】
【外部から強制的に動かすことで、無理やり技の再現を可能にするその荒業は、肉体に異様な負荷を与えるもの】
【だがそれでも、一度限りであれば大抵の技は再現することが出来る。武の心得を、銃の心得を持たぬ谷山が身につけた、本気の猿真似だ】

【谷山の口が動く。己の中で確定した動作を実行するための、起動コードを口にする為に】

『 ≪一の刃・陽炎=竅@』

【技名が口にされた直後に、谷山の姿が消え去った。そして現れたのはグラトンの正面】

【陽炎とは、相手へと突進しすれ違いざまに切裂くだけの簡単な技】
【魔人となったディック・ホワイトでなければ必殺にも成り得ないだろう単純なそれに、谷山は威力以外で一瞬だけ並んでみせた】
【その剣は、実態のないイミテーション。触れても肉を割くことは無い、骨を断つことはない、命を落とすことはない】
【だが、それは先ほどの結晶体による神経系の汚染よりもなお大きい影響を与えてみせる】
【神経系に流れこむデータ量は、先ほどの結晶の数倍どころではない。命中したのならば、全身に無軌道な命令が送り込まれかねない】
【そして、グラトンの肉体の神経系がどれほどのものかは分からないが、脳の処理速度と作業領域と神経系の帯域幅の限界を超えたならばグラトンというシステムは一時的にダウンする】
【即ち、一時的な意識の消失。そして意識復活後にも残る、神経系へのダメージが、この攻撃の与える効果の結論だ】

【体表に纏ったアートマンを負荷で自壊させながら、谷山はそのまま駆け抜けて、止まる】
【負荷が大きいのか、荒い息を吐いて片膝を突いた】

『――――ッ、ッ、ぉ……ォォォォオォォォォ!!!』

【皮膚が崩れ、ぼろぼろとなった身体で立ち上がる、人なのかアートマンなのかわからない何か、谷山基樹】
【全身に罅割れを生み出した状態ながらも、その瞳だけには強い意志を宿して】
【ぐずぐずの右手でナイフを引き抜き、グラトンへと向き直った】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 01:19:57.55 ID:0lfbTfD4o
>>92>>89

(――――随分と厄介な状況になったのじゃ……!)
(こうなっては、これ以上"温存"するのは愚策か――)


【燃え盛りながら、尚も化け物じみた力を振るい続けるカニバディール】
【戦闘を続行出来るだけの余力を残していることは、防御策を用意していた事から分かる通り予想の範囲内である】
【しかし、"燃えながら"暴れまわっている現状が厄介だ】

【一見万能に見える"オリガミ"であるが、その実殆どの攻撃は接触攻撃であり】
【最大級の弱点である炎に巻かれれば、紙は瞬く間に焼失し消えてしまう】
【つまり言えば"炎を纏ったまま"のカニバディールに、真っ当な手段で有効打を与えることは難しいのだ】


【そう、真っ当な手段では……だ】
【カミナは天を見上げた。其処には、最初から用意してあった"切り札"が存在する】
【本来は敵の巨大兵器などの相手をすることを想定したモノであったが】
【この期に及んで出し惜しみなど考えてはいられない】

【このカニバディールという怪物を打倒するには――】


【カニバディールがミハエルに攻撃の手を向けているその時に】
【カミナは深く息を吐き、精神を集中しながら胸の前に手を掲げ――】


            ―――我「折る」「紙」に『神』は『降る』―――


              【<貴宝院流秘術:降り神/八咫烏>】



【――パァン、と森羅万象に響かせるように神気を込めて打ち鳴らした】
【その瞬間、上空に存在した"巨大鳥折り紙"に神気が宿り劇的な変化が現れた】
【純白の身体はみるみる内に黒に染まり、偽りの身体に肉が、神経が、血液が宿っていく】
【其れは雄々しく空を裂きながら長大な黒翼を打ち震わせ】
【三本の足の先に日本刀のように鋭い爪を備えながら、戦場に向かい一直線に降下する】

【折り紙の実物化、一日一度の使用制限が存在するカミナの切り札であった】
【当初より視覚共有により、俯瞰した目線からの情報収集を行っていた鳥折り紙は】
【こうした必要な状況に応じて実体化させ、参戦させることも視野に入れた代物であった】


貴様のような下劣な輩には過ぎた技じゃがな
――冥土の土産じゃ、とくと拝んで逝くがよいわ!!


【巨大な鳥――八咫烏は、カミナの付近……約2m程度の高度まで降りると翼を一層強く打ち震わせる動作を見せる】
【その瞬間、広大な翼に血管のような無数の光の線が刻まれ】
【八咫烏の正面にバスケットボールほどの大きさをした高熱の光球が生まれていき】
【数秒と立たぬ間に其れは――カニバディール目掛けて射出された】

【この八咫烏を模した生物が持つ特性は"太陽の化身"】
【本来は弱点である、高熱を操る攻撃が可能となっている】

【光球は、カニバディールから少し離れた位置で効果を発動し大爆発を引き起こす】
【直接当てて使わないのは、ミハエルが拘束、もしくは近接距離に存在する可能性が高いためだ】
【その為命中したとしても威力が低下しており、必殺の一撃とはなりえないだろう】

【だが、爆発する際に放たれる衝撃と膨大な光は】
【カニバディールに隙を生じさせる可能性も存在するだろうか】
【また、爆発が起動する前に即座に気づき光球に強力な攻撃を食らわせた場合その場で効果を失い掻き消える】
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 01:28:14.17 ID:vMFzNCHxo
>>88

「……さっすが、No.6なだけ有るぜ……テメーの覚悟は確り伝わったぜ、グラトン。

 だけどな……、テメーが持ってくるその『最後の勝利』は、必ず人類を……いや、この星全てを滅ぼしちまうものだッ!!
 確信を持って言いきってやるッ!!」

【ライラは、グラトンのその言葉に戯言などではない確りとした重みと、蛸の目に映る一層強い光を捉えていた】
【コレほどまでならば、逆に尊敬の念を覚えるくらいだ。……いや、尊敬を覚えて当然だろうか。巨大機関のNo.6はそれほどのカリスマ性を備えていて当然だ】
【彼にも強い意志が有る―――だが、此方にも負けられない理由が有る! 正義と悪の戦いは、意志と意志のぶつかりあいでもあった】
【そして彼の意志と同じくらいに、ライラの正義は燃えていた】

>>90
【3人の自我を有する怪物。別々に動く体と触手は、3対1ではなく、3対3と全く同じ様相を呈している】
【ならば、分断させてしまえば良い―――単純明快な作戦だが、そううまく行くほど、あの怪物も軟では無いようで】
【直撃を狙った風の刃は、触手に切れ込みを与えるもそのまま切り倒す事には至らない。チッと舌打ちするライラ】

「負けて、負けて―――人は強くなれるッ!! その代償さえも背負ってだ!!!

 既に人を止めたテメーらには分からねーだろうが、俺には分かる! 今からお前らに見せてやる……負けて手に入れた物をなッ!!!」

【ライラの言葉は本気だ。負けることで見える世界を、グラトンにも、両側の少女達にも叩き込もうとしている】
【だが、あちらの戦力は圧倒的だ。さらに彼が言った「麻薬の解毒」。そして、腹部から這い出る肉塊に、ライラはある宿敵の姿を重ねる】
【ライラの予想が正しければ、あの化け物は再生能力持ち―――それも、とびきり強力なものだ】

>>95>>98>>99
「くッ……ゴホッ……ッ!! どうだろうな……ッ!! 少なくとも俺は今にもぶっ倒れそうだが……そういやセリーナッ! イメチェンしたなっ!」

【肉塊が吐き出した毒ガスをモロに受け、それでも倒れることなく軽口を叩けるのは、セリーナが放った風の魔弾のおかげだろう】
【それでも毒ガスの効果は強烈だ。ぶっ倒れそうなのは、案外冗談ではないらしい】

【セリーナの言葉を聞けば、やっぱりかとライラは頷く。再生能力については言わずもがなだが、それ以上に気になったのはあの少女達】
【科学者であるグラトンが強力な力を持った理由。確かに、あの少女達以外には考えられない。恐らく、彼女達は取り込まれる以前にグラトンの実験に巻き込まれている】
【怪物の力の源である少女達を分離する。いや、分離ではない。最初に彼女が言った言葉。『救う』のだ。ライラはその言葉を出すのを躊躇わなかった】


「……あたりめーだ。『救ってみせる』―――あいつらだって苦しいんだ……俺は協力を惜しまねーぜ。」


【それがどのような結果になるか分からない。分離した矢先、死んでしまうかもしれない。だけど、『救いたい』】
【なら、選んでいる暇はないだろ? そうもセリーナに言って、ライラは大きく深呼吸をした。只でさえ厳しいこの戦いの中、目標がもう一つできた】

「確か……谷山 基樹、だったか? だったら、俺達も信じろよ。お前が隙を作ったら、俺らも必ず一撃叩きこんでやる」

【輸送機内で聞いた苗字と、セリーナが言って名前を組み合わせて、初めて彼の名前を呼んだ。そして、彼の言葉をそのまま返した】
【もう一回、深呼吸して―――ローブの中から、何かを取り出した。小瓶の中に入った液体は、この戦いにおけるライラの奥の手であった】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 01:42:17.90 ID:PLPpJBhJ0
【港の近郊に存在する酒場。仕事上がりの漁師達やらが立ち寄る故に、日々活気に満ちていて】
【――――何時も明け方まで店の外まで聞こえるのは上機嫌な笑い声や歌声、時には怒号だ】
【さて、今宵。波も比較的穏やかな夜。大漁であったのは間違い無いのだが…………不気味な程に静かであって】


『な、なぁ……嬢ちゃん。好い加減機嫌を直してくれねぇか?俺達が悪かったからよぉ…………』

「――――うっさいわね。初めに喧嘩を売ってきたのはアンタ達だった筈だけど?
アタシは其れを買っただけ。何だったっけ?女子供が来る様な場所じゃ無いからさっさと帰って――――……」

【半壊した椅子に座るのは一人の修道女だ。フードから零れるのは艶の有る赤色の髪で、その表情は不機嫌そうに歪められていた】
【周りで伸びているのは男達。青あざを作ったりなんてしていて…………どうやら、仲間内の喧嘩でも無い様】
【グラスに注がれた酒を飲む女の拳からのみ血が滴っているのだから、犯人だって直ぐに分かりそうなものだが】


「で、意識があって喋れるアンタが最後の一人ね?
悔しかったら俺達全員をぶっ倒して見ろ――笑いながらそう言っていたわよね。じゃあその通りにしてあげるわよ
……そのツラ、二度とアタシに見せないで」

【流血しながらも唯一意識が残って居た男。哀れにも、後頭部を掴まれて】
【ズルズルとカウンターまで引き摺られたかと思えば…………店の外まで聞こえるのは非常に大きな音だ】

【さて、酒を求めてか音を聞き取ってか分からないけれど。ウェスタン風の扉を開いて店に入って見れば】
【先ず視界に映るのは辺りに飛び散った赤色の飛沫と、倒れ伏した十数人の男達。その中にはこの店の店主らしき者も居るのだから何とも悲しい話】
【続いてカウンターに視線を移せば…………ジロリ、と新たな入店者を紅い双眸で見遣る修道女が見える事だろう】

【事を成したのはこの者で間違いは無い。何せ、血の滴る拳に意味深に割れた酒瓶やコップが女の周りに散乱しているのだ】
【何をしたのだと問うても、或いは何か行動を起こすにしても。一度店に入ってしまったなら、その視線から逃れる事が出来ないのは間違い無い事】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 01:45:20.04 ID:DpfyO+25O
>>92-93

…………ッ!こいつ、まだ動くのか……!

【見開かれた異形の一つ目、全身を焼かれて尚動く怪物】
【カニバディールとウェンカムイが一体化している、まるでケンタウルスかキメラの様に更に醜く、凶悪な生物へと変貌を遂げていて】

【鎌でカニバディールを確かに切った、それでもまだこの異形は動く】

【構えるが、カニバディールの方が早い、爪と拳の攻撃はミハエルを捉えていた】
【本の少し後ろへ下がれたのが良かったのか、受けてもまだ立ってはいられた】
【しかし傷は決して浅くはない、いや、吐血していることから見てかなりのダメージを受けたことだろう】


……ガフッ……!? ……ハッ………………ッ……!

【吹き飛ばされると、反撃を与えぬ程早くカニバディールの肉がミハエルを拘束する】
【焼けていく自らが肉体と強力な締め上げ攻撃、このままでは不味いとミハエルは脱出を試みる】

こ……こいつ………………! いい加減に…………ッ!


【上半身は拘束されていて使えない、ならばとミハエルは足で思い切り、下にぶらんとなっている鎌を蹴り上げるだろう】
【それによって触手のような肉の切断を試みた】

【もしそれが成功したのなら、次はカニバディール本体に向けて鎌を振るうだろう】
【切りつけようとする回数はたった一回、しかしまるで鎌鼬の様に三度攻撃された感覚があるだろう】

【一発目はカニバディールの胸部、二発目三発目は腹部とウェンカムイの胴体に斬撃が向かう筈だ】
104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 01:48:39.98 ID:tc1R8eM+0
>>95>>98-99>>101

……貴様が言うたぞ、何をすべきかぁぁぁぁッッ!!

【荒れ狂う感覚情報の嵐。そこに更に火に油を注ぐ>>99の一撃。だが、その対策はグラトンにも見えている】
【――――肉体全てが液状化し、バシャッと細胞を捨てて、やや体躯を小さくしたグラトンが中から現われる】
【――――ダメになってしまった肉体、ダメになってしまった神経は『作り直して、捨ててしまえば良い』】
【強引なその方法は、喉元の火傷や胸元のダメージを更に悪化させて、醜い傷跡となって広がっていくが――――意識を落とす事はない】
【その代わりに――――思いがけず肉体へのダメージとなって、還元される事となった】

…………ッッ、じゃが…………もう終わりじゃ、これで……終わりじゃよ!!
お前たちなどに、わしの道を阻む事など出来ようものか!! お前たちも、これでおしまいなんじゃよ!!
残念じゃが……その愚かさをお前たちに理解させる時間すら与えられんなぁッッ!!

【足に力を入れて、片膝をついた状況から立ち上がり、その場で大きく大地を踏みしめ、力を込めていくグラトン】
【同時に、グラトンの足元が――――否、それだけに非ず、周辺の広いアスファルトの地面が、ひび割れて、陥没していく】
【ほとんど忘れ去られている事実ではあるのだが――――グラトンには、彼自身固有の能力と言うものが、やはり存在していたのだ】
【それは、重力制御の能力。……とは言え、その効果は決して強力なものではなく、日常に多少の影響を及ぼす程度でしかなかった】
【まして、戦場などで使い道がある様な類のものではなかったのだが――――しかし、今のグラトンは、その肉体の全てが強化されている】
【それに伴い、その能力による効果の範疇も大幅に強化され、今付近一帯の重力を強烈に増大させたのだ】
【場に居る全員が、立っているのもやっとで、歩き回るなど困難を極める――――そう感じさせるだけの重力増大を】

ッッッ、さぁ…………焼かれるが良いわ…………消え去れ、雑草よッッッッ!!!

【グラトン自身も、やはり力を籠めているのだろう。むしろ、その体躯を考えれば、一番重力増加の影響を受けるのは、他ならぬグラトン自身だ】
【それでもなおそれを強行するのは、無論の事、それが更なる攻撃の――――否、グラトンの腹積もりからすれば、最後の攻撃の布石だからである】
【――――今のグラトンの全身を構成する、暗いメタリックブルーの体色の筋肉が、仄明るく輝き始める】
【それは、強く強く、やがて眩しい位に明るく輝きを強め、そして次の瞬間――――強烈な光と熱を周囲へと無差別に放射する】
【――――グラトンの肉体構成のベースとして使われた、ジ・エンブリオンの持つ戦技『細胞熱線』である】
【遥かな巨躯を手に入れ、より出力の増したそれは、もはや爆発とも言える規模で、グラトンの周囲を薙ぎ払っていく】
【重力増大でも、あるいはダメージとなりうるかもしれないが、それはあくまで、獲物を逃がさないようにする為の『仕込み』でしかない】
【この強烈な熱線を真っ向から浴びせ、骨すら残さずに焼き尽くしてしまう為の――――――――】

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!」
<ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!>

【更に、肩の触手から生えるシュバルツガイストとクロス・ザ・ルビコンは、それに合わせて所構わず追撃の射撃を撃ちまくる】
【彼女らにも、確かに伝わったのだ。これを以って、グラトンは敵を一網打尽にする腹積もりなのだと】

【もしも重力に囚われてしまったら、回避の出来る状況ではない。何とかして、その熱線や付属する援護射撃を防御し切る事を考えた方が良いだろう】
【強烈な一撃である事は間違いないが、何とかしのぎ切る事が出来れば、チャンスはまだあるはずだ】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 01:49:19.78 ID:tc1R8eM+0
/間違った……>>104の前に、これを挟みます……

>>95

「っ、貴……様…………!
 ……じゃあ、母さんは……麗果(れいか)は、幸実(ゆきざね)は!! ……私の、妹と弟は、何のために死んだって言うのよッッ!!
 私がはいずり回って生きる為に、その為にみんな死んでいったって言うつもりなの!? そんなふざけた事を言う様なあんたを、私は絶対に認めない……ッ!!
 『死んで花実は咲かない』……負けても、花実は咲かない……ッ。あんたを殺して、咲かせてやる……その時にこそ、私の命を……!!」
……フッ……ッフッフフフフフフ…………そうじゃな、お前はもうただの優果(ゆうか)ではない……お前は自ら望んで、『シュバルツガイスト』になったのだからのぉ……!

【「"負けがイコールで死に繋がる"とは、限らないんだ。」――――この言葉は禁句と言えた。シュバルツガイストの背負っている過去に照らして、禁句以外の何物でもなかった】
【負けた為に死んだ――――そうした因果によって、彼女は全てを失った。だからこその、この信念、この信条――――この妄念】
【それはシュバルツガイストにとり、彼女の時間、彼女の家族、彼女の生き方に対する、冒涜に等しい】
【そんな人間には、絶対に負けを叩きつけて、『口無し』にしなければならない。怒りの中にこそ自分を見出すシュバルツガイストのボルテージが、高まっていく】
【グラトンはそれを利用している。シュバルツガイストも――――利用される事を、上等と受け取っている】
【――――反発しあっていたブラックハートとグラトンの関係とは、対照的な利害関係が、そこにはあった】

>>98-99

っは……殺人が、目的だとでも思うたか? ……馬鹿め。だったらわざわざ、こんなに頭でっかちな人生なんぞ、送りはせんわ……!

【トリップは収まったが、まだ頭には激しい頭痛が残る。その中でも、グラトンはその言葉を拾い上げる。それは、到底無視できるような内容ではない】

……戦いを嫌って、殺し合いを嫌って……その果てに何がある?
そんな世界を、変えたいと思わんのか……ッ? どうすれば変えられるか、考えはせんのか……ッ?
――――世界の全てを手に入れ、そのシステムそのものを作り変える…………!!
それをせずに、世界を平穏にさせられるとでも思うたかぁぁぁッッ!?
ただ後手に回って争いの種を摘みとるだけで、世の中が静かになるとでも思っとるのかぁぁぁッッッ!!
そうやって、ただ安穏な今にだけコミットする様な輩が、世界を1つに纏める、邪魔になっとるんじゃろうが……ッッ!!
世界を勝ちとりもしないで、その有様に文句のつけようしかないお前に、世の平穏のあり方なぞ、説かれる謂われは無いわ、この白痴がぁぁッッ!!
世界の邪魔になるのは、貴様の方じゃよ……頼むから死んでくれ!! ――――新たな姿で世界をやり直す為ッッに!!

【――――狂気と破壊の悦楽に沈んでしまってはいても。グラトンが『最終勝利』を目指すその根幹は、変わらなかった】
【否、もう十分に曲がってしまった志だが――――それは、確かにこの狂気の老人の出発点だったのだ】
【そんな世界を変える為、そんな世界を憂いて、自らの力で何とかしようと立ち上がった――――その果てに、どこかで間違えた】
【そんなグラトンにしてみれば、谷山の姿は鏡映しの様なもの。理想の世界の為の、障害物でしかなかった】

>>101

……世界のあり方のビジョンは、お前には見えとるのかの……?
それを持ち得ない様な人間に、わしの往く道を否定させはせんぞ…………それは、『絶対』にのッ

【谷山に向かって滔々と叫び続けたその言葉の、続きとなるのだろうか――――狂ってしまったグラトンでも、それを失った訳ではない】
【その為に戦い、その為に進み続けている。それを軽い気持ちで否定されたくはない――――狂気とは正反対の、真摯な言葉で、グラトンはそれを叫んだ】

……わしがそれをしなければ、いずれ人間は己らで滅ぼし合うだけじゃよ…………!

【それも、グラトンには確信があった。自分の様な道に至る人間は、必ず現われる。その時力の振るわれようによっては、本当に人間を滅ぼしてしまう】
【それを弁えている自分だからこそ、何とかしなければならない――――そうでなければ、無秩序な力が、必ず自分自身を滅ぼすだろう、と】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 01:49:37.52 ID:NNVAXpmVo
>>96-97
……"ボランティア"とはよく言ったものだな

【にぃ、と獰猛に笑う様は、嘲笑か、それとも同意か】
【あるいはそのどちらともなのだろう、また、別の何かなのか】
【それを知るすべはないが、どちらにせよこの犬も"対外ボランティア"にいい感情は抱いていないらしい、抱いていたらまた問題なのだが】

さぁね?それぐらい自分で考えたらどうですか?

【意地の悪い笑み、それを垣間見せるこの犬はやはり煽っていくスタイルのようだ】

聞くなよ……教えないんだし

【そして、今、老人の呟きに応える犬はそっけない】
【能力を聞かれて答えるわけがないという発言の最中、自身の速度の反動で吹き飛ぶAzoth】
【そのすれ違いざまに与えられるボディーブローを、避ける術は――ない】

カハァッ……ッ!

【護拳のついた拳は、Azothに命中するだろう】
【Azothにとっての幸いは、その拳が腹の傷をふさいだ血の結晶の上を殴打したこと】
【バギァィィィンという耳障りな音を残し砕ける結晶は装甲としての役目を果たした】
【傷からあふれた血は、再び結晶化し腹部の傷を暫定的に防ぐ】
【そして、不幸は、結晶の鎧は衝撃まで抑えることができなかった、その一点に限るだろう】
【反動で吹き飛ぶ勢いに、殴りかかられた勢いを付け加えられ、Azothの身体が遠く吹き飛ぶ】
【地面に何度か叩きつけられ止まるAzoth、見れば口からだらだらと血を流している】

……治るとはいえ、痛いのは嫌なものだ……

【それでも、この犬は立ち上がる】
【口からだらだら血をこぼしながらも、それでも、いや、だからか】

【そして、再び老人と相対しようとしたその時……】

うるっさい……!

【顔をゆがめながら、飛来してくる電撃弾をざっと避ける……それだけでは不十分だと知らずに】

……ッ!

【衝撃波、それは指向性を持たない周囲範囲への攻撃】
【それに、再び吹き飛ばされる犬、所詮、犬の体重なのだ】

【しかしそれでも、再び起き上がる】
【身体はなかなかにぼろぼろで、目にかけているゴーグルも何度か地面に擦れたのか傷塗れ】

……ああ、最悪の気分だ、最悪最低……
――それでも、最高の気分だ

【その瞬間、"笑う"】
【自らに自嘲するように、全てを嘲笑うように】
【そして一度跳躍すると、先ほどまでよりもまた速い速度で駆ける】
【――行き先は、カズネ】

//ちょこっと分割します
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 01:49:54.05 ID:NNVAXpmVo
>>91
……

【電撃弾が放たれ、しばらく後に血の匂いをさせたAzothがかなりの速さで近づいてくる】
【そして、ただ一言だけ、ささやく】

「合図したら耳をふさげ」

【小さく、本当に小さく、そう囁く、他の誰にも聞こえないように】


>>ALL
上を取られえるのは兵法的にもいろいろよくない

【そういい、スローブ上の二人めがけて跳ね、駆け、近づく】
【先ほどまでよりもまた速く、また、強く】

……そおおりゃあああ!

【血反吐を吐きながら怒声を上げ、二人へとタックルをかまそうとするだろう】
【ただのタックルと侮るなかれ、一応死なない程度のスピードに抑えてあるが、それなりのスピードで突っ込んでくる犬に、対処できるだろうか】


(……内臓系へのダメージはきつい)
(外傷ならともかく内臓は……でも、まだあと少しなら耐えられる)
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 01:53:05.62 ID:Tmc5XUWQo
>>93

【接近の最中、ライフルを捨てて自動式拳銃に持ち変える際に装填した特殊弾―――その弾丸をジャンクちゃんの目が捉える】
【極めて優れた視認機能、それゆえに今この時敵が何を仕掛けて来るかをすんでの所で識別できた】


「―――ハカセ!特殊弾薬です!鋼鉄を砕く事に特化したタイプの模様デスヨー!」

そうか!―――依然何一つ問題はないな!


【弓のブレードで切り裂いたがまだ手応えが浅い、決め手に欠けると見て追撃にかかるが】
【敵は装甲を貫くための特殊弾丸を次弾に装填しているのをその目で見ている―――致命傷は避けなければならない!】
【そう思考を巡らせたとき彼はすでに動いていた、タクトのチェーンソーを解除しながら再び弓矢で相手の左腹部めがけ狙いを定めながら―――右斜め前に前進する!】

【―――そして、互いの弾丸と弓矢が全く同時に発射された!空中で互いの放った攻撃が交差するようにすれ違う】

【ガキィン!と堅い物を特殊弾が砕く音が響く―――そう、距離を詰めたためにその運動性能で完全に回避とまではいかなかったが】
【その遅い弾速を強化された感覚、機動力を持って直撃せず可能な限り最小限のダメージで抑えるべく体を逸らしてその弾丸を受け止めた!】
【その結果、右のショルダーアーマーの外側を砕き、肩に着弾した弾痕から赤い血が流れ始めるが……彼は高翌揚していた】


おおっ、見えたぞ、敵の細かい挙動も、相手の攻撃を対処する最善手さえもが……!
それにこの洗練されたパワー制御……すさまじい性能だ!Twin=Jokerとはケタ違い!

この装備、今後はシンクロライダー・W-1≪ワイルド・ワン≫と名付ける事としようか……さあ次行くぞ!

≪―――Hanmer now≫


【W-1≪ワイルド・ワン≫が次のコマンドでタクトの中から発現するのは―――なんと銀色のハンマーだ、男の目から見ても異様に分厚いハンマーを取り出したなら】
【接近と共に大きく振りかぶり、ダメ押しとばかりにその大きなハンマーで男の右側頭部めがけてフルスイングしてくる事だろう!】
109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 02:01:42.06 ID:CeCoh1I0o
>>102

――あーあー、いい年した海の男が揃いも揃ってなんてザマなんだか!
同業としちゃ他所が弱いのは良い事だけど、見ちゃいられないってね

【キィ、と開いた扉の前。そう声を上げるのは、暴れた人物と同じく女性であった】
【髪は黒のショート。肌も浅黒かったが、日焼けというより元の肌がそうらしく】

【そして格好はといえば、一言なら海賊≠セろう。丈の長い鼠色のコートを着こみ】
【頭にはそれらしいハットと、首にはペンダント。腰を見ればカットラスも差してある】
【ブーツだからか背は少し高く見え――薄ら笑いを浮かべる顔は楽しげだった】

うひゃー、こりゃまた……マスターまで伸びてるし、こりゃツケも帳消しだ
……って言っても、飲む場所が一つ潰れちまったら元も子もないか

……そんなにココにシワ寄せてるとさ、老けて見えるよアンタ
祝福してくれる天使だってラッパ落として逃げ帰りそうな酷いツラだしね

【倒れこんだ店主に近寄ってぺしぺしとその頬を叩いたり、其処らの男を軽く蹴ったり】
【少しばかり遊ぶようにしてから言うこの言葉は、恐らく女性の感情を逆なでするだろう】
【明確な意図――ナシ。友好的な意図――ナシ。だが挑発的な意図――大いにアリだ。】

【――修道女が接近戦に慣れているのなら、そんな海賊の女に隙が無いのも分かるだろう】
【一見して相手を小馬鹿にし、頭が空っぽに見えても何時でも剣が抜ける姿勢、なのだ】
【彼女からこれ以上何かを言うことは無いが――勝手に店を出ようというなら、また別。『ちょっと』と呼び止めもするはずで】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 02:04:51.84 ID:Ra8jSuVJo
>>97

侮辱?彼らの選択?……アンタ、一体何を知ってるの何が目的なのよ……

【老人の言葉が兵士達を諭すように聞こえたのは気の所為だろうか】
【彼は年老いて耄碌しているようには見えない、ならばこの行動には戦いには意味がある筈】
【「己に負けぬように」ただその言葉だけがひっかかっていた】

――――――っ、倒れている人を戦意喪失している人をそうやって!

【彼らに力を振るう術を与えているのだとしてもその理不尽を赦すことは出来なかった】
【確かに魔術師は自己の弱さは赦せない、だけど彼らのような人の弱さを否定はしたくはなかった】
【戦いこそが人間の可能性だとしても平和に暮らしていた人はそれだけで満たされていた筈だから】

【……でも、涙を浮かべ怒りを露わにし向かってくる彼らの姿は尊くも見えて】

――――――――っ……ごめんなさいっ!お願いだから眠っていて!!

【蟷螂剣を爪で受ける力まかせの攻撃など造作もない】
【ただリーチの伸びた剣の切っ先はカズネの頬を僅か切り裂き血を流す】

【痛みに顔を顰める、パックリと割れた表皮から覗く血肉には赤い繊維のような物が散見される―――それは微細な魔術回路】
【斬撃を避ける事は出来たけどそれはしなかった、避けたならば彼らの尊厳を否定するような気がして】
【終ぞ倒れた彼らに少しの安堵を覚えながら……敵を見やる】


(そういえばあの爺さん、能力らしい能力を使ってない……?)
(ただ人の力だけであそこまで至れる物なの……?だとしたら、やっぱりとんでもない)
(あれ?それなら……それだけ強いならなんで機関員なんかになってるんだろう……)

【疑問を投げかけた所できっと老人は応えない】
【だからこれは幕間に過ぎない】



っ!?今度は何よ!―――――――あっ!っ……!!

【唐突な叫び声、このシチュエーションならば有り得るのは意識外からの強襲】
【ある種の勘か、見上げた箇所には居るのは新たに二人の兵士の姿……それに加えて自分に迫る電撃弾の姿を捉える】
【回避は間に合わない、爪による防御も間に合わない、衝撃の瞬間に「嫌だなもう」なんて呟いて】

――――――――っ、んっ……あ……くぅ……っふ

【身体を苛む痛みに侮蔑を込めて呪詛を吐く】
【痛みはいつか経験した物に似ていた、自身が眠りについていた時に永遠と感じていた痛みに……】
【胸を抑え呼吸を正そうとする、身体をくねらせ痛みを堪える……】

……ふっ……く……慣れてる、からっ……

【そうだこんな痛みには慣れている、耐えられない痛みはもっと別にある】
【力なく伸ばす掌に従い爪達は踊るそれは魔術師の意志が折れていない証明】
【規則正い回転、その内に背部装甲が展開―――――結合部分が次々と噛み合いやがて花弁のような姿を形作る】
【中心に赤い焔たる「魔翌力炉」を携えた花弁は鈍い音を上げながら魔翌力を迸らせ始める、充填には時間がかかる】

【だが起動してしまえば後は自動だ、術者が倒れようとも記憶されたプログラムは止まりはしない】
【だからこそ苦痛の中の魔術師は不敵に笑ってみせる】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 02:07:01.77 ID:Ra8jSuVJo
>>107

……ッ……わかった、わ……
ただ、そっちもあんまり無理は、だめ、ね?

【すれ違いざまの声を聞き頷く、脂汗混じりながらも表情は笑みのまま】
【それは意地でもあり失ってはならないもの】

【去ってから小さく息を吸い、砲撃の準備を進める】
【痛みの中にあっても魔術師の思考に乱れはなく――――――――】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 02:15:18.42 ID:8lB6eokno
>>100>>103
ぎいいいい、いいいいいい、がああああああ……!!
ぐが、がが――――!!
「オオオオオオオオオオオ!!! ゴグウウウウウウウウウウ!!!」

【もはや、それ≠ノは彼らの言葉は耳に入っていない。炎にまかれて、五感はほぼまともに機能していなかった】
【カミナの防御策も、ミハエルの抵抗も、何も感じ取っていない。カニバディールが悪党として有していた理性は、もはや肉と共に焼け落ちた】

【ゆえに、上空に未だ温存されていたカミナの切り札に気が付かない。彼女が天を仰いだことに反応できない】
【抵抗のないまま、神は降臨した。神気。異形どもとは真逆の力がそこに発動する】
【命を吹き込まれたかのように変化していくオリガミ。戦場に降り立つその姿、優美でありながら凛々しく】

【カミナの放ったセリフに、肉がわずかに反応したように痙攣した】
【次の瞬間には、それは誕生していた。地上に降り立つ太陽一つ。無限のエネルギーを蓄えた光球が撃ち出される】

【理性が吹き飛び、眼前のミハエルのみに固執するカニバディールに、光球を感知することは出来ない】
【太陽は、その効力を発揮した。大爆発。エネルギーの奔流。衝撃がカニバディールの肉の触手を吹き飛ばし】
【莫大な量の閃光が、異形の三つ目を眩ませた。爆ぜた肉が後方へ吹き飛び、巨躯がぐらつき始める】


【そこを、ミハエルの鎌が捉えた。拳が彼を叩いたことも、肉が彼を締め上げたことも、事ここに至ってはアドバンテージになり得なかった】
【なぜなら彼はまだ動いていて、肉の触手はカミナの八咫烏で大半が消し飛んでいる】
【そこへ、鎌を蹴りあげるという執念の一閃。あっさりと肉は両断されるだろう。ミハエルの身体も、解放されるはずだ】

【当然、続く一撃と感覚に訴える三連撃も見事に決まることになる】
【カニバディールの胸部が切り開かれ、焦げた骨がむきだしになった。腹部とウェンカムイの胴体の感覚までも斬られれば】
【もはや呻く余力すら残っていない。巨躯がはっきりと揺らぎ、地面に吸い込まれ……】


>>ALL
――――ああああああああああああああああああ
「――――アアアアアアアアアアアアアアアアアア」

【二つ分の声が、先ほどより幾分静かに響いた。途端、最期――最期の悪あがきか】
【ウェンカムイ部分の両腕が、凄まじい速度で膨張し、広場の端まで届かんというほどの焦げた肉塊となった】

【それを、ただ思い切り振り回すだろう。力の限り。広場のなるべく広い範囲を薙ぎ払おうとするだろう】
【対策を取らねば、ミハエルにもカミナにも十分届きうる範囲。襲い来る肉の大打撃。軌道も何もなく、闇雲にその場にあるものを叩き伏せん、と】

【これさえ凌ぎ切れば。光球の爆発に肉を吹き飛ばされ、鎌に肉を削ぎ落され】
【炎もほとんど消えた、焦げた肉の化け物が瀕死のまま隙を晒している場面を、捉えることが出来るはずだ】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 02:17:24.84 ID:PLPpJBhJ0
>>109
「ふん。そうやって頭をどっかに落として来たアンタみたく脳天気に生きてるより老けて見える方が何倍も嬉しいわよ
だってアンタ、其処等で転がってる男達と同じ様に酒だとかそんな事しか考えてなさそうだもの」

【チッ、と舌打ちを一つ漏らせばガラス製のグラスを厨房へと投げつけて】
【――――当然、直ぐ後にはけたたましい音が響くのだが顔色の一つだって変える事が無いのだから可愛げも無い】
【売り言葉に買い言葉。挑発染みた其れを向けられれば代わりにと返すのは同じ様に小馬鹿にした言葉だ】

【……男達を全て叩き伏せるという目的も済んだ。相手が“構え”の様なものを取っているが――――だから何だと言わんばかりに横を通り過ぎて】
【終いには横を通り過ぎる最中、フンと鼻を鳴らして笑うのだからその行動もあまり快く思われないか】
【扉を乱暴に蹴り開ければその場を後にしようとするが…………その声に、足を止めて】


「………………何よアンタ。懺悔でもしたいなら其処等の酒瓶でも神サマに見立ててしてたら良いんじゃ無い?
生憎、アタシはそんなの得意じゃ無いし得意でもアンタにしてやる程お人好しでも無い

で、何。ただ呼び止めてみただけ何て巫山戯た事を言った瞬間“天使のラッパ”でも聞かせるわよ
勿論、祝福してくれるそれじゃ無くて黙示録の時に聞かせる物だけどね」

【眉間に寄せられた皺は変わらず。ピリピリとした気配は、敵意全開のサインだ】
【……漸く意識を取り戻したのであろう男の一人が女の足首を掴もうとするが、その手の甲を踏み砕けばもう一度側頭部を蹴って気を失わせて】
【海賊の彼女からすれば、それだけで怖じ気づく筈も無い。ただ、“面白そうな玩具”である事は――――或いは理解出来るかも知れず】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 02:24:30.10 ID:Tizm9Unpo
>>106 >>107


ふん、よく耐えるものよな………!


【拳が血の結晶を叩いたのは偶然か、それともAzothの意思か。どちらにしても面白い――――と、老人は笑いながら悪態をついた】
【手応え自体はあった。Azothの能力が老人の思ったとおりのものだったとしても、受けたダメージが消えるわけではないのだ】
【炸裂弾を受けて吹き飛び、そして一時カズネの方へ寄ったAzoth。距離が遠すぎてその内容は聞こえなかったが……その後の彼の動きには、老人が対応した】


ぐ、っ………、させんぞ!!


【身体能力の引き上がったAzothによるタックル、一介の兵士如きに耐えられるものではなかっただろう】
【故に、兵士達の下へ向かったAzothの目前に立ち塞がり、老人が変わりにタックルを受け止めるという判断は正しかったのかもしれない】
【……主目標こそ逃すことになったが、メキメキ、という鈍い音が響くはず。両腕をクロスして防御していたとは言え、その威力は老人の全身を揺らがし】

【兵士達はこれで守られる形となったものの……タックルの勢いに負けてよろめく老人の姿に、初めて弱弱しいものが垣間見えるだろうか】
【代償として老人が大きなダメージとなったのは間違いない。ただ双眸に宿る茶褐色の中には、まだ過激な炎が燃え盛っているが――――】


/続きます!
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 02:24:39.27 ID:Tizm9Unpo
>>110


――――戦場で倒れるということは即ち、命が尽き果てるということじゃよ。
生き残りたければ………自らの意思を貫き通したければ、血反吐を吐きながらでも闘わねばならぬ。


【怒号を飛ばして兵士達を突き動かした老人であるが……自分が正しいことをしている、とは思っていないのだろう】
【カズネの怒りはもっともで、老人にそれを否定する権利はない。どれだけ言葉を並べようと、無辜の住民を兵士としてこき使っているのには変わりないのだ】
【この場における悪≠ヘ間違いなく自分。しかし彼が告げる、老木のように年月を重ねた真理のようなものには、多分正義も悪もない――――】


これだけされてまだ折れぬとは。
……君は強いのう。少しばかり、昔を思い出すわ――――。


【カズネもまたAzothと同じく、老人の目の前で炸裂弾に吹き飛ばされていくが……しかし。彼女の意思はまだ途切れてはいなかった】
【その不敵な笑顔を、老人はなぜか懐かしそうに眺めるだろうか。楽しそうでいてどこか寂しそうにも見える、矛盾した優しい表情で】
【――――ここは戦場だと、再三言っていたのは老人である。そんな感傷に浸っている時間も一秒足らずで終わり、次の行動が開始される】



>>ALL


決して足を止めるな! 一定距離を保ち、動きながら銃撃せよ!

「りょ、了解………!!」


【『F-525』、正式名称『ブラスターフレーム』。銃を持つ二人の兵士が装備している大きな武装はそれであった】
【彼らは腰元のコントロールパネルを操作して背部の翼を展開、同時に腰のスラスターを点火。――――兵士の体が、ふわりと持ち上がる】
【これは個人で空中戦≠可能とする装備であった。兵士はスラスターの角度を操作してスロープから移動を開始、二人の真上辺りまで移動し】

【……暫時、攻撃が開始される! カズネの方へ移動した兵士は二発の弾丸を発射、今度は炸裂弾ではなく単なる電撃弾であるが、当たれば全身に痺れが走るか】
【Azothの方へ向かったものは銃の下部にあるアンカー≠射出。突き刺さるか触れるかした瞬間、ワイヤーを経由して強い電流が流れ込むだろう】


【ただ、両者には欠点もある。どちらも老人の指示通り、二人の周囲を回るように移動しながら攻撃してくるのだが――――】
【どうやら彼らは『ブラスターフレーム』を余り使いこなせていないようで、動きがかなり規則的なのだ。タイミングさえ合わせれば攻撃を入れるのは容易く】
【そしてAzothへ向かった方は、アンカーによる攻撃のためにやや地上に近づく形となっている。今のAzothの身体能力なら、跳躍すれば攻撃も届くだろう】

【最後に、これは空中戦であるが故の欠点。……彼らを空中に浮かせている翼やスラスターを破壊すれば、後は墜落して終わりである】
【また『ブラスターフレーム』の性質上、被弾した場合に内部の薬剤が誘爆する可能性もある。兵士を狙うか機械を狙うかは、二人の裁量次第であるが】
【どのような攻撃であれ、当たりさえすれば恐らく一撃で撃墜できるだろう。残る『マイティロッド』を持った兵士も、ただ呆然と戦いを眺めるばかり】

【――――この二人さえ片付けられれば、後は老人との一騎打ちに持ち込めるはず。決着も、見えてくるだろうか】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/15(日) 02:26:15.02 ID:1k/es8eNo
>>98-90>>101>>104-105

【―――冒涜。そう、その通り。セリーナが今、シュバルツガイストに対してしている事は、正しく冒涜だ。】
【だがそうでもしなければ、彼女が抱くその執念を、妄念を、取り除くことなどどうして出来様か。いや、出来まい。】
【彼女の生き方と、そしてコレまでの人生を、これから為そうとしている事も含め―――セリーナは逃げず、真っ向から、否定するのだ。】

 
   ……"何の為に死んだか"、だって?
   アンタ、死んだ事に何か特別な意味があるって、そう思ってるのかい。シュバルツガイスト。
   ……そんな筈、あるもんか。誰だって、親だって、兄弟だって―――人間は皆、人間なら皆ッ……!

   最後の最後の瞬間まで、諦めずに生きていたいと、そう願わずにいられないんだ!!
   アンタ一人を生かす為に、アンタの家族の死があったんじゃない……死はもっと、もっと憎むべき存在の筈だッ!!
   残されたアンタはその死を間近で見て、それでもまだ、今を生きているんじゃないか……だから、背負う義務があるッ!!

   こんなところで、『負けたらそれまで、死ぬしかない』だなんて……
   知ったフウな事を言うアンタを、死んだアンタの家族が見たらどう思うッ! ああ、そうさ!
   死んだ人間が生きた人間を見ることなんて叶わない、それでも―――アンタは死んだ家族を、踏み躙る生き方をしてるじゃないか!

   死んで咲く花があるのなら、この世界は今頃花と草木で満ちてるさ。でも、現実はそうじゃない。 
   だから―――簡単に、死ぬだの何だのと、口にすることはあっちゃいけないんだッ!
   アンタがアンタの命を咲かせる為に必要なのは、こんな戦いで得られるようなちっぽけな勝利なんかじゃ、ないでしょうがッ!!


【―――人間の生と死を、間近で見てきたのは、セリーナもまた同じだ。だから、生の為の死とは言わぬ。】
【しかしながら、生きている者が死に行く者の何かを必ず、背負っていかねばならないのは変らない事実だと、そう言って】
【セリーナはケルベロスを構える―――この恐ろしい悪夢を終わらせて、そして新しい未来を刻む為の、その第一歩にする為に。】

   ぐぅ、うッ―――身体が、急に重く……!? まさかこれは―――……"重力操作"の、力……ッ!?

【しかし、襲い来る重力の波にセリーナは捕まり、全身に多大なる影響を受けてしまう―――正確に言えば】
【ティターン・アーマーRVはその強烈な重力を受け止め、なんとか潰されぬ様耐えている状況なのだが―――とはいえ】
【このままでは動き回って攻撃を加えることなど叶わない。で、あればどうするべきか―――もう、セリーナに考える余地など、無い。】


  (いつまで、この滅茶苦茶な重力攻撃に耐えられるか……ッ!! ハッキリ言って、自信は、ない……けどッ!)
  (―――信じるしかない、進化したこの、ティターン・アーマーの力を、そして……頼れる、二人の仲間のことを……ッ!!)

  ……グラトン。アンタの言う"統制の取れた世界"に、確かに平和は存在するだろう。
  戦争の無い世界。争いの無い世界。誰もが悲しむことも、傷つくこともなく、生きられる理想郷。
  そうだね、アタシだけアンタの考えを否定して、その上自分の道を示さないのは確かに―――確かに、卑怯だ。

  だから言わせて貰うよ、遠慮なく言わせて貰うよ……グラトン。
  悪いけどそんな"クソッタレ"の世界に、アタシは生きていたくない。
  悲しみや辛さ、時には争ってでも……人間には個々人の意思と、自由が必要なんだ。

  確かにそうだよ……戦争を無くすには、アンタの言うとおり全てを支配する以外方法は無いかもしれない。
  けど、その為にアンタが犠牲にするのは人間が生きていくうえで一番重要な、"尊厳"の全てだ。
  全ての人間が同じ方向を見て、同じものを食べ、同じ様に生きる……そんな人生に、何の価値がある。

  人は皆、違う人生を生きる。その過程で衝突もあるだろう。けれど、判り合う事だって出来ない筈が無いッ……!
  そうして判り合って、互いに互いを認めることが出来たとき、真の平和が訪れるんだ……グラトン、これだけは言っておくよ。

  ―――アンタの目指す平和に、自由の無い平和に、人の意思のない平和に―――価値なんて、無い。


【―――その言葉を最後に。セリーナ・ザ・"キッド"は多重攻撃を全て―――全て、喰らってしまう。】
【その姿は爆炎の中に、消えた。】
  
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/15(日) 02:30:49.15 ID:XF+n2rDHo
>>101,104-105,116
【グラトンの言葉、グラトンの意思。それを聞いて谷山基樹は戦慄する】
【これは、同類だと。そして、遠くない将来己がそうなるかもしれない℃pであると】
【歯噛みする。そして、応えなければならないと思った。己の意志を、己が同じだが違うという事を】

『――世界を変える方法は、一つじゃない。支配だけじゃない!!
システムを1人で作り変えることなんか俺にァ出来やしねェ!!
そして、手に入れなくてもシステムは作り変えられるッ!
だから、この世界に生きる人を変えていく、この世界の常識を変えていくッッッ!!
世界平和≠ヘ押し付けじゃ成り立たねえ! 成り立ったとしても維持できねェんだ!!
俺はなァ、押し付けじゃあない。皆が望んだ結果の平和≠作るッ!!
だからテメェとは同じかもしれねェが全く違う!! てめェの正義は俺の正義の敵だァッ!!
その意思は認めてやる――認めてやるからさっさと消えろッ、劇薬にすらなれなかった毒物野郎がァよォォォォオォォッ!!』

【同類であったが故に、互いに決して相容れない。そして、潰さなければならない】
【出発地点は同じだった。だが、もはや目指している所は違い、そしてその道程は衝突する】
【目の前で液体化し、小型化したグラトン。それを見て、谷山は歯噛みする。己に出来るのだ、相手にできないはずはないと】

『かァ……ッ!?』

【そして、直後に発現するグラトンの異能。谷山の脆弱な肉体構造に無数の罅が浮かび上がる】
【結晶化した皮膚が重力によって剥ぎ取られ、肉が顕となり、足元に血の水たまりを作っていく】
【嘔吐。血の交じる吐瀉物が、地面にぶちまけられる。それでも、谷山は相手を睨みつけ続けて、立ち続けていた】

【谷山の異常拡張された視覚は、赤外線を捉えた。そして、何が来るのかを理解する】
【骨肉を引き裂き、焼きつくす――熱線。それも無数のそれが襲いかかるのだ】
【動くことは敵わず。そして、防御力に劣り回避を攻撃に対する対処としていた谷山にとっては最悪とも言える状況だった】
【死ぬ。そう思った。だが、諦めたくない。そう思った。死にたくない。そう思った。だから、諦めなかった】

【ベルトポーチに右手を伸ばし、引き抜くのは5つ目の哲学者の卵。谷山が足りない力を補い、食らいつくための道具】
【握りしめる。なけなしの力を総動員し、哲学者の卵を強制的に孵化させる。肉体と接触した卵は肉体と結びつこうとする】
【それを意志の力でねじ伏せる。拒絶する。アートマンの力で、哲学者の卵を飼い慣らす】

『グラトォォォォ――――――――ンッッ!!』

【粉砕され、消失する哲学者の卵。手に握られるのは膨大なライムグリーンの燐光】
【手を前にかざす。創りだされるのは、ワイヤーフレームによって構成された、バリアのようなもの】
【しかしながら、そのバリアは容易く砕け散るアートマン体。そして、谷山のアートマンは宿主とダメージを共有する】
【ただ、もはや人の形をしていないそのアートマンへのダメージは、全身に均等に分配されることとなる】
【即ち、肉を貫かれるようなダメージであっても、それを均等に分配されることで同じダメージでも致命傷にはならないという事】

『が……ァあああああああああああああああああああああッ!!
負けるかよ負けるかよ負けるかよ負けるかよォッ!!
てめェにだけは負けて貯まるか……ッ! てめェに勝てなくても、俺は絶対にてめェに負けてやらねえぞッ!!
グラトン=ブルーガー=ウルバヌス――――――ッッ!!』

【脆弱な防御で防ぐ度に全身から結晶と鮮血をまき散らし、膝が崩れて体制が地面へと近づいていく谷山】
【だが、意志は折れない。死なない。銃弾を、熱線を受けシールドが砕ける度に再生成する】
【アートマン・Hello Worldはその脆弱な構造の反面、再生成が容易。その特徴を、余すこと無く用いてみせた】
【そして、勝てないだろうとは思った。だが、負けてたまるかという意志を同時に抱いていた】
【勝てなくても、負けない。矛盾しているだろうが、勝利しないことと敗北はイコールではない】
【谷山が勝てなくても、今日は他の二人が居る。だから谷山は――2人を、信じた】

【おそらく、それが谷山とグラトンの大きな違い】
【信じている者と、信じていない者の差が、この状況を創りだしたのではないだろうか】

【ダメージを受けながらも、それでも立ち続ける。負けないために】
【爆炎と血煙に飲み込まれていく谷山。その行く末は――】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 02:33:47.25 ID:CeCoh1I0o
>>113

聖書のことしか頭にないシスターよりは良いかなあ
大体ココって酒場だし、酒の事以外考えてくる奴なんて居ないと思うね
ぁ……あぁ〜…!アタシのお気に入りのグラスが……!

【ヘラヘラ笑ってぶっ倒れた男たちで手遊びしつつ、グラスが割れればそんな反応】
【頭を何処かに落としてきたなんて言うのはもっともらしいが返す言葉もイヤに鋭い】
【単純な馬鹿ではない、と云うのは修道女でもすぐに分かることだろうか】

【やがて――出ていこうとした彼女を呼び止めれば、スッと立ち上がって】

まあ待ちなよ、酒瓶はアンタがやたらめったら割っちまって上等なのも無いし
加えて言えば懺悔なんて生まれて一度も、これからもする気は無いんだけどさ

でも、ほら……コイツラは言っちまえば敵だけど、味方でも有るんだよね
海賊≠チて、そういう括り。……あ、今『何言ってんだこいつ』って思った?
じゃあそうだ、こっち≠フ方が意味としちゃ分かりやすくてアンタも好きだろ、っと…――!

【言葉と共に投げつけるのは、其処らに落ちていた安酒の瓶だ】
【狙いは適当。放っておけば当たるが、避けるのも叩き落とすのも容易。】

【しかし問題はその後で――もしも瓶が割れて中身が漏れ出せば】
【それはまるで無重力空間に漂うように、ぷかりと泡の如く浮き上がるのである】
【今のところ、それが明確に害を齎す訳でもないが――少しだけ、奇妙だった】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/15(日) 02:38:40.83 ID:NNVAXpmVo
>>114
耐えなきゃ死ぬしかないしな

【笑いながらの悪態に、犬も同様に笑いつつ、悪態を返す】
【相手が憎い、しかしそれは憎悪によるものではない、だが憎々しい】

…………

【ダンッ、とぶつかったその衝撃は兵士たちに与えられたものではない】

【そして、犬は、一言】

――掛かったな?

>>110
【老人へとタックルをかました犬、何かを呟いたかと思うと】

……

【ちらりと一瞬だけ視線を向ける、同時に犬の尾てい骨から延びる尾がフォン、と、一回だけ大きく揺れる】
【気付くか、否か――それが合図だ】

>>ALL
当たるかよ……!

【衝突したあと、老人の身体を後ろ足で蹴り飛ばし、飛んできた"アンカー"を回避する】
【そして空中にいる間、Azothは、一つ大きく、息を吸う……】

     アングイッシャウル
……<ANGUISHOWL>!!!!!

【その瞬間、地下に出来たこの空間に、一つの咆哮が鳴り響く】
【それは轟音か、地鳴りかと聞きまごう、咆哮】
【老練な狼の咆哮とは違う、荒々しく、まだまだ若さの残る咆哮だが、その音量はかなりのモノである】
【もし普通の空間でもまともに聞けばしばらく耳が使えなくなったり、最悪意識を失う、非殺傷性の音攻撃】

【そして今、彼らが闘っている場所は――音の反響する地下駐車場、そして地上へとつながるスローブである】
【この閉塞した空間で、この咆哮は、どれだけの威力をもたらすのか……!】


【しかし、この攻撃を放った後、Azothは地面にたたきつけられ、しばらくは起き上がらないだろう】
【気を失っているわけではない……ただ、口から大量の血を吐きながら痙攣しているだけである】
【何度も立ち上がろうとしては崩れ落ちる、それは、明らかな隙でしかなかった】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 02:42:27.77 ID:vMFzNCHxo
>>105

「……だったら否定してやるッ! 俺には見えるさ、世界のあり方のビジョン!
 テメーのような『世界のシステムを作り替えて腐りきる』世界じゃねー、もっと明るいビジョンがなッ!!」

【ここでも、ライラはグラトンの言葉に真っ向から反発する。当たり前だろう、グラトンの言うビジョンに、どうしても良い予感が浮かんでこない】
【だからライラは、反抗する、抵抗する、正面からその言葉を打ち砕こうとする。たとえそれが、無理だとわかっていても】
【この腐りきった理論を叩き壊し、全てを救うと心に決めたのだから】

「……決めつけてんじゃねーよッ!! テメーは自分で勝手に人間の可能性を捨ててるだけだッ!!
 科学者ってのは、其処に可能性が有れば決して諦めないモンじゃねーのか!!!
 諦めることが負けることよりもどれだけ哀れなことか、テメーは……其処のテメーらもまだ分かんねーのかッ!!!」

【所詮テメーの言うビジョンは、人間というものを諦めてるからそう考えるだけのちっぽけなモンなんだ―――叫ぶ。言葉を叩きつけるように】
【ライラの言いたいことはつまりこういうことであった。お前はただ、諦めているだけだと。勝手に可能性を決めつけて喚いているだけのただの老人だと】

【ライラは、たかだか一年半前にこの戦いへ身を投じた若造に過ぎなかった。けれど、戦っている内に色々なものを身につけた】
【自分の可能性を信じる事もその1つ。グラトンや少女達にはそれが欠如している……こんなライラにも、それは確信できた】

>>104

「ぐ……ッ、おおおおおっ!?」

(重力、操作……!? コイツ、……そうか、グラトン自身の、能力……!!)

【体が重くなる……どころの話ではない。ともすれば圧死してしまうほどの強力な重力増加に、膝をついてそのまま動けないライラ】
【そして、グラトンの体から発せられる光。恐らくこの後、強力な攻撃が繰り出されるのだろう。両側の少女達も、何か仕掛けてくるに違いない】
【万事休す。……しかし、ライラは諦めていなかった。負けられない。絶対に】


「絶対に、諦められねーんだよ……ッ!!! 俺は…………ッ!!!



   E  3  +  D     … … … …     U n d e a d   S h i e l d ッ ! ! ! ! 」 


【ライラが手に持った小瓶。その中身を飲み干すと、ライラの両目が紅く変色する。何らかの力が、今ライラに宿った】
【そのまま、黄色のブレスレットが減光すれば、地面に黄色と黒が混じった魔法陣が出現する。熱線が発射される直前、それを手で思い切り撃ち抜けば】
【突如ライラの前の地面が盛り上がり、簡易的な盾となる。しかし、所詮は地面だ。熱線、そして銃撃が当たれば、勿論ボロボロと崩れていく】
【……だが、その崩れた場所は再生する。まるでアンデッドのように、壊れても壊れても、その驚異的な攻撃を防ぎ続ける―――!!】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 02:42:54.87 ID:0lfbTfD4o
>>103>>112

っ貴、様……ぐ、がぁ――――……っ!!


【カニバディールが最後に放った行動は、恐ろしく単純明快な"超質量での広範囲攻撃"】
【余りにもシンプルすぎるが故に、対処方法は限られ】
【未だ炎が鎮火しきっていないことから、触れれば紙は燃えて力を激減させてしまう】

【飛翔して離脱するには余りにも範囲が広すぎて間に合わない】
【ならば――今持てる手札を全て使ってでも"防御"するしかない】
【小柄で華奢なカミナの身体は、直撃を食らって生存出来るだけの耐久力を有してはいないのだ】


【まず立ち塞がるは、亀甲の折り紙――僅かな抵抗の後】
【相手と状況が悪すぎる――減衰することすら叶わず破壊され灰となる】

【次に間に入ったのは"八咫烏"の降り神。翼を前方で交差するようにして重ね】
【背の羽毛でカミナを守るようにしながら、真正面から膨大な肉の大打撃を受けた】
【ボキボキと骨が折れる悲痛な音が無数に響き渡り】
【八咫烏は、一翼を?がれながら背後のカミナを巻き込んで吹き飛ばされていった】


か、はっ……!ゲホ……――ッ!


【満身創痍の八咫烏と共に、カミナは広場の地面に叩きつけられる】
【折り紙の翼がひしゃげて曲がり、衝撃で肺の空気が一気に吐き出された】
【防御用に着込んでいる"和服型"折り紙も、大した耐久性能を持つわけではない】
【過剰ダメージの全てが小さな身体に叩き込まれ、一瞬意識が途切れかけた】


最後の最後に……足掻いてくれたものじゃな、カニバ……ディール――――!
じゃが、その様では……最早、自慢の生き汚さも種切れじゃろう……!


これで、終わりなのじゃ……今までの罪を悔いて、潔く死ぬがよい……――


【だが、意識ある限りは……動けるだけの余力が存在する限りはカミナの"正義"は続けられる】

【其処にあるのは一種の執念か】
【長きに渡り戦い続け、その度に大きく燃え上がり続けた"悪を倒す"という一念は】
【口から血を流し、意識を朦朧とさせながらも絶えることはなく】

【八咫烏の降り神に神気を流し、操作――残った一翼を上げると】
【そこの幾つもの光の点のようなものがポツポツと生まれ出す】

【数秒と経たず放たれるは、無数の細い"熱線"】
【一発一発の殺傷力は然程高くはないが、傷口を高熱で焼き高い貫通力を有する攻撃だ】
【しかし、凄まじいダメージを受けたことにより攻撃の始動は遅れ】
【この熱線が放たれるまで更にタイムラグが生じることになる】

【もし途中で"何らか"が発生した場合、この攻撃が届く前に事が行われる可能性はあるだろうか――】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 02:46:49.55 ID:vMFzNCHxo
/>>120の最後らへんを修正します。

/【突如ライラの前の地面が盛り上がり、簡易的な盾となる。しかし、所詮は地面だ。熱線、そして銃撃が当たれば、勿論ボロボロと崩れていく】
/【……だが、その崩れた場所は再生する。まるでアンデッドのように、壊れても壊れても、その驚異的な攻撃を防ぎ続ける―――!!】

/↓

/【突如ライラの前の地面が盛り上がり、簡易的な盾となる。しかし、所詮は地面だ。熱線、そして銃撃が当たれば、勿論ボロボロと崩れていく】
/【……だが、その崩れた場所は再生する。それはまるでアンデッドのように】
/【再生が間に合わなかった場所に熱線が飛来し、足を焼いても、脇腹を焼いても、手を焼いても、ライラはその魔法を続行する】
/【壊れても、壊れても、どれだけ壊れようとも、それは驚異的な攻撃を防ぎ続ける―――!!】
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/15(日) 02:47:17.38 ID:q/Occmuj0
>>108

【後方に飛びのき、一回回転してから着地して、自分の攻撃結果を見る】
【右のショルダアーマーの破損と肩に着弾ダメージを負わせる――だがこれでも敵は突っ込んでくる】

 研究者か?、まったくそういう連中はこんな性格ばっかりなのか?
 知り合いのあの研究者もいろいろうざかったしな

【高揚状態を見て、自分の知り合いの研究者もああいうやつだったと思い出す】
【だが、そんなことを思うのも一瞬でありすぐさま次の行動へと移る】
【敵は今度は異様に分厚いハンマーを取り出す今度もまた殺傷力が大きいだろう】

 まったく、どんどんだすな、お前のタクトは四次元ポケットか

【そのような愚痴をはきながらも、近づいてくる敵に対してどうするか思考する】
【あのような装甲に通常の銃弾では歯が立たない、とはいえ接近戦をしても敵のほうが素早く動く】
【さらに力も上だろう、抑えたとしてもすぐに逆転される】

 チッ、本来これはやりたくなかったがいたしがたあるまい
 ――逝くか

【彼は一つの覚悟を決めると接近してくる敵に対して――彼もまた接近して行った】
【一気に足に力をいれて、一気に疾走する】
【土ぼこりが舞い、風が早やく当たっていくのを肌で感じる】

【そして、敵と近づいたのならば大きくフルスイングしてきたハンマーを彼は――右腕を盾にした】

 ぐがっ…!

【派手に骨が折れるではなく砕け散るような感触が襲ってきたが耐える】
【そのまま、相手の懐に飛び込んだならば、マガジン二つを取り出して−―爆破させる】
【この爆破能力、これは彼の特殊能力、ふれた物を任意で爆弾にすることができる、当然だが制限もあるが】

【二つのマガジン型爆弾が爆発し彼もまた後方へと吹っ飛ばされる】
【後方に吹っ飛ばされ、体のあちこちに火傷を負って、さらには着地できずに派手に地面にぶつかる】
【このようなことになってもまだ意識が保っていられるのは彼が精神的に強いからなのだろう】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 02:54:00.09 ID:I6EDu8+a0
>>94

【殺人を重ねまた一つ殺そうと――――彼との闘争を続けるなか、投げつけた言葉が彼を翳らせる様を――――滞りなく殺意を流れさす終わりの夜の一瞬に見る、】

【死ねば、やはり悲しむのだろう。苦しめられたモノが居れば、どこかで苦しみを感じるのだろう。】
【それはヒトが人としてあることで、誰かが望んだはずの姿で――――――、】
【ああ、やはり善人じゃないか。どうしようもなく。本当に生きて欲しかったんだね、正義の味方サマ――――】

【……そんな殺意とも遊離した思考に割り込んだのは、彼の、彼を表わす、彼だから紡いだ確かな言葉。】
【“殺さずに” “取り戻し” “取り戻せた皆を幸せにする”――――】
【“…………、――――――――――”。】

【―――――“なんて、夢の様に甘く厭わしい”。】

「―――――――――――それが、その逃げが最後にはおまえを殺すんだよ。
 誰も死なせない? ご立派な夢だね。皆を笑顔に? したいならしてみればいい。……善人サマ。 」


【紡ぐのはこれまでにない冷え切った声、彼を挫こうとする様に――――諦めろと囁く様に、穢れきった女の声が続く。   】


「それで、さ―――――今まで何人死なせたんだ?……出来るとでも。取り戻せるとでも、思うのか……―――――」

【“どうにもならない残酷なモノ”、壊れた過去と散らされた命。】
【そうしてこれからも“殺し”続けるだけだと仄めかしながら、彼と己の結論を、死の不可避という意味で同じだと片付ける。】
【―――――――“さあ、死ね”、】
                  【 “ありえない夢(いつわり)を生きた代償として”―――――。】

【氷片の着弾からほぼ爆炎の発動の準備を終えて、生まれた意識の空隙に生じる、その言葉から僅かに冷静さを失った一瞬――――】

「――――っ……ぐぅ……ッ!?」


【――――銃弾が、想定外の角度から飛び込んだ。無意識に張った氷の薄膜こそ有るが、焼け石に水程度の影響すらなかった。】

【銃弾は確実に内臓を傷付けている。知った痛みで、記憶にあるものだが大口径弾頭の衝撃と激痛は膝を崩して――――、】
【無意識に手をついて苦悶する自分に気付いたのは、右膝を就く衝撃を感じてからだった。全身が揺れて、吐き気と失血の喪失感が意味を為さない吐息を生み出す。】
【常になった思考はそれでも続く。……彼と彼女との戦闘は、滞りなく継続される。】


「……必要経費はお前の命、なんてね―――――――
 誰もかれも救おうとしても、私一人殺せてないじゃないか、お前は。……殺す以外にないんだよ、この世は、そこまで択が多くない―――――

 それで死んだら元も子もなし、セードムシティは救えませんでした―――――――とさ! あははッ! 」

【感情に囚われた様な狂態。目的を忘れてはいないながらも、自分に言い聞かせる様な言葉。】
【……けれど、どこまでダリア自身貫けていた言葉なのだろう。破壊力は、彼を屠ろうとするばかりで届くことなく――――】

【不定形の魔獣が地表からその顎を伸ばすが如く、ダリアを守る様に黝き“力”と氷壁がドーム状の形態で伸展する。 】
【ダリアの前後で、“氷の顎”の縁に生じるのは鋸刃の如く立ち並ぶ棘――――その延長上にある彼を貫き全身を裂き、臓器も彼自身から分かつ心算か】

【けれどその中心にぽっかりと覗く空隙は、頭と胴と右の肩口と―――――そんな致命的弱所を彼に晒して】
【一方でその一点だけを除いては、ほとんどの跳弾を封殺するだろうか。“揺れ動く心に任せた残酷な殺し方”――――そうも見える様で。大きく距離を空ける必要こそあるが、回避して反撃することすら可能な大ぶりな業だった。】

【 ダリア・レオンフィールドは最悪を想定して行動する。それは過去の経験が賜物であり、本能の次元で染み付いた闘争の業。】
【乃ち作り出されたこの状況――――中心部に撃ち込むことは、“打ち倒す”ための最良手でありながら彼女の想定のうち。撃つ箇所はけれど彼次第。どう、賭けに出るのか/乗るのか――――。】
【射殺を狙うことも可能だろう。未だ、顎門は閉じきっていない】
125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 02:54:44.17 ID:PLPpJBhJ0
>>118
「――――はあ?訳の分かんない事言ってないでさっさと帰って海水浴でもしてたら
アンタみたいな“海の女”には何も考えないで海月見たく漂ってる姿が一番お似合いなんだから」

【話にならない、と言わんばかりに肩を竦めて店の外へ出ようとするが】
【…………感じた気配には振り向いて。悪態を吐けば手刀で以て其れを砕くのだろう】
【確かに手は濡れはしたが――――何か、可笑しい。濡れたのは手だけなのだから其れも当然か】


(……重力に逆らってる?となると異能、か。――――コレが今何か仕掛けてくる訳じゃ無い。なら、今が攻め時か)

「――――大怪我をした後に泣きながら赦しを乞うたって遅い事が分かって喧嘩を売ってんのよね?……上等!!」

【経験上、其れを放っておけばおく程後々痛い目を見る。そして、術者本人を倒さない限り其れは浮遊し続ける事だろう】
【威嚇するかの如く扉を一度叩けば、轟音――――と共に“砕け散った”。其れを見れば純粋な腕力のみならず、彼女もまた“異能持ち”である事が知れるだろうか】
【流石に生体までバラバラにする程の干渉力は無いにしても、物を砕くのは其れだけで人によっては厄介な物。人体に影響が無いならば、殺傷能力も低いかも知れないが…………】


「その気取った身包み剥いで酒場に来た自警団達の笑いものにしてやるわよ
それと――――……アンタお気に入りのグラスなら沢山あるから、返してあげるわッ!!」

【釈明を求める事すらしない。兎にも角にも喧嘩っ早い性格なのである】
【其処等に散らばるガラスの破片を集め、其れ等を思いっきり握りながら殴りつけてきた――――!!かと思えば、だ】
【女性を殴りつけようとしたその寸前、形の歪な“グラス”がその手に収まっている事が分かるか】

【先まで握っていたのは“破片”。然れど今握っているのは形が歪ながら確かに“グラス”】
【――――やはり、この修道女も異能持ちだ。その打撃を避けなければガラスも女性の身体に向かって飛散する事になるだろうし】
【何よりも受ければ分かるであろう“衝撃”が一般的な成人女性の比では無い。流石に骨が折れるだとかそんな事は無いが――――重く響くのは確かだ】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 02:57:41.24 ID:I6EDu8+a0
/>>124

【乃ち作り出されたこの状況――――中心部に撃ち込むことは、“打ち倒す”ための最良手でありながら彼女の想定のうち。撃つ箇所はけれど彼次第。どう、賭けに出るのか/乗るのか――――。】
【射殺を狙うことも可能だろう。未だ、顎門は閉じきっていない】



【乃ち作り出されたこの状況――――中心部に撃ち込むことは、“打ち倒す”ための最良手でありながら彼女の想定のうち。……要は、どこまで、互いに冷静さを保てるのか。撃つ箇所は彼次第。彼は、如何様な賭けに出るのか/乗るのか――――。】
【射殺を狙うことも可能だろう。未だ、顎門は閉じきっていない】

…でした。解かりにくい上遅くて申し訳ないです…ッ
127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 03:07:20.86 ID:DpfyO+25O
>>112

【解放され、斬撃を放った後にミハエルは自身の右腕を確認していた】
【締め付けられた時に、どうやら骨にひびが入ったらしい、利き腕の損傷は致命的でもある】
【しかし今はあともう一押しといった局面、骨のひび程度、気にしてもいられない】

【ウェンカムイの両腕が膨張して巨大な肉の棍棒となり、それを怪物が滅茶苦茶に振り回す】
【だからこそ軌道も読み辛く、対処も難しい、ミハエルの能力にはガードの力は無い】
【だから彼がとる行動は、交差点に廃棄されていた車の陰に隠れ、やり過ごそうと言うものだ、それしか方法はない】

【相手の攻撃が薙ぎ払いならば 車がつっかえになると考え、この行動を選んだのだ】
【勿論、車ごと吹き飛ばす程の怪力で薙ぎ払われたら食らうことになるのだろうが】


【もし、うまくやり過ごせたのなら、ミハエルはカニバディールとウェンカムイに向けて何かを向けているだろう】
【片方だけに固定用の車輪がついた、鉛色の砲台が敵を見据えていたのだ】
【見ると鎌は消えている、恐らくこれがミハエルの能力の内、最高火力を出す武器】

【エネルギーがバチバチと音を立ててチャージされていく………そして】

これでッ…………!終わりだァァァーーーーーーーッッッ!!!

【膨大なエネルギーが放出される、星の輝きのような青をしたそれは、まるでレーザー砲】
【正しくミハエルの全力を込めた一撃だ、果たして結果は……】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 03:09:37.72 ID:Ra8jSuVJo
>>115>>119

(もう……アンタなんかと、一緒に……すんな!)

【迸る魔翌力の影響か外界からの情報は砂嵐を通したように感じる】
【花弁と自身へ魔翌力を練る、その過程が進む度に痛みを伴う】
【でも、いつだって魔術師は痛みに耐えて生きてきた今更それが増えた所でどうという事はない】

(構築は終わった、後は魔翌力の充填が間に合えば――――――――)

【花弁の装甲が更に展開され露わになるのは銃口にも似た拳大の穴、それが規則的に複数並ぶ】
【先程の衝撃砲の強化版とでも言うべき姿、花弁は未だ魔翌力を溜めている】
【幸いか、先程の痛みには慣れて来て魔術師はすくっと立ち上がり花弁により掛かる】

…………次から次へと懲りない、というか爺さんが悪いのか

【胸部を抑えながらも右手に魔翌力を流す、射出形式は単純な砲撃に過ぎないでも一般人相手ならばそれでいい】
【限界を越えて廻る回路はやがて熱を放ち始め紅く明るく輝き始める、カズネの身体とて例外ではない】
【異常ともいえる高温、そんな物に耐える人体はもはや人体とは云えない】

知ったこっちゃないわそんなの――――――――

【痛みよりも苦しみよりも、何よりも自分がしたい事が出来ないのが辛い】
【正しいと思った事、折れてはいけない物、曲げたくない想い】
【それに比べたら人でなくなる事なんて大した事と思わない】

【兵士に向けた掌から式が円筒状に展開される】
【魔弾圧縮、魔弾加速……単純な術式だが込められる魔翌力量は桁外れ】
【一発の赤熱の魔弾にて2発の弾丸を飲み込み、そしてもう一発で先にある兵士の胴体へと目掛け放つ】


(―――――――合図、きた!)

【そして獣から示された合図を知り】
【とっさに両手で耳を押さえる、響く暴力的な音の波はそれでも足りない程に大きかった】
【閉鎖空間での音響攻撃、どうやら互いの思考は似通っているようだった】

いいわ、次は私……!!
全砲門、展開、大規模衝撃射出機構解放!全部、何もかも!吹きとばせえええええ!!!

【花弁の担い手は今ここに高らかに叫ぶ】
【高温となった花びらは陽炎纏う、幻想的な光景に佇むカズネは魔術師然として】
【やがて砲身から放たれるは魔翌力による衝撃波、放たれる衝撃は不規則でならば閉所での衝撃の跳ね返りはより複雑に折り重なる】
【花弁の開かれる先にはかの老人、衝撃が最も集まる地点を予測しての物、赤熱の魔術師のその瞳はただ戦う為に見開かれる!】

【老人を蹴飛ばし離れ咆哮の後に倒れたAzothには当たらない】
【当たったとしてもそこは震源地ではない、損傷があったとして軽微に過ぎないだろう】
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 03:10:48.96 ID:CeCoh1I0o
>>125

ワオ、素手で扉をぶっ壊すなんてまるでゴリラね、雌ゴリラ!
風情を楽しむでもなく店をグチャグチャにしたりマスターブチのめしたり
……うーん、雌ゴリラって言うとゴロも悪いし、キングコング?・……おっと!

【茶々を入れることが第一。そんな態度は絶対に崩すつもりが無いようだった】
【威嚇も無意味――と言うよりは口笛を吹いているのを見れば】
【むしろそれすら楽しんでいる様子で、今度はグラスに目が行って】

ふ〜ん?……握力自慢?それとも、怪力自慢?能力かな。
砕けたものを凄まじい圧を掛けて潰すとさ、くっついて元に戻るってね

ま、どっちにしたってグラスなんかで殴られたくはないよ、っと……!

【振りかざされる拳とグラス、対する策は後退≠フ一手であった】
【ゴロン、と床を転がって攻撃を避ける。実に単純明快で情けないやり口】

【しかしその両手には新たに酒瓶が二つ握られていて、どちらも栓が開いていた】
【今修道女が居るだろう場所、つまり元は海賊の女が居た場所から】
【転がって移動した軌跡、空間――そこを彩るのは、先ほどと同じようにぷかりと浮かぶ酒の水泡】

【それも継続的に零すものだから小さくて数が多い。シャボン玉に質量が付いたような感じだ】
【しかもタチが悪いのは割れない事。叩けばパシャリと形を崩すが、壊すことはどうも出来ず】

【やがて両手の瓶を叩き捨てれば、更に多くの"ぷかり"が発生するのだが――】
【――女性の周囲に漂うそれは、彼女の身を汚すことはない。修道女が近寄れば】
【服は酒を吸収するのに、だ。やはり能力か――見れば、彼女はようやくカットラスの柄に手をかけていた】
130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 03:14:45.90 ID:tc1R8eM+0
>>116

「……そんな事を想うなら、最初から、戦場に足なんて、踏み入れはしなかったわよ……!
 あんたは、自分が戦いの果てに果てる事を、見てないとでも言うつもりなの!?
 この先にある勝利がちっぽけだって言うなら……私にはもう、見るものなんて、何もない…………何も、ないッッ!!」

【尚も激情は変わらないかに見えるシュバルツガイストだが――――セリーナのその言葉になんと返したか、そこには迷いが生じていた】
【その言葉を、上手く消化しきれない。どう反論すれば、自分の信念は傷つかずに済むか。咄嗟にそれを見いだせなかった】
【それが、間接論法での反論として表われている――――傍から見れば、小さな変化だが】
【セリーナのその言葉は、小さな何かを、シュバルツガイストに響かせた――――その吉凶は、まだ分からないが】

争い合う自由なぞ、認める事に何の意味があるかの……ぅ!?
人間の幸せは、そんな高等なものなんかじゃありんせん……それは、ささやかなものだからこそ、容易に奪われるものなんじゃろう……!?
わしにはもう、分からん話じゃが……そんな幸せなど、わしはとうに忘れ去ったが……そう言うもんじゃろうが……!
――――分かり合える歴史など、存在せん…………もう一度、教科書を紐解いて考え直すんじゃな……あの世での……!!

【――――なんで、自分は世界の幸せなんて望んでいるのか。それはもう、自分にとっては幸せなどではないと言うのに】
【――――なんで、自分は『最終勝利』を目指しているのか。若いころの誓いの根本なんて、もう覚えてはいない】
【芽生えさせてしまった狂気は、そんな事を問題にもしないし、振り返る事をさせない】
【ただ、爆炎の中に消えていくセリーナに、グラトンは手向けの言葉の様なものを向けた】
【人は、力無しには、絶対に和解する事など出来ない――――幼い頃に見た、その真理を】

>>117

黙らぬか、痴れ者……!!
皆が望んだ結果の平和≠カゃと……!? 世の中を動かせない様な、世界の平和を望むのが、そんな少数派だと、思っとるのか……!?
声じゃ人は心を動かさない、そして世界も動かず、システムも動かん!!
じゃから世界は誰が望んでも治まらんのじゃろうが……力の無いものには、何も出来んし、何もさせられん…………お前は何を見て、今までを生きてきたのじゃ……!?

【グラトンは、もはや「世界を平和にしたい」のではない。ただ「世界を治めなければ、気が済まない」と言う方が正しい】
【そこには、後ろ向きな目的意識だけが残っていた。目の前のハエを叩き潰すのと、変わらない感覚で、自らの手でそれを成したかった】
【谷山にも向けるのは、セリーナへと向けられたそれと似たような言葉だ。それが虚言に過ぎない事を、この世界は伝え切っているではないか、と】
【――――それは、グラトンが自らの勝利、そして自らの証明の完成を、確信した様なものだったのだろう】

>>120

未だに、そんな幻想に追い縋っとるのか!! ……どこまで人間が見えとらんのじゃお前たちは!!
そんな可能性がどこにある!? お前は、過去の人間がそこまで愚かじゃったとでも言うつもりか!?
人間の宿命を、これ以上なく見せておるじゃろう、人の歴史と言うものは……そんな簡単な事すら分からんで、なんでこんな場所に足を踏み入れる……!!

【幼き日に確信したビジョン。それは時を経る事に更に強固になり、そして歪みを含むと、手の施しようがなかった】
【だが――――人は、永遠にそれを試み続けてきたはずなのである。まさか、平和を実現できないのは祖先が悪いと言う話しなどないだろう】
【力こそが、最終的には全て。グラトンは、その可能性を『無い』と断じるしかなかったのだ】

/続きます
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 03:15:03.97 ID:tc1R8eM+0
>>116-177>>120

残るは、お前一人じゃの……ライラ。どうする?
わしの、70年以上の歳月の結晶足るこの身体、この細胞、このグール共を前に、次はどうあがいて見せるのじゃ?
……逃げる、降るなどと言う選択肢は、もう存在しない……それは、分かってるんじゃろうな?

【セリーナは爆炎に飲み込まれて沈黙し、谷山は満身創痍で膝を負った。残るのは、防御で耐えきったライラだけである】
【グラトンはゆっくりとそこに近付いて行く。ダメージは大きく、細胞も消費したが、こちらはまだ戦える】
【よしんば、体力勝負となっても、筋力などの要素はやはり、今のグラトンに軍配が上がるだろう】
【積み重ねてきた、狂気の産物。全てはただ『勝つ』為だけに――――その結晶を携えたグラトンは、確かに勝つ気でいたのだ】



【――――だが、それを崩す予想外の介入が、その場に飛び込んできた】
【それは――――誰よりもグラトンの死を望んでいた、とある人物の作為――――】

なっ……ぐあッ!?
な、なんじゃ…………馬鹿な……!?

【――――突如、ハンドボールほどの大きさの、金属製と思われる3つの黒い球体が、どこからともなく飛来して、グラトンの身体に命中する】
【しかもそれは、そのまま落下する事無く、何度も何度もグラトンの身体を打ち据えて、更には発光してその肉体を叩きのめす】
【――――この現象、空で起こっていたとある出来事とそっくりだった。同時に、近づいてくるヘリコプターのローター音】

{――――――――お前ら!! 折れてるんじゃない!! 今だ…………その畜生を、ぶっ殺せぇぇぇぇぇぇぇ!!}

【顔を出しているのは、ぼさぼさの赤い髪をした青年――――セリーナだけは名を知っている、トライデント】
【頭痛を覚えるように頭を抱えながらも、眼下の戦場に、あらん限りの声で叫んだ。グラトンを、殺せと】
【その為に――――持ち場を離れてまで、1度きりの援護をしに来たのだろう】

き、貴様……ぐぅっ、うっとおしい……!!

【何度も何度もホーミングする3つの礫に、グラトンは大きくよろめいた】

【――――――――大きなチャンスである。同時に、恐らくは最後のチャンスだろう】
【あらん限りの力をぶつけて、グラトンを死に追いやる、その――――最後のチャンスなのだ】
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 03:27:48.27 ID:PLPpJBhJ0
>>129
「アンタの頭で風情を楽しめるなんてとても思えないけど?覚えたての言葉を使いたいなら余所にしてくれないかしら、お猿さん?」

【茶々が入れられれば分かり易い程に顔が怒りに変わった】
【感情が隠すのが下手。更には何時もそんな表情なのだろうと思わせる程に似合っている不服の表情】
【攻撃が避けられれば再びグラスを適当な場所へと放り投げ、代わりに手にしたのは砕けたビールの瓶だ】


「さあね。種明かしをする程アンタに好いてる訳でも無い――――というか、寧ろさっさと泣き顔を見たい位なんだけど
…………で、どうするの?逃げ回って水遊びするだけじゃ魚の一匹も捌けないんじゃ無い?」

【再度強く握れば、今度出来たのはビールの瓶……では無く、ガラス製の棒だ】
【確かめる様に近場のテーブルを叩いた程度ではヒビが生じない程度には強度も保たれているのだろう】
【――――己の纏う其れが水気を帯びた事に気付けば、女性へと視線は移されて】

【漂う“酒”と彼女が手にした“刃物”。…………考えられる事としたら】


「嗚呼、斬り付けてから直接アルコールを取らせようとでもしてるのかしら?
それとも、お猿さんなりに風情とやらを楽しんでみたつもり
――――……何だって良いわ。良心で伝えてあげるけど、逃げれば逃げる程恐怖も増すと思うわよ」

【傷口から直接のアルコール摂取、か。…………いや、もしかすればもっと質の悪い事だろうか】
【ならば素早く仕留めるまでかと思考を戻せば、棒を構え――――殴るのでは無く、“突いた”】

【狙いは彼女の鎖骨だ。折るなり砕くなりすれば、先ず片手を封じる事が出来ると踏んだようで】
【特に複雑な軌道でも無い直進。然れど、当たれば言わずもがなの威力】
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 03:38:12.23 ID:Tizm9Unpo
>>119


――――!! 貴様…………!!
まずい、一旦地面に降りっ――――、


【――――掛かったな、との煽り文句を聞いたとき、表情にこそ出さないが、老人の心境は一転して焦燥に包まれた】
【そこで兵士達の安全を気遣ったのは戦術上の作戦か、それとも老人自身の気質であったか。どちらにしても一歩遅く、Azothの策が上回る!】


「ぎ、ぃ、あ、あぁああああああああああああああああああああっっ!!!」


【老人の指示も、アンカーを撃ち放った兵士の悲痛な叫びすらも、爆音の前に掻き消えて。咄嗟に耳を塞いでダメージを軽減できたのは老人だけだった】
【兵士はあえなく気を失って墜落する。被害は当然『マイティロッド』を持つ最後の一人にまで及び、一瞬にして意識を奪い去っていくだろうか】
【……幸い、兵士は頭からではなく尻の方から墜ちた。元々飛行する高さが低かったこともあり、多少打撲は負ったが重篤な傷は負わずに澄んだはずだ】



>>128


「あ、ぐっ………きゃあああああああああああああああああああああああああ!!」


【元より、兵士に赤熱の弾丸を避けるだけの技量は無かった。胴体を撃ち抜かれ、ぐらり、と体が揺らいだところに――――トドメとしてAzothの音撃である】
【爆音が全身を殴りつけ、兵士は地面へ墜落していく。今度は位置が高い分危険ではあったが……堕ちていく地面の先には、老人がいた】
【……偶然、か。あるいは。結果として兵士は老人を半ば下敷きにする形で着地し、気絶するだけで済む。加え、老人にもダメージが行ったようであり――――】


ぐ、ッ、ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!


【そんな悲鳴もきっと、咆哮の前に消え失せるのだろう。圧し掛かる兵士を蹴り飛ばし、その勢いで立ち上がって、全力で後退する】
【反射の果てに衝撃が集中する、そんな攻撃であったのが幸いか。真の意味での直撃にはならないものの、爆心地≠フ至近距離であることに変わりはなかった】
【老人の体が余波を受けて派手に吹き飛んでいくのが確かに確認できたはずだ。耳を塞いでいたせいで受身を取ることもできない、無惨に地面へ転がって――――】


【……反響する音がすべて止んだ後。血反吐を吐きながらゆっくりと、しかし燃えるような瞳を湛えてもう一度立ち上がるのも、確認できるはずであった】



/続きます
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 03:42:27.43 ID:Tizm9Unpo
>>ALL

【――――随えていた兵士は全員、気絶し。戦況は二対一、そして自身も大きなダメージを負ってしまった】
【一転して圧倒的に不利な状況に陥った老人であったが――――ここで彼が、血塗れの口元を歪めて楽しそうに笑うことは、もう想像の範疇であるかもしれない】


ふ、っ………見込みどおりであったな。いまどきの若者も捨てたものではないわい。
出来れば正体は明かしたくなかったが――――それは儂の覚悟≠ェ足らぬゆえの、下賎な逃げというものか。
ここまでされて名乗らぬのは騎士として礼儀を失する。今度こそ悪≠フ道へ矜持と誇りを染め上げることを誓って、告げさせてもらおう。

――――儂は≪No.11≫、ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム。≪荒狼騎士≫の異名を戴く者である。
『UT』の若き戦士よ、名を聞かせてもらいたい。

そして………次で、ケリをつけよう。
これからも正義≠ニして闘うのならば。我が絶対の剣戟、見事受け切ってみせよ――――。


【双眸に荘厳な光を宿し、何かを決意するように、あるいは何かを諦めるように――――老人は、満を持して自らの名を名乗った】

【そして、わざわざ倒れ込んだAzothが再び立ち上がるまで待ってから、再び構える。右半身をそちらへ向けて右腕を突き出し、体の奥でゆらりとレイピアが揺れて】
【同時にその体から発せられるものが何なのかは、少しでも武≠ノ通じているものならば一瞬でわかるはずだ】
【いや、このレベルならば素人にだって如実に感じ取れるだろう……感じ取るどころか、失禁して気絶するかもしれないが】

【――――それは、ただ『闘気』としか評せない概念であった。見た目には何の変化も無いはずなのに、ヴァレリーの姿が二倍にも三倍にも大きく見えるような】
【巨人の如く莫大で、餓狼の群れに囲まれているかのような絶対的な威圧感。幾千の戦場を超え、人の身で神≠フ領域にすらその剣を届かせた男の――――、】



                                   O u r a g a n
                     ―――――――― ≪ 風 雨 ≫ !!



【――――生物に、風を視ることは出来ない。そんな当たり前で、どうしようもなく絶対的な真理が、二人の前に姿を顕した】
【今度は錯覚ではなく残像が見えるかもしれない。肌を突き刺すように燃える莫大な闘気が一瞬だけ消え、静≠ゥら動≠ヨ移り変わるその刹那に】
【例え見切れたとしても、傍目には銀色の塊が突っ込んでくるようにしか見えないかもしれない――――だが、しかし】

【その銀色は、目にも留まらぬ速さで行われ続ける無謬の斬撃≠フ軌跡であった。≪荒れ狼≫の咆哮が、嵐を連れてやってくる――――!!】

【ヴァレリーはAzoth、カズネの順番で稲妻のように突撃していくだろう。二人が剣の射程範囲に入った瞬間、数え切れない斬撃の雨が全身へ叩き込まれるだろうか】
【一つ一つの傷は浅いが如何せん数が多すぎる。抵抗せず全て食らってしまえば一瞬で血達磨になり、そのまま出血多量で死ぬことにもなりかねない】
【また、そのような絶対的な攻撃力に加え、一人分の攻撃を終えるのに掛かる時間はほんの一瞬である。二人合わせて、移動に掛かる時間も加味したとして――――】
【この攻撃が始まって終了するまで時間は、多く見積もって僅か一秒。この行動に宿る神速≠ェどれほどのものであるかが、それで伝わるだろうか】


【……この行動が終われば、ヴァレリーは二人の背後へ突き抜けて少し離れた位置で止まり、膝を突く。今まで受けたダメージも大きい、限界が来たのだろう】
【すぐには動けない上、二人には背を向けた状態だ。攻撃を叩き込む最大のチャンスである……生き残ってさえ、いればだが】

【ヴァレリーにしてももう次はない。例え一撃叩き込むことができずとも、ただ生き残っているだけでそちらの勝利は確定すると言ってもいい】
【果たして一人と一匹は、邪悪な『ナンバーズ』の最後の一撃を、受けきることが出来るか否か――――】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/15(日) 03:45:04.83 ID:1k/es8eNo
>>130-131


  ――――――――――――……い、いや……。
  しっかり、ぐっ……見て、るさ、シュバルツ―――…・・・ガイスト。


【爆炎に全てが消えるかと思った、そのときだった。】
【炎が一斉に立ち消え、とてもつも無い轟音と共に煙が一瞬にして晴れたその直後】
【姿を現したのは―――装甲が彼方此方吹き飛び、防護マントをズタボロに引き裂かれながら、尚も】
【―――尚も、崩れる事無く、"愛銃"たる進化した"弾"末魔を杖代わりに、その場に立ち塞がるセリーナ・ザ・"キッド"の姿だった。】


  ―――……ケホッ、けほっ……く、ううッ……ぐはぁっ、ああっ……ふぅ、うううぉぉぉッ……!!
  ……ハハッ……とんでもない、凄い勢いの攻撃、だったね……正直、こうして、立ってるのが、精一杯、だよ……
 
  けど―――……見ているよ、ちゃんと。アタシはアタシが果てる姿を、きっちりと、見て―――いるとも。
  
  ……アタシは、幾多の攻撃に打ちのめされて……それでもきっと、何か、大切な―――……そう……
  信念の様な、何かを残して―――そうして、息絶えるだろう。ああ、そうさ。アタシの、死に場所は……うぐっ、……戦場だ。

  だけど……何も残さずに死ぬことなんて、絶対に有り得ないし……そんな死を、アタシは受け入れない……ッ!
  そうだ、人間には生きようとする希望がある、生きようとする意志がある、何かを残そうとする、"自由"がある……ッ!!

  死ぬかどうかを、決めるのは殺そうとする人間じゃない……アタシ自身が、アタシだけが、アタシの死に場所を決められるッ!!
  それが自由だッ!! 生きるも、死ぬも、選ぶことが出来る、それが―――ソレが本当のいみで、人が自由になれるって事だッ!!

  そしてアタシは―――……アンタや、グラトンに、こんな所で殺されるほど―――……ヤワな存在じゃ、ないッ!!


【一歩、踏み出す。又一歩、踏み出す。生きようとする意志が。死に抗う自由な精神が、脚を動かす。】
【"弾"末魔を、震える両手で構え、既に割れた頭部の鎧の隙間から、眼前の敵を睨みつけ、構える―――!】
【そしてそんなセリーナを、ライラを、谷山を鼓舞するようにして今、上空より最後の"援護"が加わって―――戦闘は、加速するッ!!】


  ……約束しただろ、トライデント君……生き残って、そして―――バーで一杯、引っ掛ける、ってさッ!!

【恐らくは―――先程の猛烈な熱線を防ぐ際に、使用したのであろう。最後の一発―――冷凍弾を装備していた】
【ケルベロス・マグナムを、三発を撃ち終えたそれを、何故かセリーナは"弾"末魔とは別の手で、構えるではないか。】
【本来であれば三発を撃ち切って、もはや使えない筈のケルベロス―――だがしかし、そこにKOへと進化した、意味が存在した。】


  ―――撃ち鳴らせッ!! 番犬の咆哮をッ!!
                                 ラスト・ショット―――ノック・アウト・ブラスト!!!
  
【ケルベロス・マグナム KO―――その名に相応しい最後の一撃が、なんと銃身の"中央部"より、放たれた。】
【判るだろうか、三連にくっつけられたバレルには正面からみて、丁度丸い"穴"が生まれることが―――そしてこのKOは】
【その三連バレルの云わば隙間部分を、バレルに囲まれた穴を最後の銃身として、余りある強大な魔力の"砲撃"を、放っていたのだ!】

/つづきますっ
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/06/15(日) 03:45:29.45 ID:1k/es8eNo

【その威力は今までの三発のどれよりも強力で、そして素早い魔力の弾丸と化して、一気にグラトンへ襲い掛かるッ!】
【そして更に言うならば、セリーナは破れたマントを全て剥ぎ取り、背中に装備した長大な―――"魔装銃"を自動で、展開ッ!】
【背中に装備されていたソレはフレキシブルな接続アーム部によって稼動、肩の上に移動して銃口を展開、更にオートでリロードッ!】

【―――装填される弾丸を選択する事でバレル内部の加圧が変化、なんと銃身の口径が変化するという】
【云わば可変式銃身<ヴァリアヴル・ライフル>の本武装は、最大口径の『13mmD−Es魔弾マグナム』を選択ッ!】
【長大口径のマグナムを発射するに当たって折り畳まれていた副銃身が起動、主銃身と結合されて―――見えるか、その巨銃が!】

【最大伸長1m50を超えるロング・バレルの魔力ライフルはセリーナの肩で標的<グラトン>を補足、ロック・オン。】
【そして最後に、"弾"末魔に新たに加わった機能の一つ―――チャージ・ショットの急速魔力充填が開始されるッ!!】
【構えたケルベロスの最後の一撃、ノックアウト・ブラスト。"アーマーRV"の追加武装、肩に装備された強大なライフルの一撃。】
【そして何より信頼する相棒、"弾"末魔の織り成す最後の一撃、チャージング・ショット―――銃口の輝きは今、最大に達して――――!】


  ――――――――ターゲット・ロック。全銃身用意――――撃ち方ッ!!

                                     ――――――――――始めェェェェェェェェェェェェェッ!!


【―――爆発的な銃声。三者が重なる、その時。】
【ケルベロス、ライフル、"弾"末魔。それぞれの魔力弾による驚異的な一斉射撃の弾幕が、今―――張られたッ!!】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 03:45:59.66 ID:Tmc5XUWQo
>>123

―――少し、違うな……私は研究者と言うより冒険家なのだよ
ロマンを追い求めるという意味では似たようなものかもしれないがね……科学者やっているのは
あくまで冒険の助けとなる物を生み出すための手段だと割り切っている

「……そう、確かにそうデスヨー
いつも白衣に身を包んでいますけれどもあくまでジュニアハカセは冒険家としてのスタンスだけは崩さないのデスヨー」


【―――最後、そう反論した後にその最後の一撃が振るわれる事となったが】
【その最中、彼がその手元からマガジンを放ったのだけは目視できた―――爆破する能力を未だ見ていなかったのだからやむを得ないのだが】
【この局面でうまく受け流す事は出来ず、彼同様モロに至近距離で爆撃を喰らい―――その煙の中に姿が埋もれてしまった】

【最後の特攻で派手に吹っ飛ばされ……もはや満身創痍となった男の目に彼らの状況を把握するまでには時間がかかった】
【やったのか、あの爆発で完全に消し飛ばす事ができたのか―――同じ距離で食らった自分が今生きている事で、答えがすぐに頭に浮かぶかもしれない】


【―――煙が晴れたその場所には―――至近距離の爆発を受けてもなお堂々と立ちすさむW-1の姿が飛び込んでくるだろう】


【装甲は先ほど以上に砕けた……目視での被害状況の想定は少なくとも中破、胸部の損傷部位からはバチバチと火花が飛び散っている】
【しかし当の本人たちは立ったまま、自分の体を見回して冷静に被害状況を確認していたのだ】
【―――仕留め切れなかった、その事実が無慈悲に男に突きつけられる】


ハッ……ハハッ、こりゃぁ……キツイのを喰らわせてくれたものだ、というか……変身してなかったら普通に死んでたなこりゃ
普通だったら勝っていたかもしれないが、まだ少々足りなかったようだな……武装のチョイスそのものは悪くなかったが……決着をつけるべく
なりふり構わぬ手を初手から使いはじめていた我々を打ち負かすには、単純にもう少し火力が足りなかったな

「だてに鋼鉄侍女は名乗っておりませんのデスヨー」


【ボディについた泥を払いのけ終わったら、その弓矢を最後に男目がけて狙いを定めたのならば】
【ベルトからW-Phoneを引き抜き、手元の弓矢のスリットに装着―――そして中心の丸い窪みにホルダーから取り出した卵を装填したならば】
【端末の画面に『T・H・U・N・D・E・R』とタップ、フィニッシュコードを発動させる!】


その怪我だ、無理に動かず―――今日の負けを認めたまえ

『ARROW! maximum charge!!』


【矢の先端にバチバチと雷鳴のような音が鳴り響きながらエネルギーが"卵"を中心に集中していく】
【そして電子音声と共に装填した卵が割れたならば、勢いよく雷撃の矢が男目がけて容赦なく一直線に飛び込んで行く事だろう】

【狙いは急所ではなく脚や腰の辺りではある、だがどこであろうと命中すれば体中をすさまじい電撃が走り、その意識を手放す羽目になる可能性が高い―――!】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 03:47:26.59 ID:CeCoh1I0o
>>132

逃げ回るだけ?ノンノン、それは早計って奴だよシスター・コング。
それに海賊は漁師じゃないんだ、魚は捌くけどね。そこは大事で……へぇ

今度はガラスの棒かぁ……器用だね、キングコングよりずっと利口だ
どっちかって言うと猿の惑星?まあ、そんなのなんでもいいんだ
どっちにしろアタシのカットラス捌き……観てもらうことになるんだからさ

【ガラス棒が振るわれた瞬間、彼女の手元は凄まじい速度で剣を抜いていた】

【そして刃は――棒とは平行に近い、しかし刃の当たるギリギリの角度で】
【正面から$レ触。そこから生み出されるのは、ギャギャギャ!というけたたましい音と】
【加えて、僅かな火花≠セ。――棒は鎖骨ではなく、その上の僧帽筋を打ち】
【彼女はそれに舌打ちするが、合わせた刃を推し進めて、修道女の脇を抜けようとするだろう】

【鍔迫り合いに近い一幕。カットラスで軌道を逸し、隙を作って相手の背後に回るわけだ】
【そこから反撃に続くわけではないが――火花≠ェ散ったとなれば、話は変わるだろうか】

…――たまにさ、ケツから一瓶一気飲みしてやるぜ、ってアホが居るんだけど
アレですごく酔うんだよね。だから傷からやっても良いけど、度数が低くちゃ意味が無い

でーもー……ちょっと火種があれば、もっと単純にやれると思わない?

【そういう彼女の服に染みが無いのは、つまりそういうことか】
【液体を立体に変える力。そしてそれをある程度操作する能力――】
【――もっとも、受けた傷は痛い物だ。右肩の辺りからはうっすら血も滲んでいて】
【修道女の状態次第ではあったが、そこには僅かな隙もある。迅速な反撃なら、或いは――!】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/15(日) 03:53:24.44 ID:XF+n2rDHo
>>120,130-131,135-136
「あ? だったら動くように世界を変えていけば良いだろうが。
力が無ければ力を手に入れれば良い。望んだように世界を変えられるように……ッ!!
見てきたから、見てきたものを変える……! お前とは違う形で……! それだけ、それだけだッ!!」

【それが虚言であることなど知っている。だが、それを真実にする術があると信じている】
【今の世界の仕組みは、確かにグラトンの言うとおりだろう】
【谷山がやろうとしていることは、グラトンのやり方をよりソフトに、そして他者を信ずる形で行うものだ】
【そして、谷山は折れず。グラトンの確信を前にしてなお、違うと強く主張して立ち続けていた】

【その直後に、爆炎に飲み干された谷山。そして、爆炎が晴れていったならば――――】

「……は……ッ、か……ふ……ッ」

【ボロ雑巾のようになって、地面に崩れ落ちている谷山が、居た】
【砕け散った結晶と、吐瀉物と、鮮血とその他体液にまみれて転がり、浅い息を吐く】
【もはや死に足を一本踏み入れているかのような、その有り様。あまりにも無様、余りにも凄惨な姿】
【だがそれでも、目だけはギラついていた。砕け散った結晶の群れが燐光に還元されていく】

「……ぜんっぜん……ッ、へい……キ……だねェ……ッ!
きカ……ねェよ……ッ…………ッ! 俺……ァ……ッ。
まけな……負けねえ……ッ!! 逃げネ……ぇ……!」

【確かな勝機を見出し、こちらへと歩んでいくグラトン】
【それを前に、もはや意地でしかないその虚勢を張ってみせる。そして思考を回す】
【この動かない肉体を、30%が失われた肉体でも、なんとかしてグラトンに対する勝利を得る術は無いかと】

【トライデント。その支援によって生まれた隙。その瞬間に、谷山は目を見開く】
【動かなくても良い。動く必要はない。谷山基樹の力の本来の姿を解き放てばいい】
【そして、それは一瞬で良い。一瞬の隙を付けなければ、どっちみち死ぬのだから】

「……いま、しか……無い……ィィっ……!!
ッ、お……ァ……!! Hello World=I!」

【戦場に飛び散っていた無数の結晶の群れが、全て燐光に還元され、グラトンの背後に収束していく】
【その燐光が再度結晶体に再精製。ワイヤーフレームで構成された、脆弱で歪なヒトガタを創りだした】
【Hello World Ver.β=Bレギンによって植え付けられた哲学者の卵。それが生み出したアートマンの最初の形】
【弱いそれに、全身全霊の意志と力を込めて。アートマンは拳を振りかぶった。纏わりつくノイズ、力で自壊していきながら振りぬく】

「届け――――――ェッ!!」

【放つ力は、これまでと変わらぬもの。神経系に負荷を掛け、意識を吹き飛ばすもの】
【他の者のそれとは違う。華やかではない、強力ではない、輝かしいものではない】
【だが、これが谷山基樹だ。これが、この全てが、この無様が、この無惨が――谷山基樹だッ!!】

「届ケ……ッ、届け……届け……ッ、俺は……ッ! 勝つ……ッ!! カつ……ッ!!」

【拳を、足を。ワイヤーフレームのアートマンは砕けながら打ち込み続けようとするだろう】
【砕けた肉体は、ワイヤーフレームという極小の構成で作られるものの為、再生は早い】
【殴り続けることで相手を縫い止めるという意識などもう既に無い。それ以外にもはや、できることが無い】
【だが、出来る事がそれしか無いが、それだけはできる。だから――谷山はそうするのだ】

「セリーナ……ァ、ライラァ……!
頼む……頼むぞ……ッ! 頼む…………!! 倒せェ……!!」

【谷山は、信じた。任せた。セリーナに、ライラに】
【朦朧とする意識の中で、最後に残ったのは――信ずる事だけだった】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 04:04:05.93 ID:8lB6eokno
>>121>>127
【両腕が振るわれ終わった後、もはやそれはただの肉塊に過ぎなかった】
【ウェンカムイの身体が膝をつき、広場の中心で項垂れるように硬直する】
【表面の肉は、わずかに動いていたものの、それだけ。呼吸をしているかすら、怪しいものだった】

【亀甲を砕きつぶし、"八咫烏"を吹き飛ばし、背後のカミナを叩きつけたことも】
【ミハエルが重傷を無視してでも動いたことも、彼が隠れた車を叩き潰し、しかしミハエル自身は捉えそこなったことも】
【もう、それ≠ヘ知覚してすらいなかった。ただ、力尽きるまで猛威を振るって、終われば動きを止めるだけ】


【そこへ――二人の正義が放つ、執念の一撃。今宵の決着をつける最後の一押しがやってきた】

【八咫烏に流し込まれた神気は、凝縮され高まりゆく。それが、無数の熱線として結実するまでの間】
【割り込むものは、何もない。カミナの正義は幾筋もの光に姿を変え、違うことなくカニバディールを撃ち抜くだろう】


【さらに、ほぼ同時にカニバディールに叩き込まれることになるのは、ミハエル最大の攻撃】
【ぺしゃんこになっただろう車の影から、彼が姿を現せば。従えているのは、砲台。配下たちと同じ、鉛色】
【チャージのタイムラグが挟まり、ちょうどカミナの熱線と同じタイミングで着弾する。流星と見紛う、青き光】


【ウェンカムイとカニバディールの巨体が、カミナの熱線に穴だらけにされ、焼きつぶされ、撃ち滅ぼされていく】
【ミハエルのレーザーに飲み込まれ、消し飛ばされ、砕かれてゆく】

【断末魔の悲鳴すら上げることなく。怪物は、後方へと吹き飛ぶように消えていった】
【あれほどの質量を誇っていた巨躯が、吹き飛ばされる過程でどんどん削り取られていく】
【地面に倒れ伏した時には、もはやウェンカムイの胴体の名残しかそこには残っていなかった】

【その傍らに、怪物と化した際にカニバディールが取り落としたらしいバトルアックスが転がっていた】
【ただそれだけ。カニバディールという悪党が存在した痕跡は、何も残っていない】
【もはや、その生死を確認するまでもないはずだ】


【正義が、勝利したのだ。肉の怪物は、ついに滅ぼされた】
【中央広場に漂っていた人々の無念も、少しずつ晴れ始めているかのようだ】
【彼らの決死の戦いは、ここに終焉を迎えた。彼らの勝利という形で――】

【雷の国 『セードムシティ』 栄光と慈悲の広場 交差点の戦い】
【勝者――――カミナ・ゲルギル&ミハエル・ガーナランド】

【≪No.29≫カニバディール――――】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 04:05:28.72 ID:8lB6eokno
>>121>>127
【ボコ。ボコボコ。ボコボコボコ――――】

ぐ――――ッッッは、あああああああああああああああああああ!!!!!

【ウェンカムイの胴体の残骸、その中央を突き破って、それ≠ヘ這い出した】
【広範にわたって焼け爛れた顔面。焦げ付いた黒い頭髪。左腕は付け根から先が存在せず、胴体から這い出した右腕もひどく細い】
【何より、その胴体。いや、胴体と呼べるのか。胸部までしか存在しない。まるで胸像だ】
【尻尾のように垂れ下がっているのは、背骨らしい。むき出しの背骨。ウェンカムイの残骸の上で、芋虫のごとくのたうっていた】

【カニバディール。その巨躯は大半が失われ。上半身のさらに半分ほどの残骸となって】
【――まだ、生きていた】


カ、ヒュ――カー。ッヒュ、ヒュー……ガ、ガ……

生き、汚さも、種切れ、だと……貴宝院、織、守……
これで、終わり、だと……ミハエル、ガーナ、ランド……

私を……私を、舐めるな……!! たとえ、わずかでも肉、さえあれば……私は!! 何度でも――

【口の端から血を垂れ流し、震える右腕で這いずりながらウェンカムイの上から地面に降り立つ】
【その右手で、落ちていたバトルアックスを握りしめると。残っている部分全体の肉が蠢き始める】
【カミナなら見覚えがあるだろうか。あの日も見せた、撤退の動き】

また……カヒュ……会おう……

【中央広場から、残骸のような有様でカニバディールは去っていく。むきだしの脊椎や血管の断面を肉で覆ってかばいながら】
【右手にバトルアックスを握りしめながら。カニバディールは瓦礫の隙間に消えていくだろう】

【それは、もはや人間というべきなのか――人として生まれながら、人の道を逸脱した男は、死にすら反旗を翻した】


【とはいえ、この場での彼らの勝利は動くことはない。彼らは悪の使徒を打ち払い】
【正義≠烽ワた、決して滅ぶことはないと。この世界に証明して見せたのだから】


【雷の国 『セードムシティ』 栄光と慈悲の広場 交差点の戦い】
【勝者――――カミナ・ゲルギル&ミハエル・ガーナランド】

【≪No.29≫カニバディール――――半死半生ながら生存。逃亡】

/以上で、締めとさせていただきたく!! カミナの方、ミハエルの方、遅くまでのお付き合いありがとうございました!!
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/15(日) 04:08:22.07 ID:X9rWTPP6o
>>124

【―――何を言われようと紺碧の瞳に燈された焔は揺らぐことはなく、清冽な光を煥発している。―――そんな話は何度も聞いた、と言わんばかりの瞳だった】
【蒼い夢だと分かっているからこそ、死のリスクをより高く背負ってまで「不殺」を追い求める。現実的な言葉で冷えるほど、彼の精神(フサツ)は温くない】
【兇刃に身を切り刻まれ、痛みが電光石火の如く全身を駆け巡っているにも関わらず―――凛とした表情に、不動を感じさせる強き瞳。精神が彼の支柱となり彼を動かしていた】

……―――っぐ、っごほッ……択が多く……ないだと……?
そりゃアンタの目が節穴なんだ……よッ。 多くのやつはそうだ……見限ってるんだ……!!
誰も殺さずに、救う―――そんなこと出来るわけねぇってよ……選択肢はあるんだよ、ただ茨の道ってだけで、「ある」……!

リスク背負って……もっと必死になって……俺は「誰も殺さずに救う」という最高の択を求め続けるぜ……無論、死ぬまで……さ!!

【表情が力強くとも、言葉を遮る咳などから分かる通り彼の体力も残り僅か。必要経費がどれだけ重かったを示すように、彼の口から朱が伝う】
【全身が鉛に侵食されたかのように重く、特に兇刃が突き刺した部分は動かすだけでも激痛が走る。それでも動くのなら、戦える。まだ俺は「不殺」へと歩むことが出来る】
【大きく空気を肺に入れ込めば、ロウは両銃を消し、瞬時にホルスターに収まっていた2丁のリボルバーを抜き、力強く唱える―――!!】

―――行くぜコラ…… Mirage Magicians =@ ……………… 開  放 ォ ッ ッ ! ! !

【その言葉に、両銃が共鳴し―――魔翌力を爆発させ、そして姿を変える。今まで使っていた赤青の自動拳銃とは全く異なる姿、デザイン、そして威圧感―――】
【両銃を分類するならば、リボルバー式の装飾銃だろうが―――其れにしても規格外のサイズ。30cm近い全長であり、そして綺羅びやかに輝いている】

【右銃は朱、『Phoenix Heart』 。全体がメタリックレッドで爛々と輝き、黒のグリップにはSCARLETの紋章がメダルで埋め込まれ―――】
【長い銃身には不死鳥の装飾が彫られ金で彩色されている。シリンダー部に刻まれた「NK」の文字は、不殺を示すNonkilling≠指していた】
【左銃は蒼、『Deep Blue Dreamer』 。全体がメタリックブルーで煌めいており、黒のグリップにはペンダントの宝玉半ば剥き出しでが埋め込まれて】
【そして長い銃身には昇り龍の装飾が彫られ銀で彩色されていた。名前は分かる通り、不殺という青く甘い夢を叶えんとする彼自身を指していた】

【そして直後、埋め込まれた宝玉が激しく輝き―――弾丸が『Deep Blue Dreamer』から放たれる。だが方向は真上、跳弾も関係なく誰にも当たらないのだが―――】
【発射直後に、彼の身体が高々と真上に舞った。それはまるで弾丸の跡を追うように、高々と上がっていく。―――理由は勿論、弾丸にあった】
【見えただろうか、放たれた弾丸の側面から半透明の巨大な腕が生え、彼の首根っこを掴んだ姿が。弾丸から生えた腕が、彼を上空へと飛ばし、そして腕が消える】

―――……俺はよォ、人の思い通りに動くってのが嫌いでさァ。 人の思惑とか振り切って、力強く生きてそんで―――死んでいきたいのよ。
さぁて、これは―――こいつはアンタが予想出来てたことか? ―――違うよなぁ、なんせこの高さから落ちるだけでも打ちどころ悪けりゃ死ぬしなぁ……ヘッヘッヘ。
―――じゃ、いっちょ作らせてくれや……アンタを殺さずに捕まえて、そんで取り返すっていう―――最高の未来に向けてのシナリオをよォッッ!!!!

/続きます


143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 04:08:31.68 ID:vMFzNCHxo
>>131

「人間が見えてねーのはテメーの方だ、グラトンッ!!! 

 テメーが見てきた人間の歴史なんてな、表向きのことしか分かんねーんだ……ッ! お前の見たビジョンは、あくまでお前の想像に過ぎねーんだ!
 俺の言うことも全て想像だ……だけどッ!! 過去の人間が『人間の可能性を信じていた』ことは確信を持って言ってやる!!!

 可能性に、お前の言う幻想に縋れるのが、俺達人間だろうがあああぁぁぁぁッ!!!!」


【詭弁だった。だがライラは、人間の可能性を信じるという持論をあくまでも曲げなかった】
【たかが、まだ20歳の若者であるライラ。かたや高翌齢のグラトン。正悪の違いを除いても、その知識量ならグラトンが圧倒的だろう】
【しかし、いや、だからこそ、ライラは強く強く可能性を信じるのだろう。どんなに避難されようとも、どんなに叩き潰されようとも】

【その可能性は、無限大に広がっているのだから】

>>131
【グラトンの問に、ライラが答える気配はない】
【熱線が止んだ後、ライラの体力は著しく消耗していた。熱線によるダメージと、魔翌力の持続消費。口も聞けない程だ】
【そして、今のライラがグラトンに勝てる可能性など0に近い。このままなぶり殺しにされるだけだ】


【ライラが、たった一人でグラトンに向かっていっていたならば、だが】


「――――――へっ、1人、だ……ぁ? 笑わ、せんなよ、グラトン……ッ!!!


 俺には仲間がいる、1人じゃねーから、まだ戦えるんだよぉ――――――ッ!!!」


【セリーナも、谷山もまだ戦えるという事なんて、最初からわかっていた。グラトンの「1人」という言葉を鼻で笑い飛ばした】
【突然やってきたヘリコプターは予想外だったが、彼も、自分たちの仲間なのだろう。そう思うと、俄然力が湧いてくる。今なら、なんでも出来そうな気がする】
【絶望を与える水先案内人、ウェル子と戦った時と同じ感覚―――重力がどうなっているのであれ、ライラは其処に立っていた】

【もう一本の小瓶の中身を飲み干し、再びライラの目が紅く変色する。それと同時に、ライラの目の前に出現したのは3つの大きな黒銀色の魔法陣!】


「地獄に落ちろ、グラトン=ブルーガー=ウルバヌス……ッ!!! テメーにはソコがお似合いだッ!!!



   A  1  +  D   ッ  !  !  !  !     B l a c k   S i l v e r   B l a s t  ォ ォ ォ ォ ッ ! ! ! ! ! 」



【絶叫に合わせて杖を突き出せば、其処からは黒銀色の奔流―――いわば極太のビーム砲がグラトンに向けて発射される】
【絶大な魔翌力を伴い発射されたそれは、触れた物を消し飛ばせる程のパワーを持っている。】
【中央の一際大きなビームはグラトンの頭と胴を射程圏内に収めており、両端の2つのビームは触手の根本を狙っていた】
【そう、まだ救う事を忘れてはならなかった】
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/15(日) 04:08:40.20 ID:X9rWTPP6o
/続きです

【『Deep Blue Dreamer』の銃口に集まる魔翌力の光。時間と共に増幅し、正義の光を集めて力に変える。―――必要以上に高く飛んだのは、この為だ】
【この高さから落ちれば、最悪死ぬまである。態々そのようなリスクを負ったのは、ギリギリまで魔翌力をチャージするための時間が欲しかったからである】
【宝玉の力も最大限借り、そして放たれた弾丸は―――魔翌力のブーストを受けて超加速。……否、それだけではない―――!!】

―――教えといてやる……こいつは『Twelve Six Strike』―――唯速いだけじゃねぇ。
魔翌力の超ブーストに加え、宝玉の魔翌力により俺のじっちゃんの霊を弾丸に加えた。……因みにじっちゃんの体重は100kg超。……この意味分かるか?
―――超加速の弾丸が、100kg以上の重りを乗せて垂直に降ってくるんだ。……ダリア、アンタの氷壁で耐え切れんなら……耐えてみろってんだよぉぉぉおおおおッッッ!!!

【12時から、6時の方向へ弾丸が急降下―――故に『Twelve Six Strike』。超加速に超重量の一撃はロウの中でも最高火力を誇り】
【その弾丸をあえてロウはぽっかりと空く部分ではない所を狙って落ちていった。目的は1つ。氷壁を粉砕することだけだった】
【氷壁が砕け散れば、彼女を守る氷壁が礫となって彼女自身に牙を剥く。しかしあくまで氷の礫、全身を傷付けようとも死ぬには至らない―――故に、「不殺」を遂行できる】
【あくまでも自分のプライドを貫き通した一撃だった。―――否、二撃だった。ワンテンポ遅らせて『Phoenix Heart』 から放った赤く輝く弾丸も、同じ箇所へと向かっていたのだ】
【もし1撃で砕ければ彼女に当たること無く地面にあたり唯無意味に火柱を3秒ほど立てるだけだろう。もし1撃で砕けなければ、この「灼熱弾」で砕く―――そのような算段】

【決死の一撃、否二撃。砕くことが出来ないのなら、地面へ強く身体を打ち付ける未来が決まっている彼に勝ち目はない。正に乾坤一擲とも言えた】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 04:08:44.35 ID:PLPpJBhJ0
>>138
「ああ、そう。――――アタシが暴れたっていう証拠を消す手伝いをしてくれるなら有り難うの一つでも送ってあげるけど
アタシまでその中の一つにしようとするなら代わりに“くたばれクソ女”の言葉を贈ってあげるわよ
アンタの刃物じゃ精々サラミを切ってあげるのが精一杯じゃ無いの?」

【――――軌道をズラされれば思惑通り行かなかった事がその手応えから分かるもの】
【然れど当たったならば良しとしようと己を納得させるが…………気を付けていたのは“斬撃”であって、その副産物では無い】
【故に火花を振り払うことは出来ず。―――否。例え振り払った所で至る結果は同じなのだ】

【燻りから発火までは実に短い時間であり、衣服を脱ぎ捨てる間も無い】
【ならば身体が燃えるのも道理。――――普通ならば、転げ回って火を消そうとするか水を求めるであろうが】
【この女は違った。ガラスの棒を砕けば、新たに作るのは懲りずに“グラス”か】
【ただ、其処には一つだけ大きく異なる点がある。其れは“飲み口”が異様なまでに鋭い事だ】


「ハッ…………!!ならアンタを張り倒して尻所か口からも一瓶注いであげたい所だけど…………ッ!!」

【皮膚が焼かれていく痛み。最早熱い何てものは通り越しているが】
【――――其れで怯んでいては攻撃出来ない。グラスで攻撃するには、余りにも大ぶりであったが…………その狙いは、グラスの内部を浮いた酒で満たす事だ】
【砕けずとも、割れずとも。容器に入れてしまえば――どうだろうか】

【飲み口を鋭くしたのにも理由がある。もしも其れによって身体を貫ける事が出来れば、間髪入れずに体内へと直接アルコールを摂取させる事が出来るのだから】
【焼かれる痛みで動きも鈍っているのだろう。先の其れに比べれば動きも分かり易いのだが…………何しろ、燃えながら反撃するという常識の当てはまらない行動だ】


「じゃあ、アンタが度数が低いと馬鹿にした酒で“飲み比べ”でもしましょうか…………!
身体が燃えるように熱くて中々クるわよッッ!!」

【振り向き様、掌底の如き一撃。狙いは腹部。顔を見るだけの余裕があるならば――――浮かんでいた表情は怒りでは無く笑みであった】
【まるで狂犬だ。危機として人を傷付けるような犬。…………果たして、結果の方は】
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/15(日) 04:11:56.08 ID:NNVAXpmVo
>>128>>134
……はは、もう何言ってるかわかんないな

【自身の吐いた血でべったりと濡れた犬は、しっかりと立ち上がる】

あー、頭が、ガンガンする
(これだから大きな音は苦手だ……)

【頭を軽く振りつつ、力強く、床を踏みしめる】
【若干目の焦点があってないのは、最初に言った通りに声が非常に聞こえにくいのだろう】

【気付けば自身の周囲で飛び回っていた兵士は全員落ちており、この老人と、犬と、女以外立っているものはいなくなっていた】

……?

【口からたらたらと血を流しつつ、老人に半ば寝起きのような、虚ろな目を向ける犬】
【聞こえにくい耳に届く、「名」という言葉】
   アゾット
……Azoth、どこからどう見ても、ただの犬だ

【ふふっと、口から血を吐きながらも、おかしそうに笑う】
【渾身のギャグなのか、ただの犬というのは渾身のギャグなのか】

【だが、その笑みは目の前の存在の変容に従って消えゆく】
【威圧、圧し潰されそうな、そんな威圧】

【それでも、犬は見据える、だから何なのだ、と言わんばかりに】
【自身に明確に向けられる害意を恐れる必要がどこにあるだろうか】

(――私はもっと恐ろしいものを知っている)

【血にまみれるより、神のごとき存在を目の前にするよりも、恐ろしいこと】
【恐怖という感情の麻痺という者もいるだろう、それは正確に的を得ており、また盛大に外している】
【何かが来る――その直感は犬が全身に粘りついた血を結晶化させ、鎧へと変えた】

【そして――残像、残存するのは取り残された風の音】
【同時に、剣、剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣剣……】

…………

【結晶が砕ける、傷が増える、また血が結晶化し、防ぎ、砕かれ、抉れ、結晶が防ぎ砕かれ傷が増え……】
【それは一瞬、されど永遠】
【剣戟が終わった後、そこにいるのは大量の結晶をその身に纏ったAzothだった】
【血の結晶は、それだけ多くの血を流した、ということであり】

――普通だったら失血死するところだった

【そう、普通なら、失血死は免れない出血だった】

…………

【内臓系にダメージ来たら強制的に意識が落されるところだった、そう思いつつジッと、老人――ヴァレリーを見据える】
【背中を向けている今、攻撃しようとすれば出来るだろう、それこそ、結晶を弾丸のように飛ばす、もしくは殴るだけでも倒せることは倒せるだろう】

……カズネ、無事か?

【しかし、犬はそれをしない】
【甘い、そう思うかもしれない】
【だが、今実際に、ヴァレリーから目をそらし、カズネの方に視線を向ける】
【そして――ヴァレリーに背を向け、カズネの方へと向かうだろう】

【その行動に何の意図があるか?】
【それはとても人間には理解できないような理由なのだろう】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 04:14:50.90 ID:vMFzNCHxo
/>>143に安価つけ忘れてました……
/>>131>>135-136>>139ですね、すみませぬ……
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 04:19:35.42 ID:tc1R8eM+0
>>135-136

っ、ほぅ……なんと、まだ息があったのか……!
「っ……なんで、なんで死なないよ…………なんでこれで、あんたは負けないのよ……ッッ!」

【確実に死に追いやったと――――グラトンも、シュバルツガイストも確信していたのだろう】
【それを超えて、炎の中から立ち上がったセリーナの姿に、グラトンは純粋な驚きを、そしてシュバルツガイストは狼狽を見せる】
【――――ここまでやっても倒せない敵。そんなのを相手にしていたら、負けるのは、もしや――――――――】

>>139

…………諦めない事は、美徳……かの?
本当にそんな世界であったなら、もう少し人間は、マシな生き物になっとったんじゃろう……の……!

【それは、美しい姿とは到底言えなかった。死にかけの身体を引きずって、ただよろめきながら前へと進む、哀れな姿】
【見様によってはおぞましさすら感じさせる、苛烈で醜悪な姿。それが、何かを手に入れる確証など、何もない姿】
【だがそれは、明らかに人間が勝算する美徳を元にして繰り広げられている光景なのだ】
【――――世界とは、そんな意味でも残酷なものだと。今ならそう言えるだろう】

>>143

表向き、じゃと……平穏が、裏に隠れてたとでも言うつもりなのかの……!?
いい加減、醒めろ……そんな心地よい夢から……そして、震えるんじゃ……!

【全ては、続いている。人間の歴史は、挑んできた足跡は、紡がれてきた思いは。全て、続いている】
【それは、全ての反映なのだ――――そこに、可能性などあり得ない。もう、百の言葉すら意味の無いライラには、何も言わないだろうが】
【ただ一言、残した――――『醒めろ』と。幻想に酔っている様では、宗教と変わりはしない――――と】


>>135-136>>139>>143

ぐあぁっ……ぐ……この…………!!

>>139のパンチに、確かな呻きを発する。本当なら、こんなパンチに捉えられる様な事は無かったはずなのに、上空からの援護が、それを成さしめた】
【そして、当たってしまえばそれは連続して身体を蝕む。そんな状態で――――そこから続く6の砲撃に対処など、取れようはずもない】

オオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァ!!!

【咄嗟に、両腕で頭部を防御――――ボクサーの防御の様に、頭を守ろうとする。だが、そんなもので】
【そう。そんなもので、最後の意志を繋いでみせた、ケルベロス・マグナムが、ヴァリアヴル・ライフルが、"弾"末魔が、Black Silver Blastが、防げるはずもない】
【超越的な再生能力を持っていたその肉体ですら、許容量を超えたダメージが叩きこまれる。それはグラトンの絶叫となって表われ】
【そして、その巨大な肉体は光と熱とを伴って炸裂――――3度目の大爆発を起こした。今度は、グラトン自身を葬る様に】

グァハッ…………ァッ……!!
「きゃああああッッ――――ガァゥッ…………」
<ゥア…………フッ、ゴフェ…………ッ>

【弾け飛んだ肉体の破片は、無造作に辺りにまき散らされる。上半身だけを残した2人の少女、そしてグラトンの頭部と、かろうじて残った右の肩】
【吹き飛ばされたそれ以外の大部分は、細かな飛沫となって飛び散らされ、あっと言う間に壊死していく】

/続きます
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 04:21:01.03 ID:tc1R8eM+0
>>135-136>>139>>143

カッ……は……はははは、っ…………これで、勝ったつもり、かの……?
わし1人の命を取れば……お前たちは満足、なのか……ッ? わしは……わしは、勝たねば、ならんのじゃ……この、混迷の世界を、1つにする為に……!
お前たちが、いくらわしの邪魔を……しようと……、わしはもう、止まりはせんわ……!

【口を覆う触手が、断末魔の痙攣を走らせる。そんな中にあって、グラトンは尚を言葉を紡ぎ続けた。苦しげに、しかしそんな事どうでもいいとでも言う様に】

お前たちはもう……わしには、勝ち得ない…………ッ! わしは死してなお、お前たちと戦おう……お前たちの如き、邪魔者と、な……!
わしの、生涯を賭けて残してきたものが…………いずれ必ず、お前たちを殺すじゃろう……ッ!



――――……そうじゃ、お前たちはこれから、わしの亡霊たちと戦い続けなければならんのじゃ……!!



わしの覇道を邪魔する、馬鹿共よ……精々、その敗北に……怯え…………、震えながら、待つと良い……!
世界は、必ず1つになる…………お前たちの、死を以って……な…………!
わしは……その時を、楽しみに……死ぬとしよう…………あぁ、死神よ…………今こそようやくまみえ、ゆっくりと楽しもう…………!

【――――既にグラトンには、己の死などどうでも良い事でしかなかった。その目は常に、自らの往く覇道の道にしか、向けられていない】
【そのひたむきな狂気は、既に知っていたのだ――――自分の命がそこまで保たない事も、それは後に託すべきであると言う事も】
【そして――――自分の死など、そうした事実の前には、単なる通過点にしか過ぎないのだと言う事も】

カッハ…………ッハ、カッ……カッハ、ハハハ、……ハ…………カ…………ッ――――――――

【掠れた様な笑い声とも、苦しげな咳き込みの声とも取れる、力ない声を残して、グラトンの目は閉じていく】
【そして力尽きた様に、残っていたグラトンの頭部も、細胞の壊死によってバラバラになっていく】
【残されたのは2つの脳――――グラトンと、この細胞の本来の持ち主であった、ジ・エンブリオンの脳だけだった】



「……おじい、ちゃん…………ジ・エンブリオン…………クロス・ザ・ルビコン…………ッ」

【それを見届けるように、力なく身体を起こそうとする、シュバルツガイスト。だが、彼女のダメージも限界だった】
【地面に叩きつけられ、人工血液を派手にまき散らしてしまっている。そして、それでなくても身体に入ったダメージが、既に重篤なものになっていた】
【――――その目に映るのは、既に転落死しているクロス・ザ・ルビコンと、脳だけを残して身体を壊死させた、グラトンとジ・エンブリオンの、2つの脳だけ】

「ぁ…………――――――――負け犬、ね…………」

【力なく、絶望に染まっているシュバルツガイストの表情。その目に、じわっと涙が滲む。ゆるゆると彼らの亡骸に向かって伸ばされた手は】
【糸が切れた様にばたっと脱力し――――――――動かなくなったシュバルツガイストの目から、遅れて一筋の涙が零れ落ちた】

【――――覇道を口にしていた狂気の科学者も、負け犬である事を極端に嫌っていたサイボーグも、万能細胞の塊も、人食いの狂犬も、もう動かない】
【悪の巨星、遂に墜つ――――――――雷の国を散々に苛み、苦しめ続けたグラトン=ブルーガー=ウルバヌスは、ここに97年の生涯を閉じる事になった】

/これにて主催者との戦闘は終了します! 相手をして下さったお三方、ありがとうございましたー!
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 04:25:15.39 ID:0lfbTfD4o
>>127>>140>>141

ちっ……あれでも仕留めきれぬとは、本物の化け物……じゃな……!
あの執念を断ち切るには……やはり脳を崩すしかない、かの――――


【予想を遥かに超えるカニバディールの生への執着】
【逃げるその不気味な身体に、残った力で追撃を仕掛けようとするも】
【その前に瓦礫の隙間に入り込まれ見失ってしまう】

【カミナは其れを、瞳に憎悪を宿し】
【口惜しさに歯を食いしばりながら見送るしかなかった】


【――今宵の戦いには確かに勝利を収めた】
【だが、カニバディールという巨悪はまたいつの日か立ちはだかって来るだろう】
【不死身とも思える肉の怪物を、確かな形で引導を渡すことが出来るまで】
【正義と悪の戦いは、まだまだ長く続いていくように感じられた】


【戦闘が終わり、張り詰めていた緊張感が押し寄せてくる】
【それと同時にカミナは、急激に遠ざかる意識を知覚していた】
【この感覚は知っている。自分が沈み、他の誰かが登ってくるコレは――】


……すまぬな、じゃがわらわも大抵がこのような状況なのじゃ……許すがよい
そして、後は……任せたぞ――ミハエル・ガーナランド。わらわは少し……寝かせて、もらうのじゃ……



【――最後に、今宵の戦友に向かい後の事を託して】
【カミナ・ゲルギルは己の意識を手放した】

【幾分か時が流れた頃、先程までと違い情緒不安定な様子で起き上がり】
【"砂煙"を巻き上げて姿を消していったそうだが、恐らく戦後の復興で忙しくなる頃だ】
【誰かの目に留まることなく、いつの間にかいなくなっていたと――そう認識されているだろう】


/お疲れ様でした!
151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 04:29:16.36 ID:CeCoh1I0o
>>145

まあ怖い、人々を導く修道女様が"くたばれ"だなんて空恐ろしいですわ!
……ふっふーん、お酒の味は如何?それともお気に召さない?
サラミ位なら何枚でも、アンタくらいなら三枚くらいにはおろしてあげるんだけどさ――…ヤバッ!

【相手が燃えるのを見届ければニヤリと笑う。ふぅ、と息を吐けば汗も流れ】
【しかし息をつくまもなく繰り出されるのは、予想を超えた一撃であった】

【――この海賊の力で浮いた水泡は、宇宙で発生するそれとほぼ相違ない】
【加えて操作できるにしてもちょっと当たらないようにする程度で、絶対的な力ではなく】
【ドスッ!≠ニ腹を捉えたグラスとその内部の液体は、しっかりと傷口から送り込まれ】
【その途端、彼女はふらりと後方へ千鳥足で下がるのだった――そう、千鳥足でだ】

な、なっ……なぁに考えへんのよアンたはっ……!
ふつー服が燃えたら『熱い!』とか『水ー!』とかで、あ、このっ…!

【――弱い≠フか。幾ら血管に直接アルコールを打ち込もうが、ここまで早いはずがない】
【となれば理由はひとつ限りだ。恐ろしく酒が弱い――それも、普通に飲もうが1パイントで顔が真っ赤になるくらい。】
【そんな事を修道女が知ったことじゃないだろうが、海賊からすれば今の状況は死活問題で】

【そのままふらふらと、先ほどシスターがぶち壊した扉のところまで辿り着けば】
【腹を抑えつつ、カットラスは小指にかけつつ、ほうほうの体で外の空気を吸い込んで】

…――お、お、……覚えてなひゃい!海賊はしつこ…しつこい、ん、だからっ…!
アンタの顔はよーくっ…このパルヴィ・シルッカ・パルシネンしゃまが覚えたからね――!

【言うだけ言うと、とにかく逃げる――1回ばかりすっ転んだが、壁を伝って港まで逃げた】
【よほどのピンチだと判断した結果、なのだろう。あとに残されるのは――火が移り始めた酒場と】
【哀れにも其処を墓所とする十数名の男たち、となるだろう、か――。】

/ちょいと強引ですが、切りもいい感じで時間も……ですしこの辺りでどうでしょうかっ!
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 04:29:18.17 ID:Ra8jSuVJo
>>133>>134>>146

まだ倒れないとはね……ホント化物じみてる

【花弁は魔翌力の過剰流入により文字通り散った】
【稼働出来て、2つ程か魔翌力の経路/パスを確保する―――――】
【こんな状況でも酷く冷静なのは眼前に未だ立っている男がいるからだろう】

カズネ、ヒトツギ・カズネ……なんて事はないただの魔術師で
だけど貴方をヴァレリーさんを破滅させる為にいるのは確かかしら

【残った焔を爪に加え腕に纏わせる、どう足掻こうともこれが最後/最期になる】
【どうせ散るならば心臓が爆ぜるまで高鳴らせるべきだ、生命を使うならば自分の意志で消費したい】
【無意識に掛けていたストッパーを意識的に外す】

【駆け巡るのは魔翌力を携えた熱風】

絶対の剣戟……さぞかし痛いんでしょうね
でも、それだって……!蔑ろにされた人達が受けた物に比べたら未だ足りない!!
貴方に相対するのは私だけじゃない、平和に暮らしてた人の想いがあると知りなさい!!!

フルドライブ、限界を越えて――――――廻す!!

【表皮に露わになるは赤熱の魔翌力回路】
【稼働限界を越えての魔翌力の捻出は文字通り身体を焼き尽くし始める】
【されど、ここで止まっては想いを無駄にしてしまうそれだけは絶対に赦さない!】

(膨大な気、だから負けられない――――――――)

【人の身には余る闘気を前に竦みそうになる足を確りと立て直す】
【滾る物があるのだから、それを示さなければならない】

【ガンマン同士の撃ち合いのような間】
【息を飲み備える、手段は決まっている大丈夫】

【爪の先を展開、回路を直接接続、滾る魔翌力を盾とする】
【赤熱の奔流による鎧、炎を伴わない鋭さはカズネという人間の在り方を現す】

―――――――来い!ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム!!

【爆ぜる如くの早さには魔術師は合わせられない、ただ両腕をクロスさせるようにぐっと構える】
【それが終わるか否かの段階で既にヴァレリーの姿は在った】

(――――――――っ……)

【空白の中、数多の斬撃に爪と身体は穿たれる】
【思考は追いつかない、表皮が回路が切り裂かれる、辛うじて自分の血が流れ出すのを感じる】

【迫るのは死という概念、とてもとても冷たくて悲しいもの……だけど】

【膝は沈む、赤い溜りは弾ける、昏い色……だけど】

【だけど私が宿すのは違う……焔だ、冷たさも悲しさも昏さも消し飛ばす熱だ】
【それならば、それならば――――――――立てる筈だ!!】


……ぅ、負けないっ!絶対に!絶やしてなるものか!!

【倒れない、倒れたら守りたい物が守れなくなる】
【想像しただけで涙さえ流れるそんな事を起こしてはならない】
【朱く朱く輝き血に濡れた魔術師は瞳に涙さえ浮かべながらも――――――立っていた】
153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/15(日) 04:29:21.23 ID:q/Occmuj0
>>137

 ……はあ……やはり装甲が厄介か……

【自分の特攻攻撃をもろに食らいながらも立っている敵にある程度彼にとって予想できていたのかもしれない】
【敵の装甲を食い破るには自分の火力だけでは足りなかったとその程度の予想はしていた】

 だ…が……ここで捕まるわけにも……いかないからな……

【ふらりと、自分がぼろぼろになっているのもかまわずに立ち上がる】
【結局のところここまできたのなら意地の問題だ、そのまま捕まるのは自分に合わない】
【とはいえ、もはやそこから一歩歩けるかどうかの瀬戸際だ、回避する余裕もない】

 生憎と…俺は諦めが悪くてな……負けを認めるのは……まあいいが…
 なんか…捕まるのは納得いかねえか…

【そのように言ってみるもののやはり体はろくに動かずに】
【あきらめたくないがこのままだと捕まるな、と言う達観もまた彼にはめばえて】
【そして、敵が最後のとどめの攻撃をこちらに撃ってくる、多分この攻撃を食らえば気絶して捕まるそれで終わり】

【――だが彼の悪運は強かった】

【何かの音、そう何かがこちらに近づいてくる、その音を彼は聞いた】
【だが、その音が何かと確かめることもなく、彼は声もださずに雷撃矢を受け気絶する】
【さて、その音だがだんだんと彼が戦っていた場所につまり市庁舎に近づいてきて】

【その音の原因はトラックだ、そのトラックがバリケードをぶっ壊して突入する】
【トラックはスピードを少し落とし運転席のドアを開く、そこから何かが気絶した彼に投げ込まれ】
【投げ込まれたのが彼に引っ付くとそのままトラックの運転手が一気に引っ張ると彼が一気にトラックへと引っ張られトラックに回収される】

『おいおい、派手にやったもんだなこりゃ、まあ撤退の時間を完全に稼いだんだからこいつの勝ちだな』

【そのように言って運転手は彼を隣の席を軽めに投げて、そのままスピードを上げてその場を去っていく】
【なにともあれ彼は、撤退に成功したといえるだろう】

【余談ではあるが、この市庁舎にあった重要書類などは回収か破棄されておりほとんどが残っていないだろう】

/強引ではありますがここで〆させてもらいますね
/ジンジャーの方お疲れ様でした
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/15(日) 04:45:11.82 ID:Tizm9Unpo
>>146 >>152

【銀閃の嵐が、止んだ―――― 一瞬遅れて、斬撃の風雨に乗った真っ赤な花弁が地面に散らばっていく】
【……あの状況でなお、どちらも仕留め切れず終わるなど。果たして何十年ぶりのことであろうか、とヴァレリーは思った】
【ただ自らの大切な者のために、積み上げてきたすべてを捨てて世界を敵に回すと決めた。老い先短いこの命に、最後の試練を課すと】
【その罪≠ヘきっと永遠に消えない。……だが存外、楽しい道であるかもしれないと。そんな風に思ってしまうのは、間違いなくこの老人の悪いところだ】


Azoth、そしてカズネ。………君たちの意志は伝わった。
だが儂も、ここで終わるわけにはいかぬ。また何処かの戦場で、剣を合わせようぞ――――。


【ヴァレリーが最後に告げたのは、たったそれだけのことだった。二人の名前を呼び、首を僅かばかり動かして】
【敢えて攻撃しない選択をしたAzothを、必死の思いで立ち続けるカズネを、茶褐色の双眸が満足そうに見やる。……そして自身も、敬意を表するように立ち上がり】
【ころん、とそのポケットから何かが零れ落ちるのが見えるだろうか。信管≠フ抜かれた、何かが】

【――――軍式の炸裂閃光弾。直後に周辺を覆い尽くす眩い光と音は、まともに食らえば一時的に視覚と聴覚を封じられてしまうだろう】

【もしも直撃した場合……感覚が戻って見渡してみれば、ヴァレリーはいつの間にかどこぞへ消え失せていた、と認識するだろうし】
【何らかの手段でそれを防げたなら、運搬口の入り口から複数名の機関兵がやってきて、ヴァレリーを素早く回収していく光景が見られるか】


【いずれにしても――――闘いは、これで終わった。どちらの勝利かを判断するのはいささか難しいところではあるが】
【『対外ボランティア』の五人を大した傷もなく保護できたのは誇っていい成果であろう。大局を見れば正義≠フ勝利と言っていいはず】
【この後はグラトン達によって彼らに掛けられた洗脳を解き、心に負った傷を癒して、日常に返してやる必要があるだろうが……】
【……ヴァレリーの指揮下にいたこの五人は、他の者よりも少しだけ早く回復する、かもしれなかった】

【結局、≪No.11≫の目的はわからずじまいのまま……ただ、もしも二人が彼のことについて調べることがあったのなら】
【いまから三十年ほど前、火の国軍部に≪荒れ狼≫と呼ばれた最強の兵士がいたという情報に行き着くこともあるだろうか?】
【――――ヴァレリーの真意がどうであれ、雷の国の動乱はきっとここで終わりなのだろう。この国がこれからどうなっているかはわからないが、】

【しかし、あの老人であればあるいは。その後の雷の国が平和であることを、悪≠フただ中で密かに願っているかもしれなかった――――】


/まさかここまで長引いちゃうとは自分でも思わず……
/早朝まで申し訳ない、長々とお付き合い頂いてありがとうございましたー!
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 04:48:54.01 ID:tc1R8eM+0
【――――未だ一部では小競り合いの続く形となっている、雷の国『セードムシティ』】
【しかし、ここでの戦乱の趨勢は、既に見え始めていた】
【この地を支配していた『RAGNAROK LABORATORY』の総大将――――≪No.6≫グラトン=ブルーガー=ウルバヌスの死によって】
【その、あらゆる意味で強烈だった頭を失い、残された面々がいつまでも戦いを維持できるはずもなく】
【また、不思議な事実ではあるが、どうも機関の方もこの都市に執着する様子は薄く、続々と撤退を始めているとの報も齎される――――】
【1年近くにも及んだ、雷の国にとっての1つの悪夢は、こうしてようやく終局を見る事が出来たのである】

「……ま、大変なのはむしろここからだ……敵がいなくなってもなお、しばらくは軍はここを離れる事が出来ないだろうからな」
<それで、いっそもろとも殺した方がマシだって言ってたんだ?>
「あぁ……今この街には罪人が溢れかえってるだろう……1000や2000じゃ、足りないくらいにな……」

【都市上空を旋回し、ようやく帰還する1機のヘリに搭乗する、『露払い』の任に徹した青年と女性は、ただ静かに都市を見下ろす】
【――――その『1年弱』と言う歳月の齎した結果は、決して容易に取り返しのつくものでは無いと言うのもまた事実だった】
【多くの人々の心は荒みきり、『機関のやり方』に慣れてしまった住民が、既に生き残りの大半を占めている】
【それどころか、統治のためのヒエラルキーと、相応する力を与えられ、それに振り回されている者も】
【挙句の果てには、改造実験の後遺症に苦しむ者や、食人鬼兵(グールソルジャー)への改造によって、食人鬼と化してしまった者までいる】
【――――奪還すると言うやり方を取った以上、雷の国には、こうした住民達への十分なケアを、これからも課されていく事になるのだ】

「しばらくは、『セードムシティ』は機関の呪縛に苦しめられる事になるだろう……呪われちまったんだ、この街は……」
<……それって、『楔』になり得るって事よね?
 ……機関は一枚岩じゃない。『RAGNAROK LABORATORY』のやった事を更に進めようとして、別な連中がこの街を狙うかもしれないし……>
「……そう言う事だ。正しくグラトンの野郎の遺していった呪いだよ……この街は……!」

【死の間際、「お前たちはわしの亡霊と戦い続けなければならない」と言い残したグラトン=ブルーガー=ウルバヌス】
【その『亡霊』が何を指すのかは分からないが――――あるいは、この街の事すらも含めた影響の事を言うのかもしれない】

「……まぁ、それでも一段落だ。ようやくグラトンの野郎はくたばった。俺たちにとっても、一歩前進だな――――――――あばよ、グラトン…………」
<それで、その……トラ君は『UNITED TRIGGER』に、近いうちに顔を出すんだよね……大丈夫?>
「なんだ、心配しているのか? ……それが条件だったからな。まぁ悪い話じゃない。それに……それで奴等すら敵になったとしても、別に構わないだろう?」
<それは、そうだけど……飲み過ぎちゃダメだよ?>
「…………そっちの心配かッ? ……それこそ心配無用だって言うんだよ……」

【――――ともあれ、機関の頭脳担当として頭角を表していた≪No.6≫は死んだ。それは紛れもない事実である】
【彼の存在が、どれほど機関にとって有益な存在であったのかは分からないが、決して小さな存在ではないと言うのは間違いないだろう】
【グラトンの遺していった『亡霊』が、世界にどのような干渉を行うかは分からないが、それでも彼らは勝ったのだ】

【――――最終勝利。世界の形定まる最後の勝利は、まだ訪れない。あるいは、訪れようもないものなのかもしれない】
【しかし、忘れてはならない。多くの戦士たちはそれを求めて戦い、そして散り――――その列にまた、新たな霊が加わっていった事を】

/続きます
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage !red_res]:2014/06/15(日) 04:49:13.84 ID:tc1R8eM+0
【――――『RAGNAROK LABORATORY』風の国拠点】

{……グラトン様は、とうとう戦死なされた……我々も、いつまでこのままでいられるかは、分からないのが現状だ……}

【残されたメンバー達には、グラトンを失ってなお、活動できるだけの力があるかと言えば――――微妙としか、言い様のない所だった】
【そもそも『RAGNAROK LABORATORY』自体が、グラトンの能力を最大限に発揮する為に整えられた環境と言う事が出来る】
【全体を率いて、成果を上げていたのは常にグラトンだった。あの狂気の天才の所業を、彼らに追いかける事が出来るかは――――難しいとしか言えない】

{……『セードムシティ』で得られた成果は、非常に大きい……それらを機関内に公開し、また今までの兵器を生産し続ける事でも、部門としては生きられるだろうが……
 ……これから我々に、それ以上の事が出来るのかどうかは…………}

【消耗した以上の兵力を養う事が出来た。様々な新兵器や、未来の青写真を支える統治に関連する、豊富な実戦データも取れた】
【グラトンが命と引き換えに繋ぎ、残して行ったものは、機関の人間にとり、有用に扱えば大きな恩恵をもたらすものばかりだった】
【それは、残された『RAGNAROK LABORATORY』にとっては、正に遺産としか言えないものだっただろう】

{…………『RAGNAROK LABORATORY』をどうするか……我々自身として、どんな回答を出すのか……今一度、相談したい……}
〔…………〕〔…………〕〔…………〕〔…………〕

【未来の見えない、残された研究者たちの感情は、その場の重い沈黙となって表われる】
【機関に貢献する為に、自分たちは何をするべきなのか。この旗印をこのまま掲げ続けるのか、それとも新たな主を頂いてやり直すのか】
【頭を失った直属の部下たちの苦悩が、痛いほどの沈黙として場を支配する】

〔……結局着手されなかった、あの『計画』……あれを俺たちの手で進めるのは、どうなんだ……?
 生物兵器や個人装備の生産と、細かい改良は俺たちにも出来るだろう……それで息を継ぎ続けて、アレを進めると言うのは……?〕
{…………分かった。方針としては、悪くないものだと思う…………検討はして、損はないだろうが……
 他のみんなはどうする? ……我々が解散するのか、それとも維持するのか……それを決めるのは、我々の意見だ…………――――――――}

【これより後、『RAGNAROK LABORATORY』は俄かに、その活動規模を縮小していく事になる】
【それが、もはや再生不可能な不可逆的現象なのか、あるいは、再起を期しての雌伏の時であるのか】
【この時にはまだ、誰にも分からなかった――――――――】

/セリーナの方、続きをお願いしますー!
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!蒼_res]:2014/06/15(日) 04:53:34.82 ID:1k/es8eNo
【―――戦火の音が、ゆっくり大地から遠のいていく。砲撃音も、銃声も悲鳴も、段々とその過激さを潜めて。】
【長きに渡った圧制や弾圧とも呼べる様な支配から、遂にこの、『セードム』の名を持つ土地は、解放されたのだ。】
【国軍が飛ばした偵察用の航空機が市街の上空を低速域で飛行している。つい先刻までは、激しい防空攻撃によって】
【先ず近寄る事すらもできなかったこの街の上空を、あんな低速度で―――救助用の可変翼輸送機や報道のヘリすら、空を舞う。】

【そう、見上げた空に広がっているのはもはや支配の光景ではない―――完全に自由な、煌く夜の星々だ。】

  ……綺麗な星だ。やっぱり、空はいつだって―――こうじゃないと、ね。

【戦闘が終わって、テンガロン・ハットを取り去ったセリーナは一人、瓦礫に腰を下ろし空を見上げていた。】
【その傍に、地上の包囲網を走破した装甲車や、救護用の特殊車両が走りつけてくる―――全ては、終わったのだ。】
【長期間の篭城行為によって疲弊していたであろう街に対して、対外からの保護の手も加わり、街はこれより再生を開始するだろう。】

  ……尤も。ある意味で、"ここから"が、この街の本当の戦いになるのかも、しれないね。

【そんなことを呟いた彼女の瞳に映っているのは、次々に賭け付ける救護の人々の姿。それはつまり】
【この街が長い時間をかけて築いてきた物が、この数ヶ月の間に崩れ去った事を意味していて―――そう。】
【確かに、戦争は終わったかもしれない。圧制は終焉を迎えたかもしれない。だが、真の意味での戦いは、これから始るのだ。】

【町の住民達が解放されたとして、洗脳されていた間の記憶や意志は一体何処へ向かうと言うのか。】
【綺麗さっぱり消え去ってくれるのならば問題ないが、それにしても、という印象だ。何故ならば―――】
【この街の住民は紛れも無く彼等であり、そして街の行く末は他の誰でもなく、彼等自身が決めねばならないからだ。】

  ……負け犬なんかじゃ、ないさ。……シュバルツガイスト、いや……、優果ちゃん。
  アタシの方こそ、完璧極まりない負け犬だよ。アンタや、他のサイボーグをそのイカれた老人から……
  もっと言うなら、その老人だって本当は救えた筈なのに、アタシは―――……アタシには、それが出来なかった。

  ……ほらね。勝利と、生きる事。敗北と、死ぬ事、それらは全然―――全然、イコールでなんか結ばれないんだ。

  アタシはグラトンには勝ったかもしれない。けど、アンタを助けるっていう大きな賭けには、負けた。
  でも、負けたアタシは確かに敗北したのに―――それでも、今こうして息をしている。

  ……けど、だからこそ。負けても生きてるアタシは―――……其れを背負って、生を刻まなきゃ、いけないんだ。

【疲れ果てた身体に、シュバルツガイストの最後の言葉が、染み入る。だから、逝った後にもセリーナは】
【手向けとして言葉を残す―――救うことが叶わなかった、アタシこそが負け犬なんだ、と。】
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [!蒼_res]:2014/06/15(日) 04:54:08.91 ID:1k/es8eNo
【―――だが、いつまでもそうしては居られない。セリーナは傷口を押さえて立ち上がり、二人に向かって声をかける。】

>>ALL(ライラ、谷山)


  ……お疲れさん、二人ともっ! 色々あったけど、まずは―――作戦成功を、喜ぼうか。
  作戦決行の代表者として、お礼を言わせて貰うよ。こんな戦闘に最後まで―――付き合ってくれて本当に、ありがとう。
  ……遺恨が残らない戦いはない、っていうのがアタシの信条だけど……今回もまた、色んな所に傷跡が残ってしまったね。

  本当なら、彼女や―――他の改造人間の子達だって、救えたかもしれないのに、アタシは―――……。
  まだまだ、力不足である事を認識させられた一件だったよ。それでも、結末はこの一つだけだ。

  ……街は開放された。グラトンは倒された。答えは今、その一つだけだ。
  けれど、其れはアタシ達にとっての回答に過ぎない。この情報を見たとき、世界がどう思うのかは―――
  谷山君の言う様に、アタシ達もまた、世界を信じて、変る事を願って、生きていくしかないんだろうね。
 

   ……ともあれ、これで作戦は終了だ。アタシは……少し、休暇を取る事にするよ。
  今回の件は、ちょっとばかし気が滅入る想いだったからね、。

  嗚呼、でも―――……どうしてだろうね。こんな夜でも、こんな世界でも……やっぱり、星は綺麗だ。

【―――自由、とはつまり。そういった犠牲の元に成り立つモノなのかも、しれない。】

/これにて、イベントを終了いたします!ありがとうございましたー!
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/15(日) 04:58:10.44 ID:PLPpJBhJ0
>>151
「フフフ――――ゴリラに人間の普通が通じるとでも思ってたの?
だとしたらアンタは随分と温い世界で生きてきたのね」

【ツカツカとカウンターまで歩けば、恐らくは酒を割るためであろう水を頭から掛けて漸く鎮火】
【慌てる事無く其処までする度胸も度胸だが、何より反撃に転じた事がこの女の性格をより強く伝えた事だろう】
【千鳥足になった彼女の後を追うことは無い。先ずはこの場をどうにかしなければ行けないのだから】


「たった一杯だけでそんなフラッフラになるんじゃ明日には二日酔いで忘れてるんじゃない
あーあ、可哀想に。まだ飲めるならもう一つか二つ位なら私が奢ってあげたのにね
それにしつこいって言ったってただ遠くから石でも投げてる程度でしょ?

――――ま、覚えていられるだけの記憶力があるなら勝手に覚えてたら良いじゃない。またちょっかいを掛けて来るなら次はその足で帰れなくしてあげるわよ、パルヴィ……だったかしら」

【転んだ所を見ていたのだろう。態とらしい笑みがその耳にまで届いたか否かは分からないけれど】
【さて、残された修道女。この状況をどうするべきかと暫しの間考えて】
【――――先ずは皮膚に張り付いた衣類を剥がす。次に身近な場所から消火して行き】
【首から提げていた十字架のネックレスを外したら、変化が訪れた】

【先ずは髪と双眸の色が朱から桃色へと変わって。キョトン、とした様子で辺りを見回していれば初めてこの事態に気付いたかの様な驚愕の表情】


「へっ…………?わ、わ…………?!た、たたたた大変です!!火事、火事…………!
自警団さん!自警団さーん!!あう……えっと、この場合は――――あ!グリースさん!!あの、火事、火がぼわって!!
あ、その、逃げたいですけど私が逃げちゃったら何か此処で倒れてる人達が焼けちゃいますよう!
わ、分かりました!先ずどうにかしてみますからグリースさんも早く……!!」

【慌てて水晶を取り出せば仲間と連絡を取って、わたわたと消火作業に勤しむのだろう】
【先程とは180度異なった性格の修道女が其処には居たのだが――――そんな事、誰が知る由も無い】
【仮に海賊の彼女が再びこの港を訪れる事があれば、「何処座の酒場で火事が起きたが二人の修道女が鎮火させた」何て噂も耳にするだろうか】


/ですねっ!キリも良さげですしこの辺りでお疲れ様でありましたっ!
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/15(日) 04:59:32.73 ID:NNVAXpmVo
>>154>>152
……生憎、この手じゃ剣は持てなくてね……

【そう憎まれ口をたたく、それは二度と戦いたくないという意思の表れなのかもしれない】

【そして、閃光――】
【光が消えた後に残っているのは、再び地面に伸びてぴくぴく痙攣している犬だったそうな】
【頭を抱えて「うああああ」と意味をなさない言葉をずっと吐き続けている】

【そして、唐突に静かになる、意識を手放したようだ】
【時折ぴくぴくと痙攣する以外何の変哲もない……】
【――いや、そういうわけでもない、小さな怪我はあったのかどうかもわからないほどに消え、傷口もいつしか血は止まっている】
【"動"から"静"へと転換した途端これである、結構な回復力を持っているようだ】
【おそらく翌日には"外見上の"怪我は治っているのだろう、内臓は時間がかかるだろうが……だが、それでも治るのだろう】


【……後日、内臓の怪我すら完治するころ】
【犬はヴァレリーという人物について調べようとしたが、犬ということから調べるのにすごく手間取り、しかも核心的な情報は得られなかったというのは秘密である】

//こんな早朝まで皆さんお付き合いいただきありがとうございました!
161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/15(日) 05:00:03.29 ID:XF+n2rDHo
>>143,148-149,155-158
「美徳じゃ……無い……ッ。
だけド……ッ、俺は……ァ! 諦めたくねえんだよォ!
理由なんかなんだっていいんだ……ッ、諦めたくねえんだよ……!!
だから俺は……、諦めねえ。諦めたらきっと、本当だって嘘になる……から……ッ」

【確証は要らない。ただ、諦めれば、やろうとしなければ何も成せない事だけは知っている】
【0%より1%を求める。1%でも可能性があれば、谷山基樹には十分に過ぎた。それが、諦めない理由】
【もはや、指一本動かせない。だが、それでも瞳は諦めていない、だからアートマンを動かせた】

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァ゛――――ッ゛!!!」

【雄叫び。あまりにも無様で、情けなく。それでいて力強い――咆哮】
【アートマンが動かなくなるその時まで、ライラとセリーナの攻撃に巻き込まれて粉砕するまで】
【谷山は殴り続ける、蹴り続ける。諦めたくないから。信じているから】
【そして、2つの超火力。それに巻き込まれて、アートマンが粉砕され、今度こそ谷山は動けなくなる】

「……てめェが、俺の敵になるなら。百回だろうが億回だろうが立ちはだかってやる。
てめェが――俺の邪魔をするなら、だ……! 死んでも俺は、お前らみたいな俺の敵と戦ってみせる」

【谷山は、グラトンの言葉と殆ど変わらない言葉を吐く】
【だが、グラトンと同じではない。出発点こそ同じだが、目標地点が違う】
【ただ、ここで学んだ。同じになってはならない、己の心に強く楔として刻み込んだ】

「――違う。俺は、違うよ」

【確認するように、一言呟いて】
【ごろりと身体を転がして、深く息を吸い込んで、深く吐く】

「……疲れた、ねむい……。
今度よ……確り語ろうぜ。……今は、休もう。それが、一番だ」

【手放しでは喜べない勝利では有った】
【考えることも数多ある。それでも――今は休もう。それが、必要だろうから】
【今日の勝利で平和など手に入らない。だが、今日の勝利が平和を手に入れる布石になった】

/*お疲れ様でしたー!!*/
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 05:10:56.22 ID:vMFzNCHxo
>>148-149>>158>>161

【谷山の拳と、セリーナの砲撃と、そしてライラの魔法で、グラトンは遂に爆発した】
【最後の一撃、「Black Silver Blast」。魔翌力を大量に喰らうM5魔法。先の戦闘もあり、ライラの体は内外ともにボロボロだった】
【だが、まだ倒れてはいけない。まだ、あの耄碌した老人へということが有るのだから】

「はぁ、はぁッ! グラ、トン……ッ!! テメー……まだ、何か仕掛けてんのか……ッ!?

 ……だけど、良いぜ……! お前の亡霊と戦って、全部蹴散らしてやる……ッ!! お前なんかに、俺はぜってー、殺せねー……ッ!!」

【グラトンの残した物なんて、ライラには分からない。だが、ライラにもプライドが有る。そして、仲間が居る】
【カノッサ機関を狩り続けるハンターとして、グラトンにも、その亡霊達にも殺されるわけには行かない。全てを狩り尽くす、その日まで】


「……コイツらは……」

【もう動かない4人――この時漸く、グラトンに取り込まれていたのが3人だと知った――。そこに有るのは、明確な死であった】
【最後、少女が言った言葉とその表情は、ライラの記憶に強く刻まれた。アレが、絶望した人間の表情というものではないのか】
【結局、救えなかった。心残りが有るとしたら正にそれだろう。多分、救えるはずだったのにもかかわらず】
【魔女帽子を深く被り、他人へと表情が見えないようにした。今ライラがどんな顔をしているか、誰にも分からない】



「……お疲れ様だぜ、セリーナ、谷山。

 しょうがねーよ。あいつらが救えなかったことは。あいつらを背負って生きてく、そうだろ?
 俺も背負う。あいつらを全て背負って、俺は機関ハンターとして生きてくんだ……!!

 だけど、今は休もうぜ。俺も、どっか旅行にでも行くか……?」

【病院へ搬送された後、ライラは3日ほどぶっ続けて眠ることだろう。M5魔法の代償はそれなりに大きかった】
【後味は、確かに悪かった。しかし、それをいつまで引っ張るわけには行かないのだ。背負うと決めた以上、何処へでも連れて行く】
【まだ、機関ハンターの人生は終わらないのだ】

/お三方、本当にお疲れ様でした!!!
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 05:33:13.11 ID:Ra8jSuVJo
>>154>>160

――――――っ、はあっ……!

【視界の半分は血に塗れて定かではない】
【それでも片目で敵の姿を探そうとする執念は消える間際に一際燃え立つ焔を思わせる】
【それでも掲げる掌は意志の現れ、敵を打ち倒す使命の現れ】


……見逃すっていうなら、後悔するわよ
アンタはアタシに火を点けたその責任はアンタにしか果たせない、老骨……覚悟しておきなさい

【言い終わるや否やガランと音を立てて爪は崩れ墜ちる】
【赤熱の後にあるのは黒い焦げた姿、陽炎は今や燻る煙となっている】


【抜かれたピンの音、察してカズネは目を閉じ耳を塞ぐ】
【それだけの動作でさえ異常な程痛くて暫く竦んでしまう、そうしてようやく目を開いた時には老人の姿はない】
【だけど構わなかった、どうせいつかまみえる敵だ……その時に雪辱は果たせば良い】


ワンちゃんは大丈夫……まあ大丈夫な訳ないんだろうけど、ちょっと五月蝿いわね

【魔術師は基本的には辛辣だった】
【悪戯気にくつくつ笑って、先程までの熱量が嘘のように】

治療してあげたいけど……ああ、駄目ね満身創痍
これは気絶しちゃうわ――――――――ま、いいかしらねきっと後始末はセリーナとかがしてくれるだろうし
……それじゃ、おやすみ

【そうして魔術師も意識を放す】
【身体や回路と爪の修復、疲労はどうやら長く続きそうだった】

/お疲れ様でした!
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 07:30:50.52 ID:A7c6jr3e0
>>142,>>144

「……勝手にしなよ。そして、その言葉通りに死んでいけッ―――――、」

【もう、いい。彼の言葉は不動は柔らかないろは、まるで現実感を感じられずに遠い夢を――――触れ得ぬ世界を語る毒でしかないと闇のなかダリアは拒絶する。】
【最後の切り札を取り出すかれに、意識と殺意が照準を済ませる。 】
【けれどまさに殺意を絞ろうとした機に訪れた一瞬は、あまりにも想定の外の動きで急転を事態に齎して――――、】


(……なッ――――銃撃から温存してた能力で宙に飛んだ!?
 いや、それよりも自殺志願者かこいつっ―――――……私が、重力がどうあってもお前を殺すのに――――!?)

「……ッ、この、…………誰に言ってるつもりだッ―――――」

【強ち間違いでもない―――というよりはひどく当て嵌まっていた指摘。激情は、彼の理想を聞き届けながらプライドを刺激されたが故のものに移ろって】
【殺意が、既に質を変えていたことに気が付いた】


【馬鹿げた行動と一途さを目にして。冗談の様なシナリオを目前にして。】
【どうしようもないほど夢見がちなこの男を、緋の魔物は偽りのない“一人”として認識せざるを得なかったのだ。 】

【本気で、彼は願うのだ。こんな邪悪を穿つために、手足と銃口とを不殺を為して、全部、守りきった上で死に立ち向かう生き方を歩んで―――、】

【――――ああ、だからこそ己は殺人者としてあろう。“機関”の、ナンバーズのダリアとして。殺すため、“正義”たる彼を一片の容赦なく否定する過去を想う現在の結論がため――――、】


(……邪魔なものは全て拒絶しろ。誰も、誰にも私を阻ませる鎖でなど在らせるな。ただ、目的の達成だけを想え―――――)

【善意も、悪意も。鎖となるならば引き裂き千々の肉片に帰す。彼と真逆の生き方の答え―――――】
【殺すことしか知らない己が、唯一つ研ぎ澄ました研ぎ澄ませた絶対の結論。 】
【“縛るもの総てを焼き払い殺せ”、“望むままに殺して殺せ”。……そんな風にして生きてきた孤独(ひとり)で、あの日、あの夜、己は賭けるべきものを見つけられたのだ。 】

【口約束でしかない約束だが――――――、】


(死ぬのには―――それで、理由としちゃ十分だ。……アイツは殺すつもりなんてないんだろうけど、)

【……それでも、己の異能が殺すだろう。唯の“氷壁”ならば兎も角、彼への殺意が壁越しの炸裂として己に返る。】
【彼女には己の命とはそんなモノだ。価値なく/他意なく/自制なく、微かな友誼という前提のため躊躇いもなく賭けられる。】
【それは、本気になれる闘争への あらゆる全力を投じた殺意で――――――】

/続きます……!
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 07:31:23.00 ID:A7c6jr3e0
>>142>>144(続き)

「――――――――――――――――おォぉぉおおおおおおおおおオッ!!!!」 

【限りなく密になる生と死の一瞬、銃口と視線とソフトハットを求めて最高率化された異能が上空に向けて銃火と擦れ違う様に放たれた。】


【二度の銃撃が“氷壁”に決定的な崩壊を齎す。切り刻まれた全身から血飛沫があがる。炸裂した“力”―――――液体酸素と改良型液酸爆薬の誘爆が、意図しない段階まで彼女の肉体を傷付け続ける。】

【正確無比な銃撃だった。“垂直に”――――――まさに彼の言葉通りだ。圧し折られた氷の槍がこの身を削ぐ様は、ひとの極限として磨き抜かれた彼の業の凄まじさを万人に示す。    】
【けれど、ぎちり軋みゆく総身は彼から受けた激痛と流血を耐え切ったと笑みのかたちに口元を歪めて―――――、】

「――――――私の、勝ちだッ!!
 さあ、勝ち鬨を上げようかウルバヌス―――――――――――お前が考えてたよりも殺した私は、最高に破壊力(かたらいがい)のある魔物だっただろう――――――――――!!」
 

【痛みを感じていない筈が無い、だが嗤う整った容貌に乱れはない。小首を傾げて歓喜を叫ぶ様は、“殺す”邪悪さに満ちながら何処までも清々しく目的に徹したと  なく。】
【そして、黝き軌道が意図に添う】
【着弾の瞬間に完成するカウンターの“炸薬”の砲撃――――半メートル大の球形が渦を巻き、上空より二連星の銃火を放った蒼の銃士を狙い撃った】

【被弾を当然としなければ用い得ない戦法。殺意の不在と銃口の向きで瞬時に射線を見切り、その時点で構築した戦術を実行に移す‍異常な闘争の嗅覚――――】
【……“兵”として、殺戮者としてそれは完成された技能を攻防に示していた。彼を、彼だけを殺すために愛情の様にダリアはそれを投じていた。】

【   だが、結論に到るのには早かったのだ。】
【奇しくも彼が操るは二挺拳銃。“炸薬”である黝き破壊力の具現も、総てを食むが故に“先に撃った”1挺による迎撃は可能で】
【何かが衝突したその瞬間に、其れは爆炎を撒き散らし消えるだろう。接近段階で穿てれば僥倖。或いは無傷で凌ぐ事も――――最後の最後で“正義”の意地、ひとの輝きを魅せることも、彼の、その指先ならば叶うのだろう】
【終わりは意地のぶつかり合い。“より強く願える” のは―――――どちらか、】

/再び続きます……!
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 07:31:56.50 ID:A7c6jr3e0

>>142>>144 (続き)

【――――――答えは、きっとこの先で出る。二撃目で崩壊した“氷壁”の雪崩を直撃で受け、倒れ臥す緋色の影を彼は目にする。】


「――――――……う……、ッ―――――――」


【上質に身を飾っていた衣服はボロボロで、隙もなく整っていた全身を紅く血に染めて。】
【ガン、と最後に頭を撲った“氷壁”の欠片―――――彼の最後の打撃を受けたその震盪から、束の間の昏睡(ねむり)に身を横たえていた】
【余談は許さず、油断は出来ず。けれど確かに胸を上下させているその様は、彼の、望み通りの傷を受けたと言えただろうか】
【……ここで、彼が何を為すのか。成せるのか、強く強く望むのか。答えは、きっと青き正義とその顛末に委ねられて――――】
167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 07:36:04.91 ID:A7c6jr3e0
/>>165

【痛みを感じていない筈が無い、だが嗤う整った容貌に乱れはない。小首を傾げて歓喜を叫ぶ様は、“殺す”邪悪さに満ちながら何処までも清々しく目的に徹したと  なく。】



【痛みを感じていない筈が無い、だが嗤う整った容貌に乱れはない。小首を傾げて歓喜を叫ぶ様は、“殺す”邪悪さに満ちながら何処までも清々しく目的に徹したと衒いなく。】

…でした。
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/15(日) 11:56:42.59 ID:Tmc5XUWQo
>>153

「アローの着弾を確認……ッ!?、こちらのではない大型車両が我々の元に近付いてきています!」

おや、向こうさんも引き上げる用意ができたらしいな……こちらとしてもそれで結構だ
セリーナ君のご要望通り……これで我々が一般市民を救助するのを妨げる要素は完全に取り除かれる訳だ


【バリケードを崩しながら強引に男の傍に現れたトラックが敵を回収する】
【それに大して彼はその手に持つ弓矢を車両に向ける事すらせず、敵が撤退するのをそのまま見送った】
【あくまでセードムシティに住む民を救助する事が今回の自陣営の目的……深追いは無用だと判断した】

【左肩を軽く回した後、弓矢に取り付けた端末を引き抜き、通信モードにして救助の人員が待機しているはずの拠点に報告する】


雷の国の国軍及び自警団の諸君、及びその傍で待機させた『タフガイ』の救助班の諸君、"WILD"だ
こちらの戦いは完了した……敵の撤退を確認。救助活動の妨げになりうる因子は排除した……他はどうだ?

《はい、現在各所での戦闘行為もじきに終了すると思われます、こちら側の戦闘メンバーが次々と勝利報告をしています
特に要の……グラトン勢と接敵したセリーナ班が、グラトンを討ち取ったとの事です》

……そうか、ご苦労様、と伝えておいてくれ。さぞお疲れだろうからな……人員を送ってくれ、この一角の者たちも救助しなければならないのでね


【了解、とだけ返事して通信が切れる―――それからしばらくした後にでも彼らの方向に救助班を乗せたヘリが飛んでくるのを視認できる】
【その機体の姿を見ながら……闘いの終結、その事実を感じ取りながら余韻に浸りつつ、遠くから己の愛機『テュポーンΩ』が自動運転でこちらの方向に駆けつけるのも同時に確認】
【白い自動二輪車に跨り、救助班がもうすぐ到着するという所で入れ違いになるようにその場から去っていくだろう】


……任務完了、これで……ひとまずのツケは回収し終ったな

「はい、お疲れ様でございましたデスヨー、……"WILD"」

【こうして戦士は夜闇の道を白い愛機で駆けていく、跡を濁さず去っていくだろう……】

【ジンジャー・ユースロット・ジャンクちゃん、任務完了――――帰還】
【←To Be Continued...】

/遅ればせながら返答いたします、お疲れ様です
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/15(日) 12:54:06.56 ID:X9rWTPP6o
>>164-166

【氷壁が砕け数多の礫が彼女の身を朱く染める。その光景はロウが思い描いていた勝利へのシナリオの筈だった―――が】
【そのシナリオを余りある殺意が塗り潰した彼女が、勝利を吠えた。―――しかし、急落下する中で彼が見せた微笑。……その意味は、一体何なのだろうか】
【諦めの意味を持っている訳ではない。……―――間違いなく、狩る側の笑みだった。一種の恐怖すら感じさせる不敵な笑みを浮かべた男が、両の銃口を合わせた】

【「この高さから落ちるだけで、下手をすれば死ぬ」というのは、先程ロウが放った言葉。―――しかし、これが一種の罠だった。獲物を狩るための―――老獪な罠】
【その発言はまるで、「この一撃で倒せなければお手上げだ」と言わんばかりだが―――そのような考えを彼女に植え付ける為の、ダミー】
【そして現に彼女は、先程の一撃を受け止めた所で勝利を確信している。―――獲物が、罠に掛かった。故に零れた笑みは、「狩る側」だったのだろう】

……どれだけ凶暴でも、やっぱりアンタは獣だぜ―――ダリアちゃんよォ……あんたは最高に「からかいがい」のある魔物だったよ――――――!!!

【銃口を合わせた彼に砲撃が差し掛かる中―――ロウは両のトリガーを同時に引き、銃弾を衝突させる。まだ見せていない、ロウの能力―――焔と氷だけではない】
【彼女と同じく「爆発」を一部ながら操ることが出来るのだが―――その発動条件が「両の弾丸を衝突させること」であり―――】


                     ――――――<< P r o m i n e n c e C u r t a i n >>――――――

【目の前で巻き起こる小規模爆発が―――12時から6時の方向に落ちて行く身体を12時から4時へと軌道変化させれば、彼女の放った砲撃を躱すことも出来る】
【空中では攻撃を躱すことなど出来ないと言う思い込みをも砕き、落下の勢いを横に逃すことで衝撃を大きく軽減。地面へと転がりながら叩き付けられるが、彼は生きている】
【爆風で焼け焦げる身体に、今まで負った多くの傷。軽減したとは言え衝撃はかなりのモノで、全身の骨が軋みという悲鳴を上げ、激痛が意識を奪わんとする】

【それでも不殺の想いは、両手の拳銃は決して離さない。ガタガタの地面に転がる身体が静止すれば、清冽な光を湛えた瞳は、銃口は真っ直ぐ―――彼女へと】
【―――否、銃口が唸ることは無かった。……銃口を向けて、焼け焦げるような痛みに耐えながらも静止していた】

……―――今度は……っぐ、俺が……言わせて……っごほッ……貰うぜ。―――俺の勝ち……否、『理想』の勝ち……か……な―――

【綺羅びやかな装飾銃が元の姿である何の変哲も無いリボルバーへと戻る。つまり彼が能力を解いた証拠であり、コレ以上の反撃を加えないという意思表明にも見えた】
【立ち上がろうとするも、片膝立ちが限界。地面に手を付かなければ倒れてしまう程、彼の身体は悲鳴を上げていた】
【両銃をホルスターに仕舞い、何とか姿勢を胡座に変えてドサリと座り込み―――ゼーゼーと肩で息をしながら、横たわる彼女に勝利宣言を投げる、彼】
【死ぬ程の威力を食らわせていない。つまり「不殺」を成し遂げた上で、勝利したのだ―――と。甘く蒼い理想を、叶えてみせたぞ、と。言葉と瞳が、告げていた】

/流石に5時頃に寝落ちしてしまいましたが連絡しておけば良かったですね……
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/15(日) 16:43:22.86 ID:zNdK0p1nO
>>141>>150

…………! 待て……ッ………………

【瓦礫の隙間に消えていくカニバディール、追いかけようとしてもダメージが大きい】
【走ることも今では難しい、この状態で追いかけるのも無理がある】
【その場に膝をつき、今のミハエルにはその様子を見ている事しか出来なかった】


…………きっと、セリーナ達も勝利して帰ってくる……
今はここで休むとしよう……ああ、カミナ・ゲルギル……貴女もゆっくり休んでくれ。
貴女のような強い戦士と共に戦えて、とても光栄に思うよ……

【そう言ってミハエルも瓦礫に寄りかかる、今回は逃しはしたが、生きているならまた次がある】
【今はきっと生きているという事を、素直に喜ぶ時なのだろう】

【空で轟く雷の音は、勝利を祝う祝砲にも聞こえた】

/遅くなりましたが、お二方、有難うございましたー!
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 16:51:46.10 ID:vHHpe57K0
>>169

【歓喜、激痛、衝撃、交錯する死と氷壁の崩壊――――破壊力の塊を撃ち放ったダリアは、その直後氷塊の直撃を受けて意識を失う】
【空中で彼の切った最後の隠し札、氷と焔の融和の爆発――――衝撃と熱波は、観客もなくけれど確かな意味を以て彼の命を護りきった】
【やがて曲芸めいた滞空は終わり、地に降り立った彼が銃口を向け―――末に、勝利の宣告とともにホルスターに仕舞って】

【 横たわりながら、ダリアは。彼の紡ぐ苦悶の声混じりの言葉を耳にしただろう。分かりきったことを、それでも信じられずに確かめる様に。 】

(……なんて、馬鹿馬鹿しいお人好しだ。私が一指だけでも動ければ、今夜、死ぬのはお前なのに、……、―――――)

【読めた銃口など問題でない。……意識を取り戻したその時点から、天秤は己に傾いたとダリアは思考する】
【―――――ただ一抹の殺意さえあれば、嘗て師団単位の標的を薙ぎ払った爆炎の異能は――――彼女の氷空綺藍≠ヘ十全に機能する。重傷を負いながらも“炸薬”を操ってみせたのは、その一つの証左となるだろう】
【だからこその、殺傷を求めた言葉の数々。フェアなんて概念には程遠いが、“殺す”ものとして死を己に課すのは彼女には当然の事で―――】

【……だが彼はその法則すらをも退けてみせたのだ。“殺さずに”、“犠牲も出さずに”、“打ち破って”。】
【この場以外では死者は出ただろう。けれどこの場で勝利を収めたのは彼/途轍もないことは、彼女の内側でも起こっていて】
【今もこの胸に殺意はあるというのに、鏖殺の異能は相応しい反応を返さない。殺意は、悪意は、暴虐は、ケモノとなることで手に入れた自由は――――彼の様なモノこそを、戮すためにあったのではないのか?】

(……ダメ、か? 消耗が、限界を越えたのか―――――)


【……理由は、一つも彼女には分からない。それが、何を意味するのかも認識しない。】
【けれど己の躰とこの状況への確かな認識があった。 】
【もう、体は動かないこと。ここに、一つの結末が成ること。 】

【 彼が、相変わらずの夢を口にしていること―――――、 】

「……くっ、ふふっ、ッく……ぁ、く…ッ……ふっ、あは、は―――――
 アンタみたいな本物(バカ)が願うのは、手が届きそうもないけど諦めることのできない夢か。
 ……好きに、して勝手に死ねばいい。どれだけ救えるのか、何を為せるのか――――知らないけれど化物の私として期待してあげる。


 ……私は、何時か必ずお前を殺すよ。
 譲れるものじゃ、ないんだ、……絶対、……これ、は――――」

【堪えきれないとばかりに絞りだす微かな声で笑って、そんな表情を浮かべながら目を開けた。】
【言いたい放題好きなだけ言えば、そこで余力も使いきったのかまた目を瞑る。……憎悪は、力が応えないのだから眠らせるしかない。】
【思うのは、戦いの前提となっていた“機関”の撤退戦、】

【――――時は、必要なだけ稼げたのだろうか。……殺意は、それだけの破壊力を為すのに十分だっただろうか。】

【ピシッ、と何かが割れる音。力尽きた紅い女を、その考え事ごと運ぶ音だ。 】
【薄黄色の閃光が迸り抜ける様に起こると、ダリアはその姿を消していただろう。転移――――“捕まえる”ことは叶わずに、残り香の様に残影だけ残して、】



【理想なんてものを見せたのは、数少ない“潰えない”煌めきのいろ。……“違った”ものは闇の歴史と心とに残る。】
【彼を悲しませるものはなく、魔物は絆される事などなく―――――けれど確かな結末を齎して、この夜は、勝利者の下で更けていったのだろう】

/……お待たせしました。気付くのまで遅れて申し訳ないです……ッ……
/長時間本当にお疲れ様でした。それでは、お付き合いありがとうございましたっ……!!
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/15(日) 17:21:07.30 ID:X9rWTPP6o
>>171

言われなくても……っつーか、止められても勝手にする……っごホッ、っつーのォッ……!!
そんでよ……期待してくれるってこと、は……っぐ、アレか。
ちっとは俺の馬鹿っぷりに興味を持った―――そういうことだよ……な。

―――じゃ、俺も宣言……アンタが何十回、何百回、何万回俺を殺しに来ようとも……俺は決して殺さねぇ。殺さずにコケにして家に返したらぁ……
というか―――お前はもう……悪さは出来ねー……んだぜ、檻の中で人生やり直……しな―――って、オイ……!!
―――……転移とか勘弁してくれよ、こんだけ苦労して逃げられるってそりゃねーぜ……

【激しい動悸の中で、最早演出する必要のない筈の余裕を無理矢理にでも醸し出す】
【そして震える腕を伸ばし、人差し指を突き付けて「人生やり直しな」と言い放ってみせたのだが―――そのポーズとほぼ同時に、彼女の姿が消えていた】
【数秒固まり唖然としてから、全てを理解する。その瞬間琴線が切れたかのように、仰向けで大の字になって溜息を吐いた】

【全てが無駄か―――と一瞬思ったが、改めて考えこんでみるとそうでもないかも知れない。何となくでしか無いが、彼の精神(ココロ)を彼女が認めたような気がしたから】

/ありがとうございました!



173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/15(日) 17:57:52.65 ID:nlg8nQbSo
【海沿いの遊歩道】

【潮風が緩く吹き抜け、沈みゆく夕陽に、街灯が長い影を落とす】
【そんな折に――ランニングとも違う、ドタバタと慌ただしく駆ける足音】

ッは〜……キッツい! 何で俺がこんな下っ端みたいな事……
……って今は下っ端なんスよねェ。は〜あ……定時に帰りたいっス

【その正体は、一見すれば普通の会社員と思しき、一人の青年だった】
【寝癖の残るミディアムの茶髪、ダルそうな深緑の双眸、黒縁のメガネ】
【フォーマルな黒のスーツながらも、尖った靴と星柄のネクタイが目立つ】

【彼の持つアタッシェケースには、あるマークが小さく刻まれている】
【目立つ色合いの逆五芒星――それが指すものの意味は、一つしかない】
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/15(日) 18:17:10.56 ID:BcJNsMryo
>>173
【───足音を立たせて走る青年は、その違和感に気付けたか?】
【人の気配は近くに無く、とても静かだ。まだそう遅い時間でもなく、人がいても不思議ではない場所なのにも関わらず───不気味な静けさが霧のように青年を包んでいる】
【よもや異世界にでも紛れ込んでしまったのかと思い違いそうな程の違和感、そしてそれは突如として形となり青年を襲う】

【空気を震わせ鳴り響くノイズ音、夥しい程の細かな振動は、聞いた物に生理的な不快感を湧き上がらせる悪魔の音】
【それは黒い塊のように見えた───小さな黒い何かが集合し塊のようになったものが突然空から飛来して、青年に襲い掛かる】
【蠅───であった。青年に襲い掛かり、纏わり付き、不快な音と完食に包もうとした黒い塊の正体は、とてつもなく大量の、丸々とした黒い蠅の大群だ】
【纏わり付かれたとして、実質的な被害は少ない、蠅が体にぶつかり張り付き、多少口か鼻か耳かに入りそうなくらいの、それくらいの被害だ。それが嫌ならば塊から逃げるか、振り払うかすればいい】

……──────

【だが、蠅の塊が青年に飛来した頃から、青年の目の前にいつの間にかソレはいた】
【2mはありそうな体躯に、首から地面スレスレ迄を鈍い光沢を称える黒いコートに包み、黒いハット帽子を頭に乗せて……顔面を、鳥を模したマスク───所謂ペストマスクで覆った人物】
【男女の区別もつかないその人物は、手袋を嵌めた両手の内右手に錆び付いたフックを持っていて、その凶器が錆び付いている理由は考えない方がよさそうなのは明白であった】

……あ″ぁ″ーーーー───

【青年の前に立ち尽くす人物が発した音は、カラスの鳴き声と赤ん坊の鳴き声をコラージュしたような音で】
【恐らくは呼吸音がマスクから漏れた音だろう、そう思う方がよさそうだ】
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/15(日) 18:31:07.90 ID:nlg8nQbSo
>>174

間に合うかなぁー……けどコレ重いしなぁ、タクシーでも使えればなぁ
営業に交通費持たせないってもう酷すぎやしないっスかね?
ま、公共機関使っては運べないから、なんだろーケド。だっる……

しっかしなーんか、いい感じの夕方なのにヤな感じ……、うわあっ!?

【背筋をぞぞりと駆け上る感覚、青年は咄嗟に片手で顔を守る】
【纏わり付く蝿と格闘していた最中――ハッと顔を上げれば、謎の人物の姿】

【蝿を叩き落とさんと、アタッシェケースを振り回しながら一歩後退し】
【それで掃討が済めば、気味の悪い声を漏らす相手と対峙する】

ちょ、なッ……何なんスかアンタ!? 僕に何か用っスかね!?
僕の方からは何の用も無いッてかまず、アンタの事知らないんスけど――ッ!

【右手のアタッシェケースを手放さないまま、青年は左手に力を篭める】
【すると、異次元から喚び出したかのように、黒い星――黒鉄の薄い板が出現した】

【黒星を左の掌下で浮翌遊させたまま、青年はまず相手の様子を伺う】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/15(日) 18:46:01.08 ID:BcJNsMryo
>>175

………

【纏わり付いていた蠅がいくつもアタッシェケースに叩かれ落とされ、地面に落ちては痙攣して潰れていく】
【瞬く間に青年の足元はまだらな蠅の死体だらけとなって、やがて小さくなった蠅の塊は青年から離れると大柄な人物の元へと飛んでいく】

【不審人物の周囲を周回している蠅塊は、やがてその塊の大きさを元の大きさへと戻していく、少なくなった蝿が補充されたようだ】
【そして、十分蠅塊が育った所で不審人物が左手を挙げ、青年を指す。再び蠅塊が青年に襲い掛かった】
【意思を持つ蠅の集合体だ、追尾性が高い為に完全な回避は困難だが、それ自体の攻撃性能は無に近い。ただし不快感は非常に高い】
【そうしたくなくても振り払ってしまう程の生理的嫌悪感の塊が青年に纏わり付き、動きを阻害しようとする】

あ″ーーーーー

【───その隙を狙って、不審人物はフックで青年を叩きつけようとしていた】
【長い腕を肩から振るって、遠心力と重力をかけた大振りな攻撃、威力を高めるだけの体運びで、狙うのは青年の左肩だ】
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/15(日) 19:03:26.04 ID:nlg8nQbSo
>>176

うっわ〜……気持ち悪っ、僕ちょっと虫は苦手なんスけどねッ……!!
でも簡単に潰せるって事は……ッし、ただの蝿なら怖くないっスよ!!

【再び襲い来る蝿に対し、掌下に浮かばせる黒い星を一回り拡大させ】
【団扇の要領で右から左へ力強く振るい、纏わり付かんとする羽虫を退ける】
【そして――今度は、左から右へと思い切り振り抜いた】

っッらァ!! ハッ、隙を突くなら毒ガスでも使ったらどうっスかね……ッ!
舐めてんなら容赦しないっスよ、こっちも伊達に機関の下っ端やってないっスから!!

【鋭い音を立ててフックとぶつかり合う黒星は、厚さ20mm程の黒鉄で出来ている】
【余程怪力で攻撃したのでなければ、上手く楯の役割を果たす筈だ】

【そのまま押し合いをした後、青年は一瞬だけ体の力を抜いて体重を後方へと流し】
【すかさず後方へと飛びつつ、盾に使った黒星をフリスビーの様に相手へと飛ばす】
【高速で回転する直径1m程の黒鉄は、回転刃にも似て水平に相手の胴へと飛来していく】

【――纏わり付く蝿を払いながらも、青年は相手の動きを見落としてはいなかった】
【そして告げた名は、やはり右手に握られたままのアタッシェケースが示す組織のもの】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/15(日) 19:32:01.24 ID:BcJNsMryo
>>177
【振り下ろされたフックが黒鉄の盾とぶつかり合い、金属音を打ち鳴らした。大振り故衝撃は大きいが耐えられ無い程では無い】
【青年が吠える言葉が通じているのかは外から見てわからないが、不審人物は青年の言葉に対して首を捻り、顔を傾け、ボキリと首の骨を鳴らして答える】

【青年が押せば、負けじと押し返す、しかしその一瞬釣られた挙動のせいで、引いた青年の動きに対応が遅れ、バランスを前に崩してしまった】
【体制を立て直すも遅い、長い胴を、黒鉄の刃が大きく削り、飛び抜いて行く───】

───……。

【肉を斬る音は確かにした、現にこの人物の右脇腹当たりには、紙人形を破いたような隙間がパックリと開いている。が】

あ″あ″あ″あ″あ″ーーーーーー

【ボタリ、と大きな塊の様な血液らしき物が傷口から落ちる。粘度の高い黒ずんだ体液が、コンクリートに落ちて、煙を上げる】
【酸や腐食とは違う、とにかく触れたく無いと思わせる毒々しさの血液のような何かが、ぼたぼたと落ちる】
【すると、青年に纏わり付いていた蠅塊が青年から離れ始めた。向かう先は落ちた体液と、不審人物の傷口】

【体液に群がり啜る蝿を余所に、不審人物はフックを取り落とす、コンクリートを転がるフックの音の中、コートから新しい武器を取り出した】
【それは手斧、使い古された刃は錆びて刃こぼれしている、恐ろしい凶器に他なら無い物だ】
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/15(日) 19:49:20.48 ID:nlg8nQbSo
>>178

っしゃ、ジャストミートッ!! って、お次が出て来ましたっスね……
ん〜……正体不明、会話も通じない、攻撃もイマイチ通らない
これはどう処理したもんスかねぇ……正義連中で無いのは分かるっスけど

【何の為に勤しんでいるかと謂えば、無論“世界を混沌へ導く”為でしかない】
【機関に身を置く者の共通の理想――相手は言わば、その因子となりうる存在】
【だが現に、こうして機関員を襲う存在でもあった】

(上手く暴れてくれるってんなら、放っとく手も無いコトは無いんスけどねー……)
(こっちまで火の粉が掛かるってんなら……ま、そこまでは仕事じゃないッスよね)

【相手を見据えたまま、青年は左の手で銃を模し、その指先を相手へ向けた】
【其処へ強い力を集め――謂わば一点集中、何かを放つ準備段階のようだ】

……あのー、僕も忙しいんで、幾つも仕事抱えてらんないんスよね
だから手っ取り早く済ませちゃいたいんスけど――アンタ、何者?

【相手へと問い掛ける間、青年は今いる場所を動かなかった】
【或いは動けないのか、兎も角――近接武器には絶好の利点となろう】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 19:54:12.12 ID:8lB6eokno
【路地裏】

【奥まった場所の開けた空間。散らばったゴミ。饐えた臭いが漂う】
【相も変わらず、汚れきったこの空間において、更なる異様な存在が一つ】

カ……ヒュ……カーッ、ヒュッ……ヒューッ……

【それは、胸部から上だけの人間、らしき肉塊であった。打ち捨てられたソファーにその身を預けている】
【短めに切り揃えられていたらしい黒髪は焦げ付き、角ばった顔は後半に渡る火傷を負っている】
【両目は、右が青、左が黒の義眼。額には面積一杯を埋める巨大な一つ目があった】

【胴体は、胸部の下あたりからが存在していない。左腕は付け根から先が消失している】
【顔面と同じく、火傷に覆われた細い右腕には、全長1メートル半はあるバトルアックスを握っていた】
【柄の部分に白く大きなマギタイトを取り付けられている斧。先端が地面に付けられ、肉塊を支えるような形になっている】

【さらには、胸部からは肋骨の一部と、尻尾のように伸びた背骨がむきだしになっている】
【そのような状態にも関わらず、肉塊はまだ息をしていた】


(ウルバヌス博士までも斃れたか……彼奴等め、ここまでやってくれるとは……)
(今後の動き……いや、それより今はこの状況を、どうにかせねば……この有様に呼吸器なしでは、長く持たん……)
(デュアルたちが来るまでは……何とか……)

カヒュ……ガ、グ……ヒューーッ……

【細い呼吸音だけが響く。苦痛の中にあって肉塊は、一つ目で周囲を伺うことを怠ってはいなかった】
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/15(日) 20:31:02.25 ID:BcJNsMryo
>>179
【『何者か』と問うたなら、返って来る言葉は無い、あったとしても不気味な鳴き声のみである】
【だが───考えても見て欲しい、此の世の何もかもが理屈だけでは通らないと言う事を、すべての事柄に理由が無い事を】
【嵐が理由無く街を蹂躙するように、闇が理不尽に暗いように、むしろ理不尽で理解不能な事の方が、人間が理解するものよりも遥かに多い】
【言わばこれは、この人物は小さな災害、理由も理屈もすべからく無視した、人であるならば越えなくてはならない問題、混沌とした理由なきもの】

【嵐には壁を、闇には光を使い人は理不尽を克服して来た、この小規模な災害が克服でき無い筈も無い】
【或いは、もしかすれば、これは何者かがそれを待ちわびて作り出した『ナニカ』だとも思えないだろうか?】

あ″ーーーーーー

【体液と傷口に群がっていた蠅達が、不審人物の周囲を周回し始めた。やがて蠅の数も増えて行き、黒が視界の殆どを埋めるだろう】
【蠅が飛び回る音が空気を大きく震わせて、頭上に集まった蠅塊が粘土の様に形を変えていく】
【其れは槍のようで、鏃(やじり)にも見える尖った物、とはいえ蝿が集まっただけで威力なんて無に等しい───と、思うかもしれない】

【先手を打ち、蠅塊が動き出した。鏃型に固まった蠅塊が、地面に落ち、バウンドする様に何度も何度も地面に擦りながら青年に向かっていく】
【不規則に跳ね、タイミングが読みづらい軌道だが、向かう先は確かに青年の胴体を貫かんとしているのは確か───蠅塊が跳ねた後の地面が抉れているのを見れば、威力が無いとは思えないだろう】
【ともすればそれは下手な火器よりも威力があるかもしれず、また、本体の人物は手斧を携えているにも関わらず一歩も動いていない】



【そして、少し離れた場所から、不審人物の向こう側から、人の気配がしているのに青年は気付いただろうか】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 20:43:26.69 ID:fL2epf7Lo
>>180
かーっ!おいおいおいおい ンだいこりゃあよぉ

【隠そうともしない声と気配。それらを辿るまでも無く貴方の大きな目は彼の姿を捉えるやも知れない】
【見ようとせずとも、自らその異形の方へと。その視界の内へ納まる様に歩み寄って行く】

【その人物は一言で言えば胡散臭いとか、怪しい。なんて言葉がお似合いである】
【祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し、藍色の作務衣と黒鳶色の前掛けをした男性だ】
【得物の1つも持たず、警戒心も人並み程度ときたもので】

……大丈夫か?何て聞くのも悪いよなぁ?見るからに大丈夫じゃねぇし
つってもなぁ…どうしたもんかってなぁ

【そう言って懐から巾着袋を取りだし、その中身の小石を取りだした】
【それに込めた治癒の力を開放する事である程度の傷を治すのだが……流石に傷の程度が酷いと治しきれない】
【とは言え痛み止め位にはなる筈なので大きな目を持つ者の近くへ適当に転がして、力を開放する筈だ】

【応急処置にもならないかも知れないが、やれる事をやった上で男は顎に手を当ててどうしたもんか・・・と首を傾げて】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 20:53:28.33 ID:8lB6eokno
>>182
【ギロリ、と単眼がそちらを睨む。この異形の肉塊に、あまりに堂々と近づいてくる気配】
【この有様では、ほとんど抵抗も出来はしない。それでも、どうにか足掻こうと弱弱しく身体を動かす】

【しかし、現れたその胡散臭い男は、武器を持った様子もなく、それほど警戒しているとも思えず】
【一人、呟きながら小石を取り出し、放る。解き放たれる癒しの力。わずかながら、苦痛が引いていく】
【この異形でなければ死んでいるであろう重傷。治癒とまではいかなかったが】


――カ、ハッ……
ああ、まったく……大丈夫、ではない、な……

おい……私の、姿を、見、て……なぜ、治、そうと、する……?
正気、か……?

【未だうまく動かない身体を無理矢理動かして、肉塊は男に身体を向け】
【問いかける。異形の怪物と言える姿の己に、どうして無警戒に近づき、あまつさえ治療まで施そうとするのか】
【そういう人間がいることも理解はしていた。が、聞かずにはいられなかった】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 21:14:06.63 ID:fL2epf7Lo
>>183

うっお、喋った!? ―――-って、スマンスマン。生きてりゃ喋ってもおかしかねぇか
猫又っつーか犬又?狼又?なんてのもこの前出会ったしよ。

【一度は驚くもすぐに失礼したと謝罪して、改めて其方へ向かい会う】
【肺も逝ってるだろうから喋れないと無意識の内に思っていたのだろう】
【やっぱ弱かったぁ…と治癒が進まぬ様子を見て呟いてから】

かーっ!何言ってんだ手前さん!
見捨てりゃ寝起きが悪いし、普通怪我人…人?まぁ怪我したのが居りゃ大丈夫か?って声くらいかけるってぇもんよぉ。犬や猫でもなぁ!
…まぁ大丈夫じゃ無さそうだから大丈夫か、何て言えなかったけどよぉ!ゴメンな!

【少々傷に響く位大きな声で男は断言する】
【見てほったらかしじゃ後々気になるのは必然だからいっそ関わろうと言うだけの事なのだ】
【何も特別な理由など有る訳じゃない。ただ少し怪異に慣れた世話焼きな男だと言うだけ】

ンな事より、だ。手前さんの身体を治すアテとか有んのかい?
見てて痛々しくてよぉ。出来りゃとっとと安心できる場所に送ってやりてぇんだが
普通の病院じゃ、いけねぇよな?

【そして頑張っていたが、一般人的にはその大怪我は直視するのも慣れて居ないのかお面の下の顔を少々蒼くしながら視線を逸らし】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 21:47:10.77 ID:8lB6eokno
>>184
ふ……妖怪、の類にも、会った、のか……
友好的、とは、限らん、だろうに……ガフ……
肝が、据わっている、な……

【彼の謝罪には、気にする必要はない、と言いつつ言葉を絞り出す。自分の姿を見て、驚くのは無理もない】
【肺の機能は事実低下していたが、まだ声を出せる程度には残っていた。この男の生命力のなせる業】

【弱くとも、少しは治癒は進んでいる。ないよりは、大分ましだっただろう】


ふ、ふ、ふ……寝覚めが、悪い、か……
ああ……言って、おく、が、一応、私は、人間、だ……
ふ……犬猫、に声をかけ、ても……肉塊に、同じように、声を、かけ、られる、人間、は、珍しい、だろう、な……

事実、だ……仕方、ある、ま、い……

【男の大声を、咎める気力も残っていない】
【世話焼きも、ここまでくれば大したものだ、などと内心で思う】
【関わらないより、自ら首を突っ込む方がいい。彼はそういうのだ。今までに会った中でも、珍しいタイプだった】


ゴフ……ああ……仲間、が直に、迎え、に、来る、手はずに、なって、いる……
普通、の、病院、は勘弁、願い、たいな……
行けば、そのまま、捕え、られる……指名手配、犯と、してな……

関わる、のを、やめる、なら、今の、うち、だぞ……

【視線をそらす彼に、その男は自分が悪党であることを告げた】
【それは、この男なりの誠意だったのかもしれない。曲がりなりにも己の痛みを取り除いた恩人】
【自分の素性を隠して、それを仇で返すは不義理と思ったらしい】
【それを知った彼がこの場で自分を潰しにかかっても、抵抗の手段はあるということでもあるが】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 22:26:00.53 ID:fL2epf7Lo
>>185
かっかっ、危ない時は逃げるってーの
こう見えて逃げ足だけは速いんでな…我ながら不用心だとは思ってんだけどよぉ

【決して強い訳では無い。寧ろ弱い。DQNに平手を喰らって土下座した位だ】
【それでもこの国の路地裏を通ると言うのは本当に逃げ足に自信が有るのだろう。しかも唯W杯が有るからって理由で気軽にブラジルに行った日本人並の警戒心も持っている】

人なら良かったってぇの。前に犬ころを狐扱いしたら怒られてよぉ
ま、目鼻も有るし俺っちには劣るが二枚目ときたもんだ。こうして話せる分、其処らのチンピラより人間らしいってぇの

【話し自体を楽しむ様に声には喜色すら混じって】
【時折治癒の効果のある石を追加していく…1つ1つの効果時間は短いらしい】

お、そうかい。なら安心だ。俺っちもコッチの国の病院は苦手でよぉ。何なんだろうなあの臭い
しかも病人が一か所に集まって待ってるから辛気臭いのなんのってよ
………んん?

【やだやだ、と後頭部を掻いているのも束の間】
【相手が指名手配犯であると名乗ると思わず其方を見て】


…………え?別に俺っち悪い事してなくね?


【凄く不思議そうに指名手配犯である貴方を見ている!】
【関わるの止める必要ないよね?と言いたげな表情がお面越しでも分かりそうな程だ】

ああ、つか。"そんな事より"だ。傷の痛みとか大丈夫かい?
痛み止め位になってると良いんだけどよぉ
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/15(日) 23:00:34.49 ID:8lB6eokno
>>186
そうか……だが、そもそも、逃げる、よう、な、状況、に……
入り、込まな、いのが、一番、だと、思う、がね……腕に、覚えが、ない、のなら……

【逃げ足に自信があるのは確からしいが、しかしこの世界にはそのような差をあっさり埋めるだろう怪物もいる】
【やはり、そういった危険に飛び込むことは軽々にしないほうがいいと。似合わない忠告などして見せる】


くふ……犬と、狐、を間違え、たのか……似た、ところは、あるが、ね……
大方、それ、が、先ほど、言って、いた妖怪、か……

二枚目、で、人間、らしい……く、ハハ……ハ……初めて、言われた、ぞ……

【苦笑しながら、治癒の光に身をゆだねる。少しずつだが、身体も動くようになってきた】
【自分と話を楽しむような様子すら見せる彼に、かなり毒気を抜かれていた】


病院、の、臭い、は……苦手、な者、は本当に、ダメ、らしい、な……グ……
あそこ、が、好き、な人間、は……少ない、だろ、う、な……

【だが、それもここまで。自分が凶悪犯罪者だとわかれば、相応の反応が返るだろう】
【こちらを見つめるお面の奥の瞳が、色を変える瞬間を――】


――――? いや……確かに、お前、は、悪いこと、など……
しては、いない、が……

そんなこと≠ナ、すます、か……私、を助け、るという、なら……
下手、をすれ、ば、共犯扱い、される、ぞ……

それに……助、かった、ところ、で……私、は悪党、をやめ、る、つも、り、などない……ぞ……


ああ、傷の……痛みは、だいぶ、マシ、だ……
おかげ、様、で、な……すまない、ね……

……カニバ、ディール……私の、名、だ……
お前、は、なんと、いう……?

【呆れ半分に、彼を見つめる、底抜けのお人よし、といっていいだろう】
【自分のごとき悪党とは、あまりにかけ離れた男。だが、彼に自分は助けられている】
【自嘲気味に息をつき。改めて礼の言葉を口にしつつ。男は名乗り、彼に名を訪ねた】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/15(日) 23:38:30.15 ID:fL2epf7Lo
>>187
そうしろとは良く言われっけどよぉ
でも気になる事に首を突っ込んじまうのは性分ってモンよ。やっぱ自分の周り位は辛気臭いのは無しにしてぇし

【危ないと解っていてもやってしまう事は多々あるものだ】
【例えば今回。貴方を放っておけば間違いなく後悔しただろう。だから関わる事は止めはしない】

そう!思わず言っただけだってのに罵倒されてよぉ、ありゃあ凹んだってもんよぉ
ま、間違えた俺っちも悪いんだけどな。かーっ!

因みに他人…特に女の子は褒めてやれって有り難ーい説教をくれたのもその犬ッコロってわけよ

【そう言うと一度ニヒッと口元だけしか見えないが笑って見せて】

ん?あー。あーあー。はいはい。そう言う事か
手前さんも正義とか悪とか拘るモンかい…前のカミナ嬢と言い面倒な国だってぇの

【悪党を止めるつもりが無いと言う貴方に対して、かーっ。と呆れた様な息を漏らす】
【彼にとっては"そんな事"に変わりは無い】

人道に悖る法なんて糞喰らえってぇの。
今の世が好きで守りたい奴?ああ平和な世界を有難う。
今の世に不満が有って変えたい奴?より良い世界を期待させて貰おうかって…そんだけの事だろ

そもそも"正義"だの"悪"だの。俺っちはそんなモンを語ったり背負ったり出来る程強くはねぇの。
ま、だからなんだい……頑張り名よ悪党さん。

【正義も悪も、彼にとっては他人の意見にすぎない】
【どちらにせよ彼にとっては他人の夢である。等しく他者にとって大事なモノだ。】
【どちらが為されても生き残る自信が有り。どちらが為されても抗うだけの力の無い一般人故に…彼はせめて、どちらも応援するのだ】


かっ!本業じゃねぇけど人の役に立てたなら何よりだってぇの!
っとと、そういや名乗ってなかったか。
俺っちの姓は飛鳥馬 名を東。 砥ぎ師なんて生業をしてるモンよぉ。お面と合わせて気軽にアズにゃんとでも呼んでくんな

【そう言って一度お面で隠れて居ない口元が笑みを作って】

…ま、元気になったらまた会いたいもんよ
ずぅっと気になってるんでな!その得物よぉ!
流石に怪我人相手じゃ満足に砥ぎもできねぇから!
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/15(日) 23:44:46.28 ID:SuczDeLO0
【櫻の国には、自警団の訓練場を一般人にも開放する形で運営されている道場が点在している。】
【特異な情勢ゆえに事件が絶えないこの地では、護身術や簡易的な防犯式神の扱いを教えることが、ちょっとした小遣い稼ぎになり】
【将軍のお膝元である首都・天ノ原においてもそれは例外ではない。ここ暫くで、侍も「異国」の兵法を欲するようになった。】

【――というわけで、広く開かれた修練の間に、きょうは一際小さな少女の姿があった。】


しぃぃいぃッ、……、――はぁっ! たあーっ! せいやぁーーッ!!


【齢にして10くらいに見えるか。波打つ暗灰色の髪が140cmに満たない背丈の肩にかかっている。】
【格好はと言えば、水の国で流行している黒地に水玉模様のキャミソールワンピースの上に、ピンクの夏用カーディガンを重ねたもので】
【そこに、取ってつけたような探検家風のフェードラ帽を組み合わせた――何から何まで場違いな少女だ。】

【とは言えそぐわないのは見た目だけで、彼女は(今のところ)誰もいない部屋で至って真剣に鍛錬を続けていた。】
【ちょうど今も、式札と刻まれた呪文の力で動く極東のトレーニング人形――木人と激しい打ち合いをし、】
【相手がわずかに晒した隙と見るや、怒涛の勢いですくいあげるよう左掌底と肋への右裏拳、そして追い打ちの蹴込みを叩き込んだところだった。】


……ふぅ。難易度「鬼」でこれなら、傷もだいぶ治ってきたってことかな。
わたしは休んでられない――雷の国でもあんなことが起きたからには……。


【連撃のあと、一呼吸置いて残心を崩す。少女の目の前には、その二倍は重いはずの木人が転げていた。】
【まさしく手練という表現に恥じない手際であったが、淀みない拳足の運びに反して、その表情からは拭いがたい焦りと陰りが伺える――】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 00:12:46.04 ID:4GtTbk64o
>>188
性分、か……
それなら、ば仕方、あるまい、な……

【溜息をつきながら、彼の姿勢にこれ以上の言及を辞める】
【こういった人間は、止めても聞かない。その程度のことは、この悪党にもわかった】


ハハ……それ、は、災難、だった、な……
あの、手、の、連中、は気に、するか、らな……

ふ……それは、また……人に、教え、を説く、犬、か……見て、みたい、もの、だ……

【つられて、こちらも薄く笑う。火傷のせいで、ひきつった醜い笑いだが】


こだわる、ところ、だろう……何、しろ、相容れ、ること、など、ないの、だ、から……
その、カミナ、とかいう、女、も……そこ、だけ、は私、と一致、する、だろう、さ……

【正義と悪、それすら下らぬ囲いと一蹴する彼。自分などより、きっと広い世界で生きているのだろう】
【逆に彼にあきれ顔をされるに至ってしまうとは】


く、ふ、ふ……清々し、い程、だ、な……お前、は……
なか、なか、いないだろう、よ……お前の、ような、男、は……

その、それだけのこと≠フ、ため、に……世界、は、いつ、も大騒、ぎをして、いる、というの、に……
背負わず、しかし……自ら、はその、逃げ足で、生き残、って、双方、応援、する、の、か……
いや……お前、もある意味、大した、男、だよ……ああ……せいぜい、命……ある、うちは、頑張る、さ……

【一般人であることを貫き、己の領分で生き抜き、それでいて正義も悪も尊重する】
【初めて見る男だった。何と反応していいか、わからぬまま。途切れ途切れに、うわごとのような言葉をただ並べた】


研ぎ師……櫻、の研ぎ師、か……
飛鳥馬 東……その、名、は覚え、て、おこう……東……その、呼び方、は、無理、だが、な……

く、ふ……そうだ、な、元に、戻れ、たら……
お前、に、注文、する、としよう、か……

【右腕に握ったままのバトルアックスを少し動かす、表の人間に仕事を頼むなどまずないと思っていたが】
【彼になら、依頼してもいいかもしれない。などとそう思った】
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/16(月) 00:43:46.38 ID:vRc5OaB4o
>>190
かっ、本当に面倒な……羨ましい奴等だってぇの

【唯1つに拘る彼…いや彼等に大して も1つ溜息】
【お面で隠れて居ない口元だけは笑んだままだが】

………如何な形でも"夢"が、"志"が有るってのは羨ましいもんさ
だから、否定なんざ出来ないし。持たざるが故に俺っちは君等の夢を傍から眺めるしか出来ない

"正義"と"悪" どちらが為されても俺っちが祝福してやる。どちらが潰えても俺っちが墓位は立ててやる。
願わくば、互いが悔いの無い様に争って欲しいもんさ
……俺っちが砥ぎ師なんてやってるのはその想いが強いからかも知れないな

【正義と悪…それらを下らないとは思ってはいない。ただ立場が違った。その対極以外の立場が有った。それだけの事】
【貴方達の様に実現したい夢が有る訳では無く、それでいて貴方達の描いた夢に期待している】
【故に……彼は正義も、悪も隔てず接し。彼等の夢の成就を祈って彼等の武器を研ぐのだ】

……………可愛いのに!!?

っとと、どうじゃない。毎度ありってな。
そもそもそれまで俺っちが餓死してねぇか多少不安だがよぉ!かーっ!

【アズにゃん呼びが無理と言われて若干凹む飛鳥馬】
【しかしすぐに調子を戻しておどける様に言ってから】

つか、俺っちが此処に居たら手前さん…じゃねえカニバディールの兄ちゃんが回収され辛いのか
いい加減、離れさせて貰っとこうかね―――と

【そう言ってから辺りにバサーっと治癒の小石をばら撒いて】

かっ、それじゃあお大事にってな!
手前さんの武運長久と、夢の成就を祈らせて貰うってわけよぉ!

【そう言うと着た時と同じ様にテックテクと歩いて帰ろうとするだろう】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 01:15:24.89 ID:4GtTbk64o
>>191
羨ましい、か……隣、の芝生、は青く、見える、もの、だ……

【溜息に返される苦笑。彼の口元の微笑みと、この時ばかりは同種だった】

夢……志、か……私の、それ、が、そう、高尚なもの、である、かは、自信が、ない、が……
我々、のような、人種、の中、には、お前、のような、やつ、を……羨まし、がるの、も、いるだろう、な……


ハハ……素晴らしい、な……それなら、ば、いつ、滅んで、も、安心、だ……
お前、の砥いだ、得物、を振りかざし、て……お前、に祝福、される……悪く、ないじゃあ、ないか……
きっと、悔い、なく……最後、まで、やれる、だろう……

【相手の夢の成就を分け隔てなく願い、その象徴の如く武器を研ぐ】
【彼のそれもまた、一つの生き様であり、研ぎ師としては賞賛されるべき姿勢なのだろう】
【事実、眼前の異形の瞳には、どこか敬意の色らしきものが見て取れた】


ハハ……私、には、どうも、な……そういった、形、で相手、を呼ぶ、のは、似合わない、からな……

生活は苦しいの、か……難儀、だな、研ぎ師、という、のも……
なら、なるべく早く……注文、させて、もらう、さ……

【何度苦笑させられただろう。彼と相対していると、普段の悪党としての調子が狂う】
【おどけた様子の彼に、醜い笑顔で返答していった】


ああ……気を遣わせて……すまない、な、東……
この借りは、いずれ……返す……

小石、も今、は……ありがたく、受け取って、おく……

助かった、よ……私、も、お前の商売、繁盛を、祈ろう……
武器、を研ぐ、時、は、お前を、贔屓に、させて、もら、う、よ……

【歩き出す彼の背中に語り掛けて。そのまま消えていくだろう姿を見送った】
【そうして彼が行ってしまえば、ソファの上に脱力し、仲間の迎えをそのまま待った】
【今宵の奇妙な邂逅に、想いを馳せながら】

/この辺で締め、でしょうか
/お疲れ様でした! ありがとうございました!
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/06/16(月) 09:49:14.08 ID:jXRpToFd0
>>30


………?


【小首を傾げる詩織】
【ジョジュアの口調や顔色の変化にはなかなか気づかなかいようだ】
【意外と鈍感なのかもしれない】


すごく……いい部屋だね…好きだよ


【部屋を見回して、家具に触れたりしてみる】
【屈託のないその顔は嘘ではないようだ】


うん……! 誰かにご飯を作ってもらうとかあんまりなくて…うれしいよ

……あ! 僕も料理が苦手って訳じゃないから…負けないよ!


【ささやかな得意分野なのだろうか】
【ちょっと可愛らしく目をキラキラと輝かせている】


【そして、ジョシュアのその声を聞いた】


【――――――友達。】


【さりげなく、言われた言葉】
【ほんの短い単語に詩織の顔は】

――――うん!

【その溢れんばかりの笑顔を】

【――――――隣にいてくれる大切な"友人に"】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/16(月) 18:40:04.76 ID:vRWsjziQo
>>193

あ……じゃあ、えと……交代で作るのもいいかもね
僕もね、その……誰かに作って貰ったこと、あんまりないから楽しみかも


【滞在は長いものにはならないかもしれないが】
【恐らくはその時の状況次第で、二人のどちらかが作ることになるだろう】

【内気な性格が災いして、未だ友人の少ないジョシュアとしては】
【作るのも作ってもらうのもそう機会があることではない】
【素朴な笑みを浮かべながら、その言葉を嬉しそうに受け取った】


うん――じゃあその……今日からしばらく、よろしくね?

あの、周りのことが落ち着いて……自分のおウチに帰りたくなったら
一言書置きとか、挨拶とか……してくれると嬉しいな


【彼の笑顔に、優しくどこか儚げにも映る笑顔で応えた】

【ジョシュアとしては拘束するつもりもない】
【"友人"の事情が安定するまでは匿うつもりではあるが】
【出て行きたくなったら、一言添えてくれればいつでも可能とのことである】

【怪我の治療などに関しては、簡単なものではあるが】
【ジョシュアが回復系統の魔法を使えることと】
【それに頼らなくても包帯や傷薬などが家に備えられている】
【病院のような本格的な治療は無理だが、ある程度の処置は可能であろう】


〜♪〜?


【ジョシュアは、ご機嫌そうに歌を口ずさみながら】
【うさぎの顔が描かれたエプロンをつけて、得意料理のクリームシチューを作り始めた】
【寂しかった家が、少しばかり賑やかになったことを喜びながら】


/お疲れ様でした!
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/16(月) 20:39:25.19 ID:7fYf9u54O
【此処はとある国にある、とある喫茶店】

【レンガ造りがお洒落な店で、小高い丘の上にある為に オープンテラスの席からは、町がまるでミニチュアの模型の様に見えてくる】
【今は夜、月明かりよりも強く輝く夜景の光が どこか暖かで】

【また夜だからこそ今は客も少なく 、静かで、落ち着ける場所でもあった】
【そんな喫茶店のオープンテラスに、一人の男性の姿が見える】

【白髪混じりの短めの黒髪はオールバック、温厚そうな顔には皺と整った口髭】
【黒いスーツに赤いネクタイをきちっと締め、テーブルにはスーツと同色のソフトハット】
【そんな60代程であろう老人が、席に座っていた】
【因みに仕事の時の彼は緋色の鷹のワッペンを縫い付けた腕章も着けているが、今日はなくて】

たまにはこうしてのんびりするのも、悪くないかも知れませんな。
……しかし、ここから見える景色も若い頃と随分変わった…………

【老人の前には一杯のカプチーノ、空いている席には彼の鞄が置いてあって】
【一部の人には名の知れた喫茶店、この夜景を見に来る人も居るという話だ】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 21:20:35.43 ID:j/WQsdaFo
>>195

【── ごつん】

【背後に人の気配を感じたなら、その数秒後、『何か』が老人の背に当たる】
【それほど、硬い物ではない。何か、と背後を振り向いたなら──】


あっ…、…ごめんなさい。


【黒のショートヘアに、黒の瞳。入院着のような、ゆったりとした服装を身に纏った少女だ】
【お洒落な場所には妙な服装をした彼女が持っているのは、『袋』】
【──印字されている店の名は、有名な『武器製造会社』のそれだ】
【中に入っている“箱”が、袋越しに老人に当たってしまったらしい】

【無表情ながら、ばつの悪そうな顔をした彼女──ぺこり、と、頭を下げて見せた】

/まだいらっしゃいますでしょうか
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/16(月) 21:39:06.88 ID:XqgCwbb70
【風の国――UNITED TRIGGERの店内、】
【扉の軋む音、続いてふわりと店内に抜ける涼しげな初夏の風は、即ち誰かが来たのを示していて】
【じゃあ誰が――と見たら、真っ先に見つけるのは透けるように真っ白な肌、そうして、黒と赤の丸こいオッドアイのはず】
【少しだけ場違いな人影が紛れ込んできたのだった、そんな動く違和感は、一番隅っこの席に、そっと腰を下ろして――】

――――――、

【――注文したのが五つの子供でも飲めそうな甘口のカクテル。“りん”とよく響く鈴の音と似た声は、店内にいれば聞こえるかもしれないし】
【それとちょっとした渇きものを頼んで。欲しいものを言い終えれば机に投げ出す両手、はにゃあと吐く溜息がひとつ】

【でもすぐに吐息を詰めて背中をしゃんとさせるのだった。何か用事でもあって来たような仕草、視線はきょとんと周囲を見渡し】
【耳を済ませて他のテーブルの会話を拾おうとしているのが見て取れた。それならきっと目立ってしまう、ただでさえ目立つ容姿は――】

【腰まで届く漆黒の髪の“少女”。耳に掛けた髪、ちらりと覗く耳元には、宝玉の欠片をあしらったピアスが煌いて】
【日になんて当たったことがないような白磁に鮮やかな黒と赤のオッドアイ、それが妙に浮き立って、でも、よく似合って】
【黒色のワンピースは右肩だけがレースで編まれた袖、ちょっぴりアシンメトリーな作りに、飾られた赤いリボンが映え】
【編み上げのサンダルは紐が膝ぐらいまで届く。じぐざぐに真っ直ぐな素足を飾るリボンも、靴も、また黒かった】

【(年上に見てやって大学生程度、素直に見れば高校生程度、まだまだあどけなさの残る少女は、幼い造形の顔をきり、と引き締めて)】
【(とりあえず頼んだお酒と、軽いおつまみとを待っているようだった。その間も、ぴんとアンテナは張られたまま、ずっと、)】

…………――、ミドナの情報、なんにもない……。

【――ほんの少し残念がるように眉を下げて呟いた言葉があった、それは、注文した品を待っている間の、ほんの一瞬】
【新聞は読んだし慣れないネットも弄ってみたし、でも目ぼしいものなんてなくて、一般に出回っているものぐらいしか、見つからなくて】
【お店(ここ)に来る用事はあるのだしと希望を掛けてみたのが今だった。それが、緊張しているようなその態度の理由であって】

【流石に頼んだものが来る瞬間だけははにゃーと表情を崩したりもするが、基本的には聞き耳を立て捲っている、怪しさマックスな地様子】
【どうみても未成年の飲酒にしか見えない状況もある、それなら、誰かの目に留まる可能性は多いにある、何せここは正義の足元】
【そんなの許さんだなんて言われたりしても仕方ないのかもしれない――だなんて余談。或いは、会話の内容によっては、彼女から釣れるかもしれなかった】

【(――ひたり、と。彼女は濃厚な水の魔力を纏っている、というのも、また、目立つ要因だった。原因は宝玉の欠片らしいが、)】
【(少女がそんなものを持っているというのでまた違和感。ほんとうに、違和感が服着て歩いてるようだ――なんて、)】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/16(月) 21:48:15.71 ID:7fYf9u54O
>>196

………………ん……?

【不意に何かが当たったのなら、老人はそちらと視線を向ける】
【そこに居るのは一人の少女、この場には少しばかり見合わない様な格好】
【それでも老人は微笑んで、決して拒むことはしなかった】

いえいえお気になさらず。此方こそ、邪魔になってしまいましたかな……?
しかし、こんな時間にお一人で……? お嬢さんに夜道は少し危ないと思いますが……

……ああ、これは失敬。余計な心配でしたな。

【許すどころか、逆に少女に対して「邪魔になりましたか」と伺ったり、まるで親のように少女の心配をしたりする老人、随分と人が良さそうで】

……ところで、心配序でに少々お聞きしますが…………
その袋の中身、差し支えなければ教えて頂けませんか……?

【だからこそ少女の持つ袋、その中身も気になって】
【それは少女が持つには不自然で、自警団でもあればまだ納得は出来るのだが、どうもそんな風ではなさそうで】

/YES、居ますです!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/16(月) 21:55:49.97 ID:hM/DPvyyo

【街外れ・草原】


――――きょうは、月が、綺麗だから……、


【そんな、陽気な歌声の通り――――雲ひとつない夜空で大きな月が胸を張っていた。眩い月の光は宵闇を打ち消し、誰もの道行を照らしている】
【だが大きすぎる光は、かえって周りのちいさな星々の光を見え辛くしていた。代わりに月光を反射した草露が、地上の星のように咲いているけれど――――】
【役目を奪われた本物の星たちは寂しげに、誰にも知られず輝くだけ。……そしてそれは、この少女も同じであった】

【か細い声でたどたどしく歌っているのは、その星々のように簡単に見落としてしまいかねないほど、ひどく存在感に欠ける少女であった】
【雪のような肌には疵一つ無く、肩口で揃えた髪はまるで天蚕糸を束ねたよう。双眸すらもごく薄い蒼に染まるのみで、およそ色素というものが抜け落ちた外見だ】
【あまりにも白すぎるがゆえ、無色透明にすら見える少女――――歌うのをやめてしまえば、そのまま暗い草原色の中へ消え入ってしまいそうである】
【しかし、そんな浮き世離れした風体をしてはいるものの。よく見れば、肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧な三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められており】
【服装も空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダルという可愛らしいものだ。人間味を感じる要素も、微かばかりは存在して】


わたしといっしょに、踊りましょう――――……、………。


【耳を澄ませば聞こえるちいさなちいさな歌声が、少女に気づくための唯一の手掛かりだ。どうにか歌を聴き取って、さらによくよく目を凝らして周囲を見渡せば……】
【草原の隅っこのほうに、背景に溶けるようにして座り込んだ透明色を発見できるかもしれない。……少女はなにか、紫色の花をつついているようだ】

【どういう意図でここにいて、そしてなんのためにそんなことをしているのかはわからないが――――その口元に、ごく淡い笑みが浮かんでいるところを見るに】
【少なくとも、楽しそうにしていることだけは確かである。だから、例えば誰かが近づいてきたとしても、すぐには気づかないかもしれなくて――――】
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 22:08:35.45 ID:j/WQsdaFo
>>198

【老人の態度が柔らかい物だと分かれば、少しだけ、安心した様子を見せて】
【寧ろ、人の『良すぎる』態度に困惑したように──苦笑いする】


あっ、いえ…、…邪魔なんて、そんな。
──少し買い物に時間がかかって、気付いたら、この時間だったんです。

【この少女──表情の変化には乏しく、物静かな方には見えるが】
【尋ねられたことには素直に答える。 ――夜風に揺れる黒い髪を、軽く左手で押さえて──、】



 ── 、 どうして=@、ですか?


     【 双眸の奥、殺気≠ェ一瞬 】



…、… あっ、。 ──すいません。
ちょっと─、─、『護身用』の銃を。 ……最近、『物騒』なので。


【「機関とか」、と、少女は付け加える】
【──だが、先刻の『殺気』。 …、…老人が戦場≠ノ身を置いた事が有るなら、分かるだろうが】
【其れは確かに、『本物』だった。まるで、「何か」を警戒するかの様に、無意識≠ナ発されたそれだ】

【それと、“洞察力”に優れていれば気付くのが、もう一つ】
【「機関」──、その言葉を発した瞬間、彼女の瞳が僅かに揺れた】
【それがいかなる“感情”の発露から成るのか、というのは、想像の域を出ないが──】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/16(月) 22:39:34.68 ID:7fYf9u54O
>>200

ほう……買い物、それがですか………………

【袋へ視線をやるものの、彼は少女の反応をしっかりと感じ取っていて】
【彼女の言葉には何だか不思議な気配がある、普通の人間には感じられないであろう気配】

【一瞬の殺気も、か弱い雰囲気も、全てがそれに含まれる、如何に年老いていても、老人は確かにそれらを感じ取っていた】


………………ふむ…………君は、どうしてだと思う……?

私が軍人で、SCARLETの一員で、曲がりなりにも正義を掲げる者……
とでも言えば、満足して頂けるかな…………?

……まあ今は、此処で唯 茶を楽しむ、一人の老いぼれですがな。


【少女に対し、自らの身分を隠すつもりは全く無い、軍人なら軍人と正直に答えて】
【それが如何なる結果になろうとも、老人には後悔など微塵も無いだろう】

【それに何より、彼は少女がどんな人物だとしても 目の前のカプチーノの方が大切】
【一口啜ると、鞄を退けて相席にでも誘うのだろうけど】

/実に申し訳ないのですが、明日は早いので持ち越しか置きレスをお願いしたいのです。
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 22:44:31.19 ID:j/WQsdaFo
>>201
/了解です
/明日は反応できるか分かりませんので、置きレススレに返しておきますね
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/16(月) 22:48:12.26 ID:jOhawDRe0
【櫻の国。山の奥に存在する所謂秘湯】
【怪我や病、兎にも角にも不調の全てに効能の有るとされる其処だけれど。場所が場所故に人や妖怪があまり訪れる事も無く】
【然れど今宵は其処に一つの気配。詳しい者ならば、其れが妖狐の物であると感じ取れるだろうか】


「…………静かです………ね…………
今日は争いも無くて…………それで、とても…………平和で…………
ずっとこんな日が、続けば………良かったのですが…………」

【綺麗に畳まれ、岩場に置かれたのは巫女装束。なれば、この少女の職も其れから読み取れるし】
【気弱そうな表情からは、性格の方も窺い知れよう】

【今宵は月光も申し分ないだけの明るさがあり、星々だって辺りを満遍なく照らしている】
【立ち上る湯煙を辿って此処を訪れる者も居れば、少女の“妖気”を辿って着く者も居るであろう】
【理由は何にせよ、この場を訪れたならば丁度湯浴みをしている少女の姿を目撃する、なんて事になるが】
【少女の方が気付くのが早いか、相手の方が早いか。異なるのはその点くらいか】







【暖かな日が続く今日この頃。然れどその病院は昼夜問わず何時も患者が出入りしており】
【裏を返せば、それだけの者が通うほどに優れた場所か。怪我や病は勿論、呪い等々にも精通しているのだから不思議な話でも無いが】
【――――その、中庭。チョコレート菓子の入った袋を手にした乗った少女が居て】
【足が不自由なのか、座るのはベンチでは無く車椅子。汚れを知らない様な真っ白の髪と、額に生えた角】
【何よりも神聖な魔力を感じ取れるのだから、何も知らぬ者は少々近寄りがたい印象を受けるかも知れないが――――?】


「全く、教会の奴等もアホなのです。そしてちゆり達もアホなのです
私の足が普通通りだったら一回二回叩くほどにアホなのです
――――それにしても、グリースの馬鹿は遅いのです。今日は何か話す事があると人に伝えておきながら遅刻するとは…………白の翼を持つ者が呆れたものなのですよ

…………遅いのです、馬鹿。お前は蛞蝓なのですか。海に入って溶けて無くなれば良いのです」

【むっ、と頬を膨らまして一人愚痴る姿は歳相応】
【事情を知らぬ者が見たならば、少女が看護師か何かに叱られていじけている様にも見えてしまうか】
【本人はそんな事も知らずにただチョコレート菓子を食べており】

【もし、誰かがこの場を訪れたのならば。向けられるのは挨拶でも視線でも無く】
【罵倒だ。数瞬遅れて視線を向ければ、文字通り少女は目を丸くする事となるのだが】
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/16(月) 22:52:39.71 ID:7fYf9u54O
>>202
/ありがとうございます、では一先ずお疲れ様でしたー!
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/16(月) 22:55:46.18 ID:U0g7WQIlo
>>199
//まだいらっしゃいますか?
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/06/16(月) 23:04:36.39 ID:hM/DPvyy0
>>205
/こちらにおりますよー!
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/16(月) 23:08:31.83 ID:U0g7WQIlo
>>199
――今宵は星が輝けるから

【そんな少女を、少し離れた細い樹の上から見守る存在】
【月を背にした口から紡がれるのは小声の歌】
【もし少女にこの歌声が届いたのなら、この声を聴いたことがあると感じるかもしれない】
【それどころか、その歌っている歌詞すら、少女の歌をもじったものであると気づくかもしれない】

【樹上の影、それはまさしく異形であった】
【人間のような体に、灰色の狼の頭で、金色の目の下に朱色の隈】
【背中からは鴉のような真黒な翼、時折心地よさそうに揺れ動いていることから小道具ではないことがわかる】
【その体には篠懸、結袈裟、脚絆に赤い一枚歯の高下駄、そして赤い褌と変わった服装をしている】
【赤い褌と狼の頭以外は伝承に伝わる天狗と似たような姿かたちをしているとわかる――もっとも、少女が天狗について知っていれば、だが】

我と共に見守ろう――

【そして天狗に似た異形は樹上から飛び降り、見事に草原へとその下駄の歯を降ろす】
【かさりと下生えの草が踏まれたことに抗議するように声を上げる】
【だが、異形はお構いなしにサクサクと音を立てながら少女へと近寄る】

【……よく見れば、その手にはその姿に似つかわしくない白い紙箱が下げられている】
【紙箱には城をデザインしたらしい銀の装飾と小難しい文字がプリントされていて……】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 23:13:04.32 ID:j/WQsdaFo
>>203



 … えっ、… と──。


【──目を丸くするのは、罵倒をモロに受けた方も同じだ】


【中庭を通りかかったのは、黒のショートヘアに、黒の瞳。入院着のような、ゆったりとした服装を身に纏った少女だ】
【腕章には、“検査患者”の文字。 ――入院患者ではないのだろうが、それに準ずる者ではあるらしい】
【どちらにせよ、『人違い』には違いないだろう。流石に動揺したらしく、立ち止まって、双眸を彼女へ向けていた】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/16(月) 23:27:17.64 ID:jOhawDRe0
>>208
【普通ならば、其処で謝ったりするのだろうけれど。額に生える角やら纏う“聖”やらがこの少女が“普通”で無い事を存分に伝えてくれる】
【――――気まずそうな表情を見せたのは本当に一瞬だけだ。次の瞬間には、人に慣れない犬だとかそんな表現がピッタリな表情さえ浮かべて】


「えっと、じゃないのです!其処のお前なのです!
大体にしてこの時間に院内を彷徨くなんて非常識にも程があるのですよ!」

【ビシリ、と擬音が聞こえてきそうな程に勢い良く人差し指で指せばそんな言葉が矢継ぎ早に紡がれて】
【謝罪の言葉では無い。こんな時間に歩いている彼女が悪者であり、決して自分は間違っていないのだと非を認めぬ愚か者】
【眉間に皺を寄せて威嚇するが――――所詮は十代前半の者が見せる形相だ。怖い、の概念からはほど遠い】


「ふん。腹が空いてフラフラと彷徨っていたならばこのスパシーチェリ様が食べて居たお菓子を少し位分けてやっても良いのです
ほら、さっさとうんなりすんなり言えば良いのです!」

【然れど、流石に其れだけで終えるのはばつが悪かったのだろう。続いて紡がれる言葉はやはり素直で無いけれど】
【同じ時間に院内を彷徨き、果てには初対面の者にも罵声を浴びせる方がよっぽどの非常識】
【ふん、と得意げに差し出した袋からは甘い香りが漂って――――チラリと一瞥すれば、別に食べたければ食べても良い、と告げる様】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/16(月) 23:28:51.02 ID:hM/DPvyyo
>>207


………、………?


【ことうた≠ノ関して、少女の思い入れはとても強い。――――そのことはきっと、彼も既に知っていたはずで】
【なればこそ、この透明な少女をつかまえるために、うたを聴かせるというのは有効であった。どこか聞き覚えのある旋律を聴くやいなや、】
【少女は驚いたように立ち上がって、お菓子につられる子どものようにふらふらと音源に向かって歩き出す】
【いささか以上に危なっかしく、吹けば飛ぶような軽い歩調。それがすこし先の細い樹の上にたどり着くまで、そう時間はかからなかった】


――――あっ、ヤシオリ!


【そうして、透明な少女――――イクスは、樹の上の見慣れた異形を指さした。希薄な感情をうれしさの形にかき集めて、その名を呼ぶ】
【呼び声がいつにも増してちいさいのは、彼の歌をじゃましないためだ。もしも天狗がそのまま歌い続けるなら、イクスはそれ以上なにも言うことなく】
【静かに、そのうたに耳を傾けているだろう。そして歌い終えれば、まるで覚えたばかりの動作であるようにぎこちなく、ぱちぱちと拍手が鳴るはずだ】


いまの、わたしのうたにちょっと似てるね。とっても上手だったよ。
………? それ、なぁに?


【やがて天狗が木から降りて、こちらに近寄ってきたなら。イクスはふと彼の手にある紙箱の存在に気づいて】
【ちいさく首をかしげ、素朴な疑問を呈するだろう。見知った顔であるからか、その挙措は無防備きわまりなかった】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/16(月) 23:45:48.28 ID:j/WQsdaFo
>>209

【──恐らく、もう少し少女が『機嫌の良い時期』だったら、話は別なのだが】
【正直に言って、今の彼女は気が立っている>氛氈A目に見える物ではないが】
【例えば、信号が赤でも渡れるなら渡るだろうし、しつこいナンパには鉄拳を以て対処する】
【『何かが有ったとき』には、「攻撃的な方」に行ってしまう、そんな気分≠セった】



…、…この時間に中庭で叫ぶ方が、非常識だと思うけど。


【── 何が良いたいかと言えば、彼女は『笑って許す』選択肢を選ばなかったという事だ】


今の、人違いでしょ? ――なら、先ずは謝罪するのが筋でしょう。
私だから良かったけど、もっと荒っぽい人だったらどうするつもりだった?
その怖い顔で追っ払ってみる? それとも、お菓子で釣ってみる?
でも若し、それで相手が怯まなかったら、その車椅子で逃げるのかしら。随分速いのね。
……うんなりすんなり言ってみたけど、貴女の方からは?


【凄まじい『皮肉』の奔流である。――当然ながら、お菓子は受け取らない】
【表情に浮かべているのは、『無表情』。 怒りと云うよりも、『苛立ち』だろうか】
【はっきり言って、年下の者に対しての態度としては大人げない=z
【──子供同士ではなく、『大人に対しての喧嘩』の様な態度だ】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/16(月) 23:51:26.24 ID:U0g7WQIlo
>>210
【樹上から自分の名前を読んだ声に気づいただろう異形――ヤシオリはそっと木の下を見、口元をほころばせる】
【そして樹上から降りたヤシオリは、歌を続ける】

――空の下の風達も、木の葉に潜む露達も、星を隠す雲達も、迷える星屑達だろうと
みんなみんなで前を見据え、みんなみんなで共に歩もう――――

【そこまで歌い終えたヤシオリはぱちぱちと聞こえる拍手にまるで舞台上の歌手のように大げさに礼をするだろう】

よぉ、淡雪の歌姫、イクス嬢、元気だったか?

【そして、ついで声に出す元気か、という問いかけ】
【ヤシオリの方は元気としか言いようがないぴんぴんとした姿である】

ああ、イクス嬢の歌が綺麗だったからよ、ちょっともじってみたんだ
……元々の詩はイクス嬢のモノだからな

【どこか恥ずかしそうに頭を掻きつつ笑うヤシオリはどこか悪戯心のある少年のようにすら思えた】
【そしてイクスから紙箱について問われた彼は「ああ」と声を上げて紙箱を自身の視線の高さまで掲げる】

これはなぁ……美味しいスイーツの入った箱だ

【そういって見せる箱には『洋菓子シュー・ドゥ・ネージ』と筆記体で文字が書かれている】
【そしてヤシオリは草原に腰を下ろすとその箱を惜しげもなく開ける】
【中に入っていたのはさっくりと小麦色の小さな丘が三つ、それに綺麗にきめ細かい雪のような砂糖が降り積もっている】
【もし菓子の知識があるなら、すぐにシュークリームだとわかるだろう】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/16(月) 23:59:07.78 ID:jOhawDRe0
>>211
「な…………な…………ッ!!」

【車椅子の少女からすれば、大きく譲ったつもり。けれども所詮其れはつもりなだけ。一般世間から見れば我が儘な子供だ】
【故に、相手からの言葉を聞けばワナワナと震える――――が。理論の構築が出来ない子供に果たして反論の余地があるのかと問われれば答えは否】
【懸命に頭を絞ってはみる。言葉は浮かぶが……果たして、其れ等を武器にして彼女に立ち向かえるだろうか】

【弱い癖に自尊心だけは人一倍。この私が言葉で負ける筈が無いと焦れば焦るほどに言葉は思い浮かばない】
【――――彼女の言う通り『車椅子で逃げてしまえば』其れで終わる話なのだろうけれど…………そんな事、プライドが許すはずが無いのだ】
【「あぅ……」だとか「お前は、お前は……」だとか口から漏れるのは意味を成さない言葉ばかり】


「う、うううう五月蠅いのです!!馬鹿!あほ!!お前も十分荒っぽいのです!
私が居る場所に来たお前が悪いのです!!だから私が謝る必要は無いのです!!
大体にして何なのですか!私がこうして譲ってやっているのに、のに――――!!」

【彼女が大人ならばこの少女は紛う事無き子供。今は助け船を出してくれる者達も居ないのだから、己の力で切り抜けるしか無い…………が、そんな事が出来る筈も無い】
【従って、じわりと目尻に涙を溜めれば必死の反撃を試みるけれど。…………彼女からして、其れは反撃に思えるだろうか?】
【――――私が白と言えば白。罪と定めれば罪。そんな我が儘、通るはずも無い】
【ポロリ、と雫が頬を伝う事にも気付くと無く、必死に睨んではみるけれど】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/17(火) 00:11:37.89 ID:A7M4tuR0o
>>213


(──、しまった。)


【やりすぎた。 そう気付いた時には、スパシーチェリの瞳からは涙が落ちている】
【逆に言えば、涙を見てストッパーが掛かった訳でもあるのだが──どちらにせよ、同じだ】
【周囲から見れば、子供を泣かせている鬼にしか見えない】
【──それ以前に、普段の彼女は決して、子供が嫌いなわけでも無かったので、自己嫌悪が走る】


…、…わ、分かった。──分かったから。
ごめんなさい。言い過ぎた。……『わざと』言った訳じゃないのよね。
──ほら、泣かないで。


【一転、気まずそうな色を顔に浮かべると──彼女に近寄って、ハンカチを取り出し】
【零れる涙をそれで拭おうとする。 と、同時に、周囲を見回して】
【何処かにスパシーチェリの“保護者”でも居ないか、と探す彼女。 ……子供は好きだが、得手ではない】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/17(火) 00:17:42.19 ID:etmCNxvvo
>>212


わぁ…………、っ?


【ヤシオリに向けて拍手をしている間、イクスはずっと笑顔を浮かべているだろうか。自分のうたを覚えていてもらえたのが嬉しかったのか】
【……ただ、もともと感情の薄い少女である。自分が喜んでいるということすらも無頓着というか、自覚がない様子で】
【拍手し終えてヤシオリを迎えた後、イクスは軽く胸に手を当ててとまどっていた。ひととしての暖かさ≠ノ、ほとんど慣れていないみたいに】


うん………うれ、しい。きっとうれしいよ、わたし。
わたしが「淡雪の歌姫」なら、ヤシオリは――――えっと、えっと…………。


【それをちゃんと「嬉しい」という感情だと理解して、満足したように頷くことができたのは、たぶんちいさな成長であった】
【ヤシオリから貰った称号も、たったいま解したばかりの感情で受け取って。逆に、ヤシオリへ同じような格好のいい称号をプレゼントしようとしたけれど――――】
【見た目から受ける印象どおり、俗世と隔絶した生活を送っているからなのだろうか。どうやらすぐには適切な語彙が出てこなかった様子】
【最後には無表情になって考え込んでしまう。イクスが気の利いた台詞を言えるようになるには、まだもう少し時間がかかりそうだった】


………これ、わたし知ってるよ。「しゅーくりーむ」でしょ?
こっちのことば、あれから勉強したんだよ。さっきのうたも、ちゃんとこっちのことばで歌ってたでしょ?


【ヤシオリが紙箱を開けば、イクスは不思議そうにそのなかをのぞき込むだろう。……数秒間ゆっくり考えてから、「あっ」と声を上げる】
【ふつうの人には単なる無表情にしか見えなかっただろうけれど、ヤシオリにならわかったかもしれない。イクスはすこし得意げだった】
【こちらの世界についてあれから多少は知識を得たらしい。そういえば最初のうたも、例の不可思議な言語ではなかったはずで】
【……ただ、ヤシオリのとなりへ座り込もうとするイクスは、スカートという自分の服装を一顧だにしない。どうも一般常識はまだまだ身についていないようだ】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/17(火) 00:22:33.62 ID:DNR4qNSK0
【櫻の国には、自警団の訓練場を一般人にも開放する形で運営されている道場が点在している。】
【特異な情勢ゆえに事件が絶えないこの地では、護身術や簡易的な防犯式神の扱いを教えることが、ちょっとした小遣い稼ぎになり】
【将軍のお膝元である首都・天ノ原においてもそれは例外ではない。ここ暫くで、侍も「異国」の兵法を欲するようになった。】

【――というわけで、広く開かれた修練の間に、きょうは一際小さな少女の姿があった。】


しぃぃいぃッ、……、――はぁっ! たあーっ! せいやぁーーッ!!


【齢にして10くらいに見えるか。波打つ暗灰色の髪が140cmに満たない背丈の肩にかかっている。】
【格好はと言えば、水の国で流行している黒地に水玉模様のキャミソールワンピースの上に、ピンクの夏用カーディガンを重ねたもので】
【そこに、取ってつけたような探検家風のフェードラ帽を組み合わせた――何から何まで場違いな少女だ。】

【とは言えそぐわないのは見た目だけで、彼女は(今のところ)誰もいない部屋で至って真剣に鍛錬を続けていた。】
【ちょうど今も、式札と刻まれた呪文の力で動く極東のトレーニング人形――木人と激しい打ち合いをし、】
【相手がわずかに晒した隙と見るや、怒涛の勢いですくいあげるような左掌底と肋への右裏拳、そして追い打ちの蹴込みを叩き込んだところだった。】


……ふぅ。難易度「鬼」でこれなら、傷もだいぶ治ってきたってことかな。
わたしは休んでられない――雷の国だって、あんなことになってるんだから……。


【連撃のあと、一呼吸置いて残心を崩す。少女の目の前には、その二倍は重いはずの木人が転げていた。】
【まさしく手練という表現に恥じない手際。だが、淀みない拳足の運びに反して、その表情からは拭いがたい焦りと陰りが伺える――】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/17(火) 00:26:17.69 ID:MxOPmgFI0
>>214
【或いはまだ少女の高飛車な態度が保たれていたならば相手の“弱み”にでも漬け込めたのだろうけれど】
【生憎、未だ必死に言い負かしてやろうと考えて居る最中だ。もう勝敗は明らかであるにも関わらずめげないのは果たして美点か汚点か】
【涙を拭われはするけれど、新たに零れ出る其れも拭おうとすれば嫌々と首を振ってそのハンカチから逃れて】


「五月蠅いのです!!近寄るななのです馬鹿!!さっさとどっか行けば良いのです!!」

【大人の反応をして貰っているのに、子供の反応で返す。ズ、ズズ――――と鼻を啜ればそっぽを向いて】
【暫し、気まずい雰囲気が流れるだろうか。未だ彼女がこの場から立ち去らなかったら…………新たな気配が一つ近づいてくることにも気付けよう】


『いやー、悪いね。何かあの後色々と連絡が入っちゃってさー…………まあ、そう時間も掛かる事じゃ無かったし――――ありゃ?珍しいね、チェリ。お友達?』

【金色の髪を持った修道女だ。腰には銀色の双銃を提げているのだから何だか物騒だが…………敵意だとか殺意だとか纏う事は無く、寧ろ緩んだ雰囲気を持つ様な女】
【脳天気に話し掛けながら近寄るが――――何か異変にでも気付いたのだろう。二人に近寄って交互に顔を見遣れば、納得した様な表情】
【少女の性格からしてこの様なトラブルも一度や二度でも無いのだろう。故に苦笑を浮かべながら彼女の方を見れば、『悪いね』と小さく紡いで】


『あー…………うん。何だかこの子が色々と面倒を掛けちゃったみたいだね
まあ、子供のした事だから許して上げて――なんて事は言わないけどさ。事情は何となく掴めるし…………“お疲れ様”。コーヒーでも飲む?』

【初対面、にも関わらず。緩んだ笑みのままで差し出すのは冷たい缶コーヒーだ】
【受け取るにせよ受け取らないにせよ、事情は掴んでいる様だし――――態々何が起こったから泣いている、なんて事も伝えなくて良いか】
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/17(火) 00:38:20.45 ID:d+VEDaW9o
>>215
これは俗にいう替え歌に当たるのか……?
それともカバー……?

【イクスが軽く戸惑っている間、ヤシオリは意味のあるのかないのかよくわからない問いかけを自分にしていた】
【ほぼ無意識の内にイクスの頭をぽふぽふとその肉球で軽く叩こうとしながら】

そうか、喜んでもらえてよかった
っと、こういうのは閃きだ、無理に考える必要はないさ

【喜んでもらえたことに口を緩めつつ、今度は無意識ではなく頭を撫でる】
【そして、自身に何か称号を与えようとしているらしい少女に、無理につけなくていいという】
【曰く、こういうのはインスピレーションっていうやつだ、と】

そうだ、シュークリームだ、甘くてサクサクで……

【そう説明しながらヤシオリは星を軽く見上げ、涎を少したらした】
【すぐに気付いた彼は慌てた様子で口元を拭う、どうやら人よりよだれが垂れやすいらしい】

ああ、こっちの言葉で歌っていたな、、偉いぞ

【ぽふぽふと隣に座った少女の頭を撫でながらヤシオリは言う】
【そして「よっ」と声を上げるとイクスにシュークリームを手渡すだろう】

……イクス嬢、我は別に服装に興奮はしないが……
スカートだったか?それを履いているときはちょっと座り方を気を付けた方がいいと思うが……

【そして、そっと注意する】
【別にスカートの中が見えてもヤシオリはどうとも思わない――正確には見ても興奮や恥ずかしいとは感じないということだが】
【だが、世間一般で"狼"と称されるたぐいの男はそれだけでどうにかなってしまうかもしれないと思ったゆえの発言だ】
【――もっとも、スカートの中を見ただけでどうにかなるほど発情しているような人間はいないとは思うが】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/17(火) 00:39:44.78 ID:A7M4tuR0o
>>217

【先ほどの皮肉が嘘のように、──少女は、スパシーチェリの反応に動揺する】
【どっか行け、と言われても、泣き続ける彼女を置いていく訳にはいかない】
【さて、どうした物かと、その場で立ちすくんでみて──】


……ごめんなさい。私が泣かせてしまったみたいで。
悪気は──いや、違うわね。……私の方が悪かったわ。


【──現れた“修道女”。事情は分かっている風なのだが、少女は妙に律儀らしく】
【軽く事情を説明して頭を下げる。ゆるんだ雰囲気の修道女とは対照に、堅い表情だ】

【勧められた缶コーヒーに対しては、唇を軽く引き締めて、首を振る】
【つれない態度だが、『此方が悪いのに』、という意味だ。――尤も、無表情からそれは窺えないが】
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/17(火) 00:54:26.94 ID:MxOPmgFI0
>>219
『誰が悪いとかじゃ無いさ。あー……うん。強いて言うならチェリの性格に難があるんだけど
――――ふふ。律儀だなぁ……ほら、じゃあコレはボクからの好意。あの子と話してくれて有り難うってね

あんな性格だからさ。看護師達も手を焼いてあんまり話したがらないし…………此処の患者さん達だって態々凶暴な犬に近づく冒険もしないからね
そりゃ、悪気があってしたならボクだって色々考えるけど。泣いた後も一緒に居てくれた君が“そうした”とは思えないし』

【そう、この性格だから話し掛けてくれる者も居ない。看護師も付かずこの場に一人居たことを思い出せば――――その言葉が嘘で無い事も分かるだろうか】
【友人と呼べる者もそう多くは無い。気高く振る舞っては居るけれど、その事が余計に負のスパイラルを生み出している事にも気付かず】
【…………友が居なければ其れで良い。私は人間とは異なる種族、何故群れなければいけないのか。そんな考えを抱いて居たってまだ子供だ】
【何よりその事は僅かな言葉の遣り取り中で分かっただろうし、人一倍強がり――――否、寂しがり屋とでも記すべきか。子供と多く接していたならばそんな事も分かるか】


『と、言う訳で!君に拒否権は無し!あ、其れとも砂糖入りは苦手だった?
はいはい、謝る必要も無し!この子だってお菓子食べて寝れば次の日には忘れてるからさ!』

【彼女の断る際の態度を見ればクスリと小さく笑みを零して。その手を掴めば、無理にでも缶を握らせる事だろう】
【――――戻そうとした所でゆらりと回避するのだからそのまま手にしていた方が楽、か。要らなければ見ていないところなりで捨ててしまえば良いのだ】

【……未だ根に持っているのだろう。漸く涙は止まったものの、充血した瞳でキッと睨むのは少女。愚痴グチと文句を垂れる事も無く、ただただ睨むばかり】
【其れも修道女の窘めによって終わるのだが、やはりそっぽは向いたままの強情者】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/17(火) 01:12:54.82 ID:etmCNxvvo
>>218


いんすぴれーしょん………そうだね。うん、わかった。


【頭でぽふぽふ弾む肉球をくすぐったそうに受け入れながら、イクスは存外あっさり引き下がって、薄く笑った】
【……そういえばイクスが歌っているうた、あれは創作なのだろうか。だとすれば、「インスピレーション」という言葉の意味自体はわからなくても】
【こういうものは閃きが大事で、いいフレーズが出るかどうかは時の運――――そういう感覚は理解できるのかもしれない】


甘くて、さくさく…………そうなの?
………ねぇ、食べてみてもいい?


【シュークリーム自体は知っていたようだが、しかし食べたことはまだないらしい。涎を垂らすヤシオリをすこしだけおかしそうに見つめつつ】
【その味を想像して箱の中身をもう一度見る。……ひとたび気になりだすともう止まらないみたいで、涎を垂らしたりこそしないものの、人差し指を口元に持っていき】
【そんな子どもらしい仕草で、イクスは上目遣いにヤシオリを見ながら言う。そしてその願いは、間もなく叶えられることとなった】


え、へへ…………もうちょっと練習すれば、まえみたいに思いっきり歌えると思うの。
ありがとう、ヤシオリ。それじゃあ………えっと、『いただきます』。


【どうやら、頭を撫でられるのは気に入った様子。体のてっぺんに暖かさを感じ、目を細めながら歌について語るイクスは、きっといままででいちばん幸せそうで】
【――――いや、すこし違うか。たどたどしく手を合わせて挨拶をすると、イクスは受け取ったシュークリームをひとくちに放り込んだ】
【「んん…………、おいしい、よ」と。柔らかい生地の舌触りにとろけるような甘みを受け止め、落ちそうなほっぺたを受け止めるように頬に手をやる】
【いちばん幸せ、というならばこの瞬間であっただろう。その透徹な肌に初めて、人間らしい赤みが宿ったような気さえした】


――――ヤシオリも、マスター≠ニ同じこというんだね。
ううん、よくわからないけど…………しょうがないから、気をつける。


【スカートについて指摘してやったのはいい判断だったはずだ。この少女のことだから、言われなければ絶対に気づかなかっただろう】
【特に恥じらいも感じていないのか、イクスは指摘された意味を理解できていないようだったけれど………ヤシオリが言うなら、ということでスカートを直した】
【――――『御主人様(マスター)』という言葉の示すところがなんなのかは、不明であったが】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/17(火) 01:13:37.14 ID:A7M4tuR0o
>>220

【修道女は、飄々としている様で案外、押しが強い】
【──、そういうタイプの人間には少女は弱いらしく、押し切られるように缶コーヒーを手に収める】
【しかしそれでもまだ、窘める修道女の横で、気まずそうに立ち竦んでいて】


(お菓子>氛氈B)


【そこでふと、修道女の言葉──「お菓子でも食べれば」、という言葉を思い出す】
【スパシーチェリはお菓子が好きなのだろうか。 なら、お菓子を持ってくれば機嫌を直すかもしれない】
【…、…あそこまでの皮肉を吐いたにも関わらず、愚直なまでに素直な思考が脳を巡った次の瞬間】


 ……、ちょっと待ってて。


【──突然、中庭に面した病棟の壁=Aへ、走り出した】

【走行途上、懐から取り出すのは、二本の“黒いナイフ”】
【それを、壁の二点≠ノ投擲して──、驚いたことに、それは“コンクリートに刺さる”】
【壁から数メートルの時点で、少女は足に力を込めて ――、】



  ―― ッ。

【──跳躍=z


【飛んだ体。右足が向かうのは、下方に刺さったナイフ>氛泄ミ足で、再度跳躍】
【更に“上方のナイフ”に飛び上って、左足で更に跳躍。中空に少女の白い足が躍動する】
【──服装が服装なので、相当きわどい所まで下からは見えるが、気にする性質でも無いらしい】


【結果──彼女が辿り着いたのは、三階の病室の窓=z
【開け放たれた窓から中に入ると、すぐに再び顔を見せ、同じようにナイフを足場に降りて来ると──】



…、…ふぅ。 ――、これで、許して貰えないかしら。


【軽く袖で汗を拭ってから──差し出すのは、羊羹=B一本丸ごとである。】
【物凄くシュールな光景だが、彼女は意に介する様子も無く──「あそこ、私の病室だから」、と】
【誰もその点に関しては気にしないだろうことを、無表情で告げていた】
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/17(火) 01:34:57.06 ID:d+VEDaW9o
>>221
そうそう、閃きとかが大事だ

【即興で歌を歌ったりするヤシオリはそういった閃きを大事にする】
【薄く笑ったイクスがそういったことを理解してくれたと思い、ヤシオリは一つ安堵する】
【イクスが歌う歌が創作だろうが何だろうが、ヤシオリにとってはイクスの詩である】

そうだ、甘くてサクサクだ
ああ、でなければ見せないさ

【涎を垂らしていたのを隠すように、普段の二割増しほど凛々しくしながらイクスに言い聞かせる】
【まるでこの世の真理、至福のように】
【そして凛々しくしながら差し出す、これがシュークリームでなければとても凛々しかっただろうに】

そうか、なら思いっきり歌えるようになったら一番に聞きに来ないとな

【そう冗談めかしていうヤシオリ、しかし今回、いつの間にかいたことといい実際にそうしそうな雰囲気はある】

いただきますっと

【イクスが『いただきます』をした後に、ヤシオリも続いて言い、一口に口の中へシュークリームを放り込む】
【その顔の何たる至福そうなことか!この世のありとあらゆる不条理や理不尽、恐怖や悲しみ、全てを知らぬかのような至福の表情であった!】
【もし不幸な人が近くにいればその鼻っ面に一発と言わず二発三発と拳を叩きこみたくなること間違いなしである】
【そしてイクスのおいしいという発言に「そうかそうか、そうだろう」とでれっでれに溶けきった表情で答える、先ほどまでの凛々しさはどこへ行った】

服装の乱れは何とやら、だ
我はイクスがそんな乱れた奴だと思われてほしくないからな

【マスターという存在にまたどこかで首を傾げながらも今はそれを考えないでおく、奴隷やらそういった立場、とも思えない】
【今無駄に考えたって今この時間を楽しむ邪魔になるだけである、そう思い疑問をはるか果てに放り投げた】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/17(火) 01:39:42.74 ID:MxOPmgFI0
>>222
『まっ、そんな所。ボク等もそろそろ用事があるから移動しなきゃいけないけど――――』

【缶コーヒーが渡った事を確かめれば、別れの言葉を1つ告げて少女と共にこの場を立ち去ろうとしたが】
【――――待ってて、と言われれば無下にする訳にも行かず…………次の瞬間には、彼女の身体能力を目の当たりにする事となる】
【然れど指を咥えている訳にも行かない。“万が一”の事があれば不味いと背に翼を生やしてその後を追おうとするが――――その必要も無いと悟ったのは、彼女が一本目のナイフを足場とした時か】

【小さな溜息を一つ吐けば背に生やしていた翼も消して、後は向かえる結末を待つだけだ】
【やがて彼女が戻ってきたならば『あんま無茶しないでよね』何て言葉がジットリとした視線と共に送られるのだが】


『と言うかねぇ…………必要なら移動の手伝い位したし、そんな危ない事しなくてもボク等は気長に待ってたんだから―――――』

【其処まで言えば、言葉が途切れる。何故か。其れは彼女の思惑に気付いたから】
【ならばそれ以上言葉を重ねるのは野暮というものだ。少女の為にしてくれた事を非難するとはただの愚行】




【さて、差し出された其れをチラリと見遣れども手にする事は無く】
【――――ゴシゴシと目を擦ったならば、やがては其方を見遣るのだろう。未だ不機嫌な表情は消える事無く】
【感謝の言葉無く受け取るのだから少女らしいと言えば少女らしい、が】


「…………許してやらない事も無いのです。今回だけ許してやるのですよ
――ふん。怪我をしたらどうするつもりだったのです、バカ」

【ボソリ、と呟いた言葉。何処までも高飛車である少女は、ただ許す、とだけ】
【本来ならば先ず少女が謝らなければいけない事なのだ。其れも本人は自覚しているのだろうが――――言えない】

【小さな手では余る羊羹をしっかりと抱けば、代わりにと差し出したのは最初に見せたチョコレートの袋だ】
【今度はチラリ、と見るのでは無く。じぃっと、その目が見ていた】
【仲直りの印だとかそんな照れ臭い事は言えないから。代わりとして、好きなお菓子を共有する事でその事を示したいのだろう】
【――――受け取るも受け取らないも彼女次第。何か語ってやれば応えるし、無言でただ取った所で嬉しそうに笑むはずだ】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/17(火) 01:50:20.98 ID:A7M4tuR0o
>>224

【チョコレートを差し出され──少し、驚いたような顔を作る】
【機嫌を直してくれれば上々、と思っていたのだが。 ……どうやら、許してくれるらしい、と】
【彼女は少しだけ目の端を下げて、柔らかい表情になると、手を伸ばしてチョコを取り】


 ──、ありがとう。


【それだけを言って、修道女の方にも軽く会釈をすると──中庭の出口の方へ向かう】
【ナイフは夜闇に紛れて、既に見え辛くなっている。後で回収するのだろう】
【──呼び止めることが無ければ、彼女の姿はそのまま、建物の中に消えてゆく筈だ】
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/17(火) 01:57:21.32 ID:etmCNxvvo
>>223


うんっ、そうしたらきっと、いっぱい聴かせてあげる。
たくさん練習しなくちゃ………。


【誰かにうたを聴いてもらうことはイクスにとっても吝かでない。「人前で歌うな」という例の命令のせいで、いままでいちばん好きなことも出来なかったのだ】
【不慣れなこちらの言葉になるとはいえ、少女にとって自由に歌えることがどれだけ幸せか。幸せという言葉の意味すらよくわかっていなさそうだけど、】
【イクスはもう、うれしい、楽しい、という感情を覚えている。笑顔を浮かべる回数も心なしか増えている気がして……それは、いい兆候と思っていいはずだ】


ふふ………ヤシオリはいつも、楽しいことを持ってきてくれるね。
………あれ、そういえば。天狗さんって、シュークリームを買ってもいいの?


【――――ほら、また笑顔。格好いい表情から一転してとろとろの笑顔になった彼をからかうような笑いであるのが、そちらにとってはすこし気恥ずかしいかもしれない】
【自分もシュークリームの味を確かめつつ……そこで、ふと疑問。口にした内容はなんだかへんてこだったけれど】
【浮き世離れしたイクスが言うのもおかしな話だが、要するに。狼頭の天狗という異形≠ナあるヤシオリが、よくこのシュークリームを買ってこれたなぁと、】
【たぶん、そういう質問であるのだろう。お菓子を売っているのがたいていごくふつうの人間であることぐらいは知っているようだった】


乱れたやつ? ………うぅん、やっぱりよくわからないよ。なにが乱れて、なにがいけないの?


【イクスは女の子としてのたしなみどころか、そもそも恥じらいの意味すらもわかっていない様子であって】
【……この分だと、三つ編みにした髪もレースリボンもこのワンピースもサンダルも、自分で用意したものとはとうてい考えられない】
【着せたのは先ほどの『マスター』なる人間か、それとも他の誰かか。いずれにしても、もし本当にそうならば、ヤシオリの考えたとおり】
【とりあえずひどい虐待などは受けていなさそうで。その点は、……詳細がまったくわからない以上、まだ「おそらく」と付けざるを得ないが、安心してよさそうだ】
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/17(火) 02:05:36.94 ID:MxOPmgFI0
>>225
【後は別れ。特に言葉も無く今宵の出会いも終わる筈――――だが、此処で僅かばかりのイレギュラーが起きて】
【車椅子を押して何処かへと向かおうとする修道女を呼び止めたのは他の誰でも無い。少女自身だ】
【キィキィ、と後ろに続くであろう音。「おい、お前」何て尊大な言葉にもしも立ち止まってくれたならば】

【何か言いたげで、それで言葉に出来ない少女の姿が映るだろうか】
【カタチにするまで数秒。漸く言葉を発する事が出来たかと思えば、本当にか細いものであって】
【――――今宵は風も無い。しかもこの時間の院内となれば患者達の声も無い。だから、「ごめんなさい」の声も彼女の耳に届くか】


【それだけ言ってしまえば反応を見ることも無く、フンと鼻を鳴らして車椅子を半回転させる事だろう】
【赤らんだ表情は素直な言葉を吐けた証左。どことなく車椅子を漕ぐ仕草がぎこちなく思えるのは未だ緊張が残って居るが故】
【兎にも角にも、少女の姿も修道女の姿も直ぐに消える筈だ】



【後日。もし、彼女が断りさえしなければの話だけれど】
【沢山のお菓子を抱えて病室を訪れる少女の姿が見られるだろうか。素直で無いながらも体調を気遣ったり、適当に雑談でもしたりなんて事】
【その最中――――ゴーリェ・スパシーチェリ。己の名を告げ、「チェリ」とでも呼べば良いと加えたのだが…………】
【それは、もしも彼女がスパシーチェリの訪問を受け入れたらの話だ。もっと言えば、未だ病院に残って居たらの話】


/この辺りでしょうか……!お疲れ様でしたっ!
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/17(火) 02:16:41.31 ID:d+VEDaW9o
>>226
楽しみにしてるぞ、イクス嬢

【最初に出会った時よりずいぶん少女らしくなったイクスにヤシオリはどこか安堵を覚える】
【人間の形をした人形、精密なお人形、自分の意思を剥奪された人間が、、この世界にはなんと多いことか】
【この少女は、今のところはそうはなりそうにない、そのことに、安堵した】

おいおい、なんだその表情は、うりうり……

【からかう様な笑顔であることを目ざとく見抜いた彼はその両手でイクスの顔を挟み込みもみくちゃにする】
【気恥ずかしさからの行動だが、やられる側からすればたまったものではない、いくら肉球があるとはいえ、だ】

ん?ああ、一応この翼と服装さえ隠せば狼の獣人って押し通すことだってできるしな
……まあ、獣人として押し通しても入れない店は結構あるんだが

【その場合はまた別の手を使うのさ、とヤシオリはいう】
【目立つ翼や服装を隠す方法の方が重要である気もするが、それを言う気はさらさらなさそうだ】

あー、風紀が乱れるっていうか……なんというかだな
そうだなぁ、イクス嬢は分からないかもしれないけど服装が乱れているとそれだけでイクス嬢を怒る人やイクス嬢を嫌う人が出てくるんだ
あとイクス嬢を襲って来たりな、イクス嬢は可愛いからなぁ、目を離したら連れ去らわれそうだ

【大まかに大雑把に説明するヤシオリ、一応間違ってはいない、正しいとも言い難いが】
【一般常識がないということはそれを知ることができない環境で育ったということになる】
【一般常識は教わるだけではない、見る、聞く、話す、そんな日常生活でも自然と学べるものだ】
【それがないということは、また奇妙な幼少期を過ごしてきていたのだろうか】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/17(火) 02:49:52.20 ID:etmCNxvvo
>>228

【楽しみにしているのは、こっちだって一緒なのだ。イクスからは「うん!」という、いままでに比べて元気のある返事が返ってくるだろうか】
【人間の形をした人形――――いまだって、見ようによってはそう見えてしまう。色を持たない人間なんていうのは、言うまでもなく異端であるから】
【透明なからだと同じくらい希薄な感情もまた、それを強調するように。……たとえヤシオリの前だけであっても、ちゃんと少女が人間らしく見えるのなら】
【人間らしく活きている≠謔、に見えるのなら、きっと幸せなことで。それは間違いなくヤシオリのお陰であるのだろう】


――――っ! ヤシオリ………、………ふ、むぇ??


【ただ――――この瞬間だけは。少女は人間よりも、人形に近いように見えてしまったかもしれない。ヤシオリの両手がイクスの頬を挟み込んだとき、】
【掛かった力がいままでより強めだったのがいけなかったのか? いきなり表情が消え、イクスのか細い腕がヤシオリの両手首を掴もうとしたはずだ】

【もし掴まれたのなら、とても少女とは思えない強い握力が手首へ掛かることだろう。……ただまあ、それも刹那のこと】
【柔らかい肉球が頬をぷにぷにと撫で回す、その行為に敵意≠ェないことを察したように。イクスはすぐ、先ほどまでの純朴な様子に戻る】
【くすぐったそうに目を細め、頭の上に疑問符を浮かべて。態度の急変などまったく無かったかのよう、月白色の双眸がヤシオリを見つめていた】


そう、なんだ? だったらわたしでも、ちゃんとお買い物できるかなあ。
ところで………獣人ってなに? ヤシオリみたいに、動物さんなのに人間みたいな姿をしているの?


【自分がふつうの人間とはすこしちがう、ということは、ちょっとだけでも自覚し始めているのか。「買い物」という行為も経験がないらしく】
【ついでに、ヤシオリの言った「獣人」というワードがイクスの知的好奇心を刺激してしまったようだ。心なしか目が輝いて見えるかもしれない】
【「猫さんの獣人もいるのかなぁ」なんて、空想の翼を羽ばたかせる様子は、ごくふつうの少女に見えないこともなく――――】


それは………うん、やだな。
マスターからも言われてるんだ。わたしをどこかに連れ去ろうとするひとや、襲ってくるひとがいたら――――殺せって。
でも、無駄な戦いや無理な深追いは避けろって、そうも言われてるの。命令は守らなくっちゃ………。


【そう、イクスもまだまだ局所的ではあるが、少しづつ「ふつう」を学んでいるのだ。――――確かに、そのはず、であるのだが】
【少女の表情に一切の変化は見られない。ヤシオリに疑問を投げかけるのと同じ素朴な口調で、ソレは「殺す」なんて言葉を口にする】
【思い返せばつい先ほどの態度の急変、あれはもしかして。一瞬ヤシオリに「襲われた」と誤認し、「殺せ」という命令を実行しかけた……と、】
【あるいは、そんな按配であったのかもしれない。……命令の内容の異常性も、その命令に疑問を持たず従おうとする異常性も、イクスは認識していない】

【彼女は前に「昔の記憶はあいまい」だと言っていたが――――これは幼少期の生活のせいなのか、それともいま、この時代で受けている影響であるのか……】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/17(火) 03:13:40.08 ID:d+VEDaW9o
>>229
【その闊達な声にヤシオリは笑顔を浮かべつつ頷くだろうか】
【この少女が一体何者なのかヤシオリには分からないが、ヤシオリはそこに問題点を見出すことはないだろう】

あいたたたた……イクス嬢、なかなかに力が強いなぁ
すまなかったな、痛かったか?

【少女とは思えないような握力で手首が握られ少し痛そうな表情で謝る】
【同時にそこまで嫌だった、もしくは痛かったのだろうかと内心しょげ返る】
【人形みたいになるほどに嫌だったのかなぁ、と表に出さずに考えるものの、特に深く思い悩みはしなかった】
【代わりに今度は頬をつつくことにしたようだ、右手の肉球でふにふにと、まるで反省していない】

イクス嬢は……どうだろうなぁ、ぼったくられそうだなぁ……

【これは正直な感想、あと幸せを呼ぶ壺とかも買わされそうとヤシオリは思った】
【「ぼったくる」というのは普通よりかなり高い値段でモノを買わされることだと解説を添えながらイクスが買い物をしているところを思い浮かべた】

ああ、獣人はなぁ……動物と人間の両方の特徴を持つ、みたいな感じだ

【獣人なんて一言で言っても様々ある、獣の耳や尻尾を持つだけ、というのもあればヤシオリのように獣が人間の体格をしているというのもある】
【果てには二足歩行の獣も含まれたりしたりしなかったり、そんなものを完璧に説明しろというのもまた無理な話で】
【あいまいな表現でごめんな、と謝りつつも「猫の獣人は結構多いんじゃないだろうか……」という】

……うーん、殺す、かぁ
イクス嬢、殺すとかは人前であまり言ってはいけない言葉だ――その言葉はそれだけで人を傷つける刃になる
殺すことが悪いこととは言わない、でもな、イクス嬢、殺すことは、その命の重さと同等の咎をずっと背負い続けることになる、それを覚えておくんだ

【この純朴な少女から紡がれる「殺す」という言葉――それは短いながらも最も悪質な言葉】
【相手を傷つけ、自分の価値を下げる、誰も救われない言葉】
【この少女に"命令"した人物も、この少女も、異常性をはらんでいる、とっくに気付いてはいたが再確認させられた】
【だからと言って接し方を変えるつもりは到底ないのだが】

マスターがどう言ったかは知らない、でもな、人を一人でも殺せば、最後には自分を殺すことになる
背負った罪に圧し潰されて、逃げることもできないままに、な

【人が背負える命の重さは自分の分だけなのだと、天狗は、言った】
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/17(火) 03:17:04.47 ID:A7M4tuR0o
>>227

【若し、チェリが彼女の病室を訪れたなら、彼女は退院の準備をしている頃だろう】
【一度退院した後の、短期の検査入院だ。──若し、チェリが訪れたなら彼女は、荷物を纏める手を止めて】
【自らの名前を『初』と名乗り、軽く目尻を下げて、雑談にも応じる】
【それから、携帯電話の番号でも教えるのかも知れないし、甘い物を出す店の話でもするのかも知れない】



  【──だが総ては、if≠フ話だ。】
  【確定的な未来など無く、事象は過去と化した時点でしか事実とならない】
  【チェリと初の未来が規定路線に乗る為には、一つ、『前提条件』が満たされる必要がある】



【 ──数時間後。同病院。屋上。】


【──朝焼けに伸びる複数の影。】
【彼等が身に着けたコートの背には、カノッサ機関≠フ紋章──、】
【風切り音の中、彼らは向かい合い、ほぼ同時に声を発した 】



『──、フルーソ公営美術館所蔵シューラム作『天子の産声』風八つ裂き=x

「──、櫻国作家飯田六蔵著『天野原物語・第二編』風首吊り=v



「『 ……じゃんけんぽいっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。あいこでしょっ。
   あいこでしょっ。あいこでしょっ。   ――― 、  』」




【 カノッサ機関『ナンバーズ』 シャムウィクティ兄弟=@】


【 専門は対個人暗殺=z
【 彼等は国家単位の脅威でも無ければ、無辜の一般人を徒に弑する異常性癖者でも無い】
【 美学は最小限度の虐殺>氛氈A標的と、標的抹殺の障害のみを『この上なく惨たらしく』、殺害する】
【 最小の殺人で、如何に機関への畏怖≠ニいう『効果』を与えられるか。 ――、それを、追及する】



『  「  …、…あっ。  」  』


『「 ── 、じゃあ、行こうか。 」』



【彼らの襲撃から、彼女が逃れられたなら──、総ては、それからの話、だ】

/お疲れ様でした
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/17(火) 03:47:19.09 ID:etmCNxvvo
>>230


ううん、だいじょうぶ。
………なんだろう、これ。わたし…………。


【ヤシオリも、そしてイクス自身も、わかってはいないが。この件についてはヤシオリに非はなく、ただイクスの心の奥底にこそ問題がある】
【ただ……なんにも思っていないわけでは、ないみたいで。痛がってしょげるヤシオリを見ると、イクスは僅かに目を見開いて胸に手を当てた】
【――――ともだち≠、イクスは疑って、傷つけたのだ。ほんのすこしだけ動揺の色が加わる瞳に、無意識ながらもその事実を感じたのかもしれない】

【しばらく、こんどは十数秒考え込んだあと、イクスは「ごめん、なさい?」と自信なさげに謝る。こういうときはそう言うものなのでしょうと、その知識だけを付随して】
【なにが悪いのかまったくわかっていないのだ。……ただ、自分がなにか悪いことをしたのだ、ということに気づけただけ、それでも上出来だったかもしれない】


ぼったくられる? そうかなぁ? 
…………会ってみたいなぁ、獣人さん。


【……この調子では、買わされそうというか間違いなく買わされる。その辺りは『マスター』とやらがうまく制御しているのかもしれない】
【ぽわぽわとした雰囲気は人形じみているが、ヤシオリの説明に想像を膨らませる横顔は、まだ人間にも見えた】
【獣人や、ふつうの人や。ここでヤシオリと出会ったように、もっともっと多くのモノと関われば、イクスもすこしは変わるのだろうか――――?】


――――咎? 罪? ……わからないよ。どうして? なんで?
命令には従わなきゃ。ヤシオリに命令しているひとはだれ? それともヤシオリは、誰かに命令するひと?

殺すの。命令だから、殺さなくちゃ。人を殺す。………自分を、殺す―――――――?


【ヤシオリはきっと、優しい。落ち着いた口調で冷静に言葉を掛けられただけでこの様子なのだ。イクスを怒鳴りつけても混乱するだけだっただろう】
【この世は、命令する人間と命令される人間で出来ている――――イクスの中では、そうなっているらしい】
【乱雑な疑問をヤシオリに投げかけながら、殺す、殺す、殺すと呟いて。……呟くたびに、さっき抱いた感情が蘇ってくるようだった】

【やがて、イクスの顔から表情が完全に消える。双眸がここではないどこかへ向けられる。これではもう、ひとには見えない。ひととは言えない】
【氷づけになったように、そこにあるだけのモノと化して。ただひとつだけ、有機的な変化が見られるとすれば】
【見開かれた瞳だ。いまか、昔か、未来か。どこに向けられているかわからない透明な瞳、その中に、ほんのすこしだけ蒼とはちがう色があった】

【……人形(イクス)は、停止したままだ。それに干渉して人間(イクス)に引き戻してやれるのは、いまこの場には、ヤシオリしかいない】
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/17(火) 04:08:42.84 ID:d+VEDaW9o
>>232
そうか?ならいいんだが
ま、我にも非があるからそんなに気にする必要はない

【ぽふぽふと頭を軽くたたきながら、謝る声が聞こえたなら「別に気にしてない」と答えるだろう】
【本当に気にしていないのか怒ってもいないし気遣っているようにも見えない、こればっかりは自分と向き合わなければならないだろう】
【どうにもイクスの思い通りにならない"イクス"がイクスの中にいるような気がするヤシオリであった】

ぼったくたれるだろうな、イクス嬢はそこらへん弱そうだ
まあ、探そうとすれば探せるだろうな

【ほぼ断定の口調で言ったのは今ここで否定しないからである、疑問を抱いているようでは破産するまで買わされそうである】
【とりあえずヤシオリが想ったのは人間だから、獣人だから、そういう固定概念を持たないでいてほしい、そういう、ある意味不可能な願いであった】

イクス嬢、我は命令する者でもない、命令される者でもない――この世界にはそれ以外の人間がいっぱいいる
あえて言うなら我は忠告する者だが……それでも何も我を縛ることはできないし、何も我は縛らない

イクス嬢、イクス嬢は人を殺したいのか?
命令とか一瞬だけ忘れて、イクス嬢はどうしたい?
わからないならわからない、存在しないなら存在しないでもいいんだ、わからないなら、存在しないなら探しに行ける、見つけに行けるんだからな

【そっと、その背中をさすりながら、ヤシオリはゆっくりと問いかける】
【イクスは何をしたいか、人を殺したいか、それともわからないか、どれでもいい】
【"人形"が生きるのに必要なのは命令だ、"人間"が生きるのに必要なのは道標だ】
【命令というモノを取り除いた"イクス"、その中に自らがどうしたいかという"道標"を立てる、この不器用な天狗はそれを行おうとしていた】

もし探しに行くのに杖が必要なら、灯りが必要なら、我がその杖となろう、灯となろう
だから……命令だけで生きるなんて悲しいことは言わないでくれ

【最後の呟きは、イクスの耳に届くだろうか、懇願のこもった、響きは】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/17(火) 04:44:53.71 ID:etmCNxvvo
>>233

【頭をぽふぽふ叩かれても、こんどは襲いかかったりはしない。普段と同じように、くすぐったそうに目を細めて受け入れる】
【……表情がすこし固くなってしまっているのは、まあ仕方がない。ヤシオリの考えるとおり、自分の中でけりを付けるしかないことだってある】
【まして――――たぶんこの少女は、他人に甘えることも、弱音を吐くことも、知らさそうだから】

【ただ、そういう無知だって悪いことばかりではないだろう。知らないからこそ知れるものもあるし、できる行動もある】
【ヤシオリに初めて会ったとき、イクスはその異形の相貌を見ても決して動じず、ごくふつうに接していたはずだ】
【人間だからどうとか、獣人だからどうとか。そういう不可能≠たぶん、この透明な少女は透明だからこそ、越えられるのだ――――】


………ちがう。わたしはイクス・ヴェーラ。命令に従う。それだけ。従わないのなら………、
ないの、なら…………う、…………あ、ぁ…………あぁあああ、ああっ!


【――――だけど。同じぐらいに悪い面も、この少女は持っている。そしていま、ヤシオリの言葉がそれを揺り動かしていた】
【ぽっかりと空いた孔のように空白と化した人形が、彼の言葉によって人間へと回帰した。……苦しみが、彼女を人間に引き戻した】
【突如として、イクスは頭を抑えてうずくまってしまうだろう。もっとも異変は一瞬で、すこし経てば元の無表情な顔がヤシオリをのぞき込むのだが】
【透明な肌に……青色が乗っていた。空虚の先でいったいなにを見てきたのか――――あるいは、追憶にでも身を委ねていたのか】


……………なにか、視えた、気がするの。
でも、わからない。あれがなんだったのかわからない。わからないわからないわからない。なんにも、わからないよ…………。


【視線を傾がせ、イクスはわからないわからないとしきりに呟き続けた。まるで、わかりたくない言い訳を並べているかのように】
【――――そこで、ピリリリリリ、という機械音が唐突にすべてを終わりにした。以前も別れの合図となった携帯のバイブレーション】
【時間切れ。帰ってこいという命令≠ナある。イクスは機械的な動作で携帯を操作し、くるりと踵を返してヤシオリに背を向け、】


でも――――でも、ヤシオリ。
ぜんぜんわからないけど、わたし。ヤシオリの言葉を「わかりたい」って思った、気がする。

だからね、それだけは…………わかった、よ。


【………終わりをわずかに食い止めさせたのは、間違いなくヤシオリの言葉であり。食い止めたのはおそらく、イクスという人間≠フ意志であった】
【命令を最優先にしてすぐに帰ろうとはしない。イクスは「イクス・ヴェーラ」という名前の人間として、振り返ってヤシオリを見る】
【きょうの再会は決して、無駄ではなかったのだ。イクスはいま確かに、自分のわがままで命令に逆らって、彼の返事を待っている】

【――――まだ、ほんのすこしの時間だけだけれど。最後に一言交わし終わったら、イクスは「ばいばい、またね」といって去っていってしまうだろうけれど】
【道標と呼べるほど確かなものではないにせよ、イクスの心の中に何らかの楔が打ち込まれた。消えていく背中に、それぐらいは期待しても大丈夫なはずだ――――】


/時間も時間ですのでこの辺りでっ
/お付き合いありがとうございましたー!
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/17(火) 05:18:19.09 ID:d+VEDaW9o
>>234
【傷のない人間などいない、いたとすればそれはまた大事に大事に箱の中に入れられて育った人形】
【傷つくことも、苦しむことも、また生きる上では大事なのだ、そう、天狗は考えていた】

【無知とは、この世界で最強の盾であり、最強の剣、最強の矛だ、同時に、最弱でもあるのだが】
【ヤシオリという異形を見ても動じない、それは素晴らしいことである、だが、もしヤシオリが害意を持っていたならば?】
【人間だから、獣人だから、それを超える透明な少女は、いずれ"変革"をもたらすのだろう、その変革はいいのか、悪いのか、それは分からないが】

…………大丈夫だ、我はそばにいる

【苦しみは生きる力、糧となって、少女を"人間"として、生きさせるだろう】
【ヤシオリは、ただ小さくそう声をかけ、背中をさすり続けた】
【そして、再びあの無表情が覗き込んでも、ヤシオリは動じることはなく、ただ見据えた】
【彼女が見た、感じたものを、零さないように】

わからなくていいんだ、わからないのなら探せばいいのだから
でも、今ここにいる、"イクス・ヴェーラ"は、今、ここにいる

【そうささやき、二人を裂く機械音、無機物が生者の邪魔するとはまた変な話である】
【そして、くるりと踵を返したイクスにヤシオリは不安そうな目を向ける】
【しかし、その目は次の瞬間見開かれることになる】

……そうか、わかったか
ならいいんだ、なら、大丈夫だ

"イクス・ヴェーラ"嬢、我は天狗であると同時に、迷ったものを導く送り狼でもあるからな
もし迷ったら我が名を呼べ、ヤシオリ、と

――弥咫折、と

【そういって、その瞬間ふわりと風が吹いたかと思うと、ヤシオリ……弥咫折の姿はどこにも見当たらない】
【ただ、イクスの別れの言葉は、確実に弥咫折に届いただろう、理屈ではなく、そう感じるに違いないだろう……】

//はいな、早朝までお付き合いいただきありがとうございました!
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/17(火) 19:21:22.92 ID:ElJHUzNKo
【公園】


「…………はぁ。どうしたものかの」


【古い街灯がチカチカと光る夜の公園】
【中央付近に備え付けられたベンチに座る小柄な人影があった】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


【その人物は、顔を俯かせながら何か考え事をしている様子で】
【「むぅ」だの「うぬぅ」だのといった意味もない文字を板上に記しては消して】
【落ち着かない風に、足を宙にぷらぷらとさせる仕草をしていた】


「英雄……か。どうすれば後一歩……踏み出せるのだ?」
「きっともう、あんまり時間は残っていないのだ……う、むむ……」


【一人思い悩む、小柄で奇妙な格好をした人物は】
【手元で"緋色の鷹"を模したデザインのワッペンを弄びながら、ただ無為に時間を過ごしていた】
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/17(火) 21:05:28.22 ID:a9dNA45Ao
>>181
/舞台裏で連絡してしまったので行き違いがあったら申し訳ないです!
/こちら体調が整わない状態でして、すみませんがこちらが逃げた、という形で補完いただけると有難いです
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/17(火) 22:20:40.72 ID:MxOPmgFI0
>>216

【――――少女が息を整え始めた頃。後ろの方で、その鍛錬の様子を見ていた者の存在に気付けるか】
【藍色の髪と、同じ色の瞳を持った少女の姿。歳は16、17と考えるのが妥当か】
【乱れなく纏った軍服と制帽とは話さずとも少女の性格を表すよう。少し視線を下げれば腰に提げられた軍刀に気付くかも知れないが…………何より特徴的なのは眼帯か】


「精が出るでありますね。お疲れ様でありますよ
大分激しく動いていた様でありますし、そろそろ一度休憩を挟んだ方が良いと思うであります
過度な鍛錬は身体に毒でありますからね」

【その口調からして軍人なのだろうか。よく見れば、腕章を通しており――――彼女ならば其れが自警団所属の者の証である事も分かるだろう】
【更に加えれば、“SCARLET”所属を示すバッヂも付けている】
【――――詰まる所、正義の徒である事に間違いは無い。少女が鍛錬に打ち込んでいる所を見て、つい口を挟んだといった具合か】


「良かったら水でも飲むでありますか?
生憎、甘い物の類は持って居ないのでありますが…………」

【少女の背丈に対し、軍服の少女は150強といった所か。微笑みを浮かべながら話し掛ける様子は年上らしく――――否、お姉さんらしくの振る舞い】
【無駄に警戒心を抱かせないようにする為でもあるのだろう。まだ未開封のスポーツドリンクを其方へと放り投げてみて】
【…………受け取るのも受け取らないのも自由。何にしたって其処に転がる木偶に気付けば、「ほへぇ……」何て感心したようなしかし間抜けとも思える様な言葉を吐いて隻眼を丸くするのだから】
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/17(火) 23:09:56.24 ID:DNR4qNSK0
>>238

【声のほうに振り向くと、そこには物々しい軍装の影。何事かと、少女は一瞬身構えたが】
【少しばかり相手の姿を検分していると、そこに《SCARLET》の徽章があることに気付いて、あっさりと警戒態勢を崩した。】


ん、まだそんな疲れてないのに……でも、これ以上お人形遊びをしてても仕方ないのはそうかあ。
さしあたってこの道場じゃ免許皆伝ってトコロだし、ちょっとお休みしようかな。


【少女は道場の畳の上に胡座をかきながら、カチカチの軍人口調で喋る貴女を興味深そうに見つめた。】
【こういうのって、どこにいても染み付いて取れないものなのだろうか。】
【教練の仕事を頼まれてるのかもしれないけれど、もっとフランクに言ってくれてもいいのに。ちょっとばかり、距離を感じる。】


えっ、いいの? ……ありがと。
なんだか知らないけれど、心尽くしだね。
……というか、初対面だよね?


【それでも気のいいお姉さんのように振る舞われると悪い気はしなくて、笑みが溢れる。スポーツドリンクも受け取ることにした。】
【ひょいっ、と雀を叩き落とそうとする猫のように手を伸ばしてキャッチ――】
【感謝の言葉を告げて、蓋を開ける。そして飲むが、自分で思っていたより身体は疲れていたのか、想像以上に塩気を感じた。】


【ところで、貴女は木人の存在に気付いた。もしも、このままその半径1mくらいにまで近づこうとしたなら】
【人間で言う口にあたる部位が「ぱかり」と開き――あなたの顔面に、吹き矢を放とうとするだろう!】
【吸盤状の柔らかい鏃で額を狙うため、回避できなくても「面白い」くらいで済むが――初見殺しの最後っ屁まで用意しているとは、これまた意地悪い練習相手だ。】
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/17(火) 23:34:52.64 ID:MxOPmgFI0
>>239

「初対面であろうと無かろうと、人当たり良くするのが正義の徒の務めであると私は考えているでありますよ
ですから、特に気にする必要は無いであります。其れに、瑛月殿――――ああ、SCARLETの方も恐らく同じ考え…………だと、思うでありますから」

【正義の徒であれば誰にでも隔たり無く接するべき。その口調こそが、何より軍人らしい距離感を覚えさせるかもしれないが…………無自覚なのであろう。直される事は無く】
【初対面か?その念押しの様な言葉には然りと頷いて。根は優しいのであろう。誰に指示されるでも無く、少女へと飲み物を支給したのだから】

【さて、木偶は役目を果たした。ならば何らかの行動でもしない限り動く事は無いのだろう――――そう思ったのが命取り】
【果たしてどの様な練習相手であったのか確かめようと近寄るのだが…………その最中、口が開き】
【はて?と首を傾げた次の瞬間には思いっきり仰け反る格好となった。何事かと見てみれば、額に矢が引っ付いた状態のその者を見る事となるだろうか】



「び、ビックリしたでありますよ……ッ!!と言うか、木人としての務めを果たしたならばせめて安らかに眠っていて欲しいであります……
全く、巫山戯ていると言うでありますか、何と言うでありますか…………」

【『キュポン』の音と共に矢を額から外したなら、恥辱に顔を歪めて床へと放り投げるのであろう】
【――――軍人たる者、不測の事態に対処できないのは何とも情けないと言い表すべきか】

【しかし、だ。仮に少女が一連の流れを見ていたならば――――そして、見極めるだけの力があったならば分かる事】
【それは、軍服の彼女が確かに矢が向かってくる所を“見切っていた”のだ。冷静に脳内で処理をして、危険は無いと判断したからこそ避ける事も無く】
【言ってしまえば演技に近いか。人は反射的に危険から避けてしまうものだけれど…………中には、その反射を抑制できる者も居る】
【冷静さを欠けた途端に死が訪れるのが戦場。ならば――――この軍服の少女も、確かにSCARLETの其れを付けるだけの資格は持ち合わせていたのだろう】


「いや、凄いでありますね…………この様な不規則と言いますか、予測できない物を相手にするとは…………極めて実戦に近いであります
そう言えば、雷の国がどうとか言っていたでありますが…………何故、貴女がその様な事を知っているのでありますか?」

【何故避けなかったのか。それは非常に簡単な事だ。自分を下げて少女の価値を上げる為】
【然れど――――少女が全て見切っていたならば話は変わるだろうが。決して侮辱等々の意味が無かった事だけは確かか】

【続いて紡いだのは、少女の独り言だろう。雷の国と言えば先日の件。当然新聞やらでも取り上げられていたけれど――――何故、少女がその事に興味を抱いたのか】
【その年頃であれば正義に憧れる者も珍しくは無いが……少女の言葉は、其れとは異なる様にも思えたから。だからこそ、問うたのだろう】
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/18(水) 00:00:25.73 ID:SbGh5jnU0
>>240

……あっ。

【それ、危な――と口に出るより先に、木人の報いる「一矢」が軍装の少女の額に突き立つ。】
【しかしながら、カティアはそれが貴女の本気ではないことを理解していた。何せ彼女は「あの」SCARLET。】
【まともにやってあんなものに当たるようでは率直に言って怠慢。だから――】


――ちょ、ちょっと! あなた今さ、「これはあたった方が面白い」とか考えてたでしょー!
言っとくけど、天下の《SCARLET》がいきなり吹き矢で倒れたらわたし達めっちゃ不安になるからね!?
確かに面白かったよ? だって《SCARLET》が……ぷ、ぷぷっ……い、いや、びっくりした……あははっ………あっはっはっは!!


【――と言ってフォロー(というよりツッコミ)に回ろうとするのだけれど、結果は失敗。】
【相手がやって見せたのを複雑な気遣いではなく身体を張ったギャグだと思い込んで、ひとしきり呵呵と笑い続けててしまうのだった。】
【櫻の国の人がよくやるような奥ゆかしいコミュニケーションとは、なかなか難しいものである。】

【笑いの波が引くと流石に自分の間違いに気付いたか、ちょっとバツの悪そうな顔になった。尤も、それも何秒かなのだが。】


……えっと、そうだね。この道場は「ブシドー」の原点に立ち返って、油断なく死に物狂いで戦えって教えるところだから。
傷ついた獲物を前に舌なめずり、なんてサンシタ全開のことやってたらおしまいだぜ!――って言いたいんだと思うよー、このお人形さんもさ。


【気を取り直して受け答えする――が、雷の国のことについて聞かれると変な顔をした。】
【そりゃ知っているでしょう、と言わんばかりの澄ました表情で、少女は――】


だって、わたし自警団だもん。練習中だからバッジも腕章もつけてないだけだよ?


【――小さな姿からは想像もできないような事実を、貴女に告げるだろう。】
【カーディガンの胸ポケットに手を突っ込めば、そこからは確かに、水の国自警団の承認を受けた名刺が出てきた。】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 00:26:34.28 ID:P8GCIknQ0
>>241
【笑われたならば其れで良し。元より道化になるつもりで行った事なのだ】
【――――願ったり叶ったり、とは少し違うかもしれないけれど。それでも己の希望通りであった事に変わりは無い】
【……ただ、流石に其処まで笑われれば気恥ずかしくもなる。頬を掻けば、「面目ないであります」何て言葉を紡ぐけれど】


「ま、まぁ……そうでありますよね……相手は最後まで抗ってきても可笑しくは無いのでありますから、その考えを常に持たねばいけないでありますよね…………」

【戦場では命取り。常に心がけている事が、今度はハッキリとした形を伴って肝に銘ずる事となる】
【――――尤も、コレが万全な状態の木偶と対峙していたならば話も変わったのかもしれないが……所詮過ぎた話】
【何よりも目前の少女を喜ばせる事が出来たならば其れで良いかと納得して】

【己の問いに対しての答えを聞けば、キョトンとした表情でも浮かべて居た事だろう】
【自警団?まさか、これほど小さな子が…………と、頭の中では幾つかを同時に思考】
【憧れを抱き、将来の夢を語っているのだろうか。否、見た目とは異なり数百年と生きる者も居るのだから少女の言って居る事も間違いでは無いのだろうか】
【――――そんな事を考えて居れば、視線を下に下げた時に“名刺”なる物が映って】



「へ……?こ、これは失礼したであります!まさか同じ自警団であるとは思わず…………いえ
オラークル・スティンガー。見ての通り自警団兼SCARLET所属であります
――――自警団では同僚、でありますね。宜しくお願いしますであります
……しかし、熱心でありますね…………他の自警団も見習って欲しいものであります……」

【其れは謂わば手作りだとかその類で無い事を確認。だから、矢を受けて落ちかかる制帽を被り直し、改めて背筋を伸ばす】
【告げたのは自身の名と自警団、SCARLETに所属している旨】
【最後の愚痴は流してしまっても良いのだろうが――――兎にも角にも溜息を一つ吐いて】

【生真面目な性格だからこそ悩みも潰えない、といった所か】
【同僚と知るや否やボソリと零すのだからその気苦労も察する事が出来よう】
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/06/18(水) 00:38:57.02 ID:3mHPkRp1O
>>237
/了解しました、御大事にしてください
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/18(水) 00:57:09.66 ID:SbGh5jnU0
>>242

名刺に書いてあるけど、わたしも一応名乗るね。
――カティア・カルコシュカ、13歳、水の国自警団所属。
能力犯罪鎮圧ならびに、対《機関》任務を主に担当してるよ。オラークル、よろしくねっ。

【この少女――やはり、正真正銘の自警団員。しかも花形の(言い換えれば、いちばん危険な)部署の人間だ。】
【確かに先ほど木人をなぎ倒した時の手業をもってすれば、危険な犯罪者相手に立ちまわることも十分に可能だろうが】
【それにしたって、カティアは幼い。もしかすると、何か特殊な事情があるのかもしれなかった。】


ところで、同僚として認めてくれるなら、その堅っ苦しい喋り方はやめてみない?
あなた、人当たりよくするのが正義のつとめ! とか言ってたよね。
……別に、そういう方が喋りやすいって言うなら止めないけど……。


【お互いに名前と所属を確かめ終えると、上目遣いでオラークルの瞳を覗き込みながら、カティアはそんな提案をするだろう。】
【精々「おじさん」に見える相手には「さん」を付けるぐらいで、ちょっと年上に対して気安く振る舞いすぎなのはカティアの方なのだが】
【柔らかい応対について言及した口で、背中に定規を突っ込まれたように硬直した口調を続けられるのは気になったらしい。】


ん、わたしって熱心かな? 別に普通だと思うなー。

ただ……居ても立ってもいられない、っていうか。
ただでさえカノッサ機関のことは気になるけど、セードムシティはずっと占領されてたって聞くから……。
「ぎょーせい」の真ん中にまで踏み込まれてると、街をもいっかい始めるのも大変でしょ?
きっと、住んでる人はみんな不安なはず、……だから、わたしね、すぐにでも手伝いに行きたかったの。


【《SCARLET》のように、遊撃隊的な側面が強いチームに所属していれば別だったろうが】
【カティアには水の国という持ち場がある。一存で出向を決めてもらうわけにもいかない。】
【眼の前にある脅威に立ち向かう者が必要なのは事実。だけれども――という歯がゆさが、息継ぎの多さに滲んでいた。】

【――ただ、いくら印象的な出来事だったとはいえ、ここまで「セードムシティ」を強く気にするのは不思議に思えるかもしれない。】
【その辺りに踏み込むか、そっとしておくかは、全くもって貴女の裁量次第だ。】
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 01:18:08.33 ID:P8GCIknQ0
>>244

「むぅ…………しかし、そう言われてでもありますね…………」

【生まれ育った環境が環境であった。SCARLETや自警団に属す以前からずっとこの口調】
【確かに、カティアの様にもっと“普通の”言葉遣いを求める者が居なかった訳でも無いが――――今となってしまっては、逆にその普通こそが違和感を与える様になってしまって】
【頬に手を添えれば思案顔。どうにか努力してみようかと脳内で正してみるが…………やはり、馴染めない】


「やはり、この口調の方が話しやすいであります。生まれてこの方、ずっとこの口調だった故にどうにも他の方々の様に話すのは馴染めないのでありますよ
だから、見逃して貰えると有り難いであります

――――それにしても、やはり見た目通りの歳なのでありますね
中には純粋な人間とは異なった種族の方々が百何十だとか…………そもそもその姿自体が仮初めの方も居るでありますから、その様な方々かとも考えたでありますが……」

【私生活でもきっとこの様な存在なのだろう。私服らしき物も無く、大抵はカタッ苦しい軍装のままで過ごす】
【其れで散歩するだけでも犯罪者達を抑制できると考えれば、ある意味では良いのかもしれないけれど。少しだけ、寂しい様な気がしない訳でも無い】

【態々この様な少女が激戦区に入れられるとなると――――本人の強い希望か、それとも卓越した能力を秘めているのか】
【さて、今宵出会ったばかりなのだからまだその辺りは掴めないけれど。何と無し、ただ配属されただけで無い事は察する事も出来る】



「――――それにしたって、鉄の国や水の国、櫻の国でも同じ様な事は起きているでありますよ
勿論、カティアのその考えがどうの、と言いたい訳では無いであります
しかし…………やはり、何故其処でセードムシティの名を出したのかは気になる所であります
――……友人か家族が其処に居たのでありますか?」

【世の中はカノッサやGIFT等々、様々な脅威に晒されている。その中でも、何故態々彼女がセードムシティの名を出したのか】
【彼女が其処に関係しているならば納得も出来るが…………しかし、配属は水の国。ならば何故、其処に関心を抱くのか】
【――――考えてみれば不思議な話。だが、初対面の彼女に深く突っ込んで聞きすぎるのも気が退ける】
【「嫌ならば話さなくて良い」とだけ最初に告げればその関心の由来を聞いてみようとするが】
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/18(水) 01:52:31.94 ID:SbGh5jnU0
>>245

ううん。なんかお役所みたいで気になっただけだから、それが素のままなら別にいいよ。
正直言うと、生まれてこの方その喋り方ってけっこー気になりはするけど……。

【――いちばん気持ちが伝わるふうに言えれば、どんな口調でもそれが一番だよね、と付け加えて】
【オラークルに抱いていた些細な疎外感が氷のように解けたカティアは、にんまりと笑んで喜んだ。】
【拒絶されなければ、そのまま抱きついて相手の胸元に顔を擦り付けようとするくらいに。】


……でーもっ、もうちょっと可愛い服を着てもいいと思うよ!
せっかくきれいな顔してるし、こんないい匂いがするんだから……んー、すんすん……。


【といった具合にひと通りふざけると、カティアはまた、幾らか真剣な面持ちになって】


セードムシティが気になる理由? そだね……。
確かに、同僚に隠し立てするのはよくないなぁ。オラークルには教えてあげる……えいっ。


【掛け声と共に――貴女の目の前で、映画に出てくる冒険家のようなフェードラ帽を取り去るだろう。】
【暴かれた頭にあったものは、二等辺三角形の輪郭をした大きな耳。一対の、ネコの耳だった。】


驚いた? わたしね、自警団に身を寄せる前に、《機関》の奴らに身体をあちこち弄くられてるの。
それはもう「いでんし」のレベルでさ。だからこんなのが付いてたり、力だけでお人形さんを転ばせたりできるんだよ。

……それで、あの街にも、わたしと「いっしょ」の人たちが残されてるって聞いたから。
そういう人たちが、何もわからないまま追い立てられる前に、わたしに出来ることはあれば……って、思っちゃったんだ。


【オラークルの逡巡とは裏腹に、カティアは――少なくとも、動機に関わる部分については――洗いざらい話してくれる。】
【自分が機関の生体兵器であること。脱走し、その力を自警団のために使っていること。そして、セードムの実験体たちを気にかけていること。】
【貴女の瞳を仰ぐ眼の青い虹彩は、境遇を同じくする者達を救わんとする、強い決意に燃えていた。】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 02:25:16.35 ID:P8GCIknQ0
>>246
「でもでありますね…………周りの方々もこの様な口調でありましたから、私が周りと違うと思ったのも本当に最近の事でありまして…………っと」

【この口調で泣いたり笑ったり、其れはそれで中々にシュールな光景であろう。例え悪が相手でもよっぽどの事で無い限り、この口調が崩れる事も無い】
【――――ただ、話してみれば分かる事。根からの軍人気質、でも無いのだろう。もしもそうで在れば、先ずこの様な場所には訪れる事だって無いはず】
【何よりも少女に飲み物を手渡したり、何て事もせずただ事務的に話してお別れだった筈なのだ】

【急に抱き付かれれば流石に驚いた様を見せるけれど、避ける事も無く】
【“後頭部”を撫でてやれば気が済むまでそのままにさせるのだろう】



「へっ……?た、例え同僚であったとしてもその様なからかい文句は禁止であります!
全く……もっとこう、接し方にも節度を持ってでありますね…………」

【自分を褒められる事に免疫が無い。だから、からかわれれば顔を真っ赤にしてその言葉を否定して】
【ブツブツと小言を言いながらも決して不快な其れを表す表情では無いのだから、内心複雑といった所か】



「――――それは……獣人の耳、でありますか?
いや、でも…………カティラは獣人と言うよりも――…………」

【今の所会った事は無いが、世界には獣人を嫌う者も居るとの話を聞いた。なら、彼女の動機はそんな者達から仲間を守る為?】
【いや、その線は薄いだろうか。なら、何故。――――考えて居たって答えは出る訳も無い】
【藍色の隻眼でその耳を見ていれば、再び少女の口から真実が語られて――――……ふと、軍服の少女は笑んだ】



「……なる程。そういう事でありますか。“仲間”を救おうとするとは――カティアは優しいのでありますね
自身の危険を顧みず、それでその人達の役に立とうとするとは」

【もし、触れられるならば。その頭を柔らかな掌が撫でる事だろうか】
【表面上の褒め言葉では無く、本心からの言葉。見ず知らずの者達だけれど……それでも、自分に似たような存在は見逃せないという少女の心の優しさを知って】
【――――あの場所の事を考えれば、少女の動機も納得出来る。ただ、一つだけ心残りがあった。それは…………】



「それでも、水の国の自警団に直属している限りはそうそう大きく動き回れない可能性もあるであります
…………カティア。本当に貴女がカノッサと対峙出来るだけの力があるならば、“SCARLET”に入る事を考えてみる事も勧めるであります
美味しい話だけでは無いのは確かで在ります。それだけ危険な場所に行く機会も増え、何時命を落としても不思議では無い危険な任務も多々あるのであります
――――もしもカティアがその意思があるならば、私の方から入隊の掛け合いはしておくでありますよ」

【少女が己の意思で其処へと行くのが難しい事。だが、もしもSCARLETに入れたならば…………その悩みも解決するのだろうか】
【其れは同時に今まで以上の危険に晒される事となるのは間違い無い。――――果たしてその言葉に何を思うのかは分からないけど】
【一つだけの瞳でジッと見遣れば、心の奥でも見透かされるような錯覚に陥るか】
【断った所で悪でも無い。何よりも少女の意思を尊重する事は間違い無いのだから】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/18(水) 03:04:06.14 ID:SbGh5jnU0
>>247

【頭を優しく撫でられると、カティアは眼を瞑って心地よさそうな表情を浮かべる。】
【それから、ネコの耳が勝手に寝て平らになっているのに気づくと、恥ずかしそうに頬を赤らめた。】
【兵器としての機能を期待して付けられた部位で感情を示すのは、意趣返しのようで痛快ではあるのだけれど】
【こうやって身体が不随意に動くところを見られると、胸が羞恥で占められてしまうのだ。】

【――それでも、志を問うような凝視を受ければ、流石のカティアも畏まった顔つきになる。】


……え、……いま、わたしを《SCARLET》に紹介してくれるって……?
願ってもないことだけど、流石に冗談じゃ……。


【まだ目の前でトレーニングマシンを叩きのめしただけなのに、こんな誘いを受けて良いのかと思う。】
【水の国自警団で解決してきた事件にも、自信を抱ける程の覚えはあるが、《SCARLET》の仕事はレベルが違う。】
【ただ、それでも。自分の「気持ち」を前にして、足踏みをすることだけは許容できなかった。】


いやっ。オラークルはそんなふざけたことは言えそうにないね。
だって渾身のギャグが吹き矢ずぼーん、だもん。

……ねぇ、あなたが本気で良いって思ってくれているなら――わたし、頼んじゃうよ?


【はじめはくすりと、次にはにっこりと口元を綻ばせて】
【――もう一度、念を押すように、オラークルに訊くだろう。
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 03:27:17.53 ID:P8GCIknQ0
>>248
「――――冗談を言えない訳では無いでありますが、人を糠喜びさせる冗談は嫌いであります
私とは配属も違うカティアの働きっぷりは分からないでありますが…………それでも、カティアがただ単に守りたいから、の意思で自警団に入っていない事は分かっているつもりであります

戦火は日に日に増すばかり。同時に、罪も無い方々はただ絶望するだけの日々。――――其れをさせないだけの力があるのに、何故冗談を言わなければいけないのでありますか」

【まだ彼女の働きは分からない。だが、SCARLETにとって――延いては人々にとってプラスになると考えたからこその勧誘】
【“仕事”を行っている時の雰囲気であろうか。正しく軍人の様な肌でも感じ取れるピリピリとした気配】
【何よりも其れが強く伝えてくれるはずだ。決して嘘では無い、と】
【冗談は嫌いでは無い。だが、他人を喜ばせるだけ喜ばせて最後に悲しませる様な冗談だけは嫌い。…………何よりも少女の性を示すもの】



「うっ……あ、アレには色々と深い事情があるのでありますよ
――――話は私の方から通しておくであります。何より、少しでも早い方がカティアも行動し易い筈でありますから

……必要であれば今の内にコレを渡しておくでありますよ。私は自警団の腕章を通していなければいけない為、SCARLET所属を示す物も事足りているのでありますから」

【一瞬ばかりばつが悪そうな表情を浮かべる物の、次にはSCARLETの其れがデザインされたワッペンを差し出して】
【受け取るのも受け取らないのも自由だ。正式に入隊すれば恐らく後日渡されるであろうし――――きっと、其れが先か否かだけの違いであろう】

【やがてオラークルの持つ電話が鳴ったかと思えば、短い遣り取りを二度三度】
【自警団の者ならば、その会話の中身が“要請”である事も直ぐに理解出来るだろう】



「もう少し色々と話したかったのでありますが…………生憎、援助の要請が入ったであります
――――先も言ったように、話はこちらから通しておくでありますよ

それと……オラークルでは無く友人や知り合いには“ステン”や“クル”の名で呼ばれているであります
カティアも私を仲間だと思ってくれているなら、その様に呼んで貰った方が私も嬉しいでありますよ」

【此処に居られる時間ももう無くなってしまった】
【撫でていた手も離せばそのまま踵を返して立ち去ろうとするが――――思い出した様に振り向いて】

【最後に告げたのは自分の“渾名”。もし仲間だと思ってくれているならば、オラークルでは無くその様に呼んで欲しい、と】
【言葉を返すにしても、返さないにしても。もう立ち止まる事は無かったけれど】

【後日、カティアの元に(受け取っていたらダブってしまうが)ワッペンやら書類やらが届けば――――きっと、オラークルが話を通したのだと直ぐに分かるだろう】

/この辺りでしょうかっ!お疲れ様でしたですよ―!
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/18(水) 18:57:05.18 ID:1ya4oZKRo

【夕日の色に沈む街中。大通りから少し外れた路地の中に、寂れた公園がある】

【その公園の隅の方に、少女がひとり座り込んでいた。黒いブレザーにチェック柄のタイトスカート、赤いネクタイという服装からして、恐らく女子高生か】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉と枝垂れるように長い睫毛が特徴的だ。漆で染めたような黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差していた】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしており、艶やかな黒が小さく風に揺れて】


………………。


【少女の目の前にはベンチがあったが、彼女はなぜか座り込もうとはせず、そのすぐ前に座り込んでベンチの真下を覗き込んでいた】
【ちょっと悪目立ちする体勢。――――ただでさえ、何か異様な存在感のようなものを放っている少女である。小さな背中はまるで世界から切り取られているように、】
【そこから感じられるのは、教会か神社にでも流れていそうな神聖≠ウとでもいうか。包み込むような暖かさと威圧するような刺々しさとを同時に孕んだ雰囲気だ】

【しばらくの間、彼女は黙ってベンチの下に視線を送っていたが……やがて、ゆっくりとした動きでそこへ左手を突っ込む】
【こんな厳粛な雰囲気を纏った人間の行動だ。この行為もさぞ有意義なものなのだろう――――などと勘違いしても仕方がない状況ではあるが、しかし】
【……すっと引き出された左手に、黒猫が一匹じゃれついていて。むっつりと閉じられていた少女の口元がその時、ほんの少しだけ和らいだようにも見えた】

【いまのところ、周囲に人影はない。だが良い意味でも悪い意味でも人目を引く少女だ、誰かの目に留まることがあってもおかしくはないだろう】
【その人物が少女のことを、小さな生命を慈しむ位高い神職と見るか、愛らしい黒猫に心奪われた普通の女子高生と見るかは、わからないけれど――――】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 20:34:45.36 ID:7M4STVoIo
【街中・郊外】

【既に薄暗く、人通りの少ない其処を一人の大男が歩いていた】
【格好は聖職者らしいローブと、豪奢なマント姿。髪は艶やかな黒であり】
【腰元を見れば革のベルトで吊った聖書も見える――出で立ちだけは、立派なもの】

【しかし身長が180cmほどもあって、オマケに布の上からも分かる筋骨隆々の肉体と】
【加えて右手はギラリと光る黒鉄の義手、というのが何処か異様だった】

チッ……慣れん事をしたせいか、遅くなってしまったな……
ヤツに限って、待ち合わせの時間に焦れるということも有るまいが……。

【そんな呟きを漏らしつつ、彼は墓場に面した通りをふらりと曲がり】
【周囲を少々警戒しながら進む先は、『危険』の代名詞である路地裏だった】
【聖職者が、というのが特に妙だが――もし追跡するものが居るなら】
【そこら中に暗がりもあったし、警戒と言ってもザル。興味本位で追うことも難しく無かった】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/06/18(水) 20:50:08.57 ID:1ya4oZKRo
>>250
/一応まだ募集中です〜
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 21:04:47.24 ID:nWRlVYV/0
>>251

【権力は、奪い合う物である。】
【ならば権力を持つ者が奪われる立場に立たされる事になるのは、必然、であろう。】
【特にこの場は"そうした事"が起こり易い地域である。一般的な人でも、近寄りたがらない。】
【若しかすると、彼はそうした理由もあって、周囲に警戒しているのかも知れない。】

【さて、矢張り、大男の背後には、何者かの気配があった。】
【人というには小さく、弱々しい印象を持つ何かだ……振り向けば、そこには一匹の猫、が居るのだろう。】

【黒鉄色を基調とした毛色に、背に三本の白銀色が走る。眼の色は、怜悧さを思わせる碧だ。】
【……もし彼が見た目に合わず猫の研究者であるのなら、それは新種である事が確信出来る筈で。】
【しかしまあそうでなくとも、中々に珍しい猫であると考えられるのだろう。】

【彼が一歩を踏み出せば、その猫も2,3歩、同じタイミングで歩を進めて行く。】
【付けているかと問われれば、まあ苦し紛れにYESと答えるのだろうが、】
【そもそもそこに、ドス黒い動機があるのかは、全くの不明だ。……何と言っても、猫、なのだから。】

/よろしくおねがいします
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/18(水) 21:10:35.55 ID:PocOT90yo
>>250
「あんまり遅くまでで歩いてんじゃねーぞー、そこの嬢ちゃん」

【少女が猫と戯れ始めてから1分としないうち、少女の背後から少し掠れた低い声が響いた】
【僅かに遠い声の発せられた方向からは足音が響き、足音が続いていくことでその声の主が接近してくる事が察せられるだろうか】
【もし少女がその声の方向へと目線を向ければ、神聖さとは程遠い印象、不吉の気配≠纏った男がそこに居た筈だ】

【新雪というよりは、白骨というべきだろう艶のない白髪は、針鼠のように入念に毛束を作り逆立てられて】
【夜闇の中では、鈍色の左目と、明らかに不自然なライムグリーンの光を孕む右目が目立つ】
【服装は、カーキ色のカーゴパンツに、ベルトポーチ、ミリタリージャケット。靴は安全靴という動きやすいもの】
【パンパンに膨らんだベルトポーチにはホルスターやナイフの鞘も括りつけられており、物々しい印象を与えるかもしれない】

「……ん、猫か。猫は――嫌いじゃあねえな。
……確かクッキーがここに……、あったあった。おら、食うか? 猫」

【そんな、不吉と狂気の気配を従えながらも、青年は害意も敵意も見せることはなく】
【その負の気配に似合わぬ、気さくな笑みを浮かべつつ、ベルトポーチを漁り始めるのであった】
【おもむろに取り出したのは、クッキー。少し崩れていたそれを小さく割り、青年は猫の方に差し出してみるのだった】

【とりあえず害意はなさそうな青年。わざわざ早く帰るように促す辺り、唯のお人好しなのかもしれない】
/*もしよろしけれヴぁ!!*/
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 21:18:11.03 ID:7M4STVoIo
>>253

【男は靴――グラディエーターサンダルの音をざり、と鳴らしながら奥へ進む】
【やはり人影はまばらだし、いかがわしい店やみすぼらしい身なりの者も居るが】
【大男自身は足を留めず、また路地裏の住人たちも彼に手を出すことは無かった】
【この世界では外見こそが者を言う、なんてところもある。強面なのが、余程利くらしく】

…………、………………―――?
猫、か……?……ふン、また珍しい柄だが、な……。

【そんな彼でも、流石に尾行の気配には気付いたのだった】
【しかし猫の専門家でもない上、動物に興味を惹かれるほど可愛げの有る人物でもないからか】

【一瞥すれば、野良猫とでも思ったのだろう――また前を向いて、歩き出す】
【やがて五分かそこら歩いて、辿り着くのはとあるビルの一階を丸々改造したガレージだ】
【彼は其処の扉から中に入ってゆく。――もっとも猫なら、小窓なども有ることだし】
【あるいはしれっとして、彼と共に扉から入ってもいいかもしれない。内部は明かりが落ちていて、まだ暗い。】

/よろしくです〜
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/18(水) 21:26:05.28 ID:QArS7vy+o
【とある郊外の鬱蒼とした森から、咆哮ともつかぬ声が絶えず響いている】

【そんな通報が正義組織の元へ届けられたり、】
【或いは正体を確かめるべく、先行して森へ入っていく者もいるだろう】

【理由は様々であれ、街に程近いこの森からの不審な気配を目指したなら】
【行き着く先は、深部の開けた場所】

――ふん、他愛ない。弱すぎて相手にならん
この森の守り神というのも、随分と貧弱なものだな……

【其処に立つのは、白鎧に身を包み、大剣を手にした大柄な女性】

【鍛えあげられた褐色の体躯は、一般男性をも軽く上回り】
【艶やかに波打つ黒髪と、凛とした深緑の双眸が意志の強さを物語っていた】

【女の前には、傷を負い息も絶え絶えの、奇妙な生物が横たわっている】
【イタチのような胴長の体躯、だが全長は5mにもなり、毛色は淡い煌めきを持つ青】
【この森の主人も呼ばれ、守り神として崇められてきた存在――】

【それを今まさに、白鎧の女が大剣を振り上げ、とどめを刺さんとしていたのだった】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/18(水) 21:30:39.02 ID:1ya4oZKRo
>>254


…………あ……。


【少女の手元で戯れていた黒猫が、急に走り出してしまう。少しだけ驚いて、僅かばかり残念そうな声も漏れ出す】
【黒猫の走っていく先には――――少女とはまた別な意味で異様な雰囲気の青年がひとり。それに構うことなく、猫はクッキーにかじりつくだろうか】
【……黒猫は不吉の象徴なんていわれることもある。もしかすると、少女の神聖≠謔閧熕ツ年の不吉≠ェお気に召したのかもしれなくて】


ふん、誰だか知らないけど余計なお世話よ。
…………あなた………、何なの?


【理由はどうあれ、黒猫を取られてしまって少女は面白くない様子。元々不機嫌そうだった表情をさらに不機嫌にして、じろりとそちらを睨んだ】
【青年の元にいる黒猫は、ずいぶん人に慣れているようだが――――野良猫らしいというなら少女の方がそうだったかもしれない】
【警戒を隠そうともしない態度。つっけんどんに言葉を投げつけてから、少女は僅かに目を見開いた。青年の妙な雰囲気に気づいたためだ】

【不吉というか狂気じみているというか、それでいて人ならざる気配ではない。……こういう雰囲気にはあまりいい思い出のない少女】
【とりあえず害意がないことは読み取ったようで、いきなり攻撃したりはしないものの。自分からそちらに近づこうとは決してしないはずである】
【油断なく青年を見据える黒色の視線………それがたまにクッキーを頬張る黒猫の方へブレるのは、まあご愛敬といったところで】
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 21:31:15.17 ID:nWRlVYV/0
>>255

【彼が振り向いて自分と目があった瞬間、猫はビクッと身体を飛び上がらせて、】
【というのは恐らく、強面が影響した。この世界だけでなく、この猫にも、それは通用するらしく、】

【しかしながら、丸で無関心。レアな猫であることには気づいたようだが、だからなんだという話、らしい。】
【……追い払われもしなければ、案外この猫は執拗だ。少しだけ距離を詰めて、尚も歩調を合わせるのだろう。】

【約五分後、イカニモなガレージの前で彼が足を止めれば、その猫は様子を見ながら、ひっそりと佇んで、】
【特に注意もされなければ、一緒に中へ入ってしまうのだろう。しれっと、なるべく気配を殺して。】

【侵入に成功したのなら、猫はそのままどこか物陰に隠れつつ、事の成り行きを見守る事になる。】
【辺りが暗くとも、猫の眼であれば何の弊害もなく感じられるのだから、こういう時、割と便利だ。】

259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/18(水) 21:40:33.36 ID:PocOT90yo
>>257
「おうおう、あんだよおめー、寂しいのか? おら、がっつくんじゃねーって、喉詰まらすぞー」

【己の方に駆け寄ってきた猫にクッキーを与えつつ、戯れる青年】
【その姿は、青年の雰囲気とはそぐわないかもしれない、如何にも普通なもの】
【その普通さと、不吉や狂気の異様さのギャップ、不整合が逆に違和感をより強めていたかもしれない】

「悪ィね、こりゃ性分。余計でも足りないよりはよっぽどマシだろ?」

【少女のその、警戒を隠そうともしない態度、こちらに対する刺のある言動を受ける】
【だが、青年はと言えばけろりとした表情で、非対称の笑みを浮かべて言葉を返す】
【押し付けである事を認識し、余計なお世話であることを理解した上で、それをためらわないタイプ。それが青年だった】

「……何って言われても、ねェ。俺は俺以上でも以下でもねえよ。
それ以外の人間とか人外とか善悪とかそういうのは俺っていう存在に付随する属性に過ぎねェし。
ただ、まあ――なんだ。一言で応えてみせるなら――――」

【猫への視線と、こちらへの警戒の視線を交互に動かす少女の問】
【たしかにそれは適当だろう。この青年の持つ気配に気がつけるものならば】
【しかし、青年は俺は俺と答えにならない答えをまず返した。自分なりの持論を付帯させて】
【そして、少しばかり気恥ずかしそうに頬を指で掻き、少女の方へと猫を追いやりつつ、口を開く】

「――――正義の味方だ。……なんか文句あるか?」

【馬鹿そのものの、そんな答えを。青年は迷いなく口にしてみせた】
【正義の味方。そんな言葉からはかけ離れた雰囲気、外見。だというのに堂々と正義の味方と口にする】
【その上で、少女のツッコミなのか反論なのか怒声なのか。少なくともすんなりと受け入れてもらえないだろうと思っているようで】
【猫を抱えて少女の方に差し出しながら、文句があれば言ってみろと開き直った態度を見せるのであった】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 21:42:03.03 ID:7M4STVoIo
>>258

む、っ……何だというのだ、猫風情が……。

【これが例えば、こそこそと入ってきたのなら彼も余計に疑ったろうが】
【一緒に、なんて図々しいやり方だからこそ、不審には思ってもそれに留まったのだった】

【しかし、やがて猫のほうがどこか物陰にでも行ってしまえば】
【それきりだと言うようにまた別な方向に意識を向けて、暗がりの中で箱に腰を下ろす】
【――猫の目には、それ以外に絵≠竍彫刻≠ェ見えることだろう】
【流石に細部までは分からないだろうが、立体的な物は割りと大きく、数も多かった】

『――……ごめんごめん、ちょっと先まで休んでてさ。
 あ、明かり点けるよフレデリック=c――よ、っと』

【バチン!という音と共に強い光がガレージ内に充満し、"もう一人"の姿も明らかになる】
【大男とは対照的に細身。髪はふわりとした金髪で、ジーンズとシャツなんてラフな格好だ】

【それから明らかになるもう一つのことは、そこら中の美術品≠ェ】
【ことごとく教会をモデルにしたものであるということか――まだ、その程度しか分からないが】
【柔和そうな金髪の男。猫のことは知らないはずなのに、一瞬目線がそちらに向いたのだった】
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 21:49:18.90 ID:5vDQ45tFo
>>256
【てってって  と鳴る足音と共に来たる影】
【鬱蒼とした森の中で隠そうともしない気配や音。それは段々とテンポを速めながら鎧姿の女性の方へと疾く"駆けて行く"】

せぇ、の…ぉー

【どこか間延びした声の直後、女性へ向けて跳び出す人影】
【それは貴女の振り被った大剣を蹴り落とそうと跳び蹴りを放つ!】

【貴女からすれば見上げる様に見ればその者もまた…女性】
【男物のスーツに身を包んだ黒髪黒目の、細い上縁眼鏡をかけた女性だ】
【髪は貴女程長くは無く肩口ほどで切り揃えているが、代わりに胸はそこそこ大きい様で】

【攻撃の可否に関わらず貴女と通り過ぎる様に着地すると振り返り】

…多分、毒。
食べちゃ、いけない。よ?

【やけに胴が長く、食欲の無くなりそうな蒼い毛の生えた手負いの獣を指差してそう言うのだ】
【どうやら鎧姿の女性が食料を採りに来て、見るからに毒々しいそれを狩っているのだと思ったらしい】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 22:00:12.62 ID:nWRlVYV/0
>>255

【置かれた物体と物体の間をすり抜ける様にして移動しながら、猫はひっそりと部屋の様子を探る。】
【彼の位置を視野に入れながら、一番これから起こる何かが見やすい場所を確保し、ゆっくりと腰を下ろした。】

【部屋に明かりが灯されたのも、丁度その頃。すり抜けてきた物体が彫刻や絵であった事を確認し、】
【それからその一つ一つを、鑑賞して行く―――尤も、二人には見えない訳だが。】

【大体が分かれば、今度は出てきた金髪の男を含め、その辺りを小さな隙間から眺める事になろう。】
【勿論、こちらを見てきた一瞬は目を逸らした。もしその隙間が、碧色になっていたのならそれは完全な違和感だが、】
【中々の反射神経のお陰で、染まったのは黒鉄色だ。影にも近い、比較的自然な色だった。】

【ただ、彼が色彩感覚に優れている芸術家、となれば分からない。】
【その隙間に、僅かにメタリックな印象を持ってしまったのなら、当然それは違和感に繋がる事になろう。】
【こればかりは、彼の能力と、それから性格に左右されるのだと言わざるを得ない、】
【近づかれた所で猫自身はその場を動くことはないが、どうだろうか―――、】

263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/18(水) 22:09:36.10 ID:1ya4oZKRo
>>259


………………。


【――――ずいぶん懐いたな、と少女は黒猫を見つめていた。……実際には恨みがましく、というのが正解だったが】
【青年への八つ当たり気味な嫉妬を抑え込みつつ、少女は彼の言葉を受け取った。この妙な雰囲気がなければ単なるお人好しで済んだのだが】
【警戒が高まるごとに、少女の纏っている神聖な雰囲気が強まっていくようだった。もし妖怪だとか悪魔とかであれば、】
【単なる息苦しさを通り越して肌に痛みを感じるレベルのそれ。じり、と少女の視線が焼け付いて――――】


……………あ、あなたねぇ。それを私が信じると思ったの?
だいたい――――いや、もういいわ。そこまで言われると文句も出ない……。


【はぁ――――と少女は深く嘆息して、ベンチに座り込んでしまう。自身の問いに対する青年の答えがあまりにも予想外だったからだ】
【外見の印象とその言葉とがかけ離れすぎていて、まったく説得力が感じられない。そんなことは自分でもわかっているだろうに――――】
【よくもまあ、そこまではっきり断言できるな、と。半ば呆れるように、しかしどこか感心するように、少女は投げやりに青年を見やる】
【……もう、例の肌を突き刺すような神聖さは感じられないはずだ。とりあえず警戒は解いた、といったところか】


それで………正義の味方さん。あなたはUTとかSCARLETとかの人かしら。
こんな寂れた場所まで来て、わざわざ学生捕まえて注意だなんて。ずいぶん暇なのね。


【少女は差し出された猫を一瞥はするが、自分から受け取ろうとはしないだろう。裏切り者、と言いたげな視線が黒猫に突き刺さって】
【青年に投げかけられる言葉は相変わらず辛辣だが、先程のような緊迫感はもうない。比較的気軽な質問だ、生意気さにさえ目を瞑ればだが】
【少女としてはまだ、「正義の味方」だという青年の言葉に確証がある訳ではないのだが。だというのにこの挑発的な態度……】
【襲われても何とかなる、という自信があるのかもしれない。纏っている雰囲気といい、少女が非凡なものを持っているのはおそらく間違いなかった】
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/06/18(水) 22:13:06.38 ID:ImWk1A4S0
鈴音[ピーーー] 消えろ
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 22:15:29.15 ID:7M4STVoIo
>>262

ふン……お前のことだ、どうせそんな所だろうと思っていた
だが準備≠ヘ出来ているようだな……流石、というところか…、……?

【猫の様子に、少なくとも大男――フレデリックは気付く様子もない】
【しかし明かりが点いてもう一人、優男らしい彼はというと、違っていた】
【しっかりとそちらを見ていたのだ。そして手でフレデリックを制すれば】

【かつ、かつ、と靴音をわざと鳴らしながら、猫の逃げ込んだ隙間に向かう】
【此処に来て猫は感じるだろうか。何かこのガレージ全体が――空間が支配≠ウれている感覚に】

『…――さーて、無粋な友人と一緒に入ってきたのはもう分かってる…。
 これでも僕はただの芸術家じゃあ無いからさ。
 ところが、一体どんな可愛らしいお客さんなのかまでは見えなかった……

 ……出てきたらどうだい?それとも、ツナ缶でも買いに行かせようか?』

【そんな声をかけながら、優男はスッと猫の居る方に手を差し出したのだった】
【一見すれば本当にただの貴公子のような人物だ。武器もないし、能力にしたって】
【漠然としたイメージだけで、殺意や害意も無い。にゃあと鳴けば、本当に缶を用意しそうだった】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/18(水) 22:17:17.31 ID:1LtTNjIu0
セシルのおかげで鈴音が消えるわwwwwwwありがとな( v^-゜)♪
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/18(水) 22:17:50.65 ID:QArS7vy+o
>>261

むッ、――っッ!?

【相手の飛び蹴りは反応が遅れた女の腕に、確かに命中するも】
【かなりの怪力の持ち主であるのだろう、大剣を手放すまでは行かなかった】

【だが、太刀筋は狙いの獣から大幅に逸れ、剣先が何もない地面を深々と抉った】

ちィ……何だ、貴様は? 突然出て来て何を言うかと思えば、
この私が、こんな雑魚の肉を食すと思っているのか?

【現れたスーツ姿の女をジロリと睨み付け、女は地に喰い込んだ大剣を引き抜き】
【今度はその切っ先を相手へと向ける――余談だが、この女も大柄なだけに胸は大きい】

……私は、一対一の決闘に横槍を入れられるのが、何よりも嫌いでな
その上、勝手な勘違いで要らぬ世話を焼いてきたともなれば……――

【そこで言葉を切った女は、相手へ向けていた大剣の切っ先を高く天へと掲げた】
【すると、全身を覆っていた分厚い白鎧が薄く軽く変化して、その表面積を減らし始め】
【同時に大剣も、幅広で重厚であったのが、鋭く細く変化していく】

――……そこの雑魚の代わりに斬られたい、と言う事だろう?
我が名はフラズグズ・スヴァンプフィード、いざ真剣に立ち会えッ!!

【軽量化された鎧と剣、それは即ち守りを捨てた、速度重視の装備姿】
【そして声を張り上げると同時に、女は相手目掛けてその剣を横薙ぎに振るう】

【狙いは胴、軽いがためにそれなりの速度はあるも、先の大剣よりは受けやすいだろう】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/18(水) 22:25:04.40 ID:0ecEMQ6C0
鈴音死ね
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/18(水) 22:28:00.31 ID:PocOT90yo
>>263
「……あだだ……、よっと」

【少女の警戒と神気が高まるにつれて、青年の肉体に変化が表れていった】
【袖から出ていた左手が、ガラス細工のように崩れていったのである。崩れた面から見えるのは、無機質なライムグリーンの結晶の断面】
【また、ライムグリーンの右目もまた、一瞬がらりと姿を崩して、即座にその姿を取り戻してみせた】
【青年の身体が崩れれば、その邪気や不吉の気配は明らかに減衰して見せて。青年が邪悪なのではなく、その腕と瞳が邪悪の産物である事が理解できたかもしれない】
【腕が崩れたせいでバランスを崩したのか、落とさないように猫を右手一本で抱えた】

「信じてくれね? 俺は嘘は言うし人も騙すが、嘘は嫌いだし騙すのも嫌いだからよ。
ましてや、今の俺には嘘をつく意義は無い。騙してお前さんを襲うならとっくにやってるだろうよ」

【再精製した左手を己の頭に押し付け、ばちりとノイズを散らして。痛みを忘れたような挙動を見せる】
【その上で、不自然なライムグリーンの右目を瞬きさせて、青年は真っ直ぐに少女の目を見た】
【ある意味では、嘘を吐かない、騙さないと言うよりも率直かつ素直な言葉が、青年の回答だった】
【嘘も付くし人も騙すが、今は嘘を吐く理由は無く、騙す必要はない。だから、そうしていないというのが青年の意見だ】

「UTでもSCARLETでもねーよ。ただ、UTともSCARLETとも仲は良いけどな。
一言で言うならジャーナリストって奴だよ。UTとかSCARLETも俺の取材対象って訳だ。
んで、寂れてない場所なんか大抵誰か居るんだからわざわざ行かなても良いだろ?
こういう寂れた場所だからこそ、誰かが見て回るべきだと思うがなァ」

【UTでもSCARLETでもない。だがUTとSCARLET双方と関係を持っている。妙な立ち位置だった】
【言動を見れば分かるだろうが、集団行動が出来ないタイプではない。少々口とガラは悪いものの、あり得ないレベルではない】
【それでも組織に属さないことには、この青年なりの考えがあった結果で】
【あらゆる行動に対して、少女が理由を問えば青年は理由を返す。理性的なのが、この青年だ】

「にしてもよォ……なんつーか、なんだ。
正義の味方は味方なんだが、どっちかっつーと俺の力って邪悪な源のものでよ。
お前さんがそれにビビったんならすまんかった。男にゃ色々あんのヨ」

【そして、少女の挑発的な態度に対して、青年は申し訳無さそうな態度を取る】
【敵は倒す。殺すことも辞さない。だが、敵でないならば青年は己の敵意も悪意も向けることはない】
【その結果としての、この謝罪と弁明だった】

/*絡む時に言って無くて申し訳ないのですが、本日は12時頃までがリミットとなりますスイマセン*/
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 22:35:04.51 ID:nWRlVYV/0
>>265

【近づいて来る足音だけでなく、彼の言葉をその猫は確かに理解して、】
【……それからげえっという表情を作った。しかしやはりコレも、二人からは見えていないタイミングになるか。】

【もしかするとこの感覚は、その支配を無意識的に理解していたのかも知れない。】
【少なくとも自分にとっては、良い気がしなかった……複数の人間から見られているあの印象に近い。】


―――にゃあ。

【兎に角、この猫は平静を装う……と言うか、人懐こいただの猫であると認めてもらえる様尽力するのだ。】
【手を差し出されたのなら、少しだけペロッと舐めて、それからにゃあと鳴いてみる。】
【ツナ缶という言葉に反射して喜ぶ猫を演じる。……じっと、何かを求める表情で、優男の目を見る。】

【表情は猫らしいそれのままに、しかし一方で中で考えている事といえば、―――この二人は、只者ではないという焦りだ。】
【もし彼がそこまで読み取ってしまったのなら、―――この猫もまた只者ではなく、怪しい存在であると思われてしまうのだろう。】

271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/18(水) 22:36:04.65 ID:IgH0eEUl0
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/net/1402566446/

セシルが鈴音のツイッター垢晒したぞwwwwwwwwwwwwww
鈴音は鍵掛けて逃亡wwwwwwwwwwwwwwwwww
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/18(水) 22:41:15.73 ID:UU9Evybro
>>264 >>266 >>268 >>271
運営に通報しました
以後の書き込みは自粛なさいますようお願い致します
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 22:46:50.24 ID:5vDQ45tFo
>>267

む……強い

【蹴りを受けて尚剣を落とさぬ女性に思わず言葉を漏らす】
【蹴った感触からも、相手の力量を感じているのも確かだ】

通りすがり…?
勘違いは謝る、けど

【顎に指を当てて悩む様な仕草をしたのも束の間】
【その間に、大柄な女性…フラズグズの敵意がこちらに向いてきているのを感じとり】

何かが死にそうな場面見てほくそ笑む趣味も無ければ、貴女に斬られてやる義理も無い…!

【相手が切り掛かってくると膝の力を抜いてしゃがみ込み、斬撃を避け】
【回避の直後、フラズグズの踏み込んできた足を右足で刈る様にして払おうとする】
【同時に手は腰に在る鋲のついたグローブへ。それを取り外す】
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 22:48:08.48 ID:7M4STVoIo
>>270

【猫がその手を舐めたなら、男はクスリと笑って手を引くのだった】
【しかしその手先からはじわりとした苦味――絵の具の味がしただろう】
【それも含めてか、それとも猫の反応に笑ったのかは分からない】

『……だ、そうだからさフレデリック。僕はこの可愛らしい客人のために
 ちょっと出かけてくるとするよ。別にいまさら、急ぐこともないだろう?』

お前というやつは、全く……、…まあ良い。行け、とっとと。

【――ただ、本当にツナ缶を買いに行ってしまうくらいに奇特な人間なのは確かだ】
【優男の方はそう言うと、がちゃりと扉を開けて出て行ってしまって】
【あの支配された空間、という感覚も同時に消える。――本当に場所を離れたのだ】

【困り顔なのは残された大男のほう。深い溜息を吐いてから立ち上がれば】
【其処らの教会の絵や彫刻、模型なんかを眺めつつ】
【先ほどの彼と違って、明確に猫へ意識を向けつつ歩み寄ってゆくのだった】

【恐らく、さっきの一見で猫に疑惑を持ったに違いない。まさか、殺すでもなかろうが――?】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/18(水) 22:59:28.68 ID:1ya4oZKRo
>>269


………妖魔、じゃないわね。あなた、人間なの?
まるで何かに侵されているような――――そんな風にも見えるけれど。


【髪も黒なら瞳も黒。それは桜の国の人間によく見られる特徴で、少女の纏う力は明らかに聖≠フ属性のもの】
【その辺りの手がかりから、少女が妖怪や鬼の類を退治する、いわゆる退魔≠フ力を持っているのだと推測できるかもしれない】
【そしていま、少女は退魔師としての見地で青年を眺めている。……はっきり言えばお手上げだ。このような現象は見たことがない】
【ゆえに直接聞くしかなかった、青年が生物として何≠ネのかを。例えどう答えたとしても、それが理由で敵対する意図はないけれど】


矛盾の塊みたいな人ね、あなたは………。
ふん、もういいわ。それにもし、騙して襲いかかってたりしたら………今頃あなた、返り討ちに遭ってたでしょうし。


【明らかに撞着を起こした台詞をこともなげに言う青年へ、少女はまた呆れたように溜息を付く。すっかり毒気を抜かれた様子だった】
【青年の正体が何であれ、自分を害するものではないとようやく確信したのか。表情こそ不機嫌そうなままだが緊張は抜けている】
【――――続く言葉は、虚言か本気か。本気だとすればとんでもない自信である。実際にそれだけの力が伴っているのか、それともただの過信かはわからないが】


ジャーナリスト? ………肩書きだけ聞くとさらに胡散臭いんだけれど。正義のジャーナリストって、いったい何をしてるわけ?
……まあ、それには同意するけれど。こんな世の中だし、どこで誰が何をされているかわかったものじゃない。
力のない人たちを守るのは、力のある人間の義務だと思うもの。


【UTやSCARLETといった大きな組織ならともかく――――学生の身分でジャーナリストという人種に関わる機械なんてほとんどない】
【この少女に関して言えばほとんどどころか初めての経験だ。UTやSCARLETと繋がりがあるという発言が本当なら、ただ者ではないのだけは理解できたが】
【いまいちどういう仕事をしているのか掴めなかった様子である。いちいち一言多いが、質問自体は興味本位のものだ】
【ただ、青年の言葉には同意できるところもあったらしい。義務≠ネんて大仰な表現からは、何か大きな責任のようなものが感じられて】

【――――青年の謝罪に対しては、少女は無言を貫くだろう。ああして刺々しい言葉を掛けた後で素直にしおらしい態度をされると、若干罪悪感もあったし】
【邪悪な力を振るう正義の味方、なんてやっぱり矛盾しているけれど、いまさらそれを疑ったり罵倒したりする気もない】
【なので……少女の表情に不機嫌さが増したのは後半の言葉が原因である。いかにも「誰がビビったって?」と言いたげな視線が青年へ投げつけられていた】


/了解しました、越えちゃった場合は持ち越しでも置きレスでも対応可能ですので!
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/18(水) 23:05:13.96 ID:QArS7vy+o
>>273

何ッ、――!

【相手の姿が一瞬視界から消え、不意を付かれた女】
【そして足の装甲も軽量化の能力により守りは薄く、流石の巨躯も揺らぎ】

ちィ、下か……ッ!!

【ぐらりと体勢を崩した女に、相手の行動を止めるまでの余裕は無い】
【だが、女は手にしていた剣を地面へと突き刺すことで、倒れ込むのを防いだ】
【その状態から、下方にいる相手の腹を狙い、鋭い蹴りを放つ】

【――だが、その一撃は不安定に回避も容易いもの】

……ふン、そんな小賢しい道具で、この私に立ち向かう気かッ!

【女が再び剣を抜くまでには、僅かな時間と大きな隙がある】
【まして体勢を低めている相手に対して、女の長身は不都合でもあった】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 23:05:38.87 ID:nWRlVYV/0
>>274

【彼の口元から笑みが零れた。何の脈絡も無ければ無視出来る表情でも、】
【一度疑念を持ってしまえば、物の見方はガラリと変わってしまう。】
【……今の微笑みは、一体。もし今のが確信のそれであったのなら、今後を考えなくてはならない。】

【彼がこの部屋から出て行った、と言うのは、何も扉の音が無くとも分かった。】
【単純に考えて、あの支配された空間の中にいる意識は、優男の方によって与えられた物なのだろう。】
【だとすれば、今の所怖いのは、寧ろ優しく見える男の方だ……もう一方の大男に適用できたあの理論は、今ではもう通用しない。】


―――にゃあ。

【テープレコーダーで2回再生したかの如く、全く同じ声だった。】
【そしてその意味合いも同じ。こちらに近付いて来られた所で、どう対処すれば良いか分からない訳だから、】
【とりあえず猫らしく立ち振舞ったのだという事。その間猫の視線は勿論、まっすぐ彼の眼にあった。】

278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 23:16:49.34 ID:7M4STVoIo
>>277

……あくまでも猫らしく、というわけか……ほう?
偶然私の後を付けて此処に入り、偶然あのダグラスの目に止まり…――。
――…そして、次はどうしたものか。

【語りかけ、というより呟きか。先ほどの優男――ダグラスの居た場所に止まると】
【す、と同じように手を伸ばす。しかしその右手は黒鉄の義肢】

【舐めても味はないし、冷たく、そして引っ掻いても傷ひとつ付かないミスリル製だ】
【それでもって猫の首もとを掴み上げようとするのである】
【逃げられなければ顔の高さまで引き上げるし――逃げられたなら、そちらを向いて】

ふン……ただの猫ならそれで良いがな、何せダグラスが目を付けた猫だ…。
六罪王ダグラス・マックスウッド=c――流石に猫では、それも知らんか?

【これは明確な語りかけだった。六罪王、とは実質カノッサ機関の首魁――その一人だ】
【ではそれを告げて何とするか、というとまだなにもないのだが――。】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/18(水) 23:20:16.21 ID:PocOT90yo
>>275
「人――だと思うんだがなァ。ただ、右目と左腕と他の身体もろもろ能力で補っててよ。
ぶっちゃけて言うと、どこまでが俺でどこまでが能力なのかもう俺自信良く分かってねえんだわ。
まあ、この能力自体ちょいと良いものじゃねーから。まあ、そういうこった」

【少女の問いかけに対して、青年は苦笑を浮かべながら己の異能を解除していく】
【右目が消失し、ガランドウの眼窩が顕となり。左腕は肩から先を失い袖がぶら下がる】
【皮膚にも異能は干渉していたのか、皮膚の表面のテクスチャが剥がれていき、無数の古傷が顕となった】
【残っていたのは、満身創痍な人間の絞り粕のような無様な生物。傷だらけの顔が、ニヒルに笑みを浮かべた】
【そして、能力さえ解いてみせれば、ある程度は不吉、狂気の気配は薄れていく。その異能こそが、狂気と悪意の源泉だったようだ】

「矛盾してない人なんざ居ないだろ。人なんだから良い事も悪い事もして当然だ。
……おーおー、そりゃ襲わなくって良かった。喧嘩は嫌いなんだよ、しなきゃならんならするけどよ。
あ、喧嘩売ってるなら買わねえぞ? 俺は闘うし、人だって殺すが戦いも殺しも好きじゃねェんだよ。戦士でも軍人でもねえからよォ」

【異能を再発動。全身にノイズを収束させ、皮膚の表面に無傷の皮膚のテクスチャを張り付けていく】
【眼球と腕の再構成を行いつつ、青年は少女と雑談を続けている。少々不思議な光景だったろうか】
【青年の持論は、余りにも身も蓋もない物。矛盾してこそ、良い事も悪い事もしてこそ人間だというそれは、悪性も善性も肯定するもの】
【この青年に取って、悪も善も否定するものではない。敵は、己の正義に立ちふさがるあらゆるもの。そこには善悪の区別はない】
【だからこそ、立ちふさがらなければ青年は戦わない。こうして、目の前の少女に挑発めいた言葉を口にされても、だ】

「世の中、カノッサとかGIFTとか色々事件にゃ事欠かねえだろ?
んで、他のジャーナリスト連中と違って俺は、UTとかSCARLETとか……昔はjusticeのメンバーだったんだがよ。
まあ、そういう連中と一緒に戦場出向いて、一緒に最前線立ちながらあいつらの活動とか、事件起こした連中の非道を伝えていくわけだ。
誰よりも早いぜ? なにせ、その事件の最前線で直接取材してるからな。
銃撃ったり剣振るうだけが戦いじゃないのさ。俺の場合は、伝えることで世論を変える。世論が変われば世界が変わる。
それがカノッサとかGIFTの力を削いで、他の組織の連中の後ろ盾になる。ぱっと見分かりづれぇが――じわりと効くもんだぜ、こういうの」

【青年は決して強くない。強くないながらも、前線に立ち続けるのは、唯一つの理由】
【力がない者達が知ることの出来なかった世界を彼らに知ってもらうため。そして、彼らに理解してもらうため】
【そして、世の中の悲劇を、それに抗う人を見る事で、平和を願う気持ちを育てたかった】
【あまりにも壮大で、あまりにも青年は無力で微力で。それでも挑む辺り、この青年は紛れも無く阿呆の類】

「……義務ねえ。俺はしたいようにするだけだよ。
俺は、俺の正しさを守るだけだからな。義務でも何でもねェんだよ、俺のお節介は」

【義務を帯びていない。単純に、したいからそうしているのがこの青年】
【義務感ではなく、『そうしたい』という己の意志、『正しい』という己の価値観こそが全ての行動原理】
【大義名分無しに行動する青年は、等身大そのものであり、皆の想像する正義とはイメージが違うものだったかもしれない】
【そして、少女のその剣呑な視線に対しては、苦笑を浮かべながら目を泳がせるのであった】

/*恐らく次の返レス辺りで持ち越しとなります!*/
280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 23:32:35.65 ID:5vDQ45tFo
>>276

っ…!

【フランズグズを上手く倒せずに思わず舌を打ち】
【即座に距離を取る為に、右方向に1度転がってからフランズグズの蹴り足を回避。其の儘後方に跳ねて距離を取る】

やっぱり強い。
だから、本気を出そう

【鋲付のグローブを両手に嵌め。そう宣言する】
【相手の全身の力は凄まじく、安定性及び戦闘における判断も悪く無さそうだ】
【手を抜いて勝てる相手でないと僅かな時間で思い知らされたが故に】

…飛鳥馬 七生(あすま しちせい)
私らしく、往かせて貰う

【相手に対して半身になる。左手はリラックスした様に臍の前辺りに置かれ】
【右手は握り締められ、弓を引き搾ったかのように地面と水平に構えた】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/18(水) 23:33:07.43 ID:nWRlVYV/0
>>278

【それが実際の手であろうと無かろうと、この猫は先ず、指を少しだけ舐めてみるのだ。】
【矢張り金属の味がする……冷たくて、無機質で、しかしどこか愛着が湧くのは、恐らくは毛色のせいだろう。】

【首元を掴まれたのなら……と言うか、抵抗はしたくとも出来ない。】
【コレほどの体格差を埋められる何かが、自分にはない。……持ち上げるのも、思いのままであった。】


―――にゃー……

【何かされている訳ではないが、しかし自分の身体が彼の手の中に収まっていると言うのは、安定感はあれど落ち着かない。】
【その鳴き声は、比較的純粋な物だった。困っているから降ろしてくれと、ただその意味を成すメッセージであって。】

【語りかけに対する応答は、ほぼ無い。……その言葉を理解しても、理解していることを伝えてはならないのだ。】
【大男が自分に向かって、何か物を言っているなーと、ぼーっと考えている素振りしか見せなかった。】
【寧ろそんな事より、早く降ろしてくれと言わんばかりに不満を見せた表情の方が目立った事だろう。】

282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/18(水) 23:43:19.16 ID:QArS7vy+o
>>280

【距離を取った相手に対し、こちらも即座に攻撃は出来ず】
【結果として両者にらみ合いの状態となる――女は剣を抜き、構え】

ふン、やっと自分の置かれている状況に気が付いたか?
だがな……今更遅いッ!!

【だン、と力強く地を蹴る音が森閑とした空間に響く】
【剣を真っ直ぐ相手の腹部へと狙いを定め、鋭い突きを放とうと女は肉薄する】
【素早さはある、一点集中のために威力も高い、だが――攻撃範囲は、狭い】

私の目の前に立ち塞がるものはッ、何人たりとも容赦しないっッ!!

【受ければ大きなダメージになる、だが、同時に大きな隙を残している】
【まさに渾身の一撃、相手はどう立ち向かうか――?】
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/18(水) 23:46:37.95 ID:7M4STVoIo
>>281

【じぃ、っと――その強面に見つめられるのは、猫としてはどんな気分だろうか】

【先ほどツナ缶を買いに行った彼とは違って、この大男は甘くないらしい】
【猫らしく鳴こうが、不満気な表情を見せようが、或いは指を舐められても】
【なにか考えに耽るように猫の目を見つめて――やがてやっと、口を開き】

貴様が何≠セか知らないが……そうか、猫、か。
彼女が動物好きだったか覚えはないが、子供たちなら一人は猫好きも居るだろうな

……いっそ飼ってやろうか。十何人か、子供が居るのでな
遊び相手になるか……それとも、どうなるか知らんが……いや。

【フッ、とようやく笑ったかと思えば、歩いて向かうのは例の出入口】
【ガチャリと開けて路地裏へ向かうと――彼は猫を、外に放り投げようとするだろう】

【しかし此処で一つだけ魔術が施される。それは正体を暴く≠ニいう魔術である】
【本来は人の姿に化ける妖怪や、幽霊のような相手に使うものだが――】
【もしかしたら、という考えか。勿論、効果の程は猫がどういう存在かによるだろうし】

生憎と私は動物というのが好きではない……とっとと失せるのだな
ツナ缶だったか……アレはその辺りに置くように伝えておいてやるぞ

【とにかく放り捨てるのは事実。何か行動を起こすなら此処が分かれ目だし】
【寄る辺となりそうな優男もまだ帰っては来ない。――さて、どうなるか】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/18(水) 23:58:48.81 ID:1ya4oZKRo
>>279


………………、


【少女が僅かに息を呑むのがわかっただろうか。この不吉な感覚が青年本人ではなく、その能力のせいであることはわかったが】
【……しかし。邪悪な異能の宿っていない、人間として正しいはずのその姿は、あまりにも凄惨なものであって】
【異能とはなんら関係なく。青年の笑顔から少女が狂気を感じ取ったのは、果たして気のせいであったか――――】


あっそ。………ずいぶん悟ったようなことを言うのね。
そんな体に――――いえ。そんな考え方を得られるまで、いままでどのぐらい戦ってきたのかしら。


【もうそろそろ察せられるだろうが、この少女はかなり高飛車な性格である。もし青年が挑発に乗るような素振りを見せていれば】
【そこから先は際限がなかったはずだ。少女はややつまらなさそうに素っ気なく顔を背けるが、英断だったのは間違いない】
【いや、英断というより、単に青年の根底にある考え方がそういうモノであったのか――――ともかく。青年の持論を受けると、少女は少しだけ気まずそうに】
【一瞬ボロボロの体を指しかけてからすぐ訂正して、新しい疑問を投げかけた。……この生意気な少女にも、気を使うという概念はあるらしい】


『justice』………っていうのは、正義組織かしら。聞いたことないけれど。
――――なんていうか。物好きって言うか、はっきり言って大バカよね、あなた。
一番危険な場所に突っ込んでいって、やることが取材≠セなんて。私だったら問答無用でブッ飛ばすわよ、そんな奴。
死にかけたことだって一度や二度じゃないんでしょうに、よくやるわ。少しは迷ったり恐れたりしないわけ?

それで…………世の中は、変わったの?


【かつて世界の悪の抑止力として在った『justice』の名を、少女は知らないという。今時の若い世代は皆こうなのか、少女が無知なのかはさておいて】
【青年の活動内容を聞いた少女は、いままでで一番大きな呆れと一緒に、いままでで一番大きな溜息を吐くのだろう】
【半目で青年を見やって、辛辣な言葉を投げつける。……その中に不自然な熱が篭もっていることに、少女自身は気づいているのだろうか】
【たぶん、単なる呆れや侮蔑から冷徹な台詞を吐きかけているのではない。少女の体はいつの間にか青年の方へ向き直っていた】


まったく、自由なんだか無責任なんだか………。
………そういう考え方はまあ、嫌いじゃないけれど。自分が正しいと思わなきゃ、きっと何も貫き通せやしないもの。


【正義だから、誰かを守らなければならない。正義だから、誰かを助けなければならない。……仕事として正義≠名乗る以上、そういう義務は少なからずある】
【だとすればこの青年は、きっと正義ではない。ただ己が正しいと思っていることをしているだけの、お人好しのエゴイスト――――】
【そんな風に考える少女だが、しかしそれを悪い意味で捉えている訳ではなさそうだった。自分が正しいからやるという考えの正しさは、少女とて理解できる】
【そのエゴをこんなになるまで貫き通せる青年を、少しばかり恐ろしくも感じたが――――好きと言わず、嫌いじゃないと言うのが、なんともこの少女らしかった】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/19(木) 00:04:21.57 ID:TuyENQYSo
/>>280
/申し訳ないです、眠気が限界なので一旦離脱させて頂きます
/返信は後ほどお返しします!
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/19(木) 00:11:01.87 ID:eBAGg3RPo
>>282

うん…こう見えて不器用だから。

【呼気を整え、深く深く集中していく】
【自身の肉体をより強く、より速く、より硬く。 強化に強化を重ねて自身の戦闘スタイル"らしい"身体へと変えていく】
【迫る相手を見ながらもその表情、気勢は落ち着いるが――――】

…真っ向から!!

【相手の攻撃が己の間合いに入った瞬間】
【盾の如く構えた左手をフラズグズの鋭い刺突の側面にブチ当てて打ち払う】
【強烈な一撃は最高の強化を施した腕の肉を削いで出血させるが……】

ぶん、殴る―――――!!!

【まるでそれが約束されたかの様な構えから、予定通り右拳がフラズグズ目掛けて打ち出される】
【強化を重ね、痛みを堪え、その上で全力を込めて自身の敵を"ぶん殴ろうとする"】
【狙いは容赦なく顔面…例え鎧をぶち抜け様とも威力の減衰は必須。ならばもう鎧で覆われて無い場所を狙った方が良いと言う割と容赦のない考えから】

【自分は不器用との言葉通り。耐えて殴り返す…見た目に合わず男らしい戦い方である】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/19(木) 00:11:08.52 ID:VtI3/HLC0
>>283

【怖いかった。……と言ってしまうまでに、怖かった。】
【耐えられなくなってしまえば、最終的には目を逸らす。人間でも猫でも、やることは同じだ。】

【しかしそのまま彼が移動し、出口へ放り投げられようとするその間は、流石にジタバタ暴れるのだろう。】
【とは言え、そんな事無意味であった事は言うまでもない。……文字通り、全ては彼の意のまま、であった。】

【案外運動神経は良いらしく、放られた後の着地は中々に決まっていた。】
【振り返って今度は睨む形で彼の瞳を見る……と言うのは、一瞬だけ。やはり彼には、抗えそうになく。】

【仕方なくそのまま、ひょっとすると優男の方に会えるかも知れないなんて期待しながら、その建物を後にする事にし、】
【小さな一歩を踏み出した瞬間―――ピタリ、と止まったというのは、施された魔術が、漸く効き目を見せ始めたという事だろう。】

【10秒も経てば、徐々に正体が明らかになって行く―――やがて其処に現れるのは、グレーのパーカーが良く似合う、筋肉質な少年だ。】


〜〜〜ッだぁぁぁ〜〜〜やーっとかいほーされたぁぁあああ〜〜〜
何やねんコレ……窮屈すぎてな〜〜こんなん耐えられへんわホンマに〜〜〜……

【大きく背伸びをしながら、腑抜けた大声て解き放たれたその感覚を露わにする少年。】
【どうやら、背後の存在に気が付いてないらしく……彼はそのまま、路地裏を出ようとフラフラ歩き始めるのだろう。】

288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/19(木) 00:16:58.55 ID:/H/HgaIwo
>>284
「どれくらい、つってもなァ。高校ン頃から、そういうのは首突っ込んでたし。
カノッサ目ェ付けられたのも考えりゃ、ここ2年ちょっとは戦いっぱなし、かもなァ。
ま、素人だったもんだからここまでボロボロになっちまったんだがよォ」

【右目を抑えつつ、首をごきりと回す】
【そして、淡々と己の経験を語るが、そう大したものでもない】
【世の中にありふれた、どこにでもいる正義の味方の一人。それがこの青年だ】

「昔の、な。今はもう無くなっちまってるよ。
大馬鹿ってのが否定出来ないってのが困るんだが――怖いし迷うし恐れるに決まってんだろーが。
ただ、それでも『そうしたい』からそうしてるんだ。義務でも使命でもない、俺の夢の為に挑んでるんだ。
……多少は。多少は俺の記事が変えてくれたはずだ。
ぶっちゃけ、俺の取材が役に立ってるのって、UTとかSCARLETへの情報屋みたいな点だけどさ。
だけど、変わってる筈だ。そして、変わらなかったとしても、俺は足が動く限りは挑み続ける。
挑まなきゃゼロだ。やらないで何も変わらないくらいなら、やって失敗するほうが億倍マシだよ。
――後悔したくねえだろ。人なんざ直ぐに死んじまうんだから。やれることはやりてェだろーよ、なァ?」

【青年は、少女の言葉に対して苦笑と同時に、言葉を発していく。次第にその声は熱を帯びる】
【表面上の達観した言動、理性的な面はあくまで外面。その本質は、暑苦しいまでの信念が詰まった男だ】
【後悔をしたくない。だから、やれることは全てやる。いつ死んでも構わないと思えるほどの全力で】
【それこそが、生き急ぎ死に急ぐような青年の生き様の源泉なのだろう】
【冷徹な言葉に対する返答は、このような熱量溢れる言葉。辛辣な言葉は、既に投げつけられ慣れていた】

「じゃなきゃ無所属でフリージャーナリストなんかやってねェって。
そもそも、組織に属さないのも、フットワーク軽くして自由に動くためだしよ。
俺は、俺の価値観で動きたいのさ。俺の価値観が俺の正義の基準で、それで俺は動いている。
……だから俺は今はUTとかSCARLETの味方だがな、カノッサとかGIFTの正義が『正しい』と思えたら奴らの味方になるだろうな」

【正義とは、正しさを信じて、正しさを貫くこと。それが、青年にとっての正義。仕事ではなく、生き様の正義】
【その正しさの基準を求めれば、それは結局のところ、青年の心のなかにしか存在しない】
【あとは、その正しさをどこまで信じられるか。そのエゴを、どこまで愚直に貫き通せるか】
【それを突き通し続けた結果が、ここに居た】

「……あ、そうだ。猫ほれ。好きなんだろ。
男に抱っこされるより女の子の方がいいだろ、ほれほれ、行け猫、おらおら」

【そして、思い出したように猫をまた少女の方に差し出す青年】
【ぶらんとぶら下がった猫は、少女の方に断続的にねこぱんちを繰り出してくるのであった】

/*では持ち越しでお願い致します! 明日というかもう今日ですが、今日は夜の10時頃からなら再開可能かと!*/
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/06/19(木) 00:20:17.64 ID:oPiJL8QB0
>>288
/了解しました、また舞台裏でお声をお掛けしますねー!
/お疲れ様でした、おやすみなさいませ!
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/19(木) 00:28:19.31 ID:TO3N8hZzo
>>287

【恐らく少年は気付いていないのだろう。とすれば、魔術は想定外に上手くいった訳だ】
【フレデリックはそれをしっかりと背後から眺めていた】
【だが同時に、その身に逆五芒星や鷹のマークが無いのを見れば――】

……猫にしてはちと声が大きすぎるのではないか、小僧?
だが、まあ良い……今度からは、付ける相手を選ぶことだな…――?

【そう、扉を締める直前に告げるのだった。振り返る頃にはバタン、と】
【出入口が閉じてしまうだろう。つまり、見逃してやる、というわけだ】

【暫く、其処にいても扉が勝手に開くことはないし――優男の方も姿が見えない】
【となれば他に妙な連中が来るより先に、此処を去るのが懸命だろうか】
【大男――フレデリックと、六罪王。そして教会をモチーフにした芸術品――】
【その関連がつながる事は、少年の中ではかなり難しい事かもしれなかった】

/っと、時間も遅くなってきましたのでこの辺りで…!
/お疲れ様でしたー!
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/06/19(木) 00:37:50.93 ID:vnZbRkCbo
>>286

【相手の盾を切り裂いた一瞬、女の表情は愉悦に歪んだのだが】
【続く拳の一撃を視線で捉えた瞬間、驚愕に目が見開かれた】

、っッ……!?

【その驚愕の表情が、相手の拳によって思い切り歪められ】
【さしもの肉体もその一撃ばかりは堪え切れず、かなりの距離を飛ばされて崩れ落ちた】

【暫しの沈黙の後、】
【砂埃の中からゆらと立ち上がる姿は、計り知れない怒りを湛えて寧ろ静寂としていた】
【高い鼻筋が折れ、鼻と口から鮮血を零しながら、黙りこくっていた女は不意に肩を震わせた】

ふっ……くくッ、ふははははッ!!
面白いッ! この私の顔面に一撃を喰らわすとはな……!!

貴様の名、覚えたぞ……お前を砕く楽しみは、後に取っておくとしよう

【そう告げた女の足元から、転移魔術の陣が浮かび上がり】
【土煙が完全に収まる頃には、その姿は滴った血の跡以外に何も残されてはいなかった】
【いずれまた戦う、その意思を最後に告げて】

【結果として森の主は命拾いをし、あの女についてもその後暫くは姿を現さなかった】
【完全、でこそなかれ、今宵月の下での闘いは相手の勝利に終わったのだった】

/携帯から返せたのでここで〆させて頂きます、お疲れ様でした!
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/19(木) 00:45:35.48 ID:VtI3/HLC0
>>290

――………?

【背後の存在に声でやっと気付けば、少年は振り向いて、】
【しかし浮かべた表情は、何の事だかサッパリと言いたげ、まあ彼からしてみればこの少年はシラを切っていると思うのだろうが、】
【扉が完全に締められた後、「誰や今の……」とボソッと呟いたのは、扉の向こう側にもきっと届いていた事だろう。】

【それから取り出すのはW-Phone、現在地を何とか割り出せば、少年は目の前の情報と照らし合わせながら言われずとも家路につく。】
【その間、―――明日の夕飯について考えていたというのは、魔法が使える彼でも、流石に探りきれない事だったはずだ……。】


/おつです〜
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 18:52:27.76 ID:BwoQ8x3Fo
【路地裏】


『ぬ、ぬわぁぁぁーーー!』


【腐敗した匂いが漂い薄暗い闇に包まれた路地裏で、野太い男の悲鳴が上がった】
【死が有り触れた日常となったこの場所では珍しものではないが】
【もし声につられてこの場に足を踏み入れることになったならば、その原因が目に映るだろうか】


『は、離せ……む、ぐぐぐ……!?』


「うーむ……やはり、こんな小物を捕まえても足しにもならんのだ!」
「いくら急がば回れというてものぅ……少しは気晴らしにはなったかもしれぬが」


【そこには大柄な男が一人と、何かで全身を包まれ地べたに転がった中肉中背の人物がいた】

【その男……身長は190cm程であろうか、服の上から見ても分かるほど逞しい鎧のような筋肉を付けている】
【隆々とした身を漆黒の法衣で包み、右手には巨大なバトルハンマーを持ち、背には長く厚い大剣を括りつけていた】

【そこまでは常人でも有り得る格好であろうが、一つだけ異様とも言える要素が存在した】
【肩から生えており、漫画のフキダシを思わせる"淡く光るボード"。その板上で黒い粒子が蠢き形を変えて】
【"一切声を発さない"この男の"台詞"を文字として表現していた】


「まぁよい、手柄は手柄なのだ!早々に自警団にでも突き出してくるとするかの!」
「賞金で特大"いちごぱふぇ"をやけ食いしてやるのだ!」


【男は、転がっていた中肉中背の男性を肩に担いでその場から離れていこうとする】
【捕まっている男性は全身を"砂"のような物体で拘束され、口には同様の物体で猿轡のようにされていた】

【ボードの文字を見ればある程度状況に察しはつくだろうが】
【もしこの光景だけを見ていた場合、怪しい男が誘拐しているようにも映るだろうか】

【また、近くで何か事件などがあればこの人物が反応するかもしれない】


/21:00くらいまで置いときます!
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 20:49:40.64 ID:yufFRP4Zo
>>293
【今夜は、やけに蠅が多い。路地裏となれば蠅が多いのも頷けるが、それでもやたらと蠅が飛び交っている】
【幾つも幾つも黒い蠅が飛び回り、大男の体やボードにぶつかったり離れたり、纏わり付いている──まるで、何らかの意志に従うかのように】

【それは不意に現れた、大男が蠅の多さに気が付いた頃であろうか、突如として激しいノイズのような音が、大男の頭上から落ちて来る】
【見れば、それは黒い塊。疎らにだが酷く密集した幾つもの黒、黒、黒───蝿の集団が塊となって、飛来してきたのだ】
【蠅塊は大男目掛けて飛来し、その体に一斉に纏わり付こうとするだろう、たかが蠅であり体が傷付く物ではないが、生物ならば大量の蠅に纏わり付かれる嫌悪感は有るはずだ】

【そして、いつの間にか、目の前に奴はいた】
【黒い怪人、鳥顔の人型──黒いコートに身を包んだ、2m以上の人影が】
【黒いシルクハット、黒い手袋、黒いロングコート…全身をピッタリ黒で包んだ何者かが、じっと蠅に集られる大男を見つめていた】
【その顔は、鳥のようなマスク、所謂ペストマスクと呼ばれる代物に覆われていて、外部から表情や顔付きは確認出来ない】

───ぁ″あ″ーーーーーー。

【怪人は声を発した、人の声と言うよりは鳴き声に近いそれ。カラスの鳴き声と赤ん坊の声を不気味にミックスしたような名状し難き音だ】
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 21:08:49.61 ID:BwoQ8x3Fo
>>294

「それにしても……今日は妙に虫が多いのだ」
「最近暑くなってきたからかの? ……うぅむ――」


【纏わりつく無数の蠅を、空いている片手で払ったり】
【肩や頭を揺すって遠ざけようとしながらも、男は強い違和感を覚えていた】

【賞金稼ぎの真似事を何度もしていて、その関係で路地裏にもそれなりに足を運んでいる】
【普段から死体や腐ったゴミなどが散らばっている場所だ】
【蠅など珍しくもないが、今日のこれは余りにも多すぎる】
【まるで、何らかの意志を持って向かってきているように――】


「むぅ〜……虫如きに術は使いたくなかったのだが」
「こうも多いと流石に目障りなのだ! 散るがよ――――っ!?」


【男が手に"砂"のようなものを出現させて、何かを行おうとした瞬間】
【気づかぬ内に目の前に出現していた、奇怪な人物の存在に気がついた】

【鳥顔の怪人の姿――そして、次いで放たれるは人のものとは思えぬ鳴き声】


(こやつ……いつからここにおったのだ!?)


【男は、その言い知れぬ不気味さに背筋にゾワリ……と生理的嫌悪感が浮かばせながら】
【砂を纏わせた腕を怪人の方へと向けて、掌を開いて突き出し】


「――貴様、何者なのだ!」


【短く、板上で文字にしてそう問うた。余りにも簡潔な呼び掛けにした理由は】
【恐らく目の前の怪人とは"まともに会話が出来ない"だろうと判断しているからだ】
【それでも一応人間相手にするように問いかけたのは、最終確認のようなものだろう】

【男の目は油断なく怪人へと向けられており、いつ開戦しても動けるようにと備えていた】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 21:21:11.48 ID:yufFRP4Zo
>>295

【まともな発言を、その怪人がする事は無い。一度鳴き声を上げたきり、何も言わず】
【やがて大男に纏わり付いていた蠅が離れると、一斉に怪人の元に集まり、その周囲を周回し始める、まるで黒い霧を纏っているかのようだ】

…………………

【大男の問い掛けに怪人が答える事は無く、代わりに蝿が飛び回る音だけがその場を包み込む】
【無言のまま、鳴き声もあげずに怪人は右手に武器を取り出した、錆び付いた大振りの両刃ノコギリだ】
【殺意や覇気は無い、だが友好的とは真逆の雰囲気が、矛盾した空気となり、気持ちの悪い生ぬるさを伴って漂い出した】

…………あ″ー

【再び、怪人は鳴き声を絞り出すと、周囲にいた蝿が一斉に広がり、壁のようになりながら大男へと飛び掛かる】
【ただの蝿だ、やはり攻撃にはならないが、その壁を構成する蠅の量は凄まじく、壁を隔てた向こうの景色がよく見えなくなってしまう】
【怪人はその壁に紛れながら大男へと接近し、腕のしなりを利用した大振りなノコギリでの一撃を、大男の胴体へと容赦無く放った】

297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 21:43:29.89 ID:BwoQ8x3Fo
>>296

「むぅ――やはり、話の通じる相手ではないか!」
「貴様は、邪魔だからそこでしばらく寝ておるがいいのだ!」


『う、うぬぐぐ――!』


【男は、担いでいた賞金首を近くのゴミ箱に向けて放り投げて】
【その手で蠅を払う際に降ろしていた戦鎚を取り、肩に担ぐようにして構えた】
【右腕に絡みついている砂粒子は、螺旋を描くようにして蠢いている】


「蟲使い……何度か見たことはあるが、本当に気色悪い連中なのだ!」
「どうせ操るならば、見目麗しい蝶にでもして出直すがよいのだ!」


【襲いかかる蠅の壁、視界は黒く塗りつぶされ怪人の姿を見失う】

【それに紛れて胴体を切り裂こうとする両刃鋸――手応えは、あっただろう】
【しかし、知能があればその感触に違和感を覚えたかもしれない】


【それは前面に突き出された"砂の盾"。右腕に収束していた砂を盾のように形状を変化させ】
【魔翌力を注がれることにより岩石のごとく強化、凶悪な一撃を受け止めていた】
【表面がガリガリと削れ、少なくない量の砂が路地裏の床に舞い落ちる】

【何故、視界を奪われた状態でも怪人の位置を捉えられていたのか】

【"地"を扱う術師であるこの男は、接地した対象を探知し認識することが出来る】
【そう正確なものではなく、今展開している術式では"位置"程度しか探ることは出来ないが――】


「今度はこっちの番だの――私を相手にしたことを存分に後悔するがよいのだ!」


【男は、半歩退いてスペースを作り】
【左腕で担ぐようにして構えていた戦鎚を、怪人目掛けて思い切り振り下ろした】
【単純な動作ではあるが、直撃した際の衝撃は相当なものになるだろうか】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/19(木) 21:52:31.33 ID:oPiJL8QBo
>>288


へえ………まぁ、私と同じようなものね。
にしても、素人のクセにここまでやるなんて。昔からバカだったのね、あなた。


【少女は青年の言葉を黙って聞き、咀嚼するように押し黙った後でそんな言葉を吐く。実際、この少女もカノッサやGIFTの敵と相対したことはあるのだが――――】
【大したこともなさそうに語られはするけれど、籠もっている年季と意思が違う。少女と青年の共通点はといえば、せいぜい「高校のときから」という点ぐらい】
【……思えば少女は、最初から大きな力を生まれ持ち、仲間と共に安全に場数を積んで成長してきたのだ。ゆえに、自らを素人と称した青年の言葉が理解できなかった】
【単なる素人が、自分の意思で戦いを選ぶというのは果たして。口でこそ偉そうに貶してはいるが……少女の中での青年の評価は目まぐるしく変わっていた】


ふん、スレた奴かと思ったら、意外と暑苦しい奴。
別に、その信念を否定する気はない――――けれど、よくそこまで愚直にやれるわね。
……ビビるって言うなら、正直そっちの方よ。普通の人間はそんな体になってまで頑張ろうとなんかしない……。

本当に……何が、あなたをそこまでさせるわけ?


【青年の言葉がどんどん熱くなっていくのを感じて、少女は軽く悪態を付いた。口調の割には少しだけ態度は柔らかかったかもしれない】
【冷淡なことばかり言ってはいるが、実のところ少女はとても理性的なタイプとはいえない。理屈で語られるより感情で語られたほうが思いも伝わるというもの】

【――――その、思いが伝わった結果。少女の瞳に浮かんでいるのはここまで一途に理想へ邁進できる青年への尊敬と、微かな畏怖であった】
【冗談ではなく文字通りの意味で、夢に命を賭しているのがわかったからで。本気で自分の正義を貫く覚悟をしているのが理解できたせいである】
【若く未熟な少女には、それが恐ろしく感じられたのかもしれない。……どうしてそこまでするのか。いずれこの青年は、全てを喪ってしまうのではと――――】


……悪いけど、私はそっちに近寄れないの。
もうちょっと遊んでやるか、地面に放してあげるかしてちょうだい。


【少女はもうすっかり青年の方へ気を取られてしまって、差し出される黒猫に対する怒りなんてとっくの昔に消え失せていたのだが】
【思えば先程もそうだったか。少女はベンチから立ち上がりこそすれ、決してそちらに近寄ろうとはしないだろう。でも、猫とは普通に戯れていたはずだから、】
【近寄らない――――いや、「近寄れない」のは青年の方にということか。かといって嫌悪や警戒の類は感じられず、少女はどこかバツの悪そうな顔をしているだけだ】
【勿論、青年に恐れを抱いたとはいってもほんの僅かで、そこまで強い恐怖を感じているわけでもない。何か別の、やむを得ない理由でもあるのか】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 22:10:58.12 ID:yufFRP4Zo
>>297
【砂の盾に防がれたノコギリだが、それにかかる力は思ったよりも大きくは無い、実際は振りの動作で瞬間的な威力を高めている為だ】
【ノコギリの一振りに巻き込まれた蠅達が無惨に潰れ、ノコギリや足元、砂の盾にまで内臓をブチまけて付着する、非常に不快感の高い光景だ】

ぁ″ーー……

【蠅をカモフラージュに使う、という行動が示す通り、この怪人にも知能らしきものはあるらしい】
【恐らくは今頃、『何故防がれたのか』を思考しているのだろうか、小さく声をあげて、首を捻ると、関節が異常に大きな音で鳴った】

【──大男が大地に接した物の位置がわかるのならば、有効範囲にもよるが、一つの異常に気付くかもしれない】
【一つ、二つ、三つ…今この場に人(らしき物も含め)は三人居て、それは大男からも視認出来る範囲にいるだろう】
【だが、少し離れた場所にもう一人、怪人の向こう側の塀の陰辺りに、一人分の気配があり、それはじっと動かず留まっている】

【ぐちゃっとした音と共に、大量の逃げ遅れた蠅がハンマーとコンクリートに挟まれて潰れる。一匹ずつのそれは対した事ないとは言え、これだけの物量を一斉にとなれば、蝿を潰したとしても、視覚や触覚へのダメージは大きい】
【怪人は、間一髪で後ろに下がり、ハンマーの一撃を回避していた、次の瞬間にはノコギリを両手で頭上に構えながら飛び上がる】
【今の攻防で沢山の数が減った蠅は、もう壁を作る程の数はないとは言えど、まだ顔に群がれば視界の邪魔になる量だ】
【当然ながら、残った蠅が一斉に大男の顔に群がり視界を塞ごうとする。怪人はそのまま、飛び上がった勢いのまま大男を、左肩から袈裟懸けに斬り下ろそうとしていた】
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/19(木) 22:22:26.08 ID:/H/HgaIwo
>>298
「幸せなんかじゃなかったんだ、俺は。親の顔は知らねえし、ガキの頃はモルモット扱いだったしよ。
だがな、俺みたいな普通に不幸≠ネ連中なんて、この世界にはごまんと居る。
世の中には不幸と不条理と理不尽が満ち溢れていて、俺にはそいつが我慢ならない、そいつがムカついて仕方がない。
だから俺は――そういうクソみたいな世界ってもんに喧嘩売ってやりたいから、こうして喧嘩売ってる訳だ。
……それに、人生の道筋ってのが今のところそれぐらいしか無いし、な。だから、これくらいしかすることもないんだよ。
因みに最終目的は世界平和な。まあ、俺の生きてる間は無理だろうが俺の考えじゃ後の世代が頑張ってくれりゃなんとかなるだろうしヨ」

「別に、頑張ろうとなんかしちゃねーんだ。ただ、こうでもしなきゃいられない=B
それだけでよ。それ以上でも以下でもねーんだわ」

【青年は、恵まれていなかった。恵まれない中で這いずり、這い上がり、食らいついてここに居る】
【青年の人生は、挑戦に、試練に満ちた人生だ。それは、少女とはかけ離れた生き方なのかもしれない】
【だが、青年はその人生を悔いてはいない。だが、他の人に同じような人生を歩んでほしくはなかった】
【人生を恨むのではなく、この人生を強いた世界法則に怒りを抱いた。そして、世界に挑む事を青年は己の人生の目的と定めた】
【歪な生まれ、歪な育ち、歪な道程。その果てに作り上げられた、歪で狂いながらも、正義を抱いてここに居た】
【ライムグリーンの右目と鈍色の左目は、淀みながらも真っ直ぐに、少女の方を向いているのであった】

【確かに、いつか全てを失うことはあるかもしれない。そして、それがそう遠くはない可能性も低くはない】
【だが、既に覚悟している。いつ死ぬかわからないのは、誰だって一緒だ】
【大切なのは、その死までどれだけ本気で生きていくのか。青年は、生きる℃魔ノ妥協をしていないのだ】
【生き急いでいるのかもしれない、死に急いでいるのかもしれない。だが、そこに妥協は無い】
【何時尽きるとも失われるとも知らない、ゴールの分からないレース。それが人生であることを知ったのは何時だったろう】
【だが、それを知った時点で、青年はペース配分を、ブレーキを捨て去った。後は加速するのみ、アクセルを踏みつけるだけだ】

「お、そうか。……んじゃ、お前さんはそろそろ野生に帰りなー。
クッキーも食ったしな。さっさと他の優しい人んところにいっときなっての、うりうり」

【少女の返答を受けて、こちらに近寄らないことは既に認識済みで、事情があることを察する】
【だからこそ、それほど大きくも小さくもない反応、普通の反応≠返して。青年は猫を地面に下ろす】
【そして、猫をおいやり、その姿が消えるまでその小さな黒さを見送っていき】

「……ま、なんだ。お前さんも俺も特別でも何でもねーんだ。
誰だって特別で、誰だって平凡だ。……何を言いたいか上手く纏まってねェが――、そうだな。
あんまり気負い過ぎんなよ。お前さんみたいなタイプは抱えすぎてぶっ潰れるタチが多いしな」

【猫を見送ってから、ベルトポーチの中に収まっていた缶コーヒーをおもむろに取り出す青年】
【大量の砂糖と練乳が入っていることで有名な、もはやコーヒーとも言えない、珈琲風練乳とも言えるだろうそれは、愛飲飲料】
【それのプルタブを開け、くいくいと喉に流しこみながら、青年はぽつりぽつりと言葉を吐き出していく】
【どこと無く、つねに張り詰めたようなそんな印象を与える少女に対する。『余計なお世話』だった】
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/19(木) 22:33:34.33 ID:BwoQ8x3Fo
>>299

【盾や服、などに蠅の臓物が多量に付着し異臭を放つ】
【大男はその醜悪な光景に僅かに眉を顰めながらも――意識は他に向いていた】


(ぬ……もしやこやつ、一体ではないのか!)
(いや、この化物の"飼い主"か?……ぬぅ、何にしても面倒事に巻き込まれたのだ!)


【地の探査によりこの怪人の他にも"何者か"か近くに潜んでいることを察する】
【目の前の怪人一人ならば、未だ底は見えていないが対処は可能かもしれない】
【しかし敵が三人ともなれば話は別だ。一気に形勢は不利に傾くだろう】

【元より男から仕掛けた、必要な戦闘ではない】
【状況によっては逃げの選択もあることを、思考の隅に置いた】


【戦鎚により更に多量の蠅が叩き潰れ、法衣にビチャビチャと体液が降りかかる】
【平時であれば嫌悪感に叫びながら服を脱ぎ捨てるような事もあっただろうが、今はそれを気にしている暇もない】


【怪人が飛び上がり、先ほど同様にまた数え切れぬ程の蠅の壁が立ち塞がり視界を奪う】
【男の技能に気づき学習したのか、それとも偶然か】
【今度は地を離れているため位置を判断することは出来ない】

【そうなれば、次は勘で対処するしかない】
【地術の弱点の一つは、宙の敵に対する攻撃手段の貧困さにもあり】
【位置を特定できない今迎撃することも非常に困難である】

【男は、一歩背後に退きながらも砂の盾を斜め上に向けて構えたが】
【正確な位置を特定できない以上十分な防御能力は見込めない】
【空中から勢いをつけて襲いかかる斬撃が、盾の端を削るようにして砕き】
【怯んだ拍子に滑り込んだ斬撃が、男の法衣を、肉を大きく抉った】

【そこで――奇妙なことに気づくだろうか?】
【男の切断面からは血が一滴も流れず、代わりに多量の"砂"が地面にこぼれ落ちていた】
【まるで身体が全て、砂で出来ているかのように】


「ぐっ……き、さま――調子に乗るでないのだ蝿男め!」


【斬撃を受けた衝撃で蹈鞴を踏みながらも、男は次の魔術を発動する】
【男の左右の地面が粒子状に"分解"され、支配下に置かれ現象を引き起こした】

【それは"砂嵐"。凄まじい勢いで砂が周囲に散らばっていき、蠅を吹き散らし怪人を怯ませようとする】
【群れれば視界を奪い高い妨害効果を発揮する蠅だが】
【一匹一匹が質量の軽く脆弱な虫ならば、こうした範囲攻撃が有効ではないかという考えだ】
【場合によっては、砂で羽を傷つけ叩き落とすことも可能であろうか】

【成否に問わず、男は怪人に向かい踏み込んで戦鎚を横薙ぎに振り払おうとする】
【怪力には届かずとも、常人よりは高い膂力で振るわれる戦鎚】
【直撃した場合、相応の衝撃として襲いかかるだろうか】
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/19(木) 23:11:00.72 ID:oPiJL8QBo
>>300


…………あなたって、本当に。いや、もういいわ…………。そこまで気持ちが固くちゃ、もう何も言えないわよ。
けどそれだけ大言壮語を吐くんだから、あっさり死んだりしないでよね。もしそうなったら一生笑い物にしてやるから。


【少女は深く深く、溜息を吐いた。いっそ狂気じみているほど一途に理想を追う彼のこと、何かとてつもなく非凡な体験をしてきたのだと思ったのだけれど、】
【自らの生涯の先まで見据えた、見上げても見上げきれないほど壮大な夢を、これほどまでに単純な理由で終える人間が居るとは――――】
【もはや青年の理想が単純なんだか深淵なんだかわからなくなって、本日何度目かの言葉は流石にくどくなって飲み込んだ】
【挑発的な言葉はどこか、身を案じるような調子に聞こえなくもない。それにしたって酷い言い草ではあるが……この少女はどこまでも、こういう性格なのだろう】


まったく、調子のいい奴。………覚えときなさいよ?


【黒猫は最後ににゃあと鳴いて、どこぞへ立ち去っていく。その鳴き声が青年へ向けてだったのか少女へ向けてだったのかはわからないけれど】
【少女は若干の苦笑を浮かべ、青年と同じくその背を見送る。野良猫なんてしょせんは気まぐれな生き物だ、じとりと突き刺す視線も冗談めいて】
【やがてその姿が視界から消えると、少女はベンチに置いてあった学生鞄を掴んでちらりと青年を見る。彼の『余計なお世話』には、ふんと鼻を鳴らして答えた】


その言葉、そっくりそのまま返してやるわ。
そんな大きなモノを抱えたまま、たったひとりで溺れられても迷惑なのよ。
私の経験上――――前ばかり見てる奴ほど早く死ぬ。野垂れ死にたくなかったら、せいぜい周囲を見渡しながら生きなさい。
……あなたみたいな人なら。少なくとも目的が一致してるうちは、協力してくれる奴だっているでしょうし。

私………幸徳井佳乃よ。あなたは?


【忠告には忠告で返す。生意気な性格ゆえの幼稚な反論ではあったが、しかし単なる学生の妄言に留まらない重みがそこにはある】
【まるで誰かの死を間近で見たことのあるような――――そんな言葉。青年の言ったとおり、そんな不幸は世の中にありふれているけれど】
【その不幸の中で少女が感じた素直なものが、言葉には滲んでいる。青年が強い意志で自ら決めた道だ、今更命を大事にしろなんて言えなかった】
【でも、生きながら死に急ぐような危険な生き方をする彼の背中を、せめて守ってくれる人間を見つけろと。投げやりながらもそんな意味合いがそこにはある】

【……このタイミングで名乗って、同じように名前を聞き返したのは。あるいは何らかの含みがあってのことだったか】
【少なくとも確かなのは、この少女の性格からして、たとえば「私も協力してやる」なんて台詞は口が裂けても言いそうにないということだ】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 23:26:22.07 ID:yufFRP4Zo
>>301
【──視ている】
【何者かが、ずっとこの戦いを眺めている。気配を隠そうとしているが、隠そうとしているのがバレバレな程度に姿を隠すのが下手だ】
【黒幕か、ただの覗きか、どちらにせよ、件の何者かは、ただ様子を伺っているようだ】

………あ″ーーーー

【ノコギリが大男の体を斬り裂き、怪人は着地の衝撃を吸収する為に膝を曲げる、高い身長が一気に低くなった】
【その低くなった位置から、首だけを曲げ顔を大男に向ける、ダメージが入ったかを確認しているのだろうか、傷から零れる砂を見て首をまた傾げる】

【そこから、立ち上がる動作を利用して更に切り上げるつもりで怪人はノコギリを持つ手に力を込めた】
【が、その瞬間に強烈な砂嵐が巻き起こり、怪人に襲い掛かる。その余りの勢いに怪人も怯み、僅かに後退】
【蝿の死体と、残った蠅達を撒き散らしながら怪人を襲う砂嵐が動作を抑え、隙を作る】

───………

【鈍い音と、骨が圧し折れる感触だ、それが大男には伝わるだろう】
【横殴りになった怪人の体は、人形を殴った様に弓なりになって、そのまま壁に叩きつけられる。それでも声一つあげていないのが不気味だが】

【壁にぶつかった衝撃で手からノコギリが落ち、ずるりと崩れる怪人の体から、ドス黒い体液が壁に付着している】

………あ″、あ″ーーーー

【しかし、それでも怪人は倒れず、苦しむ様子がない──苦しむ感情があるのかすら不明だが】
【どこからか湧いてきたのか、また蝿の数が増えて来た。怪人の周囲に集まり、壁にとまり飛び回り、怪人の流した体液に群がって啜り出す】

あ″あ″あ″あ″あ″

【集まる蝿の数はみるみるうちに増えて行き、すぐにでも最初の数を増す程の黒い塊を怪人の頭上に形成しだす】
【まるで別世界の深淵に繋がる扉が開いたかのような黒い塊が、路地裏に蓋をしてしまいそうなくらいに増えて行く】
【羽音が空気を打ち震わせ、ノイズが更に大きく、蠅が作り出す闇は大きくなって行き──】
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/19(木) 23:37:20.31 ID:/H/HgaIwo
>>302
「死なねーって。死ぬの怖いしよォ。
ま、生きることより優先されることが有ったら知らねェけどさ。
これでもしぶとさだけにァ自信があるんだよ。じゃなきゃこんなになっても生き延びちゃいねェだろ?」

【死にたくないから死なない。そんな身も蓋もない言葉を迷わず返す】
【単純で、シンプルで真っ直ぐに直線な言葉で複雑な物事を表現するそのあり方は、なんとも言えないもの】
【しかし、その単純とも深遠ともなんだか分からないそれ、『わからない』ということそれ自体が青年の本質を表していた】
【善も悪も単純も深遠も死に急ぎも生き急ぎも強さも弱さも何もかもを正義という器に押し込めてしまったようなそのありかた】
【割り切れない。0と1では表せないファジーさ。それは、きっと――人間というものの本質で、特別でもなんでもないものだったろう】

「あ゛ー……この一杯の為に生きてるわァ」

【少女が青年に視線を向けてみせれば、おっさん臭く缶コーヒーをすする青年が】
【なんとも締まらず、緊張感のない振る舞いは、意図したものか。それともしないものか】
【本気と冗談の境界線のわからぬ青年は、少女と視線を交錯させて、静かにその切れ長の双眸を細めてみせた】

「……後ろ見てもろくでもねェ経験しかしてねェからなァ。
だがまあ、確かにお前さんの言うとおりだ。仲間は居ないが味方は居るしよ。
……まー強く生きるさ、溺れそうになったら藁にでも掴まらせてもらうかねェ」

【へらり、と笑いつつ、その笑みの性質が一瞬だけ素の、気取らない物となった】
【孤独を選ぶのは、己の正義が群れることに向かないから。組織の意志ではなく、自意識のみを基準とするから孤独を選んだ】
【だがそれでも孤独は確かに辛いのだ。だから、少女の言葉は身につまされるような重みを感じさせるものであった】

「谷山基樹。物騒事以外でも、いつでもタレコミ、取材依頼を受付中だ。
何か有ったらウチの事務所まで連絡してくれや。格安で受け付けてやるからよォ」

【少女の名乗りを聞いた上で、青年は己の名前を堂々と名乗りあげる】
【フリージャーナリストなどという後ろ盾も、生活の安定も何もない職種。常に仕事は受付中だった】
【最後に、少女は触れられないだろうとわかった上で、懐から取り出した紙片をなめらかな動作で少女に投げた】
【少女がそれを受け取れば、青年の名前、肩書、事務所の住所、連絡先などが書かれた名刺であることが理解できただろう】

「――うっし、明日は久々に普通に観光地の取材なんでな。さっさと帰らせてもらうわ。
お前さんは強いは強いだろーが、あんまり遅くまで出歩くなよ、補導とか面倒だろ? 名門校なんだしよォ。
んじゃ、またいつか。会ったらよろしく、会わなきゃそれまで。じゃーなー」

【缶コーヒーを空にすると、それを潰してみようとしても腕力が足りずバツの悪い表情になって】
【その空の缶を近くに目についたゴミ箱に投擲し、青年は背を向けて歩き出す。後ろ手に手を振りながら】
【青年が数歩歩んだ直後に、こん。と軽い音。缶コーヒーの空き缶は、綺麗にゴミ箱の中に収まっていた】
【それに対して、予想通りのように喜びも何もせず。青年は真っ直ぐに、『前だけを見て』歩き去っていくのだった――】

/*お疲れ様でしたー! 楽しかったのですよー!*/
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/19(木) 23:44:17.89 ID:BwoQ8x3Fo
>>303

「ぬぅ――まだ浅かったかの!」
「まったく、ゴキブリみたいなしぶとさなのだ!」


【発生していた砂嵐が止む――手応えはあったが、怪人は未だ健在であった】
【今までの動きや容貌などから、人間離れした異様は十分に感じている】
【特に驚くことはなかったが、嫌な予想が的中した結果に忌々しげな文字を走らせた】


「あれは……生意気にも"必殺技"でも使うつもりかの?」
「貴様が真っ当な人間であれば、待ってやるくらいの"さぁびす"は考えてやったが――」


【トン、と爪先で軽く地面を叩き魔力を周囲にじわりと浸透させ……男は次の術を発動した】

【路地裏の地面の素材が分解される】
【分解された素材は粒子状に変換され、周辺約30cm程度が砂地のように変化し――前方に向かい河のように"流れ出した"】
【その効果は"移動"。足を動かすのではなく、地面を動かし自身を輸送する異様の術】
【人体の動きに囚われず高速移動を可能とする其れは、例えるならば「ホバー移動」に近い見た目であろうか】

【範囲は男の周辺であり、移動するに従い範囲も男の位置に合わせて変化し続け】
【通り過ぎた地形は元の床に逆再生のように戻っていく】


「――"畜生"風情にそのような配慮、必要あるまいな!」


【戦鎚の柄を両手で握り締めると、"砂の河"の術式による高速移動で一気に距離を詰めようとし】
【成功したならば移動の勢いをそのままに、全身を叩きつけるようにして】
【怪人の肩付近へと渾身の一撃を振り下ろそうとするだろう】

【直線的ではあるものの、突進めいたこの攻撃は速度に長け、非常に高い突破力を誇る】
【蠅による攪乱や防御を想定した上で、それを丸ごとぶち抜くことを考えた豪快な一撃である】

【だが成否に問わず、大きく抉られた左肩付近からの損壊が大きくなり】
【場合によっては崩れて使い物にならなくなる可能性が高い】
【また、攻撃が到達する前に損傷部位に強い衝撃などが加えられた場合】
【左腕がまるごと"砂の塊となって"落ち、片手の攻撃になることで威力が低減するだろうか】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 00:22:32.11 ID:eiEv72kbo
>>305
【もともと暗かった路地裏の周囲が、更に暗く、黒く影に包まれて行き、カーテンを締め切った部屋のような暗さを作り出して行く】
【怪人を中心として、周囲の路地裏は完全に蝿の集団に蓋をされていた。どこからこれだけの蠅が集まって来たのか定かでは無いが、一生で見る蝿の数を一気に集めたかのようだ】

【怪人自身に目立った動きは無かった、というよりもまったく動いていないのだ。大男が近付いて来ても、その場から逃げようともしない】
【大男の攻撃を妨害しようともしない、僅かに上を見上げ、呆けたように固まっている】
【元々動作自体は素早くはなかったこの怪人、今更回避をしようとも間にあいはしないだろう、この勝負は決したか───】

「───待て!駄目だ逃げろ!!」

【大男のハンマーが振り下ろされ、怪人の肩を殴ったのと、その叫び声はほぼ同時に。肉体が壊れる凄まじい音に飲み込まれる】
【怪人の体が殴られるままに潰れ始めた瞬間、それは起きた】

【黒い雨】

【そう形容するしかない、大規模な攻撃】
【空に溜まった蝿の塊から、小石程度の塊が急降下し始める、それは一つ二つなんかではない、正しく雨と言う他無いくらいに、大量に】
【ただの蝿、初戦攻撃翌力は無い──と、言えたのは、今までがただ纏わり付いたり、目隠しに使っていたが故】
【圧縮し、超高速で加速した蝿の塊は硬度を持ち、降りしきる一つ一つが小さな針の様な鋭さを持っている】
【大男が先程使った砂の盾ならば、物量に押されるという事もないくらいに一つの威力が小さい。だが防御の無い生身にはいくら威力が小さくとも物量ではいずれ耐えきれ無くなってしまう】

【怪人自身をも貫く、諸共の無差別な攻撃は。それに対して大男は、出来るならば素早く防御策を取るべきである】
【この蝿の雨も降って十数秒、それを何とか耐え切る事さえできれば、せめて共倒れではなくなる】
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/20(金) 00:35:54.43 ID:ww+wHsujo
>>304


………さっきの話を聞いた後じゃ、いまいち説得力がないんだけれど。
まぁ、あなたが生きて、理想を体現している間は……そのバカな夢は笑わないでいてあげるわよ。


【夢を叶えるため、たったひとりで危険な戦いを続ける彼がここまで生き延びてこれたのは、相応の実力と生きたいという意志の賜物なのだろう】
【それは疑っていない。死に急いではいても死ぬ気はない。死んだら目的が達成できないから――――少女にはそんな風に見えた】
【それでも、青年が変えんとするのは世界≠サのもので。見上げるのも馬鹿らしい巨大な相手に真正面から喧嘩を売るさまは滑稽にすら見えるのかも知れない】
【………でも、その意志だけは。この危なっかしい生き方にさえ目を瞑れば、自分のために世界とも戦えるその強靱な意志に、少女は微かな羨望を覚える】


気をつけなさい。最期の最期で振り向いたら、すがる藁も無くなってる――――なんてことにならないように。
安易に他人に迎合するのは気に入らないけれど、味方ぐらいは簡単に作れるでしょ。あなたなら………。


【「私と違って」と言い掛けて、少女は慌てて口をつぐむ。自分が青年とは別の意味で他人を遠ざける生き方をしているのは、もういまさら言っても仕方のないことだ】
【それと同時にふと気づいて、少女は僅かな羞恥に頬を赤くして顔を背けた。……これもいまさら過ぎるが、会ったばかりの他人の心配をするなんて私らしくもない、と】
【誰かのためでない、自分のための正義――――それが青年とは違う形ながらも少女の中に在るからこそ、いつの間にやら熱が入ってしまっていたのだろう】


っ、と。
谷山基樹、フリージャーナリスト………字面で見るとさらに胡散臭いけれど、まぁいいわ。
……私はどうせ不良だからいいの。補導なんて適当に撒けばいいだけだし。あなたの『余計なお世話』も流石にもう貰い飽きてきたところよ。


【自分が他人に触れられないことも、レイリスフィード学園の生徒であることもお見通しか。少女は若干癪なものを覚えつつ名刺を受け取る】
【……不良だという自称は嘘ではない。警察や自警団に見つかって補導されかけたことも一度や二度ではなく、すべて逃げおおせていたりする】
【見た目こそお嬢様じみているが、実際は筋金入りの問題児――――それが幸徳井佳乃という人間であるのだった】
【フリージャーナリストというぐらいだ、その情報網で少し調べればそこそこ有名人であることもわかるだろう。学内での悪い噂は事欠かず、】
【――――武道大会に出場したり、各地のテロ鎮圧に個人として協力していたり。互いの正義≠ェ重なれば、またどこかの戦場で出会うこともあるかもしれなかった】


まったく、淡泊な奴――――。
さよなら、谷山。……もし次会ったとき幽霊かゾンビにでもなってたら、泣いて許しを請うまで悶え苦しませてやるから覚悟しなさい。


【……後ろ手に空き缶を放ってゴミ箱に入れる技術の方でなく、空き缶を潰せなかった握力の方へ意地の悪い微笑を送るあたりが、なんともこの少女らしく】
【やがて、少女もまた踵を返す。最後に首だけ振り返って言った冗談は、彼女の聖≠フ力と生意気な性格を考えると微妙に洒落になっていないけれど】
【フリージャーナリスト・谷山基樹との出会いの証を胸ポケットに突っ込み、少女は――――佳乃は、幾ばくか楽しげな様子で帰路に就くのだった】


/二日間ありがとうございましたー!
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 00:47:11.54 ID:vGAgJO66o
>>306

「……まぁ、あんな塊から出来ることといえば」
「大きな玉にして落とすか、雨のように降らせるかよ―― ――の」


【戦鎚を振り切り、勢いで壁にぶつかる寸前でブレーキを掛け動きを停止する】
【降り注ぐ黒く凶悪な雨は、男の身体中を叩き】
【その度に小さく抉れて砂が散っていった】
【如何に強靭な筋肉と、特殊な体質を持っていたとしても耐えきることは出来ないだろう】
【台詞を記していたボードも穿たれ吹き飛んでいき】
【このまま黒い暴威に晒され命を落とすかと思われたその時】


【ボフン――と、男から暗い視界を更に悪化させるかの如く膨大な"砂煙"が舞った】
【最早まともな手段では今の路地裏を見ることは困難であろう】
【しかし、それは防御でも反撃でもない。ただの目晦ましのような術であった】
【視覚阻害に加え、何の意図があってか若干の魔翌力妨害、チャフのような効力も含んでいる】
【蠅の雨は変わらず降り続け、何もなかったならばそれ以降止むまで一切の抵抗はないだろう】
【今の術が、最後の悪あがきだったのだろうか】


【上記の通りに、何らかの介入なども無く最後まで蠅の攻撃が続いた場合】
【男がいた場所には既にその姿はなく、ボロ切れと化した法衣と大量の砂だけが残されているだろう】
【先程からダメージを受けていた時に見えていた通り、身体は砂で出来ていたのか】
【力強く戦鎚を振るっていた男は、何の意味もない砂の塊となって路地裏の闇に散らばっていた】


【――】


(とまぁ、うまく誤魔化せておればよいのだがの?)
(まったく、あの怪人はともかく後ろの連中にはあまり手の内を見せたくはないからの)
(死んだと思ってもらえたならば、上々なのだ!)

(しかしちょっとした気晴らしのつもりが、本当に災難だったのだ〜)


【と、地表でボロ切れとなった"搭乗型ゴーレム"を尻目に砂煙に紛れて地中に潜行した"少女"は】
【魔翌力をレーダーのように張り巡らせて、上の様子を探りながらも】
【もし発見される事などがなかった場合は、そのまま路地裏の地下を通って去っていこうとするだろう】


【また、この描写に関しては上記の状況で何らかが発生し】
【地中に逃げ込むことも出来なかった場合は無かったことになるだろうか】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 01:14:49.90 ID:eiEv72kbo
>>308


「………!」

【『彼』の目の前では、地獄の悪魔が殺し合っているかのような光景が広がっていた】
【塀に隠れ、あと少しでも近付けば巻き込まれてしまいそうで、一歩も動けないが、この光景を脳裏に焼き付けなくてはならないという使命感だけでただ視ていた】

「(思わず叫んでしまったが気付かれてはいないようだ……まだ、あの吹き出し男の方も善人と決まった訳じゃない)」
「(それに私の使命はあの怪人を調べ上げる事……すまない、命を無駄には出来ないんだ)」

【塀に隠れ、ずっと戦いを──いや、怪人の姿を視ていた中年の男、彼は名前をジョバンニと名乗っていた】
【薄汚れたスーツとトレンチコートがそれらしい雰囲気の私立探偵であり、彼はずっとあの怪人の事を追っている】
【今回においても、怪人の事を追っていた事でこの戦闘を見つけ、無能力者である彼は巻き込まれないように隠れて見張る事にしたのであった】

【話を戻そう、黒い蝿の雨と、砂埃がようやく勢いを消し、晴れた頃、そこに大男と怪人両方の姿は無かった】
【まるで嵐が過ぎ去った後かのように、砂利と蝿の死体塗れになった地面を恐る恐る踏みながら、ジョバンニは拳銃を構えて戦闘があった場所へと踏み出す】

「……くそっ!また消えやがった!……戦っていた吹き出し男もか……」

【怪人がいつの間にか消えていた事はこれ迄もよくある事であった、故に神出鬼没な怪人としてジョバンニは奴を追っていた】
【問題なのは戦っていた大男もろとも消えた事、生きていたなら事情や話なども聞けたかもしれないと踏んでいたが、それは出来なさそうだとジョバンニは肩を落とす】

「……仕方が無い、今夜は一度戻るとするか」

【実際に戦っていた者とコンタクトを取れなかったのは非常に痛い、直に対応した者でなければわからない事もあるからだ】
【だが、その事実にいつ迄も嘆いていては進まない事もジョバンニは知っている、今夜見た分の情報を纏める為に、ここを離れる事にした】

【私立探偵ジョバンニ──彼が追うのは『怪人ペスト』、世界の片隅の小さな闇】

/お疲れ様でした
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 01:16:25.01 ID:vGAgJO66o
>>309
/お疲れ様でした!
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 20:15:33.25 ID:vGAgJO66o
【どこかの町外れ/夜】

〜♪ 〜♪


【古びた街灯がチカチカと頼りない光を照らしている町外れ】
【その一角に建つ小さな店の前で、少年らしき人影が小さな声で歌いながら箒を掃いていた】


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


【口ずさむは、広い草原を馬に乗って駆け抜ける青年の歌】
【爽やかな風が肌を撫でるような、聴き心地のいい曲調をしている】
【少年はご機嫌そうに頬笑みを浮かべながら、箒で店の前の埃を集めていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】


【扉の前に掛けられた小さなランタンが淡い光をゆらりと灯しながら】
【今日もお客様が来ないかと待つかのようにぶら下がっていた】


【――】



【ところ変わって、水の国のとある公園】


や、やっと休暇なのだぜ……
まったく、テロ屋さんたちももうちょい休みとってもいいんじゃねぇかね……?


【公園のベンチにぐてっとした様子で座り、疲れた調子で声を洩らす一人の人物がいた】

【身長は170cm程度であろうか。切り揃えられた短い黒髪と褐色の肌をした男だ】
【人ごみに紛れたらすぐに埋没してしまいそうな、どこか冴えない顔立ちとやせ型の身体をしている】
【男はギルド連盟……水の国にある冒険者ギルドの職員に支給されるジャケットを着用しており】
【もし、ギルドにある程度面識がある人間ならばこの男の所属を察することも出来るだろうか】


つっても、二日の休みじゃあ旅行も出来ないし……やることもねえのだぜ
癒しだ、今の俺には癒しが足りない……いいマッサージ屋でも探してみようかねぇ?


【天を仰ぎながら、腰に下げていた赤色のリボルバーを指で引っ掛けてくるくると回す】
【視界に広がる月が、嫌味なほどに綺麗に輝き男を照らしていた】


/22:00くらいまで置いときます!
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 21:08:22.37 ID:IHXW9qqKo
【路地裏】

【細い道が網目のように入り組んだ小路。不規則に建てられたテナントやアパートメントは】
【このダウンタウンにカビ臭い迷宮を創りだした。明かりは窓から漏れる室内灯と看板ぐらいだ】
【余り、良い話は聞かないこの場所、ある雑居ビルの錆びたドアが開かれる】

【ざり、と舗装路の上の砂利を踏んで一歩くぐり、ドアを閉める。鍵がかかる音がした】
【そいつは右手に持っていたアタッシェケースを足元において、オイルライターで煙草に火をつける】

【背の高い痩せた体躯、この夜でも黒いレンズのサングラスをしている。三つボタンの細いスーツを着ていて】
【薄い赤のシャツ、黒いネクタイ、靴は革靴でなく編上げのブーツ。相当、格好つけた男だ】

【その辺りには”地下銀行”が在るという噂があった。文字通り地下にあるのではなく『アンダーグラウンド』という意味だ】
【普通の銀行には行けない身分の者達が送金や非合法に稼いだ金を合法に”洗浄”する。そういう場所だ】
【マフィアやなんらの組織の人間のみならず、討伐の報奨金を生業にする能力者がそこを利用しているらしい】
【警察や正義組織はその場所を追っている。 要は、金と犯罪の匂いがする場所だ】

【何かの事情でそこから出てきた男は煙草を指で挟むと、アタッシェケースを再び掴んで路地を歩き出そうとした】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/20(金) 21:15:36.55 ID:iApK8mnno
【公園――広場】

【すっかり人もいなくなって、街灯が淡い光が静けさを映す、そんな場所】
【だがこんな時間だというのに広場を見ればひとつ、走っていることだろう】

【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、そんな――精悍な顔つきの少女だ】
【薄い緑色のTシャツの背には猫ならしっぽだけで一瞬にして全てを語れ≠ニいう意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】

【おそらくランニングか何かだろう。しかし異様な点がひとつ――彼女の後ろにはあった】


ふーっ、ちょっと休憩……案外楽勝だにゃ。こんなんで強くなれるのかにゃ?


【広場沿いの道近くまで走ってきた少女は一旦立ち止まって呼吸を整える】
【普通のランニング後と変わらぬ様子だがその後ろには――身の丈もあろうかという土管があることだろう】
【つまり、彼女はそれと自分の腰とをロープで繋ぎ、まるでタイヤ引きでもするようにランニングしていたのだ】

【流石に疲れてはいるようだが、華奢な体格にそぐわない怪力の持ち主なのかもしれない】
【そんな彼女は――この場を通りかかった人にどのように映るのだろうか】







【路地裏】


【道路を走る車の音が聞こえて来る】
【建物に遮られた音はまっすぐに響いて来ず、まるで壁に隔てられた別世界からの音のようで】
【往来する人の数の差もそれを助長している。その証拠に、今起きている出来事にまだ誰も気付いていなくて】


「オイ! こいつ能力者だぞ!」
「でも弱そうだしやっちまおうぜ。ムカつく目ェしてやがるしよ」
「泣いて許してくださいって言えば半殺しで済むかもなぁ? アッハハハ!」


【三人ほどの男が少年を取り囲んでいた。いや、すでに喧嘩の最中だった】
【男たちは派手な衣服を身を包みジャラジャラとアクセサリーを付けた、いわゆる不良という風貌で】
【彼らは少年に殴りかかったり拘束しようとしたりするが――全てかわされていた】


痛、っ……ああ、鬱陶しいな


【少年の方もかわすことに精いっぱいのよう。握られた黒い魔翌力の剣も振るわれないままだ】
【しかしついに顔への打撃を許してしまう。不良達の下衆な笑みがこの上なく深まったのは言うまでもない】

【真っ黒のボサボサ短髪、深淵を思わせるかのような漆黒の瞳は三白眼で、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】
【突破口を見出すべく不良達を睨むのだろう。その眼にはある種の――覚悟が秘められていた】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/20(金) 21:23:17.89 ID:fyi58G4Go
突然だけど、僕の名前は渚 詩音。レイリスフィード学園の生徒だ。
特にこれといって目立たない、不良とも無縁な、おとなしくて無臭無害な、そして争いが嫌いな平和主義者。
そう、所謂普通で普遍的な一般生徒だ。
居ても居なくても気にされないような、つまりはモブキャラ。主人公格にはきっと一生かかっても成り得るはずもなくて。

「………とんだ戯言だな」

そう、呟く。

何が平和主義者だ、何が普通だ、何が無臭無害だ。
僕は一体どれだけの人を傷つけて、狂わせて、それでもなお、今現在も、のうのうと生きているのだろう。
そもそも、「普通」って何だ?
表面だけそれっぽくしておけば普通になるのか?表面しか見ていないのに、勝手に断定されてしまうのか?
そう、それこそ僕のような「異常」が「普通」と評されてしまうように。

まあ、つまり人間なんてあっさりと騙せるわけだ。
それっぽい素振りをして、流されるままに生きてさえいれば、こうも容易く。
だけど、気付いたら不思議な事にあっさりと手のひらを返して、
まるで過去の積み重ねなど無かったかのように侮蔑や侮辱、憎悪、妬心などの負の感情を向ける。

まあ友情なんて、結局そんなものだ。たったこれだけの事で壊れてしまうような脆い関係。
だから僕は、そんな何時まで続くかも分からない、そんな不確かな関係に依存している奴らを見たらこう嘲ってやるんだ。

――――「なんだ、まだ独り立ち出来ないのかい?」、と。

人は一人で生きていくべきだ、自分だけを信じて、他を見下して愚弄して、利用する。
そうすれば、楽に生きられるじゃないか。

―――あぁ、なんて戯言だ。

一人で生きていくなんて、出来るはずないのに。
助け合わなきゃ、支え合わなきゃいつか必ずその足が折れてしまうのに。

さて、そんな戯言的思考を取りやめ、そういえばここはどこだろう?と辺りを見回す。
目に映るのは滑り台に、ブランコに………あぁ、公園か。
そして僕が座っているこれはベンチのようだ。

戯言に振り回されて自分の居る場所すら分からなくなるとは、まったく本当に滑稽なものだ、と自嘲気味に嘆息をつく。
うん、これからどうしようかな。まだ日も出てるし、ちょっとボーっとしてるか。

そうして僕は、思考も何もせず、ただただボーっとする事にした。
多分、そのうち眠くなって眠る事になるのだろう。

/キャラ始動&絡み待ちです!
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 00:04:18.69 ID:rOW1opx2o
【どこかの公園】

【寂しく涼しい夜風が空になった公園を吹き抜け】
【ぼんやり煌めく街灯は虫を集めて焼き[ピーーー]】
【そんな昼間とは一変した公園に、一人の人物が存在していた】

…夜風は涼しいのね……

【公園内に居たのは一人の女性】
【少し値の張りそうな車椅子に座り、夜空によく似た長い髪の毛を夜風に預ける】
【そして首元にはカノッサの30を表すネックレスが輝いていた】

誰もいない時間にしかこうやって堂々と外に出れない…
それって少しだけ酷…なのかしらね

【その瞬間、強い夜風が女性の帽子を空高く攫って行った】

あら………

【飛んでいく帽子、だけど車椅子の女性にはそれをつかむことは出来なかった。】

/絡み待ち?…です
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 00:29:11.94 ID:XAud2Eo90
>>315

【夜風はそれこそ、色んな物を運びだそうとする。】

【時間も時間で、太陽が天辺で光を降り注いでいた間とは真逆、この公園の人集りは随分と寂しい物であった。】
【月明かりだけでは心許ないからと、等間隔に設置された街灯は、人の目で見れば光を放つ。暖かさが感じられる。】

【同じく等間隔に聞こえて来る何か。どうやら、この音は―――かの女性と同じく、もう一人の客人の様。】
【断続的に、その淡い光に照らされれば、姿も浮かび上がるだろうか。】

【もう初夏だというのに、その季節感を全く感じさせない、少し古ぼけた派手な赤色のオーバーコートに黒色のパンツ。】
【右手の薬指に煌めくのは、銀の指輪だろうか。ついでに、指先が出るタイプの革のグローブが両手に嵌められて。】
【それに、白銀の髪に紅い眼となれば、嫌でも特徴的だと言わざるを得ない―――整った顔立ちではあるが、まあ少年と呼ぶに相応しい風貌だ。】

【彼は、女性とは少し離れた自販機に用があったらしい、元々の方向は、少し違っていた。】
【しかしどうだろうか、―――彼の背丈より一回り、二回り高く空に浮かぶ帽子を、軽い身のこなしでスタッと取ってしまえば、】
【その持ち主はとキョロキョロ辺りを見回す事になる。……勿論、そう遠くない未来に彼女の存在に気付く。】

【本来の目的はさておき、少年は先ず、お届け物を届けに行く様だ。飛んで行く帽子を眼だけで追っていたのなら、】
【彼がそれを取る瞬間も目撃出来ただろうし、其処に数秒の間、彼女自身もまた、彼の姿を眺める時間が、あった筈だ―――、】


んあー……―――これ、お前の?

【暫く声を出していなかったのか、初めは声になっていない声が出てしまった様、何とも恥ずかしい思いをした。】
【それから彼女に帽子を差し出す。しかしそれにしても、その所作、……中々紳士的だった、と言うか―――、】
【少なくとも其処に、見た目から想像し得る荒々しさだとか、不良っぽさだとかそう言ったのは、感じられなかった……という、ギャップ。】

317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 00:43:48.13 ID:rOW1opx2o
>>316

【飛んでいく帽子、ちょっと質素だけど意外とお気に入りの帽子】
【だけど私にはもう取れない、と半ば諦観気味にため息をついた】

【最後のお別れを言うかのように、帽子を目で追った】
【すると見知らぬ少年がまるで猫のような身のこなしで帽子をキャッチしてくれた】

【しかも嬉しいことに自分の方へと帽子を持って近づいてきてくれている】
【まさにこういうのを「棚から牡丹餅」というのだろうか?きっとものすごく間違っていると思うが】


ええ…わざわざありがとう。

【差し出された帽子を両手で大事に受け取って、見上げるような姿勢で笑みを送る】
【次強い風が吹けば、彼女自身が吹き飛んでしまいそうなそんな雰囲気さえ醸し出していた】

…そうだ。お礼がしたいんだけど。
よかったら、何でもいいから何かさせてくれない?

【フフッと小さく笑いながら、さり気なく首元のネックレスを服の中に隠す】
【きっと相手を怖がらせてはいけないとかそんなことを思ったのだろう】
【それか急な闇討ちを仕掛けるのかの二択だ】


体は悪いけど。ほかの事だったら何でもできるわ。

【車椅子をキコキコと鳴らしながら、彼女は少しだけ少年の方に前進した】
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 01:04:46.18 ID:XAud2Eo90
>>317

……いや、別に。そこまで大したこと、してねーだろ、俺。

【動く物には、自然と目が行く―――上から彼女を見ている訳だから、尚更。首元で何かゴソゴソしている事に、少年は当然気付いた、】
【と言うより……チェーンが服の中に隠れていることから、ネックレスを隠したのだと容易に想像が付いていた。】
【しかしそれが不信感に繋がったと言うには、余りにも早い。ただ単に、風邪が強かったから―――それだけでも、説明は付く、】


………何かすげーやる気だな……けどよー、俺が今やりてーことって言ったら、
……やっぱ、殴り合いのケンカ、なんだよなー、これが。

―――冗談。……けど、ありがと、な。その、お気持ちだけー、ってやつ、うん。

【少年は矢張り、返事に困った……そう言わざるを得ない。車いすの彼女に何かをさせると言う事が、到底彼には出来なかった。】
【冗談でこの話題をふき飛ばそうとする。それから、ド定番の「お気持ちだけ受け取っておきます」とだけ伝えて、】

【彼女が車椅子を動かし始めたのを音で確認すれば、少年は再び自販機の元へと歩を進める事になる、】
【極稀に低い位置でも押せるタイプの物もあるが、今回のは違う。恐らくはこのボタンは押せないのだろうと、少年は推測した、】
【適当に2つ、自分はまあいつも飲むブラックコーヒーで、彼女にはココア辺りが良さそうだろうと見繕って、購入。】

【ガゴンと2回音が響けば、取り出して、内一つを渡す。……その間少年は喉が渇いていたのもあってか、】
【片手でプルタブを開けてしまえば、ゴクゴクと半分以上一気に飲み干してしまう。……あ゙ーと吐き出される声は、】
【どちらかと言えばおっさんだった。酔っぱらいがジョッキをテーブルに叩きつけ、テーブルに突っ伏しながら言うあの、あ゙ーである。】

319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 01:19:19.66 ID:rOW1opx2o
>>318

ううん。私にできないことをしてくれたんだもの。
十分すぎるほどにすごいことだと思うの

【自分が出来ないことを目の前で軽々と遣って退けれた時】
【そんな時人は嫉妬する者と尊敬する者の二種類がいるというが】
【きっと彼女は紛うことなき後者であるのだろう】


喧嘩?確かに私には無理。お洋服が汚れちゃうし…
それに手加減できないから、きっと貴方を大変な目に合わせてしまう

【その言葉がハッタリか事実なのかは分からない】
【彼女は平然とした様子で少年に対して笑みを向けていた】


そう。それじゃあお気持ちだけお渡ししておくわ

【相手が良いと言っているのだから、彼女もそこまで深追いはしない】
【好意の押しつけほど迷惑なものはないと理解しているから】
【だから彼女は無言で少年の後ろを車椅子を押しながらゆっくりついていった】

…あら。またこんなに良い事をしてもらえるなんて…

【心底嬉しそうな表情を少年に向けて、彼女はドリンクを受け取った】
【受けとっただけで、まだ飲むことはせず、少年のことを穏やかな視線で見つめていた】

このお礼は…いつかきっと…その。「ケンカ」で返さないと駄目ね。

【プルタブを開ける音とともに、口から洩れる冗談めいた言葉】
【そしてドリンクを口に運ぶ前に一言「いただきます」と呟いた】

/すいません!寝落ちしてしまいそうなので置きレススレに移動お願いします!
/明日はほとんど家にいますので!
/申し訳ないです!
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 01:22:46.44 ID:XAud2Eo90
>>319
/では次の返信は置きスレにしておきまーす
/おつかれでーす
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 14:04:30.73 ID:EB34f2Eqo
/>>314でまだ募集してます
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 19:16:47.58 ID:YoagI+QVo

【『R.P.ラボトラリ』――――レイリスフィード大学の傘下に当たる研究所群の名前だ】
【レイリス大の支部的な立ち位置で各国に散らばっている施設ではあるが、現在では研究内容も風土も、研究所の外観すらも、まったく一様ではない】
【なにせ、ここは特に優秀な大学教授が所長として研究所を丸ごと一つ受け持ち、大量の研究費と恵まれた設備、多くの人員を得て好きなだけ研究できるという】
【いわば所長の城≠ナあるのだ。故に、所長の意向によってその形は如何様にも変わる。他の研究所と見比べてみるのも面白いのだが――――】


『おい、聞いていないぞ! 何故ここに能力共がいる!?』

『所長、どうか落ち着いてください。相手はあのGIFTなのです、備えるに越したことは………』

『………クソッ! いまの警察があんな連中に頼らねばならんほど落ちぶれているとはな!!
 まぁいい――――ただしッ!! 私の研究所に何かあれば、必ず責任を取ってもらうからな………!!』


【……ここは端的に言って、「ハズレ」と評してしまってもいいかもしれない。少なくとも所長をどうにか宥めすかそうとする警察官はそのように思っていた】
【前髪を左側だけ上げた藤色のミディアムヘア、赤紫色の瞳に黒縁メガネが特徴の、いかにも怜悧な印象の青年。……妙にこなれた対応が、普段の苦労を感じさせる】
【周囲にいる自警団員達も気の毒そうにそちらを眺めていた。各地から集められた精鋭たちにしても、流石にこの歓待には良い印象を抱けないかもしれない】

【――――『無能力者派』、なんて大仰な名が付いているが。持たざる者≠ェ持つ者≠ノ抱く単純ゆえに濃密な嫉妬と劣等感が、ここには渦巻いているようだった】
【他の研究員たちにしても、同じような敵意と畏怖の視線をこちらへ送っているだろうか。周囲にはガラの悪そうな傭兵集団もいて、刺々しい雰囲気が漂っている】


『皆さん、お待たせして申し訳ありません。これから警備配置を通達します、各自ご確認を。
 ……それと、あんな方ですが、どうかお気を悪くなさらないで欲しい。確かに少しばかり偏った考えをお持ちではありますが――――。
 だからといって、不当に財産を奪われていい方などいません。まして……命≠ニいう人として最大の尊厳を奪われるなど、もっての外です。

 期日はきょう一日。辛い任務になるかもしれませんが――――どうか、よろしくお願いします』


【少し経った後、先程絡まれていたスーツ姿の警察官が戻ってくる。水の国警察の刑事――――アルフレド、という名前。もしかすると知っている者もいるかもしれない】
【彼自身もまた無能力者であるが、あの所長のような考えを持ち合わせてはいない。……ただ、少しは気持ちも理解できるのだろう】
【事務的な通達の中にわずかな同情を乗せつつ、刑事は頭を下げた。どんな人間であれ、目の前で害を受けるのを黙って見ているわけには行かないのだと】

【警備配置の通達が終われば、任務開始となる。現在時刻は早朝、一体いつ、GIFTは襲ってくるのか――――】


/続きます
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 19:17:55.40 ID:YoagI+QVo


『――――消化急いで! 所長、こちらへ!!』

『あぁ、あぁ、私の研究所がっ――――貴様らああああああああッ!! こ、この責任をどう取って――――』


【所長の内面を丸ごと反映したような、大金を投じて作られた豪勢なラボトラリが――――いま、彼の精神と共に炎に呑まれていた】

【結論から言えば、GIFTが襲ってきたのは朝≠ナあった。―――― 一ヶ月前の、と付け加えなければならないが】
【GIFTはこの研究所に予め内通者を忍び込ませていたのだ。有能だが不自然なほど遠方から派遣されてきた新人を、所長は何の疑いもなく採用してしまっていた】
【作戦が始まったのは、その新人が初めての朝礼で挨拶を終えた瞬間であり。作戦が最終段階を迎えたのは、今日この日の夜のことであった】

【――――十九時三十分、内側からの操作により、研究所内のものから自警団の持ち込んだものまで、全警備システムが一斉にダウン】
【同時刻、GIFTの軍勢が各方角から一斉に襲い来た。研究所の全ての入り口は開きっぱなしだ、物理的な意味でもネットワーク的な意味でも】
【その混沌の中にあって、流石の自警団と警察も翻弄される羽目になる。体勢を立て直しつつ人員を避難させ研究所を守りGIFT勢力を撃退――――】
【……そんなもの、すべて完璧にこなせるわけがない】


『くっ――――仕方がない! 第一班・第二班は研究所内に突入、進入した敵勢力の排除と研究員の救助をお願いします!!
 残りは研究所外の勢力の迎撃! 僕も出ます、警備班は彼らの支援を――――!!』


【第一班……シーナ、谷山、詩音。第二班……マルバス、ねこもと。アルフレドはこの中でも特に実力の高い彼らに内部の迎撃を依頼し】
【自らは同僚や自警団と共に外側の守りを固める、と宣言する。指示に逆らう意味も特にあるまい、一刻も早く事態の収拾に取り掛かるべきだろう】


『ふざけるな……ふざけるなよ、傲慢な能力者共がッ!!
 死ね――――死ね、死ね死ね死ね死ね死ね!! 一人残らず死んでしまえーーーーーーーーーーーッッ!!!』


【……そして同時に、アルフレドは感づいた。同じように思う者も他にいるかもしれない。この策略……恐らくは、あの男の仕業であろうと】
【焚火のように燃え盛る『P.R.ラボトラリ・第四支部』を舞台に、ドス黒い呪詛の言葉を背景に。いま、混沌の中の戦いが幕を開ける――――】


/こちらは本日のイベントの冒頭部分です、参加者の皆様、本日はよろしくお願いします!
/イベント開始は予定通り19時半ですので、参加者の方はこちらにはレスを付けずしばらくお待ち下さい!
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 19:29:41.41 ID:YoagI+QVo


『ひっ………た、助けてくれぇっ!!』


【――――さて、ラボトラリ内へ突入した三人。正面玄関奥の一階廊下を進んでいって最初に見えるのは、瓦礫の下敷きになった研究員の姿であるだろうか】
【足を挟まれて動けず、迫ってくる炎への恐怖に怯えているようだ。……ただ、傷自体はまったく軽症。瓦礫さえ退かしてやれば自力で脱出できるだろう】
【三人の力なら、彼を助けるのは容易であるはず。故に、この場でもっとも注意が必要なものは別にある――――】


               ≪カタ、カタ――――、≫


【……シーナは既に見たことがあるか。カタカタと音を鳴らして鳥のように細やかに首を動かす、黒い人形のような不気味なヒトガタ】
【百八十センチはある細長い体躯に、胸・腰・前腕・下腿の四箇所が金属製の装甲で覆われ、背中にはバックパックのようなものを背負っている】
【何より目を引くのは、顔面を丸ごと覆い尽くすほど巨大な眼≠セ。ある程度機械に詳しければ、それが巨大なアイカメラであることも理解できる筈】
【『クグツ』という名前の人形兵器――――ソレは唐突に右腕をゆらりと上げ、取り付けられた機銃で三人目掛けて発砲する!!】

【狙いは下半身。発射数は多いが、一発一発の威力は拳銃弾程度で防ぎやすい。また照準自体も甘いため、避けるのも特に難しくはないだろう】
【あまりに粗雑な銃撃。……これが牽制であると察するのは簡単か。『クグツ』はそうして適当に銃を乱射しつつ、瓦礫の下の研究員の方へ移動し――――】
【「ひいっ!!」と情けない悲鳴を上げる彼を素通りして、廊下の突き当りまで行くだろうか。……行き止まり? いや、違う】


    ≪カタ、カタ、カタ、≫


【廊下の床板が不自然に抉れている。力で強引に破壊されているようだが、それは……扉、にも見えるかもしれない】
【その先には、なにやら大きな隠し階段≠ェ見えるだろうか。『クグツ』は一通り撃ち終えると、その中へ消えていくだろう】
【地下室かなにかか――――まるで示し合わせたかのようなタイミングで、階段の奥から複数人の悲鳴のようなものが響き渡ってくるはずだ】


『あ、………っ』


【――――明らかに、誘われている。この先にいる首謀者≠ェ、ここまで来いと下劣な笑みを浮かべている】
【また不可解なのは、下敷きになった研究員がその階段を見るなり、いかにも「まずい」というような表情をすることか】
【階段の奥からは断続的に悲鳴が響く。恐らくはほかの研究員のものだろう。……周囲の状況の全てが、そこが怪しいと告げていた】

【研究員達を助け、首謀者を取り押さえる。その目的の為には踏み込むしかない……が、罠の可能性は十分にある。準備ぐらいはしていってもいいだろう】
【何か知っていそうな研究員を締め上げるでもいいし、他の二人と交流しておくでもいい。また周囲には、実験用の防塵マスクや手袋などが落ちていたり】
【地面にはステンレスの机の断片が転がって、壁面からは細い鉄骨なども飛び出している。これらは盾や武器としても使えそうだ】


/こちらがVS主催の文章となります、シーナさん、谷山さん、詩音さんの方はこちらに返信をば!
/本日はどうぞよろしくお願いします!
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/06/21(土) 19:35:54.61 ID:acOQNwSRo
【水の国西部――R.P.ラボトラリ・第四支部】
【渦巻くは悪意。あちこちから上がる火の手。――さて、GIFT以外に紛れ込んだ悪意はどこにあるか】

【――ここは、ラボトラリ二階・第一実験室。とても広いが、机等様々な障害物がある】 【そこで何やら棚を漁る黒い影】

「こォれは……なァーんだ、硫ゥ酸か……10……20…………100瓶! 風ゥ呂が作れるな」
「おォっと忘れ物のUSBメェモリ発見! ……ちィ、音楽ファイルしィか入ってねェ」
「一応盗ォっておォくが……うゥーむ、重ゥ要そうなデェータや珍しい薬はこォこじゃアねェーのか……」

【それは黒い外套を羽織っていて、頭部から二本の赤い角を生やした、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【首には岩石のように見えるコルセット的なモノを纏っていて、そして黒い褌一丁の服装だ】
【また、鋭く赤い牙や同じく爪を持ち、いかにも悪魔だと思わせる黒い翼や同じく尻尾を持っている】
【その翼の先端には赤い爪があり翼膜は紫色、尻尾の先の方は紫色で先端には赤い棘があった】

【また、その悪魔の肩に乗っているコウモリの頭にUSBメモリが刺さっている事も、記述しておく】

「あァっちに研究用に使ってるらァしいノォートパソコンがあァったな……さァーて、行ィってみるか」

【……見る限りではGIFTメンバーではなさそうでいわゆる火事場泥棒と言うやつか、また、この顔に見覚えのある者もいるかもしれない】
【数々の数えきれない大小様々な罪で指名手配されている悪魔、"邪禍"ととても良く似た出で立ち――色が黒ければ完璧だった】

「さァっきまでは人間共が押ォし寄せて来ィてたが、よォーやく落ォち着いたしゆゥっくり漁れるってモノよ……首も据ゥわってねェしな」

【その部屋には僅かな血痕が残されていて、所々の机などがめちゃめちゃ。だが、死体なんて一つもなく……】
【幾らかの怪しげな薬を持ちながら、悪魔はこの部屋の中を堂々と歩いていた】

/こちら邪禍です、お二方よろしくお願い致します
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 19:44:43.38 ID:V7gmFaOVo
>>322-324
【駆ける、影。その小柄な一つの存在は、淀みない速度と動作で駆動する】
【小柄な身体を包むのは、動きやすさを重視したミリタリージャケットとカーゴパンツ、安全靴】
【腰にはベルトポーチが巻かれ、リボルバーに幾つものナイフといった装備が目立っていた】
【効率を重視したその挙動で加速し、誰よりも疾く、速く、早く現場に辿り着こうとするその所作】
【その源泉は、悲劇を嫌う正義の物か、悲劇を嗅ぎつける報道者の物か。それは、本人にもわからない】
【長い、長い廊下をかけながら、青年は己の異能を解き放つ】

「――Hello World!!」

【谷山基樹の右目と左腕が破砕する。自壊/アポトーシスした体躯は、アートマンによって再度戦闘に最適化されて再生成されていく】
【全身に収束するライムグリーンの燐光。それらは、微細なアートマン体の粒子によって構成されたものだ】
【その燐光が殺到、収束、圧縮。それによって腕の形を作り上げ、微細な粒子は互いに結合。眼窩と腕の空虚を埋めた】
【直後周囲に拡散するのは、狂気と悪意の入り交じる、不吉≠フ気配。哲学者の卵が生み出す力の波動】

「そんな粗雑じゃ射線事前に読んどきゃ避けられるだろォがよ。あァ?」

【廊下に躍り出て、即座にその状況を拡張された五感で認識、高速化された思考で処理していく】
【即座に取るべき行動を算出。その行動を五体という出力先に命令として送り込み、即座に実行をする】
【左腕にライムグリーンの燐光がまとわりつき、収束。腕を振りぬけば、ライムグリーンの波動が『クグツ』に放たれる】
【膨大な情報をまとわりつかせるアートマン体を射出するその攻撃のもたらす効果は、DOS攻撃】
【人であれば神経系に、機械であればその回路に膨大な情報を流しこむことで負荷を掛け、正常な動作を阻害するものだ】

「……さっさと逃げろやァ!! 巻き込まれても知らねぇからな!!」

【非力な体躯に力を込めて、銃弾の飛び交う隙間を縫いながら、瓦礫に最小限の隙間を作り、研究員を逃がそうとする】
【研究員が逃げるのに成功したのならば、谷山はクグツを追うように全力での加速を行っていく】
【駆ける、駆ける。そして、感じる。罠がこの前にあると。全身にアートマンで干渉を行い五感を更に拡張した】
【五感の全てをフルに活用し、その階段に向かい――探査を行う。そして、他の二人に青年は良く通る声を響かせた】

「――ちょっとまってろてめーら! 探査があと10秒位で終わる。
それから突撃しようじゃァねえか。つーわけで、他のことは頼む、集中したいんでな!」

【空中に燐光は収束し、圧縮し。空中に浮かぶワイヤーフレームの眼球が3個ほど生成】
【空中でぐるぐると回転しながら、その階段や周囲の状況を、赤外線、X線的な解析を行っていった】
【物理的な罠であれば、その探索によってある程度の看破は可能となるだろうか】

/*谷山中身です。主催様、シーナさん、詩音さん、よろしくお願い致します!*/
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 19:53:06.23 ID:EB34f2Eqo
>>324>>325
【―――――――あれっ】
【どうして僕はこんな所に居るんだっけ?】
【確か、僕の部屋に変な人が突入してきて、それで……………】

【―――――駄目だ、まったく思い出せない】
【確かこの施設に襲撃者が来るから守れって言われた気はするけど、まあ良いか】
【どうせ暇なんだし、死なない程度に頑張るとしよう】

【うん、取り敢えず目の前で下敷きになっている研究員を助けよう】
【と、研究員の方へ歩み寄ってみるが】

うわっ、危なっ……

【目の前の、不気味な人形からの銃撃、咄嗟に身を翻して回避する】
【どうやら威嚇射撃、牽制のようだ】
【それは、真っ直ぐ廊下の突き当りまで進み……隠し階段の中に消えていった】
【後から悲鳴が聞こえたような気がするが、それに思考を留める事はない】

さて、どうするか
っておい、あんまり迂闊に突っ込むと………行っちゃったし

【クグツを追う谷山を見送り、自分は慎重に立ちまわるとしよう】

えぇっと………研究員さん、ここらへんで散らばってる物で使えそうなのはない?
あと、僕らにとって有用な情報を、全部聞かせてもらおうか

【隙間が作られた瓦礫を持ち上げ、脱出しやすいようにする】
【研究員が逃げるのに成功したら、色々と話を聞かせてもらおうか】
/渚中身です、お願いします!
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/21(土) 19:56:57.12 ID:aibuFOWoo
>>322-324
「ふぅむ、なんというか……相変わらず苦労しておるようだの御主は?」
「知らぬ中ではない、悩みがあるならばシーナ様が聞いてやってもよいからな!」

【そんな事を"記し"ながら、自分の胸をトンと叩く仕草を見せる男がいた】

【その男……身長は190cm程であろうか、服の上から見ても分かるほど逞しい鎧のような筋肉を付けている】
【隆々とした身を漆黒の法衣で包み、右手には巨大なバトルハンマーを持ち、背には分厚い金剛石の刃を括りつけていた】
【そこまでは常人でもありうる格好であろうが、一つだけ異様とも言える要素が存在した】
【肩から生えており漫画のフキダシを思わせる"ボード"。その板上で黒い粒子が蠢き形を変えて】
【"一切声を発さない"この男の"台詞"を文字として表現していた】

【何はともあれ、男は指示通りに配置につき事件が起きるまで待機する】
【その間に何かしら会話などがあったかもしれないが、それは今宵の出来事とは関係のない話であろうか】

【――】

「思ったとおり派手にやるものだの――うむ、了解なのだ!」
「この天才魔術師シーナ様に任せておくがいい!」

【指示に対して短く返したあと、シーナは炎に包まれるラボトラリへと突入を開始する】
【上げられる呪詛の言葉には反応しない――取るに足らないモノであるとばっさり切り捨てているからだ】
【魔術師シーナは、マイペースを保ったまま】
【戦鎚を両手で握って構えながら内部への侵入を果たした】

「む……アレはいつぞやのガラクタ人形か!」
「小賢しいのだ!貴様の豆鉄砲など、私に届くと思うでないわ――っ!」

【突入した廊下に待ち構えていたのは、いつかの事件の時に対峙した"クグツ"】
【それを見た瞬間、その先にいる「黒幕」の不愉快な姿を頭に過ぎらせながらも】
【放たれようとする銃弾に対して、足を踏み込み即座に術を発動した】

【ラボトラリの床にシーナの魔力が流れ、干渉。対象範囲の地形を支配下に置き】
【次の瞬間、設定された現象が発生する】
【廊下のあちこちに無数の"壁"が出現する。床を隆起、硬化させることで生み出した"弾除け"である】
【高さは2m程度、横幅は人間一人が身を隠せる程度であろうか】
【シーナは目の前に作り出した壁を使い、放たれた銃弾を受け止めると】
【すぐさまその横を通り抜けて"クグツ"の元へと駆け抜けようとする――】

「ぬ、逃げよった……いや、誘っておるのかの?」
「面白いのだ……このシーナ様を罠に嵌めようなどという生意気な考えは叩き直してやらねばならんの!」

【――が、その直前で行動を停止させる】
【明らかに何らかの意図を持った逃走だ。その逃げた先、隠し階段の向こうには"備え"があるのだろう】
【集まった能力者達を一網打尽に出来るほどの凶悪な"策"が】
【しかし、シーナは強気な態度を崩さず来るなら来いと言わんばかりに突撃しようとするが――】

>>326>>327
「……なんだ貴様は? 初対面なのに随分と偉そうな奴だの」
「面倒くさいからさっさと入ってやりたいところだが――」

【――階段近くまで到達した時点で疾走を止めた】
【谷山から放たれた言葉に対して、不愉快そうに眉を顰めながらも】


「――出来るというのならば、やってみるがよいのだ!」
「ククク……優しい優しいシーナ様がしっかり守ってやるのだ!」


【谷山の言葉に理があることも判っているが故に従う】
【彼の近くで戦鎚を構え、爪先で床を軽くトントンと叩きながら作業が終わるのを待つ】
【シーナは先ほど見たとおり防御の術を持っている】
【もし何らかの攻撃があった場合何らかの支援があることを期待してもいいかもしれない】
【また、近くに先ほど生成した壁も残っている】
【そこに隠れて防御に使うこともできるかもしれない】
/シーナです、よろしくお願いします!
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 19:59:37.25 ID:XAud2Eo90
>>325

【カツ、カツ―――と、ある筈のない足音が響いた。その尖ったエルフ耳でも、聞き取れただろうか。】
【薄い煙の中やがて姿を現すのは、彼より一回り小さい―――とは言え街中に居れば目立つ程―――の男性の影だ。】

【無愛想なフード付きの茶色のローブを全身に纏い、足元にはありふれた草履。随分と貧相な身形である。】
【さっぱりとした印象の髪型の、艶やかな黒髪。瞳の色は、紺碧とも言うべき澄んだ青色をしていて。】
【大人びていてスラっと顔ではあるが、其れでも何処か幼さを持ち合わせているような、そんな印象の顔立ち。】
【180cm、80kgの身長体重に見合った、ゴツゴツとした身体付きは―――きっとローブの上からでも、見て取れる筈だ。】

【―――足音が止む。二人の距離は約15mと、彼は若干の間合いを取っていた。何故そこで立ち止まったか、と言えば、】
【それは矢張り、目の前の男性に思い当たる節が在った、警戒すべき対象だと認めたからだろう。……慎重な判断、だ。】


貴様、指名手配犯の"邪禍"ではないか………ここで、何をしている……?
……ふむ、……私の眼には、こう映っている………違うか?



        …―― 壱 ――― ≪ 鳴  気  雷  電 ≫ ―――…



【名を零せば、彼の頭上にぼうっと浮かび上がる、黄金色の光。蛍光灯やそこらでは表せない、穏やかな光だ。】
【夜色に映えて輝くそれは、やがてゆっくりと降下する。徐々に、ねこもとの全身を包み込んで―――。】
【オーラ、と言えば最も分かり易いだろうか。然し勿論、コレはただ単に光るだけの飾りではなく……、】

【この技は所謂"気"を身に纏う事で、自身の並々ならぬ格闘術の威力を、更に増幅させる効果がある、という物だ。】
【今、若しねこもとの打撃を受けたのなら、通常の衝撃に加え、電気が走るのににも似た感覚を覚える事だろう。】
【とは言え、今彼は、"気"を薄く伸ばして纏っている状態だ。何処かが麻痺するとか、そこまでの威力はない。】
【強いて言うなら、痛みが2種類に増えるということだろう。どれ程彼に効くかは分からないが、普通は中々に厄介なのだろう―――、】

【然し、彼は先手を取らない。告げたのは、宣戦布告でもなかった……抵抗さえしなければ、こちらも何もしない、そんな意思が垣間見えた筈だ。】
【ジッと、微塵も臆する事無く、掃討すべき対象を睨む。……その間、彼は嗅覚で、この場で流血が起きたことを知る。】

/ねこもとです〜おねがいしまーす
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 20:02:41.81 ID:TckRHVWIo
>>325
……露出狂ってやつか!

【ふと、入り口に立っている影、それはまた標準的だが若干ごつい男の影で】
【開口一番に露出狂と口に出したその男、作業員とでも見間違えそうな作業着に身を包んだその男】
【針金のような硬質な鋼色の短い髪に、金色に近い鮮やかな黄色の目】
【顔は平凡だが豊かな表情――今は驚愕の表情――のおかげで平凡な容姿のランクをかなり上げている】
【目立つものと言えば左腕につけられている重層すぎる籠手と、背中に背負っている刃渡りの短い、しかし幅のある奇妙な盾に近い大剣らしきものだろうか】

……いや、これは悪魔ってやつで火事場ドロボーか?

【ア゛ーと奇妙な、おっさんじみた声を出しながら首をコキコキと鳴らす】
【……さっきまで押し寄せてきていたらしい人々から遅れていることから、どうやら世間一般とはなかなかにずれた存在らしい】
【事実、今は悪魔の肩に乗っているコウモリに興味が行っている】
【「生体に機械装置を埋め込む……斬新ではないがコウモリにとは」などと呟いている点からは若干知性を感じられるだろうか】

ア゛ァ゛ー、避難しそびれた奴ならとっとと逃げた方がいいと思うぜ?
今ここにはぎ、ぎー……ギフ……ギフ何とかと血の気の多い傭兵が争っているからな

【GIFTをしっかりと覚えていないらしい、しかし喋りは滑らかなことから固有名詞を覚えるのが苦手のようだ】

もしギフ何とかのメンバーだっていうならそうだな、その場に正座しておとなしく拘束されろ
オレは戦闘は好きだけどよ、殺し合いってやつはどうも好きじゃねぇ、だから、な?
ほら、拘束されてくれたらアメやるから、アメ

【そういってレモン味やイチゴ味のカラフルに包装された飴玉を差し出す】
【ずれている、世間一般からどころではない、狂人ではないのが救いだろうか】

火事場ドロボーならよ、えー、あー、ジップ?ペング?拡張子みたいな名前の奴と間違えて殺されねぇうちに逃げた方がいいぜ?な?

【どうやらこの男、目の前の存在が指名手配だと気づいていない模様】
【自分から攻撃を仕掛けないあたり、殺し合いは本当に好きではないようだ】

【もし面白がって眺めていたのなら、ずっとこの男はしゃべり続けるだろう、うっとおしい、うざいまでに】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 20:05:16.55 ID:TckRHVWIo
>>325
//すみません、>>330、マルバス中身です、よろしくお願いします
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 20:10:10.45 ID:YoagI+QVo
>>326


≪カタ、カタ、カタ――――――ガ、ガガ、ガ≫

【谷山の、まさしく異能≠ニいう呼称こそが相応しいその力が――――『クグツ』への反撃として、その頭部を捉えるのが見えただろうか】
【ライムグリーンの波動が直撃したタイミングは、ちょうど『クグツ』が階段の奥へと消える直前であって】
【ワイヤーフレームの眼球が階段内に精査を掛ければ、階段を下る途中で機能を停止し、無惨に転げ落ちて損傷した『クグツ』の残骸が転がっているのがわかるだろう】

【……ただ、それ以上不審な点はない。せいぜい階段がかなり深く、地下二階程度の深さまで続いていることがわかる程度だろう】
【本当の罠≠ヘやはり、この階段を下りていった先にあるということか――――】


>>327


『ひっ――――お、おまえ能力者なんだろう! だったら道具なんて要らないんじゃないのか!?
 持って行きたければその辺のものを適当に持っていけ! い、言っておくがその先に進んでも無駄だぞ! もう処理≠ヘ済んでるからな…………!』

【谷山と詩音の助力で瓦礫が退かされ、研究員はすかさずそこから這い出す。足の痛みや周囲の状況とは全く別の要因で動揺しているように見えて】
【……彼も『能力者』が嫌いであるらしい。吐き捨てるように言葉をかけると、さっさと立ち去ってしまうだろう】
【周囲にあるものは先程も述べた通りだが……強いて言えば、周囲は火の手が上がって煙が立ち込め始めている。それを防ぐ為に防塵マスクが特に効果的か?】

【――――この先にあるものは処理≠オてある。最後に残していった妙な言葉が、気にはなったが】


>>328


『まあ、これが僕の仕事ですから。――――僕は僕の責務を果たします。シーナさんもどうか、ご武運を』

【突入する前、アルフレドはシーナにそんな言葉を掛けていくだろう。前半は苦笑いで、後半は真剣な顔つきで】
【相変わらず真面目すぎるほど真面目な性格のようだが、それだけにその言葉も重い。……まして相手はエドガーを連れ去った仇敵なのだ】
【本当は自分が行きたい気持ちもあるのだろうが――――シーナの実力ならば、安心して任せられる。言葉からはそういう信頼も覗いていた】

【さて、階段については既に述べたとおり。谷山に破壊された『クグツ』が一体転がっているだけで特に異常はない】
【安心して進んでもいいだろう。もちろん……今のところは、の話だが】



>>>ALL

【三人が階段を下り切るまで、妨害は何一つない筈だ。ただコツコツという足音だけが静かに響く――――】
【地下二階分の深さを下りて、やがて最下層に辿り着いたなら。一体何年かけて地下をくり貫いたのか、そこには広大な空間が広がっているだろう】

【―――― 一言で評せば『工場』らしき場所であった。巨大な工業機械があちこちに設置され、その間を縫うようにベルトコンベアが部屋中を巡っている】
【ただし、それらは既に機能を停止している。まるで室内で爆弾でも爆発したかのように、なぜか真っ黒焦げになって破壊されているのだ】
【露骨な証拠隠滅……これが処理≠ニいう言葉の真意か。機械はまだ遮蔽物ぐらいには使えそうだが、部屋中には瓦礫が散らばっていて少々危険な状態だった】


「ひひっ――――どうやらお迎え≠ェ来たようだぜェ?」


【そして、耳障りな声は少し上から。三人の正面、現在地を地下二階とすれば地下一階に当たる高い場所に、部屋がひとつ見えるだろうか】
【恐らくは製造ラインの管理室か何かだろう。上から工場を一望できるよう、こちら側に面する壁がガラス張りになっていたようだが……】
【いまはそのガラスも粉々に砕け散って、部屋の奥には機械を制御するための大掛かりな端末が多数見え。その奥には白衣の人影が多数――――、】

【――――首謀者≠ヘその部屋の淵に立って、こちらを見下ろしていた】
【目を痛めそうに鮮やかな橙色の髪。長い前髪の隙間からは泥のように濁った青色の瞳を覗かせた、いかにも気性の荒そうな若い男だ】
【外見の方もライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装で、まるで粗暴さの権化のよう】

【マリオン・リヴァーズ――――胸元に金十字≠フネックレスを垂らしたその男は、確かそういう名前だっただろうか】


/続きます
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 20:13:30.11 ID:YoagI+QVo


「メリッサァ! オレがコイツらから話を聞き出すまでそいつらを引き付けとけ!」

は、はい…………っ!!


【そして、男の隣にもう一人。マリオンは少女の肩を軽く叩くと、下卑た笑みを浮かべて部屋の奥へ消えていくだろうか】
【……黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、青いネクタイという学生服の上に、丈の長い白衣を着込んだ服装】
【癖っ気の強い紫色のショートヘアに、赤縁の眼鏡を着用して――――頭には、マリオンと同じ金十字≠象ったヘアピンを付けている】
【目鼻立ちは整っているものの、白緑色の瞳は不安定に揺らぎ、目元には隈まで出来てしまっているせいで、随分と神経質そうな印象がある少女だった】

【名前はメリッサ・ハーレイ――――前回、マリオンが起こした事件についての事前知識があれば知っているだろうし】
【シーナは前回の戦いで、詩音は学校内で見かけたことがあるかもしれない。元レイリスフィード学園高等部生徒会長にして、いまはGIFTメンバーのひとり】


あ、貴方たち………こ、ここは通さないからっ………!


【仮にもGIFTメンバーのひとりとして、それはあまりに情けのない態度に見えた。顔は緊張で真っ青になり、足も小刻みに震えているように】
【ただ、こちらへの敵対意識だけは本物のようだ。強く目を閉じたメリッサの前髪に、ばちりと静電気のようなものが散ったかと思えば――――】


≪カタ、カタ、カタ――――≫           ≪カタ、カタ、≫

                ≪カタカタ、カタ≫                 ≪カタ、カタ、カタ≫

            ≪…………カタ、カタ、カタ≫    ≪カタ、カタ――――≫


【……入った時、室内には何もなかった筈なのに。何もない場所から突如として、六体の『クグツ』が姿を現す!】
【これで三人は、数の上では倍近い不利に陥ったことになる。そして気掛かりなのは、『クグツ』たちの姿が三種類あることか】
【最初に出会ったのと同じ、右腕に機銃を取り付けたものが二体。そして残り四体は、軽装甲と重装甲の対照的な二種がそれぞれニ体づつ】
【重装甲の二体はバックパックがかなり肥大化しており、巨大な砲台を二門も背負っている。他の部位の装甲もかなり分厚く、いかにも鈍重そうな外見で】
【軽装甲の二体はバックパックに羽を生やし、いかなる技術か空中でぴったりと制止している。両腕に小型機銃を取り付けているが、他の部位の装甲は薄い】


いっ―――――――― 一斉射撃!!


【半ば悲鳴じみた調子でメリッサが吠え叫べば、『クグツ』たちがそれに追従して動き出す。……それぞれ銃器を装備した六体に、一斉射撃という言葉】
【次の瞬間に何が起きるかは容易に想像できるだろう。ガガガガガガガ!!!という猛烈な音と共に、三人へ多量の弾幕が降り注ぐ――――!】

【最初に出会った機銃持ちの『クグツ』は三人の真正面に。空を飛んでいる羽付きの『クグツ』は斜め上の中空に。重装甲の『クグツ』は三人の左右に】
【階段を抜けたすぐの位置にいる三人を中心として、敵はこのように配置されている形だ。故にこの弾幕も、全員を取り囲むように射出される厄介なものではあるが……】

【包囲された状況にひるまず素早く動き出せば、回避行動をとる時間は十分にあるだろうし、機銃持ちと羽付きの銃撃に関しては相変わらず一発の威力は拳銃弾程度だ】
【遮蔽物に身を隠すなりなんなり、防御の方法もいくらでもあるが―――― この場で一番危険なのは三人の左右にいる重装甲の二体】
【肩にある二門は太いレーザー、腰元にあるミサイルポッドから小型ミサイルと、先の四体とは段違いの火力を持つ兵装で三人を狙ってくるのである】
【どちらも直撃すれば人体では到底耐えられない威力だ。特に注意が必要であるだろう――――】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 20:27:05.96 ID:aibuFOWoo
>>332

「ふん――やはり貴様だったかマリオン!」

「前は仕留めそこなったが、今は貴様の"透明にする"力はもう知っておるからな!」
「今日こそは絶対絶対叩き潰して、ごめんなさいと言わせてやるのだ!」


【やはり――首謀者は以前戦闘したマリオン・リヴァース】
【その姿を"ゴーレム"越しに睨みつけながら】
【威勢のいい台詞と共に、戦鎚を右手に持ってその先端を突きつけるように構えた】

【そして――間もなくして開かれた戦端】
【異様な様子のメリッサには気づいてはいるが、彼女に向ける感情は極めて薄い】
【障害の一つ程度と思考の中で吐き捨てて、間髪いれず魔術を発動する】


【先程同様に、出現する幾つもの壁】
【位置は正面と左右に立ち塞がり、銃弾を受け止めるモノである】

【中空――上から放たれる羽根つきの銃弾には対応できないが】
【正面と左右に関しては打ち破るだけの火力が放たれない限りは耐えきることが出来るだろう】
【具体的に記すならば恐らく、重装型のレーザーやミサイルを受ければ一撃で砕かれることになろうか】


「まずは数を減らすとするかの――貴様から葬ってやるのだ!」


【シーナは銃撃を壁で受け止めた後】
【抜けてきた斜め上からの弾丸を肩に掠らせながらも即座に次の術を発動した】

【床の素材が分解される】
【分解された素材は粒子状に変換され、周辺約30cm程度が砂地のように変化し――前方に向かい河のように"流れ出した"】
【その効果は"移動"。足を動かすのではなく、地面を動かし自身を輸送する異様の術】
【人体の動きに囚われず高速移動を可能とする其れは、例えるならば「ホバー移動」であろうか?】

【範囲はシーナの周辺であり、移動するに従い範囲もシーナの位置に合わせて変化し続け】
【通り過ぎた地形は元の床に逆再生のように戻っていく】

【砂を河のように流すことで輸送する高速移動】
【それによって正面のクグツに向けて接近し、成功したならばその頭部に戦鎚を思い切り叩きつけようとする】
【単純だが、勢いがあり威力も十分に乗った一撃だ、直撃した場合は強烈な衝撃が叩き込まれるだろうか】

>>all

【フィールドの正面と左右には幾つかの床の壁が出現している】
【左右に関しては力な攻撃を一度受ければ崩れてしまうが、弾除け程度に使用することはできるだろうか】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 20:35:05.28 ID:V7gmFaOVo
/*続きます*/
>>327>>328>>332-333
【谷山の拡張された五感は、渚と研究員との会話もこの中でしっかりと聞くことが出来る】
【後ろ手にひらひらと渚に手をふり、心配するなという意思表示】
【先に進むことが今の己に出来る事で、先んじて危機を見つけることが今の己の役割だと定義していた】
【だからこそ、迂闊に突っ込む道を選択する。階段は登らない、だが階段の至近まで寄り、その危険を暴こうとしたようだ】

【五感を総動員しながら、シーナの声を耳に受ける青年】
【全身からライムグリーンの燐光を散らしつつ、青年は返答を返す】

「悪ィな――。お前さんや他の連中は知らんが俺は普通に死ぬからよ。
口は悪ィが存分に手も力も貸してやる。あと俺は裏方向きだから、攻撃得意なら止めは頼むぜ?」

【己の行動の意図。そして、己が得意なのは支援であることの表明】
【そして、その表明を行った時点で、谷山はトドメを他の二人に委ねることにした】
【集中に入る。そして、全身から薄いながらも哲学者の卵の気配をまき散らし、神経系は次第に破砕していく】
【破砕した神経系は、アートマン体によって置き換わり、その性能を次第に上昇させていった】

「――先には罠なし! ただこの先どう考えても怪しいから気をつけとけ。
んでもって、さっきのクグツはすっ転んで機能停止してる。進んで平気だ!」

【探査は完了。それによって、得られた情報を即座に口に出し、全体に共有を測り】
【青年は、さほどでもない身体能力を持つ肉体を、異能によって精妙に操作して、階段を駆け抜けていく】
【能力者が嫌われていようがなんだろうが、関係ない。谷山基樹の正義は、目の前の悲劇に相対することだったから】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 20:35:30.97 ID:V7gmFaOVo
>>327>>328>>332-333>>335
「……またまたGIFTか。いい加減凝りてくれねェか?
カノッサもGIFTもそうだが、同じニュースばっかじゃ連中も飽きちまうんだわ。
さっさと廃業してつまらねェニュースは終わりにしてもらおうじゃねェか! なァ!?」

【地下に辿り着き、口上のような広大な空間に辿り着いた。その瞬間に再度中に浮かぶ眼球を4つ生成】
【天井近くにその眼球を浮遊させ、広範囲を視認する知覚を手に入れて】
【そして、いつも通りの柄の悪さ、いつも通りの苛烈さを持ってしてこの戦いの首謀者に対する啖呵を斬る青年】
【右目からは煌々と灯るライムグリーンの光。それはもはや閃光とすら言える強さを孕んでいた】
【全身から発露するのは、生物の本能的恐怖を煽る――哲学者の卵の狂気の気配。弱者であればそれでもはや心が折られかねないもの】
【だが、ここに居るものはそれで心は折られない筈だ。あくまでこの気配は、波動は――おまけでしか無いのだから】

「メリッサ・ハーレイ。元レイリスフィード学園高等部生徒会長。
……理由は聞かねぇ。だが、てめェが俺の敵なら踏み潰して進むだけだ、覚悟しておけやァ!!」

【眼前に立ちはだかるその少女を前に、青年は躊躇うことは無い】
【異能を稼働。右目と左腕から燐光を散らし、右腕を素早く駆動させ、一丁のリボルバーを引き抜いた】
【五感と現在は6つになった眼球が認識するのは、6体のクグツ。それを見た瞬間に、青年は両手でリボルバーを握りしめた】

「――――《Black Out》!!」

【全身から吹き出す光。目に悪いほどに鮮烈で凄烈なその閃光が両手で握られる拳銃に収束】
【収束が最大限になった段階で、青年は都合6度、トリガーを引く。銃声は続いて6度】
【反動で左腕に亀裂が入り、辺りに結晶体と鮮血が飛び散るが、漏れる声は獣のような低いうめき声だけ】

【放たれる銃弾は、拡散し面となって襲いかかる――散弾=B無数の小さな鉛弾は相手の放つ弾幕と拮抗するもの】
【Taurus M513 JUDGE MAGNUM。それが青年の持つ拳銃の名。裁きを冠するその銃は、世にも珍しい散弾拳銃≠ナある】
【拡散するその銃弾は弾幕とぶつかり合い、互いに鉛を喰らいあい、その鉛の暴風に一時の間隙を生み出してみせた】
【そして、その弾幕をすり抜けた散弾には、先と同じ燐光が纏わりつく。散弾には、ダメージと共に先の回路への影響も併せ持っている】
【当たれば、回路に与える影響で一時的な機能不全、センサー類の不調をきたすことと成るだろう】

「――左右潰すのは任せた。俺は羽根つき潰すからよォ!!」

【射撃の直後、青年はホルスターに拳銃を戻し。代わりにダガーナイフを引き抜いた】
【全身をうねらせ捻り、全力でそのナイフを空中に投擲した。当然、燐光をまとわりつかせてだ】
【空中での羽根つきの動作については、ある程度パターン化してある。その挙動を予測しての投擲の目標は】
【2秒後に羽根つきが居るだろう場所=Bそして、それを支援するように放つ燐光の散弾】
【羽根つきの機動性にもよるが、どちらも避けることは不可能ではないが、避けようとすれば移動ルートは制限されかねないだろう】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 20:36:10.78 ID:EB34f2Eqo
>>332
「………あぁ、そうですか」

【どうやら、彼も「異端」が嫌いらしい】
【何故なら「普通」なのだから、どこにでもいる、普遍的人物なのだから】
【だから、それ故に、人間は普遍的な物でない「異端」を排除する】
【徹底的に、完膚なきまでに、肉片も、跡形もない程に】

【人間なんて、そんなものだ】
【僕の所属しているレイリスフィード学園がそうであるように】

「………はぁ、まあ、精々逃げると良い」
「つまらない事で死なないように、ね」

【まあ、彼の態度は普通なのだろう】
【だから、責めるつもりなど毛頭もない】
【彼は「普通」の人間として、正しい判断、思考をしたのだから】
【何だか守りに来てるのに理不尽な気がするが、仕方ない】

【さて、それよりも何よりも、「処理」という言葉が気にかかる】
【どうせ如何わしい、禄でもない研究なのだろうが】
【まあ、先に進めば分かる事だ】
【適当に辺りを見回し、使えそうな物を吟味する】
【結局、防塵マスク辺りしか無さそうだ】
【というわけで、それを装着して、先行した谷山とシーナを追う】

――――――――――――

【さて、特にこれといった妨害もなく歩き続ける事しばらくして】

「うわぁ、すっげぇなこれ……」

【思わず感嘆してしまう】
【恐らくここが最下層、そこには広大な空間と、巨大な工業機械と、ベルトコンベアが、朽ちた状態であった】
【なるほど、処理とはこういう事か……まあ、僕には関係ない事なのだけど】

「………で、お前が首謀者か」
「何だよその髪、視覚を攻撃するためにあるのか?」

【耳障りな声がする方に振り向けば、如何にもな風貌をした男がいた】
【はっきり言ってしまえばチャラ男とか、不良とか、そんな部類である】
【思った事を口にしてしまったが、これを挑発と捉えるか否か】
【そして、さらに】

「わお、こいつはとんだサプライズだ……」
「こんな所で何やってるんです?生徒会長殿?」
「壇上に立っていたあの姿はどこへやら、今やすっかりと落ちぶれましたね」

【失望、幻滅、そんな感情が入り混じった声】
【少しは憧れていたのに、これだ】
【やっぱり人間は騙されやすい、化けの皮が剥がれた結果が、これだ】
【だから―――期待するのは嫌なんだ】

【まあ良い、戦闘開始だ】
【両手に50cm程の剣を召喚し、それを握る】
【そして一斉射撃、弾幕が轟音と共に此方に降り注ぐ】
【遮蔽物である機械の陰に隠れて、何とかやりすごそうとする】
【そして、隙が出来れば重装型に、真っ直ぐ剣の刃先を向けてを投げるだろう】
/すいません、一旦飯落ちです!
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/06/21(土) 20:38:54.90 ID:acOQNwSRo
「……ちィ……まァーた来ィやがったな」
「まァーよい……素ォ材は、あァればあァるだけ良ォいかァらな……そォして、こォのにおい、凡人じゃアねェ」

【ふと悪魔は手を止めた、においがしたのだ――己とは立場の違う、そして己の敵であろうにおいが!】


>>329

「ほォう……御ォ名答って奴だ、俺様は超強ェー悪魔、邪禍様よ!」
「と、言ィう事は……知ィっていィるだァろォー? 俺様が何の術を使うか位は!」

【身長は正確に言えば216cm(角含まない)。およそ30〜40cm程違う上に足長なので体格的なハンデはあるが――】
【それが脅威というよりは、足元に作られた魔法陣の方が脅威!】 【中から幾つかの闇が噴き出し、ナニカの形を成すのだ】

「俺様の戦歴にィは大型魔ァ物によォるテロがよォくある――が」
「こォの場ァ所は広いよォーで狭い、そォれにゴォッチャゴチャ! ……大きな魔ァ物は不ゥ利ってものよ」

【それは50cm程の大きいカエルだ。数は4匹。淡い水色を中心としていて、白い髭が生えている】
【額からはラッパ状の太い角(壷の首にも見える)が生えており、手足には白い雲状のモノが纏われている】

「(さァて……あァの纏っているモノ……エネルギーか)」
「(たァだ垂ァれ流している訳じゃアなァいな……警戒が必要そォーだ)」


>>330

「……一方が真ァ面目だからと油ゥ断してた! 俺様は露ォ出狂じゃアねェ、たァだ服が邪ァ魔なだァけだ!」
「ククク……GIFTは好ゥかんが、どォさくさに紛れて色々奪ってやァろうと思ってな……」
「貰えるモノは病気だァろォーと貰う、が……GIFT員でェもねェーのに拘ォ束さァれる趣ゥ味はねェ」

【……何だかんだでしっかり応対する辺りは律儀な悪魔と言ったところか】
【飴をそれはそれはもう強引に奪い取ろうとした後、数回バックステップを行いマルバスから5m程の距離を取る――】
【すると必然的にねこもととの距離も幾らか遠くなるか、但し魔法陣の位置は変わらず】

「つゥまり、逃ィげ遅れたなァーんてこォとはねェ、自ら飛ォび込んだ"カチュウ"よ!」

【悪魔は怪しげに、そして挑発的に笑みを浮かべた】


>>ALL

「そォして……逃ィげ遅れ――そォの心配をすゥるのは、テメェーらの方だァァアアーッ!!」
「"ライログ"共、やァーっちまァいなッ! 雨神の幼ォ体の力を見ィせるんだッ!」

【先ほど召喚したカエルの内の2匹が、その角先から水の刃をそれぞれ3枚ずつ放つ】
【一匹はねこもと、もう一匹はマルバスを狙っての放出だ――もっと言えば、どちらもその胴体と腕を狙っている】
【本物の刃よりは弱く脆いが、当たった場合は刃が水風船の様に弾けて辺りに水飛沫をまき散らす特性を持つ】

【もう2匹は悪魔の方に向けて跳躍、その両脇に一旦は待機】
【また、このタイミングで頭にUSBメモリがぶっささったコウモリは闇となって魔法陣に吸い込まれてゆく】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 21:01:42.19 ID:XAud2Eo90
>>338

ヘンナモノを召喚する、……あながち、間違いでは無いらしいな……

【指名手配犯については、ある程度の知識を持っている。彼が使うのは、恐らく召喚技に分類される物だと聞いた。】
【やがて生成されて行く、巨大なカエル―――その道の専門家でなくとも、彼によって創られたのだと見て取れる。情報は正しかった。】


             …―― 弐 ――― ≪ 衝 光 之 閃 ≫ ―――…


【宙に浮かんだ右手の中に段々と次第に生成されるのは、彼自身よりも少し長い、全長2mの光の槍だ。恐らくは、彼に纏っているそれと同じ物質。】
【電気に似た特徴、然し実体を持つ"気"から成るその槍は、金属製の其れと変わらず、加えて矢張り、痺れの効果も齎す。】
【回転の動きも加え巧みに操り、刃の全てを弾くが、その予測出来ない特性に、被弾。ローブの一部が濡れ、太腿の辺りを掠っていた。】

【透かさずねこもとはそのカエルに近付き、一掃しようと試みる事だろう。出来る事ならそのまま貫き、もう一体を叩き付ける―――といった具合だ。】
【然しその間、邪禍が魔法陣に吸い込まれて行くのを確認すれば、その成否に関わらず、2,3mその場で跳躍し、大きく振りかぶる。】


……逃がさん……ッ!

【―――槍を、投擲。機転を利かせた行動にしては、狙いは邪禍の右肩に確実、問題は間に合うかどうかであろう。】
【直撃したなら、矢張りそれは金属製の槍同然であるし、中々の速度があった事から、威力は相応だ。余程の事がない限り、貫通は免れない。】
【失敗したなら、その槍は役目を終えた事になる。しゅわしゅわと丸で泡のように、次第に消えて無くなって行く事だろう。】

340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 21:09:55.50 ID:YoagI+QVo
>>334


「よぉ、テメェかチビ助!! ひひひっ、歓迎するぜェ――――!!」


【マリオンは心底愉しげにシーナの姿を見据え、叫んだ。シーナがゴーレムに搭乗していることについては既に織り込み済みのようだ】
【それに反応するように――実際には、恐らくメリッサが動かしているのだろうが――、弾幕を張っていた『クグツ』が移動を開始】
【シーナの攻撃に対して機銃持ちの『クグツ』の一体が動く。咄嗟に翳すのは装甲を纏った左腕――――だが】
【ベゴン! という強烈な音と手応えがシーナに返ってくるはずだ。一撃で破壊するまでは至らなかったが、左腕が欠損する形となって】


     ≪カタ、カタ、カタ――――≫ 
                 ≪カタ、カタ、カタ――――≫


【初撃の戦果としては十分だが、しかし。左腕を欠いたとはいえまだ機銃持ちが生きている事に変わりはなく、またシーナの背中目掛け、重装甲の一体が砲門を向けた】
【――――次の瞬間、シーナに襲い掛かるのは機銃とレーザーの二面攻撃! シーナの真正面からは機銃が、シーナの背中側からはレーザーが飛翔する!】
【レーザーの脅威は知ってのとおり。また、機銃に関しても今回は至近距離からの射撃となり、必然的に避け辛さと威力も増しているだろう】



>>336


≪ガ、ガガガ――――≫


【谷山の放った散弾は、シーナが攻撃したのとは別の、もう一体の機銃持ちの腕を掠めるだろうか。それ自体は大したダメージではないが】
【燐光から流れ込んだ機構内への直接攻撃がその動きを一時、縫いとめる。このアシストがなければ、シーナは三体から同時に攻撃を受けていたことだろう】


な………っ、何よこの負荷は……!?
う、う、うるさい!! このっ、まだ終わりじゃないわよ――――!!!


【同時顔を顰めるのはメリッサだ。――――恐らく、『クグツ』を操っているのは彼女。一体に掛かった異常な負荷を察知したようだ】
【これがあの男の異能か。それを理解してメリッサは怯えたような表情を浮かべるも、彼女もただでは終わらなかった】
【羽付きへの攻撃を察知するや否や、メリッサの前髪に電撃が迸る。……あれがメリッサの異能だろう。電波か何かを飛ばして『クグツ』を操っているのかもしれない】
【その恩恵を受けた『クグツ』は驚異的な回避を見せる。投げられたナイフと散弾を素早い挙動で回避し――――次に選んだのは突進=I】


≪カタ、カタ――――≫
       ≪カタ、カタ――――≫


【羽付きのうち一体が谷山へ向けて高速で飛翔、谷山の真横をすり抜けていくだろう。そしてその際、ウィングの先端にある鋭い刃が牙を剥く!】
【羽自体で攻撃する事も可能であるらしい。当たれば右腕を深く引き裂かれてしまうか――――】
【そして、同時に動き出すのが離れたところにいるもう一体の羽付きだ。ウィングによる攻撃の最中、両腕の小型機銃を乱射して攻撃してくるだろう】
【……なお、当たるかどうかに関わらず、ウィングで攻撃してきた方の羽付きは攻撃後に急上昇して谷山の背後に着く。ヒットアンドアウェイに徹するつもりか】


/続きます!
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 21:11:34.12 ID:YoagI+QVo
>>337


「ッは!! 言うじゃねえかクソガキ――――ん?
 ひひ、ひゃははははははははは!! こりゃあいい、メリッサ! どうやら後輩君のご登場のようだぜ!!」

あ、貴方うちの学校の………!? どうしてこんなところに!
――――私のことを何にも知らないくせに!! 知った風な口を利かないでよッ!!


【マリオンは詩音の挑発をむしろ愉しそうに受け止め、ふと気づくと大笑いし始める。人の神経を逆なでする不快な嘲笑を一通り終えれば、部屋の奥へ消えるだろう】
【逆に驚愕を浮かべたのがメリッサだった。壇上で生徒達に演説していた凛々しいメリッサとはまったく別の、ヒステリックで不安定な彼女がそこにはいた】
【……GIFTに入ったというくらいだ、相当鬱屈した感情を抱えていたらしい。詩音へ向かう剥き出しの怒気、それを体現するように前髪から火花が散った】


「ふん、『バスター』の装甲にそんな攻撃が効くものですか!!」


【さて、重装甲型に向けられた剣の投擲だが……これはメリッサの言の通り、残念ながらほとんど効果がないように見える】
【厳密には、『クグツ』――この重装甲型は『バスター』という名前らしい――が左腕を掲げ、その硬い装甲で防がれてしまったのだ】
【全身を覆う硬い装甲が特徴の『バスター』、生半可な攻撃は通りそうにない。……が、全身とは言っても、最低限の駆動範囲を確保する為、装甲がない部分もある】
【腕、足、首。その辺りの間接部には装甲がなく、真っ黒なフレームが覗いている。そこへピンポイントに攻撃すれば戦果を上げられるか――――?】


≪カタ、カタ―――――≫


【――――何にしても、それは次の攻撃を避けられればの話。『バスター』は反撃とばかり、肩口のレーザーを詩音へ向け】
【直後、二本の強力な光線がそちらへ飛翔する!! このレーザーの威力は先の通り、ボロボロの遮蔽物程度は容易く貫通してしまうだろう】
【この場合、防御ではなく回避に徹するのが賢いといえるか――――】



>>ALL


『――――――う、あ、ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!!!』


【三人がそれぞれ戦っている最中。部屋中に響き渡るような大声で、男の絶叫が響き渡ってくるだろうか】
【……それ以上の反応はない。悲痛な叫び声の後は、ただ『クグツ』たちの銃撃音や駆動音が響き渡るのみ】
【そういえば、先ほど部屋の奥には白衣姿の研究員らしき姿が見えただろうか。もしかすると――――マリオンが、彼らに何かしているのかもしれない】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 21:11:37.99 ID:EB34f2Eqo
/あ、しまった>>333も安価入ってます!
343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 21:19:21.62 ID:TckRHVWIo
>>338
露出狂じゃねぇか!

【吠える男、服が邪魔なのと露出狂、何が違うのかと言わんばかりに】
【もっとも、実際違うのだが】

ぎ、ああ、ギフトか!ギフトギフト、覚えた、覚えたぜ……、ぎ、ぎー……
……と、とにかく、そこのメンバーじゃないのか……ならいいんだが

【鳥頭以下の記憶力、GIFTを相変わらず覚えられない】
【だが、目の前の存在の強大さに気付いていない男は呑気に、ならいいんだが、と呟いている】

うおっ!片方はオレのだ!両方取ってくな!

【と、そんな風にしているから飴玉を二つとも強奪される】
【追おうとするが、ようやくこのとき足元の魔法陣に気付く、周囲に目を配れていない】

つまり好き好んでここに残っている……火事場ドロボー……いや、露出狂だからな
そうか!自身が火に包まれている緊迫感に興奮する変態だな!変態火事場ドロボー!

【どこをどうひねったらそんな感想が出るのか、しかしそんな言葉が口から出たのは事実】
【だが、挑発的な笑みに対して何処か泥臭い笑みを浮かべるのもまた――事実】

殺し合いっていうのは好きじゃねぇけどな……

【しかし、その発言と裏腹にどこか戦いに楽しみを見出しているようにも思える】
【すっと腰を落とし、低く構える】
【成人男性より若干背が高い程度のこの男からすれば、周りの二人ともデカイとしか言いようがない】
【しかし、体格差を理由に負けを認めるのは癪だった、だから、負けないようにした】

しっかし……蛙か、水色ってなかなかいい趣味じゃねぇか……
ら、ら、らい、ライロ……あー、蛙共……雨神……?

【蛙の色をほめて、名前を忘れて――そして、雨神という名前を聞いた途端、すっと目の色が変わったように感じただろうか】
【正確には、人間味あふれる瞳から、ただの殺人装置になったような、そんな、僅かな変化】

……水かよ、まったくついてねぇ……!

【しかし次の瞬間にはどこか違和感があるながらも人間味のある目へと戻りさっと左腕の重層籠手を突き出す】

<Set Up!>

【その瞬間、籠手に水色の線が走る――ギイイイインという甲高くなる音が非常に耳障りだ】

<System All Green .>

【と、その瞬間マルバスを狙った水の刃はまるで何か別の力に操られるようにまったく別の方向へと飛んでいくか】
【水の刃の制御が強力ならそのまま直撃するだろうが……】

<Gauntlet [DEEP BLUEYE] Starting!>

【そういうと水で濡れようが濡れまいがその左手の籠手で蛙をぶん殴ろうと駆けるだろうか】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 21:29:00.19 ID:EB34f2Eqo
>>341
「何も知らない?何も話しちゃくれなかった癖によく言う」
「そうやって、悲劇のヒロイン気取りですか」
「本当に、本当に本当に堕ちましたね」

【諦観を込めて、僕は言う】
【やっぱり、最初から期待などしない方が良かった】
【こんな幻滅してしまうなら、誰だろうと期待しない方が良かった】

「………………まあ、死ぬつもりはないんですよね」
「ああそうそう、生徒会長。貴女、人殺しをした事はありますか?」

【横に走ってレーザーを躱しながら、メリッサに向けて問いかける】
【それはまるで、品定めをするかのような問い方】
【もしやったのなら―――今度こそ、見限れる】

【さてさて、どうやらしっかりと狙いをつけないと駄目みたいだ】
【もう一度剣を召喚し、じっと狙いを定める】
【そして、一本は首、もう一本は足】
【そこに露出しているフレーム目掛けて、真っ直ぐに剣を投げる】

【そこに響き渡る、男の絶叫】

「……何をしやがった、あいつ」

【それっきりだった】
【もう何も聞こえない】
【殺したのか?】
【いや、もう既に何人も殺しているのだろうけど】
【――――だったら、僕だって殺せる】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 21:31:22.35 ID:V7gmFaOVo
>>334>>337>>340-341
【谷山基樹の異能は、情報の支配という広範なもの。その強みは圧倒的な応用力にこそ有る】
【弱みは攻撃力、破壊力。だからこそ、この青年の戦闘は支援と妨害に特化する形での成長を遂げていった】
【シーナへの攻撃を行う機銃持ちの動作が一時的に停止し、青年は即座に次の行動を策定していく】

「――終わりじゃないなら俺が幕を引いてやらァ!!」

【相手に向けて挑発とも取れる言葉を発しながら、天頂に位置する4つの眼球がクグツの回避を認識する】
【それに対して、数歩のバックステップを行い位置を調整、羽根つきの加速に対応する】
【思考が加速し、眼前に映る光景が一挙にスローモーションと化す。その光景、その動作から初動を定義】
【移動速度は早くない、攻撃速度は速くない。だがしかし――初動に関して谷山基樹は圧倒的な速度を誇る】

「……ッが……ァああああああああッ!! 《Black Out》ォォォォオォァッ!!」

【右腕を狙う羽根つきのその動作を察知。攻撃の命中のその直前に、肉体が反転する】
【右腕の代わりに突出されたのは――左腕。その手のひらが、ウィングと直接ぶつかり合う】
【手のひらに命中するそのウィングは簡単にその腕を縦に切り裂かれていく。だが、その間加速には抵抗が与えられる】
【そして、アートマンによって構成された左腕は、いうなれば情報の塊と言っても良いもの。それに直接触れ、深々と攻撃を加えるということはつまり――】
【――圧倒的な情報を流し込まれるということと、ほぼ同義】

【咆哮に呼応するように、全身から吹き出すのは燐光】
【先ほど機体に与えた負荷が少女に影響を与えたことから、ある程度こちらへの攻撃が対象にダメージを与えると予測】
【この機体に莫大な情報を叩き込むことで、少女にも何らかの影響を与えることを目的とした行動であった】

「……――が……ァッ!!」

【全身に突き刺さる小口径の弾丸の群れ。全身から吹き出すのは、鮮血と翠色の結晶体、燐光】
【次第に膝が崩れていくものの、それでも青年は己に襲いかかるウィングに対して、情報を流し込み続けた】
【左腕が完全に切り裂かれるのならば、右手を伸ばしてそのまま羽根つきを掴もうとすらすることだろう】

(――ちィ、速く潰さねぇと……ッ!!)

【聞こえる絶叫に、焦燥感が駆り立てられる】
【使うしか無いのだろうか。己のベルトポーチに収まる、狂気の産物を】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 21:35:30.86 ID:aibuFOWoo
>>340-341

「ふんーチビは余計なのだチビは!」
「見ておれよ、すぐにそのニヤケ顔を歪ませてやるのだ!」


【マリオンからの挑発的な言葉に、ムキになったような反応を示しながらも】
【攻撃すると同時に"探知"の感度を上昇。周囲の接地した物体の曖昧なビジョンを頭に浮かばせる】
【突出すれば火線が集中することは、シーナでも予想は出来る】
【故に――】


「ほうれ、ガラクタはガラクタ同士遊んでおるがいいのだ!」


【――その対処に関してもある程度は織り込み済みだ】
【シーナの背を狙い、レーザーが放たれる瞬間に俊敏な動作で横に身体を"流し"】
【その軌道上に存在するであろう、今シーナが戦鎚で攻撃を加えたクグツに強力なレーザーを当てさせようとする】

【しかし、正面の至近距離から放たれる銃撃に関しては避けきることは不可能】
【先程から繰り出している壁もこの距離では生成が間に合わない】
【シーナは腕をクロスさせ戦鎚を細い盾のようにして構えながら少しでもダメージを減らす】
【腕や肩などに無数の弾痕が刻まれ、その度に砂が血肉の代わりに吐き出されたが】
>>345(谷山)の行動によって銃撃が途中で中断し、ダメージは更に軽減されることとなった】


(さぁて……――)


【その行動を取りながらも>>336(谷山)から掛けられた声や】
>>337(詩音)の攻撃する方向を知覚しながらも、自分の行動指針を組み立てる】
【重装を任せたという谷山の言葉であるが、その機体に対しては詩音が攻撃を仕掛けている】

【自分の位置は前方へと進行し突出している形だ】
【今から後退、もしくは前方のクグツへの対処を怠り背後の重装へ術を使えば】
【さしもの"ゴーレム"であろうとも致命傷を受ける可能性は高い】

【故に、シーナがとった行動は】


「悪いが、このまま踏み込んで指揮官の首を貰うのだ――!」


【前進。前方のクグツに対して強力な横薙ぎの一撃を放ち怯ませることを狙った後に】
【成功したならば足元の砂を鋭く操作し、その間を抜けて突き進もうとする】

【状況から考えて、この人形を操っているのは恐らくメリッサであろう】
【ならば頭を潰すのが最も手っ取り早い、と考えた】
【クグツの指揮者がメリッサという予想が当たっているならば】
【その意識を自分に向けさせることで他の者の攻撃を通しやすくなることも考えられ】
【また、位置を計算しメリッサと自分を直線上に置くことで攻撃を限定させることも狙っている】

【接近に成功したならば、彼女の胴を薙ぎ払うようにして戦鎚を振り回そうとするだろう】
【しかし、この行動の前提は先述の動作で"クグツを突破できていた場合"であり】
【それが為されなかった場合はメリッサに接近する動きは無効となるだろう】
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/06/21(土) 21:42:24.50 ID:acOQNwSRo
>>339

「変なモノとォは言ィってくれるじゃアなァいの……異ィ世界の魔ァ物なァーんて研究者が涎垂ァらすモン出ァしてるのによォ」
「俺様の力は無ゥ限大の可ァ能性を持ォつ! 人間共でェは到底敵わねェー位のなァァアアーーッ!!」

【――そのカエル達は幼体だけあってそこまでの力はない、が】
【その小柄な体格と、カエルらしい強靭な脚力・吸盤は油断ならない機動力を生み出す!】

【四方八方に逃走するカエルたち。その跳躍で一気に壁(2匹)や天井(1匹)に移動し貼り付いた】
【但し、一匹だけ逃げ遅れた個体がいる――後述するが、マルバスの攻撃に対応していた個体である】
【その個体は槍に貫かれ、……生きているのか? いや、生きていたとしてももう長くはなさそうだ】

「グゥッ……ちィ、素ゥ早い奴め……ッ!」 「(投擲……ッ、遠距離も出ェ来なくはなァいとッ!)」

【そして、邪禍の胴体に明らかな貫きの痕――100%ではなく、50%どころか10%前後ではないか】
【そのくらいのレベルの傷が生まれた。カエルのダメージは、この悪魔にも少し返ってくる。】
【勿論、その攻撃が持つ性質もそのまま同じ割合で! 僅かに痺れたその時だった、己の右肩を槍が貫いたのは、己は痺れて少しの間動けないが】

「右と左ッ! 挟み撃て!」

【逃げたカエルの内2匹がねこもとに向かって飛びかかってくる。ただ飛びかかってくるだけではない――バチバチ、と音がする】
【そう、その身体に雷属性のエネルギーを帯びているのだ。飛びかかりを防ぐだけなら簡単だが、場合によってはこのエネルギーをくらいかねない】
【もしエネルギーを受けてしまった場合、感電死はしないが……数秒ほど身体に痺れを引き起こすだろう。また、水を伝わりそれを分解するのも同じ。】


>>343

「はっきり言ってGIFTの考えが嫌いだァからな、メェンバーな訳もねェー」
「そォしてだ! 露ォ出狂でェも変態でェも火ァ事場泥棒でェもなァーんでも良ォいが! 流石にそォれには興奮はしィねェよ」

【強奪した飴玉を両方口の中に入れようとし……包み紙ごと食おうとしている様な気がするがそれはさておき】

「ほォう……よォーやくそォの気になァったか、――俺様の齎す混沌の素ォ材になると言ィう気にな!」

【相変わらず浮かべている笑みは、その内邪悪なモノを見せ始めてくる】

【――水の刃は思ったよりも制御は強くなく、簡単にあさっての方向に飛ばされていくだろう】
【やはり、幼体だからか、それとも元々そういう性質の技なのか――】

【カエルの内の一匹に襲いかかるマルバス。カエルは跳躍で回避しようとするも】
【僅かに間に合わず、その殴りを受けてしまいひっくり返り、少しの間気絶していたようにも見える】
【見える、と言うのは――その後、ねこもとの槍を受けて瀕死になるので、この時点でどうだったかの確認が取れないから、というだけだが】

【この殴りは悪魔にも少し返ってくる。ただでさえ僅かな痺れがあったというのに内蔵を揺さぶられてしまえば、槍も肩に突き刺さるというもの】

「クソッ……水が都ゥ合悪ィなァら! たァーぷりやァるよッ!」

【天井に逃げていたカエルがマルバスの上に降ってくる。水を角先から出し纏うことで、単純な質量を上げているようだ】
【幾らカエルと言えども50cmとなればそこそこの重量があるし、脚力を使って降ってくるので勢いもある】
【なお、攻撃の成功の是非に限らず、纏った水は辺りに散らばる。2人の足場が更に若干悪くなるか】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 22:00:42.48 ID:XAud2Eo90
>>347

   ………、………。

【戦場で飛び交う戦場に不相応な言葉の応酬に、微塵も反応を見せないこの男の集中力は―――最早、才能と呼ぶべきかも知れない。】
【ただ一心に見つめるのは邪禍。悪行を為す者を討ち止めんとする意思は、異常なまでに揺るがない。】

   ―――………ッ!

【そのカエル達の機動力、単に敏捷性一つ取っても予想外だった。躱す事は出来ず、然しそれでも何とか、タイミングを合わせ上段回し蹴り―――、】
【……この男、"それなり"では済まないレベルで武術も扱えるらしい。尋常では無い速度で2匹共、確実に振り抜けば、危険は回避出来た……、】
【―――否、ねこもとはもう一つ、油断していたらしい。……蹴打を放った右足を中心に広がる痺れ、恐らくは今のカエルが引き起こした物だろう。】
【カエルが内包していた電気と、自分が身に纏っている"気"は似て非なるものだ。当然影響を受ける……暫く、身体は動きそうにない。】


             …―― 参 ――― ≪ 熂 功 之 爆 ≫ ―――…


【ならばと男は瞼をそっと閉じる。高速に何か唱えているその間に、少年の胸の辺りにぼうっと、高速で回転する球状の気の結合体が表れて。】
【男は其れを両手で操りながら、練る様に大きく、大きくさせて―――そして其れが直径22cm程、丁度サッカーボール大になったかという頃、】
【其れを両手に分割したかと思えば―――、男は地面に叩きつけた。気は地面にスッと溶け込み、やがて其の姿を消す事だろう。】

【然し数秒後。邪禍の足元、左右に挟むようにしてに現れるのは、直径1m程の2本光の四角柱だ。勿論、全て"気"で出来ている。】
【喰らったのなら、先程の槍とは比にならない程の傷を負う筈だ。然しながら今回のは、先程の其れと比べれば、かなり避けやすい。】
【気が地面に溶け込み、邪禍の身体へと向かうその間。気の結合体は、地面の中で、"光りながら"進んでいるのだ。】
【それに、其の軌道も至って単純。男と邪禍を結ぶ、最短距離のルートを通って行く、それだけ。予測も回避も、簡単の筈―――、】

【然し矢張り、意趣返しと言わんばかりの工夫がされてあった。現れた光の四角柱は、その後、"爆散"する。】
【半径2mに、例えるなら電気を帯びたガラスの破片が飛び散る事になる。殺傷力はないが、喰らえば今後に影響が出るだろう。】

349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 22:07:54.16 ID:TckRHVWIo
>>347
GIFTの考え……なんだっけな、よく知らねぇや

【どうやらこの男、GIFTの目的や理念などよく知らないらしい】
【知っていても忘れている、それが一番正確そうだが】

いいのかよ!
興奮しない……じゃあ炎に包まれる俺かっこいいってナルシストだな!

【露出狂で変態で火事場ドロボーでナルシストとかないわー、なんて小さくつぶやきつつも、戦闘の事はしっかりと考えているようで】

素材?頭部とか破壊しても何にもでねぇぞ?

【はぁ?と言わんばかりに、ついでに視線が痛い子を見るようなものに変わりながら青い光を放つ籠手を構えている】

うお、本当に曲がった、さすがあのえーっと、ソテー……なんかでっかい鳥の目玉を使ってるだけあるな!

【でっかい鳥、これは恐水鳥ことテナーの事だが名前をまた忘れているらしい】
【ともかく濡れずに済んだのはこの男にとっては重要なことらしい】

……っとと、あぶねぇ!

【どうやら自分の仲間らしい?ねこもとの攻撃がすぐそばを掠める】
【もしかしたら一番の敵は味方かもしれない、冗談だが、なら味方は誰なんだという話になりえる】

うわっ、来るな!エンガチョ!エンガチョ!あっち行けクソ蛙!

【そして振ってくる蛙、水を纏った、カエル】
【この男はしゃべってないと死ぬのだろうか】

【ともかく、男はとっさに背中の短いが幅が広い奇妙な剣を取り出しそれをカエルに向けて振うだろう】
【ただし、刃を向けるのではなく、ハエ叩きのように面で叩き飛ばそうとするだろうか】
【結構な腕力らしいが、さすがに重すぎればさほど飛ばずに落ちるだろうか】

っと、あったったあわってええ!

【どちらにせよ、あたりに散らばった水で足を滑らせ尻餅をつくだろうか】
【妙にしまらないのである】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 22:12:51.05 ID:YoagI+QVo
>>344


「話して――――話して何になったっていうのよ! 貴方だって、あの学校に何も思うところがなかったわけじゃないでしょう!?
 この能力≠フせいで、私には居場所が無かった! 学校でも家でも、優等生を演じるしかなかったのよ!!

 あの人が、マリオン様だけが私に居場所をくれたのよ――――だから、あの人のためなら……ひっ、人殺しだって!!」


【――――この鉄火場にはまるで場違いな、メリッサの咆哮。私は不幸だ、私だけが不幸だ、そう言い聞かせるような言葉】
【悲劇のヒロイン、という詩音の台詞も的を射ていたかもしれない。この未熟な心の隙を、マリオンに付け込まれてしまったというところか】
【ただ、人殺しをしたことがあるか――――その問いの答えは、メリッサの態度が如実に示しているはずだ】
【人を殺したことのある人間が、こんな青ざめた顔で震えているわけがない。……心のどこかで、恐らくまだ一線を越えられずにいるのだろう】


≪ガギ、ギ、ガ――――≫


【……『バスター』が重装甲の変わりに機動力のない兵器であったこと。そして何より、詩音の言葉でメリッサが精神的に動揺していたこと】
【この二つが良い方向に働いたようだ。投擲された剣はまず足を捉えて動きを縫い止め、その後見事に首を叩き落とすだろう】

【ただし、そこで油断していては危険だ。あれは人型ではあるがあくまで機械≠ナあって、頭を潰して終わりとは限らない】
【『バスター』の重火器が一斉に火を噴く――――見境無しに放射されたレーザーと小型ミサイルが一斉に詩音へと襲い掛かるだろう!!】
【頭部のアイカメラを失ったせいで狙いこそ適当だが、脅威には変わりない。棒立ちしていればレーザーに体を焼かれ、ミサイルの爆風で吹き飛ばされることになる】

【……そして、それが当たるかどうかに関わらず。詩音が相手にしていた『バスター』は完全に機能を停止して地面に転がる。まずは一体、といったところか――――】



>>345


「が、――――何なのよこのノイズっ、制御系が落ちる………ッ!?」


【ウィングが谷山に接触した瞬間――――がくん、とメリッサの頭部が揺れた。表情には驚愕が、額には脂汗が浮かんでいるだろうか】
【同時、谷山と接した羽付きの動きが急停止する。制御系に直接ダメージを叩き込む谷山の攻撃、どうやら『クグツ』には非常に良く通るようだ】
【羽付きは動きを停止した。そのまま掴むことにも見事成功するだろう。――――だがその時、メリッサの前髪で青い電光が爆ぜた】


「こんな、ものに、私がッ…………『フロート』ッ!!」


【多量の情報を『クグツ』に流し込む谷山だが、もし彼が『クグツ』の中で行われる処理を除きこめるのなら、次に驚愕するのは谷山の方であったかもしれない】
【突如として制御系に外部からの干渉が行われたかと思えば―――― 一時的とは言え谷山の送り込んだ情報が捌き切られる≠フである】
【間違いなくメリッサの力だ。恐るべきは、その常軌を逸した演算能力……GIFTに引き抜かれるというだけあって、彼女もまた非凡なものを持っているらしい】

【……実際には一瞬、制御系を取り戻す程度の干渉。しかしその間に、メリッサは羽付き――『フロート』という種類のようだ――にある命令を送り込む】


≪ギ、ギギギ、ッギ――――!≫


【――――自爆コード。谷山が『フロート』を掴んでいる状況を逆利用し、メリッサはそれを自爆させて大ダメージを与えようと試みる!!】
【近場にいれば当然危険だ。爆発自体も強い上、なまじ軽装甲なせいでフレームが粉々に砕け散って飛散、破裂手榴弾のように谷山を襲う】



/すみません、二つ続きます……
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 22:14:30.55 ID:YoagI+QVo
>>346


≪ギ、ギギギ、ガ――――≫


【シーナの目論見は半分だけ成功する。『クグツ』はレーザーに対して咄嗟に体を捻り、このタイミングで回避してみせるのだ】
【AI処理の限度を超えた機動、恐らくメリッサの指揮の賜物だろう。……ただし無傷ではすまない。脇腹を抉られ、大きく吹き飛ばされてしまう】


「ひ、っ…………!!」


【そして、先ほど谷山のノイズで行動を停止していた『クグツ』にシーナの横薙ぎがぶち当たる。左腕の装甲で防がれ、破壊までは行かないものの】
【二体を突破することには成功するだろう。メリッサも、シーナがこちらを狙って動き出したことを察知するが――――】
【……そこで漏れ出るのが、この情けのない悲鳴であった。『クグツ』を介しての間接戦闘はこなせるようだが、どうやら彼女自身は戦いに慣れていないらしく】


≪カタ、カタ、カタ――――≫


【――――ただ、そこでシーナの突進を阻む駒がメリッサには存在した。先ほど谷山に機銃を乱射していたもう一体の『フロート』を咄嗟にこちらへ回したのだ】
【素早い機動でシーナの正面に回りこみ、空中から機銃を乱射。それだけではない、シーナに置き去りにされた二体も背後からシーナを狙い打つ!!】
【正面、斜め左後方、斜め右後方。三方向から、機銃による同時射撃が行われる形だ。流石に回避なり防御なりに回らないと不味いかもしれない】
【……ただ、それが当たるかどうかに関わらず。先ほどレーザーで吹き飛んだ『クグツ』、つまりシーナが最初に左腕をもいだ一体はこれで限界。稼動を停止するだろう】

【また、メリッサとマリオンの現在地は、シーナがいるのを地下二階とすれば地下一階に当たる部分。つまり一階分上層にいる形となっている】
【彼女の位置まで十分な攻撃を届かせるには、単純に遠距離攻撃を使うか、跳躍する必要があるだろう――――】
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 22:17:27.31 ID:YoagI+QVo
>>ALL


「ひひっ――――さぁて、用事は済んだ。メリッサ、どけ」

は、はい………? マリオン様、ま、まさか――――っ!!


【――――そして。これは時間軸としては、これは三人が上記の『クグツ』達への対処を終えた後になる】
【部屋の奥から再びマリオンが姿を現し、全員を見下ろしていた。――――体中に返り血を浴びた姿で、だ】
【マリオンは三名ほどの研究員を引き摺ってきていた。全員口と目をガムテープで塞がれ、両腕を後ろ手に縛られて、意識を失っているようだ】
【メリッサがいち早く彼の目論見に気づいて戦慄の表情を浮かべるが……止めることはなかった。いや、怖くて止められないのだろう】

【ならば、下衆な笑顔を顔中に貼り付けて、研究員達を部屋の縁に移動させたマリオンを止められる者はもう、いない――――】


「おーい、オマエら! こっちもちょうど終わったんでなぁ、返して欲しきゃ返してやるよ!
 ――――ほれ。しっかり受け止めろよォ?」


【マリオンの行動はごく単純であった。どん、と――――部屋の縁まで引き摺ってきた研究員の体を軽く蹴る。たったそれだけ】
【たったそれだけだが、しかしそれがどれほど鬼畜な行為であったか。マリオンとメリッサがいる場所は建物の二階部分に相当する高さなのだ】
【手を使うどころか周囲の状況も確かめられず、そもそも意識すらない状態で、研究員達は頭から地面に落下する……どうなるかは、想像に難くないだろう】


………っ!!!


【しかし、その瞬間。メリッサが怯えるように目を背けたのに合わせて、その動揺が伝わったかのように『クグツ』たちの動きが鈍るのがわかるだろうか】
【やはり彼女、戦い慣れていないらしい。この隙を突いて研究員を助けに行くことも出来るし、そちらに興味がなければ素直に『クグツ』を撃破するでもいい】
【行動の余地は十分にあるが――――マリオンはメリッサの失態を咎めるでもなく、ただ愉しげに嗤っていた】
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 22:38:51.00 ID:V7gmFaOVo
>>350-352
「……ちィ……ッ!? 同類かよクソがァ!」

【己の送り込んだ膨大な情報が、確実に相手に影響を与えたことを認識する】
【確実に停止し、その上で止めのように情報を送り込んでいく谷山は、内部処理に割り込みがおこったことを理解】
【情報処理を司る異能の谷山。それに匹敵するどころか、凌駕する演算能力を発揮したメリッサに、戦慄を禁じ得ない】
【その上で、制御系に送り込んだ命令を理解。谷山は即座に己の左腕を自壊させ、後ろに飛ぶ行動を選択した】

「が……ァ――――――ッ!!」

【爆発する『フロート』。解き放たれる装甲の散弾、肉体に突き刺さり脆弱な体躯は吹き飛ばされていく】
【血まみれで地面に転がり、口から泡を吹いて白目を剥く谷山。だが、それでも右腕だけはゆっくりと動く】
【ずるりと血まみれの腕が動き、ベルトポーチに手を伸ばし、收められた何かを引き抜く】
【たまご型の緑色の推奨。それを人は――哲学者の卵と呼ぶ】

「……は……ッハ……ッ!! この程度で、この位で……!
諦めてたら、倒れてたら……! やってらんねェんだよォォォォォオォォオォォツッッッ!!」

【ごぼっ、と口から噴水のように血が吹き出し。体が転身】
【うつ伏せの体制から、尺取り虫のように体がくの字に折曲り、ゆっくりと手を突いて立ち上がっていく】
【膝に手をおきながら、血まみれの青年は狂気と意志を宿した瞳を向けて、皮肉げな笑みを浮かべてみせた】

【右腕に握った卵を空中に放り投げる、そして全身から発露した燐光が卵に殺到していった】
【卵はその燐光を吸い込み、飲み込み、捕食していく。送り込んだのは、悪意や狂気等の負のデータをサンプリングしたものだ】
【哲学者の卵が孵化する条件は、強い情動――それも負の感情に関連するものを受けた時】
【要するに、今青年が行ったことは――哲学者の卵の人工孵化といえる行動だったろう】

「――《Over Clock:Single Core》!!」

【砕け散る哲学者の卵。そこから吹き出す無色の力、悪意、狂気、邪気の塊】
【左腕のあるべき場所に収束していく光、おぼろげな腕の形のその光の群れを――その力に向かって伸ばし――掴みとる】
【哲学者の卵の力だけを抽出し、己に取り込み力とする。膨大な力を得たアートマンは、一時的に暴走状態へと遷移】
【それを意志の力と理性で制御。支配された暴走、過負荷状態――オーバークロックへとたどり着いた】

『……おおおおおおおおおおおおッ!!』

【肉体が破砕。神経系が完全に失われ、アートマンが作り上げた仮想神経系と換装される】
【全身に拡張された神経系による回路模様が浮かび上がり、その回路模様からアートマンの放つ燐光が吹き出し散った】
【体表の至る所がアートマンの結晶体化する。もはやこの姿は人ではない。しかしアートマンでもない】
【もはや何者かもわからぬもの。それを表す言葉は一つだけ。ここに居るのは――谷山基樹≠セ】

【ノイズの混ざる声。そして、アートマンによって肉体を作り替えることで、一時的に上昇した身体能力を駆使した】
【前へと加速する。目標は、落下する研究員。その着弾地点に向けて、谷山はUSBメモリを投擲する】
【谷山基樹のアートマンHello Worldはデータ≠ノよって構成されるもの。即ち、材料と成るデータがあれば生成可能と成る】
【着地地点に、半球状の結晶体が生まれる。それは、衝撃に弱く、命中すれば即座に砕け散る程度の強度しかない】
【だがしかし、直接地面に命中するのに比べれば、そのダメージは大きく軽減されることだろう】

『そんなに嫌なら……ッ!! とっととやめちまえ……ッ!! てめェにはそーいうの向いて無えよ!!』

【メリッサに向けて全力で駆け抜けながら――青年は、そう口にして】
【全身から血と結晶の破片を散らしながら右腕を振りかぶり――振り抜こうとするだろう】
【狙いは単純、顔面。そして、そのデータ量は先程までとはケタ違いのもの】
【ダメージを与えるのではない。この一撃は――少女の演算能力との、真っ向勝負であった】
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/06/21(土) 22:40:12.45 ID:acOQNwSRo
>>348

「ククク……"雨神"の幼ォ体ということを忘れてもォらっちゃア困るな」
「雨が齎される時、そォこには雷が生ゥまれるッ! こォいつは水だァけの蛙じゃアねェーって事だッ!」

【もし槍が突き刺さったままだとすれば、それを肩から強引に引き抜こうとし、成功すればその辺に投げ捨てる】
【――"水と雷"、2つの属性を持つそのカエルは、蹴りによって地面に落ち、一旦伸びる】
【悪魔にも勿論衝撃が行っているようで……何回か、肩から流れる邪悪な血の勢いが強まった】

「……動きを止ォめられたならば動かず技を放つッ!」
「隙がねェー野ァ郎だ、だァがそォの軌ィ道は見ィえ見えってモノ!」

【動きを止められていないのならば、読める軌道故に回避は難しくない。近くの机に飛び乗って更に後ろの机に避難】
【……もっとも、それだけでは破片の脅威を避ける事は出来なかった、僅かに足りない距離は悪魔に破片を浴びさせる結果を生む】
【晒される気のエネルギーは、ビリビリと己の身体を駆け巡り、その動きを阻害する。】


>>349

「……ククク、だァから何ァ故そォーなるッ! 俺様がナァァァルシストなのは否ィ定しねェーがな! ヒャハハハハ!」

【自分を様付けで呼んだり、わざわざ超強いとか自称していたが……自覚はあるらしい】
【つまり、この笑みも余裕――というか、己を信用した笑みなのだろう、肩に槍が刺さった時点で無くなったが】

「安心しな……丸ごと使ってやァるかァらよォ、そォの篭手も大事にしィてやァるよ」

【マルバスのその目線はスルーしつつ、更に意味有りげな様でそうでもないような言葉を小さく放って】

【カエルはどうやら空中での軌道修正能力を持たないようで、簡単に剣によって叩き飛ばされる】
【もっともそれなりの質量があるので、大した距離は飛ばないだろうが……やはりこちらも一旦伸びてしまった様子】

「グェッ、妙に強い力で叩きやがって……ッ」

【ともかく、一旦はカエルが居なくなり……召喚士のセオリー的には厳しいはず、だが】


>ALL

「糞がッ、しィかし追撃がこォなかったのは運が良ォい……火ィの手も広がって来た……蛙が蘇るまァで……よォし、塩基! こォれをッ!」

【痺れる身体故に素早くは動けないが、近くにあった棚を開けて中にあったボトルの蓋を開け一人一本ずつ投げる】
【中身は水酸化ナトリウムの粉末。苛性ソーダとも言う。学校の実験でもお馴染みの、名の知れた物質なので説明はあまり要らないだろう】
【強いアルカリ性は、タンパク質である身体をじわじわと腐食し、その内炎症や火傷の様な症状を引き起こす上に、目に入ると危険!】
【粉末なため、服が防護壁として働くだろうが……ここで濡れていた場合、逆に服の水分に粉末が溶けこむ恐れがあり、やはり危険。】

「しィまった! 蛙にもかァかった!」

【また、ボトル瓶入りなのでうまく調整できれば中から出さずに処理することも可能だろう】
【どちらにせよ、幾らかの粉末は地面の水に溶け込むので、注意が必要だ】
【……地面で伸びていたカエルの皮膚の一部が爛れ、悪魔の皮膚もそれに応じて軽く爛れるのは、……その考えが浅かったとしか言い様がない】
355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 22:46:32.42 ID:aibuFOWoo
>>350-352

【メリッサに向けて疾走する間に挟まるようにして、飛行型のクグツが立ちはだかる】
【魔術による高速移動を遥かに上回る風の如き機動力】
【背後のクグツからの攻撃は想定していたが、この速度は予想外であった】
【こうなればこれ以上進むことは出来ない、シーナは即座に足元の砂を操作しブレーキを掛ける】


「ぬぅ!まったく、本当に面倒くさい人形なのだ!」


【三方向からの同時射撃。行動理由の一つの「攻撃の集中」だけは達したことになろうか】
【恐らくメンバーの中でも一番の耐久性度を誇るが故に、一番攻撃を受けるポジションに立つ必要がある】
【術の特性も防衛に向いたものだ。この突出も攻撃を"受けきる"自信あってのものであった】


【銃撃が開始される瞬間に、シーナはその場で大きく足を床に叩きつけた】
【それに呼応するようにして、先程まで移動に使っていた"砂の河"が一斉に吹き上がり】
【シーナをドーム状に包み込む"防壁"へと変化する】

【だが即興で発動した上に、魔翌力による補強が掛かっているとはいえ】
【粒子で構成されたこの防壁の硬度は然程高くない。最初の数発を受けた時点で幾つもの銃弾が貫通し】
【シーナの身体のあちこちに銃創が生まれ夥しい砂が溢れ出す事となった】
【幾ら堅固なゴーレムとは言え、耐久力には限界がある】
【打ち付けられる無数の衝撃と、削り取られる装甲を知覚しながらもシーナは】


「落ちるがよいわ蚊トンボめ――――!」


【一歩前に踏み出し、戦鎚を飛行型クグツに向けて思い切り放り投げた】
【その際に防壁として機能していた砂の数割が戦鎚の先端に球状に纏わりつき】
【衝突した場合、その砂が凄まじい勢いで"爆発"し追加ダメージを与えるだろう】

【砂の防壁から姿を現したシーナは、法衣があちこち破れ左腕が取れかかった惨状であった】
【頭部や脇腹などにも被弾したのか幾つも抉れた跡が刻まれていた】
【ダメージは決して小さくない。耐久限界は近づき、受けきれる攻撃は最早そう多くはないだろう】


【――】


「うぬ――!?放っておいてもよいが、目の前で死なれるのも夢見が悪いからの!」


【背後からの銃撃に対して、再び砂の河を起動し】
【射線を外すようにして左右に振るような軌道で前進を図りながらも】
【研究員が落ちる姿を確認すれば、それへの対処を開始する】

【真っ当な善人ではないため、一瞬放置して攻撃を続行することも頭に浮かんだが】
【即座に家で待つ爺様の顔を思い出し、助ける選択肢を取った】

【研究員の落ちる付近の地面に干渉、硬度を変化させ】
【もし接地した場合は柔らかくなった地面が衝撃を吸収しトランポリンのように跳ねることになるかもしれない】
>>353(谷山)の救助行為も含めれば、安全を確実にすることが出来るだろうか】
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 22:52:55.54 ID:EB34f2Eqo
>>350>>352
「へぇ、そうなんですか」
「で?だから?」
「僕だって異能持ちだ、異端で、異常者だ」
「あの学校で疎まれるべき、そんな存在だ」
「本来居場所などないけど、無臭無害を演じる事によって、人を騙す事によって居場所を得ているんだ」
「なぜそれが出来ない?僕には理解不能だ」
「あのさぁ――――――――『甘え』てんじゃねぇよ」
「自分だけ辛い?不幸?だから慰めてって?」
「そんな世の中甘くないんだよ、何なら後で僕の身の上話でも聞くか?」
「きっと、あんたよりもずっと不幸だよ。ほら、優越感に浸れそうだろ?」
「自分よりも不幸な話を聞いて、自分の事を忘れて同情したり見下せたり出来るなんて、なんて素晴らしいんだろうな」

【僕は、精神攻撃の口火を切る】
【言葉を浴びせかけて、相手の精神を削って】
【そして、勝つ】
【なんて卑怯、なんて卑劣、なんて姑息】

「………その様子だと、「まだ」やってないみたいだね」
「良かったな、まだ助かるよ」
「もしやっていたなら、僕はあんたを社会的にも物理的にも抹殺しようとしただろう」
「もし、僕があんたの事を学校に報告したら、どうなるかなぁ?」
「というわけで、嫌ならとっとと投降しなよ」
「今ならまだ一線を超えずに済むし、僕からも口添えをするし、何よりも同じ能力者として守ってやろうじゃないか」
「それとも………あいつが怖くて、出来ないか?」
「逆らったら殺されそうだから、出来ないか?」

【脅迫と、通告】
【どちらを選ぶか、二つに一つ】
【与えられるか、奪われるかの二者択一】

【そんな戯言を口にしながら、見境なく発射される弾幕を躱す、避ける】
【走って、隠れて、回避する】
【―――――そのうち、狙った相手は機能を停止した】
【まずは、一体】

【そして、首謀者は出てくる】
【返り血を浴びて、研究員を引き摺って】
【そして、メリッサの反応にも注目する】
【あの様子を見るに、やっぱり怖いのだろう】
【怖くて、逆らえないのだろう】
【正直に言えば、僕としては、彼女を連れ戻したいわけで】

「なっ………!」

【そして、奴は研究員を蹴り落とした】
【落ちれば確実に死ぬ、そう思ったら僕は駆け出していた】
【研究員を受け止めようと、全力で駆ける】
【だけど、対象は三人もいる】
【僕だけでは、どちらか一人しか救う事が出来ないのだ】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/21(土) 22:53:05.78 ID:x0rxKIx7o
【夜・とある港町の一角にて】

―――うおおおおお!こんだけありゃ自分の船くらい持てるんじゃねーのか!?
『馬鹿言え!こんなオメェ……こんなくらいじゃ帆船も変えやしねーって!』
「そうだぜ兄弟、もっとしっかり貯めこんでよ……目指すのは伝説のお宝さ。なんせ俺たちゃ――」

【ガヤガヤ、というのとは違う喧騒が其処にはあった。音の元は宝石店だ】
【其処に居るのは複数名のガラの悪い男たち。水夫だろうが、それにしても風体が良くない】

【そして、その正体はすぐに分かる。海賊だからな!≠ニいう言葉が響くからだ】
【彼らがしている事は当然のように強盗であって、警報装置もわんわんと鳴り続けている】
【――しかし警備が来ないのは、誰が知るでもないものの今日は担当が居眠りをしていて】
【警報を誤報扱いで寝ぼけて処理したせいなのである――だから、彼らの収穫は増える一方で】

……強盗してたら陸の盗賊と分からないじゃないか、全く…。
酔っ払った勢いにしても、もうちょっとマシな事を考えて欲しい……。

【金の飾りや宝石を全身に飾り立てる海賊の男たちと対照的――と言うより逆に目立つのが、一人の女性】

【肌は浅黒く、髪も同様に暗い色。ロングブーツや鼠色のコート、腰のカットラスやハットを見るに】
【彼女も恐らく海賊なのは間違いなかったが、盗みには加わらず】
【彼らを横目で見遣りながら、店の入口で見張り番のようなことをしているのだった】

【――ちなみにこの宝石店、地下にとんでもない財物を貯めこんでいるという噂もあり】
【或いは情報の早い裏の世界なら、この強盗騒ぎも既に知れているのかもしれなかった】
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 22:53:45.76 ID:XAud2Eo90
>>349,>>354

  ………大丈夫か? 地面が濡れている、重心を低く保たなければ、バランスを崩す、ぞ………用心すると良い、
  ……それと、先程は済まなかった。そのつもりは無かったとは言え、……―――来るッ!
  

【この音は―――尻餅をついた時になる物だ。それが常にその位置を認識している邪禍による物でないのなら、当然。】
【消去法的に、共闘している、―――ねこもと本人は五月蝿いと感じた訳ではないが―――五月蝿い男による物、なのだろう。】

【近付いて、それから手を差し出す。応じたのなら、そのまま引っ張り上げようとする事だろう。】
【然しその途中、邪禍が投擲したボトルが襲いかかったのなら―――ねこもとは迷わず、内一本を蹴り飛ばした。】


  ―――………グ……カァッ……ッ………!
  
【……残された時間的余裕は、一つで精一杯―――ねこもとに投げ付けられたそれは、そのまま降りかかる事になる。】
【学校で生徒が扱う為のそれとは違い、恐らくは工業用、濃度は極めて高い。ジワジワと皮膚が溶ける感覚は、熱かった。】

【恐らく彼の様子を見れば、反撃が出来るとは、到底思えない筈―――、全てはもう一人の五月蝿い男に、託された、】

359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 23:04:08.87 ID:TckRHVWIo
>>354
そうじゃねぇのか!?そうだろう!?

【逆に驚く男、ナルシストで変態で火事場泥棒で露出狂、そう決めつけている様子】
【頭をこじ開けてみてみたいというのは誰しも抱く感情だろうか】

ま、丸ごと……気持ち悪!

【その発言に気持ち悪いと言い放つ男】
【少なくとも素材にされるという発言の後で丸ごとときたから自分が何かの機械の一部に組み込まれている様を想像したようだ】
【そりゃ気持ち悪く感じるだろうか】

と、この籠手は一応オレの一部だからな……

【痛い子、変態、そして気持ち悪い奴という様々なものを見る視線の混じったじとっとした視線で悪魔を睨む】
【一部、というのが使い込んだという意味だろうか、それは先ほどの様子からして違うだろうが】
【それならば、いったいどういう意味なのだろうか】

カエルが嫌いになりそうだぜ……、うえ、パンツまでしみてるじゃねぇか……うわ、靴下からぐちょぐちょ音がしやがる

【尻餅をついた状態から、剣を握り再び立ち上がる、結構びしょびしょに濡れた】
【嫌悪感を隠さない表情で足を振り、僅かに水気を飛ばす】

塩基っておいおい!

【飛んでくるボトルを手に持った剣で叩き落とす】
【しかし、はじいた衝撃でむしろ水酸化ナトリウムが飛び散り腕にかかってしまう】
【左腕は籠手があるからいいが、右腕は】

〜〜〜〜ッあああ!いってぇな!いってぇ!クソが!

【その時剣を一回地面に捨て置き、籠手をはめた左手で右腕の袖を無理やりちぎり取る】
【元々頑丈な作業着だ、ちぎるのに手間取ったらしく数秒後ようやく袖がひらひらと地面に落ちる】

【その下にある腕は真っ赤にただれている、血が少しずつ出ているあたり、結構深くただれたらしい】
【幸い、筋肉を深く侵すことはなかったが……、ふとよく見ていれば、ただれた部分が少し放電しているように見えるか】

くそ!腹が立つ!無性に腹が立つ!

【そういうと左腕を、機械の籠手をダンッと水浸し……いや、先ほど地面に粉末入りのボトルを落としたため濃NaOHというべきか、そこにたたきつける】

全部全部全部!お前の仕業だこの変態露出魔ナルシストドロボーが!

【その瞬間、再び駆動音とともに床の水溶液が水流となって悪魔へと押し寄せるだろう……!】
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 23:13:03.20 ID:TckRHVWIo
>>358
わかってる……水はだから嫌いだ……!
別にいい!気にすんな!

【そういい、差し出された手は大丈夫だ、と告げ一人で立ち上がるだろうか】

【そして、ボトルが飛んできた時にさらに一つはこの男が叩き落としたが……】

って、大丈夫、に見えたら眼科に行かなきゃなんねぇな!

【罵倒の後に水酸化ナトリウムを操り悪魔へと攻撃、その最中、大丈夫か、と声をかけようとするが大丈夫には到底見えないのでそう声をかけておいた】
【慰めにも何にもならない】

いいか!すぐに大量の真水で洗い流せよ!
真水がなかったらな、最悪アレをつかえ!

【そういうと片足を器用に伸ばし、棚の薬品を一つ蹴り落とす】
【ボトルに入れられたそれは、1%酢酸水溶液と書かれている】

それをかけろ!中和……されると思う!

【なんだか情けない回答である】
【ただ、何もしないよりはましだろう、苛性ソーダは……最悪骨まで侵す】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 23:18:34.68 ID:YoagI+QVo
>>353

【谷山の判断速度、そして行動速度もまた常軌を逸していた。――――研究員に関しては彼の意図通り、地面への直撃は免れるはずだ】
【そして、メリッサへと突撃していく谷山。『クグツ』はいまシーナの方へ掛かりきりになっていて、ちょうどその隙を付いた形となった】
【――――止める術は無い。そしてメリッサに、避ける術もない。ただ必死に顔を守って腕を翳すのみ、】


ひ、っ――――あッ!!?


【打撃自体は直撃とはならなかったものの、少女の矮躯には十分な衝撃であった。そして何より――――ガクン、とメリッサの体が跳ねる】
【莫大な量の情報量がメリッサの中へ流れ込んでいく。余りにもケタが違うノイズの量に、少女の白緑色の瞳が遠くなっていって――――】
【メリッサの現在地は二階にある部屋の縁。意識が遠のいた少女は先ほどの研究員と同じように、二階分の高さから下へ落下する……】


「――――おぉっと!! オイオイ困るぜェ谷山クンよぉ!! 女の顔を何の躊躇も無く殴ろうとするかフツー?」


【それを防いだのはこの場に居るもうひとりの敵、マリオン・リヴァーズだった。彼は何か、ワイヤーの様なものを部屋の縁に括りつけると】
【メリッサを空中で抱え、一緒に一階へと落下するだろう。……着地用のクッションとして、谷山が助けたばかりの研究員が踏みつけにされた、と記さねばならないが】
【ともあれ――――二階に引きこもっていたマリオンとメリッサだが、これで三人と同じ階層に降り立ったことになる。ここから先、直接攻撃の機会は増えるはず――――】
【どうでも良いことだが、マリオンは谷山の名前を知っているようだ。谷山が過去にカノッサやGIFT相手に大立ち回りをしてきたことを考えれば合点もいくか】


「それとよォ、人からのプレゼントはちゃんと手渡しで受け取れよなァオイ!!」
 ……おいメリッサ! テメェもいつまで寝てやがる!!」

――――っ、す、すみません、マリオン様………!
こいつ、やってくれたわね――――!!


【……そして、マリオンは足元の研究員を抱え上げると、それを谷山へ向けて放り投げるだろうか】
【流石に人一人分の重量を投擲と言うわけには行かず、たとえ当たったとしても大した威力にはならない。一体何の意図であるのか……】
【またそれと平行して、マリオンはメリッサへ大声で叫んで叩き起こす。……メリッサはそれで意識を取り戻すが、これはマリオンの手柄ではあるまい】
【流し込まれた情報量を鑑みれば、ただ声を掛けられただけで意識を取り戻すというのは明らかにおかしい。彼女の類稀な演算能力は、まだ生きている】


≪カタ、カタ、カタ――――≫


【その演算能力が、谷山へ新たな攻撃の手を加えさせるだろうか。いまこの場に残っているのは、機銃持ちが一体と、『フロート』『バスター』が一機づつ】
【彼女が動かしたのは『バスター』、重装甲と遠距離攻撃が特徴の機体。少し遠くの場所から、重厚な銀の塊がレーザー≠射出する!!】
【目前には研究員が。背後からはレーザーが。前者を助ける方に気を裂くか、後者を対処する方を優先するかは谷山次第だが――――】



/また二つ続きますです……
362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 23:19:47.24 ID:YoagI+QVo
>>355


≪ガガ、ギ、ギギ――――!≫


【飛行型のクグツ、『フロート』へ向けてシーナの戦槌が放り込まれる。あの機動性だ、今まで通りのパフォーマンスなら回避も出来ただろうが】
【……この時、谷山の攻撃で指揮官であるメリッサからの干渉が途切れていた。『フロート』の動きは必然、鈍ることとなり】
【右のウィングが爆発に巻き込まれて破損――――完全に直撃とはならなかったが、シーナの目論見どおり飛行能力を奪うことには成功するだろう】


「ひゃははははははははッ!! お人よしだなあオマエも!!
 オラ、お人よしついでに傷の手当でもしてやったらどうだァ!!?」

              ≪カタ、カタ、カタ――――≫


【次いで、シーナへ攻撃の意図を見せたのはマリオン。谷山と同じようにして、シーナが助けた研究員を彼女の近くへ向けて放り投げ】
【同時、たった今叩き落した『フロート』と、シーナの背後にいる機銃持ちが銃口をそちらへ向ける。降り注ぐのは、またも三面からの同時攻撃!!】
【……機銃自体は先ほどと対して変わらない攻撃だ。この場合注意しなければならないのは、マリオンに投げられて正面から飛んでくる研究員だろうか】

【研究員は飛距離不足でシーナの近場にずしゃりと転がる。あまりにも無惨な姿で――――】
【注意しなければならない、というより、この場合逆に注意してはいけないのだ。そちらの救助に気を取られれば機銃への対処が遅れかねない】



>>356


う、 ―――るさい、うるさい、うるさい、うるさいッ!!!
今更あんな場所に未練なんかないわよ、報告したければ好きにすればいい!!
わ、私は、私は――――、


【谷山の情報攻撃を凌いでおいて、詩音からの精神攻撃にはこのザマ――――この幼い心こそが、恐らくメリッサの最大の弱点だった】
【うるさいうるさいと駄々をこねて、耳を塞いで、感情のままに騒ぐ。完全に冷静さを失っているが……これは何も、彼女のせいと言うだけではなかった】
【彼女がここまで焦燥する理由には、確実に。いま少女の背後で下衆な笑顔を浮かべて二人のやり取りを眺めている橙色の髪の男への恐怖がある】


「っひひひ、オイオイなんだよ少年。メリッサをこんだけボコボコに貶しておいて、このゴミ共は助けてやんのか?
 お人よしだなあ――――お人よし過ぎて、想定通り♂゚ぎて笑えてきやがるぜェ!!」


【詩音の必死で疾走もあり、研究員は見事助けられるはずだ。残り二人に関しても谷山とシーナがそれぞれ救出した】
【――――だが。マリオンは何を思ってか、そんな詩音の姿を見て、心底愉しそうに嗤ってみせて】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/21(土) 23:22:58.81 ID:YoagI+QVo

>>ALL

【……三人が各々の方法で助けた研究員達は、背中に多数の刺し傷を負った酷い様相であるだろうか。体の末端部などは欠損している部位もある】
【凄惨な拷問を受けたことが容易に伺える姿。――――それが、とうの昔にショック死した死体≠ナあることに気づければ】
【もしくは、その体の中から響いてくる「カチ、カチ」という機械音を聞き取れれば、何らかの対処を取る時間はあるか――――?】


「ひひっ、ひひゃはははははははははははははははははははははははッッ!!!!
 いいかオマエら、よォォォーく見とけ! これがオレたち『GIFT』に、『能力者』に歯向かおうとした愚かなブタどもの末路だ!!

 ――――無能に生まれてきた分際でェッ!! オレたちに逆らおうなんざ百万年早ェんだよ!!!」


【どす黒い感情の奔流が、部屋中に撒き散らされて。マリオンは橙色の髪を振り翳しながら右腕を大きく振り上げ、そこに握っていたスイッチ≠、躊躇いなく押す】


【――――研究員の体内からの音と、この男の下劣さを鑑みれば、何が起こったかは自明であろう】
【敢えて詳細は語らない。研究員の体内に仕込まれていた『爆弾』が爆発した、と――――ただそれだけ言えば十分なはずである】

【自らに歯向かった『無能力者』を弔うことすら出来ない無惨な状態に変えると同時に、三人へ強烈な揺さぶりを掛ける。それがマリオンの意図だった】
【当然ながら、研究員の近くにいればいるほど危険だ――――肉体的にも、精神的にも。咄嗟に逃げることが出来れば被害は軽減できるが、しかし……】
【彼らを助けようとする気持ちが強ければ強いほど、それは難しい判断となる。これは三人の正義感を逆手に取った、卑劣な策略であった】


う………、っ。


【……ひとつ幸いなのは、この行動の後、一時的に全ての『クグツ』の動きが停止することである。その原因が青い顔で蹲ってしまったメリッサであることは間違いない】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/06/21(土) 23:23:41.41 ID:acOQNwSRo
「そォしてこォの棚の下に……PCだ」
「よォさげな情ォ報が入ってりゃア儲けモン、無ァかったらメディアットの強化に使えば良ォい」

【先程水酸化ナトリウムを取り出した棚の下にあったノートパソコンを堂々と盗めば、魔法陣に吸い込まれる】
【止めようと思えば止められるが、止めたとしてもPCが落下して破損するのは免れない】
【……中に何のデータが入ってるのかは、悪魔も把握していない。護ったは良いがロクでもない論文が入っていただけとか、そういう可能性もある】


>>358,

「ククク……研究所の使ってる粉末となァれば、質もそォれなりに良ォいはず」
「石鹸なァんざ比になァらねェ! 焼ァけ爛れやがれェェエエーーッ!」

【なお、補足だが……投げた手はどちらも左。右は流石に使えなかったらしい】

「やァはりあァの篭ォ手ッ! 水を操れる!」

【悪魔の前に展開されるは、魔翌力で作られた障壁。これによって押し寄せる水流を受け止める】
【だが完全には防ぎきれず、障壁が無くなったと思えばあちこちの爛れた悪魔の姿が見えるだろう】
【その手にはもう一本の水酸化ナトリウム粉末入りボトル。蓋を開けて投げるが、これは2人に当たることがない、理由は……】

「や……やァべェ……右眼に入った……眼ェがァァ、眼ェがァァアアアーーーーッ!!」

【……立体感の喪失、または単純に痛みによるブレ。高濃度の水酸化ナトリウム水溶液が眼に入って無事な訳がない、というか皮膚の時点でもう既に危険】
【首のコルセット的なモノは飾りでないのだろう、首の揺れ方が明らかにくっつきの悪いフィギュアの様なのだから】
【しかしこの悪魔、諦めが悪い――片目が潰れた程度で退散する程、ヤワな精神は持っていなかった】

「……俺様が塩基をばァらまいた理ィ由はもう一つッ!」

【伸びていた三匹の蛙の角先から水が流れ出てくる……雨漏りにしては多すぎるか】

「こォの火ィの手ッ! 利ィ用せェざるを得ェないッ!」

【そして、瀕死だった蛙が破裂! 肉片が飛ぶが、それを気にする余裕なんてない】
【破裂したのは、大量の雷属性エネルギーが身体から溢れだしたためなのだ、これは悪魔の方にも飛んでくるので無差別的である】
【それは地面に満たされた水を伝い、あっという間に辺りに広がる】 【範囲が広い分、エネルギーが分散するので最初の挟み撃ちよりは威力は弱い】
【なお、机の上等は濡れていなかったりなんだりで、エネルギーが殆ど伝わってこない。安全地帯というべきか】

【……さて、水に電気を流せば当然分解される。水酸化ナトリウムを投げて溶かさせたのは、分解効率を上げるため。】
【分解されれば水素と酸素になる。それを化合させる方法は――】

【……火の手はもうすぐそこまで迫っている、早急にこの悪魔をどうにかして急いで逃げるか、もしくは諦めて逃げるか】
【あるいは机等を盾にするという手も有るが、防ぎきれる保証は全く持ってないし、別の薬品の脅威もある、可燃性・爆発性のモノもあるのだ】

【なお、この時点ではまだ爆発しない。これはいわば、悪魔の仕掛けた時限爆弾だった。】
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/06/21(土) 23:25:47.73 ID:acOQNwSRo
>>364
/コンマだけでレス番忘れてた!
/>>359宛も含まれてます
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/21(土) 23:41:18.12 ID:XAud2Eo90
>>364


………、………。

【このローブを脱ぐという事に関しては、まあ問題ない。ここに居るのは全員男なのだから、それは許されるのだろう。】
【然し、然しだ―――今回ばかりは、躊躇われるのである。友人の誕生日パーティーで、その友人と服がカブった、その感覚。】
【加えて言えば、……今先程助けた男が、その姿を露出狂だと揶揄していたのだ。……最後の最後まで、ローブを脱ぐのを、拒んでいた。】

【―――とは言え、背に腹は代えられない。自分の命が、かかっているのだ……こればかりは、どうしようもなかった。】
【ねこもとはついに、ローブを脱ぐ。筋骨隆々たる肉体が、露となる。……赤く爛れた背は、何とも痛々しい。】
【因みに下着は褌。……色は白で、其処までカブることは無かった、が……、】


―――グガア゙ッ゙……ッ゙……!

【助言通り、酢酸を背に塗ってみる。……―――熱い、異常なまでに熱い。止めておけば良かったと後悔する、それ程のダメージだった。】
【しかし化学的な事を言えば、彼の背の中では確かに中和が成されていた。水酸化ナトリウムの威力も、かなり軽減した事だろう。】
【とは言え、彼の状態はそれでも悪い。……偶々テーブルの近くに居た、というのが、不幸中の幸いだった、か―――、】

【何とかという思いで、ねこもとはテーブルに乗り上げる。……時間がかなり掛かった様で、タイミングとしてはギリギリだった。】
【……どうやら、邪禍の思惑を理解する程の余裕は、残されていないらしい。テーブルの上で横たわって、動ける様になるのを】
【痛みと共にジッと耐え待っているだけ―――、だとすればその光景を見た邪禍は一体、何を思うのだろうか。】

367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 23:42:43.26 ID:SigRNzeIo
>>357

【男たちが盛り上がるその店内を盛り上げるがごとく鳴り響いていた警報機が】
【急にピタリととまるのは停電でも故障でもなかった。入り口に正面から歩いてくる影】
【勿論、警備員でも警官でも義心あふれる正義組織の人間でもない】

【それは容姿ですぐわかる。揃いのスーツを着た2人組だ。1人は現在公開中のロマンス映画の主演と】
【全く同じ容姿をした男。手には無線機を持っていた。もう一人は背の高いサングラスの男】
【白いシャツ、黒いネクタイ。スーツの胸ポケットに赤いハンカチを入れている。ニヤけた面の男だ】

『サイレンを切るのが15秒遅いぞDJ。…知るか。切るぞ』

いいだろ、ムービースター。仕事が”連荘”なんだから……これぐらい、想定内だろ

【サングラスの男は煙草をくわえて煙を吐き出した。無防備にポケットに手を突っ込みながら歩み寄っていく】
【無線機を持った男は仮面のように無表情で、同じように横並びに歩いていく。両者とも武器らしいものはない】

それよりも問題はお先にお待ちのBABIES。ま、おかげさまで俺ら2人で来れるんだけどね…
話の通じるゲストの皆さんだと助かるってもんだけど……さぁて、挨拶はにこやかに行けよ基本だぞ基本。
お前はいっつもそれで引っかかるから”表”には連れてきたくないんだけど……

【サングラスの男は内ポケットから携帯灰皿を取り出して吸い殻を押し込める】
【それを戻すのと同時に、片方の男もポケットに手を入れて】

――――ビジネスの時間だ

【サングラスの男はリボルバーを、もう一人はオートマチックのピストルを右手に握りしめた】
【構えることなく、男たちは入り口に段々と近づいてくる】

グッッナイ、お嬢さん。相席でも結構?
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/21(土) 23:45:44.79 ID:EB34f2Eqo
>>362>>363
「ほら、迷ってるじゃないか」
「迷ってなかったらそんなに動揺しないし、何よりもこの糞野郎に怯えたりしないだろ?」
「結局はさ、利用されてるだけなんだよ」
「それとも、あの糞野郎みたいな殺人者になりたいか?」
「ますます自分の居場所を失って、堕ちるだけだ」
「幸い僕には居場所がある」
「戻ってくれば、僕が与えてやるよ」
「それを踏まえてさ、ねえ、生徒会長」
「もう一度聞くよ」
「―――――――――どうしたいんだ?」

【それは、自分でも驚くほどに冷たい声】
【いくらを塞ごうと、それを貫通して聞こえるかのように鋭い声】
【これこそ、僕の武器】
【相手の心をズタボロに、グチャグチャにして、最後に選ばせる】
【選択権はメリッサのものだ】
【まだ、殺人をしていないならそれは保障される】

「………ゴミはお前だよ、薄汚い殺人者が」
「そうやって他人を見下すのは勝手だけど、殺人だけはどうしてもゆるせな……」

【………待て】
【このカチカチ、という音はなんだ?】
【そして何で研究者の体は冷たい?】

【―――――それは、全てを悟らせるのに充分で】
【咄嗟に研究員の体から離れる】
【そして閃光と、轟音】
【卑劣な手段によって人間から爆弾へと変えられたモノが四散し、肉片と体液などが飛び散る】

「………………やれやれ」
「やっぱり、ゴミはお前だよ」

【別に、研究員を助けなければ、なんて正義感に駆られたわけではない】
【ただ殺人者が許せない、それだけなのだ】
【殺人を防ぐためにやったが、既に死んでいるとくれば興味など、すぐに失せたのである】
【残ったのは、マリオンに対する憎悪と、侮蔑と】

「地獄に落ちて、永遠に苦しめば良い」
「お前のようなゴミに許しを乞う時間なんて与えられない」

【そして冷たい眼光でマリオンを見上げ、50cm程の剣を両手に召喚】
【メリッサに言い放った戯言等のお陰で、最大限にまで切れ味が上がった、鉄をも容易く切り裂くであろう二つの剣】
【それをマリオンに向かって真っ直ぐ投げる】
【狙うは両腕、両方共命中すれば磔にされるだろう】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 23:50:11.96 ID:V7gmFaOVo
/*分割しますすいません!*/
>>361-363
『ッおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおァッ!!』

【絶叫。耳に痛いほどのノイズをまき散らしながら、谷山基樹は少女の顔面へと拳を振りぬいた】
【躊躇いはない。己の敵であれば、女だろうがなんだろうが倒すだけ、潰すだけ。そこになんの躊躇いが必要だろうか】
【拳の接触。接触面から莫大な情報量が流し込まれ、相手の神経系は飽和したデータによってダウンへと追い込まれていった】
【そして、落下するメリッサ。それを受け止めるマリオン。こちらへと響く罵声。だが、気にしない】

『ああ゛ァ!? ふつーに殴るに決まってんだろうがァ! 敵だぞ、そいつは! てめェもだ!!』

【返答は単純。女の顔を何の躊躇も無く殴ろうとするかフツーと聞かれれば、こう堪えるしか無い。殴ると】
【研究員が踏み潰されたことに、眉間にシワを寄せて体から邪気を吹き出させた】
【まだ哲学者の卵が一つだけの状態である谷山は、まだそれほど高い負荷を受けては居らず、安定した暴走状態を維持していた】

【そして、マリオンがこちらに向けて投擲する研究員】
【それに、マリオンが何をしたのか。谷山の常軌を逸した感知能力と思考は理解してしまった、そして対応策を取ってしまった】
【右腕が閃く。引き抜かれる散弾拳銃、排莢、リロード。トリガーに指をかける、銃を構えた】

『……てめェ――――!』

【合理的行動を選択。散弾は研究員の肉体を肉塊にせしめた】
【勢いを落として地面に崩れ落ちた肉塊。そして、バスターの一撃がコンマ数秒後に襲いかかる】
【だが既に谷山は転身を開始していた。右腕に圧縮された閃光が収束していく。先の射撃とは別物の収束量といってよい】

『《Black Out》!!』

【アートマンによって侵食された弾丸は、ライムグリーンの結晶の群れと化して解き放たれた】
【レーザーと衝突するその結晶の群れは、衝突の時点で結晶特有の光の屈折を起こす】
【レーザーはそれによって拡散し、その威力を減じさせ。結晶はそのままバスターに食らい付こうとする】
【微細な結晶ではなく、ある程度のサイズを持った結晶の掃討は、命中すれば回路に膨大なデータを流しこむことだろう】

370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/21(土) 23:50:54.25 ID:V7gmFaOVo
>>361-363,368,369
『……殺す。俺ァクズだがてめェはもっとクズだ……ッ!! 死ねェッ!!』

【至近に来る前に死体を撃ち落とした故に、爆風の直撃を受けなかった】
【だが、肉塊を全身に浴び、鮮血にまみれながら――谷山基樹は殺意を、敵意を、悪意を吹き出させた】
【閃光を帯びる右目、左腕。そして、谷山は両手をベルトポーチに伸ばし、引き抜く】

『《Hello World》――――』

【両手に握られていたのは、『4つの哲学者の卵』。既に噴出す閃光によって限りなく孵化に近づいている】
【周囲の空間に充満していく、悪意、狂気。並のものならば発狂してもおかしくない程の重圧の集合】
【空中に放り投げる4つ。それに殺到していく、閃光の群れ。絡みつき、そして4つの卵に一斉に亀裂が入った】

『――――《Over Clock:Quad Core》――――』

【吹き出す悪意。それを喰らい、飲み干し、己が力の一部となす。その狂気を理性によって支配しようとする狂気】
【表皮が砕け散る、神経系が砕け散る。谷山基樹が壊れていく――先/NEXTの世界/Worldにたどり着くための通過儀礼/イニシエーション】
【頭髪がライムグリーンに染まっていく。両目が同じように染め上がる、結晶となっていく】
【もはや人ではない。ここに居るのは、アートマンではない。ならばなにか、ならばここにいるコレ≠ヘ何者か】

『――――《NEXT World》!!』

【――谷山基樹が、そこに立った】
【全身にライムグリーンの結晶をまとわりつかせ、燐光を帯びた狂気の使徒が立ちはだかる】
【両手を打ち合わせる。響くのは、硬い音。石と石をぶつけ合わせるような、生命体が出すはずのない音】


『――――――潰すッッッッ!!』


【声が質量を持ったような錯覚。感情の発露が、音響となって耳朶をハックする如き感覚】
【谷山の怒りが、狂気が、悪意が――今この瞬間、マリオンに全身全霊で向けられていた】
【駆ける。燐光の線を引きながら。左腕に収束させた閃光を、なぎ払うことで射出した】
【狙いはメリッサ。まずは隙の見えたメリッサの意識を、その閃光によって完全に叩き潰す行動を選択したようだ】
【狂気に、悪意に飲まれていても、理性的な行動をとれるのは、狂気的な正気≠ェ成し遂げたことだったのだろう】

【この状態の負荷は異様に高く、そして非常に危ういバランスで成り立ったもの】
【強くは有るが、維持できる時間はそう長いものではない事は、誰が見ても如実に理解できただろうか】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/21(土) 23:56:34.26 ID:TckRHVWIo
>>364
そォの言葉ァ、そォっくり返してやるゼェエエエエエエ!

【妙に口調が移っているが、気にしてはならない】

操れちゃ悪いか!気味の悪い鳥や虫をぶちのめして手に入れたんだからな!

【その口調は妙に得意げである】
【だが、その後に現れた爛れた姿の悪魔はなかなか精神衛生上よくないもので】

ペ○ちゃん人形みたいな動きしやがって!あの全身卑猥グロ物め!おええ

【そう一気にいい終わり、えずく】
【なかなかに耐性が無いようだ、視覚に関しては】
【しかしそれでも首が揺れ動くさまを○コちゃん人形と表現したりまだまだ精神的余裕はあるようだ】

【だが、カエルがはじけ飛んだ瞬間、エネルギーをまともに受ける……!】

あがががが……

【威力が弱い、しかしこの男にはそれは適用されなかったようだ】
【まだ立っているが、身体からバチバチと奇妙な音が聞こえる】
【さらに言えば、右眼を抑えており、左目に至っては閉じている有様である】

……火の手、電気、分解、水素酸素……ああ、爆発させる気か!
くそ、窓さえ開けれれば……ここの消火設備はどうなっていやがる……!

【システムがダウンしているのに消火設備なんて動いているわけがない】
【また、スプリンクラーなど発動しようものならさらに不利になるくせに】
【しかし、この男、籠手以外まだ能力を見せた様子はない】
【無能力者か、それとも……隠しているのか】

酸素を吸って二酸化炭素を吐き出せば!
……微微たる量で意味ねぇ!

【と、口は動いているが体は動かない模様】
【しいて言えば、後ろにある棚の薬品を、小瓶のふたを開けて投げつけている】
【何が?と思えば、この男の足首から黒いコードが一本ずつ伸び、触手のように瓶をからめとってはもう片方で蓋をあけ投げつけている】
【殆ど無害だったり中性だったりするが……その中に、フェミルアニンが混ざっている】
【当然避けるのも簡単だ】
【だが、もし触れれば、吸入すれば速やかに吸収され中毒症状を起こす】
【なお、中毒によって生成される物質によってチアノーゼ、呼吸困難などを引き起こす劇薬でもある】
【水には溶けにくく、また、可燃性の一種の油である】
372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 23:56:51.36 ID:aibuFOWoo
>>362

「生憎だが、そこまで面倒を見てやる気はないのだ!」
「あとで介抱してやるから、向こうで静かに寝ておるがよい!」


【シーナは、投げ飛ばされた研究員をあろうことか、蹴り飛ばして部屋の隅に追いやる】
【乱暴な手法だが嗜虐趣味があるわけではない。単純にこれ以上構っている余裕がないのだ】
【正義感という面においては恐らく一番薄い。それが後に幸いとなるだろうか】


「ぐ、ぬぅぅ〜〜〜っ!!」


【飛行型への攻撃は、厄介な浮翌遊能力を奪いはしたものの未だ銃砲の驚異は健在】
【背後のクグツの、一時は停止した一体も機能を取り戻し再び三方からの攻撃が降りかかる】
【流石にこのまま受け続けるのはジリ貧だ】
【今となっては、耐久力にも余裕があるわけではない。これ以上の無理な進行は断念せざるを得ないだろう】
【そう判断したシーナは、"砂の河"を停止させ余剰魔翌力で即座に別の魔術を展開する】


【それは先から数度使った"砂の防壁"だ。射線に割り込むようにして聳え立った三枚の壁】
【だが、それはその場に縫い止められることを意味し】
【そう長い時間も経たない内に削り取られ、銃火に晒されることになるだろう】
【そのまま亀のように閉じこもっていれば――ではあるが】


「出来損ないのからくり人形如きが……調子に乗るでないのだ――っ!!」



【シーナが怒りを込めたセリフと共に、その場で強く足を叩きつけて一際強く魔翌力を地面に流す】
【その行動が齎す現象は、この場の三箇所にて同時に発生するだろう】

【それは砂で出来た"大鉈"。傀儡達のサイドの床が分解され、再構築】
【魔翌力を込めながら凝縮、硬化し岩石のような強度と重量を以てシーナを狙う三体のクグツへと襲いかかる】
【狙いは、背後の二体のクグツに対しては攻撃翌力を奪うために右腕の銃砲に狙いを定め】
【フロート型に対しては胴体を丸ごと切断しようとブゥン――と豪快に振り払われるだろう】

【その魔術を発動し、成否を確かめる直前付近のタイミングで――】


「む?……ぬ、ぬぅ――――っ!!」


【――研究員に仕掛けられた爆弾が破裂し、凄まじい衝撃が叩きつけられる】
【隅に蹴りやっていたのが幸いし、直撃することもなく被害は最低限で済んだが】
【マリオンのした外道行為を察し、さしものシーナもゴーレムの中で不快感を露わにした】
【正義の味方でなくとも、人並みの感情は有している】
【助けようとした人間を爆破されて憤怒しない者などそうはいないだろう】


「マリオン……本当に貴様は、相も変わらぬ下衆野郎なのだ――!」
「私を挑発したいのならば喜ぶがいい……貴様の不愉快な顔を一層潰してやりたくなったのだ!」


【クグツに対する攻撃の成否に問わず、シーナは砂の河を再起動し高速でマリオンらに迫る】
【千切れかけていた左腕を衝撃で崩れ落としながらも】
【右腕で背中の分厚い剣をズルリと引き抜き、大上段に構えながら高速で距離を詰めようとするだろう】

【成功したならば、マリオン目掛けて金剛石の刃による凄まじい勢いの横薙ぎの斬撃が迫る】
【加速の勢いも乗せた一撃だ、単純な軌道ではあるが威力は絶大で範囲も広い】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/06/22(日) 00:22:43.53 ID:pxYGgIwwo
>>366

「ほォう……待ァつか、待ァつのかッ!」
「こォれは丁ォ度良ォい……確実に"爆殺"しィてくゥれよう」

【――ねこもとの居る机の隣に跳躍、着地。そしてその左手に魔力を溜め……楔を作る】
【何をしようとしているのか、――それは確実な勝利、そして確実な"素材確保"の為に!】

「おォっと……こォこで殺したら爆殺も何もねェーな、ヒャハハハ!」

【その楔をねこもとの心臓に向けて振り下ろすッ!】
【肉体だけでなく魂までを穿つその楔、当たれば様々な意味で無事で居られる保証は無いが……】
【この攻撃は遂行されない、つまりねこもとは無事である、何故か? それは――】


>>371

「むッ……! グフォアッ! こ、こォれは……くッ!」

【――思わぬ所から飛んできた無数の瓶、それだけなら無視できたのだが】
【その中に毒性のあるものが混じっているとなれば話は別。楔を突き立てようとしていたため回避なんて微塵も考えていなかった】
【幾ら悪魔といえども、肉体を持っている以上中毒症状は避けられない、思わず楔を手から落としてしまい……】

「……ちィ、よォいだァろう、まァずはテメェーかァらだッ!」

【三匹のカエルの頭部から一発ずつ発射される水のミサイル!】
【ただ単に質量が大きい(と言っても2〜3L)だけではない、先端が尖っているので刺突の効果も含まれているのだ】
【カエルの位置的に全てのミサイルを見ることは可能で、速度もそこまで速くなく、耐久も低い(壊れると水が辺りに散れるが)――が、威力に関してはそれなりのモノを保証する】

【勿論、この行為によってねこもとへの意識は完全に無くなった。その上、かなりの至近距離である。】


>>ALL

「く……糞ッ……肉体はやァはり不ゥ便ッ」
「窓……あァっちか……テメェー、散々色々言ィいやがったが……希ィ望どォーり窓くゥらい開ァけてやァる……よ!」

【――いつ爆発してもおかしくない。分解された水はどんどん辺りに広がって、火の手もどんどん広がっている】
【このままでは爆発に巻き込まれ、悪滅ぼしだとか研究室がどうのこうのなんてやっている暇も命も無くなる――】
【が、悪魔も弱っている様子。流血、中毒。窓の方向を確かめたということは、それを開けるということは、……逃げの体勢!】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 00:28:49.87 ID:7WM+BX9so
>>368


う、あ――――ぁ、

「オイオイ、何迷ってんだメリッサよぉ。オマエは、オマエのだァい嫌いな父親≠見殺しにしてここに立ってるんだぜ?
 今更引き下がるなんざ――――許されると思ってんのか?」


【戯言≠ェメリッサの心を揺さぶり、追い込んでいく。この場でメリッサにもっともダメージを与えているのは間違いなく詩音だろう】
【ただし――――ここにはその戯言≠阻む外道がいる。マリオンがぎょろりと青色の瞳を動かせば、メリッサは縮こまって黙り込んでしまうだろう】
【本当の意味で彼女をマリオンから解放するには……どうしても、マリオンを彼女から引き剥がす必要がある】


「ハッ、舐めんなよクソガキ!! GIFT≠フ肩書きは伊達じゃねェ――――、ッ!!」


【投擲された二本の剣。それに対し、マリオンは腰元からサバイバルナイフを二本引き抜いて対応する。切れ味もサイズも、詩音の剣に勝ち目などなさそうだが】
【そこを埋めるのがマリオンの技量≠セった。正面から受けるのではなく、力を分散させて巧みに受け流す≠アとで剣を横方向に逸らしてみせる】
【しかし、どうやら男が想定した以上に剣の威力は高かったようだ。完全に威力を殺すことは出来ず、両肩に切り傷が刻まれるだろうか】



>>369 >>370


≪ギ、ガ、ガガガガ――――――≫

「――――メリッサァ!!!」


【メリッサの動揺で一時的に機能が停止してしまったが故に、『バスター』に避ける術は無かった。大量の結晶が回路内に情報を送り込む――――】
【それに対して対応したのはマリオンだった。咆哮はメリッサに向けられたもの、彼女は「ひっ」と縮み上がると即座に行動を開始する】
【……『バスター』が即座に再起動するのがわかるだろうか。光学制御に回していたリソースを放棄、レーザーの兵装を完全に捨てることで復帰スピードを速めたのだ】
【心なしか、情報を捌く速度が先程より上がっている。驚異的としか言いようが無く――――次に『バスター』へ叩き込まれた命令は、小型ミサイルの発射】


≪ギギガ、ガガガガ――――!!≫


【谷山に、ではなく。発射口を無理矢理逆転させ、自分の背後に向けて。これでミサイルポッドすらも欠損しつつも、『バスター』はその爆風によって高速で移動する】
【……何をするかと思えば、それだけだった。少しだけマリオンやメリッサの近場へ移動しはするものの、たったのそれだけ。企みは失敗したのか?】


――――――ッ、あ、ぐぅッッ!!!


【その行為に意味があったのかどうかは不明だが。メリッサへ向けて放たれた閃光に対して、戦い慣れしていない少女に避ける術も無く】
【びくん、と大きく彼女の体が跳ねる。白緑色の瞳がノイズの海の中へ沈み、全身から力が抜けるだろう。直撃、とみて間違いない――――が、】


「ハッ――――知ってるぜェ谷山基樹! テメェそのズタボロの醜い体になるまで戦って、それでもまだ生きてるじゃねえか!!
 だったらわかるよなぁ、クズってのはゴキブリ並にしぶといんだぜ!? もうちょっと付き合ってけよ同類<b!!

 おいメリッサ――――いつまでヘタレてるつもりだグズがぁあッ!!!」

ひ、っ、ぁ、あああ………………、


【マリオンが谷山へ向けて吼え叫ぶ。彼の発露した多大な狂気を目を大きく見開いて受け入れ、まるで同胞を受け入れるかのごとく、心底嬉しそうに――――】
【そして――――今回メリッサが目を覚ましたのは、間違いなくマリオンの手柄だった。叫び散らしながら頬を平手で叩き、メリッサの意識を強制的に保たせる】
【流し込まれた狂気を、自分への恐怖で塗り替えるかのように。メリッサにももう限界が見えているが、この行為であと僅かばかり、意識を保つこととなって……】


/二つ続きます
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 00:29:24.20 ID:7WM+BX9so
>>372


≪ガ、ギ、ギ、ガ――――――≫


【シーナの作り出した大蛇が、『クグツ』たちへと襲い掛かっていく。最初に餌食になるのは落下時の衝撃で足回りの駆動系に異常をきたしていた『フロート』だ】
【元々が軽装甲ゆえ、防御など出来るわけがない。ぐしゃりと無惨な音とともに『フロート』は潰れ、完全に行動不能となって】
【残りに関しても似たようなものだ。銃を喰いつかれて右腕ごと持っていかれ、武装を失って無力化されてしまう――――】


「グ、ッ………はん、テメェはどうせ、オレやGIFT≠ェどうしてこんな事をしてるのかにも興味はねェんだろうなァ!!
 ただ気に入らねェ奴をブッ飛ばしたいだけ!! 物の理屈もわからねぇクソガキは、ずっと人形遊びでもしてろ――――!!」


【そして、マリオン達への攻撃を阻むものはもう無かった。迫る横薙ぎの一閃、マリオンは咄嗟にメリッサを突き飛ばし、自らも大きく後退して回避する】
【詩音の攻撃で傷ついたサバイバルナイフでは到底受けきれなかっただろう。回避に徹したのはいいが、メリッサを逃がすのに気を取られてタイミングは遅れ】
【――――腹部から、多量の血が飛び散った。今すぐ行動不能になるほどのものではないにせよ、相当の深手を負わせられたのは間違いない】


≪…………ギ、ガガガガ≫


【が、マリオンもそこでは終わらなかった。その後マリオンはメリッサを引き摺ってさらに大きく後退し、シーナを含む三人から距離を取るだろう】
【シーナは、それを追撃する事も勿論出来るのだが――――その前に、背後から襲ってくる機銃持ちの『クグツ』一体に対処しなければならない】
【機銃持ちとは言っても、もう機銃は失っている。であれば武装はただ一つ、自爆≠ニいう最後の手段のみ――――!!】
【『クグツ』はシーナの体に全力で組み付き、その状態で自爆。爆発の衝撃と飛び散る破片によって大きなダメージを与えようとする筈だ】

376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 00:32:59.21 ID:7WM+BX9so
>>ALL


「おいおい、ドイツもコイツも……そう怒るなよ。いまバラバラになったのはオレたち全員≠フ敵だぜ? むしろ喜ぶべきだ、オマエらは。
 ――――メリッサァ! 見せてやれ!!」

は………はい………っ、!


【マリオンは下衆な笑みを浮かべて全員の怒りを受け止めると、メリッサに指示を飛ばした。バチリと彼女の前髪に電撃が散って】
【『オレたち全員』という言葉は、部屋中を見渡しながら紡がれた。つまりは、マリオンにメリッサ、それにシーナ、谷山、詩音】
【それはこの場にいる全員のことを指し示す言葉であった。三人の共通点なんてあるだろうか、その答えは――――】

【がこん、という音が天井から響くだろうか。見れば巨大なアームのようなものがレールを移動して、右側の壁の奥からこちらに向かってきていた】
【アームに運ばれてきたのは鉄製のコンテナだ。マリオンは拳銃を取り出して構えると、コンテナ下部の留め金へ正確無比に発砲、それを破壊するだろう】


「――――なにせ連中はここで、こんなモンを作ってたんだからよォ!!」


【ばがん、という豪快な音と共にコンテナが開く。そうなれば必然、その中身は三人のいる真下へぶちまけられることになって】
【マリオンの叫びと共に迎え入れられたのは、真っ白な粉末であった。それは空中で散らばって、三人全員へ降りかからんとする!】

【……もちろん、ただの粉末ではない。降り注いでくるのはいわゆる『違法薬物』の類。それもかなり凶悪なシロモノだ】
【少量吸い込んだだけならば、軽い風邪に罹ったような体のだるさと発熱に見舞われるだけで済む。しかしもし、大量に吸い込んでしまえば――――】

【軽い酩酊感と幻覚症状に襲われると同時、各々の『能力』が一時的に暴走≠キることになるだろう!!】
【どのような形で暴走するかは各々次第。体の不調に耐えて力を制御することが出来ればむしろ有利になりはするが……】
【そうでなければ当然、逆に危険だ。暴発した自分の能力で自滅することにもなりかねない】

【撒き散らされたクスリは煙状になって周囲を白く覆う。これが視界を悪くしてしまうと同時、周囲にはいわば毒物が浮遊しているような状態になってしまうか】
【マリオンとメリッサはといえば、懐から防塵マスクを取り出してこれを防いでいるだろう。……そういえば、詩音はまさに彼らと同じものを入り口で拾っていた筈で】



「このクスリ、『ヒュドラ』ってんだがよォ――――。
 どうだ、なかなか悪質だろ? ウチの連中だけじゃねえ、コイツのせいで普通の能力者にも結構な被害が出てるらしいぜ?」


【『能力を暴走させる』という危険極まりないクスリ――――明らかに能力者を狙い撃ちにして開発された違法薬物】
【能力者の集団であるGIFTがこんなものを作るとは思えない。つまりこれは、この地下工場で、あの研究員達が作っていたものということか】

【知っている人間がこの場にいるかはわからないが、この『ヒュドラ』というクスリは少し前から密かに流通していたものだ】
【『HUD-16550』という特殊な物質と普通の麻薬とを混ぜ合わせた、いわゆるカクテルと呼ばれる種類の違法薬物】
【能力を強化する、などという偽りの触れ込みと誰にでも作れる手軽さで流通し、過去何件かこれによる暴走事件も発生している】
【……開発の経緯は、最初に出会った所長の様子を思い返せば容易に想像できるか。クスリによって能力者を暴走させ、評判を落とす……そんなところだろう】

【マリオンの目的はどうやら、このクスリの開発にこの研究所が――――ひいては母体であるレイリスフィード大学が関わっていることを暴くことにあったようだ】


「――――なぁ、オマエら。せっかく能力≠生まれ持ったってのに、こんなクズどもを守ってんじゃねえよ。
 ひひっ、そうだ! オレらの仲間にならねえか!? 一緒に鍵≠手に入れて、この世のクズどもを一掃してやんのよ!!」


【三人がどう反応するかを愉しそうに観察しながら、マリオンは高らかに叫ぶ。『GIFT』に入れ、なんて――――】
【……今更、本気で三人がその言葉に乗ると思っているのだろうか。これは単なる戯言≠ゥ、それとも】
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/22(日) 00:34:53.22 ID:KByxPAw60
>>373

   ―――悪いが、……直ぐにこっちに来てくれッ……なるべく早く、頼む……ッ………ハッ……ハッ……
   
【ねこもとは叫んだ。……と言っても、その声量は大した事ない、然しその声色が、悲痛を物語っていた。】
【手短に、こちらに来てくれ、と。もし彼の頼みが通らなかったのなら、以下の行動は取られないが―――、】


             …―― 肆 ――― ≪ 念 之 極 意 ≫ ―――…


【ねこもとは瞬間、始めに身に纏っていた"気"を一度に凝縮し、一つの塊にして宙に浮かせる。其れを倒れた体勢のまま、状況を確認した―――。】
【やがてねこもとは其の塊に手を翳す。小刻みに震え出したそれは、やがてねこもとを中心に、自分達全て包まれる様ドーム状に広がって。】
【その辺の小さな金属の破片に気を流し込み、高温にすれば―――部屋全体が、爆破する。かなり無茶な戦法だが、どうだろうか。】
【気を通して窺える外は惨劇、死を覚悟したとしても可怪しくない話だが……、間も無く襲い来る爆発を、―――確かに、防いで見せた。】

【事が終われば、役目を終えたドームは同様にして、シュワシュワと泡の様に拡散し消えてなくなる。……ねこもと本人も、相当の疲弊具合だ。】
【食らった水酸化ナトリウムに加え、先程の小型ドームに費やした精神力、どうやらもう、立ち上がる事は出来ない様子―――、】
【意識を保つのが、精一杯という所。体全身で荒くなった呼吸を抑えようとするその姿を見れば、誰もがそう思うだろうか。】

378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 00:37:19.22 ID:nUry/ugAo
>>357>>367
【警報機が停止すれば、そこに響くのは闇の世界の住人達のざわめき】
【にぎやかな海賊たちの喧騒。渋みのある強盗たちの足音。それに混じって、あまりに汚らしい異音が二つ】

『おおっとなんだこりゃ。悪党どもふぁ揃い踏みってか? ちょっときな臭え店に愉快な強盗どもが押し寄せたっつーから来てみりゃ……』
「……全員、ご同業か。路地裏でもなかなか見ない光景だぞ、これは」

――――ヒューッハ、ヒュハッ。いやいや、なかなか……面白いじゃあないかね

【まさに横合いからの侵入、と言ったところか。海賊たちと、二人組の強盗。彼ら双方から見えるだろう位置に】
【影の中から湧いたかのように、その異形どもは現れた】


【片方は、一つの身体に二つの頭と四本の腕を持つ男たちだった】
【向かって右側の頭は、病的に青白い肌にほっそりとした顔つき。後ろで一つに束ねた白い長髪。落ちくぼんだ目。白濁した瞳】
【向かって左側の頭は、浅黒い肌に突き出た顎のがっしりとした顔つき。ボサボサに乱した黒い短髪。吊りあがった目。爛々と光る黒い瞳】

【本来の腕の位置から伸びる腕は、白く細い。脇の下辺りから伸びる腕は、黒く太い】
【スーツ、革靴、ネクタイ、全てが中央から向かって右が白、左が黒に色分けされている】
【スーツの両胸のポケットには、白地の側が黒い糸で、黒地の側が白い糸で、それぞれ「No.50」と刺繍されている】


【もう片方は、もはや人間なのか。それは、人間の上半身、のさらに半分ほどの肉塊だった】
【短めの黒髪に角ばった顔つき。その顔は広範囲に渡って凄惨な火傷の跡に覆われている。額には、巨大な一つ目。本来の両目の位置には、義眼】
【右が青、左が黒。一つの肉眼と、二つの義眼が、火傷の中で浮かび上がっているように光っていた】
【口にはマスク型の人工呼吸器を取り付けており、そこから血泡が詰まっているかのような呼吸音が漏れている】

【首と胸部に、黒い襤褸切れをしっかりと巻きつけている。襤褸切れから伸びる露出した右腕にも、火傷の跡。左腕は存在しなかった】
【何より異様なのは、襤褸切れの下。本来なら腹部があるべき場所。甲殻類のような形状をした太い足が四本と、赤い肉に覆われた剥き出しの脊椎】
【無理矢理に表現するなら、人間の胸像に、タカアシガニの足と脊椎の姿をした尻尾を取り付けた、とでも言ったところだろうか】
【足がカチャカチャと不気味な音を立てて地面を踏み、脊椎が生き物のように空中で蠢いている】


……仕事中に会うのは初めてか? ロッソ。私が誰か、わかるかね……? ヒューッハッ、ハハ……
――私たちも、混ぜてはもらえないかな

【肉塊の方が、サングラスの男にそう声をかけた。呼吸器越しの、奇怪な笑い声と共に】
【二つ頭の方は、海賊たちに、特に女海賊に四つの視線を向けていた】

【あるいは、指名手配所を読んでいれば、昼の国で事件を起こしたグロテスクな盗賊団の姿を、彼らを見て思い出すかもしれない】

/よろしくお願いします……
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 00:44:39.48 ID:ZwxjzL6do
>>373>>377
ア゛ァ゛?なんか危ない薬品でも混じってたか?
それはすまねぇな

【にやにやと笑っている、どうやらフェミルアニン……アニリンが混ざっていることには気づいていた……わけでは無いようだ】
【なぜそう言えるか、それは先ほどの発言が本気で疑問に思っていたからだ】
【ただ、何となく幸運でそうなったのならなんとなくにやにやする、それだけである】

おう、すぐに行く

【そして聞こえる叫び、奇妙な共闘者のモノ】
【それにやすやすと答え先ほどの電撃ダメージがまだ残っているらしい身体をぎこちなく動かしてねこもとの元へと向かう】
【が、次の瞬間】

……っと!水のミサイルってか!
変態の癖に!

【その言いようはどうかと思うのだが】

【ともかく、その瞬間、再び駆動音、ミサイルのうち、二発だけは逸らす……】
【二発、それはこの男から見て右側からだけ、目を閉じている左側は見えていないようだ】
【つまり――左から飛んできた一発が男の上腕に命中する!】

うわ、わあってぇ……!

【まったく無防備な状態で受けたそれ、着てた作業着の左腕には穴が開いているし、その下の部分からはまた少し穴がうがたれたのか血がトロリと零れ落ちる】
【そして何より、また尻餅をついたことだ】
【だが、ミサイルが壊れまた水浸しになる……ミサイルの衝撃とその滑る床のおかげでねこもとのすぐそばまで到達したのは幸運としか言いようがないのだろうか】
【本人は左腕を抑えていてぇいてぇとふざけたように言っているのだが】

【……どちらにせよ、今この男が取れる行動はさほどない】
【しいて言えば悪魔の足を右手でつかんで転ばす程度か、もっともその前に奇妙なものに包み込まれたのだが】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/22(日) 00:53:09.97 ID:SqFNmi/Mo
>>367>>378

(……二人組で揃いのスーツ。…デート?まさか、そんなはず無い)
(じゃあ、……――――警報が…――?)

あぁ、なるほどね…。あなた達、本業≠フ人?
それならそれで良いけれど、海賊がおいそれと『さあ一緒に宝を山分けしよう』とは言えない。
……そっちの『三人』も、誰だろうと容易く通すと思って?


【初の邂逅――いや、別なグループはまた違うようだが、とにかく海賊と、となると】
【これはスーツの二人相手だろうが、左右に顔を持つ男と、化け物のような肉塊地味た男と】
【どちらだろうがあっさりと通してくれはしないのだった】

【言い分は言葉のとおりだ。海賊は――ここは海ではないが、宝の山分けを】
【例え同業だろうが、同じ船員としかしないのが常。仲が良かろうが、別の海賊団とそういう事は先ずしない】

【女性はそれを表すように素早くカットラスを抜くと、店の入口を刃で封じるのだった】
【彼女は大柄でも無いし、特別武器も特殊じゃない。ただ、瞳だけは怜悧に鋭くて】
【ついでに言えば剣捌きも相当な物が有るらしかった。宛ら一触即発――しかし】


い、いやいやお前な……相手を見ようぜ!

    『そうだ、その通りだぜシルッカよォ!無駄な争いは犬も食わねぇ!』

         「なんか違うぜ、オイ。でもよ、確かに俺らぁ、独り占めするほど作戦も練って無ェしな……。」


【――と、店の内部で金銀細工に身を飾った三人はもう満足気で、少し酔いも覚めているようだった】
【何せ此処に来た相手が相手だ。顔色一つ変えない女のほうが、余程奇特な存在というもので】


……じゃあせめて、同業として一時的に手を組む相手として……名前を聞きたい。
船員の言葉を無視は出来ないから、一時的。……言わないなら、此処は通さない

どっちもどこかで見聞きしたような相手だけれど……裏切られても堪らない。
それも、海賊が陸で強盗をやって、即席の同業者になんて、笑い話どころじゃないから


【『どうする?』――というのが、海賊の女性の最後の言葉だった。カットラスの刃は、実に鋭利だ】
【しかし話の分かる相手でも有るらしいのは、この場に居合わせた者達ならよく分かる筈】
【名乗るのなら、店内にも入れるし――その奥の執務室やら、倉庫やら、床のカーペット≠竄轤熬イべられるだろう】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage saga]:2014/06/22(日) 01:01:36.36 ID:pxYGgIwwo
>>377,379

「よォし……もォう一度……楔をぶゥっ刺してやァる、今度は手ェに直接生ァやしたかァら落ォとさねェ」
「逃ィげるのはそォの後でも十ゥ分だ」

【悪魔の左掌から生えるのは、先程の楔と同一のもの――但し、今回は手から生えている】
【これならば落とすこともない、後はその掌を振り下ろすのみ!】

「……なァ、……おォい……テメェー、何をすゥるつゥもりだ」
「まァさかな? まァさかとは思わんが……爆発すゥるのは俺様が避ィィ難した後の出ェ来事ッ!」
「今爆破したら俺様がどォーなると思って……――!」

【――わかっていなければ、するわけがない】 【それくらいわかっていた】

「く、糞ッ、テメェーそォの手を離せ、いィや今離したら机から落ォっこち……」

【ならば逃げるしか無い、だがそれすらも阻まれてしまった――マルバスの右手が己の足を捉えていたのだから】
【机から落ちる時は頭を庇う。据わってない首がまた外れてしまう――それだけは避けねばならなかった、そんな事に気を取られたのも致命的だった】

「しィまった、魔ァ法陣に戻る余ォ裕が――――」


【そして――爆音、爆風、それらは瞬く間に辺りを支配する】

【窓ガラスなんて何の役にも立たない、棚なんてあってないようなモノ。引火性の薬品は燃え、爆発性の薬品は爆発し】
【それはそれはもう、大惨事としか言いようがなかった。建物の作りが丈夫だった事が唯一の救いか】

【――――】

【――爆発が収まった時、そこに悪魔の姿はない。それどころかカエルの死骸すら無かった、木っ端微塵になったのだろうか】
【そう言えば、爆発が始まる直後――窓を突き破って何か長いモノ……丁度15m程のそれが入ってきていた】
【姿は……紛れもない、間違いない、……"東洋の龍"だった! 赤い身体のそれが、強引に侵入していたのだ】
【それによってバックドラフト現象が起きていたらしいが、爆発と同化していた為わからなかった可能性もある】

【龍がこの場に来た事自体おかしいが……どちらにせよ、その龍が何をしたのかは爆風によって見えなかったはず。】
【だが、今ある事実は……この場に悪魔はもう居ない、何らかの原因によって! そして……】

モブA「何だ何だ!?」 モブB「GIFTの奴らめ、爆弾を仕掛けやがったな!」 モブC「大丈夫ですか!?」

【……騒ぎが起きる事、か。】

/お疲れ様でした!
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 01:03:12.94 ID:xLooR6heo
>>374-376
【バスターの不可解な挙動。そして、メリッサのその情報処理速度は圧倒的とも言えて】
【その力、それを潰すために放った閃光は確実にメリッサに叩きこまれて】
【その意識を叩き落とそうとするも、それを強制的にたたき起こされ、目覚めたメリッサ】
【マリオンに対する殺意が、敵意が、悪意が止めどなく増幅していく、悪意が牙を構成する】

『はァ……は……ァ……ッ!!
ああ――同類だ。だからこそ……ッ!! テメェは俺がブチ殺してやるよォ!!』

【咆哮。全身からノイズ音を響かせ、空間を震わせながら】
【ぎりぎりの状態を維持したまま、ゆっくりと歩み、青年は光を己の左腕に収束させる】
【収束させる光を刀剣の形へと遷移させ――相手を屠ろうと、そう思考したその直後だった】

【空間に満ちる、白い粉。それを吸い込んでしまった谷山、そしてマリオンの言葉を聞く】
【吸い込んだ直後に、谷山は地面に倒れこんだ。口から吹き出すのは、血の混ざる吐瀉物】
【体をくの字に折れ曲がらせ、痙攣しながら嘔吐するその姿は、余りにも強い影響を受けたもの】
【だが、それは当然だ。先ほどまでの時点で、既に暴走状態となっていたのだ、それを更に狂わされればどうなるか】
【さらに、谷山の神経系や右目、左腕などは異能によって構築され、補われたものである】
【それらが狂わされれば、タダでさえ異能に依存して成り立っている肉体が、マトモでなく成るのは必然とも言えて】

『が……ァ……ぐ……ッ……がァ…………!!』

【白い粉に塗れて、血反吐に塗れる青年は、常軌を逸した眼光で這いずりながらマリオンへと向かう】
【肉体が崩れながらも、移動するルートに鮮血の線を残しながら、這いずる。這いずる】
【ゆっくりと、そして青年はその間ずっと全身に閃光をまとわりつかせ続けていて】

『――知るか……ァ!! レイリスフィールド大学がクズってんならよォ……!!
倒すべきクズが一つ増えただけだろうがァ! 俺は、俺の敵の敵だ……!
そして、レイリスフィールド学園がクズってんならそれは俺の敵だってことは間違いねぇ……!!
だがなァ――! てめェらGIFTも敵であることに変わりはねェだろうがァ!! 死ねクズが!!』

【全身に命令を強制的に叩き込み、暴走した能力で暴走した能力を支配する離れ業を見せた谷山】
【そして、その男に対する返答は、単純。レイリスフィールド大学が悪であっても、GIFTが敵である事に変わりはないという事だった】
【谷山基樹は、己の定義する意志のみにしたがって行動する。――それが、狂気的な正気をここで見せていた】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 01:03:38.97 ID:xLooR6heo
>>374-376,382
『ありがとうよォォオォォォォ……! マリオンッッッッ!!
てめェのおかげでてめェをぶち殺すに十分な力が使えそうだァ――――!』

【谷山基樹の掲げた左腕に、閃光が収束していく。そして、それは圧縮し、融合し――一つの形を作り出す】
【漆黒の立方体。箱とも言えるそれは――一体何か。周囲に充満していた狂気も悪意も消えてなくなっていた】
【腕を振りかぶる――そして、その黒い箱を、マリオンに向けて全力で投擲してみせた】
【飛翔する黒い箱。それに次第に罅が入っていき――砕け散る。そして直後に、閃光と轟音が解き放たれるだろう】
【もしその閃光を見て、その轟音を聞いたのならば。……次の瞬間には、違う世界に立っていたかもしれない】

『――――《NextWorld:Pandora》』

【AR、拡張現実というものを知っているだろうか】
【本来はなんらかの情報端末を介して行われるそれは、周囲を取り巻く現実環境に情報を付加・削除・強調・減衰させ、文字通り人間から見た現実世界を拡張するものだ】
【要するに、新たな世界を作り出すのではなく、今見えている世界を塗りつぶす。それこそが、拡張現実、強化現実】
【対象の五感に音響と閃光を介して干渉し、周囲の空間に微細なアートマンを散布する事で、この空間に居るものの五感は短時間のみだが掌握される事となるはずだ】
【ただ、その掌握によって与えられる光景、音響、匂い、感触、味等は全て虚構。現実にはない、うつろなものでしか無い】

『……クズは潰す。だがなァ……自分をクズと思ってねぇクズ程始末に負えねぇ物はねェ。
この世のクズを一掃するなら……! まずはてめェが死んどけやァ――――!!』

【谷山の咆哮は、四方八方から響き渡る。そして、地面はぬかるみ、膝まで使っていくような錯覚≠覚えるだろう】
【また、空気を吸う度に――硝子の細片を吸い込んだような痛みが感じられるかもしれない】
【谷山の演算能力の全力を掛けて、相手の五感全てをジャックし、他の二人のトドメへの布石にしようとしていた】

『……頼むぜ……ッ、潰してくれや……!』

【負荷が大きく、膝を突きながら荒い息を吐く谷山】
【だが動く必要はない。ここにいれば、この空間において谷山の知覚は拡張されている】
【その知覚と、その五感への干渉。それのみが、今の谷山に可能な行動であった】
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 01:04:25.73 ID:/vO9eja9o
>>374>>376
「あぁ、お前が生徒会長を誑かして縛り付けているのか」
「本当に糞野郎だね、ま、そんな奴に乗っかる生徒会長もアレなんだけど」
「勇気を出して逆らってみろよ、そうすりゃ守ってやれるぜ?」
「まあ、この糞野郎は絶対に殺すから安心しな」

【マリオンに向けて高々と「殺す」と宣言する】
【一種の宣戦布告であり、そしてメリッサに向けて発破をかける名目でもあった】

「ちっ、まあ良いや」

【剣などいくらでも召喚出来る】
【問題は自分が口を閉ざさない事】
【口を閉ざせば、剣はあっさりと消えて無くなってしまうのだから】
【まあ、何にせよ剣はマリオンの両肩に傷をつけてくれるだろう】
【そして次は、マリオンの謎の言葉と共に、白い粉が降ってきた】
【やはりマスクを拾って正解だったようだ、お陰で吸い込む事なくやり過ごせる】
【マスクを装備し、吸い込む事なくそのままマリオンの方へ向かおうとする】

【そしてもし、そのまま何も障害がなければマリオンの前に立ってこう言うだろう】

「自分の事を棚に上げてよく言う……」
「良いか、僕には守る守らないだの、正直に言えば興味などないんだ」
「どうせ暇だし、何となくそういう指示をされたから動いてるだけ、つまりは暇つぶしでしかないんだよ」
「能力者の評判が落ちる?だからどうした、どうぞご勝手に」
「そんなものに興味はないし、元々僕は落ちきっているから構わないんだよ」
「だから、お前らの組織にも興味はないし、入るつもりもない」
「どうせ殺人者だらけなんだろう、入ったら気持ち悪くて吐くと思うよ」
「それに……僕はこれ以上、堕ちる≠ツもりはないんだ」

【毅然として、言い放つ】
【まるで矛盾している、落ちきっているから落ちても構わないのにこれ以上堕ちるつもりはない、と】
【つまりは、社会的な評価と自己評価の問題で】
【社会的な評価などいくら落ちても構わないが、自己評価をこれ以上下げるつもりはないのだ】

「僕がお前に対して言える事はただひとつ」
「―――死ね」

【両手に剣を召喚し、握る】
【今度は投擲せずに、ゆっくりとマリオンに近づいていく】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 01:08:33.93 ID:2UaH/tCEo
>>375

「うむ、その通りだの!私は貴様らのやりたい事などまったくこれっぽっちも興味はないのだ!」

「ただ貴様には、私の大事な友達を傷つけた罪を償わせておらぬし」
「何より……そのヘラヘラと人の神経を逆撫でする態度が、心底気に食わないのだっ!」


【マリオンの指摘は的を射ている。シーナの行動原理は恐ろしく単純だ】
【英雄になる為に功績を求めている事もあるが、今マリオンに向けている感情は】
【「友達を傷つけた不愉快極まりない男をぶっ飛ばしたい」、という文字で現したならば呆れるほどに幼稚なのだから】
【幼い夢を追いかけ、感情のままに力を振るう。これがシーナという"少女"であった】


「ぬっ……本当に、しつこい奴なのだっ!いい加減に――」


【接地した対象の位置を知ることが出来るシーナは、迫り来るクグツの存在にも気づいている】
【……が、大振りの攻撃の後だ。如何に砂の川による変則機動が可能とはいえ避けきる事が出来なかった】
【蓄積したダメージもあってかゴーレムのうごきも鈍っており】
【背後から組み付かれた後――爆発。致命的なダメージを受け、大量の砂煙と石塊が撒き散らされた】
【人間ならば間違いなく即死であろう。ゼロ距離で受けて耐えられるような爆発ではない】


「――ケホケホ……!しろ、というのだ!!」


【だが、そこにあったのは大男の死体ではなく】
【大量の砂に囲まれた""小柄な人物の姿であった】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状のボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


【大男――"搭乗型ゴーレム"の内部に潜んでいた、小さな術師シーナは】
【その姿を曝け出し、口元を不快げに歪めながらフード越しにマリオンを睨みつける】
【周囲に散布されていた砂埃を両腕に収束し、腕部に手甲のように纏わりつけながら】
【次の攻撃に向けて魔翌力を地面に網のように流し始めた】


【――】


【マリオンの手によって暴かれた学園の闇。反能力者活動の産物を晒され】
【その口から自分の行動への正当性が語られる】
【恐らく、最初に出会った段階からこの動機をはっきりと示され】
【甘言により巧みに導かれていたならば、"違う答え"も期待できただろうが】
【このシーナという少女は、先述通り恐ろしく単純な理由で動いている術師である】
【故に答えは――】

/続きます
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 01:08:42.77 ID:2UaH/tCEo

「貴様は、私の話を"見て"おらんかったのかの?」
「もう一度言ってやる、お前らのやりたい事などシーナ様は少しも興味はないのだ!!」

「誰が貴様などの仲間になるものか!そんなことをしては……レラに顔向け出来ぬではないか!」


【――「No」、である。先程の言葉を繰り返すようにして板上にそう記すと】
【話はここまでだと言わんばかりに腰を落とし、攻撃を開始しようと――】


「……ぬっ!?こ、れは……――」


【――した、瞬間。散布されていた薬物を少量だが吸い込んでしまう】
【ゴーレムを破壊され、小柄な体躯に見合った抵抗力しか持たないシーナにとっては、少量であっても十分すぎるほどの毒になる】
【発熱と気怠さを全身で感じ、行おうとしていた動作がキャンセルされた】


「けほっ……!ぐ、こんなモノで……シーナ様をどうこう出来ると思っているなら大間違いなのだ!」


【しかし、致命的な量ではない。倦怠感と発熱に気力で対抗しながらも】
【歯を食いしばり、呼吸を止めて――展開していた魔翌力を練り上げて一つの魔術を発動した】
【周辺の床が一気に粒子状になって崩れ、夥しい量の砂がシーナを中心として"吹き荒れる"】

【"砂嵐"。これによって撒き散らされた薬物を吹き飛ばそうとし】
【成功したならば、換気扇や扉などに向けて流し、広大な部屋から散布された薬物を追い出していこうとするだろう】
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 01:20:05.38 ID:FSpv80cTo
>>378 >>380

【海賊の女が剣を抜くのと同時にサングラスの男はその女に銃口を向ける】
【もう一人の男は同時に現れたもう1団―それのカニバディールへ銃を構えた】

やめとけ、カノッサの”番号持ち”だぞ、それに…知らない間でもない

【サングラスの男――ロッソがそう言うとムービースターは銃をさげた】
【ただ甘いロメオの無表情の顔、その目には懐疑の撃鉄が起こされたままだ】

ハロゥ、カニバディール…いつの間にか……あー……”らしく”なっちゃって。…しくじったか?
生憎、そっちのニュースは暫く入ってなくてさ。新聞買う金もなくて

【ニィと笑う。この男にカネがないはずがないのだが、そんなことはどうでもいい話だ】

アンタの一件で少し稼がせてもらった。…お目当てがあるなら譲るぜ………俺は、な

【そう話すと目の前の海賊に顔を戻して】

本業は『銀行強盗』。…ま、何だってやる。そこらの奴らとの違いはスマートで、クールだってことさ
…海賊?…海賊なりゃ大人しく商船でも襲ってりゃライバルがでなくてよかったのにな

…俺は、チンザノ・ロッソ。こっちのハンサムがシークレット。元はどっかの政府の仕事してて、何かやらかして首になって
現在逃亡中。シークレットサーヴィスで、存在がシークレット。だからシークレット。この顔はフェイスマスクだから残念…

【ニヤつきながら、な?とシークレットに話しかけたが彼は無表情で何も言わずに拳銃を海賊に向ける】

……さっさと通せだとさ。お役人は時間にうるさくて……やり合うにしても急かしてくるぜ
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 01:22:39.81 ID:7ZMMlTaho
【夏に近くされど遠い季節】
【梅雨時の森の湿度は地面を濡らし空気さえも肺に溜まるような重みを持っている】
【霧のように先行きのない視界は木々に遮られてどこまでも続いて勿論陽が差す道理もない】
【分厚い雲は遥か空まで続いている】

【鳥の囁きはいざしらず獣達の生活も何故か遠い】
【この森自体が異界かそれとも生命を拒絶しているかと勘違いしてしまいそう】
【濡れた深緑達は静かに眠っているのだろう、閉塞した森は何も望まない様を示すよう】

【それともひょっとすれば何かを秘匿しようとして、他の全てを拒絶しているのかもしれない】


…………ひとつ、ふたつ――――――――

【声は不思議とどこまでも通っている】
【童歌だろうか、透き通る音はオルゴールみたく規則正しいリズムで波に乗り運ばれている】
【まるで大聖堂で神に捧げられる祈り、この場に神がいるとすれば大地母神くらいだろうか】

ふたつの……、みっつは……―――――――

【声は続く……その内にポタリポタリと雨が落ち始めた】
【歌のようにひとつふたつと増えてゆく、細い透明な粒は重量に逆らえず真っ逆さま】
【ようやく生命らしい音、雨音が森に木霊し始める】

【その人影は雨が降ろうとも歌う事を辞めはしない】
【歌は祈りのようにされど、その途中続きを思い出せないのか或いは知らないのか時折止まるそれはちぐはぐで】
【その内に歌という体を保てなくなってそれでも詩として続けられる】

みっつ……、……

【もしどこかの誰かが伽藍堂の声を聞いて誰へでもない大聖堂に歩みを進めたなら】
【雨に霞む白く淡い光が歓迎する、光の中央に佇む人影歌声の主……全身が作られたように白い少女】
【少女は来客に気づかずか屈み華奢な手を握り、祈りのように佇む――――――――】
【閉じられた瞳はどうしてか分からないが今にも泣き出しそうでもあった】

…………よっつに、

【小さい声、苛まれるように苦しげに】
【彼女を中心に踊る光は呼応するように揺らめいた】
【光は淡く優しい、母の抱擁のように正邪を問わず包み込む無償のそれ】
【同時に力の無い稚児のその行く末を哀れむようなものでもある……それを愛と呼ぶかは歌う彼女も分からないのだろう】

………――――――――

【やがて歌から歌詞は無くなる、不定形のメロディーだけが切なく響く】

【白磁のような透き通る肌はやはり病的だ、流れる髪も同じように美しくはあるが消え入りそうな】
【顔や身体の造形もまるで「こうあれ」と望まれたような人類の美意識を形にしたような……造り物地味た完成度】
【きちんと呼吸はしてはいるがそれさえもただその姿が正しいから便宜上しているに過ぎない印象を与える】

【態々揃えたのだろう衣服達、ロシアンハット、ポンチョコート、ストッキングにロングブーツ】
【その一切もやはり白く……病的で】

【もし彼女を見たならば『人形』なんて単語が頭に浮かぶかもしれない】
【そう感想を抱くのは何ら問題ではない、それは生物的に正しいし誰も、彼女でさえ咎めない】

【祈りを止めようがただ傍に佇もうが興味をもって話しかけようが彼女は拒絶はしない】
【有りのままを受け入れる、白い人形はただそれまで途切れないメロディーを奏で続ける】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/22(日) 01:27:49.37 ID:KByxPAw60
>>381

―――――あ、あれは……ッ! り、龍……なの、か……?
  
【ただ行方を見守る事しか出来なかった訳だから、ねこもとはやはり邪禍の様子を見守っていた。】
【当然、音を立てて割れるガラスに視線が移らなかった筈はない。眼に飛び込んできたのは、……龍と思しき、何か。】
【信じられる筈もなかった。あれ程巨大な怪物を、邪禍は扱えていたのか、と―――そこから自分の弱さを改めて知る。】
 
 
……カ……ハッ……ハァ、……ハ……ァ……お、追、い払った、だけ、か……ハァ……ッ………
  
【その後ねこもとは邪禍の気配を探る。息の詰まる様な悪意を孕んだ空気は、もう無い―――逃げられた、のだろう。】
【自分達を守る自信は確固たる物であったとは言え、リスクを負って取った行動の結果が何も無いとなれば、】


……すま、すまな、い………ア、イツを捕ら、……える事が、出、来なか、った……―――

【謝罪の意しか残らないのだろう。自分は兎も角、共闘した仲間にも命の危険を晒したのだから申し訳が立たないと。】
【然しながら限界だった、彼はそれだけ言い残した所で、意識を手放す―――呼吸はあるのだから、死んだ訳ではないと直ぐ分かるが、】
【隆々とした背に残った炎症は、先程よりも進行していると分かる。……爛れた皮膚はやはり、見ていて痛々しい物があった。】

【さて、やがて駆けつけて来るモブによって、ねこもとは救われる事になる。彼はちゃんとした知識を持っていて、】
【工業用の弱酸で中和させるなんて荒々しい処置は取らなかったが―――まあどちらにせよ、治療とは痛い物であって。】
【というより寧ろ、モブたちの懸念事項は、彼の服装にあった。褌一丁とは一体―――何があったのかは、】
【恐らく五月蝿い彼の事情聴取によって明らかになる筈だ。……その間も変わらず、五月蝿く話してくれる事を、期待しよう。】

/おつです〜〜

390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 01:39:55.99 ID:nUry/ugAo
>>380
……いやいや、私たちとてご同業≠相手にして、簡単に押し入れるなどとは思っていないとも
しかし、仕掛けてみたところで『お互いに』無事では済まない。そう判断した上で、ご挨拶させてもらったんだ……

『だがよカニバ。あちらさんはやる気満々みてえだぜ? どうすんだよ、このでかい獲物を前に尻尾巻いて逃げるか?』
「――やり合えば、こちらの被害は避けられんぞ。それは承知の上だろうな? ギュスターヴ」

【カットラスの放つ澄んだ輝きが、海賊なりの掟と誇りを秘めた光となって異形どもを射抜く】
【それに対して、海底の汚泥のごとき深く重く暗い、三つの怪物。高まり行く緊張感の中、その視線を女海賊から逸らさない】
【しかしそこへ、彼女の仲間たちからの声がかかった】


そうとも、お仲間たちは話がわかるじゃあないか……お互いに、無益な争いをするよりも
それぞれの利を取った方が、単純に得だと思うがね……

名前か。それくらいは、当然の要求だな……いいだろう
私は、カニバディール。カノッサ機関ナンバーズ、No.29。カノッサ傘下の盗賊団『スクラップズ』の首領だ
事業は、主に盗みと殺し。最近では、悪趣味な映像作品なども作っている

「同じくNo.50、デュアル兄弟。『スクラップズ』副首領。兄のオーギュストだ」
『弟のギュスターヴだ。見ての通り、二人一組だぜ』

【彼女の要求に従って、異形どもは名乗る。昼の国で都市一つ潰した、凶悪犯な盗賊団】
【その頭二人だと、彼らは名乗った。視線は彼女から、カットラスの輝くから、目をそらさず】


>>387
おっと、銃を向けられるのは慣れているし当然だが……少し待ってはもらえないか
――助かったよ、ロッソ

【ムービースターに、火傷でひきつった醜い笑顔を向けて。その銃口を身じろぎもせずに見つめる】
【相棒の言葉に彼が銃を降ろした後も、懐疑心を捨てていないのも見て取って、それでもカニバディールは笑っていた】


ああ、久しぶりだなロッソ
ヒュ、ハハ、ヒューハ……先日の、雷の国の事件でな。さすがに、あの時ばかりは死ぬかと思ったよ……
それは残念だな……善悪共に、かなり盛り上がった一件だったのだが
最近は、新聞代もバカにならんね……

それはよかった。事前に話をした甲斐があったというものだよ……ヒュハハッ
目当てというほどではないさ。少しばかりの小遣いと、情報を求めて来たに過ぎない

【そこから、ロッソの流れるような言葉の動き。銃口が再び、女海賊を睨む】

おいおいロッソ、せっかく話がまとまりそうだというのに……
ただでさえ敵だらけなのに、これ以上増やさなくともいいじゃあないか?

【ロッソにそう話しかけながら、異形どもは少しずつ女海賊のほうへと歩み寄っていく】
【それぞれが手を広げ、武器を持っていないと示しながら。そのまま行けば、異形どもはアクシデントが起きない限り】
【海賊たちにもロッソたちにも手出ししないまま、店に入り込もうとするだろう】
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 01:40:13.27 ID:ZwxjzL6do
>>381>>389
……ナルシスト露出魔変態ペ○ちゃん人形め

【思えば名前を聞いていなかった、なんだかもう一人が名前を言っていた気がするがさほど覚えていない】
【ジャから始まる名前だったような気もするが】

ジャ……ジャ……ジャッカル?

【微妙に惜しいが違う】
【だが、ナルシスト露出魔変態○コちゃん人形で覚えられるより十分ましだろう】
【爆音のあと、残っているのは焼けこげたいろいろ、そこにあの悪魔の姿はない】

あー、逃げたな

【あれは殺し合いではなくただの勝負だったと、そういわんばかりの口調】
【というか本人は元からそのつもりだったようだ、殺し合いは好きじゃない、と言っていたように】

まあいっか

【そういうとすくっと立ち上がる】
【腕は傷が酷いため肩だけで伸びをしふと振り返る】

……おいおい、ぼろぼろじゃねぇか

【そこにあるねこもとの姿、それにひとつ溜息】

気にするなって、捕えたところでよぉ、あのじゃ、じゃー、じゃ……あいつのすぐそばにいることが嫌だしよ
だってあいつ変態だし、露出狂だし、ナルシストだし、○コちゃん人形だし

【おおらかに笑って告げるのはこの男が本気で気にしていないからだろう】
【そうして意識を失ったねこもとに肩を竦め、左腕の籠手を外し、しまう】

【その瞬間、男の腕が人間のものではなく機械のものへと、しかも形状は犬のものへと変化する】
【その腕でねこもとを背負い、この危険の残っているかもしれない部屋を後にし、駈けつけてきたモブたちに引き渡すだろう】
【異形の機械の腕をもつ平均的な体格の男がごつごつとした褌一丁の大男をおんぶして出かけるさまはなかなかに倒錯的だったそうな】
【主に、立場逆じゃね?という意味で】

【また、その後事情を聞かれるが、その話のほとんどがあの悪魔がどれほど変態だったかに費やされた】
【ねこもとが褌一丁の理由は「ローブを着ていたらそのまま背中が溶けてた」と一言で説明をおえたそうな】
【まるでローブの下がそのまま褌であったような表現、事実なのだろうが、それはいったい周囲の人物の視線をどのように変えるのか】

【とりあえず、彼の被害は作業着の上着の袖、そしてあの奇妙な剣となった……】

なんで俺が持ち込んだ武器はことごとく壊れるんだよ!

【とは、どこぞの工房の主の叫び、だとか】

//お疲れ様でしたー
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 01:45:27.72 ID:7WM+BX9so
>>382 >>383


「ひひ――――ひゃは、ひゃははははははははははははははははッ!!!
 オイオイオイオイ谷山クンよォォォォォォォ!!! なぁんだその無様な姿はッ!!! 憎しみと気狂い剥き出しの言葉遣いはッ!!!

 あぁ、そうだぜ? オレはクズだ。オマエらから見たらクズに見えんだろうがなァ?
 テメェも同じだぜ谷山ァァァ!!! ひひっ、クズを潰すと息巻く正義気取りのクズ!! テメェ死んだら確実に地獄送りだろうなァ!!!
 プログラムされたみてェにただ目の前のクズを殺すだけの狂人ッ!! それがテメェだ!! 最ッ高に嗤えるぜ谷山クンよォォォ――――!!!」


【この男は谷山のように、哲学者の卵を使っているわけではない。だというのに――――溢れ出る言葉からは、莫大な狂気が滲んでいた】
【どういう人生を送ってどういう経験をすれば、こんな人間が生まれるのか。青色の薄汚れた目を谷山へ向け、マリオンは腹の底から嗤う】


「メリッサァ!! 最後の仕事だ!!」

ぎっ、は、はいッ…………う、あ、ああッッ!!!


【そして放たれる、谷山の攻撃。……いや、これはもう攻撃とは呼べないだろう。強いていえば侵食≠ニでも言うべきか】
【マリオンは意識の朦朧とするメリッサの背中を殴りつけて強制的に従わせ、能力を使用させるだろうか。バチッ、という音はしかし、また谷山に向いたものではない】
【その行為の意味が知れるのはもう少し後になるか。直後に谷山の異能が襲いかかってくるのだが、しかし】
【――――マリオンはメリッサに限界まで密着して閃光を防ぎ、同時に耳を塞ぐ。彼女を盾とすることでその影響を少しでも弱めようとするだろうか】

【拡張現実の影響をモロに受けたメリッサは、今度こそ限界を迎えて気絶する。……多分、自分が盾にされたことにも気づかないままに】
【だがマリオンとて、空間全域に及ぶ術を完全に防ぐことは出来ない。多少効果は弱退化するだろうが、確かに異能は掛かったはずで――――】



>>384

が、っ、あ…………?


【詩音の戯言≠ェ届くよりも、マリオンがメリッサを盾にして彼女を気絶させる方が僅かに早かったか】
【いや。谷山の拡張現実に呑まれて意識を失う寸前に漏れた嗚咽は、恐らく詩音に向けたものであったはずだ】


「ハッ、暇潰し! 暇潰しと来たかクソガキィ!! 自分を棚に上げてるのはどっちだよオイ!!
 いいねェ、オマエもなかなかに狂気じみてる。暇潰しで殺人者を狩って、自分も殺人者になるかァ?
 矛盾の塊みてェなガキだよテメェは――――。オラ、だったらちゃあんと自分の手でオレを殺してみろや」


【マリオンは詩音の言葉を一笑すると、狂ったように白熱した笑みを浮かべるだろうか。……気に入った、とでも言わんばかりに】
【この外道をとことんまでに嫌悪する詩音にとってはそれもまた、嫌悪の対象にしかなるまい。マリオンもきっとそれをわかっていて、こんな挑発をかけた】
【マリオンはメリッサを引き摺りつつ、谷山の異能の効果に苦しみつつも、少しづつ左側へ移動していくだろうか。迫ってくる詩音を愉しそうに眺めながら――――】


/続きます!
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 01:45:44.68 ID:7WM+BX9so
>>385 >>386


「ひひっ、そうかよォ。まぁいいさ、鍵≠ウえ手に入りゃあテメェもそんな事は言ってられなくなるだろうぜ。
 ――――レラぁ? ああ、あのチビ忍者か。ひひひっ、ありゃあオマエが気にするようなヤツだったかね?
 オレの策略にマンマと嵌って利用されただけのザコ。ほんの小さな能力しか持たねェクズッ! オレにゃあそう見えたがなァ?」


【『鍵』。メリッサの父・エドガーが隠し、マリオンが探して、未だに見つかっていないもの。男の野望はやはりその一点に尽きるようだ】
【そして。「レラ」という名前が出た瞬間、マリオンはにまりと表情を歪めた。……シーナが苦しむのが愉しくてたまらない、そんな狂った表情】
【レラは以前、この男の策に嵌って大怪我を負い。その場はどうにか撃退しはしたものの、その後はアサドを逮捕する為のネタとして利用されてしまった】

【陰謀と必死に戦った小さな忍者も。シーナの大切な友達も――――マリオンからすれば、取るに足らないクズでしかない】
【それは明らかな挑発であった。シーナの神経を最大まで逆撫でし、行動を誘導する為の布石――――】

【……『ヒュドラ』に関しての試みは成功するはずだ。クスリは吹き飛ばされ、視界は再び開けることになるだろう】
【ただ、その時マリオンたちの立ち位置は少し異なっている。先程谷山への攻撃時に動かしておいた『バスター』の背後に、二人はいた】


/続きます!
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 01:53:15.86 ID:7WM+BX9so
>>ALL


「さぁて――――こいつでフィナーレだ!! 愉しく行こうぜクソ野郎共ォォォォ!!!!」


【マリオンは愉しげに叫ぶと、天を仰ぐ。そして――――がこん、と無機質な音が響き、天井のアームがまた動き出すだろうか】
【メリッサに最後の力を振り絞らせて使わせた指令だ。運ばれてくるのは当然、つい先程と同じ『ヒュドラ』が詰められたコンテナ】
【銃声が連続する。全く同じ手順でコンテナが開かれ、中から『ヒュドラ』が撒き散らされるだろう。吸い込めば危険なのも先程と同じであるが――――】
【にやり、と。マリオンは拳銃を構えると、先ほどシーナが破壊した『フロート』の残骸目掛けて発砲するだろう。死体に鞭打つような行為は、しかし、】



「――――――ばぁーん、てなァ」


【軽装備の『フロート』ならば銃弾でも貫通できる。辛うじて残った制御コアを打ち抜かれた『クグツ』は、派手に爆発し】
【周囲には『ヒュドラ』という可燃性の粉末≠ェ煙状に広がっている。そこへ、爆発した『クグツ』が上げる炎が散ると、どうなるか――――】


【――――刹那、空気中の『ヒュドラ』に燃焼が伝播し、大規模な『粉塵爆発』が三人へ襲い掛かるだろう!!】


【爆発の範囲は広く、三人が現在地から動かなかった場合は確実に巻き込まれる。局所的だが、今までの自爆などとは比べ物にならない威力だ】
【マリオンが散々三人を挑発したのもコレが目的である。『ヒュドラ』はちょうど、三人とマリオンとの間に流れ落ちてくるのだ――――】
【――――もし怒って迂闊にマリオンに近づいていれば、最悪爆心地≠ナ直撃を受ける羽目になる】

【……ただ、同時にこれはチャンスでもあった。爆発の後は周囲に煙が立ち込め、こちらの位置がマリオンに知れ辛い状況になり】
【逆にマリオンは、『バスター』の重装甲を盾としてこの爆発を防ぎ切るつもりのようだが、当然この規模の爆発を完全に防ぎきれる訳もない】
【要するに、マリオンの位置はこちらからは丸わかりであり。谷山の異能もまだ効果が出ている上、この攻撃によってマリオン自身もダメージを受けることとなる】

【マリオンは――――ここを凌ぎさえすれば、必然的に追い詰められた状態になっているということ。最大の攻撃を叩き込むチャンスにもなるか――――】


/次で〆にしたいと思います!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/22(日) 01:55:11.22 ID:SqFNmi/Mo
>>387

カノッサだろうと、GIFTだろうと……生憎と海賊は誰にも従わない。
私掠船免状を貰えるなら国には別だけど、拳銃如きで脅しになるとでも?
私達は日々そんな豆鉄砲より何十倍も口径の大きな大砲で撃ち合っているの。

【だから無駄、と言い兼ねような、少々跳ねっ返りの過ぎるセリフを返す】
【オマケにカットラスは降ろさない。なんともまあ、自信家でクールな海賊も居たもので】

……商船を襲うのも一応命懸けなのだけれど。

それに私だって強盗なんか許可してない。酒の勢いで彼らが……。
かといって放ってもおけないからこうして入り口に立っている。
でも……いい、通す。名前は聞いたし、どういう相手かも分かったから。

>>390

カニバディール……スクラップズ≠ヘ、聞いたことが有る。
その所業も、どういう連中かも、海の上でも噂になるくらいだから

……あなた達は、そっちの二人よりも、良くも悪くも信頼出来そう。
どっちにしても彼らも名乗ったし、あなた達の事も疑いようが無い
私達の船員≠焉Aあの様子だから……通っていい。でも、仕掛けは知らない。

【ポーカーフェイス、というよりも感情の表し方が下手なクールガール、だろうか】
【仕事の世界に生きるという様は海賊らしくもあるが、同時に船員思い過ぎるのはらしくない】
【まあ、何かと事情が有るのだろう。人なんてそんなものだ、特に裏稼業の連中は】

>>390>>387

……名乗り遅れた。私の名前はパルヴィ・シルッカ・パルシネン=c。
パルヴィ海賊団の船長をしている。……最近になって外洋から帰ってきたから
余り世間のことには詳しくないけれど――とにかく、入ったら?

【そう告げてからスッ、とカットラスを下ろして鞘に納めれば、取り敢えず場も収まるか】
【店内はそこら中のガラスが割れて、金目の物があったり無かったり、散乱している】

【しかしどれを一つ取ってもウン十万というような品だし、中にはサラリーマンの年収を軽く超える物もある】
【それらを拾うのも、既にシルッカという女海賊の部下は集め飽きて入れ替わりに店外へ出ていたから、自由だし】
【或いはもっと奥の部屋を調べれば隠し金庫くらいはあるかも知れない】

【また別なことを言えば、やはり床。大理石のタイルなのだが、どうにも足音が響くのだ】
【気付ければ、また別な発見も有るだろうし――とにかく、何をして、何を発見するかは自由】
【シルッカは部下に適当な指示をするだけで、入り口から動く様子もない。――見張りとしては、十分だろうか】

【話しかけるにしても良い位置に居る。パルヴィ海賊団≠フ話を聞くのも有りだろうし】
【また別な事で提案だとかをしてもいいだろう。その辺りを拒絶する女性では無いらしいから。】
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 02:11:29.78 ID:xLooR6heo
>>392-394
『構わねェよ。構わねェ。俺が地獄に落ちても、お前を地獄に落としてやる。
狂ってる? っは、今更だろうが。今更なんだよ、お前の言ってる事全てはよォ……!!』

【相手の罵倒、相手の狂気。それを受けてなお、谷山は一貫していた】
【地獄に落ちる事が確定しているなら僥倖だ。もはや迷うこと無く相手を屠ることが出来る】
【狂っている。その証明が得られたならば良かった。これだけ狂っていても、まだ進める事の証明になるから】

『……殺すよ。俺は、お前を――殺す……!』

【谷山の狂気は、一周回って静かな狂気に成り果てていた】
【叫ぶことは無い。だが、裡に渦巻くその悪意が、肉体から吹き出す光となって発言している】
【倒れたメリッサ。しかしまだ倒れないマリオン。殺意が募る。なぜ死なないのか、死なないなら殺すしか無い、と】

『――――ッが……ァ!!』

【空間を侵食する白い粉。しかし、その前に谷山の知覚が感知する】
【内部で点火した、火焔の音を。そして、その起こった火焔が、何を成し遂げるのか】
【即ち粉じん爆発。そして、それによって谷山が空間に散布したHello Worldは吹き飛ばされてしまう筈】
【そして、それを理解した直後、空間に散布したHello Worldを己の肉体へと収束させていった】

『《NEXT World/谷山基樹》』

【異能そのものが己、己そのものが異能。そしてそれは谷山基樹】
【全身から鋭い結晶を突き出させたその異形の姿で、谷山は全力での前進を開始した】
【発せられる爆風。空間を満たす紅。そして、谷山基樹の取った解決策は、単純にして異様】

『――――ぐ……ォァアアアアアアアアアアアアア!!!』

【粉塵爆発がどのように着火し、どのように広がっていき、その広がる速度までを予測した上で】
【ヒュドラに火が燃え移る速度を加味した上での、爆風に突っ込みながら爆風を回避していくという解決策】
【広がっていく爆発の中でも、粉塵が少なく、火焔の薄い地帯を狙って駆け抜ける】
【背を押す爆風。破片が舞い散る、背中が押される――加速する。加速する。激痛に咆哮が解き放たれる】

『I……m……Tati……on……SA……be…………r……!!』

【右腕に収束する光。それは、谷山基樹に残された、最後の力】
【それは形をとる。強大無比な、大剣の姿を。ダブル。GIFTに属する、ある男の武装】
【一度喰らい、その痛みを、苦痛を与えられた武装――ダモクレス。それを再現してみせたのが、それだ】

【贋作の剣、ImitationSaber】

【悪の力である哲学者の卵で発言した異能で、悪の組織の構成員の力を用いて――相手を屠る】
【その一種冗談のような趣向を凝らしたその一撃は、しかしながら相手の精神を引き裂くには十分な威力を誇っている】

『――――《一の刃陽炎=tォォォオォオォォオォォォオオォォオッ!!』

【虚構の刃は、『バスター』をすり抜け、マリオンすらもすり抜けて只管に振りぬかれるだろう】
【全身から黒煙を、鮮血を、結晶をまき散らしながら咆哮を上げて駆け抜ける姿は、鬼気迫るとも言える】
【その鬼気迫る意志が、その刀剣には宿る。もし裂かれれば――その狂気に満ちた心の許容量を超えかねない狂気と絶望が叩き込まれることと成る筈だ】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 02:15:56.81 ID:/vO9eja9o
>>392>>394
「………うわ、なんてこった」

【メリッサは谷山の攻撃、というより侵食で気絶してしまった】
【これでこちらの戯言は、メリッサには届かない】
【まあ、マリオンという聞き手がいるので戯言を発するのには事欠かないのだが】

「なんだ、今更気付いたのか?」
「僕が正常な人間だって、いつから錯覚していた?」
「そんな保障、どこにもないのに」
「そうさ、僕は地獄に落ちて永遠に苦しむべき人間だ」
「別にお前を「断罪」するなんて、そんな自惚れをするつもりはない」
「存在するだけで他人を狂わせ、傷つける」
「これが僕だ」
「これが、僕という人間だ」

【自分がおかしいなんて事、とっくに分かっていた】
【殺人者は地獄に堕ちるべき、それは自分にも当てはまる事で】
【見苦しい否定などしない、いっそ清々しいまでに肯定する】
【さて、そのまま接近しようかと思ったが、再び粉塵が舞って、マリオンがフロートに拳銃を向けたところで足を止める】

【――――――――しまった】
【急いでその場から離れる、最初からこのつもりだったのか】
【盾になるものでも持ってくれば良かったと後悔してももう遅い】
【今はとにかく被害を最小限に止めるように行動するだけで】

【そして閃光と大轟音】
【危うく吹き飛ばされそうになるが、機械の陰に隠れてしがみついたので何とか免れた】
【そして、視界と聴覚がその機能を取り戻した頃には、辺りは煙で包まれていた】
【だけどマリオンの居る部分だけ、はっきりと分かる】

【僕は機械の陰から飛び出し、剣を両手に剣を召喚し、投擲する】
【一つはバスターのフレーム部分を狙って】
【もう一つはマリオンの体のどこかに当たりさえすれば良い】

【そしてもう一度、両手に剣を召喚する】
【マリオンに気付かれずにうまく接近できれば、一刀をマリオンの心臓目掛けて深々と突き刺そうとし、もう一刀は首を切り落とさんと首筋目掛けて振るわれるだろう】
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 02:24:08.12 ID:nUry/ugAo
>>395
おや、それは光栄だ……海の同業者諸君に知ってもらえているとはな

「この業界で、名が知れるのはむしろよくないことだがな……。今更だが」
『あんだけあちこち喧嘩売ったからなあ……ま、しゃーねえやな』

【彼女のポーカーフェイスに、自嘲を交えた苦笑を返す三人】
【あのマフィアを除けば、海賊に会うのは初めてのことだった。船員想いな、妙な面もある海賊】
【しかし、盗賊どもが求めるのは利益。通ることが出来るのなら、無駄に突っ込むこともせず】


ありがとう、キャプテン・パルシネン。では遠慮なく……仕掛けについては、自分たちで調べるとも

【奇怪な足音と共に、異形たちが女海賊の横を通り過ぎて店に滑り込んでいく】
【手慣れた動き。素早く店内を確認し、品定めをし始めている】

【産卵する金品に、早速肉塊から伸びた肉の触手が手を出していく】
【拾い上げたものをあるいは襤褸切れの内側に突っ込み、あるいは相棒の双子に渡していく】
【手渡された双子は、どこからか取り出したバッグにそれらを詰め込んでいく】


『ところでアンタ、外洋から帰ってきたばっかだって? 本拠地はこっちなのか?』
『パルヴィ海賊団≠チてえのは初めて聞く名前だがよ……。外海じゃ有名なのか?』

「……世間には詳しくない、というなら、機関の古株が最近になって倒れた雷の国は避けた方が無難だろうな」
「今は、我々のような人種を嫌うだろう連中が、戦後処理に集まっているだろう」

【未だに油断なく立つ女海賊に、声をかけたのは二つ頭だった。片方は彼女ら海賊団についての話題を】
【もう片方は、比較的鮮度の高い情報を口にする。こちらから情報を話す、と同時に相手の情報も汲み取ろうとする】
【盗人らしい貪欲な色を宿した瞳を、双子は隠そうともしていなかった】


(この床……妙に音が反響するな。地下に空間がある、のか……)
(このような場所の地下……用途はいくつか考えられるが、さて……試してみるか)

【一方の肉塊は、宝漁りを一時中断し、下を注視していた。奇妙に音を反響させる、大理石のタイル】
【肉の触手を身体のあちこちから伸ばして、タイルを叩いたり、継ぎ目をつついたりし始めた】
【女海賊が口にした通り、何らかの仕掛けでもあるのか。そう考えての行動だ】
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 02:25:30.48 ID:2UaH/tCEo
>>393

「…………っ!」


【ミシリ……と、シーナの足元が蜘蛛の巣状に罅割れ砕け散る】
【噛み締めていた口を更に強く、音がするほどに食いしばり】
【腕部に纏った砂の手甲で落ちていた金剛石の刃を取り、握りしめて】


「貴様が……貴様の風情が――――」


【ふら……と一度体を揺らした後、渾身の力で前方へと一歩踏み込む】
【その瞬間、膨大な魔翌力が接地面を中心として流れ出し】
【足元を中心として地面がけたたましい音と共に崩れ、小型のクレーターが生まれた】
【可視化出来るほどの魔翌力を身体に纏いながら、シーナは】


――――貴様風情が、私の友の名を気安く口にするでないのだっ!!
その罪、万死に値するぞマリオン・リヴァーズ!!


【"ブチギレた"。ボードではなく、少女自身の幼さの残る声で叫びながら】
【金剛石の刃を引きずるようにして持ち、砂の河の術式を発動】
【先程のゴーレムが行っていた軽く倍以上の速度で、一筋の矢の如くマリオンへと疾駆した】

【ただの見ず知らずの他人から、友人を侮辱された程度ではここまで怒りを顕わにしないだろう】
【マリオンという不愉快で、心から嫌悪する人物からその名を呼ばれ穢されたことが彼女の精神を逆撫でした】
【他人に対して優しいとも言えないシーナという少女だが】
【一度"身内"と認めた人間に対しては全力で向かい合おうとする】
【そんな単純で、子供じみた思考であるが故に……マリオンの挑発はこの上なく有効であった】


【――】


【再び散布される薬物と、放たれた銃弾】
【クグツを射抜く事によって発生する膨大な規模の粉塵爆破】
【マリオンによって誘導され、爆心地の近くまで移動してしまっていたシーナは、凄まじい爆音と熱の中に姿を消した】
【ゴーレムを纏っていたならば、耐えきることは出来ただろうが】
【今は脆弱な本体を晒している状態である。まともに爆発を受けて生存することは絶望的だ】

【爆発が止んだ時、シーナの姿は"跡形もなく消え去って"いることだろう】



                    よって――今ここで死ぬがよいのだっっ!!!



【烈火の如き怒りを灯した声と共にマリオンの"背後"の地面に穴が空き、真紅を纏う小柄な影が飛び出す】
【いつも顔を隠していたフードは剥がれ落ち、ローブのあちこちが焼け焦げた少女だ】
【二束に結い上げ尻尾のように垂れ下がった長い紅蓮のツインテールに、漆黒の瞳をしたシーナは】
【両腕の装甲を通して膂力を跳ね上げながら、マリオンの胴体めがけて金剛石の刃を全力で振り切ろうとするだろう】


【爆発が起きた瞬間に"地中"に潜行し退避、回り込むという地術師ならではの奇襲攻撃だ】
【爆風に煽られ、ローブやフードに仕込んでいた防御式が根こそぎ破砕され】
【シーナ本人も全身を襲う激痛に耐えながらの一撃だ】

【これを外し、反撃を食らったならば正真正銘この少女を守るモノは存在しない】
【その場で崩れ落ちるしかないが……この怒りの一撃は、果たして通用するのであろうか――】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 02:34:49.05 ID:FSpv80cTo
>>390

【シークレットは元は彼らのような組織の人間を撃つ立場だっただろう】
【元になった今でもそのギャップから絶対零度な睨みを効かせた後、目線を外した】

俺は興味が無いものは気にしないタチで……ということはその事件は金にならないってことだろうさ
……少なくとも、俺には。……後で暇なら土産話でも聞くさ。三面記事なみに短くしてくれよ?

【見知った中でもあり、身内に急かされているので軽く話を切り上げようとしたがひとつ引っかかったようで】

…情報?此処に?…俺の調べには……ま…金目のものじゃないなら漏れているかも知れないから…まあいい

これぐらいがいいんだよ……俺は平和主義者じゃない。……争い事は避けるのは変わらないけど

>>395

そいつは俺も一緒だ。俺は誰にも従わない……ま、そいつはいい
……これで脅すんなら、2,3発撃ってから脅すさ。ソッチのほうがシンプルさ
豆鉄砲の怖さはこっちの男はよく知ってる…だろ?ムービースター

【また横の男に話しかけるも無反応。一瞥くれるだけで、無視して拳銃をしまう】
【やれやれとロッソは軽くジェスチャして話を戻す】

俺は朝起きるのにも命をかけるぜ。…二日酔いってのは神にも祈りたくなる

まあいい。まあいい。やってしまったんだから、考えるならこれからのことにスべきだ
それじゃ…失礼するよ

【軽く笑って、二人組は奥へ進んでいく。ロッソは暫く中を見回した後、適当なショーケースに腰掛けた】
【もう一人は無線機で何やら連絡を取りながら部屋を歩き回っていた。奥の部屋に消えた】

此処のメインのものは俺らは興味ない。お近づきのしるしに譲ろうキャプテン・パルヴィ…
俺らは闇市に流しやすいイリーガルな宝石だけもらえりゃいい……大陸じゃ法律がややっこしくてね
外洋は儲かるのか?…それなら羨ましいね…俺はどうも海は苦手だ

【ロッソは煙草を取り出して火をつけた。暇なんじゃない。見張りだ、と言い返すことだろう】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/22(日) 02:49:21.44 ID:SqFNmi/Mo
>>398

【金品をかき集めれば、両腕一杯でもざっと数千万にはなるだろうか】
【これで警報もならず警備も来ないのだから、まさしく宝の山というわけだ】
【無論、店側としては夜が明けてみれば地獄が待っているわけだが――】
【――そこのところが、悪徳稼業の味わいだろう。質問を受けると、海賊は口を開き】


本拠地は秘密。……だけど、物資が必要だから時々戻らないといけない
今日もそういう日で、彼らにお酒を振る舞ったのが間違い……正解、かもしれないけれど。
有名かどうかは知らない。でも、最近は商船も調査船も警備が厳重で厄介ね

……雷の国。そう、でも其処なら私達の稼業には余り関係が無さそう。
あるとしたら風の国、水の国、そして昼の国……ヴェンドゥラーは避けるわ、失礼だもの。


【――パルヴィ海賊団。調べればわかるが、主に他船舶を襲うことを生業にした連中だ】
【近代的な装備を備えた割に格好は昔ながらである当たりが、利も理想も追っていると評判で】
【他にも宝探しをしたり、密輸をしたり、外洋の島々を探検したり――色々やっている、とか】

【ちなみにタイルを調べれば、そのうちにパカッ、と開く一枚が見つかるだろう】
【後は連鎖的にひっくり返してゆけば――床下収納のお出まし、というわけだ】
【存外、お粗末な仕舞い方。唯一の問題は、その引き戸が鍵でロックされていることなのだが――。】

>>400

【店の奥、例えば倉庫ならまだ研磨していない宝石もあるし、装飾具もあるだろうか】
【一方の執務室は要するに資料の宝庫。実際の宝は無くとも次につなげる宝≠ェぎっしりだ】
【ちょっとした電子セキュリティはあるものの、情報の媒体は紙。そう難しい話でも無くて】

譲って貰えるのは嬉しいけれど、そのまま向こうの彼らに横流しするわ

……それと外洋は、儲かる。でもその分、船や自分たちにもお金を使わないと死んでしまう場所
船が沈めば足が届くのは数千メートル水中の墓場、サメや化け物もうようよ居る。
ゲームと一緒で……危険な場所ほど良いアイテムが手に入るの。上質なクサとか、そのあたりの原料も。

それにしても……貴方の仕事仲間は、私以上に人付き合いが苦手。
秘密主義も度を越すと排外主義になるって教えてあげたら?

【勿論、それで解決するならとっくに死んでいるでしょうけど、と続けるのが彼女の言葉だ】
【案外辛辣なこともサラッというのが彼女だった。海賊の船長というと、少し合わない気もするが――。】
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 02:49:23.78 ID:7WM+BX9so

>>396


「あァァ!!? テメェ、なんだそりゃあ――――ひひっ、ひひははははははははははははッ!!!
 やっぱりテメェにゃコッチ≠ェお似合いだぜ、谷山よォ――――」


【最初の一人――――谷山は、その異形じみた演算能力で爆風を避けるという離れ業をやってのけ、マリオンの最後の攻撃を受け止める】
【その姿に、この男も最初こそ驚愕を浮かべたが……最後はむしろ嬉々とした表情で、谷山の全力≠受け止めるだろう】

【もう、人なのか異能そのものなのか。曖昧に揺らぐ『谷山基樹』の境界線を、しかしマリオンはその狂気で持ってしかと見据えて】
【――――『贋作の剣』。実体は無い、しかし五感を引き裂く情報そのものが込められた刃は、マリオンの心≠確かに引き裂いていく!】


>>397


「――――が、ひ、ひひははははははッ。
 いいねェ、潔いじゃねェかクソガキ。オレは、オレ、オレもよぉ、ひひひッ」


【その台詞は、果たして――――谷山に狂気と絶望を叩き込まれる前か、それとも後であったか】
【ぎょろりと目を剥き、マリオンは詩音の投げた剣を見据える。『バスター』のフレームに一本、そしてもう一本はマリオンの右脚を切り裂く】
【そして次に、近寄ってくる詩音の姿を捉える。心臓と首目掛けての、確実に殺す為の一閃。……ばごん、という奇妙な音がそれを阻んだ】
【咄嗟に爆発の衝撃で緩んでいた『バスター』の重装甲を取り外して、新しい盾として使ったのだ。これによって即死だけは防ぐが】

【マリオンも爆発によるダメージに蝕まれていたよう。防御は若干甘くなり、装甲を滑った二本の剣はそれぞれ、脇腹と胸部に致命的な深手を残す――――!】


>>399


「あァ? テメェもかよオイ――――これだから、単細胞は嫌いだよ」


【マリオンの澱んだ視線がシーナを捉える。谷山と詩音にやられて体勢が崩れたのが逆に良い方向に作用し、背後の敵を察知するに至ったか】
【外道の言葉はしかし、シーナへ向けられては居ない。……この攻撃は確実に、谷山の攻撃を受けた後。狂気と絶望に精神を侵食された後だったがゆえ】
【ただ、積み上げてきた戦闘経験の賜物か――――詩音の攻撃を防ぐために使った『バスター』の装甲を、男は反射的にすっと構えた】

【――――それだけだ。反撃など出来るわけがない。べごん、という凄絶な音が響き渡り、マリオンは真横へ吹き飛んでいくはずである!】
【胴体を真っ二つにされることはなかったものの、両腕はおろか肋骨すらも折り砕いた感触がシーナの掌に伝わってくる筈だ】

【谷山と詩音の攻撃も合わせれば、確実に致命傷。マリオンは着地も出来ず、全身から血を噴出しながら無様に地面へ転がるだろう――――】


/続きます
403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 02:56:45.87 ID:7WM+BX9so
>>ALL

【――――三人の全力を受け、マリオンが起き上がる気配はない。谷山に精神を打ち砕かれ、シーナと詩音に肉体を打ち砕かれて】
【白目を剥いて大量の血を流す死に体がそこにはある。この分なら放っておいても死ぬだろう、そう確信させる光景だが――――】



【……ならばいま、マリオンが立ち上がったのはいかなるトリックなのか?】
【いや、立ち上がったのではない。マリオン自身の体には全く力が入っていない――――まるでクグツのように、何か≠ノ立ち上がらされたのだ】


「クズ≠ヘしぶといってよォ、オレァさっき言ったよなァ。
 ひ、ひひひッ――――そういや、そこのクソガキ以外にゃあまだ、オレ自身の能力≠見せて無かったかァ?」


【……男が何かの力で起き上がったことではなく。谷山からすると、これが一番驚異的だったかもしれない】
【発狂して廃人になりかねないレベルの一撃を受けておいて、マリオンはまだ正気を保っていた。……いや、狂気を保っていた、というべきか】
【谷山からメリッサを救ったのは演算能力だったが、この外道を救ったものは何と評せばいいのだろう。とっくの昔に、狂気も絶望も飽和しているかのような――――】

【しぶとい、なんてレベルではない。三人から全力の殺意を向けられてなお、今すぐにも朽ち果てそうな体を晒してなお】
【この男は、肉体も精神も生きている=Bマリオン・リヴァーズという外道の最大の脅威は、この幽鬼じみた打たれ強さと妄執であるのかもしれない】

【――――ただ、どの道戦える状態ではないのは事実である。肉体は限界だし、精神にしても辛うじて意識があるという程度でしかなく】
【こんな狂気じみた男だが、誰よりも頭は回る。三人は気づくだろうか、メリッサがいつの間にか何処にもいなくなっていることに……】


/すみません、もう一個続きます!
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 02:57:00.06 ID:7WM+BX9so


「悪ィがまだ死ねないんでなぁ。今日はここまでだ。
 オイ谷山ァァ!! テメェジャーナリストなんだろ? ひひっ、良かったなぁ大スクープだぜこりゃあよォ!! しっかり報道頼むぜェ?
 シーナァァッ!! テメェもいずれ無関係の子供じゃいられなくなる――――そのうちもっと愉しいことになるだろうからよ、楽しみにしときなァ!!」
 人殺し≠フクソガキィ!! 殺されてやれなくて悪ィなぁ!! 次も愉しく遊ぼうぜェ、同類クンよォォ!!!」


【ジジジ、という小さな音と共に……マリオンの姿が消えていく。相変わらず心底愉しげに、狂気じみた笑顔を浮かべながら――――】
【それが光学迷彩≠掛ける能力だと知っているシーナ以外は、マリオンがテレポートでもしたように見えたかもしれないが、実際は違う】
【よく耳を澄ませば――――『フロート』の飛行音が聞こえるだろうか? 発信源はマリオンのすぐ後ろ、いまのマリオンを支えているのは新しい『クグツ』だ!】
【光学迷彩≠フ力で予め姿を消させて、『フロート』の伏兵を部屋に仕込んでいたのだろう。最初から、負けたときの為の逃走経路を用意しておいたらしい】


「じゃあな、クソ野郎ども。――――もし無能力者共に幻滅して、GIFTに入りたいと思ったらいつでも歓迎するぜェ?
 ひひ、ひひっ、ひゃあァッはははははははははははははははははははははははははははははァァーーーーーーーーーッッ!!!」


【ふざけているのか本気なのかわからない、狂った台詞を狂った哄笑と共にその場に残して――――マリオンの姿は完全に消え失せる】
【また耳を澄ませば、『フロート』を使って自分の体を運ばせ、部屋の天井にある空気供給用のダクトから外へ抜け出したのだとわかるかもしれないが】
【気づいたところでもう手遅れだ。今から外に出てマリオンを追っても間に合わないし、恐らく同じ方法で脱出させたであろうメリッサも同様】
【外道≠ニその仲間は、この場を捨てて逃げ出した。勝負はまた、預けられることになる――――】


【――――その後しばらくして、マリオンの撤退に合わせて地上のGIFT勢力も引き上げていくことだろう】
【今回の騒動は、あの外道の策略である、内通者を使った狡猾な奇襲から始まった。……救助隊と共に地下へやってきたあの刑事、アルフレドの表情は明るくない】
【ただ、三人の目の前で虐殺された研究員は少数派だったようだ。研究所はほぼ全焼してしまったが、大半の研究員達はどうにか救い出すことが出来たという】

【今回露呈した、『ヒュドラ』という能力者を殺す為のクスリの件が――――他のラボトラリや、レイリスフィード大学へ与える影響がどうなるかはまだわからない】
【だが……ひとつはっきりしているのは。あの外道はまた近いうち、心の弱みに付け込まれて利用される哀れな少女と共に、表舞台に現れるだろうということ】

【その時に備える為にも、いま三人は何も考えず休むべきだ。あの男の瞳にあった澱みも、蛇のように渦を巻く毒薬の香りも、すべて忘れて――――】


/これにて今回のイベントは終了となります!
/皆さんの〆文を確認した後で後日談的なものを投下する予定ですが、もし眠いようでしたら〆文は明日でも構いません!
/参加者の皆様、お付き合いありがとうございましたー!!
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 03:07:14.05 ID:xLooR6heo
>>402-404
「……まァだ……足りねェな……ァ! この程度のスクープで満足できる筈ァねえだろォが……!!
てめェを! てめェの死を!! 一面に飾るまで!! しなねェよ……!! 殺す……ッ!! てめェをなァ――――!!」

【膝を突き、相手を見ることの出来ない状況ながらも、堂々と啖呵を吐く】
【苛烈なまでの正義を貫く意志、狂気的な正気。悪意と善意と狂気と正気を混ぜこぜにしたその渾沌】
【その渾沌の青年は、狂気に塗れた男を前に、同類としての悪意を包み隠さず見せていた】

「……覚えておけ……ッ!! GIFT……!! 潰す……!!
あァそうだ――てめェらの正義≠ネんか知ったことか……!! てめェは俺の敵だ……! 敵は……倒す……!
なんであろうが……! 誰であろうが……! 正しかろうが……! 関係は……無いッ!!」

【殺しきれなかったマリオンの姿が消える事。そして、もう追いすがることは出来ないことが分かった】
【己の感知能力は相手の居場所は分かるが、もはや負担で立ち上がることが不可能であった】
【そして、谷山はおもむろに足元に撒き散らされていた白い粉に目線を移して】

「……クソ……ォ。まだ、足りねぇか。
……だが、これは……使える=c…な。そこだけは感謝しておいてやるよ……マリオン……ッ!」

【さり気なく谷山は、その粉を手元にかき集め、ベルトポーチにしまい込むのであった】
【使えるのであれば、あらゆる手段を用いる谷山。このヒュドラは有用である、そう認識していたようで】
【僅かな力で手元にそれらを集めて暫くして、谷山はそのまま血反吐にまみれて、そこに倒れこんでしまうことだろう】

/*お疲れ様でした!!*/
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 03:10:47.73 ID:FSpv80cTo
>>401

【シークレットと呼ばれる男は懐から取り出したモバイルPCやレーザーカッターを器用に用いる】
【無線連絡を取りながら順調にセキュリティを解除し、そこらのかばんや袋に詰めていた】

どうするかまでは俺の範疇じゃない。…ま、ヨロシクやってくれ

生憎、俺はゲームはポーカーとスロットぐらいしか得意じゃないくて……いや、マシってぐらいだけど
……勝てる試合で稼いだ金を試合以外で増やして、次の試合にBETするのが俺のやり方さ

…無線機持ってたろ?アイツ。受話器の向こうはDJ…ハッカーで俺らのブレインなんだけどコイツがおしゃべりでさ
俺はだから持ってないんだ…うるさいから。…アイツだって普段は愛想がいいんだぜ?…表情以外は…さ
ま、その反動で静かなんじゃないかな……真面目ってのもあるし…

【煙草を指に挟んで何かを考えるように首を傾げていた】
【しばらくしたらニィと笑って】

…今のでアンタがクソッタレじゃないってのはわかった。心配出来る奴は悪人でもクソッタレじゃない
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 03:18:55.34 ID:2UaH/tCEo
>>402-404

消える能力――――逃がさぬのだっ!


【マリオンが姿を消した瞬間、シーナは即座に地を通した探知能力を発動させる】
【以前その能力を見て、覚えていたが故に今度は即座に対応し位置を割り出そうとするが】

【しかし、マリオンが逃走手段に使った物はフロート型のクグツ】
【浮いた対象にはシーナの探知魔術は無力であり】
【余力があれば幾つか手段もあるが、現状それを行えるようなコンディションではない】
【魔翌力、体力共に使い切っており、未だ薬品の毒素も抜けきっていない】
【その場で一度ふらり……と身体が揺れ、金剛石の刃を杖代わりに体勢を支えた】



ぐ、ぬぬ……これでも仕留めきれぬとは、なんてしぶとい男なのだ……!

無関係な子供じゃいられぬ、だと?
……いい度胸なのだ、ならば今度こそ追い詰めて、そのヘラヘラした顔を恐怖で歪ませてくれるのだ……!


【その場を去ったマリオンに、憎しみを込めた言葉を吐き捨てると】
【懐から小さな赤い石を取り出し、近くに放る】
【すると、石は周囲の床素材を分解し砂状にした後に空中で繭を作るように変化】
【数秒程度で、赤い石をコアとした簡易人型ゴーレムが完成した】

【シーナはゴーレムに自分の身体を装備を回収させると】
【フードを再び深く被り、これ以上この場に居たくないとばかりに不機嫌そうな態度を隠さぬまま去っていった】


/お疲れ様でしたー!
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 03:21:46.67 ID:nUry/ugAo
>>400
【その立ち居振る舞いや鋭い目から、彼はこちら側とは逆の立場だったことが見て取れた】
【常人なら凍り付くだろう冷たい睨みを、カニバディールはじっとりと絡みつくように見つめ返した】

ああ、確かにあれは金にはならんだろうな
ヒュハ、ハ。相変わらず、ドライというか合理的というか……

土産話、は大したことも語れんよ。機関の一角を担っていた科学者が正義に斃され
私もその戦いで正義の味方に焼かれてこの有様になった。二行で済む

…………? ああ、情報だ。同業者の動きは知っておきたいだろう?

【彼に、返す言葉は少ない。その引っかかった様子に疑問を感じつつも】
【単に、強盗騒ぎを聞きつけて、どんな連中の仕業か確かめに来たのだ、と。そう主張して見せた】

カ、ふ、ふふ、ヒュハーッ……そうだな、お前は平和主義者じゃあない……

【最後の言葉には、笑いと共に返事を返し。そのまま、店の奥へ進んでいく】


>>401
『ほーう、ざっと見ただけでも相当な値打ちもんだぜ』
「警備に金をかけなかった分、こちらが高価なんだろうよ。ありがたくいただいておこう」

【カバンに放り込まれていく金品。当然ながら、ロッソらの分には手を付けない】
【金は、やはり必要だ。盗賊仕事もそう何度もやるにはリスクも増す。こういったリスクの少ない大きな獲物は、実にありがたい】
【店側の地獄を頭の片隅に想起しつつ、異形どもは汚い仕事に精を出す】

『ハハ、そりゃそうだ。聞いてみただけだよ。あー、物資の方か。ずっと海の上、ってわけにもいかねえわな』
『賊としちゃあ成功だろうよ。先立つものは、悪党にだって必要だろ?』
『へえ、そりゃアンタらも警戒されてんじゃねえのか? 腕の立つ奴ってのは、いつまでも隠れてはいられねえもんだ』

「ならよかった。近づく用事がないなら、それに越したことはない」
「風に水、昼、か……。ああ、そうしてくれると助かる。もっとも、あそこに金になるものはほぼ残っておらぬがな……」

「昼の国なら、知っているかもしれんがもう一つ。宗教都市のゼン=カイマにも関わらぬことを勧めておこう」
「あそこの聖職者は、戦にも精通した恐ろしい連中が揃っているからな。加えて、信心深いときている」

【交互に言葉を吐きながら、双子は戦利品を増やし続ける。カバンがいっぱいになれば、相当な儲けになるだろう】
【彼女らパルヴィ海賊団については、後にカニバディールが調べをかける。どんな情報でも貪欲に求める、彼の性質だ】

【だが、今は眼前のタイル。その下の収納スペース。怪しくも魅力的な宝箱だ】


……デュアル。開けられるか?

『お、久々だな鍵開けも』
「どれ、見せてみろ」

【カニバディールが発見した床の引き戸。そこに双子が近づいていく】
【スーツの懐から兄の細い右腕が取り出したのは、ピッキングツール。双子の特技の一つだ】

【慎重に、鍵を観察しつつ双子はツールを鍵穴に差し込み、いじり始める。器用に四本腕を動かして】
【もし鍵を破ることに成功すれば、カニバディールが続く。トラップを警戒してか、少し離れた位置に移動し】
【そこから、肉触手で引き戸を開け放とうとするだろう】
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/22(日) 03:36:35.15 ID:SqFNmi/Mo
>>406

【奥の部屋を更に調べれば、小さな金庫も見つかるかもしれない】
【それを開けることに成功すれば、中から出てくるのは金塊だ】
【平べったく重いカネの象徴――三枚ほどだが、溶かせばそのまま流通できる便利グッズだろう】

心配……私は何時も心配ばかりしているから。
船の皆は陽気で腕も確か、だけどそれだけじゃ海賊は生きていけない

……もう一つの理由もあるけれど、褒め言葉は受け取っておく。
貴方のお友達も仕事熱心なのね。私達の船員も何時もああなら良いのに…。
ところで、貴方は……アオイ≠ニいう船について、何か…?

【――アオイ≠ニは、主に櫻の国で語られる都市伝説の一つだ】
【つまるところ、幽霊船の話なのだが――聞く、以上、もっと具体的な事について知りたいのだろう】
【しかしこのお話はあくまでも地方の伝聞話。知らないのが普通というもので】

>>408

【いくつかの言葉を交わしながら、海賊はコクリと首を縦に動かすのだった】
【反応した言葉は『警戒されている』という所――案外、深刻なことなのかもしれず】

もしかすると、暫くは近海での仕事が増えるかも知れない。
……だからそういった情報は助かる。昼の国は、気をつけよう
豊かで、余り話を聞かない国……水の国が、やはり良いかもしれない。

【――それから、戦利品を大方集めて床の方に取りかかれば――これは意外と簡単に】
【カチッ!と音を立てて引き戸が開き、少々深い縦穴が覗くだろう】

【その奥底に見えるのは色とりどりの輝きが詰まった、一つの正方形のガラスケースだった】
【輝きというのは――驚きだ。5カラット以上はアリそうな大粒の宝石ばかり】
【何十個も詰め込んだような、確実に個人趣味の宝石箱なのだから】

【問題はそれを取り出す経路。縦穴には正方形が入るギリギリのスペースしか存在せず】
【故に一般の人間は指どころか爪も引っかからない、というわけで――どう取るか、それが大事だった】
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 04:03:36.32 ID:FSpv80cTo
>>408

荷物も情報も人生も身軽でシンプルな方がいいのさ。機能美ってやつだ
クルマだって、必要な物だけあるものが1番、ロングセラーになる
……俺はアンタラと違って相当普通な人間なのさ。イレギュラーはそれだけでいい

それはそれは大変だったな……正義と悪の一大抗争ってやつか
まあ、正義ってやつは悪に喧嘩を売るのが仕事だからな……難儀なもんだ

【フゥーっと長く煙を吐いた。彼は悪によっているが正義とも言える。何方でもなく何方でもない】
【故にそういった話には基本的に身軽だ。イデオロギが存在していなのだから】

…そういうもんか?金のあるところと金のほしがる奴は星の数ほど居るんだぜ?
いちいち気にしてたら煙草が不味くなる。……俺なら俳優の名前を覚えるほうがいいな

【そんな話をしていると、もう一人の仲間に呼ばれ店の奥のほうへと歩いて行った】

>>409

案の定、セキュリティは既成品、しかも安物だってさ。クラックするのはヴェリーイーズィー…だと
悪い奴ほどよく眠るというが……だいたいは気が抜けてるだけだな

【彼が黒いボストンバッグを下げて戻ってくるなりそう話す】

アオイ……さあ俺は知らないね。……ブレインに聞いてみるか……おい、シー

【途中まで名前を言いかけたところでヌッと戻って来た彼が無線機を投げ渡す】

……オーバー…こちらロッソ。話は聞いてたか?

<オーゥラィッ!勿論、双方向でチャネリングの気分は良好だぜ?オーゥイェス!>
<でも残念なことに俺はさっき注文したピザがいつ来るのかも知らないぜ。オーゥソーリィ、ハニィ…>

キャプテン。もう、ハニーって呼ばれてるぜ。…じゃあなDJ。またシークレットと仲良くやってくれ

<あ、そうだロッソ!あとでそこのハニィの写真をpls。解像度低くてかおg…>

【無線の相手が話したのはネットに乗ってあるありふれた情報を掻い摘んで話しただけだ】
【すぐに打ち切られて無線機はかばんを抱えて現れた無表情の男の手に戻った】

ま、そういうことはそっちの機関のヤツのほうが知ってるかもしれないな
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 04:16:09.99 ID:nUry/ugAo
>>409
【女海賊の頷き。腕利きの海賊といえども、そう簡単に事は運ばないか】
【稼業が滞るレベルで警戒されるようになれば――自分たちとて、他人事ではないのだ】

「役に立ったなら、幸いだよ。店への立ち入りを許可しれくれた返礼と思ってくれ。これからも、お互いの稼業がぶつかり合わないことを祈ろう」
『水の国は、あんだけテロられてもまだ国力を維持してるようなとこだからな。今のとこは静かだし、狙い目かもな。ああ、俺らは今んとこ手を出す予定はねえよ』


【口を動かしながらも、手は止めていない。やがて、ピッキングツールが手ごたえを伝えてくる】
【小気味よい音を立てて鍵が開かれ。肉触手が引き戸を開けると】
【その奥には、最大級の獲物が鎮座ましましていた】

『ほーう、ここの店の主はずいぶんいい趣味してやがんだな』
「惜しむらくは、隠し場所へのこだわりの薄さだな……カニバ、取れるか?」

ふむ……やってみよう

【問題は、その最大級の獲物があまりに狭い空間に納まっていることだ。この状態では、とても手が届かない】
【ならば、人の手ではないものではどうか。肉塊男が、穴の上に立った】
【その身から伸びゆく肉の触手が、下に向かうごとに細くなっていく。やがて、ガラスケースの位置に到達すれば】
【ガラスケースと縦穴、その爪も入らない隙間に、肉が押し付けられ、少しずつ、少しずつ入り込んでいくだろうか】

【大きさを変えられる肉の触手。このままうまく侵攻が進めば、カニバの肉はガラスケースの下部にまで入り込み】
【そのままクレーンのように、宝石箱を引き上げ始めるに至るだろう。そううまくいけば、の話だが……】


>>410
ヒューハッ……。シンプル・イズ・ベスト、過ぎたるは及ばざるがごとし、か?
私は、無駄なものがついているのも好みだがね。長く続くのは、同意するよ

ふ、ふ、ヒュー……我々と比較すれば、大半の人間は普通になってしまうのじゃあないか

ヒュ、ヒューハー……そういうことだ。派手な抗争だったよ、都市一つまるごと舞台にして……
まったく、度し難いことだ。いつの世も、正義も悪もな……

【彼の身軽さ、どちらでもありどちらでもない不可思議さ。彼のような人間はほかに知らない】
【奇妙な男。カニバディールの中の印象は、それだった】


ふ、ふ、ヒュハー……細かいことが気になる性質でね……
おや、映画が趣味だったのか。お前らしいとは思うよ……ヒュ、ヒューハ。確かにお前は相当普通らしいね

【奥へと向かう彼の背中を見送る単眼。やはり、彼との距離感は奇妙な空気を孕んでいた】
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/22(日) 04:38:32.08 ID:SqFNmi/Mo
>>410

知らない……でも、当然といえば当然。
唐突に済まない。けれど最近、その船が外洋で話題になったものだから。
海賊狩り=c…そう呼ぶのが正しいのかどうか、知らないけれど

【――これは調べれば分かること。外洋で最近、妙に船の沈没が多いことだ】
【商船、調査船、海賊船、非正規のタンカーだのなんだのと種類に限りは無い】

【偶然かもしれないし、海域が一定の場所に集中しているから】
【一部では魔の海域のせいだとか、天候がどうとか言われているが】
【その真相は結局のところ不明だ。『ハニー』という言葉に対しては一言『困る』と返し】

……写真は撮っても構わない。けれど、後でどう後悔しても、しらない。

【こちらは脅し、というよりも注意。それも自分がどうこうするというより】
【撮ったら不幸が身にかかるだろうという――少しの心配を含んだものでもあった】

>>411

……あなた達にも、アオイ≠フ件を聞いておきたい。
といっても、きっとまだ知らないだろうから……知ったら教えて欲しい。
特定の携帯番号や届け先は無いけれど、港の酒場に一人は船員が居るはずだから

【それをお礼にして欲しい、と告げて――入り口の壁から背を離すのだった】

【箱は恐らく、本来特殊な器具を使うものなのだろう。隙間をうまい具合に埋めないと取れないし】
【それに、ようやくと持ち上げてみれば分かるのだが、箱の底面にも物理的なロックが在った】
【これをだまくらかせたのはひとえに人体を超越した能力のおかげ、だろうし】
【――こうなれば法的にも認められていない宝石は全て彼らのものとなるわけで】

……そろそろ撤収した方がいい。近隣の住民も気付いているはず。
あなた達が捕まるとは思わないけれど、危険は避けたほうが良い

【確かにその言葉の頃には、彼女が親指でさした先――空が僅かに白んでいて】
【チチチ、といいう鳥の声が朝を告げかけていた。夜盗は夜だからこそなのだ――それに、目当ても手に入れたことだし――。】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 05:03:55.74 ID:nUry/ugAo
>>412
アオイ≠ゥ……残念ながらお察しの通りだ。今のところ、こちらに情報は入っていない
だが、もし何かわかったらその時は……その通りにしよう。酒場に入っても騒がれない姿のものを、使いに出す

【彼女の要求に対して肉塊がそう答えたのは、彼女が壁から背を離した直後だったろうか】
【新たな謎、火種の気配。何が起こるかはわからない。外海からやってきた海賊たちは、この世界に何をもらたすのか】
【今はまだ、わからない】

【確かなのは、宝石箱の底面のロックを肉触手が潜り抜けたという点だ】
【かなり時間もかかったが、隙間にどうにかねじ込むことに成功した肉が、宝石箱を穴から掻き出した】

【異形どもが、にたりと笑う。今宵の収穫は、ここまでで十分だろう。そう判断したのだ】


>>ALL

……ご忠告、痛み入る。そうするとしよう
我々も捕まるつもりはないが、騒がれて面倒なことは確かだからな
それではな、キャプテン

『あばよ、海賊さん方』
「失礼する」


ロッソ、お前もそろそろ店じまいか?
我々はお先に失礼するよ……また儲け話でもあったら、一枚噛ませてくれ

【異形どもの視線が彼女の指先を追えば、陽光の先触れがそこにあった】
【自分たちの時間は終わり。ねぐらへと帰る頃合いだ。戦利品も得た。長居の理由はない】
【鳥に鳴き声を合図に、異形どもは戦利品を抱えて歩を進め、店の外へと出るだろう】


【最後に女海賊とその仲間たち、チンザノ=ロッソとその相棒に、手を上げて別れの挨拶をし。後は、振り返らずに消えていく】
【現れた時と同じように、まだ陽光に侵されていない暗闇へと、異形どもが溶けていく――】

【やがて、朝が来れば。賊たちの奇妙な邂逅の跡が、残されるばかりなのだろう】

/お疲れ様でした! ありがとうございました!!
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 05:14:59.86 ID:FSpv80cTo
>>411

そうじゃない…俺は一般大衆ってことさ。なんというか…精神的な

映画はエンディングがあるからな。…バッドエンドでもハッピーエンドでも
俺らが納得しようがしまいが、終わりは終わりさ……

【そんなことを言い残す。どこかで彼はこの仕事というか生活というか】
【はたまた人生そのもののエンディングを探しているのだろうか】
【妙な映画の話のほうが彼の本心に近づけるとはやはり”普通”じゃないのか】

それしても器用だなアンタらは……機関追い出されたらうちに来いよ
ぶっきらぼうなアイツよりはジョークのセンスもありそうだしさ……

>>412

………随分挑戦的な奴も居たもんだな…サムライの霊かなんかか?
成仏しきれずに武士道だけ船にこびりついたのかもな

【憶測の話にはくだらないジョークで返すぐらいしか出来なかった】
【それにリアリストの彼からすればそんなオカルトチックな話は”座りが悪い”】
【気に入らないのが少し、怖いのが少し、後は金になりそうか…という方に考えていた】

…悪いやつじゃないんだけどね……っと、シーク。ケータイかせ

【そういって手渡されたスマートフォンをなれない手つきで操作して構える】

ここでスマイルくれるなら、あとで幾らでも後悔してやるさ。………DJがな
………いや、撮った俺か?コレの持ち主のシークレットか?…全員?

【パシッと躊躇なく取れば、持ち主に電話を返して。しまったという顔】
【まさか後で後悔することになるとは思っても居なかったらしい】


【日が昇る。これは今日の続きだ。疲れがそれを示している】

それじゃ、俺らも引き上げるとする。1番捕まりそうなのは俺らのことだしさ…
……それじゃあ、次も…平和に済むことを願ってるぜ

『必要があればまた会うだろう。…この世界は意思と運命で出来ているからな。』

【無表情の男はその顔の通りの平坦な声でそんなことを言い残して】
【2人の強盗はまるで始発待ちをしていたビジネスマンのように何気なく歩き出した】

/それでは私もここらで失礼させて頂きます!
/お付き合いいただきありがとうございました
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 08:32:28.44 ID:/vO9eja9o
>>403>>404

「………………あーあ」
「逃しちまったよ、残念だ」
「でも、いつか必ず殺す」
「そして生徒会長」
「次に会うまで、人殺しをしてない事を祈りますよ」
「もししていたなら…………僕は貴女を救う事など出来ない」

【やれやれ、見事に逃げられてしまった】
【まあ、お陰で面白いものも見れたし、良い暇つぶしにはなったか】
【学園の闇――――――――――何となく、予測できたもの】
【能力者を疎むために、わざわざこんな方法を使うなんて】
【そのうち能力者を殲滅する機械でも作りそうな気配がするが】
【それでも、僕には関係ない、どうでもいい】
【これによって何か行動を起こすわけでもないし、そんな正義感に燃えるわけでもない】
【いつも通り、普段通りに過ごすだけだ】
【――――――――でも】
【それでも、いつか、間違って、そんな使命感、義務感、つまりは正義感に心が満たされる事があるのかもしれない】
【先の事など、考えたって分からない】
【ただ言える事、心残りは、会長を連れ戻せなかったという事だけ】


「―――戯言だよ、ほんと」

【いつも通りその言葉で思考を停止する】
【戯言は僕の武器であり、逃げの道具であり】

「…………あれ、そういえばどうやってここに来たんだっけ」
「まあ、大丈夫か」

【その後、僕が学園に戻るまでに一週間の期間を要した】
【自分が方向音痴な事を、すっかり忘れていたのである】

/遅れました、お疲れ様でした!
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/22(日) 12:41:11.41 ID:SqFNmi/Mo
>>413>>414

アオイ≠ノ関しては、私達も可能性程度にしか知らない。
幽霊船という話もあるし、その名を借りた別の一党かもしれない

どちらにせよ、同じ海で行動する私達にとっては脅威…。
……ともかく何か知る所があれば、私にそれを知らせて欲しい
さっき言ったように、港の酒場になら、船員の誰かが居るはずだから。

【二人にそう告げれば、時間も時間――彼女も撤収することになるだろう】
【ちなみにヒライが彼女の写真を撮るのは容易だった。が、笑顔は無く】
【ついでに誰が後悔するのか、という質問には『それを頼りにする人』という】
【少々要領を得ない返事が返されることとなるのだった】

【また、後々分かることだが――事件の後、港を出た船が一隻在った】
【名目上は何とかという小さな国の艦船なのだが、機銃に砲塔、最新のタービンを備えたそれは】
【工業国の誇る駆逐艦レベルの戦力を備えていて、随分と妙≠セった、とか】

/最後の最後で寝落ち、申し訳ないっ…!
/おふたりとも深夜から朝方まで、お疲れ様でしたー!
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 13:10:10.58 ID:ff2edOWHo
【 病院 】


【早暁。其処を訪れた者は、明らかな異変≠ノ気付くだろう】
【正面からロビーに入ったなら、先ず目にするのは『倒れた人々』──、否、眠った人々=z
【カウンターに座った看護師も、ロビーの椅子に座った患者も、外来患者すらそこかしこで眠っている】

【中に入ったなら僅かに感じるであろう、匂い=B──『ガス臭』だろうか】
【だが、ほんの『僅か』だ。この程度で、広いロビー全体の人々が気を失う事は考え辛い】
【──、そこまで思考が回ったところで、眠気≠少しだけ、感じるかも知れないが── 】


【どちらにせよ──此の病院内において、何か≠ェ起こっているのは間違い無い様だ】
【ロビーからはB1階、2階への階段と、中庭への扉が見えるが ──】



  【 ── 】



【──三階、廊下】



「──今日の『メニュー』は何だった、アールウィン? 」


『忘れるなよ、兄者。 前ラクマ帝国行進曲風火炙り≠セ。』


「あぁ──、中々ドラスティック≠セな。
 俺は“シャムウール交響曲”の方が好きだが、まぁ、悪くない──。」


『……、≪ La Belle au bois dormant(眠れる森の美女) ≫は正常運行。

 帰りに“フルーソ公営美術館”に寄る時間も取れそうだ。早く終わらせよう。』



【直角に切り揃えたおかっぱに、切れ長の瞳。右手に持つのは一振りの長剣】
【──歩む二名の姿は『瓜二つ』……双子≠セろうか。歩幅までぴったりと合っている】
【コートの背にはカノッサ機関≠フ紋章と、No.85∞No.86≠フ文字──、『兄者』が、若い方か】

【──彼らが歩む廊下の突き当りを右に曲がった地点】
【階段の前で身を潜め、様子を伺っていたのは入院着を身に纏った、黒髪黒眼の少女】
【両手には着剣二丁拳銃を握り、息を押し殺して、──】


(…、…何、アイツら──、機関員=c、…いや、『ナンバーズ』……?
 ──、それに、何だか『眠気』が……、取り敢えず、二対一じゃ分が、悪い── 。)」


【彼らが近寄ってくる前に、彼女は足音を殺し、それでいて素早く、階段を下ってゆく──】


/何だか長々としてイベントっぽいですが、通常投下です
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 15:11:44.40 ID:ff2edOWHo
/>>417は五時ぐらいまで待機しておきます
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 16:08:18.96 ID:/21NJ0ppO
>>417

【同時刻】
【ブルーカラーのユニフォームを身に纏う一人の男性が病院に訪れた。所謂警察と呼ばれる者だ。】
【見た目は二十代そこそこ、しかし服装はやけに新しい。経験の浅い新任ということは推して知るべしだろう。】



――なんだ、これは……。



【ここが異常事態なのは間違いない。しかしこの状況でどうすべきか判断ができない。】
【この世界、このご時世でテロも戦闘も経験した事がない外来者だから当然といっては当然とも思えるが……。】
【――ともあれ彼は偶然にも、テロ現場へ訪れてしまった。】

420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 16:11:52.23 ID:/21NJ0ppO
>>419
>>417
おっつぉすいません! 絡んどいて申し訳ないんですが急用がががが
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 16:13:41.04 ID:ff2edOWHo
/>>420
/はい、了解です
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !蒼_res]:2014/06/22(日) 16:27:35.42 ID:7WM+BX9so


【――――『R.P.ラボトラリ・第四支部』における、『ヒュドラ』なる違法薬物の開発疑惑について】


【以前より、裏の世界で密かに流通し、着実に被害を広げてきた『ヒュドラ』という違法薬物――――】
【マリオン・リヴァーズおよびメリッサ・ハーレイと戦った三人の能力者たちが彼らから聞いた情報が確かなのであれば、】
【無能力者派≠掲げるラボの人間、ひいてはその母体であるレイリスフィード大学が、この『能力者を害する為の薬』を作っていたことになる】
【もし事実だとすればとんでもなく大きな不祥事だ。事態の重さを鑑み、自警団・警察が後日改めてラボ内を捜索することとなった】

【……だが。救助された研究員達は一貫して容疑を否認し、全焼してしまったラボからはさしたる情報も見つからなかったという】
【件の地下室には『ヒュドラ』の粉末が大量に散らばっていたが、それだけ。貯蔵庫らしき部屋も見つかったが、既にもぬけの殻だった】
【工業機械の類も爆発で根こそぎ処理≠ウれてしまっていて、手掛かりらしい手掛かりはほとんど得られなかったそうだ】

【それでも当然、疑惑の掛かったレイリスフィード大学へは自警団・警察の捜査の手が伸びるのだが――――】
【いま手元にある確かな証拠は、マリオン・リヴァーズの真偽不明な証言ぐらいのもの。世論を動かし得るだけの決定的な証拠≠ヘ、残念ながら手に入らなかったのだ】
【ただでさえ、相手は水の国有数の権威を持つ大学である。完全否認を貫く大学側の態度を突き崩すには一手足りず、彼らもいまは引き下がるしかなかった……】


【なお、これだけのスキャンダルとなれば自警団・警察内だけで話を留めておける訳もなく。市井に多少情報が漏洩しはするものの】
【せいぜいが信憑性の薄い噂程度のもの。表立ってテレビやネットで報道されることは、いっそ不自然なほどないはずである】
【――――事実が揉み消されているのだ。歴史の古いレイリス大には多種多様なコネクションがあり、各方面に圧力を掛けるのも容易だっただろう】

【まだ、大学側を追い詰めるには足りなかった。だがGIFTが、あのマリオン・リヴァーズがこの程度で引く訳がない】
【マリオンは恐らくまたテロを行うはずだ。今度こそ、大学の隠している決定的な証拠≠掴み取るために】

【能力者至上主義と無能力者至上主義。どうにか衝突を避けようと動く正義£Bの意図も虚しく、絶対に相容れない二者が緊張を高めていく――――】


/昨晩のイベントの後日談的なものです〜
/改めて、イベント「澱む毒渦」に参加してくださった皆様、ありがとうございました!
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 16:34:44.01 ID:7ZMMlTaho
>>417

【人間が持つ「喧騒」は集まれば大きさを増す】
【故に人が集まり易い場所の喧騒は日常であり、本来の姿である】
【だが一度喧騒が失われれば違和として訴えかけてくるのだ、丁度今のように全てが眠りに堕ちた時のように】

【そしてその言わずして訴えかける声を聞き取る者も確かに存在した】


(―――――――?……)

【その沈黙がなければ彼は病院など通り過ぎていた】
【消えていなくなる直前、本来ならば有り得ない静寂に気が付き足を止める】
【双眼見開きて白の建物を見やればそれは間違いなく異変であり、見過ごすには大き過ぎる】

【踵を返し足音を抑えながら向かう】
【腰元のナイフを確かめるようそっと掌を廻す、冷たい感触は確かに】
【病院へと入れば感じていた違和はより確からしさを露わにした】

(寝ている……ガスか、手術用の物が漏れた……なら警報でも鳴る筈)
(となれば事件、……何にせよよろしくは無いか)

【ガスの匂いが鼻を突く、されどそれは僅かで或いは事が起きて時間が過ぎたからか】
【仄かに誘う眠気を口内の頬を噛む痛みを以って退け、彼は先に進む】

【密かに引き抜かれたナイフは銀に輝く】


(――――――上、か)

【色違いの瞳は遠方を視て、彼は小さく頷く】
【ブーツの足取りはさながら暗殺者のように密かに、小気味よく階段を昇る】
【息を殺し、ナイフを構える……気配を悟れどその来歴までは明らかではない】

【下ってくる一人が敵である可能性はある】
【二階の階段の手前、壁の影に隠れ「誰か」を待つ】
【こちらに気がつかないまま通り過ぎるならばその首筋に切っ先を向け、静止を促す】

【敵であるならば容赦なく、被害者ならば早く外に逃げるよう伝え、そして或いは――――――】
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 16:49:56.13 ID:ff2edOWHo
>>423

【──少女は三階から二階へ、足早に階段を下る】
【あの二人を『倒す』にしろ、先ずは現状を把握。然る後、それなりの準備≠ェ必要】
【二階に辿り着き、其処もまた、『ガス臭』のすることを確認すれば、更に階下へ降ろうとして──】


──、っ。


【その首筋に、銀の刃が向けられる】
【咄嗟に能力≠発動させようとするが──、どうも、『機関員』ではないようだ】
【正面を向いたまま、黒い瞳が瞬いて。 少しの焦りが、首筋に薄く汗を浮かび上がらせる】


…、…上階。三階の廊下に、機関員≠ェ二人居たわ。
多分、アイツらが『犯人』だと思う。──けど、私は取り敢えず、戦うにしろ態勢を立て直したい。
もし貴方が戦うのなら止めはしないけど、ナンバーズ¢且閧ノ正面切って戦うのは無茶よ。


【彼がどういう素性の者かは分からないが、情報は提供しておく】
【彼女の言葉に従う必要は無い──三階に上がって、敵と直接交戦するのも悪く無いだろう】
【情報を告げ終わったなら、彼女は「行かせて貰えるかしら。」と、解放を求める】
【そのまま、刃が離されたなら──、彼女は、一階へ降りてゆくだろう】


/もう1〜2人なら対応可能なので、暇しておられる方が居ましたら是非
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 17:05:51.20 ID:7ZMMlTaho
>>424

(敵、じゃない……か)

【互いに確認が取れたならばナイフの刃は下げられる】
【現れた人間をまじまじ見つめれば患者姿で、よくもまあ眠りに堕ちなかったものだと】
【更に機関員が2名なんて現況把握までしているところを見れば恐らく「此方側」の人間なのだろうと推測し】

【彼女の持つ二丁拳銃がそれを証明しているようだった】

まず刃を向けた事を謝る、ごめんなさい
でも意識がある人間が居て良かった、見たところ入院患者のようだけど……

【緊張しつつも極力朗らかに話しかける】
【白髪は後ろ髪だけ注連縄のように編み。ジャケットやらズボン、ブーツは対照的な黒】
【左は赤、右は紫白の異色の瞳。浮かべる表情は状況が状況だけに張り詰めているがどこか幼気だった】

ただの入院患者って訳でもない、現況把握までするくらいには強か
心強いけど……確かに二対一はよろしくないし番号付きなら尚の事、そちらがよければ共闘していところ
撃破ないし撃退出来れば重畳かな、周囲の把握くらいは十二分に出来るけどどう?

【木っ端な機関員ならば構わず突っ込む、だが番号付きならば話は別だ】
【加えて病院という場だから他の人間の生命も考慮しなければなるまい、そこまで条件があるならば行動は縛られる】
【だからこそ提案はシンプルに、首を傾げてみせ頷き返してくれたなら彼は後ろに付いてゆくだろう】
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 17:10:08.41 ID:7WM+BX9so

【――――水の国、廃墟】

【成長していく都市の時間の流れに取り残され、とっくの昔に破棄された廃棄区画。その一角に小さなビルがあった】
【何十年も前に人が居なくなって放置されていたはずなのだが、内部に入ってみるとやたらと小奇麗で。生活に必要な最低限の設備が整っているだろうか】
【……尤も、内部に入れればの話であるが。外は乞食に偽装した能力者≠ェ固めており、迂闊に踏み込めば最期。死ぬか死ぬより辛い目に遭うかの二択だ】

【そういえば、いつだったか。『GIFT』の会合拠点として『アトラヴェル第三産業ビル』という場所が使われたことがあったが――――】
【ここもそんな拠点の一つであった。重要度は低く、いざと言うときのセーフハウス程度の拠点ではあったが、ちょっとした話程度なら十分だ】


ひひひッ………来たなァ?


【――――平時は絶対に他者を寄せ付けないこの場所も、今日この日ばかりは違う。とある人物が招待されることになっていた】
【目的地はビルの二階、安物のソファーとテーブルが無造作に設置された一室。その人物が部屋に入ってきたなら、四つの瞳がそちらへ向けられるはずだ】

【ひとりは、目を痛めそうに鮮やかな橙色の髪。長い前髪の隙間からは泥のように濁った青色の瞳を覗かせた、いかにも気性の荒そうな若い男だ】
【外見の方もライダースジャケットにダメージジーンズ、シルバーアクセサリーをいくつも身につけた服装で、まるで粗暴さの権化のよう】
【……なのだが、格好はとんでもなく痛々しい。車椅子に乗せられていて、全身に巻かれた包帯には僅かに血が滲んだ、そんな姿】
【多種多様な能力者を取り揃えた『GIFT』の医療技術は高いが、それをもってしてもこの有様。まるでつい昨日にでも、激戦を潜り抜けてきたような――――】


「………………、」


【そして、その男の車椅子を引いているもう一人。入ってきた人物に若干怯えるような表情を見せる、まだ年若い少女に見えるだろうか】
【黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、青いネクタイという学生服の上に、丈の長い白衣を着込んだ服装】
【癖っ気の強い紫色のショートヘアに、赤縁の眼鏡を着用して――――頭には、金十字≠象ったヘアピンを付けている】
【目鼻立ちは整っているものの、白緑色の瞳は不安定に揺らぎ、目元には隈まで出来てしまっているせいで、随分と神経質そうな印象がある】

【以上二名――――『GIFT』メンバーであるマリオン・リヴァーズと、『GIFT Lab』のメンバーであるメリッサ・ハーレイだ】


まぁ座れや、小嶋智子≠ソゃん。
………ひひははは、面白いことになったモンだぜ、こりゃあ………。


【マリオンはその人物を、かつて使っていた偽名で呼んだ。……呼び出されたのは、その偽名を使っていた時の話をするためだと、そう暗に告げるように】
【素人が見てもわかる、マリオンは明らかに絶対安静が必要な容態で。そんな状態でなお小嶋智子を――――GIFT戦闘員・コジマを呼び出したというのは、】
【それ程に重要な用事があるということなのだろうか。青色の澱んだ瞳が狂気じみて、そちらを見据えていた】


/予約です!
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 17:18:21.87 ID:ff2edOWHo
>>425

【──、彼の提案を受けて、彼女は振り向き、その姿を改めて見遣る】
【『幼い』。……だが、この異変を嗅ぎつけて、それでいて尚、此処まで来ているのだ】
【戦士としての素質≠ノ疑うべきところは無いだろう。──、と、彼女は首肯を返して】


…、…取り敢えず、私はこの臭い≠ェ気になるの。


アイツらが何を狙って、此処を襲撃してるのかは分からないけど──。
眠っている人達を襲っていない以上、『無差別殺人』が目的じゃない。
なら、こっちとしては相手を『有利な場所』で迎え撃つべき。


【「貴方の方に、何かプランは有る?」と、問いかけつつ──二人は、ロビーへと到達する】
【彼女が言う『臭い』。 ガス臭は、ロビーに戻ると少しだけ弱まっている=z
【ロビーの容積は大きく、ガスは上に昇る。 上階で戦うよりは、此方のほうが──】


…、…っ。


【──、だが、彼女の方は一般人の多さ≠ノ考慮が追い付いていなかったらしい】
【日曜の早暁。普段なら人も殆ど居ない筈だが、純然たる偶然≠フ為、客人は多数】

【──此処から移動できるのは、上階、地階、中庭の3つだが、さて】
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 17:24:30.82 ID:xLooR6heo
>>426
「……へ、へへ……へ、スイマセンッス……いや、ちょっと失礼、失礼させてもらうッスよ……?」

【廃墟に向かい、揉み手をし、平身低頭しながら歩み続ける女が居た】
【金髪のショートカットは良く漉かれており、さらさらと風に揺れる。そしてエメラルドグリーンの瞳は大きくまつ毛が長い】
【服装はショートパンツにニーハイソックス、上はグレーのオフショルダーのサマーニットという、普段着のような格好】
【耳にぶら下がっていたのは、『金十字』のピアス。そう、この女はGIFTの構成員の一人であった】
【そして、この女の徹底して生存に特化したその才能は、GIFTに属する大半の能力者の顔と姿を完全に記憶しきっていて】
【外を固める乞食に偽装した者達から、戦闘兵を除く能力者だけを間違いなく見つけ出し、それぞれに媚を売りながら歩み、拠点に入り込んでいった】

「……なんで、バレたッスかね……、もーやー……ッス」

【ぺたりぺたりと重い足取りで階段を登り、小さくため息を吐く女。そして、その様子は階段を登る事に鳴りを潜める】
【嗜虐心を煽るのではなく、満足させることを意識した媚びた笑み、口元を引き攣らせることを忘れない】
【全身の全てから、己が相手に逆らう気が無いことをアピールする。それは、体捌きや、呼吸。そのほか細かい所全てだ】
【弱く有り、己を貶める事で生き延びる。それが、この女が生きてきた中で身につけた、処世術であって】

「あー……えーっと、来たッス。
マリオンサマと、メリッササマ……ッスよね? ……その、先日は大変だったみたいで、お疲れ様でしたッス……。
あ、これ菓子折りなんスけど……あーっと……、ゼリーなんで、怪我してても食べやすいと思うッス」

【先日の戦いについて、既にコジマはある程度把握していた。なぜなら、その後処理関連にコジマの隊が絡んでいたからだ】
【あらゆる雑用、あらゆる任務に捨て駒として投入され続ける、不死身の捨て駒。それがコジマ隊だった】
【右手に持った手土産を、マリオンの方に差し出しつつ、コジマは何もしていないのに申し訳無さそうな表情を浮かべていた】
【そして、不安定な様子のメリッサには、媚びた様子は崩さないまでも、少しばかり鋭さ――脅威を見極める目線を向けて逸らし】

「……あー、ハイ。……ちょーっとッスね。金が厳しかったもんで、そのバイト行ったんスけど……。
たしか、その副業禁止って決まり無かったッスよね!? あくまであれは部隊員の福利厚生で最終的にはGIFTに貢献するためにそのですッスね――!」

【己の偽名を口にされた直後、完全にどの話題が出てくるかを認識し、コンマ数秒後には地面に額を擦り付けかねない勢いでの弁解と謝罪を始めていた】
【プライドは無い。誇りは無い。大切なのは、己の命だけ。この組織の能力者は、機嫌が悪いだけで己を殺しかねないことを良く理解していたから】
【だからこそ、死なないためならば、なんだってする。今のコジマは、いつも通りではあるが靴を舐めろと言われれば迷いなく舌で靴を磨こうとしたことだろう】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 17:38:32.29 ID:7ZMMlTaho
>>427

目的が殺人ならそれこそ来る前に事は終わってるだろうしな

【だとすれば上に居る機関員達は何が目的なのか】
【考えた所で答えは所有していない、捕まえて吐かせるというのが一番だろうか】
【しかしただの病院で一体なにをしようというのか】

或いは……人名その物が目的の物、生贄として……
それともただの病院じゃないか……まあ想像なんて幾らでも出来るか

【思考の片方で青年は手にしているナイフを握りつぶす、砕け得ない筈の物品が硝子のように砕け散る】
【浮かぶ銀の粒子は微かに漂いそして再び彼の掌へ集結し新たな姿を、刀として現す】

プラン……?か、出来れば人間のいないところがいい余計な被害は出さない方が良いに決まってる
残念ながらロビーはダメだな、窓口だから人が多い――――――――

【偶然は必ずしも幸運を運ぶものではない】
【眠りに堕ちている人々を考えないという訳にはいかない、それが喩え少数だとしても掬えるならば護るべきだ】
【となればロビー以外の戦場を選ぶ必要があるが……】

要するに密室だからガスが溜まるんだ、なら室内でなければいい
考えられるのは屋上か中庭の2つになるか……?

【気体ならば外気にさらされてしまえば問題はない、流れには逆らえない】

ただ前者は前者で屋上に向かうまでに嫌でもガスに塗れる事になっちまうだろう
仮に堕ちずに到着したとしても奴らと鉢合う可能性は高い、ついでに戦闘中に意識が飛ぶかもしれない……。
もっとも見つかりさえすれば奴らを一々誘わなくて良いってのは利点だけどな。

後者は、最悪の場合周りに被害があるかもってトコ……攻撃が偶然建物に、って可能性は有る
ついでに奴らをここまで誘わなきゃならない、屋上とは逆だな

【屋外ルート、その2つは利点と欠点がお相子といったところ】

それか……地下、ここならガスは無いだろうし病室もないだろう
あって検査室か遺体安置所くらいのもの、ただ奴らが都合良く来てくれるかは別の話……ただこっちのが一番かもしれない
何にせよ囮役が必要ならオレがやるけど、陣地設営は任せていいか?

【第三としての地下、敵の動向を度外視すれば戦い易い場所だろう】
【考えうる限りの『有利な場所』階下を見やり提案する】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 18:03:47.57 ID:ff2edOWHo
>>429

【彼の説明は的を射ている。──、考えを聞き終えると、少女は数秒、考えこみ】


…、…そうね、『地下』が一番だわ。おびき寄せましょう。
大した武器は無いけど──ブービートラップぐらいは仕掛けられる。
──、三分経ったら合図をする。それまでにアイツら降りて来たら、時間を稼いで。


【そう結論づけると、彼に此処は任せて、少女は下に降りてゆく】
【その背中が消え──、足音≠ェ上階から聞こえて来るのは、大凡、 】


『…、…嗚呼、兄者。だから俺は言ったんだ。
 電気系も全部落として、ドアも閉めきってしまえって。
 雷国画家サルバトール・マクマル≠ェ“麗しきメゾンテ”を破り捨てた話、知らないのか?』


「──“最後の最後で蝿が画板に飛びついた”。
 …、…電気系を落とせば患者が死ぬだろう。それこそ、俺達にとっての“メゾンテ”を汚す行為だ。
 良いじゃないか。これで少し、ドラスティック≠ノ近づいて来た──。」


【 ── 五分後=B 未だ、『合図』は無い。 】


【何らかの『アクシデント』が有ったのか──それを考える暇も見せず、No.85∞No.86≠ヘ、剣先を向ける】
【階段の最終段を同時に降り切り、同時に笑み、同時にぎょろり、と双眸で睨んで ──、】



 【 ── 】



【他の階より少しだけ長い階段を降りて──少女が辿り着いたのは、地階】
【彼が勘案したように、検査室=A死体安置所=Aそれから ──、 】


…、…まさ、か ── 、っ!


【──、 ガス供給系管理室 =@】

【考えるべきは、『ガスが何処から来ているのか』だった】
【一階ロビーに供給源が見当たらないのなら、何処から<Kスが漏れだしているのか】
【地階のガス供給管を破壊し、漏れだしたガス≠ノ、催眠成分≠混ぜ込む── 】

【『地階に“追い込まれた”』】
【その事を考えるまでもなく──、彼女はその場に倒れこみ、寝息を立て始めていた】
431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 18:04:37.80 ID:7WM+BX9so
>>428


「えっ、あ、ど、どうも、ご丁寧に………」


【部屋に入ってきたコジマ……その腰の低い態度に向けられる視線は極めて対照的だった。まずメリッサの方は完全に虚を突かれた様に、戸惑いの表情を浮かべ】
【場違いに礼を述べ、手を使えないマリオンの代わりに菓子折りを受け取ってしまう。……コジマから向けられる尖鋭な視線にも一切気付く様子がない】
【いざ戦闘となってどうかは不明だが、少なくともいまこの場における脅威度で言えば、これだけの大怪我を負ったマリオン以下と断言してもいいぐらいだ】


……ッハ! オイオイ、オマエあの不死身のコジマ隊の頭だろォ?
もうちっと胸張っててもいいんじゃねェか?


【……いや、その例えは少しメリッサに不公平であったか。確かにメリッサの脅威度は低いが、マリオンと比較するのは間違っている】
【この――――満身創痍の状態でなお、全身から漂ってくる狂気の香り。まるで他者への嘲りと侮りで出来ているような、腐って捻じ曲がった心根を体現する雰囲気】
【明らかにメリッサとは別格だ。人の上に立つような権威こそ感じられないが、人を容赦なく蹴り落とす暴虐が、その瞳には宿っている――――】

【マリオンは地を這うような態度を崩さないコジマへ、ぎょろりと目を剥いて声を掛けるだろうか。台詞からするに、コジマの事は呼び出す以前から知っていたようで】
【ついでに言えば、語調には面白がるようなものこそあれ、コジマをあざ笑うような響きは少ない。……コジマに対するマリオンの評価は、そう低くないのかもしれない】


……オレはなァ、オマエの心の籠もってない謝罪が見たくて呼んだんじゃねェんだよ。そんなに生きたきゃとっとと頭上げろ殺すぞ。
安心しろや、別にその件について咎めるつもりで呼んだんじゃねえからよ。

でもまァ……そうだな。あの『ラズワルド遺跡』での救助任務、あれにゃあ極秘裏にオレの手の者が紛れて手引きする予定だったんだが。
色々アクシデントがあって完全に行かなかったのは事実。……ひひひッ、そのアクシデントの一つに、オマエの存在があったのは否定しないがなァ?


【コジマと言う女は、生き残る為ならどんなことだってする――――マリオンがコジマの弁解と謝罪を見て「心が籠もっていない」などと評したのは、】
【そのことを事前に知っていたせいか。それともマリオン自身がその頭脳で、コジマの本質を見切っていたのか。狂い切った青色からそれを察するのは難しい】
【ジロリとコジマを見下して、マリオンは若干からかうような台詞を続けた。あの件にはやはり、事前にこの男の手が入っていたらしいのだが――――】
【コジマの介入を初めとする幾つかのトラブルで予定が狂った。マリオンはそう告げるが……本気で怒っている訳ではないのは、嫌らしく歪んだ口元を見ればわかるか】
【……単純に言えばイジメだ。コジマがこちらに殺されるかもと思っているのをわかっていて、肝を潰すような台詞を吐く。この男の外道じみた性格が見て取れた】


あの遺跡の中で見たもの聞いたもの、全て洗いざらい吐け。その代わり、オマエにチカラ≠やる――――。

……ガッカリだぜ。オマエをここに呼んだ用ってのは、そういう取引≠フつもりだったんだがなァ。
オマエ、オレが「吐け」って言ったら何の報酬もなくても全部言っちまいそうじゃねえか? これじゃ張り合いってモンがねェぜ。

しょうがねェから一つ、聞いてやるよ。……GIFT戦闘員、コジマ。なぁ、力を得られなかった憐れな落伍者ちゃんよォ。
オマエ――――能力(チカラ)≠ェ欲しくねェか?


【――――マリオンはここに来て、やっと本題を切り出す。男の目的はただ一つ、コジマがあの遺跡で見た情報≠フすべてだ】
【そしてその見返りとして、コジマに新しいチカラを授ける。……そのような取引をするつもりだったらしいが、マリオンは大仰に肩をすくめた】
【この男は、狂っている。誰かと焼け付くような命のやり取りをするのを愉しんでいるフシがある。でなければここまでボロボロになるまで戦場に立つこともあるまい】
【コジマはGIFT戦闘員だが、その中でもかなり上位の人間と聞いていた。故にマリオンは、目の前の女にそういうモノ≠期待していたようだが――――】

【……『持つ者』から『持たざる者』へと、意地の悪い質問が飛ぶ。面白がっているのか挑発しているのか、青色の濁った瞳がコジマに向いた】
【能力≠ェ欲しいかどうか。――――聞きたいのはコジマの本心、心の内にある欲望なのだと、瞳の中の狂気が告げている】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 18:19:44.26 ID:7ZMMlTaho
>>430

番号付きが二人……知ってるにしてもちょっと張り切りすぎじゃないかコレ

【「合図」は無い、地下を視る余裕も稼ぐ時間があるならばしたい所だが】
【今は向けられた切っ先を対処するのが優先だ、向けられた瞳に彼はほくそ笑む】

―――――荷が重いったらない

【出会い頭、先手を取る……腿のケースに在る刀子を引き抜き投擲】
【戦闘があると知っていたならばもっと準備していたがイレギュラーとなるとしょうがない】
【心許ない量は更に心許なく、現れた機関員の鼻先に向けて一本ずつ都合二本を放って】

(……逃げる、か――――――――)

【現状で一番の選択肢であろう中庭へと投擲の成否を確認せず直ぐ様駆け出す】
【呼吸は極めて小さく、ガスを体内に入れぬようにそうして中庭へ通ずる窓があるならば飛び上がり蹴破り転がり入る】

(支援は期待しちゃいけないか、結界も見つかってから張ってじゃ意味もない)
(――――さて、どうしたもんか……)

【適当な物陰に隠れつつ刀をもう1つ生成し具合を確かめ】
【動けなくなるような理由、恐らくはガスかなんともまあ適当な提案をしたものだと自らを情けなく思う】
【これが報いならば仕方ない、出来る事といえば戦う事と彼女の無事を祈る事】

【呼吸を細く、瞳を鋭く、鋒に意識を宿し敵を待つ】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 18:27:16.98 ID:xLooR6heo
>>431
「……向いてないスよ。死にたくなきゃ、考えると良いス」

【ボソリと。メリッサに菓子折りを手渡す際に、静かに顔を寄せて、聞こえるかどうかわからないくらいの声量でそう呟いた】
【顔を離せば、一瞬だけ女は少女を静かな目で見て、直後に媚びへつらった表情へと移り変わる】

「いやはは……死なないだけで任務成功率自体は七割くらいッスし……。
昔から人の話は聞かないし能力はないしでもう、センセーに頭ばっこんばっこん殴られてたもんスから、っへ、へへへ……」

【無能力者は無価値。虐げられるべきもの。殺されても文句は言えない。生かして頂いている=z
【そういう己の位置に対して、コジマは全く受け入れている訳ではない。だが、そういう立場である事を完全に理解はしている】
【そして、その時点で感情と実利を完全に切り分けて、プライドを捨てて行動することが出来るそれは、数少ないコジマの才の一つだったか】

「……あ、分かったッス。じゃあ頭あげさせてもらうスね。
……えーっと、あの件に関しちゃ本当に私ゃ知らなかったもんででスね。その、ご迷惑おかけしたッス」

【そして、割り切りの良さもまた特技。相手に頭を上げろと言われれば、そのコンマ数秒後には頭をあげていた】
【どうやら己が平身低頭するのを好まない事を理解した為、礼儀は守り、謙るものの、先程までの土下座外交は鳴りを潜めた】
【へらへらとした笑いも消え、その表情は無表情とは言えないが、仕事人としての顔】
【そして、相手の仕事を邪魔したことにたいして、仕事人≠フ立場として、再度の謝罪。こちらには、心が篭っていた】

「あー、全部言えば良いスか? じゃあ――って……いやァ……、そりゃあ上の人スからねェ。
言うのが下っ端としての職務ってもんじゃないスかね……、……っ」

【女は、洗いざらい吐けと言われれば、即座に己の口から言葉を垂れ流し始めたことだろう】
【だが、コジマは従順に従っているふりをして、微妙に従わない時もあれば、真面目にしているようでサボっている事が良くある】
【良くも悪くも、この女の本質というものはあらゆる見せかけに覆い隠されて、中々見えづらいものとなっているようで】
【焼けつくような命のやりとりなど、楽しめない。命は一つしか無く、命は大切なもの。そう、コジマは思っている――そう、自分の命が大切だ】
【だからこそ、そういう価値観の時点でマリオンとコジマという人間は、根本から違うものであって、理解はそこに得られないのかもしれない】

「――要らないス。人には分てもんがあるッス。
……たしかに欲しくないかって言われたらそりゃァ欲しいッスよ。
でも、それ以上に怖いんス。力を得て、私がどう変わるのか。だったら、このまま底辺這いずってた方が、安心できるッス。
案外底辺って居心地良いんスよ。それに、下っ端には下っ端なりの楽しみもあるッスしね――」

【コジマは、従うことを求められ続け、己が虐げられるべきものであることを教育され続けてきた女だ】
【そして、それは歪すぎる成長をもたらした。底辺でこそ、泥濘でこそ最も輝き、最も強かであるという性質だ】
【虐げられ続け、上から潰され続け、それでも死なずに生き続けてきた結果、その負荷が、その不幸が、その恐怖が日常と化した】
【もはや女にとって、落伍者である事も、力がないことも。当然であり、もはや日常で。そして、諦めがそこにはあった】

【そして、底辺として見出した楽しみがある。それは――巨人殺し/ジャイアントキリング】
【己を虐げる格上を、己を侮る格上を、絶対者を。脆弱な己が抹殺するというその行動に、コジマは快楽を感じていた】

【窮鼠でありつづけたが故に、コジマという人間は――光の当たる世界というものに、もはや恐怖と言える感覚を抱いている】
【それは、コジマ隊のメンバーの大半に共通するもの。彼らは上に登れるだけの力があっても、上に登ろうとはしない】
【なぜならば、彼らは深海魚だからだ。上の世界では生きていけない。下で生きることに特化して進化したが故の、歪で醜い姿が、彼らだ】

「――でも、アレッス。話だけ聞かせてくれないッスかね……?
あの、一応……その――気になるんで」

【向上心のないクズ。それが諦めきれていない微妙さで、歪んだ笑みを浮かべながら恐る恐るとマリオンの差し出した餌に食いつこうとしていた】
【マリオンの誘いや誘導如何では、この向上心の無い女も、その餌に食らいつく可能性は存在するかもしれない】
【少なくとも、この女は分厚い劣等感の塊だ。そこを突いていけば、この女の欲望の箍を外すことが出来たかもしれない】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 18:50:53.86 ID:ff2edOWHo
>>432

【二名のナンバーズは、左右対称に互いに横へステップ】
【剣を振るためのパーソナル・スペースを確保すると、飛来する刃に対し──】


「──、嗚呼。」    『──、何とも。』


   「『  感受性≠ノ乏しい攻撃だ。  』」


【『剣』で叩き落とすことで対応。──避ければいい物だが、より、『確実性』の低い手段を採った】
【表情から鑑みるに、明らかに「遊んでいる」。 同時にため息をつくと、中庭に出た彼を負って歩き出す】


【──中庭には、何の問題も無く出れるだろう】
【広さは戦闘に申し分ない。ガスも此処では流れており、『眠気』を催すこともないだろう】
【…、…しかし、事態が“改善”した訳では無い。 寧ろ、追い込まれている>氛氈A】



      ≪ ── 、困ったわね、少年=B ≫



【其処で突然 ──、彼の頭の中≠ノ、声が響く】
【声質からして、『男』、か。 言葉遣いは『女』の様だが……年齢も、老若判別し難い】


≪…、…『地下』でも『中庭』でも、どっちにしろ詰み=B≫
≪でも、人の美しさ≠ヘ『意思』が生むのよ ──、斜め上方、見てみなさい。≫


【──謎の声≠ェ指示する方向を向いたなら、壁に突き刺さっている“黒い刃”が二本】
【昨晩(>>222)、少女が突き刺し、そのままになっていた“特殊合金製”のナイフだ】


≪──アレを使って、“上”に登れるわ。…、…其処からどうするか、は、貴方の意思≠諱B≫


【──ぷつり=z

【電話の切れるような音と共に、『声』は絶たれる】
【その『正体』は置いておくとしても──、言っていることは、事実≠セ】
【『ナンバーズ』は、彼が中庭に居る≠烽フと確信して此処に向かって来る──、 ならば】
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 19:15:05.37 ID:7WM+BX9so
>>433

【……メリッサはコジマの言葉を聞き取って、少しだけ目を見開いた。まずしたのは怯えた様子でマリオンの方を見ることだ】
【マリオンは二人の会話に気づいていたのかいないのか、無反応を貫く。……この少女は表情を隠すのが下手だった。明らかに、ほっとした様子を浮かべて】
【どう考えても向いていないし、関わり続ければいつか死ぬ。それは確かなことだが――――少女を縛り付ける重たい枷が、いま目の前に存在していた】


そうだ、それでいい。ちッたあマシなツラになったじゃねェかよ、ええ?
まァ普段なら、適当にブッ殺して責任取らせて終わりだっただろうが、今回は事情が違う。
……あの任務、相当キツかったらしいじゃねェか? 戦闘員如きの分際で生き残ったってところだけは評価してんだぜ、オレは?


【GIFTメンバーであるマリオンにとって。まして、他者を見下して蹴り落とすことに快感を覚えるこの外道の性格からして】
【本来はコジマのような戦闘員など、使い捨てのゴミ同然にしか思っていないのだろう。言葉尻からは間違いなくそういう感情が滲んでいる】
【ただひとつ、評価しているのは……能力の有無に関係のない、コジマ自身の強さか。それを語るときだけは、マリオンも愉しそうに表情を歪ませていた】


へェ――――ひひ、ひゃははははははははははははははッ!!!
分、分だァ!? オマエが分を弁えてるってェ!!? 笑わせんなよ戦闘員風情がよォ!!

――――敢えて底辺を這いずって、オレたち選ばれた人間≠ヨの下克上に快感を求めるか。
それの何処が分を弁えてるってんだ? たかが無能力者の分際で、オレたち能力者に勝とうってか、ええ?
弱いまま勝とうなんざァ、随分と身勝手で薄汚ェ欲望じゃねえかオイ! ひひっ、面白ェ……予想以上だぜ、コジマちゃんよォ!


【コジマの言葉から、僅かに彼女の本質を垣間見て。マリオン・リヴァーズは、身動ぎするだけで痛む体すらも忘れて部屋中に哄笑を響かせた】
【自らが雑魚と見下されていることを自覚して、それを認めた上で。汚泥の中でもがくことすらなく、むしろ汚泥の中こそ自らの道と決めている、そんな生き方】
【能力者は選ばれた人間で、無能力者は家畜以下の存在。故に無能力者は自らも選ばれる為に、無駄とわかっていても能力を求める――――】
【GIFTの思想にどっぷりと浸かったマリオンの思想では、それが当たり前だったのかもしれない。故に嗤うのだ、嘲笑と狂気とを込めて】
【まさか、仮にもGIFTの人間に、無能力である自分を肯定する人間が居ようとは。向上心のない、醜く歪んだその生き様を、マリオンは澱む青色の瞳の中に吸収した】


/すみません、続きます
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 19:15:41.67 ID:7WM+BX9so


いいぜェ、クズ野郎。――――メリッサ、アレを出せ。コジマ、オマエは指定した例のブツを。

さて、さっきはチカラ≠くれてやるなんつったが、別にオマエに本物の能力そのものを与えてやれるわけじゃねェ。
オレ達が生まれ持ったGIFT≠ニは比較にもならんような、お前にふさわしいクズみてぇなチカラだ。

……ひひっ、ホントはよォ、オマエが思い切り肩を落とす姿も見てみたかったんだがなァ。
あくまで巨人殺し≠狙うその生き方じゃあ、逆に喜ばせちまうかァ?


【マリオンはコジマを容赦なくクズと断じた上で、コジマの要望を聞き入れた。指示を出されたメリッサは慌てて懐から何かを取り出す】
【一方、コジマには例のブツ……ここに持ってくるよう命じた、例の『謎の液体』の入ったビンを取り出すように言うだろうか】

【まず、メリッサが取り出したのは――――機械的な銀色のフォルムをした短杖、に見える。先端が音叉のように二股に分かれているのが特徴的だ】
【……コジマに能力そのものを与えてやれる訳ではない。容赦なく紡がれるその言葉の通り、これは道具だった。つまりマリオンが与えようとしているのは】
【あくまでも、道具による外付けの能力≠ニいうことだろう。男にしてみれば、能力を得られるかもと希望を与えられたコジマが失望する様を見たかったようだが】
【コジマの生き様を確認した後では、それも叶うまい。所詮は道具なのだ、これを手にしたところで、コジマはあくまで底辺のクズ≠フまま変われやしない】


コイツは――――まー、やって見せた方が早ェわな。
……よく見てろ。


【マリオンはニヤリと笑って、その短杖の先端にある音叉を軽く弾いた。すると。コジマの持っているであろうビンが細かく振動を始めるのがわかるだろうか?】
【中の液体が淡く光り始め、音に反応しているように見え――――暫時。その『光る水』はひとりでに動き出し、内側から蓋を押し開いて外に飛び出すだろう】
【――――ごぽり、と。一塊の水球となったそれは、からかうようにコジマの周りを素早く一周し、コジマの目前の空中で停止する】

【……水≠操る能力を秘めた杖。見たところ、そんな風にも見えるが――――】
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 19:18:36.20 ID:7ZMMlTaho
>>434

(詰みに近いが全部終わっちゃいない……)

【かといって良い案があるというのでもない】
【そんな状況で他者に助けを求めるなんてナンセンスだが、それは唐突に訪れる】

な、なんだ……何者だお前……

【まず浮かぶのは困惑、脳内に直接語りかける術など知らない】
【周囲を伺うがそれらしい人影はない、完全な「何者か」はこちらの狼狽など気にせず語り続ける】

見ろって……あれは、ナイフ?
上に登れったってその後どうすりゃいいんだっつうの……ち、

【敵か味方かも分からない何者かの提案は抵抗を覚えるのだろう】
【されど現状で何が出来るというでもない、垂らされた蜘蛛の糸があるならばそれに縋るしかないか】
【納得とは別の所で、彼は示されたナイフを見つめ更にその上へと視線を向ける】

――――――乗ってやるさ

【決めた、ならば躊躇いもなしに駆け出す】
【一歩の跳躍で一つ目のナイフに造作もなく届く、コンクリートに刺さる程ならば強度も相当だ】
【更なる跳躍の為に筋肉を緊張、反動を用い上へ上へと跳ぶ……次の跳躍も慣れた物だった】
【三階に飛び込み、ほうと息を吐く】


……ここから、か
頭数を揃えちまうか……刀子はあと4つ、最低限の結界は張れる

【病室を確認し歩き出す、先程の声はもう聞こえない一体何者であったか】
【そんな考えは生き残ってからにしよう、あの番号付き達は相当の使い手あれを対処しない限りは後もない】
【青年は階下へと静かに走る、足音は無く影のように舞う】

(―――――寝てるだろうお嬢様を叩き起こして、引っ張りあげる)
(ガスが下から来てるなら結界で無理矢理押し込めて封じる、根源から絶つならこれしかない)

【一階に下ったならば気配をさらに殺し、鮮やかなまでに地下へと歩みを進める】
【地下に来たならば呼吸の一切を止める吸わなければ昏倒はない、昏倒している彼女の姿を確かめたならば】
【刀子を引き抜きガスが漏れる経路を妨げるように2つ投げつけ結び結界とする】

【遮断程度の結界だがガスならば十全に妨げる事が出来る】
【場の安全が確保出来たならば彼女を抱え上へと、再び気配を殺し向かう】
【同時に気配探知に意識を集中させ敵対者の動向を伺う、出会いそうになったらば潜め離れる】

【出来れば安全な空気に満たされた屋上に行きたいが万が一彼らが待ち構えている可能性もある】
【病室、複数あり同じような見た目の場所ならば欺くには丁度良いと二階の適当な病室へと潜伏するだろう】
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 19:26:37.99 ID:2R+PZQDDo
【公園――広場】

【すっかり人もいなくなって、街灯が淡い光が静けさを映す、そんな場所】
【だがこんな時間だというのに広場を見ればひとつ、走っていることだろう】

【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、そんな――精悍な顔つきの少女だ】
【薄い緑色のTシャツの背には猫ならしっぽだけで一瞬にして全てを語れ≠ニいう意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】

【おそらくランニングか何かだろう。しかし異様な点がひとつ――彼女の後ろにはあった】


ふーっ、ちょっと休憩……案外楽勝だにゃ。こんなんで強くなれるのかにゃ?


【広場沿いの道近くまで走ってきた少女は一旦立ち止まって呼吸を整える】
【普通のランニング後と変わらぬ様子だがその後ろには――身の丈以上はあろうかという土管があることだろう】
【つまり、彼女はそれと自分の腰とをロープで繋ぎ、まるでタイヤ引きでもするようにランニングしていたのだ】

【流石に疲れてはいるようだが、華奢な体格にそぐわない怪力の持ち主なのかもしれない】
【そんな彼女は――この場を通りかかった人にどのように映るのだろうか】







【路地裏】


【道路を走る車の音が聞こえて来る】
【建物に遮られた音はまっすぐに響いて来ず、まるで壁に隔てられた別世界からの音のようで】
【往来する人の数の差もそれを助長している。その証拠に、今起きている出来事にまだ誰も気付いていなくて】


「オイ! こいつ能力者だぞ!」
「でも弱そうだしやっちまおうぜ。ムカつく目ェしてやがるしよ」
「泣いて許してくださいって言えば半殺しで済むかもなぁ? アッハハハ!」


【三人ほどの男が少年を取り囲んでいた。いや、すでに喧嘩の最中だった】
【男たちは派手な衣服を身を包みジャラジャラとアクセサリーを付けた、いわゆる不良という風貌で】
【彼らは少年に殴りかかったり拘束しようとしたりするが――全てかわされていた】


痛、っ……ああ、鬱陶しいな


【少年の方もかわすことに精いっぱいのよう。握られた黒い魔翌翌翌力の剣も振るわれないままだ】
【しかしついに顔への打撃を許してしまう。不良達の下衆な笑みがこの上なく深まったのは言うまでもない】

【真っ黒のボサボサ短髪、深淵を思わせるかのような漆黒の瞳は三白眼で、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年は】
【突破口を見出すべく不良達を睨むのだろう。その眼にはある種の――覚悟が秘められていた】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 19:40:07.08 ID:xLooR6heo
>>435-436
「あはは……、ありがとうございますッス。
その、自慢……自慢ッスけど。しぶとさだけは、自信があるんス。それだけが、私の強みッスから」

【あまり謙る必要がないだろう事を認識したのか、礼儀を守りつつある程度自分の強みを売り込んでおく】
【これもコジマの処世術。取るに足らないながらも、何かと便利である事をアピールする事を欠かさない】
【毒にも薬にもならないようでは、いつか不要になってしまう。だからこそ、すこしばかりの差別化が、生きていくには必要なのだ】

「……いや、努力も、才能も私にゃないッスから。
だったら、弱いままで、無能力のままで、クズのままで。誇りとかなんにもない私が。
誇り高くて、強くて、クズじゃなくて、能力の有る人に。勝ちたいん、ス。
家畜でも飼い主を食い殺せるッス。人でも神は殺せるッス。奴隷は王を殺せるッス。
――人は、首を落として心臓を貫いて死体に硫酸ぶっかけて火ィ付けて消し炭にすれば、例外なく死ぬっス。
だれでも死ぬ。それだけは、強い人でも弱い奴でも――絶対に絶対のルールッス」

【マリオンが己の本質を見ぬいた瞬間、コジマの瞳がその本質を解き放った。塗り固められた劣等感】
【クズであると固定されてしまった価値観。そして、その価値観に固定されながら、上を殺そうとするその気概】
【異様とも言えるそのあり方は、GIFTという組織が生み出してしまった産物であり、コジマはその中の一人でしかなかった】
【家畜でも良い。人で良い。奴隷で良い。ただ、家畜のままで、人のままで、奴隷のままで――】
【――主人を、神を、王を殺せれば。それで良い、それが――良いのだ】

【目を逸らさない。エメラルドグリーンの双眸は、異様な光を宿していた。ぎらぎらと生々しく光るその眼光】
【それこそが、恐らくコジマをここまで生き長らえさせた――何か。もはやコジマにもわからない、精神的支柱だった】

「クズ野郎……って乙女なんスけどねェ……。
……クズみたいな力。最高じゃないッスか、嫌いじゃないッスよそういうの。寧ろ大好きッス」

【小さく口の中でボヤくのは、野郎という形容。そして、クズであることは一片の否定すらしてみせない】
【コジマは腰に巻いたポーチから、謎の液体の入ったビンを取り出し、マリオンの方に差し出した】
【眼前に映るその機械的な短杖。目を細めて、それを細かく観察しようとする】
【脅威に対する嗅覚を、目の前の道具に向けて――その力が、どういったものなのか、余すこと無く捉えようとしていた】

「……水、ッスか。悪いッスね。
学無いンで……その教えてもらえると有り難いッス、マリオンサマ」

【目の前で動く、謎の液体。その光る水がなんなのか。かつてあの遺跡に入った時も看破できなかった】
【さり気なく持ち帰ったそれの正体はずっと気になっていて。それの正体を知る事ができる事に、僅かな期待を覚えても居たようだ】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 20:14:09.55 ID:/vO9eja9o
【幸せとは、一体どういった事を指すのだろう】
【普遍的な幸せって、誰もが羨むような人生って、何だろう】
【答えは簡単、「そんなものどこにもない」のである】
【幸せなんて人それぞれだ】
【周りから見ればものすごく幸運な人でも、本人は不幸だと思っているかもしれないし】
【その逆も然り、不幸な状況にあっても幸せだと感じる人もいる】

【そう、例えば宝くじで例えてみよう】
【宝くじの一等が当たって大金持ち、そりゃあ幸せだ】
【でも、それはハズレを経験するっていう「不幸」を先に味わっているのが前提】
【日常的に一等を当てている人が居るとすれば、それはその人にとって日常の、ほんの些細な出来事にしか過ぎないのだ】

【つまり、人は先に「不幸」を味わらないと「幸せ」だと認識出来ない、という事】
【そしてこれは、人は比較しなければ幸せなのかどうなのか分からない、という事なのだ】
【さらにこれは、「平等」なんて言葉など真には存在し得ない事を意味する】
【比べて比べられ、優劣を付けられ、迫害されたり優遇されたりする】
【全てに等しい価値観など、存在しない】

【そう、例えば僕の所属するレイリスフィード学園なんかもそう】
【能力者を疎み、迫害する】
【そこに平等なんて言葉はなく、能力者は周囲から恐れられ、孤立する】
【そうして心が荒み、不良となる者だって居る】
【まさに悪循環、善なる心を持った人間を、悪にまで叩き落とすのだ】

【………などと、適当な戯言を思考している、白く透き通った肌を持つ中性的な少年は公園のベンチに座っていた】
【先日は大変だった、まさかあんな荒事に巻き込まれるとは思いもしなかった】
【結果として体は五体満足、さらには学園の闇も知り、暇つぶしになったので良しとするべきか】

「……………」

【時刻は既に夕暮れ時】
【ぼんやりと夕日を眺めながら、先ほどの思考をしていた】
【ぶっちゃけてしまえば暇なのだ】
【別段、退屈が嫌いなわけではないが】

【周囲から見れば、ボーっと夕日を眺めているように見えるだろう】
【さて、そんな彼に興味を示す者は居るのか…?】
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 20:19:46.03 ID:7WM+BX9so
>>439


しぶといのが自慢、ねェ。
ひひっ、そうだ。そういうのは嫌いじゃねェ。クズ≠チてのは古今東西しぶといモンだからなァ。
――――生き延びなけりゃあ目的も達せられねぇ。


【しぶといことこそが強みだという、コジマのその言葉。マリオンはにまりと口元を歪めて意味深な言葉を呟く】
【……知っているかもしれないが、過去三度、このマリオン・リヴァーズという男はテロを仕掛け、そして撃退されてしまっている】
【だが、その全てにおいて生き残った。SCARLETの精鋭に殴られようがUTのリーダーに銃口を向けられようが、異能の塊に心を侵されようが】
【満身創痍の状態で生き残り、最低限の目的だけは達成してきた。……嫌いではないというのは、このマリオンもまた彼女と同じしぶといクズ≠セからか】


腰が低いようで傲慢なヤツだぜ、オマエは。
あァ、そうだ。人なんてのは所詮その程度。命を奪うのに、心を殺すのに、そう手間は掛からねえ。
……言っちゃあなんだが、正義≠フクソッタレ共の中にゃ、オレより強い能力者なんてのもゴロゴロいやがる。
だからこそ――――その連中の鼻っ柱をヘシ折って最高の絶望を与えてやるのが愉しいッ! 愉しくてたまらねェ!!
ひひっ………オレにもよぉ、オマエの気持ちはわからんでもないぜ、クズ野郎?


【マリオン・リヴァーズは能力者だが……はっきり言ってそこまで強くはない。この男がここまでの大立ち回りを演じられるのは、ただ偏に】
【――――救いようのない下衆であるからだ。年端もいかない子供を利用する、人質を盾にする、非戦闘員を虐殺する】
【いっさい手段を選ばない卑劣な策略と、それに一切の罪悪感を感じない狂気こそがこの男の神髄。男の能力もまた、それに特化している】
【能力者と無能力者である限り、マリオンとコジマとの間には絶対的な溝が存在する。それは間違いないが……似ている部分が無いわけではないのだろう】

【……視界の端ではメリッサが、取り残されたように呆然と、二人のやりとりを眺めていた】


/ごめんなさい、また続きます……
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 20:19:59.21 ID:7WM+BX9so


水を操る杖………とは、ちっと違う。この杖が操れるのはこれだけ、いま目の前にあるたったこれだけの『光る水』のみだ。
特殊な音波でその液体に指令を出して、自在に動かすことが出来る音叉杖。『海鳴の鐘(ゼシュテムベル)』ってんだがよ――――。
ひひっ、どうだ、クズみてぇに非力だろ? 失望したか? 落胆したか?


【『ゼシュテムベル』。杖自体も頑丈であり、打撃武器として十分使えるが、本質はコジマの持っている『光る水』を操作する能力にある】
【見た目は不可思議で、確かに能力≠轤オい能力ではあったが……それだけ聞くとあまりにも非力。少量の水を操る力など、何の役に立つのか】
【それでも、マリオンは楽しげに嗤い。追加で以下のような説明をし始めるだろう………】

【――――この武器は、命令を念じながら先端の音叉を弾いて音を出すことで、この光る液体を自分の半径五メートル程度の範囲内において自在に動かすことが可能だ】
【移動のスピードもそこそこ速く、十分実用に耐えうるレベル。また、単なる移動のみならず、その形を自由に変化させることも出来る】
【ただし、コジマの持っている『光る水』の量はそこまで多くはない。水を直接相手にぶつけても、強めのパンチ程度の威力を出すのが限度、やはり非力ではあるが……】


………だが、クズにはクズの使い道がある。オマエの言った通り、どんな強者だろうが人なんざあっけなく死ぬ。
そこを理解さえしてりゃあ、コイツはなかなか便利な武器だぜ……?


【キン、とマリオンが音叉を弾いて新しい命令を下した。水塊は部屋の隅に放置されていた空の酒瓶のところまで行くと、それをごぽりと飲み込み】
【――――それを接着≠オ、手元に引き寄せる。瓶を接着したままの水をコジマの目の前にまで移動させると、頭を殴り付けるフリをするだろうか】
【人を殺すのに、そう手間は掛からない。マリオンが言っていた台詞……こんなビール瓶でも、頭部を全力で殴れば人は死ぬのだと、そう告げるように】

【……杖と水を一対としたこの武装の最大の特徴は、同じく音叉を弾いて命令を贈ることで、水の『粘性』を変化させることが出来る点である】
【普通の水の状態なら細い隙間にも自由に入り込ませられるし、糊の塊のようすれば今のように遠くの物体を接着して引き寄せたり、敵の動きを阻害したり】
【粘度を最大にすれば、自分を壁や天井に貼り付けたりも可能。抜け出される可能性も高いが、水を頭に被せて粘度を上げ、窒息させる……なんてことも出来ないではない】
【勿論、粘性にも『水自体が移動する力』にも限度はある。粘着した物体が重ければ重いほど水の移動速度は落ち、あまり巨大すぎるものは物は動かせないものの】
【単体では、直接的な攻撃力はない。だが少しだけ工夫≠オてやることで、攻撃にも補助にも、いかようにも役立てることができる――――】

【能力者の能力のような、派手な攻撃力ではなく。クズだからこそ考えられる策略≠ェモノを言う、応用力にこそ真価がある武器】
【これが、マリオンがコジマに渡そうとしていた力ということか。一通り説明を終えると、マリオンはただコジマの反応を伺う】
【……この水が何なのか。その正体については、恐らくわざとなのだろうが語られなかった。それについては取引≠ェ成立した後、ということか】
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 20:28:47.98 ID:ff2edOWHo
>>437

【──結界≠ノよって、ガスの供給は絶たれる】
【病院内の空気は直に、浄化されるだろう。 患者達が目を覚ますのも時間の問題だ】

【二階の病室。部屋の鍵は開いており──『空き部屋』である】
【その場で待っていれば、少女は目覚め、二対二≠フ状況が完成する──、が】


  〈 『──、此方、No.84°yび、』 「No.85=v 。〉


        【 「館内放送」 】


  〈 「…、…正直に言おう。我々は貴様≠見失っている。」 〉
  〈 『どういう訳か──、ガス≠燻~められている様だ。』 〉
  〈 「このままなら、無辜の人々≠燒レ覚める。『ヴィルマ帝の生誕』並に喜ばしい事、だ。」 〉
  〈 『だが、我々にとっては『キフタリア峠の敗戦』が如き、悲劇≠ナしかない──。そこで、だ。』 〉



【 「出て来なければ、目覚めた者から[ピーーー]=v 】


【脅し=Aだ。──その放送は、「ロビーに来い」、と告げて終了する】
【…、…何も、馬鹿正直に出て行く必要はない。軍にでも連絡すればいいだろう】



──、……今の、 放送 ──っ。


【──目覚めた彼女が部屋を飛び出したのを、放っておくなら、だが】

/お待たせしました
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 20:36:44.08 ID:2R+PZQDDo
/持ち越し確実ですが>>438はまだ募集中です…
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 20:45:08.76 ID:xLooR6heo
>>441-442
「ただ、それでも私とマリオンサマには大きな差が有るッスよ。
マリオンサマは能力者で、私は無能力者ッス。それで良いんス、それだから、私は私なんスから」

【同じような下衆。同じような屑。だが、違う点は幾つもあって】
【そして、コジマは屑ではあるが、マリオン程屑に徹しきれる人間ではなかった】
【屑である点でも、能力の有無でも。コジマはマリオンに完敗していた。だからこそ、その鬱屈した感情が、鎌首をもたげつつ有った】
【その瞳の冥さを、マリオンは看破するのだろう。そして、コジマはもはや、それを取り繕うつもりは、無かった】

【呆然とこちらを眺めるメリッサ。そちらに向かい、コジマは一瞬目線を向ける】
【格下であるというのに、憐れむような、そんな――静かな目を】
【そういうところがきっと、コジマの徹しきれない部分。屑は屑でも小物≠ナある部分だったのだろう】

「なるほど、十分速いし、これだけの水の量が有れば窒息させるには十分スね。
効果範囲も下手に長いより操作しやすいちょうど良い距離っすし――、調度良いッスよ。私向きッス」

【もたざるものが、ごく僅かなリソースを最大限に活かして戦ってきたのが、コジマだ】
【そして、だからこそ――足りないくらいで十分過ぎた。むしろ強力な装備を手に入れたほうが、扱いに困るというもの】
【この杖は、コジマにとって――分を弁えた≠烽フであると言えただろう】

「……強いじゃないッスか、最高ッスね」

【にたり、とコジマが粘性の笑みを浮かべ始めた。その応用を見た瞬間に、頭の中は悪いことで一杯になった】
【そのリソースで人を害するにはどうすれば良いか。人に危害を与える事に関して、コジマの思考力は通常の数倍発揮されるわけで】
【これがあれば、幾らでも己の持ちうる技能と組み合わせ、新たな戦い方を、殺し方を、戦法を身につけることが出来る】
【巨人殺しの欲望が首をもたげる、体が武者震いを帯びる。この応用性の高さを用いれば、機関のカニバディールの依頼にあった能力者を殺すことももしや――と】
【私利私欲に塗れた顔は、もはや敬虔なGIFTのメンバーでもなんでもなく。唯の一人の小悪党がそこにいた】

【マリオンのその沈黙に対してコジマの返答はポーチから携帯を取り出すことだった】
【短縮ダイヤルをワンタッチで押し、携帯を耳に押し当てる。一〇秒ほどの沈黙の後、コジマは口を開く】

「……あァ? 風俗行ってる? しらねェよ。
女なんかそこらの奴ぶん殴ってシちまえばいいだろーが、金なら後でくれてやっからさっさと来な。
そー。車に仕舞っておいただろ? そ、あれ。纏めたの。分かったか? おう。おう、さっさとな、じゃないと根性焼きだから」

【口調が全くの別物であったが、どうやら部下に対する命令のようで】
【その会話を終えると、即座に通話を切り、ポーチにそれを仕舞いこんた】
【口元に笑みを浮かべ、絡みつくような視線をその杖に向けながら、コジマは声を発する】

「――資料用意してあるんス。それ渡しとくっスよ。
いっつも依頼とかそういうのの度に残しとくのが役に立って良かったッス」

【コジマの性質なのか、己の行動の履歴をつねに資料として残しておく事が、コジマの癖であった】
【なぜ己が危機に陥ったのか、己はどういう行動を取るべきだったのか、逃げるべきタイミングはどこだったのか】
【生き延びる度に、さらに安全に生き延びられる学習を積み重ねていくその作業の履歴が、今回役に立つこととなった】
【数分後、シャンプーの匂いをさせた無精髭の男がやってきて、コジマに向かって適当な動作でディスクを一枚差し出して】
【逃げ出すように男は部屋の外へと退散していき】

「……んじゃ、これが私の見聞きしたこと全部ッス。
レコーダーとかの音声も有るッスから、遺跡の変な歌とかも入ってる筈ッスよ」

【そのデータの入ったディスクを、コジマは笑みとともにマリオンに差し出すのであった】
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 20:51:36.06 ID:7ZMMlTaho
>>443

【異常も無く彼女が目覚め胸を撫で下ろす】
【愚考を晒し危険な目に合わせた、それは謝罪すべき事】
【一息でもつけばそのことを言おうとしたが――――――唐突な館内放送がそれを妨げる】

ちっ、外道共………!

【別段難しくもない単純な交渉】
【恐らく自分があちら側であったなら同じ事を言っていただろう】
【だがそこに人への想いはない、だからこそ沸き立つ物もある】

――――――オレも行く

【一人では危ないので行くのではない、このまま見過ごしたならきっと後で悔やむ】
【それだけは赦されない正しくあろうとするならば成すべき事を示す】

【青年は目覚め飛び出した彼女の背を追う】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 21:04:30.07 ID:ZwxjzL6do
>>438
//まだいらっしゃいますか?
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 21:09:14.80 ID:2R+PZQDDo
>>447
/いますよー!
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 21:09:53.86 ID:ZwxjzL6do
>>438
何があったか知らねぇが、風の囁きはぁ偽らない!

【裏路地、不良に絡まれる少年、その時近くにあった鉄塔の上に立つ影】
【まるで一昔前のアニメの正義の味方の登場シーンのようであり、時代錯誤的であった】
【そしてタッと鉄塔を蹴り、飛び降りる影】
【このままでは落下する!そう思った時にその背中から広がる一対の漆黒の翼】
【それはスーッと滑空し、すたっと少年と不良の間に降り立つ】
【カランと、下駄がコンクリートに擦れる音が鳴った】

やいやい、何があるのか知らねぇし、どっちが正義かなんてわからねぇ
だけどな……

【その存在は異形だった】
【身体は大柄な男なのに、頭は灰色の狼の頭で金の目の下には朱色の隈】
【背中からは鴉のような一対の真黒な翼、先ほどの滑空の様子から実際に生えているのだろう】
【その体には篠懸、結袈裟、脚絆に赤い一枚歯の高下駄、そして赤い褌と変わった服装をしている】
【赤い褌と狼の頭以外は――そう、伝承に伝わる天狗と似たような姿かたちをしているとわかる】

お前たちの話す内容、そのすべて!
この我の耳に全て届いた!

【そういうと屈み、懐に手を突っ込むだろうか】
【そして……】

――恥を知れぇ!

【一喝、と共に懐から取り出すのは一つの鉄扇】
【右手に握るそれをまるで舞うようなしぐさで取り出し、開き、不良たちの方へ扇ぐ】
【その瞬間、起きるのは突風】
【たかが風と侮るなかれ、殺傷性のない風とはいえこの強風は人を転倒させる、瓦礫を吹き飛ばすなど素晴らしい力を持つ】

【まあ、それまでと言えばそれまでなのだが、時間稼ぎにはなるだろうか】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 21:10:28.85 ID:ff2edOWHo
>>446


「──、これ≠ゥ? 『アールウィン』?」
『嗚呼、これ≠始末すれば、晴れてローム・ソワール展≠ノ行ける。』

──、っ アンタ達、なんで、私を──!!


【──、ロビーに辿り着けば、既に戦闘≠ヘ始まっている】
【少女は身軽に距離を保って動き回り、二名の放つ『剣』を避けている──が】
【一般人を巻き込まない様に気を遣っているのか、銃は数発しか放っていない様だ】

【彼等の言動から鑑みるに、目的≠ヘ『少女の抹殺』──、】
【…、…だが、それ故に青年への『意識』は薄い──先ほどの遣り取りで、嘗めて≠「る】


(「『 ──、さっきの奴が来た。…、…が、取るには足らない=B 』」)


       『「≪ La Belle au bois dormant=@≫」』


【──、少女と対峙したまま、青年の方へ左手≠両名が向けると】
【放たれるのは『ガス』──、煙状の催眠ガス≠セ。濃度は非常に高く、直撃は即、意識喪失を招く】
【彼を挟みこむように、二メートルほどの『煙の壁』が襲い来るが──、速度は、それほど高くない】
【少女に向かって使用しないのは、彼女が速い≠ゥらだろうが── 】

【──、これを回避できたなら、其処に待っているのは、少女と対峙する両名の無防備な背=Aだ】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 21:23:06.78 ID:7WM+BX9so
>>445


あァ………そこはちゃァんと弁えてんのな。いい子だぜェ、コジマちゃん。
そうだ、オレはゲスだが選ばれた<Qスだ。オマエはクズだが選ばれなかった<Nズだ。
流石、と言っといてやるよ。その生きる為の嗅覚、生き汚さにはなァ………ック、クク。


【ぎょろり、とマリオンは目を剥いてコジマを見下す。……似ているとは思っても所詮、同格には位置していない】
【もしもコジマが、自分をマリオンと同じだと思ってしまっていたら。マリオンはそれを思い上がり≠ニ捉えたことだろう】
【そうなってしまえば、この下衆は恐らく容赦しない。肥え太ったブタにお前は家畜だと告げるように、あらゆる手で虐待し抑圧する。そのぐらいのことはしかねない】
【――――生の可能性を嗅ぎ取る鋭敏な感覚。マリオンはコジマのそれを、くぐもった嗤いで賞賛する。却って嘲笑うかのように】


さて、あと説明しとくとするとなァ――――、


【『ゼシュテムベル』の利点をあらかた説明し終えたマリオンだが、そこからさらに言葉を続ける。……ここら先は弱点≠フ話だ】
【杖で操る『光る水』だが――――攻撃を受ける度に少しづつ体積が削られていってしまうことに注意が必要である】
【特に粘性が高まった状態では、一発の攻撃で欠損する水の量は多くなる。また――――水という性質上、『熱気』と『冷気』に弱いことにも注意しなければならない】
【高熱を受ければ水が蒸発して一気に体積を減らされてしまうし、水が氷結した状態では粘性が最大の時以上に一度の攻撃で失う体積は増えてしまう】
【……だが、これすらも工夫次第だ。敢えて水を熱湯にして敵に火傷を負わせたり、氷結させて打撃の威力を上げたりといった利点にも転ぜられるか】
【幸い、削られた分の水は失われることなく、一滴残らず自動的に瓶の中へ戻る。数時間経てばまた完全に元通りになって使用可能になる為、出し惜しむ必要はない】


――――ひ、ひひっ、はははははははははは………ッ!!
いいねェその目! オレ好みの目だぜクズ女。生まれ変わっても乙女なんてガラじゃねぇよオマエは!!

どうやら、契約成立、のようだなァ。良いだろう、このクズみてェに小賢しい力は、今からオマエだけのモノになる。
……メリッサ、オマエが作った武器だ。後はオマエがやってやれ。

「は、はい! え、っと………柄の部分に十秒ほど、手を押し当ててください。
 今はマリオン様の脳波が登録されていますが、そこに貴女の脳波パターンを上書きして、貴女にしか使えないようロックをかけます」


【大まかに全ての説明を終えたマリオンは――――コジマのどす黒い表情を見て、口が裂けんばかりに笑うと、そちらへ『ゼシュテムベル』を放り投げるだろう】
【……この武器を作ったのがメリッサだとすれば。コジマに哀れまれるのも当然の、明らかに場違いな彼女がGIFTに居る理由も少しは分かるかもしれない】
【メリッサ・ハーレイもまた、天からの恵みを……GIFT≠持っている。彼女は『天才』と、そう呼ばれる類の人間だった】
【――――メリッサの指示通りの操作を行えば、バチリと静電気じみた小さな痺れが手のひらに走るだろうか。それさえ終われば、この杖はもうコジマ専用になる】


ほォ、なかなか用意周到じゃねェかコジマちゃァん。
どうやら部下共もいい感じに使えるクズみてぇだし………羨ましいぐらいだぜ。
これでオマエは、巨人殺し≠ノ一歩近づいた。そしてオレは、鍵≠ノ一歩近づいた。ひひっ、いい取引だったぜェ?

……ああ、そうだ。最後にひとつ教えといてやるよ。こっからは一応、同じGIFT≠フ一員として話すがな。
その『光る水』はなァ――――『とある古代兵器』の断片だ。ひひっ、売ったら相当高値がつくと思うぜ?

【杖と引き替えに、マリオンはデータディスクを受け取るだろう。厳密には手が使えないのでメリッサが受け取ることになるのだが】
【……マリオンがメリッサへ目線をやれば、バチリと彼女の前髪に火花が散った。電気を操る能力者として、メリッサは電子機器への干渉が可能なのだ】
【流石に抜かりない――――メリッサを使ってディスクの中身を覗き、データの真偽を確認させたのである】
【中身が間違いなく本物なら、メリッサが驚愕の表情を浮かべるのがわかるだろう。遺跡内で見た奇妙な歌とその出所を、垣間見て】

【一方マリオンはというと、狂ったような歓喜と共にメリッサの表情を仰ぎ見れば、今度はコジマに向き直り】
【――――コジマが手に入れた『光る水』について。冗談混じりに勿体つけて、その正体を告げるだろうか】
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 21:28:31.32 ID:7ZMMlTaho
>>450

(目的はコイツか……!?機関が狙う程の人間……一体何を……)
(まあ都合はいい、虚を突くには丁度良い)

【病院を丸ごと眠らせて尚釣り合う程の価値】
【何を知り何を宿すのか、戦う彼女さえもそれを知らないようだった】
【だがこの状況は自分にとっては有利、利用しない理由はない】

ふう――――――――

【一呼吸、肩から腕そして掌やがて鋒へと意識を伸ばす】
【そうであるのが自然であるように刀身さえ自分の身体の一部であると意識する】
【迫る壁は、何の事はないナイフを頼りに壁に昇る事が出来るならば……この脚ならば問題はない】

【呼吸を止めて、刹那、駆ける】
【番えられた矢の如く初歩から最大の速度を以って】
【ガスの壁の絶対性を、越えた速さで振り切り―――――瞬き】

――――――っ!

【た、たん!とリズミカルに院の壁を蹴り上がり重力に逆らい天井へと脚を着く】
【くん、と曲げた膝を一気に弾いて加速。刀を振り上げ、そして双子の背中へと振り下ろす】
【着地の瞬間に脚を曲げ勢いを[ピーーー]、そうして機関員の獲物である彼女の傍らその近くへと跳び移動し敵へと向き直る】

【機関員程の相手、喩え虚を突いたとしても簡単には倒れてくれるかは分からない】
【最低限成すべきは彼らの狙いを妨げる事、そう判断し緊張を解く事なく瞳は鋭いままだった】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 21:32:36.96 ID:2R+PZQDDo
>>449

【――その場に居た全員が、そちらを見ることだろう。少年だけは横目で見るように、だが】
【しかし気を取られたのは確か。そして奇異な風貌に左だけの眼が細められた】
【彼の登場を喜んだわけではないらしい。ならば――何を考えているのか】


「うわっ、何か出てきたぞ!」
「おいおいマジかよ天狗みたいじゃん! 写メ撮ろうぜ!」
「バッカお前、んなこと言ってねぇでさっさと逃げねーと――」

「「「  うわあああああぁぁぁ――!!  」」」


【それよりもまず不良共だ。彼らは突然現れた天狗に完全に混乱し、逃走を図る】
【だが、彼らの背が突風に煽られたのは言うまでもない。ビタン!=Aそんな音が聞こえてきそうなほどに強く】
【不良達は壁に打ちつけられるのだろう】

【――風だけでは気絶するまでに至らなかったらしい彼らは、すぐに立ち上がろうとする】
【ふらふらだが、動くのに支障はないようだ。その隙に少年は逃げだそうと――】


【――しなかった】


【彼は言葉を発しようともせず不良達へと接近していくだろう。右手に携えるのは黒き大剣】
【無論殺意が宿っているのは言うまでもない。彼はそれを、躊躇いもなく振り上げるのだろう】
【そう、彼は被害者などではない。正義でもない。そんな彼に――舞い降りた天狗はどう動くのだろうか】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/22(日) 21:41:51.04 ID:xLooR6heo
>>451
「……ふんむ。……なるほど、いや、弱点は有ったほうが良いッス。
これくらいのほうが、私らしいっスよ。好きになれそうッス、この悪い物」

【弱点に対しての説明を聞いた上で、コジマはその弱点をどう活かすか――思考を巡らせる】
【弱点すら道具とする強かさ。それこそが、コジマ。姓を持たず、屑になりきれない屑のコジマの本性】
【あらゆるものが、コジマの武器となる。そう、弱みすらも、弱点すらも】

「……私、だけの力――スか。
そ、ッスね――。ありがとうって言わせてもらうっスよ、マリオンサマ、メリッササマ。
じゃ、ちょーっと失礼して」

【自分だけの力。その言葉に、少しだけ――少しだけ素の笑みが漏れる。それが恐らく、コジマの小物たる所以】
【受け取った杖にその操作を行い、アクティベートを終えた後、コジマは手元でそれらを手早く振り回す】
【腰にくくりつけておいた二振りの手斧の一つを引き抜き、コジマはその場で舞うように杖と斧を操っていく】
【その練度は決して低くない。GIFTの戦闘兵のまとめ役として、遜色のない実力を見せた上で】

「――よォッ」

【手元の斧を誰もいない方向に向けて、それを投擲――その中間地点に水が入り込む】
【斧の軌道が、粘性を帯びた水に触れることで変化、速度を変えて壁に深々とめり込んだ】
【手首のグローブがしゅるりと音を立てれば、壁に突き立った斧は宙を舞い、コジマの手の中に戻っていき】

「金に、ッスか――。まあ、金に関しちゃちょーっと副業が有るんでー。
この道具、大事に使わせてもらうっス。……ありがとうございますッス」

【深々とマリオンとメリッサに例を言った上で、コジマはその液体の正体を聞いて】
【口元に笑みを浮かべる。これが価値あるものならば、いつか取引の材料にもなりかねないだろうと】
【コジマの思考は有用性に飛躍し、そしてその有用性を認めてコジマは、にんまりと笑みを浮かべるのであった】

「……んじゃ、怪我も酷いみたいッスし、私はそろそろおいとまさせてもらうッス。
あ、ゼリー美味しいんで冷やして食べたら食欲なくても食べられると思うッスから。
じゃー仕事行ってきますッス、ちょーっと、試してみるからッスねー」

【ぺこりと頭を下げると、踵を返して、背中が消えていく】
【その動きに淀みはなく――、力を手中に収めたその背中には、幾ばくかの力強さが見て取れただろうか】
【下衆と屑の邂逅は、このような形で終わった。この邂逅はきっと、この世界を悪い方向に変えていくきっかけとなるのだろう――】

/*このような感じで良いですかね、お疲れ様でした!*/
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 21:52:35.73 ID:ZwxjzL6do
>>453
【その視線を受けてもものともしない天狗らしきもの】
【少年の様子に気づいているのかいないのか、だが注意は払いつつ】

まったく、言の葉を繰る力を持ちつつも枯葉にしてしまうとは本当にもったいない

【そして、吹き飛ばした後、天狗らしきものはそうやって呟いた】
【単純にいえば言葉遣いが悪いということなのだが……】
【壁に打ち付けられた不良たちに天狗らしきものは肩をすくめるだろうか】

っと、こっちは……

【そして、少年の方を振り返ろうとしたとき、自身とすれ違い不良へと近づく少年】
【その殺意を宿した刃を見たとき、天狗はカッカッカッと一枚歯の下駄を鳴らしつつ少年へと近づき、その右手に持つ鉄扇を閉じ、その剣を防ごうとするだろう】

おいおい、喧嘩両成敗って言葉、知らねぇのか?
今お前さんは手を出していなかったから巻き込まなかったが、な

【そういいつつ左手も自身の懐にそっと差し入れる】
【そしてまた、ふらふらとしている不良逃げたで蹴りを一つ入れてこういう】

おら、反省したら早く逃げな、死にたくないだろう?

【そんなことを言いつつ、ことの動静を見守るだろう】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 21:58:02.29 ID:ff2edOWHo
>>452

【──、青年の動きを目の端で捉えた少女は、その意図するところを感じ取る】
【二丁の拳銃、その銃口を両者≠ヨと向け、『足元』に発砲── !】


『…、…予備動作が大きいッ!! 軌道が読めるぞッ!! ラミスティリアの肖像≠フ如── 』

「──、アールウィンッ!! 後ろ≠セッ!!」


『あ── 


                   ン!?』   【 ──No.85=@の背に、刃が深々と刺さる】


【No.84≠ヘ咄嗟に『後方』の青年に気付き、「横」に逃げたが──、「後方」に逃げたNo.85≠ヘ違った】
【その背は縦に大きく切り裂かれ、鮮血が吹き出し、彼はその場に倒れ込む】
【『油断』が招いた敗北=B …、…No.84≠ヘ苦虫を噛み潰した様な顔で、その様を見下ろすと】


(「…、…アールウィンを連れて逃げ出すのは、無理≠セ。
 だが、戦っても『勝てん』。本来、俺達は暗殺≠ェ専門だ──、糞ッ。
 糞ッ。 ──、こうなっては、仕方ない。 『クロチアス賛歌』…、…『ラピス・シュトール』……、 
 佳き作品≠生み出すのは、『聖』なる生≠ナあり、死≠ヘ『ガルアチア古話』、カール=g桜田香雪  ” ──、」)


 「   ── ≪ La Belle au bois dormant=@≫ ッ!!」


【──放ったのは煙幕¢繧りの『催眠煙』】

【青年と少女の方に横に長く=A放たれるそれ──『突っ込む』事は困難か】
【少女は後方へステップして煙から逃れつつ、弾を数発放つが、当たらない】
【このままでは、彼を『取り逃がす』。 …、…是とするか非とするかは、青年次第だが──】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 22:11:53.45 ID:7WM+BX9so
>>454

【自分だけの力……それを得てほんの少し本心の笑顔を浮かべたコジマのお礼に対して、二人の反応は対照的なものであっただろう】
【小物というなら恐らくこの場で一番小物であるだろうメリッサは、自分の発明を喜んで貰えたことを確認して、ごく普通の少女のように頬を緩ませ】
【かたやマリオンは――――瞳の青を暗く沈ませ、コジマを見据えるのみだった。哀れむように、見下すように】
【……ただ、まだ受け取ったばかりの杖と水とをいきなり自らの戦法に組み込んで使用してみせる、その実力の高さに関しては二人とも同意見のようだ】
【メリッサはゴクリと生唾を飲んで、マリオンは表情を愉しげなものに戻して、コジマを黙って眺めているだろう】


………ひひ、まぁ断片とはいえ相当貴重なモンだ。せいぜい大事に使えよ?


【マリオンは意味ありげに笑う。『古代兵器』……それがどういうものかは分からないが。わざわざこの場面で話したのだ、男の探す鍵≠ニやらに無関係とは思えず】
【それに、思い返せばあの遺跡で出会った巨大な兵器。執拗なまでに、命懸けで何か≠守っていたようだったが――――】
【……鍵と、古代兵器。マリオンが何をしようとしているのかは不明のままだが、この外道の性格からして、ロクなことではないのは確かだった】


おう、あばよ。その力、せいぜいGIFTの為に生かすんだなァ。……ひひッ、はしゃぎすぎるなよ?
――――よし、オレたちも帰るぜ、メリッサ。

「は、はい。わかりました…………」


【どことなく意気揚々と去っていくコジマの背中に、マリオンは粘つくように口元を歪めて別れの言葉を吐き捨てた】
【……やがて、彼女が『仕事』の為にビルを出たのを確認すれば、メリッサに声をかけて車椅子を引かせるだろう】
【包帯だらけの体には狂った活気が満ち溢れ、瞳の青が混沌色に渦巻いて――――異変が起きたのはその直後だった】

【何もなかった場所から――――黒い人形、のようなものが四体、突如として姿を現す。『クグツ』と呼ばれる人型兵器だ】
【……物体に『光学迷彩』を掛ける自らの力で、密かに伏兵を待機させておく。この男の常套手段であった】
【『クグツ』はあくまで無機物なので気配等も感じられず、スリープモードにしておけば熱も駆動音も発さない。暗殺には打ってつけの策略だ】
【マリオンとてボロボロの状態で、無策にここまで来たわけではない。もしコジマが下手な動きを見せていれば……容赦なく機銃の引き金は引かれていたはずだ】


ひひッ、取るに足らねえ戦闘員風情かと思ったら、なかなか退屈しねェヤツだったぜ。
さぁ――――ククッ、いよいよ鍵≠ニご対面だァ!!


【四体の『クグツ』を連れ立って、外道が一人と少女が一人、どこぞへと立ち去っていく】
【下衆と屑との邂逅が、それぞれを野望の実現に一歩、近づけて。今宵、高らかな狂笑が、星空を悪意の色に満たしていった――――】


/お疲れさまでしたー!
458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 22:13:24.75 ID:2R+PZQDDo
>>455

【キィン――そんな音が響くことだろうか。この黒大剣は魔翌力の塊だが、ちゃんとした剣であるらしい】
【それはともかくとして、少年は振り下ろそうとした剣を止められ、不機嫌そうな顔を天狗へと向ける】


何するの? 手を出してきたのは向こうだし、僕は正当防衛をしようとしただけなんだけど
それって喧嘩になるのかな。……ならないよね。じゃあ邪魔しないでくれないかな
馬鹿には罰を与えなきゃいけないからね――


【少年はそう言うとまた不良達を斬りつけようとするのだが、先に天狗が動いてしまう】
【蹴りを入れられた不良達はさっさと逃げ出してしまうだろう。少年は――追うとはしなかった】


あーあ、行っちゃったじゃん。あいつらからお金取ろうと思ってたのにさ
どうしてくれるのかな天狗サマ。拝めば何かくれたりするの? しないけどさ


【代わりに、何てことしてくれたんだとでも言いたげなジト目が向けられるはずで】
【そして口を開けば憎たらしい言葉の限りが並べられるだろう】

【不機嫌な表情はそのままに、口の中の血を吐き出す。どうやら先程殴られた時に切ったらしい】
【右手の剣はそのままだ。下手を打てば彼に斬りかかられる事態もあり得る、かもしれない】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 22:26:23.45 ID:ZwxjzL6do
>>458
【その様子に、はぁ、と天狗はため息をつくだろうか】

法と道理は違うものだとなぜわからないか
それに殴られる、殴り返すなら我だって何も言わん
だがな、そう刃物を取り出せば周囲は殺人を犯そうとしていると見えるとなぜわからん

【人を傷つけることへの意識がどうも低い奴が多い、と小さく呟くのは天狗の口】
【それに法というのはなかなかに残酷だ】
【当事者間で済む問題でなくなればどうなる、あの不良が突如切りかかってきたと証言し、自身が殴ったのは正当防衛の為だと言われれば】
【……それはそれで厄介になるだろう、無罪を証明するのにも、少年は事実、被害を受けたとはいえ刃物を向けたのだから】

【そして不良たちが逃げ出したのを見て、天狗はカッと地面を蹴ると近くの壁のでっぱりの上に立つ】
【必然的に、天狗が見下ろすような形になって】

なんだ、金か?金が欲しかったのか
ならくれてやる、だからその剣は収めろ――人を傷つける対価と金は釣り合わん

【そういうと、懐から何かを取り出し地面に放るだろう】
【それは、金の延べ棒、純金らしいそれはずっしり重く、高いところから放り投げられたため地面の石畳が軽く割れた】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/22(日) 22:27:01.05 ID:4qtYQe090
【何時もならば、静寂が支配しているであろう森の一角――――】
【太陽も月光も刺さない其処。ゆらゆらと揺らめくのは人魂の様な炎で、ピンと立てた指先に其れを宿して森の中を歩くのは、少女と女性の丁度中間の年頃の女】
【黒いローブと、とんがり帽子。所謂、典型的な魔女の姿で】


「ほんっっと、何処に行ったんだろ
幾ら僕の主だからといって、好き勝手されたらたまったモンじゃないさ
隙があったらあの頭をポカッと一発…………」

【愚痴グチぐち――――】
【件の“主”が居ない事を良い事に、連ねる言葉は不満の数々】
【……けれども、その主に勝てないのは理解して居るのだろう。だからこそ漏れる溜息】
【無理だよなぁ――何て呟けば、夜空へと顔を上げて】

【――――視界を遮るのは、一羽のフクロウ。まるで女に問うかの様に、クイッと首を傾げれば】


「お前、僕の主が何処に行ったか知らないか?
――――……そうか。知らないなら、いい。…………役立たず
……にゃっ?!こ、コラ!小便を引っ掛けようとするなァ!!」

【女の言葉を解したのか、ホー。と一声返す程度だったけれど】
【ボソリと呟かれた言葉は、流石に癪に障ったのだろう。バサバサと飛び立てば、まるで蝉のようにみみっちい攻撃】

【――一方の女。まさかの不意打ちに驚けば、帽子の隙間からピンと猫の耳を立たせて】
【焦げ茶色で、癖のあるロングヘア。其れに掛からないようにと、慌てて帽子を深く被るけど】
【静かな森――――騒がしい声は、よく通った事だろう】






【未だ人混みで賑わう繁華街。酔っ払いやら呼び込みやらでこの時間にも関わらず喧噪が続いていて】
【其処を歩くのは一人の男だ。歳は二十代の後半で――――灰色の髪に、片目を覆うのは眼帯】
【革のジャッケットを羽織り、ラフな格好をしては居るけれど…………意外にも、その首に下げられたのは何処かの教会所属を示すネックレスだ】
【信じられない事に、この男も何処かの教徒らしく。――――横を過ぎる美女の尻を追いかける視線は、とてもそうとは思わせないのだが】


「おう、グリース。俺だよ俺。今から街で遊ばねェか――――あァ?仕事だァ?
ンだよ…………この俺が態々誘ってやったてのに…………男一人でブラブラしててもつまんねぇンだよ
あ、ワリィ。ちょいタンマ」

【水晶越しに話しながら歩いていれば、道を遮るのは何処にでも居る所謂チンピラ。異なる点を挙げるならば自警団にも負けない程に鍛え上げた自慢の肉体か】
【喧嘩を仕掛けて殴り倒した挙げ句、金目の物でも奪おうとしたのだろうが――――哀れ。5人全員が襲いかかったと言うのに、全ての物が数秒と掛からぬ内に殴り倒され】
【其れも顎等の顔面を殴ったのでは無く、筋層の厚い腹部や背中を一度殴っただけで悶絶させ行動不能にさせたのだからこの男の膂力も相当なモノなのだろう】


「――――じゃあお前が無理ならカログリアでもベタベタ触りながら街の中引き摺り回して――…………うぉぉッ?!
嘘だ、嘘だからそんなに怒るなって馬鹿!あー……耳いてェ。……おい?

…………ッチ。切りやがったなあの馬鹿
男一人でブラブラ出歩いてても詰まんねェんだよなぁ…………突っかかってくるのはさっきのアホみたいなのしか居ねェし
ああー。天にまします我等の父よ願わくば美女を俺に与えたまえってな。それ位してくれれりゃ幾らでも信仰してやんのに」

【倒れた者達に一瞥する事すら無く歩く姿に、一部始終を見ていた者達は皆ポカンとしていて】
【それだって、この男の存在を際立たせる一因となるかもしれないが――――】

【――――何はともあれ、異質だ。色々と】
【その身形でありながら信徒である事や、周りの目を一切気にしない所や…………或いは、自警団や警察に呼び止められても可笑しくない位には女性達に視線を向けていたりとか】
【女性が前を通れば同じ様に視線を向けるし、男が前を通ればあからさまに顔を顰める。どっちにしたって、分かり易い事に変わりは無く】
【先程の出来事もある故に周りは自然と避ける。だからこそ、誰も居ない三メートル程の空間も目立つのであって】
【この男に近寄る事は容易い。そして話し掛けてきたのが誰で有ろうと、其方へと視線は送られるはずで】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 22:30:35.10 ID:/vO9eja9o
/>>440を修正

幸せとは、一体どういった事を指すのだろう】
【普遍的な幸せって、誰もが羨むような人生って、何だろう】
【答えは簡単、「そんなものどこにもない」のである】
【幸せなんて人それぞれだ】
【周りから見ればものすごく幸運な人でも、本人は不幸だと思っているかもしれないし】
【その逆も然り、不幸な状況にあっても幸せだと感じる人もいる】

【そう、例えば宝くじで例えてみよう】
【宝くじの一等が当たって大金持ち、そりゃあ幸せだ】
【でも、それはハズレを経験するっていう「不幸」を先に味わっているのが前提】
【日常的に一等を当てている人が居るとすれば、それはその人にとって日常の、ほんの些細な出来事にしか過ぎないのだ】

【つまり、人は先に「不幸」を味わらないと「幸せ」だと認識出来ない、という事】
【そしてこれは、人は比較しなければ幸せなのかどうなのか分からない、という事なのだ】
【さらにこれは、「平等」なんて言葉など真には存在し得ない事を意味する】
【比べて比べられ、優劣を付けられ、迫害されたり優遇されたりする】
【全てに等しい価値観など、存在しない】

【そう、例えば僕の所属するレイリスフィード学園なんかもそう】
【能力者を疎み、迫害する】
【そこに平等なんて言葉はなく、能力者は周囲から恐れられ、孤立する】
【そうして心が荒み、不良となる者だって居る】
【まさに悪循環、善なる心を持った人間を、悪にまで叩き落とすのだ】

【………などと、適当な戯言を思考している、白く透き通った肌を持つ男とも女ともつかない中性的な少年は公園のベンチに座っていた】
【制服姿で、それは誰が見ても一瞬でレイリスフィード学園の生徒だと判別出来るだろう】
【先日は大変だった、まさかあんな荒事に巻き込まれるとは思いもしなかった】
【結果として体は五体満足、さらには学園の闇も知り、暇つぶしになったので良しとするべきか】

「……………」

【時刻は既に夕暮れ時】
【ぼんやりと夕日を眺めながら、先ほどの思考をしていた】
【ぶっちゃけてしまえば暇なのだ】
【別段、退屈が嫌いなわけではないが】

【周囲から見れば、ボーっと夕日を眺めているように見えるだろう】
【さて、そんな彼に興味を示す者は居るのか…?】
/どなたでも絡んでくださいな
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 22:49:11.33 ID:7ZMMlTaho
>>456

仕損じた……っ!

【手応えはひとつ、足りない】
【ならば再度と構えるが敵もただ戦うだけではない】

――――――煙幕、仲間を置いて逃げるか

【追うか、追わざるかの2つに1つ】
【再びの煙幕はその選択の時間を与えないようじりじりと迫る】
【彼らの目的は彼女、であるならばこちらが主命とすべきは彼女の生命を護る事】

(……深追いは禁物か、あの能力なら引きながらの戦いにも応用が利く)

【後方へ下がり煙をやり過ごす】
【刀を1つ握り消し、煙が晴れる時を待つ】
【そして視界がクリアになれば自身が切り伏せた相手へとその足を向ける】
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/06/22(日) 23:00:20.17 ID:2R+PZQDDo
>>459


――それの何が悪いの?


【悪びれもせずに、少年は言い放った】
【まるで人を傷つけることが、許されるべき当然の行為であるとでも言うように】


周囲って何さ。そんなものクソ食らえだ
それにその辺をへらへら歩いてるやつらだってホントは思ってるんだ
あいつは嫌いだ、あいつは居なくなれ、あいつが苦しめばいいのに――ってね

みんなそんななんだ。縛り付けても中身は汚いんだよ。ドロドロさ


【彼には法や道理など関係が無いのだろう】
【例え警察に追われたとしても知ったことではない、そんな言い草だった】

【次から次へと口から出る汚い言葉――話を飛躍させてまでするそれは異常とも呼べるだろうか】
【だが否定の裏には真意が隠れているものだ。つまり彼が言いたいのは――】
【人は須らく汚く傷つけられても文句は言えない……そういうこと、なのだろう】

【重い音を響かせて地面に転がる金の延べ棒。彼はそれに一瞥くれて、拾い上げ――】
【それを思いきりどこかへと放り投げた】


偉そうに……ムカツクなあ。それで恵んでるつもりなのかな
そんなんじゃ僕の気は済まないんだよ。お金なんて二の次なんだからさ
僕はああいう奴らが大っ嫌いなんだ。だから斬るし、痛めつけるし――殺す

わかったかな。剣は収めないよ、いつ何があるかわからないし、ね


【ガシャン、と延べ棒が近くの窓を突き破る】
【人から奪おうとするくせに与えられれば撥ね退けるなんて、酷く歪んでいた】
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 23:01:30.53 ID:CLsxBf45o
>>461

―――……ふふんふふん、オラは死んじまっただぁ〜……オラァは死んじまっただぁ〜……♪
オラは死んじまっただぁ〜……オラは死んじまっただぁ〜♪っと……あー、久々の人里の空気超うめぇ


【ドサッ、と突然何の前触れもなくその少年の横の席に乱暴に腰掛けた人物がいる】
【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織った、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた人物】

【顔はよく見えないが体格と低い声色から男性なのは把握できるが、口元に笑みを浮かべており、妙に機嫌がよさそうだ】

【その人物は首から下げていた一眼レフのカメラを何の気もなく左手で掴んで人差し指でトントン、と叩きながら少年の方を向き】


おう、そこの……ガクセー服のお前さん、ちょっといいか?
お前さん今最近の新聞持ってねーか?なければ最近話題になってるニュースを口頭で、でも構わねぇが
取りかかってたお仕事が一段落したから久々に表を出歩いてるんだが、そういや最近近況を確認してなかったのを思い出してな

タダとは言わねえ、さっきそこの八百屋で買ってきたリンゴを分けてやる、青りんごはやらねえがな。赤い奴だけだぞ


【その右手に掴んだ茶色の紙袋を少年の方向に差し出して、その中身を見せながらそんな事を質問してくる】
【彼が差し出してくる紙袋には確かに熟してない小さ目の青色からすくにでもかぶりついて問題なさそうな大きな赤色まで揃ったリンゴ】
【それを交換条件として差し出して、彼は何か質問をしてくる……これと言って大した意図は感じない、たまたま目に付いた少年に声をかけただけらしい】


/まだいらっしゃいますかー?
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 23:02:44.04 ID:ff2edOWHo
>>462

【──煙が晴れる頃には、No.84≠フ姿は消え、No.85≠フみがその場に倒れ伏している】
【気絶は傷口からモロに煙幕が入ったためだろうか、『同種能力者』と言えども耐えられなかったのだろう】

【一先ず、危機は去ったと考えていいのだろう】


…、…そいつは、軍か警察に突き出して。
きっと、貴方に『報奨金』が出る。


【──No.85≠ノ近寄った彼に、少女はそう告げる】
【『憔悴』した様子だ。…、…それは恐らく、肉体的な疲労のせいだけではないのだろう】
【「なんで私を」──、と、先ほど、彼女が叫んでいた事から、その理由は押して図るべし、か】
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 23:15:31.96 ID:/vO9eja9o
>>464
/居ますよ!お返ししますね
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/22(日) 23:23:06.48 ID:ZwxjzL6do
>>463
気付かぬことほど悲しきことはないのだな

【ひとしきり言い終わった少年に天狗が向けるのは憐れみの言葉】
【反論せず、肯定もせず、理論を突き放した言葉】
【人に向ける言葉として、もっとも侮辱的な言葉】

もう何も言わなくていい、自身の考えで"そこ"に立っているのなら我は何も言わん

【諦観、呆れ、それを練り固めた言葉】
【そして溜息、もうまともに取り合っている様子はない】
【どこか川の流れでも眺めているような、そんな目で少年を見下ろしている】

金で刃が収まるのなら安いものはないだろう?
おうおう、むかつくならむかつけ、我にキサマの感情を縛る力はない

【放り投げられる金の延べ棒に一切目もくれず、少年に小馬鹿にしたような声を投げかける】
【その表情は一貫してつまらなさそう、としかいいようがない】
【怒りもなく悲しみもなく、無表情というのでもない、ただただ退屈】

嫌いになるのも別にいい、痛めつけるも斬るも別にいい――ただ殺すという言葉だけは口にしないほうがいい

【少年のもののいいように天狗は一瞬だけ真面目に返した】
【それが何の意図を持っている言葉なのか、この少年にはわからないことだろう】

さぁな?我は剣を持っていないからわからんな

【見て分からないか?と言い放つ天狗】
【手に持っているのは鉄扇だけで、最悪人を殺すかもしれない護身具のみ】
【剣のように、殺すために生み出された道具はもっていない】

ま、用心するに越したことはない、剣を収めずにいる、それを我は批判はしない

【ただ……、そういってくつくつと笑う天狗は、どこの天狗よりも厄介なものに見えた】
【力そのものはさほど強くなさそうなのに、なのに非常に厄介である】
468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 23:30:54.24 ID:7ZMMlTaho
>>465

85番……

【気を失っているNo.85のコートを見やり呟く】
【番号付き、その彼らが狙う彼女……その意味とは】

報奨金か、そりゃ剛気な話だけど……
そっちはそっちでコイツに聞くべきこともあるんじゃないのか
突き出しちまったら会話さえ難しくなるし今だからこそ出来る事もある

【ズボンのベルトを引き抜いてNo.85の腕を背中で縛る】

ああ、でも死なれたら拙いし……最低限の止血くらいはしてやるか

【後は適当に、病院であるからには止血キットもあるだろう】
【圧迫止血をした後再度包帯で包む、軽い治療に留まるが話さえ出来れば十分】

何も謎のままにしておく事はない、だろ?疲れてる所悪いけどな
それにオレもコイツに聞きたい事がある……さっきの女の声、知ってるなら吐かせるぜ

【柄尻を構えながら少女を見つめる、一応の確認】
【色々の理由を原因を明らかにするには当事者に尋ねるのが一番だ】
【彼女が頷いたならば首元にでも柄尻は振り下ろされNo.85を目覚めさせる】
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 23:43:59.21 ID:ff2edOWHo
>>468


あっ…、…──そう、ね。
ごめん。 少し、混乱してるみたい。 …、…そうしましょう。

【──『尋問』と言うところまで思いが至らなかった、というのは、混乱のせいもあるが】
【この点に関しては、恐らく青年の方が経験豊富、と云う訳だろう】
【柄尻を振り落とせば──、彼は、目を覚ます】


『…、… げほ 、ッ!! ──、 嗚呼 、なる、ほど 。』


【「そういう事か」、と、No.85≠ヘ現状を把握したらしい】
【吐き捨てるように芸術家と、その作品であろう絵の名前をつぶやく──、似た場面が有るのか】


『──、どう、した。 早く殺せ。 ……負け=Aだ。
 “貴様”に「辿り着けなかった」のは不本意だが、 ──、死ぬには、悪い日では、ない。』


【皮肉げな笑みを浮かべ、No.85≠ヘ下を向き、笑い声を上げる】
【──、口にする内容は抽象的で、判然としない。もう少し深く尋ねれば別かも知れないが】
470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/22(日) 23:52:43.97 ID:/vO9eja9o
>>464
【……………あれっ】
【隣から、歌声が聞こえる】
【ふと横を見ているといつの間にか、何の前触れもなく男が座っていた】
【見た目は…………はっきり言ってかなりチャラいというか、不審人物というか】
【その手にはカメラを持っており、そして驚く間もなく、その人は僕の方に話しかけてきた】

はぁ、ニュース、ですか………

【ん、そういえば僕はとんでもないスクープ情報を持っているではないか】
【とびっきりの、非公開で秘匿されている情報が】
【リンゴは好きだ、だから教えるメリットはあるし、教えないデメリットはない】

………ありますよ、とびっきりのスクープが

【僕はニヤリと口角を上げる】
【そして話すだろう、僕が水の国の研究施設で起こった事】
【そこを防衛した事、誰がどんな事をしたか】
【そして最も重要な、あの白い粉末の事】
【何もかも、包み隠さずに】
【嘘偽りなく、ただありのままの真実を淡々と話すだろう】
/遅れて申し訳ない…
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/22(日) 23:55:03.18 ID:2R+PZQDDo
>>467

【憐れみ、諦観、呆れ――そのどれを向けられても、少年は嘲るような笑みを浮かべるだけだ】
【天狗が言っていることの正しさも理解しないまま、それを全て無視するのだろう】
【ただひとつだけ返した言葉は――】


……感情でしか収まらない刃もあるけどね


【やはり、生意気だった。いっそ不遜とでも言うべきか。決して天狗を肯定しようとはしなかった】
【見た目相応の――反抗期の子供のような、そんな捻くれ方だった】


へえ、何でかな。君って天狗サマなんでしょ
人の理から外れてるんだから何したって構わないし、僕らが何したって関係無いよね
なのにさっきから悟ったような口利いちゃってさ。馬鹿みたいだ


【偏見もいいところだ。それにこの返答は、天狗にとって侮辱にあたるかもしれない】
【真面目に返した――何かしらの意図を持った言葉を、少年は馬鹿にしたのだから】
【もっとも、少年がこう返答するのも当然か。彼はやはり、天狗の意図を理解できていなかった】


……ふん、まあいいや、じゃあ僕はもう行くから。バイバイ、天狗サマ


【天狗の返答を聞いた後だろうか――彼はそう言って立ち去ろうとする】
【去ってゆくその背中は、やけに小さく見えることだろう――】


/ちょっと強引ですが明日も早いのでこの辺りで〆ます
/お疲れ様でした!
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/22(日) 23:59:39.47 ID:7ZMMlTaho
>>469

理解が早くて助かるぜ、機関員

【ケタケタと浮かべる笑み、されど内に抱える物はそれとは正反対の物】
【手にしている刀こそがその証、未だ血に濡れている鋒はそれだけで意味がある】

殺しても別にいいけどさどうせ最期なんだから話す事は全部吐いちまえよ
墓場まで持っていくなんて今日日流行らないぜ、それに立つ鳥跡を濁さず……だ。
散々他人に迷惑を掛けてきたんだし今くらいは役に立っても良いよな?

【刃の先をそっと彼の腿へと突き立てる、まだ切り裂きはしない】
【ただ刀の重さを皮膚越しに感じる程度の恣意行為に過ぎない】
【それを経て、質問は続く……】

先ずお前の名前と逃げたヤツの名前

【瞳と瞳を突き合わせてゆっくりと言葉を連ねる】
【感情を視る赤の瞳に嘘の類は通用しない、最も所詮感覚の話であって絶対とは言い難いが】
【それでも感情の機微さえ分かったならばその真偽を問いただす事は出来る】

それに、アイツを狙った理由だ……無いとは言わせないぜ
お前達の行動には意味があった、ただ暴れたいだけならここまで手の込んだ事はしない
言え、アイツに何がある……目的は何だ……

【今回の件の原因があるならばかの少女に他ならない】
【言葉の中で少女に目を合わせつつ、再びNo.85を見つめる】
【刀は何も言わないが刃先の質感は変わらずそこに在り続ける、答えなければ刃に加重し……ゆっくりと進む】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 00:01:37.64 ID:bEdY6yvKo
【夜・とある森の湖畔】

…――拝啓、曾々御祖母様へ。最後にお会いしてから3年も経ちましたが
 今もご創建で居らっしゃいますか。この手紙はちゃんと届いたでしょうか?
 一族の中でも一等長生きな御祖母様のことが近頃懐かしく…――

【――それは音読、だろうか。何か文章を読み上げるような声が周囲に響いていた】
【虫の鳴き声や枝葉の囁きを潜って音源を探せば、一人の獣人が見つかるだろう】

【森のなかに佇む湖、その端に腰掛けて居るのは銀色の毛並みをした女の狼人間だ】
【といって姿はほぼ人と変わりない。狼の耳と、やたら長い尻尾があるなんてくらいで】
【薄衣を纏ったその手元には一枚の手紙。どうやらそれを読んでいるらしかった】

――そういうわけで、今度僕も櫻を出て世界を見たく思います…=c…。

……はぁー…玄孫ともなるとほぼ他人じゃろうに、まこと良い子だのう…。
今年でいくつになるのじゃったか……13歳?いや。6歳か……どうだったかのう…――。

【ところで――彼女の背後、森の茂み。其処には三人の男たちが身を潜めていた】
【手には猟銃。漁師ではないのだろうが、ギラギラとした目を見るに密猟者か奴隷商だろうか】
【狙う相手は他に居ない。もしも誰かが森から湖にくれば、この光景を目の当たりにすることになるだろう】
474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/23(月) 00:12:27.85 ID:9Uc4F0xEo
>>471
何も言わなくていいといったのにな

【ただ退屈そうに答える天狗】
【なんというべきだろうか、この天狗はどこか理論だった思考を求めるきらいがある】
【それ故に言葉の通じない存在――たとえば捻くれた子供とか、そういったものを苦手とする筋がある】
【それを放棄と取るか、あきらめと取るかは、自由だろうか】

一応天狗だな
そうだな、関係ないといえば関係ないかもしれない、しかしその関係性を簡単に断ち切ることは果たしていいことか?
馬鹿と言われて怒ると思ったか?残念、我は馬鹿だからな、こんな話の通じないガキに付き合っている

【言っていることはまじめそうだが、その退屈そうな表情のせいでまったく説得力がない】
【棒読みもいいところである】
【どちらにせよ、天狗の言葉がこの少年に通じている、なんて天狗は一切思っていなかった】
【そういう意味では、こっちの偏見の方がまたひどい話であるのかもしれない】

……いずれ己の向けた刃の切っ先をその背に受けることを

【背中を向けて去って行った少年の背を眺めつつ、天狗は一言つぶやく】
【瞬間、風が吹いたと思えば天狗の姿は跡形もなく消えたという】
【……去り際の言葉の真意を知るものは、今この路地裏にはいない】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/23(月) 00:13:45.26 ID:9Uc4F0xEo
>>471
//入れ忘れ……失礼
//というわけでお疲れ様でしたー
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 00:19:56.70 ID:KQrDEQI00
>>473

【ぱきりと枯れた枝の弾ける音がした、か細い足で踏まれたことを推測させるほどに軽い音色は、けれど、静かな中によく響き】
【誰かがそこに居るらしいと知らせるには十分過ぎるほど。野犬かと思わせるほどに小さい足音ではあったが、やがてがさりと】
【草をかきわけ(足にでも絡まったのか思い切り蹴り上げるような豪勢な音がしたのは、余談といえただろう)、あらわす姿は】
【おぼろげな月明かりの中に影を延ばしてくる、すらっとした高さは、やっぱり人間のそれ、ひょっこりとその姿を見せた】

…………あ、っ――。

【ぱちくり、と瞬いた瞳はまず人影に驚いたものだったろう。それが、頭の耳に、お尻の尻尾に、気付くと余計に驚いた色になり】
【ちょんと口元に手を添えるようにして黙り込んだ間が数秒ほど。でも、叫ぶでなければ恐れて逃げるでもない、耐性があって】
【まるで蛇とよく似た瞳がぱちぱちと何度も瞬くだけの時間が過ぎたあとにようやく動くのだろう、もう一度、ざくりと地面を踏みつけ】

こんばんは――……。

【深い夜中の森であるのを思えば少しだけ違和感とも見えるあどけない笑み、浮かべれば、真っ白の肌にそれはよく映え】
【こっくりと首を傾げてみた仕草で髪が揺れた、――現れたのは幼さの多少残る少女だった、スカートをひらりと翻し】
【警戒させないためか、両手を見える位置に置いたまま。少し離れた距離で、立ち止まる――そのはずだった】

【漆黒色の髪はお姉さんぶったハーフアップに纏められる、三つ編みで結わえた黒髪は、月の明かりにようく艶めいて】
【黒色と赤色の瞳もまたきらきらとしていた。たっぷりと大きなまなこが、蛇めいて、けれど暖かな温度で、そこにあって】
【袖と胸元の一部が透ける素材で作られたワンピース。裾なんて透ける布と、透けない布を重ねた、ぎりぎりに攻めるデザインで】
【ひらっと見えた太ももは高い位置にまで靴下を持ち上げて。ガーターベルトで留めている、その金具が微かに見えた気がした】
【――ちなみに靴はヒールの低めなサンダルであって。けれど、森の中を散策するに相応しい靴であったかは、……お察し】

あ…………、

【そうして小首を傾げていた彼女の視線がついと動く、それはきっと偶然にも明確に彼女の後ろに潜む、男たちを見出していて】
【僅かに表情が強張りと驚きに支配される、ぎらぎらとした目は。――ひとりなら逃げ出したくなるぐらいの、色だったから】

…………――あの……、……あの、えっと、わたし、道に迷っちゃって。……だから、……その、あの、よかったら、

……街まで案内、して、ほしいなって……。

【――そこからの行動は簡単だった。気付いてないならそのままでもいいから、どこかに行こうと誘うもの、言葉を詰まらせて】
【それで刺激しやしないかと気にしていた。でも、このまま置いておくよりはいいはずなんだと、きっと、自分に言い聞かせ】
【迷ってしまったのだと言う。鼻歌交じりで歩いていたのはどこの誰だったかって、まさに少女そのものだったから、まるで嘘なのだけれど】
【こんな夜更けに迷ってしまったかわいそうな少女。それを演じた彼女は、ただ、それらしい安堵も浮かべずに、その言葉を紡いだのだった】

【(言葉の色合いがそこで変わったのは明確だった。嘘を吐いたのだって或いはすぐに気付ける、ならどうして吐いたのか)】
【(女性が後ろに潜む男たちに気付いていなかったなら、明らかに怪しい存在でしかない。だって、こんな森の中で)】
【(――でも。そのまま言うことを聞いてとでも懇願するよな瞳は、悪い感情から来るものでなかった。それだけが、確かで)】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/23(月) 00:30:20.96 ID:04gepiNGo
/すいません、もう落ちるので凍結お願いします
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 00:30:38.82 ID:elaGo1nBo
>>470

【どうもこちらの突然の登場に戸惑っていることはうかがえた】
【なので彼は左手をカメラから離してヒラヒラ手を振りながら言葉を続ける】


そ、見知った顔と予想だにしないタイミングでエンカウント!……しちまった時色々最近の事情知らねーじゃ
カッコつかねーだろ?なんだっていいぜ、未だに現役でバリバリ暴れまわってると耳にするカノッサ機関の近況とか
最近幅きかせてるっつー噂の正義組織とか……

この間何たらトリガーのコマーシャルとかは何度か見たから……なんだっけ?ヴァイオレットだっけ、軍とか警察の公認組織って


【多分UNITED TRIGGERとSCARLETの話をしているのだろうが名称うろ覚えの時点で大して情報頭に入ってないのがうかがえる……】

【ともあれ、水の国の一件―――GIFTの一件についてこの間起こった一部始終をその男は耳にする】
【GIFT、レイリスフォード学園、『鍵』、そして無能力者派の人間が作り出していたと言うヒュドラという薬について】
【ふん、ふん、と時折頷いて一部始終をメモし終えたならば、しばらくして男は自分の感じたままの私見を口にするだろう】


……GIFT、ねぇ、いつの時代にもいるのかねぇ……その手の異能持ちってレアリティを笠に着て偉ぶりたがるレイシスト野郎って……まあいいや
で、違法薬物ヒュドラ、か……?D.R.U.G.S.≠ニかマフィア連中が一時期好んで売りさばいてたっつー話くらいは聞いたことあったっけか?

しっかし悪い事考えるのは何も『持つ者』だけに限らねぇって訳だ、むしろその劣等感や屈辱をバネにしてどデケェ事をやらかしたがる
輩もまた存在する……オレとしては後者派だが、しっかしなぁ……?やり口が陰湿っつーか、器の小ささが滲み出てるっつーか……
贅沢言っちゃおしまいだが、……もーちょい『デカさ』と『ロマン』に溢れた高鳴らせるような手段なかったのかねぇ?


【かくん、と首を傾げて、妙に頷きにくい彼のこだわりというか好みに関する事への返事を求めて来る】
【その発言だけでもう十二分に贅沢を求めているのではなかろうか?という点をツッコミを入れるのは自由ではあるが】
【いずれにせよ彼は話をしてくれた少年に対して改めて紙袋の口を向けながら】


ともあれ、お話してくれて感謝するぜ。もう何人かを回ってみるつもりでいるが、まずは一人……そこそこ興味深い話を聞かせてもらった
つーかレイリスフォードの学生なのはわかったが……そんな暴れるの大好き系な連中とよく渡り合えたな?腕が立つクチか?


【そうは見えねーけど、と余計な事まで口にしながら彼もリンゴの袋に手を伸ばし、ムシャムシャと食べ始めるだろう】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/23(月) 00:30:58.93 ID:04gepiNGo
/ID変わってた…
/自分は渚です、絡んでくださった方、お願いします
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/23(月) 00:31:31.82 ID:04gepiNGo
/と、思ってたら返信来てた!
/お返ししときますね
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/23(月) 00:31:33.07 ID:SiwSTSUKo
>>472

『…、…切り裂いても、無駄だ。 ──麻酔≠掛けられるからな。
 そんな事をしなくても…、…ゲホッ! ……はァ、── 』

【──言っていることに、偽りはない】
【これから、彼が話すことは全て、『真実』と考えて間違いは無いだろう】

『……俺は、アールウィン・シャムウィクティ=B
 逃げたのは、兄のラーク・シャムウィクティ=B素性は…、…見ての、通りだ。』

【そこまで答えると、続く青年の質問を、下を向いて聞く──、と】
【その表情が、信じられない=Aという物に豹変し、少女の方を向いて ──、】


『──、まさか、お前。 …、…しらばっくれている=Aのか?
 それとも、知らない>氛氈Aなら、…、…糞ッ!! “ホメロスの階段”、かッ!!』


…、…貴方、一体何を──。


『…、…なら、ロロケルム・ランガスター≠ェ“手放した”のは──、“気付いていなかった”?
 何処からだ? ティムール・ロマノフ≠ェヘマを踏んで、奴に…、…奪わせた=Aのか!?
 ──、なら、俺達は── ッ!! 』


【──、そこまで彼が話した所で、少女は手にした銃を振りかぶり、銃身で頬を打つ】
【短く、どれでいて、殺気の篭った眼で、一言。 「分かるように話せ。」、と告げ ── 】


『……、クックック──、ハッハッハ!!
 いいさ、教えて≠竄驕B いいか、よく聞け──、


           お前は──  』  【  バン<b!!!  】


【──瞬間、彼の頭を『弾丸』が通り抜ける】
【だらり、とその場に崩れ落ち──、『弾丸』が来た方向は、外>氛氈Aだが、『人』を確認できない】
【おそらくは、長距離射撃=B 『誰か』が、此処を監視し、余計なこと≠言おうとした彼を、射殺した──。】


…、…私は、何だって言うのよ。


 私≠ヘッ!! 何だって言うのよッ!! 話せッ!!!

話せ、──話せ話せ話せ話せ話せぇぇぇぇえええぇぇぇぇーーーーーーーッ!!!!


【──、返り血を浴びた少女は、既に物言わぬ死体と化したアールウィンの顔を掴み】
【その拳で、何度も殴りつける。 ──、暫くすれば、冷静≠ノはなるだろうが】
【気を失わせた方がいいかも知れない。 …、…どちらにせよ、アールウィンから離れたならば】
【彼女はその目に涙を浮かべながら、その場に倒れ込むだろう──。】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 00:32:59.07 ID:bEdY6yvKo
>>476

【枝の折れる音。それが獣なんかのものだったなら、きっと男たちも銃を向け】
【獣人の女性を脅しながらも、勢い任せに行動に出ていただろう】

【――しかし、彼らの目は少女の身なりに向けられていた】
【着飾った姿は風景とはちぐはぐだが、とても貧民という風には見えず】
【同時にただのお洒落でもない、何処かこう――富める者のように思えたのだ】

【しかし、ここからが話の妙≠ナある。彼らは猟銃を持っているのに】
【今のいままで獣人を脅さず機を伺っていた。つまり、正面から戦えば弱いらしく】
【幸いにして自分たちの事が話の中心――つまり獣人にバレて居ないのを知れば】
【忌々しそうに少女を睨むが、あくまでも其れだけ。恐ろしいことは、してこなくて】


……―――う、む?おぉ、こんな夜更けに迷子とはのう
それは、うむ。イカンのう……よしよし、儂がしっかりと街まで送って行ってやるからの。


【と、当の獣人は呑気なものだった。状況を把握している少女からすれば】
【宛ら薄氷を渡るような気分の時間だろうか――数秒、数十秒。】

【しかし男たちはぎり、と歯を噛み締めたまま出てこない。獣人の方も、気付いている風はない】
【とすれば少女が取るべきは、女性の差し出した手を取って】
【『名前は?』だの『儂は長尾銀狼といって』だのといったお話に、自然に答えてみせる事だろうか】
【上手くすれば、ひとまず彼らと距離は話せるし――湖も見えなくなれば、一息つけるかも知れなかった】
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 00:33:52.63 ID:elaGo1nBo
>>480
/おまたせいたしました
/どうも私も文章書くのが遅くて我ながらお恥ずかしい限りです……
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/23(月) 00:47:39.24 ID:04gepiNGo
>>478
【知るか、と僕は顔で主張する】
【そんな組織に詳しいわけではない、なりたくもない】
【ともかく、僕はそこら辺の情報に疎い】
【だからそんな事を言われても僕の頭の中では疑問符が3つ程浮かび上がるだけである】

【それで、男の私見を聞くわけだが僕としてはどの組織がどう、こうなどに興味はない】
【まあ、この男の言っている事には同感、ごもっともである】
【マフィア連中がどうだのなんて話は置いといて、奴らが器の小さい集団であるのは確実で】

「奴らは、人は殺すけどいざ自分が殺されそうになったら泣き喚いて命乞いでもするような連中なんでしょう」
「殺される覚悟がない」
「そんな甘ったれた、クズ集団です」
「僕だったら、命乞いをされても殺しますけどね」

【自分の私見を高説する】
【もう僕の中では、あいつらの評価は決まったのだ】

「いや、まあどうでも良いんですけど」
「何をしようが勝手ですけど」
「僕が許せないのは、人殺しだけなので」

【ロマンだのデカイだの、どうでも良い】
【何かをするたびにそいつらを止める連中だって現れてくるのだから】
【人殺しだけ許さない、そんなどこかズレた価値観】

「いや、心強い仲間が二人も居たので」
「僕は何もしてませんよ」
「強いて言うならば、生徒会長に色々言って精神攻撃したくらいですかね」

【自分が強いなどと、そんな自惚れをするつもりはない】
【全ては戯言、まやかしの言葉によって形成され、そして僕の剣に集約される】
【相手の心理の隙をつき、そこから毒牙にかけるように追い詰める】
【ただ、それだけの事】

/すいません、今日は凍結でお願いします…
485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 00:51:17.03 ID:KQrDEQI00
>>482

【そうして嘯いて見せた少女は気の太い方じゃない、それどころか、針の穴相手に数十分掛けたっていいぐらいの性格】
【あんまり強いほうじゃないのだった、だから、ひやっひやとして堪らない、気付かなければ良かったのにと思うぐらいに】
【――でも、気付いてしまったなら、無視してサヨウナラなんてするタイプでもないのだった。それだけは、確かなことだから】

【忌々しげに睨まれてもあっかんべなんてする余裕もない、つんと気付かないふりをしてみせて、何にもなかったふりをするだけ】
【そう、本当にただの迷子みたいに振舞ってみせる。散弾銃相手に勝てるなんて思わなかった、それなら、このまま終わりますように】
【ばっちり見つめてしまった間があったので男たちにはきっとばれているのだけれど。でも、それで終わるなら――良かった】

……よかった、このまま帰れないかもって思ったの……、……ふくろうが鳴いてるし、鵺みたいな……変な声、するし、

【ふにゃと零れた安堵の笑みは。男たちが襲ってこなかったことへのものなのだろう、けれど、いかにもひとに会えて安堵したように見え】
【胸元のリボンを不安げに弄る仕草なんていじらしい。ちなみに鵺――と表現したのは、その正体が分からないままだったから】
【動物の鳴き声と風の音とごっちゃらにしてしまえば何が誰だかなんて分からない。森の傍に住んでいるが、こことはあまりに違うもの】

わたし、……わたし、りんね。鈴音・シュトラウス。ぎんろうって……、銀の、狼?
……すごい立派な尻尾、狼さんなの? ……赤いケープ着てれば良かったね、そしたら、おもしろかったよ――。

【森の傍に住むようになってから森を散策するのが趣味になったとは余談。いろんな草とか、生き物とか、木々にも触れて】
【ひとは好きだがたまに思いっきり離れてみるのもいいものだと思うようになったのだった。自然の中に解き放たれて、ただ好きにして】
【――差し出された手は一瞬の戸惑いのあとに取った。触れた手はしっとりと柔らかで、きちんと手入れされているのが窺え】
【名乗る名前はどこかちぐはぐな――異国の響きの混じったものだ、そうでなければ、同郷のようにも思えたのだけれど】

【冗談めかして口に出した言葉。だとしたら後ろに潜む彼らは――いや、彼らこそ、本当の狼のような振る舞いだから】
【狼尻尾の生えた赤ずきんと、それに声を掛けた少女めいた狩人と。本筋からは逸れてしまうけど、誰も傷つかない、そんな道のはず】

【(でも声がほんのりと上擦っていたのは余談だろう。いまいちヒーロー感というものがない、そんな、平和な余談)】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 00:58:45.45 ID:3U04RFnjo
>>481

(兄弟か、そういや別の兄弟機関員なんてのもいたっけか……)

【少しは渋るかと思いきや意外にも饒舌】
【まあこれはこれで構わない、情報を与えてくれるならば重畳】
【頷きつつ聞くことに徹して】

しらばっくれる……?一体……

【怒号に似たアールウィンの叫びはただ困惑を与えるだけ】
【少女に対してもそうであるらしく、だがその言葉の中には策謀を感じさせる物があった】

「ロロケルム」「ティムール」……奪わせる……?

【情報は極めて断片的だった】
【というよりも全ての事柄の根本が分からぬまま枝葉のみを知らされているよう】
【当てはめるにしてもピースが足らず土台もない】

苛立つのは理解るが少し落ち着けよお嬢さ――――――――!?

【それでも核心へと近づいた、筈だった】
【たった一発の銃弾で答えは閉ざされた、射撃方向を睨みつける】
【紫白の瞳は異物、宿す力は数多なれど扱える物は少ない、「遠視」を用い先にいるだろう者の姿を探る】
【だが、見つけたとてどれだけの距離があるか、追いつけはしないだろう】

ち、……掌の上か……
声の事も聞きそびれちまった……、おい……おい!落ち着け!
こっちも記憶を失ってる身だ、自分の来歴が分からない不安も理解るけどな死体は死体だ誰も傷つける権利はない

【少女の拳を掌で受け止め抑える】
【浮かべる軽蔑の視線を隠すこともしない】
【死んでしまえばそれまで、だからこそ尊い物もある……それさえも皮肉であるが】

【彼女が落ち着いたならこちらも掌を離し】
【息絶えた死体を一瞥し離れる、もう彼に意志はない】

ひとまず深呼吸でもして落ち着けろ、立てそうもないなら無理はするな
病室くらいなら連れて行ってやる……後の身の振りは自分で考えろ
ああ、そうだ身元を保証してくれる人間はいるか?……こんな事件が起きたんだ、多分ここには長くは居られないぞ

【銀の刀を収めつつ、涙を浮かべる少女を見下ろす】
【辛辣な言葉、だが身の振りを考えなければいけないのは事実】
【逃れようのない事ならば戦うしかない、取り出したハンカチを差し出す彼の表情はやはり厳しく】
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 01:05:05.83 ID:bEdY6yvKo
>>485

ふむ……?……ま、何じゃ。鵺とはお主、難しい言葉を知っておるのう
儂もあれの姿を見たことは無いが、話には聞く。
……鵺というのはどう鳴くのかのう?儂には、ふくろう以外はとんと聞こえなんだが

【――なんて答えを聞けば分かるように、狼のほうがよっぽど呑気だった】
【もう、何とか無事なところだから良いけれども。けれども――あんまりだ】

【ただもしかしたら、昔の大会≠フ事を知っていれば、少し記憶の其処で
【彼女に呼びかけるものがあるかも知れない。『長尾銀狼』――たしか、そうだ】
【水の国で行われたかつての大会で優勝したのだったか。とすれば、強いわけだ】
【すっとぼけていても腕は良いとなれば、例の狼たち≠ェ手を出せないのも納得で】

そうじゃ、銀狼。長い尻尾をした、銀色の狼……それゆえに長尾銀狼じゃ。
櫻の国の出でな、里の者達にそう呼ばれて居ったので、今もそれを名乗っておる。

……しかし、赤ずきんは勘弁してほしいのう
儂は子どもを食らうような真似はせぬし、猟師にズドンも遠慮したいのじゃ
ちと、会いたい玄孫も居ってな。娘も居るし、まだまだ死ねぬのよ

【そして『よろしくのう、鈴音や』だなんて語る彼女だが――玄孫に、娘】
【狼だというなら外見は判断基準にならないけれども、どう見たって人としては20代くらいだ】

【その少しすっとぼけたような所も相まって――特に、少女の外見もあるからか】
【銀狼自身の対応は、かなり好意的に見えるのだった。真実を此処で告げれば、さぞ感謝されるだろうが】
【告げずに話すのだって良いかもしれない。街への道のりは、まだもう少しあったから】
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/23(月) 01:11:19.34 ID:SiwSTSUKo
>>486

【『遠視』をすれば、数百メートル以上先──高層ビル群=Aが見える】
【その「どれか」から発射されたのだろうが、それこそ斜角計算でもせねば特定は難しい】


…、…識槻、朔夜>氛氈B


【──混乱の中、何とか答えられたのは、保証人≠フ名前だけ】
【差し出されたハンカチも受け取らず、彼に身を預ける──、病室を問われれば、か細い声で答えるだろう】
【…、…ロビーを離れ、病室に向かったなら、ネームプレートには森島 初≠ニの、名前】


…、…── 。 っ、 ぁ──。


【そして、彼女をベッドに寝かせたなら──疲れ果てたのだろう、即座に寝息を立て始める】
【シャムウィクティ兄弟≠フ能力の残滓も、幾分かは貢献しているだろうか】

【──、遠くの方で、サイレンが聞こえてきた】
【生きたナンバーズを差し出すならまだしも、死んでいては相当の時間、身柄拘束を受けるかもしれないが──】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 01:17:18.52 ID:elaGo1nBo
>>484

【ぼそり、と少年の毒の混じった主張を耳にして、男はくすり、と口元に見るからに機嫌良さそうな笑みを浮かべると】
【突如、パチン、と指を鳴らしてそのまま人差し指に少年の顔を指さしながら】


その点は気が合うねぇ、殺される寸前でやっと後悔し始める甘ったれはオレも大嫌いだ
なにせ人様の人生一つ潰すか潰さないかって所まで追い込む行動だってのがまるで理解できてないアホ頭の連中は特にな

自他を問わず、命には、人生には……触れる事も憚られるほどの『神秘』が詰まってるのに、自分のモノは上等でうんと大切にして
他者の自分に劣る奴の人生は潰してもいい紙ゴミレベルの軽い物とか考えちゃうクチのド三流は超!大っ嫌いさぁ……あい、ご高説痛み入るぜ


【むしゃむしゃ、としばらくリンゴを頬張り続けて、最後にリンゴの芯を近くのくず籠に投げ入れると】
【そのままベンチから立ち上がって少年に背を向けてその場から立ち上がると】


へぇ、そのいいぶりだとお前さんも結構陰湿に決めちゃうクチか?もう駄目だってあっさり諦めちまうよりはマシかもだがね
まあいい……今日はありがとうよ、そのリンゴは通りすがりのカメラ大好きな謎のイカした旦那からの贈り物としてありがたく召し上がるんだ、わかったな?
オレはもう行くぜ……この後はどーすっかね、せっかくだからその正義組織ってのも見に行ってみようか?


【後ろ向きのままヒラヒラ手を不利ながら公園の正門からゆっくりと去っていくだろう】
【←To Be Continued...】

/了解です、お疲れ様でしたー!
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 01:19:13.78 ID:KQrDEQI00
>>487

なにかね、不思議な音がするの。風の音と、鳥の声と、混ざって……、夜がお喋りしてるみたいな、声。
もうすぐ夏だから草もみんな元気だね、だからかな、とっても――、歩いてるのが、たのしくって。

【ふくろうとか、本当に居るのかも分からない鵺とか、それらは彼女の足を止めるには、不十分な要因】
【ひとらしい人外と出会って初めて留まった足は、今度は、その彼女を助けるために動くのだからずいぶんと不思議なもの】
【歩きすぎて迷ったとの言葉にも取れた。本当はただの散歩でしかないのだが、まあ、それをここで言うのは違うはず】

【――大会のニュースはちょっぴり聞いた程度だった。やれ誰が勝ったとか、賭けてたのが外れたとか、そんな具合】
【あんまり興味のない野球の結果みたいなもの。薄らと知ってはいたが、それが記憶に強く残るかと言えば、きっと】
【故に。彼女はまたしても首をかしげただけで反応が終わる。どこかで――というのが小骨のように、喉に引っかかった顔】
【でもすぐに呑み込んでしまうのだろう。どこかで聞く程度には、という意識に変わったのが、彼女の変化だったが】

【(男たちも襲ってこないらしいなら、少しずつ元気も出て来ていた。調子に乗る、のもっと軽い感情の動き)】
【(声の不自然さも取れていくなら、本当にただ案内される少女になる。迷子かどうかなんて、この際どうでもいい気がした)】

おおかみ……狼って好き、犬よりしゅっとしてて恰好いいの、犬より大きいから、抱っこも出来そうだし……。
……もちろん犬も好きだよ、猫も好き。かえるもとかげも好きだし、蛇はだいすき! 生き物ね、好きなんだ――。

【やっぱり狼なんだと言うところで瞳が煌いた気がした。贋物じゃないらしい尻尾を改めて見つめれば、目がきらきらとして】
【いかにも生き物好きです! というオーラは果たしてプレッシャーになるのかどうか。触らせてやれば喜ぶ、だろうが】
【――わざわざ蛇が大好きだとアピールする辺り、少しだけ変わった子のようだった。女子というのは、忌避するものなのだが】

――ふふ、女の子を食べなきゃいいんだよ。でもおなか空いてたんだよね、それなら……、それなら。
赤ずきんちゃんが持ってるケーキを一緒に食べるの、お話だもん、それぐらいきっと大丈夫だよ――――。

【――ちらと視線が後ろを向いた。彼らが追いかけてきやしないかと、確かに確かめるための仕草】
【大丈夫そうならほうと微かに吐息を吐いて。――でも、何にも言わずに、繋いだ手を改めて握り返すのだろう】
【きっと考えているのは、“このまま無事に戻れますように”ということ。遅れてしまった分を小走りで取り返して、歩いた】
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 01:42:01.26 ID:bEdY6yvKo
>>490

ほう……お主、その感覚があれば良い小説でも書けそうだのう
鵺は変幻自在と言われるが、その声の表し方は素直に良いと思うちや
ま、散歩で鵺に出会したとあってはちと不幸じゃが……

……ふふっ、そうであろ?我ながら、狼は頭の良い動物でも有るからの
澄まし顔の狐や腹黒の狸とは違って、凛々しく強く、でも有るのじゃ!

【自分の種族が褒められれば嬉しい物。これは人間と変わりない】
【が、耳がピンと立っていたり、長い尻尾がゆらりと揺れていたりと】
【ヒトよりもその感情が分かりやすい分、意思の疎通も楽というもので】

【カエルにトカゲ、何より蛇が好きだなどといえば、今度は銀狼が興味を引かれる番】

女子(おなご)にしては珍しいのう、ああいった物が好きというのは……
儂は好き、嫌いとも付かぬが……蛇は知恵の生き物、ともいうしのう

そうじゃ、鈴音と言ったのう?生憎とケーキは無いが……共に走るのはどうじゃ?
街まで未だ暫くある。歩くのもよいが、疲れてしまってもなんであろう?
儂は今でこそこの姿じゃが、狼そのものにもなれてのう。娘にも、その姿で背に乗せるのは好評でな

【意外そうに反応しながら、少女とは対象に前を見る。遠く、街の光が見えてきて】
【そして提案するのは狼の姿になった自分の背に乗るか否か、というものだった】
【少し珍しい提案だとも言えるだろう。ただ純粋に、乗れるなら足が楽でも有るだろう、が――?】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 01:53:53.63 ID:3U04RFnjo
>>488

(ビルからの狙撃……ここまでの距離を?……信じられないな)

【凄腕なんて単語はそのスナイパーの前では陳腐な物に過ぎない】
【50mでさえ頭を正確に撃ち抜くには相当の技量が必要だ、分野は違えど戦慄さえ覚える】

識槻朔夜……だな、保証人がいるならそいつを頼れ
戦力があるかは知らないけど無いならないでガードでも雇うくらいの知恵はあるだろう。
まあ、ひとまずは病室かちょっとばかり揺れるが文句は言うなよ―――――――

【割れ物でも扱うように少女の身体を抱え彼女の病室へと向かう】
【と、見覚えのある間取り……あのナイフはこの少女の物だったのかと不思議と笑みが溢れ】
【ともかくとして少女をそうっとベッドに降ろせば、寝息は直ぐ様に】

森島……初ねえ……
一体何をしでかしたらここまでの事態が起きるのやら、寝ている時だけが安息なんて酷い話
パンドラ……絶望か、はたまた希望か……あー今更来やがったよ公僕共め

【病院全てを天秤に掛けてでも欲しい生命】
【それは忌むべき過去か触れてはならない秘匿か、ただ寝入っている少女の顔からそれは感じられない】
【眠る間だけ忘れる事が出来るならそれもいいだろう、休息は誰にでも必要だ】

――――アフターケアなんざ柄じゃないけど、少しの責任くらいは果たしとかなきゃ、か

【適当なメモに走り書きを残し、机に置く】

【森島初は二人組の機関員に襲われた、No85:アールウィン・シャムウィクティは何者かに狙撃され.死亡、狙撃手は恐らく機関員】
【No.84:ラーク・シャムウィクティは逃走した、再度襲って来る可能性はあるので注意されたし】
【No.85に尋問したが情報は断片的だ、出てきた情報は以下の通り「ロロケルム・ランガスター」「ティムール・ロマノフ」あとは「奪う」とか「手放す」とか……もうコイツから直接聞け】
【森島初の過去に関しては多分アンタのが知ってるだろ、ケアくらいはしといてやれ保証人の責任ってやつだ、その代わりこの戦闘の後始末はしておく】
【追記:文句があるなら電話でもしてこい今日起きた事くらいは初めから最後までちゃんと説明はしてやる】

ま、こんなもんか……じゃ後は適当にお相手してお開きにしましょう
しかし何だったんだあのババアの声は……人様の頭に入り込んで来やがって気に入らないったらない

【最後に電話番号を添え満足気に頷けばロビーへと足を向け歩き出す】
【病室を出て一度だけ振り返ろうとしたが止めた、その行為に意味はないだろうから】

【小気味よく階段を降りて思い出したように監視カメラを探す】
【もしあるならば監視室もあるだろう、それを探し監視記録を抹消する】
【入院している森島初の戦っている姿のある映像なんてあればそれこそ身柄を拘束されかねない】

【それこそ柄ではないが今の彼女には安息が必要だ、こっちは暇な身でならばこちらが背負うのが合理的】
【面倒だが義務は果たすべき物だと、今や息の無い機関員を見下ろし呟いた……暫くすれば警察でも突入してくるのだろう】
【後はもう表面上は協力的に話をして波風立たせず秘するべきは秘して拘束時間を悪戯に過ごすだけだ】
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 02:04:30.66 ID:KQrDEQI00
>>491

【ふぇ、と小さく吐息が零れたのだった。小説だなんて、とゆらり揺らした頭、尾っぽのように黒髪が付随して】
【ちょっと照れたようにはにかんで笑うのが印象的だった。家にあるのを読みはしたが、あんなのできるわけがないって、思うから】

そんな……そんなの、出来ないよ。わたし、学校行ったことないから、文章の書き方だって、分からないし……。
お勉強始めたのだって、最近のことだもん――、ぜんぜんだめ、おはなしなんて、書けないよ――。

……犬はね、頭いいなって思うの。だから、狼はもっと頭良さそうって、思うんだ。なんだろ、犬よりね、すごいって思うの。
おおきいのに、ふわふわして、かわいくて……。でも恰好良くて、きりっとしてて、素敵。動物園とかで、見たことあるよ――。

…………玄孫が居るんだよね? 銀狼って、……何歳ぐらいなんだろ、でも、狼なら、いいのかな……?

【謙遜みたいで、その実謙遜でもない。彼女は実際文の書き方なんて知らなかったし、漢字、なんてのも不確かだったし】
【読めるけど書けない。だから彼女の書く文字はひらがなとカタカナだらけ、というのは余談だったのだけれど】
【最近は少しずつ書けるようになりつつあった。それもまた余談だったけれど――遅めの小学生、追いかけるように】

【――お手とか、お代わりとか、やってくれたら嬉しくなる。それを分かっていてやってくれているように思える不思議は】
【それなら、ひとの機嫌とかまで分かるなら、よっぽど頭がいいように思えるのだった。そこは犬も、猫も、或いは変わらないのだけれど】
【だから狼ってもっとすごい。そんなのは思い込みだけど、実際に狼たる女性を前にすれば、強ち嘘でもないようで――】

【毎年たくさんの子供を産める犬なら。あり得ない話でもないのだろうけれど、なんて、そんな思考をしたのだった】

すっごくかわいいんだよ、目がね、とってもぱちくりして……。かえるの目はね、瞳孔がちょっと、ふしぎなかたちなの。
触ったらね、かえるはぺたぺたしてるけど、とかげはさらさらしてて……、逃げちゃうからね、こうして、捕まえるの。
蛇はね、つるつるしてるの、手に絡ませて……あ、でもね、“山楝蛇”は。ざらざらしてるんだよ、ちょっぴり……。

……でもね、ちょっとしつこいよ。わたしの知ってる蛇(ひと)はね、八百年も、おんなじひとだけが好きだったの。

【瞳がきらきらするのが止まらない。かえるにとかげに蛇に。どれもかわいくって、それなら、やっぱりだいすきで】
【珍しいといわれようと好きなのは変わらないから。かえるやとかげをなでなでする女子、というのも奇妙なものだが】
【両手をおわん状にして合わせたりする辺り。よく捕まえたりしているのだろう、それが、きっと、窺えて】
【わざわざ挙げた蛇の名前。櫻のほうによく居る蛇だ、田んぼとかに住む、ごく一般的な――けれど、非常に強い毒を持つ、毒蛇】

【――声が少しだけ優しさめいたものを帯びた。もう、なんて溜息吐いて付いて行くような、そんな柔らかい感情】
【見れば顔は不思議に笑んでいて。好きでも嫌いでもないといわれた言葉に、「でも、それだけ優しいの」と続けて返した】

一緒に……走るの? ……いいけど、靴、あんまり走れないかもだよ……ヒールとか折れちゃったら、困るし――。
……あれ。ちがうの? えっと……――銀狼に、乗るの? え……いいのかな、……いいの?

【はじめは少しだけ勘違いした。走ってもいいけれど、とは、つまり自分も走るのだと認識して、けれど、すぐに首をかしげる】
【続く言葉でなんとか理解すれば、おっかなびっくり。いいの?だなんて繰り返して問うのだが、瞳の煌きは決して隠せずに】
【軽そうな身体だしあんまり問題はないのかもしれない。本人は乗りたげに瞳を煌かせている、それなら、答えは決まったようなもの】

【――もうちょっと押してやればこっくりと頷くはずなのだった。その場合、ぱああっと咲いていく笑顔の花が見もののはず】
【「いいの?」だなんてまだ尋ねてはしゃぐのが本当の子供みたいだったとは余談。足が楽とか、そんなのどうでもいいらしい】
【ただ乗ってみたい、もふもふに掴まりたい、そんな動機であるのは窺えて。まあ――悪いようにしないのは、確実だろう】
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/23(月) 02:26:10.37 ID:SiwSTSUKo
>>492

【──、その後、到着した警察によって病院は数時間、閉鎖された】

【しかし、その病院に居た全員が睡眠していた≠セけだ、ということ】
【そして、『ナンバーズ』と思しき死体がロビーで見つかったことで、事件は終結≠オたと見られること】
【加えて、『証言者』の発言と現場の状況が一致していた事から、その取り調べも捜査も、短時間に終わった】


【──、だが、青年は取り調べの最中、妙≠ネ事を聞くだろう】
【病院からそれほども離れていない植え込みの中で、ラーク・シャムウィクティ≠フ死体が発見された、と】
【青年が病院から出た映像記録は無いので、彼の仕業とは疑われなかったが ── 、】
【「狙撃か」、と尋ねれば、「違う」と。 答えが返って来る。】


【 結局。 この事件で得られたのは──幾つかの謎と、幾らかの報奨金だった 】




【 ── 同日。同時刻。病院近辺、路上。 】


「…、…はァ、はぁ──、勝手に抜けだされては困ります、ルカイナー卿!
 この後、レイリスフィード大学での講演に、夜はカルス社会長との会食が── 」


分かってるわよ。──ちょっと散歩してただけじゃない。
そんなに急かさないで頂戴。……早いのは男も女も、嫌われるわよ。


【──、息を切らし、車から飛び出して来た女性に相対するのは、男>氛氈Aだろうか】
【言葉遣いも、外見も、非常に中性的。 水の国の有名ブランドエスカレード≠フスーツがよく似合っている】
【年の程も外見からは判断しづらい──、若くも見えるし、どこか、老成しているようにも見える】
【アンニュイな印象を与える、黒の癖毛を右手で弄びつつ。 …、…病院≠フ方を、軽く見て】


…、…人≠ヘ、その『意思』故に美しいと思わないかしら。
容姿、性別、門戸、過去、能力の有無、──、それは、『意思』を彩る飾りにすぎないの。
──、私の言っていること、分かる?

「(──ま、また始まった。) …、…そ、それよりも、急がないと本当に間に合いませんがっ!」

──、ふぅ。 『ロマンチック』じゃないのね、貴女。
そんなコトじゃ、私が結婚式のスピーチするのは何時の事か──。

【──、先ず、男が乗り込み、次いで女が乗り込むと、車は発進する】
【後部車両で、男はバックミラー≠一瞥。 口元に、軽く笑みを浮かべ── 、】




      ──、本当に、綺麗≠ネ子達が多いこと。


【──呟きが喧騒に紛れ、バックミラーに小さく映った『No.84≠フコート』も、その姿を消した】


/長々とすいません、お疲れ様でした
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 02:31:49.79 ID:bEdY6yvKo
>>493

儂は今年で109歳になるかのう。人の世でも、狼の数えでも
どっちにしろもうよい年寄りというわけじゃな。
と言っても、儂は妖怪でもある……それゆえ、老いて尚益々盛んというワケじゃ

じゃが、そんな儂でも学校に言ったことは無い。
……しかし、誰かが何かをするために、学校は必ず必要なのかの?

【109歳――狼はヒトよりも子どもが生まれるのが早いから、親族もよっぽど居るのだろう】
【ただそれにしたって随分な事だ。普通、狼だろうと玄孫は居ない】
【その秘密は妖怪≠ニいう一言で方が付いてしまうのだから、不思議な世界だ】

山楝蛇……あぁ、それであれば何度か見たことがあるかも知れん
詳しくはないが危ない相手だということも、のう。何せ、狼でも毒には勝てぬ
ヒトのように治療を受けられない分、蛇は天敵とも言えるからのう

……じゃが、そうキラキラとした眼で語られるとそうも言い切れぬのが、の。

【にっ、と小さく笑うのは苦笑のような物。西洋人が肩をすくめるようなものだ】
【ただ八百年――ともなれば、『先人の考えはわからぬなあ』と】
【まだ八分の一しか生きていないながら、ぼんやりと感想じみたものも述べてみた】

【――それから彼女がOKと答えた時、銀狼の姿は俄に変わる】
【妖術というやつか。気付けば其処に居たのは女性ではなく、体高2mほどの大狼で】

…――さ、背にしっかりと掴まるが良いぞ鈴音や。
儂も尻尾で落ちぬように掴まえておくからの、安心して乗るのじゃ

【頭から尻尾の先まで、どれくらいだろう。少女二人分くらいの余裕はアリそうだ】
【伏せた銀狼に乗ったなら、サラサラとした――しかし温かな銀の毛並みに触れるだろう】
【やがてしっかりつかまったのを確認すれば、もふもふとした尻尾も少女を押さえるように近付いて】

【そして、駆け出す―!グッ、という加速の後の軽やかさは、人では味わえない物だ】
【前を見れば街の光がぐんぐん近づき、森の木々は遠のいて行ってしまう、嘘みたいな早さ】
【狼の息遣いも、背ならよく聞こえるか。まるでバイクのツーリングみたいな、少しスリリングな乗り物だった】
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 02:50:08.24 ID:KQrDEQI00
>>495

ひゃく……きゅうさい? ……ほんとに? そんなに? ……わあ、不思議なの……、そうなんだ。
でもね、見たことあるよ。“ふつーのひと”なのに、本当は何百歳って蛇(ひと)……、だからね、驚かないの。

…………でも、学校行ってないと駄目だよ。何にも分からないことばっかりだもん、お勉強だって、しなかったし……。
だからね、学校行ったのと同じだけお勉強しなきゃいけないの。どれぐらいするのかな、分からないけど――。

――学校って行ってみたかった、なぁ。

【ふわーっと零れる吐息は純粋に驚いたのだろう、そんな年齢は予想外だったというようなもの、ひとと動物の時間は違うというけれど】
【その言い方だと狼的に数えて百九。というのとは違うように思えた、それなら、ほんとうに、百と九年生きたらしいのだ、とも】
【それから悪戯めいて笑みを潜めれば何に憚るのか囁くよな声。紡いだのは、きっと、さっきに言った“だれか”と同じなのだ】

【(空いた手がそっと右耳にだけ付けられたピアスに触れた。懐かしむように、いつくしむように、些細な、指先の戯れみたいに)】

【――必ず必要なのかと聞かれて、少しだけ困ったような間があった。考えたことがなかったように、ふつと黙りこむ間】
【やがて見つけた言葉は、実感としてのもの。何にも知らないのだ、最低限困らずに生きる以外の知恵と、ほんの趣味の知識以外は】
【何年に誰が生まれて誰が死んだとか分からない。偉人の名前なんて言えないし、漢字も書けない、計算も出来ないなら】
【そこがコンプレックスでもあった。だから勉強を始めた、頑張ろうと思った、――呟いたのは、ほんの些細な羨ましさ】
【何かの事情があって行けなかったのだろう。でも、そんな子供……この世界なら、きっと、たくさん居るから】

口の奥の牙とね、首筋に毒があるの。首の毒はね、ひきがえるを食べてる子だけ出せるんだよ。
ハブとか、マムシより強い毒なんだよ。とっても強くて、かっこいいんだから――、綺麗だし、かわいいし……。

……柄がたくさんあるでしょ、みんな違うの。場所によっても違うし、ほんとうに、みんな、かわいくて綺麗――……。

【――きっとこの状態は“うっとり”とか、そんな風に描写できるのだった。遠くを見るようにぼやける視線が、特徴的で】
【蛇が……というより、この分だと山楝蛇が好きらしい。丸いのにちょっと釣った彼女の瞳は、そうしてみれば“それ”とよく似て】
【偶然――だろうか。でも、八百も生きた蛇の知り合いが居るらしいし、強ち、そうでないのかもしれず――】


…………――わあ、わあ! すごいすごい、ほんとうに狼なんだっ、尻尾だけなのかなって……、それで……、
すごい、すごいっ、なでなでしていい? ちょっとだけでいいの、ほんのちょっとだけ――、ね、ね、おねがい。

【――ふうわりと変わる女性の姿、じっと見ていたはずなのに分からなかった変化の間、驚きは素直に顔に出て来て】
【きゃあきゃあはしゃぐのが森の中に不似合いな声。何度もすごいって繰り返して、所在なさげな手が、自由に動き回り】
【最終的に顎の前で両手を合わせて目をきらきらさせる、という仕草になった。それから強請るのは、そんな我侭で】
【許されるならふわふわと頭を撫でて首筋を撫で(それは猫なのだが)、首の後ろから背中のほうまでを、撫でたことだろう】

【さて、それが終わればゆっくりと跨るターン。スカートの裾を気にする素振りはしたが、大分意識は乗れる、それに傾いていて】
【ふわっと乗ればやはり人間らしい重みが掛かる。けれど、痩せているなら、よっぽど大変ということもないはずであって】
【恐々とおなかの方まで手を回して掴まる。ふっかと柔らかな毛並みの温かさに包まれたなら、ふと眠たくなるような感覚を覚えて】

きゃっ……!

【ぐん、と強い加速に一瞬振り落とされそうになって、尾っぽに支えられる。反射的にぎゅ、と抱きついたのは赤子の仕草にも似て】
【でも加速さえ終わってしまえば、後は楽しいばかりだ。風のごうごう鳴る音と、ざらざら飛ぶように踊る髪の感覚と】
【ふかふかした手触り、暖かさ、狼の息遣い。黙り込んでしまったのは――わずかな時間を、精一杯に楽しんでいる証拠でもあった】
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 02:51:18.85 ID:3U04RFnjo
>>494

【取り調べの中得た情報はどうにもきな臭いものだった】
【何か大きな物でも蠢いているようなそんな感覚、まさしく掌の上】
【逃げた筈の者の死、狙撃ではないならば更にもう一人の何者かが介入したのだろうか】

【彼が死んで森島初への再度の襲撃は無くなっただろうが、果たしてそれが危険が去った事につながるか】
【そこから先は彼女の保証人次第か、と思考を投げ出して面白くもなさそうに捜査を受ける表面上の協力は思うよりも早く終わった】

【結局は謎を残すばかりだ手元にある報奨金だけがただの実感としてある】
【別段活躍という活躍もしていない大した価値も感じない】
【ただただ苛むように蝕むように疑問は尽きない、姿を見せぬ「何者か」はどこかでほくそ笑んでいるのだろうか?】

/お疲れ様でした
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 03:19:28.70 ID:bEdY6yvKo
>>496

……なあに、学校へ行くのに歳は関係無かろう。
それこそ儂でも、の。……勿論、相応に大変ではあるじゃろうが
努力は人を裏切らぬとも言う――まずはやってみて、それからであろう?

【なんて、少しだけ他人事のような言い回し。だけれどもその笑顔は】
【決して何かが面白かったりというのではなくて、彼女を勇気づけようというもので】

【それから聞くのは山楝蛇の毒について。これは全く知らないものだから】
【こくり、こくりと物珍しげに話を聞きながら何度も頷いてみせるのだった】

【――だがそんな、どこか剽軽な様子も狼そのものと化せば一変する】
【その大きさも、毛並みも、凛々しいの一言が実に似合いの様相で】
【撫でていいかと聞かれれば無論良いと答え、首筋に手が伸びれば】
【気持ちよさそうに目を細めて、それこそ犬や猫と同じようにするのだった】

【またがって抱きつけば暖かさと心臓の鼓動が心地よく、眠気を誘うのも当然だ】
【が、走りだせばそうも行かない。――しかし速さが楽しめていれば、眠りに落ちるより】
【余程良い経験になることなのは請け合いで、数分とせずに町外れに辿り着き】

…――ふふっ、無事だったかの?余り人を乗せることは無いのでな
速さの加減がなんとも言えぬのじゃが……ま、ざっとあんなものじゃ

では、の……儂はちと行く場所があるゆえ、この辺りで失礼するのじゃ。
鈴音よ。次に会う時はお互い、もっと先≠ェ視えておると良いのう?……くすっ

【『さらばじゃ』と、最後に少し意味深な言葉を――あまり深くは無いのだが――残せば】
【彼女を下ろした銀狼は、また颯爽と狼の姿のままでまた別の方向へと駆けてゆくのだった】
【短くも濃厚な出会いの時、という具合か。――狼の行く末は、輝く毛並みがまるで光線のようであった】

/っとスミマセン…!先程から眠気がひどいので、少々強引ですがこれにて…!
/締めでまとまりが無くて申し訳ないです、お疲れ様でしたー!
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/23(月) 03:31:44.18 ID:KQrDEQI00
>>498

【――楽しい時間はあっという間だなんて言うけれど、このほんの一瞬は、それよりもあっという間なように感じられた】
【耳元で鳴く風も、ばたばた暴れる髪も、夏の夜の冷たい温度、ふたりを避けるような木の流れ、ふくろうの声】
【たっくさんの出来事があっという間に通り過ぎてすぐに見えなくなった。かわりに見えてくるのは、人間たちの営みの色】
【道が舗装される、明かりが燈るようになる、建物が建ち、或いはビルが遠くに見え。そんな場所で、降り立ったなら】

【きらきらとした目はひどく興奮しているように見えて、それなら眠気なんてなかったことだろう。周囲を見渡し、】
【誰か自慢する人間を探しているような素振り。でも誰もいないなら、ぐっと呑み込んで――誰かいたとしても呑み込むのだけれど――】
【しばらくは言葉も出ないくらいに昂っていたのだけれど。そのうちにやっと、ひとつ、吐息を吐いたと思えば――】

っ――すっっごく、すっごく、たのしかったっ! なんだろ、すっごくね、風が冷たくて、でも暖かくて……。
耳元で風がびゅうびゅう言うの、うるさいのにふくろうの声が聞こえて。銀狼の息が聞こえて。それで――それで、
ふあぁ、たのしかった――、ね、ね、また今度会えたら乗せてくれる? またね、乗りたいな……、楽しかったもの!

【それが息継ぎだったみたいにつらつらと言葉が零れだす、胸の前でぎゅっと握った両手は、それなりに力が篭められていて】
【いろいろ言おうとして結局いえなくなる。こんな風になるのは存外珍しいことだったりする、それぐらい、楽しかったのだろう】
【余談だがジェットコースターとか好きなタイプだ。びゅんってするのが楽しくて、――そういう、性質なのであって】
【だから。背中に乗せてもらえたのがよっぽど嬉しい/楽しい思い出になったのだろう、次回にまで、おねだりするぐらいには】

先……、……?

【――そんな、きらきらうきうきとした態度がふと落ち着く。曖昧に笑んだまま首をかしげる仕草は、言葉の意味合いを掴み損ねて】
【はてな、なんて顔で首を傾げていたことだろう。ぜんぜん通じてない。せめて、冷静な時なら違ったのかもしれないけれど――】
【お別れということになれば手を振ってお見送りする。そうして、遠くまで伸びていく銀色のきらめきを、しばし追いかけて】
【怪しいひとたちから助けたということよりも乗せてもらったことを強く印象に残して。興奮冷めやらぬまま、帰宅したのだと言う】

/了解ですっ、おつかれさまでした!
500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/23(月) 22:38:33.27 ID:WjKbmBKx0
【櫻の国。山の奥に存在する所謂秘湯】
【怪我や病、兎にも角にも不調の全てに効能の有るとされる其処だけれど。場所が場所故に人や妖怪があまり訪れる事も無く】
【然れど今宵は其処に一つの気配。詳しい者ならば、其れが妖狐の物であると感じ取れるだろうか】


「…………静かです………ね…………
今日は争いも無くて…………それで、とても…………平和で…………
ずっとこんな日が、続けば………良かったのですが…………」

【綺麗に畳まれ、岩場に置かれたのは巫女装束。なれば、この少女の職も其れから読み取れるし】
【気弱そうな表情からは、性格の方も窺い知れよう】

【今宵は月光も申し分ないだけの明るさがあり、星々だって辺りを満遍なく照らしている】
【立ち上る湯煙を辿って此処を訪れる者も居れば、少女の“妖気”を辿って着く者も居るであろう】
【理由は何にせよ、この場を訪れたならば丁度湯浴みをしている少女の姿を目撃する、なんて事になるが】
【少女の方が気付くのが早いか、相手の方が早いか。異なるのはその点くらいか】








【静寂に包まれた街の中。街灯が道を照らし出しているだけで、何とも物悲しい様にも思えるけれど】
【其処を歩く人物が一人。抱えるのは分厚い魔術書数冊であって――――ざっと見ただけでも、その重量は10kgを軽く超すだろうか】
【然れど積み重ねた其れ等を少しも揺らす事無く歩くのだから、この人物も大したものだ】


「さて――……この書物の中に入って居れば助かるんだが
完成させるまでにはまだ決定的な物が欠けているし、こんな時に限って必要な者も居ないのだから熟々私も運が無いな」

【よく見てみれば所謂師祭服と呼ばれる物を纏った若い男である事が分かるか】
【灰櫻色の髪に、同じ色の瞳。先の言葉から、紛う事無き教会に関連する者だと分かるかも知れないけれど】

【――――暫くの間そのまま歩き続けていたのだが、アスファルトの窪みに足でも取られたのだろう】
【体勢を立て直そうとすれば、当然抱えていた本達も落ちて重い音を立てる訳で…………】
【もしも周りに居たならば、その音で気付くだろうか。更に加えれば、丁度街灯の真下の位置。何が起きたのか何て一目瞭然で】
【……男の零した溜息だけが、虚しく夜の街の中へと溶けてゆくのだが】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/23(月) 23:15:11.49 ID:RHNcT6udo
>>500
【隠そうともしない気配と足音…鬱蒼と茂る草木を掻き分ける音から人間大のものが温泉へと近づいていくのに気付くだろうか】
【耳を澄ませばその者が歌う鼻歌まで聞こえているかも知れない】

「良い旅夢気分ってなぁ!かーっ!……あ?」

【少女の真正面の方から歩いてきた人物を、一言で表すならば「胡散臭い」であろうか】
【顔を祭りの出店で買えそうなデフォルメされたちゃちな黒猫のお面で顔を口元以外を隠し、藍色の作務衣と東とデカデカと書かれた黒鳶色の前掛けをした「男性」だ】
【風呂敷を背負う様にして、獣道でも何でも無い場所を普通にとおってきた見るからに怪しい「野郎」である】

【男は少女を視界内に入れてから漸くその存在に気付いた様で】
【少しの間固まってから…どうリアクションしたものかと少し悩む様に顎に手を当てて俯いて……】

「……御馳走様でした。って言えば許して貰えるかい?」

【少女に向かって一応両手を合わせて小さく礼をする】
【眼福でありました。と。自ら白状する潔さ】
【その言葉は確認と言うより諦観に近く…経験上此処はブッ飛ばされるんだろうなと言う予感はしているのだ】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/23(月) 23:38:02.78 ID:WjKbmBKx0
>>501
【獣人――――では無いけれど。狐の耳も飾りでは無い。故に音だって人間の其れよりも敏感に聞き取る】
【近づいてくる物だと悟れば身を強ばらせて。辺りを見渡すが…………逃げる場所も無い。なれば、だ。双方不本意ながらも必然的に出会ってしまう事となって】
【濁り湯であるのが幸い……否、見られた方からすれば其れも関係無いか】

【ジワリ、と目尻に溜まり始めるのは涙。殴るなり見るなと叫ぶなりすればまだ誤魔化しようもあっただろうが――――ただただ静かに涙を浮かべるとなれば、果たしてどうか】
【元より気弱そうな少女だ。攻撃する、何て考えは浮かぶことが無かったのだろう。代わりとして背を向けて、顔だけ其方に向ければ睨むでも怒るでも無く】


「あ、あの……その……見、見ないで下さい…………」

【嫌だ、と言えば涙でも零しそう。或いは痛みを覚悟していたとしたならばその言葉が拍子抜けか否かは分からないが…………有無を言わさぬ其れが含まれて居たのは確かだ】
【背を向けながらもじぃと見遣る生娘に情けを掛けてやるのかは男次第。然れど、もしも背を向けることもそっぽを見る事も無かったならば何やら恐ろしい予感がするのも気のせいでは無いであろう】

【コレより先、少女の希望通りに視界から外してやったならばの話だが。先ず聞こえるのは自ら上がる音。続くのは布の擦れる音で――――気まずそうに「あの……」何て掛けられた声に振り返ったならば】
【翡翠の首飾りを提げた、巫女装束の妖狐が再び映る事となろう。俯いた顔から表情は読み取れないが……僅かに上気した顔は長く湯船に浸かっていたから、でも無いのは確か】
【「すみません……」と小さく紡いだ言葉をどの様に受け取るのかは相手次第だけれど。涙も無くなった所を見れば感情も落ち着きはしたのか】
【――――……とは言えど、コレは男性が少女の希望通り見なかったらの話だ。もしそのまま硬直するなりしていたならば話はまた別な方向へ向かうのだが】
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 00:04:31.04 ID:sIepAXuCo
>>502
(あ、これやっべぇ…!)

【ここで少女がぶっ飛ばしてくれていたらどれだけ男は気が楽だっただろう】
【と言うか寧ろぶっ飛ばしてくれと願っていたのだ。そうすれば自分の罪悪感も痛み分けと言う事で多少は薄れる筈だった】
【しかし現実は非常である。少女が声も上げず後ろを向いた。その少女らしい反応に男も思わず仮面で隠した顔を背ける】

「あー、待った。待った。今の無しな。あー。」
「アレだ。俺っちもお面してるし、湯気で良く見えなかったってぇ…あ゙あ゙もう!!!」

【言い訳らしい言い訳を考えつつ口にしようとしたのも束の間】
【少女が衣服を着ている間に、男の方からゴスッと鈍い音が響く】
【見れば男は見事に土下座しているのが分かるだろう。叩きつける様にして地面に着いた額からは血が出て伝い、濁り湯に微かに新たな色を付ける】

「わざとじゃねえつっても其方にゃ関係ねぇって話しだしなぁ」
「いや、真に申し訳ねぇ……後2回ほどなら全力で俺っちも地面に頭叩き付けれるって訳よ」

【こうなったらもう男は全力で謝罪するしか無かった】
【下手な言い訳は無粋と思い、行動で示す事で】
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 00:20:55.58 ID:Hnd6a+dD0
>>503
【頭を叩き付ける鈍い音が響けば、ビクリと尾の毛を逆立てた――――とは、余談か】
【土下座をしている姿を見れば、浮かぶのは戸惑い。元々羞恥はあったけれど、怒りは無かったのだ】
【このまま余計な事を言わずに去ってしまうのが、自分にも男性にも一番良い結果をもたらすとも考えたが……其れでは、ここまでして謝ってくれる相手に失礼では無いかと己を窘め】


「その……態とじゃ、無いなら…………仕方ない、事ですから……そんな、自分を傷付けないで下さい…………」

【怖ず怖ずと近寄ったならば、衣類の肩口辺りでも摘んでチョイチョイと引っ張って】
【微笑み……では無いけれど、何処か逆に申し訳なさそうな表情。「……ね?」なんて言葉を続けたならば男性を立ち上がらせて取り敢えずはその体勢を解こうとするのだろう】
【怒っていないのは確実。そも、怒っていたならば声を掛ける事も無く立ち去ってしまうであろうから】

【懐から取りだしたハンカチで血を拭ってやれば、その傷に人差し指を触れさせて】
【流石に頭蓋骨が割れていたり等だったら無意味だが――――皮膚が裂けて少し肉を抉った程度ならば、その動作だけで“完治”してしまう事だろう】


「それに……星が綺麗だからといって……私も、不用心で入って居たのが悪いのですから…………
――――ですから……そう、自分だけを責めないで下さい…………私は怒っていませんから…………」

【無防備な所を見られれば流石に少し取り乱したが。普段通りの姿になれば、何時も通りに接する事が出来る】
【額に触れていた人差し指を離したならば、漸く此処で僅かに微笑みを見せて】
【謝罪は必要ない、と。「怒っていない」との台詞は実際怒っている者が言うのだが――――この少女の言葉は真である事に違いは無かろう】
【なれば、土下座の体勢を解いたって何ら問題でも無く…………言葉を返したって、キチンと耳に通す筈だ】
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 00:49:49.64 ID:sIepAXuCo
>>504
「かーっ。甘い…甘いってのお嬢さん」
「こういう時は金一封でも寄越せってぇ言うもんさ。その位の価値は有るだろうしよぉ……ま、俺っちは無一文だけどな」

【衣服を引っ張られると顔を上げ、そん場に座り込んで少女を見上げる様にし】
【ちゃちなお面が欠け、傷ついた額が見えるだろう。額故に血こそ出るが傷自体は其処まで深くは無い様で】
【傷口に触れられると反射的に「いっ」と声を漏らしながらも大人しく治療され】

「……あい解った。つってもまぁ最後にもう一度だけ謝らせてくれってぇの」
「乙女の柔肌を覗き見る真似をして詫びも無しじゃ俺っちの中で納まりがつかねぇよ」

【そう言うと座ったまま、改めて頭を下げて謝罪し。それから顔を上げた】
【少女への謝罪は、自分の中でケジメをつける為にも必要な事だから…不意打ち気味でなく真っ向から一度頭を下げねばならなかった】

「……かーっ。よし!覗きについて謝るのは終わりだってぇの!」
「いや、入浴中にお邪魔して悪かったな。えーと?」

【真面目な謝罪が終わるとすぐに男は少し騒がしい位の声量で、普段の様な態度に戻る…切り替えは割と早いらしい】
【入浴そのものを邪魔したのは軽く流す様に謝りつつ少女を見て、首を傾げて…】

「…前会った、長尾銀……じゃねえな!」
「かーっ!今度こそ狐だろ!狐の物の怪さんってもんだろぉ!!?」

【少し前にも獣人に出会い、その時は相手を狐呼ばわりして怒られた】
【しかし今回会った少女は今度こそ狐だろうと自信を以て確認する。少々と言うかかなりテンション高めに、だ】

「あ、答えの前にちっと失礼…ってな」

【ついでに一度そっぽを向いて、割れてしまった黒猫のお面を予備の白い猫のものに交換する】
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 01:13:24.87 ID:Hnd6a+dD0
>>505
「でも…………えっと……お金、は…………要らないです…………
もう、大丈夫です……。あの……私も、悪かったので…………もう、謝らなくても――……」

【金は必要ないから求めない。頓珍漢な受け答えにも思えるかもしれないが――――考えようによっては妖狐が無垢であるとも知れる答え】
【過ちは誰にでもある事だし、謝って貰ったならばもう済んだ話なのだ。少なくとも、少女の中では……だが】
【然れど謝らなければ相手の気が済まないならば別。もう謝罪は要らないと口を挟もうとしたが……其れがかえって野暮な事だと悟れば、途中で止めて】

【先の振り向けば映った土下座も反応に窮したが…………こうも真っ向から頭を下げられれば、余計に戸惑う様】
【「はい、分かりました」と噛み合わない答えを返したならば、きっと先程までの出来事については終わり】


「天鬼、桔梗……です…………
長尾――……?お母さんとお知り合いなんですか?」

【以前に会った妖怪の名を告げれば、ピクリと耳が動き。暫しの間、相手の目を――と言っても、被り物越しではあるが――から見て】
【どことなく表情を綻ばせた様に見えたならばきっと間違いでもあるまい。然れど、妙な話。男性の直感通りに確かに少女は狐で、以前に会ったという彼女は狼で】
【それでもまぁ……嬉しそうに名を反芻して母と慕う程には懐いているのだろう。僅かに警戒心が緩んだのは、彼女の名を出した事もあったからか】


「――――えっと、狐の物の怪…………妖狐、です…………妖狐の、天鬼桔梗…………です…………
あの……其方、は……?」

【男性の言葉を肯定。妖怪の中の妖狐と呼ばれる分類である――――と】
【二度目の名乗り。異様な興奮に小首を傾げながらも己の名を告げたならば、少しばかり間を置いて】
【やがて問うたのは男性の名――――のつもりではあったが。聞き取り様によっては種族を問う其れにも聞こえるし、常にお面を被っている事に対する疑問にも思える】
【何を答えてやるかは男性次第、か】
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 01:34:48.28 ID:sIepAXuCo
>>506
「かーっ!欲しいいらないじゃなくて。価値の話だってーの」
「ま、俺っちとしちゃ有り難い話なんだけどもな」

【謝罪を終えてからと言うもの、男のテンションは高めのまま】
【馴れ馴れしいと感じる位に楽しげに話しをしている】

「桔梗か、よしよし覚えt……母ちゃん?」
「えー、と?お銀…じゃねえや。長尾銀狼だっけ?あの人の娘さんかぃ?」

【どうやら男は少女が母と言う人をお銀と呼んでるそうで】
【彼女と少女の関係を聞いてから、何だか感動した様に息を吐きつつ少女を見た】

「かーっ、でもお銀嬢は狼で……って、あれ?かーっ。俺っち、騙されたか?」

【やっぱ長尾銀狼の方がお狐さんで正解だったんじゃないか…と】
【初めて会った日、化かされたのを見た時からずぅっとやっぱ狐か狸なんじゃないかと微かながらに考えて居た様で】

「おっと、自己紹介もしてなかったか。」
「俺っちは 姓は飛鳥馬、名を東ってぇ言ってな。この可愛いお面と合わせてアズにゃんとでも呼んでくれりゃ良いってもんよぉ!」
「砥ぎ師なんて変わった生業してっから。包丁の切れ味でも悪くなったら教えてくんな!」

【自慢のちゃちな猫のお面を指差しながら自己紹介】
【しかし猫のお面や渾名に似合わず男は何処か…暑苦しい感じがする】
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 01:57:09.68 ID:Hnd6a+dD0
>>507
「価値、ですか…………?えっと……お金があれば、色々買えますが……でも、その…………価値……?」

【お金の価値は分かっている――――が。何故其れを支払う必要があるのか……と】
【態々その意味合いを説明するのはきっと面倒な事で、何より説明した所でこの少女が理解出来るのかも怪しい】
【自分なりには考えてみたが……結局、納得の行く答えは出なかったのだろう。頭上に疑問符を浮かべたならばパチパチと瞬かせるばかり】


「はいっ。ぎんぎんは私のお母さんで……あ、でも……本当のお母さんでは無くて…………えっと……だけど、私の事を娘と言ってくれて…………
あ、お母さんは……本当の、狼さんの妖怪さん、です……で、でも。私の大事なお母さん、です…………優しくて、暖かくて……」

【母、と告げる時は尾も振って嬉しそうに。だけれど、本当の母では無いと告げる口調は何処か暗くも聞こえたか。義理の母、とも少し違うかもしれないが――――ともあれ、彼女が本当に狼の妖怪である事には間違い無い。騙していた、と言う訳でも無いのは確か】
【何と言えば良いのか、少女では言葉も纏まらず。然れど確かに母として慕っているのだから複雑な話】
【――――まあ、今はそう深く聞く事も無いだろうか。何より、詳しく聞き出そうとすれば上手く伝えられずに凹むのは目に見えた結果なのだから】

【彼女と何らかの関わりが有って、故に男性とも打ち解けるのが通常の者達よりも早かった。その程度の認識で十分】
【もし又相見える機会があれば、何れ語る日も訪れるので有ろうから】


「アズにゃん……さん…………ですか……?女の人……では……無い、ですよね…………?」

【“にゃん”の後に“さん”を付けるのは、アズにゃんで一つの名として捉えて居たから。渾名に“さん”付けするのも変な話だが、其処は個性として捉えてやるか否か】
【可愛らしい名に似合わずその雰囲気だ。思わず性別を問うてしまったのも無理は無い話だろう】


「研ぎ師さん、ですか……。何だか、研ぎ師さんには初めて会ったような気がします…………
――――では、お料理の時の…………包丁……今度、研いで貰えませんか……?
ずっと、使ってて……でも、思い出の物ですから買い換えるのも嫌で……駄目、ですか……?」

【研ぎ師、と聞けば脳裏に過ぎるのは愛用の包丁だ。苦楽を共にした訳では無いが、ずっと使い続けてきた包丁】
【流石に今は持って居ないけれど、今度会った時には其れを研いでくれないか、と】
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 02:22:18.32 ID:sIepAXuCo
>>508
「初心って言えばいいのかねぇ。こういうの。かーっ!上手い説明が出来ねえ俺っちも俺っちだがよぉ」
「要は手前さんが可愛らしいって事さ。そんだけそんだけ」

【此方も此方で理論的な会話とか凄い苦手な部類。フィーリングで生きて居る】
【故に簡潔に言ってその話は終わり。てな感じに手をヒラヒラと振って】

「かかっ、ギンギンか。面白い呼び方してんな。俺っちも今度そう呼んでみるべきか」
「あら…本当に狼の妖怪なのか。むむむ……何か負けた気分だなぁオイ」

【自分の張ったヤマを外すのは少し悔し気。実際に損こそしてないものの賭け事でちょっと敗けた時の様な気分である】
【しかし切り替えが早いのも飛鳥馬の特徴だ。 桔梗が何だか自信無さ気に親子の関係を伝えようとしているのを見ると】

「かーっ!別に桔梗嬢とお銀嬢の関係は否定しねぇっつーの!」
「もっと胸を張れ!手前の大事なモンを自慢出来る時に自信が無けりゃその人まで莫迦にされるってーの!」
「例えばほらお銀嬢は……あー、わ。若く見えるでしょう?とか?…スマン、俺っちじゃあの人の良いトコそれ位しか知らねえから」

【何とも複雑な表情をしているのがお面越しでも分かりそうな雰囲気である】
【ともあれ、其処まで言ってから】

「……で、此処まで御膳立てしたんだがらお銀嬢の良いトコの1つや2つ教えてくれるんだろ?」

【関係こそ深くは追及しない。「そう言うもの」と言われれば納得しよう】
【しかし、それとこれとは話は別。 自分の大事なモノ位自信たっぷりに自慢して見ろと飛鳥馬は挑発する】


「……かーっ!おいおい、こんな二枚目の男捕まえておいて女の子?ってぇ言葉はねぇってーの!」
「ま、このお面の可愛さにほれ込むのは分かるけどよぉ!」

【と、桔梗の言葉に思わず大笑する飛鳥馬】
【腹を抑えて少し大げさに笑って見せてから】

「おっと…仕事の話ならちっと真面目にするってぇの」
「勿論そう言うのも引き受けるってぇもんよ。包丁1本なら値段もそうかからないしな」
「とは言え大事なモンならまず俺っちの実力を見てからが良いだろうし。今度会った時に現物を研ぐ前に実演してみせるから。依頼するかどうかはそれから決めると良いってもんよ」

【砥ぎ、と言うものに実力に相当自信が有るのだろう】
【自分の腕も見せずに依頼を受けるのは1人の職人としての誇りが許さなかった】
【一応依頼は受けるが…その前に自分の砥ぎを見せてから。と言う条件を自ら出した】
510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 03:06:30.20 ID:lNmIU9/RO
>>509
「別に、可愛らしくも……無い、です…………

それよりも――――……えっ、と……」

【お世辞を言われればそっぽを向いて否定する位の気概はある。その言動は歳相応といった所か】

【人見知り、自信なさげに話す事。其れは時として誤解を招いて場合によっては罪にもなる事だ】
【――――けれど。挑発されれば、珍しくもむっと眉を僅かに吊り上げて……何か言おうとするけれど、言えない】
【何も、言うべき事が無い訳では無いのだ。寧ろその逆で、この少女に取ってはあり過ぎるからこそどう表せば良いのか分からず】



「本当の子供じゃないのに、私の事を娘と呼んでくれて……何時も、優しくて…………悲しい時に慰めたり、抱きしめたりしてくれて…………悪い事は、窘めてくれて……一緒に居ると、とても安心できて……
それと……それと…………」

【続けられるのは拙い言葉の数々だ。簡潔明瞭にコレだ、と言えないのが少女らしく――――逆に言ってしまえば、彼女の良い所を一つも余す事無く挙げようともしている様】
【幼い子供が自慢話を披露する其れに似ているだろうか。やはり声は小さいけれど……自信なさげな物でも無くなったのは、きっと男性のお陰だ。だが……代わりに挙げられた数々を聞く事になったのは善しか悪しか】
【何はともあれ、“自信たっぷりに自慢して見ろ”の目論見は大成功と言っても良いのだろう。1つや2つで済まなくなったのは――――まあ、目を瞑る】


「えへへ……アズにゃんさんが知らない、お母さんの良い所…………私は、沢山知っています…………だから、アズにゃんさんにも……お母さんの良い所、沢山知って貰いました……
でも、お母さんには……内緒、ですよ…………?その、恥ずかしいので…………」

【自分が慕う者の事だ。相手に好印象を与えておいて何が悪いだろうか――――と。尤も、どちらかと言えば少女が彼女の何処が好きなのかを伝えるだけになったのだが】
【最後に憧れる人だと付け加え、楽しそうに笑って伝え終わるが……ふと思い出した様に続けるのは“今のは秘密の話だ”と。其れを他の者に告げてしまおうが何しようが少女は分かり得ないのだから其処から先に紡ぐ話は男性の歩む未来しか知り得ない事】
【種族は異なれど、健気に母を慕う子――――そんな認識で間違いは有るまい】


「むぅ……でも、お面のせいで……二枚目さんかも、分からない…………ですよ……?

――――はい。其れでは、アズにゃんさんが……実演してくれるのを…………楽しみに、してますね……
約束破ったら、や……です……」

【笑われれば頬を膨らませて拗ねるけれど。後に小さく笑えば、皮肉――にも似た言葉で仕返しをするのだろう】

【やがて契りが交わされた頃。側に歩み寄って来たのは銀髪の女性だ】
【腰に提げたのは一振りの刀であって――――研ぎ師たる彼ならば、其れが相当な“業物”である事も知れるだろうか】
【女は一瞥すれば、ふと愛想笑いを浮かべて】


『ほれ、桔梗や。そろそろ戻らねば琴音達も心配するぞ
――――くふ。この妖狐が世話になった様じゃの。礼を言わせて貰うのじゃよ
そうじゃな…………暇な時に封魔城に来れば良かろ。今宵桔梗が世話になった礼をその時にでもさせて貰うからの』

【其れだけを告げれば、少女の手を引いてその場から去る事だろう】
【その間際、妖狐が一度歩みを止めて手を解き――再度男性の下へと小走りで歩み寄ったならば「有り難う御座いました」と一度頭を下げて】
【「約束、忘れないで下さいね」なんて尾を揺らしながら言うのだからよっぽど楽しみなのだろう。その言葉が相手に伝わった事だけを確認すれば女性の下へと戻って】

【今宵はコレで別れとなるのだろう。やがては二人の姿だって闇夜に溶けて見えなくなるのだから】
【――――足元に置かれていたのは巾着袋。中を覗けば、少なくとも一週間は楽に暮らせる程度の金額が納められていて】

【言わずもがな、置いていったのはあの少女だろう。恐らくは“無一文”と言っていた事が引っ掛かったのか】
【此処に置いていった所で何も生まない。ならば……依頼に対しての前金として受け取るなり、今度会った時に少女に返すなりすれば良いだろうか】

/時間も良い感じですのでこの辺りで失礼しますっ!
/お疲れ様でした、お相手有り難う御座いましたですよー!
511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 19:46:12.05 ID:j5LNqJm7o
【どこかの森の中】


【小さな虫の声と、微かな獣の息遣いが響く夜の森】
【整備された細い小道を大きな影が歩いていた】


【それは奇妙な形をした"馬"であった。まるで埴輪のようにずんぐりとした体格をしており】
【目にあたるであろう丸い空洞に、薄く赤い光を灯している】

【馬のような何かは、円柱状の太い四本の足を不格好に動かして森の小道を進んでいる】
【その姿を見ることがあったならば、馬の背に小柄な人間が跨っているのが見受けられるだろうか】


「マリオンのやつめ、次こそは絶対に葬ってやるのだ!」
「それに神モドキも倒さねばならぬし、あの妖怪ともまだ決着はついておらん」


「……ぬぅ、いつの間にやら随分と敵が増えてきた気がするの」
「こうなってくると、私の英雄道もいよいよ進んできた気がするのだ!」


【その人物……身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状の淡く光るボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】

【ローブの人物は「強大な敵を倒してこそ英雄だしの!」などと】
【誰に見せるでもなく独り言を記しながら、森の中を馬のような物体に跨って進む】


【もし道で出会うことがあったならば、この異様な姿が目に付くことになるだろうか】
【また、近くで物音などが発生した場合この人物が反応するかもしれない】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/24(火) 20:57:41.57 ID:/6jzoJvOo
>>511
【月明かりが照らす夜の森、それはどこか幻想的で神秘的な何かを感じさせる】
【さてさて、夜の森の探検と洒落込むは一人の少年】
【戯言中の戯言、虚言であり道化の権化。いや、もちろんそんな自惚れてなどいないけど】
【その白い肌は月明かりによって一層強調され、艷やかな黒髪との見事な対比を表している】

「しかしまぁ……」
「こりゃ本当に神秘的な動物と出会えるかもな」
「例えばそう……神の使い、とか」

【そんな探究心を心に灯し、小道を歩く】
【おや、向こうから見慣れない動物の影がある】
【馬にしては随分とずんぐりむっくりな体格だ、新種か?】
【もしかしたら本当に神の使いかもしれない、どれどれ、ここは物陰に身を潜めて御尊顔をはいけ………】

「……………」

【数秒ほどフリーズ、閉口してしまっている】

「いやいやおかしいって…なんで目が赤く光ってるんだよ」
「怖いって、ありゃ神の使いじゃなく悪魔の使いだ」

【率直な感想、というか印象というか】
【見なかった事にするべきか、これは】

「……あれ、そういえば人が跨ってた?」

【あんなのに跨っているなんて目の錯覚か何かだろうか】
【このまま隠れてたってしょうがない、というわけでここはおとなしく姿を現そう】

「…………あれ、見間違いじゃなかったのか」

【姿を現してみれば、本当に居た】
【しかもなんか漫画の吹き出しみたいなの出てるぞ、なんだこれ】
【…………というか、怪しすぎる】
【神秘的なローブで身を覆ってはいるが今となっては胡散臭さ満載だ】

「………あのー、ここで何をしてらっしゃるので?」

【とりあえず話だけでも聞いてみよう】
【警戒しつつも、どうも中途半端な心持ちでそれに接触する僕であった】
513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/24(火) 21:14:05.24 ID:3Xvk8SLvo
【街外れ・草原】


――――きょうは、月が、綺麗だから……、


【そんな、陽気な歌声の通り――――雲ひとつない夜空で大きな月が胸を張っていた。眩い月の光は宵闇を打ち消し、誰もの道行を照らしている】
【だが大きすぎる光は、かえって周りのちいさな星々の光を見え辛くしていた。代わりに月光を反射した草露が、地上の星のように咲いているけれど――――】
【役目を奪われた本物の星たちは寂しげに、誰にも知られず輝くだけ。……そしてそれは、この少女も同じであった】

【か細い声でたどたどしく歌っているのは、その星々のように簡単に見落としてしまいかねないほど、ひどく存在感に欠ける少女であった】
【雪のような肌には疵一つ無く、肩口で揃えた髪はまるで天蚕糸を束ねたよう。双眸すらもごく薄い蒼に染まるのみで、およそ色素というものが抜け落ちた外見だ】
【あまりにも白すぎるがゆえ、無色透明にすら見える少女――――歌うのをやめてしまえば、そのまま暗い草原色の中へ消え入ってしまいそうである】
【しかし、そんな浮き世離れした風体をしてはいるものの。よく見れば、肩に垂れ下がるサイドの髪は丁寧な三つ編みに結われ、黒いレースリボンで留められており】
【服装も空色のフリルワンピースにグラディエーターサンダルという可愛らしいものだ。人間味を感じる要素も、微かばかりは存在した】


わたしといっしょに、踊りましょう――――……、………。


【耳を澄ませば聞こえるちいさなちいさな歌声が、少女に気づくための唯一の手掛かりだ。どうにか歌を聴き取って、さらによくよく目を凝らして周囲を見渡せば……】
【草原の隅っこのほうに、背景に溶けるようにしてしゃがみ込んだ透明色を発見できるかもしれない。……少女はなにか、白色の花を眺めているようだ】

【どういう意図でここにいて、そしてなんのためにそんなことをしているのかはわからないが――――その口元に、ごく淡い笑みが浮かんでいるところを見るに】
【少なくとも、楽しそうにしていることだけは確かである。だから、例えば誰かが近づいてきたとしても、すぐには気づかないかもしれなくて――――】
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 21:26:42.62 ID:j5LNqJm7o
>>512

「私の英雄譚もそろそろ書籍に纏めて……うむ?」


【怪しい何かに乗った人物は、前から歩いてきた者から掛けられた声に気づき】
【馬モドキの胴に軽く蹴りを入れて合図を送り、動きを止めさせた】


「何を……と聞かれてものぅ。私は家に帰る途中なのだ」
「お主こそ、こんな夜更けにこんな場所で何を――」


【光るボードに黒く細かい粒子が踊り、スラスラと文字を形作り少年の声に応える】
【彷徨う亡霊を思わせるような怪しげな姿とは裏腹に、その答えは実に当たり前なものであった】

【返す言葉で少年に尋ねようとした時】
【ローブの人物は如何なる手段か、フード越しに少年の姿を"視"て首を傾げる仕草を見せた】


「むぅ――……御主、何処かで会ったことがあるかの?」
「どこかこう、記憶の端に引っかかっておる気がしないでもないのだ」


【ローブの人物……砂術師シーナは、少年の顔に見覚えがあったのか】
【何とも曖昧な調子の文字を記して、彼に確認を取ろうとする】
【この魔術師、共闘していても余程印象にないと顔を覚えないという悪癖があったりする】

/発見遅れましたー……!
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/24(火) 21:39:31.04 ID:/6jzoJvOo
>>514
「いや、僕はちょっと森の探検………的な……」

【グサリ、と心にくる】
【学生がこんな遅くまで出歩いていて良いはずがなく、それは至極当然であった】
【何だか怒られるような気がしたので言葉を濁し、萎縮してしまう】
【そりゃあそんなものに乗られちゃあ萎縮するなと言う方が無理な話で】
【それに僕が悪い事は明々白々、言い訳など出来るものか、屁理屈なら言えるかもしれないけど】
【いや、それにしてもそれはどんな仕組みなのだろう?】
【彼女が喋れないのかどうかはともかく、随分とスタイリッシュな筆談だ】
【そして随分と尊大な態度なのはどういう事だろう、キャラ付け?】

【などとかなり失礼にあたる事を思考して】
【僕に見覚えがあるか?と、問いてきた】

「いや、知りませんけど……」
「って、顔見せてくださいよ、顔も声も分からないのに分かるわけないでしょうが」

【はて、この僕に面識などあったのだろうか?】
【取り敢えず、あまり物覚えがよろしいとは言えない僕の脳内にある記憶保管庫を漁る事にする】
【顔さえ分かれば、多分思い出せるのだが】
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 21:43:39.03 ID:edGx495h0
【初夏の陽気はもうじわりと汗ばむぐらいに強く照り付ける。気温の上昇を察知した花々は色とりどりに咲き乱れて】
【布団でも干せば良い具合に日の光を浴びてふわふわになりそうな、そんな日差しと風の心地良い昼下がり】
【何時かの戦いはもう嘘のよう。未だに倒壊した建物は残ってはいるが、平和な時間が流れるゼン=カイマの一角】
【其処にはいち早く再建した建物があった。何でも壊滅した都市において一番最初に建てられたのだとか―――尤も、今は周りの建物も次々に再建しつつはあるが】

【二階建ての少し大きめの建物だが、手入れは行き届いていて外観は美しい。子供が遊べるぐらいの広さの庭だって、可憐な花や刈り揃えられた芝が可愛らしい雰囲気】
【無駄な装飾は無い素っ気ない造りはかつてのゼン=カイマの壮麗な建物とは比べ物にならないが、汚れの一つもない白亜の壁は日光を白く反射させている。】
【庭では数人の子供達が遊んでいる。大人には少し手狭に感じるかもしれない広さでも子供達にとっては十分、歓声と共に所狭しと駆け回るのは10歳前後の子供達】
【遊びに来る友人には知った顔もいるかもしれない。百人を助けると約束したあの女の子も、すっかり相棒になったあの医師の卵を元気に追い掛け回している】

ふぅ。本当に洗濯物の多い事!服を汚すのはそれだけ子供達が元気な証拠で御座いますが……
……あーあーティアったら、またそんなに服を泥まみれにして!

【そんな建物の庭先で、子供たちが遊びまわる姿を見守りながら洗濯物を干して、穏やかな昼下がりを満喫する女性が居た。】
【マリンブルーの瞳を持ち、ブロンドの長髪は絹糸のように美しくさらりと風に靡く。右の目元の泣きぼくろが整った顔にアクセントを加え】
【身に纏うのは以前のようなローブではなく私服。シンプルで可愛らしい服が好みで、最近はささやかにお洒落を楽しむのも趣味なのだとか】
【薄い桜色のカーディガンに白いトップス、レース地のロングスカートは風にふわりと揺れる。足元は可愛らしいパンプス】
【横には洗濯物の入った籠。子供服ばかりが大量に入っていて、その数は人数にして十数人分だろうか。兎に角結構な量】
【首元に掛かったロザリオだけはいつも通り、彼女の体の動きに合わせて揺れる。――そんな、桜色基調の清楚な感じの私服】
【騎士団として戦っていた頃の姿とは違う、女性らしい可憐さを覗かせる彼女。心なしか纏う雰囲気も柔らかくなった】
【――尤も、彼女の雰囲気を変えた理由は騎士団としての役務の終了だけではないのだが……それを語るのはまだ先】


【何かの手違いが無かったならば、とある教会に一通の封筒が届いた筈だ。「良かったら遊びに来て下さい!……相談したい事もありますし。」という内容の手紙。】
【文末にはマリア≠ニ書かれたサイン。―――今度はイニシャルで秘密裏にではなく、しっかりと自分の名前を書けるのが少し嬉しかったとか。】
【若し、来てくれたのなら。きっと出迎えるのは元気な子供たちの笑顔と、手紙の差出人の姿……】

//予約です!一週間ほど前の時空という事でお願いします!
//あと、これから夕飯を作るのでで少し遅れるかもしれません……!
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 22:01:05.17 ID:j5LNqJm7o
>>515

「ふむぅ……気のせいであったか」
「御主が覚えておらぬならば、きっと初対面なのであろう!」


【少年の返事に、シーナはうむうむと一人納得する】
【相手が知らないと言うならば自分の気のせいだろう、という非常に短絡的な思考だ】
【きっと少年が思い出さない限りは、"初対面"として振舞う事になる】


「御主、察しの悪い奴だな? 私は見せたくないからこんな格好をしているのだ」
「見せろと言われて見せられるわけがなかろう?」


【少年の言葉に、何を当たり前のことを? と言わんばかりの口調(?)で返す】
【こんな珍妙な格好と喋り方をしているのには相応の理由が存在し】
【その理由を覆すだけの事がない限りは、シーナは自分からフードを外すことはないだろう】


「まぁ何にせよ、私の気のせいだったならこの話は御終いだの!」


【パン、と小さく手を合わせて話題を打ち切り】
【少年に視線を向けたまま、先程受けた返事を掘り返す】


「それより御主の事なのだ!その森の探検的な……とは一体なんなのだ?」

「そんな曖昧に暈されると気になるではないか!」
「もしや、この森には何か面白いものでも眠っておるのかの?かの?」


【怒られる、という予想は裏切られることになるだろう】
【シーナは、少し身を乗り出しながら少年に対してそう記して訊ねた】
【この人物が持ったのは"興味"。見た目通り小さな子供のような好奇心だ】
【馬モドキの目が、何の意味があるのかは不明だが光が青に変わりチカチカと点滅する】
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/24(火) 22:02:44.18 ID:G7lChrgUo
【風の国はUNITED TRIGGERと書かれた看板の下】
【そこにあるのは正義組織らしからぬ景観を持つ一つの事務所】
【扉をくぐれば事務所と酒場が一体化した、そんな滅茶苦茶な印象を抱かせるだろうか】

【もっとも、組織としてもなかなかに滅茶苦茶なのではないか、そう思う者も中にはいる、みたいである】

……

【そんな酒場とも事務所とも言い難い、れっきとしたUTの事務所】
【そこにチャッ、チャッという音が響く】
【それは犬や猫などを飼っていればわかるか、犬猫の伸びた爪が床を叩く音】

……

【UTの事務所を闊歩する犬がいた】
【灰色の毛並で、ラピスラズリのような目】
【人間みたいに青いスカーフを首に巻き、ゴーグルを額に】
【右前脚にはなぜか包帯が巻いてある】

……

【ちらほらと"酒場"としての普通の客もいる中、犬は玄関の近くで丸くなる】
【一つ、くわぁとあくびをしたかと思うと、脚に頭を載せてその瞳を閉じる】

【UTはついに犬を飼い始めたのか、とか、財政難がきわまってペットショップでも始めたのか、とか】
【猫カフェならぬ犬酒場でも始めるのか、とかいろいろ想像できるだろうか】

【ただ、もしかしたらこの前のセードムシティ突入作戦に参加していた、ということを覚えている人もいるかもしれない】

【確実なのは、この犬は少し臭うということ、爪がちょっと長いということ】
【さらに言えば、その瞳は知性を感じさせるということだろうか……】
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/24(火) 22:15:48.51 ID:/6jzoJvOo
>>517
「はぁ、そうですか」
「まあ、どっちでも良いんですけど」

【正直なところ、どっちでも良いのだ】
【覚えていたところで何も感じないだろうし、接し方だって変わらない】
【どうでも良い、突き放した言い方をすればこれが一番適当だろう】

「はぁ、それは失礼しました」
「でも顔も声も分からない人の事なんか覚えてるわけないですし」

【見せてくれないのか、まあ良い】
【どっちにせよ他人、顔を知っていようがいまいが、何も変わらない】


【そして何だか勝手に話を打ち切られてしまった】
【よっぽどフードについて触れられたくなかったのだろうか】
【まあ無闇に掘り返すのも何だか気が引けるし、良いか】
【さて、今度こそ怒られるかと思いきや、逆に興味を示された】
【もしかして見た目通りの子供なのだろうか、だとしたら敬語で喋っている僕は随分と滑稽なものである】

「いや、別にこれといった深い意味はないですけど」
「探せば何かあるんじゃないですかね、僕は知りませんけど」

【しかしこっちもこっちでかなり面倒くさい】
【本当は特に意味もなく森を歩いていたのだが、どうやって興味を逸らせるか】
【あと馬の目が青くなったよ、怖いよ】
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 22:21:07.57 ID:Hnd6a+dD0
>>516
【彼女が洗濯物を干し終えた辺りで有ろうか。ひょい、と身軽なこなしで庭先へと訪れる存在が在った】
【金色の髪に、何時もと変わらぬ修道着。―――― 一目見れば其れが誰だか分かるだろう。尤も、扉を叩く事も無く勝手に訪れる不躾な者もそうそう居る筈もあるまい】
【「こっちの方が手っ取り早いと思ってさ」。そんな言葉を理由に訪れるのは…………まあ、彼女らしいか】

【腰には水晶を一つ提げているだけで、何時もの様に銃が提げられている事は無い。恐らくは子供達の事も配慮して、か】
【代わりとして手にしたのは何やら甘い香りのする袋。お土産、と考えて間違いは無いだろう】
【其れが子供達の鼻に届くか否かは分からないけれど】


「お疲れ様――――久しぶりだね、マリア。えっ……と…………うん。久しぶりだ

手紙を見てさ、丁度暇だったから来てみたけど――――今日、大丈夫だった?
あ、後コレ。お土産ね。コッチで人気のお店のシュークリームだとかエクレアだとか買ってきたから後で子供達にでも食べさせて上げて」

【何時振りか、と告げようとしたが……果たして何時振りであるのか思い出す事は出来ず。代わりとして肩を竦めて笑んだならば、其れで良しとしたのだろう】
【その手紙、然りと届けられたのだろう。お菓子の其れを差し出せば、如何にも遊びに来た友人と言った風だけれど】
【――――引っ掛かったのは、その相談したいことに関して。本来なれば、もう一仕事終えてから訪れるつもりだったが……相談事となれば早めに乗った方が良いか、と考え直し】
【結果が今日訪れるに至った、と言う訳であって】



「――――……で。手紙に相談したい事って書いてあったけど…………ふふ。今度は“平和な”相談事だよね?
まあ、ボクは別に今度は大きな蛸を一緒に退治して欲しいだとかでも一向に構わないんだけど――――今の君を見てればもっと面白そうな話の気もするし

…………ま。息の詰まりそうなカタッ苦しい話じゃ無いのだけは確かだよね?」

【緩やかに笑いながら空となっているであろう籠を持ち上げれば、言葉無くして「家の中まで運ぶよ」とでも告げる様で】
【――――ある程度雑談するでも良し、子供達と戯れるでも良し。或いは、手紙に記した“相談したい事”を話すも良し、か】
【何で有れ、急な訪問をしたこの修道女をどの様に迎えるかは女性次第、か】

/了解ですよー。ごゆっくりどうぞっ!
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 22:28:17.82 ID:j5LNqJm7o
>>519

「なんだ、つまらんのぅ……ガッカリなのだ」
「何かあればよい気晴らしになると思ったのだがの〜」

【少年の言葉が不服だったのか】
【露骨にガッカリした様子で、乗り出していた姿勢を戻す】
【興味を逸らす、という点では成功といえるだろう】
【正確にはシーナ側からの興味が無くなった、というものであるが】


「まあよいか、時間を取らせて悪かったの」
「邪魔はせぬから、そのまま散歩を続けるがよいのだ」


【「狼と魔物には気をつけるのだぞ〜」などと】
【注意ごとらしきものを一つ記して見せた後に】
【特に引き止められないならば、隣をパカパカと馬モドキを歩かせて通り過ぎていくだろう】
【シーナとしては、相手が道に迷っているならともかく】
【散歩出来るだけの実力があるならば送り届ける必要もないだろうと考えている】
【もし何事もなかった場合は振り返ることもなく、そのまま道の向こうに消えていく】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 22:30:10.59 ID:R2Oy5rIAo
【路地裏】

『ァァァアアアアアアッッ!!!』

【じめりとした湿度の高い空気が閉じ込められたようなこの路地裏】
【ビルの窓明かりが唯一の光源の入り組んだ年の迷宮は繁華街の裏の顔】

【悲痛な声が奥から飛び出してくる。そして転がってくる小型のピストル】
【奥へ向かえば右手首を抑えたパーカーの男が仰向けに倒れている】
【手首からは血が流れる。だが、男は手ではなく眼前に向けられた刀の切っ先しか見ていない】

――もう一度聞きましょう。何処の売人ですか?貴方は。…何処から買って、何処にシノギを?

【凛とした女性の声は、静かに尋ねる。男は何も言わず、血のついた刀を絶句したまま見ている】
【女性のパンプスが一歩、足音を鳴らして近づく。男は我に返ったように後ずさる】

【影から出てきた女は黒い長髪を後ろで1つに束ね、銀縁の眼鏡をかけた切れ長の目をしていて】
【細い黒の縦縞の入ったグレイのスーツを着ている。襟には四つ割菱の金のバッチをつけていた】

『違う違う違うんだって!!殺さないでくれよぉ!誰かぁ!!助け…助けてくれぇ!』

富嶽会のシマでヤク捌くとはモグリもいいトコ……チャカもまともに抜けやしないで

【男は地面を擦りながら逃げる。女は追う。男は叫ぶが彼女は何も言わない】
【彼女がその首をはねようと両手で刀を握った時、男は何をしようとしているのかを悟って絶叫した】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/24(火) 22:42:44.56 ID:dUZ9jh06o
>>518

【――玄関近くで丸まっているなら、新たな来客に気付くのもその犬が最初だろうか】
【キィ、と扉が開いて入ってくるのは一人の男。それも実に大柄な、厳しい顔の、だった】

【服はローブと豪奢なマント。革のベルトで分厚い聖書を括っている辺り、聖職者か】
【身長は180cm程度、そして布の上からも分かる程に鍛え上げられた肉体――】
【或いは、犬が一ヶ月以上も前のニュースを知っていれば、彼が誰か分かるかも知れないが】

……ふン、以前来た時は内部までは見なかったが……
まさか本当に酒場とはな…。……しかし、店員が見当たらんが…――。

【ともかく。彼は店に入って立ち止まると、客達の視線なんて気にもせず周囲を眺め】
【どうも対応する店員が今は見当たらないようだ、と独り事を漏らす】
【実際は居るのだが――まあ、犬は犬としか思っていないのだろう。来客、で間違いないようだったが――?】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/24(火) 22:50:46.47 ID:/6jzoJvOo
>>521
【何かガッカリされた、僕が悪いのか?】
【いや、これで正解なのだけど、どうにも理不尽を感じる】

「あぁ、そりゃ分かってますけど」

【………あ、そうだ】
【折角だし名前だけでも聞いておくか】
【何を思ったのか、僕はそんな事を考えてしまい】

「そういえば最後に、お名前は?」
「僕は、渚 詩音です」

【さり気なく先に名乗り、逃げ辛くする】
【いやもちろん名乗る名乗らないはその人の勝手なのだけれど】

【それにしてもこの僕が見知らぬ人の名前を聞く事になろうとは】
【興味のない他人のはずなのに、何故だろう】
【でも、それはどこかに僕が興味を引かれたというわけで】
【興味を引く理由なら幾つも心当たりがあるのだが、どうにも解せない】
【―――――結局、戯言か】

【そんなの、考えるだけ袋小路だ】
【思考を止めて、とっとと名前だけ聞いたら帰るとしよう】
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/24(火) 22:54:43.85 ID:G7lChrgUo
>>523
【ギィ、となる音に片目をパチリと開ける犬】
【そのどちらかというのなら聖職者というより武闘家というべき恵まれた肉体に犬は軽く感嘆の鼻息を鳴らす】

………

【どうやら妙に偉い人みたい、なのに店員はいない】
【事務所も兼ねているのだから常に誰かいるべきだろう……と思ったのは誰だろうか】
【この場にいるのは普通の客と犬だけなのだが】

よっと、すまないな、今他の奴らは出張っているようだ
何か飲みに来たのか?酒程度なら注げるが……それとも犬の毛が入りそうで嫌か?
一応ブラッシングして抜け毛はないようにしているがな

【その時、犬が立ち上がった、後ろ足で】
【プルプルと震えているわけでもなく、まるで自然なように立っているあたり、曲芸なんかではなさそうだ】
【それより驚くべきはしゃべっていることだろうか、すらすらと流暢に】
【子供にしては渋く大人にしてはまだまだ若いような男の声だった、口も一緒に動いているあたり誰かが腹話術をしているわけではなさそうだ】
【なんにせよ、犬は返答を気にすることはなくカウンター側へとまわるだろう、二足歩行しながら】
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 22:58:17.98 ID:j5LNqJm7o
>>524

「私はシーナ、シーナ・ゲルギルなのだ」
「詩音とやら……渚 詩音? うぅむ、最近どこかで聞いた覚えがあるような」

「……まあよいか、気のせいであろう。では、さらばなのだ」


【名を聞いて、何か何処かで覚えがあるような気がしたが】
【相手は"初対面"だ、ならば先程思った通りにただの気のせいであろう】
【特に振り返ることもなく、そのまま去っていった】

/お疲れ様でした
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/24(火) 23:04:53.54 ID:dUZ9jh06o
>>525

……――――なに……?

【反応は至極単純なものだった――犬自身は、何度も見たようなソレだろうか】
【ぽかんと口を開けるとまではいかないが、向けた目元にシワが寄って】
【そしてじっと犬を見つめるのだ。知性を感じる瞳、二足で歩くその様子】
【耳では喋る言葉をしっかりと捉えて――それでようやく、我に返ったように目を瞬かせ】

……いや。…いや、酒を飲みに来たのではない……。
此処のリーダーに会えればとも思ってはいたが、ソレは副次的なものだ

風の噂に、此処で服を仕立てていると聞いた。それも評判が良い、とな
それで、私もその用事で来たのだが……この様子では、仕立屋は不在か?
喋る犬とは、流石に驚いたがな…――よくは知らんが、UTも妙なものだ

【と、簡潔に用件を告げるのだった。カウンターの席には座らず、立ったままで。】
【成る程確かに、ローブはともかく服≠ニなると難儀しそうな体格では有った】
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/24(火) 23:12:24.29 ID:omChIJZ5o
>>522

【──、何時の間に、其処に居たのか】
【若しかしたら、彼女は接近を知って尚、捨て置いていたのかも知れないが──、】
【兎に角。 路地裏の入り口、壁に背を預け、冷笑を浮かべる者が其処に居た】


…、…末端のチンピラに訊いても、殺しても無駄=Aだ。『富嶽会』。


【身に纏っているのは水国高級ブランド『エスカレード』のスーツ。襟元には金狼≠フバッヂ】
【怜悧な印象を与える碧の双眸より視線を上げれば、煌く髪質の良い銀髪が存在している】
【左腰には銀の拳銃、右腰には黄金の指揮棒――左目を眼帯で覆った、三十路の男だ】


何より、戦意*ウき者を[ピーーー]のは『任侠』とやらに悖ると思うが、な。
──、尤も、それで尚、[ピーーー]のなら止めはせんが。


【襟元の金狼>氛氈A若しかしたら、『水国軍』に、其れを隊章とする部隊が居た、と思い当たるかもしれない】
【此処が水の国であれば関係者が居てもさもありなん、違うのなら、なぜ此処に、と言う事になるのだが──】
【…、…どちらにせよ、積極的に彼女の邪魔をする気は無いらしいが──】

/まだいらっしゃるでしょうか
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 23:12:50.11 ID:edGx495h0
>>520

【見慣れた格好をした見慣れた友の姿が視界に入ったなら、待っていましたとばかりに嬉しそうな笑顔を見せる。】
【何の遠慮もせずに訪れるところは何とも彼女らしい。尤も彼女の事はとてもよく知っているし、今更遠慮するような間柄でもないから】
【ちょっぴり強引な訪問だって嫌な顔をする事も無い。寧ろ無遠慮なくらいが丁度良いような気もする程だ】

はい、お久しぶりです。何時もと変わらないようで何よりで御座います!
手紙、読んで下さったのですね。時間もたっぷり空いていますし、大丈夫ですよー!
それに……ふふっ。もし大丈夫じゃなくても、グリースが来るのなら私はいつでも歓迎しますけどね♪

【正確には何処かの遺跡で会って以来だ。以前も、ずっと前も、今日も、彼女は本当にいつもと変わらない気さくな様子】
【―――対する此方はとても大きな変化があったのだが。それも、人生そのものに関わるような重大な変化が……】
【兎も角、こうして訪れてくれた友人を歓迎する姿はいつも通り。差し出されたお土産にぱあっと笑顔を浮かべるのもマリアらしい】
【「ありがとうございます!きっと子供達も喜びます!」なんて、心底嬉しそうにしているのは子供達が喜ぶ顔を想像してか】

ふふ、大きな蛸だなんて逆に面白そうな気も致しますが……そんな事ではないのですよー
堅い頼み事ではないのは確かです!

【友の突拍子もない可笑しな冗談に面白そうに笑ってみせる。街を襲う大きな蛸だなんて一体何処のB級パニック映画だ】
【……冗談はさておき、「相談したい事」のお話。平和な相談かと聞かれたなら、否定するように首を横に振って】
【それからニコリと微笑む様を見れば、決して物騒な相談ではない事が伺えるはず。―――尤も】
【とても平和で幸せな話ではあるけれど……かなり重大な相談である事が、直後に判明することになるだろうが】
【少し照れたような微笑みと共にグリースに放つ言葉は―――】

……その、えーっと……
―――もし良ければ、ウェディングドレスを一緒に選んで欲しいのです。

……ドレスだとか、私はあまり詳しくないもので……こんな事相談できるのはグリースしかいなくって……
お願いします、一緒に似合う物を選んで下さい!
目ぼしいお店は見つけています!今からでも転移魔術を使えば直ぐに行けますから!

【―――ここで、グリースは重大な情報を知ることになるだろう。ウェディングドレスを選ぶ?つまりマリアは……そういうことなのかも知れない】
【そう言えば以前、冗談半分でグリースが誰かさんの事を「旦那さんって呼べば?」だなんて言っていたが……】
【……更に言えば、転移魔術も誰かの得意技だった。あれと全く同じ術を使って、一緒に仕立屋に行こうと言っているのだが】
【相談を受けるかはグリース次第。とても平和だけれどとても大きな頼み事。「こんな事を頼めるのは貴女しかいない」なんてマリアの本音―――】

【(因みに、同意してくれたなら転移魔術でひとっ飛び。マリアがグリースの手を繋いで魔術を発動させれば、次の瞬間とある仕立屋の前に居る事になるが)】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2014/06/24(火) 23:19:08.63 ID:3Xvk8SLv0
/>>513は一応まだ募集中です〜
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/24(火) 23:20:05.80 ID:G7lChrgUo
>>527
どうも、喋って二足歩行できて人間の道具が使える以外は普通の犬、アゾットっていいます
エーゼットオーティーエイチで、Azoth

【当人……当犬、Azothと名乗った犬曰く普通の犬だそうだ】
【どう考えても違うが、突っ込むべきはそこだろうか】

……なんだ、酒じゃないのか

【小さく、「台所に入る大義名分を得たと思ったのに」とぼそりと呟いたのが聞こえただろうか】
【どうやら何らかの理由でキッチンに入ってはいけないと言い渡されているらしい】
【その後、今リーダーは不在だと告げるだろうか、この犬も詳細は知らないらしく詳しくは言わない】

……仕立て屋、ね
いるよ、服に靴、帽子にベルト、皮も布も扱う仕立て屋

【一瞬、仕立て屋と呟いたとき犬の表情が曇ったというべきか、まるで不相応な名乗りをしている、と言わんばかりに】
【だが、次の瞬間にはいると言い切った】

というか、私だ
どうも初めまして、仕立て屋E……違った、仕立て犬Azoth、どうぞご贔屓に

【驚いた?と言わんばかりにじっとその目を見つめるラピスラズリの瞳】
【一瞬、別の名前を名乗ろうとしたようだが、すぐに訂正した】

【一方で普通の客は犬が歩いたということに驚いた様子だったが、すぐに元の喧騒に戻った】
【犬が歩くとか程度で驚かない訓練された客のようだ】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/24(火) 23:32:23.16 ID:dUZ9jh06o
>>531

……私はフレデリックだ。ゼン=カイマという聖地の、大司教をやっている。
喋る犬か……いや、今までにも似たような連中には会ったことが有る
そういう者は総じて燃え盛る獅子だったり、妖怪だったりしたのだが……

……まあ良い、もう驚かんぞ。仕立て"犬"のアゾット……覚えておこう
そして一つ仕事を頼みたいのだが…――時間は有るか?

【こう答えるまでにしばし――10秒かそこらの沈黙が合ったことは特筆しておく】
【そして話に応じれば、どうも仕事の内容というのは『結婚式用の服を仕立てて欲しい』というもので】
【わざわざここまで来た理由は彼の肉体を見れば分かる、というのは先に記したとおりだ】

それと……折角だ。酒の一つも、貰っておこうか……。
特別に拘りも無いのでな……貴様の勧めがあるなら、ソレを一杯。

【――ついでに、と付け加えるのはそんな一言。厳しい顔付きだが、あながち悪人でもないらしい】
【聖職者が、と云うのが少々憚られるのか小声だったが――何を出そうと飲む、という】
【なら、アゾットの自由にするのが良いだろう。服の仕立ては酒の後、となるだろうか】
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/24(火) 23:44:25.43 ID:/6jzoJvOo
>>513
【さて、森を抜ければ今度は草原だ】
【随分と長い散歩になるが、まあ良いだろう】
【相変わらず月は光々と、神秘的に辺りを照らしている】
【先程は悪魔の使いに出会ったけども、今度は違うのに出会えるものか】
【いや、戯言だ】

「ん、歌声?」

【足を踏み入れて歩いてみれば、歌声らしきものが聞こえる】
【耳を澄ませば、どうやら聞き間違いでも幻聴でもないようで】
【そこで声の主を探そうと、声のする方へと足を進める】

「確かにこっちなんだけどな……」

【ここら辺で声が聞こえているはずなのだが、肝心の姿が見当たらない】
【やっぱり幻聴なのだろうか、いや、それにしてはやけにはっきりとしている】
【キョロキョロと辺りを見回し、何とか発見しようと躍起な気分になってきた】
【まるで隠れんぼでもしている気分、そんな遊びを幼少期にした記憶などあったか】

「………あ、見つけた」

【それはまるで保護色】
【無色透明、真っ白な肌をした少女】
【肌の白さで僕に勝るなどと、ちょっと悔しい気がしたけどきっと戯言】

「やぁ、こんな遅い時間まで何してんの?」

【自分の事を棚に上げ、いざ接触だ】
/置きスレに移動確実な気がしますが、それでもよろしければ是非!
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/24(火) 23:47:05.31 ID:R2Oy5rIAo
>>528

【構えを崩さぬまま、目を流してその声の方を見る】
【変わらぬ冷ややかな目線。それを投げつけてから元に向き直り】

…価値があるかどうかなんて、さして重要な事ではありません。

【握っていた左手を離し、両手の構えをといた。右手を返し刃を外側へ向ける】
【スッと、みねに左手のひらを当て、拭うのかと思った矢先】
【グッっと前傾に体を倒し、そのまま彼奴の喉へと刃を突き刺した】
【緊張を解いた時の出来事で、対処のしようもなく、声を上げることも出来ず】
【男は目を見開き、口から血を流し、驚愕の表情を浮かべたまま絶命した】

袈裟で斬っては血がはねる。突きにしてよかった。

【答え合わせのように感情もなくひとりごちて、刀を引き抜いた】
【刃を外へ向け、左手でポケットから取り出した懐紙で刀を拭う】
【血のついた紙を血溜まりの中へ捨てると一歩下がって静かに納刀した】

麻薬を売り、拳銃を人に向けるような輩にかける情など私にはありません。
……此処はいくさばではありません。御仁。…任侠は私のほうがよく知っているかと。

【相手の言葉には冷たく皮肉のこもった言葉を返し、相手のことを問うこともなかった】
【こちらも、向こうが何かしてこない限り何もしないつもりらしい】

【刀は2つ。朱塗りの鞘の打刀である。彼女は絶命したての彼奴のもとにしゃがみ込み】
【パーカーや、ジーンズのポケットを漁る。出てくるのは錠剤の入った瓶。巻いた紙幣、電話、財布などだ】
【彼女は瓶と電話、財布から免許証を抜き取ると紙幣や財布は捨てた】
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/24(火) 23:47:42.96 ID:Hnd6a+dD0
>>529
「歓迎してくれるならボクとしても悪い気はしないけどね。――――なんか、ずっと前の事みたいだ。ゼン=カイマが荒らされたりとか、そんな事があったのなんてさ
…………まだ一年所か半年も経ってないのにね、実際。こうして色々壊されちゃったけど――…………でも、まぁ…………」

【終わりよければ全て良し、では無いけれど。こうして話して居る彼女だって、元は敵だったのだと思うと不思議な話だ】
【戦ってから数日、浜辺での再開を経て打ち解けて。――――生きていれば不思議な事には多々遭遇するけれど、元は敵であった者とこうして話せる未来なんて想像もして居なかったのだろう】
【小さく笑って「それなら良かった」と返した言葉は…………子供達が喜ぶ下りか、何時でも歓迎してくれるとの話か。……其れとも、この未来に至った過程にか】
【――――答えは分からない。然れど負の意味が込められた物では、決して無く】



「いやぁ……一回海の上で戦ったけど――――うん。砲撃も意味無かったし、何より足が多くて戦い辛かったしで…………この話はまた今度にしよっか」

【場所は異なれど嘗て戦った事がある、告げればその表情は何と無くゲッソリとしていて。死神たる女をこの表情にさせるとは、余程苦戦したか…………】
【其れとも、ただ単に強くも無いが面倒な相手なだけだったか。答えはきっと後者なのだろうが】

【とは言え、だ。仮に悪魔との戦いであっての彼女が頼むのならば拒否はしなかっただろうけれど】
【次に告げられるであろう相談の正体を聞くまでは、何とも気楽な振る舞いだったのだが……やがて内容を聞かされれば、キョトンとした表情を見せて】



「――――へ?うぇ、ウェディングドレスって……ちょ、ちょっと待ってよマリア
ボクの専門的にこう……相談と言ったら何だか危ない魔獣を排除して欲しいとか、そうで無いなら子供達と遊んで欲しいとか…………

と、と言うかさ。ボクもそんな詳しくない……し…………。あぅ……まあ、そう言う事なら付き合うけどさ……」

【てっきり子供達と遊んで欲しいと言われるかと思ったが――――まさか、ドレス選びとは】
【珍しく慌てた様な素振りを見せれば口篭もる様に何だかんだと理由を並べるが…………友の頼み事となれば断る事も出来ない】
【創られた命。戦闘のみならず不本意ながらも聖書の事や、他の知識は色々詰め込まれてはいるが結婚式だとかそういった物の知識は一般人に等しく】
【――――だが。結局は承諾して、彼女の転移魔術によって目的の店へと行く事になるのだが――其処での開口一番が】



「それで……お洒落でドレスを着たい訳でも無いよね。だったら相手の人が居ると思うんだけど…………

まさかと思うけどさ――あの後、本当に団長サマに告白された…………告白しに行ったの?」

【漸く冷静になれば、ウェディングドレスの意味を思い出し。――――ならば、相手は誰であろうかと】
【あの日冗談で言ったときの彼女の慌て様は面白く、笑いながらも彼に脈ありかと思ったが…………】
【何と無く、もう答えは予測できて居るのだろう。繋いだ手を離して向き直れば、其処に居るのは何時もの調子を取り戻した女であった】
【――――問うた時には何処か意地悪そうな笑みすら浮かべていて。「どんな風に言ったの?」と訪ねるときは、実に楽しそうであったと付け加えるか】
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/24(火) 23:54:27.56 ID:G7lChrgUo
>>532
フレデリック……ああ!名前は聞いたことがある、名前は

【どうやらあの"鬼"の討伐の声明は知っているらしい】
【『名前は』をもう一度繰り返すあたり悪意があるのか、いや、悪意があるようには見えない、なら無意識か】

そうだ、仕立て犬のAzothだ
時間はなければ作るものだからな

【そういってカウンターに頬杖をつく、どうやら受けるつもりらしい】
【そして言われる、『結婚式用の服を仕立ててほしい』という内容に犬は少し目を細める】

まず最初に聞いておこう
その結婚式は、いつだ?

【そして、その返答次第によって犬の柳眉が険しい角度になったり、呆れの溜息を吐かれたりするのだろう】
【上記の反応は、いわゆる結婚式がまさかかなり近い、となった場合だ】

酒か……まあ適当でいいか

【聖職者だからとかそんな縛り一切知らない様子の犬】
【そんな様子で適当に酒を取り匂いを嗅ぎ、棚に戻す】
【その中、二種類の酒を混ぜ合わせる】

……よっと、<Death in the Afternoon>だ

【シャンパンとアブサンを適量ずつ混ぜ合わせたカクテル、別名午後の死】
【淡いエメラルドグリーンのカクテルは、脳天がしびれる味と評されるカクテルだった】
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 00:03:58.19 ID:dmncHnm0o
>>534

【──、男の喉に刃が刺さっても、男の表情は寸分動かない】
【ただ、「成る程」。と、小さく呟くのみ。…、…少なくとも正義≠振りかざす輩では無いらしい】


(……いかんな。)

【此処まで見事な業を魅せつけられては、戦いたく=Aなる】
【しかし、彼女の言う通り此処は『いくさば』ではない。その位の分別は付いている】
【軽く息を吐いて精神を落ち着け、その壁から背中を離し── 】


──、まぁ、其処のチンピラはどうでもいい。
私は水国軍中佐、ロロケルム・ランガスター≠セ。

用件を単刀直入に言うなら、『それ』の件で陣中♂長にお目通り願いたい。
政府の狗と顔を合わせるのを好まん、と言うなら、伝言でも結構。


【それ>氛氈Aと顎を向けたのは、「錠剤の入った瓶」】
【…、…まさか国軍が、「薬の流通を勧めろ」、と言うわけでもあるまい】
【用件の内容は、自然と推し量られる。 ──、詰まりは、取締まり≠フ方だろう】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 00:07:38.09 ID:4fIV8aZbo
>>536

……? 式は、一週間ほど先だが……何か問題でも有るのか
たかが服を仕立てる程度、さほど掛かるものでも有るまい?

【という答えは、きっとアゾットを呆れさせるには十分だろう】
【聖職者、なのだ。――まさかローブしか着たことがないとまでは言わないが】
【スーツなどを仕立てて貰ったことなど無いのだろう。その言葉には何ら疑いがなく】

【それから何の気なしにカクテルグラスを手に取れば、色味をちらと確かめて】
【そして躊躇いなく一口で飲み干してしまう。――眉根にシワが寄るのは、直ぐ後だ】

ッ……おい、貴様……!確かに任せるとは言ったが…――!

【――咳き込まない辺りは流石、というべきか。だがじわりと刺激的なその味は】
【明確に彼に"ダメージ"を与えていて、ある意味では"仕返し"に調度良いのかも知れなかった】
【何せ、相手は犬だ。彼とて喋れようが、犬相手に手を上げはしない――面倒な依頼の代償、なんて所だろうか】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 00:20:39.94 ID:sGQo5G0fo
>>533


…………だれ?


【声を掛けられ、少女は振り返った。楽しげなうたも花の観察もふと止めて、月白色の相貌がそちらを見やる】
【少女は質問に答えるより先に、首を傾げて誰何を問う。その辺りから僅かばかり警戒の色が見て取れるか――――】
【いや。なにせ色というものが徹底的に欠けた少女である。実際にはそれもとんでもなく希薄で、単なる無表情にしか見えなかったかもしれないけれど】


えっと、おさんぽ、かな。
…………ねえ。あなたは女の子?


【こんな時間に年頃の少女がひとりきり、こんな辺鄙な場所で散歩というのも奇妙な話ではあるが、人形のような無表情からはなにも読み取れず】
【本当なんだか嘘なんだかも分からない。けれど、ふとそちらを覗き込むようにした表情には、ほんんの少しだけの興味があった】
【……華奢な体つきに整った目鼻立ちから、性別を判別しかねたらしい。「お肌、しろいね」と、少女も少女で自分のことを棚に上げた発言をしつつ】
【そちらの外見をつぶさに観察し始めるだろう。じろじろと全身に視線をやる少女には、まったく遠慮という者が感じられない】


/気付くの遅れちゃって申し訳ない、よろしくです!
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 00:21:33.36 ID:+jCRUUeXo
>>538
……フレデリックは襤褸を着て結婚式に出るつもりか?
布一枚で礼服は完成するわけじゃないんだからな……

【呆れたような溜息を吐きながら眉間をもむ】
【犬の指でよくそんな器用なことができるものだ】

……世間知らずの色ボケにはちょうどいい味だ

【薄暗い笑顔を浮かべつつ犬は笑う】
【仕返しとしての意図はなかったかもしれないが十分に彼の気持ちの代弁者となった】


……で、だ
一刻も無駄にできないわけだ、なにせ布から作るからな

【どうやらこの犬、布から礼服を作るつもりだ】

それで、礼服って言っても三種類ある
ドレスときたらタキシードだ、まあ大抵白だがな
もし相手が桜の国出身者などで白無垢だっていうなら当然紋付袴だ
一風変わった服がいいっていうなら民族風の衣装なども用意できるが……

【そういうといったん裏に引っ込み、すぐに分厚い辞書のようなものを持ってくる】
【付箋だらけのそれを開いて見せる、そこにはタキシード、紋付袴、そして民族風のゆったりとした衣装が乗っている】
【民族風の衣装についてはまるで天上の人が身に纏っているようなタイプである】

それともほかのデザインがいいのなら他のページもめくってみてみればいい

【そういって衣装の事典を渡す、どうやら世界中の服が乗っており、乗ってない服装はないように見える】
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 00:43:12.61 ID:4fIV8aZbo
>>540

【小さく舌打ちするものの、フレデリックはなんとも言い返すことが出来ない】
【なにせ『布から』と言われれば素人でもどれ程の労力が必要か分かるからだ】
【コトンッ、とグラスをおけば、話を聞き――やがて本を渡されれば、パラパラとめくって】

……礼服にも色々と有るのだな。私も式を見たことくらいはあるが…。
こういうのはやはり、相手とも合わせるものだろう。

となればまず、白無垢といったか……ソレに合わせた紋付袴とやら、これは除外だ
大方、あれはウェディングドレスを選ぶに違いないからな。
何となくだが、そう思う。これを着た姿も見てみたくはあるがな……ふ、フッ…。

ふむ――さてそうなれば、民族衣装というのも無しか。
……やはり、タキシードが良さそうだ。詳細なデザインは私からはなんとも言えんが

【続けて『動きやすい物を頼みたいが』と、まあ当然な事を要求するのだった】
【何せ全身、筋肉の塊のような男だ。下手な服では身を捻るだけで服がダメになるのは目に見えて】

無論、その分の報酬は弾もう。200万出しても良い……私の服一着で、な
その代わり期限は一週間……私のミスだが……――頼めるか、アゾット?
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 00:51:26.02 ID:n4aLrvn50
>>535

【巨大な蛸と本当に戦ったことがあるのかと目を丸くする。……いや、グリースの事だからどんな奇妙な物と戦っていても不思議ではないか】
【……彼女は一体何と戦ったことがあるのだろう。この調子でいけば想像もつかない妙な怪物と戦っていたりして……】


ふふっ、ありがとうございます!……一緒に行って下さるのは、貴女しかいないと思いまして。
詳しくなくても良いのです。ただ……貴女と一緒に選んだなら、きっと一番いいのを選べるかなって。
それに……―――一人で選ぶより二人で選んだ方が楽しい気もしますし!

【―――今まで見たことのなかった、グリースの慌てる表情。……まあ、唐突にこんなお願いをされれば無理もないか】
【口籠ったりして暫く面喰って、それでも付き合うと言ってくれる辺りは本当に良い友だなぁ、なんて。】
【マリアも(数日後には当事者だというのに)結婚式の知識は無くて、ついでに言えばドレスの事なんか何も知らなくて】
【だから一人でいろいろ選ぶのが不安だったのだ。そんな時に頼れるのは――――最も親しい友に他なるまい】


【―――そんなこんなで子供達に「少し出かけるからお留守番は頼みますよ!」と告げて、グリースの手を繋ぐ。】
【微かな浮遊感の後に二人の全身を光が包めば、次の瞬間は大きな店の前。ガラス張りのお洒落な店構えは流石デザイナーの店と言った所】

【向き直って悪戯っぽい笑みを浮かべながらグリースが尋ねるのは、告白した時の事。とても楽しそうに聞いてくるのがちょっぴり意地悪】
【一方のマリアは頬を赤らめて恥ずかしそうに笑っていた。暫く言いにくそうに口籠って、やっと言い出すのに数秒かかって】
【……でも、その時の事を語るマリアの表情は決して嫌そうではなかった。寧ろ幸せそうな、嬉しそうな……少しだけ恥ずかしそうな、そんな表情】


―――ええ……その……、……私の方からプロポーズしました。
……貴方なら、私の心を寸分違わず汲み取って下さるから。
私の心を理解し、受け容れ……そして、一点の曇りも無く信頼して下さるから……だから、共に居て欲しいって。

……あの人は私の心を寸分違わず汲み取って、信じて下さいました。
不器用だからあんまり言葉にするのは上手くない人だけど……その分心で接して下さいました。
だから、私はあの人と共に居ようって決めたのです。

―――あの人はもう、傍に大切な人たちが沢山いるということを知っています。
憎しみに囚われて一人で血を流すこともありません。妻が断言するのだから間違いありません!
随分遠回りをしてしまったけれど……でも、もう大丈夫です!

ふふっ……知っていますか?あの人、最近とってもよく笑うようになったんです。
子供達と接する時なんて、とっても柔らかい笑顔で……私はそんな顔が大好きです!

……グリース。貴女は今もあの人の事を嫌っていますか?

【―――訊き返すのは、グリースが今は自分の夫となったかつての宿敵のことをどう思っているか。】
【ただ一つ言える事は、彼は確実に変わったという事。様々な出会いの末に、彼の心はきっと以前とは違うものになった―――】

【一通りの話が終われば、店内に入る。女性店員が直ぐに応対し、二人をテーブルに案内するだろう】
【マリアが事前に予約していたらしく、話はスムーズ。直ぐに幾つか試着しようという話になって】
【ここからがグリースに頼みたかった事。どんなドレスが良いか、親友の意見を聞きたいのだ】
【因みに、マリアは恵まれたプロポーションに加えて騎士団で鍛えられた細身でしなやかな体躯の持ち主】
【ボディラインの出るドレスなんかはよく似合うと思うが……そう言えば、とある既婚の友人はマーメイドラインのドレスなんてどうかなんて言っていた】

//ドレスは適当に選んで下さって結構です!何なら詳しい描写は省いて「こんなドレスはどうだろう?」と数ある中から選んで薦めたという形でも大丈夫ですので!
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 00:55:57.60 ID:+jCRUUeXo
>>541
【一方の犬は布からでなくとも作るのが大変だろうこの巨漢の型紙について悩んでいた】
【なにせ普通の型紙を使ってはそもそも歩くだけでも縫い目が破れそうだ】
【魔法素材でもあればまた別なのだろうが、無いものねだりをするわけにはいかない】

タキシードね、まあ無難な選択だな

【そして続いた動きやすいという要求に犬は若干めまいを覚えた】
【普通に動けば破れないであろう礼服の型紙なら考え付いていた手前、そこに動きやすいとなれば一体どうするべきか】
【ぐううう、っと前足でこめかみを押さえる、アイデアを絞り出そうとしているように】

……頼まれたからにはやる、クライアントの言うことは絶対だ

【そしてしばらくするとはぁ、とため息をついて立ち上がる】

こい、その筋肉達磨の身体を採寸する
でないと型紙も作れない

【そういうとカウンターの戸を通って裏方へと犬は行くだろう】
【通るときにちらりとフレデリックの方を見ながら、ついて来いということだろう】

【そして、裏方でちょっと廊下を通ると一つの部屋に通されるだろう】
【そこはいかにも空き部屋といった様子で、めぼしいものは何もない】

……よし、それじゃあ脱げ、あ、下着はそのままでいい
ただ体のサイズを測るだけだからな

【そういうと犬は近くに置いてあった段ボールに何やら端末のようなものを置き、そしてその手にメジャーを握るだろう】
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 01:10:06.08 ID:4fIV8aZbo
>>543

【付いて来いと言われれば、何事か小さくぼやきながらもそれに従う】
【『好き勝手言ってくれる』とかそういう呟きなのだが――ま、それは置いておくとして】

【脱げ、と言われれば恥じらう乙女でも無い。こくりと頷けば、まずマントを外し】
【次いでローブを、また他の衣類をドサリと重ねてゆく】
【体格が体格だからか、単なるローブでも"ドサリ"なのだ。やがて全てを脱げば】

【露わになるのは、なんともマッシブな肉体。全身、余すところなく鍛えあげられていて】
【ふくらはぎから首のあたりに至るまで、無駄な脂肪はさっぱり見当たらない】

【加えて述べるべきは十を超える大怪我の痕や、右腕と左足だろうか】
【その二箇所は義肢≠ネのだ。腕は肘から先が、そして足首から先は】
【どちらも黒鉄の義手義足であって――まあなんとも物々しい様相であり】

……これでよかろう?それとも、サンダルの方も脱いだほうが良いか?
採寸など、したこともされたこともないのでな……問題が有れば言え、此処は従おう。

【話に出したサンダル、とはグラディエーターサンダルの事だ。動きやすさ重視の装備である】
【――しかし、体付きやらよりも目を引くのは彼の下着だろうか】
【下帯、もとい褌なのだ。櫻のよりも布が多めの、前垂なんかも有るものだったが】

【こうしてみると大司教と言うより ボディビルダーのようだった、とは余談だ】
【ともかく彼は服を脱いでアゾットの好きなように任せることとなる――これは間違いない】
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 01:28:59.06 ID:+jCRUUeXo
>>544
……いや、サンダルは別にいい

【この服の総重量はいくらになるのだろう、そう考えつつもメジャーを伸ばす】
【犬の身体でこのマッシブな体を測るのはなかなかに難しいのだろう、なんどもフレデリックの身体の周囲をぐるぐると周る】
【これが虎ならバターになるところである】

【その体に残る傷や義手義足については何も言わない、見ても目の色を変えない】
【この犬は能力の関係上傷を負うことが多々あるし、義手義足に関しては見るたびに驚いていては身が持たない】
【その間、声をかけるといえば「腕を上げて」やら「屈んでみて」などといったものである】
【胸囲、腹囲、腰、肩幅、腕、脚……ありとあらゆる場所を測っては先ほど置いた端末に入力していく】

【唯一、褌に関しては酔狂もいるものだと思ったらしい】
【何しろ普通の下着に比べ……まあ、いろいろあるのだった】
【とりあえず、珍しいとだけここでは述べておこう】

……よし、とりあえず必要な分は測り終えた

【そういうと服を着るように言うだろう、風邪をひいては困る】
【そして続いて段ボールからいくつか小さな四角形の布地を取り出して見せるだろう】

それでどうする、布地は普通のがいいか?
それとも銃弾や刀剣類に強いパラ系アラミド繊維を入れるか、また魔法がしみこみやすい布を使うか
……それとも両方使うか?
どれ使っても結局裏地は肌触りのいい布を使う、かぶれるとかはないから安心してくれ

【渡されたのは四種類のサンプル、普通の礼服に使う綺麗な布】
【そして結構固めの布、とてもやわらかい羽衣のような布、その二つを合わせたような肌触りのいい固めの布】

二つ合わせたら魔法をしみこませて柔らかい布地にもできる
……まあそうだな、靴ネクタイベルト……合わせてこれほどか

【そういうと端末にポチポチと入力してそれを見せるだろう】
【礼服一式+小物の値段のようだ】
【普通の布地から順に、15万、50万、80万、180万と、どんどん吊り上がっていく値段となっている】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 01:38:59.46 ID:h936s79m0
>>542
「――――そっか。君が決めた事ならボクから余計な事は言わないよ
まっ、彼も一途そうだし良いんじゃ無い?堅物過ぎるのが少しアレだけどね。うん、でも…………彼の経歴からして、君の様な人はピッタリだと思う」

【以前のように涙を流して馬鹿笑いをする事も無く。くすり、と笑んだならばそれっきりだ】
【友人が選んだ相手ならば咎める事も無い。とある日、ゴッシュの顎をこの拳で砕いたその日だが――――両親から見捨てられた彼と、優しい彼女と】
【過去に知らなかった愛情などを友人が注いぐならば、其れで良いでは無いか。己にその様に聞かせれば、もう一度笑うのだろう】

【――――マリアはもっと前に彼から聞いている事かもしれない。もし聞いていなかったとしても、其れは自分から告げるべき事では無いのは確かだ】
【彼とて人間だ。納得は出来ないが……其れでも、彼に信じて従った者達が居る。一概に悪と言えないならば人並みの幸せを享受義務がある】
【過去が暗い分、生涯を添い遂げる者が未来を明るくしてやるならば其れで良い、と】
【しかし、己に嫌いかと問われれば暫しの間言葉も途絶える。…………詰まりは、その様な意味合いだ】



「正直言って、あんまり好きじゃ無い。前に槍を返しに行ったとき、色々と変わってたのは分かったけどね…………その内色々と別な方法で彼に“清算”させて苦手程度に留める様にするさ
騎士団も無くなった今、ボクの教会はゼン=カイマを敵視してないから戦う必要も無いしね。だから、ボクがふらっと遊びに行くことはあっても殺しに行くことは無い訳だ

――――君が満足行く答えかは分からないけど、コレが嘘を交えないボクの答え」

【真に未だ心から嫌っていれば彼の愛槍を返したりしないであろう。然れど多く殺し合った相手だ。そう簡単に感情を変える事も出来まい】
【副団長の骸から作り出した石化の槍で腕を飛ばし、足を貫いた。――――だが、其れは断罪の意味を込めた物でも無い】

【ともあれ、言葉を聞くにこれから先死神たる修道女から彼を襲う事は無い。それだけは明言された事だ】
【なれば清算とは死で償わせる以外の方法であろう。尤も、友人の夫を死に至らせる様な真似はしない事は彼女が良く分かる事か】
【――――もう許した、嫌っていないと言うのは簡単だ。だが、友人に嘘を通して何を得よう】
【偽らざる答えを返せば店の中へと入って行くのだろう】



【店員に様々な事を説明されれば、友人同様に目を輝かせて色々と見ていたとは余談】
【――――創られた存在と言えども仮にも女。当然の事、と言えば当然の事なのかもしれないが】

【それから色々と試着されれば珍しく真剣な面持ちで友人の事をジッと観察して】
【時には一つ前のドレスに戻させたりとする事から取り組みの熱意も覗えよう。やがて、二つに絞られるのだが――――】
【一つはマーメイドタイプの物で、もう一つはスレンダータイプの物。どちらも純白の其れは、友人の魅力を最大限に引き出すには十分な物であるのだが】


「うーん……ボクとしてはこの二つのどっちか…………かなぁ……?
何がどうとかはさっきの女の人に聞かないと分かんないけど――――ボクからすれば、この二つが君にピッタリだと思うよ
何より君はスタイルが良いからね。コレを着れば厳つい団長サマも顔がだらしなく緩みそうだ

――――うん。よく似合ってるよ、マリア
彼ならどんな姿でも受け入れて褒めてくれるだろうけど…………折角だから驚かせたいもん、ね?」

【真剣な面持ちで考えるだけ考えたが、結局どちらかに絞る事は出来ず。最後の選択は、彼女自身に委ねられる事となった】
【2つに絞られたのだから、ある程度は選ぶのも楽になったか。何しろ、時間を掛けに掛けて選んだ物だ。例えどちらを選んだ所で何が劣るという事も無い】
【「どっちにする?」と問うかの様に小首を傾げれば、後は彼女の答えを待つのみである】

/ドレス関連をググったけどよく分からなかったのでドレス自体の見掛け等々は本当にお好きにして下さい!合わせますので!オナシャス!!
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 01:47:08.83 ID:4fIV8aZbo
>>545

【計測の間、フレデリックが寡黙なのがまた妙な雰囲気を作り出していた】
【わざわざ愛想笑いを作るでもなく、世間話をするでもない――やり辛い】
【もしかしたらそのほうが集中できるという意見もあるかも知れないが…――】

【――ともかく採寸が終われば、また一から服を身に着けていって】

ふむ……アゾット貴様、本当に仕立て屋……いや、犬なのだな。
採寸の経験は無いといったが、手際が良いので驚いた

……それで、布地か。戦いに行くだけでもなし、強化繊維は要らん
だが魔術は使う。それに布地も柔らかい方が助かる、というところか

【選ぶのはその二点。魔法の染み込みやすい布というのと】
【それから柔らかい布地。後者については、シワになりにくければ尚良しだと告げて】

【フレデリックからは精々そのくらいだ――なにせ、服に関しては素人も良いところ】
【細かい点は全て任せるとアゾットに言うあたり、彼の腕を信用し始めているらしい】
【金額は100万前後になるだろうか。仮に現金で、というので有れば】
【彼はこの場で魔術を発動し、手元に札束を転移させ、それをあっさりと差し出す事となるだろう】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 02:00:07.02 ID:+jCRUUeXo
>>547
仕立ては何度もしているからな
べたべた触れると怒る人も多々いる、手際よくならざるを得ない

【そういう声は真剣みを帯びている】
【身体の採寸だけで結構気を使うのだ、相手をするのは男性だけではない】

布地は魔術の染みやすい……これか

【そういうと三番目に渡した羽衣のような柔らかい布地を指さす】

しわになりにくいようにするなら……"染料"を使って形状維持の魔法を染みこませるか
布地の面積から大体計算して……それをしみこませても三つほど後しみこませられるな
よし、これで聞くことはもうないな

【金額は80万、実は赤字にならないギリギリだったりするのだがそれは秘密である】
【彼はこの場では受け取らないだろう、受け渡す時に受け取るという】
【そして犬は二枚の紙を取り出しすらすらとペンで何かを書くだろう】

ここに名前と印鑑か拇印を、ここに住所か連絡先を……

【それは契約書だった、もっと柔らかい言い方をするなら受取書の店側控えとお客様控え】
【取引金額の80万、そして条件文の箇条書き、Azothという名前、それらが書き込まれている、読んでも詐欺じみたことは感じない】

【そしてフレデリックが契約書を書いてる時にふと尋ねるだろう】

……そういえば、花嫁の写真などがあれば助かる、無ければどんな体型か教えてほしい
あと服の趣味とか、花嫁のドレスにタキシードもそれに合わせないといけない

【それを聞けば端末に入力し、半ば絶望じみた、半笑いの表情で「そろそろ製作にかかる」というだろう】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 02:23:39.81 ID:4fIV8aZbo
>>548

【契約書をペラとめくって目を通し、ペンを手にすればさらさらと空白を埋めてゆく】
【見た目に見合わず文字は上手い。上品、というよりも気高い印象の字体だ】
【フレデリック・シャリエール――住所も連絡先も『ゼン=カイマ』の一文で足りていて】

【それから質問を受ければ、一度ペンを動かす手を止め】
【腰に括っていた聖書をテーブルに"ドンッ"と置けば、徐ろに中央辺りのページを開く】

参考になるかは分からんが、今のところ写真はこのくらいでな
……マリアと云う。服の趣味は……可愛らしい物が、と言えば良いのか……
ともかく、余り派手な格好はしない。……体型、か――。

【取り出すのは一人の女性と、子どもが何人か戯れる、そんな写真であった】
【ブロンドの長髪にマリンブルーの瞳、穏やかそうな微笑から性格が分かりそうな人で】

【『――女性らしい、のではないか』と続けるのも、写真を見ればまあ察せるだろう】
【ちなみに写真の中の彼女はカーディガンに白いトップス、レース地のロングスカートを着用していて】
【確かに可愛らしい物、という感じだった。――それからは、少しだけ彼の言葉が続く】

【やれこの写真は子どもの一人がカメラで遊んでいたのを貰ったのだとか】
【或いはその子も含めて、全員が彼女に懐いている―孤児だったが―とか】

【そういう事を少し喋って、終わる頃には契約書の方もしっかりと書き揃え】
【ペンと一緒に紙を帰せば、相手の言葉を待って写真をまた聖書の合間にしまうのだった】
【――しおり代わりにでもしているのだろうか。ちなみに参考として必要なら、しまうこと無く渡すことになるだろう】
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 02:34:13.13 ID:n4aLrvn50
>>546

そっか。―――うん、それで十分です。
……ありがとう。グリース、貴女なら正直に言ってくれると思っていました。

【グリースの嘘偽りのない言葉を聞いて、マリアは嬉しそうに微笑んだ。彼の事を殺さないと分かったから?―――否】
【本当の心を伝えてくれたことが、一番嬉しかったのだ。例えどんな事であろうと嘘をつかずに言ってくれたのが……】
【―――これ以上グリースに彼の事を問うことは無い。一番知りたかった事が分かったから、もう十分だ】
【彼女の言う清算≠ェ何かは分からないが……グリースなら妙な事はしないだろう、そう信じられる】


【ドレス選びはマリア本人だけではなくグリースにとっても楽しい事だったようで、二人して目を輝かせて】
【色々と試着する折にもここが良いとかここが駄目だとか色々意見をくれた。彼女にしては珍しいくらいの熱意と共に……】
【本当に真剣に選んでくれ友の姿を見れば、やっぱりグリースに頼んで正解だったと心の中で感謝する】
【やっぱりドレスに詳しいかどうかは関係無かった。こうして熱心に似合っているかどうか考えてくれるのだから】

【―――そんなこんなで最終的に残ったのは二つのドレス。共に友が時間を掛けて選んでくれたものだから】
【どちらを着たとしても似合っているには違いないのだが、本番で着るのは一つなのだから択一しなければ―――】

【―――そして。もう一度店員と共に更衣室に行き、暫くして―――】


―――どう、ですか?

【―――最終的に決めたのは、マーメイドラインのもの。親友の薦めと先駆者のアドバイスを併せた結果、其れにしたらしい】
【改めて更衣室から出てきたのは、純白のドレスをその身に纏ったマリア。花嫁と呼ぶに相応しい、きっと今まで見たことのないような彼女の姿】
【胸元から腰、膝のあたりまで、マリアの身体をくるむようにぴったりと体にフィットした生地はマリアの肢体を際立たせて】
【露出した肩と腕は、逆にマリアの持つ細くしなやかな体を生かす結果になる。肌だってドレスに負けないくらいにシルクのように美しく】
【下半身に目を向けると至る所に流麗な紋様があしらわれて、膝下から広がるフリルのついた裾は優雅な人魚の尾のよう。―――そんな、ドレス姿】
【言葉で表すと陳腐になってしまうが……―――兎に角、今グリースの目の前にいるのはそんな姿で幸せそうにに微笑むマリア】
【好きに感想を述べてやればいい。友として、今のマリアはどう映っているのだろうか?】

【―――彼は驚いてくれるだろうか。もしそうなれたなら、とても嬉しいのだけれど―――】

//了解です!結局こんな感じにしましたが……ドレスの表現って難しいです(汗)
551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 02:35:45.40 ID:+jCRUUeXo
>>549
……

【契約書を覗いて、風の国から昼の国までの輸送は他の業者に頼ることになりそうだと内心考える】

……いや、この写真で十分だ

【その写真を見てふむと顎に手を置いて考える】
【この体型、また趣味からすればマーメイド、またスレンダー系のドレスを着るだろう】
【逆に派手な服装をしないということはタキシードが目立ちすぎてはならないタイプでなければ……と考えている】

【そして、少しだけ続く彼の言葉に静かに耳を傾けた】

……うん、大丈夫だな、写真ももうなおしていい

【渡された二枚の契約書をさっと見、二部で違ったことが書いていないことがわかれば二つ並べその間に一つ印を押し、片方を渡すだろう】
【これでこの契約書をまねて契約書を作ることは困難になった】

それじゃあすぐに仕立てあげる……五日だ、五日で仕立ててやる
そうすれば六日、遅くても七日で届けることができる

【そういうと、犬は再びフレデリックを表へと案内するだろう】
【その後、犬は奥へと引っ込み、もう出てくることはないだろう】

//このまま時間が経過したことにし届けるロールを入れますか?
//それともAzothが礼服を届けたと描写するにとどめて終えますか?
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 02:44:19.41 ID:4fIV8aZbo
>>551

【契約が取り交わされ、5日で仕立てるという言葉を聞けば】
【フレデリックは満足気に一つ頷いて、まずそれでこの場は終わり】

【表へ出れば、これから全力で仕事に取り掛かるだろうアゾットを】
【わざわざ邪魔したり、これ以上何を求めるような事もなく】
【ひとまずその場は彼も去り―――次に描写すべきは六日後≠ゥ】


…――生きているかアゾット。実は先日伝え忘れたが
私は転移の魔術が得意でな、こうして自ら受け取りに来たわけだが…――?


【式の数日前、ギリギリのライン。届けられるより早く、彼は受け取りに来ていたのだった】
【声をかけつつ――完成しているのなら、『一度袖を通してみたい』と伝える、が―。】

/このような感じでどうでしょうか、ただ時間も時間ですし
/服がどういう具合か教えて頂ければ、次のそちらのレスでそのまま〆て下さってもOKです!
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 03:03:19.03 ID:+jCRUUeXo
>>552
【六日後、突如として訪れた珍客】

……まて、形状記憶の染料がさっき乾いてな、今アイロンをかけている

【もしAzothのいる場所に飛んできたのなら、それはきっとUTの地下基地の元弾薬庫というまた辺鄙な場所だろう】
【だが、そんなこと匂わせない雰囲気があった、壁に大量にかけられたタペストリー、複雑な模様の絨毯、それらはわずかながら魔力を宿している】
【革などを細工するであろうテーブルに、異様な存在感を放つ織機、古いとしか言いようのない足踏みミシン】
【そのほか大小さまざまな道具の点在する中、Azothは蒸気を放つアイロンを必死にかけていた】

【数分待てば六日前よりだいぶやつれ、毛並みが一気にぼさぼさになったAzothが向かい合うだろう】

……まあこれで輸送の心配は必要ないか
これが出来上がりだ

【そうやってモデル人形に着せているのは真っ白なショートフロック、同じく白いシャツ、ズボン、ベルト、そして唯一灰色のネクタイ】
【見た感じ、非常にシンプルだといえるか、飾り気のないともいえるが……?】
【よく見ればフロックコートのボタンは白い綺麗な石、さらに白い糸で刺繍されて目立たないが右の裾に緻密な花の刺繍が施されている】

……着てみてくれ、ズボンの裾上げとか、しなきゃいけないからな

【そして白い革靴もふらふらとしながら持ってくるだろう】
【着てみればどの服もサイズぴったりというわけではなく、少しゆとりがあるだろうか】
【布地は肌触りが非常によく、それなのにパリッと仕上がっている】

【一方Azothは着用する様をじっと眺めているだろう】

//もう少し大丈夫なのでもうちょっと続けたいと思います!
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 03:09:21.26 ID:h936s79m0
>>550
「うん。バッチリ――――よく似合ってる
ふふ……友達がそう綺麗な格好してると何だかこっちまで嬉しくなるね

団長サマも驚く事間違い無し、だね」

【褒めちぎる訳でも無く、ただ一言だけ「綺麗だ」と。……何よりも率直なその言葉が一番伝わりやすいだろうか】
【何がどうなのだとか、そう言った事はよく分からない。けれど、何より彼女に其れが一番合っている事だけは友として理解して居るつもりだ】
【こくり、と頷いたならば手を引く様にして鏡の前にでも連れて行くのだろう】
【共に最後の確認といった所か。流石に急かすような事は無いけれど、まるで拒否は受け付けないとでも示すかの様で】

【後ろに添う様にして彼女を鏡に写し出させたならば改めての確認】
【――――似合ってる、ともう一度告げたならば満足そうに笑うのだろう】
【やがて取り出すのは2つの十字架のネックレス。其れを手渡そうとすれば、頬を掻いて】



「本当は、さ。今日は君の所の子供達と遊んで帰りにでも渡すつもりだったんだけど――――丁度良いし、今の内に君に渡しておくよ
あの子と…………後、君にね。元々敵対してた教会の物なんて縁起でもないかもしれないけど…………良かったらさ、貰ってくれないかな」

【そう、元は敵対者。同じ十字架でも、其処に抱いて居た信念が異なって居たのだ】
【――――今はその壁が無くなったと言えど、元々“そうであった”事に変わりは無い】
【マリアの分と……人助けを約束した子の分と。受け取るも受け取らないも彼女次第であった】

【どの様な答えを返しても、きっと不満な表情を浮かべることは無いであろう。然れど、もしも受け取ったならば嬉しそうに微笑む事に違いは無く】



【さて、其れ等が済めば友人の目を盗むようにして店員へと近寄って――――あの人の代わりに自分が支払う、と告げる筈だ】
【言い値の分よりも上乗せしての支払い。もしもマリアがその場面を見て止めようとしたならば、「友人からのお祝いだと思って」と無理に通す】
【ただ、代わりとして条件に出したのが今の姿のままで一緒に一枚だけ写真を撮って欲しい、との事で】
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 03:19:51.99 ID:n4aLrvn50
>>554
//すみません、ロールも佳境ですが眠気が限界で……此処で持ち越しさせて頂いて宜しいでしょうか?
//明日も同じ時間には来れると思います!恐らく写真を撮って購入の手続きを済ませれば家に戻って解散の流れだと思いますので!
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 03:22:35.51 ID:4fIV8aZbo
>>553

ふむ……犬が強行軍をするとどうなるのか、実によく分かる姿だな
……礼でも無いが、後で治癒の魔術を掛けてやろう
これで服だけ受け取って、などとなってはゼン=カイマの恥だからな…――さて

【雑然とした部屋の様子、そして何よりやつれたアゾット自身の様相】
【それを見たフレデリックの反応は、小さく笑うというものだった】

【どれほどに過酷な作業だったか、想像に容易い。いや、実際は難いのか】
【ともあれねぎらいの気持ちを込めて治癒の魔術に付いても言及して】
【それから言葉に応じて、静かに服を着替え始めるのだった】


【――やがて袖を通し、ネクタイを調整する。彼の黒髪は艶やかながら、長いため】
【適当なヘアゴムでも借りて簡単に後ろでまとめれば、それで完成だ】

ふむ……ほう、成る程。不思議と着ているだけで背筋の伸びる出で立ちだな?
飾り気の無い白色というのも嫌いではない。何より、ただでさえ目立つのは承知の上だ
晴れの舞台でマリアよりも派手に染まってしまっては、彼女に悪い。

……良い出来なのではないか。素人目だが、実に良い服だ、アゾット
最初は犬如きに何が、などと思ったが……その非礼は詫びねばならんな

【フッ、と小さく笑ってみせるのは、寡黙な彼なりの最大の意思表示だ】
【服自体は所々端を矯めたりする必要があるだろうが、そう時間の掛かる箇所も無さそうで】
【ほぼ、これにて依頼完了か。あの筋肉質な肉体も見事に布の下に収まっているのだった】

/了解でございます!自分もまだ余裕があるので、幕引きの方はお任せしますね〜!
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 03:37:55.64 ID:h936s79m0
>>555
/っと、お返事遅れて申し訳無いのですっ
/持ち越しの方了解ですよ!自分も今日は十時半辺りに待機出来るのでその時間から再開でっ!それではお疲れ様でありましたー!
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 03:38:17.62 ID:+jCRUUeXo
>>556
ははは……頼むよ、傷はすぐ治るが疲労は消えない……

【今にも真っ白に燃え尽きそうな勢いで笑う犬】
【仮眠という名の意識の喪失を何度か繰り返して、それで疲労が取れないのである】
【無論、仮眠の目覚めがすっきりしたものであるわけもなかった】

【髪を止めるとき、それは黒い艶のある紐を渡すのだろう】
【ゴムでまとめるのはもったいないと言わんばかりに】

それを着て背筋が曲がるのなら今すぐ結婚式を取りやめた方がいい……

【どこか消えそうな笑顔でそう、毒を放つ】

マーメイドドレスかその辺りだと思っているからな……ここは新婦を立てるものでなければいけないしな

別にいい、犬である以上そういう風に考えられるのは百も承知だ

【全てが普通の犬は足踏みミシンなんて使えないしペンも握れない、そう呟いて】

ああそうだ、少し屈んだりしてみてくれないか
……もし上手にできていたら大丈夫だと思うんだが

【そういう犬、どうやら少し体を動かしてみてほしいようだ】
【もし言われるままに動かせば、体が礼服を着ているとは思えないほど動かしやすいことに気付くか】

プリーツを仕込んでみた、それがあれば屈んだりしても布地が破れずにプリーツが広がってさらにゆとりを持てるはずだ

【形状記憶の魔法でプリーツが伸びる心配もない、と疲れた笑みで言うAzoth】
【プリーツはスカートやカーテンの折り目のことだ、スカートで足を前に出した時折り目が広がり余裕ができる、それに似た原理だと思えばいいだろう】
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 03:51:04.17 ID:4fIV8aZbo
>>558

【ヘアゴムの代わりに色合いの近い紐を受け取れば、これは案外丁寧に】
【普段使っているでもないだろうに、髪を上手いこと束ねてみて】

馬鹿を言え、例えローブだろうがそのようなことは決して無い
……が、このタキシードは特別素晴らしいと褒めたまでよ

アゾット、貴様のその気遣いにはハッキリと感謝の言葉を伝えておこう
生憎と私は……言わずとも分かるだろうが、そのあたりは苦手でな
お陰で、彼女に恥ずかしい思いをさせずに済むというわけだ……助かる。

【――こういう事を臆面もなく言える精神性は、中々見上げたものだろう】
【生真面目だからこそ、という感じか。からかっても無駄なタイプに違いなかった】

【それから言葉に従って屈んでみたり、肘を曲げたり、胸を張ってみたり】
【何かと生地が伸びるような事をしてみるが、不吉な音も聞こえないし】
【大概の場合で、少し布がつまめるくらいの余裕はあった。つまり、試みは成功らしい】

【着る人物の体格があるから、一般的な『シュッとした印象』は無いものの】
【それでも小奇麗にまとまっている上に機能性があるとなれば、出来は完璧と言って差し支え無いだろう】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 04:06:32.57 ID:+jCRUUeXo
>>559
【髪紐を留めた姿を見て、Azothは少し目を細めた】

そりゃ、オーダーメイドだからな……
これで合わなければ私は仕立て犬の名を捨てなければ……

それを補い合ってこそ夫婦、手放すんじゃないぞ

【少なくとも二回目の結婚式新しいスーツで、なんて到底できないと思っておけ、と】
【若干イッてる目で告げる犬はどこかテンションがおかしいのだろう】

よし、大丈夫だな……
それじゃああとは軽い説明だ
そうだな、形状記憶がついているとはいえちゃんとハンガーにかけてくれよ

【と、スーツの扱い方に関して説明するだろうか、基本的なことから重点的に】
【そして最後に】

そして、魔術をしみこませる事に関してだが、発動させる魔術を思い描きながらゆっくりと魔力をスーツに籠めるんだ
言っておくが、強すぎる魔術を籠めたり魔力の籠め方が雑だったり早すぎたりすると破れるからな、あくまでゆっくりだ、三日以上かけてな
形状記憶の魔法をかけてるから容量が少し減って大体弱い魔法を三つほど籠められる、強い魔法になるとひとつギリギリ籠められるぐらいだな

まあ、私は魔法が使えないから仕立て用の魔力染料を使ったから大して問題ないが
魔力染料はかけられる魔法が決まっているから汎用性がない……

【だから自分で好きな魔法を染みこませてくれ、と、言う犬】
【そして何か質問は?と聞くだろうか】

【これで商品の受け渡しは完了だ、そして】

……すまない、そろそろ寝かせてもらいたい

【そういうと犬は部屋の端に行き、くるりと丸くなる】
【最後に何か告げるなら、今しかないだろう】

//次で〆たいかと!
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 04:24:30.28 ID:4fIV8aZbo
>>560

言われるまでもない、二度目などと……。
私が彼女と別れるとすれば、それは死ぬ時に他ならん
……その時は、私の埋葬服もお前に作ってもらおうか。

【こういうジョークも言えるらしい。或いはジョークでないかもしれないのが恐ろしいが】

【それからは簡単な説明でもしっかりと聞く。なにせ、晴れ舞台の一張羅】
【恐らくフレデリックの人生の中で、最も意識して着ることになるのだから】
【シワも一つも残したくはないからなとボヤいて、魔法の件も耳を傾けるのだった】

【やがて最後に至って――質問は無いと答えれば、聖書を手にし】
【もう一方の、黒鉄の義手をアゾットに向ける。やがて発現するのは例の魔術であって】

あぁ、じっくり眠るがいい。今度は酒を飲みに此処に来てやろう
式の時の写真でも持って、な……改めて礼を言うぞ、アゾット…――。

【肉体の疲労、或いは損傷。それらがじわりと癒され、身体が少し温まる感覚】
【魔術の感触というのはそんなものだ。しかし、効果は折り紙つきであると言っておこう】
【それを済ませればフレデリックは転移の魔術によって姿を消す事となる】
【続報に関しては――彼自身よりも先に、ある手段によって知るかもしれない。それはまだ、先のお話だが。】

/それではこんな感じでっ!朝方までのお付き合い、ありがとうございましたー!
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 04:35:18.51 ID:+jCRUUeXo
>>561
死に化粧を施したフレデリックほど気持ちの悪そうなものはないだろうな

【ハハハと笑いながら告げる、覇気がない分凝縮された毒、あるいは心の奥底から思っていること】

【実際はシワ一つ付かない強力な形状記憶がなされているのだがそれはまた別の話】
【シミなどが付けばすぐにしみ抜きすることなども説明されただろう】

【そして魔術を受け、すぅと安らかな表情になるだろうか】
【毛のパサつきは櫛を通さないと治らないだろうが、疲労に関しては普段よりもかなり早く治ったらしい】

毎回いるとは限らないぞ……
……まあ、待ってやらないこともない……、フレデリック……

【そういって、ふと頭を手の上に落とす、見送ることなく眠ったようだ】
【その姿はどう見ても普通の犬であった】

【スーツの左の裾の裏、真っ黒な裏地に刺繍された金字のフレデリック・シャリエールの文字、そして小さな犬のマークは説明しないままに】

//ほいな!というわけでお疲れ様でしたー!
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 17:24:15.50 ID:DZBEnmRco
>>537

【相手の名乗りを聞いて、ジリと睨むその目は刃と同じように冷たく鋭い】
【訝しげな表情を一瞬だけ見せると彼女はポケットに抜き取ったものを押し込んで】

水の国では軍人が『マトリ』や『4課』の仕事をなさるのですか?中佐殿。
それとも…政府機関の方でしょうか。それはそれは……

【麻薬取締官や4課…警察の暴力団関係の部署の人間と接触することはままある】
【しかしそれでもこんなところで話しかけてくるようなことは無い。となるとそれ以外の部署】
【もっと大掛かりな政府組織やSCARLETのような国際組織が動いているのだろうか。】
【何方にせよ、この男の身分が本当ならば、無碍に扱う訳にも行かない】
【余計なことをして締め付けが厳しくなっても困るからだ】

……ご身分を証明していただけたら。会長の元へお連れします。……私らも犬ですから、断れないでしょう?
連絡いたしますので電話番号か何かを。櫻の国の方へご足労願います。

【身分証明書か何か提示すれば彼女はそれを書き留めて、持ち帰った後に調べ上げられることだろう】
【さすれば、日時の連絡が来る。空港の前にはスモークガラスの黒塗りの高級車が停まっている】

【スーツ姿の身なりの良い組員は高級料亭へと連れて行く。そこは侘び寂びの雰囲気の中、何人もの構成員が警備している】
【皆、目の据わった礼儀の正しい男たちで、運転手の男は奥の座敷へと丁重に案内する】
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 18:37:13.17 ID:dmncHnm0o
>>563


【──後日】

【連絡に従って櫻の国を訪れたロロケルムの様子は、先日とあまり変わらない】
【違うところと言えば、『武器』を持っていない事だろう。──、自信があるのか、手間を省いたのか】
【差し向けられた車に乗り、料亭へ。 構成員に導かれ、座敷の方へと足を向ける──】


…、…流石は富嶽会=Aだな。
スペーツィエ≠竍黒幇≠フチンピラ共とは訳が違う。


【野放図に薬を捌き、政府との対立も辞さない組織と富嶽会は一線を画す、と言うのが、資料を読んだ限りでの彼の認識だった】
【思わず漏れた呟きは、彼等の丁重な対応によってそれが裏付けられた事に依るのだろう】


【そして、座敷に辿り着いたなら──】


 ──失礼致します。


【先ず、櫻の国の礼儀作法に従って地に膝を突き、引き手に左手を、次いで右手を掛けて、ふすまを開いて】
【挨拶。 招いき入れられれば、下座側の足を先に入れ──当然、下座に座ることになるのだろう】
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 19:05:49.00 ID:eYXHlJizo
>>539
「そっか、僕も散歩をしているんだよ」

【少女の表情は無表情だった】
【感情を読み取る事のできない、何を考えているか分からない】
【いや、もちろん初対面で相手の考えを読み取るだなんてエスパーみたいな事は出来ないけども】
【そんな人形を思わせる少女は、僕の体をじろじろと、舐め回すかのように……は言い過ぎだが、それでも遠慮なく目をやる】

「男だよ、僕は」

【また間違われたのか、と嘆息】
【別に間違われる事自体は良い、いちいちそれを訂正させるのが面倒なのだ】
【今度からはもういっその事女という事にして突き通そうか、いや、僕だって男だ】

「肌が白いのは君だろ……」

【少女の発言に小声でツッコミを入れつつ、はて、これからどうしようか】
【実は見つけた後の事はまったく何も考えていないのだ、話す話題もないし】

「あー、歌……綺麗だったね」

【取り敢えずその場しのぎ、繋ぎとしてこう言う他がなかった】
【別にお世辞を言っているわけではないのだから、まあ良いか】
/遅れて申し訳ない…
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 19:17:25.83 ID:bOEkCzTdo
【路地裏】

「なぁ嬢ちゃんよぉ、俺達ゃ別に取って食おうっていうんじゃねえんだよ」
『そうそう、ただちょっとお茶してお話したいってだけだからよ? な?』


ぇ、えと……その……うぅ……


【数多の闇が巣食い、日常的に死が振りまかれる路地裏】
【その中でも表層に当たる、通りから少し進んだ場所から何やら複数の男性の声がした】
【内容を聞き取れたならば、それが大体どういった類のものか察することも難しくないだろう】


【見るからにチンピラといった風体の男が二人、小柄な人物を挟んで語りかけている】
【小柄な人物は怯えるように顔を俯かせて】
【はっきりとしない調子で、どうしたらいいものかと悩む声を洩らしていた】


(ぼ、僕……"嬢ちゃん"じゃないんだけどなぁ……)


【その人物……身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした"少年"であった】


「(どうする? 面倒くせえしこのまま攫っちまうか)」
『(流石にこんなガキが"能力者"ってことはないだろうしな……よし)』


【少年が対応に困ってうんうんと唸っている間に、男たちがアイサインで合図を取り合うと】
【チンピラの内一人が、少年の細い腕を乱暴に掴もうと手を伸ばした】


【もし近くを通りかかることがあったならば、この光景を見つけることがあるだろうか】
【覗き込めば表通りからも見える場所だ。そちらからコンタクトを取ることも可能だろう】
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 19:25:51.18 ID:sGQo5G0fo
>>565

【少女の表情は相変わらず透明なまま、「ふぅん」というちいさな音が喉から漏れ出す】
【一緒だねとか奇遇だねとか、そういう気の利いた反応はなかった。愛想が無い……というよりは、】
【そもそも愛想の意味も知らないというような、そんな風に。月白色の瞳のなかに少年≠フ姿が写り込む】


……男の子、なんだ。細くてきれいだからわからなかったよ。
年、いくつなの?


【少しだけ意外そうに目を見開き、少女は褒めているのかそうでないのか微妙な台詞を口にして、少年を眺め続けるのだろう】
【相変わらず表情は読み辛いが、どうやら好奇心旺盛な性格らしい。性別について納得したかと思えば次は年齢についての質問が飛んだ】
【少女の身長は150cm程度とそう大きくはない。純朴そうな視線は、恐らくは上目遣いになって少年に注がれる】


あ――――、………ありがとう。


【――――そして。ここに来てやっと、少女の表情に感情らしきものが浮かび上がる。口元をちいさく吊り上げた儚げな笑顔だった】
【純朴な嬉しさ≠フ色が少女の透明色を上書きしていく。……もしかすると、うたが好き、なのかもしれない】
【ただ、それがその場しのぎに紡がれた言葉だと気づく様子はなく。純朴すぎるがゆえに少々危うい印象もあった】
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 19:46:32.48 ID:DZBEnmRco
>>564

【座敷は豪華でも特殊でもなくよくある一室であるが、その凛とした統一感は】
【全てが高級の中の最上級であると示していた。床の間には掛け軸と花が生けてあり】
【縁側を隔てたガラス窓からは隅々まで手入れの施された庭園が見える】

【床の間を背にし、部屋に置かれた座卓の中央―上座には富嶽会の陣中が座っていた】
【白髪をオールバックにまとめ、同じ色の口ひげを整えたがたいの良い老人である】
【ヤクザのドンであるものの和装ではなくグレーの三つ揃えのスーツを着ていた】

【座卓には前菜から刺し身まで幾つも用意されていたが、それらには手を付けずに】
【これまた不釣り合いに赤ワインをグラスで飲み、葉巻を吸っていたようだった】

そう固くならなくても良い。ランガスター中佐。…貴君はゲストだ、くつろいでくれ

【ゆっくりとされども、聞き取りやすいはっきりとした低音の声で優しく招き入れれば】
【スッと、襖近くで正座をしていた先日の女―秘書の霧崎舞衣が襖を閉める】
【部屋には3名だけで、武器を持っている人間は見たところ居ないようだった】

遠路遥々、ご足労いただき申し訳ない。…何分、年でな。
……まま、取り敢えずは何かお飲みに…

【会長がスッと手で軽く合図すると、秘書の女は立ち上がり客人のために酒をつぐだろう】
【酒でなくても水でもお茶でも、煙草に火もつけるだろう。どれであっても抜かりは無いはずだ】
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 19:48:18.97 ID:ydCkNuudo
>>566

【――薄闇が蠢いた。次の瞬間、路地裏の奥から飛び出して来るのは、ひとつの影であることだろう】


――レイヴンクロス


【それは少年に掴みかかろうとする男へと接近すると、躊躇なく二振りの剣を放つはずだ】
【黒い大剣の閃きは闇が刃と化して襲いかかるよう。輪郭がはっきりしないそれは魔翌力でできている】
【直撃する個所にもよるが――受ければ重傷を負うことは間違いない】

【その所業を行ったのは――ひとりの少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


……。


【果たして彼はタキシードの彼を助けるために飛び込んできたのだろうか】
【それならばここまで容赦のない攻撃をする必要はないはずだが――】
【いずれにせよ、少年の助けになるであろうことは間違いない。面倒を生む可能性は否定できないが】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 19:50:29.95 ID:eYXHlJizo
>>567
【綺麗、男としては随分と微妙な言葉だが、取り敢えず褒めてくれているのだろう】
【自分の容姿については自覚している。自覚したところでどうにもならないしこれといった支障もないだろうし】
【そんなわけで、諦めている】

「僕は17歳だよ」

【君の歳はいくつ?なんて聞こうと思ったが口に出かかった所で押しとどめる】
【女の子に対してそれは失礼にあたるし、初対面故慎重に接しなければならないから】
【しかしこの構図は―――――かなり破壊力抜群だ】
【上目遣い、此方の慎重の方が大きい故必然的にそうなってしまうわけだが】
【並の男なら一発で落ちるだろう、いやそれはまるで僕が並の男じゃないみたいじゃないか】

「あ、うん、どういたしまして」

【そして初めて少女は笑った】
【なんだ、ちゃんと感情があるじゃないか】
【やっぱり破壊力抜群、もちろん僕はこの程度で動じないが】
【なるほど、歌が好きなんだな】

【―――――しかし】
【ちょっとまずったか、その場しのぎで言った事なのに目の前の少女は喜んでしまったわけで】
【言うなればちょっとした罪悪感、この僕にまだそんな感情があったのかと新発見だ】
【まるで穢れを知らない、無垢で純粋な、そう、生まれたばかりの赤ん坊のような】
【――――――――おっと、戯言はここまでだ】

【段々と思考が危うい方向性に向かってきたので強制終了】
【そう、僕はもう少しでこう思ってしまうところだった】
【―――――「この少女を壊し」たらどうなるか、なんて】
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 20:12:32.56 ID:bOEkCzTdo
>>569

『な、なんだぁ!?ぎ、あぁぁぁ――っ!』


【乱入者の存在など予想していなかった男は】
【斬撃を胸に受けて、絶叫と共に鮮血を撒き散らしその場に転がった】
【もう一人のチンピラは、突然の状況についていけず数瞬ポカン、としていたが】
【鈍い思考が追いつくと同時に、黒の少年をギロリと睨みつけ騒ぎ始める】


「て、てめえ!!俺の兄弟に何しやがんだァ!?ぶ、ぶぶぶっ殺したらァ!!」


【逃げずにその場で留まったのは勇気があるというべきか、愚かというべきか】
【チンピラは、少年の剣と比べると余りにも頼りないバタフライナイフを取り出すと腰だめに構え】
【そのまま少年に向かい突進し、腹部に身体をぶつける勢いで突き刺そうとする】

【直線的で武術と呼べるような攻撃ではないが】
【範囲に入られたならば避けづらく、突き刺されればそのまま抉られる可能性もある】
【とはいえ身体能力が高いわけでもない、特別な技能を持っていれば対処は容易であろうか】



――……あ、ぁ……


【一方タキシードの少年はというと、突如男が切り捨てられ倒れ伏した様子を見て】
【その場で凍りついたかのように動きを止めて、意味もない声を洩らしていた】

【表情に浮かぶのは恐怖と、驚愕であろうか】
【"ここ数年は"殺し合いの世界とは殆ど無縁に生きてきた少年にとっては】
【些か以上に刺激が強く、どうしていいのかわからなくなってしまう程の"毒"であった】
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 20:14:36.92 ID:sGQo5G0fo
>>570


17歳………。
………あっ、わたしより歳上、だね。


【悪く言えば無機質、良く言えば物静かな少女。外見は十代前半ぐらいに見えるけれど、そんな態度のおかげか、黙っていればもう少し年上に見えなくもない】
【対する少年の体つきが華奢で、中性的な顔立ちをしているせいだろう。少女はどうも、相手を同い年か年下ぐらいに思っていたらしい】
【無遠慮な態度からして悪気がある訳ではないのだろうが、なかなかに失礼である。失礼だという自覚すらもないのはもう言うまでもなく】
【……まるで自分の歳をたったいま思い出したかのような言葉も、少しばかり妙ではあった】


うん。 …………?


【それは短い返事ではあったものの、少女はどことなく満足げで。しばらくは笑顔のまま少年を見つめていたが――――】
【ふと不思議そうに首を傾げ、薄い青色が少年の黒色の瞳を覗き込む。べつに少年の顔に何かついているとか、変な表情をしていたとかではないけれど】
【……何も知らないように見えて、意外と敏感なのかもしれない。この動作は、少女が少年の心の裡で蠢いたものを察知したがゆえか、】
【それとも、単なる偶然なのか。それは断言できないが――――少なくとも。硝子のように透明な少女は、硝子のように壊れやすくも見えるのだろう】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 20:20:45.69 ID:dmncHnm0o
>>568


【──陣中から見て真正面に座する軍人の右目は、彼を見ると僅かに細くなる】
【まるで、『値踏み』するかの様な雰囲気が感じられるのは、一瞬だけだが】
【その様子からは、決して彼がなかよしこよし≠キる積りでもない、と分かるだろうか】


…、…では、茶を。


【舞衣に茶を注いでは貰うが──、それに、口を付ける訳でもなく】
【卓上に椀を置くと、庭園の方を一瞥してから。目の前の将軍≠ノ、視線を戻した】


── 前以てお話した通り、用件は薬≠ノついて。


…、…ここ暫く、水国軍内部でも薬≠ノよる『案件』が増加している。
市民を守る者がヤク中では信用できん、とマスコミも騒ぎ始めているのは、ご存知だろう。
先日も、軍上層部で対策会議が開かれて方針確認≠ェ為された。

【── 一般紙を眺めていれば、偶に流れる話題だ】
【軍内部、或いは、警察にまで、薬≠フ毒は侵食している。政府は取締まりを強めるべき──】
【……だが、方針≠ニはどういう事だろうか】


──二年前にも、同じ様な事態が有った。


その時は、D≠ニ言う薬物が『天狼会』によってバラ撒かれていたが──。
結局は、軍が『強制排除』という形に踏み切った。関係者はほぼ全員逮捕、或いその場で戦闘時に死亡。
…、…軍というのは先例≠好む。方針≠焉Aそういう事だろう。


【成る程、ここまでの話は分かるだろう──詰まり、「近々薬の取締まりが激化する」】
【だが、「富嶽会」には関係のない話だろう。薬≠扱っては居ないのだから】
【ならばロロケルムは、どういう意図で遠路、此処まで陣中に逢いに来たのか──】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 20:32:43.65 ID:eYXHlJizo
>>572
「へぇ、年下なんだ」
「元気な学生だぜ?僕は」

【戯言混じりの言葉】
【「元気」な学生?いやいや、もちろんそんな事はない】
【自分の意志も持たずに、目的もなくただ生きているだけの、死んでいるような存在】
【そんな事はどうでも良い】
【それにしても少女は僕が何歳に見えたのだろう?いや、若く見られるというのは案外悪くないかもしれない】
【さて、少女の年齢はどの程度だろうか?】
【僕よりも年下、加えて容姿、慎重、その他諸々の主観的情報から勝手に10代前半だと判断。いや大雑把すぎるだろ】

「………何でもないよ」
「僕の目なんか見たってしょうがないぜ」

【気づけば、少女は僕の瞳を見ていた】
【もしや、まさか、感付かれていたのだろうか?】
【だとしたら僕は随分と迂闊だった、完全に油断しきって、たるんでいた】
【自分の心の中など見せないように生きていこうと決めたのに、これだ】
【僕の「原罪」、一番触れられたくないタブー】
【いや、もう過ぎた事だ、あれは】
【この少女は違う、「あいつ」とは違う】
【重ねるなど、あってはならないこと】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 20:34:43.86 ID:ydCkNuudo
>>571

【血飛沫の向こう側――暗い印象を与える顔が、笑みを浮かべた】
【明らかに異常者であることは想像に難くないだろう。殺人鬼、殺人快楽者、そう形容できようか】


あはははっ! 今の声聞いた? 耳障りだよね
地獄でもあの声で喋るのかな。かわいそうに、だーれも相手してくれないかもね
ずっと孤独だよ。そっちの方が幸せかもしれないけどね! あははは!


【男が倒れる様――それが可笑しくて仕方がないのか、腹を抱えるように、醜く笑う少年】
【楽しそうなそれは、もうひとりの男が突進してくるのを見れば幾分か失せるのだが】


殺されるの間違いだよ。裂けて[ピーーー]ば?


【右へ回避、と同時に再び二つの大剣が振るわれる】
【腹への軌道。直撃すれば思いきり引いて、文字通り切り裂こうとするだろうか】
【それが成功したならば――少年は大剣を霧散させることだろう】


さて……、……?


【倒れ伏したチンピラに近づこうとするが、そこでタキシードの彼に気付いたようだった】
【少年の視線が彼に集中し、数秒ほど留まることだろう。表情は無表情―僅かに不機嫌そうなそれ―に切り変わっていた】
【そのため何を考えているか読み取ろうとするのは難しいか】

【代わりに少年が発するのは「居たんだ」と、存在を確認するような一言のみ】
【斬りかかろういう気は無さそうだ。逃げることも可能だろうし、もし話しかける勇気があるならば――それも可能だろう】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 20:49:45.18 ID:bOEkCzTdo
>>575

「がぁっ……!ざっけんな……こらぁ――すっぞ……」


【腹部を切り裂かれ、夥しい血液と臓物を吐き出しながら男は絶命する】
【先程切り捨てられた方も、最早細かく痙攣するだけの肉塊と成り果てており】
【数度浅く長い息を吐いた後、すぐにそれをすることもなくなった】


【――】


あ……ぇ、と……


【瞬く間に作られた二つの死体に、意味もなく虚空を探るように手を向けるが】
【もうそれらが助からないことは、人体の学を持つが故に少年は嫌というほど理解していた】

【この剣を振るった彼は少年を助ける為に男達を殺したのだろうか】
【いや、あの様子を見る限りそんな事はないだろう】
【恐らく少年が絡まれていなかったとしても、この男達は凶刃の餌食になっていたと思われた】
【それは、理解していた。が――】


……その、危ない所を助けていただき……ありがとう、ございました……


【――少年は彼に一歩近づき、目元に微かに涙を滲ませながらもペコリと一礼した】
【次は自分に向けられるかもしれないという恐怖はある】
【相手が自分を助けたわけではないのは判っている】
【男達を惨殺した事はやりすぎであるとも思っている】

【だが、それでも"助けられた"という結果があればそれを優先し】
【少年は怯えながらも、出来る限り礼儀正しく振る舞いながら"恩人"と向き合おうとする】
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 21:02:43.73 ID:sGQo5G0fo
>>574


うん。…………えっと、12歳、だよ。

学生………って、お勉強したりお友達と遊んだりして暮らしてるひとの、ことだよね。
いつも楽しそうにしてるの。あなたも、楽しい?


【年齢については少年の想像したとおりか、それより多少下というぐらいのようだ。若干大人びている雰囲気はあれど】
【実年齢はずいぶん若いらしい。……あくまで、自己申告では。自分の年齢を答えるだけの動作にたっぷり数秒も要したのが、やや不審ではあった】
【――――そして。やはりというか、少女は一般常識にも欠けているようだ。学生という言葉すら、ゆっくり思い出すみたいに呟いて】

【微かに頬を緩めて言った、その何気ない感想が――――少年の実状と乖離しているかもしれないことに、少女は気付いていたのだろうか】
【少女のなかの主観では、学生というのは楽しいものであるらしいけれど。伺うような声色には、わずかな期待が乗っていた】


………ほんとに、元気? ほんとに、何でもない?
肌もお顔もきれいなのに――――あなたの眼は、なんだかちがう気がする。


【変わらず、少年を覗き続ける少女――――単に興味本位だったのか、心配からくる行動だったのかは、判然としないけれど】
【少女はただ、少年の眼≠見据えていた。人形のような無表情は軽く目を見開いて、そこに何かを読み取ろうとしていた】
【べつに心の中が読めるという訳ではない。恐らく意味すらも希薄な、ただ子供の率直な感想には……少しだけの暖かみがあった】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 21:19:29.65 ID:eYXHlJizo
>>577
「12歳か……」
「って、義務教育はどうしたんだよ」

【何故か答えに数秒の時間を要したのが気になるが、問題はそこじゃない】
【大体少女はその「学生」にあたる年齢のはず】
【小中学生だって立派な学生だ、まさかそれに通っていないという事か】

「うん、楽しい」
「楽しいよ、とても」

【自分に言い聞かせるように、胸を張って答える】
【楽しい】
【楽しくないはずがない、本当に?】
【能力者という「異端」で、あの有象無象に紛れてのうのうと過ごすのが?】
【そう、きっと楽しい】
【――――――楽しいって思えば、楽しい】

【人間とは都合の良い生き物だ】
【そうやって思考を停止すれば、辛くて苦しい事など捨て去れるのだから】
【逃げて、逃れて、逃走して逃亡して】
【都合の良い事だけに、目を向ける】
【それが、人の性だろう】

「僕は元気だよ、何の問題もないさ」

【――――あぁ、そうか】
【「あいつ」と同様に、この子もお人好しなのか】
【僕を心配してくれる、何の裏もなく】
【でも、それでも―――――】
【その優しさを受け取る権利など、僕にはない】
【だから、こう言うんだ】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 21:22:05.95 ID:DZBEnmRco
>>573

【彼が酒を断ろうと茶に手を付けなかろうと会長は何も言わず】
【表情も変えずに厳しくも優しくも在る落ち着いた表情を浮かべ】
【灰皿に置いた葉巻に口をつけ、煙を転がす。ただ、それだけだ】

【秘書の彼女も茶を淹れれば、下がって正座で待つ…いや、監視するようだ】
【彼女は会長とは違い、わかりやすい警戒の色のある視線を向けていた】

【彼の話を最後まで、会長は口を挟むことなく適度に相打ちをして聞いていた】
【そして終われば、その視線を相手の顔に臆することなく向け、静かに口を開く】

軍だけじゃあない。…何処もそうだ。さばく側の我々ですら、気を抜けば喰われている
特に、D.R.U.G.S.が今のようになってからは世界中に蔓延する速度がました。
マフィア同士の自治会とは言っているものの…現状、実質はシンジケートだ

【目線を外し、ワインのグラスを手で揺らしながら、ただそれを見ていた】

政府がそう、するのは遅かれ早かれ目に見えていたことだ。…それに軍を駆り出したということは
……私の想像よりも『酷い』ということなのだろうな。…心中お察しする。

ただ、締め付けが厳しくなるのはいい。なら、なぜウチと話す?取引ならD.R.U.G.S.とした方がいい

【マフィアと政府は繋がっているなんてよく聞く話だ。薬物の取り締まりを始めたからには結果を出さなければならない】
【政府はマフィアに裏で取引をして、一時的ないし限定的に流通をストップしてもらう。マッチポンプの関係の話だ】
【今回もそう、するのであればD.R.U.G.S.の実質のトップと話をすべきだろう】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 21:34:12.58 ID:ydCkNuudo
>>576

【彼は少年を見つめたまま動こうとしなかった】
【変化があるとすれば真っ黒な魔翌力が漂い始めたくらいか】
【おそらく警戒しているのだろう。もっとも、魔翌力以外にそれらしい仕草はない故にわかり辛いが】


…………え、


【――逃げ出すと思っていた。でなければ自己防衛に出ると思っていた】
【しかし述べられたのは感謝の意。久々に耳にするそれに、少年は素の反応を見せるだろう】
【僅かに浮かぶのは困惑の色。少しの間、視線が泳いで】


あ、うん。……間違って入って来たの?
……弱いんだからさ、とっとと帰りなよ。死んじゃう前にさ
君もこいつらみたいになりたくないでしょ


【段々と冷静さを取り戻して――彼本来の、生意気な子供そのもののような口調に戻る】
【呆れを含ませた言葉はされど、感情を浮かべていない表情と合わない。どこか振りをしているようでもある】
【人を斬って楽しんでいた時の彼とは、まるで別人のように思えるか】

【間違って入ってきたとは、路地裏のことだろう。血に恐れを抱いて、殺人鬼を前に涙すら浮かべる】
【そんな、路地裏ではイレギュラーな存在に掛けるのは……彼なりの優しさ、なのだろうか】

【タキシードの少年が次にどのような行動に出ようと、彼はふらりと動き始める】
【伏した男の傍で屈めば彼らの衣服を物色し――取り出すのは財布だ】
【彼はこうやって生きているのだろう。少年の目から見れば、明らかな異常者のはずで】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 21:39:50.57 ID:sGQo5G0fo
>>578


…………ぎむ、きょういく? なぁに、それ?


【少女は学生ではないのか。いまどこで、どうやって暮らしているのか。そういうこと以前に――――】
【どうも「義務教育」という言葉の意味すら知らないらしく。ただじっと、少年を見つめ返すだけ】
【小学生にだってありそうな常識も少女にはない。自分の現状に対する自覚すらも、この少女にはないのだった】


そっか。なら、いいよ。


【少年の態度に、何か感じるようなところはあったようだけれど。かといって、深く追求できるほどの確固たる証拠にはならなかったし】
【少年の言葉を疑う理由にもならなかった。少女はちょっとだけ満足したように、少年を覗き込むのをやめるだろう】
【お人よしと――――少年は少女をそう評したけれど、実際には。自分がいまどうして笑顔を浮かべているのかどうかも、わかっていないのかもしれない】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 21:44:15.45 ID:n4aLrvn50
>>554

―――ありがとう、グリース。貴女が選んでくれたから、こんなに素敵なドレスを見つける事が出来ました。
ふふっ……やっぱり貴女に頼んで正解で御座いましたね。
貴女が私の友で本当に良かった……そう、心の底から思えます。

【飾りっ気のない、素直な感想。それでも、その一言だけでどんな言葉だって敵わないくらいに想いは伝わるから】
【友の一言を聞けば、マリアは本当に幸せそうな笑顔を零す。グリースがそう言うなら今の私はきっと素敵なんだって思えて】
【その友に手を引かれるがままに鏡の前に連れて行かれると、改めて自分の目で自分の姿を見ることになる―――】
【―――これが、私なのか。友が選んでくれたドレスを纏った己の姿に、何とも言えない幸せな感動を覚えて】
【似合っていると改めて告げられると、本当に似合っているんだって思えて、嬉しくて】
【何回だって大好きな友にドレス姿を見せてあげたくて、後ろの共にくるりと向き直ってみせる】

【そんな風にして、ドレスのまま友にその姿を見せていると―――不意にグリースは何かを取り出して】
【手渡された其れは二つのネックレス。続くグリースの言葉を聞けいたマリアの満面の笑みを見れば、きっと心から喜んでいる事だって伝わる筈】

―――まあ!ありがとうございます!これを私とティアに?
縁起が悪いだなんてとんでもない!私の大好きなグリースからの贈り物ですもの、嬉しいに決まっているでは御座いませんか!

ふふっ……それじゃあ、私もプレゼントです。これ、良かったら受け取って下さいな!

【代わりに、とマリアはたった今まで首に掛けていたロザリオを首から外して、グリースに手渡そうとする】
【友誼の証?贈り物のお礼?……理由は何だって良い、グリースが受け取ってくれたならマリアは喜ぶだろう】



【―――その後。いつの間にかグリースの姿が見えなくなったかと思えば……やがて店員と何やら交渉している姿を目に留めて】
【慌てて間に入って「支払いは自分でする」と告げようとするだろう。友とはいえ流石にそこまでしてもらうのは気が引けるから】
【暫くの間自分が払う、ボクが払うと譲り合いの逆パターンみたいな言い合いが続いて……最終的にはどこまでも親切な友に押し切られてしまう】
【バツが悪そうな困ったような表情をしていると、代わりに一緒に写真を撮って欲しいと頼んできた。―――ドレス姿のままで】

……そんな事で良いのでしたら、幾らでも一緒に撮りますが……グリース、本当に良かったのですか?
いくら貴女とはいえ、こんな事までして貰って……―――ううん。こんなことを言うのは、払ってくれるグリースに失礼ですね。
―――グリース。これを言うのは何度目か分からないけれど……ありがとう。

―――さ!一緒に写真、撮りましょうか!何ならグリースもドレスを着てみますか?
サンプルの試着だけなら大丈夫かもしれませんよ?なんてね、ふふっ―――

【それからはもう、一枚だけとは言わず好きなだけ写真を撮るのだろう。グリースが望むポーズがあれば快く引き受けるし】
【「こればっかりは私に払わせてください!」と写真代はマリアが払おうとするだろう。―――だから、好きなだけ写真を撮って欲しい】

【写真撮影が終われば、後は後日ゼン=カイマの自宅に送ってもらう手続きをして帰るだけ。尤も、他愛もない話をする時間は幾らでもあるが……】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 21:55:45.70 ID:bOEkCzTdo
>>580

…………え?


【奇しくも、少年の口から洩れたのは彼と同じ言葉であった】

【先程まで少年は彼のことを殺人嗜好者の類であると認識しており】
【こんな"普通"の反応が返ってくるとは予想していなかったのだ】

【その僅かな凍結から解放されたのは数秒後】
【彼から掛けられた言葉を受けて、ようやくと思考を取り戻し】


………あ。そ、その、実は……この先のお家に用事がありまして……
商品をお届けするまでは……帰るわけにはいかなくて……

えと……あっ……――


【此処に迷い込んだというわけではなく、何らかの用事があったようである】
【配達員の仕事か何かであろうか? こんな場所に住む人間など、まともな客ではなさそうだが】

【少年は周囲をキョロキョロと見渡した後、"血塗れになった"バッグを見つけるが】
【鞄の表面に多量に付着した生々しい臭いとぬらりとした真紅の液体に】
【「うぅ……」と、弱々しい声を出しながら引っ込んだはずの涙をまたじわりと滲ませて】
【懐から取り出した白いレースのハンカチで、ゆっくりと拭き始めた】


ちょっと取れたけど……やっぱり、染み込んじゃってる――……?
あ、あの、何をしてらっしゃるんですか……?


【血の染みが残るバッグを「よいしょ」という掛け声と共に両手で持った所で】
【彼が死体を漁って何かをしているのが目に映った】
【だけど、屈み込んでいる彼の姿を後ろから見ても、すぐには何をしているのか理解することが出来なかった】
【路地裏に踏み入った経験はやはり薄いのだろう。人を殺して財布を奪う、という"当たり前"に思考が及んでいないのだ】
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 22:05:59.34 ID:dmncHnm0o
>>579



──、私は、『強制排除』と申し上げた。


【平坦。それでいて、空気を切り裂く声音が、座敷に響く】


組織的犯罪≠フ激化、高度情報化=Aグローバリゼーション=B
社会的下部構造は最早、上部構造を打ち倒しうる力を手に入れつつある。
…、…重要なのは結果≠ナはなく、民衆と社会を納得させる『過程』。

一方で、貴方の言う通り、マフィアと政府は多かれ少なかれ『繋がっている』。
──、D.R.U.G.S.に壊滅的な打撃を与えない事≠ニ民衆へのアピール=B
それを天秤に掛けた手段≠、上層部は決定する事に成るだろう。


詰まり、だ。 


【── 「スケープゴートの第一候補は、富嶽会。」】

【彼等の事をよく知る自警団や、グレーゾーンに生きる者にとっては、まだしも】
【善良な一般庶民にとって、『富嶽会』は麻薬を流通させるD.R.U.G.S.の一員≠ナしかない】
【そして、民衆は軍による掃討≠求める。 ──少なくとも、上層部はそう考えている】
【然し、D.R.U.G.S.と表立って事を構えたくはない。 …、…ならば、自然と対象は、先方と調整の上で嫌われ者≠ノ向かう】

【──彼が此処に来たのは、その結論にある程度の確証≠持っているからだろう】



……わざわざ、私が此処まで来たのは興味≠ェ有るからだ。
自らの腕で弱者を纏め上げた。D.R.U.G.S.≠ノも、『仲間』の為に誇り≠曲げて参加した。
──しかし自らは老い、捨てた誇り≠ヘ『敵意』に転化して襲い来る。


此処に在って尚、鉄腕将軍≠フ『意思』の所在は揺らがないのか── 、



【「私は、興味がある。」──そう告げる軍人の口には、自然と笑みが浮かんでいた】
【まるで子供≠フ浮かべるような、純粋な物だ。 …、…舞衣の方を一瞥してから、陣中に視線を戻す】
【論理としては、「喧嘩を売っている」様にしか見えない。この場で斬られても、文句は言えないだろう】
【だが、それでも。 彼の心中は、楽しみ≠ナ溢れていた】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 22:11:38.79 ID:eYXHlJizo
>>581
「えっ、知らないの?」
「いや、うん、なんか……ごめん」

【いや、それはまずいだろう】
【小学生でも知っているぞ、これくらい】
【でももしかしたらそういった所に通えない事情があるのかもしれない、そう考えると地雷を踏んでしまった気がする】
【申し訳ない気分になってきたぞ、おい】

「うん、それで良いさ」

【こうして、嘘を吐いて強がる】
【どうしてこんな事をするかと言えば………】
【きっと、根本的に人を信頼する事が出来ないのだろう】

【信頼は悲しい、裏切りは傷つく】
【傷つきたくないから、誰も信用しない】
【傷つけたくないから、誰も信用しない】

【多分、そういう事なのだろう】
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 22:26:25.88 ID:ydCkNuudo
>>583

【路地裏の住人への届け物――まともなモノじゃないんだろうな、という考えが浮かぶ】
【興味はあったがそれだけだ。目的を終えたらここにはもう用はない。そう、思っていたのだが】
【……どこを見るでもないひとつだけの眼が、地面に向けられたまま考え事をしていた】


何って…………父親の……仇を探してるんだよ
首に痣があるはずなんだ。……たぶん10センチくらいの


【どことなく在り得そうだが――嘘≠セった】
【嘘を吐くのが下手なのか「えーっと」なんて声を挟みつつだから、気付けるかもしれない】
【それでもちゃっかり財布は回収する。仕舞う場所はコートの内ポケット。背後の少年には見えないだろうか】


そうそう、君の、その……届け物のことなんだけど――


【普段はそんなことなど考えない。迷う思考は、沈黙を生み】
【やがて溜息をひとつ吐くと、少年へと向き直って、口を開くのだろう】


……付いて行こうか。さっきみたいな馬鹿に絡まれたら今度こそ君も終わりだし
僕も今日はもう止まる場所を探すくらいしかすることもないし


【口から出るのは、そんな提案。こんな危険な存在を隣に置くのは危険かもしれないが――】
【これも彼なりの優しさ、なのだろうか。言葉を終えた彼は立ち上がり、適当な方角へと歩きだそうとする】
【もしも少年がそっちじゃないと言ったならばきっと、彼は引き返してくるのだろう】
【それまで彼は先導しようとするはずだ】


……それに、女の子なんだし。……危ないからね


【最後にひとつ、そんな勘違いした発言をして――】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 22:39:26.68 ID:sGQo5G0fo
>>585


…………? どうして、謝るの?


【少し気まずそうな様子を見せる少年とは裏腹に、少女は心底不思議そうに首を傾げた】
【どうして少年が申し訳ない気分になるのかを理解できない。たぶん、少女は自分が不幸だとは思っていないのだ】
【実際、少女の私生活について少年はまだ何も知らない。ふつうでないのは確かだが、そこに不幸な事情があるかどうかはわからない】
【まあ、たとえ本当に不幸だったとしても、それすら自覚できていない可能性もあって、少し危なっかしくはあるけれど――――】


あなたは、………えっと。
えっと………ごめんなさい。うまく、言葉にできない………。


【少年が嘘をついて、強がっているのだと、少女に見破れるわけもない。ただ彼の表情に思うところでもあったのか、】
【何か一声掛けようとする、のだが――――そのとき心のなかに浮かんだのはあまりに漠然とした感情で、どうしてもうまく表現できなかったようだ】
【もう少し手がかりでもあれば別だが、そこは少年が本心を隠すのが上手だったということだろう。少年の人間不信が、少女の希薄な想いを上回った】
【……だから。頑なにひとを遠ざけるような少年の態度を少女が少なからず察知して、何かしらひとつ告げようとした、という事実だけがその場に残る】


わたし、もう行かなきゃ。
あんまりお外にいると、『マスター』に怒られちゃう。


【話題も尽きてきたところで、少女は踵を返すだろうか。元よりこんな時間に少女ひとりというのも怖いので間違った判断ではないけれど、】
【――――何もなければ、少女はそのまま去っていくだろう。少年から少女に話題を振れば、もう少しその場に留まることもあるかもしれないが】
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 22:47:22.09 ID:bOEkCzTdo
>>586

そう、だったんですか……
なんていったらいいか、よくわからないですけど……いつか見つかるといいですね……


【そんな簡単に見抜けそうな嘘を、これまた簡単に信じてしまう】
【少し言葉の歯切れが悪いのは、殺人に対していい感情を抱いていないからだ】

【親の敵を取るためとはいえ、多くの人を殺めなくてはいけないというその重すぎる宿命に】
【少年はどういった感情を向けていいのか判らず】
【短い言葉の後に追求することはなかった……真実を知ったら今度こそ泣き出しそうであるが】


え……い、いいんですか……?
あの、あの……すごく心強いのですけれど……あなたのご迷惑じゃないかなって……


【如何にも暴力と無縁そうなこの少年からすると】
【ああいった輩から守って貰えるのは非常に有難い話だ】
【人を"撃つ"感覚はいつになっても慣れるものではないし、慣れたいとも考えてはいない】

【歩き始めた彼の隣に、トトト……小走りで駆け寄って並ぶ】
【どうやら方向はあっているようだ。】



お、おんなのこ……うぅん……


【そして、彼から掛けられたその単語にガクッと肩を落とす】
【やはり色々と思うところはあるようで、少年はおずおずとした調子で言葉を紡ぎ始めた】


やっぱり僕って……女の子みたいにみえちゃうんでしょうか……?

この服も……その、ちょっとは男の子らしくなれるかなって思って着てるんですけど
何がいけないのかな……


【"女の子みたいに見えるか"という問い掛け。明言はしていないが、しているも同然だろう】
【少年は落ち込んだように顔を俯かせながら、タキシードの裾付近を指で引っ張る仕草を見せた】

【気取ったようにも見えるこの服は、少年なりの"男らしさ"のアピールだったようだ】
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 22:48:17.98 ID:h936s79m0
>>582


「さあ、どうだろうね。もしかしたら君一人で悩み抜いた方が良い物を選べたかも――――なんて
そう言ってくれるならボクも嬉しいよ。一生懸命選んだ甲斐もあったってもんだしさ」

【マリアから送られた言葉がお世辞だとか社交辞令だとか、そう言ったもので無い事は分かっている】
【――――ただ、何と無く素直に受け取るのはくすぐったくて気恥ずかしいから冗談めかして答えたけれど】

【結局は、その言葉を真っ直ぐに受け取る事にしたのだろう】
【何時もは冗談だとかを言っている姿がこの修道女らしいが――……顔を赤らめ、俯きながらも「ありがと」と呟く姿も確かに彼女らしさがあって】
【教会の暗躍者。そんな事を微塵も感じさせないのが今の彼女であった】
【鏡に写し出された二人の女性。髪の色が同じならば親類とドレスを選びに来たのかと勘違いする者も居るだろうか】



「…………ボクもキミから貰ったコレ、大切にするよ。大切な友達から貰ったんだもんね
――これで、少しは怪我も減りそうだ」

【代わりに、と渡されるロザリオ。拒む理由など無い、が――――手で受け取る事は無く】
【「折角だし、首に掛けてくれない?」と些細な我が儘を言えば、彼女がそうしていた様に首に掛けるのだろう】

【互いの想いを交換する様な真似事。似合ってるかな――――そんな言葉を呟いたならば、嬉しそうに笑うのだろう】
【彼女が自分の贈り物を受け取ってくれた……無論、それだけでは無い。交換する事なんて初めてだから、其れも楽しくて】
【今ばかりは死神の名も関係の無い普通の女の子。素直に、この一時を楽しむだけなのだ】



「良いんだよ、気にしなくて。お返しするべきだとしたら、キミが存分に幸せになってくれればボクにとって何よりの幸せさ

ぼ、ボクは良いよ!その、ドレスって柄じゃ無いし、似合わないし…………と、兎に角ボクは…………あ、もう…………マリアってば……」

【気取った様な台詞で返して、其れだけで終われば格好良かったのだが――――着てみるか、と進められれば赤面して顔を左右に振るのだろう】
【指同士を突っつき合わせて自分じゃ似合わないだとかブツブツと呟きながら声も小さくなって】
【やがて聞こえなくなったかと思った頃、頬を膨らませて怒った様に言葉を返すのだろう】
【――――尤も、幾ら進めても着ようとしないのは明白だ。そう言えば、この修道着以外の姿も見たことは無いか。ならば……何時か共に街に出たときに着せ替え人形代わりにでもしてやれば良いか】



「いや、一枚だけで良いよ。写真を何枚か撮ってその中から一番良いのを選ぶのも好きだけど――――渾身の一枚というか……決められたその瞬間だけを撮るのも良いと思うからね」

【クス、と笑い声を零したならば彼女に甘える様に抱き付いて。カメラに笑みを向け、マリアも同じ様にしたならば“一度きり”の写真が撮られるだろうか】
【――――後日教会にでも送ってやれば喜ぶことは間違い無く】

【其れ等が終わった頃だろうか。ふと外を見れば、修道女と同じ教会の者が店にこそ入らずとも外で待機しているのが見える筈。顔こそ。ローブで見えないが……】
【まさか偶然でも無かろう。そして彼女の事を知るマリアならば、行き着くのだって限定される筈だ。――――そう、“仕事”だと】
【未だグリースを気付かずにドレスを見たり何てしているが…………外の者の存在に気付くのもそう遠くは無い話だろうか】
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 22:58:56.24 ID:eYXHlJizo
>>587
「いや、別に……」
「君が良いなら良いんだ、それで」

【何も知らない癖に、少女の事を分かったつもりでいる】
【それは駄目だろう、ただそれは自分を相手に押し付けているだけ】
【だから、別に何でもない事にしておこう】
【少女自身がそれを幸福か、不幸と思っているかまで聞く必要はあるまい】

「…………僕の事なんか良い」
「心まで知る必要はないんだよ」

【何もされないように、触れられないように先回りして先手を打つ】
【信頼なんて、脆く崩れやすいから】
【僕の本心を知られたら、芽生えかけた少女との信頼が崩れてしまうから】

「……あ、そうだ」
「最後に、君の名前は?」
「僕は、渚 詩音」

【立ち去ろうとした少女を見て、最後に名前だけでも聞いておく事にする】
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/25(水) 23:06:40.17 ID:+g70qvNOo
【とある街・波止場】

【今夜、最後の船が先ほど着いた所だった。荷が、人がぞろぞろと降りてゆく】
【そんな中に一つ、小さな影が在る――まず背は140cmも無いから、子どもだろうか】
【ハンチング帽に白いシャツ、サスペンダーで吊ったズボン、と】

【それから手には小さなカバン。何となくレトロな格好だったが、何より目立つのは】
【やはりその腰元からするりと伸びる、長い銀色の尻尾であろうか】

ここが櫻の外の世界……なんだか緑の無い所です
……ともかく、先ずは言われたとおりに宿の場所を人に……あれ?

【彼は街灯の下でじっと周囲を見つめていた。コンテナ、アスファルト、コンクリートのビル街】
【しかしその間に船は別の場所に移ってしまって、他の乗客も捌けてしまう】

【――どうやら彼は、誰かに道でも聞きたかったらしいのだが】
【人が居なくなってしまってはどうにもならない。オマケに、見知らぬ土地だからか】
【カバンを大事そうに持って、尻尾をゆらりとする姿は――どこか、不安げにも見えた】
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 23:08:23.00 ID:DZBEnmRco
>>584

【陣中は同じように、ただ黙って聞いていた。どんな話だろうと】
【銃を向けられようが…いや、撃たれようが常に同じ表情を浮かべるはずだ】

【饒舌に話す彼には目もくれず、座卓に肘を乗せて、葉巻をふかす。視線はその煙だ】
【話し終えた後の長い沈黙。ほんの数十秒のことだろうがきっとそれぐらい長く感じるはずだ】

【笑みのような表情を浮かべつつ煙を吐き出した後、陣中は口を開く】

……私が、軍に居た時は特務大尉だった。『ナカノ』を出て、機関に入り戦地に向かった頃には
もう、敗戦までひと月というところだった…階級は上だな、ランガスター中佐殿

【フッフッフ…と笑いながら、彼は葉巻を灰皿に置いて】

国の為、市民の為という言葉を信じて疑わなかった…今もそうだ。市民が望むのなら銃をとった
出来ることをやった。…国体の維持、民族の意義。国家の平和が私に下された任務だった

【座卓の上で手を組んだ。白手袋をしているから鉄腕はよく見えなかった。彼は話を続ける】

確かに、私の古い友人も既に政界や財界の第一線から引いている。資産も殆どは
合法のファンドにやってしまったから、自由に使えなくてヤツらは煙たがっているだろうさ
…これも、遅かれ早かれわかっていたことだ。……なに、どうせ先は長くない、この老いぼれの身一つで
世の中の為になるのなら構わん。………ただ、2つ。言いたいことが在る

1つは、軍人としての忠告だ。軍人なら興味程度で作戦をあけすけに他所に言うものではない
…命令には忠実で非ねばなるまい。どんな無茶であっても寡黙に遂行するのが軍人と…私は思う

もう一つは…私の誇りは『家族』だ。誇りは、家族だけだ。私は誇りを、家族を裏切らない。

【静かに、それでいて、強調するように。本当の脅しとはこのようにやるのだと見せるように彼は言う】
【第一線で戦うことも、D.R.U.G.Sに頭を下げることも厭わないのは全てはこの富嶽会という家族のためだ】

…………舞衣。

【秘書は静かに「はい」とだけいうと、立ち上がって床の間の掛け軸を力ずくで引っ張って剥がす】
【裏にはくぼみがあり、そこには朱塗りの鞘の刀があった。そもそも、能力者や魔術師がいる世界で】
【武器がなければ安全という考え方自体、『不自然』である。.彼女は腰に差し、下げ緒を通す】

…それでは、本題に移ろう。貴君は我々に何を斬れというのだ。手短に話せ、私は今は、貴君を斬りたい気分だ

【ふっふっふっと冗談じみたように笑うが、それを冗談と受けとれる人物は何億に1人だろう】
【ここで乱闘になれば全員が生きては帰れないかもしれない。けれどそんなことを気にする奴は少なくとも富嶽会には居ない】


593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/25(水) 23:14:54.91 ID:ydCkNuudo
>>588


そうだね。……いつか見つかるといいね


【どうしてこんな嘘を吐いたのか自分でもよくわからない】
【ただ、噛み殺したような笑みが浮かべられるのが――見えたかもしれない】
【それは果たして、騙された少年が滑稽だったからか、あるいは――?】


……迷惑じゃないよ。僕も……退屈だから、別にいい


【口数少なめに、彼はそう返す。先程からどこなく話し方がぎこちないが――理由は不明で】
【少年が付いてきても彼の方を見ようともしなかった。音でそれがわかれば十分だったのだろう】


…………え?
ああ、男っぽく見せたいんだ。変わってるね
だからそんな服着てるんだね。でも余計に目立って逆効果じゃない?


【またしても素の反応が出た。顔を確認しようと振り返るおまけつきで】
【――どうやら彼は鈍感な方らしい。またしても勘違い発言をして】
【まさか彼が男だとは、想像だにしていないのだろう】
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/25(水) 23:20:13.88 ID:sGQo5G0fo
>>590

【――――少年は、決して一定の距離からこちらに近づいてこようとしない。きっとそれが少年のスタンスなのだろう】
【少女が最後に少しだけ、不思議そうにしていたのは。その態度そのものが理解できなかったからなのかもしれない】
【少女にも警戒心がないわけではないが、しかし。少年のそれほど根深くも、徹底してもいないから】
【……子供のように純粋無垢な少女は、果たして少年にどう映ったのか――――】


イクス。…………えっと、イクス・ヴェーラだよ。

――――じゃあね、詩音。


【名前を聞かれて、少女はまず即答し。そしてその後、はっと思い出したように名字を付け加えて答えるだろうか】
【そうして、少女は……イクスは今度こそ去っていく。振り返ることなく、透明色の体を背景に溶かすようにして消えていく】
【あまりに存在感の薄い少女は、気付いたらいなくなっていたなんて、そんな風にも感じてしまうかもしれないけれど】
【……二人がここで言葉を交わしたという事実だけは、本当で。少女はたぶん、律儀に詩音のことを覚えているはずだ】

【遠い草原の先へ歩いていくイクス・ヴェーラの背中は、儚げではあっても、確かに月光の下に存在した――――】


/お疲れさまでしたー!
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 23:25:54.63 ID:n4aLrvn50
>>589

【大好きな親友がそうして欲しいというのなら、それを拒むマリアではない。「分かりました」と微笑めば、首に掛けた其れを外して】
【グリースの頭に通して、自分と同じ色の髪をかき上げてやれば―――その贈り物は、先程までのマリアと同じようにグリースの首に掛かっている筈だ】
【贈り物に込められた想いは届いただろうか。何時までも私の大切な友でいて下さい≠ネんて―――言うまでもないか】


似合わない事なんてないのですよー。グリースだって可愛いもの、ね?
いつかお洒落をしたグリースも見てみたいです!……―――そうだ!今度、一緒に服を買いに行きましょう!
今日はグリースが私に似合うドレスを探してくれたんですもの、今度は私がグリースに似合う服を探してあげます!
ふふ、きっと楽しいですよ!

【初めて見たグリースの恥ずかしがる表情。普段の飄々とした姿を知っているだけに、顔を真っ赤に上気させて恥じる姿が何だか新鮮で】
【……似合わないだなんて言っているけれど、きっとそんな事はない。いつか二人でお洒落しに服を買いに行けたら楽しいだろうな、なんて】
【一緒に買い物なんて楽しい想像をしながら小さく微笑むのは、それが叶わぬ夢ではないのが嬉しいからだろうか】
【こうして人生で一番大きな晴れの日に着るドレスも一緒に選んだり、贈り物をしたり、逆にプレゼントして貰ったり、】
【何時でも一緒に居られる日が来るなんて、初めて会った時には夢にも思わなかった。―――でも、この幸せな今は間違いなく現実だ】



【ぎゅっと抱き付くグリース。勿論マリアもそれを拒む事なんて無くて、むしろ受け入れるように体を預けて】
【そんな風にしている姿はまるで姉妹のようで―――出来上がった写真には、楽しげな笑みを浮かべた、よく似た二人が移っている筈だ】
【これは余談だが、その写真はマリア自身もとても気に入ったらしい。グリースに渡す分のほかにもう一枚焼き増して貰おうと思っているとか……】
【勿論グリースの分も忘れない。後日、すっかりお馴染みとなった封筒が写真入りでとある教会に贈られることだろう―――】


【―――さて、楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。気がつけば外には教会の関係者がいて】
【……仕事、なのだろう。親友とてこれを無視してまで引き止める訳にはいかない……だから、もしグリースが行くと言うのなら留める事はない】
【ただ、名残惜しいのも事実。グリースが行くと言うまで、花嫁姿のまま傍に居ようとするが……】
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 23:32:37.42 ID:bOEkCzTdo
>>593

…………?


【噛み殺した笑みには気がついたが、その意味が理解できず】
【キョトンとした表情を浮かべて首を傾げた】
【彼の意図を察することは、この少年には難しそうであった】


あ、あの……ありがとうございます……

この辺りは、お仕事でたまに来るのですが……
やっぱり、誰かが傍にいてくれると心強いなって……暗くて、怖い人も沢山いますし


【相変わらず口下手で、途切れとぎれながらも彼に対してお礼の言葉を告げて】
【少年ははにかむ様に淡い微笑みを浮かべた】
【先程から見せている、弱々しく泣き虫な様子に違わず暗い場所は苦手なようであった】


男の子っぽくっていうか……えぇと
格好いい服着て……それに見合うくらいもっと男の子"らしく"なれたらなって

やっぱり……変なのでしょうか?
僕、男の子らしいファッションがよく……わからないんです
昔からずっと……最近まで可愛い格好に憧れてて……そういうのばかり着ていましたし……


【視線を下に向けて、自分の着るタキシードを見やりながら】
【彼にそんな質問を投げかけた】

【こちらもこちらで微妙に食い違っている】
【男の子っぽく見せたい、というワードを好意的に解釈し】
【相手が自分を「男性」であると理解してくれたのだと思い違いしているようだ】

【この微妙なすれ違いはもう少し、続きそうである】
【そして、今はまだ制止の言葉などは掛けない。目的地はまだ先のようだ】
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/25(水) 23:37:57.96 ID:4gwXoOMJ0
【風の国 路地裏】

【ここは繁華街から一本入った路地裏だ、となれば、まだ、都会の喧騒が聞こえて来る。】
【普段はただ単に五月蝿く聞こえるだけのそれは、しかしここに来れば、ありがたい存在ともなるのだろう。】

【換気扇から漏れ出す空気は、ヒトから発せられる熱気もあってか、ヌルくて気味が悪いし、】
【看板であったらしきネオンは、その殆どが光らず、かつての文字の推測すら出来ない。】
【そもそも、この辺の地面は、一切掃除されることがない。ゴミやら何やら、散らかり放題、で。】

【街灯は、かなりの間隔があいて立てられている。需要もないのだから、それでも良いのだろうが………、】
【―――ふと、微かなBGMの中に紛れ込む、一つの足音。それは、この場には不釣り合いな音色だったか。】

【真っ黒な眼に、サッパリとした印象の黒髪。上はオレンジ色のパーカーで、下はありふれたジーパン。】
【両手には何やら沢山入ったビニール袋。店名は分からないが、まあ買い物をしてきたのだろうと分かる。】
【170cmに満たない身長と、それから顔付きを確認すれば、歳は16とか17とかそこらの少年であろうと推測が行くだろう。】


―――…………。

【不意に彼は立ち止まった。……壁に貼ってある紙を眺めるらしい、近付けば、"WANTED"の文字が明らかになる筈だ。】
【一体何を思っているのか、彼はその張り紙、指名手配書に夢中で……どうやら、周りの事は今、良く見えていないらしい。】


/予約?です

598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/25(水) 23:39:48.84 ID:+jCRUUeXo
>>591
今日はーせっかくー港に来たんだからー、お魚いっぱい買ってー……おや?

【そんな中、波止場に通りかかったのは栗色の髪を持つ一人の女性】
【その右手に華美ではないが静かにおしゃれな革の鞄を下げている】
【反対側の手は……服の袖が折りたたまれていた】
【どうやら左肩からないらしい、折りたたまれた袖は肩口の部分を支点にゆらゆらと揺れていた】

おや?おやや?

【興味津々といった様子で子供に近寄る女性】
【容姿は何というべきだろう、全体的に向日葵が似合いそうな人物である】
【薄い黄色のワンピースを着た女性は、成人女性としては若干背が高かった、背が高い分、胸囲は控えめだが】

ねぇ、ぼく、どうしたの?

【そして女性は中腰になり、子供と目を合わせて問いかける】
【糸目でどこか猫を想像させる女性だ】
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 23:41:11.51 ID:eYXHlJizo
>>594
「………イクス、か」
「…………覚えたよ、しっかりと」

【縁があれば、また出会う事になるだろう】
【黙って僕はイクスを見送る】
【まるで溶け込むかのように消えていったイクスだけど、脳内ではしっかりとその姿を焼き付けていて】

「はぁ、僕も帰るか……」
「…………違う、「あいつ」じゃない」
「あいつは、どうやったって、簡単に壊れなかったから」
「あの子は脆い、だから―――」

【重ねそうになってしまった、自分の罪】
【もう忘れていたのに、何故今更になって思い出すんだ】
【――――――いや、忘れた事などなかった】
【一度たりとも、常に僕は自分の罪を思っていた】
【思っていただけで、想いには程遠いけど】
【それでも、忘れた事などなかった】
【罪悪感を常に背負って生きていたから、いつの間にか錯覚していたのだ】

「………はは、とんだ「傑作」だよ」

【戯言ではない、傑作】
【笑い種のお話、これを滑稽と呼ばすなんと呼ぶのか】
【…………まだ、罪滅ぼしが出来るなら】
【いや、今も継続中で、永遠に続くのだけど】

【もう少し、優しく接してあげても良いのかもしれない】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/25(水) 23:41:36.10 ID:eYXHlJizo
>>594
/ありがとうございました!
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/25(水) 23:52:45.43 ID:fIsi7yc8o
>>597


「その張り紙が気になるの?」

【指名手配の張り紙に夢中になっている少年に声をかける一人の人物】
【それは車椅子に腰を下ろしたどこか儚げな女だった】

【夜の闇みたいな真っ黒なロングヘアーに涼しげな白のワンピース】
【首からは30の数字が刻まれた質素なネックレスを付けていた】
【表情はどこか大人びていて年齢をそこから図り取るのは難しいかもしれない】

「こういうのって意味…あるのかしら?」

【彼女は淀んだ風に髪を靡かせながらそう呟いた】
【まるで犯人はこれくらいで捕まりっこない、そう言いたいかのようにも見える】

「逃げるのを諦めた方が楽なのにね」

【少年の視線の先に映る手配書に視線を移す】
【紙に書かれているのは彼女にとってはそこまで興味のない事】
【だけど何となく、本当に何の気なしに目をやっていた】

602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2014/06/25(水) 23:53:32.90 ID:NOvP75iwo
>>598

……ぁ、う…。その、道を……
何処か、宿のある場所をお聞きしたいのです。
ただ、皆もうどこかに……あの、あなたは何処か、知りませんか…?

【近づいて目の高さまで合わせてくれる女性に対して、少年は少し弱気な態度だ】
【所々つっかえながらも、宿の紹介をしてほしい、ということは伝えたが】

【背と同じく小さな足、小綺麗なブーツをはいたそれはじり、と一歩下がっていて】
【それに蒼い瞳も何処か臆病そうに女性への視線を返しているのだった】
【もしかすると、彼女の腕がないのを怖がっているのか、ソレとも別に何かあるのか】
【あるとすれば――小声で『人間だ』と言っていたのと、背後の尻尾がヒントになるだろうか】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 00:03:04.67 ID:yIYZoL/Po
>>602
そっかぁ、宿かぁ……

【んー、と指を口に当てて考える】
【宿屋なら予算や居心地を考えなければまだ空き室がある場所もあるだろう】

【だが、こうも怯えられれば案内できるものもできないだろう】

宿がどこにあるかは知ってるよー
もし行く宿が決まっているなら教えてねー

【と、軽い様子で告げた後、女性はこういうだろう】

ねぇ、ぼく?お姉さんのこと怖い?

【首を傾げながら聞く、確かに彼女は人間だ、そして尻尾があることにも気づいているようだ】
【だがそれを気にせずに聞いているようだ】
【……目の前の彼女に特殊な力が宿っているようには思えないだろう、どこか世間離れした雰囲気を持つ女性というだけで】
【殴り飛ばそうとするのなら簡単だろう、もし少年がひ弱だとしてもひ弱な女性とひ弱な少年なら少年の方が勝てるだろう】
【女性はあまつさえ中腰で不安定なのだから】

あ、お姉さんのことはニケって呼んでねー

【そして、何の気もなしに唐突に名前を告げるだろうか】
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 00:03:56.61 ID:/9YoQWj20
>>601

………ッ!……あ、……いや………

【少年は身体をビクッと跳ねさせた。……いきなり声を掛けられて、驚いた時になるアレだ。】
【それから少年はしどろもどろになるのだろう、いきなり話しかけられて、戸惑っているのだろうが、】


……こういう人たちはな、そんな簡単に諦める奴らちゃうで、……
………だってな、普通に考えて、捕まるんやったら元からそんな変なこと、せんやろ?……

【普通の人間なら、この道が仮に近道だったとしても、通ろうとはしない筈だ。】
【だから、この場に居る人間と言うのは、"それなり"の人物。勿論、自分も含めて、なのだが、】

【そして拍車を掛ける様に、30の数字が刻まれたネックレス。ならば彼女の素性は恐らく―――。】


……えっと、どしたん、道、迷った?

【しかしながら、これはあくまで推測に過ぎない。もっと純粋な結末、】
【例えば道に迷った挙句、こんなマズい所に来てしまった―――なんて可能性だって、十分に考えられる。】
【少年は希望を込めた。眼の前の彼女、五芒星は決して、似合わないでくれ……なんて。】

605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sagesaga]:2014/06/26(木) 00:07:46.26 ID:LQC0dwP4o
>>592
【──、ぴり】

【空気が震え、軽い鳥肌が立つ。 】
【だがそれすらも、ロロケルムは心地良い──、彼の『矜持』を肌に感じる】
【静かな意思は脳髄に染み渡り、自らの≪ロマン≫を更なる次元に昇華させる── 】

(……クククッ。 随分と、『歪んだ』育ち方をしたものだ。)

【そう、自らの内心に評価を下して。 置いていた茶を一口、喉に流し込むと】

ご忠告、痛み入る。──が、それは、『軍人』であって、戦士≠ナはないな。
私は戦士≠ナ有りたい。…、…まぁ、認識と立場の違いだ。 どちらが正しい、と言う訳でも無かろう。

【論争をしに来た訳ではない、と言葉を切って──ロロケルムは、陣中の言葉に耳を傾け続ける】
【『家族』が誇り=B 自らの「プライド」は誇り≠フ前では灰燼に帰す、と、そう云う事か】
【それも一つの矜持≠セろう。──、ロロケルム・ランガスターは、そう結論付ける】
【…、…だが、未だ『確定的』ではない。 彼は果たして、戦士≠ネのか否か── 問わねばならない】

【俄然、血の気の増した座敷。 ──ロロケルムはすらりとした正座を崩さず、『値踏む』様な碧の眼を陣中に向け】




       ──、 ≪    富嶽会=@  ≫




【──陣中なら、その言葉が内包する意味を全て、理解できるだろうか】

【『政府関係者』との会談を受けて、富嶽会≠ェ活動を停止したとすれば、だ】
【政府からすると、D.R.U.G.S.の一組織≠『法』の下に解散に追い込んだ、と民衆に喧伝できる】
【──結果として、国軍≠ニ富嶽会≠ニの争いは回避される事になるだろう】

【尤も──、D.R.U.G.S.≠ゥらすれば、『裏切り者』と看做される事は免れない】
【構成員は兎も角として、『陣中是清』はそれなりの落とし前≠付けさせられる可能性は十分ある】
【当然。 ロロケルムは、その事を諒解した上で、『陣中も理解している』とした上で──言葉を続ける】

…、… 貴方個人の事は別として、一番の問題は、家族≠フ事となる。
裏社会に生きてきた人間が、表に引っぱり出されてはどう仕様も無い──、と、考えるだろう。
──だが、それは遅かれ早かれ、陣中是清≠ェ死ねば、同じ事だ。
貴方のカリスマ性で纏め上げた組織は、貴方の死後、容易く崩壊するだろう。
現状でもD.R.U.G.S.≠ノ呑まれかけている状況。想像には難くあるまい。

【 「私が一等、興味≠ェ有るのは──」 】



 ≪ ──陣中是清≠ヘ『死出の旅』に、誇り≠『道連れ』にする人間か。     ≫

 ≪   それとも、自らの総て≠捨てて尚、誇り≠この世に遺す人間か──。  ≫



【何時の間にか、ロロケルムの顔からは笑みが消えていた】
【ぎろり、と右眼は舞衣≠向く──「返答を聞く前に襲ってくるのは決して許さない」、と言いたげな、気迫=z
【彼は、『聞きたい』。 自らにない歴史≠持つ人間が、その重さを捨ててまで、『意思』を貫くことができるのか】
【それとも、歴史≠ノ押し潰され、終着点は無いと分かって尚、最後まで『背負い続ける』という選択をするのか──。】
【そして、その眼は「舞衣にも聞き届ける必要がある」、と、強烈に語りかける様な色をも持っていた】


【そして、彼は鉄腕将軍≠ノ眼を戻し  ──  】

/滅茶滅茶時間掛かって申し訳ないのですが、今日はそろそろ落ちないといけなくなりました
/このレスに返しておいて頂ければ、明日の夜にはお返しできると思います
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 00:09:28.01 ID:V/dvOIOb0
>>595
「だ、か、ら。ボクにはそうお洒落だとか似合わないから…………うー……分かったよ……そう言うなら…………
で、でも。今度だからね今度!また何時かだからね!その、今日明日とかは……やっぱり…………さ……」

【断固拒否、といった姿勢でも無い事からそれなりにお洒落する事に対して興味を対抱いている事も分かるだろう】
【――――恥ずかしがるようで、“仕方なく”なんて雰囲気を醸し出しては居るが……グリースの性格上、積極的に行きたいと言えぬ事は分かりきっている】
【……だから、“仕方なく”。そういえば、以前に子供達と共に街に行く約束でもしていたか。ならばその時にでも子供達と一緒に考えてやれば良いであろうか】

【何だかんだで色々と着たりするのは目に見えた結果だ。其れこそ、顔立ちも整っては居る方なのだから大体の服装をさせても様にはなるだろう――――然れど、其れは未来の話】
【今は友人のその姿を楽しむ事が最優先事項。写真を撮り終えればまだ楽しさの余韻を引くかの様にマリアと話して居たが――……其処に、来店を告げる音。詰まる所、今日の別れを告げる音か】



『グリース様。神堂様とハイケリュン様がお呼びです。――――恐らくは、アリスについての話、かと
……マリア、ですね。グリース様より話は聞いています。折角楽しんでいた所、急な話で申し訳ありませんが――――これよりは我等教会側の“時間”です』

【二人に近づき、フードを外したならば――――髪も双眸も白い少女が姿を現すだろうか。澄んだ声は良く通っていて、それでいて何処か人工的な物を感じる事が出来よう】
【何よりも動きの一つも全て正確すぎる。まるで人間らしさが極端に薄い様で、抑揚の無い声も感情の起伏が無いかの様だ】

【暫くの間、死神たる彼女はマリアの事を見ていたが……やがては彼女の言葉に頷くのだけれど、直ぐに向かう事も無く】



「マリア。さっき、キミはボクが友達で良かったって言ってくれたけど…………それはボクも同じさ
キミがボクの友達で居てくれて良かった。ほら、ボク友達とか少なくてさ――――色々話とかはするけど、こうやって話す事だって無かったから
だから、ありがとうねマリア。それと…………団長サマと。フレデリックと幸せにね

今度行くときは新婚祝いでも持って行った方が良いかな?
ともあれ――――次は結婚式の話でも聞かせてよ。キミとボクとで選んだドレスを見た彼の反応とかも聞きたいからさ
…………じゃあね、マリア。彼と末永くお幸せに」

【――――其れは何時の日かと同じ事だ。海辺で語らい、彼女の肩の傷を癒やした時と同じ事】
【掌でマリアの頭を撫でれば優しく微笑んで。其れを最後の言葉と見計らったように少女が転移の魔法を展開する】
【姿が消えるその寸前まで、温もりは彼女の頭に触れていた筈だ。或いは、消えた後も少しだけ残って居たか】

【……結婚式の時の話を次に会った時に聞かせて欲しい。その時の表情は、とても楽しそうで】
【――――グリースを喜ばせてやるのだとしたら、マリアが式を心より楽しめば良いだけの話だ。本当に、単純な話】
【その中の思い出を語ってやれば、死神も喜ぶのであろうから…………何も、難しい事は一つも無い】
【マリアを親友だと思って居るからこそ、彼女の喜びも自分の様にして楽しむ事が出来る。――――そんな様は、死神とはほど遠かったけれど】


/申し訳無いのです、ちょっと深夜に出掛けなければいけないのでここ辺りで〆の方をお願い致したく……!
/お相手、有り難う御座いました!とても楽しかったのです!ただ、こちらが色々と知識が足りなく本当に申し訳無く……
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 00:14:05.09 ID:95MIrcTF0
>>606
/はい、其方こそお疲れ様でした!此方のお話に付き合って頂き、本当に有難う御座いました……!
/此方も明日の朝が早いので、〆はまた明日に落とそうと思います!それでは、また機会があれば!
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 00:15:28.54 ID:dGTyY1Auo
>>603

別に……宿は決まってない、です。
地図とかも持ってなくて……一晩、泊まれればそれで…、……!!

【ぎくり、という顔をした。実際のところ、怖くないかといえばそうじゃないのだろう】
【だが怖いだけとも見えない。どちらかといえばおっかなびっくり】
【つまり、あまり人間との付き合いがないのだ、と察せられるかは女性次第】

【ただそれでも、ニケ、と名乗られれば尻尾がまたふわりと揺れる】
【今度は不安というより興味や好奇心で、おどおどとした様子も少しは落ち着き】

と、虎千代……です。
……あの、まだ元服してないので、ちゃんとした名前じゃない、です…けど……。
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 00:18:49.50 ID:r11XoTSAo
>>604

そう言うものなのかしら……
すべてを諦めたからこういう凶行に走ったのかもしれないわ……

【自暴自棄になって罪を犯し、我に返って罪から逃げた】
【だからこそこんな中途半端なことになっている、なんて彼女は静かに思った】
【それを口から出すことはなかったが】


……あ。

【そんな物思いに耽っているときに彼女は気づいた、自分の掲げているネックレスに】
【そしてそれを隠していなかったことに】


退屈だから夜のお散歩……
……道に迷ったって言うのも少しあるわね

【少年のわずかな所作で彼女は薄々感づかれているのだろうなと察知した】
【だから何気ない適当な会話を交わしながら、本当にさり気なくネックレスを服の中に隠した】

貴方はどうしてここに?

【彼女がもし五芒星を掲げている人間だとしても、今のところ敵意はなさそうだ】
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/26(木) 00:19:59.17 ID:wthHdDTco
>>596
/ごめんなさい、意識が飛びかけてます
/明日以降に持ち越してもいいでしょうか…
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 00:21:16.64 ID:DT2KesJFo
>>610
/オッケーです!
/明日は19:00くらいからいると思いますので
/お好きな時間に返して頂ければ〜
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 00:25:30.86 ID:yIYZoL/Po
>>608
そうだねー
じゃあ今日お姉さんが泊まってるいい宿紹介してあげる!

【そういってにこにこ笑いながら立ち上がるニケ】
【あまり人と関わらずに生きてきたであろう少年だからと言って態度を変える気は毛頭なかった】
【いや、天然というべきか】

虎千代くんかー、櫻のほうから旅しに来たのかな?

【その名前から香る櫻の国の匂いに旅をしに来たのだと予想する】
【もっとも、違う可能性の方が高いかもしれないが】

じゃあ虎くん、いこっか!

【そういうと手を差し出すだろう、握手だろうか?】
【いや違う、もし手を握れば手を握ったまま軽やかに走り出すだろう】
【手を握らずにいればいづれ肩を落としとぼとぼと案内するだろうか】

【どちらにせよ、案内するのは一階が酒場、二階が宿屋という港町でよくある宿屋】
【だが、光はこぼれていても人がいないかのように静かなのである】
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 00:35:36.54 ID:/9YoQWj20
>>609

……ああ、そういうのも、よう聞くなあ……

【ペンダントをこっそり胸に仕舞う、という動作があれば、彼の中での彼女の素性は、ほぼ確定する。】
【問題は彼女を、どうするかだ。ただコテンパンにやっつけて、自警団にでも連れ出せばそれで良いのか。】


……そーなんや、迷っとるんなら、俺もどうせ帰り道やし……

【――― 一緒に帰ることを、或いは道案内をすることを、選んだ。】
【敵意がないのなら、少年からは決して手を出さない……そんな彼の意志が、鋭い観察眼のある彼女には読み取れる事か。】


………俺? 俺は、……その、まあ、近道、やからな、ここ………

【自分も迷っているといえば隠せたのだが、言葉の流れで言ってしまった。】
【この発言は即ち、"自分も自分で、只者ではない"のだと大っぴらに主張している様な物なのだ。】
【ある意味では抑制効果も生むのだろうが、正直彼は後悔している……というのが、内心。】


……散歩、俺はランニングの方が好きやけど……気分転換は、やっぱり、チョコチョコせなアカンな。

【少々不自然だったか、彼は何気ない、他愛も無い会話を進めて行く様試みるのだろう。】
【彼女が特に何の行動も取らなければ、「こっちやでー」と道案内が始まる事になる。】
【数分すれば、再び都会の喧騒に包まれる事になろう―――、迷うこともなければ、この辺りは彼の庭、らしい。】


………あ、ココ、俺が住んどるとこ。コーヒー美味いの、飲んでく?

【"もう言ってしまったし"―――ただ彼女にとっての問題は、出てきた所が"UNITED TRIGGER"の事務所前であった事か。】
【ありふれた少女を尚も演じ続けるのなら、その辺りはちゃんとしておかなくてはならない。】
【彼はお茶でも飲んでいかないかと、前代未聞の誘いを提示する事だろう。……一体何を、考えているのか。】

614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 00:39:04.50 ID:dGTyY1Auo
>>612

【少し恥ずかしそうにハンチング帽をかぶり直す】
【相手がどうやら優しいこと、そして頼っても良いらしいことが分かったらしく】

ぁ……は、はい。櫻の国から、け、見聞を広げに来ました……!
『次期当主になるのなら必要なことだ』と、お婆様に勧められて…。

【そう答えてから、虎千代は鞄を右手に持ち変えて】
【まだ恐る恐るだが左手を伸ばすと、女性と手を繋ぎ】
【引かれるままについていって、やがてそれらしい店の前まで辿り着く】

あ、あの……ホントに、ここ……です…?
なんだかとっても静かで……酒場はうるさいものだとお婆様に言われたのです……。

【と、店のようすに少々不安げな声を声を上げる】
【きゅっと繋いだ手を握るのは、その気持ちを表すのには十分で】
【下からニケを見上げる目は、やはりというか、少しばかり揺れていた】
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 00:47:51.60 ID:yIYZoL/Po
>>614
見聞を広げるのはいいことだ!
懐かしいなぁ、私も国を飛び出したんだっけ……

【どこか懐かしむ表情で語るニケ、そして手をつないだ虎千代を引き連れ酒場の前に来る、が】

……ふっふっふー、奴らめ、待ち構えているなぁ……!

【どこか悪い表情をしながら、虎千代の手を握ったままドアノブに手をかける】

いいかい、虎くん、この中で何が起きても驚かないことだよ……

【そして、ニケが一気に扉を開ける……!】

「ニケ嬢だぁ!ニケ嬢が帰ってきたぞおおお!」
「者ども出会え出会えぇ!今日こそはひっとらえてやる!」

【と、ニケの姿を見た途端一気にどっと騒がしくなる酒場】
【老若男女、様々な人がニケを取り囲む】
【その中、ニケは不敵に微笑みながら】

ニケ様のお帰りだ!者ども頭が高いぞぉ!
「うわああああ、ニケ嬢の必殺、『頭が高い』が出たぞおお!」

【と、まるで子供のようなふざけあいののち、誰が最初に吹き出したのだろう、みんな笑い出した】
【奇怪と言えば奇怪だが、どこか愉快な空間である】

みんなねぇ、こうやって遊んでるの、おかしいでしょ

【そして、笑い声の中虎千代に聞こえるようにひっそりと耳打ちするのだった】
616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 00:49:06.78 ID:r11XoTSAo
>>613

そう…危険だけど、確かにここって色んな所に繋がってるものね

【少年が只者ではないのは何となく察知できていた】
【だけど今のひと頃で何となくは確信へと変わる】
【かと言って如何こうするなんていう思いが端からないので、そこまで深く気にはしていなかったが】


走るって大層楽しそうね。私には一生出来ないことだと思うけど…
でも。そういうのを見ているだけでもほっこりしちゃうわ

【どこかぎこちない少年を見てクスリと一笑するが、それ以外は彼女も何気なかった】
【それに今の彼女にとっては喧騒に呑まれないように、後を付いていくのが精一杯】
【行き先がどこかなんて全く知らずに―――――】


………成程ね。

【ついた場所を目にして彼女は蔑むような笑みを浮かべた】
【その笑みの矛先は自分、何を言うでもなく小さな笑みを口元にずっと浮かべていた】

コーヒー…ね。それはとても魅力的なのだけど…

こういう場所って初めてなの、お邪魔になっちゃわない?

【少年が自分を捕獲するつもりなら、いつでも奇襲をかけてとっ捕まえれたはず】
【それをせずにここに連れてきたということは、本拠地地点で袋叩きにするかそれ以外の何かの考えがあるか】
【どちらにせよ少年が自分の素性に感づいたということは嫌というほどに理解できた】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 01:00:26.74 ID:rmgTA3FWo
>>615

【ドアノブに手を掛けたニケの言葉に、コクコクと素直に何度か頷く虎千代】
【一体どんな衝撃が待ち受けているのか――そういう反応だった】

【そしていざ扉を開けば、其処にあるのはなんてことはない戯れ、座興】
【傍から見れば『仲がいいんだな』と思う程度の、そういう展開だった】
【――ただこの少年には、獣が襲ってきたようにでも思えたらしい】

っ……ぁ、あ、あの…!…ぁ、ぇ……遊、び……です?

【皆が笑う中で、虎だなんて大仰な呼び名の彼はニケの後ろに隠れていて】
【それでも少しすれば状況が分かったらしい。おずおずと、また隣に立ち】
【またハンチング帽をかぶり直すのだった――どうやらそれが癖らしいのは、直ぐに分かるだろう】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 01:09:55.20 ID:yIYZoL/Po
>>617
そうそう、遊び、いい大人たちがこうやって遊んでるのよ

【笑いながら屈んで告げるニケ、その様子に近くにいた男が野次を飛ばす】

「ニケ嬢!その子は何だい?もしかして誘拐か?」
まっさかー!隠し子だよ隠し子!
「おいおい、ニケ嬢が子供こさえるわけねぇだろうが!」
ちょっとそれはひどくなーい?

【そして大声で笑いあう二人】
【こんな風に掛け値なしで笑いあえる、そんな環境、この世界ではあまりないのかもしれない】
【どこにいても死の恐怖が付きまとう、裏路地に入れば理不尽に、いや入らなくてもテロで死ぬかもしれない】
【そんな世界で死をまったく感じない場所は稀有ではないのだろうか】

紹介するよ、櫻からやってきた虎くん、今日ここに泊まるよ
んで、この大人げないのが、社会人サークル『奇譚の語り部』のメンバーさ

【そして私は『奇譚の語り部』のリーダー、そう告げるさまはどこか誇らしげで】
【そしてニケは虎千代にすぐに休むか食事を取るかと尋ねるだろうか】
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 01:13:30.11 ID:/9YoQWj20
>>616

……まあ、な。後、俺は体力つけなアカンから、トレーニングの一環にもなっとるんやけど、………うん。

【一つ一つの歩幅が、徐々に広がって速くなる。彼女のことを忘れた訳ではないが―――、そうしたかった。】
【序に言えば、彼女が呟いた一言に、振り返る事も出来ないでいた。……彼が口を開いたのは、少々間を置いての事だ。】


……ん、ああ、ここな、……そんな所やないねん、ただの、店や……飲み屋やな、飲み屋。
………酒も一通り、置いてあるで……飲みたいんやったら、一応、あるけど……

【彼女の推測は、概ね正しい。先程"トレーニング"をしていると少年は言ったのだから、彼は肉体派の戦い方をするのに、間違いはない。】
【ならば路地裏に居たあの段階で、奇襲をかけて打ちのめすことは必ず可能だったのだ。それをしなかったという事は、つまり。】

【結局彼女もこの事務所に入ってみる事にしたのなら、当然の如く、扉を開いたままにしてやるなどの配慮はある。】
【それから「適当に寛いどいてー……」と言いながら、彼は奥の方へと姿を消してしまう事だろう、恐らく買った物を、整理しに行くのだ。】

【……彼の言葉は、嘘ではなかった。事務所というのは名ばかりで、酒気の交じる空気は本当に飲み屋、】
【それも椅子や机、壁に掛けられてある銃など、とにかくウェスタン調に統一された、かなりコダワリのある店だ。】

【―――と、暫く店内を見回す余裕があるが、彼もその内出てくる。……湯気が立ち上るマグカップを2つ、両手に持って。】
【具体的に言うと、カフェオレ。その色を見れば、少しミルクが多めの、優しい味なのだろうと推測が立つ。】
【……飲んでみれば分かるが、実際にそうだ。それに、香ばしい豆との塩梅と言い、美味いコーヒーと自称するだけあって、】
【それは、中々の品。少なくとも、喫茶店で出されても、何ら可怪しくないクォリティーだった。】


………俺な、色々周りくどいこと言うの、苦手っちゅうか嫌いやから……その、単刀直入に、聞くんやけど……
……えっと、カノッサのひと? ナンバーズの、30……さっきペンダント見てもうてな、……うん。

【自らの分も持ってきたマグカップに口をつけながら、はーっと溜まった疲れを吐き出す様なため息、】
【それから聞き出すのは、そんな事だ。しかしながらそれにしても彼の表情は、極めてリラックスしている、】
【少なくとも"そうです"と答えた所で、いきなり殴られたりする雰囲気ではないと言うことは、良く分かる事だろう。】

620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 01:20:18.15 ID:rmgTA3FWo
>>618

【確かに何処か温かなこの空間に、流石の虎千代も落ち着いてきた様子】
【蒼眼を周囲の人々に向ければ、やがて一つ頭を下げて】

さ、櫻の国から来た虎千代です……!
ニケ……さん、には…さっき、道案内をしてもらって……。
ん…さー、くる……?あの、それはどういう……?

【聞き知らぬ単語なのだろう。と言うより、グループそのものが不明瞭だからか】
【小さく首を傾げて、そのサークルがどんなものか尋ねてみる】

……あ、う……その、船ではあんまり休めなくて……

【けれども同時に眠気も襲う。気丈に振る舞っても、実際は臆病な少年なのだ】
【言葉のとおりならさぞ疲れていることだろうし、目もぐしぐしと手で擦っていて】
【ふぁ、とあくびを漏らせば、その歯列には牙が覗いたが――ともかく、休みたいと言うのだった】
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 01:29:39.78 ID:r11XoTSAo
>>619

あら…でも、残念なことに私お酒は飲めないのよ。
体が弱いって言うのもあるけど、まだこう見えても未成年だから

【この少年が自分に向ってくることはまず無いと判断したのか、彼女は他愛もない談笑を続けた】
【相手が襲ってこない限り、彼女も無駄な戦闘をするつもりはなかった】
【それにここでもし荒事を起こしたとしても自分が圧倒的不利になるのは目に見えていた】


…お邪魔します

【だから彼女は戦うことも逃げることもせずに自分とは真反対の場所に足を踏み入れた】
【なるべく顔が皆に見られないように髪の毛で顔を隠しながら】
【だってここが大衆的な酒場であったとしても、何が潜んでいるのかは分からないのだから】


まあ…。おいしそうなカフェオレね…貴方才能あるんじゃない?

【差し出されたマグカップを彼女は両手で大事に抱え込む】
【そしてそれをすぐに飲むことはせず、ゆっくりと香りを楽しんで深く目を閉じた】


…そうよ。私が三十番

【彼女は目を開けると、質問を投げかけた少年のことをまっすぐに見据えた】
【そしてそのまま少年と同じような単刀直入な物言いで答えを返した】

そんなこと聞いてどうするの?

【少年がいきなり殴りかかってくる可能性はきっと低いが、伏兵がいきなり襲ってくる可能性もある】
【そんな可能性は考慮しているが、彼女は何も考えていないのかカフェオレをゆっくりと口に運んだ】
【本当に何も考えていないからこんな余裕感が漂っているのか、それとも余程の強者か―――――】
622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 01:30:35.55 ID:yIYZoL/Po
>>620
【虎千代、と名乗ればあちこちから自分の名前を告げる声が聞こえるだろうか】
【なんというか、子供のような大人たちである】

「おいおい、ちゃんと警察みたいな仕事しやがって」
にゃははー!私だってちゃんと警察だからなぁ!

【そして道案内ということに肘で突っつかれているニケ】

ん?サークル……えーっと……
「ほら、あれじゃないか寺子屋みたいな」
「馬鹿、それは学校だろ、櫻の言葉で言うなら一座とか、同好の士とか、同好会、そんな感じじゃないか」

【みたいなことをやいのやいの交わしている、騒がしい、静かにできないのだろうか】

っと、虎千代様のお通りだ!者ども、控えぃ控えぃ!
「ははー!」

【と、休みたいという言葉にニケが一声上げると一気に他の人たちは酒場の席に再びついた】
【そして虎千代の手を引いてニケは二階に上がるだろう】

【下の騒がしさとは打って変わり、二階は静かだ】

この部屋でいいかなー

【そして虎千代を入れるのはごくごく普通の宿の部屋といった感じ】
【机があり、椅子があり、ベッドがあり、サイドテーブルがある、風呂もトイレも備えてあるあたり結構いい宿のようだ】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 01:41:47.48 ID:rmgTA3FWo
>>622

【これは虎千代の心の中で、言葉にもしないが、大人たちの言葉端から】
【先ほどから頼り切りの女性が警察なのだ、と知って、少し彼女を見る目が変わったように思え】

一緒に集まって、一緒に好きなことをする……です?
……なんだか楽しそう、です。皆も……ニケさん、も…。

【やがて2階、今夜の寝床に向かえば、部屋の入口で目を光らせ】
【備品やら部屋の作りやら、特にベッドをジロと見回した】
【櫻から来たなら布団派なのか。少しだけ、その目は本当にキラと光るようで】

……ぁ、の…ニケさん、さっきから…ありがとう、ございます……です。
今夜は……皆のお陰で、安心して寝れそう、で……。

【眠いのか、口下手なのか。こくりとお礼に下げた頭や語り口が、少しゆっくりとしてきた】
【取り敢えずはこのまま寝かせてしまえば良さそうだ。格別、問題を起こしそうにも無かった】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 01:44:45.55 ID:/9YoQWj20
>>621

……あ、おおきに、……最近練習しとるんよ、ここの経営も、何か微妙らしいし……

【このコーヒーは、それなりの練習あってこそ、であるらしい。】
【確かにそうだろう、このコーヒーとミルクと砂糖の絶妙なバランスは、かなり経験を積まなければ導き出せない。】
【……世間と変わらず、UNITED TRIGGERもまずまず不景気らしい。だから彼の様な人材でも、こうしてコーヒーを淹れる事をしているのだろう、】

………んー……いや、なー……
……俺は、まあ見ての通り、ここで働いとるんやけどな、………
………興味、あってん。何でカノッサのひとって、カノッサ続けとるんやろなーって、な。

……どんな感じなん? 例えば今、俺、殺したいん?

【返答は、意外だった。何の躊躇いもなく発せられた言葉は、確かに彼の耳に届く。】

【自分は正義の立場にある、そして彼女はその真逆である、という前提を明らかにした所で、】
【"悪"を心の支えとしている人々は、一体、何を考えて生きているのか―――少年は、知りたいらしい。】
【複雑な事情が絡み合った末の質問と言うよりは、純粋な好奇心だろう。勿論、黙秘権は存在する。】

【彼が余程の強者……かどうかは未だ不明、戦ってみない事には詳しくは分からないが、】
【しかしこの状況を以ってしても、心拍数は決して上がらず平穏である所を見る限り、心臓に毛が生えた人間である、という事は分かる筈だ。】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 01:48:43.52 ID:yIYZoL/Po
>>623
そうそう、みんな集まってバカをする、楽しいものだよ
どうせなら虎くんも入る?なんちゃって、虎くんは見聞を広げなきゃいけないからね

【と、冗談めかして言う、ただ一瞬だけ本気の目だったことは付け加えておく】
【もっとも、本当に楽しそうだというのはまた事実である】

布団の方がいいなら押し入れの中にあるから取り出してねー

【と、奥の方にある押入れを指さす、もっとも布団を取り出すだけの気力が残っているかは謎であるが】

いいのいいのー、こういう少年を助けるのは大人のお姉さんの特権なのさ

【にししと笑いながら告げる女性、今この時だけは悪童に見えて】
【そして、ゆっくりしてねーと告げ、引き止めることがなければそのまま部屋を出ていくだろうか】
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 01:59:08.70 ID:r11XoTSAo
>>624

あら…こう言う所でも金策に困ってるのね

【ものすごい有名なこの場所でも金に困っているなんて聞けば、少しだけ世の世知辛さが身に染みる】
【もちろん彼女がいる組織はそんなことで困っているなんて聞いたこともないのだが】
【やっていることが真逆ならば、きっとそう言う所も真逆なのだろう】


私があそこにいる理由は…黙秘。
こういうのってドラマみたいね、ちょっと憧れちゃう

【黙秘をわざと強調して言う所を見ると。この状況を完全に楽しんでいるのが見て取れる】
【だけどその表情にはどこか陰が落ちており、何かを隠しているのも透けて出ていた】


え?…私が貴方を?……フフフッ

【意外な質問に彼女はついつい声を漏らして笑ってしまう】

そんな訳ない、現に殺す気だったらこんなところにまでおちおち付いて来ないし…
それに私はそんなに凶暴な女じゃないわ

【殺したいかと聞かれれば答えはNO、だって今の彼女には彼を殺す理由がない】
【でもそれも言い換えれば理由があれば殺せるということになるのだが】

627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 02:02:21.02 ID:rmgTA3FWo
>>625

【ニケの本当か嘘か曖昧な言葉に、虎千代の目がぽちぱちと瞬く】
【それでも確かに――とやることが有るのを思い出せば】
【彼女の言葉を肯定するように一つ頷いて、布団の説明もそこそこに受け】

あの……ぅ、はい……。
それじゃ、えと…、……おやすみ、なさい…。

【悪童のような笑顔に少し毒気を抜かれたようにして、紡ぐ言葉はいかにも最後】
【やがてニケが部屋から出てゆけば、彼はハンチング帽をテーブルに置き】

【その下で縮こまっていた耳を動かしながら、ベッドに腰掛け】
【ふわりと浮くような感覚に楽しげにするが、やがて布に包まってすやすやと寝入ってしまうのだった】
【それこそ、後で見に来てみれば好きなだけ寝顔が見れる程度には深く】

【――翌朝、酒場のカウンターにはお礼の手紙と代金が残されていた】
【どうやら相当に早起きするタイプらしい。そしてその代金、なのだが】
【所謂小判≠ネのだった。小さな金の塊は、きっと宿代には十分過ぎる位の価値があっただろう】

/それではこのへんで失礼しますっ、お疲れ様でした!
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/26(木) 02:09:12.65 ID:yIYZoL/Po
>>627
はーい、おやすみー

【そういって出ていったニケ】
【彼女はその後下に降り……】


【翌朝、虎千代が目を覚ませば町の周辺の地図が置いてあるだろうか】
【近隣の町や街道、獣が多く出現する森など】
【挙句にはこの町のこの店は安全だとかこの店のカレーはうまいとか、そんなことばかり書いていて】
【手製らしい地図は数多くの人の手で描かれたらしい、結構雑多である】

【そして、残されていた手紙を起きたニケが読み、また小判に口を三角にしたり】
【もっとも、小判はこの宿の店主で『奇譚の語り部』の一員に預けられることとなったのだが……】
【もし次訪れる機会があれば、その時はきっと最高級の料理などを無償でふるまわれるだろうか】

//お疲れ様でしたー
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 02:14:27.94 ID:/9YoQWj20
>>626

……なーんや、やっぱダメかー………

【「これドラマやないねんでー……」とマグカップを机にドンと打ちながら、突っ伏す。】
【コレもまた、複雑な駆け引きの一要素という訳でもない、純粋な落胆なのだろう。】

【彼女が、自分を手のひらの上で転がしている事に気付いていない、というのも又面白い。】
【どうすれば話す気になってくれるのか……クソ真面目に、あれこれと思案している。】


………ん、まあ、それはそうなんやけど……
……せやけど、例えば、何か指令で俺を殺せーってなったら、
………殺すんかなーって、まあその辺は、俺等もおんなじやったりするけど……

……あ、俺は殺さへんよ、……これはな、絶対なんや、……まあこう、結構激しいヒトも、中にはおるからな……

【それからムクッと起き上がって、彼女の話に返答するのだろう。】
【正義も悪も、やっている事は同じなのかもしれないが、その動機、】
【彼女は一旦否定したが、ヒトを殺すという事に関して、どう考えているのか、という事。】

【因みに少年は、ヒトを殺すという行為自体、有り得ないないのだと語った。】
【この時ばかりは、何だか全体的にふにゃっとした印象の少年の瞳も鋭く輝いて、】
【―――この上なく強い信念の様な何かが、垣間見えたのではないかと思う。】


……で、何したら、さっきの、話してくれるん?

【更に挙句の果てに聞き出す。見かけによらず、案外、しつこい。】
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 02:26:43.47 ID:r11XoTSAo
>>629

駄目よ、女の子に秘密は付き物なのよ?

【突っ伏した少年を見て彼女は物凄く満足げにそう言った】
【少年の反応が物凄く彼女にとってはコミカルな物に見えたのだろう】
【それにいつも見ているドラマでも時々こんなシーンを見ることがあるので、それに似たのを実物で見れて嬉しいというのもあるかもしれない】


ええ。その場合は殺すわ
指令は指令だもの、仕方ないわよ
それにそういうのってきっとどこの組織でも同じでしょう?

【善と悪は絶対に交わらずにお互いがお互い戦い合う物】
【だけど根本的な思想はきっと同じ、組織という物以上指令は絶対なのだ】

【だから彼女は指令ならば仕方ないと割り切っているのだろう】
【この感覚は食用に家畜を絞める感覚と少しだけ似通っているのかもしれない】
【その感覚に慣れてしまったのか彼女は人の死を「仕方ない」としか思っていないのだろう】


さっきの話…そんなに聞きたい?
だったら常に死を纏えばいいわよ。そうすれば嫌でも理解できると思うから

【少年を諭すように彼女はにっこり笑って、話の答えをやんわりぼやかした】
【そして「次は聞かないで」という無言の何かを体全体から滲み出させていた】
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 02:45:24.12 ID:/9YoQWj20
>>630

……まあ、せやろなあ……うん、………
………せやけど俺はなー……セリーナさんに、アイツ殺せって言われたら、……
……まあそもそも、言われんと思うけど、……俺、ここ辞めると思うわ。

【自分は違う―――対比が、浮き彫りになったか。】
【セリーナというのは、この店の店長?であり、UTを創設した人物のこと。】
【恐らくここまで有名な組織のリーダーなのだから、カノッサのメンバー全員どころか、】
【世間知であろうと思われる。……知らないというのなら、余程の世間知らずだ、】


………なあなあ、俺さ、……一辺死んどるんやけど、それ、どやろ?
……せやけど、分からんわ……人を殺すヒトの気持ち、……

―――いや、いや、今の冗談な。……まあだれでも、人には聞かれたくないコトも、あるし……

【"死を纏う"―――彼はこの言葉を、極めて純粋な意味で理解した。】
【だからこその、この返事……自分は一度、死んでいる……冗談にもならない冗談だ。】
【腑抜けた少年とはいえ、空気が読めない人間ではない。笑顔のその先に彼女が放つ無言の圧力を肌で感じ取れば、】
【まあ仕方ないと諦めるのだろう。……彼も又、苦笑いというかぎこちない笑みを浮かべた。】


……んー、まあ、そろそろええ時間やし、そろそろお開きにしよか。
………その、カノッサの人に言うのもあれやけど、……色々話せて、嬉しかったで、
……もしかしたら次は、その、本業で会うかも知れんけど……まあ、そんときは、そんときで……

【ほわーっと欠伸をすれば、今日も一日働いてもう眠いのだろう、お開きにしたいのだと告げて、】
【空いたマグカップを2つ、隣のテーブルに置いてから、布巾で綺麗に拭いていく。】
【特に何もないのであれば、少年は彼女を見送ることだろう。勿論、先回りしてドアは開いてやるのだ。】
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/26(木) 10:05:32.14 ID:65kiUjsFo
>>631

そう。私はそんな指令日常茶飯事だから
別にいやとも何とも思わないわ、それにそれがやる事だから
命令されたなら仕方ないんじゃないかしら

【組織のトップの命令でさえもこの少年は拒否すると聞いて少し驚く】
【しかもそのためにここを辞めるという覚悟まであるようで】
【どうしてそこまで殺したくないのか、彼女には一切合財分からなかった】


じゃあ益々分からないと思う、死を経験してるんでしょう?
死んじゃダメなの、あくまでも生きてなきゃいけないの
それでもって常に死ぬ恐怖を纏っておかないとダメ。

だから私は人を殺すことができるの

【死は経験できないからこそ恐怖なのだと彼女は言う】
【未知の物に常に付きまとわれ、いつ自分がそれに食われるかわからない恐怖】
【そんな狂いそうな状況に彼女は今も身を置いている】
【もちろん少年にというより彼女以外の人間にこの気持ちが理解できるなんて思っていなかったが】


そうね、夜も更けてきたし日が出る前には帰りたいわ。
私がだれか分かっちゃう人も出てきそうだし…

【そういうと少年が開いてくれたドアの方まで彼女は直進する】

私のも楽しかったわ。次会うときは本業かもしれないけど…
その時は手加減しないからね

【出る間際に彼女は少年の顔を見ず、どこかを見ながらそう言った】
【そしてゆっくりではあるが、彼女は来た道をゆっくりと戻り始めた】


/最後の最後に寝落ちしてしまってごめんなさい!
/楽しかったです!絡み乙でした!また機会があればよろしくお願いします!
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/26(木) 17:21:01.06 ID:/9YoQWj20
>>632
/よかですよ〜お疲れ様でした〜
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/26(木) 19:03:41.64 ID:wthHdDTco
>>596


……それならじっとしてればいいのに


【その呟きは、少年が聞こえるかどうか怪しいくらいの音量だった】
【馬鹿にしているのか――何なのか。不明ではあるが次の言葉はきっと、はっきり聞き取れるだろう】


辞めちゃいなよ。弱いんだからさ。そしたら怖い目に遭うこともないじゃん
守ってくれる人くらいいるでしょ。その人に守ってもらえば?
無理してこんな場所に来るなんてどうかしてるよ


【刺々しい言葉の限りだが苛ついているようではない】
【むしろ随分と落ちついていて――少年を心配しているようですら、あることだろう】
【守ってくれる人――つまりは家族、あるいはそれに準ずる人物が居る前提で話されているのが気になる点か】


…………???

……いや、僕もファッションなんかわからないよ。ずっとこの格好だし
ああでも、その服は何ていうか……コスプレみたいだ。……そういうのが好きな人もいるかもね
その、女の子、なんだからさ、かわいらしい格好でいいんじゃない。男じゃないんだから


【――決定的な一言だろう。彼は少年を少年扱いしていない】
【確かに違和感を覚えはした。僕という一人称、(女なのに)男らしく見せるための努力】
【よっぽど男として見られたい――そういう変わった願望を持った女の子≠ノしか見えていない】

【質問には言葉を返さず、コスプレみたいだと――つまり暗に変であると、そう言うのだろう】

/お返ししておきます!
635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 19:48:05.52 ID:DT2KesJFo
>>634

……それは、そうなのかもしれませんが
でも……


【少年の行動を咎めるような言葉に、反論する様子はない】
【自分が弱いことも、怖い目に合いたくないことも判っている】
【故に事実に対してムキになって言い返すこともなく、ただ――】


でも、僕の力を……技術を必要としてくれてる人がいるんです

どうしようもなくて、困ってて……そんな中で弱くて臆病な僕を選んでくれた人が……
だから……僕はそんな気持ちに、どうしても応えてあげたいんです


【――そんな"気持ち"を、彼に向かって告白した】
【その言葉は、今までのような弱々しいものではなく】
【芯に確固たる意志が灯った、一"技師"としての感情が篭っている】

【この少年は見た目通りの無力な子供ではなく、何らかの技術や能力を持っているのだろうか】
【鞄の中身が窺えない以上、どういった類のモノか察することは難しいだろうが】
【こうした場所に足を踏み入れたのにも相応の理由がありそうだ】

【そして、「守ってくれる人」について少年は触れることはなかった】
【言いたくないのか、もしくはいないのか】
【どちらにしても、真っ当な家庭で暮らしている存在ではないのだろうが】



……え、えっと、まだ誤解されてたんですね……
何がいけないんだろ……やっぱり格好、なのかなぁ……


【彼の言葉で、まだ自分の性別が誤解されていることを知り】
【少年は、片手で自分の頭を抑えるような仕草を見せながら小声でうんうんと唸った】
【男らしさを目指していてもなかなか思うように行かない】
【こうした方面のアドバイザーもおらず、独学では色々と行き詰まっている様子であった】

【少年は、少し間を置いてから一度コホンとわざとらしく咳をして】
【こうなればはっきりと声にして告げるべきだと、心を改め】


あの……僕、間違われること多いですけど、おんなのこ……じゃなくてですね
ちゃんとした「男の子」……なんですよ

だからその、もっと男らしく……格好良くなるにはどうしたらいいかなって
いろいろ考えていたんですけれど……変、だったのでしょうか……?


【彼の顔を窺いながら、少年はおずおずとした口調でそんな事を告げた】
【この言を信じたならばきっと、今まであった違和感も解消されることだろう】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/26(木) 20:39:23.75 ID:wthHdDTco
>>635


ふーん。そんなに凄い技術があるんだ。じゃあ続ければいいよ
きっと僕には関係のないことだからね


【相変わらず振り向くこともなく、淡々と歩きながら続ける。彼はそれ以上何も言うことはなかった】
【突き離すような言葉ではあるが、きちんと少年を肯定した言葉でもあることだろう】


……は。………………はぁ?


【立ち止まって振り返った少年は、驚愕と疑いが混ざり合うような顔を向けるのだろう】
【――彼にはどう見ても女の子にしか見えないらしい。凝視して細められた左の眼は、睨んでいるかのようで】


嘘――って訳じゃないみたいだね。ああ、だから男らしくって言ってたのか
男らしく……格好良く、か。…………あー、くそ、なんで僕がこんなことで悩まなくちゃいけないんだ


【少しすればまた進行方向へと歩き始める。ぶつぶつと文句を言う割には、真剣に考えているらしかった】
【男らしくで――なぜか彼の頭の中には腰巻のみの服装に棍棒という原始的な絵が浮かんでいたのだが】
【流石にそれはないなと、頭を振ってイメージを消し去ってしまう】
【……というか、少年の場合そんな恰好をしていたらまた別の危ない人が寄ってきそうだ】


…………じゃあ、こういうのはどう?
まず眼帯をするんだ。それで、腕に手甲をして……包帯とかもしたら、いいかも
マントがあると……それらしく見えるかも。これなら女っぽくはなくなる、んじゃ……ないかな


【これは――】
【冗談を言っているようではない。ごく真面目に、彼が格好いいと思う風貌を述べてゆく】
【ちなみに彼の歳は少年よりも低い。そういう恰好が好きそうな、そんな年齢】

/スミマセン、遅れてしまいました…
【だが、自信がある訳でもなさそうだった。妙に音量の低いその声がそれを物語っていて】
【参考にするかどうかはもちろん少年の自由だ。おすすめ出来ないのは確かではある】
637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 20:48:27.47 ID:mtZwvjS1o
>>605

【会長は座したまま動か無い。眼光は富嶽会を率いる将軍のそれだ】
【声を荒らげることも動揺する素振りもない。ただ、落ち着いていた】

【一方、横に立つ秘書の女は怒りを、わかりやすい殺意を向けていた】
【彼女が鞘を取り、刀を握りつつも抜かないのは相手の視線に怯んだからではない】
【忠実な、秘書として会長の指示を貫き通しているからだ。しかし、直ぐに抜ける】

政府の人間はいつもこうだ。上面だけ丁寧に整えて、中身はさしてチンピラと変わらん
都合を通すために、正義や法の理屈ばかり用意して人の尊厳や、気持ちを考えない…

……やくざ者の私にもわかる。貴君の描いた筋書きではどう転ぼうが政府が特をするのと
私が死するのは決定事項のようだ。絶対の勝算を得たからこそ、此処に来たのか。

【富嶽会を解散さようが戦おうが死ぬのは会長だけでは済まない。マフィアの血の代償。少なくともここにいる】
【直参の面々は殺されることになる。与えられた選択肢は犬死にか、野垂れ死にかの違いしか無い】

私一人で家族が救われるのならどんな処遇も謹んで受け入れよう。だが、何の意味もなくクソのように死んでしまっては
家族に顔向けが出来ん。……舞衣。私はもし、クソのように殺されたなら、君らはどうする

『此方か、向こうが『根絶やし』になるまで仇討ちを。』

……ふっふっふ、やれやれ、そんなことをするなら私はまだ、[ピーーー]んよ。

【そう言って笑いながら、グラスの赤ワインに口をつける】

ということだ…ランガスター中佐。私は仁義と家族を守る。これまでと同じだ

【矜持を捨てて死するか、矜持を持って死する。だがその前に、矜持を持って生きるのだ】
【幾らD.R.U.G.S.が自らを裏切ろうとしても此方から裏切ることは掟に―仁義に反する。あってはならない】
【彼はそれまでどおり、そう選択した。家族のために、そうするのだ】
【その為には手段は選ばない。抗争に仁義はない。やくざ者に戦士はいない】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 21:09:00.28 ID:DT2KesJFo
>>636

眼帯に……手甲に包帯……えぇと、なんだかそれって――


【「危ない人みたいですね」、と続くはずだった言葉を途中で切る】
【その衣装を纏った自分の姿を想像して、真っ先にそんな感想が昇ってきたのだが】
【先程からの様子を見るに、きっと彼は少年の事を考えてくれた上で提案したのであろう】

【ならば、その気持ちを無碍にするような事はしたくなかったし】
【それに、実際にやってみなくてはどうなるかも判らない】
【少年自身手探りの段階であり、色々な可能性を試してみたいという気持ちがあるのだ】

【少年は僅かな時間思案した後、再び口を開いた】


――それってその……ワイルドで、格好いいかも……しれないですね
ちょっと用意するの大変ですけれど……おウチに帰ったら試してみたいなって思います


【「ありがとうございます……」と続けて】
【彼の背に向けて柔らかな微笑みを浮かべながらペコリとお辞儀をした】

【しかし、少し想像してみたならば】
【今のタキシード姿以上に「コスプレ」臭が強くなっている感を覚えるかもしれない】
【"そういった"ファッションをするには顔立ちや体格など、少年には色々と足りないものが多かった】
【男らしくなるための道は、未だ険しく遠そうであった】


【――】



【そんなこんなで歩くこと数分。少年は突然「あ……!」と声を上げた】
【察しがよければ、その時点で理由に思い至ることも出来るだろう】


あの……僕の探していたおウチはあそこです
こ、こんなところまでずっと守ってくださって……ありがとうございました……


【トトト、と彼の隣を通って前に出ると】
【路地裏の一角にある、錆びた鉄の扉と変色した表札のようなものを指差してそう告げた】
【そして彼の方へと振り返り、腰を曲げて深々と頭を下げて礼の言葉を述べた】


それで、えと……"取り付け"と"調整"にしばらく時間がかかるので……
その間ずっと待っていただくのは、貴方の迷惑になるんじゃないかなって……思うのですが


【少年が今、彼の顔を見ながら確認している事柄は「帰り」についての事だ】
【今から何らかの作業を行う必要があるようで】
【もし帰りも護衛してくれるつもりならば、しばらく待たせてしまうかもしれないというモノだ】

【つまりは「ここまで」か「少し先まで」か】
【今宵の二人の少年の語らいが、どこまで続くかを決める問いかけである】
【もし前者ならば、もう一言二言……恐らく自己紹介などを済ませて別れることになるだろうか】
639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/26(木) 21:47:06.32 ID:wthHdDTco
>>638

【少年の反応に――彼はどう思ったのか】
【それは彼の顔をひと目見ればわかるだろう。そこには隠し切れていない笑みが浮かべられていた】
【……生憎と少年からは見えないために感情を読み取るのは至極難しい。だが――】


でしょ。やっぱり眼帯はいいよ。僕の場合は仕方なく付けてるんだけどさ
ちょっとは格好良く見えるんじゃないかな。君に似合うかもしれないしね


【先程よりも僅かにはきはきと話し出したところを見れば、上機嫌になったとわかるか】
【飲み込んだ感想を口に出さなくて正解だっただろう。もし言っていたなら――】
【たぶん、そう、面倒くさいことになっていたかもしれない】



【――数分後、どうやら目的地に着いたらしい】
【少年が自分より前に出たならば、彼は足を止めるのだろう】
【礼には軽く手を振って――それだけ。それで帰るのかと思いきや、近くの壁に背を預けて】


言ったよね、迷惑じゃない、って。だから待つ


【腕を組んで待機状態に入りつつ、そう言葉を返す】
【行きを守ったのだ、折角だから帰りも……ということだろうか】
【それもあったが実は――少年が働いている店を見てみたいという気持ちがあったからで】

【――もし少年が家屋から出てきたならば、彼は何も言わず、また前を進むことだろう】
【帰り道はあまり話そうとしなかった。二言三言、言葉を返すくらいはしたのかもしれないが】
【そうして少年の店まで戻ってきたならば、口を開くだろう】


……烏羽 冥(からすば めい)。覚えなくてもいいけど、一応。じゃ、バイバイ


【最後に短く自己紹介をすれば、彼はどこかへと去って行こうとするはずだ】

/折角なのでお店まで付いてったってことでオナシャス!
/そして〆てくださると助かります!
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/26(木) 22:04:45.10 ID:DT2KesJFo
>>639

あ――……その、ありがとうございます……

今日会ったばかりの僕に、ここまで付き合ってくださるなんて……
いつかちゃんとした形でお礼しないと……ですね


【彼の返事に、少年は野に咲く蒲公英のような笑みを浮かべると】
【心なしか少し嬉しそうな足取りで、お客様の待つ家屋の方へと進んでいった】

【コンコン、と小さな手でノックをすれば】
【中から車椅子に乗った、古傷の目立つ如何にも訳ありといった老人が姿を見せ】
【二、三言葉を交わした後、錆び付いた扉の中へと姿を消した】


【――】


【それから十数分後、であろうか】
【再び扉が開き、"両足で立った"老人に見送られながら少年が出てきて】
【表情を綻ばせた老人と、幾つか言葉を掛け合った後】
【軽くなったカバンを片手に持ちながら、テテテ……と小走り気味に彼の元へと戻ってきた】


【「お待たせしました」や、「大丈夫だった……ですか?」などと】
【彼の体調などを気遣いながらも、二人で来た道を戻っていく】
【あの老人の変化に気づいていたならば、店に着く前に少年の扱っている商品に察しをつけられるだろうか】
【もしそうだったら、それに関しても短いながらも言葉を交わしたかもしれない】


【――】


【やがて路地裏を抜け、賑やかな喧騒を通り過ぎて静かな町外れへとたどり着く】
【そこには少年の経営する小さな店舗が建っていた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】


【店の前に辿り着き、彼――烏羽から名を語られると】
【少年は今の今まで名乗り合っていなかったことにようやくと気がつき】
【ちょっと慌てたような、恥ずかしがったような表情を浮かべながらも】


僕は……ジョシュア……ジョシュア・ランドバーグっていいます……
えと、烏羽さん……今日は本当にお世話になりました……

さっきも言いましたけれど……いつか、ですね
今日のお礼が出来たらなって……思いますので、お暇なときに遊びに来てくれたら……嬉しいです


【「その時はいっぱいいっぱい歓迎しますね」と、ニコニコと邪気のない笑みを浮かべて】
【去っていく烏羽の姿が見えなくなるまで、小さな手を振って見送った】

/お疲れ様でした!
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/26(木) 22:19:49.20 ID:wthHdDTco
>>640
/お疲れ様でしたー!
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/26(木) 22:44:13.35 ID:LQC0dwP4o
>>637

【──、答えは、彼にとって半ば『予想外』な物だったのだろう】
【眼に浮かんでいた執着≠ヘ消え、豆鉄砲でも撃たれたような表情を浮かべる】
【──が、数秒すると、その顔に浮かぶのは笑み。 顔は下を向き、笑い声を上げる】



 …、…クックックッ。 ハッハッハッハ── ── …、…ふぅ。



【固く結んでいたネクタイを引き千切るように外すと、シャツのボタンを2つ外し、タイは懐に突っ込んで】
【そのまま上着も脱ぎ去ると、片手で背負うようにしながら──勢い良く、立ち上がった】


…、…どうにも私に、『政治屋』は向いていない様だ。
帰国したなら前線≠ノ戻す様、上に掛け合うことにする。でなければ、下野だ。
富嶽会に対する方針≠焉A気に喰わなくなって来た。異議を唱えよう。──通らないだろうが、な。此方も、下手をすれば下野だ。クククッ。
その時は、富嶽会≠ナ雑巾がけでもさせてくれ。


【──誇り≠貫くのなら、彼のやり方が紛れも無く『正しい』】
【真の誇り高き者≠ヘ、決して、何にも屈せず、矜持≠捨て去ることはしない】
【ロロケルムの中で『陣中是清』は、紛れも無く『敬意』を傾けるに値する戦士≠ニして、認められた】
【戦士≠ノ対して、卑劣な真似を行うのは、≪ロマン≫に反する──、此れで上からどの様な処分を受けようが、知った物ではない】



──陣中会長、失礼を働いた。本来なら伏して詫びる所だが、『上っ面』がそれを許さないのが現実だ。
私の精神≠ェ貴方に頭を下げる。どうか、許して頂きたい。
……、チンピラ≠ヘチンピラ≠轤オく、背を丸めて逃げ帰るとしよう。


霧崎君。──、君にも、謝罪しよう。美しき覚悟≠セ。
私は君が気に入った。 アルバイト先を探しては居ないか。
我が隊の機密費は有り余っている。上層からの独立性は担保され、職務は裁量労働制だ。何もせずとも──、と。
……あぁ、申し訳ないが、送ってくれ。 この料亭は大きすぎる。出口が分からん。
斬るにも後方からなら、何かと都合が良いだろう。──突けば血は散らん、だ。クククッ。



【意味不明な謝罪と、意味不明な勧誘。礼儀を弁えた物でもない態度──先程、捲し立てていた人物とは似つかない態度】
【──、否、確かに、今のほうが捲し立てては居るのだが】
【だが、彼は総てにおいて『本気』だ。…、…恐らく、ロロケルム自身の本質≠ヘ此方なのだろう】

【逆に言えば、最早彼は、富嶽会≠『交渉相手』として見ていない。自らに出来る限りの事をした後は、放置する】
【──、『現実』は何も変わっては居ないが、彼自身が先頭に立って、潰しに@ることは無いだろう】

【陣中が引き止めないなら、彼はそのまま座敷を出て行く──ちなみに、一人で行かせると、言葉通りに迷うことに成る】
643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/27(金) 00:01:01.40 ID:25S6fcJGo
>>642

【会長は適度に合わせるように笑った。鋭い眼光は残したままで】
【秘書の方が逆に笑い声を上げる相手に対し更に警戒を強めたようだったが】

政治は多数をまとめあげる効率のみのシステムだ。それに組み込まれる人間は
外道でないとなるまい。……戦士にはハナから向かぬ仕事だろう
……では、庭掃除の1つでも覚えてから来ていただきたい

【手酌でワインをグラスにつぐ。それを見て秘書の彼女も刀から手を離す】
【警戒状態はとかれたと察したからだ。静かにその場に座す】

此方こそ礼儀も知らぬやくざ者故、ご無礼ご容赦願いたい。
家の者には口には気をつけろと言っているが…これでは面目ない

……舞衣、お客様がお帰りだ。送って差し上げなさい
生憎、私は年でな。…見送りは此処で失礼させていただこう

【会長がそう言って頭を下げたなら秘書は立ち上がって襖を静かに開ける】
【どうぞ、と一言言って料亭を先導する】


先ほどのお話ですが。

【不意に秘書の女は切り出せば】

アルバイトは申し訳ありませんがお引き受けできません。本日の件で
情報収集やロビー活動などのプランを準備しなくてはなりませんので。
それに、私は、単なる『秘書』ですから。

【振り返りもせず、彼女は冷静に、それでいてハッキリとした意思と少しばかりの皮肉を混ぜてそう言った】

【料亭を出れば表で待機していたスーツを着た男たちが一斉に挨拶をする】
【1台の黒塗りの高級車のエンジンが始動し、目の前につけた。彼女は後部座席のドアを開け】

クルマを用意させて頂きました。…それでは、お気をつけて。

【何事もなければ、そのままクルマは走りだして指定した目的地まで送って行くことだろう】
【バックミラーには淑やかに頭を下げる秘書の姿が写っていた】


/こんなところでしょうか。長くなりましたがお付き合いいただきありがとうございました!
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/27(金) 00:02:20.84 ID:gqi1CNhgo
【港町――路地裏】


――――勝ったァ〜〜!!!また勝ちましたっ、海賊!!
 パルヴィ・シルッカ・パルシネンッッ!!!これで7連勝だァ〜!!
 冴え渡るカットラス捌きッ!軽やかな身のこなしッ!海の上で会いたくない女ナンバーワンだァ〜〜!!!

ちェッ、仮にもうら若き乙女に使う文句か、っての……!
まあいいさ、この調子でもう一稼ぎさせてもらいたい所だけど……。


【それは所謂、裏の闘技場――路地裏の奥、広場の中央をフェンスで囲った即席の会場】
【其処で一人の女性が賞賛と喝采と、そして罵声を浴びて居た。聞くに、七連勝中の海賊らしいが】

【格好も海賊そのものだ。鼠色のコートに合わせたハット、手にはカットラスという曲刀を持ち】
【地黒の肌――顔に付いた血を拭うその姿は、やや小柄ながらも相応の威圧感が在った】
【ニヤリと笑った表情は如何にもあらくれという感じだったし、周囲に向ける瞳は獰猛で】


―――さあっ、さあさあッ!!このとんでもない女海賊を張っ倒す気概の有る奴ァ居ないのかッ!?
 掛け金は一人10万ッ!勝てばそいつも含めて今までの分を総取りだァ〜!!!
 シルッカ嬢の前に貯まった分も合わせりゃ――勝てばざっと200万ッ!!200万が思いのままだァ―!!!


【と、周囲の観客に声が掛かるのであった。金と、ほんの小さな名誉――勝てばそれが貰えるらしい】
【フェンスは飛び越えれば入れる高さ。挑戦権など、武器使用も許可された此処に入るという意志――】
【それさえあれば構わないなんていう程度の、熱狂した空気が周囲に満ち満ちていた】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/27(金) 01:08:39.29 ID:vhJ6Sw6To
>>643

【皮肉が混ぜられた拒否にも、彼は「気が変わったら連絡しろ」という旨の言葉を告げて】
【──既に連絡先は知られているだろうに、嫌がられても半ば無理矢理、名刺≠渡すだろう】
【彼が言うには、中佐≠ニ書いてあるところは適当に降格させろ、との事だった】

【 ──空港までの間、構成員達は妙に上機嫌な軍人を乗せることになる】


 【 ── 】


【後日。 ──於フルーソ、軍事施設】



『“富嶽会≠対象とするのは、大きな禍根を遺す。”
 ──、言いたいことはそれだけかね、ランガスター中佐。』

「我々が君に与えた任務は、富嶽会≠フ調査だ。
 そして“調査”と云うのは。 …、…何も、調べろ≠ニ言っているのではない。
 其れぐらいは察して動ける人物だと、君のことを買っていたのだが──。」


…… さて。 何を仰っておられるのか理解しかねますな。


『──、成る程。 …、…君のことを少し、買いかぶり過ぎていたらしい。
 とぼけるのも構わんが、君の後援者、ルカイナー卿≠フ立場も ──、』


 理解しかねる=Aと言うのは。


…、…貴様等の様に執務室から足を動さず電子画面を通じて政治遊戯に興じ朝には安穏の中で目を覚まし夜には豚の如く虚栄を喰い争う塵芥に私の矜持≠測る資格は無い。
── と言う事だ。


私を『買う』?──、その阿呆面から放たれる莫迦な言葉は、一分に一度までに抑えろ。
断言しよう。 貴様等は富嶽会≠ノ『斬られる』。 …、…矜持*ウき者が『戦争ごっこ』に興じた時、しっぺ返しは必ず来る。
貴様等が此処まで生きている≠フは、『運が良い』だけだ。 ──、だが、その運も、『覚悟』には捻り潰される。

…、…あぁ、呆けているな。ならば、分かりやすく言ってやろう。



        クソ喰らえ=Aだ。



【──この一件から間もなくして、ロロケルム・ランガスターは『重要任務失敗』との名目で、少佐≠ノ降格。現場に差し戻された】
【が、この処分は同時に将官の興味を惹き、富嶽会≠ノ対する方針を、『噂』と云う形で知らしめることとなる】
【そして、ロロケルムが上に逆らった意図≠焉A実しやかに囁かれる──】

【軍が最も恐れるのの一つは、『下からの突き上げ』だ。…、…不満分子が溜まれば、自らの『余生』も危ぶまれる】
【ましてや、理想に燃えがちな青年将校達の不満に火が付けば、取り返しの付かぬことになりかねない】
【…、…そしてまた、噂好きな二流メディアはD.R.U.G.S.≠ニ政府の癒着を書き立てるだろう】

【──、この一件が、後の富嶽会≠フ行く末にいかなる影響を与えたのかは知れない】
【若しかしたら、最初から『ロロケルムの見込み違い』だった可能性すらある】
【…、…実力行使≠、政府は考えていない、との陣内の当初の認識が、正しいのかも知れない】

【ただ──、 ロロケルム・ランガスター′ツ人が、この状況に≪ロマン≫を感じていたのは確かだった】


/お疲れ様でした
646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 09:00:19.45 ID:TZm2WaBD0
>>606

【似合わない、似合わないなんて言っているけれど、絶対にそんな事はない。きっとよく似合う服だって見つかる筈だから】
【また今度。次に何処かに遊びに行くときは、自分が友としてグリースに似合う服を探そう。二人で服を選ぶのも、きっと楽しい筈だ】
【「仕方なく」、か。そうやって恥ずかしがる姿が何だか新鮮で、友達の新しい一面を見れた気がして少し嬉しい。】

うんうん、「また今度」ですね!ふふっ……
約束ですよ?今度遊べる日が来たら、バッチリ似合う服を選んであげるんですけら!

【恥ずかしがるグリースを見て楽しそうに微笑むマリア。友達とは単に話すだけでも楽しいもので、時間だってあっという間に過ぎて行って】
【やがて、店内に少女が入ってグリースに何かを告げれば―――ああ、もう今日はお別れの時間のようだ。】

―――いえいえ、グリースの立場はよく知っているつもりで御座います。
教会側を無視してまでグリースとの時間を楽しむつもりは御座いません……

【その白い少女の言葉に、軽い会釈と共に応じるマリア。友人とは言え教会側の人間だから、教会の意向を無視してまでグリースを拘束する権限は無い】
【願わくばもう少し一緒に居たかったのだけれど……きっとまた会いたくなれば会えるから、名残惜しいけれど今日は此処でお別れ。】
【最後に交わしてくれた言葉―――“友達でいてくれて良かった”なんて言われれば、マリアだってこれ以上ないような満面の笑みを浮かべて】
【大切な、大好きな友達がこんなにも自分の事を想ってくれている。こんなに嬉しい事があるだろうか―――】

―――大好きな貴女ががそう言ってくれるのなら私はとても嬉しいです。
グリース……何度も言うようですが、私は貴女が大好きです。だから……―――どうか、これからもずっと私の友達でいて下さいな。

ふふっ……ありがとうございます。今度は結婚式のお話をしましょうか!あの人がどんな感じだったか、いっぱい教えてあげます!
―――グリース、貴女もどうか御無事で。

【別れ際にグリースに撫でられるのも、二人の間ではすっかりお馴染みとなった。温かい手の感触は、やっぱり死神の異名は似つかわしくなくて】
【やがて彼女が去った後にも温もりの残渣を感じながら、ドレスを纏ったマリアは友の無事を祈りつつ幸せそうに微笑んでいた】

【……友人が喜んでくれるのなら、マリアは幾らでも話すだろう。結婚式の事だって、きっと語り尽せぬくらいに】
【それで大好きなグリースが笑顔になってくれるのなら、マリアだって嬉しいに決まっているから。……だから、また会えるその日が来れば】
【何でも話そう。たくさんの幸せな土産話を携えて何処かに遊びに行こう。だから―――どうかずっと無事で、マリアの友でいて欲しい】
【―――大切な人が傍に居て笑ってくれる。マリアにとって、これ程幸せな事なんて無いから―――だから、また傍で笑って欲しい】


//すみません、お返事が遅れてしまいました……!改めて、お付き合いいただき有難うございました!
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/27(金) 20:27:44.93 ID:gqi1CNhgo
【六月下旬――吉日】
【その日、燦々と陽光が降り注ぐゼン=カイマは朝からざわついていた】

【復興はようやく一段落し、人々全員が寝起きするだけの簡素な家が立ち並び】
【食道や会堂、本こそ無いが図書館の骨組み等も徐々に完成しつつある】
【その中を、大人子供に限らず皆々が浮き足立っていたのである。理由は、主に二つあるが】


  『名も無き芸術家より 我が唯一にして信頼し敬愛する友人へ
   そしてその美しき奥方様へこの教会を祝いの品としてお贈りする
   どうか式の際に役立て頂けると幸いである。 P.S. 今までありがとう』


【一つはやはり、この文言と共にゼン=カイマに突如として出現した教会≠フためだろう】

【そも、復興途中のこの都市では教会は後回しにされてきた。というのも】
【聖書が一冊あれば誰しも祈りは捧げられるわけで、必要性が低かったから、という理由があったのだ】
【加えて言えば教会とは得てして美麗で荘厳な物。資材を喰うわけで、その余裕が無かったのもあった】

【ところが今朝、人々が目を覚ましたその時には、昨夜は無かったはずの教会が――】
【それも特別大きく立派な物が出現していたのだから、誰しも驚かないはずがない】

【更に、人々の困惑に拍車を掛けたのが大司教フレデリックの『安心して使って良い』という言葉だった】
【得体のしれない教会を、どうも訳知り顔で彼がそういうのだから――許容、出来なくはないが】
【結果的に人々は驚きとざわめきの中でそれを受け入れて、なんとなしにそわそわしているのであり】


【もう一つの理由は、というと―――いや、これは言うまでもないか。それより、特筆することがいくつか在った】

【まずは、ゼン=カイマの者達の"よそよそしさ"だ。これを新婦――マリアが朝から感じる事だろう】
【或いは昨晩からかも知れないが、何となく距離を感じただろうことは確かなのだ】
【理由はわからない。誰に聞いても教えてくれないし、フレデリックだってさっさと寝てしまったのだから】
【着付けを手伝う老シスター達も、ニコニコと笑うだけで事情を伝えてくれる事は無いのだった】

【そしてもうひとつはこの教会そのものの事だ。事情はやはり彼しか知らない筈だけれども、何も言わず】
【結局、当然のように其処で大事な式を挙げるというのだから、不満に思ったって仕方が無い】

【加えて式に関して言うべきは、列席者がどうも居ないらしい事か。両親は――まあ、二人して居ないから良いとして】
【親しい友人や子供たち、彼らを招くようなスペースは教会内には無いのだと言うことだった】
【実際、見て回ってもそれは分かるだろう。珍しく、扉を開けると2階に続く階段が有るだけなのだ】

【これをもの寂しいと思うかは彼女次第――ただ、フレデリックも石や無機物では断じて無い】
【彼女もそれはよく知るところだろうし、だとすればどうすれば良いかは、そう考えるに難しいことでは無いはずで――。】


【あとは――教会の構造について少し。大仰な正面から入ると幾つかの回廊が半円状に広がっていて】
【その最奥に所謂聖堂やチャペルと言った施設に通じる扉が、これまた幾つか並んでいる】

【壁は総じて大理石の白と、ステンドグラスの鮮やかさと、床は彩り様々なタイル張りが一部】
【未だ電気が通わぬゼン=カイマでも、と考慮されたのか屋根は窓は開放的な作りになっており】
【陽の光を受けた教会は、その廊下の隅に至るまで明るく涼やかなのである】

【そんな教会の中、式を目前に控えた二人はそれぞれ別の部屋で着付けと式の時間を待つ――物語はここから始まる事となる】

/続くのです
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/27(金) 20:28:43.53 ID:gqi1CNhgo

(…――ダグラス……、もう少しタイミングを考えてやれば良いものを)
(奴め、楽しんでいるな?……だがまあ良い、奴が作ったのなら全ては折り紙つきだ)
(……が、な。奴の手がけた教会で、私がこういう事の当事者になろうとは…――。)


人の世界とは、まこと本の中の出来事よりも分からないものだな……。


【――本日の予定。新郎新婦揃っての入場、誓いの言葉と指輪の交換、云々】
【そう簡単に流れが記されたカードを、フレデリックは個室で眺めているのだった】

【彼の衣装は普段とは全く違う。特別に仕立ててもらった、白のフロック・コート姿】
【内のシャツ、ズボン、灰色のネクタイ以外は全て白。ボタンに至るまで白石と白糸を用いているようだ】
【一方で黒の艶やかな長髪は、同じ色合いの紐で以って後ろのほうで括ってある】
【顰めっ面は健在――いや、神妙な面持ちというべきか。しばらくしてカードをしまい、立ち上がり――】

  【手はずによれば、まずこうしてそれぞれが個室で着付けをする。そろそろ、となれば部屋を出て】
  【揃って入場するために、教会の扉の前で落ち合う事となるのだが――先に扉で待つのはフレデリックだ】

【彼の様子は、特別何時もと変わらない。何を考えているのか分からないような、静かな表情と】
【スッと伸びた背筋に、落ち着いた態度。服がゆったりとしているからか、いつもより大きく見えるかも知れないし】
【右手の義肢は黒鉄の色合いだから、目を引くかもしれない。その程度だ、至って――至って平穏、静かなものだった】


【此処で二人並んで扉の向こうに行き、階段を登り、其処で待つ司教に結婚の儀を取り行ってもらう】
【端的に言えばただそれだけの出来事。文面にしてみればなんてことはない、10分も掛からさそうな一行事】
【それであるのに――不思議と一人で居て笑いは出なかった。この男にしては珍しく、緊張しているらしかった】

/と、言うわけで予約です!
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/27(金) 20:33:21.89 ID:f6nwkdruo
【街中・大通り】

【昼夜止まらない人の流れの中で、彼女は足を止めてプレーリードッグさながらに首を動かしていた】
【青ざめた表情に、やや潤んだ瞳、激しい動悸―――明らかに彼女は正常ではなかった。見開いた瞳からは焦燥が伺え、何かを必死で探している様子であった】
【灰色の格好に身を包む彼女は、口元までも灰色の布で覆い隠している為に表情の変化は判り難い筈だったが、この時は泣きと焦りが交互に表情を動かしていた】

「優花サマッ!? 優花サマ……!? ど、何処にいるんですカ!? 返事をしてくださイッ! ……お願いですかラッ、優花サマァ……!!」
「―――うう、優花サマ……もう人参とか無理やり食べさせませんかラァ……お願いでス……ぐすっ、ううッ」

【周りの視線には敏感な方だったが、今だけは気にならなかった。そんなことを気にしている場合ではなかったから】
【灰色の瞳は何時もはきっと凛としている筈なのだが、今だけは大粒の涙が印象をガラリと変えて。霞んだ視界をゴシゴシと擦って下を向けば、溜息と共に弱音が吐かれる】

「―――泣いちゃダメでス……。泣くなんてボディーガード失格ですかラ―――あ、そもそも護る対象失うなんて失格でしタ……ううっ、ぐすんっ」
「……やっぱり私はグズで落ちこぼれでしタ。神様が私に能力を与えてくれなかった訳が分かりましタ……所詮無能力者、劣等種でス―――」

【一度折れた心を立て直そうとしたがまた難なく折れて。聞こえない筈のボキッ、という折れる音が痛快に響いた気がした】
【涙が白い肌を伝い、口を覆い隠していた灰の布を濡らす。湿った感覚が不快だったのか、布を取りポケットに仕舞い】
【一度大きな溜息を吐いてから夜の空気を肺いっぱいに取り入れる。落ち着こう、という意志の現れだった】

「―――優花サマなら何処へ行くカ……きっと私というお目付け役から解き放たれてウキウキしている筈でス……ぐすん」
「……ショッピングモール、なんか服屋で一杯のファッションビルですかネ……? そうなら―――行くの躊躇ってしまいそうでス……」

【未だ涙目は収まらず、何とか落ち着いた思考を取り戻そうとしている彼女。未だ人の流れの中で立ち止まったままの彼女は、相変わらず目立っていた】



【公園】

【最初は全てを意識する。体重移動、脱力、各部分の動きや位置は勿論―――全身を駆け巡る血液までも。どう動いているかを1つも見落とさず、感覚と理論で理解する】
【―――ひゅん。確かめるかのように白銀が空を切り裂く。全ての動きが最終的に1つにまとまった結果として「袈裟斬り」になっているかどうかを確かめており―――】

【そのうち勝手に思考は薄れていく。一振りごとに雑念を消し、一振りごとに集中してゆく中で意識は消える】
【鍛錬の苦しさも楽しさもそこにはなく、ただ無念夢想のままに、架空の敵の肩口を斜めに切り込み両断し、そして振り抜いてゆく】
【刀の握り、足の配置、視線、重心―――理論で理解したモノが無意識のまま、自然と挙動に示される。彼の身体に染みついた闘争の歴史が、袈裟斬り1つに濃縮されて】

……ふッ―――、ふぅっ……―――!!

【袈裟から切り返しての切り上げ。月光を浴びて煌めく刃が闇夜を断つ姿は美しいが、其れを操る男の動きもまた―――機能美、という別の美しさを感じさせるモノで】
【力強さは感じさせないが、限界まで無駄を省いたような印象の取れる動きだった。予備動作が一切見当たらず、どの筋肉の動きも全て最終的には袈裟斬りへと繋がっている】
【袈裟斬りと言うものはわかりやすく言うと斜めの方向に対しての切り落としだが―――彼は斜めに刀を振り下ろそうとして袈裟を放っている、という動きでは無い】
【そのことは熟練者にしか分からないのだろうが、縦に振り下ろす動きと横一文字に振り切る動きが完璧に合成された結果、勝手に軌道が袈裟になる―――】
【言葉にするとしたらそのような動きであり、続けて放った切り上げも全く同じ仕組みだった。単純な力や速さではなく、老獪な技。放つ雰囲気と同じく、熟練が生んだ二振り】

【―――切り上げて動きがピタリと止まる。止まった瞬間に羽織っていた薄藍のインバネスコート、その右肩部分に縫い付けられた緋色の鷹がふわりと舞う】
【剣先が全くブレを見せずに止まったことからも、その動きが単純な力―――つまり腕力によって成されたものではないことが示されていた】
【男は濡羽色の瞳を細め、慣れた所作で左腰の鞘に刀を収めた。和装を軽く整えて黒髪に手櫛をかければある方向を見る。―――来訪者の方へと、視線を送ったのであった】

/どちらかお好みの方を……
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/27(金) 21:15:24.03 ID:Wp9sAFs3o
>>649

【――――公園というのは一般的に、庶民の憩いの場所のはずである】
【もちろん人に迷惑をかけない範囲であれば、剣豪が鍛錬に精を出していたって自由なのだけれど、公園と言えばふつうは】
【ごく普通の一般人が息抜きに訪れる場所、という認識で間違っていないはず。ゆえに、この少年がふらっと公園内に踏み入ったことを責められる者は誰もいないのだろう】


うーん………。


【入り口の方から歩いてきたのは、黒いブレザーに赤いネクタイという制服に学生鞄を携えた、人目で高校生だとわかる平凡な身なりの少年である】
【髪は茶色に染めて、ワックスで前髪を上げている。制服も適度に着崩されており、いかにも今時の男子高校生と言った風情だ】
【なんだか納得がいっていなさそうというか、妙に浮かない顔のまま公園内の中程まで立ち入ってきた少年だったが――――】


…………おぉ。す、すごい………。


【――――流石に。こんな場所でここまで冴えた剣閃を目撃するとは、露ほども思っていなかったのである】
【惚れ惚れするような太刀筋をまじまじ眺めて、初対面の相手に失礼だという当然の良識も忘れて釘付けになる少年だったが、】
【少年の背中にある竹刀袋らしきものを見ればそれも理解できるか。風格も何もない少年だ、背伸びしても冴えない剣道部員ぐらいにしか見えないけれど】
【それでも、曲がりなりにも同じ得物を使う者として――――明らかな格上≠フ剣捌きに圧倒されてしまったというわけだ】

【少年は黙って、男が刀を鞘に収めるまでの様子をじいっと見ているだろう。若干面食らっているようで、すぐには動けなかった】
【……男が何もしなくても、少し経てばはっと正気に戻りはするが。何か適当に話しかけてやれば、すぐにでも元の状態に立ち返るはずである】
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 21:19:15.89 ID:/Z6ZtG/OO
【此処は水の国のとある町】

【日も暮れ、今は家路につく人々などによって 昼とはまた違う活気に満ちている】
【それに今日、この町では収穫祭のようなものを開催しているらしく、多くの露店が並び、市場にいる人の数は普段の数倍もあるだろう】
【そんな賑わいの隅、ある露店の影でいびきをかきながら眠っている者が一人】

【黒に近い濃紺の長髪をポニーテールにして、服装は黒いワイシャツ一枚】
【その上からでもはっきりとわかる、モデルのような体型と、同性と比べると長身なところが印象的な女性だ】
【彼女の隣にはとうもろこしが4〜5本程入った籠と、それよりも沢山のビールが入ったレジ袋】
【そして彼女の周囲には、幾つものビールの空き缶が散乱していた】

…………………………………………。

【さて、もしも影で寝ている彼女を見つけられたのであれば、物好きなら介抱するも良し】
【或いは、自警団等の関係者ならば立ち退きを迫ることも可能であろう】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/27(金) 21:42:59.68 ID:f6nwkdruo
>>650

……―――剣道ならば、参考にしない方がいい。
武術と武道は別物であり、剣術と剣道は別物。剣道の基本である中段の構えは、実戦ではてんで役に立たないように。

【来訪者へと視線を送れば、その2つの濡羽色が先ず注がれた先は少年が背負っている竹刀袋らしきものだった】
【学生と思われる服装からも剣道部員であるという推測。故に飛ばした言葉であった。剣道と剣術は違う。まず持っている獲物の重さが段違いなのだから、当たり前とも言える】

【中段の構えは常に切っ先を相手の喉元へと突き付けられる点から圧力を与えることが可能であり、攻防に優れた基本の構え―――ただし、其れは剣道での話】
【中段の構えから攻撃を放とうとすれば、振り下ろすには「竹刀を上げて振り下ろす」のニ挙動。軽い竹刀ならこのニ挙動を放つ際にも隙は起こりにくいが―――】
【それが1kg近い真剣になればどれだけ鍛えてもニ挙動が大きな隙となる。故に真剣の世界では、剣術の世界では袈裟構えや上段が基本となっている】

―――その前に。剣を振るうのならばまず身だしなみから整えるべきだ。乱れた服装は乱れた心を生み、振るう刀の軌道すらも乱れさせる。
……古臭いような事を言っているように聞こえるかもしれんが、これは剣道剣術関係なく大事なことだ。

【その後彼の視線が注がれた先は、自分のような和服からは遠い少年の姿。今時の若者らしい格好はどうも苦手なようで、視線が刃の如き鋭さを見せて睨みが効かされた】
【古風な格好のこの男、どうやら見た目通りの真面目そうな、そして古臭い男なのかも知れない】
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/27(金) 21:43:24.59 ID:UrjTXJRmo
>>651
【何故、こんなところに僕は居るのだろうか】
【答えは簡単、生きていく上で必須な栄養分、エネルギーを大量に保持している食料を手に入れ、調理して食するため】
【何よりも食事という人間の三大欲求を満たしてくれる、こんな素晴らしい事はない】
【などと周りくどい言い方をしてみたが、つまるところただの買い物である】

【今日は収穫祭、という事で安くて美味い新鮮な野菜が手に入る】
【この機を見逃すメリットなどどこにもなく、レイリスフィード学園からの帰り道からわざわざ寄り道してきた】
【しかし当然ながら、予測していたが人が多い】
【人混みは好きではない、ということで休憩がてら露店の裏へと入る】

「ふぅ……」

【息をつき、野菜が入ったビニール袋を置く】

「あっついな……それにしても」

【Yシャツをパタパタと、胸元を扇ぐ】
【白い肌からは大量の汗が噴出し、髪は濡れてさらに艶やかに、黒色に輝く】

【さて、ふと目をやると】

「………え、何これ」

【寝ている、女の人が寝ている】
【周囲には大量のビールの空き缶】
【これらから察する事が出来るのは】

「………うわぁ、酔いつぶれて眠ったのか?」

【こんな時間に飲んで潰れるなんてどこのダメ人間だ、と半ば呆れながら】
【取り敢えずそろそろ起こさないと夜になってしまうので、起こす事にした】
【それに、危ないし】

「あの、すいません、起きて下さい」

【体を揺すって起きるように促す】
【女性は、起きるのだろうか?】
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 21:58:48.32 ID:TZm2WaBD0
>>647-648

【――――とうとうこの日がやって来た。】
【来た、のだけれど。……何か皆様子がおかしい。何かこう、皆で口裏を合わせて隠し事をしているような印象】
【……マリア達が結婚するという事実はゼン=カイマの民には既に周知。今更この事実に驚きは感じないだろうし】
【今日が結婚式当日だとしても、こんなに急によそよそしくなるなんて妙だ……一体何があったのだろうか?】
【誰に聞いても何も言ってくれない。僅かの違和感を胸に抱きつつ、マリアは人生の大舞台へと向かう―――】

【―――そして、時所変わって教会。復興中のゼン=カイマに突然建った此処は、一夜で出来たとは想えない位に壮麗で】
【加えて言うと、教会の筈なのに人が入るスペースが無い。まるで――――二人の為だけに建てられたよう】
【これでは人を呼ぶことは出来ないが……大丈夫。愛する子供達にはもう数えきれない位祝福してもらったし】
【元騎士団の上に大司教の新妻とあっては、道を歩くだけで色んな人に声を掛けられた。こんな調子だから、一人ではないって事は分かっている】
【それに――――隣に世界で最も愛する者がいるのに、寂しいはずなんて無い。彼さえ居るのなら、それで十分】

【待合室の中、マリアは最後の準備に取り掛かる。まず大切な友に選んでもらったドレスに着替えて】
【化粧をして貰ったり、髪を整えて貰ったり……女はこういう時にひと手間掛かる。仕方ないと言えば仕方ないのだが】
【やがてその全てが完了したなら、もう一度鏡の前で今の自分の姿を確認する。】

【白いベールはマリアの絹糸のようなブロンドの長髪を薄く覆い隠す。ベール下から覗く顔は間違いなく幸せそうな微笑みに満ちていて】
【腕を長く覆う純白のグローブを嵌めた手には色とりどりの花のブーケ。それともう一つ、秘密の“何か”を手に忍ばせる】
【胸元から腰、膝のあたりまで、マリアの身体をくるむようにぴったりと体にフィットした生地はマリアの肢体を際立たせて】
【露出した肩と腕は、逆にマリアの持つ細くしなやかな体を生かす結果になる。肌だってドレスに負けないくらいにシルクのように美しく】
【下半身に目を向けると至る所に流麗な紋様があしらわれて、膝下から広がるフリルのついた裾は優雅な人魚の尾のよう。―――そんな、ドレス姿】

【―――彼は自分の姿を見てどう思うだろうか。喜んでくれるだろうか、驚いてくれるだろうか。どんな顔をするのだろうか……】
【不安と期待が入り混じった感情を抱きつつ、マリアは個室の扉を開けて夫の元へと向かい―――】

―――お待たせしました、旦那様。
……どう、でしょうか……?似合っておりますか……?

【―――緊張しているのは彼だけではないらしい。頬を薄らと赤く染めたマリアは、恐る恐るドレス姿の感想を訊いて】
【気持ちを落ち着かせるように、彼の左手をそっと握り締めようとする。―――彼はどう言ってくれるのだろうか?】

【此処からはもう本番。目の前の扉を開ければ式は始まるだろう……―――その前に掛ける言葉でもあるのなら、猶予はある筈だが】

//宜しくお願いします!
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 21:59:27.47 ID:uDEdBDm30
【どこかの路地裏】

【……もっとも、予想し得ない存在が、この路地裏には居た。】

【ここはならず者とそれを狙う人間と、極稀に彼らを正す人間が集う場所だ。】
【その環境は言うまでもなく酷い。治安という意味では最低だし、街灯はもう殆ど付いていないし、……兎に角汚い。】
【だからどんな人物が居ても可怪しくないのは、それはまあ正しいことなのだが……ではコレは、どうだろうか。】

……グガァ゙………

【どうやら腹が減っているらしく、その声も何だか弱々しい様に思える何か。街灯が届かない位置にあるのなら、彼を照らし出すのは月明かりだ―――、】

【身長165cm程度。直立二足歩行。パーカーとズボンの人間と変わらぬ簡単な身形だが、均等に隆起した筋肉が窮屈そうに見え、サイズが合っていない事が分かる。】
【ギラリと何かを鋭く見つめる瞳は紅。それに、獣人と言うだけあって、"歯"ではなく全てを噛み千切る"牙"であるし、"爪"ではなく全てを引き裂く"鉤爪"である。】
【然し彼の姿で最も特徴的なのは―――両肘から指先の方向に向けて伸びる、毛色よりも深い黒鉄色の……"刃"、であろう。月光に反射して煌めく辺り、相当の切れ味だ。】

【その怪物は、大型のゴミ箱を漁っていた。いつの物かも分からないビール缶を取り出したなら、そのまま噛み砕いて食らう―――、】
【食事の仕方は、獣。やはり汚い。今度はもう使い物にならない廃材である30cm四方の鉄板を見つけ出して、矢張り同じ様に食らう訳だ。】

【普通の食事と違って、金属を食している訳だから、兎に角五月蝿い。工場現場の騒音と、大して変わらないのではないかと思われる。】
【……こんなヤツ近づかない方が懸命、というのは、誰でもその六感が察知することだろう。しかしながらこの化け物、異常なまでに耳が良く、】
【忍者の忍び足が成す僅かな、僅かな音でさえ聞き取ってしまうのだ―――もしそんな事があれば、真っ先にそちらの方へ眼をやる事だろう。】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/27(金) 22:03:29.08 ID:iF961Iuro
【夜、とある公園】
【防犯上の理由か大量の電灯が乱立し景観なんてあってもないもの、遊具は危険だからといってほとんど撤去されてしまった】
【ただっぴろい場所に少しの遊具と大量の電灯がある、そんな公園】

……そろそろあいつの結婚式か

【そう呟く、ベンチに座る影】
【人にしては小さい、子供というわけでもない影は、ぷしゅっと缶ビールを開ける】

ぷはっ、……苦い

【「よく人間は飲めるな……」と呟きつつベンチに飲みさしの缶ビールを放置する】
【電灯にあまりよく照らされていない影は、よく見れば――"犬"のように見える】

あー、80万、でも素材費でほとんど消えるから……手元に残るのは12万程度か

【あの糸高いんだよなぁ、と呟く、犬】

【犬がしゃべっているという奇々怪々なる現象、それに驚愕しない人はどれほどいるだろうか】
【また、犬がゴーグルをかけていたり右前脚に包帯を巻いていたり】
【首にUTのマークが刺繍された青いスカーフを巻いているということでも驚くだろうか】

【どちらにせよ、犬は空を見上げて……『あんまり星見えないな』と呟くのだった】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/27(金) 22:16:34.74 ID:38qUneqQo
>>656

……おお?


【そんな喋る犬の傍を通りかかる人物がいた】

【予想通りというべきか、その者は驚いたような声を洩らして】
【犬が言葉を話し、ベンチに座ってビールを飲む姿を数秒観察した後】
【おもむろにそちらに向けて歩を進め始めて】


よぅ、"ご同類"……とはちょいと違うのかもしれねえが
こんな夜更けに一人で酒盛りたぁ寂しいモンだな


【ある程度距離が近づいたならば足を止めて】
【老齢の男性の声で、犬に向かって明るい口調で語りかけた】

【2mを超えるであろう大柄な身体を僧衣のような紺色の民族衣装で身を包み】
【露出した肌に生やすは黄褐色と黒の縞を描く体毛】
【右手で螺旋の金属飾りのついた長い木杖を携えたその者は】

【虎の頭部をし、ふらりと尻尾を揺らす獣人であった】
【二足歩行の虎が服を着たような姿を言えばわかり易いであろうか】
【杖を持つ反対の手には何やらスーパー袋のようなモノを握っていた】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/27(金) 22:18:02.65 ID:Wp9sAFs3o
>>652


………あ、あぁ、ごめんなさい。横からじろじろと。
剣道と剣術は別物、ですか。中断の構え――――あぁ、そうか………。


【言葉を掛けられ、ようやく我に返って。少年がしたのはまず丁寧にお辞儀して非礼を詫びることだった】
【見た目の割には存外礼儀正しい性格のよう。黒色の瞳も申し訳なさそうに窄められて、温厚な雰囲気が感じられるだろうか】
【……武術と武道は別物。字面の上では言葉遊びにしか見えないその台詞を受け、少年はわかったのかわかっていないのか曖昧に首を傾げたが】
【男が実際の構え≠例に出すなり――――「やっと納得がいった」とでも言うように小さく嘆息するのが見えたかもしれない】


あ、ご不快でしたらすみません………。
道場に行く時はちゃんと気をつけてるんですけど、今日は普通に学校帰りだったものでして。


【服装についても咎められれば素直に謝るのだが――――少年としてはこの程度では特に「乱れている」という自覚もなくて、内心では若干戸惑っていたりもする】
【まぁ、それはさておき。剣道部員なのだから、道場というのはたぶん学内の練習場のことと考えて間違いないだろう】
【……少年が言うのは、今日は偶然部活が休みだったということなのか。それとも毎日練習に顔を出していない不精者であるのか】
【その真偽は――――刃の閃きを思わせる鋭い視線にも一切たじろがず、柳に風と受け流してしまう精神性からは読み取り難いものがあった】


………あの、実はぼくも、ここにはよく練習に来るんです。今日もそのつもりだったんですけど………。
差し支えなければここでやってもいいでしょうか?


【――――と。少年は若干おずおずと、萎縮したような様子で男を流し見て、今日ここに来た理由を語り出す】
【公園というのは誰のものでもない公共の場所である。それでも律儀に男へ一声掛けてみるあたり、少年の几帳面な性格が伺えた】
【そして男がなんと答えるかに関わらず、少年はとりあえず、竹刀袋から得物を取り出すだけ取り出してみるのだが――――】

【……それはどこからどう見たって竹刀≠ナはない。かといって見てくれだけ取り繕った模造刀の類にしては、あまりにも真に迫り過ぎている】
【白色の鞘には各所に細やかな金細工が施されて、柄や鍔の設えは見るからに頑強。まだ鯉口も切られていない状態でなお、全体からは何か神聖なものすら感じられた】
【――――紛うことなき真剣≠ナある。それも単なる刀ではない、明らかに名刀とか名剣とか呼ばれる類のものだ】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 22:18:48.03 ID:/Z6ZtG/OO
>>653

…………ん、…………んぅ………………

【身体を揺さぶられれば、少し唸った後に目を覚ます筈だ】
【しかし、今起きたばかりの彼女には、やはり目の前に見知らぬ学生が居るという状態で】
【少年に対する第一声は、余り気の効く言葉ではないだろう】

………………あぁ……? 何だ……クソガキ…………。
私は見せ物じゃねーんだよ、ガキはとっとと帰ってゲームでも弄くってろ。

【どころか、彼女の性格というものが良く解りそうな発言だ、男勝りで荒っぽくて、それがきっと彼女なのだろう】
【目付きも余り良いものではない、しかし何処か唯のチンピラとは違うものもそこにはあって】

【そんな女性は起きて早々に 袋から一本ビールを取り出して、ぷしゅっという音がしたかと思うと口に運んでいた】
【まるで喉に直接流し込んでいるかのように、数秒で空にしてしまうだろう】

…………で、他に言いたいことは有るわけ……?

【こうして見ていると本当に、産まれてくる性別を間違えてきたかのように見えるだろうか】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/27(金) 22:26:37.30 ID:iF961Iuro
>>657
同類?

【ふとかけられた声に、犬が獣人の方を見る、ラピスラズリのような瞳が綺麗である】
【一方の毛並は灰色で、若干パサついており、また、少し臭う】

……同類?

【二度同じことを反芻するぐらいには唐突だったらしい】

酒盛りしてるわけじゃない、ただこの一週間ほど篭りっぱなしだから久々に外に出ただけだ

【そしてどこか時代錯誤的な服装の獣人に犬は子供としては渋く、大人としては若い、どこかツンケンした声で言う】
【犬が第一に抱いた印象は、物語で旅の途中で仲間になりそうな殴って癒せる僧侶】
【ファンタジー小説でも読んでいるのだろうか】

【どうやら二足歩行の虎という点には突っ込まないらしい】
【珍妙なものを見るような目で見てはいるが】
661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/27(金) 22:31:08.82 ID:gqi1CNhgo
>>654

【美しく着飾った――いや、そんな言い回しが必要ないようなドレス姿】
【それを始めてみたフレデリックの反応は、笑った姿より、驚いた姿より珍しく】
【瞼を二度三度とぱちりとさせるなんていう、実に人並みのものだった】

【その目線は彼女がフレデリックの手を取るまで続いていたから】
【どれ程の衝撃を受けていたのかを表すのに言葉は要らない、というものだ】

ぁ、ああ……似合っているかなどと、聞かれるまでも無い…。
……綺麗だ。誰が見ても必ずそう言うだろうと、そう思う…――綺麗だとも、マリア。

【言葉を二度繰り返す。そんなのも普段の彼ならしないようなことだから】
【それを特に良く知るマリアなら、彼の最大の賛辞だともハッキリ分かる筈】

【――左手を少し強く、握り返す。手放すつもりは無いというように】
【そして微笑むのだった。彼女の不安を感じ取ったように、そしてそれを宥めるように、だ】
【彼も同じ気持ちだったが――その姿を見て、不安は高揚に変わっていた。勿論、言葉にはしないのだが】


【やがてゆっくりと扉が内から開く。赤絨毯が敷かれた大理石の階段は、左右からの日差しに照らされて】
【まるで門出を祝うかのように淡く輝き、その更に両隣ではささやかな花々からの祝福も見える】

……マリア。この間は、お前から私に気持ちを伝えてくれたな
考えたのだが……――やはり私からも改めて、お前への気持ちを伝えるべきだと思うのだ
だから……、…………フッ。……登ろうか、足元に気を付けるのだぞ?

【『なんなら持ち上げてやろうか』なんて言葉も付け加えて――しかし本懐は告げなかった】
【代わりに見せるのはやはり笑みで、実に柔らかい表情であった】
【――言葉に甘えるなら、それも良し。普通に登る、勿論それが通常で、そうなら歩幅をあわせて少しずつ、上へ。】

【やがて一分か、二分か、階段を登るには長いと思えるような時間が経ってしまえば、最上段】
【広場のようになったその場所の奥には司祭の立つ祭壇があって、二人の老人が並んでいた】
【一人はオズムンド司教、もう一人はビレトス司教。共にフレデリックの後見を務めた清い者達であった】
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/27(金) 22:35:39.25 ID:UrjTXJRmo
>>659
【えぇ………僕、何か悪い事でもしました?】
【酔いつぶれている人を起こしたらいきなりの罵倒を受けた】
【何が何だか分からない、良かれと思ってやったのにこの始末。いくら僕でも納得はできない】

「いや、こんなとこで寝てたら風邪引きますって……」
「って、まだ飲むんですか……?」

【うわぁ、と呆れ顔をしながらその様を見届ける】
【なんだこれ、一瞬で飲みやがったぞ】
【一気飲みは体に良くないんじゃなかったか、いやそこまで煩く言うつもりはないけど】

「いや、まあ、何というか……」
「………豪快な人だって事は分かりました」

【いや、まあこういう女性だって居るだろう】
【しかし、平日のこんな時間に酒とはどうしたのだろうか?】

「えっと、それでいつからここに…?」

【ふと気になったので、質問してみた】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/27(金) 22:43:11.53 ID:38qUneqQo
>>660

おっと、違ったならすまねえな?

俺の中じゃあ喋る獣っつうと、獣人か妖怪変化ってなモンでな
てっきり"イヌ族"のご同胞かと思っちまったぜ


【「悪ィ悪ィ」と、獣頭であるが故に判りにくい笑みを浮かべながら】
【耳の辺りをポリポリと掻く仕草を見せた】
【特に止められなかった場合は、その場で目線を合わせるようにしゃがみこむだろう】


へぇ……一週間ねぇ。ってぇとお前さんは作家か職人さんかい?
一仕事終えた後だってんなら、月見しながら一杯やりたい気持ちもわからぁな


【犬の言葉に対して独特の訛りが入った口調で返し】
【虎の獣人は、杖を地面に置いてスーパー袋に手を突っ込み漁り始める】
【そして、肉球の付いたふわふわな手で細長く包装された何かを取り出して開け始めた】


どうだい、酒を飲むならツマミの一つも欲しいところじゃあねえか?

買ってきたはいいが、娘はこういうモンが嫌いでよ……
一人で食うのも味気ねえし、暇があんならちょいと爺さんに付き合っちゃあくれねえかよ


【それは細くカットされた"ビーフジャーキー"。ネコ科の手にしては器用に持ちながら】
【一本彼の方へと差し出してそんな誘いを持ちかける】
【出会ってすぐ、突然の誘いだ。何か裏があるのかと疑うこともあるだろうか】
【兎角、獣頭であるが故に人間のように表情豊かなわけではないので探るのは少々難しい】

【実際はただの、物好きな老人であるのだが――】
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/27(金) 22:50:31.60 ID:f6nwkdruo
>>658

―――不快という程でも無いが、同じ剣を振るう者として言ったまでだ。
謝る必要は無いが、謝るのなら先に服装を整えてからするべきだろう……―――嗚呼済まない、悪い癖が出てしまった。
……口煩く言ってしまうのは悪い癖なんだ、気を悪くしないでくれるとありがたい。

【苦言を呈するような言葉を零したが、見た目とは裏腹に、案外丁寧な口調と直ぐに謝ろうとする態度を取る少年を評価していた】
【最も評価に値したのは、そのような丁寧さを備えながらも睨みにたじろぐような事が無い、ということ。別に実力を図ろうとした訳ではないが、その点が彼の中で目立った】

―――ああ、構わない。元々俺に拒否する権利など無いし、人が居るから集中できないというのは甘えた言葉だからな。

【神経質な印象を持たれているかも知れないが、この男、他人の鍛錬を妨げるほど心の狭い人間ではない】
【勿論と言わんばかりの承諾、その発言一つ一つに見えるストイックさが示すは、先程の流麗な動きの影に隠れた努力の痕だろうか】

【少年が竹刀袋から竹刀を―――否、竹刀ではなく真剣。其れも纏う雰囲気からするに相当な代物。そして漂う神聖は、何となくだが似ているのだ―――】
【―――彼が左腰に佩いている大小拵え。先程まで抜いていた刀は、現在茜色の鞘に収まる大小の大。そしてもう一つの小だが、コレが似ているのである】
【真っ白な鞘に包まれた、刀身1尺程の刀だが―――似ているのは鞘の色だけでなく、纏っている「神聖さ」だった】

―――……真剣。恥ずかしながら先程までは見当違いな発言をしていた、ということか。
君も剣道ではなく剣術使い―――と。そう判断しても良いのだな? 

……しかし、良い刀だ。纏う空気が違う。―――嫌ならば答えなくて良いが、その刀は何処で手に入れたのだ? そして君の流派は……何だ。

【先程までとは違った鋭さを見せる濡羽色の双眸。勿論その先は神聖な雰囲気を醸し出す名刀にあり。此処で始めて、剣道部の少年では無いのか?という疑問に辿り着いた】

665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 22:53:44.03 ID:uDEdBDm30
//>>655は取り消しで!
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/27(金) 22:56:06.38 ID:iF961Iuro
>>663
……生憎私は妖怪でも獣人でもない
言葉をしゃべったり道具をつかえる以外は普通の犬だ

【流れるように答えるさまは本当にそう思っているのだろう】
【世間一般ではそれは普通とは言わないのだが】
【ともかく、目線を合わせることはとめないだろう】

まあそんなところだな……
別に酒はあってもなくてもかまわないんだがな、だが気になっただけだ

【缶のビールは妙に苦い、と呟きつつ】
【職人というところに肯定は返すが具体的に何を作っているかは述べないだろうか】

……

【そしてジャーキーを差し出されて固まる犬】
【一度虎の頭を見、再びジャーキーに視線を落とし、再び頭を見る】

……しょうがないな、付き合ってやるよ爺

【すっと流れるようなしぐさでビーフジャーキーを掴もうと受け取ろうとする】
【犬の手でよく落とさずに持てるものだと思うかもしれない】

【犬としてはあまり警戒はしていないようだ】
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/27(金) 23:09:04.20 ID:38qUneqQo
>>666

へへ……有難うよお犬様。
この歳になるとな、友人もみんな先に逝っちまって寂しいのよ

ンなわけでよ、ちょいとばかりジジイの道楽に付き合ってくれると嬉しいやな


【ジャーキーを受け取る犬に「おっ、器用なもんだな」などとどことなく嬉しそうに語りかけながら】
【老獣人は膝立ちから胡座の姿勢に移行し】
【「どっこいしょぉ」と親父臭い掛け声と共に大きな身体で地に尻をついた】


……まずはそうだな、名前でも聞くところからだわな
これをよくよく忘れちまうもんでよ、最近は気ィつけてるんだわ

俺はグー……グー・ゲルギル。しがない放浪司祭ってところだ
お犬様の名前はなんてぇんだい?話したくねえとか、持ってねえってんなら無理にゃあ聞かねえがよ


【老人……グーは、自分の分のジャーキーを取り出して口に咥えながら】
【喋る犬に簡単な自己紹介をして、名を問うた】
【何を話すにしても、まずは名前を知ってからだ……ということだろう】
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 23:13:31.74 ID:TZm2WaBD0
>>661

【彼がどう思ってくれたかは、顔を見れば分かる。―――何事にも動じない彼が、手を取るまで目を離さなかったのだから】
【続く言葉だって二度も「綺麗だ」なんて言われれば、マリアはもうそれだけで笑顔にならずにはいられないのだった】
【最も愛する者にこんな事を言われて嬉しくない筈が無い。ああ―――これだけで、もう十分過ぎるくらい幸せだというのに】

【幸せは、まだ終わらない。寧ろ始まったばかりで……緊張だって、手を繋げばたちまち何処かに消え去ってしまって】
【微笑みかけられたのなら、後に残ったのはどこまでもマリアを笑顔にさせる幸せのみ。繋がれた手から感じる彼の温かみが嬉しくて】
【握り締めた掌は解けない。手放すつもりなんて無いのは此方も同じで、堅く握りしめられた手は繋がれた縁を象徴するかのよう】
【もう大丈夫。彼と一緒なら何処にだって行ける。不安なんて何一つ無い、横に誰よりも信じられる人がいるのだから】

【開かれた扉、其処から見える大理石の階段は光を反射して淡く輝く。日の光が祝福するように降り注いで】
【彩を添える花も添えられて、光に満ちた空間はまるで二人を祝福するよう。製作者の意図なのだろうか?】

ふふっ―――言葉を添えずとも、貴方の心は分かっておりますよ。
でも……伝えて下さるのなら、私は全て受け止めましょう。

……こうして、永遠に私の傍に居て下さる事を選ばれた。私はそれだけで十分で御座います。
これ以上、何を求める事が御座いましょうか。―――

【微笑みには微笑みを返す。―――告げられなかった本懐も、きっといつだって受け入れるだろう】
【持ち上げて貰えるのならそれはそれで悪くないのだろうけれど、マリアはそれを選ぼうとはしなかった】
【あくまで自分は彼と共に寄り添って歩く。彼に全てを任せるのではなく、自分の足で共に歩んでいくのだ、と……そんな意志を込めて】
【何も合図をしていないのに、計ったように同時に足を踏み出す。ゆっくり、ゆっくり、幸せを噛み締めるように足を踏み出して】
【やがて共に階段を上り詰めたら―――其処に立っていたのは二人の司教。マリアも見覚えのある顔だ。】
【腐敗し堕落しきっていた教会の中で、決して流されることなく清き心を持っていた尊敬に値する司教。】
【親のように親に捨てられた彼に手を差し伸べた事も知っている。あの時彼が打ち明けてくれたから―――】】
【この二人が指揮を執り行うのならば、きっと安心できるだろう。―――さあ、行こう】
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/27(金) 23:14:35.42 ID:/Z6ZtG/OO
>>662

あぁ? 風邪なんか平気だっての…………

【少年からの気遣いの言葉も、そんな風に流してしまうだろう】
【ビールを飲んでいる時に彼からの視線を感じたなら「何見てんのよ」という言葉を洩らして】

あっそ、随分と模範的な解答だね。
大体の奴はそう言うよ、こんな女で悪かったね、もっと物静かな奴の方が好みだろうし……?

【自分の事を皮肉めいて言うものの、本人は大して気にしていない様子だった】
【それから思い出したように青いジーンズから携帯を取り出すと、画面をちらっと確認する】
【その後直ぐに携帯を仕舞ったら、少年の問い掛けに答えるだろう】

…………えっと、2〜3時間位は前かな……、飲んでたら眠くなってきてね。
アンタは何で此処に来たわけ……?といっても見た限り収穫祭目当てなんだろうけど……と。

【そう言うとポケットから携帯と交代で何かを出した、それは白いタブレットケース】
【掌の上で数回振ると、白い錠剤が数個出てきて、それを口に放り投げた】
【何かの薬であることは間違いない、怪しい薬ではないのだろうけど、どう映るかは当然相手次第で】
670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/27(金) 23:15:52.51 ID:iF961Iuro
>>667
……置いていかれるのは苦しいものがあるよな

【なんで生きているのか時折わからなくなる、と呟きつつジャーキーを噛む】
【どう見たっておっさんがスルメをかじっているようにしか見えないのだ】
【食べ方に愛嬌がない】

ま、もう時間に追われているわけじゃないしつきあってやるよ

【そういいつつ自分の後ろに置いてあったらしい買い物袋から缶ビールを一つ取り出して渡すか】
【受け取れば飲むのは自由だし、受け取らなければ「そうか」と言って仕舞うだろうか】

グー・ゲルギルか、覚えた
私はアゾット、エーゼットオーティーエイチでAzoth、仕立て犬って所だ

【グーに答えつつ犬は再びビールを飲み、ジャーキーを噛む】
【「やっぱり苦い」と答えるあたり、ビールのうまさがわからない年の頃か、それともビールを受け付けないタイプか】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/27(金) 23:24:20.73 ID:Wp9sAFs3o
>>664

【学生の立場で年上の人間と接する機会といえば、せいぜいが先輩とか先生とかぐらいか。……それにしたって、妙に慣れているというか】
【茶髪はどうしようもないが、少年もとりあえず制服の崩れぐらいは直す。その後は申し訳なさそうに苦笑いを浮かべ、再度「いえ、こちらこそすみません」と謝った】
【……その間も、初対面の年上相手に一切気後れした様子はない。剣の腕はともかく心については、多少胆力が付いていることが伺えた】


ありがとうございます。それじゃ、早速――――、


【男からの了承が得られれば、少年にももう気兼ねする理由はない。嬉しそうに笑いながらお礼を言うと、刀をゆっくりと抜き放つ】
【ざわりと、空気が緊張する。出所はもちろん少年ではなく刀の方、男の刀の一本から漂うのと同じ神聖さ≠ェ、刃と共に解放された】
【この時点で、抜刀術などの類ではないことは理解できるだろう。そして構えるのは……なぜだか中段=z
【その状態で、少年は軽く一、二回刀を振るってみせた。……剣速は意外と速い。腕力も上体の筋肉も刀の重みに負けていない、確かに振るう≠アとが出来ている】
【が、いかんせん隙が多い。その原因はまさしく、先ほど男が指摘した通りのもの――――「やっぱり」と納得したように呟けば、今度は上段に構えを変えた】

【――――そこからは。男ほどのものではないにせよ、刃の軌跡に冴え≠ェ見えるはずである。少年もそれを実感し、面差しを明るくした】
【面は面、胴は胴と。打ち込み自体は非常にはっきりとしていて、悪く言えば愚直に過ぎる。剣道としてはまずまずだが、真剣遣いの剣術≠ニしては粗が目立った】
【ただ――――剣捌きはともかく、体捌きの方には少し目を見張るものもあるか。刀に振り回されることなく真っ直ぐに一閃できる基礎的な体は出来ているし】
【時折、いやに鋭い太刀筋も垣間見えた。それは刀の使い方に特徴があるのではなく、単に狙い≠ェ正確なのだと分かるだろうか】
【一言でいえば……そう、明らかに実践慣れしているのだ。『剣士』ではないが『戦士』ではある、これはそういう身のこなしに見えて――――】


……ここで、格好よく流派とか名乗れればいいんですけどね。残念ながら刀の扱いはまだ初心者なんです。
剣道部に入ったのも割と最近でして、いろいろ試行錯誤してはいたんですがうまくいかなくて――――。
剣道と剣術は違う、っていうさっきの言葉、すごく参考になりました。


【これで、少年の方の事情もある程度推測できるだろうか。特に何らかの流派に属している訳ではない、ただこの名刀を扱うためだけに、少年は剣の道に踏み入った】
【……そこで、刀を扱うのだから剣道をやればいいだろう、なんて素人考えが大間違いだったのである。部活で竹刀を振るい、実際には真剣を振るうという】
【初心者ゆえにそこにある差異に気付くことが出来ず、ずいぶん苦戦していた様子だが――――男の鍛錬の様子とその言葉で、少しはヒントを得られたらしい】


この刀は、櫻の国の『剣ヶ里』の名刀。かつて翁≠ニいう大妖を封じた名将が振るっていた破魔の剣。
銘は、『正櫻』――――そう聞いています。
剣ヶ里でちょっと妖怪絡みのトラブルに巻き込まれたことがありまして、そのご縁で頂いたんですよ。


【……太古の昔、『正櫻』を振るう名将とその部下によって封印されたにも関わらず。突如復活を遂げた翁≠ニ、それを復活させた元凶である天狐=\―――】
【二匹のバケモノによって滅んでしまった『剣ヶ里』という刀の名所が櫻にはある。少年の使っているのはその生き残りともいえる刀だ】
【手入れせずとも刃こぼれせず、切れ味も落ちない。破魔の力を宿した刀身は妖魔の身もチャチな結界もまとめて斬り滅ぼしてしまう威力を持つ】
【まだまだ、自分に相応しい一振りとは到底言えないけれど……少なくとも少年は、この刀に主として認められるために努力しているらしかった】
672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/27(金) 23:26:54.38 ID:UrjTXJRmo
>>669
「平気なら良いんですけど」

【本人が言うならそうなのだろう、という事で納得する事にした】
【女性が小声で漏らした言葉に対して、「すいませんね」と小声で返しながら】

「いや、別にそういう意味じゃないですけど……」
「僕は嫌いじゃありませんよ、別に」
「なんですか、拗ねてるんですか?」

【激しいタイプは嫌いではない】
【いや、むしろ好きというか、女の子はみんな好きというか、つまりそういう事である】

「はぁ、そうなんですか…」
「てっきり酔いつぶれてるのかと思いましたよ」
「僕はちょっと疲れたので、休憩中です」
「野菜の買い出ししてるんですよ、この時期は安くて味が良いですから」

【主婦か何かのように答える】
【まあ、一人暮らしであるが故にこうやって自分の事をやらなければいけないのであって】

【女性が何か白い薬を取り出して、飲んだのを見て、ある事が脳裏に浮かんだが…】
【あれは粉末タイプだ、だからといって錠剤型がないとは言い切れないが、聞き出すのも失礼だろう】
【二日酔い防止の薬とか、そんな風に思う事にした】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/27(金) 23:33:23.92 ID:38qUneqQo
>>670

あぁ……このご時勢、どいつもこいつも先に逝っちまいやがる

残された奴はといやぁ
墓に花ぁ供えて、遺影に手を合わせてやるくらいしか出来ねえからよ
たまにゃあこうやって、酒で色々忘れてぇ気持ちになる事もあんのさ


【「生きてる意味なんざ、考えるだけ無駄だぜ?」と締めくくり】
【こうして出会ったばかりの奇妙な犬に絡んでいる理由を吐露する】

【きっと、話の出来そうな相手ならば誰でもよかったのだろう】
【それが一際目についた、喋る犬だったというだけで――】


おっ――ヘヘ、有難うよ
アゾットか、随分と洒落た名前してんじゃねえか。似合ってんぜ?

それにしても仕立て犬?
初めて聞くなそりゃあ……救助犬だの警察犬だのは有名だがよ


【アゾットからビールを受け取ると】
【太く鋭い爪を露出させて、引っ掛けるようにして口を開けると】
【口元の毛に泡をくっつけながら、ゆっくりとした調子で飲み始め】


カァ――ッ!ああ、やっぱり"ヒト族"用の酒は合わねえやな!

つぅかアゾットよぉ、お前さんはアルコールは大丈夫なのかよ
無理しねえで、"俺たち向け"の酒選んだほうがいいぜ?


【親父臭い声を出しながら、中程まで飲んでその場に置く】
【犬や猫の場合アルコールを分解出来ないため、実は非常に危険である】
【獣人であるグーは多少耐性はあるのだが、純粋な犬であるアゾットはどうであるか心配なようだ】

【グーは袋の中から、猫の顔を模したマークが描かれたカップ酒を取り出して】
【ビールのお返しとばかりにアゾットに差し出そうとする】
【"俺たち向け"……獣人などの口に合うように調整された酒の事だろう】

【毒にならないよう成分を考えられた酒だが――こっちは飲めば苦みは薄いが"辛い"と感じるかもしれない】
674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/27(金) 23:49:56.19 ID:iF961Iuro
>>673
血の飛沫が潤滑油っていうのも嫌な世界だ

……そうだな

【と、半ば独り言のようにつぶやきつつ、老獣人の話に耳を傾ける】
【一瞬、墓に花を添えて遺影に手を合わせる、ここで一瞬言葉に詰まったのはなぜだろうか】

まあな、自慢の名だ

仕立てのできる犬で仕立て犬

【名前の話をしつつ、仕立て犬、なんらおかしいことではないだろう?と視線を送る】
【そしてカァーっと酒を飲み干したところを見て、ため息】
【この犬も苦手とまではいわないが苦いとは感じている】

いや、私はアルコールは大丈夫なんだ、アルコールを分解する包帯巻いてるから

【葱とかチョコレートは勘弁だけど、といいつつ右前足に巻いた包帯をつつく】
【犬曰く、これを付けていると口に含んだアルコールは全て無毒化できるとのこと】
【普通の包帯としても使え、アルコールを分解できる魔法のしみこんだ包帯のようだ】
【ぶつぶつと「なんでネギやチョコレートを無毒化する魔力染料は売ってないんだ」と呟いているあたり、手作りなのだろう】

【と、いいつつもしっかりとカップ酒を受け取って】
【飲んでみると今度は舌を出して『辛い』というだろうか】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/27(金) 23:50:49.81 ID:gqi1CNhgo
>>668

【フレデリックは返って来た言葉に一つ頷いて、共に階段へ足を踏み出すのだった】
【一段、一歩、二人で一緒に進んでゆく。高い天井に足音が木霊する】
【なんとも浮ついた、しかし静かな空間だ――二人を照らす日の光が温かい】

【やがて辿り着いた先には二人の司祭。主祭はオズムンド司教で、ビレトス司教は】
【にこりと笑いかけながら、『こちらへ』と手招きするのだった】


『……今日のこの日が来たこと、司教として嬉しく思いますぞ。』
「ええ、オズムンド卿。私もです、わたしも……さあ、それでは結婚式を執り行いましょうか…――。」


【二人共、その目には滲むものが有る。だが見知った者だけであっても】
【ここは私語を交わす場所ではない――マリア、そしてフレデリックが教壇の前に立てば】
【やがて式の開始を告げる言葉が掛けられる。皆が暗唱出来るような、ちょっとした説法と】
【そして形式張った誓いの段階に入る。神が二人の誓約を聞き届ける、ある意味では最も大事な段階で】


「…――それでは、お二人に誓約をして頂きます。……ホ、ホ。
 起立するものも異議を唱える者も居りませぬが……――」

『――……新郎フレデリック。そして新婦マリア。お二人は今、結婚しようとしています
 では新郎、フレデリック…――あなたは健やかなる時も、病める時も
 富める時も貧しい時も、共に――』


  ――共に愛し合い、共に敬い、なぐさめ、そして助け……。
  いつ何時も変わることなく、この女性を愛することを誓いますか…――

  ……誓う。私、フレデリック・シャリエールは、その妻として
  マリア・シャリエールを迎え入れ、死が二人を分かつまで愛することを神前にお誓いする。
  この鋼鉄の右手は彼女を守り、父と母に貰った左腕でその手を引き
  例え老いようとも……その全てを愛し続けることを、私は誓う。  


『……よろしい。それでは、新婦マリア…――』


【フレデリックが述べたのは、本来の言葉を些か無視した――いや、改変したものだ】
【言葉だけではない。その身をも、神に誓って彼女のために。そう、言ってのけたのだった】

【勿論、本来なら言葉を遮って続けるなど言語道断。だが普段ならば絶対にそれをしない彼ならばこそ】
【――と、二人の司教も理解してくれたのだろう。むしろ笑ってそれを聞き入れ、やがて次は彼女の番だ】
【掛けられる言葉は同じ。健やかなる時も、病める時も――受け入れるなら、はいと一言、答えれば良い】

【そうなれば、次に続く言葉は『あなた方は自分自身をお互いに捧げますか』――だ】
【フレデリックの答えは既に決まっていた。マリアがどう答えるか、それだけに全てが掛かっていて】


【―――それから更に次の段階は、指輪の交換だった。二人の側に寄るのはビレトス卿】
【彼の持つ絹の上に、互いの送る指輪を先ずは置く。それが、最後に求められる動作だった】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(茨城県) [sage]:2014/06/28(土) 00:02:26.50 ID:6SlmzBm5o
【枯れない薔薇など無い。尽きない時間など無い、絶えない命など無い】
【仮初めの“永遠”を見せて、泡沫の“幸せ”を与えて、黒い女は嘲笑った】

【――漆黒色の館、常通りに書斎へと入っていった背高の姿】
【それが“見納め”となった。それは余りに突然で、無慈悲だった】

【誓の証も、分かち合った宝玉も、自ら望んだ双眸の呪いさえも、破られた】
【彼に呪術を掛けた綾津妃ならば感知できるはずだ、其処に在ったのは、底知れない“怨念”】
【それが術を尽く毀し、繋ぎ止めていた彼の本当の“呪詛”を露わにしたのだった】

 【元より、彼に掛けられていた呪いとは】
 【体の時間を止める代わり、死亡時は存在の一切を、魂でもを無に返す、というものだった】
 【雲母が蘇生を施そうとした、艶咲という女に掛けられていたものと同じ呪術――ならば、】


【彼の姿が忽然と消えた書斎には、僅かな黒い霞が残されていたが】
【それ以外には、何一つとして彼の行方を示すものは残されていなかった】

【デスクには書きかけの“授業用”魔術の解説と、裏にもう一枚の紙があった】
【精緻なタッチで描かれていたのは、ぬいぐるみに囲まれすやりと眠る、少女の姿――】


/このような形で幕引き、とさせて頂きます。約二年間、ありがとうございました
/遊んで頂いた恩も忘れて砂を掛けて逃げるようなことをしてしまい、本当に申し訳ないです
/先の件に関しては全て私の責任です。説明にしても殆ど言い訳でしかないので何も言いません
/これで償いになるとは思いませんが、今後一切、二度とスレには現れないと約束します
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/28(土) 00:02:47.82 ID:27K7u/qro
>>671

【少年自身が語るよりも前に、彼が初心者であるということが分かった。剣術の動きではないことが、肥えた濡羽色には嫌という程伝わるのだから】
【―――その未熟さと同時に、多くの「光」も見える。静かに息を吐いて腕を組み2,3秒黙ってから、言葉を少年へと零すだろう】

刀の扱いは確かに初心者のようだ、が―――。基礎…体捌きに体幹は十二分に出来ていると思う。
そこが確りとしていれば、技術を身に付けて行けば行くほど実力も伸びていく。変に中途半端に身に付けて駄目になるということは無いだろう……。
ある程度の「経験値」もあるようだからな、今はまだ未熟でも気にすることはない。努力の方向性さえ間違わなければ、その剣に見合う実力になる。

【今時の若者にしては珍しいという印象だった。この男も24と若者なのだが、育った環境と弛まぬ努力の賜物か身に付けた武は老獪極まりない】
【話を戻して何が珍しいかといえば、「基礎が備わっている」ということ。技術論ばかりが育ち、基礎を疎かにして小手先の技術だけを得ようとする輩の多い現状の中での、少年】
【―――それに加えて、この迷いの無さ。唯の素人には出せないということは勿論男も理解しており、この少年の「強く光る部分でもあると彼は判断した】

……―――剣ヶ里。かの悪狐に滅ぼされた刀の聖地か……―――何というか、奇妙な縁というか。
俺の大小拵えの小、この脇差―――名を「庭常白光」というが、これは悪狐を滅ぼすために生まれた聖刀。妖気を削ぐ「聖の魔翌力」を刃に強く宿している。
そして大小拵えの大、この刀は名を「御代櫻」というが―――これは微々たるものだが「減魔」の力を刃に宿している。妖気に限らず、魔翌力や能力を削るもの。
此方は2世紀以上前の剣ヶ里で造られたらしいが、その剣ヶ里も既に無い。……悪狐とは2度闘い、倒せずに逃している。

【武士たるもの剣ヶ里の名を知らないわけがなく、そして彼も剣ヶ里と、そしてその聖地を滅ぼした妖怪とも関係があるようだった】
【そして少年と同じように特殊な力を宿した刀を、二振り携えているのだが―――彼が放つ老獪な雰囲気に混じっていたためか、刃が醸し出す特別な空気が隠れていたらしい】

……その刀、妖怪には強いのだろうが―――過信はするな、と言っておこう。まだ君は成長途中だ、変にトラブルに足を突っ込むな。
もしトラブルに巻き込まれたのなら、可能な限り逃げろ。そのようなトラブルを解決するのは我ら「SCARLET」に任せるべきだ。

【薄藍のインバネス・コート、その右肩。SCARLETの所属を示す紋章である緋色の鷹がそこに貼り付けられていた】
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 00:06:36.09 ID:a9npngnkO
>>672

嫌いじゃないとか言ったって、私は別に嬉しくも何ともないよ。
そういう上部だけの言葉を使う奴は、結局誰も本当の意味ではついて来ないわけ。
この言葉は、人生の先輩が言ってるわけだからね……?

……まあ私は、誰も相手にして来なかったから今も一人身だけど。
それは私が選んだ事、一人じゃないと落ち着かなくて 何か気が狂いそうだったし。

【彼女は もうとっくに結婚していても可笑しくない年齢だ、顔もスタイルも悪くはない】
【それでも彼女はそ生まれつきの性格と、それよりももっと大きな問題を抱えていた】
【だから例え縁があっても避けてきた、それが自分の為だったし、何より好みの男性が居なかったという事実もあったからで】


ふーん、買い出し、ね…………

あ、そうだ、とうもろこし食べるか……?安く仕入れたし美味いから。

【そう言って彼女はとうもろこしを一本、少年へと投げる】
【その後にはまたビールを取り出して飲み始めるのだろうが】
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/28(土) 00:13:57.50 ID:/C5V54UGo
>>674

誰も彼もが傷つかねえ平和な世界……なんてぇのは難しいやな

まぁ、こういう場であんま湿っぽい話はなんだな!
こうやってよ、今だけでも平和に公園で酒飲んでいられる事に感謝しとこうや!


【そう返しながらも、グーはアゾットが言葉を詰まらせたことに気がつく】
【喋る犬だ、本人は普通というが楽な人生は送ってきておるまい】
【人(?)によっては触れられたくない傷口である場合も多い】

【一瞬、気づかないフリをして流そうかと迷ったが】
【グーは結局短く「なんかあったのかい?」などと問うた】
【なんでもない、と返ってくるのが関の山であろうとは考えていたが】
【酒の効果もあってか、少しだけ踏み込んでみたい気持ちもあった】


仕立ての出来る犬か……流石の俺も初めて見たかもしれねえな
そりゃあアレだよな、服とか作ったりする仕事で間違っちゃいねえよな?

イヌ族の小器用な奴が洋服作りに凝ってた記憶はあるがよ
真っ当な犬のお前さんがやるとなりゃあ、また訳が違ってくるだろうからなぁ


【指先を自分の顎下にもふっと添えて、小さく唸る】
【犬の身体でどうやって服を作るのかどうにも想像が及ばないらしく】
【ここにきて一番珍しいものを見るような気配が宿った】

【グーの猫科の手は人間と比べて遥かに「不器用」で】
【記憶にある獣人の作品も、人間の仕立てたものに比べて質は遥かに落ちる】
【果たしてこのアゾットという犬は、如何にしてどのような作品を仕上げるのか】
【老齢のグーであっても、想像の外にあることであった】


おいおい、そんないいモンがあったのかよ!
宴会の席じゃあ随分と役に立ちそうだなそりゃ、俺も一つ持っときたいもんだぜ!


【舌を出して短く感想を述べるアゾットに笑いかけながら】
【自分もグイっと、残りのビールを飲み干して】
【同じように舌を出しながら「あぁ、やっぱり苦ぇやな!」などとおどけてみせた】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/28(土) 00:23:11.10 ID:mVPD6KhAo
>>679
誰かが傷ついて生まれる平和
それは本当に平和なのか、と思わないでもないけどね

……まあそうだな、ここは生者の場所だ、確かにそうだ

【むふぅ、っと小さく鼻息を立ててその言葉に同調する】
【しかし、そこでやってくる踏み込んだ発言、一瞬返そうか悩んだ色が、目をよぎるが】

………………
……墓も、遺影もない相手

【そうとだけ、呟いた】


まあそうだな、靴とか服とか、あとまれにだけど帽子だとか……帽子はまだ下手だから練習しないといけないけど

でも作れるんだよな、それが

【作れるものは作れる、理論で説明できなくてもそうなのだ】
【そういわんばかりに首に巻き付けてあるスカーフをいじりながら『これは私が織ったやつだ』とだけ言うか】
【確かに、UTのマークの刺繍は緻密だ、だがこの犬は『織った』といった、布から作ったのだろうか】

なんだ?いるか?

【そういうとごそごそと袋から一巻の包帯を取り出すだろうか】

言っとくがこれ付けてるとアルコール摂取できずに酔うこともできないからな

【といいつつ、カップ酒を再びグビリと】
【水を飲むように飲むのは、このおかげだったのだろう】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 00:29:26.90 ID:ll9cBlPno
>>678
「上辺だけって……一応、本心なんですけどね」

【ニコリとも笑わず、無表情で言う】
【愛想笑いなどそこにはなく、ただ真実のみを伝えているかのような】
【もちろん、それをどう捉えるかは女性次第であるが――】

「へぇ、一匹狼ですか」
「そりゃまあ、難儀な事で」

【まあ、あの性格からしてそんな感じだろうとは思ったが】
【別段僕の興味を示すような事は何もなかったので、適当に流す】
【というより、抽象的な言葉だけではそうとしか返せないというか】
【まあ、いくら女性が波瀾万丈に満ちた人生だろうと僕のような人間よりはマシだろう、と自虐的に思うだけ】


「良いんですか?」
「じゃあ、遠慮なくもらっておきます」

【とうもろこしを受け取り、ビニール袋に入れる】
【あの目つきの悪さからして受け取れと脅されているような気もするから】

「で、またビールですか…」
「酒豪ですね、ほんと……」

【再びビールを飲み始めた女性を見て、嘆息をする他になかったが】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/06/28(土) 00:32:37.55 ID:MuB7T7SAo
>>676
/お疲れさまでした。またいずれ。
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 00:34:55.02 ID:8ePpGuE30
>>675

【―――恐らく、二人の司教も心中では泣きたい程に喜んでいるのだろう。主祭だというのに少し涙ぐんでいて】
【……気持ちは痛いほどによく分かる。子供のように目を掛けてきた男が、こうして目の前で結婚するというのだから】
【マリアと同じく彼の身を案じた事だってあっただろう。独りで走る彼を憂いた事もあっただろう。】
【―――でも、今は違う。こうして横に、生涯共に歩むと誓った者がいるのだから】
【ああ、もう彼を独りにはさせない。何処だって、どんな時だって彼の傍に居よう―――】


【手招きされるがままに、教壇へ向かう。やはり歩調を合わせて登壇すれば、結婚式は執り行われる――】
【まずは型通りの言葉と説法。これだって重要な結婚式の一部、蔑ろにしてはいけない】
【其れが終われば、次は誓いの言葉。見届ける者が司教の他に居ないから、滞りなく進んで】

【―――夫が述べたのは、形式から少し外れたもの。型を破ってまで述べた言葉は、咎められることはなかった】
【それもその筈。だって彼は―――その身をも妻の為に、なんて言ってのけたのだから】
【分かっている。聖書を暗唱できる程に神学に詳しい彼が言い間違える事なんて考えられない】
【ならばこれは、彼の意志で述べたもの。間違いなく、彼は自身の全てを以て妻を愛すると言った】
【―――この想い、応えずして何が妻か。彼が心身を捧げるというのなら、己も―――】

―――誓います。

【間違いなく、己は彼を支える。彼のように司教の言葉を遮ってまで己の心を述べる事はないけれど】
【心も体も彼の為に捧げる。その想いは彼と同じ。彼の全てを受け容れ、支える……そう誓った】
【続く言葉も決まっている。彼の為に己を捧げるかなど、問われるまでも無い】
【全てを捧げ、妻として夫の為に傍で生きる。彼ならば己の全てを捧げられる。答えは決まっている―――】
【司教の言葉にはい、と一言―――これで言葉による宣誓は終わり。次は指輪の交換】
【求められる通りに指輪を置き、グローブとブーケを司教に預け―――そしてフレデリックを待つ】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/28(土) 00:40:23.09 ID:/C5V54UGo
>>680


(墓も遺影もない相手……か)


【グーは、きっとその対象が"まともな"死に方をしなかったのだろうと解釈した】
【常識を覆す異能や魔術が我が物顔で闊歩するこの世界に於いては、珍しい話ではない】
【それとも別の理由から、グーが想像できないような事情を秘めているのだろうか】

【しかし何にしても、此れに関して踏み込むのはここまでだ】
【さっき湿っぽい話は無しといったのは他ならぬグーである】

【グーは、アゾットの言葉に声で返すことはなく】
【ただ優しく、ぽふぽふと肉球で彼の肩を数度叩こうとするだろう】


へぇ……器用なもんじゃあねえか、羨ましいこったぜ!

俺ときたら、娘にカレー作ってやんのも難儀しちまう有様でよぉ……
アゾットの器用さを一割でもいいから分けて欲しいもんだわな!


【スカーフの緻密な刺繍を目にして彼の実力を知ると】
【グーは「ガハハハ!」豪快に笑いながらも、彼の腕を褒め称える】
【この老人では決して成し得ないであろう技術だ】
【それを自分よりも不便であろう身体で成し遂げたのだ、賞賛に値すると考えていた】


う〜〜む……悩むところだが、貰えるなら持っておきてえかもな

酔えねえなら酒を飲む意味も薄れちまうが
付き合いってえのもあるからな……どっかで役に立つかもしれねえしよ


【少しだけ悩む様子を見せたが、結局は欲しいという結論を出す】
【勿論タダで貰えるとは思っていないので、まだ手を差し出すような真似はしないが】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/28(土) 00:40:29.35 ID:27K7u/qro
>>676
/言い訳でも良いので説明して欲しいです。
/僕が言うのもなんですが、議論スレには鈴音の方以外にも発言してくれた人がいます。書きませんでしたが僕も全くの同意見です。
/何も言わずに去るのはそのような人達にも失礼だと思いますし、僕ももやもやします。
/貴方が取ろうとしてる行為は償いでも何でもないですし、そんな約束も要りません。冷静になって議論スレで話し合って欲しいです。
/それこそが償いになると勝手ながら思っております。
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/28(土) 00:40:48.37 ID:j26LKKIBo
>>677


………ありがとうございます。
さっきのあなたの剣捌きには、ある種の境地≠ェ見えた気がしました。そのあなたにそう言って貰えるなら、本当に嬉しいです。


【この少年は、こと自分の心を制御することに関しては非常に長けている。ゆえにおくびにも出さないが――――そもそもこうして男の前で剣を振り始めたことも】
【本心から、男を気にせず鍛錬に励もうと思っての事ではない。こうして何かアドバイスを貰えないかという打算的な期待があったことは否定できないのだけれど】
【この言葉自体は間違いなく本心だ。男の太刀筋が自分の遥か先の領域にあることも、彼に希望ある言葉をかけて貰えて嬉しいという心の内も】
【――――ただし。表情にはそれを表す笑みが浮かんでいるが、その感情の揺らぎが剣閃に一切反映されていない。この特性も、あるいは少年特有のモノなのか】


悪狐――――あぁ、そうか。あなたはもしかして、中邑瑛月さんですか?
ぼくも『剣ヶ里』での戦いで彼女に会って、戦いました。一撃も入れられないままのボロ負けでしたけど。
一応、友達≠ゥら事の顛末は聞いています――――その刀はちゃんと、桔梗さんに届いたんですよね?


【男と言葉を交わしつつも、少年は刀を振るい続ける。波紋打つ銀の刃が空間を裂いていくなか、一緒くたに切り裂かれる少年の言葉には若干の驚きが感じられて】
【……無能力の身ながらも卓越した剣術で数多の戦場を駆け抜けた、緋色の鷹を掲げる男の知名度を考えれば。少年がその名前を口にしたのは驚くことでもなく】
【友達=\―――というのは。そういえば二度の悪狐との闘いにおいて、目の前の少年と似たような制服℃pで男と肩を並べて戦っていた者がいたはずである】
【事件のあらましを仕入れたのはその線なのだろうけれど――――「桔梗さん」と、悪狐を名指しで呼ぶその口調には、どこか親しげなものが感じられるかもしれない】


悪狐を滅ぼす為の聖刀………この『正櫻』も、ぼくにとってはそうなんですよ。
ぼくもSCARLETを信用していないわけじゃありませんし、出来れば騒動に首を突っ込みたくはないですけど――――今回ばかりは、ちょっと引き下がれない。

桔梗さんはぼくの友達≠ネんです。良い方の桔梗さんとも、悪い方の桔梗さんとも、無関係のままで終わりたくない。
ぼくの元々の力は彼女に通じなかった。だから、妖魔を断ち切る破魔≠フ力を宿したこの『正櫻』は、ぼくがあの子の前に立つための唯一の切り札≠ネんです。
……もちろん、ぼくだって死ぬ気はないですよ。そこはまぁ、死なない程度に頑張ります。


【話は、意外にも簡単なものだ――――少年が刀を手にするに至った経緯がまさしく、その悪狐の前に立ちはだかるというただ一つの目的のためであった】
【友達≠ニ、少年は天鬼桔梗をそう評する。彼の友達というのは恐らく、少年の台詞でいう『良い方』のことなのだろうけれど――――】
【『悪い方』にしても、彼女が表舞台に姿を現した最初の一幕に少年は関わっている。それと無関係ではいられない、いたくないと、少年は言うのだ】
【だからいま、少年は『正櫻』を振るい続けている。適当な口ぶりの割に鋭い切先が向かっていくのは、あの悪狐の首元であるのかもしれない】
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/28(土) 00:50:22.00 ID:mVPD6KhAo
>>684
……

【肩を何度か叩かれる、彼はそのままにされている】
【特に怒るわけでもなく、反応を返すわけでもない】
【ただ一つ言えるのは、暗い面持はしていないということか】

はは、いろいろできるからな、いろいろ

……ただ、私はなぜか台所に立ち入り禁止を言い渡されているからなぁ

【だから料理に関しては力になれないかもしれないと言う】
【大真面目にいっているが、おそらく本人が気付いていないだけでひどく飯がまずいのか、はたまた作る様が危なっかしいのか】
【どちらにせよグーはこの犬よりかは料理は上手だろう】

予備で何個か持ち歩いてるから一個ぐらいならやるさ
手製だから珍しいものでもないしな、布と魔力染料さえあればだれでも作れる

【そういって投げ渡すか、一応ビニールで包装されているとはいえ危なっかしい行為である】
【ちなみにこの犬の言っている魔力染料、ちょっと大きな手芸店にでも行けば売っている代物である】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/28(土) 01:01:47.68 ID:oBb/D48yo
>>683

【コク、とオズムンド司教が頷いた。これで二人、共に誓いを立てたことになる】
【次の為にとグローブ、そしてブーケをビレトス卿が預かれば】

【やがてマリアがそうしたように、フレデリックもまた指輪を一度其処に置く】
【指輪の出処は彼の胸元だった。本来は告白の時にそうするように】
【小箱に入れていた、プラチナリングにダイヤの指輪を取り出して、だった】


『それでは、共に指輪の交換に移ります。まず、新郎から――…。』

……、…………マリア。私の気持ちを、受け取って欲しい。


【そう言葉を添えて、フレデリックは温かな左手でマリアの手を取り】
【そして黒鉄の右手で指輪を取って、ゆっくりと、そしてしっかりと】
【彼女の薬指に、それを収めようとするだろう。――指輪の内側には刻印があった】
【小さく目立たない程度だが、それが『Forever in love』であると、分かるだろうか】

【――それを受け入れれば、次は逆。少しの緊張と、喜びが入り混じったような】
【フレデリックという堅物を知っている誰かが見れば驚くような微笑のまま、彼は待っていて】

【同時に、それを済ませたとなれば式も最後の盛り上がりを見せる場面となる】
【ヴェールを上げて――つまり、誓いのキスだ。その時、僅かに変化が式場に満ちる】

【―――さぁ、と風が吹き込んだ。場所は司教たちの奥からだ】
【其処はどうやらテラスになっているらしく、ヴェールのような、カーテンのような】
【ともかく半透明の綺麗な薄布が掛かっていて、風にそれが揺れていた】

【なんとなく、風に乗ってざわめき≠ェ聞こえた気がするかもしれない】

【といってもヴェールの奥は陽光が照っていて、大理石の白さに目が眩むばかり】
【何も見えやしないし――かと言って、気にもなるか。ちら、と覗くのは】
【太陽のそれとは違う光、と言ったところだった。―――あれは、金属の煌きだろうか】


【――もしそれに意識を取られたなら、フレデリックに手を握られるのにも感触が有るまで気付くまい】
【彼はマリアの手を取れば、司教たちの向こう、ヴェールの奥。テラスへと、彼女を引いてゆこうとするだろう】
【司教たちは何も言わない。全て分かっているようで、共に付いて行く事となるか――。】
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/28(土) 01:02:48.63 ID:/C5V54UGo
>>687

あぁ……服が作れるからって料理が上手ぇってえわけじゃねえやな

まぁ俺も褒められた腕じゃねえし
娘からも「爺様のカレー抜け毛だらけで嫌なのだー!」
なんて文句つけられる身分だからよ……お互い頑張ろうや


【グーもグーで料理関連には色々と苦労しているようだ】
【一親として子供に美味しい料理を振舞ってあげたい気持ちはあるが】
【どうしてもこの猫の手では調理器具を扱うのが難しく】
【カレーなどの場合は玉葱などの自分に害のある食材が多く、味見もままならない】

【この老人は、過去何度か挑戦してほとんどその方面では諦めかけていた】


おっ、とと……ヘヘっ悪ぃな、有り難く頂戴させてもらうぜ

生憎とそんな簡単なモンでも俺にゃあ難しくてよ
下手すりゃ爪を立てて布がビリビリになっちまわぁな


【言葉通り手芸と全く縁のない生活を送ってきたため】
【魔翌力染料の存在自体今初めて認識したようなものであった】
【アゾットにとって簡単なものであれ、グーにとっては有難い】
【小さく頭を下げて礼をすると、受け取った包帯を懐に仕舞いこんだ】


【――】


【そろそろ酒もなくなって、話題も一段落着く頃であろうか】
【夜も大分更けてきた。もしこの先何か出来事が起こらなかったならば】
【次のレス辺りで別れになってくるだろうか】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 01:04:46.68 ID:a9npngnkO
>>681

【ビールを片手に少年からの返答を聞く、一匹狼なんて格好の良いものではないが】
【結局それは本人にしか分からない事、それに少年には関係無い話なのだろうから】

ああ、一本ぐらいあげるよ、遠慮なんて必要ない。
…………さてと、それじゃあそろそろ………………

【少年がとうもろこしを受け取れば、頭を掻きながら立ち上がり】
【転がる空き缶を拾い集めて、近くのゴミ箱へと捨てて】

…………んじゃ、残りは帰ってから飲むわ、そろそろ家のソファーが恋しいし。
じゃあ、アンタも早く大人になりな、そうすればビールの味位解るようになるさ。

【そう言って女性は籠と袋を持ち上げて、人混みの中へと消えていくだろう】
【あんなに飲んだにも関わらず、以外にもその足取りはしっかりしたものだった】

/それではこの辺りで!
/お疲れ様でしたー!
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/28(土) 01:15:57.90 ID:mVPD6KhAo
>>689
んー、何がいけなかったんだろう……
キッチン大爆発したけど……失敗は誰にでもあるものだよな……

料理する前は一通りブラッシングしといた方がいい……またはゴム手袋

【そもそも普通の料理は爆発しない】
【圧力鍋か、とも考えられるがそれでも大爆発という表現には合わない】
【油なら火事だし、いったいこの犬は何をしたというのか】
【ともかく、味はどうであれ食べられるものが作れる分、グーの方が料理に関しては上か】

もしなくなったらUTの酒場の方に私は普段いるから
居なくても誰かに言づけてくれればいいさ

まあ得手不得手はあるわな……

【仕舞った様子を見て一つ頷くと『こういう酒があると教えてくれた礼だ』と言ってからのカップ酒を振るだろうか】



……結局星は見えなかったか

【そして、空を見上げ一言、思えば最初もそういっていたか】

地上が明るすぎるのか、はたまた月が明るすぎるのか

【ぽつぽつと呟く、無意識な様子で】

空が曇っているのか、空気が汚れているのか

【幼いころはあんなに見えた気がするのに】
【そう呟くと、犬はすたっと地面に立つだろうか、後ろ足二本で】

グー爺さん、そろそろ年寄りは寝る時間じゃないか?
……というより、私、ずっと寝てないからな、眠い

【ベンチに置いてあった前足で奇妙に袋を手繰り寄せて持つだろうか】

今夜はいったんお開きとしようか、それじゃあ、グーの爺さん
次会う場所が土の下や星の上じゃないことを願うよ

【そして、特に引き止めなければ二足歩行しながら袋を持って歩いていくだろうか】
【ふらつく様子はなく、本当に普通の犬かと疑うような状況である】
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 01:18:41.34 ID:ll9cBlPno
>>690
「………ありがとうございました」

【もう一度礼を言い、去っていく背中を見送る】
【足取りがしっかりしていたのを見て、本当に酒豪なのだなと思った】
【もちろん僕がアルコールを飲む時などない―――ない、と信じたいが】

「………よし、行くか」

【大分疲れも取れてきた】
【もうひと踏ん張りといこう、まだまだ、露店はいっぱいあるのだから】
【僕はビニール袋を手に提げて、再び人々がごった返す収穫祭へと乗り込むのであった】
/ありがとうございました!
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/28(土) 01:21:51.89 ID:27K7u/qro
>>686

―――そんなもの、全く見えていないさ。

【「境地」が見えている、と言えばお終い。―――男はそんな考えの持ち主なのだ。そのような考えは傲りとみなし、今の剣技に満足し切ってしまっているということ】
【そのような傲りは刃の錆びを生み、これ以上の進化を妨げる。剣の道に頂なし、ということだ。故に自分の刃に境地など、見出したことは一度もなかった】
【身体的な才能は無い。バネや馬力のある天性の筋肉は無く、体格も170前半の身長から分かるように優れているとは言えない】
【しかし彼には、環境があった。誰よりも濃密に剣術を学ぶ環境。そしてその環境を最大限活かせる負けん気とストイックな心があった。環境と努力。其れが彼を作った】

―――……ああ、確かに其れは俺の名だ。友達……というと、その友達は闘いに参加していた……のか? うーん、あの時は己の事で精一杯だったからな……
ああ、「庭常白光」は2回目の闘いの後に作った刃故に、まだ届いていない。届くときは―――悪狐が滅びる時だ。

【少しだけ目を丸くしながらも、小さく頷きを見せた。自分の名前を知っているというのは、少し嬉しさの中に恥ずかしさが混じるものなのだ、と密かに思う】
【丸くなった瞳は直ぐに鋭さを取り戻し、濡羽色の瞳に潜むは使命感という名の静かな焔。悪狐を滅ぼす、という意味の言葉に自然と篭められた力と重み】

―――……天鬼桔梗とは、一度だけ話す機会があった。……悪狐とは正反対の、心優しき九尾だった。
彼女の想いに応えなければならないと、話していて強く思った。―――君にも強い想いがあるようなのだから、止めはしない。
―――それでも今の実力ならば、触ることすらままならないだろう……其れが分かっているからこそ、君は今ここに居るのだろうが。

―――……基本は袈裟構えからの袈裟斬りで良い。袈裟斬りは躱しにくく放ちやすいからな。起こり(予備動作)を出さないように意識しろ。
両の爪先は微かに上げて、親指の付け根、小指の付け根、踵の3点を意識し、踵を持って太刀を押し出す。振り下ろしと共に膝を僅かに抜き荷重をかける。

【もし彼女と話していなければ、瑛月は彼を止めていただろう。しかし今は違う、自分が強き想いを抱いたように、彼もそうなのだろうと分かるから】
【―――暫しの沈黙から零れたのは、技術指導の言葉の数々。この言葉が送られたということは、少年が悪狐との闘いに赴くことを容認したということなのだろう】

694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/28(土) 01:29:27.37 ID:/C5V54UGo
>>691

お、おいおい……そりゃあ大惨事じゃねえかよ!
料理っつうかよ、根本からやり方考えたほうがいいんじゃあねえのか?


【その後に続いたブラッシングやゴム手袋というワードに対して】
【「そういう問題じゃねえと思うがなぁ……」と】
【彼の先行き、というより彼に使われるキッチンの事を憂いて頭を抱えた】


「ゆーてー」ってぇとアレか、あの有名な正義の味方の
……ただのお犬様じゃねえとは思っていたが、まさか予想以上の大物だったのか?

まぁなんだ……アゾットがどこの誰だったとしても
俺にとっちゃあ飲み仲間の一人だがな
次またこうやって酒飲むまでよ、せいぜい元気に長生きしといくれや
置いてかれんのは何度経験しても、慣れるもんじゃあねえからよ――


【彼の発した組織の言葉から、アゾットの所属に大体察しをつけて】
【相変わらずの判りにくい笑顔を浮かべながら】
【しみじみと芯に残るような声で、そんな「お願い」をした】
【世界を救うという目的から見たら余りにも小さな、老い先短い寂しがり屋な獣人の頼みであった】


【――】


星が見えねえことなんざ珍しいことでもねえだろうよ
もっと晴れた、風の気持ちのいい夜に見にくりゃあいいさ


【グーはアゾットの言葉をそのままの意味で受け止めて笑いかける】
【きっと何か別の意味や、感情が篭っているのだろうが】
【現時点ではグーは察することは出来ないし、察していても】
【引き止めて問い質すような事はしなかっただろう】


おう、そうだな
さっきも言ったがよ……先にくたばんじゃねえぞアゾット
次飲む酒が、お前さんの墓の前なんてまっぴらゴメンだからよ


【グーは、力強い言葉で返事をすると杖と袋を持って立ち上がり】
【二足歩行の獣が二匹、互いに背を向けて別々の場所へと帰っていく】

【かたや、正義の味方として命を賭けて】
【かたや、老い先短い爺さんで】

【それでもまたこうして酒を酌み交わすことを願いながら、公園をあとにしていった】


/お疲れ様でしたー!
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/06/28(土) 01:39:54.23 ID:mVPD6KhAo
>>694
……そうか?

【この様子を見る限り、改めることはなさそうである】

まあ、新入りだけどな、それに世界を救うとかそういう高潔な気を持ってるわけでもない
大物ってわけでもないしなる気もないけど……

でもまあ、私がどこの誰でもそうやって接してくれるとありがたい

【と、呟いて】
【「お願い」にたいしては「そっちの方が死ぬなって話だ」と茶化して言うだろうか】
【茶化しながらも、その答えは心の底からのものであった】



もっと晴れた日に外に出られればいいなぁ

【あんなデスマーチスケジュール、二度とやりたくないと呟き】

だから、グーの爺さんこそくたばったりしたら殴り飛ばすからな、死体にだって鞭打つぞ

【けらけらと笑いながら、そう返答する犬】
【そして、それ以降振り返ることもなく、ただひたすらに自分の住処へと帰っていく】

【かたや、娘に関して苦労していて】
【かたや、料理に関して苦労していて】

【そんなどこか苦労している二人は、またどこかで出会うことを誓いながら、自らの居場所へと戻るのであった】

//お疲れ様でしたよー!
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 01:43:39.48 ID:8ePpGuE30
>>688

【小箱に入った指輪がフレデリックの手によって差し出されたなら、次は互いに交換に移る】
【添えられた手に彼の温かさを感じる。これから彼の手で指輪を嵌めて貰うのだと思うと嬉しくて、少しだけ緊張して】
【やがて手を預けて指輪を嵌められたなら、小さく微笑んでみせる。薬指に収まった金剛石が光を浴びて煌めく】
【指輪に込められた想い。彼の気持ちを間違いなくしっかりと受け止めて、マリアは応えるように微笑む――】

―――貴方の想い、しっかりと受け止めました。
今度は、私が貴方に……

【――今度は自分の番。見れば、彼の顔は素敵な笑顔に満ちていて、こんな顔も出来るようになったのかと嬉しくなって】
【指輪を手に取ると、彼の左手――血の通った、温かな手を取って彼がしたのと同じように、ゆっくりと嵌めようとする】
【あれだけの傷を負い手足も切断することになって、それでも奇跡的に左手――指輪を嵌める手が残っていたのは、神の思し召しか】
【対になったような、同じデザインの指輪。フレデリックの手にもマリアの手と同じものが輝いている筈だ―――】
【ちなみに、フレデリックの指輪には刻印の代わりに僅かにマリアの聖の力が込められていて】
【暗がりの中に入れば、ダイヤモンドが自ずから薄らと白い輝きを放つようになっている。……魔術の素質があるフレデリックなら、指輪を嵌めた瞬間彼女の力を感じる筈だ】

【こうして互いに指輪を交換し終えると、マリアはもう一度自分の左手を見つめる。】
【誓いの言葉を交わし、手には指輪―――これで名実共に彼の傍に居る妻となったと実感できて】
【フレデリックに微笑みかける。其処には、今までの彼女とは違う愛に満ちた彼女の顔があっただろう】


【そして、最後の誓いのキス。彼の吐息や体温が感じられるくらいに顔を近づけると、少し心臓が高鳴って】
【彼を受け容れ、唇を重ねる―――と同時に、図ったように一陣の風が通り抜けてふわりと髪が靡く】
【何処から風が吹いたのだろう。……司教たちの奥の方?何か聞こえる……】
【其方に目を向ければ――眩しい。金属の煌めきだろうか、……その光には見覚えがあるような】
【残った唇の感触と風の奥の音。心をその二つに向けていると、不意に手を取られると、そのまま手を引かれて】
【引っ張られるがままにテラスの方へとついて行くマリアの顔を見れば、何事かと不思議がっているのが分かるだろう】
【光の差す方へ向かう二人。その奥に待ち受けるのは何か―――】
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/28(土) 01:57:36.53 ID:j26LKKIBo
>>693

【――――流石に、少し驚く。男、中邑瑛月の刃が一定以上の領域≠踏み越えていることは素人目にも明らかだったのだが】
【そこに終わりも区切りも見出さず、ただ直向きに上を見据えている。濡羽色の双眸のなかに、刃に乗せる老獪さと強さに燃える若さとが同居しているようにも見えた】
【……瑛月の元来の才能の無さを知らない少年は、この人はいったいどこまで強くなるつもりなのか――――などと、少しばかり空恐ろしいものを感じてもいたけれど】


薙刀遣いの女の子が居たと思うんですけど、その子です。
ぼくがどうにか真剣を振るえてるのも、その子が模擬戦に付き合ってくれているからなんですよ……ちょっとスパルタ気味ですけど。

――――話を聞いた限りでは、ぼくも終わりは近いと思います。
次会ったときは、ぼくのこの剣も届く………ように、なってるといいんですけど。


【友達≠フことを軽く紹介しつつ、少年は苦笑いを浮かべた。『正櫻』を手にしてまだそう時間も経たないうちに、こうして形だけでも取り繕えているのは】
【一応の実戦経験があってのことである。……愚痴るように言った台詞からは相当の苦労が窺えたが、それはさておいて】
【悪狐の力は余りにも大きい。意志だけは固まっていても、それに力が伴わなければ意味はない。それが痛いほどわかるからこそ、少し自信なさげな言葉も紡がれるが――――】


えっ………あ、はい! 袈裟の構え、ですね。
起こりをゼロに、爪先上げ、親指と小指の付け根に踵、それで太刀を――――。


【投げ掛けられる言葉に最初こそ戸惑いはしたものの、少年は一瞬だけ表情を明るいものに変え、すぐに真剣な表情で構えを確認し始める】
【落ち込んだのも束の間、目の前に強くなるための手がかりがあるとなればすぐ吸収しにかかる。言葉を反芻しつつ、足回りを修正していって】
【こういう心理的な切り替え≠フ早さだけは、何よりも、誰よりも得意な少年だ。そのせいか飲み込み自体も早い、失敗を恐れず言われたことを忠実に実行していくだろう】

【――――刀を振るう度に汗が滴る。真剣の重さは竹刀とは比較にならない、年若い学生の身でここまでの鍛錬に耐えられるのは、やはり戦いの基礎が固まっているお陰か】
【自分の体力が尽きるまで、もしくは瑛月の言葉が止むまで、少年は悪く言えば愚直に、良く言えば誠実に、『正櫻』を振るい続けるだろう――――】
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/28(土) 02:19:21.62 ID:oBb/D48yo
>>696

【指輪の交換を終えて、フレデリックは直ぐに自分のそれに】
【マリアの魔術が込められていることに気付き、同時に少しばかり後悔した】
【互いの位置が分かるだとか、そういう術を自分も施せば良かった、と】

【――だが、それは後でも出来る事だ。自分に、血の通った手足が有るということが】
【果たしてこれほど嬉しい事が在っただろうかと、指輪を見て内心に強く思う】
【そして指輪の内に刻まれた言葉。互いに伝えた訳でもないのに、全く一緒】
【其処にも一潮の喜びを覚えながら――やがて交わすのは、誓いのキス】

【右足を一歩踏み出して近寄れば、そっとその手を添えて】
【そして、唇を重ねた折に吹き込む風。司教たちは『よろしい』と一言、付け加えて】



【―――わあッ!≠ニいう、声ともならない声。ざわめき、怒号とは違う人の波】
【それが、外に出た途端に耳から押し寄せる。そして日差しに目が慣れれば】

【其処には一面、更地のままの地区が広がっていて、しかし地面は全く見えないのだった】
【何故か、といえば――それは勿論、何十どころか、何千以上もの人々が其処に居るからに他ならない】
【その全てが歓声を上げていた。舞台に踊りでた二人を見るより先には、もっと上を見ていたが】

【もし振り向けば、其処には超大型のモニターが有ることが分かるだろう。恐らく、魔力仕掛けに違いない】
【映っているのは先ほどまで二人が居た空間。司教たちがこちらに向かう姿がまさに今、映ってもいて】


―――ハイハーイ!ホラ大司教もっと笑ってさ、奥さんの方もほら、スマイルスマイル!
 折角モニターに映してるんだから、皆に見せ付けてやらなきゃ損だよ『フレデリック』ッ!


【その声は何段か高い場所に居るカメラマン風の男の声だった。髪は金、線の細い人物だ】
【ジーンズとシャツなんて出で立ちはまさに、だったが――気のせいか、妙に親しげで】
【フレデリックはそれを見て苦笑していた。――どういう状況か、マリアには直ぐに分かるだろうか】

【テラスの下、正面に一直線には騎士たちが居た。千を優に超える彼らは、広い土地に規律正しく並び】
【その全てが槍を、剣を、それぞれ交差させて構えていて、どうやら先程の光はこれの反射らしく】
【其処にはマリアには見覚えのある顔も多かろう。第三近衛騎士団のメンバーを始めとして――】
【アレクサンデルの率いていた北方騎士団員、その他大勢の――共に巡礼を修めた者達が集っているのだった】
【そして特等席には子供たちも見える。手に手に花びらを持っていて、届かないけれども、精一杯にそれを舞わせて祝っているのだった】

【――フレデリックはそんな中、テラスの最先端まで彼女を引いてゆくだろう。モニターの画面は既に二人を映している】
【なるほど、つまり――みんな知っていた訳だ。大司教≠フ命令なら、それに従わざるを得ない訳で】


……生憎と、この教会に数千というのはちと無理が在ったのでな。
だが、ゼン=カイマ自体は幾らでも土地が余っている……騎士たちも駆け付けてくれたのだ
つい先日、な。だから、我々の知る皆が見てくれていた……先ほどのも、まあ、恐らく。

…――なあマリアよ……私はお前を愛している。ちんけな言葉ではとてもその気持ちは表しきれん
かと言って、それを物に表す事も出来ぬ男だ。……だから、皆に私の思いを認めて貰おうと思った

その上で、お前に一つ問いたいことがある…――もう一度、私とキスしてくれないか。
モニターなどではなく、皆の前で。……勿論、嫌だと言うなら…――。


【――フレデリックは正面からマリアに向き直って、そう言った。生真面目だが、柔らかな表情で。】
【どう答えるかは自由だ。妻だ、と言っても物事を強要されるはずもなく、また彼もそれはしないのだから】

【だがYES≠ニ答えたなら。彼は右手でマリアの腰を抱くようにして、距離を縮めて】
【左手でそっと頬に触れようとし、そして先程よりも深く、口付けしようとするだろう】

【まったく、とんでもないサプライズもあったもので――ましてやり方が大胆だった】
【槍を振るって聖書を読む、堅物一辺倒のフレデリック・シャリエール=z
【其処からは全く想像だにしないような手段。――さて、もしも。もしも、口付けに応えれば】
【二人の背後から『二人の結婚を此処に認める』という司教の声も聞こえよう、が――。】
699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 02:25:58.25 ID:8ePpGuE30
>>698
//すみません、とても良い所なのですが眠気が襲って来まして……
//ここからは是非万全の状態でお返ししたいので、宜しければ持ち越しさせて頂いても宜しいでしょうか?
//明日は20時には返せると思います!
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/06/28(土) 02:27:18.44 ID:27K7u/qro
>>697

……もしかして、気性の荒そうな―――確か、幸徳井佳乃。
それなら君がある程度の経験値を蓄えていることも納得がいく。―――彼女は強い。
あれ程までの領域に達するまでに相当の修練を積んできたのだろうが、加えて俺とは違い才能に溢れている。

大会での活躍を見た時に思ったよ。彼女は俺よりも強いかも知れない……否、今もし俺の方が強くとも―――修練を忘れなければ5年後には確実に抜かれていると。

【彼女の振る舞いは覚えている。何というか、もう少し攻撃性を隠すことは出来ないのかと思う位のモノだった。そして彼女には、個人的に注目しているから―――】
【……同じ武人として、あの強さを放っておける筈がない。大会では解説をしていた瑛月だが、彼女の試合には心の奥から燃えるものが2つあった】
【濃縮された最高品質の「武」を感じた、と言う表現が最も合っているだろうか。そんなものを見て対抗意識が芽生えないわけがないという感情の焔が1つ】
【そして彼女に感じた天性を更に活かしてあげたいと言う感情の焔が1つ。自身の「武」を彼女に注ぎ込むことが出来れば―――バケモノが生まれる、と思ったのだ】

……そう、出来なくてもいいから先ずは意識だけでもするんだ。袈裟がある程度鋭くなれば自然と他の動きも良くなる。

……―――後は日頃から歩き方を意識しろ。体軸を1つにする歩き方に『撞木(しゅもく)』というものがある。体軸を1つにすれば自然と起こりが少なくなる。
進めた足と残っている足のつま先の角度を約90度の十字にして、前足の踵の延長線が後ろ足の親指と踵を結んだ線上の真ん中に位置するように歩く……のだが、
言葉で説明しても分かりにくいだろう。―――まぁ先ずは、これだけだ。1度に多く言い過ぎると良くない、悪狐との闘いまでにある程度仕上げなければ話にならん。

―――……では俺は帰るが、その姿を良く見ておけよ。

【ある程度彼の動きを見たかと思えば、振り返って袴を少しだけ持ち上げた。足の動きが見えるようにという彼なりの配慮である】
【そのまま公園を立ち去るまでの数十歩―――その動き、まさしく「撞木」。そして驚愕すべきは、その歩法がまるで「動く歩道」にでも乗っているかのように不動なのだ】
【腰から上が全く動かない「不動」。足元を見せていなければ本当にホバー移動していると思われても仕方がない程の】

【動きに起こりはまるでなく、軸は1本で固定。ここから流水のように自由自在に重心を移動させることが可能であるという、独特の歩法】
【ここまでは出来ずとも、ある程度近づいて欲しい。本来唯刃流の秘伝の1つにも関わらず教えたのは、彼の持つ「可能性」を大きく感じたからであることは瑛月しか知らない】
【―――気配も無く、音も勿論なく。濃密な「武」の香りだけを残して、瑛月は公園から姿を消した】

/ありがとうございましたー!
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/28(土) 02:28:40.14 ID:oBb/D48yo
>>699
/っと行き違ってしまいましたね、舞台裏にも書いた通り、問題ないですよ!
/むしろお心遣いに感謝です!自分は、明日一日空いていますので
/そちらの余裕のある時、勿論八時以降にでも返して頂ければ、と!
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 02:31:29.38 ID:8ePpGuE30
>>701
//有難う御座います!ではまたお願いしますね!
//それでは一旦お疲れ様でした!
703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/28(土) 02:32:21.50 ID:oBb/D48yo
>>702
/はい、ではまた明日!お疲れ様でしたー!
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/28(土) 03:18:11.87 ID:j26LKKIBo
>>700


ええ、その子です。佳乃は――――まぁ、気性の方は仕方ない≠チていうか、否定しようがないですけど。
誰よりも強い退魔の力を得たのは生まれた瞬間、薙刀術を修め始めたの時期も対して変わりません。
…………才能と努力の固まりですよ、ぼくの幼馴染≠ヘ。


【……瑛月の内心の感想には少年もまったく同意するところであった。精神的には未成熟というか、同じ学生の少年が言うのも何だが反抗期真っ直中みたいな性格】
【ただし、強いというところも同意だ。瑛月とは違って、彼女はそれこそ神にでも選ばれたかのような莫大な才能を持って生まれたけれど、】
【由緒ある家柄ゆえの巫女≠ニしての義務と、先代の背中を追う内に築き上げられた武人≠ニしての誇りが、決して彼女に努力を忘れさせなかった】

【まだまだ若く、荒削りな面も大きいが。才能と努力とを幼い頃から編み上げてきたあの少女は、確かな強さと可能性を持っている】
【……そんな彼女と幼馴染だというこの少年は、果たしてどうなのだろう。才能の量も努力の量も彼女には到底及ばないが、しかし――――】


はぁ、はぁ…………、
体軸を一つにして移動する歩法、『撞木』ですか――――わかりました、肝に銘じておきます。

――――次会う時までに少しでも強くなっておきます。……その時は改めて、名乗らせてください。
ありがとうございました、瑛月さん!


【――――息を切らしつつ袈裟を振り続けて、瑛月から新しい言葉を受ければ一度手を止め、その内容を真摯に受け止める】
【物事に対する素直さと地頭の良さは、あの少女になくて少年にはあるものの一つだ。それをフル回転させて要旨を纏め上げていく】
【それを実践出来るかどうかは、また別だけれど――――背を向けた瑛月の足回りの動きとその見事な体軸のカタチを記憶して、少年は確かな手応えを感じて頷いた】
【そのまま公園から去っていく彼へ、少年は行儀よく一礼するだろう。瑛月は聞かなかったし、少年も敢えて自分の名を告げはしなかった】
【次会うまでにもっと強くなって、例え駆け出しでも剣術家≠ニして、名を覚えてほしいと思ったから――――】


(………さて。もう少し試したら………こっちの鍛錬も、始めよう)


【……ざわり、と。そうして、少年以外に気配も音も消え去った公園の一角に、銀色の波動が満ちていった】
【出所は刀ではなく、少年の方――――剣術と平行してこちら≠燻d上げなければならない。こればかりは瑛月に教わるわけにも行かないのだ】
【『正櫻』の発する破魔の力と、それとまったく相反する力の流れ。それらが互いに喰らい合う最中に、少年の苦しげな呻き声がしばらく響いていたけれど】
【これは、そう。仕方ない≠アとなのである。幼馴染とも瑛月とも違う、弱く平凡な少年は、しかし――――強さ≠フ意味だけは、知っていた】


/お疲れ様でした!
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 20:43:47.60 ID:04c+ncDeo
【 水の国/レイリスフィード学園 】


【──夕日が西の空に沈みつつある、午後】
【レイリスフィード学園高等部の校舎は、窓が陽の光を照り返して眩しいほどだった】
【──しかし、校外の道からでも、校内からでも。『三階の窓』の一つだけ、開け放たれているのがよく見える】



──…、… 。


【その窓枠に腰掛け、丘の下の街を見下ろしている人物】

【外っ側にハネた金髪。眠たげな蒼の瞳。──紅いネクタイを緩く結び、制服を身に纏った少年だ】
【第2ボタンまで外されている胸元には菊花≠フネックレスが放つ光が覗いている】
【紛れも無く、『生徒』だろう。 彼は、軽く欠伸をすると大きく背伸びをして── 】




 【 ──どんっ=z




【瞬間── その身体が、窓の外へ落下≠キる】

【紛れも無い、『自由落下』だ──、「翔んだ」り、「止まった」り、そういった能力者ではない】
【人間が落ちればさもありなん、という速度で、彼は地上の花壇≠ノ向かって、相対距離を縮めてゆく── 】
【──その様子も、それこそ校外からでも、校内からでも、丸見えだろう】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 20:58:30.39 ID:ll9cBlPno
>>705
【放課後―――――唐突に、何の前触れもなくそれは起こる】
【三階から誰かが落下した、ちょうどそれだけ空いていた窓から】
【もう既に黒髪の少年は昇降口を降り、帰路につこうとしていたところ】
【そんな状況を見てもなお、かなり冷静であったわけだが】

「なんだ、あれ…………」
「…………うわ、落ちてるじゃないか」
「自殺志願者なのかな、まあ死にたいなら好きに死ねば良いと思うけど」
「まあ、でも…………気にはなるよな」

【というわけで、少年が落下するであろう場所へとのんびり歩く】
【このままでは少年はあっさりと落下するであろう】

【何にせよ、この渚という人間に彼を落下しないように助けるつもりなどなかった】
【ちょっとした興味本位で落ちた彼を見物でもしようか―――】
【そんな悪趣味とも言えるが、こっちとしてかなり充分な理由で】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 21:09:20.58 ID:04c+ncDeo
>>706

【──どすん=z

【彼が落下したと見られる音が、黒髪の少年の耳に届くだろう】
【……だが、『鈍い』。 人が落ちたにしては、『ぐしゃり』となった感じのない音だ】
【少年が、落下した地点──ゴミ捨て場≠ノ、辿り着いたなら】


 ──…、…あぁ。 ゴメンね、騒がせて。


【落下した少年>氛沐゙が、何でもない様な表情で、軽く笑んでそちらを向くだろう】
【その場に尻もちを突き、身体は汚れているが、怪我≠している様子はない】


「──、ほら、見ろよ!生きてるぜ!」

『うわぁ、気持ち悪ィ……。 ──行こう。』


【──三階の窓から、そんな声】
【二人の学生が顔を覗かせ、直ぐに引っ込めた。 『落とされた』のだと、分かるか】
【一方、金髪の方はと言えば、上方を一瞥もせずに制服の汚れを払っていた】
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 21:17:11.27 ID:ll9cBlPno
>>707
「…………あれ、生きてる」
「あぁ、大丈夫?」

【普通に、何事もなかったかのように少年は生きていた】
【そして上を見れば、二人の学生】
【―――――なるほど、自殺じゃなく落とされたわけだ】

【何だかあの二人が気に入らなかったので石でも投げつけてやった。もちろん三階なので届く事などないだろうが】

「…………それで、なんだ」
「虐められてるの?君は」

【しかし理由は何となく想像出来る、というか】
【三階から落とされて怪我がない時点で、この少年は「異質」であると理解出来る】
【つまりは、能力者】
【自分と同じ、忌み嫌われる存在】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 21:27:58.71 ID:04c+ncDeo
>>708

【──汚れを払い終わった彼は、ゴミ捨て場から這い出る】
【その作業で、また汚れたらしい。 「しまったな」と呟いて、また汚れを払い始める】


……うーん、どうなんだろう。

【──質問には、妙に神妙な顔で数秒、考えて】


虐められてる、って訳でも無いかな──俺に、ダメージが無い訳だから。
その『行為』に着目するなら、虐め≠チて言ってもいいとは思うけど……。

──、君、何年? 先輩だったら、タメ口でゴメン。


【「異質」と言うか──なんとなく、“ズレた”少年だ】
【何処からどう見てもイジメなのだが、別に怒ったりする素振りもない】
【……彼の首元の紅いネクタイを見れば、二年生=Aだとは分かるだろうか】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/28(土) 21:35:46.92 ID:/C5V54UGo
【とある町外れ】


用意してみたはいいんだけど……や、やっぱり何か違うような……


【行き交う人で賑わう中心部から逸れた町外れ】
【そこの一角に建った小さな店の前で、何やら妙な格好をした人物がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いシャツに藍色のダメージジーンズを履いている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【背中には漆黒のマントを靡かせて、腕には怪我でもしているのか包帯を巻き】
【碧眼の片方を茶色の眼帯で覆った色々な意味で痛々しい格好をしているが】
【本人に気迫がなく、容姿も弱々しいので下手なコスプレにでも見えるだろうか】


し、漆黒の闇に飲まれるがよいー……
うぅん……僕が目指してるのは多分こういうのじゃないよね


でもどうしよ……せっかく買ったんだし、もうちょっと着てないと勿体無いような……


【マントの裾をちょこんと摘みながらも、少年は一人葛藤していた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【少年の立っている後ろにはそんな看板を下げたお店が建っている】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 21:45:25.58 ID:ll9cBlPno
>>709
「まあ、客観的に見れば誰がどう見ても虐めだね」
「君がそれを虐めだと思ってないなら、虐めじゃないんだろうけどさ」

【怒ってるわけでも、悲しんでるわけでもない】
【ただ普通に、平然と】
【その様子を見て、やはり普通ではない、「異質」だと思った】
【―――まあ、自分も能力者という観点から見ればそれに入るのだが】

「あぁ、僕も二年生だよ」
「だから安心してタメ口を使うと良いさ」

【赤いネクタイを見て、一目で自分と同学年だと分かった】

「それで………君も、能力者?」
「僕はそうだけど」

【あっさりと自分の事をバラし、相手に問う】
【別に知られても構わない、学校生活に支障は出ないのだろうから】

712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 21:46:05.73 ID:ll9cBlPno
/すいません最後のは無視してください
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 22:01:06.13 ID:04c+ncDeo
>>711

【ようやっと、汚れを払い終わったらしい。 ──何故か、満足気な表情をして】
【平然と話す彼の表情を一瞥、軽く頷く。「同学年か」、と呟いて】

うん、能力者。──じゃあないと、さっきで骨折れてる。
…、…あ、でも強化人間≠ニか、そういう可能性もあるか。
最近は凄いらしいよ。投薬だけである程度、能力者に近付けるって『兄貴』が── 、

──と。ゴメン、関係ないね。

【一人で喋って、一人で納得。一人で軌道修正。──話すのは嫌いでもないらしい】
【人当たりも、“ズレて”はいるが、決して悪い方ではないようだ】
【──、そんな彼が虐められているのは、能力者≠セからなのか、それとも、パーソナリティ≠ノ依るのか】


あぁ──名前、訊いたっけ。
…、…あ、ちょっと歩いてもいい? そろそろ帰るところだったんだ。


【それにしてもまぁ──繰り返しになるが、よく喋る】
【自分で訊いておきながら、彼の足は既に校門へと向かっていた】
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 22:11:19.07 ID:ll9cBlPno
>>713
「投薬、ねぇ………」
「まさかヒュドラ……いや、あれは暴走させるんだっけな……」

【投薬という言葉に反応して、こちらも一人で喋って一人で納得】
【レイリスフィードの闇についてはもう知っているが、それを果たして口外すべきか】
【でもニュースになったんだっけか、僕は真実を知っている当事者なわけで、つまり大スクープとなり得るネタを握っている】

「僕は渚 詩音」
「忘れても構わないけど、一応名前だよ」

【社交辞令という事で自己紹介、ちゃんと覚えてもらえるのかどうか】

「僕も帰るところだったんだ、奇遇だね」
「というかこれからは毎日落ちてみればどうだい?」
「良いショートカットになるぜ」

【冗談交じりに言葉を発しながら、自分も校門へと向かう】
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 22:26:52.99 ID:lxhpqBYV0

【喧噪で賑わう街の中、その中央部で一層その騒音は増していた】
【見れば、人集りがあるのだか――――何だか、妙で。よく観察すれば其れがまるで何かを囲む様に円状になっている事が分かるだろうか】
【その中央には数人の人物達。ガタイの良い男達と…………赤髪の修道女が一人】

【それから先の展開は実にあっという間であった。殴りかかってきた一人を修道女がいなせば、そのまま後頭部を拳で打ち付けて】
【続けざまに来た数人の肝臓やら頸部やらを確実に拳で打ち抜いたならばもう終わり。時間にすれば十秒と少しだけだ】


「――――ふん。威勢だけ良くて実力が伴わないのだから無様ね
……アンタ達。悪いけどお楽しみの時間はもう終わりよ。さっさと其処を開けなさい
退かなければぶっ飛ばす。ただ其れだけだけど」

【修道女とは思えない粗暴さ。容赦なく一般人を殴りつけたり、他の者達を威嚇したり】
【最初から見ていれば、諍いの原因も男達が妙な因縁を付けてきた事にあるのだが――――だからと言ってもコレはやり過ぎであろうか】
【兎にも角にも、自分まで叩き伏せられたら敵わないと真っ二つに分かれる人集り。その真ん中を歩く姿は実に目立つもので…………】
【興味を抱いた者は話し掛けやすく、或いは何も知らない者は何事かと疑問を抱くだろうか】









【――――街灯も無く、月の明かりのみが光源となる夜の公園】
【無論無邪気に遊び回る子供達も居なければ井戸端会議に勤しむ者達の姿も無い】
【ただ、今宵は備え付けのベンチに一人の姿。真っ白なローブは月光を眩く跳ね返す故にその存在だって良く目立つ筈で】

【フードによって顔が隠されては居るが、座高から見て子供と判断して間違いは無いであろう】
【加えるならば、側に黒猫が近寄りその人物の膝の上に乗ったり頭の上に乗ったりと楽しんでいる様だが】



「イリニを遊具代わりにして楽しいのですか。イリニには分からない事ですが」

【当の本人は無関心――――と言う訳でも無く。然れど抑揚の無い声は感情を掴ませない様であって】
【特に追い払う事も無く好きにさせてやれば取りだしたのは“聖書”だ】
【然れどその上に猫が乗っかってしまえば読むことも出来ず。諦めた様に漏れたのは小さな小さな溜息】

【さて、時間も時間だ。なればこの様な人物が出歩いているのはそう感心できたものでは無いが】
【――――先も記した様に、その者の姿は良く目立つ。黒猫と共に居る存在、延いては聖書だとかに興味を抱く者が居るかは分からないが】
【少なくとも、何者かが公園に入ってきたならばベンチに座っていた者も顔を上げてそちらを見るのだが】



716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 22:27:05.37 ID:04c+ncDeo
>>714

【──校門を越えて、道なりに歩く】
【行く先は近辺の駅だろう。 詩音がそれを望まない、と言うのなら、立ち止まったりもするのだろうが】

詩音──、うん。多分、覚えてると思う。
忘れてたら、また教えてよ。 俺はクルト。

【流れの中で、さらっ、と自己紹介──何故か、『苗字』は話さなかった】
【詩音の冗談に軽く笑うと、クルトの胸元の菊花のネックレス≠ェ軽く揺れて──】


ヒュドラ>氛氈B


…、…確か、何かの薬物≠セったっけ。
ニュースで見た──最近、旧市街辺りでも出回ってるらしいね。

【「誰が作ったんだか」──、ほんの世間話の調子で、言葉が飛び出す】
【奇しくも、詩音が『思った』ことと、その答えは符合しているのだが】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/28(土) 22:29:30.48 ID:hdM1Rf+u0
【水の国】

【都市部。中心街からやや外れ、それ故にさまざまな目的のために用いられた一角がそこにある】
【以前は精神・肉体強化系薬物による深刻な汚染下にあった区域。今は事の元凶たる売人たちと諸共に駆逐されたのか、少なくとも表通りには汚濁の気配の見える事もなく】
【ごく普通の人々の姿もしばしば、自然と見られる様になっていた。それらは主に興味本位の探索であったり、已むを得ず何者かを捜す目線の向く先であったり――――】
【ひとり、ひとりが仕舞い込んだ都合によって。色取り取りに染まりゆく一人一人の人びとは行き交って】



【また一つ、柔らかな姿かたちで足音が増える。硬質な表面がアスファルトを打つやや足早な―――― 一定のリズム、それもやがては紺青色の帳の静けさに還り】
【そこで足を留めたことを識るのだろう。ガコン、と機械音と“購入済み”の品一つ分の落下音が響く。筐体からそれを取り出せば、備え付けられた木造りの長椅子が目に入る。】
【小さな足音。あるじと呼ぶには、源たる彼女は花の薫りとあどけなさを残す黒曜の耀きとが過ぎていたのか】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 】

【“この通りの”と注釈を入れる必要こそあれど―――― ごく普通の店舗の傍ら、自販機近くのベンチに座すのは、そんな形容の出来る人影だった】



(回るべき場所は巡った、か。今夜までで望み通りとは行かなかったけれど……)

(……未だ、全部が終わった訳じゃない。これまでで、ゼロって訳でもないのだし――――)

【きゅ、と軽い音をたててキャップが回る。見ている分にはごく普通の所作で――――この場所にあること以外に違和もなく】

【櫻の国風の茶のボトルを手に、自らを落ち着かせる様に一呼吸。たなびく夜色の衣や艶やかな黒髪は穏やかな風に揺られて、もうひとり分の余白に、背伸びする様な感覚を覚えながら】
【水面を渡る木の葉のよう、先を急くばかりだった音色は小休止を置く。なにかを為すための静穏な気息。今は、凪ぎを迎えて雲を待つ孤月とあおの夜天にも似て】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 22:39:08.81 ID:ll9cBlPno
>>716
「おっと、僕は徒歩で来てるからこっちだな」
「急がないなら、ここで立ち話とでも洒落込もうか?」

【分かれ道に差し掛かった辺りで立ち止まり、自分が行くべき方向を指さす】
「クルト、か」
「その時に会えたら、また教えてやるよ」

【苗字を明かさなかったのは気になるが、別に興味の範囲内ではない】

「僕の考えとしては、これを作ったのは学園側だと思う」
「いや、学園というより大学側か」
「そいつで能力者達の能力を暴走させて、評判を下げる」
「社会の反能力者を叫ぶ声は大きくなり、レイリスフィード主導で能力者を排除しようとする」
「あくまで予測だけどね、でも能力者が嫌いなあいつらにとってはお好みのシナリオだろうさ」
「つまりヒュドラを作った理由は―――社会的な能力者の立場を弱くするためって事だ」

【予測にしては随分と具体的、と思うだろう】
【真実を語っているのだから、それもそのはずだ】
【まるで見て聞いてきたかのように、渚はそれを話す】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/28(土) 22:51:38.14 ID:COBU3FZ00
>>715

【ざわめきを湛えた人混みがざっと掃けていく中で、修道女の進行方向に、唯一身を引かない影が1つあった】

っは……中々面白そうな事、してるじゃねぇか……

【灰色のセーターの上から、黒のごつい厚手のベストを装着し、両腰に金属製と思われる黒塗りのトンファーをぶら下げている】
【さらさらした短めの銀髪と、やや不格好なレベルで大きいサングラスが印象的な】
【どこか威嚇的で近寄りがたい雰囲気を宿している、身長180cm前後の青年】

【恐怖に身をすくませてその姿をやり過ごそうとする群衆の中、顎に軽く手をやりながら、口元に笑みを浮かべている】
【一連の顛末を『観客』の1人として見届けていた様だが、その反応は周囲の雑踏とは明らかに一線を画していた】

……そっちが良けりゃあ、俺とも相手してくれよ……!
久しぶりに、スカッとした殴り合いってのも、やってみてぇ気分なんだよ……!
こっちは退く気はねぇぜ……よもや、無視するなんて腹はねぇよな?

【挑みかかる様な口調で、修道女に対して挑発の言葉を向ける銀髪の青年】
【軽くサングラスの位置を指先で改めながら、微かに両足の感覚を広げ、スタンスを下げる】
【どうやらこの青年、相応に腕に覚えがある様で、先ほどの修道女の大立ち回りを見て、興味を引かれたらしい】
【暴漢連中の様に、簡単に行く相手ではないのかもしれないが、迷惑な『飛び込み参加』である事は間違いないだろう】
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 22:55:07.79 ID:04c+ncDeo
>>718

【いいよ、と応えてクルトは立ち止まり、詩音へ向き直る】
【夕日は既に沈みかけており──、あと数分もすれば、辺りは真っ暗だろう】

【──、そして、詩音の話すレイリスフィードの闇≠、クルトは聞き届けて】


……詩音って、週刊超実話≠ニか、好きなタイプ?


【楽しそうに──笑い声を上げて、『陰謀論』で有名な雑誌の名前を挙げた】
【どうにも、信じがたいらしい。 …、…当然と言えば当然か】
【自分の通っている学校、その上層部と違法薬物── 一般人にとって、繋がりは突飛だ】


確かに、ウチの学校は『当たり』が強い所もあるけどさ。
…、…うーん。でもその話、面白いね。話の種に取っとくよ。


【そう言って、もう一度笑う彼──、能力者であっても、普通の学生=Aと言う事か】
【詩音からすれば少し、拍子抜けだろうか。“ズレている”彼なら、本気にしそうでもあった】
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 23:09:38.94 ID:lxhpqBYV0
>>719
【――――チ、と舌打ちが漏らされるのも無理は無い】
【紅の瞳は単なる群衆を萎縮させるには十分な効果を持つであろうが、“実力”を持った者が相手ならば真逆の効果だ】
【即ち、昂ぶらせる事以外何の意味を持たない事だろう。……野次馬達も何かを悟ったか、二人から離れ始め】

【ともなれば出来上がるのは即席の“フィールド”だ。障害物も何も無い、コロシアムの様な円】
【ジロリ、と見遣れば半身の体勢。不意打ちにも対応するその構えは――――やはり、人々を救うその職らしくも無く】



「――――……馬鹿は無視するに限るのよ。今も昔も
だけど、無視して行った所で噛み付いてくる様な馬鹿は叩き伏せなきゃいけないわ」

【刺々しいのは雰囲気だけでは無い。その言葉だって、諭す事に使える筈も無い】
【女と男。骨格でも筋肉の量でも圧倒的に不利な筈だが――――先のを見ていれば、油断できる相手でも無いと分かるだろうか】
【何しろ数人掛かりを数瞬で、だ。武道の心得だとかでは無く、余程実戦を積まなければ出来ない動き】



「逃げるならさっさと逃げた方が利口よ?…………でなきゃ、予め怪我をしそうな所に絆創膏を貼るなりしておいた方が良いんじゃない
悪いけど、アタシは治癒だとか苦手だから。怪我した後に――――とかそんな甘い考え持ってるならさっさと回れ右でもしなさい」

【其れだけ言えば、冷えた双眸が其方へと向けられた】
【――――開始を告げる鐘の音だとか、そんな無粋な物は一つも存在しない。あるとするならば、青年が動き出したその瞬間に始まるのである】

【詰まる所、先手は譲られた具合だ。挑発の言葉を返すなり――――或いは、行動で“示してしまって”も良いのだ】
【自警団や警察だって此処に来ないのだから…………例え汚い手段を使おうが、其れは場を盛り上げるだけに過ぎない】
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 23:10:35.30 ID:ll9cBlPno
>>720
【まあ、簡単に信じるわけもないか】
【それにあくまで、この場の話では、これは僕の予測】
【ただの話題提供であり、同意を求めてるわけでもないのだ】

「まあ、だろうね」
「でも嘘という証拠もないぜ?」
「まあ、本当という証拠も―――――ないけどね」

【自分は見て聞いたわけだから本当も嘘も、答えは出ているのだが】
【それを押し付けるのは些か愚かだろう】
【自分が見ても、相手は見ていない】
【あの時の死闘も、何もかもすべては自己完結する事】
【公になる事はなく、ただ闇の中へと葬られるのみ】

「まあ、笑い話ってことで受け取ってくれれば良いさ」

【だから、最後にこう付け足した】
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 23:20:54.60 ID:04c+ncDeo
>>722


ははっ。 そうだね──、本当だったら、面白い。
俺達は困るけど、さ。

【『俺達』と言うのが、能力者≠指すのか、生徒≠指すのか】
【──、前者なら多少なりとも、『こういう話』をする適性≠ェ有るのかもしれないし】
【後者ならそれこそ、空想の話として捉えてるだけ、という事に成るのだろうか】


──、結構、暗くなって来たな。


じゃあ俺は、ちょっと用事があるからコレで。
また学校で逢ったら、声掛けてよ。 俺、あんまり『友達』居ないから、さ。

【何時の間にか、『友達』認定されたらしい──人懐っこい笑みを、クルトは浮かべて】
【軽く手を挙げると、「バイバイ」と告げて、駅の方へ歩いてゆく】
【──、尤も、詩音が呼び止めなければ、の話だが】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/28(土) 23:22:20.23 ID:COBU3FZ00
>>721

……良いねぇ、乗り気じゃあなさそうだが、始めちまえばそんな事、何の問題にもならねぇよな……!

【外見と纏う雰囲気とのギャップ。修道女のそれを青年は全く問題にしなかった】
【そもそもその事は、初めから見ていて分かっていた事でもあったのだろう】
【むしろ今は、この修道女をどうやって「その気にさせるか」の方が、青年にとっては問題だった】

……はっ、舐めんなよ?
その気がなきゃ、わざわざこんなふっ掛け方なんざしねぇよ。それに……怪我する事だって織り込み済みだってんだ……
言ったろ? 「スカッとした『殴り合い』がしてぇ」ってな……お前みてぇな奴相手に、1発も貰わずに終われるかよ?

【冷徹なその言葉も、青年にとっては言わずもがな事である。そもそもが、そうした実力を見てとって『面白そうだ』と感じたからこその挑戦である】
【殴り合いで「スカッとしたい」と言うのも、随分と乱暴な言葉に思えるだろうが、青年の口元は、その言葉通りに期待を孕んだ笑みを浮かべている】
【単なる無謀な喧嘩したがり、と言うには、何かしら自分の腕に確信めいた自身を持っているのだろう】

まっ、気に入らねぇなら……精々足蹴にしてくれよ――――――――っとぉ!!

【無論、相手が苛立たしげに接してくる事も分かる。中々に身勝手な形で挑みかかっているのだから】
【しかし、それも始まってしまえば同じ事――――言葉を紡ぎ終えるや否や、青年はぐっと姿勢を低めて、前方へと駆けだす】
【――――ともすれば腰ほどに姿勢を低くした、淀みの無い踏み込みで、修道女の下腹部に拳を叩きこもうとする】
【ここまで姿勢を低くすれば、腕からの一撃は有効打になりにくい。なら、回避か蹴りのどちらかに意識を集中させて対応すればよい】
【身体能力と経験則からの状況判断からなる、素早く低い一撃が、青年からの『開始の合図』となって修道女を襲うだろう】
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/28(土) 23:30:10.31 ID:ll9cBlPno
>>723
「あぁ、困るね」
「まあ、僕はそんなの気にせず、図々しくのうのうとしがみついてやるけどさ」

【周りが何を言おうが、どれだけ嘲られようが】
【それでも、しがみつく】
【しがみついて、生きる】
【そんな事に意味などあるのだろうか、という戯言を脳内でかわしながら】

「うん、じゃあね」
「あぁ、そうするよ、クルト」

【いつの間にかお友達認定されてしまった】
【まあ、拒む理由もないし別に良いのだけれど】
【こちらも手を挙げ返して、クルトを見送る】
【そしてクルトが遠くなった頃に、渚は家へと足を進めた】
/キリが良いので〆で、ありがとうございました!
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/28(土) 23:44:08.75 ID:lxhpqBYV0
>>724
【面倒な事。故に苛立っているのは当然であったが――――何よりもこの局面に於いて話し掛ける者と言えば腕に覚えのある者以外に居ないからだ】
【ならば先程の様に簡単に事は進まない。だからこそ、見せるのは苛立ち】
【無傷で終わらない事はある一定以上の実力も持った者同士ならば戦わずして分かる事】

【威嚇の言葉を聞いても下がる事が無いと知れば…………漸く、闘気めいたものを感じ取れる事が出来るだろうか】
【先ず青年の一撃。受けるでは無く、下に叩く様にして捌いた】
【其処から分かる事。膂力はそれ程でも無い、という事か。先程の男達を倒した時も異能を見れなかったから…………ならば打撃の正確性に注意すべきで】



「泣いて無様な姿を見せるんじゃ無いわよ――――!!!」

【とは言え。捌くにしても素人の単なるストレートとは異なる。側腹を指が掠めれば其れだけでも痛みは生じるもの】
【然れど止まればただの木偶になるだけだ。青年の突きだした腕をレールにするかの様に手を添わせれば、そのまま顔面へ向かって手の甲が放たれる事だろう】
【狙いは僅かな力でも大きなダメージを出せる鼻だ。鼻血を出させる事が出来れば呼吸も阻害できるから、と実に姑息な手段】

【――――手刀で押さえる事によって所謂“切る”事と腕を絡める動作を封じる。常人相手ならば其れで終わり】
【だが……青年とて、ただ喧嘩を売った訳で無いはずだ。例えば一度身を退く等をすればその裏拳から逃れる事も出来るし――――“足”を狙えば体勢を崩す事だって出来るのだ】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/28(土) 23:50:09.16 ID:04c+ncDeo
>>725


【──詩音と別れ、駅に到着。アトヴェラルの中心部へと向かう】
【一度、電車は地下へと潜り。 ……窓に映し出された首元のネックレス】
【弄びながら──、眠たげな顔をした彼は、頭を巡らす】


(──ヒュドラが大学製=Aか。)

(『アサド・アル=アーデル』だったっけ。『GIFT=xのテロリスト。)
(ウチの学校、編入取消になってたよな。……で、ウチの『施設』を襲撃。)
(……『GIFT=xと『ウチの上層』との考え方は、真っ向から対立してる。)
(「生徒会長」も消えてるし、最近、おかしいことが多いのも『事実』。)

(……案外、法螺話≠セとは思えないんだけど、ね。)


【彼の頭上──車内のモニターには、レオポルト・ルカイナー≠ェ会談を行った、との短いニュース】

【水国貴族にして、元軍人。 現在は政治家として、精力的に活動を行っている】
【──、そんな事を、政治に興味があるなら知っているかも知れない、という人物だ】
【特徴的な『女言葉』で、つらつらと今後の外交展望、などと云った物を語っている── 】



……、『兄貴』が、喜びそうな話。──教えてやんないけど。


【それを見て──クルトは軽く呟くと、開いた扉から駅へと降りていった】

/お疲れ様でした
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/29(日) 00:01:04.90 ID:0ud/FOq00
>>726

(……良いねぇ、どうやら乗ってきた様だぜ……!)

【雰囲気が変わった事は、外から見ても分かる――――青年は、我知らずほくそ笑む】
【これでもう、無視されたり軽くいなされたりと言った事態は心配せずに済むからだ。とは言え、それは本当の実戦開始を意味するものでもあるが】
【攻撃を喰らう事も、戦いの中の1つである。それをも含めて、相手がやる気になった事を喜ぶべきだろうと、問題にしなかった】

――――――――っとッ!

【そんな思考も刹那の際に置き去りにして、青年は低い姿勢からの打撃を見舞ったのだが、当たりは弱く、逆に裏拳が飛んでくる】
【流石に、自分から飛び込んだこの状況で、後ろには咄嗟に引けない。かといって、顔面の、特に鼻は人体の急所の1つだ】
【何とかそこに一撃を貰う事だけは避けなければならない。青年は、瞬間にそれだけを判断して】

【わずかに頭を前へと振る。首の角度を傾ける事によって、鼻ではなく、額でその裏拳を受け止めた】
【額は、特に固くて厚い骨が存在する。無論、強力な打撃を喰らえば脳震盪と言う可能性もあるが】
【鼻を狙った攻撃ならば、力よりも早さを重視させているだろうから、額で喰らっても問題はないだろうと判断したのだろう】
【――――襟元から、わずかに金色の十字架を象ったネックレスが覗く】

――――やるな、ッ……はぁッ!!

【クロスレンジにとりあえず接近出来たのは良いとして、このままでは体勢的に不味い】
【反撃を額でいなし、そのワンテンポを利用して青年はわずかに後方へと下がると、低く下げていた体勢を立て直す】
【そこから間髪いれずに、真正面から前蹴りを修道女へと見舞った】
【足は、腕に比べてレンジが長い。体勢をやはりわずかに崩すと言う欠点はあるが、場馴れした様子のこの青年が、そう簡単に下手を踏むとも思えない】

【――――それでも、問題はあった。その一撃は確かに早く、鋭く、それなりに重さも乗せた一撃ではあるのだが】
【回避からの間髪入れないその一撃は、余りに真っ向からの素直な一撃となっていて。反応さえできれば、修道女の技量なら対処の仕様もあるだろうと言う事】
【そして、身を引いてから蹴りを放つまでのワンテンポが、場合によってはその可能性を更に押し広げるだけの『隙』となっていたかもしれないと言う事である】
【――――接近する事に注力し過ぎた、青年の『下手』のツケとも言うべき『隙』だった】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/29(日) 00:09:53.13 ID:plj6p+oE0
【どこかの路地裏】

【獣の臭いが充満するこの路地裏……もっとも、予想し得ない存在が、ここに居た。】

【ここはならず者とそれを狙う人間と、極稀に彼らを正す人間が集う場所だ。】
【その環境は言うまでもなく酷い。治安という意味では最低だし、街灯はもう殆ど付いていないし、……兎に角汚い。】
【だからどんな人物が居ても可怪しくないのは、それはまあ正しいことなのだが……ではコレは、どうだろうか。】

……グガァ゙………

【どうやら腹が減っているらしく、その声も何だか弱々しい様に思える何か。街灯が届かない位置にあるのなら、彼を照らし出すのは月明かりだ―――、】

【身長165cm程度。直立二足歩行。パーカーとズボンの人間と変わらぬ簡単な身形だが、均等に隆起した筋肉が窮屈そうに見え、サイズが合っていない事が分かる。】
【ギラリと何かを鋭く見つめる瞳は紅。それに、獣人と言うだけあって、"歯"ではなく全てを噛み千切る"牙"であるし、"爪"ではなく全てを引き裂く"鉤爪"である。】
【然し彼の姿で最も特徴的なのは―――両肘から指先の方向に向けて伸びる、毛色よりも深い黒鉄色の……"刃"、であろう。月光に反射して煌めく辺り、相当の切れ味だ。】

【その怪物は、大型のゴミ箱を漁っていた。いつの物かも分からないビール缶を取り出したなら、そのまま噛み砕いて食らう―――、】
【食事の仕方は、獣。やはり汚い。今度はもう使い物にならない廃材である30cm四方の鉄板を見つけ出して、矢張り同じ様に食らう訳だ。】
【しかしゴミ箱は四次元ポケットでも何でも無く、況してや金属なんてゴミの中の極一部だ。……当然、彼の腹はそれだけでは満たない。】

【丁度いい所に―――と言わんばかりに彼はそんな歪んだ笑みを浮かべた。怯えて腰が抜けてしまって動けなくなった、若い男が、一人。】
【ジュルリとヨダレを垂らしながら、彼は近づいて行く―――その目的は誰にでも分かるはずだ。何事も無ければ、恐らく。】

【不幸中の幸いというべきか、その歩くスピードは遅かった。十秒かそこら、この獣を制するには時間がある。】
【その辺の小石を一生懸命投げつけたとしても、鋼の肉体はビクともしないだろうが―――しかし、興味を惹くことなら出来るはずだ。】
【若い男は声も出ない。後退りはするが、抵抗の意思は見られない。……どうあがいても絶望なのだということは、理解している様だ。】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/29(日) 00:26:42.78 ID:/OsOqait0
>>728
【手の甲の感触は鼻の軟骨を折るような其れを伝える事は無かった。痛みでも無く、硬質な物を叩いた時に感じる物だ】
【――――やはり、そう簡単に終わる事は無いかと改めて思えば手を引いて】
【このまま更に一歩踏み出して肘で筋肉の薄い部分を攻めるべきか。いや、初めから飛ばせば後が面倒だ】

【何より組み付かれれば逃れる事も難しいのだから其処は慎重に攻めるべきかと考え直して】
【進もうとしていた足は数歩下がる、が。その最中に見えたのは件のネックレスだろうか】
【――――見ようによっては“GIFT”の者とも取れるしただのお洒落とも取れる。或いは、また別な教会の者か】
【何であれ長考出来るだけの時間も無いのだ。……今の状態では身を翻して避ける事も難しいと考えたか】



「アンタ、本っ当にめんどくさいわね…………ッ!!」

【だが、そのまま喰らう程愚かでも無い。両腕の二の腕で蹴りを受ければ威力を殺すのだが――――流石に、折れたかと思わせる程に強力で】
【無論痛みも尾を引くのだ。思わず呻きが漏れ出るのも可笑しくない話である。指を握って閉じてを繰り返し、簡易的に身体の検査を済ませればまだ行けると判断】
【クッキリと足の形に青あざが出来て居るのだからダメージだって相応に大きいはずで。返すのはタックルか?否、この女の体重であればいとも容易く止められてしまう筈】

【――――足を完全に引き戻す前に攻めねばなるまい。何であれ足は軸だ。殴るにしても、投げるにしても――――攻撃の要】
【その足にダメージさえ負わせる事が出来れば、耐久に自信がない自分でもある程度は勝機も増すもの】



「……――――でェェェィ!!!」

【青年の踵を自分の膝で引っ掛け様にして伸展。殴るのでは無く、拳の底――――即ち鉄槌を“膝関節”の側部へと振るおうとするはずだ】
【骨は存外に硬く、その歳になれば完全に固まっているだろうが……靭帯だとか、半月板だとかはきっと別】
【何より、殆ど筋肉の無い其処を狙うのだから容赦の無さも分かるだろう。傷付けられれば捻る等の動作にも支障が出る部位ではあるが】

【――――とは言え。コレはまず青年が足を戻しきっていなければの話なのだ】
【もしも足を戻していればその行動は無かった事になるし、或いは伸展させられたとしても少し曲げる等をして対処をすればダメージだって押さえる事が出来る】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/29(日) 00:45:47.87 ID:0ud/FOq00
>>730

(……額は、まだ大丈夫だ……!)

【一瞬置いて、最初に入った打撃の影響に意識を向ける青年】
【思わぬダメージとして入ったりしていれば、激しい動作の中で不意に立ちくらむ危険性も考えられる】
【故に、自分のコンディションを把握しておく事は、戦いにおいて重要な事なのだ】
【しかし、然程のダメージではなかった様で。とりあえず青年は、額での防御について、これ以上考える必要は無くなったと判断する】

……簡単に行くかよ、そんな身の程知らずじゃねぇってんだ……!
(入った……良いのが、それなりに1発……!)

【足に伝わってくる感触は、防御での受けこそ許したものの、ある程度は深く入ったものだった】
【腕の力で足を往なすのは、よほどの力量か筋力の差が無ければ、困難を極める。防御したとしても、そこに確かに痛手となって残る事が出来る】
【ダメージとは、蓄積していくものだ。例え防御できたとしても、多少絶対値を減らしただけに過ぎない】
【ならば、それをとっかかりにして更なる攻勢を掛けて行くのみ――――確かな手ごたえと、青年は受け止めていた】

なっ――――!?

【だが。そこに入る修道女の反撃。受けからのこの反撃の早さは、流石に青年にとっても想定外だった様で】
【足を引こうと膝に力が入るが、それよりも前に、側面から修道女の拳が叩きつけられた】

ガァッ!? …………ぅ、ぐぅっ……!

【その一撃をほとんど真っ向から浴びて、青年は思わずうめき声を漏らす】
【無理やりに足を引き切って再びスタンスを作ろうとするが――――そこに重い痛みが走り、思わず足を必要以上に後ろへと引く】
【――――効果的に人体を破壊する一撃だった。まだ立てない程のダメージとはいかないが、それでもこれでは支障をきたす】
【ダメージの蓄積としては、逆に大きく水を空けられてしまったような格好となった】

ぁ……はぁっ……! ……へへっ、やるなぁ……流石に、慣れてやがる……!
挑んだ甲斐があったってもんだぜ……!

【痛みが下半身から神経を苛み、思わず押し殺し損ねた息が漏れ出るが、数瞬後にはそれを戦笑で打ち消す】
【これでは、これ以降下手に蹴りなどを打ちだす事は出来ないが、相手としてもこちらを雑魚扱いはもうしないだろう】
【――――腰のトンファーに手を伸ばす様な事も無く、あくまで素手で、青年はこの勝負を楽しんでいた】
【サングラスの奥の瞳は、夜という時間帯では尚更覗きこめないものだが――――きっと、その瞳も苦しげながらも楽しげな色を湛えていたのだろう】

(……これじゃ、こっちから動き回るのは辛い……今度は、こっちが『受け』に回って狙ってくとするか……!)

【負傷した足を後方に引いた形で、青年は半身で構えを直す。ステップやキックは、よっぽどの事が無い限り使えないと言うほど、信頼性が下がってしまった】
【なら、出来る事は1つ。修道女の攻撃に合わせたカウンターのみである】
【それを上手く狙えるか。それとも姑息な考えをもろとも叩き潰されるか――――ともあれ青年は、始めたこの戦いを勝つ為に、その手段を選んだ】
【――――やはり気持ちの良い殴り合いである。せっかくだから、青年はそこで『勝ち』と言うもう1つの妙味を味わいたかったのだろう】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 00:47:32.18 ID:f8Hi5cGbo
【 水の国/アトラヴェル/中心部 】


【宵に入った交叉の街──貧富の格差が激しい街だが、この辺りは富≠フ方か】
【行き交う人々も活気に溢れており、経済活動の活発さが容易に見て取れる】
【──、と。 並びの『銀行』から、何故か納得したような表情で出て来た人物】


……うーん。


【外っ側にハネた金髪。眠たげな蒼の瞳。──紅いネクタイを緩く結び、制服を身に纏った少年だ】
【第2ボタンまで外されている胸元には菊花≠フネックレスが放つ光が覗いている】
【──、この街で制服、と言えば、レイリスフィード≠フ学生だ、と分かるだろうか】


(『兄貴』にこの間のテスト結果送るの忘れてた──、まさか、本当に口座止めるとは。)
(今から電話して…、…いや、確かさっきのニュースで、これから外国だって言ってた。)
(……、あれ。よく考えたら、家賃≠熏。日支払い……、って事は、──成る程。)


── 、地下だな。


【よし、と決意。地下道なら少なくとも、雨に降られることはないし、何とか眠ることができる】
【──が、そう呟いた直後、大きく鳴った腹の虫。 昼から何も食べていない】
【食べていなければ、何も考えられない──、さっき、難しいことを考えすぎたか】


【──とか考えている彼は、思いっ切り歩道の真ん中。いつ、誰に怒鳴られても可笑しくなかった】


/途中で持ち越しになるかもですが、宜しければ
/一時間ほど待機しときます
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/29(日) 01:06:30.38 ID:/OsOqait0
>>731
【鍛え上げられた腕ならば話は別なのだろうが――――所詮は細腕だ。叩き付けると言う動作をすれば自身の腕にも痛みが走ることになる】
【ジワリ、と僅かに内出血の範囲が広がりはするが……そんな事を気にする程乙女な訳でも無い様だ】
【…………目論見通りには行った。だが、此処からどの様に攻めるかが肝心】


「――――ふん。こんな場所で血生臭く戦うよりも自警団とかSCARLETとかで戦った方がアンタにとってよっぽど楽しいんじゃ無いの
ま、アタシに関係無いからどうでも良いんだけどね。邪魔をするなら遠慮無く…………ッ!」

【「アンタも中々やるわね」位言えばそれなりに愛想も感じる事が出来たかもしれないのだが……やはり軽口で返す辺り、可愛らしさなど無い】
【しかし、確かに青年を認めているとも取れはするのだが――――その事を考えて居るだけの余裕も無いか】
【踏みしめれば“終わらせる”為のストレートを顔面に叩き込もうとするが…………其れは、フェイント】

【仮に手で防いだとしたならば、余りにも軽い衝撃に拍子抜けするだろうか】
【本命は“脚”だ。空手の様な打ち抜く強烈な物では無く、ブラジリアンの様な鋭い鞭の様な蹴り】
【普通であれば、青年にただ少しのダメージを負わせる程度で終わるだろうが…………狙いが先の“膝”ならばどうであろうか】

【予めダメージを蓄積させた其処に狙って放たれる一撃だ。当たれば正しく“終わらせる”に等しいのかもしれないが】
【――――其れを防げるか否かは、青年次第。見極める事さえ出来れば、返す事も出来るのかもしれないけれど】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/29(日) 01:26:59.73 ID:0ud/FOq00
>>733

……言ったはずだぜ? 「『久しぶりに』スカッとした殴り合いがしてぇ」って……な!

【自警団や『SCARLET』を相手に、ともなれば、それはもう喧嘩の範疇には含まれない、命のやり取りと化すだろう】
【流石に、青年としては気分転換で命懸けの喧嘩をする様な腹は無い。そこまでの命知らずではなかった】
【喧嘩で済む――――例え、1日2日で済みそうにない怪我を負ったとしても――――だからこそ、青年は目に付いた手慣れである修道女に挑みかかったのだろう】
【現に、青年は腰のトンファーも、あるいは持っているのかもしれない異能も、全く使う様子を見せなかった】
【青年としては、此度の戦いは「気晴らしとしての、楽しい殴り合い」であって「殺し合い」ではないのだろう】

(……ただじゃ、終わりそうにねぇ――――――――っ、やっぱりか!!)

【受けに回り、カウンターを狙う自分の姿勢に乗る様に、真っ向から攻撃を見舞ってくる修道女】
【スピードも技量も、相応の物を持っているこの相手なら、単純にカウンターに成功するとも思えない、何らかの駆け引きがあるはずだと青年は踏んで】
【先ほどと同じ顔面狙いを腕でガードした瞬間、先ほどより尚も手応えの無い当たりが、その推測が正解だった事を確信させる】
【次に何を仕掛けてくるのか――――これはもう、考えるまでもない。こちらに発生したウィークポイント。そこを潰しに掛かってくるに違いない】

(かといって、相手は2連撃だ、こっちが反撃に出ても、痛みで潰されちまう可能性が高ぇ……!
 だったら……避けにくい箇所、避けられない箇所に当てるしか、ねぇ!!)

【しかし、分かっているのと対処が取れる事は、また別の問題だ】
【こちらは防御「してからの」カウンター動作が必要だが、相手は、フェイントに「即座に続けて」本命の一撃を放つ事が出来る】
【そして、負傷個所を狙うからには、力と早さの配分を考えて、避けにくい一撃としてくるだろう。この修道女の技量なら、それくらいはやってくる】
【カウンター狙いなら、初めから受ける事も考えなければならない。その上で、有効打となる一撃を選択しなければならないのだが】
【それなら、確実に当てられる一撃を、足へのダメージを無視して考えるしかない】

がっ、ぁぁぁああああああぐ――――ッッ!!

【膝に更なる追撃を入れられる。内側に響くのではなく、外側を叩きつける様なその一撃でも、負傷した膝には強烈な当たりとなる】
【だが、それ以上に。青年はそれを受けてその場に倒れ込んでしまう――――否、ただ倒れ込んだだけではない】
【偶然にも、先ほどの展開の意趣返しとなる形となったが――――青年が選んだ攻撃箇所は、攻撃に伸ばしてきた修道女の『脚』】
【膝を打たれて体勢を崩されるのなら、自分から姿勢を放棄しつつ、伸ばしてきた『そこ』に近づいてやろうと考えたのだ】
【――――身体を崩しながら、蹴りを見舞ってきた彼女の脚へ、可能な限り『脛』を狙って振り下ろされる、青年の肘】
【不完全な体勢だが、これでも立派な『エルボードロップ』だ。脛に体重を乗せた肘を叩き込めれば、自分と同じ様に戦闘不能へと持ち込む事が出来るだろう】

【そう、自分と同じ様に――――既に、脚への追撃が決められた時点で、青年には戦闘を継続する余力は存在しない】
【謂わばこれは、悪あがきに近い一撃だが、それでもカウンターと言う戦術として通用する程度には、強烈な一撃となっている】
【問題は、それが当たるかどうか。必勝を期した彼女には、引く事を考えてはいないだろうと言う、一種の希望的観測があった】
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/29(日) 01:54:57.55 ID:/OsOqait0
>>734
【――――相手が倒れ込み、終わったと早とちりしたのが不味かったか】
【脚を退こうとしたら、その時に青年の思惑に気付いたのだろう。ならば意識を刈り取るのみと側部への蹴りを見舞おうとしたが…………“遅かった”】
【最初に感じたのは熱だ。数瞬も経たない内に其れは激痛となり、やがて脛骨全体に響くかの様に痛みが広がり始める】

【立つ事を保持し続けるだとか、そんなレベルでは無い程の痛みだ。呻きを漏らせば脛に手を当てて――――しゃがみ込む】
【即ち、戦闘の続行が不可能に陥った事を示すのだろう。双方に戦闘不能に陥ったならば周りの者達も引き分けと見なしたか】
【冷や汗は尋常では無い痛みから滲み出る物。ただ、それでも涙を浮かべたりしない辺りが実にこの修道女の気質を表しているが…………】



「本当……本当に面倒ね、アンタ…………。大人しく倒れて藻掻いてれば良かったのに
…………ま。でも、その力は認めるわ。素手で此処まで怪我を負わされたのなんて久しぶりだもの」

【悪態を吐きはするが――――確かに、素直に認めたと言葉にして言ったのだ。称賛、でもあるのだろう】
【未だ立ち上がる事は出来ず、呼吸を整えて痛みを鎮静させようとして】
【漸く起き上がれたのは数分後だ。尚もフラフラとした足取りで続行なんてとても出来る筈が無く】

【響めいていた群衆を一睨み。――――海を割るかの如く人々が左右に分かれれば、己の帰る道を作り出して】



「――――次に会うことがあるか分からないけど、その時は今日のお詫びでもして貰うわよ
態々アンタに付き合ってあげたんだから。じゃあね、精々その膝を悪化させないように気を付けなさい」

【其方へと投げられたのは湿布だ。最初に言った通り、治癒の魔法は得意では無いらしい。……それでも其れを投げてくれるだけまだマシであろう】
【最後の最後まで強情なのだ。誰の手を借りる事も無く帰路を辿るその姿は孤高の精神を宿した者か――――それとも只の強がりか】
【追って話し掛けようにも、その膝ではきっと難しいだろう。もし、出来たとしても――――群衆に紛れて、直ぐに見えなくなる筈だから】

【名も告げず、所属も告げず。得られた情報は腕っ節が強く何処かの教会に勤めている程度】
【それでも、まあ…………あの気質ならば揉め事の場所に顔を突っ込んでみればまた会う事もあるだろうか】

/っと、良い時間ですのでこの辺りでっ!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!お疲れ様でありましたっ!
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/06/29(日) 02:10:36.43 ID:0ud/FOq00
>>735

(……最後の最後、自爆にならないで済んだか……ッ!)

【肘打ちが上手く決まった感覚が、肘から伝わってくる。青年はこれに内心安堵していた】
【もし、当たりが相手の骨で無く地面だったなら――――最後のエルボーが回避されていれば、地面に肘を叩きつけ、本当に骨折していたかもしれない】
【そうした、半ば賭けの一撃だったのだが。痛みの中で、青年はほっと一息をつく心境だった】

んな、情けねぇ真似……出来るかよ……っ、っふ、ぅ……それこそ、あの連中の仲間になっちまう……
……俺としても、ただの殴り合いで……ここまで、行くとは思ってなかった……っは……ぁ!

【膝の痛みは強く、完全に地面に倒れ込む格好になってしまったが、ゆっくりとなら、まだ起き上がれる】
【そうして状態を起こし、ゆっくりと立ち上がりながら、青年は苦しげな息を吐いていた】
【痛みに息を詰めながら、それでも青年はそれなりに満足した様子で】

……っ、はっ……楽しかったぜ……?

【投げ寄越される湿布を受け取り、半ば苦笑めいた表情を見せながら、それでも青年は楽しかったと、その背中に告げた】
【――――全くの素手喧嘩(ステゴロ)。ここまで切迫し、伯仲した事は、本当に久しぶりだった】
【青年の望むとおりの「スカッとした殴り合い」になった。少なくとも青年は、そう感じて、その素直な感想を口にしたのだろう】

……本気の勝負の中には、やっぱりこう言う「息抜き」も、欲しくはなるよなぁ……

【受け取った湿布を早速膝に貼りながら、青年もまた、雑踏の中に姿を消して行く】
【――――こんな痛々しい喧嘩を「息抜き」と評するのも物騒な話だが、青年の様子を見るに、実感を伴った、実にしみじみした言葉だった】
【これが息抜きに思えるほどの日常。青年はそうした日々を過ごしていたのだろう】
【チラリと覗いた金十字のネックレス――――それをもう一度服の中へと仕舞い込みながら、青年は姿を消し】
【2分後、真っ赤なスポーツカーが、そばの駐車場からいずこともなく走り去っていった】

/はい、乙でしたー!
/こちらも良い時間でしたし、楽しかったですー!
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 13:19:50.06 ID:uHBmY3iOo
【今日も今日とて、何も変わらない】
【ただ同じ行動を繰り返し、繰り返し、機械的に動作するだけで終わる日々】
【息を吸って、吐いて、食って、寝て―――――】

【などと、戯言的な前置きをしたがぶっちゃけてしまえば本日はただの休日】
【そして、暇だ】

【何のことはない、ただそれだけである】
【別に退屈は嫌いじゃない、嫌いじゃないけど面白くもない】
【そして何故か服装はレイリスフィード学園の制服姿だ、普段着か何かと勘違いしているのだろうか】
【そんなどこかズレたような、白い肌と対照的な黒髪が特徴の少年は、公園のベンチに座っている】

【つまらないからと言って、無理に面白くする必要もない】
【自分から行動する事はなく、ただ待つのみ】
【そんな受動的な態度を表しているかのようにただ、ぼんやりと公園のベンチに座っている】
/予約です!
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 13:36:54.47 ID:FkNBJoPVo
>>737

――――――――お

【視界を遮るのは赤いマフラーの靡く姿】
【正しい歩調は少年の姿を見て立ち止まる】

学生だ、その格好は学生だね?
あれ?でも今日はお休みの日だと思ったけど……

【外ハネの多い髪を揺らしながら興味深そうに上に下にと舐めまわすように見つめる】
【表情、というか雰囲気は人懐っこくどことなく小動物を思わせる姿形】
【「やっほー?」と少年に向けて掌を振る程度にはなれなれしく】

でも学校によっては違うのかな?確かそれはレイリスなんとかってトコのだね
んー……サボり?ぼうっとしてるね、おーい元気ー?

【櫻の意匠を感じるゆったりとした七分袖は表情と同じでくるくると廻る】
【屈託のなさは或いは少年にとっては不愉快かもしれなく……】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 13:45:10.13 ID:uHBmY3iOo
>>738
「……………何でしょうか」

【突然話しかけられた、屈託な様子が特に気に障る事はなく】
【ただ明るい人だな、という印象を残すのみ】

「今日は休日です」
「この格好は………まあ、気にせずに」

【服装については、ただ何となく選んだらこんな事になった】
【ファッションセンスなど母の子宮に置いてきた、というわけで悪目立ちしないようにという意向はあったが】
【どうやら逆効果だったらしい、猛省して今度から休日に制服を着るのはやめようと心のなかで固く決意する】

「元気ですよ」
「貴方は…………まあ、うん………」

【何か失礼にあたりそうな言葉がでかかったので飲み込む】
【それにしても何故回っているのだろう?目が回ったりしないのか?などと思いながら】
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 13:55:22.21 ID:FkNBJoPVo
>>739

うわーごきげんナナメ?
へー、やっぱり休日なんだーいいなー学校ってちゃんとお休みあるんだもんねー
ボクそういうトコに通ったことないからさー

【きゃらきゃらと笑顔を振りまきながら言葉を連ねる】
【無垢さ純粋さをそのまま人の姿にしたよう】

【語る人物は言葉の通り学校に通った事がなかった】
【屈託のなさは即ち人との触れ合い方の機微を知らないからこその物】
【人が成長する上で学校などの他人と接する機関は必要なのだ、学校は何も学問だけを修める所ではない】

ボクは元気だよー?それくらいしか取り柄がないからねー!
でも君は、見た目も言葉も嘘みたいだねなんか元気なさそうかな……
いっつもそんな感じなのー?学校でもー?それって勿体ないと思うんだけどなあ……

【胸を張る姿はいっそ清々しく】
【そして続ける不躾な質問の羅列、問う人物の笑顔が満開なのが質が悪い】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 14:03:48.49 ID:f8Hi5cGbo
/>>732で再投下します
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 14:07:57.75 ID:uHBmY3iOo
>>740
「いえ、普通ですけど」

【素っ気なさなどデフォルトである。愛想笑いなどするはずもなく】

「通った事がないって………まあ、別に良いですけど」

【理由を聞こうとしたがやめた、前回もそんな人に出会った覚えがある】
【それに失礼だろう、他人にそんな事を聞く義理もない】

「っ、別に、関係ないでしょう」
「放っておいてくださいよ、他人にそう馴れ馴れしくする義理もないでしょう」

【「見た目も言葉も嘘みたい」】
【その一言に、僕の何かを見ぬかれたような気がして】
【だから、思わず突き放す】
【触れられたくない領域に触れさせないように、引き剥がす】
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 14:19:04.89 ID:FkNBJoPVo
>>742

えー……冷たいなあキミ……
あっ!もしかしてだけどキミって友達いないのかなっ!

【鈍さはある種武器である、突き放されようとも興味さえあれば離さない】
【思ったことをただ単純に言葉にする、悪意の無い言葉を少年はどう捉えるか】

でも大丈夫だよーそこまで頑なにならなくてもボクは敵じゃないよー?
ね?ホラホラそんな恐い見た目もしてないしー!手先も器用だよっ!

【その場でくるんと回ってみせればマフラーも踊る】
【今の季節でマフラーなんて付けているのだから理由もあるのだろう】
【端の毛羽立った年季入りは人によってはただのガラクタのようなもの】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 14:26:28.46 ID:uHBmY3iOo
>>743
「ストレートに言うのやめてくれませんかね、悲しくなってくるんですけど」
「いや、そりゃ僕にだっていますよ、友達の一人や二人くらいいますから」

【友達が一人や二人、それはそれでかなり悲しいが】
【それにしても初対面にも関わらず、ズケズケと人の心の中に踏み込む】
【遠慮というのは無いのか、はっきり言ってこういうタイプの人間が一番苦手である】
【人の心を好き放題踏み荒らし、蹂躙し、めちゃくちゃにしてくるから】

「はぁ、そりゃ凄いですね」
「こんな時期に暑くないんですか?そんな格好で」

【本当に素っ気なく、手先が器用である事について適当に返す】
【取り敢えず凄いと言っておけば妙な言いがかりをつけられないものだ】

「はっきり言って、変です」

【そしてこの暑い時期にマフラーをしている事に関して、自分の事を棚に上げて変と言う】
745 : [sage]:2014/06/29(日) 14:38:10.36 ID:f0D4XoyQO
【──彼は知らなかった。この世界で警察と謂うものは、自警団にお株を奪われた集団でしかないということを。】
【防犯力としては形は成さない。便りになるのはこいつらではなく自警団なのだ。】
【そんな行政に税金を納めるはずもなく、頗る安い賃金で庶民のために働かされる。】
【中にはドM集団と呼ぶ声もある(実際彼は見ず知らずの幼女に「おじさんってMなの?」と訊ねられた)。】

【青いユニフォームに黒い髪。中肉中背の男は、このボロい建物(一応交番らしい)に住まわせてもらっていた。】
【元の世界と同じ職種、だが慕われ方もダンチである。】
【道を教えてくれる、あるいは自転車の空気入れを貸してくれる、もしくは落とし物の届け場所。】
【──その程度の役割だけを期待されて、パトロールに出てみれば交番にいろとどやされる。】
【この世界に来て幾日かたったが、色々間違えてしまった気がする。】


なんだかなぁ……。


【彼は交番の前で一人セミの声を聞きながら、哀愁漂う呟きを漏らした。】
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 14:42:12.37 ID:FkNBJoPVo
>>744

えー!友達いるんだー!よかったね!
それじゃあ学校もきっと楽しいよねっ!一緒に帰ったりもするんでしょ?

【友達がいないのではと問うた】
【自分にはいないから、渡り鳥……即ち土地から土地に移る自分には親しい人間などいない】
【しがらみという言葉は悪しきように聞こえるがそれさえ無いのは生き物としては間違っている】

【自由な羽根はされど飛ぶ事しか知らない、ひとつの所に居る方法さえも知らない】
【だからこそアカガミの言葉にあるのはただの「羨望」だった】

んー?……少しだけ暑いけど気にする程でもないしねーボク寒暖の差には強いんだっ!
変かもしれないけど大好きだから身につけてたいんだもん、キミにだってそういうモノってあるでしょ?
なんていうか……譲れないモノ……?っていうのかなー……よくわかんないや!

【「あはははは」と快活な笑みはどことなくアホっぽい】
【ぎゅっと握りしめるマフラーの端っこ、浮かべる表情は昔を想う姿】
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 14:51:03.04 ID:uHBmY3iOo
>>746
「…………まあ、そんな感じです」

【実際に一緒に帰った事など一度しかないが、そんな事まで説明するのは面倒なので適当に返す】

「ていうか」
「さっきから何なんですか、他人にそんな事聞いて」
「貴方こそ友達いないんですか?」
「何ですか、他人にそんな事聞くなんてそっちこそ友達いないんですか?」

【先程から問いかけられてばかり、何だかむっとしたので今度はこっちが問い返してやる】

「いえ、別にないですけど」
「って分かんないんですか、とにかく大切な物って事ですね」

【自分に大切な物など、譲れない物なんてない】
【そんな物を持ったら、守るのに疲れるじゃないか】
【この人は、何を思っているのだろう】
【回想にでも浸っているのだろうか、僕には関わりなき事だが】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 15:04:47.73 ID:FkNBJoPVo
>>747

うん、知り合いは居るけどねー……
そこまで「友達」っていうような人はもしかしたらいないかもしれないね
色んな土地を渡り歩いているから仕方ないと云えば仕方ないんだけど、寂しいねやっぱり

【ぎこちない答えに頬を掻いて】
【隠すまでもない事実、情けなさを晒す事はどことなく照れ臭く】
【ともすれば自分の「羨望」も彼に看破されてしまうかもしれない、仕方ないと云えば仕方ない】

ないのー?……おっかしいなあ、生きてるなら少なからずあると思うんだけどなー
あ、もしかしてボクが初対面の人間だからそうやって隠してるのかなっ
嘘はいけないんだよっ!嘘ばっかり言ってるとカミサマに怒られるんだから!

【平坦な彼の口調】
【喧しい自分とは正反対だけど、それでも人間なのだから何かしら大切なものがある筈なのに】
【冷めた瞳、自分にはない「日常」がある彼なのにそんな目をして……どこか悲しくも思えて】

【悪戯混じりに指先をそうっと、彼の頬へと伸ばし左右から突っついてみる】
【ニヘラという締りのない笑みを浮かべれば、「えへへ……」と照れ隠しを含め】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 15:28:10.12 ID:uHBmY3iOo
>>748
「そうですか」
「つまり居ないって事ですね、なら人の事より自分の事を優先すれば良いのに」

【僕の事など放っておけば良いのに、自分の友だちを作れば良いのに】
【理解が出来なかった、なぜ自分の事を放置してまで関わってくるのか、意味不明だった】

「ほんとですから」
「僕にはそんなものなど一切、一欠片たりとありません」

【口調は変えず、ただ真実のみをありのまま告げるように言葉を紡ぐ】
【さっきから喧しい人だ、騒がしい、鬱陶しい、やっぱり苦手だ】

「って…………」

【さらに言葉を紡ごうとしたが、それは防がれる】
【ほっぺたを突かれたため、中断】

「むぅ、いきなり何をするんですか」
「笑って誤魔化そうとしても駄目ですからね、可愛いからって何でも許されるわけじゃありません」

【呆れ顔で、ジト目で抗議する】
【やっぱりこの人は苦手だ、どこまでも苦手だ】
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 15:49:11.54 ID:FkNBJoPVo
>>749

うーん……そうなんだけどね、なんとなーく放っておけないかなって
一人ぼっちじゃ寂しいもん、ふつーならそう思うから

【自分は渡り鳥という性質上ひとつの所には居られない】
【でもこの愛想を排したような人は違う、ちゃんと居場所があってそこで生きてゆける】
【ただその事が尊いのだと気がついて欲しい、ただそれを言葉にすることが出来ず歯がゆく】

ほっぺたくらいいいじゃないかー……
もう少し笑った方がいいよ、うん絶対そう……しかめっ面のまま生きていても面白くないじゃん……

【ぐりぐりといじらしく頬を突く】
【だけどそれもやがて離れて、片手だけ左の胸へと下がってゆく】
【それは心臓の位置、休まずに時を刻む器官、現世への呪縛】

執着が無いなら、ここも……要らないんじゃないかなって
もしそうなら……やっぱり悲しいことだよ

【つんつん、突いてそうっと離す】
【生命の全てに価値があるならば彼にも価値がある】
【でも、彼はどことなく生きる事を放棄しているようで】
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 16:00:11.62 ID:uHBmY3iOo
>>750
「…………はぁ、そうですか」

【紛れもなくこの人は良い人なのだろう】
【こうやって見知らずの人間の心配をして、気にかけてくれる】
【でも、そういった事は鬱陶しいと、拒絶する人だって居る】
【もちろん自分からそんな事を言い出す勇気はなく、結局それに流されてしまうのだが】

「むぐぐ………」
「…………………?」

【ほっぺたを容赦なく突付かれ、いい加減怒ってやろうと思った時】
【僕の心臓へと片手が伸び、突付かれ、そして離された】

「…………………えぇ、要りませんね」
「とっとと自分死なないかなぁ、なんて思ってたり」
「別に死ぬのは、怖くないですから」

【自分の命に価値があるなんて、微塵とも思わない】
【絶望しているわけではないが、明日に希望を持っているわけでもない】
【死にたいわけではないが、生きたいわけではない】
【生も死も、全てを流れ行くままに任せる】
【そんな、人生】
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 17:05:16.78 ID:FkNBJoPVo
>>751

それは、その考えは間違ってるよ
この世に生を受けたからには使命がある……

【無意味ならばそも生まれない】
【意味が無い生ならば細胞が熟して産まれ落ちる前に母胎で消える】
【人の生に偶然などという都合の良い言葉は当てはまらない、生を受けたならば絶対的な意味を与えられる】

それとも誰かに否定して欲しいのかな……分からないけど
でも、そんな考えはキミの周りの人に失礼なんじゃないかな……
友達だって、いるんでしょう?その友達が今のキミの台詞を聞いたら悲しむよ

【他人事を自分の事のように言い悲しむ】
【感受性だけ、想いだけ、それだけで伝わるならばそれで良い】
【だが少年の心は少年のものでしか無い、所有権のある者にしか心は解けない】
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 17:47:41.77 ID:uHBmY3iOo
>>752
「僕には、分かりません」
「母の腹を裂いてまで出てきたこの世界に、僕を産んだ痛みに見合うだけの意味も価値も、見つけられる気がしませんから」

【言い換えてしまえば、生まれ落ちて"しまった"】
【望んでもないのに、自分の意思など関係なく産み落とされてしまった】
【そう、言い換える事だって出来る】

「否定も肯定も、どうぞお好きに」
「大丈夫ですよ、僕の友だちは変な奴ですから、悲しみません」
「僕を取り巻く人は少ないですからね、どうせ誰も悲しみません」

【ただ悲観的に、僕はこの世界を捉える】
【別に同情して欲しいわけじゃない、ただ、そう思う事しか出来ないから】

【何よりも、目の前のこの人が良い人すぎる。聖人君子にさえ見えてくる】
【何の裏も感じさせず、ただ屈託なく笑って、周囲を明るくする】

「ただ、貴方みたいな人、羨ましいです」

【これは自分の本心】
【あんな明るい人間だったら、どう変わっていたんだろうか】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 17:58:01.32 ID:FkNBJoPVo
>>753

願いはいつか自分に還る
因果が巡るのと同じように、行いは望もうが望むまいが舞い降りる。
予言するよ、キミはいつまでもそのままではいられないよ……氷の心はいつか溶けてしまうから

【赤色は瞬く】
【風に流れる言葉はやがてその通りに消えてゆく】
【瞳に憂いを残しながら指先を少年の心臓に向ける、鼓動の意味】

何よりもキミがこうして生きている事がその証明だよ
本当に未練も何もないなら、誰にも気付かれない場所でそっとその幕を閉じればいい。
でもキミはボクに出会ってしまった……その責任、と義務

【矛盾を孕むのが人間だとしても、だ】
【生きている事を選んだならばその選択にはいつか価値が生まれてしまう、呪いのようなもの】
【義務と権利は表裏一体であり、ならばそのどちらも果たさなければいけない】

キミはボクにはなれないけど
キミはキミの道がちゃんと用意されてるんだよ、今は竦んでいるとしても
いつかは向き合わなければならない……その時にキミはどうするのかな、また出会った時に聞きたいな

ボクはアカガミ、キミの名前はなんだい?

【首元のマフラーをぐいと持ち上げ口を隠す】
【瞳は真っ直ぐに少年を見つめて離さないと言っているように】
【赤色は最後に名を問うてその場から消えるだろう】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(神奈川県) [sage]:2014/06/29(日) 18:14:24.52 ID:imqampyOo
>>745
もうちょいまちます
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 18:17:21.38 ID:uHBmY3iOo
>>754
「……………………………」

【予言――――――――随分と、大層な事を言ったものだ】
【初対面の奴相手に、よくもまあこれだけ大きく踏み出たものだ】
【僕は、答えない】

「……………………」

【矛盾を孕みすぎている自分】
【生きたいわけではないのに、死にたいわけでもない】
【どっちつかずで、一体全体何がしたいのか】
【僕は、答えない】

【僕の道、それは平坦で何の障害もないものだろうか】
【先の脅威が見えない、安全策を取らないと】
【じゃないと、傷つく】

「……………渚 詩音です」

【何も答えないで終わろうと思ったのに】
【そうすれば、それで終わったのに】
【答えてしまった】
【――――間違えて、答えてしまった】
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 18:24:53.76 ID:FkNBJoPVo
>>756

詩音……それじゃあね、またいつか
……いつかが来るまでボクは生きているだろうからその時に

【ざわめく紅色は魔翌力の発露】
【さながら陽炎、体表に揺らめいて景色を歪める】
【しかしその中であろうともアカガミは笑みを絶やさず、まるで再会を楽しみにしているように】

キミがどう変わっているのか、楽しみにしてるから!

【その言葉を皮切りに姿を消す】
【赤い影は夜の闇に栄える、どこかの街で静かに歩む】
【誰が為に、何故に、刃を奮う渡り鳥……飛ぶからには再びこの地に訪れる】

【その時が来るならば】

/お疲れ様でした!
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/06/29(日) 18:59:58.73 ID:uHBmY3iOo
>>757
「…………………はぁ」

【どっと疲れた】
【とにかく疲れた】
【僕の何もかも見透かしているようで、気持ち悪かった】
【心の奥底まで全部見られているような気がして、寒気がした】
【踏み入るな、立ち入るな、そうラインを引いてあるにも関わらず、平気な顔をして踏み入ってくる】
【―――――――やっぱり、苦手だ】

「しかし、まいったな……」

【人と話すだけでこうも疲れるのか】

「はぁ、はぁ……………」

【うぅ、目眩と動悸が始まったぞ】

「あぁ、くそ…………」

【ともかく、これでは体を動かす事もままならない】
【消えていった"赤色"を脳裏に刻みつけながら、目を閉じる】
【逃げよう、全部戯言なんだと。そう願って】
/ありがとうございました!
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 20:08:59.27 ID:f8Hi5cGbo
【 水の国/アトラヴェル/地下街 】


【アトヴェラル中心部近くの地下街──経済活動が盛んに行われる一舞台でもある】
【だが流石に、この時間ともなると人出が少なくなるのは新興都市≠スる所以か】
【──、地下街の中心から少し離れた、通路の脇。 一人の人物が、寝転がっていた】


…、… ──ん 、。


【外っ側にハネた金髪。──紅いネクタイを緩く結び、制服を身に纏った少年だ】
【第2ボタンまで外されている胸元には菊花≠フネックレスが放つ光が覗いている】

【浮浪者>氛氈Aではないだろう。恐らく、レイリスフィード学園の生徒だ】
【ブレザーを身に掛け、気持ち良さそうに眠っている】


「── おっ。」

【──、と。其処を通り掛かったのは、一人のガラの悪そうな男】
【わざとらしく、周囲を見回して。 誰も居ないことを確認すると、少年に近寄り】


「…、…へっへっへ──、こんなトコで寝てる方が悪いんだぜ、お坊ちゃん。」


【彼の脇に置かれた学生鞄>氛氓サの中を、あらため始める】
【どう見ても、『泥棒』だ。 それにしては学生を狙う辺り、みみっちい物だが──】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/29(日) 20:54:19.63 ID:lyo4Khe3o
>>759


――――そこのキミ。こんな所で寝ていると危ないよ?


【このアトラヴェルには二つの側面が存在する――――新興都市ゆえの若々しい成長。そして、その急速な変化に取り残されていく老いたものたち】
【経済の中心地として多くの人やモノが交わると同時、彼らの持つ光と闇もまた錯綜している。故に交叉の街≠ネんて呼ばれることもあるのだけれど】
【……悠然と道の中央を歩いてくるその人物は、果たして光の世界の住人か、それとも闇の世界の住人であったのか】


そちらの貴方も。……いい大人が置き引きだなんて、情けないですよ。


【まず最初に寝ている少年へ。次に学生鞄を漁る男へ。鷹揚とした口調で話しかけたのは、同じく学生服姿の少年であった】
【黒いブレザーに赤いネクタイ、ワイシャツにスラックス。背格好なども鑑みれば、レイリスフィード学園高等部の二年生だと推測できるだろうか】
【水色の髪はやや巻き毛気味ではあるものの、よく見れば毛髪の一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いていて、ある種貴公子じみた気品すら感じさせる】
【挙措の一つ一つは優雅で美しく、困ったような苦笑いを浮かべる相貌も、まるで絵画の中から出てきたかのように整っていた】

【――――ルビーを嵌め込んだみたいな真紅の瞳は、芸術品のように不動の笑顔のまま男と少年とを交互に見やっているだろうか】
【見るからに育ちの良さそうな少年だ。男からすれば格好の獲物と映るかもしれないが……その笑顔の奥にあるものは、全くと言っていいほど読み取れなくて】


/まだいらっしゃれば!
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 21:01:13.99 ID:fQ4ybQHyO
>>745
九時半まで待ちまする、
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 21:14:57.83 ID:qOyvndN4o
>>760

【──その声に反応して、少年は薄く目を開ける】
【が、まだ状況を把握していないのか──いや、把握しているのかもしれないが】
【よく寝た、とでも言うように、大きな伸びを一つ、呑気にしていた】


「……チッ。」


【声を掛けられた男の方は、単に、見咎められて尚犯罪を継続するほどの悪人でも無かったのだろう】
【「何も盗ってねぇよ」、と捨て台詞を吐いて、旧市街の方向へと去って行く】
【──眠そうな眼を擦りながら、少年は身を起こすと、その背中を見送って】


あー……、ゴメン、迷惑掛けたみたいだね。おはよう。
──、えっと、何処かで会った…、…あぁ、うん。多分、学校だとは思うんだけど、さ。


【服装から見て、同学年の生徒──、が、どうにも名前が思い出せない】
【自分が知っているのだから、有名人なのだろう、とは思うのだが】

【──、尤も、水色の髪の少年が、逆に彼の事を知っている可能性もある】
【水国貴族ルカイナー家≠フ御曹司。 …、…にしては、何を考えているのか分からない、との評判】
【一人で屋上やらに入り込むことも多く、しばしば教師からは問題児として扱われている──】
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/29(日) 21:41:25.48 ID:lyo4Khe3o
>>762

【男が大人しく去っていったのなら、少年はふぅっと軽く息を吐いて緊張を解くだろう】
【従容とした雰囲気のせいで言われなければ気づけないほどだが、彼は男に対して密かに臨戦態勢を取っていた】
【最悪の場合は………、といったところまで考えていたようだが、それも杞憂に終わって。であれば無理に男を追う理由もなく、視線は必然的にもうひとりに向く】


やあ、おはよう。………おや?
キミ、もしかして――――そうだ、クルト・ルカイナー君じゃないかい? ルカイナー家の御曹司の………。


【改めて寝起きの彼に注意を向ければ、ふと少年は目を見開いた。金髪に蒼の双眸、それにこのマイペースな挙措】
【……少年の脳内にその名前が浮かぶのに、そう時間は掛からなかった。同学年の、それも同じような境遇の相手と偶然出会ったのだと理解すると、】
【少年はにこやかに笑いながら右手を差し出すだろう。握手のつもりだろうか、もし握ったのであれば……白磁の如き肌とは裏腹に、固い感触が帰ってくるかもしれない】


初めまして、ボクはリチャード・トラヴィスだ。
直接話したことはなかったと思うけれど、ボクは学校じゃあ生徒会役員もやらせてもらっているからね。それで見覚えがあったんじゃないかな?


【真っ赤な瞳を小さく窄めての自己紹介。リチャード、というその名は――――そちらとは正反対の意味で有名だったかもしれない】
【確か去年入って転校生だったはずだが、眉目秀麗、成績優秀、おまけに生徒会役員としての仕事ぶりも非常に有能】
【性格も人当たりがよく、生徒からも先生からも慕われている人気者。加えて……もしかすると生徒会役員云々よりこちらの方で有名なのかもしれないけれど】

【――――この水の国に本社を置く、『TRAVIS』という大企業の御曹司。それがリチャード・トラヴィスという人間だったはずだ】
【もういっそイヤミなぐらい「持っている」少年であったが――――本人にそれを鼻に掛ける様子がないのがまた、ちょっとイヤミじみていた】
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 21:56:19.25 ID:ViqvfUbJo
>>763

……リチャード・トラヴィス=B

………。

……………。 ──、、うん。 多分、それでだ。


【生真面目な顔で暫く考えた後──結論の言葉を吐く】
【『それ』というのはリチャードの言葉通り、役員をしているから、と言う事だろう】
【クルト自身、あまり人気者≠ノ縁のあるタチではない】

【「俺の方はクルトで間違いないよ」、と、言葉を返しながら立ち上がる】
【ブレザーを羽織り直して、鞄を持ち上げ──一応、何も盗られてないか、重さを確かめた】


──、あぁ。 どうも、初めまして。


【妙なところが律儀な少年だ──挨拶を返し忘れていた、と気づくと、軽く笑み会釈をする】
【リチャードが嫌い、と言う訳でも無いのだろう。 これが、クルトの素だ】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/29(日) 22:15:52.01 ID:lyo4Khe3o
>>764


ああ、やっぱりそうだったんだ。
いつか話してみたいとは思っていたけど、まさかこんなところでとは。奇遇だね、クルト君。


【自分の記憶が間違っていなかったことを確認すると、リチャードは薄く笑って、少しばかり楽しそうな調子でクルトへ言葉を掛ける】
【表情を見る限りではクルトに対して好意を抱いているように見えるけれど……貴族の家の出のクルトなら察せられるだろうか。なんというか、感情に揺らぎがなさ過ぎる】
【完璧に完成された「好意」というカタチの表情がそこにはあった。そのせいで、お世辞なのか本心なのかいまいち読み取り辛い――――】


………それにしても、どうしてこんな所で寝ていたんだい?
危ないのはわかってただろう?


【クルトがちゃんと挨拶を返してくれたことに満足げな様子を見せると、リチャードは軽く首を傾げて質問するだろうか】
【まあ、至極当然の質問である。ただでさえ夜の地下街ともなれば人目も少なくなりがちだ、そこへ由緒正しい水国貴族の人間が無造作に寝ころんでいるなど、】
【もう「盗って下さい」と言わんばかりの体勢ではないか。それに盗みだけで済めばいいが、「御曹司」という立場上、拉致されて人質に――――なんて展開もあり得る】
【これは、同じ御曹司として常日頃気を払っているリチャードだからこその、純粋な疑問だったのかもしれない】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/29(日) 22:20:16.09 ID:Fu1UDEO/0
【水の国】

【都市部。中心街からやや外れ、それ故にさまざまな目的のために用いられた一角がそこにある】
【以前は精神・肉体強化系薬物による深刻な汚染下にあった区域。今は事の元凶たる売人たちと諸共に駆逐されたのか、少なくとも表通りには汚濁の気配の見える事もなく】
【ごく普通の人々の姿もしばしば、自然と見られる様になっていた。それらは主に興味本位の探索であったり、已むを得ず何者かを捜す目線の向く先であったり――――】
【ひとり、ひとりが仕舞い込んだ都合によって。色取り取りに染まりゆく一人一人の人びとは行き交って】



【また一つ、柔らかな姿かたちで足音が増える。硬質な表面がアスファルトを打つやや足早な―――― 一定のリズム、それもやがては紺青色の帳の静けさに還り】
【そこで足を留めたことを識るのだろう。ガコン、と機械音と“購入済み”の品一つ分の落下音が響く。筐体からそれを取り出せば、備え付けられた木造りの長椅子が目に入る。】
【小さな足音。あるじと呼ぶには、源たる彼女は花の薫りとあどけなさを残す黒曜の耀きとが過ぎていたのか】

【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いで】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 】

【“この通りの”と注釈を入れる必要こそあれど―――― ごく普通の店舗の傍ら、自販機近くのベンチに座すのは、そんな形容の出来る人影だった】



(回るべき場所は巡った、か。今夜までで望み通りとは行かなかったけれど……)

(……未だ、全部が終わった訳じゃない。これまでで、出来たことがゼロって訳でもないのだし――――)

【きゅ、と軽い音をたててキャップが回る。見ている分にはごく普通の所作で――――この場所にあること以外に違和もなく、軽く息を吐く姿は日常の一コマ】

【櫻の国風の茶のボトルを手に、自らを落ち着かせる様についでに一呼吸。たなびく夜色の衣や艶やかな黒髪は穏やかな風に揺られて、もうひとり分の余白に、背伸びする様な感覚を覚えながら】
【水面を渡る木の葉のよう、先を急くばかりだった音色は小休止を置く。なにかを為すための静穏な気息。今は、凪ぎを迎えて雲を待つ孤月とあおの夜天にも似て】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 22:29:40.71 ID:ViqvfUbJo
>>765

【──、完璧から来る『嫌味さ』に気付いているのか、いないのか】
【気付いていれば少しは険悪な雰囲気も出るだろうが、そんな様子はない】
【リチャードからすれば寧ろ、クルトこそ何を考えているのか分からないかも知れないが──】


…、…兄貴≠ノ、口座凍結されてさ。で、今日が家賃の支払期限。
ウチのマンション、情報化が凄くて。振り込み無かったら自動的に入れなくなるんだ。
で、雨風を凌げる場所を探して──、 場所は良くなかったみたいだね。


【兄貴>氛氓ワぁ、この場合は『実家』と換言して良いのだろう】
【それにしても、口座凍結とは何ともな話である。一体どんな大罪を犯せば、そんな状況になるのか】
【──まぁ、早い話が金が無いらしい】


……あー。


──こっちが言う立場でも無いと思うけど、気にしないでいいよ。
『TRAVIS』の御曹司に助けて貰った、なんて知られたら、兄貴≠ノ怒られるし。


【「困ってるのは確かなんだけどね」、と── 笑いながら、話を先取って話し始めたクルト】
【先程も出た、兄貴≠ニいう言葉。 政治に興味があれば、レオポルト・ルカイナー≠ニの名を知っているかもしれないが】
【知らずともそれが、ニュアンス的に実家の当主≠表す、というのは想像に難くない】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/29(日) 22:58:30.42 ID:lyo4Khe3o
>>767


……それはまた、大変だね。ルカイナー家ってそんなに厳しいんだ?
それにしても、兄に頭が上がらないのはどこも同じ、か……。


【この態度は高度な韜晦であるのか、それとも単に素であるのか。悪意があるのかないのか、それすらも読み取り難い表情のまま】
【同じく――――読めない¢且閧フ事情を聞いて、リチャードは嘆息する。どこからどう見てもそういう憂き目に遭ったことはなさそうだ】
【御曹司とはいうが、リチャードはもう既に父親の仕事を手伝い始めている。厳密には『次期当主』と言ってしまってもいい立場にあって】
【……リチャードが三男坊≠ニいうところだけは同じだけれど、歩んできた道のりに違いがあるのは否めない面もあった】


あぁ、バレちゃってたか。助ける気満々だったんだけど……先手を打たれちゃあ仕方ないね。
兄貴って言うと――――えっと確か、レオポルト・ルカイナーさん、で合ってるかな? 確か政治の世界で活躍してる……、
……ごめんよ、それ以上のことは知らないんだ。どんな方なのか、差し支えなければ教えてもらえないかな?


【「そういうことなら」と今まさに言わんとしていたところを制されて、やれやれ、とリチャードは首を振った】
【高貴な家柄ともなれば様々な制約が付いて回ることぐらいは察せられる。不要というのであれば無理に親切を押し付ける気もないようだ】

【――――世界経済の一翼を担う『TRAVIS』の次期当主としてか、その手の話題にはそこそこ詳しいらしく。クルトの兄貴≠ノついても心当たりはあった様子】
【ただ、少しばかり自信なさげだ。あくまで心当たりがあるという程度に過ぎず、リチャードはレオポルトという人物が長男なのか次男なのかも知らないし】
【本人の活動についてもそう深い知識は持っていないらしい。……少し興味深そうな、期待の籠もった視線がクルトに注がれた】
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/29(日) 23:19:38.78 ID:ViqvfUbJo
>>768


──どんな方=Aって言うと……。


【クルトには二人の兄が居るが、レオポルトは『上の方』。親は死んでいるので当主だ】
【元軍人で、家柄と才気でそれなりに昇進したが、クルトの「二人目の兄」にポストを任せて、政治家に転身】

【三十代中盤という年もあって、決して政治的意思決定に関わる立場にはない】
【が、『人脈』は広い──、専門は外交と、経済。今も、どこか外国で行われる会議に赴いている】
【──どうでもいい話だが、『女言葉』で丁寧な受け答えをするので、マスコミに嫌われては居ない】

【と、一般的な情報を先ず、リチャードに並べるだろうが── 】


俺にとっては、『別に何でもない』、──かな。
実際に会うよりテレビで見る方が多いし、成績さえ良ければ自由に生活させてくれるし。
……それにしたって、口座凍結≠ヘ流石に、引いたけど。

──、うん。やっぱり、アレはやり過ぎだ。


【最後に少しだけ、何故か納得した表情を浮かべ──、言葉を切る】
【うーん、と唸るのは、結局のところ、「明日以降の宿どうしよう」、という事に至るのだろう】
【かと言って、リチャードに助けることはできない。 何とも面倒な状況である】
【──、まぁ、彼なら放っておいても大丈夫な気もするが】
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/29(日) 23:25:15.61 ID:LFrOtug90
/>>766は一応未だ待機中ですー
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/29(日) 23:26:41.51 ID:Q0+QZZJSo
>>766

【ごく普通の街並みに、何の変哲もない平凡な店構え。かつて荒れに荒れていた治安が嘘のような平穏さだ】
【しかし──新世界に根差した闇は深く、色濃い。麻薬の汚染が絶えたとて、それによって苦しめられた者の無念は消えはしない】
【そればかりか、光差さぬ路地裏に吹き溜まり残留した、人の情念の残り滓は、時に、道連れを求めて牙を剥く】

「嫌だ!たす、け────」

【ボトル入りの緑茶で唇を軽く湿らせ、一息ついた少女の真横】
【店と店の隙間にある、人一人通るのがやっとの狭い路地から、突然、ぬっと節くれ立った手が伸びたかと思えば】
【低くくぐもった、男の叫びだけを残して、黒々した闇の奥へと引っ込んでゆく】
【助けを求める声は微かで、通りを往来する人々にまでは届かない。日常に紛れた小さな異常を黙殺して、何事もなかったように世界は回る】
【新世界では、往々にしてよくある事だ。だからもし、不運にも少女がこれを見聞きしてしまったとしても】
【必ずしも、関わり合いになる必要はないだろう。休息を優先するも、黙ってこの場を立ち去るも自由】
【無論引っ込んでいった男の手を追いかけて、その向こうにある何かと対峙するも、また自由だ。全ては、少女の選択次第】
/まだいらっしゃいますかー
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/29(日) 23:51:25.26 ID:lyo4Khe3o
>>769


なるほど……あぁ、ありがとう――――。


【一通りレオポルトの話を聞き終えて、リチャードは顎元に手を当てて軽く唸った。「あの女言葉は耳に残るよね」と、思い出した情報を冗談交じりに付け加えて】
【彼はいま、知的好奇心が満たされて満足した、という表情をしているようにも見えるけれど――――真紅の瞳に若干、楽しさが宿っているのも見えたかもしれない】
【思い返せばつい先程、クルトがリチャードの名を聞いた時と少し似ていた。言葉尻に、色違いの沈黙が付け加えられているようにも思えて】


あれ、条件は成績維持だけ? なんだか思ってたより寛大に思えるけど……。
……もしかして何か、よっぽど怒らせるようなことをしちゃったとか?

普通はこういうとき、友達の家とかに泊めてもらうんだろうけど――――。
もしそれも当てがないなら、いっそのこと学校に泊まるっていうのはどう? 知っての通り、学園内はすごく広いしさ。
部室棟の二階とか、旧校舎とか。人目の付かない場所には事欠かないと思うんだ。……ちょっと危ないのは事実だけど。

……本当は、生徒会役員としてこんなこと提案するのはいけないんだけどね。これ、皆に言わないでよ?


【今までのクルトの話を聞くに、レオポルトという人物は相当厳しい印象があったのだが……結果さえ出せば自由にやらせてくれる、と聞いて】
【リチャードは少しだけ驚いたような声を漏らす。意外と緩いな、と――――結果ありきの考え方は、既に社会に出ているリチャードには馴染み深いものだ】
【……成績優秀で素行不良も一切ないリチャードだからこそ言える、微妙に嫌味じみた台詞に聞こえなくもなかったけれど。その自覚があるのかないのか】
【口座凍結、なんて下手をすれば生活どころか生死に関わりそうな冷たい裁断が下された裏の事情を邪推して、リチャードは伺うようにクルトを見やった】

【――――そして。それにクルトが答えようが答えまいが、リチャードは少し悪戯っぽい顔をしてひとつ案を提供するだろう】
【あの巨大な学校内のどこかを住処に使う……もちろん見つかるのは怖いが、見つからなければ確かに、そこそこの生活空間は確保できるかもしれない】
【ちなみに、リチャードが挙げた部室棟と旧校舎だが――――相当の問題物件だ。前者は一時期幽霊騒ぎもあった曰くつきの建物で、】
【後者は老朽化が進んで取り壊しの計画も立てられている危険地帯。まあ、特に人目に付きにくい、という利点はあるが……】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/30(月) 00:09:33.88 ID:86rXD9e8o
>>772

【何か怒らせたのか、という質問には軽く笑んで流す──】
【「成績表を送り忘れた」、とわざわざ言うのも、何となく阿呆らしい】
【──、『それだけ』で、どうしてこうなるのか、という深い所≠ノなると、話は『緩く』ないのだが】


 ああ、うん。 ──友達≠ヘ、居ないかな。


【「泊めてくれるような」、と、付け足す。 掴みづらい表情は動かない】
【よって、その「真実じみた」言葉も、本当かどうかはよく分からないのだが── 】
【──そして、リチャードの発案に、彼は珍しく、驚いたような顔を見せた】


……学校=B ──、成程、それは思いつかなかった。

部室棟≠ゥ、旧校舎=c、…崩れそうなのは嫌だな。
部室棟の方は幽霊騒ぎが有った気がするけど、別に幽霊、嫌いじゃないし──。


【少し、論点がズレている。 元々勝手に屋上に入るような人物だ、その辺りのモラルは低いのかもしれない】
【幽霊はオッケーな彼らしく──その案を、どうやら気に入ったようだ】
【そうと決まれば、という感じで、置いてあった学生カバンを何時の間にか持ち上げていた】
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/30(月) 00:10:37.93 ID:f6ePntcX0
>>771

【――――新月。蝕まれた様に。金色の街灯りを喰らう重き影は、遥か深き水底より腕を延ばして】

(……何にしても、もう一度連絡を取ることは必要そうね。……あの人たちが持っていた情報も、――――――!?)

【その微かな憩いを砕き散らした。思考が転瞬の間に質を変える。驚愕、緊迫、思索/―――――決断、】
【気が付けば、櫻風の少女は声のほうへと振り返り立ちあがっていた。自らの意識に残る叫び、その辿る路を確信し足取りが辿りだす】

【――――蓋をすることもなく。薄緑に彩られた小さなボトルだけが、彼女がそこにあったことを示して宵闇に柔らかな香りを残していた】



【肉体は既に駆け出している。追う視線は、耳は僅かな違いすら乞う様に辺りに気を巡らす。】

【そして駆ける、駆ける、駆ける―――――嘗ての果てなき闇の残影、その可能性に思い到らなかった迂闊を呪う様に、少女は気配を追って行った】
【くぐもった声―――逃す筈もない。あまりにも、その色は今宵見通して来た街並みの平穏とは温度が違う/“ならば、迅速に辿り着き戻さねばならない”。】
【あのいろへ。灯のなかへ。……追うものに、手を緩める理由はない。】

【謎の襲撃者―――彼女はそう判断した―――に誤算があったとすれば、見聞きした黒髪の少女が闇へと踏み込む速度だろうか】
【姿かたちから考えられぬ程には迷いがなく、また純粋な速力としてヒトのものと思えぬほどに鋭く迅速く、】
【それはさながら重力に曳かれ落ちる刃が、黒染めの麻糸を断つ刹那の拮抗の様でもあった。そして、それはその速度を保つまま対峙を選ぶ。】
【……かくして。藍色に彩られた細い影は、“途絶えない”/常の世の殺人者が毒牙が触れんとしているならば、未だ助けを求められる筈の、声の主(だれか)を求め、急いて――――。】

/あばば…気付くのが遅れましたが此処にっ。よろしくお願いしますー!
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/30(月) 00:12:31.41 ID:vgmWlHRH0
【街中――路地裏と大通りの狭間、曖昧な暗がりの中】
【街中の明るさの届かない、でも路地裏の暗がりも届かない、夕暮れよりは冥い色合いをした、そんな隙間の場所】
【紙ぺらのように薄い月じゃその闇を明るく照らすことも出来やしない。だから、その場所は、曖昧な暗さで支配されていた】

……こら、だからついてきたところで何も出来ないと何度言ったら分かるのだね。
キミの家はあっち。私の家はこっち。そして我が家にキミの喜ぶようなものなど、何もないのだから。

【――そんな場所に響く声は或いは異質と言えただろう。まだまだ若い――というより子供に近い――女の声だ、掠れてはいたが、】
【最低限の女らしさだけは辛うじて残した古ぼけた本のような声。叩けば埃の出そうな、瑞々しさのない声が、ぽつりと響き】
【どこかうんざりしたような響きを抱いているのだから不思議だろう。もしも誰かが見てみよう、だなんて思うなら――】

【――小柄な少女と、一匹のサビ猫の姿。見ることになるのだろう、その、いかにも曖昧な暗がりの中に……ぽつん、と】

【“あっち”だと指差す指はひどく細かった、見れば、繋がる腕も棒切れのように華奢で、運動なんてしたことがないような】
【毛先がくりっと巻いた金髪の中にはピンク色した毛が見受けられる、ぼんやりとピンクがけたような髪色は、ずいぶんと特徴的で】
【あどけなさを残す顔つきの中で違和感のあるのはつんと釣った――それでいて拗ねたような――勿忘草色の瞳、今は伏せられて】
【生成り色の薄手の生地に散りばめた青色の小さな花柄、ふわりと広がる裾には切れ目が入って、それが不思議なシルエットを描き】
【ちょこんと零れ落ちたような足先は。底のないパンプスで飾られて、付き纏う猫に困惑する足裁きは、ダンスを踊るようなそれ】

迷子なら大人しく家にお帰りな、きっと誰かが探しているのだから。……ほら、ついてこない。
……キミの家はあっち。私の家はこっち。ついてくればくるだけ、家から遠のくのだよ。分かるかい?

【――どうやら、迷い猫に付き纏われているようだった。にゃあにゃあと必死めいて繰り返される鳴き声は、つまり、“おなかへった”】
【それをわかってはいるらしい少女はつっけんどんな困惑顔で猫に対応していて。何も持ってないと空っぽの手を見せても、猫は納得せず】
【家に来ても何もないから。お前の家から遠くなるから。様々な理由を述べてはいるが、それを猫が理解しているかと言えば――】

【――困ったように猫を抱き上げて頭を“あっち”の方にして置いてやる。そーっと後退りしているお尻が、大通りからよく見えた】
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 00:30:30.87 ID:zRDoikMco
>>774
【助けを求める声を追って、細い路地に飛び込んだ少女。闇に目が慣れた彼女が目にするのは、次のような光景だ】
【黒いハットに、艶々とした長い黒髪。白を基調にした柄物のシャツに、紺色のジャンパースカート】
【長い足をボーダーのソックスに包み、ストラップシューズを履いた肌の白い女が、よくいる不良A、といった風体の男を抱きすくめて】
【目を瞑り、キスをせがむように緩く閉ざした唇をつき出している。お取り込み中、というヤツだ】


「やめてくれ、離し──痛い、助けてくれ、お願いだ!」


【……しかし、よくよく見れば、男は女の腕の中で体を震わせつつ、懸命にそこから逃れようと抵抗している】
【行為に迷惑がっていると言うよりかは、女そのものを本気で怖がっているような仕種だった。青褪めた顔が、恐怖に引き攣っている】

【不可解な光景だ。女は男に危害を加えようとするでもなければ、凶器を所持していたり、返り血に濡れていたりするでもないし】
【もちろん並外れて不細工な訳でもない。むしろ顔立ちは整っている方だ】
【ならば男は、女の何を恐れているのか?その答えは、男の叫びの中にあった】

【「痛い」──そう。女の抱擁は、「痛い」のだ。その繊手は、白魚の指は、万力の力強さを持って男の背中に食い込んでいる】
【大の男が全力で抵抗しているにも関わらず、その細腕はびくともしない。そればかりか、男の身体からはみしみしと骨の軋む厭な音さえし始めた】
【やがて女が目を開く。瞼の奥にあるべき眼球は存在せず、虚ろな眼窩からはただ灰色をした粘性の液体が、涙の如く溢れ出す】
【女の喉が、うがいをするようにごぼごぼと水音を立てる。薄い唇が開き、腐り果てた屍肉の匂いの息を吐き出した】

【生ける屍(リビングデッド)。少女の言うところの襲撃者たる「それ」は、ヒトではなかった】
/よろしくおねがいします
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/30(月) 00:38:29.05 ID:B642lRPVo
>>773

【リチャードとしても少々踏み込んだ話だとは理解していたので、答えが返ってこなくても別段機嫌を悪くしたりする様子はない】
【……公的に罵倒されたって表情を崩さないのでは、というぐらいの雰囲気が彼にはある。これも大企業の次期当主としての経験の中で培ったものなのだろうか】
【もっとも、それはクルトとて同じ――――互いに読めない、読み切れない。だが少なくとも、表向き嫌悪や敵意らしきものもなく】


友達、か……そうだね、だったらボクと友達にならないかい?
境遇も似ているし、キミとは気が合うと思うんだ。もっと色々話も聞いてみたいしね。


【――――その微妙な間柄を承知の上で、リチャードは満面の笑みを浮かべてこんな提案をしたのだろうか】
【何か別の意図があっての発言なのか、それとも全ては杞憂に過ぎず、心からの親切と善意で動いているのか。笑顔は、笑顔にしか見えない】
【伸るか反るかはもちろん自由である。頷けばきっと喜ぶだろうし、逆に冷たく突っぱねた所で、怒りすらしないのだろうから――――】


さすが、クルトは肝が据わってるね。「怖くない」じゃなくて「嫌いじゃない」って辺りが特に。

部室棟の辺りは元々人通りが少なくて、一階も物置程度にしか使われてないけど、たまには人も入ってくるから気をつけた方がいい。
まあもっとも、二階は普段立ち入り禁止になってるし。防火扉に鍵をかけて閉じられちゃってるから、入ってくる人なんていないと思うけどね。


【賞賛の言葉を掛けてはいるが、リチャード自身幽霊が怖いタイプには思えない。多分ちょっと茶化してみただけのつもりなのだろう】
【……おだて文句に乗じて、さっき君付けだったのがさりげなく呼び捨てに変わっているあたり、ちゃっかりしているとも言えるけれど】

【その後、リチャードは軽く部室棟の注意点を述べる。南京錠と分厚い防火扉で封鎖された二階なら、比較的安全に過ごせるだろうと】
【封鎖されているということは当然、入れないということでもあるが――――あくまで正規のルートが使えないという話である】
【窓から入るなり、屋上から入るなり。部室棟の外にある非常階段を登って、その先にある扉をこじ開けるでもいい。クルトならうまくやれると考えているようだ】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 00:45:21.09 ID:OorARHGro
>>775

【その『あっち』の方から揺れる赤い閃光。閃光を描く消えかかりそうな薄い小さな光】
【すぐにそれは男が指に挟んでいる煙草の火だと男の所作と煙の匂いでわかる】

【ワサワサの黒い髪、黒いサングラス、黒のスーツ、黒のブーツ、ネクタイ…と黒ずくめの】
【背の高い痩せたとんがったような鼻の彼。白いのはシャツと手に持ったビニール袋ぐらいだ】
【左手に袋をシャカシャカさせながらぶらぶらさせていて、右手にはビールの缶と指の間に煙草】
【ブレたコマのようにぶらぶらと歩いているから散々飲み明かした帰りというような感じだ】

あー……おっと……はいはい、退いてくれるかい?

【ニィーっと出来上がった陽気笑みを浮かべる男。鳴く猫を見てしゃがみこんで】

おー……なんだ、どら猫。ほらっ、かっぱやるぞかっぱ……

【袋をがさがさやって、安っぽいタッパからかっぱ巻きをひょいひょいと渡し始めた】
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/30(月) 00:57:59.62 ID:vgmWlHRH0
>>778

【あっちはあっちだと示しても猫は満足してくれない、せっかく退かしたのに、またついと振り返ってきてしまって、】
【また変わらず足に擦り寄ってくる。ごろごろにゃーにゃー、おなかすいたおなかすいたと、たった一匹の大合唱】
【そうなると少女は余計に困った顔をして……苦い虫を咥えて噛み切ろうとしている瞬間みたいな顔を、するわけで】

だあ……、どうして付き纏うんだい、もっと優しそうな人に付き纏えばいいだろう、私じゃなくて……。
何にも持ってないし財布も持ってないのだよ。何も買えない、分かるかい、一文無しなのだから――。

【それでも無理やり振り切って逃げ出さないなら、雀の涙程度には優しさがあるのか。それとも、面倒臭いだけなのか】
【どっちにせよこの場から立ち去らないことに変わりはない、にゃーにゃー鳴いてる猫を足元に実らせて、棒立ちな姿】
【もう帰りたい、だなんて顔をしているのだった。――大通りを通りすがる人たちも、そんな彼女を無視していて】

……ああ、悪いね。この子が退いてくれないものだから。もう小一時間は付き纏われてるのだよ。
これなら言葉が通じる分下手な男に付き纏われたほうが楽だろうか、……ま、ご遠慮したいが。

【――そんなところだ、彼が現れた場面というのは。苦い顔をしている少女と、鳴きじゃくる猫と、それと、現れた彼】
【煙草の煙がくゆって昇る、人懐こい(その実空腹なだけである)猫は、今度は彼のほうへとにゃーにゃー鳴き始め】
【蹴っ飛ばしたりしないかぎりはその足に絡むだろう。黒色のスーツには、――茶色や白や黒の毛が付くかもしれなくて】

【やっと退いた。という顔で少女は体を伸ばした、ぐうと猫がするみたいにやって――はあ、と溜息めいた吐息がひとつ】
【冗談めかしてそんなことを言っていた、挨拶らしい言葉がなかったのは……まあ小娘だというので許容してやるとして】
【言葉遣いが成ってないのはどうだろう。怒られるかもしれないし、そうならないかもしれないし、それは彼次第であって】

【――最初猫は「なんぞこれ」という顔をしていたことだろう。これは食べ物か、と、何度もすんすん匂いを嗅ぎ嗅ぎ確かめて】
【どうやら喰えるらしいと察すればかじかじとやりだす。そうして、ご飯と、それにへばりつく海苔と、きゅうりにバラしてしまって】
【ご飯のところをあぎあぎと食べているのだった――よっぽど空腹だったらしい、酢飯、というのも気にすることがないままで】

……昔の飼い猫は何でも食ったというがね、今時の猫もやるもんだ――ああ、迷子猫らしいのだよ、その子。
首輪の住所が隣の隣町になってる。届けに行こうにも遠すぎるもので……どうしようかとね。

【さて、猫が静かになれば少女は急に退屈になる。そうなれば、かっぱ巻きを猫にくれてやる男に言葉を投げるのだろう】
【付き纏われた間に手に入れた情報。どうやら結構遠くから来てしまった子であるらしい、野良でないだけ、対処に困って】
【探しているだろうけど遠い。届けてやりたい気持ちもあるけれど、実質無理。そんなところ、なのだろう――きっと、】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/30(月) 01:01:29.56 ID:86rXD9e8o
>>777


…、…ああ、いいよ。
宜しく、リチャード。 何か有ったら、声掛けてよ。

【──快諾して、それからの彼の説明に、クルトは謝意を示すだろう】
【相変わらず、何ともよく分からないテンションで暫く会話を続ければ、「夜が更けてきた」とでも言って】
【彼に別れの挨拶をして、その場を離れるだろう ── 、】


( ──  、やっぱり、気持ち悪い=@な。 )


  【が、単純に普通≠フ行動をするほど、クルトは普通≠ナはなかった】


【クルト・ルカイナー≠ヘ、『考えるのが好き』な方だ】
【噂を聞けば一頻り考える。偶にのめり込み過ぎて、人の話も聞こえなくなる】
【──、結果として、元来の性格とそれが合わさって、「よくわからない奴」と判断されるのだが】

【“リチャード・トラヴィス”の噂も、聞いたことが有った。】
【──完璧≠ニ呼ばれる人間なら、幼い頃から、兄達と共に幾らでも引き合わされて来た】
【だが総じて、そういう人間が『完璧』だった試しはない。 完璧から来る欠缺≠ェ、何処かにある】

【だが──、“リチャード・トラヴィス”に関する噂には、それすらない=z
【そして、その事が欠缺の欠缺≠ニして、クルトに強烈な違和感を与えていた】



(…、…『一応』、だよ。ゴメンね、リチャード=B)



【── リチャードと離れる直前、彼は足元に小型の ≪ 金属人形 ≫ を、こっそりと転がしておく】


【彼の能力>氛氓サれは、『金属』を操ることと、その『金属と感覚を同期』させること】
【距離が離れるほど『単純な命令』しか与えられず、後者の能力には、それなりの『感覚器』を作る必要がある】
【──、今回の人形≠ヘ五感総て揃っている。『命令』は、リチャードの『尾行』】


【──、そんな事をする気になったのは、夕方に聞いたレイリスフィードの闇≠フせいだったのかも知れない】
【少しだけ、興味が湧いた。闇を探るには、学内の『気持ち悪い物』を総て、潰してしまうに限る】
【可能性を最大化すれば、『異様』たるリチャードが何か≠ニ繋がっている線も、一般生徒よりは低くはない】


【尤も、すぐに見つかって『潰され』ても、結局、何も無かった、というオチも十分有り得る】
【結局は、ほんの遊び≠ンたいな物だ。 ──、『好奇心の発露』と言っても、正しいだろう】

/何かいきなりぶっ込んじゃって御免なさい。
/即破壊でも、あっさり見失った感じでも、構いません。
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/30(月) 01:12:51.40 ID:LQOVp2Qm0
>>776

(……、な、何? こんなことをあの人は嫌がって、“もう一人”が……、っ―――――……“違う”!)

【羞恥――――破滅的な、或いは一刻を争う光景を想定したこころが、眼前の其れとの落差に一拍だけ生じた様な。】
【実情には適わないものであり、だから事態は持続しない。思考が、音が変化が変革を生む。】
【瞳の奥で揺れた冷たい光は、間を置かず確かに状況を捉えた様で】

【行動する―――虚空に“ちから”が顕れる。闇を裂く戦闘の気配――――翔ぶ様に駆ける様は何らかの所作を手元で終えて/踏み込む、】
【黄金の火が躍るや否や、(感覚があるならば)屍は風を感じるだろうか。そのまま抱擁を続けるならば眼前には肌色と黒髪と藍色とがあって】


貴方は……何者? 生きている躰じゃない様だけど、それなら、“生きる”以上を求める道理なんて無い筈よ――――

……先ずは、その人を離して貰うわ。……欲しくても、壊せば元も子もない事だもの――――。

【屍の傍ら、壁へ向けて。刃先が屍の右頬を掠める様に太刀を突き出しながら、黒髪の少女が警告する様に口を開いていた】

【“速力”――――それが彼女の大きな武器の一つである事は間違いない。瞬時に頭を割ることが叶うと威圧する様に/これ以上の攻撃を封じる様に、言葉と力の両面で女性の屍を遮らんとした】

【……先ず言葉が通じるのか、答えになる答えは返るのか。不安要素はあるものの、この一瞬で決めたこととしては“必要”の観点からはそう悪くない】
【術者が他所から“この様な”悪趣味を行っているとして、幾つかの要因を限定する必要がある。 】
【例えば、視覚は共有するのか。例えば、このやり取りが視える位置に術者が身を置くのか。或いは完全にコントロールを離れ、ただ本能と力の赴くままに行動するのか――――、】

【最適解はそれにより異なる。手掛かりになるのは屍の所作――――“最善の”行動を狙われる可能性もあったが、この狂態の目的を識ることも或いは叶うのだと】
【“目的”に徹するそれは誰かを救うものより、敵対勢力の威力を断つ鋼の冷徹を思わせただろうか。黒曜の利器、銀色の刃鉄。】
【何処からか顕れ、瞬く間に屍に向けたそれは、正しく、彼女の異能であり意志だったのだろう】

【屍に対峙する一方で、意識は、軋む肉体の状態を想うよう、淡い光を浮かべ、触れるような視線で“命のある”もう一方をも観測して】
【そこで、何が見えただろう。指先が食い込む傷のいろか、鼓動を重ね痛む命か。軋む橡色が動揺を迎える類なら、或いは間近の、命なき“彼女”にこそ好機ともなるのかも知れず】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 01:15:44.01 ID:OorARHGro
>>779

【男はネコに付きまとわれても何も気にしないで待ってろ待ってろと】
【かっぱ巻きをひょいひょい食わせて、自分も壁にズリズリと背をつけて】
【寄りかかるように頭をつければ、傍らにビールの缶を置いてタバコをくわえる】
【スーツはよく見ればところどころ今日ついたらしい汚れもある、シャツも襟が曲がっている】
【高そうな生地でもその辺は無頓着な用だった。煙を吐き出せば、開けっ放しの口で話し始め】

寿司屋の回りなんかどら猫ばっかだよ…しかも、ぶくぶくに太ってるんだ。みんな食わせるから…
だから……食うんじゃねえの?なんでも…ペパロニピザは知らないけど。マルゲリータくらいなら…

【男は袋をがさがさやって、自分もエビか何かをつまむ。ついでに「ほら、白身もやるぞ」とネタもネコにやって】

…飼い猫だったら、帰んだろ。……ネコっつーのはそういうもんじゃない?……首輪つけて鎖につなぐような動物じゃない
……いや、動物なんてみんなそんなんだと思うけど……帰るだろ。飼い主ってのは絶対餌をくれるから。…そういうので覚えるんだよ

【男はビールの缶を持って、ぐびりと飲む。まだ飲むのか、酔いとは関係なしにオートマチックに飲むのかは定かではない】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/30(月) 01:28:52.12 ID:vgmWlHRH0
>>782

【そして彼女はそんな様子を見ていた、サビだからメスだろう、それらしく男性に甘えているのが、よく似合って】
【棒切れみたいな女の子、というのは猫に甘えられててもなんだか不安定だ。猫に負けてしまいそうな、そんな錯覚がして】
【スーツが存外適当っぽいというのに気付けば目を細めて。でも――何を言うでも、なかったから】

家の傍の弁当屋のところにも丸々肥えた猫が居るよ、いいものでももらっているのだろうね――まあ、
野良犬なら駆逐されて野良猫なら許容されるというのも不思議な話だが。病気を媒介するかどうかなのかね、それとも、
ただの野良猫には人間は殺されないから……かしらん。……ああ、ピザは食べないと思うよ、サラミだけならともかく。

【肩の荷物が降りたとばかりに肩をすくめる、その様子は肩こりしたようでもあって、それなら、よっぽど気疲れしたのだろうと】
【ぷいと置いていかない優しさの代償がこれだ。どうもしてやれない罪悪感めいた感情、ただ、それを少女はあんまり考えずに】

そうかね、触って御覧な、雨でかぴかぴしてるものだから。もう何日も帰れてないのだろうとね。

【――色の濃いサビ猫だからちょっと気付きづらいこと。毛が濡れた後のように固まっている、ただそれも、】
【本人の毛繕いによってある程度解消されている違和感、それなら、別段気にしてやることでもないのかもしれないけれど】
【邪険にしてたくせに嫌いではないらしいのだった。「ま、それならいいのだけど」なんて呟いて、視線は大通りの方を見つめ】

……キミ大人だろう、キミが連れて行ってやっても構わないのだよ。私がするより、楽だろう? きっと、だが……。
ほら、首輪に住所が書いてある。連れて行ってやったら飼い主が喜ぶんじゃないかね、……――。

【つんと拗ねたような顔のままでぽつりと紡ぐのだ、それからついと動いて彼を捉える視線は、ただただ機嫌の悪い少女の色合い】
【人にモノを頼む態度でないのだけが確かだった。――いつか帰るだろうなんて彼は言うけれど、それは少しだけ不安な答え】
【帰れなかったら餓えて死ぬのか、それとも順応するのか。分からなかったけれど……、……このまま放っておくのは、少し、】

【(だから。彼がそうしてくれるのをほんの少しだけ期待した、それが、少女にとって少し珍しい感情の動きだったとしても)】
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/06/30(月) 01:50:54.59 ID:B642lRPVo
>>780


ああ、良かった。断られるんじゃないかと思ってドキドキしていたんだ。
それじゃあね、クルト。一応ボクの方でも手を回しておくけど、くれぐれも見つからないようにね。
――――じゃあまた、学校で!


【果たして、クルトからの返事は――――可。リチャードはホッとした表情を浮かべて淡く笑うのだった】
【本当に、安堵しているようにしか受け取りようがない、一部の隙もない芸術的な表情。それは美しくもあり、そして同時に、】
【……去っていくクルトの背を、リチャードは軽く手を振って見送る。友達が出来て嬉しい、と言うようなにこやかな笑みのまま、自身もまた帰路に着く――――】

【地下街を抜けたリチャードは携帯を取り出してどこぞへ一報を入れると、夜の街を静かに歩いていくだろう。方角は、旧市街とは逆方向】
【自分の後を付いてくる金属人形に気づいているのかいないのか……少なくとも、リチャードは一度たりとも振り向かなかったはずである】



【そして、数十分ほど歩みを進めた先で――――】


………仕事が忙しくて、こんな時にしか来れなくてごめんなさい。
では、また来ます――――兄さん。


【――――辿り着いたのは共同墓地だった。リチャードは、端の方にある「名前の刻まれていない墓石」を軽く掃除した後、学生鞄から花束を取り出して墓前に添え】
【しゃがみ込んで黙祷を捧げ、立ち上がりながら小さく呟く。兄さん、と……その作業をもう一度′Jり返すと、リチャードは墓地から出て行くだろう】
【作業は二度繰り返された。つまりリチャードは二人分の人間の供養を行って、二人を呼んだ――――つまり、この二つの墓石は。彼の兄たち≠フ墓だった】

【この件について不審に思い、後で調べてみることがあったのなら。『TRAVIS』に関する噂について詳しく知ることが出来るだろう】
【……当初はリチャードではなく、長男が家督を継ぐはずだったのだ。けれどある時期を境に、長男も、そして次男も、公的な場に一切姿を見せなくなり】
【現社長であるシャルル・トラヴィスは、いつの間にか三男坊であるリチャードを次期当主として推すようになっていたという】
【これについてマスコミから質問が飛んだこともあったが、返ってきたのは「悲しいが、私の後釜は才能がなければ勤まらない」という答えだった……】

【ここまでは、普通に仕入れられる噂。ここから先は相当入念に手を回されて伏せられた話なので、クルトが掴めるかはわからないけれど】
【その後長男と次男は、公的な場どころか、プライベートな場ですら誰も見た者がいない。通っていた学校も突如転校、友達も先生も一切行方を知らないという】


………………。


【――――これを今見た情報と合わせて考えれば、何らかの理由で死去した長男と次男のことを、『TRAVIS』が隠蔽しているのだと気づけるだろうか】
【どうして、誰が、何の目的でこんなことをしたのか。それがわからない以上、今の段階ではそれ以上のことは何一つ判然としないけれど】
【クルトは今宵、レイリスフィードの闇≠フ代わりに、リチャード・トラヴィスの闇≠垣間見た。そのことだけは、絶対不変の真実――――】

【心底沈痛な表情で、心底沈痛にしか見えない表情で墓地を後にするリチャードの姿は、果たしてクルトにどう映っただろうか?】
【何はともあれ――――先程電話していたのは迎えを寄越す為だったのだろう。やがて墓地の前にリムジンがやってきて、リチャードはそれに乗り込んで帰っていく】
【流石に車内にまで金属人形を潜り込ませるのは至難の業だし、それが出来たとしても、リチャードが向かうのは『TRAVIS』の支部の一つであって】
【無理に彼の後を追って社内へ入ろうとすれば、間違いなくセキュリティに引っかかる。……今日はこれが限界、か。これ以上は別ルートでないと探れそうにない】


【……晴れて友達≠ノなった二人。リチャードの闇を知ってしまったクルトが、これから彼にどう接していくのか】
【そしてこの関係が、これからどういう顛末を辿っていくのか――――その答えは、今はまだ。深い深い宵闇の奥に埋没して、見通すことが出来なかった】


/いえいえ、楽しかったです! 遅くなって&長くなって申し訳ない……
/お付き合いありがとうございましたー!
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 01:57:55.69 ID:zRDoikMco
【警告の声に応じて、屍人は迫り来る少女を見遣った。眼球が無いのに「見た」というのも妙だが、兎も角】
【この時、初めて屍人は少女という闖入者の存在を認識したのだ。屍人は少女の持つ力の脅威を知らないが、しかし、彼女が何者であるかは判る】
【肉だ。それも新鮮で、軟らかい。屍人の歪んだ口の端に涎が伝い落ち、俄かに息遣いが荒くなる。頬を斬られた事など意に介する素振りもない】

「た、助けて!助けてくれ!この女……いや、化け物、早く何とかしてくれえッ!」

【喚き散らす男とは対照的に、屍人は何も語らない。そもそも、何かを語るだけの知能を持っていない】
【どこまでも本能に忠実に、男の喉首を食いちぎるべく、ぶちりと口の端が裂けるほど大きく口を開いた】
【喉の奥にぶくぶくと泡立つ、屍肉色の粘液。舌は半ばから切り取られ、断面から腐汁を滴らせている】

【鋭い乱杭歯を剥き出しにして「死の接吻」を迫る屍人に対し、男は抵抗の術を持たない】
【爪の食い込んだシャツの背中には血が滲み、骨の軋むような音は増すばかり】
【運よく喉を食いちぎられなかったとしても、このままでは遅かれ早かれ、全身の骨を砕かれ、無惨に絞め殺されることだろう】

【狙うのならば、腕か頭だ。そのどちらかを刀で斬り落とせば、少なくとも今すぐに男が命を失う事はない】
【現在屍人は男に抱きついているため、結果的に男を盾にするような格好にはなっているが】
【奴がその立ち位置を有効に活用できるかどうかについては、甚だ疑問だ。……というか、まず無理だ】
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 01:58:42.05 ID:zRDoikMco
/失礼しました、>>785>>781にです
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 02:11:29.20 ID:OorARHGro
>>783

【ビールの残りを一気に飲み干したら、その中に吸い殻も入れてビニール袋にまとめる】
【もうねえよとネコに言って、アルコール混じりのあくびを男は一つして】

……取りに行くか、貰いに行くかって話さ。柔よく剛を制すって……まあそんな感じ
猫は猫、犬は犬、人は人。飯のくい方は人それぞれ………猫…犬……それぞれ

【男はよっと立ち上がる。よろめいて壁に肩だとかぶつけたり手をついたりしながら】
【そうすれば、ぼんやりと考え事をするように間を開けてから】

いやぁ…俺、猫とかクシャミ出るからさ……でもまあ、なんだろ。ウチにいるより
外にいるほうがいいのかもしれないよ。決められた幸せより、泥だらけの自由のほうが
コイツは好きなのかもしれない。…飼い主なんて、関係ないよ。…そんなものさ

そんなに気になるなら嬢ちゃんが行けばいい。どうせ、帰っても宿題するぐらいだろ?
そんなもんやるより、猫連れてって、駄賃でも貰ったほうが有意義だと……俺は思うけど

【でもまたしばらくしてから口を尖らせて考えをごとを初めて、直ぐに終了して】

まあ…でも……面倒か。……どうせタクシーで帰るし、ついでに……
ほら、こい。かっぱ巻きやったんだから言うことくらい聞きなさい

【猫を手招きして男はつかつかと歩き出す。猫がついてこようがなんだろうが歩くものは歩く】
【不意に止まって、くるりと少女の方を向いて】

連れてくけど、コイツがまた逃げるかどうかはコイツしだいだからな。
……また、あったら、次は自由でいさせてやれよ……じゃ……ま…

【そういって、男は歩いて消える。猫を乗せてもいいタクシーが見つかったかどうかはわからない】
【そして猫は家に帰ってそれからどうなったかも……多分、1番平凡なものが答えなんじゃないだろうか】


/すみませんが眠気がものすごいのでここらで失礼させて頂きます…!
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/30(月) 02:17:40.40 ID:7TmRjDTz0
>>785-786

【警告の無為を反応から識った。眼前の異様にぎゅ、と口元を結ぶも、見慣れた様に――――けれど危機を悟った加速度と軋みとで声は急いて】

……少しだけでも退いて。後ろに―――――――私が貴方まで巻き込まずに“終えられる”様に!

【屍の“それ以上”を留めんとする言葉は通じない―――――本当に動く屍でしかないのだ。必定、向ける言葉は男性への其れとなり】
【常人が理解するのに必要なだけの、瞬き一つ程度のラグを許した。直後、あの速力を乗せて藍色が閃き、】

【両手持ちの柄から伸びる刀身に、俄かに一層の力が篭もる。 全身が、沈み込む様に(屍から見て)左斜め前へと回り込む。】

(……誰が何の意図で齎したのかは知らないけれど――――――此処で、何も感じずに眠りなさい……!)

【そうして“諸共に断つ” 結末を回避すると同時に太刀を横ざまに――――生者の頭を避ける様に屍の右耳元から斜め上へと振り抜き、手首は背中近くに送る様に後ろ側へ/同瞬、】
【踵の位置のスイッチから軸を替えながら、捻りを加えた追撃の刺突で斜めに下顎もろともに喉笛を狙う。命あるならば、確実に途絶えるであろう破壊の具現。】
【踏み込みが何れの攻撃に於いても手掛かりになるが、“二撃目”で急変化する攻撃のベクトルが初撃からの推測を困難にする。先読みも、この速度域と瞬間的な加速から容易ではなく】

【何より、】
【“かたちあるものを斬る”概念を得た白刃の斬閃―――――――】

【――――――並みの重合金装甲程度ならば、薄紙同然に断割する。脆い屍ならば言うに及ばずか。行動を完全停止させるための連撃であったが、】
【破壊力が意味を為さない存在――――肉体さえあれば行動できる様な―――――であれば“二撃目”、顎と喉を穿ち貫く刺突はその肉で刃を捉えられる悪手となるのだろう】
【攻撃に特化した剣戟のいろ。倒せず、行動の阻害すら叶わないならば、待ち受けるのは反撃の窮地か】

【……或いは、生存に特化した動きであれば躱されるだろうか。刃の間合いを逃れる様な、追撃を封じつつ大きく体勢を崩させる様な。 】
【初撃の前段階、“廻り込む”動きに乗じれば初動の―――静止した肉体を動かす際の隙は消え、回避の補助をも望めるのだが】
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/30(月) 02:20:40.05 ID:7TmRjDTz0
/>>788

左斜め前へと回り込む。】

右斜め前へと回り込む。】

…です、申し訳ないっ…!
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/06/30(月) 02:27:48.75 ID:86rXD9e8o
>>784



【── 部室棟、二階。】

【能力を使って防火扉に掛かった鍵を捻じ曲げ、そしてまた、元に戻しておく】
【── 適当に選んだ部室。矢張り、黴臭い。が、数日間、夜風を凌ぐには十分だ】
【1階から取って来たマットを床に敷いて、その上に寝転がり──、軽く、携帯で調べ物≠した】



(…、…リチャードの兄は、二人共死んでる=B)
(けど──、それは『公開情報』と矛盾する、と。……どう見ても、不自然≠ナはある、よね。)

(考えられる可能性としては、事故として死んだ≠ェ、一つ。隠蔽の動機は、『後継者死去による株価下落の阻止』。)
(……、自分で考えておきながら、馬鹿みたいだ。後継者はリチャードで十分。)
(なら、もう一つ── 、こっち≠フ方が、可能性は高い、か。)


──、 だとすれば、とんでもない『スキャンダル』。



【一瞬だけ、知り合いの軍人≠ノ伝えてみようかと迷ったが──、やめておいた】


【──クルト・ルカイナー≠ヘ『考えるだけ』で、大抵のことには満足してしまう】
【幼い頃から、そうだ。 友人と遊ぶより、一人で雲を眺めながら何か、おかしな事を考える方が楽しかった】
【それは、『家庭環境』によるのかも知れないし──、また、彼自身のパーソナリティによるのかも知れない】
【他人を見下しもしないが、憧憬もしない。 結果として、外界への反応は鈍くなり──、よく分からない奴、と敬遠される】

【──そんな性格だから、下手をすれば『TRAVIS』を傾けかねない情報。それでも、それを外部に発信することに価値を見出だせない】
【逆に言えば、伝えないのはそれだけ≠セ。…、…間違っても、『友情』に起因するものではない】



(…、…まぁ、結構どうでもいい──かな。 寝よう。)



【──、数日後から幽霊≠フ噂がまたぞろ流れだしたのは、また別の話だ】
【その頃には、既にクルトはマンションに戻り、部室棟はもぬけの殻だったのだが】


/お疲れ様でした
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/06/30(月) 02:29:00.31 ID:vgmWlHRH0
>>787

【――少女は彼の態度を酔っ払いゆえのものだと判断した、掴むところのないような……不思議な、語り口】
【きっと住む世界はまるで違うのだ、少女は非凡な少女にしか見えなかったし、彼は、――普通の人、には見えなかったし】
【それが一匹の猫を通じてふと交わった奇跡。「そういうもんかね」なんて呟きで返して、ひっそりと首をかしげる仕草】

ああ、アレルギーかい。それならキミには頼めないな、……死なれたりしても夢見が悪いもの、化けてでないかい?
ちょっと顔を知っているだけのキミが夢枕に立ったところで困ってしまうのだよ、それに……枕元は、本だらけで立てないだろうし。

……ま、そうかもしれんがね。飼われている以上仕方ないだろう、飼い猫の仕事だなんて、家でごろにゃんすることなわけだし。
心配掛けさせちゃいけないよ、まして……通りすがりの人間に小一時間餌をねだり続けるなんてことも。困るものだから。

いや……、宿題はない。学校だとか行ってなくてね、煩わしいだろう? お生憎様、不良でね、……。
家に帰ってもぬいぐるみが待ってるだけさね、あとは無数の本と……それくらいだよ、親も帰ってこないものだから。

【それからつらつらと言葉を返していく、あんまりふらつくようなら、そっと手助けするように手を伸ばしてみせて】
【頼らないというならそれまで。頼ってくれるなら――見た目通りのか細さだ。果たして信用できるのか、不安なぐらい】
【「心配掛けさせちゃ……」と言う部分だけは猫に語りかけていた。立ち上がった彼の変わりに、よいしょとしゃがみ込んで】
【ぐしぐしと頭を撫でてやりながら言葉を掛ける。おなかも満ちれば猫は静かだ、ぐるるっと喉を鳴らすだけに、留まって】

【(地面に落ちているきゅうりはご愛嬌だろう。おいしそうとは思わなかったらしい……いつか、アリ辺りが食べるはず?)】

…………いいのかい。それならいいのだけれど、……ほら、良かったね、家に帰れるそうだよ、キミ――。

【きょとん、と眼が瞬いた。ほんとうに?なんて尋ね返すように、言葉を返して――猫に向けた表情、ひどく穏やかなそれだ】
【そんなときだけ少女めいて可愛らしい顔をする。最後にわしわしと猫の頭をなでてやれば、そっと解放してやって】
【猫は言葉を理解したのか、それともただの気紛れか。彼の後を追いかけるのだろう、とてとてと、ちいさな歩幅で】

ありがとね、……うん、ありがとう。それじゃあ……、

【その彼を見送る表情。薄らと笑って見せて、そうして手を振ってみせるという、そんな、彼女に珍しい平穏な色合いは】
【お願いを聞いてくれたことへの感謝でもあるのだろう、言葉以上に、それは窺えて――、一人と一匹を、見送る背中】
【結局彼女は姿が見えなくなるまでそこに立っていて。いい子の猫ちゃんも彼を追いかけ続けた、それなら、結果は】
【きっと、誰かが喜ぶものになった――はずなのだった。そうだといいなって、思って見上げた空で、星が一つ流れた】

/おつかれさまでした!
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/06/30(月) 03:06:43.25 ID:7TmRjDTz0
>>785
/すみません、今夜のタイムリミットが来てしまいました…orz…雑談の方にも目を通して頂けると幸いですっ
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 03:25:03.80 ID:zRDoikMco
>>788
【大きく開いた口で、眼前の犠牲者に噛み付かんとした刹那の一閃。少女の獣じみた速度に、屍ごときの緩慢な動作が割り込めよう筈もない】
【鋭い打ち込みによって、屍人の頭部は顎関節の付け根からばっさりと断ち落とされる】
【男の胴体を締め上げる手の力が、頭部を切り落とされたことで大きく緩んだのが、少女の目にも見て取れるだろう】
【続く二の太刀は、脳漿を撒き散らしながら宙を舞うそれが地面に転がるよりも早く、屍人の喉笛を喰い破る】

「あ、熱ッちい──!」

【少女の見立て通り、屍に彼女の振るう白剣を止めうるほどの強度はない。仮にこの屍人がまだ動けたとしても、刀を引き抜いて動けなくなるまで切り刻めば済む話だが】
【しかし、今回の二の太刀──喉笛への刺突に関しては、間違いなく悪手だと言えよう】
【屍人の喉奥でぶくぶくと泡立っていた粘性の液体が、少女の突き出す刀身に押し出されるような形で、勢いよく周囲に飛散する】
【この液体、どうやら消化液かなにかだったらしい。至近距離でこれを浴びた男の身体が、じゅうじゅうと煙を上げて焼け爛れてゆく】
【拘束が緩んでいたため、咄嗟に腕で顔面を庇うことができたのが不幸中の幸いだった】

【無論の事飛び散った消化液は、少女にも同様に降りかかる。加えて屍人は、今度は少女目掛けて大きく両腕を振りかぶった】
【振り下ろされる両腕の威力は、推して知るべし。だが、所詮は苦し紛れのテレフォンパンチだ】
【消化液への対処に気を取られてさえいなければ、少女ほどの速度なら、万が一にも直撃は喰らうまい】
/お待たせして申し訳ない……若干睡魔が来てまして
/差し支えなければ次レス辺りで一旦締めて明日に持ち越させていただいても宜しいでしょうか
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/30(月) 15:53:24.09 ID:ASB59BjSO
【狭い空からは少量しか光の微粒子が降り注がない。】
【梅雨が開けてじめじめとした空間は、夏でも少し温度が下がる。】
【──曰く、『裏の世界』だそう……。】



(────まァ拳銃あるし、襲われても多分なんとかなる。)



【安直な、あまりに危機感のない考え方で歩く男。】
【青いユニフォームで身を包んだ模範的な警察官である。】
【運がいいのか悪いのか──普段なら高確率でエンカウントする死体にも出くわさずに、】
【彼はこの狭い路地裏を歩いていた……。】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/30(月) 19:08:35.64 ID:WDjCzzwD0
【どこかの路地裏】

【獣の臭いが充満するこの路地裏……もっとも、予想し得ない存在が、ここに居た。】

【ここはならず者とそれを狙う人間と、極稀に彼らを正す人間が集う場所だ。】
【その環境は言うまでもなく酷い。治安という意味では最低だし、街灯はもう殆ど付いていないし、……兎に角汚い。】
【だからどんな人物が居ても可怪しくないのは、それはまあ正しいことなのだが……ではコレは、どうだろうか。】

……グガァ゙………

【どうやら腹が減っているらしく、その声も何だか弱々しい様に思える何か。街灯が届かない位置にあるのなら、彼を照らし出すのは月明かりだ―――、】

【身長165cm程度。直立二足歩行。パーカーとズボンの人間と変わらぬ簡単な身形だが、均等に隆起した筋肉が窮屈そうに見え、サイズが合っていない事が分かる。】
【ギラリと何かを鋭く見つめる瞳は紅。それに、獣人と言うだけあって、"歯"ではなく全てを噛み千切る"牙"であるし、"爪"ではなく全てを引き裂く"鉤爪"である。】
【然し彼の姿で最も特徴的なのは―――両肘から指先の方向に向けて伸びる、毛色よりも深い黒鉄色の……"刃"、であろう。月光に反射して煌めく辺り、相当の切れ味だ。】

【その怪物は、大型のゴミ箱を漁っていた。いつの物かも分からないビール缶を取り出したなら、そのまま噛み砕いて食らう―――、】
【食事の仕方は、獣。やはり汚い。今度はもう使い物にならない廃材である30cm四方の鉄板を見つけ出して、矢張り同じ様に食らう訳だ。】
【しかしゴミ箱は四次元ポケットでも何でも無く、況してや金属なんてゴミの中の極一部だ。……当然、彼の腹はそれだけでは満たない。】

【丁度いい所に―――と言わんばかりに彼はそんな歪んだ笑みを浮かべた。……怯えて腰が抜けてしまって動けなくなった、若い男が、一人。】
【ジュルリとヨダレを垂らしながら、彼は近づいて行く―――その目的は誰にでも分かるはずだ。何事も無ければ、恐らく。】

【しかし不幸中の幸いというべきか、その歩くスピードは遅かった。十秒かそこら、この獣を制する為の時間は確かにある。】
【その辺の小石を一生懸命投げつけたとしても、鋼の肉体はビクともしないだろうが―――しかし、興味を惹くことなら出来るはずだ。】
【一方若い男は声も出ない。後退りはするが、抵抗の意思はない。……どうあがいても絶望なのだということは、理解している様だ。】


/まったりまったり絡み募集です〜
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/06/30(月) 20:37:49.54 ID:WDjCzzwD0
/>>795は10時締め切りでお願いします!
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/01(火) 17:01:32.94 ID:YryDsIpqO
>>794
/これでちょっとまちます
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/01(火) 20:13:35.79 ID:z09Evzz2o
【公園】


「む〜……どうすれば名声というものは手に入るのだ?」
「何か画期的な方法でもあればよいのだがの……」


【古ぼけた街灯がチカチカと光る夜の公園】
【その一角に備え付けられたベンチに座り、薄暗い中で本を読んでいる人影があった】

【身長は140cm程度であろうか、裾に金糸の文様が施された白いローブに身を包み】
【顔にはフードをすっぽりと被って鼻下までを隠している】
【肩口から漫画の吹き出しを思わせる形状の淡く光るボードが生えており】
【"声"を発さずボード上で黒い粒子のようなものを動かして"文字"として言葉を表現していた】


「"誰かの為の英雄"……か。やっぱり私には、まだよくわからないのだ」


【ローブの人物は「英雄伝説〜乙の章〜」というタイトルの本を持って】
【ボード上に悩むような文字を記しながらも、ページを捲り目を通していた】

【近くを通りかかることがあれば、この奇妙な格好の人物が目に留まることはあるだろうか】
【また、何か事件などが発生すれば反応するかもしれない】


【――】


【ところかわって、どこかの町外れ】



うん、今日の掃除はこれくらいでいいかな……
これからどうしよ……折角だし、あのパーツで新しいモデルでも作ってみようかな


【中心部から離れ、人気の薄れた町外れの一角】
【そこにポツンと建つ小さなお店の前で箒を手に独り言を呟いている少年がいた】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


でも……前に雑誌で見たチーズハンバーグにも挑戦してみたいし……
うぅん……時間があると何していいのかわからなくなるなぁ……


【顎に指を添える仕草をしながら、花壇の傍に積まれたレンガの上に座り】
【頭上に見える星を眺めながらゆっくりと、一人の夜の時間の使い道に思考を巡らせていた】


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【少年の背にあるのはまるで物語に出てくるような、そんな可愛らしい外観の建物である】

【本日もまったり静かに営業中である】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/01(火) 20:32:50.09 ID:Sp5wTQMZo
【公園――広場】


【すっかり人もいなくなって、街灯が淡い光が静けさを映す、そんな場所】
【だがこんな時間だというのに広場を見ればひとつ、走っていることだろう】

【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、そんな――精悍な顔つきの少女だ】
【薄い緑色のTシャツの背には猫ならしっぽだけで一瞬にして全てを語れ≠ニいう意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】

【おそらくランニングか何かだろう。しかし異様な点がひとつ――彼女の後ろにはあった】


ふーっ、ちょっと休憩……案外楽勝だにゃ。こんなんで強くなれるのかにゃ?


【広場沿いの道近くまで走ってきた少女は一旦立ち止まって呼吸を整える】
【普通のランニング後と変わらぬ様子だがその後ろには――身の丈以上はあろうかという土管があることだろう】
【つまり、彼女はそれと自分の腰とをロープで繋ぎ、まるでタイヤ引きでもするようにランニングしていたのだ】

【流石に疲れてはいるようだが、華奢な体格にそぐわない怪力の持ち主なのかもしれない】
【そんな彼女は――この場を通りかかった人にどのように映るのだろうか】






【ところ変わって――表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/01(火) 21:22:28.19 ID:TG+stcPW0
>>793

【断割された頭部を見、緩む腕とひとまずの結果に息をひとつ。減速なく返す刀で喉笛を突けば―――――驚愕に僅かに見開かれる橡色の双眸、】
【不死性と膂力に警戒を向けていた相手からの絡め手に一瞬、適応が遅れる。溢れ出す濁った液状に、右腕で庇う様に肘から先の動きを急転させて】

……ッ、……く――――――!?

【引き戻すが退避は間に合わない。異形からの液体を受けたコートが焼け融ける。肌が、べたつく不快感ごと熱い痛みとなって侵食される。】
【襤褸の様になる右腕と上体の藍色、氷の戦意にも苦悶が浮かぶ。致命的な打撃を男性が蒙っていないことだけは確認しながら、続く攻撃には上体を捻って身を沈める/重心の移動、】
【腕を掠めるその衝撃に身を傾げつつ、前身の勢いを支えに行為を続行、痺れにも似た感覚を覚えながらも、捻じ伏せる様に屍の右側側面へと踏み切って】

【……振り下ろした腕の傍らを潜り抜ける様に。そこからさらに一歩を踏み込めば、屍の背後へと到ろうとするのだろう】
【そして廻り込めたならば状況が確定したその瞬間、既に少女は振り向いている。構えは、“引き絞る様な右腕を右側に伸ばし、屈めて”“高い圧で”刃を上向きに撃ち出す捻り撃ちでやや下方に始点を置くそれ―――――】


【――――――骨格ごと全中枢神経を破壊する様に。尾骨から頭部の破断面に到るまで、縦一閃に深々と斬り抜ける軌道で白き刃は翔けた】
【この一撃を叩き込むことが叶うなら、ほぼ全ての運動を死せる肉体は封じられるだろうか。体幹を為す背骨が完全に潰えるのだ。意識が残るとして、物理的に動く事は困難を極めるか】
【もしも、神経系にも体幹にも拠らない手段を屍人が有するならば――――太刀を大きく振り切った姿勢でそこにある少女は、容易に標的となるのだが】

【これは一種の賭けだった。“弱点を識る事”、“全ての手札を切らせる事”――――】
【闇雲に腕を振り回すそれだけでも、常人には十二分な打撃となるならば、“封じ切る”ことは隠し札の引き鉄として十分な打撃であって】
【……仮に、その様な罠があったとして。不意を討たれる可能性を、想定した上でこの場で識れるなら問題ないと――――】
【全ての可能性を引き出す様に。不死性に、未だ見えぬ限界を見出そうとする様に。本来“仕留める”ための一閃を以て、剣は幾つもの可能性を試行していった】

【思惑が何処にあるのかは何も語らずに。ただ、見たままのものとして其れは有って】
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/01(火) 22:16:24.60 ID:P47kOIgHo
>>800
【股間から下顎まで、正中線をなぞるようにして駆け抜ける白銀の軌跡。中枢神経を破壊された屍人は、遂にその動きを停止する】
【口から吐き出す消化液と、生物としては既に死んでいるからこそのタフさと膂力。この屍の手札は、それより他に何もない】
【隠し玉などあろう筈もない。日常を侵す襲撃者──屍と少女との戦いは、蓋を開けてみれば少女の圧勝に終わった】


『……リテイクだ』


【かに、見えたが】
【ほんの束の間、屍の背後に回った少女には見えたはずだ。杖を突いて路地裏の闇を覗き込む、黒いローブに銀縁眼鏡の人物の姿が】
【彼、あるいは彼女が差し伸べた手から迸る、鈍い銀色に輝く半透明の流動体が、真っ二つにされた屍の中に音もなく滑り込んだのが】

【次の瞬間であった。いかなる術による物か、完全な死を遂げた筈の屍が、地面に転がったまま、その白い腕を伸ばして】
【右半身は少女の右足首に、左半身は少女の左足首に、弾かれたように掴みかかる】
【少女がこれに対処すべく意識を向けたその時にはもう、ローブの人影は忽然と姿を消していた】
【くつくつと耳に障る、陰鬱な嗤い声だけを残して】
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/01(火) 22:31:03.44 ID:uA3l6Jig0
【月の光すら差し込まない分厚い雲に覆われた夜】
【――――“呪われた館”と忌み嫌われた場所でその惨劇は起きていた】

【古めかしい大きな扉を開けて中に入って見れば、先ず目に映るのは原形すら留めない程に破壊された骸の数々。当然、死臭だって吐き気を催すほどには強烈であって】
【次には、其処の骸の上に立つ少女に気付くだろうか。金色の髪に紅い双眸。纏うのは、朱色のドレス】
【何よりも特筆すべきは濃厚な“瘴気”であろうか。魔族が放つ其れ――――即ち、この少女は悪魔と呼ばれる存在に違いなく】


「全てが無意味に紡がれていたお話ね。詰まらないお話には興味無いの。在り来たりなお話ならページを捲る事自体が無意味な事だもの
――――今日が貴方達の命日。誰も花を添えてくれないけれど。今日が貴方達の死んでしまった日。誰も死んだ事に気付きもしないけれど」

【クツリ、と楽しそうに笑んだならば最後に一瞥だけして…………その時に、新たな来訪者の姿に気付いたのだろう】
【轟、と音を立てれば突如燃え上がる遺体達。数分の時間も経ずに、其処に転がるのは骸骨だけとなって】


「ねぇ、アナタはどう思うかしら。ただ意味も無く生きているだけの人生って詰まらないと思わない?」

【もし扉を開けたままならば突如閉まるだろうし――――開けようとするならば、まるで外から誰かが押さえているかの様にビクともしない】
【小首を傾げた少女の問い掛けに返すのも良し、義憤に駆られて有無を言わさず襲いかかるのも良し。どんな反応を示しても、物語は其れに合った様に進展する事だけは変わりは無いのだから】







【――――街灯も無く、月の明かりのみが光源となる夜の公園】
【無論無邪気に遊び回る子供達も居なければ井戸端会議に勤しむ者達の姿も無い】
【ただ、今宵は備え付けのベンチに一人の姿。真っ白なローブは月光を眩く跳ね返す故にその存在だって良く目立つ筈で】

【フードによって顔が隠されては居るが、座高から見て子供と判断して間違いは無いであろう】
【加えるならば、側に黒猫が近寄りその人物の膝の上に乗ったり頭の上に乗ったりと楽しんでいる様だが】



「イリニを遊具代わりにして楽しいのですか。イリニには分からない事ですが」

【当の本人は無関心――――と言う訳でも無く。然れど抑揚の無い声は感情を掴ませない様であって】
【特に追い払う事も無く好きにさせてやれば取りだしたのは“聖書”だ】
【然れどその上に猫が乗っかってしまえば読むことも出来ず。諦めた様に漏れたのは小さな小さな溜息】

【さて、時間も時間だ。なればこの様な人物が出歩いているのはそう感心できたものでは無いが】
【――――先も記した様に、その者の姿は良く目立つ。黒猫と共に居る存在、延いては聖書だとかに興味を抱く者が居るかは分からないが】
【少なくとも、何者かが公園に入ってきたならばベンチに座っていた者も顔を上げてそちらを見るのだが】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/01(火) 22:48:17.35 ID:840O9R000
>>801


【瞬息で致命打を齎したひとひらの斬光――――死せる屍体に凄絶な結末を齎した刀身を空中で払い、残骸となった異形の停止を確認していった】
【斃れ臥す姿勢はひとと同じ様なものだったか。ひとには一抹の無常感を与える光景ではあったが―――――声が割り込む、】

……! 何、が――――――

【新たな影―――――先ほどの立ち回りを見て姿を現わすならば相応の手練れか、或いは“攻撃を受けない”理由がある何者かか。 】
【ひとであれば恐らくは自らの身には望まない顛末、その凄惨を視てなおこの様な危険人物に―――近寄り、あまつさえ嗤う影への警戒は否応なく高まった】

【、の、だが―――――】

(…………ッ!? 、これは――――――)

【足首を掴まんとする『残骸』に意識が追いつく。触れる冷えた感触に悍ましさを覚える。握力が如何程かは想像したくもない―――――なればこそ速度と重厚な鋭利さとを増す思考、“潰える前に叩き斬る”。 】


【上向きの跳躍に載せて斬り上げる。右腕を飛ばせたならば左腕を落とす。】
【二薙ぎで両腕を斬り落とす斬閃。持ち前の切断能力を存分に揮う撫で斬りの刃が、低空から枯れ木に牙を剥く様に、地を鋩でさらう様に禍々しく銀色に躍った】
【そもそもの目的が異形の、男性への攻撃の阻止にある以上、確実に屍に止めを刺す必要がある――――完全に無力化出来れたと判ずればその瞬間に、一拍だけ姿の視えた“人物”の方向へと少女は駆けるが】
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/01(火) 23:56:03.42 ID:P47kOIgHo
>>803
【低空を這う蛇のごとき切り上げ。一度二度と間断なく薙ぎ払われる白刃が、掴みかかる両の手を前腕部半ばから斬り飛ばす】
【しかし、である。切断され跳ね上がった両手は、突如ぴたりと空中で静止したかと思えば】
【転瞬、狙いを変えて、今度は力なく地面に座り込んだ男目掛けて空を翔けた。先程までとはうって変わって、知性の感じられる挙動だ】

「……ひ、ひぃ!」

【手の断面。胴体の残骸。そこかしこに蠢く流動体が一ヶ所にまとまって、跳躍する彼女の前方で人の形を成す】
【この銀の流動体は、あの人影によって制御される魔術式ではない。屍の両手を媒介とし、現し世に干渉する術を得た、亡霊の類いだ】
【少女がどうしても先程の影の正体を暴きたいと言うのであれば、無視して追い掛ける手もあるが】
【しかし、そうしてしまった場合、この場に残された男が浮翌遊する手に縊り殺されるおそれが出てくる】

【それ自体が自立した意思を持つ、実体を持たない思念の塊。剣士にとっては、致命的に相性の悪い相手】
【この亡霊が男に危害を加えられないようにするには、憑代である屍を寸刻みに解体する必要がある】
【何かに取り憑かねばこの世に干渉する事も儘ならない弱敵とは言えど、時間稼ぎにはうってつけだ】
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/02(水) 00:20:03.04 ID:cHuxdqDn0
【街中――子供の落書きみたいな路地裏の迷路の、そのどこか】
【狭い空にはお月様と少しの星が見えた、それは、それ以外の何も見えないという意味でもあって】
【視線を下ろせば自らの異能で照らし出した闇の世界。こそこそとネズミがどこかへ隠れていくのが、見えた気がして――】

オバケなんてないの、オバケなんて嘘なの、寝ぼけたヒトが、見間違えたなの――。

……えーっと、……えっと、こっちだっけ、あっちだっけ、? 

【――照らされた空間に長い影が伸びる、それから聞こえてくる調子っぱずれの声は、それなりに有名だろう歌のリズムを取って】
【ふふんふんと鼻歌めいて聞こえて来る、深夜だと言うに元気な声は。明確に子供めいていて、それが、違和感だった】
【やがてこつんこつんと歩く“だれか”は分かれ道で立ち止まる、狭い道と広い道の二択、悩ましく広がる無限の闇の世界】

【クリーム色の金髪がふわりと揺れる、頭の横側でちょーんと摘んだようなサイドテールに結われて、赤いリボンで飾られて】
【夏の青空と同じ色をした瞳は丸い、けれど少しだけ垂れた形。右目の下には紫色で蝶の刺青が刻まれていて、少しだけ、異質】
【さくらんぼとくまさんの柄を描いたワンピースは腰元から大きく膨らむライン、ぴょんっと伸びた足先に嵌まるのは、つま先の丸い靴】
【――差し伸べた右手に午後の陽光と同じ色/温度を宿した光を煌かせ、それで闇の中を照らしながら。歩くのは、幼子だった】

うーんと……、こっちかなっ。きっとこっちよ、あのね、だってね、……こっちかなって、思うもの!
待っててねネコさん、なの。もうすぐね、美味しいご飯を持って、行ってあげるから!

【――就学前にも見える幼子は異質の塊でしかなかった。まして、能力らしき力を繰っているというのも、目立つ要因で】
【また初めから「オバケなんて……」と歌うのは、決して強がりでない。オバケなんて怖くないって言う、そんな様子をしていて】

オバケさーん、居たらね、一緒にネコさんにご飯あげよ! それでね、一緒にあそぼ――!

【それどころかそんなことまで言っているのだった。柔らかそうな頬っぺたには笑みが溢れて、それがきらきら零れるよう】
【手から溢れる光の色合いに照らし出されて。また長く伸びた影が揺れる、その様子は、きっと、ずっと遠くからでも窺えて――】
【いかにも警戒していないように見えた。だとしたら彼女はネギ背負ったカモにでも見えるのか。そこは、発見者次第であって】

【(ふざけたように分かれ道をぴょんっと跳んで曲がると、子供っぽいデザインのポシェットがみょこっと揺れて)】
【(そのうちお尻をとんっと軽く叩く。揺れたサイドテールも、地面を叩く足先も、全てが、疑う余地なく子供のそれだった)】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 00:42:06.68 ID:C/4c5tAN0
>>805

【彼女の軽快なリズムは、この路地裏に溶けてやがて無くなってしまう、というのは自明の理である。】
【しかしながら、その音色は残る。人間の耳が空気の振動を読み取って、神経を伝って、脳が記憶するからだ。】
【その行為を、簡潔に鑑賞と呼ぶことにしよう。彼女は一人ぼっち、しかしながら今回の場合も、この空間で確かにその"鑑賞"が行われている―――、】

…………、………。


【不意に、一陣の風が吹いた。】

【どこかで金属と金属が摩擦によってギィ、と音を鳴らす。―――と、ここまでは、よくある話。】
【しかしその、ガラクタの中から一つ斜めに突き出た金属製の棒に、何かがぶら下がっているとしたら。】
【月と星のせいで、そのシルエットが人間らしき何かだとしか分からなかったとしたら―――、】

【―――この存在を、彼女は一体何だと捉えるのか。】


………猫にエサ……あ、俺おばけじゃないか………

【さて、もう一つ、この路地裏に異なる音色が響いた。……就学前にも見える彼女よりはいくらか大きい、とは言ってもまだ幼い、】
【少なくとも声変わりは済んでいない、そんな少年の声。彼はぶら下がったまま、身体は微塵も動かさずに、一つ、僅かに呟いた。】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/02(水) 00:54:30.76 ID:cHuxdqDn0
>>806

【歌声が夜をじんわりと温めながら通り抜けていく、闇の向こう側で誰かに届くなら、その気持ちを揺らせるとしたら】
【ミュージシャンならさぞかし喜んだことだろう。でも彼女はそんなこと思いもせずに、誰の心を揺らすかも、なんて考えもせずに】
【オバケなんて……と繰り返すのは、ただその先を知らないだけだ。オバケと友達になりたい歌、――彼女も、そう思う性質】

【ひるりと吹き抜けた風が彼女の髪の毛を揺らす、夜には決して馴染むことのない、明るく柔らかな色合いの、サイドテール】
【まして夜とは正反対のお日様の光で照らすのだから尚更だ。右手の平で湧き上がる光の粒が、一瞬風にそよいで――揺れた】

うにゃ?

【ぎきぃと軋んだ金属の音が耳に障る、ぴったりと止まる歌声、それはふと何かを感じたように、廻る視線に掻き消され】
【正しい人間とは少しだけ違った感覚が何か居るらしいと教えてくれた、人間みたいなナニカ……(自分みたいな、お仲間かも?)】
【こつりと紡がれた足音、こつり、こつり、ふわり。いくつか目で途切れるのは足を止めたからじゃない、その体が、舞うから】
【瞬きの間にその背中には翼が生まれていた。午後の陽光と同じ色合いの光で紡がれる、光の翼――それを携え、幼子は羽ばたく】

――こんばんは!

【どんな悪路だって無視してしまう光の翼、よっぽどのことがなければ、その姿は彼の元へと届くのだろう】
【もしどうしても行けないようなら流石に諦め、近場に足を降ろすが――そうだとしても、にっこりと投げてみる言葉は変わらない】
【ここが深夜の路地裏だとか忘れてしまいそうな声だ。昼間の公園で聞くのが似合うような、ちっちゃな女の子の声】

あのね、お兄ちゃんね、どーしてそんな場所でぶら下がってるの……ってね、私ね、ちょっと不思議だなって思うな!
“ケンスイ”って奴かしら? だったらね、こんな場所でやってるのね、そしたら今度はそっちが不思議なの!

だってね、こんな場所って危ないでしょ? 私ね、運動ならね、お昼にしたほうがいいって思うなー。

【もしも翼で近寄れているなら。ぶら下がる彼の目線の高さに合わせて滞空するだろう、ふわふわと、さながら天使のよう】
【でも彼女はハートの矢も持ってなければ鉛の矢も持ってない。誰かの心を操作する力を持たない、おひさまの国から来た、天使見習い】
【右手に溢れる陽光はいつの間にか消えて。翼からきらきらと零す光の粒子が眩しい、凡そ逆光みたいになりながら、幼子は返事を待った】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/02(水) 01:10:12.46 ID:ulDuCB1v0
>>804

―――――――ッ!?

【二つ、斬り飛ばす手応えを確実に感じた。だが物理法則を嘲笑う様に停滞が襲う。静止した両腕先が向かう先は男性の喉元か――― 身動きの取れない空中で僅かに息を呑む、】
【切断した両腕と同時に動き出すだろう。着地のラグが初動を遅らせた。今宵最速の挙動を以て予見される結末の書き換えを自らに求める、】

【集中に並行して銀色のかげを意識が捉える。死せる死者から生ける死者へ――――単純な物理的蘇生とは違った“質”の流転を、肌と五感とが感じ取りながら】
【“可能なら”と求めた行動は完全に“第二の”優先事項へと消える。乃ち屍人の討滅。】
【“無力化”――――最優先すべきは此方に絞られた。その変化を齎したのは追わんとしたあの影であり/彼方に最良であろう瞬間に“そう変えた”タイミングの意味、】

(……屍も銀色もなにもかも、あの“誰か”の悪趣味の結果、か。胸が悪くなる結論ね……)

【まるでこちらを知る様な―――いや、ヒトの生命に拘るものに対する常套手段の様な手慣れた行動。結び締めた口元から覗える苛立ちは、その意味を理解して尚そうせざるを得ない己に対してのものでもあったのかも知れない】
【完全な敵意に変わる数々の疑問符。だが状況は一刻を争い予断を許さない。地を蹴り死せる指先を越えてその先へ―――取りこぼす可能性すら摘み取りながら黒藍が疾り】
【割り込んだ/向き直る、生ける盾の様に鼓動が対峙する。 初めの意志は何も変わらずに、】

……眠れと、言った。読み取れるのなら終わらせてあげる―――――――もう、 眠るべき場所へと還りなさい――――!

【決断する/切断する―――――異常な加速を以て亡霊へと迸る意識。……刹那、憎悪でなく殺意ですらない純粋なる刃が闇を翔けた。】


【―――――― 必要ならば幾重にも幾重にも重ねられる連撃/過去の幻影の断片の落ちる間に二六七三閃、残骸すらも残さない。 】
【存在の根底が何処にあるのか、傍目から知り得る筈もなく。だが骸を介した物理干渉を行う非物理的存在として、操るべき屍肉を持たねば現在・未来――――そのどちら側であれヒトに害を為す事など叶わないのだと 】
【 ……この状況と重なる数少ない記憶から。選び取ることのできた有効打だった。無論全ては仮定の上のこと――――銀色の流体が阻む可能性も、それが過ちなら有り得るのだろう】

【初撃は空中の両掌に向けて。割り込んだその先で横一文字に――――或いは下から上へと斜めに弧を描いて斬り裂かんと灼熱を錯覚させるかの如く刃鉄は迸って】
【この時点で目論見が外れたならば、亡霊を滅ぼし尽くさんと撃ち放つ連撃は総て絵空事に終わるだろうか。反撃を想定してもいる。けれど其れを崩すことも或いは可能だったか―――死せる命など“かたち”斬る現世の刀刃は最早斬り慣れてはいない。】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 01:14:34.58 ID:C/4c5tAN0
>>807

こんばんは………ここは、俺の遊び場だから、危なくない……だいじょうぶ……

……んーーー………そーだね……こーやって、世界を眺めてるとさー………

……いつもとちょっと、違う様に見えたり、あ、あと、……よっ―――……っと、そうそう、こーいうのも、良いよね……

【確かに一から登ろうとすれば、ガラクタと言うよりはゴミだらけの汚い道だから疎まれる訳だが、】
【空を飛んで来れるというのなら話は別だろう。特に難儀はなく彼の元に辿り着けたはずだ。】

【さて、彼がぶら下がっている理由、それは平常とは異なる世界を体験したいから、らしい。】
【……どうやらこの少年は、そういう人間だ。正しい人間では、その意味でも決して無いのだろう。】

【少年は途中、そのまま足の反動を使って、今度は棒に足をかけて逆さまにぶら下がる。】
【その身のこなしはサーカスで見られるそれと丸で同じ、違和感無くスムーズだった。】
【こうして見える景色、上下反転して見える世界もまた、良いらしい。……彼女は何を言っているのか、分かるのだろうか。】


……運動は、そーだね………いつでも、いいんじゃないかな……

やるのが、大事……継続的に、コツコツと、続けるのが、難しいからさ……

それに、俺にとっては……夜は昼だし、昼は夜、なんだよね………

【さて、彼の元へ近付けば、その身形が明らかとなろう―――忍者だ。赤いロングマフラーはやはり目立つ、忍者。】
【異常なまでに身軽だったのも、それから最後の台詞も、……彼女に忍に対する知識がどれ程あるかは測れないが、】
【分かる人には分かるのだろう。……要は、昼間は寝て夜を中心に活動しているということだ。】
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/02(水) 01:15:25.54 ID:ulDuCB1v0
/>>808

【“可能なら”と求めた行動は
 ↓
【“可能なら”と求めた行動/謎の影の追跡は

…でした。補足なので、書き始めてるならお気になさらずっ
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/02(水) 01:28:58.18 ID:cHuxdqDn0
>>809

【ひらりひらりと光で出来た羽根が舞い落ちる、それは、夜の中にまあるく煌いて、悪戯好きの神様が昼間を持って来てしまったよう】
【まあるく切り取ったようなかたちがひらりと地面に落ちて、そのうちにゆったりと消えていく――そして、最後には何も残らない】
【ふんわりとしたスカートに手を埋めるようにして。お行儀よく組んで落とした両手、ちょっとだけお姉さんぶったよなマニキュア】

でもね、あのね、あんまりそうしたらね、頭に血がのぼっちゃうよ!
そうしたらね、かーっとして、くらくらってして……大変でしょ、なの。あんまりね、よくないよ!

【さかさまになるのを止めることはない、それなら、ひらりっと蝙蝠みたいになる彼の姿、視線がずるっとずれてしまって】
【ちっちゃな体だから彼がそんな姿勢になるとスカートを覗かれるような状況になる。とは言え、中身はドロワーズだけど――】
【そのうちにぱたぱたと翼を動かして、今度も視線が合うようにする。無意味な身振り手振りは、ただ、彼のことを心配したもので】

あのね、お昼にやったほうが楽しいよ! だってね、お日様がきらきらして、ぽかぽかして、とっても……楽しいでしょっ。
夜だとね、お月様だけで、寂しいよっ、お星様も居るけど、あんまり明るくないしね、よく見えないもの――だからね、

……あ、でもね、あのね、能力の練習するなら、夜が好き! だってね、とってもね、綺麗だなあって思うの!
だってね、ほら、とっても綺麗でしょ? 私ね、とっても綺麗だって思うの! えへん、大好きなんだよ――。

【運動はお昼のほうが楽しいだなんていう、けれど、彼女の場合はただ昼間が好きなだけにも思えるようで】
【どうにも昼間が似合いそうな子なのだもの。背中の翼も午後の温かい光、そんなのを身にまとうなら、それは余計に】

【――綺麗でしょーって胸を張るとおなかがぽっこりと子供ぽく膨らんでいるのが良く目立った。背中の翼は、一層大きく開かれて】
【空中で器用にくるんっと回って見せると、きらきらとありがちな魔法のエフェクトみたいなものが仕草を装飾するのだろう】
【生まれた光の粒子は段々小さくなりながら地面に落ちていく……綺麗な様子であったのは、確かにそうだった】

私にとってはね、いつだってお昼だよ! だってね、お昼も、夜も、ずーっと、“おひさま”と一緒だもん!

あ、でもでも、もちろんね、夜も大好きだよっ。お月様ね、いろいろな形でおもしろいの!

【朝も昼も夕方も夜も大好きだった。太陽が大好きだけど、夜のひんやりしたお月様も、もちろん大好きで】
【夜だって大好きなお日様と一緒に居られるならそう言う意味合いでも大好きだ。だって、大好きなおひさまがよく目立つから】
【昼間にこの能力を使っても良く見えないのが不満点。“午後のおひさま”とよく似た光を扱う能力――それが、彼女の持つ異能】

【(昼間の彼女は夜に力を使うために充電めいて日向ぼっこをしていることが多い、とは余談である)】
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 01:54:29.07 ID:C/4c5tAN0
>>811


へー……普通の人は、そーなるんだ……けど俺さあ、ちっちゃい頃からこんなことばっかしてるから………

………どーなってんだろーね? まあ、別に今のとこ何かなったことないし、いいよね、………うん……

【何処か飄々とした態度は変わらない。……もっとも、彼はその原理を知らないらしいが、慣れているから平気、】
【そういうことらしい。確かに彼の言う通り、彼の顔色は何とも無さそうだし、その他症状も見られない。】


昼は寝る時間だからー……ほら、ぽかぽかして、眠くなるでしょ? 頭が、ぼーっとしてきて……

おー、へえ〜……なんか、すごいね……うん、いいんじゃないかな……

【夜に働いて、日が昇れば寝る。そもそも「働く」という概念を知らなそうな彼女には無縁の話だろうが、】
【実際彼はそうして生きているのだ。だからこそこんな夜中でも、口調はともかくお目目ぱっちりである。】

【彼女の能力に対する反応は、若干薄かった。鋭い子なら、「こんな物が何の役に立つのか……」と、】
【彼は思ったのだろうとそう理解するはずだ。……確かにその通り、少年は「なんかすごい」と述べるに留まった。】

【実用的なモノでなければ、彼は興味を示さない。……と言うのも彼"は"既に、そういう世界に生きているからである。】
【その能力で生まれた光の粒子は、少年の身体を照らしただろうか―――大小差はあれど、目立つ程に傷が多くなかっただろうか。】
【つまりは、そういう事である。ただ光るだけのエンターテイメントなら、必要性を全く感じない……少年は、冷めていた。】


……あ、えーと、今のが、おひさま? 太陽はね、怖いんだよねー……じっと見てたら、目が焼けちゃうからねー……

………でさあ。俺が言うのもなんだけど、……夜が好きなのはイイんだけどさ、何でこんな時間まで起きてんの? 家族は?……

【何だか悲観的である。確かにそれは事実だが、おひさまが好きだと言い放った少女に対して、この言いようはどうなのか。】
【彼がそれよりも気にしたのは、やはり現実的なこと、なぜこんな時間に、こんな場所に居るのか、……始めに聞くべきだった。】
【自分も、まだガキだということは分かっている。……しかし自分よりも下の子がいれば、そう心配になるものだ。】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/02(水) 02:10:55.90 ID:cHuxdqDn0
>>812

【慣れているといわれてしまえばそれまでだった、彼女は「すごいねー」だなんて声で返して、ふっつりと言葉が止まる】
【それから思い出したように「私だったらね、ダメだよ!」なんて付け足して――やっぱり相手を褒めるのだった】
【空中で体を大きく傾けると――くるんと起き上がりこぼしを転がしたみたいに起き上がる。そういった曲芸染みた仕草は、】
【無意識にしちゃうぐらいには彼女には慣れたものなのだろう。彼がさかさまになっても平気なみたいに、彼女もバランス感覚がいい】

眠くならないよっ! あのね、とっても元気になるの! だってね、おひさま、きらきらで、ぴかぴかで……かーっとしてて!
夏はね、一番好きっ、おひさまがとっても元気でしょ、だかららね、私も元気になるの! おひさまに負けないぐらい、元気になるの!

……おかーさんはね、そんなの暑苦しいって言うんだけどね、私ね、それだっておひさま、大好きだよ!

【おひさまというのは彼女にとって元気の象徴、眠くなるなんてとんでもないっ、……と、そんなところなのだろう】
【擬音だらけの説明はよく分からないもの。でも、とにかく――元気になるというのだけが通じれば、きっと、いいのだから】
【とにかく元気印。憂鬱な雨模様なんて似合わない、ピーカン晴れの青空……それが、きっと、彼女にはよく似合うから】

――でしょ、でしょっ。私ね、とっても大好きなんだよ! なーんだって、出来るんだから!

【ぱぁあと笑うのが分かりやすかった。褒められて嬉しそう、空中で無意味にくるくるくると回るなら、そのたび光の粒が落ち】
【そのうちぴたりと止まればぎゅっと握った掌を見せる――もったいぶって開けば、そこから飛び出してくる無数のひかり】
【蝶か蛾かで言えば蛾のシルエット。ばたばたと飛び出してくる光で出来た蛾のシルエット、それがびっくり箱みたいに飛び出した正体】
【いくつも溢れだしたと思えば天へ向かう、それから、ぱらりと無数のちいちゃな粒になって、――雪より静かに、降ってくる】
【にっこりととっておきのドヤ顔で佇むのだった。綺麗でしょ?って言うみたいに、そうだって頷かせたいみたいに、じっと見つめて】

【(光の性質を持つ魔力を操る力。実体を持たせ形にすることも出来れば、鮮やかに炸裂させて目潰しさせることも出来て)】
【(それだけでなく場面を飾る装飾としても使えた。――もちろん、それ以外にも使い道はあるはずだが、幼子の頭じゃ、お察し)】
【(とにかくキレイでスゴイでしょ!というアピールで終わり。でも――****として生きるには、応用性のある、いい異能とも言え)】

そんなのね、じっとみたら私だってダメだよ! 目がね、痛くなっちゃう……だからね、じっと見ちゃダメなの!
でもね、これならね、大丈夫なんだよ。あんまりね、痛くならないの――なんでだろ、不思議なの!

……えーっとね、お母さんはおうちに居るよ! お姉ちゃんはね、えっとね、お嫁に行ったの!

【じっと見ちゃダメ、それなら見なきゃいいじゃない。至極ごもっともである、でも、彼女はそれを世紀の大発明みたいに言って】
【でも自分の異能は平気なのだと続く。「あったかいもんね」なんて続ければ、指先から生まれる、1匹の光の蛾】
【それが彼女の顔の傍を羽ばたいて。「ねー」だなんて笑いかけるのが、かわいらしくおままごとのような風情であって】

【――お母さんは家に居るらしかった。でも帰ろうとはしない辺り、どうやら深夜の外出も許されていると見ればいいのか】
【姉はともかく母親のほうに問題がある気がする。なんせ、この年頃の子に刺青を入れるような性質だから――お察しのような】

だってね、寝ちゃったらもったいないよ! まだまだね、遊びたいなー。

【――――まあ、親が親なら子供も子供なのだけれど。元気が有り余っているのも、それはそれで問題だった】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/02(水) 02:30:17.75 ID:l5yhj/Uzo
>>808
【浮かぶ掌を庇うべく、胴が、脚が、頭部の残骸が、肉の盾となって割って入るも】
【一太刀、また一太刀。少女が携えた白刃を閃かす度に、肉が削げ骨が削れ、屍はその形を喪ってゆく】
【それでもなお、亡霊は己が不定形の身体を操り糸宜しく肉片に纏わりつかせて、最後の抵抗を試みるが】
【形あるものを断つ超常の刃と、それを執る少女の冴え渡る剣技の前には、あまりにも微力】


「助かった、のか……?」


【霊の憑代たる屍肉は、瞬く間に塵芥に帰する。銀色の流動体はしばしの間、未練がましくその残り滓を捏ね回していたが】
【やがて諦めたかのように、そこから離れてふわふわと宙を漂い始めた】
【糸を切られた操り人形よろしく、取り残された屍人の残骸──もはや元が何であったかも定かでない、腐肉と汚泥の混合物──は】
【路地裏の地面に落下して、びしゃり、と不愉快な音を立てた。服が汚れるのも構わずその場にへたりこんだまま、惚けたように男が呟く】


【一方で流動体──半透明の霊体──は、身悶えするようにして、少しずつ己の姿を変えてゆく。背丈を、髪型を、体型を、顔立ちを】
【やがてそこに出来上がったのは、刀を持っていない事以外は寸分の狂いもない、目の前の少女の模倣品】
【「それ」はまるで抱擁するように、ゆっくりと両腕を拡げながら少女に近寄ってくる。或いは、彼女を次の憑代に定めたか】
【屍肉を操ることがやっとの無力な魍魎風情が、鉄の意志持つもののふにせせこましく取り憑いたところで、何ができるとも思えないが──】


見付けた。

単なる復讐なら見逃してやっても良かったが──逸脱しているよ、お前は。だから、駄目だ。


【そも、少女が抵抗を試みるにしろ、逃げるにしろ、その形なき両腕が、彼女を抱き締める事はない】
【路地裏の闇の奥から、よく澄んだ声が響いた。それは鷹揚な口調でありながら、振り下ろされる介錯の一刀にも似た、有無を言わさぬ響きを帯びている】
【次いで闇の中から投じられたのは、何の変哲もない棒手裏剣。月光を弾き、夜空に銀の軌跡を描きながら、風を切って亡霊へと翔ぶ】
【──刺中。本来であれば虚しく地面に転がるはずの鉄片は、しかし、形持たぬ霊体を捉え、その腕を刺し貫いて】
【いとも容易く、壁に縫い止めた。二打、三打と重ねて投擲される棒手裏剣が、昆虫標本めいてその動きを封じ込めてゆく】

【白皙に、青みがかった黒髪。藍染めの紬を着流し、素足に雪駄を突っ掛けて、腰には大小二本差し】
【眠たげに細めた切れ長の目の奥に、轟々と燃える劫火のごとき蒼い光を湛え。この場に新たに現れたのは、櫻国風の出で立ちの女だった】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 02:35:41.48 ID:C/4c5tAN0
>>813

夏は……俺もダメ、昼だと寝苦しいからね……夜に影響するのは、……うん、
冬はいーんだ、布団にくるまれば、暖かいからね……出たくなくなるのが、厄介だけど

【昼は寝るための時間、ならば夏は最悪であろう。どうやって寝ようが全裸で寝ようが、暑いものは暑い。】
【それが、翌日学校に眼をこすりながら登校するのとは訳が違うのが重要なのだ。……言及しないが、生死に関わる。】
【一方冬は比較的良い。昼の間は気温も上がっている頃だし、寒かろうが布団の中に閉じこもれば良い訳だ。】
【……という、彼の持論。彼女の昼は眠くならないという主張は一切無視され、彼は独自の路線を貫く。】


………ん、……これ……ガ? 普通こういうのって、チョウじゃないの?
いや、別にどーでもいいしキレイなんだけどさ、……ガって、……なんか違う。―――……かも。

【しかしこの話は、比較的皆が同意するのではなかろうか。普通、蛾という存在は、蝶に比べれば嫌われ者だ。】
【「私、蝶より蛾が好きなんです」と言う人間が社会に居ようものなら、周りから「変わってますね」と返事を頂くことになるだろう。】
【恐らくは彼も、そう返事する内の一人だ。光と蝶はマッチしても……光と蛾は、綺麗にはまらない。】
【「なんか違う」のだ。違和感がある。少なくともこの少年は、そう感じた……しかしそれは彼女の気分を害するかも知れないと、】
【そう思ったのは言葉を放ってしまって数秒経ってからの出来事。苦し紛れに付け足す言葉は、何ともぎこちない。】


……何だ、いるんだ……―――いや、いるならいるで、もっとおかしい………
幼児期の睡眠時間は、……とか、習ってたら教えてあげるんだけどさ………あ、学校はいってんの? 小学生?

俺は―――忍者、……としか、言いようがないんだよなー……サラリーマン、高校生、忍者……浮いてるよなあ。

【分からない。こんな時間まで、この年齢の子供を放っておける親の心理が、全く理解できない。】
【ならば彼女自身に、寝ることの大切さを教えてやろうとする訳だが……彼は彼で、学校に行った経験がない。】
【当然同年代が習う知識を、彼は知らない……伝えられない。そんなことに、再び差異を感じて、】
【取り戻す為に聞いたのは彼女の身分だ。見れば誰でも分かるが、彼自身は忍者である。嘘偽り無く。】
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/02(水) 02:50:49.27 ID:cHuxdqDn0
>>815

【そもそも。こんな時間まで起きておいて、昼間の頃にはとっくに起きているのだろうから、彼女は睡眠時間が少ないらしい】
【それでこの元気とは。若いって恐ろしいものである、――まあ、彼女には成長とか、そんな面倒臭いことはないのだけれど】
【体としてはすでに完成している。生き物として未熟だが、その分、可愛らしさという盾を持っているわけで――まあ、一長一短】
【こんな場所を出歩くとひどくよく目立つ、というのを、彼女がメリットとデメリット、どちらで受け止めているのかは謎だった】

そうだよ! あのね、蛾ってね、蝶より友達がたくさん居るの! ……居るんだってね、お母さんが言ってたよ!

【――前向きな気持ちを挫くのに、その言葉じゃ足りなかった。お母さんから聞いたんだって言葉で返して、にこりと笑い】
【とってもかわいいんだよーって先ほど作った蛾に笑いかける。ねえ、って声を掛けると、蛾は嬉しそうに上下してみせ】
【仲良しらしいのだと窺えた。能力と仲良しというのも少しだけ不思議だけれど――まあ、こんな世界だから“ない”ものなんてない】

あのね、お母さんはね、別に、遊んでてもいいよーって言うのなの。
学校はね、行ってないよ! だってね、行かなくたって、ご本読んだら、それでいいの!
ご本ってね、凄いんだよ。なんだって書いてあるの、知りたいことね、ぜーんぶ、書いてあるっ!

【学校には行っていない、というより、どちらかと言えばまだ早いだろう。就学するよりか、ちょっぴり幼く見える】
【無理に入っても成長しないと言う体質上、いつかは不自然になってしまうわけだし――きっと、このままのほうがいい】
【本人も困っていないようだったし。「でもね、学校、楽しそうだなー」と呟く憧れは、けれど、きっと、叶わない夢物語】

ニンジャってね、知ってるよ。お兄ちゃん、レラお姉ちゃんの仲間でしょ!

【レラお姉ちゃん。(なぜか)ドヤ顔で繰り出した名前は、さっき言った姉のことか、と思わせるかもしれないけれど、】
【言葉の直前に彼のことをお兄ちゃんと言った違和感。それなら、彼女が誰彼構わず「おにいちゃん」「おねえちゃん」と呼ぶのも察せたかも】
【まあつまり参考にならないというわけなのだが。彼女の言ったお姉ちゃんとは、もっと、違った――まるで違う、人物のこと】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 03:27:48.55 ID:C/4c5tAN0
>>816

……そっか。そーだね、蛾の方が……うん。

【ならば、助かった。ココで泣かれよう物なら、ヒトを泣かす方法は知っていても、泣き止ませる方法は知らないから困る。】
【実を言うと、少年は蛾より蝶派だ。彼女が生み出すそれみたいに、全てが全て、光り輝いて美しければ良いが、】
【実際はそうではない。網戸に偶にやってくる、まあ害虫に過ぎない……と、彼は思っている。流石に言いはしないが。】


遊んでもいい……本読んでればいい……うん、まあ、俺もそんな感じ、だからね……
けど、……ちょっとだけ、後悔するかもね……この先……何で自分は、普通と違うのかって……
学生服着てる、同じぐらいの歳の子を見ると……なんかさ、……うーん、……って……

んー……まだ難しい話だったね、……今のは、聞かなかったことに、

【彼女はどう見ても、小学校に行くか行かないか、それくらいの年齢にしか見えない。……彼も、そう信じている。】
【そんな育児法があるのかと、ただの育児放棄ではないかと、……彼女が自分の子なら、決してそんなことはしないと、】
【様々なことを考えながら話していくことは、彼女の理解能力には少しあり余る内容なのかもしれなかった。】
【しかし大切なことだ。普通ではない生き方をするという覚悟、あるいは資格―――本当に、彼女にあるのか。】


仲間……まあ、そーだね……おんなじこと、やってるかな……

【恐らくそのレラという女性は、彼女に忍者とは何であるか……詳細を語ることは、決して無かったのだろう。】
【そうでなければ、この反応はない。……同業者ではある、しかし派閥は異なるが故に、身分上は「敵」だ。】
【忍者が嫁に行ったなんて話は聞いたことがない……彼はそのルートから、血縁関係はないことを導く。】
【しかしそれにしてもまあ、気を使うわけだ。つい気を許せば、そのレラという人間とは敵同士である……なんて言いそうになる。】

【彼女に"は"恐らく、翼を持っているからとかそういうのではない、真の自由を持つ時間が、後数年続くことだろう。】
【自分からそれを、態々破壊しに行く事はないし、そんな事をしてはならない……世界観は維持してもらう必要がある。】
【自分はそんな期間が、丸で無かったから―――本を読んでいればそれで良い、そんなことを信じた時期は無かったから、】
【より一層強くそう思う。……なんていう内心もまた、彼女には届かないように注意を払って。】


じゃー俺は、そろそろ……帰る、……かな。
……まだ、遊び足りんかな、……けど、寝ることも、重要、だから、さ。
………まあ、元気ならそれでいっか……じゃ、またね………

―――あ、おれ、ねこまるって言うんだ……なんかまた会ったら、よろしく……

【翼はなくとも、少年は空を飛べる―――じゃあねと別れを告げたなら、まず僅かな反動で違うガラクタにちょこんとつま先をつけて、】
【……かと思えば今度は跳躍、7,8mは飛んでしまったか、今度は隣のビルの屋上にいる。……彼はそのタイミングで振り返って、】
【もう一度手を振り直せば、……そのまま閃光の如く駆け抜け、その体を闇に溶かしてしまうことだろう。】

【一陣の風になびく赤いロングマフラーと、大好きな冷たい月とのシルエット―――最後はそんな素敵な、風流な画になった訳だが、】
【どうだろうか。……慌ただしい自己紹介の余韻は残されたままだ、彼女は一体、何を想うのか―――。】

/眠気がアレなのでこのへんで〜
/ありがとうございました〜
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/02(水) 03:35:59.15 ID:NZq/rjYE0
>>814

【死を斬戮する様に斬り刻んだ。貪り喰らうちからを鏖殺する様に、裂く刃が冷徹なまでの攪拌を重ねた。】
【そして訪れる一つの結果は想うままのもの――――――原型すら留めぬ様完全に破壊された肉体に、最早銀の不定形の棲む余白すらもなく】

…………ふぅっ。

【力なく姿勢を保つ男性への返答もなく。ただ、安堵めいた小さな吐息だけが最低限の同意に柔らかさを示すのだろう】
【だが総てが終わった訳でなく、銀色の造形はゆるやかにかたちを変え――――――――、】

【同じかたちを、少女に示した。求める様に腕を広げ、偽りの肢で模造の姿を歩かせる。死が、誰をもゆるやかに手招く様に。】
【それを視る少女の反応は穏やかなものだった。骸を刻み尽くしたままの太刀をその手に携えながら、僅かに気息を整えたなら】
【拒むでも逃れるでも、叩き斬るでも撥ね退けるでもなく。ただ団欒のあとのごく当たり前のときを過ごす様に、迫る亡霊――――同じ姿をした銀色をその双眸に映して】


(…………、―――――――――――)

【声が、深き闇のなかで鳴る鈴のよう不可視の泥濘を祓った。亡霊の気配が縫い止められる様を、空間が清浄な雰囲気で塗り替えられる一瞬を意識し認識する。】
【瞳には剣を宿すものの清冽な姿が映った/振り向けばその人影に向けて口を開く、】

……復讐? “誰か”に放たれて初めてこう振舞ったこの死者が―――― そうせざるを得ない様な誰かを追っていたの?

【突然のさらなる来訪者――――自らの故郷をより強く思い起こさせる服装をした女性の姿に、向けた声に彷徨いや微睡みの気配はなく】
【彼女自身の思考の故だと、続く言葉が確信させるだろうか】

【些かの警戒と即応を可能にする構えこそ見出せたが、向けた問いかけは女性自身でなくその紡ぐ言葉に関するもの。 】
【今は行動を封じられたと見た銀色の亡霊―――――――凶事の直接的要因に言い及ぶ其れを、この瞬間のもっとも重くみるべき情報だと判断した様ではあった】
【……向けた問いが、より急を要するものだったという理由もあるのだろうが。それは、暗器の存在をごく日常のそれと見るかの様で】

【あの何者かに“喚び起こされた”だけのまつろわぬ魂でなく、無作為に“生”を穢し喰らう魔物でなく。嘗ては、別個の存在を追う意思(もの)だったのかと―――。】

【どこか敵意のない声は透る/徹る音色で疑問を響かせて、敵対というよりは“拮抗”――――解かぬ限り退かぬ様な強固さを、涼しげなその出で立ちに滲ませながら。半ばほど身をせり出す様に、現れた“彼女”の前に立ち塞がっていた】
【その瞳に、何が映り込んだだろう。鋼の冷たさを纏う橡色に、蒼く強靭き劫火は何を示すのだろう。闇を纏う様にそこにある白磁は、自らの位置を保つまま視線を合わせ――――、】
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/02(水) 03:42:04.86 ID:cHuxdqDn0
>>817

【――彼女の母親の気持ちなんて彼女は知らなかった。教えてあげた言葉は不完全で、少しだけ、足りなくて】
【きっと誰も知らないままに終わってしまう、ただ少しだけ真っ直ぐだった、親心。それを今記すのは、きっと、違うから】

後悔なんてしないのなの、私ね、いっつもね、したいことしてるよ! だからね、後悔なんて、しないもん!
ご本読みたかったら読むし、ネコさんと遊びたかったら遊ぶし、……おにいちゃんとオハナシしたかったから、してるんだよ!
したいことしたらね、“アレスレバヨカッター”とか“コレスレバヨカッター”とかね、思わないもんねっ。

【学校に行けなくたってそれで良かった。その分好き勝手にしているから、何にも、辛いことなんてないよって】
【きっとこれからも苦しいことなんてないと信じていた。真っ直ぐに、真っ直ぐに、バカみたい、なんていわれるかもしれないけれど】
【ちゃんと生きるヒトに言わせてみればダメな思考だろう。きっと彼女は間違えている、でも、――少しだけ羨ましい、かも、】

【(それに、自分は****だもの。こうして普通に生きられるだけで幸せ、他に何を望めばいいんだろう?)】
【(****として生きたくないなんて我侭だ。それを分かっているから、じんわりとしみこんでくるから、逃げたくて)】
【(誰にも相談できなかった。だから、それを隠すみたいに、余計に元気ぶってみれば、存外楽だったから)】

レラお姉ちゃんもね、とってもカッコいいんだよ……ニンジャってね、すごいなーって、思うの!
お兄ちゃんだってすごいよ、なんかね、……カッコいいの! 

【ニンジャってすごい。それが彼女の感想だった、幼子の頭で考えた結果の結果、難しいことなんて何も知らずに】
【2人が本来敵対するものだとも知らないから。彼も教えてくれないなら、何にも知らないままで、きっと終わること】
【語彙が足りないのは仕方のないことか。とかく凄いんだよって言うのは、さっきの言葉遣いにも似て、なんとなく微笑ましい】

私ね、ファラエナって言うのなの!

【それから彼が名乗れば名乗り返す、にっこりと向日葵みたいに咲かせた笑顔、そうこうしているうちに、彼の姿は遠くなり】
【わーっと追いつけなかった視線がその姿を探す。結局、その後の姿は追いかけることも出来ず、見失ってしまって、暗闇】
【ひらひらと静かに羽根を散らしながら――「あ、ネコさんにご飯あげるんだった!」なんて呟いて、彼女もまた、闇の中に姿を落とした】

/おつかれさまでした!
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage saga]:2014/07/02(水) 05:31:47.57 ID:l5yhj/Uzo
>>818
【びちゃり。路地に散乱した腐肉のペーストを意にも介さず踏み締めて、女は少女へと歩み寄る】
【その右手がほんの束の間、自然な仕種でわずかに袖口に引っ込んだと思えば、次の瞬間には鞭のごとくしなり】
【袂に仕込まれていたのだろう棒手裏剣を、何の前触れもなく、今度はその場にへたりこんだ男へと投じていた】
【女を見るや血相を変えてポケットに手を突っ込み、何かを取り出そうとしていた男だったが、この思わぬ奇襲に握ったものを取り落とす】


ではお前は『これ』が何者かに使役されていた、と?初耳だな。さておき、だ。
これは私が独自に調べた事だから、確証はないが……この界隈にかつて薬物が蔓延していた事については知っているな。
かつて薬物の販売に何らかの形で関与していた人物、或いはその可能性が高い人物が、立て続けにこうした死霊の類いの襲撃を受けている。

……そこの男。そいつは『使った』方だが、襲われるに足る理由もちゃんとある。

【地面に転がったちゃちな造りの自動式拳銃と、男の腕を貫通した棒手裏剣とをつまらなそうに一瞥して、溜め息一つ】
【この亡霊が、何者かによって放たれたものである、という少女の言葉を訊くと、興味深げに目を見開きつつも】
【女は問われた通りに、事の次第を説明し始めた】

自分や仲間には勿論のことだが、そいつは誘って溜まり場に連れ込んだ女にも薬を使ってた。
薬漬けにして遊ぶだけ遊んで、要らなくなったら売人のツテを通じてさる筋に流す。そうして得た金で薬を買って、また同じ事をやるって寸法だ。
私としては、死んでくれても一向に構わなかったんだが──まあ、助かっちまった以上は仕方ない。

「てッ、てめえ……!」
喧しい。その下衆な口を直ぐに閉じろ。大人しくしてなきゃ、次は喉だ。

【内容としては、まあ、ポピュラーなものだ。麻薬中毒の頭の軽いごろつきが、売人とグルになって金儲けの手伝いをする事で】
【安価に、かつ優先的に、薬の提供を受けていた、という話らしい──どのように『遊んだ』か、『流された』娘達はどうなったか】
【そういった胸糞の悪くなるような内容には触れずに、女は淡々と、要点だけを掻い摘んで話し終えると】
【呻き声を上げる男を潰れかけの虫でも見るように睥睨し、何ら躊躇する事なく『抵抗すれば殺す』と言い放つ】

……まあ、さもない話だよ。どのみち、『それ』にはもう関係のない話だ。

あの時、取り憑いて害そうとした相手がそこの男じゃなくお前だった時点で、『それ』はもう真っ当な人間としては終わっている。
今の『それ』は生ある者に害を為し、いたずらに死を撒き散らす、ただの胡乱な妄念の残り滓だ。お前が危惧した通りのものだよ。

【無機質な白皙に、無感動な鉄面皮。透き通った硝子玉のような墨色の瞳の奥に、冷たく蒼い灯を宿して、女は語る】
【今、路地裏の壁に封ぜられている亡霊──見れば、今は顔の無い女性の姿をしている──は、かつては明確な復讐の意志を有していたのだろうが】
【今となっては、単なる悪霊の類いに過ぎない、と。……男が復讐を受けなかった事を、どこか、残念がるような口振りだった】
//寝オチてしまってました、申し訳ない……
//辛みに関してはこの先どうするかはお任せしますが、もし差し支えなければ今夜に持ち越しをばお願いします
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/02(水) 06:50:03.34 ID:gf1Wskc00
>>820
/了解です、それじゃ今夜にまた再開をお願いしますっ
/時間が時間でしたし、こちらも反応が遅れてしまいましたし…orz…お気になさらず。ロールは終わりまで続けられれば幸いです
/レスは昨日と同じ位の時間帯には返せてるかと。では、一旦お疲れ様でしたっ…!
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 17:22:20.49 ID:mufbe6fwO
【彼はこの日、某自然公園にいた。】
【青いユニフォームは法の番人を意味し、その諸手で正確に構えられたゴムの拳銃の先は、】
【木に吊るされたフライパンを目指している。】



───ッ



【カン、と音がなったということはしっかりと命中したのだろう、】
【本来の銃と変わらぬ火薬量を誇る拳銃ではあるが、】
【その男は───発砲の反動を、おのが腕力で強引に押し止めていたのであった。】

【ゴムの流れ弾がどこに飛ぶかはわからない…。
823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 18:51:37.24 ID:J7dYvVaHo
>>798で21:00くらいまで置いておきます!
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 19:48:27.75 ID:oGDm8NHco
【公園――広場】


【すっかり人もいなくなって、街灯が淡い光が静けさを映す、そんな場所】
【だがこんな時間だというのに広場を見ればひとつ、走っていることだろう】

【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、そんな――精悍な顔つきの少女だ】
【薄い緑色のTシャツの背には猫ならしっぽだけで一瞬にして全てを語れ≠ニいう意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】

【おそらくランニングか何かだろう。しかし異様な点がひとつ――彼女の後ろにはあった】


ふーっ、ちょっと休憩……案外楽勝だにゃ。こんなんで強くなれるのかにゃ?


【広場沿いの道近くまで走ってきた少女は一旦立ち止まって呼吸を整える】
【普通のランニング後と変わらぬ様子だがその後ろには――身の丈以上はあろうかという土管があることだろう】
【つまり、彼女はそれと自分の腰とをロープで繋ぎ、まるでタイヤ引きでもするようにランニングしていたのだ】

【流石に疲れてはいるようだが、華奢な体格にそぐわない怪力の持ち主なのかもしれない】
【そんな彼女は――この場を通りかかった人にどのように映るのだろうか】






【ところ変わって――表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らはかなり目立つ存在であることだろう】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/02(水) 20:41:50.29 ID:9Vrx4UpOo
>>798
時間とは存在しない、あくまで事象の連続性を説明するための概念でしかない
しかし、人間の生み出したそれに縛られるとは人間とはなんと愚かなのであろう

【町はずれ、ふとそこで聞こえた、まだまだ若い青年の声】

……うーん、よく訳が分からないや

【と、その方を振り向けば一冊の本を持っている青年がいるだろうか】
【まるで狙いすましたかのような発言だが、本人は狙ってやったわけではないようで】
【なお、手に持っている本は古い装丁の本で、よくある啓蒙本だろう】

【青年は灰色の髪、灰色の目、まるで色素が存在しないかのような白と黒の濃淡だけで示すことのできるモノトーンの青年だった】
【服装は白いシャツに黒いズボンと、見事に色彩がない】

……なんかどこかで見たことがある

【そして、少年に気付いたのかそんな発言をするだろうか】
【「変な本に載ってた銅像のポーズに似てる、読めなかったけど」とさらに呟くだろうか】
【ずいぶん昔の区分で『第三世界』からやってきた本でも読んだのだろうか】

【その後、そのまま視線を上げ、「まじっくしょっぷ?」と小さくつぶやく】
【どうやら興味を持ったらしい、手に持った本をぱたりと閉じて紐で縛ると目の前の少年に話しかけるだろうか】
【しかし如何せん、どう話しかければいいかわからなかったらしく、奇妙な発言が飛び出した】

あの……、もしかして妖精かなにかでしょうか?

【……どうにも、この青年はずれているらしい】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 20:43:53.32 ID:oGDm8NHco
/>>824はまだ募集ですー
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 21:08:44.32 ID:J7dYvVaHo
>>825

……え?


【突然耳に聞こえた青年の声に、しかし意味が判らずキョトンとする】
【少年は声のした方へと視線を移動して、見上げるように白黒の彼の姿を写し】


よ、妖精……!? あ、あの……僕そういうのじゃなくて、ですね……
あ……まさか、お店の名前で勘違いしちゃった…………のかな……


【次に放たれた発言に、驚いたような声を洩らして】
【少年は頬を薄く染めて、あわあわと困った表情を浮かべながらピョコンと立ち上がった】
【自分を例えるにしては余りにも幻想的すぎる"妖精"という単語を処理できず】
【些か混乱している様子が見受けられるだろうか】
【最後の方は消え入るような、尻すぼみな声色であった】


――こほん。え、えと……ですね。もしかしてお客様……でしょうか?
僕のお店に興味を持った頂けたのでしたら……お気軽に訪ねてくださると嬉しいです……


【立ち直るまで数秒程度であろうか。態とらしく咳き込んだ後に俯けていた顔を上げて】
【青年の方を見ながら、未だ残る内心の動揺を押さえ込んで営業用の頬笑みを作り】
【彼に向かっておずおずとした調子でそんな事を訊ねた】

【"僕のお店"というと、このマジックショップを経営しているのはこの少年なのだろうか】
【経営者にしては余りに若く、頼りない風にも映るかもしれないが――】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 21:19:19.60 ID:zO6yUXxEo
【路地裏】

【悪臭を生ぬるい風が辺りに吹き散らし、地面に散らばったゴミが風に吹かれて転がる】
【壁には血痕と思しきドス黒い汚れがこびり付き、気味の悪い虫が這い回る】
【そんないつもの光景を、すっぽりと包み込む薄闇の奥から、奇怪な音が聞こえてくる】

ヒュー……ヒュー……カヒュー……
ク、クヒュー、ヒュ……グ、グ、ゴグッ……

【これは、呼吸音か。穴から漏れだしているかのような、細い呼吸音】
【それに加えて、何かを貪っているかのような不快な音。音源は、路地裏の袋小路にいた】


カヒュー……ング……ガ……
――足りん……血肉が、養分がまるで足りない……

【ぶつぶつと何かを呟きながら、元が何の生物だったのかもわからない形の死肉に、肩辺りから伸びた肉の触手で食らいついているもの】
【人間の上半身をさらに半分にしたほどの大きさの、肉塊のような異形の男がそこにいた】

【角ばった顔つきに短めの黒髪。顔面、首、露出した右腕、その全てに広範囲にわたって残る凄惨な火傷の跡】
【胸部には、襤褸切れのような黒い布をしっかりと巻きつけている。左腕は、根元から消失していた】

【その下、胸部から下の部分の肉体は存在しなかった。まるで胸像のような姿】
【体内に繋がる形で伸びた、甲殻類のそれを思わせる太く長い四本の足が、肉塊を支えている】
【黒い布の隙間から覗くのは、肋骨の一部と赤い肉に包まれた脊髄。脊髄は、尻尾のようにゆらゆらと不気味に揺れ動いている】

【額に面積一杯を埋める黒い瞳の単眼。両目は、右が青、左が黒の義眼】
【肩から伸びている肉の触手の先端にある口が、甲殻類の足のそばに転がる死肉にかぶりついていた】


【およそ、この世の者とは思われぬ生物。誰かがここに来れば、その姿とそれが発する耳障りな音は】
【おそらくすぐに感知することが出来るだろう】
829 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 21:19:44.09 ID:C/4c5tAN0
【どこかの路地裏】

【獣の臭いが充満するこの路地裏……もっとも、予想し得ない存在が、ここに居た。】

【ここはならず者とそれを狙う人間と、極稀に彼らを正す人間が集う場所だ。】
【その環境は言うまでもなく酷い。治安という意味では最低だし、街灯はもう殆ど付いていないし、……兎に角汚い。】
【だからどんな人物が居ても可怪しくないのは、それはまあ正しいことなのだが……ではコレは、どうだろうか。】

……グガァ゙………

【どうやら腹が減っているらしく、その声も何だか弱々しい様に思える何か。街灯が届かない位置にあるのなら、彼を照らし出すのは月明かりだ―――、】

【身長165cm程度。直立二足歩行。パーカーとズボンの人間と変わらぬ簡単な身形だが、均等に隆起した筋肉が窮屈そうに見え、サイズが合っていない事が分かる。】
【ギラリと何かを鋭く見つめる瞳は紅。それに、獣人と言うだけあって、"歯"ではなく全てを噛み千切る"牙"であるし、"爪"ではなく全てを引き裂く"鉤爪"である。】
【然し彼の姿で最も特徴的なのは―――両肘から指先の方向に向けて伸びる、毛色よりも深い黒鉄色の……"刃"、であろう。月光に反射して煌めく辺り、相当の切れ味だ。】

【その怪物は、大型のゴミ箱を漁っていた。いつの物かも分からないビール缶を取り出したなら、そのまま噛み砕いて食らう―――、】
【食事の仕方は、獣。やはり汚い。今度はもう使い物にならない廃材である30cm四方の鉄板を見つけ出して、矢張り同じ様に食らう訳だ。】
【しかしゴミ箱は四次元ポケットでも何でも無く、況してや金属なんてゴミの中の極一部だ。……当然、彼の腹はそれだけでは満たない。】

【丁度いい所に―――と言わんばかりに彼はそんな歪んだ笑みを浮かべた。怯えて腰が抜けてしまって動けなくなった、若い男が、一人。】
【ジュルリとヨダレを垂らしながら、彼は近づいて行く―――その目的は誰にでも分かるはずだ。何事も無ければ、恐らく。】

【不幸中の幸いというべきか、その歩くスピードは遅かった。十秒かそこら、この獣を制するには時間がある。】
【その辺の小石を一生懸命投げつけたとしても、鋼の肉体はビクともしないだろうが―――しかし、興味を惹くことなら出来るはずだ。】
【若い男は声も出ない。後退りはするが、抵抗の意思は見られない。……どうあがいても絶望なのだということは、理解している様だ。】
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 21:30:18.73 ID:C/4c5tAN0
/>>829はキャンセルでおなしゃす!

>>828

【どこかの路地裏】

【獣の臭いが充満するこの路地裏……もっとも、予想し得ない存在が、ここに居た。】

【ここはならず者とそれを狙う人間と、極稀に彼らを正す人間が集う場所だ。】
【その環境は言うまでもなく酷い。治安という意味では最低だし、街灯はもう殆ど付いていないし、……兎に角汚い。】
【だからどんな人物が居ても可怪しくないのは、それはまあ正しいことなのだが……ではコレは、どうだろうか。】

……グガァ゙………

【どうやら腹が減っているらしく、その声も何だか弱々しい様に思える何か。街灯が届かない位置にあるのなら、彼を照らし出すのは月明かりだ―――、】

【身長165cm程度。直立二足歩行。パーカーとズボンの人間と変わらぬ簡単な身形だが、均等に隆起した筋肉が窮屈そうに見え、サイズが合っていない事が分かる。】
【ギラリと何かを鋭く見つめる瞳は紅。それに、獣人と言うだけあって、"歯"ではなく全てを噛み千切る"牙"であるし、"爪"ではなく全てを引き裂く"鉤爪"である。】
【然し彼の姿で最も特徴的なのは―――両肘から指先の方向に向けて伸びる、毛色よりも深い黒鉄色の……"刃"、であろう。月光に反射して煌めく辺り、相当の切れ味だ。】

【その怪物は、大型のゴミ箱を漁っていた。いつの物かも分からないビール缶を取り出したなら、そのまま噛み砕いて食らう―――、】
【食事の仕方は、獣。やはり汚い。今度はもう使い物にならない廃材である30cm四方の鉄板を見つけ出して、矢張り同じ様に食らう訳だ。】
【しかしゴミ箱は四次元ポケットでも何でも無く、況してや金属なんてゴミの中の極一部だ。……当然、彼の腹はそれだけでは満たない。】

【丁度いい所に―――と言わんばかりに彼はそんな歪んだ笑みを浮かべた。同じくしかしこちらは生物かどうかも判定が必要な謎が、居て。】
【ジュルリとヨダレを垂らしながら、彼は近づいて行く―――その目的は誰にでも分かるはずだ。何事も無ければ、恐らく。】

【不幸中の幸いというべきか、その歩くスピードは遅かった。十秒かそこら、この獣を制するには時間がある。】
【喰われることを阻止する時間は、十分過ぎる程にあった筈だ―――もっとも、それは何か対策がある場合に限られるが。】

【しかしもしそうならば、これは、逆に言えばチャンスだ。血肉、養分……この獣ほどの逸材は、いない。】
【ライオンが足を怪我したウサギ辺りを食すその時の丸で同じ、油断だらけ、隙だらけだ―――。】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/02(水) 21:32:46.71 ID:9Vrx4UpOo
>>827
妖精じゃないのなら……あれかな?
えーっと、何か小説に乗ってた……エルフとか、そういう類

【実在したんだなぁ、と呟きながら、少年の続く言葉は耳に入っていないようだ】
【どうやらこの男、変な思考回路をしているらしい】
【よく言えばこれまでにない思考を生み出せる人】
【悪く言えばただの変人、あるいは阿呆】

ん?お客様……になるのかな?

【お店なのかー、と呟きながら看板に書かれた文言を見る】

うーん、義肢は必要ないかなぁ、腕を四本脚を八本にする予定はないし……

【そんな化け物を生み出す発想、どこから来るのか】

それで……魔銃?
えっとー、銃は弾丸射出装置……魔は、えーっと?

【そういいながら首をひねる青年】
【ふつう少し考えれば魔法の銃だと見当はつくだろうに、どうにも頭の固い部分があるらしい】
【だが、どうやら目の前の少年を店主だと疑っている様子は無いようだ】
【先入観を持っていない、と言えばいいか】

【どちらにせよ、いろいろとトンデモ発言を飛び出させるこの青年に肩肘張って向き合い続けるのは非常に疲れるだろう】
832 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 21:47:24.70 ID:zO6yUXxEo
>>830
【自分が発しているものと同種と言えるだろう音に、肉塊は捕食を中断して振り返った】
【単眼の先にいたのは、はち切れそうな筋肉と、牙に鉤爪。さらには、見るからに殺傷に特化しているだろう刃=z

【獣人を見たのは初めてではなかったが、彼のようなタイプは初めてだった】
【薄明りを反射して光る黒鉄色は、殺意の結晶のごとく。肌身に感じる悪寒。危険な相手】


【ゴミ漁りをしている間に、退散しようかとも考えたがそうもいかないらしい】
【自分にも匹敵する悪食ぶりを発揮していた彼が、やがて自分にすら食欲を向ける】
【肉塊男は、こちらへとゆっくりと近づいてくる彼を単眼の内に捉えると――同じく、昏い瞳に食欲の色を宿した】


――――ヒュハーッ、ヒューハ……クヒュー……
なかなか、いい肉付きをしているじゃあないかね……

【獣人にそう語り掛けると、肉塊男は獣人に向き直り、肩から伸びる肉の触手を彼へ向けて伸ばした】
【触手の先端に生えた口が、ガチガチと牙を鳴らしながら獣人へと向かっていく】
【狙いは、左の肩口と右の二の腕。そのまま、思い切り食らいつこうとするだろう】

【伸びていくスピードはさほどでもない。獣人の方も、対処は出来るはずだ】
【世にもおぞましい怪物同士の共食いが、幕を開ける――】
833 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 21:49:08.90 ID:J7dYvVaHo
>>831

あ、あの……エルフでもなくて……僕、普通の人間ですので……
そういう方々と一緒にされると……ちょっと恐縮というか、申し訳ないというか……


【目の前の人物から繰り出される例えに】
【ますます困ったような様子が濃くなっていく】

【妖精やエルフといった「美しい」「愛らしい」と】
【一般的に言い伝えられる存在と自らを同一視される事は】
【恥ずかしがりで、少し自信に欠ける少年には重荷であるようであった】
【不快、という訳ではないのだが――】


あ……その、もしよろしければ僕がご案内しますよ?
店内で直接見て貰った方が……判りやすいかなって思いますので……


【珍妙な様子の青年に、少年は微笑みながら「どうですか?」と続けて呼びかける】
【少し変わっていてもそれくらいで引く程狭量ではなく】
【それがお客様であれば、出来るだけ丁寧に接したいと小さな店主は考えていた】

【知識が及ばないことも責めはしない】
【少年自身まだまだ世間知らずで分からないことは幾らだってあるのだ】
【それに自分の好きな事を知って貰えれば、少年も嬉しいのだから】


【もし、先の呼びかけに肯定的な反応があったならば】
【「どうぞ」、と小さくお辞儀をしながら半身を引いて店の扉をそっと開け放つだろう】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/02(水) 21:59:41.39 ID:9Vrx4UpOo
>>833
普通の人間……?
……普通なのかなぁ?

【そもそも普通ってなんだっけ?と、青年、いつそんな哲学的思想を話せといった】
【ともかく、一応物語に出てくるような存在ではなくただの人間だとは納得したようだ】

ん?判りやすい?
なら案内してもらおっかな

【と、気軽な感じ】
【敬意のけの字もないこの青年、年下に見えるから見くびっているとかではなく素でこの調子である】
【この様子は人によっては不快に映るだろうが……】

【そして、店の戸が開け放たれたのならきょろきょろとしきりに店内を見渡しながら進んでいくだろうか】
【それはただ純粋に眺めているというわけでもなく……観察しているように見えるだろう】
【この時もし目を見れば、初めて青年の目に『高度な知性』を見出せるだろうか】
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 22:13:08.03 ID:J7dYvVaHo
>>834

ふ、普通かなって……僕は思っているのですが……


【もしかして、自分は他者から見て変に映っているのかと】
【いまいち自己の客観視が出来ない少年は、少し不安になったのか】
【ちょっと目を逸らしながら、自信なさげに呟いた】


【――】


はいっ……えと、本日はよろしく……お願いします


【青年の返事を聞くと、少年は嬉しそうに頬を綻ばせ】
【ペコリと大きくお辞儀をして、彼の隣に並んで店内へと進んでいった】

【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】


何か気になるものがありましたら……お気軽に訊ねていただけると嬉しいです
その、僕……あんまり説明は上手くないですが……が、頑張りますので……


(この人……学者先生とか、なのかな……?)


【彼の知性的な目を見て、内心彼の職業に思いを馳せながらも声をかける】
【考えてみれば、学者などは世間ズレした者が多い】
【先程から少し他人と違って見える青年の印象を見て、少年は彼がそういった職の人間かと考えた】


【周囲の棚には赤や黄色などの様々なカラー、デザインをした魔銃が並んでいる】
【もしそれらの前で足を止めることがなかったならば】
【二人は奥にあるカウンター席まで歩を進めることになるだろうか】
【青年が何かを気に留めて少年に質問を投げかけたならば】
【途中で歩みを止めて、次のレスに少年はそれに対する反応をする事になる】
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 22:13:30.17 ID:C/4c5tAN0
>>832

【先の例で言うなら、怪我していたウサギが実は狩猟用ライフルを隠し持っていた様な物、】
【まさか初撃を食らうとは思っていなかったのだろう―――その対応は、少々ぎこちなかった。】


…………ガァ゙ァ゙ア゙ア゙ァ゙……ッ゙!

【とは言え、スピードが大したものでは無かったというのなら、不意を突かれた獣人にも対応が可能だ。】
【まずはその、右腕の側に備わっている刀を以って、日本刀で切るそれとほぼ同じ要領で、触手を斬ることを選ぶのだろう。】
【もし斬れなかったのなら、多少の傷を負いながらも振り払うことに専念する。どちらにせよ、致命傷にはならないだろう。】


――――ク゛ォ゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!

【眼の前の存在、抵抗が可能であるのならば、食用には向かない。選ばなければ食い物はその辺に転がっているのだから、】
【無理にアレを食らう必要は無かろう。よって、この獣人にとってのその肉塊男の価値は、その時点で消失する。】

【では何故、尚も彼に向かう眼差しを逸らさないのか、と言えば……それは単純に、「キレた」からだ。】
【この肉体、「キレる」と大変な事態を招きそうだ―――しかし、冷静な思考を持ってこの獣人の行動を分析すれば、】
【……頭脳もまた、獣のそれと等しい。気は極端に短いし、0は0としてそのまま受け止める。そういう結論に至るのではないか。】

【……その暇があれば、だが。劈く様な咆哮がこの路地裏全体に共鳴したかと思えば、彼は既に行動を開始していた。】
【何もなければ、彼を肉体を考慮すれば異常とも思えるスピードで駆け抜け近づき、その間獣人は両腕に生えた刃の内、左腕だけを"抜き取って"、】
【左上から右下へ、真っ二つに斬り裂かんとするのだろう。殺傷力の高いククリナイフに似た形状だ、喰らえば間違いなく死ぬ。】

【一連の流れを見れば、この獣人は、行動の速さを武器にしている、……そう誰もが思うはずだ。】
【そして良くも悪くも、「キレる」ということは、複雑な思考を踏まないということ。両者が相俟って、今の彼は速い。兎に角、速い。】
【この速さについて行けるかどうか、と言うのはこの戦闘の大きなポイントとなるだろう―――この肉塊男は、どうだろうか。】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/02(水) 22:23:33.17 ID:9Vrx4UpOo
>>835
うーん、普通の人はそんな『美少年オーラ』を『むんむんと醸し出して』いないと思うよ

【とだけ、呟く】
【本人は言った内容がよくわかっていないのか『美少年オーラって何だろう』と小声でつぶやくのだが】
【おそらく本で読んだ文章を継ぎ合せたようなものだろう】

【閑話休題】


……見た目は普通の銃に近いんだね

【しきりにきょろきょろ灰色の視線をあちこちに向けた青年はそう零す】
【魔銃というからには魔物のような、いわゆる銃としての形をとどめていないような銃を想像していたようだ】
【がっかりした感じではないところを見るとそれを望んでいるわけでは無いようだけども】

あの、魔銃って具体的にはどのような銃なんですか?

【できれば実弾銃と比較してもらえるとありがたいんだけど……・、と、歩みながら問う】
【それは魔銃という概念についての質問、外見上の違いはあまりないことが分かったため、内部にどれほど違いがあるかという質問だろう】

【もしその質問の問いを聞けば、青年はなるほどなるほどと頷いてカウンター席へと歩みを進めるだろう】
【もっとも、頷いたことがイコールで理解したことかは、不明だが】
838 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 22:33:37.19 ID:zO6yUXxEo
>>836
つッ――――!!
カヒュー……見た目通りの切れ味らしいな……

【わずかながら、彼の肉に牙が食い込んだだろう辺りで、右腕の刃が肉触手を見事に切り落とした】
【断面からの出血は少量。痛みは感じているらしいが、肉塊男もそれほどのダメージではないらしい】


おおっと、怒らせてしまったか……? そこまで興奮せずともいいだろうに
ヒュハー、ハハ、まあ仕方あるまい。付き合うよ。どちらかが餌になるまでな

【路地裏を揺るがさんばかりの大音声。まさに獣の咆哮だ。腹に響くその声を聞き、返事は期待せずに言葉を発した時には】
【すでに、獣人は動いていた。筋肉の塊が生み出すは驚異的な速度。加えて、左腕を抜き取って武器にするという常識外れの動き】
【そこから放たれる高速の一閃が、肉塊男のいた位置を切り上げた。獣人には、肉を切断した感触が伝わるはずだ】

【しかし、真っ二つになったのは肉塊男ではなかった。先ほどまで肉塊男が貪っていた死肉】
【新たに生やした肉の触手で、反射的に死肉を持ち上げて盾に差し出したのだ。その触手も一緒に切られてしまっていたが】


【ともあれ、肉塊男は致命傷を負うことを避けた。そのまま、甲殻類の足で移動して】
【獣人から見て右横に移動しようとするだろう。速さゆえに、自分が何を切ったかわからない、勝負はついた、と】
【獣人がそう誤認する可能性を考慮しての行動だ。脇に潜り込むことに成功すれば。肉塊男はさらに攻撃を仕掛ける】


【狙いは、その速さを生み出す足。右の足首の辺りめがけて】
【垂れ下がった脊髄の先端から、肉が伸びた。今度は先端のとがった肉槍だ】
【やはり伸びるスピードはそれほどではないものの、先と違って距離は近い】

【すぐさま対処しなければ、肉槍がまともに足首を貫くだろう】
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 22:46:40.12 ID:J7dYvVaHo
>>837

えと、ですね……魔銃と一口に言っても色々種類はあるのですが

このお店で主に扱っているのは……
「魔術の発射装置」としての魔銃……つまり、魔法使いの杖に近いタイプです――


【青年の質問に、少年は近くにあった赤色の魔銃を手に取って語る】
【同じ"魔銃""でも、異様な特性を秘めた実弾銃から】
【青年の想像したような所謂"異形"めいた代物も存在する】

【この店で扱っているものは、その中でも非常にシンプルな部類のモノだった】
【「魔法使いの杖」。その例えの通り、ある特定の魔術を発現する為の装置である】
【例えば今少年が手に取っているものは「火炎弾」を射出するモノ】
【トリガーを引くことで内部の魔術回路が反応し、瞬時に炎弾を生成し直線上に発射する】

【銃の形をしているのは"方向性"を持たせる為であり】
【この形状にすることで「トリガーを引くと魔弾を放つ」という工程をスムーズに行うことが可能になる】
【近くに解体され内部構造を晒した魔銃なども並んでいるが】
【内部は実弾銃に比べて非常にパーツが少なく、代わりにびっしりと何かの模様や文字が刻み込まれていた】


【そういった説明を青年にしながら、やがて二人はカウンター席へと到達する】
【少年は、青年の隣からテテテ……と早足で離れて】
【カウンターの向こう側に立って、席の前に並んだ椅子へ手を向けて「どうぞ、座ってください」と彼を誘った】

【少年は向かい側に備え付けられていた背凭れ付きの椅子に腰を下ろし】
【ニコニコと淡い頬笑みを浮かべながら、青年へと声を掛ける】


それで……今日はどうされますか?
その……見学がご希望でしたら……もっと色々説明しますけれど……

もし気になったモノや……僕に加工して欲しいなっていうご依頼がありましたら
お気軽に申していただけると幸いです……


【「可能な限りご要望にお応えします」と少年は言葉を締めくくる。質問の内容は、聞いての通りだろう】
【この店を訪ねた上で、この先どうするかという内容のものだ】
【見学を選ぶならば、少年は色々な資料を持ち出し彼に説明することになるだろうし】
【商品を買う、もしくはこの店に"依頼"をするならば、また対応が違ってくる】
840 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 22:56:08.93 ID:C/4c5tAN0
>>838

―――ガァ゙ア゙ッ゙ッ゙!?


【肉を斬る、この手応え―――完璧だと、彼はそう思った。彼は刀を元の左腕に戻し、それから立ち去ろうとする。】
【彼の視界の外で、肉塊男の攻撃が進んでいたのなら、……全てが思い通りに行くことだろう。肉槍は、確かに足首を貫いた。】
【……暗くて良く分からないかも知れないが、流れ出る液体の色は、黒……厳密に言えば、毛色と同じ黒鉄色だ。】
【こんな物を取り入れて良いのかという懸念が、浮かび上がりはしないだろうか。……まあそうでなくても、結果は同じで、】


おッ……こんなトコにいタのカ……探しタんだゾォ……あそこで待っテろって、言ったダロ?

……お前、何やっテんダ? ……んゥ、これはァ、……旨そうに、見えたのカ?

こんなモン食っタら、腹壊しちまうゾォ……ほラ、一杯買っテきタ、食え食エ………

……っテ、お前足怪我しテんじゃねーカ……おいおイ、何やってんだヨ……

【―――不意に、一人の男性が一つの路地から姿を表す……シルエットからでも分かる、屈強な男だ。】
【ブロンドで短く揃えられた髪と、蒼い眼……それらを見ずとも、彼の発音だけで外国人であろうと分かるか、】
【それから"武"を志す者の理想という理想を凝縮した、その具現の様な……2m程ある身体に、隆々とした肉体。】
【暗くて詳細は見えないがシルバーアクセサリーに、黒いタンクトップ、迷彩柄のバギーパンツは、彼の職業を示していて、】
【―――恐らくは、軍人だ。外れているにしても、それに近い何かでないと、"息の詰まる様なこのオーラは出せない"。】

【先程の咆哮を聞き付けてやって来たのだろう、両手には異常な程に詰め込まれたビニール袋が、2つ。】
【無造作に袋をひっくり返して、出てくる物は普通の食料品から、工業用の金属片やら様々、山積みになった。】
【今までの激昂は何だったのかと思わせる程の、感情の移り変わりである。獣人は無心で、食い物に飛び付いた。】

【本当に、無心だ。眼の前に広がる食い物以外、何も見えていない様に見える―――胡座をかいて、ガツガツ食らう訳だ。】
【その間、ふぅと傷の確認もし終えた男は、今度は肉塊男へと近づくのだろう。当然、平常心を保ったままだ。】
【「なーんダこいツ……」と、何もなければ一周グルリと周って様子を見る。ホンモノなのか、レプリカなのか、】
【調べていることは、その辺りであろう……コレもまた、油断だらけ、隙だらけ……と言った所だった。】
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 23:04:29.42 ID:9NZEt0EL0
【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【今宵其処から感じ取れるのは少しばかり大きな魔力だ。遠方に至って何と無く感じ取れる位には大きいのだが……何か妙】
【妖気ならばまだしも、魔力。開かれている門から中を覗き込んでみれば、庭に二人の少女が居るのが分かるだろうか】

【一人は着物を纏い、まだ二十歳前だというのに威厳を纏った者。問う事をせずとも、この城の姫であるのが分かる筈で】
【もう一人は――――所々が焦げたボロ布を纏う少女だ。紅い髪に、同じ色の瞳。どうやら魔力の発生源はこちらの少女であるらしく】
【より魔力を感じ取る事に長けている者ならば、其れが“火”の属性の塊である事まで知る事が出来よう】



「…………満足しましたか、朱璃。そろそろ寝なければまた変な時間に眠くなってしまいますよ」

『ん〜……まだやだ。もう少しだけ此処に居る』

「――――全く。精霊とは随分自由気ままな性格なのですね。……自然の塊、と考えれば納得出来ない事もありませんが
もう悪狐を滅する為に~威達にも知らせなければいけない頃。――――……とは言え、急げば急ぐほどに悪狐にも勘付かれる…………困ったものですね」

【今宵は満月。紅の双眸を持つ幼い少女は、ただ気儘にその月を見上げて楽しんでいるのだろう】
【その城の主の娘はと言えば――――説得しても無駄だと悟ったか、横に座れば同じ様にして月を眺めて】
【今宵は門番も居ない。否、正確には何処かに見張りが居るのだろうが例え城の内部に入った所で止めに来る者は居ない】

【――――故、二人に興味を持った為に接触しようとしても何ら問題は無いのだろう】
【話し掛ければ紅の少女から敵意にも似た“熱”を感じ取る事が出来るかもしれないが、それも一瞬だけだ】







【――――櫻の国。その、森の奥地】
【小さな祠が在るだけで、後は何も無い詰まらぬ場所。その祠だって、ずっと前に人々から忘れ去られたのだから荒れていると記しても何ら可笑しくは無い】
【然れど、今宵は其処に一匹の妖怪の姿。狐の耳と尾を生やし、巫女装束を纏ったその者は…………妖怪に詳しい者ならば妖狐、と知れるだろうか】

【櫻の国で暴れている妖狐に瓜二つだけれど、その表情からして気性が荒いわけでも無い事が分かる筈】
【何よりも、瞼を閉じて願掛けをする様な姿は決して悪狐の其れでは無く】


「――――……もう、ずっと来れませんでしたが…………まだ残って居てくれて、良かった……です…………」

【小さな吐息。祈りも終わったのか、慈しむ様に小さな祠を掌で撫でてやれば余韻に浸る様に側に座るのだけれど】
【―――少し離れた木の上。其処にも、一人存在していた。矢を番えた弓を手にして、キリキリと目一杯に弦を引き絞る様は正に狩人】

【近場に野兎や鹿が居る訳でも無い。ともなれば――――必然的に、狙いは一つだけだ】
【恐らくは悪狐に似た少女を討って名を馳せようと考えたのだろう。震える指先は緊張の証。生唾を飲み込んだならば目測で少女の細首を狙って】
【…………身に迫る危機も分からず、未だに過去を懐かしむ様に祠に寄り添う少女】

【狩人はどうやら気配を殺す事が下手な様で、遠くからでも所謂“殺意”を感じ取れるが――――】
【その場面を目撃した者がどの様な行動を取るのかは、自由であって】
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 23:08:36.70 ID:LBAXswTJo

【 水の国/路上 】



【──とある総合病院近く、路上には規制線が張られ、その向こうには血痕がこびり付いている】
【偶に近くを通る者なら、数日前、ナンバーズ≠フ死体が発見された場所だと知っているだろうか】
【死体に『不可解』な状況が見受けられたために、一応、現場の保存が為されているらしい】
【とは言え、既に捜査官は姿を消し、撤収作業も始められているのだが── 】



──、……。



【その光景を、一人、眺めている少女が居た】



【黒のショートカットに、黒の瞳。入院着のような、ゆったりとした服装を身に纏った少女】
【腰に巻いたベルトのホルスターには、二丁の拳銃が差し込まれている】

【入院患者のようなその服装もさることながら、殺人現場≠ニ少女≠ニの対比は、嫌が応にも目立つ】
【──と。その少女は目眩でもしたのか『厭なふらつき方』をして】



(『いいさ、教えて≠竄驕B いいか、よく聞け──、


           お前は──  』          )




──、 はぁ 、はぁ 、……。 ──けほッ!



【口元を抑えながら、道の脇の柵に向かい──半ば身を預けるようにしながら、激しく咳き込む】
【顔色も悪く、決して健康≠ノは見えない少女を、通りかかる人々は横目に見ながら去って行く──】


/1時には落ちるので持ち越し確定とは思いますが、宜しければ
843 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/02(水) 23:11:22.43 ID:9Vrx4UpOo
>>839
魔術の射出装置……魔術かぁ

【ぼくとは縁遠いなぁ、と呟く青年】
【この様子を見るあたり、この青年は魔術をつかえない模様】
【でも悔しがってるわけでも残念がっているわけでもない以上さほど気にしていない模様】

【解体された魔銃に関しては特に念入りに見ていたが理解できなかったようで】
【理解したらしたで恐ろしいものがあるが】


【そして青年は少年に勧められるままに椅子に座る、疑いを一切抱いていないようだ】
【もし少年が詐欺師ならこれほどまでのカモはいないだろう】


……うーん、魔術、魔術ねぇ……

【と、しばらく考え込んだところであっと声を上げる】

そうだそうだ、扱いに困っていたものが一つ……

【そういってどこからとりだしたのか、一本の杖をカウンターに置くだろう】
【それは古い杖で、また、砕けかけている、力は一切感じ取れないが……】
【だが、元はかの宗教都市、ゼン=カイマから出土した魔術用の古い旧い杖、加工の仕方次第で強力な触媒になれるだろうが……】

あと素材になりそうなもの……そうだなー……

【そういうと一つ、親指ほどの欠片の水晶を取り出すだろうか】
【空色を濃くしたような輝きを放つ水晶、それは『癒し』の力を放っている】

……

【しかし何か考え込むような表情をした後、その水晶をしまうだろうか】

この杖……加工できますか?
自分、魔術の系統には疎くて

【と、言うだろうか】

【水晶について問われれば、「これ、加工していいのかな……って思いまして」と返すだろう】
【もし素材として必要だといえばこの男は若干躊躇いつつもそれを渡すだろう】
844 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/02(水) 23:18:42.38 ID:zO6yUXxEo
>>840
【脊髄からダイレクトに伝わる感触。目論見は通り、獣人に一刺しを加えることに成功した】
【しかし、見えにくいながらも単眼が捉えた体液の色。路地裏の闇の色に近いそれを見て】
【さすがに、少しばかり食欲が減退する。肉塊男も相当な悪食だが、毒に耐性があるわけではないのだ】

【どの道、この場に現れたもう一人によって、共食いを続けることは出来なくなったが】


(――飼い主、といったところか? あの体格に佇まい、気配……)
(軍人か、殺し屋か。戦闘のプロには違いあるまい……この姿でやり合ったとして、さてどこまで対抗できるか……)

【肉塊の単眼は、冷徹に現れた男を観察する。全身から立ち上る気配。特徴的なイントネーションの言葉遣い】
【同時に、両手に持った満杯の袋にも視線を這わせる。それを、獣人に無造作に与える姿も】
【その姿、まさしく獣だった。眼前の食欲がすべてに優先されている。いや、獣でもここまでではないかもしれない】


【ともあれ、現状は獣人より現れた男の方。自分の周りを回ってこちらを観察する彼に、まずは言葉をかけた】

――言っておくが、私は人間だぞ……カヒュー……そうは見えまいがね……
あの獣人を刺したのは、正当防衛だ……私を食おうなどと言う相手には、初めて会ったのでね
咄嗟に反撃した。ずいぶんと恐ろしい連れがいるのだな……

【静かに、肉塊男は語り掛けた。油断しているとはいえ、下手にやり合えばただではすまない、と判断したがゆえ】
【単眼で二人を見続け、一方で周囲の逃走経路などを確認しながら、肉塊は男に会話を求めた】
【あわよくば、彼らが何者であるのか、探ろうという意図のもとに】
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/02(水) 23:29:45.95 ID:J7dYvVaHo
>>843

杖に……水晶……ですか……


【少年は、カウンターに置かれた古い杖と青年の取り出した水晶を見て】
【その扱いに関して数秒の間考えるような様子をした】
【少年は飽く迄も「魔銃」と「義肢」に特化した技術者である】
【触媒の修復や、水晶の加工などは本来専門外であるのだが】


この杖……その、詳しく調べてみないと判らないのですが
多分昔はすごく強い……力を持っていた杖だと思うんです

ですから、今すぐ僕だけで加工するとなると……ちょっと難しいかもしれません
魔工ギルドを通して……専門の技師の方と協力して相談してみないといけないので……
しばらく時間を頂くことになりますが……よろしいですか?


【「No」とは言わなかった。今ここで少年が修復することは難しいそうだが】
【組合を通して別の技師と相談すれば可能とのことである】
【少々面倒な手順を踏むことになり、時間も掛かるであろうが加工自体は「出来る」というのが少年の答えだった】


あと……ですね。多分これは"魔術"の触媒だと思うので……
もしお使いになるのでしたら……その水晶と組み合わせてみる、のもいいかもしれません

えと……水晶の効果を、杖で増幅して……
魔術を使えない方でも……少し、制限は付きますが効力を発揮することが出来るようになると思います
その場合は水晶も色々と調べないとですが――


【「いかがでしょうか」、と続けて彼の返事を待つ】
【未だ水晶の効力を正確に把握しているわけではないが】
【それでも特殊な力を秘めた代物であることは理解していた】

【そして、青年が魔術に関して明るくないという事も今までの会話で理解している】
【故に活かすならばこうした形で加工するのはどうかと、少年は案を持ちかけたのだった】
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/02(水) 23:41:13.77 ID:y3FXcy/j0
>>820

【交錯する稚拙な火器と鋭く迸る棒状の銀光、そして始まる淡々とした/確かな言葉―――己が踏み込んだ状況の非日常を、守った命が“穢れの無い”ものでなど無かったことを、ほんの微かな曇りとして先ずは橡色に浮かべて】

【この女性があの何者か――亡霊を使役した、と表現された影について知らなかったことはそう大きな変化を齎すものでもなく】
【だが続く言葉がひどく具体的な像を描き出した気がした。復讐のように、裁きの様に繰り返される腐毒の坩堝への亡霊の襲撃、】
【そして男性もその様なものの一つであるという。裁かれるもの、呪詛われて然るべきもの。】
【……“襲われるに足る理由も”――――――、】

…………!?

【 ハッと鋭く振り返る視線は腕を貫かれたばかりの人影を向く。そのまま滔々と吟ぜられる無惨な連鎖の物語を聴けば、見開かれた瞳はまた険しさを増して】
【軋らす奥歯の滲ます口惜しさは、鋼鉄の表面に激したいろの掻き瑕を僅かに覗かせて。やがては細腕に力を与えれば】
【……最善を。“望む”には遥かに手遅れだったその藍色は、自らの意思のまま剣を振り下ろすのだろう】


【 紅が躍る。斬撃が割る。 】

【男の頬を掠める様に右手だけで刃を振り下ろし、深々とアスファルトに食い込む刀身は紛れもなくあの破壊を為した閃烈なもの。……それで留める様に、一つだけ息をつく。】

【言葉を向けることすらもない。“次”がないことは、容赦と妥協を破り棄てた凄絶な大気の温度が示す様で】
【それきりで太刀を引き抜き―――虚空から出でてその至鋭なる閃きを己が内へと還す黄金火、藍色の少女は女性へと今一度向き直る。そこで、どこかか細いその姿は口を開いて】


……幕を、引かなきゃならないのよね。
貴女はこんな状況に慣れている様に見える――――……それに、亡霊たちをどう扱えばいいのかをよく知っている。……違う?
……だけど、今夜はこの事に関してだけは退いて貰うわ。

復讐の未遂も、ここまでの姿を晒す名前も知らない誰かの無惨も。
この生き方で求めるがままに、私が齎した顛末だ―――――

……私が、“負う”。……それで良いわね

【“死んでくれても一向に構わなかった”――――容赦のない言葉、同様の行動。それは“目的”に徹するものの、自らの信念に徹するが故の逆しまへの侮蔑を少女に思わせて】
【追憶が凄烈さだけ、揺れることのな姿に重なる。だからこそ、返答を待つこともなく結論を紡いだ/脆さを殺す様な決然、】

【 本当は、あの言葉と投擲から心の一端の見えた時点で分かっていた。 彼女に任せればこの場は確実に此処で収まり、これ以上の犠牲者も出ないであろうこと。……それが、被害を絶つための最短の道であろうこと。】
【それは優しい処刑剣の無痛であるのかもしれないし、どの様な結末を迎えようと誰も気にも留めないのかもしれない、】
【けれどどこか硬化しきったこころが軋むのだ。途絶えるとき、なにかが消(し)ぬとき――――踏み躙られたものの無念が塵として、処分されるだけの朽ちた残骸と化すとき。 】
【無為に終わる復讐ならば、せめて己が心のうちにその痛みを留め置く――――舞い散る火の粉をその身に宿し、二度と繰り返させぬと心に無限の障壁をも灼く焔を抱くために。】

【それが、彼女の答えだった。だから、斬撃の少女は右手を伸ばす。振り向いた櫻の面立ちが無貌と向かい合い、】



【―――――もしもその指先が触れたなら、亡霊は少女との接続を得るだろうか。思念の残滓であると思えばあちらからの接触は容易で、壊れかけの魂から零れ出す感情を―――注ぎ込むべき器を得た様に、】
【或いは害そうと思えば試みることは出来るが、構わないと受け容れる。それ以前、反応自体が未知数だった】
【……何れ、悪霊に堕ちたという想念とその呪力とを自ら受け止めるだけの強度と“力”を有するならば。精神は、冒される事も無く様々な情報を得、我が事の様に覚えるに留まるのだろう】

【何が起こるのかは断言出来ず、叶うのかも分からないまま、】
【それは自らが処断した亡霊の因果に始末をつけようとすると同時に、識るべきことを識ろうとする信念や意思であったのかも知れない。……この後に如何するのかは、亡霊の反応次第となるか】
【 飽く迄冷たい方法論に終始しながら、求める結末を追う刃鉄の行動―――――此処でどの様にでも物語を動かせる女性の目の前で、事は再び動き出して】

/大変遅くなりました……では、よろしくお願いしますっ
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/02(水) 23:42:14.89 ID:9Vrx4UpOo
>>845
時間ならいくらでもあるから大丈夫だよ
「そう、"時間"だけなら、ね」

【笑顔で朗らかに答える青年】
【しかし、一瞬だけ声が、語調が変化したのに気付くだろうか】
【ともかく、時間ならいくらでもかけて大丈夫、だと】

水晶、うん、大丈夫

【しばし考えた後、大丈夫だと答える】
【そして水晶をカウンターの上に置いた、癒しの力が宿っているということ以外未知の水晶である】
【もし調べたら意外な効力があるかもしれない】

(あの人、元気にしてるかなぁ)

【と、小さく思いを馳せる青年】
【この水晶を見つけたときに感じた効果、士気高揚や疲労回復効果】
【果てには側にあるだけで強制的に強力なブーストがかけられるという碧色の水晶】
【水晶の力は人間には過度な力であった――その、水晶の親指ほどの欠片】


【そして、銃の内容について話した後、こう青年は言うだろうか】

あ、銃の外見の指定、ってできますか?
無茶を言わない範囲で

【どうやら、外見にもこだわりたいようだ】
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/02(水) 23:43:38.25 ID:C/4c5tAN0
>>844

おッ……しゃべッタしゃべッタ……ほォ、こんな人間もいるのカ………デ、
刺したのは、お前……んゥ……良く刺せタナ、………普通に、すげえゾ、そレ……

まア、あの傷なラ、1日かかラんダロ、別に良イ、あれくらイ……あの様子だしナ……

【この男は適応力が異常だ。眼の前の肉塊が声を紡いだ所で、「おっ、しゃべった」止まりである。】
【そこからもあらゆる事が推測出来るが……兎に角、戦闘へと持ち込まなかった彼の判断は恐らく正しい。】

【連れを刺した犯人が目の前に居るのなら、普通は怒って攻撃するなり、それに似た行動を取るのが普通、】
【しかし彼は、寧ろあの獣人を刺せたことを褒める……確かにそれはそうなのだが、どこかズレていて、】
【……足首を貫通するという傷も、一日で治る、と言うのは……あの食欲に由来するのか、どうなのか。】

【牛乳のパックの上部を噛み千切って捨て、そのままゴクゴクと飲み干す。こんな方法で飲むのなら、】
【10本はあった1L入りも直ぐに無くなる。袋に入ったパンやらお菓子やら弁当やら、そういうのも殆ど丸飲みだ。】


……あれハ、俺のペットダ……期間限定の、ナ。一応アイツも、元人間……いヤ、今も人間カ……
結構、面白イ戦い方するダロ……気に入ってんダ、何にも考えなイ、真っ直ぐナ、やり方がナ……

【会話を求められたのなら、応じるまで。何もされないのなら……否、彼が何かしたとしても、全て無に帰すのかも知れない。】
【ハッタリか何かかも知れないが、それ程、この場の空気を変える何かが、この男にはある……、】
【そして先程の行動は、平たく言えば餌やりだ。お皿にドックフードを盛りつけてやるそれと、同じ行動。】
【そんなことをする男は、この獣の飼い主、ご名答である。……闘い方が面白い、それが飼っている理由らしい。】


……お前はなんダ? 元かラ、そんなンなのカ? お前もお前デ、中々面白イナ……

【もっともである。どうしてこの様な姿になったのか、生まれつきこうなったのか、それとも何かあってこうなったのか。】
【この男が眼の前の存在を「面白い」と評価したことに、客観性があるかどうかは別にして、】
【しかし興味を持たれたのは事実だろう。逃走経路を確認している程なら、何か理由を付けて逃げるのも、それはそれでアリだが―――?】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 00:00:50.12 ID:FT8EE7Voo
>>847

そうですか……有難うございます
なら、お預かりさせていただきます……――?


(今、声が……気のせいかな……?)


【カウンターの乗っている壊れた杖を、自分の方へと引き寄せ】
【蒲公英のような淡い、素朴な笑みを浮かべながら頭を下げようとした時】
【ふと……青年の声色が変化したことに気がつくが】
【一度目をパチクリとさせてその顔を見つめるだけで、言及することはなかった】



"銃"の外見……えっ、その……この杖を銃に加工するのですか?
えと、可能ですけど……ごめんなさい、僕ちょっと勘違いしてました……


【少年が想像していたのは杖を「本来の形」で修復し】
【杖の先端などに水晶を組み込み、連動させることで力を持たせるというものであった】
【その為、青年の銃という言葉で自身の勘違いを理解した少年は】
【恥ずかしさで頬を朱に染めながら、申し訳なさそうに彼に返事をする】


杖を加工して……木製の魔銃に水晶を埋め込むという形式で……合ってますか?

その……そういうやり方にするのは難しくないですし……
僕としてはそっちの方が仕事もやりやすいかなって思いますので……大丈夫ですよ


【「外見の参考に資料が必要でしたら……」と告げて」
【引き出しから分厚いファイルを取り出して、カウンター席に置いた】
【古今東西、様々なデザインが綴られている魔銃のカタログである】
【ここに記されているもの全てが可能なのならば、恐らく余りに常軌を逸した要求でない限りは受け入れられるだろう】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/03(木) 00:02:42.46 ID:D7GaLOcCo
>>848
……まぐれだよ。あの刃に切られる前に、こちらの反撃が偶然通ったんだ
そうでなければ、今頃私は真っ二つになった転がっていただろうさ

それは幸いだ。回復力も規格外なのだな……

【自分を見てもまったく同様の気配を見せないことは、あの連れがいることから予想は出来た】
【それ以外にも、もっととんでもないものを見てきたのかもしれない】

【多少ズレた物言いには見えるが、とにかくこの場で敵対する事態はいったんは避けられたか】
【男に声を放ちながら、肉塊は視線を獣人の方に向ける。凄まじい勢いで、袋の中身を胃に押し込んでいく姿】
【食えば食うほど、回復も早くなるということだろうか。何とも、恐ろしい生物もいたものだ】


ペット……あれをよく飼い慣らせたな。期間限定、とは気になるところだが……
ほう、彼も人間なのかね……私自身も大概だが、彼も相当変わった人間だな

カヒュー……ああ、まったく直線的でそれゆえに強力な戦法だった
今回ばかりは、死ぬかと思ったよ……ヒュー……

【期間限定のペット、という言葉に違和感と興味を示しつつ、これは本心からの感嘆だった】
【何も考えずまっすぐに、最速で襲い掛かる。単純だが、それだけに恐ろしい。近くに盾にできた死肉がなければ、おそらくは】
【路地裏の死骸の仲間入りだったことだろう】


いいや、もとはもう少し普通に近い姿だったさ。何かと敵の多い身の上でね
何度かの殺し合いの末に肉体を削られて、この有様だ……命だけは無理矢理に永らえさせたがね

名乗っていなかったな。私は、カニバディールという
しがない、犯罪者だよ

【相手の興味を感じ取れば、まずは逃げずに会話を続けることを選択した】
【彼らが何者か、どういった素性の持ち主なのか。興味があるのはこちらも同じ】
【まずは名乗りを上げて、反応を見た。名前を聞けば、もし彼が指名手配書を見ているなら】
【昼の国でテロを起こした、カノッサ機関の構成員の名前と同じということに気が付くかもしれない】
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 00:24:12.04 ID:19i3ilvKo
>>849
認識の相違って怖いなぁ

【わざわざ魔銃を扱ってる場所で杖を作ってとはいわないよ、と青年】
【もともと杖を芯にしての銃器の作成を求めていた、らしい】
【もっとも、これはこの青年の説明不足が目立つ、が】

んー、どうだろ
銃の芯に杖を使って、それを金属フレームで補強するのも、杖そのもので銃を作るのも……
うーん、魔銃はよくわからないからそこは任せるよ

【と、杖を使って木製の銃を作るか、杖をパーツの一つにして普通に魔銃を作るか、それはこの少年に任された】

【そして外見の事に関して、ファイルをぺらぺらと、かなり速いスピードでめくりながら目を通していく】
【しばらくするととあるページを示すだろうか】
【それは、とてもレトロとしか言いようのない銃で、コレクターなら同型の銃を持っているかもしれないとしか言いようのないもの】
【銃身は拳銃にしては長く、また銃口が二つ並んでいるというシロモノ】
【もし詳しいのなら水平二連式散弾銃に近い形状だと思えばいいだろうか】

んっと、それで、できればその水晶を見えるようにしてほしいのですが

【そして、水晶を装飾としても活用してほしい、とのこと】
【水晶自体は非常に装飾性がよく、派手すぎず銃とマッチするだろうか】
852 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/03(木) 00:32:17.60 ID:UmRoZWMf0
>>850

……なるほド……まァ、実際そうダったのかも知れんガ……
それヲ、そのまま口にすルのハ、……それハそれデ、凄いことダ。
普通ハ、……鬼の首を取っタようニ言うからナ、……その辺も、やるナ、お前。

あんだケ食えバ、傷も一日で治ル……当たり前、ダロ?

【この場に及んで尚も謙遜という概念を忘れないというのなら、手足が満足に動く状態でないという不利な状況でさえも、】
【あの獣人と闘い一矢報いることが出来たというのは頷ける。……イントネーションの可怪しい中で、彼はそう言いたかったらしい。】
【そして超理論である。栄養を大量に摂取すれば、あの貫通した傷ぐらい一日で治る……本当だろうか?】


まァ、最初ハ同じ具合ニ、キレられタけどナ、
……言い方悪ィガ、ボコボコにしちまえバ、言うコト聞くんダ、あいつモ。

そりゃそーだよナ、自分より強エやつニ、抵抗出来るワケ、ねーよナ。

……ア、俺ハ、そーいう人間じゃねェゾ。たダあいつハ、俺が気に入ったかラ、例外ダ。

あいつさァ、人間なんだよナ、ああ見えテ。……見てみるカ? 俺も、見たことねェんダ。

【獣の思考だからこそ、導き出される速さがある―――彼は其処に惚れ込んで、この獣人を飼った。】
【その飼い方が、やはりえげつない。あの獣人を一方的に攻撃することで、絶対的な上下関係を構築したということ。】
【……実際、こうして獣人は言うことを聞いている訳だから、少なくとも飼う飼われるの関係にあることは確かだ。】
【加えて言えば、あの獣人が飼われる立場にあるのを、全く抵抗していないという状況であるというのも確か―――。】


ほォ……なるほド、そういうコトカ……まァ元々も、変だったワケだナ。
命懸けデ闘うなラ、それハ仕方なイ。―――……あア、お前ハ、………

やっぱリ、カニバでィールか、29番ノ。……ほォ、カノっサか、悪くないナ。
仲間なラ、本名だナ……俺はツウェルガー、ツウェルガー・ゴッドハルトダ。
俺ハ色々やっテンな。最近は、殺シ屋……みたいナコト。金あルかラさ、働いテねーんダ、まともニ……まァ、よろしク。

―――そーダお前、六罪王のナり方、知らねェカ? 面白そうだシ、やっテみよーかナっテ、……ハハハ……

【名乗られたのなら……と言うより、その素振りは既に想像が付いていたのかもしれない。】
【カノッサの構成員だという事も、29番、……ナンバーズだという事も知っていたらしい。相当な知識量か、】
【それから冗談交じりに聞き出す事は、"六罪王のなり方"。……余りにふざけた質問、少なくともカノッサのメンバーに聞くものではない。】
【しかしまあ、この男だから出来る事か。コレばかりは、彼の一存に任される事になるだろう。……と言うか、知っているのだろうか、彼自身も。】
853 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 00:39:20.80 ID:FT8EE7Voo
>>851

杖は出来るだけそのまま使わないと……力が薄れてしまうと思いますので

可能な限り削らずに……木でフレームを作って表面を加工しようかな
と考えていますが……その、杖の性質との相性もありますし、ちょっと後から変更することもある……かもしれません


【特にこの辺にリクエストがなかったならば】
【木でフレームを作った後に、塗装、防腐、耐熱、耐水などの加工をする形になるだろうか】
【少年の扱う魔銃は性質上、木製であっても特に問題はない】
【上記にあるような木としての弱点を克服する必要は生じるが――】


はい、このナンバーですね……判りました

えと、水晶の位置とか……形などはどうしましょうか?
お好きな形があれば……出来るだけご要望にお応えします……


【カタログに記された番号を手近な紙に書き出すと】
【そのデザインの簡単なスケッチを即座に別の紙に書いて、ペンと共に差し出す】
【一分程度で描いたスケッチであるため、大まかな形を記しただけであるが】
【どの位置に、どのような形で埋め込むかを示す分には問題ないだろう】

854 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/03(木) 00:39:53.52 ID:EhB0hscSo
【天才――――――】
【それはある分野において類まれなる才能を持つ者達】
【彼らの前では"才能"などという言葉など、何の意味も成さない紙屑同然のもの】
【超越した存在である彼らに自分の才能について思考したところで、それが一体何になるというのか】
【結局は、自らの非力さ、無力さを思い知らされるだけである】
【だが社会というものは、天才に厳しい】
【僻み、妬み、逆恨みし、自らの利益が奪い取られないようにと彼らを糾弾する】
【一般人からすれば天才など、常識を逸した"異常者"にしか過ぎないのだ】

【だが常識を逸したという表現は、強ち間違いではない】
【実際、天才には人格的にかなりの問題があったり、その分野以外に対してはまるっきり無能という事が多い】
【だが、そんなものなのだろうと思う】
【僕は天才に人格を期待したりなどしない】
【人格も能力もある、それこそ例外中の例外だろう】
【それに加えてあらゆる事に対して有能というならそれは最早"天才"ではなく"全能"だ】
【そんな人間、この世界のどこを探しても居ないだろう】

【などと、相も変わらず意味も生産性もない思考を続けている僕】
【制服姿で公園のベンチに座って、やっぱりただぼうっと眺めているだけ】
【時刻はもう夕暮れ時、沈みかけている太陽は僕の白い肌をオレンジ色に染める】

「天才、ねぇ……戯言だよなぁ……」

【などと独り言を呟き、今度は自分の才能について思考してみる】
【僕に何か才能などあるのだろうか?】
【異能を持ち合わせている、という点ではある意味それも天才の部類に入るのかもしれないが】
【しかし、それでもやっぱり】
【自分に何か特別な才能があるとは到底思えない、天才の前ではそんなもの霞んで塵に等しいものとなるのだから】

「はぁ、ほんと戯言だ…」

【ため息をつき、思考を取りやめる】
【する事など何もないから、虚ろな目は相も変わらず視線を泳がせている】
/お返しは明日になりそうですが…待ちです!
855 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 00:53:34.83 ID:19i3ilvKo
>>853
なるほど……

うん、わかった、それでいいよ
懸念としたら銃身がすっぱり切られたり割れたりするかもしれないこと程度かな

【元々この杖、砕けかけてるほどに古いしね、と青年は言う】
【それだけ言えば、あとは任せるだろうか】

んー、場所や形……
碧水晶の形は別にきれいに加工する必要もないしありのままの形で十分だよ
銃を作る上でその碧水晶の形を加工する必要があるなら……正五角形かな

【そういった後に、大まかなスケッチ、その機関部の辺りに一つ五角形を書き込むだろうか】
856 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/03(木) 00:56:34.94 ID:D7GaLOcCo
>>852
事実を言ったまでだが、お褒めに預かり光栄だよ……

ヒューハ、それはその通りだな……たいていの傷は、食えば治るものだ
彼ほど、一度に大量に食うのは普通は難しいだろうがね

【彼の言わんとするところは汲み取り、表面上は態度を変えずに接していたが】
【内心では、彼がただ戦闘能力のみの人物ではないことを感じ取っていた。相手を正確に観察する冷静さ】
【只者ではないのはわかっていたが、本当にこの男は何者なのか――】

【超理論に対しては、疑問どころか肯定を示した。食に対する認識が奇怪であるという点は、この肉塊男も同じらしい】


……なるほど、単純だが絶対的な手段だ
最初に力関係を叩き込まれれば、そうそう逆らいはしない。人間を含めた多くの生物に共通する

カヒュー……例外は何事にも存在するものだからな
しかし、飼い主でも見たことがないとは。興味が湧く、ぜひ見てみたいものだね

【まさに、獣使いが最初に行う儀式そのもの。力の差を獣に叩き込むという手段】
【それを、あの獣人相手にやってのける。喧嘩を売らないという判断は正しかったらしい】
【彼の言葉を受けて、一心不乱に食物をむさぼる獣人をじっとりと単眼が見つめた】
【あの凶暴な獣人が、彼に対しては全く従順。文字通りの飼い主とペットの関係が見て取れた】


ヒューハ、ヒュハッ、その通りだ、元から普通とは言い難かったとも……
無論、自分から望んで戦ったんだ。後悔はしていないさ。クヒュー……

おや、私を知っていたのかね。昼の国では派手に暴れたから、多少は名も広まっているとは思っていたが
ナンバーまでご存じとはな……

ツウェルガー・ゴッドハルト……ツウェルガー、か
殺し屋とて、裏ではきちんと需要のある職業じゃあないかね……ああ、よろしく

六罪王のなり方……そうだな
機関に入って、確かな手柄を立て続ければ、いずれその地位に上り詰める機会も来るかもしれん
構成員の入れ替わりも激しいところだからな
あるいは、今現在の六罪王から推薦を受けられれば、可能かもしれない

私の知るのはこんなところだ。あまり役には立たなかったかな。ある種、当然のことだ……
一言で言えば、力を示すこと。それが絶対条件となるだろう

【自分のことをナンバー含め把握していたという彼、ツウェルガー。独自の情報網すらも持っているのか】
【驚きを押し隠しつつ、カニバディールは彼の質問に答える。推薦については、自分自身の体験だ。あの蛇王が本気だったのかは、今もって定かではないが】
【自身が、推薦によってナンバーズの地位に就いたのは事実。一つの手段としてそれを提示しつつ】

【やはり、絶対条件は相応の力だ。かつての六罪王たちも含め、彼らは種類は違えどみな、それぞれが強大な力を有する】
【戦闘能力、知力、財力、魔翌力、強大な魔術や能力……それらが、彼らを機関の幹部足らしめている】
【ツウェルガーが、相応の力を示しさえすれば。カニバディールは、そう語った。その実、外部の人間に漏らしても問題のないだろう、至極当然と言えることばかりではあったが】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 01:04:38.55 ID:FT8EE7Voo
>>855

はい……ですからその、「銃」というよりは
僕が先ほど説明したような「魔法の杖」として……
必要な時だけ使用する形にしていただけると……幸いです


【やはり木製だけあって、耐久性度には問題があるようだ】
【敵の攻撃を受け止めるような使い方をすれば、それだけで破損する可能性もある】
【全体を更に金属フレームで覆うような形にすれば、ある程度は耐久力も確保出来るかもしれないが】
【その場合はサイズと重量が一回り以上増加する、というデメリットもあり】
【強い衝撃を受ければ中の木材が砕ける可能性も考えられた】

【古びた杖を力を維持したまま銃にするとなると、色々と難しいようであった】


はい……ではその、折角ですし五角形に加工してみますね……
場所も……これなら問題ないと思いますので……


【書き込まれたスケッチを受け取ると、赤ペンでその部位に大きな丸をつけて】
【仕事用のファイルに綴じて、カウンター席の脇によけた】
【これで、依頼内容の確認は大体終了であろうか】
【先の耐久性などの問題に関してリクエストがなかったならば】
【あとは連絡先の交換や、加工代の請求などの最後の遣り取りをして終了になるだろう】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 01:22:30.63 ID:19i3ilvKo
>>857
うーん、ならしょうがないね
奥の手あたりになるだろうなぁ

【無茶な要求すると銃が壊れやすくなりそうだし】
【そうスケッチを一度軽く撫でながら言う】

「水平二連式有鶏頭単引き散弾銃……さらに中折式の単発銃」
「実銃としては反動が斜め上方にいくので安定性がなくて上下二連銃に比べてあまりメリットのない銃型」
「しかし魔銃として使えばどうなるか……楽しみですね」

【と、再び口調が変わる】
【その発言は楽しみにしているというのと同時に、ある種のプレッシャーだろう】
【この発言をしているときに彼の目を見れば、青白く発光しているのがわかるだろうか】


……うん、これでほとんど大丈夫かな

【そういうと連絡先を交換するだろうか】
【とはいっても、どうやら渡り鳥らしい彼は銃が完成するまで近くの宿屋に留まる、とのことだが】
【そして、加工代に関してはよほど、目が飛び出るような値段でない限りは現金一括で支払うだろう】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 01:25:02.88 ID:FT8EE7Voo
>>858
/申し訳ない、あと1、2レスだと思うのですが
/そろそろ時間が限界です……持ち越しよろしいでしょうか?
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 01:26:15.07 ID:19i3ilvKo
>>859
//大丈夫ですよー
//持ち越しも無理そうなら置きレスに移行しても大丈夫ですー
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 01:28:53.83 ID:FT8EE7Voo
>>860
/大体19:00前後には帰宅できると思いますので
/その辺りには返レスできるかと!では、すみません今夜はこれで……
862 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 01:31:09.83 ID:19i3ilvKo
>>861
//了解しましたー
//それではおやすみなさいませ
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/03(木) 01:33:18.15 ID:UmRoZWMf0
>>856

そうダロ? 見たみタいよナ、俺も同じダ……ヨッ―――……
まァあの様子なラ、あレも間違っテ食うだロ。……んゥ、まァいいカ……

情報デ負けルのは、論外だからナ。スクラっプズの、メンバーも、一通リ知っテるゾ。
逆に言えバ、情報を漏らスのはマズいってことだナ。重要なコトハ、嘘で塗リ固めれバぼやかせル。

【肉塊男からの同意が得られれば、男はそうだろうそうだろうと、ポケットから何か蒼い飴玉の様な物を取り出して、】
【それをもう半分も無くなってしまった食い物の山の中に投げ込む。……余りにその他の物に夢中になりすぎて、】
【飴なんかに気を取られる事は無かった様だが―――その内他のものと一緒に摂取してしまうだろうと、一旦放置。】

【それから語り出す事は、情報量の重要性だ。スクラップズのメンバーについても、名前と容姿と戦闘法位は知っているのだろう。】
【逆に、自らの情報が駄々漏れというのは良くないと言う。……相手が何も知らなければ、不意を突けるのだ。】
【その不意が、例えばヘッドショットなら、生死に関わる問題。……その事を、良く理解しているらしい。】


コツコツやルのハ、俺の性ニ合わねェかラダメだナ。最初かラ、六罪王が良いんダ。
……推薦ハ、もっとダメだナ。六罪王のトモダチハ、いねーんダ、……まァ当たり前カ。
やっぱリ、無理カ。―――……ア、今いる六罪王殺せバ、なれるカ、俺。

―――冗談ダ、そんな変ナ顔、すンなッテ。

【丸で子供みたいなことを言う。何の苦労もせずに初めから六罪王が良い、友達はいないから推薦はもらえない、】
【―――だからこそ、「六罪王を殺し」て絶対的な力を示すなんてふざけた冗談にもならない冗談、インパクトが有ったか。】
【しかしこれは、本当に冗談であろう。カノッサがどんな機関なのか、情報戦が〜と言っていた彼なら知っている筈だから。】

【……さて、一方獣人、……食い過ぎたのか、様子が可怪しい。】
【―――否、と言うよりは、あの青い飴玉の様な物の効果だろう……全身を覆っていた剛毛はやがて無くなり、】
【顔付きや手足やら、あらゆる所が人間へと近づいて行く……数秒もしない内に、元の姿を取り戻すのだろう。】


「ほぉぁあ〜〜〜………ん、今日はこんなトコか……けど、ヒトは、殺してへんな、……よし、」
「そんで、……ああ、これ食いよったんか、……盗んだんかな、俺……―――あ、アカン……」

【腑抜けたあくびを一つ、それから独り言を呟きながら辺りを見回して、状況を確認する。】
【……見覚えのある、顔、話し方ではなかろうか。黒目黒髪、パーカーの少年、……この男と同じく、迷彩柄が良く似合う。】

【丁度二人は死角となって見えない。とにかく散乱した食べ物、飲み物をかき集めて掃除すれば、】
【どうやらスタスタとこの場を去ってしまうらしかった、……これから一軒一軒、馬鹿みたいに調査をするつもりなのだろう。】

【掃除をする間があった訳だし、引き留めることも出来れば、そのまま立ち去るのを見届けることも出来るだろう。】
【少なくともこの男は、ただ元となった少年を見られるだけで満足、といった所らしく何を言う訳でもない。】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/03(木) 01:46:26.98 ID:auqLa8hCo
>>846
【手負いの男へと向けられた少女の視線が、俄かに剣呑さを帯びるさまを、女は止めも煽り立てもせず、ただ品定めするかのよう、注視する】
【男の命なぞ──それこそ生きていようが死んでいようが、心底どうでもよいらしい。ただ、己の語る真実が少女にどう影響するか】
【この場において、目下それのみが、唯一この非人間じみた女の興味を惹くものだった】


────ふうん。


【息を呑み、身を強張らせ、見苦しくも後方へ飛びすさらんとする男。対して、微動だにせずそれを観察する女】
【男の頬を浅く裂いて、深々と地面に突き立つ白銀の剣は、汚濁に対しどこまでも峻烈でありながら、己から男を庇ったものであるようにも見える】
【眼は笑わないまま、唇の片端だけを僅かに歪め。満足、とは言わぬまでも、女はその鉄面皮にわずかな喜色を滲ませると】
【先程まで己を助けんとしていた少女の鬼神のごとき気迫に当てられ、逃げるどころか叫び声も出せずにいる男から顔を背け】

物心ついた頃から、よくある心霊話ってのが嫌いな性質だった。
何が嫌いって、生者(こっち)は死者(あっち)に干渉できないのに、その逆が当然のように罷り通ってる事だ。
狡いだろう、そういうの。道理に合わない。けれど私の感想なんかお構いなしに、世界は遍く不条理に満ちている。
それが昔から我慢ならなかった。だからこんな風になったのかな──ものの扱いなんて、考えるまでもないのさ。

【ゆるりと少女に向き合えば、早口につらつらと、取り留めのない言葉を並べたてる】
【子供の我が儘のような事を大真面目に言う女の眼には、少女が剣を納めた今もなお、世の理を呪う鬼火が燃え盛っていたが】

ただ気息を練って打ち込めば、するりと全てに片が付く。形があろうがなかろうが。そういう力だよ、私の刃は。
そして、どうにもならない理不尽な状況を、理不尽にどうにかするのが私の趣味だ。今夜も、そうする予定だったが。

私は殺すのが専門だ。だから、私にもどうにもならないものをお前がどうにかできるってんなら──任せてみるのも、吝かじゃあない。
……そっちのは適当に自警団の詰所にでも突き出すつもりだったが、もののついでだ。

【破顔しつつ肩を竦めて、緩慢に一度瞼を瞬かせれば、蒼き拒絶の火勢はたちどころに消え失せた】
【「お前のような奴を、知っているよ」──心なしか懐かしげな微笑を浮かべたまま、女は一歩退いて少女へと道を譲る】

【もはや、少女の行動を妨げるものはない。亡霊に触れんとするのならば、それは当たり前に適うだろう】
【男が妙な素振りを見せれば、女が瞬く間に鎮圧するだろうし、その女は今、全てを少女に委ねている】

【初めに流れ込んできたのは、雑多な記憶の奔流。在りし日の亡霊の暮らし向き、晩御飯の献立、仕事先での出会い】
【噎せ返るアルコールの苦み、暗転、右腕の注射痕、凌辱、暴力、ノイズ、ノイズ、ノイズ】
【暖かな抱擁/見え透いた嘘、ストックホルム症候群めいた依存/髪を梳る指先と裏腹に醒め切った男の瞳、注射針の痛み、再び暗転】
【黒服の男たち、ビデオ・カメラ、撮影者の狂喜/鈍い銀色の凶器、幾度となく振り下ろす手は灰色と朱に濡れて────断線】
【ややあって、差し出された掌。同情の言葉/等量の対価、眼鏡の奥に煌めく魔眼。悪魔の囁きと契約と復讐が、摩滅した心を癒してゆく】


──理解しようとするのはいい、だが同情はするな!呑まれるぞ!


【次に流れ込んできたのは、混沌とした感情の濁流。恋情が困惑が快楽が拒絶が憎悪が怨念が殺意が未練が孤独が】
【そして何もかもが磨り減った末の悲しい無感動が、俯瞰視点の記憶を彩ってゆく。亡霊はただ「私を知って」と悲痛に訴えかけるばかりで】
【一度たりとも、少女を呪詛することはない。だが、俯瞰が主観へと近づき始めたその瞬間、不意に女が叫んだ】
【未練ある魂は──少なくとも、これに限って言うならば──人を呪おうとして呪うのではない】
【最も深い理解の形とは、即ち自他の同一化。強すぎる想いの残滓が、それを理解されたいと願う心が、結果として人を狂わす呪いになるのだ】
/お待たせしました……こちらこそ遅くなって申し訳ないです。
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/03(木) 02:07:12.38 ID:D7GaLOcCo
>>863
ああ、興味があるよ。人間の姿が、どんなものか……
ヒューハ、彼なら何を食っても大丈夫に見えるがね

ああ、まったくその通りだ。情報を先に掴まれていては、どうしようもなくなる
……そうかね。やはり、ここ最近で派手に暴れすぎたらしいな。そこまで情報が出回っているとは……

その言葉は肝に銘じておくとしよう

【飴玉を餌の山に放る男、彼ならまあ何をいっしょくたにして食べても平気だろうと告げつつ】
【耳に入るのは、漏れ出ている自分たちの情報。ここまで知られているとは、対策を考えねばなどと思いつつ】
【情報の重要性をしっかりと熟知しているこの男に、またも侮れないものを感じさせられた】


カヒュー……そうかね、ならば仕方ないな……
ヒューハ、それはそうだろうな。六罪王は癖のある人物ばかり、友人になるのは簡単ではあるまいよ

……すまないね。冗談をうまく受け取るのは苦手な性質なものでな

【軽口をたたきつつ、彼ならやりかねないとすら思ってしまう。しかし、脳裏に浮かぶ六罪王の面々】
【彼らを始末するのは、容易ではない。彼なら、それも知っているはずだ】
【もし実現するなら、その戦いを見てみたいという思いもあったが、それは胸中にしまい込む】


【そして、獣人へと意識は移る。その姿が急速に変化していく。それがあの飴玉によるものだと】
【そう理解した直後。肉塊の単眼は見開かれた。見たのだ。己の首をたたき折った、敵の姿を】

【驚きはしたが、表には出さず。独り言と共に散らばったものを律儀にかき集め、彼が立ち去っていくのを】
【死角に隠れたまま見送るだろう。先に男が言った通り、自分がこれを見たことを彼に知られる、という】
【情報漏えいを回避しようとしたがゆえだ。そのまま、少年が去るのを見届ければ、肉塊男は口を開いた】


――驚いた。世界は狭いものだな……ヒューハッ、ヒュハハ、ヒューッハハッハ……
ツウェルガー、お前のペットは実に愉快だ……
いいものを見せてもらったよ……ふ、ふふ、クヒュー……

【心底可笑しそうに笑う肉塊男。記憶喪失の次は獣人に変身とは、彼も数奇な人生を送っているものだ】
【宿敵の現状に対して漏れる笑いは、悪意のこもった不気味きわまるものだった】

ヒュー、ヒュハ……すまない、あまりに予想外だったものでね
さて……私もそろそろ、戻らねばならん。会えて嬉しかったよツウェルガー
お前とは、また是非語らいたいな……カヒュー……

【にたり、と呼吸器の奥で肉塊男は彼に笑いかけた。今宵の邂逅は、これで終焉か】
【彼がまだ何か聞きたいことがあれば答えるだろうし、なければ別れを告げて肉塊男は暗闇の奥へと戻っていくだろう】
866 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/03(木) 02:25:17.61 ID:UmRoZWMf0
>>865

……んゥ、普通のガキ……まァ、身体は鍛えテあったシ、そこそこ殴れソうカ……
愉快? 今のがカ? ……あア、あんナ食うヤツガ、ってコトカ、……そーだナ。

【あんな獣の元が、体の芯が普通よりもシッカリしているとは言え少年だったと言うのは、中々意外だったらしく、】
【少々落胆した表情を見せた。それからやたら笑うその彼の姿を誤解し、そのまま納得してしまう。】

行くのカ。まァ、最近俺ハ暇だシ……見かけたラ、声でモかけテクレ。
俺ハ、……あいつを付けルカ……じゃア、……また会おウ。

あア、次合っタ時ハ……六罪王になってルかもナ? ハハハ、ハハ………

【とは言えそこまで面白かったかと、ツウェルガーはまあ納得の行かない様子だった。】
【肉塊男が別れを切り出したら、そのまま応じるのだろう。どうやら彼は、少年の後を付けるらしい。】
【彼は繁華街へと続く道を進むのだろう。意味は異なる笑いを、彼は彼でまた、楽しそうだった―――。】

/ではこんなかんじで〜お疲れ様でした〜
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/03(木) 02:34:35.14 ID:D7GaLOcCo
>>866
……ヒューハハ。そうとも、あの獣人が一皮むけばあれだからな……
面白いじゃあないかね……ク、クヒュー……

【彼の誤解はあえて解かない。これ以上、彼に自分たちのことを知られるのは避けておくことにした】
【同時に、彼のことを詳しく知らないのも本当らしい、と感づく。あのオカマとの関わりがある可能性も見ていたのだが】
【ともあれ、新たな情報を得た。思わぬ収穫は、死肉よりもいい味がした】


ああ、そうさせてもらうよ……私も、路地裏をうろついていることが多い
ぜひ、また会おうじゃあないかね……

ヒュハーッハ……お前なら、やりかねないな……
ますます、また会うのが楽しみになったよ……ヒューハハ……

【彼の違和感を、今は解かないまま。肉塊男は彼とは逆の方向に去っていく】
【少年の跡をつけていく彼の楽しげな姿を想起しながら、肉塊男の姿が細い呼吸音を道連れに、闇に溶けていった】

/遅くまでありがとうございました!
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/03(木) 04:56:40.16 ID:QDYWECBS0
>>864

【僅かな表情の変化、少女の意志に向けて為される肯定。毒気を抜かれた様にあどけなさを浮かべる表情、けれどすぐに必要な自分を取り戻す。】
【“殺すのが専門”/己とは似て非なる結論の刃。 】
【女性の異能――――根源にある思想、理不尽を嫌うが故の鮮烈な解答。……あまりにあまりともいえる“力”の発現形に、何処となく感じるものがあった様にふっと微笑を零して】

……道理を通すための理不尽、何もかも打ち消す絶対の拒絶か。
随分と大きな、慈悲もなにもあったものじゃない力ね。
だけどそのやり方は嫌いじゃない―――――……というか私の趣味に思いっきり合うから、いつかそんな話でも聞かせてくれる?
……この長い夜の終わりに、必ず勝ってここに戻るから。
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/03(木) 04:57:10.87 ID:QDYWECBS0
>>864(続き)

【“似ている”と言われた誰かの事も、そんな誰かと彼女との関係にも。今は、何も口にしないまま先に進んだ。……帰ることが、当たり前だとでも言う様に。】
【そして覚悟を決めて指先で触れる。幾つもの風景が、声が、姿が瞳に触れては過ぎ去ってゆく。】
【穏やかな日々から始まり、薬物、爛れた凶夢の如き非日常の連続、過ぎ去れば、“今宵見たあの何者か”――――狂ってゆくひとりの女性/そうするしかなかったものの凄惨な物語、】

【復讐へと到る光景の全ては、ひとの心を蝕むに十二分なもの。常人であれば―――否、ならずともそれは腐臭の如く意識を苛んでいたのだろう】

(……ッ、!、……―――――――)

【指先の触れあうことさえも無垢な喜びと些かの羞恥と感じる少女に、その記憶は劇毒に過ぎたのか。苦しげな息がひとつ震え、】

【けれど瞬き一つすらなく観、今一度の精練から澄み渡る意識の湖面。生身で感じ取りながら、すぐ傍で見たかの様に感情を生じ、抱き、それらは急峻に意志へと変わって】
【悪夢じみた光景を見届けてゆく。外道の所業が、己が身に刻み込まれる錯覚すら覚える。……ひどく悍ましい感覚だったが、それは、予定調和のうちの痛苦だったのだろう】

【 憎悪を怨嗟を悲愴を混迷を、自らの内に流し込み/そして返す温度によってあるべきかたちへと再生する。初め想ったのはそんなモノで、その先の“離別”を前提とする解答だった】

【だが、これは何だ? ……打ち棄てられた悲しみが、あるべきだった温もりの不在に打ちのめされた声が魂のいろを為している様な純粋な哀しみの残影―――、】
【――――完全に己を保ったまま、そして黙考と逡巡の末決断する。自らの内に住まわせてもいい、譬え傍目には愚かだとしても構わない。 】
【……ひとりぶんの悲しみやちいさな叫びを、心の内に抱き置けぬ様な。脆いこころを有した覚えはない――――】

【この事態を見越していたのであろう、女性からの鋭い警句が届く。理解はして/けれど受け容れながらも少女は意固地で、】

(……大丈夫、よ。彼女の内側に沈む理由も、何処にも無い―――――)

【――――“己は、傷つくということがないから”。 】

【 だから、こんな風にも生きられる。だから、どれだけ苦しかったとしても見失うことがない。】
【自分も、他人(ひと)も。それぞれが違った刃(ありかた)で生き、歩み―――】
【“一つとして、見捨てないこと”。その答えが強靭すぎて、他の生き方をするのには力も身体も一人分に過ぎて。】

【そんな灯のひとつとして、肉体の死を迎えた“彼女”は映っていた。】
【  天数の満つる時まで、少女は、その心の傍らに寄り添うのだろう。いつか還るのか、己を離れて自由になるのか。それが何時になるのかも分からずに、】
【けれどそれは悲愴に沈むことじゃない――――生きて、ともにある事で穏やかな時を重ねること。】

【悲しむならば冷えた体を暖めよう。雨に濡れたなら、出来るだけ柔らかな布で拭こう。温度を感じるこころさえも失くしてるのなら、必要なだけ傍に居て贈り交わそう。】
【斬り裂く刃の強靭さでなく、全て包み込む夜の藍色。素肌にその掌で触れるように、そっと、答えは紡がれて】
【深部で触れた少女は心の奥底を開く。それは少女自身の“今に到る” 命を繋ぐ記憶―――】

【“自分とは違うひとたち”、けれど共にありたいと、孤独な少女を求めたひとたちがいた。】
【“護りきるためなら斃れてもいい”、ずっとそう想い続けたのに。そんな彼女(ひとり)を手離さなかった“大切なもの”が――――失うことが何よりも辛いと、少女に伝えた友達がいた。】

【途絶えてなど、いない。途絶えてなどいなかったから。心を凍らせた筈の“生きる”己は/死してなお苦しみ叫ぶ(いきる)“彼女”は、今、こうしてここにいる。】

【早いか遅いかの違いだけだ。孤独な哀しみのまま、生きた心を終わらせる心算などなくて。感じられる、触れられる、“ならばこの肌を触媒とすればいい”。】
【飽く迄主体は自分だけれど、感じるとしてもこの身だけれど――――いつか、ありのままにあれる彼女が見たい。そう、願ってしまうほどには本気なのだ。】
【そしていつかお互いの声で共に笑うのだ。例えばいつかもそんな風に過ごした仲間と、魔海産のお茶でも楽しみながら―――。】

【夢物語の様な偽りない答えは、亡霊たる彼女になにを齎すだろう。結末を、抱擁を受け容れる様に、少女は、共有するはずの意識へと/視界へと目を閉じて――――。】
870 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/03(木) 05:01:59.11 ID:QDYWECBS0
/
>>869
【けれどそれは悲愴に沈むことじゃない――――生きて、ともにある事で穏やかな時を重ねること。】

【けれどそれは悲愴に沈むことじゃない――――生きて、ともにある事で穏やかな時を重ねること。だから何時まででも続けられる。】

…でしたッ…
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/07/03(木) 13:46:50.78 ID:P8eXkAMSO
>>854
部外者で悪いがSSとロールじゃ文の書き方が違うよ
それだと取っ掛かりが無いから絡みようが無い
特に地の文で心情を書かれても発展の材料にするのは難しいかな
能力者はwikiもなりなりだし初心者ガイダンスに目を通す事を勧める
872 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 15:06:21.56 ID:EZHHrR8KO
【路地裏】



こういうのは本来ならば俺らの仕事なんだろう、なァ……。



【──非番であるのに彼が青いユニフォームを身に纏うのは、】
【ずばり、それ以外の服を持っていないからだ。】
【つまり今彼が行っている、路地裏に散らばった腐敗した死体をビニール袋に詰める作業は、】
【全くのボランティアであるが、──おかしな業務をやるもんだ、と路地裏を通行する一般人は思うかも知れない。】
【──が。そこを通るのは、一般人には限らないのも事実。】




───ひッでぇなこれ……。



【ビニール手袋と申し訳程度のエプロン、先の長いトン具で肉片をビニール袋へ詰めていく。】
【元の世界では人身事故の度に駆り出されていたから、慣れたものである。】

873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 16:49:27.43 ID:EZHHrR8KO
>>872
五時半まで待ちます
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/03(木) 18:40:21.17 ID:EhB0hscSo
【――水の国 とある公園――】
【ベンチにはレイリスフィード学園の制服を着ている人影】
【肌は白く、顔立ちは男でも女とでも取れる、むしろ女に近いと言った方が良いか、所謂美人顔である】
【――――だが男だ】

「天才とは、社会不適合者である」
「だってそうじゃないとおかしいじゃないか、適合者だったら今頃世界は天才で溢れかえってる」
「彼らの前では才能なんて言葉には、価値なんてなくなる」
「そりゃそうだ、あいつら超越してる」
「考えただけで無駄、努力したところで追いつく事など出来ない、そんな雲の上にいる存在なんだから」

【そして、その少年は一人で天才について熱く論じる】
【誰も居ない、夕暮れ時の公園で、独り言を語っている】

「でも、社会は天才は天才に厳しい」
「それも当然だよな、皆だって自分の利益が奪われるなんて嫌だろ?」
「だから何とかして排除しようとする」
「一般人からすれば"天才"なんて、ただの"異端"でしかないんだ」

【ベンチから立ち上がり、身振り手振りを交えて語り続ける】
【それはさながら、道化のよう】

「―――――――――戯言だけどね」

【と、話を締めくくり、近くにあったブランコへと乗る】
【結局は、意味のない戯言】
【普段は活気ある公園だって、こうしてみると随分と寂れているものだ】
【地面を軽く蹴るとブランコが軽く揺れる】
【自身の体も、それにならって一緒に揺れる】


【もし、先ほどのを聞いていた人物が居るとするならば、どう思うか】
【聞いていないにせよ、一人でブランコを漕ぐ学生を見た人物が居るならば、どんな反応をするのか】

/>>871さん、ありがとうございます
/待ちです
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 19:35:53.38 ID:FT8EE7Voo
>>858

えと……ですね。
このタイプの場合ですと……反動とかの問題はないと思います

もっと大掛かりで……攻撃的な特性だと強い反動があったりしますが
この水晶は多分、「支援」や「治癒」の力……だと思いますので

きっとすごくスムーズに魔弾が出てくる形になるんじゃないかと……


【やはり実銃とは色々と違いがあるようだった】
【少なくとも青年が懸念しているような反動による安定感の欠如などはないようである】


そうですね……では、その……申し遅れてしまいましたが
<Fairy's Gift>店長、ジョシュア・ランドバーグ、確かにこの依頼お受けします

先程説明しましたけれど……
まずは杖の修復作業から取り掛からなくてはならないので
一週間ほどお時間を頂くことになるのと……
仲介料と、別の工房の方への報酬と……あとは僕の加工代でちょっとお高くなってしまうかも……ですが


【「代金に関しては後日改めてお伝えしますね」と、続けたあとに】
【自身と店の名前、そして「第二種一級魔工技師」という肩書きが刻まれた名刺を差し出す】
【青年がジョシュアの名刺を受け取ったならば、今日の依頼はここまでとなろうか】
876 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 20:00:55.51 ID:19i3ilvKo
>>876
うーん、やっぱり実弾を使う銃とは勝手が違うかぁ

強い弾がボーンと飛び出るわけではなくてするりと弾が出てくる……

【ふむ、と顎に手を当てて少し目をつむる青年】
【なにやら想像していたらしいが少しすると再び目を開ける】


うん、杖と水晶預けます、ジョシュア君
僕は、渡り鳥や旅人って言ったらいいかな?ウクっていいます

【と、店長の名乗りに対し、青年はこう答える】

時間に関しては大丈夫大丈夫、いつまでも待ってるからさ
お金に関しても心配しないで、ね?

【まるで時間、金、それらが限りないかのようにいう】
【どこかの富豪とかには決して見えないのだが……】

【その後、ジョシュアの名刺を受け取った青年は特にこれ以上なければ「それじゃあこれで」といって席を外すだろう】
【そうなれば、今日の依頼は完了となる】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 20:01:19.81 ID:19i3ilvKo
>>875
//>>876>>875当てですすみません
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/03(木) 20:19:20.58 ID:FT8EE7Voo
>>876

はい……えと、ウクさんの期待にお応えできるよう
全力を尽くしますので……楽しみにして待っててくれたら嬉しいです


【青年――ウクの言葉に対して、ニコニコと優しげな笑みを返しながら】
【席から立ち上がり、改めて深々とお辞儀をした】


あと、ですね。長くても一週間後には完成していると思いますので……
その時にまた、このお店を訪ねていただけましたら……商品をお渡しすることが出来るかと

代金に関しましては……向こうの職人さんとの相談が必要ですので
それもお渡しするときに改めてお話できたらなって、思います――――


【完成は約一週間後、なるようだ】
【やはり杖の修復作業に手間が掛かるのだろう】
【破損の度合いが酷く、元が強力な触媒なだけあって扱いが大変なようであった】


【何はともあれ、これにて契約は交わされ】
【席を外すウクに対して、もう一度お辞儀をした後】
【「では、お待ちしていますので……またお会いしましょう」と手を振りながら彼を見送った】


【――】


【完成するまでの一週間に何もなかったならば、無事依頼通りの品がウクの手に渡るだろう】
【代金は約25万。扱う商品と加工難度を考慮すればかなり安い部類に入るだろうか】

【銃のデザインは注文通りの二連式連弾銃のような形状で】
【ある程度の防腐、防水、耐熱性能が付与され、水晶の埋め込まれた木製の魔銃である】
【カラーに関しては、リクエストがあれば自由に塗り替えることも可能だろう】

【魔弾の性能に関しては、"水晶の能力"を木杖の素材により増幅し打ち出すものとなる】
【先述の通りであるならば、命中させた対象に「士気高翌揚」や「疲労回復」、「ブースト」といった効果を齎す事になろうか】
【この辺りの設定に関しても、自由に調整して問題はないであろう】


【小さな店主は、ウクに魔銃を渡す際に「大切にしてくださいね」と微笑みかけて】
【店を去るときには「またのお越しをお待ちしています……」と、彼を見送ることだろう】


/お疲れ様でした!
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/03(木) 20:29:22.29 ID:19i3ilvKo
>>878
うん、期待してるよー
楽しみにしてる

【そういうと自身も立ち上がり、ジョシュアへと背を向ける】


一週間後ね、わかった、覚えておくよ
それじゃあ、その時まで……

【そういって背中越しに手を振り、見送られるがままに彼はその場を立ち去った】



【後日取りに来たとき、ウクという青年は「25万でいいの?」とひどくいぶかしんでいたそうな】
【100万は余裕で取られると思っていたらしい青年は首をひねることしかできなかった】

【デザインに関してはそのままが気に入ったのか何か注文を付けるわけでもなく、そのまま受け取る】
【魔術の触媒としての形、、銃の形、その二つを併せ持つ銃の杖はその古びた木目を晒し続けるのだろう】

【また、魔弾の能力に関しては彼がこの時点で知る由はないが、試射した時に大層驚いたそうな】
【……銃は敵に向けるもの、その概念を持っていた青年がどんな目に合ったかは、想像に難くない】


【そして、受け取るときに「大切にするよ」と応え】
【店を去るときには「また物が入り用になれば来るよ」と言い残し、彼はその日を境に町を去って行ったのだった】

//お疲れ様でしたー
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/03(木) 20:45:37.05 ID:EhB0hscSo
/>>874はまだ募集中です!
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/03(木) 21:25:39.86 ID:cXCqMItEo
/>>842で再投下します
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/03(木) 22:47:10.21 ID:OJPjm9f2o
【港町――路地裏】


――――勝ったァ〜〜!!!また勝ちましたっ、海賊!!
 パルヴィ・シルッカ・パルシネンッッ!!!これで7連勝だァ〜!!
 冴え渡るカットラス捌きッ!軽やかな身のこなしッ!海の上で会いたくない女ナンバーワンだァ〜〜!!!

ちェッ、仮にもうら若き乙女に使う文句か、っての……!
まあいいさ、この調子でもう一稼ぎさせてもらいたい所だけど……。


【それは所謂、裏の闘技場――路地裏の奥、広場の中央をフェンスで囲った即席の会場】
【其処で一人の女性が賞賛と喝采と、そして罵声を浴びて居た。聞くに、七連勝中の海賊らしいが】

【格好も海賊そのものだ。鼠色のコートに合わせたハット、手にはカットラスという曲刀を持ち】
【地黒の肌――顔に付いた血を拭うその姿は、やや小柄ながらも相応の威圧感が在った】
【ニヤリと笑った表情は如何にもあらくれという感じだったし、周囲に向ける瞳は獰猛で】


―――さあっ、さあさあッ!!このとんでもない女海賊を張っ倒す気概の有る奴ァ居ないのかッ!?
 掛け金は一人10万ッ!勝てばそいつも含めて今までの分を総取りだァ〜!!!
 シルッカ嬢の前に貯まった分も合わせりゃ――勝てばざっと200万ッ!!200万が思いのままだァ―!!!


【と、周囲の観客に声が掛かるのであった。金と、ほんの小さな名誉――勝てばそれが貰えるらしい】
【フェンスは飛び越えれば入れる高さ。挑戦権など、武器使用も許可された此処に入るという意志――】
【それさえあれば構わないなんていう程度の、熱狂した空気が周囲に満ち満ちていた】

/再利用ですが、よろしければっ
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/03(木) 23:54:54.36 ID:auqLa8hCo
>>868ー869
【人間一人ぶんが、出生から死後に至るまでに蓄積し続けた莫大な情報の全てを、余すことなく受け止める】
【少女の下した結論は、傍目には理解しがたいものだった。何故こうも簡単に、常人ならば狂死しても可笑しくないような暴挙に出られるのか】

(あいつは、あの妄念の塊さえ救おうとしている。力を持つ者に特有の無意識な慢心ではない。そのためなら己の身を擲つ覚悟がある)
(……見立ての通り、だな。自分の心の中に自分以外の何者かを受け入れるなんて、私には無理だ。吐き気がする)
(お人好しもここまでくれば、一種の狂気とも言えるが……そうだったな。そういう馬鹿みたいな奴らの姿を、尊いものだと思ったからこそ)

(……いつか、奴らが世の不条理に晒されたその時、私のやり方でそれを打ち破るために、私はこんな事をしているんだ)

【苦痛に身悶えしながらも惨劇の記憶と対峙する少女の姿を見つめながら、女は思索する】
【答えは出ない。彼女の行為は全く非合理的だと、女は考える──しかし同時に、それは決して無意味ではないとも思う】

【そんな女の想いを裏付けるがごとく、少女をひっきりなしに責め苛んでいた情報の嵐が、徐々にその勢力を弱めてゆく】

【「ありがとう」】

【自他の境界さえ定かでないほどに深い意識の共鳴を経て、亡霊が最後に残したのは、少女への感謝の言葉だった】
【少女が亡霊に引き摺られたように、亡霊も少女の心に、その暖かな記憶と想いに触れたことで、人であったころの己を取り戻しつつあったのだ】
【その様はまるで、パンドラの匣の逸話めいていた。全ての災厄を吐き出しきった匣の底に残されていたのは、儚くも暖かな希望──】

【瞼を開く間際、昏い視界の中に幽かに見えた亡霊は、取り戻した自分自身の貌で少女に微笑みかけてから、彼女の中へと没入してゆく】
【少女が再び刮目すれば、そこに亡霊の姿はない。しかし意識すれば、確かに「そこにいる」という実感を覚えることができるはずだ】


済んだか。ならば早々にここを立ち去るべきだろう。そこの男を連れて、何処へなりと行くがいいさ。
私にはまだ、この場所ですべき事がある──なに。大層な事じゃあない。ちょっとした調査と、現場の後始末だ。

……そう言えば。お前、名前は?

【さて。少女が無事に戻ったと見るや開口一番、目の前の女はこの場を後にするように勧める】
【為すべき事を為し終えた少女に対して、労いの言葉どころか、気遣うような素振り一つ見せない】
【ふと思い出したかのように名を訊ねる鉄面皮の女に対し、黙って立ち去るも、名乗るも、やはり全ては少女の自由だ】
/大変遅くなりましたが、ただいま戻りました……!
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/04(金) 02:06:42.28 ID:2Pd9XUzM0
>>883

【記憶の波濤が強固な筈の意識を揺らし、奔流と化す想いと叫びとが生身の肌の下を流れ――――やがて収まるまでの永く、一瞬の灯の如き熾烈な残光のときのなか、それでも己を失わなかった少女が共鳴を重ねて】
【聞こえたもの。柔らかな部分に触れたなら、水面にふと硬いものの崩れる揺れが生じた】


【声は、仄かな光の様にかたちを描いて。じわりと広がったその滴の熱を、微笑い返す瞳に温かな綻びを生じた光を。ただ、実際歓ばしいのだからと純粋な微笑みに変えていった】
【表面には何も変わりはない。ただ、雰囲気だけが短い間変わって/戻れば、】

【漸くひとつ息をついた少女は、自分の胸に片手を当てる。……藍と黒の身を包む鼓動、暖かさ。自分一人のものでない様な気もして】
【今更だ、と穏やかに一度目を瞑る。受け取った想いは一つでもなくて。歩み続けるのだから、抱き続けるのだから、この胸にあるものを誰に傷つけさせる意味もない。そう、結論の様にほっと触れた】

【そして、やがて―――流石に隠しきれず未だ少し疲れたいろをして、けれど普段の取り澄ました表情をまた纏いながら。露になる橡色が思索を浮かべ、今一度、少女は口を開く】


……眼鏡と、杖の男とも女ともつかない人物。亡霊を使役していたのは今夜、ここで一度見たその“誰か”だった。

【……凶事の指揮者。契約の魔物。一連の襲撃事件の元凶として、少女に、確信に近い形で意識に大きく描き込まれた人物。】
【それはごく僅かな情報でしかないが。使い様によっては、特定の意味を象ることにも繋がるのだろう】
【少女自身は超自然の事象や理にさしたる知識がある訳でもない―――幾つかの例外はあるのかも知れないが。だからこそ、用い得る人物にそれを託した】
【或いは呪術や呪詛に関して、痕跡を辿る様なことが出来得ることを可能性として識っていたのか。幼い頃から無形の理不尽を相手取って来た熟練の一たる女性ならば、手掛かりを掴むことも叶うのか、と】

【その存在についてそれ以上の言葉はない。必要以上警戒を促すことも何ら言及もなく、――返る情報があるならば別だろうが――――女性から届く言葉――――耳にすれば】

…………そうね、これ以上長居するのも今は拙いか。
……八攫 柊(やつか しゅう)。覚えるかどうかは任せるけれど、私のほうはどちらにせよ問題じゃない――――

……“名前は”?

【やがて虚空へと一度切った視線を再び向け、どこか悪戯な冷静さと自分のいろで微笑して。少女は、女性の名を尋ねるのだろう】

【言わなければまず伝わらないだろうし、気付いたとてこの女性ならば捨て置きそうな気がする。……ならば、ここで“終わらせて”しまいたくないのだからそう求めればいい。】
【そして聴けば、別段女性から“続き”の言葉もないのなら歩み去るだろうか。あの人喰いの様な男を強いて立たせ、自警団の詰所へと伴い、運び、引き渡すため。】
【自らの内に想いのよう流れる“彼女”の記憶から。手掛かりとなる様な幾つかの軌跡を、調査べたとでも言って精緻に述べて―――。】
885 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/04(金) 02:12:39.84 ID:2Pd9XUzM0
/>>884

【今更だ、と穏やかに一度目を瞑る。受け取った想いは一つでもなくて。歩み続けるのだから、抱き続けるのだから、この胸にあるものを誰に傷つけさせる意味もない。そう、結論の様にほっと触れた】
 ↓
【今更だ、と穏やかに一度目を瞑る。】
【受け取った想いは一つでもなくて。歩み続けるのだから、抱き続けるのだから、この胸にあるものを誰に傷つけさせる意味もない―――己は強度を保ち続けるだけのことだ。】
【そう、結論の様にほっと触れた】

…でした。若干表現が抜けてたのですが、上のままでも大丈夫なので…orz…!
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/04(金) 13:44:50.48 ID:kCUvotmNo
>>884
【亡霊を使役していたとおぼしき相手に、何か心当たりでも有ったのだろうか。女は暫し何事か思案していたようだったが】
【こちらもまた、今回の一連の事件の黒幕たる謎の人物について、特になにも語ろうとはしない】
【徒に憶測を並べ立てて場を繋ぐよりかは、少女の休息を優先するべきだろう、という考えであった】


八攫、柊──成る程ね。確かに覚えた。申し遅れたが、私は朔夜。
Justice≠フ識槻 朔夜だ。また縁が合ったら、その時は宜しく。


【去ってゆく少女に、こちらも応じて名乗り返せば、女は彼女と男の後ろ姿を見送って】
【彼女らの姿が夜闇に紛れ、完全に見えなくなるまでの間、そちらに視線を投げ掛けていた】
【名残惜しいのか?いや、違う。もっと別の理由だ】


これが人為的なものだと聞いた時から、薄々そんな気はしていたんだ。

そこにいるのは判ってる。姿を見せろ、死霊術師。
『ふむ。……この場の様子から察するに、「あれ」はあちらの少女の身体を憑代としたようだが』
お生憎さま。お前の掛けた誓約(ギアス)の魔術なら、もう殺したよ。あれを通してあいつを操るのは無理だ。

『……やってくれる』

【呼び掛けに答え、路地裏の闇の中から、滲み出すように現れた黒いローブ。濃密な腐臭漂わす人影に相対し】
【女はどこまでも不遜に、同様に周囲に現れた無数の影を睨めつける。その数は優に十を越えるが、しかし】
【已然としてその鉄面皮は崩れない。腰の刀に手を掛けて、女は静かに呼吸を練った】

その身体は傀儡か。それでもこうして姿を現したところから察するに、今回の事はお前にとっても予想外だったらしいな。
『そうとも。望外の拾い物だ。彼女は君と同じく、よい憑巫となるだろう』

今まで私を手玉に取っていたつもりのようだが──あまり嘗めてくれるなよ。
『無論、嘗めてなどいないとも』
にしては随分と、頭数が少なくないか?

【一度刀を鞘より抜き打てば、ただ一閃で影の半数が塵と散じる。その蒼い双眸が爛々と、兇暴な輝きを放ち始める】
【柊を追うと宣言するローブの影に、朔夜は、出来るものなら、と口の端を吊り上げた】
【斯くて今宵も、人でなしどもの狂宴の幕が上がる。その詳しい顛末は、ここで語るべきことではないが】
【少なくとも、あの人物が柊の前に姿を現すことは無かった】
//お疲れさまでした、長時間ありがとうございました
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/04(金) 16:20:01.12 ID:R7qUdTHMo
/>>874で再募集っ…!
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/04(金) 19:50:00.72 ID:1yy3wZZNo
【公園――広場】


【すっかり人もいなくなって、街灯が淡い光が静けさを映す、そんな場所】
【だがこんな時間だというのに広場を見ればひとつ、走っていることだろう】

【デニム生地のホットパンツ、足には運動靴を着用し、アーモンド形の大きな瞳を持った、そんな――精悍な顔つきの少女だ】
【薄い緑色のTシャツの背には猫ならしっぽだけで一瞬にして全てを語れ≠ニいう意味不明なフレーズが印字されている】
【背中にはさらに黒いしっぽが伸び、そしてくっきりとした銀色の短髪の間からは、黒い猫耳がちょこんと生えていた】

【おそらくランニングか何かだろう。しかし異様な点がひとつ――彼女の後ろにはあった】


ふーっ、ちょっと休憩……案外楽勝だにゃ。こんなんで強くなれるのかにゃ?


【広場沿いの道近くまで走ってきた少女は一旦立ち止まって呼吸を整える】
【普通のランニング後と変わらぬ様子だがその後ろには――身の丈以上はあろうかという土管があることだろう】
【つまり、彼女はそれと自分の腰とをロープで繋ぎ、まるでタイヤ引きでもするようにランニングしていたのだ】

【流石に疲れてはいるようだが、華奢な体格にそぐわない怪力の持ち主なのかもしれない】
【そんな彼女は――この場を通りかかった人にどのように映るのだろうか】






【ところ変わって――表通り】


【コンビニのすぐ近くで何やら一騒動起きているようだった】
【その原因は二人の人物にある。ひとりは服装からして明らかに警官だ】
【彼はもうひとりの服を掴み、「抵抗するな」「観念しろ」、などと叫んでいることだろうか】

【――もうひとり、警官から逃げまいとしている人物は10代半ば程の少年だった】
【真っ黒のボサボサ短髪と、深淵を思わせるかのような漆黒の三白眼に、】
【服装も黒としか形容できないような、黒のピーコートに黒のジーパン】
【そしてやっぱり黒色の眼帯を右眼につけた――そんな、暗い顔の少年だ】


くそっ、離せよ――


【大の大人と力比べして勝てるはずもないが――そこそこ力があるのか、拮抗していて】
【何故こんなことになっているのか、それは少年の手を見れば明らかだろう】
【そこにはパンが二つ、握りしめられている。……万引きしたところを捕まえられたと想像するのは容易か】

【たまに起きるような光景だろう。すぐに事態は収拾するはずだ】
【ただ、少年から漏れ始めた黒い魔翌力が不穏な予感を漂わせつつある、が――】

【ちなみにこの時間だが人通りはまばらだ。故に彼らは、かなり目立つ存在であることだろう】
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/04(金) 20:20:26.82 ID:37BrEZ0N0
>>888

【公園中に広がって立ち並ぶ木々は今は初夏の新緑に覆われて、若々しい緑色で広場を彩る】
【もう大分暑い時期になって来たけれど、時折通り過ぎる風は昼間の暑さを忘れさせるかのように涼やかで】
【そんな公園の中、一人の少女がベンチに座っていた。手にはお茶とお弁当、夜空を眺めながらリラックスモードのようだ―――】

―――ふぅ……ようやく空腹を満たせるネ。
今日も一日、疲れたヨー……

【前髪を切り揃えたショートカットの黒い髪、やや小柄で華奢な体格、ややタレ目で茶色い瞳。】
【丁度十六・十七歳程の背格好か、大人とも子供ともいえないやや細身で華奢な身体が未熟さを感じさせる】
【頭には可愛らしい白色のキャスケット。淡い桜色の丸いバッジがアクセントを加える】
【首元には燕の型を取ったペンダントを下げ、座る彼女の横にある「薬」と書かれた大きな鉄の箱が目を引く。】
【纏うのは若草色のワンピース。ひざが隠れるぐらいの丈の裾が、風にふわりと揺れる】
【裾の下からちらっと覗くのは白い足と可愛らしいブーツ。意外にも足は良く鍛えられた者の其れ】

――――……なんだロ?
……!!

【公園は静寂に包まれ、昼間の子供達の喧騒が嘘のよう。時折聞こえるのは葉が風に擦れる音と、虫のさざめきと】
【……誰かの吐息?誰もいないこんな時間に走り終わった後のような、少し荒い呼吸の音が聞こえる……】
【音のした方を見れば―――少女?いや、ただの少女じゃない……何だろう、猫耳と尻尾が生えている】
【その上に……あろうことか、土管を引っ張っているのだ。なんだ、この怪力は……背格好は自分と大して変わらないのに】
【唖然とする彼女。丸い目をさらに丸くして、呆気にとられたように少女に釘付けになるのも無理はない話だろう……】

【さて。猫だとすれば一つ、気になることがあるだろう。鋭い嗅覚を持っていたなら、彼女の持っている弁当の匂いは其方にも届いた筈で】
【疲れて空腹ならきっと胃を刺激するだろうし、そうでなくても……彼女の持っている弁当は、鮭弁当だったりする。】
【弁当片手に其方を凝視する彼女に気付くかどうかは少女次第。さてさて、邂逅はあるのだろうか……】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 20:36:39.62 ID:+XsZIfhVo
【町外れ】


よいしょ……よいっ……しょ……っと


【中心部から離れ、人気の薄れた町外れの一角】
【そこにポツンと建つ小さなお店の前で、一生懸命看板を拭いている少年がいた】


【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


ふぅ……だいぶ綺麗になった……かな?
でも、そろそろペンキ塗り直さないとダメかも……


【小さな踏み台の上に乗って、背伸びをしながら危なっかしい様子で清掃を続けている】
【看板の表面の汚れは取れていたが、風雨に晒された結果ところどころの塗装が剥げていた】
【少年は看板の状態に困ったような表情を浮かべながらも、布で拭く手を休めることはなかった


【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物である】


【小さな店主が経営するマジックショップは、今日もひっそりと開いていた】
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 20:41:07.52 ID:IAyEt5bMo
【夜も更け、白い電燈に火が灯り始めた街外れ】
【人の気の少ない道の真ん中を、か細い声で歌いながらゆっくり足を進める人物がそこにいた】


―――……オラは死んじまっただぁ〜……オラは死んじまっただぁ〜♪っと……
この界隈も昔よりは幾分平和になっちまったモンだなぁ、オレが前にこの辺来たときはどいつもこいつも
機関だのの脅威に怯えてふぬけたツラして歩いてたもんだがよぉ……


【その人物はフードを目元まで被った灰色のパーカーを肩から羽織り、ボタンだけ赤い黒の短シャツに両手に白いバンテージを巻いていた】
【首からはそこそこ値の張った一眼レフのカメラを下げ、腰に数年前に流行った銀色の髑髏を模したチェーンアクセのついた青色のダメージジーンズに新品の赤茶色の革靴を履いた男性だ】
【顔はよく見えない、だが口元から零れるその笑みと歩きながら歌う様子から機嫌が良いらしく、気分転換に外を出歩いているのだろうか】

【ふと、彼はおもむろに両腕を前に構え、握り拳を作りながら呟く】


……とはいえこうもお気楽ムードが漂ってると拍子抜けだなぁオイ
その辺に歩いてる血気盛んな馬鹿を探して軽く肩慣らししときたかったんだが、気持ちだけ空回りしそうだ
今日はいわゆる武者修行って奴はやめにして遊びにでも入った方がいいかねぇ?


【軽く宙に向けひゅん、ひゅん、と小さなジャブを放った後、大きなため息をついてパーカーのポケットに手をツッコむと】
【彼はなにか変った出来事が起きていないかその辺を歩きながら探し始める事だろう】
892 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/04(金) 20:52:43.27 ID:1yy3wZZNo
>>889


二つ引っ張るとか……ひとつずつ手に持ってみるとか、してみようかにゃ


【土管とにらめっこしながら考え込む猫少女。鍛えるといってもその方法などまるで知らないようで】
【単純な負荷をかけることしか頭にないようだった。それでも軽々とやってのけそうなあたり、底が知れず】
【それ以外の案が出ないまま、彼女はぼーっと突っ立っていたのだが――】

【ぐぅ、と腹の虫が鳴いた】


んー、今日はもういいかにゃ。お腹空いたし
晩ご飯どうしようかなー。…………んん?


【へにゃりと脱力し、空っぽの腹をさすってみる。そんなことをしても無駄なのだけれど】
【それにしてもなぜ急に腹が減ったのか――すんすんと鼻を鳴らしてみると、漂ってくるのは弁当のにおい】
【鮭っぽいそれで、空腹の原因を理解する。そのままにおいを辿って、ゆっくりと顔が動いてゆき】
【やがて視線がひとりの少女に留まったなら、彼女は動き始めるだろう】


にゃは、いいもの食べてるね!
ちょっとちょーだい! お礼とかできないけど!


【慣れ慣れしく少女に話しかけた挙句、ものをねだるという暴挙に猫少女は出たのだった】
【直後まで響いていたずるずるという音は彼女の背後の土管だろう。それは置いてこいと言いたい】
893 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/07/04(金) 21:08:20.43 ID:Qd9nlSnT0
>>886

【……“その時はよろしく”。】
【想像してたよりも柔らかな答えに若干、今宵通し続けた靱く鋭利な雰囲気を崩すも、柊は、それだけの返答を残してその場を去った】
【後の事に、気付けるはずもない。闇を、蒼き力が薙ぎ一指たりとも触れさせずに夜は更けてゆく】

【知らぬ間に守られていた少女は、自らの意志を、目的をその足取りから外す事もなく】

(……また、逢いたいな。理不尽を糺すための理不尽の女(ひと)、か――――)

【今夜の最後の最後でやっと、素直に自分の感情を胸に抱けた穏やかな静寂。 此方の僅かな後始末を終えて、峻烈に閃く“正義”に齎された静穏のなか、戦いの合間のひとときに安らぎを浮かべた】

/…長時間本当にお疲れ様でした。絡み、ありがとうございました…!
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/04(金) 21:11:25.26 ID:G+k4IvMHo
【水の国 大通り】

(―――能力者は選ばれし者で優良種だから、無能力者には何してもいい……ってユピテル先生から教わったけど―――)
………やっぱり可哀想だよ。だからって[ピーーー]とかしなくてもいいじゃん。おかしい、おかしいよ……みんな仲良くって出来ないのかな……

【小さい歩幅でチンタラと歩きながら何度も何度も同じことを呟く彼女の姿は、きっと浮いていたに違いない】
【20時を過ぎても人の群れは止むこと無く、人々はそれぞれの目的を持って西へ東へと早歩きでアスファルトを蹴り出していく】
【その中での彼女、である。亀の如くのろのろとした歩みに伏せられた瞳。全身から微かに放たれた暗澹。黄色主体の明るめの格好と対照的であった】

―――ほんとに、選ばれたからなのかな……でもでも、こんなこと仲間に話しちゃったらアイリーンちゃんはジ・エンドまったなし……
ん……アイリーンちゃんって馬鹿だったんだ。みんなに馬鹿馬鹿って言われたけど、始めて自分で気付いちゃった―――

GIFTが何をしているかも分かってない……いや、分かってたんだけど他人事みたいな感じだったんだね―――って、何独り言してるんだろ……ハァ。

【黄色の袖なしパーカーに茶色のプリーツスカートの、オレンジの外はねセミロングにメガネをかけた彼女。その外見からは恐らく10代後半であろうか】
【その彼女の口から溢れる不釣り合いなワード―――「GIFT」。組織のトレードマークである金十字のチョーカーは、今だけはポケットに仕舞っていた】
【悩みというのは人を限りなく不注意にさせるものであり、彼女も悩みに意識の大半を割いていた。そのうち無駄に長い独り言をしている自分の異質さに気付き、溜息を吐いた】

あーもう、少し脳味噌動かさないと……ん―――< stellar guidance >起動―――っと……!!

【軽く背伸びをしてから足を止め、そしてやや力を入れてその言葉を唱える。するといつの間にか、艶やかな金色のヘッドホンが頭に装着されていて―――】
【同時に広がる、特殊な魔翌力。彼女の能力< stellar guidance >―――簡単にいえば「能力者を特定する」能力である】

【ヘッドホンを付けて念じることで能力者に反応する特殊な魔翌力が広がり、最大周囲50m内にいる能力者の居場所を肌で感じることが出来るこの能力】
【しかし短所として、念じている間大量の魔翌力を放出している為に怪しまれやすく消耗が激しいことと、特定された能力者の耳に「キーン」という耳鳴りが響くことがある】
【これは彼女の放つ特殊な魔翌力が反応した際に起こる科学反応であり、つまり相手側からも気付かれてしまうということである】

【燃費が悪い為に大きく神経と体力を使うが―――今はその刺激が、疲労が欲しかった。そうしないとこのぼんやりとした頭が目覚めそうにないと思ったからであった】
【ここは水の国大通り。様々な人が西へ東へ歩いて行く中に、もし能力者が混じっていたのなら耳鳴りが襲い―――そして彼女がその耳鳴りの元であることにも気付くだろう】
【彼女に近づけば近づくほど耳鳴りは増し、そしてそもそも彼女から溢れんばかりの魔翌力を感じられるだろうから】



895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/04(金) 21:24:45.76 ID:vC23Vu7So
【夜、ある森の中】
【木々に覆われたそこ、一つの物音が響いていた】

 ……はっ、はっ

【カンッ、カランッと木の板が何かにぶつかるような音】
【何事かとみてみればわかるだろうか、そこには後ろ足で立っている灰色の犬がいる】
【その目の前には木の枝に縄で吊るした中くらいの木の板】

 ……たっ!

【と、一瞬の呼吸の後に木の板にとびかかり、その爪をギラリと月に光らせ板へと振り下ろす……!】
【しかし吊るされた板が簡単に割れるわけもない、そのままカーンッと甲高い音を鳴らし大きく揺れる】
【一方の犬は跳びかかったまま前足を地面につけた、かと思えばその前足をバネにして今度は宙返りをしながらその後ろ足を大きく揺れる板に叩き付ける!】
【カッ、カンッという音とともに今度は反対側へ振り子のように大きく揺れる板】
【どうやら、こういう風に揺れる木の板相手に稽古しているようだ、が】

【そもそも犬が後ろ足で立っていた、さらに言えば木からぶら下がる板相手に訓練】
【犬としておかしい】

【しばらく後、板と縄をつないでいた金具が割れ、板が落ちる】

 はっ、はっ……

【犬は舌を出しつつ木の根元に座り込む、横たわっているわけではない】
【人間がまるで椅子に腰かけるように座っているのだ、やはり、普通の犬ではなさそうであるが……】
896 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/04(金) 21:32:00.66 ID:37BrEZ0N0
>>892

(……なんだろう、あれハ……土管?どうしてそんなものヲ……)
(……というかそもそも、あの体の何処に土管を引っ張る力があるのカナ。……人の事は言えないけどサ。)

【自分も一日中鉄の箱を背負って旅して回るようなものだから人の事は言えない気もするが、それにしたって土管の重さを考えると異常で】
【常人の力ではないのは明確に分かる。文字通り猫のような風貌といい怪力といい、一体何なのだこの少女は……?】
【背格好は自分と大して変わらない。どちらかと言えば華奢な方の体格の、何処にその力が秘められているのか……】

(―――あ、こっち見てル。)

【―――唖然としたまま其方を向いていたら、視線が合い……今度は当の少女が此方に向かってきた。……土管を引き摺ったまま。】
【見るからに敵意を持っているなら戦うし、悪事を働いていたなら取り締まるだろう。しかし、少女は別に悪い事は何一つしてなくて】
【対応に困ったまま少女の接近を許すと、今度は親しげに話し掛けられる。初対面なのに、まるで知り合いのように】

【―――こんな風に親しげに話し掛ければ、こっちも親しげに言葉を返したくなってしまうのが彼女の性格で】
【まだ多少の疑問と困惑は残っているけれど、にこりと笑顔を送る。なんだか、初対面なのに友達同士のよう】

【顔を見れば悪意を持っているかどうかは一目で分かる。―――この少女は、きっと悪い人ではないって事も。】
【だから、少し話をしてみよう。仲良くなれるかどうかは分からないけれど、この子と話をすれば楽しい気がするから】
【添えた笑顔と共に、口を開く。色々とインパクト絶大だったこの少女と、仲良くなれるだろうか―――】

あ、えーっト……うん、いいヨ!
お礼はいいヨ。その代わり……ちょっとアナタのこと、教えて欲しいナ。
ワタシ、ビックリしちゃったヨ!あんな大きな土管を引き摺ってるんだもノ、凄い力持ちだなーっテ……
……それと、猫みたいな耳とかも気になるノ。……実はワタシ、猫が好きだかラ……

【馴れ馴れしいのは此方も同じ。人懐っこい性格が幸いしたのか、少女に負けないくらいに親しげに話し掛けて】
【人懐っこい笑顔は彼女のトレードマーク。こんな彼女の事を、少女はどう思うだろうか……?】
897 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/04(金) 21:36:04.48 ID:R7qUdTHMo
>>888
>>888

>>894
【人間は、自分たちを様々に区別する】
【まずは能力者か、そうでないか】
【そして、次はその中でも有能無能を区別する】
【人間とは不思議なものだ、自分を自分でカテゴライズするのだから】
【その結果、優劣が明らかになって人生がうまくいかなくなる人間だっているわけだが】
【だけど、この行為に何の意味があるのだろう?】
【区別する事に、何の意味があるのか?】
【そんな冊で自分たちを区別したところで何になる、そうでもしないと何か不都合があるのか?】
【などと、相も変わらず取り留めのない戯言を思考する】レイリスフィード学園の制服を着た、白い肌と女性的な顔立ちが特徴の少年がそこを通りかかる】

「っ…………!」

【だがそれは唐突に中断された】

(なんだ、耳鳴り…?)

【耳鳴りが襲ってくる、それにどこからか周波数のようなものを感じる】

(どこだ……?)

【周囲を見回し、そしてヘッドホンをつけた少女の方から発せられている事に気付く】
【近づいてやめさせようとするが、距離が近づくにつれて耳鳴りは激しさを増していくばかり】
【それでも何とか少女の前に辿り着き、肩を叩こうとする】
【肩を叩いて少女がヘッドホンを外したなら、こう言うだろう】

「……これ、君の仕業?」
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/04(金) 21:39:58.67 ID:R7qUdTHMo
/うわ、なんかとんでもないことに
/>>894宛です、すいません
899 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 21:41:42.72 ID:IAyEt5bMo
>>890
/今から絡んでも大丈夫でしょうか?
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 21:49:10.99 ID:Xnvnllqzo
【酒場】

【蒸し暑い夜だ。大通りに面した店はどこも満員になる時間】
【この裏通りの安い場末のパブもそうとうな客が入って賑わっている】
【しかし、その儲け時にカウンターでは店主が困った顔をしていた】

『お客さん…いくらウチが24時間営業だからってそんなに居座られちゃ困るんですよぉ』

【カウンターに突っ伏す客の背中を揺する、空のグラス、瓶、灰皿には吸い殻が山のよう】
【腕を組んで寝ているのかゆすられても起きる気配はない。店主も強く出れないのはそこが】
【やはり場末の安酒場だからか、それともそいつが朝の九時から居る背の高い黒い髪のサングラスをかけた】
【男でレザーのジャケットにジーンズ、シャツ、ブーツは全て黒でシルバーのネックレスをつけていてオマケに】
【腰のガンベルトにリボルバーが2丁据えられていたからだろうか】
【革のガンベルトに収められたリボルバーのグリップは白い象牙のようであったので珍しく、良く目立っていた】

『いい加減帰って……ったく、自警団呼びますからねお客さん』

【困り果てた、店主は店の奥に引っ込んでいった。自警団にでも電話をかける為か】
【しかし男はカウンタに突っ伏したまま動かない。非常に邪魔で両隣の席が空いたままだ】
【彼を起こすのは店主か、知り合いか、押し付けられた自警団か………?】
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 21:55:49.91 ID:+XsZIfhVo
>>899
/大丈夫ですが、1時くらいで持ち越しになっちゃうかと!
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/04(金) 22:01:57.64 ID:G+k4IvMHo
>>897

(―――やっぱり調子わる……あ、でも一人いる。……やっば、今回はスカウトが目的じゃないのに珍しくひっかかっちゃった―――切らないと……!)

【< stellar guidance >は最大周囲50mにまでその効力を発揮させることが出来るが、遠くまで特殊な魔翌力を伸ばし続ける事はそう簡単に出来るものではなく】
【今のぼんやりとした状態では10mがやっとであり、レーダーもやや鈍っていた。だがそんなことは関係無い、何故なら「今回は」見つけることはどうでもよかったのだから】
【―――あくまでぼやけた頭を覚ますための行為であるのに、こんな時に限ってターゲットが見つかる。―――やばい。そう思って能力を解除したも束の間―――】

ッッ………い、いぇす。 あ、でもでも別に―――深い意味は無いっていうか?
……その、アイリーンちゃんはなんとなく、やってみただけだし? き、キミが能力者とかそんなことは今のアイリーンちゃんには関係ないし?

―――っていうかその服……なんだっけあれ、れい、れい、れいり……学園? の制服だよね?

【ぽん、と肩を叩かれた瞬間、彼女の身体が小動物のようにぴくりと跳ねて瞬時に振り返った。エメラルドの瞳はまんまるに見開き、驚きと恐怖の入り混じった表情を見せる】
【身のこなしや雰囲気からは闘いに慣れた様子などまるで無く、強者の匂いなどまるでしない。見た目相応の一般人の動きだった】
【どうやらアイリーンというらしい彼女はやや怯えて狼狽した様子で彼の言葉に応えるだろう。―――彼が能力者であることを知っている口調だった】

903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 22:08:04.17 ID:IAyEt5bMo
>>901
/それでも大丈夫……と言いたかった所だったのですが大変申し訳ありません!
/色々あってこちらの都合で今からの絡みが難しくなってしまいましたので、またの機会を見計らってお声をかけ直させていただきます!
/こちらが声をかけておきながらこのような対応で誠に申し訳ありません……
904 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/04(金) 22:09:07.53 ID:+XsZIfhVo
>>903
/了解です、またご縁があればー!
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/04(金) 22:14:23.64 ID:R7qUdTHMo
>>902
「うん、レイリスフィード学園の生徒だ」
「それで、どうやってこんな事をしたんだい?アイリーンちゃん」

【アイリーン、それが彼女の名前か】
【そしてこちらが能力者という事を知っている】
【不審な点だらけだ、そもそも耳鳴りを引き起こしていたのはこいつだからそもそも怪しいのだが】

「ふぅん、それで……どうやって僕が能力者だと分かったのかな?」

【少女が怯えていようと一切容赦はしない】
【冷たい眼光で問いただし、追求する】

「僕のような非力な能力者に、何か用でも?」

【そして自虐的に自分の事を指し、問う】
【さて、一体彼女は何者か】
【一般人ぶっているが、その化けの皮を剥がせば何が出てくるのか】
【そんな事を、渚は考えている】
906 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/04(金) 22:20:01.47 ID:1yy3wZZNo
>>896

【後ろ手を組みつつ、少女を覗きこむように少し前に傾いた姿勢。表情には曇りのない笑み】
【悪意などミジンコほども無い。……人の弁当にたかるのが悪なら純度100%の悪ではあるが】
【そのまま会話するのかと思えばゆらゆら身体を揺らしてみたり、ちょっと落ち着きがない】


にゃは、ラッキーだにゃ! って、うん? あたいのことかにゃ?
そりゃ、あたいは最強を目指してるからね! あれくらい出来て当然だにゃ!
おねーさんもそうだけど、ここで修行してたら通っていくひとが皆びっくりするから面白いにゃ


【まるで何人も往来するひとを見たかのような口ぶりだが……】
【もしかすると夜になるよりももっと前、お昼か、可能性は低いだろうが朝からずっと鍛錬を積んでいたのだろうか】
【何にせよ尋常ではない怪力だ。細い腕には不釣り合いなほどに】


耳としっぽはあたいが猫だから生えてるんだにゃ
って言っても亜人なのか妖怪なのかよくわかんないけど……ま、細かいことはどうでもいいにゃ
ほら、ちゃんとしっぽもホンモノだよ! 触ってみる?


【猫が好き、そう聞くと彼女の笑みが一層深くなることだろうか。どうやら耳としっぽも本物らしい】
【彼女はしっぽの先を少女へと向けるのだろう。ゆらりゆらりと動くそれは抜群の毛並みで】
【紛いものでないことはひと目でわかるだろうか】

【と、ここまでの会話の通り、彼女には人見知りというものが全く無い】
【まるで本当に、会話が成立した瞬間から友達扱いしているような態度だった】
【きっと目の前の少女が話しやすい性格だったこともあるのだろう】

/お風呂入ってきます…!
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/04(金) 22:35:35.78 ID:G+k4IvMHo
>>905

そうそう、レイリスフィードだった!……ホントは教えないんだけど、レイリス学生さんになら別にいいかなーって。……え、あれ?
―――レイリスフィードってウチとはんた……いやいや、えーと……無能力者の学校じゃ無かったっけ?

【一瞬言ってはいけないワードを言いかけるドジを犯したが、ギリギリで耐えた。何時もはお供のボディーガードが口を抑えてくれるのだが今はいない】
【……というか一人になりたくて無理やり振り切ったのだが。―――レイリスフィード学園はGIFTの能力者至上主義とは真逆の無能力者派】
【能力を誇りにするのではなく、恥とみなすことすらあるという話を聞いたことがある。校内での能力行使は勿論禁じられているということも聞いた】

【しかし目の前にいるのは明らかに能力者―――レイリスフィードは能力者を受け入れる校風でもあるので、そのことは不自然ではないのだが】
【彼女はレイリスフィードを「能力者嫌いの学校」という認識でしか無いので、彼がその制服を着ていることに強烈な違和感を感じたようだった】

う……アイリーンちゃんそういう能力だから。さっきのヘッドホンは能力者を見つけ出す超スゴイレーダーなの。
キーンって音のせいで相手からも分かっちゃうっていう駄目な部分はあるけど、それでも皆からは凄い凄いって褒められるんだ。

……その、別に誰かに用があったんじゃないんだけどね? ……ちょっと質問していい?
―――能力者のキミから見て、無能力者ってどう思う? あー、ちょっと分かりにくいかもっ……えっと、無能力者見下してる? 

【怯えた表情はそのままに素直に能力を説明するアイリーン。自分は戦闘はからっきしだし、下手に逃げて掴まったら余計に警戒されてしまう】
【こんなことならボディーガードを振り切ったりしなければ。こんなことなら軽々しく能力を発動しなければ。そう後悔しながらも自分の情報を曝け出した】
【自分の情報だけ吸われていくのは何となく許せなくて、此方からも尋ねてみた。レイリスフィードの能力者にぶつける質問としては、うってつけだと彼女は思った】

908 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/04(金) 23:01:44.24 ID:R7qUdTHMo
「別に能力者が通っちゃいけないなんて校則にはないだろ」
「それに、隠してるだけで能力者は結構いるんだぜ?」

【アイリーンがGIFTの団員である事など知るはずもなく、情報を漏らす】
【はっきり言って、迂闊そのものな行動だ】
【もちろん、彼女がGIFT団員であるという事に気づけなければ、それすらも気づけないで終わるが】

「相手からも分かるレーダーって……欠陥だろ」
「真っ先に狙われるぞ、絶対」

【電波の発信源が一瞬で特定されるレーダーに何の価値があるのだろう?と首を傾げずにはいられない】
【戦いの際に狙われたらどうするのだろう、自衛の手段でもあれば別だが】

【そして少女の質問、答えなど決まっている】

「……戯言だな」
「見下すもんかよ、見下せる程大した人間じゃない」
「それに、そんなもの振りかざして見下すなんてクズのする事だ」
「だからと言って、学園の方針にも賛同しかねるけど」
「大体極端すぎるんだ、間を取るという選択肢はないのかと僕は問いたいね」

【どうせ見下すなら、万物にも勝るような能力でなくてはいけない】
【そんな大それた力など持ってもいない自分がなぜ見下せるのであろうか】
【もちろん、見下す事自体バカバカしい】
【能力以外は大して変わらないのに、一体普通の人間と何が違うと言うのか】
909 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/04(金) 23:06:12.01 ID:VCE54DYE0
【――――街灯も無く、月の明かりのみが光源となる夜の公園】
【無論無邪気に遊び回る子供達も居なければ井戸端会議に勤しむ者達の姿も無い】
【ただ、今宵は備え付けのベンチに一人の姿。真っ白なローブは月光を眩く跳ね返す故にその存在だって良く目立つ筈で】

【フードによって顔が隠されては居るが、座高から考えて子供と判断して間違いは無いであろう】
【加えるならば、側に黒猫がその人物の膝の上に乗ったり頭の上に乗ったりと楽しんでいる様だが】



「イリニを遊具代わりにして楽しいのですか。イリニには分からない事ですが」

【当の本人は無関心――――と言う訳でも無く。然れど抑揚の無い声は感情を掴ませない様であって】
【特に追い払う事も無く好きにさせてやれば取りだしたのは“聖書”だ】
【然れどその上に猫が乗っかってしまえば読むことも出来ず。諦めた様に漏れたのは小さな小さな溜息】

【さて、時間も時間だ。なればこの様な人物が出歩いているのはそう感心できたものでは無いが】
【――――先も記した様に、その者の姿は良く目立つ。黒猫と共に居る存在、延いては聖書だとかに興味を抱く者が居るかは分からないが】
【少なくとも、何者かが公園に入ってきたならばベンチに座っていた者も顔を上げてそちらを見るのだが】








【櫻の国――――封魔城、と呼ばれる其処。古来より悪しき妖怪達を封印し、滅する為に作られたその城は妖怪と対峙する要の場所とも言えるか】
【今宵其処から感じ取れるのは少しばかり大きな魔力だ。遠方に至って何と無く感じ取れる位には大きいのだが……何か妙】
【妖気ならばまだしも、魔力。開かれている門から中を覗き込んでみれば、庭に二人の少女が居るのが分かるだろうか】

【一人は着物を纏い、まだ二十歳前だというのに威厳を纏った者。問う事をせずとも、この城の姫であるのが分かる筈で】
【もう一人は――――所々が焦げたボロ布を纏う少女だ。紅い髪に、同じ色の瞳。どうやら魔力の発生源はこちらの少女であるらしく】
【より魔力を感じ取る事に長けている者ならば、其れが“火”の属性の塊である事まで知る事が出来よう】



「…………満足しましたか、朱璃。そろそろ寝なければまた変な時間に眠くなってしまいますよ」

『ん〜……まだやだ。もう少しだけ此処に居る』

「――――全く。精霊とは随分自由気ままな性格なのですね。……自然の塊、と考えれば納得出来ない事もありませんが
もう悪狐を滅する為に~威達にも知らせなければいけない頃。――――……とは言え、急げば急ぐほどに悪狐にも勘付かれる…………困ったものですね」

【今宵は満月。紅の双眸を持つ幼い少女は、ただ気儘にその月を見上げて楽しんでいるのだろう】
【その城の主の娘はと言えば――――説得しても無駄だと悟ったか、横に座れば同じ様にして月を眺めて】
【今宵は門番も居ない。否、正確には何処かに見張りが居るのだろうが例え城の内部に入った所で止めに来る者は居ない】

【――――故、二人に興味を持った為に接触しようとしても何ら問題は無いのだろう】
【話し掛ければ紅の少女から敵意にも似た“熱”を感じ取る事が出来るかもしれないが、それも一瞬だけだ】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/04(金) 23:08:00.91 ID:37BrEZ0N0
>>906

【打ち解けやすい性格の少女が二人集まったらこうなるらしい。出会って数秒もしない内にもう初対面の空気は失せて】
【心理的にも物理的にもググッと縮まった距離感は、さっき出会ったばかりとは思えない程。……不思議なくらい、疎遠な感じがしない】
【そのまま話し掛ければやはり気さくに返してくれるのだから、ますます友達みたい。浮かべる笑顔は純粋な心を表すかのように明るくて】
【その無垢な笑顔につられて、此方まで笑顔になってしまう。なんというか楽しい性格の人だなって、そんな第一印象】

ヘェ、修行してたんダ!……でも、本当に凄いヨ。あんな大きな土管を引き摺れるなんテ……
ビックリするに決まってるじゃなイ!普通、あんな土管は誰も動かせないヨ?
私じゃきっとビクともしないヨ!アナタの最強って夢も、遠くないんじゃないかなって思うナ!

でもね、力じゃ敵わないけれド、ワタシも一番を目指してる物があるんだヨ!
ワタシは最高の薬師を目指してるんダ。どんな病気も治せる、世界で一番の薬師!
エヘヘ……まだまだ道は遠いけどネ。アナタと同じ、日々修行だネ!

【弁当の鮭を一口サイズに切り分けて、箸でつまんで少女の口元に送る。口を開ければ美味しい鮭が食べられる筈】
【―――少女が最強を目指しているなら、彼女だって最高の薬師を目指している。日々上に向かって進み続けている……】
【とある大切な友達との約束もある。病気や怪我をしたら絶対に治してあげるって約束したから――だから、どんな病気も治せるように】
【目指す場所は違うけれど、一番上を目指すのは同じ。似た者同士の二人だからこんなに打ち解けたのだろうか、なんて】

いいノ!?じゃあお言葉に甘えテ……
……うわぁ―――……

【「触ってみる?」なんて訊かれれば、好奇心旺盛な彼女が頷かない筈はない。まるで珍しい宝物でも見た子供のように目を輝かせて】
【差し出された尻尾の先をそっと指で触れる。―――美しい毛並みや温かい感触が手の中に包まれて、本物だと直ぐに分かって】
【そこからはもう何度だって触り続ける。尻尾を触られ過ぎるとくすぐったいなんて事が無ければいいのだが……】

【―――そうして暫く。ようやく尻尾から手を離すと、改めて少女の顔を向いて満面の笑みを浮かべたら】
【すっかり打ち解けた彼女はもう一度口を開く。できたての友達の事、もっと知りたいなって……そんな気持ち】


アナタは何で最強を目指してるノ?一番強くなりたい理由って何カナ?

―――私はネ、苦しんでる人が助かった時の笑顔が見たいから、最高の薬師を目指してル。
もっと沢山の病気を治せるようになったら、それだけ笑顔になれる人も増えるでしょウ?
そんな風にして、いっぱい笑顔が見られたら……それが一番嬉しいナ。

……良かったら、名前を教えて欲しいナ。エヘヘ……名前で呼んでいいかナ?
私は春燕っていうんダ!春のつばめ、ネ。つばめって呼んでネ!

//ごゆっくりどうぞ!
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/04(金) 23:31:17.37 ID:G+k4IvMHo
>>908

ふーん、そうなんだ……能力を自慢できないなんてなんだか勿体無い気がするけど。

【自分はかつてGIFT ACADEMIAという所で能力者になるための教育を施された。能力を発現し、GIFTメンバーとして生きるためだけに育成される機関である】
【皆が必死に能力者を目指し、能力者に憧れる。能力者は優秀で素晴らしいと教わる。アイリーン自身は直ぐに発現したため、何も苦労もしていないのだが―――】
【―――抱いた感想としては、勿体無いというもの。自分が能力をクラスで1番最初に発現したときは周りから神のように崇められ、嬉しかった覚えもあった程だ】

【そんな彼女の能力に対し「欠陥だ」と言い放ったのは彼が始めてだった。GIFT内では「優秀な能力」として幾度と無く特別扱いを受けてきた彼女にとっては、意外な言葉】
【―――確かに、戦場でこのレーダーは役に立たない。そのことは彼女も知っているのだから彼の指摘も間違ってはいない。それでもGIFTの上層部は彼女を褒め称えていた】
【口に出すことは無いが彼女の仕事はGIFTの中でも特殊。―――能力者スカウトである。スカウトにおいて彼女ほど優秀な能力は無いとの理由で良い待遇を受けているのだ】

……別に戦場とか危険なトコロに行くわけじゃないもんっ、能力を使ってなくても能力者だーって分かることに意味があるの!
狙われたとしてもアイリーンちゃんには優秀なボディーガードが―――……って今はいないんだけどね。過保護が嫌になって振り切っちゃった。
今頃血眼になってアイリーンちゃんを探してるんだろうな、いい気味!

【少し不機嫌そうに言葉を飛ばす彼女には護衛がいるらしかった。護衛と聞いて連想させるのは彼女がお嬢様だとか、重要な人物だとか】
【兎に角普通の子に護衛は付かないとだけは言える。ふふん、と鼻を鳴らしてニヤつく彼女を見れば、護衛が彼女に手を焼いていることは容易に想像できた】

……キミの能力は知らないけど、なんでキミに能力が与えられたと思ってる? 
なんで普通の人と―――無能力者の人と自分は違うんだと思うの? ……唯の偶然? もしくは何か意味のあることだと思う? 

【彼の返答に対し彼女は意外そうな表情を浮かべていた。「仲間たちとは正反対の意見だ」と彼女は思っていた】
【少しばかりの沈黙が二人の間を通り抜ける。そして彼女が作った沈黙を、彼女自身の声で破って―――再度質問を飛ばした。エメラルドの瞳は真剣味を帯びていた】


912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 00:01:16.32 ID:RLrGah10o
>>909

【染まる空は夜の色だった】
【何者も近寄る事を許さない紺碧よりも尚も暗い漆黒】
【彼方に点々と輝ける星々は、しかし今には消えているのかもしれず】

【古くから続く封魔の土地】
【「継続」とは即ち「力」だ、時の流れを受けて尚も滅びないモノであるならば】
【それが物質としてだろうと形の無いものとしてだろうと「力」を宿す】
【そして「力」に集まる者がいる、丁度灯った炎に人々が集まるように……】

――――――――……

【その人影もまたそのひとつ】
【なんてことはない、封魔の領域で自身を研鑽する為にいたというだけ】
【だけど今日に限っては土地に漂う気配はどこか違っていた、微かな違和に「つい」と首を上げ傾げる】

……ひとつ、か

【瞳を閉じて視たならば力はどうやらかの城から】
【異質な煌き……そうそれは火の瞬きだった】
【踵を進め門扉からそうっと伺う、縁という程でもない侵入するのは躊躇われてただ顔をひょいっと出す】

【無垢色の白髪、伸びた後ろ髪は注連縄のように結ばれて】
【齢にして二十代程、宿す瞳は赤と紫白の異色というのに纏う雰囲気に険しさはなくどこか幼ささえ感じさせる】
【防刃ベストやアタッチメントの多いズボンはやはりというか近接戦闘を意識してのもの】
【微かに漂うは「退魔」の気質、腰元に収めている銀のナイフは装備の中でも目を引く事だろう】

…………っ……と、敵って訳じゃないんだけどな
なんだ、この感覚……あつさ……熱……――――――――

【受けた敵意、身体を一度ピクリと震わせながらも紫白は見つめたまま】
【ややあってから向き直り、ぽつりぽつりと感想を零す……何者か】
【紅色の少女、酷く直感的な話ではあるが少女が人ではないのではないかという疑問が言葉には含まれていた】

/まだいらっしゃれば!
913 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/05(土) 00:01:18.62 ID:FhLCm6fxo
>>910

【褒められるとふんと胸を張って見せるのだろう。その様は見た目以上に子供っぽい】
【身体能力には相当な自信を持っているのが窺えるだろう】


色んなひとに負けちゃったから、まだまだだにゃ
でもいつか絶対誰にも負けないくらい強くなってみせるにゃ

……くすし? ああ、お薬のことだね。何か妙なニオイがすると思ってたんだにゃ!
にゃ、一瞬で傷が塞がる薬ってあるのかなにゃ? あたいよく腕とか切ったりするんだにゃ
だから、あったらいいなーって思うんだけど――


【最高の薬師――薬を塗ってもらうことは多々あるものの、彼女が薬と関わるのはその程度】
【病気になんて極々稀にしかない。それも自然治癒を待つものだから、最高の薬というものを想像できないでいて】
【挙句実現しそうにないものがあるかと尋ね始める頭の足りなさだった】
【そも、薬師が何か、彼女はきっとよくわかっていないのだろう】

【目の前に鮭の切り身が現れると彼女は目を輝かせた】
【ぐう≠ェもう一段階グレードアップしたぎゅるる≠ニいう音が聞こえたのはきっと気のせいではない】
【彼女は遠慮なく切り身を頬張ると、満面の笑みを浮かべながら咀嚼するのだろう】


ふふん、気持ちいいでしょ。自慢だけど毛並みには自信があるんだにゃ!
これで銀色だったらもっとよかったんだけどにゃ


【くすぐったくはない様子だった。むしろ感触を堪能してもらえて満足そうですらある】


なるほどー……でも病気ってすぐ治るものじゃないにゃ
もしかするとお薬を渡して、それでバイバイってなるかもしれないけど、それでもいいのかにゃ?

あたいは、全部全部守るために最強を目指してるんだにゃ
何が起きても大切な人を守れるように。……理由はそれだけだにゃ!

もちろんだにゃ! あたいはシルバーキャット、銀猫って呼んでほしいにゃ!


【コンビニやスーパーを出た後、レジを打っていた人の顔を覚えていないように】
【薬が手元に来れば、売ってくれた人の顔など忘れてしまう。つばめはそれでもいいのだろうか】
【生まれたのはそんな、素朴な疑問だった】

【対して彼女は守りたい≠ニいうことに理由が集約されていた】
【あまりにも漠然としている理由ではあるが――本人は馬鹿真面目にそれを掲げていた】
914 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 00:08:37.22 ID:zdx+kelZo
>>911
「君が護衛を困らせているお嬢様って事は分かったよ、アイリーンちゃん」

【なんだお嬢様か】
【いやしかし、不思議と彼女が我儘を言って周囲を困らせている光景の想像が難しくない】
【つまりはそういう印象になってしまったのだろう、真か偽かは、この際置いておいて】

「ふーん、能力が分かればそれで良い、ね」
「一体それを何に使ってるのかな、是非とも教えて欲しいね」

【しかし、アイリーンは気付いているだろうか】
【この質問に真面目に答えれば、GIFT団員であると感付かれるかもしれない事に】
【まさに誘導尋問、渚が仕掛けた策略にまんまとかかってくれるだろうか】

「なんで能力が与えられたって?」
「そんなの、ただの偶然だ」
「意味も何もあったもんじゃない、"ただ、そこにそうある"ってだけだ」
「意味なんか……最初から、原初の時から、ない」

【自身の能力などに、能力を与えられた事などに意味はないと断じる】
【反論の余地も許さない、そんな様子で断じる】
【それはどこか、流されるままの受動的な態度が現れているようにも見える】
915 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 00:23:16.13 ID:qKKOVhD90
>>912
【櫻の者ならば紅の少女を妖魔と錯覚する。然れど、魔術を用いる国の者なれば――――さぞ、不思議に映るだろうか。無論、精霊等の存在に会った事があればまた別だけれど】
【まるで魔力の塊だ。所謂人間の“気配”だとかそんな物は感じられない。ただただ、魔力が人の形を成している様】
【…………生き物の気配を感じ取れば一瞬でも“敵意”或いは“殺意”を向ける程には純粋なのだろう。まるで獣にも思える程だ】

【其れを片手で制するのはこの城を治める主の娘だ。――――その者とはある程度打ち解けているのか、それより先も敵意を向けられる事は無く】



「エルフェス――――でしたか。妖狐の際にはお世話になりました
…………其処で顔を出すだけで無く、良ければ此方に来ませんか?貴方が踏み入った所で、捕まえに来る様な不躾な者もこの封魔城には居ませんから安心して下さい」

【僅かに笑みを見せたならば、入ったらどうかと誘う。名を正確に零した事から、青年の事も確かに覚えていた事が知れよう】
【紅の少女の手を引きながら其方へと歩み寄り、小首を傾げた。対して紅の少女は如何にも不機嫌だと言わんばかりで】

【天真爛漫、と記せば聞こえは良いだろうか。少なからず上辺だけの大人達よりはよっぽど素直だが…………】
【ジッと青年の顔を見上げれば、やがては顔を背けるのだろう。人見知り、と言うよりもただの我が儘な子供】
【月見を邪魔されたと言う其れから来るものだけれど――――……猫の様な気紛れな正確だ。何故不機嫌なのか、青年が理解出来る可能性はきっと低い筈で】



「しかし、どうかしましたか?戦闘の練習相手が欲しいならば手配しますし、旅の宿を探しているのでしたら今から家臣達に一室整えさせますが…………」

【そんな精霊を見れば当然浮かべたのは苦笑だ。然れどずっと構ってもいられない】
【何故此処に来たのかと問うて、必要な事があるならば何かしら手伝いはすると告げるのだろう】

【――――妖気だとかを感知するのには殊更優れてはいるが、魔力には少しばかり疎い】
【だからこそ、青年が精霊の魔力を感じ取ってここに来たとも分からず】
【……有りの儘に伝えてしまったって良いのだろう。少女に興味を持ったから話してみたいと言ったって、きっと拒否はしない筈だ】

/居りますよー!恐らく3時4時が限度かと思われますが宜しければっ!
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/07/05(土) 00:40:42.35 ID:ZIHJVU+5o
>>914

……流石の優しいアイリーンちゃんでも、そこまでは言えないんだよね。
あれだよ? プライバシーの侵害?ってやつ。 女の子の日常を探るなんて良くないよ!

第一キミの名前すらこっちは知らないのに、そこまで踏み込んだ質問はチョット困るっていうか……まぁコッチも悪いことはしたとは思ってるケド……

【余り頭は良くないということは間違いないが、重要な情報を何から何まで口から零すほど馬鹿ではない―――と言うか、きつく護衛から言われているだけなのだが】
【ボディーガードがいない状況でGIFTだと漏らした場合、もし彼が彼女を捕まえようとしたのならアッサリと出来るだろう。故にバレることだけは絶対に避けなければならない】
【そもそもボディーガードから離れる事自体タブー。その状態で能力を発動することは更にタブー。ルール違反が重なった結果の今の状況には、流石に反省の色は隠せない】

【しかしこんな事になったのは、彼女が悩んでいたからでもあった。アカデミア卒業から1年半、彼女がようやく実感していたのだ。遅すぎる実感は上層部が甘やかしたからだ】
【GIFTは無能力者を虐げ、時には虐殺している。GIFT戦闘兵―――つまりアカデミアで能力者になれなかった落ちこぼれもその例外ではない】
【人権の欠片もない酷い使われ方をしているのが殆どであり、多くの兵が使い捨てにされている。そんな現実をようやく感じた最近、彼女は悩んでいた】
【無能力者を虐げるGIFTの方針に疑問と反発を抱いている自分がいながら、GIFTによって厚く育てられた自分がいる。……これからどうしようか、ということだ】

―――偶然、なんだ。でも偶然にしては違いすぎるとアイリーンちゃんは思うな。能力1つだけの違いに見えるけど、それは大き過ぎる違いだと思う。
ある人が言ってたんだけど……アイリーンちゃんのような戦闘向けじゃないのは別として、「能力を持っているってことは見えない銃を常に持っていることだ」ってね?
―――銃の引き金を引けば、人を殺すことが出来る。能力者は常に能力という人を殺せる銃を持っているってことだって。
……銃を握りしめている人に対しては、普通皆怖くなって逃げたり、殺されないように媚び諂ったりするでしょ? 

最後にその人は言ったよ。―――能力という見えない銃がある限り能力者と無能力者は対等にはなれないって。無能力者は能力者に跪くしか無いって。
―――……アイリーンちゃんは正直、この意見に納得してる。でもだからって……見下すのは違うような―――って大分話が逸れちゃった。

【大会でも殆どが能力者。無能力者だとしても、特殊な道具などを使用しているとなれば実質能力者と言っても過言ではないのではないか】
【無能力者と能力者の差は大きい。それはアカデミアでも何度も教わり、能力者が優良種だと刷り込まれてきた。能力者は無能力者より優秀であると彼女も思っていた】
917 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 00:40:55.72 ID:RLrGah10o
>>915

お世話って程でもないさ、まだ未熟だし……だから未練もある訳で
―――――――そう言ってもらえるなら喜んでお邪魔します……けども、なんだ早速嫌われたか

【腕を組みぼんやりとした表情のまま紅の少女を見つめ頷く】
【ありのままの、本能のままの意志……受けた感覚を要約するならばこれだろう】
【未知に対する抵抗だ、恐らく少女はそういった自然的な側に居る存在か】

【だが納得出来たところで接する方法というのは思い浮かばない】
【どうしたものかと遠い黄金の真円を見上げ小首を傾げれば、城主から言葉、そちらへと意識を向け】

いんや……まあ修行はしたいけども、どっちかというと「退魔」系のスキルを上げたいといいますか
ホラここってそういう土地だろ?だったら都合がいいんじゃないかって適当に散策してた

けど、どうにも変な気配を感じて……いやこの場合は「視て」か
「封魔」の土地で、異質な魔翌力があればそりゃあ惹かれて来ちまうのは性ってモンだ
失礼な言い方かもしれないけどそっちのお嬢ちゃん、人間って枠組みにはいないだろ……?

【確信はあった、もしこれが外れているならばいよいよ瞳が壊れたか】
【不貞腐れたままの少女が聞いたならばもっと嫌われるかもしれない台詞を並べる彼は】
【しかし悪びれる様子なく淡々として、ほんの少しだけど微笑ましい瞳を向けていた】

/やったー、よろしくお願い致します
918 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 01:01:45.09 ID:qKKOVhD90
>>917
「まあ……そうですね。理には適っていると思いますよ
古来より妖怪達を封印していた土地ですから土一掴みでも下級な妖怪ならば嫌悪を示す程度には退魔等々も染み渡っています
尤も、その一掴みでどうにか出来る程妖怪達も甘くはありませんが…………」

【悪しき妖怪達を封じていた場所。ならば青年の考えだって合理的】
【居るだけで退魔の力が上がるとかそんな上等な場所では無いけれど――――何かしら手段を用いれば、人によっては己を磨く良い場所になるのは間違い無い】
【何を掴み取れるかは人次第なのだ。妖魔を下す力か、それとも妖魔を取り込む力か】



『知らない。わたし、知らないもん。――――嫌い』

【問われれば少しだけ視線を向けるけれど、直ぐにツイとそっぽを向いて】
【自然なんて気紛れだ。炎だって、人に恩恵をもたらしたり奪ったりする程に気紛れだ。この少女とて例外では無い事】
【だが、琴音に窘められれば僅かに頬を膨らませて】



『だって、本当に知らないもん。わたしの事をせーれーとか言う人間も居るけど、本読んだって難しくて分からない
あなたも同じ事をずっとずっと聞くなら、嫌い』

【外見は精々10歳から12程度。それでも本の内容は理解出来そうだが…………やはり、人間とは何処か“外れて”居る。せーれー……“精霊”の言葉が本当ならば、魔力の塊だって頷けるけれど】
【ぶすっとした表情はそのままであったけれど、一応は会話が成り立つ様だ。攻撃も加えてこないのだから――――まだ獣よりはマシか】
【そんな遣り取りをして居る最中にこの城の姫に近づくのは家臣の一人。文を手にして何やら耳打ちをしている辺り、穏やかな話でも無いのだろう】



「――――エルフェス、折角来て頂いた所申し訳ありませんが…………少しだけこの子、朱璃(シュリ)の相手をしてあげてはくれませんか?
本来ならば丁重に持て成したいのですが……どうしても無視できない文が届いたので」

【この城の存在する意味を理解しているならば、きっと妖怪関連。それも、人間に被害が出ている、と】
【その言葉だけ残せば家臣と共に城へと戻ろうとするが、呼び止めれば勿論もう少しこの場に居るであろう】
【――――精霊の少女と接している事が不安ならば、琴音を通じてコンタクトを取るのも手だ】
【それとも、直接自身で話して打ち解けるか…………それは青年の考え方次第で】
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 01:11:34.28 ID:Raj3xKOz0
>>913

そっカ……でも、アナタならもっと強くなれるって思うヨ!根拠なんて無いけどネ、本当にそう思えるんだヨ!

一瞬で傷がふさがるのは無いナー……薬ってサ、あくまで人間の自然治癒力を補助するものだかラ。
急に病気や怪我を治そうとすれば、それだけ副作用が出る恐れもある。だから、早く治る事だけが良いって訳じゃないんダ。
肝心なのは完全に治るかどうかってことだヨ。ゆっくりでもいいから、綺麗に治す――――それが、私の目指す治療だヨ!

【少女が子供っぽく胸を張るのを見れば、此方だって楽しげに笑顔を見せる。自慢げにしているのが何だか可愛らしくて】
【けれど、その可愛らしさの中に秘められた自信は本物。きっと本当に誰よりも強くなるって思いは本当なんだって思えた】

【――少女と同じように自分にも薬の知識に関しては自信がある。どんな病気も治すなんて、とっても大きな夢もある。】
【だから、少女の夢を聞いても笑顔こそ見せるが決して馬鹿にしたりはしない。頷いて、「ガンバレ!」なんて言葉と共に笑顔を見せて】


【――問われるのは薬を受け取った後の事。患者さんからの想い。……実は春燕は、此処に非常に重点を置いている。】
【暫く考え量に宙を向いて―――改めて少女、もとい銀猫の方を向けば語る思いの丈……】

―――患者さんが私の事を覚えてくれるかどうかは、どうだっていいんダ。
大事なのは、病気が治って幸せと感じて貰えるかどうかだかラ。
ワタシは誰かに自分の事を覚えて貰うために薬を売っている訳じゃなイ。笑顔になって貰いたくて薬を売ってるんダ!

それにネ……心配しなくても患者さんは覚えてくれてるヨ。
私の元に、いっぱい手紙が来るんダ!「あなたのお蔭で治りました」ッテ!
エヘヘ……お金より何より、そんな手紙が私の宝物なんだヨ!

【―――病気を治すのは、コンビニでレジを打つのとは話が違う。とても、とても大変な事だ】
【患者一人一人の症状と向き合って、それぞれに合った薬を調合する。出来る薬は千差万別、どれ一つとして同じものは無い】
【……だからこそ、何度も患者と話すし真摯に患者の事を考える。その想いがちゃんと患者にも届くから、忘れられる事も無い】


大切な人を護りたい、カ……
――ワタシにも大切な人がいるんダ。何があっても護るって約束した友達が……エヘヘ、同じだネ!

【大切な人を護る。―――漠然とした理由だけれど、自分にも同じ思いがあったから。銀猫の言うことも分かる気がして】
【頷くと同時に思いを馳せるのは、何があっても絶対に護ると約束した静かな友達の事―――】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 01:16:01.71 ID:zdx+kelZo
>>916
「あぁ、そういえば名乗ってなかったっけ」
「僕は渚 詩音、改めてよろしくねアイリーンちゃん」

【やはり、あからさまな質問では駄目か】
【ただ能力者を探す能力じゃないはず、つまり裏があるはずなのだが】
【そこで、ある一つの疑念があった】
【それに賭けてみよう、視点を変えて】

「それじゃあ……マリオンって人を知ってるかな?」

【GIFT団員ならば、知っているはずだ】
【あの暴虐非道、残虐、どの言葉を使っても生ぬるい程の邪悪を】

「だから、つまりは意識の問題なんだよ」
「能力者側が自惚れて、自分には特別な才能があるって思い込んで、だから見下す」
「でも中身は同じ人間、つまりは……なんていうか、器が少し違うだけで」
「ともかくだ、無能力者からすれば能力者はある種の天才なんだよ」
「そして社会は天才に厳しい、自分の利益を奪われないために何とかして排除しようとする」
「だから黙って跪いているわけじゃないんだよ、例えばそう、レイリスフィード大学が作ってる"ヒュドラ"のように」

【ヒュドラ――――GIFT団員なら、分かるか?】
【能力を暴走させる薬物、それは無能力者側の抵抗】

「ただ、見下さない能力者だっている」
「それらを無視して、見下す奴だけの言葉を真実にするのはいただけないけどな」
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 01:37:39.22 ID:RLrGah10o
>>918

妖怪、退魔……根本的にそういうモノが惹かれるんだろうかね、ふーん……
あながちオレの勘も的外れじゃあないな、今回は「例外」に会ったけども

【「例外」を見下ろす、瞳は、その紫白は一瞬硝子のように輝いて】
【さもありなんと苦い笑みを浮かべる、こうまで嫌悪を向けられるのはそれはそれで新鮮だ】

ああ、精霊……そういえば初めて見るわ、へー人の形をしてるんだ
……んお?……なんだきな臭い、危なくなったら呼べば助けるぜお姫様、そしてご命令は極めて了解
じゃ、気を付けて行ってきな

【朱色、炎、魔翌力……人ではないが人として振る舞う】
【自然と繋がる、いや自然を人の形に押し固めた現象とでも云えばいいのだろうか】
【そう考えると目の前の少女へ畏れのひとつでも抱きそうだが、幼い様はどうにも毒気を抜かれる】

【どうしたものかなんてぼんやり見つめていれば、城主の傍らでは何やら急を告げていた】
【仕事といえども休まる間もない、息災をなんて適当に言って見送り……さて】

んで……シュリでいいんだっけ?そのシュリ様はどうしてこんな所に?
精霊ってのはこう……なんだ?自然界にいるもんだとばっかり思ってたけど?

【取り敢えずは疑問から入る】
【興味もあるしそれに自分の事を話すのは苦手だった】
【まあ反応がなければそれまで、ひとまずはどこか座る場所でも探して人心地つけようとするのだった】
922 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/05(土) 01:52:56.34 ID:ZIHJVU+5o
>>702

詩音クンっていうんだ、女の子っぽい名前なんだね……見た目もちょっとソレっぽいし。
マリオン……んー……名前はー、聞いたことがあるかなー……って、感じ?

【白い肌に中性的な顔立ちの彼を、後ろ手を組みながらじーっと見つめる彼女だったが、マリオンの名前を聞いて少しだけ瞳が揺らいだ】
【―――話したことはないが、同じGIFTメンバーとして存在は勿論知っている。怪しげな反応だったが、告げた言葉は正直なモノだった】

うー……ん、アイリーンちゃんにはちょっと難しいなー。ヒュドラ……ってなんだっけ、名前はどこかで聞いたことが……「やっと……見つけまシタ」

【今まで話して分かる通り、彼女はあまり頭が良くはない。まるで頭から煙が吹き出しそうなほどに困った顔で首を傾ければ―――突然、別の声が突き刺すように響いた】
【―――アイリーンの後ろに、灰ずくめの女性が立っていた。色の格好に身を包み、口元までも灰色の布で覆い隠した、額に暗視ゴーグルをつけている白い長髪の女性だ】
【その声を聞いた瞬間、アイリーンの身体が急に強張りを見せ、みるみるうちに顔が青くなった。勘が良ければ分かるだろう。……彼女こそ護衛なのだ】

「……ッハぁ、ッハァッ……3時間只管ッ……不安の中でッ、人混みを……ッはっ、掻き分けていたワタシの気持ちが……ッハァっ、フゥっ……分かり……まスカ?」
―――その、ユーリ……ごめんなさい……流石のアイリーンちゃんも猛省してますです……

「……申し訳ありませン。ウチの優花サマは恐らく無礼な発言をしたでショウ。優花サマは残念ながらアホなのデス」
「ですが優花サマは無能力者であるワタシを見下さずにいてくレル。それだけは伝えておきたかったのデス」

【ユーリと呼ばれた彼女は息を切らし掠れた声を飛ばしながら、彼女を力強い眼光で睨みつけた。アイリーンは縮こまってしょんぼりとしている様子だった】
【説教は後だ、と言わんばかりに視線を切ってから詩音へとユーリの瞳が向いた。気配も見せずにアイリーンの後ろに立った、ということだけでもある程度の実力は分かる】
【暗殺者を思わせる風貌もあり詩音にも鋭い眼光が飛ぶかと思いきや―――そんなことは無かった。息を整えればユーリがしたことは頭を下げることだった】

923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 01:58:25.31 ID:qKKOVhD90
>>921
【琴音が居なくなった途端にペタンと尻を地面に着けて。作法について厳しく言われずとも、最低限の礼儀だとかは詰め込まれていたのだろう】
【ある意味では今の姿が有りの儘の少女だ。青年に視線を合わせることも無く、砂利を手に取ったり地面に指で絵を描いていたが】
【――――ピタリ、とその動作が止まったのは問いを聞き終えてからだ。暖簾に腕押しにも似ているか。反応が返ってこない、かと思えば…………】



「シュリ。いっさから、名前貰ったの。それまでは、ずっと“わたし”のまま」

【元は名前が無かったのだ、と。其れもそうだ。焚き火の一つに名を与えないのと同じ事】
【然れど、こうして今“シュリ”と言う名を得ているという事は――――それまでに様々な事があったのだろう】
【名前を送った者の其れを青年が知っているかは分からないけれど、そのまま構う事無く言葉は紡がれて】



「森の中をお散歩してたら、琴音に会ったの。襲ってきた動物を壊してた時。今日みたいに、月が綺麗な日に会って、色々話した
そしたら、住む場所とかをあげるから着いて来いって。だから、ここに来たの
ずっと森で独りぼっちでつまらなかったけど、五月蠅いのも嫌いだから。…………でも、此処は五月蠅くないから居るの」

【壊したとは即ち殺した事。幼い子供がする事は残酷で――――恐らくは獣も原形を留めては居なかった事だろう】
【能力者からすれば“敵”で一般人からすれば“脅威”に成り得る存在。琴音もこのまま放置していれば何れ死人が出ると判断したのだろう】
【封魔城へと誘い、今に至る……と。確かに此処ならば妖魔達と戦った兵ばかり。そう易々とは惨事にならないだろうから、妥当な判断】

【五月蠅い、とは恐らく精霊を捕らえようだとかしてくる者達。又は、本能によって突き動かされた魔獣達】
【此処ならばそんな者達も居ないから、と。チラリと背後を見遣れば城の外に誰も居ない事を確認して、突如立ち上がるのだろう】
【門へと向かって歩み出す。その足は裸足であって、やはり人の子とは異なるのだと改めて実感できるよう】



「――――お散歩。月が綺麗だから
静かな夜だから…………琴音には、内緒にして」

【本当に気紛れな存在だ。月が綺麗だから散歩をしたくなっただなんて】
【少しの間だけ紅の双眸で一瞥したならば、そのまま城の外に出るであろうか。――――この子の相手をしてやってくれと頼まれた青年。お守りをしろとは告げられていないが…………このままでは何処に行くのかも分からない】
【後ろから付いていってやるなり、或いは手を繋いで一緒に散歩してやるなりしてやれば良いだけ、だが】
【仮に手を繋いだところで不思議そうに見上げても掌を焼くなんて事は無い。強いて言うならば、掌に熱を感じる程度の体温に驚かない様気を付ける程度か】
924 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 02:16:57.42 ID:RLrGah10o
>>923

――――――――………

【少女の独白を何も言うでもなく聞いていた】
【名前の無き者がどれほど壊そうと誰がそれを責める事が出来ようか】
【人の法は人にしか当てはまらない、少女は違う、それが答え】

【悲しみもない、ただ少女は自分にとって不快な物を排しただけ】

月、ね―――――――
それくらいの責務は、果たしてもいいだろ

【浮かぶ月はどこか淋しげに見えた】
【ぱたぱたと歩き出す朱色の少女の姿、その背中を歩き追う】
【少女の奔放さを咎める事なんて出来はしなかった】

綺麗なのは分かるけど一人は危ないよ
ほら、せめて誰かといたほうがいい。でないと後で姫様が怒っちまう

【やんわりと頭を撫でて歩みを合わせる】
【仄かな暖かさは精霊故だろうか、どこか猫の体温を思い出し微笑んでしまって】
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 02:19:04.81 ID:zdx+kelZo
>>922
「……………ほっとけ、そこは」

【容姿についてあまり突っ込んでもらいたくはない】
【こんな容姿でも中身は男なのだ、可愛いと言われてもあまり嬉しくない】
【……と、気を取り直して】

「じゃあ、そいつが何やってるか教えてあげよう」
「そいつはね、無能力者を虐殺するんだ」
「この前なんか死体に爆弾を仕掛けてたよ、ほんとひどい奴だよな」
「なんだっけ、そいつが属してる組織――――あぁ、そうそう、GIFTだ」
「あんな奴がいる組織なんて絶対まともじゃないよな」

【アイリーンに工場であった出来事を語る】
【語ると言ってもマリオンの所業のごく一部なのだが】

「それでさ………」

【次の言葉は出なかった】
【いつの間に、居たんだ?】
【呆気に取られて、二人のやりとりを眺める】
【ユーリと呼ばれたあの女性が護衛、らしい】
【そして、そのユーリと呼ばれる女性はあろうことかこちらに対して頭を下げてきた】
【何が何だか分からない、何もされてないというのに】

「あ、あの………頭を上げてくださると助かるんですが……」

【はっと我に返り、ユーリに頭を上げるよう頼む】
/もう眠気が限界……持ち越しでお願いします……
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 02:31:44.74 ID:qKKOVhD90
>>924
【嫌っていた、けれど。頭を撫でる手を振り払ったりはしないのだからよく分からない】
【――――所詮は自然なのだ。何時牙を剥くかも分からないのだから、道理ではあるが】
【子供が撫でられる時と同じ様に目を細くすれば、気儘に歩くだけだ】

【何処に行くと目的も宛ても無い旅。月の色合いに染められた世界をフラリフラリと彷徨うだけ】
【自分が満足するまで、何も考えずに。満たされるまで、ただ自然を感じている】
【…………やがて着いたのは城から数十分ほど離れた場所だ。岩を椅子の代わりにして座れば地面に届かぬ足をぶらぶらと遊ばせて】



「える……える、ふぇす…………?あなたの、名前
さっき琴音と話してた時に、そう呼んでた」

【ここで漸く拙い言葉で問うたのは青年の名だ。道中で摘んだ花を弄びながら、チラリと視線を向けて】
【全くの無関心、でも無かったのだろう。その名を覚えている程度には】
【弄っていた花もやがては枯れ、消えた命に興味を失ったかの如くそれを足元に捨て】



「えるふぇすはせーれーって何だか知ってるの?
わたしは色々本を読んだけど、難しくて分かんなかった。人間と違う事だけは分かるけど、でも後は知らない
人間達がせーれーって五月蠅かった、から。…………敵?」

【自分の種族も分からず、最初は名も持たず。其れはそれで寂しい生き方であった】
【――――精霊とは何だろうか。自身の事をそう呼びながら迫ってくるのは武器を持った人間達ばかり。ならば精霊とは人間の敵なのか】
【聞いたのは、そんな事だ。生き方を知らず、ただ思うがままに生きてきただけ。だから、疑問の解決の仕方だって分からない】
【……自分という種族は、果たして何なのか。人間の滴なのか、と】
927 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/07/05(土) 02:45:13.52 ID:ZIHJVU+5o
>>925

うん、まともじゃないよ……そんな組織……。

【アイリーンの表情が大きく曇った。同じGIFTメンバーなのに、マリオンという男がそのようなことをしたということは聞いていない】
【無能力者を虐[ピーーー]る必要はあったのだろうか。いやあったとしてもするべきではないと思う。人殺しなんて、いいものでもないから】
【―――アイリーンの背後へと寄る中でそのやり取りを聞いたユーリは、一瞬舌打ちをしそうになったが寸前で止めた】

【上層部からの命令だった。―――出来るだけ彼女に、牧嶋アイリーン優花にショッキングなGIFTの情報を与えるな、との】

「―――弱肉強食という言葉がありマス。……無能力者は能力者より弱い。だから虐殺されたのデス」
「……マリオンという男を恨むより、弱い自分を恨め―――そういう考えもあるということデス」

……わかんないよ、どうすればいいか。

【ユーリが一瞬だけ、詩音に対し向けた鋭い眼光。研いだナイフの切っ先が喉元に突き付けられているかのような威圧感は、決して紛い物ではない】
【直後零れた言葉は、無能力者を見下すようなニュアンスの混じったモノで。彼女自身が無能力者だと先程言ったばかりだが、確かに彼女の口から放たれた言葉だった】
【その一方でなにか言いたげな、複雑な表情を見せるアイリーン。何に対して「わかんない」のかは解らないが、その苦悩の重さが伝わるような苦しい声】

「兎に角此処ら辺で失礼しマス。1秒でも早く家に帰ってこのアホに説教がしたいものですカラ」

えっ……ちょ……あ、パーカー引っ張るのやめて、伸びるっ、伸びるから〜〜〜ッ!!

【だがアイリーンの暗い方へと向かう思考を妨げるように、彼女のパーカー、そのフード部分をがっしりと持って引き摺るように去っていくだろうか】
【―――なんとなくユーリの動きからは、コレ以上アイリーンと詩音に会話をさせるわけにいかないという意志が感じ取れた】
【完全に詩音の姿が見えなくなった所で、ユーリはアイリーンに話しかける】

「……完全にGIFTってバレてまスネ。それも含めて説教デス」

【メガネのレンズ越しに見えるアイリーンの双眸から涙が零れそうになるのが見えた】

/すみません、ここで〆とさせて頂きます!


928 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 02:52:07.39 ID:RLrGah10o
>>926

【自然はただ在るだけだ、それを御するなど考えてはいけない】
【人は所詮自然に寄り添うて生きるしか出来ないだろう、過去も今もそして未来もだ】
【いつか人が惑星を食いつぶす程まで成長したならば話は変わるかもしれないが……幾多の未来を語っても意味はない】

(自然の寵児にとっては自然が無くてはならない……か)

【かつて自分があった世界を懐かしみ肌身に染みるよう想い想いに舞う姿】
【満たされたならばそれで良い、付き従うのもなんというか別に嫌いではなかった】

【やがて少女が岩に腰を降ろしたならば青年も同じく反対側へと腰を降ろす】


そう、誰がつけたかは知らないけどそれがオレの名前

【名前に実感が伴わない】
【その理由は知っている、記憶の喪失】
【過去から連続する筈である記録の消失は名前さえも曖昧に感じさせている】

【それこそ朱璃と呼ばれる少女の方が確からしさを持っている】


なんだお前……オレのどこを見たらそんな頭の良さそうな人間に見えるんだ?
まー……なんだろう、精霊ねえ……謂わば自然の発露、人として振る舞う自然、力の権現

【生命が大樹ならば人間という種族が位置する場所は樹の枝】
【精霊は樹の幹だろうか、つまりは人より遥かに根源的な存在】
【だけどそれを言葉にするのは難しく、エルフェス自身も要領を得ない】

ああ、人間が迷惑を掛けたんだな……そいつは申し訳ない

【愚かな人間はやはり少女に武器を向けたのか】
【人事と云えばそれまでだが、人間として相対しているからには申し訳なくあって】
【それを示すように視線を下へと落としていた、きっと少女からは伺えない】

人間はね、なんというか色々な人格をもったやつが多くてさ
そいつは悪人だったり善人だったりで……一概にも誰が敵か味方かは言えないな
ただ確かに言えるのは、あの姫さんとオレはお前の敵ではないよ

【人が精霊の敵か、語る術は分からない】
【ただひとつふたつの確かな事だけは一言一句間違えぬようにゆっくりと伝える】
【出会って間もないなんて理由にもならない、敬意を払うという行為は対等であるからこそすべきことだから】
929 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 03:17:29.42 ID:qKKOVhD90
>>928
「ふーん……そっか」

【己から問うたのに、反応は実に素っ気ないものだった。何で何でと聞く子供らしさが其処には無く】
【――――何と無く分かったような、分からない様な。ただ、自分の敵では無いと分かっただけでも大きな成果なのだろう】
【背中に小さな温かさを感じたならば、それは少女が青年を背もたれ代わりにしている証】

【自分なりに、青年の言葉を反芻してみる。だけれどやっぱり、難しくて】
【もう一度「そっか」と呟いたのは、取り敢えず敵では無いと自分なりに解釈できたから】
【何と無く月明かりに手を翳してみる。当然、血潮の流れだとかは見えないけれど――――ぼうっと浮かぶのは魔力の流れだ】



【不意に、背中の重みが無くなったと思えば。青年の前に立ち、少女は背伸びをして額に触れようとするだろうか】
【何の意味も無い、ただの戯れ――――で無い事はその掌に集う魔力から分かる筈だ】
【確かに“炎”の魔力の塊なのに、熱を持たない。即ち、焼き殺してやろうだとかそんなものでは無く】



「人間ってよく分かんない。いっさとか、えるふぇすみたいなのも居れば急に痛い事してくるのも居るんだもん
変なの。でも、いいや。“五月蠅くない”ならべつに

――――比べっこ。ずっとずっと前に、誰かから教えて貰ったの
人間とせーれーでする時の遊びで、人間がせーれーに勝った時、その人に力を貸してあげなさいって」

【“くらべっこ”文字に表せば何とも微笑ましいかもしれないが――――その実、“契約”に似たモノでもあるのだろう】
【世界は広い。中には精霊と契約してその力を借りる者も居る、なんて。契約の方法だって様々で、仲が良かったり先祖代々伝わる精霊と契約したりとあるけれど】
【古来から続く事。その一つ魔力の比べ合いであった。精霊に匹敵、或いは打ち負かした者はその力を使役する事が出来る、と】

【少女からすれば、暇潰し程度の戯れで在るのだろう。例え受けた所で青年は死にはしないし体の欠損だとかも無い】
【ただ、もし受けたとなれば――――尋常ならざる熱が体を巡るはずだ。体の内から燃えているような感覚。……だが、感覚のみ】
【然れど耐えがたきものであるのは確か。手から額を離せば、体の調子だって普段通りに戻る筈だ】

【――――契約をするだとか、そんな事を考えずただ驚かせてやりたい程度の考えなのだったのだろう】
【それこそ、少女と契約するにはその魔力に抗いきれるだけの力が無ければ無理な話なのだ】
【戦闘をすれば青年が勝つことは間違い無い。だが…………契約に関してのただ純粋な魔力の勝負に関しては、如何なものか】
【……元々、契約の際の儀式なんて様々な事を知っていなければ分からない事だ。ただ純粋な悪戯と驚いてやれば、きっと楽しそうな笑みを見せるのだけれど】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 03:39:55.95 ID:RLrGah10o
>>929

ん―――――――

【預けられた体重はやはりというか軽かった】
【それでも不思議と温もりがあるのは精霊故か、ふと視線だけ向けてにべもなく戻す】

【僅かな一跨ぎ、過ぎれば重みは消える】
【なんだろうと顔を上げれば少女の影、そして掌】
【扱う魔翌力に紫白の瞳は呼応するように輝いた】

よくわからないのが人間なのさ、ちょっと増え過ぎたってのもあるかもだけど
んで、比べっこ?そういう歳でもないけど……ここで断るのも大人げない、いいぜ遊ぼう

【ふふ、と鼻を鳴らし笑う】
【見ため相応の事を言い出した姿がとても微笑ましかった】
【その微笑ましさに応える位の心意気は、喩えどんな状況でも持っていたい】

【渦巻く魔翌力がなんであろうと】
【ただ不思議と害を成す物とは思えなかった】

―――――――っ

【やがて触れて、青年は息を飲む】
【脊髄に赤熱した鉄を直接流し込まれたならばこのような感覚なのだろう】
【身を焦がす熱、埒外の熱量に思わず朱璃の掌を剥がそうと手を伸ばそうとするが】

【額に汗を流しながらも浮かべる悪戯な笑みがそれを許さない】
【元より痛みには慣れている、記憶を失おうと身体に刻まれた物は安々とは風化しない】
【なによりもエルフェスという人間は変な所で負けず嫌いだ】

―――――っち、……っ!だあっ!

【エルフェスという個体、魔翌力に対する抵抗は一般人と同等】
【或いはどこぞの魔術師ならば耐えて尚も燃え盛るだろうが、どうやら彼はここまでらしく】
【奥歯を噛み締めていてもやがては限界を迎えてか脱力しグテンと前のめりに倒れる、燃え尽きたが如く】

……ふー……あっつー!お前、朱璃少しは加減って物をだな……
幾らか耐えられると思ったけど駄目だったなー、火花でも散りそうだったぞマジで

【汗を拭って顔をあげたらかの少女は楽しそうな表情】
【それだけ見ることが出来たならば我慢したのも救われるし報われる】
【肩を竦めてみせたならそれは「参りました」の意であった】
931 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 04:06:43.02 ID:qKKOVhD90
>>930
【熱が去るのは一瞬であった。掌から額を離してしまえば尾を引く物も無い】
【攻撃の意思が無いのは、その事からも分かる。思わず触れられていた所に手を伸ばしたって火傷特有のジンジンとした感覚すら無いのだから】
【意味も分からずに行った事。これまで、多くの人間が其れで驚いたからきっと青年もそうなのだろうと】

【――――目論見は成功して。キャッキャと楽しそうに笑ったならば汗を拭うその仕草を楽しそうに見るのだろう】
【確かに少女は“焔”である。だが、其れに触れたところで火傷を負うことは無い――――そんな不思議な焔だ】
【そんな様子を見て機嫌を良くしたのだろう。不機嫌に頬を膨らませたり笑ったりと、本当に掴めない性格。同じ形を維持しない炎を表したかの様】



「ちゃんと“壊さない様に”頑張ったよ。だって、えるふぇすは敵じゃ無いなら悪い人じゃ無いんでしょ?」

【返した言葉は的外れ。傷付けないように頑張ったと言い張るのだが――――青年の手加減しろとの言葉に対しての言葉とは到底思えず】
【それでも楽しそうに話しているのだから良しとするか否かは青年次第だ】
【――――掌に火の玉を作り出せば転がして遊んでみせる。危ないようにも見えるが…………少女に取ってはこれが普通なのだ】

【生まれた時から自分の作り出した炎は手足の様な物。“花火”と聞けばその手も止められて】
【……火の玉に流し込むのは更に大きな魔力であった。ぽい、と空に投げて数秒後――――大きな音共に、色取り取りの火花を散らせる花火が一つ】



「――――花火っ!!えるふぇす、花火見たかったの?
だったら、ほら、沢山あるよ!」

【またしても青年の言葉の意味を取り違えたのだろう。誇らしげに笑って見せれば、また作り出して】
【…………背に生えるのは炎で作られた翼だ。羽ばたけば熱風が吹き抜けるけれど、皮膚を焦がす程でも無い】
【思えば考えずに行動する。本当に自然を具現化した片鱗だ】

【空を舞い、適当に作り出して宙へ放り投げれば少しだけ早い花火大会が其処では開催されて】
【凝った物では無く、子供がキャンバスに適当に絵の具をぶちまけた物に似ていて芸術性は無いが…………其れはそれでまた美しく】
【少女から贈られるくらべっこにある程度まで耐えたご褒美、とでも取れば良いだろうか】
【――――やがて戻って来たならば、満足そうな表情だ。総数は実に数十発。休み無く作り出せるのは精霊故】
【言葉は無いけれど、まるで花火大会はどうだったかと問うかの様な沈黙】


/っと、申し訳無いのです……そろそろ時間の方が……
/持ち越し、置きレス移行、或いは締めのお好きな物を選んで頂ければ幸いでありますっ
/締めの場合は土日の間にお返しさせて頂くのですよっ!
932 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 04:25:11.96 ID:RLrGah10o
>>931

壊さないようにって……命は物じゃないぞまったく……
精霊に説くのはどうかと思うが朱璃は生命の繊細さを学ぶ必要があるな……。

【少しばかり思う所はあるのだけど無邪気な姿はそれだけで強く】
【要するに笑顔に弱い青年は頭を垂れて仕方無さそうに、肩を竦めた】

(しかし、なんというか……実際に見てみると「精霊」だっていうのが理解るなあ)

【その姿は炎その物だった】
【舞う赤色は熱の煌めく姿、それが空に流れたならば弾けて季節に早い花火を描く】
【職人が作る物のように百花繚乱とはいかないけれど、どこか安心出来る明るさ】

―――――ああ……たった一人の為にしちゃあ贅沢だな

【無垢に羽撃く炎の娘はさながら赤紅纏う不死鳥を思わせた】
【舞い散る光は暗い夜空を賑やかに彩った、それが自分の為の物ならばひとしお】

うん、季節を先取りするのも悪くはない綺麗だったよありがとな

【誇らしげに見えたのは気の所為でないと思いたい】
【掌を伸ばせば先程と同じように、だけど今度は少しだけ強く頭を撫で廻す】

/明日ならば15時辺りまでならばいられますので持ち越しをしていただいてよろしいでしょうか?
/ちなみに深夜も空いておりますので!
933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 04:37:08.61 ID:qKKOVhD90
>>932
/了解でありますよ!恐らく深夜になってしまうかと……
/明日となると日にちは7月6日の認識の方で宜しかったでしょうか……?
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 04:47:41.95 ID:RLrGah10o
>>933
/あいや間違えました本日であります!
/本日は21時程まで用事があるのでそれ以降でしたらば空いているのです
935 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 04:49:24.75 ID:qKKOVhD90
>>934
/申し訳無いのです……改めて把握でありますっ!
/それでは、恐らく夜の10時半からその辺りにお返し出来るかと!一先ず、お休みなさいませでありますっ!
936 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 12:08:22.55 ID:zdx+kelZo
>>927

「…………さて、どうやらクロか」
「いや、グレーと言った方が正確……どちらにせよGIFTの団員である事は間違いない、か……」

【ユーリに連れられるアイリーンを見送った後、一人呟く】
【マリオンの話をして、アイリーンが動揺したのを僕は見逃さなかった】
【観察力だけは一応ある、あまり褒められたもんじゃないが】

「しかし、厄介なのはあのユーリって人だな……」
「あの人は――――――一好きじゃないタイプだ」

【無能力者と自身で言ったばかりなのに、無能力者を見下すような口調】
【それはまるで、金魚のフンのように強者にくっついて、自分も能力者と同じ、強者だと誇示しているように見受けられた】
【そういう人間は、嫌いだ】
【もし僕だったなら甘んじてその立場を受け入れ、ゴミのような扱いをされたって構いやしないだろう】

「しかし、ともかく……」
「アイリーンちゃん、まだ救いはありそうだな」

【あれは、明らかに人殺しを拒否する目だった】
【うまく説得して、うまく利用してやるとしよう】

「………あれ、そういえばなんで僕はGIFTを潰す事になってるんだ?」

【そういえば、よくよく考えるとどうしてこうなったのかが分からない】
【マリオンの一件のせいだろうか、いや、それも少し違う気がする】

「……ま、良いか」
「戯言だ、どうせ」

【いつの間にやらそういう流れになっていたのだろう、考えるのをやめて、歩みを再開する】
【自分の意見は持たない、流れにただ身を任せて流れるだけなのだから】
/遅れました、ありがとうございました!
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/05(土) 13:30:51.00 ID:5aXDVQ/M0
【空を覆う黒い雲は、足元のレトロなレンガ道を濡らす雨雲だった】
【梅雨という時期が終わりを見せるのはいつだろうか、ここ数日は唐突な雨が多い気がする】

ふぅ…、もう……困ったな…長い時間は外出できないのに…

【朝から怪しかった雲行きは見事大当たりで、今は数メートル先まで濡らす滝のような雨が広がっている】
【傘があっても防ぎきれない、困った雨量の天候だ】
【雨宿りができているからこそ無事なものの、あの中では目を開けることすら辛い】

【程よくこの辺は田舎のようだ】
【周囲にはコンビニや飲食店などの雨宿りに適した手ごろな店もない】
【倉庫か何かだろうか、屋根のある使われていない廃屋がこの一帯に唯一の雨宿りの場所だろう】


……くしゅん、 あんまり外は出ないほうがいいんだけどな…

【そして先客が一人だけ】
【この天候に翻弄されたであろう、哀れな人だ】

【薄手のコートの端をぎゅっと絞りながら怪訝そうに空を見上げる少年】
【小柄で線の細い華奢な白髪の少年】
【雪のように白い肌と赤色の瞳は全体的に薄い色素を思わせる】
【薄手の灰色のコートを身に纏う】
【初めて目にすれば女子のようで、子犬のような印象を受けるだろう】

【儚げな人物の存在は、注意せずともすぐに気づくだろう】

【気がつけば雨は勢いを増して苛烈になってくる】
【ただでさえ強かった雨だ、たとえ傘などを持っていても破損の予感を感じられずにはいられないかもしれない】

【雨宿り場所は十分に広い】
【少し、隣を貸してもらってもいいかもしれない】


/予約です!
938 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 13:52:03.05 ID:zdx+kelZo
>>937
【ひどい雨だ】
【空は一面黒い雲、そこからはざあざあと滝のような雨が降り注いでくる】
【一応、前兆はあった。あったからこそ。普通ならば対策は打てた】
【しかし、あろうことかこの僕は、「まあ大丈夫だろ」と高をくくり、その結果このようなひどい有様になっているのである】
【もう雨に打たれるなんてレベルじゃない、シャワーでも浴びてるみたいに僕は全身にそれを身に受ける】
【ずぶ濡れなんて言葉すら足りないくらいに、全身が水で濡れている】
【白い肌はふやけ、塗れて艶がかった黒髪から水滴がポタポタと垂れる】
【今日は制服じゃなくて本当に良かったと思う、無地の灰色の長袖のTシャツとジーンズ姿だったのが不幸中の幸いか】

「はぁ、僕の注意力のなさに怒りを通り越して呆れるな」

【そして、どうせ走ったところで結果は一緒と呑気に歩いている】
【しばらく歩くとちょうど雨宿りができそうな、倉庫のような場所がある】

「丁度いい、先客がいるみたいだけどちょっと休もう」

【と、先客の少年を一瞥して屋根の下へと入る】
【先客の少年と同じように白い肌、女性的な顔立ちと共通点があるが】
【さて、それにしてもポタポタと服から髪から水滴を垂らす全身びしょ濡れの少年を見て何を思うだろうか】
939 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/05(土) 14:09:18.92 ID:5aXDVQ/M0
>>938
【コートに染み込んだ水を絞って次はぐっしゃり濡れた髪の毛に手を伸ばす】
【少年の細く柔らかい髪の毛は水分溜め込んで水をポツポツと落としている】

風邪引くかも…くしゅん。………あ、

【そういって今後の自分の体調を憂いていて、初めてこの雨宿りに来た少年に気づく】
【その姿は自分と同じだ、この不機嫌な空の天候に惑わされたのだと】
【少しだけ自分の右側を空けるように場所を譲る】


………………。


【こんなときに何か手ごろなタオルなりを持っておけばよかったと後悔】
【自分はともかくほかの人もいるなら何かできればと、思った】

【そして、頭を過ぎるひとつの感情】


え、えっと……


【―――――き、気まずい!】



【雨音が支配する空間】
【たとえそれが聴覚を支配してもうとても静かとは言えない場だとしても】
【誰かと二人っきりというのは息苦しい】

【そんな思いで、少年は口を開いた】


雨、すごいですね。 傘持ってくればよかったです…

【苦笑いで隣人に話しかけてみた】
【少女にしか見えない、その明るい口調と表情で】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 14:20:55.48 ID:zdx+kelZo
>>939

「え、あぁ、そうだね」

【唐突に話しかけてきた少年に反応する】
【見てみると自分と同じ状況だ、いや、自分よりは程度が軽いか】
【兎にも角にも、自分と同じ境遇の人だと知って同属意識が湧いてくる】

「ったく、制服着てこなくて良かった…」

【誰に言うでもなく、そう零す】
【この言葉で少年が学生であると分かるだろう】

「いや、それにしても……」
「いつ止むんだろうね?この雨は」

【そして、どうせこのまま黙っていても暇なだけ、むしろ気まずさによってかなり居づらい状況になってしまう】
【なので隣の少年の方を向いて話しかける。ちなみにこちらも相手を女子と思っているようだ】

「尋常じゃない被害だろうな。川は氾濫し、人は流され、家は浸水し……」

【そしてこの大雨で起こっているであろう被害を淡々と分析していく】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/05(土) 14:34:12.08 ID:5aXDVQ/M0
>>940
学生さんなのですか…?

【首を傾げて聞く】
【さて、どこの学校だろうかと考える】
【あまり詳しくはないが、友人の通っている学校なのか―――】
【同級生さんなのかな―――――なんて思考を広げつつ】


にわか雨だといいんですけど…、僕はあまり外に出てはいけないので……


【外に出てはいけないとは何だろう】
【病弱とかだろうか。確かにきめ細かく白い肌は顔色がいいかといわれたら微妙なところだ】

【雨に滴る濡れた髪の毛を耳にかきあげながら口を開く】
【もしこれが台風とかなら数分で止んだりはしないだろう】


そ、そんなにひどくなるのですか!?


【びっくりしながら隣人のほうを向いた】
【確かにこの雨にはそんな勢いがある】

【この雨が数時間と続けば確かに、テレビで騒がれる程度には被害が出るかも知れない】


【そして、そんな屋外にいる自分】


………………。


【少年の顔色が悪くなるのは、きっと自他共にわかるだろう】
942 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 14:49:39.91 ID:zdx+kelZo
>>941
「外に出てはいけないって………出たくないか出れないの間違いじゃないの?」

【外に出てはいけない、何だか監禁でもされているのかという物言いだ】
【しかし、少年の顔を見てみれば、あまり健康そうとは言えない顔色】
【病弱で病院に入院しているから出れない、という可能性もあるかと思考】
【しかしそうなると、そうだったらこんなびしょ濡れじゃもっとまずいんじゃ?という結論に行き着く】
【とりあえず深く考えるのはやめておこう、追求するのも悪いだろうし】

「そりゃあ、これだけ降ってりゃね……」
「すぐに止むなら、大した事にならないだろうけど」
「…………って、どうした?」
「元から悪い顔色がさらに悪くなってるけど」

【さりげなく失礼な事を言ってしまったが、気にしてはいけない】
【しかしこんなところで倒れられたらさらに困った事になる、取り敢えず少年に近づいて様子を伺ってみる】
943 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/07/05(土) 15:05:43.92 ID:5aXDVQ/M0
>>942
いや……その、ちょっと諸事情で…あんまり長い時間は外を出歩かないほうがいいんですよ…


【出歩かないほうがいい】
【その言葉、そのニュアンスから病弱とも違うのか】
【外に出てはいけないなにか、事情があるのだろう】


い、いえ、別に大丈夫ですよ!

【そりゃ貴方の不気味な予測の言葉のおかげですなんて】
【そんな台詞は口が裂けても言わない勢いでごまかす】

【首をぶんぶん横に振って平静を保つ姿をもってしても、若干悪い顔色は変わらなかった】


ほ、ほんとに大丈夫ですからっ!


【そして、そんな女性的な顔で近づかれてらそれはそれで顔色は変わりそうな】

【ついでにこの同じ雨宿り仲間の人物の性別は、正直わかんない】
【自分がこんな顔のおかげで男女の差を外見だけでは易々と判別しにくいのだ】

【かつて完全に女性と間違えられた挙句、ほんとに男性か確かめるためにガッシリ掴まれた以来
自分の容姿の女性らしさと、他者の観察が多くなった】
【ゆえに、この目の前の人物が男性か女性かはっきりとは分からないが、ドキドキするのはごく自然のことなのかも知れない】
944 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/07/05(土) 15:18:46.31 ID:W0jsYTmfo


【―――パラパラと降りだした霧雨が、酒場の窓に付着し始めた頃。】
【季節は梅雨を超えて、そろそろ夏に入ろうとしていると言うのに、此処の所寒い時期が続いている様だ。】
【その酒場の"店主"もまた、ラジオから聞こえてくる今日の天気予報の様子に肩を落とすと、散らばっていた書類をまとめ始めた。】


  はぁ〜……こう、連日雨が続くとジメジメ〜っとした気持ちになるというか、なんだかこっちまで湿気ってきちゃうねぇ。
  換気するのも一苦労だし、洗濯物は干し辛いし……幸い、お客さんは少ないからゆっくりは出来るんだけど。
  と言っても、片付ける仕事はまだまだあるし―――よしっ、一息ついたら資料に目でも通します、かな!


【店主の女は、白いシャツに包んだ豊満な体躯をカウンターに気だるげに乗せると、うーん、とその場で伸びをして】
【ついでに長い脚を覆うダメージ・ジーンズもテーブルの下で伸ばせば、気を取り直したように立ち上がって、やかんを火にかけた。】
【そそくさと珈琲の準備をしながら、調子はずれな鼻歌を歌っていると、照明に照らされたブロンドのショートヘアがふわり、と揺れる。】

【セリーナ・ザ・"キッド"―――それが女の名前。】
【そしてこの酒場に良く似た"事務所"こそが、UNITED TRIGGER本拠地其の物であった。】
【カップにコーヒーを注ぎながら書類に目を通し、脚を組んで眉を顰めるその様はどこか、落ち着いている様にも見えるだろうか。】

【来客の少ない時間帯、彼女一人の酒場に来るのは果たして―――どのような、尋ね人だろうか。】

/長らくお待たせいたしました、セリーナ中身です。
サリードさんの方、此方へレスをお願い申し上げます。
945 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 15:23:33.17 ID:zdx+kelZo
>>943
「出歩かない方が良いって………まあ、良いけど」

【何か病弱とも違うようなニュアンス】
【まあ、これ以上深く追求しても仕方あるまいと諦める】

「ほんとに大丈夫かよ……」

【どうやら元気そうだが、ブンブンとものすごい剣幕で首を横に振っている様子を見て違う意味で心配になってくる】

「いや、大丈夫なら良いんだよ、大丈夫なら」

【本人がそう言ってるならそうに違いないだろうと思い、一先ず安堵する】
【それにしても少年の顔が少し赤いように見えるのは気のせいか】
【もしそうなのだとしたら、何故そうなのかという理由は見当がつく】
【十割自分の容姿のせいだろう、ドキドキされても困るわけだが】

「あー……言っとくけど、僕男だから」

【誤解を生まないように、今のうちに言っておこう】
【色々と間違った方向に進みそうだ】
946 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/05(土) 15:35:11.43 ID:4xMs87AJ0
>>944

【――――ガタッと、酒場の扉が唐突に開く。前兆なき変化と言えばそうなるのだが、それはいつもの事なのだろう】
【客人がこの場に足を踏み入れるのに、予兆じみた事など必要ない】
【――――否、あるいは微かに振り始めた雨が、その予兆だったと言えば、そうなのかもしれない】

――――参った。もう少しと言う所で、雨に降られるなんてね……ま、季節柄、仕方が無いのか……?
……丁度良かった、どうやらばっちり居る様だな……

【ゴト、ゴト、と、重々しく籠った足音を響かせながら、その人物は中へと足を踏み入れる】
【ぐるっと室内を見渡し、カウンターに陣取る人物――――セリーナの姿を認めると、フウッと軽く息を吐いて】

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年】

【軽く髪を水滴に濡らしながら、かねてからと同じ様な不機嫌そうな表情でそこに立っている客人】
【――――トライデント=コーザー=ヴァーミリオン。『セードムシティ』攻略に際して、裏方に徹した、言わば陰の功労者で】
【作戦に従事するに際して、全てが終わった後での邂逅を約束していた人物である】

【ショルダーベルトを介して、やけに大きなクーラーボックスを重そうに担いでいるが、それ以外はあの時と何も変わらない姿で】

……ごきげんよう、セリーナ・ザ・"キッド"……お互い、と言っても俺はそこまでじゃないが……生き残れて、何よりだ
招きに預かって、今日お邪魔させてもらったぞ……

【一度クーラーボックスを足元において、トライデントはその場で挨拶の口上を述べる】
【――――機関との、雷の国における決戦。それを生還した同士として、今二人はここに立っていた】

/よろしくお願いします―!
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/05(土) 15:35:59.21 ID:5aXDVQ/M0
>>945
ぼ、僕は…ほんとに!ホントに大丈夫で…!  って……男…?

【その言葉に、もう一度確認してみる】
【頭から足先まで―――――顔はパッと見ても女性的だ】
【自分と同じ、だが身に纏うその雰囲気】
【確かに男と言われて、 そう見えてくる容姿か―――――】


な、なんだ……驚かさないでくださいよ…
僕てっきり女の人かと…


【そう分かると落ち着いてきたのか、顔からすっと無駄な赤色が消えて落ち着きを確認できる】
【自分と同じ、”そういう顔の人間”なのだと、少し安心した】
【だって仲間を見つけたようなものだから】


よかった……僕と同じ男の子なんだ……
大変だよね。こんな顔で生まれてきたんだから


【そう、この少年もまた男だ】
【華奢で線の細い小柄な体系、触れれば程よく柔らかい白い肌】
【整った可愛らしげな顔のパーツを持った彼もまた】

【彼は気づいていただろうか、この少年もまた少女似の男の子だったりする】


【――――――なんという邂逅だろうか】
【お互い同じ共通点を持った存在みたいだ】

【その事実に少しうれしそうに笑顔で返す少年】
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 15:52:19.19 ID:zdx+kelZo
>>947
「さてね、僕はもう慣れたけども」
「いちいち顔如きで他人の目を気にしたって、しょうがないだろ」

【そりゃ最初は色々とからかわれたりして苦労したが、今となっては慣れたというか、感覚が麻痺したというか】
【特にこれといった感想は何も出てこない】
【対する少年はかなりの苦労にあったと伺える】
【同属意識、同胞意識といった感情を込めてこちらに笑顔を向けてくるが】
【特に気にしなかったこの男に思うところはなく、「そりゃどうも」と一言返すだけ】

【明らかに冷めている印象を受けられるだろうが、大変でもない事を大変と偽る事など出来そうになく】

【それにしても、と相変わらず止む気配も弱まる気配もない雨が降り注ぐ道路へと目をやる】
【いつになったら止むのか、いっその事濡れて帰ってやろうか】
949 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/05(土) 16:05:29.84 ID:5aXDVQ/M0
>>948
確かに…そうですね…

【生まれの顔なんてそう易々と変えることはできない】
【なら、これを受け入れようとという考えはなんとなくだが分かる気がする】

【ふと、自分の頬に触れてみる】
【何度も触れたことがある自分の身体】
【この感触を変えようとは思わないのだから、自分でもこの顔を受け入れているのだろう】

【地味に、役に立つ顔でもあるのだが】

【そう易々と捨てようとは、思わない】


もう行きますか? まだ雨は強そうですけど


【振り出してから随分たつが、やむ気配はない】
【空はいまだに黒く、日の光を許してはいないけど】


きっと、もうすぐ止みますよ。 止まない雨はないんですし


【なんの根拠もないが、言ってみる】
【だって、何をするにしてもまずは信じなければ始まらない】
【止んでほしかったらそれを願わなければ】


……岸織、岸織詩織。 僕の名前です
貴方のお名前も……教えて板だけますか?

【降りつける雨に手をやりながら問いかけた】
950 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/07/05(土) 16:06:32.46 ID:W0jsYTmfo
>>946

【気が付けば、珈琲で満たされていた筈のマグカップは既に空になっていて。】
【随分と資料整理に夢中になってしまっていたのか、セリーナはカップを置くと立ち上がり】
【トントン、と纏めた紙類をテーブルで整えて、そろそろ地下に降りようか、なんて考えていたその時―――。】

【カラン、コロンという鈴の音が店内に木霊した。尤も、湿気の多さで鈴も普段より鈍い音を散らしていたが。】
【セリーナは振り返って扉の方を見やる。来客の少ない珍しい時間帯に現れた"その人物"が誰であるのか、直ぐに理解し】
【落ち着いた様子で手に持っていた書類をカウンターの下に仕舞うと、何時もとそう変らない笑顔で"彼"―――トライデントを、迎えた。】


  ―――約束の件なら、何時連絡しようかなーって、こっちでもタイミングを図ってたんだけど―――……ふふっ。
  まさか、"君"の方から此方へ出向いてくれるとはね。
  遠かったろうに、わざわざ脚を運んでくれてありがとう―――"トライデント"君。久しぶりだね。


【現れた彼は矢張り、どこか不機嫌そうと言うか、ハンサムな顔立ちには似合わない表情であって。】
【とはいえ、コレもまた"いつも通り"と言えばそうなのだろう、変らない姿を見たセリーナは安堵の表情で彼に声をかけた。】
【作戦後に報告会などで何度か顔は合わせていたものの、直接こうして話をするのは久しい。椅子を用意して、カウンターへと回った。】

  そうだね、雨の季節―――といっても、もうそろそろ暑くなってくる筈なんだけどねぇ。
  どうしてこう、彼方此方ジメジメしてるのやら……地の国出身のアタシには、あまりいい話じゃあないや。
  さて、塗れたまま突っ立てても話は始らないし、どうぞ席へお掛けくださいな! 今日は、一杯奢らせてもらうからさ。

  それから―――はい、これ。タオルね。せっかくのイイ男が、ビショビショでイライラしてたら、台無しだよ?
  全く無事だった、とは言い難いけれど、お互い命あってこそ。トライデント君達の陽動は的確だったから、助かったよ。
  まずは―――ありがとう。あの作戦の肝は、アタシ達より君達に懸かってたと言っても過言じゃない。
  
  ……街にとってはこれからが一番大変な時期だろうけど、一先ずは、作戦成功を喜ぼうじゃない。
  本当にありがとうね、トライデント君。一緒に戦えて、光栄だったよ。
  さて、その重そうなクーラーボックスの中身が何なのか、って所も気になるけど!
  とりあえず注文を聞こうか、下戸って事はないよね? トライデント君!

【過激な作戦。思い出せば目に浮かぶ、戦場と化した城塞都市。飛翔するヘリ、異形の怪物。】
【そして消しきれたか判らない、悪意の芽―――様々な思いが重なり合って衝突した、件の突入作戦。】
【結果は勝利に終わったが、無傷でとまでは矢張り、いかずに。それでも、勝ちは勝ちである。セリーナは祝杯を挙げようか、と言って。】

【先ずは注文を聞くだろう、そしてその後彼の持ってきた"箱"の中身や―――彼自身の抱えた、苛立ちについても。】
【それが二人の間で為された約束、だったのだから。】
951 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 16:27:25.75 ID:zdx+kelZo
>>949
「誰かが言ってただろ、汝、隣人を愛せって」

【明らかに用法を間違っている気がするが気にしてはいけない】

「顔なんて一生変わらないし、しかもどんな顔になるかは運次第ときたもんだ」
「だから、悩むだけ無駄、諦めろって話だね」

【と、話を結論づける】
【ここで鏡面に映る自分を見て、「これは本当に自分なのだろうか?」とかいう話でもしようと思ったが、所詮戯言】
【戯言も戯言、何だかそれこそ戯言がゲシュタルト崩壊してきそうだ】

「そうだな…………行くか」

【これ以上待っても止む気配がない、諦めて雨に打たれながらの帰宅を選択する】

「僕は、渚 詩音」
「詩織か、覚えておくよ」

【屋根の下から出てきて、降り注ぐ雨を再び一心に受け止める】
【冷たく肌を濡らすそれは、自分が生きているという事をますます実感させる】

「それじゃあ、また会おう」

【そして、歩き出す】
【雨は止まない】
【アスファルトを打つ音が、匂いが、そして自身を打ち付ける冷たさが】
【否が応にも、自分が生きている事を実感させる】

「…………………へっくし」

【こりゃ風邪だな、と半ば諦めながら歩く渚であった】

/キリが良いので〆で、ありがとうございました!
952 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/05(土) 16:31:11.90 ID:4xMs87AJ0
>>950

……あぁ、久しぶりだ。そっちも、そろそろ傷も癒えた頃だろうと思ってな……
まぁ、言伝でも伝えられればそれでも構わないとも思ってたけど、良いタイミングだった様だな……

【再びクーラーボックスを担ぎ上げると、案内された席へと腰掛ける】
【クーラーボックスを、狭そうにカウンターの上へと置いて、そこでようやくトライデントは力を抜いた様子で表情をわずかに緩めた】

あ、あぁ……こいつはすまないな。店を汚してもつまらない……
――――無事に勝ちを勝ち取ったのは、それこそ本隊のおかげだ。まぁ、その一助になったなら、俺も無駄足にならないで済んだと言う事だな……

【タオルを受け取り、そのまま髪や肩を濡らす水を丁寧に拭いとる】
【濡れたままで店内を闊歩するのは、流石に礼に反する。本人としては大して気にも留めて居なかった様だが、そう言う訳にもいかないだろう】
【一通り拭い終わると、タオルを畳んでカウンターの隅にそっと配して】

そうだな……巨悪は滅びた。機関の残党が妙に手際よく逃げ出したのは気になるが、間違いなく痛手になったはずだ……
グラトン共の死は、間違いなく一歩前進と言って良いはずだな

【現在、それこそアムネリア達が鎮圧に苦労しているであろう『セードムシティ』の事は気に掛かるが、それよりもトライデントはやはり、グラトンに注視する】
【グラトンとの戦いは、言ってみれば世界にとっての『初期消火』の様なものだったのだろう】
【もしもグラトンがあのまま勇躍し、勢力を広げる様な事になっていれば――――世界は、もっと大きな犠牲を強いられていたはずだ】
【勝った後すら見据えていたグラトンに、アレ以上の勝ちを取らせずに始末した事。なにより大きいのは、その事だろうと口にする】


あぁ、これは土産だ……思いがけず、あの作戦の報酬も大きかったからな。手ぶらで来るのもなんだろうと、用意したものだ……
……水の国『ヴァディス郷』の産……ヴァディス川の鮭を使った『山漬け』と、ヴァディス浜の大帆立その他の『かやきセット』10食分だ……

【カウンターに担ぎ上げたクーラーボックスの蓋を開くトライデント。招かれた立場として、一応の用意として持ってきたらしい】
【――――中に入っていたのは、大きな鮭が加工されたと思しきものが、丸々1本に、パッケージングされた包みが10セットだった】

【『山漬け』とは、乱暴に言ってしまえば「古い製法で作られた、鮭の高級塩漬け」の事である】
【辛さすら感じさせるほどの強烈なしょっぱさが、それでも鮭の味をしっかりと引き出す逸品で】
【切り身にして焼くも善し、鍋物の材料に使えば身も汁もしっかりと味を出し、茶漬けにしても良い、通好みのごちそうだ】

【一方の『かやき』は、大きな貝に、小海老や茄子などの新鮮な具材、更に魚醤がセットになった物で】
【網焼きなどで、貝の中にこれらを放り込んでじっくりと火を通せば、そのまま1人分の海鮮料理になる】
【貝の旨みと魚醤からくる魚の旨み、そして具材の旨みが混然一体となる、これもまたたまらない逸品だ】

【差し出しているトライデントの憮然とした表情こそ、そのありがたみをどこかもったいなくしてしまっている様ではあるが】
【品物そのものは、海産物がダメと言う訳でも無ければ、それこそ贅沢な土産と言ってしまって良いだろう】
【――――報酬が高かったから、と言う事もあるだろうが、やはり招かれた立場としてそれなりの物を用意してきたのかもしれない】

……下戸じゃないが、酒はあまり強くない……これでも17だからな……スミノフアイス、無ければモスコミュールで……

【余り強くない酒を選択するトライデント。どうやら、アルコールには余り自信が無い様だ】
953 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/07/05(土) 16:38:35.42 ID:5aXDVQ/M0
>>951
隣人を……?

【どういう意味だろうか、と顔をかしげる】
【いや、意味は知ってるが何か違う気がする】
【きっと何か僕の知らない文法かことわざだろうと思う】


また会いましょう、詩音さん……

【そういって雨の中を駆け出す彼の背中を、もう少しだけ屋根の下で見続ける】
【―――――こんどは、明るい太陽の下で】


―――――――。………ん?


【そう願う詩織が空を見上げる】


―――――――ほら、やっぱり
止んできたかも、知れないですね


【雲の切れ目に見える日の光が】
【辺り一面に広がっていった】


/ありがとうございましたー!
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 19:05:46.58 ID:4f+gnoYEo
【『トラヴィス・アロウ・コントロールセンター』外――――】


「――――皆様。本日はこのような危険な任務を承って頂き、ありがとうございます」


【ガルマ=ハド=ラジャルードの襲撃からどれくらい時間が経った頃か。正義の一員として、あるいは大企業『TRAVIS』からの依頼として、集められた精鋭たちは】
【いま、風の国軍部が用意した車のなかにいるはずだ。複数台の鉄の箱がコントロールセンター内の広大な敷地を走り抜け、各々の場所へ向かっていく――――】
【既にガルマ及びカノッサの手の者がこのセンター内に侵入しているのは間違いない。この風の国に巨大な危機が迫っているのも、また同様に】


「状況は既にご存知の通り。我が『TRAVIS』風の国支部の管理する工業地帯――――ここが落ちれば、被害は我が社だけに留まりません。
 普段私どもを支えてくださっている周辺住民の皆さんはもちろんのこと、最悪の場合、風の国全域の経済に影響を及ぼす可能性すらあります」


【各車内には連絡用のモニターが取り付けられている。そのなかで、いかにも悲痛な表情で演説を続けているのは、口振りからして『TRAVIS』の重鎮だろうか】
【……ずいぶんと若い。この緊急事態に於いて決して焦燥を見せない胆力も、人の心を掴む凛とした声色も特徴的ではあったけれど、見た目は十代後半の少年だ】

【やや巻き毛気味の鮮やかな水色の髪に、ルビーを嵌め込んだように真っ赤な双眸。挙措の一つ一つからは隠し切れない育ちの良さが滲んでいて】
【特徴的なのは服装だ。スーツではなく、黒いブレザーに赤いネクタイ、ワイシャツにスラックス……あの『レイリスフィード学園』の制服を着込んでいる】
【――――名前はリチャード・トラヴィス。『TRAVIS』現社長であるシャルル・トラヴィスの三男坊≠ノして、次期社長と目されている人物だった】


「この窮地に際して、我々はあまりに無力です。張り巡らせた最新鋭のセキュリティにあぐらを掻き、自分達は絶対の平和の上に暮らしているのだと錯覚していた。
 私たちは………ボクたちは、甘かった――――その甘さゆえ、センター内にはまだ、戦えない社員たちが大勢取り残されてしまっています。
 それだけではありません。運悪く、何の罪もないレイリスフィード学園の生徒達が……ボクの大事な学友達までもが、危険に晒されているのです」


【整った顔立ちを沈痛に歪めて、リチャードは目を伏せた。『TRAVIS』は、大企業という肩書きや力に驕って、世界中に溢れる戦い≠ゥら目を逸らしていたと】
【救助対象はセンターに勤めていた社員やレイリスフィード学園の生徒らの非戦闘員。後者については社会科見学か何かだったのだろうが、悲運としか言いようがない】
【『TRAVIS』の跡取りとして、学園に通う一生徒として。二つの重責を一身に背負ったリチャード・トラヴィスは、最後に全員へこう告げるだろう――――】


「もう、皆様だけが頼りです。彼らを救ってやれるのは、世の正義≠ニしての力を持つ皆様だけなのです。
 もちろん、ボクたちに出来ることは何でもさせて頂きます。必要な物資があればすぐ仰ってください、出来る範囲でご用意します。

 ですから、どうか。どうかテロリストたちを放逐し、この地区の安寧を、彼らの命の安全を、お守り下さい。よろしくお願いします――――!」


【……少年が深々と頭を下げたところで、ガタンと車が止まった。映像が途切れると同時に車のドアが開かれるだろう】
【事前のブリーフィングで指定された各々の戦場へ、車が到着したのだ。――――彼の言葉を心に留めるでも、そんなものは関係ないと切って捨てるでも、構わない】
【目的がどうあれ、結果が同じならばそれで十分。戦神率いる悪≠フ軍勢と戦うというその一点さえ同じなら、今宵誰もが正義≠ノなれた】

【この車によって現地に運ばれた者はもちろんのこと、初めから偶然コントロールセンターの中にいた者だっているかもしれない。けれど、】
【あの傲慢な神が行う選定≠乗り越えるには、誰もが戦って力を示すしかない。正義のため、悪のため、自衛のため、各々の闘争≠ェ、幕を開ける――――】


/こちらは本日のイベントの導入部です! 参加者の方はこちらにはレスを付けず、開始時間までお待ち下さい〜
955 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 19:31:31.89 ID:4f+gnoYEo

【『トラヴィス・アロウ・コントロールセンター』北部、データセンター】


【――――データセンター内部にいる五人はまず、進むごとに内部の損壊具合が大きくなっていることに気づくはずである】
【敵が内部を破壊して回った……にしては、壁や床の傷跡が妙だ。無作為に破壊されている様子ではなく】
【一箇所に攻撃が集中したような跡がいくつもある。そして床には、銃器類の破片――――恐らく誰かが、ここであの男に抵抗していたのだろう】

【……そして。その戦っていた人物が『TRAVIS』の社員、つまり非戦闘員だということは、もう少し進めばすぐにわかるはずである】
【自衛のためだったのだろうが、残念ながら力及ばず。腹部を貫かれたり頭を吹き飛ばされていたり、奥には無惨な死体が数人分転がっていて】
【ただ、あの戦神≠相手取ったにしては死体の数は少ない。社員はもっと多くいたはずだ、残りは逃げ去ったのだろうか、それとも――――】


――――強い。ああ、認めてやるとも小娘。たった一人で二人を相手によく戦ったと褒めてやろう。

だが……くだらん有象無象を守ろうとするからこういうことになる。貴様は強いが、強者≠ナはない………。


【一行が最後に辿り付くのは、ライトに照らされた巨大なホールであるだろう。元は資材置き場として使用されていた場所だが、状態は無惨の一言】
【床や壁や天井、あらゆる場所に焦げ跡が残っている。炭化して原形を留めない死体も……ここが、ガルマと社員たちの主戦場となったことは想像に難くない】

【そして――――注目すべきは。いや、意識していなくても強制的に釘付けになってしまうほどの圧倒的な存在感を放つ存在が、部屋の中央にいる】

【ゆったりとした白銀を身に纏う大柄な体躯は、まるで雲に覆われた巨山。燃え盛る炎を思わせる朱色の長髪が、巌のように険しい顔つきを照らし】
【火炎の髪が男の巨躯の上を流れ落ちていくさまは、さながら大自然が憤怒の声を上げ、灼熱の溶岩で山肌を焦がしていくかのよう――――】

【炎天の陽光の如き金色を宿す熾烈な双眸を湛え、人を人とも思わぬ天からの視線で世界を見下すその男】
【中空を裂いて走る円状の光の紋様と、そこを起点に燃え盛る紅蓮の焔からなる『後光』を背負ったその男は……戦神、ガルマ=ハド=ラジャルード】


/続きます!
956 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 19:33:48.29 ID:4f+gnoYEo

「………………、」


【ガルマの能力であり、その荘厳≠ネまでの威厳を支える真円の『後光』は、巨大な室内全域に燃え盛る威圧感を伝えているが】
【その気炎に精神を焼かれることなく冷静に部屋を見渡せば、ガルマの他にもう二人、室内に人間が存在していることに気づけるだろう。どちらも、女性だった】

【まず、ガルマの隣にいる方。褐色の肌によく映えるやや赤色の入った白髪、ツリ目気味の金色の瞳が特徴の、二十代程度に見える女である】
【長い後ろ髪をたてがみのように跳ねさせたセミロングの髪型に、暗い赤色のチューブトップの上と白色で丈の短いファー付きコートを羽織ったヘソ出しの格好】
【下はデニム地のホットパンツに茶色いショートブーツを合わせて大胆に生足をさらけ出した、露出度の高い服装をしている】
【耳には金色のピアス、腰回りには上部に小さなリングがいくつも嵌まった鉄製の腰当て、背中には巨大な槌と、派手な装飾品も多数身につけているが……】

【そんな粗暴な印象の割に、何も言わず俯いた姿はどこか痛々しい。――――『ミドナ』という名の快濶な女の面影は、すっかり成りを潜めていた】


『こ、のっ……何が戦神≠諱Aふざけるのも、大概にッ――――!』


【そして、もう一人――――レイリスフィード学園の制服を着込んだ少女。知っている者もいるかもしれない、『幸徳井佳乃』という名前だ】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的。漆で染めたような黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差す】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてを一直線に揃えた髪型をしており……その艶やかな黒は、血に浸かっている】

【赤く染まった薙刀を強く握り締めてガルマに吼える少女は、既に満身創痍の様相を呈していて――――気づくだろうか。雰囲気が、少しガルマに似ている】
【手負いとなって薄れてはいるが、どことなく神聖≠ネ感覚というか、場を制する威圧感のようなものが感じられる。相当戦い慣れていることも察せられるが、】

【――――先程のガルマの発言と道中の死体の数を鑑みれば、事の顛末も想像できるかもしれない。佳乃はガルマから社員たちを守って戦い、必死に被害を抑えて】
【しかしそのせいもあって、彼女自身はガルマに傷一つ負わせられず敗北してしまった。そして今まさに、絶体絶命の状態……そんなところか】


……貴様にもう興味は無い。さらばだ、神を騙る不届き者よ――――。


【ごう、とガルマの『後光』が強烈な光を発し、召喚された数本の光の手≠ェ鎌首を擡げた。佳乃は怪我のせいで跪いてしまっており動けない、このままでは……】

【――――この場に到達した五人には大まかに三つの選択肢がある。すなわち、ガルマか、ミドナか、佳乃かだ】
【最初に誰に関わるかはそれぞれの自由。だが、いずれにしてもこの瞬間の五人の行動が、今宵の戦端を開くことになるのは間違いない!】


/こちらがVS主催の文章になります、『BATTLE T』の参加者様はこちらにレスをば!
/襲撃側のお二人も順次投下を開始してください、本日はよろしくお願いします!
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 19:37:08.38 ID:3ElvPBHGo
【コントロールセンター中央部、展望台。その最上階――8階】
【ところどころから黒煙が上がり、ガラスの破片や瓦礫の群れ、死人、半死人、破砕された備品の散乱するそこ】
【平時ならば美しい光景が見えただろうそこは、しかしながらもはや黒煙の煤と飛び散った肉で景色を楽しむ余裕の無い場となっていた】
【そして、恐らくカフェから勝手に持ってきただろう椅子に座し、テーブルの上に金歯や銀歯、レジなどから奪った現金の入った袋】
【その他、換金できそうなものを片っ端から詰め込んだであろう袋を前に、座す女はふんぞり返って、インカムに向けて声を発した】

「ッハハッハハ――――!! さすが大企業――!!どこをぶっ壊しても金目の物が出てくる出てくる!!
おらテメーらちゃっちゃとぶっ壊してちゃっちゃととっとと金目の物引っこ抜いてけや!!」

【そこらじゅうで上がる銃声。階下でも同じ音がする】
【8階には女を除き、服装、装備、性別、年齢ともにバラバラな武装者が5名】
【彼らは、破壊できるものは破壊し、奪えるものは奪っていた。そう、死体の口をこじ開け、金歯や銀歯すらも毟り取って】
【そうする彼らの顔にあるのは、笑顔だった。一片の罪悪感も、一片の躊躇いも、彼らは抱いていなかった】
【そして、彼らはカノッサ機関ではない。ジャケットやアクセサリに輝くその意匠――それは、金十字】

【GIFTにおける最下層。最底辺。最低最弱最悪、『不死身』のコジマ隊】
【今宵の参戦理由は単純。――金が出るから。金が欲しかったから。おこぼれが欲しかったから】
【彼らに理念も誇りも無い。彼らに貫かなければならないプライドは無い】
【大義無く、挟持無く。彼らが堅持するのは唯一つ――『私利私欲』】

「いやァ――せいせいするわー! 偶にはこれくらい派手に暴れるほうがストレス解消になるってもんよ!!
あー、テメーら!! 金目のもの奪い尽くしたとか、ヤバいの来たとかあったらソッコーほーこくな!!
んじゃ、私もそろそろ、出陣と行く――ッスかねー?」

【腰に巻いた、武器を下げるためのベルトには、無数のナイフと二振りの手斧。そして――背には一本の杖が背負われていた】
【煤だらけの風にあおられ、プラチナブロンドのボブカットがばさりと揺れた】
【笑みを浮かべる口に対して、エメラルドグリーンの瞳は微塵として笑っていない】
【唯の屑ではない。三流の小悪党を極めきっている、三流の高みに居るのが、この女】
【そして、二流三流揃いのこの女の部下たちも、その高みへと至る素質は有る】
【ここに居る女は、六罪王にはなれない、GIFTの幹部にはなれない。だが、紛れも無い悪だ】

「さーて、一仕事終えたら飲みにでも行くから気張れやてめーら!!
『仕込み』をさっさと終わらせちまいな!! 終わったらちゃっちゃとケツ捲ってオサラバってな!!」

【部下を焚きつける言葉を口にしながら、女は両手のグローブの様子を確認】
【そして、腰に提げた手斧の一つを右手で引きぬいた。腕と脚、腰には6つのステンレス製の試験管のようなものが有って】
【斧を引き抜く際に杖にぶつかった事に反応したのか、その試験管がふるりと揺れた】

【ここに居るのは、紛れも無い悪。そして、正義が潰してきた下っ端≠フ一部でしか無いそれ】
【だが、彼らは窮鼠だ。常に追い詰められ、常に生き延びてきた。それ故の強さを持つ】
【硝煙、黒煙、業火、鮮血、肉片、肉塊。展望台の惨劇に終止符を討つものは、現れるのだろうか】

/*コジマです。シーナの方、シュネイの方。本日はよろしくお願い致します!*/
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 19:38:20.90 ID:Q+j3VliTo
【――コントロールセンター西部・社員寮】
【『TRAVIS』の名を冠するその四階建ての建築物、そこには社員、そして見学に来ていた学園生達が避難しているようだ】

【その屋上、そこに一人の男がいた】

 いやー、ご覧ください!ここがあの『TRAVIS』の風の国支部の工業地帯!
 騒動の中心地、『トラヴィス・アロウ・コントロールセンター』も見えますね!
 さらに外に視線を向ければ、なんということでしょう!
 この近隣地区がなんとカノッサ機関の軍勢に襲われているではありませんか!
 あちこちで火の手が上がり、建物が崩れ、血飛沫舞うあの戦場!
 私としましてもあちらの映像をお送りした方が皆様の興を満たすことができるのでしょう
 しかししかし、私にはここ、コントロールセンター西部の社員寮にて重要な任務がございます

【ただ一人、屋上にいるその男は手を広げながらその場でくるくると回っている】
【さらにリポーターと言わんばかりに一時も口を休めず状況の解説すらしている】

 血飛沫を期待なさっていた皆様、申し訳ありません
 しかし今回は趣向を変えて、またこれまでにないショーをご覧になる気持ちでご視聴くださいませ!
 決してお暇にはさせません!さぁ!今宵もまた皆様方を愉快愉悦へとご案内いたしましょう!

【男の服装は真っ白なタンクトップに赤色のニッカポッカ】
【腰には真っ赤なジャージをの上着を巻いている】

【と、屋上に続く扉を開く"敵"の存在】
【するとその男は歓迎するかのように手を広げながら"敵"を出迎えるだろう】

 ……いやぁ、待ちくたびれましたよ!
 あなたは私の味方ですか?敵ですか?
 当ててあげましょうか?あなたはきっと敵でしょう?違いますか?

【正面から向かい合えばわかることがあるだろう】
【男の左目、それは人間のものではなくカメラのレンズであるということ】
【左耳に関してもまるでヘッドセットのような物体がくっついており、そこから延びるマイクが男の口元にあった】
【そしてなによりも……首から下げられた銅の逆五芒星のネックレス――それは男がカノッサの手先であることを示していた……】

//こちらネクター中身です
//渚君の方!本日はよろしくお願いします!
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/07/05(土) 19:47:52.83 ID:W0jsYTmfo
>>952

【丁度忙しくない時間帯、と言ってもUTには仕事が山積みなのだが―――さておき、今は休憩中らしく】
【こうして話をする事自体も別段難しいわけでは無い様だ、むしろ暇してるところに会いたかった来客が、くらいの】
【愉しげな様子でセリーナはトライデントを迎え入れるだろう。飲み物のリクエストを受け入れると、直ぐに『はいはーい♪』と返事をした。】


  ―――ぷっ、あっはははは! 違う違う、そうじゃないよトライデント君。
  店内の汚れを掃除するのはアタシの仕事、そんな事は気にしなくていいんだ。
  ただ純粋に、風邪引いたりしたら大変だし、塗れたままお酒飲むのはきっと気持ちよくないだろうな〜って。
  そう思っただけだよ、あんまり肩肘張らないでね? なんたってここは、世界一ののんだくれが経営する酒場、だからさ。

  ―――まあでも、あの街に関しては本当にひと段落付いたみたいで、アタシも安心したよ。
  ……できれば、あのお爺さんに関してはアタシ、生きたまま捕らえてあげたかったんだけど、ね。
  そうすれば、彼の施したって言う『教育』の解析も、そしてその呪縛の解き方も―――もっとラクになったかもしれない。

  ……彼はこの世界にとって、大悪人だ。芯まで赦せるとは思わないけど、でも……。
  ……ごめん、無責任だよね。仮に生きていて、脱走でもされたらそれこそもっと大変な事になるし……
  アタシね、不殺を掲げるつもりこそ無いんだけど、それでもなるべく、"罪"は償ってもらいたい、ってそう思うんだ。

  ―――だから、結局首謀者を誰一人として逮捕できなかったのは、ちょっとアタシ的に残念だったかな、って―――そう思うんだ。

  ごめんね、来て早々にこんな話なんかしちゃって……オーライ、スミノフね。バッチリ冷えてるから安心して!

  それに―――ワオ! 水の国の名産品じゃないか! この山漬け、酒の魚にピッタリって聞いた事があるよ!
  アタシも昔は彼方此方旅をしてたからさ、色んな所で美味しいものを食べてきたけどこれはまだ食べた事ないや!
  ねえねえ、さっそくだけどお酒と一緒に空けてもいいかな? かやきの方も、UTの皆でバーベキューしたいなぁ〜!


【手早く酒を用意する最中、セリーナがぽつりと零した"あの作戦"に関する言葉―――】
【それはあの憎きグラトンすら、できれば殺す事無く捕まえたかった、という半ば自虐的な内容で】
【もしかしたら―――"怒り"や"執念"すら見せたトライデントには、重く、そして空虚に響くだろうか―――……尤も。】

【今日の酒の肴はその"内容"其の物。トライデントの抱える怒りの内容こそが、本題。ある意味で彼女は】
【その"肴"の口火を切った、のかもしれない―――。】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 19:51:57.48 ID:zNWRbhs9O
>>957
【─────コントロールセンター中央部・展望台/かなり上層階の外部】

普段は観光客などがいる筈……であるが、今日は別。人影すら無く、ただただ風が吹く音がするのみ。
日も暮れ、不気味な静けさが周囲を包み込む。

「テロが起こってる、というにはやけに静かねー……」

そんな静寂に空から降り立つは1人の少女。風を受ける長い黒髪、深い蒼色をした双眸。
背丈は少し低く、多少の陰があれば隠れられる程。
服装などから見て、少なくとも学園≠竍会社≠フ関係者ではなさそう。

「さて、何かあるかないか……」
「とりあえず上から、様子を見ていこうっ……と」

手に持ったサイダーを飲み干し、内部へと足を進める。
恐らく、展望部へと続くエスカレーターへと向かうだろう。

《こちらシュネイ、2人とも宜しくです!》
961 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/05(土) 19:55:21.85 ID:FhLCm6fxo
>>955-956

【疾る、疾る――伝わってくる微かな熱量を頼りに、彼は疾走していた】
【その空間に近づくにつれ、とてつもない力を感覚として知覚する。居るのだろう――あの男が】

【男性にしては長めで不揃いの髪。所々がはねていて、あまり手入れされているようではなく】
【しかしそのオレンジ色は、逆さの炎とでも形容できそうな風貌を呈している】
【下は深緑のカーゴパンツ、上は燃える炎のようなファーがついた薄手のミリタリージャケットを着用し】
【胸には緋色の鷹≠フシンボルを掲げ、髪と同じくオレンジの瞳を爛と輝かせた――】

【そんな、気迫に満ち溢れた青年は、微塵も失速することなくホールへと足を踏み入れる】
【腕には火竜の鱗を重ね合わせたような、真紅のガントレットが装着されていて】
【実体を持つ炎≠ェちりちりと彼の周囲を舞っていることだろう】



―――ガルマアアアアアアアアッ!!



【咆哮ひとつ。標的を視界に入れることすらせずに、確信した感覚を頼りに彼は跳ぶ】
【前方へと縦回転し、地面を叩く。噴出するのは彼の瞳に良く似た色の炎だ】
【加速していた身体が更に加速し、低空飛翔をしながら――弾丸めいた速度でガルマへと突っ込んでゆく】

【拳の届く範囲まで肉薄できたならば、ありったけの力と炎を込めた拳が炸裂するのだろう】
【――これが開幕の狼煙だった】

/アーシャなかみです!皆さまよろしくです!
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 19:57:45.12 ID:zdx+kelZo
>>958
【――――――――何故、僕はこんなところにいるのかって?】
【決まってるだろう、一人になりたかったからだ】
【自体は突如、突然に、何の前触れもなくゲリラ的に起こった】
【カノッサ機関――――――世界を騒がす、悪の集団】
【本当は一緒に能力者達と共闘して撃退するつもりだったが、気が変わった】
【自分など居ても足手まとい、お荷物】
【いや、枷にすらなれないのだろうけど、それでも嫌だった】
【迷惑をかけるくらいなら、一人で動く】
【僕には意志はないけど、これは意地】
【つまらない意地を、プライドを、拗ねた子供のように拗らせて、僕はこうして一人で歩いている】
【自分でも本当に何がしたいのか分からないけど、それでも】

「―――――――戯言戯言、この上ない戯言だ」

【レイリスフィード学園の制服を来た、純白の肌をした、女性的な顔立ちの少年】
【屋上の扉を開け、そして――――】

「―――――――――あぁ、"敵"だよ」

【毅然として、冷然として、目の前の"敵"に立ちはだかる】
【その両手には、漆黒の剣が握られていた】
/遅れてすいません、お願いします!
963 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/05(土) 19:59:03.98 ID:1INsk9Wso
>>955-956

【――現場へ臨場する車内。複数の人間が思い思いに御曹司の言葉を聞くのだろう】
【その中で一人、目を瞑って腕を組み、ただじっと車が停まるのを待つ男が居た】


(ふン……私が正義≠セなどとは、むず痒くて敵わん肩書きだ)
(私はただ貴様を倒す…――偽りの神を名乗るからでも、死者を冒涜するからでも無い)

…――気に入らん。戦神風情≠ェ大きな顔をしているのが、すこぶる私の癇に障る


【彼の衣服は簡単に表せる。聖職者らしい修道服、その上には豪奢なマント】
【そしてグラディエーターサンダルだ。腰元には革のベルトで分厚い聖書が括ってあり】
【また右手を見れば黒鉄の義肢、そしてその拳にはミイラ状の奇妙なセスタスが装備してあった】

【強いて言えば、その左手――薬指にはキラリと光るものもあったが、今は注目する物でもないか】

【彼は今日のこの事件が起きてすぐ、『ガルマ』という言葉に応じて加勢した人物であった】
【なんでも因縁があるのだとかで、自警団やらには所属していない上、さしたる戦歴も無い】
【あくまでも正義≠ニしては、だが。ともかく彼は、戦場に近づく車内で義肢の爪を換装する】
【それは静かで着実な戦いへの準備だった。丸い爪から、敵を引き裂く鋭い物に取り替える――ドアが開くのは、それが済んだ頃で】

【――建物の中、コントロールセンターを奥に進めば進むほど、その惨劇は目から耳から入ってくる】
【だが嘆くでも、憐れむでも、或いは死を悼むでも無く彼は進む。心のうちで『主の導きがあらんことを』を祈りはしても】
【表面上はひどく厳しく、無愛想で、峻険そうな彼は――やがて、今宵の戦場へと足を踏み入れ、視界に三者の姿を捉えるのだった】


 【そこからの出来事は、やや解説が要るか。彼は――ガルマ同様に強健で大柄、筋骨隆々という言葉が相応しい聖職者は】
 【その得意の魔術と、羽織ったマントによる複合魔術で転移≠オ、ガルマへと瞬時に急接近を果たし】


―――久しいではないか神を名乗る不届き者≠諱Bまさか、私を忘れてはいるまいな?
     
     さあ…――歯を食いしばるか、我が神に祈りを捧げるか、今すぐ選んでもらおうか、ガルマッ…――!!


 【更にそこから、彼は右の拳をガルマの顔面めがけて叩きつけようとするのである】
 【右腕は黒鉄の義肢だ。ミスリル製のそれは非常に固く、また装着されたセスタス状の武具には】
 【常人ですら岩を砕ける程の力を与える、という性能があって――『直撃すれば凡人なら即死するストレート』という開幕が彼の答え、らしい】


【勿論、如何に瞬間移動じみた行動からの不意打ちとはいえ察知できない訳でもないだろう】
【となれば回避も反撃も可能だろうし、大柄な聖職者の男も深追いをするほどの馬鹿ではない】

【仮に攻撃があたろうと外れようと、彼は改めて魔術を使用して少しばかり距離を取ることとなる】
【その転移先は、今まで抗戦していた少女-佳乃-とガルマらとの間の位置。その手には、3mほどの長大な豪槍が既に在り】
【ニヤリ、という笑いもまた、彼の表情には在るのだった。好戦的な愉悦の表情は、自然と浮かんでしまうものらしかった】

/こちらフレデリックです。主催様、他の皆様、今夜はよろしくお願いします!
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 19:59:37.45 ID:XpnCIooQo
>>957>>960

【ガシャン――と、突如凄まじい音を立てて強化ガラスが盛大にぶち破られた】
【原因は、その方向へと視線を送れば理解することが出来るだろう】
【それは外から飛び込んできた、砂色をした巨大な球体】
【一見して岩石のようにも見えるゴツゴツとした其れは、如何なる理由でここ飛来したのか】
【恐らく、それを察する前に次の現象が巻き起こるだろう】


「フハハハ――天才魔術師シーナ様が華麗に登場なのだっ!」
「神モドキめ、今日こそは決着をつけ……むむっ?」


【岩石は膨大な砂を周囲にぶち撒けながら内側から破裂し、中から大柄な男が姿を現した】

【その男……身長は190cm程であろうか、服の上から見ても分かるほど逞しい鎧のような筋肉を付けている】
【隆々とした身を漆黒の法衣で包み、右手には巨大なバトルハンマーを持ち、背には長く厚い金剛石の剣を括りつけていた】
【そこまでは常人でもありうる格好であろうが、一つだけ異様とも言える要素が存在した】
【肩から生えており漫画のフキダシを思わせる淡く光る"ボード"。その板上で黒い粒子が蠢き形を変えて】
【"一切声を発さない"この男の"台詞"を文字として表現していた】


【男は周囲をキョロキョロと見渡し、略奪者達の姿を"視界"に捉えると】
【バトルハンマーを担ぐようにして持ちながら、自身の置かれた状況を理解していく】


「むぅ……飛ばす場所を間違えたのだ。まあよいか――細かいことは気にしないのだ!」

「感謝するがよい三下悪党どもめ!」
「貴様らをこのシーナ様の華麗なる英雄譚の一頁に刻みこんでくれるのだ!」


【何やら少々残念気味な台詞を板上に記しながらも、威嚇するようにドン!と一度床を踏み鳴らす】
【正義の味方と呼べるか怪しい存在であるが、敵対する意思があることは確かであろう】
【踏み鳴らした床を通して、周囲にジワリ……と魔翌力が染み込んでいく】


/シーナです!コジマさんシュネイさんよろしくです!
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/07/05(土) 20:01:44.43 ID:W0jsYTmfo
/次スレ出撃!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1404558015/
966 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 20:09:11.84 ID:3ElvPBHGo
>>960>>964
「あァ? 了解了解――、準備しとくわ」

【コジマの部隊は、一般人に偽装して紛れても居た。そして、被害者の中に紛れて、辺りの状況を確認し、コジマに逐一伝えても居た】
【そして、それらの神経質といえるほどの準備と対策の結果として、シュネイが中に入ったことを認識した】
【シュネイが中に入れば、そこら中で上がる黒煙と業火が眼に入るだろう。逃げ惑う人々、死ぬ人々がそこにはある】
【それらを置いて先に進み、エスカレーターを登っていけば――、エスカレーターの前にはうず高くバリケードが設置されていた筈だ】
【壊したテーブルや机、椅子、その他で作り上げられた簡単なそれ。それが、唐突に――崩れていく】

「――んじゃ、殺っちゃって。ぱっぱと片付けちまおう。んで、私は――――」

【シュネイに降り注ぐ、瓦礫の波濤。そして、それに追い打つように、2名の兵士が突撃銃を構えて、エスカレーターの下へと銃口を向ける】
【彼らの練度は決して高くない。彼らは決して強くない。だが、彼らは強かだ。瓦礫に紛れて、三点バーストの短い発砲音が、幾度か続き、鉛弾が襲いかかった】

「――――とっとと厄介者の掃除させてもらおうッスかね――!!
あ、てめーらにも私にも荷が思いから無理と思ったらとっとと逃げろよ、OK。うっし、OK。
んじゃ――こっからさきは――いつも通り<bスねェ――」

【飛翔の直後、襲いかかるのは無数の鉛弾の群れ】
【3名の兵士が、コジマを守るように展開し、シーナに向けて兎に角弾丸をばらまいていた】
【練度が低い。それは紛れもないが、行動に躊躇いは確実になく――後ろに控えるコジマは、のんきにインカムで部下に命令を下していて】

「――し……ィ。Aの56!!」

【銃撃に合わせて、コジマが前へ進む。コジマの居る所に、銃弾はない。コジマの道に、銃弾はない】
【怯えを多分に含んだ眼の色。それは、眼前の脅威に対して、弱者である事を理解しているが故】
【異能を持たず、特筆する才のない女は、鉛弾と共に加速し――シーナに接近戦を挑む】
【地面を強く踏みしめ、蹴り飛ばした瞬間――コジマは飛翔する。ワイヤーアクションのような、不自然な飛翔】
【相手の頭上を取ったコジマは、そのまま相手の脳天に向けて肉厚の片手斧を、加速と体重を載せて叩き込もうとした】

「うっらァ――――――!!」

【それに合わせて、部下がシーナの方に発煙弾を投擲。コジマの攻撃と寸分たがわぬタイミングで、シーナの周囲は黒煙に包まれたことだろう】
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 20:13:33.70 ID:Raj3xKOz0
>>955-956

――――

な、何が起こってるんや……!

【今日は、初めての社会科見学だった。お弁当も母親に作ってもらい、友達と一緒に見学するのを前日から眠れないくらいに楽しみにしていた。】
【そんな楽しみに待っていた一日が暗転したのはつい先程の出来事。―――大きな衝撃音と共に、平和な社会科見学は惨事へと姿を変えたのだ。】

【修羅場と化したデータセンター。其処に居るのは一人の少女、逃げ遅れたのだろうか―――】

【黒く流れる長髪はまるで上質の糸のような艶とさらりとした風合いを持ち、走る度にふわりと揺れて】
【くりっとした大きなブラウンの瞳、あどけない可愛らしさを持つ顔。白い肌に、ほんのり赤みがさす頬】
【成長期とはいえ、体つきはまだまだ華奢で幼さが残る。まだまだ大人と言うにはほど遠くて、年相応に小さい】
【纏う服は汚れ一つないピカピカのブレザー。真新しい服の生地が入学して日が浅い事を物語る】
【首には緑色のネクタイ。親の手を借りずに頑張ったのだろう、少し歪んだ結び目から初めてネクタイを締めた苦労の跡が伺える】
【チェック柄のプリーツスカートから覗く足はすらりと細い。足元は白い靴下に黒い靴、これだってピッカピカの新品】


(―――みんな何処に行ったの!?私は何処に逃げたらええの!?)

【これは、どういうことだ。どうしてこんな事になっているのだ。分からない、分からない、怖い―――!!】
【周囲を見れば破壊の跡が無数に散らばり、何かとてつもなく危険な事が起こっているということが、幼い少女に分かる程。】
【走れども走れども誰もいない。恐怖はますます募り、けれど足は竦む……か弱い少女に今の状況は、あまりにも酷だった。】
【加えて、無残な死体の数々が少女の恐怖心を最大まで引き立てる。努めて見ないようにしても、嫌でも目に入ってしまう―――】
【迷い彷徨い、恐怖で精神的にも体力的にもいよいよ限界が近づいて―――逃げ惑う少女が最後に辿り着いたのは、大きなホールだった。】
【其処に居たのは、威圧感さえ覚える大きな体を持つ男と、褐色の肌の女と―――そして。】
【――――大切な“お姉ちゃん”が、今まさに襲われている姿だった。】


――――佳乃ちゃん!!

【無我夢中だった。学年でも上位に入る脚力を振り絞って必死で佳乃の元に駆け寄ると、そのまま佳乃を庇うようにして抱き抱え】
【火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか、少女の身体からでは考えられないくらいの力で佳乃を抱えたまま後ろに退避しようとする!】

佳乃ちゃん!?大丈夫!?痛い所は無い!?

【―――後ろに退いたとはいえ、安全とは決して言えないだろう。無能力者の少女にこの窮地は余りにも過酷……】
【男が衣織に目をつけたら、間違いなく抗う術はない。さあ、どうなるのだろうか―――】



【一方その頃。】

「衣織……無事でいて――――!!」

【少し遅れて、ホールの方へ向かうもう一人の姿があった―――】


//宜しくお願いします!皐月は少し遅れて登場します!
968 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 20:14:33.36 ID:Q+j3VliTo
>>962
【そして出てきた少女らしい少年をみて、男は右眼を細める、嬉しそうに】

 ああ!よかった!
 もしあなたが私の味方だったら私はあなたを突き飛ばすところでした!
 突き飛ばすのは芸がない?そうおっしゃらずに!

【男はまるで役者のように、狂人を演じる役者のように仰々しくそう言う】

 さてさて、今回私の敵としてやってきたこの男の子!
 相場価値はおいくらでしょう?なんてね!奴隷なんて売り買いするものじゃありませんけど!
 しかししかし、この少年、このようなきれいな肌を持ち、さらに剣まで握っている!
 もし私が奴隷商人なら即刻眠らせて連れ去って綺麗に磨き上げた後皆様の前にご提供するでしょうに!非常に残念です!
 戦闘奴隷、そして、愛玩奴隷として、ね

【毅然とした、冷然とした少年と対照的にまるで喜劇の中の住人のように、いや、ナレーションのようにふるまう男】
【その目は非常に楽しそうで、また、殺意というモノはない】

 さてさて私の敵よ、あなたの名前は何というんです?ああ、名乗りたくないなら結構、少年と呼ばせていただきます
 少年、その剣をどうするおつもりですか?
 切る?投げる?叩き付ける?
 ああ!一つ言えるのは私を傷つけるべく振われるということ!
 これは危険です、私は大して強くない……

【そういって男はニッカポッカのポケットから一つの細長い物体を取り出す】
【その黒い物体には赤いスイッチと黒い液晶】

 ですから、ゲームに付き合ってもらうことにしましょう!

【その瞬間、見せつけるかのようにカチッとスイッチが入る】
【そして液晶に表示されるのは赤いデジタルな数字達……しかし故障しているのか表示がおかしい】

 お気づきですか?この社員寮、様々な場所に爆弾が仕掛けています!
 そしてこれがその爆弾が爆発するまでのタイマーなので……おややー?おかしいですねぇ?
 残り時間が表示されないですねぇ!ですがこの方がスリルがあって面白いというモノです!

【にやにやと笑っているあたり、表示がおかしいのは故意なのだろう】
【そして少年にその黒い棒を振りながら男は言う】

 君はこのタイマーを取り返して爆弾を止める、私はこのタイマーを爆弾が爆発するまで守りきる!
 制限時間は爆発するまで!

【そういって少年の出方をうかがう男】

 そうそう……私を殺せばすぐに爆弾は爆発するよ!
 だから殺さないでね!

【と、最後に道化のように付け加えるだろう】
【男は何も、武器となるようなものは持っていない、身を守るものはつけていない】
【攻めるのは容易そうだが……】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 20:21:53.45 ID:gXqhxl9kO
>>955-956

【今宵の防衛戦、一行に混じる一人には、他の者達よりも遥かに年老いた人物が居た】

【黒く短い、白髪混じりの髪はオールバックにして、年齢は60代程】
【普段は温厚そうな顔も、今は険しく、そして鋭いもので】
【服装は戦闘を想定して動きを阻害しない黒のTシャツに軍人に支給されるバトルドレスのズボン、腰には軍刀、それにズボンにはナイフ】
【そして体つきはとても軍人らしく、屈強ということが一目で理解出来るものだった】

……私の名はブラック・レッドライン。皆様、本日の防衛戦では宜しくお願い致します。
フレデリック殿、でしたかな、元であっても騎士団長であった貴方の実力、信じています。

それと君も、SCARLETの隊員の様ですな、今日はどうかよろしくお願いしますぞ。

【それぞれにそう挨拶するのは、データセンターのホールに行き着く途中の道だろう】
【その時を最後にすると、すっかり真面目そのものとなって、ホールへと歩みを進める】


【たどり着いたホールで見た光景、それはブラックが想定していた最悪の結果かも知れない】
【レイリスフィードの学生、今回の事件の首謀者たるガルマ、そしてかつての友の姿】

………………………………。

【迷いはある、しかしそれが動かない理由にはならない】
【ブラックはミドナを選ぶ、しかし攻撃は未だだ、それは判断材料も無いからで】
【今は彼女に言葉を掛けるだろう、そして歩み寄る、油断はしていない】


…………何故、貴女が此処に……?
……ミドナ……殿……………………

【六本腕の女、そう聞いて此処まで来た、もしかしたら……いや、そうであると】
【ブラックは彼女の前で、静かに、そう口を開いた】

/ブラックです!本日はよろしくお願いします!
970 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 20:28:59.45 ID:zNWRbhs9O
>>966
「う、うわぁ……これはひどい……」

異常なまでに静かであった外とは掛け離れた地獄絵図≠ェその狭い廊下に広がっていた。
転がる死体、燃え上がる備品、砕け散る窓ガラス。
流石に多少の嫌悪感も感じているのだろうか。

ともかくエスカレーターを指す看板を見つけ、

「────っ……!?」

突然落ちてくる無数の瓦礫。咄嗟に後ろに下がり、瓦礫を避ける。
……しかし今度はこちらに向けられる銃口。即座にそれは火を噴く。

「……っ!」
「───な、な、何なの突然……!!」

瓦礫を盾にして放たれる弾丸を回避、隙を突いて風圧弾を2人に向けてそれぞれ撃ち出す。
威力は即死……という訳ではないが、急所に直撃すると下手したら気絶するレベル。
これでどうにか足止め出来ないか、という策である。
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 20:33:26.96 ID:zdx+kelZo
>>968
【役者、狂言回し、道化師………実に、実に苦手なタイプだ】
【大袈裟に物事を言いながらも、決して本心は見せない奴が、苦手だ】
【――――いや、それは僕も当てはまるのか?】
【いや、それは今ここで思考するべき事じゃない、目の前の問題を解決しなければ】

「自分から名乗らない人間に名乗る名前はないな」
「大体僕を奴隷にしたって、男娼程度にしか役に立たないぜ?」
「奇遇な事に、僕も強くないのでね」

【―――――――道化には道化を、一種の戯言を】

「なるほど、つまりあんたは既にここにいる全員を人質にしてるわけだ」
「だけどそれを爆破したらお仲間ごと消し飛ぶぜ?」
「僕はそれで一向に構わないけど―――――――まあ、実行には移さないけどさ」

【言葉を紡ぎながら、男に近づいていく】

「―――――――――"殺さなければ"良いんだろ?」

【言うと同時に、剣を投擲する】
【それらは空を切り、男の両の足に向かって真っ直ぐに突き進む】
【何もしなければ、剣は両の足に突き刺さり、負傷してしまうだろう】
972 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 20:37:32.35 ID:4f+gnoYEo
>>961 >>963


ぬ―――お前、アーシャ=ランスキャット! それに貴様はフレデリック・シャリエールか!
ククッ、この我の力を知っていてなお迷いなく突っ込んでくるとはな! 大した度胸よ、面白い………!。

祈りを捧げるのは貴様らの方だ! この、戦神の前になぁ――――!!


【今まさに佳乃へ下されんとしていた手が、ガルマの視線と共にアーシャに向いた。ズオッ、と――――その両腕に金色の光が宿る!】
【アーシャならば既に知っているだろう、両腕を鉄の如く硬質化させると同時、岩をも砕く腕力を付与するこの男の能力】
【そして、アーシャの突進と同時にガルマへ接近した影。以前ゼン=カイマにて合間見えた剛毅の男、フレデリックがそこにいて】

【――――楽しげな言葉と共に振り被られた神の両腕は、アーシャの拳とフレデリックの拳、その両方と正面衝突する!】
【どうやら、互いの威力はほぼ互角のようだ。防ぐというよりは相殺したというべきか、それによってガルマは難を逃れるだろう】

【アーシャとフレデリックの腕には必然、そこそこの反動が帰ってくるだろうけれど――――それはガルマも同じ。ましてアーシャの炎≠フ方は防いでいないのだ】
【右腕が焼け焦げているが、しかしガルマには余裕がある。彼はその場から一歩も動かず、愉しげに二人を見下ろしていた】


>>967


『な、っ―――衣織!? そんな、どうしてここに………ッ!!』


【思わぬ四人の闖入者によってどうにか命拾いし、軽く息を吐きながらその面々の顔に目を通す佳乃】
【SCARLET所属の二人はともかく、フレデリックがその場に居たことにまず驚いたようだったが……彼女の驚愕は、最後の一人に向いている】
【……佳乃にとって特別≠ナ、絶対に守らなければならな少女が。この戦神の前に立ってしまったことで、佳乃は悲鳴じみた声を上げた】


『く、ぅッ! だめ、衣織! 逃げて………っ、』

……、フン。


【怪我でまともに動けない佳乃は、多少顔を青くはするものの、衣織の力に逆らわず真後ろに退避するだろう。……が、ちらりとそちらを見る目があった】
【戦神が一瞬、衣織を射竦める――――と同時に、真後ろの『後光』が光を発した。佳乃に向くはずだった光の手≠ェ、衣織へ発射される……!!】

【数は三本。佳乃が必死の思いで立ち上がり、薙刀を使って二本は打ち落として見せるが……最後の一本が、衣織の右肩付近へ向かっていくだろう】
【光の手は高熱を帯びており、触るだけで火傷を負ってしまう。それが一直線に伸びてくるのだから、これは殆どレーザーの様なものだ】
【伸び上がる速度がそこそこ速いのに加え、多少追尾性もあるあたりが厄介。……ただしこの光の手、見ての通りかなり細い=z
【つまり、耐久性が無い。佳乃がやって見せたように、物理攻撃で破壊が可能なのである。そこを察せられれば凌ぐのも難しくない】

【……普通の戦士ならば、の話だが。引き付けて身を翻すだけで回避できる簡単な攻撃だけれど、衣織は、果たして――――】


/続きます!
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 20:37:43.45 ID:4f+gnoYEo
>>969


「………ブラック。どうして、」


【静かな言葉に、静かな言葉が返ってくる。……いや、静かなのは口調だけだ。その言葉には乱れに乱れた感情が乗せられていた】
【ガルマそっくりの金色の瞳が、ブラックを見やる。あらゆる感情がその中で吹き荒んで、それ以上は何も言葉を返せずに――――】


エイダ、我が愛しの娘よ。お前は父のために戦ってくれるのであろう?
――――何を迷っている?

「っ、う、ああああああああああッッ!!!」


【場を動かしたのはガルマの声だ。それを受けたミドナは半ば自棄のようになって、咆哮を上げる!】

【ブラックには弾かれるような躍動が捉えられるだろう。背中に構えた巨大な槌を振り翳し、確かな害意でもって、ミドナがブラックへ突撃してくる!】
【構えるのは骨をそのまま削り出したかのような白色の柄に、片側が鶴嘴のように尖った幅広の槌部分を持つハンマーだ】
【同時、彼女の能力が発動する。――――ゆらり、と朱色の腕が四本背中に蠢き、更に彼女自身の両腕にも真っ赤な光が宿るだろう】

【岩をも砕く腕力を持つ、六本の腕。ミドナはブラックに十分近づくと、六の剛力で槌をやすやすと持ち上げて、横薙ぎの一閃を振るう!】
【槌の巨大さもあって範囲は非常に広く、人間の骨程度なら軽く粉砕してしまう威力もあって危険。しかし動きは鈍重で、回避は十分に可能であるだろう】


/もう一つ続きます!
974 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 20:40:13.36 ID:4f+gnoYEo
>>ALL


クク……ッ、役者は揃った、というわけか。どれ、早速で悪いが始めようか。真なる選定≠、な。

――――その前に、ひとつ、良いことを教えてやろう。


【状況は四対二。衣織を抜いても数の上ではそちらが有利だ。過去、二度敗北しているガルマにとって、決して侮れない布陣であるはず】
【けれど。顔を上げて全員を見下すガルマには、悠然とした余裕が垣間見える。どころか、心からの愉悦に塗れた笑顔で一同を見渡すだろうか】
【アーシャに焼かれた右腕も、まるで意に介していない。早速始めようと言い放つ口調は、かつてなく愉しげであって――――】


神とは元来、強大な力を持ち得ているモノだが……力の由来は何も、生れ落ちたその時に決まるものではない。
貴様ならわかるか、フレデリック・シャリエール。ええ? 神に仕える身で我に逆らう不届き者よ。

……そう、例えば人の信仰=B下位の者から信仰されれば信仰されるほどに、その力を増す――――そういう類の神もまた、この世界に五万といる。
クク………ッ、ここまで言えば、いくら愚鈍な人間といえどもう解るであろう?

我は戦神、戦いを司る神。……我の力は畏れ≠フ力よ! 闘いを通じ、人間共から畏れられれば畏れられるほど、我は強くなる――――!!


【焼け付くような傲慢さすらも――――威厳に変わって。光り輝く後光は太陽のように燃え上がり、戦神≠フ精神の高ぶりを感知したのか】
【今まではガルマの背中を覆う程度のものだった後光が、一気に広がる。人の大きさを超え、猛獣の大きさを超え、やがて部屋中を埋め尽くすほど巨大に―――!!】

【燃え盛った火輪は黎明の星のよう。ただ近寄るだけで、砂漠に投げ出されたが如き灼熱を全身に感じることができるはずである】
【……そして、圧倒的としか言いようがない神の威圧≠焉B一般人なら相対しただけで気絶しかねない遥か天からの神威≠ェ、ガルマの全身から放たれている】


なぁ、アーシャ=ランスキャットよ。お前なら覚えているだろう?
前回の選定において、我が≪空往く旅人(ガガ・アドワガ)≫を使役していたことを。古代の神獣にも匹敵する僕≠、操れるようになっていたことを。
一度目は砂、二度目は櫻。たった二度の選定で、人間共は我を十分に畏れてくれた。既にあれほどの力を使える程に――――我の力は高まったということだ。

そして、今宵。この風における三度目の選定の結果は、どうであろうな? ……クク、ははははッ! 済まぬなぁ、人間相手に戯れが過ぎたか。


さぁ、いよいよもって準備は整った――――今こそ見せてやろう!! 真なる選定、真なる神の力≠ニいうモノを――――――ッッ!!!


【ガルマは大音声で吼え、口が裂けんばかりの凄絶な笑みを浮かべて天を仰いだ。両手を振り翳すそのさまは、まるで神が世界を掴み上げるかのよう――――】
【……変化はすぐに訪れる。ガルマの背後の巨大な『後光』が一気に後方へ移動し、部屋の奥の壁に轟音を立てて衝突する!】
【ジュウウウウ――――という鈍い音と漂ってくる悪臭は、『後光』が放つあまりの炎熱が壁板をぐずぐずに溶かしたがゆえのものだ】
【溶解した壁の奥にはもう一枚壁があったが、衝突の衝撃で崩れ出し、一部に大穴が空いた。……一同が守るべきサーバールームが、露出した】

【だが今ばかりは、そちらに構っている暇も無いかもしれない。『後光』の円の内側に、無数の光の手≠ェ犇いて見えるからだ】
【百、二百、三百……数え切れないほどのそれは即時―――― 一斉に、その掌の中に不気味な眼≠顕にした。ぎょろりと剥かれた視線が、一同を射貫いて】
【だが、その光の手≠ヘ何故か一同には向かわない。うぞぞぞぞ、と気持ち悪く蠢いて文字通り『手を伸ばし』、壁や床、天井の中へと消えていくだろうか……】


【――――つまり。今回、ガルマからの攻撃は無いということだ。ミドナの方に注意が必要なのは変わらないが、これはチャンスとみて間違いないだろう】
【しかし同時に、ガルマが何か……途轍もないことをしようとしていることも、恐らく間違いない。攻勢に転じるか防御を固めるか、五人はどう動く――――?】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 20:42:21.66 ID:XpnCIooQo
>>966

「ふん、豆鉄砲如き物の数でもないのだ――!」


【吐き出される鉛弾に対して】
【突如としてシーナの目の前の床が盛り上がり即席の壁となって銃弾を受け止める】
【異能――いや、先の台詞が真実ならば魔術であろうか】
【何にしても、この場に現れるだけあって対抗出来るだけの"力"は有しているようであったが】

【しかし、その壁も次にコジマの取った行動に対処できるものではなかった】


「ぬ――煙幕だと!小賢しい真似をしおって!」
「だがこの程度で私を捉えられると――」


【突如として周囲を煙幕が覆う。視界が黒に染められ、相手の動きを認識することが出来なくなる】
【――が、地術師であるシーナには地面を通して周辺の物体を捉える技能が存在する】
【それによって、隙を狙って向かってくるであろう敵の攻撃に備えようとするが】


「――ぐ、ぬっ――!?」



【その瞬間、頭部に手斧が叩きつけられ半ばまで食い込む】
【シーナの弱点の一つは「宙を舞う」相手への対抗策が薄く、地を通した探知に頼る所だ】
【故に、コジマの飛翔の予兆を煙で隠された状態では、その動作を察することは出来ず】
【無抵抗の状態でそれを受ける事となった。】

【常人ならば間違いなく致命傷――即死であろう】
【しかし、コジマはシーナの脳天を打ち砕いた瞬間、異様な感触を覚えただろうか】
【まるで「固い砂山」でも崩したかのような感触と、一切血液が流れず代わりに膨大な"砂"が吐き出される】
【大凡まともな人間ではない。まるで身体が全て砂で出来ているかのような――】


「……あ、ぶ……ないではないか馬鹿者め――っ!」


【――頭をかち割られたまま、ふらつきながらもシーナは右手の戦鎚をコジマに向けて振るう】
【攻撃自体は単純で、姿勢が崩れているため威力も減衰しているが】
【もし虚を突かれてしまった場合、命中する確率が増大する可能性があるだろうか】
976 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 20:53:45.89 ID:Q+j3VliTo
>>971
【ニコニコとしている様はまるで仮面、しかし仮面が虚構であるとなぜいえよう】
【仮面の下には何もないのなら、仮面こそが真の表情なのではないのだろうか】
【嘘偽りのない笑顔の仮面、それを付けた男は滑らかに語る】

 そうですかそうですか!それは失礼!私、ネクターという名の愚かな男でございます
 結構結構!男娼を愛でる趣味のおかたも居ましょう!
 おやおや、強くないとはまた御冗談、本当に強くないと思っているのならわざわざここに乗り込んでこないでしょうに
 どうして嘘をつきますか?私はこれまで嘘をつきましたか?

【すらすらとセリフを読み上げるかのように、戯言には決まり文句を、戯言には台詞がふさわしい】
【そして事実、この目の前の存在はこれまで嘘をついていないのだ、嘘かもしれないことはあれど、それを立証する方法は、無い】

 そう!物わかりがよくて非常に助かります!
 私はすでに様々な社員の方々、学園生の方々、それを人質にしています!
 爆弾に関しても様々な場所に"適当に"仕掛けているので人死にが出るかでないかは……あなた次第です
 はっはっは!これは一本取られましたね!
 確かに一応退去するように通達を出しましたがまだ中には大量の機関員がいるでしょうね?

【にこにこしながら、そう紡ぐ、状況解説するように】
【だが、タイマーを止める様子はない、わかっていて、やっているようだ】

 そうです!殺さなければいいんです!
 まあ大怪我を負えば失血死やショック死する可能性もありますが……その場合あなたにも責任は発生するでしょう!

【そういうと自身の足に飛んできた剣を跳ねて回避する】
【常人よりは身体能力は高いようだが……所詮その程度、化け物じみているわけではない】
【だが、男の発するナレーションはあまりにも騒々しい】

 見ましたか!おそらくあれはあの少年の能力でしょう!
 剣が飛ぶ!ああ!なんと恐ろしい能力でしょうか!
 あまりにも人を傷つける為だけの能力!かのレイリスフィード学園の無能力者尊重の風潮も分からなくない!

【ナレーションをしながら、意味深な笑みを浮かべ、黒い棒を振る】

 ほらほら、どうしたのですか?取りに来ないのですか?

【と、挑発的な口調で煽り立てる、その間も表情はひたすらに笑顔であった】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:00:31.15 ID:3ElvPBHGo
>>970
「サッサと終いにして帰りてーんだよ俺らもよー。
だから諦めてサッサとしんでくれねーか? あ、嫌か。でも死んでくれね?」

【銃弾を辺りにばらまきながら、部隊の下っ端はそう声を張り、やる気のなさそうな態度を見せる】
【このやる気の無さを見る限り、全力で逃走したならば逃走は十分に可能だろうと思えるほどだ】
【瓦礫をたたき落としたのは、相手の行動を阻害するためと、上を取る状況を維持するため】
【そして、エスカレーターには大小様々な無数の瓦礫が転がっており、登ること自体が難しくなっている】
【ここに居る下手人達は皆無能力者だ。無能力者であるが――、状況が味方をすれば、十分に異能者と闘うことが出来る】

【有利な状況となった優越感からか、露骨に油断を見せている彼ら】
【そして、その油断に対して放たれた風の弾丸。それを察した瞬間に、彼らは即座に顔を青くした】

「うっわアブね!」
「が……ァ!? てめ……人盾に……!」

【一人がとっさに傍らの仲間を盾にして、そして盾にされた方は暴れて地面に倒れこむ】
【盾の方の腹部に風の弾丸がめり込み、更に顔面に風の弾丸が追加で命中】
【そのまま地面に崩れ落ちた盾にされた兵士を見て、盾にした方が声を上げる】

「てめー、ウチのメンバーに何シてくれてんだよあァ゛!?
うっかり盾にしちまったじゃねーか!! どーしてくれんだよオイ!? ふざけてんじゃねェぞ!!」

【身勝手極まりない激昂。彼らに良識はない。常に、私利私欲で動いている】
【立ち上がった男が、何かを階下に投擲した。それは――手榴弾】
【瓦礫が大量に散らばっている為、さほど破片は拡散しないだろうが、下手に動けば砕けた破片が襲い掛かってくるだろう】
【彼らの役割は、目的の達成までの時間稼ぎ。倒すことも殺すことも、正直な所目的ではない】
【故に、相手を上に登らせない。階下に磔にするような行動を、選びとっていた】
【この状況を変えるには、なんらかの無理をしてでもこの瓦礫の飛び散るエスカレーターを駆け上がり、兵士を突破しなければならないだろう】

>>975
【飛翔。それに合わせた部下の煙幕。全力での斧の一撃】
【それらの全てが、単体では大したものではない。だが、それらを組み合わせることで最高の効果を発揮する】
【『持たざる者』がなけなしの手段を駆使して作り上げる、小賢しい戦略の群れ。その一つが、大男の頭に斧を食い込ませるという結果を生む】

【深々と食い込む肉厚の刃。普通であれば脳漿と鮮血が飛び散り、相手は絶命する。そのはずだった】
【だが、肉を裂き、骨を断ち、脳漿を崩す、馴染みの感覚がそこにはない。明らかに不自然に、コジマの危機感がざわめいた】

「――あ? おが屑じゃなくて砂ッスか!?」

【左腕の手指を精妙に動かし、しゅるりと何かを引き戻すような音。そして、ばしん、と何かを射出する音が直後に続く】
【戦鎚には手応えを感じるだろう。骨ではないが、恐らく腹部にその槌がめり込んだであろうと推測できる感覚。だがクリーンヒットは避けられている】
【両手のグローブのワイヤーを駆使し、相手の反撃に僅かに遅れるものの、後ろに飛翔しクリーンヒットを防いだのだ。そしてどさり、と地面に何かが落ちる音】
【腹部へのダメージを堪え切れず、着地に失敗したコジマ。口から黄色い胃液を嘔吐しながら、ゆっくりと立ち上がる】

「……どーやって殺すッスかね……」

【呼吸を整えて、目には暗い光を宿して。コジマは首をひねる。部下から手榴弾と発煙弾、閃光弾を受け取って】
【腰のベルトの開いた部分にそれを装着。右手の斧を手元でくるりと回し、コジマはその斧を握り直すと、腰を落としてシーナを睨む】

(魔術師系。本体も堅い。だとしたら――、厄介ッスねェ)

【斧で殺せるかは分からない。そして、生物かもわからないため、新装備がどう通用するかも予測ができない】
【コジマはとりあえずとばかりに体を捻り――右手に握った斧を、全力でシーナの腹部に向かって投擲する】
【威力、速度ともに一級ではあるが、それ以上でも以下でもない一撃。防ぐことは不可能ではないだろう】
978 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga sage]:2014/07/05(土) 21:05:58.73 ID:4xMs87AJ0
>>959

あ…………?
……ふっ、これから火酒を口にして、身体は嫌でも熱くなるだろうに……いや、まぁ……そうなのか……?

【自分の身を慮るセリーナの言葉に、真意とは異なる捉え方をしていたトライデントは一瞬訝しげな表情を浮かべるが】
【好意を無碍にしたり台無しにする事もないだろうと、軽く苦笑しながら応える】
【――――苦笑、とは言うが、この一事が万事しかめっ面の青年からしてみれば、それでも貴重な笑顔なのかもしれない】

そうだな……思ったよりは酷くなっていない……俺は、もっと酷く後を引く状況になってる事を予想していた……
しばらくは、軍もあそこを離れる事は出来ないだろうが……それでも、これくらいで済んだのなら僥倖だ

【わずかにくつろいだ態度を見せながら、トライデントも『セードムシティ』に思いを馳せる】
【――――最終的には折れたものの、もろとも打ち崩せ、という姿勢を堅持していたトライデントとしては、今の『セードムシティ』の現状は】
【不安定な情勢である事を見てなお、『思ったよりはマシ』と言うものだったらしい】
【逆に言うなら、トライデントは相当に事態を悲観的に捉え、故に強硬策を支持していた様なのだが】

…………!?
――――セリーナ、あんた……少しその目算は甘いぞ……「罪を償える」と、思ってるのか?
……いや、それ以前に……仮にグラトンを生きて捕らえて、あいつに後始末をさせられると思ってるのか?
……あんな男が、仮に強制されたとして、事態の解決に力を貸すはずが無い……捕える利など、初めから無い様なものだ……

【――――その独白に、やはりトライデントはサッと顔を上げて渋面を浮かべる】
【「自分の命さえ、目的の為の駒に過ぎない」――――トライデントは聞いてはいないが、グラトンはあの時、確かにそう口にした】
【そんな人間に、事態の収拾をさせるなど、到底不可能な話だと、トライデントはセリーナに諫言して】

……あぁ、御馳走になる。それに、山漬けやかやきは好きにしてくれ……その為の、土産だ……

【ともあれ、トライデントは良く冷えたスミノフアイスの瓶を受け取り、グラスに注ぐ】
【透明な中に、炭酸を含んだアルコポップがシュワシュワと満たされていく。そのグラスを手にとって、明るく振る舞うセリーナを見やる】
【「酒肴に興じる酒飲み2人」な光景だが、片方は齢20に満たず、また手にしているのも軽いアルコポップと言うのも、どこか面白い光景だ】

…………セリーナ。今日は、俺の抱えてる諸々について、話すのが主題だったよな……
それで、1つ、前提としてこれを言っておきたい…………
――――「『悪』とは、何だと思う?」
あぁ、いや……答えを聞きたい訳じゃない。ただ、胸の内に考えておいてもらいたいものだ……正義を掲げるなら、必要な問いだろうからな……

【――――そして。話の本筋に入っていくトライデントだが、その前に。前提としてと前置きして、セリーナに妙な問いを投げかける】
【否、それは問いとは言い難い。トライデント自身も口にしている様に、返答を求めての物ではないのだから】
【だが、言わば話の『枕』として、この問いはトライデントの中に意味を持つものなのだろう】

/ただ今戻りましたー
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 21:13:38.73 ID:zdx+kelZo
>>976
「僕は巻き込まれただけだ、ここに来たのだって偶然だぜ」
「だから弱い、雑魚と言っても過言じゃない」

【ネクターと名乗った男】
【まさに"戯言殺し"となり得る存在だ】
【ああいったタイプは何を言ったって動じてくれない、だから苦手だ】

「やれやれ、とんでもない重荷を背負わされたな……」
「まあ、途中で投げ出す程人間が腐っちゃいないけどさ」

【そして、このビルの中にいる全員の命が自分にかかっているという】
【少し重すぎやしないだろうか?僕はそんなものを任せられるような器ではないというのに】

「別に殺さない、どの程度甚振れば死ぬかくらいは心得ている」

【向こうから攻撃はしてこない様子、挑発的な口調は癪に障るが、それを顔に出す事はない】

「大体、人を傷つけているのはそっちだって同じだろうが」
「自分の事を棚に上げて、何言ってんだ」

【言いながら両手に剣を召喚】
【だけど相手が喋ってくれるおかげで戯言を持続できる】
【つまり、切れ味は上がるって事】
【地を蹴り、ネクターの足を右手の剣で切りつけようとする】
【空いた左手はネクターが何かをした時に対処するため】
【何もしないで右手の攻撃を回避した場合は、左手の斬撃を足に浴びせる事だろう】
980 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/07/05(土) 21:19:45.79 ID:1INsk9Wso
>>972-974

フッ……成る程、ここまでしてその様子とは……確かに言葉は正しいようだな。

――信仰≠ヘ確かに、その神の力全てを決め得る物…。
人は神を敬うが、神はそれを信じ、考えだした人間が居なければ成り立たない
宗教とは得てしてそういうものだ。実際に居るか居ないかではない……人が信じるか、否か――。


……――だがなあ、ガルマよ?貴様が自信満々なのは実に結構だが
一つ忘れているのじゃあないか。人々が畏れる事≠ェ貴様にとっての信仰であり
そして力であるというのなら…――人々が貴様を畏れない≠ニすれば……。

つまり、そう……例えばここに居る人間が貴様を倒す≠セとか……
そういう事を人々が知って、見て、広く認知したのなら……く、クッ……この企業、世界的に有名なのだったな……?


【強烈に迫るガルマの圧=\―フレデリックはそれを、実に涼しい顔をして受けてみせた】
【既に、一度経験しているのだ。それも踏まえて、弱みを見せたがる男では無かったのもその理由だが】

【ズアッ!≠ニ構えた豪槍の力強さもまた、彼の姿勢と態度の根拠足りうるものであろうか】
【名はカテドラルとか言ったか。教会の至宝であるが、退魔の力を備えた立派な業物であり】
【彼はそれを構えて、正面からガルマに立ちはだかるのだった。――誰より前線に立つことが、彼の役目だと自認するかのように】


さ、て…――?貴様が奴≠ノ――グリースに殺されていなくて実に良かった、なあガルマ。
でなければ私がその首を切り落とすことも叶わないし、以前の鬱憤も晴らせぬというものよ

…――では征こうか。私の神と貴様の欺瞞、どちらが正しいのか証明しようではないか
無論、その方法は実に単純で明快に――どうせ貴様、小娘どもの生き死に自体に興味は無いのだろう?
それなら付き合え、そこのアーシャとか言う小僧と、私と、共に力比べと行こうではないか――なあ、ガルマ、ッッ―――!!!


【『小娘ども』とは、誰を指すでもない。強いて言えば佳乃、衣織、そしてミドナであろうが――】
【彼は彼女たちよりもガルマ一人を主眼に置き、同時に相手にも同じ事を求めたのだった】

【私を見ろ、と――そういうような初撃は、手にした豪槍に寄る槍衾≠ナあった】
【槍衾とは本来、大勢で一斉に槍を突き出す攻撃。――それと誤認するような鋭い連続の突き、というわけだ】
【狙うはまず最初にガルマの首。次いで右肩、左肩、そして鳩尾。途中で妨げれば順序のスキップも起きうるし】

【なんといっても高速、高圧の突きであるから威力は高いが、単純である事は否めない】
【常人を遥かに超えたガルマにこの攻撃が通るかは分からないし、槍特有の中距離という合間を取っていようが】
【光輪を駆使した彼であれば反撃も容易、か。それともう一つ、ガルマなら気付き得ることが一つだけ】

【それはフレデリックの口元が不自然に動いている事≠セ。会話が終わって尚も動きを止めていないのに気付けるか】
【――確か彼は、教会特有の術をいくつも知っていた。とすればそれが呪詛ではなく術式だとも勘付くことは出来るはずだった】

>>ALL(>>961>>967>>969


……―――いいか貴様らッ!私達は此処で奴を倒さねばならん!
その理由は……言うまでもなかろう。理論でも、感情でも、原動力など何でも構わんッ!
ガルマという神騙りの愚か者を誅戮する――ただソレだけだ。力を貸せ、このフレデリックにッ――!

…――それと、子供は下がっていろ。そこの学生二人組み(>>967)など目障りだ
とっとと此処から離れるのだな……奴の放った手がなんだか知らんが、建物が崩れてからでは遅いのだからな――?


【―――これは、フレデリックが槍の突きでガルマに挑むより少し前の事となる】

【彼が声を放ったのは、明確な理由があったからではない。強いて言えばガルマを一人では倒せない、と】
【それを己が一番良く知っていて、その上で協力が欠かせないと分かっているからだろう】
【先ほどブラックが言っていた(>>969)が、彼は元であれ騎士団長なのだ】
【こういった声掛けだとか、統制のような真似事は慣れていると見える。――それと】

【衣織と、佳乃。彼女たちには、わざとらしく冷たい言い方で早く立ち去れと告げるのだった】
【今ならまだ間に合う。フレデリックが槍を構えて突っ込む隙を上手くすれば、或いは――と。】
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:20:08.98 ID:zNWRbhs9O
>>977
「・・・・」

……確かに自分は風弾を放った。
しかしそれを勝手に盾にして、勝手に逆ギレしたのである。
もはや反応のしようが無いほどに呆れているのは言うまでもない。


────すかさず飛んでくる手榴弾。
ただ即座に隠れた為か、破片によるダメージは受けずに済む。

(意外としぶとい……?もう少しドカンとやらないとどうにかならないのかなぁ)

風の塊を2発受けてもなお立ち上がる兵士を見て。
奴らは中々根性がある、と推測する。

「……と、とにかく、そこで大人しくしとけばいいのよ!」

そう言うとさらに強力な風の渦、簡単に言えば『小型の竜巻』を放つ。
小型と言えど、大人2人を巻き込むには十分な大きさと威力だろう。

───周囲の瓦礫を巻き上げ、それは兵士たちへ一直線に向かって行く。
982 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:21:24.00 ID:3ElvPBHGo
>>981
/*スイマセン、盾にされた方は一人で二発食らって気絶してます!*/
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:22:43.80 ID:zNWRbhs9O
>>982
//失礼、立ち上がった男=盾にされた方と思ってました……
984 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 21:27:05.96 ID:XpnCIooQo
>>977

(ぬぅ……やられたのだ)
(油断はしたつもりはなかったんだがの――思った以上に"上手い"奴だの)


【優れた探知技能を持つシーナは、こうして認識の外から攻撃された経験は少ない】

【だが煙幕のタイミングと、飛翔という行動が最善のタイミングで繰り出された結果】
【コジマの攻撃に反応する事すら出来ずに頭を叩き割られた】
【その容姿や言動から小悪党の類と見ていたが、シーナは認識を改めた】
【目の前の敵は、性質はどうあれ間違いなく"驚異"であると――】


【戦鎚の攻撃は成功するが、コジマの優れた危機感により被害を最小限に抑えられる】
【元より苦し紛れの反撃だ。あれほどの動きをする相手に成果は元より期待していない】
【シーナは一度強く床を踏みしめて直様体制を立て直すと】
【戦鎚を両手で握り、振りかぶるようにして構えながら】


「よくもやってくれおったな――百万倍にしてお返ししてやるのだ!」



【板上にそう記しながら、次の行動を開始した】

【床の素材が分解される】
【分解された素材は粒子状に変換され、周辺約30cm程度が砂地のように変化し――前方に向かい河のように"流れ出した"】
【その効果は"移動"。足を動かすのではなく、地面を動かし自身を輸送する異様の術】
【人体の動きに囚われず高速移動を可能とする其れは、例えるならば「ホバー移動」であろうか?】

【範囲はシーナの周辺であり、移動するに従い範囲もシーナの位置に合わせて変化し続け】
【通り過ぎた地形は元の床に逆再生のように戻っていく】

【地を滑る奇怪な高速移動でコジマ達に向けて接近を図り】
【途中飛来した斧を、戦鎚を一度ブゥン――と振るい叩き落とす】
【大柄な見た目通り、相応の膂力を秘めているようだ】
【叩き落とす際に微かに重心がズラされるも、そのまま問題なく移動を続け距離を詰めようとする】


(さて、こうやって愚直に突進してやればどうでるかの)
(ただの猪武者と侮ってくれれば、上々だが――)


【もし、移動の際に何かしらの攻撃がシーナに飛来した場合】
【その場でシーナは停止し、先ほど見せたような"床の壁"を自らの前に形成する】
【しかし、今度は先の壁とは性質が違う。"炸裂防壁"、衝撃に反応し、炸裂。前方に砂の小爆発を引き起こす術だ】
【威力は大したことはないが、衝撃とともに多量の砂が周囲にばらまかれる為、攪乱効果として作用する可能性がある】

【上記の"炸裂防壁"は、攻撃がなかった場合は実行されずそのまま移動を続けるだろう】
985 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 21:32:16.82 ID:Q+j3VliTo
>>979
【少年の返しに男はひとしきり爆笑する、そして、笑いを押さえながら言うであろう】

 巻き込まれただけとはよく言います!それなら剣を持っている意味は?
 扉を開けた時点で引き返せばいいでしょうに!
 それとも屋上に避難しに来た奇特なお方とか?それならご愁傷様です!巻き込まれた己の不運を呪いましょう!
 このようなゲームにお付き合いいただき誠に感謝いたします!

【大仰、大げさ、そうとしか言いようがない言動】
【観客としてみていたのなら非常に愉快なのだろう、当事者からすれば不愉快としか言えないが】

 さぁさぁ!どんどんいらっしゃい!
 一人の少年が数奇なことに人々を助けるために剣を手に取り悪に立ち向かう、なんと感動的なストーリーでしょうか!

【パンッと感動したかのように手を打ち合わせる男】
【本当に感動しているようだ】

 おやおや、甚振り方も心得ているとはどこまで将来有望な少年だろうか!
 ですが、非常に残念です
 人を傷つけている?私が?
 確かに爆弾と言う人の手で作られたものを使用して爆破を試みています、ですがあなたのように生まれ持った、もしくは生きている途中で与えられた能力

 "私はそれを使ってあなたを、人を傷つけましたか?"

【そもそも私はまだ能力を見せていないのですよ?と非常に楽しそうに語る男】
【能力を見せていないというブラフか、能力を持っていないからの嘘か、それとも、真実か】

 まあ、私は悪です!悪は人を傷つけるために存在しているものだと相場が決まっています!
 別に悪じゃなくてもいいのですが……つまらないでしょう?自分から行動を起こせないのですから

【そういいながら両手に剣を持って迫ってくる少年を見ながらナレーションは止まらない】

 剣を召喚する能力!これが彼の真の力でしょうか!
 果たして彼の剣!一体どのような能力を兼ね備えているのでしょうか!

【そういうとタタッとバックステップをすることで右手の剣を回避するだろうか……そして】

 おや、行儀の悪い左手はこれでしょうか

【そういいカッと左手の剣を蹴り飛ばすだろうか】
【若干男の靴が切れた様だが……どちらにせよ、とっさに左手の剣を離さなければ大きく姿勢を崩すことは間違いない】
【この男の様子から察するに攻撃することはないだろうが――その時間のロスは、もしかしたら大きくタイマーに影響するかもしれない】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:37:31.43 ID:gXqhxl9kO
>>972-974

………………どうして…………だと…………?
……仲間を、友を、大切な家族にも等しい貴女を連れ戻す為、それ以外に理由など必要なものか…………

【ミドナと同じく、ブラックも複雑な瞳で彼女を見据える、黒とも、藍色とも見える不思議な色彩の瞳は、彼の心を表しているかのようで】
【その瞳には決して、ミドナとガルマの瞳が似ている様になど見えなかった】

【そしてガルマが放った言葉に、ブラックはこう言い返してみせるだろう】


私は彼女に聞いている、貴様は 黙っていろ。
貴様には 神は愚か、親を語る資格など無い。自分の勝手を強いる者の何が父親か……!

【ブラックはミドナのハンマーに対し、漸く軍刀を抜く、その時刃は一瞬だけ青白い光を放つ】
【彼が選ぶのは回避ではなく受け止めること、しかし、いくら鈍重な動きであろうと、軍刀で支える腕には衝撃と負担がかかる】
【受け止めた後にカチャカチャと音を立てて支える軍刀は折れてはいない、だが幾ら能力で強化しているといっても老体からは汗が噴き出して】


…………貴女はミドナ、私の友です……、誰が何と言おうと私はそうだと信じます。
……だから、これが終わればまた、沢山色々な事を話そうではありませんか。
貴女は約束してくれました、またいつか、今度は皆で来てくれると……!

(彼女を取り戻す為には……やはり奴を………………!)


【ガルマの後光が巨大となっていく、だが怯む暇など許されぬこと】

【訪れるチャンスだけを、ただ捉え、ブラックはハンマーから離れるとガルマへと跳ぶ!】
【実を言えば、今回の任務の彼の目的はサーバールームの防衛よりも別にあった。それは唯、ミドナを取り戻すというもの】
【ブラックは今回の"頭"であるガルマに襲いかかる!軍刀は蒼く激しい焔を燃やして】
【岩どころか、硬質な合金さえも一刀両断するほどの力、その分消耗も激しいが】
【そんな事を彼は気にしてはいない、倒すべき敵を倒す為に使わずしてどうするのか、と】

【その速度はまるで狼、いや豹とでも言おうか、人間の限界を越えているかのような速さだ】

987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:38:54.84 ID:3ElvPBHGo
>>981
【手榴弾を迷いなく投擲し、また銃を構えて少女を殺そうとする一人の兵士】
【引き金に指をかけ、隠れた場所に向けて銃口を向け、引き金を引こうとしたその直後】
【眼前に現れたのは、小型の竜巻。瓦礫を巻き上げ、殺人的な威力を誇って襲い掛かってくるそれを前に、残った一人が顔を引き攣らせた】

「――うっわ、やべ、無理無理無理無理!!」

【能力があれば、魔術が使えれば。きっと何らかの対応は可能だったろう。なんらかの武道の達人であれば無能力者でも可能だったかもしれない】
【だがしかし、かれらは無能力者であると同時に、無能なのだ。故に、行動に迷いはなかった。銃を肩にかけ直し、仲間を引きずりながら、全力で逃走し始めたのだ】
【背後から迫る竜巻。防げないのならば、逃げるのはある意味最良の判断。出来る事は、それくらいしか無かったのだから】
【仲間を引きずって逃げることを諦めたのか、途中で仲間を放置して全力で駆け出す男。逃走速度はなかなかの物で】

「あああああヤバイヤバイヤバイ!! やめてやめて死ぬ死ぬ死ぬ!! くっそ――!」

【仲間が竜巻に巻き込まれて巻き上げられるのを肩越しに見て、男は瓦礫を飛び越しながら駆け抜ける】
【次第に竜巻と男の距離は縮まっていき、男は展望台の割れた窓から外に飛び出そうとして――】
【その脚が、遂に竜巻に囚われた。手近な手すりにとっさに手を伸ばし、無理やり握りしめて吹き飛ばされないようにするも、無力】

「が――――!!?」

【竜巻が止めば、無数の瓦礫によってボロボロになった、血まみれの男が二人、気絶して地面に転がっているのだった】
【強くはないが、どこまでも意地汚く、生き汚い。だが、これで上階への突破は可能となる】
【そして、上の階に登れば――3人の兵士と、1人の女。そして、大柄な男の戦闘が、目に入っただろう】
【シュネイの姿を兵士は認め、そのうちの1名が、銃を構えて威嚇射撃をすることだろう】

>>984
(うわァ……強い。嫌だなァ……もう。投げたりするのはもう見切られてるだろーし……、仕込みはもう殆ど終わってるよな?)

【今回コジマ達が受けた任務は、破壊任務だ。そして、破壊任務ということは何をする任務かと言えば、文字通りに破壊】
【そして、コジマはその手の仕事の場合は、きっちりと準備をするタイプでも有る。仕事である以上は、徹底的に。それがコジマのやり方だ】
【目を細め、シーナの動きを見定める。何が怖いか、己の超感覚的恐怖に頼る。そして、同じ行動を取るほどコジマは愚直ではない】

【インカムのチャンネルを変える。それは、他の階≠ノ居るコジマの部下に対するもので】
【低く静かな声で、己の部下に対する命令を送り込んだ】

「――8の12番。真ん中らへん。1・2・今!」

【ごうん。展望台が振動する。そして、コジマの居る階の天井が鳴動した】
【生まれる亀裂――そして、天井が崩落し、コジマとシーナの間を塞ぐように瓦礫の雨が降り注ぐ】
【シーナがそのままの速度で加速するならば、シーナは瓦礫の雨に全力で突っ込んでいくような形となるだろう】

【コジマはこの展望台の随所に爆薬を仕掛けている。さほど強い威力ではないが、効率的に全てを爆発させればこの展望台を倒せる程度の威力では有る】
【その、戦闘のためではない仕込みを、コジマは即席で攻撃に用いてみせた】
【もしシーナが辺りを見回す余裕があれば、太い柱や床の広い部分などに小さな爆弾が設置されていたことが、わかったかもしれない】
988 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/05(土) 21:43:34.31 ID:FhLCm6fxo
>>972-973>>980

ちッ――

【効いていないのか――いや、以前は弾き飛ばされるほどに力の差があった】
【ほとんど奇襲に近いとはいえ、ほとんど互角に持ち込めた。やはり勝てない相手ではない】
【とはいえ正面から戦って勝てる相手ではないということも理解できる。だが、やるしかない】

やっぱ俺だけじゃ火力不足か……
おっさん! ――いやフレデリック! 悪いが頼りにさせてもらうぜ?
あの戦神風情≠ノよ、人間様の拳をたっぷりとぶち込んでやろうぜ――!

【初撃を相殺された彼は、ホール入口付近まで素早く後退するだろう】
【広がった視野の中に、見覚えのある人物が居た――頼りになりそうな男が】
【この戦い、自分一人では勝利を得られない。】

>>967

【ついでに見えた、というのもおかしな表現ではあるが、この場にそぐわない人物も目に入る】
【逃げ遅れた学生であることは間違いない。彼女の腕の中には先程まで戦っていたと思われる少女もいるが――】

クソ、守ってやる余裕なんか無えぞ……!
おい譲ちゃん! できるだけ俺かごついおっさんの後ろに居ろ!
――て、この野郎……! ガキにも容赦無しかよ……!

【出来るだけ守ろうとはするようだが、彼もガルマの相手で精いっぱいだ】
【逃げるか、戦うか、それとも彼の言う通りにするか――彼女自身の動き次第で戦況は変わるだろう】
【ただ、彼ではたった今発射されたレーザーに対処することはできない。自身の力で切り抜ける必要がありそうだ】

>>974>>969

やっぱ連れてかれてたか、ミドナ。様子が変じゃねえか。何しやがった
そいつが傷つくとよ、泣く友達がいるんだ。だから――お前をぶっ飛ばして返してもらうぜ

【今回背負ったものは――正義だけではない。ある少女との約束も肩に乗っている】
【負けてもミドナだけは連れて帰らなければならない。だがそのミドナが仲間へと攻撃を繰りだしたではないか】
【この事態にアーシャは目を見張ったが――彼女の相手はどうやら、あの老人らしい】
【多少の気がかりはあるが、思う存分ガルマを相手取れる】


――それを聞いて俺が恐れるとでも思ってんじゃあねえだろうな
お前が強くなったからどうだってんだ。俺はお前を倒す――それだけだ

いくぞガルマァ! テメエが見下す人間の力がどれほどのものか――嫌ってほど教えてやるぜ!


【どれほど神圧≠受けようとも、彼は全く動じない。むしろ反発して闘気を滾らせてすらいた】
【勝てる見込みなど無いに等しいだろう。だが、せめて自分の役割くらいは果たすべきで】


業火拳爛の―――ブレイズアサルト<b!!!


【消えゆく光の手、何か企んでいることは明白だが、ここはとにかく攻めるべき】
【そう判断したアーシャは斜め前方へと跳ぶことだろう。フレデリックの邪魔にならないように配慮しての軌道】
【そこからさらに炎を噴出させて、一直線にガルマへと向かってゆく】

【――打ち出すのは先程と変わらない、右の拳。ただ寸前での踏み込みが、その威力を底上げしているだろう】
989 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 21:43:54.74 ID:Raj3xKOz0
>>972-973

分からない!私も何でこんな事になってるか全然分からないんや!
でも……!佳乃ちゃんが、佳乃ちゃんが危なかったから……!私、見過ごせなかった……!

【佳乃の表情が青ざめる。悲鳴のような声は、自分が此処に居てはいけなかったという事を教えてくれる……けれど】
【……体が勝手に動いた。世界中の誰よりも好きな佳乃が今まさに殺されようとしている所を、黙って見ているなんて出来なかった】
【衣織は力を振り絞って佳乃と共に後ろに下がる。下がった所で絶対安全になるような相手ではないのだが、それでも】
【――――そして、その姿が災禍の主に留まってしまった。】

――――!!!

【「逃げて!」という懇願にも似た叫び声。同時に強い光が瞬き、振り向けば―――三本の光の手が迫っていた。】
【二本は佳乃が必死の思いで防いだ。衣織は残り一本を回避すれば良いのだが――――忘れてはいけない。彼女はただの女子中学生なのだ……】
【佳乃と違って修羅場を潜り抜けた事も無い。戦いに身を投じた事も無い。そんな、普通のか弱い少女なのだ。】
【だから、迫り来る攻撃にも足が竦んで回避行動を取れず、為す術も無く光の手は衣織との距離を縮めて―――】

              【―――瞬間、一陣の風が吹き抜けた。】

【衣織の肩を貫かんと迫り来た光の手は、衣織の後方から放たれた空気の弾丸の炸裂によって弾き飛ばされる!】
【巻き上がる爆風は、光の手を弾く物理攻撃としては十二分だっただろう。しかし、当の衣織は全く反応できていなかった筈。】
【―――では、この空力の弾丸は一体誰が?その答えが判るのには、そう時間は掛からなかった――――】

              「――――私の娘に……――――――


               ―――――手を出すな―――――!!!」
  
【強い怒気と殺気を孕んだ声が、衣織と佳乃の後ろから聞こえるだろう。二人はよく知っているであろう声色が――】
【―――そして、彼女はホールに姿を見せる―――!】

「衣織!佳乃さん!大丈夫ですか!―――良かった、生きていますね。
 佳乃さん。……貴女は怪我をしても衣織を護ろうとしてくれたのですね。ありがとう―――
 ―――衣織、佳乃さん。貴方達は私が護ります。子供を護るのは親の務めですから、ね?」


【鳶色の長髪は己の巻き起こした風にさらりと靡いている。目じりの下がったの垂れ目、深いブラウンの瞳は優しく澄み】
【纏うのは黒いスーツ、その上に白衣と言った出で立ち。長い白衣の下からはちらりと足首が覗き、足元には革靴。踵がコツコツと床を鳴らす】
【二人を庇うようにして前に立ち、振り向きざまに二人に微笑む。子供達を安心させるように優しく、凛とした眼差しを添えて】
【そして見据えるのは愛娘を傷つけようとした者。怒りにキッと睨み付けるその顔は、きっと佳乃は見たことのない顔だった筈】 

【戦局は変わる。「選定」などとのたまう男の光輪がその多い差を増し、強烈な熱を帯びて広がり―――】
【―――やがて威圧するかのような存在感が押し寄せる。が―――皐月は身じろぎ一つせずに衣織と佳乃の前に立ち】
【威圧すらその身に受け止めて、仁王立ちで子供達を護る。】


【―――光の手が壁面に消えると同時に、皐月は手足に風を纏う。足元を渦巻く風は、今は小さなつむじ風程度】
【警戒するようにして子供達を庇う。何処から攻撃が飛んできても大丈夫なように、警戒心を最大限持ち続けて―――】

【敵への攻撃は他の人に任せる。今は愛する子供達をこの場から護る為に、防御に最大限の力を使おう】

【戦い慣れた佳乃なら分かるかもしれない。―――皐月の纏う雰囲気が、弱者の其れではないという事を】


「……衣織。佳乃さん。貴方達は逃げなさい。―――大丈夫、貴方達は私が護りますから。
 ふふっ―――お母さん、実は結構強いんですよ?」

佳乃ちゃん……逃げよう!
おかあさん!―――絶対に、無事でいてよ!!

【そして、隙を伺って>>980の言葉通りに二人を逃がそうとする。もし逃げる途中に攻撃が放たれるのなら防ぐから、と】
【―――尤も、佳乃は逃げるかどうか分からないが……】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/07/05(土) 21:47:34.19 ID:FhLCm6fxo
/>>988>>972-973>>980
/すみません文章が抜けてました…前半最後

【この戦い、自分一人では勝利を得られない。故に共闘は必須であると、彼も理解していた】

/という形に補足お願いします…!
991 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/07/05(土) 21:58:41.28 ID:W0jsYTmfo
>>978

【最初に顔を合わせた"あの"作戦会議のときに比べれば、そもそも二人で酒を飲むという光景自体が】
【予想だにしていなかった物―――この青年の少しだけ緩んだ表情を見れた事は、セリーナにとっては"土産"の一つだ。】
【だからこそ、今宵の話がどういうものであるのか、その趣旨を再認させられるような深い問いかけと、反論については―――……。】
  
  ……そうだね。これから再興に向けて、彼等は踏み外した道を正しい方向へと修正してかなくちゃいけない。
  それでも、奪還後に『何も残らなかった』、っていう結末よりはよっぽど、良い方向でハナシが進んだ筈だ。
  ……本当に。思い返せば本当に……大きな賭けだったよ。

  けど、君がアタシに"甘い"と感じる様に―――あの作戦もにも、甘さが幾つも生じてた。
  単純に『支配』の範囲が広がる事を阻止する、っていう、その目的のみを優先させるのであれば
  君やアムネリアさんが指示した通り、最初から強行作戦に出た方が確実で、そして安全だったんだから。

  
【―――バーボンの瓶を開けると、セリーナは氷の入ったグラスへとそれを注いでいく。】
【カラン、という音と共に氷がグラスの中で緩く熔けて、濃厚なアルコールの香りが二人の間に流れていった。】


  ―――君の問いへの答えと合わせて。
  アタシは―――……誰かが、誰かの『自由』を奪う事が、『悪』だってそう思ってる。

  あの作戦で、アタシが住民の救出を優先したいって申し出たのは他でもない、『自由』の為だ。 
  住民達に選択の余地があったかどうかは、これから深く考えていかなきゃ分からない事だと思うけれど
  あの時点で彼等は『カノッサになんらかの術を施されて兵士となった存在』と、そう見なすのが道理だった。

  ……自らの判断で進んで、彼らに迎合して、兵士となって銃を取ったのならば、それは結構。
  死を覚悟した上で戦う人間に、アタシはアタシなりに敬意を表して、"アタシ"も銃できっちり迎え撃つさ。
  けど―――もし、そうじゃなくて武器を握っているのなら。そこに誰かの悪意が介在しているのなら。

  それはもう、死を覚悟した戦士じゃあ、ない。アタシの銃が喰らうのは、あくまで覚悟のある者だけに、留めたい。
  そしてそんな彼らに、恐らく自由は存在していない。自分の在り方を、自分の行く末を、
  自分自身の手で決めることが出来る、そんな権利こそが―――"自由"の本質だと、アタシは思うから。

  命を救いたい……っていうのもある。けど、アタシがあの戦いで真に護りたかったのは、多分……
  彼等の、"自由"だったんじゃあないか、って……そう思う。


【受け取ったクーラーボックスから、山漬けを取り出すと彼女は包丁を手にして―――小さく、その身を裂く。】
【切り取った二口か、三口分ほどのその切り身を魚焼きのグリルに乗せると、弱火でじっくりと、焼き色をつけて行く。】


  ―――同時に。その『自由』の権利は、全ての人間に与えられるものだとも、思う。
  住民は勿論、銃を握るアタシ達も、そして町を牛耳っていた悪人達にも……それは、平等に与えられなくちゃ、いけない。
  だからあくまで―――……アタシが断罪するのは現在の"彼等"の姿であって、将来の可能性を奪う事はあっちゃならない。

  ……自由、っていう言葉にも色々ある。社会的に赦されてるのは、あくまで人に迷惑をかけない範囲での、自由だ。
  グラトンが選んだ人類平和への道だって、彼にとっての選択の『自由』だったとも、いえるよね。
  けど、その為に彼が行使するのは悲鳴と沢山の死、暴力だけだ。だからそれは―――他の自由への、侵害になる。

  その瞬間、それはもう『自由』じゃなくなって、ただの『悪』になってしまうと、アタシは思うんだ。
  そして正義を掲げる以上、アタシが相棒<"弾"末魔>で裁くのは、あくまで『悪』のみであるべき、でしょう。
  『悪』は思想であって、行動であって、そして結果でもある。けれど、『未来』の事までは、含まれちゃいけない。

  ―――事態の解決に、彼らが協力する筈が無い。そうやって、諦めて彼等を一方的に見限るのもまた―――……。
  アタシにとっては、あまり良い事には思えないんだ。もっとも、そうする事でしか護れない者があるなら……。
  アタシは、撃つ事を選ぶ、けどね。

【―――グラスを煽る。山漬けの焼ける匂いが、染み付いた。】
  
  

  
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/07/05(土) 22:03:55.17 ID:zdx+kelZo
>>985
【――――――――駄目だ】
【どうあっても苦手だ、一体全体何が言いたいのが、その真意はどこにあるのかがまったく読めない】
【そして右手の攻撃は空を切り、左手の攻撃も交わされる】
【そしてネクターが足を上げたところで左手の剣を放す】
【剣は蹴り上げられ、後方へと音を立てて落ちた】

「お前とは初対面なのに、そんなの分かるか」
「傷つけた可能性だって傷つけていない可能性だってある」
「それにお前だけじゃないだろ、能力を使って人を傷つける愉快なお仲間がいるじゃないか」

【能力を見せていないというのはただのブラフか】
【どちらにせよ、不利を脱するために戯言を紡ぎ続けるのは変わらないわけで】

「僕は、正義でも悪でもない」
「大体正義と悪の定義って何だよ」
「どっちも自分の正義を押し付けるためにぶつかってるだけじゃないか」

【言いながら左手に剣を召喚】
【今度は2m程もあろうロングソードだ】
【右手で剣を投擲し、左手の剣は横薙ぎに振るう】
【後ろに下がれば投擲された剣が直撃するし、横に避けようとしてもリーチの長い剣に切り裂かれるだろう】
/返信おくれて申し訳ない…!
993 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 22:05:32.99 ID:4f+gnoYEo
>>980 >>988


――――そう、流石に解っているではないか。
その通り。我は人に畏れられれば畏れられるほどに力を増すが、逆に畏れられなければ存在すら危うくなる。
だからこそ、我は人間共に負けた。もし我が全盛の力を持ちえていれば、貴様はおろか人類すらも、小指一本で滅ぼせたであろうよ。

だが今、我には力がある。貴様らたった二人が畏れようが畏れまいが、今更……我に届きはせん。


【フレデリックの推察は正しい。ガルマは意外にもそれをあっさりと受け止めてみせるだろう。……それだけ、余裕が在るということか】
【畏れられている間は絶対者として存在する。しかしもし、畏れられなくなれば存在できない――――これが、この男の存在の材料】
【ガルマの圧倒的な存在感を前にして一歩も退かないフレデリックとアーシャを、ガルマは強い視線で見据えるだろう】


フン……あくまで民草を守る、か。貴様も、お前も、変わらんな。
好きにするが良い。どちらが欺瞞かはすぐに解ることであるし、それに――――、
――――今の我ならば、貴様の相手をしながらあの小娘どもを滅ぼすなど、容易であるでな。

来い、愚者共ッ!! その槍と拳、この身でもって裁量してやろうぞ………!!


【そして、ガルマの叫びと共に、決闘が始まる。槍使いと拳使いの、神に挑む戦いが――――!】

【まず到達したのはフレデリックだ。たった一人で、しかもあの剛槍を抱えて、槍衾を展開しうるというその技量】
【まさしく神にも迫る$ィい……だが。ガルマは一切動こうとすらしなかった。防ぐことも避けることもなく、槍を受け止めるのである】
【当然、カテドラルは彼の体の四箇所を貫く。……が、手応えが異常に小さい! ダメージが無い訳ではないが、先端が少しだけ肌を破ったのみ】

【次にアーシャの一撃だ。爆炎の拳がガルマの胴体に突き刺さる――――やはりこの男、抵抗しない】
【――――というか、わざと受け止めているのだ。いや、最早受け止めるというより、愛を持って受け入れているかのようであったが……】
【そして、強烈な手応えがアーシャの腕に返ってくるだろう。間違いなく直撃、打撃は内臓に達し、炎は表皮を焼き尽くす、】

【……はず、であるのに。本来あるべき傷口が異常に小さい。打撃は表皮で止まり、炎は薄皮一枚に火傷を負わせるだけに留まる】


――――どうした。終わりか?


【これで、もう確定だ。ガルマ=ハド=ラジャルードは――――その言葉通り、今までで最高の力≠その身に纏っている!】
【フレデリックが次なる布石≠打っていることにも気づいているのか。ガルマはただ、抵抗もせず嗤っているだろう……】


/続きます!
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 22:07:08.56 ID:4f+gnoYEo
>>986


「あ………ブラック、アーシャ………」


【振り切られたハンマーが、ブラックの体を砕いていないことを察知すると――――ミドナは、露骨にほっとした顔をする】
【……きっと、本心から悪に寝返ったわけではないのだろう。何かしらの事情があって、彼女は今、敵として立ち塞がっているのだ】
【ブラックの優しい声色も、アーシャ(>>988)の決意の籠もった声も、その両方を受け止めて。ミドナはただ、立ち尽くす】


ほう、貴様も我に立ち向かうか、老人よ。
だが悪いな。今回の戦いは、我のみならずエイダにとっても、重要な試用≠ナあるのだ。

――――エイダ!! 今こそその力を見せてやれッ!!


【豹の如きブラックの疾走を、ガルマは事も無げに捉える。しかしフレデリックとアーシャの対応に追われている今、ガルマに抵抗の術は無く】
【……否。ガルマが凄絶に嗤って、ミドナの本当の名前を呼んだ瞬間――――ブラックの真後ろで、強烈な闘気≠ェ炸裂するのがわかっただろう】

【そして軍刀が振り下ろされる直前、その間に『真っ赤な人影』が滑り込む。刀ではなく腕の方に柄を合わせ、一閃を受け止めたのは、】


「――――ッグ、あ、あああああああああああああああああああああああッッッ!!!」


【ブラックが豹なら、これはさながら獅子であったか。先程とは全く比べ物にならない激烈な咆哮を上げて、野獣の様な女がそこに居る】
【それがミドナであることは、背中の四本腕を見れば歴然。けれど明らかに、様子がおかしい………!】

【――――今度は躊躇いもせず、確実にブラックを殺すために。下の二本腕が岩をも砕く威力を引っさげ、ブラックの両脇腹に迫っていく!!】


>>989


――――我は言ったぞ。こやつ等を相手にしながらでも、貴様らを滅ぼすなど容易いと。
選定の場に立った以上、逃げることは許さぬ。小娘も…………女、貴様もだ。


【アーシャとフレデリックを相手取りながら、ガルマの視線が五人目の戦士に向いた。神の威圧が、皐月を襲う――――】
【そして同時、ガルマの『後光』の中から一本、光の手が飛び出すだろう。それは皐月を大きく飛び越え、部屋の入り口の方へと向かって】

【――――強烈な溶解音。手が壁の上部を滅茶苦茶に溶かして崩し、壁板が崩落する。……唯一の出口が、消えてなくなる】


『くっ、あいつ…………!!

 ………皐月さん、ごめんなさい。悔しいけど今の状態じゃ、大した力にはなれないわ。
 だから――――お願い。本当に危ないと思ったら衣織を連れて逃げて。今の私じゃ、足手まといにしかならない……』


【フレデリックの忠言も、皐月の行動も、神≠フ前では空しく消える。これで完全に逃げ場はなくなってしまった】
【皐月が闘える人間≠ナあったのは、佳乃にとっても嬉しい誤算だったけれど――――同時に、悲しい事実でもある】

【……衣織はともかく、皐月は確実に、ガルマの選定≠フ対象に選ばれてしまった。ここから先はもう、闘わなければ収まらない――――】


/続きます!
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 22:09:52.41 ID:4f+gnoYEo
>>ALL

【アーシャの拳を、フレデリックの槍を受け。ブラックをミドナに襲わせ、そして皐月と衣織を閉じ込めた、ガルマ=ハド=ラジャルードは】
【体には確かに傷がある。けれど全く動じない、全く意に介さない、ただ絶対的な威容でもって。すっ、と、唐突にその口が開いた――――】


                            マハー・テージャス・サハスラーラ
                    ―――― 《 千 眼 千 手 ノ 光 焔 華 》 ――――



【大きく見開いた双眸に、金色の神威≠ェ宿る。叫ばれるのはガルマ=ハド=ラジャルードの、全ての上に立つ力≠フ名前】
【光の手が一斉に戻ってくる。それと同時、ガルマが放つ威圧とはまったく別の力の奔流を感じることが出来るかもしれない】
【濃厚な死の臭い=\―――光の手がソレを掴んでいた。真っ黒なカタマリとしか言いようがない、本能的な恐怖を禁じえないような、ナニカを】


『そ………んな、これは、死霊=c………!?』


【愕然とした佳乃の呟きが、そのナニカに名前を付ける。――――死霊。そう、死霊だ。光の手が掴んでいるのは全て、怨念にまみれた死者の魂≠ナあった】
【光の手の数だけ召喚された亡霊どもは、ガルマに導かれるかのように室内の天井付近に集合していくだろう】
【真っ黒な空が出来上がるのに、時間は掛からない……同時に光の手≠ェ元の『後光』へと戻り、ガルマの背後に侍った】


【――――天には闇が。地には光が。神話にでも紛れ込んだかのような馬鹿げた光景は、しかし絶対の畏怖≠纏って五人の前に立ち塞がる――――】



……戻った。嗚呼、ついに戻ったのだ!! 数千年の時に埋もれた我が力の一端が!!!
未だ全盛≠ノは程遠いが、今はこれで十二分――――このまま選定≠続ければあるいは、鍵≠ネぞに頼らずとも世を変えられるやも知れぬ……!!

――――森羅を見透かす千の眼≠ノ、万象捉えし千の手<b!! この世に遍く総てを見抜き、手中に収めるこの力!!

かつて戦に死した骸も、千軍となって我が背に倣うか――――素晴らしいぞ、『ガルマ=ハド=ラジャルード』!! この力、正しく我に相応しいッッ!!!
ふふ、ははッ…………クははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははァァッーーーーーーーーッッ!!!


【戦神が、嗤う。羽虫に等しい人間どもの前で嗤い続ける。千の光と千の眼と、そして千の死者≠フ軍勢を随えて――――その咆哮は、世界の総てに届かんばかり】
【そうしてひとしきり嗤った後、ガルマの金色の双眸が五人をゆっくりと見回した。……五人はまず、目を合わせた瞬間に心臓が止まらないよう気をつけねばならない】

【絶対者を相手にして、人を支えるのはたった一つ。超越的な自我、つまりは強い心だ。それを五人が持っていれば、この瞬間にリタイアということにはなるまいが……】


/すみません、もう一つだけっ
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 22:10:27.91 ID:zNWRbhs9O
>>987
破片が幾らか当たったのか、周囲の硝子は粉砕され、手摺も無残にもズタボロになっている。
その威力は、かなりのものであった。

「これでやっと上に行ける……?」
「……今居た兵士のことも考えると、上にボスが居る、とかそんな感じかなぁ」

うずだかい瓦礫の山を飛び越え、奇襲に警戒しながらエスカレーターを登る。
エスカレーターは動いてなかったものの、その能力により軽く飛び、吹き抜けを通り抜ける。

────そして何もなければ、用心しつつコジマらとシーナが居る最上階に突入……した瞬間、再び銃を向けられる。
今度は大体予測できていたのか、すぐに戦闘に入ろうとしたが…………

「───な、なな、何……なの!?」

──────その瞬間、仕掛けられた爆弾の所為で展望台に揺れが起こる。
こちらに降る瓦礫は来なかったものの、予想だにしない振動に、バランスを崩して怯む。

そちらの兵士がそうならなければ、多少の隙を晒す事になるだろう。
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga !red_res]:2014/07/05(土) 22:11:28.93 ID:4f+gnoYEo



                     待たせたな、我が愛する人間共よ。これより真の選定≠開始する。


                      さぁ、選択しろ。 我を畏れ崇め讃え、その場に跪き慈悲を請うか。


                      それともその矮小な力でもって、この戦神≠ノ闘いを挑むか!!




【――――宣告は無情だ。例え五人が神威≠ノも臆さぬ強靭な精神を持ち得ていたとしても、そうでないにしても、攻撃の手≠ヘ止まない】
【腕を組んで世界を見下ろすガルマから、荘厳な言葉が放たれた、その刹那――――目前の光と天井の闇とが同時に蠢き始め】

【天からは雨のように死者の魂≠ェ降り注ぎ、真正面からは光の手≠ェ無数に伸び上がり、五人全員へと襲い掛かる―――――ッッ!!】



『くっ………その魂≠ノは触れないでッ! 少しでも触れたら汚染されるわよ!
 これだけ濃密な思念の塊なら多分、こちらからの物理干渉も出来るはず!! 防げそうに無いなら後退して、私の近くに来なさい――――!!』


【もし、これが選定≠ナなければ……手と魂、しめて二千もの攻撃が逃げ場なく展開され、五人どころかこの施設が丸ごと消し飛んでいたかもしれないが】

【五人にもまだ抵抗の余地はある。向かってくる攻撃は、一人につき野球ボール大の真っ黒な死霊が十体、レーザーのように伸びる光の手が十本だけであるだろう】

【無論、全身に満遍なく、そこそこの速さと追尾性を帯びて襲ってくる二十の攻撃は、百分の一の規模とはいえど「だけ」というにはあまりに強力であるし】
【光の手の威力は前述の通り。死霊に触れればその部位に激痛が走り、同時に共に絶望や恐怖といった強烈な負の感情を流し込まれる精神汚染を受けることになる】
【威力も範囲も桁が違う。まさしく必殺と呼ぶに相応しい攻撃ではあるが――――それでも。五人の実力ならば、可能性は決してゼロではない!】

【またこの時、真後ろから佳乃の助言が飛ぶだろう。死霊にも物理的な干渉が出来る……つまり、死霊もまた光の手≠ニ同じく攻撃での破壊が可能ということで】
【同時、佳乃が最後の力を振り絞って神気=c…邪≠ノ特別の効力を持つその力で結界を張る。彼女の近くまで行けば少なくとも死霊の被害だけは軽減できるか】

【部屋はボロボロだが移動するスペースぐらいは十分にある。一人につき二十の攻撃、防御か回避か後退か、五人はどう生き残る――――!?】

998 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/07/05(土) 22:16:33.63 ID:qKKOVhD90
>>932
【少女にとってはただ敵か否かを判断するだけ。其処にある人間特有の道徳だとか倫理だとかは考える事が無いのだろう】
【好きな様に生きる様はある種の人間から見れば羨ましくも思えるだろうか。柵だとかそんな物は無く、気儘に生きるだけなのだ】
【寝たいときに寝て、食べたいときに食べる。周りの目だとか、そんな物を一切気にする事も無く】

【――――――文明が発達するずっと昔。機械だとかが存在するよりもずっと昔、人は今よりも深く自然と共に生きてきただなんて記している本もあるけれど】
【それが本当ならば、精霊の存在も頷けよう。人に力を貸す、その下りも】
【自然を使役できるのは自然と共存できる者、或いは理不尽な自然に耐えるだけの力を持つ者。何時しか人は火の起こし方を学び、凍える日を乗り越え暗闇を明るく照らした】
【この少女もまた、人によっては善にも悪にも見える存在。もたらす焔はただ契約主の身を焦がすだけの物なのか、それとも熱の恩恵を与える物なのか】



「――――……」

【無邪気な子供、と何ら変わりは無いのだろう。否、そう記したならば幾つか語弊も生まれるかもしれないが――――然れど、確かに子供と見て間違いは無いのだ】
【精霊ならば恐らくは年月を経ていよう。それでも威厳だとかそういった物を持たず、培うことも無かったのはただ自然に生きているから】

【頭を撫でてやれば猫の如く目を細くさせて】
【…………掌に伝わる熱感は人間の比では無い。熱い、というよりも暖かいの部類ではあるけれど】
【どういたしまして、も何も無い。だが得意げに笑って見せた事がその代わりにも思えて】



「えるふぇすは、琴音のともだち?いっつも笑ってないのに、琴音が少しだけ笑ったから」

【もう一度岩に腰を掛ければ、見上げる様にして問う事だろう】
【その、最中。ぐぅ、と少女の腹から響くのは間抜けな音】
【力の使役とは中々に体力を消費するもの。更にはこの時間に動いたとなれば腹でも減ったのか】
【そこまで大きな虫の音でも無いから、普段ならば聞き逃してしまいそうだけれど――――その月夜、雑音も何も無い。ならばその音だって容易に聞き取れる筈で】
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/07/05(土) 22:16:43.25 ID:XpnCIooQo
>>987

「何っ――ぐ、むぅぅ……!」


【突如として巻き起こる爆発。そして、降り注ぐ無数の瓦礫】
【それを無視して突破出来る程の耐久力は有しておらず】
【シーナの足はコジマに到達することなく停止させられることなり】
【幾つかの瓦礫がシーナの身体を打ち、その内尖った大きな瓦礫により右肩を抉られ砂が飛び散る】

【それにより、過度の損傷を受けた右腕がダランと垂れ下がる】
【人体と同じで、ある程度のダメージを受ければ機能は停止するようだ】

【頭部が破壊されて然程影響がなかったのは、"考える脳"が別にあるのか――】


【コジマとシーナを直線で結ぶ経路は瓦礫で塞がれた】
【今行っていた地を滑る移動法では、この道を走破することは極めて難しい】
【"砂の河"での接近を止めるにはこの上ない策であろう】
【咄嗟の判断でこの手を実行したコジマに対し、シーナは頭の中で小さく舌打ちをした】


【左腕一本に持ち替えた戦鎚を肩に担ぐようにしながらも】
【シーナは移動を止め、その場から床を通して広域に魔翌力を網のように流し始め】


「……行けぬならば――直接叩いてやるまでなのだっ!」


【数瞬後、コジマ達は周囲の"異変"に気づくことが出来るだろうか】
【兵士の内二名と、コジマの右方30cm程の位置の地面が粒子状に"分解"され】
【砂状となった床が"狼の頭"のように変異し、腕や胴などに食らいつこうと牙を剥き襲いかかる】

【予備動作は判りやすく、床の変化に気がつくことが出来れば対処は難しくない】
【砂の狼の耐久力は銃弾を受ければその場で崩れ去る程度で、冷静に対処すれば野犬と変わらない】

【シーナの狙いは"どこからでも攻撃することが出来る"と】
【相手に認識させることで、疑心や恐怖を誘う事。手の内を一つ晒すことになるが】
【周囲の床に意識を散らさせることで、相手の心に隙を生み出させようとする】


>>996


「む――?」


【その時、シーナの探査の網に新しい人影が映り込む】
【遠距離であるため、曖昧なビジョンとしてしか見えないが】
【兵士の一人がその人物に、銃を向けているボヤけた映像が頭に刻まれると】


「そんなところで何をしているのだ――危ないから下がっておるがよい!」


【射線上に"砂の壁"を出現させ、放たれる銃弾を受け止めようとするだろう】
【もし、この行動を行ったのが"大男"だと認識できたならば】
【少なくとも敵ではないということは伝わるだろうか】
1000 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sege saga]:2014/07/05(土) 22:18:26.09 ID:Q+j3VliTo
>>992
 そうですよ!私は実はつい先日まで医者で、人々を助けていたかもしれない、殺人鬼で人々を惨殺していたかもしれない!
 それはあなたにも言えることです!ですがあなたは今私をその剣で傷つけようとした!これは事実!
 なんと恐ろしい!箱の中の猫はニャーとは鳴いてくれないのです!

【面白そうに、一言いえば十返す、それがこのナレーション男のようだ】

 そりゃそうだ!機関員は能力を使って人を傷つける!
 だからと言って同一に語るのもおかしくはないですか?
 今の世の中尊重されるのは個性!属している社会集団がそうだからと言って果たしてその内部は全て同じなのかな?
 警察、自警団が善因清廉、腐ってないといえる?先ほど例に出したレイリスフィード学園は全員無能力者派かい?
 属している社会集団から偏見を持たれるのは事実、だけどそれで判断はすべきじゃない!

【にこにこと、笑いながら、どこか頓珍漢なことを言う】
【その一方でふりふりとタイマーを振るのも忘れない、煽っているのか、素なのか】

 正義でも悪でもない!正義と悪だけで分類しているのは肩身が苦しいですからね!
 皆さん聞きましたか?この少年、正義でも悪でもないそうです!自分の手元に引き寄せるなら静かにですよ、誰にでもチャンスはあるのです!

【そういうと男は自身に投擲される剣を腰に巻いていたジャージを解き、包むようにつかむ】
【そして、その剣を右手に握り、片手でカンッと左手の剣を受け止める】

 さて!そろそろ時間かもしれませんね!
 それともまだまだ先?ですがそろそろ展開を進めなければなりません!

【若干少年の手の届かない位置で左手に持った黒い棒を振る男】
【……今、少年の左手は空いている、対して男は剣を受け止めつつ、さらに両手がふさがっている】
【今なら、不意を突けるのではないか……!】
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