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【白紙の夏】ここだけ白紙世界【六歩目】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) :2014/06/23(月) 23:22:09.50 ID:Koaqj/vjo
やあ、よく来ましたね!ようこそ自由の世界、白紙の世界へ……
ここは作られたばかりの世界……これからこの世界を作るのは、貴方です。
この世界に来たいとお考えならば、私たちは歓迎しましょう。
この世界で戦うもよし、懇親を深めるもよし……しかし、以下に目を通してからの参加をお願い致しますね。

・このスレではキャラクターの能力に制限が設けられておりません。
・だからといって相手をないがしろにして良い訳ではありません。むしろより強い配慮が必要です。自由と自分勝手は別であるということを心にとめておきましょう。
・キャラクターを動かす際には相手がどのキャラを動かしているのか理解するためにも酉・コテハンをお薦めします。
・短文長文は問いません。楽しみ、楽しませることを第一としましょう。
・18禁に当たる、過激なエロ・グロ行為は禁止とします。
・イラスト等の盗用、著作権を侵害する行為は禁止です。
・確定ロール、無敵ロールなどのロールでのチート行為を行った場合は然るべき対処を行います。自己責任の下、絡まれなくなったり注意されても文句を言わずに訂正しましょう。
・PLに対しての誹謗中傷は避けましょう。
・荒らしが来ても絶対無視。反応するとつけあがります。
・版権キャラクターは不可。オリジナルキャラ限定。
・当スレは、個人が運営する非利益のコンテンツです。スレで起こったいかなるトラブルも不利益も、当スレは一切責任を負いません。


―――以上です。
では、この真っ白な世界を、どうかルールを守ってお楽しみください!

【避難所】:ttp://jbbs.livedoor.jp/internet/18172/
【Wiki】:ttp://www55.atwiki.jp/whiteworld/
※前スレ
【総てが白紙となる冬】ここだけ白紙世界【伍歩目】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1386589728/
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/06/24(火) 00:00:56.00 ID:SiMNU/LI0
3 :陽炎 ◆LUMFQ0Vuok [sage]:2014/06/24(火) 11:28:47.47 ID:YNaWaP+xO
>>1乙です!

>>998
>>999

…くそ、この程度では奴には届かないか。

【重力波を防がれ、次の策を考えようとするが、そんな暇すら、敵は与えてはくれない】

…200万だと…?その程度で俺の光を奪えると思うなよ。

【全方位に闇を展開し、再び相手の腕と相殺させ防ぎ切る】

…そういう事か、ならば。

【手を振り上げ、更に攻撃を畳み掛けようとする。そう、これは時間稼ぎだった。と、同時に自身の中の闇の貯蔵を始める】

【そして、ゴボウに迫るナイフをヴォルガスが防ぐが、ナイフにより龍の一部が切断されるが、黒龍は陽炎により作られた闇の一部。故に再生は迅速に行われる】

【黒龍はゴボウの頼みを聞き入れ、ちゃっかり梅ガムを食べ、ゴボウの前に立つ。重苦しい咆哮を放ちながら、ゴボウに迫る怨念に対して攻防を繰り広げる】

…ヴォルガス、耐えてくれ。

【片腕でヴォルフガングの攻撃を迎撃しながら、もう片腕に闇を集結させて行く】
4 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/06/24(火) 14:34:47.76 ID:96CxNV9+o
>>1
前スレ>>996
【屋根から港へ向かう鳴海の視界に広がるのは、沈んだAurigaの艦の残骸と未だ浮かぶ“逆鈎十字”を掲げた艦。】
【眼下にはAurigaと共闘するのは、以前の作戦説明時に何度か見た覚えのある顔ーー国連軍。】
【対する第三の軍勢はAurigaの兵と比べても、明らかに装備の質も、量も違う。】


「確かハンスの目的は、逆鈎十字の再興……まさか」
【嫌な想像に頭を巡らせている内に、後退・前進する二軍の境界線に近付いており。】

【一も二もなく屋根から戦線へと身を踊らせーー。】

「不意で悪いが、固まってもらおうか!」
【全身から第三の軍勢に向けて、大量の粒子を放射】

【休眠時も最小限に抑える事で溜めていた粒子は一寸先すら見えない濃密な煙のように、無人機と強化外殻の軍勢へと降り注ぐ。】

【それぞれに付着する粒子は後から来る粒子と結合し、体や機体を飲み込みながら鉛色の結晶体を形成】

【イリジウムを遥かに凌駕する重量で足を止めを行いつつ、軍勢に付着しなかった粒子を境界線へと集めて透き通る翠の防壁を造り上げる】

【防壁とは言ったが強化外殻を纏ったものならば、容易に乗り越えられる程度のもの】

【また、耐久力も機械の軍勢が破壊を撒き散らせば、直ぐとは言わないまでも破壊されてしまう程度。】

【飽くまでも、その場凌ぎの急造品に過ぎない】

「誰か! 手短に今の状況説明頼む!
 終わったらさっさと撤退を!」
【壁の形成と同時に着地しつつ、大声で背後の軍へと現在の状況を訊ね】

(溜めてた粒子は……あと刃一本で打ち止め。
 ここからは精製量と場の粒子のやりくり、か)
【同時に粒子残量といつ切れるか分からない粒子の精製に思考を巡らせーーそれが、目に入った】

「紅い……あれは、血?」
【目に入ったのは防壁の透明度と、完全に粒子の射程外だった事もある】

【だがそれ以上に目を引いたのは、既に襤褸襤褸であるにも関わらず、退く気配が見えない】

《俺が死ぬのは、いつだって戦場だ》
【断片的にハンスの言葉が蘇る。】
【もし、この場にいる全員が同じ願望を持っているのならーー】

(俺は、やれるだろうか)
【たまたま今日まで不殺ではあったが、それは運良く。或いは運悪く、今のも含め後回しにして来ただけの事】
【足止めが失敗していたのなら、それも含めて殲滅しなければならない。】

「……いや。何だろうとやるしか、ない」
【まだ決め付けるのは早計過ぎるがーー、どちらにせよ。撤退時間を稼ぐには、ここでやり合う以外に道はない】

【そう奮い立たせ。右肘から腕へと沿うように、断頭台の刃を歪めたような形状の2mの刃を形成した】
5 :エヌオー ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/24(火) 17:42:58.76 ID:eW/08zwto
前スレ>>978
くそっ!総員退避!後ろの守りを固めろ、コイツは俺がやる!

【一瞬で血の煙に変えられた兵士達、それを見て萎縮する兵に檄を飛ばす】

いいな!絶対にここは死守しろ!危険だと思ったら退避する、いいな!命だけは守れ!

【続けて指令をを出せば目の前には一人の少年】
【前回の作戦において"生かされて"しまった哀れな少年が自分へと牙を剥く】

避けるわけにゃ……いかねぇか

【無数の闇の障壁を展開、さらに少年の拳と地面を繋ぐように鎖を放ちその攻撃の軌道を逸らす】

よう、大工原。元気でやってるか?

【大工原の間合いにわずかな時間とは言え入っている、それでも最初の一言がこれだった】

ってかフィアが目的なら暫くすればくるぜ?"生かされた"兵士さんよォ

【鎖を大工原の後方に射出し、横を高速ですれ違いざまに嘲笑う】
【兵士でありながら生かされたと、情けをかけられたと】

でもま、こんな面倒なことになるなら殺しておいても良かったかもな
まあ彼奴の行動には別に制限かけてねぇし時既に遅しだし?仕方ねぇけどよ

【後方に飛んだあとも振り返ることはなく両手を広げ芝居がかったように語りだす】

で?今回俺を殺そうとする理由だけ聞いてみようか
まあ私怨って訳でもねぇだろうし、任務だからって回答は予測できるが……
ハンス達逆鈎十字の謀反ってとこだろうな。ま、Aurigaだしいつかこうなるとは思ってたけどよ

【わざとらしく現状の確認などを踏まえて問いかける】
【そして回答などなく、もしくは回答しながら攻撃されることを予測しながら】
6 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/24(火) 19:14:17.47 ID:1JUXyMiwo
前スレ>>987

【怒声を上げ、メイスを振り下ろす老騎士】
【リーチは明らかに足りていない。にも関わらず、老騎士は少しの迷いも無く、その武骨な鉄塊を地に叩きつけた】
【迸る衝撃波。大地を空間ごと震わせるかのような威力が、バードランドの細身へ向かって行く】
【が――】

……『細い』か。
……お褒めに預かり、光栄ですよ。

【鷲頭の杖を、素早く廻す】
【瞬間、辺りに満ちるガニーの『ミスト』が、バードランドの足裏と大地とを、それぞれ薄く『凍結』させた】
【続いて辺りに巻き起こる強風。真夏の台風にも引けを取らない風速が、『バードランドを』直撃する】
【――すると、どうだろう。強風に当てられたバードランドは、まるでスケートリンクを滑るかのごとく……】
【凍てついた地面の上を、衝撃波の及ばぬ地点まで、一瞬のうちに移動してしまった】

昔から、身体は弱くてね。食も細いし、よく叱られましたよ。
……だが、何だ。貴方のようなマッチョになるよりは、数倍マシな気がしますがね

【強風で乱れた軍帽を整えながら、再び杖を鋭く振るう】
【冷えた空気がしばし暖まり、そしてまた冷え、『雹』を生んだ】
【さらに、雹を内包する雲はしだいに形を変え、『台風』にも似た中規模の竜巻となって、老騎士へと迫っていく】
【無数の雹と共に進む、その竜巻は……さながら、天然の回転鋸だった】

『中尉っ!』

……分かっているさ。『近づけては駄目だ』、だろう?
心配してくれて嬉しいよ、ガニー……片をつけるさ、この間合いでね

【杖を巧みに用いつつ、凍てついた地面を滑って移動する】
【だが、進行方向の地面をその都度凍結させているため、竜巻への『ミスト』配分は少々不安定だ】
【強力な威力を以てすれば、竜巻の破壊も容易だろう】
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/06/24(火) 21:22:37.40 ID:9Ow5qLKSo
>>999
>>3

「光。など。こ。no世界にありはしない。」

【握るライフルの槓桿を引くと、一発。憎悪に満ちた弾丸を装填した。】
【世界を覆い尽くすのは、余りにも膨大な怨念達。彼の周囲は、地獄の底と差し支えない。】
【まるで麦畑の如く。然しそれは命溢れたそれよりも幾分も幾分も悍ましく、無数の死を伴っていた。】
【その世界には、"憎悪"以外の感情が消えたように。其処に君臨する王者は、ただただ"邪悪"であった。】

「こ。no。世界の根幹は。憎。悪だ。」

【両手を広げた。ゆらりと、まるで枯れ枝の如く骨ばった其の身体は、まるで邪悪な人外の如き。】
【その声に呼応して、無数の白い腕たちが一斉に二箇所に集結する。様相は、全長6mにも達する巨大な二本の腕。】
【その体躯には、まるで腐肉を這い回る蛆虫の様に、無数の腕たちが蠢いていた。】


「聞。こkoぬか。愚。かna犬。憎。悪の輪。」


【ライフルの銃口が龍使いの男、陽炎へと向けられる。】
【凄まじいまでの怨念を籠められたそれは、彼の身体に触れれば、うちに封じられた憎悪が実体化し、腕が身体ごと切り裂く。】
【ヴォルフガングは何も変わらず。只々憎悪に満ちた双眸で、"何処か"を見つめていた。】


「貴。様等も。そ。の一tuに。過。ぎない。」
8 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [sage]:2014/06/24(火) 21:39:17.47 ID:9Ow5qLKSo
>>1000
「調子に乗ってるのは、果たしてどっちかしらねえ?」

【衝撃波の三連撃。それは魔導力の壁へと激突し、その赤い鎧へと届く事は無かった。】
【だが、そのシールドは三連撃目で、まるでガラスのように甲高い音を立てて砕け散り、唯の魔翌力へと還って行った。】
【両腕に持ったガトリング砲。それが手離され、背部に接続された巨大な弾倉ごとパージされる。】
【そして腰部に接続された二丁の大口径散弾銃を握る。】
【右脚部への蹴撃。だがこの機体は見ての通りの重量だ。装甲へと僅かなダメージを与える事は叶った物の。】
【その安定性能を覆す程の衝撃を叩き込むには至らなかった。】


「断言してあげるわ。私とアンタじゃ、経験も、勝つ為の覚悟も違うのよ。」


【低い声で、彼がそう言った。】
【背部、脚部、その他全身に搭載されたブースターが起動し、その巨体が宙へと舞い上がった。】
【AIE-HA(航空歩兵ユニット・重装型)。その名の通り、歩兵に航空戦力を授け、攻撃翌力を格段に強化する目的の兵器。】
【そして彼の機体は、その上位機種なのだ。もちろん、飛行も……どころか、大抵のAIEを圧倒する機動力すら保有する。】


「まっ、アンタには一生分かんないだろうけど。」


【両腕の大口径の散弾銃が、まるで爆ぜたようにその弾丸を撒き散らす。】
9 :ヴォルフガング・アンゾルゲ ◆sHFOqrvn3g [sage]:2014/06/24(火) 21:39:42.62 ID:9Ow5qLKSo
>>7
/名前欄!!!
10 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/24(火) 21:54:24.25 ID:kXjcTDdq0
>>8

哀れな奴だな。

【相手の言葉を聞き、そして出た答えがこれであった。確かに強い、今迄の敵の中でも屈指の強さだ。】

【だが、それでも負ける気など全くしていない。それは奢りではなく、自信。】

経験や、覚悟だけで測っても、敵の底なんてわかんねえんだぜ。

敵がどんくらい強いかなんて関係ねえんだよ。強くても、弱くても変わらねえ。

勝つしかねえんだからな。

【息を深く飲み込む。すると、男も高く跳躍する。ブースターを起動させ、より高く空を舞う。血が体から垂れ、男が飛んだ後は赤く染められている】

バカスカ撃ち過ぎだぜ。俺だって学習くらいできる。

【そしてまた息を深く吸い、止める。そして銃弾を空中で回避し、防御する。今彼がやっているのは無呼吸運動。】

(行くぜ、少し大技を繰り出すか。)

(金色の業火)

【片脚に炎を集中させ、金色に発光させる。それは高出力の炎が集まり出来た物。それを上から回転蹴りの要領で叩き込もうとする。】

【動作共に非常に迅速且つ、確かな破壊力を持った一撃だった。】
11 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [sage]:2014/06/24(火) 21:59:51.10 ID:9Ow5qLKSo
>>4
【無人機、及び黒い強化外骨格の軍勢の動きが、停止する。】
【まるで霧のような何かが彼等を多い、そしてその機体の稼働を妨げたのだ。】
【エッリ・テア・ハーパライネンはその理屈こそ理解は出来なかったが、元凶はすぐに分かった。】
【傍らの彼女の娘もそれを察して、彼女の視線の先に在る少年へと、不安げに視線を送った。】

「応援部隊の到着まで待機しろ。国連軍は撤退を開始している。
 心配はいらない。この元凶は、僕がやる。」

【インカムへとそう伝えて、彼女は被っていた帽子を右手で取って、彼女へと不安が抜け切れていないハンナへと。】
【軽い、まるで緊張感の無い動きで、それを被せた。】

『……え?』

「お守りだ。それをハンナが持ってる限り、母さんは死んだりしないさ。」

【それだけ言うと、エッリ・テア・ハーパライネンは突き刺した長大な特殊ブレードを再度引き抜いた。】
【既に半壊状態の強化外骨格のブースターに、魔翌力を注ぎ込んで、無理矢理にそれを起動させる。】
【限界を超えた稼働に、警告とばかりにスパークが散る。】
【その少年。断頭台の刃を右腕に構える少年へと、彼女は飛び立とうとして。ハンナ・ハーパライネンがその腕を掴んだ。】

『私からも。お守り。』

「……しっかりと。」

そして何か、バックルの様な物を手渡すと、ハンナが狙撃銃の槓桿を引いて排莢し、照準を彼へと向けた。】
【水晶の如く透き通る不明物質の防壁。それに対して引き金を引いた。】
【甲高い音をして、それが弾き返される。】

『……くっ!!』

「下がってな、ハンナ。ここからは僕の出番だ!!!」

【魔導力により生成された膨大な推進力で、彼の下へと飛んでいく。】
【あの防壁は、先の姿を見た限り、余程の硬度では無いのだろう。ならば、それをまともに相手してやる義理は彼女にはない。】
【剣を構え、その"防壁"を乗り越えた。そして一直線に、彼の下へと飛んでいく。】


「すまないね、お爺ちゃん。僕はやっぱり、"戦場で死ぬ"よ。」


【そしてその刃を真一文字に、迷いなく振るう事だろう。】

12 :大工原 正劃 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/24(火) 22:14:52.12 ID:9Ow5qLKSo
>>5
【すうっ、と大工原正劃は深く息を吸った。】
【憎き仇。そう、殺してしまえるならば、自らの拳を用いて殺してしまいたい。】
【随分と前の自分ならば、この目標を放り投げてでも、その"仇"へと飛んでいく事だろう。】
【だが、違う。今ならば分かる。"自分のやるべき事"が。】

「安い挑発だな。」

【彼の言葉に、そう鼻で笑った。】
【今、彼がやる事は。個人的な怨みを以ってして暴走をする事でも、挑発に乗り目的を見失う事でも無い。】
【そして自暴自棄となり、自らの命を投げ出す事でも、無い。】
【後方へと移動した彼へと相対し、拳を構える。】

「この大工原正劃が!貴様を殺す理由!!それは最早私怨では無い!!!
 ハンス・バイエル大尉の理想の為、全てを捨ててまで追い続ける夢の為。
 地獄を這いずりまわって、漸く指をかけることが出来た、大尉殿の、懐かしい故郷の為!!!!」

【再度その腕に搭載されたブースターが点火する。同時に拳自体にも、膨大な魔力が集中し始めた。】
【その構えに迷いは無かった。只自分がやるべき事を成す。】
【彼の予測は間違ってはいない。】
【ハンス・バイエルが与えた任を、何の疑いも無く、ただ円滑に遂行する事。それが彼の今、"やるべき事"。】


「  こ  の  拳  に  ぃ  !  !  !  !  」


【その右腕を大きく引いた。無論、拳が届く範囲からは酷く離れている、が。】


「  最  早  一  点  の  曇  り  も  無  い  !  !  !  !」


【極限まで引き絞ったその拳撃が、空を裂き。そして、集中した魔力が、"形となって彼へと突撃する"。】
【魔導力を利用した、其の拳の攻撃力をそのまま載せた"飛ぶ拳撃"。】
【其の威力は、先程見た通りだろう。正に"一撃必殺"を成す必殺の一撃。】
13 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/24(火) 22:38:44.47 ID:9Ow5qLKSo
>>6
「ほぅ……やはり"異能使い"か。」

【振り下ろしたメイス。強烈な衝撃波は、彼の身体を屠る事は無く。そして、その風が。】
【彼の身体を、凍結した地面を通して、彼方へと一瞬にして運んで行ってしまった。】
【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、それに対して、驚異とも思わなかったのか。唯余裕ぶって、その髭を撫でた。】

「曲芸としては面白い……"細い"なりに物は考えるのう。
 貴様等は何時も何時もそうじゃ……そしてぇ!!!」

【彼が、杖を振るった。】
【その異能は、やがて竜巻となって、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクへと迫る。】
【それに巻き込まれてしまえば、其の身体はひとたまりも無くズタズタに引き裂かれてしまうだろう。】
【この巨山の如く、盛り上がる筋肉すら、それこそ大した意味も持たずに。】
【だが、やはりアドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、其処から一歩たりとも動く事は無かった。】

「この儂のぉ!!!!!!!」

【メイスを強く握り締める。迫る竜巻に、あろう事か、彼は一歩踏み出して。】

【黒鉄のメイスを、振るった。】

【それは、単純なメイスを振るう"力"。そして、それによって吹き荒れる"暴風"によって、それを竜巻を迎撃し。】
【正面から、それを"破壊"して見せた。】


「単純な力によって敗れる事になる。」


【そしてその老人は、動き出した。】
【それは、その巨体からは想像もつかぬほどに"迅速"だった。鎧、そして巨大なメイスを携えながらも、だ。】
【本来、"速度"を生み出すのは"筋肉"だ。彼はその"怪力"を用いて、凍結した地面を"踏み砕き"、彼へと迫る。】

「ハンス・バイエルの小僧もぉ!国連も!Aurigaも!儂にとっちゃどうだっていいことよ!!!!」

【その双眸に宿るのは、戦場での命のやり取りにおいて。極稀に現れる、"戦闘に快楽を見出す者"のそれだった。】
【其の足が一際強く、地面を蹴りつける。その巨体が宙を舞い、バルド・バードランドの下まで急速に接近する。】


「  踊  る  よ  う  な  命  の  や  り  取  り  !  !  !

  そ  れ  こ  そ  が  我  が  戦  争  よ  !  !  」


【落下と、体重、そして筋力を以ってして、その黒鉄のメイスを彼へと向かって振り下ろす。】


「さぁ、童よ。血と、鉄とが踊る。素晴らしい"戦い"にしようぞ。」
14 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/24(火) 23:21:45.02 ID:5F7I09fAO
【獨国の湾上に一隻の艦が近づく、掲げられた旗は火乃迦具槌社の社旗】

【補給艦『保食』 その甲板上で一人の『少女』が呆然としていた】

【彼女が受けた任務は戦闘の止んだ地域から負傷者を回収し離脱させる人道支援】
【だがその戦場が何者かに陵蹂されている】

いったいこれはどうなっているんですか!?

「Auriga内部での謀反のようです」
「攻撃は国連、Auriga双方の残党に及んでいる模様!」

「社長からの通信が入りました、繋ぎます!」

【にわかに混乱する船内、其処に社長からのメッセージが届く】

『混乱しているようだな』

社長!?

『今回私は指示を出さない、お前が培ったその心に従え、責任は持ってやる………では』

【それだけを一方的に告げ通信は切れる】


……皆さんは上陸して通常通りに任務を、船は…自分の身は自分で守ります!


【しばらく考えて結論を下す、兎に角少しでも犠牲を減らさねばならない】
【乗組員を全員陸に上げて自身は船のコントロールシステムと直結する】

【全身のハッチが開き船のあちこちから伸びたケーブルが接続され思考と船の動作が同調して行く】

武装を換装!全ての銃器を対空火気に、弾丸は電磁ショック弾……無限弾倉システム起動!
上空の軍勢に向けて一斉掃射!


【かくして一隻の奮闘が始まる】
15 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage]:2014/06/24(火) 23:48:14.01 ID:1JUXyMiwo
>>13 /これが本日最後のレスとなります 今日もありがとうございました

【老騎士はメイスの一撃により、いともたやすく竜巻を打ち砕いた】
【そして、その巨体に見合わぬ速度で、地面を踏み潰しながらバードランドへと迫る】

な――ッ

【老騎士の瞬発力を侮っていたバードランド】
【気付いた時にはもう既に、上空にその巨躯が飛来していた】
【メイスを振り下ろす動きが、酷くゆっくりと見える。今から『風』で逃げたとしても、その衝撃波からは逃げられない】
【かといって、『“分散した”ミスト』では、この一撃を防ぎきる防御など不可能だ】
【万事休すと思われた、その時――】


『――“天主は鷲の御姿で、ガニュメーデスに飛来せり”――』


【一陣の風が吹いた】
【辺りを包んでいた白き『ミスト』が、一瞬にしてバードランドの眼前へと集合する】
【その『ミスト』から伸び出た、一本の細腕。その先端にある手は『鉄砲』の形を象り、上空の老騎士を真っ直ぐに指した】

! ガ――

『――“撃楯颶風(エイジス・トゥディア)”』

【瞬間、極限まで圧縮された空気の塊が、『指鉄砲』から迸る】
【『ミスト』の気象操作能力、その全力を以てして生み出されたそれは、強烈なる颶風(ぐふう)を老騎士側へともたらすだろう】
【当然、メイスでの落下攻撃を食い止めることは出来ない。だがもし、ほんの少しでも落下に抵抗を加えられたのなら――】
【――『彼』が主人を連れて退避するだけの時間は、充分に稼ぐことができる】

「……だから言ったじゃないですか。……ホントもう、すぐ余裕ぶるんだから」

【主人の脇を抱えながら――あるいは、脇に掴まりながら――『ミスト』の集合体・ガニーが溜息をつく】
【一方のバードランドはと言えば、どこか沈痛な面持ちで、傍らに立つパートナーを見遣った】

「……来ますよ、中尉。……僕から離れないで下さいね」

……それは、アレかな。いわゆる告白――

「…………」

【ガニーの握った左拳に、白く輝く稲妻が走る】
【老騎士に向けたものであろう『それ』を見て、慌てて「冗談だとも」と呟くバードランド】
16 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 00:21:21.16 ID:K+3BJzUUo
>>10
「薄っぺらい言葉で、分かったような口を聞くわねぇ。」

【不快感を、隠そうともしない。】
【彼の炎が散弾銃を撃つ右腕を破壊し、切断され、爆発する。】
【しかしそれでも。それでも、だ。断面からは行き場の無い電気と魔力がパチパチと音を立てていて、それでも。】
【"血液の一滴も、其処には存在しなかった。"】

「勝つしかない、ええそうねぇ、でもその事の"重み"をアンタは理解していない。
 戦いとはつまりどういう事か、何一つ。」

【空中に、巨大な魔方陣が現れる。中央に逆鉤十字を配した、其処に記されているのは"転送"の魔術。】
【切断された腕を覆う様に、それを魔方陣の中に突き入れる。そして転送魔術が完了した時。】

【其処に存在していたのは、巨大な筒だった。】

「まぁ哀れな奴だってのは認めてあげるけど!!アーハハッ!!!」


【巨大な筒。その赤い鎧よりも遥かに巨大な、筒、その外殻がパージされる。】
【内部には更に六の筒。それがせり出して、まるで"向日葵"の如く、開花する様に展開された。】

Deine Schritte kennt sie,
Deinen zieren Gang
Alle Abend brennt sie,
Doch mich vergas sie lang
Und sollte mir ein Leids gescheh'n
Wer wird bei der Laterne stehen


|: Mit dir Lili Marleen? :|


【それが放つのは、膨大な熱量を伴った魔力の塊。レーザーの如く、対象を焼き切る過剰火力の完成形。】
【計六の熱の塊が、周囲一帯を溶断しながら。まるで序でとばかりに、彼へと迫る。】
17 :グスタフ  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 00:45:55.81 ID:K+3BJzUUo
>>14
【"逆鉤十字"軍空母 "ザイドリッツ"甲板上。】

『一隻、見た事も無い艦です。我が軍に対空砲火を行っている様ですが。
 如何いたしましょうか。准尉。』

【一人の男がいた。階級は准尉。"逆鉤十字"の軍装を身に纏い、側近の兵のその言葉を聞いていた。】
【確認したのは一隻の不明艦、詳細は不明だが、ご丁寧に掲げられた旗は、今では彼等の"敵"である事を堂々と喧伝してくれていた。】

「黄色い猿の所の奴だ、俺が行こう。
 "ドルニエ"の準備は出来ているな?」

『無論です。』

【一隻の不明艦の出現から数刻後。空母"ザイドリッツ"甲板上から、一機のAIE-HAが出現した。】
【甲板より発進後、着水したそれは、水上をブースターにより僅かに浮遊しながら、その不明艦へと向けて進撃を開始した。】
【全高はおよそ7m程だろうか。まるで"戦艦の如き様相をしたホバーユニット"に"人の上半身"を接続したような。】
【一個人の駆る兵器としては、非常に巨大な兵器だった。】


「全システムオールグリーン。射程距離内だ、攻撃を開始する。」


【其の言葉と共に、背部に搭載された大出力のブースターを起動し、一機にその艦に接敵する。】
【その機体の両腕に握られた、大型のカノン砲から、爆音と共に徹甲弾がその不明艦へと放たれた。】
18 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 01:34:44.22 ID:K+3BJzUUo

>>15
【必殺のメイスは、空を切った。】
【其の攻撃は、彼の脳髄を砕く事は無く。ただただ、硬質な煉瓦作りの床を破壊するだけに留まる事となった。】
【メイスを握り、突き刺さったそれを引き摺り上げる。】

「ぬはは……やりおるのう、小僧。良い度胸だ!!」

【白いミストと化していた、少年。彼に向けて、アドルフは賞賛の言葉を送った。】
【この、自分の攻撃も目前にまで躍り出て、主を救うべく自分に攻撃し、そして見事に主を救い出した事。】
【その度胸を、彼は賞賛した。】

【無論、それは彼等を"大した人間では無い"と見ているが故だ。】
【彼にとって"彼等"は、有象無象に過ぎない。今までの敵と同様に、皆最後には"自分に叩き潰される"という運命を辿る者達。】
【そしてそれは、百年と数十年に及ぶ、"戦い"の日々。そして勝利の数から来る、"確信"だった。】

【少年が放つ雷撃。アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、それを避ける動作に移る事もせず、"真正面から受け止めた"。】
【本来ならば内臓を焼き、人体を狂わせるそれを、真正面から受けながら、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは。】


「バーハハハハ!!!!!効かんぞ童ぇ!!!」


【立ち上がり、変わらず笑っているのだ。】
【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクが着込む鎧。中央に"逆鉤十字"を施した、豪奢な紋様が刻まれた黒い鎧。】
【その紋様、そして中央の"逆鉤十字"は、その鎧へとあらゆる"属性攻撃"への耐性を授けていた。】
【但し、魔術に明るい物が見れば分かるだろうが、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクには、魔術の技能は持ち合わせていない。】
【元々そのような物を"小細工"と断ずるような人間だ。ならば、それが魔導具として機能するのは、なぜか。】

「この鎧はな、"大戦"の戦功により"総統"より直接授けられた物よ!
 そう簡単には撃ち貫く事は出来んぞ!!!童ぇ!!!」

【それが、その答えであった。】
【一国を狂わせた"指導者"によって制作された魔導具は、"数十年"の時を経て尚、衰える事は無く。】
【メイスを地面に叩き付ける、そしてそれを、そのまま無理矢理に振り抜いた。】
【その怪力によって砕け散った瓦礫や煉瓦の破片が、彼等へと飛び道具の如く、襲い掛かる。事だろう。】

/了解です!お疲れ様でした!!
19 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/06/25(水) 14:38:20.39 ID:lh7Kjgpto
>>11
「ーー糞ッ」
【二人のやり取りは聴こえなかったが、それでも雰囲気から親しい間柄であろう事は理解出来た。】

【最初に防壁を張らなければ、少なくとも狙撃主の存在に気付かず、撃ち貫かれていたであったであろう事も。】

『ーー』
【スパークしながら飛行を開始した相手を視界に収め、撤退を始める中状況説明に口を開こうとする知り合いを手で制しーー】

「頼んどいてごめん。
 時間は稼ぐから、終わった後に詳しく頼む」

『……死ぬなよ』「無理かも」
【敵が防壁を乗り越え。兵が鳴海に背を向け、駆け出したのは同時】

「……ハンスと同じような事をーーッ!?」
【迫る長大な刃を振り上げる刃でもって迎え撃ち、撤退する兵達へと行かないように受け止めようとするが。】

【接触と同時に膨大な推進力に押され、踵から火花を散らせながら引き摺られるように後退。】

【半ば反射的に相手の推進を上空へと流すように、交差する自身の刃を跳ね上げる。】

【刃と刃の接触から刃を跳ね上げるまで秒と満たない時間。接触し、通り過ぎるまでの刹那ーー】

「大切な人がいるのに、どうしてそこにいる。
 なんで殺し合いを吹っ掛けるんだーーそんなに、そんなに戦死したいのかよ!」
【仮に上空へと逸らせたのなら自身も壁や建物を足場に、跳躍力を跳ね上げるような粒子噴射で上空へと駆け上がるだろう】

【無論。目的は撤退する味方へと目標が移らないよう、空中への追撃。】
【また、気付かない内に隠れてもわかるように。】
【また、あえて防壁の上に出る事で狙撃主が壁の破壊へと向かわないよう時間を稼ぐという理由もあった】
20 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/25(水) 17:40:59.66 ID:ASnaDKGNO
>>16

また新たな武装かよ、こりゃキリがねえが…。

(硬い装甲、切れる事のない兵器。こりゃ面倒臭い敵だ。)

硬い装甲ねぇ…。

【有る事を思いつく。己の持つ力の特性を活かせば、活路が見出せるのではないかと。】

その為には近づかねえと、話にならねえな。だったら行くしかねえか。

「金色の業火」

【全身から放たれる金色の炎。それを纏い自分に襲いかかるレーザーにも似た高出力兵器を前に男は敢えて避けなかった。】

【今避ければ更なる追撃を許してしまう。ならば避けるでも無く、守るでも無く、攻めるのみ。そこに活路があるのなら】

「ハァァァアアアッッッ!!!」

【金色の業火を纏い、有ろう事かレーザーを通過し、相手に接近した。炎を纏い威力は軽減できた物の、それでもダメージは大きい。各所に火傷や裂傷の後が見られ、痛々しい傷跡を残す。】

「ぐ…ぅ、効くなぁ。だが、チャンスは掴めた」

「後は、活かすのみ!新技お見舞いしてやるよ!!」

「衝撃破・剛卦炉悶衝」

【金色の業火を全身に纏い、身体能力を極限まで高めたこの状態でしか放てない技。兵器の胴体箇所、脚部、腕部それぞれに全力の掌底を放ち、そこに超高出力の焔を纏った衝撃波を放ち、外部ではなく、内部に直接攻撃を叩き込む技】

【外の装甲が硬いのならば、内側はどうだろうかという簡単な疑問から生まれた技だ。果たして効果はあるか。】
21 :エヌオー ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/25(水) 19:43:19.41 ID:lpsLpP+Zo
>>12
あ〜あ、一丁前になっちまってよ。めんどくせェったらありゃしねぇ

【安い挑発と笑われるがそれすらもエヌオーは笑い飛ばす】
【飄々とした態度を崩さず、会話で時間を稼ぎヘイトを自分に向けさせる】

<<おい国連、まだ空とフィアに連絡つかねぇのか!?>>
<<こっちだって精一杯やってる!だが彼女たちも的に囲まれているようなんだ!>>
<<クソッ、テレポーターいるなら迎えに行って来い!>>
<<わ、私が行きます!誰か護衛を!>>

【徐々に連携が円滑になり始めた通信を聞きながら目の前の敵の対処を考える】

まあこっちなら避けて問題ねぇな

【飛ぶ拳撃、形を取ったそれは超高速で飛来する】
【それを真横に鎖を射出して回避、同時に闇を生成し地面の表面を闇で覆い】
【さらに自分自身にも闇でできた鎧を装着する】

いい攻撃だ、だが"見える"んじゃ当たらねえぇぜ?
格闘戦ならお前より厄介な奴と何度もやりあってるんでなァ!

【正面きっての戦闘はエヌオーは基本的に分が悪い】
【それを補助する闇を生成する能力と真界兵装ではあるが限度もある】

だからこそ、勝つためにゃ手段を選べない

【地面を覆う闇は先程血煙に変えられた兵士たちの下へ】
【それを包み込んで球形を成し、インカムへと命令を飛ばす】

<<ダウンしてるワンピースのガキいるだろ?そいつをあの闇に放りこめ>>
<<何も問題ねぇよ、俺の部下だからなぶん投げろ!今すぐにだ!>>

【闇の中にあるのは血の塊】
【それに部下を放り込めという以上何か策があるのだろうが】
22 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/25(水) 19:59:12.14 ID:AVHH7g6Ho
>>18

【拳から放った雷撃は、想定していたほどの効果を上げなかった】
【それどころか、真正面から受け止められ、傷一つ負わせた様子が無い】
【上手く地面へと逃がしたのか、あるいは何らかの耐性術式か――】

「くっ……」

(! 馬鹿な……確かに直撃したはず……!)

【歯軋りをするガニーの傍らで、バードランドは老騎士の巨躯、そしてその『鎧』をじいと見据える】
【鎧の各部分に描かれた『逆鉤十字』が、不気味に光を放っていた】
【そしてまた、老騎士の猛攻が始まる。無造作にメイスを振り上げただけで、無数の瓦礫がバードランド達に飛来した】
【ガニーはすぐさま前方に手をかざし、『絶対零度の壁』によって飛来する礫を受け止める】

「ッ……それなら、これはッ!」

! 待て、ガニー!

【風の如く老騎士へと突撃し、その懐に入り込もうとするガニー】
【彼の指先は、まるで夏至の陽光を纏ったかのごとき輝きと、強烈な熱を帯びていた】
【水分の操作により、いくつもの微小な『水のレンズ』を作り出し……熱を生み出すほどの光を、指先に集中させたのだ】
【老騎士に十分接近できたならば、その指を小柄な体ごと振り上げ、『熱』によってその体躯を切断せしめんとするだろう】
【――この時点ではまだ、ガニーは老騎士の鎧の『魔術』には気付いていない】
23 :ゴボウ・ト・イエバ・オソーザイ ◆4zWA/GOBoU [sage saga]:2014/06/25(水) 20:07:11.43 ID:Z73JJ99lo
>>3
>>7

「ヴォルガスッ!!」

【し・・・しまった、どうやら不意打ちをヴォルガス君が防いでくれたらしい】
【ていうかヴォルガス君が居なかったら俺首斬られて死んどったぞ・・・】
【だがもう安心しとけ】

「ギリギリエネルギーは集まった!」

【まぁ・・・もうちょっと溜めといた方がいいかもしれんが】
【幻楼が狙われてるっぽいし、ヴォルガスの自己再生もいつまで効くかとか知らんし】
【結論、速攻でパなすしかあるまい】

「何が死者だ何が怨念だ――――- 悪いけどこれからは俺達の時代なんですわ・・・。」

【生者の『足』を引っ張る亡霊共め!行くぞ!粉みじんにしてやる!(二度目)】
【両掌底を合わせると、極大の閃光がヴォルフガングに向けて放たれる】
【人一人満足に殺せないだろうし、怨念を貫ききれるかどうかは正直賭けだがやるしかあるまい】

/返信遅くなりました・・・
24 :陽炎 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/25(水) 20:19:18.99 ID:MwBgc2ki0
>>7
>>23
…憎悪は嘗て、俺の心を蝕んだ。何よりも甘い誘惑で俺を狂わせた。

【翼を羽ばたかせながら、ヴォルフガングのその憎悪に満ちた姿を良く見つめた。その姿は過去の自分と重なる】

…この世界の根幹は光だ。俺はそれを手放した。また手にするまで時間は永遠にかかるかもしれない。

…だが、どんなに苦しくても、俺は俺の戒めと仲間の為に、光となる!

【銃弾が陽炎の翼に命中し、そこから怨念に纏われた腕が生え、身体を切り裂く。凄まじい裂傷が残り、血を吐く。】

…これが、俺の…光だ。

俺達の光だ!!!!

【ゴボウが放った閃光に向けて自身の闇と重力が混ざった闇を加えた。それは相対する光と闇が溶け合い】

【何かを守る為の希望の光と闇に化し、ヴォルフガングに迫るだろう】
25 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 21:29:19.75 ID:K+3BJzUUo
>>19

【刃が交錯する、甲高い金属音。その一撃を受け流された彼女は、それによって僅かに。】
【それはまるで静かな湖面に出現した波の如く。僅かな歪みが伝搬して、彼女はその体勢を大きく崩した。】
【無論、ある程度敏感にチューンされているとはいえ、本来ならばこの程度で歪むことも無く。】
【そして彼女自身の技量も本来ならば、その程度で動じる程の物では無かった。】


「――――ッ、ふー……はぁ……ふー……!!!」


【それでも何とか、無理矢理にブースターを噴かす事によって、空中での体勢を立て直した。】
【そしてそれから漸く、彼の言葉について、頭の中で反芻する余裕が出来た。】

「……あぁ、大尉の知り合いか。」

【"ハンスと同じような事を"】
【ハンス・バイエルは、自分達の代表であり、人々の前に出る事は幾度かあったが、その様な意の言葉を全世界に言い放った覚えは無い。】
【親しいか親しくないか、回数が多いか少ないかに問わず、"彼はハンス・バイエルの顔見知り"なのだろうと結論付けた。】
【そして同時に、その気紛れな上官を激しく恨んだ。】
【この敵を如何にかしてくれていたら、自分も幾分か楽が出来ただろうに、と。】

「その問いに対する答えは、僕の物でいいのなら、教えてあげよう。」

【そう言って、背部のブースターを噴射し、駆け上がった彼よりも、更に高く、高く飛び上がる。】
【数十メートルの高度を取ったところで、彼女は其の足を重力と反対になる様に、体勢を変える。】
【脚部、背部のブースターを再度点火させると、重力による落下を合わせて、ブレードを構えて急加速。】

「―――――――― 先ず一つは"享楽"だ!!!!」

【擦れ違いざまに、彼の肩を斬りつけんと刃を振るい、そして彼の問いに対する、"一つ目の答え"を提示した。】
【其の身体を肩部のブースターを点火させることで、無理矢理に空中へと押し留めて、再度彼へと高度を合わせる。】
【それによってかかる"G"による身体的負荷、それによって大きく開いた肩の傷を、左手で握り締めて言葉を続ける。】


「っ……僕は"享楽主義者"で、そして僕は戦いにおいて才を最も発揮する人間……"だった"。
 戦いが、楽しくて仕方なかったから……僕は戦い続けてる。」


【随分と引っかかるような、そんな物言いと共に、左手を離して、ブレードの柄を握り締めて、切っ先を彼へと向ける。】
【"戦争"こそが、最大の"享楽"。そしてその結果死ぬことだって、その享楽の内だと。】
【それが彼への、一つ目のアンサーだった。】
26 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 21:44:40.52 ID:K+3BJzUUo
>>20
【膨大な魔力の熱量の中に身を躍らせた彼の姿を見て、リリー・マルレーンは多少面食らった。】
【勿論、それは決して"良い"意味では無い。此処まで無謀な人間は初めて見た、と。】
【無理矢理に活路を開き、紅い鎧へと攻撃をしかけた。脚部、胴部、腕部への攻撃。】
【それは外部への物理的な干渉では無く、"内部"への物理的干渉。】
【こと脚部装甲、そしてその内部構造については、非常に堅牢に出来ている。それもそうだろう。】
【この巨大な鎧にとって、人型の巨大兵器にとって、文字通り"脚"の損壊は命取りだ。故に、非常に堅牢に出来ている。】
【ならばその他の部位はどうだろうか。左腕部は、決して脆いとは言わないまでも、両足よりは幾分か衝撃を通し易い。】
【当たり所も悪かった、内部構造が破壊されたそれを、彼は素早い判断で、すぐさまパージさせた。】
【それでは、胴部への攻撃はどうか。】


「-ハ、アーッ-ッha"ッハ!!!!中々やruじゃない-さ-!!!!!!」


【ダメージを与えられた。胴部は非常に厚い装甲で出来ており、もちろんその理由は最も重要なパーツが集中するから。】
【そしてその内部を攻撃されたとなれば、例え堅牢につくられ、威力が減衰されていようとも、幾つかの損傷は免れない。】
【彼の言葉。スピーカーが狂ったか、笑い声が、より強いノイズに包まれるように、侵食される。】


「deもまだ終わりはしnaい-よぉ!アハ、アハハ!!!-−ハハhaハ!!!!!」


【六つのレーザーの射出口、それが再度束ねられる。】
【パージされた腕部の切断面から、まるで狂ったような炎が噴き出して。】
【半暴走状態のジェネレーターによって作られた魔導力が、その右腕に取り付けられた兵器へと集中する。】
【膨大な魔力。凄まじい熱量によって形作られるは、黒い魔導力による、巨大な熱量の刃。】


「アハハッ!アハハハハッ!!!ハーハハハハッ!!!!!」


【それを"薙ぎ払う"。たったそれだけで、其の兵器はありとあらゆる物にとって、脅威と成り得た。】
27 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/25(水) 22:18:05.25 ID:l1tQGMQaO
>>26

…俺も相当な戦闘狂ではあるが、あいつは本当に狂ってやがるな。

だが、面白くなってきやがった!

【身に纏う炎をより一層強くし、周りには桜の如く金色の炎の欠片が舞う。】

取り敢えずマトモな一撃一発って所か、こっちは結構貰っちまったぜ。

だからこっからは大反撃と行くか、

流石にこれ以上喰らうとアウトだな。よっと!!

【空中でその脅威を華麗に避けると、回転しながら片腕に金色の業火を徐々に圧縮させ、もう片腕に大気を吸収し、溜める。】

【金色の熱風を纏う竜巻が発生し、その中央には力を溜めている掌 拳次が居た。】
28 :大工原 正劃 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 22:27:22.97 ID:K+3BJzUUo
>>21
「ほう、遅いか。だが、それにしては随分と……。」

【魔力放出を終えた拳から、そして右腕に設けられた排気ダクトから、余剰魔力が放出された。】
【振り抜いた腕を引き戻して、再び構え直す。】
【彼は随分と冷静だった。彼がそう言うにしては、真正面からの戦闘を避けている事。それを早くから察することが出来た。】
【冷静になる事。それが彼に与えられた課題であり、それを彼は"屈辱"によって克服することが出来た。】
【その点において、ある種、エヌオー、そして彼をそうさせた、フィア・ブラドルについて、感謝の念すら抱いたことすらあった。】

「正面からの殴り合いを避けるな。

 だが!この俺に!!小細工など!!!通用せん!!!!!」

【球形を成す闇、それが異能であり、そしてそれによって何が起こるかは分かる筈も無かったが、それが阻止するべき物だと言うのは分かった。】
【故に彼は、その血の塊へと目掛けて、ブースターを点火し、急接近を開始した。】
【右の拳にも同様。膨大な魔力が力と成って其処に集中し、腕部のブースターも準備状態へと移行し。】


「   一   撃   粉   砕   !   !   !」


【ブースターが点火し、彼の身体を、そしてその拳をさらに加速させる。】
【そしてその謀略の源だろうか、血の塊へと、拳の一撃を直接叩き込まんとした。】


「も   う   一   発   !   !   !   !   !」


【其処から更に、左腕のブースターを急速点火、その進行方向をエヌオーへと変更し、爆炎を吹き散らしながら突撃を敢行する。】
【左腕、振り切る力こそ右腕には劣る物の、一点集中強化魔術による拳の強化と、ブースターを加えたそれは。】
【やはり、その叫びに違わぬ、一撃必殺の意を以ってして、彼へと放たれた。】
29 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 22:49:39.52 ID:K+3BJzUUo
>>22
【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、その懐へと入り込んだ少年の行うべき行動を予期して。】
【そして、それに対してニヤリと笑みを浮かべて、其の攻撃を一歩も動く事は無く受け止めた。】
【小さな体を目いっぱい振り上げて、振り下ろしたそれは。】
【"熱"による、"切断"。膨大な出力を伴ったのだろうそれは――――やはり、その鎧に対して有効打を与える事は無かった。】

「ブワーッハハハハハハ!!!!!いいぞ小僧、良い度胸だ!だがぁ!!!」

【左手。それを大きく広げて、左から右へと振るった。】
【平手打ち、と言うのが正しいだろうか。そしてその進行方向には、"勇敢なる少年"の、頬、及び頭部が存在するはずだ。】
【非常に力強くは在る者の、恐らく、それを受けた所で致命傷には至らないだろう。】
【まるで蠅でも蹴散らすかのように、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクはそうした後、また笑った。】


「どうしたどうしたぁ!!!その程度では儂の身体には、儂の鎧には傷一つ付けられんぞ!!!
 小細工が過ぎるぞ童共ォ!戦争とはどういう者か、儂が手本を見せてやる!よぅく見とけぇ!!!」


【両腕にメイスを握り締め、彼等へと一歩、騎士は一歩踏み出して、そのメイスを右から左へ、横薙ぎに振るった。】
【轟音と共に唸る鉄塊。そして其処から更に一歩踏み出して逆方向に一回、もう一度メイスを振るう。】


「戦場とは!より力の強い者が勝利を手にする!!其処に弱者の入る余地など無い!!!
 そしてどんな強者もまた、儂の前に、ただ無力に、地を這いずる!!!!」


【そしてその仕上げとして、最後にメイスを大きく振り被り、叩き付ける。】
【地を揺さぶる一撃。単純な"パワー"による産物は、其の言葉に恥じぬほどに、強力であり、そして。】
【数多の戦場を渡り歩き、そして勝利した老戦士としての、それは誇りの証でもあった。】


「さぁ―――――――― 貴様等に儂を撃ち砕けるか?」
30 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/25(水) 23:14:56.37 ID:IlyX7tAAO
>>17

【乗員を上陸させてから数刻】

……空飛ぶ戦艦?ッ、取り舵!

【母艦から現れた異容を目するのと判断は同時だった】

【旋回したすぐ脇に徹甲弾が着弾し派手な水飛沫が挙がる】

長引けばこちらが不利、ですね

【現在『彼女』には薬剤や食料を始めとする大量の物資、そして積み荷によって上昇した重心と釣り合いを取るためのバラスト水が満載されている】
【その重量ゆえに船脚は遅い】

【そうなればあまり長々と攻撃を避け続けるのも難しいだろう】

【よって求められるのは速やかな障害の排除】


武装を換装、コンテナ積み降ろしクレーンを一時送還、代替装備として127ミリ砲転送、吸着振動弾装填後四門同時掃射!

【マストのように聳えていたクレーンが消え四門の砲塔が姿を表す、弾種は吸着振動弾 着弾地点に張り付き激しく振動すると言うものだ】
【これにより敵機内部を撹拌、あわよくば内部で相手が気絶すれば良いと言う目論見である】
31 :ヴォルフガング・アンゾルゲ ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 23:17:15.12 ID:K+3BJzUUo
>>24
>>23

【果たしてその光と闇は、巨大な亡霊の腕を呑み込んで、そしてヴォルフガング自身すらをも屠らんとした。】
【希望とは美しく、そして力を与える。何よりも輝かしい未来は、勇気を与え、そして勝利を導く。】

【絶望も同様だ。】

【醜く、そして悍ましい絶望を突きつけられた者は、死か、憎悪かの二択を迫る。】
【そして憎悪を選択し、全てを憎む者に強大な力を与える。それは時に、希望すらも呑み込んでしまうほどの。】
【そして彼等に勝利を導く。悍ましいまでの殺戮の上に立つ、膨大な、噎せ返る死の臭いの丘の上、其処に立つ事を許される。】

【ヴォルフガングの半身は吹き飛んでいた。けれども彼は、表情一つ変えず立っていた。】
【恐れないとは、即ち勇気では無い。無謀、と言う言葉がある様に、それは決して常にポジティブな意味で使われる物では無い。】

【ヴォルフガングに、恐怖は無かった。】


「憎。悪とは。出。口無ki円環。」


【その身体からは、無数の"白い腕"が、やはり"蛆"の様に、蠢いていた。】
【それを醜いと、誰もが思うだろう。】

【そしてそう思う人間がいる限り、憎悪の連鎖は止まらない。】


「我。々が。求。めるnoは。」


【花開くように。ヴォルフガングの身体から溢れ出た腕たちが、或いは何処からか現れた腕たちが。】
【一斉に、周囲を埋め尽くし出した。生あるものを破壊し、喰らい尽くし、皆殺しにする"形を成す憎悪"達が。】




「    鏖    殺    だ    。」




【それは、何もかもを例外なく喰らい尽くす"憎悪"達。】
32 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 23:28:48.85 ID:K+3BJzUUo
>>27
【限界を超えたジェネレーターの駆動は、各部を熱膨張させ、小爆発を起こす部位すら見受けられた。】
【全身から炎や、背景を歪ませるほどの熱をばら撒きながら、その右腕の巨大な熱量のブレードの出力を上昇させる。】
【まるで、"中の人間が丸焼きになってしまうのではないかと言うほど"の、そんな異様で、悍ましい光景だった。】
【けれども、尚もその鎧は攻撃を止める事は無かった。】
【それどころか、狂ったような笑いはノイズに塗れながらも、より激しさを増すばかりで。】


「aハハハハハ、ハハハ!!!!!でもまぁ、出来る訳ないのよね!!


 "私を殴るなんてさぁ"!!!!!」


【今度は半暴走状態などでは無い。"完全な暴走状態に陥ったジェネレーター"が作る熱量を、注ぎ込む。】
【その兵器自体から、今度は小爆発が起きた。"規格外の威力"を想定して作られたその兵器。】
【それを暴走させるほどの熱量が、それに注ぎ込まれていたのだ。】


「だ――――――――勝――――――――を―――――――――!!!!!!!!」


【そのノイズがやがてその声を呑み込むと、スピーカーがブツン、と言う音を立てて、機能を停止させた。】
【最早歌も、叫びも聞こえはしなかった。】

【振るわれる、純粋な熱の塊だけが。まるで彼の存在を証明しているかのようだった。】
33 :グスタフ  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/25(水) 23:47:18.77 ID:K+3BJzUUo
>>30

「避けたか、黄色い猿め。まぁいい、まぐれだ、直ぐに沈めてやる。」

【両腕のカノン砲より放たれた徹甲弾は、急速旋回によって外された。】
【その"異形の兵器"のパイロット、グスタフ准尉は、舌打ちをしながらも、心中は其処までのイラつきは感じていなかった。】
【ハッキリ言えば、"艦艇"など、AIE-HAにとっては愚鈍な的に過ぎないと、大した脅威では無いと認識していたからだ。】
【そしてそれは覆らない。四門の砲から放たれた"吸着振動弾"を目の前にしても、だ。】


「嘗めやがって。殺さない気か?冗談も大概にしろよ、亀が。」


【前方に展開された巨大な魔導防護壁、それがその弾頭の前に出現し、そしてその尽くを防いだ。】
【本来、魔導防護とは完全な防護壁では無い。高機動力のAIE-HAに搭載する事によって、初めて脅威となり得る装備だ。】
【だが。非殺傷弾ともなれば話は別だ。そもそも貫通力の無いそれならば、防ぐことも容易であり。】
【そして加減をされたと、そう感じたグスタフは、小さく舌打ちをし。】


「造作も無く、落ちやがれ。」


【機体下部、戦艦の様な様相をしたホバーユニットの上部が展開し、内部からミサイルポッドが露出する。】
【放たれるのは、四発のミサイル。それはその艦へと接近し、其処で一つが三つ、計十二発の小型のミサイルへと変化する。】
【一つの威力はそう高くは無い、だがその多面的な攻撃は侮れたものでは無い筈だ。】
34 :ゴボウ・ト・イエバ・オソーザイ ◆4zWA/GOBoU [sage saga]:2014/06/26(木) 00:59:58.92 ID:L4BS3XUbo
>>24
>>31

「オイオイウソだろ・・・!!」

【まさかのコンビネーション攻撃にはグッと来たが、コイツ・・・もはや五体満足じゃあないのに立ってやがるぞ】
【クソッ・・・骨だってバキバキに折れている筈なのに】
【少し"見誤った"か・・・"奴ら"の『執念』を】

「まずいな・・・今のでエネルギーをだいぶ使ったぞ」

【劣勢か・・・?いや、ギリギリなのは相手も同じか】
【何より仲間が居るし、それにこのくらいの力量差なら慣れてるさ】

「と、言いたいところだが・・・」

【ちょっと今回は桁違いか・・・?】
【あまりにも多すぎる『腕』が群れとなって湧き出ているぞ】
【どうしたらいい?奴らの執念の基を絶つとか・・・?】
【いや、無理っぽいか・・・奴らめ、完全な憎悪の呪縛に支配されている】
【ていうかあんなの放っておいたら、ホントに世界が埋め尽くされても驚かんぞ】

「絶対止めるぞ、陽炎!」

【まだエネルギーは残ってるし、チャージの時間はまだある。戦闘続行可能だ】
【とはいえ奴の懐に入るのはヤバイ・・・『腕』との距離が離れている内は遠距離戦を仕掛けるか】
【再び両掌にエネルギーを溜めたゴボウは、まっすぐに前方へとエナジーボールを連続で放ち腕を牽制する】
35 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/06/26(木) 02:21:54.21 ID:qdSsJIq/o
>>25
【上空で体勢を建て直す彼女を目標に、屋根を踏みしめ、跳ぶ。】

【瞬間噴射で散った粒子が空へと駆け上がる鳴海に追従し、伸びる煌めきは天へ落ちる彗星の尾のように。】

「ああ、俺にだって理由が人によって違う事ぐらいは理解る。」
【自身よりも遥か上空へと昇り。落ちる。】
【重力とブースターによる加速は彼女の得物を、鳴海自身が扱っている刃よりも断頭台らしく降り下ろされーー】

【感知した再び刃を阻まんと右腕の刃を振り上げ、翠の煌めきが迎え撃つための最小限の足場を形成。】

【再びの刃同士の接触に、しかし、先程のやり取りとは違う結末が訪れる。】

「ガ――、ぁああああッ?!」
【二重の要素により増大した衝撃は刃から肩、背、腰、足へと伝わり、即席の足場を打ち砕く】

【被害はそれだけに留まらない】

【右腕の刃を峰から支えるように添えていた左腕は根本からもげ、右腕と腰回りに亀裂が走る】

【高高度からの自由落下に、先に落ちた左腕粒子の結合を解除。】
【破損した足場とともに自身を受け止める板へと再構築し、叩き付けられる】

(亀裂の影響かーー身体の粒子結合の強度が甘くなっている?)
【実際の所。亀裂の影響もあるが、他者から受ける力の影響が、鳴海自身で制御できる範囲の限界を越えつつあった。】

「づッーーあ、“享、楽”だって?」
【戦いが楽しいーー彼には部分的に理解出来る解答だった。】
【彼自身、闘う事が楽しいと感じた事はある。】
【ただ、それは戦争のような潰し合いではなく。終ってしまえば後にひかない試合のようなもの】

(命のやり取りと一緒にしてしまうにはあまりにも違い過ぎるけど、それでも似たような面はある筈)
【痛みに荒くなる呼吸のまま立ち上がり、自身に高度を合わせ、刃を向ける彼女を睨む】

(『だった』って……。今もそうなら、どうして全部過去形なんだ)
【左肩口から覗く紅黒い結晶に、新たな亀裂が入っている事に気付かないままーー】

【亀裂から粒子を漏らし、再び粒子を足から瞬間的に噴射。】

【正面から真っ直ぐ。馬鹿正直にぶつかっていくような軌道で跳び、右腕の刃を縦に振り下ろす。】

【敵のカウンターなど毛程も考えていなさそうな突撃だが、その右手は人の物ではない。】

【正面。或いは右側からの反撃ならば右腕は粒子噴射で強引に軌道を変え、相手の刃を掴み捨てようと試みるだろう】

「……なら、どうして過去形なんだ。何故ボロボロのまま戦場に留まる。
 優勢のようだったし、楽しいだけなら、少しでも長く楽しめるように退く筈だろ?!」
【突撃しながら聞いたところで真実が帰ってくる保証はなく、彼女がしてきたことが変わる訳ではない。】
【ましてや、彼女を仇とする者や犠牲者が救われるわけでもない。】

【知れば理想と現実の矛盾を抱えたまま、『アレ』のように結果だけを求める事になるのかもしれない】

【――だが。目を背ければ、理想からさらに離れていくだけ】
36 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/26(木) 06:05:38.54 ID:X/ZOV5NAO
>>32

始めて見たぜ、お前程執念に駆られた奴を見るのは…。

多分その姿を見て見苦しいと思う奴がいるだろう。だがその姿こそ美しい。

【そして竜巻は止み、片腕には衝撃波が、もう片腕には凄まじい熱量の塊が作られる。その二つの物を合わせる。】

俺の最強の技でお前を砕き、同時に救ってやるよ。そのまんまじゃ、お前は死にそうだからな。

【彼の能力「羅無殺掌」は生物を殺せない能力。彼はどんなに強大な技を相手に放とうと、[ピーーー]事は出来ない。】

【逆を言えばこのままでは死んでしまう相手に対し攻撃すれば、その命を救う事が出来る能力でもある。】


「衝撃破・焔閃斫」

【両腕に衝撃波と炎の塊を合わせ、それを巨大な光線上の攻撃と化して彼に放った。交わった凄まじい熱量の塊と衝撃波は、地を割り、空を裂くように相手に向かう。】
37 :陽炎 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/26(木) 06:12:44.53 ID:X/ZOV5NAO
>>31
>>34

…ハァハァ。

【ゆっくりと地面に脚を付けると、肘をついてしまう。裂傷の跡が激痛と化しているのだ。ヴォルガスが急いで陽炎の元に寄ってくる。】

…ヴォルガス、心配ない。この程度なら平気だ。それよりも無理をさせてすまない。

…ここからだぞ、行くぞ、ヴォルガス!




ーーーーーーー星は我が友ーーーーーーー

ーーーーーーー夜は我が下僕ーーーーーー




【ヴォルガスが陽炎を飲み込む。そして黒龍は徐々に縮小し、軈て現れたのは竜の姿を纏った陽炎だった。以前よりも帯びただい量の闇が生まれた。】

…ゴボウ、受け取れ!その闇ならば君の力になれる!

【放ったのは闇の力の塊。それはゴボウへと力を与え、時には纏い、時には防ぐ陽炎の闇だった。】
38 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/26(木) 06:24:35.90 ID:dM4UtTFAO
>>33

【はっきり言ってしまえば『彼女』はドの付く素人であった】

【なにしろ実際の戦場に出るのはこれが初めてなのだ】
【だからこそ与えられた任務が負傷者を回収することだったのだが】

【今回についてはそれが仇となる】


【彼女は自身に兵器として『指示の無い殺し』を禁じている】
【指示の無い殺しを兵器としての暴走と捉えている故だ】



【だがそのセーフティーはこのミサイルによって外れることになる】


榴弾装填、迎撃弾幕掃射!

【爆発性の弾丸によるミサイル迎撃、空中で互いに爆発を起こし空気を海面を激しく揺らす】

【その波に激しく船体を揺さぶられながらも弾を時限式榴弾に切り替えおおよその方向だけを定めて弾幕を張る】

【どのみち狙いが定まらないならこちらも面で攻撃すれば良い、当たらなくてもある程度弾が飛んだところで爆風が広がる】

【彼女はドの付く戦場の素人である】

【だが社に蓄積された兵器運用ノウハウを全てプログラムされた銃器の申し子でもあった】
39 :エヌオー ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/26(木) 09:44:21.98 ID:6ZH5s4/2o
>>28
【大工原の一撃が闇塊を粉砕し、それに伴い血も弾け飛び巨大なトマトを地面に叩きつけたように血が広がる】
【その血だまりへ一人の少女が野戦病院だった場所から放り投げられてくるのと大工原が自身へ突撃してくるのはほぼ同時だった】

ま、受けるしかねぇよな?

【自身から放射状に地面へ鎖を打ち込みアンカーにする】
【直撃すれば即死、ないしは重症は必至の攻撃を敢えて正面から受けて立つ】

ッグ……かはっ……!

【僅かに急所からは攻撃を逸らすがその拳は腹部へと突き刺さる】
【闇の鎧が砕ける音と骨が、内臓が拉げ、潰れ、折れる嫌な感覚が襲い血反吐を吐く】

………捕まえ、た……ぜェ?

【普通なら動けるわけがない傷と痛む身体、それを闇の鎧で無理やり動かして】
【大工原の腕を掴みこの間合いから引き離さないと闇の鎧の向こうの双眸は睨みつける】

<<総員退避完了、転移先の敵部隊と交戦中です!この野戦病院区域で残るは殿を務める隊長と愛姫、移動中は空とフィアの計四名です!>>
<<よくやった……俺ももうそこまで持ちそうにない、二人に早く来るよう伝えろ>>
<<了解です!隊長もご武運を!>>

【インカムから伝えられる味方の撤退完了の言葉】
【それを聞き遂げればニヤリと笑い更なる指令を飛ばす】

<<さっさとやれ>>

【一言でいい、それさえ伝えられれば十分と目の前の大工原を掴む腕に力を込める】

望み通り……正面から殺ってやるよ……テメェも援軍要請した方がいいぜェ?

【エヌオーを包む闇の鎧の端々が鋭利で攻撃的な形状を取り始める】
【大工原のように一点特化の攻撃ではなく、攻撃力の低さを手数で補うモノへと】

(ま、ガタが来てる以上長期戦はできねぇがな……!)

【左手で大工原の腕を掴んだまま右手を大工原の首を掴みと締め上げようと手を伸ばした】
40 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/26(木) 18:49:27.32 ID:QhMz4ds4o
>>29

(そんな……コレもッ!?)

【光熱集中による切断……その一撃も、老騎士の鎧に傷を負わせることはできなかった】
【羽虫を払うかのごとき平手が、ガニーの真横に迫ってくる】
【ガニーは慌てて身体を『ミスト』に戻し、老騎士の掌撃を『すり抜けて』凌いだ】
【――いかに強力な鉄拳と言えど、『空気』を砕くことは不可能である――】

『(雷も光も通じない……この様子じゃ、きっと他の『気象』も――!)』

【ミストの状態になったまま、メイスによる猛攻を凌ぎつつ、必死で対抗策を考える】
【……『力』が通じない、それはつまり、自分達の防衛手段が何一つ通用しないということ】
【――そして、そこから導き出される結論は……】

『(駄目だ……ここで止めなきゃ、中尉がッ……!)』

【気障で不真面目で退廃的な、どうしようもない少年愛者】
【およそ尊敬できる部分など、万に一つしか無い男】
【だが、それでも――たった1人の宿主なのだ。60億の地球人から、たった1人だけ選ばれた――】
【何よりも愛すべき主人なのだ】

――ガニィィィッ!!

【『主人』が、バードランドが叫ぶ】
【その眼には、焦りと労わりと……何かの『閃き』が現れていた】

「っ……すみません、中尉……今度はッ!」

【バードランドの側に寄り、再び人型に戻るガニー】
【正面を見れば、メイスを地に叩きつける老騎士の姿。慌てて『風と氷』で退避する2人】

……ガニー。正直に言うとね、私は嬉しい。
君を手足にしてばかりの……君だけを闘わせてばかりの自分が、惨めで憎くて堪らなかった。だが……
――どうやら私は、君の頭になれるらしい

「……え?」

【懐から愛用の自動拳銃を取り出し、スライドを引いて弾を取り出す】
【ライフル弾とはいかないまでも、充分な威力を備えた弾丸――45ACP弾である】

……奴にはどうやら、私達の『異能』は訊かないらしい。『気象』か『異能そのもの』を封じるのかは分からんが……
――それならば。『異能以外』なら、どうなると思うね?

「……!」

【バードランドの持つ銃弾を見て、『何か』に気付いたガニー】
【迫り来る老騎士の挙動を見ながら、その『隙』を見極めようとする】
【――どうやらこの男と少年、『何か』をしようとしているらしい】
41 :ヴォルフガング・アンゾルゲ ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/26(木) 23:53:29.76 ID:dqp34fnGo
>>34
>>37
【救いなどない、只々広がり続ける地平線。出口は無い絶望の彼方。】
【彼等の立つ場所は、そう言う場所だ。一寸の光も届かずに、絶望に身を焼き続ける、其処に解答など用意されていない。】
【只々広がり続ける憎悪に最早疑問すら感じなくなった時、彼等は憎悪の闇に咲く、冷たい花として根を張った。】

【憎悪の白い腕たちは、尚も広がり続けていく。】


「聞。koえるか。我。ga。同胞よ。」


【その"憎悪"のBlumengartenは、そう危惧された通り。荒れ狂う"憎悪"の腕達は。】
【まるで終わりなど無いかのように、ヴォルフガングを中心に、広がり続けていた。】
【ヴォルフガングの問いかけに、腕達はまるで呼応するかのように、其処に在る生を、貪り尽くしていた。】


「今。が。そno時。」


【もうどうするべきか。そろそろ感づき始める頃だろうか。】
【それが例え、どれだけ非人道的な決断だとしても。彼が存在し続けるよりは、きっと良いのだろう。】
【それが例え、どんな結果だとしても。彼が存在し続けるよりは、きっと良いのだろう。】
【甘くなるにも、限度がある。】


「我。々の。憎。悪を。我。々no。悪。夢wo。」


【彼の半身から湧き出た無数の腕が、彼のライフルを握り、ゴボウへと合わせて、引き金を引かれた。】
【身体を内側から引き裂く幽体弾。】
【そしてそのライフル自体を、陽炎へと放った。】
【血錆びに塗れた刺突用銃剣が取り付けられた、古ぼけたライフル。七十年前の大戦で、敵の兵士が握っていたライフルだった。】
【彼を何度も何度も撃ったライフルで、彼を何度も何度も突き刺し、何年もその身体に刺さり続けていた銃剣だった。】
【その"憎悪"と、苦しみが。それには詰まっていた。そしてそれは、その"痛み"を触れた物に分け与えるだろう。】
【ただ掠るだけでも。まるで全身を"銃弾や銃剣が撃ち抜く様な"、そんな激痛が走る筈だ。】



「全てを、地の底へ。」





42 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 00:21:48.10 ID:dUIVzMymo
>>35
【刃の直撃は、刃によって防がれた。だが、その感覚は非常に奇妙な物だった。】
【言い様も無い、形容しきれない奇妙な感覚。手の中に残ったそれの答えは、彼自身が提示してくれていた。】
【それは人の崩壊の様とはとても言い難い物だった。】
【彼の身体に見えるのは、"傷口"等では無く、"亀裂"と言った方が正しい様に思えるような、そんな姿だったからだ。】


「人間じゃない、のか?」


【ポツリ、と呟いた。人外は別段特別な物じゃない。案外と近くにいるし、何なら自分だって。】
【広義で言えば、人外と呼べる存在かもしれない。】
【だがともあれ今は、突撃を敢行した彼への対応を考えるべきだろう。考えたって、答えなど出ないのだから。】
【真正面から突撃してくる敵は、カウンターを入れるには丁度いい。】
【そしてやるならば、今し方落とされた腕の側、相手から見れば左側からの攻撃が有効だろう。】
【左方向へとブースターを噴かす。振り下ろしならばこうすれば回避でき。】
【そして握ったブレードを、彼の左側から、ブースターによって抜け切る前に脇腹へと向けて振るった。】
【本腰を入れた攻撃では無い為、入ったとしても余程じゃない限り浅いだろう。だが回避も兼ねたそれならば上出来。】
【そして空中で再度、ブースターによる僅かな調整を入れながら、その体勢を整える。】


「もう一つ。もう戻れないから。」

【より一層、スパークを激しくさせる強化外骨格。最早どうにもならないと、彼女は其れに対してリアクションを起こす事は無かった。】
【地上の狙撃主が、照準を合わせるのを終えて、彼を睨み付ける。】

「僕が天才でいられて、戦場を楽しめる時間は終わった。
 だけれど……だけれど。」

【ブレードを握る手に力が籠もった。】
【彼女は理解していた。理解していたから戦い続けていた。けれども、それは受け入れがたい事実だった。】
【強く歯噛みし。剣の柄を強く握り締めながら。そうしないと耐えられないと。そんな行動を伴わせないと言い出せない程に。】


「……今更、何処に帰ればイイって言うんだよ。」


【地上の狙撃主が、それの引き金を引いた。狙いは、彼の頭部。何の躊躇も無く、それを屠ろうと放った。】
【それを聞いても、彼女は攻撃を仕掛ける事は無かった。彼女を知る者からしてみれば、珍しい姿だった。】
【例えば、地上の狙撃主などの。】

『母さん……?』

【そう呟く娘の声は。遥か上空の母親に、聞こえる事は無く。】



「帰る場所なんて無いから。だから、僕は戦うんだ。それを、何時か取り返す為に。


 友人や、可愛い女の子と。愛する家族と、また。笑いあえる場所を。取り返す為に。」



【左手。先程少女から手渡されたバックルを彼女は握っていた。】
【まだ、戦う。その力は、ある。】
43 :ゴボウ・ト・イエバ・オソーザイ ◆4zWA/GOBoU [sage saga]:2014/06/27(金) 00:38:42.49 ID:yHpD6twqo
>>37
>>41

【陽炎・・・自分だってギリギリだってのに、俺に託しやがったな・・・?】
【ま、後で返してやるから今はありがたく受け取っておくか】
【まだお互い生きていたらな・・・】

「みなwwwwwぎってwwwきたぜwwwwwwwwww」

【陽炎より分け与えられし『影』の力が、ゴボウを十二分にパワーアップさせた】
【今ならあの『腕達』をなぎ払えそうな気すらする―――】
【しかし、今は全てのパワーをスピードにッ!行きますとも!】
【銃弾をたやすく避ける程の速度で、陽炎とヴォルフガングの間に立つ】
【それ即ち―――-"自身が陽炎の『盾』になる"ということ】

「そのライフルは―――ッ!!」

【飛んでくる銃剣を力任せにつかみ取る】
【同時に彼に襲いかかるあらゆる『怨み』『痛み』『苦しみ』】

「がッ・・・あ"あ"あ"あ"―――ッッ!」

【掴んだだけでもこのダメージか・・・!】
【そりゃビームくらいで死なんわな・・・アイツ。こんなの常に構えてるんだから】
【だが陽炎に投擲した時点でこれくらいの激痛は予想済みッ!!】
【いや―――むしろ"よく解った"と言うべきか・・・お前達の『痛み』確かに俺が身体に刻んだ!】

「だから――――もう・・・・・・!"俺達"に任せてくれ」

【苦しみながらもライフルに自分の気と、幻楼の影の力を込める】
【そして、いつもより数倍の勢いで飛行し、ヴォルフガングから湧き出た『腕』達に生身で突っ込み、突き抜ける】
【『腕』達の攻撃による"痛み"が容赦なく身体を蝕んでいても関係無い】
【この攻撃に耐えられるのは、陽炎が与えてくれた力、そして】

「この『銃』から感じる痛みに比べれば、屁でもない―――」

【もう、休め―――英霊よッ!英霊達よッ!!】
【ヴォルフガングの目前に接近したゴボウは、ボロボロの腕で思い切りライフルを振りかぶり】
【刃先を、彼に向けて――――突き刺そうとした!】
44 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 00:56:31.90 ID:dUIVzMymo
>>36
【生きている者ならば救えるのならば。では、仮に。】
【生きている訳でも、死んでいる訳でも無い人間がいるのならば。どうすれば良いのだろうか。】
【これは小難しい思考実験などの類では無い。ただ其処にある事実に向けた、純粋な問い掛けだ。】

【膨大な衝撃と熱量を叩き込まれた紅い鎧は、機体へと大穴を空けて、大爆発を起こした。】
【ジェネレーター類に触れたのだろう。同時に、推力を失ったそれは煉瓦造りの道路へと叩き落とされた。】
【空っぽだった。本来人間が納まるべき空間には、ちょっとした機械があるだけで、其処に人の姿など無かった。】


「……アハッ、アハハッ。だから言ったじゃない。アタシを殴るのは、無理だって。」


【スピーカーから声が流れ出した。ノイズ塗れの声が。】
【狂っていると言われたそれも。始めて見たと言われたそれも、美しいと言われたそれも。】
【彼が見せた】

【零と壱の計算式が示す、ただの情報処理。】

【電子化された記憶。時計仕掛けの思い出達。フラスコの中の脳味噌。】
【コピー&ペーストで容易に複製できる、只々電気信号の塊。電算盤上のフロイライン。】


「……アハッ、ハハ。この様なんて……ううん。
 あたしが望んだことなんだもの。人間を止めた事も、こうなる事も。きっとこれで、良かったのよ。」


【その独白すらも。それは、"リリー・マルレーン"というプログラムが導き出したただの演算結果なのかもしれない。】
【最早彼は、自分に意思があるのかすら分からなかった。】
【ただ、戦いたかった。戦場にいたかった。戦場で、死にたかった。それは確かに、自分の意思だった筈なのに。】
【それが、自分の意思が。分からなくなってしまっていた。無数の零と壱。余りにも容易に書き換えられる自分が。】
【それでも。その戦いの意思だけは、本物と信じていた。例え、それも、プログラムの上だったとしても。】


「ねぇ、あたしを砕き、同時に救ってくれるんでしょ。

 ―――――――― 分かるわね。」



【嘆願すらも。リリー・マルレーンと言うプログラムならば。最早、リリー・マルレーンなど。】
【逆鉤十字武装親衛隊装甲擲弾兵のベルンハルト・デツェン少尉など、最早何処にもいないのだとしたら。】
【ただただ、カラカラと虚しい音を発しながら回り続ける映写機を、止める事。】
【きっとそれだけが。彼を救う方法なのだろう。】
45 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 00:57:51.57 ID:dUIVzMymo
>>36
【生きている者ならば救えるのならば。では、仮に。】
【生きている訳でも、死んでいる訳でも無い人間がいるのならば。どうすれば良いのだろうか。】
【これは小難しい思考実験などの類では無い。ただ其処にある事実に向けた、純粋な問い掛けだ。】

【膨大な衝撃と熱量を叩き込まれた紅い鎧は、機体へと大穴を空けて、大爆発を起こした。】
【ジェネレーター類に触れたのだろう。同時に、推力を失ったそれは煉瓦造りの道路へと叩き落とされた。】
【空っぽだった。本来人間が納まるべき空間には、ちょっとした機械があるだけで、其処に人の姿など無かった。】


「……アハッ、アハハッ。だから言ったじゃない。アタシを殴るのは、無理だって。」


【スピーカーから声が流れ出した。ノイズ塗れの声が。】
【狂っていると言われたそれも。始めて見たと言われたそれも、美しいと言われたそれも。】
【彼が見せた、執念も。】

【零と壱の計算式が示す、ただの情報処理だとしたら。】

【電子化された記憶。時計仕掛けの思い出達。フラスコの中の脳味噌。】
【コピー&ペーストで容易に複製できる、只々電気信号の塊。電算盤上のフロイライン。】


「……アハッ、ハハ。この様なんて……ううん。
 あたしが望んだことなんだもの。人間を止めた事も、こうなる事も。きっとこれで、良かったのよ。」


【その独白すらも。それは、"リリー・マルレーン"というプログラムが導き出したただの演算結果なのかもしれない。】
【最早彼は、自分に意思があるのかすら分からなかった。】
【ただ、戦いたかった。戦場にいたかった。戦場で、死にたかった。それは確かに、自分の意思だった筈なのに。】
【それが、自分の意思が。分からなくなってしまっていた。無数の零と壱。余りにも容易に書き換えられる自分が。】
【それでも。その戦いの意思だけは、本物と信じていた。例え、それも、プログラムの上だったとしても。】


「ねぇ、あたしを砕き、同時に救ってくれるんでしょ。

 ―――――――― 分かるわね。」



【嘆願すらも。リリー・マルレーンと言うプログラムならば。最早、リリー・マルレーンなど。】
【逆鉤十字武装親衛隊装甲擲弾兵のベルンハルト・デツェン少尉など、最早何処にもいないのだとしたら。】
【ただただ、カラカラと虚しい音を発しながら回り続ける映写機を、止める事。】
【きっとそれだけが。彼を救う方法なのだろう。】

/ちょい修正です!
46 :グスタフ  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 01:39:23.33 ID:dUIVzMymo
>>38
【所謂"グスタフ"は歴戦の兵だ。その凝り固まった偏見も、実力から来る物で、事実その技量は高い。】
【性格に非常に難があるが、それを補って余りある腕を持っていた。】
【だが、"戦闘の天才"では無い。】
【所謂その"驕り"は致命的な物だった。故に彼は、ハンス・バイエルに大役を任せられる事は無かった。】


「フン、雑魚が。無駄な抵抗だ。」


【爆風を魔導防護壁が防御する。それは正真正銘の榴弾であり、確実な人殺しの道具だった。】
【舌打ちをして、AIE-HA"ドルニエ"のサイドブースターを噴かす事で、榴弾の爆発範囲外から逃れる事にした。】
【反撃は想定内だった。多少切り替えは早かったものの、それも想定の範囲内だった。】

【"つまり、彼は完全にこの艦を嘗めきっていた。"】

【手を抜く訳では無い。"それ相応の力を以ってして、叩き潰さんとする"。】
【肩部に搭載された、二本のレールが並行に取り付けられた兵器。】
【ロックオンサイトをその艦へと合わせて、その機体を動かし続けながら、それを起動する。】
【展開され、其処には膨大な"魔力"が集中していく。】


「漸く分かったようだが、所詮愚鈍な"艦"だ。
 沈める方法なんぞ、幾らでもあるんでな。」


【魔導力を圧縮し、その力に指向性を持たせて、敵対象へと叩き付ける単純な構造の兵器。】
【それをその艦へと向けて、発射する。】
47 :大工原 正劃 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 01:59:11.33 ID:dUIVzMymo
>>39
【左腕の拳が、敵の腹部へと沈み込む。】
【鎧と骨と内臓を潰す感覚が、大工原正劃の強化外骨格に包まれた拳へと確かに伝わってくる。】
【吐き出した血反吐。その飛沫が足を覆う強化外骨格に付着する。だがそんな事よりも気になったのは、その腕を掴む彼だった。】
【ハッキリと言おう。彼は力比べで負ける自信は無い。仮にもその肉体を用いた近接格闘を得意とする人間だ。】
【だがそれでも、敢えてそうすると言うのならば、それを利用しない手など無い。】

「捕まったのは、どちらか。」

【首へと伸ばされた右手。それを、空いた右手で手首を掴んで、留める。】

「よぉく、考えると良い!!!」

【そしてそのまま、その手首を握り潰してしまおうと、その右手に半分ほどの力を籠めた。】
【強化外骨格、それも最新型の身体能力強化。更には拳や腕全体へと集中して行われるそれ等。】
【それにより、彼の手は最早半分の力があれば容易に人体を屠る程の威力を手に入れている。】
【確かに自分は、"真正面から来ない"と挑発したが、何も本当に真正面から付き合う必要が無いのは、彼でも分かる。】


「援軍など、必要ない。」


【そして其の手首を掴んだまま、彼の腹へと、更に追撃を加えようと、右脚で蹴りつけようと足を振るった。】
【拳ほどの強化を施されていないまでも、元々人体の構造として、腕よりも強力な脚力。】
【それは彼の拳ほどの威力とは言わないまでも、馬鹿には出来ない威力を発揮するはずだ。】


「貴様等全員、  こ  の  俺  一  人  で  返  り  討  ち  に  し  て  く  れ  る  !  !  !」


【彼の"援軍要請"を聞いて、彼はそう言った。】
【それは彼の自信も、無論含まれているが、最前列に在るのは其れでは無い。】
【"作戦"の為。上官への"忠義"の為。それは揺らがぬ鉄の決意と共に、不動と化していた。】
48 :エヌオー.狂坂愛姫「」. ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/27(金) 02:39:29.85 ID:JXsQoWRGo
>>47
【再び響く鎧の砕ける音、それが鳴り止まないうちに右手首があらぬ方向へとねじ曲げられる】

あっ……ぐ、おぉおおおおお―――ぐぷっ!?

【思わず叫びを上げるがそれも途切れる。腹部への更なる追撃、腕を捕まれ逃げ場などない攻撃が襲い来る】
【再び血反吐がこみ上げ喉を塞ぐ。だがもうそれは一気に吐き出すことなどできず、止めどなく口から滴り落ちるのみ】
【全身から力が抜けその場へと崩れ落ちるが大工原を掴む腕だけは離さない】

<<ぼ……う、ぎい……ごぼっ……だろ?ごぶっ……き、ガバ……え……>>

【喉に血が溜まり上手く言葉を紡ぐことができない、其れでも伝えるべきことは伝えると】
【インカムの先で聞いている筈の"仲間"へと必死に言葉を紡ぎ、不格好ながらも大工原へまだ笑ってみせる】

(悪いが……俺達は、一人じゃねぇ…………)

【そうエヌオーの唇が動くのと、大工原の背後で声がするのは同時だろう】

「たいちょうをこわそうとするわるいひとは だ ぁ れ ぇ ?」

【ゾッとするほどに甘く、優しく、そして狂気の入り混じった少女の声】
【その体は無数の傷だらけ、携えるは大型のナイフ、だがそれよりも目を引くのは幾何学模様のように全身に描かれた文様】
【大工原が見ればこれは魔術、呪術の類とわかるだろうがその全ては血で描かれていて】

<<おねーちゃんたちもはやくきてね?えぬおーしんじゃうよ?>>

T o t e n s i e

【その言葉と共に少女は大工原へとナイフを振りかぶった】
49 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 03:02:05.77 ID:dUIVzMymo
>>40
【メイスの打撃は、またも風と氷のギミックによって回避される。】
【砕いたのはまたも凍結した地面だけ。アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、不満気に顔を歪めた。】

「逃げてばかりだのう、それではいつまで経っても終わらんぞぉ!!!」

【後退した二人へと向けて、そう言った。】
【彼は段々と苛立ってきていた。彼等にとってはそれらは恐らく、決死の戦いなのだろうが。】
【彼にとってはちょこまかと逃げ回り。チマチマと攻撃を行う、まるで蚊の如くだった。】
【だから彼は、早急にその戦いを終わらせてしまう事にした。メイスを両手で、握り締める。】


「儂の望む闘争は、此処には無いのならばぁ――――。」


【早急に終わらせる。そう言いかけて、アドルフは、そのメイスを空へと振るった。】
【大口径の拳銃弾、それがアドルフへと向かって放たれたのだ。そしてそのメイスを用いて、その弾丸を弾き返した。】
【そう、此処に来て、初めて行われた。彼の"防御行動"。】


「漸く気付いたか、だが、遅いわぁ!!!」


【凍った地面を踏み砕き、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは彼ら二人の下へと突撃した。】
【そして横薙ぎに、その巨大なメイスを振るった。】
【メイスとは、長い柄の先に着けられた、重い槌頭を遠心力を利用して叩き付ける事で威力を発揮する武器。】
【彼は怪力によってそれを減らしているとはいえ。それでも僅かながらに、次の行動へと移るのに間が出来る。】
【"隙が出来る"。】
50 :大工原 正劃 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 03:15:39.56 ID:dUIVzMymo
>>48
「口に物を入れて喋るなと、教わらなかったか?」

【先よりも、随分と柔らかい感触と共に彼の口の端から血が滴り落ちて、崩れ落ちる。】
【最早抵抗の力は潰えているだろうに、だがそれでも大工原正劃を掴む腕だけは、離す事は無かった。】
【その笑いと、何が言いたいかは、大体の予想が付いた。】
【仲間へと繋ごうとしているのだろう、こうして自分を少しでも拘束する事で、だが。】
【死に体の人間一人如きでその動きが止まるほど、大工原正劃は弱くは無かった。】

【背後から聞こえる少女の声。所謂、狂気じみたというやつだろう。】
【だが大工原正劃は、その立場故に、狂気という物に余りにも慣れ親しんでいて、恐怖するには、余りにも遅すぎた。】
【振り下ろされたナイフ、それを察知し、右の拳によってそれを受け止める。】
【肩越しに、彼女の姿を視認する。全身に刻まれた紋様は、何か"術"の一種だろう。】
【詳細を読み取るほどの能力は彼に備わってはいないが、それが或いは外法に近い物である事は大工原にも理解できた。】

「次の駒か、そんなにこいつが欲しければ、くれてやる!!!」

【彼の腕を掴むエヌオー、ならばと、その左腕を身体ごと振るい、彼女へと叩き付けてやらんとする。】
【それで彼が手を離したのならば、それでいい。それでも離さなかったのならば。】
【今度は確実に、彼を殺してしまおうと、その拳が彼の頭部を狙って振り落ちるだろうが。】


「残念だが、何人来ようが俺には関係無い!!」


「貴様等の前に立つのが大工原正劃で在る限り!!!


「貴様等に勝利など  万  に  一  つ  も  有  り  得  は  し  な  い  !  !  !」


51 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/27(金) 04:20:49.03 ID:lGC4jE5AO
>>46

クレーン再装備!アンカーワイヤー射出!


【砲塔の一部が再びクレーンに切り替わりそこから放たれた碇付ワイヤーが戦艦に向かう】

【相手は此方に正確に狙いを定めている、ならばあまり大きな回避はできないだろう】
【相手は此方に砲撃を加えようとしている、ならばこの瞬間は障壁を張るわけにはいかないだろう】

【ならば碇は突き刺さるはず、そのままワイヤーで無理矢理お互いの位置をずらせばどうなるか】
52 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/27(金) 09:56:07.54 ID:lGC4jE5AO
>>51に追加

【『無人』の艦橋を魔翌力に貫かれながらも艦はその動きを止めない】

【一人の少女と船体各所のハードポイントさえ無事ならばいくらでも戦えるのがこの船の特徴の一つであった】


……捕まえた
53 :エヌオー.狂坂愛姫「」. ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/27(金) 16:42:10.60 ID:JXsQoWRGo
>>50
「だめかぁ、やっぱりかったいねぇ〜?」

【軽々と受け止められたナイフ、そこへ死に体のエヌオーが叩きつけられる】
【最早大工原の腕を掴むだけの力もなく愛姫へと抱きかかえられ】

「っと、おっけ!まだいきてるねえぬおー?」

【反動を利用して後方へと下がり、エヌオーを物陰に横たえると再び大工原と相対する】

「それじゃもうしばらくだけよろしくね?おにーちゃん」
「わたしはえぬおーほどきようじゃないけどひとつきくよ?」

【大工原程の速度はないがそれでも十分な速度で間合いを詰める】
【大きく傷つけるわけではないようで小刻みにナイフを振るい手数を増やす】
【その交錯の最中で相変わらずの声色で愛姫は問いかける】

「わたしたちのしょうりってなんだとおもう?」

【問いかけてから数瞬後インカムからはじき出される声】

<<到着まで200sec、耐え切って>>

【その言葉に愛姫はニヤリと笑う、それはエヌオーを彷彿とさせるもので】

「わたしたちはしょうりしてるんだよ、もうすでに」
「それがわからなければどうしようもないよね?」

【大工原の勝利宣言を真っ向から否定する言葉】
【それは負け惜しみなのだろうか、それとも何か真意があるのだろうか】
54 :陽炎 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/27(金) 17:27:15.13 ID:+PvQHhS8O
>>41
>>43

…このままでは。

【広がり続ける怨念、それは自身の闇よりも遥かに濃く、遥かに悍ましい存在だった。それに対し、陽炎には一つの疑問が浮かんだ。】

【もしかすると、彼は人ではない何か。もしかしたら、彼こそが怨念により作られた化身なのかもしれない。】

ゴボウ!!!!

【思わず叫んでしまった。何時ものように小さく単語を呟くのではなく、心からの純粋な叫び。彼は再び自分を救った。】

…ゴボウ!君だけは[ピーーー]せない!!

【龍の姿を纏った陽炎はゴボウを追う様に進む。もしも、何かあった時には自分が彼を救う為に】

【もしもそれが、自分の命を消すことになったとしても…。】
55 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/27(金) 17:35:05.85 ID:+PvQHhS8O
>>45

お、終わったか。流石に疲れたぜ。

【金色の業火を解き、ブースターを使ってゆっくりと地に脚をつける。そして立ち上がると自分と相対した兵器の方を見る】

約束だぜ、一発ぶん殴…。

…お前、その姿…。

【自分が戦っていたのが、まさか人ではなく機械だったとは予想さえ出来なかった。正確には完全な機械なのか、そうではないのか分からなかった。】

分かったけどよ、お前の名前を聞かせてくれよ。誇り高き戦士。

お前の戦いに対しての誇りは、俺よりも強かった。そこに敬意を払いたいんだ。

俺の名前は掌 拳次だ。良かったら覚えといてくれよ。

【そして、勢い良く駆け出し、ブースターで低空飛行をしながら近づき、拳を振りかぶった。それは映写機を壊そうと拳を振るうだろう。】
56 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/27(金) 18:56:54.25 ID:Oi+sCaeJo
>>49
【空気圧によって発射された弾丸は、メイスの一振りによって弾かれた】
【雷よりも、灼熱よりも、はるかに低威力なはずの攻撃……それを、あの老騎士は『防御』した】
【……そこから導き出される結論は、唯一つ】

                   ・ ・ 
矢張り、だな……防げるモノは異能だけかッ!


【活路を見出したバードランドの瞳が、ギラギラとした輝きを放つ】
【再び、愛用の自動拳銃――H&K MK23のスライドを3回引き、3発の銃弾を取り出した】
【ガニーはすぐさまそれを受け取り、掌で銃弾を束ね、老騎士の方向へと突き出す】
【――が、その老騎士は、最早彼らの目と鼻の先に迫っており――】

ッ……!

【回避が遅れ、衝撃波の余波を受けてしまうバードランドとガニー】
【全身を強烈な震動が襲い、視界と脳に痺れが走った】

「ちゅ……中尉ぃっ!」

【ミストの集合が解けかけたガニーは、主人に向かって悲痛に叫ぶ】
【しかしバードランドは、目の前にそびえ立つ老騎士を見て、ただただ不敵に微笑んでいた】
【その様子を見て、思わず息を飲むガニー】

……『振り切った』……な……
……ガニー……今だ……

「っ……要領は……さっきの“撃楯”と同じですね……?」

……ああ。……やってやろう、ガニー……

「……ええ、中尉」

【周囲の空気が風となって、ガニーの手の平に集ってゆく】
【やがて、極限まで圧縮された空気の渦は、3つの銃弾のすぐ後ろで爆裂し――】

……御老人。闘争が好きらしいが……残念だったな。
その大好物も……これで終いだよ

【――爆音と強風を伴いながら、3つの銃弾が亜音速で向かってゆく】
【狙いは、老騎士の左胸――心臓!】

――去らばだ、非文化肉達磨。
あの世の果てで伍長閣下に、絵でも教えて貰うがいい――!
57 :ヴォルフガング・アンゾルゲ ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 20:28:30.25 ID:dUIVzMymo
>>41
>>54
【かつて、幾つかの戦争があった。】
【それは人類に黄金の時代と、さらなる発展を授けた。数え切れないほどの悲しみを残して。】
【悲しみはやがて数え切れない憎悪を生み出した。その一つが、彼、ヴォルフガング・アンゾルゲだった。】
【彼一人が特別な訳じゃない。ただ、それは偶々彼がそうなったと言うだけで。人間ならば、誰しもこうなる可能性はあった。】

【迫る男達を、怨念の腕が千切り、砕き、地の底へと引きずり込まんと叫び声を上げる。】
【それでも二人は立ち止まる事無く、彼の下へと走ってきた。】
【血走った眼。それが垣間見たのは、"あの日と同じ"。】

【敵の小銃(モシン・ナガン)が、自分の姿を貫くさまだった。】

【銃剣が彼の身体を貫いて、其処にライフルが介入し、其の身体に大穴を空けていった。】
【其処に至るまでに、幾つの犠牲があったのか。ヴォルフガング・アンゾルゲは、ゆっくりと、其処に崩れ落ちた。】
【世界を覆い尽くさんとするまでだったそれは、憎悪は、晴れる事は無かった。】
【かれど、ヴォルフガングと言う"呪術師"を失った事で、彼等は急速に枯れていき、"地の底"へと還っていく。】

「……憎悪は。」

【ヴォルフガングが口を開く。通常の人間ならば既に死亡しているような、会話の可能な状態では無いにも関わらず。】
【投げ出した四肢に、もう力が入る事は無かった。】
【ゆっくりと、その指先が灰色に変色していくのが分かるだろうか。そしてそれは掌全体を覆い、軍装の中へと至る。】
【そしてその、突きさされたライフルすらも、変質させ、塵へと還る。】

「次の憎悪を産み出し。決して留まる事を知らない。
 それが人間の根幹であり、これは我々の憎悪が、再びその円環へと還ったに過ぎない。」

【彼等はただ、取り残された憎悪だ。それは再び、憎悪の円環へ、在るべき場所へと帰還する。】
【そして彼もまた、"地の底"へ。】
【それで良かった。彼も、そして彼等も、そうあるべきであり、何時かはそうなるべき物だった。】

「覚えていろ。憎悪は常に、お前達を見ている。」

【そう言って、右手がゆっくりと彼等を指差そうとして、その中途で、その腕が寸断される。】
【血は流れなかった。それは塵。最初から血など流れていなかったかのように、生きてなどいなかったかのように。】
【それが生きていた証拠は。風に噴かれて形を崩し。そして、消えていった。】

【全身が灰色に蝕まれる。其処で久方振りに、本当に久方振りに。ゆっくりと瞳を閉じた。】
【目蓋の裏に広がるのは、七十年前の戦友たちの姿。】
【あの時と変わらず。"待ち合わせの時間に遅れたヴォルフガングへと、笑いながら手を差し伸べていた"。】



「――――俺も行こう……待ってくれ、"とも"よ。」


Sie werden aus der Tyrannei den Weg zur Freiheit gehen.
Valleri, vallera, valleri, vallera,den Weg zur Freiheit gehen.



【最後に小さく歌を口ずさんで、其の身体は塵へと還り、風に乗せられて去っていく。】
【カラン、と。小さな音と共にドッグタグが一つ転がり。"彼"の物語は、長い長い物語は。其処で漸く、終わる事を決めた。】


【2014年6月】

【ヴォルフガング・アンゾルゲ 分隊指導者】

【戦死。】
58 :ヴォルフガング・アンゾルゲ ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 20:29:22.25 ID:dUIVzMymo
>>57
/安価ミス!>>43>>54宛です!!
59 :グスタフ  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 20:50:31.41 ID:dUIVzMymo
>>51
>>52
「……何?」

【魔力による砲撃が艦橋を貫いた。其処まではいいが、それとまるで代わりとばかりに。】
【機体に走る衝撃。その正体は、巨大な錨。そしてそれは強靭なワイヤーによって結ばれている。】

「クソが、やはり特殊艦か。ふざけやがって。」

【その艦の動きに抵抗する様にブースターを噴かすも、大きさで勝る艦に馬力で勝てる筈も無い。】
【彼はブースターによる抵抗を止めず。そしてその艦へと、ロックオンサイトを合わせた。】
【逆を言えば、この状況では先の様な回避行動はとれないだろうと判断し、両手のカノン砲の引き金を引いた。】


「的は的らしく、撃たれてりゃいいんだ。動くんじゃねえ!!」

60 :大工原 正劃 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 21:11:11.47 ID:dUIVzMymo
>>53
【大きく傷つける気が無いのならば、強化外骨格の装甲により対応できる。】
【素早く振るわれるナイフを、拳によっていなす。出来るのはかすり傷程度、十分に対応できる状況だ。】
【そしてそんな状況ならば、そして自ら間合いを近づける必要が無いのならば。】


「そんな物!!!!」


【ナイフを拳を振るう事で、大きく弾き飛ばさんとした。】
【そして其の身体を勢いよく捻る。その行動に呼応して魔力が集中し、腕部ブースターが起動する。】


「  俺  の  知  っ  た  事  か  ァ  !  !  !  」


【肘を曲げ、下から上へと、突きあげる拳を魔導力が更に加速させて、彼女の顔を狙って繰り出される。】
【彼等の勝利など、大工原正劃の知るところでも、考慮する事でも無い。】
【ただ目前に在る敵を撃ち砕く。それが"大工原正確"の目的なのだ。】
【大局を見る事は彼の仕事では無い。それはもっと頭の良い、上官たちの繰り出す事なのだ。】

「200秒、ならばそれまでに。」

【自分の仕事は与えられた命令の忠実な遂行。目前敵の完全排除。】



「貴様等の大好きな隊長と、 同 じ 姿 に し て や る ! ! ! 」



【だが、その大工原の覚悟とは裏腹に。其処に高速で接近する熱源があった。】
【たった一機の、機影だった。】
61 :ゴボウ・ト・イエバ・オソーザイ ◆4zWA/GOBoU [sage saga]:2014/06/27(金) 21:16:47.62 ID:yHpD6twqo
>>57

【分かってるよ―――】
【人の憎悪っていうのは、怨みってものは消えはしない】

「だからこそ、いつまでも俺が、俺達が覚えて、受け止めておく」

【名は無くとも、形失おうとも忘れはしない】
【英霊よ、願わくばどうか安らかに眠れ―――】

「―――- 悪いな、俺では、"救えなかった"・・・」

【だけど、いつかあの世のお前等がこの世に、人間に光を見いだすその日まで】
【何処までも、足掻いてやる】

>>54

「スマン陽炎!心配かけさせたみたいだがなんとかなった・・・ぜ・・・!」

【とはいっても身体中ボロボロだし、先ほどの痛みは精神的に来る物があったが】
【お互いが魂を賭けた死闘っていうのは、こうでなくちゃな】
【ま、身体の方は一晩寝れば治るだろ・・・治るといいな・・・】

「おっと、大分力を使っちまったが、借りたもんはちゃんと返すぜ」

【ゴボウは陽炎に手を差し伸べ】
【その手を握った瞬間に、陽炎の力は還元される】

「・・・Aurigaってんのは、反乱を起こす連中も居るとは言えど、どうやら烏合の衆じゃあないみたいだな・・・」

【それぞれの組織員が何らかの信念を持っているのはよく分かった】
【けれどAurigaという組織自体は何を目指しているんだ・・・?】
【絶対ロクな事考えてねーぞオイ】
62 :リリー・マルレーン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 21:42:40.87 ID:dUIVzMymo
>>55
【名前。それが、自分のファイル名なのか、それとも"確かに自分を証明するものなのか"。】
【最早彼には分からなかった。けれど、この電算盤の脳髄に記されているそれは。】
【自分を、確かに証明するそれは。】


「――――ベルンハルト・デツェン。リリー・マルレーンって、呼んでよね。」


【随分と長かった。ずっとずっと戦い続けていた。けれど、まるで夢のようだった。】
【幸せな時間だった。それだけは言えた。】

【例え電算盤上の零と壱が自分の全てでも。フラスコの中の脳味噌が自分の全てでも。】

【例え時計仕掛けの思い出だとしても。コピー&ペーストで複製できる自分だとしても。】

【戦いの時間だけは、本物だった。】


【拳が、それを破壊する。】
【紅い鎧は完全に機能を停止する。】
【何処からか歌が聞こえてきた。風に運ばれて、歌が聞こえてきた。】

兵舎の前、大きな門の前に、街灯が立っていた。

それがまだ、立っているのならば。

そこでまた会おう。

その街灯の下で、また会おう。



あの日の様に。


【2014年6月】

【リリー・マルレーン 下級中隊指導者】

【戦死。】
63 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/27(金) 22:13:37.85 ID:lGC4jE5AO
>>59

させません!

【ロックオンが固定される前に碇つきワイヤーをクレーンを使って振り回し強引に狙いから外れる】

【遠心力で船体が激しく揺れるがお構いなしにクレーンを降り下ろす】

【そのまま海面に叩き付ける腹積もりだ】

【だめ押しとばかりに落下予測地点に徹甲弾の弾幕を張る】

【榴弾ではないのはワイヤーを傷付けないための措置だ】


墜ちろぉ!
64 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/27(金) 22:36:29.80 ID:+PvQHhS8O
>>57
>>61

…さらばだ、怨念。

…出来る事なら、救ってやりたかった。

【一瞬だけ、涙が零れ落ちた。幾ら怨念の化身だったとしても…また一つの命がこの世から消えてしまった】

…終わったか。

【その瞬間に龍を纏った姿は解け、ヴォルガスと陽炎本体に分離される。そして地面に勢い良く落下する】

…ボロボロだな、お互い…。

【手を取り、闇が自身に戻ってくるが、その掌には残ったまま】

…この力は君が持っていてくれ。以前はサングラスしか渡せなかったが。

…この闇は君を守り、君を助けてくれる。そして再びこの闇は君と俺を巡り会わせる。

…受け取ってくれ。

【再び、掌をゴボウに差し出す。そこには希望に溢れた闇があった】
65 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/27(金) 22:54:13.95 ID:+PvQHhS8O
>>62

さらばだ…!!!誇り高き戦士!!!

リリー・マルレーン!!!

【拳が貫く、もしかしたら死なないと思った。俺の能力ならば、生物は絶対に殺さない、いや、殺せない筈だった】

【だが、能力はどうやら生物として捉えかなかった様だ。だが彼から感じた戦士としての憤りは全て感じていた】

【初めて、人を殺した。こんなにも辛い物なのか、こんなにも、寂しいのか。】

…クソォォォォオオオオオオ!!!!

【だが、ここでそれを悔いるという事は誇り高く死んだリリー・マルレーンに対して泥を塗る事と同じ物。】

…奴が誇り高く死んだのなら、俺はその誇りを背負い、闘う。

【このやり切れない思いを吹き飛ばし、男はこの国より帰還した】

/お疲れ様でしたー!
66 :ゴボウ・ト・イエバ・オソーザイ ◆4zWA/GOBoU [sage saga]:2014/06/27(金) 22:59:43.98 ID:yHpD6twqo
>>64

【―――- 俺に、くれるのか、この力】

「気持ちだけでも十分なんだが・・・親友の頼みとあっては断れまい」

【ありがとう、受け取っておくよ】
【まいったなー?俺どんどん強くなっちゃうぞ☆】
【ふーむ『影』の力か・・・エネルギー自体は使いきっちまったが、『能力』が残ったのか?】
【これさえあれば今の様な窮地も一人で切り抜けられるかもしれん・・・色々研究してみるか】

「恩に着るぜ、陽炎。これさえあれば、まだ"長生き"できそうだ」

【だから、また会える】
【老いた男は、まるで少年の様に陽炎に微笑みかける】

「―――- っと・・・!・・・俺はもう限界の様だ・・・。俺はここらで、戦場から離脱する」

【心残りは正直まだあるが・・・】
【パワーアップしたとはいえ、消耗しきった今の状態では満足に戦えまい・・・それこそ足手まといだ】
【老兵は、一旦去る事にするよ】

「陽炎、お前がこの戦場にまだ留まる気なのかは知らないが―――- とにかく無事でいてくれよ」

【Aurigaの連中は、ああいった心に闇を抱えた連中を何百、何千と利用しているに違いない】
【そいつらの進撃を喰い止めるには、お前の様な世界を照らす"光"が必要不可欠だ】
【だから、死んじゃいけねえ。死にそうになったら、俺が駆けつけて助けてやるからよ】
【お前は、お前の信じる道を進め】

「じゃあな、陽炎」

【そう言って、手を振って笑いかけると】
【身を翻し、瓦礫の山へと足を引き摺りながら去って行った】

/一週間に渡るロールお疲れ様でした
67 :陽炎 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/27(金) 23:29:27.54 ID:UsTRQ/G60
>>66

…あぁ、また会おう。ゴボウ。

【親友との別れを惜しみながら陽炎はゴボウを見送った。】

…俺達も帰ろうか、ヴォルガス。仲間が待っている。報告しなければならない事が沢山ある。

…怨念か。

…せめて、あの世では其れに駆られぬ様に。

…安らかに眠れ。

【そして飛び立つ。黒龍は巨大化し、戦場から去った。自身の闇が光になるように。全ての闇が光となるように】

【願いを込めて】

/お二人共お疲れ様でした!
68 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 23:31:41.78 ID:dUIVzMymo
>>56
【戦いの中に生きる。それがアドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクに課せられた運命だったのだろう。】
【黒鉄のメイス、鎧が彼の魂を覆い、戦場を駆け回る。】
【七十年前の戦場。何人もの強者と戦い、何人もの強者に、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは打ち勝ってきた。】
【鉄十字の勲章を貰った。大袈裟な階級を貰った。黒鉄の鎧と、メイスを貰い、また戦場へと繰り出した。】

【だから、そう簡単に撃ち砕かれる訳にはいかなかった。】

【それは今まで撃ち砕いてきた者達に対する冒涜だと、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは考える。】
【然し、同時に、自分がこうも簡単に隙を突かれると言うのは、老いよりも、"世界"がそうしたいのだろう。】

【"お前達の時代は終わった"と。】

【それは恐らく、自分だけの事では無い、と。それは、きっと――――――――。】

【風によって撃ち出された銃弾。それが彼の左胸へと突撃する。】
【三発の弾丸が鎧を砕き、肉を抉り向こう側へと飛び出して、更にその鎧に穴を空ける。】

【そして鮮血が溢れ出す。老いた身において、尚も流れ続ける生の証。】
【脈々と受け継がれ、そして次代へと繋げた、シュヴァルツェンベルクの血。】


「――――――――  オ  ォ  ォ  ォ  ォ  オ  ォ  ォ  オ  !  !  !  !  !  」



【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは倒れなかった。】
【一発、心臓へと達しかけた弾丸を、その身一つで、貫く直前で停止させたのだ。】
【手離したメイスを、再度握り締める。】


「儂にもな、孫がいる。」


【メイスを担ぎ上げ、ながら、そう言った。】

「可愛い奴でな。何かあれば、すぐに"じーちゃん、じーちゃん"。
 そいつも、ボロボロになっちまった。それでも戦っとる、儂のせいでな。だからなぁ、まあ、そのなんだ。
 儂もそいつに恥かかせん為にな。せめて最期まで。」


【そう言って、両手でメイスを握り締める。全身の筋肉が膨れ上がり、胸部からは止め処ない血が溢れ出てくる。】
【それでも構える。両腕で、そのメイスを彼等に向けて。】
【つまりは、そろそろ次世代に託す頃だろうと言う事だ。自分の可愛い孫娘や、そう、前に立つ彼等なんかに。】
【その未来を見られないのは、残念だが。戦場狂いに、死は付き物だ。】



「   意   地   は   張   ら   せ   て   も   ら   う   ぞ   ぉ   !   !   !   !」




【メイスを叩き付けた攻撃、と言うのはアドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは何度か行っている。】
【それもそうだ。大上段に振り上げて、それを思い切り叩き付ける。】
【今回のそれは、力の籠め方、と言うよりは、その量が違った。簡単に言えば、"膨大"だった。】
【爆撃の様に、それが地面を叩くと、まるで天と地が引っ繰り返って降り注ぐかのように、周囲の瓦礫や煉瓦が浮き上がった。】
【アドルフを中心としたクレーターが出来て。単純な力による、破壊の渦がそこに巡る。】
69 :グスタフ ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/27(金) 23:45:55.96 ID:dUIVzMymo
>>63
【強烈なGがグスタフを襲う。】
【AIE-HAに登場している時点で、Gは切っても切り離せない物だし、その耐性も適応には大きな要素だ。】
【だが、それとはまた違う。目前のカメラ・アイが映し出すそれが逆さまになって、海面へと突っ込んでいく。】
【最早ロックオンサイトも意味を成さない。視界の外にいる敵に対する攻撃手段も存在しない。】


「ふ、ふざけやがって!!!!!!」


【そして其処に徹甲弾の嵐が吹き荒れる。魔導防壁を突き破り、装甲を食い破る。】
【コックピットまで達した弾丸が彼の腕を食い破る。】
【叫び声よりも先に恐怖した。目の前に、初めて明確に迫る死の可能性を予見して。】


「死にたくない……俺は死にたくない!うぁ、あぁぁあああああ!!!!!」


【ブースターを無茶苦茶に噴射して、無理矢理にロックオンサイト内に敵艦の姿を捉える。】
【対空砲、分裂ミサイル、両腕に握るカノン砲、背部に搭載された魔導砲、それら全てを滅茶苦茶に撃つ。】
【弾が尽きるまで。途中からは最早ロックオンの有無など介さず、只々、射撃の指示を機体に出し続ける。】
70 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g :2014/06/28(土) 00:03:20.21 ID:jyUQwn0AO
>>69

【敵の放つ無我夢中の弾幕に対抗するように彼女の弾幕もまた激しさを増す】
【ただし彼のそれとの違いは冷静に狙いをつける余裕と、弾倉内に直接弾丸を転送する無限弾倉システム】

【撃ち落とせる弾を撃ち落とし途切れること無く弾幕を張って尚その弾薬が尽きることはない】

【船体にも一部破損が出るがそれでも重要区画への直撃は避けながらありったけの火器をフル稼働させる】

これで、終わりよ!
71 :グスタフ ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/28(土) 00:20:58.52 ID:o0WeKtK1o
>>70
「クソが……。」

【ポツリと呟いた。確実に、自分を屠る為の弾丸が近づいてくることを察知した。】
【死にたくなかった。けれど弾丸も尽きて、其処に在るのはただの大きな棺桶にしかならなかった。】
【どうしようもない、そこにいるのは、丸裸で戦場に立つ、言うならば、ただの的だった。】


「こんなところで、終わりかよ……。」


【一面に広がる海。そして徹甲弾が、彼の意識を攪拌した。】
【其処に座る彼の上半身を、吹き飛ばして滅茶苦茶にした。余りにも呆気の無い最期だった。】


『"即席"では、やはりあの程度ですか。』

【母艦、甲板上の男がポツリと。ドックタグを握りながら呟いた。】


【グスタフ 准尉】

【戦死。】
72 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/06/28(土) 03:39:18.47 ID:w1MZ9ntKo
>>42
【振り下ろされた右腕は、虚しく空を切る。】
【腕の無い左側をすり抜けるように振るわれた刃が、脇腹の装甲を切り裂いて。】
【内側に蠢く歯車を砕き、コアたる結晶を傷付けた。】

「……あ」
【亀裂は変化していない彼自身の心臓にまで達しており、粒子の精製機能が失われ――】
【同時に失われ行くコアの色が吐き出されるように、脇腹と左肩の穴から赤黒い数式が溢れだす。】

【溢れ出した数式は四足を持つ人影――例えるのなら円錐形の頭を持つケンタウルスのような――赤黒い塊となり、音も気配もなく】
【そもそも、辺りの物質に影響を与えることなく空を駆ける。】

「『俺は』――ッ 『まだ』、人間だよ」
【粒子のプレートへと着地点までスライドさせ、左手を付いて着地】
【呼吸を整えながら。話に耳を傾けつつ、理解する】
【実力が開き過ぎている――単純な力や装備の差ではなく、判断力や技量。場数の差】

【そして、何より願いの質が違う】

【他者を轢き潰してでも叶えようとする彼女の願いに対し、他者を轢き潰せばその時点で潰えてしまう鳴海の望み】
【最初からして拘束ではなく鏖殺を選んでいれば。有り余る粒子で空間を制圧していけただろう】
【その差が明確に、この劣性を生み出していた。】

「それは」
【立ち上がりながら振り返り、口を開きかけ――刹那。紅い花が弾けた】

【狙撃主の事は、鳴海の頭から離れてはいなかった】
【だからこそ亜音速の弾丸が到達するよりも早く反応し、刃の腹を盾にした】
【――が。内部ダメージが残っていたのだろう】

【刃から伝わった衝撃により右腕は肘から後方に大きく吹き飛び、しかし、衝撃により傾ぐ姿勢と逸らされた弾丸に額の肉は消失】

「ぐ、――」
【同じく衝撃により頭蓋が割れ。脳がシェイクされる感覚に倒れ伏し、嘔吐する】
【吐き出されたのは歯車とコアの破片、そして血液】

「……こんな事で、取り戻せる訳無いだろ」
【あるべき内容物の無い吐瀉物に浸り、呟いて。】

「可愛い女の子は……兎も角。アンタの友人や家族が、どれだけ生きているかは知らない。
 国を取り返そうが。世界に存在を焼き付けようが、アンタが欲しがるものは――アンタが後ろを向いている限り戻らない!」
【揺れる思考の隅に邪神の存在を掠めながら、半ばしかない腕をささえに立ちあがろうともがき。】

「……前を向いて、新しく造れば良かったんだ。
 確かに難しい事かもしれない。簡単に割り切れるものでもない。
 でも、こんな手段じゃなくても笑い会える場所。帰る場所は造れる……いや、ある筈なんだ。
 特に! 傍らに思い合っている人がいるアンタには!」
【滑る血液と滑らかなプレートに苦戦しながらも、漸く立ち上がる。】

【色彩が絶えず変わる瞳は、目の前の彼女と地上の兵を交互に睨んで――目に、若干の嫉妬と羨望を滲ませて。】

(あの塊の事は解らない。二人にも隠し玉があるかもしれない。
 だけど、両腕を無くしただけだ。足はある。武器もある。
 差を埋めるだけの力の塊が、地上には、ある。
 まだ――、戦える)
【眼下の防壁に瞬間視線をやり。肘だけの機械仕掛けの右腕を構え、隙を窺う】

【人馬型の数式の塊は空を。地上を好き勝手に駆け回り、しかし、何もしない。】

【まるで、何かを探しているように――】
73 :エヌオー.狂坂愛姫「」. ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/28(土) 03:56:38.53 ID:ic8sTD2uo
>>60
【強化外骨格によって攻撃のほぼ全てが弾かれる】
【それでも攻撃の手を緩めることはしないのはたった一つ待ち続けているから】

「ふーん、やるじゃんおにーちゃん」

【ナイフが弾き飛ばされ一瞬体勢が崩れ、そこへ追撃と言わんばかりにアッパーカットが飛んでくる】
【肉と骨が拉げる音、だがそれがエヌオーの時と違う部分は愛姫は悲鳴を上げていない】
【それどころか両の腕と引換えにその拳を受けきった】

「ふー、まったくもー……なおすのつかれるんだよ?」
「まあいまはなおすひまないからこのままいくけどね」
「それに、わたしはそうかんたんにしねないから……さ!」

【拉げ、血が溢れる両腕。血は形をとって拉げた腕全体を覆結晶の刃となり】
【振るう一撃はナイフよりも遥かに速く、そして鋭さを増して執拗に攻撃を重ねる】

<<新たな熱源反応、私達の到着まではおよそ100sec……耐え切れる?>>
<<わたしはへーき、そんなことよりえぬおーのしんぱいしてよ>>
<<できる限り急いでみる……!>>

【インカムからは新たな敵の接近が告げられる、増援到着までに接敵は許すだろう】

「でもなんだかんだいいながらぞうえんはよんでるんだね」
「それかおにーちゃんじゃやくにたたないってはんだんでもされたのかなぁ?」

【大工原の性格、言動を考えれば恐らくは上からの判断で増援が投入されたのだろう】
【尤も、愛姫にとってそれこそどうでもいいことであり。目の前の敵は排除するという思考】
【そして上からの命令に忠実に、その行動自体は大工原と一切変わらないのだが】
74 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/28(土) 19:17:22.24 ID:TfS9btzEo
>>68
「…………」

……これは、下らん独り言ですがね。
――敵の生首を土産にする祖父など、私としては御免ですな。

【颶風と共に放たれた、亜音速の銃弾】
【その一撃を受けてもなお、老騎士は2人の前に立ちはだかる】
【黒金の鎧に撒き散らされる血は、常人ならばとっくに失血死しているはずの量】
【だが、老騎士の腕には、瞳には……かつてないほどに確固たる“意志”が宿っていた】
【黒鉄のメイスが、ゆっくりと大上段に振り被られる】

ッ……ガニー!

【パートナーに指示を出し、後退を開始しようとするバードランド】
【しかし、ガニーが指令を完遂するよりも早く、老騎士の激打が大地を揺らした】

「ぁぁあああッ――!」

ぐ……うぅぅッ……!

【衝撃の渦、破壊の嵐。天地が引っ繰り返ったかのように、瓦礫や廃材が宙に浮かぶ】
【その余波を受け、バードランド達も空中へと無慈悲に跳ね上げられた】

「中……尉ッ! すぐに――」

……『風』を……

「……え?」

『風』を……奔らせろ……ガニー……
杖を……奴の『穴』に……

「――!」

【バードランドの持つ杖の鷲頭が、ギラリと鋭い眼光を放つ】
【この杖を『爆風』によって飛ばし、あの老騎士の胸に空いた『穴』に撃ち込み――】
【そしてその刺さった杖を通して、『雷』を直接肉体へ送り込めば――】

「く……っぁ……!」

【――だが、ガニーの『身体』も、度重なるダメージで限界寸前まで来ていた】
【全ミストの能力を終結させたとしても、丁度あの『穴』に杖を打ち込むことは困難であろう】
【かといって、通常の気象撃は老騎士に通じない。……やはり、一か八か、この方法しか無い】
【震える指先で杖を手に取り、先程よりも練度の低い『爆風』を撃つ】
75 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/29(日) 01:00:19.36 ID:SR1P3/0Wo
>>72
【嘘つけよこいつ。】

【エッリ・テア・ハーパライネンが、彼の言葉を聞いて思って、頭の中に思い浮かべた言葉だった。】
【歯車?結晶?数式?断言しよう、普通の人間の中には、そんな物は決して存在しない。】
【エッリと、そして狙撃銃のレティクル越しに彼を除く、ハンナ・ハーパライネンの考えも同上だった。】
【エッリは、出来る事ならこの不満を好きなだけ少年に向けて叩き付けてやりたかったが、それは溢れ出した数式の四足の獣に遮られた。】

【そしてそれと同時に、彼女を覆っていた強化外骨格が遂に限界を迎える。】


「……っ、こんな所で!!」


【空へと其の身体を留めさせていたブースターから光が消えて、地上へと降り落ちる。】
【手離されたブレードが、地上へと降り落ちて突き刺さり、彼女を包む強化外骨格は塵と消える。】
【そのまま地面へと叩き付けられようとしていた彼女を、地上の狙撃主の彼女が、あろう事か、狙撃銃を投げ出して両腕で受け止めた。】

【助かった、彼女へとそう言って、エッリ・テア・ハーパライネンが地上へと足を下ろす。】
【フラリ、と。覚束ない足取りの彼女。傍らのハンナに支えられながらも、徐々にその身体を安定させた。】
【その数式の獣は、如何やら、少なくとも今は未だ、こちらへの危害を加える気は無いと判断した。】
【そもそも、それは少年の支配下に置けているようにも見えない……まるで何かを探すかのように、駆け回っている。】
【だが、考えたって仕方ない。今は、実害は無いのだから。】


「―――― 帰る場所なんて、無い!!!」


【すう、と息を吸い込んで。彼の言葉を否定した。】

「僕の居場所も!ハンナの居場所も!無いんだよ!!
 今更僕達の何処に、居場所があるって言うんだよ!逃げ出してところで、捕まって、絞首台行きが関の山だ!
 僕だけならいい……この子だって、それは同じだ。」

【こんなことで取り戻せる訳が無いと言うのなら。もし、これが"前を向いている訳では無い"と言うのならば。】
【殺戮部隊の彼女等に、居場所を取り戻す方法は、他に思いつかなかった。】

「だから僕は戦う事でそれを取り戻す。それが僕の責任で、そして。」

『母さん、私は!』

「後にしてくれ! ……お守り、使うよ。」

【先に手渡されたバックル、それを自分の腰元へと押し当てると、伸びたベルトがそれを彼女へと固定させる。】
【元々は彼女、ハンナ・ハーパライネンへと手渡された兵器で在り、そのバックルは魔術を不得手とする彼女への補助装置。】
【この状況……疲弊したエッリ・テア・ハーパライネンに対しても、それは有効に機能した。】


「それが僕にとっての、前に進むって事だ。」


【再度、身体を包んでいた黒いスーツが、強化外骨格へと置き換わる。】
【バイザーが彼女の目元を覆う様に展開し、視界の補助・保護機能を起動させる。】
【右手には長大なスナイパー・カノンが握られ、展開を終えた強化外骨格の排気ダクトが、白い煙を吐き出した。】


「あ、これいらないから。」

『え、ちょっと……!!』


【そう言って彼女へとスナイパーカノンを放り投げると、傍らに突き刺さったブレードを引き抜いた。】
【上空、不可解なプレートの上に立つ彼へと、その刃先を向けて。】


「第二ラウンドと行こう。」
76 :大工原 正劃&OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/29(日) 01:30:59.74 ID:SR1P3/0Wo
>>73
【拳が相手の腕を叩き潰した。それは確かに、身体へと受けるよりは賢明な行為ではあるのだろうが。】
【通常の人間ならば、その時点で悲鳴を挙げて戦闘どころでは無くなる。】
【それでは、彼女はと言うと。それが能力が、拉げた腕を刃と化して、更にその苛烈さを増した。】


「成程、そう言う人間か……!!!」


【幾度か刃が、彼の頬や強化外骨格を掠めて、そのいくつかが彼の身体へと達する。】
【痛みに顔を歪めながら、大工原 正劃はカウンターのタイミングを計っていた。】
【彼の戦闘センス、及びその身に纏う強化外骨格は、何度も言う様に近接戦闘に特化された物。】
【即ち。近接戦闘の中にいれば、反撃の一手を叩き込む事も不可能では無いと考えた。】
【然し其処で想定外が発生した。彼女のインカムへの応答とほぼ同時、その顔に驚愕の表情が一瞬で広がった。】

【攻撃を弾き飛ばし、後方へと大きく下がる。】
【その機影は確かに自軍の物だった。だがそれに対して何かを問う前に、その機影の正体は上空へと現れていた。】
【巨大なヘリ。それは其処に留まる事無く、ただ通りすがり様に、卵を産む魚の如く、一つ、それを落としていった。】


『あっと、ちょっと早く到着し過ぎちまったかな?』


【上空。その身を重力に任せ乍ら、彼女はそう言い。そして大工原 正劃が、何かを言う前に、彼女は戦場へと達していた。】

【背の低い少女だった。ヘアピンを用いて左右に分けられた黒い髪が、彼女に活発そうな印象を与える。】
【きっちりと着込まれたフライトジャケットに、カーゴパンツ。階級章は見当たらないが、その腕には紛れも無い"兵士の証"。】

【"逆鉤十字"の腕章。】

【大工原 正劃は、然しその姿に怪訝な表情を見せた。】
【それは確かに味方なのだろう。その様な旨の連絡もついさっき与えられた……だが。】
【この様な者には、見覚えが無かった】

『ふぃ〜、寝起きにこれは応えるねぇ、大尉も人が荒いよ。
 しっかしアタシと、"W"が起きたって事は……父さんたちは、死んじゃったって事かな。』

「……おい、貴様。」

【暢気に伸びをする彼女に向けて、大工原 正劃が、声を低く、そう問いかけた。】
【そう問いかけられた彼女は、うん、と軽く首を傾げたが、すぐに合点がいったと、その首を元の位置に戻した。】
【そして両手を広げた、その場にいる皆へと向けて。】


『アタシはオリジナル・バタリオン所属!
 名前は、えーと、"OB-004 『B』"。よろしく頼む!……って、これ名前か?』


【彼には聞き覚えの無いそれであり、そして彼女等ならば更に覚えのない物だろう。】
【だが、一つだけ変わらない事。それは彼女等の敵であり、大工原 正劃の味方である者が増えた、と言う事が一つ。】
77 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/29(日) 02:29:42.18 ID:SR1P3/0Wo
>>74
【衝撃波が戦場を掻き回す。それはそこら中のガラクタと一緒くたにして、彼等を跳ね上げてみせた。】
【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクの身体に、最早生存の選択肢は残されていないのだろう。】


「……これは老人の譫言じゃがのう。

 どんな形だろうと、孫には格好良い姿を見せたい物よ。」


【だからこそ、この黒騎士は、精一杯暴れ回ってやる事にした。】

【泣いても笑っても、これで最後なのだから。だったら、この"武"をそこら中に向けて示して、そして彼等へと焼き付けて。】
【まぁそんな風に一生を終えるのも悪くは無いんじゃないかと、彼は思っていた。】
【死を受け入れる訳では無い。幾ら年老いようと死は恐ろしい。死にたくは無いけれど、まぁ。】
【悪くは無い死に方なのではないか。アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、そう思っていた。】


「……う、ォオオ……!!!」


【叩き付けたメイス、それを持ち上げるのに、思い切り力を籠めた。】
【流れ出る血液と共に、彼の剛力は既に底を尽きかけていた。然しそれでも彼は、武器を握ろうとしていた。】

【そして、持ち上がるメイス。同時に鎧に空けられたその穴に、杖が突き刺さった。】
【彼の動きが鈍かったこともあるだろうが、それは運命の女神の確固たる決定が、そうすること以外を許さなかった事に違いないと。】
【つくづく、此処でお前は終わるべき人間だと言われている様で。悪い気分はしなかった。】


「 お ぉ ぉ ぉ お お お お お お お お お お お ! ! ! ! ! ! ! 」


【故にその杖を如何にかしようとは考えなかった。ただ我武者羅に、もう一度メイスを振り上げた。】
【せめてあと一発くらいは決めなければ、恰好が付かないだろう、と。】
【足掻く理由としては、これで十分だった。】



「アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク!最期の大立ち回りよォ!!!


 し  か  と  目  に  焼  き  付  け  い  !  !」


【そう叫び、そして彼は、彼等へと向かって、大きく地面を蹴り飛ばした。】
【其の身体が大きく跳躍し、巨大なメイスを彼等へと向けて、振り下ろさんとした。】
78 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/06/29(日) 04:36:17.72 ID:Mkb8NUhqo
>>75
「Aurigaは……、違ったのかよ」
【地上から吼える彼女を前にして、漸く、感覚のズレを認識した。】

【自身が言った方法は彼女達から見れば逃避だ。】
【新しく居場所を造ったとして、彼女達が殺戮部隊であった以上。ふとした拍子で容易く崩れ去るものに過ぎない】
【おそらく彼女が求めているであろう日の当たる生活は、安息は、望むべくもない】

【だからこそ正面から。少なくとも彼女は、平穏を勝ち取ろうと不可能とも思える壁に挑戦している。】

(……だけど、それで良いのか?
 同じ手段で勝ち取ったとして、相当の恨みを買う)
【ならば、狙われることには変わりなく――そして。絞首刑などよりも、さらに悲惨な結末になるのではないか。】

【被害者達の想いは確かに果たされるのだろう。だが、彼女の想いは踏み躙られる。】
【前者は喜ぶべき事だが、後者を見逃すことも出来ない。】
【そもそも過程で轢き潰される想いがある事自体が、既に許容範囲外。】

【ならば、どうするのか――】


「これは……ははは、笑えない。」
【一つ、思い付いた案に思わず自嘲した。】

(ああ。確かに、成功すれば――だが、今の時代に成功するのか?)
【それは酷くか細い糸の上をいく綱渡りであり、今回、大規模な戦闘があったからこそ可能性があるようなもの】

「母さん――か。」
【躊躇する中、ハンナ――と呼ばれた者の一言に決断する。】


「決めた。解った。なら今回は。いや、今回も。
 俺のエゴを押し付けさせてもらう」
【プレートを作っていた粒子の結合を解除し、防壁の真上へと落下。】

【防壁に触れると防壁は宙に浮かぶ水のように形を変えて鳴海を受け止め、鳴海自身へと収束。】

【簡易ながらも透き通る灰色の両腕と頭部を守るように装甲を構築。】

【膨大な余りの粒子を圧縮して、体内へと格納し――。】

「ご――、オッ?!」
【格納しきれなかった粒子塊が肩甲骨辺りの装甲を突き破り、剣先の存在しない一対の刃が顔を出し。】
【首元からうっすらと紅い粒子の膜がマフラーのようにたなびく。】

「……ああ。第2ラウンド――を始める前に、一つだけ聞いておく。」

【開いた手のひらを握り締めば、呼応するように無人機を拘束していた粒子が圧力を増し――】
【固められた強化外殻はブースターの噴射口から、一部分解された粒子が浸入。】
【無人機は握り潰し、強化外殻は内側から強化外殻だけを破壊しようとする。】

「前に進む前に、アンタは……ハンナとやらの意思は聴いたのか?」
【強化外殻が破壊できたのならば塊ごと動き、そのまま無事な艦の上へと粒子の結合を解除した後投げ捨てられるだろう。】

【勿論。結合を解除した粒子は、即ち鳴海の戦力となる】

「――どちらにせよ、今は全力で叩く。
 アンタ達は一度戦死しろ」
【問いの答えに関わらずやる事は変わらないと、前のめりに屈むように、両足へと力を溜め――】
79 :エヌオー.狂坂愛姫「」. ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/29(日) 10:07:15.77 ID:M2sgk2tho
>>76
【新たに現れた敵。彼女は自身の名前、否型式番号と言ったほうが正しいのだろうか】
【戦場には似合わないほどのんきな様子で宣言する】

「あーあ、敵が増えちゃったよ……めんどうだなぁ」

【大工原との距離が離れた事を好機と見てすかさず血の刃を手の形をした鉤爪へと変え】
【まだ生身である自身の顔に、腕に、体に、足に、全身へと文様を刻み、流れる鮮血に対して簡潔な呪文を唱える】

「でぃ まはと でぃ ばはんどぅるんぐ ば ぶるーとぅ」

【その呪文に呼応して文様と鮮血が赤黒い輝きを放ち愛姫が何かをしたということを諮詢する】

「でもまだたりないかなぁ?もうちょっと……」

【呟くと同時に文様の間を縫うようにして血の刃が愛姫の全身から突き出してくる】
【それは一瞬で流血へと形状を戻すが、愛姫の全身は僅かに残るワンピースと白髪を残して紅に染まる】
【紅と白のコントラストが美しさと同時に更なる狂気が見え隠れする】

「これでよしっと、さて……っと」

【新たに現れた少女はどのような攻撃をしてくるのかわからない】
【増援が来るまで持ちこたえるのが定石なのだろうが、エヌオーに攻撃を仕掛けてくることも考えられる】

(ん〜……むずかしいなぁ……えぬおーはまもる、おねーちゃんたちがくるまでもちこたえる)
(りょうほうやらないといけないってのはわかるけどわたしのちからでできるかな?)

【どちらも動かない状況で思考を重ねるが、愛姫のできることは唯一つと結論が出る】

「まあかんがえるより……」

【地を蹴り先程よりも速度を増して大工原へと駆け抜け】

「こうどうするしかないよね!」

【鉤爪での手刀を叩き込まんと右腕を振りかぶる】
80 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/29(日) 18:34:23.88 ID:cMzRBJTSo
>>77
「……中、尉……すみま、せん……」

【限界を迎えたガニーの人間体が、元のミストへと戻っていく】
【白く濁った『天の霧』が、バードランドの側へと寄り添った】

……ああ……休んでいてくれ……ゆっくり、な……

【見下ろせば、老騎士の跳び上がる姿】
【乾坤一擲の一撃を、自分達への置き土産にするつもりらしい】

……来る、か……ならばッ……!

【骨にヒビの入った人差し指を、まっすぐに天へと向けるバードランド】
【彼の示したその合図は、心の奥底でしばし休んでいる、愛すべきパートナーの元へと伝わる】
【そして、彼を囲んだミストは膨張し、一瞬のうちに上空へ広がって――】

……『電撃戦』だ……アドルフ殿――!

『――天轟雷霆(ケラノウス)――!』

【上空に生じた黒雲から、一閃の雷光が迸る】
【天を駆ける獣のごときソレは、まるで“避雷針”のごとくそそり立つ『杖』へ、一直線に向かっていった】
【もしも直撃したならば、杖の刺さった老騎士の肉体も、内部から黒焦げにされてしまうだろう】
81 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/29(日) 23:54:33.05 ID:SR1P3/0Wo
>>78

【バイザーが、その粒子の解析せんと足掻いた形跡を網膜へと映し出すも、結果はアンノウン。】
【今、無人機を破壊し、そして強化外骨格部隊を破壊したその粒子は、データベースに全くない未知の物質だと判断した。】
【戦力として完全に凍結状態だった彼等は、丸裸にされた上で、"逆鉤十字"の揚陸艇などの艦達の上へと叩き付けられた。】

「ほんと、嘘つけよ。やっぱり人間じゃない……。」

【彼の身体の内側から現れた一対の刃、首元の淡い赤色の膜。】
【ハッキリ言って彼がどう言おうと、彼の姿は人間の外の物……今に始まった事では無い、が。】

【兎も角、これで頼れるのは、愛しい娘だけとなった。】

【エッリ・テア・ハーパライネンが、その娘へと目をやった。】
【彼女の意思。そう言えば、聞いたことがあっただろうか。親の心を、子が窺い知れない様に。子の心もまた、親は窺い知れない。】
【或いは、聞かないようにしていたのかもしれない。】
【彼女は決して普通とは言えない人生を送ってきた。物心ついた頃から、親に銃の扱いを教わってきた。】
【そんな彼女の心情を聞くのは。本当に、本当に数十年ぶりの事だが……恐ろしいと、思った。】

『私は――――――――。』

【言い出そうとした彼女の言葉を待たず、エッリは目を逸らした。】
【けれど、彼女は、ハンナ・ハーパライネンの手を握り、彼女の顔を覗き込んで。】


『母さんが無事なら、それでいい。』


【其の言葉に、少しだけエッリ・テア・ハーパライネンは目を瞑ると、すぐに上空の彼を睨み付けた。】
【両手でブレードの柄を握り、姿勢をゆっくりと深く落とす。背部、脚部のブースターにゆっくりと魔力が集中する。】
【目標点に到達した魔導力が点火し、推進力を生み出さんと炎を吐き出し始める。】


「君のエゴ如きで、僕の道を閉ざすことが出来る物か。
 僕には分かる、死ぬのは、君だ。

 ハンナ、下がってな。――――――――母さんは負けないから。」


【其の言葉と共に、彼女の身体が空を駆ける。】
【爆風の尾を引きながら、彼の下へと直線的な動き――――――――否。】
【肩部ブースター、それを一瞬だけ噴射し、撹乱を目的とした、無理矢理な軌道を織り交ぜながら、彼へと突撃した。】

(流石に反応はマイルド、だけどさっきよりも速い……出力が桁違いだ。)

【そうして擦れ違いざまに、横薙ぎの一撃を喰らわせんと剣を振るう。】
82 :大工原 正劃&OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/30(月) 00:43:53.41 ID:EiUZCMUWo
>>79
【大工原正劃は暫し押し黙ったままだった。その強化外骨格に送られてきたデータにより、彼女の素性は理解した。】
【確かに冷静に考えれば、現在彼は二人目の敵と交戦中、そしてその後に更なる増援を相手にしなければならない。】
【大工原でなくとも、より優秀な兵士であろうとも、それだけの連戦による消費も考慮すると、一人に任せるには得策では無い。】
【それは、大工原も理解していた。そして自分を優先する事が自分の仕事では無い、と言う事は理解している。】

「後に控えている敵がいる。それも考慮に入れての援護を頼むぞ。」

『りょーかい!まあアタシに期待してなってー、弱くはねーよ?多分な!」

【赤黒い刃が少女自身を貫いて、少女の身体を朱に染めた。】
【何らかの魔術の行使、その引き金だろうと大工原 正劃は仮定した。】
【どのような系統の魔術か、どう作動し、どう効果が表れるのかは、読み取れる能力はありはしないが。】
【それが酷く悍ましい物であることは、よく分かった。】

「だが、貴様が幾ら策を弄しようと……この拳が届く限り!!!」

【彼女が右腕を振り被り、そして大工原 正劃がそれに合わせて右の拳を勢いよく引き絞った。】
【その攻撃に対して、大工原 正劃はそれを"大きな隙"として扱う事にした。】
【鉤爪による、大工原への被害を完全に度外視し、確実なカウンターを用いて、彼女を叩き潰さんとした。】

「ぐ、うぅ!!!!」

【彼の顔を、鉤爪の手刀が縦断する。大工原の顔を五本の刃が勢いよく走り、深く肉を抉っていく。】
【幸いにも、視力を奪われる事は無かった。噴き出る鮮血が視界を覆い尽くす前に。】
【奔る激痛が、彼のその思考を一瞬でもブレさせる前に。】


「  俺  は  敵  を  撃  ち  砕  く  !  !

  そ  れ  だ  け  だ  ァ  ァ  ア  ア  !  !  !  !」


【腕部ブースターが一瞬で最大出力状態へと移行し、大工原正劃は、彼女へと全力を以ってその拳を振るった。】




『さぁって、アタシの初陣。派手に決めちゃうぜー!!』

【彼女……"OB-004 『B』"と名乗った少女は、何処からか取り出したキーホルダーの穴に指を通し、それを回転させ、其の手の中に納める。】
【それは彼女の名乗った通りの形式番号、そしてそれよりも大きく"TATHLUM"と刻まれた、黒色の細長い機械だった。】
【彼女らの戦闘、その後方で、彼女がそれのスイッチを入れる。】


" 『TATHLUM』 WARTEN "


【低い電子音声がそうアナウンスすると、彼女の右手、其処に転送魔術が展開される。】
【幾つもの過程を電子化した魔術が自動で展開すると、彼女の右手にその背を遥かに超える、巨大な武器を転送した。】


『おぉー!これだこれ!!イイ感じ!!すげえー!かっこいいー!!』


【その姿は、"六つの砲身が束ねられたガトリング砲六門を、更に一つに束ねた物"だった。】
【自分よりも遥かに巨大なそれを、まるで初めて手に取るような素振りを見せたそれを、"長年扱ってきた様に"。】
【そんな風に場違いにもはしゃぎながら、扱っていた。】
83 :保津 阿美 ◆awHRzQ0C/g [sage]:2014/06/30(月) 01:15:25.55 ID:7r/KBbxAO
>>71

『おめでとう、きみは今誰の指示もうけずに人を殺した』

【唐突に甲板に声が響く】

『思ったより早かったがこれで君の心は完成する、魂は起動する』

『魂の創製、任務ご苦労』


【勝利した少女は、しかしその祝福を聞いてはいなかった】

【ワイヤーを、船体を通じ伝わった肉の弾ける感触が気持ち悪い】

【機械の体には本来無いはずの感覚、吐き気にも似たそれに意識を朦朧とさせながらも覚束ない足取りで前を見る】


負傷者を回収し離脱させる、任務は続行

対空攻撃を継続しながら入港します


【艦橋の崩れた艦を港に付け、そこで膝を付く】


【彼女は人を[ピーーー]ことからしてはじめてだった、たった今完成したその心にその経験はあまりにも深い傷となる】


【彼女の《物語》は今しばらく終わらない】


/お疲れ様でしたー
84 :アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/30(月) 01:31:02.61 ID:EiUZCMUWo
>>80
「……勝って、勝って、最後に負ける……フフフ、それも悪くないのう。」


【だがその身を焼き尽くされようと、彼はその膝を衝く事は無かった。】
【その顔には満面の笑みを浮かべていて、まるでその身に振り落ちた雷撃を、歓迎するかのようだった。】
【そして目前の彼等へと、口を開いた。】

「童よ。そして"天の子"よ。儂らが憎いか。」

【まるで何でも無いとでも言うような、身体を焼き尽くされているというのに、調子の全く変わらない口調で。】
【これはただ単に、意地だ。どうせ死ぬと言うのならば、最期まで胸を張ろうと言う、単なる意地による物だ。】
【薄布一枚の向こう側に、彼の死は確かに迫っていた。】

「若者が殺される事が、何の罪も無い現代の人々を。老人共に殺される事が、憎いか?
 或いは、自分達の至福の時間を、老害共の戯言で潰される事が、嫌いか?」

【一瞬にして燃え盛った獨国の港町。あれだけあった船は殆どが破壊され、沈められた。】
【綺麗な煉瓦の道は、テレビ塔は、爆撃によって破壊され跡形も無く破壊された。】
【そしてそれを行った"Auriga"と、それを助けようとした国連軍が、"老害達"に殺される。】

「童よ、今"儂"という老害が倒れる!幾つもの強者を撃ち砕いてきた、この儂がだ!!
 童よ!今度は貴様等の番だ!そのために、貴様等は我等老害を撃ち砕け!!或いは、貴様等の未来の為に!

 或いは……貴様等の、一杯の珈琲の為にな。」


【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは、七十年前の戦争と、その前の戦争にて、膨大な戦果を叩き出した。】
【授けられた階級は"大佐"。やはり今考えても随分と大袈裟な物だと、"アドルフ自身"、そう思っていた。】
【何人もの強者を撃ち砕いてきた、"時代"の一つが、"現代"の手で、此処で終わる。】


「老害からの、勝手な願い……"押し付けたぞ"!バルド・バードランドよ、"天の子"よ!!
 此処にいる一人の老害の為に、そして貴様等の想う、貴様等の私利私欲の為に、薄汚い"逆鉤十字"共を叩き潰せ!!」


【そう言って、アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルクは漸く、其処で膝をつき、其の身体を大地へと転がした。】
【血だまりの中で、ゆっくりと目を閉じた。思い描くのは、野心と可能性に溢れた未来では無く。輝かしい記憶の中に在る、何十年も前の戦争。】



「すまんな、イルマ……爺ちゃんは、先に逝く。」


【文字の掠れたドッグタグがカランと音を立てて、彼の身体から滑り落ちる。】
【最期に、死んでいった娘達と。唯一遺してしまう孫娘を想って。】


【2014年6月】

【アドルフ・ツー・シュヴァルツェンベルク 大佐】

【戦死。】
85 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/06/30(月) 01:33:40.10 ID:dlKli4eto
>>81
「……俺は嘘が苦手なんだ。」
【自身の身体から生えてきた刃の峰をそれぞれ握り、引き摺り抜く。】

【一対の刃は断頭台の刃をそっくりそのまま持ってきた形状をしており、何より、刃が纏う雰囲気は純化した殺意以外になく――】

(さあ、ここからが正念場だ。
 実力差のある相手に狙撃主の二人を圧倒しなければならない。
 出来るだけ本気の殺意を。出来るだけ派手に。『死体すら残らない火力』を、甲板のギャラリーに見せつけなければ――)

【結合を解除された粒子がガスのような密度ではなく、霧のように上空へと自身ごと舞い上げ。】
【粒子プレートの足場を形成し、着地。】

「閉ざせるさ。それが無理なら道そのものをぶち壊す。
 それすら不可能なら――」
【鳴海には性格上の弱点がある。】
【本当に救いようがない相手なのかを見極めるまでは、頭に血が昇っていない限り意図して殺せない。】
【だが。押し付けると目標が定められた今、少なくとも攻手の迷いは無くなった。】

「――脱線させるだけだ。」
【多角的な飛行軌道。段違いの速度に呼吸を合わせ、足場を蹴り砕きながら真上に跳んで回避。】

【防壁の粒子を体内に格納したのは身体能力を限界を越えた過剰強化するためであり、跳躍の速度は彼女のブーストと同等にまで引き上げられていた。】

【そして、回避だけでは終わらない。】
【跳んだ先に足場を斜めに形成すれば、体を上下反転させ、一閃した相手を追うように再び足場を蹴り砕く。】

【また、足場を形成し――を繰り返して、ピンボールのように跳ね回りを繰り返して迫る】

【彼女が速度を緩めれば、即座に両手の断頭台の刃を振り下ろす。距離が足りなければ全力で投擲する】

【その刃に触れれば刃を形作っていた粒子が爆散し、手榴弾のように一部の破片が爆風と共に飛散する】

【鳴海自身も範囲内ではあるが――】


【その一方で、人馬の数式は地上で足を止めていた】
【港の砕けたアスファルトへと座り込み、一見何も存在しない空間へと手を伸ばせば――】
【空間が歪み、テレビのノイズのように変化する。】
【そのノイズは時計の針が逆回転するように。死者が甦るように。不可逆を可逆へと書き換えた歪みで――。】
【ノイズは止まず、人馬の目的にはまだ少し時間が掛かるようだ】
86 :独立結社ORIGIN所属:陽炎著.第二次Auriga事変における現時点での戦果報告書 ◆LUMFQ0Vuok :2014/06/30(月) 12:31:06.89 ID:VrD2fq7LO

【西暦2014年6月21日】

【"第二次Auriga事変が獨国にて勃発"】

【Auriga軍前線戦闘最高責任者"ハンス・バイエル"。Auriga軍巨大要塞、"アルプス"及びAuriga軍が獨国へ進行し、国防軍と交戦するも、獨国一体を火の海と変え、これを国防軍及び協力する国連軍他多数の能力者達が迎え撃つ。】

【Auriga軍との交戦中、敵の本拠地である港に進行開始。其処にてAuriga軍高等戦闘員及び能力者。「シオン」と対峙。】

【序盤こそ苦しめられては居たが、戦闘終盤にて「シオン」に致命的な打撃を与えるも、攻撃を浴び両者戦闘不能の状態へと陥る。本拠地壊滅とまではいかないまでも、多数の戦力を奪う事に成功。一時退避。】

【その途中にて同じくAuriga軍突撃小隊に所属していると情報があり、先日同胞である「鳴神 美鈴」と戦闘を繰り広げた「鬼城 狼侘」を瀕死の状態で発見し回収。その後は安全な場所へと避難させ、残りの民間人救出の為に活動する。】

【その途中、「逆鉤十字」と名乗る集団が突如出現。それはAuriga軍前線戦闘最高責任者「ハンス・バイエル」がAurigaを謀反した事が要因のようだ。】

【「逆鉤十字」と名乗る軍団により、国防軍及び獨国国防軍、Auriga軍共に致命的な大打撃を喰らい双方撤退を余儀無くされる。戦場はほぼ「逆鉤十字」の軍団が占拠する形となる。】

【それに立ち向かうべく、国防軍、Auriga軍の中から戦力の残っている能力者達が前線の兵に撤退を命じ、戦場は「逆鉤十字」の軍団対それに対峙する能力者の集団の闘いへと変化していった。】

【しかし「逆鉤十字」の軍団の数と戦力はそれを上回る程の力を有しており、他の能力者達の状況は不明。】

【民間人と国防軍、Auriga軍を避難させようとした際に、協力者が現れるも「逆鉤十字」の集団の主戦力の一人と思われる能力者を前に協力者と共に対峙し、撃退を目指す。】

【しかし「逆鉤十字」の軍の強さは並大抵ではなく、協力者がいなければ勝利し救う事は叶わない事になっていたであろう。的主戦力を見事に撃退する。】

【後は民間人の救助を終え、これ以上の救助活動、戦闘続行は不可能と判断し他の能力者達の検討を祈りながら獨国から撤退。】

【以上.独立結社「ORIGIN」所属:陽炎著.第二次Auriga大戦及び「逆鉤十字」軍襲撃事件における現時点での戦果報告書】


87 :バードランド&ガニー ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/06/30(月) 20:31:22.45 ID:TMegIWujo
>>84
【ガニーのミスト操作により、空中のバードランドの周囲に風が巻き起こる】
【風は彼の身体を包み、地面への落下の衝撃を和らげた】
【全身に充満する疲労と痛みに、思わず地にへたりこむバードランド】

……馬鹿馬鹿しい……
少年でも無い愚民のために、憎んでやる義理がどこにある?
……私の怒りは……私達だけの……

【老騎士が散り際に放った一言】
【己(じぶん)の為に、己(おまえ)の為に、この逆鉤十字を叩き潰せ――】
【願いと言うにはあまりに激しく、呪いと言うにはあまりに熱い】

……私利、私欲……か……いい、言葉だよ……
――そうさ、元より……そのつもり、だとも……
…………受けてやるさ……その、『哀願』

【ミストが、細やかな雨を降らす】
【汚れた炎を、飛び散った血を、歪んだ大地を禊ぐように】
【奇しくもそれは、この戦いが始まる前の光景と同じ】

……去らばだ、騎士殿(サー)……
……サー・シュヴァルツェンベルク……

【老人の静かな最期を看取って、バードランドは立ち上がる】
【足に力を入れるだけで、鋭い痛みが体中に走った】
【こんな時こそ、あの杖があればと思うが――雷撃と共に消失してしまった今となっては、後の祭りも甚だしい】

『……中尉』
……どうしたね、ガニー

『――ごめんなさい。僕が……僕が、もっと』
……私だって……君がいなきゃあ駄目だったよ

【曇り空を見上げ、バードランドは静かに微笑む】

……お互い、独りにはなれないらしいね
『…………ええ。本当に』

【慈雨の降りしきる廃墟の間を、『2人』はゆっくりと歩いてゆく――】


/ほぼ一週間、ロールありがとうございました!
88 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/06/30(月) 21:20:39.65 ID:BDXFQjwuo
>>82
【カウンターで迫りくる右拳、無論そんなものを避けることなどできるはずも無く】
【ぐしゃりという音と共に愛姫の顔の左半分が弾けとんだ】

「……っ………あ……………あ……」

【微かに漏れる呼吸音を残して愛姫も吹き飛ばされ自らの血沼に沈む】
【周囲を静寂が支配するがそれも数瞬、次の増援がやってくる】

[間に合わなかった……?]
<愛姫は何時ものことでしょ、エヌオーはお願いね>
[了解、フィアちゃんはあのありすちゃんを吹き飛ばした方をお願い]
<ええ勿論、前に殺りあったこともあるしね>

【機械の翼と大型の大剣をを持つ少女と純白の羽と弓を持つ少女】
【二人は彼らに急速の時間を与えまいと一斉に行動へと移る】

[(先ずは……エヌオーの救護、それさえやれば後はどうとでもなる……!)]

【空は『B』を中心に白く光り輝く弓を雨のように放つ、だが数本は若草色に輝き射線は大きく外れていく】

[(エヌオーを隠すのならあの辺りのはず……勘があたってくれればいいけど!)]

【若草色の矢は大きく外周にそれて物陰をも包むように着弾すれば、同じ色をした爆発を巻き起こし、そこだけ緑に包まれる】

[とにかくヘイトを私に引かせないとね、でもどうせこんなのじゃ時間稼ぎにもならないだろうし……]
[それに、ずっと前に戦ったアレみたいにめちゃくちゃな機能持ってるんだろうけど!]

【間断なく矢を撃ち続けながら空は誰にともなく独りごちる】



<さて、貴方の相手は私だけれど……どうやらどこかで会ったみたいね?>

【フィアは大工原の前に降り立ち少し考え込むような仕草をする】

<結局、そうなることを望んだのね>

【その言葉と同時に大剣を振りかぶって大工原へ突撃】

<今回は貴方の間合いで戦ってみようかしらね、やることは決まってるんだけど>

【初撃に袈裟懸けを仕掛けながらそう言ってみせる】
【間合いとしてはフィアの方が優れてはいるが、大工原の近接戦闘技術は紛れもない本物】
【それを理解していながら敢えて間合いに入ることを宣言した】
89 :ウル&鳴神 ◆BcXpDxt3H6 :2014/06/30(月) 22:48:32.23 ID:odtnYndw0
「想定の内…なのか?こんなのも」

【とあるマンションの一室、再び。】
【これは前回の動向記録より数時間後の動向記録である。マンション自体は同じ場所であるが、彼らは先程とは違う一室にいた。】
【十数個ものモニタが並ぶ、部屋。映し出されているのはニュースの写真やら、何処かの監視カメラやらの映像らしい。幾つかは破損したのか映像が砂嵐状態となっているが。】
【因みに、彼らという表記に変わっているのは、先程までAuriga基地へと潜り込んでいた漆間が合流したためである。】
【口を開き問い掛けたのは鳴神美鈴という女性だった。人間としての右手を失い、異能の右を宿した隻腕の女性。】

『───可能性があることはわかっていた…が。
ここで奴が行動を起こすとは考えもしなかったな。』

【一部のAurigaの裏切り。その主は彼が推定する限り、この作戦の中枢に座しているであろうハンス・バイエル。そして其の予想は的中…報告書にて確認した。】
【彼等が起こしたその行動はモニターを通じて彼等に伝わっていた。また、陽炎からの報告も確りと彼等の元へと伝達されていた。】

「どうすんだ。」

『…どうしようもないだろう?』

「私達も参戦すべきじゃあねェのか?
陽炎の報告にもあるように『逆鉤十字』の戦力は放っておけるようなもんじゃねェじゃねぇか。」

『私達が今更向かったところでもう遅い。
事態は収束しつつある。
………が。『逆鉤十字』が放っておけるような存在で無いのは事実。
我々、ORIGINも動き出さなければならないだろうな。』

【漆間はモニターから一度目を離し、包帯で顔を覆った鳴神を見やりながら言葉を紡いでゆく。】

『……この襲撃は…“第二次Auriga事変”とでも呼ぶべきか。
ま、ハンス・バイエルらが引き起こした“逆鉤十字の襲撃”の方が目立ったがな。』

「…なんであんたは其処まで冷静に判断できんだ。私はカンケーねぇ一般人が巻き込まれてるのを見て腑煮えくりかえってんだがなァ……!」

【鳴神が目を見開くようにしているのは、モニターに映し出された街の情景。戦火に包まれたその街には、彼女が語る通り、「カンケーのない」一般人の体が転がっているのが、見受けられる。】

『私にもわからん。だが、Aurigaの崩壊に近い出来事が起き…Auriga共が何人も死に。
然し、何処かで私は歓喜しているんだろう。
敵が消えるのは気分がいい……、ORIGINなんて名乗っているが、そのあたり私もただのクズなんだろうな。
冷静なんかじゃない、ただ楽しんでしまっているだけらしい。


……あ。…あとお願いだからモニターを殴らないでくれ、割と高かったんだ。』

【以上、第二次Auriga事変及び逆鉤十字襲撃事件中の漆間戦利、鳴神美鈴の動向記録より。】


90 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/30(月) 22:50:57.15 ID:EiUZCMUWo
>>85
(……速い。)

【ブレードの一撃が空を切り裂く。即座に後方へとブースターを噴射し、彼との距離を開こうと試みる。】
【先よりも、段違いに速い、エッリ・テア・ハーパライネンは目前の彼の変化を改めて痛感した。】
【外見上のハッタリだけでは無い。】
【何らかの要因によって、彼の持つ"殺意"と、彼の力は格段に跳ね上がっている。】
【その証拠に、出力強化等の基本性能上昇が成された"新世代"のAIE……強化外骨格に、迫る程の速度を見せている。】


「外面だけじゃないようだね……けれど追い回されるなら女の子の方がいいな!!」


【それならばと、僅かにブースターの噴射を抑え、迫る彼の下ろす"断頭台"、それをブレードで受け止める。】
【受け止める事が出来たか、出来ないか。その段階に到達する寸前に、彼の刃が爆散する。】
【爆風に乗せられて、飛来した幾つかの破片。咄嗟に後方へとブースターを噴かし、被害の軽減を試みる。】
【幾らかは外殻に弾かれるも、それを掻い潜った破片が防御力の低いスーツ部を傷つける。】

(本気で殺しにかかってるのか……刺し違える気か。だけど。)

【その後方のブースターの直後に、前方へとそれを再噴射。一気に彼の下へと肉薄せんとする。】

「そのくらいの速さなら、やれる!!」

【それを振り下ろした直後ならば、そしてその爆発の直後ならば、彼は幾許かの隙を見せる筈だと判断し。】
【回避から刹那の思考時間を経て、彼へとブレードを振り下ろした。】


(私の、私の仕事は母さんの手伝い……だけど。)

【地上、ハンナ・ハーパライネン。本来ならば、狙撃銃を構え、彼を狙う事が任務、の筈だった。】
【だが、彼女の意識は今、同じく地上に立つ"それ"へと向けられていた。】
【数式の"人馬"。何かを探しているのだろうか。はたまたそれはもう探し当てたのだろうか。】
【彼の手の先。空間が歪み……少なくとも、ハンナ・ハーパライネンには理解の及ばぬ現象を、引き起こしていた。】


『……何なの、アレは。何をしているの、何をする気なの……何者、なの?』


【狙撃銃を握る手に、力が籠められた。】
【意識は未だ人馬から背けられる事は無く、何時でも引き金を引けるようにと指をかけて。】
【それに警戒の色濃く、様子を観察していた。】
91 :大工原 正劃&OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/06/30(月) 23:38:41.10 ID:EiUZCMUWo
>>88

『あちゃー、アタシの出番無しかー!』

【大工原 正劃の拳が、彼女の顔面、その半分を撃ち砕いた。】
【血と脳漿に塗れた拳を、数回払うと。ピタリピタリと血沼に波紋を起こした。】
【その結果を見た『B』が、巨大な砲を右手に握りながら、暢気にそんな風に言うのを、大工原正劃は強張った表情で制し。】
【視線を、増援へと移動させ、それに釣られて、『B』もまた、目の上に手の平を当て乍ら、それを覗く。】

『あー、アタシ、あいつら"知ってる"ぜ。』

「奇遇だな―――――――― 俺もだ。」

【機械の翼、純白の羽。接近するそれらを確認した、大工原 正劃は笑いを昂ぶりを抑えきれなかった。】
【自分の任は飽く迄任務の遂行、自らの激情に身を任せる事では無い……それを理解していて、尚。】
【「お前は"鳥"の方をやれ」――――――――そう『B』へと言い出そうとして、その口を閉ざした。】
【御丁寧に、向こうから来てくれている。】

【大工原 正劃は、先ず、袈裟懸けに振るわれた大剣へと向けて、握り締めた右の裏拳を用いて弾き飛ばさんとした。】
【それに対して回避を行う事をしなかったのは、牽制、そしてその力の"誇示"に他ならない。】
【此処に来て大工原 正劃が見せた、"自らの意志を強く見せた"行動。それは大工原自身の昂ぶりが非常に高い所にある事にほかならず。】


「会いたかったぞ自動人形――――――――!!!!!」


【そして、大工原は、空いた左手で僅かに腰を捻り、"間合い"へと入った彼女へとその拳を叩き付けようとした。】
【しっかりと腰を据えて放った拳撃よりは、遥かに威力は低いが、初撃のカウンターとしては十分と判断し。】
【大工原正劃は、その"怨敵"を睨み付ける。】



『うわっとぉ!?早速かよ!!

【羽と、弓を携えた少女。それは間髪を入れず、自分へと神々しい矢を放った。】
【数本のそれがまた違う色に輝いて大きく逸れていくが、『B』にそれは何者だと考える余裕は無かった。】
【彼女は、"巨大な兵器を抱えたまま"、宙返り等を用いて、身軽にその雨霰の如く矢の嵐を避け続けた。】
【そうしてそれを繰り返しながら、倒壊した建物の嗅げへとその身を隠して射線を切ろうと試みた。】
【とは言え、それがどれだけの威力を持っているのか、分かったものでは無い。それならば、目的は早急に果たさなければならない。】

『もうちょっとかっこつけたかったんだけどなー……。』

【実に残念そうに、大きな溜息を吐いて。
【手の平の中の長方形の機械を回転させたのち、右手に握る機械、そのグリップ部付近のスロットへと装填する。】

『変身、なんてな!!』

" 『TATHLUM』 ANSCHLIEsEN "

【彼女の着込んでいた衣服が、薄手の黒いスーツへと置き換わる。】
【そしてそれを覆う様に、胸部、腕部、脚部、背部等、全身へと紅い装甲が装着され、彼女の身体を覆っていく。】
【彼女の目元がバイザーに覆われると、そのバイザーのスリットが青く発光し、それに併せて全身のパワーの供給ラインが同じく発光する。】
【六連装ガトリング砲を確りと握り締めると。彼女は満足気に、物陰から躍り出た。】

『≪機界武装 TATHLUM≫!!

 さぁさぁ!アタシの初舞台だ!!今日は特別にサービスしてやるよぉ!!!』

【物陰から躍り出た彼女が身に纏う武装は、"真界武装"のそれと酷似した物だった。】
【正確に言えば、その"偽典"。それを発展させ、尽きる事の無い電子の魂と、人間の技術力を複合させた、"機界武装"。】
【それが彼女の身に纏うそれの"正体"。】

『Hurra!Hurra!Hurra!焼ぁき尽くせぇ!!!』

【六つの砲身を束ねたガトリング砲。それを更に六つ束ねた巨大な兵器が、鉛玉を吐き出した。】
【膨大な弾幕。そしてそれによって発生する焔が、彼女の"赤色の胸部装甲へと刻まれた、火蜥蜴のエンブレム"を照らし出す。】
92 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/01(火) 00:07:32.94 ID:AO+yPMWio
>>90
【刃の爆発により破片は容赦なく機械の体へと突き刺さった破片は、同素材の装甲へと熔け、背からまた、刃が生える】

(殺せ。殺せ。殺せ、殺せ、殺せ殺す。殺す――殺す!)
【殺意は本物でなければ意味はない。】
【過去の異物たる精神操作の感覚を振り返り、自身の感情と意識を過剰強化により千切れ掛ける意識を繋ぎ止める。】

「――チッ」
【故に、反応が遅れた。】
【飛来する影に気付かず、ブレードが振り下ろされる刹那に認識。】

【反射的に左手で刃の腹を押して軌道を変えつつ、自身を隣の空間に押し出して足場を形成。】

「早さでは不利か。なら、範囲では?
 ――地上ごと蒸発させてやるよ」
【今度はさらに上空へと跳び――すれ違い様に地上へと叩き付けんと左拳を全力で振り下ろす】

【大気が裂け、風が生まれるよりも早く――しかし、鳴海の左手は触れる触れない関わらず。手のひらの上半分が落ちていくだろう】

【また、今までに砕かれた破片が、破片のまま鳴海に追従】
【霧も一部が光となって、右手へと集束していく――】

(狙撃手は……そこか)
【解析できるのならば。鳴海の右手へと粒子や破片が集まるにつれ、異常な速度でエネルギーが圧縮・上昇。】
【右手のエネルギー塊は肉眼でも空間が揺らいでいるのが観測できる。】



【地上の人馬の数式は向けられている視線に、ゆっくりと顔を向ける。】
【やはりというべきかその顔は記号や数字が蠢いているだけで顔というものはない。】
【観察しているかのように、円錐の頭部の先を二度三度と跳ねさせれば――再び、作業へと戻る。】

【興味を引かなかったのか。】
【驚異にならないと判断したのかは不明だが、その態度と雰囲気から、明らかにナメられているというのが読み取れるだろう】

【ノイズはノイズのまま、現在の状態の鳴海と同型へと変化していく】

【――刹那。翠の槍が降る】

【槍は狙撃手の眼前の地面へと握りまで埋もれる程の勢いで、霧から射出されていた】

【ただし、槍は最初から『そういう風に』射出されているのか、狙撃手には当たらない】
【海へと誘導するように射出され続け、地面に穴を開ければ粒子に戻り天へと昇るだろう】
93 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/01(火) 01:13:21.07 ID:5ZEeiUaLo
>>92
「外した、か!!」

【振り下ろしたブレードが空を斬り、擦れ違いざまに振り下ろされた拳、それをブレードから左手を離し、腕を用いて直撃を塞いだ。】
【強烈な衝撃と共に、空中での機体の制動が揺らぎ、地上へと叩き付けられようとする身体の手綱を握り。】
【全身のブースターを噴射しながら、その衝撃を殺しつつ、地上へと降り立った。】

(地上ごと蒸発させる……ハッタリか、いや。)

【バイザーが彼の状態をスキャンする。】
【相変わらず、その粒子の正体は不明。だが、彼の右手を中心に、莫大なエネルギーの圧縮・上昇が行われているのを確認。】
【バイザーの裏側がけたたましく警告のメッセージを流す。】

「――――ハンナが危ない!!」


【狙撃主の彼女は、人馬へと銃口を向けていた。】
【こちらを覗き込む、頭と思わしき部分には、顔は存在せず、何か自分には理解できない記号や数字が犇めくだけ。】
【それは自分の事を、どう思ったのか。意思は分からないが、ともかく自分が大した存在では無いと判断されたのだろう。】
【勿論、その反応に納得がいったわけでは無い。ではあるが、余りにも未知な存在に、動き出すことが出来ず。】

「……本当に、一体、何を。」

【動き出さない。そう思っていた矢先、人馬の姿へ変化し……眼前の地面、其処には緑色の槍が突き刺さっていて。】
【そしてその射出と同時に、彼女は人馬へと引き金を引きながら、後方へと身体を跳ねさせた。】
【それは連続して、何処かから降り注ぐ。その何れもが彼女の目前に突き刺さり、それを回避し……その思惑通りに。】
【狙撃主は、海の方角へと誘い込まれていた。】

「……一体、何が。」

【人馬は消え失せて、残された彼女はそう呟いた。】
【そして彼女へと、ブースターを噴かして地上を疾駆する、エッリ・テア・ハーパライネン。】


「ハンナ!逃げるんだ、"何かが起こる"ぞ!!!」


【そして低空の飛行を開始し、エッリ・テア・ハーパライネンは彼女を抱きかかえて―――空へと逃げようとした。】
【それが、彼の行う事に間に合うかは、また別として。】
94 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/01(火) 02:33:08.97 ID:AO+yPMWio
>>93
「データベース起動。兵器読み込み――《魔導機神『天墜』》」
【翠に煌めく霧を銀河と例えるのならば、右手に集束するエネルギー集積した天体か。】

「……そうでなければ困る」
【右手を地上に向け、上昇が止まり。刹那の静止から落下へと移行する境界に――。】

「何もかもが足りない。劣化も良いところだけど……」


【地上】
【発砲された人馬だが物理的な体を持たないが故の変幻自在】
【弾丸は人馬をすり抜け。人馬は霧による槍の追撃を確認すれば、追うことはなく、再びノイズへと向き直り】
【ノイズへと触れる――それだけでノイズは紅く色付いて、間髪入れず数式に拡散】
【魔導因子“境界”を含む紅い装甲を多い、秒も経たずに取り込んで――】


【音が――、消えた。】




「さあ、天を堕とさせてもらおうか」
【狙撃手を抱えると同時に右手から放たれたエネルギーは、半径20mの熱線の形態を持って地上へと堕ちる。】

【奇妙なことに。その熱線には大気を焼く音すらなく、ただ、白い光の柱が港へとアスファルトへと接触。】

【港を形成していたコンクリートとアスファルトは光を受け止める事すら出来ず気体と化し、光は触れることなく大地へと大穴を空けて――】

【次に訪れたのは大爆発】
【地下で飽和したエネルギーは行き場を無くし、爆散。】
【岩盤をめくり上げ、融解で住んでいた範囲のものも容赦なく天へと巻き上げられる】

【付近の海水も蒸気化し、しかし、返す波が海の領域を取り戻していた。】

(……次は空に打たないとダメだな。
 あの速度なら、光自体は避けられてはいると思うが――)
【反動で融解している右腕を自身で切り落としながら、飛来する岩盤を足場に探す】

(高火力アピールを出来た。
 次は、あれば通信機機を壊して、抵抗は……やっぱりするよな。
 手足落としてでも動けなくしなくては。)
【なまじ替えの聞く手足だからこその発想か。】
【現在、二人の姿を完全に見失っている】
95 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage]:2014/07/01(火) 22:42:53.40 ID:1D7gPziwo
――”異世界” 『雪の国』

「……全て準備は整った」

黒曜石で作られた巨大な門の前で、黒い鎧で身を固めた男が呟いた。
『英雄』と称えられ、『竜殺し』と畏れられ、『殺人狂』と罵られた。
若い内は、戦場が自分の全てだった。あらゆる戦争に好き好んで顔を出しては、自分の味方を堅く守り、自分の敵を容赦なく惨殺した。
気が付けば――その力は竜に達し、かつての昔に忘れ去られた古代の魔術がわが身に備わっていた。
この上無い名誉を得て、これ以上はないほどの財宝を手に入れた。恐るべき怪物をなぎ倒し、伝説の秘宝を回収したものだった。
そんなことを、何十年も繰り返した。――それでありながら、今はどうだろう。

「これで、当たり前のことも手に入らなかった人生は終わるだろう」

「どうか身勝手な俺を許してくれ。ユーリカ。君の墓には二度と手を合わせることもできない」

愛する妻との、子供さえ抱くことができなかった。
自分の恐るべき怪力を、誰もが尊敬する古代魔術を、あるいは、冒険を好む挑戦の心だけでも、受け継いだ子供が欲しかった。
しかし、ついに子供ができぬまま、何よりも愛するべき妻を失った。

「行こう。この身が朽ちるその前に」

残ったのは、老いた飲んだくれの自称英雄の男。
――そんな事になるのは、彼には耐えられなかった。彼は恐ろしかった。老いというものが。
誰も自分の冒険を信じなくなり、誰も自分の功績を信じなくなる。言い伝える者がいなくなる。
自分という伝説の存在は、急速に陳腐化する。そんなことに耐えられなかった。
だから、逃げることにした。永遠に、身を若く保つことを探した。あらゆる冒険をさらに重ねた。
そして、見つけた。「この世界には存在しない」という事実を。――故に、他なる世界に活路を見出した。
全ての財宝を金に換えた。国中の優秀な魔術師を雇った。汚い手も使った。
そして、ついに作り上げた。世界渡りの秘術。一方通行の、途方もない賭場へと至る道。

「――」

雄叫びをあげて、門を潜る。
虹色の光が頭の中で何度も明滅し、気が狂いそうになる感覚を十分間は味わい、そして彼は、彼の故郷を永遠に後にする。
96 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage]:2014/07/01(火) 22:50:18.97 ID:1D7gPziwo
――ノルウェー  某所

この日、アマチュアの魔術師集団が怪しげな儀式を行っていた。
アマチュアといえど、彼らは本物の魔術師であった。本物の魔翌力を持ち、本物の魔術の使い方を知っていた。
されど、身の程を知ることはなかった。
彼らが行ったのは、異世界へと至る道を開くことだった。そんなことが本当に出来るのか、自分たちの力を試そうとでも思ったのか。

「――うん?」

――そして、それは成功する。
異世界において、同じく世界渡りを行った人物を呼び出すという形で。

「神殿の地下か、何かか」

男は魔術師集団に目をやることもなく、とにかく地下から出ようとした。
折よく梯子を見つける。登ろうとしたところで、集団にまとわりつかれた。

「――悪いが、疲れてる」

それを、軽く突き飛ばして、外に出た。
――確かに、そこは異世界だった。
見たこともないモノで溢れ、見たこともない恰好の人々が行きかっていた。
彼は、そこで自分の恰好は危険だと判断する。この世界では、鎧姿の人間が誰もいないのだから。
人の目が極端に集中するのは避けたかった。そのため、彼は一瞬の内に着衣を変更する。
古代魔術『ブラックサーヴァント』これで、どうにか自分が向こうで持っていた、襟付きのシャツにズボンという姿になる。
服飾の技術が違いすぎるので、それでも、何か映画の撮影現場から出てきたような印象は、拭えなかったが。

「……こんなに文明レベルが違うのは、想定していなかった」

男は、よろよろと街中をさまよい始めたのだった。
97 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok [sage]:2014/07/01(火) 23:04:49.68 ID:wRT4ybYoO
>>96

【今日はブラックシールドとしての業務ではなく、国連に依頼され、とある場所の警備を頼まれていた】

【これもAuriga事変や逆鉤十字の者達への警戒だろうか、それでも国連の頼みとあっては断れず、渋々これを了解する】

こちら掌。ただいま市街地上空を巡回中。連絡があるまで巡回を続ける。

【通信を切ると何と無く市街地を見張っている。すると興味深い者を目にした】

(…芸能人か何かか?にしても溶け込んでないなー。)

【一人の人物を発見する。それはこの街には溶け込んだ雰囲気ではなく、何処か他の者とは違う、何かを感じた。】

(やっぱり惹かれ合うのかね、この予感は吉と出るか、凶と出るか。)

やぁ、お兄さんよ。ちょっといいか。

【国連の隊員証を見せ、目の前の異質な男に話しかけた。この男の姿は、手足サイボーグの武道服を着た、これもまた異質な男だった】
98 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage]:2014/07/01(火) 23:13:25.38 ID:1D7gPziwo
>>97

何事かを話しかけられ、男は一瞬顔を強張らせる。
彼はひどく凶相であるため、映画の中から抜け出てきた、「機嫌の悪いヴァイキング」のような印象はぬぐえないだろう。

(……言葉が通じる。”モラの旅行術”も、健在か)

言語の壁を突破するための古代魔術。
常駐型の魔術であるそれは、異世界においても問題なく機能した。
彼はそのことに安堵しながら、返事をする。

「何だ?」

無精ひげを撫でながら、話しかけてきた目の前の男を観察する。
よくわからないプレートを見せながら、他の街ゆく者ともまた違う恰好をしている。
見せているモノが重要なのだと、男は直感する。
自分の国で、こういう仕草をしながら近づいてくる者はなんだった?
――自分に用のある、公用のための使い人ではなかったか。

(さっそくこの国に目をつけられた? 早すぎるな)
99 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok [sage]:2014/07/01(火) 23:26:17.60 ID:wRT4ybYoO

…へぇ。

【男の顔を見た瞬間に分かった。】

【その顔立ちに雰囲気、正しく只者ではない。もう国連に頼まれた事など既に忘れていた。】

【そしてこの男も目の前の男程年を重ねている訳ではないが、既に覇気を纏った戦士の顔へと変貌していた】

つまんねえ者を見せて悪かったな、旦那。

只者じゃねえって雰囲気だ。それもとびっきり上物。

【男の戦士としての本能と誇りがゆっくりと顔を出していた。】

にしても、どこの国の人だ。見たことねえ服装だがよ。

【異国の戦士だろうか、それなら尚更興味が湧く】
100 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/01(火) 23:34:48.85 ID:1D7gPziwo
>>99

「見たことがない?」

偶然だとも思いたかったが、この反応では偶然ではないのだろう。
本当に、自分の持っているすべての服は、この国、ないしはこの世界では奇異な目に映る。
それも当然だ。彼の服の殆どは、この世界ならば中世ヨーロッパ頃のモノなのだから。
合成繊維が当たり前になった昨今においてはお高い、全て天然素材モノなのである。

「俗称じゃ、雪の国って名前だったな。正式名称はトルスジン連合……だったか?」

国の名前を、強く意識したことはなかった。
結果的に国に協力したが、彼が求めたのは暴力をふるえる場所であり、戦場であり、冒険であったからだ。

「それで、何か用なのか?」
101 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/01(火) 23:47:16.96 ID:wRT4ybYoO
>>100

なんだよあんた、意外と鈍いな。

【腕を回しながら、準備運動の様な動きをする。機械の腕なので、準備運動にはならないのだが。】

聞いたこと無いな、まぁより一層増して興味が湧いたぜ。

【真上に向けて、掌を向ける。すると掌からは衝撃波が放たれ、上空の雲を一つかき消した。】

戦士と戦士が会ったら何をするかくらい分かるだろう?

まぁここじゃ場所が悪いから、少し離れるぜ、着いてきな。

【脚部のブースターを作動させ、少し離れた場所に向かう。そこはひと気のない広場のような場所だ】
102 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/01(火) 23:51:28.56 ID:1D7gPziwo
>>101

(見たことのないアイテムを使ってやがるな……)

「面白い」

面倒なことになった、という気持ちは、目の前の行動で吹き飛ばされた。
見たことのない世界には、見たことのない戦士がいる。
老いた自分でも、この世界に通用するのか。自分の力はまだどれだけ発揮できるのか。
彼の古い冒険心が、再び復活したようだった。

「何をするにも先立つものが必要だ。俺が勝ったなら金をもらうぞ」

言われた通り、ついていく。
隙だらけで傲慢しきったような仕草をしているが、全て見せかけだ。
103 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 00:02:31.55 ID:oM8+CCJoO
>>102

さてと、着いた。

【そして後ろを向き、男と対峙する。自分の顔つきは凶暴な戦闘欲に駆られた戦士の顔だった。】

金ねー、旅人だから金に困ってるのか。

いいぜ、こっちからの条件は…。

まぁ後で考えるさ。俺は戦えればそれでいいんだ。

【構える。掌を突き出した如何にも攻撃的な構えだった。まず先手を仕掛ける】

「衝拳・壱ノ技」

【相手に向かって、ブースターを用いて素早く接近する。拳をゆっくりと構え、相手の目の前で止まり、緩急を付ける】

「迅衝」

【突きをノーモーションで素早く繰り出す。技の出は早くなるが、威力に欠ける技だが、拳に衝撃波を纏い威力を無理矢理底上げした打撃だ。】
104 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/02(水) 00:08:00.53 ID:N0IzSudZo
>>103

素早さには面食らった。
自分のいた世界では、ここまでの速度で飛来してくるのは矢か魔法だけだった。
人ほどの存在が一瞬で距離を詰めてくる――初めての経験だ。

(面白い――!)

「■■■■■■■――ッ!」

叫ぶ。彼の叫びは己を高め、相手を挫く鬨の声。
それは古代魔術と結びつき、その声は突風を呼ぶ。
即ち、猛烈な速度で迫ってきた掌に、激しい突風を浴びせる。
100kg未満の存在なら、竜の翼の羽ばたきをまともに受けたように、転がってしまう。
掌の拳が自分の身に突き刺さるか否かの瀬戸際での叫びだ。耐えられたなら、直撃をもらうことにになる。
105 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 00:21:33.79 ID:oM8+CCJoO
>>104

な…にっ!!

【何とも意外な攻撃への対処方法だった。ここまでは正に予想の範囲外。】

【相手の姿から察するに接近戦や格闘戦などを予想していたが、余計分からなくなると同時に興味も膨れ上がる。】

【本来の怪力を使った打撃ならば、突風の中を貫き相手に打撃を与える事が可能かもしれないが、今放ったのは速度を優先させた謂わば「威力的には軽い一撃」だった。】

【それに衝撃波を纏わせ、相手にダメージを与える衝撃波と武術を融合させた男の体術だが、衝撃波が影響を与えるのは飽くまで相手に当たった後の話。】

【即ち、触れる事が出来なければただの「軽い一撃」にしかならない技だった。そんなものが突風を押し退けられる訳もない。】

【更にブースターを用いてたせいか、バランスを崩し大きく転がってしまう。正に相手の力量を図り間違えたミスだった】

…ぐぅ、いってぇ。

【直ぐに立ち上がる。この目の前の男、次に何をするのか、恐怖するのと反面、何処か楽しみにしていた】

「衝拳・兒ノ技」

「衝卦」

【そしてまた接近し、相手の胸元に掌底突きを放とうとする。まず機械の腕を用いてそれを放ち、それが決まっても決まらなくても、そこから衝撃波を放ち、掌底突きと衝撃波が合わされば、外部の他にも内部にも衝撃を与える技だ】
106 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/02(水) 00:30:30.17 ID:N0IzSudZo
>>105

掌が吹き飛び、転がった隙に、彼は武装を整える。
先ほどと同じく『ブラックサーヴァント』によって一瞬の内に黒鋼の鎧を装備する。
掌からしてみれば、相手が一瞬にして変身したようにでも見えるだろう。

「――破ァッ!」

掌底突きは、己の鎧の堅さを信じることにしたらしい。
しかし、胸への直撃、つまり大きな衝撃は呼吸困難を発生させかねない。
であるため、彼は左腕の篭手でもってその一撃を受け止める。
放たれた衝撃波は、彼の想定を超える要因であり、彼は左腕を強く痛めることになるが――。
カウンターのように、彼は右拳でもって掌の顎を強かに打ち付ける形にもっていこうとしていた。
篭手は、拳も被甲しているため、直撃したならば鈍器で強く打ちつけられたのに類似するだろう。
107 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/02(水) 00:34:00.24 ID:D7I1bonjo
>>91
【大工原がカウンターで放つ拳、それは大剣の上半分がスライドして分割された双剣で防がれる】

<私はあまり会いたくはなかったけどね>

【一言だけ返せば鍔迫り合いの状態から一度距離をとる】

<相変わらずセンスはいいのね、近接戦闘じゃ良くても千日手になるのは分かってるけど……>

【大工原は豪の者、ならば自分はそれを受け流すかそれすら打ち砕く力を要する】

<(でも待ってたら餌食だしね、ともあれ私も時間稼ぎが目的……)>
<(尤も、その作戦の起点になるのが自分だっていんのに前線に送り込むからエヌオーは無茶を言うわ)>

【双剣を大工原目掛けて投擲、間髪いれずに次の得物を転送し】

拾漆式対機甲兵振動刀―――転送!

【彼を一度地に倒したその剣を再び転送、それをもって再び彼を倒さんと接敵する】



[うわ……やっぱりだよ……]

【ガトリングを携えた少女が高機動で矢を回避、続いて武装を装着するのを見て空は眉をしかめる】

[サラマンダー、か。なんか嫌なこと思い出すよ]

【向けられた三十六もの銃口、それを見てポツリと零した直後鉛玉が襲い来る】
【火線に追われるようにして宙を舞いながら過去の出来事を思い返す】
【両手に携えたガトリングを持った赤き大型兵器と再開と別れを同時に経験した戦いを】

[(イルマちゃんもいるのかな……?ううん、今はそんなこと考ええてられない)]

【宙を縫うようにしながら再び弓を引き絞る】
【今度は牽制のために放つ威力の低いものではなく、十分に力を込めた一撃を】

[1……2の……今っ!]

【軌道を反転させて迫る火線に対して向かうように進路を取れば矢を放つ】
【そしてそのまま少女の元まで風を切り裂き急降下していった】
108 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 09:55:19.61 ID:iYNH0EHYO
>>106

腕で受け止めたか!すげえな。

【常人の物ならば、腕のみで今の攻撃を防いだとしてもその腕が破壊されかねない。だが相手は見た所少し怯んだか、怯んでないか、その程度だった。】

しかも瞬時に変身か、いよいよ訳がわからないな。

(だが、楽しいぜ。)

【己の顎に向けて放たれた攻撃をもう片方の拳で防ぐ、機械で有る為ダメージこそなかったが、その重い拳は機械を通してでも分かった。】

おりゃぁぁああっ!!

【そして相手の腕をそのまま掴もうとする。掴めたならその剛腕を用いて思いっきり投げ飛ばし、更に投げ飛ばした相手の所に急接近し、追撃を仕掛ける準備をする】

「天撃」

【そして空中で回転しながら、相手に踵落としを仕掛け、地面に叩きつけようとするだろう】
109 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/02(水) 10:19:51.23 ID:N0IzSudZo
>>108

(こいつ――ッ!)

90kgを超え、さらに重い全身鎧で身を固めた自分を投げ飛ばす相手の力量に驚愕する。
ここまでの力自慢は、自分の国ではどこを探しても存在しなかった。
それこそ、英雄たちの眠る浄土を覗き見た時以来だ――。

「――歳は取りたくねぇなぁ、オイ」

強かに踵を撃ち込まれ、地面に叩きつけられた。
堅い鎧は却って自分の身をさらに強く打ち付ける原因にもなる。
しかし、それでも、彼はなお立ち上がった。

「悪いな。老いぼれにはもう手加減できねぇ。名乗れ、戦士よ」

その両手に、巨大な黒い剣を握り、切っ先を向けて叫ぶ。
彼は剣士だ。本気で挑むと決めたからには、使える物を全て使う。それが彼の戦士としての礼儀だった。
110 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 11:24:37.27 ID:iYNH0EHYO
>>109

…やっと本気になってくれたか。

嬉しいぜ、これが俺の求めてた力と力の真っ向勝負ってやつだ!

【顔はまるでおもちゃを買ってもらえた時の無垢な子供の様な笑顔だ。体と傷が己の欲に満たされて行く】

俺の名前は「掌 拳次」

最強の武道家を目指してんだよ。

あんたは?歴戦の戦士よ。

【胸部にある制御装置を解放させ、より機械の性能を上げる人工的な身体能力強化を行った。正にここからが本番だった。】

/ちょくちょく返信がおそくなるかもしれないっす!
111 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/02(水) 11:40:21.35 ID:N0IzSudZo
>>110

「――俺ァな」

少し考える。
自分の本名は、あの国と同時に捨ててしまったようなものだった。
ここでは、最早自分は別人なのだ。彼はそう考えた。

「俺はルドキン・コスター。竜の言語で征服者を意味する――」

竜との決闘で、彼から授かった名。
冥府の番犬として飼われていた彼が、自分を下した存在に尊敬を込めて贈った唯一のモノ。
その名を名乗ることにしたからには――負けられない。

「この世界で頂まで上り詰めたなら、望みも叶いそうだ。願ったりだな」

息を深く吸い、古代魔術を発動させる。
血が沸騰するような感覚を伴う『ボイルブラッド』。
薄橙色の光が身を包み、あらゆる身体能力を強化し、一定の防御性能も存在する。

「■■■■■――ッ!」

先ほどは時間稼ぎの防御手段として使用した。
今度は、正しく突進するために扱う。『ウォークライ』
突風を呼ぶ雄叫びをあげて、剣を振り上げ突進する。
112 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 13:28:00.90 ID:Xohri2S+0
>>111

ルドキン・コスターか、憶えとくよ。

征服者さんよ!!

【相手は突風を放ちながら凄まじい勢いで突撃してくる。ならば技ではなく、力で迎え撃つ。】

グッハァッッ!!

【だが突撃は想像の遥か上をいく威力を持っており、凄まじい衝撃に襲われ、そのまま吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる】

…やるねぇー。

【そのまま体制を立て直すが、どうも呼吸が辛い。男は一旦受けの姿勢に入った】
113 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/02(水) 13:51:19.74 ID:N0IzSudZo
>>112

「――これ以上は殺し合いになるぞ」

「今ので立てるのも驚きだけどな」

切っ先を向ける。
先ほどは、剣の腹で打ち付けたのだが、刃が向いていればどうなっていただろう。
右も左もわからぬ状況で、何らかの公的な組織に属している目の前の人物を切り倒すのは、避けたかった。

「老いぼれに情けをかけてくれる気にはなれないかねぇ、若いの」

まだ、『ボイルブラッド』の効果は持続している。
これが切れたとき、どこまで自分の体力がもつのか、彼にはわからなかった。
114 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 14:52:43.95 ID:iYNH0EHYO

安心しろよ、俺は自分の能力で相手を、いや、生物を殺せない体になってるんだ。

まぁ、再起不能にまでやられたら、死よりも辛い生が待ってるだけだがな。

【どうやら今ので肋骨が折れたようだ。内部をハンマーで打ち付けられるような痛みに襲われる】

情けなんてねえよ、戦いではな。

それよりも、あんたこそ情けなんかかけてねえで、刃くらい向けてみろや。

さっきのタックルで刃を向けられてたらどうなってたか分からねえ。

【そう考えると冷汗が出てくる。恐らく真っ二つになり死んでいただろう。】

んじゃ、次は俺の番だ。

スゥ〜…。

【息を深く吸うと呼吸を止める。無呼吸運動を用いて攻めようとしていたのだ。】

「衝拳・絨ノ技」

「剛頸兒門掌」

【息を止め、相手の直前まで接近し、両方の腕で息を吐きながら全力の掌底突きを計五回叩き込もうとする。】

【喉元、鳩尾、肝臓、金的、内腿。それぞれ体の急所となり得る位置に向けて、衝撃波を纏った掌で攻撃しようとする】
115 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/02(水) 18:43:01.22 ID:N0IzSudZo
>>114

「――まったく、若いってのは羨ましいぜオイ」

「やれやれ。こっちは殺せないってのによぉ!」

向かってくる掌を見て、覚悟を決める。
油断なく剣を構え、リーチの差が極端なのにもかかわらず突進してくる掌に感心する。
どう捌く気なのか――。

「――死んでくれんなよ!」

腰を落とし、渾身の力を込めて剣を突きだした。
狙いは脇腹だ。剣でついてしまえば、向こうはこちらの身体に触れることは叶わない。
雷が如くの鋭い一閃――しかし、この突きを交わされてしまえば、直接衝撃波を伴う掌底を受けることになる。
大きな隙の中、それに対処することは不可能になる。いわば、賭けだった。
116 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/02(水) 19:23:25.96 ID:Xohri2S+0
>>115
(リーチを削る為に接近したが、そんな簡単にはやらせてくれないか!)

【そんな事は分かっていたが、問題はこれをどう対処するかということだ。】

(こんな距離ではもう避けられない、ならばこんな時は、)

(…攻めるのみ!)

【身体を斬られるのを覚悟で前進すると共に僅か横に身体をズラした。】

【当然剣は男を引き裂こうとするが、重要なのはその位置だった。脇腹を抉られれば当然内臓の何処かを斬られる事になり、致命傷は免れない。下手をすればその場で即死の場合もある】

【ならば、内臓を斬られない様に僅かに横にズレ、飽くまで肉のみを斬らせた。だがそれでも痛み、ダメージ共に大きい。】

【無呼吸運動をしている自分の呼吸が断末魔で漏れてしまいそうになる。だがその時片腕で咄嗟に剣を握ろうとする。相手の動きを拘束する為だ】

【そして、そのまま前進し、片腕だけで攻撃を敢行する。】

【本来ならば、5箇所の急所目掛けて放つ技だが、片腕が使えない分ロスが生じる】

【相手に向けて放とうとした連打は、喉元、鳩尾、内腿のみとなってしまった。それを衝撃波を纏った掌底突きで狙う】
117 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/02(水) 19:42:57.49 ID:00rCvGKpo
>>94
【揚陸艇甲板上の"逆鉤十字"の人間達が騒ぎ立てる。白い光による強烈な広範囲攻撃。そう言ってしまえば話は簡単だ。】
【そしてそんな事は彼等も彼女等も理解している。頭では。だがしかし、心中での理解が追い付かなかった。】
【AIE-HA……魔導強化外骨格部隊には、適応率の問題で若輩の者が多数含まれることも、其の事に拍車をかけていた。】
【それが消え失せた後も。彼女等の行方も、彼に対する攻撃も。暫くは頭の中から、消えていた。】

「っ……はぁ……はぁ……!」

【エッリ・テア・ハーパライネン、及び、それに抱きかかえられたハンナ・ハーパライネンは、その範囲外にいた。】
【正確には、範囲外ギリギリまで、ブースターを全力稼働させて逃げ延びたのだ。】
【破壊された建物の影。】

「うーん……幾ら"天才"の僕でもあれを喰らったらどうしようもないな……!」

【抱きかかえていた彼女をおろし、エッリ・テア・ハーパライネンは何時もの余裕ぶった口調に少しばかりの苦渋を滲ませた。】
【幾ら戦い慣れていようが、幾らそれに才能を持とうが、根本的な出力の次元が違うのならば、その戦いはどうしようもない。】
【帽子の鍔を直すような仕草をしながら、一旦其処にしゃがみ込んだ。】

『……やる気なの?母さん……あんなの、あんなの……幾ら母さんだって!!!死んだら終わりじゃない、何もかも!
 そうだ、大尉に言えば!母さんがピンチだって言えば、"ヤマト"だって持ち出して……!』

「ハンナ、もういいんだ。」

【目の前の大き過ぎる力、それを目の当たりにしたハンナ・ハーパライネンが、目尻に涙を溜めてエッリへと叫んだ。】

【ハンナ・ハーパライネンは拾われた子だ。恐らくだが、彼女は東洋人で、目の色も、肌の色も、エッリとは違う。】
【拾ったのが、そしてそれを育てたのが、目の前にいる彼女で、戦争狂の老害の、どうしようもない女好きの同性愛者で。】
【唯一の、家族だった。】
【それが失われるのは耐えられないし、だからこそ自分は人殺しの術を教わった。彼女の支えになる様に。けれど結果はどうだ。】
【二十に差し掛かった辺りだというのに、与えられた物ばかりだった。今だってそうだ。助けになるような事等やれた覚えが無い。】

【まだ何も返せてない、いや。返せていようとも。】

『……行かないで……母さん。』

【彼女の腕を掴み。そう懇願するハンナに、エッリ・テア・ハーパライネンは、彼女に被せた帽子の上から。】
【ぐしゃぐしゃと、彼女の頭を乱暴に掻き回すと。其の手を離して、軽薄そうな笑いを浮かべて。】

「母さんは死なないさ。……女の子とのデートをすっぽかすなんて、僕には出来ないからね。」

【そう言って、立ち上がり。再度地面に突き刺していたブレードを引き抜いた。】

「僕の合図と共に撃て。三発だ。そしたら、ハンナ。あとは全力で逃げるんだ。
 なに、僕もすぐ追い掛ける。心配しないでよ。」

【そう指示されたハンナが、弾倉へと弾を籠めながら、頷いた。】
【それに対して「よし。」とだけ言うと、エッリとハンナが、移動を開始する。】
【物陰から物陰へ。近付かなくてもいい。ただ近付けば、あの攻撃で視界が開けた以上、的になるだけだ。】

【目標地点到着より凡そ十秒。エッリが、インカムへと向けて小さく呟いた。】

「……撃て!」


『Feuer!』

【その瞬間、狙撃銃の引き金が引かれる。彼の背後、頭部へとキッチリと狙いを合わせて、銃弾が飛んでいく。】
【銃声は幾許かの間をおいて、合計三発放たれるだろう。そして、彼がそれに対して少しでも意識を奪われたのならば。】



「   喰   ら   え   よ   ォ  ォ  ォ  オ  オ  オ  !  !  !  」



【真正面。最高速度を以ってして、彼へとその長大なブレードを突き刺さんと。エッリが突撃する。】
118 :大工原 正劃&OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/02(水) 20:19:45.04 ID:00rCvGKpo
>>107
【投擲された二本の剣を、同じく二本の拳を以ってして弾き飛ばす。】
【その動作は前回の戦闘と比べて、大幅な技術的な上昇と、そして"スペック自体"の上昇すらも感じられる。】
【大工原 正劃。帰還した彼を待っていたのは地獄だった。正確には、待っていた選択肢の中に在る、"地獄"を選んだ。】
【焼け爛れた身体。切断された手足。これを元来の物に戻すまでに、多大な苦しみを要した。】
【"適合化手術"と呼ばれる、魔導強化外骨格との適応率を高める施術すらも行い、そうする事で彼は漸く戦争へと復帰した。】

【総ては"恩"と、"復讐"の為。】


「千日手にすらさせるものかぁ!!」


【接敵を試みる彼女に対し、大工原は拳に魔導力を集中させて、彼女へと一発放った。】
【これで仕留められるとは思っていない。何よりそれで仕留められたのならば、"これまでの地獄"が何だったのか、と言う事になってしまう。】
【故にその直後、大工原の腕部ブースターに更に魔力が集中し、更に脚部、背部メインブースター、そして翼の様に補助ブースターが展開される。】
【接敵する彼女。それに対して、一瞬の、そして最大の加速を用いて前進し。】


「  二  度  も  同  じ  手  が  通  じ  る  物  か  ァ  ア ア ア  !  !  !  !」


【カウンターとして、その"振り下ろされるであろう刃ごと彼女の身体を叩き潰さんとした。"】


『や、ヤバい!?』


【放たれる矢、今度は速度も殺傷力も十二分に、彼女へと向けて放たれる。】
【左手。それを"咄嗟に前に出した"ように、"見せかける"。】
【突き刺さる……そう思われた矢は然し、左手に、どういうことか握られていた"シールド"にて防がれ、届く事は無かった。】
【驚いた"フリ"をしていた『B』が、バイザーの向こう側から、意地悪そうに笑う。】


『なーんて、な。』


【そしてシールドが、"分解されるように"何処からともなく消失し、次に左手に握られていたのは箱型の機械。】
【バイザーが彼女へと幾つものロックオンサイトを重ね合わせると同時に、それのスイッチを親指で押し込んだ。】
【瞬間、放たれる四発の小型ミサイル。熱誘導を以ってして、彼女を追い掛けて行く筈だ。】
【個人携行できる範囲の物だ。幸い加速時間と、追尾性能はそれ程までに高くない。】


『やっぱり"父さんの知ってる通り"だぜ!蒼乃空!
 ほらほら、しっかり避けねえと、"火蜥蜴の炎"で焼き鳥になっちまうぜ!?」
119 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/02(水) 21:10:12.42 ID:D7I1bonjo
>>118
<同じ手……?使うわけ無いでしょうそんなの>

【接敵までの一瞬の間一度もフィアは抜刀することがない】
【それどころか抜刀も攻撃もするそぶりを見せないどころか剣を投げ捨てる】

<どうせ貴方の事だから真正面から来ると思ってたわよ>

【交錯する瞬間フィアは大工原の腕を掴み無理やり自分の軌道を外側にずらす】
【そしてまた距離が開いたところで反転、土煙を上げてその身を隠す】

<(そろそろ頃合ね……)>
<―――鋼鉄乙女、起動>

【フィアの周囲をスフィア状に青いデータリンクが展開される】
【それにいくつかの指示を出したあと、大工原へと不敵に笑う】






【放った矢は防がれ何の効果も上げずに霧散、さらに反撃として放たれた小型ミサイルを見てぼやく】

[あー…そういうのいいから……]

【向かってくるミサイルは然程速度は速くない、誘導性能が多少不安ではあるが】

[こういうのは、ビビったら負け。でしょ?黒ちゃん]

【もう一人の自分にそう問いかけながらミサイルの方へと直進する】
【近づき、近接信管が作動しない事を期待しながら間をすり抜け】

[貴女の父親が何?たぶん会ったことはないけれど……ね!]

【弓を構えながら『B』へと接近していくのだが】

[(作戦開始……!)]

【フィアが鋼鉄乙女を起動したことを聞いて目の色が、髪の色が、翼の色が、弓の色が反転する】

[ん〜……っ!久々の表だし、派手に行こうかなっと]

【まるで登場してきたばかりの『B』と似たような感じでのんきに言ってみせるが】
【直後の言葉は優しく真剣に、フィアと空の言葉が重なり何が起きるかを示唆してみせる】

<[起きて、二人共]>
120 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/02(水) 23:07:22.93 ID:xUJ4clz2o
>>117
【響く銃声を背に。咆哮を前に。しかし、無防備にその身を晒していた】

「なん、で」
【決して罠や作戦等というものではなく、ただ、視線の先にある予想外の『モノ』に意識が奪われていた】

【――生まれた致命的な隙は、全ての攻撃を確定させる】

「が――ッ?!」
【弾丸は背から生えた一対の刃を。頭部の装甲を撃ち砕き、長大な刃は胴体を容赦なく根本まで貫いた】

【コアを貫かれたことにより、失われ行く制御機能に命令を実行させられたのは、押し通そうとする執念か】

【エネルギーに曝されて尚、性質を変えず漂う粒子は身を暴風のように荒れ狂わせ。】
【鳴海ごと目の前の相手――エッリを、進行方向へと吹き飛ばそうとする】
【つまり、彼女の娘が居る方向へと】

【暴風となった粒子に吹き飛ばされれば、粒子がへばり付いていき、初撃の結晶の体を成す】
【巻き込まれたものもまた、例えは悪いが粘着テープに巻き込まれた虫のような状態になってしまうだろう】

「つ、イデ、だ……耳は、貰う――ッ」
【粒子へ最後の命令を飛ばしながら、親指だけの左手を伸ばしてインカムを引きちぎろうと――】


【そして、二人に確認できるかは解らないが――】

【先程鳴海が立っていた岩盤は空間ごと消失しており、宙に浮かんだ紅い人馬の姿があった】
121 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/03(木) 08:44:00.10 ID:0uZ5Rkaso
>>116

「上手いじゃねぇか、小僧――!」

自分の急所を狙い、突き出されてくる掌底はハッキリ見えた。
見えているのなら、避けられる。そんな芸当ができたのは、それこそ若い頃だけの話だ。
今では、身体が追いつかない。古代魔術で底上げしても、間一髪で間に合わない――。

「――ッ!」

結果として、急所への三打撃の直撃を食らう。
特に、喉元への一撃は彼をしばしの間呼吸困難にする程であった。

「――!」

剣から手を放して倒れこみ、大きく咽せ、息を取り戻そうともがく。
無意識のうちに、鎧を『ブラックサーヴァント』により解除していた。
122 :大工原 正劃&OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/03(木) 21:31:22.56 ID:85lRJVJHo
>>119
『ひゅ〜、つれない奴等だぜ。大工原、どうする?』

【相対する少女の姿が変化したのを見て、箱型のミサイルユニットを"転送"して戻し、大工原の下へ『B』が行く。】
【何かをしようとしている事は分かるが、その肝心の何かが分からないのだから仕方ない、と。】
【一応共闘する味方である大工原正劃へと、判断を仰いだ。】

「どうするも何もない。」

【両の拳を打ち付けると、甲高い金属音が鳴り響く。】
【そしてこの時点で、『B』が彼の言わんとすることを察して、眉間を抑えて溜息をつきつつ首を横に振った。】
【それに気づいているか、いないか。構わず彼は言葉を続けた。】

「幾らでも策を弄するといい。
 十、百、万、億、無量大数。その全てを、この俺が!

 真  正  面  か  ら  撃  ち  砕  い  て  や  る  !  !  !」

【怒声にも似た宣言。「うるせぇー」と言いながら、『B』が空いている左手で片耳を抑える。】
【目前に何があろうとも、大工原正劃のやる事はやはりただ一つだけ。】
【両の拳を用いて、叩き潰す。たったそれだけが、彼の唯一の出来る事であり、彼が唯一やるべきことだった。】


『ま、だからと言って手放しで歓迎する訳じゃないけどな。』


【右手に持った六連装ガトリング砲のグリップを両手で握り、彼女等へと引き金を引いた。】
【大口径の、膨大なエネルギーを持った鉛玉が、彼女達へと、紅い線を描きながら、雨霰の如く飛び交う。】
123 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/03(木) 22:12:42.08 ID:85lRJVJHo
>>120
「やった!?」

【両者共に感じた確かな手応え。弾丸が、刃が彼を貫いた。】
【然しエッリ・テア・ハーパライネンがそう呟いたときには、荒れ狂う暴風が彼女の身体を吹き飛ばしていた。】
【ブースターを後方へと噴射して、その暴風に抗おうと試みるも、通常のブーストでは太刀打ちが出来ない。】
【それ程までの暴風に巻き込まれ、更にその直前。インカムを引き千切られて、通信の手段を奪われる。】

「くそっ!この期に、及んでぇ!」

【然し徐々に、其の身体に粒子が付着し、それが結晶の形を成してエッリの身体の自由を奪い取っていく。】
【それによって、彼女は遂にその暴風に搦め取られて、吹き飛ばされることになる。】

『母さん!!』

【落下地点は、彼女の娘、ハンナのすぐ傍。今度は彼女が、エッリを抱き止める。】

「ははは、ほら、すぐ追いついた……。」

『バカ!AIE−HAを封じたさっきのと同じ……なんなのこれは!!』

【ハンナが自分の腰に差していたナイフを引っ張り出して、その柄で関節部の結晶を叩き割らんとする。】
【それが成功するか否かは、別として。その作業の最中に、エッリ・テア・ハーパライネンが、何かに気付く。】
【何か、膨大な。それは余りにも膨大な、違和感。】

「ハンナ!今すぐ"奴"を確認しろ!!」

【そう言われた彼女が、唐突なその指示に驚愕の色を見せた物の、すぐに握っていたナイフを手離し。】
【狙撃銃のスコープを覗き込んで、先ほど彼が立っていた其処を覗き込む。】
【そんな事を、するまでも無かった。】


『……え?』


【其処に在った筈の、岩盤は、一切合切が消滅していた。】
【この表現が合っているのか、これがそう言う現象なのか、分からないが、彼女がそれを言葉にするならば、空間ごと。】

「……つくづく、意味が。分からない、な。」

【ブレードを杖代わりにして、立ち上がったエッリが、そう言った。】
【其処に立つのは、紅の人馬。】
124 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/04(金) 01:55:46.62 ID:JTwD+cxKo
>>123
【振り下ろされたナイフに結晶は亀裂を刻む】

【何度か殴れば壊せそうだが、ナイフを通じて伝わる感触には違和感がある筈だ】
【粒子に使うには妙な例えではあるが、結晶が『死んでいる』ような――】

【消失した空間の向こう側には、透明な結晶に閉ざされ、動きが完全に静止した宇宙が覗く】

【現在観測されているモノと酷似したその並びの中には、勿論、地球と思われる惑星も存在している】

【にも関わらず、こちら側には何の影響もない】

【真か偽か。虚像か実物かを確かめる術は、少なくとも現時点では『向こう側』へ行くか、解析する他ない】

『tfihS_luoS:??edoc』
【結晶を背に、数式の人馬が初めて言葉――というよりも、音を発する】
【同時に魔導因子と粒子で構成された紅と白の装甲が展開。数式の表面を覆い隠した】
【腕と思わしき部位は間接なく可動し、先から別れた四指からは指を覆い隠す程の鋭い鈎爪が備わっていた】

【人部分の腹に生えた触腕が蠢く度に空間を喪失させ、拡大する宇宙から引き起こした張本人である事が読み取れる】

『!/2 !/2 α7_@+]-[00+[-]|)[-@|)|)「/2[-@m』
【人馬が自身の右手を掲げれば、膨大な魔力が向こう側から流入する。】
【同時に、向こう側の星が一つ、一つと消えていきーー】


「……動くな」
【エッリがブレードを杖にして立ち上がって数秒後、背後から声が掛かる。】
【背後へと視線をやれば。脇腹を押さえ、建物に寄り掛かりながら立つ鳴海がいるのが見える筈だ】
【ブレードに貫かれるがままに吹き飛ばされていた鳴海は。振り落とされる寸前に生身と戻っており、脇腹を半ばから抉り飛ばされていた】

【背骨を飛ばされなかったのは運が良いのか悪いのか。】
【だが、折れる以前に右腕は熔け、左手は半ばから寸断。足元に形造る粒子混じりの血貯まりからは、寧ろ生きているのが奇跡とも言える】

「ハンナ……だっけ。今、そいつには粒子が付着している……意味はわかるな?
 まず、身に付けている通信機器をすべて破壊しろ。
 生命反応を関知する類いのモノがあれば、出せ」
【唯一。残る頭部の装甲の穴から寒色系に変化し続ける瞳で睨んで『引き金を引くより。刃が翻るよりも早く彼女を殺れる』と告げる】
【無論。ただのハッタリであり、鳴海にそのような能力は備わっていない】

【無視して始末してしまうのは、非常に容易い】

【要求通りに破壊したのならばーー】

「これでアンタ達は戦死した。
 あと一発さっきのをぶっぱなして、生きている俺が敵に目撃されれば。
 さすがにアンタ達が生きているとは思わないだろう。
 ……アレは俺が相手をするから、民家で変装でもしてさっさと逃げろ」
【自身の状態から押し付けられそうになくなった事を。】
【彼女ーーエッリがこれを蹴るだろう事も理解して告げるだろう。】
【そして、成功する可能性が限りなく低いことも】


【破壊しなかったのならば疲れたように息を吐いて、身体を引きずりながら魔力を流入させる紅い人馬へと向かうだろう】

「最低でも、アレだけは止めないと……」
【そう呟きながら】
125 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/04(金) 23:13:52.85 ID:rVf1QlfCo
>>124
【叩き付けたナイフ、それから伝わるのは"死んだような"感覚。】
【結晶に、粒子に死んだも何もない。元から生きてもいないそれなのに、その感覚は、本当に死んでいるようだった。】

【だが、それを追及する余裕も無く。】
【背後に現れた彼へと、ハンナ・ハーパライネンが狙撃銃を突きつけた。】
【満身創痍でも最早言葉の足りない彼の姿に、彼女は驚きつつも。その頭をレティクルの中央に納め続けていた。】
【動くな。そう言い出す前に、向こうからその言葉をかけられた。】
【今。此処でハンナ・ハーパライネンが彼を撃ち抜くのは恐らく簡単な事だろう。これだけボロボロの的を外す訳が無い。】
【だが、"虚像"の人質の存在が。そのハッタリを信じ込んだ彼女は、彼の要求を呑まざるを得なかった。】

『……分かった。』

【自身のインカムを取り外し、足下へと放って、それを踏み砕いた。】
【自分の知っている限りでは、それ以外には、そう言う機器はそれ以外に存在しなかった。】
【彼等の中では珍しい、"素のままの人間"である彼女には、幸か不幸か、特別なナノマシンも機械化施術も行われていない。】
【そしてハンナ・ハーパライネンが、母親の下へと駆け寄って。】

『母さん?』

【然し、エッリ・テア・ハーパライネンは、彼等の会話と、行動へと目を向ける事は無かった。】
【彼等へと背を向けて、その不可解な現象へとその意識を奪われていた。】
【消失した空間。その向こう側に在る、結晶にて閉ざされた、静止した宇宙。】
【人馬の手によって余りにも簡単に消えていく、その静止した宇宙の星々たち。】

「……何だ。アレ。大尉は何にも言って無かったけど……。」

【目元を覆うバイザーを取り外して、その様を肉眼にて認めると。其処で漸く背後の彼へと、顔を向けた。】
【意味不明だ。言葉に出さずとも分かる、その心中を隠す事も忘れる程に、彼女は理解が追い付いていなかった。】
【ブレードの刃先を彼へと向けた。】


「説明してよ。……あれは何だ?僕らに仇を成す者か?」


【もしも。それが本当に"見たまま"の事を起こしているような、頭が痛くなるほどに規模が大きな物だとしたら。】
【何かとんでもない物が、目前に在るような。碌でも無い物を、目に入れているような気がしていた。】


「あれは君の仲間か?僕の敵か?君の敵か?
 ……今、"天才"の僕ともあろうものが。久しぶりに、不安だよ。」
126 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/04(金) 23:26:24.90 ID:/tA6pW/ro
>>122
<"叩き潰す"ね、でも一人でなんてどうしようもない>
[手放しで歓迎しない?そんなのは織り込み済み]

<[貴方達はもう策に嵌っている]>

【フィアと空の声が再び重なり、上空には無数のB-2スピリット爆撃機が突如現れる】
【全てはフィアの能力を活かして今この野戦病院跡、そこにいる敵を総て排除するという算段】

っつーことだ……
「じゃまはさせないからね?」

【物陰からは空が真っ先に放った若草色の矢によって傷の大部分が癒えているエヌオーが現れ、漆黒の鎖で『B』の腕を地面へと無理やり向けさせ】
【倒れ伏していたはずの愛姫は、起き上がり大工原に自らの血をぶちまけるとそれを触手として動きを拘束する】

<でもこれじゃ足りない、もう一つ追撃いいかしら?>
ああ勿論だ…派手にやれ
<了解―――フレシェット弾頭、転送―――ファイア>

【フィアの合図とともに上空からは500lb爆弾を80発を積んだB-2と】
【中に2.5〜5cm位の鋼鉄製釘を約5000本仕込まれたフレシェット弾頭が彼ら六人のいる区域めがけて迫り来る】

さあ、抵抗してみせろ……逆鈎十字の尖兵、お前達はここに来た時点で詰んでんだよ
<生き残ったとしても大損害は免れない、本来ならばお互いに>
[でも、仲間を信じていたから私達だけは必ず生き残る]
「まあえらそうにいってるけど、ぜんぶこじんぷれーからくるちーむわーくなんだけどね、にひひっ」

【フィアと空それぞれがエヌオーと愛姫を回収し、四人は大工原と『B』から離れた地点に立つ】

<捌式・都市戦略防護障壁、転送―――>

【防護障壁が四人を覆う中、徐々に徐々にB-2の巡航音とフレシェット砲弾の風切り音が大きくなり】

チェック

【エヌオーのその言葉と共に辺りを地獄絵図に変えてしまうような大規模破壊が行われようとしていた】
127 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/05(土) 14:21:46.32 ID:zKI4yfaPo
>>125
「――逃げ……って、聞いてないか」
【結晶に閉ざされた宇宙に眼を奪われているエッリに気付き、建物にもたれ掛かったまま座り込む。】

【血溜まりが跳ねて音を起てると同時に突き付けられた刃に、もはや息をのむ事すら億劫だった。】

(……アレが何なのか、か。
 俺に力を貸していたという点では味方と言えなくもないが……)
【記憶の海へと思考の針を垂らすが、濁りぼやけた意識では答えの影すら見えない。】

【解っているのは、何か途方もない存在で自身の魂を食みつつある事。】

【いつ読み取ったのかは解らないが、アレの一部は狂おしい程にこの世界を求めている】

【ともあれ。現状、アレを形容するに相応しい言葉はーー】

「アレは俺を蝕む“力のそのもの”。
 思惑が何であれ、人の敵以外にはなり得ない。
 ……この場で優先して狙われるのは俺だろうけど」
【少しづつ領域を広げ続ける結晶宇宙を背に、存在感を増していく人馬を見上げてーー】

【星々を魔力へと変換し取り込んだ人馬は境界を打ち崩す鎧も手伝って、在るだけで周囲のものが物理的に捻れ曲がっていく】

「そこまで不安なら逃げるといい。
 ここから逃げても誰も咎めないだろうし、何ならこのまま戦死した事にするのもありかな。」
【人馬の装甲の表面に魔法陣と思われる紋様が浮かび上がる様をみとめると、ふら付きながらも立ち上がる。】

【周囲の境界が打ち崩された結果、捻れているのならば。人馬に触れさえすれば触れたものは人馬と融合できる筈】

【最低限、あれだけの力を内包して耐えられるだけの器と一体化した肉体の主導権の奪い合い】
【元々アレを入れていた身。現在も一部は残存しているが、前者はクリアしている。】
【後者は、もう一度自身の“眼”で黙らせるしかない。】

「……何とかする算段は付いているから、安心して逃げればいい」
【鳴海の両目に様々な色が同時出現。色は揺らぎ、激しく渦を巻く。】

(一番の問題は、どうやってあの空間を突破するかだが……)
【出来なくはない。出来なくはないが――】

【辺りを俯瞰していた人馬も鳴海の瞳に反応したのか、空間を引き裂きながら、宙を駆ける】

【目指す先は、三人が密集している地点。】

【速度はそう早くはないが、周囲の歪む空間で大地や建物ごと捻切ってしまおうという魂胆が見える】
128 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/05(土) 17:30:41.27 ID:4J4h81sOO
>>121

ふーっ。ふーっ。いってぇ。

【鮮血が絶え間無く流れ出ている。男の周りは血の池と化していた】

あれ、やるしかねえか。すっげぇ嫌だけどよ、流石に出血多量でお陀仏になる。

「金色の業火」

【すると男の全身から金色に燃える炎が現れた。それは男の掌の中に集まり、大きな炎となっていく】

…ぐっっうううぅぅ!!!!

【機械の腕を無理矢理噛みながら絶叫を抑える。この男がやっている事は高温の炎で傷口を焼いて出血を止めるという荒治療】

はぁ…はぁ…。お前も随分苦しそうだな?

【気付けば自分の一撃で倒れ苦しんでいる男が映る。】

『隊長殿!!お迎えに参りました!!』

『貴様!!そのままうつ伏せになり手を上げろ!!!』

【其処に現れたのは国連の軍隊員達だった。物騒な機関銃をルドキンに突きつけている】

あー、待て待てお前ら。こいつら俺の獲物だからほっといてくれ。

『しかし隊長殿…』

いーから、早く行け。撤退!!

【すると隊員達は撤退し、姿をあっという間に消した。残ったのは傷だらけの戦士が二人】
129 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/05(土) 19:57:14.91 ID:L5oPQz10o
>>126


『やれやれ、随分と馬鹿にされてるな。』

【今まで飄々と、緊張感無く過ごしていた『B』の声が、低く絞られた。】
【左手の指で額を抑えて、俯いてその首を振ったのち。迫る爆撃機の轟音の雨の中、ゆっくりとその頭を上げた。】
【左の人差し指が、"キー"に取り付けられたキーホルダーへと通される。】


『アタシが、及びアタシ達が、ごくごく少数でいつもいつも任を与えられる理由を教えてやる。』


" 『TATHLUM』 VOLLE LADUNG "


" EX-8 SONNENBLUME "


【右手に握る六連装ガトリング砲、それに一度装填した"キー"を引き抜き、再度装填する。】
【冷徹な機械音声のアナウンスと共に、其の右手に魔術的符号と化した兵器が集結、そして其処で再度形を成した。】
【巨大な円柱。その外殻がパージされ、内部から六本の筒が更にせり出して、"まるで向日葵の花弁の如く"、展開される。】


『全部"殺れる"からだ。』

【その一つ一つが、フレシェット砲弾を消滅させ、爆撃機を破壊し、周囲一帯に常識を外れた破壊を齎した。】
【広域破壊兵器。そう設計されたそれは、魔導力を変換した、レーザーに酷似した物質により対象を溶断する。】
【但しその出力はジェネレーターに依存し、"リリー・マルレーン"のAIE-HAを以ってしても、最高出力ならば極短時間の稼働に限られた。】
【"機界武装"。"真界"にも"偽界"にも劣る、電子の魂を以って稼働するそれは、技術力によってそのあらゆる性能を向上させており。】
【彼女、『B』の繰り出す円柱は、"機界"と化し。まるで一つ一つが天を裂くような、膨大な熱量と攻撃範囲を以ってして。周囲一帯を"焼き払う"。】

【そして大工原 正劃の身体を搦め取っていた触手。それは全て、大工原自身の手で全て引き千切られていた。】
【彼は何度も言う様に。策など、数など。彼にとっては唯の些事に過ぎない。】
【自分に何が迫っていようと。自分の身がどれだけ抉られようとも、彼のやるべき事は一つのみ。】

「俺達を小さな罠に嵌めて、気持ちよく饒舌になっているところ悪いがな……。」

【大工原の全身を包んでいた強化外骨格。それが最低限の装置だけを各部に残し、右の拳へと集中する。】
【腰部から何本ものワイヤーが放たれて、地面に突き刺さり、その体躯を固定する。全身の装甲が発熱し、各部排熱装置から絶え間なく余剰魔力が溢れ出す。】
【"新世代"の強化外骨格に搭載されたジェネレーターの出力、及び"大工原自身が生成する魔力"による、膨大な力。】


「宣言通り。潰させてもらう。」


【"攻撃力"の集中した右の拳を、引き絞る。対象は遥か先。だがそれで十分。】
【"小細工"など。"圧倒的な力"の前には、"等しく被破壊者"に過ぎないのだから。】

「   壱   撃   」

【全身の補助ブースターが展開し、来るべき衝撃に備えるべく火を噴き出す。】
【右腕に集中したメインブースターが轟音を立てて。】



「     粉     砕     !     !     !     !     」



【瞬間。ソニックブームすら伴って、右の拳が解き放たれた。】
【そしてその"衝撃"は、進行方向上に横たわる"建物"や"道路"を"須らく""抉り"、破壊して"彼等"へと迫る。】
【先程大工原自身が披露した魔力による"産物"では、無い。純粋な"暴力"による攻撃が、彼等へと放たれた。】

130 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/05(土) 20:44:07.53 ID:L5oPQz10o
>>127
「君はさ。勘違いしてるよ。ああ、ハンナもね。」

【突きつけていたブレードの刃を下げて、その赤色の人馬へと視線を戻した。額から流れてきた血を、左手の甲で拭う。】
【そう言われたハンナ・ハーパライネンが疑問の色を浮かべる。】
【それに構う事は無く。人馬へと視線を向けたまま、エッリ・テア・ハーパライネンは言葉を続けた。】

「僕らはさ、戦う事を選んだんだ。自由の為に。
 ここで逃げ出したりしたら……僕らの戦いは、今までは、どうなっちゃうのって、なるだろ?」

【流れ出すのは幾つもの戦場。】
【何人も、斬り殺し、その上に彼女は立っていた。そうして前へ進もうと足掻いてきた。】
【此処で立ち止まってしまったら。何もかも放棄してしまったら。】

「君は僕達をどうしたいのか……分からないけどさ。
 君がどうしようと、やっぱり僕は戦い続けると思うよ。もう、後に引けないから。」

【何もかもが終わる其の時まで、彼女は戦場で剣を取るつもりだった。】
【死ぬのならば、戦いの中で死ぬ。娘を一人持つ人間としては、如何にも無責任に聞こえるかもしれないが。】
【七十年。その戦争の歳月は、そう簡単に捨てて良い物じゃないから。】

「ハンナ、君は違う。逃げ出すんじゃない……君の道を歩いたって良いんだ。」

【そう言って、彼女は両の瞳を開いて、今度はその赤色の人馬を睨み付けた。】
【人の敵ならば、それ即ち"逆鉤十字"の敵でもある。それが得体の知れない何かだろうと、見逃すわけにはいかない。】
【進路を阻む物は、それが何だろうと。例え"神様"だろうと、"斬り捨てなければ進めない"。】
【言われたハンナが、戸惑い。その答えを待つより前に。】

「君も、あいつも。邪魔するならば、斬り捨てるだけだ。」

【宙を駆ける人馬。膨大な魔力は観測できたが、歪む空間、その理屈は相変わらず分からない。】
【だが、この速さならば避けきれる。娘の手を引いて、その人馬の進路上及び攻撃の範囲外へと走る。】


「さて、僕の力……通じるかどうか!!!」


【そしてブレードを構えると、其処に魔導力が集中し、それを振るう。】
【刃の体を成した魔力の塊が、それから切り離されて、紅い人馬を両断せんと迫る。】
【直接の斬撃よりは遥かに威力が低いが、迂闊に近付けばどうなるか、分かった物では無い。取り敢えずの様子見の意も籠めて。】
131 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/05(土) 21:52:09.38 ID:ZzKVDCwdo
>>128

大きく咽せて、どうにか空気を肺に取り入れようとして苦しみながらも、彼は状況を分析していた。
まず、掌がまだ戦う気があるということだ。向かってくるのならば、相手をするしかない。
そして、やはり目の前の男は、公的な組織に属している人間なのだ。
そんな奴が、こうまでして私闘に拘るのは、彼には理解しがたいことだが――。
ともあれ、彼はどうにか呼吸を整えて、立ち上がる。

「お前が先に仕掛けたってことは、はっきり奴らに証言してくれるんだろうな? 小僧」

転がった剣を拾い直し、構える。
鎧を再び着用する気にはなれなかった。
少しでも身を軽くして、最後の一撃をするしかない。
自分を包む。薄橙の光が陰る前に決着をつけなければ、倒れるのは自分なのだ。

「小僧。次がお互いに最後だ。そうだろ?」

鋭く睨み付け、次の手段を模索する。
この状況で有用そうな古代魔術は限られる。――数少なく、故郷ではいまいち使う事のなかったものを活用するべきなのかもしれない。
彼はそんなことを考えながら、剣の切っ先を向けて、腰を落として身体を安定させる。
132 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/05(土) 22:59:30.56 ID:zKI4yfaPo
>>130
「アンタに娘がいなければ、俺も迷わなかったんだろうけどな。
 娘は……どう見てもアンタを求めてるだろう?」
【実際問題ハンナがいなければ鳴海は見極める時間はあるだろうが、完全に首を跳ねに行っていただろう】

【……だが。この場において『たられば』は、あり得ない。】

【『たられば』を悪用する者がいても、状況そのものを呼び出すなど出来はしない。】

「戦死した事になれば、アンタ達二人は自由の身。
 被害者遺族も多少は溜飲が下がりはっぴーえんど。
 なんて……生存が至上とは言わないけど、そんな都合の良いこと押し付けようとしてたよ」
【被害者を思うならば二人を生きたまま引き渡すべきだろうが……、それはついこの間体験した生と死を繰り返すよりも悲惨な事になりかねない】

【人馬へと意識を戻せば空間の歪みが削岩機のように、建物を粉々に粉砕しているのが見える。】

【過去から魔導因子をサルベージしたのならば、境界が曖昧になった空間へと感覚拡張し、操っているのだろう事は理解できた。】
【容易に拡散してしまう人間の精神には真似できない芸当ではあるが――】

「その次元は、俺の場所だ。
 好き勝手に弄ってるんじゃない――!」
【渦巻く瞳が崩壊する境界から伝わる力を上から押さえつけ。空間を強制的に正常化。】
【突っ込んでくる人馬へと遅いながらも向かっていくが――。】

『!0$0』
【同時に魔力の刃が人馬へと飛来するが、膨大な魔力に包まれた左腕が跳ね魔力の刃を掌握】

【そのまま握り潰された刃は八に分かれ、自身へと刃を飛ばしたエッリと鳴海へと上下左右から襲い掛かる】

【破壊力は魔力を注がれたことにより増幅され、建物などの遮蔽物を両断しながら飛んでいくだろう】

【また、その速度は銃弾にも劣らない】

「糞――」
【一方空間を正常化するためにせめぎあっている鳴海には、迫る刃を回避する手段は残されていない】
【最悪。バラバラにされながらでも、人馬へと触れようと半ば身を投げ出し掛けている】
133 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/06(日) 01:37:19.84 ID:viq6d+vXo
>>129
……くくっ…………
[エヌオー?]
アッハハハハハ!笑えるぜ全くよお!

【辺り一面が焼け野原となり、その中で唯一無事な地面のある箇所に四人は未だ健在だった】
【防護壁の中でエヌオーは大きく笑いを上げると大工原と『B』の二人を見る】

あ〜あ、今ので墜ちてくれりゃ楽だったのになァ!
こちとら火力がねぇってのに無駄に硬いわ無駄に馬火力だわでやってらんねぇクソゲーだわ

【芝居がかった言動は終わらない、一度完膚無きまでにやられ虫の息になったのにも関わらず】

こーなりゃやるこた一つだ、そうだろう?フィア、空、愛姫
全力撤退!三十六計なんとやら、生きてこその物種、勝てない相手にゃ逆らうなってね!

【笑った末に彼の出した判断は逃亡の一手、それにエヌオーの周りの彼女達は笑って返す】

[そんなこと言って……結局は撃滅するんでしょ?]
<そもそも初めからあんなの効くわけがないってわかっててやったんでしょ?>
「えぬおーはほんとにうそがへただよね〜」

【観念したように彼女達を見ればエヌオーは溜息をつき、フィアは防護壁を解除し更に無数の過去の遺物の転送を始める】
【空は弓を構えて宙へと羽ばたいて、愛姫はもう一度自分の身体を傷つけて呪術を重ねがけする】

全く、本当にお前らは仕方のねぇ奴等だ……だからこそ、護りたくなる

【またそれぞれは笑い合ってたった二人の強大な敵に四人で立ち塞がる】
【有利のようであって完全に相手に主導権を握られた状況】
【その中でも笑い合えるのはそれぞれを信じ、絶対に生きて帰れると確信を持っているから】

各員、状況を開始しろ!
[了解っ!]<了解>『りょーかいっ!』

【エヌオーとフィアは大工原へ、空と愛姫は『B』へと。何も言わず、そうするべきと分かりあって】

捕えろ"グレイプニル"!
<弐式・遠隔機動防壁、肆式・遠隔機動複合兵装、壱式複・合型近接兵装―――転送!>

【エヌオーは接近しながら『B』の動きを止めるべく漆黒の鎖を射出】
【フィアはそれを援護するべく防壁をエヌオーの周囲に配置し、牽制のためビットが『B』の周囲を周回しながら射撃する】

いっくよ〜おにーちゃん、こんどはそうかんたんにやられないからね?
仇なす敵を撃ち貫け……"アルテミス"!

【大工原へは愛姫が先陣を切って駆け抜け、血で作り出した双剣を振り回し】
【そして愛姫の動きを予測し、隙間を縫って空が大工原へと射撃を敢行する】
134 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/06(日) 18:30:04.73 ID:lFvR2NFAO
>>131

勿論だよ、処遇は覚悟の上での行動だぜ?まぁ強制的に国連の奴らに頼まれた事なんだけどな。

お前が国連に狙われるなんて事はないから安心しろよ。それよりも…

次の一撃の覚悟をしておけよ。

「お互いにな」

【すると再び金色の炎が全身を纏う。片腕を突き出し、完全なる攻めの構えとなる。防御など一切考えていない】

「さぁ行こうか?ルドキン・コスター。」

「次で終わりにしてやる。」

【片腕が白く発光する。片腕は超高熱を纏う炎の腕へと変化していた。その掌には再び衝撃波が溜まっていく】

「あんたとは最後まで肉弾戦でケリをつけたい。行くぜ。」

「焔衝拳・一滅」

【もはや技とも呼べるか疑問に思える程の一直線の攻撃だった。何よりも速く相手へと近づき、何よりも強く相手へとぶつかろうとした】

【超高熱の衝撃波を纏った拳をルドキンの腹部へと正拳突きの形で放つ。破壊力は想像を絶した物となっている。小細工なしの一撃だった】
135 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/06(日) 19:16:59.67 ID:NY9/7iyuo
>>134

「ティブクの髭にかけて、お前が俺の世界にさえいればよかったのにな」

最後の力を振り絞っての一撃を、向こうも考えている。
純粋な力比べだ。古代魔術での強くなっているとはいえ、向こうは見たこともないアイテムで怪力を誇る上に、自分に近い力の上昇を行えるらしい。
そして、炎だ。炎を纏う剣を見たことがある。しかし、腕とはどういう理屈なのか。

「――大人しく、してなあ!」

愚直なまでの直線の突進。
そうであるだけに、迎え撃つのに苦労は無い。問題は、止まるかどうかだ。

「■■■――!」

口を大きく開き、ありったけの力を込めて叫ぶ。
今度、掌に襲いくるのは突風ではなく――吹雪だ。
極めて低温の風が、掌を襲う。それこそ、身体中が凍りついてしまいかねない、強烈なものだ。
数少ない、攻撃用途の古代魔術の一つである。
この冷気によって、突進を止めようという魂胆だが――賭けだ。
これはコントロールが重要なもので、咄嗟に動くことができない。つまり、耐えられてしまうと、大きな隙なのだ。
136 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/06(日) 19:44:53.37 ID:hSs+8RwB0
>>135

「炎に対して吹雪とは流石に無理があるんじゃねえか??」

【そのまま突進する。炎に対して吹雪など愚の骨頂にも見えるが】

だが、この量は…。

【ただの吹雪ならば、問題はない。だがそれに突風が加わり凄まじい勢いの吹雪と化していた。更に腕に炎を集中させていたせいか、徐々に身体が凍っていく】

こ…れは…まずい。

【機械部分が凍りつき、関節部分が凍傷になりかかる。】

(どうする…もう持たねえぞ。こんな突風どうすれば…)

(突風…?)

(その手があったかっ!!!)

【掌の部分に当たる吹雪と突風のみが吸収されていく。大気の力を吸収してそれを機械内部で振動させ、超音速でそれを放つ事で生まれる衝撃波。ならば、その大気を吸収すれば良かった。】

【もう既に全身が凍りつき、先程の片腕以外は無残な姿になった男。その片腕から、ルドキンに対する冷気を纏った最後の衝撃波が放たれた。そこから男は深い傷を負いながら炎によって徐々に氷を溶かしていくだろう】
137 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/06(日) 20:04:41.24 ID:NY9/7iyuo
>>136

「――ッ!」

耐えられ、さらに一撃を加えられた。
腹部に強かに突き刺さった掌の一撃は、彼自身の冷気を取り込んだ衝撃波も合わさって、彼に尋常ならざるダメージを与えていた。
氷の巨人の一撃を受けた時には、耐えることができた。
――だが、それは十年も前の話で。

「ティブクの斧にかけて――俺の、負けか」

凍りついたところで一撃を加えようとした剣を手放し、音を立てて剣が地面に落ちる。
それとほぼ同時に、彼は膝をついて――空を睨みつけて、倒れた。

――こうして、異世界の征服者は倒れることとなる。
流石というべきか、彼はそれでも、命に別状はない。
138 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/06(日) 20:25:14.70 ID:hSs+8RwB0
>>137



【そして完全に氷漬けになり、徐々に氷が溶けていく。だが、吹雪の影響で身体に切り傷が増え、更に手足の機械部分には力さえも入らない】

「…はぁ…はぁ…、勝ったのに、俺のが重症かよ。どっちが勝ったかなんて分かりゃしねえな、これじゃ。」

【まだ身体が軽く麻痺している。炎に包まれているとはいえ、もう少し遅ければ凍傷になり手足の無い男は更に身体を壊すことになっただろう。】

あんた、強いな。本当にどこから来たんだよ。俺は普通の奴よりもすんげぇ強いつもりなんだが、こんなに肉弾戦で追い詰められたのは久し振りだ。

ほら、立てよ。

【手を差しのばした。既に炎は消え去り傷だらけの男は倒れた戦士に敬意を払う】
139 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/06(日) 20:35:32.02 ID:NY9/7iyuo
>>138

「――ここじゃない遠くだ。恐らくは、星さえ違うだろう」

神さえ関与しない土地。
そこに出向き、戦い、そして敗北した。
彼はどうにか差しのべられた手を掴み、立ち上がる。

「同じ人間に負けるのは、考えたこともなかった――」

立ち上がるが、思ったよりも響いている。
彼は小さく呻き、たたらを踏んだ。
140 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/06(日) 21:24:12.61 ID:lFvR2NFAO
>>139

星さえも違う??まぁ強い奴なら何でもいいさ。

って事はあんたは宇宙人って事かよ?すげぇなほんと!

【戦い終わり、傷だらけの筈の男は歯を見せながら笑っていた。】

俺の事を人間と見てくれんのか、それは何というかありがたい

両腕両脚機械なんで笑えるだろ?人間にも見られず、ロボットって訳でもない。

まぁいいや、楽しかったぜ、征服者さんよ。俺は行くぜ。

【そうすると男は飛び立つ為の準備を始めた】
141 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/06(日) 21:46:35.89 ID:NY9/7iyuo
>>140

「待ちな」

引き留める。
いや、引き留めなければならなかった。

「その異星人を見かけて私闘をしかけて、いい運動になったからって放って帰る気か?」

「それじゃこの年寄りは干からびて死んじまうよ。つれてってもらおうか。その、コクレンってのに」

現地の当局とのつながりを持つ。
この世界で生きていくには、必要だと考えていた。

「機械? 機械ってのは水車とか風車とか……ああ、ドワーフのカラクリみたいなもんか……」

全く自分の知識が通用しないこの世界では、彼は都会の蛮族に過ぎない。
この世界に立つための足掛かりが、まず必要だった。
142 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/06(日) 22:19:23.39 ID:BFD3O8swo
>>132
【魔力の刃が、より膨大な魔力によって、それは無効化どころか、"掌握される"。】
【潰された刃が八つに分かれ、そして自分へと帰ってくる、上下左右からの全方位攻撃となって。】

「スペック差ってのを感じたのは何度もあったけど……。

 まさか、見せ付けられる側に回るなんて思って無かったね……。」

【視認すら許されない速度によって飛来するそれに対して、"感覚を以ってして"ブレードを振り下ろす。】
【正面から飛来した刃を一つ叩き落とした物の……四方からの攻撃を完全に対応できるように、人間は出来ていない。】
【やはり長年培ってきた"勘"を以ってしてブースターを噴射し、直撃を避けた物の……左手の指を三本、人差し指から薬指までを奪われた。】
【それはピタリピタリと飛沫となって地上へと僅かに降り注いだ後。魔術によって、その傷口が塞がれた。】

『母さん!』

【そう叫んだ彼女に対して、健在のアピールをする余裕は無かった。】
【一瞬、非常に痛ましそうな顔をした後、ハンナはその人馬へと狙撃銃を向ける。】
【切断された三本の指。剣を握るのはもう困難なそれを見て、そして自分には理解できない。彼のやろうとすることを見て、思う。】

【自分はやはり、もう戦うべきじゃない、と。】

【彼女は天才だった。戦闘の天才だった。あらゆる戦場であらゆる敵を薙ぎ倒して生きてきた。】
【それだと言うのに。自分を打ち倒す者。自分の力が通じない者。自分では、理解できない者が立て続けに現れた。】
【それが天が戯れに与えた才ならば。"もういい"と、天は今、彼女に対して言っているのだろう。】

【握るブレードに力が籠もる。このまま彼の言う通り、戦死したことにして、娘と二人で過ごすのも悪くは無い。】
【この、血錆に塗れた戦場を抜け出して、穏やかに、残り少ない生を娘と共に歩むのも、悪くは無いと、そう思った。】
【そして何度か、手を伸ばしそうになったこともあった。けれど。】


「うん、都合が良すぎるね、それは。」


【ブースターを噴射し、急速接近。彼へと飛来する刃へと向けて、"天才の感覚"を以ってしてブレードを振るい、叩き落とす。】
【彼が何をしようとしているか分からないが……自分と、娘が助かるには……そして部隊の為には、こうするのが得策だと思った。】


「やり切るしかない……その先に何があろうとも。盲目にそれ一つを信じて、ね。
 だからそのために、君にはあれを何とかしてもらおうかな。……悔しいけど、僕には難解過ぎる。」


【右手に握ったブレード肩に担ぎながら、彼の横でそう言った。】
143 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/06(日) 22:25:45.13 ID:lFvR2NFAO
>>141

…あぁ、そうか。あんたこの世界の事何にも知らないのか。

いいぜ、あんたみたいな人は結構いるからな。魔法使いに怪物に、やばいテロ軍団。勿論俺みたいな奴もいる。

あんたみたいな奴は特に珍しくもないからな。

【そして、通信機で国連の軍隊に要請をかかる。少し経てば何十人もの国連軍がやってくる。】

確かに俺の要望を飲んで戦ってくれたんだから其れなりの報酬を用意しなきゃな。

まずあんたに渡さないといけない物は、金と家だな。取り敢えずこの二つがあればあんたも生きていけるだろ?

他に要望はあるか?聞けるとこまで用意しよう。

【この男、数々の戦場で功績を掲げた戦士でもある。大抵の物は国に言えば用意ができるのだ】
144 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/06(日) 22:31:25.03 ID:NY9/7iyuo
>>143

「あー……そうだな」

「知識が必要だ。医学や、それに類似する魔術、秘術、奇跡の類なんかの文献がある図書館の利用の許可」

「って、本っていう形をとってるかどうかもわからんな。本じゃないもので存在するなら、とにかくそれの利用の権限。使い方のマニュアルか解説員もセットだ」

負けた身でここまで要求するのは、聊か妙な話ではある。
しかし、彼は最早なりふり構ってなどいられない。
このために、異世界から飛んだのだから。

「もう一つ。……怪我の治療だな」

根性で立っていたが、意識を保っていられるかどうか微妙だった。
めまいに似た感覚を覚え、再びバランスを崩しそうになる。
145 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/06(日) 22:46:00.16 ID:lFvR2NFAO
>>144

取り敢えず、これを渡しておこうか。

【懐から取り出した物に何かを書き、ルドキンに差し出す】

こいつは、俺の署名と印鑑が付いてる証明書だ。それがあれば国のどんな施設にも行けるようになる。

まぁ中にはデジタル情報なんかも混じってるがコンピューターの使い方とかも、それを見せれば誰かしらが教えてくれる。てか本屋にマニュアルとかは売ってるから買ってくれ。

【そして説明の途中に国連の隊員達が敬礼をし、整列する】

「先程はとんだご無礼を!隊長殿の友人とは知らずに申し訳ありませんでした!」

取り敢えず治療してくれ、勿論俺のもな。

【すると、ルドキンと自分に対して応急手当を隊員達は開始した】
146 :大工原 正劃&OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/06(日) 23:22:55.29 ID:BFD3O8swo
>>133
『はぁ〜……よく口が回るなぁ。』

【『B』はまた、抜けた調子でそう言った。】
【馬鹿にしている訳では無い。感心しているのだ。彼の何が、彼を饒舌にさせているのかは分からなかったが。】
【兎も角、彼がやる気なのは見て取れた。】

【右手に握るガトリング砲が火を噴いた。】

『お、とと……とっ!!』

【漆黒の鎖が彼女の腕を搦めとり、そのガトリング砲の銃口を、あらぬ方向へと引っ張っていく。】
【ガトリング砲の斉射を停止させ。そして、その漆黒の鎖を、"引っ掴んだ"。】

『にひひ……じゃ、まぁ。さっさとやっちまうかな。』

【怪力、剛腕。或いは、"機械的"な作用による巨大な力。】
【巨大な火砲を、たった一人で、軽々と片手に握り、反動の気も無く弾をばら撒き、身軽に動き回る。】
【その事によって察する事も出来ただろう。只々人間を相手をすることに限れば、決して劣る事は無い、"人外"の力。】

【そして左手に握られる、射出されたビットの迎撃を行っていた六つの円筒の兵器が、一つに束ねられる。】



「ならばこの俺の勝利への、そして大尉殿の為。その身を以って花道と成るが良い。」

【双剣による剣戟を、寮の拳を以ってして打ち返し、その刃を通さない。】
【幾度もそれを通すまいと拳を振るうその間隙。迫るのは矢。ずぶり、と彼の右眼を屠る。】
【ドロリ、と鮮血が溢れだす。ぞくりと、其の身体と思考に一瞬だけノイズが奔り、思い起こされるのは幼少期の地獄。】
【然し大工原は、構うことなく拳を握る。】


「   オ   ォ   ォ   !   !   !   」


【防御行動ごと撃ち砕かんと。それが大工原 正劃の信条、一撃必殺の拳。】

【彼女等がお互いの信頼で戦うのならば、大工原 正劃は狂信と、信念だ。】
【彼が其処に立派に足を付け。彼がその拳を握り締め、彼がその拳で敵を粉砕する事。そしてそれが、出来る事。】
【例え自分が"ハンス・バイエル"の幾つもの実験の中に在る一つの被検体の一つであろうとも、それでも自分は。】

【闇の中。幼い自分を抱き上げた"恩人"へ、気が狂うほどの恩情を与えてくれた人へ。】

【只々それに報いたい一心で。片目が潰された程度では、立ち止まらない。例え手足を失っても、もう立ち止まらない。】
【美しい羽は持たない。立派な正義も、語れる様な思想も持ち合わせていない。ただ、獣でいい。】
【ただ静かに、彼に対して、報いたいと。唯それ一つだけの為に、磨き続けた拳を"放つ"。】
147 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/07(月) 20:40:12.18 ID:5La4C4zco
>>145

「……了解した」

サインとスタンプの文化が存在することを彼は確認する。
物事の承認は、権限を持った者が一筆するか、それの代わりの印が使われる。
文明のレベルが大きく違う場所でも、それは違うらしい。

(こんぴゅー……知らない単語だな)

ともあれ、それを受け取り、虚空へと消し去る。
傍から見れば手品でしかない。彼の見えざる荷物持ちは、総重量の制限があるにしろ、非常に便利だ。
何より、物をなくさない。

「……ああ、とりあえず、後頼んだわ」

治療を受ける。都合、彼は座らされることになるだろうが、その折に気を失った。
次に彼が目を覚ますのは、彼らの拠点内の医務室になるだろう。

【――『異世界への出立』完】
【長々とありがとうございました!】
148 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/07(月) 21:47:46.58 ID:bdtTBdULo
>>142
「ーーッ?!」
【刃を叩き落とした者の姿に、目を見開く】
【予測すら出来なかった相手にフォローを受けた事に、少なからず衝撃を受けていた】

「……ありがとう」
【自身の母親は自分のせいで居なくなってしまったが。仮に居たとすれば、こんな感じなのだろうかーー】

【年不相応の想像が過るが。刹那で切り捨て】

「歪みがなければアレはただの固定砲台。
 俺が触ればあとはなんとか出来る……とはいえ、攻撃は激しいものになる。
 何としてでも道を切り開いてくれ」
【指を失った彼女には酷な事かもしれないが、それでも、この場でそれが出来そうな人物は只一人】

【伝えて地を蹴り、今出せる全速で人馬へと向かう】

(……あと、20mぐらい、か?)
【ーーだが、その全速力は常人の歩行速度よりも遅く】

『ーーーー』
【人馬の咆哮。人間の可聴域を越え、風の唸りのように大気を震わせる】
【押さえ付けられている力を、さらに上から打ち破らんとせめぎあっているのが、陽炎のような揺らぎとして発生していた】

【そのまま右腕を振り上げれば四本の指は再現なく伸び、正面の鳴海とエッリへと力任せに振り下ろす】

【振り下ろされた指はアスファルトの大地を砕き、生死の確認を行わず縦横無尽に跳ね回り、触れた建物を打ち崩すだろう】
149 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/08(火) 22:40:34.29 ID:31EFEvjoo
>>148

【狙撃銃を、紅の人馬へと向けた娘を、二本だけ指が残った掌を目いっぱい広げて、それを静止した。】
【魔力の刃がああも簡単に止められた現状、余計な攻撃をすればどうなるものか、分かった事では無い。】
【そもそも通常攻撃自体で仕留められるか、それすらも疑問だ。それに―――――。】
【その意思を汲み取った彼女が、人馬から背を向けて駆け出した。その様子を見て、満足気に笑って。】

「……さて、この状況。それを信じるしか道は無さそうかな。
 はてさて、どうなる事か……長生きはしてみる物だね。」

【左腕に対して付加されていた身体強化魔術、其処に供給されていた分の魔術を右腕へと注ぐ。】
【指二本で剣を握る事等出来ない。どうせ右腕しか使えないのだから、どうせならそうした方が良いだろう、と。】
【道を切り開く。片手でそれをやる、とは随分と無茶な注文をつけてくれるが……やるしかないのだから、仕方ない。】

「うるさいな。……馬の癖に。
 出来るだけ早くやってくれよ……僕も保てるかどうか、分かんないからね!!」

【咆哮。明らかに人類種には発生させる事が不可能な、大気を震わせる咆哮に、耳を塞ぎたくなるのを堪えて。】
【ゆっくりと前進する彼の後ろから、人馬の姿を観察し。】
【その人馬が右腕を振り上げたと同時に、右手のブレードを構えて、勢いよく駆け出した。】
【際限なく伸びた指が、彼等二人の下へと振り下ろされる。その指、鳴海へと叩き付けられんとするそれを、ブレードを以って弾く。】
【だが、それは一撃では済まされず。生か死かの確認も行っていないであろう、その指が跳ね回り、周りの建築物を崩す。】


「はっ、拍子抜けだ、よ!!」


【片腕で握ったブレードを振るい、彼へと迫らんとする建築物の一部、それをブレードを以ってして両断する。】
【負傷、片腕。幾つかのハンデは背負っていた物の、少なくとも"まだ"、こんなところで脱落する様な人間では無い。】
【前進を続ける、彼へと迫る様々な攻撃と化した建造物の一部を、斬って払い続ける。】
150 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/09(水) 00:30:07.11 ID:0faznpZ5o
>>149
(強い。解っては居たけど、白兵戦では絶対に勝てないな)
【跳ね回る触手を打ち払い、建物を切り崩していく姿に一時の共闘とはいえ心強さを覚える】

(この眼を使う事自体が久しぶりだけど……、気休めにはいけるか?)
【空間に干渉する力と力のせめぎ合いに押されつつあった】

【片や単一の個】 【片や結晶宇宙の星々】

【馬鹿げた力の貯蔵量を誇る電池からして、持続して本気で暴れ続けられればどうしようもない】

「第四次元干渉・極地時空凍結」
【ーーだが、こちらが干渉出来るのは空間だけではない】
【人馬の周囲を立方体で囲むイメージで範囲を決定し、立方体内の完全に時間を停止させる】

【時を停められた人馬の胴体は静止。しかし、指は止まることなく破壊を産み出しながら跳ね回りーー】

【崩れる建物の瓦礫に埋もれていくが、鈎爪が深く。深く、規則的に。或は不規則に、大地に傷を刻み続けている】

【それに気づければ魔術に明るくないものでもあっても、何らかの陣を敷いていると理解できるだろう】

「知ってた」
【そして、浸食が止まらなかった事からもやはりと言うべきか、人馬は時の楔では抑えきれない】
【時間停止を膨大な魔力と欠片程度の存在規模で打ち破る非常識】

【動作こそ緩慢ではあるものの。楔に亀裂を走らせながら、更に咆哮を上げる】

『■■■■■■■■■』
【先程の物とは違い人の耳にも届く、常人の五感ですらハッキリ捉えられる程濃密な魔力を帯びた轟音】

【粘性を帯びた漆黒の大海(魔力)は、高低ごちゃまぜの聞くに耐えない魔声に宿り】

【声は悠に千を越える魔術を。頭部に空いた一つの大穴で紡いでいる】

【その魔術の『前触れ』として。静止した空間の正面に、拳ほどの黒い点ーー 一筋の光すら逃さない膨大な質量が生まれていた】

(残り10mーー)
【飽くまでも完成してから重力を帯びるということか】
【それ以外は指が暴れまわっているだけで、周囲には変化も影響もない】

【また、その質量も飽くまで魔力編まれたもののため、他者の魔力を割り込ませれば人馬の意図しない結果に終わるだろう】

【ーーそれが魔術式の消滅となるのか。暴走の引き金となるのかは人馬以外には解らない】

【ただ、ひとつ言えるのは】

「ま…ず…っ。力の差がーー在り過ぎる……!」
【時の楔が砕かれるのに十数秒もかからない事ぐらいだ】
151 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/09(水) 04:21:16.04 ID:yrJpl18No
お、掴まれたか…まあいいさァ!所詮俺は捨て駒、やれることをやるだけだ!

【エヌオーは初めから力比べでなど戦おうとなど思っていなかった】
【掴まれているのならば自分は抵抗しなくていい、ただその掴んでいる相手に向かうのみ】
【掴まれている鎖を引き戻し、その反動でエヌオーは『B』へと向かって飛んでいく】

ひぃやっほぅううううううう!!!!!!!!!!!
<円筒兵器……おそらくはさっきのアレね、火力ではどうしようもないのだから……>
捕まれフィアァアアアアアアアア!!!!!!
<了解!>

【フィアに鎖を射出、其れをフィアが捉えたことを確認すれば、それも同じように引き戻す】
【十二分に加速がついたふたりは『B』へと高速の飛蹴りを同時に放つ】




やられないよって言ってるそばからそんなこといってさ〜
[着弾確認、愛姫ちゃん今のうちに]
わかってるよん、にひひっ!

【防御をを吹き飛ばし、致命の一撃を与えるためにと迫る拳】
【それに対して愛姫はある一点へと体を滑り込ませ大工原の視界から消え】

もーらった!

【滑り込んだ一点、其れは右目を失ったことにより生ずる盲点】
【その場所から大工原の腕を掴み、本来ならばかかることなどないであろう投げ技】
【一本背負いを極める為その身を屈ませた】

[(仮に、これで決まらなくても……私がやればいい)]

【そしてその後方では空が宙に浮いたまま静かに次の矢を番えていた】
152 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/10(木) 01:18:10.87 ID:2dhhdEIao
>>150
「そ、らぁ!!」

【触手を切り払い、彼の時間を稼ぐ。】
【彼女にとって今現在出来る事はそれくらいで、中々に歯がゆい事だった。】
【その目前で怒っている事は、何をしているのか、彼女には一切蚊帳の外で、理解する事など到底出来ない事が理解出来た。】
【そして少し、腹立たしいと思った。】


「次元干渉……また意味が分からない事を。」


【人馬の周囲。その動作が停止した。其の言葉通り、まるで其処だけが"凍結"した様に。】
【それに驚嘆するのも束の間、指はその動きを止める事無く、まるで自分など意に介さないかと言う様に、跳ね回る。】
【巻き込まれぬよう、此方へと弾かれる瓦礫を切り崩す。】

【左手、残った人差し指と親指を、帽子を押さえるかのように、額に当てる。】

【自分だって魔術を扱う者。専門では無いが、それが何をしようとしているのか。】
【中身は分からなかったが、理解できた。】

「随分と冷静だね、碌な事になる気がしないけれど。」

【知ってた。其の言葉に、安心する事は出来なかった。】
【停止した世界の中から、圧倒的な魔力だけは感じられた。そしてそれが、凍結した時間を破壊せんとしている事も。】
【ブレードの切先をそれへと向ける――――そうしたところで、どうなるとは思えないが。】
【その轟音には数え切れないほどの魔術が籠められていた……まるで、"次元"が違う。】
【あの。ただの拳大の黒い点に。まるでブラックホールの如き質量が……もしかしたら、あれは"それそのもの"なのかもしれない。】

「やれやれ……。」

【もう一度、親指と人差し指で額を抑える。】
【そしてそれから、突きつけていた剣をゆっくりと下ろした。ゆっくりと左右に首を振って、人馬を見据えた後。】

「ふざけるなよ、化物……!」

【そのブレードに魔力を注ぎ込んだ。自分の中に残る魔力、それを殆ど。】
【だと言うのに、それはきっと彼等からしてみれば、酷くお粗末で、余りにも小さいのだろう。】
【今現在まで、"天才"と呼ばれ持て囃されていた彼女にとって……酷く腹立たしく、余りにも強大過ぎる力。】


「いきなり現れて、無茶苦茶やりやがって……ムカつくんだよ、お前等!!」


【まるで子供の様な言葉と共に、そのブレードから、先のそれよりもより長大な魔力の刃が刀身より発生。】
【刺し貫くかのように。膨大な質量の黒いそれへと向けて、放った。何かが起こる事は理解して、彼女はブレードを振るった。】
【それによってどんなことになろうと。只々それ等が腹立たしくて、何か一矢報いてやろうと。】
153 :大工原 正劃&OB-004 『B』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/10(木) 02:31:55.49 ID:2dhhdEIao
>>151
【装着した鎧、その胸部を、両者は蹴りつける筈だ。】
【腐っても"真界武装"の模造品、その鎧自体に傷は付かない物の、衝撃はそれに限らない。鎧を通じて、身体へと通じる。】
【"彼女"の中には、タンパク質で出来た肉以外に、また別の何かが詰まっている。それについての見識があるのならば、察しが付く筈だ。】
【"生体アンドロイド"。肉も、骨も、内臓も。彼女は人工の物質で出来ている、と。】


『捕まえたぜ、人形。』


【束ねられた砲身と、彼等の蹴撃が交錯する。そして彼女は蹴撃を受け入れ、それの引き金を引いた。】
【六の砲身、その一つ一つより、膨大な熱量へと変換された魔力が、閃光となって夜闇を引き裂いてゆく。】
【衝撃によって彼女は、空中でその巨大な円筒から手を離し、廃棄。】
【体勢を立て直し、地面を抉りながら、その身体は倒れ伏す事無く、人外の身体能力を以ってして、地に足を付けた。】

『ったぁ、クソッ!まさか私がたったの二人に遅れを取るなんて!
 まだ身体が馴染んでないのか……"父さんの戦闘データ"はしっかりインストールしてあるはずなのに。』

【胸部の"火蜥蜴"を司ったエンブレムを、左手で触れながらそう言った。】


【経った今、誕生した"弱点"に対して、大工原 正劃は何の対策も施す事は無かった。】
【突如起こった遠近感の消失、そして極端な視野狭窄に対して瞬時に反応を示す事が出来る人間など、存在しない。】
【故にその行為は容易に出来たはずだ。腕を、掴む"までは"。】

「そうは行く物か。」

【彼女の掴む腕、その感覚が唐突に軽くなる筈だ。】

【彼の左手。其処に握るのは刃渡り三十センチほどの銃剣。ただ、護身用に持っていただけの、本来ならば使われる事は無かった装備。】
【そしてそれは、"自らの右腕を切断する事"に使われた。】
【其処にいる"機械の君"によって切断された腕、それよりも更に深く、肩口からバッサリと切断されたそれは。】
【装着された生体義肢ごと、鮮血を吹き散らしながら焼き払われた地面へと落下した。】

【それを追い掛けるように、銃剣が落下する。】

【それに被さる様に、鮮血が肩口から噴き出る。】

【彼等"逆鉤十字"の戦士たちは皆、出血に対して即座に止血されるよう魔術が"プログラム"されている。】
【それは彼にも例外は無く、そのシステムは幾許かの間を置いて、開始される。】

【然しその間を待つことなく、彼は左拳を握り締めた。】


「 う ぅ ぅ ぅ ァ ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  ア  !  !  !  !」


【身を低く屈めた彼女、それに対して行われる攻撃は、非常にシンプル。】
【拳骨を脳天へと叩き込もうと振り下ろす。これだけだった。】

【無論、その間、彼の身体は完全な無防備だ。】
【撃てば……止まるかは別として、確実に当たる。】
154 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/11(金) 00:40:48.60 ID:gHACbDcqo
>>152
【『浸食』が原因で普段は使えない本来の力の行使負荷により、片眼の奥が小さく弾けた】
【視界の半分が歪む。歪んだ視界の先に広がる光景は、人の言語では筆舌し難い】
【あえて直すのであれば、何もかもが重なりあった光景だろうかーー】
【兎も角、片眼は死んだだけではなく】

「本当はそれ以外、出来ない……それ、すら……振り、回されてるけど。
 それに、アレ+0/|/0付き合い[-]@それなり/|/!在った/<@/2@。
 @し止め/|/!しかな/2@な!のは、薄々……っ」
【半ば根性で立っているようなものなのに、片眼が取得する情報量が言語に影響を及ぼしていた】

「お前/2@って、俺も[-]@!++[-……る?」
【死にかけながらも心外だと言わんばかりの表情で、一瞬ながらエッリに視線を向ける】
【魔力はうっすらとしか関知できないが、エッリの放った魔力の刃は鳴海側が内包する魔力よりも桁違いに大きい】


『■■ーー』
【触手が唐突に動きを止め、人馬の喉から胴体までがひとりでに縦に裂けるーー否。裂けると言うのは正しくない】
【裂け目から覗く乱杭場と触手】
【そして。内に渦巻く紅い数式からは、最初から裂けていたという方が正しいのだろう】

【黒点を呑み込もうと異形の大口を広げーー、飛刃が黒点を貫く】

【本来ならば隙とも呼べない動作。気付ける筈の刃】
【砕け散る直前の時の楔が、正常化への抵抗が。それらを全て奪い去り】

【大口は押し込まれるようにして、刃と黒点を呑み込んで……】

『ーー』
【時の楔が完全に打ち砕かれると同時に、人馬の動きが完全に静止】

【声なき悲鳴と吸われるような音が十秒以上続いた後。鎧の内側から天を、大地を裂くような爆音が発生】

【同時に発生した衝撃が地面へと伝わり、2m台の極小のクレーターを刻むと共に大地を揺るがし、瓦礫の雪崩が発生】

【ブラックホールは確かに現れ、飽和し、爆発したのだろう……ただ、それは全ては鎧の内側での事】
【気を抜くと拡散数式を止めるために、内側のみを強固にした数式のミス】
【鎧は原型を保っているものの衝撃に耐えきれず、胸部がその場に瓦解】

【触手は数多の斬撃の傷跡から破裂するように弾け飛び、人馬は力なくその場に崩れ落ちた】

【胸部の穴からは、心臓のように脈動する0と1のみで構成された数字の塊が露出】
【塊からは視覚化された魔力が、血液のように『大地に』こぼれ落ちている】

【魔力を帯びた0と1の塊からは、確かに音が出ており、物質に影響を与え、受けている】
【容易く砕ける電池のようなもの】

【動く様子はないが鎧の内側からは砕けたアスファルトが融解けかける程の熱が放たれており、宿す魔力も大部分が削り落ちているも健在】

【結晶宇宙が繋がっていることや鎧をサルベージした事を鑑みれば、ここで間を開ければ、再び活動を開始する可能性は高い】

(早く。あと少し、手を伸ばせばーー)
【一方の鳴海は地震と雪崩に足を取られて転倒】
【融解しかけの地面に左腕を突っ込むのも構わず這い、焼けながら、無我夢中で人馬へと逆の手を伸ばして触れる】

「う、ーーーあ」
【途端、人馬は鳴海の腕に吸い込まれるように溶け込んでーーだが、0と1の塊だけは残り】

【鳴海の死界。塊から魔力を吸い、魔法陣が。エッリと鳴海の足元が隆起を始める】

【隆起した大地は槍となり。這い出る勢いで獲物を貫き天高く、獲物を掲げるだろう】

【ーーだが、魔法陣の規模は塊から賄える程度の魔力では二本が限界】

【これが人馬からの最後の一撃となる】
155 :掌 拳次 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/11(金) 13:25:18.82 ID:2mDZBYUvO
>>147

ま、あんた程の腕がありゃそこら辺で小銭稼ぐくらいなら出来るさ。

賞金稼ぎとかいいかもな!?

【治療を受けてるルドキンの方を見るともう気を失っていた。あれ程の凄まじい攻防をしたのだから無理もない】

ま、しょうがないか。こいつの事を頼むぞ。家の手配と、この小切手を渡しといてくれ。

俺は取り敢えず任務に戻る。あばよ!

【必要な物を渡し、国連にルドキンを渡して男は空に飛び立った。】

/だいぶ遅れてしまいましたがお疲れ様です!
156 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/11(金) 23:39:03.37 ID:mHYTdauKo
>>154

【知覚できる中で何かが起きているというのに、それを言葉に出来ない事に、それの恐ろしさを覚える。】
【一瞬だけ此方へと視線を寄越した彼へと向けて、エッリ・テア・ハーパライネンは、一瞬だけ混じり気なく笑いかけた。】
【"ごめん、何言ってるか分からない"。そんな風な意を籠めて。】
【そして人馬へと、魔力の刃を押し込んだ。】

【完全に静止した人馬、奇妙な音が続いた後に、強烈な爆音が発生する。】
【それに指を半数以上失った左手で、辛うじて左耳を抑え乍ら、その剣を人馬へと向けて、警戒の体勢を取った。】
【……それが意味を成すような相手では無い様な、そんな気はするが。】

【しかしその様は、崩壊への道筋を辿っているように見えた。】
【散々自分には理解の出来ない事を引き起こしてくれた化物ゆえに、確信は出来なかったが。】
【様々な二次災害を引き起こしている……衝撃によってクレーターを作り大地を揺るがし、瓦礫が雪崩となり。】
【だが人馬の鎧の胸部は、明らかに崩壊の慶兆を見せていた。】
【暴れ回っていた触手が弾け飛び、そしてそれに合わせて人馬が崩れ落ちる……其処で漸く、エッリは人馬が、崩壊しているのだと確信出来た。】


「死に際まで意味分からないって……拍手したくなるよ。
 本当に僕は、今、何を見てるんだか。」


【0と1の塊、脈動する数字の塊。そんな物に相対した事など、唯の一度もなく、本当に目を疑いたくなるが。】
【それはその音が表すように、確かに世界を影響に与えている様で……幻ならばよかったものを、そう彼女は思った。】

【崩壊した人馬、然し未だ膨大な熱を発するそれに、少年が手を伸ばした。】
【その人馬はまるで、還るかのように、彼の中に帰って行った。ただ、0と1の塊だけを残して。】
【人差し指で頬を抑えた後、強化外骨格のブースターを点火し。】

「全く……後始末なら最後まで、しっかりやりなさいって!!」

【起動する巨大な魔方陣。隆起し始める大地、何らかの攻撃が来る。】
【これが最後だといいのだが、そう思いながら、ブースターを噴射し、ブレードを手離して、鳴海の下へと加速していく。】
【そして右手を彼の衣服の襟元へと伸ばし、そして引っ掴むことが出来るのならば、そのまま無理矢理、遥か上空。突き出す槍が届かない所まで、駆け上がっていくだろう。】
157 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/12(土) 20:12:15.74 ID:DQzc/NBso
>>156
「すみませーーごゥッ?!」
【鳴海は一切の抵抗なく彼女に襟首を掴まれ、されるがままに天へと飛翔する】

【槍は天翔るエッリと鳴海を貫くように、一直線に伸びていきーー】
【塊が脈動を終えると同時に魔力の供給が絶え、形を亡くし、崩れていく】

【塊は槍を構成する鉱石や岩に押し潰されて見えなくなり、魔力も気配も失せ】

【空間を浸食していた結晶宇宙も、星屑の瞬きと共に静かに消えていった】

「これで終わ……り、か」
【融け、焼け、焦げた腕等気にもならないような這いずる違和感】

【首を圧迫されて意識が遠退く中。質量を持った寒気が体内を抉りながら這い回っている感覚に包まれていた】

【様々な色が渦を巻いていた瞳からは渦が消え、チカラを使い果たしたかのように淡い蒼へと変わっている】

「降……ろ…せ………」
【鳴海に理解できたことはチカラの変化らしきものと、発動の引き金となる言葉】
【そして、これ以上は本格的に窒息しかねない事だけだった】
158 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/12(土) 21:21:04.62 ID:AUFfQXTio
>>157
【上昇が終わる。その背を追い掛けて刺し貫かんとした槍が、ボロボロと崩れていく。】
【それは構成物質へと直ぐに形を変えて、0と1の塊を押し潰して、破壊してしまったのだろうか、その気配は消え。】
【結晶の中に閉じ込められていた宇宙たちは、最初から何も無かったかのように、雲散霧消してしまった。】
【左手の指で、額を抑えて。ハンナ・ハーパライネンは、肩の力を抜いて大きく溜め息をついた。】

「Auf jeden Regen folgt auch Sonnenschein.(どんな雨の後にも、後には陽射しが続く。)」

【ゆっくりと、高度を下げていく。満点の夜空を見上げながら、エッリ・テア・ハーパライネンはそう呟いた。】
【まるで夢の様な出来事だった。けれど失った指と、切り裂いた触手の感触が未だに其処に残り続ける。】

【あの訳の分からない存在に対して、彼女は自分が酷く無力だったように思えた。】
【あんな物を突きつけられるのは初めてで、それはやはり、自分が"神様に飽きられた時代遅れ"である証左なのだろう。】

「ああ、ごめんね。」

【上空五メートル程まで降下した所で、彼の首根っこを掴む手を離した。】
【そのまま重力に従って落ちていくのか、それとも何らかの異能を行使するのかは分からないが、彼女もそれを追う様に降下する事だろう。】
【すとっ、と足を付ける。】

【だが、彼女の戦いは、まだ終わっていない。】

「さてと……そう言えば名前聞いて無かったな……まぁいいか。
 少年。君は満身創痍。僕は剣を失った。けれど、まだ戦いは終わっていない。」

【そもそも、彼女等に与えられた任は、此処の"制圧"。】
【数字の人馬の相手も、彼の手伝いをしたことも、それの延長線上であるから行ったに他ならない。】
【それでは、あの数字の人馬を倒したとなれば。次の目標となるのは、彼以外にいないだろう。】

「ハンナが君を狙っている。僕の合図一つで君の頭を正確にぶち抜いてくれる筈だ。
 何てったって僕の娘なんだからね、針穴に銃弾を通すぐらい朝飯前なんだから……まぁ、それは置いといて。」

【右手の指で、ピストルの形を作り、彼へと突きつけると。】

「君が大人しく帰るのならば、別にいいんだけどね?

 ……ぱぁん。」

【そう言って、ピストルが反動で跳ねるような動作を見せると、銃声が轟き。彼のすぐ傍に弾丸が叩き込まれる筈だ。】

(……効くのかどうか知らないけどさ。)

【そして指先を、硝煙を吹き消すように、西部劇のガンマンの如く、短く、ふっ、と息をかけた。】
159 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/12(土) 23:35:08.12 ID:DQzc/NBso
>>158
【目の前が暗転する寸前。ろくに効かない視界の中で、不意に下降速度が上がる】

【それがエッリが襟首を放したのが原因だと理解したのは、地面に爪先が触れた瞬間でーー】

【だから、口を開く隙もなく、アスファルトへと俯せに叩きつけられた】

「ハァ…ハァ……」
【酸素を取り込み復旧を始める意識の中で、如何に疲れを知らない機械に依存していたかを思い知らされる】
【そして、それでもエッリには敵わない】

「皆は……逃げられた、かな?」
【呼吸が整い、違和感から逃避するように呟く】
【立ち上がろうとするが四肢に力が全く入らず。違和感と戦いながら何度も転けて、諦めたのか仰向きになり】

「鳴海……杜柱鳴海だ……アンタは、本当に……娘が、好きなん、だな」
【自慢気に娘の狙撃の腕を語るエッリに『これが親の貌というやつだろうか』という思考は】

【銃声とすぐ耳元で鳴った着弾音で掻き消された】
【内側に得体の知れない何かがいるとはいえ、現在の彼の身体は機械でなく人間】
【銃弾で容易くオーバーキルできる程度に弱った人間と変わらない】

【しかし、選択肢を与えられたという事は、『向こうはこれ以上消耗したくない』又は『他の思惑がある』のどちらかか】

(俺が『アレ』を内側に入れたのを見てるから、下手に手を出しにくいだけかもしれない。
 ……その場合、どっか安全な場所で死ねという事になるんだろうけど)
【提示された選択肢は三つ】

【退いて、治療が間に合う可能性に賭けるか。戦って死ぬか。そのまま死ぬかーー】

(皆が安全圏に逃げ切れてるんなら、こちらも退きたいが……)
【ハンナは迷っているようだったが、彼女自身が言うように、やはり母の側が良いのだろう】
【なら、次があれば二人纏めて殺すーーそう結論を出して】

「残ってい、る人が……居ない……なら……退きたい、んだけどね。
 ……次に、備え、て」
【変化したチカラは解らないが。使用した瞬間に頭を撃ち抜かれそうな上に、以前のように暴走すればそれこそ人馬を退けた意味がなくなってしまう】

「でも、次は、無さそう……か、な」
【そして自力で動けない以上、次はなさそうな事を理解した】
160 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/13(日) 11:17:33.73 ID:1z0ECW+oo
>>153
【蹴撃の反動を利用して二人は後方へと降り立つ】
【まだ皮膚がチリチリと魔力の熱量で焼けているような感覚が襲うが、そんなことよりもとエヌオーが言う】

フィア?
<ええ、彼女も私と同じ…いえ、近いものでしょうね。それも最近造られた>
だろうな、でなきゃあんだけ馬鹿な訳がねぇ

【自分の経験でまだ『B』は戦っていない、其れが二人の抱いた感想】
【誰かのパターン、経験に引きずられ自分の戦い方も崩れているようにも見受けられる】

さ〜て、っとォ!ま〜だやるかァ?お嬢ちゃんよう
<さっきまで負けていたくせに仲間が来れば強気になって……>
ハッ!もともと俺はそういう奴さ、勝機のない相手になんて挑まねぇ

【未だに鎖はエヌオーと『B』の間にある、どう使うか、どう使われるか】
【その"読み合い"に勝てれば一気に形勢は逆転する。そして選んだ手段は】

ムーブ!畳み掛けるぞ、パターンを作るな!
<ふぅ、了解>

【そして何度目かの『B』への接敵、指示は波状攻撃で『B』を仕留めるという内容】
【鎖が、ビットが、闇が、刃が、縦横無尽に『B』へと迫っていく】



【空の瞳にはその一瞬がスローモーションのように映る】
【切断された腕、飛び散る血飛沫、落ちる銃剣、握られる拳】

[(どうすればいい?殺さず、それでいて止める方法……)]

【今すぐにでも撃たなければ間に合わない、だがそれでも迷いがあった】
【"不殺"を貫き通してきた表に、"殺人"の重みが耐えられるのか】

[(でも…撃たなければ愛姫がやられる、完全に死ぬことはないだろうけどもまた痛い思いをさせる)]

【かがみ込み、大工原に対して完全に無防備な愛姫】
【その顔が空に向けられればその表情は笑っていた】

[―――っ!]

【故に、撃った。閃光とも言えるその一射を大工原の肩目掛けて】
【殺しはしない、だが攻撃は中断させ愛姫を守る。その意志を込めて】

「やっぱりね…あまいよねぇ、おねーちゃんはさ」

【自分の取れる行動は限定されている、それでも足掻いてみせると】
【愛姫は掴んでいた手を大工原の右腕から放し、不安定な体勢から無理矢理後方へ足払いを放つ】

「(あたればおわるってのなら、さいごまであがこうじゃん)」
「にひひっ!」

【その瞬間まで笑いは絶えさせずに】
161 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/14(月) 21:19:43.98 ID:n57o/UnMo
【目前で半死半生の状態の彼に対して、然しエッリ・テア・ハーパライネンは決して警戒を解く事はしなかった。】
【例え、武器を失おうとも。】
【その理由は、】
【皆とは、此処で戦闘を繰り広げていた国連軍の事か、それとも取り残された民間人の事か。】
【エッリ・テア・ハーパライネンが見渡した限りでは、それに当てはまる人影は見当たらなかった。】
【逃げられたか、逃走途中で他の部隊と衝突したか、其処まで行くと彼のあずかり知らぬところだろうが。】

「辺りにはいないよ、君の御仲間は。」

【いたとしても、とっくに消し飛んでるだろうけどね、と付け加えて、やれやれと首を振った。】
【さて、この目前の少年をどうした物か……一瞬だけそう考えたが、別に自分にどうかしなければならない義務がある訳では無い事に気付く。】
【満身創痍に見える彼の名前を聞いて、うんと頷いて、右手の人差し指を立てて。】

「よし、それじゃあ鳴海君。君は此処で野垂死にでも何でもするといい。
 部隊が此処に再上陸するまでに逃げ切れなければ、殺されるかアブダクションだ、好きにしなよ。」

【出来ればもう二度と会いたくないけどね、と付け加えて。】
【ハンス・バイエルからこの少年に当たるだろう人間の話は聞いていた……殆ど聞き流していたが。】
【となれば、とっ捕まれば解剖されてホルマリン漬けか……若しくは先の人馬がまた出てきて滅茶苦茶にされるか。】
【……そう言う意味でも、先の"二度と会いたくない"には万感の思いが籠められていた。】

「まぁー七十年前の僕はどうにかなったし、精々頑張りなよ。
 君が可愛い女の子だったら、エスコートしてあげるんだけどね?」

【実に真っ当に、至極正気に冗談交じりすら無くそう言って、民家の破片の瓦礫の上に腰を下ろした。】
【今から此処まで、ハンナが来るまで少しだけ時間がかかる。】
【二日間、休息を挟んだとはいえ戦い続けてきた身体に、立ったまま過ごせと言うのは少しばかり辛い。】
【この堅苦しい強化外骨格を脱ぐことが出来ないのが、少し不満だが。】

【少しの間、彼女は空を眺めて沈黙を保っていた。】
【その間に、彼が何処かへと、行くことが出来るのならば、彼女はもちろん、止める事はしないだろう。】
【だが、其処にまだ彼がいるのならば。否、もう既に其処から姿を消していようとも、彼に対して一つだけ。質問をする。】


「……君にはさ、母さんはいるかい?」

162 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/14(月) 21:22:41.37 ID:n57o/UnMo
/>>161>>159宛です!
163 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/15(火) 01:03:19.41 ID:tJG7+03Lo
>>161
「良かった……うぐっ」
【足りないものを探しているかのような違和感の動きは止まり、内臓を直接愛撫される不快感へと置き換わる】
【全身を寒気と吐き気に支配されながら、鳴海は静かに安堵した】

(感覚がある。という事は、まだ、ここは、限界点じゃない……まだ、動ける筈なんだ)


「じゃあ……、ここで死ぬ訳には、いかなく……なっ、た……かな。
 あ、と……仮に、女でも……エスコート……は、断ってたと思うよ」
【肉体を擂り潰される体験や足先から刻まれる体験に比べれば屁でもないと、渇を入れて瓦礫へと這う】

【永劫とも思える時間。体表が炭化している上半身で、力の入らない手足を懸命に動かして】

【ーー漸く。立ち上がるための足掛かりとなる瓦礫へと手を乗せれば、エッリの声が降る】

「『居た』よ……物臭な数学者だったけど温かくて、優しくて。
 だから、気を引きたくて俺はーーッ」
【記憶を振り返るが。母の前で数学者達の間でも、まだ答えが出ていなかったらしいあの『方式』】

【解いた直後から、記憶が欠落している事に『今、気付いた』】

【欠落の次の記憶には、既に母の姿はなかった】

【おかしいーー。普通ならば、思い出そうとする筈だ。母親の姿がないのならば、尚更】

(たまたま、眼を持っていたから抑えられていると思っていたけど……。
 ……生後数ヶ月と経たない自身の前に、何故方式が?
 そもそも、記憶にいた人は、本当にーー)

「……気づいたら、……蒸発してた……
 ……目撃証、言…が……ある……から…生きてるとは……思う……、けど……」

【次々と噴出する疑問と矛盾に、無意識に声が震えていた】

【一瞬だけ抱いた想像はあまりにも現実離れしていて、普段ならば妄想の類いと切って捨てられるもの】

【……だが。考えていけば、その妄想を否定する材料は欠片も存在しない】

【ーー『それらしい仮説』を、無数に繋ぎ合わせて作られた『絶対』の《張子/科学》のように】
164 :大工原 正劃&OB-004 『B』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/15(火) 01:28:15.48 ID:iywalELoo
>>160
【四方より襲うオールレンジ攻撃、それにより切断されたスーツ部の衣装、其処から覗く傷口を覗けば。】
【人工血液の奥、人工筋肉の奥。何かを供給する為の電子部品が、僅かだが顔を覗かせる。】

『……嘗めてんじゃねぇよノーマル共ォ!!!』

【削れることの無い電子の魂、それが産み出す莫大な魔力が出力され、ガトリング砲から射出される。】
【"真界"の特性、感情の昂ぶりによる"武装"の活性化、それは無論"偽界"の亜種たるそれらにも反映される。】
【膨大な出力による魔導力による、飽和攻撃。それは圧倒的な威力を産み出し、それが"真界"の鎖を無理矢理に切断する。】
【そして同時に、"偽界"自身を焼き尽くしかける事になる。】

『クソッ、役立たずめ!此処で止まるかよ!』

【熱暴走しかけたガトリング砲を停止させる。】
【一先ずはそれを停止させ、左腕に盾を展開し、その攻撃から身を守らんとする。】

(大工原はまだ動ける。アイツが逝ったら、アタシも退き時か。)


【ぶぢゅっ、と。矢が、まるで豆腐に指を突っ込むかのごとく、余りにも易々と彼の肩口を抉るだろう。】
【必殺の拳は余りにも容易に停止する。装甲総てを左腕へと集中していたことも災いした。】
【然しその双眸の光は潰えていない。】

「まだ、やれる。」

【拳へと集中していた装甲が、脚部へと変形、移動する。】
【それにより、足払い自体は受けた物の、衝撃と威力は装甲により阻まれることになる。】
【世の中には、"死ぬまで止まらない"人間が存在する。そして彼等は、その"バーゲンセール"とでも言うべき集合。】
【"死ぬまで終わらない"が服を着て歩いているような連中であり。】
【殺さない、が、イコールで止まらないに直結する。故に、彼はまだ戦いを続ける気だった。】
【痛覚をマスキングし、出血をナノマシンが停止させることで、大工原正劃は再度動き出す。】


「俺は貴様等に何も望まん。ただ。」


【膨大な魔力の奔流。単純な"熱"。それは背景を歪める程で、通常の人間ならば火傷を負う事になる程度の熱を放出する。】
【脚部の集中強化、そして左足を軸とした回し蹴りを至近距離にいる愛姫へと喰らわせんと放つ。】


「道を拓くのは俺だ。全て、この俺が破壊する。」


【そうして、大きく跳躍する。一歩の中継も行わず、それは一息に、弓を放った彼女の下へと飛び込んで。】
【思い切り右脚を突き出して、屠らんとする。】
165 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/15(火) 02:26:14.57 ID:iywalELoo
>>163
【温かくて。】
【優しくて。】

【その先は聞けなかった。】
【そして次に言葉を紡ぎ出した時、その声は震えていた。彼に何が起きたのか、彼女には分からない。】
【だから、其の言葉を拾うしかなかった。其の言葉の内から、自分は考えた。】
【温かい、優しい母親。自分は――――――――。】

「……そっか。」

【蒸発した。肉親がいなくなる、それは経験したことがある……もう、随分と昔の事になってしまうが。】
【けれど、彼はそれ以上に、"何か"を抱えているのではないか。】
【これは、ただの憶測なのだが……また、彼は、エッリ・テア・ハーパライネンの創造の範疇の事が、起きているのではないかと。】

「見つかるといいね、母さん。」

【だから、一人の"親"として、彼の言う事にそう答えた。】
【ゆっくりと立ち上がる。足音が聞こえてきて、段々とこっちへと近づいてくる。】
【迫る人影に、彼女が大きく手を振ると、その人影もまた、小さく手を振り返してきた。】
【時折、瓦礫だらけの足下に身体をよろめかせながら、ハンナ・ハーパライネンが、エッリの下へと辿り着いた。】

『……良かった……!!』

「……うん、僕も、本当に……。」

【目尻に涙を溜め乍ら、そう言った娘へと、エッリが疲れた笑いを返した後、その膝ががくっ、と折れる。】
【身に纏っていた強化外骨格がバックルだけを残して光へと変換されて消え失せ、彼女の衣服が再びスーツ姿へと戻る。】
【倒れ掛けた彼女を、ハンナが慌てて支える。】

『大丈夫?』

「……と、とんでもなく疲れた……。」

【問い掛けに、笑い声も出ないくらいに、本当に余裕が無さそうにそう答えた。】
【糸が切れた様に、脚が笑ってまともに立てず、娘に支えられながら。】

「…… Auf Wiedersehen.(さようなら。)
 今日は随分と、貴重な体験をさせてもらったね。もう二度と会いたくない。」

【最後にそう皮肉……八割が本気だが……彼に背を向けてそう言って、彼女は娘に支えられ。】
【この状態の自分にやれる事は無い、随分と消費してしまったが、あの相手に生き残れただけで上等だろう。】

『……本当に、逃がしてよかったの?』


【そう問いかける彼女に、エッリは、足を止めずに、少しだけ考える様に間を置いて。】


「良いんだよ……それに。
 早く、ハンナとケーキバイキングに行きたかったしね。」


【そうして一度も振り返る事無く、彼を置いて、彼女達は去って行った。】
166 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/15(火) 09:53:33.13 ID:0cn2akWQo
>>164
何を持って俺等を"ノーマル"と定義する?能力者、無能力者か?
それとも偽界、真界持ちか否かか?或いは人か人じゃないかか?

【切断された鎖を虚空へ消し去りながらエヌオーはそう問いかける】

特にこの問いかけにゃ意味はねぇがよ、驕りは敗北を招くぞ

【オールレンジ攻撃の閃光、其のド真ん中にいる『B』をどこか哀しげに、寂しげに見つめれば】

仕留めろ、そう簡単にゃ逝かねぇだろうし一点突破でブッ潰せ
<はいはい、それでいてあの足止めは止めるなってことでしょ?人使いが荒いったら>
でもま、<私は><<人じゃないけれど>><ね?>だろ?

【答えなどわかりきっているとでも言うように、フィアは即座に兵器を転送、エヌオーは更に『B』へと鎖を放ち動きを封じようとする】

<魂結石起動、試作対防壁超大型破砕鎖鋸:玖刃>

【埋め込まれた魂結石が起動しフィアの出力を増大させ、フィア自身に"偽界兵装"としての力を与える】
【そして転送した其れは、軽乗用車程もあるようなジェネレーター、そして一枚一枚が大人一人分はありそうな鎖鋸九枚】
【元々そこにあったかのようにフィアの背中から右腕にかけてアタッチメントが装着され、鎖鋸は背部に翼のように広がる】

<―――展開>

【右腕を後方へ突き出して指令を与えれば、背部に翼のように広がった鎖鋸が稼働する】
【逆三角のように右腕のアタッチメントへ移動、更にそれを包むように辺に二枚、頂点に一枚】

<起動>

【その言葉と共に鎖鋸が息吹を上げる、ジェネレーターからは真白い狼煙を吐き出し】
【刃が回転し始め稼働音の中ですら風切り音が聞こえ、そしてそれら全体が回転し始める】
【ガトリングのようにも見えるが、そんなものより悍ましく決戦兵器と呼ぶにふさわしい】

<突貫!>
ま、俺は彼奴が生き残る方に賭けるがな
<不吉なこと言わないでっての>
悪ぃな、彼奴はそう簡単に壊れるとは思えねぇんだよ

【そしてその言葉と共に、火花が地面へ軌跡を描きながら『B』へと迫っていく】


「おねーちゃんなーいす…っとぉ!?」

【足払いが装甲で阻まれ、痛みを脳へと伝えて、だがそこから行動をとる前に、腹部へと灼熱の蹴撃が襲い来る】

「う……あ゛っ、づぅ!?」
[愛姫ちゃん!]

【愛姫は軽々と吹き飛ばされ地を転がる。だが助けに行くよりも前に追撃が来る、大工原が跳躍し目の前に降り立たんとする】

[(表の、どうするの?コイツは本当に殺すレベルじゃないと止まらないよ)]

[(分かってる……だから、私がけじめをつける。私のせいで愛姫ちゃんがまた痛い思いをした、私のせいで彼も無駄に傷つけた)]
[(私は覚悟が出来てるとか思いながら逃げてただけ……だから、私が止める。私が彼を殺す)]

[(そう……天使は時として悪魔より残酷で)]

【誰にも聞こえることのない自分ともう一人の自分との会話】
【結論と覚悟と意志とともに蒼乃空としての人格が表層へと浮き出て黒乃空と交代する】
【翼が、弓が、衣装が純白へと戻り、瞳も髪色も蒼乃空のものとなって彼を見据え】
【徐ろに弓を捨て、その手に生成するのは自らの翼で作られた羽の意匠を持ったひと振りの剣】

[時として―――死神にもなる]

【空が剣を大工原の胸へと突き出すのと大工原が蹴撃を放ったのはほぼ同時】
【最後まで立っているのはどちらか】
167 :杜柱鳴海&7_th ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/07/15(火) 22:01:40.23 ID:tJG7+03Lo
>>165
【年頃になれば一度はぶつかるであろう想像妄想の範疇】
【思索に耽った事のある者であるのならば、まず間違いなく一度は行着く仮説】
【仮説が正解か不正解かを確かめる術はなく。受け入れ難さからいつしか拒絶し、眼を逸らし、忘れていく類いのもの】

「………アンタ、に……言うの、も……なんだけど、ありがとう」
【放たれた言葉は恐らく、心の底からの言葉なのだろう】
【返す声に震えはなく、真摯に。しかし、明らかに不自然な明るい声でーー】

「ああ、さようなら。
 ハンーーいや。二人とも良い死に場所と相手、見付けろよ」
【ハンスへの伝言を頼もうと口を開いたが、やめた】
【何しろ自身ですら揺らいでいるのが理解できる。こんな状態で何を言おうが中身は宿らず、説得力の欠片もありはしない】

【振り返ることなく去る彼女達のやり取りを、酷く透明な視線で二人が見えなくなるまで見届けて】

【瓦礫に掛けた手へと力を込めて、漸く、立ち上がる】
【相変わらず、餓えてはいる。作戦があれば、このままの状態でも参加したいぐらいだ】

【だが、今はーー】

(俺自身の……地盤を、固めないと……でないと……)
【俺も母……さんもーー余りにも、酷い茶番劇を演じている事になってしまう】
【今後の方針を決め、一歩踏み出そうとした途端ーー】

『おう塵屑。糞みてぇな思想垂れ流す前に、忘れもんを始末していけや』
【天から絶望の声が降る】
【反応するよりも早く瓦礫の海を巻き上げ、帯状となった0と1が鳴海の肉体を貫いた】

「なーーーーぁ……?」
【0と1の帯はそのまま鳴海へと溶け込み、鳴海は空を見上げて呆然と意味の為さない音を溢す】

【瓦礫の山の頂上には一人の男が、鬱陶しそうな表情で立っていた】
【脇に従えているのは、所々見覚えのあるーー退避した筈のAurigaと国連軍のデスマスクを被った多頭の怪物達】

『……ああ? 気にすんな。
 己が願いのために人類や身内を踏み潰す覚悟もない。その癖、おこぼれにありつこうと集る蛆供とオマケ。
 とはいえ、オレも鬼じゃねぇ。双方とも命は無事だよ、命はな』
【逆光で顔は見えないが。その身体から発散されているチカラは、人馬とは似て非なる“質”を持っている事】

「《Liーー」『あ、それ来週からなんで』
【鍵となる言霊を紡ぎ終える前に、男は懐へとーーそこから鳴海の記憶はない】

【ただ、確定しているのは。次に突入した部隊が眼にする瓦礫の原は、たった一人の血と臓物で、真っ赤に染まっている事だけだった】

/長期お疲れ様です
/絡み有り難うございました
168 :大工原 正劃&OB-004 『B』 [saga]:2014/07/16(水) 01:36:25.92 ID:b7RzZAxlo
>>166
【その蹴撃を是非を問わず、その突き出した剣は確かに大工原正劃の胸部を貫いた。】
【血液循環系中枢機関、所謂心臓を刺し貫いた。】
【心臓が機能を停止すれば、死亡までには間がある物の、直ぐに脳味噌に酸素が行き渡らなくなり、死亡する。】
【そして死亡を待たずして、彼の意識は手離される、筈だった。】

【それを踏まえて、明らかに限界を超えた駆動だった。】
【大工原 正劃は、思い切り歯を食い縛って、倒れる事無く敵を睨み付けた。】
【自らを地獄へと叩き落とす天使を睨み付けて、そして自らを罰する剣、それを左手で握り締める。】
【無論、そうなれば手は、AIEの特殊繊維に包まれているとは言え、唯では済まない、すぐに血が噴き出し始める。】
【だがそれでも尚、彼は右胸部に突き刺さった刃を、自らの手を以って引き抜いたのだ。】

【声を上げる事すらない。只々歯を食い縛って敵を睨み付ける。】
【頭の中を無数の思い出が流れていく。】
【幼い頃、ネグレクトを受けていた事。突然両親の頭が吹き飛んで、黒い軍装の男達がズカズカと踏み込んできて。】
【銀髪の、軽薄そうな男が自分の頭を撫でて、市販品の物よりも、大きく、妙に固いチョコレートをくれた事。】
【初めて銃を握った時、反動で肩が外れた事。それによって自分に銃の才能が無い事を知った事。】
【初めて"大尉"を殴れた時、拍手をして、褒めてくれた後に、殴り返された事。初めて人を殺した時の感覚。】
【初めて敗北した時の感覚。初めて腕を切った時の感覚。初めて身体に機械を当て嵌めた時の感覚。初めて――――――――。】

【膨大な記憶の濁流に呑まれ、そして死が彼を呑み込んでいく。】
【血塗れで、ズタズタに引き裂かれた左手を前に、前に、前に、前に。緩慢な動作でその首をへし折らんとして。】
【然し首を絞めるには至らず、動かずともその端正な顔立ちを鮮血で濡らすだけに終わる筈だ。】

【自分が"恩"の為だけに戦っていたと言えば嘘になる。】
【自らの力を奮いたかったし、自分の前に斃れていく敵を見たかった。自分を見捨てようとした世界への復讐心も、少なからずあったかもしれない。】
【けれどやはり、大半は、叶うとは思えない、大き過ぎる戦いの奔流の中に身を預ける、恩人の為だったこと。】
【此の拳は其の為に作られて、そしてその通りに終わる。】


「――――――― Sieg Heil.」


【片膝を折って、それからゆっくりと倒れ込んで。漸くその少年は、大工原 正劃はその生涯の終わりとした。】
【その血塗れの手は、拳では無く、軽く開かれているのみで。】
【血溜まりがゆっくりと彼の身体を中心に広がって、止まる。十六と言う、余りにも短過ぎる一生に、何を恨む事も無く、粛々と身を沈めていった。】


【"彼等"の故郷、『獨国』の風が、彼の前髪と、首に提げたドッグタグを揺らした。】


【大工原 正劃 親衛隊兵長】

【戦死。】

/長くなったので分けます!
169 :大工原 正劃&OB-004 『B』 [saga]:2014/07/16(水) 01:37:19.10 ID:b7RzZAxlo
>>167
【単純明快で、それはシンプルで視覚的に非常に分かり易い。】
【つまりは巨大な複数のチェーンソーをぶち当てれば、大抵の物をぶっ壊せるだろう。】
【そんな開発コンセプトが見て取れる様な兵器だった。】
【直感とかそれ以前に、見れば分かる。"真正面から叩き込まれればタダでは済まない"と。】
【転送した盾の防御能力は高いが、そのような大質量攻撃に耐えられるほど"しっかりと"作られている訳では無い。】
【故に彼女は、後方へと退いた。】
【そして前方、盾、そして六連装ガトリング砲を構えて、出来得る限り其の攻撃を軽減しようと試みた。】

【一瞬の交錯は、まるで炸裂音。】
【盾が抉られて、ガトリング砲がその中腹まで刃が入ったか、そして"機界"の鎧もまた、同様に抉られていく。】
【それだけの被害を受けて、否。咄嗟にしては、"それだけ"に被害を抑えたのは上出来だろうか。】
【そうして、思い切り彼女の身体が弾き飛ばされて、盾が手離されて、二回、三回と地を転がった。】

『く、そ……!!!』

【"機界"の軸と成る"六連装ガトリング砲"の破損によって、維持する事が不可能となる。】
【立ち上がろうとした彼女の鎧が、火花を散らして弾けると同時に、全身に装着していた鎧が光と消えていく。】
【逆鉤十字の腕章を身に着けた、少女の姿をした彼女の全身に奔る傷口からは、僅かに火花が散っている。】
【然し彼の予想通り、彼女は死ぬ事は無く、其処に立っていた。】

『ちっ、大工原……何て様だ。』

【大工原 正劃の死体へと視線を寄越し、舌打ちする。】
【援護対象である大工原 正劃は死亡、"機界"の変身が解けた今、戦闘の続行は不可能。】
【戦況を見れば、此方側の優勢は確定。"無駄死"も"犬死"もする必要はもう無い。】

『まぁいい、今回は退いてやる……もうアタシが戦う理由も無くなったしな。
 ……覚えてろよな!』

【そう言い捨てて、彼女は走り出した。先ずは、大工原 正劃が首から提げたドッグタグを、無理矢理引き千切り。】
【其処から反転し、逃走を開始する。機械らしい、疲労を感じさせない全力疾走を以ってして。】
【建物の残骸から残骸へと身を翻し、幾つかの残骸が彼女の姿を覆った時、其処から彼女は姿を消してしまうだろう。】

【残ったのは、大工原 正劃の死体と。余りにも散々な、破壊の痕。】
170 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/17(木) 14:24:57.73 ID:jyNuAjgMo
>>168
【ずぶり、という柔らかいものを貫く感覚、蹴撃は自分の目の前で止まる】
【全身から力が抜けていくような感覚に思わず棒立ちになってしまう】

[……!?]

【だが眼前の敵は止まらない、まだ自分を殺さんと突き刺さった刃を引き抜き】
【左手を自分に伸ばし、精一杯に足掻き、顔に手をかけた】

[……………]

【だが空が動くことはない、恐怖や畏怖で動けないのではなく】
【ただそれを止めるほどの気力が既になかった】
【微かに大工原の手が自分の顔に触れる、血がべっとりと頬につく】
【だが直ぐにその手から力は抜けて大工原は崩れ落ちた】

[……ごめんね]

【完全で崩れ落ちた敵、自分が初めて手にかけた人間】
【なぜかはわからないがそんな言葉がついて出る】

[(後悔してる?)]
[してないって言ったら嘘になるよ……でも]
[でも、なんだかわからなくなっちゃった]
[何が正しくて、何が悪いことで、私は何のために戦ってきたんだろうって]
[(………………)]

【もう一人の自分からの問いかけ】
【自分はそれに応えるが、もう一人の自分から返ってくる言葉はなかった】
【恐らくこれは自分で考え、自分で答えを出し、自分で責任を取っていかなければいけないことなのだと】

【背後では甲高い音が響き渡る】
【そんな中でも自分の周囲の時間だけが止まったように感じる】
【少年兵を見下ろしたまま蒼乃空は動かない】



>>169
【舞い上がる狼煙、無制限に回転し続ける刃】
【鼻をつくようなオイルの匂いと熱された金属が放つ独特の匂い】
【それらが入り混じった向こう、フィアは玖刃を構えたままそこに立っていた】






やっぱり生きてたか
<追撃はどうするの?>

【戦闘能力を奪われた『B』は踵を返し戦闘区域からの離脱を開始する】
【途中大工原と空の前を駆け抜けるが、やはり空は動くことはなかった】
【その光景を見ながらエヌオーは判断を下す】

……………ふぅ、状況終了だ。愛姫と空を回収して撤退するぞ
<了解、私は愛姫を回収して先に合流地点へ行くわ>
171 :エヌオー.狂坂愛姫「」.蒼乃空[].フィア・ブラドル<> ◆jnVXyq7weY [sage saga]:2014/07/17(木) 14:41:44.77 ID:jyNuAjgMo
>>169
【舞い上がる狼煙、無制限に回転し続ける刃】
【鼻をつくようなオイルの匂いと熱された金属が放つ独特の匂い】
【それらが入り混じった向こう、フィアは玖刃を構えたままそこに立っていた】

【対して『B』の走行が掻き消え、兵器から少女らしい姿へと戻っていく】
【傷口からは火花が飛び散ってはいるがまだそこに生きていた】

ひゅ〜、やっぱり生きてたか
<追撃はどうするの?>

【戦闘能力を奪われた『B』は踵を返し戦闘区域からの離脱を開始する】
【途中大工原と空の前を駆け抜けるが、やはり空は動くことはなかった】
【その光景を見ながらエヌオーは判断を下す】

……………ふぅ、状況終了だ。愛姫と空を回収して撤退するぞ
<了解、私は愛姫を回収して先に合流地点へ行くわ>

【フィアが愛姫を回収しに移動したのを確認してエヌオーは空の下へ歩いていく】

よくやったな
[………………]

【空からの返事はない、当然といえば当然ではある】
【自分が貫いてきた"不殺"を破ったのだから】

[私……もう、わからないよ……ねぇ、私の願いって間違ってるのかな………?]
………………
[誰もが幸福だけを感じていられる世界、それって無理なんじゃないかな?]
[だって誰かを助けようとしたら、誰かを殺して、それで別の誰かから恨まれて……!]
[もう……どうしたらいいの……?]

【涙混じりの声、それをエヌオーは聞き届けると後ろから空を抱きしめる】

いいよ、今はわからなくて……俺だって、もう恨みや感謝は足し引きできない位背負ってきた
だから今は何も考えなくていい、自分の目的、願いのためにひたすら走り続ければいい
俺がお前の隣で支え続けるからさ、だから……今は、泣いていいんだぞ?

【その言葉で空の瞳から涙が溢れ出す】
【混濁した思考を押し流すように、この場所で散っていった数多の人の為に】
【空の慟哭は悲しいほどに晴れ渡り、戦火で紅く染まった宙へと虚しく響いていった】



/最後で途中送信、そして長期の長文、置きレスで申し訳ありませんでした
/でも楽しかったです!本当にありがとうございました!
172 :"第二次Auriga事変――――獨国炎上" [saga]:2014/07/17(木) 19:32:00.84 ID:7cSsNV5Do
【Auriga軍、国連軍との戦争は、新たなる刺客"逆鉤十字"の者達の介入によって三つ巴の様相を迎えた。】
【美しかった獨国の港町は、その戦火によって何もかも焼き尽くされてしまっていた。】
【人々は半数が死に絶えた。更に生存した半数は、国連軍によって保護されて、脱出。また半数は、未だ行方不明となっている。】

【Auriga軍前線戦闘最高指揮官、ハンス・バイエルはこの戦いを経て、Auriga軍より完全に離反。】
【国連軍及びAuriga軍の両方を同時に相手取った結果、"逆鉤十字"軍は多大な損害を被りながらも両者を撤退にまで追い込んだ。】
【焼野原と化した港町に建てられた旗は、赤と白と黒が織り成す、紅い"逆鉤十字"が描かれていた。】

【かくして、"第二次Auriga事変"は、"逆鉤十字"の反旗によって想定外の結末に終わった。】

【獨国港町、及び、アルプス移動要塞上に残されたAuriga軍兵士と、国連軍兵士は、僅かな残党兵達は、彼等に降伏した。】
【そうしなかったもの……特に国連軍兵に多かったが……は、銃殺執行隊によって、次々と処刑されていった。】

【そして制圧した港町を囲う様に、何十メートルにも及ぶ巨大な壁が建設に、彼等は取り掛かった。】
【新たな脅威、新たな戦争の風が、鎌首を擡げた。】




「かくして幕は再度上がり。復讐のカタストロフィが双眸を拓く。
 観客は観客である事を許されず、喜劇の隣人として、足を踏み入れていく。」


【焼野原と化した獨国、ヴェーザーミュンデ。ハンス・バイエルは、其処に立っていた。】
【背後にはためくのは、逆鉤十字の旗で、それ以外に、其処に立つ者は存在しなかった。上がっていく太陽を背にした彼は。】


「今は眠れ、戦友達。我等の祖国で、我等の故郷で。安らかに眠れ、ロクデナシ共。
 何れまた、共に戦おう。唯その日まで、待っていてくれ。」


【唯、祈る様に、死んでいった者達に鎮魂を捧げた。】
【数十年の戦争を共にした戦友達への、祈りと、そして約束と共に。】


「何時か、約束した地で。


   ――――――― Sieg Heil.」


【煙草の煙が揺蕩う。】

【そうして彼は、散っていった彼等に折り合いをつけて、何時か会おうと約束して。】
【これから始まる新たな戦争の時代へと、足を踏み出した。】

/これにて、イベント終了です!参加者の皆様、本当にありがとうございました!
173 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 [sage]:2014/07/17(木) 21:34:26.86 ID:J6fv/9cW0
【──第二次Auriga事変より数日後。】
【ウル・A・センリツは夜の路地裏を歩いていた。】
【独立結社ORIGINという組織に属し、能力「異質加法」を有する大柄の男。其れが彼、ウル・A・センリツである。】
【何故、彼が夜にこんな所を歩いているのか。其れは至極単純、「パトロール」である。】
【ブラックシールドという自治組織のように国から依頼されている訳では無い。
独立結社ORIGINはAuriga、ないしその他、この世界に支障を来す物を排除することを仕事内容としているため、こんなお巡りさん的仕事もしなければならない。 】

「───そろそろ終わりか。」

【彼は一度、路地裏を抜けて街の大通りへ出る。視線を腕に落とすと、右腕の腕時計は既に22:00前後を指していた。】
【パトロール終了の時刻。彼は急ぎ足で最後の裏路地へと向かう。】

「───ここで最後か。さっさと済ませるとしよう。」

【人混みを掻き分け、最後の路地を見つけて、その中へするりと入って行く。
………巡回には慣れているご様子。】

【虫が集り、点滅を繰り返すボロ臭い路地裏の電灯の仄かな灯りと、ウルの手に握られたライトが暗い路地裏を照らして行く。】
【───さて。】
【入って行った先で、彼を何が待ち受けるのか。いつも通りの巡回となるのか。
それとも………いつもとは違った展開が待ち受けているのか。】

174 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/17(木) 21:50:51.12 ID:2EArvnOKo
>>173

「んー……?」

光に照らされたのは、無精ひげの目立つ金髪の男だ。
よれよれのシャツに、チノパンといったカジュアルな格好で、特に珍しくはない。

「なんだ。この国の当局の者か? 慌てるなよ、俺は一応……あー、コクレン? の人間だ。ミブンショウってのもあるぞ」

国連縁の人間だと彼は言う。
しかし、どうも彼の言葉には違和感が残る。国連、や身分証、といった程度の単語を、つい最近まで知らなかったような様子なのだ。
175 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/17(木) 22:11:18.68 ID:J6fv/9cW0
>>174
【ライトの灯りに照らされ、路地裏の闇より現れた男の顔。】
【その出現が余りにも唐突過ぎた物で、一度立ち止まり、本能的に距離を置いてしまう。】

(…………………此れは、疑って掛かるべきなのか、否か……。)

【ウルは暫くの間、ライトに照らされた金髪の男を眺めていた。】
【数秒の静寂の後に先に口を開いたのは前の金髪の男であった。】
【耳に届いてくるのは自らの身分を名乗る台詞達。其れを黙って聞き、相手の様子を伺っていたウルであったが。】

「………其れは本当なのか?」

【身分証を所持している、という男の言葉を他所に彼は問いかけた。】
【耳に残る、ルドキンの何処かぎこちない「国連」「身分証」という二つの単語。】
【奔る違和感。外国人の片言の日本語のような…、、、…何か引っかかる。】
【彼は「疑ってかかる」ことを決断した。】
176 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/17(木) 22:24:11.77 ID:2EArvnOKo
>>175

「まあ、疑わしいわなあ。そりゃあ……」

どうしたら信じてくれるもんか、と顎を撫でる。
そんな仕草をしながら、一応、手渡された身分証……二つ折りのソレを取り出して、見せる。
身分証には「国際連合軍、軍属ルドキン・コスター」とあった。

(まあ、嘘はついてねえ)

彼は異世界人である。
身分なんぞ簡単に用意できんので、たまたま出くわした国連の人間がそれなりに無理を通せる人間なのをいいことに、とりあえずの身分をもらったのだ。
一応、細かな規則が課せられてて、破ると色々とまずいことになってしまうが。
177 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/17(木) 22:41:17.24 ID:J6fv/9cW0
>>176
【暗くて見えにくいので。身分証を左手に持ったライトで照らしてその詳細を確かめる。】
【ウルは以前、Aurigaへのスパイ活動を行っていた事もあり、形上ではあるが同組織の敵対組織である国連に対するある程度の知識は得ていた。】
【其れに、Aurigaの一員としてのスパイ活動として国連に赴いたこともあった。】
【過去の記憶・経験を掘り起こし、その身分証が正しい物であることを確かめた後、照らしていたライトの灯りを消す。】

「──嘘では無いようだな、疑って済まない。」



【それから一時おいて、彼は懐から煙草が数本入った箱を取り出して内の一本を口に咥え。】
【更に懐から取り出したライターの火を灯し、口に咥えた煙草へ。】
【ウルはその体を近くの壁に任せ、口から紫煙を吐き出した後、問いかける。】

「……だが、その国連の人間が何故こんな裏路地に?」

【素朴な疑問だった。彼が国連の人間であることは間違いない…だろうが、抑も、その国連の人間が何故ここに居るのか。まあ、任務か何かだろうが、彼は問う。】
178 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/17(木) 22:44:45.58 ID:2EArvnOKo
>>177

「いやいいさ。自分が怪しいのは身に染みてる」

小さく鼻を鳴らして、肩を竦める。
異世界に来てからというものの、自分の常識が通用した場面など一度もない。
それほど文明レベルが違うところに来てしまったのだ。

「ああ。情報屋へ金を握らせに、な」

先ほどまで、もう一人違う人物がいたのだろうか。
しかし、この場には彼しかいない。もう一人は、とうに逃げてしまったか。
179 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/17(木) 23:02:29.04 ID:J6fv/9cW0
>>178
「?」

【現代に生きるウル・A・センリツに、ルドキンの苦労など理解できる筈も無く。】
【煙草を口に、横目で彼を見やり、頭上にハテナマークを浮かべてみる。】

「───情報屋か。
見かけによらず国連もそういうことをする物なのだな。」

【ルドキンを捉えていた目線を、一度、路地裏の奥の方へと向けて。】
【彼はそんな取引に興味は無い。Aurigaで過ごしてきた中で、そんな情景は何度も目にしてきた。】

【再び口から紫煙を吐き出し、ルドキンの方へ目線を戻す。】

「──ん、ああ。別にそんな取引してようと私は何もしないから気にしないでくれ。」
180 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/17(木) 23:04:39.33 ID:2EArvnOKo
>>179

「ああ。『たいてろ』活動は大事だろ?」

くつくつと喉の奥で笑う。
慣れない事をしている、それを自嘲するようだ。

「なあ、ところであんた――不老不死って知らないかい?」

個人的に調べていることなんだがね、と。
181 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/17(木) 23:24:43.64 ID:J6fv/9cW0
>>180
「不老………不死…………」

【不意にルドキンの口から発せられたのは、誰もが一度は夢見たことが様な……そんな単語であった。】
【煙草を地面に投げ、足でグリグリと踏み、火を消しながら彼は思案する。】
【───頭の中の記憶・経験・情報。箪笥の中に仕舞われた物達のような其れらを、引き出してみる。】
【その中の一つに、其れを能力として有する人間が居るという”噂”があった。】
【確か…その人物は……………“誰”だ?】

「……………Auriga……“霊柩車”……………”誰か”。」

【その噂の根底に居たのは、自分の目ですら確認した事のない人物の“噂”】
【ルドキンには理解できようの無いであろう、単語を小声で並べていく。】

「………不老不死、まで行くかはわからないが、そういった異能を有している人物がいるというのは…聞いた事がある。」

「───そしてその噂の出処は…Aurigaだ。」

【一つの組織名。ルドキンが其れを知っているかどうかは別として、その単語を発し、言葉を紡ぐ。】


//すみません、所用で今日は落ちなければならなくなりました
//明日から再開、という形でもよろしいでしょうか?
182 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/17(木) 23:32:27.75 ID:2EArvnOKo
>>181

「また知らない単語だな」

ごき、ごきと首を鳴らす。
とりあえず、手掛かりは手に入れた。

「そいつ……そいつらか?とは、どうすれば会えるんだい?」

静かな興奮を覚えながら、そう尋ねる。

//了解ですー。置きレス進行でいきましょう。
183 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/17(木) 23:41:38.07 ID:J6fv/9cW0
>>182
//では、それでお願いします
//一旦、ありがとうございました!
184 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/18(金) 15:19:08.18 ID:vdE/n1E80
>>182

「……Aurigaを知らないのか?」

ウル・A・センリツの思考に、僅かな疑問が生じた。「Auriga」といえば世界を脅かす「悪」として、名が知れている。
各地にて多大な損害を齎しているだけに、国連の人間は勿論、民間人にすらその存在は知られている。
───然し、この男は其れを知らない様だ。湧き出た疑問を尋ねてみる。


「国連ならAurigaが何かやらかした時に会えると思うのだが…、、…」

「“ヤツ”は誰にも顔を認知されていない。」

先程、ウル・A・センリツが「霊柩車」と称した人物は。Auriga内でも特に異質な人物とされており、Aurigaの構成員にもその顔を見たことがある者は居ないとされる程。
───“輪廻の基準点”。この単語も噂に過ぎないが、それがその人物の能力と噂される。内容は……「死なない」というモノ。

「──其れだけに、ヤツを見つけるのは難しい。
私もその顔を見たことも、名前なんかも聞いたことがない。」

Auriga内にて「霊柩車」を冠する人物。
前述の通り、その存在を知る者は殆どおらず、スパイ活動で一時的にAurigaに潜入していた彼、ウル・A・センリツも例外ではなかった。
故に、ルドキンに詳しい情報を提供することは出来なかった。

//おかえししておきます!
185 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/18(金) 19:25:25.99 ID:LitbPH+Go
>>184

「つい最近まで原始人だったんだ」

活字を読むと眠くなるのは昔から相変わらずだ。
新聞ぐらいは読むようにしといた方がよかったか、と後悔するが、今更遅い。

「ほー……。そんな手合いかね」

どうも、自分が考えている不老不死とは程度が異なってくる。
吸血鬼や死者の王(リッチ)のような、完璧ならざる不老不死のようなニュアンスが伝わってくる。
しかし、それでも――自分が求めるソレへのヒントぐらいは掴めるかもしれない。

「どうしたら会えるかね。その組織の構成員を暗殺して回れば出てくるような相手か?」

//ではこちらも
186 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/18(金) 20:40:52.95 ID:vdE/n1E80
>>185
「原始、人………。」

ルドキンが昔より現れた“原始人”であることを知る由もないウル・A・センリツは、何時もと変わらぬ無表情ながら、自分の理解力の限界を感じ始めていた。
───いかん。此の儘では相手の流れに流される。
己を悟し、再び口を開き言葉を紡ぎ始めるウル。

「………解らんな。ヤツがどんな人物なのか、手掛かりがあるわけでも無い。
ただ国連として過ごしていれば、Aurigaと接触する日は必ずくるだろう。
………その日に、そして其処(Auriga)にヤツがいることを願え。」

Aurigaという組織は。
先日、突如として勃発した「第二次Auriga事変」、そして其れと並行して巻き起こったハンス・バイエルを首謀者とする「逆鉤十字軍」を用いての裏切り、襲撃により、かなりの弱体化を被っている。
──然し、弱体化しているからといって行動を起こさない筈は無い。…寧ろ、起こさなければその地位は暴落してしまう。
独立結社ORIGINの一員としての、一つの見解を口にする。

「──其れしか思い当たる手段が無いのが事実だ。力になれず申し訳ない。」

話し終え、懐から再び、一本の煙草を取り出して。
口に咥えてライターの火を近づけ、一服。




187 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/19(土) 00:32:29.22 ID:R1IfAl8xo
【少し入り組んだ路地、その先の袋小路。二人の男がいた。】
【お互いにスーツを身に纏った、何処かの会社員の様だった。一人は神経質そうに、かっちりとスーツを着込み。】
【もう片方は、ジャケットをはだけさせ、ネクタイも身に着けていない、緩く着崩した柄の悪い男だった。】

「これが初期生産の物です、どうぞ。」

【神経質そうな男が、敬語口調で手に持っていたアタッシェケースを差し出した。】
【彼等の間に上下関係は感じられなかった。その敬語は、上司に対するそれと言うよりは、単なる癖から来る物と感じられた。】
【対して、スーツを着崩した男は、それを受け取ると、早速それを開き、中身を確認する。】
【其処に並んでいたのは少なくとも既存の物では無い、何か。円筒状の機械だった。】

「やれやれ、折角ハンスのところから抜け出して来たって言うのに、早速仕事とはねぇ。」

【アタッシェケースを閉じて、受け取った右手をぶらりと、やる気なくぶら下げて、そう言った。】
【不真面目な態度は、生来の彼の性格から来る物であり、それもまた上下のそれとの関係性は無い様に思えた。】
【神経質そうな男が、ふぅ、と軽い溜め息をつく。】

「仕方ないでしょう、貴方は数年前から我々に協力していたとはいえ、"裏切り者"です。
 更なる実績……この作戦の完璧な遂行によって、我々は本当の意味で貴方を迎える事が出来る。」

「へいへい、分かってますよ、そのくらい……。」

【裏切り者、と言う言葉。"ハンス"という名。もしも会話を聞いていた人間がいるのならば、ある程度の推測は付いただろうか。】
【浮ついたような、不敵な様な、そんな笑いを崩さない男に対して、神経質そうな男が、ジャケットの内側に手を突っ込んだ。】
【そして取り出したのはまた、何かの機械。円筒状では無い、どちらかと言えば、板の様な形をした物体。】

「貴方の分です、お役立てください。それでは、私はこれで。」

「モルモット共の処分に、ね。頂きましたよっと。」

【それを手の中で一度だけ放って、また手の中に納める。】
【神経質そうな男が去っていく。残された男が、手渡された機械を眺めながら、コンクリートの壁へと背中を預けた。】
【そして、口の端を吊り上げると。】

「全く、人使い荒いねぇ。」

【小さく呟いて、その機械をジャケットの内側に納める。】

【スーツの胸には、『ヒュージ・ジェネレーションズ』の社章が刻まれていた。】

/ただのソロールっ
188 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 18:33:34.90 ID:Q3CenALZO
>>187

…ちっ、余計な仕事を見つけたか。

【咥え煙草に汚れた黒い迷彩服。そして深く被った帽子に二丁と二つと刀とマグナム。】

【その特徴的な姿から、連想もされやすく知っている者ならば直様分かるような出で立ち。伝説の「片目のガンマン」と呼ばれていた男。そして古い軍服の胸には「ブラックシールド」と書かれた比較的新しいエンブレムが付いている。】

「ヒュージ・ジェネレーションズ」

前から少し胡散臭い企業だと思ってたんだけどな、その様子だと、何かあるらしい。

噂に寄れば、お前ら裏ではやべえ奴らと繋がってるって聞くぜ。掌の旦那は少し抜けてるからな、そういうの疑ねえんだろうが。

【二丁の内、一つ。キングコブラを構えて男に構える。もう片方もいつでもマグナムを抜けるように手をかけている。】

しかも「ハンス」って聞こえた気がするな。そりゃあの…

「ハンス・バイエル」の事か?

【トリガーに指をかける。その鋭い目を帽子の影から見せ、睨み付ける。】

取り敢えず、色々話を聞こうか。

【一方的に問い詰める様な形で男はジークを威嚇した。】
189 :ルドキン ◆FcY.yznAxA [sage saga]:2014/07/19(土) 20:02:05.66 ID:poYdldXPo
>>186

「なるほどねぇ……そりゃどうも。年寄りには時間が少なくてね、困ってるんだよねどうも」

ぼりぼりと乱暴に後頭部を掻く仕草。
この手の手掛かりを集めて詳しく調査するというのは、他の人間の役割だった。
自分はいつだって、他人が綿密に築き上げた計画の上に立ち、他人が綿密に築き上げた計画を台無しにするのが役割だった。
――だが、この異郷の地においてはそうとばかりも言っていられない。

「まーヒントにはなったさ……ん? なんだお前クスリやってんのか?」

「……あ? そういやこの場所に太陽の塩(ソル・ソルト)とか目覚めの蜜ってあんのかな」

彼の国に煙草に相当する植物は、この世界における大麻の類であった。
190 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/19(土) 20:12:59.84 ID:R1IfAl8xo
>>188
「やれやれ、面倒なのに見つかったじゃないか。」

【突如現れた銃を握る男に、彼は余裕綽々とばかりに、顔色一つ変えずにそう言った。】
【ブラックシールドとは、詰まる所自警団だ。疚しい事をしていない人間に、引き金を引く事は許されない。】
【撃てば、責任問題なんてものじゃない。ブラックシールド全体に対して、世界中から疑惑の目が向けられる。】
【元より、あらゆる警察組織から睨まれているのが、彼らなのだから。】

「ブラックシールドだか何だか知らないが、
 銃を突きつけなきゃ話が出来ない人間と同じ言語は持っていないんでなぁ。」

【やれやれと、両手を上げて頭を振った。】

「西部劇気取りだか知らないが、大人を余り嘗めない方がいい。
 大人はそんな子供騙しは聞かない。」

【そして左手でアタッシェケースを持ち、右手をポケットに突っこんで、彼の横を通り過ぎてしまおうとした。】
【その際、彼が右手のポケットの中で、何かを操作する様な素振りを見せたことに、気づけるだろうか。】
【然し、周囲に爆弾やそれらしきものは備え付けられておらず。現に彼自身に、害がある訳でも無い。】
191 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 20:27:34.90 ID:TvbqavyQ0
>>190

生憎西部劇は好きじゃないんでね。あんなに格好の良い物じゃない。

【リボルバーを突き付けながら、彼の眉間に銃口を向けていた。】

ふっ、この街じゃ銃を突き付けるなんて可愛い物だと思うがな。

能力者にとってはこんな物玩具みたいなもんだろ?

【煙草を吐き捨て、横を通り過ぎようとしたその時にリボルバーを即座に閉まい、背中の日本刀に手をかけた。】

子供騙しかどうか…試してみるか?そしてそのポケットの中から手を出しな。

【純白の見事な霞仕立てに仕上げられた日本刀をジークの前に突き出す。】

悪いが、上からお前らの動向や行動にも注意を向けとけと言われてんだよ。

取り敢えず仲良くお話をしようぜ、下手な行動しなければ俺だって何もしねえよ。こんな行動はただの脅しだ。

あんたの雰囲気から見てこんな脅しは効かないかもしれないがな。

【ふっ、と乾いた笑いを漏らしながら刀をゆっくりと収めた】
192 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/19(土) 21:26:46.16 ID:R1IfAl8xo
>>191
【立ち止まる。刀を突きつけられたから、では無い。能力者。其の言葉に応じて、彼は足を止めた。】
【くくくっ、と、堪え切れないとばかりに、笑い声を漏らしながら、ポケットに突っ込んでいたそれを取り出した。】
【何の変哲も無い、スマートフォンだ。その液晶ディスプレーには、録音中の意を表す言葉、そして秒数。】

「能力者ねぇ、くくくっ。」

【二、三回。見せ付ける様に、または脅すかのようにそれを振ると、ジークは笑いを混じらせてそう言った。】
【男へと向き直る事は無く。】

「……俺がアンタらに何か喋ったとして、其処でメリットはあるのかい?
 悪いが企業秘密なんでね、利益も無いのにぺらぺらと何かを話す事は出来ない。」

【能力者、其の言葉に対して湧き上がった笑いに対して、言及する事も無いまま。彼はそう言った。】
【ブラックシールドの面々に睨まれたとて、彼等には痛くもかゆくもない、と。そういう"後ろ盾"がある、と。】
【まるでそう思わせるような、余裕の態度を見せながら。】

「大人を納得させるにはそれ相応の交渉材料が必要なんだ。
 それが無いのならば、俺は帰らせてもらうぜ。」
193 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok [sage]:2014/07/19(土) 21:43:08.97 ID:TvbqavyQ0
>>192

まぁ、それもそうか。確かにメリットなんてお前にはない。

【ふぅ、と一息付く。そして言葉を溜めると男はゆっくりと動き出す。】

だが、お前にはメリットなんて必要じゃないんだよ。俺にメリットがあればそれでいい。等価交換なんてのはごめんだ。

そうなると、力付くって事になっちまうのか。

まぁ仕事だしな。嫌でも喋ってもらうぜ?あんたらの「企業秘密」ってやつをな。

【再びリボルバーに手を掛ける。次は脅しではなく、本当に撃つ為に。】

殺しはしねえよ。死んでまで守る理由なんてねえだろ?

【そしてコンバットマグナムから.357マグナム弾を一つ正面から放つ。先ずは相手の肩部分を掠らせる為に放った】
194 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/19(土) 21:59:28.01 ID:R1IfAl8xo
>>193
「やれやれ、知性の欠片も無い獣の相手はこれだから面倒なんだ。」

【放たれた銃弾を、僅かに体躯を逸らす事で、掠らせることすらも避けた。】
【射線を完全に見切る。戦場において、銃口に晒される事に慣れた故に可能な経験則によるもの。】
【ただの会社員には、過ぎた身体能力。】

「いいのかい?そんな事言っちまってよ……まぁ、これくらいならいいだろ。」

【スマートフォンの電源を切らずに、ポケットの中へと右手と共に突っ込んだ。】
【そしてゆっくりと引き抜いた手の中には、何か円筒状の物体だった。】
【ボールペンより僅かに大きなそれは、明らかに既存製品とは異なる物で。】

「俺達は、確り国連の承認を得て、動いてるんだぜ……?」
195 :清橋 風智+α ◆0Noxh1kTFQ [sage]:2014/07/19(土) 22:00:56.50 ID:n0TafkPqo
【街の大通りから逸れた、小さな通り】
【知る人ぞ知る、というような、雰囲気ある店が立ち並ぶ】

「お似合いです、清橋様」

ふざけた真似はよせ…。

【その中の小さな古着屋。そこで、明らかに目立つ二人組がなにやら商品を物色していた】
【鎧兜を身に付けた、怪しい大男と、燕尾服をまとった小柄な男性】
【小柄な男は手に取ったストールを男の首にかけさせる】

「ではこちらのシャツは?」

【掛けてある数十枚のTシャツの中から素早く一枚を取る】

…着れるわけがないだろう

「清橋様ならばきっと似合いますわ」

…話を聞けい、我々は買い物に来たわけではない

「こんなに綺麗な服は、向こうにはありませんよ?
持ち帰ってはなりませんか?」

【彼の手には、数枚の服が】

…どうせ持ち帰れば、色は消えてしまうのだ
って、話を逸らすでない。

【語調が強くなる】

我々の為すべき事は一つ。この世界を我らの者にする事だ
こんなことにうつつを抜かしている場合ではないぞ

「ですが…」

【少し俯き、声が細くなる】

ふん、あまり目立つと厄介だぞ…

【辺りを少し見渡す。人通りは少ないようだが…】
196 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 22:12:12.90 ID:Q3CenALZO
>>194

…銃弾を避けたか、流石に一筋縄じゃいかないな。戦場よりもここは殺気立ってやがるからな。

なら、もう少し踊ってみるか?

【更にマグナムを放つ、その数は合計三弾。右掌、左脚付け根、そして胴体肝臓部分と、それぞれバラバラの場所に銃弾を放とうとした。】

なんだそりゃ、あんたらお得意の兵器か?

【その謎の物体に警戒をしながら、相手との距離を徐々に図る】

悪いが俺は国連が正しいとは思ってないんでね。俺は飽くまでブラックシールドを利用してるだけだ。

彼処は中々良い設備を持ってる。俺にとっては利用するメリットがある。

まぁ他にも少し理由はあるがな、あんたを今こうして狙ってる理由も其処にある。

【そしてマグナムを放つと懐から、特殊防光サングラスを付け、閃光手榴弾を放とうと安全ピンを外し、相手に投げつける。数秒後には凄まじい閃光を放つだろう】
197 :掌 拳次&ラーク・テオ・ルーベルト「」 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 22:20:54.49 ID:Q3CenALZO
>>195

テオ、お前のその格好は少し目立つ。私服も幾つか買っておけ、兄貴に教えてもらった服屋がある。

「旦那、俺は別に私服とかお洒落とか興味は…。」

まぁいいじゃねえか!たまの休暇を楽しもうぜ。

「まぁ、旦那が言うんなら。」

【手脚が機械のサイボーグ人間と、黒い迷彩服の武器満載の男。両方とも服にはブラックシールドのエンブレムが貼られている。】

ここだよ、中々こぢんまりとした店だろう?お前はこういう所には来たこと無いか。

「服なんて戦場では死体から好きなだけ漁れましたからね。」

【そして店に入る。すると、この2人組に勝るとも劣らない様な異様な2人組が服を物色していた。】

「旦那…何処かこぢんまりとしてるんですか。」ボソボソッ

い、いやぁー、俺も少し予想外だけどな。にしても何も無ければいいが

「こっちは何時でも抜けますぜ。」

【その2人組に注目と共に警戒し、近くで服を物色している。】
198 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/19(土) 22:29:22.49 ID:R1IfAl8xo
>>196
「やれやれ、アンタ意味分かっててやってんのかい?」

【ジャケットの内側からプレート状の、そして幾つかの器具が付いた機械を取り出した。】
【ジャケットを捲り、それを腰へと押し当てると、銀色のベルトが彼の腰へと巻き付いて、それを固定した。】
【ぱちっ、と言う音がした。】

≪SIEGFRIED!≫

【前方へと円形のエネルギー波が出現し、放たれた弾丸を弾き飛ばした。】
【その橙色の、半透明の盾の向こう側で、男は笑いを浮かべながら、その円筒状の物体を腰の機械へと装填した。】
【右側に存在する、小さなレバーの様な物を右手で弾くと同時。放り投げられた閃光手榴弾が炸裂する。】


「アンタ、俺達の敵になるって事は……そのブラックシールドにもいられなくなるって事だぜ?」

【其処にはスーツ姿の男の姿は無かった。】
【全身を橙色の強化外骨格へと身を包んでいた人物が一人。その身のこなしは、確かに男の物と同じ。】
【右手に握る、まるで旧世代の小銃の様な姿をした、剣杭銃を、肩に担いで、呆れたようにそう言った。】

「国連は世界の最高機関、自警団の下っ端一人辞めさせるなんざ雑作も無いだろうさ。
 俺がこの録音データを国連に持っていくだけでそれは成立する。
 更にこれを公開しちまえば、企業秘密を無理矢理に聞き出そうとしたブラックシールドの隊員が。
 善良なるヒュージ・ジェネレーションズの社員に、発砲、暴行を加えた……こんなのが成立するぜ。」

【そして担いでいた剣杭銃を、だらりとだらしなく力を抜いて下ろしながら。】

「どうする、それでもやるかい?」
199 :掌 拳次&ラーク・テオ・ルーベルト「」 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 22:39:25.62 ID:Q3CenALZO
>>198

分かってるさ、それにしても悠長だな。

分かってないのはあんたじゃないのかよ。俺はもうあんたに銃を放ったんだぜ?もう結果は見えてんだよ。

ブラックシールドなんて抜けても屁でもないんだよ。ただ利用価値があるから居るだけだ。

【リボルバーを素早くリロードしながら相手の姿を見る。既に先程の姿は無く、目の前には強大な敵のみ】

権力を盾にして、俺を潰せると思うな。化けの皮を剥がしてやる。旦那の為にもな。

【コンバットマグナムと、キングコブラの二丁を構えて、強化外骨格に身を包んだ強敵に立ち向かう。】

戦場に入ったその瞬間から何時でも[ピーーー]る覚悟は出来てるんだよ。

【再び距離を取りながら、強化外骨格の其々の関節部分にマグナム弾を発射する。この程度では傷が付くか効果は薄いだろうが、あの兵器に対して何れが有効なのか、模索する為だった】

200 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 22:39:53.45 ID:Q3CenALZO
名前欄ミス!
201 :清橋 風智+α ◆0Noxh1kTFQ [sage]:2014/07/19(土) 22:47:27.56 ID:n0TafkPqo
>>197

【店に入ってきた異様な二人組】
【怪しさ満点、なのだが、先客もまた不審な姿だった】

「怪しいですね…あの二人…」コゴエー

…我々の方が不審なのではないか。

「さりげなーーーく話しかけてみましょうか?」

…やめておけ、厄介なことになるかもしれんぞ

「じゃあ行ってきますね〜」

……話を聞かんか、バラナスよ

【足早に二人の元へ近づいていくバラナス】
【そして二人のすぐ隣まで行ってから、適当にジャケットを取って、】


「お兄ちゃん!これなんかどうかな?!」


【声高に叫んだのであった…】

《え、そういう設定で行くのかバラナスよ?!というか全然さりげなくないではないか…≫

あ、ああ…そう、だな…

【そして妹(?)に歩み寄る鉄仮面の兄(?)…】
【今入ってきたお客さんが居たなら、あまりの不審さに状況を理解できず立ち去ってしまうだろう…】
202 :掌 拳次&ラーク・テオ・ルーベルト「」 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 22:55:56.26 ID:Q3CenALZO
>>201

「…旦那。やはりあの2人組」

やめとけ、もしかしたらコスプレとかが好きな面白い2人組かもしれないだろ。

彼方から手を出してこない内は何もしなくていい。お、これなんか似合いそうじゃないか。

【手脚が機械の男が迷彩服の男に対して服を選び服を被せるように見ている。】

「な、なんだ。お前、いきなり。」

お、そう思うか?俺も何となくそれ似合うと思っていたんだよ、良いセンスだな。

「だ…旦那…。でもこれじゃ少し武器が入らなさそうでは…。」

私服に武器とか要らないだろ、なぁ仮面の兄さん!

【なんて機械の男は気軽そうに鉄仮面の大柄の男に話しかけていた。迷彩服の男は未だに警戒している】
203 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/19(土) 23:10:20.42 ID:R1IfAl8xo
>>199
「うぐ、ぁああ!!!」

【ガン、ガン、ガン!と、強化外骨格にマグナム弾が叩き付けられて火花が飛び散った。】
【その衝撃のよって、彼の四肢が跳ね回り。其のダメージによって、崩れ落ちようと、したように見えて。】

「……何てなあ!」

【直ぐにその体勢を立て直し、右手に握る剣杭銃を彼へと向けて、引き金を引いた。】
【銃声と共に放たれるのは、弾丸では無く、その名の通り、"鉄の杭"。それが五発、放たれる。】
【但し、命中精度は高くない。然し故に、それをカバーする様に、飛び散る様に、面攻撃に近い形で放たれる。】
【硝煙を吐き出す小銃の銃口を天へと逸らし。】

「それじゃあ、やらせてもらうぜ。こいつの性能テストにも丁度良い。」

【更に一気に接近し、剣杭銃の銃身部分に取り付けられた、煌めく閃光と共に刃を彼へと振り下ろした。】
【ジークフリートと呼ばれる強化外骨格、それによる身体能力の強化と、更に単純な攻撃力の強化を加え。】
【そして更に男はそれを振り下ろした後、その刃を返し、横一文字に刃を振るう。】


「ははは!こいつは良い、中々心地良いじゃねぇか!」
204 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 23:33:05.87 ID:Q3CenALZO
>>203

流石に大したダメージはないか。

【再びリボルバーをリロードをしようと、物陰に隠れようとする。だが、敵は其れを許す訳も無く。】

ちっ、何て物を飛ばしやがる。だが…

【5発放たれた鉄の釘。それを何とか避ける。だが一発が頬を掠り、血をじっくりと垂らしている。】

危ねえ筒向けやがってよ。にしても火力が足りねえ。

グッッ!!!

【咄嗟に二刀の純白と漆黒の日本刀を取り出し、その刃と鍔迫り合いをする。だが、当然パワーが足りず、身体が痺れる様な痛みを起こす。それは純粋な衝撃の力】

やばいなっ!

【横に刃に振るわれてそれを再び日本刀で受け止める。だが、その力により刃への直撃は防がれた物の、吹き飛ばされる。吹き飛ばされた衝撃により地面に転がり、壁に衝突する】

へ、生身のまんまじゃ…きついか。

【フックショットを取り出し、近くの建物に鉤爪を飛ばし、建物に引っ掛ける。】

応えろ「魔極星」

【すると、フックショットには黒色のエネルギー体の様な物が纏われ、そのままワイヤーに引っ張られながら建物まで移動する。】

こっからだぜ。

【そしてフックショットをジークの外骨格に向けて放ち、鉤爪を引っ掛けようとする。そう出来たならば、ワイヤーでジークの方まで移動し、片手でリボルバーを持ち、近づきながらコンバットマグナムを放とうとするだろう。だが先程の物とは違う】

【「魔翌力」を付与したマグナム弾は先程よりも速く、強くなっていた】
205 :清橋 風智+α ◆0Noxh1kTFQ [sage]:2014/07/19(土) 23:37:28.89 ID:n0TafkPqo
>>202

【突然気さくに話しかけられて、声が思わず裏返る】

はいっ?!ア…ソウデスネ…暴力イクナイ…

《な、何故だ…百戦錬磨のこの我が、この程度のハプニングで驚くはずが…》

【つうと汗が顔を流れる。】
【今までどんな戦いにも臆する事の無かった彼が、怯えている…?】


「お兄ちゃん?大丈夫?」

あ、おう、大丈夫、うん…
《クソックソッ!落ちつけ我!こういう時は素数を数えるのだ!ていうかまだ続けるつもりか!》


「すみません。お兄ちゃん、シャイなんで」
【ぺこりと可愛らしくお辞儀をする】
【普段はキリッとした仕草なのだが、まるで他人が憑いたかのような豹変ぶりだった】

な、何言ってるんだバラn.....妹よ…

とりあえず…い、行こう、この人たちに迷惑が…
【バラナスの手を引いて立ち去ろうとする。が…】

「あ、そーだ!ねえねえお兄さん達!
お兄ちゃんの服選び、付き合ってくれない?」

ハァっ?!
《こやつ…我の様子を窺って愉しんでいる…!》

【バラナスは悪戯っ子のようにウインクした】
【さて相手はどうするか。願わくば、早くこの場から逃げたいものだが…】
206 :掌 拳次&ラーク・テオ・ルーベルト「」 ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/19(土) 23:52:52.35 ID:Q3CenALZO

だ、そうだ。やっぱり仕事の時は武器とか控えなよテオ君。せめてそのご愛用のリボルバーと、刀にしとけ。

「…まぁ、旦那が言うんだったら。試しに。」

【何気に服を脱ぎ、その服を軽く来てみる。すると手脚機械の方がその服を早速お買い上げしている。脱いだ軍服からは武器が見え隠れしている】

「え…?旦那もう買ったのか?」

まぁいいじゃねえか。リボルバーと刀だけしとけばよ。

いやいや、意外とギャップがあるお兄さんですね。

「(やばい雰囲気の男だと思っていたが…間違いか…。)」

【妹らしき子に二人揃って軽く会釈している。雰囲気的には何処かシュール】

お、そりゃいいね!このTシャツなんてどうだ!「ミートボール」TシャツLLサイズ!

「ぶっ。」

【軽く吹き出してしまうもう一人の男。突発的過ぎた。】
207 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/20(日) 00:07:56.22 ID:GQ55FvqGo
>>204
「全く、張り合い無いねぇ。」

【ははは、と気の抜けた笑い声と共にそう言った。】
【握っていた剣杭銃を、一旦だけ左手に持ち替える。そして腰の機械のレバーを一度、指で弾いた。】

「余り時間をかけたくないんでね、早速だが終わりにしてやる。」


≪≪SIEGFRIED FULL CHARGE!≫≫


【放たれた鉤爪に対して、わざと何か対応する事は無く、それをそのまま放置する。】
【そしてそれを手繰る事で、彼はこちらへと近づいてくるのだろう。彼は、それを狙った。】
【強化されたマグナム弾を利用して尚。彼の強化外骨格装甲は一切の攻撃をシャットアウトし、受け付けない。】
【そして、手に持った剣杭銃に、増幅した橙色の力が集中する。】


「喰らいやがれ!!」


【先ずは右から左へと剣を振るう。集中した橙色のエネルギーの塊が、刃となって放たれる。】
【返す刃、左から右への刃も同様に、斬撃を追う様にエネルギーの塊が実体化し、放たれる。】
【そして最後に、右手に持った刃を、その場で右足を軸に回転しつつ、全方位へと振るった。】
【それに伴う刃は、剣杭銃から独立する事無く、延長された刃として振るわれ、周囲の建物を切断した。】

「さーて、どうだ。」

【対異能汎用強化外骨格。それが彼の身に纏う強化外骨格の、現在におけるヒュージ・ジェネレーションズ内での通称だった。】
【異能力者に対して圧倒的な戦力を発揮する事。異能力者を"刈り取る"為に開発された武装。】
【彼の先程の笑みはそう言う事。】
【虐げられし無能力者による反旗の計画。『ヒュージ・ジェネレーションズ』日本支部が掲げる計画。】
【それが、彼等の"企業秘密"であり。きっと、能力者にとって、最悪の一幕となるのだろう。】
208 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/20(日) 00:18:33.69 ID:hmCLwFoIO

ちぃっ!!

【強化された.357マグナムでもダメージを与えられずに舌打ちをすると同時に素早くリロードを行う。】

食らったら真っ二つだな、こりゃ。

【フックショットを放ち、移動を急停止し、空中で体制を変えて斬撃のようなエネルギー体を躱してみせる。即座に物陰に隠れて次の策を考える。】

もっと「魔翌力」を使わねえと、流石に火力の差で沈められる、どうするか。

やれる事はやるか。

【再びリボルバーを片手に持ち、胸元から手榴弾を取り出し、口で安全ピンを抜く】

ほらよっ。

【相手に向けて手榴弾を投げ、リボルバーに魔翌力を込める。魔翌力を冷気の力に変換させ、再び構える。】

今度のはただの弾じゃねえぞ。

【そして一発、二発と高密度の黒い冷気を纏ったマグナム弾を片脚と片腕に放つ。そうした後、男は素早く外骨格に接近し日本刀を構え、再び冷気を纏わせる】

はっ!!

【手榴弾が爆発したのを確認したら外骨格の胴体部分を冷気を纏った日本刀で斬りつけようとする。】
209 :ウル・A・センリツ ◆BcXpDxt3H6 :2014/07/20(日) 09:07:20.46 ID:YN0bcibV0
>>189
一度、口から煙を吐き出して。

「……色々と大変そうだな。
───どうやら、煙草のことも知らないようだし、本当に昔からタイムスリップでもして来た様だ。」

ルドキンが口にした、「太陽の塩」「目覚めの蜜」は何方もウルの記憶に無い単語であった。
ウル・A・センリツの中に先程から生まれていた一つの仮説……「この男は昔の人間」。
昔から時を越えてやってきた、なんて子供が考えそうなことであるが、今までの相手の言動を見るにそれが一番有力な予想になってしまった。


「………もし何かあればここに来るといい。地図が理解できるかはわからんが。」

身に纏っているコートから四つ折りにされた紙……地図を取り出して差し出す。
其処には「独立結社ORIGIN」の拠点である場所が赤丸で示されている。
本当ならば「独立結社ORIGIN」の場所を外部に漏らす事は禁じられているが、ウル・A・センリツは“この男ならば別に大丈夫だろう”と判断した。


「──私はそろそろ行くとするよ。…幸運を祈る。」

コートを夜風に靡かせ、ウル・A・センリツは薄暗い裏路地から歩き去って行く。
咥えていた煙草の火は、右手で握り潰す様にして強引に消した。
210 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/20(日) 15:17:37.75 ID:GQ55FvqGo
>>208
「ふぃ〜、やれやれ。」

【剣杭銃の刃が煌めき、投擲された手榴弾を二つに切り裂いた。】
【強化外骨格の間をすり抜けて、彼の後方でそれらは爆発を起こし、その破片が僅かにその表面装甲をなぞる。】
【放たれたマグナム弾が着弾し、その表面装甲が凍結するが、彼は気にする様子もなく、剣杭銃を構え直した。】
【斬りかからんと迫る彼に対し、ジーク自身もまた、ゆっくりと歩み寄り、それを迎撃する。】
【日本刀の剣戟に合わせ、剣杭銃を振るい、お互いの刃が交差する鍔迫り合いの状態を作り出して。】

「ならアンタ、俺に対して何を求めてんだい?
 俺はアンタの望むような情報は持ってない筈だし、アンタに恨まれるようなことをした覚えはないんだがね?」

【対異能装甲に覆われた向こう側から、男は彼へと問いかけた。】
【しかしそこに疑問の色は薄く、その代わりに、嘲笑の意を多分に含んでいた。】
【そして右足を彼の腹部を狙って蹴り出し、彼を吹き飛ばそうと試み。】

「アンタ、引っ込みつかなくなってるだけじゃないかい?一般人に銃を撃ち、もうブラックシールドにもいられない。
 どうしようもなくて俺に八つ当たりしてるだけじゃないのかい?違うか?」

【攻撃の手を一旦止めて、力を抜いた両腕を大袈裟に、演技がかった動きと共にそういった。】
【そして後方へと二、三歩歩み。】

「俺はそんな事に付き合ってる暇なんて無いんでね。
 筋違いの八つ当たりなら、お前さん方特有のいちゃもん付けで、俺達以外の適当な奴に対してやっててくれ。」

【散々に嘲笑の意を含んだ言葉を彼へと吐き掛けて、彼へ背を向けて、外へと続く通路へと歩き出した。】

/申し訳ない、寝落ちしました……
211 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/20(日) 19:34:06.55 ID:fNsfmDcIO
>>210

引っ込みなんてとうの昔についてねえさ。

人を初めて殺したあの時からな…。

俺は旦那に惚れてんだ。旦那の理想を叶える為ならな…どんなにデカい組織でも。

アウリガも、ブラックシールドも、お前らも、逆鉤十字も、全てを敵に回す覚悟は出来てる。

【己に魔翌力を纏い始める。黒いオーラが自身の体を奮い立たせる】

というわけだ。せめてそのブサイクな玩具は壊させてもらうぜ。

「魔極星・半神」

【己の能力の限界値の半分を解放した状態。故に後からの反動は尋常ではないが、そうしなければ目の前の敵を倒せそうにはない。】

よっと。

【腹部への蹴りを素早く跳躍して躱すと再び強化されたマグナム弾を数発放つ。威力は打つ度に強化していく。せめて傷を付けられる程には能力で強化しなければならないと踏んだのだろう。】

【そして手放したフックショットを拾い背を向けるジーク目掛けて放つ。フックショットは何重にも彼の強化外骨格を巻こうとするだろう。】

悠長に後ろを向きやがって。

電気はどうかな?これなら内側のあんたにも少しくらい届きそうなもんだが。

【片手でフックショットの発電装置を作動させようとする。ワイヤーから鉤爪まで高圧電流が流れようとするだろう。そして同時にもう片方の腕でリボルバーを持つ】

行くぜ、キングコブラ。少し熱いが我慢しろよ。

【魔翌力を熱へと変え、それをマグナム弾に付与させ放つ。高熱を纏ったマグナム弾を六発全て強化外骨格に放った】

/全然気にしないでくだせえ
212 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [sage]:2014/07/20(日) 21:01:35.73 ID:GQ55FvqGo
>>211
「やれやれ、全く。」

【未だ立ち向かってくる彼に対して浮かぶのは、やはり嘲笑の意を多分に含ませた言葉。】
【放たれた弾丸を剣杭銃を振るう事で、斬撃が破砕する。】
【腕に絡みついたフックショットを、馬鹿馬鹿しそうに眺めながら。】

「知性の無い猿を相手にするのは、本当に―――。」

【言いかけて、その言葉が中断される。】
【幾許かの対属性装甲を挟んだことで減衰はしたものの、それを潜り抜けた電流が彼を蝕んだ。】
【然しそれで倒れることはなく。逆に、剣杭銃を強く握り締めた。】

「分かんないかねぇ。」

【フックショットに絡まれた腕を、思い切り振り、銃弾の銃口を逸らす、そして路地裏の壁へと叩きつけようとした。】
【そして剣杭銃の銃口を向けると、鉄の杭が五発放たれ、散開するように飛び散った。】

「見逃してやるって言ってんだよ、俺は!」

【確かに怒気を含んだ声でそう言った。剣杭銃に橙色の力が集中し、刀身を延長する。】


「自警組織の下っ端一人の相手していられるほど、俺は暇じゃないんだよ!」


【そして剣杭銃を突き出して、彼を貫かんとした。】
【返す刃で腕に絡むフックショットを切断せんと剣杭銃を振るって、それを担いだ。】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/07/20(日) 21:33:20.59 ID:GQ55FvqGo
>>212
/うわぁ、漏れがありました、これを追記でお願いします!

【放たれた焔を纏う銃弾は、その内三発が彼の強化外骨格へと着弾した。】
【先の銃弾と同じく、火花を散らしてそれを弾いたが、その表面には確かに傷が確認できた。】
214 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/20(日) 23:35:47.43 ID:GQ55FvqGo
【アルプス移動要塞、城壁上。】

【先の戦争の舞台となった街。焼野原となった獨国と、広がる海を眺めながら、エッリは潮風に揺られていた。】
【全身は傷だらけ、普段なら僅かに覗く地肌も、今は包帯に覆われて顔以外は垣間見えない。】
【軍医には安静にしろと言われたが、そんな気分ではいられない。娘には心配をかけるだろうが、後で謝っておけばいいだろう。】

【左手、指を三本失ったそれを見つめた。】

【あの戦場で敗北を味わったのは二回。七十年の歳月を戦い抜いてきて、初めての敗北と、二度目を間を置かず。】
【一度目は、唯単に油断……否。それも、実力の内だろう。自分は確かに敵を侮って、その結果手酷い敗北を受けた、老人一人に。】
【二度目は、考えたくも無い程のスペック差だった。スーパーコンピューターとゲーム&ウォッチを比べるような。】
【結局自分は何もできなかったに等しい。あの少年も、結局のところ仕留められていないし、きっと仕留められなかったんじゃないだろうか。】

【無敗の天才。純金だと思っていた自分の価値は、ただ分厚いだけのメッキだったようだ。】

【或いは七十年前のあの時に死んでいれば、幸せに、純金のまま死ねたのかもしれない。】
【途中で逃げ出してしまえば……純金のまま、平穏無事な生活を送れたのかもしれない。】
【今の選択に迷いは無い。逃げ出す事は納得いかないし、何より、可愛い娘が自分の腕の中にはいる。】
【それに後悔は無いけれど、時折そう思ってしまうのは、結局の所自分はただの人間だと言うところだろう。】

「随分と柄にも無い事してるじゃねぇか。」

【その声に振り向いてみると、其処には見慣れた顔をした男がいた。】
【ハンス・バイエル。幼馴染で、こういう言い方を、エッリは彼に対して使うのは好ましく思っていないが、戦友、である男。】
【はぁ、と溜息をついて。再度水平線の方向へと、エッリは視線を戻して、不満を駄々漏れにさせながら、彼に言う。】

「変なの見たせいで、気分台無し。」

「誰が変なのだ、コノヤロウ。」

【ハンス・バイエルは彼女から何歩分か離れた所で、立ち止まった。】
【ポケットの中に手を突っ込んで、不満気に顔を顰める姿は、何処から来るかも分からない自信に満ち溢れたまま。】
【エッリ・テア・ハーパライネンは、その自信の保ち方を事細かく教えて欲しいと思いながら、水平線を眺めたまま。】
【今から、部隊から下りないまでも。自分を前線から外してくれと言えば、この男は首を縦に振るだろう。】
【何せ、カロウシ寸前まで働いて、そして今回のこの怪我、落ち目の自分。】
【いっそ言い出してしまえば楽だろう。そんな考えが頭を過ぎった時、ハンス・バイエルは、また彼女に向けて声をかけた。】
215 :エッリ・テア・ハーパライネン&ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/20(日) 23:37:10.62 ID:GQ55FvqGo

「ほらよ。」

「……っと、?」

【ハンス・バイエルから放り投げられた何かを、エッリが受け取る。】
【紅の、何かカードキーの様な物。】
【まるで、自分が相対して。圧倒的なスペックの差を押し付けられた、あの人馬の化物……と言えば、少し違和感があるが。】
【けれどそう形容するしかない、紅の人馬の形状をした化物のそれに、酷似していた。】
【此れは何か。そう聞く前に、ハンス・バイエルが説明を始める。】

「エッリ、お前がやりあった化物。その鎧を解析して、何とかその形にした。
 お前の使うAIEに、反映できる。」

【先の人馬との戦いを思い出して、より気分を落ち込ませていた彼女だったが、本当にそれが、あの人馬に起因する者とは思っていなかった。】
【はぁ?と彼に返したが、意にも介さず。獨国の地平線へと、ハンス・バイエルは目を移していた。】
【……恐らく再現できたのは極僅かだろう。だが、それでも、自分に扱うことが出来るのだろうか、という疑問は残る。】
【結晶の中に閉じ込められた宇宙から、魔力を引きずり出すような怪物が扱っていた鎧を、自分が扱う事が。】

「戦いを止めるのも、続けるのも、お前次第だ。好きにしろ。
 戦い続けるなら、使え。俺には過ぎた代物だが……お前なら、扱えるはずだ。」

【お前は私の何を分かっているんだ。そう冗談めかして言ってやろうと思ったが、止めた。】
【この、イカれた幼馴染は、自分をどう思ってこれを渡したのか。唯の実験体か、それとも本気で何かテコ入れをしようと考えたのか。】
【エッリがそう考えながら、その紅のカードキーを眺めていると、それに対してハンスは満足気に頷いて、去って行った。】
【何時も何時も。ハンス・バイエルの背中は、背丈ばかり大きくなって、器は其処までデカくない、そう思っていたのだけれど。】
【その背中を見送って。エッリはまた、カードキーへと視線を落とすと、ゆっくりと、重い腰を上げた。】

「……さて、と。そろそろ、戻ろうか。」

【もう少しだけ、もう少しだけ。剣を握ってみよう。】
【そう思いながら、城壁から下りて。病室のベッドへと、帰る事にした。】

/人馬さんの鎧を解析してあれこれしましたよソロールです!
216 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok [sage]:2014/07/22(火) 20:54:52.76 ID:husKkf9R0

ちっ、電流でもだめかよっ!

【フックショットの電流でも期待していたダメージは与えられていないようだ。能力の後遺症が来るのを恐れながら次の手を考えるが…】

な…にっっ!

【そのままワイヤーごと壁に叩きつけられる。血反吐を吐き、苦しそうにもがきながら残り少ないマグナム弾をリボルバー二丁にリロードする】

ハァハァ…。長丁場は出来ねえ。火力も足りねえ。どうするかね。

【フックショットを即座に戻し、自分に迫る剣杭銃を何とか回避する。絶望の中に居た男が逃げ回る刹那】

…やっと実ったかよ、遅えぜ。畜生。

【初めてニヤリと笑う。リボルバー二丁を持ち直し、魔翌力をリボルバー二丁に集中させる。】

てめえの物差しで勝手に俺を測ってんじゃねえよ。





「下っ端なめんなよッッッッ!!!!」





【そして微かに見えた傷に目掛けて.357マグナム弾を計12発二丁のリボルバー全弾を一つの傷に目掛けて放った。目にも留まらぬ早撃ちと正確無比な技術力の全てを用いて強大な敵に対して小さな自分が絶望への反抗を敢行した。】
217 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/23(水) 22:25:46.71 ID:FvGemIY+o
>>216

「ぐ、ぁああ!!!」

【十二発の弾丸の内、四発を剣杭銃が捉えて、叩き落とす。が、それを抜けた弾丸が強化外骨格に着弾する。】
【着弾点の装甲が凹み、内部の人体にダメージが伝搬し、それによって、彼が膝をついた。】
【胸部、煙を吐き出し続ける強化装甲を右手でなぞると、左手でアスファルトを苛立ちを隠さず殴りつけた。】
【砕けたアスファルトを気にすることも無く、怒りに身を任せて、ゆっくりと立ち上がった。】

「……いい加減にしやがれ……下っ端が!!」

【右手に握った剣杭銃を、怒りと、其処で漸く、彼の中に湧き出てきた殺意と共に突きつけた。】

【一つ。革靴の底がアスファルトを叩く音がする。】


「何をしているのです、ジーク。」

【其処で、先程彼と会話をしていた、神経質そうなスーツの男が現れた。】
【手にはジークの装着した機械と同型の装置。ヒュージ・ジェネレーションズの社章が取り付けられたスーツ。】
【明らかな警戒を剥き出しにしながら、ジークと対立する彼を睨み付けた。】

「B・Sの下っ端だ……いちゃもんつけてかかってきやがった、気の違えた猿だ。」

【其の言葉を聞くと、ジークに返答も頷く事も寄越さずに、ジャケットの内側に左手を入れて、円筒状の物体を取り出した。】
【何かあれば、直ぐにでもそれを装着できるよう。針鼠の如く警戒を張り巡らせながら。】
218 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/07/23(水) 23:43:42.61 ID:N/yW0fu8O
>>217

ふぅ、やっとダメージかよ。

【ゆっくり肩を落とす。そして残弾を確認すると今ので弾は無くなっていた。それは男の保持するリボルバー二丁が無力化されたという事】

弾も切れたか、そろそろ潮時か。

【リボルバーを閉まい、二つの日本刀を再び構えるが、相手は未だに戦闘可能な状態であった。この時点で勝ち目は無く】

(これだけじゃ、勝てそうもねえが。目的は果たせたな)

いやぁ、ご立派な兵器だったぜ。まさかここまでしないとまともなダメージを与えられないとはな。

お陰であんたらの主力実戦兵器の実力が見られたぜ。

【刀を二つ構えた男はダルそうに刀を鞘に収めた。】

(後はどうやってトンズラこくかだな。閃光弾一つと手榴弾が二つ。あとは予備のガバメントが一丁か。)

さっきの奴も来たか。おれはこれからここから逃げようと思うがどうする?

【煙草を取り出し、凶器を突きつけられながらも、冷静にこの状況を打開する策を考えていた】

(あの筒の正体も知りたい所だが、今は無理そうだな。さて、どう逃げるか)

219 :ジーク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/24(木) 21:47:26.34 ID:aalUY0rZo
>>218
「ふざけ……!」

「待ってください、ジーク。此処で彼を殺害すれば、正当防衛は成立しない。
 目立つ事は控えるべきだ。今は未だ。」

「……くそっ!」

【その会話の後、ジークが腹立たしげに剣杭銃を壁に対して振るい、切断した。】
【その様を横目で確認しながら、神経質そうなスーツの男は、警戒を解く事もせず、威圧を含んだ低い声で彼に言う。】

「まぁいい、俺達の計画には大した支障じゃない。」

【其の言葉と共に、強化外骨格を身に纏ったジークが、剣杭銃の剣先を突きつけて、引き金に指をかける。】
【何らかの武器を取り出せば、すぐさま引き金を引けるように。】
【そして機械と円筒を持ったまま、神経質そうな男が一歩、前へと踏み出して。】


「さっさと消えろ、非人のクズが。」


【剥き出しの嫌悪感を突きつける様に、彼へと言葉を投げつけた。】
220 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [sage saga]:2014/07/30(水) 06:01:31.04 ID:7pGN86QNo
【第二次Auriga事変から数日後】
【雨の降る何時もの街、そこの路地裏で一人の少女が座り込んでいた】
【躰のあちこちは傷つきワンピースはボロボロで所々黒く焦げ、あちこちに血が付着している】

………………………………

【傍らの地面には血まみれの剣が突き刺さり、白銀に輝く弓を手に持って】

何で……こうなるの?

【誰にともなく問いかける、だが答えるものは誰もいる訳が無い】
【"普通"であれば此処には誰かしらならず者なりがいる】
【ましてやこの少女のように見た目が悪くなければ声もかける物が多いはずだ】
【それでも誰も声をかけることがないのは】

どうして…………私に…………

【少女の目の前には倒れ伏したならず者達】
【無論動くものなど一人もいない】

私に……………………人殺しをさせるの?

【少女の名前は蒼乃空】
【今まで不殺を貫き通し、第二次Auriga事変でそれを破ることとなった少女である】


/てきとーな粗ロール
221 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [sage saga]:2014/07/30(水) 06:02:30.01 ID:7pGN86QNo
【第二次Auriga事変から数日後】
【雨の降る何時もの街、そこの路地裏で一人の少女が座り込んでいた】
【躰のあちこちは傷つきワンピースはボロボロで所々黒く焦げ、あちこちに血が付着している】

………………………………

【傍らの地面には血まみれの剣が突き刺さり、白銀に輝く弓を手に持って】

何で……こうなるの?

【誰にともなく問いかける、だが答えるものは誰もいる訳が無い】
【"普通"であれば此処には誰かしらならず者なりがいる】
【ましてやこの少女のように見た目が悪くなければ声もかける物が多いはずだ】
【それでも誰も声をかけることがないのは】

どうして…………私に…………

【少女の目の前には倒れ伏したならず者達】
【無論動くものなど一人もいない】

私に……………………人殺しをさせるの?

【少女の名前は蒼乃空】
【今まで不殺を貫き通し、第二次Auriga事変でそれを破ることとなった少女である】


/てきとーな粗ロール
222 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [sage saga]:2014/07/30(水) 06:03:07.42 ID:7pGN86QNo
多重投稿申し訳ない
223 :ハンス・バイエル  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/07/30(水) 20:39:55.13 ID:p2q+S58to
>>221
「なんでだと思う?」

【魔力の塊を身に纏いながら、その男は"何時の間にか"、不定形の亡霊の如く、其処に立っていた。】
【随分と人殺しに慣れた手が、彼女の肩を軽く叩く。黒い軍装に身を包んだ男は、裏切り者のハンス・バイエルは、何時も通りの笑いを浮かべていた。】
【そうして彼女の前へと歩み出ると、彼女に顔を近づけて、殊更露骨にニヤリと、笑いを強めて見せた。】
【演技がかった動きで、大袈裟に両手を広げながら、死体の群れの合間を歩いていた。】

「彼等はこのイカれた時代に、アウトローに身を窶し、群れ乍ら、一生懸命に生きてきた。
 それが彼等に残された唯一の手段だからだ。数少ない選択肢の中、彼等は壊死よりも、抵抗を選んだんだ。
 そしてこの世界において、ギリギリの状態で生を保ってきた。けれど死んでしまった。」

【遺体の一つの傍にしゃがみ込むと、その遺体の手を手に取って見せる。】
【鮮血に塗れた手、そして其の手は最早血の気、生の色の一切を見せずに、青黒く変色を始めている程、正しく死体の様相を醸し出した。】
【そうしてまた立ち上がると、彼女の前へとまた歩み出した。】
【そして彼女の眼前に、右手の拳をゆっくりと突き出した。】


「Frage(問い) 1. ギロチンの前に立つのは?」


【ゆっくりと開いた掌の中には、乾いた血液に輝きを奪われた、銀色のドッグタグ。】
【随分と血に汚れていて、所々、掘られた文字が埋められるほどだったが、辛うじて其処に刻まれる名前だけは読み取れるだろう。】
【 SEIKAKU DAIKUBARA と。】


「Frage 2. 刃を振るったのは誰?」


【くつくつと笑いながら、そのドッグタグを彼女の前に吊り下げた。】
【その問いかけの答えは、きっと彼女自身がよく分かっているだろう。】
【それを改めて言うのは、きっと、彼の嫌がらせなのだろう。随分と子供じみた理由を持った、唯の嫌がらせ。】
224 :.蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/02(土) 08:30:09.95 ID:GIV7T31fo
>>223
【誰かが来た、それを認識するために俯いたまま視線だけをやれば見えるは軍靴】
【まったくもってその程度のことなど興味がないとでも言うように男の言葉を聞き流す】
【その声には聞き覚えがあった、幾度となく自分と相見えた男】

(ハンス・バイエル……厄介な時に……!)
うるさいよ黒ちゃん、少し黙って
(っ……)

【心の内で騒ぎ出したもう一人の自分を冷徹に諌めると】
【眼前にぶら下がったドックタグだけを見つめながら一言返す】

答えに……なってませんよ?

【続く問い二つ、それに対しては一つずつ簡潔に端的に】

回答1:私を殺そうとする者
回答2:私自身

【どこか虚ろな瞳で男の顔を見れば、降りしきる雨がその顔を濡らす】
【それは泣いているようで、汗にまみれたようで、だがその顔は何の表情も表さない】

彼、弔ってもらえたんですね……

【再び俯けばポツリと零す、それは感謝に安堵、呪詛のような響きも混じっていた】
225 :ハンス・バイエル  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/03(日) 15:46:03.88 ID:Q+ajzA2Io
>>224

「つまり。」

【手の中に在るドッグタグを、宙へと放り投げて、再度其の手の中に握り締める。】
【そして再度其の手を開いた時には、その銀色と乾いた鮮血のプレートとストラップは、何処かへとまた消えてしまっていた。】
【彼女へと背を向けると、両腕を大きく開いて、其処に倒れ伏す死体達全員を指しながら、言葉を続ける。】

「彼等はギロチンの前に迂闊にも立ちはだかってしまっただけの事。
 彼等がお前に殺人を強制させたのではなく。間違いなく、お前自身の意思で殺したんだ。
 力を振るう権利を握る人間は常に誰か他人を殺すと言う選択肢を持つ、そしてお前はそれを選択した。」

【彼の腰に提げられた銃は、唯一つでは決して誰かを傷つける事は無い。携える者の決定によって、それは漸く人を殺す。】
【力とは、使う者によってその性質を変えるとは、よくある話だが、だからこそ正しくもある。】
【彼等が彼女を殺そうとしたならば、彼女はそれに対して殺す事を選び、生き残った。】

「誰もお前を殺人に導いた訳じゃない。お前が殺人へと足を踏み込んだ、ただそれだけだ。
 その結果、其処に転がる奴等も、大工原 正劃も、死んだ。」

【この横たわる死体達は、彼女の意思を以ってして齎された物。】
【ハンス・バイエルが、指を鳴らした。途端、周囲の景色は何処へとも知れぬ荒野へと姿を変えるだろう。】
【固有結界などと言う大層な物などでは無い。ただの、五感へと偽物の感覚を与えるだけの、簡単に振り払える初歩的な幻覚の魔術。】
【ハンス・バイエルの足下は、幾つもの死体で出来ていた。古い何処かの国の軍装を身に纏った者から、細心の装備を纏った自衛官。】
【数え切れない死体の山の上から、彼女を見下ろして。そして彼女の足下には、彼女に殺された何人かの男達と、】
【そして首から血に濡れたドッグタグを提げた、腕を失い、胸に剣を突き立てられた少年の死体が重なっていた。】

「Frage 3. 死刑執行人に感情は必要か?」

【見下ろすハンス・バイエルが出した問いは、本当に意地の悪い感情から紡ぎ出される。】
【単に、彼女が苦しむ姿を見たいだけ。引き裂かれるような感情の渦、心を焼かれるような諦観、そんな苦しみが見たいだけ。】


「ようこそ、人殺しの領域へ。君は何処を目指す?」
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/08/04(月) 20:47:59.42 ID:okKlAU2f0
ts
227 :蒼乃空  ◆XbDqw5KRoE [sage]:2014/08/04(月) 21:37:31.00 ID:EnTDwmVGo
>>225
【景色が変わる、死体の山の中に少女は放り出される】
【情報から男の意地悪い質問がかけられ、だがそれに反応しているのはもう一人の自分だけ】

(ハンス・・・アンタいい加減に・・・!)
いいの、黙っててって言ったでしょ?
(でも!)
でもじゃない、私には答える義務がある

【俯いたまま、自分が殺した大工原の死体を視界に入れ】
【何の感情も秘めない瞳のままで言葉を返す】

回答3:必要

【一言だけで回答を出すと男を見上げ、問い返す】

貴方・・・フィアちゃんが暴走した時もそばにいたよね・・・?
それは私たちが壊れていくのは愉しい・・・?

【ふふっと自嘲気味に笑えば、続けて処刑執行人の話をする】

処刑執行人には感情は必要、それは"人間"だから
私の行動に感情は不要、私は"天使"だから
時として天使は悪魔より残酷に、死神よりも死神らしく
(空ぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!)

【もう黒が心で絶叫し、それに合わせて蒼は顔をしかめつつ男をまっすぐに見やれば】

歓迎されることにする、人殺しの領域に。私は幸福だけの理想郷(ディストピア)を目指す

【蒼い瞳は虚ろなまま、淡々とそれだけを告げた】
228 :ハンス・バイエル  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/05(火) 21:17:35.67 ID:NqiIDMBMo
>>227
「何においても、壊れていく姿、滅びていく姿、廃れていく姿は、美しい。」

【問い掛けに何の躊躇も繕いも無く、彼は心のままに自分の思想を彼女に解答としてやった。】
【パチン、とハンス・バイエルが指を鳴らすと、荒野だった一面が捻じ曲がり収束し、新たな景色へと再構築された。】
【強く輝く太陽。煉瓦造りの欧州風の街並み。色彩豊かな其処は、けれど何処か白黒の、随分と昔の写真を思い起こさせる。】
【様々な人間が歩く。ボーイッシュなショートカットの少女が、同年代程の少女を侍らせながら、彼女と彼の間を通過する。】
【黒い髪の屈強な青年が酒樽を片手で担ぎながら歩き、母親の引く乳母車の中で金髪の乳飲み子が安らかに眠る。】
【そして、彼女とハンス・バイエルの間を、銀髪の少年が、それよりも年下の少年の手を引きながら、走り去っていこうとしたところで。】

【その景色は、太陽よりもより強い、人工の灼熱に焼き尽くされる。】

「≪理想郷/暗黒郷≫の先に在るのは何時も崩壊だ。
 永遠など存在せず、それは地続きとして不可逆として実在する。」

【呆然と立ち竦む銀髪の少年の手の中には、先程引いていた少年の手首から先が残るだけで、それ以外は何処かへと消えていた。】
【炎上するその街並みは、ハンス・バイエルの指を鳴らす音と共に、収束し、撹拌し、また別の景色を映し出した。】
【今度は現実だ。足下に転がるのは、唯彼女が手を下した死体のみで、先の戦争で死んだ少年も、燃え盛る街も跡形も無く消えた。】
【其処には略帽を被り、黒い軍装を被ったハンス・バイエルが、確りと現実として、両の手をポケットに突っこんで立っていた。】

「天使よ、≪理想郷/暗黒郷≫の天使よ。お前は今それを決意した瞬間から、俺と変わらない。
 黒衣の死神である俺達と変わらない。お前達は今、全人類の敵と成る。」

【何も変わらない、と。理想郷を追う事も、彼等が"再生"を目指す事も、何処も、何処までも、何も変わらない、と彼は語る。】
【だからこそ彼は、彼女へとゆっくりと歩み寄った。ポケットの中に突っ込んだ両手を抜いて、彼女との距離を縮めようとした。】
【そして彼女の前に辿り着くと。】

「救世の英雄などでは無く、黒衣の虐殺の徒へ。今やお前は俺達と同じ。
 最悪の虐殺者である、俺達と同じ。さぁ、歓迎しよう。」

【そう言って、彼女のその空いている手を、血に塗れた手を取ろうとした。】
229 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/07(木) 22:40:07.07 ID:28o0M/nl0
>>227
【崩壊して逝くモノ、それを男は美しいと語り】
【そして再び目の前の世界が、風景が変わる】

【映し出されるのは平和で、平凡で、ありふれた日常】
【目の前を二人の少年が駆け抜ける、笑い合い些細ないざこざはあれど永遠に続く筈の日常】
【しかして其れもたった一つの光によって消え去り崩壊する】

「……………」

【呆然とする少年、独り遺され奪われ消え去った日常】
【その光景は何時か見た自分の記憶と重ね合わさり感傷を呼び起こす】
【そして再び男が指を鳴らせば世界がまた歪みその風景を変える】
【叩き付けるように降り注ぐ雨と死体、立っているのは男しかいない薄暗い路地裏】
【現実へと帰ってきた事を認識するには十分なほどの冷たい雨を身に受ける】

【男の語りはまだ続く、自分の思想と俺の思想は同じものだと】
【英雄になどなれないと、自分は唯の殺戮の使徒だと】
【差し出された手、それを抵抗することなく受け入れ握り返す】

私と貴方達は同じ、理想を幻想を求め、実現しようと災禍を招く殺戮の使徒

【握る手に力を込めて男に顔を近づけ言い放つ】

本気でそう思っているんですか?

【冷たい光を称えたままの碧眼が男に向けられる】

私は英雄になどなりたいなど思っていない、理想郷を実現するためならどんな罪でも背負う
だが殺しだけは是としない、その行為そのものが理想と反するから
殺しをするのは必要に迫られたときだけ、仮に誰かから貴方達と同じと言われようとも

【そこで一度言葉を切り、握っていた手を振り払う】
【更に顔を寄せ、鼻先が触れそうな程近づいて】

戦禍を無闇に拡大し、人も不必要に殺す。そんなこと私は是としない
だからーーー私は貴方達とは相容れない、気に食わない
歓迎されこそすれども貴方に同じと謂われるのは不愉快極まりない

地獄へ墜ちろ、戦争屋

【かつてのおどおどしたような雰囲気の優しい彼女はもうそこにはいない】
【いるのは理想の為に総てを投げ棄てた堕天使としての彼女だった】
230 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/09(土) 01:02:56.43 ID:TnYvK0kbo
【降りしきる雨、目元を伝う雨水を、それを鬱陶しそうに、今し方振り払われた右手で拭う。】
【こつん、と。男は随分と優しく。鼻先が触れ合うのではないかと言う距離の少女の額へと。】
【随分と柔らかく自分の額をぶつけて、そして強く強く自分の事を拒絶する、彼女の双眸を覗き込んだ。】
【彼女は自分とお前は違う、と語る。"誰かがそう言おうとも"、彼女は自分と違うと、断固として同一性を拒絶しようとする。】
【ハンス・バイエルは笑う。"何だ、分かってるじゃないか"、と。】

「何が違うんだ?」

【ただ"故郷がもう一度欲しい"。ハンス・バイエルはそう願った。】
【そんな些細な願いの為に、何もかも捨てた。普通の生き方も、普通の死に方も、何もかもから蔑まれる事を受け入れた。】
【絶叫も押し殺した。例えその先にある物が絶望だったとしても、傷塗れで生き、戦い続ける事を選んだ。】
【余りにも些細な日常を取り戻したいと、叫んだ。】
【例え、幾つの屍の上に立とうとも、"ハンス・バイエル"という男は、"理想郷"へと、届かぬ手を伸ばしているのだとしても。】

「君は君のエゴで、俺は俺のエゴで誰かを殺す。同じさ。君がどう語ろうと。」

【ハンス・バイエルは思う。"何が違うのか"と。】
【結局は、何人もの罪無き人間を殺す。或いは彼女は、自分の理想よりも遥か巨大な"理想郷"を夢見ているのならば。】
【それに比例して、多くの死体を積み上げる事になるのではないだろうか。】
【例え、自分の方が上等だと宣言しようとも、其の両手は鮮血に染まる。黄金に触れれば、生温い血が残る。】
【勝つまで、殺す。彼女も、自分も。許されるハッピーエンドの手段は、それしかない、と。】
【彼女がどれだけ否定しようと、彼女の足下にあるのは、きっと。】

「俺が地獄に墜ちるなら。お前も一緒だ、天使様。」

【そう言って彼女から額を離せば、その額を右手の人差し指で突っついて、その身体を僅かに後退させようとするだろう。】
【随分と冗談交じりなのは、"彼女を馬鹿にしたいから"、という理由が大半だった。】
【そしてその行動に伴うハンス・バイエルの表情が、何処か満足気だったのは……】

【ハンス・バイエルの後方、まるで"時空間"が斬り裂かれた様に、"そこだけがズレている"様な姿を見せた。】
【やがて"時空間の切り口"は、ゆっくりと口を開き。その内部から、一人の女性が姿を現した。】
【ボーラーハットを被り、ハンス・バイエルと同型の軍装を着用し、革の手袋を身に着けて、その上に"真紅のコート"を羽織る。】
【腰には銃の代わりに一本の長剣を携えた、金髪の、"ショートカット"の中世的な長身の女だった。】
【彼女は、ハンス・バイエルと対峙していた彼女へと、柔らかい微笑みを送ると、ハンス・バイエルへと歩み寄り、その肩に手を置いた。】

「ハンス、時間だよ。行こうか。」

「はいはい、と。」

【そう言うと、その"空間の裂け目"へと、ハンス・バイエルは踵を返し、歩き出す。】
【然し、彼に浴びせられるのは、部下である筈の女性からの、批難の視線、それに対して、思い出したように彼女へと再度向き直り。】
【パチリ、と。指を鳴らすと。ハンス・バイエルの右腕の周囲を黒色の魔力が纏わりつき、それが魔術の体を成し。】
【彼女の目前に、一つ……何の変哲も無い、漆黒の布を張った傘が、ポツンと現れる筈だ。】


「―――――――― 頑張れよ。」


【それだけ言って、ハンス・バイエルはその時空間の裂け目の中へと、足を踏み入れて、無責任にその姿を消した。】
【只々彼女の事を引っ掻いて、爪痕だけを残して。】
【一人、残った女が、雨雲に覆われた空を、コートのポケットに手を突っ込んで、見上げ、何か言いたげに口を開きかけるも。】
【結局、それは押し殺して。彼女へと、一度ウインクをして。】

「……じゃあね。」

【その"空間の裂け目"――――彼女によって発動された転送魔術の中へと、消えようとするだろう。】
231 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/09(土) 01:03:39.38 ID:TnYvK0kbo
/>>230>>229宛です!!
232 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆.fYRWp6NIc :2014/08/12(火) 21:06:22.25 ID:dDWrUsOqO
>>219

ハァ…ハァ…ぐふっ!

【血反吐が込み上げ、耐え切れず吐き出す。体の内側から発生する痺れるような痛みに襲われていた。これは能力の後遺症】

流石に強いな、お前らのその自慢の兵器。

今の俺じゃ、其処までしか壊せないけどな、

いつかお前らが敵になった時、それまでにはそれを其処らへんの粗大ゴミに出来るようにしといてやるぜ。

精々震えて眠れ。

あばよっ!!

【閃光弾を放ち、辺りに強い光を発生させ、其処からすぐに逃げ去った】

(流石に強かった。あれが敵になれば厄介になる)

【ラーク・テオ・ルーベルトは激しい痛みと確かな確信を得てこの場を去った】

【その確信に男は確かに恐怖していた】

/長い間放置して申し訳ない。お疲れ様でした!

233 :.蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/14(木) 11:44:40.06 ID:XkJN78Rqo
>>230
【飄々として馬鹿にした態度をとる男、無論どうしてそのような態度なのかもわかりきっている】
【何処かその言動が親愛なる仲間の一人、エヌオーと被る。何時もこうやって彼は人を小馬鹿にした態度をとっている】
【だが、目の前の男のそれとはどこかが違う。故に今すぐにでも叩き切る、或いは矢で脳天をぶちぬこうとも考えたがそれでは相手と同じと我慢する】

共に地獄へ墜ちたなら、その時は地獄でも一泡吹かせてやる

【冗談が混じった男の言葉に対して少女は挑発で返し】
【他人を不快にさせておいてどこか満足気な男の表情に苛立ちを募らせる】

【そして男が後ろに下がった時、それに合わせるかのように時空間が歪み一人の女性が現れる】
【"時間だ"と女性は言う、この男を連れ去ってくれるのならば言う事はないが】
【男に対しての無言の圧力か、男は一つの傘を少女の目の前に現せば】
【時空間の裂け目へ姿を消しながら一言残す"頑張れよ"と】

言われなくても、やり遂げる

【間髪いれず言い返せば、その時空間の歪みを開いた女性がまだ残っている】
【何か言いたげに口を開きかけるが言葉は何も出てこない】
【ただそのまま踵を返して、"じゃあね"と一言残して歪みへ立ち去ろうとする】
【少女は立ち上がり目の前の傘を素早くたたむと、その背中に向けて傘を放り投げ】

私には、必要ない……暫く濡れていくから
けど、貴女の気遣いだけは感謝する。彼にも感謝すると伝えて

【そして少女もまた地面に突き刺さった剣を引き抜き背を向ける】
【"出来ることなら、二度と会いたくない"とぼそりと呟きながら裏路地の奥へと歩を進め】
【暗がりの中へと消えていった】
234 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/17(日) 21:26:30.02 ID:sz8tUimQo
>>233
「……そうかい。」

【折り畳まれ、背中へと放り投げられた傘を、振り向いて、彼女が右手で掴み取った。】
【此れから先、針山の上を歩く様な地獄を、彼女は歩むことになるのだろう。目指す先とその思想は、きっとハンス・バイエルよりも上等な物。】
【けれどそれ故に、彼女は―――― エッリ・テア・ハーパライネンは、誰よりも死を振り撒く事になる、と思う。】
【彼女は人の子で―――――――― 一人の親でもある。出来る事ならば、引き留めたい。彼女の様な幼い人間が。】
【そんな地獄を経験しなくてもいい……そう考えるけれど、口に出したところで止まる物では無い事は、よく理解っていた。】

「ハンス・バイエル……蒼乃空。君達には、何が見えるんだい?
 君達の願いは……遥か彼方へ、遠い未来へ……何時かの理想郷へ、届くのかい?」

【ただ一人、時空間の裂け目の前で、彼女はそう呟いた。】
【彼女は天才だった。あらゆる面において、神の祝福を受けた様だった―――― けれども、それでも分からなかった。】
【この戦いの先に何があるのか……或いは、何もないのではないかと錯覚する程に。】
【けれど、それを終わりにするには―――― 余りにも歩み過ぎて。足下なんて見えないのに、余りにも歩み過ぎていて、足跡さえ見えなかった。】

「僕には、何も見えないよ。僕には、何もわからない。」

【ボーラーハットへと手を添えると、目元を隠すかのように、それを深く被り直した。】
【背後の時空間の裂け目へと、足を踏み入れる。待っているのは、ずっと変わらない、仲間たちの姿。】
【彼等には何が見えているのだろう。今まで自分が追い掛けているのは幻では無いのか、そんな風に不安に思う事は、今までなかったのだろうか。】
【……そんな疑問を吐き出す勇気は、幾つもの戦火を潜り抜けたけれど、終ぞ湧き上がる事は無かった。】



「―――― 待たせたね。さぁ、『逆鉤十字奪還作戦』の準備を始めよう。』




【――――― to be continued.】

/長期間の絡み、ありがとうございました……!!
235 :ルーヴァー・ブレイグラント・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/17(日) 22:29:28.40 ID:QguZYWyi0
【その日は非常に暑かった。特に昼間は炎天下、とても快適に過ごすのは困難だ】
【しかし一度陽が堕ちれば、ある程度は暑さも落ちるらしく、午後二十時を回ったあたりからは汗をかかなくなる】
【街中から遠く離れた古び逝く教会を前にして、街のネオンを背景にその男は手を合わせていた】
【日中暑さに苛まされていた男であるが、今は見間違えるほどに涼しげな表情で静かに祈っている】

……よし。そろそろ帰るか
ってもまあ、帰る場所などないに等しいが……どれ、少し中でも見ていこうか

【祈りを終えたらしく、その場にすっくと立ち上がる男。背が高めなのが特徴だ】
【それ以外には特に目立った特徴はない】
【錆び付いた扉に掌を当て、力を前に掛ければギィと音をあげ静かに扉は開き、中が見取れるようになる】
【薄暗い不気味な部屋に、何処か神秘さを感じさせる空間。最奥に位置する十字架は無惨にもぼろぼろ、そんな教会】
【男は表情一つ変えぬまま、一歩足を踏み入れた】

しっかし、アレだな。お化けでも出そうだよなぁ……

【内心どうやら意気地なしのようだが】
236 :.蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/17(日) 22:41:22.37 ID:gUbvYcjho
>>235
お化け、よりタチが悪いかもしれませんね

【お化けでも出そう、と呟いた男の背後に一人の少女が舞い降りる】
【白のワンピースと碧眼が目を引き、その背中には純白の翼と舞い散る羽】

どうもはじめまして、天使です

【微笑みながらそう言ってみせると男の隣を素通りして最奥へ】
【無残な姿になっている十字架を忌々しげに見ながらそっと呟く"地獄へ墜ちろ"と】

それで、貴方はこの教会へは何をしに?

【振り返りながら問い掛ける、その顔は微笑みを浮かべながら】
237 :ルーヴァー・ブレイグラント・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/17(日) 23:24:53.76 ID:QguZYWyi0
>>236
【寂れた教会の内部に足を踏み入れた男】
【ほんの少し寒気を感じながらゆっくり、ゆっくりと、観察するように視線を動かして歩をまた一歩】
【瞬間、背後から唐突に発せられた言葉に肩を震わせる反応を示しながら、おそるおそる振り返れば……お化け、ではなく】
【白のワンピースに身を纏った碧眼の、その背に純白の翼を携えた"天使"だった】

は、……初めまして……

【微笑み。天使は男の傍を素通りして十字架に向かう】
【その後ろ姿にすっかり魅入られていたためか、"地獄に墜ちろ"と発せられた呟きには一切気付かなかった】
【ただ、ただその後ろ姿をぽーっと眺めていた。すると、】

あ、ああ。祈りに来たんですよ
色々と野暮用があってな、それで

【微笑みを浮かべながら振り返る天使は問うてきた】
【我に返り気を取り戻すと男はそれに答えを述べる】
【近くにあった長椅子を引き寄せてそれに腰掛けながら、天使の碧眼を見つめて】
238 :.蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/17(日) 23:33:28.87 ID:gUbvYcjho
>>237
祈りに、ね……

【目を伏せ呟くその姿にはどこか哀愁のようなものを漂わせる】

野暮用については私は何も言いません、法にさえ触れなければ
祈るのは……まあ、好きにしたらいいんじゃないでしょうか?

【少女は男の隣に腰掛けると、笑いながら言い放つ】

今更こんな、神すら腐ってる世界で誰に祈るんでしょう?
頼れるのは自分、そして追従してくれる仲間位しかいないというのに

【その笑みは何処か自嘲も混じり、そして楽しんでいるようにも見える】

ああ、もしも邪魔をしたのなら申し訳ありませんでした
どうぞ祈ってあげてください

【手を差し出し祈ることを促す、表情は再び微笑みに戻っていた】
239 :ルーヴァー・ブレイグラント・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/17(日) 23:49:26.51 ID:QguZYWyi0
>>238
……ああ、そうだよな
俺は誰に祈ってるんだろうな

【神すら腐った世界。そう天使は言い放った】
【自嘲の色も伺えるのに、楽しんでいるようにも伺える天使は、隣に座りながらそんな言葉を発した】
【そんな天使の顔を一瞥すると、先ほどと寸分と違わぬ微笑みを見て取れる】
【しかしこの男には先ほどの笑みが気になって仕方がなくって、口から飛び出た言葉は】

いや、それは済ませたんだ
それより、ぇえと、天使様? 随分と自嘲? 気味ですけど何かあったのか?

【何故か気遣いの言葉だった】

【差し出された手を尻目に男は、天使の瞳を見据えながら意図せずそう発していた】
240 :.蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/18(月) 00:56:36.47 ID:k6x1L3Fuo
>>239
何があったか、ですか……

【少し思案するように天井を見上げて語りだす】

私は、人を殺したんですよ

【そして吐き出される言葉は淡々と、感情が篭らないもの】
【自分の事を天使と少女は語っていたが、そうであれば人の死など他愛も無いことであろうものだが】
【感情を押し殺してまでそう告げる以上何かがあったのかもしれない】

おかしいですよね……そんなことで迷っているなんて
幸福だけの世界を創る、その為に神を裏切って堕天して
そこに至るまでに受ける批難も、罪も、総て被って行くと決めたのに

【見知らぬ男に淡々と少女は言葉を投げかける】
【或いは自分に対してそうであろうとするための再確認ともとれる】

まあ、決めた以上これからもそういう道を歩むんでしょうけど……
そういう相手を作らず、哀しみの無い平和で幸福な世界を作るのは難しいな、と

【そこまで言い切ると"長話でごめんなさい"と一言だけ、そして俯いてしまった】
241 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/18(月) 02:01:57.14 ID:7d37R18j0
>>244
【天使と語った者から紡がれる言葉の内容、吐き出された内容に一切の感情は感じられず】
【何かを押し殺したようなそんな話し方に、男は黙り込んだ】
【淡々と告げられる話から、初めって会った天使の"夢"が、少女の"目的"が伝わってくる】
【どうしようもなく優しすぎる"純粋な少女"みたいな天使の、純粋な望みが】
【長く話したのを手短かに謝罪し、そして俯いてしまった天使を見つめながら、男は静かに唇を開いた】

……君は、殺してしまったのを悔いているのか?
もし当たっていたのなら、何も可笑しい事なんてないよ。殺す事に馴れてしまったら、そいつはもう人でも天使でも違う
そうなってしまったら、ただの快楽殺人者だ

【低温で発せられるその言葉の一つ一つは、男……ブレイグランドの本音】
【男には過去にそう言った事柄でも有ったのだろう。言葉一つ一つの重みが違う事に気付くだろう】
【されど男は後悔の色を一切浮かべない。それは男がそう言った経緯を痛いくらいに経験し理解しているから】

善と悪が表裏一体であるように、君の目指す世界の幸福にも不幸が必ず生まれる
絶対に避けられない。何故かと言えば表在るモノには必ず裏が在るからだ
242 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/18(月) 02:04:01.27 ID:7d37R18j0
>>241
【こういう事もさらっと言えてしまうのだろう】

//これ、最後に追加おねがいします!
243 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/22(金) 19:17:48.44 ID:wXEBkCj2o
>>241
まあ……殺す事に貴賎は無いんでしょうけどね

【男の言葉を聞きながらポツリとこぼす】

私は不幸なんて何一つ無い世界を創りたい
たったそれだけのことなのに……

【全ての物事は表裏一体、幸せな者がいれば必ず不幸になる者もいる】
【わかっている、頭では理解している、それでも納得なんてできるハズもなく】

殺した事を悔いているのか?って聞きましたね
私は悔いていました、でも今となっては……どうでしょうね
今の私は殺す事なんて何一つ躊躇いはないでしょうから

【自嘲気味に笑う少女の瞳には強い意志と決意、そして哀しみが見受けられる】

例え、快楽殺人者と言われても……Aurigaと同じと言われても……
私はやらなければいけない事があるから

【男の言葉は深く突き刺さる、自分と同じだと嗤った相手の顔が思い浮かぶ】

裏のない世界、誰もが望む幸福だけの世界
不公平も不平等もない世界があるとしたら……貴方はどう思いますか?

【暫し考え込んだ後に問いかける、自分の理想とする世界をどう思うかと】
【そしてその瞳は妖しく揺らめいていた】
244 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/22(金) 21:35:46.31 ID:hbX9MGYz0
>>243
【天使は言った。躊躇いはない】
【天使は浮かべた。強い意志と決意、そして哀しみを】
【男は静かに、ふつふつと腹の底から沸き上がる感情を押さえ、ただ、聞くのみ】
【そうしてふっと言葉を発した】

……躊躇うだろうな
本当に殺しが出来る奴は、そんな顔しねぇからな……ッ
でも、天使さんがそう思うなら、好きにしたらいい

【頭では理解できても、許容出来ない事もあるだろう】
【男もその気持ちは解らなくはなかった。だからそう言った】
【すると、暫しの間を開けて問われる天使の理想。それと共に妖しく揺らめく瞳】
【男はその瞳を見返し、こう返す】

ああそうだな。いい世界だろうな
幸せに彩られた優しい世界……俺が剣を振るわなくてすむ、世界……
だが俺は望まない世界だ。そんな世界で不具合が起きれば、バランスが乱れた瞬間終わる
人生がな

【見返す瞳は厳しさを浮かべ、それは睨んでいるようにもとれる】
【そして答えは否定だった。大凡天使の答えて欲しい言葉からは懸け離れた、否定文】
245 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/23(土) 10:17:36.49 ID:I5DyX7v0o
>>244
ですよね、そう言うと思ってました
期待通りの回答です

【少女の返答は意外とあっさりしたもので、男の返答を見越したものだった】

ああ、やっぱり……やっぱり、改変するしかないんですね

【男の視線を涼しい顔で受け止めながら唯々言葉を紡ぐ】

こんな腐りきった世界……一度壊して創り直さな……

は〜いはいそこまで〜

【だがそれは突如止まり、気の抜けたような声色へ変わる】
【其れと共に翼が黒に、髪色は銀へ、瞳は紅に染まっていく】

いや〜、申し訳ないねぇお兄さん!
ちょっと表のが迷惑というか訳ワカランこと言っててごめんね?
あ、てか初対面で私達のこと知らないし自己紹介しないと!

私は黒乃空、でもってついさっきまで話してたのが蒼乃空ね、お見知りおきを!

【雰囲気も性格もガラリと変わっての自己紹介】

だからさ、表のが言ってたことは話半分でいいからね?
ちょっと色々あって精神やばいのよ

【とは言っているが、それだけで許容できる範囲なのだろうか】
246 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/23(土) 14:04:42.97 ID:T9Uap0HK0
>>245
【どうやら、見越されていたらしかった】
【壊す、作り直す。そんな発言を聴いた男は反論しようと喉を震わせ……瞬間、異変が起きる】

ん? ああ、別に気にしてないよ
黒乃空に、蒼乃空。……よ、よろしく
俺は、俺はルーヴァー。ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリアだ

【唐突に声音は変わり、翼、髪色、瞳の色も変貌を遂げる】
【雰囲気も容貌もガラリとひっくり返ったままの自己紹介に、少々困惑気味のまま応じた】
【何故かは解らないが、その人が変わったかのような唐突の出来事に気圧され気味になったルーヴァーは紡がれた発言を耳にする】
【その内容にルーヴァーは、許容できなかった】

まて。何だよ
色々って? 精神がヤバいって? それに君達は何なんだ
どうなってんの?

【疑問符ばかりを黒乃空にぶつけて、膨大な情報を無理矢理整理しようと頭をフル回転させる】
【何が起きているのか。何が何なのかをどうやら理解できなくなったみたいで】
247 :"逆鉤十字奪還作戦" [saga]:2014/08/23(土) 19:57:31.80 ID:wKXNGGDSo
「世界への反逆。失われた時間への反逆。俺達は、どう罵られようとも、世界と戦う事を選ぼう。」

【それが、ハンス・バイエルより発せられた、唯一つの宣戦布告の言葉だった。】

【八月二十三日。"第四帝國"軍を名乗るハンス・バイエルの率いる兵が獨国へと侵攻を開始した。】
【逆鉤十字を、もう一度我等の物にと叫んで、彼等は殺戮を再開した。】
【ヴェーザーミュンデ市を囲む様に配備されていた国連軍は、これと交戦。一時は第四帝國側の優勢に陥る物の、手早い増援の手配により両者は拮抗を始める。】

【そしてその間隙を縫う様に、Aurigaが跋扈し、国連軍を、第四帝國軍を屠る。】

【鉛玉が飛び交い、爆熱が肌を焼く戦場。未知の無人兵器が国連軍を蹂躙し、国連の最新兵器がそれを圧殺する。】
【一進一退の攻防戦。何らかの切っ掛けさえあれば、両者容易く決壊する様な激戦の中に、増援の一人として、彼等は投げ出されるか。】
【或いは、唯巻き込まれただけの、逃げ遅れた一般人としてか―――――― 切っ掛けは、何処に転がっているのか分からない。】


【また、長い戦いが始まる。幾つもの願いが交錯する、地獄のような戦争が巻き起こる。】
【正義も、悪も、全て内包した、酷く暴力的で、酷く優しい束の間の一時が幕を開ける。】
248 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 19:58:57.66 ID:wKXNGGDSo
【四車線分ほどもある、大きな道路だった。】
【少し前までは。忙しなく車が行き交う様な場所だったのに―――――― 今は、其処は死体と残骸が積み上げられるばかりだった。】
【国連軍側の戦車や、パワードスーツ……そして、兵士の死体が彼方や此方へと散乱し、混じり合って異臭を放つ。】

【その中央で、彼女は物憂げに月を見上げていた。】

【二十代も前半程の女性。スラリと背の高く、スレンダーな身体を白のテーラードジャケットと同じく白のスラックスが覆っていた。】
【長い黒髪を後ろで一つに纏めた彼女は、何処か人工的に思わせ。そしてそれを、彼女の左腕の腕章が確信に変える。】
【逆鉤十字。間違いなく、世界の大敵の証。辺りに兵士はおらず、この惨状は、間違いなく彼女一人が自らの手で引き起こした物だった。】

「悲しい物だな。」

【そう呟く言葉は、夜の空へと消えていく。聞く人間もいないと言うのに、思わず口に出してしまって。】
【相も変わらず、その双眸は空の遥か彼方、月へと見据えられていた。】

「新世代を歩むべき者達は。我々古き人間の作った、たった一つの玩具に蹂躙されていく。
 ―――――― 我々は滅びていく事に満足すべきだった。時間の流れに身を任せ、目を瞑るべきだった。そうだろう、父上。」

【自ら彼等に手を下しながら、けれど彼女はやはり物憂げにそんな独り言を口走り続けていた。】
【世界は、次世代に託すべきだった。逆鉤十字は、亡ぶべくして亡んだ……それを、受け入れるべきだったと言うのに。】
【故に彼女は産まれた。故に、こうして若い人間が殺される。】
【どう足掻いたって、時間は巻き戻らないのに。】


「……月は、あんなにも永遠だと言うのに。」


【時間が話を聞いてくれたのならば。或いは、こんな事にはならなかったのか。】
【届かぬ思索を巡らせながら―――――― 手の中の"雷撃と騎士を模したエンブレム"を刻んだ機械が、月光を照り返す。】

/ルーヴァーさんの方はこちらにお願いします!
249 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 20:00:15.77 ID:wKXNGGDSo
【市街地、一機のAIE-HA……強化外骨格が、其処を疾走していた。】
【戦車砲の主砲を知覚してから回避する機動力を以ってして、それはブースターにより急速に接近、天板をブレードが刺し貫いた。】
【沈黙する戦車から、ブレードを引き抜くと、ベッタリとその金属の刃に鮮血がへばり付いていた。】
【慄いた随伴歩兵が我武者羅に自動小銃の引き金を引くも、その装甲が銃弾を弾き返し、ブースターが一瞬、噴射され。】
【一人目の上半身と下半身が分断され、二人目が右と左に切り分けられ、三人目が胴体と首が断ち切られて。】
【四人目が蹴撃によって上半身が粉々に粉砕され、最後に残された五人目が串刺しにされて、壁へと磔にされる。】

「Requiescat in Pace.(安らかに眠れ)。」

【まだ幼さの残る少女の声で、そう言った。強化外骨格の彼女が、串刺しにした死体から剣を引き抜く。】
【鮮血に塗れた白い強化外骨格―――――― その肩部に貼り付けられていたのは、天使の羽を模したエンブレム。】
【幼い身体、ボロボロに擦り切れた心の形を保ち続けるのは、歪な形をした白色の天使、殺戮を楽とする、怪物だった。】

「……R.I.P.」

【壊れた様に。祈りの言葉を捧げて、市街地のボロボロの路地を、強化外骨格を身に纏ったまま動き出した。】
【頭の中が空っぽでも、けれど身体はそれに従わず、無意識に自分がやるべき事を理解していて。】
【強化外骨格の熱源探知装置に、反応があった。】

/イルマさん一家の方はこちらに!
250 :OB-003 『W』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 20:01:25.00 ID:wKXNGGDSo
「や、やた、やった。」

【教会に、一人の、漆黒のゴシックロリータ・ドレスを身に纏った、年端も行かぬ少女がいた。】
【虫も殺せぬような、華奢な体つきをした本当に幼い少女だった。背丈も低く、その顔もまた酷く幼い物でありながら。】
【その左腕には、歴とした兵士の証である逆鉤十字が刻まれていた。】
【そして、教会内には、無数の国連軍兵士の死体が折り重なっていた。】
【吃音気味か、つっかえながらも、少女は達成感に震えながら、ぎこちない笑みを浮かべて、長大な銃剣を取り付けた小銃を抱きしめた。】

「やった……やった。やった……!」

【歓喜に、少女が身悶えする。それに呼応する様に、少女の傍の影が蠢いて、白い腕が出現した。】
【少女の頬に付着した鮮血―――――― それを拭い取らんと白い手が伸びて、擽ったそうに少女が表情を強張らせる。】
【それは一瞬、それが終われば、白い腕は影へと還り。少女はまた、思い出したように笑みを浮かべる。】

「ま、まだ、くっ、く、来るのかな、パパ……わ、わた、私、が、頑張るよ。」

【教会の大きな扉へと目をやって。何処へ也とも分からぬ言葉に、総ての影が蠢いたように見えた。】

/掌さんの方はこちらへ!
251 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 20:02:26.84 ID:wKXNGGDSo
【一人の兵士が、大きな川と対岸を結ぶ橋、その中央に立っていた。】
【ボーラーハットを被り、紅いコートを身に着けて、その右手には巨大な剣が握られていた。】
【街道に突如現れたその人物に、彼等は一瞬だけ面食らった物の、直ぐに冷静を取り戻し、自動小銃の銃口を向けて、言葉を投げ掛ける。】
【武器を捨てて大人しく投降しろ―――――― その言葉に、彼女の握る長大な片刃剣が、ゆっくりと動いた。】
【投降の意か―――――― 一瞬、そう勘違いした兵士の一人の首は、真っ二つに斬り飛ばされていた。】
【引き連れていた巨大なパワードスーツの一機、その両足が、一瞬で切断され、コックピットが刺し貫かれて、崩れ落ちる。】

「―――――― まだだ。」

【袈裟切りに刃を振るってまた一機、更にまた横に一閃してまた一機、正に瞬く間に、理不尽なまでに。】
【人類の英知は、生身の"人間"一人に大して傷一つすら与える事すら許されず、鉄屑と化して大破炎上する。】
【最後に一人だけ残された兵士が、帽子を押し上げた彼女の姿を見た。】
【それは確かに人間だった。同じ人間だった。小細工も何も感じられない、ただの人間だと言うのに――――――】



「……こんな物じゃ、足りない。」

【燃え盛る大きな鉄橋の上で、彼女、エッリ・テア・ハーパライネンは今し方撃破した敵の、余りの手応えの無さに辟易していた。】
【彼女は天才で、故に分かった―――――― あれは勝利の為の一欠けらでは無い。余りにも感覚が"軽過ぎた"。】

【求めるのは―――――― この戦争の勝利と直結する、もっともっと重要な"一欠片"。】

/鳴海さんの方はこちらへ!
252 :エッリ・テア・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 20:03:45.50 ID:wKXNGGDSo
>>249
/間違えました、イルマさん一家って何ですか エヌオーさん達です!申し訳ない……
253 :ヨハネス=アンカー・ラインハルト ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 20:05:32.39 ID:wKXNGGDSo
【其処にいるのは、たった一人だった。】
【強化外装甲を身に着けている訳では無い。何らかの兵器に登場している訳では無い。握る武器は、たった二丁の拳銃だけ。】
【それだと言うのに。国連軍の精鋭は、1と100の圧倒的な戦力差が彼我にはあるとでも言わんばかりに、退却を開始していた。】

【オーバーコートを翻し、疾駆する。】

【右手に握る古めかしい自動拳銃から、馬鹿でかい口径の鉛玉が放たれて、頭部を勢いよく粉砕する。】
【戦車砲が彼へと狙いを定めた。人間一人を屠るには、余りにも過剰な火力でありながら―――――― 彼を屠るには、至らなかった。】
【放たれた砲弾は、彼にとっては余りにも"矮小"過ぎた。】

【左手の拳を振るう。それは戦車砲の横腹を殴りつけた挙げ句、その軌道を直角に捻じ曲げて、民家の一つへと突っ込んだ。】
【地面を思い切り蹴りつけて、一息に戦車へと飛び乗る。徐に左腕を振り上げて、叩き付ける。】
【戦車の複合装甲がまるでビスケットの様に、余りにも易々と破壊され、砲塔が"無理矢理に引き千切られる"。】
【そして、あまつさえその砲塔を"軽々と片手で持ち上げて"、"車体へと叩き付けてその戦車を破壊した"。】

【階級章は"少尉"。Aurigaに在籍していた者ならば、記憶に在るかは兎も角として、見ていた者も少なくは無いだろう。】
【ハンス・バイエルの、副官。そして、紛う事なき、正真正銘の"人外"。】

/鬼城さんの方はこちらへー!
254 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/08/23(土) 20:29:58.86 ID:iEkwh8CAO
>>250

そこまでにすんだな、嬢ちゃん。

【鮮血に濡れた少女に銃弾が飛びそれは少女の頬が微かに当たらないギリギリの位置を通過するだろう。】

仕事だからってこんなガキを[ピーーー]のは流石に気が引けるな。

全くどいつもこいつも餓鬼一人にこんなに去れるとは情けねえ。

【男は教会の天上を破壊し上から降ってくる。マグナムを構えながら着地し、少女の近くまで銃を構えながら近付く。】

旦那が来るまでの足止めなんだが、俺が殺した方が良さそうだ。

旦那だと情が湧きそうだしな。

さぁやろうか、嬢ちゃん。こっからが戦争だぜ。

【タバコを咥えゆっくりと煙を吐きながら戦いの狼煙は上げられた】
255 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/23(土) 20:36:58.39 ID:T9Uap0HK0
>>248
【此処は一回り大きな道路。何時もなら騒がしい程車が行き交う場所である】
【しかし、今は違った。此処で何かが交じり合ったのを示すように広がる景色は異質なものだ】
【まるで別世界を思わせる悲惨な光景に、ツンと鼻を刺激する異臭】
【先ず一般人なら耐えられない場所に迷い込んだのは一人の少女のようで】

うっわ……悲惨なものだな

【月の光が照らす中、一言だけそう言った】

……アレは

【ぐるりと首を回してこの場を見渡してみると。瞳に映ったのは長い黒髪を一つに結った二十代前半の女性】
【その左腕に月光が当てられた時、少女は目を丸く見開いて声を漏らした】
【世界大敵の証。それは確かに女性の左腕に在り、同時にこの惨状の引き金である事を誇示するものだ】
【少女はそれを察すると同時、体から血の気が引いていくのを感じた】
【そんな棒立ちにも近い少女は多分、目立っているため女性にすぐにみつかりそうなものだが】
256 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/23(土) 20:37:17.73 ID:T9Uap0HK0
>>248
【此処は一回り大きな道路。何時もなら騒がしい程車が行き交う場所である】
【しかし、今は違った。此処で何かが交じり合ったのを示すように広がる景色は異質なものだ】
【まるで別世界を思わせる悲惨な光景に、ツンと鼻を刺激する異臭】
【先ず一般人なら耐えられない場所に迷い込んだのは一人の少女のようで】

うっわ……悲惨なものだな

【月の光が照らす中、一言だけそう言った】

……アレは

【ぐるりと首を回してこの場を見渡してみると。瞳に映ったのは長い黒髪を一つに結った二十代前半の女性】
【その左腕に月光が当てられた時、少女は目を丸く見開いて声を漏らした】
【世界大敵の証。それは確かに女性の左腕に在り、同時にこの惨状の引き金である事を誇示するものだ】
【少女はそれを察すると同時、体から血の気が引いていくのを感じた】
【そんな棒立ちにも近い少女は多分、目立っているため女性にすぐにみつかりそうなものだが】
257 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/23(土) 20:38:38.06 ID:T9Uap0HK0
>>255
/こっちはミスです
/すみません
258 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/23(土) 20:39:37.88 ID:2qSs780L0
「ほら、これで食べやすくなった」

『ありがとう、お兄ちゃん』

【本来は、車が通るはずべきの道路】
【だが、今は無数の死体がそこらかしこに転がっていた】
【ひと組の年若い男女はそんな異常な状況の中、ある行為をおこなっていた】

「弾は飲み込まないようにしろよ」

『うん、いただきます』

【少女が行っている行為は食事】
【本来、こんな状況下で行うことではない】
【しかし、それ以上に異常なのは、少女が食べているのが――】

「第四帝國の首を狙ってきて、こんな副産物を得ることになるなんてな。……いい気持ちはしないが」

【人肉だということ】
【それもメープルシロップがたっぷりかかっている】

『うん、そうだね。……でも、これでお兄ちゃんが殺す人が一人減ったと思うと嬉しいよ』

「……そうか。ありがとう」

【少女は人間ではない】
【元は、人間だったが、今は異形の存在であるグールだ】
【そのために、人肉を食べないと生きていけない体となった】

「戦闘になったらシロは物陰にいてくれ。くれぐれも表に出るなよ」

『でも、今は夜だからすぐに回復するよ』

「だとしても、脳を破壊されたら終わりだろ。それに、お前に痛みを味あわせたくない」

『……わかったよ』

【少女の兄である少年は、今彼女のためだけに生きている】
【自らのミスで、妹がグールになってしまったために】

『……死なないで』

「当たり前だ、これでも元プロだからな」

【少年は、Aurigaに所属するために第四帝國の者の首を狙う】
【組織に入ることができれば、人肉をより安全かつ確実に入手できると考えて】

『……お兄ちゃんが死んだら私も死ぬから』

【か細い声は少年には届かなかった』

/投下しました
259 :鬼城 狼侘 ◆LUMFQ0Vuok :2014/08/23(土) 20:39:39.91 ID:iEkwh8CAO
>>253

ほんっっっとに…。だらしねえ。

【退却する国連軍がある男一人の横を通過する。それから物の数秒後。それは黒い電撃を浴び消し炭と化していた】

国連が少しは仕事してくれると思ったらこれだぜ、まぁ所詮烏合の衆ってやつだ。

お前らみたいなもんだよ。

【鋭い眼光と黒く染まった両腕。そこからは黒い電流が流れており、周りの建造物を電撃で破壊しながら相手に近づいて行く】

俺の元上司みてえなもんだろ?裏切り者のラインハルト先輩。

前からお前もハンスバイエルも気に入らなかったんだよ。

偉そうに俺に指示してくるからよ、こっそり殺してやろうと思ったら謀反だとよ。

ほんっっっとに鬱陶しいよ。だから[ピーーー]よ。

【舌打ち混じりで話しかけたと思えば次の瞬間。黒い閃光が辺り一帯に解き放たれ、電撃がラインハルトに向かっていく】
260 :OB-003 『W』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 20:52:26.44 ID:wKXNGGDSo
>>254
「き、き、来た……ね……がんば……ろうね……!!!」

【彼女のその呼びかけに答える様に。周囲の死体の内、彼の足下にいた三人分のそれが、動き出した。】
【発動されたのは、強力な"呪術"。死体操作、所謂ネクロマンシーに近いそれによって、彼等はその敵の動きを妨害せんと、掴みかかる。】
【或いは、爪か、或いは、牙か。死によって外されたリミッターが、強烈な力を発揮し。】

【彼女の手の中には、細長い機械があった。ステンドグラスを透過した月光、照らされるのは小銃と白い腕のエンブレム。】
【手に握る単発式小銃の銃床へと、それが差し込まれる。】


「お父さん――――――!!!」


"GUNGNIR ANSCHLIEsEN"

【直後、発動されるのは。表面に強力な防護術式を混ぜ込んだ、強力な転送魔術。】
【前方へと展開されると、屍を吹き飛ばし、ゆっくりと少女の身体を包み込んでいく。】
【ゴシックロリータから、黒いインナースーツが彼女の体を覆い、その上を装甲と無数の術式が編み込まれていく。】
【北欧風の鎧に、豪奢なドレスを編み込んだような漆黒の機械装甲。胸部には、小銃と白い腕のエンブレムが刻まれる。】
【抱えていた古ぼけた小銃を構える。】

「や、ヤークト……!!」

【そして無数の、其処に斃れる死体達が、呻き声を挙げて、彼へと掴み掛り。】
【その間を正確に縫って、彼女の、小さき狩人の弾丸が放たれる。】
261 :OB-003 『W』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 21:03:42.72 ID:wKXNGGDSo
>>256
「―――――― どうした。迷い込んでしまったか、少女よ。」

【戦場には似合わない、余りにも暢気な声だった。月を見つめる双眸を、ゆっくりと動かせば、そこにいるのは年端も行かぬ少女。】
【随分と蒼い顔をしている―――――― 当然か。世界へ仇成すこの紋章さえ見れば、無理も無い。】
【それが伊達や酔狂でない事は、この場を見れば分かるだろう。けれど彼女は、小さく笑いを浮かべて、彼女へと問うた。】

「君は何故、此処に来た。或いは、本当に迷い込んでしまったのならば。
 君の手を引いて、此処から逃げ出す手伝い位は出来るが……もしも、戦いに来たのならば。」

"MJOLNIR WARTEN"

【左手の内にあった長方形の機械を、ゆっくりと掲げる。刻まれた、騎士と雷撃の紋章を見せ付けるが如く。】
【それを起動させると、彼女の目前に逆鉤十字を中心に配した、転送の魔術が起動され。】
【その中へと、彼が手を差し入れれば。その中から引きずり出すのは、二メートルを優に超える、巨大なハンマーだった。】


「不肖ながら、この私が―――――― お相手しよう。」

【右手に握るハンマーの頭部が、アスファルトを砕いた。】
262 :ラーク・テオ・ルーベルト ◆LUMFQ0Vuok :2014/08/23(土) 21:06:35.77 ID:iEkwh8CAO
>>260

おいおい、なんだこりゃ。

【ゾンビを連想させるように死体の筈だった人間が彼に牙を向く。その死体のマグナムを向け、ゆっくりと引き金を引こうとするが…。】

ちっ…!!

【襲ってくる死体は一人ではない。もう片方の腕で純白の日本刀を取り出し、死体を真っ二つに切り裂こうとした。それと同時にマグナムの引き金を引く】

この人数はマズイか….!!

『爆星』!!!

【フックショットを取り出し、教会の上の階まで鍵爪を飛ばし、引っ掛けると一時自分の居た場所から退避した。自分の居た場所を見ると退去として押し寄せて来た死体がぶつかり合っている】

危ない所だった、良くあるゾンビ映画になる所だったぜ。

…掠ってたか。

【首元を見ると血が垂れている。どうやら敵の攻撃が何処かに掠ったようだった。】

…おっと!!

【隙間を通り抜けて自身を狙う殺気に気付いた彼は襲ってくる銃弾に自身のマグナム弾を当てて相殺させるという人間離れした技を持ってして防御した】

今度のはただの弾じゃねえぞ?

【彼女に目掛け、マグナム弾を3発放つ。男はそれらに魔翌力を付与させ、放つ。】

【爆発性能を持ったマグナム弾は何かに着弾した瞬間にそこを爆発させる能力を持っていた】
263 :OB-004 『B』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 21:15:45.17 ID:wKXNGGDSo
>>258
「悪趣味だなぁ、そーゆーの。」

" 『TATHLUM』 WARTEN "

【死体を喰らうなんて、何処かのパニックホラー映画でしか見た事ないなぁ、何て軽い事を考えながら、彼女は道路の中央を堂々と渡り、現れる。】
【フライトジャケットを身に纏った、何処か飄々とした背の低い少女……だが、その惨劇の渦中に、普通の少女が、現れる訳も無い。】
【左腕には腕章が取り付けられていた。第四帝國の証、世界への宣戦布告の証、逆鉤十字の、腕章が。】
【そしてその右手に握り、担ぐのは。余りにも巨大な、六つの砲身のガトリングガンを、更に六つ束ねた、規格外の兵器。】

「まぁ、ゾンビゲームみたいで悪くないかもしんないけどな。」

【その銃口が、ガチャリと言う音を立てて、彼女達へと向けられる。】
【にひひ、何て笑いと共に。随分と気軽に、此れから人を殺すなんてこと、一切頭の中に無い様な、そんな気軽さで。】
【左手には、火蜥蜴をモチーフとしたエンブレムが刻まれた、漆黒の長方形の機械が握られていて。】

「それじゃあ、さようならっと。」

【その六つの砲身が、轟音と共に彼等へと鉛玉を吐き散らした。】
264 :ヨハネス=アンカー・ラインハルト ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 21:30:52.92 ID:wKXNGGDSo
>>259
>>259
【Aurigaという、様々な思想が綯い交ぜになった混沌において。例えば彼に様に、誰かの暗殺を試みる人間も少なくない。】
【ハンス・バイエルは、唯の魔術師でしか無い。それも大した出力を発動する事も出来ない、低ランクの魔術師だ。】
【それを、他の誰もが暗殺する事が出来なかったのは―――――― ヨハネス=アンカー・ラインハルトの存在だった。】

【飛来する雷撃を、彼は"握り潰した"。】
【不定形で在る筈の異能力の雷に"干渉"し、それを雑作も無く破壊して見せたのだ。】


「……―――――――――誰だ、貴様。」


【暫しの無言の後、吐き出された呪詛に対して、全く身に覚えが無いと、どころか……彼の存在すら知らなかったと、言ってのけた。】
【だが、ヨハネス=アンカー・ラインハルトの任は変わらない……ハンス・バイエルを、自分を殺そうと言うのならば。】
【退けるまで。】

「―――――――――……。」

【その瞬間。彼の右眼から、"殺気"に近い何かが、周囲一帯へと"叩き付けられるように"発せられた。】

【例えば、蛇に睨まれた、という言葉がある。恐怖に慄いた小動物が、身動きすら取れなくなる様の事を指すが―――――。】
【彼はこれを、人間に対してやってみせる。】
【対峙する彼へと。常人ならば立ち竦むどころか、足の力が抜けて、その場に崩れ落ちるような、"捕食者の恐怖"を見せ付けて。】

【一発。古ぼけた拳銃の引き金が引かれた。】
265 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/23(土) 21:35:25.31 ID:T9Uap0HK0
>>261
【戦慄、焦燥。そんな感情を浮かべる少女に投げ掛けられたのは小さな笑みと問いである】
【そんな女性と目があった瞬間ひっと呻いて視線を逸らすが、やがてゆっくり顔を見つめ返し、こう言葉を発した】

た、戦いにねぇ。迷い込んだのは事実だわ
でも手を引かれる年ではないわね。って言うか貴女は戦う気まんまんじゃない

【こんな憎まれ口だった】
【迷い込んだのは事実のようではあるが……】

【見せつけるようにして起動させる長方形の機械は、女性の眼前に逆鈎十字を中心とした転送魔術を起動させた】
【一連の動作を見ていた少女は女性の武器を目にして感嘆をあげる】
【巨大なハンマーの成せる破壊力を同時に試したくもなる。そんな浅い欲望からか】

お相手、願おうかしらね

【安易に戦いを望んでしまったのかも知れない】
【ゆっくりと、何かを手繰り寄せるかのように空間を“掴む”】
【そこから、ソレを引き吊りだすような感覚を以て右手を突き出す。そうすれば何も持っていなかった少女の右手に大型の光輝く剣が握られた】
【決断は下されたようである】
266 :ヨハネス=アンカー・ラインハルト ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 21:46:32.57 ID:wKXNGGDSo
>>262
「……え……。」

【三つの銃弾が、彼女の身に纏う漆黒の鎧へと叩き付けられ、そしてインパクトの瞬間に小爆発を起こす。】
【衝撃に制動を奪われたかのように、彼女の身体が揺らされて――――けれど、彼女が膝をつく事は無かった。】
【身体能力、能力強度、そう言う物の片鱗では断じてなく。彼女の鎧自体の防御能力が、彼女をそうさせた。】

「な、なんて……。」

【またぎこちなく笑って、彼女がフックショットを用いて退避した彼の姿へと手を翳す。】
【そうすれば。フックショットの鉤爪が放たれた部分から、大量の"白い腕"が湧き上がり、それを微動だにせぬよう掴み。】
【また、彼自身も。其処から移動せぬように、拘束せんと無数の白い腕が襲い掛かり。】


「や、やーくと、やーくと、ヤークト……!!」

【そして空中に、数本の腕が出現し。彼女はそれを踏み台に、彼の下へと疾駆した。】
【一つ蹴り飛ばし、その次の腕へ、それを蹴り飛ばして、彼の下へと辿り着けば―――――― 小銃の先に備えられる、長大な銃剣を振るう。】

【そしてそれに指先一つでも触れれば。傷一つ受ける事は無くとも、強烈な激痛が身体に奔る。】
267 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 22:04:35.47 ID:wKXNGGDSo
>>265
【少女は。自分と目を合わせて、呻き声を挙げるような、弱弱しい、か弱い少女かと思えば――― 憎まれ口を叩く様な、よく分からない人間だった。】
【けれど少なくとも、この場から逃げ出したい、と願う"タイプ"の人間だったようで……小さな笑いを浮かべたまま。】
【彼女が取り出した光り輝く剣を見据え、小さく頷き。】

「兵器の最上の歓喜とは―――――― そう言う事だ。
 ……行こう、父上。」

"MJOLNIR ANSCHLIEsEN"

【巨大なハンマーを悠々と持ち上げて、左手に握った長方形の機械を、頭部へと装填する。】
【直後、展開されるのは高度な防護術式を織り交ぜた転送魔術の陣。それが、彼女の身体を、ゆっくりと通り抜けていく。】
【純白の衣装が、黒いインナースーツへと変換され、その身体に機械装甲が追加されていく。】
【西洋における、所謂騎士(ナイト)の着込むそれを思わせるような、純白の機械装甲が、彼女の腕、足、身体を覆っていく。】
【背には、巨大な逆鉤十字を誂えた袖無外套。そしてその右胸部には、騎士と雷撃をモチーフとしたエンブレムが施されていて。】

【正しく、白騎士の如き鎧を纏い彼女へと相対する。】


「私は。去り行く者へのせめてもの礼儀として、全力を以って立ち向かおう。
 私は。朽ち果てる自らへの手向けとして、全力を以って立ち向かおう。
 故に君もまた。全力を以ってして私と打ち合う事を所望する。
 さぁ、来るがいい。我等はあの輝き続ける月の如く、永遠ではいられないのだから。」
268 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/23(土) 22:11:32.90 ID:2qSs780L0
>>263

「シロ」

『……うん』

【二人は『獣の目』と呼ばれる能力を持つ】
【そのため、野生動物並みの視力と動体視力を生まれつき持っている】
【〈獣の目〉により、こちらへ銃口を向ける少女の存在にいち早く気づいた二人は、すぐに戦闘態勢に入った】
【シロは物陰に隠れ、クロはベルトに差し込んだナイフ〈夜闇〉を引き抜いた】

「……改造したミニガンか、厄介だな」

【厄介】
【少年ことクロが、敵をそう評した理由は、異形の武装と当たり前のように少女がそれを持っていること――に対してではない】

(重火器を相手にするのは慣れてないんだ……)

【慣れてない】
【ただそれだけの理由】

(手元を見ていればなんとか対応できるか)

【圧倒的な驚異とも言える武装に抱くのはどう攻略するかという思考のみ】
【恐怖等の感情は一切含まれていない】

(躱してから目を狙う)

【少女の手元が動ごうとした瞬間に、クロは行動を始めた】
【これだけ、早く対応できたのは、〈獣の目〉とクロの長年の経験によるものだ】
【常人離れした脚力で、路上を右斜め方向に駆ける】
【先程までいた場所を、無数の銃弾が通り抜けていく】
【クロは、焦る様子もなく、落ちていた小ぶりのナイフを拾った】
【すぐに、少女の目を狙い投擲する】
【投擲の訓練をこなしていたためクロの腕はいい】
【百発百中とまではいかないがそれなりの命中率を誇る】
【速度も中々だ、直撃すればひとたまりもないだろう】
269 :鬼城 狼侘 ◆LUMFQ0Vuok :2014/08/23(土) 22:23:50.73 ID:QgbwbbNE0
>>264

殺し屋だよ。

【放った電撃をいとも簡単に破壊されたのを見るとニヤリと笑い歩みを進める。】

おーおー、やってくれるね。まぁこの程度でやられても拍子抜けだわ。

【その瞬間に、寒気にも似た途轍もない殺気に触れる。一瞬歩みが止まり身体がぶれる。】

…良い殺気だな。悪いが殺気なんてのは俺に取って子守唄にも満たねえよ。

【とは言ったが冷汗が垂れる。ここまでの殺気を出せる人間には中々出会えない。それだけでも相手の力量が伺える】

そんな玩具でよ、俺を殺せると思うか?

【硬化した腕で弾丸を簡単に弾き飛ばした。そして再び歩みを進める】

俺の殺気も見せてやるよ。

「雷獄ノ暴打」

【ラインハルトに目掛け、勢い良く殴りかかる。硬化し、怪力を得た腕に黒い電撃を纏って放ったパンチは途轍もない破壊力と殺気を纏いながらラインハルトへと向かっていく】
270 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/23(土) 22:45:23.70 ID:T9Uap0HK0
>>267
【兵器の最上の歓喜。頷いてそれを呟いて、左手に握られた長方形の機械を頭部に】
【そうして展開された転送魔術の陣が、ゆっくりと女性を通過していく】
【そこに現れたのは漆黒のインナースーツに純白の機械装甲を纏った、白騎士】
【西洋に在る騎士の如く女性と、相対するは……】

全力でね。了解したわ
さあさあ出番よ、〈滅亡天使(エヘイエー)〉!

【少女もそれに応えるように真っ直ぐ突き出すその剣。刹那】
【吹き上がる烈風と共に淡い光で身体が覆われ、光は次第に実体を帯びだしていく】
【肩を覆う紫紺の甲冑に胸部を守護する白銀の胸パッド。淡い桃色に彩られた光のスカートが纏われ、最後に手の甲を護る黒の装甲と膝から下を覆う鎧が顕現する】
【その容貌は正しく騎士(ナイト)のそれ】

【相対するは、そんな一人の騎士だ】

【手に握られた剣は呼応するように輝きを増し、少女の持てる力が白騎士の前に顕現する。と同時】
【人とは許容出来ないくらいの速度を以て一歩足を進めた少女は、たったそれだけの動作のみで肉薄を試みていた】
【女性の力を見ていないが故に無謀にもとれるその開戦の狼煙は、吉なのかはたまた凶となるか】
271 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 22:45:30.41 ID:wKXNGGDSo
>>268
「あー、もしかして……。」

【眉を顰める。本来ならばこれで終了だった。ハッキリ言ってこの兵器は、常人に対応できるように出来てはいない。】
【"普通の武器"では無いのだ―――――― 銃器としても、その他の性能としても。直感的に分かった。これは長引きそうだ、と。】
【この投擲されたナイフが、その証拠だ。】
【ならばと、彼女は両足に力を籠めて―――――― 両腕を振り上げて、その六連装ガトリング砲を握ったまま。】
【両足と片腕だけを用いて、バックハンドスプリングを披露し、それによって投擲されたナイフを披露した。】

【人間離れした身体能力。そして彼女は事実、"人間では無い"。】

【人外を屠るのに、人外を用いる――――――実に合理的だな、何てまた暢気に余計な事を考える。】

「結構手間かかる感じの奴かぁー、外れ引いちゃったなー。」

" 『TATHLUM』 ANSCHLIEsEN "

【心底残念そうに。ガックリと肩を落としながら、左手に握る長方形の機械を、ガトリング砲の柄へと装填する。】
【その瞬間、発動するのは防護術式を織り込んだ転送魔術。それが前方へと展開されて彼女の身体を潜り抜けていく。】
【身に纏っていた衣服が、黒のインナースーツへと変換され、赤色の鎧の如く機械装甲が、彼女の身体を覆っていく。】
【フルプレートメイルの如く出で立ちの鎧を身に纏い、その胸部に刻まれるのは、火蜥蜴を模したエンブレム。】

「まっ、死ぬほど使いにくかった"こいつ"の改良後初実戦!には、丁度良いかな。」

【鎧騎士の如く出で立ちへと変化した彼女が、その指を弾くと、甲高い音と共に銃身の先が魔方陣にて覆われる。】
【六連装のガトリング砲―――――― それが取り外され、再度取り付けられたのは、三つの、非常に直径の拾い、短い砲身。】
【対象は隠れた彼女―――――― 物陰に隠れた、少女。】


「あたしと対峙してさー、そんなの許される訳ないんだよな。てことで、初回サービスだ!!!」


【放たれるのは、大型の"迫撃砲弾、榴弾"。まるで雨霰か、湯水かの如く、ばら撒かれる。】
【無論、連射速度こそ劣る物のその対物火力は桁違い。隠れた物陰ごと、"小細工ごと吹き飛ばさんと"放たれる。】
272 :ヨハネス=アンカー・ラインハルト  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 22:58:23.26 ID:wKXNGGDSo
>>269
【銃弾が弾き返されたことに、彼は感情の欠片もその表情に見せず、その銃をホルスターの中へと納めた。】
【それと対峙するならば、素手で退治する方が早い――――――"雑魚散らし"の道具を使っていては、少し手間がかかる、と。】
【歩み寄る彼に対して、ヨハネス=アンカー・ラインハルトは、瞬き一つせず、身動ぎの一つも無く、彼を見据え続けていた。】
【余りにも無感動だった――― 仮にも命のやり取りをしているような人間とは、到底思えない程に。】

「………。」

【其処から放たれる拳を回避するのは、彼にとって余りにも容易かった。】

【右方へと重心を偏らせることで、僅かな動きによってその拳を回避、その腕を脇に抱える様に封じんと掴み掛かる。】
【右腕の動きを封じるべく、そして自分から離れる事が無いよう―――――― その力は、簡単に言ってしまえば遥かに人間の力を逸脱していた。】
【或いは、それだけで常人の腕などへし折れてしまえるほどに―――――― そして其処から更に一歩、右足を踏み出し、懐へと入る。】
【踏み出されたそれから繰り出されるのは、右拳によって放たれる拳撃。だが、先の戦闘を見ていたのならば、分かる筈だ。】

【彼は、"戦車の複合装甲を易々と引き裂くほどの"力を持っている。】
【それを只一点に、拳一つに集中させたとすれば――――― 其処に発生するのは、"人間"にとって、途方も無い威力の衝撃。】
273 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/23(土) 23:11:20.62 ID:wKXNGGDSo
>>270
【白騎士の如く機械装甲を纏う彼女に相対するは、同じく騎士の如く出で立ちの少女。】
【ちょっとした、余りにも些細な神のいたずらなのだろうか――――― 本当に些細でありながら、彼女は運命を感じずにはいられなかった。】
【或いは――― どちらかへの、その先にある死に対する、神様の余りにもふざけたプレゼントなのだろうか。】

「―――――― 面白い物だな。だが。」

【少女の実力は垣間見ていない――― それはお互いに同じ。だが、その肉薄の動作は、人外の域へと達していると言っても過言では無い。】
【それが彼女の能力か、将又彼女自身の能力かは不明だが―――――― それは、余りにも迂闊過ぎた。】
【ハンマーを握る彼女の腕に、力が籠もる。】

「迂闊だなッ!!少女!!!!」

【その踏み込みに合わせて。彼女の接近に合わせて―――――― 彼女は、両腕に握る長大なハンマーを振るった。】
【それは、そのまま真正面から接近すると言うのならば、彼女の横腹へと、凄まじい力によって振るわれたハンマーの頭部が叩き付けられる事に他ならない。】
【例えば戦車を破壊する、と言う所業は。例えば、たった一人で此処に来る者を総て破砕する、という物は"只の人間ならば"不可能だ。】
【だが――――― 彼女が人外の速度を持つと言うのならば、彼女は。】

【人外其の物だ。】

【天然の、何らかの亜人種では断じてない。例えば人間の突然変異種化と言えば、そうでは無い。】
【ただ純粋に。逆鉤十字が、悲願を果たすべく、ただ敵を討ち果たさんが為に作られた完全戦闘特化アンドロイド――――――それが、彼女だ。】
【並の人間ならば、直撃すれば血霧と化して消える一撃、それによって爆風が伴う程の力――― 彼女は、どう出るか。】
274 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/23(土) 23:47:11.04 ID:2qSs780L0
>>271
「クロ視点」


(こいつ、できる……!)

【見事にナイフを躱した少女にクロは警戒心を高める】
【ただの力馬鹿ではないらしいと】

(長引かせるのは得策じゃない)

【クロは独特な走り方で少女に近づく】
【その間に、彼女は赤い鎧を身に纏う】

(あれは、確か機械装甲……。面倒なことになってきた)

【事前に仕入れた情報にあったものに憂鬱する】
【憂鬱が激情に変わったのは直後だった】

(砲身が変わった?で、あの方向は……。まさか!)

【クロは気づいた、銃口が妹であるシロに向けられていることに】
【瞬間、クロの脚力が急激に高まった】
【一刻でも早く少女に近づこうと】
【変化があったのは、〈夜闇〉もだ】
【〈夜闇〉は、形状や質量を変えるという力を持つ】
【今も、それが発動したが、普段とは変化する速度が段違いだった】
【まるで、クロの心に影響を受けているかのように】

「させるか!!」

【膨れ上がった〈夜闇〉は、巨大で歪なハンマーと化していた】
【それを少女の武装に向け叩きつけようとする】
【皮肉にも、榴弾が発せられた直後に】


『シロ視点』

(逃げなきゃ……!)

【シロもクロと同じく〈獣の目〉を持っている】
【だが、昔から病弱だったため、訓練を受けておらず戦闘能力は皆無に近い】
【そんなシロには、人よりほんの少しだけ早く、銃口が向けられていることを察し、逃げることが限界だった】

(くる……!)

【榴弾が向かってくるのが人よりゆっくり感じる】
【〈獣の目〉は、シロに非情な時間を与えた】

(せめて、頭だけは)

【シロが頭を腕で覆うのと、最初の榴弾が近くに着弾したのは同時だった】
【その後も次々と、榴弾が何もかを壊していく】
【この世の地獄とも言える中、たった一つ残ったものがあった】
【それは――】

『良かった……』

【全身ズタボロになったシロだった】
【頭部以外のあらゆる部分から、血が噴き出し、抉れている箇所も多数ある】
【常人なら確実に死んでいるだろうが、グールである彼女はなんとか一命を取り留めた】
【しかし、損傷がひどすぎて、体を動かすことはできない】
【このままだと、今度こそ榴弾の餌食となって二度目の死を迎えることになるだろう】
275 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/24(日) 00:17:45.57 ID:py3y6GMh0
>>273
【似た出で立ちの者同士。知らず知らずの内に運命は二人を引き合わせたのだろうか】
【それとも本当に偶然の産物なのだろうかは解り得ないが、言えることは一つ。それは両者が並ならぬ力を持つ者だと言うことだ】

しまっ、くぅ……ガぁっ

【“人外其の物”である女性の、長大過ぎるハンマーが猛威を振るい、少女に直撃を果たした】
【苦悶の声をあげて吹き飛ばされる少女は、“本来ならば粉々に潰れているだろう”。しかしそれは“本来”の話である】
【英霊の与える霊力で出来た武装品は人外の力を与える物だ。ただの光に見える輝きは霊力である。それは一種の障壁にもなり同時に牙にもなる力】
【戦闘のみを高見としたアンドロイドには勝るとも劣らない十分な力を与えてくれるのだ。故に少女は起きあがる】
【無傷とは言わないが物の、致命傷には程遠い】

甘く見たわね貴女。次は私かしら、ね!!

【そして再び肉薄を試みて、駆ける】
276 :OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 00:21:44.82 ID:93LoLsplo
>>274
「はっははー!どうしたどうしたー?立ち向かわなきゃ死んじまうぜー?」

【ばら撒かれる榴弾の爆発に、非常に気分よく。無力な人間を屈服させることに、不健全な充足を感じた。】
【あと少し。あと少しで、先ずは一人と言うべきところで―――――― 連装榴弾砲に対して、直接衝撃が叩き込まれた。】

「ちっ、"やっぱり"か……!!」

【視線を滑らせれば、先の少年―――――― 少し女に気を取られ過ぎていたかと、少女は軽く舌打ちをした。】
【其の手に握るのは歪なハンマー、こんな物を持っていた素振りは先程は見せていなかった――――――故に、異能力者。】
【創造系の能力か。だが、それとも少し違うような気はする。論理的な物では無く、"直感的"な物だが。】
【兎も角。それによる障害は、銃口が逸れただけ―――――― ≪機界武装≫たるその兵器には、確たるダメージには問題は無い。】
【運用継続は可能とデータが脳内に広がる。】

「羨ましいなぁ、友情ごっこだか家族愛ごっこだか何だか知らないけどさ!!」

【魔方陣が、三連装擲弾砲の銃身を包み込んだ――――――― 再度の銃身の換装。】
【再度の交換によって取り付けられたのは、三つの巨大なチェーンソーが束ねられた、銃身と言うよりは、"剣身"だった。】
【爆音と共に、甲高い音を立ててそれが起動状態に入る。】
【先程の女について、少しだけ頭を過ぎったが―――――― 彼女は、恐らくは死にかけだろうと断定し、取り敢えずは目前の少年に対応する事に決める。】

「でもまぁ、殴り合いが好きなら、付き合ってやるよ!!」

【少女から見て、左斜め下から、右上にかけて、過剰なまでの刃を連ねた機械鋸を振るって、彼を屠らんとした。】
277 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 00:34:51.16 ID:93LoLsplo
>>275

「――――――中々。固いようだ、な。」

【人外の力を以ってして振るわれたハンマーは、確かに直撃を以ってして少女を屠らんと試みた、筈だ。】
【事実少女は吹き飛ばされて、苦悶の声を挙げている。それを成し遂げる事が出来たのは、恐らく少女の身に纏う鎧による物。】
【≪真界武装≫か―――――― 彼女の"機能"が解析を試みるが、分かった事は、真界武装に近い"何か"という一点のみだった。】
【唯では終われない相手―――――― 兵器として以上に、彼女自身の心が、その事実に湧き上がった。】

「実に楽しいじゃないか、少女。願わくば――――――いや、そんな事はどうでもいい。
 そう簡単には通しはしないぞ!」

【再び肉薄を仕掛ける彼女。それに対して、彼女はそのハンマーを上方へと突き上げた。】
【出現するのは、"雷撃"。ミョルニル―――――― 雷神の名を冠するその大槌に搭載された、一つの異能の力。】

「そんな事をすれば、私に敗れた者達に面目が立たないのでな!」

【無数の雷撃が頭上から湧き上がり、雷撃のカーテンとも言うべき弾幕が形成され―――――― それを避けきれた者のみが。】
【彼女への攻撃を許される。】
278 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/24(日) 01:26:24.12 ID:py3y6GMh0
>>277
【鎧や剣に纏われている淡い光の輝きこそが強みであり。それを多種多彩に変容させられるからこそ力】
【〈真界武装〉の類に間違いはないが少女は異端であり、その力は〈臨界武装〉と呼ばれている】
【神などの力を借りるのではなくいわば、ifの世界に於ける自分をこちら側に引っ張りだしているという表現の方が適切である】

簡単に通せたならそれまでだったってだけよ
貴女がどれほどかなんて知らないけれど、面目が立たないならせいぜいふんばる事ね

【肉薄を試みる手前それは障害となった】
【女性の手に持つ槌が天高く掲げ上げられた瞬間、空気のプラズマが動きを開始してそれは飛び交う】
【雷撃だ。それも無数の、いわばカーテンの様な弾幕で以て降り注いできたのだ】
【急な攻撃に気付いた少女が手を突き出すと同時】
【少女を覆う円筒の防御障壁が霊力によって編まれ、迫る雷撃を防いだ。しかし防御障壁の維持により足が止まる】
【どうやらまたも阻まれたようだ。何とも悔しい限りである】
【少女は障壁の内部でギリッと奥歯を噛んだ】
279 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/24(日) 05:13:58.13 ID:paclI72Eo
>>246
んー……何処から説明したもんかにゃ〜……

【呑気な調子でしばし思案すると口を開く】

私、黒乃空は堕天使で天界っつーの?そこから堕とされました
でもって記憶封鎖の為に蒼乃空って人格ができました
でもひょんなことから黒乃空としての人格が表に出ることもできるようになりました。ってまでが一つ

【君達は何なんだ、という問いに対しての回答】
【堕天使であること、多重人格であること、その二つを回答として提示して】

二つ目、蒼乃空は人を殺すことになった
それは自分が、大切な仲間が殺されそうになったから
でもそれは自分の描いた理想とは正反対の行為

【そこで一度言葉を切ると、にへらと笑いながら】

まー、あとはわかるでしょ?矛盾してるのよ"表の"は
だから殺しなんて私がやるってのにさ……

【少しだけ哀しそうな目をしながらそうつぶやいて】

っと、そろそろ時間かにゃ〜
私は用事あるけどもまだ何かある?聞きたいこととかさ

【大きく伸びをしながら立ち上がると問いかけた】
280 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/24(日) 05:14:41.40 ID:paclI72Eo
>>249
あ゛ぁ゛!?知るかよ!俺らの部隊は俺らのやり方で彼奴の首取らせてもらうぜ?

【運転席から檄が飛ぶ一台の装甲車両、向かう先は最前線へ乗員四名の遊撃隊は駆け抜ける】

フィア、敵は?
〈反応をキャッチ、敵は単騎で……今しがた一つの部隊の反応をロストした〉
了解、そいつから行く。愛姫?
「なぁに?えぬおー?」
…………空の調子はどうだ?
「んー……まだ、ふさぎこんでる…………かな?」
まあ、仕方ねえか……っと、これが衛星写真か?彼奴は……

【白色の機甲兵、その姿は彼女には見覚えがあると】
【装甲車両の上部ハッチを跳ね上げて、同じく狂った白衣の天使ーーー堕天使は舞い上がる】

『イルマちゃん…………!』
(ちょ、ちょっと表の!)
『黙って』
(ふええ……エヌオーぉ……表のが怖いよお……)
っのバカ!クソっ!そいつまで飛ばすぞ!揺れるから舌噛むなよ!

【真っ先にイルマが、空が、見つけるのはお互いに懐かしい顔だろう】
【そして別れを決意した相手でもあり、空にとっては一つの苦い思い出の原因】

『イルマちゃああああああああん!!!!!!!』

【怒り、哀しみ、困惑と諦め、それら様々な感情がないまぜにしながらその名を叫び】
【剣を生成し、急降下による奇襲の一撃を叩き込む】
281 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/24(日) 05:35:41.79 ID:py3y6GMh0
>>279
要点を整理すると、黒が本来の人格で蒼が裏
今は訳ありで両存状態……であってるかな?

【呑気な調子で逡巡を見せて、多重人格である事と墜ちた天使である事が語られて】
【にへらと笑みを浮かべながら少しの哀しさを瞳に宿して、静かに呟いた】

ああ。聞く話によれば助ける為に殺したのは例え助けるためだとしても自分の理に反した行為だった
だからあんなになっちまったんだな?
そして黒。君は蒼を楽にしてやりたいから、そう言うんだろ? 当たってたら助けてやって欲しい
天使、を。蒼の精神を。君にしかそれは出来ないと思う

【そんな彼女に、天使に、一体何を感じたのだろうか。何を思ったのだろうか】
【気付けば天井を見つめてそんな言葉を紡いでいた。本当に何を思ってそう言ったのだろう。自分でも解らない】

聴きたいことはないけど、強いて言わせて貰うならその用事、“殺す”事なのか?

【ぐっ〜と伸びをしながら立ち上がる黒乃空を一瞥してそう言葉を投げかける】
【どうこう言い出すつもりは無いけれど、聴いておきたいことではあった】
282 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 13:27:40.73 ID:93LoLsplo
>>278
「どうした、少女。」

【掲げたハンマーを下ろすと、雷の防壁が消滅し、鈍い音共にアスファルトが砕かれる。】
【雷撃自体は少女の纏う"真界"似た何か、その霊力の類によって防がれたようだが、その影響か、少女はその場に足を止める事になる。】

「大口を叩く割には、中々辿りつけないな?遠慮する事は無いぞ。私の首はここにある。」

【拍子抜けだと言いたげに。左手の親指をとんとんと、彼女へと見せつける様に首筋を当てる。】
【その自信は一体何処から来る物か、自らの実力か―――――― それともその武装の能力を、自分の実力と過信しているか。】
【そうでは無いと思いたいが、もしもそうならば、拍子抜けだ。】
【先の対峙、臆せず自分へと立ち向かった騎士はまやかしだったか。心躍った自分は何だったのかとすら思えてしまう。】
【故に。】

「受け身ばかりもつまらん。今度は私から行かせてもらうぞ。」

【追い詰めよう。追い詰めて、追い詰めて、それでもそうならば、彼女は所詮"その程度"だったと言う事、自分の見間違えだと言う事。】
【自分の死に場所には成り得ないと言う事。それでもしも、彼女が強力な力を発揮する事が出来たのならば、それでいい。】
【三歩。彼女とは相反する様に、歩む。右手に握られたハンマーが引きずられ、アスファルトの道路を砕きながら彼女へと随伴する。】
【そして、其処からハンマーを振り上げ、急速な接近と共に彼女へと接近する。】


「はァァああ!!!」


【そして前方への踏み込みと共に、一気に距離を詰め、大上段より、大槌が振り下ろされる。】
【複合装甲を玩具の様に破壊する怪力―――――― そして彼女の身に纏うそれは、"偽界"の更に亜種、電子化した魂を以って稼働する"機界武装"。】
【攻撃力は十二分以上。】
283 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 13:48:28.14 ID:93LoLsplo
>>280

【そして前方への踏み込みと共に、一気に距離を詰め、大上段より、大槌が振り下ろされる。】
【複合装甲を玩具の様に破壊する怪力―――――― そして彼女の身に纏うそれは、"偽界"の更に亜種、電子化した魂を以って稼働する"機界武装"。】
【攻撃力は、十二分以上。】
【反応は一つに固まって移動。恐らく一つの車両らしきものに同乗しているのだろう、人間にしては速度が速い。】
【恐らく向こう側も探知したのだろう。此方へと方向転換、国連かAurigaかは知らないが――― どの道、殺すだけだ。】
【カメラ・アイに入り込み、無数の情報処理の後に映し出されるのは四人分の熱量が搭載された装甲車両。】
【内、一つが。】



「―――――― 蒼乃空ァぁああああアア!!!!」

【急降下する"天使"の剣へと、人工天使の剣が迎え撃ち、甲高い音を立てる。】
【火花を散らしながら拮抗する刃の向こう側、其処に映る見覚えのある彼女の姿に、前進が沸騰する様に熱くなるのを感じる。】
【視界の端の身体状況を表す表示が急速な体温上昇を知らせるのを無視して、カメラ・アイの向こう側からそれを睨んだ。】
【自然と笑みが零れる程に、興奮していた。】


「ああ、会いたかった、会いたかったよ蒼乃空さん!私、ずっと心残りだったんです!
 あの時再会した時からずっとずぅっと!ねぇ、空さん!!私ずっと想ってたんですよ!!」

【機械装甲の左腕が、彼女へと向けられた。其処に五指は存在せず、存在するのは大口径機関砲の銃口が一つ。】
【ぽっかりと穴の空いたそれを、制動装置が微調整を施し、彼女へとロックオン表示と残弾数、銃身状態を表示する。】
【混じり合うお互いの刃の向こう側より。】


「真っ二つに割ってみたいって!!」


【トリガーが引かれ、無数の弾丸がばら撒かれる。】
【この兵器には、リミッターという物が存在する。内部の人間に対する安全性を保つ為、幾つかの機能にそれがかけられている、が。】
【人体限界、機体限界。力の限界点、魔力生成の限界点等。機体及び彼女自身に作動する筈のリミッターが、完全に解除されているが故。】
【遥か人外にすら到達するまでの。圧倒的な怪力を以ってして。握る刃に更に力を籠める事で、拮抗状態のそれを無理矢理に振り抜こうと試みる。】
284 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage]:2014/08/24(日) 13:53:39.91 ID:LsrMM4MGo
>>251
【炎上する命を挟んで向かい側。鉄橋上を遅々と進む『影』があった】

【風に揺らぐ炎に赤々と照らし出されたのは、若干の和装が混じった白と黒のスーツを纏う青年を照らし出す】

【喪服然としたそのスーツは光源により橙色に染まっており、しかし、虹色の瞳は宙に焼き付いているかのように欠片も陰る事はない】

【炎の内に転がる死者に、青年は一瞬だけ目を伏せかけるも赤いコートの剣士から視線は外さない】
【その一瞬が命取りになるのは、彼自身がよく理解していた】


「……久しぶりです、エッリさん。貴女を知りに、殺(と)めに来ました」

【右腕の袖から血液と同色の流動体が、溢れ、質量を確保すると同時に硬質化】
【包丁の刃をそのまま巨大化させたような形を成す】

【ーー背負う覚悟、復讐に踏み潰される覚悟は決まった】

「貴女を、教えてください」
【真顔で言葉を吐きながら右腕の刃を向け、意識を切り替える】
【全てを記憶に焼き付けるために。目の前の相手を殺めるためにーー】
285 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/24(日) 14:15:59.48 ID:pNg8xPk80
>>276

「あ、ああああああ……!」

【クロの視線は、先程までシロがいた場所に向けられていた】
【放心した様子で】
【クロが冷静だったら、グールであるシロなら榴弾を喰らっても、なんとか生き残れると考えることができる】
【しかし、今の彼にはそんな余裕はなかった】

「……す…!ぶす…!つぶす…!潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す!!」

【怒りだけがクロを動かした】
【両目は赤く光り、〈夜闇〉はさらなる膨張を始めた】

「よくも、妹を……!!」

【少女の武装が剣身に変わったことを、クロは気にもかけず突っ込んだ】
【かといって、ただ無闇矢鱈に行動したわけではない】
【長年、実戦と訓練を重ねてきたクロの体は、攻撃に対し勝手に対処をしていた】
【アッパーのように繰り出された機械鋸を、少女から見て左側に移動することで躱す】
【〈獣の目〉と鍛えられた肉体があったからこそできたことだ】

「……!」

【さらに巨大となった〈夜闇〉は、クロの右腕に纏わり付いていた】
【先程のようなハンマーではなく、鋭い大剣となって】
【クロは、右横に伸びた〈夜闇〉で少女を切りつけようとする】
【肘打ちに近い動作で】
【月光に照らされながら】
【大剣を扱っていると思えないほど、クロは軽やかかつ滑らかに動いている】
【そのため、〈夜闇〉の速度はかなりのものだ】
286 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/24(日) 14:58:43.60 ID:py3y6GMh0
>>282
【雷撃と障壁がぶつかり激しい衝撃波が飛び、数瞬】
【ハンマーが下ろされると同時それはピタリと唸りを止めた。それと合わせるタイミングで障壁は消滅する】
【悔しい。非常に悔しくまた憎らしい。女性の起こす行動は一つ一つが挑発に見えてしまう程悔しくて堪らない】
【何がいけないと言うのだろうか。己の力が不十分だから?】
【いや。違うだろう】

わ、解ってるわよ……

【思考の何処かで再起不能にしてしまうのを恐れる、弱い自分が居るんだ】
【その心を捨てない限りこの戦いは凌げない。解っているはずなのに、なのに】

ああ、もうっ!
なるようになれ! うぉぉりゃああああッ!!

【今悩む時間があるならば、それは戦いに回すとしよう】
【裂帛の掛け声同時に詰め寄られる距離。そして鈍重な槌。上段から万別を叩き潰さんと】
【ならば、それを以て上の攻撃を、使うまで!】
【刹那輝きを増す剣を両手で掲げ、気合いを込めた声と同時に下に振り抜く。呼応するよう飛び出したのは装甲車を軽く両断する程の斬撃】
【叩くモノと断つモノがぶつかり合えば結果はどうなるのか】
【臨界顕現武装。それは機界武装に勝るべきものなのか。それとも逆か】
287 :エッリ・テア・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 15:07:54.44 ID:93LoLsplo
>>284
「――――― 待ってたよ。」


【これだ。これこそが、勝利へと直結する"一欠片"。これを打ち倒せば、即ち第四帝國の勝利へと大きく飛躍する。】
【まるで自分を迎えに来た死神の如く。喪服じみたコートに身を包む青年、彼こそが、自分の今回討ち果たすべき相手だ。】
【以前相対した時から"経験"したか――――― 自分から目を離さない彼へと向けて、歓迎の言葉を口にした。】
【天才たる自分の理解の範疇から大きく逸脱した人間――――― それを抹殺する機械が、またも与えられるとは、嬉しいじゃないか、と。】

「今度こそ、誰にも邪魔はさせない。僕は、僕自身の力で君を打ち倒し、故郷を取り戻す。」

【自分を知る、と。自分を殺めようと。彼はそう宣言した。】
【クスクスと、小さく笑った。随分と立派な事を言う物だ。それが彼なりの覚悟か。以前の相対時には、無かったものだと言うか。】
【ならば打ち砕いて見せよう。"人間としての才能と、性能を見せ付けて、後ろにいる気に入らない観測者気取りごと、叩き斬ってくれよう"。】


「理解できるのならば――――― やってみな。」


【右手に持った刃へと、魔力を集中させる。紅の魔力が刃へと集中すると、それを足下へと突き刺した。】
【直後、彼の周囲を取り囲む様に、四本の紅い魔力によって構成された刃が出現し、それは圧殺するように、四方向から彼へと迫る。】

【そして彼女自身もまた動き出す。無論、標的は彼。その身体性能の全力を以ってして、一瞬の内に距離を詰める。】
【人外の如きと見紛う程の高速は、されど人間の範疇。"人間としての最高級性能"が発揮する、選ばれし人間にのみ振るう事を許された特権。】
【そしてその刃は、彼へと振るわれる。両手で握り締め、選ばれる攻撃手段は"刺突"だった。】
288 :OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 15:22:56.87 ID:93LoLsplo
>>285
「あっはは!!漸くエンジンがあったまってきたか!?」

【激情に駆られる彼の姿を、嘲り笑う様にそう言って。機械鋸を回避し、自分へと迫る彼へと対応する。】
【得物は巨大な大剣へと変化していた。自分が言うのもどうかと思われるが、それだけの得物を持ちながら有り得ない程身軽に動く。】
【その大剣が張りぼてなのか――――― それとも彼自身もまた、"人外"の力を持つ人間か。】

「いいねぇ、羨ましいよ、兄弟愛か!アタシの姉妹にはイカれしかいないんでね!
 そう言うのホントに憧れるよ、まぁ、でも!!」

【振るわれる大剣を、左腕を掲げる事で防御しようと試みる。其の手に装備されていたのは、小型の金属製のシールド。】
【並大抵の金属を弾き返すそれを、だが、"それごと"切断され、彼女の左腕を易々と切り裂いて持っていく。】
【血が噴き出す―――――――――― だが彼女は、ひゅうと口笛一つ吹いて、何とも無いとばかりに次の行動へと移る。】

「アンタが死んだら意味ないけど!!」

【彼女の右腕の、どちらの断面でもいい――――― 目をやって見れば分かるだろう。】
【人工筋肉、人工血液、人口の皮膚に、人工の骨髄、そしてその合間を通る"無数の配線"が火花を散らしていた。】
【これが彼女の正体。正しく彼女は、"人外"。】

「そう言うのは見てると結構胸焼けがしてくるタイプなんだよ、あたし。
 だからそろそろ。

【故に、其処には何の躊躇も齎されなかった。】
【彼女の右手に握られる、機械鋸を連ねた物が取り外され、次に装着されるのは巨大な砲身を持った"散弾砲"。】
【何の事は無い、単純に、"散弾銃を巨大化した兵装"だ。大口径の散弾を、そこら中へと撒き散らす物。】

「ぶっ飛べよ!!」

【銃口を彼へと突きつけて、それの引き金を引いた。強烈な炸裂音と共に、放たれる無数の弾丸。】
289 :OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/24(日) 15:39:38.38 ID:93LoLsplo
>>286
【振り下ろしハンマーが、弾き返されて。その衝撃に、人外の怪力を以ってしても耐えられず、ハンマーの頭が地面を砕く。】
【彼女が振るった"臨界"の刃は、この"機界"を打ち破らんまでも――――― 其の攻撃に、抗う力を発揮した。】
【一瞬だけ、彼女は驚愕の表情を浮かべて、嬉々と。顔を緩ませる。】


「―――――…… ハハ、フハハハッ!!」


【やはり彼女は自分へと拮抗する力を手に入れている、自分と相対できるほどの力を持っている。】
【今は未だそれを全力で発揮できていない。自分の見立て通り、追い詰めれば追い詰める程、力を発揮するか、それとも今の攻撃で吹っ切れたか。】
【どの道、自分が本気で当たったとしても。そう容易には砕けはしない、"上等な力"の持ち主だ。】

「そうだ、それでいい!敵は此処にいる!脅えるな!突き進め!
 退けば負ける、竦めば負ける!最後に立っていた者が勝者だ!決して跪くな!!」

【戦わなければ、道は拓かれない。立ち向かわなければ、敵は倒れない。】
【ハンマーを両手にて構え直し、両足を踏み締める。それによって、"その力だけで"彼女の足下のアスファルトに亀裂が奔る。】
【先は不意によって斬撃に攻撃を止められた―――――― 次こそはそうはいかない。】

「勝利は目前にしかない!突き進むことが出来る人間こそが、勝者だ!!」

【そのハンマーを勢いよく叩き付ける。膨大な力の奔流、強烈な衝撃波が周囲へと発生し、彼女の外套がはためいた。】
【更にそのインパクトの瞬間。衝撃波と共に、電撃もまた周囲へと破壊エネルギーとして吹き荒れる。】
290 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/24(日) 16:39:22.53 ID:py3y6GMh0
>>289
【十全であればどちらが強者であるのか。解らない】
【ただ今は十分に、対等に戦いに望む事が出来た。ならば先の発言通りなるようになれ】
【足を踏みならすたったそれだけの動作だけでアスファルトが砕ける。散る。構え直されたハンマーが大地を叩けば膨大に過ぎた力の奔流が無差別に飛ぶ。壊す】
【それに乗るように加算される破壊衝動は、迸る雷轟である】
【ならば防性に霊力を武装に纏わせ、圧倒的な防御を披露してやるまで。先のような醜態はもう、晒さない】

そうね。だったら私は突き進む!
貴女を突き放してやるわっ!

【インパクト手前少女は上空に駆ける。防性霊力を足場に空に立てば見据える先に女性】

はぁぁああああッ!!

【ぐっと強く柄を握り、裂帛の気合いと共に五月雨の如く剣を振るう振るう振るう振るう】
【その斬撃の延長線上に霊力の刃が飛び交い、無数の斬撃を雨の様に放つ放つ放つ放つ。決まり手になるとは思っていない】
【女性なら大丈夫だと推測していながらそれを、振るったのだ】
【雷撃と衝撃は先ほど少女が立っていた地を抉り取っていた。恐ろしい、バカげた威力である】
【少女は冷や汗を流した】
291 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/24(日) 22:23:21.48 ID:pNg8xPk80
>>288

「黙れ!!」

【少女の軽口にクロは付き合わない】
【ただ黒い刃を全力で振る】
【その結果、少女の腕を切断し、血が噴き出ても、クロの様子は一切変わらない】
【彼にとって、これは見慣れた光景だからだ】
【彼女の腕の断面から、配線が見えたことについても反応はない】
【今のクロにあるのは純粋な怒りのみ】
【目の前の敵を殺すことしか頭にない】
【少女の持つ武装の、剣身が再び砲身に変わり、今にも自身へ放たれようとしていてもだ】

「〈夜闇〉!!」

【クロは、己の最も信頼する武器の名を叫んだ】
【〈夜闇〉は元々ただのナイフだ】
【しかし、長年異形もとい化物達の血を浴び続けたことにより、刀身が黒く染まり、特殊な力を持つようになった】
【なぜ、こうなったかという具体的な理由はわかってないが、クロはこう推測している】
【摩訶不思議な力を持つ異形達の血を浴び続けたことにより、〈夜闇〉自体が異形に近い存在になったのではないかと】
【いつになく、〈夜闇〉の力を引き出したことにより、推測は確信に変わり始めていた】
【今の〈夜闇〉は、クロの知る異形達と同じ雰囲気を醸し出している】
【だからこそ、クロは〈夜闇〉の名を呼ぶ】
【自分の心に答えろと訴えかけるように】

力が欲しいか?力が欲しいのなら……くれてやる!!

【訴えは叶えられた】
【一瞬で、〈夜闇〉が大剣から盾へと変わる】
【全身を覆う分厚い盾へと】
【無数の弾丸を一切通さない強固さを得て】
【激しい炸裂音と激突音が響き渡る】

(くそっ、防ぐので精一杯で動けない。このままじゃ……!)

慌てるな

【焦りが出始めたクロの気持ちに応えるかのように、再び先程の声が聞こえた】

貴様にならできる。私の主である貴様ならな。思い出せ、異形と戦うために身につけた技術を

(身に付けた技術……!)

【刹那、クロの脳裏にある記憶が蘇った】
【強風に逆らう訓練をしたことを】
【その際に身につけた歩法を】

(そうだ、力を入れてはダメだ。全身で衝撃を受け流すんだ)

【クロは、少女へ向かい歩を進め始めた】
【体に染み付いた懐かしい歩法で】

(このまま、殴り飛ばす!)

【黒の右腕は、〈夜闇〉と同化しかけていた】
【そのため、尋常ではない力を持つ】

(くらえ!!)

【黒は盾ごと右腕を突き出した】
【自分が今出せる最高の速度で】



292 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage]:2014/08/24(日) 23:04:50.60 ID:LsrMM4MGo
>>287
【魔翌力が集中した刃が大地を貫き、次の瞬間には、刺突と四本の紅い刃が迫る】
【僅かな魔翌力を右腕の刃へと注ぐと同時に紅く輝き、魔法陣へと類似した紋様が浮かび上がった】

【四方の刃が届く身に届く寸前、鉄橋の一部を。自身の足元を魔術により隆起させ】
【反動と紅い刃により水増しされた脚力で前方へ】

【常人では見切る事等不可能に思える“純粋な人間の最高峰”の閃突へとーー】

(これが恐らく現在の彼女と相対する為に必要なライン)
【相手が下手な人外を凌駕していようが、攻撃を見切れなかろうが、凌げなければ話にもならない】

【前へーー、全力で踏み込む】

(この刹那を記録しろ。記録から理解しろ。技術を盗め。あるべき方向性を学び取れーー)
【突進しながら身体を右に傾かせるが鋒からは逃れられず、左腕を深く切り裂かれるが】

「……ッ」
【切り裂かれながらも、自身の刃を剣の側面へと沿え、そのままレールのように滑らせる】

【太刀筋は彼女には劣るものの速く、また、以前にはなかった怪物然とした腕力が宿っていた】

【狙いは肩口からの胴】

「貴女こそーー、理解できるまで死なないでくれ」
【余裕の無い中。切り替えられた意識の中で、駆け抜け、すれ違い様に剛断してしまおうと刃を振るいーー】

【切り裂かれた右腕の傷口から吹き出したのは、粘性を帯びた紅】
【刃と化した流動体と同様の質感を持つそれは血液ではなく、真界武装と酷似した力を帯びていた】
293 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/25(月) 00:46:01.00 ID:9ihe/lFVo
>>290
【手応えは無い。元々衝撃波と雷撃による攻撃故、それは当然だが――――― "特有"の感覚が無いと、刹那に感じた。】
【その一瞬の内の暴力を耐え切りながら、少女は攻撃行動へと移った。行く先は、上だ。】
【繰り出されるのは、雨霰の如く剣戟の暴力。その手数は見事と言うべきものだが―――――――――。】

「まだだ、まだ甘いぞ、少女ッ!!」

【剣戟が右の頬を二回撫でるまでに、彼女はハンマーを握り直し、その無数の斬撃への対応を開始した。】
【振るい翳されるのは、圧倒的な"膂力"によって成立する、その手数へと完全に対応する、嵐の如き打撃群。】
【彼女の連撃一つ一つに対して、その身を断ち切られんとする前に、彼女のハンマーがその刃を弾き返していく。】
【そして、一際大きくそのハンマーを振るって、その剣を破壊には至らぬまでも、一瞬の隙を作らんと試みて――――――――】


「この程度でッ!この私がァ!!討ち果たせるものかァッ!!!!!」


【そして、その成否に関わらず。或いは、一撃を叩き込まれようとも――――― 下から上へ、打ち上げる形で、大槌を振るった。】
【彼女の上空にいる少女を、さらに高く高く打ち上げてやろうかと試みる程に――――― 剛力を以ってして。】
294 :OB-004 『B』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/25(月) 01:20:32.30 ID:9ihe/lFVo
>>291

「おいおい、ちょっとマジかよ……。」

【出現させた盾に、散弾砲を叩き込み続けるも、その防御力は彼女の予想を遥かに超えて、ゆっくりと此方へとにじり寄っていた。】
【後方へと後退し乍ら、何発も何発も散弾砲を撃ちつづけるも、それが打ち貫く事は無く、向こうが移動する速度は彼女よりも早い。】

「ちょ、ちょっと……待て……待てって――――――――――!!!」

【そうして、盾による攻撃行動を叩き込まれた彼女が、その散弾砲の巨体ごと跳ね上げられて、道路を二転、三転する。】
【勢いよく叩き付けられた身体が更にその衝撃によって跳ね、それを幾度か繰り返した後に、漸く静寂を取り戻した。】
【反応は無い。呻き声も一言も発さず、うつ伏せに倒れ込んでいて――――――――――。】


「なんつって。まっ、そんな上手く行くわけないよねー。」

【多少は驚かされたけどね、と付け加えて。少女は余りにも易々と立ち上がった。】
【単純に、通常の人間と比較して。頑強なのだ、彼女の身体は。】
【そして更にその上に、機械装甲―――――――――― "偽界武装"を更に発展させた亜種、"機界武装"を身に纏う彼女に。】
【生半可な打撃攻撃は通用しない。悠々と、彼女は其処に立っていた。】

「こういう状態になった奴って、つまんないんだよね。アタシの話、ぜーんぜん聞かないもん。
 何て言うのかなー、今の子の言葉で言うんだったら、コミュ障って奴?」

【吐き出されるのは、この状況において、ちょっとした愚痴や悪口に相当するもの。緊張感の無い話し方だった。】
【右手に握られた、現在は散弾砲を取り付けられた多目的兵器――――――― それが徐に、中途より切断された左腕へと近づけられる。】
【無数の複合魔術陣が刻まれた物が浮かび上がった後――――― その左腕と、多目的兵器の融合が開始される。】
【一瞬の後。侵食されるようにそれと融合された"機界武装"に、満足気に頷くと、右腕を前方へと伸ばし、身体の筋を伸ばすような動作をして。】


「だからそろそろ、ご退場願おうか。」


【出現するのは中央に逆鉤十字を配した、巨大な魔方陣。その中へと左腕を突っ込んで、再度引きずり出せば。】
【全長一メートルにも及ぶ巨大なブースターやジェネレーターの塊に、三メートルの巨大な大剣を無理矢理備え付けたような、全長四メートルの兵器。】
【『EX-1 PAMPAS GRASS』と表示される自分の視界を確認して、ニヤリと少女が笑う。】
295 :エッリ・テア・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/25(月) 01:55:12.96 ID:9ihe/lFVo
>>292
【何かが違う。今の彼には、確固たる覚悟がある。刃を混じらせた時に、そう感じた。】
【彼女の剣は直撃こそ免れた物の、彼の左腕を鋭く斬った。だが同時に、自分の剣に滑らせるように、彼の刃もまた此方へと向けられた。】
【太刀筋は、自分と比べればまだまだ。だがその力は、以前とは圧倒的に違う、まさに"怪力"と呼ぶに相応しい物があった。】
【そして、その太刀筋は、彼女の肩を捉え、鮮血を吹き散らせるまでに至った。】
【其処で、それ以上の攻撃を加えられる前に、地面を思い切り蹴りつけて急速に距離を取る事で、彼のその刃から逃れる事に成功した。】


「―――――――――― まさか。」


【自惚れている訳では無い、と言えば嘘になるが――――― この一瞬の交錯で、自分が傷つけられたことに驚嘆した。】
【彼女は天才――――― 近接戦闘においては他の追随を許さないまでの。それが。このたった一瞬の交錯で、自分へと追い縋られた。】
【前回戦闘時にはこんなことは彼には有り得なかったと言うのに――――― 単純に彼の実力が向上したからか、否。】
【ならば、その傷口から噴き出す――――― "真界"に酷似した物が、彼を動かすからか、それも否。】
【そんな物は誤差。その他に決定的な何かが、ある――――― 思考を巡らせて、すぐに気付いた。】

「成程、覚悟の差、か。」

【自分を殺し―――――――――― それを背負う覚悟が、彼には会った。】
【彼女の覚悟は。果てしない戦いの内に摩耗してしまった。終わりの無い戦いを延々と続けることによって、摩耗してしまった。】
【故に、彼は強い――――― ならば。】

「ずっと、考えていた。偉そうにあんな事を言っておいて、僕は――――― ずっと、戦いから逃げたかった。
 娘と一緒に静かに暮らしたい……心の中でそう考えながら、迷いながら戦っていた。」

【右手に握る剣を、道路へと突き刺した。今度は魔力を纏わない、単純に其処に置いただけだ。】
【左手が、ボーラハットを捕らえ――――― 手離され、彼女の足下に落ちる。その下の右眼は、紅色に染まっていた。】
【パチ、と指先が音を鳴らすと、彼女の前方へと中央に逆鉤十字を配した転送魔術陣が発生し、彼女の身体を包み込んでいく。】
【身に着けていた衣服が、機械装甲――――― 強化外骨格へと変化し。再度、其処に突き刺された長大な剣を握り、引き抜いた。】


「けれど、逃げた先には道が無い―――――――――― ならば僕はもう一度、此処で覚悟を決める。」


【以前語った事を、復唱する様にそう言うと。彼女の右眼――――― 紅眼が、煌々と光り輝いた。】
【それに呼応する様に。白と青色を基調としていた機械装甲、その胸部装甲、心臓部の直上から始まり―――――】
【蝕む様に、広がっていくのは、右眼と同じ色をした、赤色の力。】


「う、アアアアぁぁぁァァァあああああアア!!!!!!」


【右腕を伝い、その刃へと辿り着いて、血管のようなそれが広がっていく。】
【彼にも見覚えはあるだろう―――――――――― 否。それに関しては寧ろ、彼の方が良く"知っている事"では無いだろうか。】
【森羅万象への干渉を可能とする――――― "夢現装甲"。】
296 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/25(月) 02:24:15.22 ID:v+k7GG9L0
>>293
【力でも、数でも。今のは大分効くはずだと確信していた少女は狼狽に満ちた声をあげた】
【その五月雨の如く無数の斬撃を以てなせる暴殺は決して決定打にならぬとは踏んでいた。だがそれでも重傷を負うだろうとは思案しての事だ】
【事実女性は狂い無く対応したのだから、“一見”予想通りである。しかし今のは……】

まさかっ!? 嘘でしょ!?
この、化け物……ッ

【予想の範疇を果てしなく超えていた結果だ】
【愕然と脱力する身体。これが白騎士の実力? そんな馬鹿な】
【思考回路が鈍詰まり。正しく思考する事も危うい状況で視界に納める最凶の鉄槌】
【我に返った瞬間剣で迎え討とうとするも一歩遅い。仕方無く二度目の霊力障壁で以て無力化を図ったが計算が狂っていたようで】

らぎィゃあッッ!!?

【しかし、鉄槌を肉体に受けて打ち上げられる始末】
【不幸中の幸いか、障壁は紙一重で守護に成功していたらしく骨はまだ折れない。だがやはり無傷とはいかず脇腹が刺す様に痛んだ】

【やがて空中で折り返し、真っ逆様。途中体制を取り戻したのか低空で立ち上がり、女性を一瞥する】
【輝く剣を向け、戦いに望む意志を以て再び向かい合う】
297 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/25(月) 20:56:12.29 ID:9ihe/lFVo
>>296
【やはりその鎧の破壊にまでは至らない――――― だが、その一撃は確かに彼女の身体を捉える。】
【彼女の身体には大きな異常が発生している訳では無いが、彼女の身体には確実にダメージが与えられた。】
【そう、彼女の視界には"表示"されていた。】
【頬を撫でた刃によって、切り裂かれた二本の傷から、ゆっくりと血液が垂れる――――― 痛くは、無かった。】
【化物だから。】

「その通り、私は化物だ。

 この私に流れる血は、効率的な熱量の発生を促す人工の物。この私の骨髄は、常人の何倍にもなる金属で出来た人工の物。
 筋肉組織も、眼も、髪も、耳も、鼻も、肌も、爪も――――― 心も。

 ただ勝つ事だけを求めて作られた化物だ。」

【少しの比喩も無く、彼女の全ては人工物――――― 勝利の為に、より多くを殺す為に作られた、人工物だ。】
【彼女を支える骨格も、彼女を動かす心臓も全て人工物。"機界武装"だって、その名の通り、人の手によって作られた物だ。】

【"第四帝國"の手によって。】

【彼女は、彼女達は、謂わば、血塗られた悲願だ。】
【"第四帝國"の人間達の余りにも遠過ぎる悲願の為に作られた、延々と戦い続ける"血塗られた兵器"。】
【半端に心を作ったのも、きっと"勝利"の為なのだろう。】
【故に彼女に、敗北は許されない。諦観も停滞も許されない。彼女に提示された選択肢は、勝利を求めて歩むだけ。】


「だが、人間は何時だって化物を打ち倒してきた――――― ならば、そう出来ぬ道理は無い。


 まだ終わらないぞ、少女。貴様も騎士であるのならば―――――。」


【未だ剣を此方へと向けて、戦闘続行の意を示す彼女へと、また小さく唇の端を吊り上げて。】
【ハンマーがアスファルトを叩く。直後、彼女の足下に光り輝く魔方陣が描かれて、其処から出現するのは"雷撃の柱"。】
【アスファルトを砕きながらハンマーを引き摺り。マントを棚引かせて、ゆっくりと、彼女の下へと歩み寄っていく。】
298 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/26(火) 02:59:52.69 ID:QIF/OSI20
>>297
【心臓の動悸が痛いくらい激しく、息は荒く肩を上下させながら女性の言葉を耳にした】
【曰く人類の欲する最強を形に仕立て上げた人工の産物】
【曰く勝利意外に傾ける思考を持たない血塗られた殺戮兵器。そう取れる発言を、聴いていた】
【そんな理不尽な悲願の為のみに造り上げられた悲願の結晶体を、しかし少女は許容できなかった】
【そんなのは勝手すぎると、苛立たしげに】

その……その言葉が本当だとは信じたくないわ
でもそれが真実であるなら放っておけない……

だから。私が貴女を化け物から解放する! 勝つ事でッ!!

【そんなのはだって。あまりにも酷じゃないか。それを運命だと言うならば此処でそれを捻じ曲げてやる】
【ハンマーの衝撃がアスファルトを揺らし、少女の足下から隆起する雷撃の柱】
【しかしそれは霊力の表面を油に弾かれる水の様に流れ、本体に傷をつける役割を担わなかった。故に少女は動かず】
【ゆっくり距離を縮める騎士を極めて冷静で一瞥してやる】

騎士として、貴女を打ち倒す。それが私の誓いだ
手合わせ、願おうかしら……?

【次に発せられた少女の言葉は先ほどと打って変わり冷徹なモノに変わる。それは殺意と共に】
299 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage]:2014/08/26(火) 16:00:07.75 ID:ImtUar4Jo
>>295
(浅いが、入った……!)
【刃を通して伝わる感覚から、完全に入らなかったことを感知】
【以前の交戦時には、ほぼ触れる事すら出来なかった彼女に刃が届いた】

【だが、今回の目的は『知り、命を断つ事』】

【一撃の命中程度で喜んではいられないと、回避と同時に距離を取った彼女へと追撃を仕掛けようとしてーー】

「これは……ッ!」
【展開された魔術陣に足を止め、意識の内に背後へと跳びずさる】
【転送されていく強化外殻と共に脈動する、覚えのある気配を感じ取っていた】

【同時に、戦慄を覚える】
【理屈の上ではあの技術を再現することは十分に可能。そして、使いこなせるかは兎も角、知識さえあれば誰にでも扱う事が出来る】

【科学技術とはそういうもの】

【だからこそ、最初は仕組みの解らない無気味なものであったのにも関わらず幅広く普及した】

【しかし、異界の遥か未来ーー人類が滅ぶ寸前で開発された技術が、超越者の手を借りずに目の前に具現化している】
【それは団扇を見て、冷房機を作るようなもの】

【これに恐怖を覚えずして、何を恐怖しろというのかーー】
【だが、借り物の力とは言え、彼女から切り札であろう力を引き出せた事が、少し嬉しくもある】


「それの副作用を……いや、理解しているか」
【そして、模倣されていると言う事はは隅々まで解析された事に他ならず……ならば、長引けば過去と共に消滅する事は彼女自身も理解しているだろう】

【自身達の未来のために、存在を賭けて杜柱鳴海を打ち倒すーー。】

【彼女は、エッリ・テア・ハーパライネンは、そう言っている】

【この戦いは彼女の未来への想いを握り潰し、混沌の力を踏み越えなければならないーー】


「何度でも言う。アンタは、俺が殺める。
 それが無理だとしても、この橋に残る者はいない」
【消滅という最悪の形でだけは終わらせない、と言外に宣言】

【左腕の傷口からドクドクと溢れる流動体が重力に逆らって空に伸び、太い触腕に四本の鈎爪の付いた触手へとーーかつて交戦した人馬の左腕へと姿を変えて】

【刃へと少量の魔翌力を注ぐ】

(装甲や刃に対して、物理的な硬度は大した意味を成さない。
 小細工を施すのならば刃や硬度よりも、地形に。後は力でゴリ押すのが一番の策ーー!)
【道路のアスファルトを全力で蹴り砕いて、一足の内に距離を詰め、突進の速度に乗せて刃を叩き付けようと降り下ろす】

【距離を詰めると同時に刃が一際強く輝き、エッリを中心とした四方から、アスファルトの槍が跳び出し、刺し貫こうと中心へと殺到する】

【形は違うものの。最初に仕掛けられた攻撃を、自身の物へと呑み込もうとしているかのようだ】
300 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/26(火) 18:02:55.96 ID:MWkos2CIo
>>298
【名も持たぬ彼女は、それに悲しみはしない。目が醒めた時には既にそうあって、そうするしか道など無いのだから。】
【最初から覚悟は出来ていた。自分はただ只管に勝って勝って、最期に負ける、そんな運命を辿る存在だと理解して戦っていた。】
【それを哀れむと言うのならば、筋違いである――――― その筈なのに、彼女の人工の心は酷く揺さぶられていた。】
【だが、それを受け入れる事は許されない。自分の存在意義として、まだ、生きなければならないのだから――――――――――。】
【故に少女の覚悟は。正面から撃ち砕かなければならない。】


「いいだろう、受けてたとう!!」


【肝の据わったものだ。例え完全防御が可能であったとしても、その雷撃の柱は人間を焼き尽くすのに十全な威力を持つ。】
【だと言うのにその場から一歩も動く事が無かったのは、彼女の覚悟の表れか。ならば、今度こそ圧倒的な力の前に。】
【彼女を平伏させ、叩き砕く。】


「いくぞ、少女!この私の一撃一撃が、お前への手向けだ!!!」


【そして、人外の速度を以ってして、少女への急速な接近。怪力を以ってして、右下方より左上方へとハンマーを打ち上げる。】
【更に振り上げたハンマーの頭部、その片側が開き、内部より迫り出すのは、小型の"加速装置"。】
【魔力を推進力へと変換し、噴射する事で、強制的且つ人間外の攻撃の方向転換を発動。】
【巻き戻すように、今度は左上方から右下方へと、ハンマーが振り下ろされる。】
301 :エッリ・テア・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/26(火) 18:42:29.45 ID:MWkos2CIo
>>299
【重い、重い、重い、重い重い重い重い――――――――――― 森羅万象が"重量"と成り、彼女を押し潰さんとする。】
【魔力操作を、夢現装甲の魔力操作に、集中する。気圧、重力、空間、世界の壁、そんな物への干渉は必要ない。】
【問題無い、天才たる自分に不可能など無い―――――――――― そしてその通り彼女は、"遥か彼方の超技術"を何とか御することを成す。】
【全身を蝕む様に赤い血管が脈動する。ふう、と一つ、息を深く吐いた。】

【副作用なんて分かり切っている。けれど、例え自分が"夢幻"と消えようとも、求める物がある。】

【ただ、戦うしか能の無かった自分に。ただ、戦う事しか才の無かった自分に――――― 光を与えてくれた者の為に。】
【たった一つの命の為に、何と罵られようとも良い。唯、自分の愛する娘の為に……この力で、未来を勝ち取って見せる。】
【先を征く者とそれを追う者、自分は、先を征く者に、成って見せる。】

【彼女の四方、道路が変形させた四本の槍が生成され、自分へと殺到する。】
【理解するとは、正しく"其の侭の意味"なのだろう。戦闘技術も、自分の覚悟も、全部理解して噛み砕き、自分を撃ち砕く、と。】
【彼の覚悟は感じ取った――――― だがそれでも。彼女、エッリ・テア・ハーパライネンに一欠片も負ける気は無かった。】

「いいや、勝つのは――――――――――」

【剣を構え、右足を軸に、迫る四本の槍に対して、一回転と共に、"斬撃"を加える。】
【そう、この一瞬。剣を振るう一瞬だけでいい―――――――――― その瞬間だけ、"刃が次元干渉する様に手を加えれば"。】
【四本の槍は、彼女へと辿り着く前に、"刃の範囲外に存在する"四本の槍を切断し、更にその先の橋を支えるハンガーロープ"を切断した。】
【振り下ろされた刃を、剣の刃で受け止める。そしてその向こう側の彼を睨んで。】

「……僕だ。」

【夢現装甲が齎す、身体能力と怪力の恩恵は、正しく彼女を怪物の内へと引き込んで――――― 】
【更に彼女の握る剣が、様々な物へと"干渉"する。その刃を――――― 次元ごと叩き斬ってしまわんと、全力の力が籠められる。】


「僕が勝たなきゃ、ならないんだよ!!」


【今回は、前回の時とは違う――――― 自分の力は相手と同等、そうでなくとも追い縋れる程であるはず、ならば勝てない道理は無い。】
【勝たなければならない。例え自分が、この世界へと攪拌しようとも。自分が悲願する未来の為に……愛する者の未来の為に。】
302 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/27(水) 01:44:26.54 ID:4wxU7Hta0
>>300
【世界は残酷と非道で創られていると、昔少女は天使に教えて貰った】
【可能性世界。少女はこの“白紙世界”に於いて“可能性”を求め、天使にこう言ったのを覚えている】

『希望が欲しい。希望を運命を変える程の力が、“欲しい”』

【鎧の表面を流れる雷撃に視線を落としながらそんな事をふと思い出していた】
【その記憶が少女を急速に成長させ、そして無意識に同じ騎士同士を引き合わせたのかもしれなかった】
【救いの手を差し伸べる。たったそれだけの事のために】

名乗らせていただくわ。私は二舞御妃(ふたまいみき)ッ
こい! 機械ッ!!

【下から、上へ。ハンマーの無慈悲な鉄槌は霊力障壁で以て事なきを得る】
【反撃にと片足を踏み出しその剣を握り直した瞬間。過ぎた筈であるその鉄槌は人では絶対になせない行動で軌道を変えて、上から、下へ】
【にやりと口角を吊り上げれば、的確にその一槌を一閃にして防ぎ、そのハンマーとソードの鍔迫り合いの余波で地が楕円に陥没した】
【しばしその状況が続いてから少女は剣を、押す。およそ一殴りで東京ドームを粉々に砕くに値しそうな程の腕力を以て】
【単純な力比べに持ち込む】
303 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/27(水) 17:25:49.79 ID:mjPenKDso
>>302
【彼女が名乗るならば、自分も名乗るのが礼儀なのだろう――――― けれど自分に、名乗るべき名は無かった。】
【あるのは何の色も持たない、灰色の数字と記号の羅列だけ。】
【これを名と呼ぶ"姉妹"もいる……だが、"こんな物"を名と言うには、余りにも味気が無さ過ぎて、彼女は耐えられなかった。】
【故にこの鉄槌を以ってしてそれに応えよう。それはきっと、そんな味気無い何かよりも余程価値のある物なのだろうから。】

【一槌一閃、その衝撃の余波によって、地面が陥没する。】


「……馬鹿な。」

【拮抗していたのだ。"武装"の恩恵を受けてはいるのだろうが、それでも只の人間である彼女が、自分と拮抗している。】
【全神経を戦闘用に、それも"力"に特化された自分の膂力に追随する……否、或いは凌駕しかねない程のポテンシャルを発揮して。】
【歯を食い縛る、両足をより深く地面に抉り込ませて、両腕に力を籠めると――――― ブチブチと、両腕の内側から嫌な音がした。】
【視界に映る警告表示。だが――――― ここで負けたら、其処で終わりだ。】


「だが、まだだァ!!此処で、終わる物かァァァァァ!!!!!!!」


" 『MJOLNIR』 VOLLE LADUNG "


【"機界武装"の出力が劇的に向上する。身体能力強化、防御性能、攻撃性能、その他あらゆる出力が向上される。】
【"電子魂"が一時的に『魔導統制ジェネレーター』に供給する魔力量を増大させ、性能上限へと達する。】
【だが本来、最大級の止めの一撃を叩きこむ為のシステムを拮抗状態と言う力比べに持ち込めば、当然不都合は発生する。】
【それは余りにも分かり易く。彼女の両腕の皮下回線が熱暴走を起こし破裂、皮膚を突き破って、バチバチと電流を発生させた。】
【だが、それでも退く事は許されない。】



「勝つのは、私だァ!!!」



【彼女の存在意義は勝利であり、彼女の誕生理由は勝利であるという、たったそれだけのちっぽけな理由の為に。】
304 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/27(水) 20:54:51.53 ID:coIOEwxg0
>>294

「なん……だと……」

【自身の全力の攻撃を受けて、あっさりと起き上がった少女にクロは驚愕した】
【この敵はあまりに頑丈すぎると】
【唖然としている間に、少女は左腕に新たな武装を取り付けていた】
【巨大な長剣を】

(くそっ、どうすれば!こうなったら、もっと巨大な質量で押し潰すしか……)

【クロが焦りながらそこまで考えた時だった】

『お、おに……い……ちゃん』

【自分の最も大切な人間の声が聞こえたのは】
【思わず声の方向を見る】

「シ……ロ……」

【そこには、壁に体を預けたシロがいた】
【今だに、肉体の損傷はひどく、本来なら話すことができるような状態ではない】
【にも関わらず、シロはクロに何かを伝えようと藻掻いた】

『だ……め……だよ……れ……い……せい……に……ならな……くちゃ……お……にい……ちゃ……んらしく……な…‥いよ』

「シロ……」

【クロは冷水をかけられた思いになった】
【こんなボロボロな状態の妹に、我を失っていたことを指摘されたからだ】

「……ごめんな、シロ。兄ちゃん、熱くなりすぎてた」

『……そ……う……だよ』

「でも、もう大丈夫だ。こんな奴、すぐに倒す」

『う……ん……がん……ば……て』

【そこまで、発したところでシロの意識は途切れた】
【無理をしすぎたため、倒れただけで死んではいない】

「……〈夜闇〉」

なんだ

「太刀に形を変えろ。大きさは普通でいい。そのかわり、力を集結させろ」

わかった

【すぐに、盾は太刀へと姿を変えた】
【長さこそ普通だが、刀身からはこの世のものとは思えない鋭さを感じる】
【クロは太刀を上段に構えた】
【変化をしたのは〈夜闇〉だけではない】
【クロの纏う雰囲気が全く別のものとなっている】
【先程までのクロが狂戦士だとすると、今のクロは暗殺者】
【不気味なまでの静けさを醸し出している】

「退場するのはそっちだ、女。そろそろ終わらせてやる」

【今のクロは技術の塊】
【幼い頃から叩き込まれた体術と剣術を、冷静な今なら存分に発揮できるだろう】
【決着の刻は近いのかもしれない】

305 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/27(水) 23:10:08.29 ID:4wxU7Hta0
>>303
【どごんとまた一段と深く地が陥没すると同時、女性の腕から配線が引き契れたようなそんな音が漏れる】
【それは負けまいと必死になる女性が起こした全力の性能向上による代償】
【無理に続ける事は相応のリスクを伴わせる、最強にして最悪であろう奥の手の内】
【それに伴い加算された圧倒的負荷によって、結果少女は押され始めだした】

こんな、力を……ッ

【……苦悶、狼狽。それを乗せた声音を発す】
【圧倒的な力を求めてまで負けられない道理は計れないが、その不屈の執念の強さに少女は気圧され気味に】
【それは肉体的にも影響を見せ、籠めた力が一瞬抜けた】
【瞬間。バキュィンッと甲高い金属音と共にドゥギャァンと何か堅い物が派手に叩き付けられる轟音が轟き】
【大きく砂埃が吹き上がる中で、霊力で編まれた武装・武器が割れた】

それでもッ
私は……屈しないッ!

【軽く足の骨や肋が折れようが、関係ない】
【折れた剣を握り締め、左手で今し方己をブン殴ったハンマーを辛うじて押さえて】

譲るわけには、いかない……ッッ!!

【砂埃にまみれながら、煌々と瞳を輝かせていた】
306 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/08/28(木) 02:59:14.59 ID:C3Hev/0Qo
>>301
【範囲外の槍が切り裂かれ、ハンガーロープが切断される】
【刃と刃。常軌を逸した力と力がぶつかる事で火花と共に鉄橋に衝撃波が迸りーー】

「娘のため、自身の。いや、両方か……ッ!」
【彼女は強い。力量も。想いも】
【確認するまでもない至極当然の事実を、自身と彼女の差を刃の手応えと共に再認識させられる】

【人が大切な人のために結ぶ想いは固く、強く。そこに『夢現装甲』が加えられたのならば、ただ、引き離されるしかないーー】

(母さん、■■■ーー)
【だが、鳴海の抱く“約束”も人と人が交わすもので】

【現在の彼女の一閃は、比喩抜きに万象を切り裂き得るーー故に。次元へと向けられれば、三と四(時空)を断つ魔剣と化す】

【自身では扱かう事すら出来なかった無時間。無限射程。絶対切断】

【実際の所。そこまでは行かないのかもしれないがーーハンガーロープを切断した辺りを見れば、近いものは確実に有している】

【ーーそれを理解しているからこそ、受け止められてからの動きは早かった】
【左腕の傷口から生えた触手がエッリの足元の鉄橋を貫き、内部の鉄骨を掴んだまま勢いよく収縮】

【地面に引っ張られると同時に放たれた一閃が鳴海の刃を半ばほどで断ち、半右側面の頭蓋骨を眼球ごと断ち】

【そのまま、アスファルトへと左肩から自らの体を全力で叩き付けーー】

「ぎ……っ」
【ーー着地点周囲のアスファルト砕け捲れ、ハンガーロープが数ヶ所千切れ跳び】
【立て続けに発生した極大の衝撃に、鉄橋そのものが大きく傾いだ】

「力量が足りないのなら追い付けばーー、追い越せばいい」
【衝撃と激痛が錯綜し、混乱した脳が吐き気を促しているが。ならば、脳は無傷と無視】

「あ、ぁぁァァアアアアアアッッ!」
【衝撃に眩む視界の中。居たであろう方角へと反動で跳ね起きる勢いのまま、全力の右拳を叩き付けようと薙ぐように裏拳を振り抜く】

【死の回避の代償として受けた傷は頭蓋骨の陥没に片目の切断。鼻骨が砕けて跳び出し、左肩脱臼】
【しかし、傷口から溢れるのは、全て、紅い流動体。もはや体液が全て“疑似真界”の流動体へと置き換わっているかのようだ】

【真界武装は例外を除いて能力や類似物以外では破壊出来ないーーその性質故に。自らの怪力で橋に叩き付けられ、この程度の負傷で済んだ】
307 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/28(木) 14:41:48.10 ID:P8OVCgdHo
>>281
ま、普段はあおちゃんに生活任せてるんだけどねん
私よりも天使らしいじゃん?言動がさ、っても私堕天使だけど
でもその認識でせーかい!ご褒美はその問いの答えってことで

【くるりと振り返ればその顔は笑顔】
【そしてなんのこともないというように答えていく】

助けられなんてしないよ、だって根本の願いはお互い同じなんだもん
だから、私には無理。出来るのは惚れた相手とかそんなんじゃない?

【くるくると指を回し小悪魔めいた表情でそんなことを言って見せる】
【願いは同じ、故に助けられない、つまりは黒も世界の改変を望んでいるということだが】

んで、その質問の答えは……どうだろうね?
わからないよ、唯大きな戦いに行くだけ。殺すかは別問題だから
ま、出来る限り殺したくないのは本音だっけど〜

【二つ目の回答はわからない、なるべくは殺したくないとは言っているが】

ま、これで答えるものには答えたかな?
んじゃね!またどこか出会いませう。ってにゃ!

【翼を広げて舞い上がる、今度は黒い羽を舞い散らせながら】
【あ、落ちた羽は貰っていいからね〜。と、呑気な言葉を残しながら】
308 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/08/28(木) 14:42:24.58 ID:P8OVCgdHo
>>283
【カメラアイの向こうで彼女はどんな表情をしているのだろうか】
【そしてそのカメラアイに映る自分はどんな表情をしているのだろうか】
【そんな事を思いながら、イルマから紡がれる狂った言葉に空はふふっと笑い、言葉を返す】

『私も考えてたんですよ、壊れた貴女を前のように戻す方法を……』
『気付いたんですよ、壊れたのなら一度完全に壊してから治すしかないよねって!』

【向けられる砲口、凄まじい力で振り抜かれようとする刃】
【その二つに同時に対処する為、敢えてその刃の力に逆らわず横へと大きくはじき飛ばされビルの壁面で体勢を立て直す】

『っ……ふふっ、黒ちゃあん?』
(何よぅ……ロクでもないことでしょ?)
『咄嗟の反応はお願いね?最悪死ぬからさ!』
(表の……)

【剣を消し、弓へと持ち替えれば即座に矢を射出。そのままイルマの背後へ回り込みつつ距離をとっていく】



【インカムから聞こえてくる空とイルマの会話に銃声、剣同士が打ち合う硬質音】

うっわ、どっちも大概狂ってやがるぜ全くよお、あいつら今どこにいる?
〈3ブロック先で交戦中、空が距離をとって私達から離れてくわね〉
ルート頼むぞ、追い付いて彼奴ら二人にお説教だ!
「そらおねーちゃん……だいじょうぶ?」
知るかよ…………ヤケクソになりやがって……だから汚れ仕事は俺にやらせりゃいいのによ

【愚痴を吐きながら速度を上げる、追い付くだけならば装甲車両を使う必要性は皆無ではあるが】

アレ積んでなきゃこれ捨てて飛んでいきたいんだがなァ!
〈無茶言わないで、アレは私は転送できないもの〉
「そらおねーちゃんにも、わたしたちにもだいじなものだもんね」
全くだ、ほら揺れるぞ!舌噛むなよ!

【バリケードを粉砕し、路肩の車両を弾きながら三人を乗せた装甲車両は突き進む】
【大事な者達を助ける為、唯其れだけの為に】
309 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/28(木) 15:33:26.81 ID:cKe6ox1V0
>>307
【認識は正解だったようで、ご褒美に解答してやると言い出す黒】
【“ご褒美”の辺りで子供扱いを受ける気分になり表情を険しくするが、それもすぐに元通り】

そうか。君らは互いに同じ意志を持ってるわけだ
ま。君らに惚れる奴なんていなさそうだけど、あ、冗談だ

【こちらを伺うそれは小悪魔のソレ。成る程天使にはとうてい出来なさそうな表情だ、が】
【故に新鮮味を感じさせられる】

そうか

【この可能性に満ちた世界を一度白紙に戻し、可能性を全て己の欲する世界にする野望にも似た夢】
【改変とは簡単に言うが、そこに辿り付くまでどれくらい犠牲を払わなければならないのか、今は考えまい】
【舞う黒羽の中重力に逆らって飛ぶ黒を見据えながら、呑気な彼女のお別れの言葉を聞いた】
【次に会う日は来るのか? 未来は解らないだらけだ】

お言葉に甘えて、貰ってこう
んじゃまたな、黒、蒼

【空を舞う黒羽を一掴み】
【黒羽からは、暖かな温もりを感じられた。陽気な、温かさであった】

/ありがとうございました!
310 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 18:15:16.17 ID:C+8XNCtVo
>>304

「そうだ、そーゆーのだ。戦いってのは、エンターテイメントでなくっちゃな。」

【この戦争には、彼女たちの様な存在が幾つか投入されている。】
【須く戦争の為に産み出されたアンドロイド、その一つが彼女。彼女等に許される唯一は、ただ戦い続ける事のみ。】
【故に彼女は、戦いに『楽』を求める。何らかのドラマや、とにかく楽しい、と感じる物を求める。】
【ただ戦って勝敗を決すだけ、何て何の面白みも無いだろう。故に、彼女は今までの戦いに"非常に退屈していた"。】
【だから、此処で漸く自分に対して挑発する様な言葉を返した彼に対して、満足気にそう言い放った後。】

【左腕と融合した巨大なブレードが、爆炎を噴き上げた。】

【視界内に映る電子魂の魔力出力は只管上昇をし続け、既にそれは発動可能ラインにまで達していた。】
【ぴゅー、と吹いた口笛もその轟音に掻き消させる。脚部、背部の補助ブースターが点火を開始し、少女は低く身構えた。】
【『PAMPAS GRASS』は対巨大装甲目標を想定した巨大兵器だ。故にその出力、攻撃力は明らかに対人戦においては"過剰"。】
【その一撃は、文字通り"破城"。】


「ぶー……すと。」


【そっと呟いた彼女と共に、魔導力の圧縮を続けていたブースターが解放、噴射される。】
【爆炎を吹き散らしながら、長大なブレードが前方へと突出し、それに引っ張られる形で少女の身体は前方へと突進する。】

【半端な技能や威力などは、全て食い潰して圧し潰していく、後方には爆炎のみしか残さない。】


「Gute Reise!」


【否応無しの一撃必殺。其処に弱者の立つ場など無い。】
311 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 18:42:54.65 ID:C+8XNCtVo
>>305
【叩きつけた圧倒的な力は――――― 少女の"臨界"の力を真正面より叩き壊した。】
【少女の手に握るのは、折れた剣だけ――――― 辛うじてその左手が、振り下ろされんとするハンマーへと抗っていた。】
【だがそれで終わりだ。武装も武器も失った彼女に、抗う力など残されていない。もう一度、ハンマーを振り上げようとして。】

【"機界武装"が限界を迎える。】

【過剰過ぎるエネルギー供給に、摩耗した"機界武装"が、白色の魔力の光となって雲散霧消する。】
【彼女を覆っていた白騎士の鎧も、彼女の振り上ようとしたハンマーも消え失せて、音を立てて跳ねる長方形の機械。】
【元の白づくめの姿に無理矢理に引き戻された彼女は、思わず自分の両手を見つめて――――― それから。】


「ハハ、ハハハッ―――――――――― 上手く行かない物だな、父さん。」


【足下に落ちた長方形の機械を拾い上げて、語り掛ける様にそう言うと、それをスラックスの内側へと仕舞い込んだ。】
【少女へと視線を戻す。未だ少女は戦闘継続の意思を見せて、立ち続ける――――― だがもう、勝敗は決した。】
【"機界武装"の再召喚は出来ない。正確には出来ない状態にまで陥れられた。"真界"の性質を纏おうが、アレは飽く迄人工物。】
【決まった形を持ち、自動修復など効かない――――― そして彼女の身体は、先の"無茶"のせいでボロボロ。】
【武装も失い、身体はまともに動かない。少女の持つ折れた武器だろうと、自分を殺す事は容易だろう。ならば。】


「私の負けだ。好きにするが良い……だが、その前に。」


【認めよう。これが敗北で、少し短過ぎる気もするが、此処が自分の終着点だ。】

【最低限の腕の動きは出来る――――― それを確認すると、一歩。少女の下へと歩み寄った。】
【二歩、三歩。覚束ない足取りで、ボロボロになりながら立ち続ける少女へと。変わらず小さな笑いを浮かべながら。】

【そして彼女の前へと立つ事が出来たのならば。】


「――――― 二舞 御妃。お前の目を、もっとよく見せてくれ。」


【彼女の頬へと両手を伸ばして、彼女の煌々と輝き続ける双眸を、人工の双眸が、覗き込まんとした。】
312 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 19:08:46.29 ID:C+8XNCtVo
>>306

【その刃は、彼の刃を一閃し、彼の眼球、頭蓋までを断ち切った】
【最早手応えすら感じられない、それが齎すのは万物の抵抗を一切許さない、"完全切断"。】
【人の身においては、絶対に其処へと至る事は無かっただろう――――― 自分を代償に得られた力は、絶大だった。】
【だが、分かる。その刃を振るえば振るうほど、切断すれば切断するほど――――― 自分と言う存在が、揺さぶられる事を。】
【だが、エッリ・テア・ハーパライネンは。それでも良かった。】

【彼の傷口から現れるのは、触手――――― それが、エッリの足下の鉄橋を貫き、それを以ってエッリへと一息に接近する。】
【だが、あろう事か彼はアスファルトへと自ら叩き付けられる事を選んだ。アスファルトが捲れ上がり、巨大な鉄橋自体が大きく揺れる程の衝撃。】
【エッリもまた、其処で僅かにバランスを崩された――――― 】
【其処に待っていたのは、既に死にかけたような姿になりながら、跳ね起きた彼による、裏拳の一撃だった。】

「ぐガッ!!!」

【彼女の頬を打つ。その衝撃で歯が数本叩き折られて、血反吐と共に鉄橋の上へと吐き出される。】
【揺さぶられた頭を無理矢理引き戻す。頭部から流れるのは、"血"では無い。まるで流れるそれ自体が、"真界"のよう。】
【最早自分自身が、"真界"となったか――――― もしもそうだとしれは、それは恐ろしい化物だ。今度こそ、彼は人間を止めてきたのか。】
【だが、それでも。彼女はその覚悟に屈するつもりはない。"追いつかせる事など、絶対にさせない"。】


「させる物かよ……!!!」


【左足を軸にしたハイキック、至近距離の彼の顔面へと向けて、叩き付けようとする。】
【"夢現装甲"は全身の隅々にまで渡らせてある。それこそ、"足の裏"まで。故に、一瞬のインパクトの瞬間、使える魔導因子の総てを其処に集中させる。】
【ビッグバンにすら、かの紅の人馬は耐えて見せた――――― その硬度はきっと、彼自身が一番理解しているに違いない。】


「僕に追いつくなんて、許さない。僕は天才で、その背後を拝むことを許したのは――――― 僕の娘だけだ。


 お前は―――――――――― 何も成し得ないまま、終われ!!」


【或いは傲慢か、或いはエゴか――――― だが、"天才"を自称するだけの覚悟は、持ち合わせているつもりだ。】
【誰にも追いつかせない。誰にも手を出せない。常に、勝利者として――――― それが天才であることの証明。天才である事の、義務。】
【例え強大な力に呑み込まれようとも。自分が、最初からなかったことになったとしても。愛すべき者の為に。】
【"天より与えられし才"を以ってして――――― 娘の為、自身の為。未来を切り開く。】
313 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/28(木) 19:17:47.20 ID:hc/yXD7y0
>>310

「エンターテイメントか」

【クロは戦いを楽しんだことがない】
【彼にとっては、言われるがままに行う面倒な家業に過ぎなかったからだ】
【家を飛び出した今でも、シロを生かすための作業の一つでしかない】
【しかし、目の前の少女は戦いを楽しんでいると言った】
【クロに、彼女の生い立ちや心情はわからない】
【いつか見た、笑いながら遊ぶ妹の姿にどこか重なる部分があるということしか】

「だったら、全力で刻んでやる。この一太刀を!」

【少女が爆炎を撒き散らしながら突っ込んでくる】
【月光に照らされる巨大な長剣と共に】
【クロが動いたのはその直後】
【本来なら、この場面は回避をしてから攻撃をするのが正しい】
【実際、普段のクロならそうするだろう】
【だが、クロは――】

(ああ、これでいい。これがいい!)

【あろうことか、少女へ向かい前進した】
【自殺行為、そうとしか言えないが、クロの表情に諦めの色は全く無い】
【そう、クロは正面から敵を切り裂くつもりだ】
【殺されるよりも早く殺すそうとしている】
【元プロのクロがするとは思えない無謀な賭け】
【そこには一つの考え】

(ここで逃げたらこいつには勝てない。俺にはわかる。こいつには正面から戦わないといけない)

【保証のないただの勘、クロはこの土壇場で頼りないそれを選んだ】
【クロは気づいていない】
【そこにもう一つの理由――】
【潜在下で、妹にどこか似た彼女と正面勝負を避けることが、妹から逃げることのようだと思っているということに】

(一撃に全てを。後のことは考えるな)

【クロは振り下ろす】
【ちっぽけな人の知恵を詰め込んだ一太刀を】
【異形を殺してきた力を】
【少女の刃とクロの刃】
【先に肉を断つのはどちらか?】
314 : ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 19:36:24.30 ID:C+8XNCtVo
>>308

【ビル壁面へと叩き付けられた彼女に、速攻で追撃しようとブースターを噴射して、急加速する。】
【ブレードを振るい、壁面に突き立てるも、貫いたのはただのビルの壁面だけ――――― 彼女は、其処には存在せず、既に体勢を立て直していた。】
【背後から迫り来る矢、警告音と共に画面上へ表示される。そしてそれに対して振り向き様に剣を振るい、それを叩き落とした。】
【上空へ。回り込もうとする彼女に対して、正面を向くように、ゆっくりとブースターを吹かし乍ら、相対し。】


「私が、壊れてる?」


【思い出すように、彼女の言葉を反芻した。】
【少女には自分が壊れている自覚が無かった。そんな自覚を失ってしまうほどに、彼女にとっては"それが当たり前になってしまった"。】
【故に、彼女の言う事は理解できなかった。自分のどこが壊れているのか、自分の何処が可笑しいのか。】


「私は正常だよ、空さん。酷い事言うなぁ、傷つくよ。そんな悪い子は――――――――――。」


【転送魔術が起動する。背面を覆ったそれが消滅した時、其処に現れていたのは巨大な、"天使の翼"を模した追加ブースター。】
【全身の各部に搭載されたブースターへと点火し、最後に其処に魔力が集中し―――――― 産み出すのは、膨大な推進力。】
【機関砲をばら撒きながら彼女へと迫る。月光を反射する黒い刃が、破綻した少女の想いを乗せて駆けていく。】



「お仕置きしなきゃねぇ――――――――――」



【彼女へと辿り着いた瞬間、そう言い残して、彼女へとそのブレードを突き刺そうと振るうだろう。】
【カメラ・アイが映す彼女の姿は白色で。早く鮮血に穢したいと、イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルクの刃が風を斬る。】
315 :OB-004 『B』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 19:58:13.66 ID:C+8XNCtVo
>>313
「――――― へ?」

【さて、その巨大な長剣が彼を断つまでに至ったかは定かでは無い。故に、これは少女に齎された結果だけ。】
【結論から言おう、彼の刃は少女を捉えた。それも腕の一本や二本などでは断じてない。】
【彼女の左肩から、彼女を真っ二つに切り離し、上半身と下半身を綺麗に分けて見せたのだ。】
【それが完了したのはその巨大な剣を振り抜いた後。彼女の身体は、ズルリ、と地面へと、力無く叩き付けられたのだ。】

「……お、おい。嘘だろ?」

【余りにも突然に低くなった視界に疑問を呈す物の、目の前に在る光景がその答えだった。】
【人工血液が噴き散らされて、人工の臓物がドロリと流れ出て、血管の様に張り巡らされた配線が大きくスパークする。】
【それが少女に与えられた受け入れるべき現実だった。彼女は人外だ。戦闘用にプログラムされて、指の先まで戦いの為に作られた、戦う為だけの機械。】
【それ故に、彼女は死ぬ事は無かった。頭部に在る電子魂が魔力を供給し続ける限りは、幾ら血が流れようと。】
【唯単に効率的なエネルギーの生成方法が失われたのみであり、彼女の上半身は問題無く動くことが出来た。】
【そして彼女には、一つ、他の同等の目的で作られたアンドロイド―――― オリジナル・バタリオンとは、違う物があった。】


「……嫌だ、こんな所で、死にたくない!!」


【生への執着。彼女は"姉妹"の中では最初に目覚め、最も長く稼働していた。】
【電子化された心は"生への執着"を産み出した。否、正確には"強く"した。】
【他のアンドロイド達にも少なからず存在するそれは、彼女により強く作用し――――― 故に、彼女はそう言った。そう言って。】


「あたしは、あたしはこんなところで死にたくない……死にたくない……!
 まだ、まだ全然"生きてない"……やだ、こんなところで、終わりたくないッ!!!」


【唯一残された右腕を利用して。哀れな逃走行動を開始した。】
【幾ら彼女の身体能力が人間離れしていようとも、その様な状態ではあらゆる意味で"常人にも満たない"。】
【追って"破壊"する事は、実に容易いだろう。】
316 :クロ&シロ ◆zYSTXAtBqk [saga ]:2014/08/28(木) 21:10:37.25 ID:hc/yXD7y0
>>315

「……切り傷程度で済むなんてな」

【血が溢れる右腕を、左手で抑えながらクロは呟いた】
【目の前には、真っ二つになっても生命活動を続けている少女】

「助かった、〈夜闇〉」

……当然のことをしたまでだ

【少女の長剣がクロを捉えようとした瞬間、〈夜闇〉が右手に重厚な鎧を発生させた】
【攻撃を完全に防ぐことこそできなかったものの、こうして大きな切り傷を負う程度で済んだ】
【〈夜闇〉が機転を利かせなかったら、先にクロのほうが真っ二つになっていただろう】
【一息ついたクロは、逃げようと藻掻く上半身だけの少女を見つめた】
【彼女の放つ心からの言葉を聞きながら】

(死を恐れる戦闘狂……。いや、戦うためだけに生み出されただけか)

【少女が人造的に作られた存在だということをクロは理解し始めていた】
【その姿に、異形と戦うためだけに育てられた自分と何ら変わり無いと感じながら】

(いや、死を恐れている分、俺より人間らしいか)

【クロは死ぬのは恐くない、そういう風に教育されてきたために】
【しかし、シロを残して死ぬのは恐い】
【どうしようもなく】

(……だが、それとこれは別だ)

【クロは、無数の異形と、両手で数え切れない程の人を殺してきた】
【害を及ぼしてない人を殺すのに、罪悪感は感じたがそれだけだ】
【世の中に、殺す人間と殺される人間がいるとしたら確実に前者に分類されるだろう】
【そんな彼になら、みっともなく足掻く少女の形をした機械をあっさり殺せる】
【彼女は敵なのだから】

「……」

【クロは太刀を振り上げた】
【しかし、それだけ】
【少女めがけ振り下ろそうとはしない】
【それどころか、〈夜闇〉をナイフの形状に戻し、ベルトにしまった】

いいのか?

「女の首なんて差し出しても相手にされない。まあ、左腕はもらっていくか。科学的な価値があるかもしれない」

【クロは言い訳めいた口調で呟くと、先程切り落とした左腕を拾った】

それよりも、今はシロのほうが大事だ

【駆け足で、クロはシロの元へ向かう】
【後ろを振り向かないように気をつけながら】
317 :蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/28(木) 21:16:48.24 ID:BC7KzNRbo
>>314
【矢は容易く弾き落とされ追撃の弾幕が襲い来る、それに対し慌てることなく蒼は黒へと語りかけ】

『く〜ろちゃ〜ん?』
(あ〜……やな予感はするけど何?)
アレさぁ、全部叩き落として?
(ま〜た無茶を言いなさる……でも、出来なきゃ死ぬだけだけど)
『ねっ!』

【白と黒が反転し、襲い来る弾幕を弓で弾く。しかしその分攻撃はおろそかになり目の前にはイルマの姿】

『ああクソたれぇ!弾が多過ぎるってーの―――っ!』

【突き出される刃、飛び散る鮮血、その先にあるのは左腕を貫通する黒い刃と紅に染まる真白い肌】
【そしてその向こう側にはカメラアイ、表情はわからないが恐らくは笑っているのだろう】
【イルマが左手に携える機関砲は無事な右手に携えた弓で押し返し、貫かれた左腕を思い切り刃から引き抜く】
【蒼が交流した相手でも黒は同じ記憶を共有する、それ故に叫ばずにはいられなかった】

『これで愉しいってんなら……あんたも愛姫ちゃんと同じ、狂ってるよ……!』
(だってさぁ、狂っちゃったほうが愉しいでしょ?)
『表の……これ以上何か言うなら、アンタの精神ぶっ壊すよ』
(あ〜、こわいこわい。流石堕天使様は違うよねぇ)
『どいつもこいつも……っ!』



〈空が負傷、飛べるってことはまだマシなんでしょうけどね〉
了解、フィア……道を作れ
〈はいはい、仰せのままに〉
「そらおねーちゃんだいじょうぶ……?」
それを今から確かめるのさ!そこのビルからぶち抜いていってなァ!

【インカムからの通信と衛星画像、そこから空が負傷したことを知ればエヌオーはフィアへと命じる】

<肆式・300mm二連装大型速射砲二門転送>
目標イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク及び蒼乃空交戦区域!空には当てるな!復唱!

【上部ハッチから身を乗り出し、両腕に黒金に光る超大型の二連装砲が装備される】
【それをイルマと空が交戦していると思われる区画へ現在力直線になるよう砲口を向ければ】

〈目標イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク及び蒼乃空交戦区域、空には当てない。はいはい了解ですよ〉

【容赦無く計四門の砲口が火を噴き装甲車の前にある"障害物"を吹き飛ばしていき】

崩れる前に通り抜けるぞ!前より揺れる、愛姫気をつけろよ!
「りょーかーっとうわぁ!?」

【少しすればイルマと空の後方に一台の走行車が現れるだろう、そして上部から見える砲門は】

〈先制でぶち抜いていいの?〉
いや、射線考えろ……まあわかってるだろうから任せるがな!
〈はいはい……イルマしか狙いませんよ〉

【イルマを寸分違わず狙い定め、火を噴く一瞬を待っているだろう】
318 :OB-004 『B』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 22:32:36.16 ID:C+8XNCtVo
>>316

「あたしは、あたしは、あたしは――――― 絶対生き延びて!!」

【這う、這う、這う。作り物である少女は、作り物の命に必死にしがみついて――――― そして、それは生き永らえた。】
【彼が少女を見逃した理由は、少女には分からなかった。憐れみか、嘲りか……けれども、兎に角生きていたことに、少女は感謝した。】
【大破した装甲車の傍へと這いよって、其処で一息つく。追手はいない、其処で漸く、少女は大きな安堵の溜息をついた。】
【手の中に握る長方形の機械を握り締めて、人の外に在る身体を、情けなく小さく丸めて。】


「アタシは、人間になるんだ―――――」



【彼が拾った左腕は、人工血液を垂れ流し、スパークを放ち続ける―――― その技術は、第四帝國のみが持つ現状門外不出の物だ。】
【それがどう評価されるかにもよるが―――― 何らかの利用価値は、あるかもしれない。】

【少女の通信途絶を不審に思った第四帝國軍が、現場へと急行しているだろう。】
【此処に居続ければ、いずれ鉄火の嵐が注ぐ―――――――。】


【降り注ぐ月光が、置き去りにされた剣を照らした。】


/ありがとうございました!!
319 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/28(木) 23:23:31.99 ID:C+8XNCtVo
>>317
「あぁ―――――― 空さん。素敵です、とっても。」

【ブレードが筋肉組織を貫いた感触が彼女の手の内に。カメラ・愛が映すのは、白い肌を彩る鮮血のコントラスト。】
【それに対して彼女は、性的興奮すら得られたかのように、悪寒の様にゾクゾクと全身に奔る快感に顔を歪ませる。】
【引き抜かれた刃に伝う血を、恍惚に人差し指で撫で、彼女を再度ロックオン・サイトの内へと捉える。】

「空さん……あれ?違う……。」

【その口調、"感じ"の変化に、違和感を覚え乍ら小さく首を傾げた。】
【まるでそれは、別人のようで――――― けれど同じ姿をしている事に違和感を覚えながらも、空を駆ける。】
【もう一度六枚羽根の追加加速装置の噴射、それによって駆け出した、再度彼女へと剣を振り下ろそうとした時―――――。】


「私は狂ってなんかないよ。私は――――――――――― ん、何?」


【ビルが大きく崩れていく。勿論、イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルクの仕業では無い――――― 現れたのは。新たな客人だ。】
【黒く光る大口を上げた砲――――― それが其処に在るビルを薙ぎ倒したのだろう。規格外の威力に、少しだけ感心する。】
【だが同時に。それ等に酷く、苛立ちを覚えた。】


「折角、せっかく二人きりだったのに―――――――――― kommen.」


【舌打ちと共に、吐き捨てる様に言われた其の言葉と共に、彼女の視線の先に、巨大な転送魔術陣が発動する。】
【地面に対して平行に形作られた、逆鉤十字を中央に配した巨大な魔方陣が、二つ――――― 其処から、一機ずつ、現れる。】
【全長は五メートルにも達する、なだらかな表面装甲を身に纏った濃紺の人型兵器。】
【右手には巨大な剣を握り、左手には同素材で形成されているであろう盾を握り、全身には巨大なブースターを有する。】


「防御陣形。(Verteidigung militarische Formation.)」


【出現した其れ等は地鳴りと共に彼等の前へと立ち塞がると、忌々しげな彼女の言葉通りに、彼女へと向けられた鉄の暴力に対し。姿勢を低く、盾を構える事で遮ろうと。】
320 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/28(木) 23:40:00.30 ID:cKe6ox1V0
>>311
【臨界を臨界たらしめる最強の、最強にして絶対の城。臨界武装】
【非科学適偶然により生み出される圧倒的な臨界は、人工の真界武装、機界武装により打ち砕かれた】
【負けである。結果をみれば一目瞭然の敗北。最期に見るのがこの女性で良かったなんて腹をくくり】
【刹那。】

……限界!?

【女性は、強制的に戻り】

【壊れかけの武装であっても容易く殺せてしまうだろう、姿にへと下った】
【そんな保たなさそうな女性は小さな笑みを浮かべ歩み寄り、両の手を優しく少女の頬に当てて問うた】

ぇ、ぁ、うん。解った

【人工の双眸がこちらの双眸を覗き込むことで二人の視線は互いに互いの瞳にへと】
【少女は女性の網膜に映り込んだ自分の姿を捉えられる距離まで、自身も歩み寄る】
【それが騎士としての誇り。どんな者にも親切にする、またどんな経緯であろうと剣を交えた相手の敬意を讃える為に己が出来る答え】
【願われたことを全うすると言う、良くも解らない自己流騎士道の教えであった】
321 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/29(金) 00:37:39.64 ID:TWlHshxUo
>>320
「綺麗な瞳だ。強い瞳だ。……私には無い物だ。」

【少女の双眸を、覗く。その双眸は、誇りに満ちていて、煌々と輝いて――――― 優しい光に満ちていた。】
【ただ戦う事だけしか能の無い、自分には持ち得ない物。その敗北にも、納得がいく。】
【自分は所詮は機界武装(まがいもの)。結局の所、臨界や真界(ほんもの)には敵わない……そう言う事で無いと、少女の瞳を見れば分かった。】
【美しく愛おしい。嗚呼、それはまるで、今も敗者にも勝者にも降り注ぎ続ける月光のようだ。】


「私が負けるのも、当然か……はは、私は、"騎士道"に負けたんだ。」


【ただ、敵を暴力のままに叩き潰す自分に。ただ、言われた通りの役目を果たそうとするだけの自分に。】
【最初から勝ち目など無かったのだ。】
【嗚呼、それは余りにも短い道のりだった。余りにも刹那の瞬きだったが――――― この瞳に。】
【彼女に殺されるのならば、それも良い。】
【名残惜しいが、彼女の頬に触れた両手を離す。そして彼女の顔を覗いて――――― また、小さく笑みを浮かべた。】


「さぁ――――― 私の作り物の命、喰らうといい。お前にならば――――― 悔いは無い。」


【両腕を広げて、空を仰ぐ。嗚呼、月はあんなにも永遠だ。こんな作り物の、余りにも粗末な命だけれど、それでも神様がいるのならば。】
【願わくば、この瞳が永遠で在り続ける事を。】
322 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/08/29(金) 01:36:48.65 ID:DPZFNNDS0
>>321
【月の光は人を狂わすと言われる。ある種、目の前の女性は、今も妖しく輝く月の毒に、気狂的(ルナティック)な感情を抱いたのだろうか】
【何がどうあれ今宵の素晴らしき出会い、激戦はそんな毒に狂わされた歪な出会いだったのかもしれない】
【一瞬の判断で強弱は定まりを見せるもの。決して紛い物が劣っていた訳では、ないだろう】

無いなら作ればいいじゃない
貴女はとても強かった、でも殺意だけが強いんじゃあないの。敗因は正にそれだと思うわ

【半歩引いた、女性の体をぎゅっ……と強く抱き寄せた】
【微笑み半分涙半分。様々な感情と伝えたい事を吐き出す様に、強く強く抱きしめた】
【暫しそうしていて、少女は別れを惜しむ様に目を伏せて腕を離し、決断を済ませたのか虚空から剣を引き吊り出す】
【お別れを目前に涙が止まらない。少女は大泣きしながら切っ先を月に掲げ上げて止まる】

いずれまた会う日を願い別れを告げる
願わくば。勝利の栄光に輝くことを

【半壊刀身の剣は、その別れと再会の誓いが言い終わると、輝きを増し強く逞しく煌めきを放ち】
【振るわれ、女性へと吸い込まれていった】

【神が世に在るならば、願わくば女性に永久の幸を】
323 :蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/29(金) 04:35:21.25 ID:IeiKqMM2o
>>319
【狂っていないと自称するイルマに黒は諦めたように口を開く】

『ぶっ壊れてんに決まってんでしょうが……どっから来て普通だって言うのさ』

【イルマの後方を見れば現れたのは自分にとって僅かな人数の最大戦力の援軍】
【しかし同時に現れるのはイルマの転送する人の三倍はあろうかという大きさの人型兵器】

『一人こっちによこして!』
へーへー、行けるか?
「うん!あのでっかいのはまかせて!」
〈デカブツは私たちに任せて、大丈夫だから安心して行ってきなさい〉

【装甲車は真横に滑るようにしながら急停車、助手席が開き愛姫が外に飛び出し】
【愛姫を下ろした直後にはそのまま来た道を引き返すように距離を取ってからそれを乗り捨てフィアとエヌオーも姿を見せる】

さてはて、道を作るよう援護射撃頼むぞ
〈仰せのままに、マスターっと〉

【フィアの携えた砲門が一斉に火を噴き、人型兵器の盾に無数の砲弾が飛んでいく】
【その横を愛姫が駆け抜け、エヌオーは鎖を放って宙を舞う】

この前はサイボーグ、今度はロボット、何でもアリだなこの連中は!
「そんなのふぃあおねーちゃんにもいえたことでしょ?」
ごもっともで!

【愛姫は人型兵器の足元から登ろうと画策、エヌオーは鎖を放ちつつ空の下へ】
【フィアは人型兵器へと間断なく射撃を続け、空はイルマから距離をとるために下がり続けた】
324 :OB-001 『A』  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/29(金) 11:11:00.00 ID:TWlHshxUo
>>322
【回される腕、触れる彼女の身体に驚いて―――――――― 強く抱き寄せる少女の腰に、彼女もそっと手を回した。】
【その涙も、その体温も、自分には無い物で、それはとても温かい。今まで感じたどんな物よりも、それはきっと。】
【もっとこの温もりを感じていたいとも思った。彼女と共に生きたいと思った。けれど、それはきっと出来ない事なのだろう。】
【ならば。次に目指めたときは――――――――。】


「次、また会い見えた時は―――――――― 今度は笑って。私を、同じように。」


【さぁ。此処でお別れだ―――― 残念なのは最期に見るのが彼女の泣き顔、と言う事になる事だが。】
【彼女の心の内を、自分だけが独占し、それによって涙しているとなれば、それも悪くない。否、寧ろ最高とも言えるくらいじゃないか。】
【振り下ろされる刃は真っ直ぐにその首へ―――――――― さぁ、此処で終わりだ。案ずることは無い。また、会いに行こう。】

【無数の人工によって形成された彼女の身体から首が跳ね上げられ、力無く其の身体は横たわった。】
【それは余りにも穏やかに、彼女の前に倒れ伏す。】

【手離された"電子魂"、雷撃と騎士を模ったエンブレムが刻まれた長方形の機械が、カツンカツンと、月光の下に跳ね回った。】

/ありがとうございました!
325 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/29(金) 11:42:24.31 ID:TWlHshxUo
>>323
「私の……私の……私の……。


 攻撃陣形(Angriff militarische Formation)!!」


【その宣言と共に、盾を構えていた一機が立ち上がる。迫る無数の砲弾をシールドを以って弾き、無力化しながらの前進。】
【零れた弾丸がその装甲に叩き付けられるが、同じく弾き返す。装甲材質は何らかの金属、そしてその表面上には"魔術的な物理防御"。】
【そして彼女の下へと辿り着いた時、イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルクの握る剣と同じ色をした片刃剣を、叩き付けんと振り下ろす。】

【そしてもう一機も立ち上がる。先ずは、駆け昇らんとする彼女への対抗。然し、その両手の武器を利用する事は無かった。】
【全身の装甲の一部が、円形に開かれ、内部からスプリンクラーの様な物が迫り出す。】
【方法は―――――――― 化学兵器。使用するのは神経ガス、文字通り神経伝達系に障害を引き起こす武器だ。】
【筋肉収縮を司る伝達物質の正常な動きを阻害。嘔吐失禁等の症状を伴った後、最終的に昏睡、死亡する。】
【その兵器が無人兵器で、それを率いるイルマ・ツー・シュヴァルツェンベルクが全身を覆う装甲に身を包んでいるからこそできる荒業。】
【最早彼女に、否。彼等に形振りなど無かった。勝利の為になら、どんな手段も使う算段だった。】

【その戦いを、主であるイルマ・ツー・シュヴァルツェンベルクが見届ける事は無かった。】
【それでもそれを潜り抜けて現れる新たな敵に、苛立ちを隠す能も無い彼女は、ただ只管に歯を噛み締めていた。】


「私のだ……それは私の……誰にも……渡さない!!!」


【背部ブースターを換装、装備されたのは巨大な箱のような物体だった。】
【その白い強化外骨格の背丈ほどもあるような大きさで、全長は三メートル程の長方形。更にその上部がスライドし、内部が露出する。】
【ズラリと並ぶ円形―――――――― その正体は、ミサイルポッド。】
【カメラ・アイが捉えた姿にロックオンサイトを重ねて撃ち出す。先ずは垂直方向へと射出、その後、二人へと殺到する。】
【四十のVTFミサイルが二つに分かれ、彼女ら二人へと均等に降り注ぐ。】
326 :蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/29(金) 12:41:03.02 ID:IeiKqMM2o
>>325
〈ああもう、硬いったらありゃしない!〉

【砲弾をものともせず突き進んでくる人型兵器、対処しようにも現状の火力では圧倒的に不利であり】
【振り下ろされる剣を連装砲を捨て大きく後方へ下がることで回避、しかし打開策になるような兵装は限られる】

〈対魔術兵装でも作られてりゃ楽だったのにね……魂結石起動、伍式・炸薬式貫徹杭転送!〉

【故に、魂結石を起動し偽界兵装の一端となって火力を底上げしその装甲を貫かんと両腕に転送したパイルバンカーを振るう】

「ん?あり、なんだろこれ……っ!?」

【愛姫が人型兵器に登り始めようとした瞬間、何かのガスが噴出される】

「これ……っ、ぐ……どく、がす……!」

【急いで距離を取りナイフを構えなおす、だがその体は若干震え神経ガスが効き始めていることを示している】

「ちょっと……まずい、かな?」




ハッ、誰がてめぇなんかにこいつを渡すかよ
『エヌオー……ありがと』
お前らしくもねぇ、ホラホラ来るぞ!

【雨のように降り注ぐミサイル、其れをエヌオーは薄い闇の障壁を複数枚展開し迎撃する】
【爆炎と煙の中から二つの影が現れ、イルマへエヌオーは叫び返す】

そんなんじゃぶっ殺せねぇぜイルマちゃんよォ!

【中指を立てて挑発し思い切り笑ってみせる、"そんなもんじゃ殺せない"と】

とはいえ……愛姫にフィアが不安だな、さっさと終わらせてぇところだ
『ま、戦術はいつもどおりでいいの?』
そーいうこった、ましてやお前は怪我してんだからな

【再びエヌオーは鎖を使った三次元機動を行いイルマの攪乱を狙う】
【空は出来うる限り戦闘区域から遠ざかるようにし、治癒の能力を込めた詩で全員の支援をしようとしている】
327 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/29(金) 21:48:14.38 ID:TWlHshxUo
>>326
【一機目。】

【搭載されたAIが、目標が装備した装備を確認し、その構造をスキャン、解析、データベースとの照合の後に、それに対する対抗を組み立てる。】
【その結果、その両腕に装備する攻撃力は装甲を貫くのに足ると判断し、左手に握る盾を突き出した。】
【叩き込まれたパイルバンカーが魔導防護術式及び複合装甲を貫徹、その後粉々に砕け散らんとするそれを手離す。】
【そして、両足を発条の様に縮め、大きく伸ばす。全身のブースターが下方へと方向転換し、その巨体が上昇する。】
【空いた左手が開く。上空から左手を対象たる少女へと突きつけると、その五指には黒々とした大穴、その奥には大口径機関砲。】
【全身のブースターが停止し、落下する。その間、機関砲が弾丸をばら撒きながら、着地の瞬間に彼女へと剣を突き立てようとする。】

【二機目。】

【対象に神経ガスの効果が現れ始めたと判断、周囲には十分な濃度が保たれていると判断し、神経ガスの散布が停止する。】
【距離を取った彼女へと向けて、二、三歩の歩行を以ってして、彼女の下へと接近し、巨大な剣を構える。】
【攻撃は、左から右へと薙ぎ払うような形、周囲に在る建造物を粉々に破砕しながら、彼女へと刃が向かっていくだろう。】



「……殺す……!!」

【余りにも容易く挑発に乗ったイルマ・ツー・シュヴァツェンベルクは。ただ全力を以って相手を速攻の後に排する事を決定する。】
【ミサイルポッドが換装、先の六枚の天使の翼を模した加速装置へ。更に、その両腕を巨大な魔方陣が覆う。】
【接続されるのは二刀。表示されるのは、右腕側には『EX-1 PAMPAS GRASS』、左腕側には『EX-3 LOWENZAHN』、それに大きく表情を歪める。】

【右腕には、全長四メートル、一メートルにも達する巨大なジェネレーターとブースター、及び三メートルの刃により構成される。】

【左腕に装備されるのは、直径三メートル程の、巨大な球体だった。】



「私だけ……私が殺す……貴女を真っ二つに叩き割るのは、この私だけ。
邪魔するのなら……立ちはだかるのなら、お前も一緒だ!」


【左腕の球体、その表面にビッシリと張り巡らされた子機が展開する。形状は筒状、それ等が射出され、二枚の主翼が展開される。】
【無数の自立思考子機が、撹乱を試みる彼へと向かって殺到する。其の数は数十、一機一機に搭載された小型レーザーが放たれた。】

【そしてもう一つ、右腕に接続された巨剣のブースターが起動する。】
328 :蒼乃空 ◆jnVXyq7weY [saga]:2014/08/29(金) 22:46:46.87 ID:Fj2t1Nnpo
>>327
【フィア】

〈よし、抜いた……!〉

【確かに伝わる盾を貫いた感触、だが相手もそれに合わせその巨躯を宙へと踊らせ】

〈冗談じゃないわ……弐式・遠隔機動防壁拾、参式・偽装人形、拾肆式……!〉

【魂結石により上昇した演算能力で咄嗟に複数の兵器を転送、展開する】
【弾丸の着弾音に何か金属がひしゃげるような嫌な甲高い音、そして土煙の後にに残されたのは】

〈………………〉

【体を縦に分断されたフィアの姿】

【愛姫】

「うえぇ……気持ち悪い…………っとと、まずいいっ!」

【ナイフを体に突き立て出血させれば即座に身体強化の簡易呪術を施し更に流れる血で結晶の大盾を作る】

「っ、くう……こ、れは……ちょっとつらい、かも……」

【剣が大盾にぶつかり甲高い音と共にヒビが入る、押さえている愛姫の足はアスファルトに食い込んでいく】
【数刻の膠着の後ガラスが割れるような音と共に大盾は弾け飛び、刃は愛姫の体を捉え】

「うっ、く……ごめ、んね……えぬ…………おー………す、ぐ……もど………………」

【エヌオーへの謝罪の言葉を残し愛姫の小さな躯は上半身と下半身に分断された】

【エヌオー・空】

やってみろよアバズレ!って……おいおい、そんなもんまであんのかよ
『エヌオー!多分アレはこっちに向かってくるから!』
わーってんよ!んの代わりそっちは絶対になんとかしやがれ!

【数十もの小型ビット、恐らくは当たれば致命傷となりうるそれらを相手取ってもエヌオーだけは笑っていた】

ひっさびさにやってみるかねぇ!

【闇を自分自身に纏わせれば鎧として鎖を放ちビット一つ一つに絡ませ向きを逸らし同士討ちを画策する】
【無論無傷とは言わず闇を、その下の体もレーザーが貫いてくるが】

っそ、んなので止められるとでも……

【即座に鎧は修復され、貫かれた体を無理やり動かし迎撃を続ける】

『さぁ!殺せるもんなら殺してみろってのクソビッチ!』

【挑発と共に弓をかき消せば左手に盾、右手に剣を生成し、そして―――】

『貴女に、私は、殺せない!』

【確固たる意志とともに言い放ち一撃を待つ】
329 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/30(土) 00:39:46.44 ID:IV/k77iho
>>328
【一機目。】

【土煙の中に残された鉄屑を、AIが捉える。その外見上の姿より、それが先程まで戦闘を行っていた存在だと判断する。】
【そうなれば。零と一の電気信号であるAIに躊躇など無く、言い渡された任を終えた事により、次の敵対を探し出す事と成る。】
【ゆっくりと反転する。その拉げた鉄屑を背にして。】

【二機目。】

【踏み潰した身体が分断される。剣を持ち上れば、その一部がぬるりとした鮮血に覆われる。】
【多少の生命反応が残っていようが、其処に在るのは直ぐに死へと向かうであろう肉塊に過ぎない。】
【戦闘能力の消滅と判断。残る二人の敵を片付けるべく、こちらもまた、彼女等へと向けて背を向けた。】


【数十もの小型ビットが一機へと殺到する。搭載されるAIが他子機とリンクし、不規則に位置を変えながら撃ち続ける。】
【だが、彼の鎖と言うイレギュラーが加わればその限りでは無い。同じく周りを無数に飛び交う内の一機を、レーザーが貫いた。】
【そのレーザーに耐えることが出来ればの話ではあるが、それを繰り返し続ければ、それは約半数にまで減少させることが可能となる。】
【だが。其処までに達した所で、散開していたビットが一箇所に集まり、一斉に彼へと砲口を向ける。】
【彼の被害状況。そしてビット側の撃墜数を計算し、ここでの一斉射を用いる事によって、彼を一息に葬る事を子機達は選択した。】
【一枚の壁の様にズラリと並んだ子機達が、一斉にレーザーを放つ。】


「嗚呼、やっと私の気持ちに答えてくれた。私の想いに答えてくれた。空さん、これが私の想い。
 ずーっと、貴女を想い続けていた。漸く、私の悲願を―――――――― 貴女を、真っ二つに出来る。」


【魔力が集中、爆炎を上げて焔が燃え盛る。待機状態が解除され、その身体がゆっくりと前方へと加速を始めた。】
【背部ブースターが青い焔と共に前方へと更に身体を加速させ―――――――― 直ぐに、超高速へと達した。】
【全身のブースターがはち切れそうなほどに爆炎を噴き出し続け、巨剣からはそれを呑み込むほどの推進力が産み出される。】

【目標は勿論。嗚呼、それは恋煩いにすら似ていた。】


「漸く―――――――― 手が届く。」


【天使(いとしのきみ)を刺し貫かんと、人工の暴力が疾駆する。】
【突き出された刃は、最高速を以ってして彼女を貫かんと疾駆する。】
330 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/08/30(土) 19:24:00.07 ID:vQnnWDH2o
>>312
【眩んだ視界が復旧する間も無く顔面へと蹴りが突き刺さる】
【人馬の触腕が鉄骨を強く握り踏みとどまらせようとするが、鉄骨の方が耐えきれずに握り潰されーー】

「ガーー、ぐッ!」
【ーー結果。斜め後方へと撃ち出される】

【体内の流動体が衝撃をある程度殺す事で、頭部が吹き飛ばされるのは防いだが】
【耳や鼻。顔面の穴と言う穴から流動体が千切れ、飛沫いているのを見れば、因子由来の破壊力だと理解できる】

【唯一の弱点たる脳が破壊されなかったのは行幸かーー既に部分的には■■■ているが……】

【右腕の刃を鈎爪へと変化させ、橋へと食い込ませる事で、鉄橋から叩き落とされるのを防ぐ】

「ハァ……ハァ……ぐッーー、断る。俺にも欲が出来たからな」
【だからこそ、自身はこの場に立った】
【だからこそ、殺めると決めた】
【白紙化なんて『幸福のみの世界』大行なものは要らない】
【ただ、少しの事実を世界を変えるために。混沌の力がーー、要る】

「ーー来い!」
【己を奮い立たせるように、吠える】
【魔力を帯びたその声は、鳴海から切り放された刃へ。飛沫いた流動体へと伝播】

【瞬く間に再生し、全ての飛沫が。刃が鳴海大の大きさを取り戻しーーある流動体は人馬へ、ある流動体は堕天使をモデルにした機械体へと変化】

【数十を越えるそれらが、触腕を。刃と化したを翼を、それぞれが振るい、エッリへと殺到する】

【全ては、混沌の貌を模したら模造品】
【本人が見れば、鼻で笑った程度の消し飛ぶ塵芥でしかなく、チカラを行使しない鳴海でも殴り倒せる程度のもの】
【装甲を貫抜く力はあるものの、溜めや敵味方の区別がない模造品達が発揮する事はない】

【ーーだが、断つ程に増え続け、質量を増していくそれは時間を稼ぐのにはもっとも適していた】

(視力の回復と、もう一つ……準備が要る)
【鳴海は橋の端で膝を付き、呼吸を整えながら、その時を待つ】
331 :エッリ・テア・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/08/31(日) 01:38:42.63 ID:pOYogdFQo
>>330

「……ッ、はァ……。」

【蹴り飛ばした彼が、それでも其処へと踏み止まるのを見届けて、再度、エッリは長大な剣を構え直した。】
【"欲が出来た"。それは或いは世界を変えかねない程の膨大な物か、それとも、それは余りにもささやかで、ちっぽけな願いか。】
【だがそれが、彼の原動力なのだろう。きっと彼もまた、後戻りできない地平にまで辿り着いてしまっている。】
【彼女と何一つ変わらない―――――――― 口の端から流れる鮮血が、それを証明していた。】

【流動体が、形を変えていく。切断した刃が再生され、生成されたのは―――― 禍々しい異形達、その中には忌々しい人馬さえ存在した。】
【だが、まやかしだ。以前に"本物の人馬"と対峙した時のような、"絶望的なまでのスペック差"を感じる事は無かった。】
【彼女自身の上がり幅を考慮しても、それは余りにも矮小過ぎる。】

「作り物で、この僕を―――――――― 撃ち抜けると思うな!」

【四方より取り囲み、一斉に触碗や刃を振るうそれ等を真っ二つにすることは、余りにも容易かった。】
【次元干渉すら必要無い、唯の斬撃で十分な物だった―――――――― だが、問題は其処から。】
【ただ矮小なだけならば、紙の障子程の障害にもならない。だがあろう事か彼は、断ち切れば断ち切るほどに増殖を続ける。】
【二度目に襲い掛かってきたそれ等への対抗も、また容易かった―――――――― 頬に刃が掠っただけ。大した物じゃなかった。】
【だが、同時にキリが無かった―――――――― そして其処で、その彼等に対して与えられた役割について、気づいた。】

「……そうか、賢しい。時間稼ぎか。」

【魔力を剣に籠めて、鉄橋へと突き立てる。注ぎ込まれた魔力が曲がりくねる、彼等の触碗を真似たような形状となり、それらを搦め取ろうとする。】
【そして干渉―――――――― 求めるのは空間、それを利用した絶対的なまでの移動距離の"短縮"。】


「この僕が、君みたいなやつに―――――――― 休む暇なんて、与える訳、無いだろう――――!!!」


【彼の目前に現れた彼女が、握る剣を薙ぎ払う様に振るう。】
【但し、模造品たちの拘束、及び空間移動へと魔力のリソースを割いた―――― 故にそれは、通常の斬撃。】
332 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/08/31(日) 20:44:18.91 ID:ErCuf5KZo
>>331
【大量の模造品達は魔力の触腕に絡め取られ、拘束されてしまう】
【無数の斬撃と模造品の前にしても、瞬く間に見抜き、対策を撃ち実行する】
【稼いだ時間は僅かだったが、ひとつ、深呼吸する時間ぐらいは作れた】

「そう。欲が出来た……出て来たんだ」
【その程度の時間があれば多少の視覚を取り戻すには十分ーー】

「俺はーー、未来を創る」
【瞬時に現れた彼女は既に剣を振りかぶっており、硬質化させた鈎爪を反射的に振り上げ、受け止める】

【怪物の力と力の激突に、再び衝撃波が発生する】
【力を受け止めた鳴海の足元が陥没し、再び、橋が始めるがーー】

「《Auriga(馬鹿野郎ども)》も、《逆鉤十字(アンタ達)》のも。
 死んでいった人達の未来も、何も……かも……だッ!」
【橋を踏み抜かん勢いで踏み込み、爆発する感情のままに増幅されていく腕力にて、彼女を吹き飛ばさんと試みる】

【吹き飛ばせたのなら追い縋るように跳躍し、左腕の触腕が拘束された模造品達を片端からすれ違い様に切り裂き、取り込んでいくだろう】

【そうして質量を増した流動体は体内には収まりきらず、鳴海の身体に纏われる事になる】

【空中で追い付いたのならば、模造品を取り込み、肥大化した三ツ又の鈎爪で装甲ごと叩き潰さんと降り下ろす事になる】
333 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/01(月) 19:44:29.95 ID:wNuLvU9Co
【湿った風の吹きつける午後】
【とある街の、喫茶店前の駐車場。そこに、一台のバイクが留められている】
【すぐそばに備え付けられた自動販売機の前には、そのバイクの持ち主である青年の姿があった】

……レモネード160円……クソッ、ここもかよ
前の街じゃ150円で売ってくれてんぞ……足元見てんじゃあねーぞ、おら

【軽く悪態を突きながら、赤茶色のライダースジャケットをまさぐる青年】
【シャープな顎のラインに、リーゼント風にセットされた黒髪。その容貌は一言で言って『不良』のそれである】

……あれ……おい、ジジイ! 俺の財布――

【『今までの経験』に基づき、青年――椎名信戒は、傍らにいるはずの連れ合いに声を投げかける】
【しかし、いくら待っても返答は無い】
【不審に思い、辺りを見回す信戒。その時ふと、隣の喫茶店の窓が目に入る】
【――果たして、その店内には】

――!! あ、あんにゃろう……まさかッ!

【ボロボロのスニーカーを勢いよく踏みしめ、大急ぎで店内に入る】
【そこには、一等のボックス席を占領して、十数種類のパフェとともに冷酒をかっ喰らう、和装の老人の姿があった】
【緋色の羽織に、同じ色の襟巻布。永き年月を経た自然石のごとき相貌で、その右目には黒革の眼帯が当てられている】

「どうだ御嬢ちゃん、君も一献……そうかそうか、仕事だものなァ。
 カハハハ……いやァ、仕事熱心な君は良い。良い女だとも。己(オレ)が言うのだ、間違い無いぞ」

……てんめこのジジイィィッ!

【勢い良くボックス席へ飛び込み、老人――タタラに掴みかかる信戒】
【店内の客が、何の余興かとばかりに奇異の目を向ける】

「おう信戒。ここの『ちょこぱへ』、いいモノだぞう。いいか、この黒いのをだな、こうゆっくりと舌の上で――」

おうそうか、俺の全財産食いつぶして食うパフェはそんなに顔がトロけるかクソッ!

「阿呆。茶屋で糞だの言う奴があるか」

【目尻を吊り上げてがなる信戒と、どこ吹く風でウェイトレスの二の腕を撫でるタタラ】
【悪目立ちにもほどがある赤色の2人組であった】
334 :エッリ・テア・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/09/01(月) 20:07:15.51 ID:sCePWXH0o
>>332

【振り下ろした刃と彼の鉤爪との衝突によって、橋全体が軋み始める。】
【全身の力を籠めてそれを押し込もうとした―――――――― が、彼の腕力はその力を上回った。】

「――――――――っ、に?」

【宙に浮いた身体、其の身体を制動するには余りにも時間が足りなかった。加速装置を以って空中制動を整えようとした時には、それは目の前に迫っていた。】
【三叉の鉤爪が、エッリ・テア・ハーパライネンへと振り下ろされる。夢現装甲に爪が喰い込み、其の身体は遥か下方の鉄橋へ。】
【凄まじい勢いで衝突した彼女は、鉄橋を構成する物全てを突き破り、更にその下―――――――― 河へと、叩き落とされる。】
【飛沫を上げて沈んでいく――――――― なだらかになった海面には、赤黒い鮮血が夥しく浮かんでいた。】


【水中へと身を沈めていく。月は彼女を突き放して遠ざかって、やがてその形すらも海面に揺られて見えなくなってしまった。】
【もう一度浮上しなければ。そう思って右腕を伸ばそうとしたが、其処で右腕が動かない事に気が付いた。】
【いや。それどころでは無い。左肩から心臓部を避けて横腹にかけて―――― 身体が千切れかかっていた。】
【声を出そうとしても泡と消える。だというのに、脳味噌はどんどんと冴え渡る。】

(ああ、くそ。こんなところで終わりなのかな。)

【人間は死の淵に立たされると今までの記憶を漁って、何とか生存の道を模索する、との事だ。】
【それは果たして忌々しいと言うべきか―――― 彼女にも例外は無く。けれど思い出されるのは、余りにも役に立たない記憶だけ。】

(ハンナ。もう君を抱きしめる事は出来ない様だ。もう君を風呂に入れる事も出来ない。食事を作ってやる事も出来ない。)
(一緒に散歩してやることも出来ない。服を選んでやることも出来ないし、怒られてやる事も出来ない。)


(けれど―――――――― 最期まで、君の幸せを願おう。それが親って物だろ。)

【肉体がそうして再起を促した、と言うのならば、それまでだが。】

【攪拌していた意識が急速に浮上する。夢現装甲を取り込んだ強化外装甲の加速装置が急速に噴射され、浮上を開始する。】
【もう一度、鉄橋(ぶたい)の上に這い上がった。千切れかかった身体を紅色に煌々と輝く魔力の糸が、無理矢理に縫合していた。】
【彼女の魂は、もう既に世界へと攪拌しようとしていた。ただ無理矢理に、気力だけを振り絞って、世界へとそのちっぽけな存在を留めていた。】
【水を吸った前髪を片手で払って。彼を睨む。】


「僕達の未来は……僕達の手の中にしかない。お前にそれが出来る物か。それが分からないなら。


 やっぱりお前は、何も成し得ないまま終われ!!」


【絶叫と共に、彼女の姿が消える。空間へと直接干渉する事による移動。】
【彼の背後へと現れて、剣を振り下ろす。それが可か不可か、その成否に限らず、更に彼女は空間移動を連続発動する。】
【今度は彼の右側面へ、剣を横薙ぎに振るう。もう一度、それもまた成否に限らず、更なる空間移動。】
【最後に出現したのは、彼の目前。】


「これで、終わりだ――――――――!」


【剣を突き出す。】
335 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/01(月) 21:37:17.53 ID:9Q6Ever/0
>>333
【ちょっと洒落た喫茶店で、数日前会った天使との会話を思い起こしながら珈琲を一啜り】
【談笑で賑わうその店内で鬱々としていた】
【ふと店内の中を見渡せば、一等席を占領するおじさんが目を引いた】
【まあなんとも贅沢な、それでいて大食らいなおじさんを羨ましめに一瞥すると、手元に置いていたノートを開いて走り書き】

俺も、金があればな

【小声でそう呟く、と時同じくして勢いよく飛び込む人影】
【いらっしゃいませの対応もスルーして一目散に一等ボックス席へ足を向かわせて】
【なんとその青年はおじさんの胸倉をひっ掴み、怒鳴りだしたではないか】
【ルーヴァーはその光景にため息をつき、店内の雰囲気にさらにため息を吐いた】
【おもむろに席を立ち、もめる二人の背後に寄れば少年の肩にぽんっと手を置き静かな口調で話しかける】

ちょっと悪いけどお兄さん。ここは店の中なんだ
それ以上騒ぐつもりなら外でやってほしい。俺も他の客も、迷惑する

【相手を極力刺激させないよう最良の注意を払いつつ、二人の言い合いを納めるため割り込んだこの男を】
【客は「あーあ」と言った視線で以て、三人に注目が寄る】
336 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/01(月) 22:05:12.78 ID:wNuLvU9Co
>>335
【信戒の肩に、不意に何者かの手が置かれる】
【タタラの襟首を掴んだまま、背後を素早く振り返る信戒】
【そこには、神妙な顔をして信戒達を見つめる青年の姿があった】

あ? ……あ、ああ……悪ぃ
いや、けどよ、こんの糞ジジイ、あろーことか俺の金で……

「カハッ、なァにがお前の金よ。親御から無理矢理分捕ってからに」

て……てんめ言わせておきゃあ……!

【若干申し訳なさそうに弁解する信戒】
【しかし当のタタラと言えば、残り数個にまで減ったパフェを貪り続けている】

「おうおう、余裕の無い奴よ……食わずに騒ぐなど無粋千万。そこの御仁もご立腹ぞ。
 喰いたきゃあ喰え。それから騒げ。怒鳴って腹が膨れるものかよ」

るっせえ! そもそもなぁッ、飯ならさっき散々ラーメン……
……悪ぃな、すぐ帰っからよ
オラッ! 来やがれトーヘンジジイ! こないとコラッ、アレだぞ、クソッ!

【軽く青年に会釈した後、やはり怒鳴りながらタタラを連れ出そうとする信戒】
【どうにも、青年の忠告を聞いているのかいないのか分からない】
337 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/01(月) 22:26:14.98 ID:9Q6Ever/0
>>336
【少年の対応はその外見や荒々しい怒鳴り口調とはほど遠い丁寧なものである】
【完璧丁寧とは言い難いのだがそれでも冷静に話せる類なのだ】
【俺の金、親から取った金、先ほど租借したラーメン。次から次へと発せられる色々な経緯を整理しながら、未だもめ合う二人を観察に近い形で眺めていた】
【自分の言った事は理解しているのだろうか? そんな疑いを浮かべ】
【切りのない言い合いを前にため息を一つ。そして、闘気を放出する】

取り合えずなんだ。今すぐ外にでましょう
今のままで言い合いが解決するとは思われにくい、よければ俺にも話を聞かせてくれないか?

【強化された筋力を確認した後、二人の間に身体を滑り込ませて引き離す】
【ルーヴァーは身体の周りに金に光る粒子のような闘気を放出させながら、底冷えするような声音で、しかし暖かな表情でそう言葉を紡いだ】

な? 外に出ればすぐ再開してくれて構わない
これが最後の“警告”だと思ってくれ。良いな?

【そう言うと一人店から出ていくルーヴァーに二人は果たして従ってくれるのだろうか】
【何となく無理かもと弱気になりながら、表で二人を待つ】
338 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/01(月) 22:57:54.84 ID:wNuLvU9Co
>>337
って……悪いけどよ、別にアンタにゃあ関係な―― ッ!

【自分達の間に割って入った青年から、突如として異様な空気が迸った】
【青年をどかせようと伸ばした信戒の腕が、何か熱いものにでも触れたかのように素早く引っ込む】
【なぜ咄嗟にそうしたのかは分からない。そうしなければならない『何か』を、本能が感じ取ったのだろうか】
【一方、タタラは目の前にいる青年を凝視しながら、目元に深い皺を刻んで笑う】
【ぎしぃ、と。まるで、新しい獲物(おもちゃ)を見つけた肉食獣のように】

「……おう、信戒」

【最後のパフェを一滴残らず啜り、タタラはどことなく弾んだ声で信戒に呼び掛ける】
【眼前には、『警告』を発して店を出て行こうとする青年の後姿】
【眼帯の掛かっていない左目が、窓から差し込む陽光を受けて鋭く輝く】

……喰い終わったんなら出るぞ、ジジイ。金は後で……

「今日の“稽古”だ。……あ奴に喧嘩売れ」

…………は?

【そう言い放って、タタラは横にいる信戒の襟首を掴み――】
【店の出入り口に向かって、思い切り投げつけた】

な――うぉあああぁぁっ!!?

【抗議の声など上げる暇も無く、あはれ信戒の躯体は開きっ放しの戸口を越える】
【このまま進めば、先に店を出た青年の身体に背後から衝突する――それも、かなりの速度を以て】

「……美味かった。これで足りるな? 
 いや何、釣りなど結構……ああそうだ。代わりに、ちとこいつを借りるぞ」

【懐の財布から万札を適当に抜き取り、無造作に店員へと渡すタタラ】
【そして、側にあった店の椅子を手に取り、店の外へと向かっていく】

……飯よ、女よ、劔(つるぎ)の華よ。
……腑抜けの侭では愉しめまい。……なァ?

【店の外にどっかりと座り、青年と信戒を見物するタタラ】
339 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/01(月) 23:19:14.90 ID:9Q6Ever/0
>>338
【肉体的強化と反射神経強化は、闘気(体力)の続く限り戻る事は決してない】
【ただ、うかつであったようだ。背中に大きな衝撃を受けると同時に大きく吹き飛ばされた】

ーーーッと

【閃光一閃のお陰もあるのだろう。驚異的瞬発力で吹き飛ぶ身体を地に立たせ、今し方体当たりを仕掛けてきたであろう少年を見据える】
【背中の骨が一瞬折れたかと思っていたが、不幸中の幸いか、軽い怪我だったようである。証拠にルーヴァーは立っているのだ】

大丈夫か君?
ィつ……と言うか、俺は恨みでも買ってしまったか

【ルーヴァーは突然の事態に関しては酷く冷静に対応しているが、顔は笑っていなかった】
【どうやら少年に何らかの恨みを買われたと解釈したようである。張りつめた緊張が空間に犇めき、気まづい空気が流れた】
340 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/01(月) 23:47:40.08 ID:wNuLvU9Co
>>339 /すみません、今日はこれで一旦終了でお願い致します

【全速力で青年に追突した信戒。しかし青年はすぐさま立ち直り、信戒の方へと向き直った】
【その身体に目立った外傷は見られない。むしろ痛みが深刻なのは、追突した信戒の方である】

……ぐ……おぉぉ……ジ、ジイ……!

【鈍い痛みにのたうち回った末、震える足で立ち上がる信戒】
【ふと見れば、目の前には笑顔の消えた青年】

な……いやオイ待て、な、待てよアンタ
別に俺は何にもよ……

「おう、そこの御仁!」

【店の前に椅子を置き、悠然と座っているタタラ】
【張り詰めた空気を放つ青年に向かって、鷹揚な声で呼び掛ける】

「そこな莫迦餓鬼、臓なく芯なく放蕩生活を送る愚昧中の愚昧!
 腑抜けの侭では生くる価値無し! 適当に撫でてやってくれぃ」

!? て……てんめぇ……ジジイッ!

【タタラの言に、とうとう堪忍袋の緒が切れる】
【信戒は青年に背を向け、店の前に足組みして座すタタラへと走っていった】
【その手には……いつの間にか腰から取り出していた、一尺ばかりの、何かの『柄』】

毎度毎度……何がしてえんだテメエはよォッ!!

【柄を大地に当て、滑らせながら……信戒はタタラへと迫っていく】
【地面に当たった柄の先端が、ゴリゴリと奇妙な音を立てる。――どういうわけか、柄は地面と『繋がって』いた】
【この光景を、ただ見るだけならば――『ガラの悪い若者が、無抵抗に座る老人を襲う』――】
【そんな風にも、見えなくもない。特に、事情を知らない人々にとっては】
341 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/02(火) 01:27:11.87 ID:5lJjieV80
>>340
【どうやら己の考え以上複雑な状況のようである】
【少年にはごまかす時に現れる生物特有の動きを見られないし、どちらかと言えば自分の無実を一心に訴えかけているように見えて仕方がなかった】
【そこに横槍を突っ込む例のおじさん。発言の内容は、まあ要約すれば締めてやれと】
【だが気乗りはしない。この少年には先も言ったように嘘を付いているようには見えないのだ。もし無実なのならば少年は腑に落ちぬモノを感じるである】

ーーーな、ありゃあどうなってるんだ?
能力持ちっつぅーことか、オイッ!! 止まれ君!

【そんな思考巡らせている最中。正面より奇妙な効果音が響く】
【急いでそちらに視線を向けると映り込む、大地とつながった柄は少年を常人ではない者だと定義づけるモノだった】
【生憎ルーヴァーは二人の関係を全く知らない第三者である故、少年がおじさんを襲う風に見えてしまったのである】
【故に身体は既に動いていて、超人的運動機能で以て、再度二人の間に割って入っていった】

ストップストップ
一度冷静になれよ君。それとおじさん
先の言葉の真意を聞かせてくれはしませんか?

【作り笑いを浮かべ二人の顔を交互に見返しそう紡ぐ】
342 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/09/02(火) 19:18:53.26 ID:fzVLpq5Ko
>>334
【流動体の質量は身体に収まりきるものではなく、巨大な針状となった流動体が皮膚を突き破って体外へ】
【全身から無数に生えた流動体は鳴海の体へと巻き付き、或いは中空へと靡く】

【内側に透けて見えるスーツは泡立ち、絶えず色彩を変化させながら隙間から溢れ、重力を無視して無限に、空間に広がっていく】

【辛うじて人型と呼べるカタチを保ってはいるものの、その姿を見て鳴海とーーそもそも人間と断定することすら難しい】

(……やっ、た? やったのか。
 本当に………本当にーー?)
【右手には鈎爪から伝わった嫌な感触が残っている。だが、確信は持てない】

【改めて覚悟した相手が凄まじく強かったからなのか】
【それとも、混沌との繋がりの影響で存在規模が。精神の大半が外側の存在へと移行してしまったのかーー】


【疑問への解答は鉄橋に着地すると同時に現れた】
【解答は、一泊遅れて言葉を叩き付けるーー】

【『自分の人生は自分の物。自分の選択は自分の物だからこそ、自分で掴みとった未来だ』】

「ーー良いも悪いも、選んだのは全部自分自身。他人は全く関係ない」
【無意識に溢れ落ちたのは人間部分の基本思考】

(『それこそが錯覚だ。創造神のような存在が居なくとも、命も肉体も才能も、全て、自身と連なる者に与えられた物。
 付随する環境や精神性もまた、複数の他者から与えられたものに他ならない。
 ならば、未来も同様。他者の行動によって影響を与えられ、自身の行動によって与える。
 この一点に置いて、例外等存在しない』)
【流れ掠めた思考は一足先に貌へと転化して宿る神性部分】


「ーーぐッーーがッ?!」
【転移を伴って振るわれる神速の刃が触手を切り裂き、一閃二閃と根本へと到達】
【降り下ろされた肩口から股までを引き裂き、生身である骨と肉を切断。薙いだ刃は右腕を切り落とす】

【無事な片目だけは追っていながら、触手が動かないのは掠めた思考から更に思考が生まれーー】


「理解した上で押し付けるーーそう、あの時に言った筈だ」

【自身で選んだ選択こそが自身の人生。故に他人が他人の未来を創れる筈がないし、出来たとしても自身の選択を汚して欲しくないーー】

【だとしても、こちらはそれを考えた上で結論を出した】
【押し付けだろうが、何だろうが実行する】

「成した時、アンタを呼ぶ。
 気に入らなければ俺を好きにすればいい……だから、今ここでーー」
【眼前へと現れた彼女に。何かを耐えるかのように歯を食い縛り、刃先が自身の額を触れる寸前】

【肩口から股肉かけて走る裂け目から、一降りの刃が振るわれる】
【それは分厚く。鋭く、幾人もの血と命を貪ってきた由緒正しい処刑装置の模造品】

【流動体が変化したものであり、真っ直ぐに首だけを狙って刃が閃き、発射されーー】

『ーーーーー死ーーーーね』
【刃が届くよりも早く。エッリの剣は、鳴海の脳を貫いてーーしかし、断末魔はなく。】
【僅かに二音だけ唇が動きーー刃は、ただ、首が欲しいと慣性のままに空中を疾走する】

【避けるか叩き落とせば、それ以上の攻撃はなく、流動体は沈黙。鳴海自身もその場に崩れ落ちるだろう】

【額から脳を垂れ流す死体としてーー】
343 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/02(火) 19:56:36.06 ID:dXPXa3zco
>>341
な――ッ!

【一瞬であった】
【タタラに向かって柄を抜こうとした、その一瞬で】
【この青年は、少しも息を乱すこと無く、自分達の間に割って入った――!】

な……何だよ、何だってんだ、アンタ……
――! まさかッ!

【慌てて背後に跳びのく信戒】
【地面に刺さったままの柄も、ズブズブと音を立てながら、信戒の手の内と共に移動する】
【そして、信戒は柄を諸手でしかと握りしめ――】

『 ガンテツバットウ
  岩 撤 抜 塔!』
 
【発動の口上と共に、柄を勢い良く引き抜いた】
【無数の鈍い金属音が鳴り響き、ブツ切れだった柄の先端に一個の形が創られる】
【色も違えば種類も違う、雑多な岩石を寄せ集め、継ぎ接いだかのような――】
【『岩石の金棒』――『岩砕棒』であった】

アンタもアレかよ……『能力者』ッ!
まだ俺を狙ってやがんのかッ!? ええ、オイッ!

【柄を合わせて約四尺――1.2mばかりの岩砕棒を正面に構え、信戒が凄む】
【しかし、岩砕棒は先端に行けば行くほど太くなる形状……つまり、重心は必然的に先端となる】
【さらには、岩砕棒自体の多大なる重量も加わることで……あはれ信戒は姿勢を崩し、構えは図らずも下段となった】

うぉっ……クソッ、おらっ……うぐぐ

「……弩阿呆が。『臨形』こそ常(つね)と教えたろうに。
 ……む? どうしたよ御仁……何、真意?
 ……カハハハ……真意も何も、“そのまま”よ。虚言は吐かん。妄言も吐かん。
 あの莫迦が、無様に打たれて、たまァに打つ……そいつがちぃと、面白そうでな」

【何とか構えを立てなおしながら、なおも青年に相対する信戒。経験上、『能力者』と出会って茶話で済んだことなど皆無である】
【一方のタタラと言えば、近くにいる青年の問い掛けに飄々と答えるばかり。自信は傍観を決め込む腹積もりのようだ】
344 :エッリ・テア・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/09/02(火) 20:31:27.75 ID:Z9yaxhaBo
>>342
【エッリ・テア・ハーパライネンの首に、刃が到達した―――――――― 完全に、彼女の首を身体から切り離した。】
【一瞬。全身の力が抜けきったのを感じた。剣が取り落されて、鉄橋に突き刺さった。】
【だが彼女は其処で、まるで被っている帽子を押さえるかのように、無理矢理にその首を自分の頭上として押し留めた。】
【けれど、体裁だけ取り繕ったところでもう御仕舞なのはなのは、何一つ変わらない。】

【何一つ成し得なかったのは、自分だった。】
【護りたい、見届けたい未来があったのに。護る事も、見届ける事も出来ずに死んでいく。】

【これで、一つの命は消える。真っ当に死んでいく。】


「見てるから。」


【それはまるで呪詛のよう。脳味噌をどろりと溢した彼の死体へと向けて、吐き捨てる様にそう言った。】
【どうせこれで終わりでは無いのだろう。つくづく、小狡い物だ、と思いながら。右手で落ちようとする頭を支えながら、ゆっくりと立ち上がる。】
【魔力供給の不安定により暴走を開始した夢現装甲が、左腕を潰した。それを痛いと思う神経は、もう既に途絶えた。】
【それでも、まだ立ち上がれるのは。】

【天才である自分とか、そんな物はどうだっていい。ただ無惨な自分の姿を、見せたくなかった。】
【ただ。愛する娘に、自分の死体を見せたくないだけだった。】


「僕はその行く末を、必ず見届けてやる……もしも、僕の望む物じゃなかったら、その時はお前を。
 殺す、必ず殺す。自分が世界へと拡散しようと、どうなろうと、今度こそ、殺してやる。」


【精一杯の呪いだった。精一杯の怨みつらみを吐き捨ててやった。これが呪縛になれば、どれだけ良い事だろうと思った。】
【……もう少し生きたかった。数十年生きたけれど、自分の人生が色めき出したのは、たった二十年ほど前の話で、お別れは余りにも寂し過ぎた。】
【この心。理解されたくなど無かった―――― 自分だけの物にしておきたかった。独り占め、しておきたかった。】
【それでも彼が、理解するなどと戯言を続けるのならば、仕方ない。地獄の底から、彼を時折覗き込んでやる。】

【欄干の下へと辿り着く。頭上の月を眺めて見れば、それはまるで永遠と見紛うほどに、煌々と輝き続けていた。】
【親が子よりも先に逝く事は当然の事なのだろう。あの月のように、永遠になどなれはしない。】
【だから……いつかまた、君と同じ世界に立てる様に。】



「ごめんな、ハンナ。お別れだ。」



【身を投げる。二つの水音と共に、沈んでいった。】
【残された帽子と、剣に繋がれたドッグタグが風に揺られて、今だ温もりの残るそれに当たって。】
【かつん、かつんと小さな音を立てていた。】


【エッリ・テア・ハーパライネン 高級中隊指導者】

【戦死。】
345 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/02(火) 23:03:28.04 ID:5lJjieV80
>>343
【警戒されているのだろうか】
【恐れられてしまったのだろうか】
【割って入った瞬間に人と懸け離れた者の総称を叫んで距離を取り、あまつさえ様々な鉱物を含んだ金棒を構えてくるあたりそう考えるのは当たり前である】
【だが一つ。解らない節があった。それは】

狙う? 確かに俺は能力者、それで間違いない
しかし君を狙ってなんかないぞ? 何を言い出すんだ人聞きの悪い……

【狙うと発せられた言葉の意味】
【凄みに若干気圧されながらルーヴァーはそう言い返してやった】
【長さ1.2mばかりの長大な岩砕棒に身に覚えのないとばっちりで殴られるのは観念願いたい次第である】
【呆れた風にそちらを一瞥した後おじさんに視線を向け、話を聞いた】

アンタ。……いや、なんでもない
だけど俺には彼を切れない。彼は別に世に悪さを働いたわけではないでしょう?
アンタの娯楽に付き合ってる暇は、生憎こっちにもないんで

【軽口で以て返してみる】
【得体の知れないこのおじさんに何かを感じたのだろうか】
【物事を整理してから、それを、断った】
346 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/02(火) 23:42:08.06 ID:dXPXa3zco
>>345
……こちとらなァ、出発してからもう3回は、そーゆー奴らに絡まれてんだよ
わっけわかんねえ組織だかがバックらしいが……
アンタもその手合いじゃあねえのかよ

【岩砕棒をしかと握り、『臨形』――現代剣道の『脇構え』を、やや前傾気味に変形したような構え――に取る】
【青年の言葉をまだ信じてはいないものの、多少は冷静さが戻ったようだ】
【その証拠に、かつてタタラに叩きこまれた「基本の構え」を、今になってようやく取り直している】

「カハハ……応、あれは見た通り小胆でなァ。どうにも汝(なれ)を刺客の類と取り違えておるようだ。
 まァ、あんな奇っ態人形どもから追い廻されりゃあなァ。いやいや……然り然り」

【どこまでも他人事のように笑い飛ばしてから、タタラは青年の軽口に応じる】

「ほゥ、悪と断じねば刃を振るえぬと。……いや何、御立派、御立派よ。
 秋霜烈日、大義の劔か。いやはや、至極に真っ当正当! 爺の悦など及びもせんなァ。
 ――然るに、よ。あすこに構える弩素人、あれはあれで、かなりの悪餓鬼ぞ?
 莫迦と馴れ合い、父兄を殴り、暇さえあれば女人を凝視! どこよりどう見ても悪(アホ)としか言えぬ」

な……オイッ! 違……アレはお前、たまたま前の席になあッ!

【凄んでいたことも忘れ、慌ててタタラに反論する信戒】
【どうにも、戦闘の気勢が削がれ始めたようである】
347 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/03(水) 01:35:28.96 ID:kq/5RxEn0
>>346
【少年曰く、もう既に何度か狙われたのだそうだ】
【よくよく考えれば、そう言う経緯のもと思考を働かせれば結果相手を不審に思うのはまあ当然と言えば当然の事だ】
【今この瞬間にも少年が狙われているとなれば、解らなくもないわけはない。信用されなくても無理はない】

それは哀れだったな
そんなに戦いがお望みならやってやらねぇ事もない。それで疑いが晴れるなら結構

【呆れた様にため息こぼし、何も構えていない右腕を、構える少年に向ける】
【何か柄を握っている様な手の形をさせながら、ひょいひょいと挑発する様に動かして】
【視線をおじさんに戻す】

冷やかさないでくれ。これでも昔はそれなりに腕は立ってたんだ
て言うかそれって年頃の男子にはよくありそうな話だな。発情期かなんかみたいな?

たまたま前の席に……下心大有りの阿呆だな、はは

【何処までも果てしなく他人事。何というスキルなのだろうか】
【是非習得したい持ち前である。軽口に応じた発言に反論する少年】
【一緒にいるとそれはそれは退屈しなさそうな陽気な二人組だ。ルーヴァーはそんなやり取りに応を返しながら】
【なんとなーく和んでいた】
348 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/09/03(水) 15:45:42.38 ID:LU9IXakJo
>>344
【剣が脳を貫いた時点で、鳴海の精神は静寂の海へと投げ出されていた】

【痛みはないーーーー触覚を認識する器官は、先程の一撃をもって自身の元から切り離された】
【身体が動かないーー流動体は既に機能を停止している】

【エッリの言葉が静寂を破る波紋となり、もはや海に沈んでいくしかない鳴海の元へと届く】

(俺は……、本当に彼女を理解できたのか。殺す事が、本当に最善だったのかーー。)
【内から湧き出す様々な疑問は意図して未来を視る事が出来ない以上、結論は出ない】
【殺すという慣れない事をしたせいか、途方もない疲労感と嘔吐感が精神を満たしている】

【ここからは立ち止まる事は許されない。望もうが望むまいが、自身で新たな世界を創らなければならない】

【たとえ、それがーー】

『《誰かの手の上であったとしても》……か?
 本当に救えないな、この塵屑』
【外界との繋がりが途切れかけた意識の中で。微かに感じた浮遊感と共に、そんな声が聞こえた気がした】




【鉄橋の上。水柱を起てて沈んでいく流動体の塊を、冷めた目で見下ろす人影があった】
【人影の手にした無線機に刻まれた文字と武装から、Aurigaの者である事は確認できる】

「これにてターニングポイントは終了。さすがに見飽きた。何度目だよ、面倒臭ぇ」
『えー? 私の時は蹂躙されるしかなかったから新せーん。
……それに、あの時は身体差し出したら皆喜んでたしー? ヤって産んで地に満ちろってお父様も言ってた。
暴力とエロは世界を救う! デッドあんどセッーー』
「お前に言ってねぇ、妄想走らせんな淫売薬中」
【無線機から響く声に辟易したように吐息ごと、唾を吐き捨てる】

「……邪魔物が消えるこたぁ良いことだ」
【海へと沈んでいく鳴海に共鳴する感覚が無いことに、違和感を覚える】
【それはつまり、現在の混沌の意識と興味は鳴海から離れているという事だからだ】
【鳴海を基点として顕現したとしても片付ける準備はあったが、人影は妙な違和感を覚えていた】

「まぁ。やる事ぁやらせてもらうかーーおい、ハンス=バイエル」
【無線のマイクへと口を近づけ、落ち着いた口調】

「ハンナでもいいか。どうせ誰かがどっかでモニタリングしてるか、こっちの周波数拾ってんだろ?
 用件は二つ。今から半日後、この鉄橋を沈める。エッリの遺品回収の予定があるのなら、さっさとやるんだな。
 もうひとつはーー精々派手に暴れて散ってくれ、以上だ」
【確信に満ちた。というよりも、当たり前の事であるかのような口調で。】
【そこからは、“逆鈎十字”が潰えることに、欠片の疑いも挟む余地もないかのようだ】

「さぁて、新しい丸太でも掴まえて帰るかぁ」
【言い終えれば踵を返し、一切の警戒もなく、無防備な姿のまま本部へと歩いていく】
【その背には、どうとでも出来る自信が溢れていた。】

『……これで盗聴されてなかったら、ただの間抜けだよね? この橋は二時間後に沈めるキリッ』
「空間座標(■■■)指定。収束グングニール」
『ヒギィッ ナカはやめてー!?』
「そこは顔だろうが」
【ただし。無線から流れる脳が蕩けてそうな声から、全てが台無しになっていたがーー】

349 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/03(水) 18:33:57.51 ID:CVZQAeVjo
>>347
んな……ッ

【青年の挙動、それは挑発であった】
【タタラと談笑しながら中空を握る青年。得物を構えている様子は全く持って無い】

んなろッ……哀れんでんじゃぁねぇッ!

【鋭く叫んで、青年に突進する信戒】
【脇に構えた岩砕棒を、横一文字に薙ぎ払おうとする】
【無論、本気で[ピーーー]つもりなど無い】
【ただ彼の性(サガ)としては、舐められ、憐れまれたままでなどいられないのである】

「(……愚昧がよ。いまだ『腕』のみで振っていやがる)」

【信戒が岩砕棒を振るスピードは決して速くない】
【岩砕棒の重量と、腕力のみに頼っていること……それが、信戒の攻撃を必然的に遅くさせていた】
【加えて、単純な横薙ぎの軌道――回避するのも訳は無いだろう】
350 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/03(水) 18:34:46.29 ID:CVZQAeVjo
>>347
んな……ッ

【青年の挙動、それは挑発であった】
【タタラと談笑しながら中空を握る青年。得物を構えている様子は全く持って無い】

んなろッ……哀れんでんじゃぁねぇッ!

【鋭く叫んで、青年に突進する信戒】
【脇に構えた岩砕棒を、横一文字に薙ぎ払おうとする】
【無論、本気で殺すつもりなど無い】
【ただ彼の性(サガ)としては、舐められ、憐れまれたままでなどいられないのである】

「(……愚昧がよ。いまだ『腕』のみで振っていやがる)」

【信戒が岩砕棒を振るスピードは決して速くない】
【岩砕棒の重量と、腕力のみに頼っていること……それが、信戒の攻撃を必然的に遅くさせていた】
【加えて、単純な横薙ぎの軌道――回避するのも訳は無いだろう】
351 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/03(水) 23:02:39.34 ID:kq/5RxEn0
>>350
【鋭い叫びが辺りに木霊する、と同時、鈍重な岩砕棒を脇に構えて突進を仕掛けてきた少年を】
【単純な横一文字の薙ぎ払いを行った少年を、眼球運動だけで捉えた】
【閃光一閃による反射神経と運動能力があれば、それを交わすなど造作もない事である】
【だがなにを思ったのか、ルーヴァーは一歩足りと動かず、一ミリたりと指先を動かさず、それを眺めていただけでいた】

ぐフっ……、腕の骨、折れたか……? いや、粉々だ……
どうして怒る。俺は君に同情しただけだよ? “可愛そうだなって”

【そんな事をするものだから、岩砕棒は的確にルーヴァーを捉え、吹き飛ばす】
【当たる寸前に腕で胴をかばったので、お陰で右腕の骨は粉々になり果てたが、何かが砕ける音で少年は気付くかも知れない】
【店の壁に背を強打し力無く崩れ落ち、荒々しく肩で息をしながら少年にそう言った】

俺は君を狙っていないよ……
解ってくれないなら、その棒でまた殴ればいい

【体力が削られ、イヤな汗をかいているのが自分で解る】
【ルーヴァーの周囲に舞っていた闘気は薄れていてもう回避する術もなさそうだ】
【後はそうだ。少年が信じてくれるのを願うだけ】
352 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/03(水) 23:34:13.05 ID:CVZQAeVjo
>>351
なッ……!

【岩砕棒の質量は、それ自体が凶器である】
【未熟な腕ではあるものの、まともに当たれば只では済まない】
【それは、岩を出鱈目に凝り固めたような、岩砕棒の外観からも推して知れよう】
【故にこの青年も、当然のごとく回避するだろう……信戒はそう、思っていたのである】

ま……マジかよ、テメェッ……!

【青年は避けなかった】
【ただ静かに眺め、手を動かしただけで……一歩たりとも、動かなかった】
【蒙昧なる一撃は青年の腕骨を砕き、店の壁に歪なクレーターを描く】

(……同情……同情だと……!?)
(ふざけんじゃねえぞ……見下してんじゃ……このッ……クソッ……!)

…………ッ……

【渦巻く心とは裏腹に、口は言葉を紡がない】
【ただただ、歯軋りを繰り返すばかりであった】

……!? ぐ……ぁッ……!

【緊張が緩和された、その一瞬のこと】
【信戒の心臓に鈍い痛みが走り、拍動が途端に不規則となる】
【続いて、スゥっと血の気が下がり、視界から色が失せていく……】
【持病である心臓疾患、その発作が現れたのである】

ッ…………!

【岩砕棒を杖代わりにして、何とか立とうとする信戒】
【これまで経験してきた『戦闘』でも、終わり際には必ず『これ』が現れた】
【発作が治まるまでには、最短で3分。最早、戦闘続行は不可能である】

「……ハン、ここまでか」

【椅子に足を組んで座るタタラが、至極不服そうに呟いた】
353 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/03(水) 23:59:30.45 ID:kq/5RxEn0
>>352
【腕は助からないだろう。それはグチャグチャになり皮膚を飛び出し皆間みえる白で解る】
【それはまるでプレスされたように潰れ、紅い華を咲かせ、痛みを感じる事はなかった。既に神経という概念がこの腕に残ってはいないようだ】
【狼狽か焦燥か。少年の有り得ない物でも見た時にでも出そうな声音を耳にしながら、ぎしぎし鳴る歯軋りを耳で捉えながら】
【ルーヴァーは、苦笑した】

これで……信じてもらえるだろうか?

ーーーな、大丈夫か!? ッ?

【そんな苦笑もすぐにかき消える】
【苦しそうに呻く少年を瞳に映したから。ただならぬ事態である事を直感的に察したから】
【だが、急いで駆け寄ろうとしても、体が痛み動ける事はなかった。そう、見ているだけの、情けない自分が邪魔をした】
【動きたくても動けない。駆け寄りたくとも駆け寄れない。苦しく思う一方】

……おじさん。アンタは彼の付き添いなのか?
何でそんなにつまらなさそうにする。一体アンタはなんなんだ……?

【不服そうに唸るおじさんを不審に感じて】
【意識しないうちにそんな言葉が口から飛び出ていた】
354 :ハンス・バイエル&ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/09/04(木) 00:25:21.49 ID:EYqZCGSqo
>>348
「エッリ、あの色狂いのレズビアン。――――――――お前が死ぬとはな。」

【見つめていた―――― 最初から最後まで、その戦いを見届けた。】
【散っていった幼馴染の姿を見届けて、彼は彼らしくも無く、感慨に浸っていた。】
【悲しくは無かった。この隊列に加わると言うのは当然の事で、その通りになってきた人間は、今まで何人もいたのだから。】
【何度喧嘩しても勝てなかったあの女が。何時もヘラヘラと笑っていたあの女が。何時だって自分を上回って行ったあの女が死んだことに。】
【この『逆鉤十字』の行く末を見た気がした。】


「好き勝手に言ってくれるじゃないか……。なぁ、ハンナ。」


【ハンナ・ハーパライネン、彼女の置き土産へと連絡回線を繋げる。】
【彼女の過保護が働いて。勝利を待つ為に、この『アルプス』で待ち続けていたハンナがこの連絡を聞けば、果たしてどうなるだろう。】
【アレだけ依存していた彼女が死んだと聞けば―――― その絶望はきっと、重く圧し掛かる。】
【済まないとは思う。けれど、ハンス・バイエルには、どうしようもない事だ。】

「随分と、広くなってしまったな。この要塞も。」

・・・

【絶望に絶叫するには余りにも悲しみが深すぎた。ハンナ・ハーパライネンは何時間も、其処に突っ立っていた。】
【母の帽子を片手に、母の認識票が吊り下げられた剣を前にして、ただ呆けていた。白痴の如く、何も考えられなかった。】
【どうしても事実が受け入れられなかった。受け入れようとしてくれなかった。】
【心を護ろうとする自己防衛機能。既に穴だらけになっていて、そんな物は意味が無いと言うのに、往生際悪く足掻いていた。】


「――――う、ぐッ……う、ぇえ――――。」


【それから、それを処理できなくて、嘔吐した。何度も何度も吐いた。吐く物が無くなっても、胃液だけが撒き散らされた。】
【手に持っていた帽子を抱き締めて座り込んだ。否、腰が抜けてしまった。】

【認めたくない。認めたくない。認めたくない。認めたくない。認めたくない。認めたくない。】

【必ず如何にかなると思っていた。自分の母親は一番強いと思っていた。だからきっと、全部解決して。】
【幸せ。二人だけの幸せの生活が出来ると思っていた。何もかも砕け散って、何もかも無くなった。】
【何が原因か。】

【殺した奴が悪いんだ。】

【其処まで辿り着くのに、随分と時間がかかった。】

【立ち上がって、フラフラと突き刺さった剣の下へと歩み寄った。相変わらず秋風に揺られた認識票が、軽快な音を鳴らしていた。】
【まるで、最愛の母がそう言っている様で、何処からか、力が湧いてくるような気がした。】
【帽子を被った。両手で剣の柄を握り締めた瞬間―――――――― その周囲が、何かに照らされた。】
【それは無数の『霊』だった。肉体から逸脱した高次生命体は……彼女が握り締めたその剣の中へと、続々と吸い込まれていった。】
【鉄橋下の河から、一つの魂が躍り出た。彼女の周りを一周した後……それもやはり、吸い込まれていく。】
【剣は変じていた。それは神が愚かな一人に与えた憐れみの力か、はたまた悪魔の与えた破滅の力か―――― 彼女にとっては、どうでもよかった。】


「……見ていてよ、母さん。必ず、あいつを殺してやる……!!」


【剣を引き抜いた。その時には彼女の身体は、嘗てない程の力に満ち満ちていた。】
【憎悪が滾るほどに―――――――― 握られた剣は、輝きを増していった。】
355 :蒼乃空 ◆XbDqw5KRoE [saga]:2014/09/04(木) 10:09:23.86 ID:JkXMhg3mo
>>329
エヌオー
【無数のレーザーを体に受けながら、相対する自立兵器を叩き落とす】
【体は悲鳴を上げ、無理矢理闇で止血した箇所からも血が滲み出し其の鎧を紅く染めていく】

けっ……やってられっかよ、こんな奴の相手…………!

【漸く半数、と言ったところでその自立兵器は全てが一点に集まり砲門をエヌオーへ向ける】

やっぱ、そうくるよな……?そうだ、そうじゃなけりゃいけねぇ!


【狂った機械天使は巨大な剣をこちらに向け空を翔る】
【そんなもの傷ついた腕で受け止めることは疎か逸すことだって叶わない】

手が届く?な〜に寝ぼけたこと言ってんだか……

【言っては見せるが策など何もない筈だ、其れでも笑っていられるのは】



【二人に攻撃の当たるその時、聞こえるはずのない声がする】

<捌式・都市戦略防護障壁、転送―――>

【エヌオーと空へ向けられた殺意は水色の障壁によって阻まれる】
【そしてその障壁の向こうには立っていてはいけない存在が二人いる】

〈一歩間違ったらほんとに死ぬとこだった……コレ、拾肆式・潜入光学迷彩と偽装人形が間にあわなかったらどうなるかと〉
「どくがすはさすがにしぬかとおもったよ〜」

【そしてイルマ達に向かって空は再び笑ってみせ】

『だから言ったでしょ?殺せないって』

【更にエヌオーも空と共に笑いながら】

だから、独りじゃ無理なんだよ。心の中が独りじゃな
てめぇは本気で空を殺したいのか?違うだろ?なんて言ったって無駄かもだがな
そう簡単に殺されたら困るんだよ

【イルマの背後では自立兵器が攻撃を受け始めるだろう】
【機甲兵へは有象無象のMTBを始めとする機甲師団が、自立兵器へは愛姫の血が先端を鋭くした触手襲いかかっていく】

『イルマ、もうやめにしよう……壊れてるなら、また治せばいいからさ……』

【空は優しくイルマへ語りかける、例え自己満足だとしてもイルマに戦闘は似つかわしくないと伝えるために】
356 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/04(木) 19:51:42.08 ID:LiOwRU2so
>>353
「拳一つ負わず、このザマか。……詰まらんなァ。見れば見るほど阿呆らしい」

【椅子から立ち上がり、軽く伸びをするタタラ】
【その振る舞いはさながら、芝居を見終わって小屋を出る見物客である】

「――何、付き添い? ……カハハハ! 付き添い、付き添いか!
 成程、確かにそう言えなくもない。己もこいつも、離れた時が互いの末期よ」

【息も絶え絶えな青年の問いに応えながら、タタラは一歩ずつ信戒に近寄っていく】

「己が心の臓を握っとるから、この餓鬼は寸での所で生き永らえる。
 己の方は己の方で、こいつの心に暴れてもらわにゃァ木端微塵よ。
 一蓮托生……なら聞こえがいいが。何の事は無し、首吊り縄で繋がっとるだけさ」

【信戒は地に膝を突き、眩暈を収めようと必死に呼吸を整えている】
【戦意の喪失に合わせたのか、岩砕棒がパキパキと音を立てて砕け、細かい砂の粒と散った】
【あわやその場に倒れ込みかけるが、瞬時に手を付いて身体を支える】

「……然るによ、御仁。己はな、何時に、何処で、如何様に散ろうと、別段文句は有りゃァしない。
 当然だ。そう云う物だろう? “命”とは、“生”とは!
 不測、不条理、そうして必死! ……それだからこそ、命は愉しい。
 やがて必ず朽ち果てる鉄を、五感で、五臓で、五体で打ち据え、いつ折れるとも知れぬ劔を磨く。
 それこそ愉悦。それこそ娯楽。それこそ、“命を生きる”意味!」

【高らかに笑いながら、滑らかなる弁舌を振るうタタラ】
【うずくまる信戒に手は差しのべず、かといって手を挙げようともしない】
【あえて言うならば、彼が自分で立ち上がるのを待っているかのようだ】

「……鍛えもせずに、磨きもせずに、己が刃を見限りやがる。
 そんな愚物を叩き直す……それも亦、中々に愉しみでなァ」

【隻眼の老人、緋々色の鍛冶師は、そう言ってニヤリと笑いかける】
【その言葉は、傍らの信戒にも届いていただろうか】
357 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/04(木) 21:51:43.11 ID:/JLVrxHA0
>>356
アンタの持論は確かに間違っちゃいないと思う
だが一般的に考えればそいつは間違いだ。命とは暖かく優しさに包まれるべきものだ
死を恐れないのが生きる事じゃあない。死を受けいる事が生きることだ
アンタの理論と俺の理論は全く違う物らしいな。俺はアンタとは気があわないみたいだ

【にやりと唇を歪め笑いかけてくる。そんなおじさんを力のない双眸で一瞥してやる】
【おじさん曰く、少年とは命の天秤でつながっている】
【おじさん曰く、少年の心が暴れなければ、木っ端微塵】
【理不尽極まりない、天秤の上で、少年とおじさんは成り立っているようだ】

歪んだ価値観に、魂はどこまで保つか
アンタと少年。どういう関係なんだよ。話しを聞いただけじゃあ……わかんねぇよ

【いつまでも這い蹲っている暇はない】
【生まれたての子山羊の様におぼつかない格好で、よろよろと立ち上がったルーヴァー】
【“闘気を纏った何か”を杖代わりに身体を支えてゆっくりとした動作で以て立ち上がった】
【真っ直ぐ弱々しい瞳を、少年に向け、そしておじさんに向けて】


気に食わない……ーーー


【ルーヴァーはそう、言い放った】
358 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/04(木) 22:47:49.30 ID:LiOwRU2so
>>357
【力無き眼で反駁する青年】
【その眼と、その物言いを受け……タタラの口元に、亀裂のような皺が刻まれた】
【――笑っている。笑っているのだ】
【先刻の喫茶店で見せた、あの笑顔。目の前に玩具が落ちてきたような、どこか子供じみた笑い顔】

「……カッ、カハハ……ハハハハハハハハ!!
 そうかいそうかい、そいつが汝(なれ)か! 
 泡すら立たぬ、ぬるま湯に浸かり……それを命と言い張るかよ!
 結構、結構! それも一興! 否定はせんぞ、本当だとも!」

【かつてない笑い声を上げ、“何か”を支えに立ちあがった青年に向き直る】

「……あぁ、いやしかし……一つ、誤解があるなァ。
 『死を受け容れる』とは言うがなァ、この己、故あって『[ピーーー]ん』のだ。
 この凡骨の心臓が破れたとしても、己ァ少し世を離れるだけ……暫くすれば、またどこかの阿呆に宛がわれる。
 少なくとも、下らん『役目』が降りとる間はな。
 カハハ……汝には悪いが、『死を受け容れる』などという快挙、そうそう己は出来そうにないぞ」

【どこか自嘲めいた口振りのタタラ】
【その背後では、やや気力を取り戻した信戒が立ち上がろうとしていた】

……ジ、ジイ……何……

「おう信戒。気の毒だが、己はこの御仁に嫌われてしもうたようだ。
 一太刀交わすでもしなきゃァ、平かに帰してもくれんらしい。いやはや、参った、参ったなァ!」

【タタラが軽く手を振るう】
【瞬間、信戒の手に握られていた柄が、吸い込まれるようにしてタタラの手の内へと滑り込んだ】

「――応ともさ。汝のような真人間にゃァ、さぞ気に喰わんことを言うたものな。
 ならばどうする? 討つか? 祓うか? 全霊を以て迎え撃つかよ?
 ……そうとも。そうでなければ困る。……そうで無くては、愉しくない。
 ――『岩撤抜塔』」

【口上を小さく唱えただけで、タタラの持つ柄に岩砕棒が形成される】
【全長六尺(1.8m)を誇るそれは、先程信戒が作り出した物よりもはるかに長く、重く、禍々しい】
【タタラは、その岩砕棒を軽々と振るい、臨形――脇構えを以て青年に相対する】
【山に吹く嵐のごとき闘気が、その全身から溢れ出ていた】

「――椎名信戒。我が未熟なる宿主よ。だいぶ前に、『手本』を見せてやると言ったな。
 …………刮目せい。今が、その刻よ。
 我が『艮流(ごんりゅう)』の基本柄法、その眦(まなじり)に焼き付けるがいい」
359 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/04(木) 22:49:09.00 ID:LiOwRU2so
>>357 /またsaga忘れたよ…

【力無き眼で反駁する青年】
【その眼と、その物言いを受け……タタラの口元に、亀裂のような皺が刻まれた】
【――笑っている。笑っているのだ】
【先刻の喫茶店で見せた、あの笑顔。目の前に玩具が落ちてきたような、どこか子供じみた笑い顔】

「……カッ、カハハ……ハハハハハハハハ!!
 そうかいそうかい、そいつが汝(なれ)か! 
 泡すら立たぬ、ぬるま湯に浸かり……それを命と言い張るかよ!
 結構、結構! それも一興! 否定はせんぞ、本当だとも!」

【かつてない笑い声を上げ、“何か”を支えに立ちあがった青年に向き直る】

「……あぁ、いやしかし……一つ、誤解があるなァ。
 『死を受け容れる』とは言うがなァ、この己、故あって『[ピーーー]ん』のだ。
 この凡骨の心臓が破れたとしても、己ァ少し世を離れるだけ……暫くすれば、またどこかの阿呆に宛がわれる。
 少なくとも、下らん『役目』が降りとる間はな。
 カハハ……汝には悪いが、『死を受け容れる』などという快挙、そうそう己は出来そうにないぞ」

【どこか自嘲めいた口振りのタタラ】
【その背後では、やや気力を取り戻した信戒が立ち上がろうとしていた】

……ジ、ジイ……何……

「おう信戒。気の毒だが、己はこの御仁に嫌われてしもうたようだ。
 一太刀交わすでもしなきゃァ、平かに帰してもくれんらしい。いやはや、参った、参ったなァ!」

【タタラが軽く手を振るう】
【瞬間、信戒の手に握られていた柄が、吸い込まれるようにしてタタラの手の内へと滑り込んだ】

「――応ともさ。汝のような真人間にゃァ、さぞ気に喰わんことを言うたものな。
 ならばどうする? 討つか? 祓うか? 全霊を以て迎え撃つかよ?
 ……そうとも。そうでなければ困る。……そうで無くては、愉しくない。
 ――『岩撤抜塔』」

【口上を小さく唱えただけで、タタラの持つ柄に岩砕棒が形成される】
【全長六尺(1.8m)を誇るそれは、先程信戒が作り出した物よりもはるかに長く、重く、禍々しい】
【タタラは、その岩砕棒を軽々と振るい、臨形――脇構えを以て青年に相対する】
【山に吹く嵐のごとき闘気が、その全身から溢れ出ていた】

「――椎名信戒。我が未熟なる宿主よ。だいぶ前に、『手本』を見せてやると言ったな。
 …………刮目せい。今が、その刻よ。
 我が『艮流(ごんりゅう)』の基本柄法、その眦(まなじり)に焼き付けるがいい」
360 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/04(木) 22:50:23.30 ID:LiOwRU2so
>>357 /御免ほんと御免

【力無き眼で反駁する青年】
【その眼と、その物言いを受け……タタラの口元に、亀裂のような皺が刻まれた】
【――笑っている。笑っているのだ】
【先刻の喫茶店で見せた、あの笑顔。目の前に玩具が落ちてきたような、どこか子供じみた笑い顔】

「……カッ、カハハ……ハハハハハハハハ!!
 そうかいそうかい、そいつが汝(なれ)か! 
 泡すら立たぬ、ぬるま湯に浸かり……それを命と言い張るかよ!
 結構、結構! それも一興! 否定はせんぞ、本当だとも!」

【かつてない笑い声を上げ、“何か”を支えに立ちあがった青年に向き直る】

「……あぁ、いやしかし……一つ、誤解があるなァ。
 『死を受け容れる』とは言うがなァ、この己、故あって『死ねん』のだ。
 この凡骨の心臓が破れたとしても、己ァ少し世を離れるだけ……暫くすれば、またどこかの阿呆に宛がわれる。
 少なくとも、下らん『役目』が降りとる間はな。
 カハハ……汝には悪いが、『死を受け容れる』などという快挙、そうそう己は出来そうにないぞ」

【どこか自嘲めいた口振りのタタラ】
【その背後では、やや気力を取り戻した信戒が立ち上がろうとしていた】

……ジ、ジイ……何……

「おう信戒。気の毒だが、己はこの御仁に嫌われてしもうたようだ。
 一太刀交わすでもしなきゃァ、平かに帰してもくれんらしい。いやはや、参った、参ったなァ!」

【タタラが軽く手を振るう】
【瞬間、信戒の手に握られていた柄が、吸い込まれるようにしてタタラの手の内へと滑り込んだ】

「――応ともさ。汝のような真人間にゃァ、さぞ気に喰わんことを言うたものな。
 ならばどうする? 討つか? 祓うか? 全霊を以て迎え撃つかよ?
 ……そうとも。そうでなければ困る。……そうで無くては、愉しくない。
 ――『岩撤抜塔』」

【口上を小さく唱えただけで、タタラの持つ柄に岩砕棒が形成される】
【全長六尺(1.8m)を誇るそれは、先程信戒が作り出した物よりもはるかに長く、重く、禍々しい】
【タタラは、その岩砕棒を軽々と振るい、臨形――脇構えを以て青年に相対する】
【山に吹く嵐のごとき闘気が、その全身から溢れ出ていた】

「――椎名信戒。我が未熟なる宿主よ。だいぶ前に、『手本』を見せてやると言ったな。
 …………刮目せい。今が、その刻よ。
 我が『艮流(ごんりゅう)』の基本柄法、その眦(まなじり)に焼き付けるがいい」
361 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/04(木) 23:23:24.73 ID:/JLVrxHA0
>>360
まるで、知能のついた人形だな
誤解などしていない。生きとして生きる者には必ず、“死”が訪れる

【遙か大きな岩砕棒を携え、その力を見せつけるが如く】
【状況はーーー残念な事にこちらが不利である。戦えても数分で尽きる闘気しかないのだから】
【不可視にして可視。如何なる存在であろうとその形状を捉える事は不可能の、ルーヴァーが絶対の信頼を寄せる長剣】
【渡り合えるのは二度三度のみ。如何に敗北を刻ませてくれようか】
【その気になれば無理矢理に身体を動かして超人的運動を起こさせられれるのだけれど、リスクは負わずこの戦闘(喧嘩)を終わらせたいのが本望である】

俺は喧嘩しにきたわけじゃあない
男なら、正々堂々が真っ当だろ? 俺は正直避けたかったが、まあ仕方ねぇだろ

『こいよ。先に。どうした? こんなぼろぼろの俺に恐怖でも?』


【支えていた不可視の剣を握り、左足に体重を預けて残りの闘気を振り絞る】
【挑発に乗ってさえくれればカウンターを狙える。斬撃を飛ばせば牽制できるが決め手にしたいのか、使わない】
【左手で不可視の剣を握りしめ、その時を知らせる開戦の狼煙があがるのを、ただひたすらに待ち望んだ】
362 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/04(木) 23:54:49.34 ID:LiOwRU2so
>>361
「カハハ……嬉しいことを言ってくれる。
 未知とは常に愉悦を湛える。己に『死』という未知があるなら、ぜひとも味わいたいものよ」

【目の前にいる青年は、何かを構えたようにして動かない】
【握り方からして、長剣の類であろうか――何しろ、刀身から柄に至るまで不可視なのである】
【間合いの把握は、非常に困難と言えた】

『……信戒。己の艮流は、討つ為の技だ。制し、潰し、打ち倒す武法よ。
 その為には何が要ると思う。――対手(あいて)を制するには、何を以てする?』

……バカ……が……喧嘩中によッ……!

『――“先”よ。文字通りの“先制”よ。……ただし、無闇矢鱈に掛かることじゃあない。
 “先”とはつまり、“先んじて応じる”……言ってみれば、その一点よ。
 相対する中の油断に応じ、不意を狙い撃つ“先の先”。
 対手の刃が動くのに応じ、相手よりも先に叩き込む“対の先”。
 そして、対手の刃を受け止め、その一瞬の隙に応じ、撃つ……“後の先”。
 この三つこそ“先”。勝機と云うわけよ。応、聞いとるか?』

【信戒の脳内に、タタラの講釈が鳴り響く】
【脇構えのまま睨みあいつつ、信戒の体内にある『一部』を通じて念話を送っているのである】

『――さァて、それじゃあ次の問答だ。
 我が艮流が、最も重んじる“先”は何れか?』

……な、に……?

【構えを崩さず、攻撃の兆候も見せず――】
【タタラは、摺り足でゆっくりと間合いを詰めていく】
【その狙いは――“後の先”。攻撃を受け止めた上での、不意の一撃――!】
363 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/05(金) 00:18:30.48 ID:r+MFyEDJ0
>>362
【ライトニング、閃光一閃の要が誰にも捉えられないこの剣】
【不意討ちや、錯覚などのあらゆる方法に力を振るえるのだ。まあその大半が、長さを認識できない事や握った事に気づいていないなどの良が絡んでいるのだが】

【狼煙はまだあがりをみせず、おじさんはじらす様な摺り足で以てゆっくりと近づいてきている】
【疑問を浮かべるのは、当然ルーヴァーのほうだ】
【なぜ、アンタは攻撃を始めない。どうしてアンタはゆっくり間を詰める?】
【その意図は計り知れない】

……やるなら早くしてほしいな
もう足が痛くて痛くてーーー保たないよ

【勿論。嘘である】
【とはいったものの100%が嘘ではないのだ。先ほどから無理が続いているが故に、身体中針を刺されたかの様に痛む】
【それが意味するのは長く付き合う暇はないという事】
【そんなときにゆっくりと近づかれたのだ。時間も押して余裕のないルーヴァー本人からすれば、一分一秒無駄にはできない】
【単純な焦りによるものから、そう半ば無意識のうちにそう言葉を紡いでいたのだ】

落ち着くんだ。待て……待つんだそのタイミングを……ーーー
364 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 :2014/09/05(金) 00:43:06.14 ID:zfeiVO9Mo
>>363 /本日はこれで最後となります 

「……ほゥ、ほゥ。何を待っておるのかなァ。手早くケリを付けたかろうに。
 待ちも呆けも、いと愉しき哉。爺に我慢で張り合うかよ?」

【変わらず摺り足でにじり寄りながら、対手の出方を待つタタラ】
【青年がしびれを切らし、一撃を放つ、その一瞬……そこが、タタラの狙い目である】
【対手の間合いも分からぬ状況、不用意に近づいては面白くない】

(……あの怪我だ、そうそう長くは待てまい。
 もう少し泳がせてやろうかね。――いや)

【ちらりと歯を剥き出して、片頬に口を吊り上げて笑う】
【何か、余計なことを思いついた――そんな風な顔であった】

「…………」

【突如、前進を止めて、摺り足で下がり始めるタタラ】
【岩砕棒の先端すら届かないほど、青年との距離が開いてしまったが――】

           セキエイ
「……艮流柄法 『隻影』」

【次の瞬間、岩砕棒を脇構えから瞬時に振り抜く】
【同時に、岩砕棒の先端付近から黒煙と火の粉が立ち昇り――小規模な爆発が起こった】

……!?

【突然のことに目を丸くする信戒】
【岩砕棒の先端部分一尺が、爆風に乗って猛烈な勢いで直進していく】
【内部の圧縮ガスを瞬間的に爆発させ、岩砕棒の先端をまるで砲弾のように射出する技】
【艮流柄法 『隻影』。その軌道は極めて単調ながらも、間合い外からの攻撃を可能とする】

「これで……振るわざるを得まい?」

【射出と同時に、間合いを一気に詰めるタタラ】
【青年が『隻影』を防いだ、その隙に、攻撃を畳みかける腹積もりのようだ】
365 :イルマ・ツー・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/09/06(土) 00:43:43.93 ID:UdzwZUeko
>>355
【右腕の巨剣が押し留められる。その装甲の向こう側で、彼女の両目がひん剥かれる。】
【其処にいるのは殺したはずの人間だ。ぶっ殺したはずなのに、其処にいちゃいけないってのに、嘲笑うように其処に立っていた。】
【押し込もうとしても駄目だった。障壁を破壊する事は叶わなかった。巨大な剣が、ゆっくりと機能を停止していく。】
【飛び交っていた子機が一斉に機能を停止し、落下していく。巨剣が強制的に外されて落下し、地上にて突き刺さる。】

【があん、何て音と共に。白い強化外骨格に守られた拳が、障壁へと叩き付けられた。】

「私にはもう、何も無い。」

【障壁を叩く。主力戦車を相手取る二足歩行の兵器は、最初こそ無数の戦車を悠々と破壊していただろう。】
【だが何れ物量に圧されて、膝を折り、遂には爆散してしまう。】
【もう一機も大して変わる事は無い。無数の触手に対して、神経ガスを撒き散らしながら交戦するも、やがて細部を刺し貫かれて機能を停止する。】
【がぁん。障壁を殴りつける。】

「私はおじいちゃんの為に戦った、でも死んだ。だから今度はおじいちゃんの理想を実現しようとした。
 でももうきっと逆鉤十字は"詰んでる"。気付いた時には私の帰る場所は無かった。私は一人になってた。」

【機能を停止した強化外骨格。その頭部外装が剥がれて、彼女の頭部が露出する。】
【その双眸は例えば、狂気などとは無縁だった。何より自分の事が分かっている、何処か諦めたような表情を晒した。】
【それでも気にせずに、拳を叩き付けた。また、がぁん、という音が響く。】

【停止した筈の魔導統制ジェネレーターが再起動、暴走を開始。膨大な魔力を生命力と引き換えに生産する。】

「私はもうどこにもいない。私はもうどこにも戻れない。何もかも失ったまま、戦場に立っている。
 崩れようとする心を薬で繋ぎとめて、この私をどれだけ愚かと思うか。嘲っている事でしょう。」

【叩き付けた拳は、少しだけ変わっていた。彼女の身体を、異常なまでの魔力が包み込んでいった。】
【彼女の身体を作り替えていった。彼女の身体はより強靭に変質した。全身が強化外骨格と融合し、巻き込んで更に進化を続けた。】
【包み込んだ魔力の内から出てきたのは異形の怪物だった。人型だけは保っているけれど、その白い表皮は人の物では無い。】
【甲殻の様な物に覆われた身体、一つしかない目、左腕は確りと五指が形成されていて、其処だけは真っ赤な表皮に覆われていた。】
【背中には血管と筋肉組織を掻き集めて無理矢理構成したような、純白と赤色が混じり合う六枚の羽が形成されていた。】
【その右手には、真っ白の両刃剣が、"聖剣"が握られていた。】

【障壁へと剣を叩き付ける。今度こそ、叩き割る事が出来たのならば。】


「私が何をやっていて、私が何を考えていて、私が何を思っているのか。
 私にはもう、何もわからない。」


【左腕に魔力が集中する。それは燃え盛る火炎の球体と成って、彼女達を焼き殺さんと放たれた。】
【着弾時。それは膨張して大爆発を起こし、超高熱を撒き散らす。】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/09/06(土) 00:57:35.76 ID:enfT++hn0

367 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/06(土) 02:29:32.78 ID:njHyDek60
>>364
【おじさんの言う通り、ルーヴァーは我慢に自信がある類の人間ではない】
【言動といい動きといい、酷くのろまな相手の動作に、いつもならとっくの内に肉薄を試みていたはずである】
【余裕がないと言う現状が駆け出そうとかられるルーヴァーを冷静に保っている事は、不幸中の幸いなのであろうが】

油断も隙も与えず……たった一つのワンアクションに全霊をかける
一撃にして、二撃

【よからぬ事を企てる時、生物が見せる歪みを刻み】
【先ほどとは対象的に後退を試みるその様。攻撃可能圏内からは次第に逃れ、また、誘っているのかよ?】
【そんな事を思い浮かべた刹那の瞬間(とき)】

ーーーーーきた……!

【小規模爆発迸り、その名を紡いでみせたのはおじさん】
【開戦の狼煙が、あがったのである】

閃光 [二閃]

【飛び出す岩弾迫る刹那にそれを発し、手にした不可視の剣を、縦真一文字に振り抜いた】
【それはほんの数瞬の動作であり、一度の振るいに見える中で二度振るう妙技である】
【打ち出された岩は両断。肉薄せんと進む標的は、これを避けるのだろうか。避けられぬのならきっと、深手は免れない】 /遅くなりすみません
368 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/06(土) 19:00:33.85 ID:63U+g/lio
>>367
【射出された一尺岩は、不可視の一撃によって両断】
【続く神速の第二撃が、突進するタタラへと真上から迫る】

「(――!)」

【咄嗟に岩砕棒を横一文字に押し出し、青年の刃を受け止めるタタラ】
【予想だにしていなかった神速妙技を受け、その隻眼に歓喜の色が溢れる】

「カハハ! 中々の手並みよな、御仁! ――だが、なァ」

【岩砕棒が青年の刃と交わっている――と思われる一点】
【その交点を中央として、岩砕棒を支える両手を左右にすばやく滑らせるタタラ】

           ヒスイ
「艮流柄法――『緋水』」

【岩砕棒の先端側に添えた右手を押し出し、柄を握る左手は勢い良く引く】
【その挙動によって岩砕棒を、青年の刃との交点を“支点”として――左回りに回転させる】
【同時に身体を右方にずらし、青年の刃を受け流して――彼を、側面から打ち据えようとする】
【岩砕棒の長さを利用して、対手の攻撃を受け止めつつ反撃する。……これぞ、艮流柄法 『緋水』】

『……信戒。よぉく見ておけい。――後の先を取るたァ、こういう事よッ!』

【――だが】
【先の『隻影』によって、岩砕棒の長さは一尺分短くなっている。背後に回避すれば訳は無い攻撃だ】
【さらに、真横へ岩砕棒を繰り出すという特性上――姿勢を低くして躱される可能性も、十分にあり得る】
369 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/06(土) 19:35:51.62 ID:njHyDek60
>>368
【ルーヴァーの技で両断される岩。背後に控えるおじさんに迫る剣】
【堅い物がぶつかり激しく音をあげて、見事剣は受け止められる結果となった】
【自身の中でも1、2を争う神速の剣を受け止めたその反射神経と対応力の高さは、素直に賞賛するべき制度である】

く、アンタもな……
まいっちまうよ、ますます分け解んない

【するりと手から抵抗がなくなり、驚愕しながらそう言った】
【おじさんの追撃の速さに、気圧されていたのだ。だがいつまでもつっ立ってはいられないのが喧嘩である】
【追撃を避ける事はしない。と言うかできない】
【それをしたならばもう追撃に必要な闘気が尽きてしまう】
【だったら玉砕覚悟の上で追撃をかます。それしか残った選択しはなかった】

こいつが最後だ!
閃光一閃 [軌跡]ッ!

【脇腹に鋭い痛みが走る、その瞬間】
【真横に吹き飛ばされながら、神速に近い一振りを】
【切っ先は届く距離ではないが、それでいい。振るわれたその軌跡がぼんやりと黄金に輝き、飛ぶ】
【全ての闘気を乗せた放つ斬撃は、避けるのは容易いうえに、鋭さもない物である。しかし狙いは棒を持つ掌】
【握れないように意図する物であった】
370 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/06(土) 20:31:00.90 ID:63U+g/lio
>>369
【『緋水』の一撃が、青年の脇腹を直撃する】
【討ち取った――タタラがそう、ほくそ笑んだのも、束の間の事】
【淡い輝きを放つ“何か”が、タタラの隻眼をよぎっていく】
【――“それ”は半月だった。“それ”は反撃だった】
【淡い輝きを放つ斬撃が、金色の軌跡を描きながら……タタラの手首へと迫っていた】

「ッ――!!」

【右手首へと迫る斬撃】
【振り切った腕は、容易に戻せず――】

……!!

【ガキッ、と鈍い音が響き――残響が、辺りを支配した】
【目を見開いたタタラも、ようやく立ち直った信戒も――静寂のままに、動かない】
【――見れば、タタラの右掌には……中指と薬指の間から、深い亀裂が生じていた】

……カッ……カハハ……
…………カァーッハッハッハッハッハ……!!

【かつてないほど清々しい笑顔で、どこまでも豪快に笑うタタラ】
【右手の亀裂からは、緋色の欠片がボロボロと零れ落ちていく】
【――だが、しかし。その身を揺らすは無上の歓喜。その身に満ちるは至上の愉悦】
【舞い散る緋色の切片も、熱と光とを湛えていた】

美事……美事よ! 御美事よ! まさか己が、小手を打たれようとは!
この仕合、最早遂げるに能はず! 片手では骨も折れようものなァ!

「……おい、ジジイ……お前、あ、アレかよ……こ、殺――」

弩阿呆。あの御仁が、あの程度で果てるものかよ。
いやはや……まこと、いみじき剣技であった!

【岩砕棒が砂と消えてゆく】
【風が砂を巻き上げる中、タタラはゆっくりと青年に歩み寄る】

……手傷を負うたのは久方振りよ。
……なァ、御仁。名は、何と云う?
371 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/09/06(土) 23:36:49.52 ID:njHyDek60
>>370
ッ……ルーヴァー。ルーヴァー・ブレイ、グランド……フィー、リア……だ
アンタは……?

【二度も店の壁に叩き付けられ、今度こそ背骨には深い亀裂が生じている事だろう】
【脇腹付近。討たれた肋骨は、片方のみ数本折れている】
【コンディションの問題があるのかも知れないけれど、別の敗因も否められない】

【情けなんていらぬ情。それをかけてしまったのだから】

【とはいえ、己が一撃は、見事に肉を抉っているのだ】
【やはり不意を突くのは、得策であったと言えよう】

視界が、赤い、が……笑っている。のか?
完……敗、だ、……久しぶり……の、な

【力が無いし、入らない】
【脳が酸欠状態に陥ったか、目眩も酷かった。そんな事態で、口にする言葉とは】
【感覚が鈍いのが解る。意識が続くのも、そう長くはないようである】
372 :信戒&タタラ ◆u.1F.g0z82 [sage saga]:2014/09/07(日) 01:10:25.57 ID:O/yy0u4so
>>371 /これにて〆とさせていただきます ロールに付き合って下さり、ありがとうございました!

「その名、丁重に刻み込もう……ルーヴァー。
 ……愉しかったぞ」

【静かな笑みを浮かべながら、青年に語りかけるタタラ】
【そこには、奢りも蔑みも無く……ただただ、満足感のみが溢れている】

「――己の銘(な)、か? ……カハハハ……実を言うとな、己には本来、銘など無いのよ。
 緋(ヒイ)の坤帝、地の翁……人ガタを取った“力”に過ぎん。
 ……あァ、然し……今は、この銘があったなァ。 ――“祟羅(タタラ)”」

…………

【自嘲気味に名乗るタタラ。一方、信戒の方は青年を見たまま、眉間に皺を寄せて黙っている】
【戦う気を全く起こさないかと思えば、次には己が信念の為にタタラに挑みかかった青年】
【彼――ルーヴァーをどう理解し、どう言葉を掛ければよいものか……今の信戒には、分からなかった】

「……応、そうだ」

【そう言って、タタラは懐から、小指大の珠を取り出した】
【暗褐色の輝きを放つそれは、柘榴石――ガーネットの珠。生命と力を司る宝玉である】

「――心躍る刃鳴(はな)の刻だった。そいつは、ちぃとばかしの礼よ。
 あァ、別にいますぐ投げ捨てても構わんぞ? 贈るだけでも愉しいからなァ。カハハハハ!
 ……さァて、腹ごなしも済んだことだ……そろそろ往くとするかよ、腑抜け」

……るっせえ

【バイクに向かって歩いて行く2人】
【タタラが小声で何かを唱えた、その次の瞬間】
【一瞬にして、タタラの五体は無数の緋(あか)い石片に変わり――バイクのボディへと癒着した】
【250ccのオフロード車は緋色の装甲に包まれ、まるで二輪の戦車のごときフォルムへと変貌する】
【そのバイクへ跨る直前、信戒は青年を振り返り、そして――】

……なあ、アンタ。……何であの時、わざわざジジイに……
…………いや、悪ぃ。……いいわ、やっぱ
――じゃ、な

【アクセルを吹かし、去っていく信戒】
【彼の心に、彼の“炉”に――何かが、灯ったような気がした】
373 :ルーヴァー・ブレイグランド・フィーリア ◆zbgaciAk6Y [sage]:2014/09/08(月) 22:38:22.83 ID:Td9MxfAb0
>>372
タタラ……良い名じゃないか。うらや、ましい

【自嘲気味な薄い笑みを浮かべ、そう名乗った男の名は】
【強者、としての威厳を文字に起こしたかの様な、不思議な響き】

こいつぁ、ガーネット……? ……ありがとう
こいつのお陰で、少し生き延びられそうだ、な

【オフロード車に歩んでいく二人の後ろ姿を眺めながらルーヴァーはそう小さくつぶやいていた】
【その身を分解し、一つの有りふれたバイクをあたかも二輪戦車の如く変形させたタタラと、少年の視線とを見据えながら】
【アクセルを吹かしさっそうと去る一人の一機を見送って、掌を広げてみせる】

黒い羽に、朱い宝石。か
ったく、ろくな目にあわないなぁ……まあ、波瀾万丈で飽きが来ないのが救い、か

【そこにあったのは、タタラから譲られたガーネットと、少し前に会った不思議な天使の羽】
【ルーヴァーの、宝物だった】

/絡みありがとうございました!
374 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/04(土) 00:02:42.29 ID:SMAIzYk00
【あくる日の休日に賑わう商店街を通り越し、道なりに進んでゆけば】
【あたり一望緑の絨毯に彩られた草原がある】
【知る人ぞ知る隠れスポットとして有名らしいそこには、物珍しく人の気配はなかった】
【それでもそこを真っ直ぐ進むと一本の木が見えてくるのだが、その木の幹に注目すると】

すぅ……

【一人の少女、先客の姿が見えるだろうか】
【読書中にでも眠ったのだろう。手には閉じた小説が握られていた】
【さて、その現場に居合わせた人間がいるのなら、どう言った行動を見せるのだろうか。当然のことだが、眠る少女には皆目検討もつかない】
375 :"逆鉤十字奪還作戦" [saga]:2014/10/04(土) 11:29:25.08 ID:4c5+t5pEo
結果を見れば。その戦況は、国連軍側の圧勝だった。
今回参戦したAuriga側の目標が国連側で無い事も手伝い―――――――― 第四帝國軍は、壊滅的なダメージを受けた。
既に前回の戦闘において主力軍を著しく削られたハンス・バイエル達に、Auriga、国連軍両者を相手取る余裕など残されていなかったのだ。

第四帝國軍は撤退。それでも僅かに残った兵力を伴って後退。被害甚大なれども。
ここにおいて勝利したのは、国連軍―――――――― 否。


現代側の人間となった。


醒めない夢は無い。過ぎない時間など無い。第四帝國側の終焉は、既にすぐそこまで迫っていた。

夜明けは近い。



/イベントの〆です!参加してくださった皆様、ありがとうございました!!
376 :OB-004 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/04(土) 11:42:48.24 ID:4c5+t5pEo
>>374
それは『何時の間にかそこにいた』と表現するのが正しい。

まるで何処にも争いなんて無いかのような、そんな静かで、優しい場所だった。
柔らかな風が頬と銀髪を、ワンピースの裾を優しく撫でて、草原と、其処に立つ一本の木が擦れあって、その音が重なり合っていく。
命の主張。ただ其処に生きていると言う命の主張―――――――― その下に、静かに眠る彼女へと、少女はゆっくりと歩み寄った。、
草原を踏みつける、小さな、そして小気味良い音を連れて、彼女の横に歩み入ったけれど……彼女は、小さな寝息を立てていた。
これから、彼女のこの穏やかな眠りを邪魔してしまうのかと思うと、心苦しくあるが―――― 仕方がない。
その隣へとゆっくりと座り込んで、顔を覗き込んだ。

「……もしも〜し」

そんな風な、楽しげ、と言う気持ちが決壊して出てきそうな、そんな一言と共に、彼女の頬へと人差し指をゆっくりと持っていく。
それが彼女の頬に触れたのならば、つん、つん、と。その感触を楽しむ様に、柔らかく突っついてみる筈だ。
377 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/04(土) 19:08:11.63 ID:SMAIzYk00
>>376
【滞留する優しい気流に擦れる葉は楽しげに音色を奏で、それを引き立てる小気味な伴奏】
【少女は深い眠りの中に。閉じた瞼の裏でいったい何を見ているのか、はにかんだ】
【対して頬を突つく犯人の指にはマシュマロのような弾力が返ってきていることだろう。ニ、三と突つかれるうちに、脳は鈍純な駆動音を揚げた】

【何かが頬に触れている事実。麻痺した感覚と似た今はまだ鈍い鼓膜を震わせる声音】
【ゆっくりとそれらを認識しながら次第に脳は覚醒を促して、聴いた言葉を理解し、まだ重たい唇を開かせる】

ふ、わぁぁぁ……いぃ……

【目覚めを知らせる欠伸とタイミングが合致したものだから、もはや言葉だと形容できない言語が飛び出した】
【薄く開いた瞼の内側に据わる双眸が、霞む視界の中で自分を起こした犯人を探す】
【その中で黒い靄を見つけ、少女はそれを犯人だと判断した】

どうかしました……?

【そして眠たげな双眸でその姿を捉え、問い返した】
【何かしてしまったのだろうか。などと思考しながらに】
378 :OB-004 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/04(土) 20:20:23.94 ID:4c5+t5pEo
>>377
突いた頬が返す弾力は、とても心地良く……三度目を突き、思わずもう一度、と指を動かそうとしところで、彼女は目を醒ました。
その、欠伸なのか、それとも返事なのか。とても間抜けなその発された言語に、思わず、小さく短い笑いが、飛び出してしまう。

「あは、起きた起きた」

笑みと共に、そんな楽し気で、悪戯っぽい声を、その意識の浮上の歓迎の意を示す言葉を。
覗きこむ為に、前のめりになった身体を戻して。彼女の横へと、再度座り直す。
そうしてそれから。少女の問いかけに対して、答えを返す事無く、彼女の顔を、静かに見つめていた、観察していた。
二、三秒の空白の後だった、彼女が言葉を発したのは。けれどそれは、彼女への返答では、無く。

「うん、多分、間違いない……二舞さん、だよね?」

小さな確信と―――――――― それでも、僅かな不安を含んだ、些細な問いかけだった。
無論、彼女と少女の間に面識は無い――――面識は無いが―――― 少女は、確かに彼女の事を、知っていた。
小首を傾げて。彼女の返答を待つ。
379 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/04(土) 21:19:43.56 ID:SMAIzYk00
>>378
【ドギマギしながら冷静だった。何を言われるのか怖かったけど、そこまで身を縛るほどではなかった】
【小さな恐怖を覚えながらに答えを待ちわびる。疑問に応えてくれる言語に対して身構える】
【だが、隣に座った彼女が数瞬後に返してきた返答は期待に沿ったものではなく、人物の確認】

【この容姿に沿った関係人物は記憶無いから一瞬、面食らう】
【何の用事なのだろう。しかし相手も確信を持っていそうな様子でありながら不安をのぞかせている】
【もしかすると知らない内に見知った相手なのかもしれない、無理矢理そう結論づけて、取りあえず応えることにする】

えっ、ぁ、はい。そう……だけど
あのー。あなたは?

【苦笑いに顔を染めながらぎこちなく問いに肯定を示した】
【自分も応えたのだし、忘れただけなのかもと思案した少女、二舞御妃は問い返す】
【……やはり面識は、思い当たらないものの】
380 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/04(土) 23:20:24.29 ID:4c5+t5pEo
>>379

その肯定の言葉に、「よかったー」なんて、軽い言葉を思わず吐き出した。
彼女のそのぎこちない悪いや不安何てそんな物、眼中に無いかと思えるほどに、その言葉は随分と楽し気だった。
彼女の問いかけに、うーん、と首を傾げる。
名を知らぬ、と言う訳では無い、ただ面白い返答が無いかな、何て考えて……それからすぐに、答えた。

「誰だと思う?……なーんて。
 こんな灰色の数字と記号の羅列、名乗るなど非礼に値する……何て、あの子なら言うかなぁ」

随分と勿体ぶった言葉遣いだった。それから、彼女の顔を……否。その双眸を、じっと見つめた。
人工の瞳が、彼女の双眸を覗き込む―――――― 其処に在る困惑すらも、楽しむ様に、焦らす様に。
そして漸く、彼女の言葉に、答える。

「『綺麗な瞳だ。強い瞳だ。……私には無い物だ』……あの子が言う通り。

 私には、名前は無い。あるのは味気無い番号と記号だけ。けど、誰かは言える。
 貴女と戦った―――――― えーっと、白い服の、騎士みたいな恰好をした、女の子。

 その子の、お姉ちゃん、になるのかな?」

別に責める風でも無く。ただただ、彼女の反応を楽しもうと。只々、笑顔のままに、彼女の反応を待つ。
381 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/05(日) 01:01:35.81 ID:obuQ1ymb0
>>380
【起こされてから約数分間が経っている中で、御妃が問うたことは一つ】
【そこに至るまで、いや、至った後にまで返ってくる言葉や態度はとても軽いものだった。脳天気なんて言葉がピッタリだ】
【しかし返ってきた応は、御妃の心臓を鷲掴みにしてくるような感覚を覚えさせる。だってその言い方、返し方は一度聴いた覚えがあるからだ】
【明らかな狼狽え。こちらの双眸をジッと見つめ返すその女性を、半信半疑で一瞥した】

【信じたくても信じられないこともある】
【件の女性はあの日、崩壊天使で命を落とした。他ならぬ御妃により、終止符を打たれたはずである】
【だが、どんな理屈であろうとも続いて発せられた言葉で、確信を植え付ける】

貴女に無くって私にあるもの……
ぅ、ぅうぅぁぁ、ぅぁああああああああああっ……

【楽しむために用意された応に、反応した御妃の行為とは】
【縋り、抱きつき、泣きじゃくることだった。姉であろうとそうでなかろうと、どれだけその存在に焦がれたものか】
【本音を言えばあの日の彼女に会いたかったけれど、御妃は、女性の胸に飛び込み幼子の如く泣きじゃくった。反射的に】
【あの決断を後悔するように、御妃は泣いたのだ
382 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/05(日) 16:46:17.83 ID:nz6mGZRCo
>>381
「……あ、う、え?」

もっともっと、柔らかい反応が返ってくることを、彼女は期待していた。
だが少し。彼女には、人の気持ちを察する能力、という物に欠けていた―――――― 作り物であるが、故に、か。
それでも、察しはついた。悔いている。あの、自分の『妹』を、自ら手を下した事……それを、彼女は悔いている、と。
自分の胸の中に飛び込み、泣きじゃくる少女……左手を、彼女の背へと回し、右手が、彼女の頭をゆっくりと撫でる。

「ごめんね、大丈夫、大丈夫。気に病む必要なんて無いし、貴女は何も悪くない。
 悪いのは、きっと私達だから。泣かないで」

少しだけ、普通の"人"よりも、冷たい身体に縋る彼女の体温が伝わってくる。
自分の"妹"の事を、羨ましく思う。余りにも短い間に。戦いを通して、こんな風に泣きじゃくってくれる人がいる。
……だからせめて。少しの間くらい、代わりにはなれないかもしれないが。気が済むまで、胸を貸そう。

「落ち着いたら、そのままでもいいから……私の話、聞いてほしいな」

どれだけ時間が経ってもいいから、と付け足して。
383 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/05(日) 23:50:53.04 ID:obuQ1ymb0
>>382
【秘境に響く泣き声が止まったのは、それから五分くらい経った頃だった】
【貸された胸を涙で濡らし、鼻を啜る。腫れぼったい目に未だ残る涙の痕。頬に射す赤みが、御妃を幼く見せた】
【感情の整理が調うにつられ落ち着きを取り戻していくのはいい、が。御妃は、その場から離れようとはせず】
【優しく添えられた左手を解かずに、なおもギュッと縋りついた。そして頭を撫でる感触に眠気さえ覚える】

【姉と名乗ったその機械は代わりになることをクリアーし、それを越えた安心感さえ御妃に与える】
【かっぽり空いた胸の隙間を満たす心の拠り所に、御妃は意識せぬまま、安堵していった】

ごめんなさい……。急に泣きついちゃって
でも差し支えなかったら、もう少しだけ、このままで居させて……

【そして彼女の腕の中でそう発す】
【そこにいるのは気高き騎士ではなく、やはりただの少女。安息を求めた、白騎士を求めていた、ただの騎士(少女)】

……うん。話し、聞かせて

【話しを聞いてほしい。そう言われ】
【御妃は縋りついたまま、話してと首肯した。どんな話しがなされるのだろうかと、意識の片隅で思案しながら】
384 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/06(月) 22:20:11.74 ID:xDW3bmqqo
>>383

彼女が泣き終えるまで。縋り付く彼女は、余りにも弱かった。
別に復讐心など無かったけれど、あの"妹"に、手を下すことが出来た少女には見えず。
その首筋に手をかけて、少し力を入れてしまえば、簡単に、墜ちてしまうような……そんな、余りにも幼く、無力に感じた。
無論実際には戦闘能力ならば、彼女の方が高く、やろうと思えば、自分など簡単に殺してしまえるのだろう、けれど。
今、彼女の拠り所になれている事を嬉しく思い。出来るならばずっとそうしていてあげたいと思うのは、過ぎた考えだろうか。

「ん、分かった」

漸く泣き止んだ彼女の言葉に。その二つの問いかけに対する答えと共に、彼女を撫でる手が、彼女の頭の上で止まる。
ゆっくりと優しく秘境に吹く風が、頬を撫でる。それから暫くの思索の間を以って。

「……逆鉤十字は地に墜ちつつある。
 終わり行く私達に、"お父さん"が――――"大尉"が――――"ハンス・バイエル"が私に与えた役割は。『希望』。」

先の戦争にて戦った白騎士の腕章―――――― それが示す通り、彼女の所属するのは、"逆鉤十字"の亡霊部隊。
その"姉"足る彼女もまた、同じく"逆鉤十字"の存在……階級こそ、其処には存在しないが。それでも確かに人類へと、反旗を翻す者。
そして。

「文字通り、私は。『希望』として作られた。その理由は遥か遠い過去へ向けた物じゃない。
 それは確かに、其処に続く"可能性世界"へ生きる事、未来へと向けられた、確かな"希望"。願い」

彼女の頭の上に乗せられていた手が、不意に離され。それが、小さく握られると―――― ゆっくりと、開かれた。
湧き出るのは"黄金の光"―――― それは球体を成して掌の数センチ上を浮遊し、内部に、とある物体を抱えていた。
長方形の機械―――― 雷撃と騎士が刻まれた、長方形の機械。かの白騎士が、握っていた物だった。
385 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/07(火) 00:23:14.42 ID:9+mugnn30
>>384
【嗚呼、嗚呼。心地よい、温もりを感じてしまう】
【人にしては硬く、冷たい彼女の腕の中で安らいだ顔を浮かべる御妃は、機械であるはずの彼女に確かな温もりを感じていた】
【返答と同時に止まる右手を感じながら聴いたその話しに御妃は、嗚呼やっぱり。そう思った】

……人類を憎んでないの? いや、この質問は愚問か
『希望』としての役割、詳しく聴かせてほしいかな。可能性世界を、どう生きていくのか……とかさ

【だが、彼女は『希望』だ。そして白騎士は『兵器』。対なる存在だ】
【だからやっぱり、彼女と彼女は違う存在だなんて思うことは、許されるのだろうか】

ぁーーー。それは……

【漏れた黄金が抱える物体に、目を奪われた】
【その形、そのエンブレムに、心当たりがある。ミョルニルを従えた白騎士を連想させる。それを今、彼女が所持している事実】
【何故かは知り得ないがそれは紛れもなくあの日の物で、それを持つ姉】
【嫌悪でも、妬みでもないが、御妃は半ば無意識のうちに、そのエンブレムにへと腕をのばす】
【それに懐かしむように触れようと、指先をのばす。なんで貴女がだなんて興味は、その行為を止める力にはならず】

386 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/07(火) 01:42:22.21 ID:dzEly9fho
>>385

黄金の輝きの中で揺蕩うそれに手を伸ばしたのならば、柔らかな笑いを以ってして、それを歓迎した。
触れたのならば。それが返す感触は、硬質な金属の感触―――― それ以外に、彼女が何か感じるとすれば、それは。
"彼女"――――その温もりを彼女へと返す。勿論それは実際の温度変化を伴わない、けれど決して錯覚では、無い。
手に取る事も、彼女はそれを拒絶しないだろう―――― 或いは、寧ろそれを望んでいる様。

それから。またその語りを続ける。

「あの子達が産み出された理由は。ただ、戦って。死ぬ為だけ。じゃない。何もかもが失われて。何もかも失敗して。私達だけが残されたとき。
 自分が、自分達が、受け入れることが出来なかった"可能性世界"を、代わりに歩んでほしい。
 言ってしまえばただの、父さんのエゴ、自己満足……そして、それを達成する為の、私は『希望』」

"白騎士"と。或いは彼女の知らない"亡霊"も、"戦闘狂"も。そして今、彼女の目の前で、その右手を再度、彼女へと触れようと。
其の手の中に迸っていた光を決して、彼女の頬に触れようとする彼女は。"同じ存在"だ。

「あの、よぼよぼのお爺ちゃん達が残した"希望"。どう生きていくかは、私達が決めて行っていい、って。
 勿論、それは、その権利は―――― その子にも」

そのエンブレムが刻まれた長方形の機械へと視線を移す。
人類を憎んでいるか―――― 彼女の言う通り、それは愚問で、その通り答える事は無かった。
人類が産み出し、人類と戦い、そして人類と歩むこと―――― それを支える事が、彼女へと与えられた"責務"であり。
何より、こんな風に。機械である自分に、或いは"あの子"に、寄り添ってくれる人がいる……それだけで。
恨む理由など、何処かへと失せてしまう。
387 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/07(火) 19:30:31.27 ID:9+mugnn30
>>386
【生命の息吹とでも形容すればいいのか、それに触れ、手にとって、ぎゅ……と抱きしめて】
【確かに感じる温もりは、“最後”に交わした感触。硬い、されど柔らかい、矛盾な感触だ】
【言うなればそれは彼女そのものであって、金属の固まりなんてことは無い。“魂”なのだろう】

そう、なんだね……

【逆鈎十字。そのトップ格である彼女らの父も同じ存在で】
【それは御妃も白騎士も彼女も同一。要は思考回路も同一なのだとすれば】
【決してとがめられないだろう。誰にも、どんな絶対にも。裏ではやっぱり、優しい父親であるのだから】
【だからハンス・バイエルは、こんなにも慕ってくれる人がいる。それが証明となる】

私、貰っていいかな。これ

貴女たちの父がやってきたことは許されるかは解らないけど、私は憎めない。ううん。憎んじゃ、いけない

【だとすれば、決して悪いとは言えないではないか】
【世界は可能性である。その反旗は白紙に色を染めるべき必要な要素、なのならば、やはりそれは悪くはない】
【絶対運命の筋書きなのだとするならば、それはあって、起こって当然の些細な問題。やはりそうだとするならば憎むべきものなど存在しない】
388 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/07(火) 23:07:34.59 ID:dzEly9fho
>>387
彼女の言葉に。少しだけ、面くらったような表情を見せた。
"白騎士の魂"を手に取り、そして貰っていいかどうか、そう問うたことに大してでは無い。その後に、続く言葉。

"私は憎めない。ううん。憎んじゃ、いけない"


「……意外。父さんがそんな風に言われるなんて」

自分勝手で身勝手だと、そんな感想が返ってくる、彼女はそう考えていた。
世界へと反旗を翻しておきながら。たくさんの人間を殺しておきながら。身勝手に一つの"魂"を作り、あまつさえそれに"希望"を見出す事。
世界大逆の存在に対するそれに対するその言葉は、余りにも"優しかった"。

けれど、そう。それもまた、"可能性"ならば。

確かに、そうなのかもしれない。


「あ、えーと、うん。"その子"は、貴女にあげる―――― "その子"も、その方が嬉しいだろうから。
 きっと、力になってくれると思うから。言うまでも無いかもしれないけど……大切に、してあげてね?」

その驚愕に遅れて、彼女の問いに対する答えを出した……とは言っても、その答えは最初から決まっていたのだが。
それから、胸の中の少女へと視線を落とす。何度見ても、其処に戦う力があるのかと、疑問に思えるようで。
けれど、触れているからこそ感じる。彼女の血からの胎動、この"可能性世界"を生きようとする、鼓動が。
彼等の存在が必然ならば。"生きよう"とする彼女達が存在し。そして可能性を切り拓く事もまた、必然かもしれない。
叶うならば。共に歩みたいと願う。

「だから……その代わり、って言ったら、どうかなと思うんだけど。」

吹く風に揺られる銀髪を掻き揚げて、穏やかな空を見上げる。可能性を包み込む、偉大なる白紙の空を見上げる。


「父さん達を"終わらせて"あげてほしい」


明日へと続く道。それを歩く力は、もう、彼等には無いのだから。
立ち止まらせてほしい、と。哀れに歩み続ける彼等を、終わらせてほしいと。そう願う。
389 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/07(火) 23:37:48.39 ID:9+mugnn30
>>388
【優しすぎるのは、時に武器となり、弱点となる、曖昧な感情だ】
【だがそれは、無機的な思考回路であったとて持つ感情。生あるモノには必ず在るものだ】

エゴだなんて誰もが抱く感情
私の彼女と会いたい気持ちも、きっとエゴ

【驚愕に染まる表情から一拍。応えを聴きありがとうと返しながら、そう言の葉を紡いで】
【誰もが持つ感情を止める事はできないけれど、押さえる事は可能だと、説く御妃】
【大切にするよ。約束と、ほんのり頬を桜に染めて、肯定する。されど戦いの場ににつかわしくないのは幼き感論故か】
【それは彼女の言う通り、当たり前のことである。見上げる白紙の空に描く、一本の墨】

【希望の出した頼みに応えるその墨の色は透明。約束するのはーーー崩壊した天使】


……それが貴女の、あの君の出した『応え』なら、応えるよ
私は戦うよ。そして終わらせる。役割を終えさせてくる

だからね? ここで待っててーーー。必ず、“救って”みせるから

【明らかな宣戦布告。そして誓い】
【もうあんな、君の様な運命は彼女にも他にも向かわせたくないから。残酷な枷から解き放ってあげたい、だから】

【頼み事の応えだなんて端から決まってる
390 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/08(水) 23:49:35.96 ID:BepJ6ow8o
>>389
世界の端が開いた。無限に広がる世界の可能性、今、手に取る様に、彼女にその一旦を感じとった。
世界が音を立てて色づいていく。今、自分の中の「白紙世界」に、様々な色が、突き立てられた。
その中で。香り立つ、彩る世界の中で。彼女の頬に浮かぶ桜色が、この秘境の中で、一段と輝いているように感じられて。
その両手で、彼女を強く、抱き締めた。


「うん、待ってる」


返答は其れだけ。それから暫くの間、彼女の体温を、芳香を、息遣いを、その身に刻む様に、そのままだった。
時間にすればたった数分。体感時間で言えば、数秒にも満たないように気すらしたけれど。名残惜しいけれど。
彼女を抱く手を緩めた。

「それじゃあ、私はもう行くよ。……逆鉤十字の下で。きっと貴女を待っている。
 だから―――――― 危ない時は、きっと護ってあげてね、『大切な人』を」

彼女の握る"妹"へとそう語り掛ければ。きっとその言葉に答えているのだろう。彼女の事なのだから。
"当然だ"と、顔色一つ変えずに―――― 何となく、"どっちに対しても"、妬けてしまうな、何て思う。
"妹"が取られた事に対して、"妹"にこんなに想ってくれる人がいる事に対して―――― だから。

"御姫様"の役割は、今くらいは自分に譲ってもらおう。
391 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/09(木) 17:46:56.37 ID:I4EBXlAc0
>>390
【抱く腕にこもった力。ほど良い体温、柔らかさに。抱き返す】
【嗚呼、嗚呼。自分はなんて幸せ者なのだろう。待ってくれる人がいて、支えてくれる魂(人)がいるんだ】
【それだけで。それだけで。自然と気力が湧いてくる。護りたいと感じられる】

果たして見せますとも、『御姫様』

【何時だって姫を護るのは騎士の役割だ。それに頼みを聞き届けるのも、やはり騎士の役割なのだ】
【緩んだ腕をやっと解き、片足を立て頭を立てるのも、西欧に言う騎士の忠誠も、それが故の事柄】
【騎士とは屈強に耐え、どんな如何なる事態にも屈せない魂で、精神を持たなければ。難解を突破しなくてはならない】
【それは主に牙を向くような事であったとても】

【姫の傍には騎士がいなくては】
【胸に握る君に対しても、眼前に写る『御姫様』も。私が。私が護らなくちゃ】
【傍に支えてくれて、何時か帰る場所がある。それだけで、騎士は護る意義があるんだ。だから、何時か帰る君や『御姫様』のために、永久に、永劫に。戦い、そして、護り続けようーーー】

【それが忠誠。それが騎士、二舞御妃の在るべき使命であるのならば】

【それら願いを聞き入れ、果たすのが、義務】
392 :OB-000 『H』 ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/10/09(木) 22:53:27.81 ID:jCVqbd3yo
>>391
立ち上がり。彼女へと視線を落とす。美しく、そして屈強な騎士の姿に―――――― それならば。
"姫"はただ坐して"騎士"の救いを待てばいい。ただ凛として、その騎士の名に恥じぬように、立ち続けよう。
彼女の頭に、そっと頭を乗せて。小さく撫でると、何故だか不満気な"白騎士"の姿を、彼女の横に幻視して。
片目を閉じて、茶化す様にウインクする。


「私の特別な、大好きな『騎士様』―――――― いずれ。



  またこの秘境で、会いましょう。今度は、お弁当でも持って、ね」


全身が、金色の輝きへと包まれる――――― 咲のそれと同じ光が、秘境を明るく照らし出すと。
二回、三回。ノイズが入った様に、まるで空間が捻じ曲がった様に、其の身体は光の中へと溶けていくように。
その金色が晴れたならば―――――― 少しだけ、強く吹いた風と共に、彼女の身体は、消えていった。
存在の証拠は、其処にはもう存在しないように見えたけれど―――――― 残り香だけが、秘境へ溶けて、拡散していった。




「随分と、勝手な事ばかりしてくれるじゃないか、『H』」

「だって、私は貴方の娘なんだもの。勝手な事の一つや二つ、してたでしょ?
 年頃の娘なら、尚更。だから、見ててよね―――――― "お父さん"。見返してやるんだから」

「……期待だけは、しておいてやるよ」



――――― to be continued.
393 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/10/10(金) 18:45:29.65 ID:4UMDHBNF0
>>392
ハッ。またの機会に

【視界が黄金一色に染まる。ノイズが走り抜けた場所に、その存在は認められず】
【ただ。微かに香る彼女の臭いが、強風に吹かれ。あたかもそこにはなにもいなかった、と誇示するようだ】
【しかし騎士は知っている。頭部に残った柔らかい感触と、その臭いを。夢だとは言わない】
【立ち上がり、放念の吐息。見据えるは、行く先の未来】
【さあ。歴史に名を残す一大事だ。あわよくば約束通り、最後の手は私が下そう】

【そこに誰かがいるかのように、幻視する君。何故かふてくされているような、そんな気がした】
【その肢体を抱くように虚空を抱きしめ、時間が経てば、未来へと足を進ませていくのだった】

終わらせよう。ミョルニルの君……、私の英霊……メタトロンッ
終止符を、討ちに行くわよーーー



394 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/08(土) 20:15:32.18 ID:vsE9W0Rio
随分と長い時間をかけてきた。それまでに何人も。自分の背中を追う者がいて、何人も何人も死んでいった。
決して。彼等が自分に劣っていた訳じゃない。それは何れ落ちる実であり、唯々、自分が他よりも遅く、運が良かっただけの話だ。
自分よりも。遥かに強く、遥かに才があり、素晴らしい素晴らしい人間達だった―――― それを率いることが出来た事を。
誇らしく思う。素晴らしく思う。そうして、終えていく事が出来た事を―――― 喜ばしく思う。


獨国ヴェーザーミュンデは、国連軍によって余りにも容易く制圧が完了した。

其処は。まるで其処だけが時が巻き戻った様に。数十年前の形をしていた。それなのに。
其処に存在したのは、無数の無人兵器、のみ。それ以外に、黒衣の兵士も、空を駆ける航空兵達も、其処にはいなかった。
燃え盛る炎は酷く最低限だった。其処には、もう、抗戦の意思は見当たらなかった。

ハンス・バイエル達の棲む、其処。かつての発電施設を改装し、要塞とした海上基地もまた、それは同様だった。
ただ―――――――― 彼等は、きっと其処へと導かれる事だろう。
中央。『何処かの何時かの総統官邸』を模したような、其処に在る、巨大なエレベーター……其処を、降りていけば、辿り着く筈だ。


其処は、無数の墓石が並べられた―――――――― 墓場。その中央にある、また他と変わらない墓石の前に立つ、男が一人。
黒い軍装を着こみ、左腕に腕章を着けた銀髪の男―――――――― 元Auriga前線戦闘最高指揮官、第四帝國最高司令官、ハンス・バイエルは。
其処に、花を添えていた。グロリオーサ。花言葉は、『栄光に満ちた世界』。墓石に刻まれる名は、Hans Bayer――――――。


「ようこそ、勝者達よ。俺がこの敗北軍隊の最高司令官、ハンス・バイエルだ。
 ―――――― 見ろ。敗北者の顔を。感じろ。敗北者の息遣いを。そして―――――― 嗤え、嗤え、勝者共。

 これが。敗北者の顔だ。これが――――――― 白紙の可能性に覆われた者の、最期だ!

 嗤え、嗤え、嗤え――――――無様だと――――――愚図だと――――――敗者だと――――――!!!!!」





最後の幕が開く。
395 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/11/08(土) 20:55:54.69 ID:JBUmKXCy0
>>394
導かれるようにそこに来た。誘われるかのようにそこにいた。
眼前に聳える数々の墓石群。眠る人は何人もいようそこで。
見つけた、それを、果たすべき約束の対象を。二舞御妃はハンス・バイエルを目の前にしていた。

彼の発した言葉は重く、不思議な覇気を感じさせるところから、嗚呼本物だなと理解る。
でもその言葉はあまりにも悲しく憐憫で、少なくとも御妃には許容できない内容で。

「そんなこと! いわないで!」

だからか、意識せずともそんな声音を響かせていたのは。
そして直立姿勢の体制をとり、手をでこにたてれば名乗るのだ。騎士は。

「名乗ろう。英霊の加護を受けし騎士、二舞御妃だ!」

何処までも澄んだその双眸。今、ハンス・バイエルを捉える。
御妃の手の甲には、雷撃と騎士が刻まれた長方形。そこにいるのは、“タイプ違いの騎士二人”。
396 :カオス(杜柱鳴海) ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/08(土) 22:22:55.16 ID:ugTQ+I7Fo
>>394>>395
墓場が立ち並ぶ場所に、異形の影――四肢の塊とでも言うべき物が、そこには在った。

頭部らしき物の纏う黒い濡れ衣の下で跳ねるように蠢く数多の手足は、海の底から直進して来たのか海草や瓦礫、圧し潰された無人機を巻き込んでいた。

見るに絶えない姿にも関わらず神気を帯びた異形は、かつて邂逅を果たした“杜柱鳴海”の側面の一つ――

「“生憎、貴様の言葉は届かない。貴様等が望もうが、欠片も乱れることはない”」

塊の頭部から、老人のような少年のような声が一つの口から紡がれる。
声からは人間としての温度が欠落していた。

「“……今のアレも悩んだ末に断るだろう”
 “『アンタに強制される謂れはない』とな”
 “もっとも。貴様がアレを覚えているかは知らんが”」
 人の手で決着をつけるべき場所であり、場違いな存在である事は、異形自身自覚はあった。
せめて、ここに立つべきなのは鳴海の方である。

しかし、現在、鳴海が立つことはできない。
――ならば『自身を継ぎ合わせるまでは』代役を勤めるのが、片割れの義務だろう。

「“……物好きな者だ”」
一瞬だけその場に居合わせた騎士と名乗る女――正確には背後へと揺らめく炎のような瞳を向ければ、ただ、一言呟いて。


「“我が名はカオス。杜柱鳴海の片割れ――混沌の仮面の一つにして、最極の落とし児”
 “ハンス・バイエル。貴様も夢現にの海に落ちていけ”」
手足――合成獣のように一体化した《真界武装》が口もなく笑いを含んだ唸り声をあげ、唸り声に呼応するように大気が揺らいだ。
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) :2014/11/09(日) 05:21:07.88 ID:svX6T7ex0
398 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/10(月) 00:46:31.98 ID:6wmbZTHJo
>>395
>>396
その『騎士』には――――――見覚えは在らずとも、『その傍に立つ者』には、見覚えがあった。
可能性の一つ、自分達のエゴの一つ。唯々一方的に可能性だけを押し付けて、只々懇願を押し付けた彼女を見た時には、目を疑った。
けれど、直ぐに分かった。芽生えたのだ、可能性は。
この、ハンス・バイエルと言う男を打倒した先にそれは存在する。
我々が求めた者を、もう、彼女は手に入れている……つくづく自分は幸せな死に方を出来るのだろうと。

「そうか、お前は。辿り着いたか。」

その塊の怪物は、何かも分からぬような声で、この男の提案を拒絶した。
嗚呼、その通りだ。きっと『彼ならば』そうするのだろう――――――――― 自分よりも遥かに強い、幼馴染がいた。
飄々と剣を振るい、敵を余りにも簡単に討伐し。自分よりも遥かに白紙の可能性に相応しい、天才を―――――― 下した、彼、の一部か。
その人智及ばぬ怪物に縊り殺されるのだとしたら。それは、きっと美しく、それは、きっと素晴らしい、幸せな死に方だろう。

「生きていたか……いや。"お前は違う"な。然しその通りだ。
 結局の所、俺は何かを揺らがす事も出来なかった。ただ無為に死んでいく、だからこそ、貴様等は嗤え」

故に。

「それが強者の手に入れた権利であり――――――



 そして敗者たる俺は、唯々最後まで『笑い』続けよう」


嗤え、嗤え、強者達よ。嗤え、嗤え、勝者達よ。朽ちていく者を嗤え、そして弱者は、理不尽に笑って、笑い飛ばして見せる。
其処には悲壮もある。悲嘆もあろう。其処には諦めきれない感情があり、其処には死への恐怖があり、潰えた未来への絶望が、垣間見えた。
故に。故に。ハンス・バイエルは笑う。笑い飛ばして見せる。それが敗者に残された最後の意地であり、それがただ、出来る事。

故に最後まで。笑って死ぬことこそが。


「それでは、始めよう、勝者達よ」


両腰に納められた二丁の、短銃身改造が施された、使い込まれた――――――数十年単位で――――――半自動小銃を引き抜いた。
399 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/11/10(月) 18:40:57.70 ID:65u11KZT0
>>396>>398
ーーー背後、見やれば四肢の塊と形容できよう異形。
情も、色も、欠けた声音に曝された瞬間、言い知れぬ悪寒を感じた。
本能的に察す、このカオスと名乗った異形は、《己と酷似した武装》を身に纏っているのだ、と。

「物好き……」

反応したのはそれっ切りである。

「初めましてハンス。娘様から話しを聴いているなら理解ると思うわ」

背後には異形。前方にはハンス、威圧感は度を越えたものだ。
一触即発なこの空気。居心地の良いものではないけれど、終わらせるのだ。終止符を撃つのだ。
取り出された二丁の半自動小銃と、上がれ狼煙。御妃はその身に滅亡天使を纏う。
破砕した紫紺の鎧に減し折れた騎士の誇りたる剣は、《臨界武装》。《真界武装》と似て非なる、御妃の絶対の城、力だ。


「権利は放棄させてもらうね。対等に立つためにさ」

「それくらいいいでしょ? 笑わせてよ」


霊力の濃密さによるノイズに似た空間の亀裂は視界を狭め、御妃の近くの墓石は暴発した霊力に破砕されゆく。
御妃は涙を流した。悲しみではない、されど哀れみでもない。予期せぬ涙を流していた。
決して知らないとはいえないがハンスとの接点はない。故か。
400 :カオス(杜柱鳴海) ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/10(月) 22:46:23.63 ID:YNd4gbMDo
>>398>>399
『騎士』による武装の顕現により放たれる濃密な霊力の余波にて、墓石が破砕されていく。
それは《真界》とは似て非なる力――尤も異形を異形たらしめる多足多腕も、厳密には『騎士』の持つ《臨海》とも《真界》とも違うものではある。

(“我が父に近い、が……ふむ”)
しかし、カオス自身の元々の根源とは極めて近い系譜である事は、顕現する前から理解していた。

――だが、興味があろうがそれは既に過去。
そして、現在、正面から対峙すべきなのはハンス・バイエル。

「“……”」
放たれたハンスの言葉に対してひとつだけ反論はあったが、カオスはあえて反論を口にする事はなかった。

少なくとも、この言葉は代役でなく本人が言うべき言葉であるのは間違いないと理解して――しかし、カオス自身の感情が揺らぐことはなく。


「“……なら、最期まで足掻け。窮鼠のように噛み殺し、喰い破れ”
 “貫き通せたのならば初めて権利を行使しよう”」
燃え上がる両目を明滅させて、手足の群れは間接を忘れたかのように捩れ、刹那の内に収縮し、即座に解放する。
無数の手足が一斉に大地を叩く事で小規模なクレーターを刻み、轟音を置き去りに跳躍。

前方の『騎士』を。ハンスを天井すれすれに跳び越え、有機質な砲身が手足の群れから顔を出し―――――火薬は手足を模した不定形の筋肉塊。吐き出すは、瓦礫や機械片を拳台へと圧縮した砲弾。

空中。大まかにハンスへと狙いを付け、瓦礫の砲弾を撃ち放つ。

速度も破壊力も実物の兵器に引けを取らず、しかし、それ故に砲弾が耐えられない。
少しでも何かにぶつかれば、砲弾は勢いをそのままにバラバラに砕けてしまうだろう。

カオス自身へと何もなければ数秒の滞空時間を経て、墓石に着地する。
401 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/12(水) 22:00:51.45 ID:MgTbI2Rao
>>400

>>399
>>400
滲み出す霊力―――――― それは余りにも濃密であり、実世界へと影響を及ぼす程の。それに、僅かに右眼を顰める。
彼女の足下に、墓石の破片が転がる。刻まれる名は、『A』dolph―――――― いや。その名を語る事はあるまい。知りたければ――――――。

『異形』が跳ねる。その姿は正しく怪物である、人智及ばぬそれが放つは、圧縮された、且つて自分達の物だった存在。
―――――― 魔力を研ぎ澄まし、神経を研ぎ澄ます。時に培った技術を、時に直感を用いて、化け物に――――――対峙しなければ。

引き金を引いた。一発の弾丸が、瓦礫の砲弾を撃ち貫く。飛び散った破片が降り注ぐ中で、両腕を交差させ、解き放つように内から外へ。
引き金を引いた。それは面攻撃に近い―――――― その攻撃は面攻撃に近い、その腕を振り終える頃には、十九発の銃弾を撃ち切っていた。


「何を泣いている、騎士よ。そんなんじゃ娘はやれねえぞ。騎士ならば戦え、疑問は主にのみ持てばいい。
 情けは同胞にだけ持てばいい、敵への情けは殺してから持てばいい」


魔術によるリロード―――――― そして同時に、もう一つの魔術を起動する。自分の。唯一得意とする魔術。
発動するのは巨大な転送術式。彼の背後に、中央に逆鉤十字を配した、円形の魔術陣が出現し。無数の砲口が、姿を現す。

「ならば『異形』よ。この俺の足掻きを、この俺と言う存在の生涯を!!
 嗤え。そして刻め!そうする限り―――――― 俺達は、永遠となる」

彼の生きた時代の。彼等が生きた時代の。ただ純粋に、ただ相手を吹き飛ばすだけの美しい鉄の砲口、鉄の咆哮。
彼等へと。騎士と怪物へと、一斉に破壊の嵐が解放される。
402 :二舞 御妃</b> ◇zbgaciAk6Y<b> [saga]:2014/11/13(木) 18:41:34.94 ID:A9r2CdUs0
>>440>>441
上部、御妃さえも越し天井すれすれを跳躍するカオス。
己もそうだがやはり人離れした身体能力、そのカオスは瓦礫砲弾を撃ち放つ。
恐らく現実の兵器と何らかわらぬ火力を持っているだろうことは、容易に理解できた。

「……良い人だよ。娘思いのさ」

「でも、そうだよね。私はそのために来たのだから」

弾丸の雨霰。視界を覆い尽くさんばかりの弾の軌跡。
魔術による銃の嵐は、荒々しさはなく、散り逝く命のように儚げでされど美しく。
今更ながら霊力の濃密さを有り難いと思った。全てとは言わぬものの、強固な防護壁のような霊力は鉛玉を自然に灰に変えてしまう。
貫通した弾丸は、武装を更に更に、破砕させ。柔肌を貫き血の華を咲かせ。

「我汝の枷解き放たん。破壊を此処に顕現する者なり」

後退。同時に防性霊力を攻撃に展開、濃密な紫紺の球体に圧縮させれば。
収束させた圧縮を一点に解放させた。それは当に柱とでも呼ぶべき霊力のレーザ、奔流、それを五つまばらに放った。
触れた墓石と大地は抉られ、粉々に粉砕される、それ程の出力で以て。

「ハンス。違う形で出会えていたなら」

苦痛に歪む表情で人影を捉えると、そんな言葉が飛んだ
403 :カオス(杜柱鳴海) ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/14(金) 13:55:05.67 ID:Cu0DA7Q1o
>>401>>402
十五の銃弾。半自動小銃が放った弾幕を前に、カオスは躊躇いもなくその身を晒す。
弾丸は容易く手足のカーテンを貫き、肉体を貫通。
頭部に命中した弾丸は弾かれ、それぞれ墓石や地へと突き刺さる。

何のチカラも籠らない銃弾の嵐は、半身が《真界》の性質を持つ異形にとって驚異に成り得ない。
そして、決まった形の存在しない不定形であるが故に。銃弾の穿った穴は負傷等ではなく、有り得る変化でしかない。

――だからこそ、浮き彫りになってしまう物もある。


「“……っ”」
嗤う限り、永遠となる――ハンスの言葉に『巫山戯るな』そんな言葉が、喉元まで競り上がってくる。
感情が稀薄かつ他者への興味が薄いカオスにからは出ない言葉――ならば、湧き上がる言葉は鳴海の物なのだろう。

「“ああ、嗤おう。記憶もしよう。だが、永遠にはしない。”
 “たとえ、`//-/|//-/が、無意識の内に記録していようとも。貴様等の撒き散らす悲鳴を永遠にする訳にはいかない”」

命中すれば容易く蒸発できるであろう紫光と、カオスを粉砕出来る魔術を介した無数の砲撃。

この墓場ごと敵対者を蹂躙せんと放たれる破壊の嵐を前に、ただ、火力不足を他人事のように痛感する。
《真界武装》というものは、使用者の感情により爆発的にチカラを増幅させるもの。
逆に言えば感情が稀薄であれば、爆発的な力は出せない。

見事に当て嵌まるカオスには操作精度や火力の最低値こそ高いものの、目の前の破壊に真っ向から対抗できる程の火力はない。
混沌の力を行使した裏道を使えるほど、混沌から権限を得た訳でもない。

――故に取る行動はひとつ。
跳ねて避け。手足を全て使って叩き落とす。

砲弾の一つ叩き落とす度に大半の手足が千切れ飛び。
しかし、千切れ飛んだ手足は無傷のカオスと同じ姿へと再生し、叩き落とす。

そうして千切れ飛んだ手足が―――繰り返し。繰り返すしかない。

少なくとも“現状は――”
404 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/16(日) 21:33:02.39 ID:QIwh1M/To
>>402
>>403
「―――――!」

その圧倒的な力の奔流は、ハンス・バイエルと言う男の顔を強張らせるに足るほどの威力を備えていた。
彼は、魔術師である。故にそれがどれ程の物か理解できた――――――― 霊力が形を成した熱の奔流、破壊の嵐。危機を感じさせるには十二分。
彼の異形が、アクションを起こさなかったのか、起こせなかったのか。兎も角、動かなかった事は不幸中の幸いとでもいうべきか。
反射的に、防護魔術を組み立てる。単純かつ、物理的な防御力を具現化させる魔術を―――――― 河の中央に置かれた小さな岩の様に。
其処だけが、霊力の塊の成す破壊から逃れた。

「鋼鉄の鼠よ、歯車仕掛けの王よ、未だ戦う意思があるのなら―――――― 目を開けろ」

融解する様にちっぽけな魔術防壁が消滅し―――――― 瞬間。それに叩き込まれた何かが、『大爆発』を起こした。
爆炎が晴れる内に。その姿は、浮かび上がってくるはずだ。

《真界》とは違えば。《臨界》とも、また違う。それは、贋作であり模造品、《偽界武装》。
相応しいだろう。ただただ、人の手だけを取って戦ってきた彼にとっては―――――― 人間の技術の結晶、鋼鉄の装甲に身を包み。それは生きていた。
鉄の十字をその身に刻み。逆さの十字をその身に刻み。それは鋼鉄の騎士足り得ようとして。それは。ラスト・バタリオン足り得ようとして。

「IFの可能性……それはこの無限の可能性世界ですら切り捨てられた物で。俺は自ら、斬り捨てた。
 俺はこの選択肢に絶望何てしちゃいないさ。だから、剣を手に取り。銃を手に取り。駆けろ――――――『騎士』!!」

右腕と融合した砲……黒々と大口を開ける、それを彼女へと突きつけて。未だ熱を帯びるそれを突きつけて。彼はそう叫んだ。
大多数に理解を得られず。可能性に切り捨てられ。世界中に中指を立てられ。何もかも塵芥へと、還ってしまうのだとしても、。
引き金を引いた。轟音と共に放たれる徹甲弾―――――― 大凡人殺しには大袈裟な、大きな砲弾だった。

「どうした混沌。嗤え混沌。これならまだ"あのガキ"の方が手応えあったぜ。
 俺は叫ぶぞ混沌。永遠と成る為に。叫び続けるぞ、混沌――――――――― 例え。それが成らずとも」

左腕と融合した機関銃を。彼へと向けて、ばら撒いた―――――― 先の物とは比べ物にならない。それは《偽界》の弾丸。
然し、其処に敵意のそれは薄かった。ただそれは。「そんな物かと嘲笑う」。
405 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/11/17(月) 18:52:44.95 ID:++X+Lba90
>>403>>404
一閃の紫、破壊の概念。
防護魔術により直撃はしないが、気圧させるには十二分だ。
ーーー刹那であった。爆発が部屋を満たすのは。
ーーー数瞬であった。晴れる視界にそれが現れるのは。

「……そう。それがあんたの選んだ道ってわけ?
ならば後悔もなし。騎士として、最期まで付き合うことこそ誇り! 我此処に誓いを印す者、汝破壊の意志を伴い破壊を討ち滅ぼさん!」

カオスのものとも御妃のものとも形が違ったその《武装》。
人の英知により成された奇跡の武装。鋼鉄に包まれたハンスを認知して。
強い意志を含ませた詠唱、それに対抗するための十分な力を求めた。故か。
大口径。叫びと共に黒鉄の徹甲弾が火を吹き、あまりの大きさは規格外で。気圧されるが。
こんなもの、白銀の君のより断然軽く感じられて。

「ならば、私と手あわせ願おうか! ハンス・バイエル!!」

大地を蹴る。それだけで距離は半分に縮まり、跳躍。低めの滑空。
身体を反らせば半回転を刻み、裂帛の気合いと共に己が剣を真一文字に薙ぎ払う。
劣化された顕現武装だ。力が足らなくば砲弾に圧し負け、力が足れば砲弾は文字通り斬り伏せられるはずだろう。
406 :カオス(杜柱鳴海) ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/20(木) 00:42:16.56 ID:h/GLvoBDo
>>404>>405
可能性を。魂を加工し、魂を喰らう禁忌の武装がハンスの言葉と共に展開される。
紡がれた言葉は誓いか。意地か。それとも――。

「“近いと、余計に酷いな”
 “最早電子ノイズか……ああ、煩い。気が変わった”」
カオスが言葉を不快気に吐き捨てると共に紡がれた《偽界》の弾丸は、内包する敵意そのものは薄い。
しかし、腐っても《無限の可能性》を切り売りして生成される武装。
仮にハンス自身の魂を消費しているとしても内包される力は、弾丸は愚か先程の砲弾を軽く凌ぐものとなるのだろう。

ましてや他者の魂をも還元できる《偽界武装》は、死を基点として裏返るカオスを――ともすれば、神々を討ち滅ぼすに足る力でもある。


「“『$/>αVV/|/ +/-/[- `/0c>+|-|+00|-| +0 `/.|-|.|/.vv. ――”」
ばら撒かれた弾丸は一発一発が延長線上の分体を撃ち貫き、消し飛ばす。
中には破片が残り再生する分体もあったが、ほぼ無数にあった分体の数はごっそりと減り、数えるほどに減退。

そして、カオスは《偽界》の弾丸の嵐に動く事なく身を曝していた。
無論。手足は全て吹き飛ばされ、頭を除く全身は穴だらけ。 蜂の巣になるという比喩があるが、ここまで来ると最早スポンジに近い。

頭部は傷一つなく、頭部の体表を走る紅い電子回路のような魔法陣が頭部を防護していた。

「『“!/2 !/2 /-|7_α+/-/00+/-/ ――』”」
人の言葉と言うには遠く。
呼吸音とするには不自然な音の正体は、自らの理をもって他の理を蹂躙する超越者の号令。
あまりの神聖さ故に。真の名を理解すると存在そのものを焼き付くされてしまうとされる全能神に似て、非なる聲。

「“『@|_|_――α||―――/2[-;|/0![)』”」
いつの間にか額には絶えず変色し続けける虚ろな眼が開き、眼を中心に全身へと紅い亀裂のような異形の魔法陣が浮かび上がる。

―― 一拍遅れて、それは起こった。
カオスを中心に強大な力場が発生。
墓場の大地を引き剥がし、墓場が。床が。壁が。光が――意思を示せぬモノ総てが、カオスへと引き寄せられていく。

無論。破片から再生した分体や生き残っている分体も例外はなく、“赤錆びた神殺しの槍”へと形状を変えて重力の理を容易く音速を越えカオスへと殺到。

墓石や折れ割れた壁や天井の一部が、カオス間に二人へと襲い掛かる――が、《偽界》と《臨界》の武装を扱う二人には、さしてダメージはないだろう。
同上の理由で地形変動と、地形変動に伴う微々たる視界妨害以外の影響はない。

逆に現在のカオスへと撃ち込めば弾丸も何もかもが加速し、威力が増幅される。

「“……手応えを欲するならば、ただ、撃ち込め”
 “空間を穿て。時を砕き、神を鏖殺し。敷かれた概念(コトワリ)の縛鎖から、解き放たれてみせろ”
 “さもなければ総て塗りつぶされる――或は『再び、破り捨てられることになる』ぞ、ハンス=バイエル”」
カオスが内包する力を関知出来るのであれば、魔力・霊力・神気・闘気・障気――正負問わず、ありとあらゆるチカラが何かに呼応するように強弱不規則に、体内と魔法陣に渦巻いているのが解るだろう。

ならば、発動している魔法陣が、人馬の怪物が使用した一陣で多数の魔法を発動する物に近いことも。
総てが不自然であることも理解できるはずだ。

《真界》の特性を知っているのであれば、自ずと理由も明らかではあったが――。

ただ、一つ言えるのは“空間の原初神”の名を名乗る者の頭からは、“鳴海の代役を努める”という珍しく抱いた殊勝な思考を、放棄した事だけである。
407 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/20(木) 22:41:54.74 ID:YGhqLa9Bo
>>405>>406
『世界を塗り替えろ』
それが、ハンス・バイエルと言う男を、今の大悪党へと駆り立てた最も大きな意思だった。
無論それが世界への大逆である事は分かっていた。けれど、この可能性世界、その無数の零と壱に埋もれていくのは、嫌だったし、恐ろしかった。
『世界に自分達の痕跡を残したかった』
それがハンス・バイエル以下、逆鉤十字の残党部隊、敗残兵達の心だった。

――――――――― だから。


「Vergessen Sie nicht.(忘れるな)」


斬り伏せられた砲弾が大爆発を起こし、墓場を抉る。爆炎と破片が《偽界》の装甲表面へと叩き付けられ、傷一つ無く弾いた。
それは強い意思だ。何とも強い想いだ。嗚呼全く。その姿はまるで、この白紙と言う可能性世界における、主人公の如くあった。
大悪党には死が必然だ。『可能性』とは美しく、けれども――――――――― 逆行は、決して許さない。
前に進む物にこそ。それを掴むには、相応しい。さて、果たして自分は。

彼女は言った。かの人馬に大して、『意味が分からない』と。成程。
戦士としての力も。魔術師としての力も。彼女には劣る自分には、本当に理解が出来なかった―――――― ただ、それが何を意味するかは。
無数に犇めき合う、それは遥か『果て』の存在―――――― 神域 ―――――― 可能性に呑まれた彼には、決して辿り着けない境地。
けれども。破り捨てられたくなんかない。塗り潰されたくなんか無い。そんな風になってしまえば。何の意味も、無いんだ。

「Vergessen Sie nicht.(忘れるな)」

「Wir haben dort gewesen.(俺達は其処にいた)」

「Sicherlich in diesem Ort war ich.(確かに其処にいた)」

「Bitte offnen Sie die Augen.(目を開けろ)」

「Bitte schauen Sie zuruck.(振り返れ)」




「――――――――― Vergessen Sie nicht.(忘れるな)」



だから一つ、仕掛けて見せよう。この身が産み出す、最も大きな大魔術を見せてやろう。
破壊された墓地。然しその、彼等が立つ地面に―――――― 大きな逆鉤十字が刻まれた、巨大な魔術陣が展開される。
煌々と煌めく、赤色の魔力がそれを急速に満たしていく―――――― それを描き終えるまでに、然程時間はかかりはしなかった。
展開されていく。それは一つの固有結界、それは唯一人。その男が産み出した一つのエゴ。急速に。其処にいる全員を、引きずり込むはずだ。

『世界を塗り替えろ』

其処は。其処は。其処は。其処は。

何十年も前の世界。何什年も前の世界。まだ、その男が――――――――― 子供だった頃の、世界だ。
強く輝く太陽。煉瓦造りの街並み。色彩豊かな其処は、けれど何処か白黒の、随分と昔の写真を思い起こさせる。様々な人間が歩く。
ボーイッシュなショートカットの少女が、同年代程の少女を侍らせながら。
黒い髪の屈強な青年が酒樽を片手で担ぎながら歩き、母親の引く乳母車の中で金髪の乳飲み子が安らかに眠る。

彼等の前に立っていた男は、銀髪の少年になっていた。彼等へと背を向けて、太陽を見上げて、其処へと立っていた。


「Vergessen Sie nicht.(忘れるな)」


其処は。其処にいた存在以外を拒絶する、諦観の空間。老人の我儘が形となった、本当にくだらない世界だった。
消えていく筈だ。自分の心が――――――自分の存在が――――――ゆっくりと、しかし着実に、消えていく。世界が拒絶する。異物を拒絶する。
だが。
彼等が何かを持っていたとしたら、強大な意思を、持っていたとしたら。

そんな物は、消えて無くなる、脆い物だ
408 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2014/11/22(土) 17:28:23.34 ID:kqC2Z5Fn0
>>406>>407
瓦礫の散弾など霊力に触れれば粉々。やはり負傷には至らない。
もはや視界は地獄絵図。すさまじい力と力がぶつかると、このようになるのか。
全属性魔法陣を上書きするように展開される大魔法陣の成り行きなど、見守ることしかできない。
途方もない焦り、困惑、戦慄ーーー空間がねじ曲がったような錯覚とともに。

「消えていく……」

一つの大規模なエゴイズム。それの引き起こす惨状、それは。
あたかもそこは白黒写真。しかし異物を除去する世界。眼前の情景、少年、そして霞む存在にーーー虚無感を覚えて。

「姫……白銀の君……
 どうか……見守っててください」

だけど、誓いがある故に。こんなことで折れていては駄目だった。
その存在を忘れぬよう、強く強く刻み込むように、永劫とする故に、霊力を“大規模放出させて”。
意志を、獅子の魂を、騎士の誇りをここに示す。なればとたんに失せる虚無感。立ち上がる騎士。

「刻め、そこに。忘れないために」

「残せ、記憶。かき消されぬようにーーー」

拒絶されし騎士はその存在を、無理矢理世界に刻み込んだ。
今なら見える。無くしたはずの君を。失ったはずの白銀を。

「止めよう?」
409 :カオス(杜柱鳴海「忘れるかよ」) ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/24(月) 02:23:42.23 ID:L04BRekko
>>407>>408
自身の手により発生した引力により、飛来した《武装》のロンギヌスの槍に貫かれた。

分裂・独立した《真界》の槍は尺取り虫のように蠢き、刃を模した顎が、カオスの体内を喰い荒らす。
無論。カオスの肉体も、一方的に喰われるだけでは終わらない。
槍を体内で渦巻く力にて粉々に砕き、変幻自在の内臓にて咀嚼する。

断たれたそれぞれが魔力的にも物質的にも完全再生し、独立した武装へと変化。
そして、武装を共喰いする事で更なるチカラを得る。
独立した武装が抱く力への欲望と飢餓に果てはなく。第三者の介入がなければ、自らを分断し、未来永劫喰らい続ける。
それが――混沌へと沈んだ《とある存在》を原型に、チューンされた形無き《武装》の本質。

そして現在、《武装》の手綱を握るカオスは、無数の槍と自身を一つの存在へと統合する。

――結果。頭部の先端がなめずる紅い舌のように波打ってはいるものの、四肢と頭部を抱く人に近い姿へ。
内包する力は何倍……どころか、もはや何乗したか分からない量にまで膨れ上がっており――もはや、この星へ大穴を穿つ勢いで体表の魔法陣へと過剰なチカラを送り込む。

この魔法を防いだとて。現在の身体能力は、それのみに特化した“無貌の獣”を遥かに凌駕する。

「“さあ、貴様ごと。その《偽界》の声を、止めさせてもら――ッ?!”」
力を解き放つ寸前。ハンスが紡ぐその大魔術は――、展開された。

――何時か――――何処かで――感覚だけが次元を彷徨うこの身に、時間は関係ない――視た風景に―――、意――識が――。手が――、止まる。

「“これ――は――?”」
目の前の――鳴海の理想に近い光景に疑問を覚える前に、カオス自身の存在が欠け始める。
傍目からには、突然硬直したようにしか見えない。だが、着実に。
恐らくはハンスが想定する以上急速に、カオスの存在は揺らいでいた。

元来、カオスは自我を持たない。
鳴海の《アニマ》の殻を被ってはいるものの、元来の神性の在り方や鳴海の神への認識から、強い意志を他者へと抱く事はない。
さらに付け加えるのならば、カオス自体が鳴海の心の一面でしかないのだ。

ただ一つ、可能性があるとすれば――。

単刀直入に言うのであれば、この結界はカオスにとって天敵。脱出不能の必滅の檻であった。

《武装》の抵抗力は底上げされるものの、感情を引き金に力を増す《真界》では消滅を短時間引き伸ばす程度でしかない。

「“何を――した?”」『やめよう?』
カオスの問う声と重なるように『騎士』の制止の声が響くも、心は反応を返せない。
どちらに掛けた言葉なのか。両者に対してなのか。何故無事なのか――疑問という疑問が湧く寸前に消えていく。

今。カオスに言葉を返しても、【カオスからの返事は】ないだろう。


「―――。」
ただ、カオスを内包する魂の内では、大きな変化が起きていた。
証拠に体表の魔法陣へと注がれ、極限まで引き絞られた膨大な破壊的な力がカオスの頭部へと向かうように反転している。

カオスの額の眼球には、確かな意思の光が宿っていた。
410 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/25(火) 00:27:44.37 ID:zm/FRvBwo
>>408
>>409
消えろ消えろ嗚呼消えていく。其処は只々楽園で、其処は只々虚無が広がる。其処には何もかもがあって、何もかもが無いのだから。
それはまるで試験管の中に浮かぶ脳味噌が見る景色。此処にはハンス・バイエルの望む何もかもがあって、何もかもが無い。
幻影の世界は―――――― 他者を、只管に拒絶する。

一人の騎士も、其処に巻き込まれた騎士も同様だった―――――― けれども。彼女には、誓いがあった。
それがどれほどの意味を成すか、ハンス・バイエルには分からなかった。けれどきっと、きっと、とても美しく、とても強く。其処に刻まれていて。
立ち上がった。騎士の魂を其処に刻み、立ち上がった。嗚呼それでこそ――――――それでこそ――――――。


『ああ、そうだ。止めよう』


彼女の耳元で。『彼女』は囁くだろう。きっと何も変わらない、何時も通り生真面目そうで、融通の効かなさそうな、頭の固そうな。
月に憧れて。騎士に惹かれて、彼女を想い――――――― 彼女のすぐ傍にいる、一人の騎士が。
途端、雷撃が奔る。彼女の霊力の放出に呼応する様に―――――― そして、彼女の目前に。雷撃の後に。

一つ、巨大なハンマーが遺されていた。

それは彼女の想う通りに形を変える。只の力の奔流にも成ろう。或いはそのまま振るえば、存分にその力を発揮しよう。
少女へと、その身を委ねる。嗚呼、それはきっと―――――― 何にも勝る、それこそ正しく――――――。


空に罅が入る。『騎士』の心に呼応して、耐え切れないと悲鳴を挙げる。

然しその少年は、ハンス・バイエルは。その意識の大半を、其処にいる混沌へと注いでいた。
『存在の拒否』。それはどんな存在であろうと例外では無い、筈だ。過程であるのは仕方があるまい、『神性』への実験など出来る訳が無いのだから。
だが。目の前に広がる光景は予想以上。

“何を――した?”

そう問われれば、嬉々として、彼は答えるだろう。


「俺の世界に。招待しただけの話だよ――――――― 混沌、いや ―――――――」


魔力のリソースを全て結界の維持へ。壊れたっていい、ただ今だけは―――――― この『神性』を、打倒したい。
極限にまで引き絞られた破壊、いや―――――― 確かな意思の宿るその目玉を見つめ返して、歯を食い縛って、只々。
詠唱を。詠唱を―――――― 詠唱を。
411 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2014/11/25(火) 21:55:38.03 ID:AgzEpQl50
>>409>>410
温めの湯船にどっぷりと浸る感覚を感じる一方で生まれ変わったような錯覚を覚える。
あの日と変わらないその姿に、感銘を覚える。そして、「そうだね」、と返した。
スパークの奔流、呼吸をするかのように。雷撃の軌跡、霊力に合わさって。
ミョルニルよ。否、君よ。また会えてーーー私は嬉しい。君は、どうだろうか?

遺された雷槌を、剣を捨ててまで握った。
これは、この形のままでいい。君は、そのままが一番魅力的だ。
嗚呼、それは月のようで。嗚呼、君は私の光、憧れそして……最高の敵者(思い人)なんだもの。

宛てられた制止の言の葉は、両者に対しての言葉であり自分へのものでもある。
破壊や勝ち負け、エゴなんて存外くだらない。故に。
応えないなら応えさせるまで、消えるなら消えないように。

雷槌を罅割れた世界に叩きつける。刹那膨大な雷撃と霊力が迸る。
されど壊れることのないエゴの世界はハンスの詠唱が勝る故。やれることはした。後はカオスの行動次第ではないのだろうか。

「後一押し……ッ」

「意志があるなら、形にしないと消えちゃうよ!
 だからとめよう? こんなくだらない世界なんてさ」

的外れでも言いたかった
412 :カオス(杜柱鳴海) ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/27(木) 17:09:10.16 ID:yvumyLF2o
>>410>>411/※分割投下1
言葉というものは受け取る側が理解しようと試みる事で、初めて意味が生まれる。
思考も精神も消えかけるカオス自身の姿は霞み、もはや残存する《真界》の力のみでしがみついているに過ぎない。
しかし――、否。だからこそ、本来有り得ない現象が訪れた。

「“カ――タ―チ―――そ――か――カタ―――チ―――”」
途切れ途切れの言葉を紡ぎながら、自らの手で自身へと向けられた魔法陣の引き金を引く。

“地”を純粋に突き詰めた質量の魔法――限定された空間のみに作用する極小規模のブラックホール。
ブラックホールはカオスを周囲の光を呑み込み、カオスのいる空間のみを球形の暗黒へと染め上げた。

球体の外に影響はなく、傍目から見ればそれは自殺以外の何物でもない。
展開された球形の暗黒も世界から拒絶されれば跡形もなく消える。

カオスの意識は砕け、重力の暗黒も消えようと――。
413 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/11/27(木) 17:15:22.98 ID:yvumyLF2o
>>440>>441/※分割投下おわり
―――白紙――創造――平和――戦火――形容し難い渦―――

視覚は断片的に無数の映像が映り、聴覚は全ての音を同時に捉える。
粘着質でいて、しかし、肌触りの良い何かがまとわり付いて離れず。体内には異物が絶えず犇めき、蠢き続けていた。

エッリとの交戦以降、沈んだ意識の中で絶えずそのような刺激を受け続けている。
おそらくだが、五感が様々な次元に散ってしまったのだろう――《因子》を常用していたツケの一つだろう。

唯一正常な魂の触覚とでも言うべきものは動けないように無数の楔を打ち込まれ、第三者の胃へと沈んでいる事実を冷酷に告げていた。

しかし、だというのに、この状態は素晴らしく心地良い。
かつて視た薬物がもたらす破滅的な快楽より。生きたまま捕食される動物の絶望や恐怖、悦楽よりも。
母の腕に抱かれて眠る安らぎよりも――。
どれも一概に比べられるものではないが、永遠に続けばいいとまで思ったのは初めてのことだった。

この感覚を堪能するために、思考までもを手放そうとした時――流れ込んでくる視覚と聴覚が一致した。

 そこは、いつか、誰かが生きた世界。
見た一瞬。その場では、確かに自身が思い描いた理想をほぼ体現していた。
自身の居場所こそないものの、そんな物は些末なもの。妥協点としては上等だろう。

だが、同年代の同姓を侍らせている何処か見覚えのある少女の姿が、唱え続ける少年の存在が。鳴海にこの世界を否定させる。

「くだらなくなんか、ない。
 ……けど、認める訳にもいかない」
他者や解脱した者にとっては取るに足らないものかもしれないが、本人にとっては大切なもの。
くだらないの一言で、切り捨てたくはない――だが、この世界を肯定する訳にもいかない。

「だって、ここにはハンナさんがいない」
エッリが平穏を手にしようとした理由の一つであり、エッリの娘と言える存在。
見間違いかもしれない。この世界をくまなく探せば、或は存在しているのかもしれない。
その場合。本当の両親と共に、幸せに生きているのだろう……だが、それはエッリの娘だったハンナとは違う。

エッリが己の存在を賭けて、前に進むために戦った娘は、この世界には存在しない―――。

「そんな事……。いくらなんでも、あんまりだろう」
魂がこの場に留めようとする楔はいつしか、鳴海自身と同化して――否。最初から、楔は《自身の一部》そのものだった。
鳴海自身から解離し駆けていた一部が元に戻っただけだ。
それは混沌の手が緩んだ事を意味しており、つまり、《かつてのチカラ》が解き放たれた事を意味していた。

理解して、思わず前に飛び出していた。


 眼前の世界の壁を一睨みで引き裂き――、チカラ付くでハンスの世界へと浸入。
マイクロブラックホールという矮小な魔法を空間ごと破砕すれば、破砕した空間を『掴み』破片に紛れた《自身の肉体》を魂の内へと取り込みながら駆ける。

混じり合う七色の瞳とマフラーが尾を引き、傍目からは、さながら球形の宇宙から孵卵した人型の彗星――。

「何が嗤えだ。何が忘れられるな、だ。
 アンタのする事! 成す事! 全部!
 忘れられると思ってるのか……欠片も、笑えないんだよ――ッ!!」
カオスが占有していた神性が――幼き次元神としての神威が迸る。
人一人入れる程度の規模ながらも他人の世界の中に、自身と共に移動する異界を無から創造するという暴挙。

それも意識した事ではなく。呼吸のように、ただ、当たり前に――。

異界を引き摺りながら一直線。
ただ、自身の時を限り無く加速させ、左の拳をハンスの心臓の上目掛け、全力で振り抜く。
実体化した魂という《偽界》《真界》の物理無効を抜く小細工はあれど、他には一切の小細工のない左ハートブレイクショット。

衝撃により呼吸を断ち詠唱を強制中断させると同時に、異界による負荷を掛けて一気にハンスの世界を潰そうという脳筋論。

しかし、物理技を試みるという事は、逆に、鳴海本人への物理攻撃が通る事を。
魂そのものという事は、今度の死は正真正銘、鳴海の消滅を意味している。
414 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/27(木) 22:37:59.47 ID:5egb8xG/o
>>411>>412
「――――――ッ!?」

詠唱を続ける彼の目から見て――――――『混沌』は、あと一つ指をかければ何処へ也とも消えていく。
この世界に融解し、消滅する筈だった。だが、一寸だけ、遅かったか。
それが行使したのは、周囲の光を喰らい尽くす暗黒の穴。それは人域の内に非ず、それこそ正しく、神域の『魔法』。
中で、何が行われている。カオスは一体どうなった?攻撃を加えて見るべきか、だがその質量が其処に漏れだしたとしたら――――――だが。

答えは直ぐに、返ってきた。

そう其処は、且つて幸せ"だった"世界だ。朝起きれば陽光が差し込んでいて、妬けたトーストの匂いが部屋まで届いた。
朝食を終えて外へと出れば、幼馴染の少女が同い年の少女を侍らせているのに呆れて、外へと散歩に出かけるのだ。

嗚呼楽しかった――――――だが。

それを望むと言う事は、今までの道筋を。歩いてきた軌跡を、何もかもを否定してしまう事に等しい。

『大尉、いや、ハンス。君は本当にバカでマヌケだ』

『そんな事をしてしまえば、意味なんて無いって。まだわかんないのかな?』

途端。詠唱を唱えるのを絶やした彼の前に、その、『懐かしい姿をした少女』が、『何時かの向こう側』の背格好をした自分へと。
何時の間にか、彼女の傍に侍っていた少女達はいなくなっていた。その隣には一人だけ。その少女と手を繋いで、黒い癖毛の少女が立っているだけ。
『彼女』が、視線を動かした。今正に、其処から現れるのは。世界の壁を人睨みに引き裂いて、『空間の破片』を自らの物として。

産声を挙げた新たなる、幼い神域が、疾駆する。
自分の世界に、確固たる"異界"を築き上げて。彼は、確固たる意思を以ってして、自分へと疾駆する。

『そら、来るよ。大尉。せめて最後まで足掻いて見せなよ、そんな変な意地張りつづけてないでさ』

詠唱が止められる。彼の左拳が、幼い形をした『ハンス・バイエル』と言う男の胸へと突き刺さる。
目には見えずとも、未だ纏い続けていた《偽界》と言う鎧すらも抜いて、彼の心臓へと、確かにその拳は叩き込まれた。

瞬間。目まぐるしく世界が変わる。時が際限なく加速していく。何処までも何処までも、加速していく。

ハンス・バイエルの身体が、青年の物へと変化する。眼前に立っていた少女達の姿もまた、それに応じて変化していく。
或いは。彼と大して歳の変わらない、訓練に励む新兵達の中に紛れこんでいた。
或いは。戦場における激しい銃撃戦の中で、倒れていく彼等の只中にいた。
或いは。道を外れた先、異形の姿をした彼(ラインハルト)と殴り合った後に立っていた。
或いは。黒い鎧を着た老兵(シュヴァルツェンベルク)に叱られているまっただ中にいた。
或いは。ズラリと並んだ8.8cm高射砲(アハト・アハト)の横に。
或いは。勇ましく進み続ける鋼鉄の虎(ティーゲル)や豹(パンテル)の背を見ていた。
或いは。地獄の如き敗戦の中で、嬲られる仲間達の前に立っていた。
或いは。日本での潜伏先の中で、仲間と共にあれこれと考えている只中に。
或いは。Aurigaの中で、何処とも知らない軍との戦争を。
或いは。幼馴染(ハーパライネン)が何処からか連れてきた赤子をあやしている姿の前に。
或いは。自分の『娘達』が『産まれる』前に立っていた。
415 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/11/27(木) 22:39:03.68 ID:5egb8xG/o
或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。或いは。
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『ほら、見てるって言っただろ?僕の納得いく結末を、じゃなきゃ許さないから』

最後に。彼女はあの時と同じ、朱いコードを身に纏い、唯一人となって、彼へと振り向いて。そうして其処から消えていく。
また、或いは。彼女の、二舞 御妃と言う一人の騎士が抱いた一つの疑問に、答えを出す者がいる筈だ。

『―――――――――― さぁ。共に征くぞ、二舞』

―――――― 私も嬉しい。

嬉しくて堪らない、今自分に身体があれば、今すぐ君を抱き締めてやりたいくらいだ――――――だがそれをするのは、もう少し後だ。
ふざけた理想を終わらせよう。夢は終わるから夢なのだ。それが或いは其処に立派に打ち立てられようとも、或いは泡影に消えようとも。

握られた雷槌は、嬉々として彼女の手の中に。さあ抗おう、その先に在るのは私達の世界。膨大な霊力(あなた)と共に、雷撃と成って世界を拓こう。
そして今はただ。彼女の剣を握る手に、細く、それでいて強い其の手に、自らの手を重ねる。今は出来る事はそれだけだ。
『やれることはした』
さぁ、後は目を醒ますだけ。


幾多無数の過去を超えて、今へと戻る。其処は確かに、『墓場』だった。
力づくで。余りにも荒唐無稽でありながら。それは確かに成った。《偽界》をすり抜けた拳が、彼の呼吸を一時的に止め、詠唱を停止。その世界を、破壊した。
瞬間。"息を吹き返す"。魔術による身体強化、それ以外にも"幾多無数の何か"が施されているその身体。
そして幾多の命を、過去を超えて此処に在る。そう簡単には、沈みはしない――――!!!




「うる、せえんだ、よ、クソガキがッ!!!!!!」


鳴海へと、下方から上方へと彼の顎部を狙って振るわれる拳――――――――――それは何の変哲も無い、ただのアッパーカットだ。
ただただ激情のまま振るうそれは、きっと《偽界》よりも、魔術よりも、弱いものであろうとも――――― そこに籠められた意思だけは。
416 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2014/11/29(土) 02:06:31.83 ID:d7bSkjcl0
>>412-413 >>414-415
やはり観点の違いか。それとも今までの経緯か、関係か、因果なのか……基準や価値観の違いが生じた。
明かにイレギュラー、誰の目からみてもそれは一目瞭然であろう。
残念極まりないが御妃との接点ない、寧ろ顔も会わせたことがない眼前の産声を揚げた彗星に、なによりその、秘めたる想いに。

『やはり自分は手を引くべき存在なんだ』と、そう思考回路は想わせて。

エゴさえも、感情さえも、はたまたあらゆる思念、行為、言葉ですら決して届かぬ神域。
常識的模範の枠には到底収まらない光景を、御妃を人とするならハンスはさながら大魔王、鳴海は大天使。冗談でも比喩でもない。これは、『決して介入を許さぬ聖戦』とでも云うべきものか。

時が加速する、知らない憧憬が移ろっていけば世界が過去を置き去りに進行する。
成る程これがハンス・バイエルの全てか。今の道を歩んだ男の物語か。なれば、今のこの状況は定めに乗っ取った必然だったのかも知れない。

どうやら、否やはり、少女は無知すぎたのだな。

時は現在を取り戻す。なにもかも、取り戻す。
異点は山ほど有るには有るが、それを除いてしまえばなにもかもがあの場所だった
417 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2014/11/29(土) 02:29:42.45 ID:d7bSkjcl0
存外応えは予想出来よう物だった、しかしそれを実感出来て改めてそれが込み上げてくる。
最高に馴染む。あたかも自分の剣のように、否、それ以上に。やっぱり、私は、やっぱり…………


『君となら、何処にでも行けるよ。……征こう』


閉じた世界を切り拓こう。一つの夢を拓いてやろう。
雷槌に収束してゆく膨大な雷激、そして霊力。濃密な、それでいて繊細な黄金と紫紺。
混じり合った刻、それは限りなく純白な月光……白銀色と成る。

『「いい加減ッ。眼をッ! 醒ませええェェェェッッ!!」』

魔王が天使に集中するその真横から、裂帛のかけ声と共に急接近する騎士が『二人』。
雷槌の通った軌跡を、空間に線を引きながら、上方から下方に叩き付ける軌道を描いて。
それは、正しく英雄の姿。魔王天使とくれば、必然現るヒトの神。
雷激と霊力の相乗効果は恐らく計り知れない。故に可能性の話しだが、次元さえもねじ曲げてしまいかねない。
思わずそんなことを思考させるには十二分の、それだけの攻撃だと云うことを。
神域には及ばないかも知れない、だが。臨界武装の限界は、越えていた。


 嗚呼世界よ。なぜここまで、人一人を、大悪党とまで陥れたのだろうか。
418 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/12/01(月) 15:54:23.69 ID:MfHO8huvo
>>414-415>>416-417
それは流れる走馬灯のように。
男の越えて来た戦場を。惨劇を。束の間の日常を。

刹那に見えた姿は。聞こえた聲は、確かに二度交戦し、鳴海自身が手に掛けたエッリ・テア・ハーパライネンその人で――。

「知ってた。約束は、果たすものだから……だから先に謝っておく。ごめん」
それはハンスの心の中にあった彼女か。それとも――。
答えは出ないまま、時が世界を過去へと押し流し――壊れる。

確かに、男の人生は悲劇めいていて――だからこそ、悲劇だと終わらせてはいけない。
他者がどう言おうと主観の問題。
自分の人生が納得の行くものだったのか、幸福だったと思えるのかは最期まで判らない。

それは幾多の人生の断片的を。幾多の終焉を主観から視てきたが故の結論。
そして、絶対に越えていかなければならない目標への物差し。

――それは油断と言うべきか、世界を崩した事への慢心と言うべきか。

刹那巡らせた思考に、ハンスが拳を握る動作に反応できなかった。
次いで振るわれるアッパーカットに、漸く意識が追い付き――

「……がッァ?!」
顎に命中。大きく仰け反りながらもその場に踏み留まるも、拳に込められた意思が視界と思考を歪ませる。

「五、月蝿い――混沌の操り人形みたいに簡単に蘇るな馬鹿!
 だいたい最初のは何だ!? アレだけの事やらかしといて世界が揺らいでない?!
 お前達の命が無為に消えるっていうんなら、いったいどれだけの人間の命が無為消えてると思ってんだ冗談も大概にしろこのボケ爺!」
自身の事を棚に上げ、清濁混合した幾多の想いと命を背負う男に呑まれぬように。
吐仰け反る勢いのまま腰を落とし――今までの鬱憤。もとい、反動を爆発させるような勢いで、右拳によるボディーブローを放って。

当たろうが当たるまいが関係ない。
まだまだ足りない。言葉を交わしたのは先日と今だけで、得物に関しては互いに交わしてすらいない。

「ああ、確かに世界そのものは揺らいではないさ。けど、アンタが揺らがせたかったのは――、変えたかったのは人間社会だろ。
 そこには、とっくの昔に刻まれてるんだよ。意図したカタチと違っても、やらかした事が無意味な訳がないだろう!」
放った体勢のまま、言いたい事を言うためだけに、己の時間を刹那だけ加速させ――だからこそ、ヒートアップしながらも、口を開いた時点で気付いた。

『騎士』が次元すら歪める雷激と霊力の奔流を持って、ハンスへと全力を叩き付けようとしている。

『騎士』には『騎士』で、果たすべき想いがあるのだろう。
ハンスには、自身から叩きつけたいものが大量にあったが――

《―――外すな》
『騎士』が気付くかは判らない。だが、喋りながら視線だけで一言声援を飛ばす。

どういう結末になろうと終焉は近い。それを理解して『カタチを成せ』という奇妙な想いに突き動かされる。
魂に取り込んだ肉体、真界を帯びる混沌の――無色の武装へと型を与えんと力と構想を注ぎ始める。

おそらく、間に合わない。だが、それでも構わない。
きっと、成したカタチで行う事にこそ意味がある――。

ボディーブローを放ちながら喋りながらアイコンタクトを飛ばし、右腕へとカタチを成そうとするという平行作業を行っている。
つまり、他に意識を割く余力はなく、現在の鳴海は無防備でしかない。
419 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/01(月) 22:53:04.73 ID:K1+me7c0o
>>416
>>417
>>418
五月蠅い。煩い。うるさい。お前に何が分かる、お前達に何が分かる、俺の苦悩の何が分かる。
それはずっと奥底に沈めていたものだ。ハンス・バイエルは決して頭の良い人間では無い。だがそれでも、思考に思考を重ねてきた。気が遠くなるほどに。
一歩一歩を。其処は確かかと常に疑念に塗れ乍ら歩んできた。激情に駆られる。感情のまま喚き散らす。そんな事が、あってはならなかった。
そうなれば勝てないから。自分は唯の人間だ。其の手には何も無いのだから、せめて。せめて何度も何度も思考を重ねて、考え得る限りの最善を打つ。
だってのに。何一つ思い通りにいかなかった。泣き喚く事も何もかも捨てたって言うのに。何が。何が。
偽界武装を貫いて、彼の拳が腹部へと叩き込まれる。全力全霊の力、吐瀉物が―――――血が、込み上げてくるのを、必死に呑み込む。

「お前に、お前達に、何が――――― 何が、分かるってんだッ!!!」

偽界武装が解けていく、鋼鉄の鎧が解けていく、最強の鼠が解けていく、最大の戦車が解けていく、魂其の物である偽界武装が、解けていく。
だが。それでもハンス・バイエルは拳を振るおうとした。彼の顔面へと、我武者羅にその右拳を叩き付けようと振るおうとした―――――

彼の視界に捉えられたのは、『雷撃の騎士』。それは確かに自分達が作ったものだ、それは確かに自分が娘へと渡した物だ。

何だ、何だ。それじゃあまるで、俺はもう、立ち止まっていいみたいじゃないか。お前は今、確かに幸せなんだろう?

一泊。彼の呼吸が遅れた。一瞬の思考、足が動き出した時にはもう遅かった――――― 『二人の騎士』が、その槌を振り下ろした。
それはハンス・バイエルの右腕を。否、それは右上半身の殆どを抉り取って行った。夥しいまでの鮮血が噴き出し、そこら中を朱く染める。
傷口、と言うか、断面、と言うべきか。はたまた、それは最早『中身』と言うべきか――――― その様相は、確かに生き物の物ではあった。
だが其処には幾つかの異物が紛れ込む。例えば、機械が入り込んでいた。例えば、何か白くぶよぶよとした物が滑り落ちていった。
例えば、其処に在る魔力が無尽蔵に噴き出して。例えば、何重にもかけられていただろう魔術陣が、微かな光と共に消滅していく。

「―――――――――― まだだ」

彼の。彼女への。杜柱鳴海への。二舞御妃への。『言葉』は、少し後回しにしよう。


何故ならばこれが最後の足掻きだからだ。崩壊しかけている『偽界武装』の"主砲"――――― それが展開し、彼の左腕に握られた。
照準は、良い。ただ前を向けるだけでいい。


「これで、終わりだ」


それが『何に対して』なのかは、分かり切った事だ。
轟音と共に放たれる高速の砲弾は。中途で爆発を起こし―――――――――― この『墓場』全てを呑み込む爆熱と爆風を連れてくる。
420 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2014/12/05(金) 00:24:23.24 ID:B4FxYrnx0
>>418>>419
外すかよ。ここで外しちゃ終まいだろ?
果たすべき想い、譲ってくれて有り難う。声援はちゃんと届いたから、今、終わらせようーーーー。

『理解ってないのはハンス、あなただよ!』

それは改造の証拠、部品を鮮血混じりにまき散らす。槌はハンスを穿ったのだ。
しかし、それでなを新たな最後の足掻きを見せるハンス・バイエルの文字通り最期の報告は、熱線の如く爆熱と無をもたらす爆発で。
悪寒が駆け巡り、逡巡は刹那の思案。身を護るのは後回しだ。
眼前に映る二人の男は、このままだと間違いなく……だから、こそ。

「そんな勝手な最期は見過ごすわけにはいかないわ!」

前にでる。そして、ハンスと鳴海の二人を、可能ならば力任せに吹き飛ばそうと。
それは終焉をもたらす砲撃から二人を退けるための行為で、護ろうと意図していた。
恐らく、霊力障壁を容易に貫通するだろうその爆発だが、騎士としてかお人好しとしてか二人を放ってはおけなかった。
皮膚が焼け爛れていく感覚に表情は歪むがしかし、自分の犠牲で誰かが助かるのなら……悪くないと、想って。
爆発の、死の災禍に、『騎士』は飲まれていった。だが、『即死』はしないだろうけれど。
421 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/12/07(日) 05:19:38.67 ID:FML1w2ibo
>>419>>420
“お前に、何が解る――”
それはエッリにも散々ぶつけられた言葉。

「答えは――。全部、エッリさんも、アンタも溢してたよ。ハンス=バイエル」
雷鎚に穿たれた身体から、どこか見覚えのある白い物体を溢しながら自身へと砲口を向けた時。
或いは、最後だと宣言した時。

拳を前に突き出した状態のまま、この一撃を避ける事は、相手の想いから逃げる事だと無意識に思考して――鳴海の中から回避と防御の選択肢が消えた。
それが偽界による魂の一撃であれば、尚更、避ける理由はない。

前へ。ただ、前へ。
例えそれが死への一歩であったとしても――、砲撃を正面から打ち砕かんと、新たな道を切り拓かんと踏み込もうとした。

その時――。

「……なっ?!」
自身とハンスとの間に、飛び込む『騎士』の姿があった。
――『騎士』の庇うという行動は、完全に、鳴海の思考の外にあった。
戦闘時において。他者を庇う事はあっても、自身が庇われた経験など一度として無かったから――故に、成す術なく吹き飛ばされる。

「――く」
吹き飛ばされながら理解して。
刹那。液体窒素の海へと叩き落とされた時以上の悪寒に――権能を。己が渇望の奔流を、無色の真界に《色/カタチ》を与える。

『全てを受け入れる世界が欲しい。全てが幸福で在れる世界が欲しい。
 泣いてもいい。苦しくてもいい。痛くてもいい。悔しくてもいい。
 ただのひとつも取り零すこと無く、全ての存在が「この人生で良かった」と心の底から誇り、安らげる世界が欲しい――。』

既存の四次元が歪み世界の時が極限まで引き伸ばされ、右肘からあらゆる光が混じわる混沌とした色彩が噴出する。

「――ま――け――」
噴出する色彩にカタチはなく、引き伸ばされた時の中を。膨大な鉄塊と化した分子の海を強引に掻き分けて進むための推進力とし、目映く輝く熱波の中へと突き進む。

『白紙ではダメだ。白は白を覆い隠し、紙はいつの日か風化する。
 だから、無色にしよう。形もない方がいい』

「――る――か――」
鳴海の魂そのものに気絶する機能はなく、本来ならば数秒で済む灼熱と衝撃波を何分にも引き伸ばす。
浸食する熱と破壊の渦は火傷や傷という現象を起こさず、右半身に走る亀裂というカタチで表出。

腐っても神性の一柱。《偽界》の一撃とはいえ、チカラのリソースを回せば耐えきれる可能性は高い。しかし、それは純粋な神性であった場合。
人である部分を捨てた訳ではないために、脆い人の部分から崩れていく。

『幸福も。終焉も、決まったカタチなんてないから』
いつしか彩光は無色の霧となり、噴出し広がった霧は《真界》と次元の神性を強く、帯びて――。

(味方だけでも、取り零し、てたまるか――。
 皆、未来の為に足掻いているのに、俺が足掻かないでどうする!)

爆炎の中。ただ、右腕を振り上げる。
霧は振り上げた腕に従って、軌道上に存在する爆炎を取り込んで――正確には、爆炎の存在する空間を、安全な空間にすげ替えて舞い上がる。
舞い上がった霧は上層ごと天井の存在する空間をぶち抜いて――。

「あ――、ぐっ」
遅延の限界が訪れた。膝を付き、時間の流れが元に戻る。
全身に亀裂が広がり、右腕をあげたまま、墓場に膝を着く消耗した鳴海の姿があるだろう。

そして、右肘から噴出している霧は、見る者によって捉える姿が異なる。
それは天を突く巨竜の角か。大空を羽ばたく翼か。

それとも――、己の首を落とす処刑台の刃か。
422 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/08(月) 22:13:03.06 ID:MoovIm9Vo
>>420>>421
ゆっくりと其の身体が斃れていく。偽界武装が崩壊し、骸も遺さず崩壊していく。二丁の愛銃が、それに遅れてまるで簡素な音を鳴らして落ちる。
ハンス・バイエルは抵抗の欠片も無く、そのまま吹き飛ばされて。その墓場の破片――――― ハンス・バイエルと名が刻まれた墓石を背に。
噴き散らす血を抑える手段は無かった。生き残る手段は無かった。生き残る資格は無かった。この時間は――――― もう、自分の物じゃない。

前に進もうと言う意思に。後ろへ戻ろうと言う軟弱な思想が踏み砕かれるのは当然至極と言えるだろう。
この。世界大逆の大悪党をも助けようとした、正しく『騎士』たる彼女が、『幼き神性』へ救われるまでの間―――― 僅かに、雷撃が奔り。
微弱ではあるが彼女を守った。そして『幼き神性』は、その全力を以って救った。それが答えだ。それが――――――――――。

もう指先一つ動かない。墓石にその身体の総てを委ねて空を仰ぐ。空が見える。それは青く澄み渡り、それを彩るのは。
ハンス・バイエルには天を突く巨竜の角でも。大空を羽ばたく翼にも、或いは己の首を落とす処刑台の刃にも。見える事は無かった。
其処に在るのは―――――――――― 然し。それを頭の中で言葉にするには、ハンス・バイエルにとって、余りにも、気恥ずかしかった。


「―――――――――― また、負けたな」


これで、二回目。今度は助けてくれる人間はいない、世界は明確に自分の死を望んでいて、そしてその通りに、今。此処に崩れ落ちていく。
けれどもそれは遠い昔のそれよりは、余程素晴らしく美しく出来ていた。納得がいった。頷く事が出来た。其処には、光があった。
何処かから――――― 恐らくは、要塞へと掲げられていた物だろうが――――― 逆鉤十字の国旗が、ゆっくりと降り落ちてきた。
それは破壊された墓場を、墓石達を覆い尽くす様に――――― それは大逆の始まりで、終わらない夢に終わりを告げる終端のように。

「やっぱり、寒いな――――――――――― 慣れねぇなあ、この感覚は、何回やっても」

血と共に、ゆっくりと流れていくのは命の息吹。余りにも長く渦巻き過ぎた奔流。それは何処かで濁ったのか。それとも、最期まで輝けたのか。
それでもやっぱり、悔しいと思うのは何故だろうか。何もかも消えていく訳でも無いのに。確かに自分は、其処に刻み込んで見せたのに。
涙が頬を伝うのは何故だろう。酷く情けない姿だろうに、もうそれを拭う為の腕も動かない。

Danke. Es tut mir leid.(ありがとう。ごめんなさい)

散っていった全ての者達に。七十年前に斃れた同志達に。自分に付き従い、大逆の汚名を被り、それでも戦い続けた同志達に。
我等の凶刃に斃れた物達に。自分の前に立ち塞がった者達に。自分に触れてくれた、全ての物達に。
自分は。成し得ぬままに終わってしまう。謝っても謝り切れない、感謝してもし切れない、此の魂は、きっと地獄へと墜ちていく。
だからもう謝れない。もう礼は言えない。きっと届かないのだろう―――――――――― けれど、本当に。

「Danke. Es tut mir leid.」

どうか届かなくていい。ただ言わせてほしい。この消えていく魂に、片時の情けを懇願しよう。都合の良い事は分かっているけれど。





「そして、おめでとう。此処から先は、お前達の可能性だ」




最早彼等へと顔を向ける程の力も身体には残されていない。だから空を仰いだままに。其処にいるであろう勝者達へと。精一杯の賞賛を贈ろう。

ただ、戦いの機械として終ろうとしていた『娘』の魂を救い。愚直に純粋に、騎士としての誇りを貫き。勝ち上がった君へ。

ただ、真っ直ぐに己が理想の為に。踏み潰してでも良い、背負って進み続けた幼い神へ。

賞賛を贈ろう。嗤い一つせずに自分を踏み越えてくれた彼等へと精一杯の賞賛を贈ろう。
不快だと言ったとしても良い。これは、嫌がらせでもあるかもしれない――――― 一方通行、送り付けて逃げ出してやろう。


嗚呼。けれど。






「勝ちたかったなぁ」
423 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage 分割投下1]:2014/12/11(木) 17:14:07.95 ID:v6b/j35g0
>>421>>422
遠のく意識、膨大な負荷に思考は流されつつあるなかで、確かにそれを聴き、感じ、理解していた。
雷撃の奔り、君の感情が伝わった。天穿つその神性、確かに理解した。
嗚呼、護るべき立場であったはずなのに……何時しか、護られている。騎士としての立場だったはずなのに、己は救われている。
終焉を全力で以て追い払ったその者の右肘のソレは、何というのか、形ではなくて光に見え。

「ありがとう……」

所々に筋肉が露見している御妃は鳴海を一瞥し、そう発した。
そして生命を助けることは手遅れ、そんな状態であるハンスの方を、頭だけ動かしみやって、ただ、紡がれる言の葉に意識を集中させた。
あわよくば救いの手を差し伸べられたら、そう思案しながらも、無理であろうと写り込む情景が認識させる。
嗚呼、でも、それでも。助けてあげたいと志してしまうのは、渇望だろうか、愚かだろうか。なにより、いけないことなのだろうか。
なにも理解らない。いや、理解らないからこそ、最期まで自分を貫こう。それが、『礼儀』なのだろうから。自分ができる最大の、意志の現れなのだろうから。

「あなたは……ハンスは、負け続けた訳じゃないと思う」
424 :二舞 御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage分割投下終了]:2014/12/11(木) 17:30:36.15 ID:v6b/j35g0
言うんだ。何があっても。伝えるんだ。何があっても。

「……きっと、あなたはすでに勝っている。
 それはあなたに着いてきてくれる人がいる時点で明白なことだと思う。本当に負けちゃってたなら、
 きっと、そう、きっとあなたには着いてこないはずだから。負けている人に着く人なんていないでしょ?」


痛む傷む、しかし言わねばなるまい。
それは的外れなのかもしれないけれど、言わずには終われない、いや、終わらせない。

「あなたの『娘』だって、あなたが負け続けていたなんて、負けたなんて思っていないはずだから、だから。
 泣かないで。あなたがいたからこその、これからの可能性なのだから。あなたとあなたの『娘達』との出会い、感謝します……」


そういって、顕現武装は役目を終えたかのように霧散。
ミョルニルのみ顕現したままだったが、臨界武装は解除された。


そして最後に、ニヤッと笑みを作れば、


「責任天与だなんて、狡いなぁ。……ハンスは。
 意地悪なんだから……本当に。でも、ま、ありがとう。感謝するわ……」


静かに、脱力した身体。
もはや息をするのも絶え絶え、それっきり、黙る。
微かな朦朧の中で、成り行きを見守る。
425 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/12/13(土) 20:53:37.08 ID:P19xqieVo
>>422>>423-424
振り上げた腕に一際深い亀裂が走り、噴出していた霧が途切れる。
霧は風で流される事無く。ただ、三人の遥か頭上――蒼天を漂う雲のように滞空する。
霧はいつか蒼空に溶け、消滅するだろう。

「……」
痛々しい姿の『騎士』の礼に、気にするなと無言で首を振る。
治療が必要なのは明白で、自身の手札にあるというのに。あらゆる要因から死に札と化している事に、無力感を覚えた。
彼女の言葉は正しい。この世から魂が消失するとはいえ、最期まで誰かに想われているハンスは確かに勝者とも言える。

「慣れたら、楽なんだろうけど……そこは我慢して欲しい」
感情に任せた自身は正しかったのかという疑問も、不安もある。
悲しみも。苦しみも。確かに希望もあって――様々な感情が鳴海の中に渦巻いており、上手く言葉に出来ない。
しかし、ハンスの魂がこの世から消失するまでに心を整理する時間を得ようにも、停止も遅延も不可能で。


「……ありがとう。そして、ごめん」
空回りする口から漸く絞り出した本音は、二人への謝罪と感謝。
言葉の内に込められた想いは、悲しみや無力感を初めとして様々な感情が渦巻いていたが、他者への悪感情はなかった。
それ以上に強く――。


「ここから先も俺達だけの可能性じゃない。
 アンタ達の可能性も、全部、未来に受け継がれているんだ。
 ……だから、アンタ達はまだ負けていない」
ハンスへと踏み出そうとして――自身の右肘から下が落ちたのを見て、足を止める。
落ちた右手は蒼い光を帯びたガラス細工のように、地面に叩き付けられて手首と腕に別れていた。

無言で拾い上げた手首をハンスへ。腕を『騎士』へと放り投げれば、空中で霧散し、光の粒子となって各々の身体へと飛んでいく。
それは、自身の魂を消費した微弱なチカラの行使。
『騎士』には、延命のための時間遅延。
ハンスには―― 一部魂の譲渡。
譲渡した魂はハンスが望むのであれば、境界を越えて声を届けるだろう。

「頼りきるようだけど、常世で。
 来世で『俺』がいれば、その時は、今の分も含めて全力で殴ってやって欲しい」
その場に座して、願う事はただ一つ、今度の想いは潰えぬように――。
426 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/14(日) 21:29:08.92 ID:2E5mqE14o
笑うな。と言う方がおかしな話だろう。こんな無惨な姿を晒しておいて。こんな風に終わらせておいて、負けていないと彼等は言った。
この七十年前から敗北を重ね続けてきた、この無能な指揮官へと。あまつさえ負けていないと。何を言い出すのだろう、自分は確かに負けたのだ。
だと言うのに。ずっとずっと負け続けていたと言うのに負けていないだなんて―――――――――― そんな物。

嬉しくて、堪らないじゃないか。

成程、成程。気付かなかった事だ。確かに自分の後ろにはいつも誰かがいた。付いてきてくれる人間がいた、素晴らしい事じゃないか。
それはきっと勝者なのだろう。きっと世界の何処を見渡したって、あんな馬鹿共は、何処を掻き回したって顔を出しはしない。
嗚呼、実に自分の手に余る奴等だった。実に自分には勿体の無い人間だった。実に楽しい奴等だった。本当に――――――――――本当に。

「くく。くく、は、ははッ―――――――――― 謝るなよ、よく分かった。もう分かった。

 つまりは、この俺の……この、諦めの悪い老害の。最後の勝ちって事だろ。死に土産には、丁度良い。
 鉛玉よりも。燃えていく国を見るよりも、な」

そうだ。本当にマシだ、大分大分マシだ、どころか上等だ。目前に広がるのは、もう、消え失せていく祖国じゃない。
そこにあるのは可能性だ。其処に自分があるのならば――――― 終わっていくのも怖くは無い。
彼等の姿は、ハンス・バイエルには分からない。彼から見えるのは、ただただ青く、澄み渡る空――――― それすらも、ゆっくりと薄れていく。
其処にはもう逆鉤十字を掲げた飛行機も、焔によって赤く染め上げられた家屋達も無い。それは全部、過去へと置き去りになって行った。
だが。一つだけ、覚えておいてほしい。


「過去があるから、未来がある。過去があるから、今がある。過去があるから、可能性がある。
 遠い過去には、色んな人間が戦っていた。そこで魂を振り絞っていた。今と変わらない、皆が皆、未来が欲しくて戦っていた。
 そこに国籍も年齢も性別も関係ない。誰かの為に、何かの為に、遠い昔にも戦っている人間がいた。それだけは……覚えて、おいてくれ」


嘗て幾つもの戦いがあった。刃を取って立ち上がった。銃を取って立ち向かった。鉄と炎が嘗め尽す戦いがあった。
今と変わらない、昔にも、戦い続ける人々がいた。誰彼もが、その戦いの上に立っている。この、ハンス・バイエルだって、それは同じだから。
理解は、しなくていい。想う事も、しなくていい。ただ、覚えておいてほしかった。

人の足下には、何時だって勇敢な魂がある。

そして―――――――――― これからの彼も、彼女も、きっと、また。


まだ起きているだろうか。まだ、そこにいるだろうか。彼の騎士へと向けて、一つだけ頼みたい事があった。
自分の娘に、泣いてくれた彼女へ。其処から先を見ることが出来ないのが、残念でならないし、心配でならないから。何、酷くくだらないと思うかもしれないが。
ただの、親心と言うやつだ。

「二舞。二舞 御妃。俺の『娘達』と、仲良くしてやってくれ。俺と似た馬鹿共ばかりだが――――― 何。
 恩返しが出来るくらいには、馬鹿じゃないように躾けてきたつもりだ。狡いついでだ、よろしく、頼む」

雷神の槌は其処に突き立ったまま、淡い光を湛え続けている。親として、『娘』に友達が出来るか、出来ないか、と言うのは、心配だし、気になる。
数十年間過ごしてきて、『娘』が産まれたのは随分と最後の方だったが――――― 悪くは、無かった。
全く狡いと言われればそうだと頷くしかないが。彼女ならば任せられるということで、好意的に受け取ってもらいたい。
427 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/14(日) 21:31:11.94 ID:2E5mqE14o
意識は彼の下へ。全く自分達の理解の外にいた彼へ。彼から放り投げられたそれは、腕。
直後顔を強張らせた。が、それは其処で霧散し、光となり、其の身体へ。注がれるのは、その正体は、魂の片鱗。

「殊勝な事だな、鳴海。俺は上官に殴られたら思い切り殴り返してたぐらいに、殴られるのは大嫌いだったが。
 そう言うなら、そうだな。殴ってやるさ、顔の形が変わるくらい殴ってやる、だから――――― また今度、って奴だ」

そう言う事ならば思い切り殴ってやる。何時だって若い者を殴るのは老人の役目、次の世界にいるならば。
思い切り殴ってやろう。思い切り可愛がってやろう。或いは、境界の向こう側から、この世界でも怒鳴りつけてやろうか。
神様が何だとかはどうでもいいし、分からない。
ただ、ハンス・バイエルと言う男から見れば。杜柱鳴海という少年は、まだまだ、幼く、そして育ち盛りの、子供に見えるから。

さあ。ハンス・バイエルの終わりは間近だ。既に視界は閉ざされたように見えなくなって。
身体はもう冷たい。あれだけ好き勝手に噴き散らかされていた鮮血も、今じゃまるで絞り尽くされたかのように、溢されるそれは僅かになっていた。
今まで。本当にいろんなことがあった。走馬灯すらも今は美しく、懐かしい。
沢山の光があって。沢山の光が消えて。そしてまた、沢山の光が産まれていく。自分の人生は、その、沢山の光の中の一つで在れただろうか。
楽しい人生だった。綺麗では無いかもしれない。土埃と、油と、鉄と、血と、炎に彩られた、余りにも粗野粗雑粗暴な人生だったかもしれない。
けれど胸を張れる。胸を張れるからこそ今の今まで歩いてきた。胸を張れるからこそ、今、こうして、余りにも自己中心的に正々堂々と死んで行ける。


「俺が終わっていく。恐ろしいが、ずっと後回しにしてきたことだ。仕方ない」


最後だ、これでようやく長い人生に幕が下りる。皆の下へ行く。恐ろしいが、同時に心地良い。

実に、悪くない人生だった。だからきっと、この手の中の可能性は、全部――――――――――
428 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/14(日) 21:32:28.78 ID:2E5mqE14o






























嗚呼、きっと。此の先には、何て美しい―――――――――――――――



































429 :ハンス・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/14(日) 21:34:50.56 ID:2E5mqE14o




「白紙世界に生きる者へ、その無限の可能性へ、願わくばその果てに、輝かしい未来を―――――――――― Sieg Heil.」







その身体は余りにも緩やかに、穏やかに。死を受け入れて、目を閉じた。










                             ハンス・バイエル 高級中隊指揮官



                                      戦死
430 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/14(日) 22:49:56.98 ID:2E5mqE14o
>>423
>>424
>>425
一人の軍人の命が終わった。けれど時間は、人の主観に左右される事なく流れていく。それこそが、可能性であるが故に。

一人、其処へ足を踏み入れる者がいた。金色の粒子が斃れた軍人の男の付近へと出現し、それは徐々に形を成して、それから実体を形成して見せた。
それは腰まで届く銀髪に、碧眼の少女の姿をしていた。白いワンピースの裾を靡かせて、左腕に着けられているのは、逆鉤十字の、赤色と黒色の腕章だった。
騎士の彼女には見覚えのある姿だろう。或いは、勘の良い人間ならば其処で勘付くか。

軍人の男の死体の傍へしゃがみ込むと。暫しの間だけ両目を閉じて、手の中に"何時の間にか"握っていたドッグタグ。
そして自分の腕章を外すと、そっとその二つを男の下へ置いて、立ち上がった。

二人の姿を。罅割れた彼の姿を、倒れ傷付いた彼女の姿へと双眸は向けられ――――― 其処に刻まれた感情の色は。


「……ありがとう。二人とも。此れで漸く、"父さん"は歩みを止めることが出来た。本当に、本当に感謝しています。
 父のやってきた事は、決して許される事ではありません。けれど私には、この言葉しか見つかりません。本当に、ありがとう」


何の変哲も無い、深い深い感謝だった。何の事は無い、心の底から湧き上がる礼の気持ちだった。


「応急処置程度で宜しければ、私が治療します。……えと、杜柱さんは……普通の治療で、大丈夫なんでしょうか……」


これに了承の意を返せば。彼等にはガーゼや消毒液、包帯を使った、比喩表現では無く本当の"応急処置"が施される。



>>425
そして杜柱鳴海。彼にだけが察することが出来るだろう。彼だけを文字通り狙い済まして、それは引き絞られていた。
純粋な、敵意や殺意の矢。他の誰をも一瞥する事無く、彼だけへと研ぎ澄まされた、一本の刃の様な殺意だった。

それを辿ってみれば。此処の一つ上の階、エレベーターを降りた先に在る、廊下から。発せられる物で。

それは、恐らく。彼にとって覚えのある者、の筈だ。
431 :二舞 御妃『寄り添う者』 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2014/12/17(水) 19:33:11.15 ID:PG2AvKve0
>>425>>426-430
霧となって肉体に染み込む鳴海の腕がどうやら延命の効果を付与したらしい。
少し、身体が軽くなった気さえする。
視線をやり、鳴海を一瞥後、弱々しく礼を述べれば……なにかが表上、失われた気がした。

「御意。任せて」

ハンスに対しての言の葉はそれだけだった。見送りの言の葉は、たったそれだけだった。
ただ、それを述べる表情は涙に染めあげられていた。

深い悲しみと慈悲からくる涙は、様々な色を覗かせる。
そして、聞き覚えのある声音が、見覚えのある金色が視界の傍らに映り込んだ気がして。
微かに顔を動かし、声主を一瞥……確信を、得る。
それは、その姿は、その声は……ー、

「嗚呼……主君……」

名前を聞いてない、故の呼称だけれども、彼女は、そう。
『騎士』の仕えし『姫君』であったのである。

「お願いします」

応急処置でなんとかなるような怪我ではないが、取り合えず気休めにはなるだろうと。
了承を示す。
432 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/12/20(土) 02:03:02.50 ID:qXVj5fpUo
>>426-430>>431
「勿論。その時は暴れるかもしれないけど、たかが神属だ。きっと貴方なら簡単にやれる。
……今はおやすみ――ハンス爺さん」
鳴海はこの世から消えるハンスの魂を見届けて……気が付けば、少し視界が滲んでいた。
欠伸と言えば誤魔化せそうな程度だが、瞳に浮かんだソレは、確実に――。

【暗黒の視界に、衝撃が走る。それは外界から雛鳥の世界を生命ごと破壊せんと、淡々と振るわれる】
【視界無き視界の中。未完成の意識に焼き付く粒子の光が、雛を嘲笑うように――】

顕れた金色の粒子に。刹那。過った《映像》が、視たのとも違う感覚をもたらし、鳴海は顔を強張らせる。

(……『三人』か)
誰が見たモノだったのか。見せたものなのかは、何となく理解できる。
しかし、その意図を理解できないでいた。
もっとも意図等ないのかもしれないが――意味を成すのは、まだ先の事。

思考の海へと没入しそうになったお陰か、粒子が人の形を取る時には既に強張りは解けていた。


(………ハンスの……娘?)
次元に触れる自身の触覚に違和感を。心臓を刺さされるような痛みを覚えながら、光の粒子が成した少女の行動とハンスの記憶から推測。
少女の礼に確信を得、敵意はなさそうな事から警戒を解き。首を横に振る。

「こちらこそ、ありがとうございます。
 ですが俺には、礼も手当ても受ける資格はありません。
 それに治すには魂喰いが必用となってしまいますので」

鳴海自身へと突き刺さる殺意がその証明。

もっとも、魂の欠損を再生するには他者の魂を捕食するか、霊力で補うしかない。
本来とは違う形の神化とはいえ、次元の神霊の再生に消費されるチカラは相当なもの。
前者は質か数を喰らうしかなく、下手をすれば何種か絶滅しかねない。後者は地脈から吸い上げたとしても土地が先に枯れ果てる。
――資格があったとしても、治そうとする日はこないだろう。

「俺よりも彼女に本格的な治療を。
 今の俺には、彼女の“時”を遅らせる事しかできなかった」
言って、全身から淡い蒼光が揺らめく。
光の中で空間ごと魂に取り込んだ自身の肉体を表へと出す。

光が消えると同時に現れたのは、少し天然がかった髪と“黒い瞳”を持つ、どこにでも居そうな青年――素の杜柱鳴海だった。
服装がジーンズと藍色のコートという戦場には似つかわしくないものではあるものの、“外見上の四肢は”健在であり、全身に広がる皹は影も形もない。

「俺にはまだ、ここで会わなければならない人がいるので……だから、治療を。出来るなら医療施設までお願いします」
その場から立ち上がり、深々と頭を下げて。

「……雷鎚の騎士さん。間にあわなさそうなら“停まれ”と念じて下さい。
 そうすれば何分かは、貴女の時間が停止するようになっている筈です。
 停止が切れると同時に時間の遅延による延命効果も切れますので、本当に不味くなったらでお願いします」
共闘した騎士へと注意事項を述べて、殺意の源へと駆け出す。
走る鳴海の右肘から下は力が入っていないかのように、ただ、揺れて――。

(殺意は俺に向いている。あの人の武装は恐らく狙撃銃。
 途中の攻撃がなかったから周囲にを巻き込む気はないのかもしれない。
もしかしたら、戦う気もないのかもしれない。……が、万が一がある)


「……ハンナさん!」
痛む身体を引きずりながら、二階の廊下に入ると同時に心当たりの――初めて手を掛けた人の娘の名前を叫ぶ。
433 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/24(水) 22:52:16.14 ID:NsOCFrt5o
>>431
それから、彼女の了承に頷いた。
二言、三言呟くと、其の手の中に小さな魔方陣と共に、幾つかの医療用品が現れる――――その血筋からか、転送魔術は得意だった。
彼女の皮膚は一部が焼け爛れ、所々露出している。転送された内の一つ、真水の入れられたペットボトルの蓋を開いた。
第II深度までの火傷の応急処置法ならば心得ているが、筋肉露出程にもなると最早応急処置の方法も分からない。
無暗に弄り悪化させるのは最悪だと考え、焼け爛れた皮膚に、水をかけて冷やしていく事で痛みを和らげ、火傷の進行を緩める事を先決とした。
彼女の手を取って、出来る限り酷い部分にかからぬよう注意を払って、彼女の火傷に水を注いでいく。

「……ごめんなさい、ちょっと。痛むかもしれないけれど……」

見るからに痛々しい彼女の姿は、自分が、「そう言った」からだ。
彼女は女性だ。作り物の自分とは違う、歴とした女性だ。もしも痕が残ったりすれば、彼女は心に深い傷を、負うのではないだろうか。
だが生憎と、自分にはそれを綺麗に治療する術も、有さない。無力極まりない存在だ。

「ごめん、なさい……! 私が、我儘を言ったせいで、貴女を……こんな……!!」

彼女へと水を注ぐ手が止まり……止めざるを得ず。片腕の袖で、涙を拭う。
―――――――― 分かっている。こんな事を言うのは、それこそ礼に欠くのかもしれないが。それでも、言わざるを得なかった。
434 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2014/12/24(水) 22:52:39.12 ID:NsOCFrt5o
>>432
彼の戦いは、きっとまだ終わっていないのだろう―――――――― きっと、様々な意味で、彼女には介入出来る物では無かった。
彼女は、彼の姿を。ただ、何処にでもいそうな普遍的な少年の姿を見据え。
自分の父は、彼に討ち果たされた父は、一体彼に何を見たのか、分からなかったが―――― 
それはきっと魂に刻まれているものなのだろう、戦いに赴く人間の顔は、よく分かった。

「分かりました―――― 杜柱鳴海さん。私に出来る事、言える事は何もありませんが―――― これだけは。

 がんばって」

駆け出す彼の姿を見送った。

――――

それは黄泉比良坂の如く続く、長い長い回廊の中途に立っていた。

ボーラーハットに黒い軍装、その上に紅いコートを身に着けて、その右手には長い剣を持っていた。
全て形見で出来ていた。帽子も、軍服も、外套も、または―――――――― 剣も。
だがまるで生き写しかと言えば、少し違った。左手に握る狙撃銃を握り。顔立ちも、髪の色も、髪型も、身長も、身体つきも、何もかもが、違っていた。

けれど、肉親だった。この世に一人しかいない、言葉では言い表せない程に、大切な人間だった。

血がつながっていなくても、大好きな母親だった。

激情には何度も逆巻いた。今でもそれは猛り狂っているが、馴れてしまったのか、今は、酷く落ち着いていた。
自分の名を呼ぶ声に―――――――― 殺すと言う冷え切った目的意識しか、生まれてこないのは、本当に幸運だった。

「大尉は。やっぱり負けた≠だ―――――――― 良かった」

ハンナ・ハーパライネンは、最初からそのつもりで来た。最初から、彼だけを℃Eすつもりでいた。
それ故に、彼を誘き寄せた。彼だけへと、膨大な憎悪を叩き付けた―――――――― 一点に集中する事は、得意だった。
435 :二舞 御妃『寄り添う者』 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2014/12/28(日) 17:41:13.65 ID:ORt04NWn0
>>432>>433
青年の力で延命を果たしたのは少し気がかりだ。
だが、救われた後でそれを言い出してもなにも変わらない。結局、

「わかった……ありがと、命拾いした」

気のいい言葉が口から飛び出す。
なんて弱いんだろ、私。駆けていく姿を視界に納めながらそう思った。

刹那、針で刺すような痛みが襲い、御妃は苦痛に顔を歪める。
治療が始まったのだろうと理解、それから痛みに耐えるべく歯を食いしばって……疑問を抱く。
その手が止まったからだとかではない、その涙の理由を、理解しかねたから故。
しかしその疑問も、やがては解消される。目の前の『姫』は、自分を責め、悔いているのかと、そう理解したからというのも理由かもしれない。
だがハッキリいって、その涙は、流すべき物ではないと。
『姫』の頭に手を乗せ、撫でる。

「ううん、貴女のせいじゃないよ。これは、私が決めたことなんだし
 だから、泣かないで? 貴女はなにも悪くないから。そりゃあ私だって後が残るのは嫌だけど、後悔はしてないからさ」

自嘲気味にそう言えば、彼女ははにかんだ。
こんな時こそ泣かないでほしい。『姫』はいつだって笑顔が一番なんだから。
泣かなくても、いい
436 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2014/12/31(水) 01:57:14.27 ID:vSOOZNFFo
>>434
飛び込んだ回廊に居るハンナを目視して、鳴海は、口を真一文字に結び足を止める。

近付く程に濃く、鋭くなる憎悪と殺意。
その中で彼女の纏う衣服を目にしたのならば、エッリの姿を重ねて、確実に、思考まで凍りついていただろう。

しかし、先の戦闘で刹那。幻影かもしれないとはいえ、エッリと邂逅した鳴海が凍つく事はなかった。

「……良かった? “やっぱり”? どういう意味だ。
最初からハンスが負ける事が解っていたのか」

遺品を纏い。狙撃銃と剣を握るハンナと、《真界》を内包するとはいえ使い物にならエッリの首を断った瞬間から漠然とだが、対峙する現在の構図は予感していたが……。

(本来なら、首を差し出すべきなんだろうが――最高の結末、か)
437 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/01/05(月) 01:37:53.85 ID:dYSHoN9yo
>>435

―――――――― 彼女の手が、頭を撫でた。

涙を拭って見つめた彼女は、笑っていた。―――――――― 泣かないで、と彼女は言ってくれた。
泣いたのは初めてだった。それを赦されるのも、初めてだった。撫でられたのは、親≠含めれば、これで二回目だった。
自分のせいで、取り返せない怪我を負ったのに。恨まれたって可笑しくないのに―――――――― 赦す≠ニ笑う。
そんなの、合理的じゃない。だけど、これが人間ならば。

「―――――――― ありがとう。ありがとう、二舞さん。本当に――――――――」

それでも尚零れ続けるそれを、ぐしぐしと乱暴に拭い取って、作業を再開する。
彼女のその言葉に答える為に、今はただ、自分に出来る事をしよう。



「……二舞さん。一つ、お願いがあるんだけど」

彼女の傷口を冷やし続ける中で、一つ。零すように言った。
渡しておいて、これを言い出すのは少々忍びないのだが、こればかりは仕方ない、と思う。
それに多分、これが一番彼女の為にもなるのだろう。―――――― 私の『騎士』≠カゃなくなってしまうのは、少し寂しいけれど。


「―――――― 持っててくれてるんだよね、あの子の魂=B
 ちょっと勝手かもしれないけれど―――――― 渡してほしい」
438 :ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/01/05(月) 01:38:19.02 ID:dYSHoN9yo
>>436
―――――――― 表情の変化に乏しい、ハンナ・ハーパライネンから笑みが零れた。

ゆっくりと首を振った。

「いいえ、分からなかった。大局から見れば大尉の敗北は確定なんだろうけど、この戦いの末は分からなかった。
 だから、良かった。貴方が、残ってくれて=v

最悪の結末≠。誰も助からない、誰もが悲劇に身を沈める、最低最悪の結末を=B
ハットの向こう側の双眸が、僅かに顰められる。両の手に握った、狙撃銃の銃口を彼が睨み付け、剣先が彼を睨み付ける。
穏便に済む可能性など。最初から、在る筈が無かった。そんな気は欠片も無かった



「――――――――《真界武装》、クラレント=v

身に着けるコートが、軍装が、そのコールを以って粒子の如く分解される―――――――― グノーシスギアが、起動する。
両の手に握る二つの魂が半融解し溶けあった。淡い青色に煌めく粒子が、ハンナ・ハーパライネンの身体でグノーシスギアを形成する。
薄く、粒子と同じ淡い青色のスーツが形成されて装着される。その上に前を開いた形で再度赤いコートが、黒いハットが形成されて身に着けられる。
その上から、機械的な籠手と脚甲が形成され、片眼鏡型の小型ディスプレイが右眼に装着される。
融解した武器がゆっくりと再形成されていく。左手は下げられて、右手には引き金と銃床。
それに続く銃身は、異形の様相を。剣身と銃身が混ざり合ったような姿をしていた。長大な銃身の下部に、刃が備えられた《真界武装》。

―――――――― 最期に遺された、刃=B



「―――――――― 私の手で、殺せるから」
439 :二舞 御妃『寄り添う者』 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2015/01/07(水) 14:56:01.14 ID:QseP1P8W0
>>437
いくら頼まれた物だからといって、自身は確かに彼女の親に手をかけたのだ。
本当に恨まれていいのはこちら側、しかし彼女は気遣いと責任にその顔を濡らしている。
そんな優しさは、無垢さは、泣き顔より笑顔の方が断然似合っているのだと、御妃は知っているから。


「ううん。私の方こそ……ありがとう、『姫』」




痛みの感覚に大分馴れた頃、御妃はお願いを聞いた。
その内容は、『白銀の騎士』の魂を返せ……そういう内容だった。
一瞬、逡巡。しかし決意は揺らぐことなく、応えも決まってる。ここまできて断るような性格は、していない。


「……わかった」


そう、きっと、彼女なりに何か考えがある故、これを返せと言ったのだろうと。
理解するには時間はいらなかった。彼女の手の中に、そっと、“魂”を受け渡す。
離れたくはない、だが、優しくて『騎士』と同じように愛しい彼女のお願いに、できる限り応えたいと思う気持ちのほうが、ずっと強かった。
440 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2015/01/08(木) 01:27:37.85 ID:Zv5TdxgXo
>>438
「俺が死んでいれば、ハンスを殺してたって事か……」
荒事無しに解決を望めない事は、理解していた。
理解できていなかったのは、ハンナの――人の心。
《鳴海/ニンゲン》として最も大切な“者”を、奪われる痛みも。絶望も。経験も、まるで消化できてはいなかっただけ。

彼女の視線に宿る感情は、鳴海の目指す場所とは真逆のもの。
仮にここで自身が倒れれば、次の標的は自身以外の生き残りか。
――或いは、ハンナ自身か。

「《真界武装》……まさか――」
長銃と剣。二つの魂が融合したであろう《真界武装》――クラレントを前にして、ある言葉と想像の外にあった可能性が否応なく脳裏にチラつき、無意識に溢す。

《真界武装》の性質から担い手の想い次第で、その力を何処までも引き上げられていくだろう。
そして、脳裏に浮き沈みする可能性が的中しているのであれば、担い手の想いにクラレントが答えない筈がない。

処刑人を彷彿させる意匠に銃刃を持ち、鳴海の目標を徹底的に踏み潰そうとする相手を前にして――。

(言葉も、感情も。何もかもが、頭のでごちゃついている。……だけど)

「――――――――《/V|'//2!(>[-]+@(>@+<-》/《我が右腕は門となる》」
左腕で右肘先を支えながら、右手の平をクラレントの切っ先へと向けて。唱える。

肉体に宿る魂。さらに魂の内側を裂き、右肘から光を乱反射する《霧》の塊が、数秒かけて吐き出される。
纏っていた服に変化はなく、噴霧された霧の塊は鳴海を中心に小型の銀河のように渦巻く。

《真界武装》であって、真界武装ではない――自己の魂と無色の力を伴う疑似的な真界武装の顕現だった。

「やる前に、一つ、聴きたい事があります。
 ……あれからハンナさんは、エッリさんの声を聴きましたか?」
踵を浮かせており、臨戦態勢に入り……黒い双眸にて真っ直ぐにハンナを正面から見詰め、 確認をとるかのように問う。
441 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/01/14(水) 01:40:14.71 ID:GMZYhGdoo
>>439
一通り応急処置が終われば。後はもう、この少女に出来る事は無くなる。後は彼女を、表へと送り届けるだけ、だが。
これだけは説明しておかなければならないだろう。この、今し方受け取った、愛しい妹≠フ魂を手にする理由について、だけは。
手の中にある魂≠両手で包み込めば―――――――― 元気な胎動を、手の中に感じる。

「お帰り、アンナ=v

小さく呟いて、彼女へと視線を戻した。―――――――― これ以上此処にとどめるのは、本当に酷だろうから、出来るだけ、手短に。
手を開けば、その中に在る魂≠ェ黄金色の輝きを伴って空へ浮かび上がる。―――― 自分の力が通じる事に、安どのため息を漏らした。
大きく息を吸って、頭の中を整える。出来るだけ手短に、分かり易く。彼女の為に=B

「私の、私達の父さんは私達を創り出した=B最初は、本当に唯の兵器として私達は設計されていた。
 ―――――――― あの人は、本気で祖国≠取り戻そうとしていた。その先に、あの人は神代の偽造品≠ノまで辿り着いた。
 それは確かに全能の力であり、同時に無能だった。自分達が一から創り上げた魂≠ノしか、全能を齎す事は出来なかった。それは失敗だった」

「計画は凍結した、それと入れ替わりに出来たのが私達の魂=B父さんは私達を文字通り人≠ノしようと試みた。
 生命の樹の実の模造品を私に埋め込み、そして眠りにつかせた。何時か、戦いが終わった時。私達が、人として生きれるように」

「自分達の足跡が残る様に。子供のいなかった自分達の為に。それと後は―――――――― 何を考えてたんだろう、ご丁寧に、一人一人に名前を付けてね」


「私の名前は、ハイディマリー・H・バイエル。父さんが最期に遺した。自分勝手の象徴だよ」



「そしてこの子≠焉Aその権利がある。少し時間がかかるから、この子は渡して貰ったんだ。
 ……大けがをさせちゃった二舞さんに、何時までも此処にいて貰うのは忍びないから」


―――――――― つまり、あの男は。
この少女達にとって、無神経なほどのデウス・エクス・マキナを残していった。其処に存在するのは、鼻で笑えるくらいに馬鹿馬鹿しい。
笑いたければ笑えばいい。実際にハイディマリー自身も笑いたいような気分だった。―――――――― ハンス・バイエルと言う男は。
意外にも、ハッピーエンドを好む男だったのだろう。
442 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/01/14(水) 01:40:37.59 ID:GMZYhGdoo
>>440

《真界武装》はそれが正であろうと負であろうと、感情に応じて無尽蔵にその性能を引き上げる―――― そして、彼女の今の感情は。

間違いなく、其処に在るのは負≠セ。

『霊』はグノーシスギアを創り出す。そして真界武装もまた、『霊』を作り替えかねない存在であり。負≠フ感情により揺さぶられたそれは。
ハンナ・ハーパライネンの人格を侵蝕している様に、見える、だろうか。答えは否≠ネのだ。
強烈な負の感情に苛まれながら彼女の心は冷静に研ぎ澄まされていた。彼女の『霊』は、其処に余りにも確固たる存在を築き上げていた。
何処か未来的な、身体のラインを浮かび上がらせるハンナ・ハーパライネンのスーツには、漆黒に猛る真界の力たる存在が駆け巡っている。

彼の創り出したそれは、疑似真界と呼べる存在だろう。この真界を握るからこそ、理解できる。それならば、このクラレント≠ニも打ち合えるだろう。
―――――――― 然し彼女には強者との戦いを楽しむような殊勝で健全な心がけなど残されていない。
彼女は狙撃主だ。レティクルの中央の頭を指先一つで感情無く吹き飛ばす狙撃主だった。だから余りにも、彼女はそれに対して無感動だった。

ただ、殺そうとしていた。そんな彼女に―――――――― 彼の言葉は、余りにも劇物だった。

漆黒のガン・ブレード―――――――― クラレント≠フ銃口に、《真界》の力が収束していく。堰を切った様に、膨大に。
狙いは勿論、彼だった。一撃、狙いを澄まして引き金を引いた―――――――― 真っ直ぐに、彼の下へと光の尾を引き伸びていく。


「死んだ人間の、声を聴く。そんな方法があるなら、教えて欲しいのだけれど」


その声は平坦であるように見えて、余りにも激情を隠しきれていなかった。―――――――― 未だ続く悪夢の語り掛けに。
激情に駆られない、筈が無かった。
443 :アルル=マリア ◆EIhRpygsMc [sage]:2015/01/14(水) 15:16:46.69 ID:RUEHCCce0
「不思議世界にとうちゃーく」
いや、まいったね。ほんの少し新しい魔法について調べてたら、いつの間にかこんなところにいるなんて。
自分に無頓着すぎるのも、少し考え物かもしれない。
まあ、過ぎ去ったことを後になって悲しむのは馬鹿だ。今は元の世界に戻る為に頑張らせてもらおう。
さて、元の世界に戻るには、そうだな、最後に使った魔法を再現してみるとしよう。幸いにも細かいところまで覚えている。
あの時に使った素材は確か、脳髄十三、髄液五百ml、血餅五十リットル、あとは……ああ、そうそう。心臓の弁が三十二枚だ。
これらの素材は採取と保存が難しいからね。今回は何人ですむのやら。今度ばかりは手際良く行きたいものだ。
「人間がいる世界だと助かるんだけどな」
とにかくまずは、人が多そうなところに行こう。
最初の目標は、とりあえず百人だ。
444 :二舞 御妃『寄り添う者』 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2015/01/21(水) 23:04:03.38 ID:lCyEIKwP0
>>441
何故だろう、予想していた応えとは幾分か飛躍していたが、嘘のように冷静だ。
あたかも初めから何を言われるのか知っていたかのように、何も驚くことではなく、ただただ納得する必至の解。

「アンナ……」

魂にへと向けられたのは名、誰だかは察しがある程度きく。
真実と意外な一面、彼女らの仕組み……なるほど、全て上手い具合に絡み合う、歯車だったのだろうと。
ハンス、彼の好む傾向が図らずと知れたことにまた一つ親しみが沸くと共に、小さな笑いがこみ上げてきて、ああそうか、これが彼の自分勝手だったのかと。

「ハイディマリー……やっぱりあなたのお父さんは、本当に、笑えるくらい馬鹿なのかも」

「それでいて最も、優しい優しい……お父さん、だったんだね」

意外なことに微笑を浮かべ、それながら紡いだ声は真剣で、優しくて、暖かくて。
貶しながらも褒めて、ただ、ただ笑う。なんて偉大な勝手なのだろうと、『機械仕掛けの神』を残した男を笑うのだ。
反乱より先に、一人の男として、親として、馬鹿以上に娘思いなあの老人が、まさかまさかこんな物を最期に残していたのだなと言うことに。

「まだ私は、何も知らなかったんだ」
445 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2015/01/25(日) 20:57:52.95 ID:Oe3tGs+Do
>>442
《真界武装》は素直な武器だ。
想いの強さに応じて力を発揮するからこそ、使い手の想いの強さを代弁する。
そこに想いがなければ、力は生まれない。

ハンスは。逆狗十字の古株達は皆、この感情を受け止めていたのだろうか。
受け流して、或は踏みつけていたのだろうか――。
膨大な力がガン・ブレードへと集束していく光景を前に、ふとそんな事が思い浮かぶ。

最高の結末――踏み潰さず、踏み潰されず。
 新たな可能性の提示――どちらも潰れた針穴に糸を通すより、理をねじ曲げるよりも難しい。特に後者は、復讐を中止する理由にはならない。

(どちらにせよ。この一撃を捌かなきゃ話になら無い)

現在、建物の中心には大空を臨めるほどの大穴が空いている。
仮に攻撃を避けて建物に命中すれば、そのチカラの総量から倒壊する可能性は大いに存在する。
そうなれば、階下の二人も。目の前の相手もただでは済まない。
だから、取れる手段はただ一つ。

「聞いていないのなら、良かった――」
潰れた針穴から、やや潰れた針穴程度に可能性が広がった気がする。

逆巻く銀河は右手の平へと集束。
星屑が右手を覆い、一回り大きな、しかし、鋭く、異様に肥大化した腕を形作る。
瞬間。射ち放たれた激情の弾丸を、銀河の腕で受け止め―――

「……ッ!」
―――激痛。
剥き出しの神経を赤熱した金たわし、或は強酸性の液体で直接磨かれているかのような怖気と寒気が、右腕から全身に広がっていく。

振るう疑似真界は自身の魂の延長線であるが故、受け止めた力が魂の亀裂をさらに広げる結果を呼び込んだ。

「ぐ、お――ッ」
さらに、弾丸を受け止められたのは数秒。
弾丸のチカラと速度を大幅に削るが、鳴海は右腕ごと弾き飛ばされ、頭から壁へと激突。
右手の爪を壁に食い込ませ、頭から赤い血跡を引きながら、崩れ落ちそうになる身体を無理矢理立たせる。

「聴く方法? ……魂の感覚を研ぎ澄ませれば、真界を介せば――向こうから、話してくれるんじゃないか?」
神化した影響か、肉体の損傷に縛られず思考自体は明瞭。
身体も粒子による強化を受けた時並みに軽く感じる。
しかし、感覚とは裏腹に、まるで全然、肉の身体が付いてこない。

「少なくとも、俺は、聞いた。あの結界の中で。
『見てる』って『最高の結末以外は認めない』――ともッ!」
壁にめり込む星屑の腕で、壁を引き寄せるように、勢いよく自身をハンナへと撃ち出す。

軌道は直線。壁を破壊しないレベルでの力のため、速度もそれなりとしか言えない。
しかし、ハンナへと至る途中の壁を叩いて軌道を変え。或は、爪を立てて減速。再び、壁を掴み加速。

速度。軌道共に、不規則に跳ねながら、ハンナへと接近していく。
右腕がハンナに届く位置まで来たのならば、“クラレント”へと星屑の拳を叩き付けんと振るうだろう。
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/01(日) 07:43:56.96 ID:1ozCPGFIo
 
447 :ハイディマリー・H・バイエル ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/02/02(月) 23:53:14.77 ID:wLflHvdKo
>>444
アンナ、ハイディマリー―――――――― それは自分と、この妹の名であり。その名を呼ばれれば、とくり、とくり、とこの身体に血が通ったような。
まるで身体の奥底から湧き上がるような、暖かい物が心を温める。その正体が何なのかはきっと、あの男が遺した宿題の一つなのだろう……だから。
彼女の微笑みに、ハイディマリーもまた微笑みで返し、『妹』の魂が籠められたそれを挟む様に、彼女の手を包んで、微笑み返した。

「情けない人だったよ。人でなしの癖に、やる事成す事、中途半端で―――――――― まあ、でも」

「多少なりとも、感謝はしてる……かな」

彼の男のやった事は暴虐と殺戮以外の何物でも無い、其処に何があろうとも。どんな感情があろうとも、其処に何を想おうとも、何を遺そうとも。
だが其処に、遺された者達が何を想い、どう歩むか、その道程を選択する事を許されるとするならば―――――――― ここに遺された都合の良い奇跡に。
何一つの願いも果たされずに死んでいった男の、最期に遺したそれを果たそうとする、くらいの事は、してみよう、と思う。

上の階から銃声が聞こえた。それもただのそれじゃない―――――――― 正体は、分かっている。
彼女達があの男の遺した正の遺産だとするならば、それは――――――――――――。

彼女達が入ってきた反対側の扉が開かれる。開いた先には、また一人の少女がいた。
息を切らしながら手に握っている逆鉤十字の腕章を放り棄て、彼女達へと視線をやって、直ぐに其処で口を開いた。

「姉さん、全部消去出来た。逆鉤十字の七十年間の研究データ、全部。上でドンパチやり合ってる、さっさと逃げよう!」

フライトジャケットを纏った背の低い少女は、ハイディマリーを"姉さん"と称した―――――――― 彼女もまた、あの男が遺した遺産の一つだった。
ハイディマリーは小さく頷くと、立ち上がった。そこに、その少女が駆け寄ると、彼女の頭に手を置いて、笑いかけて一つ、頼みごとをした。

「ブリジッテ、二舞さんと一緒に先に外へ。―――――――― まだ、アンナが残ってるから」

ブリジッテ、と呼ばれた少女は、彼女の手の中を見て、ああ、と呟くと、二舞 御妃の傍へとしゃがみ込んだ。
人見知りも、遠慮も、そんな事をしている暇は無いとばかりに酷く焦った様子で、彼女の顔を覗き込み。

「二舞御妃。姉さんの頼みだ、これからアタシがアンタを外に送る。運んでく。いいな?」

それに了承すれば、ブリジッテは彼女を抱え上げて、ハイディマリーを遺して其処から離脱しようとするだろう。
了承以外の返事を出せば―――――――― 困惑と焦燥がさらに募るのは確定だろう。
448 :ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/02/03(火) 01:07:15.65 ID:NYzEOo6mo
>>445
今、ハンナ・ハーパライネンの前に立っている者は、エッリ・テア・ハーパライネンが立ち向かい、そして敗北する事となった存在だ。
人間か、否。人間では無い―――――――― 其処に存在する銀河は、大凡人間の行使できる範疇では無い。
だがそれでも、ハンナ・ハーパライネンは勝利しなければならないのだ。少なくとも彼女の脳内は、そう言う物に支配され、憑りつかれ、蹂躙されていた。
故に其処から放たれる銃弾の威力は膨大。―――――――― 神性たる杜柱鳴海へと、血を流させた。

銃口を一度上げる。音を立てず、真界武装はそれに従った。対象状況の確認―――――――― まだ生きている。
―――――――― 其の言葉に歯噛みした。同時に、ガン・ブレードの銃口に、無数のエネルギーが収束していく。不安定な感情は、余りにも膨大にその力を無限大とする。
彼の言葉の一つ一つがハンナ・ハーパライネンの心を揺さぶった。激情に駆られた。或いは金槌で叩き潰されようとしているのではないか、何て錯覚するようま。

「―――――――― お前が」


「―――――――― お前が、殺した癖に」


「―――――――― お前が、殺した癖に、ふざけるなぁ―――――――ッ!!!!!」

"天才の背を最も間近で見てきた人間"―――――――― ではあるが、彼女の元々は狙撃兵だ。天才の模倣に至るには、余りにも経験と性能が足りていなかった。
一定の速度と方向を向かない接近に、銃口、及び、剣先が迷走し――――――――


「……くぅッ!!!」


握り締める真界へと、叩き付けられた。"クラレント"に奔る衝撃が彼女の武器を握る腕を、或いはその全身を震わせて、挫こうとしていた。
だが。真界武装と、彼女の精神がそれを拒絶した。立ち続け、立ち向かう事を選択した。
銃口に収束していた真界の力が、刃全体へと浸透していく。薄く、淡い青色の光を放つ。


「『認めない』!私はそんなの、聞いて無い!私はそんなの、聞いて、無い!!!」

「お前が、お前なんかが、母さんをッ――――――――そんな物は認めない!!!」


銃剣を振るう。"天才の模倣"でありながら、それには遠く及ばす―――――――― しかしそれは荒々しく、其の身体を屠らんとする。
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/17(火) 16:22:47.47 ID:UYjPsWDso
 
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/19(木) 07:29:42.46 ID:HzmSKvQ9o
 
451 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2015/02/21(土) 20:26:12.11 ID:AyA2KcDso
>>448
 前に進む手段も解らぬまま、妥協した願いを叶えるため。
いつか我が身に返る殺意を。殺し、殺される覚悟を手に、外側の力を彼女へと降り下ろした。

――しかし。崩壊する結界の中で聞いた。

『最高の結末以外は認めない』と。
意図して発した訳ではないだろうが、その言葉は鳴海の中の妥協を砕いていた。

「ふざけちゃいない。確かに、俺は、アンタの母を手を掛けた。
 もしかするとエッリさんの言葉も、俺の錯覚なのかもしれない。
 ――けど、これだけは解るッ」

降り下ろした銀河の腕に確かな手応えは、しかし、刃は砕けず。膝は折れない。
銀河の軸とした肉の右腕が返ってくる衝撃に耐えきれず、逆に砕き弾ける。
痛みに言葉を途切れさせながら、衝撃を利用してバック宙。
白銀の銀河が朱光を帯び始めると同時に、空中で体勢を立て直しながら着地。

“クラレント”の刃に宿る蒼光を視界に収めて、再び、地を蹴る。

――前へ―――前へ―――――そこに、自らを断つ刃があろうとも――――

「……アンタの為に戦っていたあの人が、最高の結末を……、アンタの幸福を願わない筈がないって事ぐらい!」
微かな嫉妬と羨望。
目の前の相手を含めた未来への想いと、結果の飢求を総て、銀河の腕へ――腕全体に帯び始めていた朱光を銀河の掌へと収束。

少しだけ開いた間合いを詰め切る前に、ガン・ブレードが動く。
青い軌跡を空に刻みながら迫る刃は、かつて見た太刀筋の面影を残しつつも荒々しい。
相手を拒絶し、否定する奪命剣。

遅れて銀河の腕を振り上げるが、刃は既に肩口に食らい付き、肋を切断。
霊核が宿る心臓へと至る寸前に銀河の腕が、刃を掴む。

「復讐は……構わな、い。存在ある、限り……、何度……で、も、いつまで……も、受……け続け……る。
 ……けれ……ど、アンタはそれで……、本当に……幸せになれ、る……の、か?」
片肺を切断され、血液を吐き散らしながら、ただ、問う。
奪った鳴海自身が聞いていい事ではない。しかし。

銀河の腕が掴んだ剣は引けば容易く解放され、押し込もうとするのならば、一瞬だけ手が刃を抑える力が強くなり、その隙に全力の蹴りが放たれるだろう。
452 :二舞御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga]:2015/02/24(火) 20:10:18.94 ID:KCT7i7kU0
>>447
なるがままにただ進み、及ばない力を用い猪突猛進した結果の果て。
出会いと別れを同時に体感、託された彼女たちの声音はどこか遠く、朧気に。
アンナ、推測するにあの娘のことか。それを考え出せばしばし周りは見えなくて、ブリジッテと呼ばれた娘の存在に気付いたのは、長い沈黙の後だった。

「ん、わかっ……ちょ、ちょっとまって!
 ハイディマリーは? 彼女もくるよね!?」

その言葉には疑問点があった。逃がすべき対象が、自分にしか向いていなかったのだから当然だろう。
抱え上げようと動作したその腕を非力な力のみの腕で縋り、焦燥と困惑の増す様をしっかと瞳に焼き付けながらも。
疑問と焦りに満ちさせた双眸で以て訴えるような眼差しと共に、その動作を引き留めた。

「私、私は! あなたたちを任された!
 だから、だからっ!! 誰一人だって欠けさせたくないの!」

唯一つの約束事、責任にしては十分な理屈。
死に逝った老人の言葉は、重いものであったのだ。故として皆が助かる未来を望む。
この場の雰囲気、彼女達の思いを踏みにじる行為、或いは裏切りにだって近いかもしれないエゴイズムだが、それを承知の上でなを、失いたくはないのだろう
453 :ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/03/10(火) 23:22:22.55 ID:rJGP1dPDo
>>451
近接戦闘の経験が余りにも足りていなければ、それを補うだけの圧倒的な才能が彼女には有る訳では無かった。
最初、エッリ・テア・ハーパライネンは彼女に剣術を教えようとした。その才が無くて、逆に秀でた才能を出したのが『狙撃』であり、故に今に辿り着いている。

―――――――――― そうだった、そうだった。

彼の身体を抉る刃は、完全な殺戮には至らなかった。それはほんの寸前で止められて、それでも彼女は無理矢理に押し込もうとした。
"引き時"が彼女には分からなかった。常にツーマンセルで行動する狙撃主である彼女は、そのタイミングの全てを戦闘の天才たる人間に委ねていた。
また、身体的能力も近接戦闘に適した物では無かった。激しい動きや、特にダメージに耐える様に鍛えられた身体では無かった―――――――――― 故に。
彼の放った蹴りは、正確に彼女を抉った。真界武装に包まれた彼女の身体を思い切りよく揺さぶって、後方へと其の身体は容易く放り投げられた。
意識が明転する。暗転する。空転する。何か他の物を見ているように―――――――――――――――

"魂の感覚を研ぎ澄ませれば、真界を介せば"

歩み寄ったのは何時も彼女の方から。寄り添ってくれたのは何時も彼女の方から。

"母は偉大也"

親は子供が可愛い物だ。勿論、例外は幾つもあるかもしれないけれど、きっと血の繋がらない自分がそうだったのだから、きっと世界の大半の母親がそうなのだろう。
だから―――――――――― 子供が迷っている時は、少しだけでも手を伸ばして。泣きたくなってる時は、泣かせてあげればいい。


これはただの幻覚だったのかもしれない。それはただの思い出の再生だったのかもしれない。夢と現の区別何て、起きてしまえば泡の彼方。
でも、でも其処にいるのは。その温もりは。その匂いは、その身体は、その恰好は、その―――――――――― 彼方にまで届く"私の総て"は。

嗚呼――――――――――――――― それは余りにも愛おしい。


永遠と錯覚するまでに引き延ばされた時間、きっと私がそう望めば、この時間は永遠なのだろう。私の母は、優しいから……けれど。
うん、もう、大丈夫。―――――――――― きっとこの手を、貴女はずっと握っているだろうから。

倒れ込みかけていた彼女は、けれどその寸前で無理矢理にその身体を押し留めた。ガン・ブレードの剣先が、廊下の床を軽く引っ掻いた。
背を丸めて、俯いていた。息を荒く吐いていた。けれどその呼吸は、何処か"完了、或いは完成"していた。
息を大きく吸って、吐き出した。それで彼女の呼吸は整った―――――――――― ガン・ブレードを握る手が、少しだけ強くなった。

「―――――――――― 復讐じゃ、無い」

―――――――――― 真界武装は、その思いのままに無限にその力を跳ね上げ続ける。
恐らく、彼女の一生の中でこれ以上の力を発揮する事は、もう無いのだろう。それ程の――――― 本来、彼女には有り得ないだけの、力の"奔流"だった。
それは不揃いな黄金色の翼として顕現した。彼女の背から、突き破るかのように出現した双翼は、やがてその真界全体へと力を伝えていった。



「これは決着だ。私の母さんが負けた何て認めない。だから――――――――――」

「私が証明して見せる。"母さんに劣る私が、お前を打倒する事で、私の母さんが最強であったと、証明して見せる"」



再び剣先を彼へと向けた。戦う意思だった。
454 :ハンナ・ハーパライネン ◆sHFOqrvn3g [saga]:2015/03/11(水) 00:05:31.28 ID:GnjWlfcco
>>452
彼女を連れて行こうとする少女の手が、その問いかけに止められた。その問い掛けに対する返答を、姉の言葉を待つ為に。
ハイディマリー・H・バイエル、彼女の双眸は揺れていた。―――――――――― 彼女には、死ぬ気など無かった。最初から、全員が生還する事を予定していた。
勿論自分だってそうだった。彼女もまた、愚かな老人に託された人間側だったから―――――――――― けれど、けれど。

「―――――――――― 当たり前、だよ……っ!」

眼の端から零れるそれは、今度はただただ、喜色から産まれる物だった。
"望まれて産まれて、望まれずに生きる"。それが、彼女の最も恐れていた事だった。自分だけでは無い、自分の姉妹達にも、それは"そうだった"。
世界最悪の虐殺の国が産み出した、世界大逆の大悪党。それが産み出した彼女達は、きっと誰からも望まれていなかったと……そう思っていたから。

「みんなみんな、生きて帰るんだから!!待っててよね!!」

だから、当たり前のように帰ろう。幸いな事に、他の総てのお膳立ては私達の親がやってくれていたから……後は皆で、帰るだけだから。

彼女が納得したのならば、ブリジッテという名の少女は、彼女を抱えて、この"墓場"から。彼女を外へと連れ出す筈だ―――――――――― 遠く、遠く。
港まで出ることが出来たのならば、後はもうそこには何を心配する事も無い。それは遥か遠くに見えるけれども。
彼女が望めば、彼女のその後はどうとでもなる。直ぐに人類連合側に引き渡し、治療を受けさせるのもいいだろう。或いは、ここで彼女達を待つのならば、それでもいい。


―――――――――――――― さぁ、おはよう。私の可愛い妹。

一人残されたハイディマリーは、目前に在る小さな機械にそう語り掛けて、両の瞳を閉じた。
これが、このハンス・バイエル以下盲目な亡霊たちが遺した唯一の神秘。最後の神秘―――――――――― 生命の果実、その模倣品。
余りにも限定的な力、最初からそう設計された存在にしか命を与える事の出来ない、神の力とは程遠いそれは―――――――――― けれど、それでも。
それは、最後の希望だった。

金色の光が包み込む。それは最後に遺された力で、それが最後の光だった。それは段々と、人の形を作っていった――――― 生命の誕生だった。
一糸纏わぬ姿で現れた彼女は、突きに思いを馳せる嘗ての彼女と寸分違わぬ姿のようで、ほんの少しだけ違った。
二十代前半の、起伏の少ないが背の高いスレンダーな姿で、黒い髪を一つに纏めていて……けれど彼女は、今度こそ"人工物では無かった。

「Guten Morgen Schwester!Ich liebe dich!」

「おっ……と、寝起き早々随分と熱い歓迎だな、姉さん。……取り敢えず、服をくれないか」

「あ、ごめんね」

感極まったハイディマリーが、彼女へと勢いよく、突撃する様に抱き付いてくるのを抱き止めて、そう要望した。
何をするにしても、服が無ければ不便などと言う話では無い。
―――――――――― 然し、そう言って手渡されたのは、熱帯地域で着用されていた軍用のオーバーコート一枚のみ。
寝起き早々に不満気どころか抗議の目を姉へと向けると、本当にごめんなさい、これしかなかったんです、と言った為、仕方なくそれに袖を通した。
その瞬間だった。何処かへと潜んでいたのか――――――――――『逆鉤十字』にバツ印を描いた腕章を着けた軍服の男達が、其処へ雪崩れ込んできた。
手に握るのは、"逆鉤十字軍"の武器の数々――――――――― 想定はされていたが。頭の死により発生した、裏切者達なのだろう。

「随分と手荒い歓迎だな、寝起きの乙女に会いに行くのはマナー違反とは思わないか。
 ……デートの約束がある、行こう、姉さん」

「うん。……私達には、待っててくれる人がいるから」

彼女が遺して行ったミョルニルを握ると、軽々と持ち上げる。
ハイディマリー・H・バイエルは、"父親"からカービン銃を譲り受けると、それを黒い軍装に身を包んだ男達へと、突きつけて――――――――。


結果だけで言えば、彼女達はこの窮地から脱した。"墓場"を一度、振り返ると。それから前を向いて、噛み締める様に、ゆっくりと地上へと歩み出でた。
455 :二舞御妃 ◆zbgaciAk6Y [saga sage]:2015/03/17(火) 15:24:56.51 ID:ZftxQO7q0
>>454

「……うん! 待ってるから!!」

今度こそ、その腕に持ち上げられた体に、すでに体温は冷たい。
遠く、何処へ、果てしなく……墓場を抜け出し、少し汚い外気に触れながら、風切音を耳にする。
この世に在るモノに、不必要なものはない。ましてやどんな形であれ心を、魂を宿しているモノならなをのことだ。
彼女たちはきっといままでに、温もりというものを体験したことはないだろう。だが、最期に確証を得た結果から、決してそれを理解できない、というわけでもないようだ。
アンナという戦争兵器として在った彼女、彼女が見せてくれた最期の表情は、確かに感情を理解していたといえる、はずだ。
いやそもそも、ハンスは―――それこそが狙いだったのかも知れないなと、なんとなく考える。



「アンナ……ハイディマリー――」


潮風を感じる。どうやらそこは港の様だ。
地平線を望み、思案する。ただ、その結論ははなから変わらないものだった。
ここで、彼女たちを待とうとブリジッテに静止を促す。駆け引きだった。ここで待てば恐らく、肉体は壊死を始め亡き者となる可能性があったから。
だがどこかで、絶対に待たないと後に後悔しそうだと静止する感情が働く。御妃はその感情に――――彼女たちが無事にここに至る可能性に、賭けた。


――――己の“魂”を――――


銃声が轟いた気がした。最後にみた涙が脳裏を過ぎる。
しかし、不思議と悪寒はしないのだ。≪臨界顕現≫≪機界武装≫の融合、自身の遺した雷槌が、持ち主に返る様な、そんな気がしたから。
彼女たちは必ずここにくる。そんな確証めいた望みを胸に、傷ついた体を固い堅いアスファルトの上に寝かす様にとブリジッテに促す。
霊力による生命維持は有限で、底が尽きそうだ――――けれど。

「間に合う、必ず……」

――――信じる。
信じてまで会いたい、死んでもなを、会いたい。
信頼している、だからこそ、この危険な状況でさえ、気にはならないのだ。
瞳が映すその先に、追い求めた姿を探す。

456 :杜柱鳴海 ◆8dLN4yuK8Y [sage saga]:2015/04/08(水) 03:25:46.69 ID:bd5wrn2Uo
>>453
拡張された魂の触覚が倒れかけた彼女が踏み留まる刹那に、僅かな時空の乱れを知覚する。
破損している以上、何かがあったという程度にしか判らないが――。

「は……、は……は…は」
形状が違う。黄金に輝くものでもない。
しかし、それでも、彼女の背を突き破るように現出した黄金色の翼は、蛹から羽化した蝶のようにも見えた。

意識せず、喜色の声が漏れる。
無限に跳ね上がり続ける真界の――否。ハンナの想いは、黄金の輝きは、鳴海の星屑の煌めきを霞ませる程に鮮烈。
常軌を逸した出力の上昇は、何らかの代償を払う物なのかもしれない。

(……けど。きっと彼女は、大丈夫。 彼女なら、きっと、飛び立っていける)
彼女の事を深く知りはしない。戦場で出会った。素性の欠片も誕生日も解らない、その程度の仲だ。
ただの妄想かもしれない。ただの押し付けかもしれない。
だが、何故かそれだけは信じられた。

「劣る…とは…何の…冗、談……だ」
全身に粘りつくような虚脱感は膝を挫こうとし、血液と共に流れ出した体温から、体感する周囲の温度は灼熱と化している。

笑う足で鳴海は少し先の事を考えようとして、止めた。
たとえ何かが起きたとして、杜柱鳴海がこの場を退く事だけは有り得ない。
ならば、考えるだけ無駄と言うものだろう。
ただ、目の前の相手に、今使える総ての力を。でなければ、彼女が最強であるとう証明など、できはしない。

「“魂魄<odeEX:――接続<0/|/[-<+――0っ――――/>[-/|/っ”」
集束した朱光をたたえた星屑が水面のように揺ぎ、輪郭を失っていく。されど朱光とチカラは消える事なく。
染めるように。或いは、獲物を呑み込む蛇のようにゆっくりと世界を、空間を咀嚼していく朱は、星屑の腕とはまた違う次元神としてのチカラ。

星屑の腕の軸としていた潰れた右腕は千切れて床に落ち、しかし、奇妙な事に血液が溢れることはなく宙に浮く。

「これは……、俺にとっても前に進む為の戦いでもある。
 だから、証明してくれ。その翼とアンタの想いの真価を――」
朱い空間にノイズが走れば、映画のフィルムの最初と最後だけを切って繋げたかのように、唐突に空間が内包するチカラが跳ね上がる。
浮遊していた右腕は消え、代わりに象形文字が刻まれた銀の棒が、左手へと収まっていた。

「……行くぞ」
戦意に答えるかのように再び空間にノイズが走れば、朱い空間から一筋の光線が発射された。
その光線はただ単純に早く。壁や床を消し飛ばす程度に強大で、通路に収まらない程広範囲。
ただの人間ではどうしようもない。
だが、真界から無限にチカラを引き出している今のハンナにはどうとでも捌ける。
もしかすると、真界の抵抗力だけでほぼ無傷の可能性すらあるのかもしれない。

「《二の次元――」
ノイズが消える同時に鳴海の姿は消え、光線がハンナへと届く寸前にハンナの背後に銀色の棒を握る鳴海が現れる。
やった事は単純。朱い支配域から領域外への空間転移。

「―― 一線》」
笑う足から沈みそうになる身体を強く床を踏み鳴らしながら前へ踏み込むチカラへ変えて、低い姿勢のままハンナ目掛けて銀の棒を振り抜く。
その棒が描く線は次元そのもの。境界を断つ粒子とは真逆に、境界を敷く事による絶対切断。

光線は確実に断たれるが、このチカラがハンナへと及ぶ影響は未知数である。

朱い空間の侵食は遅く、鳴海の全身を覆える程度にしか領域を広げていない。
457 :ハイディマリー・H・バイエル&アンナ・A・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [sage]:2015/05/18(月) 00:42:51.51 ID:QAIFI+iXo
>>455
―――――――――――― アルプス移動要塞の一部が、爆発を起こした。

大きくその姿が揺らいだ。2.5kmにも及ぶ巨大な要塞が、二つに割れて、それから沈没を始めた。
元々は欧州の約半分に電力を供給する発電施設を改造した燃料電池が、爆発を起こし、それらが更に細かく寸断されていく。
バラバラに壊れていく。はためいていた幾つもの逆鉤十字の旗が、へし折れて、燃え盛っていた。連合軍の脱出する姿は見られたが、その何処にも逆鉤十字の姿は無かった。
死ぬことを決めた物が、大半だった。彼らは死者だった。ただただ、一欠けらの希望だけを持って地獄への道行きを延々と歩き続ける死者だった。
既に、過去へ置き去りとされた者達だった。彼らが死んでいく事は、悲劇では無かった。唯々―――――――――――― 死ぬ場所を見つけた。それだけだった。
それらは寧ろ幸運だった。そこに絶望は無く、唯々皆が望む通りに、死んでいった。

彼らは然し、それで終わるのだから。これ以上の未来を奪おうとはしなかった。ハンス・バイエルの死と同時に、彼らは抵抗を止めた。
其処に留まって、ただ目を瞑っていた。去っていく者達を、ただ見送った。一部の諦めきれない人間達を除いて。そしてそれらも、この要塞と共に沈んでいく。
だから―――――――――――― その"臨界"を奪う事が出来る人間など、何処にもいなかった。



―――――――――――― 一つ、港へと辿り着いた人影があった。


それは一人の少女を背負っていた。港からアルプスまで、随分と距離があると言うのに、それはそこまでを泳いできた。
その女性の姿をした彼女は、海水を多分に含んだ、前を開いたコートだけを着用して、其処に現れた。同じく、海水をたっぷりと含んだ銀髪の少女と共に。
数度、荒く息を吐いて。それから、もう一度少女を背負って、歩き出した。背負った少女は、どうやらもう動く力は無いようで、ぐったりと彼女に体重を預けていた。
スレンダーな長身を包むコートは、十全な仕事をしているとは言い難く、ただ彼女はそういうものを好みと言うよりは、それを恥ず心が欠如しているように見えた。
ブリジッテと呼ばれた少女は、それらを見つけて、片眉を上げて。それから、その眉を思いっ切りしかめた。
"まだそんな恰好してんのかよ!"なんて叫びんでいた。それは、彼女等が此処へ来ることを知っていたような口ぶりで、事実それを疑いもしていなかった。


―――――――――――― 姉妹だから。


彼女達は、包囲網を突破した。臨界顕現機界武装を振るい、裏切者達を打ち払った。
痛みを感じた。血を流した。人間だから。もう自分は機械の人形では無いから。それが嬉しくて、嬉々として前に進んでいた。
生きていたいと言われたから、その少女は前に進んだ。父親の願いを叶えるために、前へと進んだ。彼女もまた、二丁の銃を持って戦った。
或いは、悪魔と言われた。或いは、人類の敵と言われた。ほんの少しにだけ―――――――――――― "大尉"、と。呼ばれた父親の銃を持って、戦った。


逢いたかった。彼女に。


戦った、託した、彼女に。そうしてそれは、漸く叶ったことを確認すると―――――――――――― 全身から力が抜け落ちたかのように、そこに座り込んでしまった。
背負われていた少女も、同じだった。それから―――――――――――― 二人とも、彼女達に言うべき言葉を、悩んでいるようだった。
謝るべきか、とも思った。けれども、それは何か違うような気がした。そりゃあそうするべきだとは思うが、この場にもっと相応しい言葉が、あったような気がしたのだ。
二人は、顔を見合わせた。それから、疲れた様子で笑って、彼女へと視線を戻した。それから、小さく、息を吸い込んで。
458 :ハイディマリー・H・バイエル&アンナ・A・シュヴァルツェンベルク  ◆sHFOqrvn3g [sage]:2015/05/18(月) 00:43:16.62 ID:QAIFI+iXo








―――――――――――――――――― 「ただいま!」




二舞御妃へと、言った。










彼女達は幸せで。それから、またそんな一歩を踏み出した。
459 :ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [sage]:2015/05/18(月) 01:19:04.07 ID:QAIFI+iXo
>>456
満たされていくのを感じた。或いはこれは、ハンナ・ハーパライネンという少女の、一つの到達点だったのかもしれない。
文字通り、それは無限だった。膨張を続ける宇宙よりも、永遠に転換し続ける世界よりも、彼方に続く未来よりも、遥かにそれは無限大だった。
白紙を、金色で塗り潰すかのような力の奔流だった―――――――――――― これならば、彼とも五分に戦えるだろうと、彼女に思わせる事が出来る程に。
次元をつかさどる神と相対しようとも、負ける気は無かった。
例えこの世界が神様の夢であろうとも、それすら引っ繰り返して、現実にしてしまえる気さえしていた―――――――――――― だって。

この力は、母さんがくれた力だから。

何も、怖くは無かった。その光の線は、何よりも早かった。それはこの通路を、アルプス移動要塞を破壊しながら突き進んだ。
ちっぽけな自分なんて、呑み込まれてしまうはずだった。けれど今ならば―――――――――――― 真正面から、立ち向かう事が出来る。
ガン・ブレードを構えて、引き金を引いた。黄金の光が、紅い光と同じく眼前の光景を破壊しながら、呑み込んでいった。
神の如き力を、無限の力が相殺した。それを相殺して、そしてそれらは『無』へと還っていった。

「証明して、見せる。私の―――――――――――――――――― 私の、翼!!!!!」

眼前の、少年の姿が消えた。いや、違う。そう気づくには、余りにも遅い筈だった。けれど―――――――――――― 彼女は、対応する事が出来た。
空間転移。絶対の死角攻撃。それに対応した。絶対的な真界武装の限界出力を以てして。
振るわれる銀色の棒。それが描くのは。


『次元』


途方も無いまでの、絶対的な切断。余りにも人間には理解の届かない、余りにも理不尽な規模の力。それでも、今のハンナ・ハーパライネンには、対応する事が出来た。
それだけの力があった。だから―――――――――――― 振り向いて。





「ぁぁぁぁああああぁあああああああああ――――――――――――――――――――――――」



「―――――――――――――――――――――――― ぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



思い切り、剣を振るった。それは衝突し、そしてそれと"拮抗した"。
黄金の光が飛び散る。その神の力を、無限の力で真正面から牙を剥く。例え、遥か彼方にある力であろうとも、それがたとえ、理解の及ばぬ力であろうとも。
必ず、それを証明して見せる。この翼を。ハンナ・ハーパライネンという人間の想いを。母親と過ごした、今までの時間を。
460 :ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [sage]:2015/05/18(月) 01:19:33.82 ID:QAIFI+iXo













―――――――――――――――――― それは無限の様であり、やがて終わる幻だった。
















一人の女が立っていた。帽子を拾い上げ、それを被って。少年少女、両方の頭をくしゃりと乱暴に撫でて。
ありがとう、と。それだけ言って、消えていった―――――――――――― ような、気がした。
461 :ハンナ・ハーパライネン  ◆sHFOqrvn3g [sage]:2015/05/18(月) 01:19:52.49 ID:QAIFI+iXo
狙撃銃と剣、砕けた"真界"だった武器が落ちていた。
黄金の翼も、無限の力も何処かへと消えていた。それの行使者だった少女も、何処かへと消えていた。跡には、散々暴れた痕、破壊だけが落ちていた。
『真界武装』は、失われていた。けれど、ハンナ・ハーパライネンは、生きていた。爆発を起こし、沈んでいくアルプス海上移動要塞を、へたり込んで眺めていた。
その姿は、ただの女だった。逆鉤十字も、真界武装も、剣も、銃も、何も関係ない、ただの、弱々しくそれを見つめるだけの、ただの人間だった。
そしてそれが、エッリ・テア・ハーパライネンの願いだった。ただただ、普通に生きてくれ、何て、余りにも普遍的で、果てしないだけの願いで。
風が、彼女の癖毛を撫でていった。あそこにいる少年は、どうなっただろう、と思った。今の今まで戦っていた少年はどうなっただろう、と思った。


―――――――――――― 証明は、出来たのだろうか。


分からなかった。だがそこにただ座り込んでいてもその答えは得る事は出来ないのは、分かっていた。
だから、立ち上がった。それから、目を瞑った。ドイツの風が吹いていた。母親を育てた風が、吹いていた。
宛は無かった。けれど、何とかなる気はした。だが―――――――――――― 胸に一つだけ、ぽっかりと穴が空いてしまったような、そんな気はしていた。
ポケットの中に、ドッグタグが入っていた。入れた覚えは無かったのに、それを引っ張り出すと、小さく笑った。その穴は、少しだけ埋められた気がした。
もう一度、彼に会ったらどうしようか。もう敵討ちは出来ないし、攻撃されれば成す術も無くやられてしまうだろう。もう自分に、戦う力は残されていない。







だから―――――――――――― 友達くらいには、なってやろう。








「さよなら、母さん」









踏み出した一歩は、小さく、大きい物だった。
462 :プロローグ [sage]:2015/05/18(月) 01:36:50.71 ID:QAIFI+iXo
世界への大逆を行った『逆鉤十字』軍は、徹底的に糾弾された。だが、生き残りは一人も見つからなかった。
ハンス・バイエルは、事前に、其処で育てられた若者や、生き残るべき者達の戸籍を購入していた。遥か昔に朽ち果てた筈の、『逆鉤十字』のシンジゲートを掘り起こして。
そして小さな潜水艦に生き残るべき者達を乗せて、そして彼らは保護された。嘗て、『逆鉤十字』の旗の下で戦った、老人達の下へ。
それ以外の人間は、全員が死んでいった。だから、糾弾はすれども、それらを吊りあげる事は出来なかった。
結局、彼等の戦いは、『逆鉤十字』への差別をより深刻化しただけだった。彼等の想いは、まるで真逆の方向に作用してしまった。


―――――――――――――――――― だが。


独国のとある郊外に、ぽつんと佇む墓石があった。
遥か彼方まで届く草原の中央。それを知っている者は、ほんの少ししかいなかった。誰がそこに埋葬されているのか、誰がそこにそれを建てたのか。
誰がそこに来るのか、知っている者は、殆どいなかった。ただ、何人か、本当に偶に、ちらほらと足を運んでいるのを見た事がある人間はいた。
簡素なその墓石には、誰の名も刻まれず。ただ一言だけ、こう書かれていた。




『貴方達は勇敢でした』、と。




その長い戦いに、幕を下ろして。
彼らは漸く、眠りについた。
463 :ハンス・バイエル  ◆sHFOqrvn3g :2015/05/18(月) 01:48:10.82 ID:QAIFI+iXo
/雑談にも書き込みましたが、こちらにも……ちなみに同じ内容です
/二舞さんの方、鳴海さんの方、まず最初に、長い間返信できなくて申し訳ありませんでした
/そして長い長い間相手をしていただき、本当にありがとうございました
/これでハンスたちの物語は終了です 今まで付き合って頂いた白紙民の方には、感謝の念を隠せません
/実は白紙世界が私のイベンターとしての初体験でした 楽しんでいただけたならば幸いなのですが……どうだったでしょうか
/拙いイベントに付き合って頂き、本当にありがとうございました
/何年も続いたキャラの物語を終える事が出来る何て初めての経験で、今でも興奮が醒めません
/私の白紙民としての活動は、これで終わりかと思います このスレをもう見てない、という人が大半だと思いますしね
/ただ、今でもこのスレを忘れていないよ、と言う方が居ましたら、tyoberiba810@gmail.comへと連絡を頂けたら、嬉しいです
/まあ、特に私に言う事も無いかと思いますが……それでも、文句言いてえなあ、とか、何か聞きたい事がありましたら、連絡下さると嬉しいです
/改めて、本当にありがとうございました 白紙民の皆さんに、また会える日を心待ちにしています
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