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【なりきり】再興群像奇譚<TERMINAL>【新スレ始動】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 20:52:23.61 ID:BhLmgngbo
再興群像奇譚<TERMINAL>

時は西暦2045年。
半世紀ほど前に突如として出現した柱状の発光物、通称『ターミナル』がもたらした災害や
そこから現れた未知の存在による『大災禍』により世界秩序は崩壊し
人々は住むことのできなくなった土地を離れ、身を寄せ合って生きているのである。
 
その中の一つ、第一関東特区と呼ばれた半メガフロートの都市。
其処がこのスレの舞台になる場所である。
世界で初めて発生したターミナル、八丈島ターミナルの研究を目的とした都市であり
最もターミナルに接近している都市である。
 
詳しい世界観や用語に関してはwikiを参照
http://wikiwiki.jp/terminal/
したらば避難所はこちら
http://jbbs.shitaraba.net/internet/21063/
ロール場所はこちら
http://jbbs.shitaraba.net/internet/21063/

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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 20:53:11.70 ID:BhLmgngbo
<キャラクターテンプレート>

【キャラ名】
このキャラクターの名称。
【性別】
このキャラクターの性別。
【年齢】
このキャラクターの年齢。
【種族】
このキャラクターの種族。
基本的にターミナルからの来訪者以外は現代人となります。
【容姿】
このキャラクターの容姿。
【出身】
このキャラクターの出身地。
基本的にターミナルからの来訪者以外は現代世界が出身地となり
ターミナルからの来訪者の場合、極度のSF世界や版権世界、現実世界に関係する物(史実上からの参加等)は極力避けて下さい。
使用したい場合は要相談。
【職業】
このキャラクターの職業。
但し、世界観より組織の上層部や権力者には来訪者や異能者はなりにくくなっています。
【能力】
このキャラクターの能力。
現代人は基本的に異能以外の超能力を使用できず、来訪者は魔術と異能の並行使用は出来ません。
ただ才能ある現代人が来訪者からの教えを受け場合、魔術を使用できる可能性があります。
その場合も異能と魔術の並行利用は行えません。
能力の強さの上限に関しては制限しませんが相手の存在する遊びであることを考えて設定して下さい。
【所持品】
このキャラクターの武装。
装備に関してはあくまで近未来程度の装備に留めてください。
また、大量破壊兵器等の個人所有は禁止です。
【詳細】
このキャラクターの詳細。
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 21:24:24.84 ID:C7BkwcHDO
これ雑談とかってしたらばでやった方がいいの?
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 21:33:07.29 ID:BhLmgngbo
>>3
とりあえず今はパー速で
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 21:39:50.08 ID:4qJY9Lsd0
けっこう設定長いな……

がんばって目を通してみるわ
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [ sage saga]:2014/06/19(木) 21:42:39.75 ID:ZI6LGLixo
ざっと読んだが面白そうだ
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 21:51:11.23 ID:BhLmgngbo
初めから情報量多くて申し訳ない
もう少し簡易にするべきだったかな
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2014/06/19(木) 21:55:05.42 ID:NaPkT84Bo
クリーチャーは=ゾンビなんかの雑魚ってことでいいのだろうか
だとしたらそれを率いる人型の敵とかは動かすのあり?
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 21:56:36.22 ID:BhLmgngbo
>>8
雑魚いのも居れば俗にいうボスクラスのものも有りえる
人型の敵も勿論有りです
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 21:57:22.91 ID:BhLmgngbo
作りかけだけどキャラ設定落としてみようか
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:00:19.03 ID:BhLmgngbo
未設定多いけど今の段階ではこんな感じ


【キャラ名】(未設定)
【性別】♂
【年齢】19
【種族】現代人
【容姿】
(未設定)

【出身】現代世界

【職業】
民間警備会社(未設定)

【能力】
<補助腕 Side Arms>
仄かに光る半透明の腕を作り出す能力、背中から左右に各1本、計2本まで生成可能。
通常の腕よりも一回りほど大きくエネルギー体によって構成されている。
補助腕の力は片手で の身体を支えられる程度。
耐久力は生身よりも多少固い程度であり、ダメージは実際の腕にフィードバックする。
精密な行動は時間をかけなければ行えず反復練習を繰り返せばなんとか通常の腕よりも幾分か遅れるが行える程度。
瞬時に行えるのは握るや殴る等の単純行動のみ。
有効範囲は10m程だが動きはそれほど速くなく
届く範囲が伸びたとして本来の腕と関節などは同じであり細かく方向を変える等は不可能。


【所持品】
<モスバーグM590>
ポンプアクション性の散弾銃。
12ゲージ弾を使用し装弾数は8発。
銃剣が装着可能であり、下記のM7バヨネットを主に装着し使用する。
(名前)は銃火器の扱いが上手くはなく命中率を上げる為に散弾銃を会社から勧められ使用している。
この銃は警備会社からの支給品。

<M7バヨネット>
ベトナム戦争を中心に採用されていた銃剣。
銃剣としても使用するが、近接用兵装としても使用する。
その為かバヨネットに関しては常に複数個を所持している。

<ベレッタM92FS>
イタリア製の9mm弾を使用した自動拳銃、装填数は15発。
世界中の警察や軍で使用されている拳銃であり、流通数も多い。
この銃は警備会社からの支給品。

<M18 スモークグレネード>
煙幕を展開するために使用する小型の発煙弾。
装備はしているものの金銭的な事情によりあまり使用しない。

【詳細】
第一関東特区の富裕層の家に生まれた青年。
日本人の父とアメリカ人の母を持つハーフ。
但し異能者である事が少年時代に判明すると家族は(名前)と縁を切り家から追い出した。
それまでの恵まれた待遇から打って変わり貧困層での生活を余儀なくされた(名前)だったが
異能者である事と年令の若さからかまともな就職先もなく浮浪者のような生活を余儀なくされた。
その時民間警備会社【未定】に拾われるように就職し、そこに住み込み生活をしている。

心優しい誠実な少年だった だが、浮浪者時代にそれでは生きていけない事を知り
生きる為ならば何でもやるとよく口にするが、お坊ちゃん気質は抜けないようで何かと甘さを露呈している。
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [ sage saga]:2014/06/19(木) 22:01:45.11 ID:ZI6LGLixo
近代銃火機の使用は特に制限無いと思っていいのか?
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:02:57.69 ID:BhLmgngbo
>装備に関してはあくまで近未来程度の装備に留めてください。
>また、大量破壊兵器等の個人所有は禁止です。

この辺りしか決めてないです
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(埼玉県) [sage]:2014/06/19(木) 22:04:26.82 ID:FBXkeDqFo
一通り見たけどなりきり初心者みたいなのでも許される?
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:06:54.88 ID:BhLmgngbo
>>14
問題無いです
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2014/06/19(木) 22:12:52.07 ID:NaPkT84Bo
>>9
それじゃ来歴不明で、とんかく人類に敵害的なキャラとかもアリな感じかな
意思疏通はできるし会話も一応出来るけど、ただ破壊と殺戮を求めるみたいな

スレ立ったばっかりで悪役もどうかとは思うけど興味がある
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/19(木) 22:12:58.68 ID:LmUbbHiA0
【キャラ名】ララーナ・セントメリーズ
【性別】女
【年齢】自称20歳 (容姿20歳前後)
【種族】異世界人
【容姿】
赤髪、赤目、肌の色は白。
身長は160cm前後、女性らしく発育した身体は成長過多気味で、やや持て余し気味なところも。
魔眼と化している左目、魔法媒体となっている右腕は黒い包帯で常に隠されている。
首まで隠れるノースリーブの衣服に身を包み、ロングのパンツに黒いブーツ。
同じく黒のマントを被って、戦闘時には腰に巻いて下げる。
【出身】異世界(ファンタジー世界)
【職業】酒場手伝い/ブルーライオンズファミリー
【能力】
<火炎の担い手>
超自然の火炎を召喚し使途する一つの魔術。
この魔術によって作成される火炎は気体が燃焼するときに発生する科学減少に酷似しているが、本質は別物で異世界の存在となる。
所謂 火・水・土・空気という四大元素の一つとしての存在であり、極めて神秘的な属性を持つ。
焼却、熱の発生の炎の基本的な性質の他、エネルギーを炸裂させて爆発を起こしたり、エネルギー体にした炎を身体に注ぎ込むことで、身体能力の強化を行うことも出来る。

彼女の左目と右手は、魔術の詠唱媒体として魔性の魔術刻印を刻み込まれている。
火炎の力をつかった身体強化や、物質を燃やすあるいは火炎を炸裂させることができる。
特に、魔術刻印が打ち込まれた左手から打ち出される魔術の威力は、もっとも強烈である。
【所持品】
【詳細】
魔術が存在する世界から流れ落ちた魔術師。
身体に炎の神を称える魔術刻印が刻み込まれ、火炎系の魔術の扱いに長ける。
傷だらけの状態で異世界へと流れつき、右往左往があって第一関東区の貧困層の街に身を落ち着ける。
元の世界のことについては、ほとんど語らない。 どうやら、落ち延びるようにしてこちら側の世界に流れ着いてきた様子。

現在は貧民街の廃墟を修繕した建物で生活している。
仕事は縁あって友好関係になった所謂マフィアグループの手伝いをして生活をしている。
グループの縄張りのごたごたを解決するのが主な仕事。
そのわりには善意への信仰が厚く、社会的に弱い立場の人々の手助けなどを日頃から行っている。


ざっとでつくってみたー
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 22:15:55.59 ID:Nf2Nf31Ao
能力の強さの下限と上限を教えてくだすれ
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 22:19:33.22 ID:Nf2Nf31Ao
上限はなしなのか、見落としてた
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:21:53.37 ID:BhLmgngbo
>>16
悪役は居るだけで盛り上がりますからね
設定上も問題無いと思います

>>17
wikiの方を読んでくださっているようでありがとうございます
見た限り問題はなさそうです

>>18
世界観を壊す能力じゃなければ上限は無しです
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) :2014/06/19(木) 22:38:31.55 ID:Uy3AaINJo
ちょっと質問をさせてください

・特殊な能力を持った武器の存在・運用は可能か
・学校等の教育機関について
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/19(木) 22:38:48.87 ID:Tz5b0ljS0
>>16さんみたいにクリーチャーで敵になるかそれとも只の異世界人で味方になるかはまだ考え中だけど
人間と動物組み合わせたみたいないかにも人外みたいな見た目のキャラって平気ですかね?
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:40:42.36 ID:prNdHGkW0
お、何か面白そうな感じだね

ちょっと気になったんだけど、銃火器の所持数に関しては特に制限がないのかな?
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:42:33.94 ID:BhLmgngbo
>>21
異能によって生み出された武器、もしくは来訪者からの技術を得て生み出した武器ならば可能です
あとターミナル周辺では特殊な金属などが取れますのでそれを利用した、等なら問題無いと思います

後者に関しては人類が大打撃を受けてから半世紀程度経っていますので貧困層では難しいかもしれませんが存在していると思います

>>22
大丈夫です
ターミナルとつながる世界に関しては基本的には自由です
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:45:06.20 ID:BhLmgngbo
>>23
民間保安企業に所属している場合はある程度の数の銃火器については保有可能ですが
一般人は大量の銃器や強力な銃器の保有には制限があると思います
ただ違法所持などであれば企業に所属していなくとも所持できると思います
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/19(木) 22:51:37.28 ID:prNdHGkW0
>>25
今さっき来たばかりなのにずうずうしく口出ししてすまんが、それだと民間保安企業に所属するキャラが続出しそうな……
美味しい特典は複数あるのにデメリットがないってのは、ちと危ないんじゃ?

まあ面白そうなのには変わりないし、ちょっとキャラつくってみるよ
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) :2014/06/19(木) 22:53:08.65 ID:Uy3AaINJo
>>24
回答有難うございます
非常に面白そうな設定だと思います
現状考えているキャラで参加可能かどうかまだわかりませんが、もう少し設定を考えてスレへの参加を検討させてもらいます
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/19(木) 22:57:45.07 ID:Tz5b0ljS0
>>24
ありがとうございます!
今のところ敵キャラの末端系方面で制作予定ですがキャラが完成次第投下したいと思います!
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 22:58:58.94 ID:BhLmgngbo
>>26
さっきはああ書きましたが治安自体が余り良くないですし、露骨に不審さを強調したロールでもしない限り
銃器に関しての摘発などはないと思います

>>27
じっくり考えてみてください

>>28
よろしくお願いします
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 23:15:25.88 ID:KITWc01f0
ざっと見てきた

強力な銃火器を合法的に携行できる「設定」なのは保安企業(?)ってだけで、別段違法所持や保有ライセンス(があるならだけど)とかの設定でキャラにもたせる分にはいいんでしょ?
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/19(木) 23:20:28.53 ID:BhLmgngbo
>>30
そうですね
加えるなら軽い銃火器なら一般人でも普通に所持していいと思いますし
強力な銃火器というのもそれこそ対人用ではないような大口径などのつもりでした
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 00:04:31.00 ID:udKBEhgVo
SFがやりたいのか、ファンタジーがやりたいのか、能力バトルがやりたいのか
こんなグチャグチャな設定なら、わざわざ独立しないでも境界線とかでいいじゃん
>>1が王様になりたいだけだろコレ
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/06/20(金) 00:30:33.87 ID:ISj4QBrK0
確実な追い込みなしで負けたら自キャラロストしたりさせたりしていいんですか
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [sage]:2014/06/20(金) 03:53:34.56 ID:TgfjYf/So
【キャラ名】ハーメルン(あだ名)
【性別】不明
【年齢】不明
【種族】クリーチャー
【容姿】
基本は人類と変わらない姿形だが手足が異様に細長く身長は3mを越える
顔の上半分は鋼鉄の仮面で隠れているため目は見えないが代わりに聴覚が発達しており
黒髪の間からはとがった耳が覗いている。口元は薄紫の彩り。

服はレザー製の軍服のようなものを着ているがボロボロで
全身の至る部分を無数のベルトでぴったりと留めている

【出身】八丈島のターミナル

【職業】
一部のクリーチャーの管理者的役割
時折雑魚を引き連れて人を襲わせるという感じ

【能力】
<Mist>
霧を操る能力。濃度の調節(朝靄から視界ゼロまで)や濃縮させた霧に物理的な力を持たせられる。
ただし濃度は濃いほど次の動作に時間がかかるし
濃縮させた霧は周囲のものと見分けも付くため完璧な力ではない。

死体やクリーチャーの内部に霧を仕込むことで私兵として動かすことも可能であり
ハーメルン自身もその戦法をよく用いる。その際に笛を指揮棒的に扱うことがあだ名の由来。
またハーメルンの周囲には常に霧がかかっているため、比較的脅威としては回避の容易い相手となる

【所持品】
<魔笛 -Die Zauberflote->
ハーメルンの用いる鋼鉄の横笛。明確な楽器区分は不明
顔の仮面と同じ材質であるらしく、非常に固く武器にもなる

ハーメルンがこれを用いるのは死体などを指揮する際であり
その様子が童話の笛吹き男を彷彿とさせるためこのあだ名が付いた。
子供を優先的に狙う傾向もあり、何らかの関係が有るのかもしれない

【詳細】
八丈島のターミナルから発生した異形の存在
大災禍のころから確認されている個体で、その行動原理は不明
しかし人間に対しては敵対的で、しばしば霧に紛れて人を襲い、殺している
子供に関しては殺さず連れ去るものの、その後帰ってきた者はない

目立つ外見や特徴的な能力から多くの人物に危険視されるクリーチャーであるが、生態は分かっておらず
普段は寡黙で口元に微笑を湛えているが、会話も出来るという噂。

ちなみに手足は細いものの力はそこそこ強く
人体をネジ切る程度のパワーはある。身長もあり、ビルなどを上ってくることも。
もう一点の特徴は肉体を傷つけられた際に黒い血が出るということ
人の血よりもベットリとしていて、放っておくと常温で気化する。


こんな時間ですが>>16のやつのプロフィール書いて見ましたー
問題ありそうであれば訂正いただけますかね
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 08:03:32.16 ID:q2oNKQ/SO
設定だけ広げたおかげで絡むさい互いに矛盾が生じやすくなり結局かそりそうだな
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 09:00:18.78 ID:7f0W9moY0
雑談は暫くの間こちらでということですが、キャラの設定はしたらばの査定スレに出さずこちらに出してもいいんでしょうか?
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 09:39:15.68 ID:tFKJ2sl6O
>>36
皆こっちに書き込んでるからこっちで良いと思うよ
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 15:57:32.99 ID:7f0W9moY0
では、お言葉に甘えてこちらに
不安なワードが複数あるので、その点についても意見を言って頂けると嬉しいです
要確認ワード→貧困街、難民

能力やその他についても、何か問題点があれば改善しますのでよろしくお願いします


【キャラ名】
瀧野瀬 信次
読み : たきのせ しんじ
【性別】

【年齢】
16〜18歳
【種族】
人間(現代人)
【容姿】
ベージュのハンチング帽を深くかぶり、暗めのチェック柄の服とヨレヨレのジーンズを着用
履いているスニーカーは使い古されてボロボロ、アクセサリは現時点で一切つけていない
【出身】
第一関東特区 貧困街
【職業】
その日その日で職業が変わる
あえて言うのならば何でも屋、つまり雑用係
【能力】
インサイト
単純に言えば、目の力を強化する能力
物事に素早く反応したり、情報量が多い風景の中から瞬時に必要な情報をみつけ出したりすることができる

所謂「動体視力」も良くなるが、強化されるのは目に関する事だけで反射神経は至って平均的なので、銃弾を避けたり……といった無茶な事はできない
使用した10分後に視力が5〜10分ほどなくなるため、視覚以外の五感に頼った行動を強制される
【所持品】
・折り畳み式のナイフ
拾ったもの。当初は刃がボロボロだったが時間をみつけては磨き、なんとか使えるまでに戻した
護身用や便利グッズとして常に持ち歩く
【詳細】
貧困層出身の少年で、学校には通っていない
報酬さえ良ければ「何でも」仕事を受けるため、ある筋では有名だったりそうじゃなかったりする
将来の夢は民間保安企業に入って安定した生活と賃金、また武器を手に入れること
そのために落ちている本などを積極的に拾って勉強しているが、今まで受けた仕事が仕事なので本当に入れるかどうかは不明
基本的に相手を信用せず、一回疑い二回疑い、三回疑ってようやく信用するかしないか、という程
金の払いさえ良ければ、来訪者や現代人に関わらず同じように扱う。ある意味で差別をしない人間

祖父母の代に住むことの出来なくなった土地を手放した、「難民」の3世代目である
元々は裕福な家庭だったらしいが大災禍によって全財産を失い、移住先での貧困生活を余儀無くされたようだ
祖父母両親は数年前に亡くなり、一人でその日暮らしを続けている
今のところは能力のお陰もあり悪運強く生き残っているが、今後どうなるかはわからない
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/20(金) 21:04:41.58 ID:7jjbGL+wo
>>34>>38
両方共問題無いと思います
基本的には駄目なキャラとかいないと思うので
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) :2014/06/20(金) 21:13:53.38 ID:jTfNMXcuo
スレを始動させるならぱぱっと初めてスタートダッシュしないと勢いに乗れずに失速すると思います
過去そういうスレをいくつも見ました
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/20(金) 21:25:20.11 ID:7jjbGL+wo
>>40
そうですね
動かせる人が居るようなら雑談はしたらばに移って動かした方がいいですね
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/06/20(金) 22:12:11.11 ID:CtFIFcGU0

【キャラ名】
未定
【性別】

【年齢】
13
【種族】
来訪者
【容姿】
薄汚れたぼろ布をローブのように纏い、両手にちぎれた手錠、片足に鉄球付きの足かせをぶら下げ目には鉄製の目隠し、とどめに首輪をつけられた少女。ぱっと見た年齢は十五ほどで、それ相応の体格をしている
肌は血の気を感じられないほど真っ白で、同じく無造作に伸びて跳ねた髪も純白。汚れやらが良く目立つ。
目は隠れているものの表情は豊か。多彩な感情を身振りも合せて表現する。
【出身】
戦争の絶えない異世界
【職業】
現在は特になし
【能力】
特殊な能力は持たないが、薬物による超人的な身体能力と超感覚を持つ。
目は見えずとも聴覚と嗅覚、触覚がそれを補っている。約200kgの足枷をはめられているおかげで動きは少々鈍いが、それでも一般人並みの動きは出来る。
戦闘時には手錠からぶら下がる鎖を鞭のように熱かったり、足枷に付いた鉄球を武器として使うこともある。
精神年齢は幼いものの知能はそこそこある模様。
【所持品】
ちぎれた鎖のぶら下がった手錠、首輪、鉄球付きの足枷。
本来は拘束具であるが、少女はこれらを武器として使っている。
【詳細】
とある戦争の絶えない異世界にて、薬物の投与による強化を施されていた少女兵。
過剰な薬物投与により脳が激しく損傷した結果、兵隊としては使えないと判断され以降は拘束され薬物の実験台としての生活を送っていた。
そしてターミナルがこの世界に出現し始めたと時とほぼ同時刻。ターミナルの影響か突如この世界に転送される。
破壊された脳の影響で言葉を話すのが下手な上、非常に精神年齢は幼く興味があるものはとりあえず掴む、舐めるなど幼稚園児のような行動をとることも多い。
性格自体は非常に明るく、よく食べよく寝てよく笑う絵に描いたような元気っ娘。それが災いする場合もあるが。


とりあえずざくっとキャラを作ってみた
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 22:52:03.76 ID:7f0W9moY0
>>38の審査ありがとうございます
容姿の欄から体格や髪色などの説明が抜けていたので補完しておきます

今からでも良いなら、自分は動けると思います……多分ですが


【容姿】
ベージュのハンチング帽を深くかぶり、暗めのチェック柄の服とヨレヨレのジーンズを着用
履いているスニーカーは使い古されてボロボロ、アクセサリは現時点で一切つけていない

身長は167で、モノは食べているのか肉付きは並程度
筋肉質ではないため体重もそこまで重くなく、63と平均的
髪色はいかにも日本人といった黒、瞳の色は焦げ茶
顔つきはやや幼いが、切れ長の眼の中の瞳はどこか大人びている
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/20(金) 23:08:01.18 ID:pbQ435iHo
【キャラ名】
スリニジャ=スリミジャ

【性別】
両性

【種族】
ドライアード (ファンタジー世界からの来訪者)

【容姿】
外跳ねた髪型を持った少女像の姿をしており調度品にも良い。
褐色の肌を思わせる滑らかな幹と、髪を連想させる若草色の葉の茂みを持つ。
身体の末端部位が手足の形に酷似しており、動きも緩慢ながらゆったりと動く木偶人形のようである。
緑茂る髪の頂点には巨大な花が蕾んでいるか、咲いている。
顔には紅玉色の瞳を持った目すらあり動物のように周りをみている。
お飾りの鼻は低く、機能する口は小さく、唇は厚くも薄くもない。平たく言えば人間の子供の姿に近い。
着衣は与えられれば着る。オサレは好き。基本全裸。

【出身】
神と悪魔が戦い、巨竜が空を支配し、地上は剣と魔法が支配するという、
余りに幻想冒険譚的な世界でにある広大な樹海の中で美しく赤い花を咲き誇らせていた。

【職業】
フリーターである。
普段は魔術に憧れる人物に対して、現地語も知らない外国人講師のようなポジションの中で
雇われのアルバイト講師をしている。そして、副業として荒事にも手を出しており、ターミナルから
現れた怪物退治と、ターミナルの影響で怪物化した生物の討伐などを人夫の立場で手伝っている。

【能力】
彼女は異能を使えなく、魔術師により極端に強力な魔術を使わせる。
葉を刃のように飛ばしたり、地から生えた根を触手のように操らせたり、
時に生体に作用する化学物質を散布する事を、周辺の植物にも行わせる事である。
ただしそれはそれは植物由来の能力か植物を操らせる能力に常に限定され、自らは何もできない。

【所持品】
無い。植物にはいらない。

【詳細】
生きていられればそれだけで楽しいという人生観を持っている。
一見好奇心旺盛に見えて振る舞う事もあるが飽きっぽく、薄情な態度を取ることも多い。

戦闘力は早さや速さに弱い。
身体そのものを構成している細胞壁の存在にも依るが植物は動物に動きで追いつけない。
ただし体積の劣る生物に対して力負けする事はない、緩慢な怪力の持ち主でもある。
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) :2014/06/20(金) 23:38:32.97 ID:jTfNMXcuo
これは>>1が設定だけ作って満足してもうやる気が無いと見た
まぁよくある話
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/20(金) 23:54:13.30 ID:gWp3yb6H0
ターミナルの周りでは特殊な金属とかが採掘できるんだっけ?
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/21(土) 00:05:49.84 ID:7dB+ud8to
>>46
そうですね
既存の金属が変質したものでも、新しい物でも自由にどうぞ
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/21(土) 00:34:22.25 ID:LGSgzfYG0
>>47
質問ばっかでわるいけど、関東特区以外にも、海外に特区みたいなところってある?

あるならそこと交流とかは?
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/21(土) 00:39:58.22 ID:7dB+ud8to
>>48
一応有りますが、関東特区が最も発展していると思ってもらって構いません
日本では九州あたりにもう1つあってもいいかと思っています
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/21(土) 00:54:24.46 ID:7dB+ud8to
特区外交流については衛星は残っていると思われるので衛星通信ぐらいですかね
特区内なら有線での通信などもあるとは思います
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/21(土) 01:06:43.34 ID:7dB+ud8to
>>42>>44
見落としてました、すみません
元の世界含めて問題無いと思います
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 01:08:44.49 ID:7Bslfyb60
今の段階からロールをするかしないかはっきり決めないと、人が離れてしまいますよ
>>41で言った事が本心なら、早めにしたらばに移動してロールを始めた方が人も増えると思います
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/06/21(土) 01:08:49.12 ID:DRDImU+3o
>>51
起きてました。OKなんですね。
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/06/21(土) 01:11:14.28 ID:7dB+ud8to
>>52
そうですね
では今からは此処をロール場所として雑談はしたらばへ移りましょう

お手数ですが今までキャラを投下して下さった人はしたらばの方のキャラスレにも書き込んでおいて下さい
55 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w [sage]:2014/06/21(土) 21:08:47.54 ID:HbWWwDQD0
【第一関東特区、その中心からも中間層からも逸れた場所】
【いわゆるところの貧困層が住まう地域。特区外周付近のスラム街は、小綺麗な中心部とはあらゆる意味で対局にある】
【どんよりと濁った空気に混じる吐瀉物や生ゴミの饐えた臭い。路地に転がる破れかけのゴミ袋にたかるカラス、道端で突っ伏しピクリとも動かない人影】
【それらを横目に、小脇にボロボロの紙袋を抱えた男は、一枚の紙切れに視線を落としながら路地を進んでいた】

「ふむ……人さがし、か」

【大柄な男だ。身長は190ほどもあり、肩幅も並より広く、がっしりとした体つきをしている】
【それだけでも十分に目立つというのに、さらに男が身につけている衣服はアイロンの効いた仕立てのいい背広】
【この貧困層の住人ではなく、間違いなく中間層かそれ以上の人物であることは間違いないだろう】
【貧困層のスラム街は治安が著しく悪いことで有名だ。金目のものを不用意にちらつかせば、よくて恐喝、悪ければ殺され身ぐるみを剥がれてもおかしくはない】
【だというのに、男は物怖じせず、周囲から向けられる視線を意に介した風もなく、紙切れに視線を落としたまま進んでいく】

「金にならん仕事……だな……ぬぅ、どうしたものか」

【ため息をついて紙切れをふところに戻した男は、底に穴があいていまにも中身がこぼれそうな袋を抱え直す。と、その拍子にボロボロの袋についに穴が空き、袋の中身が地面へとこぼれ落ちる】

「あっ…………はぁ」

【地面へ転がったのは、いかにも古書然とした古めかしい何冊もの書物。分厚く、そして年季の入った雰囲気のそれら。今回男が請け負った"人さがし"の以来の前払い報酬として渡されたものだ】
【この貧困層に住む依頼者のなけなしの財産らしく、丁寧に頼み込まれたために断りきれず受け取ったものだ。が、書物の価値がよくわからない男には無用の長物】
【さりとて捨て置くわけにもいかず、こちらを伺い見る住人らをちらりと見回すと、男は散らばった本を拾い上げようと腰を落とす。そのとき、ちらり上着の隙間から、拳銃のグリップが姿を覗かせるだろう】
56 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/21(土) 21:36:33.43 ID:7Bslfyb60
>>55
【ジョエルの正面からす、と道に転がる古書群に手が伸びる。それを辿って視認できるのは、どうやらこのスラム街の住人らしき少年の姿】
【何も反応をしなければそのまま本を拾い、我が物かのようにパラパラと頁を捲りだすだろう彼は、目深に被ったハンチング帽の鍔の下からそちらへと不躾な視線を向ける】

「……おっさん、ここ来んのはじめて?」

【よくよく見れば、彼方此方に死人病人の転がるスラム街では上から数えた方が早い程の肉付きの良さに体格。更にはその身に纏うよく言えば余裕綽々、悪く言えば怖いもの知らずな雰囲気】
【自然な流れで上着の内側の武装を覗き見ようとする辺りから、所謂「危ない仕事」を経験したことを臭わせるだろう】

「ま、いい勉強料ってことで……拾ったものは自分のモノ。これ、ココでの常識な」

【いただくよ、と一声掛ければ、恐らくは余程の静止で無い限り自分のモノにしてしまうだろう。そうして、いただいたにしろそうでないにしろ、ケラケラと笑いながら場にそぐわない格好をした男性を指差す筈だ】

「で、さ。あんたみたいなのがここに来たって事は、何か用があるんだろ」
「俺が手伝ってやろうか。……ただし、タダでは無理だけどな?」

【本を奪取することが出来たのならば、それでトントンと自身の肩を叩きながら。そうでないなら、両の手をひらりと肩の高さまで上げ、やれやれといった風なポーズをとって】
【問いかけるは、ジョエルの仕事のその中身。報酬によっては手伝うと宣言して視線が向かうのは、その腕の内に抱えられた、恐らくは古書が沢山詰まっているだろう古びた紙袋】
【果たしてその中にはどんな「夢」が詰まっているのか、手に入れもしないうちから、少年は心の奥底で期待に胸を膨らます––––––】
57 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/21(土) 22:04:54.37 ID:HbWWwDQD0
>>56
「ん……?」

【古書を拾い上げようとかがみこんだジョエルは、ふと視界に入り込んできた少年の手に視線を向ける】
【そこにいたのは見知らぬ少年。はてこやつは誰だろう、と思案する間に少年は古書をめくり始めてしまう】

「いや、何度か来ているよ。仕事で、だがね」

【ちらりとこちらを見やる少年に片眉を吊り上げ、男は低く落ち着いた声で返す。そのまま、一番手近な一冊を手にすれば表紙についた砂を払い落とし】
【少年がこちらの上着の下に身につけた武装を見やるのを気づかないふりをして、もう一冊本を拾い上げようと手を伸ばし】

「……なるほど、ここで落し物をしたことはなかったが、たしかに納得だよ」

【さも当然のように……いや、彼にとっては当然のこととして、拾った本を自分のものとする少年にふむ、と男は眉根を寄せて】
【しかし本をもって行かれたことに対してはなんとも思っていないのか、男はこちらを指差した少年に向き直る】

「仕事だよ。俺は探偵をしているからな」
「……俺の仕事を手伝う、と。それも有償で」

【大仰な仕草を見せる少年に探るような目を向け、男は自分の顎に手をやる】
【見ず知らずの少年に、給料さえだせば仕事を手伝うと言われてもはいそうですかと言えるものではない】
【が、金になるとは思い難いこの仕事。不慣れとは言わないまでも、通じているとも言い難いこの地域での人探しは、古書の束程度の報酬では割に合わないものだ】

「それで……要求するのはこれ、か」

【彼の視線の先にある古書類を掲げて見せる。自分にとってはそれほど価値があるとは言い難い古書類。報酬をこれで済ませられるなら、あるいはありかもしれない】
58 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/21(土) 22:11:34.34 ID:3MGdAckG0
【第一関東地区、その中心から外れ隅と呼んでもいいような場所】
【人気は無く、見えるものは錆びて寂れた建物がいくつかと聞こえるものは風の音ぐらい】
【そんな場所で、電線に止まっていたカラスのなき声が響いたちょうどその時、何かが風を切る音が聞こえ始める】
【音はどんどん大きくなる。誰かがその音に気づいて空を見上げたなら、空から落ちてくる白い少女が見えるだろう】

【少女の姿、まず目に付くのはいくつもの拘束具。手にはちぎれた鎖をぶら下げた手錠がはめられ、脚には鉄球付きの足枷】
【挙句の果てには首輪までもがつけれている。幼げな体にいくつもの枷をはめた姿は所謂『奴隷』を思い起こさせてしまう。】
【そして遂に少女は地面にたたきつけられ、道路の瓦礫をいくつか巻き上げた】

「おい、なんだありゃあ・・・・・・」

【どこかで男がつぶやき、地面に倒れこむ少女を見下ろした】
【空から落ちてきた少女、誰が考えても普通ならば無残な姿になっているはず】
【だが、少女は指先をピクリと動かし、やがて何事も無かったといわんばかりに起き上がって服の埃を払い始める】
【それを見た男は化物でも見たような悲鳴を上げて逃げ出した】
【何も無いこの場所では、男の悲鳴は良く響く】
59 :??? :2014/06/21(土) 22:30:36.30 ID:pAMm3wz1o
>>58
【中心街からやや離れた道を、ひとつの影が全力疾走】
【やや青みがかった髪に、白を基調としたワンピースの制服を翻しながら走る姿は淑女とは言いがたい】
【走りながらも周囲を気にしている様子からは何かを探している様子】

「迂闊でした……まさか窃盗に遭うなんて」

【遡ること十分。少女ここよりも中心街に近い場所にて窃盗にあい、全力でそれを追っていた】
【しかしながら、この辺りの地理に疎く窃盗犯を完全に見失っていた】

―うわああああああ!―

「!?」

【ほぼ諦めかけて速度を落とし始めた少女が聞いたのは、静かな場所に響く男の悲鳴】
【特別正義感が強いわけでもなければ野次馬根性が強いわけでもないが、近くで悲鳴が聞こえたならば気にしないという訳にはいかない】

【少女の意識は窃盗犯よりも、男の悲鳴に移り早々に男の悲鳴の発信地へと向かった】

「ふむ、これは……」

【現場についた時には、すでに男の姿はなく、あるのは服を払っている少女のみ】
【なぜ男が悲鳴を上げて姿を消したのかなどわかるはずもない】
【しかし今わかるのは、目の前の少女の拘束具が異様に目立つことくらいである】

「あの、そこの方。先程ここで男性の悲鳴が聞こえました。何かご存知でしょうか」

【拘束具という異質なものが見えているにもかかわらず、それについてではなく悲鳴について聞いたのはボケなのか、本当に気にしていないのか】


60 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/21(土) 22:31:02.45 ID:7Bslfyb60
>>57

「さっすが、よく分かってんじゃん。……おっさんからしちゃ、悪くない話なんじゃねえの?」

【本を扱う様子からして、どうやらあまり良いものと思っていないと見た。古書は知識を得るだけでなく、ものによっては売ると大層な金になるものがある。それを狙ってのこの要求、果たして通るか不安があったが】
【……どうやら、上手くいきそうだ。ニヤリ口角を釣りあげ、少年は空いている片手で帽子の鍔をくいと上向ける】

【そうしてさりげなく周囲へ注意を巡らせて、二人がどれ程の視線と気配を集めているのか確かめる。もしそれらが多く集まってきているのならば、早めにこの場を離れなければ危険だ】

「にしても、探偵ねえ……それなら、ちょっとは格好をあわせたらどうよ」

【明らかに浮いた存在、糊の効いたスーツ、高い身長、ガタイのいい身体。せめて服装だけでもそれらしくしたらどうだ、と少年は半ば嘲るように口にする】
【じろじろと相手の頭から爪先までを眺めたならば、手近な所に倒れている人間の纏ったボロ切れのような服をくいと顎で指して】
【スラム街の住人を舐めてはいけない。金目のものに目の眩んだ馬鹿者も、痛覚をやられたヤク中も、至る所にいるのだから、と住民は語る】
【滔々と喋り続けるその様は、さっさとここからオサラバしたいと雄弁に語っていて。恐らくはジョエルが制止して漸く、次の言葉で終わりを見せることだろう】

「……で、だ。どうすんの?」

【不敵そうな、強気な笑みと、それにそぐう視線をもってして】
61 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/21(土) 22:49:12.03 ID:3MGdAckG0
>>59
【男の声で目を覚ませば、次に聞こえたのは少女の声】
【目は漆黒のバイザーに隠れて見えなくとも、触覚、嗅覚、聴覚でおおよどのような人物はわかる】

せっとー・・・・・・?

【きょとんと、首をかしげる】
【窃盗犯の行方が分からない、というよりは言葉の意味が分からないと、そんな風に】
【目の前の少女がぼけているというのなら、頭がボケているのはこの少女も同じ】
【出身となる異世界にて、多数の薬剤を投与された少女は脳が激しく劣化している】
【精神年齢は非常に幼く、戦闘以外の知能はそれ相応。窃盗犯という言葉の意味すら分かっていないのだ】
【目は隠されて表情は分かりにくいが、頭の上にクエスチョンを浮かべるような分かりやすいポーズで意思は伝わるはず】

探してる、の?

【ただ、なんとなくだが何かを探してるのは分かったらしい】
【ずるずる脚についた鉄球と纏うぼろ布を引きずり、ぺたぺたと足音をならして当たりを見回し始めた】
62 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/21(土) 22:51:12.43 ID:CTYadJEn0
>>60
「ふむ……たしかに悪くはないさ。少なくとも損はない」

【帰ったらこの本を売りにだそうかとは思っていた。が、古書の世界はなかなかにシビアなものであるし、この本にいくらの価値がつくかわかるほど、男は本の知識を持っているわけではない】
【高値がつくより、安値で買い叩かれる確率の方が高いだろうと男は予想しているわけである】

「副業みたいなものだからな。普段は中間層か中心区で活動しているんだ」

【つまるところ、こちら向けの服がないということだ。男は白いものが混じった顎髭を手で撫でつけ、少年の言を受け流して】
【少年が示した先、ズタボロのまま転がっている見知らぬ誰かの姿に目を向ければ肩を竦め】
【周囲をちらりと見渡せば、こちらに向けられる好ましくない視線の群れを確認し。それとなく、しかしたしかな手つきで腰の拳銃を抜きやすい位置へ引き寄せると、左腰のベルトにくくりつけられたPSCの身分証も確かめる】

「いいだろう、雇う。だが立ち話も何だ、場所を移そうか」

【力強い少年の表情に小さな笑みを返す】
63 :??? :2014/06/21(土) 23:00:26.35 ID:pAMm3wz1o
>>61
「ああ、いえ……わからないのでしたらそれで」

【本当にわかっていない……というよりもこの様子では現状把握すらもあやしいのではないかと思わせる】
【目の前の少女はなにやらおぼつかない足取り。それもそのはず、少女には不釣り合いな足かせが付いている】
【こちらからの質問に答えられないのであれば、自然と次に興味を引くのはその拘束具であろう】

「その手錠と足枷、不便ではありませんか?」

【このような拘束具をつけているのにはなにか理由があるはず】
【ぱっと思いつく理由であれば、犯罪者が収容される際に付けれれるものだが、この幼い少女がそうだとは考えにくい】

「待ってください。今外してあげますから」

【右手を前に突き出すと、その手のひらに赤い刀身の刀が出現する】
【それを軽く振ると、一歩少女に近づく】
【その刀でもって、拘束具を断ち切るつもりだ】
64 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/21(土) 23:19:26.04 ID:3MGdAckG0
>>63
【役に立てなかったと察したのか、申し訳なさそうにうなだれた。無造作に伸びた髪が揺れ、同時に首輪からたれる鎖も揺れた】
【そうしていると、聞こえたやさしげな声と刀が風を切る音】
【敵意も悪意もない、それは分かっていても少女は刀にトラウマを持っていた】

!?・・・・・・

【言葉にならない悲鳴のような何かを上げて、少女はあわてて後ろに飛びのいた】
【みるからに重そうな鉄球を軽々飛ばして、まるで鉄球などないように】
【そして少女は両手を地面について、猫が威嚇するようにうーっ、と声を出す】
【出身の異世界にて、少女は非人道的な実験の被検体にされていたと同時に玩具にもされていたのだ】
【実験の結果少女はめったに死なない生命力を得た。それゆえ刀をいくら突きたてられても[ピーーー]なかった】
【飛びのいてぼろ布がはためき肌が露出した際、痛々しい傷が見えたかもしれない】
65 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/21(土) 23:20:03.58 ID:7Bslfyb60
>>62

「了解。じゃ、移動するか……はぐれんなよ」

【ふい、と周囲を見回してさり気無く能力を発動。より安全なルートを選び取ると、ジョエルの事など気にせずさっさと歩き出すだろう】

【おおよそ7分、移動して辿り着くのは、とある扉の前。遅れること無くついて来ているのならば、ちらりとそちらを見てこの中で待てと動きで示し、再び動き出す】
【中へ入ったのならば、暗い視界に広がるのは簡素を通り越して最早何もない一室。どうやら窓はないらしく、開いた扉からの光でようやく視認できる位置にあるランタンで、辛うじて光を得るようだ】
【外に残ってその動きを追ったならば、少年がやや離れた場所、地面に座り込む男に声をかけるのが分かる】
【よく聞こえないが二言三言交わした後で、ズボンのポケットから何かを取り出し握らせる。そうして振り返り、外に居るジョエルを確認して訝しげな顔をするだろう】

【いずれにせよ、室内に二人が入った後。ランタンの中の短い蝋燭に火を灯して手近な壁にもたれ掛かり、少年はそちらへ顔を向ける】
【薄暗い室内、閉まった扉、にも関わらずハンチング帽をぐいと深く被り直して、口を開けば出てくるのはこんな言葉】

「……で。雇ったからには依頼内容、話してくれるよな?」

【10分、タイムリミット、視界が暗くなる。何も見えない状況、この狭い部屋は安全も確保された謂わばセーフゾーンのようなものだった】
【願わくば、ここで10分程過ごしたいものだが……どうなることやら】
66 :藤堂朔夜 :2014/06/21(土) 23:37:44.47 ID:pAMm3wz1o
>>64
【出した刀は鞘がなく、抜身の刀。それも、刀身が赤い不気味な代物だ。】
【今会ったばかりの人間にそんなものを持ちだされては警戒するのは当然か】

「ん……申し訳ございません。怖がらせてしまいしたね」

【目を閉じ、少女へと謝罪すると、手に持っていた刀はどこかへと転送されるようにして消え去った】

「私の名前は、藤堂朔夜と申します。決してあなたの敵ではありません。」

「どうか、警戒を解いては抱けませんか? きっと、お力になれると思いますから」

【片手を手を胸に添えながら、堂々と目の前の少女の目を見ながら話す】
【信頼されるかどうかはともかく、いきなり刀を突きつけたことに対しては申し訳なく思っているようで、真摯に向き合っている様子】
【ちらりと少女の傷が見えたが、あえて今そこは注視しない。焦ってまた先程のように怖がらせてしまうかもしれないからだ】

「…………」

【相手の出方を見るしかない】
【朔夜の瞳には一点の曇も、迷いもない】
67 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/21(土) 23:38:48.66 ID:1S4ROMjL0
>>65
「ああ、わかったよ」

【こちらを気にした様子もなく歩き出す少年に頷くと、男はちらりと辺りをもう一度みまわし彼の後を追う】

【しばらく歩いた先でたどり着いたのは、どこだかわからぬ場所のどこへつながるかもわからぬ扉】
【中で待てと言われれば、まずそろりと扉を開け中を覗き込み、誰もいないことを確認してからするりと中に入り込む】
【手狭かつ、使われた様子もない。が、全くといっていいほど何もない部屋のせいか埃っぽさはあまり感じられない】

【何も腰掛けられそうなものがないことを確かめれば、男はドアからすぐの場所に寄りかかり。少年が戻ってくるまでに煙草を銜え、火をつけて一服するだろう】

「ああ、もちろん。でなければ契約が成り立たないからな」

【戻ってきた少年がランタンに火を灯せば、その明かりに目を眇め。煙草をさも美味そうに吸い込み、紫煙を吐き出してから口を開く】

「依頼されたのは人探しだ。この辺りに住む住人から親族を探して欲しいと頼まれた。前払い報酬はこの古書類」

【そこまで説明すれば、破けた紙袋の中の本を手にしてひらひらと振って見せ。それを袋に戻せば、さがしたいのはこいつだ、と一枚の写真を取り出すだろう】
68 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/22(日) 00:00:07.00 ID:XRdO+IBn0
>>66
【語る少女の声のトーン、今まで聞いてきた荒々しい男達のものとは違う】
【刀の音も聞こえなくなった。おそらく刀は納められたのだろう】
【張り詰められていた全身の力も抜けていき、ゆっくりと立ち上がる】

ごめん、なさい

【舌足らずにそうつぶやくと、ぺこりとオーバー気味に頭を下げる】
【あなたの敵ではないと、その言葉を信じ警戒を解いたようだ】
【その証拠にゆっくりと近づいて行き、足枷を拾い上げてと差し出した】
【よく見れば小刻みに体が震えている。人を信じても刀は怖い】
【バイザーに隠れて目は見えない。見えたとしたら、きっと少女の瞳は涙濡れになっているだろう】
【それでも少女を信じた。その証がこの行動だ】

切って・・・・・・ほしい。

【小さくも勇気を出して、湿った声でつぶやいた】
69 :信次 ◆HFWFBjPx1o :2014/06/22(日) 00:04:34.56 ID:H2ecOaaw0
>>67

「へぇ、ここの人間が人探しね……んなの、自分で探しゃいいだろうに」

【なんでまたスラム街の奴が依頼を……などと胸のうちで考えながら、橙の光に照らされているだろう男の姿を頭に思い浮かべる。キーワードはスーツ、大柄、そして部屋に入った瞬間から感じる紫煙の香り】
【そこらじゅうから饐えた臭いの立ち上るスラム街の只中に比べれば心地よくさえ感じる煙たさに、元よりあまり頼りにならなかっただろう鼻が完全に封じられたことを感じ取る】
【いつまで経ってもこの感覚には慣れず。苛立たしげに荒く後頭部を掻く様は、ジョエルにどう映るのか】

「……あー、その、なんだ」
「知ってるような、知らないような……どっかで見たことある気がするんだけどな」
「……にしてもだ、あんた、煙草吸うんだな。美味いか?」

【がさがさと紙どうしのこすれ合う音。続いて告げられた言葉から考えるに、写真か似顔絵か何かを見せられているに違いない】
【早まったか、と見えないそれに歯噛みしながら曖昧にはぐらかす。これほど早く時間が過ぎればいいと願うこともあまり無いのではないだろうか】
【視界が暗くなってからおおよそ2分、最低でもあと3分は、このまま持ちこたえなければいけないのだ】

【試しに煙草の話題を出してみたはいいものの、果たして上手くいくのかどうか。多少怪しまれてもせめて、視覚を失っていることが暴露なければいいのだが––––––】
70 :藤堂朔夜 :2014/06/22(日) 00:19:25.98 ID:azrHP1zwo
>>68
「謝らないで下さい。貴女に非はないのですから」

【警戒の体制を解いた少女に、柔らかな声で笑いかける】
【少しでも自分を信じてくれたことの嬉しさが、その表情から見て取れるだろう】

【この短い時間で自分を信じてくれた】
【交わした言葉は少ないが、目の前の少女は朔夜の誠実さを感じ取ってくれたのだろう】
【この期待と信頼……裏切る訳にはいかない】

「少々怖いでしょうが……一瞬です」

【震える体、湿る声。それらは少女の心情を知るには十分すぎた】
【なるべく早く終わらせ、刀をしまったほうが良さそうだ】

「足枷を持つ必要はありません。足に付いている部分を直接狙います……微動だにしないで下さい」

【瞬間、朔夜の目が細く鋭く、足枷の根元部分を狙う】
【針を通すような正確さで、肌を傷つけず足に付いているその部分に刀を振り下ろす】
【少女が微動だにせず、最後まで朔夜が刀を振り抜けたならば、少女を拘束する足枷は断ち切られ、少女の足に軽さが戻るだろう】
71 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 00:27:19.52 ID:7xT0vOBx0
>>69
「俺も思ったがね。依頼は依頼だからな」

【それに向こうも歳をとった老人だからな、と付け足せば、短くなった煙草の先に新しい一本の穂先を触れさせ火を移し】
【短くなった方を地面に落とせばそれを踏み消して。新しいものを口に銜え、深々と吸い込んではまた紫煙を吐き出す】

「それは本当か? もしそうならさっさと済みそうではあるんだが……」

【曖昧な少年の発言に、同じように曖昧に頷いて。煙草は美味いのかと問われれば、銜えたままの煙草を指に挟んで、赤熱する穂先を眺めて】

「元は勧められて始めただけだったんだがな。あまり美味くはないよ。ただ落ち着くだけだ」

【言いながら煙草の紙箱を取り出す。赤のマルボロ。何の変哲もない、どこにでもある銘柄。残り半分ほどのそれを軽く振って】

「ま、吸うのはやめておいた方がいい。値は張るし身体によくないからな」

【少年の誘導に乗った男は煙草の箱を懐に戻し、またそれを銜えて吸い込むだろう】

72 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/22(日) 00:38:53.77 ID:XRdO+IBn0
>>70
【少女は藤堂を信じ微動だにしなかった。】
【そして刀は正確に足の付け根の鎖を切り裂いた・・・・・・はずだった、が】
【甲高い金属音を立てて刀は鎖に受け止められた。刀は鎖を切れなかった】
【この鎖は特殊な金属で出来ている。たとえば原始一つ分の厚さしかないこの世で最も鋭利な剣で切ったとして、この鎖は切れない】
【この鎖はターミナルの影響で空間ごと断裂される事によってはじめて切断できたのだ】

【やっと開放されると思った先、より残酷な現実に叩き落された】
【動かないように緊張していたが一気に力が抜けてしまう】

駄目・・・・・・

【今にも無き出してしまいそうな声。同時に持っていた鉄球が地面に落ち、重苦しい音が残酷に響く】
【やっと開放されたと思っていた。なのに、結局完全に開放されることは出来なかった】
【悔しくて悔しくて、思わず鎖を殴りつける。地面が揺れ、その向こうの道路にひびが入っても鎖は砕けない】
73 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/22(日) 00:52:29.29 ID:H2ecOaaw0
>>71

「へえ、ここでよく老いぼれるまで生きてたもんだね」
「珍しいもんだ、弱いのから順にさっさとくたばるのが道理だと思ってたけど」

【よっぽど悪運強いのか、はたまたかなりの強かさを備えた人物なのか……いずれにせよ、普段ならば少年の興味の範疇では無かったのだが】
【今は状況が状況だ。億劫さを覚えながらさも興味のあるように振る舞い、ははん、と軽く笑ってみせる】


「……ま、吸うつもりはねえよ。金の無駄だし、何より普段から嫌ってほど煙に当たってるからな」

【上手く話題を逸らせたことに、誰宛でもなく感謝して。かさかさと、恐らくは煙草だろう小さな乾燥質の何かが擦れる音に耳を傾ける。】
【それを聞いて肩を竦め、顔を下に向けて変わらず片手に持っていた本を弄び始める。頁をパラパラと捲り、古紙の質感を指先で感じ、そして、淡く感じる紙の香りに鼻腔を膨らませて】

【暫し無言の時間、ジョエルにその行動がどう感じ取られるかは分からないが、少年の意図することは単に時間稼ぎで。もし何事もなければそのまま静かに、視界が戻るまで時間を流すことだろう】


//深夜帯に入り、眠気がいつくるか分からないので、申し訳ありませんが展開を急がせて頂きます
74 :藤堂朔夜 :2014/06/22(日) 00:59:44.80 ID:azrHP1zwo
>>72
(この手応え……)

【自分の腕とこの刀。その両方が揃えば切れないものはない】
【自分の腕を過大評価するつもりはないし、現に切ろうと思って切れなかったものは今までにない。それも相手は動かない鎖一つだ】
【切れないことなど想定していなかった。予想していた感覚とは全く異なる手の感覚に思わず過剰に驚いた顔になる】

「そんな……嘘」

【特段、自分は名だたる剣豪ではないし、少々剣道ができる女学生だ】
【だが、鎖が切れなかった事自体恥じることでもない】
【が、朔夜が今、最も恥じショックを受けたのは、目の前の少女の信頼に答えられなかったということ】

(しかし今はショックを受けている場合では……)

「申し訳ありません。私の技量不足でした」

【朔夜は悔しそうな顔を隠せず、そのまま深く頭を下げた】

(私がこの刀の力を100%引き出せていれば切れたのでしょうか。大半を引き出すことは今もできますが……引き出せば私はこの少女も)

【現状、朔夜にこの鎖を断つ手段は無かった】
【必死にその悔しさなどの感情を表に出さないよう努めながら、少女に語りかける】

「必ず私はその鎖を斬れるようになります。一度引き受けたことです、必ずその技術を身に付けてみせます」

「今は、代わりにその傷の手当などをさせてくれませんか?」

【本当に悔しいのは自分ではないのだ】

「良ければ家に来ませんか? 傷の手当も出来ますし、行く宛がないのであれば」

【朔夜の家はここより20~30分ほど行った場所にある】
【ここでは治療道具も持っていないが、家に帰ればそれなりのことはしてあげられるだろう】
75 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 01:07:26.40 ID:7xT0vOBx0
>>73
「ああ、やはり珍しいのか……まあ、そういう例もあるってことだな」

【まあそれはそれだ、と一言区切れば自分に涙ながらに依頼を回して来た老人のことを思い浮かべ】
【とんだ依頼が舞い込んだものだと紫煙まじりのため息を漏らし、少年が笑うのに合わせて肩を竦めて見せる】

「最近は煙草も随分と高くなって来てるしな。それが懸命懸命」

【片手を揺すって穂先の燃え殻を落とし、半分ほどになった煙草をおしむようにちびちびと吸い込み】
【少年が先ほど拾い上げた古書類をめくり始めるのをみれば、余程本が好きなのだなと内心に納得して】

「ただの人探しだ。報酬はこの本全部と、完遂した暁には後払いの分も持って行っていい」

【どうだ? と相手の様子を伺うように尋ねる】



//了解です〜
76 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/22(日) 01:29:10.68 ID:XRdO+IBn0
>>74
【この世界で切れない物が無かったとしても、この鎖は異世界の物質。この世界の常識は通用しない】
【異世界においても超が付くほど貴重な鉱物と最大限の技術を結集して作られたものだ。切れなくとも無理は無いのだ】
【まず物理的な干渉では切れないと思っていい】

【悔しいのは自分だけでないと、そう気づいたのは少女も同じで】
【情けなく地面に伏せていた体を慌てて起こし、顔を赤くして大丈夫大丈夫としめすように手を振る】
【ついさっきまで悔しくて地面を殴っていたため説得力などかけらも無いが、それでも思いやりは伝わるか】
【はじめての自分にとって敵ではない人。落ち込む姿を見るのは嫌だ】

【家に来るかといわれると、一瞬意味が分からず首を傾げるも】
【意味がまるで見えない尻尾でも振っているように喜んだ】
【このまま朔夜が歩きだせば、文字通り首輪を引っ張られるように忠実についていくのだろう】


//遅くなって申し訳ない・・・・・・
//私はいつまででも大丈夫ですが、そちらは何時まで大丈夫でしょうか?
77 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/22(日) 01:30:33.73 ID:H2ecOaaw0
>>75

「そんなもんさ。なんせスラムだぜ? 老いぼれるまで生き残れたらそれこそ奇跡なんじゃねえの」

【ぼんやりと視界が戻り始める。能力使用時間が短かった事もあり、今回は早く色の世界が戻ってきたようだ】
【内心でガッツポーズ、肩を竦めた男に対してひらりと片手を泳がせて。もう片手でぱたりと本を閉じれば視線を上げる、ついでに、帽子の鍔の位置も上に修正すると相手の姿がよく確認できた】

「おっさん気前がいいね。俺嫌いじゃないよ、そういうの」

【遠慮や相手の報酬に関する慮りなど一切なく。与えられるものは全て貰えばいいという、いかにもここ出身らしいがめつさを見せて、少年はここへ来て初めてジョエルの眼を見る】
【短くなった煙草をふかすその様、少年の目にどう映ったのか、ジョエルにはわからないが】


「……もう一度みせてくれる?頭ん中の整理も多少できたし」

【癖なのか何なのか、顎で示し頼むのは恐らく写真のことで。先程は曖昧に答えたが、今ならはっきり答えられるかもしれないと】
【果たしてそこに映る人物、少年の知っている相手かどうか……最初出会った時よりもいきいきと話しているのは、恐らく気のせいではないだろう】
78 :藤堂朔夜 :2014/06/22(日) 01:47:44.75 ID:azrHP1zwo
>>76
「ありがとう、ございます」

【少女が自分を抑えてこちらに反応してくれているのは十分にわかる】
【しかし、そこはあえて特別言葉を重ねないほうがお互いいいだろう】
【ありがとう、ごめんなさいの問答をしていてはきりがない】

「ふふっ……では来てください」

【付いてきてくれると判断し、朔夜は少女に背を向け歩き始める】
【向こうには重い足枷があるため、あまり速度上げずにややゆっくり目に】

【ひと目が少ない道を選び、30分ほど歩いたところに一般的な家庭よりも大きい和風の屋敷が見える】
【朔夜が住む家は、大金持ちとは言えないがそれなりに裕福な家庭に居るため比較的家も大きい】
【和風の本邸に物置納屋、敷地の端には道場のような広めの建物もある】

「こちらへどうぞ」

【少女を中庭方へと案内し、中庭に面した廊下に座るよう促す】
【すぐさま近くの部屋から医療道具を取り出し、それをもって少女の傷の手当をし出すだろう】

「少々触りますよ」

【と、ここで重大なことに気づく】
【ここまで連れてきておいて、自分はこの少女の名前も知らないのだ】

「そういえば、お名前はなんというのですか?」

【本来最初に聞くべきことなのだが、何たるボケ】


//私は別に何時まででも構いませんよ
//朝方までかかると眠いですが
79 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 01:54:48.23 ID:7xT0vOBx0
>>77
「奇跡……か」

【どうだろうな、と曖昧に頷けば、ほとんどフィルター寸前まで吸い切った煙草を地面へ落とす】
【それを踏み潰して火を消せば、紙袋の中に収めてある古書類をもう一度確認し】

「どう俺はこの件に関してほとんど関わらないからな」

【働きもしないで報酬を受け取る気は無いよ、と。肩を竦めてそう返し、こちらを見やった少年と目を合わせれば、ほんの微かに片眉を持ち上げて】

「ああ、いいぞ」

【懐にしまいこんだ写真を取り出せば、それを少年へと差し出す。紙切れへ写っているのはなんの変哲もない一人の男の顔で】
【写真はもってけ、と付け加えれば、ついでにボロボロの紙袋も差し出すだろう】
80 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/22(日) 02:09:51.27 ID:XRdO+IBn0
>>78
【ぺたぺたと可愛らしい足音と、ずるずると鉄球の音の不協和音を鳴らしながら三十分】
【ようやく着いた家を見上げると、】

ほー・・・・・・

【と、思わず声を出してしまった】
【自分が今までいた場所は埃だらけで虫が湧き放題の牢獄の中。こんな綺麗な建物を見たのは初めてだった】
【こんな綺麗な場所に自分がいて良いものかと一瞬思ってしまったが、そんな考えは一瞬で消え去る】
【今はどんな感情よりもうれしさが勝っていたから】

【落ち着きも無いまま首をぶんぶん振ってあたりを見回す】
【見るもの全てが自分と不釣合いに綺麗なものばかり。まるで異世界に来た見たい。実際にきているのだけれど】
【そんな時に廊下へ促され、慌てて我に帰って廊下へ走る】

【ぼろ布を剥いて傷を見れば、大小さまざまな傷が見えるだろう】
【傷が出来てから日がたち、もう消えないであろう傷もあれば、つい最近出来たのであろう痛々しい傷もある】
【ひどいものなら背中に一つ、肩から腰まで刻まれた深い傷が一つ、痕になって出来ていた】
【そんな状態でいても、少女は口を緩ませて笑っている】
【傷を見られる恥ずかしさより、心配されているということがうれしかった】


・・・・・・なま、え?

【言葉の意味すら分かっていない】
【出身の異世界では、少女には名前などなく被検体としての番号だけが与えられていた】
【ゆえに少女は名前という単語を聞いたことすら無い】
81 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/22(日) 02:20:21.65 ID:D24RsnkXO
>>79

「謙虚だねえ。ま、俺にとっちゃ都合がいいんだけどな」

【自分が下請けだとは欠片も考えない無遠慮な言動、それで今までどれだけの相手を怒らせたのか。数えた事などないが、この程度で怒る相手など、どうせこの世界ではうまく生きていけないのだから】
【からからと威勢よく笑い、差し出されたふたつを受け取れば2本の指に挟んだ写真を頭の高さにぴらと持ち上げて。そちらへ身体を向けたまま、少年はこう問いかける】

「期限はいつまでだ?ここじゃ知り合いを見つけるのにも時間がかかるからな。俺としちゃあ、それなりに日にちが欲しいもんだけど」

【がさと紙袋を抱えなおせば、それから、と付け加えてジョエルへ写真を挟んだままの指を向ける。強気な視線は変わらず、ただし、その瞳に湛えられるは向こう見ずな気配ではなく】

「俺みたいなことしてる奴は信用が命だからさ。……仕事に関しては、しっかりやるから安心してくれよ」

【もしかしたらこいつは上客になるかもしれない、とにやり、少年は笑ってみせた】


//ごめんなさい、そろそろ眠気が近くなってきたので明日か、別の日に持ち越しでも大丈夫でしょうか?
//もし不都合がありましたら、破棄でも構いませんので……最初のロールなのに本当、申し訳ないです
82 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 02:21:56.48 ID:7xT0vOBx0
>>81
//凍結で構いませんよー、また後日に引継ぎましょう
//あとで返しておくので寝てしまって結構です! ありがとうございました
83 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/22(日) 02:24:18.30 ID:D24RsnkXO
>>82
//ありがとうございます、では、お言葉に甘えさせていただきます……
//お先に失礼します、お疲れ様でした
84 :藤堂朔夜 :2014/06/22(日) 02:25:22.55 ID:azrHP1zwo
>>80
(この傷……日常生活で負うような傷ではない。いったい何が……)

【とりあえず新し目の傷から慣れた手つきで治療を施していく】
【傷の跡や痣を消すことは出来ないが、新しい傷であれば今治療すれば跡が残らないはずだ】
【この傷のことを聞いてみたいが、安易に聞くのもはばかられる気がする】

【ふと、その傷の多さか、境遇に同情でもしたのか傷を優しく撫でたりもして】

「ええ、名前です。……どうしたのですか?」

【朔夜はスラム街で生まれたわけでもなければ裏社会に精通しているわけでもない】
【名前が存在しないと言うことを想定できなかったのだ】
【が、少女の様子をを少し見ればだんだんと察しはついてくるもの】

「名前がないのですか?」

「なんと言えばいいのでしょう……人の呼び方というか、人と人を区別するための名称といいますか……」

「つまり、その人を呼び方。そして、その人自身を表す言葉でもあります」

【頭の硬い朔夜はなかなかいい回答を出すことが出来ない】
【普段感覚的に使用している言葉の意味を改めて考えると、案外わからないものだ】

「そうだ! もし名前がないのでしたら、これからつければいいんです」

「今すぐでなくても構いません。他の人になんと呼ばれたいのか、少し考えてみてはどうでしょう」

【名前の意味すら知らない少女に今すぐ名前を考えろというのは難しいが、いつまでも名無しというのも可愛そうだ】
【当面の目標の一つにしてみるのもいいだろう】
85 :? ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/22(日) 02:47:51.27 ID:XRdO+IBn0
>>84
【やさしく傷を撫でられれば、くすぐったいのかきゃっきゃと声を上げて】
【牢獄にいたときは、痛めつけられどんな傷が出来ようとほうって置かれていた】
【傷を治療されるということそのものが新鮮なのか、傷にしみる痛みにも、優しく撫でられるくすぐったさにも谷層に反応する】

【上手く意味を理解できていないみたいだが、なんとなくは分かったらしい】
【自分がどう呼ばれたいかなんて考えたことなかった】
【そもそも、被検体にされいため続けられるだけの毎日で自分のことを考えたことなんて無かった】
【名前というものがどういうことか分からないけれど、番号以外の物で自分が呼ばれるというのはきっとすばらしいのだろう】

さくやに、よばれるなら・・・・・・なんでもいい!

【なんて目を輝かせていった】
【自分に出来た初めての敵以外の関係の人。それだけで少女の中で朔夜はだれよりも大事な人になっていた】
【そんな人に呼ばれるならば、どんな名前でも嬉しいに決まっている】

//名前を付けていただけるとあり難いのです。どんな名前でも大丈夫ですよ!
86 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 02:58:46.30 ID:7xT0vOBx0
>>81
「お互い様だな。俺にとっても君にとっても都合がいい」

【相手の態度を気にした風もなく、やれやれと言いたげに大仰に肩をすくめてみせる。単に、こういった態度を取られることに慣れているだけかもしれない】
【ともかくも、男は前払い分の本と写真を少年に渡せば、彼の質問に思案するように顎に手をやり】

「ふむ……気長にいくか。一月でどうだろうか。そこまで急ぎでもないからな」

【それに俺は都市契約保安企業の経営者だしな、と苦笑するように口の端を釣りあげれば、懐から名刺を取り出してそれを少年へ差し出す】
【そこにはジョエル・ウォーカーという名前と、ウォーカー探偵/保安事務所という企業名が書いてあるだろう】

「ああ、最低限の信用はしているよ。だから心配しなくていい。俺も心配はしない」

【少年の目を見つめ返し、ジョエルは小さな笑みを浮かべる】
87 :藤堂朔夜 :2014/06/22(日) 03:14:47.38 ID:azrHP1zwo
>>85
【傷を触ると声を上げる少女を見て、驚かせてしまったかと内心思うが、怒っては居ないようなので一安心】
【それどころか喜んでそうなので、やったかいはあったか?】

「私に呼ばれるなら……」

【それは自分に名前を名づけてほしいということなのだろうか】
【これは困ったことになった。頭の硬い朔夜に、気の利いた命名ができるとは思えない】

「そうですね……」

【必死になにかないかと周囲を見渡す。何かヒントとなるようなものがないかと】

【ふと、眼に入るのは一月ほど季節のずれた一輪の白い花】
【咲くタイミングを間違えた間抜けな花が咲いたので、鉢植えでとっておいたのだ】

(あの花……そうですね)

「アネモネ……なんてどうでしょう。もし、私があなたを呼ぶのであれば、そう呼びたいし相応しいかと思うのですが」

【和風の家であるため、ちょっと華道をかじっていてよかった】
【こんな時にアイデアノートとして活用できたのだから、この時のための習い事だったのかもしれない】
【白いアネモネの花言葉。それは、この名も無き少女の未来に送る言葉でもあった】
【希望・期待】

//こんなのでいいでしょうか
//気に入らなかったら誠に申し訳ない
88 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/22(日) 03:42:19.82 ID:XRdO+IBn0
>>87
【傷の治癒が終わってしまえば名残惜しそうな顔すらして】

あねもね・・・・・・あねもね・・・・・・

【何度も何度もかみ締めるように言葉を復唱する。】
【はじめての番号じゃない、自分だけの名前。冷たい番号じゃない、暖かい名前】
【繰り返すうちに段々と頬が緩んできて、自然とにやけた顔になってしまう】
【目は隠れてしまっていても淡い紅色の頬と緩みきった口元をみれば、少女の感情は言葉にする必要も無いほどわかりやすいはず】

あねもね・・・・・・うれしい!!

【そう礼を言った後も、繰り返して少し手照れくさそうにえへへと笑って、なんて事を繰り返す】
【今日は嬉しいはじめてだらけの日だった。初めての世界、初めての味方、初めての名前】
【純粋な少女はきっとこの日を鮮明なまま記憶し続けるのだろう。こんなすばらしい日色あせることなんてあるはずが無い】

【その後もしばらく喜び続けた後、急にぽてっと倒れて眠ってしまう】
【喜びに隠れていた眠気が顔を出してしまったのだろう】
【このまま少女をほうっておいてやるもよし、布団をかけてやるもよし、もしくは追い出して転がすもよし】
【何をしようと、少女はずっと満足げな笑みを浮かべたままだろうから】


//ここで切らせていただきますね。お疲れ様でした!
//そして素敵な名前をありがとうございます!
89 :藤堂朔夜 :2014/06/22(日) 03:56:16.86 ID:azrHP1zwo
>>88
(き、気に入ってもらえるでしょうか……)

【まさかこの年で名付け親になるという予想外の展開である】
【もっといい名前があったのではないか……などと考えながら少女の反応を見守る】

「……」

【と、少女はだんだんと嬉しそうにその顔をほころばせ、声を上げるまでに】
【どうやら喜んでもらえたようだ】

(ほっ……なんとか気にいる名前をあげられたようですね)

【喜ぶ少女の姿を見て、朔夜はほっと胸を撫で下ろす】
【この状況でとんちんかんな名前を付けてしまったら空気がぶち壊しだ。空気を読むのが苦手な朔夜でもそれはわかる】

「……っと」

【急に倒れて何事かと焦りかけるが、よく見ればそれはただ寝ているだけ】
【疲れたのだろうか。動物のように自分のことを警戒したと思えば、急にそばで寝始める】
【そう、まるで猫みたいだ】

【よっと、と眠る少女を抱きかかえると和室の一室に連れ込み布団の中へ】
【今は使われていない客間だが、十分な広さと綺麗さがある】
【何より朔夜の私室の隣なので、何か会った時にすぐに気がつく】

「お風呂は、起きてからで構いませんね」

【何やらこれは、姉だか母のような気分なのだろうか】
【今日は不思議な日だ】

「それじゃあおやすみなさい。アネモネ」


//ではこんな感じで。ありがとうございました
//またお願いします
90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/06/22(日) 07:33:17.80 ID:aZJWgNEk0
91 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sage]:2014/06/22(日) 18:59:23.45 ID:H2ecOaaw0
>>86
「1ヶ月ね、これまた気前のいいこと……ところでさ」
「おっさん、探偵だったんじゃねえの?」

【どっちなんだよ?と訝しげな視線を返し、名刺を写真と同じように受け取れば拍子抜けな顔になる。どちらかが副業ということだろうか、探偵と保安企業経営との両立などあまり聞いたことはなかったが、そういう企業もあるのだろう】
【ま、最低限の信用はしておくよなんて建前を言うものの、心はどこか上の空。憧れの職業で生きている人間が目の前に、しかも仕事相手として佇んでいるのだから】
【ここはひとつ、コネでも作っておいた方がいい気はするが。自分にできることを挙げるのならば、仕事を迅速かつ丁寧にこなして働きぶりに対する信頼度を上げることくらいか】

【今更だがこの少年、スラム街で暮らしているらしいにも関わらず文字の読み書きは存外出来るようで。ノートとペンを持たせたならばきっと、一日中それに向かっているのではないだろうか。そんな想像が出来るかもしれない】

「……ま、契約成立ってことで。呼び名がないと不便だろうし、俺のことはタキジとでも呼んでくれればいいよ」
「連絡先はないけど、もし話があるならこの部屋の近くをうろついてるマトモそうな奴にチップ握らせてやれ。俺に会わせろって言えば、ハズレじゃない限りこの部屋に入れてくれるはずだ」

【んで、暫くしたら俺が来る、と……。矢継ぎ早にそこまで告げて、ふうと一息】
【眩しそうに目を細めて名刺を一瞥してから、蝋燭の残りを気にするようにランタンへ意識をうつすところで。何かを思い出したかのように目を開き、再びジョエルの方へ向き直る】

「ああそうだ、分かっちゃいるとは思うけど、チップはやりすぎんなよ?下手に多くやると他の奴らがやる時に不満が出るからな」

【写真と名刺を紙袋に仕舞い、ごそごそとポケットを漁れば出てくるのは硬貨1枚。それを起用に指で弾けば、銀色の硬貨は柿色の光を照り返して鈍く輝いた】
【くるくると宙を舞い、これまた器用にそれを片手で受け止める少年は、ニッと笑ってそちらを見返すだろう】

「これくらいで充分さ、贅沢を覚えちゃここでは生きていけない」
92 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 20:01:36.55 ID:xvJneLjZ0
>>91
「気長に待つことが成功の秘訣だ。何事においてもな。…………探偵は副業だよ、本業は保安要員」

【都市契約企業の保安要員であれば、一般の耳には入らないさまざまな話が聞こえてくるものだ。そういった職業柄の特権とでも言うべきもの、そして同業つながりの情報網を用いて探偵という名目でサイドビジネスをとりおこなう】
【それが男……ジョエルの経営する事務所の実態である。外面はともかくとして、実態的には裕福とは言い難いからこその財源が探偵業であった】
【ともかくも、"稼ぐための"探偵業である。だからこそこういった金にもならないことはしたくないのがジョエルの偽らざる本音だが、同時に、金にならないからと切り捨てられない心情もあるわけで】
【だからこそ、ここで少年に依頼を引き渡すのは互いにとって得になるだろうと踏んだのである。それにまあ、本に興味がない自分よりは、この少年に渡した方が古書も喜ぶだろう、とも思っている】

「タキジ、か。わかった。俺のことは……まあ好きに呼んでくれ。ジョエルでもウォーカーでもいい」

【チップか……とジョエルは小さく苦笑する。そういうことは中央もこっちも変わらないなと付け足せば、わかったよと頷いてみせ】

「安心してくれ。見てくれはともかくそこまで裕福じゃないからな。そんな大金は持っちゃいない」

【そう言えば、懐から薄い革財布を取り出す。角がすり減りよれ気味のそれは、誰がどう見てもそこまで金が入っているようには見えないだろう】

「どこも同じだな。ほどほどで満ち足りることを知らなければ生きていけん」
93 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/22(日) 20:33:22.45 ID:H2ecOaaw0
>>92
「待ちすぎて腐っちゃ何の意味もないけどな……ま、そんだけ時間がありゃみつかるだろ」

【なんとも適当である。だいたいの目星はついている、といった所だろうか。片手で銀貨を弄びながら、ちらりと扉へ目を向ける】
【その向こう、チップを渡して安全の確認を頼んだ相手から合図が無いということは。今はまだ安全が保たれているということに他無くて、今のうちに解散した方がいいのかと一時思案を】

「俺からしたら、マトモな仕事で食ってるってだけで充分羨ましいね。いつかはそうなりたいもんだよ」
「……おっさん、扉を2回ノックしてくれるか?それが合図だから」

【誰へのとはあえて言わず、俺は両手が埋まってるからと首を傾け、わざとらしく肩を竦めてみせる。ジョエルがその言の通りに動いたのならば、扉の向こうから同じようにノックが帰ってくるはずだ】
【呼び方はどうやら「おっさん」で固定らしい。名前を覚えていると信じたいものだが、果たしてどうなのやら。壁一枚隔てて向こうからの返答があれば、がさりと大袈裟に紙袋を抱え直して扉へ歩き始めるだろう】
【蝋燭は消さず、恐らくは外の誰かが後始末をしてくれるのだろう。硬貨を握りしめた手で扉を開けば外の日差しに思わず目が眩む】


「あーくそ、こりゃ帰るの怠いな……」

【毒づきながら帽子の鍔を深くして。近くに居た、ノックをした正体である男にかるく礼をするとジョエルに出ろと促すように3、4歩ほど先へ進む】
【そうしてその場で振り返れば、この後どうするのかと問いかけるように、鍔の下からそちらへ視線を向けるだろう】
94 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/22(日) 20:55:07.40 ID:o5yEdLmR0
>>93
「早すぎて渋いまま食うのもいやだがな。まあ、何事も程度の話ではあるが」

【タキジが視線を向けた先、扉の方へちらりと目を向ければ、そういえばと時計に視線を戻す】
【ここに入ってからそれなりの時間が経っていた。こういった地域であまり一箇所に長いするのは好ましくない。それに自分は部外者であり、なおさらである】

「就ければいいな、マトモな職に」

【おっさんと呼ばれたことには反応を示さず、他人事のように曖昧な返事をよこせば、言われた通りに二度、やや控えめなノックをして】
【ノックが帰ってくれば、どうすればいいとタキジに目を向け。彼が扉に近づきそれを開ければ、出ろと促されるまでもなく、ちらりと落し物がないか背後を見やってから部屋を出る】

「大丈夫か、だいぶ不自由そうだが」

【三本目の煙草を取り出して銜え、火をつけて一息吸い込み、ほう…とため息をついて】
【ようやく人心地つけばタキジの視線に気づき、俺は一旦帰るよと口にして】

「君はどうする。俺はもう戻るが」
95 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/22(日) 21:25:28.11 ID:H2ecOaaw0
>>94
「ま、頑張るよ……それまで俺が生きてりゃね」

【へらりと笑って周囲へ視線を巡らせる。どうやら出会った場所から追ってきた者はいないようで、屋内に入っていたことで新しく人目が集まることは無かったらしい】
【ここへ案内したのは元よりそういった意図があったのだろう。安全性もある程度確保され、尚且つ周囲の意識も集めないとなれば、以前から何度もここを使ったらしい様子も頷けるかもしれない】


「これくらい平気、もっと酷いものを運んだこともあるからね。心配はいらないさ」
「そっちこそ、煙草吸いすぎて報酬払えなくなるなんてやめてくれよ?収入が減るなんて堪ったもんじゃない」

【数えていないながらも分かる、速いペースで消費される嗜好品を横目に見て。下手くそな皮肉めいた言葉を残すと片手をあげて挨拶を。相手の反応も見ぬままに何処かへと歩き始める】
【ここで解散ということだろう、その場で辺りを見回したのなら、先ほどまで二人がいた部屋に男が入っていくのが見えるはずだ】

【––––––ジョエルがここまでの道のりを覚えているのかどうか。それによっては、早速ここでチップを渡し、頼み事をすることになるのかもしれない】


//では、区切りもいいですしここで〆させていただきますね
//二日間お付き合いいただき、ありがとうございました!
96 :赤城 烈斗 ◆rYmq/xT.Cg [sage]:2014/06/22(日) 22:00:05.55 ID:mZMl2sD+o
「ぐえっ」という、呻き声がいくつか、路地裏の空に響いた。
狭い路地に倒れた男が、呻き声と同じ数、倒れた男達の中心に一人、小さな背丈の少年が立っていた。

「よーし!いーかてめーら!今からここは俺達ブラッディの縄張りだ!」
「文句がある奴は!?……いねーな?よし!」

ワインレッドのノースリーブパーカーに身を包んだ、高校生位の少年が、倒れた男達に高らかにそう宣言すると、最早返事の出来ない男達の沈黙を肯定として、満足気に頷いた。
彼の逆立てた茶髪には、赤い毛髪が束になって混ざっている。カラーギャング『ブラッディファング』の一員である証だ。

「さっそく縄張りの証でも描くか!この辺りの壁とかよさそうだな!」

ぶっ倒れた男達を他所に、少年は赤い包帯に包まれた両手にそれぞれカラースプレーを取り出すと、コンクリート壁に向かって落書きを始めた。
喧嘩に落書き…こういった行為を極一般的にしてしまう若者が多くいるブラッディファングは、世間からは決して良い目では見られていない。
そんな事、この少年を始めとしてメンバー達は全く気にしてはいないのだが。
97 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/22(日) 22:20:23.03 ID:abrVUG2to
>>96
「オーライ、落書きは後からにして手上げな」

【烈斗の背後から気だるそうな男の声が聞こえてきた】
【振り向くと其処にはド派手な赤のミリタリージャケットを来た青年の姿】
【ジャケットのロゴを見れば、この近くの民間保安企業の人間らしい】

「ガキの喧嘩に手ぇ出す程野暮でもねぇんだが仕事とあっちゃ話は別だ、恨むなよ?」

【青年の背後には先程まで烈斗と喧嘩を繰り返していた男達の中の人がその背に隠れるように立っている】
【どうにも逃げ出して彼に援護を仕事として要請したようだ】

「さて、選んで貰おうか?
 尻尾巻いて逃げ出すか、それともぶっ飛ばされてるのか」
98 :牙城 紅葉 ◆x3e8yvBGlo :2014/06/22(日) 22:24:12.22 ID:esEzUNy5o
>>96
「あれ、一人で片付けたの?」
ブラッディファングの一人と思われる少年が揉め事を起こしてるって聞いた私は、
現場へ足を運んできたわけだけど・・・
その少年は壁にスプレーを振っている。
少年の周りには倒れた男たち・・・
アイツ・・・一人で複数の男たちを片付けたみたいだ・・・

「レッドなら、別に駆け付けなくても良かったね。」
私もその少年と同じ、髪の一部が赤くなってる。
ブラッディファングの一員である証だ。

「世間は無視して良いけど、放っとくとPSCが来るかもよ。
 まぁ、返り討ちだけどね。」
私はタバコを取り出し、そのタバコを口に咥え、
オイルライターで火を点ける。
ブラッディファングのシンボルである紅い狼がデザインされたライターだ。
99 :牙城 紅葉 ◆x3e8yvBGlo :2014/06/22(日) 22:38:33.31 ID:esEzUNy5o
>>97
「やっぱり来たわね。」
現れたのはミリタリージャケットを着た男。
あのロゴは・・・民間保安企業の関係者だ。
背後の男が気になる。保安企業の関係者じゃ無い。
でも、なんでだろう・・・ただの野次馬とは思えない。

「選んでくんない?
 尻尾巻いて逃げ出すか、それともぶっ飛ばされるか・・・」
私は保安の男が言ったセリフをそのまま返す。
正面から喧嘩をふっかけて来たんだ。
全力で応えるのが私のやり方だ。
何もせずに逃げるワケがない。

それに、ぶっ飛ばされるつもりもない。
逆にぶっ飛ばしてやる・・・!!
私はタバコを吸いながら保安の男を睨み付ける。
100 :赤城 烈斗 ◆rYmq/xT.Cg [sage]:2014/06/22(日) 22:42:09.60 ID:mZMl2sD+o
>>97>>98
いざ、芸術を刻んでやろうと意気込んでいた赤城であったが、後ろから二人分の声が聞こえた為に、両手を降ろして振り向いた。
見れば、よく知る相手と、対抗勢力ともいう相手。丁度いいのか悪いのか…

「はっはー!マヌケそうな声が聞こえたかと思いきや国の犬じゃねーか!」
「尻尾巻いて逃げ出す?その台詞そのまま返してやんぜ!なあモミジ!?」

保安企業の人間が交渉を申し出たとして、素直に聞く訳が無い、若者とはそういうものだ。
オマケに仲間もいるとなれば尚更、読み間違えたまま定着してしまった呼び名で紅葉に話を振りながら、赤城は片桐の話を聞く気はなさそうだ。
101 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/22(日) 22:53:09.42 ID:abrVUG2to
>>99-100
「おい、人数増えたぞ
 ……クソが、追加報酬な」

【がっくりと大きく肩を落とし現れた紅葉へと視線を向ける】
【一対一の簡単な仕事かと思えばそうも行かないようで、依頼主たる背後の少年にそんな言葉を吐き捨てた】

「やれやれ、だな
 楽な仕事なんて何処にも転がってねぇもんだ
 嫌になってくるぜ、弾使ったら赤字確定じゃねぇか」

【そう言いつつも2人相手では分が悪いと踏んだのか、懐から取り出すのは自動拳銃】
【ベレッタM92FSと呼ばれた大災禍前において世界中に流通していたポピュラーな拳銃だ】

「後言っておくがな、俺は国の犬でも特区の犬でもねぇ!」

―――金に魂売ってるだけだ!

酷く決まらない決め台詞を吐いた青年はその引き金に力を込める

銃声、銃声

二発放たれた銃弾は狙いもまともに付けられず烈斗と紅葉に向かい疾走する
そのまま動かなければ2人に当たるような軌道ではないが銃に慣れていないとすればそれだけでも脅威だろう
102 :牙城 紅葉 ◆x3e8yvBGlo :2014/06/22(日) 23:14:08.70 ID:esEzUNy5o
>>100
「クレハね・・・因みに、アイツ等は民間で動いてるんだよ。
 国の犬には違いないけど・・・」
私は自分の名前を訂正しつつ、簡単に説明する。
保安企業は行政が治安組織の維持が出来なくなって、民間に委託した事で成り立っている。
アイツ等は行政から許可もらって運営してるから、国の犬って言うのは間違ってない。
レッドも知ってて言ってるんだろうけど・・・
それにしても、私の名前をそのまま読むなんて・・・
私の名前、キラキラって奴なのかな・・・
保安に間違えて憶えられても困るから、一応訂正しとこ・・・

>>101
「・・・・・・・・・!!」
アイツ、後ろの奴に声を掛けた・・・
間違いない・・・通報したのは背後の男・・・!!
報酬を求めている様子だと、恐らくはレッドの喧嘩相手の一人かも・・・!!
レッドへの報復か、応援として呼んだのか・・・!!
何れにせよ、喧嘩の応援に保安を使う様な奴に興味はない。
今の相手は拳銃を撃ってきた保安の男!!

「下手くそ・・・」
発泡された弾は私から外れた。
狙いを私やレッドから外したのか・・・
銃弾は普通の人から見たら脅威だ。
だけど・・・そんな物に恐れる私じゃない・・・!!

「それとも、威嚇のつもり?面白いじゃん・・・」
私は目付きを変え、保安の男を睨みながらゆっくりとアイツへと歩み寄る。
一歩ずつ、その一歩に殺気を込めて、男を威嚇するかの様に・・・
その威嚇は、“その殺意は血を求める獣の如く”って言われてる。
私が6歳の時に芽生えた異能で、9歳で暴れた時に世間や保安企業がそう呼んでるから、私もそう呼んでる。
普通の人なら逃げ出す程の殺気を曝け出してるけど、あの男は何処まで耐えられるかな・・・
近づけば近づくほど、その殺気は脅威を増す。

「牙城 紅葉 (がじょう くれは)・・・保安なら聞いたことあるでしょ?」
私は保安企業に捕まって施設に収容された事がある。
その施設でも暴れて脱走して、獣の様な女だって、保安部では結構有名人らしい。
あの男も保安なんだ。知ってて当然だろう。
103 :赤城 烈斗 ◆rYmq/xT.Cg [sage]:2014/06/22(日) 23:54:59.26 ID:mZMl2sD+o
>>101

「知るかっつーの!似たようなもんだろーが!」

国の犬、とは違うのだが、指摘されても気にしない、というより細かい事は気にしない性分だ。
そう言いながら、銃を向けられた瞬間から素早く身を右にかわし銃弾を回避、反射神経は高い。

「うおっ!?いきなり銃なんて撃つんじゃねー馬鹿!あぶねーだろ!?」

とはいえ、銃弾に対して有効な対処法は赤城には皆無であって、脅威的な武器であるというのは変わらない。
驚いた表情になったのも一瞬で、すぐさま表情を引き締めると、赤城の右目に赤い炎が宿る。

>>102
「ハッハー!モミジよお!そんな怖ぇ顔してるだけじゃダメだぜ!」
「取り敢えずこういう奴はぶん殴るんだよ!」

名前の訂正をされたにも関わらず、定着した呼び名は全く変わらない、むしろ変える気はないのかもしれない。
片桐に歩み寄る紅葉の後ろから、拳を構えながら飛び出し、赤城は真っ直ぐ片桐に接近した。

赤城の右目に燃える炎は異能の発動の証、己の生命を燃やして戦闘力にする力だ。
それにより移動スピードは少年とは思えない程に早く、更に体制を低くして片桐の懐に潜り込もうとしている。
懐に潜り込めたなら、赤城は片桐のボディに向かって右のストレートパンチを放つだろう、勿論パンチの威力も高まっており、体系からは予想もつかないヘビー級の威力がある。
104 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 00:04:48.96 ID:0I1O7GMBo
>>102
「知らねぇよ、金になるの?お前の名前」

【銃を片手に構えたまま、その男は首を傾げる】
【その様子からして本当に紅葉の事を知らないらしい】
【保安として彼は日が浅いのか、それともそんな知識も知らないほど無能なのか】

「……って怖い顔すんなよ、お里が知れるぜ」

【紅葉の放つ殺気に眉を顰め、ジリジリと脚は後ろへと下がっていく】
【だがそれも数歩だけ、軽口を吐くと同時にその後退は止まる】
【彼は保安企業の人間だ、殺意には慣れているのだろう】

「こっちも今晩の飯がかかってんだぜ、んなので退けるかって!」

【片手で構えた拳銃に義一の背後から現れた<何か>が纏わりつく】
【この街では珍しくはない<異能>】
【その様子だけではどんな異能かはわからないが、拳銃ががっちりとその異能によってホールドされ、その狙いは紅葉】
【先程とは違う、しっかりした狙いで引き金は弾かれた――】

>>103
【と、思われたその瞬間】
【突然飛び出してきた烈斗が目にも留まらぬ速度で懐へと飛び込んできた】
【視覚の外より現れた烈斗の拳を避ける事も防ぐ事も不可能】

「―――<Side Arms>!」

【それは普通ならば、だ】
【義一の背から吹き出した赤黒のエネルギー体は巨大な腕の形に生成され、近くの壁へとその手を伸ばした】
【コンクリート製の壁に爪を立てるように、その壁を握り締めると、その瞬間に義一の身体が宙を舞う】

「ファッキン、身体能力強化か!」

【Side Armsと呼ばれた腕に持ち上げられるように烈斗の頭上へと飛び上がり、ジャケットの裏地に潜むホルスターへと手を伸ばす】
【引きぬかれたのはM7バヨネットと呼ばれる銃剣、ソレを烈斗の脳天目掛け投げ下ろす】
105 :牙城 紅葉 ◆x3e8yvBGlo :2014/06/23(月) 00:19:57.60 ID:RdapRsR3o
>>103
「戦い方にも色々あるんだよ。」
敢えてモミジって呼んで見せた・・・
訂正する気が感じられない・・・
それに、先制攻撃を仕掛けてみせた。
戦う気力を奪っていくのが私のやり方だけど・・・
レッドの戦い方も決して間違ってない。
正面から立ち向かってくるのは、敵にとっても厄介なはず。
背中を見せて逃げないからね・・・

>>104
「・・・・・・・・・!!」
次は狙って撃ってきた・・・
その銃弾を私は受け、銃弾を受けた腹の右の部分を手で押さえる。
それにしても、撃った時に男の背後に何かが・・・恐らくは異能・・・
だけどあれだけじゃ、アイツの異能については未だ何も解らない・・・

「やったわね・・・」
私はさっき押さえた掌を見る。当然、血が付いている。
そして、咥えていたタバコを持ち、保安の男の顔に向かって投げる。

「覚悟しなさい!!」
タバコを投げたと同時に、治安の男に向かって疾走。
その勢いを使い、膝蹴りを放つ。
狙いは股間。さっき投げたタバコは気を顔に向ける為のフェイントだ。
私の狙いは男の弱点である金的だ!!
106 :赤城 烈斗 ◆rYmq/xT.Cg [sage]:2014/06/23(月) 00:47:29.46 ID:GH5itEbOo
>>104>>105
「ちっ!避けるんじゃねーよ!!」

渾身のストレートが躱された、舌打ちをしつつ赤城は片桐を視線で追い、その行動に備える。
投げ付けられたバヨネットの動きは単純な動き、何人ものパンチを避けてきた赤城にとっては読みやすい物だ。
左へのスウェーでバヨネットを掠め、頬に切り傷を作りながらもダメージと反撃体制を最大限のバランスに保つ。

「モミジ!連携でいくぜ!!」

実際の所、赤城自身の好みとして複数戦は好まない──自分が複数側なら尚更である──が、今の場合はそうも言っていられない。
アウトローな組織の仲間達は協力して社会に反抗しなくては、巨大な力に簡単に押し潰されてしまう、故に協力は惜しま無いべきだから。

「くらえオラァ!!」

紅葉が下から狙うならば、赤城は紅葉の上を飛び越え、片桐よりも高く飛び上がりながら、落下の勢いを利用して、一つに合わせた両手を振り下ろす。
狙いは片桐の頭だが、わかりやすいくらいに大振りな、威力重視の攻撃だ。
107 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 01:09:21.48 ID:0I1O7GMBo
>>105-106
【目の前の煙草の火に一瞬気を取られた瞬間】
【2人の連携が完全に義一を挟みこむように展開していた】

「――クソッタレっ!」

【下方から迫る紅葉の蹴り、頭上から迫る烈斗の】
【1つ1つは大振りの一撃だが、連携が空中の義一に逃げ場を失わせていた】
【拳銃を握っていた右の異能の掌が頭上からの攻撃を防ぐように構えられ】
【紅葉の蹴りは咄嗟に足を曲げ左の外腿でそれを受けた】

「……ィギッ!」

【鈍い打撃音が響く】
【強化された身体能力を誇る烈斗の一撃は異能の腕を大きく軋ませ、それに対応するように義一自身の右腕も衝撃に震える】
【左の外腿も紅葉の蹴りが直撃、その2つの打撃の勢いで空中の義一は後方へと吹き飛ばされた】

「あー…クソ、小遣い稼ぎで怪我しちゃ元も子もねぇてのによ」

【地面に叩きつけられる寸前、義一の身体は左の異能の手が大地を掴むことによって事なきを得、しっかりと2本の足で地面を踏みしめる】
【だが左足が痛むのだろう、彼の立ち方は重心が極端に右に寄った物になってしまっている】

「……依頼失敗だ
 弾代と怪我損の草臥儲、なんてクソ結果だな」

【カランコロン、と軽い金属音が2人と義一の前に響き渡る】
【スプレー缶の様な形状をした金属の物体が2人の足元まで転がったかと思えば、それは突然白煙を吹き出し2人の視界を奪うだろう】

【その煙が晴れた時には、義一の姿は消えてしまっているだろう】

//すみません時間的に落ちますので〆させて頂きます
108 :牙城 紅葉 ◆x3e8yvBGlo [saga]:2014/06/23(月) 01:22:58.18 ID:RdapRsR3o
>>106
「オーケー!!やるよレッド!!」
レッドは、複数で戦うのを好まない・・・
2対1でこっちが2なら、尚更だ・・・
だけど、相手は保安の人間・・・
保安は力を持って私達の様な組織を力を持って潰しにかかる。
レッドはこの戦いを只の2対1の戦いじゃ無く、保安とブラッディファングの戦いと判断したんだ。
だったら、レッドの考えに私は応える!!

つもりだったんだけど・・・

>>107
「げっ・・・!!」
攻撃は成功したけど・・・
アイツが投げた缶の様な物・・・煙を吹き出した・・・
スモークグレネードか・・・!!
その煙に視界が遮られ・・・

「もう許さない!!」
煙が晴れた時、あの男を探すが、その姿は無い。
煙に紛れて逃げたんだ・・・


「レッド・・・アイツが着てたジャケット・・・
 片桐警備のロゴがデザインされてた。
 小さい会社だし、金目当てでアンタを狙ったんでしょうけど、私達に喧嘩を吹っかけたお礼はするつもりよ。
 次は潰してみせるわ。」
片桐警備・・・片桐民間警備会社・・・
第一関東の沿岸にある小さな会社だ。
私たちにとっては驚異ではないと思うけど、アイツから喧嘩を吹っかけてきたんだ。
絶対に潰す・・・!!

「あとそれから、通報したやつだけどね・・・
 レッドとやり合ったチームの一人だよ。」
私はそれを言い残して、その場を立ち去る。
応援替わりに保安を呼んだ男、もともとの狙いはレッドだった。
制裁するかしないかはレッドが決める事だ。
そこまで私が関わるつもりはない。

//乙でした。
109 :赤城 烈斗 ◆rYmq/xT.Cg [sage]:2014/06/23(月) 02:27:06.52 ID:GH5itEbOo
>>107
紅葉との連係攻撃、これは片桐の動きが予想外に早かった事から考え、どちらかが当たればいいと考えての攻撃だった。
結果は両方上手く命中し、片桐に少なくないダメージを与える事に成功した。赤城は「よし」と小さく漏らして手応えを感じる。

後ろに下がった片桐に対し、紅葉と並び立つように着地した赤城、体の調子を確かめるように肩を捻る。

「オラオラどうしたぁ!?かかって来いやこんにゃろー!」

二対一でも、戦いは戦い。恥ずかし気もなく片桐に挑発し、赤城は自分がまだ戦える事をアピールする。
が、片桐が突如として投げた二つの缶、足元に転がったそれを丸い目で見た瞬間、白い煙が盛大に噴き出した。

「──ぶおっ!?なんだこれ!?」

あまりに突然であった為、赤城は驚き、煙幕をこれでもかと浴びてしまう。
煙にもがき苦しんでいる間に、片桐を見失ってしまった。

>>108
「…逃げたか」

煙幕が晴れた後で、片桐の姿はどこにもなく、握った拳を解いて下ろす。
右目の炎も消失してしまい、完全に臨戦体制は解除された。

「ハッハー、心配してんのか?モミジ」
「そんなもんいらねーよ、むしろ望むところだ」

ヘアバンドのゴムを伸ばして弾きながら、したり顔で紅葉の言葉に答える赤城。
危険だと言われてすぐに聞くような人間ではない、それは紅葉もよくわかっているだろう。言われれば更に燃え上がるような奴だ。

次は、タイマンで戦って勝つ。赤城の頭の中はもうそれしかなかった。

「忠告ありがとさん、お前も気を付けろよ」

忠告された言葉を全く聞き入れ無い返事を背中から返し、赤城はスプレー缶をまた両手に持つ。
塗料を吹き付け、コンクリート壁に赤い色を、鼻歌混じりに吹き付けてそこに残る赤城であった。


後日、その路地裏には、ブラッディファングのマークである赤い狼の絵がでかでかと描かれているのが見つかった。

/お疲れ様でした!
110 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 21:30:40.65 ID:0I1O7GMBo
【第一関東特区の沿岸部】
【外周周辺でも研究施設から外れた、貧困層が住まうスラム街に青年は居た】
【このくすんだ街に見合わないブロンドの髪と派手な赤のミリタリーシャツがどうしても目を引く】

「スモークグレネード、安いのでいいんだけど何個ある?」

【この街の住人なのだろう露店を開く見窄らしい男に慣れた様子で青年は声をかける】
【露天の主は崩れかけた木箱からいくつかの商品を青年に差し出す】

「……ちょっと高くね?
 その値段なら他の店じゃ3つは買えるっての」

【どうやら交渉は徐々にヒートアップしているらしく、露天商と青年の声のボリュームも上がっていった】

「これ盗品だろ、もうちょい安くしてくれったっていいんじゃねぇ?」
111 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/23(月) 21:49:05.38 ID:TKdz6kko0
>>110
【貧しい者が集まるこのスラム街。雰囲気は暗く、住民は薄汚れたものが多い】
【そんな中でもひときわ目立つ、全身に拘束具を付けられた十五ほどの少女が一人】
【腕からは千切れた鎖をぶら下げて、脚には鉄球つきの足枷、そして首輪。あげくには鉄のバイザーで視覚すら縛られている】
【服装は・・・・・・服とも呼びにくいぼろ布を纏っているだけで、無造作に伸びた銀髪は砂埃がついて】
【ここがスラム街だということを考慮しても、あまりにも異質な少女だ】

【そんな見た目であっても、中身は普通の少女と変わらない】
【よく食べよく寝てよく笑う、そんな絵に描いたような元気な娘なのだ】
【旗から見れば危なっかしくすら見える交渉も、少女にとってはお祭りか何かに見えたのかぺたぺたと足音をならして露天に近づき、じっと交渉の品のスモークグレネードを眺め始める】
【バイザーで隠れた目の向こう、そこに物欲しげな瞳があることは簡単に分かるだろう】

【異質な見た目から注目を集めてしまう少女。それに張り付かれてしまえば客なんて寄って来ない】
【現に今、周りのスラムの住民は奇異な目で少女を、それに巻き添えで交渉する二人を見つめている】
【このままであれば交渉どころか商売そのものがあがったりだ】
112 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 21:58:09.60 ID:0I1O7GMBo
>>111
「……わかった、俺の負けだ
 だったら3つでその値段で……って、あン?」

【口論を続けていた2人もその異常な状況に気づいたのだろう】
【自分が手にとったスモークグレネードに向けられた物欲しげな視線もそうだが】
【目の前の少女の格好が、異質すぎた】

「……えっと、だな
 もしかしてあんたも客かい
 だとすりゃ、なんつうの?独特のセンスだな」

【義一自身も目立つ容姿をしている自覚はあった、だが物眼の前の少女は次元が違う】
【この手の常軌を逸した存在というのは往々にして……】

「それとも、あそこから来たのか?」

【義一の指が空を指さしていた】
【そちらに視線を向ければ、光の柱が空を貫いている】
【つまりはターミナル、常識の外の出来事は大抵あそこからやってくるのだから】
113 :ハーメルン ◆2DEEdVt382 [sage saga]:2014/06/23(月) 22:00:44.71 ID:lxg2AVKlo
【第一関東特区・外周防壁】
【警備部隊が駐屯する関所の一つに、今、濃い霧が立ち込めていた】

【もしも誰かが其処を訪れれば、まず目にはいるのは幾つかの死体だろうか】
【それとも、笛の音色を聞くのが先か。死体は五体がバラバラに千切られたようになっており】
【笛はといえば鉄の音。霧もなにか、意思があるように濃淡を変えていて】

『…………――、――――……。』

【そんな異様な雰囲気のなか、もっとも異な存在は警備の装甲車に腰を下ろしていた】
【それでもなお足が付くほどの長身痩躯。三メートル近い化け物は、顔を鉄の仮面で覆い隠し】
【革のぼろ服を無数のベルトで覆うという、まさに人外の出で立ちをしているのだった】

【ソレの口元でまた笛が鳴る。すると霧が死体を寄せ集め、やがてゆらりと彼らは立ち上がる】
【もちろん、死んだままだった。警備の者たちはそのままふらふらと特区の内部に向かって歩き出し……】
114 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/23(月) 22:18:48.09 ID:TKdz6kko0
>>112
【通りのほぼ全ての人間から向けられる視線の意味が少女は分かっていないようで】
【きょろきょろと首を動かして、やっぱり状況が理解できず間抜けに口が開いたまま首を傾げた】

【そのままぼーっとしていると男の人の声が聞こえた】
【独特だとかセンスだとか、少女にとっては難しい言葉が並んでいて良く分からない】
【ただこの男も周りの人間と同じように、自分を変だと思っていることは分かった】
【変だと思われる理由が分からないから、また首を傾げてしまうのだけど】

【次に男は何かを指差した。目は見えなくとも増幅された触覚から感じる空気の流れで、目の前の男の行動ぐらいは分かる】
【あの方向は・・・・・・たしか、自分が始めてここに来たときの場所だと少女は思い出す】
【今度の言葉の意味は少女にも簡単だ。やっと分かる話が出てきてうれしいらしく、少女は笑って元気よくうなずいた】

【少女の出身の世界は戦争が耐えない世界】
【そこで少女はより強力な兵を作るためのさまざまな薬品の実験体として、数々の暴虐を受けていた】
【見た目以上に幼い頭脳、しぐさは薬品の影響で脳へのダメージが深刻だったため】
【そして拘束具は薬品により強化された少女が暴走しても対応できるようにと付けられたものだ】
115 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/23(月) 22:26:17.53 ID:xHdtuUem0
>>113
「……くそ」

【何がどうなってんだと毒づき、息も荒く壁の陰に隠れている少年がひとり。右手首を左手でおさえて、顔を顰めている様子からどうやらそこを痛めたのか】
【背中を壁に預けて地べたに座り込みながらも、辺りを身回そうとしないのは何故かと問われれば。答えは簡単、視力を失っているからで】
【最近あまり荒事が起こっていないからと気を抜いたのがいけなかったのか。どうやら多少は安全だと思っていた場所で、とんだ瞬間に遭遇してしまったらしい、自分は】

「どうする、どうする……」

【オマケに、逃げ惑う人々に押されて転んだ際に片手を怪我してしまったようだ。それ程酷くはないまでもじわじわと痛みが頭に響いてくる事からして、確実に流血もしている筈で】
【相手の姿も、今自分が居る場所がどうなっているのかも認識できていない状況下。頻繁に耳に届く笛の音がぞわりと肌に鳥肌を誘う。】

【……と、冷たい音色に混じって聞こえてくる複数人の足音。「人」の気配は既になくなった後だというのに聞こえてくるそれは、だんだんとこちらに近づいてきていて】

「……ちっ。とにかく、逃げないと」

【だが、どちらに。方向は転倒した際に失念してしまった。自分が今もたれ掛かっている壁がどの位置にあるのかも、把握できていない】
【一先ずは、地面を踏みしめる音の群れから、遠ざかる事が先決か––––––そう判断して、少年もまた、歩く死体を背に動き出す】
116 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 22:37:13.32 ID:0I1O7GMBo
>>114
【嬉しそうに頷く少女に、逆に義一は深く嘆息した】
【厄介事がまた増えた、と言いた気に】

「言葉はわかってるっぽいが……
 身振り手振りじゃさすがにわかんねぇ、喋れねぇのか?」

【彼女から帰ってくる反応といえば、首を傾げたり頷いたりとそんな行動ばかり】
【言葉をわかっているような素振りはあれど、言葉は帰ってこない】

「ヘンテコガール、お前さん行く宛とかあんのか?
 いや、決して俺が面倒見るとかそういう意味じゃねぇからな
 有るんだったら送ってやるぐらいしてやっても良いっつう意味だ」

【自分が食ってくだけでギリだ、と恨み事のような言葉を履くと】
【彼女のその格好をどうにか隠せないかと周囲を見渡した】
117 :ハーメルン ◆2DEEdVt382 [sage saga]:2014/06/23(月) 22:41:21.84 ID:lxg2AVKlo
>>115

【彼が逃げ出すこと自体は、そう難しくないだろう】
【歩く死体はどうやら目や耳が使えるわけではないらしいからだ】
【それこそ、攻撃を青年の方から仕掛けなければ、このまま……】

【――しかし早々上手く行かないのがこの世界。不意に霧が薄まって視界が広がり】
【もし死体たちの方を見たのなら、そこにはいつ移動したのか長身の笛吹が立っているのだった】

【数体のゾンビじみた連中と、ソレを操るクリーチャー……それは分かりやすい構図だが】
【果たしてそのクリーチャー自体の行動がなにか、理解できるだろうか?】
【相手もまた仮面のせいで目は見えていない。代わりに動くのは、尖った両耳なのだ】
【つまり――下手に音を立てれば、その瞬間に笛吹の駒達が一斉に銃撃を行ってくるだろう、ということだ】

【ただしその場合連射はしてこないし、反動を押さえないせいで狙いもでたらめ。当たらない可能性もあるだろう】
【どちらにしても不用意に動くのは危険だ。『ハーメルン』の名を思い出せれば、それは理解できるはずだった】
118 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/23(月) 22:55:46.50 ID:TKdz6kko0
>>116
【自分と反対の反応をする男】
【もしかして変なことしちゃったかな?なんて思考をめぐらすけれど答えは無く】
【敵意は今のところ無いみたいだけど、敵に回してしまったらどうしようと妙な不安まで湧いてくる】
【しかしため息につづく言葉で困らせている理由は分かった。喋らないから駄目だったみたい】

しゃべれる、よ!

【と片手を挙げて元気良く言うが、まるで言葉を覚えたてであるかのようにぎこちなく舌足らずで】
【これもまた脳のダメージのせいだ。言葉を話すのが非常に苦手なのだ】

【行く宛てと聞かれても、こんな少女にそれがあるはずも無く】
【一つ思いつくのは昨日止めてもらったやさしいお姉さんのところだけれど、あんまり迷惑をかけるのもわるい】

・・・・・・ない

【結局宛なんて思いつかず、がくっとうなだれた。首輪から垂れる鎖ががちゃっとならす】
【あたりを見回して、隠せそうなものはあまりなさそうだ】
【手錠、足枷、首輪、これらを全て隠そうとするのは難しい。しかも足枷には動くたびにずるずると重そうな音を立てる鉄球までもついている】
【いっそ箱かなにかに詰めてしまおうか】
119 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/23(月) 23:06:21.68 ID:xHdtuUem0
>>117

【恐怖で震える身体に鞭打って、ゆっくり慎重に歩いていると。不意に、周囲を色濃く取り巻いていた何かが薄れたように感じられた。これは、相手のテリトリーを抜けたということだろうか】
【そうであって欲しいと願いながら、そろりそろりと振り返る、その先に】

【ここにきて尚、未だ見えない視界に映るは長身の異形。しかしその姿、少年は捉えることができず】
【霧が薄れた事も「場の空気が俄かに変わった」程度の情報でしか読み取れない。よって彼は無防備な中腰の姿勢をハーメルンにまざまざと見せつけることになった】

「………っ」

【何かが、いる。恐ろしい気配が、先程の足跡の主どもとは違う何かが、目と鼻の先に】
【ぶるりと身体を震わせて、ひく気配のない鳥肌の出た腕を寒そうに擦る。声は出なかった、しかし、身体はなんとか動かすことができる】
【逃げなければ、一分一秒でも長く生きる為に。恐らくは哀れな死を遂げただろう、警備部隊と同じ轍を踏まないために】

【また一歩、少年が生きながらえるための足を踏み出した時。––––––じゃり、と鳴った僅かな足音が、ハーメルンに聞こえたのか、どうか】
120 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 23:09:00.26 ID:0I1O7GMBo
>>118
【行く宛はないと項垂れる少女】
【口調やその拘束具を見るに<こちら>に来る前もまともな生活は送っていなかったのだろう】

「そんな顔したって釣れるのは此処じゃ変態親父だけだ
 餌は勝手に目の前に運ばれてくる訳じゃない」

【そんな少女に対しても、義一は優しい言葉をかけはしない】
【かつて自分はそうであったように、この世界は優しくなどないのだから】
【一時的な優しさに、何の意味があるのか】

「お前、何が出来るんだ?
 役に立つ技術とか持ってねぇのかよ」

【ないのなら仕方がない、見捨てよう】
【そんな言い訳を呟きながら、この青年は非情にはなりきれない】
121 :ハーメルン ◆2DEEdVt382 [sage saga]:2014/06/23(月) 23:18:20.79 ID:lxg2AVKlo
>>119

【果たして、周囲に銃声が広がるようなことは――無かった】
【聞こえなかった、ということで良いのだろうか。死体はノロノロと検討違いに歩くままだ】
【ゆっくり、音を立てずに行けばまだ何とかなる。小さな希望が其処にはあって】

『――――――――……、……?』

【しかし同時に、同じくらいの絶望もまた迫っていた。ハーメルン自身が動いたのだ】
【足音のした方を向いて、静かだが、よく響く動作音を立てて歩み寄って来るのである】

【目が見えなくてもおぞましい感覚でそれはわかるだろう。そして、長い腕を伸ばせば】
【人よりも一本足りない四本指で、音源の辺りを掴もうとするのである】
【――そう、あくまでも"音源"を目指している。少年がこれ以上の音を立てず逃走に成功しさえすれば】
【希望の光はよりいっそう強くなることだろう。掴まれれば逆もまたしかり、だったが】
122 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/23(月) 23:25:07.18 ID:TKdz6kko0
>>120
【優しい言葉は返ってこない。当たり前か。昨日が優しすぎただけだ】
【世界は厳しい。本来なら全力で自分を殺しまくるような者なんだ。何を期待していたのか】

【出来ること、なんて言われても思いつくことは無い】
【今まで自分が役に立ったことなんて、それこそ実験体としてしかない】
【それ以外に考えられる、自分の役に立つ方法。考えて考えて・・・・・・】

・・・・・・殴れる!倒せる!

【と、出てきたのはいかにも頭の悪そうな答え】
【しかし、少女は足枷のついた状態でも何も無いかのように動いていたのを見るに、腕っ節がたつのは確からしい】
【少なくとも一般人よりははるかによく働いてくれそうだ】
123 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/23(月) 23:38:10.93 ID:0I1O7GMBo
>>122
「……殴れる?倒せる?」

【少女から飛び出したのはそんな単純な言葉】
【彼女の拘束着は詰まる所彼女の身体的能力を制限するものらしい】
【それも意味をなしているようには思えない、それほどの身体能力を持ち合わせているんだろう】

「上等だ、この世界ならそれは最高にイカす才能だぜ」

【義一は自分が羽織っていた赤のミリタリージャケットを脱ぐと、目の前の少女へと差し出した】
【彼女にはわからないかもしれないが、それはこの特区に認められた保安企業の証であるロゴが刻まれている】

「名前教えろ、ヘンテコガール
 テメェが戦えるって言うなら俺がその力で稼ぐ方法を教えてやる
 優しさとか同情じゃねぇ、これはビジネスだ」

【その差し出されたジャケットを取るも取らないも彼女の自由】
【優しいお姉さんの元に戻っても良い、別の場所で生きてもいい】
【だが、選択肢の一つとして青年はこの道を指し示した】
124 :信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/23(月) 23:43:49.59 ID:xHdtuUem0
>>121

【漸く、本当に漸く視界が戻りつつある。しかしまだ完全ではなく、ぼやけたままの輪郭線のない世界。初めて視認できたのはこちらへ近づき腕らしき部位を伸ばす異体】

「……、ぁ」

【ひくりと息を呑み、中途半端に開いた口から漏れ出る小さなちいさな掠れた声。しまったと口を塞いだものの恐らくは意味のない事、鋭く尖った耳にその音は先の足音よりもはっきり届いたことだろう】
【もしかして、と今更に思い浮かぶのは小耳に挟んだことのある来訪者の名称。「ハーメルン」などと例えられたそれはたしか、今目の前にいる者と同じような特徴を持っていなかっただろうか】

【だとしたら、自分は今ここで死ぬのだろう。夢も叶わぬまま、何の価値も見出せぬスラムのゴミの一員と成り果て、最期には死体を漁られ布切れは愚か髪の毛一本も残らぬ「誰か」に、なってしまうのだろう】
【そんなのは、御免だ。糞食らえだ。––––––ならば、どうするか】
【生き残ればいい。意地汚なく、みっともなく、地べたを這いつくばってでも生き残れば勝ちだ。】

【足音を立てぬよう用心深く、僅かな時間で動けたのは一歩だけ。それでこのクリーチャーから逃れられるのかどうか、今回ばかりは信仰してもいない神に祈らざるを得なかった】
【悪運つきて死ぬか、祈り届いて生き残るか。ふたつにひとつ、果たして、どうなるか––––––】
125 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/23(月) 23:55:07.25 ID:TKdz6kko0
>>123
【デモンストレーションとでもいわんばかりにぴょこぴょこと飛び跳ねて見せれば、鉄球は紙くずのように少女とともに飛び跳ねる】
【見かけはやせこけた奴隷少女、しかしそのやせた筋肉には異世界の技術がつまっているらしい】

ありがとう!

【にぱっ、と擬音が見えそうなほど明るく少女は笑う】
【生まれたときから被検体でしかなかったのに、ほめられたのなど初めてだった】
【褒められた才能がどんなものであれ、笑顔がとまらなくなるほど嬉しいのは変わらない】

なまえ・・・・・・

【ちょうど昨日教えてもらった単語だ。自分の呼び方】

・・・・・・アネモネ!

【叫ぶように答えて、ジャケットを受け取った】
【意味は分からなくとも自分が必要とされるなら、被検体意外になれるならそれでよかった】
【あの優しいお姉さんの下へ戻れなくなるかもしれない、なんてことは考えていなかったけど】
【少女は早速ジャケットを羽織り、保安企業のロゴを見て、それが何かすごいものだと察して誇らしげに胸を張った】
126 :ハーメルン ◆2DEEdVt382 [sage saga]:2014/06/23(月) 23:58:15.50 ID:wwgoKJrUo
>>124

【ただ一歩。普段なら意識なんてするはずもない数十センチが命を分ける領域に変貌する】
【そして、息づかいにも等しい僅かな音。ハーメルンは耳聡くそれを聞いたに違いない】
【そろりと伸びていた手は、なにか確信を持った動きに変わって音源に迫るのだった】

【そして――ほんの一秒にも満たない瞬間。四本指は、ざらりとした地面に触れる】
【掴んだものは足ではなく小石。そして、周囲を確かめるような動きは、無い】

【精密すぎるがゆえの盲点なのだろう。『ここ以外に音は聞こえなかった』と、そう思っているのだ】
【まさに間一髪の距離であった。クリーチャーは少年を"見失った"のだ】

『…………――ッ、……――。…………?』

【そして、不思議そうに周囲へ耳をたてる。だが他になにもないとなれば、少年の目の前で】
【手にした小石を磨り潰し、ふらりと特区の外側に歩き始めるのだった】

【――後は動かずに見ていればいい。やがて濃い霧がハーメルンを包み隠し、姿を消すと】
【清らかな金管の音が鳴り渡り、死体は元の肉塊へと戻って行く】
【もう十分もすれば霧も晴れるだろうか、静かな驚異は、同じく静かに去っていったのだった】

/時間とキリもいい感じですので、ここらで失礼しますね!
/それでは、お疲れさまでした
127 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/24(火) 00:02:22.59 ID:6YB+CAPto
>>125
「……何でもありだな、来訪者」

【その痩せた小さな身体で拘束具を見につけ飛び回る少女に驚愕の声も漏らす】
【どうしようもなく自分の無力さを痛感させられる】

「オーキードーキー、アネモネ
 俺の名前は片桐義一、ギィで良い」

【親しい奴はそう呼ぶんだ、と少女―アネモネへと視線を向けた】
【厄介事に自分からまた頭を突っ込んでしまった、と大きくため息を吐き出す】
【甘い思考では生きていけないと散々思い知らされて居るというのに】

「言っとくけどな、ウチは給料すくねぇし貧乏だし装備だって全然ねぇぞ
 お前に言ったってわかんねぇだろうけどな……」

【それでも、と義一は言葉を繋げる】

「新入りの面倒ぐらいは見てやれる、ほら行くぞ」

【アネモネへと差し出される右手】
【その手を彼女が取ったならば、義一はその手を引きながら自分の住処へと歩き出すだろう】

//この辺りで〆でいいですか?
128 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/24(火) 00:12:32.27 ID:vsaHoEBf0
>>127
わかった、ギィ!

【と復唱し、これからよろしくと意味をこめて、少々オーバーにぺこりと90度頭を下げる】
【少女は片桐の憂鬱などまったく察せず、これからのことを想像して胸を躍らせていた】

【給料、装備、これまた良く分からない単語が並ぶ】
【意味は分からないが、少女にとってそれはたいした問題ではない】
【どれだけ貧乏でも牢獄生活よりはマシだろうし、武器防具も体で十分だ】
【少女は右手を握り、片桐の背中について犬のように着いて行く】
【・・・・・・少々、周りから見ると危なっかしい光景かもしれないが】

//では、これで〆で
//お疲れ様でした!またいつかよろしくお願いしますねー
129 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 18:49:54.27 ID:pHK+auCQO
──位置は、ターミナルとそれを覆う深林に隣接した廃墟街。
未だにそこには人々が住まうが、そのくたびれた情景から生活は推してしるべシだろう。
ぼろぼろの城壁が覆うようにして建てられているが、時折訪れるクリーチャーはそんなものをものともしない。


──ボランティアのつもりはなかった。ただ、たったひとつのきっかけだった。
一人の子供がクリーチャーに連れ去られようとしていたから、それを助けただけだった。
──いつのまにか門番として、訪れるクリーチャーを排除する役務についた。
そのおかげか、町は活気を取り戻してきた。雀の涙だった報酬も、それなりになってきた。


黒い髪に紫色の瞳。伸びない無精髭にくわえた葉巻。
身にまとっているのは、フードつきのローブ──。
男は今日も深林と向かい合い、訪れるクリーチャーを排除する。




     ─────ふと


クリーチャーにも、格≠ニいうものがあるとするならば。彼が倒しているのは低級≠フクリーチャー。
ならば、音を潜めやってくる、高いランク≠フクリーチャーは彼に対処できるのであろうか────。

────達者、または経験の有るものなら察知できるであろう。押し殺されても漏れる狂気。
残念ながら彼にそれを察知できるほどの経験はない。────故に許す。その侵入を。


二匹の青い怪物。大きさは人と変わらないが、前に突起した顔つきは人のそれとは大きく異なる。白目のない真っ黒な不気味な瞳。
二足歩行でありながら、猫背で軽く低頭した頭と緩やかに曲げられた四肢は、猫のような俊敏性を可能にした。
強靭な顎と鋭い牙、悠々に城壁を飛び越え、城壁の外を守る彼を置き去りにする──その脚力。鋭利な刃物と化した諸手。


廃墟街の中心部。数少ない住民も比較的多く集まる広場に、悠然と、しかして秘めた狂気を膨らませ───。



      『───キシャシャシャシャシャッ。』



───その姿を現した。
130 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 19:00:06.70 ID:pHK+auCQO
/夜更かしできるので長めに待ちます
/色々長くなりましたが絡んでる途中は短くなっちゃうかもです
131 :藤堂朔夜 :2014/06/24(火) 20:28:49.30 ID:rjnlMyYmo
>>129
【栄えた街からだいぶ外れた廃墟街】
【そこには似つかわしくない一人の少女が居た。青みがかったロングヘアーをなびかせ、白いワンピースの制服。中央のほうではちょっと名の知れたお嬢様学校の制服だ】
【自らの技量を上げるため。そして精神的にもさらなる高みへと登りたい朔夜】
【最近はより実践的な訓練をするため、少々危険だがクリーチャーが出現しそうな場所に自ら赴くこともしばしば】
【武者修行とまでは行かないものの、ちょっとした修行気分】

「しかし……小者をいくら狩ったところで強くなれるのでしょうか」

【クリーチャーなら探せば見つかるとはいえ、大きな脅威となるようなクリーチャーはそう多くない】
【現在の強さで強大なクリーチャーと戦うのは危険だが、朔夜はその危険を探していた】

【なんとなくの気まぐれで、いつもクリーチャーを探している範囲から少し外れた場所に迷い込む】
【そこには朔夜の知らない一つの街があった】

「このような場所……こんな危険な場所に人が住んでいるというのですか」

【比較的温室育ちの朔夜は、こういった街をしらない】
【知識として知ることはあっても、実感として知ることは無かったのだ】

【街に入れば、小綺麗な姿をしている朔夜は少々目立つ】
【好奇の目で見られるも、誰も話しかけては来ない。そんななんとも居心地の悪い空気】

(早めに退散したほうがいいようですね……)

【朔夜は街の中央まで来ると、すぐに引き返し街を出ようとする……が】

「!!」

【足を止める】
【何かが居る。確実に何かがこの空間に】

「出て来なさ――!!」

【右手に真紅の刀を召喚し、即座に振り向いた時にはすでにそこにはいた】
【探していた敵。自らを高みへと押し上げるための材料……だが】

「……」

【刀を構える朔夜は若干気圧されていた】
【そう。強すぎたのだ】
【朔夜が想定していたクラスのちょっと強めのクリーチャーよりも】

(私一人でなんとかなるでしょうか……周囲に人が居ますし捨て置くわけにも参りません。なんとか……なんとかしなければ)

【クリーチャーの強さから言って背中を見せれば即座にやられる。その上この周囲の人達を見捨てることになる】
【それは出来まいと、心を強く持つがいつまで持つか……】
132 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 20:56:38.89 ID:axydlulDo
>>131


『キシャシャ────なんだなんだァ……?

 いるじゃねェかよォ……大量の餌≠ェよォ……。』


汚い笑い声のような鳴き声は、事実笑い声だった。
そしてそのクリーチャーは驚いたことに──喋った=B
まるで驚いたような──何か意味のある発言。


《────────う、うッ……うあーーーーッッッッッッッッッ!!!!!!!!!》


賑やかとした場は水を打った静けさの後、一気に喧騒と化す。
蜘蛛の子を散らすように人々がその場から逃げ惑う───。


『キシャシャシャ────。』


本来ならばものの数秒で片が付く。だがクリーチャーが動かなかったのはひとつの懸念があるからだ。


この中に実力者がいる──


いうまでもなく、その場に偶然居合わせた藤堂の事を指す。
少し手こずりそうだ────そんな漠然とした杞憂。余裕の中に潜むほんのひとつぶのしこりが、クリーチャーの警戒を強めた。
明らかに実力が下でも油断≠見せない。命の奪い合いならその重要度も高くなる。
藤堂が明らかに格下という訳ではない。だが数の利があっても、その事を思慮した上での沈黙なら────相当の使い手と見てまちがいない。


      ─────数秒の後、サイガが到達した。


「な、なんだこれは………。」


藤堂が居合わせたのは、ある意味では幸運であった。
ほんの数秒の時間稼ぎ───実際にしたことと言えばなにもないが、それでも───なんとか対抗しうる戦力が整ったのだ。
少女の元にたどり着けば、挨拶もせず機械剣を抜き放つ。


しかし、クリーチャーはその事を意に介さず少女に話しかける。


『よォ───面倒なことは無しだ。

 無駄な抵抗をしなければ一思いに殺してやる=c…
 だが、ちーとばかしかったるいことをしやがったら……


 地獄を見てもらう───。キシャシャ。』

 〈おおおッと! てめェは無しだぜそこのおじさンよぉ? 俺らを駆り出させたお前はどちらにしろ地獄を味わってもらうからなぁ!〉


どこか、ニヒキ目の発言は、どこか意味深だ。

133 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/24(火) 21:13:09.80 ID:lyo9OCK30
【悪臭漂うスラム街、猥雑なそこのとある一角の通りにて】

「マジできっちりしてんのな、ほんとに丁度一ヶ月かよ」

【チェックの服の胸ポケットに一枚の紙きれを忍ばせて、口笛を吹きながら余裕の笑み。どうやら依頼は完遂できたのか、暇な両手を持て余しながらのんびりと歩く少年がいた】
【とある扉の前までやって来れば、すぐ脇に座り込んでいる男に意味深げな目配せをして。中の見えない扉に臆することもなく、ノックもなしに、大胆に軋ませながらドアを開けるだろう】

「……よぉ、おっさん。景気はいいか?」

【そうして、中にいるだろう相手の顔を確かめるよりも早く。軽い調子の挨拶を述べて楽しそうに笑いながら部屋に踏み入れる筈だ】
【こっちはいつも通りだよ、なんて通じるかも分からない冗談を口にする余裕もあるらしく、足取りは軽やかで。つい先日生きるか死ぬかの瀬戸際にまで陥った事などおくびにも出さず】
【そこで漸く相手の姿を視界におさめれば、ヒラリと折りたたまれた紙切れを取り出して差し出す筈だ。何の事かは言わないまでも、今日呼び出した要件から察する事が出来るだろう––––––それが、依頼の結果だと】


「ま、おっさんがかなり期間をくれたから。これくらいは余裕だね」

【そういう口調はどこか自慢げで。指に挟まれた紙切れに視線を落とせば、それが少年に渡した探し人の顔写真だと断片から理解できるだろう】
【それを受け取って、開いたならば。そこには簡略化した地図のようなもの、それが探し人への道筋だと示していて。黒く塗りつぶされた場所は、つまり居場所の位置を示しているのだろう】
134 :藤堂朔夜 :2014/06/24(火) 21:14:29.23 ID:rjnlMyYmo
>>132
(餌……? このクリーチャーは捕食のためにここへ来たということですか)

【人間を捕食するクリーチャーなど今更驚くことでもないが、このクラスの強さを持って自分を捕食対象にしているとなれば穏やかではない】
【やはり逃亡は不可能と判断したのか朔夜は改めて刀を強く握り直す】

(迂闊には動けない。一瞬で死ぬ可能性があります……)

【通常時の朔夜の戦い方は決して後の先を取るタイプではない】
【だが、そうそう簡単に仕掛けられないプレッシャーがあった】

【場が硬直するかと思った矢先、朔夜の隣にはひとつの影が現れる】
【見れば見慣れない剣を持ち、クリーチャーに対して剣先を向けている。どうやらクリーチャーと戦うようだ】

「そこの方。私は藤堂朔夜と申します。もしあのクリーチャーと戦うのであれば、協力致しましょう」

【一人で相手をするのは厳しいが、協力者が居るのであれば……】
【朔夜は勝てる可能性を見出していた】

「生憎ですが、不本意ながら私も殺しは慣れています。そちらの思うようには参りません」

【今のクリーチャーの発言から、あのクリーチャーは何らか理由があってここへ来たのかと思わせる】
【朔夜の隣のこの男が何か秘密を握っているのか……】

「なにか、あのクリーチャーについてご存じですか?」

【軽く目線だけを隣の男へ向け、なにか情報を持っているなら教えてほしいと乞う】
135 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w [sage]:2014/06/24(火) 21:32:26.93 ID:iwcHlTmp0
>>133
【薄暗く、そしてそれほど広くもない部屋の中。ジョエル・ウォーカーは人を待ちながら、途中で買ってきたコーヒーに口をつける】
【安物のコーヒー、それも買ってからそれなりに時間が経っている。故にそれほど期待していないとはいえ、味は渋みばかりが目立って】

「ぬぅ………マズイな」

【顔をしかめる。さすがに硬貨一枚で買える安物だけのことはあった。砂糖でも持ってくればよかったか、とため息を尽きながら、しかし律儀に残りを飲もうと口をつけ……】

「……こっちはぼちぼちだ。そっちもまあ……悪くないらしい」

【ぎぃ、と扉が軋み、聞き知った声が呼びかければ、肩を竦めてそれに応じ。上機嫌な様子の少年を見れば、口元に小さく笑みを浮かべて】
【ひょいと彼が差し出した紙切れを見やれば、受け取る前にマズイコーヒーをぐいと煽って。あまりにひどい味に顔を顰め、空になった容器を適当なところにおけば、その紙切れを受け取るだろう】

「一ヶ月与えたからな。これで足りなかったらそちらの努力不足か、探し相手がバラされたかだ」

【にべもなくそう返す割りにジョエルは満足気な表情で。渡された紙を開き、そこに目を落とすと、書き込まれた地図を確かめて】

「なるほど、しっかり見つけたわけだな」

136 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 21:37:52.57 ID:axydlulDo
>>134


『キシャシャ───よーく分かった。地獄が見てェーッつーンだな?』

〈見せてやッ───〉


二匹目が話している途中───サイガから火の玉が飛ぶ。
話を遮られながら、その微弱な炎を刃と化した片腕で防いだ。
ものともしないが───気持ちよく喋らせない間の悪さにクリーチャーも心中穏やかではないだろう。


「俺はサイガ。──俺もよく分からんけど……恐らく基礎身体能力で戦うタイプだろ。」


〈てめェよォ…………〉


「あいつらの脚力と硬さから察するに離れて戦うのは上策じゃない。
 ──そら、来るぞ。俺を攻撃したところを狙え。=v


〈ふざけンじゃねーーーぞこらァアアアーーーーーーーーーッッッッッッッッッ!!!!!!!!!〉


小声で少女に指示をした後──
一匹のクリーチャーが怒りに身を任せ高速で男めがけ接近を試みる。刃と化した諸手を交錯させて──。
想像以上に素早い───なおかつ微弱であれ炎攻撃を打ち消した刃は、防御の役割をも果たしている。

───男は機械剣を構える。真っ向から受けるつもりらしい。
ふと機械剣をオーラが包めば、辺りを巻き込むように微弱な竜巻。起こる砂ぼこりは目眩ましの役割がある。


────ダンッ、不可思議な音をたてて、交錯した刃が男を襲う。
男は防御をしているが────クリーチャーは、藤堂からすれば隙だらけだろう。
137 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/24(火) 21:59:07.10 ID:lyo9OCK30
>>135
「この程度、俺にかかっちゃ朝飯前さ。……ちなみに、今もバラされてないかは保証しない」

【不穏な話は聞かなかったし大丈夫だとは思うけど、と手近な壁に寄りかかれば。前は煙草に今日は珈琲ときた、大人の嗜みってやつ?なんて軽口をしながら相手の声を待つ】
【自分から報酬をせがむようなせっかちな真似はしない、ということだろうか。あえて金の話はせずに、やおら帽子を脱ぐと鼻歌まじりに形をなおし始める】

「美味いコーヒーが飲みたいなら、もうちょいマシな場所にあるあぶない店に行けばいいよ。天にも昇る美味さ、隠し味にヤクを一振り……ってね」
「……ま、多分潰れてるだろうけど? 俺の爺さんの時代だし」

【それに、おっさんはヤクには手出さねえだろ、とそちらをチラリ見て。PSCともあろうものがまさか麻薬に手を出してはいるまいとタカを括っての発言、実際はどうなっているのか知りもしないが】

「そこに行けば居る筈だよ……そうだね、オススメの時間は日の沈む前かな」
「夜になると戸締りして誰も入れなくなる、夕方頃に帰ってくるだろうからその時に会えばいいよ」

【やけに饒舌なのは依頼を終えて収入が入るから。更に、余裕のある時に他の小さな依頼も並行で片付けていて】
【これで暫くは食うのに困らない、という確信からくる余裕は、用心深い少年の心を弾ませるには充分ということだろう】
138 :藤堂朔夜 :2014/06/24(火) 22:08:09.56 ID:rjnlMyYmo
>>136
「サイガさんですね。よろしくお願いします」

【二人に増えたとはいえ、どう攻めるか】
【考え始めるも、悠長に考える時間は与えてくれるわけがない】
【事態はコンマ単位で変わっていくのだ】

(攻撃したところ……って、あっ!)

【どういうことか聞くまもなく、相手の攻撃が始まってしまった】
【サイガは攻撃をどうにか凌いでいる。これは好機と見るや、朔夜も攻撃態勢に入る】

「とにかくサイガさんの動きに合わせなくては。――参ります!」

【体勢をやや低く保ち、一歩で相手の間合いに接近】
【踏み込んだ時にはすでにその刀は振られていて、サイガに気を取られているクリーチャーの腕へと刃が迫る】
【朔夜の剣撃は剛の剣。最大に加速したその刃の攻撃翌力は相当なものだ】

「はあああああああああ!!!」

【剣道部に所属しているだけあって掛け声も一級品だ】
【相手の腕を切り落とすか、最低でも効果的なダメージを与えて動きを鈍らせたいところだが】
139 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/24(火) 22:20:08.85 ID:iwcHlTmp0
>>137
「バラされてたら……遺体を回収して………いや、なんでもない」

【真顔で途中まで口にすれば、途中で口を閉ざして苦笑いで誤魔化し。少年の茶化しには、ただの習慣だよ、と適当に返し、煙草の箱から一本取り出す】
【それを銜え、古びたジッポを取り出せば穂先に火を運び。火がついたことを確認すれば深々と吸い込みつつ、金属の心地よい音をさせてライターを閉じて】

「美味いコーヒーにヤクは無粋だ。いいコーヒーなら、添加物はなにもいらない。mそれだけでいい」

【至極真面目に少年に返すと、やるわけないだろう、と睨めつけて。PSCといえどピンキリ、違法薬物に手を出す業者もいる。が、ジョエルの事務所は"そっち"には手を出してはいない。"そっちには"であるが】

「夕刻だな、わかった。早速明日にでも当たってみようか」

【少年の発言を直ちに革張りの手帳に書き込み、その内容を反芻する。上機嫌な様子の少年にちらりと目をやれば、そういえばと懐に手を入れ】

「よくやってくれた、いい手際だ。さて、報酬を渡しておかないとな」
140 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 22:20:16.44 ID:axydlulDo
>>138



〈ああッ!?〉


ずし。彼女の刃が、クリーチャーの刃の付け根。
腕と刃の間接点を的確に、深く切り刻む──。
偶然にもそこが、クリーチャーの弱点≠フひとつであって───。

男は瞬時に機械剣を落とした。

緑色の血飛沫を撒き散らしながら、一本の刃が飛ぶ。
攻撃翌力半減。腕を狙った少女の功績は大きい。
男は機械剣を落とした手で離れた刃をつかむ。



   ────だが。



先程のダン=Aという音は、実はクリーチャーと男の刃がぶつかる音ではない───。
砂煙で見えないが────もう一匹の地を踏み込む音=B




───即ち>氛氛汞来ている>氛氛汞すぐそこに<b!!



『──────キシャシャシャッ!!!!』



少女と同じように、自分ではない、他者へ攻撃した際に生じる隙───

そこに付け入り、上方から切りつかんと────


『────ガッ!!!』


─────男が、つかんだ刃をもう一匹のクリーチャーに投げた。
二匹目のクリーチャーにも、ほんの数秒の隙が────。
141 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/24(火) 22:27:33.89 ID:6YB+CAPto
【活気あふれる大通りを外れ、入り組んだ裏路地へと脚を進める】
【何かを探すようにキョロキョロと視線を泳がしながらも、その足取りは軽い】

「……何でも屋の翡翠ってのは何処なのかね」

【裏業界にそれなりに名の通るその名前】
【詳細は知らないが来訪者の2人組だという情報だけを頼りに義一は裏路地を歩く】

「決まった事務所を持ってねぇとか胡散臭くもあるが
 まあ、来訪者の事は来訪者に行くのが一番ってね」

【どうにも来訪者関係で仕事が有るらしく、その2人組とやらを探しまわっていた】
142 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/24(火) 22:36:54.26 ID:lyo9OCK30
>>139

「昔の話だよ、昔の。一回、俺の爺さんが間違えて飲んだことあるらしくってね」
「ヤクの質が悪かったから中毒にはならなかったらしいけど。怖いもんだね」

【今に産まれて良かった、なんて口が裂けても言えないけれど。大災禍すぐの混乱の時代よりは幾分落ち着いている現代で、何も悪いものを口にすることなく生きて来られたのは本当に運のいいことだ。特にスラム街では】
【本気にしないでくれよ、と肩を竦めれば手帳へ書き込む様子をじっと観察して。懐へ手を入れるのを見ながらふふんと鼻をならす】

「さっきも言ったろ?これくらい朝飯前だってね……ま、死人探しだったら倍くらい時間がかかっただろうけど」
「生きててくれて助かったよ、おかげでだいぶ楽な仕事だった」

【だからって報酬を減らすのは無しな、と念押しして、形のなおしたハンチング帽を何時もの如く深く被る。これを受け取れば契約終了、この人間が常連にならない限りは、これきり二度と会うことはないだろう】

【余程、何かの拍子に街で出会ったりしない限りは】
143 :翡翠/覡 :2014/06/24(火) 22:39:09.29 ID:kgTC0hp00
>>141
【ふわぁ、とだらしなく欠伸をしながら路地裏を当てもなく彷徨い歩く】
【その頭には小さな子供と思わしきモノがちょこんと乗っており、何も知らない人が見ればただの奇人にしか見えないだろう】
【およそ日本人とは思えない髪色と相俟って、到底話しかけ難い雰囲気を漂わせている】

「ったく、暇ってのはやっぱいいもんじゃねえよなぁ」

【ぽつりと呟くが、そこで前の方から歩いてくる人に気がつく】
【何かを探しているかのような仕草の少年の独り言は聞こえなかったが、ここで会ったのも何かの縁だ】

「よお、そこの少年。なんか探し物か?」
144 :藤堂朔夜 :2014/06/24(火) 22:42:45.04 ID:rjnlMyYmo
>>140
【確かな手応え。朔夜はこれが有効打になったと一瞬で理解した】
【朔夜が予想していたよりも切った場所は脆く、どうやらサイガはこの脆い部分をこちらに教えてくれたらしい】
【情報がなければ朔夜は普段の癖から、確実に首か胴を狙っていただろう】

「これでなんとかダメージを……っ!!」

【朔夜の攻撃は割りかし隙が多い】
【その上、攻撃直後の技後硬直を狙われては回避も防御もできるはずがない】
【もう一体が居るのを忘れていたわけではないが、砂塵による視界の低下で一瞬意識から外れていたのは確かだ】

(これでは回避がっ――)

【が、相手が二匹であるのと同時にこちらも二人いるのだ】
【サイガがこちらの硬直をフォローしてくれたおかげで、なんとか体勢をもとに戻すことが出来た】

(相手は上方……ならばっ)

【なぜ戦いにおいて敵の上を取りたがるのか】
【それはつまり、自分の上方が死角だからである。たとえ首を曲げたとしても、完全に真上というのは非常に見づらい】
【通常時であってもそうなのに、攻撃を妨害され隙を晒しているならなおさら……そして】

「はぁあっ!」

【朔夜は自らが持っていた刀を上方へ投げた。クリーチャーよりも上……ちょうどクリーチャーの死角になる真上だ】
【直後、朔夜は姿は消え朔夜の投げた刀の場所へと転移していた】

「これで……っ!!!」

【相手の上を取ったと確信した相手が、直後に上を取られると予測することは困難】
【サイガが作った隙に加え、この奇襲】
【朔夜の全体重が乗った刃が、クリーチャーの首へと振り下ろされる】
145 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/24(火) 22:49:10.28 ID:6YB+CAPto
>>143
【普通じゃない物、詰まる所奇妙な物、その手のものは往々にしてターミナルと関わっている】
【つまり、この眼の前の緑髪の男は来訪者なのだろう】
【そういう感覚は、この街で暮らしていれば簡単に身に付くものだ】
【その感覚が嫌悪なのか危機回避なのか、はたまた職業病なのかは人それぞれだろうか】

「ああ、探しもんだよ……アンタ達のお仲間の2人組」

【義一は翡翠と呼ばれる何でも屋の情報を知る限り目の前の男へと伝えた】
【来訪者の2人組であること、決まった場所に留まらずこの街の中を探しまわらなければならない事】

「本当に、やれやれだぜ
 この街に来訪者が何人いると思ってんだよ、って話さ」

【身につけたサングラスを抑えるように顔を覆い、小さな嘆息】
【どうにも既に相当な時間を使い探し回っているようだ】
146 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 22:50:31.89 ID:axydlulDo
>>144



『ッぅ──こざかしいッ───!!!…? ──!!』


男と少女に奪われた一瞬の猶予が、戦況を翻した。
────下方にいたはずの少女がいない。────

このクリーチャー、上方からの攻撃に弱いわけではない。刃 は下向きだが、強靭な脚力で空中戦を制することにより、
それなりのアドバンテージを得ることができた───だが、自身より高く飛べる敵に、空中で対処のしようがない。


『──────ぎにゃッ!!!』


あっさりと首をはねられ、絶命する。戦術勝ちだ。
147 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/24(火) 22:59:19.85 ID:YrkYKuKA0
>>142
「違法薬物を誤飲するほど身近な存在だってのは、なんともまあ……まあそれはこっちもそう大差ないことではあるが」

【実際、都市の中間層や中央に行っても薬物はそれなりに出回っているもので。結局、復興したと言われてはいても、大災禍以前と以後ではなにもかもが違ってしまっているのだろう】
【自分とて大災禍の混乱期に生まれた身。以前ことは知識としてしか知らないわけだが】
【そこまで考えて思考をやめ、書き終えた手帳に紙切れを挟んでポケットに戻せば、】

「そもそも死人だったら依頼主につたえるのも面倒だからな。本当に生きていてよかった」

【減らすかよ、と苦笑して。懐から取り出した茶色の封筒を少年に差し出す。封筒のなかを見ればピン札の束が入っていて、その総額は、依頼の内容にしてはやや多めであることがわかるだろう】
148 :翡翠/覡 :2014/06/24(火) 23:00:12.71 ID:kgTC0hp00
>>145
【片桐の話を聞いているうちに、彼の探しているという何でも屋とやらはもしや自分の事ではないか、という疑念が頭を掠める】
【そして彼の口から自分が名乗っている名前が飛び出したところで、多少の違いこそあるものの十中八九自分の事だと確信する】
【そして片桐の話が終わり】

「まあよかったじゃねえか、お目当ては見つかったみたいだぜ?」

【言外に探し物は目の前にいる、と眼前の少年に告げる】
【さらにもう一つ、先程の話でどうしても気になった事が】

「それと言っとくがな、俺は何でも屋なんてやってる覚えはねえぞ
俺は自由人だ、覚えとけ少年」

【片桐を少年呼ばわりし、自らの職業を訂正する】
【本人がそう言っているのだ、そういう事にしたいのだろう】
149 :藤堂朔夜 [saga]:2014/06/24(火) 23:03:31.44 ID:rjnlMyYmo
>>146
「言ったでしょう、殺しには慣れてますと」

【まず一体。これで数の利は完全にこちらが貰った】
【サイガが居なければ数に押され確実に朔夜が負けていたが、適切なフォローが一つでもあればこうも違うもの】

「いかがですか、大人しく殺されますか? 無駄な抵抗をしなければ一思いに殺して差し上げますが」

【初めにクリーチャーに言われたセリフをそっくりそのまま返す朔夜】
【丁寧な言葉使いながら、完全に相手を皮肉ったセリフを吐く。素で言っているのかそうでないのか】
【朔夜の口元は少しつり上がっていた。まるで笑っているかのように】

【切っ先をクリーチャーに向けながら相手の動向を見る】
【なぜ急にこんな場所に湧いて出たのか、それを知ることができるかもしれないとすぐには殺そうとしなかったのだ】
150 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/24(火) 23:10:43.73 ID:lyo9OCK30
>>147

「……へえ、中々気前のいい依頼主みたいだね。しかもピン札ときた」

【本当にスラムの人間か?と訝しみながら札束を適当に勘定する。その手つきは手慣れていて、同じことを何度もやっているのがよく分かるだろう】
【勘定が終われば、ありがとな、と片手をあげて。怪しいものでも受け取れるものは受け取っておくのがここでの流儀。封筒に札束を仕舞い込んで壁から身体を離すと、やおら扉へ歩き始める】


「契約終了。んじゃ、サヨナラだ」

【鍔の下からにっと笑顔を覗かせて、一度そちらを振り返れば後はもう終わったとばかりに気にすることもない。もし、何か他に言うことがあるのならば】
【今のうち、少年が出て行ってしまう前に言っておくのが得策と言えるだろう。このスラム街、いつどこで出逢えるとも分からないのだから】

【……尤も、この少年を呼び出す方法は以前本人が教えた通りなのだが】
151 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/24(火) 23:17:24.47 ID:6YB+CAPto
>>148
【抑えていたサングラスがズレ驚いた様子で目を見開き、翡翠を見つめる】
【その様子はかなり無様なものだったが、直ぐ様それを正し居住まいを整えた】

「……自由人って、職業じゃねぇだろ」

【そして出てきたのがそんな言葉】
【驚きを隠すためか、サングラス越しに翡翠から視線を外した】

「で、自由人の翡翠さんよ
 ちょっと知恵を貸して欲しいんだが、良いかい?」

【出会うのが目的だったのではない、そこからが義一の目的だった】

「来訪者っつってもいろんな世界があんのは知ってんだけどさ
 厄介な事になってる奴が居てな、まあ厄介事を食らってんのは俺だけどよ」
152 :ジョエル ◆Eb2KIKrI0w :2014/06/24(火) 23:19:12.62 ID:56ZAisFn0
>>150
「支払いは現金、手垢のついてないピン札。この方が受けがいい」

【言いながらジャケットの襟元をただして、ジョエルは吸い終えた煙草を落として踏み消す。歳の割りに慣れた印象のある札束の扱いをちらりと見やれば、納得したようにほんのかすかに頷き】
【まあ、このスラムで生きていくにはしたたかさが必要だろう。少年の……タキジのこなれた印象も、そういう事情故か】

「ああ、お疲れ様。いい働きだった」

【仕事が終われば、関係はそこまで。日雇いの労働者と雇用主よりもさらに薄いつながりだ。別段思うことはなく、彼と同じように部屋を出ようと扉へ近づく】
【が、ふと思い出したように足を止めれば、置きっ放しにしていたコーヒーの空容器を回収して】

「またこっちで仕事があれば依頼を回すかもしれん。その時は頼む。もちろん報酬は現金だ」

【それだけ言い残せば、ひらひらと手を振って、周囲になじまない背広を羽織って立ち去っていくだろう】

/強引ですがここで締めでよろしいでしょうか?
/とりあえず絡みありがとうございました!
153 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 23:22:33.30 ID:axydlulDo
>>149



〈────け、たかだかEブロックなのにカス共が餌の補充を滞った理由が分かったぜ。〉


依然として威勢はいい。だが、明らかに疲れきった様子で後ずさる。
その言葉の意味するところは分からないが───十中八九。深林に答えは隠されている。

───恐らくはクリーチャーに口を割らせることは不可能だろう。
クリーチャーの意識は逃げに傾倒している。本気で逃げられたら、追い付けない。


─────まさしく脱兎のごとく。
クリーチャーはその場から姿を消したのだった。


「─────ふぅ。」


男は、息を吐いて尻餅をついた。
154 :翡翠/覡 :2014/06/24(火) 23:26:39.40 ID:kgTC0hp00
>>151
「うっせ、いいだろ別に」

【文句あるのか、とでも言いたげに片桐を見つめる】
【彼の反応よりも、まずそこに言葉を返すあたり余程の拘りがあるらしい】

「知恵?俺のかぁ?」

【来訪者とはいえ、幾つもある異世界のうちの一つからやって来ただけの自分達で、果たして目の前の男の期待に添えられるのだろうか】
【何はともあれ、わざわざ時間をかけてまで探していたようだ、話だけは聞いてやろうかと】

「まあいいけどよ、聞かせてみろ」

【片桐の話の続きを促す】
155 :藤堂朔夜 [saga]:2014/06/24(火) 23:34:24.76 ID:rjnlMyYmo
>>153
「さあ、どうす――って、あっ!」

【朔夜が再び言葉を言い切る前にクリーチャーはその場からの退却を試みた】
【完全に油断していた朔夜はほとんど反応出来ず、後を追おうにも一歩踏み出した時にはすでに追いつけない距離になっていた】

「ふう……逃してしまいましたね。ですが、この場を守れただけでも今は良しとしましょう」

【朔夜が軽く刀を横薙ぎに振ると、持っていた刀は桜の花びらのような光を散らして一瞬の後に消え去ってしまった】

【少し周囲を確認し、クリーチャーによる被害が殆ど無いとわかると、先ほどまでの協力者に一歩近づく】

「サイガさん……でしたよね。助太刀いただきありがとうございました。おかげであのクリーチャーを退かせることが出来ました」

【ぺこりとお辞儀をする姿は、刀を振り回して大声で掛け声を叫んでいた女性とは思えないほど淑女っぽかった】
【服は相当汚れているが、血はついていない。お互いこの戦闘では負傷しなかったようだ】
156 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/24(火) 23:38:11.01 ID:6YB+CAPto
>>154
「その来訪者ってのが手錠と足枷、あと目隠し付けられててな
 どうにもこっち側の物じゃない、他の世界の物だろう」

【それを外したい】
【義一の依頼は単純なものだった】

「こっちの金属加工技術じゃ難しそうだ
 アンタ達の<魔術>って奴でどうにか出来ねぇかと思ってな」

【<魔術>、来訪者達が持つこの世界にはない技術や能力】
【それならば、彼女の枷を外せるのではないか】
【義一の考えは簡単にいえばその程度の思考でしかない】

「今のままじゃ、仕事に使えねぇ
 本人は気にしちゃいない様子なんだが、俺達が困るんだよなあの格好だとよ」

【翡翠にはその来訪者という人物の容姿はわからないだろが】
【確かに拘束具を身につけた人間がまともに仕事ができる訳がないだろう】

「」
157 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 23:41:39.37 ID:axydlulDo
>>155



「ン、此方こそありがと。
 おかげで助かったよ。」


むく、立ち上がれば離した折り畳み式機械剣を拾い畳みしまう。
ぶっちゃけた話今までスライムくらすしか狩ってなかったので、いきなり中ボスが出てきて面食らった感じ。


「あーっと……。そうか。報酬どうする? 多分そんなもらえないと思うけど。」


立ち上がれば恐らく少女には突然な話。
普段クリーチャーから街を守っている彼は今回の戦闘も業務の一環のようで。
一応少女にどうするか尋ねてみて
158 :翡翠/覡 :2014/06/24(火) 23:48:44.19 ID:kgTC0hp00
>>156
「外れない枷、ねぇ…」

【この世界の物でないなら魔術か、もしくはここよりはるかに進んだ文明の産物か】
【どちらにせよ、実物を見てみない事には話は始まらない】

「実際に見てみねえとなんとも言えねえな
まあやれるだけやってみるけどよ、あんまり期待はすんなよ」

【例え外せなかったとしても、自分達の知識が外す手助けになるかもしれない】
【そもそもそれだけの拘束具をつけた人間がまともに生活出来るのだろうか?という疑問は頭にはあるが
来訪者ならばそれもあり得るのだろうと一人で納得する】
159 :藤堂朔夜 [saga]:2014/06/24(火) 23:51:19.52 ID:rjnlMyYmo
>>157
「報酬……ですか?」

【朔夜は面食らった顔になり、しばし考える】
【仕事としてクリーチャーを狩っていたわけではない朔夜にとって、クリーチャーを倒して何かを貰えるとは思っていなかったようだ】

「そうですね。私は金銭目当てであのクリーチャーと戦っていたわけではありません。
 ですので、今回のことで報酬が出るのでしたらサイガさんが全て受け取ってください」

【特に金銭に困っているわけではなく、戦いの経験が欲しかった朔夜はすでに報酬を受け取ったとも言える】
【今回は特に得るものも多く、これまでの相手とは異なる戦いをすることが出来た】

「もし、今後強力なクリーチャーと戦うことがあればぜひ私も呼んで下さい。
 お力になりましょう」

【正直言えば朔夜の戦闘力はそこまででもない】
【それでも先程のように連携が出来れば、個人の戦闘力だけでは測れない大きな力を発揮することができる】
【強敵を求める朔夜にとってもクリーチャーと戦う機会は多い方がいい】
160 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/24(火) 23:56:47.86 ID:6YB+CAPto
>>158
「そりゃそうか
 次に会いに来る時は引っ張ってでも連れてくる」

【確かに実物を見なければ外せるかどうかもわからない】
【そうなるとあの拘束具まみれの少女を連れ、また翡翠を探す所から始めなければならないのか】

「アンタ、拠点とかないのか?
 探すのが一々面倒なんだけどさ」

【住所不定の2人組の何でも屋のアイデンティティは崩れてしまうかもしれないが】
【確実に連絡を取る方法があれば、今後何か依頼をするにしろ楽になるだろう】

「……ん?そういや翡翠ってのは2人組だと聞いてたんだが
 もしかして、そのなんだ……頭の上のが相棒なのか?」

【<2人組>の来訪者と言う所が義一には引っかかったらしく】
【その頭上の人形にしか見えないような小人へと視線を向けた】
161 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/24(火) 23:59:38.12 ID:axydlulDo
>>159


「────この街に結構クリーチャー来るし……。
 多分守りたいっていうならある程度の生活は保証してくれるだろう……。
 いい経験になるんじゃないかな?


 今日はもう来ないと思う、今まで1日1回以上来たことないし。」


恐らく今まで以上に強いクリーチャーが訪れた際、自分一人では心もとない。
少女の申し出は、少しありがたかったりする。
別段この街に愛着はないが──、自分が守っている間に、いつのまにか栄えていた成長を見るのが、割と楽しかったり。

──故に、これ以上の発展のために化少女もその身を粉にして働け、そういうことを口にした。
162 :翡翠/覡 :2014/06/25(水) 00:11:04.50 ID:kWm5esl/0
>>160
「おう、そうしてくれや」

【片桐の苦労などどこ吹く風、へらりと笑って答える】
【しかし次の片桐の質問に、困ったように目を背けてしまうが、ふと思い出したように目を向ける】

「んなこと言われてもなぁ…ああそうだ、ここのマスターに言伝しといてくれればいい
一日に一度は顔を出す店だからよ」

【そう言って翡翠が告げる店の名前は、この街でもそこそこ有名な喫茶店】
【日時と場所を指定してくれれば、必ずそこに行くと言う】

「上の?ああ、こいつの事か
ほら、お前も挨拶しとけ」

【片桐の言葉を否定するでもなく、自身の頭に乗っている小人に声をかける】
【すると翡翠の言葉に呼応してか、その小人はやたらと甲高く何かをまくし立て、にっこりと笑った】
【片桐には聞き取れないだろうが、それはもちろん翡翠も分かっているようで簡単に通訳する】

「よろしく、だってよ
よかったじゃねえか、気に入られたみたいだぜ」
163 :藤堂朔夜 [saga]:2014/06/25(水) 00:14:01.39 ID:6N8i85kWo
>>161
「そうですか……」

【サイガの言葉を聞き終わった後、朔夜はしばし考える】
【聞けばこの街は頻繁に襲撃にあっているようで、街の防衛力にも不安がある……しかし】

「残念ながら私はここに常駐して守ることは出来ません。
 見ての通り学生ですので」

【戦う姿は学生に見えないが、いま着ている服は制服だ。一応学生に見えるはず】
【流石に家を出てここに住む訳にはいかない。学校も結構遠い】

「ですが、私は今放課後などに腕を磨くため、クリーチャーを探しまわっています。
 これまではここより少し離れた場所を主に探していましたが、これからはこの辺りで探すことにします」

【そうすれば、この辺りのクリーチャーは減る上、街に何か異変が会った時にも気が付きやすい】
【不定期な見回りだが、無いよりかはマシだろう】

「私の連絡先です。何かあればここへ……何かの縁ですし極力力になります」

【朔夜はメモ帳の1ページを切り取り、自分の携帯電話の番号を書き渡した】
【大抵の用事ならこちらを優先してくるだろう。こちらは人命もかかっている】

「今日はもうクリーチャーが現れないのでしたら、これで私は失礼致します」

【もう夜も遅くなってきた。これ以上は帰りも危険になってくる】
【一日に一度しか襲撃がないのであれば、今日のところは帰っても問題ないだろう】

「では、また近いうちに会うことになるでしょうが」

【そう言い残すと、朔夜は自宅の方角へと歩いて行く】
【今日のような強敵と再び戦えることを夢見ながら】


//そろそろ時間が遅くなってきたので、これで〆させて下さい
//ありがとうございました。またお願いします
164 :サイガ ◆Pg2RLJFgb5xo [sage]:2014/06/25(水) 00:18:26.09 ID:9iZ/f1rpo
>>163


「そうか……。まあ頼む。」


常駐してくれなくても、時に戦力として活躍してくれるなら文句はない。
彼女の事情も考慮しなければならないし…… 。
少女のメモを受けとれば、去っていく少女を見送った。彼も彼で、自分の住みかへ戻るのだった。


/お疲れさまでした! また機会があればお願いします
165 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/25(水) 00:28:46.68 ID:qzHvoJs/o
>>162
【翡翠が口にした喫茶店は義一も知る店だったらしく、その名を聞いて義一は大きく頷く】

「街中歩き回るよりは手軽でいい、今度からはそうさせて貰うぜ」

【拘束具を身につけた人物と一緒に喫茶店というのもあまり居心地のいいものではないが】
【街中をぐるぐる何時間も回り続けるよりは精神衛生上も体力的にも宜しいだろう】

「……お、おう、宜しくな
 名乗ってなかったな、俺は片桐義一
 片桐民間警備会社って所の平社員やってんだ」

【義一の説明を聞いても余程詳しくない限り限りパッと思いつくPSCはない筈だ】
【そのぐらい片桐民間警備会社は弱小の企業である】

「んじゃ、次会いに来る時は例の来訪者連れてくるから
 報酬とかの話もそん時にでも」

【それじゃまたな、と別れの言葉を口にして義一は翡翠達に背を向ける】
【貧乏暇なし、1つ用事は済んだなら次の用事を済ませよう】


//この辺りで〆でいいですか?
166 :翡翠/覡 :2014/06/25(水) 00:36:55.87 ID:kWm5esl/0
>>165
「社員ねえ、若いのによくやるな」

【片桐の見た目とは裏腹にしっかりと職についていた事実に感心するが、自分の生活態度を改めるつもりは毛頭ない】

「ああ、それで構わねえよ
じゃあまたな、連絡待ってるぜ」

【別れを告げ、片桐とは反対方向に向かって歩き出す】
【目的も理由もない、放蕩の続きといこうか】

//いいですよ、お疲れ様でした
//また機会があればよろしくお願いしますね
167 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sage]:2014/06/25(水) 20:30:10.44 ID:VBiU3Umd0
【ずるり、と思いものを引き摺る音が路地裏に響く。ここはスラム街の外れ、中流層の街並みに程近い閑静な場所】
【喧騒から離れたこの場所で、不気味な音はよく木霊する。ずるり、ずるずるとそれは連なり、続いて聞こえるのはごそごそと布地の擦れあう音】

「……っち、仕事のついでに小遣い頂こうと思ったのに。シケてんな」

【音の発生源は、少年と大人の男。裕福そうな恰幅のいい男性は地に横たわり、みずぼらしい格好の少年は革製の財布を地面に放りだすところ】
【日の光の届かない暗く狭い空間で、それは異様に浮き立って見えるだろう。地面に血が流れていないことから察するに、殺害はしていないということか】

【……しかし、少年が何かをしたことは事実だろう。でなければ、少年が小脇に抱えている、明らかに彼のものではない何かの封書はどう説明するのか】

「……ま、これで仕事完了か。さっさと退散するかね」

【ちらりと封書へ視線を向ければ、少年はハンチング帽を被り直して足早にそこから立ち去ろうとするだろう。目に見えて不審なその場面に遭遇して、片桐義一は果たしてどう動くのか––––––】

//片桐さんとの予約ロールです、よろしくお願いします
168 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/25(水) 20:46:29.36 ID:qzHvoJs/o
>>167
「お仕事御苦労さん
 ……よう、少年ちょっと付き合えよ」

【信次とその男以外の音が初めて此処で響いた】
【からかうような青年の声、それは信次の行く手を阻むように現れた影と共に現れる】
【まず目を引くのがそのジャケットに記された民間保安企業のロゴだろう】

「別段オヤジ狩りすんなとかさ、金盗むのは良くねぇぞとか説教がましい事言う訳じゃねぇよ
 この街がそういう場所だってのはよーく知ってんだ」

【信次の目の前に現れた金髪の男の表情はその身につけたサングラスによって隠されてはいるがその声色はこの場に似合わない柔らかさを持ち合わせていた】

「んでさ、言いたいことなんだが……」

【ゆっくりと義一の指が信次の抱える封書に向けられた】

「俺も欲しいんだよね、それ
 置いて行ってくれよ、少年」
169 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/25(水) 21:05:02.41 ID:VBiU3Umd0
>>168

「……嫌だね。俺はこれから家に帰って、優雅なティータイムをする予定があるから」

【などと言いながらも、片桐を警戒してその足は動きを止める。続いて口を開いて出てくる言葉は、胡乱げな瞳とともにそちらへと向けられていて】

「民間保安企業が何か用? 俺はご覧の通りカワイソウなスラムの少年で、こいつの懐探っただけなんだけど」
「……おっと、これはあげないよ。高く買ってくれる奴が居るからさ、俺に恵んでくれないかな?」

【やれやれと肩を竦めれば、厄介な奴に会ったなと内心で渋い顔。しかもその言葉を信じるならば、目的は今自分が所持している封書。報酬を得るためにも渡すわけにはいかない】
【文章におこせば多少は同情も誘えそうなものだが、如何せん格好がスラム街の中では上等なもので。更には態度もかなり太々しい大人を舐めきったもの、短期な者ならここで怒髪天を衝き襲いかかってもおかしくない】

「……で。どいてくんない?早く帰りたいからさ」

【目深に被った帽子の唾の下から見上げるようにじろりと一瞥。威嚇の効果などこれっぽちもないが、子供らしからぬそれだけは、スラムの人間に相応しいものだった】
170 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/25(水) 21:11:45.72 ID:qzHvoJs/o
>>169
「会社は関係ねぇよ、俺も小遣い稼ぎって奴さ
 それを欲しがってる奴が居るから、先に奪ってきてくれって話」

【それ、と顎で示すのは封書】
【中身は何なのか、それはわからないが色々な思惑が絡んだ物のようである】
【つまりは2人は商売敵、という構図なのだろう】

「さて、俺も暴れるのは好きじゃねぇんだ
 個人的な仕事だからな、弾代も経費じゃ落ちない」

【それでだ、とサングラスを押し上げ素顔を晒す】
【蒼い瞳が優しげな視線を信次へと向けていた】

「交渉と行こうぜ、シニカルボーイ
 その封書を俺に売ってくれりゃ、それでお互いハッピーじゃねぇか?」
171 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/25(水) 21:34:16.06 ID:VBiU3Umd0
>>170

「交渉ね、んなもんすると思ってんの?俺にも信用がかかってるんだから」
「お客さんは俺が絶対に持ってくると信じて依頼したんだ、それを無下にしちゃイケないだろ?」

【はん、と鼻で嗤ってこちらは、相も変わらず挑発的な態度。こんな少年でも一応は信用問題が関わってくるらしく】
【優しい視線を受け流し、斜に構えて動く準備を整え始める。交渉はハナからするつもりもないようだ】
【手に持った封書を大事そう抱え込んで。常に余裕そうに上がる口角は何を表しているのか】

「……ほら、さっさとどいて。カワイソウな俺に端金くらい恵んでくれよ?」

【自虐的な皮肉を再び口にして、言葉とは裏腹にじりじりと後退を始める。その先は、今よりも更に日の光の届かない暗闇の世界】
【入り込まれてしまえば、追跡するのは勿論素早く動くのもかなり困難だと予測できる筈だ。そんな中に進んでいこうとするのは何故なのか】
【……それは単純に、能力による恩恵で逃げ切ろうというだけなのだが。果たして、目論見通りにことが進むかどうか】
172 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/25(水) 21:47:27.96 ID:qzHvoJs/o
>>171
「……信用、信頼?
 んなものが此処で何の役に立つんだ?」

【赤のミリタリージャケットの懐に手を突っ込むと、何かを地面に放り投げた】
【軽い音を立てて何かが地面に叩きつけられる】
【札束、関東特区で使用されている貨幣の束が其処に落ちていた】

「信用した誰かがお前を食わせたか?お前を救ったのか?
 違ぇだろ、此処じゃそんな事は置きねぇよ」

【去ろうとする信次を止める素振りすら義一は起こさない】
【ただ優しげな視線を信次に向けるだけ】

「金と自分だけだ、俺達を救ってくれんのはさ
 そうだろ、シニカルボーイ」

【この男が何を考え、何故こんな行動をとっているのか】
【わからないからかその優しい笑みが尚更不気味に見えてくる】
173 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/25(水) 22:02:24.15 ID:VBiU3Umd0
>>172

「分かってない、分かってないよアンタ。俺らの世界じゃむしろ信用がモノを言うのさ」
「リピーターは、食い扶持を繋ぐにはもってこいなんだぜ?……特に、デカい金を持ってきてくれる客はね」

【大仰に溜息をついて、アンタはその代わりになれるのかよ?と睨めつけて。地面に投げつけられた札束を軽蔑した目でちらりと見やってから、ゆるりと首を横にふる】
【どうやら、依頼者から齎される報酬は更に上等なものらしく。言動からして大金に目が眩んだ訳ではなさそうだが、決意は相当なものらしかった】


「確かに信じられるのは金だけさ。けど、金を落としてくれる気前のいい奴とパイプ作っとかなきゃ、あそこじゃ生きていけない」
「分かるか、お坊っちゃん?お前が俺の面倒をぜぇんぶ纏めて見てくれるってなら、考えないことも無いけど」

【んな事も出来ねえなら交渉なんて持ちかけないことだね、と吐き捨てると、少年は再び後退を始める。封書を持つ片手は、そろりそろりと服の袖に隠れようとしていた】
【あと少しで、少年は暗がりに姿を隠してしまうだろう】
174 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/25(水) 22:14:32.53 ID:qzHvoJs/o
>>173
「……勉強になったよ、んじゃまあ交渉決裂って訳で」

【放り投げた札束を懐に戻すと、拍子抜けするほど義一はあっさりと引いた】
【先程からどうにも違和感を感じることが多い】
【信次の態度に怒りも感じていない、先に封書を奪われたにしては落ち着きすぎている】
【それが彼にとって都合が良いように】

「最後に聞きたいんだけどさ、幾らなら……何だったらその大切な信用を捨てるんだ?」

【少年が暗がりに姿を隠すその寸前】
【少年へ投げかけられた質問】
【その言葉だけは妙に感情が篭っていた、そんな風に感じられた】
175 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/25(水) 22:18:04.28 ID:PnjXHVch0
【街の中心から離れた、所謂スラム街】
【そこの露天商が並ぶ路地にて、一人の少女がなにやら引きずる音を立てて歩く】
【千切れた手錠を手からぶら下げ、脚には鉄球つきの足枷、首輪、数々の拘束具をつけたその姿はスラム街といえど異様であった】

【はぁ、と少女はため息をつくとおなかをさすってまたため息を吐く】
【しばらく歩けば次に吐き出されるのは腹の虫の声。ぎゅるるると勢い良く鳴った腹は路地裏中に響いた】
【どうやらお腹をすかせているようで】
【しかし薄汚れた銀髪、服の変わりに纏うぼろ布、どこを見てもお金を持っていそうな要素は無い】
【そもそも異様過ぎるその見た目から、露天商たちは少女と関わろうとはしたがらないらしく】
【座敷に並べられた食べ物を物ほしそうに眺めても、商人は目をそらしてしまう】

【ぎゅるるるる、と爆音に近い腹の音がまた鳴った】
176 :翡翠/覡 :2014/06/25(水) 22:29:38.61 ID:kWm5esl/0
>>175
【路地に並ぶ露天商の一人と何やら親しげに話している男が一人】
【何を買うでもなく、ただ会話に花を咲かせている男の頭には小さな子供がちょこんと乗っている】

「そうなんだよなぁ、それでよ…」

【ふと、何かを引きずる音と不定期に鳴るぎゅるるる、という音が】
【音の方向に目を向けると、やたらと拘束具を身につけている少女がとぼとぼと歩いているのが目に入った】

「なんだありゃ?悪りぃおっさん、また今度な」

【このような治安の悪い場所で目立つなど、自殺行為にも等しいものだ】
【やたらとため息をついているあたり何か困っているのだろう、お節介か気まぐれかは知らないが手を貸してやる】

「おいそこの嬢ちゃん、どうしたんだ?」
177 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/25(水) 22:32:57.03 ID:VBiU3Umd0
>>174
「あんたの方にも色々事情はあるだろうけど。俺にとっては知ったこっちゃない事だからね」

【諦めがいいのは悪いことじゃあない、むしろこの世界で生きるにはそちらの方が何かと安全で。少年がそれをしないのは、一か八かの大博打で生き抜いていく覚悟をしているから】
【感情を込めた言葉を向けられて、少年はすうと目を細めて静かに言葉を紡いだ。それは、片桐のものとは真逆で一切の感情を取り除いたかのような冷たいもので】

「……さあね。一生分食いつなげる額なんて、数えたこともないから」
「ま、物分りのいい奴は嫌いじゃないけど……あんたはどうも好かないね、俺の苦手なタイプだ」

【また会うことが無けりゃいいけど、と捨て台詞を残して、少年は暗がりに消える。暫くは微かな足音が聞こえるだろうが、それもやがては耳に届かなくなるだろう】
【最後に見せた表情は、何に対する嫌悪なのか、渋いものだった。それが片桐にどう思われるのかは分からないが】

【名乗りもしなかった少年に気絶させられ、足元に未だ倒れたままの男。死んでいないのだからいずれは目覚める筈だ。それは、いつになるともしれない––––––】

//キリが良さそうですが、これで〆でしょうか?
//もし続けるのでしたら多少強引にでも繋げていただければ、まだロールができるとおもいます
178 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/25(水) 22:41:40.70 ID:PnjXHVch0
>>176
【くるっと振り返って男に見せる顔には鉄製のバイザーが。これによって少女の視界は0に等しい】
【目の見えない少女は男の頭に載った子供を食べ物だと勘違いしてるらしい。ぽっかりと口をあけて、よだれを溢れさせて小さな子供を見ていた】

・・・・・・お腹すいた

【と、それから少し遅れて問いに返事をした】
【歩く足もふらふらで、空腹の程は相当らしい。答えた後はまた子供を食べたそうに眺める】

【辺りにならぶ露天商には食べ物だって売っている】
【買ってやるのもいいだろうし、無視をしてもいいし、それは男の性格しだい】
179 :片桐義一 ◆66kgBm6sG2 :2014/06/25(水) 22:42:34.55 ID:qzHvoJs/o
>>177
「好かれようとも思ってねぇよ」

【信次が消えたのを確認すると小型の端末を取り出すと気だるそうにその端末を操作】
【何処かと繋がったらしく、会話を始めた】

「ファッキン、演技とか俺苦手なんすからやらせないで欲しいんすけど」

【大きな大きな嘆息がその場に広がった】
【端末の向こうからは豪快な笑い声が聞こえてくる】

「いや、知らねぇっすよ
 ただ金じゃ転ばねぇらしいんでそれなりに信用してやりゃ良いでしょうに」

【その笑い声が気に食わなかったのか、義一の表情は徐々に険しい物になっていく】

「クソ狸爺、報酬は貰っとくがテメェの仕事はもう受けねぇよ!」

【そのまま端末を地面へ叩きつけると、その場を後にした】

//お疲れ様でした
180 :翡翠/覡 :2014/06/25(水) 22:52:17.51 ID:kWm5esl/0
>>178
【手足のみならず視界まで制限されている少女の姿に一瞬たじろぐが、それ以上に少女の切実な訴えに思うところがあったらしい】

「腹が減っただぁ?ったく、しょうがねえな…」

【ちょっと待ってろ、と言い残して先程まで会話していた露天商のところまで戻ると二言三言交わし、何かを買って戻ってきた】

「おら、こいつでも食え」

【そう言って男が差し出したのは鹿の干し肉】
【果たして目の前の少女は気に入るだろうか】
181 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/25(水) 23:09:46.19 ID:PnjXHVch0
>>180
【視覚は無くとも強化された触覚、聴覚、により差し出されたものが何かは分かった】
【それが肉だと理解すれば、まるで天からの手が差し出されたかのようにぱっと満面の笑みを浮かべて】
【一心不乱にむしゃむしゃ肉を食らい、あっというまに胃に抑えてしまう】
【ふぅ、と一息ついて満足気】

・・・・・・ありがとー!

【と舌足らずにお礼を言う】
【気に入るだろうか、なんて心配は不要みたい】

なにか、するよ!お礼!

【貰っただけでは悪いから、なにかできることがあればしたい】
【しかしお金は無いし、話し方などから感じられる雰囲気は妙に幼くお手伝いなどは期待できなさそうだ】
【一つ期待できるのは、いかにも重そうな鉄球を平気で引きずる筋力か】
182 :翡翠/覡 :2014/06/25(水) 23:18:52.33 ID:kWm5esl/0
>>181
【少女の満足気な様子に内心ほっと胸を撫で下ろす】
【ひとまず覡が食べられるような事態は回避できたようだ】

「どういたしまして、お礼はいらねえよ」

【つっけんどんにそう返す】
【普段は頼み事をされている側だからか、自分がなにかしてもらうというのはどこか居心地が悪いのだ】

【それよりも気になるのは少女の拘束具】
【以前とある少年に聞いた話と照らし合わせ、浮かび上がる疑念を確信に変えるために眼前の少女に問いを投げかける】

「それよりお前さ、片桐って知ってるか?」
183 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/25(水) 23:31:40.45 ID:PnjXHVch0
>>182
【お礼はいらないといわれると少し残念そう】
【貰うだけというのは悪い。お礼ができないならその申し訳なさがまとわり付く】
【見た目以上に幼い少女は相手の居心地の悪さは良く分からず察せない】
【とりあえず今は好意だと思ってあまり気にしないことにした】

かたぎり・・・・・・

【記憶をめぐらせ片桐という名前を考える】
【思いついたのは昨日であい、組織に誘ってくれたあの男】

ギィだ。知ってる!

【拘束具からたれる鎖を揺らし、嬉しそうに少女は答える】
184 :翡翠/覡 :2014/06/25(水) 23:44:49.89 ID:kWm5esl/0
>>183
「あー、やっぱりか」

【見るからに来訪者であろう容貌、さらに少女の体を拘束する手錠、足枷、目隠しから確信する】
【目の前のこの幼い少女こそが、以前片桐が話していた従業員だと】

「この前あいつからお前の事を聞いたんだよ
なんでもその拘束具を外してほしいってな」

【確かに大変そうだ、と改めて拘束具に目を向けて思う】
【年端もいかぬ子供がいかにも重そうな鉄球を引きずっているなど、普通は考えられない】
【来訪者なら仕方ないの一言で片付けられるのだろうが、それでも良心のあるものならその姿に心を痛め、なんとかしてやりたいと思うのだろう】
185 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/25(水) 23:55:47.55 ID:PnjXHVch0
>>184
これを・・・・・・

【自分に付けられた拘束具の数々。はずせるものならもちろんはずしたい】
【だが・・・・・・】

たぶん、無理だよ

【はじめてこの世界に来たときのことを思い出す】
【優しいお姉さんに出会って、色々と優しくしてくれた。この拘束具を切断しようともしてくれた】
【・・・・・・だが、切れなかった。あのお姉さんに悔しい思いをさせてしまった】
【だからきっと、この男の人にもそんな思いをさせてしまうに違いない。そう思い少女はこんな少し冷たいことを言う】

【拘束具は見た感じはただの鉄製のもの。簡単に壊せてしまいそうに見えるが・・・・・・】
186 :翡翠/覡 [saga]:2014/06/26(木) 00:05:04.68 ID:9Xx6yBYZ0
>>185
「随分と諦めがいいじゃねえか」

【普通の人間ならば少女の様子に心を痛めるのだろうが、あいにく翡翠は人間ではない】
【極端な話だが、例えこの街の人間が全て死に絶えたとしてもこの男は眉根すら動かさないだろう、そういう男なのだ】
【しかし一応は頼まれているのだ、やれるだけはやっておかないと翡翠の気がすまない】

「なんだ、もういろいろ試したのか?参考になるかもしれねえし教えてくれ」

【もし話を聞いたとしても翡翠には切断する術はないだろう】
【話を聞いていた時は熱や衝撃でどうにかなるかと思っていたが、それでは少女の体にまで影響を及ぼしてしまう】
【翡翠が出来るのはせいぜい現状の分析とそれに合わせた助言くらいが関の山だ】
187 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/26(木) 00:18:05.44 ID:F4IioHaL0
>>186
【他人思いな少女からすれば、翡翠の性質はむしろありがたい】
【少女は自分の性で誰かの心に傷をつけるのが嫌いだ】

えっと、おねーさんがね、すごい剣でね、これ切ろうとしたの
でも切れなかったの・・・・・・

【少女は語り始める】
【幼い少女の言葉では要領を得にくいが、なんとなくは伝わるか】

【これ、と指差した足枷の根元をを見てみれば、浅い傷が付いている】
【少女の語り口から見るに、これをきろうとした剣は普通のものではない。能力か何かの関わった特殊なもののはずだ】
【それでも足枷には浅い傷しか付いていないのである】
188 :翡翠/覡 :2014/06/26(木) 00:30:38.31 ID:9Xx6yBYZ0
>>187
【少女が語り出すとほぼ同時に、覡が翡翠の頭から飛び降りると両方の足枷に近づきぺたぺたと触り始める】
【そしてアネモネの話が終わるころ、翡翠の頭の上に戻っていくと甲高い声で早口に翡翠に何かを伝えた】

「ふーん、剣でか…」

【ほぼ肌と密着している足枷を両断しようとしたあたり、その女は余程自分の腕に自信があったのだろう】
【さらに少女が語るに、どうやら剣も普通の物ではなかったらしい】
【それで浅い切り傷しかつかないのだ、刃物による両断は諦めた方がいいかもしれない】

「いっそ空間ごとぶった切れたら楽なんだろうけどなぁ」

【彼のいた世界が様々な能力を持つ異形に溢れていたからこその発想であろうが、それが正解に近いなどとはこれっぽっちも思っていない】
【そもそもそんな力、彼がいた世界ならいざ知らず、この現代世界で持っているモノなど到底存在しないだろう】
189 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/26(木) 00:49:54.10 ID:F4IioHaL0
>>188
くうかん・・・・・・

【この手錠が切れたとき、つまり異世界からこの世界に来たときは確かに空間が裂けていた】
【つまりその提案はほぼ正解なのだが、少女はそれを理解できない】
【そもそも少女は異世界から移動した時に起きた現象を理解できていないのだ】
【理解できていようとそれを実現することはほぼ不可能だが】

でも大丈夫!
これ、おもくないもん

【なんて言って、軽く足枷の鉄球を持ち上げる】
【少女がこれをあまり気にしていないのは本当らしい。問題はそこ意外に溢れているが】
190 :翡翠/覡 :2014/06/26(木) 01:01:40.92 ID:9Xx6yBYZ0
>>189
「なんでもねえ、ただの戯言だから気にすんな」

【確実ではあるが実行はできないのだ、現時点では不可と言ってもいいその考えを翡翠はあっさりと切り捨てる】
【とは言っても他にいい方法は思いつかない、片桐には悪いが後で会った時にこの提案だけして後は当人達に任せよう】

「お、おう…ならいいんだけどよ」

【軽々と鉄球を持ち上げるアネモネにいろいろとツッコみたいところはあるが、本人が気にしていないならと頭の中に留めておく】

「悪いな、力になれなくて
俺は翡翠、またなんかあったら話くらいは聞いてやるよ」

【少女に名乗ると別れを告げ、くるりと踵を返す】
【アネモネの事で気を揉んでいるだろういつぞやの少年にどう報告しようか考えながら、その場を後にするのだった】

//時間も時間ですし、〆でいいでしょうか?
191 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/26(木) 01:14:23.80 ID:F4IioHaL0
>>190
はなしただけで、たのしかったよ!
ありがとう!

【悪いなに大して慌ててフォロー加える】
【さっきも言った通り、自分のために誰かが気分を悪くするのは嫌だ】
【それに、話していただけで楽しかったのは本当】

あたしはアネモネ

【少女も自己紹介を返して】

うん、また会いたい!

【なんてすこし無理に元気を出して、ぶんぶん手を振った】

//では、ここで締めで
//返信遅くて申し訳ない・・・・・・お疲れ様でした!
192 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/26(木) 22:25:39.45 ID:F4IioHaL0
【路地裏。光は届かない今の時間、所謂悪にとってはこれ以上に都合のいい場所はない】
【そんな場所に少女が一人、異常な服装で立っていた】
【全身に付いた数々の拘束具、手からはちぎれた鎖つきの手錠をぶら下げ、脚には鉄球つきの足枷、とどめに首輪】
【服の変わりに纏うのはぼろ布。鈍く輝く銀髪は砂埃が付いて薄汚れて、そんな所謂「奴隷」を思い起こしてしまうような、そんな格好だった】

【きょろきょろと首を振って、手を振って、少女は何かを探しているらしい】
【少女はこんな見た目であるが、一応警備会社に所属している】
【いわばパトロール、といったところか】
【しかしこんな姿ではむしろ不審者。少なくともパトロールする警備員には見えない】
【それどころか拘束具をつけた幼い少女、悪からしてみれば格好の獲物だ】

【さて、路地裏に現れる者はこの少女にどんな反応するか】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage]:2014/06/26(木) 22:35:16.42 ID:ANDxZkXLo
>>192
風が吹く。流れる空気に鉄が混ざる。その源は血液か。
しかし、そこにあるのは血だけではない。腐臭も混ざりこむ。即ち死臭。
その臭いは少女の正面から流れていき、次第にその臭いは増し、その臭いと共に足音が響いてやってきた。

「――――」

しゅー。と空気の漏れるような、おおよそ人類が出すとは思われない音。
そして、暗闇には金色の光が2つ灯り、そして消えた。その存在は、いつの間にか少女の前に立っていた。
印象は黒とピンクだろう。小柄な体を包むのは黒いコート、黒皮のグローブ、パンツ、ブーツ。黒いシャツを着込んだ夏にはあり得ない格好。
そして、何よりも――ガスマスク。顔を包むガスマスクが、非日常と異形としての印象を強めていた。
また、後ろに纏めた腰ほどまで有るピンク色のドレッドヘアとそこかしこのピンク色の服の装飾もまた、異様な印象。
何よりも、衣服に染み込んだ死臭が――この小柄な何かが、人殺しであることを雄弁に物語っている。

「――君は。……魔術師、か? それとも。剣士か?」

唐突に、掠れた――少女の声が、漏れる。
そして、少女だったガスマスクは、その無機質で不気味な存在のまま、相手を見下ろし続けているのだった。
武装は見て取れない。だがしかし、これだけの濃厚な死臭だ。何か≠ェ有ることは間違いないだろう
194 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk :2014/06/26(木) 22:49:26.32 ID:F4IioHaL0
>>193
【流れる鉄の匂い、それは少女の強化された嗅覚に届き、死臭であることが一瞬で伝わった】
【死臭の元へ目を向ければ、人外じみた音を出すガスマスクの少女】
【死臭の源がガスマスクの少女であるならば、それはすなわち彼女が人殺しであることを示す】

・・・・・・違う

【冷たく、少女は答えた】
【こう答えれば相手が自分を敵視する理由はなくなるかもしれないが】
【こっちは違う。人を[ピーーー]のであれば相手はきっと悪い奴だ】
【相手は悪い奴、自分は人を守る立場。ならば、この少女をこのままほうって置けるものか】

おまえは、悪い奴?人殺し?

【脚を肩幅に開いて、拳を固く握り、戦闘態勢をとる】
【一応問うて見るが、いかなる事情があろうと人殺しを許せるほど少女は大人ではない。】
【結果は分かりきっている】
195 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/06/26(木) 22:51:29.04 ID:F4IioHaL0
//saga忘れごめんなさい・・・・・・
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(東京都) [sage saga]:2014/06/26(木) 22:56:58.32 ID:ANDxZkXLo
>>194
緊迫する空気。少女は両腕をだらりと垂らし、茫洋とした雰囲気を漂わせていた。
だが、それも質問の時点で変化。少女は前傾姿勢、獣のような状態へと遷移している。
全身に巡る筋肉の緊張。大きなコートに包まれた小柄な体躯は、その実しなやかに鍛えぬかれた筋肉を搭載している。
見れば分かるだろう。この少女は、素人ではない。一人二人を気まぐれで殺すようなそういう人殺しではない――と。

「そう。私は人殺し。そして、人殺しだから私は悪い人。
君の問には、私は是と答えるしか無い。
だけど。君が魔術師ではないなら、私は君を殺す理由はない」

少女の問いかけ。それに対して淡々とした言葉を答えとする。
人殺しという問に是と答え、悪という問にも是という回答を返していった。
己が悪であることも、人殺しである事も認識していて、その上でこの少女は、ありのままにそこに存在していた。
戦闘態勢を取る相手に対して、こちらの戦意は先程よりは減衰していて。

それでも警戒の耐性を取りながら、ガスマスク越しに女は目を細めた。

「私が人殺しだとしたら。君は――どうする、つもり」

両手の指を細かく動かし柔軟を行い、両手をクロスさせる構えを取る。
交渉が通じる程度の年齢ではないだろうと予測。来るならば、殺すだけだ。
故に、来ることを予測し――少女は、殺せる身構えと心構えを用意して、そこに居た。
197 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/26(木) 22:59:29.38 ID:ANDxZkXLo
/コテと酉つけておきます
198 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/06/26(木) 23:09:40.41 ID:F4IioHaL0
>>196
【やせこけた腕に力を、踏ん張る足に意思をこめて】
【相手がガスマスク越しならば、こっちは鉄のバイザー越しに、レーザーのような視線を送る】
【視線が届くなら、その中には紛れもない敵意がこもっているのが分かるはずだ】

・・・・・・やっつける!

【正義感を持った幼い少女、その目の前に人殺しがいるならば】
【なぜ殺しただとか、相手の事情を考えようだなんて思うわけもない】
【ただただ倒す。悪は倒す、砕く、ぶちのめす。】

【地面を震わせる程強く、少女は地面を蹴りつけ、前方に飛ぶ】
【痩せこけた脚に詰まるっているのは異世界の技術。文字通りの超人的な脚力が地面を震わせて】
【足枷の存在など忘れてしまうほどの速度で相手と距離を詰めた】
【そして握った右拳。なにも起きないのなら地面を震わせたその力が顔面に振るわれる】
199 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/26(木) 23:18:07.99 ID:ANDxZkXLo
>>198
戦意が襲い来るその瞬間、ガスマスクの少女は体の重心を動かした。
後ろにたたらを踏むような微細な動作、鍛えられているが、それ以上でも以下でもないそれ。
ガスマスク越しにくぐもった声が響く、次第に続いていくその連綿たる声の群れ。

「――我が腕は、刃と等しく。我が脚は、刃と等しく。
我が身、即ち剣なり。我が名は――魔剣『ヒーラ・イモータル=Eノーフェイス』」

魔力の宿る声、それが変質させるのは世界ではない。
この少女自身が変貌する。ガスマスクのレンズから黄金の光が漏れだし吹き出す。
全身に巡る魔力。――そう、この瞬間少女は魔術を行使した。そして、その魔術の効果は――――。

が き ん

「――誰を。やっつけるの?」

右拳は、右拳に受け止められていた。拳と拳を真正面からぶつけ、あまつさえ受け止めてみせた。
右拳で受け止めた力は、後ろに送り出した左足が受け止めて、その左足が踏み抑えた地面は陥没していた。
ガスマスク越しの瞳は、静か。そして、無感動に至近距離で少女を見据えていて。

打ち合わせた拳を弾けば、女はそのまま少女の懐に入り込み、右腕の肘を相手の鳩尾に叩き込もうとする。
肘に火焔がまとわり付き、俄に異様な加速を生む。全身に一瞬浮かび上がるトライバルパターンの魔術文様。
全身を砲弾のように打ち出しての肘の一閃。それはやっつける為の技ではない――殺すための技だ。
200 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/06/26(木) 23:36:52.51 ID:F4IioHaL0
>>199
【振り放った右拳、捕らえられることなど当然想像などしていなく】
【え、っとぽっかりあけた口。そして】

うっ、うげあああああああ・・・・・・

【溢れる嗚咽と血】
【バイザーの奥では涙が溢れて、口からは唾液と血と色々な汁が溢れ続けて】
【こげて千切れたぼろ布から見える腹は血の色に変色していた】
【異世界の技術の結晶である体、簡単に死にはしないが痛いものは痛い、どころか痛覚は常人以上に研ぎ澄まされてしまっている】

【しかし子供ゆえの純粋な正義感とは、圧倒的な力量差を見せられても案外折れないもので】
【少女は抵抗をやめない】
【衝撃と同時に吹き飛ぶ中、少女は脚を思いっきり振り上げた】
【足の先に着いた鉄球がそれにつられて飛んでいく】
【200kgの鉄球と、陣地を越えた脚力の一撃。威力は十二分にあるはず】
【・・・・・・相手が自分以上に人智をこえた相手でなければ、だが】
201 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/26(木) 23:43:34.33 ID:ANDxZkXLo
>>200
「――死なない。なるほど、そういう事。だったら私は――家に帰らせてもらう。面倒だ」

吹き飛んだ少女。そして、それを見て無感動に感想を述べる少女。
眼前に迫り来る鉄球。それに対して、少女は右腕を伸ばしていき――甲高い金属音が響き渡った。
宙を舞うガスマスク。風にコートの裾が揺れる。死んだのか。否、命中はした、ダメージも受けてはいた、鮮血が飛び散っていた。

だがしかし――――

「…………唯の鉄球で良かった」

――――鉄球に指を突き刺して=A少女は振り上げられた鉄球にしがみついていた。
空中に位置する少女は、指を突き放し――空中の鉄球を足場として、跳躍。

壁を目標として、左腕を壁に伸ばし、五指を壁に突き刺して。
やもりか何かのように次々と四肢を壁添に突き刺しながら壁を駆け上がり、大きく飛び――少女を見下ろして。
上空の暴風を受け揺れるドレッドヘア、レンズ越しに光る黄金色。そして、少女の声が、微かに響いた。

「――――ごめん」

その謎の謝罪の後、黒とピンクの少女は、夜の闇に飲まれて消えていくのであった。

/すいません、そろそろ時間なのでお暇します! お疲れ様でした!
202 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/06/26(木) 23:53:40.41 ID:F4IioHaL0
>>201
【何が起きたのか分からなかった】
【攻撃したはずの鉄球はむしろ逃げるための道具に使われて】
【自分は無様に宙を舞っていて】

うう・・・・・・

【涙ぐんだ声で、力なく少女はうめく】
【自分が無力だという事実、幼き少女の胸には重すぎた】

う、ううううううっ・・・・・・!

【言葉にならない声が涙と一緒に湧き出てくる】
【夜の街に少女の声は良く響く。反響する自分の鳴き声を聞けば聞くほど、さらに無力感は増していって】


//お疲れ様でしたー!たのしかったですよ!
203 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 19:27:25.83 ID:pONxTZSZ0

「………。」

【宙ぶらりん。】
【その少女はまさにその言葉のままに天井に吊り下がっていた】
【上下逆さまになった視界で辺りを見渡し欠伸をしてみせる少女の姿は、普通ではあり得ない体勢を気にしていないかのようだった】
【―――否。実際に少女はこの状態を気にしてなどいない】

【少女にとってはこの景色が当たり前であって】
【少女にとっては地に足付けてる“人間”達のほうが、逆に異常の対象であるのだから】

「…おーなかぁ…すいたぁ……」

【血色の悪い唇を微かに動かし少女は悲しげに呟く】
【黒色のフリルドレス、ゆらゆら揺れる長い銀髪、そして華奢な体躯】
【見る人が見れば彼女を美少女、と称するのかもしれなかった】
【スカートの裾から剥き出しになった下半身―――巨大な蜘蛛の足を見さえしなければ。】

【自身の蜘蛛糸で作られた足場をゆったりと移動しながら少女何時もの如くは“ゴハン”を探す】
【人目から離れるように裏路地の壁を渡り歩いて行こうとする】
【そのポケットから食べかすである動物の骨がこぼれ落ちた事には気付いていないようだが…】

/絡み待ちです。
暇な方はどうぞお願いします…
204 :翡翠/覡 :2014/06/27(金) 20:04:15.58 ID:AsA3mgm10
>>203
【当てもなく路地裏を彷徨いている一人の男】
【その頭には小さな子供、傍から見ればただの人形のようだ】

「…ん?なんだこれ」

【ぽてっと目の前に落ちてきたのは何かの骨】
【なんでこんなところに、と拾い上げてから上を見れば、目に入るのは蜘蛛とも人間とも言えないなんとも不思議な少女だった】

「おい、そこの…」

【言いかけて、どう呼ぶべきか考えこんでしまう】
【そのまま黙り込んでしまうが、アラクネーが気づくには十分だろう】
【振り返った先にいる男が人間でないことは、同じく人間でないアラクネーなら感じ取る事ができるかもしれない】
205 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 20:18:01.48 ID:pONxTZSZ0
>>204

「…?」

【不意に聞こえてきた何かの音、いや生物の声】
【釣られてそちらの方向へ視線を落とせば、なんと真下に人がいるではないか】
【空腹ということもあって少女の表情に一瞬、喜びの色が浮かんだ、のだが。】

【そこまで来てようやく人らしき人物の頭の上に乗る小人のような生物の存在に気付いた】
【ターミナルからこの世界へ訪れ、色々なものを見てきた少女でも見たことがないその生き物】
【自然と少女の目線はその小人へと向けられ、ぽつりと一言問い掛ける】

「…ねえねえねえ、だれかさん
そこの小さいの、食べれる?もしも食べたらとても美味しい?」

【興味津々そうに尋ねた質問は些か物騒というか、初対面の人物に対しては失礼なもの】
【ただ、攻撃はせずにしておいた】【戦えばお腹が空くし小人はまだ食べれるか分からない、なにより人間はあまり美味しくないのだ】
【その大人しい姿勢も相手の回答次第だ】
206 :翡翠/覡 [saga]:2014/06/27(金) 20:34:32.41 ID:AsA3mgm10
>>205
【少女が一瞬だけ見せた嬉しそうな顔に地雷を踏んだかと冷や汗をかくが、今のところは襲ってくるつもりはないらしい】
【ある程度の知能は持ち合わせているのだろう、それが安全に繋がると言い切れる理由になるわけではないのだが】

「ああ、こいつか?そうだなぁ…」

【ふざけるな、と覡がきいきい喚いているがどうせ翡翠にしか理解出来ない言語なのだ、そのままにしておく】
【しかしこの質問がこれからを左右するというのは翡翠にも分かっている】
【それ故に一度口を閉ざして数瞬だけ逡巡するが、考えるまでもなく答えは決まっていた】

「俺は食った事があるわけじゃねえから美味いかは知らねえがよ
やろうとするなら容赦はしねえからな?」

【その言葉と同時に翡翠の眼光が鋭くなる】
【おそらく彼はアラクネーが頭の上の主に手を出そうとでもすれば、即座に全力を持って叩き潰しにかかるだろうが、それを彼女は察せられるのだろうか】
207 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 20:57:24.06 ID:pONxTZSZ0
>>206

【質問の内容がが気に食わなかったのか何やら小人は不機嫌そうに感じられた】
【もっとも感じただけであって相手に向かって詫びを入れる精神を少女は持ち合わせていない】
【この蜘蛛少女が持っているのは暴食だけ】【何時までも満たされない満腹感を求めるだけだ】
【だからこそ、それを少しでも満たすため小人は是非食べてみたかったのだが―――…】

「……ぅ。」

【相手の答えは至って明瞭かつ当たり前なもの】
【それだけなら襲う余地があったのだが、少女に向かう男の瞳はそれを許さないと言わずとも語っているようだった】

【少女は…アラクネーは周りを考えてよく見ることはないが】【本能的に危険を察知することは出来る】
【死んだらものを食べられない、それを知っていた事もあって少女は攻撃を諦めることにしたらしい】
【怒られた後のように、しゅんとした表情で相手の方を見つめる】

「…むう、だったら…食べない
負け戦はしない主義。お腹いっぱいになるまで死にたくないもの…ただ、」

【するする糸を垂らしと地面へ降り立とうとする少女】
【すい、とそのまま相手に手の平をだしてみせる】

「お腹が空いて死ぬのもいや。
 小さいのを食べない代りに美味しいもの。
 こちらによ こ せ。」

【次に少女がとった行動は等価交換…というよりは最早強奪行為】
【かなり傍若無人なことを言っているが相手は果たして従うだろうか】

208 :翡翠/覡 [saga]:2014/06/27(金) 21:19:54.14 ID:AsA3mgm10
>>207
「分かればいいんだよ。悪りぃな、怖がらせちまって」

【少女の返答に男もその頭の上の小人も満足したのか、先程ほんの少し見せた怒気とは打って変わって友好的な口調でアラクネーに話しかける】
【その表情も普段通りの気怠げなものに戻ったかと思われたが、続く少女の言葉を聞いてまたもや思案顔に】

「美味いかは知らんがあるにはあるけどよ
それが人に物を頼む態度か?」

【まるで暴君のようなアラクネーの命令に、少しからかってやろうと挑発的に答える】
【どこぞから干し肉を取り出して少女の目の前でぶらぶらと見せつけているのだが、アラクネーが取ろうと手を伸ばしてもギリギリ届かない位置まで引っ込めてしまうだろう】
【相応の態度を見せれば譲ってもらえそうだが、相手は折れるだろうか】
209 :サイガ [sage]:2014/06/27(金) 21:27:33.98 ID:Dxum9Mgto

黒髪に紫色の瞳孔、伸びない無精髭にキセルをくわえ
中肉中背という体つきにフードつきマントを背負った青年がいて。

「ふー、」

廃墟街を覆うようにして立てられた城壁の外で、クリーチャー巣くう森と対峙していた。
210 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 21:39:02.16 ID:pONxTZSZ0
>>208

『…別に怖がっては、ない。』

【相手はこちらを気にかけてくれたのだろうか、先程よりも穏やかな様子ではあったが少女はその言葉の一節にやや複雑な気持ちになる】
【怖がる?クリーチャーが人間に?】【それはこの世界の状況と人と自分達の関係を考えるとあまり宜しくなさそうだった】
【只でさえ同胞が人間達に狩られる頻度が増えつつあるのに、戦わずして怯える個体もいると広まれば他の仲間にも被害が行くのだし】

『アラクネー達、クリーチャーは怖い生き物…あまり油断しt―――ゴハン…!』

【そんな風に思案しつつ意味ありげな言葉を紡ごうとするがそれは突如現れた食べ物によって阻害されてしまう】
【掴み掛かる勢いで干し肉を取ろうとするが、その手は空振り。】
【衝撃と絶望的な表情を浮かべる少女に相手から究極の選択が。】
【プライドを取るか食欲を取るか。半ば涙目で考えた後、少女が出した答えとは―――】

『…ぅぅう…食べ物ください…』

【頭を下げた。】
【これでは悪名名高いクリーチャーの印象も何も残っていない】
211 :翡翠/覡 :2014/06/27(金) 22:03:03.91 ID:AsA3mgm10
>>210
「俺らだってお前と似たようなもんなんだ、恥じる必要はねえよ」

【複雑そうな面持ちになってしまった少女にさりげなく自分も人外だと示唆したのは、少女へのフォローなのか】
【それとも相手も人外だから問題ないと思ったからなのか、おそらく自分でも分かっていない】
【目の前の男がそうだと分かったとして、アラクネーの対応がどう変化するのかは翡翠の知るところではないが】

「よく言えました。ほらよ」

【やたらと上から目線だが、兎にも角にも干し肉はくれるらしい】
【頭を下げているアラクネーの前に干し肉を差し出す】
【今度は取ろうとすれば容易く奪えるだろう】
212 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 22:21:51.39 ID:pONxTZSZ0
>>211

『似…た?そう…似ている、そう…
 ならばアラクネー達の敵では、ないと?』

【キョトンとした表情を浮かべると首を斜めにかしげて見せた】
【確かに小人は明らかに人間ではないだろうが、先ほどから自分と話している男は普通の人間に見える】
【どうやら、今まで彼が人であらざるものだとは微塵も感じていなかったらしい】
【曖昧な理解のまま上記の言葉を尋ねてみる】【ちょっとした何かの期待もあったかもしれない】

『…!うぃー、お肉ー!』

【お辞儀していた頭上に感じる気配に気付けば、直ぐ様それに飛び付く】
【少女の手元にやって来た美味しそうな肉】【少女の味覚的にも好みな部類だ】
【手に入れた肉を空高く掲げ、何やら喜びを表した後、もくもくとお肉を咀嚼し始める】
【当然の如くその表情は緩みに緩んでおり…】
213 :翡翠/覡 :2014/06/27(金) 22:40:56.37 ID:AsA3mgm10
>>212
「そうだな、お前らの敵ではない
でもな、味方でもねえんだよ」

【諭すように少女に告げるのは果たして忠告か、少なくとも現時点で敵とはみていないようだ】
【そもそも彼にとっての敵とはただ主である覡に仇なす者だけであり、それ以外には皆平等に接するのが翡翠なのである】
【この短い会話の間にそれを察するのは些か難題であろうが】

「お、おう…よかったな」

【まるで子供のように飯にありつくアラクネーの勢いに気圧され気味だが、よほど腹が減っていたんだなと納得】
【アラクネーの食事が終わるまで隣で見守っているだろう】
214 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 22:56:07.06 ID:pONxTZSZ0
>>213

『ふぅん…?
 なんだかあなたの論理、よく分からない。』

【味方でなければ敵でもない】【味方であっても敵でもある】
【そんな倫理観に再び少女は怪訝な様子だ】
【相手が考えているように少女は彼の言うこと、考えていることを理解は出来ていないようだった】

【それが何故か妙に引っ掛かっていたが、最終的には目の前の食べ物に集中することになったせいか、次期にその違和感は綺麗さっぱり消えてしまうのだろう】
【ゴクリ、と最後のひとくちを飲み込んだ少女の顔はどこか満足げだ】
【ようやく相手の方へと向き直る】

『…ありがとう、とてもおいしい、お肉だった
 また会ったとき、ちょーだい。』

【そういえば、何かを他人から譲り受けたというのは案外初めてだったかもしれない】
【今までは大体いつも奪ったものだったから、ほんの少しだけ。新鮮な体験だったと思う】
【そんな思いからか今度は素直にお礼を述べる】
【最後の言葉から食欲旺盛さは未だに消えていないようだが、まあ其所はご愛嬌である。】
215 :翡翠/覡 :2014/06/27(金) 23:13:25.37 ID:AsA3mgm10
>>214
「ははっ、よく言われる」

【からからと笑いながらもアラクネーの言葉を否定しないあたり、自覚はしているのだろう】
【そもそも改めようとしないあたり、既に理解されるのを諦めているようにもとれるが】

「どういたしまして
そうだな、今度もちゃんとお願いできたら考えてやるよ」

【いつ会ってもいいように食べ物は持ち歩かないとな、と思いながらもやはり上から目線】
【目の前の少女は明らかに人に害なす存在であろうに、こんな態度をとれるのは彼もまた人外だからであろうか】
216 :アラクネー ◆/9QiqCU7qg [sage]:2014/06/27(金) 23:32:26.11 ID:pONxTZSZ0
>>215

『…へんなの。
 クリーチャーから変って言われるの、多分よっぽど変わってるよ』

【分からないと言われたのに笑う。理解しあう事を否定されたのに笑う。】
【相手にどんな思惑があるのかは知らないが、少女はやはり、正直に答えてみせるのだ】

『…むぅ…いじわる。』

【相手の意地の悪い受け答えにむぅと頬を膨らませてみせる。】
【まあお肉や食べ物の為であるなら、少し位はお辞儀でもなんでもやってもいいだろう】
【もう既に最初の屈辱は味わっているのだし】


『――じゃあね、だれかさん。
 またいつか。』


【そう言って手を降れば少女は相手へと背を向け、裏路地への奥へと入って行くのだった】
【その黒褐色の肌を持つ少女のその後とは言うと、部下のクリーチャーによればその後数日はけやに上機嫌であったとかなかったとか】

/これで〆でいいでしょうか?
お付き合いありがとうございました!
217 :翡翠/覡 :2014/06/27(金) 23:48:24.01 ID:AsA3mgm10
>>216
「別に分かってもらおうとも思ってねえからな
俺は自分が正しいと思ってる、それだけで十分だ」

【変だからなんなのだ、自分がよければそれでいいだろうというなんとも勝手な考え方】
【しかしその思想が彼の頑なとも呼べる、自身の役割に対する意志の強さに結びついているわけだが】

「拗ねんなって、もっと可愛げのある顔をしやがれ」

【むくれた様子の少女の頭をわしゃわしゃと撫でる】
【この強気そうな少女の懇願する姿がまた見られると思うと少し楽しみだ】

「ああ、またな嬢ちゃん」

【そう返すと自身も背を向け、反対方向に歩き出す】
【しばらくしてから覡に指摘され名前を聞いていない事に気がつくが、また聞けばいいと次の出会いを待ち遠しく思うのだった】

//そうですね、お疲れ様でした
//こちらこそありがとうございました!
218 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/28(土) 22:15:05.95 ID:lW0KMDXRo

「――……。…………。…………。――。……――。……」

公園。この時間にもなれば、馬鹿な学生か何かが屯する程度だろうそこ。
しかし、そこには今、一つの存在が支配していた。
ちかりちかりと断続的に明滅する電灯。その直下に存在するベンチ。
そこに鎮座する、一つの漆黒が存在した。

「…………。うん。……うん。……おいで」

ベンチに佇むのは、漆黒のコートと拘束具のようなピンクのラバーベルトだらけの服を着た起伏の少ない小柄な存在だった。
夏だというのにレザーのパンツとブーツ、手袋を身につけ、肌を隠すその姿は異様と言えた。
そして、何よりもその異質さを強く主張していたのは――ガスマスク。

顔を隠すためなのか、軍用のガスマスクが、その顔には装着されていたのだ。
黒く塗装されたそのガスマスク。そして、後ろに纏めたピンク色のドレッドヘア。
その極端な色彩感覚と服装は、この存在が、日常というもの埒外の存在であることの証左だったろう。

そして、そのガスマスクの奥の視線の先には、怯える猫。
ガスマスクの纏う死臭と気配に、猫は近寄ることが出来ず、かと言って逃げることも出来ずに居た。
異形の存在と、か弱い猫。その構図は、人気のない公園において、異様に目立つものとなっていただろう。
219 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/28(土) 22:35:20.17 ID:NlG0uc680
>>218
【と、そこにチチチと舌を鳴らす音が割って入る。ヒーラの左手から聞こえる音源は、段々とそちらに近づいて来ており、地面を踏むザラついた音がリズムを刻む】
【数瞬後に確認できるのは全体的にヨレた服を着た少年。目深に被ったハンチング帽の下から、どうやら猫へ視線を向けているようで】
【うなぁお、と怯えのためか控えめな鳴き声と共に猫が少年を見る。それと同時に彼は漸く異形の存在を認めたようだ。立ち止まり、どうしたものかと思案する様子でじっとそちらを見るだろう】

「……悪いね、邪魔しちゃったみたいで」

【躊躇いがちにそう声を掛ける彼の手中には、小さな紙袋があって。そこから漂うのは、美味しそうとは言えないまでも少なくとも食料だと認識できる匂い。恐らくはパンだろうか】
【ここまで遥々食べにきたのかと問われれば、たまに猫に餌をやるのだと答えるだろう。無責任と言われればそれまでだがこの行為は、危険な仕事を請け負う事もある彼にとっての癒しのようなものでもあって】


「どうぞ、続けて? 俺は向こうで食うからさ」

【しかし相手は恐らく来訪者、ここは無難に退場した方が安全だろうと、少年はがさりと紙袋を揺らす。内心冷や汗をかきながら、早くこの場から離れたいと願うのだった】
220 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/28(土) 22:42:33.74 ID:lW0KMDXRo
>>219
少年が舌を鳴らすその前の時点で、異形はくるりとそのガスマスクを向けた。
ガスマスクのスモークレンズの向こうから覗く金色の光。
無機質さと、血の染み付いた死臭は、動物にも人にも恐怖を抱かせかねないだろうか。
だがしかしながら、この異形からは殺意も敵意も発せられてはいなかった。

「……いや。……動物に。嫌われてるのは。良く理解してる。から」

邪魔される前から、既に猫を手懐けるのは失敗していたのだ。
故に、ガスマスクの異形はさほど気を悪くした様子は無く。
おもむろに異形は、コートの中をごそごそと漁り、コンビニの袋を取り出した。
コンビニの袋の中に入っていたのは10本ほどの栄養ドリンク。それも種類の違うものだった。

「……怯えているなら。心配ない。
私は、魔法使いと剣士以外は進んで殺さない」

栄養ドリンクの蓋を外し、ストローを差し込む。
ガスマスクの口部分を少しずらして、ストローをそこからねじ込んだ。
ねじ込んだストローから栄養ドリンクをちゅうちゅうと吸い始める。
ガスマスク越しだった声は少々クリアに響き、この異形が実際は少女であった事がわかったかもしれない。
221 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/28(土) 22:58:21.64 ID:NlG0uc680
>>220

「……あ、そ。なら遠慮なく」

【推定少女は確定少女となった。ビニールの音が響けば来訪者にしてはブルジョアだなと感心して】
【ふいっと視線を巡らせて、手近な場所にあったベンチに腰掛ける。しかし警戒はしているようで、少女との距離はおよそ10m程あいている】
【腰を落ち着かせてがさりと紙袋を開けば、中から出てくるのはパサついた、いかにも質の低いパンがひときれ、ふたきれ】
【水分もなしに食べて大丈夫なのかと心配になるかもしれないが、そこは平気なようでもそもそと食べ始めるだろう】


「……あのさ。それ、邪魔じゃねえの?」

【無理やり感の漂う少女の食し方に控えめに突っ込みを。見た目で逃げたりはしないし外したら、と何故かアドバイスしてみたり】
【時折小さくパンを千切っては地面に放るのは猫にあげているつもりなのか。しかし今のところ、猫が動く様子はなさそうだ】
222 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/28(土) 23:05:13.68 ID:lW0KMDXRo
>>221
栄養ドリンクの一本目を空にして。
少女は街灯の明かりを頼りに、ラベルに書いてある成分を眺め始める。
真剣な様子で栄養ドリンクの成分を観察する姿は、少々不気味とも言えて。

納得したように首を縦に振れば、少女は二本目の栄養ドリンクを取り出した。
それに同じようにストローを差し込み、またマスクの隙間からストローを押しこみ、中身を啜り始める。
青年のその言葉に、ガスマスクを横にふいと、振って。
ずるりとストローをマスクから外していけば、ガスマスク越しの声が聞こえていく。

「……恥ずかしいから。……うん」

顔を晒すのが恥ずかしい為に、ガスマスクを付けているようだ。
しかしながら、寄るとはいえもはや夏。
コートに長袖、ブーツに手袋、ガスマスクといった格好は如何せん暑苦しい物だったろう。
223 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/28(土) 23:22:37.43 ID:NlG0uc680
>>222

「恥ずかしい、ね……ま、あんたが良いって思ってるならそれでいいか」

【どうせ俺には関係ないと呟いてまた一口、パンを齧る。昔は口の中が渇いて苦労したものだったが、今となってはこの程度のパンなら問題なく飲み下すことが出来るようになった】
【怯えていた猫は漸く再起動し、そろりそろりと忍び足でパンくずに近寄っている。それを知ってか知らずか、地面の欠片は増える一方で】
【気付けばパンの半分程の量が地面に小さく転がっている。些か勿体無い気もするが少年は気にしていないようだ】

【くぐもった声に適当に相槌をうち、紙袋の中身を全て消費すれば、ぱんぱんと手を払って。やや面倒そうにそちらへ視線を向けて、これからどうしたものかと考えているようだ】
【ご馳走様でした、はいさようなら……とはきっといかないだろう。来訪者のうちでも恐らくは危険な部類、最初に心配は要らないと言われたものの、初対面でそれを信じ込むなど少年には無理な話であった】

【––––––結果として、無難に世間話で切り抜けようと考えたのか。少年は少々視線を泳がせてから徐にそちらへ声をかける】

「あんた、来訪者って奴だろ。住処なんかはどうしてるんだ?」

【先ほどの、少年からすると羨ましい買い物の仕方から察するに金はあるだろう。それならば何処ぞの部屋でも借りているのだろう、そう考えながら】
【しかしながら、来訪者というだけで恐れられ差別されるこの世界。はたしてどうやって金銭を得ているのかと、疑問ではあった】
224 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/28(土) 23:30:29.38 ID:lW0KMDXRo
>>223
2本目のドリンクを飲み終えてから、三本目の栄養ドリンクを取り出していく。
それぞれのドリンクの種類が違う辺り、栄養ドリンクに関して何らかのこだわりがあるのかもしれない。
栄養ドリンクを主食としているようなその姿は、無機質な外見と妙なマッチを見せていただろうか。

三本目のドリンクを飲み干せば、同じように次々とドリンクを減らしていく。
合計10本のドリンクを飲み終えたのは、少年がパンを食べ終えたのとほぼ同時であったろう。
そして、青年の問いかけを受けて、一瞬の間を置いて。少女は淡々とした言葉を口に出していく。

「私は来訪者じゃない。異能者でもない。
……私は、剣士で、魔術師。そして、今は暗殺者。
金さえ積めば、どのような人間であろうと十分生活していくことは可能だから」

この異常とも言える外見の少女は、しかしながら来訪者ではなく異能者でもなかった。
要するに、この少女は現代人で無能力者。被差別者ではなかったようだ。

そして、暗殺者として剣術と魔術を用いて、人を殺すことで、この少女は生計を立てていた。
来訪者でも異能者でもないというのに、魔術と剣術を身につけ、このような格好をしているのには、何らかの事情があることは間違いないだろう。
225 :瀧野瀬 信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/28(土) 23:48:53.02 ID:NlG0uc680
>>224

「へぇ……じゃ、俺と似たようなもんか」

【相槌を打ってそう返せば、その言葉は少女にどう受け取られただろうか。がさつに首筋を掻き、適当に頷いてから極端な警戒は辞めたようだ】
【ふうと息を吐いてから、目の前の少女を改めてじっくりと見やれば、また面倒そうな理由がありそうだなと一人納得をして。軽く肩を竦め、大仰ながらゆっくりと立ち上がった】

「金さえあれば何とかなるもんだよな……ま、生きるためには幾らあっても足りないけどよ」

【明日もまた依頼をこなさなければ、小口のものでもいつかは大口に繋がると願って少年は仕事を無差別に請け負う。相応の金さえ払ってくれるのなら、勿論、ヒトゴロシだって請け負ってきた】
【しかしその金も、スラムを抜け出さんと足掻くうちに湯水の如く減っていくもので。言葉の通り、幾らあっても足りるとは思えなかった】

【猫はといえば、やっとの思いで餌にたどり着きそれを頬張っているようで。少年からほど近い場所にいるそれは、しかし未だに怯えは抜けきっていないようだ】


「……お互い頑張ろうな、人並みに人生送れるようにさ」

【なんて、無駄な共感をしてみせて。少年は軽く手を振って明後日の方角へ歩き出す、行く当ては特に無いのか、ゆっくりとした足取りで】
【じゃあな、とちいさく振り返って声を掛ければ、帽子を被り直してそのまま立ち去ることだろう】

//ごめんなさい、予想以上に早く眠気がきたので急ですが〆させていただきたく……
//おやすみなさい、お疲れ様でした
226 :ヒーラ・I・ノーフェイス ◆8755691562 [sage saga]:2014/06/28(土) 23:53:09.55 ID:lW0KMDXRo
>>225
「……別に。生きたいわけでもないけど。
死にたい理由がないだけだけど。……。生きたいなら、頑張って。私は、頑張れない。から」

少年を見送ってから、少女は空中に10本のビンの群れを放り投げて。
それらは風切り音の直後に粉々に粉砕され、猫は怯えた鳴き声を響かせて走り去っていった。
無機質な電灯の光の元に佇むガスマスクの姿は、跳躍で上昇し、夜の闇に飲まれて消えていった。

/お疲れ様でした!
227 :タキジ ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/06/29(日) 18:35:43.67 ID:vKXqnXGA0
ずるり、と
何かが這い寄る気配、それはおぞましさと気高さを兼ね備えた存在だった
ターミナルによってこちらに飛ばされ、何も理解出来ぬままに人里へ降りた、異形
しゅるしゅると口から出入りする二股の舌に太く長く伸びた体躯、それは紛う方なき蛇のもので
––––––しかし、その姿はあまりに大きく、そして歪すぎた
2体の大蛇が重なったような姿、頭は2つで胴は1つ
硬質の黒い鱗はぬらぬらと照り輝いて、散見できる鱗の剥がれた跡は永く生きた証の如く
全長凡そ25mの巨体を地面に横たわらせ、そこが我が家だと言わんばかりの振る舞い

ゆうるりとふたつ鎌首を擡げ、猛禽の瞳を細くして
眼前で逃げ惑う小動物……すなわち人間を見るその視線は、獲物を狙うそれ
勇猛果敢にも立ち向かおうとした兵士をひとり、頭の片割れがぱくりと飲み込めば、辺りは更に騒然となる

……ここはターミナルにほど近い場所、幾度となく襲撃してくるクリーチャーから人の住まう街を守る、ぼろぼろの防衛線
いとも容易くそれを破り、ずるずるとヒトの住処に入り込んだ巨躯の異形は
誰もいなくなった空間を悠然と進み、今、まさに市街地へと向かっていた––––––


//暇ができたのでちょっと強めのモブによる戦闘での絡み待ちです、途中参加の複数でも可
228 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/03(木) 22:04:48.87 ID:mlkMaMJ5o
ここは、下層の商業地域の外れにある通りにある酒場で、店の名前は『海』となっている。
外から見た建物は、ところどころに老朽の様子が見て取れるが、店内はしっかりと整備されていて、清潔な雰囲気を保っている。

この街の事情に詳しい人物であれば、あるいはこの店について知っているかもしれない。
この酒場は、いわゆる反社会的な組織とされている『青獅子会』の支配下にあるのだ。
とはいえ、組織の情報収集や拠点として扱われるとある程度で、基本的にはごく普通の店と変わりはないのである。
むしろ、組織の面々が常に目を光らせているためにもめ事が起こりにくく、そんな裏の事情を知らずに通い詰めてるお客も多いとか、そうでもないとか――という話が、風の噂で聞いているかもしれないし、あるいは今日のお客も何も知らない人かもしれない。


今夜の店内は、客の姿が一人もない。
店の中に居るのは、カウンターの奥で商品の手入れに追われる店のマスターと、もう一人――
カウンター席の一つに、黒色を中心の衣服の上にオレンジ色のエプロンを被り左目を眼帯で包んだ女性が腰かけていた。
肌の色は白く、髪の色は赤色。 左腕の腕は白い指先を露出しているが、右の腕は長い衣服の袖と黒いグローブで指先が隠されている。
掃除という役目を終えた古い箒が女性の両腕に握られていたが、時に女性から意識されることのないそれは不規則に揺れている。
壁の上部に備え付けられたテレビ音を気にかけ、時たまモニターに視線を移すこともあるが、真紅の視線はこのところうごく様子のない酒場の出入り口に向けられていた。
時々、カウンターの上に置かれた氷でたくさん入ったコップを口へと運んでは、意味もなく退屈にその身を落している。
229 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/03(木) 22:58:19.40 ID:8qJnjC1C0
>>228
そんな表裏のある酒場に今日、何の前触れもなく訪れたのは時間帯に見合わぬひとりの少年だった
如何にも日本人といった顔つき、黒髪は闇に溶け込むように暗く
纏う物は上から順にハンチング帽、チェックの服、ジーンズ、スニーカー……
全体的にぼろの目立つ服装、見た目だけで判断するならばスラムでも上等な方か、或いは一般のうちの最下層かもしれない
どうにも判別のし辛い位置に属する彼は、ひょいと帽子の鍔を持ち上げて、店内の人の入りを確認してから扉をくぐる

「……や、マスター。今日も閑古鳥が鳴いてるみたいだね」

この少年、裏に生きる人間とも様々な仕事のやり取りをしており、その際に軽い世間話はしている身
ある程度の事情通ではあるものの、怖いもの知らずが合わさればこの店がどういった場所であろうと気に掛けないらしく
"今日も"とは何の皮肉だろうか、少年が店に現れるのは決まって殆ど人が居ない時、最低限の自衛はどうやらしているようで


「今日は……そうだね、何にしようかな。安いのだったら何でもいいんだけど」

オススメはある?なんて口角を軽くあげて、ゆっくり歩いて座るはララーナと椅子二つほど間を開けた席
脱いだ帽子を暇そうに弄び、両足はこれまた暇そうにぶらついて
唯一店内に存在する、恐らくは店員だろう彼女にかるく意識を向けながら、何事も無ければマスターの返答を待つことだろう
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2014/07/04(金) 20:32:30.22 ID:8XYj2K1To
>>229
店のマスターから少年へと、気の抜けた返事が返る。――あるいは、返ったような気がしただけかもしれない。
マスターは背を向けたままかちゃかちゃと作業を続けるばかりで、少年の事を気に留めた様子もない。
店の事に詳しい少年ならばそんなマスターの寡黙な態度も、人を選ぶ接客態度のことも知っているだろう。

「……いらっしゃいませ」
そんな態度のマスターの代わりに、少年のすぐ隣に座っていた女性が立ち上がって、少年へと声をかける。
声は低く、視線はどこか鋭いものを含んでいて、店員のする態度としては、良い物と言えないものだ。
下手な学生のバイトの方が、幾分か上手く誠意を見せられるだろう。

「閑古鳥が鳴くだなんて、失礼な言葉だね。 何時もなら、もう少し人がいるんだ」
マスターが入れたお酒を受け取って、少年のカウンターへと静かに置く。
その言葉通り、安いお酒のようだった――適当なジュースやら、お酒を混ぜたカクテル。
ただマスターの好みで、入っているお酒は日本酒だ。 内装やマスターの格好こそ欧州や欧米の文化を受けているが、置いているメニューはアジアのお酒や和食が多く、これまた奇妙な印象を感じるかもしれない。

「良かったら、隣に座っていてもいいか? ……一人で飲みたいって言うなら、すぐにでも消えるけれど」
つい先ほどまで退屈を転がしていた女性の言葉には、なにか面白い玩具を見つけた時を連想させる軽い調子が含まれている。
女性の顔立ちや体格だけを見ればヨーロッパ系の人間だが、少女の調子や炎の様に赤く揺れる髪が、この世界の生まれでないと容易く分かってしまうほどに、神秘的な色を放っている。
231 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/05(土) 00:11:16.94 ID:x6r1C7Sr0
>>230
「んなこと知ってるよ、わざわざそういう時間を選んで来てるんだからさ」

へらりと笑ってグラスを受け取ると、すいと口先へやって中身を一口含む
見た目で判断するなら10代後半の少年に酒を出すのは些かいただけない気もするが、それはそれ
酒を飲んでいい年齢がどうとか、味が分かるのかとか、そういった事は最早気にも留めずに飲み下し、すぐ二口目にはいかずにぼうっと店内へ視線を巡らす

「……別にいいけどさ、話題なんざこれっぽっちもないぜ?」

その途中ちらり、とそちらをみて視線を固定する、女性とは対照的につまらなさそうな瞳は何の影も映さずに店内照明を受けて煌いて
酒のつまみに語れそうな面白いことなんて、欠片もありはしないのだ……あるとすれば、どこの誰が何をしてどんな末路を辿ったとか、その程度

肩を竦めてため息ひとつ、二口目を軽く含めばだんだんと心地良い酔いも巡ってくる頃合い
どうやら少年は酒にはそこまで強くないようだ、ほんのりと赤らんだ頬を笑みで軽く歪める様を見ればそれは一目瞭然

「ま、どうせならそっちの話を聞いてみたいかな。……来訪者とフツウに話せる機会ってのは、中々ないしね」
「それとも話したくないんなら、別の話題でもあったりする?」

酔ってしまえば言動も大概だだくさになるもので––––とは言っても、普段からこの少年の言動は失礼極まりないものなのだが––––礼儀知らずな言葉をそちらへ向ける少年を、女性はどう思っただろうか
手から離れたハンチング帽子はカウンターの上、ぱさりと置かれて再び手が伸ばされるのを待っていた
232 :ララーナ ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/05(土) 22:39:14.38 ID:gfg7pD52o
>>231
「そうなのかい? ……まあ確かに、騒がしくない時間帯が多いのは、ウチの店の良い所でもあるけれどさ」
振り返り、静かな店内を見渡す。 お酒を飲んで時間を潰すなら、騒がしい建物よりもこういった雰囲気を好ましく思う人は多そうだ。

「それは残念……まあでも、お話なんてどんなものでも良いんだ。 案外、誰かにとっては価値のある話になるかもしれないしね」
背景にある組織の事を思えば――町中、所謂『組織の縄張り』に張り巡らされた様々なシステム。
それらを発展させたり、防衛したりするヒントやきっかけは、街の中に住んでいる人にうわさ話だったり、交流関係だったりする――彼女は、意外なところから話題を拾い上げることだろう。
最も、退屈を持て余していた女性の態度は、そこまで深く物事を考えているようには見えず、純粋にこの場を楽しんでいると普通は見えるだろう。

「ああ……こんな僕の話でよければ、別にかまわないよ。 自分の事を話すのは、慣れたものだしね。
 ただちょっと……慣れ過ぎていて、時々話している自分が退屈になることもあるけれど……これは、君には関係のない話だ」
自分のお酒を入れたコップを手に取る。 薄いガラスの中で溶けかけの氷がからり、からりと音を響かせた。
「聞きたいことがあれば、そこそこに答えるよ。 ……大切なお客様が、良い心地でお帰りできる範囲でね」
こくんと喉を響かせながら、透明な酒を喉の奥に流し込む。ケロリとした様子の女性は、少年とは対照的にお酒に強い様子であった。

「まずは自己紹介でも? 僕は、ララーナ・セントメリーズ。
 君が見抜いたとおりに来訪者で……君たちには馴染みのないらしい、魔法の存在する世界から来た。
 正直なところ、困りきっているよ。 どうしてこんな、訳の分からない世界に連れてこられたのか……」
233 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/05(土) 22:52:55.49 ID:XK5hWmUz0
【日が沈み、太陽の代わりに月が頼りない明かりを照らす頃】
【闇の深いスラム街のその路地裏で、ひどく醜い音がした】
【ばきっ、ばきっ、と何かが砕かれる音。ぐちゃっ、ぐちゃっ、と何かがつぶれる音】
【路地裏での喧嘩など、ここでは日常茶飯事。しかしこの音は喧嘩などいうレベルの音とは思えなかった】
【ぐちゃっと響く音はまるで大きな槌で肉を潰したような音】
【ばきっと鳴った粉砕音は人の骨が砕かれる音ではなく、明らかに壁が砕ける音だった】

う、うわああああああああ!!

【その路地裏から一人、小汚い服装の男が悲鳴を上げて逃げ出した】
【まるで化物でも見たと、そんな顔をして】

あ、なんなんだよ!あんなの人間じゃねぇ!

【全力で走りながら男は叫ぶ】
【静かな夜の街に叫びはよく響いた。この辺りにいるものならば容易に聞き取ることができただろう】
234 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/05(土) 23:08:00.83 ID:0ts+jbPd0
>>233
「うおっ…なんだぁ?」

【街頭が夜道を明るく照らす大通りとは対照的に、視界の先が闇に飲み込まれていると錯覚しそうな路地裏】
【静寂に包まれたスラム街に唐突に響き渡ったのは、恐怖に駆られた男の悲鳴だった】
【その声を聞いたのは人の形をした植物と小さな子ども】
【頭に乗っている小人の方は好奇心が旺盛なのか、きいきいと声の元へ行こうと訴えかけている】

「うっせえな、分かった分かった、行けばいいんだろ」

【人間に拒否権はないのだろうか、悲鳴を頼りに音の元へと向かう】
【音を辿るようにしばらく彷徨えば、ここだろうかとそっと路地裏を覗き込む】
235 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/05(土) 23:20:59.66 ID:XK5hWmUz0
>>234
【覗き込もうとしたその時、まず嗅覚に妙なものが届くはず】
【錆びた鉄と生ゴミをごったにしたような奇妙なにおい、血の匂いが】

【路地裏に広がっていたのは文字通り惨状だった】
【血の雨でも降ったかのようにあたりには血が広がって、かすかなうめき声を上げながら男が数人死にかけて】
【地に伏せる男たちはどれも体の一部を潰され、ミンチのように赤い血肉をさらけ出している】
【そして路地裏の壁には砲弾の後のような穴があいていて、男の言う「あんなの」がどういうものか物語る】

【その惨状の中心にいたのは少女だった】
【手からはちぎれた手錠をぶら下げ、足枷からつながった鉄球を引きずり、視界を断つ鉄のバイザーまで付けられて】
【纏うものは服の代わりのぼろ布。そんないかにも非力そうな、奴隷のような格好の少女がだ】

【足音を聞きつけたのか、路地裏を除く翡翠のほうを見て】

・・・・・・翡翠!

【にっこりと、少女は笑った】
236 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/05(土) 23:33:58.60 ID:x6r1C7Sr0
>>232
「お陰で会いたくない奴に会わずに済んだり……なんてね。静かな方が落ち着くんだ」

ごくり、今度は喉を鳴らしてグラスに波打つ酒を呷る、酒の波間を揺蕩う氷は心地良い音と共に居場所を変えた
その言葉はどちらも嘘でなく真、普段姦しい場所に住んでいるとどうにも、こういった静かな場所でひと時を過ごしたくなるもので
酒を呑むのはもののついでで、本来の目的では無かったが、今ではそれも目的の一つに成り果てようとしていた

「じゃ、次までには用意しとこうか。もっとも、次があれば……だけどね」

からからと笑う少年はだいぶん酔いも回ったようで、頬を薄い朱に染めながら楽しげに笑う様子は、普段の彼からは想像もつかないものだったが
運がいいのか悪いのか、如何せん、ここに普段の彼を知る者は居なかった……筈である
挨拶を頭に始まった自分語りにはしきりにこくりこくりと頷いて反応を返し、ふと言葉が途切れた所で口を挟みこむ

「これはどーも、じゃ、俺も自己紹介を……そうだなあ、タキジって呼んでくれ」
「今じゃこの世界も、魔法もどきで溢れかえってるけどね。お陰様で俺も魔法使いの見習いってワケだ」

潤滑油を挿された口はよくよく回る、普段ならまず自ら明かすでない事も、けろりとした顔で暴露してしまったり
しかし真面目に話を聞く部分も多少残ってはいるらしく、次に紡がれる言葉は素面と変わらないような反応だった

「ま、でもさ。こうやって働けてるみたいだし? 人並みに暮らせてるうちは大丈夫だろ」
「よっぽど元の世界で急ぎの事情があったとかならそりゃ、御愁傷様だけど、さ」

なんて、やや真面目らしき面影を覗かせた所で今の少年はただの酒飲みなのだが
楽しげに歪んだ顔の下、片手で持たれたグラスと氷がまた、澄んだ音を響かせた
237 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/05(土) 23:34:20.98 ID:0ts+jbPd0
>>235
「…おいおい、随分と派手にやってんじゃねえか」

【鼻を突く鉄の臭いに顔を顰めるが、それも一瞬】
【路地裏に広がる惨状を前にしても普段の気怠そうな表情はまるで変わらない】
【それはこの男がただ単にこのような光景に見慣れているからか、それとも人間にそれほど思い入れがないのか、あるいはその両方だろう】

【そしておそらく事の発端であろう少女は、まるで周りの光景など目に入っていないかのように笑いかけたのだ】
【先程まで倒れ伏している男をのしていただろう少女の笑顔に、自分まで巻き込まれないだろうとほんの少しだけ安堵して血の海へと歩き出す】

「よお、アネモネ。なんかあったのか?」
238 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/05(土) 23:43:01.81 ID:XK5hWmUz0
>>237
悪いやつ、やっつけた!

【腰に手を当てて胸を張る。えっへん、なんて可愛らしい擬音が見えそうだ】
【悪い奴というのは今倒れている男たちのことだろう】
【ぼろ布は血まみれで、笑顔も血まみれで、その姿はまるで殺人鬼】
【けれど立ち振る舞いは子供のまま。自分のしたことをいいことだと信じて疑っていない】
【ほら、いまも褒めてなんて言いたげに翡翠を見上げている】
239 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/05(土) 23:49:45.71 ID:0ts+jbPd0
>>238
「おうそっか、偉いなー」

【いかにも褒めてもらいたさそうなアネモネの頭をわしゃわしゃと撫でてやる】
【アネモネがやった事が一般世間でどうあろうと、本人がいいことだと信じているならそれは『いいこと』なのだろう】

「で、そいつらはなんで悪いやつなんだ?」

【それでも少しやり過ぎじゃないかとは思ったらしく、アネモネに問いかける】
【責める口調ではなく、純粋に好奇心からの質問だった】
240 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/05(土) 23:59:30.34 ID:XK5hWmUz0
>>239
えへへ・・・・・・

【頭の上に音符を浮かべて満足気だ】
【頬を染めて、目が隠れていても分かるほどに笑顔を溢れさせる】
【いい事をして誰かに褒められる。幼い少女にとってこれほど嬉しいことはない】

えっと、ね
おじさんなぐってた!

【倒れる男達の服装を見る限り、所謂チンピラと言った感じだ】

そこのおじさんが・・・・・・
あれ、いない

【少女が指差した路地裏の奥には誰もいない】
【おそらく、先ほど逃げていた小汚い男がそのおじさんなのだろう】
【ざっと考えてチンピラがか弱そうな男を狙って暴力を振るっていたというところか】
241 :翡翠/覡 :2014/07/06(日) 00:13:08.90 ID:NZsnickY0
>>240
「ああ、なるほど」

【おそらくカツアゲか何かにたまたま遭遇したのだろう、被害者を助けた結果がこれということか】
【明らかに重傷であろう男達に少しだけ同情するが、アネモネに出会うなど運が悪かった】

「…にしてもよ、これ本当にお前がやったのか?」

【見るからに重そうな拘束具をつけながらも一般人と変わらず動いているあたり、怪力の持ち主なのだろうと予測はできるがそれでもまだ半信半疑】
【壁の穴にいたっては少女の体で為せる物ではない】
242 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/06(日) 00:24:38.31 ID:1fjHWipM0
>>241
うん!がんばった!

【どう考えても常人が頑張っただけで出来上がるような光景じゃない】
【数々の拘束具、舌足らずな話し方、見た目以上に幼い思考、このせかいの人間としておかしい要素は満載】
【そう、少女は来訪者なのだ】
【やせ細った腕には到底力があるように思えないが、これに超人じみた力がこもっているのは確からしい】

がんっ、てやって

【鉄球を引きずる足を思い切り振りかぶり、地面にたたきつける】
【初撃のかかと落としが地面に震わせ、遅れて振り下ろされた鉄球がとどめとなり地面にひびが入った】

ばんってやった!

【拳を握り壁を思い切り殴れば、いとも簡単に穴が開く】
【少女としてはこれが当たり前で、さも当然というようにやってのけた】
243 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/06(日) 00:37:14.53 ID:NZsnickY0
>>242
「…お、おう…そうか…」

【少女の怪力は想像の遥か斜め上をいっていたらしい、軽く引きながらもどうにか返事を返す】
【路地の石畳と壁が無惨な事になっているが、誰が困るわけでもないと気にしないことにした】

【しかし見回せば死にかけたチンピラどもが何重ものうめき声をあげている】
【ここに放置しておくのもどうかと思い、アネモネに聞いてみることに】

「ところでよ、こいつらはどうすんだ?」

【顎で地面に転がる男達を指す】
【ここに放置してもよし、医療施設に連れて行くのもよし】
【トドメを刺すという選択肢ももちろん存在しているわけだが】
244 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/06(日) 00:49:41.54 ID:1fjHWipM0
>>243
どうする?・・・・・

【きょとんと、首を傾げた】
【頭の中身は幼い少女。やっつけた後など考えもしていなかった】
【アニメみたいに都合よくやっつけた相手が爆発してくれるわけじゃないのに】
【しかしほうっておけば面倒なことになりそうだ。少女はそのこともまったく分かっていないが】

えっと・・・・・埋める

【息があろうが、少女にとってやっつけた敵は死体と代わらないのか】
【どこか間抜けで、残虐な発想を平然とつぶやいた】
245 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/06(日) 01:03:14.82 ID:NZsnickY0
>>244
「あー…埋めるのは難しいな」

【スラム街とはいえ、路地はご丁寧に石畳だ】
【この場で埋めるのは不可能だし、かといって別の場所に運ぶのも面倒くさい】
【真剣に考えているあたり、この男も案外ノリノリらしい】

「ようするにだ、跡形もなく消し去ればいいんだろ?」

【だったら任せとけと悪そうな笑みを浮かべる】
【このままこの男にやらせたら確実に悲惨な事になるだろう】

「そうだな、とりあえずこいつらをまとめとくか」

【倒れ伏す男達の襟首をむんずと掴むとズルズル引きずり、一箇所に積むように放り投げる】
【作業を続けさせればチンピラの小さな山が築き上がるはずだ】
246 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/06(日) 01:17:17.16 ID:1fjHWipM0
>>245
【これから何が起きるなんて少女は深く考えない】
【とりあえずこの悪い奴らの残骸がどうにかなるなら何でも良い】
【含みのある「まかせとけ」も、疑うことを知らない少女はただ頼もしく聞こえた】
【悲惨なことになるなんて想像もせず、むしろ少女もノリノリでチンピラを山に積み上げる】

できた!

【怪力の少女の手にかかればあっという間にチンピラの山は築かれる】
【薄れる意識の中で会話聞いていたチンピラたちはただ恐怖に体を震わせる】
【男の一人がかすかに助けてと呟き、乞うような視線を翡翠に送った】
【少女はその視線に気づかない。どうするかは翡翠しだいだ】

247 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/06(日) 01:32:39.01 ID:NZsnickY0
>>246
【目の前に積み上がったチンピラの山を見て満足げに頷く】
【チンピラの命を乞う呟きも視線も翡翠には届かない。まるでいらなくなった物を捨てるかのようにあっさりと、その命を奪おうとしていた】

「よしやるか、刺激が強いかもしれねえから気をつけろよ」

【精神的に幼いであろう少女に警告だけしておく。下手にトラウマになってしまっても厄介だ】
【さて、準備は整った】
【翡翠が正面に両手をかざせば、その先に真っ赤に燃える炎が現れる。そこから何をするかは一目瞭然であろう】
【まだチンピラの山に触れてこそいないが、熱は届く。恐怖心を煽るには十分な効果だ】
248 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/06(日) 01:46:03.73 ID:1fjHWipM0
>>247
【金魚のように口をぱくぱくして、声にならない声を必死で出そうとする】
【たすけて、しにたくない、そんな風に口は動いて。目からは涙があふれ出る】
【刺激が強いといわれても少女は動じない】
【翡翠のように人間に思い入れがないわけじゃない。悪い奴はどうなったって良いというだけ】

うん。やっちゃえー!

【なんて無邪気に言うぐらいだ。少女にとってももはやチンピラたちは人間に見えていないらしい】
【チンピラももう諦めたような顔だ。口を動かすこともせず、光のない目で虚無を見ている】
249 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/06(日) 01:55:44.88 ID:NZsnickY0
>>248
「仰せのままに、お姫様」

【戯けたように言った瞬間、チンピラの山が炎に包まれる】
【焼ける肉の匂い、闇を照らす炎、高く舞い上がる煙】
【時々聞こえる断末魔は聞く者に思わず耳を塞がせるほどのおぞましさに満ちていた】
【普通の人間なら目を背けるだろう惨事を平然とやってのけてなお、翡翠の表情は変わらず気怠げなままだ】

「あとは放置しときゃ灰しか残らねえ」

【一丁上がりだと笑みを浮かべる、炎に照らされた翡翠の横顔は果たしてアネモネの目にどう映るのだろうか】
250 :アネモネ ◆xVQ9i9hUdk [saga]:2014/07/06(日) 02:08:43.37 ID:1fjHWipM0
>>249
ありがとう!

【曇り一つない笑顔で少女はお礼を言った】
【翡翠の横顔は、今までと変わりない友人の笑顔にしか見えていないらしい】
【ただ、おぞましい断末魔を聞くたびにすこしだけ不安げな顔をする】
【これはいいことだったんだろうか、そんな疑問が頭の片隅に浮かんできた】
【けれどそれは泡のように、浮かんでぱたんと消えてしまう】
【今は撫でてもらった喜び、それといい(はずの)事をした達成感が大きかったから】

また、助けてもらった
いつかお礼する!

【ぺこりと大げさにお辞儀して、身を起こすと手をぶんぶん振って別れの挨拶】
【燃える人の山を背景に、少女は笑顔で路地裏を後にした】

//時間なので落ちます・・・・・・お疲れ様でした!
251 :翡翠/覡 [saga]:2014/07/06(日) 02:26:44.74 ID:NZsnickY0
>>250
「おう、どういたしまして」

【少女の葛藤など露知らず、またアネモネの頭をわしゃわしゃと撫でて】
【翡翠の頭はただ、死体を処理したという客観的な事実だけを冷静に見つめていた】

「別に礼はいらねえっての…まあいいか、じゃあな」

【元気良く別れを告げるアネモネとは対照的に、怠そうに挨拶をする】
【自分はもう少しここに残り、全てが灰になって夜空に舞い上がるのを見届けるつもりだった】

//了解です、お疲れ様でした
252 :ララーナ人 [sage]:2014/07/07(月) 22:47:45.31 ID:XwMoCRAeo
>>236
「不愉快な相手が居るなら、話を聞こうか? 場合によっては、追い払ってやれるかも……もちろん、有料でね」
相手は街に詳しい少年だと判断し、組織の「仕事」についてほのめかす。
民間保安企業は、社会的弱者には高価な買い物になってしまう。そんな弱い物のためにも、彼女の属する組織は存在するのだと――少なくとも、彼女はそう考えている節があった。

「なんだ? ……ウチの店に不安があるのか」
『次があれば』という少年の言葉が気になるらしく、眉間に小さな皺を浮かべた。
「ウチの店ほど、お客様の事を考えている店はすくないよ……表面はともかく、内心はね」

「タキジ、タキジだね……覚えたよ。 お客様の顔と名前ぐらいすぐに憶えろって、マスターうるさいんだよ」
後半はカウンターの向こうに聞こえるマスターに聞こえないように、小声で話す。
少しずつアルコールが回り始めたのか頬が赤みを帯びだし、口元も緩くなりだした様子だ。
「魔法使いの弟子? へぇ……それは、どういう意味だい」

「お世話になって、生活には苦をしないけれどさ……」
少年の言葉に、表情が険しくなる――同意できないという感情が、色濃く表れていた。
「本当に、そう思っているのかい? 少し、考えてみてくれよ……何の前触れもなく見たことのない世界に流れ落ちたんだ。
 知り合いにお別れの挨拶も言えなきゃ、向こうでやり残したことも、自分が居なくちゃどうしようもないことも……全部すっぽかして、これからを生かされているんだ」

ちらりと男の方を見た視線は鋭く、微かに非難の感情を感じさせる。
しばらくして首を左右に振り、短い吐息を吐き出した女性の表情は、裏と表をひっくり返したかのような、微笑みが浮かんでいた。
遠くを見つめる様な目のままで、どうしようもなく笑う表情から読みとれるのは諦めの感情だ。

「すまない……つい、感情的になった。 気分を悪くしないでくれよ。お客様に失礼をしたとなると、あとでマスターの説教なんだ」
軽い調子で謝罪をしたあと、ゴクリと弱い酒を喉に送り込む――酔いはまだ感じられず、頭はむしろ冴えてしまう。
「それで、僕の話だっけ? 僕からしてみれば、君たちの科学の方が十分すぎるほどに不思議な存在なんだけれどね……」
253 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/07(月) 22:49:12.75 ID:XwMoCRAeo
>>252
//名前修正
254 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/07(月) 23:42:33.67 ID:kSW3tnR40
>>252
「なんだ、有料か……いや、分かってたけどね」
「ま、生きてたら"次"もまた来れるだろうさ。死んでたらそれまで……勿論、死なない努力はするけれど」

中身が最初の半分ほどまで減ったグラスをゆらゆらと揺らし、中身を攪拌する
上気した顔をニヤけさせ、ふんふんと楽しそうな動き
どうやら酔いは完全に回ったようで、目つきこそ変化はないものの口元の笑みは嫌味の抜けきった素直なものになっていた

「あ?……あー、そこに食いつくか。簡単に言えば俺も、"ただの人間"じゃなくなったってことかな」

予想外の言葉への食いつきに瞬間面喰らったような表情になるが、へらりと誤魔化しを施す台詞に淀みはなく
嘘ではない、嘘では……ただ、暈しただけの言の葉の羅列、すとんと腑に落ちるかどうかは女性次第

自身の言葉に対して剣呑な雰囲気になった女性にさして反応することは無く、くいとグラスを傾けて中身を喉奥に流し込む
もはや舌で味わう事はなかった、そもそもが安さを優先した薄い酒、酔いと言葉を留めないために挿した油をきらさないようにとそれを呷るペースは徐々にあがっていく
歪められた口元のまま横目に女性の変化を眺め見れば、最後に浴びせられた非難の情をするりと受け流して
まるで、そういったものを向けられるのには慣れているといったような、欠片も気にとめないままで、初めて苦笑をみせる

「……ま、俺は異世界に迷い込むなんて不思議な体験したことないからさ、そんなに分かんないけど」
「過去は過去、今は今。迷い込んだ以上、この世界に順応することが今は一番大切じゃないの? ……ってのは無責任だろうけどね」

アリスだって夢から醒めたんだ、今この世界にいる来訪者もいつかは戻れるだろ、と適当な言葉を並べたて
後になって自信をどこに落としたのか、多分と付け足しては肩を竦めてみせる
そして今度こそは、素直に話を聞くつもりらしく。滔々と語り出すララーナの姿を顔の向きを変えて正面に捉え、気にするなと答えてからは静かに眺めるのだった
255 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/09(水) 21:34:34.96 ID:2KJp9njeo
>>254
「もしかして無償≠ナやっても……良かった?」
小さく首を傾げて少年を真っ直ぐに見つめる――女性は、ワザとらしいほどに言葉に深い意味をこめていた。
マフィアだとかヤクザものと言われる界隈なのだ。
彼らがなんの見返りもなく他者へ利益を与える。 つまり、組織に借りを作る必要になのだ。
小さく微笑みまで浮かべる女性に借りを作りたいかどうかは――意見は、それぞれだろうが。

「死ぬかもと考えていたら死ぬ。 まず死にはしないと考えていれば死なない。 ……そういうもんだよ」
傾げていた首を戻し、酔った男にまたどこか荒んだ調子の視線で向かいあった。
瞳をあげたまま、自信をもって目を合わせる様子は、少しづつ男との話に引き込まれているようだった。

「それはつまり、所謂『能力者』というヤツか? ……あるいは、その他か」
男の表情の変化を気にすることなく、言葉はさらに不覚へと噛みつこうとする。
問いかけることに迷いも、遠慮も感じさせない言葉は、単に女性の興味ではなさそうだ。
そう、それは――情報が集まる酒場と言う場所の、会話役という役職に求められた調子である。

「愚痴っぽいを聞かせる相手じゃないな……お酒は、もう一杯どうだい?」
コップに半分ほど残っていたお酒を飲みほし、座り方をやや崩して男に向かい合う。
此処から先は店員と客ではなく、偶然酒場でであった二人の酒の肴にでもと言いたげな態度だった。
「面白い話じゃないよ……僕は、こことは違う世界の住人。
 君たちの扱う化学ってものは全然発達してなかったけれど、君たちの知らない魔法が発達していた。
 とは言っても、こっちの世界の方が暮らしやすいんじゃないかな? いつでもどこでも連絡ができる機会があるし、魔法の扱いを覚えるよりも武器を作った方が便利だしね」
256 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/09(水) 23:51:25.22 ID:MbEqtXRd0
>>255
「……や、遠慮しとくよ。生憎と、借りは作らない主義でね」
「なんだったらむしろ、そっちの仕事を引き受けてもいいけど?……こっちは有料でしかやってないけど、ね」

少年とて近しい界隈で生きている身、酔ってはいるが言葉に込められた意味に気づかない訳ではなく
安易に貸し借りの関係に陥るつもりは毛頭ないらしい、ゆるりと首を横に振り女性の提案に断りをいれた
そうして今度はどうやら自身を売り込むつもりのようで、仕事はあるかと暗に問いかける
にやりと嗤い笑っては商魂逞しく、全て溶けきった氷は水となって酒の合間に靄を生み出す
それをゆらゆらと混ぜ込めば中身を最後の一滴まで口に流し入れ、女の言葉に耳を傾ければ出てくるのはこの一言

「……そう思えたら山々なんだけどね、生まれも育ちもスラムなもんで」

幼少の頃……まだ祖父母両親が存命だった頃から、死は隣にあるのだと常日頃見せつけられてきた––––––幾ら見たくないと願おうが、関係ないとばかりに、まざまざと
肉親全てが隣あわせのそれに命を掠め取られてからは、願うことも辞めてしまったけれど、おかげで今の自分が居るのだと思えばそう悪いものでもなかった
荒んだ視線に淀んだ瞳を返し、仕事をこなそうとしての問いかけにはご想像にお任せするよ、とぼそり呟く
もう一口酒を、とグラスを傾けて気付くのは、つい先程中身を全て飲み干したという事で
そこに丁度掛けられるのは、2杯目はどうかという勧め、当然、断る理由もなかった

「……じゃ、同じのでも頂こうかな。」

ことり、グラスをカウンターに戻せば、いずれはマスターが回収するだろうと放置し、見向きもしない
そうして女性に倣って体勢をやや崩し、手持ち無沙汰になったのをいい事にその語りに耳を傾けはじめる
……便利な機器も、金がなければ手に入らないのだと、横槍を入れるのは辞めておこうと考えながら
257 :アケビ :2014/07/10(木) 19:33:54.93 ID:6bQvodJQo
【キャラ名】
アケビ
【性別】

【年齢】
13歳
【種族】
異世界人
【容姿】
幼女。狼の耳が生えてる。弱点は尻尾。
【出身】
異世界(ファンタジーな世界)
【職業】
浮浪児
【能力】
ディープフォレスト

自分の周りにある植物・知能の少ない動物・無機物に、知恵と抗う力を与え、
ある程度自分の思うように動いてくれるようにする魔法。
射程は300m程度。
自然の少ない場所では意味が無くなったりする。

【所持品】

<ひのきの棒>
殴ると痛い(自分の手が)

<布の服>
かろうじて大事な部分を隠せている。意外と丈夫。

<植物図鑑・動物図鑑・世界のきのこ全集・元素周期表・その他モロモロ>
能力の為に持っている。ゴミ箱から見つけた。

<袋>
袋。丈夫。

<リス>
着いてきた。

【詳細】
母親も父親もよく覚えてない。
犬に姿が似ていたので、森の皆がよく助けてくれてた。
森の近くにあるごみ捨て場から、本を見つけ、読んでる内に、言語は覚えた。
発音はうまくない。

魔法に気がついたのは7才のとき。
自覚は無かったが、常に発動していたらしく、
森の皆が助けてくれたのは、それもあったらしい。

12才で森が開発され、森から出ることを余儀なくされた。
リスだけついてきた。
名前はまだない。
付けてあげてください。


こんな感じでいいのかな?
258 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/10(木) 23:33:07.71 ID:w8GmcJ5no
>>256
「……そうかい? それは、残念かな」
少年の断りの言葉に静かに頷いてみせる。
女性は、どこか少年の言葉に満足げな様子でもあった。

「チンピラの手数なら足りている……お前よりも、見た目で10倍は強そうな連中がだよ。
 ウチで仕事が欲しいっていうなら、睨むだけで町の連中を黙らせるような厳つい顔にするか……もしくは、僕らが興味を示すような物を持ってくるとかね」
与えられる仕事は無い――だが、役立つものがあれば買ってやると。
「僕らの縄張りで、規則違反の商品を扱う人とか……もしくは、ウチらの縄張りを狙う粘稠とかね。 そういう方向で、顔が広いんじゃないか」

「話題なんか、これっぽちも無かったんじゃ?」
自然と零れ落ちるようにあふれ出た、少年の出自に関する言葉。
それが自然と引き出せたことに――もちろん、アルコールの力が大きいだろうが――女性は、満足そうな表情を浮かべた。


「ああ、マスターが持ってくるよ……マスター!」
カウンターの方へと振り返り、低い返事が戻ってくればすぐに少年の方へと顔を戻す。
「ああ、そうだ……僕らのような連中から仕事が本気でほしいと考えたなら、お酒の一本や二本は奢って見せた方がいいかもね。
 僕たちみたいなのは……変にデキる男よりも、見た目相応に可愛げのある方が好きなんだ」

「僕は……こう考えると、何もないのかもね。
 戦争の多い世界だったから、それで僕は女でも戦うための優れた能力があったから……
 それに、僕自身も戦うことが好きだった……今でも好きだ。
 時には英雄の様にも扱われていたんだよ。 今じゃ、思い出したくない記憶だけれど」
259 :アケビ :2014/07/10(木) 23:34:02.78 ID:6bQvodJQo
>>258
//これって参戦しても良い雰囲気ですかね?話に割って入ればいいのかな 
260 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/10(木) 23:36:12.28 ID:w8GmcJ5no
>>257
//こちらは、ロール用のスレになってますので……
//キャラクターの投下は 一度 http://jbbs.shitaraba.net/internet/21063/ の避難所にどうぞ!
261 :アケビ :2014/07/10(木) 23:36:52.55 ID:6bQvodJQo
>>260
おkです すいません丁寧に
262 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/11(金) 00:39:56.92 ID:G/OGOdvS0
>>258
「……残念。じゃ、今の所は潔く諦めとくよ」

肩を竦めて苦笑をひとつ、厳つい顔になるには時間が10年以上足りないねと零すものの、酒がないせいでどうにも舌の調子が狂ってしまう
油のきれた歯車はきしきしと軋みをあげる、それは幻聴だが、確かに少年の耳には聞こえて
もし女性にも聞こえたのならばそれは、二人の座る椅子から聞こえたのか、それとも……

……閑話休題。どうやら少年は貪欲に喰らいつく訳ではないらしく、女性が強めに言葉を放てばあっさりと引き下がってしまう
顔の広さや裏の筋の情報には自信もありはしたが、今はそれを売り込む程の場面でもない
結局は酒の肴なのだから、仕事の話をいつまでも引き摺るつもりはなかった

「面白くもない話なんざ、ツマミにはならないだろ?」

それに酒も不味くなる、と苦笑してはマスターからの二杯目を待つ
トントン、とカウンターの一部を指で叩いてここに置けと示し、視線と顔は女性に向けたまま
今迄生きてきて、心の底から楽しいと思った事など殆どない……僅かにあるそれは全て、酒の力を借りたものだった

「……可愛げが欲しけりゃ富裕層のガキでも捕まえなよ。同類にそれを求めるのは野暮ってもんだろ?」

何の同類、とまでは言わずとも分かるだろうと告げる事はなく、やや不機嫌そうな顔になるのは酔いのせいで感情の制限が緩くなっている為
どうやら奢る気はないらしく、タン、と一際大きく指でカウンターを叩けば、存外大きなその音は店内のどこまで届くだろうか
脚を組み、ふてぶてしくも大きく息をついて、聞き続けるのは語り部の声

「……英雄、ね」

ぽつり、と思わず零れるのは昔の記憶の奔流––––主に、書物に関する事柄についてだが––––その中でも何故か記憶に焼き付いている、随分と昔に執筆された虚構の英雄譚を思い出したから
あの英雄は最後にどうなったのだったか、確か、意中の相手と結ばれて平和に暮らす……なんて面白みのない終わりだった気がするが、もしかするとこれは自身の脳内で捏造された終章なのかもしれなくて
瞳の淀みは消えたものの、かといって生き生きとした輝きが灯る訳でなく、脳内を奔るモノに頭を悩ませつつも表にそれを出さぬよう表情を取り繕うのだった
263 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/12(土) 23:43:01.80 ID:c+HLlb1qo
>>262
「まあ、話ぐらいなら何時でも聞いてやる。 もちろん、無償でな」
肩をすくめる少年へと、女性は微笑を浮かべる。
奇妙な音に気が付いた様子はなく、幻聴を耳にしたとしてもアルコールの酔いですませてしまうだろう。
「その時は……場所代に、酒ぐらいは飲んで行けよ?」

「僕は、そういうのも面白いと思うけれどな」
少年の指示通りの位置にお酒をそっと置く。 一応、お客へと差し出す消費なので、その仕草だけは非常に丁寧だ。

「それこそ問題外だろ。 アイツらは僕たちを見下している……あるいは、人とも思っていないんじゃないか?
 特に能力者や、異世界人は嫌われる。 僕も実際のところ、嫌いだしね」
コップを空にして、手元に置いて氷を鳴らす。 ――今日のアルコールは、これでおしまいだ。
「大きい分類で見たら同類だろうけれどさ……チンピラにも色々といるだろう?
 自分一人で生きていけると思うヤツ、自分の力に自信のあるやつ……そういうのよりは、誰かにへこへこ従えるチンピラが可愛いって話だ」

「英雄、だけれど……」
紡ぐ言葉を虚空に探すが、すぐには話の行先を見つけられず――少年の表情を真っ直ぐに見る。
その表情から感じ取れる情報は多くはないが、その雰囲気を感じて言葉を定めた。
「戦いの相手からすれば、英雄ってのは最も恨まれる存在だって……分かるだろう?
 すごい辛かったんだ……今でも辛いよ。 何にも知らない、一人の人だっていうのに……敵は沢山で、味方ははやし立てるし。
 結局逃げ出すしかなかった……なんて終わりは、何の面白みもないかな」
264 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/13(日) 01:18:32.30 ID:hQuplTyW0
>>263
「はいよ。ま、そこまで食い扶持に困ってる訳じゃないから、機会は少ないだろうね」

困っていたらそもそもがこの店になど来られないのだから、少年の言葉は至極真っ当と言ってもいい
しかしそれならば何故仕事の話をわざわざ持ち出したのか、あっさり引き下がる様子からも多少違和感を感じられるかもしれないが

「……教育熱心な方々の見事な手腕のお陰でね。こっちとしちゃ、金の払いさえ良けりゃ、向こうに何て思われようと気にしないけど」
「相手を好きか嫌いかじゃないんだよ、俺は。たとえ俺の事を虫ケラと思おうが吹き溜まりのゴミと思おうが、ビジネスライクなお付き合いさえできれば立派な"お客様"さ」

好き嫌いなどとそんな感情的な理由で、仕事相手を選んでいては金は手に入らない。カーストが下であればある程に、相手を選り好む余裕がなくなるのはどの世界でも同じなのだろうか
やけに自分語りを推してくることに辟易しつつ、それはまた今度と受け流しを試みる
もう一押しとばかりに今日はあんたの話だろと話の先を促す視線を送れば、それはどういうように受け取られるのか

「……悪いけど気があいそうにないよ、俺は誰かに尻尾振って生きるのはゴメンさ。こんな身分だけど、胡麻擦りする程にまで落ちぶれたつもりも無いし、ね」

自分に自信がある訳でもないけど、と今日だけで何回目かの肩を竦める動作。一人で生きていけるなんて夢と希望など持ち合わせる余裕は少年にはなく
仕事の本筋こそ一人でこなしているが、その裏には大勢の協力者の存在があって。力に自信などありはしない、戦いに向いた能力をもつことが出来ればどんなに良かったことか
一攫千金の夢物語よりかは、いくらか現実味のある話の方が好きだった。地道に続けて、今ではある程度の太さのパイプもある

「……英雄も革命軍の指導者も、結局は皆体のいい生贄、スケープゴートさ。恨み妬みは出来る限り一点に集中させた方がいいからね」
「勝てば官軍、負ければ賊軍……賊軍の英雄がどうなったかなんざ、語られた事はないけど誰もがわかってるだろ?」

つまり、だ。と人差し指を立て、すいと泳がせて女性へと向ければその口から放たれる言葉は至極簡素なもの
逃げたことを責め立てる訳でなし、なすがままに祀りたてられた事を咎める訳でもなし

「英雄なんて辛くて当然、逃げて当たり前だよ。冒険譚の奴等が異常なだけさ、現実味がある分アンタの方が面白いと思うけどね」

にやりと笑みもう一口と酒を呷れば、いい具合に舌の調子も戻ってくる頃合いだった
265 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/07/16(水) 21:30:11.02 ID:Qjycjps3o
>>264
「そうなのか? 食い扶持を探して、仕事をするようなタイプの人には見えなかったけれど……」

感じた違和感はすぐに心の内から飛び出し、言葉となって男のへと飛来する。
炎が燃えるかのような輝きを放つ瞳はよく言えば無垢、悪く言うとするなら短銃で分かりやすい色をして、彼女の内面世界を表すかのようだった。

「に、してもだ……随分と、苦労をしそうな仕事を選んだものだよ。
 この、ここが下層の街だとは言っても……もう少し危険も少なく、食い扶持をかき集められる仕事ぐらいあるだろう?」

とはいえ、言葉を流し始めた男には必要以上に噛みつかないで、それ以上の言葉は飲み込む。
この会話をこれ以上続けるかどうかは、少年次第だろう。

「君……その調子だと苦労して生きていくことになるよ。
 胡麻擦りだってできないよりもできた方が良いし、プライドなんて捨てられた方が楽に生きていけるのさ」

何がこの若い男にそんな生き方をさせるのか――お酒がなくなって、溶けた氷だけが入ったコップを手に取り、結局すぐにカウンターに戻す。
それ以上お酒を飲む気分にも慣れず、椅子を回すと男の横顔を正面にするように座った。

「絶対に苦労する。 ……同じような経験をしてきた僕が言うんだ、間違いないと思った方が良い」

「随分と簡単に言ってくれるね……理屈でいえばそうかもしれないけれどさ。
 酒の力で愚痴っているんだ。 僕としては諭すような言葉よりも同情の甘い響きが欲しいけれど……今でお客様が楽しんでくれているなら、それが僕の仕事の一部だ」

重くため息を吐き出して、男の前でため息を吐き出す――どことなくその仕草は、疲れた様子を思わせるだろう。

「けれど、それだと英雄の悪い部分だけ見ていないかい? 
 それこそ勝ては官軍なんだ……栄光と富、支持と権力に満たされた生活が許されるんだよ、英雄ならね」

「もんだいは……僕はそう、君の言う通り英雄であることから逃れてしまったということさ。
 多分、本当の英雄ではなかったのだろうね。 ……少し言わせてもらうなら、皆が望む英雄では居られなかった。 胡麻が擦れないし、振る尻尾は最初からついていないんだ」

「今では、本当に後悔をしているよ……意地なんて無意味だ。
 プライドなんてなんの得もしない……茨の道の先は、もっと悪い未知のことがある。 ううん、その方が多いんだ。
 なんて話をしたくなるのは……多分、相手が君だからかな」
266 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/07/16(水) 22:47:47.60 ID:k01pcNIL0
>>265
「お陰様でね、昔は色々とあったもんだけど今は安定してきてるよ」

仲間づくりから上客の確保まで、指折りではとうの昔に足りなくなった程に、苦労と罪を重ねて来ている
今でも苦労の種がなくなった訳ではないが、強制的に自立に追いやられたときよりかはかなり少なくなっていて、収入もそれなりに安定しているつもりだった

「……ま、俺にも事情の一つや二つ、あったって良いだろ?」

この話はこれで終わりだ、とぶっきらぼうに少年が締めて話題はここで途絶える事となる。元々が予想外に喰いつかれた話題、漸く相手が見せた引き際を逃す手は無かった
残った酒の半分をごくりと飲み下し、かたんとカウンターにグラスを戻せば、女性の声がやけに耳について

「とっくの昔から苦労しっぱなしだよ。……けど、擂鉢なんざ落として割った上、尻尾は自分で切り落としたからね。考えを変える気はさらさらない」
「俺は俺の思うように生きるだけ、それでどうなったとしても全部が自分の選択ミス。さっぱりしてて良いだろ?」

疲れの表れた溜息にこちらはどことなく自信の表れた笑みを返して。急に一人で、スラムに放り出された幼い頃の少年はどうやらそういった考えに至ったらしく、今でもそれは変わっていない
きいと椅子を軋ませながら動かし、酒にほろ甘く酔いながらも話を聞く態度は変わっておらず

「……悪いね、利点より難点が先に目についちまうのさ。癖みたいなもんだ」
「だが、本物の英雄になると吸える美味い汁ってのは大多数の犠牲の上になりたつもんだ。俺は犠牲になる側の人間なんでね、そういうのがどうしても気になっちまう」

「あー……どうせ酒の席だ、俺なりに一つフォローをするとだな。あんたは全くもって悪くない、悪いとするならそれは民衆どもさ」
「人選ミスだよ、英雄にするヤツを間違った、それだけさ。あんたなりに後悔する分には止めはしないが、一番悪いのは別の奴等なんだからそこまで深く考える必要もない」

筈さ、と付け加えてしまったのはこういった話にあまり慣れていない為。酒の力をもってしても不慣れな会話を続けるには厳しいものがある
やや言葉を選びながら最後まで言い終えたならば、大きく一度息をついてグラスをやや乱暴に掴むと、正解に近い言葉を返せたのかどうか、皆目分からないまま少年は残った酒を全て身体におさめたのだった
267 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/08/05(火) 23:50:35.64 ID:7GTHezlOo
>>266
「若い割に、苦労をしているみたいだね……僕よりも少し下ぐらいだろう?」
幼さも見える少年の容姿には似合わない、深い『疲労』の色を感じさせる言葉。
見た目からでは読み取れない重みを背負っているらしい少年の姿に、女性の方がため息を吐き出しまった。

「ああ、無理に聞き出したりしないよ……できることなら、お客様には気持ちよく帰ってもらいたいからね」
興味が無いわけではないが――少年の頼みを素直に呑み込む。
あくまでも肴。できることなら、お客の舌に合った味に料理したい。

「達観してる……とでも言うのかな?
 僕にはわからないかな――男らしさってやつかな、そうやって割り切れるのは」
自信に満ちた笑みの隣、少女は困ったような笑みで答える。
背中を曲げてカウンターに重心を委ねると、首だけ曲げて少年の顔を見上げるように。

「間違っていなかったのかな? ……そうだといいけれど。
 ただ、本質というものは変わらないのかな? 僕はまた、この世界が許せないでいるんだ。君たちの世界がね……。
 ここはさ――例えば、君の様に犠牲になる人が多すぎる。 それはよくないことだ。 なんかさ、気に入らない」
短い溜息を吐く――しばし、沈黙して虚空を見つめた。
「力を持つことには、責任が付きまとう。 力
268 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/08/06(水) 20:18:33.29 ID:V7RY+BE/o
>>266
「若い割に、苦労をしているみたいだね……僕よりも少し下ぐらいだろう?」
幼さも見える少年の容姿には似合わない、深い『疲労』の色を感じさせる言葉。
見た目からでは読み取れない重みを背負っているらしい少年の姿に、女性の方がため息を吐き出しまった。

「ああ、無理に聞き出したりしないよ……できることなら、お客様には気持ちよく帰ってもらいたいからね」
興味が無いわけではないが――少年の頼みを素直に呑み込む。
あくまでも肴。できることなら、お客の舌に合った味に料理したい。

「達観してる……とでも言うのかな?
 僕にはわからないかな――男らしさってやつかな、そうやって割り切れるのは」
自信に満ちた笑みの隣、少女は困ったような笑みで答える。
背中を曲げてカウンターに重心を委ねると、首だけ曲げて少年の顔を見上げるように。

「間違っていなかったのかな? ……そうだといいけれど。
 ただ、本質というものは変わらないのかな? 僕はまた、この世界が許せないでいるんだ。君たちの世界がね……。
 ここはさ――例えば、君の様に犠牲になる人が多すぎる。 それはよくないことだ。 なんかさ、気に入らない」
短い溜息を吐く――しばし、沈黙して虚空を見つめた。
「力を持つことには、責任が付きまとう。 力を偶然手に入れてしまったものは、それに答えて偶然力を手に入れられなかった人を救う義務がある。
 ……そんな風に、考えることはないかい?」

//途中送信のため、再び投下します……すみません。
269 :瀧野瀬信次 ◆HFWFBjPx1o [sagesaga]:2014/08/10(日) 21:44:26.65 ID:gwYoXhzZ0
>>268
「……さあ、どうなんだか。一応は未成年のつもりだけど?」
「ま、この世界じゃ俺はマシな方なんじゃない?自分で生き方を決められる程度には余裕もあるんだし、さ」

未成年と言いながらも先ほどまで悪びれることなく酒を飲んでいたのだから、もしかすると案外成人済みだったりするのかもしれない。外見は未成年のそれだが
事もなげに自分はマシなのだと告げる口調からは、ララーナの言う通りどこか達観ともとれる諦めの色が滲んでいて
空になったグラスをすいと滑らせて身体から離すのは、もう酒は要らないという無言の合図。己の限界、引き際はきちりと理解しているつもりだった

「悟ってる、とも言ったりね。俺にはこういう生き方が一番しっくりくるのさ」
「生きる道すじってのは、どうしても生まれで決められ易い……新しい道に辿り着くのには、かなりの犠牲と労力が必要だ。道なりに歩く奴等の殆どは今のままでいいって思ってる事だろうさ」

俺みたいなはぐれ者も居るには居るけど、とぽつりと呟けば、ふぅと鼻から息を吐き出す
酒が無くなり、椅子を軋ませながら姿勢はララーナとは真逆
男らしさ女らしさという言葉は、異界の存在である目前の者にも当てはまるのだろうかと、ぼんやり思いながら次の言葉を紡ぎだす

「……さっき人選ミスって言ったけど、あながち間違いじゃ無かったのかもね。あんた、いかにもそれらしい思想をお持ちじゃないか」

この世界で革命でもしてみるかい?とやや皮肉げに笑う。しかしその笑みは女性の言葉を下卑する非道いものではなく、不快感も恐らくは与えない筈だ
寧ろ、盲点だったとでも言いたそうな、意外性を湛えた瞳をそちらに向けて

「……これはあくまで俺の持論なんだけどね、この世界はまだ"できたて"……つまり赤ん坊の状態だと思うんだ。今はまだ酷い有様だけど、時間と共に成長する……そんな気がするんだよ、俺は」
「どれだけ時間がかかるかは分かんないけどね、赤ん坊を叩いて起こすような馬鹿はいないだろ?だから、あまり刺激的な真似はして欲しくないんだけど」

ここで区切り、一度息を継ぐ。聞いているとまるで変な行動はしてくれるなと言っているようだが

「……ま、揺すって起こす分には何の問題もないと思うよ?」

そう言った少年の顔にはまるで御伽噺の革命を待ち侘びる悪戯小僧のような、純粋な笑みが浮かんでいるのだった
270 :ララーナ  ◆bizoMPXTAd3P [sage]:2014/08/11(月) 12:01:55.94 ID:/0eyKmNoo
>>269
「まあ、僕も若いからね……人を見れるほどの者じゃない。
 年齢相応の振る舞いが出来ないって、ある意味じゃ不幸な気もするけどな。 ……僕も含めて」
言葉を受けて、男の様子を鋭く見つめる――男の色、精神の色――本当の姿を探すのだ。

「やれやれ、僕たちのこういう話……大人たちは笑ってみているんだろうなぁ。
 大人たちから見たら、まだまだ子供だって言われるよ。 ……僕も、悟っているつもりなんだけれどね」
批難のような視線の混じった言葉は、あまる調子に乗るなと言いたげだった。

「思想家だから選ばれたのか、選ばれたから思想家になったのか……そこは、今となっては僕にも分からないけどさ」
革命=\―青年の言葉に眉間の皺を深くする。
少年の皮肉に鬱陶しいとでも言いたたそうにため息を漏らして、氷しか残っていないコップを揺らしてカラカラと音を響かせる。
虚空を鋭く睨み付けながら、胸の内では革命という言葉の重みを幾度も繰り返し噛みしめる。

「揺すって起こして大声で鳴かれたら、あやすのに苦労するだけだよ。
 成長を待てないっていうのは我儘だ。 ――我儘、なんだよ」

「ごめんね。 ……君の期待に応えらることは、何も起こらないよ。
 今の僕には、その道へと至れる筋はないからね。 昔とは違って、今の僕はただの雇われ者。
 個人としての力はともかく、世界と戦うような力はないよ」
ふと首を曲げて男の笑みを見ると、優しい言葉を選びつつ口調は厳しく、突き放すように言い放つ。
「うん、じゃあ……あとは、適当に飲もうよ。 吐くまで飲んで、なるべくウチの店にお金を落して行ってさ」
後は酒飲みの悪い癖、飲めない人にもどんどん飲ませようとするだけである。
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