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【オマエらは出来る】能力者スレ【出来ねえ俺が、保障するさ】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 21:26:16.77 ID:K43L9hCdo
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1415780600/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 21:35:55.06 ID:w5/wSuiSo
>>1乙!
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/07(日) 21:49:36.36 ID:bQvW1J7O0
>>1
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/07(日) 21:50:49.07 ID:DjD+9dDNo
>>1乙でした
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/07(日) 22:24:44.33 ID:jNDCEH5u0
>>1乙です
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/08(月) 01:20:23.23 ID:/13bDnuc0
いちおつ
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 01:20:50.84 ID:XPDchzRgo
>>1
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/08(月) 01:24:04.26 ID:BsMuN9RB0
>>1
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 01:31:06.51 ID:8wke+NPzo
>>1乙です!

前スレ>>998

【渾身の一撃は、しかし相手には届かない。防御され、致命的なダメージは与えられずに終わる】
【更に自分自身の激しい動きにより別の傷口まで開き、血が服を濡らし気持ちの悪い感触を伝えていた】
【急激に血の気が引いていき、ただでさえ白い肌が病的なまでに白くなっていき】
【貧血を起こし足元がふらつく中、視線だけは外さずに男をじっと睨みつける】

(悔しいけれど……逃げるしか、無いわね)

【木刀で此の男と渡り合うのは不可能だ。かと言って今更本来の得物である刀で戦ったところで、勝てる訳も無いのだが】
【右腕、背中、腹部。何れも傷は深く、放っておけば死ぬのは目に見えていた】
【幸いにして男は今のところ自分を[ピーーー]つもりはないらしく、此方には視線すら向けていない】
【悔しいが、歯がたたないのが現実だ――――此処で死んだところで無駄死でしか無く、あの子に返事を返さず死ぬのだけは死んでも御免だ】
【だから今の最良の選択は言うまでもなく――――――――突如、少女の殺気が異常なまでに膨れ上がる】
【爆発的に激増した其れを収束させ、木刀を軽く地面に叩きつけると同時に威へと変換して放出する】
【彼女の奥の手である剣気を使い、地の表面を削り取り爆風を巻き起こし、砂煙によって一時的に視界を完全に潰し】
【其の隙に少女はベンチの方へと全力疾走、荷物を回収して逃走を図ろうとするだろう】
【全力疾走と言っても血を失った状態の為速度は常人とさほど変わらず、追撃を加える事も難しくはない】
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/08(月) 01:40:20.26 ID:owBAxnWe0
>>997
【浅い。】
【タイミング、角度、そして振るった力も会心だった。が、手応えだけが不足】
【本来ならばすん、という音とともに両断せしめた幻想は、現実に凌駕される】
【浅くはない、動脈も傷つけたかもしれない手応え/肯定するように相手の体に広がる赤】

【それでも、と舌打ちしたい気分/切り替えろ/現在以って死線の只中】

【掴まれる右手。視界の端に閃く足――】
【ショートジャンプ。相手はそのまま踏み込んできた】

【名残惜しそうに食いついた斧が剥がれていく生々しい感触】
【刃が外れたことで出血はまた勢いを増すだろう】

【そして、肘の一撃。足払いが成功していたのなら、それは大きな効力を発揮したかもしれない】
【今、本当にこの身は宙に浮いている】
【そこを押された。ストッパーとなるようなものは何もなく、大きく後退を余儀なくされる】
【同時に、本来なら足が地面についているためまともに受けるはずの肘の威力を、大きく減衰させた】

【そして、取った間合いは2m強】

「蝕狼式機術 鋼刃ノ一 月刀孤狼」

【日本の手斧は合一し、反りが異様に深く、また長い一本の――形状としてはその域を逸脱しているように見えるが――まさに月のような刀と化している】
【取った構えは平正眼。そして、月のような瞳の異変は、まだ気付かれない程度のもので】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 01:41:11.78 ID:GLXNmRYto
>>1000

なっ――――――


【思わず浮かぶ驚愕。一瞬自身の行動が成功したと、そう思った意識が塗り替えられる】
【相手はあろうことか自ら前に出てきたのだ】
【殺人的ともいえる武術の応酬の中で、その決断に到れる使い手がどれだけおろうか】
【その鋼の心臓と決断に至る判断力は、Yをして驚嘆に値するモノであり――】


――――が、あぁぁぁぁぁ…………ッ!!


【――直撃。片足を浮かせた状態で回避行動など取れるはずもなく】
【七生の放った寸勁はYの胸部に破壊的な衝撃を与えた】
【獣の如き叫びと共に、160cmの肉弾は自動車に跳ねられたかのようにリング端まで吹き飛ばされ】
【ギシリ……とリングロープを強く強くしならせた】

【突き抜ける衝撃により意識が頭から離れ、白目を剥く】
【肺の空気が瞬時の内に外気に向けて吐き出され、口の端に泡状の唾液が洩れる】
【まともな人間であれば間違いなく決着の一撃となっただろう】

【だが……Yは闘争本能の塊、戦に魅入られた"武道家"だ】
【直後に響いたのはダンッ――とリングを踏みしめ、叩き出される轟音であった】


――――――――


【Yは七生に向けて砲弾を思わせる勢いで踏み込む】
【向かってくるその顔を見れば判るだろう――Yは未だ意識が戻っていない】
【幾億と繰り返し身体に刻まれた技術と、底知れぬ闘争本能が継戦を可能としていた】

【放たれるは"右中段逆突き"。肘を喰らい罅を入れられた腕を躊躇なく叩き込まんとする】
【その際に恐るべきことに、意識を失っているにも関わらず老練な"フェイント"まで加えられることとなる】

【身体の微動作と殺気を交えることで】
【上段に打つぞ、はたまた回し蹴りか、腕をとっての足払いかと錯覚させんとし】
【それより一拍遅れて胸部へと竜巻のような捻りを伴う中段突きが放たれる】
【動きに騙され間違った対応をしてしまった場合、それを摺り抜け直撃する可能性が高い】

【しかし、既にYは極限状態――これを突破しあと一撃通すことが出来ればその時は間違いなく決着だろう】
【また、行動が通った場合もYの右腕の骨はへし折れる事となる】
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 01:45:42.15 ID:LwHVQ0lio
>>996

【フッ、と、小さな笑いが零れた。背を預ける街灯に片足をかければ、ブーツの底が音を立てる】
【何事かを思い出すように、腹部へと当てられる右手。スーッと上から下へ、何かをなぞるようにして】

……ああ。まだ、アイツ℃ゥ身の動きはハッキリ見えてねえ。
つまり――――これから。その時には、あの時のお返しも込めて、ぶっ飛ばしてやるさ。
また別に、もっと個人的な話だけどムカついてる事も、あるんでな。

【アイツ=\――というのは、六罪王のこと。語る男の口調には、何やら強い意志も垣間見得るだろうか】
【UTのメンバーとして、という点だけではなく、男個人としても、何事かあったようだが……語る事はせず】
【「ナイスバディってのも忘れるなよ」なんて、彼の言葉に付け足したりして】

ん?どんなやつだった、って……そうだな……
ちょっと話したくらいだったけど、イイ♀エじだったと思うぜ?
大人しい女の子もいいけど、ああいうタイプも悪くない――って、そういう話じゃ……ねえか。

【暫し、思考。それから口にした、イイ≠ニいうのはまあ、様々な意味合いを込めたもの】
【冗談めかした言葉を続けてはみたが、結局、真面目なトーンに。】
【良くも悪くも、軟派者。人の様子の変化には、多少は鋭いもので】
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/08(月) 01:48:54.70 ID:BsMuN9RB0
>>9

【視線をあの少女に合わせてはいなかった彼は少女が起こす行動に気づきはしなかった】
【とはいえ、次の行動容易に予測はできるそれすなわち逃亡すること】
【別段、[ピーーー]つもりはないここで青い果実を狩ることに興味はないのだから】
【だが、少女が一気に殺気を異常なまでに膨れあがらせると、ゆっくりと件の少女へと視線を向けた】

 へぇ、ここまで殺気を膨らませることができるのか――いいじゃないか

【直後少女が地面へと軽く木刀を叩きつけると同時に血の地面が削り取られ爆風が巻き起こされた】
【視界をつぶすことが目的のこの技、しかし彼は平然としていて】

 おーおーおー、ここまでできるんだすごいねー
 次ぎ戦うときは全快したお前とさらに全力の戦いをしてみたいよ、ヒヒ

【と、届いているか届いていないかわからない言葉を少女に投げかけてから追撃などをせず公園から背を向ける】
【追撃をするのはすなわち[ピーーー]ということ、任務であるならともかく今はプライベートだそんなことする必要はない】
【なればこそ、そのまま去っていくんだろう】
【一人の少女と会えた幸運とこれからの成長の楽しみを抱えたまま】

/ここまででしょうか、絡んでくださってありがとう御座いました
14 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 01:49:50.84 ID:8wke+NPzo
>>13
//はい、絡み乙でした!
15 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 01:51:50.62 ID:XPDchzRgo
>>10

【決死の一撃はその必死さのせいで空回りした、か。強打とはならず単に距離が開くだけとなった】
【力無く、だらりと右腕が下がる。裂けた傷口からは多量の血が流れ出して地面に血溜まりを作っている】
【痛みのせいで息が乱れていた。深呼吸をする余裕すらない】


 ……ク、クソ。しくじっちまったぜ
 てめえみたいな怪しげな宗教勧誘のやつがこう強いとはな……!


【至近距離での死闘にやっと間があいて口を開く時間ができた。お喋りな性分のせいで勝手に舌が動く】
【敵に放った二度の肘打ちは致命傷にならず、逆にこちらの利き腕は完全に使えなくなった。非常にマズい状況だ】
【残る手段は数多くなかった。撤退さえも視野に入れる必要があった】


 今度、は、刀かよ……次から次へと便利なもんだぜ……!!


【左半身を前に構える。こちらから仕掛ける余力はもうない】
【となれば、速さを生かして強引に後の先を取るしかなかった】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/08(月) 02:12:49.74 ID:owBAxnWe0
>>15
「一芸には至れない、手妻の如き技を多く覚えているだけです」

【しかし、とユーリは考える】
【相手の男はこちらが与えたダメージで重傷、翻ってこちらは胸骨に違和感と、咳込みたいと喉の奥が騒ぐだけ】
【これでは、相手は幸せではない】【そして、動機であった護身すらも達成したようなもの】

【これまで殺した人間たちは幸せだと言ってそれから傷つき不幸を感じる前に葬ってきた】
【単純に言えば、鮮度の問題だ。幸福は戦闘に時間をかければかけるだけ相手からなくなってゆく】
【つまり、この相手からは幸福が流れ落ちてしまっている】【腐肉に狼が食いつかないように】

【殺すならなるべく早く殺すべきだったと今更ながらに反省して】【いや、元から幸福の足しにしようと思ってふっかけたわけではなかった】
【相手を品定めするようにジロジロと見てから、こんなセリフが飛び出す】

「続けるのなら相手をしますが、逃げるというなら追いはしません」

【不可解な申し出だろう】【襲いかかったのは間違いなくこちらだ】【だのに、逃げても構わないのだという】
【信用するだろうか、されないだろう】【どういった判断を下すかは相手次第だが】

「それと、宗教勧誘ではない」
17 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 02:15:14.65 ID:cCG5tECko
>>11

【手応えが、有った】
【眼の前の男よりは少ないとは言えこれでも場数を踏んできた】
【故に今。確実に己の一撃は相手を倒せたと確信…「していた」】

【地響きすら起こしそうな、その足音を聞くまでは――――】

【飛鳥馬七生はここにきて漸く目の前の相手が武の化身と呼ぶに相応しいと思い知らされる】
【堪えねばならない、応えねばならない】
【先程の発気の呼吸で腹の痛みがぶり返している今でも。目の前の人は待ってはくれないのだから】

……せっかち、さん

【くすりと、思わず漏れた微笑みの意味は分からない…しかし、彼女は「構えた」】
【右拳を引いて、やる事は決まっていた】
【数多のフェイント。死合でなく試合の最中に交わる殺気の中では微動だにもせず】

疾―――ィッ!!!!

【Yの繰り出す拳に合わせて、身長差を生かして右拳を振り下ろす様に繰り出す】
【真向から倒す事こそ、真っ向から打ち合う事こそ彼女の望む喧嘩であるからこそ。最後は小細工なしの一撃を繰り出して――――――】



………

【自分の拳は当たったのか。その手応えが有るかどうかの瀬戸際にYの拳は強化のされていない己の胸へと沈んでいて】
【Yの巧みなフェイントの中で、どれが本物かまで見切れた事は七生も誇る事だろう。しかし何処に来るかまでは流石に判別がつかなかった】
【それよりも優先して、勝つ為に。負けぬ為に己の最後の一撃を強化して繰り出したらしく……】

ん…、いっか……満足

【こちらの一撃が当たっていても、引き分け】
【上手く当たっていないだけで敗北と言う結果すらあり得るのに。彼女は少しの笑みを浮かべたまま……その場に膝を突いて倒れてしまう】

【暫く動けないのは確定。少しすれば意識も失うだろが。彼女は良い喧嘩だったと満足気で】
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 02:18:01.11 ID:XPDchzRgo
>>16

【逃げてもいい、そう聞こえた。暗殺者が目撃者を消せないなど、仕事に関わるどころではない】
【だがそんなことを気にしていられるような状態ではなかった。急いで治療しなくては命に関わる】


 ……ヘ、ヘヘ。そう言われちゃ逃げないわけにはいかねえな
 命拾いってやつか。もう会わねえことを神様に祈っておくぜ……


【ダン!と大きな音と共に跳躍。たった一度で隣接した建物の屋上に飛び移った】


 あとてめえがやったのは宗教勧誘以外の何物でもねえって!
 そう思われたくねえなら最初の声かけは変えるんだな!!


【──最後の最後に妙な言葉をかけて、仮面の男は姿を消した】


//お疲れ様でした!
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/08(月) 02:19:32.41 ID:wk4+7rEpo
>>12


そうか、兄ちゃんもアイツ≠ノ借りがあるクチかい?
……俺もだ。目の前で、成すすべもなく、ラグナールが半壊させられたあの事件――――1日たりとも忘れたこたぁねえ。
この分だともしかすると、いつか直接背中を預けることもあるかもしれんが……そんときゃよろしく頼むぜ?


【男は少しばかり驚いたように、しかしにやりと笑いながら応えた。同じく、個人的な因縁を思い返しながら】
【こちらは別段、隠すことでもない――――あの六罪王がその悪名を世間に轟かすこととなったきっかけの日に、男はそこに居合わせたのだ】
【そう、居合わせた。居合わせることしか出来なかった。緋色の鷹を背負っていたくせに、かの者が起こした大災厄を止めることが出来なかった】
【男は言いながら、燃えるような激情を宿した凄絶な笑みを浮かべる。獲物の肉を食いちぎるように乱暴に、本日何個目かの肉まんを喉元に放り込んで】


いや、そういう話でいいんだよ。
あいつはさ、俺の部下であり家族だった。血は繋がってねえけど、確かに絆はあったんだ。
だから、あいつのそういうイイ≠ニころを少しでも知ってるヤツに会えたことが、今は素直に嬉しい。

……その分だと知らないらしいな。ミドナの知り合いとして、UTの一員として、お前さんには言っておくべきか。
あいつは、俺達の敵になることを選んだ。……結果だけ見れば、カノッサ機関の側についた、ってことになるんだろう。


【その笑顔を、暗くひそめて――――昔を懐かしむように、男は似合いもしない苦笑いを浮かべて話を聞いていた】
【彼女の話題では、さすがに軽口を叩ける余裕はなかった。察してくれたことに内心感謝しつつ、男は独白するように真実だけを語った】
【男にとって彼女が、とても大事な家族であったことを。そして今は、お互いに刃を向け合う立場になってしまっていることを】
20 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 02:34:09.14 ID:GLXNmRYto
>>17

【振り下ろされる拳がYの頭部を捉え、同時にYの拳が七生の胸部へと突き刺さる】
【結果は……相討ち。ぐらり……と一度大きく身体を揺らした後に、Yの身体は仰け反ってあおむけに倒れ込んだ】


ん、んん…………?


【そこでようやくとYの意識が戻る。最初に浮かんだのは満天の星空】
【どうやら、自分はリングの上で倒れているようだと……決着はついたのだと理解した】
【こみ上げるものは何か? 己の子にも近いであろう年齢の女に倒された悔しさか】
【それとも己の未熟を恥じる後悔か……いや、】


はは、はははは――そうか、そうか!
私は何を受けて倒されたのだ? いやいや、頭がトンでいたのがまっこと勿体無い!

このような気持ちのいい死合いは久しぶりだった! 感謝するよ七生くん!


【いい戦いが出来たと、青空のように清々しい気持ちであった】
【この武術馬鹿は勝敗自体には固執しない。その内容が善きものであればそれでいいのだ】
【ダメージで未だ起き上がることすら出来ず】
【"相討ち"という状況にすら気づいていない為、自身が"負けた"と認識しているのだが】
【そこにあるのは実に裏表のない感謝と賞賛であった】


――この世界は、君のように若くして武の高みに昇りつめる者が多い
君が戦いの中で見せた技術、胆力……どれを取っても一流と称して差し支えない物であろう
実に退屈をしない……私としても鍛え甲斐があるというものだ

……今日はこれまでだが、また機会があれば私と拳を交えてくれると嬉しいよ
あと、そうだね……悪いけれどしばらく立ち上がれそうにないのでね。このまま少し休ませてくれると………――


【其処まで言い残すと、Yは再び意識を闇に落とす】
【今度は気絶ではなく居眠りだ。ぐが〜〜〜と熊のような欠伸を掻きながら大の字になって眠っている】

【かくして、正体不明のマスクマンとの戦いは終わった】
【一体この男は何者だったのか……それを探る必要性は現状薄いだろう】
【重要なのは唯一つ。この夜初めて行われた試合は、死力を尽くした善いモノだったということだけだ】

【Yは眠り続ける。きっと起こさなければ朝までそのままだろう】
【――よく見れば道着に胸のあたりに「山田」と刺繍されているが、きっと気にしてはいけない……】


/お疲れ様でしたー!
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 02:52:11.15 ID:LwHVQ0lio
>>19

借りがある、っていうより……何というか……――――裏切られた、って表現が一番近いか。
―――つっても、俺が勝手に信用した、ってだけの話。なんだろうけどな……。

…………ま、何であれ、その時は、な。

【ラグナールでの一件の様な、行いに対する怒り。それとはまた違った、特殊な事情が、男にはあった】
【自嘲的な笑い。それから男はまた、彼の言葉を聞いていた】
【語られる内容を聞いているその表情は、真剣そのもの。事態を重ね合わせるような、そんな気持ちだった】

……そう、か。
止めたいって――止めるって、そう思うんなら。その時は、全力で向かっていけ。
経験者として言わせてもらうが……中途半端に加減しちまうと、止めるどころかこっちが危なくなる。
――――死んじまったら、止める事なんて、二度と叶わなくなるんだから。

【思い出すのは、いつかの古戦場での邂逅。殺意と共に襲い来る仲間≠ノ攻撃を躊躇った自分は、死んでもおかしくないだけの傷を負った】
【結果として、こうして生き残りはしたが―――後悔と傷跡は今も、しっかりと残っている】
【だからこその言葉。半端はするなと、そう言って】

――――悪い、そろそろ行くわ。
何かあったら、W-Phoneなり何なりでディハート宛に連絡してくれればいいからよ。

【不意に、ポケットから取り出すのは先ほどの端末。幾つか操作して画面を見れば、告げるは別れ】
【簡単にだが、自分の名を伝えたなら、少しの間彼の言葉を待って。】
【そうして歩き出せば、その姿はすぐに、人波に消えていった――――】



/時間も時間ですので、ここらで〆ということで……!
/ありがとうございました!
22 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 03:52:56.39 ID:wk4+7rEpo
>>21

【吐き出すように、少しだけこちらの事情を告げた後。誤魔化すように伸ばした紙袋の中はもう空っぽになっていて】
【気を紛らわせることもできず、男は目を閉じて、黙って返答を聞くだろう。裏切りによる傷が、どれほど痛いのかを】
【重たい言葉が背中にのし掛かかってくるのを感じる。もしかすると自分も、いつかその傷を負う羽目になるかもしれないのだ】


……あぁ、あぁ。わかってるさ。頭では、誰よりもわかってる。
あいつが向こうに行っちまったのは、仕方のない理由あってのことだ。だからきっと、本気で悪に屈した訳じゃない。
けど、敵に回っちまったっていう事実は変わらねえ。
もし、やらなきゃいけない時ってのを見誤れば――――引きずられるのは俺の方で、俺が守ってるモンの方だ。

いつその時が来てもいいように、俺も覚悟を決めておくよ。
だからもしあいつと会うこがあっても、お前は自警団として、UTとして、手加減抜きの仕事をしてくれればいい。
けど出来れば……お前の家族が心配してたって、それだけは伝えてくれねーか。


【低く唸るように、男は感情を押し殺した表情で答えるだろう。それは極めて現実的な、秩序の守護者としての判断だ】
【けれど頭ではわかっていても、割り切れないモノもある――――隠しきれない感情の揺らぎが、男もまた未熟なのだと告げていた】
【自分を納得させるためだけの言葉を地面に向かって投げかけ終わると、男は顔を上げ、悲痛な声色でひとつだけ嘆願を残して】


……やれやれ、雑談のつもりがいつの間にか暗い話になっちまった。せっかくのオフだってのに邪魔して悪かったな、ディハート。
俺はアサド・アル=アーデルだ。そっちもまた、何かあったら連絡してくれ。
いろいろ話を聞いてくれた礼に手ェ貸すからよ!


【――――重い話はそこまでだ。男は意図的に明るく振る舞って、強引に話題を転換した】
【男は自分も名乗り返すと、去っていく背中を見送って声を張り上げる。寒空を吹き飛ばすような熱を帯びた声、これがきっと男本来の姿なのだろう】
【紙袋と一緒に粘ついた気分を近場のゴミ箱に放り捨てると、男もまた業務に戻っていく。……どうしても捨てられない思いもまた、あったけれど】
【今はまだ、冬空の下で同僚から得た忠告が、この暗雲を払う標になることを願うばかり――――】


/ありがとうございました!
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 12:42:10.41 ID:B1LqvM1IO


【路駐された車の前で、その車の運転手であろう男と、紫色の頭髪が毒々しい青年。】
【青年の傍らには、運転手からは見えない、アートマンの姿。】
【二人は、なにやら話し込んでいるようだが……】


どうしました? ──ええッ!車が動かないですッて?大変ですねェこのままだと自警団あたりに切符切られてややこしいことになりますよォ?


【紫色を基調とした配色の、歯車の装飾が施されたアートマンはその車に触れている。】
【無論運転手の男には見えていないが──青年のしたり顔は裏がある。】
【例えアートマンが見えない者であっても、察しのいいものは気づける表情だ。】


──どうです? 自分なら一万ちょっとで直してさしあげますが……ああ勿論前払いですよ? せっかく直してあげて確認にエンジンかけてそのままトンズラなんてことされちゃあ敵いませんからね。──ふふ、毎度。


【──青年はお札を受け取った後、車のボンネットを開ける。無論、フリだけで何かしようという訳ではない。】
【傍らにたっていたアートマン──口説いようだが運転手からは見えない──が、再び車に手を触れる。】

【──…「直りました」と述べれば運転手は車に乗り込みエンジンをかける。】
【なおったことを確認すれば、男は礼を述べて立ち去るだろう。】


──もしかして見えてました? いやァ、これで何か奢るんで内密にお願いできません?


【その場に居合わせた、あるいは、その光景をみていた人物が居れば、青年──カルロ・セシリア──
はフレンドリーに話しかける】
【それに乗るのも、はたまた別の手をとるのも相手の自由だ──】


/途中までおきレスになりますがよろしければ
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/08(月) 16:32:47.21 ID:7vkwLSdho
【公園】

【日が落ち始めた公園はあまり人がいない。寒そうな木枯らしが吹いて枯れ葉を巻き上げていく】
【時限式の電灯がまだ明るい公園を無駄に照らし園内に設置された自動販売機も仄かな光を出し始めていた】


 うおー……さびぃ


【自販機の前に神父が立っていた。150cm程度の背丈に薄いブロンド。胸元には十字架】
【右腕に包帯を巻いて首から吊り下げていた。風が吹くと寒そうに身を竦めている】

【ウィーン……機械的な音が自動販売機から鳴った。紙幣が挿入口から押し戻されている】
【神父の青年はむっとした表情をしながらもう一度紙幣を入れ直す。ウィーン。また戻ってきた】
【ウィーン……ウィーン……ウィーン……。何度神父が紙幣を入れてもよっぽど嫌なのか必ず戻って来る】

【別の紙幣を取り出して入れる。ウィーン……ウィーン……ウィーン……ウィーン……】
【ウィーン……ウィーン……ウィーン……ウィーン……ウィーン……ウィーン……】


 ──……うぉらぁあああああああああッ!!!!


【絶叫と共に神父の足技が閃く!右足を軸に回転しながら左足で思いっきり自動販売機の胴体に蹴りをぶち込んだ!】
【バン!という強烈な打撃音が響いた。神父はどうだと言わんばかりのドヤ顔で蹴った態勢のまま止まっている】

【ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!】

【──自動販売機に備え付けられていた警報が鳴り始めた】


 なんでだよっ!!こうやったら望みの飲み物が出てくるってのが定番の展開だろうがぁ!!


【公園中に鳴り響く警報音。負けじと騒ぐ神父。相変わらず紙幣を押し返す自動販売機】
【とにかく酷い状況であった。何故か蹴った態勢のままなので誰かに見られたら犯人は丸見えである】
【馬鹿な神父をあざ笑うように風が吹き、枯れ葉が彼の頭に乗っかった】
25 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/08(月) 19:57:17.39 ID:JSF4lLKSo
>>23
まだ待ってます
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/08(月) 21:02:37.38 ID:u6G5+Kuho
【路地裏】

【今日も今日とて銃声が響き渡ってる。静かな暗殺劇も多いが】
【こういうギャングの抗争みたいな事のほうが一般的だったりする】
【命中率コンマ以下の弾け飛ぶ弾丸は当たりのものを構わずにぶっ壊していく】
【それでもライフルとショットガンの止めどない攻撃はコンマの命中率でも十分だ】

『俺らも偶には運がいいな。なんせ国際指名手配犯だ』
『ああ、そうさ。一発食らわせりゃ、一発で昇進、SCARLETもあるかもな』
『生きたまんま裏社会に引っ張ってきゃ一生遊んで暮らせるぐらいの謝礼もあるしな』

【ライフルの弾倉を交換する男。作業着のような服には自警団の腕章と徽章が付いている】
【二人組みはここらの正式な自警団員らしい。ボルトを引いて男は銃を構え直す】

【その路地裏の奥、彼らの狙いはビルの壁に背を貼り付けて様子をうかがっている。コイツ】
【背が高い痩せたサングラスを掛けた男。黒スーツに青シャツ、白いネクタイ】
【右手の黒いリボルバー拳銃とくわえた煙草だけが唯一の武器だ】

ジーザス…コレじゃどっちが悪者わかったもんじゃない

【煙草を投げ捨てて、靴の踵でもみ消す。人気がないと言ってもこれだけ銃声がしていれば】
【誰かが飛んできてもおかしくはない。まあ、大抵の場合自警団なので状況は悪くなる一方だが】
27 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/08(月) 22:23:28.73 ID:gGuY1qaKo
前スレ>>890

【三度、四度の再生。その速度が最初に行われたソレとほぼ変らない速度また、繰り返されていく。】
【激痛、"五感"と共に"感覚"と、そして"痛覚"までもを共有している彼女は半ば半身と化した下僕が喰われたことで】
【その生々しい刺さるような痛みに身悶えし、喘ぎに似たような苦しい呻き声を漏らしながら、冷静にその原因を分析していく―――。】


 ―――ふ、ぐぁッ……!? かふっ、あっ、あああっ、んぁぁッ……!! っ、うううぅぅぅぅぅッ!!
 
 (コ、コイツ……!? さっきとほぼ変らない様な速度で、再生を……ッ!?)
 (……ちがう、……!! "喰った"から、"吸収"したから、エネルギーを、蓄えたから……っ!!)
 (それに比例して、代謝が上がってるんだ……食べれば食べるだけ、その能力を回復させられる、即座に、直後に……ッ!!)

【それが―――この不気味な女、クラリスの能力の正体か。食べれば食べるだけ、ダメージを無効化できる"力"。】
【相手が肉体を有する限り、常に逆転のチャンスを得られる究極のエコロジー、つまりは相手の殲滅まで、彼女は止まらない】
【食われる前に無力化が出来なければ―――また最初に逆戻り。これは相性が悪い。少なくともムシを呼び出すのは、悪手だろう。】

 (……コイツに対して"召還"は……餌を与え続けるだけの、無駄な行為……ッ!)
 (勿論食われる前に消しきれればそれに越した事は無い、けど私の呼び出すムシはどれも……!)
 (どれも"大きい"、これがマズイ……っ、大きければ大きいほど、この女が食いつきやすくなるんだから……っ!!)

 ―――……くっ、今度は……"衝撃波"……ッ!?

【考えている暇は無い。地面に突き刺さったままの剣が、力を蓄えた彼女の中の"鼓動"にリンクする様に】
【激しい胎動を刻み始める―――まるでその脈拍はインパクト。放たれた衝撃波が窓ガラスを粉々に砕き、大地を揺らす。】
【歪んだ視界の中に映った彼女の高い、高い跳躍をネメシスは捉え切れなかった。次手をどうすべきか、その思考に囚われすぎたのだ】

 ……Scorpion!! 戻―――――――――――――――っ。

【"戻れ"、というそんな単純な言葉すら紡ぐ事は出来ない。激痛で動きが鈍った蠍は防御体勢を整えるのが精一杯で。】
【上空から矢のように降りかかってきたクラリスの一撃を、なんとか"鋏"で受け止めるも―――其の余りの破壊力に貫通を赦し。】
【貫かれた鋏は吹き飛び、そして刃が蠍の頭部を半分、叩き切ると同時―――ネメシスの悲鳴が上がり、蠍は煙の中に、消えていって】

【―――ばたり。とナンバーズの少女は倒れる。静寂が路地裏に流れて。彼女は―――息絶えた、のか?】

/遅くなりました!クラリスの方へ、此方ネメシス中身です。
凍結宜しくお願いします。
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/08(月) 23:06:48.55 ID:tZS42OAR0
>>27

【鋼鉄の鋏は振り下ろされた女の大剣と接触し、緑色の体液を撒き散らしながら蠍の腕から弾け飛んで行った。】
【そして、生物であるかのように脈動する大剣の切っ先は正確に蠍の頭部を狙っていた。故に、哀れな蠍が単なる食肉と化すのは必然であった。】

「あァ、ふふっ。下拵えは、お終いね」

【まず押し潰すような金属音が僅かに響き、続いて生きたままネズミをミキサーにかけたかのような悲痛な破砕音が、それを覆い隠した。】
【同時に、蠍の仮面は剥げた。複眼は葡萄を潰すような調子で弾け、より強い濃緑色の体液をぶち撒けるのだった。】
【もちろん彼あるいは彼女に頭蓋骨はなかったが、それを失う苦しみは同様に与えられた。強打を受けた甲殻が頭部から顎にかけてかち割られ、それを大剣の刃でこじ開けられたのだから。】
【蠍の顎と剥がされた鋼鉄の甲殻、取れてしまった複眼が地面に落ちるのと、蠍が崩れ落ち少女の悲鳴が上がったのはほぼ同時であった。】
【女は暗緑の体液を全身に浴しつつ、少女の悲鳴に耳を傾けた。彼女にとって、蠍が咆哮もなく死したことは幸いであった。】
【他の多くの快楽殺人者=サイコパスと同様に、彼女は性欲と食欲を綯い交ぜにする傾向を有していた。】
【無論、それらが極めて加虐的で残酷な精神観念に基づいていることは、言うまでもない。】

「あら、もう終わり?
 んぅ……仕方ないわね。まぁでも、こっちからにしましょうか。」

【しかし少女が叫ぶことをやめるまでに蟲を痛めつけたのは、彼女にとっては失策だった。】
【立ち込める砂煙によって足元がろくに見えない状況でも、彼女はそう苦労せずに着地した。足元にあったであろう食餌を踏み潰す音がした。】
【蠍の姿が見えない以上、女の姿が見える道理もないのだった。だが、それでも音が聞こえることに変わりはない。少女が何もしなければ。】
【煙の中からは、よく脂の乗った肉を噛んで肉汁を溢れさせるような音が、絶えず響いてくるだろう。時折まるでクッキーでも齧るような、堅い音も入り混じる。】
【ぶちん、と何かが弾ける音。眼球だろうか? がりがり、何か長いものを齧る音。毒針だろうか。】
【とかく、少女が目覚めない限り、或いは何らかの妨害がない限り――女はこんな調子で、ひたすらに蠍の死骸を貪り続ける。】
【そこにテーブルマナーなどという高尚な流儀を、少なくとも常人は見出せないだろう。それ程までに凄惨で、喧しく、ともすれば気絶した少女の意識を取り戻すこともできるはずだった。】
【――しかしもし少女が意識を手放したままだというのなら、次に血腥い香りを帯び始めた白煙に引きづりこまれるのは、彼女に他ならない。】

/クラリス中身です、今夜もよろしくお願いしますー。
/割とえげつない感じで、すみません……ここからエログロ分少しキツくなりそうですので、もし不快でしたらなんなりとおっしゃって下さい。
29 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/08(月) 23:39:11.48 ID:gGuY1qaKo
>>28

【―――気絶状態、という訳ではない。単に許容範囲を大幅に超過した激痛のせいで、崩れ落ちただけだった。】
【指に力が入らない。頭がよく廻らない。足先の感覚も、目の前の光景も全てが歪んでいく独特の感覚が、全身を支配する。】
【ただ一点だけ、唯一身体を通して"分る"のは―――、まだあの軍服の女が戦いを続けていると言う事、つまりは、そう―――……。】


 (……くっ、……、か、らだが……うまく、うごか……ッ!)

 (―――……、マズイ、このままじゃ……やられ……―――うぁぁぁァァッ!?)
 
 お、ごぉぉッ……!? あ、う、うう……っ、……ぅあぁっ……あああああああっ……!? 

 (……く、喰われ、て……ひぐぅぅっ!!)


【リンクした、半身が食されていく感覚だけは唯一、麻痺した体の中でもずっと現状を伝え続けていた。】
【ドクン、ドクン、血の脈動が身体に奔る激痛を更に加速させていく。割れた甲殻からはみ出た肉に、牙が食い込む。】
【そのまま肉筋を断ち切るようにぷち、ぷちり、と引き千切れば、まだ活きている感覚器官がピクリ、と反応し蠍の身体が微動した。】

【食む動作が、突き立てられた犬歯が分厚い肉を噛み千切り、不快な音を立ててクチュクチュと血液を撒き散らす。】
【剥がれていない所は甲殻を無理やり剥ぎ取って、タダひたすらに食す、食す、食す―――ばり、ぼり。球が口内で砕けた。】
【当然、それらは全て倒れ伏したその少女にも密接に伝わっていって。歯が柔らかい肉に傷を植えつける度、身体がびくん、と跳ねる】

 はぁっ、はっ、はぁっ、……!! あ、はぁ、んっ……! んううぅ……ぐっ、あぎっ……!?
 い、……いや、……ふぐぅっ……!! う、うううう、うううぁぁぁぁぁっ!! 痛い、痛っ、痛い痛いっ……!!

 (……この、ままじゃ……っ!! 痛みで、なに、も……く、そッ……!!)

【全身を悪寒が走る。このまま痛みの中でじわりじわりと殺されていくのを想像したのだ。】
【―――あってはならない。異能者に、自分が憎む存在に、こんな"バケモノ"染みた何かに、殺される事など。】
【だがそうならない為にはここで反撃をしなければ、―――其の余裕があるか。ないだろう。ならば、それを生み出すしか、ない。】

 (……痛い……痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイ……)


【―――痛みさえ。痛みさえなければソレでいい。痛いのは嫌だ。痛いのは辛い。痛いと何も出来ない。】
【ならば痛みを消せばいい。全部なくせばいい。痛くなくなってしまえばいい。そう、そうするだけの術を持っている。】
【ならば使わない手は無い。そうだ、そうすればいい。彼女はマントの中から取り出した一本の注射器を躊躇なく―――。】

【―――躊躇なく。右腕の手首につきたてる。ぷすり、と甘美な毒が針を通して全身に広がっていく。】
【瞬間、脳裏に映りこんだのは過去の光景。村と、家と、そして家族と友人とが火に呑まれて行く残酷な光景。】
【いやだ。もういやだ。あんなのはいやだ。あんなことはくりかえせない。あんなことにもうさせない。なら、なら、なら。】


 ……ぇ ……う、くっ……、う、ぃ……ひっひ……ッ!

 
 ―――いたく、ない

【―――ガン。鈍い音と共に、身体が動き始める。彼女の右手が注射針を圧し折って、地面に突き立てられた。】
【力が伝道し、そのまま身体がぐい、と持ち上がる。脚にも力が漲ってくる。そのまま腰を持ち上げ、振るえながら立つ。】
【バイザーが稼動する。食事中の標的が映る。未だに半身が喰われている。だがもう、何もかもが虚に消えていく今、どうでもいい。】

【―――痛みは愚か。そこにはもう誰も居ないのだから。感覚なんて、元からなくなってしまったのだから。】
  
 ……はッ。

 ……ははッ……ふふっ、ふっ、ふっふふふ……んっ、ぐっ……ううう……ぁああああああああああァァァァァァァッ!!

【―――駆け出す。獰猛な速度。少女とは思えない身体能力。】
【そのまま彼女は左腕を突き出し、クラリスの頭部を、引っつかもうとするだろう】
【もしそれに捕まったのならば、言うまでもない、無理やり蠍から引き剥がされ、そのまま壁へと叩き付けられる事になる、だろう。】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/08(月) 23:55:13.91 ID:Ll9MyidCo
【路地裏】

……っらぁッ!! ――――ったく……ビビって逃げねぇから面倒なことになっただろ……がぁッ!!

【寒空に響く重い音は、大柄な男の水月にヒザがめり込んだ時のモノ。その後どさりと巨体が沈み、争いは終わる】
【――――路地裏ではありがちな喧嘩、とは少し性質が違っていた。一人立ち尽くす喧嘩の勝者、青のソフト帽の男性。――――その腰には、二丁拳銃用のガンベルト】
【勿論リボルバーが二丁収まっているのだが、男はこの喧嘩で一切其れを抜くことが無かった。手加減でもない。男は疲弊し、目の上は大きく腫れている】

……ッ畜生――――。もうちょい殴り合いも鍛えねぇとマジやられっぞ……あーもしもし!? 俺! ○○通りの路地裏でアブねぇヤツ確保、ヘイカモン!
……ふぅっ、げほっ……っぷ、何発かキツイの貰っちまったじゃねーかよ。酒飲んでたらコレ吐いてるヤツだって……!

【うつ伏せに倒れる巨体に手錠足錠をかけてから、ソフト帽の男はコンクリの壁に背を預け、そのままずるずると落ち結果的に地べたに座る形になる】
【腹を押さえて咳を漏らす様から分かるように、勝利は勝利でも所謂辛勝――――なのだが、この男の白シャツに縫い付けられた紋章が、その辛勝に疑問を持たせる】
【緋色の鷹、SCARLET。カノッサやGIFTと闘う部隊というだけあり、ある程度の実力は保障されている。そう、暴れた大男一人くらい1分以内に取り押さえられる程度には】

【このような苦戦の理由。それは間違いなく「抜かなかった」こと。そして「撃たなかった」ことだった。足を撃てば1分どころか数秒で終わるのだが――――】
【――――ソフト帽の男は、何故かその選択肢を頑なに拒んだ。自警団に連絡した後、彼は痛い痛いとぼそぼそ漏らしながら天を仰いで身体を休ませていた】
31 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/09(火) 00:12:43.77 ID:4v/8NKE7O
>>29

【女の食事は極めて早いものだった。僅かに数分、女が仰ぎ見て余りあるはずだった蠍の全身は、殆ど全て喰らい尽くされていた。】
【ボディラインに変化は見られない所からして、異常な消化速度をも有しているのとは明白だった。彼女は生体兵器だった。】
【緑色の深い血だまりが生まれた地面には、骨格の欠片すらも浮かんではいない。女はその全身を緑色に染め上げながら、正に最後の一口を喰おうとしていたのだった。】
【唾液と血液の混合物をねっとりと乗せた舌、その先端が蠍の肉に触れようとした、その時。】

「あ、ら――」

【――女の顔は最後の一口から引き離され、そして代わりに蟲の鮮血と犠牲者の乾いた血でコーティングされた路地裏の壁に叩きつけられた。】
【常軌を逸した再生能力を有するとはいえ、彼女の肉体的強度はただの人間とそう大差はない。コンクリート製の壁に猛然と激突すれば、砕けるのは頭蓋、溢れるのは脳髄。】
【一層目に乾いた赤黒い血、二層目に濡れた緑の血が塗られた壁。その三層目に、クラリスの鮮やかに紅い血と淡い肌色の脳が新しく塗り広げられた。】
【一瞬だけ、彼女は驚嘆の表情を浮かべていた。そして壁に叩き付けられれば、その顔貌から感情は消えた。彼女の全身から、あらゆる力が無くなった。】
【右手に握られていた大剣が舗装の見えない地面に落ちて、水っぽい音と重い金属音を残した。左手に握られていた最後の一切れも、同様に落ちて不定形な音を立てた。】
【彼女のプラチナブロンドの下から血が溢れ、額を滑り落ち、目の下に溜まった。そして、彼女はにっかりと笑った。】

「くすくす……まだやる気、なのね。
 ――こうでなくっちゃ……ねぇ?」


【言うが早いが、彼女は自らの唇に手をかけようとする。少女がそれを止めなければ、彼女の顎筋は彼女自身によって容易く引き千切られるだろう。本体から離れた顎が、また地面に落ちる。】
【そして顎を失った彼女はそのまま手を喉奥まで突き入れ、食道までを引き裂いてしまおうとする。彼女の喉も口も、細すぎるのだ。】
【一連の自傷行為に妨害がなければ――彼女はそのまま、拡大された口と喉を以って、顔面を握る少女の掌底を「呑み込もう」とするだろう。】
【一度引き込んでしまえば、そこから先は彼女の領分であった。だが蠍一匹を喰らったとはいえ、彼女の身体への負担は無視できないはずであった。】
【しかし、彼女は涙を流していた。故に、それは随喜の涙であった。】
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/09(火) 00:32:38.28 ID:k058eotCo
>>31

【―――身体が熱くなっていく。内から燃えるように、内燃機関が命の限界を超えて暴走する。】
【ごうん、ごうん、ごうん。響くような鼓動の音が、やけに大きく聞こえてきて、聴覚の全てを支配した。】
【もうクラリスの声も、蠍の肉が弾ける音も、脳幹が"ずたずた"の"ぼろぼろ"になる音も、何も聞こえない。】

 ……ハァ……ッ……ハァッ、ハァッ……ふ、ううう、ううううううううッ!!

【クラリスが自身の顎を引き千切り、そうして顎を肥大化させていくのが唯一、見えたが】
【そんなこと、どうでも良かった。ハッキリ言ってしまえば、食わせるつもりなど毛頭無いのだから。】
【自分が此処から行う事はより一層の攻撃、過激な連撃、殲滅の舞踏だ。食事の時間は、もう終わりだ。】

 ……"まだ"……?

 ……"まだ"……、ちがう。





 ―――"これから" 。


【刹那、ネメシスの全身から身の毛がよだつ様な邪悪なオーラが迸った。】
【握り締めた相手の頭蓋骨に、更に強烈に力が加えられていく。その程はまるで、万力か。】
【いや、そんな物では例えられない。いまや其の力は油圧ジャッキにも劣らない程強力に、強烈になっていて。】

【―――ただの少女ではない。ムシ使いの、召還士の少女ではない。そう思わせるのには十分な、パワーが其処にあった。】


            FUSION INSECTS (―――我が身と融け合い、変化せよ。―――)

               BEATLE       (―――剛なる力で、仇敵を殲滅せよ。―――)


【―――端的に言うならば、彼女は"変化"していた。全身を多い尽くす重装甲は甲虫を思わせる茶色のそれ。】
【頭部から足の先まで、彼女の身体はまるでそう、"甲虫<カブトムシ>"と融合・同化してしまったかの様に変化し】
【今やその腕力は怪物級、そして防御力は先程の蠍を凌駕するまでになっていた。瞬間、呑み込もうとするクラリスの喉に】


 ―――――――――消し、飛べ。


【―――現れたのは、融合によって得たカブトムシの"角"を模した二対のバレルを持った大型の―――銃火器。】
【それは融合と同時に彼女の腕の中から競り出てくるように形成されて―――丁度、銃先を咥えこませる様な形で出現。】
【放たれるのは昆虫との融合によって得た、生体エネルギーを弾丸へと変換して放たれる強力な一撃。いや、正確にはニ撃。】

【腕ごと呑み込もうとするクラリスの喉に対し、容赦なく弾丸を撃ち放つだろう。丁度―――全てを、葬り去ろうとする様に。】
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/09(火) 01:15:39.58 ID:4v/8NKE7O
>>32
【握られていた彼女の頭蓋骨が、軋む。肉が潰される静かな崩壊の音を、彼女は感じることができた。】
【それは、彼女の予想の範疇を超えていた。少女の抵抗は単なる獲物の悪足掻き、窮鼠の牙に過ぎないはずだった。】
【だが現実として、少女は凄まじい――女自身をも凌駕しかねない――力を以って、彼女の頭を握り潰さんとしていた。】
【彼女はここに来て初めて、一つの焦りを露わにした。彼女は先程までの余裕を失ったかのような動きで、少女の腕を呑み込もうとした。】
【女が行った惨劇を受けてなお、少女の闘志は折れなかった。それは自身の歪曲を犠牲に、更なる剛性を得ていた。】
【――そして、殺意が女の肌を刺した。彼女が呑み込んだのは、少女のか弱い柔肌などではなかった。】

「――ッ、――――!!!」

【女は初めて悲鳴を上げた。声は生じなかった。何故ならそれは破壊に対する驚愕であり、彼女がそれを感じた時には既に彼女の声帯は吹き飛ばされていたからだ。】
【光弾が、彼女の頭を灼いた。彼女の肩から上は消えて無くなった。新しく、焦げた肉の匂いが立ち込め始めた。】
【彼女は少女の目前で膝を折った。捕食者は少女に跪いた。だが、焼けた首の断面はまた隆起を始めた。先程より、ゆっくりと。】

「……はァ、酷い食べさせ方ねぇ。
 もう少し丁寧にしてくれれば、私だって満足できたのに」

【口までが辛うじて再生すれば、彼女は小さくそう呟く。その声色に、先程までの余裕綽々とした愉悦はなかった。】
【それは彼女が蠍から得た生命力が、ほぼ全て浪費されたことの証左であった。あと数回頭を抉られれば、彼女は死に至る。】

「まぁ、いいわ。
 一つ、『味見』をしてみましょうか」

【――だが、彼女はもとより、自らの死と自らの欲望を釣り合わせられる女だった。その命が尽きる寸前まで、彼女は欲望に忠実であり続けようとする。】
【彼女の両手が、乱暴に少女を掴もうとする。殆ど目前であったから、掴むのは右の太腿になるだろう。】
【そこに、彼女は、今度こそ――また、漸く出来たばかりの自らの口を寄せて、そして超硬質の甲殻ごと彼女の右足を抉ろうとしていた。】
【顎筋ならば、少女の装甲にも文字通り「歯が立つ」はずであった――少なくとも、女の推測では。そして殺意に奔る少女であろうと、動かす身体がなければ何も出来はしないはずでもあった。】
【女の眼は、少女の眼を見ていなかった――何故なら、彼女の眼は未だ作りかけであったから。されど彼女が五体満足だったとしても、今この瞬間は少女の瞳など直視することはできなかっただろう。】
34 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/09(火) 01:35:57.38 ID:k058eotCo
>>33

【実感、の様な物だろうか。今の今まで、一度足りとも聞こえなかったそれが聞こえた事。】
【最も、現状のネメシスはもはや正気を失っているため、本当に感覚的にしかそれを理解出来なかったが】
【やっと、わかったのだった。彼女は無敵の存在ではない、ダメージは通る、そう、今悲鳴を上げたように―――、と。】

 ―――……悪食だと思ったら……くふッ……♪
 意外とグルメなのねぇ、美味しかったかしら……わたしの可愛い、"ともだち"の味は……ッ!!

【―――拳を振り上げる。そのまま振り下ろし、クラリスの顔面を撃ち砕こうとする。】
【だが届かない。ソレよりも前に、抱きついてきたクラリスが再生した顎で太股に、噛み付いたからだ。】
【激痛、は走らない。だが妙な感覚が身体を貫く。麻痺した肉と肉の間を、歯がぐちゃぐちゃとかき回すような、そんな―――。】

 ……ッ!! き、しょくが……悪いッ……!!

【組み付かれた脚とは逆の足に、思い切り力を込めて、彼女はクラリスの胴体を蹴り飛ばそうとするだろう。】
【とにかく、距離を開けねばなるまい。このまま組み付かれた状態で、反撃をしよう物なら泥沼に足を突っ込みかねない。】
【ネメシスはクラリスの妖艶な拘束から抜け出すと、一歩後退し、再びエネルギーの充填を開始する―――もう、一撃かニ撃か。】

 ……ハッ…・・・、はぁっ、ハァっ…・・・・・・・・・・………!!

【―――だが、ここで彼女の、ネメシスの息が荒れ始める。当然だ、力を使い過ぎた。】
【タダでさえ体力を消耗する昆虫の召還に加え、連続で融合まで駆使し、其の上麻薬まで使ったのだ。】
【更に言うのであれば、ダメージの量もかなり大きい。痛みは感覚的に消えたものの、それは麻痺させた結果に過ぎない。】

【―――脳みそは騙せても、身体の各所に蓄積する"あれこれ"は、消せぬ。】


 (クソッ……くそっ、クソッ、クソッ!! あと一歩、あと……一歩、なのにッ!!)


【―――がつん、と大きな音を立てて、重戦士が膝を点く。どうやら継続して戦闘が出来るのもこれまで、の様だ。】
【巨大なニ連装ショットガンを杖代わりにしなんとか立ち上がったネメシスは、素早く融合を解除し―――元の姿に、戻る。】


 ―――、クラ、リス……おぼえておきなさい、私の仲間を"嬲った"……その罪は、償わせてやる……ッ!

【肩口を押さえながら、息も絶え絶えにそう告げると、彼女はよろよろと路地裏から影を消すだろう。】
【直後に"なんらか"の羽音がぶぅん、と響いて。一陣の風が吹きすさんだその後には、もう彼女の姿はない筈。】
【撤退、そう見て良いだろう。実際問題、彼女の疲労は余りある物だった。とてもじゃないが、簡単には癒える物ではない。】

【―――惨劇に次ぐ惨劇。血みどろの戦闘は、一つの因縁を残したまま静かに幕を下ろした。】
【だがそれは幕切れではない。まだ、二人の狂人が辿るエンドロールには時間がかかりそうだ……。】

/ここで撤退させて頂きます!絡んでくださりありがとう御座いました&昨晩はごめんなさいorz
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/09(火) 02:26:25.92 ID:4v/8NKE7O
>>34

「えぇ、美味しかったわ――
 貴女も、喰べてあげる。貴女のお友達みたいに、ね」

【クラリスの繊細な指先と温かい掌と柔らかい腕は、少女の太腿に絡み付いて離れなかった。】
【そのまま、クラリスは少女の堅い太腿に唇を這わせた。まるで自らの恋人を愛するような、甘やかな口付けだった。】
【そして、クラリスは牙を立てる。硬質の甲殻は、彼女の咀嚼に脆くも砕けた。露わになるのは、少女の肉。それに犬歯が刺さり、前歯が喰い、臼歯が千切る。直後から溢れ出る血を、彼女は一滴も余さず飲み干した。】
【口に含んだ肉塊を、彼女は噛んだ。それだけで、彼女の不安と焦燥は消え去ることとなった。】
【もう一口、もう一口と、彼女は喰らい付き、噛み千切り、咀嚼し、味わい、嚥下する。その度に彼女の瞳は、女の悦びに蕩けていった。】
【人肌の温かみを持った肉を味わいたいがために、彼女は少女の傷をねっとりと舌の腹で舐め上げる。鮮血の塩味と仄かな甘味を味わいたいがために、彼女は少女の傷を思い切り啜り上げる。】

「ん、れろっ……んふっ、ふふふ……やっぱり美味しいわぁ、貴女の肉……じゅるっ。
 よく締まっていて、それでいて不思議な味もするし――でも、嗚呼、痛いわ」

【だが、自らの脇腹に爪先の一蹴りが刺さったのなら、女は甘美な食事を中断することを強制された。】
【振り解こうとする少女に、彼女が再び追い縋ることはできなかった。少女はクラリスの拘束を逃れ、そして反撃に転じようとした。】
【しかし、それは叶わなかった――少女もまた、クラリスと同じように限界の淵に立たされていた。】
【それでも、クラリスが頭部を再構築しきった時には、少女は歪んだ闘志の片鱗を埋め込んだ捨て台詞を吐いた所であり――その姿は、すぐにクラリスからは見えなくなった。】
【残された彼女は、吹き荒ぶ血煙を孕んだ風を受けながら、こう呟く。】

「勿論、覚えておくわよ。……私、貴女を愛しているから。
 剛毅で、喰べ応えがあって、肉も美味しい。こんな人のこと、どうして忘れられると思うの?」

【一人、彼女は歯を見せて嗤う。少女から得た血と肉で、歯を染めながら。】

「――今度こそ、貴女の全て。喰らい尽くしてあげる」

【そう言い残せば、彼女は取り落とした大剣を再び背負う。】
【そして幽玄とした足取りで、新たな犠牲者の元へ向かうのだ――次に会い見えた時こそ、少女を喰らうために。】

/こちらこそありがとうございました! 一度寝落ちして申し訳ないッ。
36 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/09(火) 05:28:19.06 ID:saE9/ri8o
【エッダの安息所=\―その下層を流れる地下水脈から、一人の女性が這い出る】
【一見すると白いドレスを着ているかのようだが、実際はその表面に粘液をまとっており】
【シルクハットで隠れがちながらも、額から伸びる触覚二本を見れば、ナメクジを思わせる令嬢であった】

【彼女は結界、人海、その他の手法で侵入と外出を禁じられたこのエリアに、水脈を利用して入り込んだ――】
【――いわば、使節。なぜそう分かるのかといえば、彼女が粘液の後を残しつつどの道を進んでも】
【大量の亡霊やスケルトンが彼女を攻撃しないからであり、つまり彼らを率いる悪霊の大元】
【大司教アーグその人が、人外の使節を待ち構えていたということに他ならず】


遅かったではないか、カーマルよ。お陰で我が貴重な時間が一日ほども無駄になってしまったわ
 しかしまあ、焦らされるのも悪くはないな?想い人からの文を待つ気分だ!

 もっとも私はそういう……純情、というのは……吐き気を催すほど嫌いだが……。……で、返事は?

『"お待ちしている"だそうですわ、アーグ様。ドラクレア島のご主人も、
 私の主人であるヴィサスお姉様も……そしてパーティの主催者である、ダグラス様も。』


【アーグの単眼は、可笑しげに淑女を見下ろしていた。猫背であっても2mを超える長身は】
【くつくつと笑うと吐息と共にゆらゆらと動いて、ひどく不安な気持ちを抱かせる】

【――それから二、三言。アーグが楽しそうに何事か告げると、コクリと人外の令嬢は頷いて返し】
【やがて彼女は来た時と同じく、水脈に溶けこむようにして安息所から姿を消すのだった】
【ただし、何物かの土産を携えていたことも記す必要があるか。ともあれ、彼女が居なくなれば】

【奇形の元大司教は唇も裂けんばかりにニヤニヤと笑って歯を覗かせ、カチカチと爪を打ち鳴らし】
【ぐる、と急に振り返って、真っ直ぐ目を向ける先には巨大な槍。雷の付呪が施された、重厚な槍】
【それをそっと手に取ると、愛しむように柄を舐め上げながら、丸まった背を震わせるのだった】



【―――ゼン=カイマ近郊の墳墓で行われた作戦より、一両日が経過】
【現地では墳墓内部の亡霊残党を狩り出し、エッダの安息所への】

【ひいては本作戦でついに姿を表した、かつての大司教アーグ征討の道を確保するなど】
【主として、フレデリック・シャリエールの名の下に事態は進行しており】
【準備が出来次第、討伐に移る――そういったコメントも出ている以上、近い内に一波乱有るのは確かであった。】

【全て計画通りに進むのであれば、"波乱"という言葉は相応しくないのだが】
【アーグの瘴気に当てられた様に枯れ行く、安息所周囲の森を見て――不安を感じずに居られるのは、死者くらいなものだった】

/遅くなりましたが、これにてヴォルギーグの地下墳墓探索イベントを終了と致します
/ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました!お疲れ様でしたっ!
37 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/09(火) 19:22:13.49 ID:2N3Yi9+Jo
>>23
これで待ちます。
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/09(火) 19:28:10.66 ID:5RQ+sAca0
【街中――大通り】
【きらきらとイルミネーションで飾られた街灯の柱、設置されたスピーカーから響くのはクリスマスソングで】
【歩いていくひとたちもなんとなく浮かれている――気がした。……でも、きっと、彼女のテンションが低いせい】

ふぁ……、眠い……。……、もう、セリーナ、ひどいの。あんなに走れないよ……。

【道端に面したカフェ、外の席の一つ。座っているのは少女が一人、手には、この店の紙コップがあって】
【熱くないように薄手のダンボールを巻いてもらったそれにも、かわいいクリスマス柄が描かれている。モミの木と、となかい】
【なにやら愚痴りながら一口飲むと、彼女は身体を屈ませて、足をやわやわと揉んでみたり、ぱたぱたさせてみたりする】

明日筋肉痛かなぁ……。

【だなんて呟く。腰まで届く長さの黒髪は、街灯やらの明かりで、緩く天使の輪の艶めきを見せ】
【黒色と赤色のオッドアイはどこか蛇の目に似た印象、右耳にだけ付けたピアスは、宝玉の欠片をあしらったもので】
【深い赤を基調にしたワンピース。黒布のフリルでたくさん飾れば、ふうわりとしたスカートのシルエット、余計にふわふわにして】
【羽織るケープコートはワンピースとセットなのかデザインの似たもの、首元にふかふかのフェイクファーをあしらって】
【足元は薄手のタイツと踵の高いショートブーツ。足先をひとしきりぶらぶらさせると、彼女は満足したように、】

――帰って寝ようかな……ううん、お買い物しないと――、
…………忙しいの――。

【かたんと立ち上がって、人ごみの中に混ざろうとするのだ。だけれど、独り言のように眠気がずいぶんと強いなら】
【注意力は些か散漫だし、くたびれてもいるらしいなら、動きも鈍い。流れるひとの動きには、ちょっと、似合わない感じ】
【まぎれてしまえばどうにかなるだろうけれど、まぎれる瞬間が一番危なかった。誰かとぶつかる可能性は、高いように思えて】

【いちおう――彼女の細身とぶつかっても大したダメージにはならなそうだが。手持ちの飲み物が、事態をややこしくする――かも?】
39 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/09(火) 19:42:02.75 ID:x6ZxNC3Go
【路地裏】

【吐く息も白くなるぐらい冷える夜だ。季節柄仕方ないってものだが】
【嫌なもんは嫌だ。アスファルトは夜露に濡れている。壁のクラックをダクトの風が撫でる】

【どっかの国じゃ今月を師走って言うらしい。マスターズランニング。時に同じく、そいつも走っている】
【ネオンの灯りで路面に映る長い影。背の高い男だ。どっちが影だかわからんくらいソイツの服装も黒い】
【黒い髪、黒いレンズのサングラス。ブラックスーツ、黒シャツ、ネクタイは白。ベルトと靴も黒で統一】

【背負ったボストンバッグも黒。右手に握る大口径のリボルバーの黒鉄。吐く息は白く、荒い。ソイツを追いかけるように銃弾が飛ぶ】
【弾丸に背中をタッチされる前に路地の角を曲がって逃げ込む。銃弾はそのままストレートに看板やコンクリの壁を破壊し、破片が弾ける】

『……チッ。また外した。逃げ足ばかり上等だな。噂通りか』
『伊達に指名手配されてないってわけだ。だから、金になるんだろ』
『伊達だよ伊達。俺達みたいなチンピラ上がりに追い詰められてるんだからよ』

【ライフルの弾倉を交換する男とショットガンを構える男。作業着のような服には自警団の腕章と徽章が付いている】
【2名は正式な自警団員らしいが、この活動はアンオフィシャル。プライベートなハンティング。何匹目かの獲物だ】
【ニヤリと下卑な笑みを浮かべ、銃を構え直すとゆっくりと後を追う】

ジーザス…コレじゃどっちが悪者わかったもんじゃない

【壁に背をつけて様子を伺いながら吐き捨てるように言う。このままじゃジリ貧だ】
【だが武器は拳銃と…大量のカネ。あとは煙草ぐらいなものだ。人気がないと言ってもこれだけ銃声がしていれば】
【誰かが飛んできてもおかしくはない。まあ、大抵の場合自警団なので状況は悪くなる一方だが】
         
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/09(火) 22:52:37.81 ID:5RQ+sAca0
【UNITED TRIGGER店内、備え付けられたカウンターの中】
【時刻は昼間過ぎ。朝一で用事のあった客の姿は消え、仕事関連の話もなく、ごく平和な時間】
【それはそれで夜の仕込みだとかで忙しい時刻でもあるのだが――気楽であるのは、ある意味確かで】

――ただいまぁ、

【そんな中、ドアがぎぃと開かれる。ひゅるりと吹き込む風は冬の温度を持って】
【ただ、客の居ない静かな店内になら――かえってすっきりとする気がして、快い気もする】
【見れば、しばらく前に買出しに行ってくるなんて言って出かけていった人物がそこにいる。そもそも、】
【仕入れなら自分で買いに行かなくてもいいと思うのだけど――特売品とか見るのが好きらしい、時折、こうして自分で買出しに出ていて】

【両腕に大きな袋を提げている。見ればやっぱり出来合いよりは食材が多く、きちんと料理する気なのが窺え】
【カウンターに「よいしょ」なんて声で苦労して持ち上げると、ふうと一息。それからカウンターの中に潜って、】
【やれ冷蔵庫に入れたり、出したり、棚に入れたり――そんなことをするのが数分ほど続く。やがて、それが終われば】

……――そうだ、ベイゼ、今――だいじょうぶ?
お茶淹れるから……その、休憩しながらでいいの。聞いてほしいことがあるんだ。

【重たい荷物を持ってくる途中で暑くなって結ったのか、いかにも適当なお団子ヘア。一連の作業で崩れてしまったそれを、】
【話しながら手で整えようとして――無理そうだと察すればあっさりと解いてしまう。ふわっとばらけた髪が、そっと背中に添い】
【ちょっと気弱そうな顔をしながら、そんなことを尋ねてくる。休憩しながら――となれば、重たい話でなさそうなのは、予想でき】

おやつも買って来たから……、――あ、ううん、わたしの差し入れ。みんなの分も買ってきたの。

【それより買って来たというお菓子にご機嫌そうだから、本当に重大な話ではなさそうだ。見れば、ケーキ屋の箱なんて持っていて】
【ならよっぽど覚悟して聞く、ということでもないだろう。――だけれど、言っておきたいこと、であるのは確か】

【――もしかしたらセリーナから聞いたのかもしれないし、そうでなくっても、テレビ……だとかで、知っているのかも】
【猫耳メイドとかはさておいて、彼女の提案で決まったことがあった。いきなり決まってしまったから、何のことわりもなくて】
【きっと迷惑を掛けてしまうだろう“彼女”には特に自分から説明しておきたかった――少なくとも不真面目ではない目が、向いて】

【赤を基調にしたワンピース、黒いフリルで飾って、足元は薄手のタイツと、ショートブーツ】
【羽織っていたケープコートを脱いで、空いた机に畳んで置きながら――そうやって、返事を待った】

/予約ですー
41 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/09(火) 23:12:03.04 ID:2N3Yi9+Jo
>>23
もちとこれで待ちます。一時くらいに凍結になりそうですが……、
42 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/09(火) 23:17:59.14 ID:6UdKyEkDo
【倉庫街】

【大小様々な倉庫が立ち並ぶこの空間、昼間は忙しなく人が行きかうが、さすがにこの時間帯は静か、であるはず】
【しかし、そこに蠢く者たちがいた。複数人。月明かりの下に照らし出される異様な形の人影たち】

【倉庫街の中央に大型車が数台停車しており、その荷台に人影たちが次々に荷物を運びこんでいる】
【開け放たれた倉庫から、物資を奪い取っているのだ。その手際の素早いことは、人影たちの場馴れしていることを示している】
【食糧・貴金属・武器弾薬。その他様々な品が、大型車の暗闇の中に吸い込まれていく】


――――時間だ。撤収作業に移るぞ

【重苦しい男の声が響く。奇怪な足音をさせて倉庫の一つから出てきたのは、人間の上半身を半分ほどにした大きさの肉塊だった】
【胸までほどしかない身体にボロ切れのような黒い布をしっかりと巻きつけ、口に装着されたマスク型の人工呼吸器からは、細い呼吸音が不気味に漏れている】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡がある。唯一、右顔面にのみ、ほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【額には黒い瞳の巨大な一つ目。面積一杯を埋めている。本来の両目の位置には義眼。右が青、左が黒】
【その場を荒らしまわる者たちの中でも、一際目立つ異形の姿だ】


【肉塊男の指図を受けて、同じく異形の人影たちが次々に倉庫から湧き出して大型車に分乗していく】
【薄汚い盗人どもの、今宵の仕事は終わりに向かう。盗賊らしい鮮やかな手際で、奪った物資をまとめ始める】

【肉塊男は、それに細かい指示を下しつつ周囲を警戒している。誰かがここにやってくれば、真っ先にこの肉塊が気が付くことになるだろうか】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/09(火) 23:18:11.53 ID:2N3Yi9+Jo
>>41
と思いましたが眠気が一気に襲ってきたんで取り消します……
44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga !red_res]:2014/12/10(水) 01:14:49.03 ID:91QKY48So
>>40

おう、お帰り。……荷物、重くないか?
また随分沢山買ってきたじゃねェか無理すんなよ、

【大荷物で戻ってきた彼女を迎え入れるのは、赤髪の女性】
【真紅のジャケットに白のボトムス姿。食品類は相変わらず扱わないからか】
【バーカウンターでグラスを拭いたり、ドリンク類を並べて在庫を確かめたり】

【ちなみに、目立つ赤の髪は最近伸ばしている。前髪もちょうど肩に掛かるくらいになっていて】
【そちらは左右に分けたり、後ろはゴムで束ねたり。昔よりも大分丸くなった感があった】

ん?あぁ、時間ならいくらでも……開店する前はそこそこ暇だしな
……ケーキにお茶もあるなら、時間を割かない理由も無いし…――。

【お茶も淹れてくれる、お菓子もある。となると、ベイゼは一度グラスを置いて】
【適当なテーブルを引っ張ってくると、椅子も2つばかりそこに寄せて場所を作り】
【やがて彼女が淹れてくれるだろう美味しいお茶を運ぶくらいは手伝ってから、席につき】

――それで話、っていうのは?もしかしなくても、この間のアレか?
UTの出血大サービスがどうとか、食品の無料提供とか……

……テレビ見てて、驚いたぜ。人生で初めて飲み物を噴き出したくらいにはな
ま、内容もそうだけど……あのアホ、組織のリーダーの癖に水着なんか着てやがったし。
その点、お前のメイド服?アレはまだ良かったよな、似合っててさァ

【ふと語るのは、以前テレビのCMで見た内容について。ちゃんとは覚えていないものの】
【中々刺激的なものだった――というか、知人が出ていた事は記憶に焼き付いているらしく】
【楽しげに笑いながら尋ねかけ、足を組んで椅子に背を預けるのだった】

/よろしくお願いしますっ!
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 01:15:58.29 ID:91QKY48So
//ハイ、テストしまっす!
46 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 01:47:37.57 ID:skYASi+l0
>>44

【「だいじょうぶだよ」と彼女は笑うのだろう、だけども、袋を置いた後の手のひらなんか、真っ赤になってしまっていて】
【それを見るとちょっと苦笑がちにしながら両手をすりすり合わせる、それで何がどうなるわけでもないけれど――気休めにはなる】
【それでもって、いろいろと中身をしまったり、調べたり、大体の賞味期限を脳に叩き込んだりする間、彼女は】
【「髪伸びたね」なんてそんなことを、世間話みたいに口に出したりしたのだろう――鮮やかな色、だいぶ伸びたように思うなら】

【「似合ってるよ」なんて言葉も呟いて、にこりと笑う。少しあどけなさが目立つが、それが、嘘でないと証明のようで】

【お茶もある、お菓子もある、それなら、時間を――聞けば、彼女は、少しだけ安堵したように肩を縮めて】
【じゃあなんていいながらやかんを火に掛ける、すぐにしゅんしゅんとお湯の沸き立つ音が聞こえてきて――】

ベイゼ、好きなの選んでいいよ。……あ、みんなには内緒だよ、残った分、あとで裏に持っていくの。

【そんなことを言いながら件のケーキ屋の箱を渡すのだろう。ちょっと細長い形、蓋を開けるなら】
【個包装されたパウンドケーキがたくさん詰まっている。抹茶小豆、バナナ、紅茶、かぼちゃ、ナッツ――とかく、いろいろな味】
【変わったものでは梅酒梅を刻んで入れたものなんていうのもある。まあ、大体のものは、数個ずつで買ってあるから】
【どれを選んだところで他のひとの分がなくなるわけでもないのだが――配る前に選べるのは、特別な感じがして】

【――それから数分後のこと。お湯が沸けば、パウンドケーキに合いそうな紅茶を淹れて……とは言うが、いわゆる紅茶である】
【アールグレイとかダージリンとか何それ、……紅茶は紅茶である。つまるところ、良く分かってない――のだが】
【淹れ方は思ったよりはちゃんとしている、から、――まあ、よっぽどまずい茶、ということにはならないはずで】
【それをベイゼが用意してくれたテーブルにおいて、椅子に座って。――ひとまず箱の中から自分のケーキを選び取ると】

……うん、そうなの。それでね、その――、ベイゼに、……、

――――それ、友達にも言われたの。幼馴染の子なんだけど、天音ちゃん……天音ちゃんって言うんだけど、その子が、
お茶吹いて喰らったって、その子と一緒に暮らしてる子からメール来たの。別に怒ってたんじゃないみたいなんだけど……。

わたしのこと知ってるひとみんなが見たかもしれないって思うと、なんか、……ちょっとね、むずむずするな――。

【――何かを言おうとして、ベイゼの言葉に、ため息がちな言葉を漏らした。ちょっと愚痴るような声になって、】
【わたしのせいじゃないもんなんて言いたげだが、親しいひとたちなのだろう。なんだか楽しげでもあって】
【でもすぐに声は憂鬱っぽくなる。……顔見知りも、見知らぬひとも、あれを見たのだと思うと――だけど】

でも、セリーナの水着、すごかったから……、わたし、あんまり、目立たなかったよね――?

【それが心のよりどころだった。ちなみに彼女、基本的にがっちがちだった。最初のほうなんて笑顔、引きつりまくりだったし】
【でも――途中からどんな心境の変化があったのか、笑みも自然(当社比)になって、なんだか、上手くいった雰囲気になって(?)】
【とりあえずセリーナの陰に隠れられたのではないかと思っている。喋ってたのもほとんどセリーナだし、うん、きっと大丈夫!】

【頷いてくれるのを期待する目をしていた。目立たなかったって、言ってほしい、らしく――】
【いや、厳密には、自分がやると決めたことはみんなに知ってほしい。だけど、自分は、できれば、隠れていたい】
【気弱だけど我侭だ。――まあ、セリーナのほうが目立っていただろうことは、確かだろうけれど――】

/よろしくです!
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 03:38:32.69 ID:91QKY48So
>>46

【伸びた髪を褒められれば、少し恥ずかしそうに毛先を指で弄って見せて】
【そんな腕――彼女に貰った物も、どうやら今もなお調子は良いらしく】
【それから、選ぶケーキはかぼちゃの物。『誰にも言わない』と約束し】

あぁ……そりゃまあ、お前を知ってる奴でアレを見ながらなんか飲んでたら
吹き出すか、こぼすか、でなきゃコップを取り落とすさ

……大方、セリーナの野郎が強引に局まで連れて行ったんだろ?
アイツノリノリだったしなァ……歳と立場考えろっつーの
もし俺がやれって言われたら、多分本気で戦って抵抗してたぜ

【ズズ、と淹れてもらった紅茶の熱さを確かめるように口にしながら】
【まず語るのは、例のCMの感想。話の最後には冗談めかしてマインドも見せるが】
【まあ、確かにベイゼの性格を思えば――少なくとも従順に従うことは有り得なくて】

【それから聞かれる内容には、ちょっと困ったように考える間を置く事となる】
【カップを手にしたまま天井を見て、カウンターを横目で眺めて、やがて正面の彼女に黄土色の瞳を向け】

例えるなら、こう……ひまわりとたんぽぽが並んで植わってたら、誰でもひまわりを見るだろ?
そりゃ、ソッチのほうがデカいし、純粋に目立つからな。

……でも、誰しもがひまわりの方が好きってワケじゃない。
小さい花とか、可憐なのが好きな奴がいたらきっと目立たなくてもたんぽぽを見るだろ?
それと一緒、だな……どっちかっつーと、俺は鈴音の方が目に付いたけど……。

【中々ファンシーな例えを引き合いに出して、返す答えはそんな具合】
【目立たない方ではあったが、人によって好みはマチマチだし、見られているだろう、と】

【かちゃん、とソーサーにカップを置いて、彼女の反応を伺ってみる】
【何となくその気持ちは分かるが、どう答えたら良いかは決めかねての返事だったらしく】
【答えが帰ってくるのを待つ間にフォークを取って、ケーキの端を摘み取って】
48 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 12:00:11.82 ID:skYASi+l0
>>47

【腕。そういえば、彼女、誰かに魔術の類を教えてもらったり、しているらしく】
【そのときに何か思いついたりしたのか、時々、手を加えに来ることがあったはずだ】
【頻度としては多くない。ほんの何度か――多分、その術を受ける本人も、よく分からないような些細な変化】
【――だけど、気持ち、色味が素肌に近くなった、ような、いや、気のせいなような、――頑張りの結果は曖昧である】

そうかな……、わたし、恥ずかしくて、すぐチャンネル変えちゃうから、見たことないの。

無理やりバイク乗せられて――服も水着ばっかりだったの、でも、わたし、水着って嫌だし……。
そしたらセリーナがあの服持ってきて。……他にもあったと思うんだけど、よく分かんない、覚えてないや――。

【実は、自分ではまだちゃんと見たことがなかった。たまにテレビを見てて、たまに行き会うことがあっても――それはもう】
【神速。ぷちっとチャンネルを変えてしまって、見たいテレビなら、数十秒後に舞い戻ったりする】
【芸能人のひととかは平気なのだろうかなんて思う――自分はきっと、そういうものにはなれないとも、思って】
【現れたマインドにはちっちゃく会釈なんてする。……いつものことである、時々話しかけることもあるほどで】
【植木とかぬいぐるみとかにも話しかけたりするのを見るに、そういう性格らしい。まして、マインド、それらより生き物っぽいし――】

……ん、そっかぁ……。

【返事を待つ間、彼女はなぜだか緊張しているようにして、きちんとしていたのだけれど】
【見るひとには見られたのだと分かれば、急にお行儀悪く、机に肘をつくようにして。それから、顔を両手で覆い、】
【最終的に流れのままで頭を抱えるような仕草に移行する。かき上げられた前髪の下に見えるのは、少し絶望したような瞳】

だけど……うん、……うん、いいや……。

【――それから脳内でなんとか自分を誤魔化したのだろう。なんだかぶつぶつ呟いたと思うと、ゆるりと顔を上げ】
【ベイゼに窺われた反応はこんなものだった。――それからその後は紅茶を飲み、パウンドケーキを食べ、それから、】
【(ちなみに、選んだのは抹茶小豆のものだった。小豆のごろごろ入ったのを、ただ、その瞬間だけは微妙に死んだ目で食べ)】

そうだ、それじゃなくてね、……えっと、ベイゼには謝っておきたかったの。
わたし……ひとりで考えちゃったし、いきなりセリーナに言ったから、急に決まっちゃって……。

その、ベイゼのお仕事増やすみたいなこと、言ってたから――。
……だから、ごめんなさい。大変だったりしたら、言ってほしいの。きっと、わたしのせいだから――……。

【話題逸らし――に見えるが、本題を思い出してのこと。件の日の前後、彼女は怪我をした、だとかで休んでいて】
【その間にずっと考えていた。それで怪我のだいぶ治ったあくる日、考えていたことを、セリーナへと言ってみたなら】
【思っていたよりは急に決まってしまって――ちょっとびっくりだったが、印象としてはその後のテレビで全部はちゃめちゃ】

【だけど――そんなことを言っていたのは覚えていたから。大変じゃないだろうかと尋ねるのだ、少しだけ不安そうにして】
【「もっともっと働いて貰わないと」だなんて言っていた。自分のやることも増えたが、ベイゼも巻き込んでしまったのではないか、と】
【水臭いといえばそうだが、性格でもあるのだろう。大変だったりするようなら、手伝うよ――と、のことで】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 16:28:12.98 ID:91QKY48So
>>48

……あー…、まあその、なんだ……あんま気にすんなよ。
セリーナはホラ、悪目立ちっつーのか?俗っぽかったけどさ
お前のは結構似合ってたし、むしろ可愛らしかったっつーか……

ぁ、でもそういうの目当てで来る客も居るか……?
そん時は俺が何とかしてやるから、今は悩んでないでケーキを楽しんどけよ。なっ?

【手にしたフォークをゆらゆらとさせながら、頭を抱える彼女に言葉を掛ける】
【説明を聞けば、何となくその頭のなかは分かる。強引に連れて行かれた上に】
【大方どうのと言い包められて、なんて光景が脳裏にはチラついて】

【結局、大した慰めになるかも分からないが――こちらも行儀悪く、フォークの先を彼女に向け】
【何か有ったら自分が、と告げて、ニヤと笑ってから自分もケーキをぱくりと口にし】

ん?……なんだ、そんな事まで気にしてたのか?
謝ること無いぜ、鈴音。忙しくなるのは誰のせいでもないし
それに、ホントにイヤんなったら出てっちまうさ。

元々『働く』って言ったのは俺なんだから、お前が悩む理由も無いしな。
……お前こそ、大変だったらちゃんと言えよ?
勝手に抱え込んでたりしたら、そっちの方が俺にとっちゃ問題なんだぜ

【元よりそういう性格――よっぽどでなければ、やることはやる】
【自分で決めたことなら尚更だ、と彼女に告げる様子からは、気にする事など無いというのが見て取れて】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 18:29:32.04 ID:skYASi+l0
>>49

【なんだか憂鬱げだった。ポジティブに考えれば、無意味ではないかとセリーナに問うたあの格好だって】
【こうして誰かの目に留まって意識を引けた、ということなのだが――そう分かっていても、やっぱり難しいものがあるのだろう】
【いきなりテレビ局に連行されて水着部屋に連れ込まれてなぜかあったメイド服(俗)に着替えて――撮影本番、】
【――気弱な彼女には大分刺激が強すぎたようだ。あれが楽しめた、セリーナ、すごいなぁって……魂抜けそう】

うん、そうする……。

【まあとりあえず憂鬱な顔ではケーキにも失礼だろう。近所のケーキ屋が魂篭めて(?)作ってくれたもの】
【もふもふと食べて紅茶を飲めば、――ちょっと元気の無い中でもおいしさは変わらない。ちょっぴり元気も出る気がして】

だって、あんまりに大変なお仕事がベイゼの分になってたりしたら、嫌かなって思って……その、
……会計のお仕事?とかよく分からないから、――――お手伝いできるのかも、分からないけど……。

……――あう、ベイゼ、出ていかないでね? そしたらわたし、寂しくなっちゃう……。
お客さんだってきっと寂しいよ、だから、何かあったら、すぐに言ってね――わたしに出来ることなら、なんでもするから!

【あの時セリーナが言っていたのはお金関係の仕事だった。そういうのは、実は、ほとんどよく分かっていないのだけど】
【家計簿すらろくにつけたことがない人間。それなら何するのかとか、――お察しな感じだけど、大変そうだとは分かって】
【なんだか難しく考えていたのもあったのかもしれない。思考が不安方面に傾きやすい、不安症……だけど、すぐに、】
【まだ出て行くわけでもないベイゼを引き止めることに脳内はシフトするから。何かあったらすぐに相談して、だなんて】
【無駄に自信ありげに言うのだが、すぐに「頼りがい、ないかもしれないけど……」なんて苦笑気味になるのが、彼女らしく】

うん、わたしは大丈夫、まだ本格的に始まったわけじゃないし……、始まったらどうなるのかは、分からないけど……。
今ね、テレビ局のひとたちがチラシ作ってくれてるの。だから、出来上がったらそれも配って……、やっぱり、大変、かなぁ。

でもね――自分で決めたことだから、ちゃんと最後までやりたいの。もちろん、自分ひとりで、だなんて無理だけど。
みんなに手伝ってもらうこともきっとたくさんあるの、でも、それでも、やれるだけやってみたい――頑張るって決めたんだ。

【紅茶を一口飲んで、飲んだ跡を指でぬぐう。そのまま無意味にカップのふちを指先でなぞって――少し笑う】
【やっぱり――だなんてくだりを聞くと、少し不安になる気もしたが。「大変そうだなぁ」なんて、他人事のように呟き】
【だけど投げ出したりはしない、――自分で決めたことだから。そんなところは、ベイゼとも少し、似通うようで】
【“自分がやると決めたことはやりたい”性格。気弱なくせに妙に頑固で、それが妨害されると拗ねる……とは余談だったが】
【気にすることなんてなかったみたいだと思えば、少し安堵した様子を見せるのだ――ふわと柔らかく吐息をして】

……それでね、ベイゼ、もしわたしが、いろいろ始めて――疲れてたらね、良かったら、遊んであげてほしいの。
お話とかしてもらえたら嬉しいな、――そうしたら、わたし、きっと頑張れるって思うんだ。

【そしてそんなことをお願いする、疲れてるようだったら、良かったら相手してくれないか、なんて、もの】
【店のちょっとした合間時間に話すとか、もしベイゼさえ良ければ家に来てもらうとか、そんなことがしてほしい、よう】
【だけどそれって、きっと今までどおりだ。それなら、――今までどおり、友達で居たい、というお願いにも似ていて】
【――件の仕事を手伝ってほしいとは言わなかった。お金が発生しないことだし、どうなるかも分からない、から】
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/10(水) 21:43:09.80 ID:Cnb5jNGro
【路地裏】

【吐く息も白くなるぐらい冷える夜だ。季節柄仕方ないってものだが】
【嫌なもんは嫌だ。アスファルトは夜露に濡れている。壁のクラックをダクトの風が撫でる】

【どっかの国じゃ今月を師走って言うらしい。マスターズランニング。時に同じく、そいつも走っている】
【ネオンの灯りで路面に映る長い影。背の高い男だ。どっちが影だかわからんくらいソイツの服装も黒い】
【黒い髪、黒いレンズのサングラス。ブラックスーツ、黒シャツ、ネクタイは白。ベルトと靴も黒で統一】

【背負ったボストンバッグも黒。右手に握る大口径のリボルバーの黒鉄。吐く息は白く、荒い。ソイツを追いかけるように銃弾が飛ぶ】
【弾丸に背中をタッチされる前に路地の角を曲がって逃げ込む。銃弾はそのままストレートに看板やコンクリの壁を破壊し、破片が弾ける】

『……チッ。また外した。逃げ足ばかり上等だな。噂通りか』
『伊達に指名手配されてないってわけだ。だから、金になるんだろ』
『伊達だよ伊達。俺達みたいなチンピラ上がりに追い詰められてるんだからよ』

【ライフルの弾倉を交換する男とショットガンを構える男。作業着のような服には自警団の腕章と徽章が付いている】
【2名は正式な自警団員らしいが、この活動はアンオフィシャル。プライベートなハンティング。何匹目かの獲物だ】
【ニヤリと下卑な笑みを浮かべ、銃を構え直すとゆっくりと後を追う】

ジーザス…コレじゃどっちが悪者わかったもんじゃない

【壁に背をつけて様子を伺いながら吐き捨てるように言う。このままじゃジリ貧だ】
【だが武器は拳銃と…大量のカネ。あとは煙草ぐらいなものだ。人気がないと言ってもこれだけ銃声がしていれば】
【誰かが飛んできてもおかしくはない。まあ、大抵の場合自警団なので状況は悪くなる一方だが】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/10(水) 22:12:33.00 ID:NF7tgn3ao
>>51

【銃声、銃声、また銃声。路地裏は狩猟場にしては騒々し過ぎる状態だ】
【片耳だけを左手で抑えている男が自警団の方に歩いていく】
【150cm程度の小さな背丈に薄いブロンドの髪。カソックと十字架を身につけている、神父だ】
【怪我をしているらしく、右腕に包帯を巻いて首から吊っていた】


 あー、うるせえな全く……おちおち散歩も出来やしねえぜ
 コホン……自警団の方々、これは何の騒ぎですか!?


【神父がつぶやいた文句はすっかり銃声でかき消される。咳払いをしてから彼は自警団員に聞こえるように大声で話しかけた】
【血相を変えて慌ててやってきたかのような、そんな表情を作って。声も正義漢っぽさを演出してはっきりとした感じで】
53 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/10(水) 22:41:30.53 ID:Cnb5jNGro
>>52

【自警団員は振り向く。一瞬、邪魔をしやがってという顔を作ったがこんなことが今まで無かったわけでもない】
【テンプレート通りに追い返せばいい。俺らにはそれが出来る。何故ならばオフィシャルな自警団だからだ】

『ええ…危険な、凶悪犯がこの辺りに潜伏していまして。今、捜索をしているところです。』
『大変、危険な手配犯ですから。一般市民は早急に退去してください。危険ですから。早急に。』
『祈りなら、全てが片付いてからにしていただきたい。今は我々の仕事ですから…』

【邪魔をするな。とわかりやすい拒否。話をする気もないと言った所だ。長引かせたところでその手のブツで】
【脅しをかけるだろう。オフィシャルな圧力。正当な説得力と正当な暴力を彼らは狂気の周りに持っている】


……たまには祈ればレグバが降りてくるってもんだ

【追われた男はポケットからタバコを取り出して火をつける。下手に動けばアイツらは無理にでも追ってくるだろう】
【どうしようもない。今は煙草を吸って、リボルバーを握り直すしか無い…その間に打開策でも考えよう】
54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/10(水) 22:53:32.36 ID:NF7tgn3ao
>>53

【騒動の要因は予想どおりだった。しかしそれにしては自警団員の数が少なすぎる】
【応援を待っているのか呼んでいないのか……振り向き際の団員の顔を神父は見逃さなかった】


 なんということでしょう!では邪魔にならないように引き下がります
 どうかお気をつけて……


【驚きに目を見開いてから、自らの浅慮を恥じるように目を伏せると、一瞬だけ祈りを捧げて背を向ける】
【そして一歩だけ踏み出す──自警団員たちを騙すにはこれぐらいで十分だろう】
【敵の方に向き直ってくれたかは知らないが、ともかくまず手近な人間の頭を引っ掴み、壁に叩き込もうとする】
【成功すれば続いてもう一人の懐に飛び込んで腹部に肘打ち、気絶させようとするだろう】
55 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/10(水) 22:56:48.15 ID:AdX0QhNAo
【倉庫街】

【大小様々な倉庫が立ち並ぶこの空間、昼間は忙しなく人が行きかうが、さすがにこの時間帯は静か、であるはず】
【しかし、そこに蠢く者たちがいた。複数人。月明かりの下に照らし出される異様な形の人影たち】

【倉庫街の中央に大型車が数台停車しており、その荷台に人影たちが次々に荷物を運びこんでいる】
【開け放たれた倉庫から、物資を奪い取っているのだ。その手際の素早いことは、人影たちの場馴れしていることを示している】
【食糧・貴金属・武器弾薬。その他様々な品が、大型車の暗闇の中に吸い込まれていく】

【その周囲には、複数名の死体が打ち捨てられていた。いずれも一撃で屠られたらしい傷だった】
【彼らのリーダーらしい男の死体のみが、一際大きな倉庫の扉の上に磔にされている。その胸に、杭で紙が縫い留められている】
【紙には、血文字らしい赤字で『カノッサ機関に歯向かう者には死を』と殴り書きがされていた】


――――時間だ。撤収作業に移るぞ

【重苦しい男の声が響く。奇怪な足音をさせて倉庫の一つから出てきたのは、人間の上半身を半分ほどにした大きさの肉塊だった】
【胸までほどしかない身体にボロ切れのような黒い布をしっかりと巻きつけ、口に装着されたマスク型の人工呼吸器からは、細い呼吸音が不気味に漏れている】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡がある。唯一、右顔面にのみ、ほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【額には黒い瞳の巨大な一つ目。面積一杯を埋めている。本来の両目の位置には義眼。右が青、左が黒】
【その場を荒らしまわる者たちの中でも、一際目立つ異形の姿だ】


【肉塊男の指図を受けて、同じく異形の人影たちが次々に倉庫から湧き出して大型車に分乗していく】
【薄汚い盗人どもの、今宵の仕事は終わりに向かう。盗賊らしい鮮やかな手際で、奪った物資をまとめ始める】

【肉塊男は、それに細かい指示を下しつつ周囲を警戒している。誰かがここにやってくれば、真っ先にこの肉塊が気が付くことになるだろうか】
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/10(水) 23:01:35.62 ID:8xeEPYA10

【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけなのですから
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対し、感情の含まれない双眸を向けたならばこれまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】








【某酒場。喧噪に包まれる其所の一角に、似付かわしくない姿が一つ】
【緑色のローブを纏ったその女は酒を飲むわけでも無く、台の上に本を幾らか積み重ねて居て】
【――――これまた“遺跡”だとかに関する専門書なのだから小難しい】
【然れど本人は苦もなく読み進めている様で】


「うーん……そっか…………大きな魔獣を封印した所だったんだ……
何時か行ってみたいけど、やっぱり一人だと危なそうだしまたクルちゃんとかを誘おうかな……」

【小さな呟きは誰に聞かせる訳でも無く、喧騒に消されて】
【さて、酒場の中では特に浮いた存在だ。周りの者は大半が仲間と飲みに来ているので気にしていない様だが――――】
【後から来た者は席を探そうと辺りを見渡せば先ず最初に目に付くだろうし、或いは一人で酒を飲んでいた者が良い獲物を見つけたとばかりに近寄る事も考えられる】
【何であれ、酒場とは治安が安定しているとも言い難く、近寄る者全員が善人とも考え難いが…………果たして】
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 23:07:19.30 ID:mO9S3aQEO

【人々で賑わう街の一角。宿屋も兼ねた酒場の一つ】

【その扉がからんからんとベルの音を立てて開き、一人の少女が出てくる】

【ハニーブロンドの髪に生成色のブラウスと青いリボンタイ。紫色のスカートに白いニーハイソックスと赤茶色のショートブーツ。右肩には取っ手に赤紫色のパーカーがはさまれた紺色のボストンバッグをかけた、十代前半の少女】

【少女は今し方自分が出てきた酒場を一瞥し、此処も駄目かと溜め息を吐く】

【これで何軒目なんだろうなどと呟く様子を見るにどうやら何かを探しているらしい】

えーと、後この町にある宿屋や食堂は……此処と此処……あ、此処はもう行ったか……
【少女は提げているボストンバッグをあさりメモを取り出す。どうやらこの町にある宿屋や酒場、食堂のリストらしい】
【少女は少しの間リストを確認していたが次第にわなわなと震え出すと】

差別主義者なんか大嫌いだァァァァァァァァッ!! 
【唐突に大声で叫び手に持ってきたリストを握り潰して全力でぶん投げる】
【不思議な事にその投げられたリストは凍りついており、少々固くなっている。当たれば恐らく痛いだろう】




58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/10(水) 23:19:19.66 ID:Cnb5jNGro
>>54

『それはどうも…お気をつけて』

【会釈して、男は銃を握り直す邪魔しやがってと舌打ちして、狩りに戻ろうとした】

『……がッ!!』
『……ッッ!!テメッ……うっ!!』

【自警団員と言っても所詮はチンピラ上がりの下っ端だ。ロクな戦闘訓練もしていない】
【銃がなきゃ強がれもしない。自警団のしるしがなきゃ威張れも出来ないような奴だ】
【そもそも表情を隠し通して騙しきれない程、ノンプロ。アマチュア程度の人間だ。不意打ちはクリーンヒット】

【片方の男は頭を打ち付けて倒れこむ。もう一人が慌てて銃を向けるが向こうのほうが速い。水下をやられて】
【銃弾をあたりにぶちまける。ライフルが文字通り無鉄砲に弾倉1つ分を吐き出して男は気を失う】

『がッ……やりやがったなッ…』

【頭を打ち付けられた男は銃を向ける。セカンダリで腿に装備した拳銃を抜く。――響く銃声】

【撃ちぬかれたのはその自警団の男だ。拳銃が路面を滑る。握っていた右手から血を滴らせる】
【撃ちぬいたのは追われていた男。右手にはリボルバー。左手には吸いかけの煙草。仁王立ちで正確に撃ちぬく】

『……テメッ…クソッ……グルかッ!?…クソッ…』

【右手を押さえてうずくまる。現れた男は煙草をくわえなおして此方に向かって歩いてくる】
59 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/10(水) 23:28:08.80 ID:NF7tgn3ao
>>58

【動きの全ては十分に訓練を積んだ者の軽やかな動きだった】
【流れるように打撃を加え適度なダメージを与えていく】
【最初の一人は仕留め損なった。銃を向けられると微かに射線軸から逸れる。だがその必要はなかった】


 グルじゃねえがグルかもしれねえな
 まぁなんだ、悪いとは思うが……これがてめえの運命だと諦めるんだな


【悪いとは全く思っていないように軽口を言ってうずくまる自警団員の顎を蹴り上げる】


 ……さて、折角助けたんだ
 素性ぐらいは教えてくれるよなぁ?


【こちらに向かってくる男に向き直るとにやっと笑う】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/10(水) 23:41:08.83 ID:skYASi+l0
>>57

【唐突な叫び声で周囲のひとが驚いたように少女を見やる、そんな中に混じっていた、黒赤のオッドアイは】
【元からの気質もあって周りのひとよりびっくりして――二段構えで驚くことになる、だって、何か、こっちに、】

――――ひきゃっ!

【結局――少女の放ったものは“彼女”の顔面に吸い込まれるように、命中。というか、クリティカルヒットというか――】
【これ以上ないほどに素っ頓狂な声を出して彼女――少女より少し年上に見える、少女――は、後ずさった際に誰かとぶつかり】
【ぶつかり、ぶつかり、……出来の悪いピタゴラスイッチみたいになって、最終的には、少女から少し離れた場所で座り込んでしまう】
【鼻の辺りをうっすらと赤くして、目をぐるぐるに混乱させて、「え?」とかなんだかそんなことを繰り返す、彼女は】

【黒い髪を腰ほどまで伸ばした少女。三つ編みをあしらったハーフアップで耳を出して、右耳には宝玉の欠片をあしらったピアスが】
【黒と赤で色違いの瞳はどこか蛇の目のように丸く、僅かに尖って。色白な肌だから、鼻の辺りが赤いのが良く目立つ】
【薄く桜色のブラウスに、黒一色のジャンパースカート。全体的にふわふわひらひらとして、リボン飾りがお尻のところで揺れ】
【羽織っているのはマント――とケープの中間ほどの長さのものだ。細かく刺繍の入った、丁寧なものであるのが窺えて】
【足元は薄手のタイツと、編み上げのロングブーツと――……、まくれ上がったスカートの中には、ガーターベルトの金具が見え】


なに、これ、……、……何かのリスト?

【――ひどく混乱しているようだが、その程度の思考は出来たらしい。飛んできたそれ、顔面にクリーンヒットしたそれ、】
【地面に落ちていたのを拾い上げた彼女は、未だに脳内にはてなをいっぱい浮かべながらそれを眺めるのだった。ぱちくりとして】
【落とし主は傍に居ないだろうかと視線をめぐらすのだが――だけど、それは、犯人を捜すような厳しい目とは、違っていて】

【――よいしょっと立ち上がってスカートをはたく。右手には件のリスト、冷たいのか、時折持ちかえながら】
【そして、その一連の彼女の仕草は――きっと、少女にも見える場所で、展開されていて】

/まだいらっしゃれば!
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/10(水) 23:52:02.23 ID:Cnb5jNGro
>>59

【顎を蹴られて、自警団の男は頭のダメージもあって気絶する。手は大した怪我じゃない】
【サングラスの男はやって来ると。背負っていた馬鹿でかいボストンバッグを適当に置く。ダルそうに首を回す】

【右手には黒鉄のリボルバー。銃身には美しいような不気味なようなエングレービングが施されていた】
【それはうっすら赤に染まっていたが男が撃鉄をゆっくり戻すと色は消える。単なる静かな白に変わる】

………素性?聴いてどうする?…知的な好奇心ってのは合理的じゃないな
…まあ……でも、助かったのは事実だ。聞きたいなら……オーライ

【男はベルトにリボルバーを挟んで片付ける。ビルの壁に背をつけてしゃがみこんだ】
【ちなみにそいつは身長は188センチ股下89センチ。しゃがんで足を折りたたんでも邪魔そうだ】

…銀行強盗して、色々やって何かそんな感じで、三日三晩かけてコッチまで逃げて来て
後始末何かをしつつあれこれ色々してたら、中古車のディーラーが垂れ込んだらしく馬鹿が撃ちに来やがった
…………そんな感じだ。コレぐらいの事はいつものことだ。…3日ぐらい寝てないほうがダルい

【煙草の煙を長く吐き出す。グロッキーなのは表情を見なくてもわかる】
【ニュースや新聞を見ているならわかるはずだ近々で起きた銀行強盗は報道されていた】
【犯人は幾つもの強盗を各国で行なっている手配犯だったらしい。いわばプロ。まあ、興味がなけりゃ関係ない話だ】
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 00:01:03.82 ID:gJSvejG0o
>>61

【神父もまた男に合わせて壁際によって背中を預ける】


 典型的な裏側の人間ってわけか……そりゃ寝てねえのは厳しいな?
 どうだ、俺の教会に来れば自警団の連中に見つかることなく寝れるが?


【そう言って神父はある方角を指差す。教会の方角だろう】
【手配犯であることは知っていた。こう見えても情報を集めるタイプだ】
【それに裏社会の人間はむしろこの神父にとっては近しい存在だった】
63 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 00:16:34.82 ID:Q0fuREh00

>>60

【突如人混みの中から聞こえた素っ頓狂な声。少女はその声にビクッと肩を震わせ辺りを見回す】

【その目に写るのは何かにぶつかって「おうっ」だの何だのと小さな声をあげる人々で】

……へ、あ? 
【その様子にしばしきょときょとと瞬きをするも、すぐに鼻の辺りを赤くした黒髪の少女を見つけ此方は青い顔になる】

(ああ、ヤバいヤバいこれやっちゃったって何でリストなんかぶん投げたんだ私ただの馬鹿じゃん否それ以上に人にぶつかってんじゃんどうしようこれ本当にどうしよう!!? )
【少女の頭の中を目まぐるしく駆け巡る思考。しかし身体の方は全くもって追いついていないらしく振りかぶって投げたようなポーズでフリーズする姿がそこにあった】


/ま…まだ大丈夫でしたら! 
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 00:21:09.99 ID:XtmsEG7ko
>>62

……何が表で、裏かわかったもんじゃないけど。……そうだな
けど、まあ……俺は誰も殺したことがないのさ。…まだ裏社会の洗礼を受けてない
それにテンプレート通りならもうパクられてるか死んでるはずさ。……くだらないな

【男は自嘲気味に笑う。こんなことで張り合っても仕方ないってわかってる】
【裏に染まりきれない自分がなんだか馬鹿らしく感じた。そう思い込んでいた自分に】

……今会ったやつを信頼できてたら、とっくの昔に俺は死んでいるはずさ
それに……寝れないのはいつものことなんだ。なんちゅーか…職業病だ

【それでも男は立ち上がる。短くなった煙草を捨てて、靴の裏でもみ消す】

………ステンドグラスはあるのか?

【男はボストンバッグを抱え上げて、彼に尋ねた】
65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 00:23:00.25 ID:y6X/o+nI0
>>83

【ぴよぴよと視界に羽ばたくヒヨコが見える気がした。或いは、なんかファンシーな気の抜けた音も】
【ぺたんと座り込んでしまった少女を周りの人間はすばらしい回避スキルで避けていく、それなら、】
【投げたままの姿勢で固まる少女と、思い切りそれを喰らってしまった少女と、――世界は二人だけのような錯覚】

【――だけど彼女はそのうち意識を取り戻して、立ち上がって、辺りを見渡す中で】
【明らかに何か投げた姿勢のまま固まっている少女を発見する。そうすると、手の中のそれと、彼女とを見比べ】

……――あなたの?

【なんて声を掛けてくるのだ。その声は、まるで、丸い銀色の鈴が喋ったらこうなるだろうか、というような声音をしていて】
【不思議な声だ。鈴の音とよく似ている、だけど、生き物めいた温かさはきちんと持っていて――りんとした、目立つ声】

でも……あんまり、こういうの、投げないほうがいいよ――その、すごい、……びっくりするから。

【身長は百六十センチ。高い靴を履いているから、百六十の後半くらい、実質的な数字はあって】
【見下ろすことになるだろうか。だけどあんまり威圧感……みたいなものは感じないだろう、別に、責めているわけではない】
【びっくりするだなんて言葉で気持ちを説明してくれるが、怒ったりしているわけじゃないのは通じるだろう。とりあえず】

【彼女は件のリストを差し出しながら――緩く首を傾げながら、相手のフリーズが溶けるのを待つのだろう】
【なぜだかリストが凍ってしまっているのは、対して気にしていないらしい。……こんな世界だもの、これくらい、アリだろう】

/だいじょうぶです! おねがいしますー
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 00:27:52.44 ID:gJSvejG0o
>>64

 ステンドグラスのない教会なんか、俺ぁ知らねえな


【神父は表通りの方へと歩き始めた】
【それからいくつかの交叉路を曲がったり、また路地裏に戻ったり、ということを繰り返して進んで行く】

【たどり着いたのは大きくも小さくもない教会だった】
【表の出入り口には入らず、裏手に回る。教会の裏側には庭、というより更地があった。あちこちで土を掘り返して何かを埋めた跡があった】
【裏手の小さな扉から中に入る。扉は台所に続いていた】


 おー、さみぃな
 紅茶は飲めるか?


【電気式の湯沸かし器に水を入れながら神父は聞いた】
【台所には大きな机が一つと、それを囲むように椅子が四つあった。座るならそこがいいだろう】
67 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/11(木) 00:41:21.45 ID:Q0fuREh00

>>65
【辺りを見回し、此方に向かってくる黒髪の少女】
【あ、これやばい怒られるパターンだ、と少女は察するがどうにも身体が動かない。当然頭の中はパニック状態で】

──ぴえっ? 
【そんな中で不意にかけられたスズのような綺麗な声。少女は思わずおかしな返事と共に声をかけてきた少女の顔を見る】
【といっても少女は156cmなので自然と顔を見上げる形になっているのだが】

へっ……あのっ、ごめんなさい! 
その……ちょっとイラッとする事があって……
【とりあえずフリーズは解けたらしくぺこぺこと頭を下げる少女】
【ありがとうございます! と差し出されたリストを受け取りながら元気に挨拶……した後に、うっわ冷たッ!! とリストをまた取り落としそうになる】
【大体察しはつくとは思うがこのリスト、彼女自身が凍らせたものである……のにこの反応である】



68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 00:44:36.31 ID:o7LWo164o
>>50

会計……に、限らなくても良いけど、なんか有ったら言えよ?
仕事だけじゃねェし、怪我したってのも気になってたしな

……チラシか。それくらいだったら、俺にも十分できそうだな
出来上がったら配るの、手伝わせてくれよ。
お前のためなら100部でも1000部でも捌いてやるからさ

【自分が割と適当で能天気、というか明るいぶん】
【目の前の彼女がやや心配症だったりするのは、バランスが良いようにも思えて】
【実務で出来ることはする、と伝え、強い信頼を示してみせる】
【代わりに、女の子らしい事はお任せ――と言うのは流石に口にしなかったが】

【そこで一服。南瓜の甘さに満ちたところに、紅茶を一口頂いて】
【続けてされる"お願い"には、意外そうに眉を動かして見せ】

なんだ、そんなんでイイのか?勿論、お話でも遊びでも……
時間さえ有れば付き合ってやるよ。仕事がなきゃ暇な人間だしな
……あぁ、ただし服の買い物はしばらく勘弁……いやほら、もうクローゼットが一杯だしさ……。

【遊ぶことなど、頼まれるまでもない。――それがひらひらの付いた服、ともなると別らしいが】
【ハハ、と最後の言葉には苦笑いを付け足して、実に気軽に引き受けるのだった】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 00:45:41.78 ID:XtmsEG7ko
>>66

【黙って男は着いていく。疲れて切っているからかもしれないが会話はない】
【そもそも男は余り喋ろうともせず、表情もサングラスで隠れているが殆ど無い】

【黙って、男は席につく。かばんを置きすかさず男は煙草を取り出して火をつける】
【何を言ってもこれをやめさせるのは難しいだろう。彼からすれば空気を吸っているよりも長いくらいだ】

フー………ついでに、ウィスキーでも入れてくれるとありがたい

【挙句に酒飲み。裏社会の人間にはそういうタイプは多いが、ここまでのやつも珍しい】
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 00:50:34.99 ID:gJSvejG0o
>>69

 そんな高いものを振る舞うほどの客じゃねえな、てめえは


【男に差し出されたのは暖かいミルクティーだった。茶葉は普通のものを使っているので味もそれなり程度だ】
【神父も席についてミルクティーを一口飲む。熱かったようで顔をしかめた】


 色々面白い話が聞けそうだが……とりあえず自己紹介といくか
 俺はディック、お前はなんて呼べばいい?


【カップを机に戻すと神父は話を始めた】
【名前が随分とふざけているように聞こえるだろうがこれは本名だ。信じるかは分からないが】
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 00:51:19.65 ID:y6X/o+nI0
>>67

【あどけなさを多分に残す顔だ。童顔と言えば聞こえはいいが、どうしたって、子供っぽい――あんまり怖くない顔であって】
【ちょっとした困惑の結果、なんとなーく笑っているのでそれが良く目立つ。ちなみに、これで、二十歳……いや】

でも……その、出来たら、やめたほうがいいよ。こういう場所でも、喧嘩したいひととかは、居たりするから――。
――危ないもの、女の子だし……。……、……あ、わたしは怒ってないから、いいんだけど……。

【――ぺこぺこと頭を下げられれば彼女は困ったように眉を下げる、それで、曖昧な手の動きで制しながら】
【まあとにかくやめたほうがいいよ、なんて、お姉さんぶって忠告する――のだろう。実際、年上なのだろうが】
【自分は怒ってないだなんて改めて宣言して、くしゅと苦笑する。真っ白い肌は、寒さに、薄らと赤らんでいて――】

……? それ、あなたがしたの?

【あれ、と思った。凍っているのは彼女の異能のせいだろうと思っていたから、その、今更な様子を不思議に思って】
【だけど、「したんじゃないの」なんて聞くのはちょっと言葉が強いように思えるなら――そんな風に、言葉を作り変え】
【彼女もそれを持っていたから、冷えたらしい手をちょっとすり合わせている。はぁとそっと息をかけてみたりし】

手が冷えちゃった、……わたしで良ければ、お話聞くよ。――何か、温かいものでも飲む?

【それでもやっぱり冷たいものは冷たい。冷たいのは……あんまり好きじゃない、夏なら、ともかくだけど】
【それなら手を温めたくて。やっぱり温かい飲み物かなあ――なんて思えば、思考は自然とそっちに向くのだが】
【何かいらいらしていたらしい彼女を置いていくのも、少し気になって。――尋ねるのだろう、一緒にお茶なんてどうか、と】
【――ある種のナンパみたいにも見えるが、別段変な意図などなく。ついていくなら――お茶くらいなら、奢ってくれるだろうか】
72 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 01:08:36.01 ID:XtmsEG7ko
>>70

【サングラスの男は大人しく紅茶に火をつける。こういうものを飲むのは数年ぶりな気がする】
【ビールなら毎日気を失うぐらい飲んでるけど……カップが似合わないなとメタな自分が批評する】

……ロッソ。手配書通りに名乗るならな。

【2丁拳銃。赤眼。義賊。チンザノ・ロッソ。機関やマフィアを除いた”個人業”の泥棒では有名な方だろう】
【まあ競争相手が居ないってのもあるが、気がつきゃとんだ大物だ。身長もそうだが。……知っていればの話だ】

話すことなんて無いって……何も。
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 01:17:33.22 ID:gJSvejG0o
>>72

【男の正体たる名前を聞いたとき、神父はわざとらしく笑った】


 てめえが話すことがないんじゃ、世界中の犯罪者どもは口が開けねえなぁ?
 個人でやってるやつじゃ結構な方だって話だが?


【指名手配犯、あるいは現代の義賊とも称される人間に武勇伝がないとは信じがたい】
【情報収集に余念がないとはいえ本職は神父たる自分でさえ知っているというのに、この謙虚さには笑うしかない】


 そうだな、義賊様の慈善事業についちゃ直接聞いてみたいもんだが……
 てめえの仕事に俺が入る隙間ってのはねえもんかね?


【世間話の気軽さで言うと、またミルクティーを、こんどは慎重に啜る】
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 01:19:22.36 ID:y6X/o+nI0
>>68

うん。何もないといいけど――何かあったら、ベイゼにも、セリーナにも、ちゃんと言う。
……怪我は、ね、もういいの。もう治っちゃった、だけど、――ひとをね、助けてあげられなかったの。

強く、ならなくっちゃ……セリーナに稽古つけてもらう約束もしたんだ。
みんなにご飯を作るのも、そうだけど。そっちもね、頑張るって決めたの。次に、誰かを、見捨てなくていいように。

【――いつかの彼女は、誰かに頼るのに怯えていた。裏切られるんじゃないかと……どこかで、いっつも、疑っていた】
【だけど気付けばそんな悪癖も治っていたのだ、いつから、とか、どうして、とか、全く分からないのだけれど】
【何かあったら頼る。そんな昔は言えなかったことを、今の彼女はあまりにも自然と言って――続く言葉は、少し言いよどむ】
【誰かを助けられなかったのだという。自分は怪我だけだったけれど、彼らが、今、どうしているのか……考えたくない】
【――助けられなかった。だから、強くならなきゃいけない。そうして、セリーナに稽古をつけてもらうと決めたなら】

【(それ以降、火曜日は半分死んだような彼女が見られるようになるのかもしれない。毎週毎週、律儀に、疲れているから――)】
【(まあ真面目にやっているのだろう、とは、すぐに見て分かったという――まあ、余談だ)】

ほんとう? ……ありがとう、そしたら、きっとすぐ配り終わるよ、だって、ベイゼが手伝ってくれるんだもん。

【寸前にちょっと下がったテンションを引きずって、笑みは薄い。だけど、本当に嬉しそうにして――そう信じている声をして】
【セリーナに伝えた名前でOKが出たら、きっとすぐにでも出来あがるだろう。配るときはどんな格好がいいか、なんて考え】
【そういえばクリスマスは全員サンタコスとか言っていたし――そういう格好で配ったら、面白いかな、なんて少し思う】

よかった。ベイゼとお話するの、楽しいもん。お店のときでも――すぐにね、疲れたの、どこかに行っちゃうの。
そう? この前ベイゼと一緒に買ったブランド、この前、冬のお洋服……かわいいのいっぱい、出したんだよ。

……でも、クローゼットがいっぱいなら仕方ないよ――ね。

【それから、本格的に破顔する。にこりよりもいくらか気の抜けた笑み、目じりを蕩かして、それも、また、強い信頼】
【そうするだけで疲れが吹き飛ぶだなんてヤバいクスリみたいにも聞こえるが――それくらいに、ベイゼを好いているという証拠でもあって】
【お洋服は駄目らしい――のだが、なんだか声がからかうようなものになっている。かわいいのいっぱい出たのに、いいの?みたいに】

【だけど、別にセリーナが彼女にしたように、服屋に強制連行の類ではない。行かないというなら、無理にというわけではなくて】
【「じゃあ今度、カフェでも行こうね」だなんてことをのほほんと言うのだ。ひどく平和に――そんな、約束をしようとして】

……そうだ、あのね、今度やる奴――みんなにご飯をあげようって奴、ね、“たんぽぽ”って名前にしたいなって、思ってるの。

わたしがすること、お花になって。いつか種になって。この国の風で、どこかに飛んでいくみたいに――、
――またどこかで、誰かのために咲いてくれたら、嬉しいなって思うの。……でも、ちょっと、その、……恥ずかしい、んだけど、

…………セリーナには言ったんだ。――駄目って言われちゃったらどうしよう? また、考えないと……。

【気付けばもう少しでなくなるパウンドケーキ。この休憩の時間を少し惜しむように、だけど、仕事もしなきゃいけないと思うように】
【もふもふと食べながら、そんなことを言う。名付けたい名前と、そうしようと思った理由、口にして――少し照れたようにはにかむ】
【それから、手を口元にやって。微妙にむっとしながらそんなことも言うのだった。一生懸命考えた案だが、確か、】

【セリーナに言われたのは“かわいくて”“おもしろい”名前である。……返事はまだ聞いてないなら、少し、不安でもあって】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/11(木) 01:26:43.03 ID:Q0fuREh00

>>71
……うう、それもそうですよね……またやっちゃった……いつも何かやらかして諭されちゃうんだよな……
【諭された少女はため息を吐いてぼそりと一言。その後に誤魔化しているのかつられたのかは不明だが此方も苦笑い】

──ふぇっ!? あっ、そのっ……
ち、違いますよ!? 私は能力者ではありませんよ!? 
【したかと思えば今度はしまった、と言わんばかりの表情を浮かべワタワタとせわしなく手を動かし否定する】
【とはいっても目が泳いでいるのですぐバレてしまうのだろうが】

え、あ……そーですね! 温かいものでも飲みましょうか! 
【そんな中で出た彼女の提案。当然乗らないわけはなくて】

【一瞬、あれ私今お金なかったような、という事が頭を過ぎるが能力者だとバレるよりはマシだと判断し、ついていく事にしたようだ】

76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 01:35:24.56 ID:XtmsEG7ko
>>73

別に……誰でも出来る。やるべきことをやればな
特別なものはない……話しても仕方ないってだけだ、隠したい訳じゃない
くだらない武勇伝としてシゴトを話すタイプでもないしな

…メディアが掻き立てるんだ。機関みたいなのはシャレにならないし、統制もかかる
俺のこと書けば、市民は喜ぶからな。金持ちが痛い目見て、死者もなくて、クールなエンターテイメントの一つってわけさ
お陰で有名になっちまったが…逆にそれで生きても行ける。他所とは違うのはそれぐらいだ

【一つの仕事は綿密かつスマート。銀行襲うのに10分とかからない。怪我させた数よりやられた仲間の方が多い】
【そして其処までやっておいて未だ捕まっていない。メディア戦略も彼の作戦の一つだった】
【三文記事のゴシップ雑誌なら少しカネを握らせれば書く。そうでなくてもネタをやれば幾らでも媚びる】

銃を突きつける、カネを奪う、逃げる、繰り返す。それだけだ。正義なんてありゃしないぜ

………何が出来る?…腕っ節の類は間に合ってる。俺のやり方じゃない

【感情のギアがローで止まってるんじゃないかってぐらい落ち着いて彼は煙草をふかす】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 01:37:48.49 ID:y6X/o+nI0
>>75

――だいじょうぶだよ、わたしも、昔は、失敗ばっかりだったもの。

【少女がぼそりとこぼした言葉。それに返るのは、少し年上らしい、自分もそうだった、なんて言葉】
【「そのうち治るよ」なんて言ってまた笑う。少し無責任なようだが、――強いて言うなら、】
【だれか、ほんとうに、自分を見てくれるひとに会えたら――きっと大丈夫になるのだ、なんて、思いながら】

…………、そうなんだ、?

【――続く言葉には、明らかに怪しんでいた。何言ってるんだろうこの子、という目だ。絶対に怪しんでいて】
【これで能力者じゃなかったら驚く。それとも魔法使いだろうか、――どっちにしろ、何か、力は持ってるだろうと】
【思う、のだが、――そう言うなら追求もしない。その変わり、だろうか、彼女はふらりと右手を少女のほうへ伸ばすと】

あげる、

【いきなりその手に魔力を灯す。何をするのかと身構えるなら――その数秒後には、その手には、桜色の薔薇が握られ】
【淡く魔力特有の光を放つのを見るに、これこそ能力か、魔法か……答えは前者、この少女も、また、能力者であって】
【それを教えてやる意味。――別にそんなの気にしなくていいのに、なんて、言っているようにも見えた。とにかく彼女は、】

じゃあ行こ、あっちにカフェあったから――、

【だなんて、言って、誘うのだ。言うが早いか、その足は動き出しているくらいで――ついていくなら、ほんの数分の距離】
【ちょっと小洒落た個人経営のカフェだ。珈琲から、ちょっとした軽食まであって。カレーにこだわっているらしいのがメニューから窺える】
【何にもなければ彼女は窓際の席を選ぶと、自分はホットミルクを頼んで、彼女が注文するのを、待つのだろう――】

【――ちなみに、さっきの花を受け取っていたのなら。枝まで桜色――僅かに紫色の混ざる色味なのは違和感だったが、】
【それ以外の花びらとかのディテールは素晴らしいものがあった。手触りすら、本物に良く似ているようで】
【受け取っていなかったなら、その手の中で握りつぶされる運命だが。――受け取ってもらえたなら、彼女も嬉しそうにしたはずで】
78 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 01:48:53.34 ID:gJSvejG0o
>>76

 メディアはてめえの味方ってわけか。俺も見習わないとな

【神父は大して感嘆していないように感想を述べた】


 出来ることは暗殺、説得、相手によっちゃ洗脳、拷問、そんなところだ
 金がほしいというよりは、知り合いを増やしたいってところだけどな
 裏社会で生きるんならコネも大事だろ?ん?


【自分を売り込んでいる状況ではあるが、神父にあまり必死さや真剣味はない】
【数あるコネのうち、新しい一つを作れるかどうか。そんな話でしかないからだ。断られたところで死ぬわけじゃない】
79 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 02:04:01.54 ID:Q0fuREh00

>>77
そうだといいんですけど……私のは性格っていうか……何ていうか……向こう見ずなんですよね、昔から
【苦笑しながら頬を掻きながら、治るかなぁと呟く】

そ、そうですよ! 私、凍結能力者なんかじゃ絶対ないんですから……あっ
【力強く頷いてみせてから何ともまあテンプレートな失言をしてしまう少女。その顔はみるみるうちにまた青くなり、せわしなく視線を泳がせる、が──】

【自分に伸ばされた手とその手に現れた花に少女は目をぱちくりとさせる】

【だがその数秒後にはぱあっと顔を輝かせ花をその手に受け取り「凄い」などと感嘆の声をあげる】

良いなぁ……私のもこうやって形が作れたらいいのに……
【手の中で薔薇の花を弄びながらついていく少女。そうしてついたカフェで彼女はコーヒーを注文する】
【大人ぶりたい年頃なのかブラックでと頼んでは店員にかしこまりましたなどと少し含み笑いで返されている】


80 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 02:13:33.54 ID:o7LWo164o
>>74

……そっか。お前が強く……人を助けるか。
耳が痛ェな、俺も元々は人を傷つける側だったしさ……。

……ま、お前みたいな可愛いのが人助けしてたら
悪い連中もちっとはやる気なくしてくれるかも知れねェし
頑張るってんなら、俺は後ろでお前の努力を見届けさせて貰おうかな。

【と、何処か遠い所を見るような目で言って。思い出すのは一年以上も前のこと】
【あまり詳しく話したわけではないが、悪人だったことは伝えていたか】
【今はこうして仲の良い友人――或いはそれ以上に親密に思える間柄なのだから】
【関係ないこと、といえばそうなのだが。必要なら稽古を手伝うとも付け加えた】

【――ちなみにクリスマスは全員サンタコス、というのは聞きそびれているらしい】
【本能的にそうしているのか、偶然か。当日の阿鼻叫喚が容易に想像できそうだが】

へ?……あ、ああぁ、イッパイだからな……捨てるわけにもいかねェし……?
まあ、見てみるくらいならちょっとくらいは…――ごは……あぁ、ご飯……ね。

"たんぽぽ"か……良いんじゃないか?名前の由来もちゃんとしてるし
さっき例えに出したのとも……つまりほら、鈴音の事とも一緒だしな。
偶然だけど、それもなんかの縁っつーのか…――アイツならダメなんて言わねェよ。

それに、俺もその名前に賛成だ。もしダメなんて言われたら、俺が良いって言ったって返してやれ

【服の件ではちょっと迷うように、惹かれるように。そして名前の件に変われば】
【良い話を聞いたとばかりに飛びついて、しかしちゃんと考えも伝えて返す】
【実際、自分には出来ない事だ。他人のために無償で努力する、その名前を考える】

【出来ないことだからこそ、彼女がやろうとするのは応援したい。その彼女が考えたのだから】
【きっとそれが最良なんだ、なんて考えもあった。かちゃ、と置いたカップは底が覗いていた】
81 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 02:13:36.00 ID:y6X/o+nI0
>>79

【薔薇の花。昔から好きな花だ、――とある“幼馴染”のせいで、もっと、ずっと、好きになったけれど】
【本当は一番好きなのは桜の花だが、それよりもインパクト。桜の花の小ささより、薔薇の花の大きさのほがいいと思って】
【喜んでくれたようなら彼女も嬉しそうにする。心なしか、ふわりと淡く光る薔薇自身も、嬉しそうに見え】

わたしね、さっきみたいに……、魔力でモノを作れるの。ううん、でも、何でも作れるんじゃなくて……。
形とか仕組みを良く分かってるものだけなの。だから、……その、鉄砲とかは作れないけど、薔薇のお花とか、

そういうのはね、作れるんだ。好きだから。――友達のおかげでね、好きになったんだ。元々好きだったけど――。

【そしてカフェの席。店員の含み笑いには気付いたのか気付いていないのか、立ち去るのを横目で見れば】
【あっさりと自分が能力者だとばらしてしまう。隠そうとした少女と、隠さなかった少女と、たぶん、それは、】
【能力を持っていることで嫌な思いをしないで生きてきたのだ。――氷の少女に、何があったのか、彼女は知らないけど】

それで……、わたしで良ければお話聞くよ、その――嫌じゃなければ、だけど、……。

【店員さんが注文を取るときにおいていった水、かすかにさわやかな香りのするレモンウォーターを飲んでから、】
【彼女は改めてそんな話題を持ち出す、彼女をお茶に誘った動機の大きなところ、嫌でなければ、その逃げ道も用意しながら】

あ――わたし、鈴音って言うの。鈴音・シュトラウス……、あなたの名前も、教えてくれたら嬉しいな。

【――だけど、名乗るのをすっかりと忘れていたらしい辺り、詰めの甘いところもあるらしい。頬を緩く掻きながら】
【告げる名前は異国の響きが並ぶもの。見ればその左手の薬指には指輪が嵌められていて、それなら、それが原因らしい】
【にこにことしながら彼女の名前を尋ねる、――少女が答えてくれる頃には、飲み物も届くだろうか】
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 02:14:10.77 ID:XtmsEG7ko
>>78

それなりに……な

【実際、大手新聞社なんかは狙われる側だ。政治家、スポンサーとの兼ね合いもある】
【多くは報道されない。そもそも犯罪者を持ち上げることはこの現代でモラルや”常識的”にありえない】
【味方は弱い。多くは単なる犯罪者、ニュースで30秒間分の興味しか無いだろう。裏社会なんてそんなものだ】
【裏社会のことは裏のまま、影の中で起きて、消えていく。カノッサなんかも結局は同じだろう】

……表だって生きていくにはコネクションが必要だろうさ。人は1人じゃ生きていけない

【細く、煙が立ち上るタバコを指に挟んだまま男は黙り込んだ。何か考えているのか、疲れきっているのか】
【黒い男はそれだけで空気を塗り替えていくような雰囲気を振りまく。夜を生み出すかのような雰囲気】

……神は信じているか?…運命は?祈るか?

【やっと、口を開けば半ば関係のない話を振る。神父にするような話じゃないが男の真意を読み取るのは難しいだろう】
83 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 02:22:41.03 ID:gJSvejG0o
>>82

【ロッソが黙っている間はディックも答えを待って静かにしていた】
【一定の間隔で彼が飲み物に口をつける音だけが、二人の間で響くだけだ。その動きはどこか機械じみていた】
【やっとロッソが口を開けば、今度はその真意の分からないディックが黙る番だった】


 ……祈りはする。運命も信じる
 だが天上の神は信じていない


【神父の声は重々しいものだった。一言一言を確かめるように、ゆっくりとした言葉だった】
【それは神父が神を信じていないという、変わった答えだった】
84 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 02:34:14.33 ID:y6X/o+nI0
>>80

【「わたしだって、そうだよ」「……だから、その分、誰かを助けたいの」】
【祈るように組んだ手、肘を突く要領で顔の前にやって、おでこを預ければ、伏せる眼】
【数えるのをやめるくらいに傷つけた。それも、きっと、ベイゼならば些細な雑談の隙間から見出したかもしれないし】
【そうでなかったとしても、その言葉がどちらも本当であるのは分かるはず。今までの分、――誰かを。その覚悟】

――上手に出来たらケーキご馳走してね、そしたらわたし、いっぱい頑張っちゃう――。

【でもすぐに破顔してしまう。少し悪戯っぽさを混ぜ込んだ、子供っぽい、彼女が時折見せる笑顔】
【褒めてもらえると嬉しくなるタイプだった。そういうところは犬っぽいのかもしれない、――少し冗談めかして】
【実際に褒めてもらえたらもう本当に嬉しくなっちゃう様子が目に見えるようだ、扱いやすい……いや、】

【稽古を手伝ってくれるという話には、これまた嬉しそうにした。「ありがとう」なんてにっこりして】
【それからふっと気付いたみたいに、「お手柔らかにしてね?」なんて、上目遣いでお願いしてくる。手まで合わせ】
【だけど――こんなことを言いながら、実際お願いする段になれば。思ったより頑張ってくれる、とは、未来の話だが――】

【――サンタコス、実は、結構、楽しみにしているのだった。なんだか楽しそう、なんて思っていて】
【みんなで着る、というのが理由だったのかもしれない。そういう、みんなで何かをする――とか、あんまり経験したことがない】
【あのワンちゃんも、ミハエルも、お侍さんも、ロウも、――もちろんベイゼも。みんなで着ると思うと、楽しかった】

――じゃあ今度、ちょっと見に行こうよ。早くしないと、かわいい奴、売り切れちゃうかもしれないし、――。

【はしゃぐとすぐに声が高くなる。じゃあちょっとだけなんて言うけれど、きっと、それだけじゃあ済まなくって】
【鏡の前にベイゼを立たせてとっかえひっかえ、くらいは普通にやりそうだった。それで、自分も、数着買ってみたりして】
【――だけど、そんなの、絶対に楽しそうにするのが分かるから。そう、良ければ、付き合ってやると――喜ぶはずだ】

それでね、たんぽぽの花言葉。“まごころの愛”って、言うんだって……、……自分のこと、そういうの、恥ずかしいけど……。
そういう風に出来たら、いいかなって思って――、それに、冬の終わりに咲く花だから。みんなにも、春が、来ますようにって。
寒い時期が終わって、暖かい……そんな時期になりますようにって、お願いもあるの。……、いいかな、ありがと。

【それでいて、たんぽぽ――企画の名前になると、少し真面目さも帯びる。いろんな意味を篭めたらしいのだ、その花に】
【花言葉も時期も彼女が決めたものでないけれど、不思議と意味が合う。どんな偶然なのか、神様の悪戯みたいだけど】
【“いい”って言ってもらえたら嬉しそうに、安堵したように笑う。そうして紅茶を飲めば――気付けば、もう、ほとんどない】

駄目って言われたら、そう言うね。――じゃあ、わたし、そろそろ、夜の準備しなくっちゃ。
今日はね、新じゃがが安かったから、……えーっと、そうだ、ポテトフライとか……小さいのを、丸ごと揚げるの。どうかな、

【それならと最後を一気に飲んでしまって、残ったパウンドケーキも食べてしまう。それからぐうと背伸びすると】
【そんな風に言って――休憩も終わり、ということだろうか。話したいことも、あらかた伝えたように思うし】
【もちろんまだベイゼから話があるということなら、聞くだろうが。――どちらにせよ、仕事に戻る時間は近いようだ】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/11(木) 02:36:20.22 ID:Q0fuREh00


>>81

【魔力で出来た薔薇の花を手の中でくるくると回しながら少女は何度も良いなぁ、綺麗だなぁ、凄いなぁ、と子供っぽくはしゃぎながら見ていたが】

【少女が自分の能力について話すと、そうなんだ、凄いですねなどと言って目を輝かせる】

私なんかただ触ったものを凍らせるだけの能力ですよ? 
空気とかも凍ったりしないし……もうちょっと派手なのが良かったなあ……
【そしてあっさりと自分の能力も明かす。普通の人になら明かさないのだが相手が能力者だというのなら話は別のようである】

……う、あの店員さん笑ってた……ブラックコーヒーくらい飲んだって良いじゃないか……もう
【店員の含み笑いに気付いたのか少しだけムッとした表情を浮かべる様はやはり子供っぽくて】

……えっと……その……
あ、私はサフィア・エレファリスといいます
【流石にすぐ話す、というわけにもいかないようで少女は取りあえず自分の名前を明かしてから「鈴音さん……ですか」などと呟いてみる】

86 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 02:48:04.30 ID:y6X/o+nI0
>>85

でも……わたし、こういう慣れたのならすぐに作れるけど、そうじゃないと、集中しないと駄目なの。
それに、作ったものだって……覚えてる間はいいけど、忘れちゃったら、消えちゃうもの。“そうしよう”って、
……消えないように、消えないように、って作ったら大丈夫だけど――結構ね、疲れちゃうかな。

【綺麗、凄い、そんな風に言われると――彼女は嬉しそうにしながら、どこか照れたように唇を噛む】
【実質なんでも作れる能力ではあるが、兵器を作らせる、とかは難しいのだった。そこまでのスキルがあるわけではない】
【設計図片手ならできるかもしれないが……やろうとは思わない。そもそも、そういったものは、苦手だし――】

でも、凄いよ。なんでも凍っちゃうの? ……わたしね、他に、水も出せるけど……。
凍っちゃったら駄目になっちゃうもん、あ――でも、触らないと駄目なの? それじゃあ、わたしの勝ちかな……。

【――触ったものを凍らせる能力。それもそれで結構凄いと彼女は思ったらしい、その理由といえば、】
【彼女が物体生成のほかに水を操る力も持つからで。……凍っちゃったら、ただの、なんともない像みたいになってしまう】
【だけど――最終的にはそんなことを妙にのほほんとしながら言うのだった。もちろん戦うつもりなんてない、冗談として】

わたしの水、いろいろ溶かしちゃう、毒なの。

【その理由も教えてくれるのだが、……あどけない顔して、結構、えぐい力のようだった。人差し指を立てて、「しー」なんてして】
【内緒だよ、なんて呟きも後に続く。――まあ、とりあえず、能力のことだ。あんまり言いふらすべきではないのだろうけど】

【――ブラックコーヒーくらい。その言葉に微妙に肩身の狭さを感じる、ノー思考でホットミルクを選んだ身としては】
【いやだって珈琲飲めないし……苦いし……なんて言い訳をしていたら、ちょうどそのタイミングで店員がやってきて】
【少女にはブラックコーヒーを、彼女にはホットミルクを置いて、「ごゆっくり」――そう、立ち去るのだった】

鈴音でいいよ。

【サフィア。その名前を彼女は声に出さないで呟くようにすると、そんなことを言ってくる】
【別に無理強いはしないが、“さん付け”はあんまり慣れていないのだった。――だから、なんだかむずがゆくて】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 03:02:57.67 ID:XtmsEG7ko
>>83

【神父の話を聞く彼はまたじっと確かめるように聞く】
【すぐには答えない。独特の間合いを作る。今は此方が神父であるかのように】

俺は信じる。……こんな生き方をして、偶に奇跡が起きる。そんなことがあると神様って奴は
居るんじゃないかって思うんだ…いや、思うっつーか…知るって言うか…
聖書に載ってるのとは多分違うもんだろうけどな。…運命こそ神なのかもしれないし全てが……

【そこでまた、男は黙りこむ。深淵の中に閉じ込められたかのような男。彼は求めている。だが与えられるのは神だけだ】
【答えられるのは神だけだ。運命と意志の相互作用で生まれた世界で彼は祈るしか無い。祈りは意志だ思考が巡る】

……俺は死んじまいたいよ

【煙草をポケットから取り出した携帯灰皿に押し込む。そして立ち上がる】

…悪いが、仲間には出来ない。神父ってのは中々、使える職業だがメンバーが足りていてな
これ以上増やしたら分前が少なくなって赤字だ。それにドロボウってのは旨味もないもんだ
アンタは一人でも生きていけるさ。免罪符でもさばいてるほうがパフォーマンスに優れるだろうさ

【男はカバンを担ぎ上げる。中から札を適当に握りしめて取り出して、机の上へ】
【紙幣がどれもしわくちゃで汚れているのはそれがマネーロンダリング…クリーニング済みであることの証だ】

…次はマシな酒でも出せよ、アディオス

【簡素な挨拶。それで十分だろう。彼は戸をくぐりまた夜に消える】


/夜も深くなってまいりましたのでここらで失礼します
/お付き合いいただいてありがとうございました
88 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 03:04:36.64 ID:gJSvejG0o
>>87
//お疲れ様でした
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/11(木) 03:25:06.38 ID:Q0fuREh00

>>86
そうなんだ……やっぱり他の人の能力もデメリットがあるものなんだな……
──って、疲れちゃうって……大丈夫ですか!? この花返した方が良いですか!? 
【感心したようにふんふんと頷くもつかの間、形状を保つのも疲れるという話にえ、と固まりおろおろと花を鈴音に向けてみたり戻してみたり】

多分大概は……あまり大きなものでやった事はないんですが……
ふふ、でもそうですね。直接的触んなきゃいけないから鈴音さんの勝ちです! 
……て、えぇ……毒だからかぁ……
【そりゃ触れないよ、などと苦笑しながら呟くもすぐに「内緒、ですね! 」と真似して口の前に人差し指を持ってきてにこりと笑う】

え、鈴音さんブラックコーヒー飲めないんですか? 
私よりも大人なのに……
【左手の指輪で自分よりも大人であると判断したらしい。大人にしてはちょっとあどけないかも、とは思ったが櫻の国の人間らしき名前がどうにかしてくれた】

【「櫻の国の人は実年齢より若く見えるらしい」といううろ覚えの知識がサフィアにあったからこそ鈴音を大人と判断したのである】

私はほら、この通り──
【澄ました顔でブラックコーヒーを一口……飲んでから店員が一応持ってきてくれていたシュガーポットから角砂糖を三つ四つ投入し、ついでにミルクもたっぷり注ぎ、誤魔化すように笑う】

え、あーっと……鈴、音……うん……
【鈴音で良い、と言われれば少し居心地悪そうに呼び捨てで呼んでみて】

えと……鈴音さ……鈴音、は……能力を見せて怖がられたり偏見の目で見られた事ってありますか? 
【ぽつり、と彼女に尋ねてみる】



/申し訳ありませんが時間も時間なので此処で凍結にしてもよろしいですか?

90 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 03:26:25.88 ID:SQMtGoS6o
【淀んだ空気が充満した路地裏、月すら見えぬ闇夜にて】
【呻き、叫び、絶叫――――滴る血がアスファルトを濡らし、冷えていた其れを微温く染め上げる】
【欠落し落下していく己自身、あたかも最初から無かったかのような錯覚の直後激痛とともに斬られたことを理解する】

『やめ、やめろ……やめてくれぇ…………っ!!』

【皆一様に口を開けば似たような言葉ばかり、まるで打ち合わせでもしているのではないかとすら感じる】
【やめろ、痛い、苦しい、死にたくない、それもいい。嫌いじゃあない。弱者が這いずり命を乞う、芸はない光景だが王道とは素晴らしい物だ】
【しかし同時に思う。もう少し斬り甲斐が欲しい、斬ろうとしても斬れない、そんな人間を斬ってみたいと】
【死を愛している。殺すことを愛している。故に無様な死も差別なく喰らおう――――だが粗末な食事ばかりで満たされる程、此の飢餓は安くない】

仮にやめたとして、君はどうする? どうなる? どうしたい?
見れば分かるだろう、足はもう無い。逃げれない。腕はもう無い。戦えない。
敵に罵倒の一つも言えない人間が、今更何が出来るんだい? ――――それとも、本当にやめようか?

【よく通る澄んだ声が、路地裏に響く――――痩身の、奇妙な存在】
【腰まで伸ばした黒髪に、雪のように透き通った肌。細身をダークスーツに包んでいる】
【顔の上半分は黒い狐面で覆われていて、黒い瞳と赤く充血した白目が面の奥から覗いていた】
【総てを嘲笑うかのように歪められた口元、まるで空間に墨汁を一滴垂らしたかのような黒が其処には

在った】
【右手には一振りの刀、聖なる邪悪と称すべき矛盾を孕んだ超常の刃。目の前に広がる凄惨な悪夢を作り出した主が誰なのか、ひと目で理解出来るだろう】

【数十秒前、此の場には八人の人間がいた。路地裏という立地上、此処では何かしらの事件がよく起きる】
【今日もそうだった。なんてことのない、ただの暴行。一人の少女を三人の男が囲い、己の欲望を満たそうとしていた】
【其処に四人の警察が訪れる。少女は助かったと思っただろう、男たちは抵抗しようとするも内心では相当焦っていた】
【そして両者が激突する其の瞬間――――影は此の場に突然『降って来た』】
【十数メートルは在るであろうビルから降って来たと思われる其れは、瞬く間に男二人と少女の首を落として】
【次に躊躇いなく警察を殺した。その場に混在していた正義と悪、其の両方が物言わぬ肉塊へと変えられてしまった】
【何が起きたか分からない。けれど逃げないとまずい。ただ一人生き残っていた男は、一瞬の逡巡の末本能のままに逃走するために】
【たった一歩目を踏みだそうとした。だが其れは叶わなかった――――何故か、理由は単純だ。すでに足が無かったからである】
【気付いた時には斬られていた。斬られたことにすら気付けなかった。襲い来る痛みに耐えられず、絶叫が響き渡る】

――――なぁんてね、大丈夫。君はしっかりと僕が殺すよ、安心してくれていい。
君が死ぬ寸前まで這いずり廻るのを眺めるのも悪くは無いけれど、別に僕は人が苦しむさまを見て喜ぶような下卑た人間じゃあないからね。
ん? なんだって? お前はなんだ……? あはは、質問まで君はありきたりだなぁ。
そうだなぁ……なんだと言われたら少し困るけれど、要はただの人斬りさ。何処にでもいる平凡な人殺し、君と似たようなものさ。
名前はそうだなぁ、まだ考えていなかった。いや、これでも一応身分を隠している身でね。名乗るならば偽名じゃないといけないのだけれど……。
ちょっと待ってくれ、今すぐに考えるよ。そうだなぁ――――じゃあ、こんなのどうかな?
『デッドアンバー』……ああ、そうか。君じゃあ意味もわからないか。けれどまあ君を殺した人間の名前だ、しっかり胸に刻んで逝くといい…………じゃ、さよなら

【奥歯がガチガチと音を立てる。腕も足もない、斬られた己の欠片へと視線を逸らした】
【細切れにされた手足、白目を剥いて転がる友の首、鉄のような臭いで満たさた其処には、目を逸らしてなお背けたくなる光景しか存在しなかった】
【まるで元から繋がっていなかったとすら感じられる切断面、絶対に逃れられぬ事を理解し今一度影へと目を向ける】
【息を忘れる程の殺気を前に、走馬灯すら見る暇なく、刃が振るわれようとし――――――――】
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 03:27:15.48 ID:y6X/o+nI0
>>89
/凍結了解しましたっ、こちらも眠たかったので、そろそろかなあと思ってたところですし……
/明日は遅くても夕方ごろには待機してられるかと思うので、そちらの手が空いた頃に再開できればと思います
/多分夕方までには返しておきますので、ひとまずお疲れ様でした!
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 03:29:38.19 ID:SQMtGoS6o
>>90
//眠気が来たので取り消しで……
93 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 03:48:38.95 ID:y6X/o+nI0
>>89

ううん、大丈夫。……なくなっちゃうまで、それ、見ててくれると嬉しいな。
せっかく作ったんだもん、それも――そうしてもらったほうが、きっと、喜ぶから、ね。

【その花はいつか消えてしまうものだ。返してもらったところで、ただ髪に挿すくらいしか出来ないだろうし】
【それなら、喜んでくれるひとに持っていて欲しかった。そのほうが花も喜ぶ、だなんて、そんなことを言い】

うん、内緒。あんまり言いふらすものでも、ないし――、

【やっぱり、言いふらすものでないという認識はあったらしい。だけれど、能力者ということを隠す少女に対して】
【少しでも警戒を解いてもらえるなら、と教えたかった。成功してよかったと思う、少しだけ、表情を柔らかくしてみせ】
【でも。すぐにその表情は固まることになる。――なぜなら、】

…………。

【大人なのに……そういわれても飲めないものは飲めないのだが。なんだか責められているようで、気まずい】
【微妙なうっすい笑みで沈黙してしまうのだ。或いは困ったように見え、とりあえず、自分の分のあつあつミルクを飲み】
【「その……」とか言おうとしたところで、彼女が砂糖とミルクを追加している現場を目撃する。あっみたいな顔をすると】
【言い訳するのもやめるのだ。「同類じゃない?」みたいな顔で、――ほほえましいような顔で見つめてくる。ひどいはなしだ】

ん……、……能力を見せて? ――ない、よ、ないと思う。覚えてないもの……、うん、きっと、ない。
サフィアは……そんなこと、言われたの? 誰かに、駄目って、?

【尋ねられたとき、彼女は一瞬、言葉を詰まらせた。ミルクの水面が揺れるのを数秒見つめて、ようやく視線をあげ】
【ない――答えはそうだった。少なくとも、そういった類の人間とは出会ったことがない。居るのかもしれないけれど……】
【自分の知る限りの世界には居ない。印象にあるのは、泣いてる自分を能力を使って慰めてくれた幼馴染のような、そんなひとばかりだ】

【そうでないひとでも――とりあえず、能力者であることを否定されたことはない。だから、少し、驚いたような顔をして】

【(いや、厳密に言えば。この能力を恐れられたことはある、だけど、それは、――彼女が、まだ、ひとを害していた頃の話で)】
【(そうでないときはそんなことはなかった。だから、彼女は、自分が能力持ちであることに疑問を持ったことすら、――ないのかも)】

/お返ししておきますー
94 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 20:30:34.05 ID:9h90pcCDO
【街中──掲示板の前】


【ひゅうひゅうと冬の風が吹き付ける中、人を待っているかのような少女がいた】
【夜色の髪に、夜色の瞳をした彼女の歳は、18ぐらいだろうか】
【きょろきょろと周囲を見渡し、「待ち人」と似た姿を見かければすぅっと視線で追いかけていた】

【──少し彼女を観察していれば、わかることがある】
【「学生」……いや、「女学生」ばかりを、目で追っていた】
【彼女の背には、布に包まれた刀剣らしきものが一振り】
【──学生探しに似合う探偵セットとは、とてもじゃないが思えなかった】


……むぅ、なかなか見つからないものだな
せめて瑛月から、手がかりのひとつでもあれば違うのだろうが──


【そう少女は呟くと、またきょろきょろと街中の女学生を目で追いかける】

【──ちなみに、少女の後ろにはこんな貼り紙が、ひとつ】
【「この子を見つけたら連絡ください」】
【「連絡先:×××-××××-×××× リーベ」】
【……肝心の「似顔絵部分」だが、多分、女の子のイラストがふたつ】
【金髪ぐるぐるの、目にやたら線が入った子と、横にゲジゲジ?が描かれた茶髪の子だ】
【ゲジゲジの上にはでかでかと「7」の番号があり──】
【女の子たちの間には、カラフルなお星さまマークが浮かんでいた】
95 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 20:43:29.76 ID:PmgKIKE/o
【路地裏】

【微かに開けた空間で、時折カチャリ。と金属がぶつかる音がする】
【空間に有る人影は大小2つ】
【1つは陰からもう1つの小さな人物を見下ろしている】

【そのもう片方、1人の少女が大きなトランクに手を入れて】
【カチャリ、少女が手を動かすと音がする…いや、音はそれだけでは無く】

「やだ、ゴメン…ゴメンなさ……止めて…」

【少女は呟きながらも手を止めず…止められず…目に涙を浮かべながらも今行っている「作業」を正確にこなしていく】
【トランクからは微かに香る血臭。よく見れば少女の手も血に濡れて居て】
【トランクの傍に有るのは少女の弟―――その「骨」と「皮」。少女は今、弟の最後の臓器をトランクへ「移し替えた」】
【故に人影は2つ。少女と、それを見守る者の】
【しかし、耳を澄ませば聞こえるだろう 「助けて」 「痛い」 「お姉ちゃん」】
【そう、トランクの中身は「生きて居る」人だった頃の顔も、身体も失って尚「生かされている」】
【それでも手を止めないのはトランクへ移し替えるにあたって臓器の位置や血管の配列等の調整をしているからだろう】

……こんなものか

【少女達を見下ろす影…声からすると男だろうか】
【飽きたとでも言いたげな声を漏らすと少女の方へ一歩踏み出し、同時に右手を振り被り】

【―――殺意は無かった。鼠の様に優しく、虫けらの様に愛おしく】
【少女の首を斬り落とさんとする手刀は当然の様にそのか細い首へと奔って行って――――】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 21:14:57.91 ID:C5hbImBBo
>>95

【振り下ろされる男の手刀、その手を狙い光が走る、闇を裂く】
【弾ける雷の輝きを放ちながら、闇の向こうからまっすぐに飛んできたのは黄金の金剛杵(ヴァジュラ)、矢の様に飛び魔の手を弾かんとした】

【遅れて、金剛杵が来た方向から人影が近付いてくる、時たま弾ける黄金の火花に一瞬一瞬照らされるその姿は金剛杵を投げた人間の物に他ならない】
【その背に背負うは怒れる仁王、厚手のスカジャンに身を包み、ケンカで擦れたジーンズとブーツで我が道を行く】

……ヨゥ…道の真ん中で、いや俺っちの視界で……。
……あー、何だっていいや……取り敢えず、その手を退けよタコ助。

【身長160cm程度の少年は、黄金の髪を側頭部全体から後ろに撫で付け、中心の髪を前へと集めた反骨精神溢れる髪型を揺らし。半開きの蒼い目で男を睨む】
【少年の右手では、また一つの金剛杵が何度も宙に投げられてはキャッチされて弄ばれており、しかしそれにも時たま雷電が発生する事から、最初に投げたのと同じ物、同じ腕だと言葉以外で語っていた】
97 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 21:32:56.69 ID:Ll2EBfGbo
>>94

【季節も冬に差し掛かったこの時期、太陽はとっくに仕事を終えて地平線の向こうに消えてしまっている】
【この場所でも、淡い月光と街灯の光と、かしましく輝くイルミネーションが世界を照らすすべてだ】
【人並みの防犯意識がある女性、ましてそれが学生ともなればさっさと帰宅するのが模範行動のはずであって――――】


………………、………。


【逆にいえば、この時間帯に平気で外を歩いているような女学生は、少々素行に問題がある可能性が高いということである】
【そして夜色の少女が、それでもつぶさに女学生を観察し続けたのであれば――――通りかかったこの少女に目を向けることがあったはずだ】

【それは、黒いブレザーにチェック柄のプリーツスカート、赤いネクタイという学生服の上に白いマフラーとダッフルコートを着込んだ女子高生であった】
【白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的。漆で染めたような黒髪は、日に焼けてほんの少し赤紫色を差し】
【やや長めの前髪、顎までで揃えられたもみ上げ、胸までの長さの後ろ髪と、そのすべてが一直線に揃えられた髪型をしている】
【歩くたび嫋やかに揺らぐ艶やかな漆黒はどことなく東方の風情を思わせる。容姿だけ見れば育ちの良さそうなお嬢様と言ったところで、】


………………何よ、あなた。じろじろ見ないでくれる?


【……その黒曜石のような瞳が苛立ちに染まっていなければ、そして果てしなく不機嫌そうなドスの聞いた声を出さなければ、それで済んだのだけれど】
【口調こそ女性らしいものの、明らかに「何ガン飛ばしてんだよテメェ」ぐらいのニュアンスを含んだ台詞と共に、少女は立ち止まってそちらを睨みつけるだろう】

【ただちょっと見つめられた程度だったら、少女もここまではしない。ただ少し、間と運が悪かったのだ】
【もし夜色の少女の後ろに妙ちくりんな掲示がなかったら。彼女が刀剣を所持していなかったら。きっとこうして絡まれることもなかっただろう】
【とにかく、いきなり殴りかかったりするほど短気ではない様子だけれど――――相手はさながら威嚇行動に入った獣だ。下手なことをすると少々不味いか】


/まだいらっしゃれば!
98 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 21:53:46.20 ID:9h90pcCDO
>>97

【この夜色の少女。現在人探しの真っ最中なのである】
【「見るな」と言われても、行動理由が理由なものだから止めるのだって難しい】
【もう、めちゃめちゃ見る。ガン見もガン見。穴が開くぐらい見まくるのだ】

【学生服──うん、学生服。「覚えている」手がかりと一緒だ】
【女の子──うん、探している子も、女の子だ】
【黒髪──いや、探し人は茶髪で……いやいや染めたのかもしれない】
【お嬢様っぽいけれど不良っぽい、口調──】
【確か、探し人もやたらめったら不良っぽい口調だった】
【で、肝心の、顔。見た目。風貌──……、えぇと】


……、────お前カノッサ機関のNo.7を知ってるか!!!!!


【──ここで彼女のステータスを発表しよう!】
【察しの良さE 空気読めるスキルE 相手の気持ちを読む力E】
【機嫌を取るスキルE 場を荒らす力Ex etcetc......】


【下手なことなんて、しないはずがない──彼女にとっては「当然」の行動を取っただけなのだ】
【ごめんなさいなんて、言うはずがない──彼女にとっては、間違ったことをしたつもりはないのだ】

【とにかく彼女はいきなりそんな大声を上げ】
【挙げ句の果てには、ばぁん!と音を立てて後ろの貼り紙に自分の手を叩きつける始末】
【──なんだかもう、思いっきり、火に油を注ぎかねない行為だった】

/よろしくお願いします!
99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 21:55:29.18 ID:PmgKIKE/o
>>96
【金剛杵が風を裂く音と同時、真直ぐに奔っていた男の手が一瞬ブレる】
【飛来する金剛杵に反応し、直撃を避ける為に軌道を変えたのだ】
【パシィ、と雷電の瞬きと共に男の手は少女の首を刎ねる前に弾かれ、止められて……】

ふ……む…

【パチリ…不自然に男の手には纏わりつく様に金剛杵に着いていた雷が纏わりついており】
【男はまるで水気でも払う様にそれを地面へ向かって払うと陰から一歩…歩み出てきた】

危ないではないか少年
怪我人でも出たらどうするんだ

【そのまま、少女の前へ。銀の月の光の当たる場所へ】
【奇しくも少年と同じく金の髪。奇しくも少年と相対する真紅の瞳の男が歩み出てきた】
【上着は着ておらず、薄らと傷のある上半身を晒しスーツのズボンを細いベルトで締めて履いている】


【少女は歩んで行く男を見上げながら「止めて」、「危ないから」 そんな言葉を漏らしながらも手を止める気配は無いままで】
100 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 21:55:54.39 ID:PmgKIKE/o
>>96
//っとと、失礼。遅くなりましたッ
101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 22:18:53.64 ID:C5hbImBBo
>>99

俺っちの目に映ったのは。

【大股3歩分程距離を開けて、少年が立ち止まる】
【異様な光景に怯む事も無ければ、状況に戸惑う事も無い。気怠げな目を男の赤い目に向けて、続ける】

上半身裸の男が、女に手ェ出そうとしている。そんな場面だ。
プラス、そいつが泣いてるってなったら、どうするかは決まってる。

【空中に何度も弾き上げ、回転させては掴むを繰り返していた金剛杵を、今一度右手に確りと握る】
【手の中で雷光を放つ金剛杵に反応して、投げて躱され、コンクリートに減り込んでいた金剛杵が、逆再生のようにコンクリートから離れ、少年へと飛んで行く】
【飛来したもう一つの金剛杵を空いていた左手でキャッチした少年は、両手の金剛杵同士の頭をぶつけ会わせる】

……イタイ目見るか、ケツまくって逃げるか……選ばせてやる。
俺っちが痺れを切らす前に決断しな……!

【打ち合わせた金剛杵同士を引き離すようにすると…二つの金剛杵の頭から一筋の電撃が紐の様に繋がり、双節棍(ヌンチャク)のような形状を取ってつながり合う】
【少年は金剛杵・ヌンチャクの片側の金剛杵を右手に持ち、繋がるもう片側をブンブンと周回させたまま腰の高さで保つ】
【クルクルと回転するヌンチャクから火花が迸る度に、乾いた空気がパチパチと弾け、垂れていた少年の髪も心なしか逆立ってくるようだ】
102 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 22:23:42.88 ID:Ll2EBfGbo
>>98

【ぎろりと眼孔を輝かせる、年若い少女の想定としては――――】
【こういう場合、相手は脅えて逃げ出すか、「ごめんなさい」と素直に謝ってくるか、最悪怒り出して喧嘩に発展するか】
【そういう展開を予期していたし、自身の経験上その可能性は十分に高かった。実際、相手はふつうの一般人ならばその通りだったはずだが、】


ッ………………はぁ? カノッサ機関のNo.7!?
訳の分からないことを言わないで。いきなり人にガン付けておいて、初っぱなのセリフがそれなわけ?


【こういう想定外の事態に弱いのはやはり若さ故なのだろう。唐突すぎる怒濤の剣幕に、こちらの方が脅えてしまう】
【けれどそれも一瞬だ。怯んでしまった自分を猛省して即座に態度を改めると、少女は激情に激情を返すだろう】
【いきなり暴力に訴えるほど短気ではない……とはいうけれど、それでも模範的な学生と比較すれば、少女の気は相当短い方であって】


なんだか知らないけれど………その後ろにあるド下手な絵は探し人ってわけ?
――――けど、悪いことは言わないから、カノッサ機関に関わるのはやめておきなさい。
下手をすれば死ぬどころの騒ぎじゃ済まないわよ。


【だが、ここで『カノッサ機関』の名前を出したのはある意味幸運だ。そのうち蹴りのひとつでも入れかねなかった少女の態度が少しだけ落ち着く】
【まあ、苛立ち混じりにさりげなく貼り紙の絵の出来を蔑むという余計な一手は加わったが――――次に少女の口から飛び出すのは、忠告だ】
【鋭い瞳で少女と所持品の刀剣を交互に見据え、真正面から冷たい声をぶつける。少女の雰囲気は一転して、どこか神聖なものすら感じるほどで】

【……けれどよくよく考えると、これは悪手であったかもしれない】
【本人としては善意の進言のつもりだったのだが、これはカノッサ機関を少なからず知っている$l間でなければ出てこない発言だ】
【これだけ必死にNo.7を探している相手に、迂闊にこんなことを言ってどうなるか――――】
103 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/11(木) 22:26:21.46 ID:Q0fuREh00

>>93
そう、ですか? 
……なら鈴音の言うとおりにします! 
【大丈夫だと言われれば少し心配そうな表情をするものの、その方が花も喜ぶのだと言われ「ぽへー」などという効果音でもつきそうな緩い笑顔でまた花を見るのだった】

そうですよね、何処で誰が聞いているかも分からないし……うん
【神妙な面持ちで頷いてからコーヒー(ミルクと砂糖が大量投下済み)を一口。その後に微笑ましげに見てくる鈴音と目が合い】

だって……せっかく旅してるし……ちょっとでも大人になりたいもん……
【などと小さな声で言う】
【実際今まで少し大人になった気分だったのだ。一人で旅に出て、宿も自分でとって、食事も自分で選んで一人で食べて、短期とはいえ働いて収入を得て、あれ私大人じゃん!? と思っていたのだ。まだ子供だけど。コーヒーには大量の砂糖とミルクが必要だったけど】

【そして、自分の身に能力を見せてそうなった経験があるのかと問われれば悲しげな顔になりこくりと頷いた】

──私、孤児院出身で……だからかな、泣いてたりする子供に弱くて……
私、元々は能力者じゃなくて……この旅を始めてから能力に目覚めたんですけど……よくこの能力使って行く先々で会った子とかを慰めたりしてて……

それで、ある時転んで泣いてる女の子見かけて……いつもみたいに能力を見せて慰めようとしたら……逃げられちゃったんです

──“化け物”って
【サフィアはぽつりと言うとコーヒーを口にする】

その後は通りすがりの仮面の聖職者さんに助けられてその子を親元に帰してあげたんですけど……“そういうの”が町ぐるみで、追い出されちゃったんです、私
【苦笑して、また一口】




/本日もよろしくお願いします

104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 22:43:36.35 ID:9h90pcCDO
>>102


────えっ、そんなに下手か!!


【「そうだ、No.7を探している」──そんな風にクールに返せたら、どんなにかっこよかっただろう】
【だが現実で彼女の口をついて出たのは、どこかショックを受けたようなシャウト】
【まさか、この絵を、うまいと、毛ほどにも、思っていたのか──?】

【いや、どうも本気でうまいと自画自賛でもしていたらしい】
【「うまいだろそうだろう私頑張ったんだぞ!」──そう、言いたげに】
【もう破れてしまいそうな程に、少女はいきなりばっしばっしと貼り紙を叩き始める】


──そうだ! (ばっし) カノッサ機関の (ばっし) No. (ばっし) セブンだ! (ばしーん!)
見た目は (ばっし) 学生で (ばっし) 蟲遣い (ばっし) なんだ!! (ばしこーん!)

それだけじゃ! (ばしっ) ないぞ!! (ばしっ)

No.27の (ばしっ) カニバディールのとこの (ばしっ) ベティって子も (ばしっ) 探してる! (ばんばんばんばんばん)

カノッサに (ばんっ) 関わるなと (ばんっ) 言われてもなっ (ばんっ)
私は (ばんっ) あきらめたりっ (ばんっ) しな──── (びりっ) ────……、


…………ぁああああああああああああ!!!!!


【──もう、何が起きたか詳しくは語るまい】
【イラストに描かれた「お星さまマーク」は真っ二つ】
【努力の結晶らしきものも、水の泡】
【──彼女がよほどの間抜けでない限り、コピーぐらいはとっているだろうが……】
【先ほどまでやたらと勢いのあった少女は、あまりにの出来事からかその場に座り込んでしまう始末だ】

【──だが、相手もきっと、わかるはずだ】
【この少女を説得し、カノッサを諦めさせるには相当な努力が必要であろうことが】
【……少なくとも、人相書きを破り捨てる程度では「足りない」のは、わかるだろう】
105 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 22:46:09.02 ID:PmgKIKE/o
>>101

ん、んー……どうやら勘違いされている様だな

【はて、困った困った】
【そんな呑気な声が聞こえそうな程男は呑気に顎に手を当てて。少年を見下ろす様にして見ているが】

ん、そうだ。
じゃあ少し“お願いだ” 話を聞いて貰いたい

【そう言って少女を紹介する様に掌を横へ。彼女が良く見える様に自分は横へ1歩避けてやる】
【すると少女は自分の手…その手に持っている弟の血で濡れた医療用の「メス」を驚きと怯えが混じった表情で自分の喉へと突き付けた】
【ここまでの行動を、表情を見れば分かるだろうか。少女の身体は今、少女自身の支配下に無い事が】
【要は「人質」だ。とても分かり易い。男はお願いと言うがコレを拒否できるだろうか】
【もしお願いが聞き届けられるならば…男はこう話を続ける】

勘違いして貰っちゃあ困る。この状況…無理矢理俺がこの子を、この子達を従わせているとお思いだろう
だが実際は違う。
彼女はその身を犠牲に弟の命を助けて欲しいと願った
彼女の弟は自分はどうなっても良い、姉を無事で居させて欲しいと願った

俺が脅すまでも無く、互いが互いを案じて。無事を祈って。
穢れなき覚悟を確りと…期待通りに見せてくれた

だから「聞き届けた」
姉である彼女が捧げてくれたその「身体」で。「どうなっても良い」と言う弟君をバラバラにして。
彼女の望み通り、弟君の「命は」助けた。弟君の望み通り、彼女には「傷一つ付けてはいない」。

……ああ、本当に。彼女達の献身には気分が良くなったからね

【有情な判断だろうと。自分は優しいだろうとでも言いたげに男は言葉を締め括る】
【口元には薄らと笑み。彼女達の覚悟を決めた時の目は胸が締め付けられる程感動したのだ。それを思い出して】
【その笑みは更に深く…覚悟の果て、男が聞き届けたが故に「こう」させられた時の彼女の表情が予想通りの物だった事を思いだして】

さて……分かって貰えたかな。少年よ

【おかしな部分など、1つもないだろう?】
【男はさも当然の様に尋ねて見せた】
106 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 22:46:33.83 ID:y6X/o+nI0
>>103

【ちなみに彼女、年齢で言えば、確かにサフィアより年上だし――結婚とかもしたことあるし、一人暮らしだし、仕事もしてるし】
【まあ大人といえば大人なのだろう。だけど珈琲は飲めないし、ビールも飲めない。ゴーヤも食べられないし……苦いもの、駄目である】
【だけど、別に、仕方ないかなぁとも思っている。店のお客さんが言うには、二十五にもなればビールは飲めるようになるらしいし――】

……わたしもね、孤児院に居たの。だけど、うん、きっとサフィアの思う場所、みたいなのじゃなくて……。
行く場所のない子供を集めて、大人のひとに売る場所だったの。それでね、わたしはね、いっつも怖くて泣いてて――、

サフィアがしてあげようとしたみたいに、いっつも、そうやって慰めてもらってたの。
薔薇のお花と、猫。わたしが、好きになったの……その子たちのおかげでもあって。……だから、ね、
わたしは化け物だなんて思わないよ。――ううん、わたしがそう思っても、きっと、関係ないんだけど……。

【ふっと零す言葉、自分がどこに居たかって――なんとなく言っては見たけれど、とりあえず、】
【自分は他の能力者に慰められていたのを思い出したのだ。泣き虫で、怖がりで、いっつも、あやされていた――って】
【自分は化け物だとは思わない。それは能力者にいい思い出があるからだし、自分自身がそうであるから、だけど】

【世の中の――能力も何も持たないひとから見れば、確かに恐怖だろうか。……分からない、あんまり、知り合いに居ないから】

わたし、怖がりだから……もし、能力とか持ってなかったら。優しくしてくれる能力者の子が居なかったら――、
もしかしたら、同じように思ったかもしれない。でも、分からないの、わたし、――そうだったことは、ないから。

だけど、わたしがもしそうやって思ったなら――、きっと、怖くないひとだって分かれば、そんなこと言わない、と、思う――。

【指先がなんとなくカップのふちをなぞる、考えてみるのはIfの話、そもそもありえない話だ、……空想してみても】
【よく分からない。なんとなくそうなるかなあなんて思ってみるが、いまいち自信は持てず。故、言葉はいくらも曖昧になって】

そういうのが嫌だったら、そんなひとたちとおしゃべりしなくていい、と、……思うよ、
それでも仲良くしたいなら、……怖くないって、何もしないって、教えてあげる必要があると思うの。

【無視してしまえばいい。そう言うときの彼女は迷った様子だった。言ってしまっていいものだろうか、と、考えるように】
【自分だったらどうするだろう。多分、嫌になってしまう。だから……そんな風に思ったのだけれど、】
【サフィアが違うというかもしれないなら、やっぱり悩んだ様子で、そんな風に呟いて――、長い睫毛が、伏目がちに揺れ】

【だけど。能力者による犯罪は決して少なくない、殺人みたいな、取り返しのつかないことだって、たくさんあって】
【それについて彼女はどうともいえない。誰に文句を言える立場じゃない。だから、その――どうしようもなさ、があって】
【自分みたいなひとのせいだとも思う。思う、だけで、――言えなかった。申し訳なさげに口元を結んで、僅かな沈黙】

/よろしくですー
107 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 23:09:56.69 ID:Ll2EBfGbo
>>104

【ショックを受ける少女を前に、「ふん」という、軽く嘲るような声が容赦なく舞った。……こちらも人のことを言えるほど絵がうまいわけではないのだけれど】
【そんなことは棚上げにして、少女は意地の悪い目線を向ける。どうも素行の悪さは相当根深いらしく、相手の優位に立ったことでご満悦の様子である】

【……が。せっかく優位もこういう手合いには砂上の楼閣同然】
【ばん!! という心臓に優しくない大音声がすべてを持って行った。ビクンと僅かに肩を震わせる少女の姿は、さながら人に慣れていない野良猫だ】
【こちらとて、ひとたび喧嘩となればこの程度のことで怯みはしないのだが――――悪意もなく、ただひたすら勢い任せの相手とは、どうにも相性が悪い】


あぁ………ああ! もう!! うるさいわね!!
人目も弁えずギャーギャー喚いて、自業自得よ! ゴミはゴミ箱に突っ込んでおきなさい!!

……それと。そこまで言うなら、こっちにも考えがあるわよ――――、


【少女は、まあそこそこ程度には思慮深いし、短気と言っても時と場合を考慮することぐらいできる。けれど……さすがに限界だった】
【あまりの喧しさに少女の堪忍袋の尾はあっさり切れた。投入された油をたっぷり吸ったそれは導火線となり、ゴウゴウと炎を上げ始める】
【もう下手というだけでも失礼極まりないのに、破れた貼り紙をあろうことかゴミ扱い。座り込んだ背中へ容赦なく罵声を浴びせ】

【そして、ふと少女は冷静になる。導火線を伝った炎が、少女の内の爆薬を静かに起爆させた瞬間であった】
【少女の手が胸ポケットに突っ込まれ、墨で火≠ニ読める漢字と妙な紋様が描かれた札のようなものを取り出すと、それをそちらに向かって乱暴に放るだろう】
【火符≠ニ名付けられたそれは、もし破壊されなかった場合、少女にぶつかる直前で小爆発を起こすことになる。ちょうど寸止めの形だ】

【――――カノッサを追うからには、相応の実力を見せてみろ。それがないのなら素直に諦めろ、と】
【要するにそういうことだ。乱暴にもほどがあるけれど一応、少女の身を案じての行動。不良じみてみえて意外と正義感らしきものがあるらしい】
【……まあ。純粋な厚意は半分ぐらいで、残りは幼稚な八つ当たりと憂さ晴らしであるのだけれど……】
108 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/11(木) 23:28:39.58 ID:Q0fuREh00

>>106
……鈴音、さん……
【思わず「さん」を付けて呼んでしまう。鈴音の口から出てきた話は、遠い世界の事のようでもあり、広い世界の一部を知った今ならば少しだけ近い世界の話のようでもあり】

……私も、能力者にそんな偏見なんか持ってなかった。実際にそんな人が身近にいた訳じゃなかったけど……何ていうのかな? テレビに出てくるヒーローみたいなものだと思ってた
【真面目な表情で語るのはそんな事】
【実害のないような田舎の子なのだろう、漠然と「機関っていう悪い人達がいて、それから人々を助ける人がいて、どっちも能力っていう力があって」みたいなちびっ子向けの特撮物やアニメの塗り絵に書いてあるテキストみたいな認識しかなかったのだ】
【因みに広い世界を少し知った今でも機関については「なんか悪い能力者集団」くらいの認識しかない】

うん、でも最近増えてきてるみたいですよ? その……能力者が嫌い、って人……
【能力者が嫌いって人、という声は弱々しい】

……無視、ですか……
【サフィアはそう言ったきりうーんと唸る】
【確かに彼女は能力者に偏見を持つ人間に辛い目に遭わされている】
【それは、能力に目覚めたばかりの時に能力を無意識に使ってしまい凍えた際に偏見の目で見られるだけで誰も助けてくれなかったり、恐れられて追い出された挙げ句一日分の宿代を一週間分も取られたりだったりで】
【それでも彼女は、そうしますとは言えなかった】
【手をさしのべてくれた人、一緒に謝ってくれた人、化け物と言われた自分を庇ってくれた人、そんな人がいたからで】
【彼女が気づいてないだけで、それらの人も多分能力者なのだろうが】

109 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/11(木) 23:30:01.38 ID:MjQEhBKq0

【穏やかな風の流れる森の中】
【星々の耀きも十分であり、夜道を歩くには最適と言っても過言では無い】
【――――とは言え。草木も眠る時間帯。況してや森の中だ。暢気に散歩をして居る者なんてそうそう居ないのだけれど】

【そんな中、漂う妖気が一つ。見れば其処には着物を纏った銀髪の少女が一人居て】
【腰に提げるのは二振りの刀。櫻の武具に関しての知識があるならばどちらも業物であると分かるであろうし】
【無かったとしても、僅かに鞘から零れ出た刃の放つ光は上質な得物であると悟らせるだろうか】


「…………なる程、の。しかしあの阿呆め。我の生まれ故郷を破壊するだけに留まらず更に多くの者を殺めるつもりかや」

【とん、と切り株に腰を落ち着かせたならば取り出すのは動物の毛】
【摘んで捻って掌の上で転がしてみて――――なんて遊んでいるけれど。其れからだって妖気は発せられている】
【なれば、ただの動物の其れで無い事は容易に想像が出来るか。歳を経て変化した存在等々あるけれど――――】
【敏感な者なれば、其れの正体が妖狐の物である。そんな所まで突き止める事も出来るか】


「何をする気かまでは分からんが――――何にせよ…………封印をする等で動きを封じねばならぬかの」

【ふう、と一つの溜息。心情を察する事は出来ずとも、少なからず機嫌が良くない事だけは分かる】
【或いは何かを憂いているとでも表せるかもしれないが――――】
【兎にも角にも普通では無い少女が此処には一人。近づいたところで抜き身にするなんて事は無いし、視線を其方へと送れば小首を傾げるのだが】










【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】
110 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/11(木) 23:33:22.93 ID:C5hbImBBo
>>105

【この状況に於いて、構えもせずに飄々とした態度のまま対峙する男について、抱いた感想は不気味の一言に尽きる】
【下手に手を出さないのは、男の後ろの少女の行動もあるが、何をしでかしてくるのかわからないというのが一番の要因だった】

【実際の所、話なんて全くと言っていい程聞いてはいなかった、少年が考えるのは優先度についてだ】
【ずっと回しっぱなしの金剛杵は電気を生み出し続け、その電力が体に溜まっていく、今溜まっている分の電力を使えば一気に距離を詰められるが…】

(……あー…考えるのめんどくせェー……。)

【姉とか弟とか、いきなり見ず知らずの人間の成り行きを語られた所でどうしろと言うのだ?気が向かなければ会う事も無かった奴らなのに】
【この男はどんな回答を求めているのか、どうすれば一番いい答えになるのか、微妙に考えてもみたが、すぐに脳細胞はそれをかなぐり捨てた】

……あーうん、そーだね……えーっと………。
俺っちさ……このぐらいの距離だったら瞬きするくらいの速さで進めるんだわ…なんか…体に筋肉電流?みたいな事して。

【男の話が終わると、食い気味に面倒くさそうな言葉を返しつつ、右手で回転させていたヌンチャクをピタリと止める】
【火花は既に休む事無く弾けていて、黄金の輝きが体から放たれているようだ】

【少年は、息を止める…刹那、手を叩くような、風船が破裂したような音が鳴ったかと思うと少年の姿は消える】
【消える───というより、男からすれば一瞬にして大きくなったように見えたかもしれない。まるで落雷が落ちるような速さで、少年は男へと距離を詰めた】

言いたいことは一言だけだ、『話が長い。』

【男の目の前に突然現れた───ように見えるスピードで近付いた───時には、既に少年は足を開いて踏ん張りを効かせ、腰を捻り、左拳を握り、ブレーキをかけながら攻撃体制に入っていた】
【まずは男の脇腹を狙い、左からフックを打つ。目にも留まらぬ程早いのは移動中のみであって、パンチのスピードが物凄く早いという訳では無い】
111 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/11(木) 23:33:44.62 ID:9h90pcCDO
>>107

ゴミだと────ぉおおおおお!!!!!
お前なんてひどいこと言うんだ!!
これは私が頑張って3日もかけて────!


   【 ────ぼ、ぅん! 】

【……夜色の彼女は、いきなり放られたソレをゴミとでも思った】
【そう。「ゴミはゴミ箱へ」──その言葉のせいもあって、完全にゴミだと、そう思ったのだ】

【だから、火符を避けない──! その発想すら、浮かばない──!】
【かろうじてできることは、なんとなくの「反射」で「目を閉じる」くらい……!】

【結果として、彼女はその小爆発を眼前で受けることになる】
【吹き付けてくる熱風と灰塵、さらには僅かな火炎──幸運なのは、それが警告程度のものであったこと】
【爆風のせいでチリチリになる少女の前髪。煤まみれになる顔面】
【ひとつだけ、悲劇をあげるとするならば──】
【爆風に巻き込まれ、「貼り紙」が空高く舞い上がってしまったこと……!】


【この間わずか数秒たらず】
【爆発。熱風──目を閉じて、煤が、顔を汚し】
【直後に開けた目は、舞い上がる「ゴミ」を、捉え、て……】


   ──── ゆ、許さないぞお前ぇえええええええ !!!!!


   【 ど 、ん …… ! 】


【まるで目の前に誰かがいるように、少女は「目の前の空間」を、「殴る」】
【気でも触れたか──? 否!】
【少女が空間を殴ったその瞬間──相手に向けた「衝撃波」が発生する!】
【まともに喰らっても、転ぶ程度の衝撃波……骨折などの大怪我をさせようなんてさらさらない】

【──まぁ、目元にうっすら涙が浮かんでいるあたり】
【「人探しの手配書」は、本当に頑張って作ったというのは、事実なのだろう】
112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/11(木) 23:43:23.91 ID:y6X/o+nI0
>>108

みんな“そう”だもん、わたしの知ってるひと、みんな、何か力があって……。
それで、良かったの。気にしなかったもの、だから、あんまり、考えたこと、なかったかな――。

【正義のヒーロー。そういった認識も、彼女には薄かった。生まれつき持っていた力、あるのが当然と思っていて】
【近くにあるのも、別に、どうとも思わない。みんなにとっての当たり前、それなら、何を言うわけでもないし】
【だから、また視線を落とす。長い睫毛で眼を隠して、口を噤みがちに、何か考えている。それから――】

――――そう?

【サフィアの言葉で初めて知った、という態度を取るのだ。というより、本当に、初耳だったのだろう】
【その目はきょとんとしていて――そんなひとが増えているなんて、きっと、それこそ考えたこともなかったのだろう】
【なんでだろ、なんて呟いて、不思議そうに首をかしげている。心当たりは――うん、たぶん、ない。だって、】

【(自分が“あれ”をしていたのは、何年か前のことだし……今更原因には、ならないだろう)】

……だったら、怖くないって分かってもらうの。怖くないって、何もしないって、大丈夫だって。
きっと、分からないから怖いんだと思うの。何かされそうだから、怖いんだと思うの――だから、

えっと……その、どうやったらみんなに伝わるかは、よく、分からないけど……。

【――控えめな笑顔、言ってみるのは少し考えてみて推測できるだけのこと、難しい話は、まだ、遠く】
【それなら解決策も上手く言ってやれない。また苦笑がちに笑って、ええと、なんて言っていたのだけれど】

だけど、――それで、そうやって。サフィアが優しくしてあげても、ひどいことしてくるひとは、駄目だよ。
そういうひとには、近づいちゃいけないの……、ううん、怖くって、すっごい怖くって、“しちゃう”ひと……じゃなくて。

最初から、“そう”してやろうとしてくるひとは、駄目なひとなの。……だから、――。

【流石にそういったことを言う場面になると声も真面目になる。鈴の音の声、低く潜めれば、印象はがらりと変わって】
【悪意のある人間には近づいてはいけないという話。見極めろというのは、少し難しいかもしれないけれど】
【おかしいなって思ったら離れるのも――だなんて、自分が言えるクチではないのだが。そうしてヒドい目に遭ったこともあるし】
【だけど、人間はまだ好きだ。多分、彼女もそうなんじゃないかと思う、それなら、教えられるのは、】

【サフィアが必要以上に傷つかなくていいように――そんなことくらいしか、今の彼女には、出来なくて】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/12(金) 00:07:03.39 ID:At9PA6Jmo
>>111

【放られた火符は、「発」という小さな掛け声とともに炸裂。爆風と爆熱を散らす】
【……なんというか。少女はもともと好戦的なきらいがあって、しかも相手はカノッサ機関のナンバーズを追っているという】
【その上立派な刀剣まで所持していたものだから……少女は勝手に、こちらの牽制など軽々退ける猛者を想像して期待していたのだった】

【だから相手が回避も防御も取らなかったのは、少女にとっては拍子抜けな結果だ】
【実際には、攻撃を仕掛けるのがあまりに唐突過ぎたというのも大きかっただろうけれど……】
【この程度の実力ならカノッサと引き合わせるのは無謀だ、と少女はいささか早計すぎる判断を下し、冷たい言葉を吐き捨てる――――】


ふん、何よ。
この程度の攻撃も察知できないようじゃ、ナンバーズを追うなんて到底………、

…………あっ、…………。


【――――少女の目的はあくまで牽制程度のもの。貼り紙を本当のゴミ≠ノ変えてしまう気は、なかった】
【自身の短気のせいで発生した思わぬ悲劇を前にして、思わず間抜けな声が漏れ出る。……なんとも気まずい沈黙が漂う】
【さすがにちょっと悪いことをしたなと今更過ぎる懸念を抱いたのか、少女は微妙にバツが悪そうに煤塗れになった表情をコッソリ伺って】


ッ、く――――!?


【そんなこんなで、待っていたのは同じ結末だ。すっかり油断してしまった少女は相手の行動の意図を掴むことができず】
【発生した衝撃波をまともに食らって尻餅をついてしまうだろう。結果だけ見れば、まあ、これでお互いおあいこ……と言えなくもない展開だ】
【落としどころとしては良い塩梅である。素直にこちらから謝っておけば、比較的穏便に騒ぎを収めることもできた――――かもしれないけれど】


……ふ、ふん、そこそこやるじゃない。
私はね、弱いヤツが嫌いなの。有象無象が身の程を弁えない無茶をやって無駄死にするところなんか、最高にイライラするわけ。

私の名は幸徳井佳乃。許せないというならかかってきなさい。
あなたがカノッサの連中を追うのに本当に相応しい強者≠ゥどうか、ここで確かめてあげるわ――――!!


【残念ながら、ここで素直に引けるような性格だったら、そもそも絡んだりはしなかっただろう】
【弱いと思っていた相手に尻餅を付かされたという屈辱に頬を染め、こちらもすっかり意地になってしまってもう後に引けない状態だ】
【なんだかそれっぽい、いかにも格好よさげな台詞を吐き捨てて無理矢理体裁を取り繕うと、少女――――佳乃は名乗りを上げるのだった】

【佳乃は胸ポケットから新しい符を二枚取り出ると、一枚を右手に貼り付け、もう一枚を少女の足元に向かって飛ばすだろう】
【投げつけたのは先ほどと全く同じ火符≠セ。これまた先ほどと同じく、破壊されなければ寸止めの位置で炸裂する】
【しかし寸止めと言っても、今度の狙いは足元。いずれにしても大怪我にはならないだろうが、爆風で足をもつれさせて転倒させる狙いはある】
114 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/12(金) 00:13:49.74 ID:bu9pY21Ko
>>110

―――――

【なんだと。とでも言いかけたか】
【口は開けど、言葉が出るより速く。文字通り雷の如く駆けてきた―跳んできた―少年に瞳だけは辛うじて追いついた】
【先程より近くを見下ろす様な状態――腕を使っての防御…間に合う筈がなく――――】



【男は「残念だ」と呟いた】



【強烈な震脚からの左フックは男の右脇腹を捉え、男の顔は一瞬苦痛に歪む】
【しかしその衝撃を利用して男は跳躍し、適当な建物の壁の配管へと片手で捕まって】
【―――手応えは有っただろう…・但し「違和感」も同時に】
【まるでレザーアーマー越しに殴ったかの様な異常な手応えだ】
【そして少年が男を殴った手を見れば「濡れて」いる筈だ。無味にして無臭。毒性も無し…ただの水】
【よく見れば最初に雷電を手から払った場所も濡れて居て】

…もう少し、正義を振り翳すものかと思ったが、アテが外れたな

【その「違和感」を以てしても遮断し切れなかったダメージ、隠しきれない滓かな呼吸の乱れ…肋骨に最低でも罅でも入っているのだろう】

悪いが今は未だ、闘うつもりは無いんでね――――

【そう言って男が空いた手の指を鳴らすと同時に】
【少女の方から小さな悲鳴が上がって――――直後にボタボタと液体が滴る音と、鉄錆の香りがする】
【少女が喉に突き立てていたメスが、肉を裂いて命まで届いたと…それだけの事】


【男はと言うと、闇にでも溶けたかの様に少女が悲鳴を上げた僅かな間に姿を消しているだろう】
【本当に「話」をするだけのつもりであって、それでも最低限…「遊び終えたら片付ける」】
【適切な「処置」もなくなった少女の弟「だったもの」も…放っておけば野犬が勝手に食い荒らしてくれる事だろう】


//短いですが申し訳ありません、落ちさせて頂きます
//絡み有難う御座いました
115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 00:26:38.26 ID:vY69nuKDO
>>113

──リーべ。リーべ・エスパス!


【相手の名乗りに返すように、彼女も大声で名前を叫ぶ】
【びりり──その叫びに応じるかのように、近隣店舗の窓が小刻みに震えた】


【ぐぐ、と気力を振り絞り、立ち上がる】
【もう、渾身の力を込めて描いた貼り紙(あれ)は、失われてしまった】
【ならば今すべきは、貼り紙の思い出に浸ることでは、ない──!】

【──ど、ん! 再び起こる衝撃波】
【佳乃を倣うよう、先ほどと同じく彼女もまた拳を震い、振動を放ったのだ】
【その「方向」もまた、偶然か否か──佳乃の行動と似たようなもの】
【「足元」──そう、「足元」だ】
【しかもリーべの場合、狙いは「転ばす」ことだけではない】
【「衝撃波」に「火符」を「巻き込み」──!】
【佳乃の足元で、火符を爆発させるつもりなのだ……!】

【最も、火符が衝撃波に巻き込まれなければ結果は先ほどと同じく、「痛み分け」──】
【2人して同じような角度で、向かい合うようにして転んでしまうことは、想像に難くなかった】
116 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 00:29:01.04 ID:E+IAoUOu0

>>112
知ってる人が皆能力者、か……私には想像もつかない世界です……
【そういうと少しだけそんな様子を想像してみようとしてすぐに、ああやっぱり無理だと首を横に振って】

そうみたいですよ? ある人が言ってました、最近多くなってるって……
本当に何ででしょう? それこそカノッサ機関とか……そんなのの所為ですかね? 
【此方もうーんとクビを傾げる。】

……怖くないって分かってもらう? 
【鈴音の言葉に目を丸くするサフィア。分からないから怖いと思うんだ、という発言は以前自分を助けてくれて諭してくれた夜色の髪の少女を彷彿とさせて、あ、やっぱり大事なのはそういうのなのかなどと感心してみたり】

うーん、つまり危害を加えてくるような怪しい奴は近付いちゃ駄目って事ですか……
でもそういう人が他人を襲ってたら助けに飛んでっちゃいそうだなぁ私……
【無鉄砲だしなぁ、なんせ……などと苦笑しながら呟く】
【いくら辛い目にあってもやっぱり人間は好きで、困ってる人(子供なんかは特に)は助けてあげたくて、その上無鉄砲な性格だからきっとそんな場面に出くわしたら駄目と言われても飛び込んでいくに違いない】

117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/12(金) 00:34:00.24 ID:DicRNrQ50
>>114
//すみません、横からですが少し宜しいですか?
//お相手さんは姉弟を助けようとしています。そこに、落ちるからという理由で戦いも無しに確定描写で助けようとしていた姉弟を殺してしまうのはいかがなものかと……
//これではお相手さんの立場から見ると確定で目的を遂げられず突然負けたことになってしまいます。余計なお世話かもしれませんが、もう少し相手の立場も考えて下されば。
//ロールはお相手さんがあって初めて成り立ちます。どうか、悪人を扱う時でも中の人レベルでの思い遣り・配慮は忘れないようにして下さい。
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 00:45:23.64 ID:wsIemk/p0
>>116

【運が良かったのか、それとも悪かったのだろうか。回りのひとはみんな能力者、だと、思う――】
【少なくとも幼馴染の二人はそうだし、同じ店で働く親友もそうだ。――ああ、そういえば、雇い主のひとは違ったか……なんて】

……セリーナに聞いてみたほうがいいのかな、ううん、でも、――んー、?

【そんなことを考えていたら、“そのひと”に聞いてみたら何か知っているかも、なんて、思うのだけれど】
【重要なのかが良く分からない。重要なことなら、耳に入れておいたほうがいいだろうけど――自分は、まだ見たことがないなら】
【微妙な感じがする。――それよりサフィアが気になるかもしれないのは、その名前。有名人である、最近だと、テレビにも出てた】
【金髪で水着のおねーちゃん。UNITED TRIGGERのリーダーだ。そして最近のテレビ……というかCMでその姿を見たりしていたなら、】
【――今こうやって話している少女、その件のCMの隅っこでめっちゃ緊張しまくっていた人物である。それに気付くかもしれなくて】

うん、……幽霊の正体見たり――とも言うし。分かったら、怖くないって、思うかもしれないし……。

【分からないものは怖いと思うのが人間だろう。場合によっては、知ってしまったから怖い、というのもあるけれど】
【そうやって言ってたら何も出来なくなる。とりあえず、分かってもらうのが先じゃないか――なんて彼女は言い】

お話さえしてくれないひとも居るの、居るから……、そういうひとには、早く気付かなくちゃ、いけないの。

【(いつかの自分は、誰とも話す気なんてなかった。話なんてどうでもよくて、ただ、****)】
【(それを思えば、仲良くするつもりで近づいたら殺されると思う。だから、近づいちゃいけない人間も居るのだと、)】
【(分かって欲しいのだけど――どうしたら言葉に説得力を持たせられるのかは、それが、難しくって)】

……でもね、わたしもね、そういうひとも助けてあげたいと思うの。
家のない子、帰る場所のない子、――誰にも必要とされない子。そんな子でも、助けてあげたいと、……思うの。

だからね、探さなくちゃいけないの。話を聞く気が無いひとでも、聞いてくれる、――そんな、話し方。
そのたびに大怪我してたら、友達に心配掛けちゃうもの。でも、そんなの、きっと、……大変、だね。

【どうしようもない人間も居る。だけど。どうにかできる人間も居る。……自分は、実際、暗闇から救われて】
【だから、――救える人間は救ってやりたかった。いつか自分がしてもらったみたいに、明るい場所へ連れ出してあげたい】
【そのためには力が必要だった。身体的にも、精神的にも、強くなって――最後は、苦笑してミルクを一口】
119 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/12(金) 00:45:34.60 ID:Gvb2TOe3o
>>114

【当たった、確かに拳は男を捉えてぶん殴った筈だが、手応えには違和感しか残らない】
【男が飛んで行った方向を目で追いながら、止めていた息を思い切り吸い込み酸素を取り込む、その瞬間一気に汗が吹き出してきた】

【男が少女の動きを操っているのだと予測したが故、ならばそれが間に合わない速さで決着をつけるべきだと判断した少年は】
【後先考える前に男を倒す行動を選択した、故にこの行動はこの一撃でしか考えておらず、高速移動のデメリットを超えた行動は頭から消えていた】

……っぜ……はー………はー……。

【たった数秒にも満たない行動で、少年の体力は大きく削られ、筋肉は乳酸を溜め込んだ】
【これが健全な状態であったなら、飛び上がった男を追う事も出来たが、今少年に出来るのは『仕留められなかった』という思考の元、男のよくわからない話のミキサーだ】
【このまま男が反撃してきたら、どう対応するか、それしか考えないようにしていたが、どうやら違うようだ、と気付いたのは少女が悲鳴を上げた瞬間】

【一瞬少女に目を取られたが、驚く暇もなくすぐに男に目線を戻すも、その場から男の姿は消えていた】

……何だったんだ……。

【その場から男が消えて、驚異がいなくなってようやく疲労を収める事ができる】
【膝をついたが、壁に手をついて何とか立ち上がった少年は、無惨な姿となった少女を一瞥すると壁に手を擦りながらそこを後にした】

/乙でした。
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/12(金) 00:48:16.51 ID:At9PA6Jmo
>>115


リーベ、ね――――。


【こちらの名乗りに応じた大音声が心地よく響く。ようやく調子が出てきた――――とばかり、佳乃は笑った】
【立ち上がった夜色をしっかりと見据え、小さく呟く。相手が乗ってくれたのなら、こちらも全力で戦えるというものだ】
【……行きずりの相手に喧嘩を吹っかけることの正当性はさておき、とりあえず楽しそうではあった】


面白い能力だけれど、もう同じ手は食わないわ。
――――招=I


【先ほど真正面から衝撃波を食らったことで、佳乃はその能力≠ノ大体の見当をつけた様子であった】
【何もない空間に振るわれる拳を視認し、その角度を認識。衝撃波自体を見る事は出来ないが、狙った方向ぐらいはわかる】
【走り出すと同時、佳乃はまた新しい符を取り出すだろう。今度は顕≠ニ読める漢字が描かれたものだ】
【それを右手に振り翳して印を切りながら叫ぶと、符を中心とした空間が陽炎のようにぐにゃりと歪む――――】

【そして虚空より、一振りの長物が取り出された。長い柄に片刃の大きな刃が取り付けられた六尺ほどの得物――――薙刀≠セ】
【美麗な装飾の施されたそれを凛と鳴らし、佳乃は刃を地面に突き刺して大きく跳躍する!】
【棒高跳びの要領で距離を稼ぎ、衝撃波とそれに巻き込まれた火符の両方を飛び越すことで回避してみせるだろう】


No.7とNo.27、だったかしら!
あなた一体、なんで連中を追っているの!?


【そしてその勢いを殺さず、佳乃は薙刀を翻し、柄の先端を使っての打撃をリーベの腹部めがけて放つ!】
【もちろん威力は意識的に抑えているが、部位が部位だけにダメージが大きいのは間違いない】
【また、同時に佳乃からひとつの問いが投げかけられるだろうか。ここまでの流れを考えればある意味順当な質問だ】

【……ちなみに、あえてこのタイミングで質問を投げかけた理由が、単純な興味だけではなく】
【渾身の作だったらしい貼り紙を焼いてしまった過失からさりげなく目を背けさせる意味もあった、というのは秘密である】
121 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/12(金) 00:52:11.96 ID:vY69nuKDO
>>120
/ごめんなさい、ちょっと眠気が来たので、明日に引き継ぎかここで締めてもらっていいでしょうか?
/明日はこれるとしたら、遅めの時間帯になると思います
/締める場合、リーべが攻撃を受け、問いかけに答えた上で撤収という形になるかなと
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/12(金) 01:06:43.84 ID:At9PA6Jmo
>>121
/了解しました、では明日に引継ぎということでよろしいでしょうか?
/こちらは明日の夜であれば特に用事もないので、舞台裏の方で呼びかけていただければいつでも再開可能です
123 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 01:26:10.75 ID:vY69nuKDO
>>120

【薙刀を取り出してみせた相手──だが、リーべは背中の刀剣を抜く様子は見せなかった】
【「舐めて」かかっている──? いや、違う!】
【彼女は最初から、「ソレ」を抜く気など、さらさらない!】
【その証拠に、夜色の瞳は真剣そのもの──】
【刀剣など、まるで持ち合わせていないかのような態度なのだ】


【──攻撃を飛び越え、繰り出される攻撃!】
【それをリーべは、文字通り「受けて」たつ!】
【稲妻のような刺突──攻撃を受けたのは彼女の「左手」】
【腹部へのダメージを、避けたのだろう。しかし重い打撃を受ければ、左手は無事ではすまないはず、で……?】

【「ぶゥ、ん──」】
【即座に薙刀をリーべから引き剥がさなければ、伝わってくるのはそんな、「振動」】
【ここまでくれば、完全に彼女の能力はわかるだろう】
【──ぶゥん。奮える。震える。震源はもちろん、リーべの「左手」】
【「薙刀」を介して「振動」を佳乃の手に送り込むことで】
【薙刀を取り落とさせる──あわよくば、佳乃の手の「痺れ」を、狙っているのだ……!】

【だが、薙刀を受けたリーべの左手だって無傷ではない】
【びり、と真っ先に手の痺れを感じているのは、他ならぬリーべなのだ】
【これ以降は、右手一本で戦うはめになる──!】


……正す、ためだ


【──いくら左手で衝撃を殺したとはいえ、腹部へのダメージは完全には避けきれなかったのか】
【聞こえてきた声は、絞り出すようなものだった】


No.7──私や、お前と、そう歳は変わらない女の子、だった
なのに……麻薬を用いて、体をぼろぼろにして……戦って、て──
何か絶対、理由があるはずなんだ……!

私は、その理由を聞いて……あいつを、もう、戦わなくていいような世界に出してやりたい!
信じられるか──お前や私と同じ年が、そんなにまでして、戦ってるんだ……!
それを見過ごすなんて、正義じゃ、ない……!


No.29……カニバディール──!
あいつの元には、女の子がいる……ベティという、女の子
まだまだ、幼い子なのに──
能力開発の名の元に!目は縫い付けられ、耳は塞がれ!
身体の自由は、拘束具で、奪われている……!
それを見過ごすなんて──正義じゃ、ない!!


【──びり。リーべが、吼えた】
【「正義じゃない、見過ごせない」──そう、吼えた】

【彼女の異能は、「声」にまで及ぶ】
【相手を吹き飛ばすまではいかずとも──数歩引き下がらせる程の気迫が、あった】

>>122
/引き継ぎ了解です!その前に、レスしておきますね!
/後、雑談でもありましたが、No.27ではなくNo.29です、ごめんなさい……
/明日、予定が終わり次第声をかけさせていただきますね
/それではひとまず、ありがとうございました、お疲れさまでしたー!
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 01:33:29.36 ID:E+IAoUOu0

>>118
……セリーナ? 鈴音ってそういう名前の知り合いがいるんですか? 
【セリーナ、という名前を聞き、少しだけ身を乗り出すサフィア。これは流石にバレてしまったか? 】

凄いなその人、有名人と同じ名前なんて……
【と思いきや同名の別人だと思った様子。悪の能力者筆頭の機関員に会った事がない(実は会ってるが本人は知らない)のだもの、正義組織の人間(正しくは関連)が目の前にいるなど到底考えてはいない】

成程……やっぱり重要なのは理解なのか……

確かに……そういう人って問答無用っぽい感じがしますもんね……
【危ない人には近づくな、それはなんとなく理解したらしく頷く】
【まあそれでもとっさの時はとっさに飛び出してしまうのだろうがそればかりは仕方のない事で】

……危険な人も、今辛い目に遭ってる子も助けたい……ですか? 
【鈴音の言葉に首を傾げるサフィア。救える人は救いたい、そう思わせる言葉を聞けばああこの人はあの人に似てるかもしれないなぁと思案し】

【食い逃げなんて事をしてしまった自分を颯爽と助け出して一緒に謝ってくれた夜色、私もこうなれたらかっこいいかなぁと思ったあの少女に、少し】

──私も、なってみたいな……
誰かの、ディストリさんに……リーベさんに、仮面の聖職者さんに……鈴音、に……
【彼女の口をついて出てきたのは彼女が今まで助けて貰った人々の名。自分も誰かを助ける立場になりたい、助けられるだけではなくそんな人になってみたい】
【少し頼りない声で少女は呟いた】



125 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 02:02:38.33 ID:wsIemk/p0
>>124

うん。そうだよ。UNITED TRIGGERの――あ、ううん、多分、それ、同じひとかな……。
わたしね、UNITED TRIGGERのお店で働いてるの。働いてるだけで、戦ったりは、その、――しないんだけど。

【同名だと判断したサフィア、だけど、彼女は、それを隠す気もないなら――あっさりと、そうだと告げる】
【「他のセリーナさんは、知らないけど……」なんてちょっぴり笑って頬に触れる、「同じひとだと思うよ」なんてつけたし】
【自分が関係者だと教えるときは少しだけ自慢げに、だけど、戦うための人員じゃないというときは、少し、恥ずかしげに】
【給仕も立派な仕事だとは思うのだが――どうしても、命を賭けるひとたちには、敵わないような気がしてしまう】

……きっとね、生まれたときから、“そういう”ひとも居るの。きっと、そういうひとは、救えないひとなの。
だけど、……辛かったり、苦しかったりして、“そう”なっちゃったひと。……そういうひとは、助けて、あげたいな……。

わたしも、……嫌なことがあったの。それで、もう、どうでもよくなっちゃって――悪いことしたことが、あるの。
どこにも行く場所がなくて、誰からも必要とされないで、……それが辛いことだって、わたしには、分かるから。

【生まれつきの悪人も居る。原因もなく、ただ、そういう星の下に生まれてきたような、ひとたち】
【そんな深淵まで救い出せる自信はなかった、それに、そんなひとたちの気持ちは――今の彼女には、よく分かれない】
【だから、彼女が助けたいと思うのは。いつかの自分と似た境遇の人間、道を見失ってしまった、――】
【――路地裏にしか居場所のない、孤児のような子供たち。そういった存在を、助けたいと、思っていて】

なりたいって思って、でも、やるのは、きっと大変だよ。……その、強くないと、いけないと思うの。
力だけじゃなくて、言葉も、心も、強くないといけなくて――わたしは、まだ、そんなじゃないけど……。

……だけどね、やりたいって思ったこと。“やっていいよ”って言ってもらえたから、それは、頑張るんだ。
わたしは、そうやって、……セリーナに頷いてもらえないと、できなかった、弱虫だけど。一人じゃ、出来なかったけど……。

その……だから、誰かと一緒にやるのも、いいんだよ。誰かに手伝ってもらって、“がんばる”のも、それも、いいの。

えっと……あれ、――ええと、その。……なりたかったらね、なっていいんだよ、それは、きっと、大変だけど……。
わたしだって頑張ろうって思えたんだから、きっと、……サフィアも、出来るよ。がんばってみて、いいんだよ。

でも……あの、もう一回言うけど。……誰かと一緒に頑張っても、いいんだよ。一人で無理をするのは、危ないから。

【誰かを助けるなら、相手の悲しみとか怒りの激流に、一緒に流されちゃいけない。ただ凛として、耐えないといけない】
【一緒に流れていたら助けられるわけもない。溺れた人間を助けるのに、泳げない人間が出向いて、何になるのか】
【だから、泳げるようにならないといけない。……感情に負けないようにしないといけない、(まだ上手に出来ないけれど)】
【……それでも、川に飛び込むのじゃなくても、助けてあげる方法はあるはずだから。それは、遠まわしかもしれないけど】
【浮き輪を投げてあげるとか、出来ることがあるかもしれない。だから、彼女がいま選んだのは、そっちの道】
【“何もない孤児や浮浪者のために、あたたかい食事を、無償で振舞う”。そんな、――方法】

【なんだか言葉がごちゃごちゃする。弱虫な自分でも頑張れたのだ、頑張りたいという意思は無碍にする権利なんて誰にもなく】
【応援してやりたい。だけど、自称無鉄砲な少女に、それだけでは、足りない気がして――やがて提案するのは、】
【似た志の誰かと一緒にやってみてはどうか、なんて、そんなものだ。具体的に、UNITED TRIGGER(うち)に来いという話ではないが】
【そのほうが彼女個人としても安心できる。よく気の合う仲間を見つけられたなら、サフィアの支えにもなるだろうし――】

【最終的には何を言っているのだか良く分からなくなってしまって、苦笑で終わらせる。ただ、言いたいことは分かるようで】
【なりたかったら、なろうとしてみていい。頑張ってみてもいい。だけど、無理だけはしてはいけないよ、と】
【仲間を見つけるのも手なんだよ、と、そう言うことを――伝わればいいなと思いながら、冷めつつあるミルクを飲んだ】
126 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/12(金) 02:41:34.34 ID:E+IAoUOu0


>>125
えっ!? 本当ですか!? あのセリーナさん!? それでもってあのUNITED TRIGGER!?
す……凄いな鈴音……あの人達と知り合いな上にお店の店員さん……
【きらきらと目を輝かせまた身を乗り出すサフィア】
【因みに件のCMは最近テレビを見る機会がないため見ていなかったりする】

【そういう人とそうなってしまった人、と呟いて少女は黙る】
【サフィアには性善とか性悪とか、そんな難しい事は分からない。けれどもそれについて無い頭で理解しようとした所に鈴音の過去の話が入ってくる】
【それは、彼女の孤児院の話同様遠い世界の出来事のような話で、親がいないながらも恵まれた十五年を過ごしてきたサフィアにとっては知らない世界で】
【あれ、私大丈夫かな? などと不安になってしまう。こんな恵まれた人間に果たして他人を救えるのだろうかと】

──強く。力も心も……
誰かとやるのも……あ、あれ? 
【はじめこそ真面目に聞いていたサフィアだったが次第に困惑した表情になる。話は分かるのだが、その……無限ループ気味な気がして】

う、うん! とにかくやってみ……ればいいんですかね? 
その……一人でも良いけどたまには誰かを頼って……
【理解したんだかしてないんだか自分でもよく分からないのか伺うように鈴音を見やる】

127 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 02:58:28.29 ID:wsIemk/p0
>>126

【困惑したサフィアの表情。やっぱり駄目かと思えば、彼女は、どこか気まずいようなごまかすような表情でミルクをすすり】
【あんまり口が達者でないのは気付いていたのだが、こう、……言いたいことはあるのだが、言葉が上手く出てこない】
【ミルクを飲みながらどこをどうすればよかったのかを考えるが、……具体的な改善策は、綺麗に浮かんでくれず】

えっと、うん、……とりあえず、やってみるのが、いい――と、思う、
……やらなかったら分からないもの、どうなるのかって、考えてるだけじゃ、きっと、分からないから。
でも、その、――あんまりに危ないことはしちゃ駄目。サフィアは、まだ、……――大人じゃ、ない。

わたしも、まだ、セリーナとかみたいに大人じゃないけど、二十一だからって大人ってわけじゃないけど――。
サフィアは、まだ、子供なの。……頑張るのはいいと思うし、その、やってみたらいいと思うけど……。

【とりあえず、やってみたらいいという結論だ。頑張ってみればいい、そしたら、自分が何をしたいのかも見えてくるはずだから】
【だけど。続く言葉は、自分でやってみろだなんて言いながら、反対のようでもある。危ないことはするな、だなんて言うのだ】
【しかもその理由も子供だからときて。――彼女くらいの年頃なら、あんまり、言われたくないことではない類の言葉だ】
【彼女もそんなの分かっているはずなのだが、……だけど、やっぱり、子供はあまり深いところに来ちゃいけないと、思う】

どうしても駄目なこととか、無理なこととか、あったら、すぐに、セリーナみたいなひとに頼って欲しいの。
セリーナじゃなくても、ロウってひととか、瑛月ってひととか、ミハエルってひととか、……みんな、UTのひとだよ。
わたしの知り合いのひと。困ってたら、きっと助けてくれるし、そうじゃなくっても――それ以外のひとでも、SCARLETのひとでも。

そういう、大人のひとに、――ちゃんと、頼らなきゃ駄目なの。

【子供扱いではある。だけど、それは、サフィアのことを案じて――だから、ただ突っぱねるには、優しくて】
【とりあえず知り合いの名前を挙げてみて、何かあったら頼ってみろと言う。必要なら、特徴くらいは教えてくれるだろうし】
【真っ直ぐな目がサフィアのことを見ていた。或いは、今までにないくらい、真面目な声が言葉を紡いで】

……今度、UNITED TRIGGER(うち)のお店に来てみなよ。誰かと会えるかもしれないから――。

【それから、あんまり長続きしないように弱く笑って、そんな提案をするのだった。一度、来てみたらどうかって】
【SCARLETの詰め所とかよりは気楽に見学できるだろう。あくまで店、の話だけど――もしかしたら、セリーナとかにも会えるかも、と】
128 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 03:03:31.60 ID:wsIemk/p0
>>127
/日本語おかしくなってました、11行目、言われたくない類のこと、に脳内修正お願いします
129 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/12(金) 03:29:37.99 ID:E+IAoUOu0

>>127
はい、取りあえずやってみる……
【鈴音の言葉を反芻するかのように口の中で呟いてみる】

あんまり危ない事はしない……うーん、何だか自信ないな……
子供なのは理解してます……でも……
【むぅ、とむくれつつコーヒーを一口。それは甘くていうなれば子供の味で。ああやっぱり私って子供なのかななどとサフィアは思案し】

つまりは頼れる大人って事ですね
……なんか釈然としないけど、たまには誰かを頼れっていわれたし……
【それに子供だし、とサフィアは呟くも鈴音の真剣な目に見据えられ小さくごめんなさいと謝ってしまう】

……良いんですか!? 私、ちょっと行ってみたいなって……
【かと思えばUNITED TRIGGERの基地にも来てみたらと誘われて顔を輝かせる。やっぱり子供である】


130 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 03:44:54.57 ID:wsIemk/p0
>>129

死んじゃってからじゃ、……遅いんだよ。

【――少しだけ。ほんの少しだけだけれど、その言葉は、声は、或いは、怒っているようにも聞こえ】
【普段の声と比べたら、いくらも鋭いのだ。自信がないからと言って、死んでしまっては、何の意味もない】
【自分は“体質的に”無茶をしてもいいけど。そうじゃない人間が無茶をするのは、よろしくない――そんな、考え】

【全うに死ねる身体なら、きちんと、ふさわしく死ぬべきだと思う。どこかで、路地裏で、殺されるとかじゃなくって】
【特にサフィアは若いのだから。もっと生きて、結婚でもして、――そんな風に生きて欲しいと思う、或いは願う】
【彼女がごく普通に生きることにずっと憧れてきたものだから……未だに、そんな生活に、どこか憧れていて】

【(だって、もう、きっと、手に入らないもの。或いは、とっても長い時間を待たないと、いけないのだもの)】
【(それを手に入れられる権利があるなら――それをちゃんと使ってほしい、だなんて、“人間以外の”我侭だった)】

いいひとだよ、みんな。……あ、内緒なの、告げ口とかしちゃ駄目だよ、恥ずかしいし――。
ロウとか瑛月にばれたらなんていわれるか分からないの、……ミハエルは、意地悪じゃないから、いいけど……。

【それから彼女はちょっとおふざけというか頬を膨らませるような仕草をする。なんでも、こう言ったのを黙ってて欲しいらしい】
【特にその二人には内緒、らしいのだ。……まあ、もしチクったりしても、困るのは彼女だけだろうが――】
【困るというのも恥ずかしいとかそういうものなのだから、別に、実害があるわけでもない。好きにすればいいだろう】

……うん、いいよ。でも今日は――もう遅いから、また今度、明るい時間においで。
夜は酒場なの、だから、こんな時間とか酔っ払いばっかりだし……みんな、悪いひとじゃ、ないんだけど――

顔とか怖いから、ね。土曜日とか日曜日のお昼なら、きっと、ひともあんまり居なくて、暇だよ――。

【お店に来ればいい。だけど、今日は駄目――意地悪でなくって、時計をちらっと見てからの判断、また次回にって】
【酔っ払いばかりの場所に連れ込んでもなんだしというイメージ。悪意からでなくお客さんをそんな評価して、】
【まあとりあえず昼間にでも行ってみればいいらしかった。誰か居るかの保障は出来ないけれど――】

/そしてすいません、眠気がひどいので、今日も凍結お願いできますでしょうかっ
/明日は夕方ごろから待機してられますので、お好きな時間に呼んでいただければ、反応できるかと……
131 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/12(金) 03:51:52.54 ID:E+IAoUOu0
>>130
/了解です
レスは後で返しておきます
お疲れ様でした!
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 03:54:02.01 ID:wsIemk/p0
>>131
/了解しましたー、そしたら夕頃までには返しておきますので
/また明日お願いします。ひとまずお疲れ様でした!
133 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/12(金) 15:21:45.39 ID:Qxfuo7Dlo


ふおッ、ふおッ、ふおッ 、メリーィクリスマァーーース ! 良い子のみんな、私からみんなにプレゼントだーーァ!


【──白い髭が逞しいサンタクロースのお爺さん……、その中身はアルバイトで雇われた個人傭兵だったりする】
【普段利用する集会所に舞い込む依頼がこの手のものばかりだから、その実フリーターと代わらない】
【──その上中身が、戦闘を主な職とする男だから──】


いてッ! 髭引っ張ンな糞ガキてめッ! ぶつぞこらッ!


【やんちゃな男の子に蹴りだのカンチョーだのされれば、大人げなく激昂する】
【強めに怒鳴り、男の子を肩に抱え、また違う子供の頭を強めに叩き ──】
【鳴き声とはしゃぎ声と、回りの大人のひそひそ声で凄惨たる現場になってしまう】

【むしろ、不振人物に見られてしまってもやむを得ないかもしれない】
134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 15:38:19.84 ID:Er8DbyOYo
>>133

 わー、サンタさんだー


【子供の軍勢、サンタに襲いかかる。そんな中だとちょっと目立つ神父がしれっと混ざっていた】
【薄いブロンドの髪に150cmぐらいの……子供の中だと大きい背丈。カソックに十字架で……何故か無邪気な声をあげてる】
【右腕に包帯を巻いて首から吊り下げてるのも子供の中じゃ目立ってしょうがない】

【子供に混じって神父もサンタクロースの髭を左手で掴む。そして──】


 死に去らせボケェ!!てめえのせいでこの時期俺がどれだけ忙しいと思ってやがる!!!!


【思いっきり下に向けて引っ張った!】
【ただ引っ張るだけではない。斜め後ろに自分の身体を倒しながら体重をかけて引っ張るのだ】
【その動きは洗練されていて滑らか。背の低い神父ではあるが熟練の拳法家のような動き!(戦闘並みの描写)】
【TIPS:こういった引きずり倒す動きが様々な近接格闘術にある。本来は相手の腕を掴んで倒すための技である】
135 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2014/12/12(金) 15:43:56.35 ID:GF0fFWwEO
前々から思ってたけど赤木のは寒い上につまらん
後もう女キャラに絡みに行くな
136 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/12(金) 15:47:57.00 ID:Qxfuo7Dlo
>>134


【──彼にとっては、その神父も数いる子供の内の一人に過ぎない。】
【手に余る他の子供たちの悪行の最中、淀みなく行われる攻撃……、】
【しかして、神父の意図する結果にはならないだろう……、】

【なぜなら、】

【ベリベリベリッ!!!!】
【シールのようにしてはっつけていた──子供に引っ張られた際剥がれないよう強めに──サンタの白髭である。】
【それが勢いよくはがされる。意図する結果ではないが、想像を絶する苦痛を与えると言う意味では思惑通りかもしれない。】


──いッてェエエエエエエエエ!!!!!


【思わず子供を抱えていた片手も他の子供を制御する片手も離して、真っ赤に染まる口許を抑える。】
【雄叫びを聞いて蜘蛛の子を散らすように逃げ出す子供たち──目に涙を浮かべうずくまるサンタ──】
【その傍らにいる神父──あまりにもシュールな光景がそこにはあった。】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 15:56:14.47 ID:Er8DbyOYo
>>136

 ……お?


【引きずり倒すつもりでやったが思ってない効果をもたらしたことに神父は目を丸くした】
【ふと周囲を見てみれば騒動の中心は自分。きっと子供たちは親元に泣きながら帰り、親たちも非難の視線を向けているのだろう】


 …………………
 ………………………………………
 …………………………………………………………………………おや、大丈夫ですか?


【さっと奪い取った白ひげを天高く放り投げると、神父はそれはそれはもう凄い綺麗な声で(元)サンタに言葉をかけた】
【顔に浮かぶのは満面な笑顔。ここが教会だったら完璧な聖職者と褒め称えられるぐらいの完璧なスマイル】
【優しげに声をかけてハンカチを差し出す姿は困っている無垢な人を助ける善性そのものな姿……こいつが加害者でなければ】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/12(金) 16:06:36.04 ID:Qxfuo7Dlo
>>137


──……


【神父の善意を無視し帽子を脱いで立ち上がる。毒々しい紫色の髪が揺れて落ちる。】
【無言でその帽子を神父の顔に叩きつけようとするだろう。叩きつけるといっても所詮布だから痛くも痒くもない。】
【成功すれば次いで神父の頭頂に手加減なしの"拳骨"を落とそうとするだろう。】
【悪事をしでかした子供を"戒める"とかそういった愛の鞭ではなく、しこたま悪意を込めた"憎悪の拳"である】


てンめェガキだからッて調子乗ンじゃねーーーー!!
数十倍の痛みをてめェの青い尻が真っ赤に染め上がるほど叩きつけてやるわボケがーーーーッ!!


【ぶォん。──神父がその手の能力者ならば見えるかもしれない。──否、そうでなくても"感じる"だろう。】
【男の傍らに──紫を基調とした歯車装飾が施された人形のアートマンの姿が発現する。】
139 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 16:17:01.80 ID:Er8DbyOYo
>>138

【叩きつけられた帽子が顔からずるりと落ちる。もう一度覗いた神父の顔からは笑顔が吹っ飛んでいた】
【次の瞬間──ガン!という凄い音がした】


 ──いっ、てぇえええええええ!!


【今度は神父が絶叫する番だった。実は魔力を身体の表面に纏っていてちょっとした鎧になっている】
【だがそんなことは全く関係なく悪意の拳骨は悪意に比例して威力が高くなっててもうなんかすごい痛い。心は痛くないが】
【神父は頭を抱えて涙目で傭兵を睨んでいる】


 おい、ちょちょちょ、ちょっと待て!どんだけ怒ってんだお前!!
 そんなもの出すほどのことじゃねえだろ!!


【頭を左手で抑えたまま、慌てて傭兵からちょっと離れる。神父が思う以上に相手は怒っていた。当然だ】
【普段だったらむしろ数十倍を数百倍にして反射するところだが今日は利き腕が使えない状態だった。これはまずい】
【一歩二歩と後ろにさがっていくが、そこには意地悪な段差が!こける神父!】
【尻餅をついて倒れた彼はこれ以上逃げられなくなってしまったのだった……】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/12(金) 16:37:12.33 ID:7OUpLOGcO
>>139


──いいか。聞けよ糞ガキ。


【尻餅をついた神父へ歩み寄る。指を鳴らすとアートマンも似たような動作を行う。】
【逃げ場を失った神父を捕まえることができれば膝に置いて、尻を出すだろう。】
【所謂"おしりぺんぺん"というやつだ。】


俺は今までガキを相手にしてきたストレスを全部お前の尻にぶつけるぜ。
見えるようだから教えてやる──俺のアートマンは『近距離パワー型』だァ……。


【曰く、神父の行いはつもり積もったストレスを爆発させる引き金になったこと。】
【そして、その後始末をつけさせること。】
【なまじ力が無駄に強いアートマンで必要以上の罰(おしりぺんぺん)を行うことを述べる。(手加減はするが脅しとして)】
【心なしか口角があがっている……、】


せーーーーーーのッ!!


【公開おしりぺんぺんの開始──能力でも使えば逃げれるかもしれない。】
141 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 16:48:31.30 ID:Er8DbyOYo
>>140

【まずい!と思ったときには既に遅かった。暴虐の手が神父の身体を固定し、あまつさえその尻を出させたのだ!】
【いつもなら、そういつもならこんなことにはならないのだ。全ては怪我した利き腕と段差が悪い。自分は悪くないのだ】


 待て待て待て!!俺に対する報復じゃなくってそれじゃ八つ当たりが入ってるじゃねえか!!
 いいのかこんなことして!俺は神父だぞ!!天罰が下るぞー!!

 誰か助けてぇええ!!


【足だけをじたばたさせるが傭兵の力には全く敵わない。天罰というが受けてるのがどっちかこれじゃ分からない】
【助けを求めたところで誰が来るわけもなく……】

【そして──公開処刑が始まった】
【叩かれてる間、始めこそ色々言っていた神父であったが途中からは痛みによる叫び声ばかり】
【終わるころには(精神的)死体が出来上がっていることだろう……】
142 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/12(金) 17:06:18.56 ID:Qxfuo7Dlo
>>141

【キング・クリムゾン!】

【──数回叩けばもう充分だろう。そのぷりちーなお尻は公衆の面前で真っ赤に染まり上がる。】
【非常にすっきりとした様子で神父を解放すれば、白い袋をば持ち】


こんくらいで許してやるか……。もう反省しているようだし。


【ぼろ雑巾のようになった精神の神父に対し、】
【大量に余った、歳がある程度越えるとガラクタになる玩具の山を(これを配り終えるのがノルマ)】
【神父の回りに置くようにして全部"プレゼント"する。】
【言い換えれば"押し付けて"──あばよ少年、と見捨てて去っていくだろう……】
【プレゼントには"今日のサンタ、カルロ・セシリア"と復讐先が記されていた。】


/ちょうどいいのでこの辺で。お疲れさまでした!
143 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/12(金) 17:10:28.68 ID:Er8DbyOYo
>>142

【キング・クリムゾン懐かしい】

【床にべしゃりと伸びた神父の姿はそりゃもう滑稽だ。ぶたれたお尻はそれこそ彼の羞恥心のように赤くなっている】
【──ここに復讐はなされたのだった】

【ぶっ倒れてる神父の周囲は玩具の山で囲まれた。まるで儀式の跡のように】


 ……お、覚えてろよ


【尻と同じぐらい顔を赤くした神父の言葉を拾うものは既に居ないのだった──】


//お疲れ様でした。非常に楽しかったです
144 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/12(金) 17:43:32.81 ID:At9PA6Jmo
>>123


その得物、抜かないつもりかしら?
――――舐められたものね。


【肉を打つ感触。止められること自体は想定していたものの……あくまでも剣を抜かず素手で対応したリーベに、佳乃は不快そうに眉根をひそめた】
【もしかしたら、リーベには刀剣を抜きたくない理由があったのかもしれないし、何か戦略的な狙いがあっての事だったのかもしれない】
【その実際の理由を推し量ることは佳乃にはできない。けれどそれを、彼女はどうやら「舐められている」と誤認してしまったようだ】

【薙刀を通じ、鋭い振動が両手を揺さぶる。これに対し、佳乃は右手を離して左手だけで薙刀を構え直した】
【むしろ、更に強く薙刀の柄を押し付けていくだろう――――佳乃はリーベと同じく左手を犠牲にして、更に追撃する算段だ】


白刃龍紋流・肆の太刀――――『四散』!


【そんな叫びと同時。左手越しにリーベの腹部と密着した柄が、突如として白い光に覆われる――――】
【すべての邪≠浄化する、神聖なる輝き。この神気≠ニ呼ばれる聖なる力を操ることこそ、幸徳井佳乃のもつ真の能力!】

【そしていま発動した『四散』は、収束させた神気を一気に開放することで、爆撃に酷似した攻撃性能を発揮させる奥義だ】
【いわば聖なる爆発≠ニでも言おうか。爆熱こそ無いが、生じる爆風と衝撃波の威力は先ほどの火符≠フそれを上回る】
【もしリーベが薙刀から距離を取らなかった場合、そのただでさえ強力な爆撃を、ゼロ距離で受けることになってしまうか】


(…………、……。
 『目は縫い付けられ』『耳は塞がれ』『身体の自由は、拘束具で、奪われている』…………?)


【――――さて。これらの攻撃がどのような成果を齎すにしても、佳乃はリーベの返答を黙って聞き届けることだろう】
【No.7と、No.29の元にいるという少女。カニバディールという名には覚えがあった。世界を股にかける凶悪犯罪者だ】
【そして――――No.7の方に関しては、残念ながら知るところではなかったけれど】

【……瞬間、佳乃の意識は一年ほど前に飛んだ。そう、決して多くの交流があったわけではない】
【けれど、一度見たら忘れられないあの痛ましい外見。それに、件の貼り紙に描かれていた縦ロールの金髪――――】


………まがりなりにも悪≠フ道に堕ちた人間を、更正させたいというのね、あなたは。
言うだけなら簡単だわ。それがどんな茨の道なのかわかっているの?
No.7の子は、どんなヤツか知らないけれど――――、

ベティー。あんな子ですら強い能力≠持っているのがカノッサ機関よ。
あの子はいま、カニバディールの下にいるんでしょう? だったら、そいつの指示であの子があなたを襲うかもしれない。
そのときあなた、どうするの? 説得が通じると本気で思うの?

……ちょっとした憂さ晴らしのつもりだったけれど、気が変わったわ。もう少し、本気を出させてもらうわよ。
あなたも全力で来なさい。私相手ですらそれが出来ないのなら、あの子を正すことはおろか、返り討ちに遭って殺されるのが関の山だわ。


【――――偶然にも。佳乃は、そのベティーという少女を知っていたのである。一時的にとはいえお互いに背中を預け、共闘した経験があったのだ】
【あの子≠ネんて呼んではいるけれど、実際には外見に覚えがあっただけで、本名を知ったのは今が初めて。特に親しい間柄ではない】
【けれどあの幼い子が、たった一度とはいえ共に戦った者が、実はカノッサ機関の関係者だったという事実は、佳乃に小さくない衝撃を齎すものだった】

【だからこそ、佳乃はあえて偽悪的に振舞うことに決めた。リーベの本気の咆哮にも、もはや臆すことはない】
【黒曜の双眸には、ここまでとは違う、本気の熱が灯っている。強まっていく神気が、周囲を丸ごと聖域へと塗り替えていくようだった】
【……あの時見たベティーの実力は、佳乃から見ても相当のものだった。生半可な覚悟では、救おうとした相手に殺されるのがオチだ――――】
145 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/12(金) 22:23:25.13 ID:E+IAoUOu0

>>130

……ごめんなさい
【怒るような口調と、声色。相手から向けられたそれにサフィアは思わず身体を縮こまらせて下を向き】
【そうだよなあ、死んじゃったら遅いんだ。どうして衝動的に「広い世界が見たい」って孤児院飛び出しちゃったんだろう? どうしてまた「他の人を助けたい」って危険な時に飛び出そうとしてるんだろう? などともはや自分の現在の行動の根本から後悔していて】
【そうなったらずぶずぶと自己嫌悪】
【大体彼女がした後悔なんか村を出て能力を得るまでは命に関わるものなんてなくて、せいぜいが新しい服を濡らしたとか犬に追っかけられたとか、大きくて木から落ちて痛い思いをしたくらいで……否、木から落ちるのも十分命に関わるが】
【その感覚でいったら命の危険があるかもしれない、分かっている。十分分かってはいるのだがやっぱり咄嗟に飛び出していってしまいそうで、いや何でそんな事やっちゃうんだよ死んだら終わりじゃん、否、分かってるけど……と堂々巡りで】
【脳内はフルスロットルだが本人はしゅんと頭を垂れているだけで】
【当然後の話もちょっと上の空気味で】

……ん、とにかくその二人には「鈴音が良い人だよって言ってた」って言わなきゃいいんですね。了解です
【そういってみせる彼女。実際サフィアは瑛月やロウにはそんな事は言わないだろう。基本他人の言いつけは守る子だから】

……うーん、遅い時間だからっていうのは納得ですが私、別に酔っ払いとか平気ですよ? 
【だって今までそういう宿兼酒場とか食堂とかで働いて路銀稼いでたし、と言って彼女が見せるのは先程氷づけにされていたリスト。握り潰されてるわ氷が溶けて濡れて乾いた紙だからグッシャグシャだわで読めたもんじゃないが一応読める場所にはこの町の酒場と食堂の名前が書いてあったりする】

まあでも鈴音がどうしてもっていうならそうします
【そこまで言ってはたと気づき顔をあげる】

……そうだ思い出した、路銀稼ぎの働き口……!!
【まだ決まってなかったんだ!! と呟いてリストを見ればその手にあるのはグッシャグシャな紙で】

うっわぁぁぁ……何でこれ凍らせたの過去の私ぃぃ……
【自己嫌悪から回復したと思えばまた新たな自己嫌悪。スケールはさっきよりちっちゃいが】


146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 22:50:03.59 ID:nHAOcFai0
>>145

【――少し、きついように言ってしまったのではないかと思った。頭垂れる様子に、逆にこちらが表情を悲しげにして】
【だから怒るのは苦手なんだ――とか思う。だけど、死んでしまったらおしまいだってことは、ちゃんと、分かっていて欲しくて】
【たった一回きりの人生なら大事にして欲しい。たとえ何度も死ぬ生き物だろうと、それは苦しいから、出来るだけやめてほしい】
【どっちにしろ、知り合いが死ぬのは嫌だった。そんな我侭――もう少し優しく言えばよかったか、などと、思考がぐるぐるまわる】
【ごまかすために飲んだミルクは気付けばもう空っぽで、彼女は変わりにレモン水を飲む。びっくりするほど冷たい、その温度】
【「……その」と呟く声は、いくらか間を空けてからだ。続く言葉は、「わたしは、死なないで欲しい、」……そんなもので】
【そしてその言葉は嘘じゃない。だから――ちゃんと、死なないように、動いて欲しかった】

……おかね?

【こっちもこっちで地味な自己嫌悪だ。はぁとため息がちに吐息を出して、伏せた眼は、ちょっぴり機嫌が悪いようになる】
【でもそれは彼女に対するものでなくて、自分に向けたもの――怒っちゃった自分にも、言葉が上手くない、自分にも】
【もうちょっと……もうちょっと、説得力とか、あれば、いいのに……背もたれに寄りかかれば、ぎぃときしむ音】

…………ごめんね、お仕事は紹介できない、や――、

【ぱちくりとしてから、数度の瞬き。考えてみたらしいが、心当たりは、残念ながらない】
【あの店の給仕に、だとかは簡単にいえないし。セリーナに聞かなきゃいけないし、そして、きっと、余裕もなさそう】
【自分のせいでまた赤字にしてしまうところなのだから。……その事実に、また、彼女はちょっぴりのため息を吐いてしまう】

とりあえず、……今日はそろそろ帰ろう、もう、遅いし――、……あんまり出歩いてちゃ、駄目だよ。
お仕事は――その、頑張って。ごめんね、知ってる場所に、そういうところがあったら良かったんだけど……。

【なんだかいろいろ言ってしまったのもなんとなくよろしくない気分。やっぱり、自分、そう言うの向いていないんだと感じて】
【とりあえず最後にお姉さんぶって早く帰りなさいなんて言うけれど、見た目で数歳しか違わなさそうな彼女だと説得力はなく】
【お仕事には助力できないとなると、いっそう申し訳なさそうに表情を歪めるのだが――とりあえず、伝票を取って、眺め】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 23:23:05.24 ID:E+IAoUOu0

>>146
……はい
【死なないでほしい、という言葉にそれだけ返すサフィア。】
【じゃあどうしようかと考えてやっぱりまた脳内で色々と堂々巡り】

……あ、はい。件の追い出した人達に宿代ふんだくられたもので
【今度はしっかり答えられるレベルの自己嫌悪。ふと顔をあげれば溜め息を吐いて伏し目がちな鈴音の姿】
【ああ、あまりの理解の無さにとうとう嫌気がさしたのかと勘違いしたのかちょっと涙目】

……そうですか、すみませんなんだか
【仕事の紹介は出来ないと聞いて、まあそうだよなと納得】
【鈴音の働いている所はお店だけど鈴音の一存で決められるわけじゃないしかといって他店を紹介したらそれはもう商売敵に砂糖……あれ、塩だっけ? まあいいや、それを贈ってるようなものだし、なんて考えたりして】

……そうですね、帰りましょうか
仕事……はい、まあ頑張ってみます
【決まらなかったら次の町で見つけて稼げば良いし、なんて適当極まりない事を呟いて】
【まあ帰るといっても泊まっている宿があるわけでもなし、強いて言えば公園なのだが其処は言わぬが花】
【寧ろ住めば都とはよくいったもので何回とか何日とか公園で野宿なんかしていれば「森だの河原で野宿するより豪華だよね、水道あるから綺麗な飲み水飲めるしベンチあるし」なんてポジティブに考えてしまったりしているレベルで】

【そして相手が伝票を取って眺めている姿を見ると慌てて財布を取り出す】

148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/12(金) 23:30:51.56 ID:XwnCzvwq0

【櫻の国。最早誰も訪れる事が無くなる程に朽ちた神社】
【普段ならば一つの気配も無い筈なのだけれど――――今宵は、其処から妖気を感じ取る事が出来て】

【石畳の階段を上ったならば、見えるのは風化した鳥居と小さな社であろうか】
【――――社の前に立つのは、巫女装束を纏い翡翠の首飾りを下げた一匹の妖狐】
【目を瞑り、手を合わせている所からして参りでもしているのだろう。然れど、廃れた場所に神も残るのかは疑問だが】


「…………」

【其れも終えれば、神社から去ろうとして――――新たにこの場に訪れた者と出会うとすれば、そのタイミング】
【耳と尾を立てて居る事から余程驚いている事も知れるだろうか。抱くのは敵意だとかでは無く、怯えた様な――と表すのが適切で】
【元より害意を抱いた者がこの場に訪れたのだとすれば少女にとっての不幸】
【或いは、漂って居た妖気に疑問に思って訪れた者だとすれば――――話はどの様に転がるか】





【――――表通りの光も届かぬ路地裏】
【修道着を纏った一人の女が其処を歩いているのだけれど、悪人が徘徊する其処に修道女が一人とはどうにも似付かわしくなく】


「全く……カスケード海淵、ねぇ…………其処に本当にダグラスが居るならちゃっちゃと攻めたい所
まぁ、ボク一人で勇み足踏んでも碌な事にならないよねぇ…………。UTかSCARLETにでもある程度情報を渡せれば良いけど」

【腰に提げるのは二丁の銃。なれば、この女も荒事には慣れていると知れるか】
【悪人巣くうこの場でも特に警戒する事も無く。不意に立ち止まれば、手にするのは何処かの地が記された紙切れ一枚】
【――――漏らした独り言からして、悪巧みをする者では無いのだろう。寧ろ、挙げた組織の事を考えればその逆に位置する者】

【何であれ、聖職者たる彼女が小難しい表情を浮かべて紙切れを眺める姿は中々に異様で】
【此処を訪れる者が善か悪かも分からないが――――直ぐ目に留まるのは間違い無く】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 23:33:32.73 ID:nHAOcFai0
>>147

【伝票に書いてあるのはまあ高くもない金額。飲み物しか頼んでないので、当然といえば当然なのだが】
【誘ったのは自分だし、別に払う気だった。だから、サフィアが財布を取り出したのを見ると――】

ううん、いいよ、わたしはお仕事、してるんだし……。

【そんな風に言って拒否するのだ。言葉では不足なら、こういった面で、お姉さんぶりたいという気持ちでもあるらしく】
【それでも払うなんて言い張ってみたりすると、結構リアルめに困った顔をするのが見られる。だけど、最終的には、】
【絶対自分が払うというのを、子供がするみたいに宣言して、席を立ってしまうのだ。性格的に少しこどもっぽさが目立ち】

【そして、実際に、自分で払ってしまう。半ば強引、悪気ではないのだが――少し、頑固にも見え】

……家、どっち? 途中まででも送っていっていいかな、夜だし、――もう、遅いんだし。

【それから、店を出れば――そんなことを尋ねるのだった。その家が、公園だとは、ほんの少しすらも思わず】
【暖かい店内に居たからか、少し寒そうに身体を震わせる。ふわっと吐いた息は、あっという間に真っ白に変わってしまって】
150 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/12(金) 23:58:02.49 ID:E+IAoUOu0

>>149
──えっ!? い、いいですよ! 私も出しますって! 
【なんか悪いですし! と言ってちらりと相手を見やれば困った顔で】
【本当になけなしのお金しかないし困った顔されてるしでちょっと唸ってから「……すみません」などと相手に支払いを任せる】
【そして本当に自分の分まで出してもらって、今度は自分が払えるようにしよう……なんて小さく決意してみたり】

……え……
【本日何度目かの硬直。公園で野宿してますなんて言ったら引かれる気がして】
【かといって嘘を吐いてしまうのもなんとなく気が引けて、「あー」とか「うー」とか唸り】
【それでも結局申し訳無さそうに公園の方を指差すのであった】



151 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 00:06:20.89 ID:PMDk/zNf0
>>150

【それで、結局、きちんと自分が払えると、どこか嬉しそうなのだった。些か無理やりな感じはあったものの】
【なんだかちょっとかわいい柄のお財布をしまいこむ。もし中まで覗き込んでいたなら、或いは気付けたろうか】
【蛇の抜け殻なんて入っているのだ。櫻のほうだと、それを入れておくと金運が上がる――とか言うらしいなら、それだろう】

【(と思いきや、実は、自分のご先祖様の皮だから入れているという“おち”なのだった。金運、一切関係なし)】

…………うちに泊まって行ってもいいよ、寒いでしょ。

【そんな彼女は、やがて、サフィアの指が公園を指差しているのに気付くと、一瞬だけぱちくりと眼を瞬かせ】
【だけど何を追及するでもなく、ただそんな言葉を返すのだった。家に――だなんて、ごく、当たり前のように】

あ、でも、蜥蜴とか大丈夫? おっきい子が居るの、蛙も居るし、兎も居るし、……あ、あと、変なのも居るけど……。

【――それからふっと気付いたみたいにそんなことを尋ねてくる。ペットだろうか、挙げていくのは少し変わった面子】
【だけどそれが大丈夫なら。寒空の下で一晩明かすより――いくらかマシなようだ。もちろん、無理強いはしないものの】
【暖かい家が――ということなら、ついていけば、ありつけるはずだった】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/13(土) 00:17:39.07 ID:v2qKTrgko
>>148

【SCARLETの仕事を大雑把に分類すると、襲撃への対応、犯罪者の確保、そして危険な路地裏へと迷い込む子羊の救済】
【水の国であれどこであれ、路地裏は危険な場所という認識は変わらない。そんな世界共通の危険へと足を踏み入れる人も何故か絶えない】
【だからこの男、マーシャル・T・ロウはそういった人を呼び止めたり、予め路地裏の危険を取っ払ったりという仕事も日々こなし――――今もまさにその時だった】

ごほん、あーあー……そこのシスター、神の御加護も路地裏にゃ届かないぜ?
――――……ってどっかで見たことあるような……いや、無いような。

【緋色の鷹の紋章入りの白シャツを伸ばし、だらしなく片方だけ閉じられていた灰色のジレのボタンを両方閉じ直し、ジーンズの埃をぱんぱんと払ってから】
【喉を整え、青のソフト帽のつばを軽く上げ――――万全の準備でシスターらしき格好の彼女の背中に注意を呼びかける。のだが……】
【そこでようやく気付いたのは彼女の腰にぶら下げられた其れ。自分の腰にもガンベルトが巻かれており、リボルバーが2丁そこに収まっている】
【二丁拳銃のシスター。どうも見たことがある。話をした覚えはないが、その姿は何故か見覚えがあり、それを口に出しながらじっと彼女を紺碧の瞳で凝視すれば】

……そうだ、この前――――フレデリックのアレだ! そん時に居ただろ……覚えてんだよ、俺以外の二丁拳銃使いが居たってことは。
それなら心配もそんないらねーだろうが、何の意味もねぇんなら路地裏歩くのはやめとけ。来るのはあぶねぇヤツか俺みたいなお節介野郎だけだぜ?

【――――ぴん、ときた。いや名前は分からないが、どこでその姿を見たのかだけは分かったらしく、それをそのまま口に出した】
【確かに彼が言うように実力的には申し分ないだろうが、それでも自分の庭のように路地裏を歩かれると困る。要は自分の仕事が増えるから、というわけだ】

153 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 00:32:21.06 ID:HJ6yZbfT0

>>151
【どこか嬉しそうな鈴音をみて、良かったのかななどとちょっと首を傾げ、ちらりと相手の財布を見ればちょっと可愛い柄のそれ。幾ら入ってんだろう、なんて不躾に中を覗くような事はせずただ自分のぺっしゃんこな財布と比べてやっぱり大人って凄いなあとズレた考え】

…………へ? 
【公園へと向けた指を引っ込め、ぽかんとした表情を鈴音に向け、いいの? と問いかける】

蜥蜴に蛙に兎? 全部大丈夫ですよ
【カノッサ機関やら能力者が遠い世界の人のように感じるような、そんな所の生まれなのだ、当然野生で兎やら蛙やら蜥蜴やらは見てきてる訳で。ついでに孤児院出身で年下の男の子なんかがそういう爬虫類なんかしょっちゅう持ち込んでくるせいでそんな物はだいぶ慣れっこで】

……って! 流れるところだった!! 変なのってなんですか!? そもそも私なんて泊めて良いんですか!? 
【慌てて突っ込みを入れるが、確かに暖かい場所は少しだけ恋しかった】

154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 00:38:22.87 ID:muSwN8LJ0
>>152
【殺し慣れた者の中には常に気が張っている者も珍しくは無いが――――この女は其れとは対極に位置するかの様】
【下手な機関の者よりは確実に多くの命を殺めた経験が在る。然れど、纏う雰囲気は何処か緩んでいて】
【掛けられた声には暫し間を置いてから振り向く事となるか】


「別に神サマの加護なんか求めて無いさ。実際、天に在す――なんて仰々しい事を言いながら何も出来ないんだからね
…………?ボクだって一応性別上は女なんだから、どうせそんなに視られるなら熱い言葉の一つでも欲しいけど」

【その言葉は詰まる所神なんて信じていない、と言って居る様にも取れるか】
【修道女たる人物がその言葉を吐くのもどうかと思われるが――――一人で路地裏を歩くのだ。まともで無いのは確かであろう】

【さて、相手がこちらの事を知っていると言えば小首を傾げ。言葉も直ぐに出てこなければ、クスリと小さく笑いながら茶化して】
【――――へえ、と漏らされたのは強ち間違った答えでも無いから】


「そうだねぇ、表通りは仲の良さそうなカップルが手を繋いで歩いてて、コッチ側は機関や破落戸の様なロクデナシやキミの様な寂しいクリスマスを迎える――――……嗚呼、冗談だよ冗談
ま、声を掛けてくれたのは有り難いけど確かにボクに関しては心配ご無用だよ。キミの言う“あぶねぇヤツ”程度なら片手間で終わらせる事が出来るからさ

それに――――表通りよりもコッチの方か正義感たっぷりの人が声を掛けてくれるかも知れないでしょ?例えば、そうだね……SCARLETに関係する様な人とか、さ
悪いんだけど、ボクは教会以外に関しては疎くてね。キミは、“何処の人”かな」

【真面目な人物との印象を与えるには程遠く。そろそろだけど一緒に過ごす人は居ないの、なんて躊躇せずに問うて】
【――――元より、何と無く答えは予測できて居たのだろう。心なしかその笑みは嬉しそうでもあり】

【最後に紡いだ言葉こそが本題か。青年の様に正義感を持つ者が声を掛けてくるのを待っていた、となればまるで自身を餌にして釣る様で】
【ただのお節介で無い事は、青年の雰囲気等々から理解出来る。だからこそ、彼の所属を問うた】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 00:38:49.64 ID:PMDk/zNf0
>>153

変なの……、……その、黒くて、うねうねしてて、ぬめぬめしてて、……魔力に寄って来るような……。

【変なの。聞かれて、彼女は、――あんまり言いたくなかったのだけれど、みたいな態度を取る。だって、あまりにも】
【げてものみたいな説明をせざるを得なくなるから……というか彼女も良く分かってない。あれ、なんだろう、ペットだけど】
【犬みたいに尻尾を振るでもない、猫みたいに喉を鳴らすでもない、無言で、無音で、ただ水槽の中でわかめみたいに揺れてる奴】
【それでいて油断してると魔力に群がってくるため、噛み付かれたりしそうになるやつ…………寄生虫だと教わったけど】

……別にいいよ、他の子も居るし。一人だけど――男の子なの、帰る場所、ないみたいだったから、うちに。
来てもらったの、だから、別に大丈夫だよ――、お部屋ならいっぱい余ってるもの、コモンたちが、怖くないなら……。

【蜥蜴(二メートル)蛙(浮く)兎(真っ青な毛皮)寄生虫(うねうね)。すごいキャラの濃いペットたち、確かに、】
【動物が苦手なひとなら……いや、そうでなくても、動物が“まあ好き”くらいだったらビビりそうな面子だ。彼女のペット、】
【うちのペットと同じ屋根の下で平気なようなら別にいいよという言葉。そこは、なんだか、ひどく軽いノリをしていて】

家に火とか付けなかったら、いいよ。

【ひどく低いラインの判断基準だった。火をつけたり、何か盗んだり、そういうことがなければ別にいいらしい】
【火とか泥棒は彼女がへこむので――というかめっちゃへこむので、そういったことはしないでもらえると、助かるのだが】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/13(土) 00:50:54.48 ID:HlDtVXCno
【夜に深く沈む森】
【深淵を思わせる一切が黒に染まった世界、その虚ろな世界は今宵に限り血の香が漂う】

【木々の間を縫うように流れる小川のほとりせせらぎにするりと伸びる赤い糸は流れる血を示す】
【上流には死体の山、死体……そのカタチは犬に似た異形だ、四肢はある瞳はある耳もある口もある、だがどこか歪な存在】

――――――――……これで凡そ10匹くらいか

【何者かの手により生み出された異形、その息絶えた異形を積み立てた山の上】
【昏く血に咽る世界の中に微かに光る物があった、1つは月のように弧を描き、もう一つは星のように】
【月天の明かりに照らされたのならば弧月の輝きは一振りの刀による物だと分かるだろうか、かの刀が匂わすのは妖気】
【微かな星の色は紫白、それは異質と輝く瞳の光】

奴さんこれだけ晒してるってのに出て来やしない、折角の依頼もこれじゃ歯ごたえがない
いっそ人の血の香りでも混ぜたなら誘われてくれるのか……ふん、恋煩いじゃあるまいし血を流すのは馬鹿げてる

【声は青年の物、流れる髪は白くされど返り血の赤に斑と染まる】
【ブーツ、ズボン、シャツにジャケット……櫻の刀には似合わない格好だが赤に染まる姿は猟奇的】
【刃と血が連続する単語ならばこれ程に満たされた情景はあるまい】

縁が無い、って事か……―――――――いや
ここまで切り伏せたんだしあと少しくらい待っても罰は当たらないよな

【朱い掌を気に留める様子も無しに青年は欠伸をひとつ零し手で抑える】
【数十の獣を無傷で散らしそれでも尚退屈と目尻に涙を溜め、生命無き器を背に座る】
【異形の血の香は水の流れに混ざるように森に広がっている、或いはその香りは獣か人かを誘うかもしれない】


【森とそう遠くない街のギルドに数日前からある依頼が貼りだされている】
【化物の討伐というシンプルな依頼、ここ最近現れた犬ともつかない異形の討伐】
【加えて異形の群れを纏める筆頭を始末したならば報酬は上乗せ、という単純な話……】

【街だけとはいえその依頼は広く募集されており、同業の者が訪れる可能性も十二分にあるだろう】
157 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 00:58:09.93 ID:HJ6yZbfT0

>>155
黒くてうねうねぬめぬめ……
【うぉぉ……なんて声をあげて身震い。想像のなかで相当な化け物が何かが完成したようで。確かにそれは変なものというしかないなと納得して】

他の人も……だったら大丈夫かな……それに、お部屋も余ってるなら……一晩くらい
【ぽつり、と呟いて少し考え承諾する。それに別に嫌いではないのだ、はじめはちょっとびっくりするのだろうがきっとすぐに彼女のペット達にも慣れるだろう】

【そして、火とかつけなかったらなんて言葉を聞いて何か前例でもあったのかななどと考えるけど敢えてそこは突っ込まず、大丈夫ですよと笑ってみせる】

158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/13(土) 01:06:03.65 ID:iMhEWGKDO
>>144
【──叫びを聞けば、わかった。光を見れば、わかった】
【その「輝き」の属性こそ、咄嗟には感知できなかったものの】
【次に来る一撃が、何らかの爆破によるものだと、即座に理解できた】

【しかし──それがリーべの心情か。やはり、避け、ない……!】
【爆発を避ければ被害が出る。次の一手に時間がかかる──そういう、理由ではない】
【背後に掲示板、すなわち障害物があり、満足な回避行動ができない──そういう、理由ではない!】
【「爆撃を打ち消せるだけの衝撃」を放てるからだ──!】


   【 ず ────  が、がががががががが !! 】


【薙刀を離す。下がるのは、一歩だけ──衝撃を「撃て」れば、それでいい】
【びゅ、──! 神気が、爆ぜる。だが、薙刀を媒介にした攻撃と手から直接放つ攻撃とでは……】
【例え技の発動が遅れたとしても、互いの攻撃がぶつかり合うのは、2人の丁度間──!】

【衝撃と衝撃が、ぶつかり合う。爆風が生まれ、ひゅうと髪が後ろに棚引く】
【──「相殺」、させた】
【コンクリートの地面は削れ、土のソレが露出する】
【破片が飛び散り、塵芥が舞い、一部だけが戦場と似た気配を孕み始める】
【──だらん。一連の行為を「終えた」リーべの左手から、力が抜けた】

……抜かない。まだ、抜かない
剣は──刃は、人を殺める武器だ
ふ、はは……私は刀の達人ではないからな……峰打ちなんて、とてもじゃないが、できない

私は、できるだけ、人を傷つけたくない……血を流したくない……!
だから拳を使うんだ……!

刀は、簡単に抜くものじゃない──少なくとも、「今」じゃ、ない!!

【──ひゅう。風が、塵芥を押し流していく】
【左手に、力を込めようとして……動いたという感覚が、返ってこなかった】
【痺れているのか。少なくとも、今は使い物にならないと、リーべは思った】

……襲ってきたなら、殴って止める。無血や無傷ですむなんて、私は思っちゃいない
それに……少なくともベティは、完全な「悪」じゃない

あの時──カニバディールの目の前で、ベティの手を私は引いた。こちらに来いと……そのつもりで
あいつは……ベティは、それに逆らわなかった
私と、また話をしたいとすら、言っていた。再会だって、約束したんだ!
……通じるさ。ふふ、ふふふふふ、何故「通じない」と思うのかが、私には本気でわからないな!

【──思わず、声が漏れる。この場に不釣り合いな、「笑い声」が】
【リーべは想像してみたのだ】
【自分が、ベティと手を繋いでぬいぐるみを買うところを】
【自分が、No.7とどつきあいながらも、流行りのケーキ屋の行列に並んでいるところを】
【それはひどく──愉快なものだった】
【さらにその中に、佳乃の姿も加えてみる。……リーべにとって、楽しくないはずがなかった】

【笑いが漏れる。もはや、隠しようがなかった】
【佳乃の瞳に熱が灯れば灯るほど──リーべの表情が愉悦に満ちていく】
【楽しくて楽しくて、仕方ない。まるで、そう言うかのように】

全力と言ったな──?
だが生憎だったな佳乃!!

   ──── 私は、いつだって全力なんだ !!


【だ、んッ──! 地を、大きく踏みつけ、その、次の瞬間。地面が、抉れた】
【先ほどの「相殺」の比ではない。べきりとコンクリートが捲れ、大小の破片が手榴弾のように周囲を襲う】
【再び土が舞い上がり──2人の距離は精々、薙刀と手の長さを合わせた程度】
【その、数メートルにすらならない距離を、地面を踏みつけた勢いを利用し、一息で詰めにいく──!】
【切迫されれば、「振動」つきの右拳が佳乃の腹部を襲うことになる……!】
159 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 01:16:18.20 ID:PMDk/zNf0
>>157

【「あ、だけど、水槽の中に居るから」「いちおう、近づきすぎないでね」】
【件のうねうねにはそんな助言をして、一応の説明は終わりとする。名前も良く分からない、ウネ子とかウネ夫とか呼んでいるが】
【そもそも性別の見分け方も分からないので、その都度こいつがウネ子……とかそんな風に決めているだけの、名前】

……じゃ、おいで。

【そうして彼女は頷くと手を伸ばす。なぜかって――ここから徒歩では、とても無理な場所に家はあるから】
【手を掴めという意味だろう。誘うままに手でも繋げば、きらりと煌いてあふれ出すのは、桜色/紫色の魔力】
【あとは一瞬のことだった。景色が反転して、入れ替わる。空気は肌を劈くように冷たくなり、空は暗雲立ち込める、夜だ】

…………雪降りそうだね、寒くなるかな――、あとで、暖炉焚いてあげる。

【転移の魔術だった。やがて降り立つのは、洋館の前。豪邸というには少し足りないが、少なくとも十分なほどに大きな建物】
【庭は相応よりいくらか広く、さまざまな植物が植えられている。他にも、低い柵で囲われた謎のスペース(兎の放牧場所)とかがあり】
【ティータイムでも楽しめそうな机なんかも置かれている。とりあえず、……それなりに金持ちらしい家なのは確かで】

【空を見上げれば、言葉通りに今にも雪の一粒二粒舞い降りそう、それくらいに、月の光すら透けない暗幕が立ちこめ】
【洋館のほうまで歩いて古びた木の大きな扉を開けると、中は、まあ室温程度のぬくもりを持つ。寒いといえば寒いが――】

じゃあ……サフィアはこの部屋、使ってね。リビングはあっち、お風呂はあっち……だけど、浴槽は使えないの、ごめんね。
わたしの部屋はあそこだから、分からなくなったら呼びに来て。それで、あの部屋だけは入っちゃ駄目――――。

ごはんは食べた? 残り物でよければ、出すよ。

【とりあえずコート掛けに適当に上着を掛けると、彼女は玄関で靴を脱いでしまう。そしてスリッパに履き替えるのだが】
【洋館だしかつて一緒に暮らしていたひとは土足だったので土足でも別段気にしない。脱ぐというならスリッパを貸すだろう】
【そしてざっくりと空き部屋を紹介して、リビング、お風呂、と紹介していって――浴槽は使えないという豆情報を伝え】
【ひどく簡単な説明だが、分からないならその都度彼女に聞けばいいだろう。リビングか自室に居るだろうから――】

【食事がまだだというなら、それも出してもらえる。何の変哲もないカレーライス、「金曜日だし」とか言って】
【ごく普遍的なものだが、家庭料理的においしい。隠し味――のひとつふたつくらいは入ってそうな感じがして】

【――そう、そういえば、彼女、薬指に指輪なんてしているのに、“相手”の姿が見えない】
【もし尋ねてみたとしても、部屋着のもこもこしたパーカーに着替えた彼女はなんとなく話をそらして、教えてくれなくて】
【だけど、それを尋ねたりしないなら――別段気まずくもならず、暖かい夜を過ごせることだろう】

【そして、件の暖炉の傍で寝そべるのは、二メートルもあるような大蜥蜴だった。「コモン」というらしく、メスだとも告げ】
【コモンもコモンで人懐こいのかサフィアにやたら構ってくる。撫でてやるなりすれば喜ぶだろう、――そのほかのペットは】
【なんとも興味なさげに各自浮いていたりもらった人参を齧っていたり、うねうねしていたりした。面白みがない】

【そして、朝になって帰るというなら、「いつでも来ていいからね」なんて声を掛ける、――が、ここ、夜の国だ】
【とてもじゃないけれどあちらから通うには不便で、それなら、「もっと泊まっていく」なんて声も掛かるけれど】
【やっぱりどちらも無理強いするものではない。彼女が首を横に振るようなら、「そっか」なんて呟いて、送っていくだろう】
【来たときと同じように、転移魔術を使って、昨日お話した辺りまで連れて行って――最後に、「またね」と言い残して、その姿は消えたという】

/最後のほう押し込んじゃいましたが、おつかれさまでしたっ
160 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/13(土) 01:20:52.44 ID:v2qKTrgko
>>154

【この男からすれば、振り返った彼女から飛んできた言葉は正直思いもしなかった内容だったらしく。一瞬だけ2人の間に流れる――――沈黙】
【気まずそうに苦笑いを作った後、もう一度「あー、ごほん」と喉を整えてから男はようやく返答する】

……こりゃとんでもねぇシスターが居たモンだ。あー、まず路地裏に居る時点で半分とんでもねぇんだけど。
――――で、俺はアンタを口説けばいいってことか? 場所が場所ならなぁ……。バーとかなら口説いてたけど、んな場所で口説くほど俺も軟派じゃねぇよ。

キミのミステリアスな雰囲気に惹かれたんだ……路地裏で堂々としている君はまるで、闇夜に輝く一輪の薔薇――――あーいや、やっぱ向いてないわ。
言語センスが我ながら壊滅的だ……あーくそ、試さなきゃ良かった……。

【彼女が求める言葉を何とか自分なりに絞り出して唱えてみるが、段々と言うにつれて声のボリュームは小さくなり、耐えきれなかったのか途中で切った】
【ソフト帽のつばをぐっと下げてやや赤くなった顔を隠しながら、先程の自分が持っていたチャレンジ精神に対して後悔の言葉を零す】

……おお神よ、出会っていきなり暴言のボディブローをかましてくるこの罪深きシスターに相応の報いをお願いします地味な嫌がらせで構いません。
――――ま、俺神の存在信じてねぇけど。つーかホントにシスターかよ。格好だけのなんちゃってシスターってワケ?
どっちにしろ路地裏大好きチンピラさん達は「シスター=か弱い」ってイメージで襲い掛かって、アンタはそいつらをかる〜く跳ね除けるんだろうけども。

……兎に角! 争いは起きないことに越したことはねぇんだよって、SCARLETの俺は思います!

【いきなりの暴言に前回フレデリックの幸せボディブローに抉られた傷口が開きかけた。ジッサイ寂しいから何も言えない】
【おお神よ、なんて両手を組みながら空へと語りかけることをシスターに対してわざとらしくやるという皮肉を零せば、まずコイツシスターなのかという疑問をぶつける】
【彼女が言う通り、路地裏のチンピラにやられる筈もないのだろう。それでも面倒事は避けてくれ、というのがSCARLETの彼の本心だった】

【白シャツの右胸部分に縫い付けられた緋色の鷹を指さして、「SCARLETの」俺はとの強調。その後流れるように自己紹介に続く】

SCARLETの二丁拳銃使い、マーシャル・T・ロウ。ちょい前のフレデリックの依頼にも参加して、アーグ……って言う幽霊?と闘ったヤツさ。
フレデリックとは元々敵同士だったんだが、なんかゼン=カイマの一悶着が終わってから心入れ替えたみたいで、今は一応アイツに協力するカンジ。
……まぁ皆が居る前でいちゃいちゃいちゃいちゃしてるから内心もげろとか思ってたけど。

【所属組織、名前、そして彼女が依頼を受けていた前回のヴォルギーグの内容に触れた自己紹介】
【最後の最後には独身男の怨念と言うか、クリスマスに寂しい思いをする男の怒りが籠った言葉を零す。リア充爆発しろ、とでもいうやつである】

161 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 01:49:01.55 ID:muSwN8LJ0
>>160
「ん?あ、仮に口説かれてもお断りだけどね。だってほら…………人にもタイプって物があるしさ
それにしても其れは口説き言葉にもなってないけど。何て言うか……昔の恋文が数百年経った今読解されて恥ずかしい歴史を解かれてる感じ」

【先ず第一に、青年自身は口説く気が無かったのだからこれより先は仮にも、との言葉を頭に続けられ】
【赤面を隠すかのようにソフト帽が下げられたなら、聞こえるのはきっとからかう様な言葉】
【ゴホン、と喉の調子を整え急に真面目な様子を見せたと思えば――――「キミのミステリアスな」と続けられ所々にダメだしをするのだから聖職者からは程遠く】
【何しろ一つ違える事も無く繰り返したのだから、元から恥じらっている者からすれば地獄にもなるか】


「こんなんがボディブロー扱いならキミはクリスマス聖戦に生き残れないよ?右を見ても左を見ても敵だらけだし、もしかしたら敵に囲まれるかもしれないし
それにどっかでご飯でも食べようかと思ったら本日お一人様のみは〜なんて断られちゃうかもしれないし

――――そ。こんなんでもボクは歴とした修道女
ただひたすら神サマにお祈りする様な其れとは違って色々と特殊だけどね。そこら辺の人達が束になったとしても難なく“終わらせる”だけの自身はあるよ?
まー、でも。最後の言葉には賛成かなー。だけどさ……争い、じゃなくて遊びなら大丈夫だよね」

【遠慮無く並べられる暴力。ケーキだとか二人きりだとか色々な言葉が並べられ、具体例を出せば其れは独り身には非情な現実で】
【女の戦闘能力は実際に見なければ分からない事。其れが誇張か否かすらも】
【ただ……不殺の彼ならば、逆に彼女が多くの命を殺めている事も感じ取れるかも知れず】


「へえ――――SCARLETだったんだ。なら、丁度良かった
団長サマも……今は大司教サマか。彼も前とは違って確かに大分丸くなったからね…………それでもあんまり好きじゃ無いけど
キミの事も教えて貰ったし、ボクについても少し話そっか
グリース・イムリンパルス。謂わば教会の武器で、路地裏の人達からは“死神”なんて素敵な名前も貰ってるよ

で、何が丁度良かったのかと言うとさ。キミも参加してたなら分かると思うけど……アーグについて。それと、六罪王のダグラスの居場所とかの話
もしかしたら大司教サマからもう話を聞いてるかもしれないけどさ。SCARLETとしてはどの様に対処するつもりなのか。そして、ダグラスの居場所を知った後にどうするつもりなのか
アーグもアーグで問題さ。だけど、月落としのダグラスだって十分に問題だ。――――二人が関係しているのかどうかまでは、ボクには分からないけど」

【修道女でありながら死神、とは何とも不名誉だけれど。考えようによっては、狙われれば必ず命を奪われる恐怖の対象でもあったのか】
【―― 一呼吸分の沈黙。続けるのは、SCARLETのこの後の方針】
【アーグが復活した事は既に理解して居る事だろう。そして、一人の六罪王が再び良からぬ事を企んでいる事も】
【ならばそれに対してだの様に考えどの様に対処するつもりなのか、と】
162 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/13(土) 02:03:02.79 ID:HJ6yZbfT0

>>159
す……水槽……なんだ、水槽にいるのか……
【うねうねが取り敢えず隔離(?)されていると知りほっと胸を撫で下ろす。その反面「……昆布? 」なんて突拍子もない事を考えたりもするが】

【鈴音に言われるままにその手を掴めばめまぐるしく変わる世界。美しい色とかくるくる変わる風景とか、暗雲立ち込める夜空とか】

【風景が変わる度にサフィアは楽しそうで子供っぽい歓声をあげて、極めつけは鈴音の家。凄い! なんて言葉を述べて興味深そうに辺りをきょろきょろ見回して】
【説明の間もどことなくそわそわしたりなんかして、まあ流石に走り回るような子供っぽい事はしないが】

あ、頂きます! 
【食事と聞くと今度はそっちに意識が集中する。温かいご飯など何時ぶりだろうか? 久しぶりの御飯という事もあってかとても美味しく感じたようだ】

【鈴音の結婚相手の事については別段気にしてはいなかった。偶々仕事か何かでいないのかなぁと思ったくらいで】

【コモンという大蜥蜴にははじめはちょっとばかり驚いたがその人懐っこさから早い段階で仲良くなり、「お前は熱くないのかい? 」などと笑いながらコモンを撫でているサフィアの姿が見られたとか】
【因みに兎も可愛い可愛いと構おうとしていたがことごとく撃沈しているようであった】

【そして、朝。いつでも来て良いという鈴音に彼女は応える】

……はい、でも……機会があったら、で
【いつでもとは言われたが夜の国は流石に遠い。だから、機会があったら、と】
【まあ機会、というのはそのうちに夜の国観光をする時の事なのだが】
【そして、昨日の場所に帰ると彼女は言うのだった】

さよなら! 
今度はお店にも行ってみますからね! 
【そして鈴音が見えなくなるまで手を振っているのだった】



/三日間絡みありがとうございました!


163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/13(土) 02:15:23.67 ID:v2qKTrgko
>>161

無駄な努力させておまけに恥かかせたんすかお嬢さん……いや、恥は俺が勝手にかいたのか、はぁ……。
おいダメ出しやめーや、反省してたよね俺? 自分で壊滅的とか認めてましたよね? さらに抉る気? 鬼なのかな?

【即お断りという瞬殺劇に苦笑いを浮かべていたが、その笑いも段々と哀しみの表情へと変わっていく】
【その理由は言わずもがな、死体蹴りの如く彼の口説き?言葉を上から丁寧にダメ出しをしていくのだから、そりゃあメンタルがどんどんと抉られていく】

……じゃあそっちはどーなんだよ? 彼氏いんのかよ! 
淡々とぶち込まれる言葉の暴力を包み込める包容力のある彼氏はいんのか!?
終わらせる――――とか物騒な言葉プラス実際に終わらせられる戦力持ってるアンタと平穏に過ごせていける彼氏はいんのか!?
なんとなく血の匂いも感じるし、サディスティックでバイオレンスなアンタとうまくやってる彼氏はいんのか!?

居たらもう負けだよチクショウ、くっ、殺せ……ってヤツだっての!

【完全に心が折れる前に攻めるしかない。攻撃は最大の防御とも言う。玉砕覚悟の反撃に出ながらも、何となく彼は彼女に血生臭さを感じていたというか】
【実際に匂う訳ではなく、それは「人を多く殺している者」にしか漂うことがない特徴的な雰囲気。それを血の匂いと彼は表現していた】

あー、まじでシスターなのかよ。明らかに死神の方がピッタリじゃねーかオイ。ま、俺も俺で一応「不殺の弾丸芸術家(アーチスト)」とか呼ばれてるけどよ……。

そんで、アーグとかに対してのウチはどーすんのってことか。アーグと闘った俺含めてSCARLETの3人は行けるならぶっこむだろ。
俺もアイツぶっとばさねぇと気が済まねぇし。SCARLETで収集かけるし、そっちにも出来る限りの力は注ぎたい……ってことじゃねーの。
情報は……SCARLETの強みだから、警察や自警団や軍が手に入れてくれることを願うことしか。
――――ま、GIFTもちょいちょいマークしとかねぇといけないし大変だぜ。

【死神――という呼び名。言葉の鎌で心を突き刺してくる様を思い浮かべたロウから零れた言葉は「ぴったり」というモノ】
【自分にも一応そういうのがあるが、今となってはこの名前も余り気に入ってはおらずと言うか恥ずかしく、少々ローテンションで「一応」と付け加えて言う】
【ともかく、本題。深いことはまだ分からないこともありまだ明確な考えは示せないが、兎に角出来る限りの力を討伐に注ぐとだけ告げた】
164 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2014/12/13(土) 02:33:45.52 ID:ICB597NXo
>>158

【この瞬間、この間合い。『四散』の放つ神気の爆撃、完全に避けられるはずはない――――】
【佳乃にはその確信があった。自惚れではない、経験則に裏打ちされた予見≠セ。……そしていま、目の前で、それが真っ向から覆された】
【――――だというのに、佳乃の顔に少なからず喜色が張り付いている。ほんの少しの隙間さえあれば衝撃を生み出せる能力の性質も恐ろしいけれど】
【それ以上に。あの局面で逃げではなく攻めを選択した彼女の心根が、佳乃に自然とそうさせていた】


………ふん――――、とんだ大馬鹿ね。
そのうえあなた、匂うのよ。青臭くて、激甘な、鼻に付く匂いが。


【焼け滾るようなリーベの叫びをすべて受け止めた上で、佳乃の口から漏れたのはそんな罵倒だった】
【救いようのない愚か者を見るような視線。呆れ混じりの口調。けれどやはり、どこか――――嬉しそうですらある、呟きだ】
【それもその筈。いくら偽悪的に振舞おうが、佳乃も本質は、その大馬鹿なのだ。作業のように冷酷な選択ができるほど、大人ではないのだ】
【あの娘が完全な悪ではない、という何の根拠もないハッタリを、信じてみたいと思ってしまう程度には、少女もまた子供だった】


けどまあ………嫌いではない答えだわ。
もしバカみたいに素手で殴りかかっていって、本当に救えてしまえばそれでよし。
たとえそのまま惨めに殺されたって、悔いはないということよね?


【すっかり喜色満面と言った様子の夜色に、少女は同じ笑顔を向けて。右手で薙刀を構えると――――するり、と。体の後ろに隠してしまう】
【ここまでの問答で、リーベの覚悟と実力は知れた。それが佳乃にとって満足のいく物であったのは、表情を見れば明らかだ】


けれど、これだけやって死なれてしまうと、私の後味も悪いわ。
――――最後の餞別よ。受け取りなさい。


【もはやこれ以上の戦いは無意味――――しかし、リーベもそろそろ佳乃の性格を理解し始めた頃か】
【そう。この無駄に気性の荒い女生徒が、よもや自分からただ負けるのを看過するはずなど、無かったのだ】
【この行為が投降ではなく、無意味である筈の最後の一撃≠ノ転じる前動作であることもまた、表情を見れば明らか――――】

【……薙刀は使わないと決めた。空いた左手は先ほどの一合で痺れている。だが指先で物をつまむ≠ョらいの力は残っていた】
【リーベが地を蹴るのと同時、佳乃は左手で新しい符――描かれる漢字は雷=\―を取り出し、掌に貼り付けて】


白刃龍紋流・襲打=\――――!!


【裂帛の気合と共に――――すっ、と、リーベの右拳とすれ違う形で左手を突き出す。動作としては、たったそれだけだ】
【刀は簡単に抜くものじゃない。少なくとも今、抜くものではない。これは迂遠ながら、その言葉に対する同意でもあった】
【その後、佳乃はあえなくリーベの右拳を受け、真後ろに吹き飛ぶだろう。直前で自分から後ろに飛ぶ程度の対策はするけれど、ほとんど直撃】
【受身を取って膝立ちでリーベを見据えるが、精神的にも肉体的にも戦意は残っていない。佳乃がリーベを認める形で、この戦いは終局となる】


                          七彩、透咲。


【けれど。痛みを堪えつつ、それでも「してやったり」と笑って――――佳乃はすべてが終わった後、小さく奥義の名を呟いていた】
【カウンターの要領で突き出された左手。もしそれがリーベの体に触れていたなら、ひとつの奥義が発動していたはずだ】
【この七彩透咲≠ヘ、『神気を物質の内側に送り込む』奥義と、『神気を自然現象に変換する』奥義の合体技である】
【細かい理屈を抜きにして結果だけ言えば。左手を介してリーベの体内に送り込まれた神気が、体内で直接雷≠ノ変換されるのだ――――!】

【これが成功した場合、体の内側から直接、強烈な雷撃がリーベを襲うことになる。死なない程度ではあるが、威力は激烈の一言だ】
【ただし。神気を送り込んでから雷に変換するまでにほんの一秒程度のラグがあり、この間に左手が体から離れれば、威力はそれだけ減衰してしまう】

【まあ、畢竟――――これをリーベが受けようが受けまいが、倒れようが倒れまいが、佳乃が引いた時点で彼女に負け≠ヘない】
【ただこの不良少女のどうでもいい意地と全力が、それを引き分け≠ノ持っていく可能性があるというだけの話。その、結末は――――】


/気づくの遅れました、ごめんなさい……!
165 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 02:37:08.00 ID:muSwN8LJ0
>>163
「え、彼氏?居ないよ?だって別に欲しいとも思わないし
居たら居たで身動き取り辛くなりそうだし、何より反りが合う人も少ないだろうからねー
ボクは単独行動の方が気楽で良いしさ。…………何時死ぬかも分からないなら、ねぇ?

あ、そっか。ロウも同じ考えだから独り身なんだ。いやあ、まさかボクより年上に見えるのに今まで彼女の一人も居ませんでしたなんて言われたら涙が……」

【自身は常に激戦の地へと向かう身。仮に居たとして、何時死んでも可笑しく無い自分が好いて貰った所で不安しか与える事が出来ない】
【ならば、元よりその様な存在など居ない方が――――其れが本音だけれど、紡がれる物は大きく異なった印象を与えるであろう】
【其れで良いし、其れが目的。最後には青年をからかう言葉も忘れる事無く、「まさか、ね」と続く言葉は様子を伺う様で】


「なる程ね。アーグに関してはボクもそんな情報を持って無いし、大司教サマと知り合いなら直接仕入れた方が良いかもしれないね
それと、コレ。ダグラスの居る島の事とかが詳しく書かれてるし、出来ればUTの人にもついでに渡しておいてよ。仲が悪い、って訳でも無いんでしょ?
どうせなら一人でも多く、ね。これで誰か一人先走れば意味もないけど…………キミ等の所にそんな人も居ないだろうし

GIFTは……そういえばカノッサとは良く戦ったけど、GIFTはあんまり経験ないや
やっぱりカノッサと同じ感じの人が集まっているのかな?」

【青年へと向かって飛ばされた紙飛行機。開いて見ればとある島について記された地図である事が知れるか】
【――――先の話から察するに、六罪王の住まう場所について記された物なのだろう。其れを正義の組織間で共有すれば良い、と告げて】
【裏面を見れば忌み地だのと書かれて居る事も分かる。余り良い場所でも無さそうだが…………女が仕入れた情報は其処までなのか、それ以上は記されて居らず】

【GIFTの名を聞けば、少しばかり興味が惹かれた様に顔を向けて】
【――――大体はカノッサを相手にするか、そうでなければ世界に害を為す者を相手にしていた。然れど、GIFTは数少なく】
【彼の口振りがその組織について知っている様だったからこそ、実態はどの様なものなのかと知りたがり】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/13(土) 03:00:45.57 ID:v2qKTrgko
>>165

うるせぇ流石に居るっての! でもあれだ、皆口揃えて言うんだよ。いつ死ぬか分からない危険な事はやめて欲しいってよぉ。
ちょっと真剣に考えてみるとコレなんだよ。死んだら好きな人を哀しませることになっちまうし……そう考えるとなんか死ぬこと脅えちゃうなぁって――――。

――――いやこんな恋愛トークは良いんだよ。つか毎回言葉のナイフで抉りにかかるのは何だ、死神だからかオイ。

【明日の命が保証できない危険な職業故に、もしフレデリックのように結婚したとしても妻を一人残して自分が死ぬ、なんてことも十分に予想できる】
【妻に深い悲しみを背負わせることになる、ということを考慮すると――――カップルや夫妻を妬んではいながらも自分は……となってしまう】
【どうしようかなぁ、はぁ……みたいな溜め息を吐いたかと思えば目が覚めたらしく、「こんなことはどうでもいいんだよ」と自ら吐き捨てて話題は移る】

そらそうよ、なんたってUTとウチは同じ掲示板使ってるくらいだしな……っと。確かに受け取ったぜ、情報サンクス。

GIFTは……ウォレンシス奪ってからまた妙に大人しいけど、面子はクソやべぇぞ、運が悪けりゃ俺死んでたレベルでつええ。
まあ思想はカノッサと違って固められてる。能力者万歳ってヤツ。兎に角今はずっとウォレンシスを見張ってなきゃならねぇキビシー事態だ。
水の国のでかい都市がまるまる奪われたんだから、フルーソとか攻め込むのも随分楽になっちまった。だからずっと見張ってなきゃやべーの。

【紙飛行機を受け取り、軽く中身を確認してからポケットに押し込んだ。ダグラスに関しては、フレデリックと一緒にぶっ飛ばすと誓った】
【紺碧の双眸が僅かに鋭い煌めきを見せ、口許からは小さいながら逆襲を予感させるような意味深な笑みが零れていた】
【GIFTに関して語るは、カノッサとの大きな違いと厳しい現状。そしてメンバー一人一人のポテンシャルの高さ、といったところか】




167 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 03:21:19.11 ID:muSwN8LJ0
>>166

「いやいや、別に抉ってたつもりは無いよ。ただ適当に投げてたナイフが偶々キミに刺さっちゃうだけで」

【適当に投げた、とは言うものの実際は急所を狙っている事は間違い無く】
【肩を竦めて言葉を途切れば後は彼の話に耳を傾けるのだろう】

【聞けば宗教にも似たものだと推測。ならば、寄せ集めの兵だとかよりも余程達が悪い】
【然れど易々と負けるつもりとて毛頭無い。実際の所は、戦わねばまだ実感できないことだけれど】


「――――なら、運を良い方向に向けてれば少なくとも死なないで済む訳だ
何となくだけど理解はしたよ。ソッチの方もボクが見つける事があれば……なりなりに手は尽くしてみようか
それにしても水の国、ねえ……。彼処は一度お祓いか何かして貰った方が良いんじゃ無いかなって思うよ

それじゃ、当初の目的も果たしたしボクは教会に戻ろうかな
共闘する時があれば、宜しく頼むよ。後は……キミが死ねば仲間が悲しむだろうから、出来るだけ無茶はしない様に、ね」

【運も実力の内ならば運を引き寄せるのも実力だ。其れが無ければ殺し合いの中で今まで生き延びる事も難しい、と言わんばかり】
【正義の組織に対して情報を渡す目的も果たし終われば、路地裏に長居する理由も無い】
【不意に突風が抜けたと思えば、女の背に純白の翼が生えて】

【死は本人にだけ影響を及ぼすモノで無い――――そんな事は、不殺を貫く彼自身が良く知っている筈だ】
【そして、その彼が死ねば同時に多くの者が悲しむのだろうから死ぬな――と】


【数度羽ばたけば女の姿は遙か上空。一度手を振ってみせればその姿も直ぐに何処かへと飛び去って】

/少し早いですが、時間も丁度良く目的も果たせましたのでこの辺りで……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!
168 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/13(土) 03:46:08.36 ID:v2qKTrgko
>>167

それにしては狙いが正確過ぎませんかねぇ……。

ま、水の国が狙われんのは運じゃなくて一番栄えた国だからだろ。特にフルーソなんか世界で一番人が詰まってる都市だ、そりゃ狙われるわ。
水の国関連だと俺も防衛に向かうからそりゃ激務さ……だからそろそろ盾を剣に変える時期かも知れねぇな。

【明らかにわざとなのは誰が見ても解ると眉間に皺を寄せて突っ込んだ後、言及するは水の国の「不運」】
【其処を制圧するのが世界で最も影響がある地だから仕方がない、というロウなりの分析を語った後、大袈裟に溜め息を吐いて見せた】
【理由は自身の激務――――であるが、だからと言って絶対にこの任務から逃げることなどあってはならず】

【故に攻め続けられるとこちらの身が持たない。故に殴られっぱなしの今を打破するためにこちらから仕掛けたい、という想いをロウは言葉少なく語った】

お、戻るのか……共闘する時だァ? その時には俺の銃捌き見せてやるっての、だって絶対俺舐められてるでしょ……?
俺の跳弾が華麗に舞うシーンを見せつけてやるからよ、ビックリし過ぎて腰抜かすなよ――――ってうぉおおおおおッッ!?

【突風、その後にばさりと音を立てたのは彼女の背から生える――――天使の羽、のようなもの】
【うぉお、と声を上げながらロウは尻もちをついて、唖然としながら空を見上げるだけ。視界に広がる、天使の姿】

……――――ど、どーなってんだ。アイツが天使……? いやあの毒舌シスターが天使なんてあっちゃダメだろ……。

【余りの驚きに、手を振り返すことすらままならなかった。本当に天使なのかと思ったが、結局ロウはあんな毒舌女を天使と認めてたまるかという結論に至った】

/ありがとうございました! 途中凄く時間がかかってしまい申し訳ありませんでした……
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 04:50:40.10 ID:FGH4ppy4o
>>84

おう!今のうちにどんなケーキが良いか考えておけよな
俺、暇な時に良いヤツ探しとくからさ。……しっかし、花言葉か

……"まごころの愛"ね。確かに、そういう気持ちでもないとやれることでも無いし
っつーか、お前すげェな鈴音。俺だったら絶対こんないい名前思い浮かばないぜ?
全部が全部、ちゃんと筋の通った意味だし……暖かい、っつーのかな…――。

【あまり上手くは言えないけれど、彼女の考えた企画の名前は素晴らしい、と】
【端的に言ってしまえば――褒めちぎる。けれど、決して上辺だけの言葉ではなく】
【純粋に凄い、なんて思ってしまう程には、ベイゼは鈴音の事を讃えているようで】

【――そして、早くも準備に戻る時間。こうして話しているのは楽しい分、過ぎるのも早い】
【『仕方ねェ』なんて言いながらケーキのピースをパクリと食べて器をまとめ、黒いマインドに運ばせつつ】

ポテトフライか……良いんじゃないか、季節のものだし、酒にも合うしな
何なら俺が試食してやるよ。……味付けはちょっとスパイシーな位が良いと思うぜ?

【そこに『個人的な意見としてな』、としれっと付け加えれば、自分も自分の仕事に移る】
【時折声をかけたりしながら、酒類の仕込みをし、軽食なんかは下準備くらいなら手伝いもして】
【一、二時間もすればUTも事務所ではなく、酒場としてオープンすることとなるだろう】

【或いは、噂を聞きつけてか――来客が普段よりも随分と多い、のかもしれないけれど】
【きっと、忙しければ互いに手を貸しあって何とかしていくハズだった。少なくとも、ベイゼはそうであり】
【仕事が一段落する頃には、きっとまたお茶でも入れての休憩が待っているのだった】

/きりも良さそうなのでこの辺で……ということで如何でしょうか?
/勿論、続けるとあらば流れ的にそのままやっちゃって頂ければと思います
170 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 10:25:19.38 ID:PMDk/zNf0
>>169

やったぁ、わたしね、ミルフィーユがいい――いちごがいっぱい乗った、ミルフィーユ。
……ほんとはね、お花の名前にしようなんて思ってなかったの。だって、そんなの、思いつかなくて――。

友達が一緒に考えてくれて、それで、思いついたんだ。お花の名前も、いいなぁって。

【――彼女が選んだのはショートケーキでもチョコケーキでもない、ミルフィーユ、なんて思い切り好みが見えるもの】
【結局上手くは食べられないのだけれど、すごく好きだった。近所のケーキ屋に行くと、「ミルフィーユありますよ」なんて】
【囁かれるほどだったりするのだが、まあ、余談で――それから、ひっそりと、声を潜めて告げるのは、そんなこと】
【誰かと一緒に考えたものらしいのだ。だけど、誰かの答えの丸写しじゃないのは、由来について語ったときの態度や声で分かるよう】
【ちゃんとそこには自分の意見や思いがあって、“こうなって欲しい”という願いがあって――そう、】
【セリーナにもこの後、その名前で、という許可が下りるのだった。ベイゼにも褒めてもらえた名前、すごく嬉しそうにしたという】

ちょっとお塩を利かせれば、ビールとかにも合うと思うし……あ、でも、
変わった味にしてみるのもいいかも。スパイシー――なら、胡椒とか振っても合うかな。

じゃあ……もう少ししたら作ってみるから、味見してくれる?

【ビールなんて飲めないくせに気にするのは、やっぱり、酒場客たちのためだろう、うーんなんて唸って】
【そしてベイゼの一言で思考の方向も変わる。スパイシーかぁなんて呟いて、胡椒……とか唐辛子、とか考えてみるが】
【やっぱり胡椒かななんて呟いて、マインド氏が片づけてくれるなら、ちょっと遠慮がちに、「ありがとう」なんて笑う】
【それで立ち上がりながら、そんなことを提案して――おやつ食べたばかりだけど、軽食がてら】

【頷けば、開店する少し前に――胡椒だけを振りかけた塩を利かせたものとか、胡椒と粉チーズをたっぷり掛けたものとか、】
【青海苔を混ぜたバターを添えたものとか、数粒ずつのものを、二人で試食、なんてすることになって】
【そうやって、今夜のおすすめのおつまみの味わいを決めるのだろう。お客さんが喜んでくれたらいいな、なんて、考えて――】

【そして開店の時刻。最初は疎らだった客も、日がとっぷり落ちる頃には、空いた席を探すのが難しいほどになって】
【目の回るような忙しさ――だけど、とっても楽しい時間。二人で決めたポテトフライも、そのうちにじゃがいもがなくなってしまって】
【お店が終われば、いつもみたいにお茶を淹れて飲む。或いは反省会でもあるし、お疲れ様会でもあるし、休憩でもあって】

【それで、いくらか元気を取り戻せば帰って行く。寒そうにもこもこになって帰っていくのも、いつも通りの平和だった】

/じゃあここでお疲れ様でしたということでっ。お付き合いいただきありがとうございました!
171 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 14:12:48.62 ID:PMDk/zNf0
【風の国――UNITED TRIGGERの店内】
【夜のための仕込みもある程度終わって、休憩の時間。約束の時間に“彼女”が訪れるなら、すぐに人影を見出すだろう】
【カウンターのところで何か作業をしているらしい背中は真面目めいて、声を掛けるのを躊躇いそうにもなるが、】
【その実、そこまで本気ではないので、入店の音に気付かないほどでもなく。そうでなくったって――】

……よし、出来た、

【そう呟いて彼女は出来上がったものをカウンターの上にとんと置く。見れば、卓上サイズの小さなクリスマスツリー】
【小さいながらもお星様とかいろいろ飾られて、てっぺんにはお星様もあって、立派なツリーの装いの、それ】
【多分その一式が入っていたのだろう空き箱をカウンターの裏に置くと――ふと思い出したように、視線は時計を撫で】

あ――もう少しかな。

【そういえば約束の時間はそろそろだったと改めて認識する。俯き作業のせいで流れてきた髪を、ふわっと両手で払い】
【確かめるように、だけど無意識なように、右耳にピアスに触れて。立ち上がった彼女は、スカートを調える】
【深い赤色のワンピース、ベールでも纏うように重ねられたチュールが、その赤を生成りでうっすらと彩り】
【腰元や裾に飾られたリボン飾りが動きのためにふわふわと揺れる――足元は、長めの靴下が足をすっぽり隠して】
【底の分厚いショートブーツ。それが、歩くたびに、床をごんごんと低く低く、鳴かせているのだった】

【(ちなみに、前髪から編みこまれた黒髪は、仕込みの最中は後ろででも縛られていたらしく、少し乱れていて)】
【(もちろん見苦しいほどではないが、よく観察すればそれが見えるのだった。だからといって、何でもないが――)】

【くう、と。あくび交じりに身体を伸ばして、彼女は客人の訪れるのを、待っていた】

/予約ですー
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 15:05:38.29 ID:1Aj7CBtX0
【鈴音が時計を仰ぎ見た、ほんの数秒の後。彼女の呟きから少しの間をおいて店の扉がきぃと開いて】
【温かい店内の中にひゅうと風と共に舞い込んで、外の冷たい空気が鈴音の髪や肌を撫でる】
【今日は風が強い。風の国だからだろうか、冬の北風も心なしかその勢いを強めている気がする】
【そんな風の冷たさを合図にドアの方を見れば、約束の女性が寒さに負けない柔らかい微笑みと共に立っている筈―――】

ここで合っているので御座いましょうか―――あ、鈴音さん!
お久しぶりです。ふふっ、可愛らしいお手紙ありがとう御座いました。

コマーシャル、見ましたよ。顔を知っている方がテレビに映るのって不思議な気分で御座いますね……
鈴音さん、とっても可愛かったですよ。なんと言うかこう、仔猫みたいな可憐でした!
……少し羨ましいです。私には鈴音さんのような可憐さは持ち合わせていないので……


【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を北風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪や右の目元の泣きぼくろが整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【ベージュのトレンチコートは季節に合わせて厚手の温かそうなもの、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【コートの下はグレーのシックなトップス。コートの色と合わせて落ち着いた大人な雰囲気の色合い】
【黒色のスキニーパンツは、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる。足元はブラウンのブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】
【以前に会ったのは自身の結婚式の前だから、かなり久しぶりという事になるか。……と言っても、マリアの方は大して変化はなく】
【服が冬の装いになったことと薬指に指輪が嵌められていること以外は、変わった所は無い。】
【(鈴音は大きく変わった筈だけれど―――マリアはその事を、まだ知らない)】

【―――さて。例のCMが流れて以来、会う人会う人ほぼ全員にその事を聞かれている筈だが……マリアも例に漏れず】
【最初に聞くのはCMの事。手紙にも記したが、やっぱり彼女も気になるらしい……】

【鈴音が適当な席に案内したなら付いて行くだろう。今は昼間で誰も居ない貸し切り状態だろうから、好きな所に座れるか】
【「クリスマスに向けての準備中ですか?」なんて訊いてみたりしたのは、きっとツリーが目に入ったから】

//宜しくお願いします!
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 15:11:11.83 ID:1Aj7CBtX0
>>172
//安価忘れ>>171です……!
174 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 16:56:40.45 ID:PMDk/zNf0
>>172

【ひゅるりと、冷えた空気が店内にもぐりこむ。だけども、夜よりはずっとまし――と思ってしまう】
【それくらいに、この時期の夜の風は冷たかった。彼女が寒がりというのも、要因のひとつだったろうけれど】
【まるで関係のない話だけれど、住んでいるのは夜の国。寒いし、ずっと夜だし、もう慣れたけど、だいぶ住むのは大変】

あ……、いらっしゃいませ。

【掛ける声は、夜の客に向けるものより、ずっとしとやかだ。鈴の音の声が、優しくそっと震えるようで】
【くあーっと身体を伸ばしていたところだから、少し恥ずかしそうに姿勢を戻す。おろした手が、スカートにふかりと潜り】
【ふわっと膨らんだスカートの中がパニエだらけなのだろうなあと思わせて。――ころり、足音で入り口まで歩けば】

う――――、その、えっと、見てくれて、ありがとう……?

【やっぱりまだ恥ずかしさは抜けていないらしい。びくりと身体を震わせて、浮かべるのは愛想笑い】
【CMなんだからありがとうも何もない気が――いや、CMだからこそありがとうなのだろうか。よく分からないが】

それで、その、……どうしたの? UNITED TRIGGER(ここ)に用事なら、セリーナに直接言ったほうが……。

【とりあえず話題をそらす感があるのは否めない。胸元に咲いた赤いリボンの花を、指先は無意識で弄りながら】
【何の御用事だろう、なんて思いながら席へと案内する。適当な席だ、なんにもない――それを見て、】
【少し寂しいように思ったのか、さっき仕上げたツリーを、こちらの机に移そうとするのだろう】

うん、やっぱり、こういうのがあったほうが――楽しいかなぁ、と思って。

【ほんの二十センチほどの高さのツリー。だけど、机に載せただけで、一気に周囲が華やぐよう】
【マリアがその席に着けば、「お茶淹れてくるね」だなんて言って、彼女は一度カウンターの中に入っていくことになるだろう】

/すいませんでした……!
175 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 17:34:06.77 ID:1Aj7CBtX0

>>174

【普通の人とちょっぴり違う、鈴みたいな綺麗な声色。透き通って耳に心地よいその声もなんだか久し振り】
【最初に目に入ったのは、お人形みたいな可愛らしい服を着て華奢な体をくっと伸ばしている姿で】
【やっぱり可愛らしい人だなぁというのが第一印象。あどけなさの残る顔が、余計にそう思わせるのか】

ど、どういたしまして……?

……いえ、今日はセリーナさんではなく鈴音さんにお話したい事があって参りました。
―――貴女としか出来ない、貴女だからこそ出来るお話です。
他でもない、そのCMで鈴音さんが紹介していたレストラン≠フ事……後で詳しくお話します。

【愛想笑いと共に歩み寄って来た鈴音に、マリアも微笑みかける。―――その笑顔にちょっぴり戸惑いの色が混じったのは】
【ありがとうの言葉にどう応じるか、少しだけ戸惑ったから?……結局どういたしましてと言ってみてりして】

【それから、優しさの中に少し真剣みを帯びた声色で鈴音に言葉を返す。お話とはUTの事では無くレストランの事だと】
【―――どうやら、たんぽぽの種は風に乗って遠く昼の国まで辿り着いていたらしい。わざわざマリアが鈴音を訪ねたのもその為だと言う―――】
【詳しいお話の続きは立ち話でなくしっかりと腰を据えて。今は取り敢えず席に着こうか】


そうですね、こういう小物もあると無いとでは大違いです!
ふふっ、私もお家にクリスマスツリーでも飾りましょうか。その方が子供達も喜んでくれそうですし……

【そのまま鈴音に付いて行って案内された席に座る。同時に鈴音が置いてくれたツリーも机に鎮座して】
【なんにも無かった席が、華やかなクリスマス特別モードに早変わり。ちょっとした計らいが嬉しい】
【小さく楽しげな微笑みを零しながら、ツリーにそっと手を伸ばす。手作りかな?鈴音が作ったのかな?なんて】
【鈴音がお茶を淹れて戻ってくれば、そんな風にツリーを楽しげに眺めているマリアの姿が見られるだろうか】
176 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 17:34:48.00 ID:PMDk/zNf0
/すいません、次遅れます
177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 20:24:13.68 ID:PMDk/zNf0
>>175

【どういたしまして。戸惑いがちにそういわれると、彼女も、なんだか合わせるように笑うのだけど】
【お互いに「?」な感じの空気が横たわる感じがする。何に礼を言って/言われているのか、よく分からないから】
【「ま、まあ」なんて小さな声で彼女のほうから断ち切ろうとするのだ。そんなのより、重要な話が――】

……わたし、に?
あ――、……うん、分かった、

【はじめはきょとんとした。何か話すことがあったろうか、なんて考えて、僅かに首をひねる】
【だけど、すぐに――件の計画のことでの話と分かれば、少し、恥ずかしいような、真面目になるような、そんな雰囲気で】
【とりあえず最後に残るのは真面目風の表情だ。それで頷くと、――とりあえず、お茶やらの準備に取り掛かり】

【――戻ってくるのは数分後だ。二人で飲むには十分なくらいのティーポットと、それと、お皿に乗せたシフォンケーキ】
【シフォンケーキにはたっぷりのクリームが添えられていて――色や香りからして、クリームには紅茶が混ぜられているらしい】
【シフォンケーキも、また、紅茶の香りがして。――添えられたミントが、ちょっぴり茶色の多いお皿の上、若い緑を添え】

お客様(マリア)が来るって言うから、家で焼いてみたの。シフォンケーキなんて初めてだから、不安だったけど……。
……あの、さっき味見したらおいしかったから、安心して食べて欲しいな。――ケーキもクリームも、紅茶にしてみたの。

【それを出しながら。説明するのはそんなことだ、マリアのために焼いたお菓子、――味も、なかなかおいしく出来たとご満悦】
【紅茶に紅茶ケーキに紅茶クリームと紅茶尽くしだが、好きなのだろうか。……まあ、日本茶、よりは紅茶のほうが良さそう】
【とりあえず自分の分も用意したのを自分の席のところに置いて、用意している間に蒸らしておいた紅茶も、互いのカップに注ぎ】

【もうお茶会なんだかなんだか分からないけど、一通りの準備がそろったら――】

それで……、あの、お話って、なあに?

【――きちんと背筋を伸ばして座って、そんなことを尋ねるのだ。やっぱり、それが気になるらしい】
【マリアがもう少しケーキなんかをゆっくり食べたい――とでも言うなら、大人しく従うのは従うのだけれど】
【そうでないなら、早く聞きたいような様子があった。わざわざ手紙を寄越すほどだ、……軽い応援とかでは、ないだろうし】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 21:15:34.26 ID:1Aj7CBtX0
>>177

(……何でしょう、お茶だけじゃないようですが……――――あ!)

【楽しげにクリスマスツリーを眺めていると、鈴音が戻って来る。こつこつと近づく足音、振り向いて視線をツリーから鈴音に移せば】
【何かお皿に載せて持っている。……ティーポットと、もう一つお皿に載ってるのは何?ふわりと甘い香りが漂って】
【―――其の皿の上にあるものの正体がケーキだと分かった瞬間。マリアの表情はぱあっと明るくなって、感嘆の声を上げる】
【甘い物に年甲斐も無くはしゃいで、きらきらと瞳を輝かせる様はまるで少女みたい。ブラウンの生地が、マリアには宝物みたいに輝いて見える―――】

わあ……――――

……私の為にわざわざ作って下さったのですか?嬉しいです……!ありがとう御座います!
私、紅茶と甘いお菓子が大好きなんです。お茶する時は、いつも紅茶とケーキで……

……それにしても、本当に美味しそう……これで初めてなんて思えませんよ!


【自分の前に出されたケーキをうっとりと眺めながら、先程までの優しい微笑みとは違う嬉しさ120%の笑みを顔に湛えて】
【鈴音の説明にも小さく頷いたりしながら応える。声色が心なしか弾んで聞こえるのは、絶対に気のせいなんかじゃない】
【ともかく、この大絶賛を見るに喜んでいるのは間違いない。甘い物に目が無いマリアには堪らないおもてなし―――】


【―――さて、思いがけない鈴音の手作りケーキに昂った気持ちも収まれば……鈴音の言葉に促されるように本題に入る】
【真剣なお話になれば先程の少女みたいな姿は其処には無く、いつもの落ち着きと穏やかな微笑みを取り戻して】
【カップを手に取り紅茶を一口啜ってから、静かに言葉を紡ぐ―――】


―――お手紙にも書きましたが……鈴音さんの出演したCM、拝見しましたよ。
温かみを知らない恵まれない子供達に、温かい料理を作って食べさせてあげたいと……

―――まず、そのような行動を起こしたいと思われた鈴音さんの心を知りたいです。
……鈴音さん。貴女はどうして、子供達に料理を作ってあげようと思ったの御座いますか?
どうして子供達に手を差し伸べようと思ったのか……宜しければ、教えて下さいな。


【紡がれる言葉は「鈴音の本当の心を知りたい」という事。鈴音の心を問うかのように、鈴音の瞳を見つめるマリアの瞳は深く澄んで】
【―――しかし、ただ意図を聞く為だけに遥々訪れた訳ではあるまい。鈴音の答えを聞いた後、その続きが綴られるだろう―――】


179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/13(土) 21:21:00.18 ID:iMhEWGKDO
>>164

【地を蹴った。拳を突き付け──佳乃の符が、見えた】
【だが、気付いた時にはすでに身体は攻勢に出ている】
【避けるためには距離が足りなさすぎ、勢いがありすぎた】

【ず、と右拳に手応えを覚えた──「打ち、抜いた」そう思う余裕などない】
【描かれている文字など、見えていない。何が起こるか、わからない】
【佳乃の手が、佳乃の「符」が、リーべに触れる】
【──漏れたのは、やはり笑みだった】
【避けることが出来ないと、感覚で理解したが故の、笑みだった】


   【 ────── !! 】


【目の前を、雷光が奔る。思考が、真っ白に染まる】
【それでも──浮かんだ笑みだけは、最後の最後まで、消えることなく】
【数秒の後……がくりと、リーべはその場に膝をついた】


──ふ、ふ、ははは……さ、さすがに、強烈、だな
だ、だがどうだ、こ、これでも、私は、生きてる、ぞ……?

ふ、ふ、ふふ、ん……殺されても、悔いはないどころか──満足だろう……
あぁ……でも、それ以上、誰かを救うことが出来ないし……お母さんのご飯、食べること、できないな
それに……お父さんと遊ぶこと、だって──


【「あぁ、なんだ……わりと、やりたいこと、遺してるん、だな」】
【そう、切れ切れにリーべは言葉を紡ぐ】
【「でも……それは悔いとは、ちょっと、違うかも、な」】
【ふふ、ん。そうやって、やっぱり、リーべは笑ってみせたのだ】
180 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/13(土) 21:27:56.69 ID:HlDtVXCno
【夜に深く沈む森】
【深淵を思わせる一切が黒に染まった世界、その虚ろな世界は今宵に限り血の香が漂う】

【木々の間を縫うように流れる小川のほとりせせらぎにするりと伸びる赤い糸は流れる血を示す】
【上流には死体の山、死体……そのカタチは犬に似た異形だ、四肢はある瞳はある耳もある口もある、だがどこか歪な存在】

――――――――……これで凡そ10匹くらいか

【何者かの手により生み出された異形、その息絶えた異形を積み立てた山の上】
【昏く血に咽る世界の中に微かに光る物があった、1つは月のように弧を描き、もう一つは星のように】
【月天の明かりに照らされたのならば弧月の輝きは一振りの刀による物だと分かるだろうか、かの刀が匂わすのは妖気】
【微かな星の色は紫白、それは異質と輝く瞳の光】

奴さんこれだけ晒してるってのに出て来やしない、折角の依頼もこれじゃ歯ごたえがない
いっそ人の血の香りでも混ぜたなら誘われてくれるのか……ふん、恋煩いじゃあるまいし血を流すのは馬鹿げてる

【声は青年の物、流れる髪は白くされど返り血の赤に斑と染まる】
【ブーツ、ズボン、シャツにジャケット……櫻の刀には似合わない格好だが赤に染まる姿は猟奇的】
【刃と血が連続する単語ならばこれ程に満たされた情景はあるまい】

縁が無い、って事か……―――――――いや
ここまで切り伏せたんだしあと少しくらい待っても罰は当たらないよな

【朱い掌を気に留める様子も無しに青年は欠伸をひとつ零し手で抑える】
【数十の獣を無傷で散らしそれでも尚退屈と目尻に涙を溜め、生命無き器を背に座る】
【異形の血の香は水の流れに混ざるように森に広がっている、或いはその香りは獣か人かを誘うかもしれない】


【森とそう遠くない街のギルドに数日前からある依頼が貼りだされている】
【化物の討伐というシンプルな依頼、ここ最近現れた犬ともつかない異形の討伐】
【加えて異形の群れを纏める筆頭を始末したならば報酬は上乗せ、という単純な話……】

【街だけとはいえその依頼は広く募集されており、同業の者が訪れる可能性も十二分にあるだろう】
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 21:38:31.80 ID:PMDk/zNf0
>>178

うん、買って来るのでもいいかなって思ったんだけど、せっかく、遠くから来てくれるんだし――ね。
作ってみたかったの、シフォンケーキって、大好きだから――。

【褒められると嬉しそうだ。嬉しそうで、少し、照れくさそう。せっかくのお客さんだからと、腕によりをふるって――】
【ある程度料理の腕に自信があるからのことだろう。料理が出来ないなら、きっと、そういった思考にはならないはずで】
【えへへなんて顔で笑っているのを見ると、自分も味見程度しかしていないから――食べるのが、楽しみなのだろう】

【それにしても、こんな顔もするのかと思った。或いは、前に会ったときも、欠片くらいは見えたかもしれないけれど】
【こんなにはしゃぐのを見るのは初めて……だと思った。だから、少し、不思議なような、面白いような気がして】
【もちろん失礼だから言ったりしないけれど。少しほほえましい目をしていたのは、確かであって】

えっと……、ね、――わたしね、わたしもね、昔、お家とかがなかったの。
帰る場所も、行く場所もなかった。誰も名前なんて呼んでくれなかったし、誰とも、おしゃべりもしなかった。

食べ物はお店の廃棄とかを、みんなで取り合って食べて……わたしね、よわむしだから、食べられないことも多かった。
……そういうのがね、とっても、寂しかったの。寂しかったし、……辛かった、のかな。冷たいものばかり、食べるのとか――。

…………お母さんのご飯が食べたいって何度も思った、そうでなくても、暖かい、普通の食べ物……食べたいな、って、

【そして場面は真面目な空気を帯びる。紅茶をふうふうと吹いて、尋ねる言葉を聞けば――ひとくち飲んでから、言葉を返す】
【自分も、そう言う立場の子供だった。何もない、ほんの硬貨の数枚で殴りあう、殺しあう、そんなこともあるような世界に居た】
【食べ物も取り合いの果てなことが多かった。それなら、臆病な彼女は、――思えば、よく飢えていた気がした】

【でも、それより、辛かったのは。暖かい食事が食べられなかったこと、あたたかい――普通の家のような、食事】
【お母さんが作ってくれるようなご飯なんて、どこにもなかった。ごみ箱の中の食べ物は、ぐちゃぐちゃで、つめたくて、かなしかった】

だから、……そう言う子たちに、作ってあげたいの。……――わたし、料理くらいしか、ちゃんとできる特技ってないし……。
そのお料理で、誰かにあたたかいご飯……、お母さんが作ってあげるような、ちゃんとした、普通の、ご飯。用意してあげたいの。

【きっと、あの子たちは暖かい食事に飢えている。自分はそうだった、暖かい/温かい普通の食事を、いつも食べたかった】
【後から孤児になった子には懐かしい味を、生まれつき孤児の子には、初めての味を、――教えてあげられたらと、思う】

……だから、セリーナにお願いしてみたの。そういうこと、……お金がなくても、“そういう”ご飯を食べられる場所……。
用意してあげたいって、……ここを、そう言う場所のために、貸して欲しいって。

【自分の考えを言うとき、彼女はちょっと照れくさいような顔をする。まだ慣れていないのだろう、そういった、こと】
【いつも誰かの背中に隠れていたから――まだ、自分の言葉に、あんまり自信を持てていないようだけど】
【ちゃんと自分で立てているから、不安を覚えるほどではない。“大人”が手助けする必要は、あるだろうものの】
【――きちんと、そこには、自分の意思がある。自分の意見、考えが、彼女の中には、あるのが見えたから】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 21:51:20.90 ID:ICB597NXo
>>179

【一瞬の交錯の後――――「……ぐっ」と呻き声を上げながら、佳乃は薙刀に体を預けて立ち上がった】
【腹部に疼く鈍痛、それに体内を走り回った振動波。大ダメージと言って相違ない状態だ】
【戦いも終わったいま、痛みをこらえて立ち上がる必要などないのだけれど……たぶん、これもまた、意地なのだろう】


まったく、しぶとい奴。
…………大事なものが、やりたいことがあるのなら、そう簡単に命を投げ出すものじゃないわ。
死んで満足、なんて軽々しく言わないで。


【膝をついたリーベにかけた最初の言葉はそれだった。しぶとい、という評価はリーベの肉体ではなく、その心に対して下したものだ】
【――――何故か。父と母のことを思い出すリーベを、佳乃は少しだけ苦い顔をして見つめていたけれど、それも一瞬のこと】
【噛みしめるように言うと、ふと口を噤んだ。何かを言い淀んでいるというより、何かを回想しているように視線を逸らして】


…………『ナイト・ドッグ』。あの子、確かそういう名前の犬を使役していたはずよ。
実際には、犬の形をした式紙………のようなもの、だと思う。実態はわからないけれど、犬自体が能力の塊みたいな感じだった。
あとこの犬、体格を使った攻撃の他に、何かシャボン玉のようなものを使っていたわ。これも実際の効果まではわからないけれど、当たると不味いのは確かね。
それと本人の方も、ボウガンを使って直接攻撃していた。幼いけれど、誰かを傷つけることにそこまで抵抗はない、ということなんでしょうね………。


【先ほどの一撃を、佳乃は餞別≠ニ称していたが――――ならばこれは、いきなり喧嘩を仕掛けたお詫びなのか。それとも単なる、気まぐれだったのか】
【どちらにせよ、きっと、あれだけの大立ち回りの後で正面切って「協力する」と言い出すのは照れくさかったのだろう】
【佳乃は目を反らしたまま、わからない部分は推測混じりに、「ベティー」の戦力について知っている限りの情報を提供し始めた】

【……この情報を生かして、どうにか死なないよう立ち回れと、佳乃は言外にそう告げているのだ】
【すごく不器用で、遠回りだけれど――――リーベがベティーを助けることを、佳乃は応援する気になったらしかった】


…………あ、そういえば、あなた。
いつもこの場所で人捜しをしているの?


【ぶっきらぼうにそれだけ伝え終えると、リーベの返答を待たず、佳乃は背を向けて帰ろうとするのだが――――】
【最後にぽつりと、そんな質問を漏らす。答えるか答えないかはもちろん自由だが、おそらくこれが、今宵最後のやり取りになる】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/13(土) 22:13:56.30 ID:iMhEWGKDO
>>182

【説教じみた佳乃の言葉に、返す余力はなかったのか】
【反省する様子などまったく見せず、また「ふふ、ん」と笑うだけ】
【──もっとも、この程度で反省するようであればそもそも戦いなどしていないのだろうが】

【……佳乃の表情の変化に対しては、少し首を傾げてみせた】
【だが、その理由にまでは頭が回らない──精々が、「痛かったか」だなんて思う程度だ】
【さらには、その後の「アドバイス」のせいで完全にリーべの意識は「そちら」に行ってしまう】


……ナイト・ドッグか
なかなかに「飼い慣らす」のは、苦労しそうだな?
それに……シャボン玉に、ボウガン、か──ふふ、ん
ずいぶんといろんなことを学び理解している……賢い、いい子だなベティは


【「そうは思わないか──?」なんて、まるで茶化すかのように言葉を紡ぐ】
【決して、多彩なベティの攻撃方法に、絶望なんてしたりしなかった】
【むしろ逆に──そう、まるで、期待でもしているかのような、そんな……】

【そして、投げ掛けられた最後の言葉にリーべはゆっくりと首を振った】
【佳乃が求めるのであれば、リーべは自分の連絡先を教えるはずだ】


最近は、この場所で探していたんだが、な……ふふん、なかなかどうして見つからない!
だから明日ぐらいからは、場所を変えようかと思ってるんだ
一応、路地裏あたりに行こうと考えてる……虫とかは、多そうだし、な!


【……No.7は蟲遣いだのどうのと、だいぶ前にリーべは言っていた】
【もしかしなくても、「虫が多そう」なんて台詞はNo.7から連想された、短慮の結果に他ならない】
【──ふふんだなんて、笑うリーべ。間違いなく、人探し適正も、Eだった】
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 22:40:41.88 ID:1Aj7CBtX0
>>181

【母としての顔や護る者としての顔だけじゃなくて……一人の女性として自分の人生を楽しむ顔もまた、彼女の顔の一つ】
【楽しい時には心から笑って、大好きな甘い物には子供みたいにはしゃいで、好きな人と一緒に居る時は嬉しそうにして……】
【子供や夫の為に頑張る一方で、自分の人生だってしっかり楽しむ。そうやって、彼女のあの笑顔は形作られる―――】


【―――返される言葉に耳を傾ける。鈴音の言葉に帯びる真剣味に、心から向き合うように】


―――そうですか、だから料理を……
暖かさを感じて欲しいから、で御座いますか―――

【紡がれる言葉は彼女の過去、経験した苦難……そこで感じたこと。寂しく冷たかった、いつかの想い】
【明日を生きる、ただそれだけの為に奪い合って、手に入らないで、飢えて、苦しんで……そして】
【温かさを求めて、手に入らなくて。―――それが、辛くて、悲しくて。そんな、鈴音の経験。】

【だからこそ、温かさを知って欲しい。暖かさを知って欲しい。心を/体を、自分の作る料理で満たして欲しい】
【食べ物かどうかも分からないような物なんかじゃなくて、真心の愛が込められた、本当に暖かい@ソ理を―――教えてあげたい】


【そんな想い。鈴音の、鈴音だからこそ想える心。芯の通った意志が、少し恥ずかしげな言葉と共にしっかりとマリアに伝わって】
【ふわりと微笑むのは、鈴音の想いを感じ取ったから。きっと鈴音の暖かさには誰かを優しい笑顔にさせる力があるのだろう――】
【ああ―――彼女なら。鈴音なら、きっと恵まれない子供達を笑顔に出来る。暖かさを伝えてあげられる―――】


【優しい微笑みと共にマリアは鈴音に想いを告げる。今日此処に来た、本当の目的を―――】

……鈴音さんの心、確かに感じました。とても、とても暖かい心を―――
―――鈴音さん。その計画、私にも協力させて下さい。

私も、恵まれない子供達を支援しようと取り組んでいるので御座います。
世界中の人に募金を呼び掛けて、集まったお金を孤児の為の支援に使う……その名もシャリエール基金≠ナす。
「困難な境遇にある子供達に手を差し伸べる」―――それが、この基金の理念です。

……実を言うと、私も孤児だったのですよ。幼い頃に身寄りを亡くして、教会に預けられたのです。
―――その教会で、ある老シスターに出会いました。あの人は、私に母親のように接してくれました……
……きっと私も幸運だったのでしょう。独りだった筈の私は、いつも傍に居てくれたお母さん≠ゥら沢山の幸せを貰いました。
彼女は既に天寿を全うしこの世を去りましたが……亡くなるまで私の事を優しく抱いてくれたことを、今でも覚えています。

……私も、お母さん≠フようになりたい。一人でも多く、寂しい思いをしている子供達に手を差し伸べたい……そう思って、この基金を設立しました。

鈴音さんのレストランにも、是非この基金を使って頂ければ嬉しいです。
遠慮は要りません。私自身が、鈴音さんの活動に心から賛同しておりますもの!

【申し出たのは、資金面での全面的なバックアップ。マリア達夫婦の設立した基金を是非レストランの運営に使って欲しいと】
【無料となれば、資金のやりくりも大変だろう。どうかお金のことは気にせずに存分に子供達に手を差し伸べて欲しいと思って】
【遠慮は要らない、そもそもこういった使い方がこの基金の目的なのだから―――】

//すみません、遅くなりました……!
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 22:43:15.91 ID:ICB597NXo
>>183

【茶化すように発せられた台詞。「別に」というのが、それに対する佳乃の返答だった。激しくおざなりな言葉だ】
【というのも、佳乃は思わず呆れていたのである。助けたい相手が相当の戦力を有していると知っても、逆に目を輝かせるその気質に】
【どんな敵であれ、強者との戦いに喜びを見いだすという点では、佳乃も人のことは言えないが――――リーベの期待≠ヘ、このときその上を行っていた】


……………ちっ。
だ………だったら連絡先を教えなさい。
No.7とNo.29と、ベティー。もし見かけることがあって、私の気が向いたら、連絡してあげないでもないわ。


【場所を変えるという彼女へ、何故か露骨な舌打ちが飛ぶ。といっても、照れ隠し以外の何物でもないのだけれど】
【佳乃としては、リーベがここで人捜しを続ける方に期待し、「見かけたとき暇だったらまた来てあげる」程度の言葉をかけて退散するつもりだったのだが……】
【この場を去るというのなら連絡先を聞かざるを得ない。極端に人を避けるきらいのある佳乃にとって、それは戦闘より気力を消耗する行為なのだ】
【かといって、一度くだらないお節介を思い立ってしまった以上、いまさら退くのも負けな気がして……】

【結局。顔を赤らめてどもりながら、佳乃は素直に連絡先を聞き出し、無愛想にこちらの連絡先も伝えるだろう】
【……そろそろわかっただろうが、この少女は果てしなく難儀な性格だ。次に会ったときもなんだか大変そうだった】


あなた………好き勝手捜すのはいいけれど、もう少し方法を考えた方がいいわよ。
路地裏に行くならなおさら、きょうみたいにいきなり他人を凝視して大声をかけるなんてのは最悪だから。
あと、悪いことは言わないから、似顔絵だけは別の人に描いてもらうのね。

――――それじゃあね、リーベ。


【そうして、背を向けたまま世話焼きなんだか単なる悪口なんだかわからない台詞を吐くと、佳乃は去っていくだろう】
【「またね」とも「さようなら」とも言わず、素っ気なく別れを告げて。――――それがたぶん、この少女の精一杯なのだった】


/ありがとうございましたー!
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/13(土) 23:05:24.94 ID:iMhEWGKDO
>>185

【連絡先を教えろという彼女に対し、それはもう、ひどく嬉しそうにするリーべ】
【──基本的に、彼女は人が好きなのだ。それは、他人への期待や浮かべる笑みに現れている】
【佳乃が自分から連絡先を教えれば、もうテンションなんて爆上がりである】
【それこそ顔は紅潮し、まるでヒーローにでも出会ったかのようなにっこにこ顔だ】
【──素直ではない佳乃にとって、リーべの素直すぎる性格は苦手ですらあるのかもしれない】


……似顔絵を誰かに描いてもらうのはいい考えだな
ふふん、やっぱり他人の考えというのは参考になる!
佳乃──! ありがとう ────!!


【去り行く佳乃へ、リーべは最後にそう声をかける】
【びりびりと震える大気──いつだって、彼女は全力なのだ】
【そして、彼女が去った後……】


────、あ、そういえば


【……掲示板を、振り返る。自分が描いた傑作品は、半分しか残っていなかった】
【ひゅうと、冬の風が吹く。冷たい空気に紛れて、絹を裂いたような叫びが聞こえた、気がした】

/長時間、ありがとうございました、お疲れさまでしたー!
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 23:06:59.37 ID:PMDk/zNf0
>>184

【自分には、激しい戦いの中で過ごすだけの力も、心も、きっとない。そんな環境で生きていける強さを、彼女は持たない】
【だから、――違う方法で、どうにか頑張りたかった。誰かの背中じゃなくて、何かをしたいと漠然と考えるだけじゃなくて】
【自分の意思で決めたことを、出来るだけ、頑張って。どこまで頑張れるのか、確かめてみたかった。やって、みたかった】
【それは結局セリーナという大人の手を借りなくては駄目だったけど、それでも。それでも――これを頑張ると、決めたから】

【自分一人で全部やらなきゃいけないんだと、いつか持っていた強迫観念めいた思考は、気付けば消えていた】
【誰かに頼ってもいい、褒めて欲しいときは褒めてっておねだりしてみてもいい、その分、ちゃんと頑張ればいい】
【気付いたのはいつだったろうか。もう分からないくらい、無意識のうちに、その段差を、乗り越えてしまって】

ほんとうは、……ほんとうは、家とか、そういうものも用意してあげられたらいいのかもしれない。
家(うち)には空き部屋がたくさんあるけど――みんなを連れてきてあげるには、足りない、もの。
……でも、本当に困ってる子くらいなら、連れていってあげてもいいって思ってるの。それが、必要な子には――、

【だけど、まだ不足ではないかと思ってしまう心も確かにあるのだ。食事だけじゃ、きっと、本当に救うことは出来ないと】
【誰かが名前を呼んであげなきゃいけない。暖かいお布団と、温かい食事、人間らしく生きるのに、最低限必要だと思うもの】
【自分だけじゃ足りない。自分に出来るのは食事を作ってあげることまで、――少なくとも、今の自分には、それしか、】

【――それだって、お金のこととかで問題がある。セリーナは心配しなくていい、だなんて、言ってくれたけど】
【なんとなく申し訳なくてやたらお菓子とか差し入れに持ってくるのがここ数日の彼女の行動だ。気にしていて――】

…………、?

【だから、協力したい。その言葉には、一瞬、首を傾げながらも、どこか期待するような……そんな目をする】
【誰かが手伝ってくれるなら心強かった。ああ、でも、どうなるかも分からないことに、他人を巻き込んでしまうのも気が引けて】
【結局臆病ものだ。臆病だし、自己犠牲気味だし、――だけど、続く言葉に、表情は、本当に驚いたようなものになって】

え……、でも、その、……セリーナ、に、聞かないと……。お金のことは、その、わたし、――分からないから。
今度やるやつも、お金は、セリーナとか――ベイゼが管理してるの。だから、わたしは、全然……だし……。

【すごく嬉しい。目がそうやって言っていた、だけど、同時に、遠慮がちに揺れる動きも、その瞳にはあって】
【お金のことは正直に言うと良く分からない。ずっと孤児をやっていたし、その後も、なんだかんだ金銭感覚は養われず】
【すごく嬉しい気持ちは確かにあるが、同時に、困惑する気持ちもある。自分がそんなの、決めてしまっていいのだろうか――と】

……今度、セリーナと、お話してくれる? わたしは、その、……すっごく嬉しい、お金のこと、気にしてたし――。
だから、用意してもらえるなら――すっごく助かるの。でも――わたしだけで決めるの、……少しね、怖いんだ、

【――確かにお金が必要なのは分かっている。だけど、だけど、――】
【そんな気持ちが頭の中でぐるぐるする。そして、結局、提案――という形で逃れてしまうのが、少し、嫌だった】
【だけど、そういったことを全く分からない自分が一人で先走ってしまうより、後ででも、分かるひとと話してもらったほうが】
【二人とも安心するのではないかと思ったのだ。――少しだけ言い訳めいて、だけど本心で、彼女は苦笑気味に弱く笑う】

あの……本当にね、嬉しい。そういうこと、言ってもらえて……だからね、ちゃんと、……そう、ちゃんと、したいの。
適当に決めちゃったりしたくない、もう宣伝しちゃったからとか、そういうのじゃなくて、もう、戻れないの。

わたしは、これを、やるって決めた――昔のわたしみたいな子のために、ちゃんとやるって、決めた。
だから、ありがとう、マリア……、頑張るって、決めて、良かった。

【それから紅茶を一口、口中を温かよりも熱さで満たせば、少しだけ、気持ちもきりっと引き締まる】
【最初はいくらか遠慮も見えた。だけど言葉を重ねるたびにそれは薄れていって、最後には、真摯さが残る】
【逃げるんじゃない、ちゃんと、委ねる。そこが、きっと、いつかとは違っていた】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/13(土) 23:15:02.99 ID:1Aj7CBtX0
>>187
/すみません、少し早いですが落ちなければならなくなりました……!
/時間が噛み合わなくて申し訳ないです、明日は4時頃には来れますので……!
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/13(土) 23:18:10.26 ID:PMDk/zNf0
>>188
/了解ですっ、明日は少なくとも夜までには待機してられると思いますので
/その頃になったら再開ということで! ひとまずおつかれさまでしたー
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/13(土) 23:24:08.93 ID:1govOh7t0
皆様こんばんわ
新規です、皆様のように読みやすくて面白い文章をかける自信はありませんが皆様にたのしんでいただければ幸いに思います。
これからどうぞ、よろしくお願い申し上げます。
191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/13(土) 23:54:14.52 ID:PMxSbHgZo
>>190
新規さんはじめまして、これからよろしくお願いします!
あと、挨拶とか雑談等は>>1にあるPC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】の
雑談スレ(舞台裏の酒場)の方で行うのがおすすめです
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/14(日) 00:00:15.28 ID:pGd4mcmT0
>>191さん
はじめまして!こちらこそよろしくお願いします!
了解いたしました、そちらで改めて挨拶をさせていただきます。
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/14(日) 00:27:48.03 ID:pGd4mcmT0
【ジャリ……ジャリ……】
【赤錆の匂いがする液体の混じった砂を踏む音がする】
【ジャリ……ジャリ……】
【その音を奏でる靴は小さく、それは即ち履いている人間が子供であることを意味する】
【ジャリ……ジャリ……】
【しかし、世の中の大人と呼ばれる人種は彼を子供と呼ぶだろうか?】
【ジャリ……ジャリ……】
【濃い紫の髪は腰まで届き、一部がメッシュを入れたように銀髪になっているところに更に鎖をあしらったヘッドギアのようなものを着けている】
【ジャリ……ジャリ……】
【所々が赤黒く粘りけを帯びた液体がかかった服はおヘソが見える切り刻まれたタンクトップの上からノースリーブのパーカーを羽織り
アームカバーを着け、ボロボロのジーンズに黒々とした太い鎖を何重にも巻き付けたようなベルトを締めている】
【ジャリ……ジャリ……】
【更に背中に括ってあるのは戟と呼ばれる明らかな凶器】
【ジャリ……ジャリ……】
【しかし、この少年に出会った人はそんなものは目もくれないだろう】
【ジャリ……ジャリ……】
【なによりも釘付けになるのはその顔、そして目である
病的なまでに色白は肌と少女を思わせるその顔には
__________________一条の光も宿さない時たま焦点のずれる大きな瞳
__________________裂けたような印象を与える常に無機質な笑みをたたえた口】
【ジャリ……ジャッッ】
【少年の近くにいた小鳥が戟によってとらえられ、彼の手に握られる】
「・・・・・・・いったっだっきっま〜す♪」
【ガリュッと言う音と共に小鳥の頭部が彼の口に消えた】
【彼の名は[犬神・ディザスター・禍]】
【________不幸を振り撒き】
【________絶望を撒き散らす】
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 00:30:19.37 ID:2ajOmkDFo
【路地裏】

はい、はい! ええ、勿論ですとも……貴方様の要望通りの品を揃えられるよう、最大限努力いたしますので!
はい、……ハハハ、これはまた嬉しいお言葉です! では、後日またご連絡しますのでよろしくお願いします――――

【薄暗く陰惨な雰囲気の漂う路地裏の一角で、妙に腰の低い口調で電話に語りかける男の姿があった】

【身長は160cm程度であろうか。茶色の短髪に垂れ目の猿顔をした男だ】
【黒地に白のストライプが刻まれたスーツを身に纏い、その胸にはカノッサの証である逆五芒が刺繍されていた】
【腰には、得物であろう長40cm程の朱塗りの棒が括りつけられている】
【猫背気味の姿勢が更に身長を低くみせ、面立ちも合わせて卑小な雰囲気を醸し出していた】

【頭を何度も下げながら、電話口に向けて喋っていた男は】
【それから数分程度で話を終えて、ニヤニヤとした胡散臭い笑顔を浮かべながらポケットに端末を仕舞う】
【そして、ふぅ……と小さく息を吐きだした後】

……さて、今夜の仕事はこの辺りですかねえ?

商品の取り寄せに"玩具"の仕入れ、先輩方への挨拶回りもまだ済ませてしませんし
年末は特に、身体が幾つあっても足りないというものです

【愚痴じみた、しかし台詞の内容とは裏腹に実に楽しそうな口調で一人そんな事を語り】
【ポケットに片手を差し入れながら、近くの廃ビルの壁に背を凭れかけさせる】

…………しかし、路地裏を回ってもなかなか都合よく出会えないものです

最近はまた、この近辺も"賑わって"きたと思っていたのですが
カノッサに貢献するに足る人材となると、やはり難しいところですねえ――

【やれやれ、と言わんばかりの両手をひらひらとさせる仕草を取り】
【男の放つその声は寒空に溶けて風に流れていく】
【誰か通りかかることがあるならば、このカノッサの男が目に付くこともあるだろうか】


【――】


【とある街外れ 小さなお店の中】


よいしょ……うん……しょっと……
ふぅ、今月分の部品だけでも結構な量だなぁ………


【人通りの少ない町外れの一角に建つある店】
【安価で依頼を引き受けるマジックショップとして、近隣で少しだけ名前が売れているその店の中に】
【ダンボールを抱えてせっせと駆け回る一人の少年の姿があった】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年である】


年末は……ちょっとだけお客さんも増えるしね
今から気合入れて頑張らないと……冬の新商品、売れるといいなぁ


【何処も忙しくなる年末。この店も例外ではなく、それを見据えて少年は一層気持ちを引き締めていた】
【ダンボールを両腕でがっしりと抱えて、ちょっと危なっかしくふらふらしながらも】
【荷物を店の奥までゆっくりとした足取りで運びこんでいく】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「冬到来! あったかい魔法のアイテムあります!」という張り紙が見える】
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 00:44:47.49 ID:teMgmiq8o
>>194

【マジックショップの扉を開けて一人の神父が入ってきた】
【薄いブロンドの短い髪に150cm程度(ジョシュアくんより低い)の背丈。カソックを着て十字架を首から下げている】
【怪我をしているのか、右腕に包帯を巻いて首から吊っている】


 おー、さみぃさみぃ……いい加減寒さ対策しねえと忙殺される前に凍死しちまう
 おーい、誰かいねえのかー?


【左腕で右腕を寒そうに抱きながら神父は店の奥に向かって声をかけた】
【呼んでから店主が来るまでの間は並んでいるであろう商品に目を向けている】
【といっても武器の類はあまり興味がないのですっ飛ばして、探すのは広告にあった“あったかい魔法のアイテム”だが】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/14(日) 00:51:27.12 ID:pGd4mcmT0
>>194

【寂れた路地裏で戟を背負った男の娘が歩いている】

【しかしこの少年、口からさきほどまで少し痙攣していた鳥の足がでていたり
全身に血液が黒くこびりついていたり】

【とてもでは無いが普通には見えない】

【先程も少年はどこぞの世紀末のような格好をしたチンピラにからまれて路地裏に引きずり込まれたがでてきたのはご覧の有り様の彼一人である】

197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 01:00:42.28 ID:MiDmZvdN0
【――水の国:路地裏】

【都市の暗部では、年の瀬になっても寒々しい命のやりとりが繰り広げられていた】
【側溝に流れ込む新鮮な血液。その主は、暗闇の中に横たえられた壮年の男だ】
【そしてその傍らには、秘教の祭司じみたローブのフードを目深に被った、一人の少女が佇んでいた】


「何だよッ、お前が俺に何の恨みを――」


【少女は左手を編んだ銀髪の房に添えながら、右手に握った杖を男の胸に押し当てる】
【あらかじめ腕を折られ、膝を砕かれているらしい彼は、それでも何か抗議をしようと口ごもっていたが】

   畏れよ
……『豐ウ蟶るォ』……!

【耳障りな呪言を少女が唱えた途端、彼は石のように沈黙し】
【紫色の不穏な光が杖から発せられれば――ついに、ぴくりとも動かなくなってしまった】

【もし魔術の素養がある者であれば、ここで口にするのも憚れるような禁術を行使されたことが分かるかもしれない】
【それは『屍術』。生命を奪い、死者をアンデッドとして弄ぶ、用いるだけで悪と定義されるような邪法だ】

【そうでなくても、少女はほとんど明確な殺人犯だ】
【義憤に駆られた者や何をしてもいい¢且閧探している者が近くにいれば、また一悶着あってもおかしくはなかった】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 01:01:46.85 ID:2ajOmkDFo
>>195

あ……はーい! 今行きますから、ちょっと待っててくださいね〜……


【神父の声に対して、店の奥から中性的な声が返ってくる】
【それから何かを置いたり、ガツッとぶつかるような音などが響いた後】
【トトトトッ……と軽い足音と共に、エプロン姿の少年が姿を現した】


あいたた……お、お待たせしまってごめんなさい……

えと……僕は、<Fairy's Gift>の店長の……ジョシュア・ランドバーグです
寒い中僕のお店まで足を運んでいただいて、ありがとうございます


【手入れされたさらさらの金髪を揺らしながら、腰を曲げて丁寧にお辞儀を一つ】
【それと同時に両手を前に伸ばして、一枚の名刺を神父に向かって差し出した】
【もし名刺を受け取り、内容を確認したならば】
【店と少年の名前に電話番号、そして――「第二種一級魔工技師」という肩書きが目に入るだろうか】

【すぐに自己紹介をし、身分を示した理由は簡単だ】
【少年は見た目のせいで誤解されたり信用されないことが多いためである】


ご注文をお聞きしたいので……奥の方カウンター席の方までお越しいただいてよろしいですか?
その、身体が温まるお茶もお出ししますので……


【ふわり、と無垢で少女めいた微笑みを浮かべて神父を奥へと誘う】
【もしこれに対して反対されなかった場合は】
【ジョシュアは神父の前をトテトテと歩いて行き、カウンター席の前の椅子を引いて「どうぞ」、と着席を促す】
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 01:03:11.90 ID:2ajOmkDFo
>>196
/あ、申し訳ない……予約ロールと書き忘れていました!
/すみませんがまた機会があったとき遊びましょう!
200 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 01:04:43.82 ID:LOwLzY6e0
>>193
【路地裏には異常者が居る、それは覚悟していた】
【が、今日の異常者は格が違った。】
【小鳥の頭を齧る、少年とも少女とも呼べない”それ”は】
【絵に描いたような気狂い、明らかな異常者。放っておけない雰囲気を放っており】
【自警団に所属する少女が話しかけるに十分な理由を持っていた】

え、えと、君は何をしているの?・・・・・・

【戸惑いながら話しかける少女の姿は】
【月色の髪の毛を腰まで伸ばした痩せた姿】
【そしてその胸には自警団の証であるワッペンが貼り付けられていた】

201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/14(日) 01:06:34.73 ID:pGd4mcmT0
>>196
/あ、いえ、おきになさらず!
/それと予約ロールってなんですか?
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 01:08:43.29 ID:teMgmiq8o
>>198

【店主を呼んで妙に女っぽい声が聞こえる。しかも何やらがたがたぶつかる音まで】
【神父は待ってる間にどんな店主が出てくるか予想していた。きっとなんかおっとり系の女なんだろうな……】
【出てきたのは全然違う相手だったが】


 あ……あぁ、こりゃ丁寧にどうも……


【あれ、子供じゃないか──そう思って驚き、対応の丁寧さにまた驚いた】
【神父は左手で名刺を受け取ると表裏と順番に目を通してそれをポケットに入れた】
【丁寧さの理由は……幸いなことに同じ境遇なのですぐに勘づくことができた】


 そりゃあありがたいな、こう寒いんじゃ怪我が悪化しそうだぜ


【思うところもいろいろあったが、そんなことより寒さを何とかする方が重要だった】
【促されるままジョシュアの後をついていき、椅子に座る】
203 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 01:11:53.57 ID:LOwLzY6e0
>>201
//雑談などでお先にロールしましょう、と約束をしてするロールのことですー
//あと、>>200のほうに反応を描いておきましたので、よろしければ絡みお願いします!
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage]:2014/12/14(日) 01:16:23.65 ID:pGd4mcmT0
>>200
//よろしくお願い致します。

【男の娘は大義そうに少女を視界に入れ、浮かべている笑いをさらに濃くする】

「うんっとねっ!鳥がいたから食べてたの♪
本当羽を毟って、皮を剥いで、お腹の中身を抉り出してから焼くのが美味しいんだけど我慢できなかったんだぁ♪……ところでさぁ……きみ……だぁれぇ?」

【殆ど感情を感じさせない声を放つ少年、背格好は殆ど少女と同じくらいの彼は小鳥の片翼を引きちぎって噛み砕く】
【彼は笑っていた、子供のように、面白い玩具を買ってもらった子供のように】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 01:19:40.23 ID:2ajOmkDFo
>>202

怪我……あっ…………うぅん……――


【神父の言葉で、包帯で吊られている右腕に目がいった少年は】
【労わるような視線を向けながらも、少し何かを考え込んで】


――…………はい、有難うございます!

それで、その……本日は何をお求めでしょうか……?
オーダーメイドの魔銃やアクセサリー、魔導義肢に……アイテムと色々取り揃えておりますが


【しかして現時点ではその"何か"を言い出すことはなく】
【カウンターの向こう側に立って、後ろの棚から幾つかのファイルを取り出す】
【表に「魔銃」「マジックアイテム」「義肢」などと記されているそれは、商品のカタログであった】

【温かいマジックアイテムを求めてきた、ということは現時点ではジョシュアは知らない】
【伝えてあげたならば、きっとそれに合わせた対応をしてくる事だろう】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 01:26:26.15 ID:LOwLzY6e0
>>204
なんで、食べてるの?
小鳥は・・・・・・食べるものじゃ、ないのに

【おどけて、おびえて、震えた声】
【小鳥を食おうなんて、普通思わない。笑って喰うなど、なおさら】
【普通は、だ。しかし相手は普通じゃない】

ねぇ、き、君は・・・・・・
そんな風に、人も、殺すの?・・・・・・

【恐る恐る、聞いてみる】
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 01:28:38.18 ID:teMgmiq8o
>>205

【差し出されたファイルを神父は興味本位で軽く眺めたが、すぐに首を横に振った】


 いや、違えんだよ。今日はそういう物騒なもんじゃなくって
 ほら、店の表だかどっかに貼ってあっただろ。冬に役立つもんあるらしいじゃねえか


【そう言って神父は適当に店の外を指差す】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 01:41:02.91 ID:pGd4mcmT0
>>206
【少年は少女の反応を見て気をよくしたように笑い、小鳥(だったもの)をひとのみにしてから歩みよっててくる】

「え〜、でも食べられるよぉ?」

【したったらずで、虚構のような、全てが嘘のように白々しく聴こえるハイトーンな声】

「人?うんっ!殺すよ♪
あー、でも食べはしないよ?
だってそんなに美味しくないもん!」アハハ

【これがスラムで生まれ育った男の娘にとっての常識やモラル
弱者は、奪われ、飢え、犯され、食われ、死ぬ
強者は、奪い、腹を満たし、犯し、食い、生き延びる】

「ねぇねぇ、そんなことよりさぁぁあぁぁぁ」

「僕と遊ぼうよ!」

【気がつけば、少女の目の前に狂笑と絶望を携えた少年が居た】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 01:43:43.46 ID:2ajOmkDFo
>>207

店の表の……冬に役立つ物…………あっ! なるほど……


【自分の唇の下に人差し指を添えるような仕草で、数秒考えた後】
【貼り出したばかりの紙の内容を思い出したのか】
【ポンと手を叩いて「マジックアイテム」のカタログをスっと、彼に向けて差し出して】


……暖房のマジックアイテム、でよろしいんですよね?

それに関しましては……えと、このページから写真と説明が記載されていますので
用途や効果、デザインやお値段などを見て選んで頂けると嬉しいです


【神父に見えるようにカタログの位置を調整しながら開き】
【細く白い指でペラペラとファイリングされた頁を捲っていき彼に説明した】

【そこに記されているのは様々な「あったかいマジックアイテム」】
【ストーブのような形状をした部屋置きの暖房アイテムから】
【持ち歩きが可能なカイロのような、全身を温めるほど効果は高いが使い捨てのアイテムや】
【同じく持ち歩きが可能で、効果は触れた範囲にじんわりと温めるだけだが永続的に使える小さな湯たんぽのようなアイテムなどなど】

【共通することは、全て燃料などを必要とせずに】
【使い捨ての物を除けば全て空気中の魔力粒子を循環させることで起動する一種の永久機関になっている事】
【そして、魔力を注ぐことで飛躍的に効果を高めることが可能な点である】
【ここが"マジックアイテム"足る】所以であろうか】

【それ以外にも多くのデザインや効果のものがあり】
【もし上記のアイテム以外に要求するものがあれば、ジョシュアは用意することだろう】
【特殊なモノとなればオーダーメイド、完成まで時間を貰うことになるが――】


ゆっくりと決めてくださいね……僕、その間にお茶を煎れてきますので
質問などがありましたら、戻ってきた時に何でもお気軽に訊ねてくださると幸いです


【にこりと、一つ笑みを見せて小さく頭を下げるとジョシュアは一度店の奥へと姿を消す】
【そして数分後……湯気の立ち昇るカップと何やら大皿が載ったトレイを持って席の方まで帰ってくるだろう】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 01:44:03.14 ID:B/qV+dr7o
【深夜――とある森の中】

【凍えるような寒さの森を、一頭の牡鹿が歩いていた。といっても】
【この鹿は話の主題ではなく――彼に飛びかかる、巨大な白狼がそうであり】
【草陰から飛び出した尾の長い獣は、あっという間に鹿の喉笛を食い破ると――】

…――よし、これで今晩の献立が整ったのう。
この寒い中を散々歩かせおって、また面倒を掛けてくれたものよ

【と、さも当然のように人語を発して、ずるずると死骸を咥えたまま森の奥に進み】
【やがてベースキャンプにでもしているのか、焚き火のある場所にたどり着けば】

【今度は一瞬にして、その姿が獣から人の女性へと変化して。ただ、いくつかヒトと違う点もあり】
【それは頭にあるケモノ耳だったり、身長と同じくらいは有りそうな白銀の尻尾であったりするのだが】
【同色の頭髪をした彼女は、口元の血を拭いながら鹿を自前の爪で捌き始める事となる】

【――つまり、人狼の狩りの風景だった。静かな森のなかだから、狩りそのものから引きずる音】
【そして薪の爆ぜる音や、鼻歌すらも遠くに居ても聞こえるかもしれず、また人の気を引くかもしれなかった】

/予約でありますっ!
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 01:52:01.50 ID:teMgmiq8o
>>209

【差し出されたカタログをゆっくりと神父は見始めた】
【全体的に同じ程度の時間をかけて読んでいたが、部屋置きの暖房器具は特にじっと見ていた】


 ……マジックアイテムってのはあまり知らねえんだが便利なもんだな
 魔力でやれることが多いってのは知ってたから、考えりゃ分かりそうなもんだが……


【各説明を読み進めていくにつれて、神父は「ほー」とか「へー」とか感嘆の声をあげる】
【彼自身も魔力についてはそれなりに知っているがこれらの商品は驚くに足るものばかりだった】
【ジョシュアが戻ってくる頃にもまだ読みふけっていて、置かれたカップをどうやってか見ずに取って飲んでいた】

【しばらくして神父は顔をあげた】


 中々良いもん色々あるじゃねえか、専門的なことはよく知らねえが
 ところでこいつらは壊れたらどうすんだ?
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 01:52:47.86 ID:LOwLzY6e0
>>208
【少女は拳を握る】
【人を殺すというのならば】
【少女は一歩踏み出す】
【嫌悪は怒りへと変わり】
【少女は拳を振り上げ】
【恐怖は決意となって】
【少女は駆け―――】

【狙うは、顔面。そこへ拳を振り下ろす】
【駆ける速度は、穿つ拳は弾丸の如く速度で、威力で襲い掛かる】

【言葉を交わす気などなかった】
【こいつに人を殺す理由など、ない】
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:05:26.70 ID:pGd4mcmT0
>>212
【突如として顔面に迫り来る拳】
【少年は破顔すると自ら弾みを付けて鎖をあしらったヘッドギアで拳を受ける、数瞬の暇】
「あは♪あはは♪あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは♪」

【何を思ったか路地裏全体に響くような笑い声を上げる】

「でも無理だよ、無理無理無理無理
だって君の攻撃ってさぁぁ
お上品すぎるんだもんっ」

【次の瞬間、足は少女の足を踏みつけようと伸ばされ
頭は大きく口は少女の殴って来た方の腕に噛みつこうと開かれ
右手は背中の戟に伸びる】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 02:05:50.46 ID:2ajOmkDFo
>>211

その……手作りですのでお口に合うかは判りませんが
お茶請けにマフィンご用意しましたので……自由に食べてくださいね

【戻ってきたジョシュアは、コツ……と神父と自分の前にカップを置き】
【それと共に持ってきた何かの載った皿も席の真ん中付近に並べた】

【カップの中身は温かいハーブティー】
【喉に通せば癖のない風味と、頭がスッキリとするような感覚を覚えるだろうか】
【そして、皿の上に乗っているのは一口サイズのマフィン】
【黒や白、黄色や狐色のモノまで様々で、チョコレートやプレーン、バナナなど味も多様であった】


【そしてしばらく、神父から質問を投げかけられれば】


えと、仕組み自体は、他の職人の方でも対応出来る簡単な造りですので……

最寄りの魔工技師の方を訪ねるか……
それか魔術に造詣のある方なら修理することも難しくないと思います

勿論……僕のお店に持って来て頂いても全然大丈夫ですよ?
その時は……お値段の方もサービスしますので――


【修理に関しては然程難しくもないらしい】
【特別な代物ではなく、魔翌力を利用したアイテムとしてはポピュラーな造りのようで】
【特に"魔術師でも直せる、という点は中々に大きいかもしれない】


それで……――いかがでしょうか?

お決まりになりましたら、僕の方に見せてくださいね
デザインが気に入らない、もっとこうしてくれたら便利だ……って注文にも対応できますよ


【カップに口を付け、ハーブティーを少し啜りながら声を投げかける】
【急かすような口調ではない、確認のようなものだろう】
【神父が決めるまではずっと、ジョシュアはにこにこと人のいい笑みを浮かべながら待つことだろう】
215 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 02:17:41.79 ID:teMgmiq8o
>>214

 へぇ、そんな簡単な代物なのか……


【ジョシュアの答えに神父は驚いた顔をする】
【といっても単に彼自身が知らないことに対する無意識の反応だ】
【その後もまたパラパラとカタログをめくり続け、あるページの商品を指差した】


 俺の教会は結構古くてあんまり保温機能がないみたいなんだが
 寝室を暖めるにはこれぐらいでいいのか?


【神父が指差した商品は部屋置きの暖房器具だった】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:21:22.97 ID:LOwLzY6e0
>>213
そう―――

【少女の表情は冷静に、しかし中身は赤く、紅く、怒りが燃える】
【自分の快楽のためだけに人を殺す、こんな奴は初めてだ】
【今まで見てきた”殺し”には何かしらの理由があった。しかしこいつにはない】

じゃあ、少し下品なこと
やってやるのっ!

【大きく開かれた顎も、足を踏もうとする足も、全てを無視して】

とぅあっ!

【思い切り脚を踏み出し、前へ飛ぶ】
【すなわち、ただの突進。】
【だが、人外じみた脚力から繰り出されたものだ。ただの突進だが、ただの威力じゃない】
217 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:22:56.51 ID:LOwLzY6e0
>>216
//すいません、少し補足です
//噛みつき、脚を踏むへの対処は行わず、突進により全部はじき返そうとしたということです・・・・・・分かりにくい文章ですいません
218 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:29:24.83 ID:pGd4mcmT0
「かっ…………はぁっ……」

【突進をモロに受けたせいで肺から酸素が絞り出され、衝撃で背後の壁に軽くめり込む】

「くっ、はははっ♪
いいねいいねぇ♪
でも、無理ものは無理だよっ!」

【うつ伏せに倒れたままの状態から四つん這いで獣のように掴みかかる
口を開き両手両足で加速した彼の狙うは彼女の喉笛
勢いをそのままに食いつこうとする】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:31:12.28 ID:pGd4mcmT0
>>217
/気に病まないでください!
/了解しました!
220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 02:32:10.75 ID:2ajOmkDFo
>>215

その……破損の具合にもよりますけどね

内部の魔術回路の故障でしたら、普通の魔術師の方でも修理は出来ますが
外装から全て壊れてしまったら専門の技師の方じゃないと難しいと思います……


【流石に暖房の外装までは普通の魔術師が直すのは難しいだろう、と】
【しかしながら単純に動かなくなった程度ならば問題はないようであった】


寝室ですか? えと……規模によりますけれど
よっぽど広くない限りは、このタイプでも大丈夫じゃないかなって思います


【カタログの写真を確認しながら、ジョシュアはそう答えを返す】
【寝室が想定を超えて広過ぎる場合は高い効果は望めないが】
【一般的な家屋であれば、大部屋一つ温めるだけの力は持ち合わせていた】


これでよろしいのでしょうか……?


あの、色は赤と、白と、黒がありまして……
オプションで風量調整や、簡単なタイマーとかも付属できますけれど……


【商品が決定したならば、次はそういった注文を聞こうとする】
【ここで特にリクエストがなかったならば、色は「赤」で、基本的な機能のみが搭載されることになる】
【それでも暖房としては十分に機能を果たすため、無理をして付ける必要もないだろうか】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 02:33:57.12 ID:E8PdVXgJo
>>210

【夜の森は生物は息を潜めている。夜行性の生き物もそれを崩さない】
【それは野生の本能の不文律。だが、野生から離脱した人間には関係ない】

【わかりやすい気配が迫る。危険性はないと本能でも感じ取れる。粗雑な気配。人の気配】
【居てもおかしくはないかもしれないが異分子は均衡を崩す。気になる、余計な音が立つ】

…ありゃ、人いたんだ

【草を分けて現れるガール。人工的に染色した金髪のロング。ショッキングピンクのニットキャップ】
【マウンテンパーカーにジーンズのガールはリュックサックを背負っている。其処までは普通の山ガールだが】
【手のグローブには機械的な骨格が補助のように埋め込まれていて、手のひらにも金属パネルがある。それに繋がるように】
【ガントレットが次世代のテクノロジで改修されたような装甲が腕にはめられている。足も膝から下は同様な次世代ニーガードであり】
【靴の代わりにローラー4つが縦に並んだローラースケートを履いている。腕と足だけ見ればロボガール無いし、アンドロイドガールである】

【メカティックな少女はモーターの作動音を鳴らして滑るように歩く。腕を軽く動かす度に何かの機械がキュイキュイ軋む】

何してんの?

【少女は何の気もなく尋ねる。ポケットに両手を突っ込んで、無害満面の笑みを浮かべて】

/すみません!レスが遅くなりました
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 02:35:27.40 ID:GRumJfhco
【淀んだ空気が充満した路地裏、月すら見えぬ闇夜にて】
【呻き、叫び、絶叫――――滴る血がアスファルトを濡らし、冷えていた其れを微温く染め上げる】
【欠落し落下していく己自身、あたかも最初から無かったかのような錯覚の直後激痛とともに斬られたことを理解する】

『やめ、やめろ……やめてくれぇ…………っ!!』

【皆一様に口を開けば似たような言葉ばかり、まるで打ち合わせでもしているのではないかとすら感じる】
【やめろ、痛い、苦しい、死にたくない、それもいい。嫌いじゃあない。弱者が這いずり命を乞う、芸はない光景だが王道とは素晴らしい物だ】
【しかし同時に思う。もう少し斬り甲斐が欲しい、斬ろうとしても斬れない、そんな人間を斬ってみたいと】
【死を愛している。殺すことを愛している。故に無様な死も差別なく喰らおう――――だが粗末な食事ばかりで満たされる程、此の飢餓は安くない】

仮にやめたとして、君はどうする? どうなる? どうしたい?
見れば分かるだろう、足はもう無い。逃げれない。腕はもう無い。戦えない。
敵に罵倒の一つも言えない人間が、今更何が出来るんだい? ――――それとも、本当にやめようか?

【よく通る澄んだ声が、路地裏に響く――――痩身の、奇妙な存在】
【腰まで伸ばした黒髪に、雪のように透き通った肌。細身をダークスーツに包んでいる】
【顔の上半分は黒い狐面で覆われていて、黒い瞳と赤く充血した白目が面の奥から覗いていた】
【総てを嘲笑うかのように歪められた口元、まるで空間に墨汁を一滴垂らしたかのような黒が其処には在った】
【右手には一振りの刀、聖なる邪悪と称すべき矛盾を孕んだ超常の刃。目の前に広がる凄惨な悪夢を作り出した主が誰なのか、ひと目で理解出来るだろう】

【数十秒前、此の場には八人の人間がいた。路地裏という立地上、此処では何かしらの事件がよく起きる】
【今日もそうだった。なんてことのない、ただの暴行。一人の少女を三人の男が囲い、己の欲望を満たそうとしていた】
【其処に四人の警察が訪れる。少女は助かったと思っただろう、男たちは抵抗しようとするも内心では相当焦っていた】
【そして両者が激突する其の瞬間――――影は此の場に突然『降って来た』】
【十数メートルは在るであろうビルから降って来たと思われる其れは、瞬く間に男二人と少女の首を落として】
【次に躊躇いなく警察を殺した。その場に混在していた正義と悪、其の両方が物言わぬ肉塊へと変えられてしまった】
【何が起きたか分からない。けれど逃げないとまずい。ただ一人生き残っていた男は、一瞬の逡巡の末本能のままに逃走するために】
【たった一歩目を踏みだそうとした。だが其れは叶わなかった――――何故か、理由は単純だ。すでに足が無かったからである】
【気付いた時には斬られていた。斬られたことにすら気付けなかった。襲い来る痛みに耐えられず、絶叫が響き渡る】

――――なぁんてね、大丈夫。君はしっかりと僕が殺すよ、安心してくれていい。
君が死ぬ寸前まで這いずり廻るのを眺めるのも悪くは無いけれど、別に僕は人が苦しむさまを見て喜ぶような下卑た人間じゃあないからね。
ん? なんだって? お前はなんだ……? あはは、質問まで君はありきたりだなぁ。
そうだなぁ……なんだと言われたら少し困るけれど、要はただの人斬りさ。何処にでもいる平凡な人殺し、君と似たようなものさ。
名前はそうだなぁ、まだ考えていなかった。いや、これでも一応身分を隠している身でね。名乗るならば偽名じゃないといけないのだけれど……。
ちょっと待ってくれ、今すぐに考えるよ。そうだなぁ――――じゃあ、こんなのどうかな?
『デッドアンバー』……ああ、そうか。君じゃあ意味もわからないか。けれどまあ君を殺した人間の名前だ、しっかり胸に刻んで逝くといい…………じゃ、さよなら

【奥歯がガチガチと音を立てる。腕も足もない、斬られた己の欠片へと視線を逸らした】
【細切れにされた手足、白目を剥いて転がる友の首、鉄のような臭いで満たさた其処には、目を逸らしてなお背けたくなる光景しか存在しなかった】
【まるで元から繋がっていなかったとすら感じられる切断面、絶対に逃れられぬ事を理解し今一度影へと目を向ける】
【息を忘れる程の殺気を前に、走馬灯すら見る暇なく、刃が振るわれようとし――――――――】

//三時半までに絡まれなかったら撤回します
223 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 02:41:10.28 ID:teMgmiq8o
>>220

 あー、赤はあんまり合わねえな……白がいいか
 オプションはなんか、適当に任せた。料金が倍とかにならなきゃいい

【神父はジョシュアに選択権を放り投げてしまった。困るタイプの客だろう、きっと】
【カップに手を伸ばして少し飲んで机に戻す。お茶請けには何故か手をつけていない】


 ところで、さっき俺の腕を見てたが何かあんのか?


【ふと、奥に案内されたときのジョシュアの視線を思い出した】
224 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:46:27.93 ID:LOwLzY6e0
>>218
【突進から体勢を立て直すのは少し時間がかかる】
【その隙に付け込むのであれば、少女に対処のしようはない】

ああっ・・・・・・

【獣に犯されるような体制で、少女は掴みかかられ後ろに転げる】
【そのまま喉笛に噛み付かれ、呼吸が途切れ途切れになっていく】

こっ・・・・・・の!!

【来るし紛れに振るう拳、威力は最初のパンチより格段に劣る】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 02:47:33.03 ID:B/qV+dr7o
>>221

【少女が草むらから姿を見せるその時には、既に狼の女性はそちらを見つめていた】
【手元は真っ赤に濡れていて、ちょうど左後ろ脚を切り離した所であり】
【見るものが見れば――というか、耐性が無ければちょっと卒倒しそうなシーンなのだが】

【それはそれとして、白銀の毛並みをした女性は、現れた少女を上から下までじろじろと眺め】

……ヒト、ではないのだがのう。見ての通り、鹿を狩って捌いておるのよ
流石にそのまま食っても上手くない。塩コショウでも振って、焼いてな?
欲しいというなら腿の一、二本くらいはくれてやらんでもないが……

それにしても……お主、珍妙な格好をしておるのう。
見ていて目がチカチカしそうじゃ。……で、お主も食うか?

【まあ、有り体に全てを語って――少女を敵、とは認識しなかったらしい】
【早速鹿の肉片を棒切れに刺して火にくべながら、食べるかどうかと語りかける】

【――とはいえ、少々得体が知れないのは事実だ。鹿を捕らえるまではともかく】
【普通、それを爪で捌いて平然と食べるものなど居ないのだから】
【獣人というのも物珍しい。どう判断するにしても、逆上して襲いかかるようには見えなかった】

/いえいえー、大丈夫ですよっ!
/ただ時間的にあと一時間ちょっとが目安かな、と……
226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 02:53:38.52 ID:2ajOmkDFo
>>223

あ……あはは、判りました。

…………うぅんと、ではその、寝室に設置するのでしたらタイマーはあった方がいいかもしれませんので
それだけ付けておきますね。……料金の方は、術式を弄ってボタンを取り付けるだけですから、1000くらいでしょうか?


【初めて見せる困ったような微笑みだ】
【さながら亭主に「今夜何食べたい?」と訊ねて「何でもいい」と返答されたようなもの】
【特に優柔不断の気があるジョシュアは、しばし悩んだ後にそう答えた】


あっ――あの、えと……き、気分を害してしまわれたならごめんなさい……

その、大したことじゃないんですけれど……
すごく痛そうですし……もしよろしければ、僕で"お力"になれないかなって思いまして……


【じろじろと見てしまったことで、気を悪くさせてしまったのかと誤解して】
【ペコペコと頭を下げた後に、おずおずとした口調でそんな事を切り出す】


……僕じゃ、完全に治すのは難しいですけれど……
痛みを和らげて……怪我が治るのを早くするくらいは出来ると思うんです

これは商売の一環とかじゃなくて……
僕のお店を訪ねてくださった方には、みんなみんな笑顔で居てほしいから……その……


【上手く言葉が浮かばないらしく、不器用だが偽りのない心を籠めて語る】
【要約すれば、怪我に関して少しでも治す為の力になれたらと思っているらしい】
227 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:57:37.04 ID:pGd4mcmT0
>>202
【防ぐ物が無いゆえに腹に綺麗入る拳、しかし男の娘は大きくブリッジをするように体を反らして避けると共に必然的に少女のお腹の上に座るような状態になってしまう】

「……たのしかったよ、じゃあ♪バイバイ♪」

【背中から振り抜かれた戟がめったやたらに、それこそ無茶苦茶にある程度動きを制限されている少女に叩きこまれようとしている】

「はぁぁぁぁぁあ!!!」
【瞬間、彼の能力である『血濡れかき氷(ブラッティアイスエイジ)』が発動、戟が吹雪と低温を帯びる】
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃぃぃ!!!」
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 02:59:57.90 ID:pGd4mcmT0
//申し訳ございません>>227>>224へ向けてです
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 03:02:04.86 ID:teMgmiq8o
>>226

【追加料金については単に首肯した】
【それから理由を尋ねた神父はとりあえず黙って聞いていた】
【内容は簡単に言えば手助けしたい的なもの。なるほど、それなら非常に助かる】
【助かるのだが、何やら相手はもじもじしているというか、気後れしている。神父はそっちの方が気になった】


 ……気の弱い嬢ちゃんだなぁ
 手助けしたいってのに何でお前そんなに申し訳なさそうにしてんだよ……


【神父は思わず苦笑いした】
【相手の気後れが気弱さから来てることぐらいは理解しているが、それでもつい聞いてしまった】
【……そう、ディックはジョシュアを女の子だと勘違いしている】


 まぁなんだ、結構治ってきてるんだが、治したいなら勝手にしてくれ
 その代わり、金を払わせろ。条件はそれだけだ


【そう言って神父は紙幣を一枚取り出して机に置いた】
230 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 03:06:46.28 ID:E8PdVXgJo
>>225

【少女は口を尖らせて、ふ〜んと言うだけでショッキングな解体の映像には揺さぶられない】
【ノンショックで居られるのはそういう冷めた性格なのもあるけど感性が鈍感だってわけじゃなくて】
【それは当たり前の節理だって理解していて、つーか見てわかるから動じない。理性的な判断だ】
【それと。こんな格好なんだから、多少のショッキングには耐性がある。経験による慣れが生じている】

鹿は食べたこと無いなあ…固そう。固い?まーでもわかんないか……あーでも要らない
さっきご飯食べたし。……固そうだし

【近くに勝手に座り込む。焚き火に手をかざすと手のメカがキュワキュワ作動する。センサーが温度を感知して最適化する】
【見た目的な変化はない。中のプログラム的な要素だ。作動音と青いLEDの点滅だけが気になる】

何処行ってもちんみょーよ。アタシは。でも、オリジナルだから。私は。それでオッケーなの
貴女だって相当、ちんみょーじゃない?ルックス含めて。ハンティング然り。存在が定義されてない。特異点なカンジ?
…いや、でも超オッケーだと思うけどね。ちんみょー同士。批判同様肯定も最終的には自己に帰結するようにしか出来ないのよねー悲しいけど

【ニシシ〜と笑って、背負っていたリュックを下ろす。小煩い(あと一々光る)グローブをはめたまま、彼女はカバンからバナナを取り出して】
【それを膝を抱えて火にあたりながら食す。割りと機械的にぼんやりと、火を眺めながら食べる。】


/了解です。お時間来ましたら適当に締めて頂いて構いませんので
231 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 03:13:51.58 ID:LOwLzY6e0
>>227
【マウントを取られた体制、絶体絶命に思える状況】
【だが、相手の位置が自身の腹の上であるなら・・・・・・両手は、動く】

【にっ、と。少女は嗤い】

確かに、それじゃまだバイバイは”無理”なの

【振り下ろされた戟はピクリとも動かない】
【理由は単純、少女が両手で掴んでいたから】

【しかし掴んでいれば纏う吹雪に腕が凍らされる】
【敗北は時間の問題か・・・・・・そう思った、が】

【響くサイレンの音。赤は光が路地裏を照らす】
【現れたのは自警団。犬神の笑い声を聞きつけて現れたらしい】
232 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 03:18:24.58 ID:B/qV+dr7o
>>230

まあ、ヒトからすれば固いかも知れんのう
儂はほれ、この通り牙があるからむしろ好みなくらいじゃが。

【にぃ、と笑うようにして見せるのはズラリと並んだ白い牙】
【人のそれとは違って、サメや獣の者と同じく尖って、鋭く】
【やはり人では無いのだなという感じ。ちなみに言えば、格好も中々なもので】

【服自体は着ているのだが、如何せん肘丈の毛皮となれば寒たげであり】

儂が珍妙……うむ、まあ、確かに。妖狼というのは数えるほどにしか居らぬでな
親族を合わせても精々数百程度で……ぁ、儂の名は銀狼じゃ。長尾銀狼。

狼の妖怪でな、色々と世間を見て回ったりと遊んで暮らしておるよ
それで、珍妙仲間のお主はなんというのじゃ?
あいにく難しい話はトンと分からんが、名を知らぬでは話にくかろ?

【ぱちぱち、と燃え盛る火から焼けた肉を取ると、尋ねかけながら喰らいつき】
【美味そうに肉の脂を滴らせるステーキを、刃物でも使う日のように牙で食いちぎる】
【随分とワイルドなやり口。言葉遣いは古臭いが見た目は若い分、ちょっとどころではなく変な具合だった】

/はいな〜、と丁度時間になりそうなので
/次のそちらの方で【食べながら少し話して別れた〜】なんて風にして頂いても良いでしょうか?
233 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 03:22:44.35 ID:pGd4mcmT0
「あはは♪
確かに邪魔が入っちゃったみたいだね♪」

【凍り付いた腕から戟を引き抜いて少女の顔の横の地面に突き刺す】

「君、面白いね♪何て言う名前なの?」

【体制をそのままに少女の頸動脈をコリコリといじりながら訪ねる】
234 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 03:23:08.91 ID:2ajOmkDFo
>>229

えっ……あの、その……余計なお世話じゃないかな……とか
今日会ったばかりなのに……貴方の個人的な事情に踏み込むような事しちゃっていいのか、とか……

そういう思ってしまうと、ちょっと不安で……――


【見た通りに、この少年は非常に気弱で控えめな性格をしているようで】
【何でも勝手に悪い方に思い悩んでしまう傾向も強い】
【そして、"嬢ちゃん"という部分には気づいてはいるが、訂正するタイミングを見失っている】
【この誤解が解けるのはもう少し後になりそうである】


そんな、僕が勝手に言い出したことなのにお金なんて…………


【神父の出した条件に、思わず断ろうとするが】
【ここで断ったところで話がこじれるだけなのはジョシュアにも理解は出来ている】
【いらない遠慮でややこしくしてしまった経験は何度もある】
【だから、ジョシュアはそれを彼の矜持や気遣いの類であると認識した上で】


…………ご、ごめんなさい。
でも、その……本当に簡単な応急処置だけですので、紙のお金は頂けません
治療費として硬貨の……500ばかり頂いてもよろしいですか?


【受け入れる。だが、紙幣は貰いすぎだと語り"適正価格"を提示した上である】
【ワンコインとか破格の値段にも思えるが、そもそも"魔術"は元手が魔翌力だけなのだ】
【大掛かりな手術でない限りは、料金も相応に安く済んでしまうものであった】


えと……では――患部を見せて頂いてよろしいでしょうか?

それと、あの、僕は魔法銃士(マジックガンナー)ですので、ちょっと変わったやり方になるのですが……
お客様に害を与えるようなことはしないと誓いますので……あ、安心してくださいね……?


【そう告げると、ジョシュアの右手の付近が淡く発光し――手首を囲うようにして複雑な魔法陣が形成され】
【次の瞬間、少年の手元に黒く鋭いフォルムをした大型拳銃が召喚されていた】
【魔銃<CarlMaria von Weber Mk-V>。ジョシュアの半身とも呼べる愛銃で、発動機でもある魔銃であった】
235 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 03:24:53.99 ID:2ajOmkDFo
>>234
/【ワンコインとか破格の値段にも思えるが、そもそも"魔術"は元手が魔翌力だけなのだ】×
/【ワンコインとは破格の値段にも思えるが、そもそも"魔術"は元手が魔翌力だけなのだ】○
/意味は通じますがどうしても気になってしまったので訂正します!
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 03:29:33.00 ID:teMgmiq8o
>>234

【代金の支払いは断りそうだと思い、次にどう言うかを神父は考えていた】
【しかしジョシュアの理解は思ったよりもずっと早かった】


 あぁ、そういうことならいいぜ


【そう言って彼は喜んで紙幣を戻して硬貨を取り出した】

【言われるがままに神父は左手で器用に右腕の包帯を取り、袖を巻くって患部を見せた】
【既に治療が施されていてそれなりに治ってきてはいるが……それは大きな切断の傷だった】
【傷跡は前腕部の中頃まで続いている。もう少し入っていれば完全に切り落とされていたところだ】


 ほー、魔術師ってのは便利だなぁ


【ジョシュアが取り出した銃器を見て彼は呑気に呟く】
【自分の傷の理由を自ら語ったりはしないが……神父が負うような傷でないのは確かだ】


//だいぶ遅くなってきましたが眠気とか大丈夫ですか?
237 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 03:33:26.97 ID:LOwLzY6e0
>>233
・・・・・・お前になのる名前なんて無いっ!・・・・・・

【口にためたつばを、思い切り犬神に吐き出して】

//とりあえず、この後お互いに引いたということで〆でー
//いくつか言いたいことはありますので、明日また纏めさせていただきます
238 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 03:36:36.54 ID:pGd4mcmT0
>>237
//わかりました
//お休みなさい、良い夢を
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 03:48:37.24 ID:2ajOmkDFo
>>236

うわぁ……刀傷、でしょうか……これは酷いですね
でも、その……適切な治療はされているようで、安心しました――。


【予想を超えて痛々しいその傷に、心配そうな声を洩らす】
【元々四肢欠損した患者なども扱っている為、それなりに見慣れてはいるものの】
【これだけ大きな傷を見て何も思わないほど感覚は麻痺していなかった】


色々と勉強することも多いですし……実用的なレベルまで習得するのは大変ですけれど
魔術は伸ばし方次第で何でも出来る力ですから……本当に便利ですよ?

流石に能力者の方々みたいに、考えるだけで現象を生み出したりは出来ないので……
"力"のある方からすると面倒にも思えるかもしれませんが――。


【魔術を評価するような言葉に、思わず表情も綻んでしまう】
【ずっと勉強して育んできた分野であるがゆえに、その思い入れも相応に強い】
【花の咲いたような笑みを浮かべながらも、ゆっくりと銃口を患部の方へと向けて……】


【カートリッジ選択:『cherubim』……装填】
【弾種選択:『cherubim』Lv.3<Sunny Pixie>×1】
【解凍率表示:50%】
【解凍率表示:95%】
【解凍率表示:100%……解凍完了】
【照準:魔導レール形成・目標位置・軌道選択……完了】
【条件設定:接触起動――】


――行きます、ちょっと痛むかもしれませんが……少しの間だけ我慢してくださいね?


【そう告げるとほぼ同時に、銃口から淡く光る魔弾が射出された】
【魔弾は避けられなかった場合一直線に患部の中心付近まで到達し、効果を発揮するだろう】
【魔弾に内包されているのは"治癒"の属性を持つ中級魔術】
【ある程度までの傷を塞ぎ、痛みを大幅に和らげる効力を持つ】

【もし治療が成功したならば、ジョシュアは額に浮かんだ汗を拭い、安心したように微笑むことだろう】


/遅れて申し訳ない……!
/大分眠気が来てますが、そろそろ締めだと思いますのでご容赦を……
/もちろんディックの方が辛いようでしたら持ち越しでも全然大丈夫ですよ!
240 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 03:49:16.14 ID:E8PdVXgJo
>>232

ヒトは数千年前に諦めたもんですから。圧力鍋で煮て食べますよ〜ってね

【同じようにい〜って笑って歯を見せる。白く几帳面に並んでいるがヒトの歯だ】
【得意なものは何もない。とうに野生は捨ててしまったのだから何本かは必要すらないだろう】

【彼女はヒトじゃない彼女と出会って楽しい。バナナを食べてるだけで心がはねて笑みが溢れる】
【人間っぽいのに人間じゃない。見落とすポイントにも差異がある。予想が裏切られることが快感だ】
【もしかしたら内臓も違っているかもしれないけど見てみようとは思わない…ちょっとしか。可愛そうだし】
【そんな知的好奇心だけのマッドなことは正義を感じられないから】

へぇええ〜!妖狼ねぇ〜……居るんだなあ…いてもおかしくないけど。居るのと出会うのは大きく違うね
ふっふっふ〜もっとジャングルとかいかないとダメかと思ってた。次はドラキュラに会ってみたいなあ〜…

【イメージのドラキュラはハンサムだ。逢いたい理由は其処にある。それ以外は用事もないしね。むしろ、ある?】

あ、私は…ハル。ハルねハル。ハルハル。三人日の春。スプリング、ホッパー。…なんでもいいけど

【春に生まれたからハルなんて安直なのはお父さんのせいなんだけど割りと彼女は好きだ。語感もいいし、運命も刻まれてる】
【苗字もあるけど、彼女は言わない。そっちはあまり好きじゃない。それに今は必要ないだろうから。個人の識別にはハルだけで十分】

世間ねえ〜なんもないでしょ。いや、何か…その。あ〜!今の決めつけだ。ダメダメ。ごめんごめん。私が何かつまんないって思っちゃっただけ
うん。でも見て回るのは楽しそう。私も回るの好き。意味は違うけど。私のはその場でグルグルすることだけど。…楽しいよ?マジで。超マジメに

【バナナの皮を火に投げ込む。その動きに反応して機械が動いて小煩い。何だか馬鹿っぽくて彼女は笑う。しょうもないことが】
【妖狼に観察されていると思うと気恥ずかしいを通り越して楽しい。特異な時間が超イイ。マジマジ】

【そこからはよく覚えてない。多分、中身の無い話しかしてないから。でも、ティーンエージガールってのはそれが本職なのであるから】
【義務を果たしたと考えればそれが正しい。少女はそして帰る。山を降りて、都会に降りる。始発よりも先に。朝日よりも先に】


/というわけでしたので〆ました!こんなかんじで宜しいでしょうか?
/夜遅くからお付き合いいただいてありがとうございました!
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 04:01:46.08 ID:teMgmiq8o
>>239

【魔弾が命中した瞬間、痛みに僅かに顔をしかめたが反応はそれだけだった】
【そもそもこれだけの傷を負う人間であれば治癒の痛み程度であれば耐えられる、ということか】
【治癒が終わり、右手を開いたり閉じたりして確かめる。痛みはなかったが、念の為もう一度元どおりに包帯を巻いて戻した】


 ご苦労さん、それなりに良くなったみてえだ
 とはいえ完治まではいかねえか……早めに治ってくれねえと面倒なんだがな……


【神父の表情には焦燥感にも似た不愉快さが浮かび上がっていた】
【戦闘に使う利き腕が使えない状態はこのいつ襲われるか分からない世界では不安要素でしかない】
【それ以上に、仕事に差し支えることが彼にとっては不愉快だった】

【腕から顔を上げた神父が見たのは、額に汗をかきながらも不思議と微笑むジョシュアの姿だった】
【神父は微かに首を傾げて、顔をしかめた。それこそ治療中よりもよほど】


 なに笑ってんだよ、わけわかんねえなお前。人助けがそんなに好きか?
 ……まぁいいや。料金は後払いでいいよな。こんな大金普段から持ち歩いてねえしよ
 ……ああもう書き辛えなちくしょう


【紙とペンを取り出して住所と名前を記す。だが利き腕でないせいでもたついた】
【時間をかけて、何だか乱れた字で書き終わりジョシュアの方に差し出す】
【名前のところには──リチャード・イグレシアと書かれていた。偽名だ】

//で、ではもう少しだけ!
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 04:06:28.09 ID:B/qV+dr7o
>>240
/最後の最後でお返事遅れて申し訳ないっ、宜しいかと!
/深夜で短めでしたが、絡んでいただきありがとうございましたーっ!
243 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 04:20:12.90 ID:2ajOmkDFo
>>241

もう少し腕のいい治癒術師さんなら……完治させる事も出来るかもしれませんが
僕の腕じゃこれくらいが限界です……ごめんなさい

あの、すぐに治さなきゃいけないのでしたら……
魔術師ギルドを通して、医療関係の術師の方を紹介することも出来ますが――


【「――いかがでしょうか?」と、彼の様子を見てジョシュアはそんな提案を投げかけた】

【事情に関しては知る由もないものの、早く怪我を完治させなければならない理由があることは察せられる】
【故にそれが可能であろう人材を、自分のツテで紹介できないものかと話を持ちかけていた】


あはは……はい、人助けが好き……といいますか
僕の力で誰かのためになれるって考えると……なんていいますか……心が温かくなって、幸せな気持ちになるんです

壊すために与えられたこの力を……人を笑顔にするために使えたなら
それは素敵な事なんじゃないかって……ちょっと、変かもしれませんけど、そう思うんです


【よくいえば無垢。悪くいうならば青臭く幼い理想だ】
【タチの悪いことに少年はこんな事を本気で思っているようで、ジョシュアの笑みには翳りはなく】
【真っすぐに自分の気持ちを口にして彼を見詰めた】
【壊すために与えられた――などと、少々穏やかではないワードも混ざっていたが……】


はい、後払いで大丈夫ですよ?

それと、結構嵩張りますので……明日にでも教会の方に郵送しましょうか?
片手だと持っていくのも大変だと思いますし……
代金引換えで受け取って頂けましたら、後で払いに来る手間も省けるんじゃないかって……どうでしょうか?


【名前と住所の書かれた紙を受け取ると、ジョシュアは彼に向かってそう告げた】
【大型のアイテムも扱う店舗だ、そういったサービスにも対応しているようで】
【もしこれに了承して貰えたならば、後日石油ストーブのような形状のアイテムが届けられ】
【同時に「4000」という、機能から考えると矢鱈に安い料金を要求されることだろう】
244 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 04:30:47.93 ID:teMgmiq8o
>>243

 いや、いい。俺も腕の立つやつを知ってるが、それに頼んでこれだからな


【ジョシュアの提案を神父はあっさりと断った】
【既に治療を施していたことから分かるだろうが、主治医はもういるのだ】


 ふーん、物好きもいたもんだ
 ま、それをやってお前が幸せならいいんだがな
 運命の悪戯ってやつなのか、やりたいことやってるのに幸せじゃないやつなんかいくらでもいる……


【そう語る神父の表情は少しだけ暗かった。何かしら、具体的な相手を思い浮かべていたのだ】
【だから彼は決して、ジョシュアの語ったことを否定はしなかった】


 おー、そりゃ助かるな
 じゃ、後は任せたぜ


【二つ返事で承諾して、神父は店を後にした】
【──後日、あまりの料金の安さにまず疑い、次に疑い、更に疑い、最後には呆れてため息をついていたとか、なんとか】


//お疲れ様でしたー、夜遅くっていうか朝早くまですいません!
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 04:43:50.33 ID:2ajOmkDFo
>>244

そう……ですね――皆仲良く、平和に暮らすことが出来たならいいんですが
現実はそう上手くいかないことは、僕も知っています……

やりたいことをやって、幸せを感じられている僕はきっと凄く恵まれていると思うんです
ですから、その分誰かを幸せにしてあげたいなって……手を、差し伸べてあげられたならって……

あはは……そういう人から見たらきっと、傲慢で、見下した考えだって思われそうですけどね……


【世の中がそう上手く回っていないことは、"義肢"の仕事が無くならないことで十分すぎるほど知っていた】
【日々巻き起こる能力を使ったテロや事件。それによる被害者は減ることはなく】
【ニュースを見ればその日は何人死んだなどと、目を覆いたくなるような情報が嫌でも飛び込んでくるのだ】

【だから、少しでもそういう人達の助けになりたいと思っていた】
【たまに行っている福祉活動や、赤字ギリギリの値段で商売しているのもその一環で】
【"どこにでも一人はいる善人"。純粋に誰かの力になることを幸福に思うというのがこの少年の性質であった】


はい! ……えと、よく確認はするので大丈夫と思いますが
もし不具合がありましたら連絡くださいね?

その時は僕の方から、保証期間内でしたら無料で修理しに出向きますので……
では、今日は本当にありがとうございました――また、いらしてくれると嬉しいです


【これにて、今日の仕事は無事に終了。注文内容を用紙にさらさらと記すと頭を下げて深々と礼をし】
【ジョシュアは、神父の背中が見えなくなるまで】
【ふわふわとした邪気のない柔らかな微笑みを浮かべて、その手を小さく振った見送っていた】


/お疲れ様でしたー!
246 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 15:10:00.96 ID:MiDmZvdN0
【――水の国:路地裏】

【都市の暗部では、年の瀬になっても寒々しい命のやりとりが繰り広げられていた】
【側溝に流れ込む新鮮な血液。その主は、暗闇の中に横たえられた壮年の男だ】
【そしてその傍らには、秘教の祭司じみたローブのフードを目深に被った、一人の少女が佇んでいた】


「何だよッ、お前が俺に何の恨みを――」


【少女は左手を編んだ銀髪の房に添えながら、右手に握った杖を男の胸に押し当てる】
【あらかじめ腕を折られ、膝を砕かれているらしい彼は、それでも何か抗議をしようと口ごもっていたが】


   畏れよ
……『豐ウ蟶るォ』……!


【耳障りな呪言を少女が唱えた途端、彼は石のように沈黙し】
【紫色の不穏な光が杖から発せられれば――ついに、ぴくりとも動かなくなってしまった】

【手品のタネは異能か、或いは邪悪な魔術か。何にせよ、少女は明白な殺人者だ】
【義憤に駆られた者や何をしてもいい¢且閧探している者が近くにいれば、また一悶着あるかもしれない――】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 15:11:30.91 ID:MiDmZvdN0
/書き忘れてましたが、6時〜8時の間私事を済ませるのでちょっと返信ができなくなります
/それでもOKでしたらよろしくお願いします
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 15:31:36.78 ID:vENP/M25o
>>246

【ガシャン、という騒々しい音と共にすぐ隣にある非常階段の床が揺れた】
【見上げればそこに居るのは一人の神父だった】
【150程度の低い背丈にカソックを着ていた。薄いブロンドの髪は光があたると白くさえ見える】
【首からは十字架を下げていた】


 あーあーあー……めんどくせえ場面に出くわしちまったな
 俺が言うのもなんだがその格好はどうなんだ、目立ちすぎだろうが?


【神父は非常階段の上から少女に声をかけた】
【手すりに足をかけて軽く跳躍して路地裏の冷えた地面に着地。膝を屈めて衝撃を吸収した】


 そいつはまだ生きてるのか?
 見ての通り俺も神父だからな、死んでるんならやることがあるんだが……


【壮年の男に近づきながら神父は更に続けた。少女を恐れる様子は全くなかった】
249 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 15:50:46.94 ID:MiDmZvdN0
>>248


……返り血を浴びた服でそのまま日なたに出るよりはマシなのですよ。
確かに、今は目立つかもしれないのですが。


【突如として頭上から浴びせられた言葉に、少女は平板な声色で応じる】
【いきなり話しかけてくる相手に、露骨な奇襲の意図は無いと見たのだろう】
【後ずさることも、おぞましい魔術の予兆が走ることもなく、彼女は男の接近を受け入れる――少なくとも、今は】


彼なら死んだのです。――ルネが殺したのです。
いまルネが欲しいのは命なのです。
だから、身体にはもう興味はないのです。好きにするといいのです。


【最期の恐怖を強張った顔に残した屍から、紫色の宝球を戴く杖が離される】
【近寄れば、それがもう息をしていないし、鼓動もないことはハッキリと分かるだろう】
【いやに青白くなった肌に、急速に萎びた手や鼻からは、この死が尋常のものではないことが読み取れた】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 16:14:53.63 ID:vENP/M25o
>>249

【壮年の男の傍まできた神父はその様子の細かな部分までを観察した。衣服や皮膚の状態を】
【石のように固まった、という説明だけでは足りないような状態だった。確かに少女の言うとおり、命を奪われたというのが正しい】
【神父は心の中で安堵した。敵対しようものならタダでは済まないだろう……だが互いにその様子はない】

【彼の胸中に訪れたのは安堵ばかりではなかった。幾ばくかの、同情のようなものもあった】
【恐怖の中で死ななくてはならなかった見知らぬ人間に対して憐れむ気持ちがあった】
【神父は壮年の男の前で何かを呟く。それは形式に則った、死者への安息の祈りだった。何一つとして効果のない言葉の羅列だった】


 ……異能か魔術の暗殺者ってのは珍しいな、初めて見た
 他人の命ってのがお前にとっての資源になるのか?


【神父は好奇心が含まれた声で少女に尋ねた。顔は向けなかった】
【彼女が暗殺者だというのは状況からの予想だった。殺戮を好むものにしては地味だしもしそうなら自分も死んでいる】
251 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 16:43:00.75 ID:MiDmZvdN0
>>250

【死に様そのものも不可解だったが、それ以上に奇妙なのは死に至るまでの経緯だった】
【男に引導を渡したのが魔術であることは間違いないが、腕と膝の骨を痛ましくも粉砕したのは、恐らく物理的な力だ】
【しかしこの場には、それを為したと思しき者の姿はない】
【――まさか、神父とほとんど変わらない背格好の少女がやったと言うのだろうか】


ルネだけではないのです。足で立つ者は、みな他の命を資源として刈り取っているのですよ。
この術は、それをもう少しだけ分かりやすくしているだけなのです。


【遊びのない表情で、少女は淡々と語る。杖の先端に埋まった宝球は、今も朧げに紫の妖光を湛えていた】
【乱脈で不規則な瞬き。それは手招きをするようであり、助けを求めているようでもある】


神父さんだって、誰かが死ななければ立ち行かないお仕事なのです。
ただ……ルネのような人でなしはおにーさんと違って、自分で人を殺すのですが。


【そう言いつつも、彼女は神父の生命に手を出そうとはしない。目撃者だからと言って消し去ろうともしない】
【獲物の選り好みをしているのだとしたら、それはそれで随分と傲慢な話だが――】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 17:19:43.93 ID:vENP/M25o
>>251

【腕と膝の状態が神父の注意を引いた。骨を粉砕するなど常人はできない。それこそ格闘術を用いる彼にさえも】
【魔術師だろうから少女がしたわけでない、という判断は甘すぎる。怪力を持つ魔術師がいたところで不思議ではない】
【これを直接聞くかは悩むところだ。敵対する様子はないが、深入りすればそれも変わるかもしれない】


 たまに犯罪者はそれを理由に命を取ったりするが、そりゃ言い訳だ、というのが良くある反論だな
 確かに他の命を資源にしなきゃ俺たちは生きていけねえが、こいつを殺すことが必要不可欠かは疑問だぞ?


【資源のくだりに神父は落ち着いた様子で答える】
【そこに熱はなく、言葉通り良くある事実を語る冷静さだけがあった】


 一つ目、誰も死ななくても神父は仕事になる。俺たちは葬儀屋じゃねえ
 二つ目、やっておいて自分を人でなしというやつは更に始末が悪い
 三つ目、俺と違って、って部分は間違いだ


【答えながら更に男を観察し続けるが、これ以上取れる情報がなさそうなので彼は集中するのをやめた】
【謎の現象に物理的な怪我。話し相手の少女が厄介であることだけは理解できた】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/14(日) 17:19:46.03 ID:nsb7ie5u0

>>187

【紡がれる言葉には鈴音の確かな信念が宿っていて、単語の一つ一つさえ重みを帯びる。―――その重みは、きっと鈴音の想いの大きさ】
【自分が、自分で、決める。誰かに付いて行くんじゃなくて、自分で考えてこうすれば誰かの為になれると思った事をする】
【その意志の、その行動の、何と尊い事か。自分が見定めた道を進むその決意は、彼女の言葉を聞いたマリアの心に響いて】
【なればこそ、マリアは彼女に協力したかった。少しでも良いから、彼女が進む道を支えられる人になりたかった】
【どんな人だって、一人きりで道を進むのは難しい。きっと傍で支える人は多い方が良いと思うから……】

【しかし、鈴音は少し待って欲しいと言う。とても大事な事だからこそ、軽々しく決めたくないと、そう告げて】
【その真摯さに、マリアも頷く。お金の面は頼れる大人に頼っている、そういう事なのだろう―――】

―――鈴音さんの一存だけでは決められないのですね……分かりました、今度セリーナさんにもお話してみようと思います!
……

―――私、あのCMを見て本当に嬉しかったのですよ。あぁ、独りの子供達を想って行動してる人が他にもいるんだ、と……
で、よく見たらCMに出てるのが鈴音さんでビックリしてしまいました!

それで、鈴音さんの子供達への想いを知りたくて……どうしてもお話したいなって思ったんです。
……お話を聞けて、本当に良かった。子供達に手を差し伸べようとしてる人が他にもいて、こんな想いで頑張ってるんだなって分かって、嬉しかった……
―――他にも、何か私に協力できることがあれば何でも言って下さいね。出来る限り協力しますから!

……鈴音さん、以前お会いした時と変わったような気がします。
そうやって、自分で決めた道―――私にも、応援させて下さい。

【丁度、鈴音の目指す先にあるものは自分が目指しているものと同じ。「独りの子供達に暖かさを与えたい」という想い】
【……同じ目標を掲げて頑張っている人がいる事が、とても嬉しかった。その本気の想いに勇気付けられた。】
【ケーキを一かけら切り分けて食べる。ふわりと口に広がる優しい甘さには、砂糖と紅茶だけじゃなくて、鈴音の暖かさも含まれていて】
【きっとこれから、子供達にもこんなケーキや温かい料理を食べさせてあげるのだろう。―――この、何にも代え難い暖かさと共に】

そうだ!忙しい日が続くとは思いますが、良ければ今度私の家に遊びに来て下さい!
私の子も、元々は独りの子供達だったんです。―――今はみんな、私の愛する子供達ですけどね♪
きっと鈴音さんみたいな人が来れば喜びます。良ければ遊んであげて下さい!

【―――マリアは、名前を呼んであげる人≠ノなっているようだ。ゼン=カイマ内限定にはなるが、孤児を連れて帰って】
【母親代わりとして―――と言うよりもはや母親そのものとして、暖かさを与えているようだ】
【……遊びに行ってやれば、きっとマリアも子供達も喜ぶだろう。機会があれば、訪れてみて欲しい―――】

//お返ししておきます!
254 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 17:42:33.43 ID:MiDmZvdN0
>>252


おにーさんが疑問を差し挟む余地もなく、ルネにとって人の命は「必要」なのです。
ルネは、やります。だからその是非はあなた個人の問題なのです。


【いみじくも、神父が二つ目で指摘した通りだ】
【この少女は自分が唾棄すべき悪行を働いていると認識し――その上で、やめようとはしない】
【一時的な狂気や、犠牲者への敵愾心に駆られているわけではなく】
【全くもって『正気』であることは、淀みない語り口から伺えた】


おや? 神父さんは誰も死ななくても仕事になるのに、おにーさんは人を殺すのです?
……やはりそれも、必要によるから、なのです?


【そして、三つ目の訂正――少女はそれに、少しばかり大きな反応を示した】
【一つ目と矛盾した、とまでは言わないものの、咬み合わない内容】

【余りのあからさまさに、情報を引き出すための撒き餌を投げてきたのかとも思ったけれど】
【存外に好奇心に素直な彼女は、鉄面皮のまま僅かに首を傾げ、神父のお言葉を促す】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 17:43:37.26 ID:MiDmZvdN0
/あ、6時〜8時の用事は消し飛んだのでレスは続行できます。お騒がせしました……
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/14(日) 17:47:40.06 ID:kUWZef3To
【路地裏】

「……ふゥーむ、たァだ色塗ゥっただァけとは面白くねェーな」

【路地裏を歩く者、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その者の右手に摘まれているのは、……"赤いひよこ"?】
【そう言えば、近くで何かのお祭りがやっていたとかいないとか。となると、これは例の……】

「ククク……俺様が本当の"カラーひよこ"を見せてやァろうじゃア、ねェーかッ!」

【どこからとも無く左手に現れる赤唐辛子。それとひよこを接触させると同時!】
【――"生命と進化の、混沌の魔翌力"が、その2つを包み込むのだった】
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 17:55:28.10 ID:vENP/M25o
>>254

 その通り、お前の是非も俺の是非もそれぞれ個人の問題だ
 そのあたりがピンと来ない連中が世の中には大勢いるわけだがな

【答えながら神父は初めて少女の姿をしっかりと直視した】
【振り向いたまま彼の顔は自然な動作の範疇を超えない程度の動きしかしない】
【だが瞳は素早く動き少女の手や足、杖、表情、そういったものを順に観察していく。何者で今何を考えているか知るために】


 口が滑っちまったな。勝手にぺらぺら喋るから困りもんだ
 “神父”には人殺しは必要ねえよ。だが“俺”には必要だ。この二つは一緒じゃない、分かるか?


【肩を竦めておどけてみせる。普段よりも少しばかり彼の言葉は慎重だった】
【未だに目の前の相手を測りかねているからだ。何が相手を刺激して戦闘に入るか分からなかった】
【慎重にならざるを得ないのだ】

//了解です!
258 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 18:22:17.77 ID:MiDmZvdN0
>>257


分かる……と言うか、合点がいったのです。
まともな神経をしていたら、いくら神父さんでもこの亡骸からは逃げるのです。
そして、自警団なりを呼ぶのです――自分が生き残るために。


【結局は、脛に傷持つ者ほど饒舌になるということ。少女は自嘲するように、胸に手を当てて溜息をついた】
【――ああ、なんと皮肉なことだろう】
【居合わせた神父が邪悪であったが故に、足元に横たわる彼は永遠の眠りを祝福されたのだ】
【何もなければ、その亡骸は終わり無き死者の列に加わるはずだったというのに】


それにしても、おにーさんはとんだ悪い人≠ネのです。
もしお仕事で会っていたら、殺すのに躊躇いはなかったのです。この人と同じように。


【それでも、疲弊ゆえか、はたまた全く別の理由か、少女は戦端を開こうとはしなかった】
【――彼女の視線は、自らを見据える視線と確かに交錯していたが、どこか別の場所を見ているように虚ろでもあった】
259 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 18:40:38.02 ID:vENP/M25o
>>258

【仕事、という言葉は今までの少女のイメージとは少し違った言葉だった】
【神父はその違和感に眉をひそめた。演技や嘘ではなく素直な感情の現れだった】

【それから彼は少女を中心として反時計回りになるように歩き始めた】
【考えを纏めるためでもあるし、一定の距離を保ちながら左半身を相手に向け続けるためだ】
【右利きであり格闘術を用いるため、左半身を向けることが重要なのだ】


 あー……あれだ、俺はいまいちお前がよく分からねえんだが……
 どうもお前からは信条や信念、あるいはそれに似た何か決め事があるように見える
 つまり、単なる仕事人には見えねえ。だが今お前は仕事と言った。どうにも繋がら……


【言葉を途中で途切れさせて神父の動きが止まった】
【信念のあるものはそれを理由にして行動する。仕事を持つ人間は利益のみを追求する。その二つは繋がらない】
【そう考えていたが、彼の頭にあるものが浮かんだ。それらを繋げるものが。鏡が、影が、隣人が】


 ……いや、まさかな
 で、お前は何者なんだ?暗殺者なのか、それとも……なんだ、なんて呼べばいい?何か信仰してるものがあるのか?


【神父は頭を振って自らの考えを追い出した。それから先ほどの言葉の続きを言った】
260 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 18:58:35.82 ID:Tq1YCsFz0
>>253

だって、そのお金――世界中のひとから集めた、ものなんでしょう?
だったらね、何にも分からない、わたしが扱うべきじゃないの。ちゃんと、分かってるひとがやる、ことなの。
そのほうが……、きっと、そのひとたちも安心するし。マリアも、安心できると思う。もちろん、セリーナも――。

……だから、わたしは、そのお話。とっても嬉しいけど――セリーナに、任せたい。
ごめんね、せっかく来てくれたのに、また来てもらうことに……なっちゃうけど。

【――きっと、そのお金は、金額よりも重い。お金そのものの重さはよく分からなくても、そこだけは良く分かる】
【だからこそ、きちんと、お金の重さを分かっているひとに扱ってもらいたかった。逃げる、わけじゃなく】
【きちんと考えた上で委ねる。結局、“二人”には仕事を増やしてしまうことになるのかもしれないけれど――】

…………お金のことも勉強しなくちゃ。だめだね、覚えること、いっぱいある――。

【――そんな風に苦笑して、ケーキを食べる。ふわりと口の中でほどけてしまう柔らかさ、やっぱり上手くできたと思って】

うん、ありがとう――まだね、ちゃんと始まってないから。どうなるか、ちっとも、分からないの。
上手くいくといいなぁって思ってるけど……、きっと上手くいかないよね、初めての、ことだし――……。

【「そうかな」って呟いた。自分では自分の変化は良く分からない、いろいろなことは、あったし、感じたり、思ったり、したけれど】
【彼女自身が認識しているとなると、「頑張ろうって決めた」こと――くらいに思えてしまうのだ。故、ううんと首などひねり】
【「何かあったら、お願いするね」と笑って、少しのマイナス思考は、だけど、どん底に堕ちるほどでもなく、】
【むしろ失敗を想定している程度で収まって、プラスですらあるようだ。その笑みは、僅かに苦笑気味に摩り替わり】

マリアの家に? ……じゃあ、今度、時間の出来たときに、……昼の国、だよね?
わたし、行ったことないの。お家は夜なんだ、だから、――真逆だね、どんなところなのかな……。

【その住所は手紙で知ったのだろう。尋ねて、そんなことを教えてくれる――前知識といえば、ずっと昼だとか、その程度】
【自分は星の真逆に住んでいると言えば、本当に遠い距離を超えて出会った二人だと分かる。これはこれで、運命めく】
【どちらも旦那の用意してくれた魔術で移動しているのも思えば、なんだか面白い。くすくすと笑う声は、鈴を転がすように響き】

【(昼の国の印象。カニバディールが襲うと言っていた、それが一番大きかった)】
【(もちろんテレビやニュースでゼン=カイマやヴェンドゥラーの騒ぎは見聞きしたが、やっぱり知り合いの情報)】
【(ああ、本当に、やったんだって――だけど、嫌うでも憎むでもないのは、少し、こちらの仲間としては不十分か)】

……そうだ、マリア、……マリアのお家では、クリスマスのパーティ、する?
わたし、ね、――二十四日と、二十五日の日。お昼なら、ここのお店も空いてるし……、
パーティとまでは行かなくても、何か出来たらいいなって考えてるの。

イブの日はご飯をチキンとかにしたら面白いかなって思ってるんだけど……。

【そうして昼の国を考えていた思考。ふっと緩めれば、そうだった、と、思い出して尋ねてみるのは、少し未来のこと】
【もう少し先に訪れる、子供たちにしてはビックイベント――路地裏の子たちには、関係の薄く思えるイベントだが】
【せっかくのイベントごと、その子たちにも喜んで欲しい。だから、何かやろうと思っている――そんなことを、告げ】
【「プレゼントとか――あったらいいよね?」と呟く。瞳はちょっぴり悪戯げに煌いて、紅茶を飲む口元が笑っていた】

/お返しできるようになったのでお返ししますっ、遅くなってすいませんでした!
261 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 19:02:37.45 ID:MiDmZvdN0
>>259


【撹乱するような円運動を始めた神父と対照的に、少女はその場から動かなかった】
【不動は戦意の欠如の主張であると同時に、ある種の余裕の表明であった】


……おにーさんが神父さんであるのと同じように、ルネは屍術師(ネクロマンサー)なのですよ。
ルネの仕事とは、依頼によって生命を奪い――ことによっては、死の後も続く辱めを与えることなのです。

だから、もしおにーさんが戦うつもりなら、この人にも手伝ってもらうことになるのです。


【杖で指し示すのは、件の屍。一度は神父によって祝福され、眠りについたはずの。】
【だが迂遠な言い回しからして、少女としても戦いは本意でないと思われた】
【それに、そもそも本当に屍術師だというのなら、突然の攻撃を仕掛けるより良い機会はいくらでもあったのだ】


もう一度言うのです。おにーさんが神父さんであるのと同じように、ルネは屍術師なのです。
――ルネ≠ェ必要とするものの全部は、あなたには教えられないのです。


【厳然たる物言いには、ある種の執念が滲む。神父が指摘するところの、心情や信念=z
【――――否、それよりはずっとおぞましく、淀んだもの。少女の胸深くに沈んだ澱が、その片鱗を覗かせていた】
262 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 19:18:55.71 ID:vENP/M25o
>>261

【神父の目は少女をじっと見つめていたが答えを聞いたとき、伏せられた】
【予想は的中した。詳細を答えないところまで含めて。当然だ、自分もそうするし、している】
【次の言葉を彼は少しばかり悩んだ。こんな人間の相手をするのは初めてだった】


 ……まず、俺がお前と戦う理由は今のところねえな。俺は平和主義者だ、虫も殺せねえ
 いいだろう、全部は知れなくて当然だ。人間同士分かりあうには時間をかけてお互いゆっくり歩み寄るもんだからな


【パン、と手を叩いてから壁際により、もたれかかって両腕を組む】
【無防備、とまではいかないがこれでかなり警戒した状態ではなくなった】
【彼なりの信用を得るための手段だった。効果が期待できるほどの妙技ではないが】


 だが一部はどうだ?必要としてるものの一部だ
 死体集めに、お前が思う悪人に対して罰を与えることに……あとは?


【一つ、二つと今まで集めた情報から察することのできるものを挙げながら開いた右手の指を折っていく】
【この神父にしては珍しい、好奇心から来る質問だった。もしくは一方的な親近感か】
263 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/14(日) 19:48:24.92 ID:nsb7ie5u0
>>260

―――そうですね、確かにこのお金には世界中の皆様の想いが詰まっています。
然るべき人が扱った方が良いと言うのも、その通りだと思います。―――でも。

……鈴音さんに使って貰えるなら、本望です。こんなに子供達の事を想っている人になら―――

【世界中から集まった善意に思いを馳せるように少しだけ目を瞑って、小さく微笑む。】
【確かにそのお金は重い。世界中の人から寄付されたお金は、単なる資金だけじゃなく想いの集まりでもあるから】
【扱いは分かる人がやった方が良いと言うのも尤もだ。その重みは、決して適当に扱ってはいけないものだから】
【―――でも。きっと鈴音のレストランの為に使うなら、このお金を使う価値がある。マリアはそう確信している】
【だって、こんなにも子供達の事を想っているんだもの……寄付してくれた人たちも、こんな人のために使うなら本望に違いない】
【話はセリーナ女史にも通す事になるだろうけれど、OKしてくれれば惜しむことなく協力するつもりだ―――】

……鈴音さんなら、きっと大丈夫です。
上手く行かない事もあるでしょう。失敗だって何回もするかもしれません。
でも、鈴音さんなら乗り越えられます!だって、そうでしょう?鈴音さんの周りには、転んでも支えてくれる人がいるんですもの―――
何回転んだって、きっとその人たちと一緒に起き上がれます。だから―――恐れずにチャレンジして下さいな!


【覚える事がいっぱいあるって小さく苦笑いする鈴音。……確かに、まだまだ学ばねばならないことは多いのだろうけれど】
【こんなにも誰かの為に成長出来た鈴音なら、きっと大丈夫。お金の扱いだって近くに頼れるお姉さんがいるのだし】
【お金の事だけじゃない。鈴音は上手く行かないかもというけれど、上手く行かなかったら学んで乗り越えればいい】
【今の鈴音は、それを出来る力を身に付けている。色んな人に支えながら、失敗を重ねながら頑張って乗り越えられtる】
【笑顔と共に鈴音に告げるマリアの言葉には、お世辞や嘘なんて一つも交じっていなくて―――】


そう、昼の国です!とても暖かいんですよ、一年中畑でお野菜が作れるくらい……
夜の国は……寒いのでしょうか。私も、夜の国には行ったこと無いので……

【自分の家に誘ってみると、今度時間があれば良くって言葉を返してくれたから、マリアは嬉しそうに笑って】
【……どんな所かなって言葉に、こんな所だよって返す。冬でも日が照るからぽかぽかと暖かい、日の当たる場所……】


ええ、子供達や主人と一緒にパーティを計画しています!
ふふっ……大切な皆が楽しく笑顔になってくれるのがとても楽しみです。喜んでくたらいいなぁ―――

―――プレゼント、ですか……―――そうだ!暖かいマフラーなんてどうでしょう?
服ならサイズが合わないなんてこともあるかもしれませんけど、マフラーなら心配いりませんし!
寒いですもの、少しでも温まれたらいいなって……どうですか?

【コーヒーとケーキを楽しみながら、続けて思い出したようにクリスマスの事を訊かれる。まだもう少し先のお話だけれど】
【予定は決まっている。夜は子供達と一緒にパーティをするつもり、その日はマリアも腕によりをかけて御馳走を作るつもり】
【(因みに昼間はデートを画策しているとか。夫に渡したいプレゼントもあるらしい……)】

【プレゼントと聞いて、思い付いたのはマフラー。きっと子供達も寒い思いをしているから】
【防寒具は喜ぶに違いないと思って、提案してみる。どうだろうか……?】
264 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 20:01:33.81 ID:MiDmZvdN0
>>262


……3つ目ぐらいまでは、おにーさんにも何となく分かっているのではないのです?
ルネがこの人から奪ったものは、突き詰めればたったひとつなのですよ。


【――ぽぅん、と淡い光が杖の戦端に灯り、暗がりをぼんやりと明らめる】
【宝珠の内側を覗きこめば、そこでは不定形の雲の如きモノが渦巻いていて】
【時折、憎悪と後悔に泣き叫ぶ人の顔を象る――ように、見えたかもしれない】
【混沌のうねりの中に見出した類像を真実とするか、脳がもたらす幻像とするかは、神父の胸ひとつだ】


良く熟したものほど絞り取り甲斐があるのは、命も果実も同じなのです。
善い人のより、悪い人のを。どろどろに煮詰まった生き汚い命を選んだ方が、一回の殺しに対する効率がよい。
ルネは別に、罰するなんて上等な気持ちは持っていないのですよ。
――――もしそうなら、きっとおにーさんは、そしてルネも無事では済んでいないのです。


【屍術の秘奥が不明である以上、少女の言葉がどこまで真実かは分からない】
【だが、最後の一言だけは、確かな質量を伴って陰惨な小径に響いていた】
【つまるところ――彼女は正義の執行者ではなく、飽くまでも利己的な殺し屋≠ナしかないのだ】
265 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 20:14:23.92 ID:Tq1YCsFz0
>>263

【マリアの言葉に、彼女は、嬉しいような、恥ずかしいような、そんな曖昧な表情をした。僅かに唇を噛むようにして】
【まだちょっと慣れない心の動き。むずがゆいようで、こそばゆいようで、――だけど、不愉快なものではない】
【「でも」「やっぱり、セリーナに……」……続く言葉は、今度こそは臆病めいた色を持って、紡がれることになるのだが】
【嬉しい、恥ずかしい、だけど、やっぱり、――その言葉を聞いてしまうと、余計に、一人では決められない気になる】

そう、かな、……そうだと、いいな――。

【ちょっぴり思案するように眼を閉じる、浮かぶ顔はたくさん、なんだか温かに思えて、くすりと笑みが一つ落ちる】
【いつの間に一人じゃなくなったのだろう。それとも、みんな、ずっと居てくれたのだろうか。気付かなかった、だけなのか】
【ほんの数年前まで、この世界は、真っ暗で入り組んだ迷路のようだった。どこに居るのかも分からないくらい、悲しいだけだと】
【明かりをもらって、明るい中に耐えられるまで傍に居てくれて、あちらに行けばいいと、教えてもらって】
【気付けば導く手は見えなくなってしまったけど、もう、怖くなかった。だって、いつまでも真っ暗じゃないと、気付けたから】

……寒いよ、もうね、雪が降ってるもの。お日様がないから、雪も、全然溶けないし……。
でも、雪のせいで、最近の夜はなんだか明るいの。見てて面白いんだよ、ぼんやり、街中が光るの。

【どちらかといえば、夜の国は僻地なのだろう。観光地になっているあたりは、栄えているけれど】
【街外れのほうに住んでいると――雪かきとかもされてない場所が多いし、なんせ、森の中に住んでいる】
【だけどだからこそ分かるのは、遠い街明かり、雪に乱反射した光が、ぼんやりと辺りを照らす、不思議な光景】
【「見においでよ」なんて笑って、紅茶を一口。……或いは量が少ないならマリアの分と一緒に、新しい紅茶を注いで】

いいなあ、パーティ……、……結婚記念日なんだ、その日、――でも、……やっぱり、お仕事かな。
昼間は子供たちに、夜はおじさんたちに、ね。楽しい思い出、作ってあげなきゃいけないよね。

【それが、給仕の仕事だと思っていた。お金をもらって、楽しい雰囲気を作ってあげる――おいしい料理、お酒、言葉を使って】
【それで、楽しんで帰ってもらう。それが彼女の楽しみだった、視線は一度指輪を撫でたが、なんてことないように逸れ】
【にこりと笑ってそんな計画を漏らす。或いは、自分に言い聞かせるようでもあったが――】

マフラー……うん、考えたの、手袋とかも、考えたんだけど……。
……わたし、編み物、あんまりしたことないし。それに、今からだと、みんなの分は間に合わなさそう……。

もうちょっと――たくさん用意できる、特別っぽいものが、あったらいいんだけど。
あ……そうだ、この前行ったお店屋さんに行ってみようかな――、

【それから彼女の提案。やっぱり暖かいものをと考えたのだが、それらには問題があって】
【彼女の編み物スキル。買えばいいとも思うのだが、せっかくだもの、何か特別なものがいいかと思って】
【それでもやっぱりこの時期だから暖かいものがいいだろうなぁ――って思う堂々巡り。うーんと唸る、声、】
【――それからふと思いついたような言葉を漏らして、指先が首元を探るけど、「……今日はしてないんだけど」と気付けば】

えっと……マジックショップ? かわいい男の子が店員さんしててね、前、お世話になったから――。
アクセサリを作ってもらったの。あの子に聞いたら、いいもの、見つかるかも……。

【「お話しに行ってみようかなぁ」なんて。呟く声は、尋ねておきながら、なんだか方向性を見出したよう】
【だけど時折「だけどマフラーとかも……」とか言っている辺り、ちょっと優柔不断だ。頭を抱えるようにして、考えている】
【それからちょっとお行儀悪くシフォンケーキをフォークで千切って食べ、しばらく、もふもふと黙り込むのだった】
266 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 20:15:42.32 ID:vENP/M25o
>>264

【宝珠の中に見えたのは魂とでも言えそうな、幻想的でありながら恐ろしい虚像だった】
【魔術やら呪術やら、そういったものと神父はかけ離れた場所にいた。確かに彼自身も魔力は扱うが技能の一つでしかない】
【それが何か人の精神や聖書で説くところの魂にまで影響を与えるというのは、常識的な考えとは思えなかった】

【それでも彼の中の理性は彼女が集めているものが何なのかは明白だと囁いた】


 ……待て、待て待て待て。どういうことだ、余計に分からなくなった


【少女の言葉に神父は大きく首を振った。彼女が集めているのが魂に類するものだというのは分かる】
【だが何故その必要があるのか。それが何を意味するのか。彼は混乱していた】


 お前が狙うのは悪人だ。犯罪者だ。それは仕事でありお前にとって必要なことだ
 ……殺しに対する効率がいいってのはどういう意味だ?


【思考を整理するために得た情報を羅列していくが続いて出たのはまたも疑問だった】
【何か、何かが抜け落ちている。目の前の少女が何者であるかを理解するための何かが】
【利己的な殺し屋。それは自分も似たようなもの。ならば彼女の“利”とは?】
267 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/14(日) 20:48:10.69 ID:nsb7ie5u0
>>265

雪、かぁ……私、人生でも雪なんて数えるほどしか見たことないんです。
……あ、それ知ってます!確か「雪明り」……?って、いうんですよね?
いいなぁ……綺麗なんでしょうね、きっと……

【少し自信なさげに、鈴音のお話に食いつく。マリアにとっては雪には縁遠く、興味もそそられる】
【繰り返しになるが、夜の国には行った事が無い。何せ世界の裏側、自分の家からは間違いなく一番遠い所だから】
【……転移魔術で何処にでも行けるだろうという野暮なツッコミは無しである。兎も角、訪れた事は無くて】
【だからこそ、行ってみたいなんて思えるのであった。未知の場所への興味と好奇心は、大人になっても消えないもの】
【鈴音が誘ってくれたから、「また今度、子供達でも連れて行ってみます!」なんて楽しげに笑ってに返してみる】


結婚記念日にもお仕事を優先するんですか……
……鈴音さん、本当に熱心なんですね。旦那さんは、少し寂しいかもしれませんけど……

【続いて、話題はクリスマスのお話。鈴音は此処でクリスマスの催しを開いて、マリアは家族で催しを開いて、予定は対照的な二人】
【結婚記念日にお仕事を優先する彼女に、マリアは感心する。鈴音に起こった出来事を知らないまま―――】


あー……手作りでは間に合いませんか。うーん……

……マジックショップ?―――あ!もしかして、ジョシュアくんのお店ですか?
旦那様の義肢≠焉A其処で作って貰ったそうなんですよ。とっても腕がいいって、あの人感心してました!
私は行った事はないのですが……今度行ってみましょうか。アクセサリー、作って貰いに……

……どんな物でも、そうやって鈴音さんが気持ちを込めて決めたプレゼントならきっと喜ぶと思いますよ。
プレゼントってね、大事なのは物じゃなくて気持ちを渡すことだと思うんです。
迷うのも、喜んで欲しいと思うからでしょう?……だから、鈴音が選んだものならどんな物でも大丈夫です!

【鈴音の言葉にあったマジックショップ、それらしき心当たりがマリアにもあって】
【もしそうなら、きっと素敵なプレゼントを作ってくれるだろうなぁって思う。夫も感心していたのだから】

【プレゼントに関しては、多分どんな物でも大丈夫。気持ちが籠っていれば、それでいいんじゃないだろうかって】
【アドバイスにはなっていないかもしれないけれど……思った事は、そんな事】
【話し込んでいる内に、気付けばケーキも残り少なくなっていて。―――残り少ない一かけらを、そっと口に運ぶ】
268 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 20:49:59.35 ID:MiDmZvdN0
>>266


ルネの使う術にとっては、ねじくれた魂の方が都合がいいというだけのことなのですよ。
これはきっとおにーさんには難しいのです。――そもそも、魔術師と神父さんは相容れないのですから。


【神父は少女のことを知ろうとしているが、彼女は理解してもらおうなどとは思っていない】
【ただ、戯れに言葉を交わしているだけ。安全の確保のために、適切な距離感を探しているだけ】

 【だけれど――少しばかり感傷的になっているのは、ちっとも否定できなかった】
 【神父でありながら悪に走る彼と、屍術師の禁呪で胸に秘めた目的を果たそうとする自分】
 【合わせ鏡のように――なんていうのは言い過ぎだけれど、二人は遠からぬ場所にいた】

【そう思った途端、これ以上ここに留まっているのが怖くなって――】


……ふう。随分と話が長くなってしまったのです。

今日のルネは、神父さん≠フおにーさんと会いました。悪い魔法使いは、あなたに哀れな亡骸を押し付けるのです。
だけれど、悪い人≠フおにーさんとは……出来れば会いたくないものなのです。


【警告するような無責任な口調でそう言うと、少女は不意に踵を返し、日の当たる街へ戻ろうとするだろう】
【……名前を尋ねるぐらいの権利は、神父さんにもあるはずだ】
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 21:00:57.47 ID:vENP/M25o
>>268

【魔術、死体、仕事、効率……全て仕事人なら非常に納得のいく内容だった。しかし彼女はそれだけではない】
【何か躱されている感覚があった。やはり肝心な部分に触れているのか】
【神父は口を真っ直ぐに引き結んだ。似た感覚のある彼女の正体を知ることに焦りがあったが、これ以上は無理だ】


 待て、二つ教えろ
 一つは名前だ。俺はディック
 もう一つは……お前はそれをやっていて幸福か?


【真剣な面持ちで神父は二つ尋ねた。重要なのは後者だったが正しい答えが得られる気はしなかった】
270 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 21:09:14.67 ID:Tq1YCsFz0
>>267

【夜の国。観光地として栄えている場所は本当に綺麗だ、三百六十度の夜景に、たかい、たかい、ビルやタワー】
【ルルーメンにも連れていってもらったことがある。あの頃はまだ気弱で、いろんな光景を見られなかったけれど】
【それでも、きらきらして、ぴかぴかして、すごく印象に残った。――今も、行けば、うきうきとしてくるほどに】

お仕事も、……楽しいよ。いろんなひとに会えるもの。
いろんなひとと、クリスマスっていう特別な日を分け合うの、みんなで――。

……夜遅くなっちゃうから、きっと、わたしのところにサンタさん、来ないね、来てくれるかな……。

【浮かべた笑顔は、少しだけ寂しげだった。だけど、それ以上は何も言わない。記念日を分け合うひとなど、もう居ないなどと】
【その変わりと言ってはひどい話だが、お客さんならたくさん来るだろう。それなら、彼らと一緒に過ごすのだって】
【立派な記念日/イベントの過ごし方だ、――と思う。サンタさんの有無など気にしては、ちょっぴりため息など吐いて】
【――最後はあははなんて感じに笑うのだから、サンタの正体も分かっているのだろう。だけど、少し、期待してしまうものだ】

もう少し早くだったら、良かったんだけど……、……その、今からは、難しい――かな。
ううん、でも、買えば間に合うよね――、ううん……、……でも、とりあえず、

……そうなの、ジョシュアって子の、お店。“うちにあった”ものを、アクセサリにしてもらったんだけど――。
いい子だよ、その、……行ってみたら、いいと思う。わたしは、いきなり行って迷惑掛けちゃったかもだったんだ、けど、……。

【今思えば、結構な飛び込みだった。それっぽいお店に素材を持ち込んで、後は全部ぶっつけ本番】
【快く受けてくれた彼には感謝だし、いいものに仕上げてくれて、尚感謝だ。それなら、とりあえず】
【彼のところで相談してみて、それからマフラーとかを悩んでみればいいんじゃないか……と、思ったのだ】

……――せっかくだもん、喜んでもらいたいな。まだ何をあげるかすら、決まってないし……。
もしかしたら誰も来てくれないかもしれないけど。そしたら、どうしようかな――夜のお客さんに配っちゃおうかな?

ふふ、……こういうの、皮算用って言うのかな。

【――なんだかちょっと違う気がした。だけど、まあ、いろいろ考えてはみているらしい】
【それくらい、……店に食事に来る子供たちにも喜んで欲しい、そんな気持ちが見て取れて】
【それからふと見れば相手のケーキはもう残り少ないようだ。お代わりを出すかどうか、悩んだのだけれど】

えっと……じゃあ、今度。近いうちにセリーナと話して欲しいな。ごめんなさい、二度手間にさせちゃって――。
そ、れ、で、――ちょっと待ってて。お土産があるの、持って帰って欲しいな。

【まずはここで一区切りつけることにしたようだ。セリーナと話して欲しいこと、もう一度改めてそれを伝え】
【それから急に立ち上がったと思うと悪戯っぽい顔をしている。何と問う前に、その足はカウンターのほうへと向かっていて】

【数分の後に戻ってきた彼女の手には、箱が。いわく、シフォンケーキの残りが入っているから、家の子供に持ち帰って欲しいようで】
【添えられた小袋にはちょっぴり茶色がかったクリームがつめられていて、それなら、紅茶の生クリームであると察せる】
【つまり、さっきまでマリアが食べていたものそっくりそのままだ。どうぞどうぞと箱を押し付けるようにするなら、ひどく楽しそう】

あ――まだ居ていいからね、お茶とか、ゆっくり飲んでいって。

【――それでいて、はっと気付いたような顔をすると、そんなことを言うのだった】
【決して帰れという意味ではないのだと、少し慌てたように――少し早口になってまで、告げて】
271 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 21:23:08.96 ID:MiDmZvdN0
>>269


【呼びかけられると、少女はまず何歩か進み続け、そして躊躇いがちに振り向いた】


……ルネはルネなのです。ルネ・アスフォデルというのです。


【よりによって、この屍術師は名前を一人称に選んでいたらしい】
【ともすれば噴き出しかねないような名乗りを、彼女はひたすらに厳粛な調子で上げて】


幸福かと問われれば、そんなことはないのです。
でも、為すべきか≠ニいう問いなら――ルネは、胸を張って「はい」と言えるのです。


【身の丈ほどもある杖の柄頭で、ぴしゃりと地面を打ち付ける仕草。それが、ルネの最後の意思表示となるだろう】
【街の影に残されるのは、神父と萎びた死者だけ】

【その苦悶と悲嘆に染まった死に顔は、重々しい夜空にひとつの問いを投げかけているようだった】
【「こんなことをしてまで求めるものが、この世にあるのか」――と】
272 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/14(日) 21:30:23.21 ID:vENP/M25o
>>271

【最後の答えに神父は目を閉じた。より一層、問題が複雑になってしまった】
【その答えさえ違っていれば、少女のことを考えずに済んだだろう】
【一人残った状態で彼はゆっくりと頭を抱えた】


 ……これも運命か。全く厄介なもんだぜ


【既に為す術を見失っていた。果たして次に運良く出会ったとして何ができるものか】
【敵か味方かわからず、それを確かめられるかも分からない。だが確かめずにはいられない】
【せめて彼女が自分を敵と認識する前にこちらの判断が終わればいい、と願った】


//お疲れ様でした
273 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/14(日) 21:33:19.91 ID:MiDmZvdN0
>>272
/お疲れ様でしたーっ!
274 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 21:36:12.76 ID:u3bJFLRIo
【酒場】

【そこは表通りの外れにあるけれど、かといって路地裏の奥深くというわけでもない、どこにでもあるような酒場だった】
【どこぞのゴロツキがたむろすることもあれば、日によっては自警団員がやってくることもある。おかげで治安もそこまで悪いわけではない】
【そんなわけで、あまり目立つ場所ではないけれど――――表と裏、両方の情報が集まるという意味では、貴重な場所だ】


「おい、あれ…………」

「あぁ…………おい、どうするよ…………?」


【そのただ中。戸惑いと下卑た笑みの両方を交互に覗かせて、ひそひそと話し声が聞こえてくる】
【あいにくと、今日の客層はやや剣呑な方向に傾いていた。いま話しているのもちょっと柄の悪そうな男数名だ】
【とはいえ彼らは、日常的に犯罪を行うような大物ではない。ことさらに意地の悪い性格はしているけれど、何事もなければ誰かに危害を加えることもない】
【だが、残念なことに……まさにその何事≠ニいうのが、ちょうど彼らの視線の先に存在していた】


………………。


【窓際の一人席に、臙脂色のセーターとジーンズの上に灰色のロングコートを羽織り、顎元を埋めるように紺色のマフラーを巻いた少年が座っている】
【長めの水色の髪はやや巻き毛気味だが、よく見れば一本一本にまでしっかりと手入れが行き届いており、育ちの良さが伺える】
【ルビーをはめ込んだような赤色の双眸には年に不相応なほどの落ち着きがあって、なにげない挙措のひとつひとつから優雅さが滲み出ていた】
【極めつけに、顔を隠すかのように茶色のハンチング帽と野暮ったい黒縁メガネを装着している始末である】
【いかにも「裕福なお坊ちゃんが変装して下町に降りてきました」と言わんばかりの風情だ。天然なのか狙ってやっているのか、どちらにしてもバカに違いない】

【――――カモとしては上等すぎるほど上等だ。やってしまうか?】
【そんな企みなどいざ知らず、少年はグラスを傾けながら――おそらくノンアルコールのカクテルだろう――熱心に夕刊を読み漁っている】
【弱者が強者に食われる、その直前の光景を前に。どう考え、どう干渉していくのかは、それを見ている誰か≠フ自由だ】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/14(日) 21:59:01.91 ID:FEjDcXcWo
【路地裏】

……――――どうしてッッ!! 

【ぐちゃり。憤怒と震えの混じった咆哮に遅れてその音は路地裏に響いた】

……――――君はッッ!! 

【ぐちゃり。悲しみと殺意を秘めた声に遅れてその音は路地裏を覆った】

……――――僕達を裏切ったんだッッッ!!

【ぐちゃり。慟哭にも聞こえるその叫びに遅れてその音は路地裏を汚した】
【そして、重い何かがべちゃりと液体の上に落ちる。青年はレンズに付いた返り血を拭き取ろうともせず、自分の下に転がる肉塊を抜け殻のような瞳で見つめた】
【赤いズボンだと血は目立ちにくい。しかしながら膝部分だけが他よりも濃厚な赤に染まっている。青年は膝に残る生暖かい感触にも、何も思うことはない】

【――――青年は何度も膝を男の顔面に突き立てた。男の両肩を外し、彼の頭を両手で抱えて――――何度も、何度も。ぐちゃりぐちゃりと音を立てながら】
【理由は言葉にした通りだった。先程肉塊と化したこの男、否「モノ」が青年を裏切ったからだ。だから殺した。最後までその裏切りを責めながら、青年は制裁を下した】

……――――逆五芒星から逃げられるワケが無いのに。……本当に、愚かな人だ。本当に――――。

【ぽつりと小さく零した言葉。逆五芒星――――といえば、カノッサ機関の紋章。血溜まりにうつ伏せになるモノの首筋に、逆五芒星の痕があった】
【そして彼の言葉を真に受けるなら、この青年もまたカノッサ機関。まさに今、裏切り者に死の報いを与えた瞬間とも言えた】
【――――血の匂いが充満する路地裏。その匂いに釣られたかはたまた偶然か、兎に角目撃者の瞳に映し出されるのは惨い光景――――】

【返り血を浴びて立ち尽くす、ニット帽に赤いズボンと黒の長袖シャツを来た眼鏡の青年。そして伏せられた錫色の視線の先には、血溜まりに倒れる「モノ」】
276 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/14(日) 22:04:27.71 ID:nsb7ie5u0
>>270

【少し浮かんだ寂しげな顔の正体を、マリアは知らない。……だけど、少し心に引っかかってしまうのは何故だろう】
【……でも、多分お客さんと一緒に過ごすのも楽しいという言葉も嘘ではないのだろう。みんなと会えるのも楽しいって】
【サンタさん……今はもう、マリアがサンタさんになる側だから、鈴音の言葉には少し苦笑いで返してみる】
【……今年の子供達へのプレゼントは何にしようかしら。そんな事も考えつつ―――】


やっぱり、そうでしたか!……―――いい子=Hまだ若い方なのですか?
凄く腕のいい技師と言うから、てっきり壮年の方かと思っていましたが……まだ若いのに立派に独り立ちしているのですね。
ふふっ、ますます会ってみたくなりました!皆からいい人と言われるのですから、きっと素敵な方なんでしょうね。

【――鈴音がいい子≠ネんて言うものだから、マリアは少し驚いたような表情を見せる】
【鈴音はとても若い。どちらかというと「少女」という表現が似合う、あどけなさの残る女性なのに】
【そんな鈴音が、いい子≠ニ言うのなら……すなわち、鈴音よりも更に若いという事になって】
【そんな少年が、自分の店を構えて客に絶賛されるような人柄と品を作るのだから、立派なものだ。マリアも思わず感心したように唸って】
【ますます会ってみたいと思うのも自然な事。どんな立派な少年なのか、俄に興味が湧いてきた】


ふふっ―――そうやって誰かの笑顔の為にあれこれ画策するのは、きっと悪い事じゃないと思いますよ。
喜んで貰いたいなって……そう思えるのって、私は素敵だと思います。

【最後の一かけらを食べながら、小さく笑う。―――きっと、こうやって誰かの笑顔の為にあれこれ考えられる人だから】
【レストランの計画だって思い付いたし、子供達に手を差し伸べようと思ったのだろう。……そんな鈴音の事が、今日とても好きになった】
【―――鈴音を訪れて良かった。こんなに素敵な人と、沢山お話しできたのだから―――】


いえいえ、どうせ来る時は一瞬ですし大丈夫ですよ。またセリーナさんにお話しようかと思います!
……お土産、ですか?

【カップに残っていた紅茶も飲み干せば、丁度キリも良いだろうか。日も傾き、そろそろ子供達の待つ家に帰ろうかと思って】
【席を立とうとしたその時、……鈴音が少し待って欲しいと言う言葉を残してカウンターに消えるものだから】
【不思議そうな表情と共に、座って待っていると―――戻って来た鈴音の手には箱があって】

―――わあ……!良いんですか?ありがとうございます、きっと子供達も喜びます!

【その中身がケーキだと教えて貰うと、本当に嬉しそうに満面の笑みを見せる。まさか子供達の分も用意してくれているなんて思ってもいなかったから】
【美味しいケーキのお土産だもの、甘い物が大好きな子供達はきっと喜ぶに違いない。今からでも愛する子供達の笑顔が思い浮かんで】
【こういう贈り物に、きっと遠慮は要らない。喜んで受け取った方が送り主は嬉しいだろう……だから、「すみません」じゃなくて「ありがとう」を告げて】

【深く礼をすれば、今日は此処でお別れ。鈴音はまだ居てもいいと言うけれど、家では子供達が待っているから】
【日も傾いてきた頃だし、もう帰った方が良いだろう。今度こそ席を立って、ドアの方まで歩いて行けば】

―――お気持ちは嬉しいのですが、そろそろ帰らないといけません。
お茶はまた今度来た時にも頂こうと思います!それとも私の家で飲みますか?ふふっ―――

……これからきっと大変な事もあるでしょうが、頑張って下さいね。私も出来る限り応援します。
それでは、また会いましょう。美味しいケーキ、御馳走様でした!

【最後に小さく手を振って、日の暮れかけた外に出れば―――ふわりと白い光の魔力の残渣を残して、姿を消すのだった】
【その晩、子供達が喜んでケーキを食べたのは言うまでもない―――】


//ここで〆という事で、ありがとうございました!
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/14(日) 22:16:36.22 ID:Tq1YCsFz0
>>276

あ……ううん、どうだろう……、……わたしより、若いと、思うんだけど――。
とってもかわいい顔をしてるの――女の子みたいで、年齢は……その、よく分からない、かな、……。

【今年で二十一歳になった彼女。見た目で言えば高校生と大差ないが、意識としては、成人しているつもりなら】
【多分年下だと思う……なんて、このあどけない顔で言うのだから事態がややこしくなる。だが、そこに自覚はないようで】
【やっぱり最後は「いい子だよ」なんてにこりするのだ。お世話になった、だから、今度も、お世話になってみようかしら――って】

【そして、件のお土産を渡す段。ホールで焼いて、二人の分を切って、後少し味見した、その残り】
【食べかけと言ってしまうと少しあれだが、口はつけてないので、許してもらいたく――味は、なにもかわらない】
【本当はUTの差し入れにまわそうと思っていたのだが――彼女の子供たちに、あげてみたくなったのだ】
【子供は本当の態度を取ってくれるという。おいしいものはぺろりと食べるし、おいしくないものは、どっさりと残すし】
【――「今度感想聞かせてね」なんて言うのだった。知りたかったのだろう、ほんとうの――子供の、ド素直な感想】

それなら……うん、また、来てね。夜なら、……毎日は居ないけど、よく居る、と思う。
これからは昼間もちゃんと居るかな、あ、でも、平日は忙しいと思う――、……じゃあ、マリアの家でもらおうかな。

……またね、気をつけて――、――あ、

【ドアのほうまで行ってしまったマリアを追いかける、少し引き止めるようだが、すぐに、考え直し】
【いつなら居るかというのを伝えてみて、何かあったら。と付け足すのだろう、或いは、今回のように手紙でも】
【志の似ている二人だから、きっと話も合うだろう。手紙でももらえたら、きっと、彼女はすぐに返してきて】
【――それどこか、新年には年賀状でも届くかもしれない。なんかもこもこした生き物(※ひつじ)の絵が描かれたもの】
【まあ、それは、とりあえず、】

いいなあ、……。

【ふっと消えた姿。転移魔術だと理解すれば、ほんの少しだけ――羨ましくなる。その向こう側、誰が待つのかと考えて】
【思わず呟いてしまった小さな声。だけどすぐにはっとした表情をすると、ぶんぶんとわざとらしく大きな仕草で首を振り】

――夜の準備、しなくっちゃっ。

【自分を鼓舞して、また店内に戻っていく。今日も丸ごとのポテトフライを出そうかな――なんて、考えながら】

/おつかれさまでした!
278 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/14(日) 22:34:02.31 ID:enOKB03Ao
>>275
【場所を同じくして】
【血のにおいをかぎつけた女性が路地裏を歩いていた】

このにおいは、事件のにおい!
なんちゃって。よし、行こう!

【あまり歩みが進まない自分を奮い立たせてなんとか歩かせる】
【新聞記者になってからはじめての取材のせいでもあるが】

うわっ、すごいことになってる・・・。

【そう一言こぼしてから男のほうに向き直る】
【自己紹介をするためだ】

こんばんはー。
私、中央新聞社の辻風文と申します。
あ、SCARLETやUTとは関係ないですよ。

【最後の言葉は、彼が殺した男性の首筋についていた逆五芒星からだ】
【早速取材を始める】

この男性、何をしたのですか?

【機関に殺される、その上裏切ったということは理由があるはずだ】
【それを問うために質問を投げた、どう返答がくるのかは不明だが】

【女性は黒のシャンパーを羽織り、ジャンパースカートを履いていた】
【ともに黒色で、闇夜では目立たない配色だ】
279 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/14(日) 22:39:52.44 ID:WXprWB/j0

【路地裏】

【賑やかな町の通りから少し入った辺り。それこそ通りの反対側からでも見える位置に二人の男が立っていた】

【片方の男は何やら怯えた表情で壁に背を預けて立っており、もう片方の男は片腕を一方の男が背を預けている壁、しかも男の顔の真横に付け、据わった目をして怯えている男に何やらぶつぶつと言っている】

【据わった目をしている方は、蘇芳色の少し長めのボサボサな髪に焦茶色の瞳をした、ボロボロになった灰色の着流しの青年だ】

お前さぁ……俺を見てなんか言ってたよねぇ……? 

「ひぃっ……言ってねえよ! 誤解だよ! 」

何で知ってんだよ俺の事、さぁぁ……!! 

「し、知らねえ! お前の事なんか知らねえって! 」
【着流しの青年は壁につけていない方の手で自分の顔を覆い深い息を吐く。男の主張には耳を貸さないつもりのようだ】

【だが、青年はすぐに顔から手を離し、まあ良いかと呟く】

…………言え
【青年は低い声で男に命じる。当然男が、はっ!? と聞き返す。すると青年は聞こえなかったと思ったのか同じ事をもう一度言った】

……誰から俺の事聞いたのか言えっつってんだよ……さもないと……
【──べちゃり】

【男の顔に赤い物が飛ぶ。青年が壁を押さえる腕に何かを突き刺したのである】

……痛ァい目に遭ってもらうけど……どうする? 
【にたり、と青年は壊れたような笑みを浮かべ自分の腕から刺していた何かを引き抜く】
【それは、穂先が硬くなり青年の血に染まった筆だった】

【青年は壁を押さえていた腕を離し、己が血の滴る筆を持つ腕を男目掛けて伸ばす】

280 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/14(日) 22:56:39.13 ID:FEjDcXcWo
>>278

【びくり。徐々に迫ってくる足音に敏感な反応を見せた青年は急いで振り返り身構え、殺意の籠った視線で威嚇した】
【――――狼狽したような表情、反応。先程の空虚な瞳からガラッと変わった今の様子は、罪を犯した者としては一般的な反応だろうか】
【自分は人に見られてはいけないようなことをしている。殺人と云う行為の異常性は分かっており、快楽殺人犯の反応ではない――――のかもしれない】

……だ、だだだだ誰だ……ッッ!? 来るなァァッ!! 来るんじゃあないッ……!!

【拳を握り締め、震えながら声を荒げる。その言葉には此方へと歩んでくる女性への恐怖――――のような、そんなものが感じられるだろうか】
【――――散らばる視線、そわそわとした様子。それだけ取れば弱弱しいのだが、鍛えられた巨躯、そこから漂う血の匂い、彼の背後の死体――――】
【それらが弱弱しさを覆い隠し、狂気の人物へと装飾しているようで。狼狽している様子が、何をしでかすかわからない怖さを持っていることも事実であろうか】

……し、新聞社――――!? なんだよ、意味が解んねぇよ……!! なんでそんな簡単に僕に近づけるんだ……!!
見て分からないのかッッ、僕は人を殺したッッ!! 僕は人を殺せるッ!! 怖くないのか!? 殺せるんだぞ……――――そうか、そうかそうだ……!!

お前……僕をバカにしてるんだろ……!! ――――そうだろそうなんだろそうならそう言えよォォッ!!

【事実、青年は彼女を恐れていた。淡々とした口調で「殺人者」の自分に話しかけてくる。その得体の知れなさというか、意味不明さが怖かった】
【新聞記者なら教わった筈だ。自分の身が危なくなる範囲まで突っ込むのはよせと。殺人をしたばかりの男に突撃インタビューする記者など普通は見かけない】
【――――その点におけば、彼女は初めてで、いや初めてだからこそミスに近い行動を起こしてしまったのではないだろうか】

【……青年の精神状態は正常とは思えない。被害妄想が勝手に膨らみ、必死の形相で声を荒げ、そして――――視線に籠る殺意が、一段と濃厚になった】
【空気で察することが出来るだろうか――――このままだと、彼は彼女を殺そうとするということを】
281 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/14(日) 23:09:34.28 ID:enOKB03Ao
>>280

ッ・・・!
これは近づくのはよしたほうがいいですね。

【男の荒げた声、そして狂気】
【それを感じた記者は一歩一歩丁寧に後ろに下がる】
【そして突っ込みすぎたことに後悔を感じ始める】

私はあなたを馬鹿にしているわけではないです。
私はただこの男性が殺された理由が知りたいだけでしてね・・・。

【殺気を感じる】
【この一言に尽きるような空気を感じる】
【それを感じた記者は足に風の魔翌力をこめる】
【逃げる際にすばやく動けるように、と】

あのですね、私は本当にあなたのことを馬鹿にしているわけではないんです。
落ちついてください。

【この人は狂気に侵されている、とうすうす感じる】
【殺した後の優越感から記者が見つけた瞬間感情が変化した】
【感情の起伏が激しい人物は狂人が多いという話は聞いたことはあるのだが】

【しかしまだ記者には逃げるという選択肢はない】
【それはまだこの人と話が通じる可能性があると思っているからであるが】
282 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/14(日) 23:21:35.60 ID:enOKB03Ao
/すいません、返すのが遅れそうです
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/14(日) 23:32:45.45 ID:FEjDcXcWo
>>281

知ってどうする気だ……新聞社の人間だ、きっと悪い事書きまくって俺を追い詰めるんだろッッ……!!
お、おおお前みたいな狂人に話すことなんかないぞッッ……狂人め……!! 

【カタカタと眼鏡が震え、それを震えた手つきで外し、そしてぐしゃりと握り潰す。錫色の瞳は見開き、檻の中の猛獣のような――――そんな鋭さを湛えて】
【記者が下がった分の歩数、ゆっくりと前へ歩みながら彼女を「狂人」と罵った。殺人者に平然と話しかける狂人だ、と】
【疑心暗鬼の青年は最早猛獣に成り下がった。恐怖が生み出すは「殺られる前に……」という攻撃的な思想。言葉の薬は通じず、青年は全てを否定する】

……――――馬鹿にしてないだと……!? 良くそんな笑った顔で……僕を舐め切った顔でそんなことをッッ!!
お、思い知らせてやる……僕には力≠ェあるんだ、僕は強者なんだ……!! 強者は弱者に何してもいいんだ……僕は正しい、僕を舐める奴は……殺ら、なきゃ……

【良くそんな笑った顔で――――否、記者は笑ってはいないだろう。しかし思い込みは視覚すら捻じ曲げ、彼に幻覚を見せる】
【彼の中の彼女は、確かに彼自身をバカにしているのだから。彼のフィルターを通して見える世界は、歪んでいたから】

【――――殺さないと。至った結論はシンプル。此処に倒れた肉塊を、もう一つ増やすだけである。真っ直ぐと視線が彼女に向く】
【肚を括ったのか、その視線からは先程見えた感情の波が穏やかになり、同時に冷ややかになっていた。――――殺人者の瞳だった】

――――うぉあああああああああああああああああああああああッッッ!!!

【咆哮と共に青年は疾走した。真っ直ぐ、一秒でも早く相手を殺さんと。速いだけでなく、正中線のブレないその走りは、ただの狂人ではないと悟らせるには十分だろう】
【身体能力と技術を併せ持った疾走から、感情を爆発させるように思いっきり右ストレートを振り抜く。その威力も、1トンを楽に超える一振りで当たればひとたまりもないが】
【真っ直ぐで濃厚な殺意を100%表現したそれは、あまりにも単純な軌道であり――――動揺さえしなければ、風の魔翌力で躱せる筈だった】
284 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/14(日) 23:36:57.75 ID:FEjDcXcWo
>>281 >>283
/すみません、右ストレートの狙いは顔面です……あと返すの遅れそうなこと了解しました
/もし無理そうでしたら連絡ください、置きレスへの移行も構いませんよー!
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/14(日) 23:43:16.82 ID:E8PdVXgJo
【酒場】

【旧市街の街角にある古臭いパブのような店】
【カウンターは気をつけていないと客通しの肩が触れるぐらい狭い】

【テーブル席もあるが今日は賑わっていて全て埋まっていた。壁掛けのテレビではニュースが流れている】
【とある都市の銀行で起きた強盗事件の特集。居合わせた人間へのインタビュー、各地の事件との比較】
【最もメインに取り上げられているのが其処が色んな企業の脱税の為の隠し金庫になっていたというスクープだった】

『犯人は特殊な薬品で痕跡を消滅させたとのことでそう言った専門性の知識のある―――』

単なる、漂白剤だよ。スーパーマーケットで幾らでも買える…馬鹿かコイツ
そんな高度なもん、使ったほうが足がつくだろ。薬莢ひとつだって足がつく時代だ……

【知ったかぶりのコメンテーターのプロファイルにカウンターの客の男は毒づく。読んでいた新聞から顔を上げ、煙草に火をつける】
【黒いレンズのサングラスをかけた男は青いシャツに白いネクタイ、ダブルのライダースジャケットを着ていた。開けた襟の胸元にはシルバーのマリア】
【ボトルごと頼んだバーボンをショットグラスに注いでグッと飲み干す。折りたたんだ新聞にもその事件のことが書いてある】
286 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/15(月) 00:23:55.55 ID:oqpEd1Ldo
>>283
薬物でもやってるんですかね・・・。
幻聴や幻覚まで起こしているとは。

【こんな人物、はっきりいってはじめてみた】
【薬物中毒者の取材の話しは上司から聞いた限りだが】
【それに加えて能力の凶暴性もあるというわけだと理解した】

やはり薬物中毒者ですかね、まったく。
私もこの能力は使い慣れていないのですが。

【記者はいたって冷静だった】
【動揺するそぶりさえ見せず男の右ストレートの単軌道を見抜き横に体をスライドするようにしてよける】

【そして風の魔翌力を足に集中させる】
【これにより走る速さが上昇したわけで】
【そして記者は背にあるバッグから弓と矢筒を取り出す】

やるしかないっ!

【男に顔を向けたまま後ろに走り出す】
【前を向いて走るのに比べ速度は落ちるが風の魔翌力により軽減される】
【さらに攻撃もできると記者は踏んだのだ】

【三本の矢を弓の弦につがえて引く】
【三本の矢はきれいな放物線を描き、一本は顔面、一本は胸元、一本腹部に向けて風の魔翌力とともに疾走した】
【矢は風の魔翌力を受け速度が通常の弓より倍近くある】
【だがいたって単軌道、回避も容易である】

【そして記者は右手を握り風の魔翌力をこめる】
【接近に備えて、だ】
/遅れました
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/15(月) 00:50:29.15 ID:z8865VDro
>>286

……見下してるんだろ、そうだろ……自分の方が高尚で優秀な人間だと思ってんだろォォッ!?
――――赦さない……僕は誇り高きアンブローズ家の者なんだ……お前らとは違う――――僕は優秀だ……!!
能力もある……身体も鍛えたし改造もした……!! 技も覚えた……!!

僕は優秀だ……力≠持った選ばれた人間なんだ……お前よりも価値ある人間なのに、僕を見下すなんて……許せねぇぇぇぇぇぇええええッッ!!

【彼女の想像は半分正しく半分間違っていた。確かに彼は薬物を摂取している。それはドーピングというモノであり、引き締まった肉体を作っている一つの要因だった】
【しかしながらこの異常なまでの被害妄想、人間不信ぶりは薬物ではなく、彼の過去の経験からなるもの。アンブローズ家。そのワードが彼の過去を物語っていた】

【――――新聞記者ならもしかすれば抑えているかも知れない。10年前、かつて風の国の辺境にあったディステル村――――を支配していた名家の名前を】
【そして10年前、アンブローズ家による横暴に耐えられなくなった村民が暴動を起こし、一夜でアンブローズ家が没落したことを】
【そして2年前からディステル村での連続殺人事件が起こり、村に残った人は全滅――――そして村から出て行った人々は今でも定期的に殺人により数を減らされている】

【能力を持ち、身体も改造して強化されたと語る彼のプライドは高い。強者としてのプライド、それを弱者に傷つけられることは赦せない、と】

……――――見えてんだよ弱者……今すぐ媚びろ、そして言えッッ!! 弱者の分際で強者に逆らって申し訳ありませんって言えぉぉッッ!!

【目にも止まらぬスピードで飛来する弓矢。しかしながら其れは彼の瞳でははっきりとその軌跡が見えている。――――弾丸の回転すら見定める眼。それが彼の能力だから】
【それだけではない。男は2本の矢を殴り弾き、もう1本の矢を前蹴りで弾き飛ばす。――――拳足を覆う魔翌力には、硬化の作用があった。故のこの結果である】
【反射神経、身体能力。そしてその眼と魔翌力。カノッサ機関に改造された身体と元々彼が持つ能力という才能、其れは凶悪極まりない――――ということが判明しただろうか】
【そして、前蹴りの時に微かに見えた左足首に見える「17」の番号と逆五芒星。それは彼がナンバーズであるという証拠でもあった】


288 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/15(月) 01:05:44.27 ID:oqpEd1Ldo
>>287
アンブローズ家・・・?
小耳に挟んだことがあるような・・・。

【住民による暴動でアンブローズ家は没落】
【ディステル村で連続殺害事件、犯人はいまだ不明】
【この二つの記事が頭の中でつながった】

まさか、あの男性はディステル村の人?
まぁ、そんなことはいいとして。

【矢の軌道を見切られている】
【つまり矢を用いた攻撃は不可能、ならば】

これは見切れるかしら?

【風の弾丸、とでも称すればいいものだろうか】
【風圧はそれほどに加えられ、鋼板程度ならくぼませる事ができるほどだ】

しかし、あのアンブローズ家の人間がカノッサに入るほど落ちぶれていたとは。
そのうえ「17」、カノッサの中では上位クラス、か・・・。
まったく面倒な相手に出会ったものですね。

【逃げるのに専念するため男に背を向ける】
【これが吉と出るか凶と出るか】
【そして記者の右手には風が渦巻き始めていた】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 01:17:56.23 ID:DPw88EXT0
【雪の積もった森の中。普段ならば静寂に包まれている此処も、今宵は何者かが雪を踏んで進む音が聞こえて】
【――――音の主は着物を纏い、一振りの刀を提げた少女】
【然れど、何処か妙な気配も漂わせて居り――――……櫻に通じる者であれば、其れの正体が所謂“妖気”である事も知れるか】


「……ふむ。妖が騒ぐわけでも無く珍しく静かな夜じゃな
この様な日々が続けば良いのじゃが――――そう、上手く行かぬのが世の常かの

……さて。流石に一晩歩き通しとなる前に適当な場所で休みを設けたい所じゃの」

【その身形でありながらも冷気に身を縮める訳でも無いのだから、やはり人間とは異なり】
【直ぐ側に在る大木を撫でれば――――一閃。即ち、抜刀】
【数秒の間を挟んだ後、森に響き渡るのは轟音】

【何事か、と様子を見に訪れたならば丁度少女が切株に腰を落ち着かせる所となるか】
【敵意は無い、けれど。漂う件の気配やら、立った今拵えた様に思える倒木やら。不審な点は幾つも存在していて】







【某繁華街。眠らない街、と称される事もある其処】
【実に様々な店が建ち並ぶ故に老若男女問わず常に人々で賑わって居り】

【――――今宵は其処に少しばかり浮いた存在が一人。少女、ではあるのだけれど】
【片目を覆う眼帯。藍色の髪を纏める様に制帽を被り、軍服を一切の乱れなく纏う姿からその者の性格も何と無く知れよう】
【腕には自警団所属を示す腕章を通し、更に其れに“SCARLET”の所属を示すバッヂも付けて】


「久しぶりに仕事が一つも無い休日であります。……とは言え、特にする事も無いのが寂しいでありますね
趣味の一つや二つを持って居れば良かったのでありますが、今更見つけた所で普段出来るかも分からないであります…………
むう。いざ休暇、自分の無さが悲しくなるのであります…………」

【休暇を与えられた、けれどコレといってする事が無い】
【外見から判断するに17、18の歳。幾ら遊んでも遊び足りない位の年頃であろうに、結局は何時もと変わらず見回りにも似た事をしているのだから自身でも虚しく感じて】

【発見するのは悪人か善人か、或いはただの通行人か。其れとも苦笑と共に漏らした呟きを聞いた者か】
【繁華街、という場所である故に揉め事に巻き込まれる可能性も否定できないが――――】
290 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/15(月) 01:29:12.36 ID:z8865VDro
>>288

ああ……そうだよ……!! 一晩で僕の人生は地獄に落ちたさ……なんせ村を牛耳っていた名家の息子が一気に村の嫌われ者まで落ちたんだからな……!!
今まで僕にゴマ擦ってた奴も一気に掌を返し……其れを教師どもは傍観してた、いや楽しんでいた……!!
所詮力≠ウ――――自分より強い者には媚び、弱い者は虐げる……そこには友情とか温かみなんて欠片も無いッッ……!!

【アンブローズ家、ディステル村。その言葉に反応を見せると、怨嗟に満ちた声で彼は語り出す。自らが不信になった過去を、そして力に固執し強者になろうとする理由を】
【恵まれた家庭、生まれた時から強者。それが一生続くはずだったのに、一夜によってその称号は奪われ、プライドは砕かれ、扱いが一変した】
【あまりの変貌に愕然とし、人の醜さを知った。だからこそ、彼は人を信じず、そして再度力を得ようとした。――――そして今、彼はカノッサの17を背負っている】

自分の為なら人は平気で人を裏切るんだ……自分より下と分かれば簡単に態度を変えるんだ……ッッ!! 僕はそんな奴等を絶対に赦すわけにはいかない……!!
そして僕は力≠得たッッ!! カノッサが僕を導いてくれた!! 僕は強者に返り咲いた、そしてあの誇りを取り戻す――――だからこそッッ……!!

――――オマエみたいな雑魚に舐められるわけにはいかないんだよぉおおぉぉおおおおおおッッッ!!!!!

【裏切られる苦しみ、プライドが砕かれる痛み、味わった多くの惨めな感情。――――風の弾丸は速い。先程とは比べ物にならないくらいに】
【それでも見える。軌道が見える。速さが解る。対応できる。背負いし負を拳に込めて、魔翌力で拳を覆い硬化し振り切った。そして拳で其れを捉えたが――――】

…………っぐぅぅぅッッ〜〜〜〜!!

【――――鋼板すら砕く其れは、硬化の魔術を施した右拳でも容易には耐えられる威力ではなかった。拳の骨が割れるのを、彼は激痛と共に感じた】
【余りの痛みに片膝を付き蹲る青年。――――これはつまり隙であり、彼女が唯一青年から逃げられる時間の隙間と言えた】





291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/15(月) 01:37:36.16 ID:oqpEd1Ldo
>>290
名家、ですか・・・。
本物の名家なら、住民に追い出されたりするものですかね。

【そう疑問を唱えながら走る】
【ひたすら走る】

力を得ることは必要ですよ。
ただ、あなたはその力の使い道を間違えただけです。

【ガクンと男がひざまずくのを見て置き土産にと再び風の弾丸を放ち】
【矢をつがえて   −放った】

それでは、さようなら。

【男にとっては不要な置き土産だっただろうが】
【矢は男の顔面めがけ、風の弾丸は胸部をめがけ疾走る】
【記者は全力疾走でその場を去ろうとしているが】
【男はどのように動くのか、それは記者が気にかけていないことであった】
292 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/15(月) 01:39:41.19 ID:tBe2J/RX0
>>289

【繁華街。猥雑な人ごみの群れの中、くだらない客引きがその大半を占める、光景の中】
【そうやって突っ立って誘うのも大体がチェーンのどうでもいい店なのだからどうしようもない、とは、余談】
【こんな時間なら、新しい客がそんなに転がっているわけでもなく――キャッチ同士で雑談している光景も多かった】

【――そんな中を歩く少女の、後ろ。ふらりと不審な動きをする影があった。だけれど、それは、殺意でも敵意でもなく】
【むしろ、友好的な――そんなものだったのだから、不思議でもある。もしも振り向こうとするなら……ただ、仕草は早い】

……――誰でしょう?

【かなり早期に気付けさえすれば、なんてことのない一撃だ。後ろから、そっとその双眸を隠そうとする、両手】
【寸前までカイロでも握っていたような暖かさは、そういった意味では驚かせるほどではない。だが、いかんせん急であって】
【この行動だけで少女の警戒を限界まで吊り上げたとしてもおかしくはない、だけど、――その声、聞き覚えがあるはずだ】

【耳元で囁く、猫を撫でるみたいに甘い声。思い出せるなら、いつか、路地裏で、――そう、血をくれてやった女だ】
【今宵はどうやら体調もよろしいようで声も元気に甘い。だからと言って同姓を魅惑できるほどではなく、もちろん、】
【吸血鬼らしい魅力の術もない。人間をやめてはいるが、しかし、完璧な化け物でもない。曖昧な、その立ち位置】

【もし少女が強い警戒を示すだとか、振り払うとか、――或いはその名を言い当てるとか、すれば】
【その手はあっさりと離されるだろう。それから振り返ってみれば、そこに居るのは、やはり推測できた女】

【黒猫と同じ色合いの髪はくしゅっと毛先で巻かれ、くどくない程度の化粧は、――こんな場では似合っていて】
【アーモンド形の釣った眼は青林檎の色。鮮やかに艶めいて、まるで宝石をはめ込んだような……そんな錯覚】
【ふわふわのファーがついた厚手のコート。寒いのかぴったりとボタンは閉じられて、ただ、体つきは見えてしまう】
【豊かって言葉からさらにいくらか豊かにしたような胸元がコートのボタン、掛けられた紐をゆがめていて――余談】

【ショートブーツの踵をころころ鳴らしながら、腕を放していても、まだ目隠ししたままでも、彼女は】
【「こんばんは?」なんて、ゆったりと――ただの平素のような声を掛けてくるのだから、困ったものだ】
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 01:58:38.92 ID:DPw88EXT0
>>292
【無邪気、と表した所で問題は無いであろう其の行動。――――対して、少女は例え仕事の無い日でも警戒は怠らず】
【ならば当然背後から迫る小さな脅威にも対処できるのでは無いか何て思われそうだが……不幸にも、今現在その警戒とやらは主に前へと向けられて居た】
【故、女性の目論見は容易く果たされる事となるだろう】

【握られたのは拳。狙うのは、大凡人中と思われる位置】
【――――然れど。その言葉を聞いたならばピタリと止まり。代わりとして、小さな溜息を吐く事になるだろうか】


「…………今時の吸血鬼は随分と友好的でありますね。尤も、私は貴女以外の吸血鬼に会った事が無いので基準が分からないでありますが
それでも、何と無く異質である事だけは理解出来るであります」

【警戒。敵意。共に消えて。友好的な其れか――――と問われれば、何とも言い難いのだけれど】
【それでも無闇に攻撃をしない程度には打ち解けては居るのたろう】
【元は激しい戦いの場に身を置くのだ。聴覚嗅覚―今は視覚を使えないけれど―が一度会った相手ならば大体覚えて居る】

【無理に解くことも無く、振り払う事も無く。好きな様にさせてやるならば、まだ視界は閉じられたままか】
【それで――――そんな言葉を先に紡げば、暫しの間を作り】


「今日は仕事の無い日だから良いでありますが、私が仕事の日に同じ事をしない様にして欲しいものであります
――――後。そろそろその掌を退けて欲しいのでありますよ。前にも後ろにも進めないから困るであります」

【無下にするのも気が退ける。だから、路上で立ち往生】
【挨拶の代わりに返されたのはそんな“お願い”だ】

【仕事の無い日、だとか言いながらもその姿は以前と変わらず。クソが付く程に真面目に見えるか、否か】
【何で有れもう暫しそのままで居たならば膨れっ面でもう一度同じお願いをするのだけれど】
294 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage]:2014/12/15(月) 02:02:03.53 ID:z8865VDro
>>291

…………何が…………分かる…………!! お前なんかにお前なんかにお前なんかに僕の家の何が分かるんだ……!!
何も知らないゴミの分際で……っぐぅっ……アンブローズ家を――――いや、僕をバカにするんじゃ…………うぅっ……無いッ……!!

【絶叫すれば骨に響く。激痛の波が彼を襲う今、少しの振動ですら気絶しかねない程の大きな痛みに化ける。故に叫びたくても、叫べない】
【この怒りを、この悲しみを表現するには――――こんな声じゃ、物足りないのに。噛み締める歯と鋭い視線が、彼女を殺したくて堪らない彼の心情を表していた】

【――――放たれた矢、そして弾丸。力の使い方を間違えた彼への制裁を意味するような其れを、彼は――――身体で、受けた】
【――――自分のではない。自分が殺したモノの身体で。背後にあった裏切り者の死体を左手で掴み取り、そのまま強引に引っ張って肉の盾にしたのだ】
【血の詰まった重い肉袋を、片手だけでひょいと動かす筋量。筋肉の隆起はあるものの締まった印象の身体からは考えられないパワーとも言えた】

【額へと突き刺さる矢。胸部にめり込みあばらを砕く弾丸。しかしその傷は彼の傷じゃない。彼が殺したモノへの追い打ちになったに過ぎないのである】
【――――彼女は逃げた。彼にとって胸糞悪い言葉と攻撃、そして――――敗北、という結果を残して。募りし怒りが、痛みを消した】

…………ああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!!!!!!!

【血塗れの死体を持ったまま彼は立ち上がる。――――直後、力任せに左腕を振るい、持った死体をコンクリの床に叩き付け、響く痛みも知らずに吼えた】
【負の感情を吐き出せるだけ、自身が屠った其れに吐き出した。叩き付け、踏みつけ、蹴り飛ばし、殴りつける。その度に鮮血が舞い、路地裏を狂気で彩る】
【――――ヒトだったモノがどんどん原型から離れていく。手足がちぎれ、顔面は潰れ、骨は砕かれる】

【ぐちゃぐちゃになった死体。それはまるで、青年の歪んだ心を示しているかのようでもあった――――】

/これで〆にさせてもらいます、ありがとうございましたー!

295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/15(月) 02:14:12.36 ID:tBe2J/RX0
>>293

【ふわっと柔らかく両眼を塞ぐ手のひら、そっと体を寄せれば、香水のような甘い香りが僅かにくすぐり】

あら、街中で言わないで欲しいわ、誰か様に聞かれてしまったら――困りますもの?
友好的なんですの、ついでに言うとカラオケ帰りでゲーセン行く途中ですわ、今日はオフにしまして――。

【きゃらきゃらと笑う声が数度続いて、冗談っぽく、たしなめるような言葉が続く。いわく、街中で触れるなとのこと】
【とはいえ、周りに居る人間たちは誰も二人に興味を示さない。或いは、何をしているんだ――というよな目は向けても】
【会話内容までは聞こえないか、興味がないか。故、誰かに吸血鬼だと騒がれてしまうようなこともない――と思いたい】

【異質だと言われれば「さぁ?」なんて言葉が続くのを見るに、彼女も、自分以外の“同類”に出会ったことはないようだった】

あら、年中お仕事してそうですけれど……お休みなんですの? パトロールか何かかと思いましたわ。

【知り合いであるせいなのか、知られているせいなのか、なんだか緩いテンションだった。ちなみに、目隠しは続行中で】
【そんな軽口を叩いてから、「横には動けまして?」なんてさらに上乗せでからかってくる。――だが、そうなれば】
【「仕方ありませんわね」なんて呟いて、いかにも恩を売ってやったように、手を離すのだ。厳かに――】

ごきげんよう、お暇でしたら、ゲーセンでも一緒に行きませんこと?
一人で行っても退屈ですの、幼馴染へのクリスマスプレゼントでも、調達しようと思っていて――。

せっかくのお休みなんですもの、そう言う場所に行きません?

【――やっぱりそこに居るのは“彼女”だった。頬に指先を触れさせるようにしながら、もう片手はその腕に触れ】
【思ったよりは容易く引いたのを見るに、あんまりべたべたしたいわけではないようだった。ただ、からかっていたのだろう】
【あっという間に会話する程度の距離感を作った彼女は、寒そうに手をコートのポケットにもぐりこませ】
【旅は道連れとでも言うような態度で誘うのだ、――せっかく出会ったのだし、そんな、雰囲気で】

【(だけど。オラークルが未成年であるのを考えると、あんまり、よろしくない提案なのかもしれなかった)】
【(気にしない店舗は気にしない、そういう場所には同じような未成年の夜更かしも居る、だけど、)】
【(よりによって、正義関係の人間を誘うには――その場所は、些か不向きなように思えたから)】
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/15(月) 02:15:37.70 ID:oqpEd1Ldo
>>294
はぁ・・・、はぁ・・・。
ようやく逃げられました。

【安どの表情とともに、駆けて中央新聞社の編集部に戻る】

記事に、記事にしなきゃ・・・。
急げ私!

【一握りのメモを持って編集部へと急ぐ】
【そして記事を作り終えたのであった】

【ー翌日になるだろう】
【一面にでかでかとこの記事の内容がかかれた】
【「元名門家系「アンブローズ家」の末裔、二年前のディステル村連続殺害事件の犯人と判明】
【自警団は現在真相を捜査中であるが、わが社記者の活躍により独自に判明したことである」と】
【この件でカノッサに中央新聞社のことが知られたであろう】
【それは不安として胸の中に残り続けたのであった】

//ありがとうございました!
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 02:38:34.50 ID:DPw88EXT0
>>295
「この喧騒の中、一人一人の会話に耳を向ける余裕がある者など居ないでありますよ
…………何だか私の知っている其れと全く異なってギャップを感じるであります。にんにくを平気で食べたり夏は川で涼んでいたりしそうでありますね……

それと。私だって休みは貰っているでありますよ。ただ……その、所謂休みの過ごし方、と言うのが分からないのであります」

【休みはあるが、過ごし方が分からず。今日は偶々此処に訪れてみたけれど、結局は普段と変わらない見回りを暇潰しとして行っていた】
【其れは可笑しな事だと自分でも理解して居るのだが、分からない事は分からない。何しろ軍隊の中では自由など無かったのだから、いざ自由を謳歌――――なんて事も出来ない】

【漸く視界が確保されれば、想像通りの相手。頬に触れられそうになればヒョイと顔を反らし】
【「その内怒るでありますよ」なんて言葉は本気では無いのだろうけれど。ただ、顔を顰める所からしてからかう、との目標は十分達成出来た事だろう】
【――――場所によっては氷点下にもなったとされる今日。それでも軍服のみで出歩く姿は浮いていて】


「別に貴女が何処に行こうと私は止める事も無く咎める事も無いでありますが。私も行くとなれば話は別であります
そもそも私が一緒に行った所でその退屈が紛れるかも分からないであります
ゲーセン……とやらもずうっと昔に一度入ったきりでありますから

一人で行った方が有意義な時間になるでありますよ。私は適当に見回りを続けるであります
危ない目に遭いそうになったら直ぐに戻って来ると良いでありますよ」

【怒る訳でも無く、遊び方の知らない自分も一緒に行った所で退屈が紛れる訳でも無い――――その言葉は気を遣ったと取っても良いのだろう】
【確かに正義の徒。然れど石頭と言う訳で無い事はコレで知れる。――――尤も。少女自体が補導だとかよりも鎮圧等の任務を専門としているからだけれど】

【その言葉を最後に去ろうとする姿。ただ、喧嘩別れでも無いのだから】
【袖を引っ張れば止まるし言葉を掛けても同じ事。転ばない程度に無理に引き摺る事だって出来るし、横を過ぎる際に腕で制止する事も出来る】
【其れより先は、女性次第か。言葉通りに別れるのもまた道理で、堅物を連れ回すのもまた――――】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/15(月) 02:53:14.16 ID:tBe2J/RX0
>>297

にんにくは食べませんのよ。臭いがつきますもの、……まあ川は行きますわね。たまに。
日差しは日焼けするので、元々浴びませんし――あんまり変わりないですかしら? 夜型ですもの。

【ひょいと手を避けられれば、女は改めて自分の頬に触れる。それからごく自然に髪弄りに発展するあたり、癖なのだろうか】
【あんまりお行儀のいい癖ではない。髪束を指先でちりちり弄びながら、告げるのはやはりというべきか、そういった、】
【「銀製品は手入れが面倒ですので」と言われていないことも教えてくれる。とりあえず、吸血鬼らしさは、残念ながら――】
【――と思えば、前回のようになることもある。完全に人間として生きていけるかといえば、間違いなく、否】

あら、お仕事の好きそうな少女を連れまわせたら、それだけで楽しいと思いません?
無駄にデカいお菓子の一つ二つでしたら取って差し上げましてよ、それとも、ぬいぐるみのほうがお好み?
筐体貯金なら伊達にしてませんの、それなりに上手――、――まあ。

【それでいて性格もあんまりよろしいとは言えない。少なくとも、こんな時間にうろついてる時点で淑女ではなく】
【明確にからかう声でそんなことまで言ってくるのだから、これはもう確信犯だ。くすり、喉を鳴らすように笑うと】
【ゲーセンのUFOキャッチャーにありがちな無駄にでかいお菓子を取ってやる、だなんて言い出す、と思えば】
【つれなく断られてしまうと、また頬に手を当ててわざとらしく思案する。視線を横に逸らし、数秒考え、】

……全く、つれませんのね。そんなことでは、行き遅れてしまいましてよ?
それとも、どこか行きたい場所はありまして? 一緒に行きましょうよ、あなた様が遊んでいるところが見たいですの!

【特別悪戯っぽく笑ったと思うと、ふとその手を取ろうとするのだ。さっきよりは不意打ち度は低く、避けるのも容易いが】
【もし受けたりするようなら、ゲーセンに連行されるようなものだと思えばいいだろう。一応、希望は聞いてくれて】
【実際提案してみれば叶ったりすると思うのだが――どこかへ行こうと誘うのだけは、もう決まったことみたいにねだるのだ】
【多分男とかに甘えなれている高めの声。これはもう完璧にロックオンされた様子、――いちおう、】
【よっぽどオラークルが拒絶したり、本気で嫌そうな仕草を見せるなら、彼女も諦めてくれる。些か、遅い感じはするのだが――】
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 03:17:55.91 ID:DPw88EXT0
>>298
「生憎、私自身自分で何が好みなのかも分からないのであります
――――まあ、そんなこんなを悩むよりも仕事をしていて方が楽なのかも知れないでありますね
兎に角、気を付けると良いのであります。また飲みたくなったなら…………人目につかない所でならば、どうにでも出来るでありますから」

【自分は何が好きなのか。自分に向いている趣味とは何なのか。そんな事を考えて居るよりも治安を良くする事について考えて居た方がよっぽど気楽】
【この歳にして仕事一筋、と言うのも哀れだが――――天職、と思えば世界にとっても良いか】
【言葉を適当に聞き流し、それではと過ぎようとしたその時に手を取られて】

【何か、と問うよりも早く女性の言葉が耳を通る事になる】
【苦笑と表すべきか――――其れでも、無理に拒絶する姿とは異なって】


「…………貴女も。音々子殿も良く分からない性格でありますね
私は音々子殿一人の方が楽しめる、と言って居るのでありますが。楽しみ方も何も知らない私が行った所で何が起きる訳でも無いであります
それでも連れて行くのならば、お任せするでありますよ。どうせ一日何も無い日なのでありますら

嗚呼、それと。私はまだ二十歳前であります。生き遅れだとかは無い筈でありますよ――――多分」

【天真爛漫、とも異なるであろう性格。それでも少女からすればよく分からないのだ、と】
【遊び方を知らない自分を連れて行く位ならば一人で居た方がよっぽど楽しめるとは言うけれど】
【それでも誘われれば、苦笑は何処か嬉しそうな笑みへと変わって】

【大袈裟に表すならば対極の性格。食べる所は少し知っていても遊ぶ所は知らないから任せる――――そんな意味合い】
【余程変な所でも無い限り従うのだろうし――――行き先さえ告げなければ何処にでも連れる事も出来よう】
【所謂ゲーセンであろうと大型の雑貨店であろうと。知らないのだから、言われるままに着いて行くだけ】
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/15(月) 03:35:58.46 ID:tBe2J/RX0
>>299

そんなの、やっていて楽しいことが好きなことですわ。それ以外の判断方法がありまして?
そればっかりじゃ生きていかれませんけれど、自分が何が好きくらいは分かってた方が――いいですの。

【「今日は大丈夫ですわ」。妙にドヤ顔で胸を張るのだった。寸前に、何か、少し、イイコトを言った気がするのだけれど】
【そんなのあっさり消える幻、言葉通り。今日の彼女は大丈夫そうだ、吸血鬼に言うのもどうだか、血色もいいし】

ああ、そう、ちなみに私(わたくし)が好きなのは――かわいい女の子をいじくること、とか。

【本気なんだか冗談なんだか分からない顔で囁くくらいの余裕もある。口の横に手を沿え、顔をいくらか寄せ】
【そう囁くと、甘い香りを余韻に引いて、気付けば手も引いている。その手は、さっきよりほんの気持ち冷たく】

世話好きとなら言われますわ、ウザいと――いえ、なにも。
旅は道連れとも言うことですもの、せっかく会ったんだから何かのご縁です、サンタか何かの縁かしら?

……――あら、いいですわね……。

【くいくいと優しく引きながら、性格については知人に腐るほど言われたそれを、返してみる】
【曰く世話好き過ぎてウザいとかなんとかかんとか。だけどその知人の世話をするのが楽しいのだ、或いは生きがいとも】
【だけどまあそんなの今はいいみたいに、わざとらしい咳払いで彼女は言葉を振り払い、くるくると笑い声を上げる】
【サンタが何の縁を繋ぐのかはよく知らないが、まあ何らかのご利益はありそうだ。……いや、ないかもしれないけど】
【――いっしゅんすごく目が死んだのは見てはいけない。気のせいである、……年齢、擦り寄ってくるもの、恐ろしいモノ……】

【だけどやがてそんな恐怖からも抜け出せば、まずは予定通りにゲームセンター行きを宣言するのだろう、最寄の】
【どちらかと言えば出来たばかりで清潔な店だ。特にクレーンゲームに力を入れていて、それなら、オラークルでも楽しめそう】
【――というイメージ。ああいう目で見て分かるゲームのほうが、初心者にも、分かりやすいだろうし――なんて考え】

【(最初からクレーンゲーム目当てだったのはこの際忘れておくことにする。そう、少女のために、選んだみたいな顔をして)】

【くいくいと優しく手を引きながら案内する。距離は遠くない、数軒の飲み屋を通り過ぎれば、ぴかぴかと明るい店内が、見えて――】

/すいません、眠たくなってきたので、もしよろしければ凍結をお願いしたく……
/明日は夕方〜夜ごろには待機してられると思います……
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 03:40:18.02 ID:DPw88EXT0
>>300
/自分もそろそろ睡魔が来ていたので丁度良く……!
/今日は夕方から用事があります故、恐らく10時半辺りからならば可能かと……!
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/15(月) 03:41:53.24 ID:tBe2J/RX0
>>301
/了解ですっ、その頃には普通に待機していられると思いますので
/お手すきになったらお呼びくだされば! ひとまずお疲れ様でしたー
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 04:10:30.46 ID:DPw88EXT0
>>300
「そう、でありますね。実際に行わなければ好きも嫌いも早計でありますか――――……
音々子殿。今日は、との所に何か不安を感じるのでありますが」

【他人の為に働き、人の幸せの為に身を傷付ける事も厭わなかったが――――その先に自分のナニカを見出せたのかと聞かれれば、きっと何も答えられない】
【――――いや。守れた事こそが自分にとっての幸せなのだろうか。感謝を求めている訳でも無く、ただ日常を守る事が出来たのが自分にとっての】
【思案は深い所へと入る前に、その声に引き戻されて。彼女が大丈夫と言うのだから間違いは無いのだろうが…………以前の事もあるからこそ、皮肉も混ざったような口調】


「私は其れの対象外だから関係無いでありますね。……道中で見つけ次第ナニカをする様ならば勤務中で無くとも罰するでありますよ?」

【可愛いだとかとは関わりの無い己。常に堅苦しい軍服ならば関係の無い話で、それでも道中彼女曰わく可愛い女の子とやらを手に掛けようとするならば“罰する”と】
【囁かれた言葉に対してだって、そんな反応なのだ。常に生真面目で、これが地で】
【連れられるままに進む脚。特に抵抗を見せる事も無く従順】


「確かに音々子殿は世話焼きでありますね。でも、其れは良い事だと思うであります
私も、意地悪な音々子殿よりも多少世話焼きの方が好印象でありますから

それにしても……サンタ、でありますか。気付けばもう今年も終わりでありますね――…………
音々子殿の容姿であれば、私の手を引くよりも格好良い男性に手を引いて貰っていた方が端から見て様になっていると思うのでありますが
申し訳無いでありますが、私は変化の術等を扱えないので多めに見て欲しいのであります」

【クスリ、と笑いと共に告げたのは彼女の世話焼きとの評価に関して。其れは自分も同意だと述べながらも、決して悪い方には捉えて居ないのだろう】
【ある時から人は誕生日を喜ばなくなるなんて話がある。特に、其れは女性に顕著か】
【――――取り敢えず、今の言葉に悪意は無いのだろうけれど続いた其れは別】

【生き遅れ、の言葉に返すかの様な言葉の紡ぎ。何処か悪戯娘の様に笑みを見せたならば、繋いでいる手を強調する様に少しだけ優しく強く握って】
【そんな所は歳相応の子供。何だかんだ言いながらも、離されない限りは繋いだまま――――やがて、件の店へと入店する事となるか】


【……まあ、少女からすれば殆ど未知の世界。流石に脚が竦む事は無いが、それでも何処か迷っているのは事実】
【何をするか迷っている、のでは無く。寧ろ何をすれば良いのか迷っているとすべきか】
【「音々子殿?」と名を呼べば、見上げて小首を傾げる少女が其処に居て】

/寝る前にお返しだけしさせて頂きますねっ
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/15(月) 18:11:21.09 ID:ym2AZYDMO
ディックは嫌われてるんだから絡みに行こうとするなよ・・・
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/15(月) 20:23:38.81 ID:V2vvgdato
【酒場】

【旧市街の街角にある古臭いパブのような店】
【カウンターは気をつけていないと客通しの肩が触れるぐらい狭い】

【テーブル席もあるが今日は賑わっていて全て埋まっていた。壁掛けのテレビではニュースが流れている】
【とある都市の銀行で起きた強盗事件の特集。居合わせた人間へのインタビュー、各地の事件との比較】
【最もメインに取り上げられているのが其処が色んな企業の脱税の為の隠し金庫になっていたというスクープだった】

『犯人は特殊な薬品で痕跡を消滅させたとのことでそう言った専門性の知識のある―――』

単なる、漂白剤だよ。スーパーマーケットで幾らでも買える…馬鹿かコイツ
そんな高度なもん、使ったほうが足がつくだろ。薬莢ひとつだって足がつく時代だ……

【知ったかぶりのコメンテーターのプロファイルにカウンターの客の男は毒づく。読んでいた新聞から顔を上げ、煙草に火をつける】
【黒いレンズのサングラスをかけた男は青いシャツに白いネクタイ、ダブルのライダースジャケットを着ていた。開けた襟の胸元にはシルバーのマリア】
【ボトルごと頼んだバーボンをショットグラスに注いでグッと飲み干す。折りたたんだ新聞にもその事件のことが書いてある】
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/15(月) 20:39:01.06 ID:tBe2J/RX0
>>303

ですので、いろんなことをすべきですの。とりあえずゲーセンにでも行きましょう、ね?
……ふふ? ですけど今日は大丈夫ですの、それとも――ダメになって欲しい、とかぁ――。

【何が好きか分からない、それならいろんなことをやってみて、それで、楽しかったことを好きなもの、と思えばいい】
【ひどく簡単な案だ。単純だし、だけど、ある程度確実ではある。――ただ、オラークルのような】
【仕事ばっかりで過ごしてきた人間には、少し、難しい――かもしれない。とりあえず彼女に言わせるなら】
【「お休みの日にまで仕事の真似事は駄目ですの」だそうだ。……まあ、あくまで、それは彼女の意見でしかないけど】

【すぐにふざけたことを言うからやっぱり台無しだ。僅かに歯を見せるように笑って、真っ白な色を赤い舌がなぞる】
【皮肉も大して気にしてない。もう少し気にするべきなのだろうが――吸血鬼であることに、罪悪は感じていないようだ】

あら、怖い――、罰されるのは嫌ですわ、それなら、手を出すのはやめておきましょう。

【――うふふ。そんな感じで笑うなら、反省も、罪悪感も、何にもないように見える。ただ、ふざけてからかっているような】
【多分、実際にそうなのだろう。オフの日は遊ぶ、――さっきの言葉からも、そんな信念にも似たものが窺えるものだから】

そうなのかしら? よく分からないですわ、私は、天音さんで遊んでいるだけですのに……。
同居してる幼馴染なのですけどね、怠惰なので構いがいがあるのですわ。暇つぶし、と、言うか――。

――はあ、まだ何もしてないんですけれど。もう終わりですものね、どうしようもない、……
……そんなことありませんのよ? 少なくとも、クル様と一緒に遊んでいたほうが、楽しいですもの?

【はて。そんな風にわざとらしく彼女は首をかしげる、自称遊んでいるだけ、構っているだけ、だけどそれが、】
【あちらからすると世話焼きということになるらしい。……まあ、構っているのは認めているのだし、外れでもないのだろう】
【それより今年が終わりだと思い知らされれば、ため息。だけどすぐに元気を取り戻して、そんなことを言いながら、笑う】

さ、行きましょう、ここはあんまり治安とか頭のよろしくない方はいらっしゃいませんのよ、最近出来たところですの。
クレーンゲームとプリクラと音ゲーと……、置いてあるものも平和ですし、ねえ?

【そうこうしているうちにゲーセンにたどり着く。見上げられれば、うふふと笑って、その頬を軽く突こうとし】
【まあ安全なゲーセンを選んでくれたらしい。最寄ということもあるだろうが、元よりあんまり不法地帯は好きではない】
【とりあえずライトな店舗らしい。さあさあと手を引きながら入れば、太鼓っぽいゲームのデモプレイの音がして】
【時間が時間なため人影も疎ら。大量に並ぶクレーンゲームの筐体を前に「さあ、何か欲しいものはあります?」なんて、尋ねた】

/お返ししておきますっ
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/15(月) 23:44:22.54 ID:DPw88EXT0
>>306
「暇潰しで構えば世話焼き認定されるのも中々珍しいと思うでありますよ……
遊んでいる、と言うよりも私が遊ばれている様な気がするでありますが」

【頬を突いたならば、軽く押しただけで沈む位には柔らかく】
【気分を害した訳では無いけれど、ジットリとした視線が女性へと向けられる事だろう】
【其れは言葉無き非難であり、抗議。むぅ、と不服の言葉を漏らしたなら突かれた部位を手で覆い】


【煌びやかで賑やか。本当ならばそんな事は無いのだけれど、まるで自分が浮いてしまっている様にすら感じて】
【本当に自分が此処に居ても良いのだろうか。場違いでは無いだろうか。普段来る事が無いからこその違和感】
【こんな時ばかり年上の彼女を頼るかの様に手を握る姿は優れた自警団の一人だとも思えず】

【其れはまるでタイムスリップした者が珍しげに辺りを見渡す事に似ていた。縫いぐるみだとかの前で止まる事が無いのが少女らしいが――――】
【どちらかと言えば、お菓子だとかそうで無ければ卓上噴水だとかで止まる機会も多い】
【――――やがて。完全に立ち止まったのはお菓子を景品とするクレーンゲームの前】
【景品には“辛さ百倍暴君”なんて可愛らしさの欠片も無い唐辛子の絵が叫んでいたりして】

【目を輝かせている事から、確かに其れを欲しがっている事に間違いは無い】
【くいくい、と手を引いたならば景品を指して】


「音々子殿、音々子殿。私はコレが欲しいでありますっ!
ああ、どの店でも売られる事の無かった幻の菓子…………ダメ、でありますか……?」

【辛党の中では伝説扱いされている…………らしいそのお菓子】
【何でも脳に突き刺さる辛さだとか様々な話はあるのだが、今は置いておき】
【ジイッと女性の目を見てからの“おねだり”だ。もっと可愛らしい物を選べば良いのだろうが……性なのだから、仕方ない】
308 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/16(火) 00:01:29.07 ID:VPsgfyYB0
>>307

【深夜の目には少しきついもののある、真っ白すぎるほど真っ白な明かりの中、たくさんの音がする】
【太鼓ゲームのデモプレイ、誰かがやるクレーンゲームの無駄に明るい曲、少し遅れた流行曲のBGM】
【店内に入れば彼女は手を放そうとするのだが、――そうしないほうがいいだろうか、と思えば、それはあっさり取りやめて】

【何かのアニメのキャラらしいかわいいフィギュア、有名ゲームの看板キャラクタのぬいぐるみ、それがあるたび】
【これはどうか、これはどうか、聞いてみるのだがどうも反応が薄い。こういったものに興味が薄いらしいと気付けば】
【今度はお菓子とかのたびにこれはどうかとか、なんかよく分からないネタっぽい電池で動くおもちゃ(?)を勧めてみたり】
【最終的にオラークルの足が一つの筐体の前で止まれば、その中を眺めて――、ちょっと、驚いた顔をしたようだった】

これが欲しいんですの? ……いえ、構いませんのよ、私が取って差し上げますの!
お任せくださいな、これまでの筐体貯金力(かきんりょく)を見せて差し上げますの、――。

……あ、ちょっとお待ちくださいな。両替してきます。

【辛いものが好きなのか、と、少し思ったのだろう。意外なような――そうでないような。ただ、それに何を言うでもなく】
【お任せください、なんて言って自分の胸に触れる。少し胸を張るようにして……、そんな、大きなことを言い出す】
【つまりどれだけゲーセンに金を食われたかという話なのだが、気にしてないようだ。財布を取り出すと――】
【小銭があんまりなかったらしい。そう言って、ほんの一分二分だが、彼女はその場から居なくなるのだろう】
【だけど、すぐに戻ってくる。絡んでくるような不良も居ないし、大人しく待っていれば、それだけで彼女は戻ってきて】

【五百の硬貨をちゃりんと落とせば、なんだか気の抜けた底抜けに明るいBGMが流れる、それでいて】
【取るものは激辛なお菓子なのだから、いかにも不釣合いだが――BGMのせいでもなんでもない、誰も悪くない】

こういうのはですね、こういうところを狙うといいんですの、そうするとバランスを崩しますので――、
――ほら、これで、すぐに取れますわ。あと二百……いや、百、とか、……。

【それで、そんな風にプチ解説をしながらプレイする。言われたとおりの菓子を狙って、アームを下ろせば】
【アームが唐辛子の絵を突っついて揺らしてぐらりと傾かせる。そしてゲームは次のクレジットに移行し】
【――すぐに、がたんと下の取り出し口に落ちていくだろう。予告通り、きちんと取ってやり】

さあ、どうぞですの。……辛いものがお好きなんですの?

【それで、取り出し口からも取り出して差し出してやる。――その瞬間だけは、なんだか、いつもの笑みと違って】
【もう少し自然で柔らかなように見えるのは気のせいではないはずだ。そして、その顔を見れば、世話好きというのも分かる気がして】
【受け取るなら、だけどすぐに彼女はゲーム機に向き直る。そうして、「残りのクレでもう一個取ったげますわ」なんて言うのだ】
【なんだか目がきらきらしてる気がした。――やっぱり、うん、世話好きというか。手を掛けてやるのが、好きなタイプなのだろう】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/16(火) 00:29:28.17 ID:nQrZlJZv0
>>308
「…………何だか頼りがいがあるのか無いのかよく分からない台詞でありますね
でも、音々子殿の腕を信用しているでありますよ!」

【少女からすれば一つの景品に対するお金の目安だとか、移動方法だとかは分からない。それでも、そう威張れる物でも無いのでは――――なんて】
【待っていろ、と言われれば大人しくその場で待っているのだろう。機関の者ならば別だが、其処等のチンピラ程度ならば例え束であっても下すだけの自信はあるのだから】
【それでも若干心細いと言うか、ソワソワとしていたのは事実。だから、戻って来た時には少しばかり嬉しそうにも見えるか】

【さて。空間把握能力には優れていてもこの少女はゲームに応用する事が出来ない】
【解説についてもキチンと頭に入っているのかも分からないが、傾いたときには歓声にも似た声をあげて】
【落ちた音。差し出された時には、プレゼントを渡された子供の様に】

【ぎゅ、と大切そうに抱けばただ純粋な笑みを向ける事となるか】


「音々子殿、感謝するでありますよ!
そうなのであります!大の辛い物好きでありますが、発売当日に全て売り切れてしまった物でありまして…………
有り難う、なのであります!」

【普段が普段だからこそ余計に子供っぽい、と言うか。尻尾でも付いて居たら振っていそうな位にはご機嫌】
【まあ、そんなだからもう一個、と聞けば余計に目も輝く訳で】
【無事に女性が取れたとすれば二個を抱える事になるか。まるで長年欲しかった玩具を漸く手に入れた子供の様な――――否、その例えは少しも間違ってはいまい】
【きっと、再度有り難うと紡ぐのは自警団としての少女では無く、ただ年頃の少女としての笑みと言葉】
310 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/16(火) 00:41:52.82 ID:VPsgfyYB0
>>309

【暇なときにはゲーセンに居ることも多いのが良かったのだろう。このスキルが役に立つといえば】
【幼馴染の“少女”にぬいぐるみを大量にくれてやるとか――そういうときだけだったものだから、新鮮で】
【自分が取ってやったお菓子を抱きしめているのを見ると、すごく――そう、満たされたような気持ちになるのだ】

そうなんですの? 良かったですわ、そんなレアなものが見つかって――、ふふ。
もし今度会ったときには味の感想でも教えてくださいませな、気になりますもの……ね、

【それゆえに。表情はずっと緩むというか、柔らかいものだった。にこにこと、どう見ても素なように笑っていたし】
【そんなにレアな菓子だったのかと思うと、なんだか欲しい気もしてくるが、筐体の中は空っぽになってしまっていて】
【店員に言えばまだ持ってきてくれるかもしれないが――それより、良く考えてみれば、辛いものはあんまり食べない性質だった】

【とりあえず彼女はあたりを見渡すと、ぶら下げてある袋を見つけ出し。一枚取ってくると、彼女にそれを入れるように促すのだろう】
【抱きしめていたいということなら止めはしないが、それだと両手が使えなくて、不便だろうし――ということらしい】

さ、何か、他に欲しいものはありまして?

“お姉さん”が何だって取って差し上げますの――!

【――なんだか調子に乗っているのは気のせいではない。なんだってなんてあっさりと言い放ってしまえば】
【また店内を物色することになるだろうか。その際、何かめぼしいぬいぐるみでも見つければ、オラークルにも制止を掛け】
【道中でいろいろなぬいぐるみをゲットしたりするのだ。それなら、やっぱり、こういったゲームはよくやるのだと分かり】
【ついでに別のを狙った結果ついてきてしまったぬいぐるみを、一個、オラークルにあげようともするだろう】
【某有名な猫のキャラクタがコスプレしてるマスコット。何の偶然か、それは、軍服――を着ていた】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/16(火) 01:02:20.31 ID:nQrZlJZv0
>>310
【袋の中に入れる様に促されれば、素直に従って。ずっと抱いているのも良いのだけれど――――落としたり汚してしまうのも嫌だから】
【感想でも、との言葉には勿論と頷くのだろう。本当に嬉しいときには自然と表情が緩むなんて人も居るが、少女もその内の一人なのか】
【鼻歌を歌いそうな位には上機嫌で、袋に入れても尚眺めたりするのだから】
【――――お菓子は消耗品なのだから一つ一つと減っていく度に悲しさもこみ上げるが、アミューズメント用ともなれば其れは大分先の事】


「お姉さん、でありますか…………で、でも確かに今は…………
いや、でもちゆ姉が…………」

【それでも素直に頷けない自分が居る。まあ、其処は年頃特有の気恥ずかしさとでもしておこう】
【ブツブツ呟けば何かを考えている様だけれど…………結局は、思考の放棄】

【その後は後に従うようにして店内を巡り】
【一つ取るだに「おお」だとかそんなお囃子の役割を担う事となる】
【時間にしてどれ位経ったのかは分からないけれど。ただ、自分に獲得した物の一つをくれると聞けばきょとんとした表情となり】


「良い、のでありますか……?何だか悪い気がするでありますが…………」

【只でさえ自分の為に取って貰った物があるのだ。なのに、他の物まで貰ってしまって良いのだろうか、と】
【チラリ、と表情を窺った後に差し出されるであろう縫いぐるみを眺め】
【――――惹かれるのは軍服の為か、其れともそれ以外にも何か感じるものがあるのか】

【やがては「本当に良いならば」と小さく頷き。くれてやるならば、掌を差し出して受け取る事となろう】
【――――受け取ったならば。やはり、表情が綻んでしまうのは仕方ない事】
312 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/16(火) 01:15:23.59 ID:VPsgfyYB0
>>311

【それにしても、唐辛子の絵が描かれたお菓子を二つも抱える少女の姿。なかなかに、目立つよう】
【知らないでこの光景を見たら二度見するなぁなんて思いながら、彼女は袋を広げてやり、お菓子を入れやすくする】
【とりあえず袋にちゃんと入れば、大事に持たせてやるのだろう。「落としちゃ駄目ですよ」だなんて】
【オラークルのことを完璧に子供扱いしているんじゃないかと思える言葉まで出てきて、ひどい話だ】

【――なんだかぶつぶつと言っているのを見ると、ほんの一瞬不思議そうにはするのだが】
【かわいらしいものを見る目をして、また、店内を引きずり回す旅――それにしても】
【本当にいろんな中身の筐体があるものだ。店の奥を覗けば、それはそれで、今度はたくさんのプリクラがあったり】
【ずらっと並ぶプリクラ用のコスプレ衣装があったり――あちらへ連れ込まれなかっただけ、平和なのだろうか】

【いろいろ取っていくぬいぐるみ。そのたびに声など上げられれば、なんだか得意げになるのは、仕方ないことなのだろうか】
【だけど、まあ、そこは大人としてあんまり調子には乗り過ぎない。或いは、ときどき、オラークルにやらせてみることもあるだろう】
【そこを狙えばいいとか、このぬいぐるみなら足を狙えとか、そんなことを言って。もし、拒まなかったなら】
【もしかしたら、小さなマスコットの一個くらいは、自分の手で落とせている――かもしれなかった。なんて、If】

構いませんのよ、いくつもあっても場所が嵩張りますもの、連れていってあげてくださいな。

【そして差し出したのを受け取ってもらう。かわいらしさを具現化したみたいなマスコットは、これで少女のものとなり】
【それからふと思いついたみたいな顔をすると――さっき取った、“幼馴染にあげる分”のを取り出して、揺らし】

そうですわ、これ、あげるのやめます。おそろいにしましょう、おそろいですわっ。

【なんていいだすのだった。理由を問えば、「記念です」なんて言葉が返ってくる、ただの思いつき】
【何が何の記念なのかとかいろいろ疑問はあったろうけど――許可してやれば、きっと、彼女も喜ぶはずだ】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/16(火) 01:35:21.47 ID:nQrZlJZv0
>>312
【実際に子供だから子供扱いに対しては気にしない――――訳でも無く】
【「分かっているでありますよ」なんて口を尖らせて言うのだから、それもまた子供】
【普段は軍人として、治安を守る者として働いているからこそ自分の感情をあまり大きく表に出すことは出来ない】
【だから、本人としても不思議な気分なのだろう。この様に振る舞っている事が】

【――――良い、と言われれば。その時から少女にとっての大事な物の一つとなるか】
【其れだけは袋の中に入れる事をせず、手で持って。連れて行って、との言葉には笑みと共に頷き】


「お揃い、でありますか?……そうでありますね。音々子殿に連れて行ってもらった記念であります!」

【喜ぶだけの理由はあっても拒む理由など無い。お揃いだとか記念だとか負の意味合いを持つ物でも無いのだから】
【常に軍服である事から分かる様に、お洒落には無頓着。部屋だって恐らくは殺風景か、戦闘に必要な物等しか置かれていないのだろう】
【――――意識して誰かと同じ物を共有だとか、似た物を持つとかそんな事はした事が無い】
【些細な事、なのだろうけれど。それでも初めての事であり、嬉しい事でもあり】

【お揃いとの言葉を聞けば、より一層貰った物を大切に握って】


【――――そんなこんなで、時も過ぎるだろうか】
【或いは移動するバスケットゴールにボールを入れる物をやらせてやれば最高点を出したり、本人が希望するパンチ力を計る物をやらせてやられば壊す事こそ無いものの少女らしからぬ結果を叩き出したり】
【まあ、言ってしまえば身体を使うゲームをさせれば大体は並々ならぬ結果が出る】
【無論女性の後に続いてクレーンをしたり、レクチャーされたりなんて事だってあるのだろうし――――其処等は、取り敢えず楽しんだ事だけは確かだ】

【気付いた頃にはきっともう良い時間。少なくとも、退屈せずに其れまでの時間は過ごせたのだろうけれど】
314 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/16(火) 01:52:08.75 ID:VPsgfyYB0
>>313

【くすくすと笑う、こうやって素で誰かと遊ぶのは、考えてみれば、久しぶりのことに思えた】
【否。気心の知れた幼馴染二人とならいつもこうなのだけれど、そうでない他人と“こう”なるのは、久しぶりだ】
【――新鮮、で、面白かった。なんとなくお姉さんぶれたのも、また、彼女にとって楽しいことの一つで】

【「大切にしましょうね」なんて言うのは、自分向けでも、彼女向けでもあるように聞こえた。なんだか、】
【オラークルの部屋は殺風景だったりしそうだから、こういったものがあって――大切にしたりするのは、きっといいはず】
【そんなの勝手な考えかもしれないけれど。それで、この少女が、こんな少女らしい表情をしてくれるかもしれないなら、嬉しくて】
【――そんな光景を想像して笑っているのだった。それから、また、少女を別の筐体のほうへと誘って行ったりする】

【そしてクレーンゲームコーナーを一通り見てしまえば、後は、音楽ゲームのある場所や、パンチゲームのある場所へ向かい】
【バスケットゴールの奴をやるオラークルを見たり、なんだかすごい数値をたたき出すオラークルを見たり、或いは、】
【自分もそれらをやってみたりして――まあごく平均的な一般人らしさ溢れるスコアを出したりして、過ごし】

【変わったものでは、スキーヤーとなって斜面を滑走していくゲームをしたりするのかもしれなかった。ちなみに、それ、】
【やけにデカい目立つ筐体だから妙に恥ずかしいのだが。人が少ないのをいいことに、誘って――二人プレイ、するのかも】
【他にも筐体に取り付けられたカメラで動きを認識するタイプのダンスゲーム相手に土下座したり、……まあ、楽しんだのは確かだ】

……あら、もう、こんな時間? お時間は大丈夫でして?
申し訳ないですわ、未成年を連れ歩く時間じゃなかったですの――、帰るなら、送りますが……。

【それで、ふっと気付けば、時間は恐ろしいことになっていた。楽しい時間は何とやら、少なくとも】
【言葉通り、未成年を連れまわしていい時間じゃない。時間を見るために取り出したタッチパネル式の携帯電話、またしまいながら】
【そろそろお開きだろうか、と尋ねるのだ。帰るなら送っていくとも言って、彼女はオラークルの反応を待つだろう】

【――ちなみに、彼女の両手、クレーンゲームで取ったぬいぐるみ入りの袋がいくつもぶら下がっていて】
【こんなに取ってどうするのかとか、幼馴染に全部あげるのかとか、そんな光景になっている。それでも、】
【これだけもらっても喜ぶ子なのだが――まあ、それは、余談だろう】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/16(火) 02:19:58.69 ID:nQrZlJZv0
>>314
「いえ、私としてもとても楽しかったので音々子殿が謝る事何て何も無いのでありますよ
逆に感謝したいのであります。遊んでくれて有り難う、と」

【同年代の者ともこうして遊んだ事は無い。だから楽しさというものを理解出来なかったのだが――――女性のお陰で自分なりに分かった様な気がする、と】
【楽しみを教えてくれて有り難うと、余計な感情を一切含まない純粋な感謝の言葉】
【今だけは怒号も血生臭さも無い平和な場所。其処での楽しむ術を教えてくれた事に対しての】

【まだ楽しみたい気持ちはあるけれど、朝になればまた仕事だ。疲れを残していては要らぬ怪我を負う事にもなる】
【だから――――名残惜しいけれど、帰ると告げて】


「……それでは、音々子殿のお言葉に甘えて送って貰う事にするであります
一人で帰るには寒い上に暗いでありますから、ね」

【ならば帰宅するその時まで、談笑でも。大した距離でも無いし、のんびり歩いても精々三十分の距離】
【頷いたならば、きっとその内の袋を片方保つのを手伝って】

【――――道中はその幼なじみについて問うたり、他に好きな事を問うたり。同僚以外にこの様な会話もこれまた中々に久しく】
【どちらかと言えば、答えるよりも問う事の方が多かったのは確かだろう】
【やがて寮の前に付いたなら持って居た袋を返し、手を振って】


「ふふ、今日は本当に楽しかったでありますよ
また何時か、機会があれば是非お願いしたい所であります

ああ、それと――――“辛くなった時”は何時でも力になるでありますから、遠慮せずに言って欲しいのであります」

【また、何時か。其れは再会を願う言葉であって、友人に掛ける其れであって】
【辛くなった時―――とは以前の状況を指しているのだろうけれど、例えそうじゃ無い時でも呼んでくれたなら嬉しいと】
【今宵は其処で別れる事になるだろうか。手を振って、普通の少女がする様な、そんなお別れ。また会えれば良いな、とだけ思って】

【――――貰った縫いぐるみの行方だけれど。少女らしからず、枕元にちょこんと鎮座する事になる】
【部屋の中で唯一少女らしさを感じれる物が其れだけとは中々に悲しい光景かもしれないのだが…………本人からすれば、十二分】
【人形や縫いぐるみが増える事は無く、其れが唯一の物。そして記憶に残った一夜だからこそ、尚大切に扱われて】

/3時頃に出掛けなければならなくなりましたので、申し訳ありませんがこの辺りで……!
/お相手、有り難う御座いましたですよ!お疲れ様でありましたっ!
316 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/16(火) 02:34:05.50 ID:VPsgfyYB0
>>315

なら良かったですわ、いきなり誘いましたでしょう? ですから、嫌だったらどうしようかと――いえ、
楽しかったのですから、やめておきましょう。また今度、都合が会えば、どこかへ行きましょうね。

【にこりと笑って、彼女は、ふと、IFの話を――紡ごうとして、やめた。せっかく、楽しかったと言ってくれたのだ】
【それを駄目にするようなことは言ってはいけない。少し遅い気もするが、彼女はそんな言葉を断ち切って】
【またどこかへ――と誘うのは、元気で居て欲しいと願うようでもある。だって、少女の仕事を思えば】
【いつ怪我したりしてもおかしくない――できれば、そんなこと、ないようにと願う】

…………――では、行きましょうか。

【暗いのも、寒いのも、二人ならば気にならなくなる。もちろん、それは、会話が楽しいからであって】
【幼馴染について聞かれれば、二人居て、一人は怠け者だけど、もう一人はいい子だ、なんて説明をするだろう】
【それでもって、「天音さんはどうでもいいですけど」「鈴音って子とは仲良くしてあげてくださいな」なんて言い】
【黒髪に黒眼と赤眼のオッドアイなのだという。……あれ、どこかで、見たような――気のせいではなくて】

【好きなことは猫と遊ぶことらしい。それなら、猫カフェもよく行くのだ、なんて、どうでもいい情報】
【他にも尋ねられたことには丁寧に返していく。時折、こちらからも、好きな食べ物は何かとか、聞いてみるかも】
【――袋を持つといわれたときは少し遠慮がちにしたのだが。結局持つのを手伝ってもらって、二人で、帰っていく】

そういえば……今日は流星群ですのよ、知ってらした?

【そして。道中でそんなことを言い出したと思うと、彼女はふっと立ち止まって】
【「少しだけ星を見て行きません?」なんて誘う――付き合ってくれるなら、流れ星の一つ二つを見るまでそこに居るだろう】
【そうしたなら、きっと、……大きく線を引く、特大の流れ星なんて見えるはずで。それをまた話題に、帰路を辿る】

ええ、もちろんですの。……それは、そうですわね、――できれば、あんまりないといいのですが。

【そして寮の前に着けば、ほんの数言の会話を交わす。またいつか、――辛くなったとき。それはあまり来ないほうが、なんて】
【いいながらもどうしようもない。どういった種族に変質してしまったのだ、今更、それから逃げることは出来ないし――】
【「そのときはお願いしますね?」なんて、ちょっぴり悪戯っぽく笑う。そうすれば、手を振られて、手を振り返して】

【たくさんの荷物をぶら下げながら、こちらも、また、家へと帰っていく。「やっぱり取りすぎたかしら」なんて呟く一つ、】
【だけど、喜んでくれる顔が浮かぶなら――つい楽しみになってしまう、やはり、それなら、世話好きの気が見える】
【世話好きというか、誰かに構ってやりたいのだ。それで、喜んで欲しい、笑って欲しい、――そんな、彼女の性質、】
【――誰かに必要とされていたい。少しだけ歪んだ、欲求。見上げた星空は、そんなの関係なく、綺麗で】

【(ちなみに、ぬいぐるみは彼女もベッドサイドに飾ったらしい。同居人には「珍しいわね」なんて言われたという、余談)】

/おつかれさまでしたー!
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/16(火) 15:14:33.14 ID:DPotRfjcO
>>23
これで待ちます
318 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/16(火) 19:32:53.72 ID:R3kpXCm0o
【路地裏】


「た、助けてくれぇ!!」


【男の悲痛な叫び声が響き渡った。20代ぐらいのその男は脚を切り裂かれて地面に這いつくばっていた】
【彼は三人に囲まれていた。戸惑った様子の浮浪者が二人に、歪な笑みを浮かべた30代半ばの男が一人】
【三人の中で30代の男だけが整った格好をしていた。黒い短髪に立派な赤い外套から彼は浮浪者でないと分かる】
【浮浪者の二人は互いにどうすればいいか分からず目を見合わせた】


『こ、こいつを殺せば金をくれるのか……?』

 あぁ、もちろんだとも。約束は守るさ


【浮浪者のうち片方が赤い外套の男に不安げに尋ねた。男は笑みを浮かべたまま答えた】
【もう一度浮浪者たちは目を見合わせ、覚悟を決めたようにそれぞれ持っていた槍の矛先を這いつくばる男へと向けた】
【男が恐怖のあまり上擦ったような声をあげた】


「な、なんでだ、なんで俺を殺すんだ!あんたたちに俺が何をした!」

 いーや、何も。だがお前のような能力者は俺の目的にとって邪魔でな。この世界のためにも消えてもらわねばならん


【切っ先が風を切る音。赤い外套の男は手に持っていた槍の矛先を這いつくばる男の首へと向ける。刃が二つ合わさった独特の矛先だ】


「た、た、頼む!助けてくれ!!」


【必死の形相で男は叫んだ。叫び声は壁に反響して大きな音となって響き渡った】
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2014/12/16(火) 20:20:22.34 ID:6uFG+1FZo
>>318

────…前方、進行中の事象に遭遇。要素分析を開始…。

【ずん、ずん、ずん】
【反響する叫び声を追うように、小さく、しかし腹の底に響くような重低音が聞こえた】

【ずん、ずぅん、ずぅん、ずぅん】
【その音は徐々に、しかし確実に大きくなっていく】


…要素『負傷』を検知、要素『暴行』を検知、要素『多対一』を検知。
事象分類『傷害事件』と断定。安全指数:皆無……。

【ずぅぅん、ずぅぅん、ずぅぅん】
【やがて、ぬう、と姿を現した影。更に大きくなる音に比例し、それは止まることなく巨大化して────】


…干渉シークエンス、「説得」開始。
コミュニケーション機関『DA-VELI』起動、セカンダリスフィアとの接続連携開始──。

【ずぅぅぅん!】
【地響きと共に彼らの目の前に現れたのは、天を突いたと見紛うほどの大男だった】
【身長は2mをゆうに超え、がっちりとした身体をくまなく黒い装甲で覆っている】
【何より目に付くのはその腕。身長の半分以上はあろうその腕は、常人とは比較にならないほどに無骨で、巨大だ】

【古風な兜を被った頭を動かし、這いつくばる男を、浮浪者を、そして赤い外套の男を一瞥し───】


───こんばんは皆サン。今宵も良い夜でスネ。
そちらの方は怪我をされているようでスガ、お手をお貸ししましょウカ?


【…うん、まあ、なんというか。大分場違いな挨拶をなされました】
【大男はその無骨な腕を伸ばし、倒れた男に手を、いや指を差しのべようとしているようだ】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/16(火) 20:31:10.42 ID:R3kpXCm0o
>>319

『なんだぁ……?』


【突如として発生した地響き。少しずつ強くなっていくそれに浮浪者二人は慌ててきょろきょろし始めた】
【這いつくばっている男もまた周囲を見渡す。助けなのかどうかを見極めるために、そしてこの状況を脱する隙を見つけるために】
【彼らに反して赤い外套の男だけは冷静だった】


 地震じゃあないな……何かでかいものがこっちに来てるらしい。何だろうな?


【ニタリ、と楽しげに口元を歪める。予想だにしない出来事というのはいつ出くわしても面白いものだ】
【周囲に気を配りながらも矛先は全くブレない。そのせいで這いつくばっている男は逃げられずにいた】
【徐々に、そして確実に近づいてくる地響き──その正体が判明した】

【浮浪者の二人、危険状態にある男、そして赤い外套の男。全員がそれを見上げた】
【浮浪者は恐怖に目を見開いている。二人の手から槍が滑り落ちて地面に落下、金属質な音をたてた】
【這いつくばっている男も見上げたまま固まっていた。とても助けには見えなかったのだ】

【ところが──】

「……へ?」

『は?』

 うん……?

【場違いな挨拶に三者三様の声をあげた。共通しているのは全員が呆然としていることだった】
【手だか指だかを差し出されている男もぽかんとした表情でそれを見ているだけだ。何が起きたのか分かっていない】
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2014/12/16(火) 20:53:09.90 ID:6uFG+1FZo
>>320

【差し伸べた状態のまま、大男は動こうとしない。沈黙が、痛い】

【誰も動こうとしないのを不思議に思ったか、やがて大男が声を発した】


…オヤ?どうされまシタ?もしや、足以外にも怪我ヲ?

【そう言うと倒れている男の襟首を摘んで──文字通り、ひょいと摘み上げた】
【そのまま両手で男性を姫君のように抱えると、しげしげと男性を眺める】


……精密スキャン終了。
変ですネェ…足の切創と、ごく軽い打ち身程度のはずでスガ。
ともかく出血が酷イ。急ぎ、応急処置をしなくテハ。

【ちょット失礼、と断って片手で男を器用に保持すると、空いた片手でどこからか救急箱を取り出し】
【これまた器用に片手で止血処置を始めるのだった】

【このまま邪魔が入らなければ、何事もなく止血されるだろう】
【そして同時に、この中の誰かは気づくかもしれない。古臭い兜は手元を見ておらず、残った加害者側の3人を注視していることに】
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/16(火) 21:06:09.73 ID:R3kpXCm0o
>>321

【相変わらず三人、もとい四人は呆然としたままだ】
【治療が始まっても横槍が入ることもなく、治療されてる男もおとなしくしている】
【とはいえこのままでは金を手に入れる機会を失ってしまう浮浪者たちは指示を仰いだ】

『ど、どうすりゃいいんだ?』

 ……そうだな、とりあえず槍を拾え

【指示された通りに浮浪者の二人は槍を拾い上げた。扱いなれないもののせいで、持ち方が雑だ】
【赤い外套の男は浮浪者二人を少し下がらせて、大男に一歩歩み出た】


 で?どういう用事だお前は?
 見た目と喋りがえらく奇怪だが何者だ?そいつを助けるってことは正義の使者で俺の敵ということでいいか?


【槍を肩に担ぎ質問を連続で投げかける。黒い瞳は大男のあちこちを見るために細かく動く】
【……黒い装甲で覆われている以上のことはわからなかったが】
323 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2014/12/16(火) 21:27:24.70 ID:6uFG+1FZo
>>322

【浮浪者二人が槍を拾うのを確認しつつ、それでも手元はてきぱきと動く】

…さて、これで大丈夫なはずデス。立てまスカ?
歩けるなら行かれても結構でスガ、よろしければ今しばらくお待チヲ。

【そっと男を降ろし、立たせてみる】
【大男が待たせようとした意図は不明だが、行くも待つも男次第だ】


安全指数の微増を確認…ハイ?ワタクシでスカ?
いえいえ、ワタクシは正義の使者デモ、誰の敵でもございまセン。
ワタクシは一介の─────────

【ガシャガシャと装甲を鳴らしつつ、ゆっくりと腕を動かす】
【見た目の印象とは違い、装甲の可動範囲は存外に広いようだ。自身の頭上へと高く高く、腕を掲げた】

【そしてその腕を────】



─────「コーヒーメーカー」にございマス、ハイ。

【───ゆっくりと下げ、うやうやしくお辞儀した】


そのような武器なぞ持タズ、代わりに美味しいコーヒーを一杯。皆様でいかがデス?

【…まあ、なんだ。なんだこれ】
【とりあえず、争う気は無いらしい】
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/16(火) 21:44:52.56 ID:R3kpXCm0o
>>323

【立たせられて、何度か足で踏みしめて感触を確かめていた。調子は良さそうだ】
【待て、と言われて動きを止めるが、警戒したように浮浪者や外套の男の様子を窺っている】

【判明した相手の正体──二度目だが──に四人はまた唖然とした】
【浮浪者の二人は今度は槍を落とさなかったが、代わりにか、口が開いている】
【赤い外套の男もそこまで間抜けな顔はしなかったが、困惑がありありと表れていた】


 ……このへんが悪いのか?


【ちょっと同情も入ったような声が漏れる】
【槍を逆手に持ち替え石突きで大男の兜を横からぶっ叩く。壊れたテレビを叩くノリで】
325 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2014/12/16(火) 22:07:44.65 ID:6uFG+1FZo
>>324

【抵抗する様子を見せず、されるがままにぶっ叩かれる。ドゴッ、と鈍い音がした】
【衝撃に流されるまま、兜が傾げ……一拍置いた後、ガキン、と元の位置へと戻る】


───…プライマリユニットへの衝撃を確認。安全指数低下を検知。
セーフシークエンス、「準備運動」開始…。

【大男が独り言のように声を発する】
【先ほどと同じ声のはずなのに、何故だろうか、何かが違うように思える】

警告。
アナタ様の行動は安全指数を低下させるものでアリ、推奨されまセン。
これ以上の妨害および攻撃は"ミスター・コーヒーメーカー"の…

【───以下。自衛機能が発動する恐れがあります皆様への美味しいコーヒー提供にご協力くださいなお発動した場合生命の保証は云々、と続く】
【この長い長い口上と同時に、大男の身体からはごぅんごぅんと重低音が発せられ始める】

【もし、誰かがもう一撃でも与えたなら。何が起こるかは分からない】
326 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/16(火) 22:16:27.77 ID:R3kpXCm0o
>>325

【槍を一回転させてまた肩に担ぐ。何やら相手の様子がおかしい】
【四人ともやはり困惑した顔のままだ。コーヒーメーカーなのか何なのか分からない】

『ど、どうする?』

 ……治されたしな、改めて襲うとこいつがうるさそうだ。違う獲物を探しに行くのがいいだろう

【赤い外套の男が路地裏の奥へと進んでいくと、浮浪者の二人組は遅れてついていく。そのまま三人は消えていった】

「な、何だか知らないが助かった!恩にきるよ!!」

【立ち上がった20代の青年は深く頭をさげると、こちらも足早に表通りの方へと走り去っていった】


//お疲れ様でしたー
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2014/12/16(火) 22:36:18.78 ID:6uFG+1FZo
>>326

【しばらくごぅんごぅんと音を立てて立ち尽くしていたが、ふいにその音が止まった】


…事象の解決を確認。安全指数通常。
実行中のシークエンスを中断。

モニターフィードバック:なし。
『DA-VELI』停止。セカンダリスフィア、待機モード。
稼動テスト再開。移動を開始……

【ずぅん、ずん、ずん、ずん、】
【大男は現れた時と同様に足音を響かせながら、何処かへと去っていった…】


/ お疲れ様でした。
328 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 00:25:04.51 ID:zJs0a47b0

【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】










【木々の間から月の光が差し込む森の中】
【普段ならば静寂に包まれているであろう時間だが――――今宵は何者かが歩く音が響いて】
【その方へと視線を向けたならば、所謂修道着と呼ばれる其れを纏った女が目に映るか】


「…………暇、って訳でも無いけど……うん。まぁ――――何事も無いなら其れが一番良いかな」

【目的も無く、ただの散歩であろうか。その足の先は何処かへ向けられる訳でも無く】
【もう暫し適当に歩き回れば、やがては丁度良い切り株の前と移動して】
【小さな吐息一つと共に座ったならば見上げるのは月、か】
【冬至に向かう今日この頃。幸いにも今夜は雪が降ってはいなくて――――寒いけれど、銀色に染められた世界は幻想的で】


「ボクとしても忙しいのはあんまり好きじゃないからね
――――どうせなら、このまま数日はお仕事無ければ良いんだけど…………?」

【獣も野鳥も眠り、風だって吹かないのだからその呟きも存外遠くまで聞こえるもの】
【もし、その声を頼りに誰かが近寄って来たならば――――小首を傾げながら、そちらへと視線を向ける事だろう】
【腰には銀色の双銃が提げられているけれど、其れに触れる事は無く】
【ともなれば、敵意は無いと感じ取れるが…………?】
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 00:41:52.83 ID:ORKT9D/Mo
>>328

【舞台は、森。切り株に腰掛ける彼女の元へ、幾つかの事柄が届くのが始まりだった】
【ガサッ、という草をかき分ける音。そこに加えて、2つの荒い息遣いと】
【そしていわゆる妖気――微弱だが、聖職に就くものなら敏感に察知できるだろうソレが近付いてきて】

…――っ、あ……っ!あのっ、"助けて"貰えませんか……!?
この人が少し離れた場所で倒れてて……その、すごい怪我でっ……!

【姿を見せるのは、子供。ハンチング帽が特徴的な、深緑のコートを着た少年だった】
【背は140cm程度。そして言葉が示すように、彼はその小柄な身体でもう一人に肩を貸している状態で】

【そのもう一人というのが、薄汚れた白衣に新鮮な血を滲ませる女性――少女との中間、と云うくらいの人物だった】
【髪の色は何とも珍しく、スカイブルー。或いは修道女には、見覚えがあるかもしれない相手であり】
【その袖口には"No.100"という刺繍があった。血の臭いに紛れて、焦げたような臭いも漂っていた】
330 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 01:02:12.76 ID:zJs0a47b0
>>329
【其れを感じ取っても身構える事が無かったのは余裕の表れ――――では、無く。その少年が害意を持っている様に見えなかったから】
【ならば好きにさせてやろうと再び月を見上げようとするのだけれど、どうにも自分に用がある様だと知れば今一度視線を向けて】
【…………なる程。確かに自分の様なモノにはピッタリの状況。ふぅん、と呟いたならば二人を交互に見遣って】


「――――勿論、助けてあげても良いんだけど…………少し、聞いても良いかな?」

【例えば少年が肩を貸す相手が今まで見た事の無い相手だとか、或いは知り合いだったならば話はまた変わったのだろうけれど】
【記憶が正しければ、その女性はカノッサで百の数字を持つ者。ケミッシュ――――で間違いは無い筈が】
【かといって油断させて不意打ちをしてくる様にも見えないのだから奇妙な光景】

【先ずは、と。二人に近づいたならば、女性を担ぎ上げて自身の座っていた切株へと横たわらせでもするだろうか】
【外見から判断するに、酷い怪我である事に間違いは無い。ただ――――理由も問わず、経緯も知らず。無償で敵を救う程この女も聖人で無いのは確かな事】


「よっぽど変な呪術を掛けられていたり、それこそ本当に後数秒で死んじゃったりする以外なら助けてあげられるよ
でも…………キミが助けたがってる相手とは、色々と遺恨があったり無かったりするんだよね。まあ、詳しく話すと時間が掛かるから省いちゃうけどさ

―――キミが見つけた時には既にこんな状態だったのかどうか。後、助けた所でもしかしたら襲ってくるかもしれないけど……キミは其れで構わないのかどうか、かな」

【対象を一人に絞るとしたならば、女の治癒の術は中々に高位。完全に治癒、とまでは行かずとも状態が良くなる事は確か】
【果たして敵である彼女を救った所で、其れは何になるのか。カノッサに忠誠を誓っている彼女ならば、回復したと同時に戦闘になる事も危惧しているのだろう】
【然れど、見殺しにしたくは無い自分が居るのも事実であり――――だから、少年に問うた。もしかすれば戦いになる可能性も無きにしも非ず。それでも良いのだろうか、と】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 01:22:53.62 ID:ORKT9D/Mo
>>330

【担いでいた女性――カノッサ機関、ナンバーズの末席であるケミッシュが離れると】
【少年は心配そうに彼女を見て、それから修道女の方を何度か見やる】
【その瞳は空色で、純真無垢を体現するようなモノ。――妖気は彼から、というのも添えておくとして】

は、はいっ……ボクが偶然通りかかった時には、もう傷だらけで倒れてて……
周りには誰も居なかったし、放っておいたら、その……死んじゃいそうで……、…?

【大分利発そうな答え。そして目線をケミッシュに移すと、やはり傷は酷いものであり】
【大きくは背中から脇腹に掛けての切創が、そしてところどころには火傷もあって】

【傷口を見れば、刃とは違う荒々しい痕跡。宛ら"龍"に襲われたかのような負傷であった】
【息は荒く、浅い。放っておけば死ぬというのもその通りの見立てであろうか】
【うめき声をあげる程度の生命力はまだあったが、修道女と少年を認識しているとは思いがたく】

……ぁ、あのっ…!僕は大丈夫なので、助けてあげて下さい……!
必要ならお礼も……、…ダメ、ですか……?

【襲われるかもしれない、という可能性を提示されても少年は首を縦に振った】
【事情は通りがかり。にしては随分と――という感じだが、年少特有の優しさとも思えたし】
【――ともかく、深い詮索より先に治療するかどうか、か。或いは拘束してしまって、という選択肢もあった】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 01:41:29.34 ID:zJs0a47b0
>>331
【――――ふう、と小さな溜息。少年の願いを断る事も出来ない。更には、放っておけばこのまま事切れるのも容易に知れる】
【修道女が“聖”を纏ったならば、その背には大きな翼が生えて】
【尚も高まる魔力。治癒の前準備、と言った所か】


「全く…………甘いんだから。なんて、ボクも人の事を言えないか
分かったよ。助けてあげるから安心してくれて良いし、お礼は…………特に必要も無いや
強いて言うなら暴れた時に抑えていて欲しい位かな」

【何はともあれ。状況が悪化して治癒が不可能となる前に済ませてしまおう、と】
【纏っていた聖が掌に集中したならば、其れを体幹へと押し当てるのだろう。体温が上がるような感覚こそあっても、痛みだとかは伴わず】
【その感覚に対し、特に抗う事も無ければ傷も徐々に塞がるだろうし、焼かれた皮膚に関しては新たな皮膚が張られる事となろう】
【時間にして長くても数分だ。人によっては完治、人によっては浅い傷を残す程度。結果は女性次第、か】


「それにしても突然櫻の妖怪と同じ様な気配を感じたと思ったら、敵を助ける事になるんだから色々と奇妙だけど
獣にでも襲われたか、それともダグラスと何か関係してるんだか…………
や、お嬢さん。そろそろお目覚め?」

【小さな妖気を漂わせる少年に対しては“妖怪”とだけ告げるも、細かな分類までは把握出来ず】
【――――たかが夜盗に負けるような彼女では無いだろうし、獣に此処までされる訳でもあるまい。ならば、考え得る限りでは…………】
【治癒が順調に進んだならば、昏睡する事も無く意識も回復するだろうか。もし目が覚めれば悪戯っぽい笑みを浮かべる修道女と――――一人の少年が居る筈で】
【先ずは様子でも伺うのだろう。得物を手にする訳でも無く、小首を傾げたならば「ご機嫌如何?」なんて告げて】
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 01:56:25.03 ID:ORKT9D/Mo
>>332

【願いが聞き届けられ、その背に天使のような翼が生えるのを見れば】
【少年の瞳は驚きに見開かれ、しかしその神聖さに安心感も覚えて】
【こくり、と頷く間も言葉も無い。見入って、言葉を上げるのを忘れているかのようで】

【――約数分後。傷の治癒は比較的早く、呼吸は徐々に正常へと近付いて】
【瞳が開くと、目が合うのは修道女。背後に見える少年は少し小さく見え――】

『貴女、は……っ、グリース・イムリンパルス……ッ!
 なぜ"此処"にッ…――なっ、ぁ……無い…?博士に頂いた"ミョルニル"が……?』

【暴れる、ということはなかった。相手が誰かと認識すれば、すぐに腰に手を伸ばすが】
【見る限り、元より武装は無かった。それに気付いてから相手を睨むも、身体に残る痛みからか】
【積極的に攻勢に出ようとはしない。なまじ馬鹿ではない分、勝敗位は分かっているのだろう】

『っ……其処を退いて頂きたいのです、グリース・イムリンパルス……。
 私はダグラス様に……いえ、機関に戻らなければならないのですから。
 ……拘束しても無駄でありますよ。私は情報など持っては、……ッ!』

【主張はその程度――まあ、機関に対する忠誠はひとしおという具合なコメントだったが】
【ダグラス、というのを一言口にしてから、何か言いよどむようにして言葉を変えた】
【フラリとしながら立ち上がろうとする姿は、武器が無いこともあって酷く隙だらけに見えて】
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 02:19:12.30 ID:zJs0a47b0
>>333
「あのねぇ、何故此処に――はボクの台詞なんだけど。適当に休んでたら其処の子が傷だらけのキミを治して欲しいなんて言うんだからビックリするよ
そうそう……キミの武器に関してはボクは知らないよ。ただ治して欲しいと言われたから治しただけだしさ」

【大体は予想出来ていたこと。肩を竦めたならば、治癒以外に特に何もしては居ないとだけ】
【直ぐさま攻撃態勢に移らない分“やりやすい”。そして、抑えやすい】
【立ち上がろうものならば頭を上から押さえつける様にして其れを行わせず】

【――――攻撃の素振りを見せないならば、無駄に傷付ける事も無い】
【そして。やはりダグラス、との言葉を聞いたならば眉がピクリと動いて】


「ふふ、文字通り命の恩人なのに冷たいなぁ……退けと言われて退く程お人好しじゃ無い事はキミも知ってるんじゃ無い?
戦うにしても、二人だけなら幾らでも付き合ってあげるけどね――――今は、他の子も居るからそんな事をさせる訳にもいかないし
何よりそんな状態じゃどんな結果になるか何て、キミが一番理解してるんじゃないかな

別に情報を持って居るかどうかはボクが判断するよ
何でキミが満身創痍で倒れてたのか教えてくれるだけの見返りはあっても良いと思うんだけどな?
そうすれば……ボクは別に何もしないで此処から立ち去ってあげても良いし、縛り上げて自警団とかにも突き出さないであげるよ
ま、ボクの方でキミの話が嘘だと思った時は――――その口も閉じさせちゃうけどさ」

【助けた見返りとして要求したのは、彼女がそれ程までの怪我を負った状況について】
【無論素直に話すとも考えにくい――――だから、伝えるべき事だけ伝えれば拘束して何処かに引き渡す事もしない、と】
【詰まる所、機関へと戻れなくなる可能性も示唆して揺さぶりをかけようとでもするのだろう】
【アーグと言い、ダグラスと言い……今回の件も。何と無く臭うのだから、そのまま帰す訳にも行くまい】
【――――キミに選ばせるよ。なんて言葉は紡ぐけれど、殆ど強制の様なものか】
335 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 02:42:15.26 ID:ORKT9D/Mo
>>334

【頭を押さえられれば、振り払って飛び退くほどの体力もない以上】
【憎々しげに睨みはしても、改めて腰を下ろさざるを得ない。それから視線を周囲に向けて】
【少ししてからハッとしたような顔をしながら、沈黙。――グリースの言葉を天秤にかけるかのようで】

『……此処は、ドラクレア島ではないのですね。良いでしょう、状況は理解しているのであります
 私は対能力者ではそう強くはない……博士の設計は、そういった方針でしたので。

 …――私は、ダグラス様の護衛という形で共にドラクレア島に居りました
 もっともご本人は"鎧"の力で護衛など必要なく、私自身も"Aのお姉様"の一件で疲弊していたので
 あくまでも形式的な物だったのですが……――――。』

【やがて諦めたのか、ため息を吐いて話し始めるのは例によって"ドラクレア島"についてだった】
【ダグラスの護衛として島に居た。そして、傷心のままほぼ無為に日を過ごしていたある日】

【ダグラスと共に、其処で"パーティー"を開くという一人物から攻撃を受けた。】
【葬儀屋のような格好をした人物で、名はトーデス・バレット。六罪王の盟友、という相手の立場がある以上】
【露骨な反撃もできず、気付けば倒され、そして森に倒れ伏していた――と言う事だった】

【随分と簡素だが――やられた側からすれば、情報量などそういうものだろう】
【何か不興を買ったのか、或いは不要と判断されてダグラスが処分を頼んだのかもしれない】
【しかし、続けて語る内容は少々――興味深い、かも知れず】

『島には……龍が居りました。雷を使う、空一面を覆い尽くすような龍であります。
 ……私の分裂の能力は、島では専ら、その龍の"餌の補充"に使われておりました
 
 私は兵器です。ですから、ダグラス様の命でそういったことをするのに抵抗はありません
 ですが……戦うのでもなく消えてゆく自分を見るのは、気分が良いものではないのです。
 ……あのアーグという方も、私は好みません。時折島に訪れては、"私"を部屋へ呼ぶのです
 そのまま帰ってこなかったのは、一人や二人では有りませんから。……対価は、まだ足りないでしょうか?』
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 03:11:02.43 ID:zJs0a47b0
>>335
「ドラクレア、ねえ。ゼン=カイマでの面倒事が終わったと思えば次は其処、か
――――ダグラスにも新しいお友達が居るみたいだし、意気揚々と行けるような場所でも無いみたいだけど」

【やはり彼が関係しているのは間違い無かったが、他の者も関与しているのは予想外だったか】
【なる程、とだけ呟くけれど話を聞いている中では自分なりに事態を考えて居るのだろう】
【自己の複製となれば便利な捨て駒として扱えるのは間違い無い。だが、本体を此処まで痛めつける――――となれば、如何なものか】

【更には仮にも護衛だ。粗相だけで死に至るような怪我を負わせるとも少し考え難く】
【――――カノッサのナンバー100を処分する、とも考え難い話。だけれど、彼は一般の其れとは考えが異なって居るのだから】
【続く言葉は聞いていて気持ちよい話、とも異なり】


「ふうん。キミは龍の餌として使われて、アーグには何をされてるのかも分からないし
――――いや、大体の事は理解出来たから良いよ。それ以上無理に絞り出せと言った所であまり良い話も出ないだろうし

ま、約束通り拘束もしないしそのまま自分の脚で好きな所に行ってくれて構わない……けど
本当にキミは其れで良いのかどうかだけは聞いておきたいな
戻った所で次は本当に殺されるかもしれないし、そうじゃ無きゃ永遠と自分を作りだしては龍の腹を満たすためだけの価値やアーグを満足させるなりの価値にしか使われないかもしれない
資料を見た限り、キミが機関に忠誠を誓っているのは分かる。だけどキミ自身は其れで良いのか、ってね
幾ら複製であろうが分裂であろうがキミは都合のように何度も殺されてるんだ。今回なんて君自身が殺され掛けた訳だしさ
考えてもみれば君達お騒がせ姉妹の中でまだカノッサに属してるのは――――いや、これはいいや
何であれボクは説教が苦手だし、約束は約束だから止める事もしないけど。龍の餌として助けたつもりは無いし、アーグの暇潰しとして助けた訳でも無い。ボクはケミッシュを助けたんだ
…………兵器だからとか今まで何度も死んでるから今更死ぬのは怖くない、なんて言って無駄死にしたら怒るよ?兵器だろうが何だろうがそれ以前にキミは人なんだから」

【彼女自身が言うならば龍の存在は本当なのだろう。ただ、幾ら増殖出来るとは言え其れを餌に差し出すなんて聞いていて気分も悪くなる】
【ただ、約束は約束であり彼女を拘束して止めるまでの義理は無い――――が。、彼女自身は本当に其れで良いのか、と】
【或いはコレは愚問だったのかもしれない。機関に忠誠を誓う者に対しての問いとしては、的外れ】

【それでも聞かずには居られないのだろう。本当にそんな扱いで良いのだろうか――ただただ死ぬ為だけで良いのか】
【彼女が良いと言うのならば口出しする事でも無い。元より敵同士、救う必要も無い】
【ただ、もしも其れが嫌だと言うのならば――――……抑えていた頭も離したのだから、今ならば言葉を返さず去る事だって可能ではあるのだけれど】
337 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 03:29:55.99 ID:ORKT9D/Mo
>>336

『……ドラクレア島は要塞であります。ダグラス様と肩を並べる方が、数名は居るはず
 アーグ様はその一人で……、…――。……話さずとも良いのなら、これで……。』

【話自体は酷く単純。理由と、何より根拠地であるらしいドラクレア島が鍵であり、謎の中心なのだ】
【もういいよ、と言われればそれで口を噤む。ようやく全身に治癒が行き届き、立ち上がるのも問題は無く】
【まだ押せば倒れそうな具合ではあったが、切り株を支えにして身体を起こす】

『私は……私は、兵器であります。機関に使い捨てられるのも、道の一つ。
 ……ですが、博士が想定したものと現状が違うことは、私が一番理解しているつもりであります

 ……しばらく。しばらく、私は休暇を頂くのであります。
 自分の頭で考えるというのは苦手でありますが……時間は、有りますので。
 ……お礼は、いずれ必ず。不要とおっしゃっても、させて頂きます
 そう教えられておりますから…――ダグラス様には、内密にお願い致します。』

【返すのは言い訳のような言葉の数々。伏し目がちになりながら、吐き出すように言い切ると】
【身体を揺らしながらも、自らの足で歩いていって、そして草陰に消えた】

【あとに残るのは――話を聞いてはいたものの、どうも容量を得ない、という状態の少年くらいだった】
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 03:49:52.96 ID:zJs0a47b0
>>337
「数名だろうが数十名だろうが、ボクには関係の無い話さ。例え何人であろうとする事に変わりは無いんだから、ね
キミには悪いけど、ダグラスもアーグも“消す”だけ。障害が多くても、目的は変わらないさ

――――ん。そうすると良いさ。キミの出した答え次第では何か手伝ってあげるよ
折角生まれたんだ、使い捨てられて終わり……なんて生き方は寂しいからね
ま、敵であるキミにこう言うのも何だけど。気をつけなよ、ケミッシュ。また怪我をしたり風邪をひかない様にね
ダグラスには文句の一つを言おうにも会う機会があまり無いだろうから安心しなよ。それじゃ――――また、機会があったら」

【――――機会があったら、“自分で出した”答えでも聞かせて欲しいとだけ告げて】
【目的も違うし所属する場所も異なる。ただ、戦う為に作られた、と言うのはある意味では似通っているのか】
【例え彼女が作られた意味が其れとは異なって居ても、他人事にも思えないから。だから、敵としてでは無く、一人の人間相手に「さようなら」と】
【其処にある感情は哀れみ等とも異なる。放って置く事が出来ない様な、そんな感情。救う事が出来るならば救いたいけれど】

【去る姿を特に追うこともせず、その場で見送って】
【どんな答えを出すのかは分からないけれど――――何時か出されるであろう答えが彼女自身の意思によるものならば良いな。なんて事を一人で考えて】



「…………いやあ、ごめんごめん。ちょっと話し込んで蔑ろにしちゃったね
まあ、難しい話も終わったからさ。キミはこれからどうするのかな?
迷子、って訳でも無さそうだけど」

【――――だけれど、何時までも考えて居る訳にもいくまい。答えは彼女自身が見つけるべきものだ】
【少年へと視線を送ればクスリ、と笑んで。取り敢えず望みは叶えた。次はどうするか――――なんて】
339 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 04:05:22.50 ID:ORKT9D/Mo
>>338

【グリースが振り返って微笑めば、少し驚いたような――ドキリ、としたような】
【そういう様子でぴくりと身を動かして、おもむろにハンチング帽を両手で取る】
【あらわになるのは白銀の髪と、犬のような耳。ぴょこ、と動くのを見れば妖気の理由も納得行くはずで】

あ、は……はい。いえ、別に蔑ろだなんて……
……その、あの人を助けてくれて、ありがとうございました。
大祖母様から、困ってる人がいたら手を貸すようにって言われてて……。

……ぁ、えと、ボクの名前……虎千代って言います。

【小さな身体で頭を下げる。そうしてから、ちょっとした事情を話し出した】
【内容は、要するに自分も散歩中だったという事であり】
【帰りたい、と答える物の――変に場所を動いてしまったからか】
【『此処って森のどの辺りでしょう……?』と、続けて尋ねかけるのだった】

/時間も遅いですし、この後場所を教えて貰って別れた、という具合で如何でしょう?
/お話を、なんて事も可能ですので、そこの選択はお任せ致しますねっ
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/18(木) 04:21:50.09 ID:zJs0a47b0
>>339
【純粋な人間で無い事は分かっていたけれど――――特徴的な耳を見れば改めてへぇ、なんて】

「犬……?いや、狼の系統なのかな…………
嗚呼、それは良い事だけど……キチンと相手を見ないと大変な事になる時もあるから気を付けなよ?
まっ、今回はボクとしても色々と聞けたから儲けものだけどさ――――うん。これからどうするかも、ね」

【誰しもが助けて貰ったからと行って好意を示す訳では無いのだから、と続けて】
【さて、話を聞けば森のどの辺りかを知りたがっているのだから「丁度真ん中辺り」とだけ答え】
【暫しの間悩んだ様子。手を差し出せば、手を繋ごうとする其れに等しく】


「どうせボクも暇だし、良かったらもっと分かり易い所まで送っていくよ
生憎キミの家まで――――は行けないけどね。そんな遠くも無いし、間違った道を行くよりも良いと思うんだけど……どうかな?」

【森の出入り口付近まで連れて行く、との申し出。自分も此処に長居する必要は無いのだから、どうせならば送っていこうと】
【――――その手を繋げば、後はゆっくりと歩みを進める事となろう。自分の名前を告げたり、まあ他愛の無い話をしたり】
【無事に辿り着けばアッチには街が在ってアッチはまた別な森へ行く、とだけ告げて】
【他に知りたい事があれば教え、やがては女も翼を羽ばたかせて空へと舞い上がる事だろう】

【帰路。彼女の話が本当ならば、ダグラスもアーグも早めに片を付けるのが良いだろうか。そんな事を考えるけれど】
【白い吐息として表された溜息は、様々な感情が入り乱れている事を表す一片であったか――――】

/っと、ではこんな感じて〆させて頂きたく!
/遅くまでお相手頂き有り難う御座いましたっ!また機会がありましたら是非お願い致しますですよ!
341 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 04:50:58.90 ID:ORKT9D/Mo
>>340

あっ、はい!狼です、櫻の国の妖狼で……まだ未熟、ですけど……。
……気を付けます。でも、今回はお姉さんのお陰で大丈夫でしたから…――。

【ありがとうございます、と感謝の言葉を返し、森の真ん中だと聞けば】
【本来は自然に生きる狼ゆえに場所の把握は得意らしい。地面を眺めて健闘を付けつつ】
【その答えが出るより先に伸ばされた手と、彼女からの申し出に明るく笑って】
【恐る恐る、その手を取った。幼い拳は、女性のそれと比べても幾らか小さく】

家までは、良いんです。これも大祖母様の言いつけで、若いうちに旅に出ろって。
だから今は安宿に泊まったり、色々と旅みたいな事をしてて……
お姉さんみたいな人が居るなら、今度は教会にも行ってみますねっ!

【――なんて、話し口から分かるように、嬉しげにしながら道中を行って】
【やがて別れる段となり、修道女の背に再び翼が発現するのを見ればやはり瞳を輝かせる】
【崇めるのではなく憧れるような視線だった。出来るだけ大きく手を降って、別れると】

【小柄な彼は手に残った暖かさを大事にポケットにしまいこんで、街の明かりへと歩いてゆくのだった】

/こちらこそ、遅くまで本当にありがとうございましたっ!
/それではまたっ!お疲れ様でした〜!
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(北海道) :2014/12/18(木) 20:05:56.45 ID:kbSZNJNU0
【深夜の路地裏】

「なぁ、俺に少し金くれねぇか?ま、断っても力づくでもらうんだけどよ」

不良のような風貌の三人の男と少女が対峙していた。少女の発言にお腹を抱えて笑う三人。

「ちっ、てめえら。笑ってんじゃねぇよ…」

パーカーのフードから覗く瞳が怒気を帯び 影の一部がザワザワと蠢き やがて成人男性の形を無し 三人に向けて駆け出す

「ぶっ潰す!今更謝っても許してもらえるだなんておもうんじゃねーぞ!」

それからすぐに路地裏に三発の殴打音が響き、三人の首があり得ない方向に首が曲がって絶命していた


「くくっ、ざまあみやがれ。さて、いくら持ってっかなー」

人型の影はズルズルと少女の影に沈んで行き 少女は三人に近付いて懐を漁っていく。

「ひぃ、ふぅ、みぃっと……、結構持ってんな。これでしばらくは遊べんな」

そして財布を拝借し 建物の壁に背中を預けると 三人の亡骸を傍らに 中を覗いて呑気に勘定を始めるのだった………。

343 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/18(木) 21:26:16.61 ID:kdT225E3o
【酒場】

【旧市街の街角にある古臭いパブのような店】
【カウンターは気をつけていないと客通しの肩が触れるぐらい狭い】

【テーブル席もあるが今日は賑わっていて全て埋まっていた。壁掛けのテレビではニュースが流れている】
【とある都市の銀行で起きた強盗事件の特集。居合わせた人間へのインタビュー、各地の事件との比較】
【最もメインに取り上げられているのが其処が色んな企業の脱税の為の隠し金庫になっていたというスクープだった】

『犯人は特殊な薬品で痕跡を消滅させたとのことでそう言った専門性の知識のある―――』

単なる、漂白剤だよ。スーパーマーケットで幾らでも買える…馬鹿かコイツ
そんな高度なもん、使ったほうが足がつくだろ。薬莢ひとつだって足がつく時代だ……

【知ったかぶりのコメンテーターのプロファイルにカウンターの客の男は毒づく。読んでいた新聞から顔を上げ、煙草に火をつける】
【黒いレンズのサングラスをかけた男は青いシャツに白いネクタイ、ダブルのライダースジャケットを着ていた。開けた襟の胸元にはシルバーのマリア】
【ボトルごと頼んだバーボンをショットグラスに注いでグッと飲み干す。折りたたんだ新聞にもその事件のことが書いてある】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/18(木) 22:51:31.78 ID:xoBJQy+20

【路地裏】

【突如響き渡ったのは少女の悲鳴】

「熱いよォォォォォォッ!! 痛いよォォォォォォォォッ!! 死にだぐないよォォォォォォォッ!! 」

あーあ、素直に誰から俺の事聞いたのか言っとけばこうはなんなかったのにねェ……

【その場にいる人物は二人。一人目は、炎を纏った烏に啄まれ泣き叫ぶ少女。せめて其処だけは啄まれまいと頭を抱えその場に座り込んでいる】

【そしてもう一人。蘇芳色のボサボサとした少し長めの髪に焦茶色の瞳、ボロボロになった灰色の着流しの青年。此方は片腕から血を流し、にへらと笑っている】

……もう一度聞くけどさァ、お前は誰から俺の事聞いたの? 

「し……知らないよォォ!! 私何もして……やぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!! 」

【必死の抵抗も虚しく頭を啄まれた少女が喉も裂けよといわんばかりに悲鳴をあげる。】
【青年はため息を吐くとその場から立ち去ろうとする。少女は慌てて青年を呼び止め、懇願する】
【曰わく、この烏を取り除いてほしいと】
【すると青年は振り返り、にこりと笑う。少女が、助かると思ったのかホッとした表情を浮かべた瞬間】

……なんで? 
【青年は瞳孔と口を開き狂ったような笑顔で答えた】

「う……うあァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

【路地裏に響くは絶望した少女の悲鳴】
【青年は冷ややかな目を少女に向けると再び立ち去ろうとする】



345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/18(木) 22:51:48.06 ID:xoBJQy+20

【路地裏】

【突如響き渡ったのは少女の悲鳴】

「熱いよォォォォォォッ!! 痛いよォォォォォォォォッ!! 死にだぐないよォォォォォォォッ!! 」

あーあ、素直に誰から俺の事聞いたのか言っとけばこうはなんなかったのにねェ……

【その場にいる人物は二人。一人目は、炎を纏った烏に啄まれ泣き叫ぶ少女。せめて其処だけは啄まれまいと頭を抱えその場に座り込んでいる】

【そしてもう一人。蘇芳色のボサボサとした少し長めの髪に焦茶色の瞳、ボロボロになった灰色の着流しの青年。此方は片腕から血を流し、にへらと笑っている】

……もう一度聞くけどさァ、お前は誰から俺の事聞いたの? 

「し……知らないよォォ!! 私何もして……やぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!! 」

【必死の抵抗も虚しく頭を啄まれた少女が喉も裂けよといわんばかりに悲鳴をあげる。】
【青年はため息を吐くとその場から立ち去ろうとする。少女は慌てて青年を呼び止め、懇願する】
【曰わく、この烏を取り除いてほしいと】
【すると青年は振り返り、にこりと笑う。少女が、助かると思ったのかホッとした表情を浮かべた瞬間】

……なんで? 
【青年は瞳孔と口を開き狂ったような笑顔で答えた】

「う……うあァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

【路地裏に響くは絶望した少女の悲鳴】
【青年は冷ややかな目を少女に向けると再び立ち去ろうとする】



346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/18(木) 22:51:57.35 ID:xoBJQy+20

【路地裏】

【突如響き渡ったのは少女の悲鳴】

「熱いよォォォォォォッ!! 痛いよォォォォォォォォッ!! 死にだぐないよォォォォォォォッ!! 」

あーあ、素直に誰から俺の事聞いたのか言っとけばこうはなんなかったのにねェ……

【その場にいる人物は二人。一人目は、炎を纏った烏に啄まれ泣き叫ぶ少女。せめて其処だけは啄まれまいと頭を抱えその場に座り込んでいる】

【そしてもう一人。蘇芳色のボサボサとした少し長めの髪に焦茶色の瞳、ボロボロになった灰色の着流しの青年。此方は片腕から血を流し、にへらと笑っている】

……もう一度聞くけどさァ、お前は誰から俺の事聞いたの? 

「し……知らないよォォ!! 私何もして……やぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!! 」

【必死の抵抗も虚しく頭を啄まれた少女が喉も裂けよといわんばかりに悲鳴をあげる。】
【青年はため息を吐くとその場から立ち去ろうとする。少女は慌てて青年を呼び止め、懇願する】
【曰わく、この烏を取り除いてほしいと】
【すると青年は振り返り、にこりと笑う。少女が、助かると思ったのかホッとした表情を浮かべた瞬間】

……なんで? 
【青年は瞳孔と口を開き狂ったような笑顔で答えた】

「う……うあァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

【路地裏に響くは絶望した少女の悲鳴】
【青年は冷ややかな目を少女に向けると再び立ち去ろうとする】



347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/18(木) 22:53:15.68 ID:xoBJQy+20

【路地裏】

【突如響き渡ったのは少女の悲鳴】

「熱いよォォォォォォッ!! 痛いよォォォォォォォォッ!! 死にだぐないよォォォォォォォッ!! 」

あーあ、素直に誰から俺の事聞いたのか言っとけばこうはなんなかったのにねェ……

【その場にいる人物は二人。一人目は、炎を纏った烏に啄まれ泣き叫ぶ少女。せめて其処だけは啄まれまいと頭を抱えその場に座り込んでいる】

【そしてもう一人。蘇芳色のボサボサとした少し長めの髪に焦茶色の瞳、ボロボロになった灰色の着流しの青年。此方は片腕から血を流し、にへらと笑っている】

……もう一度聞くけどさァ、お前は誰から俺の事聞いたの? 

「し……知らないよォォ!! 私何もして……やぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!! 」

【必死の抵抗も虚しく頭を啄まれた少女が喉も裂けよといわんばかりに悲鳴をあげる。】
【青年はため息を吐くとその場から立ち去ろうとする。少女は慌てて青年を呼び止め、懇願する】
【曰わく、この烏を取り除いてほしいと】
【すると青年は振り返り、にこりと笑う。少女が、助かると思ったのかホッとした表情を浮かべた瞬間】

……なんで? 
【青年は瞳孔と口を開き狂ったような笑顔で答えた】

「う……うあァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

【路地裏に響くは絶望した少女の悲鳴】
【青年は冷ややかな目を少女に向けると再び立ち去ろうとする】



348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/18(木) 23:44:52.68 ID:FYC1E4rno
>>347
カヒュー……カヒュー……ヒュー……

【少女の絶望の叫びに混じって、何かが聞こえてきた。息詰まるような、細い呼吸音】
【続いて、かしゃかしゃ、という不気味な足音。路地裏の闇の奥から、それらの音の発生源が現れた】

【それは、人間の上半身をさらに半分ほどにした大きさの肉塊だった】
【胸までほどしかない身体にボロ切れのような黒い布をしっかりと巻きつけ、口にはマスク型の人工呼吸器を装着している】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡。唯一、右顔面にのみほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が、尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【額には黒い瞳の巨大な一つ目。面積一杯を埋めている。本来の両目の位置には義眼。右が青、左が黒】
【怪物。化け物。異形。そう形容すべきだろう存在が、そこに現れた】


【異形の肉塊男は、その場を去ろうとする青年と、啄まれる少女、そして炎を纏う鳥】
【それらを単眼で順番に眺め、鳥のところで視線を止めた】

これが本当の焼き鳥、というやつか? ヒュハーッハハ……

【肉塊男の首筋の辺りから、何かが伸びた。肉で出来た触手。太く長いミミズのような形状のそれの先端には】
【丸い口が開いて、ずらりと並ぶ鋭い牙を覗かせていた。なみなみと湛えられた唾液が、空中に飛び散る】

【鳥が抵抗や回避をすることがなければ、触手は唾液を鳥に浴びせかけながら包み込むように】
【鳥に食らいつき、飲み下そうとするだろう。飲み込みの成否に関わらず、肉塊男は甲殻類の足を動かし】
【まずは少女を一瞥。単眼が細まるとすぐに視線は切られ、青年の方に向く】


どうにも小腹が空いていかん……そこのお前、すまないが私の夜食になってくれないかね?
今夜は、男の肉を食いたい気分なんだ……カヒュー……

【肉の触手を振りかざしながら、肉塊男はそういった。悪意と食欲を、その瞳に滲ませながら】

/まだいらっしゃいましたら、よろしければ
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/19(金) 00:36:19.82 ID:OODbDlsy0

>>348

【路地裏の奥から聞こえた異音に思わず足を止め其方を見やる青年。その焦茶色の双眸が異音の正体が明らかになるにつれて見開かれていく】

【彼は絵画の意味としての地獄絵図ならば何度か見ていたしそれより酷い現実のものも幾つかは見ていた。しかし、目の前の男の様はそれらよりもはるかに酷いものだった】
【目の前の男が自分達に順々に視線を向ける様に何の反応も出来ず、ただ相手を見る事しか出来ない青年】
【そうしているうちに男の首から現れた触手が炎に包まれた烏を丸呑みにする。実体があるとはいえども火の味しかしないだろう】

「え……あ……」
【少女は突如現れた男に烏を食べられ解放された事にも気付かずただ呆然と頭を押さえて座り込んでいたが、男の単眼に一瞥され今の状況に気が付いたのか慌てて立ち上がるとヨロヨロとその場から逃げ去ろうとする】

────!! 
はは……っ
【男の夜食になれという発言に呪縛が解けたかのように青年が我に返る】

あははははははははははははははははははははははッ!! 
【かと思えば片手で顔を覆い笑い出す青年】

……俺を喰う、ねェ
やれるもんならやってみろよ? 
【青年はニヤリと笑うと自分の片腕を伸ばし】

【その腕に何かを突き立てた】

【青年は腕からそれ──穂先が硬くなった筆を抜くと近くの壁に何かを描きはじめる】





/大分遅くなりましたが! 
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/19(金) 00:37:45.29 ID:Zxzayiy30
【某酒場。喧噪に包まれる其所の一角に、似付かわしくない姿が一つ】
【緑色のローブを纏ったその女は酒を飲むわけでも無く、台の上に本を幾らか積み重ねて居て】
【――――これまた“遺跡”だとかに関する専門書なのだから小難しい】
【然れど本人は苦もなく読み進めている様で】


「うーん……そっか…………大きな魔獣を封印した所だったんだ……
何時か行ってみたいけど、やっぱり一人だと危なそうだしまたクルちゃんとかを誘おうかな……」

【小さな呟きは誰に聞かせる訳でも無く、喧騒に消されて】
【さて、酒場の中では特に浮いた存在だ。周りの者は大半が仲間と飲みに来ているので気にしていない様だが――――】
【後から来た者は席を探そうと辺りを見渡せば先ず最初に目に付くだろうし、或いは一人で酒を飲んでいた者が良い獲物を見つけたとばかりに近寄る事も考えられる】
【何であれ、酒場とは治安が安定しているとも言い難く、近寄る者全員が善人とも考え難いが…………果たして】





【雪の積もった森の中。普段ならば静寂に包まれている此処も、今宵は何者かが雪を踏んで進む音が聞こえて】
【――――音の主は着物を纏い、一振りの刀を提げた少女】
【然れど、何処か妙な気配も漂わせて居り――――……櫻に通じる者であれば、其れの正体が所謂“妖気”である事も知れるか】


「……ふむ。妖が騒ぐわけでも無く珍しく静かな夜じゃな
この様な日々が続けば良いのじゃが――――そう、上手く行かぬのが世の常かの

……さて。流石に一晩歩き通しとなる前に適当な場所で休みを設けたい所じゃが」

【その身形でありながらも冷気に身を縮める訳でも無いのだから、やはり人間とは異なり】
【直ぐ側に在る大木を撫でれば――――一閃。即ち、抜刀】
【数秒の間を挟んだ後、森に響き渡るのは轟音】

【何事か、と様子を見に訪れたならば丁度少女が切株に腰を落ち着かせる所となるか】
【敵意は無い、けれど。漂う件の気配やら、立った今拵えた様に思える倒木やら。不審な点は幾つも存在していて】
351 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 00:57:13.71 ID:19OXi07Wo
>>349
【こちらを同じように見つめ続ける彼の視線を、肉塊男は感じ続けていた】
【己の異形を目の当たりにした者は、多くの場合悲鳴を上げるか立ち尽くす】
【しかし、青年の視線はそのいずれでもないらしい、と肉塊男は認識した】

ふむ……味は少々単調だが、歯ごたえがなかなかだな

【状況の理解が追いついたか、立ち上がる少女にはそれ以上見向きもせず】
【肉塊男の興味と悪意は、もはや青年にのみ注がれている】


【やがて青年が笑い始める。路地裏の壁に反響する、狂気を孕んだ哄笑】
【肉塊男は、先ほどとは立場を逆にしたかのようにじっとりとそんな青年を見つめている】

ヒューハ……ああ、遠慮なくそうさせてもらおう
まずは、その腕が欲しいな

(自分の身体に筆を……血で何かを描くつもりか?)
(何をするつもりかは知らんが、そう簡単にはやらせんぞ……)

【不敵に笑う青年に、肉塊男がそう返答する。同時に青年の行動を観察し続ける】
【自らの身体に筆を突き立て、壁にその穂先を躍らせるのを見て、肉塊男が動いた】

【先ほどと同じように、肉の触手が伸びる。首の反対側からさらに追加の一本が生えて、その動きに加わる】
【計二本の触手が、先ほどと同じように牙をむき出して青年に迫る。薄明りを牙が反射する】

【触手たちはそのまま、筆を握る青年の腕に二本がかりで食らいつこうとするだろう】
【軌道は単純、動きもそう早くはない。対処は可能のはずだ】

/お時間の許す限り、お願いします!
352 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/19(金) 01:00:43.27 ID:oyNDT0yU0
>>349>>351
/突然で申し訳ありませんが、私も混ぜては頂けないでしょうか?
353 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 01:04:01.33 ID:19OXi07Wo
>>352
/私の方は複数絡みでも大丈夫です。今お相手していただいている方がよろしければ、問題ないですー
354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/19(金) 01:20:51.31 ID:OODbDlsy0

>>351

【路地裏から逃げ去る少女、一体どこに行くのか、それは誰も知らぬといったところか】

……腕、ねェ
ははッ、俺の“腕”は高くつくよ? なんたってこんな絵師、そうそうお目にかかれないからさァ!! 
【ぐちり、と音を起てて抜かれた筆】
【その穂先は壁へと向かい、忽ち緋色の絵が壁というキャンバスに描かれはじめる】

……! 
【その最中に飛びかかる二本の触手。青年は空いている方の腕で触手を払いのけようとする】
【その間に出来上がったのは簡略化された犬の絵だ】

【するとどうだろう、犬の絵が壁から浮き上がり瞬く間に炎を纏った犬の実体へと変化したではないか】

【犬は青年の前に立ち男の行動を伺っている】

355 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 01:23:43.86 ID:19OXi07Wo
>>354
/上の方で複数絡みの要望を出されている方がおられますが、そちらの方は大丈夫でしょうか?
/この分のお返事があるまで、いったん待たせていただきます
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/19(金) 01:24:05.14 ID:OODbDlsy0
/>>352 >>353
スマホ故遅くなりがちで良ければこちらも大丈夫です
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/19(金) 01:25:34.26 ID:oyNDT0yU0
>>353>>356
/ありがとうございます、それでは入らせて頂きます
書いて来ますので少々お待ちくださいませ
358 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 01:37:53.91 ID:19OXi07Wo
>>356>>357
/了解です、それでは>>357さんの次のレスを待って、そこから返信にかからせていただきます
359 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/19(金) 01:47:29.83 ID:oyNDT0yU0
>>351>>354
【深淵の闇がもはや空を覆い尽くしている頃合い。真夜中、丑三つ時といった所か】
【表の路地の明かりも点々と点くのみで、昼間の人気はどこへやら、怪しげな雰囲気を醸し出す。】
【それが路地裏なら、なおさらのこと。現に今そこに、得体の知れぬ異形と、これまた奇怪な能力を行使する青年とが、張り詰めた空気の中、対峙していた。】
【しかしその静寂を破る存在が一人、その路地裏に現れた。銀色の鎧甲冑は、表路地の少ない橙の蛍光灯をよく反射する。真紅に染まったマントは、影に黒く塗り潰され、独特なシルエットを浮かび上がらせていた。】
【兜の隙間から、眼光と思しき赤い光が漏れ出る。その光は、対峙する両者を、睨むでもなく見据えていた。】

「この時刻に……これまた煩な警鈴を鳴らすか……」

【不機嫌そうな、低く嗄れた声が響く。ゆっくりとそちらに近付く度に、身体から鎧独特の金属音が鳴り響く。】

「ほう……其処の異形……風に聞いたことがある……よもや……」

【ガシャリ、ガシャリと音が鳴り、やがてその姿が明確になるだろう。そして彼は、手前の異形を指して、独り言のように呟いた】

「我が組織の「29」の星と見受ける」

【やがてその姿が、明滅を繰り返す蛍光灯に照らされる。銀色の鎧は緑色の光を反射し、そしてその真紅のマントの内側の模様は、かの組織を表す逆五芒の星が、冒涜的に、誇張するように刻まれていた。】
【彼と異形に面識は無いはずである。しかし異形が、その男を「3」の数字を持つ者だと知っていたならば、何らかの反応は帰って来るだろうか】

「……どうやら、余計な窮鼠と合間見えて居る様だが……」

【彼はふと、もう一人の男を見やって言う。男をわざわざ「窮鼠」と例えたのは、目の前の異形が、それだけの力を持っているという前提条件の元に、だろう】
【その戦闘を彼は、興味なさげに見つめている。おそらくこの戦いに介入するかどうかは、両者の反応にかかっているのだろう。】

/お待たせしました!
360 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 02:18:45.95 ID:19OXi07Wo
>>354
【少女が去れば、そこは闇の住人達の領域。路地裏にはむしろ日常と言うべき光景だ】

絵師か……なるほど、その筆はそのためのものかね
凄腕の絵師の腕とあらば、確かに値の張る代物だろう。普通なら、相応の対価を支払うところだが……
生憎と、私は盗賊でね。価値あるものを見ると、力ずくで奪い取りたくなる性質だ

【セリフの最中も、触手は動きをやめない。今にも、青年の腕に食らいつこうというところで】
【青年の冷静な対処がそれを許さなかった。振るわれた腕が、触手を空中で弾き落とす】

【触手が体勢を建て直し、再び襲い掛かろうとするがその前に、絵は完成していた】
【先の鳥と同じく、炎を纏って悠然と立つその姿。青年の異能の強力さを物語るかのように】
【闇を切り裂く炎の光と熱気を浴びながら、肉塊男が感嘆したように声を漏らす】


ほう……言うだけのことはあるじゃあないか。面白い異能を使うな
描いたものを実体化させて操る力か……なかなかに厄介だが、それを描くのに必要なインク≠ヘ無制限ではなさそうだな?

【こちらを伺う犬にも気を配りつつ、肉塊男は青年に語り掛ける】
【眼前に現れる異能を少しでも知るべく、言葉を以って情報を抉り出そうとする】
【路地裏の壁が高まり行く緊張感を映し出す、とそこへ。介入してくる存在がもう一つ】


>>359
――――!!!

【異形の単眼が、そちらへと向く。全身を包む甲冑は、この場の陰惨な空気の中に合って、なお威風堂々と】
【闇に浮かぶ銀と闇に溶ける赤を従え、眼光鋭く見据える姿。そして、赤の内側に閃く逆五芒星】

【その姿を持つものが、No.3を冠する者だとは異形は思い当らなかった。その番号を有する存在は聞いてはいたものの】
【対峙するのはこれが初めて。しかしながら、その身から放たれる尋常ならざる気配に、異形は咄嗟に己より上に当たる相手だと判断する】

……ご明察です。No.29カニバディールと申します。ご気分を害されたのであれば、謝罪致します。どうかご容赦を

――――ええ、なかなかに愉快な鼠を見つけましたのでね
あの異能……あまり見ないタイプのものです。ああいった力も持ち主を集めることは、私の任務の一つでありますれば
今しばし、騒がしくなることをお許しください

【先ほどまでの横柄な態度とは打って変わって、異形には似つかわしくない慇懃な口調】
【その言葉の端々から、この異形の素性の一部が青年にも伝わるだろうか。世界最悪の組織の一員。指名手配犯の盗賊】

【現れた同僚が戦いにすぐに加わるつもりがないと悟ると、異形は再び青年に向き直るだろう】


>>354
見ての通り、我らが機関の実力者のお出ましだ。あまり時間をかけるのも申し訳ない
早いところ、済ませようじゃあないか――――

【肉塊男が、蟹足を動かして青年へと接近する。相も変わらず、肉触手を振り回しながら】
【だが、今度はその触手の動きは囮であった。派手に動き回り、歯を打ち鳴らす触手の下で】
【垂れ下がっていた肉塊男の脊椎が動き出していた。脊椎を覆う赤肉が動き出し、固まって槍のような形状と化す】


【ある程度の接近に成功すれば、触手の動きに隠してその肉槍を、異形は青年の前に立つ犬に向けて突き出そうとするだろう】
【狙いは犬の頭部。まずは青年の守護者を倒し、そのまま一気に青年との距離を詰めるつもりらしい】

【青年と犬がどう動くか。自分に反撃してくるのか、はたまた自分の背後に立つ彼に、カノッサ機関の大盾相手に仕掛けるのか】
【異形の単眼が、それを見極めようと見開かれていた】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/19(金) 02:59:33.99 ID:OODbDlsy0


>>359 >>360

……へぇ、そりゃあまた悪趣味な事で……
【ニヤリと笑う青年の前には煌々と燃え盛る紅蓮を纏った犬。大きさはせいぜい中型犬といったところか】

……ははっ、お褒めに預かり光栄だ
まあいうなればそんな所だが詳しくは明かせねェなァ……
【と、飄々とした態度で返した刹那聞こえた声と金属音。青年は眉を顰め、何だ……? などと呟く】
【が、カニバーディルとの対話の中で「窮鼠」という言葉が出れば不快そうな表情を浮かべNo.3に一言】

……知ってるか其処の野郎! 
櫻の諺じゃあそういう“窮鼠”が天敵の猫を噛むんだよ! 
【と叫んでみせる】

【が、直後カニバーディルに話しかけられ慌てて其方に集中する】

【炎を纏う犬は接近するカニバーディルに飛びかかろうとする。しかし相手の策中にはまってしまったというべきなのだろう】
【どうぞ貫いてくださいといわんばかりに躍り出た炎を纏った犬は狙い通り頭部を貫かれ飛散する】
【それにより恐らく青年との差は一気に縮まる筈だ】


362 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/19(金) 03:10:49.77 ID:oyNDT0yU0
>>360
【異形から帰ってきた返答は、何とも慇懃そのもの。少々驚いたような様子を、一瞬だけ見せる】
【人は見た目によらぬ、という所か……いや、そもそも人なのか?それは二の次だ。ともかくその敬意が諂いか本心であるかは別として、敬意を払われたとあっては、こちらもそれに足り得る敬意を返すのが礼儀というもの】

「礼節ある自己紹介、感謝する。こちらは「No.3」ニーベルンゲン・シュバルツシルト。お初にお目にかかる」

【何処か騎士を思わせるような礼法で自己紹介を行う。かつての事情により、彼は身辺に関する礼儀作法はあらかた身についていた。】
【しかしその敬意も、単なる飾りに過ぎないと察し取れるだろうか。それは目の前の異形が目下であるから故ではなく、彼は普段からこの通りだった。】
【まるで敬意の篭っていない敬意。それは、彼がいかに世への信用を絶っているかを想起させるだろう。兜から覗く赤い輝きも、どこか虚ろに見える】
【彼は軽く下げていた頭を上げ、次に奥に居る男へと目を移した】

>>361
【彼は、男の行動を観察していた。異形と対峙するからには、それなりの力はあると見込んでの事だった。】
【男は筆を持っている。そしてその傍らに座する犬。そしてカニバディールの発言から察するに、それが能力であるかと理解する。確かにあまり見ないような、珍奇で、滑稽な能力だ】
【男は彼のふとした発言に敏感に反応し、啖呵を切る。しかしながらそれに対する返事はなく。だが男を見据える目は、わずかに光を増して】

(これだけの戦力を相手に挑むとは……ただの愚か者か、それとも……)

【次第に男に興味が湧いて来たのか、彼はその動きを見据える】
【残念だが男の戦闘センスはあまり無いらしいが、「図太さ」と言うべきなのか……自分たちになお立ち向かって来ようとするその神経そのものに、評価できる点を見出した】

「……窮鼠といえども心は獣か……なかなかの芯の強さだ。なるほど、殺すにはおしい人材だ……」

>>360
【彼は改めて異形を見やり、その背中へと一声をかける。】

「カニバディール、と言ったか……?好きに痛めつけてやるがいい。殺さぬ程度にな……」

【それだけ告げた後、彼は後ろに下がる。最後の「殺さぬ程度」という言葉には、それほどの拘束力がある風には取れなかった。】
【しかしそれをわざわざ付け足したということは、彼がそれなりに男を買っているという事の証明でもある。要するに、生かすも殺すも、それは異形、カニバディールの手腕にかかっているということだ】
363 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 03:34:14.48 ID:19OXi07Wo
>>362
【異形の見せた敬意の実際のところは、本心と打算が半々、と言ったところだろう】
【一目見れば、その相手の力量がどれほどか、おおよその察しはつく。そこは盗賊の眼力だ】
【この鎧の男の秘めるもの、尋常のものではない。何より、あの虚ろな眼光は――――】

(こちらが同じ機関員だとわかってあの目……初対面であることを考えれば当然かもしれないが、それを差し引いても)
(まるでこちらを信用していないな……そうでありながら、表向きの礼法に無駄はない)
(何とも不可思議な御仁だ……守るべきものを失った亡国の騎士、と言ったところか?)

丁重な返礼、恐れ入ります。斯様な状況での邂逅ではありますが、以後お見知り置きを願いたく

【心中で彼にまで観察の意識を向けつつ、表向きは彼と同じく丁重に振る舞って見せる】
【通常の人間より容量の小さい身体で礼をして見せる姿は、やはり不気味ではあったが】


>>361
ヒューハ……よく言われるよ

【犬が纏う紅蓮が、空気を焦がす。大きさがそれほどでなくとも、その戦闘力は侮れない】

それは残念だ、お前自身に対してもそうだが、その異能にも大いに興味を惹かれるのだがな
まあ仕方あるまい。お前を動けなくしてから、じっくり聞かせてもらおうか

【彼の飄々とした態度にも、変わらず無遠慮な視線を注ぎながらそう返す】
【そんな彼すら眉を潜める乱入者。だが、その姿よりも言葉の方に怒りを隠さない辺りは、青年もさる者だ】


ヒューハ……こちらは食い損ねたな

【頭部を貫く感触が脊椎から伝わり、犬が飛び散るのを単眼が確認する】
【青年との間に障害がなくなれば、肉塊男は速度を上げて青年との距離を詰めにかかった】


>>362>>361
仰せの通りに、シュバルツシルト様

【こちらも短い返答と同時に、肉塊男の追撃が始まる。拘束力は感じずとも、自分自身この男をただ始末するのは惜しいと感じ】
【繰り出すのは先ほどより殺傷力の多少劣る攻撃。すなわち、肉による打撃であった】

【首から生えていた肉触手が合わさり、一つの肉の鈍器となって青年へと襲い掛かったのだ】
【狙いは青年の胴体。やはり速度は遅いものの、巨大化した肉の鈍器の攻撃範囲は広い】
【青年が対処しなければ、膨れ上がった肉が強かに青年の胴を打ち据えんとするだろう】

【迫りくる異形と背後に控える騎士、二つの脅威に彼はどう挑むか】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/19(金) 04:03:08.51 ID:5F0F2n9jO

>>362 >>363

……あはははッ! いいねェいいねェ! 拘束して尋問!! オレもそういうの好きだぜ? 
ただし専らやる方だけどさ!! 
【またも狂気を含んだ笑みを浮かべる青年。ころころと変わる表情はまるで子供だ】

……ッと!! 
笑ってる場合じゃねぇな……
(これじゃ本当に“拘束して拷問”になりかねねぇ……)
【青年は距離を詰められまいと後退するがすぐに壁にあたってしまう】

──ちっ!! 
【迫りくる肉の鈍器。青年は事も在ろうか両腕でそれをガードしようとするが間に合わず胴を打ち据えられる】
【能力は確かに珍しく凄いものではある、筈だったが当の本人はそれ程強靱ではないようだ】
【青年は地に倒れ口から血を吐き出す】


/すみません、この辺りで凍結という事で……


365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/19(金) 04:05:59.33 ID:19OXi07Wo
>>364
/了解です。こちらは明日の夜なら来られると思います
/お二方、いったんお疲れ様でしたー
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/19(金) 04:07:20.98 ID:oyNDT0yU0
>>364
/了解しました、お二人とも夜遅くまでお疲れ様です
/また明日、出来るなら宜しくお願いします
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/19(金) 21:20:43.24 ID:EP9IJP5+0
{酒場から活気のある声が聴こえる時分の路地裏}
{そこではごみ捨て場で酒瓶を片手に大いびきをかく肥りすぎの男性、集団で犯され壊れた人形のように横たわる虚ろな眼の幼い少女、昼間の道を歩けないような者}
{それぞれが宵闇を安住の地としている中である少年が居た}
{少年はレストランの裏のゴミ箱から腐りかけの肉塊を取りだし}
{ゴキブリの死骸を取り、溝鼠の毛を抜き、蛆虫を落とし}
{一旦凍らせたそれを噛み潰し、噛み潰し、噛み潰していた}
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [saga]:2014/12/19(金) 23:01:29.34 ID:C2oP56Ar0
【路地裏にて、響く鼻歌】
【それは暴力、血、欲が溢れる薄暗いこの場に似つかわしくない、やけに明るい曲だったか】
【ニュルンベルクのマイスタージンガー何とか言う名前の曲だっただろうか。まあどうでもいい】
【男は別に何の局を歌っているかなんて知らない。ただいつか聞こえた気分のいい曲を歌っているだけだ】

【琥珀色の、洒落た瓶に入ったウイスキーを飲み干し、放り投げる。】
【伸ばしっぱなしで乱れた髪を整え、後ろでくくり、肩からずれたレザージャケットを羽織りなおす。鼻歌を鳴らしながら】
【"仕事"が終わり、男は上機嫌だった。】

【男は路地裏から出る。路地裏には届かなかった、街灯の明かりがあるものを映し出す】
【レザージャケットに張り付く、赤い斑点】
【赤いペンキをぶちまけたようなそれは明らかに模様ではない。では何かと言えば、かすかに匂う生臭さと鉄臭さが正体を示す】
【―――男の体には血が張り付いていた】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 00:24:18.03 ID:Gth3zBz40
>>363>>364
【自己紹介を終えると、彼は、その後は何か口にするでもなく、ただ戦闘へと身をひるがえしたカニバディールの背中を見るのみだった】
【その目からは感情の一切を垣間見ることはできず、恐らく意図的に見ようとしても感じ取るのは難しいだろう。】
【彼はそれほどまでに、外界からの感情を断っている。だからこそ、この地位まで登る事が可能になったのかもしれない。】
【しかしそのような憶測では、彼を理解する事は難しい。彼はただ、目の前で繰り広げられる戦闘をまるでギャラリーであるかのように、しかしその目は注意深く、傍観しているだけだった。】

【舞台は戦闘へと移る。カニバディールの放った肉による攻撃は、そのまま男へと襲いかかる。噂に聞いた通りなんとも不気味なものだ。が、味方にそんな事も言っていられない。】
【男はやがて追い詰められ、腹への一撃によって地へと倒れ伏す。彼はそれを見て、呆れたような溜息をついた。】

(多少は賢いかと思ったが……期待外れか)

【彼は戦場へとゆっくり歩みを進め、カニバディールの隣に立ち、その攻撃の手を制す。そして、倒れる男へと一声をかけた】

「フン……その心太さも、所詮は追い詰められてただ吠えるだけの鼠の根性か」

【その内容は、あたかも挑発するかのようなものである。先程のふとした「窮鼠」という例えに吼えて来るような人間だ。これに黙っているはずはない……万全の状態であったならば】
【彼は、男の精神の強さを試していた。これでもし立ち上がってこなければ、取り柄無しと判断して殺すのみだろう】
【絶体絶命の状態でなお、最後まで笑う人間こそが、カノッサの原動力である。それを知っているからこそ、彼は男を試すのだ。「利用価値」のために。】
【どちらにせよ重傷だろう。ここから逃げられるとしたら、余程の策を隠している場合だろうが……ともあれ、それは男のプライドが許すのだろうか?】
【男の処遇は、すぐにでも決まる。彼は赤い眼光で男を捉え、その反応をただ待っていた。】

370 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/20(土) 00:34:40.21 ID:/BZaX1nno
>>364>>369
ヒュ、ハハハ……なら、今回の件でやられる側は初体験かね?
私もやられる側になったことはあるが、経験しておくのも悪くはないぞ。それで死ななければ、の話だがな……

【幼子のごとき表情に狂気を滲ませる青年に、やはり狂気に満ちた声音でカニバディールが返す】
【それでも、油断なく相手を睨む単眼だけは、変わらぬ色であった】

【肉触手が伝えてくる確かな手応え。青年が倒れ伏す音。嗅ぎ慣れた鮮血の匂い】
【それでも、カニバディールは迂闊に近寄ろうとはしなかった。青年を観察し続けながら歩み寄ろうとして】
【それを、背後から制する者が一人。蟹足が動きを止める】


(何とも、読めぬお方だ……今までにもそういった相手は見てきたが、この方は今までのどれとも違うな)
(彼だけがこの世から隔絶されてでもいるような……それでいて、第3位の地位を得てもいる)

【思考を渦巻かせながら、カニバディールは素直に一歩下がり、ニーベルンゲンの言葉を聞き】
【青年がそれにどう反応を示すかを待った。戦闘態勢は解くことがないままだ】

【青年の反応次第では、いつでも彼に再び襲い掛かれるように。無論、ニーベルンゲンの言葉があれば、その時も同様に】
【細い呼吸音と共に、異形は待つ。路地裏の奇怪な三者の邂逅がどんな道を辿るのか、見極めるために】
371 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/20(土) 01:09:24.47 ID:w6tK9bQy0

>>369 >>370

【唇の端についた血を片手の甲で拭い、ゆっくりと地に付した上体を起こしながら青年はカニバディールを睨む】

──どうした? 来ないのかよ? 
【挑発するかのように発言した直後、カニバディールを制するニーベルンゲンに目を向ける】

……はッ、好き勝手言いやがるねェ……見物人風情が……
だが……俺がただ吠えてるだけの鼠に成り下がっちまったってのは否定しねェ……
【青年はニーベルンゲンを睨みつつも憎まれ口を叩く】

……降参だ、許してくれ
【が、すぐにぎりりと歯軋りをし、片手を上にあげる】

【だが気付けたのなら気付くだろう。青年は口を拭うのも降参の為に手をあげるのも一方の手しか使っておらず、もう片手は彼の体に隠れているという事に】



372 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/20(土) 01:47:59.76 ID:Gth3zBz40
>>371>>372
【カニバディールからの解せぬといった目線を受けながら、彼は男の反応を聞き受ける。カニバディールが彼のことを疑問に思うのも、当然といえば当然であろうか】
【彼は組織のために動いている訳ではないにもかかわらず、強力な精神性を欲している。カニバディールを仲間と認めながらも、しかしそれを仲間と信じないのと同じような、言うなれば「世の中への矛盾」がそこにあった。】
【それは彼の心の内には、一つの考えあるゆえのことだった。付和雷同な、多数正義に流される軟弱な心ではなく、内なる悪に目を向け、向き合えるだけの心を持つ。もっとも重要でありながらそれが欠如することは、争いの火種になるに他ならないということを。】
【だからこそ彼はむやみに人を信用しないし、だからこそ彼は、それに耐えうる強靭な精神を欲していた。】
【しかし彼は男の体たらくを見て、半ば落胆したような溜め息を付く。所詮はつまらない、ただのチンピラだったか、と】
【強靭なら、強靭を押し通すだけの強き精神性があれば、まだ見逃したかも知れないものを。そんなことを言いたげな雰囲気であるが。】
【今は、自分の出る幕ではない……彼は男に侮蔑の視線を向けた後、男の意にまったく反する命令を、隣のカニバディールに下した。もしかすれば、もう動いているかもしれないが……】

「……殺せ。利用価値はもはやない」

【と告げる。しかし彼はその瞬間、気がついた。男の隠された「片腕」に】
 
「!」

【しかし、わずかに遅かった。気付いた時には既にカニバディールに指示は行ってしまっている】
【牽制しようと刺突直剣を抜き、駆け寄ろうとするも、おそらく男の思惑を止めることは出来ないだろう】
373 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/20(土) 02:01:27.56 ID:/BZaX1nno
>>371>>372
【青年の挑発には、もはや返答はせず。単眼は冷たく冴えていた】
【吐き捨てるような言葉と、降参の意志表明。それらにも、カニバディールの様子は変わらず】

【ニーベルンゲンへの疑問もまた胸に秘めてそれ以上は表に出さない】
【彼が鎧の内側に、その心に抱える想いまでは知る由もなく。しかし、その精神の深みは感じ取る】
【青年を試すような行動、そう簡単に相手を信用しない姿勢、それらを鎧に包み込んだこの男の侮りがたきことを】


カヒュー……了解しました

【下された抹殺指令に応じ、カニバディールが青年に止めを刺すべく動いた】
【と、一瞬遅れて異形の認識もそれを捉えた。青年の見せる抵抗の意志。姿を見せない片腕に】

ぬ――――!!!

【急停止し、隻腕を襤褸切れの中に突き入れる。引き出されたのは、大型の拳銃だった】
【それを青年の隠された腕に向けようとして――――しかし、不意を突かれた事実は大きい】
【戦闘においては致命的な出遅れ。青年の動きの方が、ほぼ間違いなく早いだろう】
374 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/20(土) 02:46:52.40 ID:w6tK9bQy0


>>372 >>373

──な……
何でだよ!? 俺はちゃんと降参したじゃねぇか!! 許してくれよ……なぁ、頼むよ!!
俺まだ死にたくねェよッ!!! 
【殺せ、というカニバディールへの命令を聞き青年は青ざめる。哀れな声で許しを請う青年。しかし、無慈悲にもカニバディールは動き出す】
【青年は目を見開き、嫌だ……やめてくれ!! と悲鳴を上げ──】


……なァんてな!! 
【その直後、不敵な笑みを浮かべる】
【瞬間、彼の隠していた片手の向こうから発せられたのは紅の光】
【そして飛び出したのは小さな“火の玉”】

──ある高名な絵師は餓鬼の頃、柱に縛られたまま本物そっくりの鼠を描いてみせたっていう
自分の涙で、足を使って、な
……何も筆を使うだけが絵師じゃねェ
てめぇの手だって立派な絵の道具さ
【青年はゆっくりと立ち上がり隠していた腕を相手に見せる】
【その手に付いているのは少量の血】
【彼の伏していた地面に少量残っているのは、彼が先程吐き出した地】
【先程吐き出した“自分の血”。地に落ちただろうそれを隠していた片手の指で広げ、彼は絵を描いたのだ】


……言ったよなァ? 窮鼠は猫を噛むって
まあ、噛むっていってもお前等にとっちゃ甘噛みにしか過ぎねェんだろうが
【彼の言葉と共に襲い来る“火の玉”】
【否、火の玉ではなかった】
【それは、一匹の炎を纏った蛾だった】

【もし奇襲が成功した場合、彼は逃走をはかろうとするだろう】

375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 03:22:41.31 ID:Gth3zBz40
>>373>>374
【カニバディールと共に男の思惑を阻止しようと試みるも、「間に合わない」━━━そう判断したのか、剣を仕舞い込み、彼は防御の態勢に移った。】
【迫り来る火球に対し、咄嗟に手を突き出す。すると、何処からともなく発生した漆黒のオーラが彼の腕を、掌を包み込み、やがてそれは一つの「面」を成していく。】
【その湾曲した闇のような、暗く深い「盾」。それは彼の能力「事象の地平面(シュバルツシルト)」による鉄壁の防御であった。】

「……逃したか」

【火球を防御面で防ぎ、その火花が散り終えた後の路地裏を見れど、そこに既に男の姿はなかった。】
【男の存在は組織に特に影響を及ぼさないだろうが、これだけの戦力がいながら逃走を許したというのは少々気分が悪い。だが、事実は事実と諦める他ないだろう】
【ジッと虚空を睨みつけていた赤目が、ふとカニバディールの方へと移った。】

「惜しかったな……私も少し配慮に欠けていたらしい」
「まあ、あの程度の有象無象、気にするところではない。捨て置けど、さして問題はないだろう」

【自らの油断を認め、軽く謝罪を行い、カニバディールをフォローする。信頼は置いていないとはいえ、仲間としての認識は存在しているからゆえだ。しかし妙に淡々としているため、皮肉に聞こえないこともない。】
【彼は周囲を見渡して、ふと思い出したように、路地裏へと歩みを進める】

「なかなか良い暇潰しになった。再び合間見える時があるなら、恐らく任務だろうな。」
「私は本部へ戻る。貴公は、貴公の成すべき事をするがいい」

【それだけ告げて、カニバディールに背中を向ける。その態度は良くも悪くも事務的であり、顔見知りにはなった、と言った所か】
【しかし彼がカニバディールを仲間として認識しているのは確からしい。最後の助言のような台詞からも、それが伺える】

「では、さらばだ」

【彼の姿は、路地裏から消える。表には繁華街があるが、もはや人もなく、静寂が支配している。】
【辺りは再び、夜の闇を思い出させる。路地裏には、カニバディールの姿が残された】


/眠気が酷いのでこの辺で〆、と言うことで……
/お二方、遅くまでありがとうございました!
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/20(土) 04:19:39.43 ID:/BZaX1nno
>>374
ヒュハーッハ……先ほどの女にしていたことを思い出せ。そんなことを言える立場ではないだろうに
(さて、これが本心かブラフか……)

【襲い掛かろうとする直前、彼の恐怖の悲鳴を聞く。今まさに殺されそうになっているのだから、当然と言えば当然だ】
【だが、先ほどまでの冷酷な青年の振る舞いなどを思い返せば、まだ何かあるのでは。その考えは、的中することとなった】


何――――!!?

【路地裏の闇を一際明るく照らし出す火の玉。それが眼前に迫っていた。単眼が眩みかけ、眼前の光景を捉えなおす】
【異形の認識の内に現れた蛾。火の玉と錯覚するほどの火勢】

……なるほど、これは一本取られたな。多少動きを封じた程度では、絵師の筆は止まらないか
ダメージすら利用して見せるとは……

【これには素直に感嘆したように、異形は声を漏らした。このような形で一杯喰わされるとは】
【血液を使用して絵を描いていた、ということがわかっていたのに、この事態はこちらの失態だ】
【後は、彼が逃亡するのを見送るしか出来ないだろう】

いやいや、立派な一噛みだったよ。鼠の牙は長く鋭いからな
次会う時こそ、その肉味わい尽くしてくれる

【捨て台詞を青年に吐きつけた後は、ゆっくりとニーベルンゲンに向き直る】


>>375
【横目で見た彼の行動。咄嗟に防御に移る判断力もさることながら、あの盾】
【暗闇を捻じ曲げたような漆黒の異様。これが彼の能力らしい。火の粉を寄せ付けない様は、まさに絶対防御とすら思わされる】
【あの暗いオーラは、彼の赤い眼光の奥、世界への拒絶とすら思える深淵の具現化か】

……ええ、私の詰めが甘かったようです。申し訳ありません
お気遣い、痛み入ります……無論、さして気にするほどの者ではないでしょうな
次会う時があれば、その時こそは逃しはしませんよ

【ともすれば皮肉にも聞こえかねない彼の気遣いは、素直に受け取る】
【先までの短いやり取りでも、これが彼なりに本気であることは理解できた。当然、その深淵の底が見えたわけでもないが】

シュバルツシルト様の一時の暇つぶしになったのなら、今宵のことも無駄ではありませんでした
ええ、そうなるでしょうな。貴方と戦場を共に出来れば、何より心強い。その時は、よろしくお願い致します

承知いたしました。私も、自分のアジトへいったん帰還することに致します
いずれまた、お会いしましょう

【ひとまずは、顔つなぎの機会を得た。ならば、それだけでも収穫であろう】
【異形の身体を折り曲げて、恭しく礼をし。彼の姿が見えなくなるまでその姿勢を解かず】
【暗闇の中に己一人が残されると、ゆっくりと顔を上げる】

――――こういうことがあるから、路地裏というのは離れられんな
ヒュハーッハハ、ッハハ……

【一人、含み笑いを漏らしながら異形もそこを立ち去る。路地裏の暗闇の中にその身が溶け込んで】
【月明かりが降り注ぐこの場に、静寂が戻ってきた――――】

/すみません、最後の最後で意識が飛びかかってました……
/こちらもこれにて締めさせていただきます!! お二方、長時間のお付き合いありがとうございました!!
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/20(土) 09:50:27.53 ID:w6tK9bQy0

>>375 >>376

【炎を纏った蛾は暗い闇の盾と衝突し火の粉をあげて四散する】
【もとより攻撃が当たるとは思っていなかった。この蛾はいわば目くらまし。少しの間隙を作る為のものだったのだ】

──我鬼(あがき)……
俺の名は照垣 我鬼(てるがき あがき)だ!! 
覚えてやがれ、キカンとやらの野郎共!! 
今度会ったら黒焼きにしてやるよ! 
【路地裏の入り口まで逃げおおせた青年は吠える】
【カニバディールとニーベルンゲンに向けての宣戦布告】
【二人を強く睨み、覚えてやがれ、と小さく口の中で呟くと青年──我鬼は足早にその場を後にする】


……チッ、“キカン”か……なんだか分かんねェけど何で俺の邪魔するかねェ……けふっ
まあ良い……俺の事知ってコソコソ話す奴も、キカンとやらも……げふっ……俺の邪魔する奴は皆……みィんな……
あはははははははははははははははははははははッ!!! 
【路地裏から少し外れた街中。しんと静まり返った深い夜の街の中。打ち所が悪かったのか我鬼は血混じりの咳をしながら嗤う】
【静かな街に彼の狂った笑い声だけが響いた】





/すみません、最後の最後で寝てしまいました……
お二方二日間お疲れ様でした! 




378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 15:21:42.11 ID:BBNlSUrg0
【風の国――路地裏、街中に近しいところ】
【クリスマスが近いせいかどこか浮かれた空気の街中、そこと、まるで反転したように冷え切るこの場所】
【その狭間に挟まるように立っているのは少女が一人、見れば、積まれている荷物の上に何か広げているようで――】
【――チラシ、を広げているのだった。ぺらぺらとめくりながら一枚二枚数えて、数を分かれば、満足したように顔をあげ】

……よし、街中の分は配ったし、あとは、――――、こっちに配らなきゃ、意味ないもんね。

【広げていたチラシの群れをかき集めてとんとん、と揃え。胸に抱いて、足を向けるのは、もっと暗い深部のほう】
【こつりこつりと足音を鳴らして歩いていくのは、どうにも、場違いな感じがして――浮く。というのも、】
【彼女、全体的にふわふわとした和装メイド的な格好をしているからで。コートを羽織ってはいるものの、隠しきれはせず】
【とてもじゃないけれど、こんな場所には居ないような格好をしていて――少し、目立っているようだった】

【――腰まで届く黒髪は曖昧に編んだ三つ編みで飾る、胸元に一房と、残りは腰のほうに流していて】
【黒と赤で色違いの眼はどこか蛇の目の雰囲気、編んだ髪のせいで露出した右耳には、宝玉の欠片のピアスがあしらわれ】
【赤布に朱色で花模様を散らした布地の和装メイド的服装、それに、黒布のエプロンをつけて】
【羽織るのは丈の長いロングコート。なのだが、ふわふわとした布地を前にして、ボタンを留めるのもままならないよう】
【足元は編み上げの長いブーツ。爪先しか見えないから、なんだかよく分からないけど――ヒールはいくらか高くて】

誰か居たら渡して、後は……、……貼っていいなら、楽なんだけど――だめだよね。
全部渡せるといいなぁ、――出来るかな……。

【どうやら胸に抱いたチラシを配りに来たらしい、――路地裏で配る、というのもなんだか珍しいようだが】
【物怖じしていないのを見るに、こういう場には慣れているらしく。お散歩のような気楽さで、暗闇の中に踏み出した】

/最初のしばらくはレスが置きっぽくなるかもですが……
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/20(土) 16:22:39.12 ID:UXYQ1zlq0
>>378
/すみません、まだいらっしゃいますでしょうか……?是非絡みに行きたいのですが6時から出かけて帰るのが遅くなりそうで……
/宜しければ、10時から絡ませて頂けますでしょうか……!遅すぎると思われるなら断って頂いても結構ですので!
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/20(土) 16:39:05.21 ID:fO/uHNtso
【一面は銀世界。ちらりちらりと雪が降り。吐く息は白く。肌は朱が差し。されど少女の足取りは軽く】

【一言で言えば上機嫌。学生服と、二重回しに包まれた肢体は楽しげに、そして忙しなく動かされていた】
【両腰に携えられた二本の刀はその動きに釣られて跳ね上げ跳ね上げられながら、尾を振る狗の様】

【随分と雪の降り積もった公園。白く染め上げられたそこで、小さな子供達に混じって、齢は十の後半も数える少女が、雪遊びに興じていた】
【とは言う物の、彼女が幼児達に混じって雪合戦でもしているかと言えば、そうでも無い】
【最初は幼児の中にも疑問に思い話しかける者はいたものの。彼女は結局そうする事も無く、ただ黙々と……否。独り言を交えながら、遊び続けていた】

「ゆーきやこんこー、あーられやこんこー」

【童謡を口ずさみながらそれを転がす彼女へ話しかける者はいなくなっていたが。その代り、彼女には視線が集中していた】
【彼女は今の今まで、一心不乱にそれを続けていた。彼女の背丈は、同年代の少女よりも幾分か高い百六十八を数える。それを考慮して考えれば】
【三メートルを優に超える大きさの雪玉を、只管に転がし続けていたのだ】

「降っても降ってもまだ降り―――――――― ん?ん?」

【それでも尚、肥大化を続けていた雪玉は、何かに引っ掛けたのか、そこで漸く停止した】
【何処か浮かれた様子で只管に雪玉を転がし続けていた彼女の表情はくるりと変わる。先ずは、何故雪玉が止まったか、と言う疑念から】
【次に―――――――― 自分が今まで何をしていたのか、と言う、正気への目覚めから】
【焦った様に雪玉に背を向けて振り返る。公園に建てられた時計台、其処に刻まれた時計へと目をやって】

「――――――――――ウチはこんな時間まで、一体何を――――――――――」

【何故だか、酷く色濃い驚愕と落胆の色をそこに刻んで、思わずと言った様子で、その口からそんな言葉が零れていた】
【この少女は、浮かれるがままに。浮かれすぎて。無意識のうちにこの雪玉を―――――― いや、今はそんな事はどうでもいいことだ】

【それよりも問題なのは。彼女の背後の雪玉が、創造主足る彼女への反逆を――――― 少女へと、ゆっくりと動き出した事】
381 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 16:58:13.99 ID:BBNlSUrg0
>>379
/お返事遅れましたっ。まだ全然居ますよ、作業しながらですが……
/こちらは10時からでも構いませんですが、6時までの空いた時間にでもレスいただければ、お返事しておきますよー
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/20(土) 16:59:41.39 ID:UXYQ1zlq0
>>378

【クリスマスも近い休日、街の至る所にイルミネーションが輝く。人通りだっていつもより多く、年末の賑やかさと華やかさが混じって】
【―――でも、そんな街の裏側≠ノは光は届かない。建物に囲まれた狭い空からは太陽も届かず、暗く狭い空間はまるで深海のよう】
【そんな暗い空間だから、足元に気を付けなければきっと見逃してしまうだろう、――――その、小さな存在を】

【暗闇に紛れて膝を抱えるように小さくなっていたのは、幼い少女。年は、まだ十歳にも満たないだろうか……】
【この寒い時期に、この太陽の届かない空間に、纏うのは襤褸切れのように薄汚れたワンピース一枚。それも、夏物と思われるような薄手の】
【当然の事ながら、目を凝らせば小さく震えていることが分かるだろう。何処で見つけたのか、段ボールと擦り切れた毛布が彼女の唯一の防寒具】
【長い間洗っていないのだろう、緋色の髪は生えるに任せて長く伸びたまま。勿論艶なんてあるはずもなく、酷く荒れている】
【瞳も髪と同じ色、だけれど鮮やかさはまだ失ってはいない。弱々しく、それでも光は失わずに……でも、それももう消えかけのよう】
【靴は履いておらず、素足の所々に傷が入っている。足元のよく見えない場所だから、きっと下に何が落ちているのかも分からないのだろう】
【そして―――酷く痩せている。細身と言うには痩せすぎた小さな体を見るに、栄養失調寸前と見て間違いない……】


【……この少女は、恐らく近づいてくる存在に気付かない。今の彼女は空腹と寒さを堪えるのに必死で】
【周りに気を配る余裕なんて無かった。毛布と段ボールの中にうずくまって、小さく震えるのが精一杯】
【もしこの小さな存在に気付いたなら。そして、もし話そうとするなら。―――其方から声を掛けるしか無いか】


/出かける予定が無くなりました!夕飯で少し抜ける時間があるかと思いますが、宜しければお願いします!
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(SSL) [sage saga]:2014/12/20(土) 17:04:30.57 ID:UXYQ1zlq0
>>381
/あら、行き違いに……!すみません、予定が無くなったとはいえまだ流動的っぽいので安定して返せるのは10時以降と思って頂ければ……!
/こちらの都合でわがまま言って申し訳ないです、少なくとも6時頃まで・10時頃以降は確実に空いていますので……!
384 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 17:11:34.68 ID:cChmD6140
>>380
【しゃりん。しゃりん。しゃりん。しゃりん。】

【銀色が降り積もった公園に、錫杖の音が鳴る。されどそれは響くこともなく、何故ならば雪に吸われていくから。】
【しからば、音の主がより際立つのも当然だった――若い、市女笠の人影である。】
【全身に絹色の袈裟を纏うそれは、よく見れば艶やかな黒髪の女であった。背負うのは、漆塗りの大籠。】
【その中からも、音がする――がらん、がらん。詰められたものが、鳴る音らしい。】
【背中には、太刀が差してある。彼女の背丈よりもふた回りほど小さな、だがそれでも大太刀である。】
【女禅僧、とでも呼べよう。兎角、奇矯な格好の女だった。そして彼女は、只管に足下を見て歩いていた。】

「あァ寒ィ……全くここら数日、急に冷え込むもんだからタチが悪い。
 早うどこかで、ぬくぬくとしてェもんでさァ……」

【積もった雪に独白を染みさせて、女は落とした肩を震えさせながら歩く。】
【袈裟に覆われているために、殆ど彼女の肌は見えない。だが僅かに晒された頬も左手も、刺すような極寒を受けて紅い色を差しているのだった。】
【故に、彼女は歩を速めていた。雪が積もり重くなった市女笠のために、さして前を見ていなかった。】
【そして、辺りは一面代わり映えのない銀色だった。ならば、雪玉とそれを転がす少女に気付かないのも、また必然と言えた。】
【――ぼすり、と音がした。彼女の体が、錫杖ごと雪玉に打つかった音だった。】

「痛つッ……あァすいやせん、どうも前を見ていなかったもんで……あら?」

【尻から地面にへたり込んだ女は、落としてしまった市女笠を拾いながら、目の前の雪玉へと謝罪を一つ。】
【しかしそれは雪玉なのだから、返事が戻るはずもない。しかし寧ろ雪玉からは、感謝されているのかもしれない。】
【女は、少女とは真逆の側から雪玉に打つかったのだから――つまり女の衝突は、雪玉の反逆の手助けに他ならなかった。】
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/20(土) 17:38:45.61 ID:fO/uHNtso
>>384
【透き通るような音がする。この雪上を駆けていく、澄んだ錫杖の音がする】
【呆けかけていた少女の意識を引き戻す、聞こえてくるのは―――――――――― 背後 ―――――――――― 雪玉?】
【まさか雪玉が生きている筈も無いし、澄んだ鳴き声を挙げられる訳も無い、然しそれは、生きている?確かに、動いている】
【いや。これは―――――――――― 転がっている、だけだ】

「……ッああ!!や、ば……い!!」

【自分の産み出した雪玉に、踏み潰されて殺される。そんな余りにも情けない終わり方を受け入れられるほど、生には絶望していなかった】
【友達が出来たばかりだと言うのに、この雪景色に朱いペンキをぶち撒ける。それだけはお断りだ、そんなコミカルな死に方望んじゃいない】
【だからと言って、何処か不自然なまでに勢いづいた雪玉を力づくで止めるには相当な消費を覚悟する必要があった。極論、無理がある】
【何故だか彼女の頭の中には避けると言う選択肢が出てこなかった。理由は不明、と言うか、単に其処まで頭が回らなかっただけなのだろうが】
【とった手段は。その腰の、黒鞘の太刀に手をかけて。朱鞘の太刀に手をかけて、引き抜かれるは白刃、或いは凶刃】

「よい、しょぉー!!!!」

【そして斬るかと思わせれば、否。峰を上に向けて転がる雪玉の下部へと滑り込ませて、そして勢いよくそれを―――――上方へ、思い切り振り上げる】
【達成される結果は即ち、思い切り舞い上がる雪玉。少女の背を飛び越えて、遥か向こう側へと駆けて、そして重力のままに堕ち、砕ける雪玉であり】
【火事場の馬鹿力、とでも言うべきであろう怪力を発揮した少女は、其処で漸く、向こう側にいる女の姿を視認した】

【手荷物のは錫杖。身に纏うのは、袈裟であろうか。背負っているのは大きな籠で、背中を見れば、其処に在るのは大太刀であった】
【奇妙極まりない姿である、が。一応少女はそう言う僧の姿を「故郷」である櫻の国で、片手で数えられる程度に、見たことがあった】
【つまりそれがどういう物かは理解した。だがそれでも、「女」である事や、諸々の珍妙さを拭いきれない、物の】

【その、彼女の背に携えられた大太刀が、少女を強気にして見せた】


「―――――――――― やい!お前か!お前がウチの雪玉を誑かし、殺そうとした元凶かぁーッ!!!!!!」


【不遜を怒気で固めた怒声、初対面の人間相手に見せるには如何にもとげが多過ぎて、更には其れは形として】
【右手に握る剣の切先、身幅がよく分かる程に彼女へと突きつけて真っ直ぐに、彼女へと突きつけて見せた】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 18:18:11.58 ID:BBNlSUrg0
>>382

【やっぱり、物理的に日の当たらない場所に入ると空気が一気に冷えるのが分かる。そうでなくても、寒い印象のこの場所】
【建物たちの隙間を潜り抜ける風なんて、もう、兵器のように冷たい。――ぞわっと鳥肌が立つ間隔に、彼女は身体を縮め】
【こういう場所に来るなら、もう少し防寒してないと駄目かな……なんて考える。そんな、頃合だった】

【歩く視界の隅っこに見えるもの、――いや、ものじゃなくてひとだと気付くのは、数秒送れてだいぶ近づいた後】
【だけど気付いてしまえば、もう目は逸れない。ぱちくり瞬いて、数秒そこに佇む――それから、】
【抱えるように持っていたチラシを持っていた手提げのかばんに全部突っ込み、両手を自由にして、ほんの数歩】
【さらに距離をつめて、最終的には、座り込む少女の前で、彼女は、膝を折るのだろう――そうして、】

……こんにちは。

【なんて、ひどく優しい声で言葉を掛けるのだ。りんとした鈴の音色の声は、ただ、そういう暖かみとよく合い】
【もし視線を上げたりするなら、優しげな表情で寄り添う少女の姿が見える、色違いの眼は、ほんの僅かにだけ、細められ】
【印象の悪くならない程度に笑んだ口元、きゅっと身体を縮めて、なるべく視線を合わせようとしているのが、よく分かるはず】

今日、寒いよね。息とか、真っ白だもん。だからね、――そんな格好だと、寒いでしょ。
……これ、着ていいよ。お姉ちゃんの、貸してあげる。暖かいよ、……だから、ね。

【それから彼女はそう言うと、「よいしょ」なんて声で自分の着ているコートを脱ぐのだろう、そうして、】
【そのまま温もりが消えてしまわないうちに、その身体に掛けてやろうとする。もし、拒絶などしないのなら――】
【身体からずり落ちたりしないように、なるべく身体に添うように、いくつかボタンを留めるところまでやろうとする、はずで】
【――だけど、よっぽど拒絶したりするなら、無理はしない。「そっか」なんて少し寂しげな顔をするに、とどめるはずだ】

【コートを羽織ったなら、すぐに気付くだろう。厚手の布地、風も冷気も通さないような素材は、それだけでも暖かく】
【寸前まで着ていたこともあって、体温も残っている。受け入れてくれるなら、とりあえず、今の寒さくらいは晴らせるだろうか】

【コートを掛けるのが成功するにしろ、失敗するにしろ。彼女は少女に対して興味を持ったようだった】
【ちょんと膝を折って、不自然じゃない程度になるべく視線を合わせようとして――少女の言葉を待つ間】
【きちんとおしゃべりしてくれるかどうか、少し不安な時間でもあって。だから、少しの緊張感も、感じ取れるのだが】
【基本的には、優しげな、何の害にもならないような、そんな態度で待っている。その指先が、少しだけ寒さに震えた気がした】

/というわけでこれからはレスがお返しできるようになりましたっ
/なのでそちらの手が空いた頃にまた返していただければと思います、よろしくおねがいしますー
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/20(土) 18:19:20.33 ID:cChmD6140
>>385
【彼女は暫しへたり込んだまま、動いた雪玉に呆気にとられているようだった。阿呆のように口が開けば、幾粒かの雪が舞い込む。】
【だが。転がり始めた雪玉が更に持ち上がり、そして降り注ぐ雪ごと吹き飛ばされたのなら、彼女は更なる動揺を露わにするのだった。】

「あら、あらあら、あらららら……こりゃ、たまげますぜ」

【そんな独り言を、一つ。彼女は地に落ちて砕け散った雪玉を、茫然自失に見つめていた。】
【そして眼前に突きつけられた切っ先によって、ようやく彼女は雪玉の主に気付く。】
【――それが若い少女であることを認識出来たが最後、彼女は勢いのいい罵声を正面から浴びたのだった。】

「ああァ、申し訳ない!
 どうもぼけっとしていやして、別段そんな……悪いつもりは、毛頭なかったんでさァ」


【錫杖から手を離し諸手を挙げ、敵意の無い旨を伝えながら、彼女は奇妙な口調の謝罪をする。】
【市女笠の下にあるのは、寒さに少し赤みを帯びてこそいるものの、どうしようもなく申し訳のない調子の表情である。】
【「しかし、どうしたもんか、うゥン……」そんな風に唸って、そして「――そうだ」と懐に右手を入れる。】
【暫しそこを探った末に彼女が取り出したのは、その表に梵字らしきものが墨で綴られた、一枚の札であった。】

「見た通り、お清めの札でごぜえやす。
 大した償いにもなりゃせんかもしれやせんが……こいつでどうか、少しばかりでも埋め合わせを」

【にひっ、と自嘲気味の苦笑いを浮かべながら、彼女はそれを少女に差し出す。】
【近くで見れば、より奇矯な女であった。見た所旅の僧のようではあったが、しかし彼女の髪は黒々として長い。】
【右手にはまるで酷い怪我をしているかのように、長い布が包帯の如く巻き付けられている。巻物のようにして隈なく文字が書き連ねられた、不気味な布である。】
【何より背負った大太刀と籠には、少女に渡されたものとよく似た札が、夥しい数貼り付けられているのである。】
388 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/20(土) 18:51:20.92 ID:fO/uHNtso
>>387
【正直に言えば、彼女の怒気は、性質こそそうである物の、心からのそれでは無い】
【一言謝罪を貰えれば、それで全てチャラに出来る程度には融通の効く物であり、と成ればその、奇妙な口調を以って紡がれるその言葉と】
【笠の下へと目をやれば、朱を混じらせた顔を確りと申し訳ない、という色に染める彼女の表情は、許すに値する物であった】
【故にその両手に握った刀を腰に納め――――― 其処で漸く、必要以上に恐怖の色を見せなかった彼女へと、ちょっとした疑問の色が頭上に浮かぶ】

「まぁ、許さん事も無い」

【インバネスコートの下で腕を組んで、彼女の謝罪にそう答えた彼女は、然して彼女のその後に続く思考は予想外の物であった】
【先にも言った通り、別に謝罪さえあればそれで許される程度の物だ。別に其処まで唸って悩まれるほどの様な事でも無いのだが】
【肩に積もった雪を払って、彼女へとそう告げようとした時―――――――――― 彼女が差し出したのは、札、であった】
【てっきり金でも出されたかと思った少女の心が汚れていたかどうかはさて置いて、差し出されたそれを、首を曲げてから受け取って見る】

「いや、別にウチはそんな、そう言うのが欲しい訳じゃ……」

【それに視線を落としているうち。それが何かを理解しようとしながらも、差し出されたそれを受け取った時は未だ良かった】
【書かれているのは梵字、まあ何というべきか、少女の頭の中に在るような、御札】
【霊的訓練も何も受けていない少女にとってはそうとしか見えず、そしてそれを渡されてどうすればいいかも、よく分からなかった】
【故に顔を上げて質問をする――――― 実に自然な通りではあると思われるが、その過程にその自然な通りの内に】

「……あー、お坊、さん?いや、尼さん?ウチはこんなん貰っても使い方分から――――― うぉお」

【こうして間近で見て分かった。何かがおかしい】
【彼女の右手に巻かれた布に、大太刀と籠に無数に貼られた渡された物とよく似た札――――― 何かこう、ホラー系の創作物で良く見る光景】
【その衝撃に、思わず後退ってしまう】
【一応、渡された札は右手に持っていた。それ故にそれに視線をやって、うわぁ、と一人で勝手に驚いた後に】

【動揺する彼女には敵意等は感じられない。感じられないが、それに対して警戒心を抱かせるには、彼女にとっては十分であった】
【じっ、と睨む様に彼女の仕草を観察の後に】


「――――― 姉ちゃん。アンタ、何やっとる人?」


【方言の色濃いイントネーションはそのままに、彼女へと問い掛けた】
389 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/20(土) 18:54:39.10 ID:OUR0ImIBo
【――――発作だった。周りの視線が急に此方に向いている気がした。……蔑みの視線だ。憐憫の視線だ。落伍者を見る視線だ】

【人気に溢れたいつもの街中。歩む人で形成される「流れ」の中で青年は足を止めると、がくがくと震えながら身体を縮めて、小さく呻き声を上げた】
【――――人は、人が思う程人を見ていない。事実青年の異変に人が気付いたのも10秒程遅れた。――――ふと、老人が心配そうにして彼に話しかけた】

「おや、大丈夫かい……この季節に薄い長袖1枚じゃから寒かろうに……」

【青年はニット帽をつけてはいるが、薄い黒の長袖1枚に赤いズボンと冬にしては薄着過ぎる。故にその震えも寒さのせいだと老人は思ったのだが、そうではなかった】
【長袖を滲ませる汗を見れば分かるのだろうが、目が悪い老人には直ぐその異常を見抜くことは出来ない。青年は、無い筈の視線に脅え、そして震えていた】
【一種の幻覚であり、被害妄想とでも言うべきなのだろうか。突然全方位から冷ややかな視線が襲い掛かり、彼の心を錆びたナイフで滅多刺しにするような――――感覚】

……う、うわっぁあああああッッ!!

【そしてその感覚は、本物の視線――――老人の瞳が此方に向いた瞬間に膨れ上がり、動揺や怒りや防衛本能が彼の身体を瞬時に動かしていた】
【本能が動かしたとは思えない、綺麗な動作で繰り出された左ショートフック。それが老人の痩せこけた顔を射抜く。――――疾く、そして恐ろしいワンアクション】
【老人の首が明後日の方へ向いたと思えば、ゆっくりと前のめりに倒れて沈んだ。拳銃で頭を撃ち抜かれると人はこう倒れるのかも知れないと想像させるような倒れ方だった】

【突然悲鳴を上げたかと思えば、瞬時にショートフックにより老人の意識が刈り取られる――――そんな出来事があれば忙しい人々の視線も当然集まり、ざわつきが起こる】
【異端を見詰める視線は更に彼の精神を追い詰め、堪らず彼は人の波をかき分け、近くの路地裏へと助けを求めるかのように走った】

……っ……!! また……だ……!! いきなり……なんで……――――!!

【路地裏で孤独と静寂を手に入れた少年は、その場で膝から崩れ落ち頭を抱えた。噴き出る汗が顎を伝ってコンクリートを濡らす】
【当然まだ向こうはざわついている。そのざわつきが堪らなく嫌で、青年は両手で耳を塞いだ。現場からもっと離れないといけないと解っていても、まだ足は動かなかった】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 19:39:23.79 ID:cChmD6140
>>388

「ああ、ありがてェ! いやはや懐の広い御仁ですねェ、お嬢さん」

【にこりと笑って感謝を示した彼女は、最早少女の手に押し付けるような体で手持ちの札を渡す。】
【少女の許しを聞いた彼女は、浮かべていた苦笑を屈託のない笑顔に変えていた。薄い唇の間から、真っ白な前歯が露わになった。】
【過剰な善意に少女が困惑しても、彼女は熱烈に「使い方」の解説をするのみであった。優しさだけで言うならば、彼女はそれこそ旅僧のようなものを持っていた。】

「いいんでさァ、こいつァ受け取ってもらわにゃあっしの気が済まないんです。
 何、持ってるだけでそこらの雑霊は退散しやす。上手く貼り付けちまえば、地縛霊ぐらいでも楽に祓えまさァ――」

【そうして彼女は嬉々として札の扱いを教えていたが、少女が突き放すような問いを投げかければ、その表情から微笑みは消えた。】
【僅か数秒、彼女は少女の顔を見つめていた。しかし睨めつけるような視線は、彼女の口を割らせるのに十分な威圧力を持ち合わせていた。】

「――あァ、やっぱりそれ訊きやすよね。
 まーここで隠したってお嬢さんへの仁義に反しやすし、お教えしやす」

【彼女の口から一つの溜息が漏れて、白い煙となって宙空へと霧散した。すっ、と彼女は立ち上がり、新しく積もった新雪は押し潰された。】
【左手が市女笠の下に伸び、指先で前髪の付け根を何回か掻いた。笠を目深に被り直し、再び少女を見つめた視線には、もはや先程までの剽軽さを見出すことはできなかった。】

「あっしは『呪い屋』でございやす。誰かの頼みを以って誰かを呪う、そういう生業なんでさァ」

【ひひっ、と笑う彼女の声は、喉の奥を震えさせて取り出すような調子の、陰気な笑いであった。】
391 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/20(土) 19:41:49.22 ID:UnrbfYehO
【"危険きわまりない"――そんな空間である路地裏】
【そんな場所を"至って平凡な"――少女が駆け抜けていた】
【桃色の長い髪が弾み、首に掛かるオールを模したペンダントが揺れる】


(薄気味悪いなァ――近道だと思って来てみたけど、やっぱり怖いよ…
近所のおばあちゃんも「路地裏だけは近づくな」っていってたし…
大丈夫かなぁ…)


【――しかして、彼女は無事に路地裏を抜けられるのだろうか】
【自覚のない方向音痴が、進む先を悪い方へ悪い方へ進めていく――】


/戦闘希望です!
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/20(土) 20:02:19.60 ID:fO/uHNtso
>>390
【本能的に、左手が鞘に触れて、親指が鍔へとかけられていた】
【彼女の語るその内容と、何よりその陰気な笑いは、彼女をそうさせるには十二分であった――――― そして、それ故に】
【その警戒の色は、どんどんと濃くなっていく。果ては彼女へといつでも斬りかからんと構えられるほどに、だ】
【流石に。少女は此処から殺意へと繋がるほどに強力な異常者では無い。ではあるが、彼女はそれでも、他の人間よりも、其処に至る道が短い】
【或いは、そこに至る近道――――― 琴線を、持っている】

「……『呪い屋』」

【彼女の言葉は、その内容はきっと正しく文字どおりなのであろう】
【『呪い』。オカルトに大して深い知識を持たない彼女でもそれが「人に大して良くない事を起こす霊的な物」であることくらいは理解できる】
【成程。呪術師。であれば、僧の形を成していながら随分と恐ろし気な事をしている】
【彼女自身の意思によって自分が呪われる――――― 事は、今までのやり取りではそう言う気配は感じ取る事は出来なかった、だが】

「……じゃあ、聞くわ。『呪い屋』。アンタは……金を積まれたら、誰でも呪うとか」

【譲り渡された札。持っているだけでそこらの霊は退散するという眉唾物、これをどうするかは後で考えるとして、ポケットの中に突っ込んだ】
【そして左手と同じく、右手が朱鞘の太刀へとかけられて、何時でも鯉口を切ろうと親指がかけられる】
【積もった雪を、くしゃりと踏み潰し】

「例えば、悪党を呪う、だとか。そう言う、"殊勝な"呪い屋をやっとるのか?」

【この返答如何によって、彼女のこれよりの行動は大きく変わる事になるだろう】
【今は唯――――― "危険域"に達した彼女の敵意と攻撃意思を隠す事も無く、"睨み付けるような"から"睨み付ける"へと、段階を上昇させ
393 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/20(土) 21:01:14.82 ID:cChmD6140
>>392

【少女の敵意に関しても、彼女は片手で市女笠を押さえつつ、唇をにたりと歪めて笑うのだった。】
【単なる観測として女を見ただけならば、そこには確かに悪意はなかった。だが、同様に善意もなかった。】
【あるのはただ、何に於いても物怖じしないだけの器量と、それに付随する不気味さである。】

「えェ、勿論。あっしの属する家柄の『斑鳩』は、元々虐げられてきた人々の嘆願から生まれたものでして」

【笠を押さえていた指を離した彼女は、一本の人差し指を立ててこう尋ねた。その指先はか細く、また寒さに皹しかけていた。】
【土台、武芸者の指先ではなかった――ではなぜ、彼女は大太刀を背負っているのだろうか?】

「――お嬢さん、見た所『櫻の国』の御仁でしょう?
 そンならご存知ですよね、『部落』ってのを」

【部落。謂れなき理由に蔑まれ、貶められ、踏み躙られてきた人々の群落のことである。】
【彼ら彼女らが相応の怨みを持ち合わせていたのなら、そこに呪い屋という職が生まれることに矛盾はなかった。】

「あっしらの『呪い初め』は、そのあたりに端を発するんでさァ。
 尤もお代さえ頂けりゃあ、素性はそう深くは問いやせんが」

【――しかし、それならばなぜ彼女は居を構えずに、行商人紛いに流浪しているのだろうか?】

「どうです? お嬢さんも、憎き相手の一人や二人、よォく知っているでしょう。
 あんたにゃ貸しがある。特別に安くしときやすよ」

【ひっひっひ、とまた笑う。彼女が述べた一切の理由は理に適ってはいたが、同時に不可解でもあった。】
【ただ一つ言えることは、少女が知り得る限りの理由を踏まえたのならば、この女が人を人と思わぬ『呪い屋』であることに疑いはない、という事であった。】

/度々遅れて申し訳ない……ッ。
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 21:02:05.33 ID:UXYQ1zlq0
>>386

……!!

【狭く重苦しい空間に響く鈴のような声に、座っていた少女は物音に反応した小動物のようにびくりと体を震わせて】
【怯えたような瞳で声のした方を向くと……少女の瞳に映ったのは、視線を合わせるようにしゃがむ女性】
【目が合えばじっと食い入るように見つめる。緋色の瞳に孕む怯えと警戒心が少し薄れたのは、彼女の顔を見たから】
【―――笑顔だった。暖かくて、柔らかくて、……そんな笑顔が、自分に向けられていたのが見えた】

―――……、……?

【警戒心が薄れると共に、少女の表情に映るのは戸惑い―――だって、こんな路地裏でそんな表情を向けられたことが無かったから】
【いつだって一人。たまに誰かに会えば、憐れみか蔑みか、もしくは悪意か……人が自分に向けるのはそんな表情】
【笑顔なんて、ずっと見たことが無かったから……どうしてこの人は笑顔を向けているのか、全然分からなくて】
【分からないまま、寄り添う彼女をじっと見続ける。そしたら、今度は話し掛けてきて……】

―――ぁ……!

【―――ふわりと、知らない暖かさが身を包む。それは、体に掛けられたコートに残った人の体の温もり】
【後は、されるがまま。少し戸惑ってはいるものの拒絶や警戒をしている様子では無くて、嫌がってはいない】
【初めての暖かさに包まれて、ボタンを掛けて貰って……少女にとっては少し大きいコートが冷たくなった体を覆えば】
【袖をつまんだり生地を不思議そうに触ってみたりして、其れが暖かいものだと気付いて―――少し、表情が緩んだ】

………、…………ぁ、……え、と―――……その……
――――……ありがと……

【頭を下げてお礼を言う。……風の音にかき消されそうなくらいの声で、それでもしっかりと感謝の気持ちを伝えたくて】
【彼女に与えられた知らない暖かさが、とても心地よかった。気がつけば体の震えも止まって、表情も少しだけ柔らかくなって】

【でも、少女はこの優しい人が誰だか分からない。―――知りたい。自分に笑顔を見せてくれた、このひとのことを】
【どうして笑ってくれるのか、暖かさを与えてくれたのか……知らない、知りたい】

………おねえさん、…だあれ……?
………ね……――、……どうして――……わらってるの……?

/すみません、大変お待たせしました……!只今帰りましたので、これからは安定してお返しできます!
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 21:25:02.71 ID:Rg6uW2MQ0
{____数分前この場所確かに男が二人と少年が一人いた}

{____そして今ここにあるのは、元が人間だったと思えないような惨状
バラバラ等と言う生易しい物ではなく、人間の様々な部分が混じったシャーベットが血の海に浮かんでいるのである}

{そしてこの惨状を作り出した少年はと言うと}

「んー、おじさん達いなくなっちゃた…………むぅー」

「つまんないよーー」ブンブン

{と言って、赤黒く染まった戟を振り回して近くにあったドラム缶に八つ当たりでこっぱみじんに粉砕している}

{男の娘の認識の中では『遊んでいた』男性二人が遊びの途中で『いなくなってしまった』というふうに解釈しているらしい}

{そして、周りにもう『遊び道具』無くなるとズルリと路地裏から這い出し}

{男の娘と『遊んでくれる』人を探すのであった}
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2014/12/20(土) 21:26:29.71 ID:fO/uHNtso
>>393
【彼女が語り出すは、『呪い屋』が出来るまでの簡単なあらすじ、とでもいうべきか】
【無論、知っている。櫻の国に存在する『差別階級』。踏み躙られる事を産まれた時より宿命づけられた人々。成程、其処から発されたか】
【自分は『ある程度の家柄』に産まれた、「自分以外の要素では何不自由なく」育って来た。それ故に、『部落民』達と触れ合う事もまたなかった】
【それ故に差別意識は持ち合わせていないなれど、その実態は知らないが―――――】
【成程、如何にもな怨みつらみの温床であろう其処から発生した、と言うのは、納得できる】

「残念、ウチが聞きたいのは、そう言う事じゃない」

【だが其処に存在するのは、納得はすれども同情や関心の類を、上回り、一つの願い、と言うより、それは――――】
【「特別に安くしときやすよ」――――― 其の言葉を以ってして、その刃は抜き放たれた】
【鯉口が斬られた瞬間、両腕が交差して、左手は右腰の柄を、右手は左腰の柄を、両方の剣を掴み、そして二本の刃が引き抜かれた】
【白刃、或いは――――― 凶刃は、舞い散る雪を刀身に映し】

「だが、答えは出た。呪い屋――――― ウチはアンタに、交渉、或いは――――― 脅迫する」

【白い息を吐き出して、今度こそ戦意の双眸を以ってして、彼女を"射止める様に"睨み付ける】
【両の手に握られた二尺を超える程度の太刀は、構えを取る事無く、未だ力無く下がったまま―――――では、あるが】
【其処には確かに、構えなど非ず。然し其処には構えがあった。確かに敵を射殺さんとすると言う、確かな構えが】


「ウチや――――― ウチの、大事な"友達"を呪われたら、困るんだわ」


【右手に握る刃は、今度こそ彼女へと敵意を以ってして突きつけられた】

「剣を抜け、呪い屋。その手、武芸者には見えんけど……扱えんわけじゃないだら?」

【今度こそは、明確な宣戦布告だ】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 21:28:27.71 ID:BBNlSUrg0
>>394

【そうして少女を見つめる彼女は、時折無意味に首をかしげる癖を持っていた。だから、ゆるりと首を揺らして】
【そうすると一房、胸に垂らされた三つ編みが揺れる。――こちらを見てくれれば、安堵したよな、嬉しいよな、そんな表情をして】

どういたしまして、……暖かいでしょ、お気に入りなんだ。

【小さな声でも、確かに彼女には届いた。届いたから、余計にその表情は柔らかくなる。ふにりと気の抜けたように笑い】
【どうでもいいことまで教えてくれる――のだ。でも、確かに、そのコートはとっても暖かいものであって】
【寒がりの彼女にとっては、それはもう、お気に入り――だとは余談だったが。とかく、それだけの代物】

【(――まあ、ただの、市販品なのだけども)】

……わたしね、りんねって言うの。鈴音・シュトラウス。それでね、あっちの……。
えっと、――分かるかな。UNITED TRIGGERってところから来たの。悪いひとじゃないよ――。

【それから、誰なのかと誰何されれば、ボタンを掛けてやっていた手をふと止めて、それを自身の胸元にやる】
【薄い胸にぺたんと触れながら名乗るのは、櫻と異国の響きが混じるもので――ふと手を見れば、左手の薬指には指輪】
【言い終えれば路地裏の向こう側のあっちのほうを指差してそんな説明をする、自分は、あなたに害は与えないと】
【その名前を知っていれば、嘘でも吐いてない限りは証明になる。知らなければ――まだ、信用できないかもしれないけれど】
【柔らかい表情に嘘はない、害意も、敵意も、びっくりするほど、そこにはなくて】

うんと……、寒そうにちいちゃくなってる女の子に、怒ったり、ひどいことしたり、そういうの……。
……わたしはされたくなかったし、されたら悲しかったし、きっとみんなもそうだと思うから、かな、――。

――――わたしも、ちっちゃいころ、こういうところで住んでたんだよ。
冬のこういうところってすごい寒いよね、……そういうの、分かってる、つもりなの。

【だけど、どうして笑うのかと尋ねられたら。機嫌を損ねてしまったかと思う、というよりも、少し、怯える】
【一瞬ぴくりと強張った表情は、だけど、すぐに、それが嫌悪の類から来る言葉ではないらしいと気付いて、緩み】
【告げたその理由というのは、――自分が、そうされたら悲しかったという、たったのそれだけ。崇高な理由があるでなく】
【自分は、ただ、誰かに笑いかけてもらったりしたかった――誰かに、優しく、してもらいたかった。それっぽっちの理由】

【それから彼女はあたりを見渡してみると、指先を寒そうに震わせながら、息を真っ白にしながら、そう、教えてあげる】
【別に知らせなくてもいいことだけど。自分も似たような境遇にあったのだと、――だから、少しくらいは、分かるのだと】
【にこりと笑ってみせてやると、ふと思いついたように彼女は、傍に置いてしまっていた手提げ袋から、件のチラシを一枚出し】

読めるかな、……今ね、わたしね。あなたみたいな子にね、暖かいご飯を食べさせてあげよう、っていうの、やってるの。
UNITED TRIGGERのお店で――ううん、お金は要らなくて、ただ、あなたが来てくれれば、おいしいものを食べさせてあげる。

今日は本当はお休みなんだけど……、おなか、すいてない? 空いてたら、わたしと一緒に来てくれたら嬉しいな。

【それを渡してやろうとするのだろう。見れば、暖色系で纏めた紙面には、無料レストランだとか、書いてあって】
【“たんぽぽ”というのがその企画の名前らしかった。他にも、彼女が今告げたような説明がちらほらと書いてあり】
【路地裏の子供をターゲットにしてあるせいか、難しい漢字はないし、ひらがなも振ってある。読めるなら、同じことが書いてあると分かるだろう】
【「そこなら暖房もあるから、暖かいし――お風呂とかもあるよ」だなんて誘う、食べ物、お風呂、そういった】
【“こういう場所”で暮らす以上、不足しがちなもの――それを提供してくれるらしい。……お風呂、というのは独断だが】

【(まあ多分怒られないだろう、多分、……なんて思いながら言っているのだった。実は、思ったよりも臆病だったりもして)】

/了解ですっ
398 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/20(土) 21:49:01.69 ID:OUR0ImIBo
>>389
/引き続き募集中です!
399 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 22:04:39.80 ID:cChmD6140
>>396

「――ふー……ッ」

【少女の口上と、そしてそれを突き動かした殺意を受ければ、彼女はゆっくりと一つ溜息を吐いた。】
【鯉口が切られる音、抜き身となる一対の刀身。訝しげにそれを見た彼女は、最後に皮肉めいた笑みを返す。】

「あァ、そういうことで。解りやすよ、そのお気持ち。
 ですが、あっしも死にたかぁないんです――とは言っても、逃がしてくれそうにもありやせんね」

【そしてギラついた眼を見せつけながら、少女はこう言った――「抜け」と。それに対して彼女は、自らの錫杖を放り投げることで応じた。】
【彼女は僧ではない。尼でもない。かと言って、単なる呪い屋でもない――背負っているのは、悍ましくも紛れもない太刀である。】

「ええでしょう。受けて立ちます。
 ですがお嬢さん、あっしと切り結ぶからには――どんな風に呪われても、責任は持てやせんぜ」

【ざ、と彼女は膝を曲げ、草履を以って足元の雪を踏み固める。右手は黒い剣柄へと、左手は無数の札が貼り付けられた鞘へと。】
【それと同時に、彼女から「何か」の殺気が放たれた。大太刀の鯉口から零れるそれは、彼女が持つ剣気とは明らかに異質な代物だった。】
【例えるならば、何十人という餓鬼畜生が双眸爛々と睨み、今にも肉を貪らんと飛びかかろうとしているような殺気である。それは物量的かつ本能的な、純粋な怨嗟の塊であった。】

「――臨兵闘者皆陣列在前、総ては我が仇敵のために……祟れよ、『六道丸』」

【目を瞑りながら、彼女はそう唱えて――そして鞘と柄を引き、大太刀の刀身を露わにした。】
【刹那、感じることにすら恐怖を覚えさせる、何もかもを呑み込むような「悍ましい何か」が彼女の刀から溢れ出た。】
【それは不可視であった――しかし、まるで可視であるかのように、少女からすれば「殺気」として振る舞っていた。】
【だが聳え立つそれの裏にあるのは、決して単なる戦意などではなかった。何千、何万という飢えた群衆を前にしたかのような、有象無象の狂気そのものだった。】

【そしてそんな悪意を解き放った彼女本人は、両手に鞘と太刀を握りながら、平然と無行の位を取っているのだった。】
【只ならぬ重量を持つはずの双つ――それを顔色一つ変えず持ち続けていられるのも、破滅を呼ぶ「何か」の加護故なのか。】
400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/20(土) 22:08:27.43 ID:5C3OckKWo
>>395
【夜の路地裏にて】
【記者はその惨劇の一部始終を見た】

うわっ、あの二人がシャーベット状にされてる・・・。
また能力者か、困ったものですね。

【首からぶら下がっているカメラで二人の惨めな姿を捉える】
【男の体はほぼ原型をとどめていなかった】

まったく、こんなことをしたあの男の子を懲らしめる必要がありますね。
いきますか。

【足に風の魔翌力をこめて俊敏性をあらかじめ上げておく】
【突然の襲撃に備えて、だ】
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 22:10:25.30 ID:UXYQ1zlq0

>>397

【彼女の―――鈴音のお気に入りというコートに身を包む。なぜだか包まれた暖かさににひどく安心するような気がして】
【冬は寒いのが当たり前だと思っていたから、震えるのが当たり前と思っていたから……少し、不思議な気分】
【(「暖かい」なんて知らなかった。いつだって自分の傍にあるのは冷たいものばかりだったから―――)】

………りん、ね……―――?……りんね……!
……―――……ゆ、ゆな……?

【鈴音の名前を、不思議そうに繰り返す。不思議な響き、名前の意味は分からないけれど……なぜだかその名前が気に入ったみたい】
【続けて語られる単語には、もっと不思議そうに首を傾げる。どうやら件の組織の事は知らないらしく、何のことかも分かっていないようだ】
【―――知る由も無かった。彼女の世界はずっと此処だったから。距離にして数百メートルの表の世界に、出たことが無かったから】
【……でも、悪い人じゃないって事は分かった気がする。この人は、いつも会う人達とはぜんぜんちがうから―――】


………されたく、なかったから……―――……うん、わたしも……おこられたくない……!
……―――えっと……、……だからね、……わらってくれて……うれしかった。

………―――え……?りんねも………ここに、いたの………?
………そっか、……うん……さむいよ……―――

【鈴音の答えは、とても単純な……小さな少女でもちゃんと分かるような答えだった。自分がされたくなかったから、ただそれだけ】
【それだけだからこそ、きっと少女にも理解できたのだろう。とても納得したという風に小さくこくりと頷いて―――はじめて、小さく笑った】
【嬉しかった。笑顔を向けられた、ただそれだけのことが―――少女の心を少しだけ温めたのだろう、小さな笑顔は、決して作り笑いではなく】
【それから、鈴音がかつて同じような境遇にあった事を知ると少し驚いたような表情を見せる。……このひとも自分と同じだったのか】
【―――じゃあ、どうしてこんなに暖かいのだろう。どうやってその暖かさを手に入れたのだろう。「さむいよ」って、頷く―――自分の手は、こんなにも冷たい】

【そんな彼女は、一枚の紙切れを差し出す。何か書いているけれど―――文字は、読めない。教わったことはないから】
【……だから、彼女から告げられた言葉で初めてその紙に書かれた内容が分かった。彼女の言った事とは―――】

………え………―――、………ごはん………?………―――いい、の………?
…………

【―――突然すぎて、少女は戸惑いを隠せていない。初めて会った人に、ご飯を食べに来ないかなんて言われて……あまりにも突然すぎて】
【暫くぐるぐると頭の中で色々考えて、何度も何度も鈴音の顔を覗き込んで、「……ほんとに、いいの……?」「……ほんとのほんと?」って、何度も訊いて】
【嘘の無い言葉で、笑顔で、応えてくれたなら―――小さな冷たい手でぎゅっと鈴音の手を握るのが、行きたいという意思表示の代わり】
【それからはもう、どこにでも付いて行くだろう。―――到着するまで、その手を離そうとすることはなくて】

402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 22:14:57.83 ID:Rg6uW2MQ0
>>400
{突然少年の動きがピタッととまる}

「だぁぁれだっっ!!!」

{狂気に歪んだ笑み、そのまま記者のいる方向に向かって突然現れた氷柱を投げる}

403 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 22:17:23.73 ID:mQOydhPr0
>>398
【路地裏にて、響く鼻歌。】
【やけに明るく激しい曲調のそれも、青年にとっては別の何か、悪夢の足音かなにかに聞こえるかもしれない】

【琥珀色のウイスキー瓶を揺らす。水の音はしない。飲みきってしまったらしい。】
【はぁ、とため息と共に瓶を放り投げ、割れたガラスの音を鳴らす男。見た感じ二十代後半ほどか、若いとも大人ともいえない顔立ちをしていた】

よう兄ちゃん。何におびえてんだ、てめぇ

【後ろで括られた伸ばしっぱなしの髪は少し乱れて、頬がほんのり赤い。先ほどの瓶からすると、男は少し酔っているみたいで】
【だが、酔っているからこそ視線には哀れみも何も無い。やけにおびえたような男がいたから声をかけただけ。】
【別に親切心も何も無い。ただの興味本位】
【尤も、幻覚を見る青年には男の視線がどうであるとか、そんなことは関係ないかもしれないが】

賭けに負けて身包みはがされそうになったか?それとも借金取りから逃げ出したのか?
・・・・・・その辺で爺さんが倒れてたがよ、それと何か関係あんのかね。ええ?

【酔っ払い特有の、やけになれなれしい口調で男は話しかける】
【別段大柄でもない、筋肉こそあれど普通の体格だ。威圧感は無いはず】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2014/12/20(土) 22:18:06.56 ID:7urqfGSKO
>>400
絡みたく無かったら素直に言っていいんだぞ
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 22:28:56.64 ID:BBNlSUrg0
>>401

うん、鈴音なの。……鈴の音って書くんだよ、鈴、鈴って分かるかな――、……えっとね。
丸くって、ころころしてて、綺麗な音がするの。それとね、おんなじ名前。

【何度も繰り返される自分の名前、少し恥ずかしいような気もして、微妙にその白い頬に赤が差す】
【鈴ってどんなものなのかを説明してやりながら、彼の組織の名前……分からないようなら、「大丈夫」というように】
【よしよしと頭を撫でてやろうとするはずだった。分からなくても大丈夫、知らなくって、悪いことなんてないって】

そうなの、わたしね、怒られたくなかったから、だから――わたしも、怒らないの。
ううん、悪いことしてたら、駄目って言うよ。だけど、悪いことしてないのに、怒るの……変でしょ?

【悪いことは悪いことだと言う。だけど、こういう場所にある怒声というのは、大体、むちゃくちゃなことが多い】
【自分もたくさん怒られた。怒られたというか――多分、みんな、苛立っていたのだ。自分の境遇とか。いろんなものに】
【だけどそれを抱え切れなくて、誰かにぶつけるしかなくて、――そういう、悲しい連鎖を、だけど自分にはどうにも出来ないなら】
【せめて、自分は優しく出来たら……、違う、ここから抜け出したのだから、優しくしなきゃ、いけない】

そっか。寒いよね、だから、暖かいところに言って、お話しよう?
おなか空いてたら、難しいお話なんてしたくないもんね。わたし、あなたとお話したいな――。

【差し出した紙はどうやら読めないらしい。それを察すると、彼女はあっさりとチラシを元のようにしまってしまい】
【いいのかと尋ねる少女には、「もちろん」だなんて返答をする。そして、そんなことを言うのだ】
【本当にいいのか、本当の本当なのか、――尋ねられるたび、嫌がるわけでもなく、「いいんだよ」とか「ほんとだよ」とか答え】
【手を繋いでくれたなら、優しく握り返してやる。――残念ながら、よっぽど暖かく大きな手、というわけではない】
【ちょっと冷え性な、見た目の年の割にも少し小さな手の少女だ。だけど、優しく包んでやる、そういった暖かさはあって】

じゃあ行こっか。少し歩くよ、もうちょっとだけ、寒いの、我慢してね――。

【――それから、二人で路地裏を出て行くのだろう。それとも少女にとってはこんな場所、久しぶりなのだろうか】
【クリスマスのイルミネーションが煌き、どこかからはクリスマスソングが流れ、足早に忙しそうに歩いていく人間たち】
【メイド服の少女と、――いかにも孤児、という様子の少女が歩いている光景は、もしかしたら目立つかもしれない、目だって、】
【視線に晒されるかもしれない。だけど、もし少女が不安そうにするなら――「だいじょうぶだよ」と彼女は囁いてやるし】

【何より、店はそんなに遠くない。すぐに、からりとベルを鳴らして、店内に入れるだろう】
【中はふんわりと暖房の、少し乾いた感じの暖かさで満ちていて。少し温度は控えめだが、外よりはずっとずっと暖かく】
【店内に入れば、繋いだ手を離そうとする。それから――「すっごいおなかすいてる?」なんて、尋ねるのだった】

【(やっぱり、お風呂に入れたほうが良さそうだ。そしてどうせなら、綺麗な身体で食事のほうが気持ちいいだろうと考えて)】
【(先にお風呂を――と思うのだが、よほどおなかを空かせているならかわいそうかとも思う。だから、そこは、少女の返事次第になるだろう)】
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga]:2014/12/20(土) 22:38:02.00 ID:fO/uHNtso
>>399
【殺気。随分と肌に馴染む、結構な時間をそれと付き合ってきたつもりだった。様々な形のそれと、触れ合ってきたつもりだった】
【だがそれは異質であった。感じた事も無い、見た事も無い――――― ここまで強力なそれは、正しく形となった怨嗟、なのか】
【まともじゃない。言葉にする事が出来ない。ただ、まともじゃない。それだけが彼女が認識し、形に出来た不安―――――で、あるが】
【自然と伝う冷や汗は、雪に濡れて溶けていく】

【だが一つ。一つだけ、彼女には自信を以って、或いは胸を張って、戦いに臨める理由があった】

「剣を、抜いた、な」

【それを前にして。小さく彼女は笑っていた。その、自分が斬り下した数よりも圧倒的な数を持つであろう怨嗟を前にして、彼女はそんな風に】
【それが。どんな形をしていようと、『剣』であること。どんな怨嗟を、どんな、何を内包しようと――――― それが、剣である事】
【その事実が自信へと直結する。"対剣剣術"、"対剣剣客"―――――――――― これならば。"きっと殺すことが出来る"、と―――――】

「どんだけおかしな"剣"だろうが―――――――――― ウチに、"剣"で挑んだ事。後悔しな」

【ざっ、と思い切り、今度こそ駆け出さんと、より強く雪を踏みつける――――― 気付けば。公園には、二人だけになっていた】
【細く、息を吐いた。白い色を伴って噴き出されたそれと同時に――――― 瞬間、彼女は足を出した、と同時に】
【左手に握る「刀身」を以ってして、僅かな量ではあるが「雪を掻き出して、彼女へと叩き付けようとした」】


「――――――――――――――― 『殺』ったらぁ!!」


【そして其の侭、彼女へと踏み込んだ。そして右手握る刀による"突き"
【だが、恐らくは何の抵抗も無く突き刺されたとしても、それは致命傷には成らない筈だ―――――何故ならば】
【彼女へと振るわれた刃は。まともに人体を断つ事も危ぶまれるほどに、単純に切れ味が悪い】
【ただ、単純な腕力、そして重心移動を以ってして繰り出されるそれは】
【十分に人を傷つけられるだけの、殺し合いの一手としては、余りにも間抜けた姿にはならない程度の威力は、存在する筈だ】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/20(土) 22:42:45.54 ID:5C3OckKWo
>>402

【少年の叫びが耳に入る】
【と、同時に目に入る氷柱】
【直線的に飛んでくるそれを回避することはいとも容易で】

しつけがなっていませんね。
人を襲っていいと誰か教えましたか?

【背にかかる斜めがけのかばんから折りたたみの弓を取り出し展開する】
【そして腰の矢筒の中にある一本の矢をもち】
【弓につがえて少年へとやじりの先を向ける】

まったく、こんな能力者が増えているのはなぜなんでしょうね。

【そう一言つぶやくと後ろに走りながらつがえた矢を放す】
【矢は一直線に少年に向けて疾走っていく】
【その矢は風の魔翌力により速度が上昇し威力は高い】
【しかし、先ほどの少年の氷柱と同じく直線的な移動しかできない】
【軌道を読めれば回避は容易だが】
408 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/20(土) 22:48:27.75 ID:OUR0ImIBo
>>403

……わっ、うわあああああっっ!!

【激しい狼狽に加え耳を塞いでいたことから、その男への察知がやや遅れる。気付いた時には思ったよりも近くに男が居たらしく、青年は大きく飛び退いた】
【膝立ちから一気に後ろに跳躍し、バランスを崩すことなく着地。脅えている見た目からは大きく離れているだろう機動力と、スムーズな動作】

……な、何でも――――ないッッ……から、こっちを見るな……振り返って、と、ととととっとと此処から立ち去ってくれ……!!

【症状が落ち着いたのか、青年の感覚では先程よりも尖った視線には感じなかった。それでも、心をチクチクと刺す不快な感覚には変わりなく】
【そのため、動揺が口調に見え隠れしながらも強い言葉を言い放った。強いのは言葉だけで、その声色はとても内容とは釣り合ってはいないのだが】

【――――このまま男が立ち去ってくれればそれで穏便に済んだのかもしれないが、故意ではないにしろ男の一言が青年の精神を更に揺さぶる】
【発作が引き金となった先程の出来事を言及すると、たちまち青年から見た男の姿が変わる。――――こいつは単なる酔っ払いじゃない。僕を捕まえに来たんだ】
【ただ話しかけて来ただけの男から、敵へ。そして男が青年に向ける視線の意味も大きく変わる。とてつもない圧力と共に、コイツの目線は――――】

……み、みみみ――――見下すなぁぁぁあああああッッ!!!!

【――――僕を下に見ている。そう判断した瞬間、ふいに身体から何かが湧いた。腹の下の方から急に熱が沸いたように。熱は動悸と共に体中に広がった】
【プライドを汚され、下に見られた怒りだ。青年は心の中で何度もこう呟きながら、両腕を胸の高さに上げて構え、そして疾走した】

(僕は強い僕は強い僕は強い僕は強い……僕は――――強いッッ……!!)

【小柄な体格とやや細身の体躯からは想像できない爆発力の疾走。それでいて正中線に一切のブレが見当たらないという熟練も感じさせる動き】
【彼は迷わず、怒りに任せ――――コンクリの床を跳ねて繰り出すは相手の顎への、右の飛び膝蹴り。顎にクリーンヒットすれば一気に失神もあり得る】
【しかしながらその攻撃は予備動作も多く、軌道も真っ直ぐと素直。怒りが冷静さを奪った結果、初手にしては不向きな大技を繰り出すが――――?】
409 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 22:52:14.92 ID:RgQc7pcBo
【ゴシゴシゴシと、路地裏に響く摩擦音。ジャブジャブジャブと、水の音もたまにする】
【鼻歌混じりに聞こえる異音、季節外れの怪談にしては呑気過ぎる気もするが】

冬の〜汚れは〜♪冷え性泣かせ〜♪

【そこは真っ赤に染まった路地裏の一角、相当酷い何かがあったのだと想像に難くない】
【肉片や傷跡など、戦禍の跡が刻み込まれた路地裏だが、ある部分から不自然に流されたように血糊が消えている】
【よくよくその場を見ると、壁も半分程綺麗に洗浄されており、調度血まみれの場所と綺麗になっている場所の境目くらいに誰かがいる】

夏の〜汚れは〜♪地獄の底さ〜♪

【そこにいるのは、緑色の繋ぎを着た男性である。目深に被ったキャップで目元に影を作り、顎にツンとしたヒゲを生やした男は、歌を歌いながらデッキブラシで路地裏の床を磨く】
【ゴシゴシと血糊を流された後の地面は、コンクリートであるのにキラキラと輝き出していた】

……ふ〜ぃ、取り敢えず半分はしゅーりょーっと……

【一息ついて、首に掛けたタオルで汗を拭う。寒空の下、あたたか〜い缶コーヒーが恋しくなる男だった】
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 22:53:17.61 ID:BBNlSUrg0
>>401>>405
/すいません、食事まだでしたので、ちょっと食べてきますのでレス遅れます……
411 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 22:54:26.87 ID:Rg6uW2MQ0
>>407
{記者の姿を認め、より狂笑を濃くする}

「うん!」

{少年は元気良く返事をする}

{実際に彼は教えられている、スラムでは}
{襲われたくなければ襲って力を誇示しなければならないと!}
{襲わなければ餓えて死ぬと!}

{そして少年は尚も笑う!}
{新しい玩具を眼前にして!}

「こんどはおにぃちゃんが遊んでくれるのぉ?」

{一直線に飛んでくる矢、しかし!}
{それは少年が手に持っていた血塗れの戟によって弾かれてしまう}

「UHYAAAAAAAAAAAAAA!!!」

{奇声をあげながらシャーベットのようになっている死体の一体をを戟に刺して記者に向けてぶん投げる}

412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 23:04:40.58 ID:UXYQ1zlq0
>>405

【頭を撫でられれば、心地よさそうに目を瞑る。……少女の頭に手を触れたなら分かるだろうが、髪は随分と痛んでいて】
【汚れと痛みが目立つ髪は、きっと撫で心地も良くない。鈴音の黒くて綺麗な髪と正反対の、緋色の汚い髪】
【……誰かに撫でてもらうなんて、はじめてだった。殴る人は居ても、撫でてくれる人なんてこんな所には来なかったから】
【だから、仄かに感じるはじめての手の温もりがとても心地良くて……やっぱり、少し不思議な気分】


………わたし……―――わるく、ないの………?

【―――じゃあ、鈴音が怒っていないという事は自分は悪くないのだろうか。首を傾げて聞いてみる】
【……誰かに会えば、いつだって怒鳴られた。汚いものを見るような目で見られた。それが怖くて、小さく縮こまって】
【誰にも見つからないように息を顰めて、暗闇の中で生きてきた。―――笑ってくれたのも、話し掛けてくれたのも、鈴音が初めて】
【自分が悪いかどうかなんて分からなかったけれど、怒られなくていいのだろうか―――】

……わたしも。―――……わたしも、………りんねと、おはなし、したい………

……うん、……いこう………!

【―――自分も、この人とお話したい。もっともっと、聞きたい事がいっぱいある。だって、はじめてお話しできた人だから】
【いいよって、大丈夫だよって、応えてくれたから……少女は嬉しそうに小さく微笑んで、ぎゅっと暖かい手を握る。―――冷たいてのひらは、ほんのりと熱を帯びて】

【少女は鈴音に連れられて路地裏を出る。見たことの無い光が溢れる、はじめての外≠ノ、少し少女は怯え気味で】
【……やはり目立つのだ。この寒い時期に裸足で歩く少女が目立たない筈も無く―――容赦なく視線を浴びて】
【怖がるように鈴音の後ろに隠れてぎゅっと手を握る。集まる視線が怖くて、また何か言われるのかもしれないと怯えて】
【……そんな時に、鈴音が囁いてくれたから。きっと大丈夫、きっと大丈夫って少しだけ不安が薄まった――】


【―――やがて、二人は店に辿り着く。中に入れば春みたいに暖かくて、何だかとってもびっくりしている様子】
【びっくりと顔に書いてるような表情できょろきょろと不思議な暖かい空間を見回していると、鈴音が空腹の具合を訊いてくる】
【こくりと頷けば、そういう事なのだろう。明日食べる物だって見つからなかったのだから、空腹で無い筈がない】
【そして、少女の方からは「……どうして……あったかいの?」なんて訊いてくる。暖房の事を知らないらしく】
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/20(土) 23:14:22.41 ID:5C3OckKWo
>>411

スラムの人間か・・・。

【スラム街の現実を記者は知っていた】
【無秩序状態で弱肉強食の極みともいえる世界を】
【記者はそこの生まれの人間ではないのかと想像したのである】

遊ぶわけではないんですがね。

【少年が奇声を上げながら戟に何かを刺して飛ばす様子が伺えた】
【それは先ほどの原型を無くした死体の一部で】
【死体の一部を手で受け止めそのまま投げた】

まったく、手がかかる男の子ですね。
早くおとなしくなってほしいものです。

【再び矢を弓につがい、絞る】
【少年に向け、その矢は風の魔翌力の恩恵を受け速い速度で疾走った】
【そして記者は手中に風の魔翌力を集中しはじめた】
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/20(土) 23:15:22.52 ID:cChmD6140
>>406

「いィや、そんなことはしやせんぜ。
 ――あっしは最初から、『剣』で戦う気は毛頭ございませんので」

【そう呟いた女は、少女の動きに応じて二本の得物の切っ先を擡げた。それに呼応して、無数の殺気は少女へと蠢き、肌を容赦無く刺さんとする。】
【だが、女が迎え討つ構えを取ったとき、既に少女は先んじた一手を打っていた。飛来する雪塊は、女を狙っていた。】
【目を見開いた女は咄嗟に伏せようとするものの、市女笠は掠められて吹き飛ばされた。女の素顔が、また露わになる。】
【この二回目において、市女笠を拾う暇はなかった。何故ならば少女はある種の絶叫と共に、女へと一突きを繰り出していたから。】

「――ッ、ぅっ……! やりやすね、お嬢さんッ……!!」

【反射的に氷塊を躱していた彼女に、本命の刺突を避けられる道理はない。伏せた勢いのまま急所だけは外れていたが、それでも鈍い刃は剣気と共に袈裟の左肩口を破った。】
【どろり。赤色が裂けた絹に滲み、彼女の表情は苦痛に歪んだ。それはここまで笑いばかりを浮かべていた彼女の表情における、少女が見た始めての苦痛だった。】
【だが、唯ならぬ呪い屋である彼女が、ここで早くも斬り刻まれる道理もない。ぎり、と歯を食い縛った彼女は、無傷の右腕を持ち上げ、仄かに紫色に光る大太刀を灰色の空へと掲げた。】

「肉を斬らせてッ……骨を、絶つッ……!」

【そして彼女は呪われた刃を振り下ろし、少女の右肩口を斬り裂かんとする。追従する殺気が愈々唸りを上げる――少女の耳には突如、刀から溢れる無数の「絶叫」が届けられるだろう。】
【幻聴ではない。本物の、何千何万という人間が狂ったように助けを求めているような、そんな絶叫だった。】
【女自信は武僧ではあったが、しかし特段格闘に長けている訳でもない。故に、彼女の太刀筋は判然とした速さを持たない――だが、この「叫び」を聞かされたのならば。】
415 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 23:19:15.24 ID:mQOydhPr0
>>408
・・・・・・随分怖いものが見えてるらしいな
薬で幻覚でも見えてんのか?

【明らかに異常な青年の狼狽】
【おぼつかない口ぶり、自分におびえてるわけではないのだろうが、じゃあ何が見えているのか】
【とにかく、こんな状態の奴は何をしでかすか分からない。言われたとおりこの場を去ろうと、一歩脚を後ろにずらした】
【―――その瞬間】

うっ・・・おおおおお!?

【耳を裂く様な叫びと共に、繰り出される飛び膝蹴り】

見下す?なんのことだぁ?

【余りに不意の攻撃。男は後ろに反る。回避はもはや反射のみで、思考より早く体が動いていた】
【男はもともと十数年自警団に所属していた。この手の事の対処は体に染み付いていた】
【酔っ払っているせいで回避は遅れ気味に、青年のひざが顎を掠めたが】

【思いっきり後ろに反った男は酔いのおかげでバランスを崩し、後ろに転げる】
【男のレザージャケットが少し乱れ、首筋のある紋様があらわになる】
【赤銅色で描かれた、逆五亡星。その中心にはcanossaの文字】
【ただの酔っ払いに見えるこの男が、"悪"であることを示していた】
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 23:24:54.59 ID:Rg6uW2MQ0
>>413

「うーん、それじゃあ僕がおにぃちゃんで遊ぶぅ!?」

{瞳孔が開いた目が死体を認めるが胴体に当たり仰向けに倒れ死体のて下敷きになってしまう}

{一応もがいては要るが赤黒い血の海の中ではヌルヌルと滑ってしまう}
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/20(土) 23:28:07.16 ID:Rg6uW2MQ0
>>413
//投げられた死体の下敷きになって矢がそれた、と言うことでお願いします
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 23:32:24.38 ID:BBNlSUrg0
>>412

【彼女はまだ少女と会ったばかりで、何をしてきたなんて知らない。もしかしたら、犯罪を重ねてきたかもしれないし】
【――だけど、たとえそうだったとしても。きっと彼女は否定なんてしない。どうしてかって言えば、きっと、】
【そんな自分でも、いいよって言ってもらえた経験からだった。犯罪を重ねた後の自分ですら、赦してくれるひとが居たから】
【大丈夫だよって、抱きしめてもらえたから。――だから、たとえそうだったとしても、駄目だと怒った後で、抱きしめたくて】

【「うん、そうだよ」って】

【とりあえず、今は肯定してあげるのだった。悪い子じゃないって――まだ、何にも、知らないけれど】
【少しお話しただけだけど、悪い子とは思わなかった。路地裏が生んだ、孤児の一人――救われるべき、子だと】

暖房をつけてあるの、お店と事務所だから……、お客さんが来たとき、寒かったらびっくりしちゃうでしょ。
……うんと、これでね、あれに“ぴっ”ってすると、あったかい風が出てくるんだよ。だからね、暖かいの。

【そして踏み入った店内、寒さに赤らみつつあった頬に血が通っていく感覚がして、ほうと小さく吐息をする】
【少女にコートを貸したので身体が冷え切ってしまっていた。そんなこと言わないけれど、暖房の下に突っ立って】
【数秒暖を取っていたのだが――どうしてかと聞かれれば、リモコンを片手にそんな曖昧な説明をしてやり】

ううん……、……じゃ、ご飯、先にしよっか。
ごめんね、今日、本当はお休みの日だから――夜のお店の準備しかしてないの。
だからちょっと待ってもらうんだけど……。

【――先にお風呂に入れてやりたかったのだけど、頷かれるなら仕方ない。食事を先、という方向に思考を切り替え】
【とりあえずここに座ってて、なんて言葉で少女を椅子に誘導するのだろう。しばらく待ってて、とも告げて】
【大人しく待っててくれるなら、三十分も待たずに食事にありつけることになる――が、どうだろう】

【いろいろと店内が気になるなら、壊したりしなければ出歩いてても怒られないだろう。おもちゃの類はないけれど】
【机の上にミニサイズのクリスマスツリーが飾ってあったり、雪だるまの飾りが置いてあったり、サンタの人形がおいてあったり】
【そう言う感じにクリスマスっぽい装飾はしてあるから、よっぽどつまらないってことは――ないかも、しれないが】

【一つ注意するとすれば、サンタの人形、音に反応して歌いながら踊りだすタイプの“アレ”だ】
【何にも知らずに起動させてしまったら――ひどく驚かせてしまうかもしれないが、大丈夫だろうか】

/戻りましたっ
419 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga]:2014/12/20(土) 23:48:02.16 ID:fO/uHNtso
>>414
【肉を斬る感覚がする。『我慢できなくなった時』に斬る肉よりも、幾分か劣りはするが―――――劣りはするが―――――】
【今、誰かの為に振るう刃は。向こう側がどう思っていようとも――――― 堪らなく、気持ちが良かった】
【突いた刃は其の侭に、左手に握る刃を振り上げて彼女へと叩き付けようとした。が、彼女が剣を振り上げるのが見えた】
【咄嗟に其処から退こうとした。退こうと"した"。そう試みようとしたのだ――――― だと言うのに、その耳に届いた声は、風切り音には到底遠い】

「な、なんッ――――――――――」

【意識を搦め取られたと自覚した時には、その刃は届いた。肩へと刃が辿り着いたのを確認してから】
【咄嗟に彼女は目測における彼女の大太刀の間合いの範囲内から、全霊を以って身を引いた】
【だが、だからと言って斬られた結果は決して代わる事は無い。肩口が斬られた学生服、その下から溢れ出た血が、雪に朱色を撒いた】
【彼女の思考は、その痛みへと結びつかない。未だそれは、あの絶叫に囚われている】

「――――― 成程。見せ掛けじゃない。
 ウチが斬ってきた人間の叫び、全部を合わせても足りないくらいだわ。ほだけど」

【納得はしつつも歯噛みする。其処で漸く自分の状況が分かる】
【片腕が使えないのは自分にとっては、本当に致命的だ。二刀流があればこその、この少女の剣術であり、対剣剣術として形を成していた】
【これでは全力を振るえても数回。短期に決着を付けるのはスタイルではあるが――――― もっともっと、速く決めなければならない、か】


「そんな小細工でやられちゃ、剣客の名折れだわ!!」


【再度駆ける。間合いの内に入れば、次に繰り出すのは左手の刀による彼女の脇腹を狙った大振りの一撃】
【この刀は、外見だけ見れば、そして少女の身のこなしだけから判断すれば、通常の刀と変わらない】
【が、其処に内包される重量は実に通常の刀の倍。そして其処から産み出される衝撃も、通常よりもはるかに高く――――― そして、これは囮】
【本命は右手に握る太刀。彼女の身体――――― 狙うは太腿。再度その刃は、一撃目の結果より一泊遅れて"突き刺そう"と振るわれる筈だ】
【今度は確りと。"人を刺し貫くだけの切れ味"を以って。正道より外れた刃、外道の剣、領域外からの"不意討ち"を狙う】
420 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/20(土) 23:49:46.08 ID:UXYQ1zlq0
>>418

【自分は悪くないって、そんな事すら知らなかったから……彼女の肯定の言葉が嬉しくて】
【「わるくない、わるくない……」って、何度も繰り返すのだった。この少女、言葉を繰り返す癖があるみたい】
【きっと初めて知った言葉、初めての経験……そういうものを繰り返して、実感を得ようとしているのだろう】
【自分は悪くないって―――教えて貰ったから】


……だんぼー……?…………―――わぁ、……あったかい……

【鈴音は説明してくれてはいるものの、少女の頭にははてなが浮かんでいる。あんまり理解できていないらしい】
【あったかい風が出るって教えて貰ったから、暖房の近く鈴音の隣にぺたぺたと寄って行って……あの温い風を感じたなら】
【驚きと感嘆の混じったような声を上げる。少女から見れば「春風を出す不思議な機械」くらいに思っているみたいだけれど……】
【これまた初めての体験。たくさんのはじめてに出会って、少女は少し楽しそう―――】

………うん、まってる。

【暫く待つように言われれば、大人しくちょこんと椅子に座って待っていることだろう。意外とお行儀も良くて】
【お店の彼方此方に悪戯したりする事も無ければ、駄々をこねる事も無い。机や椅子、装飾品などをまじまじと見つめたり触ったりしているだけ】
【―――途中突然人形が踊りだして、大声に反応した猫みたいにびくっと跳ね上がるけれど。特に騒ぎ立てる事も無く】
【店の奥の方からいい匂いがしてきたら少しだけうずうずするが……それは仕方ない事か】
421 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/20(土) 23:50:22.20 ID:OUR0ImIBo
>>415

狂人扱いするな……!! 僕はお前よりも強い……強いから偉い……偉いから――――殺しても……良いんだ……ッッ!!
僕をバカにするやつは赦さない……分からせてやるんだ……どっちが上かをッ……!!

【錫色の瞳は餓狼の如く見開き、凶器と化した膝を顎に突き立てようとするも不発。それでもぶおん、という空気の裂く音や肌を切り零れる赤が、その危なさを示すだろう】
【体格は大きいとは言えない。見た目も細い。暗い印象に加え心も脆いが、戦闘スタイルは正しくストライカーそのもので――――パワーもスピードも、申し分ない】

……くそ……!! 逃がさな――――ッッ!? え、その……カノ……ッサ……?

【着地後間髪入れず、化け物じみた身体能力をフルに生かし接近。脇を締めた構えから右ストレートを顔面に叩き付けんと拳に力を込めた瞬間――――】
【視覚に飛び込んできた「ある情報」が、彼の動作をピタリと止める。ダダ漏れの殺気は困惑へと変化し、鋭さを見せた瞳も最初のように狼狽の色を見せていた】
【――――眼には絶対の自信がある。故に先程飛び込んできた逆五芒星を疑うことは無かった。あれは本物だ。……と、なれば――――】

ご、ごごごごごごごめんなさい……ッッ!! その……あ、あれです……!! beyond2です、アレのせいで……度々こんなことになるんですぅっ……!!
その――――僕も、なんです……左足首に――――ほら、17って……。だからその……迷惑をお掛けしてホント……すみま……せん……。

【……謝罪しかない。90度オーバーの深々とした礼を見せ、視線は真下の地面を見ながらも先程を越える動揺から謝罪の言葉を並べ立てる】
【そこからしゃがんで、白い靴下を捲って見えたのは確かな逆五芒星、そして17の数字。これが示す意味は説明せずともわかるだろう】
【理由をクスリのせいにはしたが、正確にはそうではない。けれど少しでも自分の責任を軽くしたいのか、咄嗟にbeyond2の名前を挙げた】

【同僚だと発覚したとはいえ、此処まで態度を変えるのもおかしな話ではあるが――――忠誠か何かが、彼にそうさせているのかも知れなかった】
422 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/21(日) 00:01:47.17 ID:R7c2D78uo
【路地】

【賑やかなオフィスと商業ビルが立ち並ぶメインストリートから外れた旧市街】
【赤いレンガの建物と石畳の残る街並みは美しいのだが夜は打って変わって】
【薄暗いそこは街の中でも治安の良くないブロックだ。落書きだらけのビルの壁がそれを十分に知らせる】

【店もフェンスをおろして人通りの少ない路地。オレンジの灯りの街灯の下。誰かが倒れていた】
【まれに通りかかる地域住民は無視して素通りする。ここで生きてきてそうやって学習した。多くは】
【酒に呑まれた阿呆かギャングやマフィアの抗争の果てにリンチか暗殺されたこれもまたアホのどちらかで】
【関われば面倒くさいかつ身に危険が生じるのにも関わらず何の特も無い。だから、優しさはとっておく】

【倒れているそいつは建物の隅で仰向けにやられている。背は高い。サングラスの黒髪の男だ】
【黒いスーツ、真っ赤なシャツ、黒いネクタイ。腰のベルトにはリボルバーが2丁。ビールの空き缶が一つ】

………あれ…?…何処だ、ここ………

【男は目を覚ましたのか呟く。だが起き上がろうとしない。立ちたくなかった。ポケットを探って煙草とライターを見つける】
【くしゃくしゃの紙箱の安い紙巻きをくわえて、オイルライターを擦る。擦る…擦る擦る擦るが……点かない。諦めたように手からこぼれ落ちる】
【火のない煙草をくわえたまま、寒さと冷たさを感じる…さてどうすりゃいいんだろう】
423 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 00:11:41.47 ID:VmkG1J780
>>420

【やがて戻ってくる彼女の手にあるのはまあるい大きなお盆。上に乗せられているのは、食べ物がいくらかと】
【お茶の入ったコップで――前にかたん、と置いてやれば。それらを少女の前に並べてやるのだろう】
【まんまると木の葉型でぽってりとしたオムライスはケチャップがたっぷり添えられて、他には、茹で野菜のサラダと】
【ベーコンとたまねぎが入ったコンソメのスープ。上には軽くパセリが散らされていて、彩りなんてものも気にしたらしい】
【飲み物はごく普通のお茶だ。ただ、外の寒さに居たばかりだからと、冷たいものだが――氷は入っておらず】

【――ああ、そう、特筆すべきは、オムライスだろう。だって、その上には、ちょんと旗が立てられていて】
【爪楊枝とそこらの紙で作った程度の旗だが、なんだかかわいい猫の顔が書いてある。やっぱりオムライスには旗が必須と考え】
【特に、少女みたいな子に与えるのだから――そりゃあもう、旗、絶対要るでしょう、なんて気持ちなのだった】

どうぞ、……本当は夜の分なんだけど、後でプリンもあげるね。

【そんな食べ物たちを少女の前に並べてやると、彼女は同じテーブルに着くだろう。だけど、向かい合わせの位置ではなく】
【横の位置に座って――、食事しているところを見るでもなく眺めて、基本的には視線を逸らしがちにして食べるのを待つのだろう】
【スプーンとかフォークに慣れなくて零したりしても怒りはしない。なんなら手で食べたりするのでも、何も言わないし】
【ただ熱いだろうからというので食べさせてやることになるかもしれないが――とりあえず、食事マナーについて気にすることはなく】

【――少女がおなかいっぱいになるのを、ただ待つのだろう。もちろん足りないというなら、言えば追加を作るだろうし】
【その辺りは遠慮しなくてもいい。なんせ、そのための企画だ、路地裏の子たちに、暖かいものを、おなかいっぱい、用意するって】

【時々「おいしい?」なんて尋ねられるかもしれなかった。それは、或いは、少女の癖みたいなもので】
【いわゆる“おいしい家庭の味”である彼女の料理。おいしいって言ってやれば――とっても、とっても、喜ぶけど】
424 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/21(日) 00:14:59.95 ID:eVGsxcZ20
>>421
今度は急にかしこまって何なん・・・・・・僕も?
ああ、こいつか・・・・・・

【起き上がり、隠していた首筋の紋様に気づく】
【幸い青年は同僚だったようで、面倒ごとにはならなかったが・・・・・・】
【この態度の変化。これもまた、異常だ】

(beyond2・・・・・・あの麻薬か。
それでこの態度の変わり様、組織への忠誠を植えつけられた洗脳兵ってところか
・・・・・・胸糞わりぃな)

おいおい、そんなに頭を下げんでくれよ。おかげで酔いも冷めたし、気にしてねぇ。
それに俺は14だ。三つしか変わらないんだしよ、適当に話してくれや

【麻薬、洗脳、頭に浮かぶことはどいつもこいつも気分が悪い】
【男は機関に所属する悪だが、自らの正義を通すために悪であるだけ】
【そして自分の正義に麻薬、洗脳は相容れない。気に喰わない。】

・・・・・・機関の、しかも番号持ち同士が会えるなんてラッキーなことなんだ
せっかくだし身の上話でもしようぜ。仲良くなりたいしな。
兄ちゃん、てめぇはなんで機関に入った?

【洗脳されていると思っていながら、こんなことを聞くのはなぜかと思ったが】
【だからこそでもある。機関に入った理由、青年が悪であるルーツ。】
【それを聞きだすことができれば、麻薬の奥の彼が聞けるのではないかと思ったから】
425 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/21(日) 00:25:54.53 ID:pAV6S8XMo
>>416
/すいません、明日早朝より予定があるため、凍結ということでお願いできませんでしょうか。
/明日は午後8時くらいからはじめられますが
/いかがでしょうか
426 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 00:26:11.59 ID:cE2YHU6wO
>>419

「――喰らいやしたね、一太刀」

【血を流しながらも、彼女は再び笑った。彼女は自らに負わせた傷を代償に、少女へも同様の傷を負わせたのだった。】
【――それはまるで、唱えた呪詛が自らにも同様の呪いを齎す、所謂「呪い返し」にも似ていた。】
【彼女は呪い屋であった。故に、剣客として少女と渡り合うことは不可能だった。単純な実力以前の問題であった。】

「小細工、ですかィ。しかし二回も同じ手は、桑名の焼き蛤――でさァ。 
 お嬢さん、あんたの戦法は『囮ありき』じゃあないですかい?」

【再び少女は駆けた。女はそれを見て、まず右の太刀を低く構えた。そして鞘を持つ左手を掲げ、少女を迎え討つ様相を見せた。】
【恰も、少女の斬撃を誘っているようだった。左手の刃が大振りに振り回された。鈍打に似たそれを女は避けず、自らの脇腹で受けてみせた。】
【白い袈裟に再び血が滲み、女は間髪入れずに血を吐き出した。だが、本命は逃さない。】
【彼女が動かなかったのは、それ故だった。予め構えていた右腕の太刀は、少女の刺突に精密に反応して風を切り上げた。】
【狙いは、太腿を狙う太刀。それを真っ向から迎え討つことによって、少女の太刀を弾き飛ばす――或いは、破砕することを目的としていた。】
【――そして、彼女にはまだ、左手の鞘が残っていた。】

「――もう一丁、行かせてもらいやす。
 怨まないでくだせェ、あっしには『どうしようもないこと』でさァ」

【鞘は剣閃の上にある舞い散る粉雪を総て叩き落としながら、少女の無防備な首筋を斜めに抉らんと振り下ろされた。件の絶叫も添えながら。】
【されど、所詮は鞘撃であった。そして、剣客でないものの一撃でもあった――しかし、これは「呪い屋」の一撃だった。】
【もし少女が、この鞘を真正面から受けたのならば――先ず少女を襲うのは、打たれた首筋から全身に広がる熱と、倦怠だろう。】
427 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/21(日) 00:31:03.80 ID:z/uTWefR0
>>425
//わかりました
//凍結、と言うのは中断という事ですね
//拙い駄文に付き合っていただしありがとうございました。
//またあしたよろしくお願い致します
//お体にお気をつけてお休みください
428 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 00:44:14.08 ID:XDZP6/2O0
【――――月光と星々の明かりのみに照らし出された森の中】
【普段ならば平穏で在ろうこの場所も、今宵ばかりは魔獣達の唸りに静寂も打ち破られ】
【その方向を見遣れば一人の少女が魔術を用いて魔獣達を葬っている事が知れるか】


「人々を無意味に殺めるのならば我々教会が処罰します
血には血を以ての償い。血でしか止める事が出来ないならば、其れはイリニ達の役目です」

【純白のローブに白銀の髪。同じ色の双眸は感情を浮かべる事も無くただ魔獣達を敵として認識しているだけの様】
【色々と記すべき事はあるのだが――――何より特筆すべきはその手に装備された“手甲”の様な物だろうか】
【其れは大きな魔力を漂わせており、たった一薙ぎでも獣達にとっては致命的な一撃】

【程なくして、その森に舞い戻ったのは静寂。無数に転がる骸の中、ぼうっと立っているのはその少女のみ】
【辺り一面が朱に汚れる中、その少女だけは汚れる事無く純白を保ったままで】


「任務の完遂を確認。取り逃した存在は零だとイリニは確信しました
――――少し休んでから帰還します、とだけ告げてイリニの報告は終了します」

【徐に取り出したのは水晶だ。恐らくは通信機代わりなのだろうが――――其れに報告をすれば、再びその場でぼうっと立って月を見上げる事となる】
【魔獣達の咆哮だとか魔力だとかを辿れば此処に辿り着くのはそう難しい事でも無い】
【そして、この場を訪れた者が見ることになるのは上記の通り。血にまみれた中、少女が一人月を見上げているなんて状況】
【声を掛けるにせよ、何にせよ。白の少女は感情を浮かべる事も無く其方を見遣ればじっと視線だけを向けるのだけれど】







【――――深夜の繁華街、となれば治安も悪くなり。所々で客引きの声やら罵声が聞こえたりとするのだけれど】
【その中でも一際目立つ騒動が路地裏入口付近で起きていて】
【見遣れば柄の悪い男達に囲まれる青年が一人。その身形と気配とは軍人を連想させるもので】
【何よりも顔の左半分に傷跡が走っている事が特徴か。瞼が閉じられたままである事から、開かないのだと知れるけど】


「俺は金を持っていない…………と何度も言っている筈だが
縦んば持って居たとしてもお前達数人で奪えるとは到底思えないけどな」

【その言葉に逆上したのか、男達が一斉に襲いかかるも――――それぞれが拳の一撃で沈められ】
【残った一人が叫びながら飛びかかってくるが後ろ襟首を掴んで地面へと叩き落として】

【所詮は命の取り合いもした事の無い者達。強い痛みを味わえば蜘蛛の子を散らす様にして逃げ】


「全く、俺も舐められたもんだな―――――
さて、当初の目的通り飯でも食いたいが…………金も残り少ないし、どうしたもんか」

【大した障害でも無かったとばかりに溜息を吐けば辺りを見渡すが――――】
【先の出来事もあり、必然的に人集りが出来ているのだから遠目からでもよく目立つ】
【当の本人は周りでヒソヒソと声が交わされている事も気にせず辺りの店を見ているのだから、更に目立ち】
429 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 00:49:29.61 ID:jAitDiyR0
>>420

【鈴音が戻って来た。お盆に載せて、手作りの料理を持ってきて……ほんのりと湯気の立ち上るそれを少女の前に並べてやれば】
【少女はまじまじと見つめるだろう。漂ってくる美味しそうな匂いや温かさも、この少女にとっては初めての経験で】
【見たことの無い食べ物と、見たことの無い食べ物と、見たことの無い飲み物と……―――こんな食べ物、初めて見る】

【何せ、卵なんて存在すら知らなかったくらいなのだから……黄色い其れが何なのか、多分まだ分かっていない】
【にんじんとたまねぎは見た事がある。こんな色の皮をごみ箱で見つけて食べたことがあるから……皮は食べてもあんまり美味しくなかったけれど】
【お茶も、道端に転がっていたの見かけのペットボトルを拾って飲んだことはある。ちょっぴり苦かったっけ】
【フォークやスプーンを使うのも初めて。形から、なんとなくこれで突き刺したり掬ったりするのかなって事は分かったみたい】

……えと、……たべて、いいの………?

【食べる前に「いただきます」と言うのは知らなかったようだ。促されれば、まずオムライスをスプーンで食べ始める事だろう】
【……スプーンの握り方は間違っている。柄の部分を握り締めるようにして持って、頑張って掬い上げて……やっぱり少し零してしまうけれど】
【ともあれ、一口食べれば少女の表情はすぐに笑顔に変わる。年相応の少女らしい可愛らしさを備えた幸せそうな笑顔を見せて】
【目をキラキラと輝かせて食べ続ける。飢えていた分その食欲は凄まじく、本当に嬉しそうに出された食べ物を口に運んで】
【「……おいしい……!」なんて、多分今までで一番大きな声で(それでも普通の人よりは小さめだけれど)言ったりするのだった】

【そして、やはりと言うか。何度も「これは、なぁに?」って聞いてくる。あるいはオムライスの卵、あるいはスープ……ほぼ全部の料理の名前を訊くのだ】
【今まで自分の食べていた物とこの料理は、根本的に違う。こんな風にして自分の為に作って貰った料理なんてはじめてだったから】
【なんて暖かいんだろう。なんて美味しいんだろう。こんなにあったかくなるのは初めて―――本当に、初めて】
【スープも口に付けて、その熱さに少しだけ難儀するもちゃんと自分で飲んだりする。根本的に好き嫌いは無いのだろう、野菜だって全部食べて】
【……暫くすれば、用意された料理は綺麗に無くなっていることだろう。……やっぱり、よほどお腹が空いていたようだ】

【―――お腹一杯食べると言うのも初めての経験だった。手作りの料理を食べるのも初めての経験だった。】
【少女は口の傍にご飯粒やケチャップをつけたまま、満足そうにふわりと笑う。多分今までで一番幸せそうな……そんな笑顔】
【美味しかったから?―――きっとそれもあるだろう、けれどそれだけじゃない……この笑顔はきっと、暖かさを感じられたから】
【冷たかった少女が、鈴音の暖かさを知ったから。―――そうじゃなきゃ、こんな笑顔にはならない】
【無論、鈴音の料理が美味しかったことは少女の満たされたような笑顔が何よりも証明していて……少し、表情も明るくなったような気がする】

【お腹一杯に食べ終えれば、次は風呂にでも入れてやるのだろうか。……仕方ないとはいえ、少女の体はひどく汚れているから】
430 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/21(日) 00:49:52.77 ID:IDSpKJNfo
>>424

あ……はい、すみません……。 本来なら皆さんの顔を覚えておきたい所なんですけど、その……
降格とかも多いですし、あまり機関員同士の交流ってのもそんなに無いので――――つ、次は絶対にこんなこと無いので……。

【先程の餓狼の如き瞳と歪な狂気は何処に行ってしまったのか――――そう思われても仕方がないほどの牙の抜けようだった】
【此処だけ切り取ればただの気弱な青年に過ぎない。しかしそうだからこそ。この落差があるからこそどこか壊れていると捉えることもできた】

【――――カノッサ機関は言うまでもなく悪だ。そのことは世間を見れば当たり前のように理解できる。しかしながら青年には、目の前の男性が悪に見えなかった】
【闇、狂気、狂った価値観。カノッサ機関というのはそのような人々の集まりだという認識を青年自身は持っていた。しかし、なんというか――――いい人だな、と思ってしまう】

……あ、その……どうも……。ぼ、僕も仲良く……なり……たいです。
僕……ホント最近ナンバーズになったんで、初めてなんです、ナンバーズ同士……ってことが。
あれですよね、仲良くなるには――――その、お互いのことを知らないとですよね。

【仲良くなりたい、という言葉に一瞬戸惑いを見せるも、小さく不器用な笑顔を零してから言葉を途切れ途切れに語り始める】
【彼自身も、仲良くなりたい。――――その意志は、言葉からもはっきり伝わってくる。ただ、会話に慣れてない感じが出ているのは隠せていないのではあったが】

……その、僕は入ったというか――――入るしか無かったんです。あ、でも嫌々じゃなくて……救われたんですから、ホントに嬉しかったです。
僕――――アンブローズって言います。その、アンブローズ家なんですけど、僕の生まれた村では一番大きな家で……その村を仕切ってたんです。
でも突然村人たちが反逆を起こして……家も、お婆ちゃんも、母さんも燃えて失いました。父さんは……生きてたんですけど、地位を失ったせいか苛めとか色々あって。
――――で、アンブローズ家は僕一人になりました。アンブローズ家が地に堕ちた次の日から、村ぐるみの苛めが始まって、友達にも裏切られて……。
……毎日机の中に首吊りのロープが入ってたりとかその、よくあったんで。そんなことがあったら死にたくなるのは……当然ですよね、でも其処で助けてくれたんです。

――――カノッサ機関が、帰る場所の無い僕にこの世で最後の居場所を見つけてくれた。一度は失った権力≠ニいう力に変わって、暴力≠ニいう力を教えてくれた。
僕はもう居場所を失いたくない。力を失いたくない。だから僕は此処に居るんだと……思います。なんでカノッサが助けてくれたかってのは……なんでしょうね……。
能力はカノッサに入ってから身に付けたハズだし――――その、そこだけは未だに良く分かりません。でも……カノッサの為に頑張るってことは、その、変わりません。

【自分なりに、不器用なりに短く纏めたつもりであるが、予想以上に長くなってしまったな、と苦笑いを浮かべる】
【カノッサが、彼の最後の居場所だから――――。悪党にしてはらしくない言葉だった。彼の手に入れた暴力は、人を傷つけるというよりも、自分を護る為にある】
【そう感じさせるような言葉。そして、カノッサへの深い想い。――――ただの薬物中毒者ではないことは、最低限伝わる筈だろう】



431 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga]:2014/12/21(日) 00:55:42.02 ID:eH1OeMFzo
>>426
【否。気が触れていると言えばそうなのかもしれないが、其処には確りと正気があった。それは、確たる意思の上で成り立ち。恍惚と。何かに溺れている】

【叩き付けるような重量任せの刃に感覚。その瞬間に、この『一撃』が失敗だと、悟る】
【だが既に振るった刃はどうしようもない――――― 止める事は出来ない。引き金を引いた後の弾丸の様に、自分の意思のままに飛び出していく】
【右手に握る刃は、届かない。彼女の振るうそれは、正確に、少女の握る刃を弾き飛ばした】
【砕け散らなかった理由としては、右肩を事前に負傷していた事。身体に無理を言わせた駆動にかかる、想定外の力に握力が耐えられず、手放された】
【不幸中の幸いか。それとも――――― どん底の如き、紛れも無い不幸か】

「く―――――ぐッ!!!」

【少女の遥か後方で、雪景色へと突き刺さる刀。それと同時に、少女の首筋へと鞘が叩き付けられる】
【意識を刈り取られはしなかった。だが首筋にそれを叩き付けられれば、相当の衝撃が伝えられて、思わずその場に崩れ落ちそうになる】
【そして叩き付けられた其処に広がるのは熱――――― ただ痛いだけの、それを要因とする物では無い】
【こんな痛みの広がり方、自分は知らない。ましてや全身へと、倦怠感と共に広がるそれなんて――――― 自分は、感じた事が無い】

「―――――――――― 何を、した……!!!」

【二撃目のそれを見切られた事もさることながら、二撃目による倦怠感と熱は、間違いなく少女の戦う力を削いでいった】
【闘志は確かに宿っている。然し彼女は、剣を雪の中へと突き刺して、膝をついて、息を荒く吐いていた】
【幾ら奥歯を噛み締めようとも、身体に巧く力を入れることが出来ない。熱を入れようにも、他の"熱"が、身体の駆動の邪魔をする】


「何をした、答えろ、呪い、屋ァ!!!」


【既に戦況は致命的である。まんまと敵の術中、両手で刀を構える事も叶わず、どころか片割れは遥か遠く】
【身体を包むは謎の現象――――― 何が起きているのかはわからないが、どういう事かは何となく分かる】
【と言うよりかは、分からざるを得ない。彼女の語る――――― 『呪い屋』という事実が、この上なく彼女へと説明として突きつけられてきた】

【息を荒く吐きながら、彼女を睨み付ける。今度のそれは、実際の脅威を伴わない――――― 恐怖の欠片も、誘引しない物で】
432 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 01:03:19.51 ID:VmkG1J780
>>429

【とりあえず、よっぽど難儀するようならスプーンやフォークの使い方も教えてやったことだろう】
【それでも、無理強いするではなく。こうやるんだよ、なんて教えて、後はやりたいようにやらせてやるはずだ】
【たとえばそれがマナー違反だって、今はまだその段階にない。テーブルマナーを教えてやるのは、その先だろうし――】

【というわけで、彼女は基本的に眺めているだけだった。時々口の周りのケチャップを拭ってやったりはするだろうが】
【たまに「おいしい?」なんて聞いて、食べるのを眺めて、――それで満足そうだ。或いは幸福そうにも見え】
【食べ終えた彼女の頭をよしよしと撫でてやろうとしながら、やっぱりまた、口元を拭ってやったのだろう】

【――だけど、たとえば、お皿にご飯粒でも残っているようなら。軽く、怒られることになるかもしれない】
【曰く、お米には七人の神様がいるから残しちゃいけないのだという。けれど、それは、きっと分からないと思うなら】
【農家さんが頑張って作ったんだから。という言葉に言い換えるのだ。そうでなくとも、食べ残しとかは食べるように言い】
【ただ――おなかが空いていたなら、食べ残しとかはないのかもしれない。それならば、彼女はそう言ったことは言わず】

【それから、約束どおり。プリンを持ってきて、食べさせてやるのだろう。手作りのプリン――掬ってみれば】
【ちょっぴりスの入った、少し硬めのプリンだ。硬めなのは彼女の好みというだけで、別段失敗とかではないけれど】

じゃあ……うん、お風呂、だけど。女の子なのに、髪とか綺麗なほうがいいもんね。……、
……えっと、待ってて、セリーナに言えばお洋服あるかもしれないけど……、わかんないから、取ってくるね。

その、……すぐに戻ってくるからいい子にしてて、ね。プリン食べて、待っててね。

【とりあえずプリンを食べているのを眺めながら、彼女が言い出すのは、やっぱり、お風呂に入ろうか、ということ】
【だけどお洋服がちゃんとサイズの合うものがあるのかは、分からなくて――というか、多分、ない気がする】
【いくらセリーナでも幼女の服は持ってないだろうし……自分も持ってないのだが、襤褸のままはよろしくない】
【両手を合わせて申し訳なさげにしながらそんなことを言う。了承すれば、その姿は、ふっつりと魔法みたいに消えてしまい】

【ほんの数分で戻ってくるが、しばし寂しいことにしてしまうかもしれない。お部屋の中は暖かく、誰も来ない、平和だが――】

――――ごめんね、お待たせ……。お洋服、わたしのなんだけど……、大きくても平気そうなの、選んできたよ。

【やがて戻ってきた彼女の手には膨らんだ袋。中にはお洋服らしきがいくつか詰まっていて、それなら、言葉通りか】
【プリンを食べ終えていたなら、お風呂場に連れて行くことになる、のだが――店の裏手、とある部屋に入り】
【「中に入るの、内緒だよ」だなんて言うのだった。――と思えば、なんだか床ごと下に下りているような浮遊感があって】
【まさにその通りでエレベーターなのだが、驚かせるかもしれなかった。だけども、怖がらないように、だろうか】
【少女が拒否さえしなければ、その手は優しくつながれているはずで。時間はほんの十数秒、よほど長いわけでもなかった】
433 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 01:29:18.77 ID:cE2YHU6wO
>>431

「言わんでも分かってるでしょうに。『呪い』ですぜ、お嬢さん。
 この刀――『呪刀六道丸=xってんですが、こいつァ斬った人間に『呪詛』を送り込むんでさァ。あっしの意思とは関係なしに、ね」

【崩れ落ちた少女の吼え声に、彼女は最早何の脅威も抱いてはいなかった。】
【少女から数歩離れ、振るった太刀を鞘に納めたことが、その証左であった。】
【雪中に刺さった錫杖を拾い上げ、市女笠から粉雪を振るい落として被り直す。
【そして大太刀を再び背負えば、彼女に残っているのは与えられた傷のみであった。】

「お嬢さんは、まだ二撃でさァ。入り込んだ怨嗟の念も、精々死人の魂が数十人分程度でしょう。
 だから、気の持ち様によっては、まだ十分に自力で立て直せやす――んが」

【彼女は再び少女へと近づき、その額に指先を突き付けようとする。】
【それが終われば、次に掴もうとするのは少女の顎である。人差し指と親指で掴み、無理矢理に市女笠の下にある女の瞳を見つめさせようとする。】

「呪いや祟りは、それを受ける人間の『弱み』につけ込みやす。
 あっしがお嬢さんをまた三回ほど斬ったら、多分あっしぐらいじゃないと助けられやせん。
 更にもう何回か斬ったら、もうあっしでも止められやせん。ただただひたすら、凡ゆる霊魂と呪詛を吸い込み続けて、じわじわ呪い殺されるのが落ちでさァ」

【終始囁くような調子で、しかし時折強調を見せながら、彼女はそう語りかけた。夜闇に似た瞳が睨み、薄く色付いた唇が密やかに動くのは、一種の催眠にも似ていた。】
【それは少女への警告であったが、同時に敵意を捨てたことの証明でもあった。一通り話を終えれば、彼女は直ぐに少女から指を離す。】

「それでも、まだ続けやすか。あんたにも友達はいるんでしょう。
 あっしは割合、情に厚い女です。恩のあるあんたの知り合いを、態々呪うほど腐っちゃおりやせんて」

【そう嘯く彼女の表情には、つい先程までの誠実な微笑みが戻っていた。】
【脇腹と肩口を紅く染め上げながら、尚彼女は微笑んでいた。】
434 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/21(日) 01:29:26.85 ID:eVGsxcZ20
>>430
なるほど、な

(前言撤回、洗脳兵とか薬中とか、その類じゃないらしい
何かしらの理由で能力の素質を見出された、もしくは自覚が無いだけで既に発現していたか。それでスカウトされたってとこか
暴力、ね。それが護身の為の力なら否定はできんな。
・・・・・・こういう救われ方も間違っちゃいないのか)

【顎に手の甲を当てて、頷き相槌を打ちながら男は話を聞いていた】

そんな過去があったのなら、あの見下すなって台詞の意味も分かる。
悪いな、狂人扱いしちまって。

ただ、一つだけ覚えとけよ。
お前は恩を感じてるんだろうが、カノッサは決してお前に居場所を与えたわけじゃねぇ。
利用できる、そう思ったからスカウトしただけだ。
力がないと思われりゃ捨てられるだろうし、力があるなら使いきられるだけだ。

要するにカノッサ自体は居場所にはならねぇってこった。
だが、ま、カノッサの中に居場所を作ることはできる。
俺も新参に近いし言い切ることはできんが・・・・・・カノッサだって気狂いばっかりじゃねぇ
こんな風に、普通に話せる奴もいる。
まー、なんだ。長々と喋ったがよ、言いたいのは居場所が欲しいなら、与えられたものだけじゃなく自分からつくりに行けってこった。
周りが皆自分を見下してるなんて思わずな。
お前はNo17、上位じゃねぇか。自身持てよな

【ぽんっと青年の肩をたたき、男は気分良く高笑いする】

さて、今度は俺の話なんだが・・・・・・

【ふと、腕時計を覗き】

っと、すまんな。お仕事の時間がやってきやがった。
俺の話はまた今度って事で許してくれよ

【時間も迫っているのか、男は語りながら慌てて背を向ける】
【そして数歩歩くと、男はまた急に振り返り】

名前ぐらいは名のらねぇとな。
俺は桐斗 仁っつーんだ。せっかくの同僚だ。おぼえてくれよ?

//ここらで〆でいいでしょうかー
435 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 01:34:27.60 ID:jAitDiyR0
>>432

【フォークやスプーンの握り方がおかしいせいで、どうしてもこぼしたり食べきれなかったりするものは出てしまって】
【綺麗に食べるという事は難しいようだった。食べ残すつもりは無くても、お皿には少しご飯粒が残ってしまって】
【……それでも頑張って、手掴みを使ってでも綺麗に食べてしまう。皿にはきっと何一つ残っていない筈】
【どうしてここまで綺麗に食べるのか―――それはきっと、つい先程まで食べ物の一つにすら困っていたからだろう】
【口元を拭って貰ったり優しく撫でて貰ったりすれば、少女は心地よさそうに目を細める。……なんだか母親と子供みたい】

【……そして、デザートとして出て来たプリン。―――と言っても、プリンを見るのもこれまた初めてで】
【出された柔らかい円形の台にスプーンを入れて掬って、大きく口を開けて一口食べて……ほろりと溶けるような甘味が口全体に広がって】
【味わったことの無い甘味に、思わず表情も綻ぶ。こんなに美味しい食べ物があったのかと言わんばかりに】
【因みに、さっき教えて貰ったスプーンの持ち方を苦労しながらも実践しているみたい。意外とがんばり屋のようだ】


……―――え……?うん、まってる……―――――あ。

―――きえちゃった………

【そうやってプリンを食べていると、鈴音が待っているように告げて急に居なくなる。少女も少しびっくりしたみたいだけれど】
【言われた通り、ちゃんと大人しく待っていることだろう。鈴音の帰る頃にはプリンも食べ終えて……やっぱり口の端っこに欠片をくっつけて】

【それからは鈴音に連れられて風呂場に行くことになるのだろう。とことこと雛みたいに先を歩く鈴音の後ろにくっついて】
【何が起こるのかも分からぬまま、鈴音の手を握る。……すると、急に味わったことの無い感覚をふわりと体全体に感じて】
【「なにがおこってるの」と言いたげな表情で、降りている間は鈴音をじーっと見つめていることだろう―――】

/すみません、そろそろ凍結で宜しいでしょうか……!明日なら20時頃には開始できると思いますが……
436 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 01:37:25.67 ID:VmkG1J780
>>435
/了解ですー、それで大丈夫ですよっ
/明日は何時に暇してられるかちょっと分からないので、暇になった頃に呼びかけますね
/ひとまずお疲れ様でしたー
437 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(新潟県) [sage saga]:2014/12/21(日) 01:50:29.89 ID:IDSpKJNfo
>>434

……分かってます。でもそれでもいいんです。そういう理由も……僕が強くあろうとする理由ですし。
力さえあれば僕は此処に居れます。……僕は強いです。問題――――ありません、けど……

【カノッサは自分を利用している、との指摘。アンブローズは寂しい笑みを浮かべて、その現実を肯定した】
【改造、投薬――――体格に似合わない爆発力は身体にメスを、そして異物を入れて「造った」に過ぎない。被験体としての意味があったことも知っている】
【それでも、此処から離れることなんてできやしない。もし此処を離れたとして、自分に未来はあるか。――――想像できない。というか、想像しようとすると体が震えるのだ】

【だからこそ、自分は利用され続けるしかないと覚悟している。いや、利用というか、頼りにされ、信頼されるように自分が強くならなければならない】
【強くなることも、彼の居場所を護ることと密接に関連しているのだ――――と語る彼だが、急に不安そうな顔つきになれば、声のボリュームを落として――――】

居場所を作る……って……その、どうやって――――なんですか……ね……――――あっ、行っちゃうんですか……。
そ、その次は――――貴方の事も、き、桐斗さんの事も教えてください……でもそれよりも、その――――居場所の……ああ、行っちゃった……。

【居場所とはどうやって作るものなのか。それが彼には分からなかった。村を牛耳るアンブローズ家。故に勝手に人が集まり媚びてくる。求めれば、与えられる】
【だからこそ、その居場所の作り方に関しての関心が強く、どこかぼんやりとした光が心を照らしたように思えた。――――桐斗さん。絶対に忘れないでおこう】
【僕と同じ立場で、同じ目線で話してくれる。上にも下にも人を分けない、素敵な人だ。……でも、自分はあんな人になれるかと言ったら――――無理だ】
【そして、なりたくないというわけでもないが……なりたい、と思う訳でもない。心の闇を吐き出さずに溜めこむなんて、僕にはとても耐えきれないから】

【――――あの背中、あんなに大きかったっけ……】

/そうですね、ありがとうございましたー!!
438 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 01:51:06.03 ID:VmkG1J780
>>435

【一体全体、説明を求めるような目を向けられれば、彼女は困窮する。エレベーターの仕組み、よく知らないのだ】
【最終的には答えに困り、「えっと……部屋が動くの……」とか言っていた。ひどい有様である】

【そんな感じで連れて行った地下、――開ける光景は、なんだか、広い場所だというのが分かるだろう】
【なんだかいっぱいいろいろある。機械とか、キッチンとか、なんだか、そういった――いろいろが】
【実は彼女も全部は良く分かっていなかったりする。キッチンは何度か使って勝手を覚えたのだが、とは余談でも】

【とりあえず手を繋いで風呂場へ案内するのだろう、そこも、きっと、広い場所のはずで】
【洋服……洋服でいいのだろうか。襤褸切れを脱ぐように言うのだろう、それから、彼女も、】
【服を脱いでいくのだが、全部は脱がない。世話するために一緒に入るつもりではあるが、本格的に入浴するつもりではないらしい】
【持ってきた服からシャツを適当に見繕うとそれを着る、それから、同じく持ち込んできたスカートをふわりと穿いて】
【寒かったのかストッキングと靴下の二枚履き、どちらも脱いで。素足になると、お風呂場へと少女を誘導するのだろう】

【――と、その前に。軽くその髪に櫛を通してやるのだった。理由を問えば、髪が絡みにくくなるらしい】
【少女には良く分からないだろうけど――まあ、彼女が普段、そうして洗っているという、それだけの理由だ】
【それから自分の髪を濡れないように纏めると、それでやっとお風呂の時間。とはいえ、入浴するのは一人、だが――】

【それから、中に入れば。長い髪を洗ってやったりするのだろう、その際、たとえば、髪の洗い方だとか】
【毛先よりも地肌のほうを洗う。がむしゃらにがしがしやるんじゃなくて、もっと、丁寧にやる――とか】
【そんなことを教えてやるのかもしれない。そうでなければ、手持ち無沙汰なのか、――ぼんやりしてたり】

【食事風景を見るに、こういった普通のことも分からないようだから。一緒にお風呂に入ったはいいけれど、】
【どこまで構っていいのかはよく分かっていないらしい。なんなら髪でも任せてやれば、喜んで洗うだろう】
【身体も背中くらいまでなら洗うが、前は自分でとのことで任せてしまう。そんな合間合間、浴槽にお湯を溜めてもいて】
【溜まったなら、「あったまる……から」なんて風に浴槽のほうも勧めるのだった。暖かい、強いて言えばぬるめの、お湯】

……そうだ、あなた、自分のお名前――分かる? 分かるなら、教えて欲しいな。
ずっと、あそこに居るの? その……、……お父さんとか、お母さんとかは、分かる?

【白い浴槽にたなびく白の湯気、見ていると天井に登っていって、ぐるぐるととぐろを巻くような、そんな光景】
【もし言われるがままに浴槽に浸かってみたなら、その淵に頬杖をついて。ぼんやりする彼女が、そう話しかけてくる】
【名前は。――親はどうしたのか、と。いきなりではあるが、いつか聞かないといけないこと。それを、尋ね】
439 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga]:2014/12/21(日) 01:58:50.12 ID:eH1OeMFzo
>>433
【『呪い』。そう、薄々勘付いてはいたが、改めて言われれば途端に実感する。あの『咆哮』、そしてこの身体】
【そう思えば途端に恐ろしい。身体の中を怨念が駆け巡る。雪と気温が齎す以外の寒気が、背筋を伝っていった】
【こうなれば後は殺されるのみ―――――――――― ただで殺されようとは思わない。どころか殺されようとすら少女自身は毛ほども思ってはいないが】
【実際問題んとして、其の身体を無理矢理駆動させたとしても、後は良い様に嬲られるだけ】
【片手を使えない少女は、最早一山いくらの剣客にも満たない。ただ徹底的な抗戦の構えだけが、彼女の中に残るのみだった、が】

「―――――――――― なっ」

【彼女は、剣を、鞘へと納めた。止めを刺さない情けをかけられた、では無い】
【戦闘続行の意思があると言うのに、彼女は自分を"もう戦えない"と判断した事に、大きく不満を抱えたのだ】
【絶句、とばかりに、幾度か口をパクパクと閉じて開いてを繰り返して、要約言葉としてそれを吐き出そうとした時に、彼女の指が少女を捉えた】

「何を――――――――――!?」

【続く言葉は閉ざされた。彼女の笠の下に在る双眸が少女を射止める様だった】
【本来ならばその様な要素に屈する様な人間では無い少女であったが、今回ばかりは違う】
【身体の中に入れられたと言う怨霊、それを証明するかのように謎の熱と倦怠を見せる身体、失った刀の片割れ、右肩の負傷】
【この条件がそろった上での彼女の言葉は――――― その警告は、十分な効果を示して見せた】
【その証拠として。少女の白と黒の異色の双眸からは、敵意は在れどもすっかりと殺意と、戦闘意欲の目が削ぎ落とされていた】

【彼女が指を離せば、雪の上へと腰が抜けたように座り込む。見上げる双眸は未だ睨んではいた物の、其処にやはり説得力は失せていた】
【やはり彼女は歯を食い縛って、悔しげに、微笑む彼女へと突きつける言葉を探して――――― 結局、それは見つからなかった】
【見つかる前に、少女の目的は達せられてしまったから】

「――――――――――ぜっ」

【一応欠片ほどに存在する彼女は、其処で一旦だけ言葉を詰まらせた】
【グルグルと自分の中で空転する思考、プライドが交差して、その一瞬で幾度の逡巡を重ねてようやく】


「絶対だからな!絶対、ウチの友達に手出すなよ!!」


【其処に含まれていたのは、一瞬でも含まれていたのは。戦闘意欲と殺意を一度失って尚、そう感じさせるに足る気配】
【「約束を違えれば次は絶対に」という、「気迫」だった】
440 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 10:19:19.74 ID:D3ko8/Tg0
>>439

【切れるような鋭さを失った少女の瞳を確かめれば、女は満足げに破顔した。それは、元より彼女に悪意がなかったことの裏付けに等しかった。】
【彼女は呪い屋である故に、見知らぬ少女を殺すことは依頼でのみ許されていたから。】
【しかし、少女がその絶叫に乗せて再び見せた「気迫」には、彼女も小さく表情を強張らせた。】
【彼女は呪い屋である故に、向けられる悪意に関しては全くもって敏感だったから。】

「ハッハッ、元気のいいことで。その調子なら直ぐに治りやすよ、お嬢さん。
 ええ、勿論でさァ。絶対に、指一本触れやせん」

【だが、またすぐに女は剽軽に微笑んだ。少女の最後の足掻きを、彼女は苦笑と少々の揶揄によって受け止めた。】
【女は踵を返して、そのままに何処かへと立ち去ろうとした。草履と錫杖が、幾度か新たに積もった雪を踏み潰した。】

 「――ただ、それなら。あっしからも一つ、伝えておくべきことがありやす」

【――そして女は足を止めた。カッカラが響かせる軽妙な音も、草履が雪を擦る怜悧な音も、そこで止まった。】
【彼女は今一度振り返った。底知れぬ闇を湛える彼女の瞳に篭っていたのは、決して慈悲ではなかった。】
【彼女の放った只管に凄然とした視線は、降り注ぐ雪の冷徹さだとか、仄かに血の香りを含んだ大気の温度だとかを、総て吸い込みながら少女を射抜いた。】

「もしお嬢さんが、あっしの『仕事』に横槍入れるようでしたら。
 そン時は一切こんな容赦はしやせんので、どうかご勘弁を」

【その口調はただただ淡々としていて、真に必要事項のみを伝えるだけに留まっていた。】
【それを少女が聞き取ったのならば、否聞き取らなかったとしても、彼女は少女を公園の片隅に遺してゆく。】
【住宅街が織り成す複雑な地平へと落ち始めた夕日に応じ、いよいよ吹き荒び始めた新しい吹雪は、女を十分に隠して余りあるものだった。】
【ただ、彼女が鳴らす錫杖の音のみが、冷え切った雪の中を刺し貫き、響いていく――】
【しゃりん。しゃりん。しゃりん。しゃりん。】

/寝落ちしてました、すみません……!
/〆っぽいレスを返しましたので、申し訳ないのですが後はお任せします……。
441 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/21(日) 10:40:40.68 ID:Ut7ylA6Io
【路地裏】

「……おォっと、路ォ地裏名物を踏ゥんでしィまったぜ」

【路地裏を歩く者、それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

【その者がとある地点で踏んづけてしまった、路地裏と言ったらこれという程の名物を】

「あァ、そォーだ!」 「こォれは俺様が犯人だったか!」 「ヒャハハハッ!」
「――まァったく、抵ェ抗しィすぎなァんだよ……おォとなしくしィてりゃア、生ィけ捕りで済ゥんだものを」

【そして、その踏んづけた死体(獣にやられたかのような傷だらけ)から足をどかし、左手1つで持ち上げ……】
【あからさまな悪いオーラを放つ笑みを浮かべつつ、右手で頬をつついてやるのだった】

【……自分でやったのに、歩かなければならない位置に死体があるのは、何か理由があるのかそれともヤリタカッタダケーなのか】
442 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga]:2014/12/21(日) 12:15:34.86 ID:eH1OeMFzo
>>440

「アンタは――――――――――!!」

【自分が優位に立っていると確信して、上から目線でペラペラと喋る―――― 彼女にその気は無いのかもしれない、が】
【少女は、酷く『そう言う風に』感じ取ってしまった】
【けれどそれは事実だ。自分が今立ち上がった所で彼女の口を閉ざす事は出来やしない】
【或いは、これが自分と彼女だけの話ならばそうしていたかもしれない。立ち上がって、もう一度剣を握り、勝ち目の無い戦いに向かったかもしれないが】
【彼女は約束したのだ、自分の『友達』には手を出さない、と。ならば、其処で彼女が剣を突きつける理由は消えて無くなってしまっている】
【どころか、感謝だってすべきことだ。―――――――― 頭では理解しているが、この状況で礼を言えるような性根では無かった】

「―――――――――― 分かった。その言葉絶対忘れるな。
 違えれば、今度こそ、ウチはアンタの首を掻き奪る」

【それでも逡巡の末に絞り出した答えは。彼女のその底知れぬ闇へと向けて、思い切り睨み返しながら、了承の意を返すだけだった】
【屈しないのは意地であろう。結局彼女は、それに対して何が出来る訳でも無いと言うのに、強がりだけを背骨にして、彼女の背を見送った】
【雪風の中に消えていく彼女をそのまま見送った。直ぐにそれは彼女の姿を覆い隠し、消してしまった】


「くそ、五月蠅い音―――――――――― 絶対。ウチは忘れんからな!!!」


【其処に残る甲高い錫杖の音だけを聞きながら、傍らに突き刺さる剣を引き抜いて、鞘へと納めた】
【足取り覚束ないながら、弾き飛ばされたもう片割れへと辿り着けば、其処に突き刺さるそれも、同じく引き抜き鞘に納めるその作業】
【苛立ちを隠そうともしない乱暴な動作を以ってそれを完了すると、その勢いを増しづける吹雪の中を、帰路へとついていった】


「く、う……こんなん、合わせる顔が無いわ!!」


【結果的に目的は果たされたとはいえ、これ以上の彼女への戦闘行動は『約束を守られる限りは』行うことが出来ない故に、汚名返上も無く】
【この無様に遺された結果だけを背負って、悔しさを思い切り馴染ませながら、彼女もまた、吹雪の中へと消えていった】

/大丈夫ですよ!こちらこそ遅くまで付きあわせてしまって申し訳ありません!
/それではこんな感じで〆と言う事で、絡みありがとうございましたー!
443 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/21(日) 12:23:27.16 ID:D3ko8/Tg0
>>442
/絡みありがとうございました! 楽しかったですッ。
444 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 20:44:50.51 ID:jAitDiyR0
>>438
【鈴音の説明は少女にはよく分からなかったみたいで、頭にはてなを浮かべて「どういうこと?」って首を傾げて】
【最終的には分からないまま、地下まで到着することだろう。手を繋いだままぺたぺたと一緒に付いて行く―――】
【―――連れて貰ったのは、なんだかとても広い場所。いつだって狭い建物の隙間に居たから、広い所なんて初めてで】
【所狭しと並ぶ機械なんかは少女の好奇心を擽ったらしく、大きな瞳で彼方此方をきょろきょろと見回す】

【そんな場所も通り過ぎると、やがて風呂場に到着する。歩みが止まれば「ここはどこ?」って尋ねるように鈴音を見つめて】
【服を脱ぐように言われれば訳も分からないまま脱ごうとするだろう。……けれど、服を脱いだこともあんまり無いから一苦労】
【もがいたりじたばたしたりして悪戦苦闘しつつ、恐らく鈴音にも手伝って貰ったりして漸くワンピース一枚を脱げば―――それだけでもう、一糸纏わぬ姿】
【ということは、つまり―――この少女、こんな襤褸切れのようなワンピース一枚しか着ていなかったということでもあって】
【……そして、やはり細い。白い肌は幾分か血色も戻ったけれど汚れていて、胴を見ればあばら骨が少し浮いて見えて】
【いっぱい食べた後だからだろう、お腹だけが少しだけぽっこりと膨れているけれど……あとは、ぺたんこ】

【鈴音の着替えが終われば櫛で髪を撫で付けてもらう。鈴音はこうすれば髪が絡みにくいと言うけど、あんまりよく分からなくて】
【……でも、髪を梳かして貰っている途中は気持ち良さそうにしていることだろう。よく分からないけど、嫌がってはいないみたい】
【そうして髪も梳かして貰えれば、漸く風呂場の中に入る事だろう。蛇口とかピカピカの鏡とか、そんなものをまじまじと見つめて】

【鈴音が髪を洗おうとすれば、最初は頭から浴びたシャワーの温かさにびっくりして「ひゃっ」なんて声を上げて】
【でもやっぱり、嫌がったりはしていない。びっくりはしたけど、逃げたり拒絶したりはしないようで……それなら、続けていいのだろう】
【ぎゅーっと目を瞑って水が目に入らないようにする、小さな子供がシャワーを浴びせて貰う時によくやるあの表情。多分此処にシャンプーハットなんて無いだろうから】

【―――鈴音の予想は正しかった。風呂場に入っても何をすれば良いのやらさっぱりと言った表情をするのだから……この少女、恐らく髪の洗い方も知らない】
【かみは鈴音に洗ってもらうことだろう。伸びっぱなしの緋色の髪は汚れてくすんでいたから、多分洗うのも一苦労だろうけれど】
【髪を洗っている間は大人しくじーっとしている。慣れないシャンプーの香りを不思議に思ったのか、時折すんすんと手に着いた泡の匂いを嗅いでみたりして】
【髪の毛の洗い方を教えて貰ってはいるが……そもそも長い間髪を洗ったこと自体無かったのだから、まだ難しかったかもしれない……】
【――洗っている内に気付くことだろうが……この少女の髪、非常に鮮やかな緋色をしている。しっかりと洗って汚れが落ちれば】
【くすんだような色ではなく、きっと彼女本来の髪の色であろう綺麗な色。髪が長いから、その色もきっとよく映える】

【ボディソープも知らない。こうやって洗えばいいと教えてやれば「わかった」と一言、スポンジを手にごしごしと洗い始めるだろうけれど】
【……やっぱり、背中は手に届かないみたい。結局小さな背中は鈴音に洗ってもらうことになるだろうか】

/長くなったので分割します!
445 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 20:45:54.02 ID:jAitDiyR0
>>438
【湯船にお湯が溜まって、入るように促されれば。こくりと頷いて、恐る恐る右足をお湯の中に付けようとして】
【水面に足先が触れればびくりと体が震えて、足を出してしまうけれど。もう一度、そっと足をお湯に入れて……右足、左足とゆっくりお湯に体を入れて】
【ゆっくりゆっくりと時間をかけて、ようやく肩までお湯に浸かる。最初は怖がって恐る恐るだったけれど、肩まで浸かればもう気持ち良さそう】
【……そうやってお湯に浸かっていると、鈴音が訊いてくるのは自分の名前。……少女は一瞬困ったような表情をして、小さな声で答える―――】

………えっと、………その……――なまえ、……わたしね、……なまえも―――…………おとうさんも、おかあさんも、……ないの……―――
―――あ。……みんなは、……わたしのこと……「すてご」って……いうよ。

【―――恐らくこの少女は「すてご」の意味する所を知らないのだろう。躊躇う素振りも無く告げる、あまりにも直接的過ぎる呼び名=z
【この少女が無知でまだ良かったのかもしれない。こんな意味の名前で呼ばれているなんて、知らないで良かったのかもしれない】
【……10歳にも満たない可憐な少女の名前にしては―――あまりにも、酷い呼び名だった】

/本日も宜しくお願いします!
446 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/21(日) 20:48:07.66 ID:pAV6S8XMo
>>416

そろそろ黙ってほしいところですね。

【手中で渦巻く風が弾丸の形を作り始める】
【風圧を十分にもつそれは鋼の板でさえへこませる】

さて、終わりにしましょうか。

【その2つの風の弾丸は死体の下敷きになった少年の両肩へと向かう】
【と、同時に弓に矢がつがわれ、ぐっと絞られる】
【その先は少年の頭部へと向けられる】

これで。

【矢がふっと弓を離れたと思うとどんどんと加速していき】
【少年の頭に風穴を穿たんとして迫っていくが】
【赤黒い血の海でもがく少年はどうするのか】
447 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 21:17:52.43 ID:VmkG1J780
>>445

【とりあえず、いろんなことを教えてやったりしながら、お風呂の時間が過ぎていく。やがて、】
【ちょっとおっかなびっくりでも湯船に浸かってくれたなら――少しだけ安心したような顔、それと、どこか】
【少しだけ羨ましげな目をして……だけどすぐに、そんなのなかったように。体育座りしたりしながら】

【――そういえば。洗い終わった髪は髪ゴムでまとめてやるのだろう、そうしないと、絡まってしまいそうだし】
【丁寧にお団子を作ってやる。……のだが、他人の髪を弄るのはあまり慣れていないらしく、少しだけ不恰好で】
【櫛がないからだし……とかこっそり思っていたのは余談だ。別に知らなくてもなんともない、ただの思考の欠片】

それは……名前じゃないの、名前だって、思わなくて、いい言葉なの。
……名前はね、あったほうがいいよ。誰かに呼んでもらえたら、とっても嬉しいの。

わたしもね、初めて他人(ひと)に名前を呼んでもらえたとき、嬉しかった。
すっごくね、嬉しかったの……、……だから、……あとで、一緒に、お名前考えよっか。

【だけど、すぐにその顔は僅かにだけど鋭くなる。というより、むっとしたようなものになって――】
【お父さんとお母さんは居なくても、まだ大丈夫。だけど、名前は、人間らしく生きるなら、どうしたって必要なもの】
【蛇にもらったこの名前。初めて人間に呼んでもらったのは五年も前になるか、……すごく、すごく、うれしかったのに】

【――少しだけ嫌な記憶が想起される。だけどよっぽど顔には出さず、代わりに、少女の頭をわしわしと撫でようとして、誤魔化す】
【名前を一緒に決めようなんて提案、――ひとりで考えるのは、きっと、難しいし、悩んでしまうから】
【名付けスキルにあまり自信はないのだが。それでも、まあ、一人よりはマシかと思って――ふわりと笑うと】

本当はお母さんとかお父さんにもらう、初めてのプレゼントなんだけど……居ないなら、ね、
自分で好きなのにしちゃおう、好きなものとおんなじ名前とか……そういうのでも、いいんだよ。

【なんてひどく適当な方向性を示すのだ。なんでもいいんだよなんて言って――実際、人命としてふさわしくないのを希望すれば】
【それちょっと駄目なんていう突込みが飛ぶだろうことは見えているのだが。とにかく、方向性としてはそんな感じと説明し】

わたしの名前はね、わたしの、とーっても大切な蛇(ひと)が……、つけてくれたの。
お父さんとお母さんにもらった名前もあるけど……それは“私”のもので、“わたし”のものじゃないの。

【それから、自分の名前について少しだけ語る。大切なひとが付けてくれた、誰にも奪えない、たからもの】
【続く言葉は少しだけ不明瞭で分かりにくい。きっと少女には分からないだろう、そして、説明もしてくれない】
【強いて言うなら「お名前が二つあるんだよー」なんてまた頭を撫でてくれるかもしれないが、そろそろ分かるだろうか】
【手持ち無沙汰なときを除けば、なんとなく困ったときに頭を撫でている。子供は好きだが、実際扱ったことは、少なくて】
448 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/21(日) 21:23:13.05 ID:z/uTWefR0
>>446
{瞬間!体にぬめる血を浴びている少年はまるで鰻のように体をくねらせる}
{血液が潤滑油となり、死体のしたから脱出する}
{そこへと飛んでくる風の弾丸!}
{だがしかし、記者の動き!そして風を斬る音!}
{少年の野生動物の如き勘が警鐘をならす!}

「UHYA♪」

{そのまま倒れこむようにして体をくねらせる}
{すると風の弾丸は一発は外れ}
{もう一発が少年の左肩に炸裂する!}
{しかし!実態を持たない風の弾丸は表面の血と体の回転によってある程度の威力を殺されてしまう!}
{更に!地面に体が着いた少年はあろう事か、アザラシのように撒き散らされた血のうえをほぼうつ伏せのままに!}
{自分を狙っている記者に向けて滑っていく}
449 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/21(日) 21:44:00.76 ID:pAV6S8XMo
>>448

【矢と弾丸が風を斬り少年へと迫る】
【弾丸の一方は少年の肩に直撃したようだが】

問題はあの戟ですね。

【すべるようにしてこちらに向かってくる少年】
【すべる勢いを利用してあの戟で突き刺されたらひとたまりもないであろう】
【そこで記者は風の魔翌力を足に集中し前に走り逃走を図ることにした】

写真は確保できたからいいでしょう。
この場からは逃れますか。

【足の速さは常人よりも早く、軍人と同程度になっている】
【逃走を図る記者に対し、記者を「おもちゃ」と思っている少年はどうするのか】
450 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 21:48:24.26 ID:jAitDiyR0
>>438

【髪を纏めてもらえば、少しだけじーっと鏡に映った自分の顔を見ていた。こうやって髪を弄るのも初めてのようで】
【お団子の髪型は気に入ったようで、嬉しそうに鈴音を見て微笑む。―――笑顔の良く似合う、あどけない顔】

【お湯に浸かってからのお話、名前のこと。少女の告げた言葉は、決して名前と呼ぶべき其れではなく】
【―――自分の名前なんて知らない。教えてくれる人なんて誰もいなくて、ずっとずっと一人ぼっちで、それが当たり前だと思っていて】
【誰かが少女を見れば、皆「捨て子」と呼んだ。名も無き捨てられた子は、それが自分を指すものだと思っていたらしい―――】

……そう、なの……?
―――でも、わたし………よんでもらう、なまえ……、ないの………―――

……うん、なまえ……ほしい………!

【―――だから、鈴音の言葉で初めてそれが自分を指す物では無い事を知る。そうなの?って、無邪気に訊き返して】
【……名前を呼んで貰うのが嬉しいって聞けば、残念そうに俯く。だって、自分には誰かに呼んで貰う名前が無いから】
【だからこそ―――鈴音の提案には、嬉しそうに頷く。一緒に自分の名前を考えようって、言ってくれたから】

【続いてアドバイスもくれる。好きなものの名前はどうだろうって……そんな提案を受けて、真面目っぽい顔で少し考えて】
【……じっと鈴音の顔を見つめて。小さな言葉で「これでいい?」って訊くような表情で告げる言葉は―――】

……すきな、もの……―――すきなもの……
……―――おむらいす?

【―――どうやら、先程食べたオムライスをよっぽど気に入ったらしい。真っ先に出てくるのは初めて食べたお料理の名前】
【恐らくこれは却下されるだろうけれど。―――それだけ美味しい料理を食べられたことがこの少女にとって嬉しかった証でもある】
【とりあえず、一緒に名前を考えるのは風呂から上がってからでも良いだろう。大切な事だから、すぐに決めなくてもいい】
【……続けて語られる鈴音の話。大切なひとが付けてくれたって事までは分かったみたいだけれど、】
【その後の言葉には理解が追いついていないみたい。どういうこと?って暫く考えて……結局、名前が二つあるって事だけわかったみたい】

【……そろそろ湯船から上げてやっても良いだろうか。汚れの落ちた白い肌は、上気してほんのりと赤みを帯びている―――】
451 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/21(日) 21:55:47.19 ID:z/uTWefR0
>>449
「あは♪逃げるのは無理だよ!」

{逃げる記者に向かって『下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる』式に氷柱を乱れ撃ちする}

「無理無理ィィ!!!」

{姿勢を低くして戟を手に構えると同時に低温をおび}
{戟の周囲にだダイヤモンドダストが舞う}
{記者がスピードを落としたらスピードをそのままに突き刺すだろう}
452 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 22:07:20.18 ID:VmkG1J780
>>450

お名前はね、ずっと使うものだから。ちゃんとしたものにしないといけないの、きちんと考えてあげなきゃ、駄目なの。
ちゃんと、その子がどうなって欲しいかって……考えなきゃ駄目なの、……ね。

【――その点、自分がもらった名前はどうだったろうか。鈴の音の声だから鈴音。……すごく単純な、ものだけど】
【いつかに由来を聞いたことがあった。その由来は、単純なくせ、ちゃんとした意味があって――納得するだけのものがあって】
【それに、未来なんてどうでもよくて、何もなく生まれた自分が始めてもらったものだというだけで、意味が合った】
【おっぺけぺとかだったら流石に困ったろうが――好きなひとが付けてくれた名前、それだけで、彼女にとっては宝物】

【だけど。きちんと意味も考えてやる名前も大切なものだと思う、自分のものに、意味がないという意味ではなく】
【だから――頷かれると、責任重大だというのが今更迫ってきて、ぐいともたれかかってくるような、緊張感】

……それは駄目なの、それはね、食べ物の名前だから。
誰かに食べられちゃうかも、しれないよ?

ううん、食べ物の名前でも、ひとの名前に使うものはあるけど……えっと、オムライスは、使わないかな、……。

【とりあえず命名オムライスは却下しておいて、ちょっぴり脅すようなことも言う。がおー、なんて手をポージングして】
【食べ物の名前でも無しではないのだが、オムライスは無しだという見解。なんとも難しいものである、名付けって】
【――それからううんと小さく唸ると、ひとまず、という様子で「あたたまった?」なんて尋ねるのだろう】
【頷けばお風呂から出ようか、ということになる。その場合、持ってきたものをいろいろ着せてやることになり】

【ちょっとサイズが小さい方向で合わなかったワンピースと、ふわふわの部屋着パーカー。寒いだろうと思って、】
【それと、靴は小さいものがなかったので、家にあったスリッパだ。これまたもこもこしていて、なかなか暖かく】
【それでもワンピースは少し大きいかもしれないが、ないよりマシだろう。それで、髪とかも乾かしてやり】

【また元の通り上の事務所兼店舗に戻って座れば、】

……じゃ、あなたの名前を一緒に考えよっか。えっと、お花の名前とかがいいかな……、――。
わたしね、あんまり、名前って知らないの……その、昔暮らしてたところだと、櫻のひとが多い場所だったし……。
路地裏に居た頃は誰とも話さなかったし、最近は、……ご近所さん、居ないからね。家の周り、森だし――。

【そういうことになる。道中持ってきたのは花の名前とかが書いてある図鑑だ、とりあえず、】
【花の名前は人名としてもポピュラー。それこそ一から漢字の意味から調べる命名方法もあるにはあるのだが】
【それだと時間が掛かりそうだし――何かいい花でも見つかれば、という考えらしい】

【何かいろいろと名前とかを知っていればよかったのだけど、なんて思いながら。ばらりと図鑑をめくれば】
【「髪が赤いから……」なんて言って、赤い花のページを開いている。――それから、ふと気付けば】

何か綺麗だなって思うお花とかあったら、言ってみてね。

【もう一冊の花図鑑を少女に手渡すのだろう。――このままだとお花の名前になってしまいそうだけれど】
【いちおう、これはどうかな、なんて見せてきたりする候補の花。全部却下したりしていれば、別のジャンルにも思考を向けるはずなのだった】
453 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/21(日) 22:12:03.04 ID:pAV6S8XMo
>>451
【「逃げるのは無理」と少年の声が耳に入る】
【と同時に空気を裂くような音がした】
【出会い頭に少年が放った氷柱と同じ音である】

よけるのはいとも簡単ですよ。

【後ろから記者を突き刺さんと襲い掛かる氷柱】
【それを少年と同じく腹ばいになり、地面すれすれを風の魔翌力で疾走する】

【と同時に後ろから聞こえる別の風を裂く音と低温】
【それは少年が持っていた戟による音であって】

やはりあれを投げてきましたね。

【ちっと舌打ちして地面すれすれで背と腹を入れ替える】
【顔を戟のほうに向け風の魔翌力を少しだけこめて放つ風】
【それは戟がよほど早くない限り軌道はそれるはずだが】
454 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/21(日) 22:22:17.80 ID:z/uTWefR0
ギャイン!ギィン!

{風によって戟は軌道がそれて地面に突き刺さる}

{それと同時に少年は大きさ氷の塊を創るとそれを踏み台にしてジャンプする}

{恐らく記者にとびかかり接近戦に持ち込むつもりなのだろう}

「だぁぁぁから無理なものは無理なんだよぉぉぉぉ!!!」
455 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 22:43:02.46 ID:jAitDiyR0
>>452

【……その「きちんと考えてあげる人」が、この少女にはいなかった。―――彼女を大切に思う人など、一人も居なかったから】
【もしかしたら、遠い昔には居たのかもしれないけれど。今となってはそれを知る手がかりは全く残されていなくて】
【この少女にどうなって欲しいか願う人など一人もいなくて、何も無い、何も知らない、そんな状態で……初めて出会ったのは、鈴音】


……だめ、なの?………
……ううん、たべられたく、ない……―――そっか、じゃあ……だめだよね。……むずかしいね……

【食べられるなんて言われれば、しきりに納得したように頷いて。名前を付けるって難しいなぁって、小さく呻る】
【……好きなものって言われたから、好きなものを挙げたのだけれど。鈴音によればそれはダメみたい】
【まあ確かに、「オムライスちゃん」は流石に無いか。もうちょっと素敵な名前の方が良いに違いない―――】

【温まったか聞かれると、小さく頷く。体の芯までぽかぽかする、今まで味わったことの無い不思議な気分】
【ざばっと湯船から上がれば、これまた火照った体がふわふわと不思議な感覚を齎す。あのお風呂上がりの気持ち良さ、少女にとっては初めての体験】
【体を拭いて貰って(多分一人では拭けないから)、新しい服を着せて貰う。襤褸切れなんかじゃない、ちゃんとしたワンピース】
【少女の小さな体にはまだ大きいけれど。それでも服と呼べるかどうかも怪しいボロボロのワンピースに比べれば天地の差】
【その上にパーカーも着せて貰えれば、ぽかぽかと温かい服装の出来上がり。大きさの都合で服の袖から掌が出ていないけれど、気にする素振りも無く】
【髪を乾かしてやれば、長い緋色の長髪がふわりとシャンプーの匂いを漂わせる。少女も自分の髪の香りに驚いたみたいで、毛先を嗅いでみたりしている】

【……そうして、二人は元の場所に戻るのだろう。やっぱりエレベーターでは不思議そうな表情をするのだけれど】

……おはなの、なまえ………

………りんね、もりのなかにすんでるの……?……どんなところ……?

【二人して適当な机に座れば、一緒に図鑑を覗き込むことになる。可愛い花の名前なら少女の名前にも合うということだろうか】
【……だけど、困ったことにこの少女は文字を読めない。図鑑に載っている写真は分かるけれど、それが何なのかは分からない】
【もっと言えば―――お花だって、殆ど見たことが無い。光の差さない場所に居たのだ、植物なんて見る筈も無くて】
【結局、渡された図鑑を捲ってはみるものの少女から答えが出る事は無い。どうかな、と言われてもどうとも答える事が出来ないのだ】
【困った顔と共に「ううん……」なんて、釈然としない答えが返ってくるだろう。答えられない事を、少し申し訳なさそうにしていて―――】
456 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/21(日) 22:53:50.35 ID:kupuKF3I0

【一年最後の書き入れ時を迎えた繁華街は、忘年会やその二次会を楽しむ人々で大いに賑わっていた】
【だが、群れる者たちがいれば、いわゆる「おひとりさま」も多少はいるわけで】
【そう言う手合いを拾うつもりなのか、喧騒から少し遠ざかった一角には、いくつかの屋台が出されていた】
【こっちはこっちでそれなりに繁盛しているのか、殆どは満席だったが――】


    ずずーっ=@         ずずーっ

           ずずずずーっ
                      ずずずーっ
   ずずーっ=@ 
               ごくんっ


【――『天神らあめん』という看板を掲げたその店だけは、今のところたったひとりに専有されていた】


【左右に一つずつの空席に囲まれながら一心不乱にとんこつラーメンを頬張るそいつ≠ヘ、巻き毛の金髪が印象的な女性だ】
【ダッフルコートから光沢のあるワークブーツまで黒ずくめの姿は、見るからに細くしなやかだったが】
【彼女はそんなスタイルからは想像もできない勢いで、麺を貪り喰っていく――!】

【そして彼女は、まだ湯気が立ったままのスープを一気飲み≠オ】


 ……おじさん、同じのをもう一杯。ねぎだくメンマ増量で。


【どんぶりをカウンターに乗せながら、事も無げに言い放つのだった】
【果たして、この衣装がブラックなら胃腸もブラックホールな女の隣に、二人目の客は訪れるのだろうか……?】
457 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/21(日) 23:01:45.90 ID:yaZ8xnKO0

【路地裏】

【不思議なことに柔らかな光を発しているその場所から聞こえる男の悲鳴】

「ひっ……来るな!! 来るな……!! 」

ほらほら、早いところ誰から俺の事聞いたのか言わないと喉笛噛み千切られちゃうよー? 
【其処にいるのは二人の男。一人は壁際に追い詰められ脅えた表情を浮かべており、もう一人はその様を狂ったような笑みで眺めている】

【狂ったような笑みを浮かべている方は二十代程の蘇芳色のボサボサとした少し長めの髪の青年。灰色のボロボロになった着流しとその顔付きから見るにどうやら櫻の人間のようだ】
【腕を怪我しているのか片手からは赤い雫が垂れている】

【脅える男の足元には、煌々と燃え盛る炎を纏った犬。この路地裏の光源は恐らくこの奇妙な犬が纏う紅蓮】
【彼(若しくは彼女か)は唸りこそしないが今にも男に飛びかかりそうで】

【その様子に恐怖した男は青年に許しを請う。曰わく、ぶつかって絡んでしまった、許してくれと】
【それを聞き青年は深い溜息を吐く】

……あのねェ、俺は謝罪の言葉が聞きたい訳じゃないの
何で俺の事を知ってるのか、何処で俺の事を知ったのか、誰が俺について話してたのか言えっていってんの
【じゃなきゃ……と青年が呟き犬を見ると炎を纏った犬は男に更ににじり寄る】

【男はその様子に更に小さな悲鳴をあげた】



458 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/21(日) 23:03:51.01 ID:pAV6S8XMo
>>454

【地面に突き刺さる戟】
【それを見て喜ぶのも束の間】
【少年は地面に大きな氷塊を出現させそれを足場にこちらへと迫る】

子供はもう寝る時間ですよ。

【弓に矢をつがい、体を貫かんと少年に向けられる鏃】
【そして放たれた矢は記者の風の魔翌力が多く注がれている】
【それによって今までと比べ物にならない速度の矢となっている】
【その上少年は接近してきているがどうするのか】
459 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 23:05:20.88 ID:VmkG1J780
>>445

【答えられないなら、彼女も無理には聞いたりしなくなっていく。だんだんと、尋ねる回数は減っていき】
【やがて開いてみせるのは見開きの一頁、文字が読めれば、睡蓮――その名前が書かれているページで】

このお花はね、似てるのに、蓮って言うお花があって……。えっと、泥の中から、綺麗な花を咲かせるの。
それでね、このお花じゃないんだけど……蓮の花って言うのはね、櫻のほうの宗教にも出てくるお花で――。

その。泥って言うのを、辛いこととか、悲しいことって喩えて……、そこから咲いてくるのに、綺麗だねって、
……ええと、泥の中からでも綺麗に咲くんだよってことなの。――路地裏みたいな場所って、辛くて、悲しくて、

でも、わたしは、そこから綺麗に咲いてくれたら嬉しいなって思うんだけど……。

【見れば、そこにある写真は、真っ白な花。睡蓮といえばまず浮かべるのは白花だろう、いちおう、】
【赤花を咲かせる品種もあるにはあるのだが――ポピュラーではなく。彼女は、たまたま、知っていただけ】

でも……蓮だと、“れん”って名前だと、ちょっと、男の子っぽいかなって思うし……。
綺麗なお花なんだよ、蓮も、睡蓮も――、だけど、あんまり、……赤いってイメージは、ないかな――。

【ううん、なんて悩んでしまう。せっかくの綺麗な緋色の髪、どうせなら、その色合いを名前に映してやりたい気もして】
【赤い、赤いもの。赤いお花、赤い葉っぱ、赤い果実――林檎、苺、……結局食べ物ばっかりになってしまうけど】
【見せた図鑑を自分のほうに手繰り寄せると、また、ぺらぺらとめくる。――そして見出すのは、別の頁で】

林檎……、……そうだ、林檎ってね、“最も優しい女性に”っていう花言葉があるの。
わたしもね、あなたが優しい子になってくれたらいいって思う、……ほら、ここ、ね。

とっても優しいひとになれますように、って意味だよ。

【見せる頁には林檎の花のことばかりが書いてある。だけど、隅っこのほうに、確かに林檎の赤さは描かれていて】
【花言葉の欄を見せれば、確かにそう書いてあるのだが、これも読めないだろう。いくらか言葉を柔らかくして、そう説明し】

……わたしの住んでるところにはね、お日様が無いから。木の葉っぱはいつでも真っ黒に見えるの。
それでね、時々、動物が庭に遊びに来て――たまに、変な生き物も来るんだよ。その……なんていうのかな、……。
ペットショップとかじゃ売ってない、変わった動物なの。――ペットに出来たらいいなぁって思うんだけど、難しいんだ――。

【それから、尋ねられたことに返す。「最近は雪が積もってて、真っ白だけど」なんて言葉を付け足してから】
【動物が遊びに来るような家らしい。というのも、彼女が、時折餌付けしているから、というのがあるのだが】
【ナッツを庭においておくと栗鼠とかが来るし、そういうのも地味に趣味みたいなものだ。かわいいもの、大好きだし】
【――謎動物もペットにしようとして失敗しているらしい。ちょっと気の抜けたように笑うと、彼女も、ずいぶんとあどけないのだった】
460 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/21(日) 23:12:46.24 ID:eVGsxcZ20
>>456
お、やってるやってる

【なんてテンプレート通りの台詞と共に暖簾をめくるのは一人の男】
【筋肉こそあれど体格は別段がっしりしているわけでもなく、顔立ちも若いともふけているともいえない中途半端なもの。おおよそ二十台後半だろうか】
【伸ばしっぱなしの髪は後ろで括られ、風が吹けばばさりと揺れる】

おっちゃん、いつもの頼む。
濃い目背油大目麺カタだ。

【呪文のように注文を唱え、男は席に座る】
【いくつも開いている席からわざわざ女の隣に、だ】

すげぇ勢いで食うもんだな、姉ちゃん
ヤケ食いか?なんか嫌なことでもあったのかよ

【酔っ払っているのか、男の顔はほんのり赤い】
【そして酔っ払い特有のやけになれなれしい口調で男は話しかけ】

おっちゃん、ビール二つ。
一つは俺で、も一つはこっちの姉ちゃんだ。

今日は美人と酒でも飲みたい気分なんでな。受け取ってくれよ

【なんて、勝手に注文すれば】
【あいよと店主の声と共に、缶ビールが二人の下に置かれるだろう】
461 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/21(日) 23:21:38.22 ID:z/uTWefR0
>>458
「あはははは!まだ眠くないしいいじゃ!」
「ずっと僕と遊んでよ!」

{矢に向かって氷柱を放つが悉く砕かれる}

{しかしながらある程度威力を[ピーーー]事に成功した矢をあろう事か左手を前に出して盾にする}

ブシュッ!

{肉に穴があき、血液が血塗れの男の娘をより紅く染める}

「あはは♪ふひ♪ふふふ♪あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは♪」

「さいっこおぉ♪」

{ひとしきり笑って少年はうっとりとした様子で矢を自分の腕から引き抜く}

ズジュッ

{矢が刺さった時もそうだったが彼は全く表情を変えずに笑っている}

{まるで痛みなどどうでもいいと言うように}

{自分の命などどうでも良いと言うように}

「コワレチャエ♪」

{腕の傷を凍らせて出血を止めると手に持ったままの矢を記者に突き刺そうとする}
462 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/21(日) 23:34:48.24 ID:kupuKF3I0
>>460


これが私の普通だよ。何か問題でも?


【酒気を帯びた息の匂いに顔を顰めながら女は答える。彼とは対照的に、素っ気なく】
【近付いてみれば分かることだが、彼女の右眼は黒革の眼帯で隠されていて、怜悧な顔立ちの印象を一層硬いものにしていた】

【口ぶりと店主の手慣れた応対からして、この男は常連なのだろうか】
【何にせよ黙々とラーメンを味わっている所に酔った勢いで質問攻めをされれば、不機嫌になるのは道理】


……待って。私はまだ19、だからあなたのお酒を受け取ることはできない。
そんなことをしたら、まずおじさんを困らせることになる。


【手渡されたビールの缶を素早くカウンターに返却して、彼女はぴしゃりと言うだろう】
【アルコール類を未成年に提供することは――学生街などでは黙認されているとはいえ――法規に反する行為だ】
【もし摘発されれば、永久に店じまいなんてことも有り得る】
【だから、この反論は間違っていないのだが】

【なぜ彼女は、ここまでルールに対して厳密なのか】
【その理由は――コートの襟に付けられた緋色の鷹のワッペン、SCARLETの徽章から、何となく察することができるかもしれない】
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/21(日) 23:48:38.35 ID:+hPN02oQo
>>457

【『全く、何があったかわかったもんじゃあない』───物陰から見詰める男は、汗を拭いながらそう思った】
【路地裏で人が襲われている?そんな事は日常茶飯事ではないか、どうせどっちもろくな奴ではないのだから、放っておくに限るのだ】
【尻尾が見えている藪を突くなんて命知らずにも程がある、そんな生き方は賢くないし美しくない】

(俺様の美学には反する……んだけどなあ)

【この男にはやるしかなかった、どうしてもあのどう見てもヤバい状況を収めるには逃げられない理由があった】
【すぐ後ろをチラリと見ると、さっきナンパした女が不安そうにこっちを見ている。クソッタレ、こんな事なら自警団だなんて嘘をつかなければ良かった】

わかったよ……わかったわかった…ああやってやるさ……

【そうだ、『エース・セブン』───俺様はやれば出来る男の筈だろ?なぁに、実は話せばわかる奴かもしれない】
【意を決した男は、物陰に女を残し路地に出る。白いスーツの襟を直し、トランプ模様のネクタイを上げ、撫で付けた金髪を撫で直して】
【高級ブーツが路地裏のゴミを踏みつけない様に気を付けながら、青年からも自分の姿が見えるくらいの位置にくると立ち止まり、メガネをクイっと上げた後に、声をかける】

待ちな!そこの犬と飼い主!
取り敢えず手を出すのは止めておけ、そいつ(被害者の男)がどんな立場か知ってんのか!?えぇ!?

【取り敢えず、大抵のチンピラはこういう事言っておけば狼狽えるんだ───経験則から選んだ第一声は、それだった】

(……まあ俺様も知らんけどな)
464 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/21(日) 23:53:18.05 ID:pAV6S8XMo
>>461

【矢は少年の左手に突き刺さり】
【そして少年はその矢を抜いてこちらへと迫ってくる】

【記者は回避するも少年の行動の反応に遅れ左腕を貫かれうめき声を上げる】
【が、それを好機と見ることもできる】

もうこれしかないわね。

【記者は風の魔翌力をためていた手中から風の槍を作り出す】
【人の体をいとも簡単に貫くほどの強度のものを、だ】

【そして記者は、その風の槍を少年の腹部に突き刺さんとした】

/すいません、攻撃するときは攻撃する部位を言ってもらえると助かります
/あと、能力外の武器の使用は控えたほうがいいですよ
465 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/21(日) 23:55:38.55 ID:eVGsxcZ20
>>462
19?
あと一年すりゃのめるじゃねぇか。見た感じじゃわかりゃしねえんだし・・・・・・

【やけに堅い女の子だと思えば、視界に入る緋色の鷹】
【なるほどな、と納得。法に従属する組織の人間法を破るわけにもいくまい】

んじゃ、このビールは俺が飲むわ。
・・・・・・まて、譲ちゃん俺をおじさんと言ったな?
俺ぁまだ28だ。若いっつーの!

【思い出したように叫ぶ男。テンションの上げ下げが激しいのもまた酔払いらしく】
【ぐだぐだぐだ俺は若い俺は若いと説教をするように語りだすのだが、目の前にラーメンが運ばれればすぐさまそれにがっついて】
【半分ぐらいを胃に入れた頃か、男はまた顔を上げて】

ん、譲ちゃん19つったか。それでスカーレットね・・・・・・
そういや俺が自警団に入ったのもそれぐらいだったか。
・・・・・・覚悟はできてるか。ゲロ吐くような嫌なもんを見ちまう仕事だぜ?

【語る男の声、それは酔ってふざけたものでなく】

ま、俺みたいに金目当てに自警団やってるんじゃなきゃ大丈夫だろうけどよ

【まあ、すぐにもとの酔った声に戻るのだけど】
466 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/21(日) 23:59:33.12 ID:jAitDiyR0
>>459

―――わぁ、………きれいな、おはな……―――はす……?

【答えられないまま鈴音が図鑑を捲って色々探しているのを眺めている。すると、不意に差し出されたのは】
【白い綺麗な花の写真の載った頁、それに合わせて色々説明してくれる。その花にまつわるお話とか、色々】
【ちゃんと聞いているのだろう、難しいお話だけれど言葉にうんうんと頷いて理解しようとしている】
【その花に似た花が泥の中から咲くこと、そこから転じて辛い場所からでも美しく咲き誇れるような……】
【……そんな人になって欲しいと言う願いを込めたこと。頑張って、ちゃんと理解して】

……そっか、……わたしも、きれいに………なれるかな?

【そんな事を、訊いてみるのだった。自分も綺麗な花みたいに咲き誇れるのかと】
【今はまだ、泥の中から鈴音の手で掬い出してくれただけ。きっと何も知らないつぼみのまま】
【ちゃんと、咲けるのだろうか。綺麗な花を咲かせる事が出来るのだろうか―――今の少女には、分からなくて】


【―――鈴音には蓮は何だかしっくりきてないみたい。悩んでいるみたいだけれど、口を出すことは出来なくて】
【……暫くすれば、今度は別のページを見せてくる。其処に載っていたのは、林檎の花……純白の、可憐な花】
【伝えられる、説明。優しい人になって欲しいという願いが込められた、赤い果実の名前―――】

……りんご、……―――りんご……―――
……りんね、みたい。……りんごとりんね、すごくにてる!

やさしく、……りんねみたいに、なれる?………りんねみたいな、―――やさしいひとに……なれる、かな。

【その名前を、何度も繰り返す。―――覚えているだろうか、この少女は気に入った名前を繰り返す癖があることを】
【……何度も、何度も。まるで自分のものにするように、繰り返して……そして、小さく笑顔を見せる。「りんね」と似ている、って】
【漢字にすれば林檎と鈴音はあんまり似ていないけれど。口に出して言ってみれば、とっても似ていて―――それが嬉しくて、気に入ったみたい】
【少女の髪は林檎の果実みたいに真っ赤で、肌は林檎の花みたいに白い。―――それなら、きっとこの名前はぴったり】

【優しくなれるかなって訊いてみる。鈴音みたいな人に、なれるかなって―――赤い瞳で澄んだ眼差しを其方に向けて】
【なんにも知らないけれど、鈴音が優しいって事は知ってるから……だから、自分もそうなれるか尋ねる】



……おひさま、ないの?……それじゃあ、―――……とってもさむいね。
………―――わたし、……しってるの。………よるって……―――とっても、さむいでしょ?

……へんな、いきもの……わたしも、……みてみたい。
わたし、ねずみとねこしか、みたことない……

【―――鈴音の住んでいる所は不思議な場所らしい。お日様が無いって言うから、きっと寒いんだろうなって思って】
【……だって、夜はとても寒いもの。日の当たらない夜、寒さに震えて眠っていたから知っている】
【でも、変な生き物は知らない。溝鼠と野良猫くらいしか見たことが無いから……好奇心旺盛な少女は、変な生き物も見てみたらしい】
467 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 00:10:13.77 ID:1EqEXF5w0
>>464
{風の槍が体に刺さるかと思われた瞬間}

{少年は大きく後ろに跳びなんとか避ける、しかし受け身をとりそこね地面の上をさらにゴロゴロと転がることになる}

{足元のやや乾燥し始めた血液は粘り気を帯びて男の娘の肌や髪や服を汚す}

468 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 00:11:43.97 ID:1EqEXF5w0
>>464
//申し訳ございませんでした
//ご忠告痛みいります
469 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/22(月) 00:12:32.78 ID:vZsbn4hc0


>>463

【不意に聞こえた声にそちらを見やる青年】
【現れた白スーツの男の「今襲っている奴がどんな立場か分かっているのか」という言葉に不快そうに眉を顰めると再び追い詰められている男に顔を向け、睨みつける】

……テメェ……こんな増援なんぞ呼びやがって……

「え、何言ってんだよ!? 俺こんなスーツの男知らねえよ! 」
【青年の問いに狼狽える男。どうやら狼狽えたのは此奴だったようだ】

【一方の青年はまた白スーツの男と追い詰めている男を交互に見て片手で顔を覆う】

あは……っ……あははははははははははははははははははははははははははははッ!!! 
そうだよなァ! 俺にだったらどんな卑怯な手ェ使っても良いんだよなァ! 
あははははははははははははははッ!!! 
【突如狂ったように笑い出す青年】

……ああ、畜生が……
何で俺ばっかりこんな事になるんだよ……
何で俺ばっかりいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもッ!!! 
【かと思えばぶつぶつと低い声で呟き始める】


470 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/22(月) 00:14:39.11 ID:+gW1eVBSo
>>767

【少年が飛びのいてよける】
【だが姿勢を崩したのか地面を転がった】

逃げるなら今、ですね。

【風の魔翌力をすべて足につぎ込む】
【そして軍人に迫る速さの走りで逃走を試みる】
【少年が追わなければ入り組んだ路地に入り見失うことになるだろう】
471 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/22(月) 00:15:30.80 ID:NcVR7zRKo
【凍える夜空の下、人々の営みに賑わう表通りを陽とするならば建物の影に隠れる裏路地は陰か】
【活気があればある程に対して影はより濃くもなる物、それは人知れず蝕む病原のように】
【冷えた指先が生者の首に掛けられるように緩くだが確実に這い寄る】


夜警か、慣れた物です……

【夜の路地に彷徨う者、黒の中で尚も黒い鎧を携えた騎士は誰へでも無しにつぶやく】
【全長にして180cm程の巨躯、焦げた痕にも似た黒色の鎧の騎士の腰元には一振りの剣が下げられている】
【お伽話から抜けだしたような姿は時代錯誤と云われても仕方ない、事実この場所には似合わない】
【騎士があるべき場所は戦場以外に在り得ないのだから】

(平和なのは良い事です、それは疑うべくも無い……)
(しかし、しかしその平和が続くのであれば……私の騎士の価値はどこにあるのか)
(振るわれぬ剣はただただ錆びるのみというのに……)

【戸惑う指先は剣の柄を撫でるように踊る】
【虚ろな瞳、何を見るでもなくただ思案に沈む】

【道の先に在る物など意識の外で転がる小石など気にもとめずに蹴飛ばして】
【それこそ誰かが唐突に道の角から現れたならば不幸な事故が起きてしまいかねない程に……】
472 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 00:16:26.60 ID:NdI6vTbo0
>>466

【蓮の花も、睡蓮の花も、どちらも泥から出でるものだ。誰が椅子にするとか、そういう方面は良く分からないけど】
【朝早くの池で見る蓮の美しさや、水がめの中の睡蓮の美しさは知っている。あのように美しく咲いてくれるなら、いいと思うし】
【泥の中で終わってしまうんじゃなく、そこから、花芽を出して――太陽の下で、いつか、咲いて欲しいと思う気持ち】
【――だけど、やっぱりレンって男の子の名前だろうと思ってしまうのだ。とりあえず、自分は、レンと聞いたら】
【真っ先に男の子を連想してしまうだろうなと思って……それなら、意味自体はそれなりにお気に入りでも、没になる運命】

わたしは……まだまだなの。もっと優しいひとって、たくさん居るんだよ。
びっくりするぐらい優しいひとってね、ほんとに、居るの――、なんでだろって思うくらい、優しいひとがね。
だから、わたしはそうなりたいし――あなたにそうなって欲しいな。

【――どうやら、林檎のほうがお気に入りらしい。繰り返しているのを見るとなんとなくそれが分かって、】
【だけど自分なんてまだまだだと謙遜する。たとえば、自分を拾ってくれたひとだとか――不思議なくらいに優しいひと】
【思い浮かべて、まだ違うと思う。ああなりたいけど、なれたらいいけど、……それには、強さとか、いろいろ必要で】
【自分のいつかの目標としての最上の優しさ、そうなりたい、そうなってほしい、――こちらの名前には、そんな意味を篭め】

……なるのはね、とっても大変なの。でもね、きっと、なれるよ。いつか――、

――名前、これにする? 違うのでもいいんだよ、もっと、たくさん、いっぱい考えてもいいんだよ。

【きっといつかなんて曖昧な言葉。だけど、自分だってなれていないのに、他人がなれる時期なんて、見通せるわけもなくて】
【言葉を自分にも向けて、「なれるといいなぁ」なんて小さく呟く。部屋着っぽい緩さのシャツの首元を、軽く引っ張って】
【――急に声は真面目さを帯びるのだった。こんな、すぐに決めなくてもいいんだよ、それを、強調するように】

じゃ、……そうだね、うちにおいでよ。いいよ、一緒に住むの――、お部屋なら、余ってるから、ね。
ペットもいっぱい居るんだよ、サラマンダーって言う動物の子供とか、ぷかぷかする蛙とか……いろいろなの。

【――それから、くしゅっと声の力を抜いて、そんなお誘いをするのだ。うちにおいで――遊びにおいで、ではなくて】
【一緒に暮らそうという意味での、“おいで”。少女には行く場所なんてないだろう、それなら、またあの場所に戻すのは】
【ひどく冷たいことに思えて――とりあえず出してあった水を一口飲む、それから、「どう?」なんて風に、首をかしげるのだった】
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 00:22:07.55 ID:1EqEXF5w0
>>470

{まず少年は地面に刺さった戟を引き抜き記者の方を見る}

「あはは♪ねぇねぇ、もっと僕とあそんでよ♪」

{足元の血糊がバキバキと音をたてて凍りついてゆく}

{その紅蓮地獄のような中で少年は戟を杖のように使いながら追おうとする}

474 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/22(月) 00:27:09.87 ID:sML2dkvS0
>>465


あなたじゃない。店主さんの方だけど……。


【「おじさん」の意味について弁明するものの、管を巻く相手の勢いには勝てない】
【説教を適当に聞き流していると、男は細かく注文をつけたラーメンの方に意識を傾けたので】
【それをいいことに、女もネギが青々と茂る「二杯目」に口をつけ始めた、が】


嫌なものなら、散々味わった。それを他の誰かに見せないのが私たちの仕事。
覚悟なんて言うのは始めにしてきているし、当然のことだよ。


【真面目なトーンで横槍を入れられると、彼女は手を止め、しっかりと男の方へ向き直る】
【厳然たる声音を紡ぐ唇は若く艷やかだったが、そこに軽さは無かった】


……あれを金目当てで続けられたら、この世のどこにいても苦労しないだろうね。


【はぐらかすように酔いどれ親父の顔に戻った男に、女は更に厳しい言葉を投げかける】
【嘘をついていなければ、彼が自警団に身を置いた時間は十年】
【本当にそんな期間、金儲けのために戦い続けたのか。青い隻眼の視線は、値踏みするような鋭さを帯びていた】
475 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/22(月) 00:31:46.13 ID:+gW1eVBSo
>>473

【少年が声を発したとき、記者はもうその声が聞こえる範囲にいないことだろう】
【その上入り混じった路地裏を複雑に移動した】
【さらには少年が立ち上がる前だったこともあり】

ふぅ、ここまでくれば大丈夫でしょう。
あのマゾヒストの少年も、ここでは何もできないでしょうからね。

【人通りの多い大通りへと抜けた】
【そこは夜でも賑わいをみせていた】

何で私はろくに取材もできないんですかね・・・。

【最後にはぁとため息をひとつ、中央新聞社の社屋へと戻ろうとしているが】
【少年は果たして追ってくるのか】
476 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 00:38:25.56 ID:8E5GNq2so
>>469

………

【早い、早いよ。少しは頭働かせろよオッサン…なんて、心の中で愚痴るも、心の隅では失敗を覚悟はしていた】
【思わずドン引きしてしまったが、気付かれる前に素早く表情を戻す、今為すべき事はこの足手纏いの排除だ】
【これ以上ボロを出される前に早く逃すに限る、そっと左手で男の肩に触れる】

(《ポーカーフェイク》……!)

【第一の能力、そっと袖から取り出したトランプのジョーカーを男の懐に忍ばせながら、男を立たせようと肩を貸す】
【媒介にするジョーカーのトランプは道化師のカード、この力を使えばトランプの力を向けた物をあたかもそれであるかの様に『見せかける』事が出来る】

(……と言っても、人間をライオンに見せかけたりは出来ねえし、制限時間付きだけどな)

……いいか旦那、生き残りたければ俺様の言うことを聞いてくれ
今きっと、あいつからは旦那が見るからに重要そうな人間に見える筈だ、だから話を合わせて……すぐ逃げろ

【ヒソヒソと男に耳打ちしながら、能力を発動させて、この男を『手を出してはいけない人物』の様に見せかける】
【能力の影響を受けた者から見れば、見た目自体は変わらないが、オーラが明らかに只者ではない『ように見える』だろう】

旦那ァ、ここは旦那が手を煩わせるまでもありません、俺様がこいつを片付けときましょう
怪我でもしたら、『みんなが心配しますから』

【まるで男が、大きな組織のトップであるかの様に語るが、それはただのハッタリだ。それに現実味を帯びさせる為に力はある】
【能力にかかっていれば、この男は自分が作り話に釣り合う雰囲気はある筈で、後は青年が少しでも躊躇ってくれたら、男が鈍臭くなければ…】
477 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 00:41:25.88 ID:1EqEXF5w0
>>475

「みーーつけた」

{死角になっている屋台の横から現れた少年は屋台から焼き鳥を一本パクる}

{さすがにひとどおりの多い場所なので戟は背中に背負ってはいるがいつでも振り回せるようにしておく}

{かくして彼は同じ年頃の子供がらるように真後ろからゆっくりとちかずいていく}
478 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 00:45:19.68 ID:L3kZytjN0
>>474

ああ、なんだそっちか・・・・・・

【たらたら説教していた男はどこへやら、すんなりと承諾し】

良い事いうねぇ。
その通りだ。

【ぐいっ、と機嫌よく缶ビールを一気に飲み干し唸る】
【確かな覚悟を聞けて気分がいいのだろうか】

・・・・・・言ってくれるね、譲ちゃん
ま、その通りだよ。”あんなモン”見せ付けられて、それでも金目当てに戦えるもんかよ

【あんなものと口に出した瞬間にべこり、と。アルミのへこむ音が響く】
【へこんだアルミは裂けて、鋭い裂け目が男の手を切る、が男は気にしていないようだった】
【酒のせいで感覚が麻痺している、そういうわけじゃない。】
【男の顔に浮かぶ赤は、酔いのほんのりとしたそれで無く、紅蓮とも呼べるような、怒りによってもたらされるそれだった】

金儲けなんて考えられたのは最初のほうだけだな。
当時は青かったから誰も死なせたくない、守りたいなんて事を考えてたよ。
ま、結果はお察しだがな。

【ため息をつき、また缶ビールを一気。今度は口から漏れる愚痴を、後悔を喉に押し込むために】

もう諦めちまったよ。"全うな方法"で人を守るのはな
っつー訳で今は―――

【店主が後ろを向いたのを確認すると、男はレザージャケットの首元をずらし】

こっち側、だな。

【首の根元、赤銅色で描かれた逆五亡星を女に見せた】
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 00:46:11.60 ID:C8RIaWQ30
>>472

―――でも、……―――でも、りんねが、はじめて……―――てをつないでくれた。
いっぱい、たべさせてくれた……あったかいの、いっぱい……―――
わたしは、りんねがいい。……りんねみたいに、なりたい……!

【鈴音はまだまだって言うけれど。……この少女にとっては、彼女こそが唯一知っている「優しい人」なのだ】
【初めて手を差し伸べてくれた人であり、自分に優しさを教えてくれた人であり、暖かさを与えてくれた人―――】
【これが優しい人じゃないなら、誰が優しい人だと言うのだ。まだまだなんて、ちっとも思わない】
【だから―――鈴音が何と言おうと、この少女は「りんねみたいなひとになりたい」と言う。それだけは、譲らない】

そっか……たいへん、なんだ。―――……がんばる。

……りんごがいい。……やさしいひとに、なりたいから……―――りんごって、……やさしいひとなんでしょ?
それに……りんねが、かんがえてくれた、なまえだから。―――このなまえが、だいすき。

【そして……その鈴音が何時かなれると言うから、きっとなれると思える。まだ何にも知らないけれど、いつか】
【優しさの正体も、まだ分からないけれど―――手を差し伸べてくれた、大好きな人のようになれる気がする】
【大好きな優しい人が考えてくれた名前を、自分を指す言葉として背負って―――優しく、なりたい】


【―――そして、鈴音の家に誘われれば。その言葉の意味することが、「遊びに来て」って事では無くて】
【一緒に住むということだと分かると、少女―――りんごは、一瞬驚いたように目を丸くして、時間差でふにゃっと満面の笑みを浮かべる】
【あの冷たい所に帰らなくていい。いつだって、優しい人と一緒に居る事が出来る……それが、嬉しくて。ぎゅっと鈴音に抱き付いて】
【母親に甘える子供みたいに胸の中に顔をうずめれば、それが一緒に行きたいという意思表示にもなるだろう】
【―――実際、りんごにとっては母親みたいなものだ。鈴音が、初めて暖かさを教えてくれたのだから―――】
480 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 00:46:17.37 ID:8E5GNq2so
>>476
/壁伝いに歩いて割り込む形で男に接触してますが、場所が袋小路だったなどで物理的に不可能でしたらそう言って下さい…
481 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 00:48:22.57 ID:r63B6najo
【季節はすっかり冬に染まり、空気は肌を切るような冷たさで少女を苛む】
【白い息。寒いけれど、身体が温まっているせいか其処まで気にならない――が、肺に冷たい空気を取り込むたびに、冬の到来を実感する】

「はっ……はっ…………はぁ」

【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細かや】
【ランニング中の為服装は学校指定のジャージにスニーカー、加えて護身用兼素振りのための竹刀袋を背負っていた】
【走っていたせいか頬はすっかり紅潮し、息も荒い――――武門の出だが、生憎と体力に関してはあまり優れているとは言い難いらしい】

【息を切らしながらも走り辿り着いたのは、日も落ちすっかり人気の無くなった公園】
【竹刀袋に収められた二振りのうち市販の木刀だけを取り出すと、袋に収められたそれを近くにあったベンチへと立て掛ける】
【そしてその足で公園の中心にまで歩いて行くと、深呼吸を繰り返し呼吸を整え――――】

「…………」

【素振り。綺麗な姿勢から繰り出される其れは、ただ木刀を振っているというだけでもそれなりに画になっていた】
【度重なるカノッサ機関の構成員との戦闘により未だ傷癒えぬ状態のため、木刀を振るたびに傷が痛みを思い出させるが】
【其れを振り払うかのように、無心に刀を振るう。戦績は零勝――勝ち星を上げられず、生き残っているのも奇跡と言えよう】
【自分は弱い。己の正義を貫き通し、己の世界を変革するには、まだ――――――――】
【風を切る音に自然と力が入った。ひとえに強くなりたい、その一心で木刀を握り締め】
482 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 00:50:39.84 ID:1EqEXF5w0
>>480
//わかりましたすみません
//それと休養が入って病院に行かなくてはならなたってしまいましたので明日の午後九時から再開でお願いできますでしょうか
483 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:00:59.40 ID:NdI6vTbo0
>>479

【――自分にも、いつか、そんなはじめてのひとが居た。はじめておしゃべりして、抱きしめてもらった】
【この名前をはじめて呼んでくれたのもそのひとだ。頭を撫でてくれたのも、何もかも、初めてをあげて】
【びっくりするぐらい簡単に恋に落ちて、信じられないくらい簡単に、ごみのように捨てられた】
【ほんの僅かに瞳が褪める、彼女がまだ未熟な証拠として。想起してしまったのだろう、いつかのこと、いつかの悲しさ】

【だけど、そんな、捨てられた自分を拾ってくれたひとがいた。彼女にとっての優しいひととは、そのひとのことだ】
【そのひとも結局は居なくなってしまったけど、一人でも居られる方法を教えてくれた。しあわせになる方法も、教えてくれた】
【だから今の彼女はそれなりに幸せだし、楽しいし、充実している、と思う。やりたいことをやって、頑張って、毎日だ】
【感謝している、感謝しているし、あのひとみたいになりたい。あのひとみたいになって――いつか同じ景色を見たい】

【ふわ、と、少しだけ驚いたよな目をした。こうも自分が、といわれるとは思っていなかったのだろう】
【ちょっぴりだけ苦笑気味に笑って、「そうかな」なんて呟く、――まだ、少し、そんな自信はないみたいに】
【だけど、自分がいい、この名前がいい、そういわれるなら……もう否定することはなく、ただ、頷いてやると】

じゃあ、お名前、書いてあげるね。櫻だとね、こうやって、子供の名前……お父さんとお母さんが、書くんだよ。
色紙みたいなのはないけど――、ただの紙だけど。思い出だと思って、ね、

【カウンターのほうから紙ぺらを持ってくるのだ、それで、筆もなければ筆ペンですらないけれど、名前を書いてやる】
【ただのボールペンで記す名前は「りんご」の三文字で、それは決して林檎という字が書けなかったわけでなく(そういうことにする)】
【少女――りんごにも書けるほうがいいだろうと思ったからだ。ひらがなだけなら、ひどく簡単な三文字だし――】

うん、じゃあ、いこっか――、ちょっとね、遠いんだけど。
魔術があるから、すぐに行けるの。あとで*ちゃんにりんごの分も用意してもらうね、そうしたら――。
あのお家からでも、どこにでも行けるから。

【一瞬、ひどく不可解な発音をしたようだった。それは、なんだか、世界がそのまま拒絶してしまったような】
【だけどそれは些細なノイズ、ただその名を発音してしまうのを“誰か”が拒んでいて、彼女がそれに気付いていないだけの話】
【とにかく僻地でもこちらのほうに出てきたりするのは不便ではないのを説明すると、抱きつかれる身体をぎゅっとしてやる】
【そうすると、きらりと桜色に紫色の混じった魔力が煌いて――次の一瞬には、世界が真っ暗な、夜になっている】

【見れば目の前には大きな洋館、どうやらここはその洋館の庭らしい。いろんな植物が、きちんと手入れされ、植えられていて】
【こっちだよ、なんて囁いて彼女は木の大きな重たそうな扉を開ける。すると、その中は、びっくりするほど黒尽くめの室内】
【強いて言えば置いてある小物などの一部が黒以外だが、ファンシーな小物がそうであるのを見るに、彼女が後から置いたのだろう】

あっちにね、お部屋がたくさんあって、こっちは、ご飯を作ったり、食べたりするところ。
あの廊下の向こうには、みんなでくつろいだりおしゃべりしたりするお部屋があって……そっちは、お風呂があるところ。

お部屋はたくさんあるから、好きなところを選んでね。入っちゃいけないところもあるけど……あとで教えてあげる。

【見た目どおりに中もそれなりに広い、が、どこを見ても黒尽くめ。いったいどんなセンスなんだという話だけど、】
【彼女はもうなんとも思ってすらないらしい。しゃがんで視線を合わせながら、指であっちこっちそっちとざっくり教え】
【とりあえず部屋を決める、というので手を引き案内するだろう。やがてたどり着くのは、扉のある廊下の一角で――】

/すいません、次ちょっと遅れますー
484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/22(月) 01:04:32.97 ID:vZsbn4hc0

>>476
「お、おう分かった……とにかく話を合わせればいいんだな? 」
【此方も肩を貸されながらヒソヒソと小声で返す】

【青年は、そんな二人に目を向け、何コソコソ話してやがる! と言いかけて戸惑う】
【──あれ、この男こんな威厳あったっけ? はじめに感じた違和感がそれだった】

「おう、それもそうだな! ここは一つお前に任せた! 」
【男は何とか話をあわせるといかにも“偉い人です”というような動きで歩き去ろうとする】

【まあ、その大根演技も一応一役買ったようで青年の目には男は“そういう”人間に見えてしまっていた】

【青年は歩き去ろうとする男を目で追い、はははは……と狂ったように笑う】

……良いなァ……そうやって他人を人柱に出来る人間はさァ……
俺なんか……あはははははは……
あはははははははははははははは……
【ケタケタと嗤う青年はその目をスーツ姿の男へと向ける】

……なぁお前、あの男から何を聞いたよ? 俺の事……
【言うと同時に放置されていた燃え盛る炎を纏った犬がスーツの男のほうを向く】

485 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga]:2014/12/22(月) 01:11:01.42 ID:xRbEGiQPo
>>481
【先日の話。この公園で、ちょっと"暴れた"時の事だ】
【財布を落とした。漸く肩の傷の痛みが引いてきて、なけなしの所持金を、希望は薄いが探して回ろうと其処に踏み入れてすぐに、それを見つけた】
【何処の学校か分からないが、学生だろうか。ラフな格好で、木刀を振るう少女を見つけた】

【その構えは、姿勢は実に綺麗な物だった。剣客として、それも自分の特殊な"立場"もあってか】
【それとも、何か別の部分で、自分の琴線に触れたのか―――――――――― 自分ではわからなかったが】
【何故だか、話しかけてみようと思った。幸い、自分には口実があった。実行に移すまでに、時間はかからず、自分の人見知りの無さをこの時ばかりは褒めてやりたかった】

【歩み寄るのは。男性物の詰襟の学生服に、二重回しを纏い。前髪の下には、黒と白の双眸が並ぶ】
【両腰に二振りの本差。朱と黒の鞘に納められた、刃渡り二尺を超える太刀を携えた少女】
【彼女の下へと、ほんの少しの笑みを湛えて。出来るだけ違和感を醸し出さないように】

「――――― 鍛錬に精を出してるとこを失礼とは分かっとるけど――――― ちょっと、聞きたい事が」

【櫻の国の、地方の。悪く言えば端の方特有の、可笑しなイントネーションと共に】
【少しの気恥ずかしさ故の、視線の落ち着かなさも交えながら、彼女へと話しかける】
486 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/22(月) 01:16:01.10 ID:sML2dkvS0
>>478


【男の内から染み出してくる異様な怒気に、女はそれとなく身構える】
【酔って感極まった人間が何をしてくるかなど、分かったものではないからだ】
【しかし――彼自身の手で暴かれた胸の内≠ヘ、率直に言って、想定を超えたものだった】


 【どうする。靴を椅子に引っ掛けて転ばせ――いや、この状況の主導権は相手にある】
 【こちらのアクションは凡そ想定していて、誘われたままに動けば最後、確実に隙を突かれるはずだ】
 【それに一介の市民であるはずの「おじさん」を巻き込むなんてことは】
 【目の前にいる犯罪者を取り逃すことにも増して、あってはならない不始末――!!】


【――ぎりり、と歯軋りしながら、腰の佩剣に伸びそうになる手を抑えて】
【可及的速やかに、どんぶりに残った残りのラーメンを掻き込み、汁を飲み干す】


……早くそれを食べ終わって、表に出ろ。
言い訳を聞く場所はここじゃなくてもいい。だけれど、今ある食べ物は粗末にするな。


【SCARLET≠フ徽章を帯びる者に対して、至近距離で正体を明かした男】
【屋台を人質に取ったその狡猾さと大胆さに内心毒づきながら、女は早口に要求を告げるだろう】
【目の前でちらつかせた左手首には、時計型の端末】
【仲間を呼ぶことはいつでもできるぞ、と威圧しながら、彼女は男の完食を待つ――それは余りにも、滑稽な話だった】
487 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/22(月) 01:18:29.68 ID:+gW1eVBSo
>>477

【なんらかの気配を感じ後ろを振り向く】
【そこに先ほどの少年がいた】

まだ追いかけてきますか・・・。

【記者は再び脱兎のごとく駆け出す】
【人ごみの中を人を掻き分けるようにして】
【そしてついに大通りの中心へとやってきた】

【ここでは能力も使えぬであろうし、他人との見分けもつかない】
【おそらくこれ以上の追跡は無理と判断するのがよいだろうが】

/申し訳ないですが私の眠気が限界でして・・・
/明日から平日ですし、3日連続というのも申し訳ないので、〆てよろしいですか?
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:21:16.90 ID:246dH7gH0

【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】







【人が余り近寄る事も無い険しい山道。精々旅の道や修行を目的とした者が訪れる程度で】
【今宵月明かりに照らされる其処を歩くのは一人の少年】
【纏っているのは何処かの軍服であろうか。布に巻かれた長物を肩に掛けながら歩みを進め、中腹に存在する秘湯へと辿り着けば担いでいた荷物だとかを下ろし】


「うーん……疲れた…………山を越えるにはまだ時間が掛かりそうだし…………ちょっとの休憩位良いよ……ね?」

【例えこの時期であっても長い時間山を歩けば流石に汗ばむ】
【更には直ぐ其処に温泉があれば疲れを癒やすのに打って付け。キョロキョロと辺りを見渡し、魔物だとかが居ない事を確認したなら脚を捲り湯に浸からせて】

【これまでの疲労を取るかの様に大きく伸びをすれば謂わば至福の時にも等しく】
【――――十代前半の子供が年寄り臭く湯の中で下腿をマッサージしたりとしている様は中々に滑稽かもしれないが】


【何はともあれ、殆ど人が訪れる事も無いこの場では水の音さえ良く響く】
【況してや硫黄の臭いに気付いたならば此処に辿り着くのも容易な事】
【仮にその場に寄るのなら丁度子供の背後から近寄る形となり――――その先は訪れた者次第、か】
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 01:28:04.00 ID:8E5GNq2so
>>484

(誰がそこまでやれっつったよ……早く行っちまえオッサン)

【少々やり過ぎな気もするが、結果はオーライだ、なんとか足手纏いを逃す事が出来た】
【これで一対一……というより、一対一と一匹だ。夢中になってすっかり忘れていたが、よく見ると超怖い】

(つーかなんだよこの犬、燃えてんぞ……能力で生み出された物か?)
(火……火って事は水に弱いのか?さっきくすねたワインで消せるかな?あーでもアルコールはマズイか)
(いざとなれば……)

……はっ!?えっ?あ、お、おう!!

【逃げる、若しくは丸め込む、その方法を考える為に意識を回していた為に、不意に問いかけられてついつい声が裏返ってしまう】
【『何を聞いた』と聞かれても、どうも何も、赤の他人同士であった訳で、あの男と青年が知り合いである事も知らない訳だ】
【適当に答えてもいいが、大きく訳で答えは二つ、『知っている』か『知らない』かだ】

(何が何だかわからねーが、絶対マトモな奴じゃあねえな……何処に通じてるのかわかったもんじゃねえ)
(知ってるなんて言えば、それが冥土の土産って感じの奴だ、だったら…)

【気付かれないように、右手首を捻る。カチリと鳴った小さな音を、咳払いに被せて隠した】
【返す言葉は───】

聞いた?お前の事?何のことだ?
もしかしてお前って有名人なのか?……そうには見えないけどなあ。
いや、でも聞いたかな?悪いね、最近忙しくて忘れちまったのかも

……良かったら教えてくれよ、『どちらさん』なのか
そうしたら、なんて言ってたか思い出すかもしれない

【炎の犬の熱気のせいか、嫌な汗が背中に滲み出てくる、だけど表に出ている肌には汗が出ないように心を沈ませて】
【一か八かの返答と、その後の手札を切る瞬間……出来れば来ないで欲しいと願いながら、跳ね上がる心臓の鼓動を必死で抑える】
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 01:29:25.05 ID:L3kZytjN0
>>486
【麺はもう残りわずか、丁度一口分くらいか】
【それをかっこみ、汁を飲み、手を合わせてご馳走様と】
【屋台にお札を一枚置いて釣りはいらんと一言言えば】

・・・・・・どんな目的があっても悪人は悪人かい?
もちっと話を聞いてくれる子だと思ったのは間違いだったな・・・・・・

【路地裏に向けて歩き出しながら、まいど!と笑顔のおじさんには聞こえないように】

ま、いいさ。殴り合いで語れることもある。
安心しな、人質とかはいねぇからよ。



【到着したのは路地裏。鉄臭い生臭さ、死の匂いがへばりついた、"悪人"には相応しい場所】

最初に言っておくと、俺は譲ちゃんと戦いたくねぇ。
そしてつかまりたくもねぇ・・・・・・が、聞いてくれやしねぇだろうな。

(仲間を呼ばれたとして、ここに来るまで多少はかかる
それまで、ちと喋らせてもらうかな)

来いよ?捕まえるんだろ?

【くいくいっと人差し指で招くように】
491 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:31:09.71 ID:r63B6najo
>>458

【山城桃子は非常に欠点の多い人間である。それこそ挙げていけばキリは無いが、嫌いなもの苦手なものがとにかく多い】
【対して美点はそう多くない。それは人間としてもそうだし、剣士としても同じことが言えた】
【短期決戦型ゆえの体力の少なさ。自らが持つ刀の呪縛により身体能力には制限がかけられ、殺し合いでなければろくに戦闘能力を発揮することが出来ない】
【ならば彼女がただの凡愚、いやそれにすら劣る木偶であるかと言われれば、それもまた違っていた】
【彼女の剣士としての美点、その一つに集中力が在る――――深海よりも遥かに深く、どこまでも沈むことが出来る人並み外れた集中力】

【彼女はたった今木刀を振るうこと、そしてその末に自らの流派の奥義である剣気を引き出す事に執心していた】
【自己の精神世界に沈み込んだ彼女の視野は酷く狭く、たとえ誰かが近づいてきていても気づくことなど出来やしない】
【相対的に集中力の高まり具合は常軌を逸しており、殺気が剣気として空間に徐々に侵蝕し始めていた】
【その様は警戒心などあったものではなく危険極まりないが、他に鍛錬を重ねる場所など無く、必然的に選択肢は狭まってしまうのだ】
【だから彼女は気付かない。公園に誰かがやってきたこと、そして近づいてきたこと――――彼女が少女の存在に気付いたのは、声をかけられたからだった】

「――――――――……………………えっ」

【ぷつん。集中力が途切れる。深海から急浮上した深海魚のように、彼女の目は丸くなっていた】
【気付かなかった。いや、近づいてくる人に気付け無いのはいつものことなのだけれど】
【咄嗟に構えを解き、さてどうしようかと数秒間悩み視線をぐるぐると回した後、小さく深呼吸】
【威圧感を与えないように木刀を持った右手を背後に回しながら、紅色の瞳を少女へと向けた】
【そして今この瞬間、彼女はようやく少女が帯刀していることに気づく事となる】

「…………えぇと、なにかしら」

【相手は年上だろうか。だとしたらこの言葉遣いは失礼だったな、しかしいきなり警護に戻すのも可笑しい気がする】
【半ば無意識に出た言葉に後悔しながらも、少女の問いかけに応じるべく彼女は言葉を返した】
【一体なんの用だろうか。もしかして公園の管理人さんとかで、勝手に鍛錬するなとか言われるのだろうか】
【心配性なのか、若干の不安を織り交ぜた視線が、少女へと向けられていた】
492 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:31:41.78 ID:r63B6najo
>>491
//>>458じゃなくて>>485ですごめんなさい
493 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:44:33.19 ID:C8RIaWQ30
>>483

【鈴音の表情に一瞬暗い影が落ちたのを、りんごは気付かなかった。……たぶん、気付いても分からなかっただろう】
【この人に、悲しい事があったなんて―――まだ、優しさを知ったばかりの少女には分かれなかった。】

【「そうかな」って呟かれれば、「……そうなの。」って、頷く。それならやっぱり、少女にとってはそうなのだろう】
【どうしたって、鈴音がはじめての暖かさを教えてくれた人だから……そうなりたいって言うのだ】


……そう、なの?……じゃあ、りんねは……りんごの、おかあさん?

……おもいで……、……―――じゃあ、このかみ、ずっとたいせつにする。

【そして、鈴音はカウンターから紙とペンを持ってくる。何を始めるのかなと不思議そうに見つめれば】
【今から名前を書く、と。付けてもらったばかりの自分の名前を、ちゃんと紙に書いてくれるということらしい】
【櫻の国では名付けた親が子供の名前を書くと言うから―――やっぱり、鈴音はりんごの母親みたい】
【―――りんごは、鈴音の手元をまじまじと見つめる。綴られる文字を、食い入るように見て】
【やがて書きあがった紙を、大層大事そうにポケットに仕舞い込むのだった。まるで宝物みたいに―――】

………うん……、―――いこう。……とおくても……、……すぐにいけるの?
―――え……?

【―――一瞬、聞き取れなかった単語がある。なんだか、ぞわっとしたような……そんな音】
【首を傾げるけれど、鈴音は答えてくれることは無く……抱き付いてしまえば、そんな事も忘れてしまい】
【あとは、そのまま。鈴音と一緒に、夜の国にある彼女の家に転移していることだろう。―――ふと、胸の中から顔を上げれば】
【急にあたりが闇に包まれているものだから、りんごは目を丸くして驚く。……ここが、夜の国か】
【見たことの無い大きな建物、色んな植物の植わった庭、夜の帳が下りた世界……初めて見る物が一杯で】
【暫くキョロキョロと辺りを見回すが、鈴音に呼ばれるととことこ駆け寄って家の中に上がり込むことだろう】

……ごはん、ここでたべるの?………また、おむらいす、……―――たべられる?
………こっちは、おふろ……あったかいやつ……!

【―――中は、真っ黒だった。至る所黒尽くめの、ある意味統一感の持てるような内装……とはいえ】
【少女にとっては「普通の家」すら見たことが無いから、別におかしいとは思わないらしい。黒色に関しては驚くことはなく】
【案内されるがままに付いて行く。広い室内は歩くのにも結構時間が掛かり、説明にいちいち頷きながら歩き続ければ】
【やがて廊下の一角に辿り着く。……此処があてがわれるのだろうか?】


/此方もそろそろ落ちなければならなくなりましたので、お好きなタイミングでお返し下さい!
/恐らく後少しだとは思いますが、続きはどうしましょう?此方は明日なら夜はずっと空いていますし置きレスでも大丈夫ですが……
494 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:47:47.76 ID:NdI6vTbo0
>>493
/了解です、今晩中にお返ししておきます、が、
/明日こそ本当に予定が未定な感じなので、次のレスで〆に持っていく感じで大丈夫でしょうか?
/とりあえずそれで落としてみて、不都合あるようでしたら、置きのほうに移動、という感じにしていただけたらなあ、と……
495 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:52:26.81 ID:C8RIaWQ30
>>494
/了解です、それでは出来るだけ次で〆るようにします!置きレスに移動する件も大丈夫です、ご無理なさらずお書きくださいね!
/それではお先に落ちます、お疲れ様でしたー!
496 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 01:54:46.77 ID:NdI6vTbo0
>>495
/じゃあそれでお願いします! 不足分とかがあったら、空いた時間にでも追加する感じで……
/または雑談のほうで聞いてもらえたらと思います。レスはこの後返しておきます、ひとまずお疲れ様でした!
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga sage]:2014/12/22(月) 01:59:14.11 ID:xRbEGiQPo
>>491
【―――――――――― 空が割れる様】

【彼女に歩み寄る途中。やはり、自分の目に狂いは無かったと確信する】
【この空間を、蝕む物があった。それは目の前の彼女から発せられていた―――――――――― これは。知っている】
【形にせずとも分かる。色が無くとも分かる、この肌触りを。少女は幾度も幾度も経験し、その度に斬り伏せてきた。けれども】
【此処までの『それ』は感じた事が無い。真剣も抜かず、見敵すら存在しない現状で、ただの鍛錬だと言うのに、此処までの物を撒き散らせる者は】

「――――― あっ」

【彼女への問いかけを言い終わってから。改めて彼女の顔を眺めて。其処で隠しきれない程、眉を顰める、と言う物と】
【彼女の顔を凝視すると言う形で、驚愕の色を表層に出す事と成る】

【艶やかな黒髪に、白い肌。年齢も同じ、いや下くらいだろう、その顔立ちも―――――――――― そう、知っている】

【彼女と直接関係がある訳では無い、田舎の剣士である自分の事等知る由も無いだろうが――――― けれど、自分は知っている】


「――――――――― 違っとったら、ごめんだけど」


【宛らそれは天上人。だから、この目の前にいる彼女を、最早逃がすつもりは一切合切失せ消えて、今にも右手が剣を握りたがる】
【落とした財布はどうでもよくなっていた。人並の人見知りも何処ぞへと失せていた。続く言葉は、変質していた】

【以前一度だけその人相を適当に書いた紙を見たことがある。以前一度だけ、その人間について、考えたことがある】
【例えばそれが同じような人間だとしたらと考えたことがある。例えばそれが、自分と"同じ"だとしたら、と考えたことがある】
【それは少し前までの自分。理解者が欲しかった、少し前の℃ゥ分が一度だけ考えた事がある】
【もし彼女がそうだとしても――――― さて、どうしようか】


「――――――――― 首斬り姫≠ゥ」
498 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/22(月) 02:00:43.91 ID:sML2dkvS0
>>490


【喉に重たく絡みついてくる麺を嚥下し、気取られないように笑顔を作って勘定を済ませる】
【その微笑みのぎこちなさと言ったら、悪人であるはずの男にも大差をつけられて負ける程だったが】


【――何はともあれ、奇妙な合意の下に、二人はうらぶれた路地裏で対峙することになる】
【なるほど、ここであれば堅気の人間を巻き込むことは万に一つも無いだろう】
【尤も、そのような日陰の場所が存在していること自体が、SCARLETにとっては敗北≠ニ言えた】


……悪を為す理由になった時点で、どんな志も意味を無くす。
10年ものの先輩がそんな簡単なことを理解していないなんて、この上なく残念だよ。


【背筋を這い上がってくる雑念を振り払って、女は決然と言い放つ】
【彼がかつて自分と同じ志を抱いていたからこそ、その憤怒は激烈だった】


SCARLET捜査官、ロレッタ・ヘントプレック――あなたを能力犯罪者として、確保する!


【カノッサ機関に身を落とした男を詰るように、改めて自らの肩書を名乗ると同時】
【腰に添わせていた右手が、稲妻のごとき早さで両刃の長剣を抜き放った】

【抜刀。そして、返す刃で虚空を一閃。それは単なる演舞の挙動ではない】
【もし男が注意深く耳を澄ましていたなら――自分の足元≠ナ、微かな風切り音が鳴ったのに気付くかもしれない】

【それを感じ取るにせよ無策に終わるにせよ、次の瞬間、あなたの足元の空間が「裂ける」】
【もし回避しなければ、まるでロレッタの横薙ぎがそのまま転写されたかのように、アキレス腱を引き裂かれるだろう――!】
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/22(月) 02:13:44.67 ID:vZsbn4hc0

>>489

【歩き去った男。残されたのは二人と一匹】

【スーツの男を見る犬は、大体中型犬くらい。青年の指示さえあればすぐに動くのだろう】


……ふざけてんの? お前……
知らねェ訳があるかよ? 俺の事を知ってわざとぶつかって絡んできやがったあの男の手下だろ? 
……ああ、俺を見下してやがるから俺に言わせようとしてんのか……
まあ良い、言ってやるよ
照垣 我鬼(てるがき あがき)……来肝喰鬼(キモクイオニ)の弟にして照垣 葉蔵(てるがき ようぞう)の息子……ほら、知ってんだろ? 
あの男から聞いてんだろ? それでもってあの男も誰かからそれを聞いてんだろ? 
ああ、ああ! 本当に誰が俺の事話しやがったんだ……早く見つけて焼き殺さねェと……
【不快そうな表情を浮かべたかと思うとすぐさま始まるのはマシンガントーク】
【その表情も不快そうなものから狂った笑み、怒りに狂ったものとくるくると変わっていく】
【要するに、櫻の国で何かやらかしたらしき人物の身内のようだが恐らくスーツの青年にとっては何のこっちゃという話だろう】
【ついでに一つネタばらしをすると、青年がしきりに言う「誰かが自分の事をはなした」だの「先程被害に遭っていた男が彼を見下していた」というのは彼の被害妄想である】




500 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 02:20:40.17 ID:QrScXxnxo
【深夜・都市の中央に位置する自然公園の木立】

【そこには一人の女性が居た。白いボトムスに、真紅のジャケットという出で立ちで】
【歳は20代半ばくらいだろうか、鮮やかな赤髪は肩から背に掛かる程度に長い】
【そして、その手には巨大な鎌を持っていた。刃は時折、風を切る音を立て】

っとォ、こんなモンか?久々に動くと、やっぱキツいな
箱入り娘やら隠居でもねェし、自分の身位は守れねーと……。
……もうちょい、やってくかな。

【汗を拭って再び動き出す。今度は、その身体から分離するように黒い鎧が飛び出して】
【豪腕と呼んで差し支えない左右の拳で、頭上の枝をバシッ、と叩き、折り落とす】

【すると不思議なことに、枝は真っ直ぐにではなく女性の方に吸い寄せられ】
【シュッ、とそれを両断することで一幕が終わる。さしずめ、能力者の特訓といったところか】
【夜間とはいえ、散歩でも人気の場所。風切り音はやや目立つかも知れなかった】
501 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 02:25:28.62 ID:r63B6najo
>>497

【油断していたといえば、そうなのだろう。まさかこんな場所で其の名≠聞くなど、思ってもいなかった】
【忌まわしき死刑執行人の存在を、物言わぬ断頭台の二つ名を、思考すらせず殺し続けてきた血塗られた今までを】
【そうだ、油断していた。此処は櫻の国ではないのだから、己の真実を知る者などいないだろうと】
【探られたくない事の最上級――――首斬り姫=A其の言葉を聞いた瞬間、胸が締め付けられるかのような感覚に陥った】

「――――――――」

【山城家は代々将軍お抱えの死刑執行人、天ノ原囚獄掛斬役として殿様に仕えてきた家系である】
【それだけならばまだいい。殺人は本来ならば犯してはならぬ禁忌だが、死刑制度がある以上それを執行する人間は絶対に必要だ】
【彼女もそれだけならばまだ良かったかもしれない、人を殺すことを是としたことは無いけれど、其処にはある種の正しさが間違いなく存在するのだから】
【だが事はそれだけでは終わらない――たかが斬首刑、しかし其処には一定以上の技術を要する】
【下手な者が首を落とそうとすれば、咎人は苦しみの中で死に往く事となる。だからこそ山城家の当主は、代々優れた剣技を身につけていた】
【中でも極めつけは山城家に伝わる秘奥――――剣気≠フ存在である】
【『近づかずして相手を斬る』『威圧だけで常人を卒倒させる』『極限まで気を絶つ事で存在を掻き消す』】
【常人離れした剣技を持っていたが為に、山城家は本当の意味で殿様のお抱えとなった】
【殿様が邪魔だと思うのなら、たとえ罪人でなくとも首を落とす。彼女はただの死刑執行人ではなく、無実な人間をも殺していた殺人鬼なのだ】
【それを含めて恐れ付けられた二つ名こそが首斬り姫=\―――幾ら拭っても消えない、彼女の穢れ】

「――――――――…………えぇ、そうよ」

【肯定の意、知られている以上隠しても仕方がない。どこまでも過去は追ってきて、きっと逃れることなど出来ないのだろう】
【逃げれないのなら立ち向かうしか無いし、そもそも彼女は逃げるつもりなど無い――――逃げるのは、もうやめた】
【過去と向き合い、己と向き合う。そう決めたから、彼女は少女の言葉に頷いた】
【刀を持っている辺り、其の筋から自分の存在を聞き及んだのだろう。となると少女も櫻の国出身だろうか】
【木刀を握る手に力が入った。カノッサ機関の構成員にやられた傷が疼く】

「公儀御様御用兼天ノ原囚獄掛斬役、山城家十三代目当主の影――――山城桃子」
「それがあの国での、私の立場よ」

【あくまで当主ではなく、其の影。殺すのは彼女の役目で、それ以外は彼女の双子の兄であり現当主の役目だ】
【山城家は処刑人だけを務めてきた家ではない。彼らは死刑によって生まれた死体を引き受ける権利を持っていた】
【其処から死体を使用しての試し切りや、死体から秘薬の生成、或いは死体そのものを売り払う】
【そうして山城家は財を築き上げ、櫻の国でも有数の武門の家柄となった】
【今では死刑執行以外の殺人はしないと決めているが、それでも多くの罪なき人間を殺したのは紛れもない事実である】
【だからこそ首斬り姫の名は彼女にとっても忌むべき名前なのだ――たとえ相手が、どのような人間だったとしても】
502 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 02:30:14.02 ID:NdI6vTbo0
>>493

ううん、お母さんじゃないよ。お母さんじゃないけど……、りんごのこと、大切にしたいって、思うの。
まだ、会ったばかりだけど――、うーん、と、……これから、もっと大切になっていくんだよ、きっと、――。

【お母さんじゃない。それは、残念ながら即答だった。わたしはあなたのお母さんじゃない、お母さんには、なれない】
【養子とかそう言う意味ではなれるかもしれないが、本当の――産んでくれたお母さんには、なれはしない】
【産んでくれた両親が居て、拾ってくれた義父が居た。それなら、たとえ、血縁ばかりは捏造できなくたって】
【“大切”になれるというのは分かっている。それをりんごがお母さんだというなら、――お母さんにだって、きっと、なれる】

【庭から見える景色。外見も黒い洋館に、月明かりに照らされて黒く光る庭の草木、森の木々たち】
【――その中に、ぷつりと違和感のような色彩が紛れ込んでいた。それは、きっと、鮮やかな紫色をしていて】
【よく見ればそれが鳥だとも気付けただろうか。大きな鳥だ、ぱっと見ただけでも鷲くらい大きく、そして】
【もしもりんごに強い幻惑を見抜く力でもあるのなら――そこに見えるのは、紫色の髪と瞳の、少女なのだった】

うん、オムライスも作ってあげる。……わたしね、夜はお仕事で居ないことが多いから――、
――その、お仕事に行く日は、ご飯は夕方くらいに作るの。あとでおなかが空いたときは、あるもの食べていいからね。

【と、告げるのは今更ながら大切なことだ。そう、彼女――仕事で、夜は居ないことのほうが多い】
【そして最近は昼間も居ないことが多い。それなら、家に居る時間は大分……というかかなり減っていて】

じゃあ……、うん、りんごはこのお部屋使って。わたしのお部屋はあそこなの、何かあったら呼んでね。
それで――、……あの部屋は入っちゃ駄目。そう、……今度鍵でもしておくね。絶対に、駄目だよ。

【とりあえず書斎やら地下室やらを紹介して、最終的に廊下。やがて指差してやるのは、部屋の一つ】
【ためしにと扉を開いてみれば、中もやはり黒く――それなりに広い。というか、ベッドが無駄に大きい】
【クイーンかキングくらいはありそうなベッド、それと、いくつか最低限の家具と――そんなものがあって】

お洋服とかは後で買いに行こうね、それで、欲しいものがあったら言って欲しいんだけど……。
……その、お金、あんまり余裕ないから――、必要なものにしてね。あんまり高いのも、ちょっと……。

【それでいて言うのはすごく現実的で差がある。というのも、今この家は、彼女の給料で回っているから、なのだが】
【家のお金ならあるのだけど――うん、まあ、あんまり使いたくない感じ。彼女は苦笑がちにころころと笑うと】

/すいません続きます
503 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 02:30:44.56 ID:NdI6vTbo0
>>493>>502

【それからペットの紹介でもしていくのだろう。二メートルはあるような大蜥蜴、額に赤い石の埋まった、コモンと】
【水を吸わせればいくらでも大きくなるという(バスケットボールサイズ以上は怖くて試してない)蛙のマーロンと】
【真っ青な毛並みでチョコの好きなロビン、あと、なんか、……水槽の中でうねうねしてる魔力に寄生する虫(?)】

【後は冥という少年も暮らしてるのだと言って。ただ今は居ないみたい、だなんてことを言って】
【一通り説明が済めば、いざお買い物に、ということになるだろうか。ルルーメンまで出て、服や靴を買ってやることになる】
【流石にいつか自分が買ってもらったようにオールブランドとかは無理なのだけど、……それでも、いいものを買ってやり】
【好みとかもちゃんと聞くだろうから、好きなものを手に入れられるだろう。他にもいろんなところに連れて行き】
【――ひとつ、ぬいぐるみを買い与えるのだった。両手で抱っこするくらいの、ちょっと大きな、ぬいぐるみ】

【それから先は、平和なように暮らしていくことになるだろうか、だけど、彼女、思ったよりも食事のマナーだとかにうるさく】
【それはナイフがどうとかそういうのではなくて、口の中に食べ物があるときに喋らないとか、そういった方面のマナーで】
【お箸の持ち方もちゃんと教えるし、食べ物に関しては意気込みが違うように見える、……食べるの大好きだから】

【――あと、字とか、最低限の一般常識とかも教えてくれるだろう。生きていくのに、困らない程度には】
【後は聞かれたときに逐一答えていくことになるのだが――あんまり難しいこととかは、彼女もまた知らないようで】
【質問の内容によっては答えてもらえなかったり、困らせてしまったりするだろう。――まあ、それは余談だが】

【(さらに余談になるのだが、この家、時々、“だれか”が居る。それも、平然と居る)】
【(鮮やかな紫色の瞳と髪の少女。年で言えば十二かそこらに見え、だけど何をするでもなければ誰と話すでもなく)】
【(いや、ごくまれに鈴音と会話していることもあるのだが――ちなみに、この少女が、件の*ちゃんらしいというのは会話で分かり)】
【(話しかければ話してくれるのだが、たとえ名前を問うても文字化けを読み上げたような返事しか返ってこない。不気味、といえばそうだが)】

【それさえ気にしなければ、ごく普通の……一般的な家庭に近い生活を楽しめることだろう】
【とにかくりんごはこの家の一員になって。その関係はまだ親でも子でもない、曖昧なものだけれど】
【楽しそうにしてくれるなら――彼女も、また、嬉しそうにするはずだった】

【――そして、りんごがこの家に来た数時間後。件の紫少女が、りんごの元にやってきて】
【「キミのぶん」と言って転移魔術の書かれた羊皮紙でも置いていったのだろう。起動に多少の時間が掛かるのが難点だが】
【イメージした場所のごく近いところに飛べる、精度もそれなり以上のもの。便利なのは、きっと、確かで】

/こんな感じでお疲れ様でしたっ、何か気になる点ありましたら、どっかで聞いていただけましたらー
504 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 02:41:16.53 ID:L3kZytjN0
>>498
俺はそうは思わんな。
悪にしかできないこともある。悪にしか為せないこともある。
10年、俺は正義の立場に居て実感したんでな

【語りながら、頭の中をめぐるのは無数の"死顔"】
【守れなかった、取りこぼしてしまった無数の命】
【英雄達の戦記は輝かしく語られる。が、その裏には確実に犠牲は存在する】

正義は悪と戦えば、いつかは悪は滅ぶ。
だが、その過程で何人もの死人が出る。
正義と悪、それが戦っていれば犠牲は必ず生まれてしまうんだよ。

【レザージャケットを着たこの男にふざけた香りはなく、ちゃらけていた目は鋭く、槍のように】
【肩幅、脚を開く。全身の力を抜き、腰の辺りで手を構える。十年、戦場の中で身に着けた臨戦態勢】
【酔払いの姿はもう、存在しない。ここに居るのは―――】

カノッサ機関No14 《錆び塗れの"正義"》
桐斗 仁・・・・・・俺の目的のためだ。少し眠ってもらうぞ

【名乗り終えた、その刹那】
【振り放たれる斬撃。相手の射程範囲には入っていない。否、その考えが否】
【威嚇などじゃないはずだ。あの動作は間違いなく攻撃。―――ここは既に射程か】

ぐっ・・・・・・うおおおおお!

【思考をめぐらせ結論は、脚。確保する、そういったのならまず動きを封じるはずだ】
【男は後方へ飛ぶ、が、遅い。完全なる回避とはいかず、足の甲に断裂ができる】

畜生、使うしかないのかね・・・・・・

【着地間際、男の輪郭がぶれる。陽炎のように、蜃気楼のように、男の輪郭がぼやけて】
【輪郭が二つにわかれて、分身のようにもう一つ人型が現れる】
【焦げ付いたような肌色に、苦痛に歪んだ顔面が無数に張り付いた姿で】

デッド・フェイス・・・・・・

【男が呼ぶその人型の名、"死顔"に相応しい姿をしていた】

【まず、人型が前方へ走り出す。後ろの男をかばうような形でだ】
【男はそれに隠れながら壁のほうへ走り、壁を蹴り、女の背後を取ろうとした】


//すいません、ここで一旦凍結でいいですか?・・・・・・・
505 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/22(月) 02:45:18.19 ID:sML2dkvS0
>>504
/大丈夫ですよー。私もそろそろ眠気を感じていたのでちょうどいいところでした
/ただ明日はロールできないんですよね……火曜日であれば、全日ロールすることが出来ますので、その時に持ち越しで大丈夫ですか?
506 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/22(月) 02:46:39.12 ID:Ox9zTdVqO
>>505
//はい、それでお願いします
//今日は一旦お疲れさまでしたー
507 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 02:53:40.79 ID:8E5GNq2so
>>499

(……何言ってんのこいつ!?)

【何か有用な情報が引き出せるかと思って賭けに出たが、思ったより情報は無い。得た情報は第一印象と変わらない、『こいつはやばい』という物が確信に変わっただけ】
【この手の人間はいつ激昂するかもわからないから、今は会話できても油断はならない】

(何だか知らねえが、とにかく自分の事を知られたくないのか?)
(この様子じゃ知らないとは言っても聞いてくれないだろうしなあ……)

【一体全体訳のわからない話だが、これを上手く使わない手はない】
【一応攻撃された時の事も念頭に置いて、丸め込む】

……照垣…我鬼?待てよ、何処かで聞いた事が……(無いけど)
ああ!そうだ!あの時に聞いた話か!(知らんけど)

【名前を聞いて、わざとらしい動きで頭の中を洗い出しているように見せかける、そうして、あたかも聞いた事があるかのように声を上げて】

……だけど、聞いたのは旦那からじゃあねえぜ、俺様たちがお前の事を聞かされたのは……えーと……

【更にここで付け加える、自分に我鬼の事を言った架空の人物の存在を。『俺たち』とする事でその人物は複数の人間に我鬼の話を伝えているように思わせる】
【後は、これに食いつくかが鍵だ、上手くヘイトを自分から架空の人物に逃す、そうすれば】

(俺様は五体満足でサヨナラ!って訳よ!)
508 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga sage]:2014/12/22(月) 02:55:20.81 ID:xRbEGiQPo
>>501
【随分と、まるで食い縛る様】

【一つ、期待していたことに大して。宮藤帯刀と言う少女は、落胆した】
【首斬り役人≠フ彼女に対して致命的な落胆では無かった―――――――――― だが、それでも落胆した】
【此の少女は。分かり合える存在では無かったのだろう、と。斬る事に悦びを見出す、自分と同じ人種では無い事を今、嫌でも感じさせられて】
【これが少し前までの自分だったら大きな大きな落胆になっていただろう、と言う程度の、些細ではあるが、一つの可能性を潰された気分になる】

【小さな。落胆】

「―――――――――― ほっ、か」

【溜め息代わりに。その紡ぎだされた言葉を咀嚼し終えた事を証明して】
【ならば、やる事は一つだけ。両の腰に携えられた太刀の鞘に、両の指が触れていく】

「参河國東嗚藩所属対人斬用人斬組織『刀狩隊』……その、予備役。宮藤帯刀」

【参河國。片田舎に結成された組織の予備役―――――――――― 名乗られたから、名乗り返したが】
【その立場は正に雲泥の差で、嗤い出しそうだった。同じ殺人≠許可された身に在りながら、何という差か。方や国に抱えられるお役人、片や田舎の人斬り商売】
【決して相容れない事は今の二言三言で分かった。ならば、もう一つの、余りにも贅沢な気はするが―――――――――― 目的を、果たすまで】


「いや、今は―――――――――― カノッサ機関≠チて言っといた方が良いか」


【その身に逆五芒星≠ヘ刻んではいない。正式なカノッサの人間では無いが―――――それに付き従う∴ネ上は、そう名乗るのが道理だろう】
【それに、長ったらしい田舎者の証明よりも、此方の方が恰好が付く。それを口に出してから気付いて、ちょっとした後悔をした】


「ウチみたいな田舎侍、アンタは知らんだらあ――――― ほだけどウチはアンタの事、よーく知ってる」


【鯉口を斬る。両の鞘から、白刃が覗かせた】
【未だ肩に受けた傷が癒え切っていないと言うのに、そんな物は些細な事だとでも言いたげに、頭に血が昇っていく】
【指先に熱が籠もる。こうまで興奮を抑えられないのは、自分がきっと、何処まで行こうと斬殺者≠ナあるからだろう】



「剣、抜かせてもらうわ、断頭台=v
509 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/22(月) 03:09:10.36 ID:vZsbn4hc0

>>507
……あの時……? 一体いつなんだ!? 
俺の事を話した奴がいる……!? 一体どんな奴なんだ!? 
教えてくれ! 今すぐに! 
【青年──我鬼は案の定「あの時」「聞かされた」というワードに食いつく】

【ああやっぱり誰かが俺が何かやらかした者の身内であると吹聴して回った奴がいるんだ一体全体どういうつもりなんだ見つけたら一体どうしてくれようか、と我鬼はめまぐるしく思案する】

510 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 03:19:05.41 ID:8E5GNq2so
>>509

まあ慌てんなよ、今思い出すから

【食い付いた、後はもう、それっぽい人物像を作り上げて、他の場所へと行かせるだけだ】
【……が、この男、すぐに調子に乗る性格である。上手くいきそうだと見れば、今までの慎重さが無に帰す程に調子に乗る】

あー、でもなー!これ教えたらいけないって言われてるんだよなー!
それに、教えたら用済みとか言って消されそうだしさー!こっちもそれなりのリスク負ってる訳よー!

【その結果がこれである、俗っぽい言い方をすればウザいことこの上ない顔と口調である、下まつげが長い目をわざとらしく泳がせているのも拍車をかける】

わかるだろ?俺もお前を悪いようにはする気は無いんだ。話を聞いたのもそのつもりはなかったし、わざわざ言いふらす気もない、お前がそういうなら墓まで持っていくさ
だから、な?話をしてた奴を教えてやるから俺の事は見逃してくれよ?交換条件だ、簡単な話だろ?

511 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 03:23:15.39 ID:r63B6najo
>>508

【ただ己の裏の顔が割れているだけならばまだいい――嫌な予感。今までに何度か感じたことがある、独特な気配】
【きっと外れはしないだろう、幸せな未来予想図程届かなくて、嫌な予感程当たってしまうものだから】

【刀狩隊、生憎と彼女は其の名を聞いたことが無かった。ただでさえそういった世界とは極力関わらない様にしてきたのだ、それも当然かも知れない】
【何も考えず、ただひたすらに罪人を殺す。物言わぬ断頭の刃となることで、今まで殺してきた人達の死を無駄にしない】
【己が死刑執行人で在り続ける限り、自分に殺された人間は罪を断たれたと言い張ることが出来る――――そうやって逃げてきたから、彼女は少女を知り得なかった】
【そして次に少女が告げた言葉で、彼女は確信に至る――――――――ああ、やはり当たった、と】

「カノッサ、機関…………」

【カノッサ機関。世界を混沌に陥れようと画策する、此の世界においても最大規模を誇るであろう悪の組織=z
【知らない筈がない。彼女は其の存在をよく知っていた――――ああ、傷が疼く】
【つい先日、二人のカノッサ機関の構成員と斬り合ったばかりなのだ。忘れられる訳が無いだろう】
【思わず苦笑が漏れた。過去からは逃げれない、そして進むと決めた以上壁も避ける事が出来ないのだと】

「…………そう、カノッサ機関」
「貴女達=A本当に私が好きなのね――――まだ入間にやられた傷もあの男の人にやられた傷も、治っていないのだけれど」

【木刀を前へと持ってきて、両手で握り締める。そして右側、自らの目の高さに水平になるように刃の鋒を少女へと向けた】
【気配で察する。彼女は戦闘経験はあまりないが、それでも殺してきた数に関して言えば其処らの下手な悪人よりも多い】
【目の前の少女は、己より強い。どれほどの実力かは定かではないが、少なくとも自分などよりも余程手練であると】
【構え、纏う空気、動作の一つ一つを無意識に判断材料とする。実力差は勿論、問題はそれだけではなかった】
【相手は真剣で、此方は木刀。劣勢なのは言うまでもないだろう――――かと言って、あの刀≠使うのが正解なのかは分からないが】
【ベンチまで距離がある。背を向けるのには致命的な距離、さらに言えばあの刀を抜けば殺人衝動が抑えきれなくなってしまうだろう】
【悪は斃す。けれど殺したくはない――――殺すのは最終手段だと、そう決めているから】

「構わないわ、ええ。倒してあげる、かかって来るといいわ――――――――人斬り≠ウん」

【声は小さく震えていた。殺すのではなく戦え、そう必死に己を律するもやはり慣れない】
【次こそ死ぬかもしれない。今まで数百の命を奪ってきた自分が死を恐れるなど滑稽と言う他無いが、あの日の返事をするまでは死なないと心に決めているから】
【人を殺し続けてきた自分だからこそ、人を殺さなくてもいい世界を作らなくてはいけないと、あの時誓ったから】
【だから恐れを殺し、震えを殺し、そして過去の弱い自分を殺そう――――恐れ震え弱さ、総じて噛み殺し】
【かつて断頭台だった少女は対峙する。もしかしたら今も変わらずそのままかもしれないけれど、だからこそ変わるために】
512 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/22(月) 03:39:49.72 ID:BDLvtpwVO

>>510
……教えたらいけない? 
(……あの男以上に高位……? まあそりゃそうだろうな)
それでも良い、さっさと教えろ! どうせそいつは消すんだ、話したところでどうもならねェよ! 
【少し苛ついたように我鬼は男にくってかかる】

【だが、交換条件を出されるとあっさと引き下がりそれを承諾するのだった】


513 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga sage]:2014/12/22(月) 03:49:28.57 ID:xRbEGiQPo
>>511
【両腕を交差する。鯉口を斬った二本の刃の柄を掴んで、白日の下に、その刃を曝け出す】

【人は変わらない。人は、そう簡単には変わらない。剣を握る事は、その証じゃないか】
【三つ子の魂百まで、何てお誂え向きの。我々の祖国の言葉にはあるじゃないか――――― 人の性は。そう簡単には、変えられはしない】
【少し前までの自分は。それが疎ましくて仕方なかった。自分が人斬りである事が、邪魔臭くて、劣等感に塗れていて、けれどどうしようもなかった】

【刀を握る腕に力は入れども、両腕は下げたままだった】
【『構え在って構え無し』。既存の二刀流剣術より派生した『宮藤流撃剣術』は、それを踏襲し、そして重要視していた】

【首斬り姫≠ヘ死ぬまで首斬り姫≠フままだろう。人斬り≠ヘ死ぬまで人斬り=Aだ】
【それを否定する事は辛い事だろう。哀れにすら思う。そして自分の幸福を、噛み締める。嗚呼、自分には。】
【人斬りの私を受け入れてくれる人がいる=\―――――――――】

【駆け出そうとした足が、止まった】


「―――――――――― 今」


「―――――――――― 何て」


「―――――――――― 言った?」


【自分の聞き間違いだと思いたかった――――― だがそれを聞き間違いだと処理するには、余りにも重過ぎる一言だった】
【握る剣と、振るおうとした刃が一瞬で何処かへと消えてしまった。その色に、一色に塗り潰された】

【――――― 宮藤帯刀には、友達≠ニ称する人間がいた】

【その、彼女の名は――――――――――】


「――――― 入間=Bって、言った、か?」


【其処で、宮藤帯刀と言う少女は、一瞬だけ。殺意や、敵意の感情を完全に手放していた】
【渦巻いていた毒気が完全に溶けてなくなったかのように。彼女の、白と黒の双眸は、本当に、疑問の色だけで成り立っていた】
【余りにも拍子抜けに見えるだろう。まるで戦闘を、始まる前から放棄したかのような態度――――― では、あるが】

【溶けてなどいない。内側に一旦だけ閉じられただけ】

【返答次第では、あるが】

【或いは、その刃は―――――――――― 急速に膨れ上がる♂ツ能性も、秘めている】

/申し訳ない…本当に、本当に、良い所で申し訳ないのですが……凍結をお願いしてもよろしいでしょうか?
514 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 03:53:07.19 ID:8E5GNq2so
>>512

OKOK、その言葉忘れんなよ?

【言質を取ることに成功した、こんな明らかにふざけた言いようでも成功するということは我鬼の慌てようも相当だろう】
【この男も、調子に乗っていなければそれに気付けただろうが、今は最早それどころではないようだ】

【食ってかかる我鬼に「落ち着けよ」と促しつつ、平静を装ったふうに話を続ける】

そいつは───そうだな、馬鹿みたいにデカい奴で、高そうなコートを着ていた───と言っても、服装なんかいくらでも変わるけどな
そんで、長〜い黒髪で、なんかとにかくゴッツイ奴だったぜ、うん

【超テキトーな人物像だ、勿論存在しないのだから、思い出そうにも思い出せない、即興で作った『何と無く強そうな人物像』である】

そいつがどこに行ったかは知らないが、聞いたのは結構前の事だからな〜
もしかしたら今頃遠い国にいるかも……あっ、もしかしたらそこでもお前の事を言いふらしてるかもなあ?櫻の国に大馬鹿者がいたとかさ

【暫くはこの辺りにいるのだから、我鬼のような危険人物は遠くにいなくては困る、その為にわざとらしく、遠い国にいるだなんて憶測をして】
【更に、調子に乗って口を滑らせた、言わなくてもいい事を、我鬼の気を引くために付け加えてしまう】

……じゃ、情報も教えたし、俺様帰るから

【それで、言うだけ言ってそそくさと退散しようとする。その動きの速い事速い事】
515 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 04:07:10.83 ID:r63B6najo
>>513

【突如生み出される空白、原因を生み出した当の本人は、其の事に気付くのに数秒の時間を要した】
【彼女は気付かなかった。意図せずして出した名前が、まさか相手と関わりがあるなど想像すらしていなかった】
【だが考えれば可能性はあるだろう、カノッサ機関の規模は計り知れないが同じ組織に所属している以上顔を知っている程度ならば十分に考えられる】
【いいや、彼女――――穢土宮入間の性質上、彼女に引き込まれてカノッサ機関に入った人間もおそらくはいるはずなのだ】
【何故なら彼女自身が共に世界を変えようと、少女よりも先に引き込まれかけたから――――少女と彼女の違いは、其の手と取ったか取らなかったか】

「――――ああ、そうなの」

【察する。顔見知り、程度ではないのだろう。どれほどかは分からないが、親しい仲に違いない】
【穢土宮入間の言葉はどこまでも甘い。蕩ける蜜のように心を絡め取り、そして底無しの毒沼へと引き摺りむ】
【彼女も穢土宮入間と会う前にとある少女との邂逅を果たしていなければ、きっとおそらく――――いや、確実にそちら側≠ヨと落ちていた】
【木刀を握る手に自然と力が入る。なんと答えるべきか考えようとし、そしてやめた】
【考えるまでもなく、勝手に口が開いていたからだ。少女の心に斬撃を叩き込むが如く、彼女は――――】

「ええ、言ったわ。それがなにかしら…………ああ、もしかして知り合いなの」
「だったら伝えておいてくれない? あの時の頭突きの傷、大丈夫だったって」

【彼女の言葉を要約するならば、こうだ――――――――『自分は穢土宮入間と戦った』『あまつさえ其の身に攻撃を喰らわせた』】
【実際のところアレは戦闘とすら言えない穢土宮入間の一方的な勝利であり、未熟な少女は最初の不意打ちを除き其の刃を届かせることは出来なかったが】
【それでも彼女が穢土宮入間と敵対し、そして交戦し、その体に傷をつけたのは紛れもない事実である】
【彼女の言葉が少女に対しどのように作用するか、それは分からない】
【だが明確に分かる事はただひとつ――――『少女の友達を傷つけた殺人鬼は、嘲笑うかのように口元を歪めていた』】

//凍結了解です!
516 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/22(月) 04:19:45.86 ID:BDLvtpwVO

>>514
【我鬼はただ静かに頷く。彼にとって重要なのは「誰に広まったか」ではなく「誰が言ったのか」なのだから】

……馬鹿みたいにデカくて、高そうなコォト……長い黒髪に……全体的にゴツい……
【男の言葉を繰り返しながら自分なりにモンタージュを作り上げていく】
【適当だとはいえ髪の色を黒にしたのは正解だ。彼は櫻の人物。当然一番見慣れた髪色は黒なわけで】
【当然「自分を知る櫻の国、ひいては故郷の人間が海を渡り自分の事を話した」というしっくりくる話が出来上がるのだった】

聞いたのは大分前、いまは遠い国で俺の事を……
【その言葉を聞いた途端我鬼の目の色が変わる】
【野郎……と呟くや否や我鬼は炎を纏った犬を消し、男を置いて駆け出す。必ずやその人物
を見つけんと】
【彼は恐らく男が言った通りの人物を探すだろう。例えそれが嘘であったとしても、一心不乱に】
【例え被害妄想だとしても、虚像だとしても、照垣我鬼という青年にとってはそれが真実だと思わざるをえない程の過去があるのだから】



/絡みお疲れ様でした
517 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/22(月) 04:26:48.66 ID:8E5GNq2so
>>516

【できるだけ早く、しかし怪しまれないように、絶妙な早歩きで素早くその場を離れると、最初にいた物陰に舞い戻る】
【どうやら騙しきれたらしい、物陰から走り去っていく我鬼を確認すると、一息ついた】

ふぅ〜!いやー危ない危ない!ヒヤヒヤさせやがるぜ全く!
いや待たせて悪いねーお姉さん、俺様ってば平和主義者だから、交渉でなんとかして……

【ずっと待たせていた女と、ようやくデートを再開出来る……と思ったのも束の間】
【そこに待っている筈の女は既におらず、『寒いので帰ります』という旨の書き置きだけが虚しく風に揺れている】
【当然だ、こんな寒く薄暗い路地裏でいつまでも待ってくれている女などいるものか】

…………

【冷たい風が、心すらも通り抜けていった───】

/乙でした
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 19:18:12.58 ID:RZWNVgIvO
>>391
これでまちます!
519 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 19:55:49.48 ID:HXgqTfLeO
>>518
とりけします!
520 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 21:14:38.92 ID:1EqEXF5w0
>>480
//それでは>>476を取り消して記者の後を後ろからおってきた
//ということでお願いします
//それと今日中に〆にしましょう

「ふ、ふふふ、あはははははは♪」

{足元のおぼつかない足取りで記者の背中を追う}

「さっきのおじさん二人みたいに簡単に壊れない…………………愉しいっっ!!」

{身を低くして足を早める、幸いな事に元より
紫の長髪にシルバーのメッシュの入った髪に鎖をあしらったヘッドギアを付け
おへその見える切り刻まれたタンクトップの上にノースリーブのパーカー
いかつい黒々とした太い鎖を何重にも巻き付けたベルト
アームカバー
この奇抜な男の娘が更に血にまみれている様を見て
殆どの人がモーセの如く道を開けるため障害物は少ない}
521 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/22(月) 21:53:21.99 ID:kAHF70AHo
【路地裏】

【白く息が曇るほど寒い日だった。アスファルトが夜露に濡れる。ビルの影に月は遠く】
【だが、静かな夜なんてものはこんなスレたスラムの路地裏には存在しない。空気を裂く銃声】
【銃弾が飛び交って響き渡る。不意に静かになるのは互いが様子を伺うその一瞬だけだった】

なーんでまたこんなことになってんのかなあ…いやぁ…俺もわかんないんだよね

【壁に背をつけて、しゃがれた声の男が愚痴る。路地を覗きこむと銃弾が飛んできて慌てて引っ込む】
【サングラスを掛けた背の高いそいつは黒い三つボタンのスーツ姿。シャツは濃い赤。ネクタイは黒】
【右手に短機関銃を持ち、左手には携帯電話。通話中でも銃声は否応なく割り込んでくる。会話もままならない】

ま…そういう訳なんで、取り込み中なんで後にして。…場所?…さぁー…何処だったっけなあ
近くだとは思うんだけど…っと!

【男は影から半身を出して反撃する。命中率コンマゼロの威嚇の連射。マガジンを使い果たして男は銃を投げ捨てる】
【スーツのスラックスのベルトに挟んだリボルバーを抜く。美しい模様が彫られた黒鉄の六連発。撃鉄を起こす】

あー……だから、そういうことだからよろしく

【上着のポケットに電話を滑りこませて、煙草の紙箱を取り出して、くわえて火をつける】
【足音が聞こえる。追手がゆっくりと此方に向かっている。目をつぶると通り抜ける風が見えそうだ】
【いつの間にか銃声がやんでいると気がつくとやけに静かで―――】
522 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga sage]:2014/12/22(月) 22:18:05.82 ID:xRbEGiQPo
>>515

【彼女の心に吹き荒れたのは―――――― 一つ、二つの物では無い。だが、其処に混ざり合うそれは、色こそ違えど】
【結局、それが形成したのは、分かり易い一つの感情だった】

【殺意】

【然してそれに犯される宮藤帯刀と言う少女の脳内は、案外と冷静だった。指先から順に熱がこもり、心臓の鼓動が早まっていく】
【頬は、寒さに差す朱色以上に赤く染まっていった。頭は比喩では無く本当に全身の血が沸騰したかのような錯覚に襲われていると言うのに】
【脳内は、在る一つの物事に向けて、冷静に、そして急速に収束しつつあった】

「――――――幾つか。思うとこがあった」

【刀の柄に握り締める力が、自分の物ではないかのように強くなる】
【流行る気持ちを抑える―――――― いやこれは、今の自分が仮定した結論の肯定の為の、情報整理にも等しい】
【故に、其の言葉は自分にも意外に想えるほどに、熱が入っていなかった】

「例えば。人を斬る事を運命づけられた"斬殺者"。
 ―――――― ウチを、理解してくれる人間か、って。勝手に思っとった」

「例えば。何人も斬ったアンタと斬り合えば、何かが分かるんじゃないか―――――― あと」

「文句もあった。ウチは真剣を抜いた、って言うのに刀を抜かない。
 うん、色々あって、分からんけど、決めた=v

【その勝手な思い込みに、最早同意も、結果も、答えも求めてはいなかった―――――― これはただの、整理】
【肯定は出来た。多分、これで正しいと思う。いや、正しくは無いかもしれないが、こうしなければ自分の気は、絶対に晴れないと思った】

【だから】


「―――――― 頭突きしたって、言っとったな。

 先ずはその額、無くなるまで削いでやる=v


【此奴は殺そう】

【出来る限り苦しめて殺そう。此奴は、大事な友達を傷付けた≠ゥら】
【そうしたら次はどうしようか。剣士としてのプライドを躙る為に、指を落とそうか。それから、少しずつ腕を刻んでいってやろう】
【その前に足の腱を切ろう―――――― そうだった、殺す前に、何よりも先ずは謝らせる&が先だった】

/遅くなってほんっっっっっとうにすみません!!返しておきます!!!!
【肩の傷は何時の間にか忘れていた。今度こそ、宮藤帯刀は、思い切り彼女へと踏み込むと同時、右腕に握る刀の切先を、"彼女の額へ"。刺突を放つ】
【この刃は余りにも鈍だ―――――― 皮膚を斬る事は在れども、頭蓋を刺すまでの貫通力を発揮する事は出来ない】
【但し、なまくらとはいえ刀は刀】
【その重量と重心移動による威力を乗せた刺突は、刺し貫くに至らないまでも、あくまでまともに当たればの話ではあるが、直撃すれば骨を砕く程度の力はある】
523 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/22(月) 22:24:22.07 ID:+gW1eVBSo
>>520
/了解しました
/雑談スレに意見とおぼしきものが投下されていましたので
/閲覧されてはいかがでしょうか

【大通りの中央部】
【記者は人々の行動に異変を感じていた】

なにかおかしな流れですね。
自警団の車両でも来たのでしょうか?

【人々は「それ」をよけるようにして歩いていた】
【「それ」を記者は自警団の車両と勘違いして】

それなら安全でしょうか。
あの少年も自警団の前では派手なことはできないでしょうからね。

【しかし「それ」は先ほどの少年であって】
【記者が気づくまでにラグが生じるだろうが】
524 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/22(月) 23:45:40.20 ID:+gW1eVBSo
>>520
/明日は早朝より予定があるため寝させていただきます
/申し訳ありません
525 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 23:55:54.15 ID:C8RIaWQ30
>>502

………―――たいせつ、……そっか。……………――――えへへ。
……りんごもね、―――……りんねが、たいせつだよ。……りんね、……とっても、あったかいから………

……ね。………りんご、って………もっと、よんで。

【血の繋がりは無い。それはひっくり返しようのない事実で、どうしたって本当のお母さんになることは出来ないけれど】
【―――それでも、ずっと傍に居て大切にしてくれる。これからいっぱい、自分の知らなかった暖かさを教えてくれる】
【もう独りぼっちなんかじゃない、自分には大切にしてくれる人がいる―――それが何よりも嬉しくて、ここに居ていいんだって思えて】
【暖かさを知った少女は、暖かさをくれた大切なひとに小さく笑う。笑いながら、自分も鈴音の事が大切だって伝えて】
【大切なひとがくれた名前を、もっといっぱい呼んで欲しいとせがむのだった。呼んでやれば、きっと嬉しそうに笑顔を見せるだろう―――】


【窓の外に映る景色、ふと何気なく目を遣れば。大きな鳥が木々の立ち並ぶ景色の中に紛れ込むようにして居て】
【……その色の鮮やかさに、りんごは少しだけ目を奪われる。じっと鳥の姿を不思議そうに見つめているけれど】
【幻を見抜く力はこの少女には備わっていなくて……結局正体に気付くことは無い】

……りんごね、………りんねの、おむらいす、……―――だいすき。
………おしごと……?―――……わかった。……りんねがかえるまで、………まってる。

―――……ここが、………りんごのおへや……?―――わぁ……

【鈴音が仕事でいない時がある事を告げると、りんごは少し寂しそうな表情をするけれど――お利口にして待ってるって、約束して】
【きっと鈴音が帰るまで大人しく待っているのだろう。この少女、悪い子ではないから】

【そうして、入ってはいけない場所も含めたいろいろな部屋を案内して貰って―――最後に、自分の部屋となる一室に辿り着く】
【鈴音がドアを開ければ、りんごはそっと一歩足を踏み入れて部屋を見回して、感嘆の声を上げる。少女一人には、その部屋はいささか広くて】
【ベッドはいささかどころじゃなく大きい。ついさっきまで自分の過ごしていた場所の狭さと比べれば、たった一部屋ですらその広さは天地の差】
【もう冷たい風に吹かれることも、寒さに震える事も、いつ来るか分からない誰かに怯える事も無い。自分だけのスペースが、そこにある―――】

【欲しい物を訊かれても、りんごにはよく分からないようだ。今まで、必要な物ですら―――名前すら、手に入らなかったくらいだから】
【食べ物があって傍に鈴音がいれば、それだけで満足する手のかからない子。多分あれが欲しいこれが欲しいとおねだりすることはなさそう】

/続きます!
526 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/22(月) 23:57:10.50 ID:C8RIaWQ30
>>502>>525

【あとは家に住んでいるペットの紹介。見たことの無い生き物の数々に、りんごはおっかなびっくり触れてみようとしたりして】
【怖がりながらも興味津々という、なんとも微笑ましい反応を見せる。好奇心は旺盛のようだ】
【最後に同居人の紹介もして貰って。そうすれば、取り敢えず教えて貰うべき事は教えて貰ったことになるか】

【そして、お買い物。初めて連れて行ってもらう街、路地裏なんかじゃなくて灯りの明るい通りをちゃんと歩くのも、はじめて】
【道中、りんごは色んなお店をきょろきょろと眺めるだろう。初めて見る色んなものが子供の好奇心を刺激して目を惹くのだ】
【目的の洋服店に辿り着けば、服を買ってもらう。色々迷った挙句、可愛らしい白いワンピースが気に入ったようで】
【他にもいろんなお店に連れて行ってもらって、その度にりんごは楽しそうな笑顔を見せて――最後に、ぬいぐるみを買ってもらった】
【可愛らしい白熊のぬいぐるみ。大切に抱き抱えて家に帰るまで持ち続ける様子は、何とも微笑ましく】


【あとは平和な日常、その中で鈴音は色んなこと教えてくれる。常識すら知らない少女には、いろんなことが初めてのことになる筈で】
【食事の時のマナーだって、恐らく一から教える事になるだろうが……りんごは鈴音のお話ならちゃんと聞くだろうし】
【上手く出来ない事もあるだろうけれど、ちゃんと挑戦するのだった。そして、上手く出来れば嬉しそうに鈴音に笑いかけて】
【お箸はまだ上手く使えないみたいだけれど……これもきっと、いつか出来るようになる】

【そうして、いつだって大切なひとが傍に居るかけがえのない毎日が繰り返される。】
【大切なひとから貰った名前と暖かさを小さな胸に抱いて、いつしか少女の顔に笑顔は絶えないようになって】
【いつだって、幸せそうに。りんごは、鈴音の傍で楽しそうに笑っているのだった――――】


【余談。りんごは転移魔術を使って、時々仕事をしている鈴音の様子を見に来る筈で】
【そもそも思い浮かべられる場所がUTの事務所とこの家と、あとはルルーメンの街くらいしかないのだから】
【必然的に転移できる場所は限られて……鈴音の傍に居たいから、結局UTに転移することが多いみようだ】

/大変お待たせしました、お疲れ様でした!
527 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 00:40:52.93 ID:lABXoFe3o
>>522

【宮藤帯刀から放たれた言葉、其の総てを完全に理解することは彼女には叶わなかった】
【何故なら彼女は少女の名前と所属以外、なにも知らないのだ――――性格も、性分も、そして過去も何一つとして知らない】
【少女という人間が如何なる要素で形成され、どのような結果として現在を成したのか、本当に知らないのだ】
【都合よく相手の悪い過去を覗く能力等、彼女は持っていない。だから少女が遺伝子の領域にまで運命付けられた人斬りだなんて、知る由もない】

【理解できないのではなく、させるつもりがないのだろう。なんの言葉もなく誰かを理解出来るだなんて思うなと、少しむっとした表情を見せ】
【あなたに私の何が分かって、私があなたの何を理解したというのだろう――――表面の薄っぺらい部分だけ掬い取って、わかったつもりになっている】
【ああ、けれどたった一つだけ、なんとなく分かることが在るのだ――――――――】

「…………そう。どうやら知り合いなんて、そんなものじゃあ無いみたいね」

【たかが頭突きだ、何よりあの時の戦いは自分のほうが受けた攻撃は数十倍多い――――と、此れは相手に伝えていないのだが】
【攻撃した事実、それを伝えた瞬間の豹変。決して激しさのない静かな怒りは、空気を伝わり彼女の精神を揺さぶった】
【強い感情は良くも悪くも人に影響を与える、此時彼女が感じたのは紛れも無い恐怖だった】
【進むと決めたけれど、足が竦む。思わず目を逸らしたくなる。だがそうした瞬間、きっと己は己では無くなってしまうだろう】
【再び思考停止した断頭台に還るのか。ただ殺し続ける殺人鬼へと戻るのか。それはいやだ――――だから、目を逸らさず】

「――――――――っ!!」

【初撃が回避出来たのは、彼女が目を逸らさなかったからだろう。視線を僅かにでも外していれば、きっと少女の刀は彼女の頭蓋を砕いていた】
【そもそもの問題として、彼女が学んだ其れに回避の概念は存在しなかった。受ける、いなす、躱す、それらの理念が完全に欠落しているため、鍛錬の一巻に組み込まれていなかったのだ】
【ただ殺せ。疾く殺せ。それだけを考え練り上げられた技術故に、其れ等総てを必要としなかったのである】
【先手必勝一撃必中――――使いこなせればまさしく人間大の凶弾となれるだろう、あくまで相手を殺すことが前提ならば、だが】
【彼女に殺人の意志はない。其れは即ち今まで自分が積み重ねてきた技術の否定であり、それだけを学び続けてきたのだから戦闘能力の低下は避けられない】
【そして絶対的な攻撃性を捨てた今、彼女は剣士として三流以下といっていい――――残るは、彼女の秘めた潜在能力のみ】
【だからこそ躱せたのかもしれない。彼女の美点は恐るべき深度の集中力だけではないのだ】
【動体視力。端的に彼女は動く物を目で追う能力が、人並み外れていた。体の反応の有無をさておき目で追うだけならば、弾丸すら視る事が出来る】
【頭部めがけて放たれた刺突、其れに対し回避、そして接近を同時にこなすべく左前に前進する】
【完全な回避は――――出来ず、右頬に浅くはない傷が刻まれた。血が頬をつたい、顎から地面へと落ちていく――――――――】

//すいません続きます……
528 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 00:41:26.55 ID:lABXoFe3o
>>527続き

「それと、一つだけ訂正しておくのなら」
「刀を抜かないのは、あなたを馬鹿にしているからとかそんな理由じゃあ無いわ」
「自分より手練に背中を見せて生き残れる自信なんて無いし、何より――――」

【あの刀を抜いて、自分が自分でいられる自信が無い。其の言葉はあまりに小さく、怒りに身を染め上げた少女に届くかどうかは分からなかったが】
【得物の優劣に関しては、彼女自身が一番考えていた。真剣と木刀、此れでは勝負になるのだろうか。其の差を埋めるだけの技術は、彼女には無かった】
【かといってベンチに立て掛けられた其れを取りに行く余裕もなく、取りにいけたところで使いこなせる自信がない】
【彼女の刀は少々特殊な性質を持っていたからだ。数千数万人分の殺人衝動を其の身に受けて、山城の血が共鳴してしまうのではないか】
【そしてそうなった時、自分はきっと断頭台以下に落ちるだろう。少女同様、奇しくも彼女の家系は遺伝子の域で殺人者で在る事が宿命付けられていた】
【山城の血は呪われている。刀とともに引き継がれた殺人衝動は、決して消えることはない】

【前進し、接近することが成功すれば、彼女は少女に向かって木刀を左上から右下へと振るおうとするだろう】
【狙いは肩、刀を持つ其の腕の軸をどうにかして奪ってやろうという算段だったが、其れはおそらく敵わない】
【理由はいくつかあるが――――先ず一つ。呪刀と血の呪いは、少女の身体能力を低下させている。常人よりは些か上でも、其の腕力は剣士としては非常に低い】
【直撃したところで少女の肩を先ず動かない程度に痛めつけられるのかという、威力の問題】
【二つ。其の剣速は並の域を外れず、よって見切ることは容易だった】
【集中力を極限まで高めた状態ならばまだしも、彼女はまだ出来上がっていない】
【そして三つ。何よりも殺すことを考えてきた彼女に、此のような戦い方は純粋に肌に合っていない】
【要は実力が一切発揮できていないのだ。拍子抜けすらするかもしれない、或いは技術を隠していると見抜けるかもしれない】
【いずれにせよ、実力差のある相手に学んできた本来の技術を行使していない以上、彼女の刃が少女に届く事は無いだろう】
【届く訳が無いのだ――――前に進むと決めてなお、迷いを捨てられない彼女に、斬れる物など一つもない】

//非常に遅れました、申し訳ありません……
529 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [saga sage]:2014/12/23(火) 01:26:55.21 ID:80FVfPqXo
>>527
>>528

【一撃目が回避されるのは、想定内の出来事。寧ろ、其処から先の攻撃にこそ宮藤帯刀の扱う剣術の真髄があった、のであるが】
【剣には僅かな切断の感触、額は撃ち貫かなかったが―――――― 彼女の頬を、右手の切先が裂いていた】
【困惑し、単純に彼我の差を見誤っていた事に気付いた。此の少女は―――――― もしかするならば、正しく断頭台≠ナあるのかもしれない、と】
【人を斬った回数ならばこの宮藤帯刀という田舎剣客では到底追いつかないが。飽く迄、これは憶測であるが】
【人と斬り合った事は数える程度にしかないのではないか、と】

【となれば一つ、矛盾が産まれる。宮藤帯刀が放った初撃の突きは回避を前提に放たれた物とはいえ、戦いに身を置いたことの無い者に】
【容易に避けられる程、鈍い刃では無い筈だった】
【そこらを歩く大抵の人間ならば、避ける間もなく一撃で頭蓋を砕ける一撃―――――― ではあるが、此れについても直ぐに察することが出来た】
【この、山城桃子、と言う少女は、斬り合った事が無い≠セけ。才で言うならば、この宮藤帯刀の幾倍も恵まれている――――――】

「――――――――― はっ、聞こえんわ」

【その言葉を聞くだけの殊勝な心は、最期まで彼女の意を汲み取る意は、もう宮藤帯刀は切り捨てていた】
【馬鹿にしていたのならば、彼女を徹底して血祭りに挙げるまで。そうでないというのならば、その愚かさに免じて、徹底的に殺ぎ落としてくれるまで】
【正々堂々、というより、剣客、としての彼女の言葉で既に何処かへと吹き飛んでいた】

「ウチの友達≠傷付けたアンタに、今更手加減何て出来んわ――――――!」

【今此処に残っている意思は、斬殺≠フみだ】
【その腕を、足を、或いは頸をどう殺ぎ落とすかに神経を注ぎ、最早其処にどのような事実も介在させる気は無かった】
【仮に彼女が、『与えた傷は与えられた傷の何十分の一』と言ったところで手心を加える気も無かっただろう、手間の削減と考えればそれは正解だった】

【彼女が友達≠傷つけた事。そこにどんな過程があろうとも、それ自体が、宮藤帯刀の猛り狂うに足る要素なのだから】

【彼女の前方へ踏み込むと言う回避方法を見る限り、ド素人と言う程では無い、確かに彼女が剣客である事が分かる】
【振り下ろす剣速は、まるで遅い、と言える程では無いが、かと言って早過ぎる程でも無い―――――― 十二分に、対処できるものだった】
【如何に木刀で在ろうとは言え、右肩≠ヨの攻撃は何としても避けたい。何せ先の戦闘で受けた傷が、まだ癒えていないのだから】
【伸ばした右腕を曲げれば、右手に握る刃が宮藤帯刀の肩に至るまでの道を遮断するかのように。そして、その木刀を辿り着かせることを許さなかった】
【この感覚、衝撃。彼女の放った斬撃は、鍛えられているのではあろうが、それでも剣を扱う者として低く感じられた】
【二刀の太刀を両手で扱う彼女からしてみれば尚更だ】

【では彼女は、どうして此処まで生き残ってこれたか】

【技術を封印している、と考えるしかなかった。別に、宮藤帯刀にとっては処刑に至るまでの道筋が短くなって良い事には良い事だ】
【だが自分が本気でやるに至らない相手である、と言うのは、癪に障るという物だ】
【かと言って先も要った様に、宮藤の脳内に正々堂々の文字は最早掻き消えている。なれば、それを証明する手段として】


「本気出さんと、山城桃子―――――― アンタが死ぬだけ」


【木刀を振り下ろした彼女へと向けて再度、切っ先が迫る】
【彼女の木刀を受けた、なまくら刀では無い―――――― その左手に握る、もう一本の太刀が、右の脇を通す様に彼女へと振るわれたのだ】
【大した剣速では無い。或いは彼女が振り下ろしたそれにすらも劣るほどであるが、それは死角から穿つ、不意を打つ様に】
【二刀の太刀が持つ意外性による剣客殺し=Bそれが宮藤帯刀の振るう二刀の、最大の意味であり、意義】
530 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 02:05:18.50 ID:lABXoFe3o
>>529

【放たれた木刀は、しかし相手に届くことはなかった。やはりと何処かでそう思ってしまい、そして其れを掻き消すかのように傷口が熱を帯びる】
【どうすればいい】【どうすれば勝てる】【考えろ】【考えろ】【考えろ】【どうすれば一体――――刃が通る】
【分かり切った答えから目を逸らし、ひたすらに思考を巡らせる。痛みに集中力を見出されるも、負けじと其れを高めていき】
【勝つためにはどうすれば、此の実力差を如何にして埋めるか、視覚聴覚嗅覚触覚痛覚思いつく物からとにかく情報を掻き集める】

「――――……友達?」

【きっと其れは普通の人からしたら、何気ない一つの単語に過ぎないのだろう。だが山城桃子にとって、其の言葉は他者のそれより遥かに重い】
【生涯手に入らない物。手に入れてはいけない物。血で己を染め上げた殺人鬼に、そんな物は絶対にいてはいけない】
【ずっとそう思っていたし、多分心の何処かでは今でもそう思っている。死刑執行の機械に、そんな甘い感情を抱く余裕など要らないと】
【けどそれが欲しくないと言ったら嘘になるし、本当は殺人鬼としてではなく普通の女のこととして真っ当な人生を歩んでいきたい】
【生まれついて殺すことを学ばされてきた彼女だからこそ、其の欲求はきっと誰よりも強く】

「これでも結構、本気だしてるんだけど――――っ」

【彼女が視覚から放たれた斬撃に気付いた時には、其れは限りなく彼女に肉薄していた】
【気付けただけでも奇跡だろう、おそらく並みの剣士だったならば気づくこと無く胴体を両断され、その場で野垂れ死んでいたに違いない】
【彼女が気付けたのは先ほどと同じ潜在能力――――ではなく、鍛え上げてきた技術のおかげだった】
【山城家には代々伝わる秘奥が存在する。其れは気を威へと変え干渉するという、普遍的な理から外れた超常の技術】
【山城家は血に殺人衝動を抱えている。其れを利用し、殺気を極限にまで高めることで物理的な衝撃すら生み出すことが可能となるのだ】
【故に殺気を引き出すこと、そして殺すこと、感じ取ること――――其れ等の鍛錬を、彼女は幼いころから積まされていた】
【感じ取ったのは攻撃そのものではなく、其れが帯びる殺気。先ほどまで前に進もうとしていた身体で後退を選択するにはあまりに遅すぎたが、それでも気付けただけ上等だ】

【集中力が高まり、体感時間が次第に遅くなる。刃が腹部に食い込み、柔肌を裂き、血が溢れ始めた】
【其の鋭さ、的確に視覚を狙い打つ斬撃、其の所業はまさしく達人と称すべき妙技である】
【その上、彼女は先日のカノッサ機関の人間との戦闘で、脇腹を負傷していた――――傷口が、開く】
【不味い、そう思考した瞬間彼女は直感的に身体を動かしていた――――――――後退ではなく、もっと前へ】
【斬撃から微妙に身体をずらしながら、体当たりによって相手の体勢を崩そうと試みる】
【体重をかけているため、剣士としてはおかしな話だが、先ほどの木刀の一撃よりもおそらく高い威力を秘めていた】
【とはいえ所詮は体当たり、致命に至るダメージなど到底与えられる訳もなく、直撃したところでせいぜい後ろに身体を飛ばされる程度だろう】
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/23(火) 02:40:17.93 ID:80FVfPqXo
>>530
【食い破った。左手に伝わる人の肉を破る感触を感じつつも、此処で一つ、宮藤帯刀の頭の中で、確信が得られた】
【やはり彼女は幾つかの点で自分よりもはるかに優れている、と】
【この死角からの一撃は決して牽制等を目的とした一撃では無い、しっかりとした殺意を以って放たれた一撃だ、それを彼女は避けて見せた】
【三流剣士と相対して、同じ技を繰り出して仕留め損ねる自信は少女には無かった】
【彼女の才は間違いなく非凡だ。言うまでも無いし、当然の事なのだろうが――――――――― 改めて思い。そして、その決定が確固たる物と成る】

【脇腹を斬られながら、彼女が繰り出したのは、体当たり≠セった】
【剣戟だけが剣客の武器では無い。それは宮藤は良く知っているし、その機転については素直に歯噛みした】
【実際に、宮藤の身体は彼女の体当たりによって、後方へと飛ばされた】
【宮藤の身体は、剣客の物だ。二刀を易々と振るうべく鍛えられている故に、転倒へと至るまでは無かったものの、彼女との距離は離れる事となる】
【仕切り直し、とでも言うべきか。両の太刀の切先を、一旦だけ下に向ける】
【構えを解いた訳では無い、これもまた宮藤帯刀の扱う『構え』の内。彼女への殺意は押し留めぬままに、彼女が口に出した疑問への、返答を】

「そう、友達=Bどう足掻いても、斬殺者≠ナあることを逃れられないウチを、受け入れてくれた、友達=B
 一人しかいない、大事な友達≠―――――― 傷つけたアンタを、ウチは絶対に、許せん」

【彼女と対立する宮藤帯刀にとっても、其の言葉は酷く重い、ともすればそれは、執着とも言える】
【彼女もまた、欲していた。普通の人間が出来る事が欲しくて、普遍的な少女が送る人生を歩んでみたかった】
【けれどそれは早々に諦めた。初めて出来た友達を、自らの異常性≠フままに斬殺してから――――― 友達なんか、作らないし、作れなかった】
【そんな自分の。自分の総てを知ったうえで、友達≠ノなってくれる人がいた。それが彼女が、何とはなしに口にした彼女=z
【――――――――― 最早それは宮藤帯刀と言う世界の、根本。存在原理であり、存在証明であり、存在理由であると称して差し支えない程に】
【執着し、依存していた】

【故に、宮藤帯刀はその剣を止めなかった。理由は彼女が語った通り―――――― 自分の友達を傷付けた彼女を、許せないから】

「それで本気ならウチが楽で良いけど―――――― 後でやっぱり本気でやっとらんかった、とか言っても知らんからな!!」

【再度、駆け出し、生じた空白を出来る限りの短い時間で埋め直さんと疾駆し――――――――― 間合いへと、辿り着くことが出来たならば】
【両手に握る二本の刃を、下方から上方へ同時に、単純に振り上げる′`で、彼女へと斬撃を放つ】
【狙いは、両腕だ。どんな形でも良い、どちらか片方でも良い。その戦力を、少しずつでも削いでいく、それが宮藤流撃剣術≠フ思想でもアリ】
【また、宮藤帯刀の思惑は、先程から寸分の狂いなく変わっていない】


【―――――――――――― 友達≠傷付けた彼女を、目一杯苦しめて、殺す事】
532 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 03:28:55.15 ID:lABXoFe3o
>>531

【木刀を右手だけに持ち替え、左手で斬り裂かれた脇腹に触れる――自らの血で、手が真っ赤に染まった】
【熱い。痛い。集中が妨げられる。血が抜けていく感覚に肌寒さを感じながら、それでも相手を見つめる視線だけは途切れさせず】
【元々白い肌が、血が流れ出しているせいか病的な色へとなってきていた。おそらく血を流す前から、貧血のきらいがあったのだろう】
【断頭台である彼女は殆どダメージを負ったことは無い。だが相対的に、剣士としての彼女は常に傷に塗れている】
【普段からこれだけの血を流していれば、すぐに血が足りなくなるのも仕方がないといえよう】
【残された時間はあまりない――――決断するなら、すぐに。全力を出せる機会が残っている内に、決めろ】

【目眩。寒気。吐き気。視界がぐらつく。痛みが思考を阻害する。溢れる血は手で抑えても止まらず、諦め左手を再び木刀の柄に添えた】
【駆け出す少女。其の動きを目で追うことは出来ても、身体がついてこない――――けれど負けられないのだ、無理矢理にでも身体を動かす】
【間合いは容易に詰められた。下から迫り来る刃。動け、少しでもいいから動け。其れは神に捧げる祈り等ではなく、己の体に対する絶対命令だ】
【此処で動けなかったら、きっと一生自分は勝てない。死んで終わり、あまりにも呆気ない幕切れと共に地獄へ落ちる事となるだろう】
【其れは、嫌だ。いずれ地獄に落ちるのはいいだろう、だが自分はまだ何も成していない。こんな場所で死んでいられないのだ】
【まだ何も償っていない。まだ何も贖っていない。まだ――――返事をしていない】
【後退は? 間に合わない。足がまだ動かない。けれど腕は動いた――――――――ならば相手の攻撃を可能な限り防ぎつつ、後退して体勢を立て直そう】

【二刀のうち、切れ味のよくない鈍らの方へと木刀を上から激突させる。みしり、嫌な音がしたものの、威力と速度をある程度殺すことに成功した】
【だがもう一方に関してはどうにもならない――――だからふらつく足元が安定するのをぎりぎりまで待ち、そして刀が己に触れる其の寸前に後ろへと跳躍する】
【しかし数瞬間に合わず、右腕が縦に斬り裂かれた。奇しくも其の場所は、脇腹同様傷が治りきっていない箇所であり】
【再び治りかけていた傷口が開く。噴き出す血液を傍目に、彼女は後退し――――そして体勢を崩した】

「はぁっ……はぁっ……」

【跳躍したまでは良かったものの、上手く着地するだけの体力が残されていなかったのだ】
【膝をつき、肩で息をする。受けた負傷の蓄積も勿論原因の一つだが、何よりも大きかったのは彼女自身の体力の少なさだ】
【一撃で極める超がつくほどの短期決戦を得意とする為、本来ならば彼女に体力は必要無かった。だからこそ鍛えられておらず、此処に来て其の欠点が仇となった】
【それでも紅色の目は依然相手に向けられたまま――――其の瞳には一切の諦観は無く、闘志も未だ尽きていない】
【彼女は木刀を杖代わりに強引に立ち上がると、体の震えを隠そうともせずに口を開いた】

//続きます……
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 03:29:43.79 ID:lABXoFe3o
>>532

「友達…………、友達、ねぇ……………………」
「ねえ、一つ聞きたいのだけれど――――――――それって、本当に友達なのかしら」

【其れは更に相手を怒らせかねない妄言、しかし煽るつもりでもなく、彼女は本心で其れを問いかけていた】
【友達とは。分からない。そんなものいた事がないから――――けれど彼女の想うそれと、少女の言う其れには大きな乖離が在るような気がして】
【少女同様執着を持つからこそ、彼女は問いかけずにはいられなかった】

「入間が……彼女が大変な過去を生きてきたことは、なんとなく知ってる。あなたも、きっと普通じゃない人生を歩んできたのは察しがつくわ」
「だから世界を変えたいって――――入間の言いたいことも、そしてそんな彼女の言葉に絡め取られたあなたの気持ちも、少しは分かる」

【桃子が生きてきた人生も、はっきり言えば普通じゃあない。並大抵の精神しか持たない人間ならば、それこそとうの昔に折れているだろう】
【いや、彼女もすでに折れていたのだ。運命は変えられない、世界は残酷で理不尽だと、そう諦めていた】
【だからあなたの総てが分かるだなんて言うつもりは無いけれど、それでも其の辛さの一端程度ならば理解出来るつもりだった】
【彼女自身、穢土宮入間の言葉に籠絡されかけたのだ。それを踏みとどまらせてくれたのは、其の少し前にあった一人の存在で――――】

「でも――――――――友達だったら、本当に友達だって想うなら、殴ってでも間違いを正してあげるものでしょう?」
「あなた達は、ただ傷を舐めあってるだけ…………前を向くことを怖がって、お互いを理解したつもりになって、慰めあってるだけだわ」
「私は、そんなのは友達だと想わない――――私は、そんな腑抜けた悲劇のヒロインで終わるつもりは無いのよ…………っ!!」

【だからもう少し、あと少しだけ――――きっと、どう転ぼうが次の交錯で終わるだろうから】
【木刀を握る手に力が入る。ぎりぎりと音を立て、そして空間が僅かに震えたような、そんな気がした】

【――――――――いいや、気がした≠ナはない。其れは空耳でも幻聴でも無く、真実空間が軋み始めていた】
【剣気=\―――気を威に変える、山城家に伝わる秘奥。彼女から溢れだした殺気が、空間を侵食し物理的な圧力をかけ始めていた】
【砂利が、石が、風が、空気が、空間が揺れる。本気を出していなかった訳じゃあない――――ただ、決意出来なかっただけだった】
【自分の技を受けて、今まで生き残った人間はいなかった。呆気無く首は地面に落ち、皆物言わぬ肉塊へと成り果てた】
【殺したくない。今まで殺し続けてきたからこそ、彼女はその意志が人よりも遥かに強い】
【だから技は使いたくなかった。使えば相手が死んでしまうから――――――――ああ、そう思っていた】
【宮藤帯刀、彼女は剣術の達人だ。自分よりも明らかに格上で、あらゆる面において自分より優れている】
【少女は強い――――――――――――――――ああ、だったら技を使っても構わないだろう】
【少女を殺す。其のための技を使う。しかし相手は死なないだろう、何故なら少女は紛れも無く強者だから】
【相手が死なないと判断したからこそ、殺す技を使う。一見矛盾しているようで、彼女の中では筋の取った結論だった】

「今までも本気は出してたわ、ええ…………だから次の一撃は、全力≠諱v
「首斬り姫≠フ本領――――――――あなただから、魅せてあげる」

【半分は本心で、半分は強気。そんな啖呵を切って、ゆっくりと呼吸を整える】
【些か時間はかかったが、集中力は十分に高まった。残りの体力ははっきり言って不安だが、後一撃程度ならば保ってくれると信じるしか無い】
【此れから繰り出されるは正真正銘、天ノ原囚獄掛斬役を務める断頭台の全力だ――――生半可な心持ちでは、やりあう前から喰われるだろう】
【何故なら彼女は剣士ではなく、生粋の処刑人だからだ――――――――戦うのではなく、殺すための存在】
【そもそもの土俵が、剣士とは違うのだ。血臭が風に乗り、夜の闇を吹き抜けた】

//遅れてすいません……!
534 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/23(火) 04:42:13.59 ID:80FVfPqXo
>>532
>>533
【―――――――――――― さて】

【また『斬』った。鈍刀はまだ呼応しない。我儘な事に、この刀はまだ戦いの熱が足りないと言う。黙り、眠りこけているままだ】
【我が刀乍ら、さらに言えば我が家系に伝わる由緒正しい、かどうかは分からないが、気分屋であり過ぎるのは有用でありながら困り物でもある】
【木刀一つ叩き斬る事も叶わず。だが然し、結果的にまた彼女の事を斬る事が出来たのだから、まぁ、良しとしよう】

【既に、勝利は目前だ】
【先に感じた強烈な殺意は何だったか、今まで感じていた、節々の彼女への脅威は、本当に端≠ナしか無かったのだろう】
【結局の所、自分の方が『強かった』。考えても見れば当たり前だろう、戦場、最前線で斬り合う田舎剣客と、温室でぬくぬくと育ち、殺すだけの箱入り娘】
【そんな人間に、自分が――――――――― 負ける筈が無いのは、当然だったのだろう】

【宮藤帯刀の胸中に渦巻いているのは、拍子抜けだった。最早まともに跳躍に耐える事も叶わない彼女を見据える白と黒の双眸は】
【完全に、弱者≠見る瞳だった。その思考は最早、殺し合い≠フ渦中から、足を踏み出そうとしているくらいだった】

【どうやって、苦しめようか】

【先ずは動きを止める事が先決だろう。だが腕や足を直ぐに斬ってしまうのは余りにも味気無い。腱を切って、動きを止めてみよう】
【そうしたならば、その細くしなやかな指を関節ごとに一つずつ落としていこう。そうして、二度と′侮mでいられない事を、知らしめてやろう】
【残った手も、少しずつ刻んでいこう。片手を斬るのに、幾度にも分けよう。まるで魚でも切り分ける様に、三枚に下ろしてみよう】
【それから、その手を落とした後は、友達≠傷付けたその生意気な額を削いでやろう。ただ、刃物を使ってそうするだけじゃあ気に入らない】
【鑢でも使って見ようか。それに余り深くをやって死なれても困る】
【ああでも、そうか。出血や、ショックで死んでしまうかもしれない。もっと大きな施設が欲しい―――――― カノッサに申請すれば、用意してもらえるだろうか】

【心躍らせていた。どう彼女を痛めつけるか、どう彼女を苦しませるか。出来るのならば、無間地獄の如き苦しみを与えたい、と】
【それに意識をのめり込ませかけていた彼女のその双眸を見逃していた。真紅の瞳に宿る、未だ尽きぬ闘いの意思を】
【故に、彼女が未だ立ち上がった事に驚愕した。驚愕したが―――――― 結局、宮藤の感情の変化は、それだけで、冷めていた事に変わりは無かった】

「まだ、立つの。ま、別にいいわ。アンタは今から、ウチの思い付く限りの手を尽くして。
 何度でも何度でも、自分から入間≠ノ謝りたくなるくらいに――――――――― 甚振る」

【その目障りな気力を落とすには―――――― 足か腕か、やはり一つくらいは落とした方が良いかと考えを変えて、左手の刀を強く握った】
【今正にと、足を踏み出そうとした時だった。彼女の言葉を、聞いたのは】

「―――――――― はぁ?」

【突然、何を言い出すのかと思った】
【「それって、本当に友達なのかしら」】
【何が言いたいのか、全く不可解で、不愉快だ。自分の友達≠傷つけた人間に、あろう事か友達としての在り方を聞かれた事が】
【だが、それに続く言葉に、最早宮藤帯刀は絶句させ―――――― 頭の片隅に在った時間稼ぎ、と言うワードを雲隠れさせてしまった】

「何を、言い出すかと思っとったら」

【彼女の言った事に対して、『何が分かる』、と返す程に、考え無しで在れるほどに宮藤帯刀は単純な人間では無かった】
【成程、彼女の言う事だって一理あるだろう。『殴ってでも間違いを正してあげるもの』。友達の在り方として、きっと正しい物なのだろう】
【肯定しよう。それは正しい、或いは理想的とも言える友人関係であろう―――――― だが】

/続きます!
535 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/23(火) 04:43:44.24 ID:80FVfPqXo
>>532
>>533
「ウチは別にそれが間違ってる、とは言わん。多分、それは正しい。会ってる。正解。ほだけど」
「でもそれは、友達の『在り方』の一つじゃん」

「ウチはそれ『だけ』が正しい友達≠フ在り方だとは思わん。『間違いを正す』という在り方があるんだったら』」
「間違ってたっていい。友達≠フ隣で。友達≠フ思う幸福へ進もうとする事。それを支える事。それは―――――――― 間違っとるのか」

「傷を舐め合う事は、しちゃいかん事なのか。前を向かない事を怖がることは、やっちゃいかん事か」

【それから―――――――― 宮藤帯刀は、それに対して漸く。彼女の言葉に、激情の色を見せ】


「ウチは、許せん。入間≠傷つけた事、否定した事。
 入間≠ェ言ってくれた―――――――――友達≠ニ言う言葉を、否定した事。

 ――――――――お前はやっぱり、私に殺されろ=v


【―――――――― 空気が、軋み出していた。これが、彼女の本領か】
【この圧力は、気の生とか、そう言う類じゃない。事実、間違いなく其処に存在する℃メとして、空間を蝕む始めている】
【理解した。何故この少女が首斬り姫≠ナある事が、理解した。この余りにも脆弱で、剣士として明らかに格下である彼女に、幾度か違和感を感じた事を】
【きっとそれこそが、彼女の全力なのだろう】
【だが、怯えは無い。今、自分の身体は、まるで自分じゃないかのような激情で―――――――― 末端神経から、ずっとずっと、熱が籠りっぱなしだから】


「やってみろ、断頭台=Bウチはお前を、間違いなく。

 友達≠ニして、剣≠ニして―――――――――――――――― 殺ったらぁ=I!!」


【鈍刀に、ようやく熱が籠ってきた。研ぎ澄まされてきた、今なら―――――――― 彼女を斬る事だって、出来るだろう】
【幾つか考えた彼女への私刑≠ヘ、無駄になるかもしれない。それくらいに、全力を籠めて彼女の事は―――――――― 本当に、どうしても】

【殺したい。どうしても、絶対に殺したい】

【右眼を―――――――― この身に刻まれた、斬殺者たる結晶を。『失妄眼』を―――――――― 彼女へと、発動した】
【それは対象に、ほんの僅かな違和感を齎す。気のせいと斬り捨ててしまえばそれまでであるが―――――――― しかし】

【意識に入れれば、それはもしかすれば。斬り合い≠フ内において、致命的な結果へと繋がる】

【同時に、駆け出した。小細工なしに、真正面から―――――――― 両手の太刀を、平行に揃える様に】
【それは先の物の様に、不意を突く、という類では無い。だが―――――――― 鈍刀は、今ややりようによっては斬鉄すらも達成する切れ味を】
【左手に握る太刀は、異様なまでの重量を。その両者を、全身全霊、間違いなく剛腕として――――――――】
【横薙ぎの一撃を、彼女へと叩き込まんと振るった】

/おそくなりました…ほんっとうに申し訳ないです……
536 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 05:39:54.68 ID:lABXoFe3o
>>535
【そう、彼女の語る其れはまさしく理想論だ。そう在る事が出来たならば最上だろうが、得てして最上とは成ることが難しい】
【彼女だって、其れを理解していない訳ではない。理想はあくまで理想で、そんな関係を築けている人間などそうそう居ない事も分かっている】
【だから少女の言い分とて、真っ向から否定するつもりはない。無いが――――】

「さぁ? 間違ってるかもしれないし、そうじゃないかもしれない――――友達居ないもの、そんなことわからないわ」

【右足を一歩前に出し、木刀を握った左手を耳の辺りにまで上げる。右手はあくまで添えるだけ、木刀の鋒は真っ直ぐ夜空へと向けられていた】
【空間に曝け出されていた剣気が、得物へと収束し始める。無駄に拡散させるより、一極に集中させたほうが無駄がないのは自明の理だ】

「でもまあ、あなたが正しいにせよ、間違っているにせよ…………」

【一撃に総てを賭ける。今までそうやって殺してきた、きっと此れからも此の技術無しには生き抜いていくことは出来ないのだろう】
【自分はいつまで経っても断頭台に過ぎない、そう生まれた以上他の生物には成り得ないのは当然の事だ】
【でも、そんな自分にだからこそできることがある――――例えば、目の前の女をぶっ飛ばしてやることとか】
【ふと感じた違和感。其れが相手の眼の効果等とは考えもせず、胸の中で大きくなっていく其れにどうしようもない不安を覚えながら】
【それでも止まることは出来ないと、左足に力を込めた――強く踏み込んだ左足が、地面に食い込む】

「唯一つ。たったひとつだけ、友達がいない私にも言えることがある」

【少女が地を蹴った。交わるのは一瞬、其れで総てが決まるだろう】
【下手をすれば死ぬ。しかも下手をする可能性のほうが遥かに高いのだ、分が悪いなんてものじゃあない】
【恐怖は当然消えていない。違和感は大きくなる一方で、不安も比例して肥大化している】
【けれど、そんなのはいつものことだ。戦うのは怖い、そんな当たり前の感情を、彼女は未だに失っていないというだけなのだ】
【彼女が相対する敵は必ずと言っていいほど格上ばかり、ならば此の恐怖も不安もいつものことで――――慣れている、だなんて言うつもりは無いけれど】
【いい加減怯えてばかりじゃあなくて、たまには少し強がってみよう。其の程度には、自分も少しは成長しただろうから】
【音を立てそうな奥歯を噛み締め、口の端をわずかに吊り上げる――――笑い、そして】

「――――見てて気に入らないのよ。自分は不運だ、だから何をしても許される――――鬱陶しいったら無いわ」
「可哀想な悲劇のヒロインやりたいなら、誰にも迷惑かけずに部屋に引きこもって乳繰り合ってればいいじゃない」
「それが嫌だって言うのなら―――――」

//続きます
537 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 05:40:44.06 ID:lABXoFe3o
>>534-535

【横薙ぎの一撃が放たれる。速く、重く、人を殺すための技としては一級品と言っても差し支えないだろう】
【そして其の斬撃とほぼ%ッ時に、彼女の断頭台としての刃は放たれた――――】


「―――――――――――何度でも、私があなた達をぶん殴ってあげるっ!!!!」


【『お前は正しいかもしれないし間違っているとも思わないが、自分が気に入らないから叩き潰す』】
【暴論である。正義を目指す等と言った人間の言葉とは思えない――――が、嘘を述べたところで所詮は嘘、そんな物では何も変えられない】
【故に彼女は堂々と本音をぶつけた。気に入らない、だからぶっ飛ばす。そんな良家に生まれた箱入り娘とは思えない一声を】
【自分はあの女と分かり合えなかった。そして少女は分かり合えた、もしかしたら此れはそんな嫉妬も混じっているのかもしれない】
【けれど自分と違い分かり合えたのだから、元の道に正してやれるのもまた少女しかいないのだ――――少なくとも、彼女はそう思う】
【あの時穢土宮入間と対峙し――――そして分かり合おうとした彼女は、そう思うのだ】

【彼女の斬撃は、少女の二振りの得物を巻き込むかのように撃ち出される】
【木刀と真剣だ、真正面から激突すれば間違いなく負けるのは此方だろう。そんなのは考えるまでもなく、だからこそ彼女とて考え無しではなかった】
【剣気による得物の硬化――――剣気は物理的衝撃へと変換できる、攻撃力を以って防御力を上げる。即ち木刀の耐久度を一時的に引き上げようとしたのだ】
【剣気を収束させたのもそのためだったが――――其の考えは、脆くも崩される事となる】

【空気を爆発させるかのような爆音とともに、山城桃子の一撃は纏わり付く総てを引き千切りながら振り下ろされた】
【単純な腕力だけではなく全体重、身体の捻り、そして得物を半ば放り投げるような形で振るうことで得られる超加速】
【其処から繰り出される一撃は、まさしく必殺と評するに相応しいと言えるだろう】
【物心ついた時から鍛え続けてきた、人を殺すための刃。苦しまずに罪人を開放する、何処までも慈悲深い一撃――――――――】
【――――――――しかし、彼女の一撃は少女の魔眼によって打ち破られた】
【剣気は即ち使用者の精神の顕現、当然その効果も使用者の精神状態に大きく左右される】
【失妄眼によって生み出された僅かな穴が綻びとなり、木刀と刀が交叉した其の瞬間に致命的な罅となったのだ】

【凶悪な衝撃音と共に、木刀の刀身部分が宙を舞う――――そもそも先の一撃で鈍らの方を木刀で受け止めた時点で、ガタが来ていた】
【其処にとどめとばかりに真剣との激突、此れをただの棒きれが耐え切れる筈もなく】
【しかし彼女が繰り出した一撃、其の衝撃が完全に殺された訳ではない。少女の得物に触れた瞬間、間違いなく彼女の斬撃は少女の必殺に干渉した】
【それがどのような効果をもたらすかは分からない。得物ごと攻撃を叩き潰せれば良し、威力を殺せればそれでも上等――――一切の影響なく少女を切り裂く、そんな未来も当然あるだろう】
【いずれにせよ此の斬り合いが終われば、彼女の体力は限界を迎える。其処に少女の一撃が加わるか否か、それが生死を決める決定打となるだろう】
538 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/23(火) 06:28:26.01 ID:80FVfPqXo
>>536
>>537
【大きな衝撃が。大きな音が。爆発か何かか――――――――何だ】
【何だ。何が起きた。どうした。何故だ。何故―――――――― 自分の握っていた刀が、無くなっている?】
【単純な力であれば。宮藤帯刀には、相当な自信があった。本差二本を自在に操れるだけの力は、自信に足り得るだけの攻撃力になっていた】
【だが、今。その自分の、全身全霊をかけた斬撃が。中途で、止められた】
【左手に握っていた刀が、何処かへと消えていた。右手握っていた鈍が―――――――――――― 中途から、砕けている】

「はっ、な――――――――――――」

【宮藤帯刀は、大きく取り乱した】
【自分の剣が打ち破られた事が、不可解極まりなかった。自分よりも―――――――― 間違いなく、実力で劣っていたはずの彼女に】
【頭の中が真っ白になって、中途から砕けた刀を手離して、二、三歩、彼女から、自然と後退っていた】

【次に襲ってきたのは、急激な疲労であった。彼女ほどの超短期決戦を臨むほどでは無いとはいえ、宮藤帯刀の剣術による消耗は、非常に激しい】
【二本の太刀を、それも片方は超重量を通常の太刀であるように見せかけて戦う。であれば、其処にかかる負担はそれ相応の物である】
【故に次に襲い掛かってきたのは、息切れだった。今まで抑えつけていた其れが、急激に発動し、彼女の呼吸を荒く乱していった】
【右肩の傷口が、何時の間にか開いていた。此れで右腕で剣を持つ事は出来ない、片腕で剣を振り回せても、実力は半分以下にまで落ちる】

「―――――――― まだ、だ」

【だがまだ、諦めきれなかった。彼我の被害状況の差はどうだ。何度も相手を斬りつけた、此方は疲労と、傷口が拓いただけだ】

【まだだ、まだ理は此方の物だ】

【友達≠傷付けたこの女を、逃がす訳にはいかない】

【其の手を、彼女の胸倉を掴まんと伸ばした。其の身体を持ち上げて、或いは引き摺り倒して見せようと考えたが――――――――】
【結局、二本の剣を通じた衝撃の余韻がいまだに残り続ける其の手では、掴む、以上の事へと発展させることが出来なかった】
【故に。彼女の紅の双眸を、隠そうともしない剥き出しの殺意を灯した目で覗き込んだ】

「アンタは――――――――アンタは――――――――ッ!!!!」

【荒く吐かれる呼吸の中から、絞り出すように叫ぶ】
【此の少女は。自分と変わらないだろうと、宮藤帯刀は、未だに思い続けていた】
【断頭台≠ニ人斬り=B結局の所、それ以外に出来る事無く、そレから逃れる事の出来ない人間で、それを受け入れたか受け入れられてないか、と】

【私達は出来損ないだろうに。何故、それを受け入れられないんだ、と】

「―――――――― ウチと同じだ。人斬り≠ヘ、死ぬまで人斬り≠セ。だったら。
 断頭台≠ヘ死ぬまで断頭台≠ネのが必然だらあ―――――――― だったら、だったら――――――――」


「アンタもどうせ、ウチみたいに終わる≠だ」


【其処で。全身の力を振り絞って。最期の攻撃手段を絞り出すだろう―――――――― 全身の、絞り粕の如き力の残滓を掻き集めて】
【繰り出されるのは―――――――― 彼女の額へと向けられた、頭突き≠セった】


【決め付けであり、それは彼女の出来ることならばそう在って欲しいと言う、余りにもネガティブなエゴで】
【私はどうせ碌な死に方をしないだろう。だからお前も、そんな綺麗ごと言ったって、碌な死に方をしない筈だ】
【それは最早理論も何も無い、ただの、呪詛や恨み事。それとも若しくは―――― 願望にも、近いかもしれない】
539 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 06:47:30.11 ID:lABXoFe3o
>>538

【攻撃を放った時点で彼女の体力は限界を超えていた、それでも倒れなかったのは純粋に彼女の意地≠ナある】
【全力での激突、積み重ねてきた十数年の技術をぶつけたのだ、此処で倒れれば其の総てを否定することになる】
【だが立っているだけで精一杯、指一本とて動かす事はもう出来なかった。無抵抗に服を捕まれ、ただ視線だけを返す】

「――――――――ぁっ」

【そして意趣返しのごとく繰り出される頭突き、衝撃に思わず意識が吹き飛びそうになるも必死にしがみついて】
【少女の言葉を頭のなかで反芻した。そして理解する――――ああ、この人は自分とよく似ているんだな、と】
【殺さずには居られない性分、碌な死に方なんて出来ないだろうし、いずれは醜く野垂れ死ぬのだろうって考えてる暗い所】
【もっと違う出会い方をしていたら、なんて一瞬思ったけれど、そんなもしもはかなぐり捨てて】
【あいも変わらず彼女は笑いながら、喉から絞り出すように声を出した】

「あなたも、私も…………まだ、終わっちゃいないでしょう」

【だからそう悲観するなと、きっとあなたは私なんかよりよっぽどマシなんだから、もう少しは未来に希望を持って】
【まだ変われる。いや、私達みたいな人でなしは、きっと変わらないといけないんだ】
【何よりあなたの友達≠ヘ、そんな風にあなたを終わらせてくれる様な人間なのかと、そんな想いを込めて、彼女は小さく笑うと】
【約束だと言わんばかりに、震える手で少女の頬に右手で触れた――――殴るには、少しばかり体力が足りなかったらしい】
【触れるか触れないか、其の刹那に彼女は体力が尽きたらしく脱力する。地面に木刀の柄が落ちていった】
【少女が手を離せば彼女の身体はそのまま崩れ落ち、地面に倒れ伏すだろう】
【ピクリとも動かない。一見すれば死んだようにすら見える。辛うじて呼吸はしているが、危険な状態に変わりはなかった】
540 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/23(火) 07:13:54.98 ID:80FVfPqXo
>>539
>>539
【―――――――― なんだ、それ】

【何故、笑う。何故嗤うんじゃなくて、笑ったんだ】
【彼女の伸ばした指が―――――――― 頬に触れて、彼女の表情は笑っていた。嘲笑うのではない、本当の意味で、笑っていた】
【可笑しいだろう。私の、貴女の、未来の何処に希望がある。自分達は―――――――― 無惨に、惨く、死んでいくだけだろう】
【だから私≠ヘ、無惨に死んでいくまでの過程を、全て友達≠フ為に使う事に決めた。毛の先までも、剣≠ナ在り続けようと決めた、と言うのに】
【何故アンタは】

「何故、何故、何故―――――――――――― 何故」

【言葉にし尽せない程の何故が頭の中を只管に掻き回した。もう、痛い程だ―――――――― 思わず、手を離してしまっていた】
【彼女の身体は崩れ落ちた。死んでいるように見えて、微かな呼吸の音が聞こえてくる】
【最早、止めを刺す必要も無い。此処までの状態ならば、放っておけば、死ぬだろう。―――――――― このまま、捨て置こう】

【何故、未来に希望が持てる。何故、そうしていられる。何故、其処まで足掻ける】
【分かっているだろうに。自分が断頭台≠ナあるならば、人を殺さなければどうしようもない性分という物がどういう事か、理解しているだろうに】
【何故そんなに、無責任に。無作法に。不躾に。そんな、『光』を提示してくるんだ】

「ウチは―――――――― 私は ―――――――― もう、決めたんだ。

 ―――――――― 剣≠ノなる、って。だから」

【友達≠ェ望む者、全てを与える剣≠ナある】
【だからもう、今更裏切りたくなんて無い。裏切るなんてできない。絶対に】

【手離した片方、未だ健在の刀を拾い上げる。この極度の疲労状態においては、片手で持ち上げるのは難しかった。両手を以って、鞘へと納めた】
【中途から砕けた太刀の柄を拾って、少し考えた後に、それを片手に。一応は宮藤家に伝わる物なのだから、回収しておいた方が良いか、として】
【今は一刻も早く、此処から。彼女の傍から離れたかった】


「―――――――― 私≠ヘ、私≠フ様に、死ぬ」


【それから一度も振り返る事は無く。宮藤帯刀は、其処からゆっくりと立ち去って行った】

/夜が明けるまでの絡み、本当にありがとうございましたぁー!!!
541 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 07:24:29.14 ID:lABXoFe3o
>>540

【少女が去ってから十数分後、彼女は唐突に意識を取り戻した――このままでは不味い、本能でそれを察したのだ】
【血に濡れた身体を引き摺りながら、なんとかベンチにまで辿り着き刀を回収する】
【だが其処までだった。此れ以上はもう動けない、全身を悪寒が包み込んで酷く気分が悪い】

「死、ぬ…………」

【この出血量と負傷量は洒落になっていない、おそらくは穢土宮入間と戦った時よりも酷い有り様だ】
【それでもこうしてまだ呼吸しているのは、少女が見逃してくれたからで――――ああ、いつも敵に情けをかけられているなと、情けない気分になる】
【ああ、しかしそんな風に浸っている暇はない。自分はこんな場所で死ぬつもりはないのだ、這いつくばってでも生き延びて、そして】

「次は…………絶対、勝つんだから……………………」

【右腕は使いものにならない。残った左腕のみで匍匐前進のように宛もなく進み、そして意識を失った】
【死んだ――――そう確信したものの、なんとか公園の外、大通りの方へと動いていたらしく、救急車を呼ばれ】
【暫くの間絶対安静を条件に、なんとか命を繋ぎ止めたのだった】

//絡みお疲れ様でした!
542 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/23(火) 16:15:43.40 ID:IvjPGh1DO
【路地裏】

【冷たく暗いこの場所にだって、暖かい場所はある】
【例えばダクトの下。飲食店の近くであれば、柔らかな風と料理の匂いに浸れることだってできる】
【例えば室外機の横。吹き出す空気と音に堪えれば、機械の発する熱で寒さを凌げる】
【そして例えば────】


うーむ、なかなかいないものだな
確かにファラエナの言った通り、蟲はたくさんいるのだが……


【──例えば、ゴミ箱の下。生ゴミが発酵時に出す微妙な熱は、ある種の生き物たちにとっては天国にも等しい】
【がこりと、ゴミ箱を持ち上げて少女は独り言をぽつりと漏らす】
【夜色の長髪に夜色の瞳をした、18歳くらいの少女だった】
【ロングコートを身につけ、布に包まれた刀剣らしきものを背負っているあたり──「いかにも」という格好だ】

【かさささ……と、寝床を奪われた小さな生き物たちが逃げていく】
【「ここにもいないな」……なんて、少女はまた呟いて】
【今度は、近くにあった大型ゴミステーションの下にある隙間を、大真面目な表情で覗き込み始めた】
【──落とし物や、逃げたペットでも探しているのだろうか?】


……どこにいるんだ、No.7


【……どうも、そういうわけではなさそうだ】

/わりと遅くまでいます
543 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/23(火) 17:20:36.27 ID:BhCI2AD8O
>>391
これで待ちますッ
544 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/23(火) 21:23:03.35 ID:JFub+bik0
>>504


【敏速な状況判断で被害を最小限に抑えた。古強者《ヴェテラン》は伊達ではないということか】
【しかしながら、移動速度を抑えることはできたはずだ】
【血痕が残れば逃走には支障が出るし、初撃の結果としては悪くない】
【問題となるのは――仁なる男が発現させた、狂気じみた姿のアートマンの能力だ】


そんな甘言を用意して自分を正当化する人、よくいるの。
「善」には限界がある。だから「悪」になればいい。そうすれば、何でもやっていい≠チてね。


【急接近を制するように、剣を低く構えて切っ先を上げた『刺突』の構えを取りながら、ロレッタは待つ】
【敵が痺れを切らして攻勢に出んとし、最大の隙を晒すその瞬間を】

【そしてそれは――壁蹴りによる、アクロバティックな『跳躍』という形で訪れた】


……あなたみたいに思いあがった奴を公の沙汰所に突き出すことが、私たちの仕事だ――!!


【彼の身体が浮き上がった瞬間、ロレッタは二歩引きながら剣を思い切り振り上げて、肩に担いだ構えに切り替えた】
【一拍あと、同じだけの距離を一足で踏み込み――敵を迎え撃つように、袈裟懸けの一閃を放つ!】

【もちろん、刃が彼に届くことはない。だが、振るわれた一撃はその限りではない】
【ロレッタの青い左眼が朧げに輝いたかと思うと――その視界に存在するアートマンの首筋から臍までをなぞるように空間が歪み】
【体重を載せた重く鋭い斬撃の「圧力」が、丸ごとそこに転写されるだろう】
【切っ先が下りるのと能力が誘発するのはほぼ同時――回避するには、わずかな猶予を活かす必要がある】

/申し訳ありません。全日絡めると言っておきながら、朝から大きめの用事が入って今までパソコンの前に座れませんでした……
/誓い破りのあとでもよろしければ絡みを継続させていただきたいのですが、大丈夫ですか……?
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/23(火) 22:14:54.19 ID:vSD+HcYhO
>>544
【自分の中に存在する、正義と悪の狭間】
【傷口に突き立てられた刃のように、ロレッタの言葉が突き刺さる】
【考えないようにしてきた、頭の隅に追いやった言葉を的確に、胸の奥からえぐり引き出された】

・・・・・・なんでもいいたぁ思ってねぇよ。
褒められることじゃねぇのはわーってる。だがな、もたもた手段を選んでるわけにもいかねんだ

【壁を蹴った、その瞬間に振り下ろされた刃】
【刃はまた空を裂き、実体を捉えることは無く。ただの素振りか、威嚇か、そんなわけは無い】
【つまりはまた"アレ" 狙いは―――アートマンか】

【ロレンタが刀を振り上げた、それと同時】
【袈裟の軌道の下にもぐりこむようにアートマンは思い切り上体をそらし、ロレッタの懐めがけて膝を突いて滑り込む】
【首から臍をなぞる圧が頬を撫で、肉を切り落とす。同時、男の頬から赤が現れ垂れる】

っく・・・・・・まだ完全には避けられねぇか!

【頬の肉に、つま先を切り裂かれた。傷自体は大きいものでなく、痛みこそあれど問題は無い】
【二度見た技だ。突然空間が裂けるわけでもない、予備動作もある―――問題は、全く無い】

そうかね。あんたらの仕事は、

【潜り込んだアートマンの手のひらが、ロレンタの脚に触れようとする】
【死人の胸の冷たさと、生人の憎悪の熱を同時に持ったその手がロレンタに触れたならば】
【ロレンタの頭に直接流れ込む悲鳴、鮮血、絶望―――ある誰かの、死の淵の記憶】

【その記憶の主、少女は瓦礫に埋もれて潰れた親を見ていた】
【テーブルから落ちたトマトのように、紅を撒き散らし、肉片となった母親を喚きながら見ていた】
【アートマンがロレンタに触れている間、この映像は続くだろう。少女が死を迎えるそのときまで】

"こういう"事が起きないようにすることじゃねぇのか?

【壁を蹴り、着地した男は攻撃をしなかった。】
【この映像を見せて、どんな反応をしてくれるのか、それをまっていた】
546 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/23(火) 22:46:46.38 ID:JFub+bik0
>>545


……くっ、仕損じたかっ…………!!


【足元に滑り込んだアートマンを能力で突こうと、ロングソードの刃先を下に向ける】
【しかし、それが勢い良く突き降ろされるよりも、敵が身を切らせながらも迫る早さは上だった】
【経験の違い≠ナ生み出されたタッチの差で、彼女は接近を許したのだ――】


【――ひやり】
【黒のタイツ越しに、死者の指の冷たさが纏わりついてくる】
【――ぞわり】
【背筋を悪寒が駆け上り、思わず瞬きしたとき】
【路地裏で見上げる闇夜はいつの間にか、緋色に燃え上がり、今にも崩れ落ちてきそうな空に変わっていた】


【生々しい死の匂い、火と灰の絵の具で描かれる風景、喉を枯らす暑さ、朱に染まった満身の痛み】
【そして、絶え間なく響き続ける断末魔の残響が、若きロレッタの五感を苛む】


(ああ、お父さん、お母さん、ロッテ……みんな…………)


【いつしか、ロレッタの幻視にはふたつの――或いはより多くの景色が混ざり合っていた】
【それは見知らぬ誰かの最期の記憶であり、そして彼女のありえたかもしれない結末】

【逆巻く炎に包囲される中、刻一刻と迫ってくる死を少女≠ヘ、待った】
【殉教者がそうするように。自分ではない誰かのために、手を合わせながら】
【そして最期の瞬間、小さな掌の指と指は、がっしりと組み合わされ――】


  ――――ああ。その通りだよ、桐斗仁ッッ!!


【――夢と現の両方において、怒りを込めて振り下ろされるだろう】

【そう、死の記憶から舞い戻ったロレッタは、間髪入れずにその手に握った剣を足元のアートマンへと突き下ろしたのだ】
【触れ続けられるものならやってみろと、その腕を地へと縫い止めるように!】
547 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 22:49:08.10 ID:lABXoFe3o
【三度目、それも連続のカノッサ機関の構成員との戦闘を終えた数日後、世は俗にいうクリスマスイブを迎えていた】
【とはいえそんな物を祝っている余裕が彼女にあるのかと言われれば、あるわけもなく】

「…………はぁ」

【深くため息をついて、何処か覚束ない足取りで綺羅びやかな街を闊歩する】
【幼さは抜けきっていないものの顔立ちは整っており、瞳は切れ長で紅色】
【艶やかな黒髪を後ろで一つに結っており、肌は白磁の様にきめ細やか】
【学校指定の黒いブレザーに身を包んでおり首元には薄桃色のマフラー、足元は黒タイツと編み上げのブーツを着用している】
【右頬にはガーゼと包帯、見えない場所にも至る所に包帯が巻かれており、顔色も明らかに悪かった】
【大きめの竹刀袋を重そうに背負いながら、少女はとぼとぼと歩き続ける】

【実は彼女、ついさっき病院を退院したばかりだった。しかも本来ならばまだ入院していなければいけないところを、かなり無理矢理出てきたのである】
【何故か。とある問題が浮上してしまったのだ――――――――金が、無くなった】
【単純に治療を受けれるだけの資金が尽きたのだ、だから危険だという医者の言葉を振りきって、というか土下座する勢いで頼み込んで退院させてもらった】

【元々彼女は櫻の国出身であり、此方では一人暮らしをしていた。其の生活資金も自分のアルバイト代で殆ど賄っており、お世辞にも生活費は多いとはいえない】
【それでもお金がかかる趣味を持っていないため何とかなっていた、それどころか少量ずつだが貯金すら出来ていた程だ】
【だが此処最近だけでカノッサ機関の構成員に三度襲われ、其の度に笑えない程の大怪我を負い】
【其の度に治療費を捻出、入院している間はバイトも出来ず、結果的に口座からお金が無くなった】
【いや、あるにはあるのだが、其れは家賃の為に取っておいたものであり、其れを除くと――――――――】

「四十二円で、年越せるかしら…………」

【記憶が正しければ、冷蔵庫の中身は卵が数個と魚肉ソーセージ、玉ねぎぐらしか入っていなかった気がする】
【お米は残り三日分程度で、調味料に関してはおそらく心配がない。というか調味料だけしか大丈夫じゃない】
【その上問題はそれだけではなかった。一番最近の戦闘で、負けた後に地面を這いつくばってなんとか行動していたのだが】
【其の際にコンタクトを無くしたらしく、今現在殆ど何も見えていないのだ】
【此れに関しては眼鏡があるためなんとかなるだろうが、剣を握っている間は何かと邪魔になるため早くコンタクトを手に入れたいところである】

「…………戦闘でなんとか生き残ったのに、お金がなくて餓死なんて笑えないわ」

【仮に次の給料日まで生き抜けたとして、入退院を繰り返していたため入ってくる給料は多くない】
【実家に帰れば食事にはありつけるだろうが、まず実家に帰るためのお金がないという本末転倒ぶりだ】
【割りと真剣に餓死が真実味を帯びてきてしまった――――情けなさに死にたくなりながら、宛もなく歩いて】
【結局いつもの公園に辿り着いて、力なくベンチに座り込んだ】
【小さく鳴るお腹。右手を動かそうとして痛みが走り、仕方なく左手を腹部に添えて視線を空へと向けた】
【ああ、星に手が届いて食べれたらいいのに。星すらよく見えないけど。そんな訳のわからない事を考えながら、悲惨なクリスマスイブは過ぎていく――――】

//一時には落ちてしまいますので、凍結になる可能性があります
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 23:15:33.62 ID:5h2o0Kmk0
>>547
【時間はまだ深夜では無いけれど。悪人には休みなんて無いのだから、それに対する者達もこの時間出回っているのは道理】
【だからもしも辺りに気を配るだけの余裕があったならば『自警団』の存在も時折視野に入ったかもしれないし、それ以外の正義の者達も目に付いたかもしれない】
【何であれ、だ。ベンチに座っていたなら、背後から近寄る足音だとか気配に気付く事が出来るだろうか】
【まあ、仮に気付かずとも実害は全く無い。何故ならば――――】


「こんばんはぁ〜。もう寒いんですから、こんな所に居たら風邪をひいてしまいますよ〜?」

【力が抜けるような、そんな挨拶と共に横からひょっこりと女性が顔を出すのだから】
【もし驚いてでもしてやるれば、悪戯は成功とでも言うかの様にクスクスと笑って】
【敵意を感じ取れないのは明らか。彼女の視力が近くの文字を読み取れる程度にあるならば、この女もまた『自警団』と記された腕章を通している事も分かる】
【詰まる所、見回りで何やら怪我をした様子で座り混む少女が居たから声を掛けた。そんな所だろう】

【外見から察するに二十歳前後の女。肩ほどにまで伸ばされたふわふわとした金色の髪。同じ色の双眸】
【コートを着ては居るけれど、身体の起伏はその上からでも分かる位には。と書けばスタイルだとかも理解出来るだろうか】
【手にしているのは丁度一メートルの杖。得物、であるのは間違い無いのだろうけれど】


「女の子は身体を冷やしちゃメッ、ですよ?幾ら冬の景色が好きだとしても身体の冷やしすぎは身体に毒なんですから
…………温かいコーヒー、お好きなら良いんですけど……」

【よくもまあ初対面相手にこれだけ話せるというか、表情を変えられると言うか。『メッ』なんて言葉の時には人指し指を立ててまるで説教するかの様】
【だが――――次には、ポケットからカフェオレの缶を取りだして差し出す事となる。先程かったばかりなのか、温かさもまだ失われては居らずに】
【遠慮するならば、「我が儘はダメです」だなんて果たしてどちらが我が儘なのか分からない言葉と共に、殆ど押しつける様にして少女に手渡す事になるのだが】

【さて。態々コーヒーを手渡す為だけに此処に訪れた訳でも無い】
【少しの間を置いたなら、「お怪我、大丈夫ですか」――――と。このお節介焼きに対してどんな反応を返すのも、勿論少女の自由だ】
【例え無言を貫いたとしても、この女ならば或いは勝手に話を転がして行きそうなのだから】
549 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/23(火) 23:20:16.99 ID:vSD+HcYhO
>>546
ぐっ・・・・・・がっ・・・・・・
いい返事じゃねぇか、クソガキ

【刃がアートマンに突き刺さり、口が痛みに歪む。手の真ん中に穴が開き、血が溢れる】
【それでも吐くのは減らず口。】
【身体の痛みなど、男には痛みに入らない】
【矛盾した心が擦れ合う痛みのほうが、貫けなかった正義の嘆きのほうが、目の前で死んだあの少女のほうが】
【―――痛いに決まっている。ならば、この手の痛みなど】

ううっ・・・・・・ああああああぁぁぁぁ!!・・・・・・

【縫い付けられたアートマンの手を、力任せに引き、引き、引き】
【手の真ん中が避けるのを代償に、男は縫い付けを振り払った】

【ふっと、アートマンは霧のように消えて主の元へ戻った】
【が、戦意が失われた様子は無い。重なる二人の視線の間には、未だ意思と意思が火花を散らしている】

これ、でも・・・・・・俺に手段を選べっていうのかよ・・・・・・

【裂けて垂れた手を向けて、男はロレッタを睨みつける】
【そしてまた男の輪郭がぼやけ、あの"死顔"が、アートマンが男の目の前に現れる】

返事にはもう、言葉はいらねぇ。
答えてみろよ、その剣で
お前みたいな甘い正義をねじ伏せ、悪を行使するのが俺の仕事だ。
―――正面からぶっ潰してやる

【向けた手を回し、手のひらを空に向け】
【中指を二度折り、かかってこいといわんばかりに】


//名前間違えましたごめんなさいぃ・・・・・・
550 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/23(火) 23:21:46.99 ID:du2n+1wH0

【町中】

【煌びやかなイルミネーション、楽しそうな音楽、幸せそうな顔をして行き交う人々】
【年末の浮き足立った雰囲気が漂う街の一角、通りの片隅。其処だけが何やら物々しい雰囲気に包まれていた】
【その場所にいるのは二人の制服に身を包んだ自警団員と一人の青年】
【蘇芳色の少し長めのボサボサした髪に灰色のボロボロな着流しのその青年、どうやら職務質問に遭っているようで】
【まあ煌びやかな街中でこんな浮いた姿では当然なのだがどうやらそういった事ではないらしい】

「ああもう、さっきから訳分からん奴だな! お前は此処数日で数件の傷害事件を起こしてる! そうなんだろ!? 」
「お、おい……落ち着けって」
【苛ついて頭をかきむしる自警団員とそれを宥める自警団員。そんな二人の前で青年は、瞳孔が開いた焦茶色の目を大きく見開き何やらぶつぶつと呟いている】

誰だよ……誰が喋ったんだよ……
何で俺だけこんな目に遭うんだよ……何で自警団なんかが……

「“誰が喋った”? それは犯行を認めるって事で良いんだな!? 」
【苛ついていた方の自警団員が青年の言葉を聞きとがめ、乱暴に青年の腕を掴もうとする。すると青年は、触んじゃねェ! と怒鳴り自警団員の手を振り払った】

何で皆俺の邪魔ばっかりすんだよ? 
何でお前も俺の事知ってんだよ? 
誰が俺の事話してんだよ? 

──ああ、彼奴かな? 俺には手出しすんなって言っといて自分は自警団に通報したのかな? 
それとも彼奴かなァ!? 俺の事をこの大陸の奴らに吹聴した奴!! 黒髪の大男!! 
……あれ? あれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれあれェ? 
もし通報したのが彼奴だったとしたら黒髪の大男って……

ああ、嘘かァ……
なァんだ……俺、嘘吐かれてたんだ……
そりゃそうだよなァ……俺だもんなァ……
知ってるって言ってたし、きっと俺の事蔑んで態と嘘を教えたんだなァ……彼奴
【ぶつぶつ、ぶつぶつ】
【青年は片手で顔を覆い呟き続ける】

ふふっ……ふふふ……
あははは……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!!! 
畜生……ふざけやがって……ふざけやがってェェェェ!!! 
【あああああああああああッ!! という咆哮と共に青年は顔から手を離し、何処からか取り出した筆を先程まで自分の顔を覆っていた方の腕に突き立て、引き抜いたそれの穂先を近くの壁につける】

「お……おい、おま……え……?」
【何をしてる、と先程青年の腕を掴みかけた自警団員が言いかけて止める】
【否、止めたのではなく言えなかったのだ】

【その自警団員の腹には炎を纏った鳥の嘴が深々と刺さっていたのだから】

【その様を見たもう一人の自警団員が腰を抜かし悲鳴をあげる】

「え……何だよ、これ……何なんだよ……」
【炎を纏う鳥に腹を刺され、その炎が燃え移った自警団員は苦しそうに呻く】

【青年はその様を見て、嗤う。瞳孔の開いた目で、狂ったように。その口が「ザマァミロ」と動く】

もう……良いや……俺は…………ははッ……
あひゃはははははははははははははははははははははははははははははははははははッ!! 
【街の一角、広がる惨状とやけに響く青年の狂った笑い声】

【楽しげだった街角が一瞬で騒然となる】





551 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/23(火) 23:45:57.24 ID:lABXoFe3o
>>548

【血が足りないのか、酷く意識が朦朧としていた。そんな己と世界の境界線すら曖昧な状態で、彼女の意識は空に向けられており】
【当然近づいてくる女性の存在にも気付かない。気付ける筈もない。そもそも健康な時ですら、あまり周りを認識しているとは言い難いのだ】
【そのため少女が女性の存在に気づくのは、声をかけられたその瞬間であり】
【ここ最近連続して公園で襲われるという奇妙な運命に翻弄されている彼女としては、いきなり声をかけられたら驚かない訳がなく】

「ひぁっ――――っ!? ……………………」
「……………………こほん。え、えと、こんばんは。」

【自分でも聞いたことがないような情けない声が喉から飛び出した、其れが自分の声に気づくまでに数秒、そして気付いてから赤面し、挨拶を返すまで更に数秒】
【おそらくは女性から見た少女の印象は、どんくさいだとかそういった物になるだろう。少なくとも機敏で聡明、そういった風には見えない筈だ】
【咳払いでとりあえず情けない声は誤魔化したつもりになり、警戒心からか相手がどのような人物なのか目を細めて見つめる】
【もとより目付きが鋭いせいか、明らかに睨んでいる様にしか見えなかったが、本人はそのようなことは当然意図していない】

【女性。気配から敵意は感じられず、視界はぼやけていたがなんとなく綺麗な人という印象を受けた】
【手には得物、物騒だと僅かに警戒するも、腕章に書かれた自警団という文字を認識して其れも解く】
【最近はカノッサ機関に襲われっぱなしだったからか、流石の彼女も少しは警戒していたらしい】
【いや、先ほどの様子から本当にそうなのかは怪しいところではあるが】

「え、あ…………ありがとう、ございます」

【少女はお世辞にも厚着をしているとは言い難く、女性の正論に何処か申し訳無さそうに頷くしか無かった】
【と、そんなわけで少し反省していたところで差し出されるカフェオレ。再び彼女は意表を突かれ、変な声が出そうになる】
【其れを咄嗟に押さえ付けて、受け取るか悩んで――――結局温もり欲しさに、それを貰う】
【なんというか、変わった女性である。行動や発言が読めないというか、掴み所が無いというか】
【とにかくありがたく缶を貰い受け、其れを両手で握り温かさを享受する――――そこでようやく、自分の手が非常に冷たい事に気がついた】

「…………まあ、死ぬほどじゃあ無いわ。死にかけはしたけれど」
「運が無いのかしらね、カノッサ機関の人間に喧嘩を売られることが最近妙に多くて」

【喧嘩を売られるだけではなく、此方から喧嘩を売ることもあり、尚且つ戦闘を挑まれたら逃げずに戦ってしまう辺り半分自業自得な気がしないでもないが】
【それでも彼女がたった数週間で死闘を繰り広げたのもまた事実であり、その結果としてぱっと見でも分かるほどに負傷を抱えてしまっていた】
【死ぬほどじゃあ無い。けれど大丈夫かと言われたら頷き難く、彼女の返答は曖昧だった】

//気づくのにおくれました、ごめんなさい……!
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/23(火) 23:52:50.63 ID:JFub+bik0
>>549


悪に復讐≠オたいと考えない人なんて、きっといない。
だけれどそれにはルールがいる。無軌道な義憤は、狼藉しか引き起こさない。


【そう言うロレッタとて、既存の方法が完璧ではないことは知っているのだろう】
【彼女が籍を置くSCARLETは、何を隠そう、既存の取り組みでは維持できない平和を守るための集団なのだから】

【けれども秩序の限界は、無秩序の下に望みを果たす理由にはならない】
【「法規を踏みにじった者にこそ、法規によって処罰を下すべし」】
【正義≠志したその日から守り続けてきた信念が、束の間の映像に傷ついたロレッタの心を奮い立たせていく】



――神妙にお縄を頂戴しろ、カノッサ機関員・桐斗仁。それが平和に一歩でも近づく方法だ。


【敢然と言い放ち、左手で右眼を覆う眼帯を外す。そこには空洞ではなく、真紅の虹彩を持つ魔眼があった】
【眼帯をコートのポケットに突っ込むと、双眸を露わにしたロレッタは剣を顔の高さに掲げる】
【それは、櫻の剣術で言う「八双」に近い、基本的であるがそれ故に攻防に優れた体勢】


 …………せいやぁぁぁぁあ――っっ!!


【構えを保ったままロレッタは一歩踏み込み、二者の間に広がる何もない空間を斜めに切り裂こうとするだろう】
【奥の手を出したように見せかけて、今までと同じ。――もしそう思ったならば、勝利はない】

【斬り下ろしが行われた瞬間、今度は一度に四つの空間の歪みが生じるのをあなたは感じるはずだ】
【自分自身の両腕で、ふたつ。アートマンの両足で、ふたつ】
【すなわち、本来の軌道を描く斬撃と鏡写しに反転されたコピーを、複数の対象に同時に浴びせる形】
【アートマンが本体とダメージを共有している以上、完全に命中すれば四肢に剣を打ち込まれることになる】
553 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 00:05:11.15 ID:krsOEqdFo
【深夜・都市の中央に位置する自然公園の木立】

【そこには一人の女性が居た。白いボトムスに、真紅のジャケットという出で立ちで】
【歳は20代半ばくらいだろうか、鮮やかな赤髪は肩から背に掛かる程度に長い】
【そして、その手には巨大な鎌を持っていた。刃は時折、風を切る音を立て】

っとォ、こんなモンか?久々に動くと、やっぱキツいな
箱入り娘やら隠居でもねェし、自分の身位は守れねーと……。
……もうちょい、やってくかな。

【汗を拭って再び動き出す。今度は、その身体から分離するように黒い鎧が飛び出して】
【豪腕と呼んで差し支えない左右の拳で、頭上の枝をバシッ、と叩き、折り落とす】

【すると不思議なことに、枝は真っ直ぐにではなく女性の方に吸い寄せられ】
【シュッ、とそれを両断することで一幕が終わる。さしずめ、能力者の特訓といったところか】
【夜間とはいえ、散歩でも人気の場所。風切り音はやや目立つかも知れなかった】
554 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 00:15:28.55 ID:On6rRAEl0
>>551
【予想よりも驚かれた事に対しては、クスクスと楽しそうに笑って見せた】
【もう大人と表しても良い年齢の筈なのに、其処等の子供よりも余程子供らしく】
【ただ、其れでも細くされた其れを“睨んでいる”と勘違いしたなら小さく謝罪の言葉を繋げ】


「あ、ごめんなさい――――何だか元気が無いかなぁ、って思って……。少しでも気が晴れたら良かったのですが……」

【何に落ち込んで居るのか、読心術に長けていないのだから分からないけれど。端から見ても余り良さそうにも見えず】
【何よりもこの時間に一人でこの様な場所に座っているのだ。意味も無く過ごすのならば家でも良いのではないか、何て推測】
【家出の気配でも無い。外側から得られる情報からして、怪我が原因とまでしか考えられないけれど】
【放って置く程冷たい性格のつもりも無い。もし憂鬱な考えを抱いて居るのだとしたら、驚かせば少しは忘れられるかな――その程度の考えだ】


「どういたしまして〜。でも、これが私の仕事なんだから当然の事ですよ
困って居る人が居たら助けなければいけませんし、怪我をしている人が居たなら治してあげるのが私のお仕事です
情けは人の為ならず――なんて。結局、私だって何処かで色々な人に助けられているんですから」

【素直に受け取って貰えたなら、柔和な笑み。取り繕ったりするモノでは無く、それが女の性格なのだとその笑みからでも知れる】
【言葉もフワフワとして緩いのだけれど、キチンと信念は持って居るのだろう】
【困って居る人が居るならば手を差し伸べる。――――さて。もしかすれば次の言葉では疑問を抱くかもしれないが】
【怪我をしている人が居れば治すのが仕事だ、と。医者の分野である筈なのだが、確かにそう言ったのだ】

【詳しく続けるよりも先に、少女から“カノッサ”の名を告げられたならば少しの間沈黙が続き】


「カノッサ、ですかぁ……。最近は動きも目立っていますから、色々な場所で被害が出ているとは報告も見ていましたがまさか身近に…………
――――もし、良ければ。あなたのお怪我を私に治療させてくれませんか?こう見えても私、お医者さんとしては腕が良いと評判なんですよ〜
死にかけてしまう程の怪我なら……きっと、まだ痛みますよね。もし……もし、私で良いのなら。あなたの怪我を綺麗に治させてください
見返りも求めませんから……ね?」

【仮にも自警団の一人だ。カノッサが暴れて人に危害を加えているとなれば見過ごすことも出来ない】
【出された提案は、自分にその怪我を治療させてはくれないだろうか――なんて】
【病院ならばまだしも、会ったばかりの見知らぬ相手。腕が良いとは自称かどうかも分からない】

【小首を傾げて問うたのは、結局は少女の判断に任せるから】
【良し、とでも言えば小さなバッグをベンチに置いて施術の準備に入るのだが――――】

//お気にせずとも、ですっ!
555 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/24(水) 00:32:02.90 ID:yyTOexYGo
【路地裏】

【白く息が曇るほど寒い日だった。アスファルトが夜露に濡れる。ビルの影に月は遠く】
【だが、静かな夜なんてものはこんなスレたスラムの路地裏には存在しない。空気を裂く銃声】
【銃弾が飛び交って響き渡る。不意に静かになるのは互いが様子を伺うその一瞬だけだった】

なーんでまたこんなことになってんのかなあ…いやぁ…俺もわかんないんだよね

【壁に背をつけて、しゃがれた声の男が愚痴る。路地を覗きこむと銃弾が飛んできて慌てて引っ込む】
【サングラスを掛けた背の高いそいつは黒い三つボタンのスーツ姿。シャツは濃い赤。ネクタイは黒】
【右手に短機関銃を持ち、左手には携帯電話。通話中でも銃声は否応なく割り込んでくる。会話もままならない】

ま…そういう訳なんで、取り込み中なんで後にして。…場所?…さぁー…何処だったっけなあ
近くだとは思うんだけど…っと!

【男は影から半身を出して反撃する。命中率コンマゼロの威嚇の連射。マガジンを使い果たして男は銃を投げ捨てる】
【スーツのスラックスのベルトに挟んだリボルバーを抜く。美しい模様が彫られた黒鉄の六連発。撃鉄を起こす】

あー……だから、そういうことだからよろしく

【上着のポケットに電話を滑りこませて、煙草の紙箱を取り出して、くわえて火をつける】
【足音が聞こえる。追手がゆっくりと此方に向かっている。目をつぶると通り抜ける風が見えそうだ】
【いつの間にか銃声がやんでいると気がつくとやけに静かで―――】
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 00:37:35.67 ID:TCuUnQQEo
>>554

【自分の目付きが悪いことは、一応認識している。其れがコンタクトの消失によって悪化していることに、彼女は謝られた事で気がついた】
【普段人と接することがあまりないせいで、そういった気遣いをついつい疎かにしてしまうのは彼女の悪い癖だろう】
【女性に対して敵意があるわけでも悪意があるわけでもない、だからこそ勘違いさせてしまったことを申し訳なく思い、バツが悪そうな表情を浮かべた】

「別に睨んでいる訳じゃなくて……その、コンタクトを無くしちゃっただけだから、気にしないでください」
「…………ええ、お陰で少しだけ気分がスッキリしました」

【彼女には後ろめたい過去がある。背負って生きていくには重すぎる十字架がある。だから基本的に思考は何処かネガティブ寄りだ】
【考えれば考える程悪い方向へと考えてしまう癖でもあるのだろう、最近に関して言えば少々マシになってきてはいたが】
【それでも拭うにはあまりに彼女の過去は穢れで満ちすぎている――――これはもう、性分なのだろう】
【そして其れを吐き出す術を知らないから、勝手に溜め込んで悪化する。そんな彼女だからこそ、女性の気遣いは嬉しかった】

「…………そう、ね。実は本当はもっと入院していないと駄目だって言われたのだけれど、お金が無いから強引に出てきたんです」
「襲われる度に前の戦闘の傷口が開いていくから、治る気配も無くて…………」

【ただの学生の身分、其れも自分で生活費を稼いでいるとなれば、治療費を捻出するのがどれだけ難しいかは誰にでも分かるだろう】
【其れも一回ならまだしも連続で、その上繰り返す度にひどくなっていくのだから笑うしかない】
【医者だという女性の言葉に、痛みからすぐに頷きそうになるも、考え小さく動くだけに留まる】
【見ず知らずの人にそんな良くしてもらっていいのだろうか。つまりは相手を疑っているのではなく、単純に申し訳ないという思いから躊躇したらしい】
【ただ痛いのは事実だ。貧血から来る目眩と吐き気も合わさって、体調は最悪と言ってもいい】
【自分の体調を鑑みて少し考えた後に、伏し目がちに口を開く】

「…………その、だからお金とか本当に無いのだけれど――――本当に、いいんですか?」
557 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/24(水) 00:38:00.86 ID:8OgzScKDO
>>552
・・・・・・近づくだけだ。届きやしねぇ

【男の言葉はこれで最後】
【後はただ、宣言したとおりに"ねじ伏せる"】
【ロレッタが踏み込んだ、剣を振り上げる、その刹那に】

(軌道は読めた―――)

【予んだ軌道は斜め、ならば空間に生じる圧もそれをなぞるはず】
【―――はず、だった。しかしなぜだ。両手に違和感が】

【何かがまずい。殺気と同じように身体をそらして避けようとしていたのをやめようとする、が】
【だが急に脚の踏ん張りが利かない】
【切れたつま先から出来た血溜まりが、男の脚を滑らせていた】

【圧が男の両腕を、アートマンの両足を捉える】
【四肢に切れ目が入り、噴水のように血が飛ぶ】

【四肢はもうまともに動かない。でも、まだだ。手足がなくなったわけじゃない。存在していれば十分】

デッド・フェイス!!

【男がアートマンの名を呼び、無地だったアートマンの顔面にある顔が浮かび上がる】
【瞳から血涙を流した少女の顔だ。そしてそれは叫び、喚く―――】

【喚く声はあの少女のものだ。親を亡くして死んだ、あの少女の】

【男の能力は"死に際"の再現。今、男は少女の死を再現するのだ。】

【唐突、突然に路地裏を形成していた建物が爆発を起こし、アートマンを中心に瓦礫を落とす】
【舞う砂埃、小石は人の視界を奪うに十分で、墜ちる瓦礫は少女をそうしたように、殺すには有り余るほど】

【そしてその瓦礫が止んだ頃、そこに男の姿は無かった】
【ただ落ちた瓦礫の一つに、『生きていれば、次は殺す』とそんな意味のことが書かれていて】

【なお、爆発したビルに人はいなかったようだ。男は知っていたのか、偶然か、今はもう分からないが】

//ここらで〆ていいですかねー?
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 01:10:19.88 ID:On6rRAEl0
>>556
【それなら良かった、と。ころころと表情が変わりやすいのは、感情を読み取られやすい訳でもあり】
【――――ただ、それ故に今現在は少女を騙そうだとかそんな感情が無いと知る事も容易い】
【お人好しかお節介か。それとも只の馬鹿か。何であれ愚直である事に変わりは無い】


「私にはあなたの悩みも分かりませんが、それでもずっと後ろを向いていたら小さな石にだって躓いてしまいますよ
過去に戻ってやり直す事なんて出来ないんですから、次は転ばないように、次はもっと上手に歩ける様に、もっと沢山の人と歩ける様に……って考える方がきっと楽しいです」

【ポジティブな思考。過去はどうしようも無いならば一年先でも明日でも一秒先でも良くする様に考えた方がきっと良い】
【世の中はそんな上手く回っていないのが常。それでも、下を向かずずっと後ろを振り向かず視線は先にした方が楽しい事も見えてくるから】
【愚か者と笑う者も居るかも知れないが、それが女の考えだ。悪い事は幾らでも悪く考えられる。良い事もどれだけでも大きく考えられる】
【ならば、気が滅入る様な事よりも少しでも明るい方に。柔らかな笑みは、少女の背負う罪も知らずに暢気で明るく】


「もう、無茶はいけませんっ。ずうっと残る傷跡になったらどうするんですか

例えば…………あなたは目の前で誰かが苦しんでいるとして、助ける時に見返りを求めますか?
それと同じ事ですよ〜。私は治したいから治して、助けたいから助けるだけです。ん〜、私の自己満足に付き合って貰っちゃう形になりますね
でも、どうしても後ろめたいと言うのなら…………後で、少しだけお店に行くのを付き合って下さい」

【医者らしい言葉……では無く、お節介の性分からでた言葉なのだろうか。それは聞き手によって別れそうだが】
【兎にも角にも、見返りが欲しくて助ける訳では無い。目の前に転んだ者が居たなら、きっと自然に手を差し伸べて起き上がらせてやる――それと同じ事で、それの延長】
【それでもどうしても後ろめたさがあるなら、お礼の代わりに後で自分が行こうとしてる店にでも着いて来てくれれば良いと。気を遣っている様な表情でも無く、あくまで自然体】

【さて、それならばと頷けばベンチの空いた場所に様々な器具だとかが並べ始められる。どれからも“魔力”を感じ取れるのだからただの医療用具で無い事は確かだ】
【後は独特な匂いを漂わせる木箱―恐らくは薬を調合したりする其れ―を開き、手際よく数種類の塗り薬飲み薬を作りだして】
【先ずは右の腕。特に抵抗も示さなければ包帯を解き、適当な器具やら軟膏やらを用いて施術を行う事となるか】
【尚、切開等は行われないのだが――いや、確かに行われていない筈なのだが。皮膚の下、つまり筋肉だとかに違和感を感じるだろうか。其れは痛痒さにも似ているのだが、小さな子供でも我慢できる程度だ】

【――時間にして、3分か4分。先ずは右の腕の治療が終わる事となる。骨折ならば骨も繋がって健常と同じ状態であり、怪我をする前と変わりは無い】
【裂かれたのだとしたら、傷跡を残すことも無く完治している。外科とも異なる、治癒の魔術を用いた治療。数週間待たずとも致命や四肢の欠損だとかで無い限りは、大体治せる其れ】


「大体はこんな感じです。もし良ければ、他の怪我をしている箇所を教えて下さいね〜」

【これで口調さえ事務的だったりすれば名医なのだろうが、現実はそうでは無い】
【まあ、柔らかな表情で患者に接する事だけは評価できるか】
【何はともあれ、後は痛む箇所や怪我をしている箇所を教えれば同じ様に全て完治させてくれる筈だが】

/1時を少し過ぎてしまいましたがお時間の方は大丈夫でしょうか……?
559 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 01:12:06.12 ID:TCuUnQQEo
>>558
//次の返信で凍結をお願いしたいのですが、無理なようでしたら切っていただいたりしても構いません……!!
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/24(水) 01:15:49.55 ID:BSGjiKqo0
>>557


【視界≠奪う――それはいみじくも、ロレッタの追撃を不可能にする行為だった】
【彼女が備える能力は、目に映るあらゆるものと距離を無視して接触することを可能にする】
【しかし逆に言えば、視覚で姿を捉えられなければ、直線距離が遠くないとしても攻撃することはできないのだ】
【だから、瓦礫から身を守り、自分自身の退路を探す間に――男は、この場を去ってしまった】


もしもし。こちらロレッタ。――また路地裏案件だよ。
○○地区の△番通りで『機関』の異能犯罪者と交戦し、取り逃がした。
死傷者は出ていないけど、危険思想を盲信する厄介な手合いだ。

……、ああ、…………ということなので、周辺管区の自警団員と警察官に警戒呼び掛けを行って欲しい。
それと現場のビルが崩れて危険な状態だから、消防も必要だな。
合流したら私は一度そっちに戻って、人相を描くよ。……では。


【腕時計型の端末でSCARLETの職員と連絡を取り終えると、一人残されたロレッタは倒壊したビルを眇める】
【血で刻まれた文字を自分にだけ向けられたものだと思うことは、彼女にはできなかった】
【次は、殺す。無辜の人々も巻き込んで。彼が夢見る真なる平和のために――】


はっ、私は死なないよ。あなたみたいな人間こそ、本当に裁かなきゃいけない悪党なんだからね……。


【――理想という建前で暴虐を肯定する悪は、この苛烈なSCARLET隊員にとって最も度し難い存在だった】
【次は必ず確保する。そんな決意を胸に、ロレッタは瓦礫の向こう側を睨みつけていた】

/はい、大丈夫です。絡みありがとうございました!
561 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 01:17:32.51 ID:On6rRAEl0
>>559
//了解です、こちら25日以外ならば空いておりますので凍結の方でお願いしますっ
//ご都合の良い日に雑談で呼びかけて頂ければ対応出来るかと!
562 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 01:42:15.49 ID:TCuUnQQEo
>>558

【女性の言葉は恐ろしいほどに真っ直ぐだ、それこそ汚れを知らない子供のような――――というと少々馬鹿にしているような感じがするけれど】
【純真無垢、とでも言うのだろうか。女性がどんな過去を歩んで現在に至ったのか、少々気になる所だった】
【真っ直ぐで居続けるには強さが必要だ、そして多くの人は其れを持てないから大なり小なり己を曲げて生きていく】
【戦闘能力とかではなく、其の点において女性は相当の物を持っているらしい。正直言えば羨ましく、そして憧れる】

「そう、ですね。過去を振り返るのも大切だけど、だからといって前を見なかったら真っ直ぐ進めないでしょうし」

【あまり笑うのは得意じゃないけれど、女性につられて思わず表情が緩む】
【自警団、成る程――――戦うだけが強さじゃない、戦えるだけじゃ正義には成り得ない】
【戦いに勝てる強さが要らないとは思わないが、きっと其れよりも彼女のような強さが手に入りづらくそして大事なのだろう】
【目先の強さばかりに視線を向けていたため、思わぬところで別の強さを知り――――前途は多難だと、緩みは若干の苦笑へと変わった】


「それは…………。私だったら、多分何も考えずに動いちゃう……と、思う」
「……分かりました、それぐらいでいいならお付き合いさせてもらいます」
「………………えと、お願いします」

【見返りはいらない、其の理由に押し切られ納得し、治療後同行することを了承する】
【金銭や報酬、其れ等を目的とせずに、ただ目の前に苦しんでいる人がいるならば助けずにはいられない】
【それは自分の心持ちが悪くなるからだとか、助けないことに納得がいかないだとか、結局女性の言う自己満足に落ち着いてしまうのだろう】
【少女自身が女性同様困っている人がいたら助けてしまう人間のため、納得させるには十分な説得力があった】
【勿論、金銭や報酬を目的に誰かを助けることも、悪いことだとは思わないけれど】

【「脱いだほうが、いいですよね…………」と一応確認し、傷口を晒すべくマフラー、ブレザー、そしてカーディガンを脱ぎ、まずは一番露出しやすい右腕を腕まくりして出す】
【医療器具に関しては明るくない少女だったが、女性が取り出した器具からは何か不思議な力を感じ、其れが普通の道具でない事はなんとなく察しがついた】
【己が無能力者のため、能力や魔術に関して一切の抵抗が無い、というわけでは無かったが】
【治してもらう身分だ、其の点に関しては不安を押し殺して我慢しよう】

【どのような治療が行われるのか、やはり些か不安はあった――――が、其の不安を払拭するかのように、治療は淡々と進んでいく】
【多少治療されている箇所に違和感はあるものの、むしろ普通の病院での治療より此方のほうが怖くないぐらいだ】
【時間に関しても、どれぐらいかかるのか――――正直な話、脱いだため寒い。長引けば風邪を引くことは想像がつき、少々気になったものの】
【たった数分で、ざっくりと開いていた右腕の傷が完全に治癒した。流石の彼女も驚きを隠せなかったのか、目を丸くしながら興味深く自分の腕と女性の道具を見つめる】

「えっと…………まずは見ての通り右のほっぺたと」
「あとは背中、脇腹、前髪で隠してるけれどおでこに痣と…………それぐらい、かしら」

【傷はおでこを除き全てが裂傷や切り傷、要は鋭い刃物によってつけられたモノだった】
【不安感はすっかり無くなったらしく、傷がある箇所を伝える――これで後は場所が公園でなければ、多分何も言うことは無かった】
【だが我儘は言うまい――――多少の恥ずかしさでこの痛みが無くなるならば】
【そんなわけで少女は、寒空の下大人しく治療を受けることとなった】

>>561
//了解しました、それでは一旦お疲れ様です……!
563 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/24(水) 17:12:35.95 ID:1Nluy2610
あーあ、元気だ事。騒ぎたがるのは人の性かね、こりゃ。

【世間はサンタの襲来で賑わい、イルミネーションが光を灯し】
【空に輝く七色と、ぽつぽつと落ちる雪欠片】
【普段は一通りが少ない街の外れ近く。そこでも行事ごとに託けて人は集まる】
【表通りは赤白衣装。ケーキを携えチキンを並べ、リボンで結ぶプレゼント袋】
【そんな通りにいる一人――灰色の髪と学生服の女】
【学校帰りにも見える風な、軽い調子で足を動かす――ぴたり、と途中で足を止める】

――じゃ、私も便乗させてもらうとするかな。

【――それは突如として、刹那の間に広がった】
【響く爆音と走る衝撃。辺りを揺らす振動は、危険信号を即座に送る】
【一瞬の静止。事を理解する聡明な人】【嬉々を潰して恐怖を乗せて】
【恐怖のクラッカーを口から放出。真っ青な叫びを空へと上げて、逃げ惑う人に佇む女】


メッリー……クリスマスッ!!


【一人だけ――たった一人だけ、その中で恐怖を示さない女がいた。そいつが叫ぶは祝いの言葉】

【爆破した場所は、スカーレットの支部。一度に爆破させるほどの火力を、どうやって手に入れたか】
【何時の間に、誰にも認識されずにそれをつけたか】
【中にいた人は? 被害は? 誰の犯行だ? それより如何にして中に取りつけたのか――いや、それよりも優先すべき事がある】

【――その事故現場で、不敵な笑みを浮かべている女がいるのか。悠然とそこから動かず、立ちすくんでいるのか】
【そしてそれは、この女がした事なのか】

――――ってな。

【それが分かれば、全てが紐解かれていくだろう】
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/24(水) 19:01:17.82 ID:Wv7Jd5B+o
【街中】
【クリスマスイブということもあって、普段より人通り(主に二人組)が増えているこの場所】
【二日間限定のイルミネーションは中々工夫が凝らされていて綺麗だ】

「ちょっとー、マユミー」 『なになにー』
「あっちで、トナカイヘッドマスク被ったサンタがプレゼント配ってるってさ!」
『マジぃ〜、ウソー、一人二役とかマジウケルー』

【噂を聞いた2人の女子高校生が向かった先には、確かに居たのだ】
【サンタの服装をした、トナカイ頭の人と思わしきモノが――身長は2m、帽子を貫通した角も相まってかなり大きく見える】
【袋から取り出されるプレゼントは、縦横30cm、高さ20m程で、薄ピンクの箱を赤いリボンでラッピングしているという……まあ、普通そのもの】

「おじさーん、プレゼントくださぁーい」 『アユミー、失礼だよー、もしかしたらおばさんかもしれないのにぃ』

【近くに建てられた「プレゼント配ってます」の看板、その隣で無言で配るトナカイ頭】
【更に、中身はお菓子詰め合わせの事が、その中身のラインナップも、同じく書かれている】
【中々シュールな光景だが……感じるだろうか、この辺りから感じる僅かな悪意を……気づけるだろうか、異常に生気溢れるトナカイマスクの目が時折ぎょろりと動くことを】
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 20:31:26.06 ID:WgWn2H6V0
【風の国――UNITED TRIGGERの店内】
【窓から零れる明かりが道沿いに光を落とす、僅かに窺える中は、大分賑やかそうで】
【扉に近づくだけでもなんとなーく、中の喧騒が聞こえてくるようだった。どうにも楽しげな、それ】
【もし誰かが扉を開けるなら――ふわっとあふれ出してくる空気は暖かく、どこか料理のいい香りがして】

【――店内を見渡せば、いつも通り楽しそうな酔っ払いの客と、あと、その隙間を忙しそうにしている給仕のすがた】
【ドアのベルの音に反射神経的に「いらっしゃいませー!」なんて声だけが飛んでくる、そして、続く声は】

……お待たせしましたっ! えっと――チキンと……チキン、ですっ。

【だなんてもので、入店した誰か宛ではなく。視線は全く別の客に向いて、皿を配っているところ】
【チキン(骨付きももの照り焼き)チキン(骨付きもものハーブ焼き)。壁を見れば、それらが今日と明日の特別メニューだとあり】
【後はケーキだとか、そういったクリスマスらしいものもあるらしい。――手作り、だとも書いてあり】
【空いた皿を回収して振り向けば、ひらりっと赤い布が翻る。――踏み出した足元も、また、鮮やかな赤で包まれ】

【真っ黒の髪は後ろで丁寧に編まれた三つ編み、それを留めるのは、金の刺繍が入った、赤いリボンで】
【赤を映えさせる真っ白な肌と、黒赤色のオッドアイ。右耳にだけ付けたピアスには、宝玉の欠片があしらわれ】
【身に着けているのは赤と白の色彩だけを持つワンピース、ところどころにあしらわれるもこもことぽんぽんがかわいらしく】
【――まあいわゆるサンタ服とか呼ばれるようなものなのだが、もうちょっと、女の子っぽく、俗っぽくしたもので】
【ミニ丈が翻ると、長い靴下を留めるガーターベルトの金具なんてものが見えるのだが。あくまで余談、だけれど】
【ちなみに足元もサンタっぽさをあしらった長ブーツで。ちょこまかと、机の間をせわしなく動いていた】
【それで、珍しいといえば。その手元には服装とデザインをあわせたような手袋が嵌められていて――少し、変わっていた】

【イベントの日とあって、店内は賑わっていた。賑わっていたが、誰も入れないほどに鮨詰めというわけでもなく】
【店内を動き回る給仕の少女は忙しそうだが、その分、楽しそうな雰囲気でもあって――やっぱりイベントらしさ、溢れていて】

【余談だが、店内にはいたるところにミニサイズのツリーや雪だるまの飾りが置かれていた】
【それが余計に場の空気をクリスマスっぽくしていて――また、誰かからチキンの注文が飛んだ】
566 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/24(水) 21:45:55.04 ID:x3S4lPOj0
/>>550で再募集します
567 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 22:16:12.21 ID:v51rsDBz0
>>565
//まだいますか?
568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 22:25:14.43 ID:WgWn2H6V0
>>567
/ここにいましたー
569 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/24(水) 22:47:02.92 ID:bd5eMevSO
>>563
//ま、まだいらっしゃったりしませんかね?・・・・・・
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/24(水) 22:52:00.70 ID:3BGyK2sno
【イルミネーション輝く街路、行き交う人々は幸せそうな笑顔を浮かべて歩く】
【煌びやかな光に照らされ、街は建物も人間も飾られ、夜空から送られる白い雪すら楽しげに揺れる】

【そんな街中の人波を縫って、早足で歩く男がいる】
【雪のように白いスーツに身を包み、金髪を撫で付け、高そうなメガネをかけた男だ】
【革靴の音を鳴らしながら人をすり抜けて歩くが、それでもこの人の数、躱しきれずに肩をぶつけては「すみません」と謝り歩行を続ける】
【酔っ払っている様子でもないし、足取りがおぼつかない訳でもない、しかし不自然なくらいに人と接触してはその場を立ち去るのを繰り返している】

おっと……悪いね旦那、ちょっと急いでてさ

【この男の事をずっと見ている者がいればその不自然なまでの衝突に違和感を覚えるのかもしれないが、人が行き交う路上では不審に思う人間はどうやらおらず】
【街のムードもあってか、ぶつかられた人も快く謝罪を受け入れてくれる】

(……いやー、全く本当、クリスマス様々だぜ)

【当然の事ながらこんな不審人物が何もしていない訳が無く、きっとぶつかられた者たちは後になって気付くだろう……『財布が無い』と】
【そう……何を隠そうこの男、高い服とアクセサリーで着飾っている癖に、スリに勤しんでいる真っ最中なのである】

(どいつもこいつも幸せそうな面してんだ、少しくらい俺様に分けてくれたってバチはあたんねえよなあ?)
(それにしても、浮かれたアホ面共から金をくすねるのはホンッッッットーに気持ちがいいぜ!!

【余りにも上手く行き過ぎた、成功が続けば人はどうしても調子に乗ってしまう。とはいってもこれ程わかりやすく調子に乗る者もいないだろうが】
【思わず心の中の声が漏れてしまう程に喜びを表したこの男、幸運ながら注目を集めたりはしていないようだが……誰かの耳にはしかと届いているかもしれない】
571 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/24(水) 23:06:44.24 ID:v51rsDBz0
>>565
【この夜は聖夜であった。無論それだけがこの店が賑わっている理由ではなかったが、兎に角また扉が開いた。】
【凍える外気を僅かに含みながら店に踏み入るのは、一人の少女であった。外套と髪についた雪が、酔客達の熱気に溶けていった。】
【アッシュブロンドの髪を肩まで伸ばした、黒いプリンセスコートの乙女である。その青い瞳は、どこか不安げに熱を帯びた空気を見回していた。】
【未だあどけなさの残る顔付きは、長く外気に晒されていたことによって仄かな赤みを差していた。】

「……ううん、どうしよう」

【また、彼女は矮駆でもあった。引きずるほどでもないにせよ、コートは彼女にとってやや大きいことは明らかだった。】
【然しながらその黒地の右肩には、この世界を護るべしとする意志が、僅かながらに見えるのであった――盾に大鷲をあしらった、真紅の紋章である。】
【そしてその両背にも、彼女の身の丈ほどもある一対の剣が背負われていた。】
【片方は機械――回転機関砲らしき何か――が仕込まれた、鍔の無い無骨な刃である。片方は流線のシルエットを持ち、然しながら骨組みの如き刀身しか有さない、異形の剣である。】
【彼女は武芸者であった。しかしながら、そのどうにも不安を隠しきれぬ表情には、剣闘士としての覚悟は見て取れない。】
【彼女はゆっくりと歩きながら、幾度か店の中にいる給仕に声をかけようとした。しかしその何れも、彼女自身が躊躇って止めてしまうのだった。】

「……とりあえず、座ろう」

【結果として、彼女は空いていた手頃なカウンター席に腰を落ち着けた。】
【彼女は意思を表すことが出来なかったのだから、ならば意思を誰かに聞き出してもらうことが、彼女が意思を伝える唯一の手段であった。】
【愈々深まる夜の酒場。その中で独り身の少女が、酔い潰れて騒ぐ陽気者たちの中で一人、悩ましげに冷や水すら舐められていないのは、一種の哀愁に溢れていた。】

/遅れてしまいましたが、よろしければロールをばお願いします……ッ。
572 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 23:19:18.98 ID:WgWn2H6V0
>>571

【彼女が話しかけられなかった給仕は、年頃で言えば、もしかしたら彼女と大差ないように見えたかもしれない】
【サンタ服の鮮やかな赤は少し彼女を幼稚に見せたし、メリハリのない身体つきも、また、幼い子供のそれと似通う】
【なんなら顔もあどけないし、頑張って年上に見積もって、十六、十七、高校生ごろの年齢にしか見えないわけで】
【それならこの夜に酒場の給仕などやっているのは違和感でもある。だが実際のところは二十一――だとは、まだ余談でも】

……――い、いらっしゃいませ。来るの遅くなってごめんなさい……、ご注文はどうしますか?
今日のオススメは、やっぱりチキンと……あと、ケーキとのセットだとちょっとお得です。少しだけど――。

【給仕の少女がやっと現れるのは、彼女が席に着いて数分後のことになるだろう。少し申し訳なさげに現れた少女は、】
【席に置いてあったメニューから、クリスマスだけ特別に置くことになっているメニューを指差し、説明するのだろう】
【曰く――というか、当然とも言えるのだが。やっぱり今日のオススメはチキンとか、そういったクリスマス系らしい】
【メニューを見ればチキンとワインとケーキのセットでいくら、とか、ワイン抜きだといくら、とかそういうのが書いてあり】
【チキンも味が二種類あるとか、セットだとどっちもついてくるとか、そういった――もちろん、その他のメニューもきちんとあり】

【普通のメニューとなると、まあ普通の居酒屋っぽいものはあるだろう。よっぽど変わったもの、とかは無いけれど】
【ある程度常識的な範疇なら、頼めば出てくるはずだ。とりあえず――まずは飲み物でも注文すればいいだろうか】

ごめんね、今日クリスマスだから……その、ひとも多くて、騒がしくって……。
SCARLETのひとだよね? その、ゆっくりしていって欲しいな――。

【とりあえず何か欲しい飲み物やらを告げれば、少女はそんなことを言い出すのだろう。どこか大人しめな彼女を見て、】
【気圧されたりしてるのではないかと心配がったらしい。手に嵌めた手袋をなんとなく嵌めなおしながら、僅かに苦笑して】
【右肩をちらりと見てから、そんなことも言う。そうしてにこりと笑えば、やっぱり、酒場には似合わないあどけなさが目立ち】
【何か注文していたなら、とりあえずはそれを準備しに一度席から離れることになるだろうか、そうでなくて――】

【――何か話でもあったりするなら、彼女は、ひとまず足を止めてくれるはずだけれど】

/よろしくです!
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/24(水) 23:28:37.62 ID:yyTOexYGo
【酒場前】

【綺羅びやかなメインストリートに彩られたイルミネーション。幻想的な言い方ではこんな感じだ】
【オレンジの光のまたたきはメロディに乗り、ターキーとシャンパンすらも美しく輝いて見えそうだ】

………あっ、そうか…今日、クリスマスか…

【こういう、カレンダーが欠落した人間も居る。そういう奴はクルマでメインストリートを走っていてロントガラス越しに】
【やたらに多い渋滞と周りの雰囲気で不意に思い出す。24と25のどちらかがメインだったかも忘れている】

【渋滞を避けて、横道に入って裏通りの何時もの酒場の前にクルマをつける。こんな場末の酒場にはイエスをバースデイなんて】
【これっぽっちも関係ない。自分の誕生日だって最後に祝ったのが何年前だったかすら覚えていないような奴ばかりだ】

【クルマからソイツは降りる。背の高い痩せた男だ。黒い髪、黒いサングラス、黒いスーツ、赤いシャツ、シルバーのネックレス】
【男は彼からすれば少し低い酒場のドアをくぐる。溢れ出る熱気と喧騒はいつも以上だ…平日だってのに混んでる?何故だ】

【それは他のBARやレストランが満席であぶれた客が押し出されてそのまま此処まで流れて来たってわけだ。野郎どもはそんな理由で】
【イライラしている。いつもより呑まなきゃやってられない。明日何て知るか。イエスを祝ってやってるんだから敬虔なもんだろ?】

……オーラィ、クソッタレ

【男は入るのをやめにして、店の入口の横に突っ立っている灰皿の横で一服することにした。シラフじゃ凍えそうな風を浴びる】
【同じようにあぶれた客がやってきては帰ってゆく。こんな夜だってのに暫くはまだ、飲めそうにない】
574 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 23:31:34.47 ID:On6rRAEl0
>>562
【他に示された場所に従い背中、脇腹、顔面部――――その順序で治療を続ける事を先に伝え】
【鼻歌交じりに続けるのだから医師としてはどうなのかとも思われそうだが……最初に治した箇所を見て分かる腕は様に確かなのだ】
【指先で傷を確認したなら同じ様に続けられ、右腕に感じた違和感が背中に移っただけ。女自身の体温が常人よりも幾分高いのか、触れている場所は丁度良く温まるか】

【背中に関しても大して時間が掛からずに終わる事となる。流石に鏡でも無い限り確かめようが無い部位ではあるが、捻ったりすれば痛みが起きない事からも分かるであろう】
【続けて脇腹に――――と器具を準備していた矢先、ふと少女の現状に気付いて】
【「あ」。思わず零れてしまったと言わんばかりの小さな声。自分の着ていたコートを脱いで羽織らせたなら、苦笑を浮かべ】


「ごめんね、そんな格好をずっとさせちゃってたら恥ずかしいし寒いですよね〜……うーん、私もまだまだだなぁ……」

【モノも良いのだろう。保温性も高いし、肌触りも良い。何より先記した様に体温の高い女が纏って居たのだから、自分の体温で温まるまで寒い思いをする必要も無い】
【では女は寒いのでは無いか――――と思えば、本人は全くそんな様子も無く。指先の震えも筋肉を震わせての発熱も無いのだから不思議なものだ】
【患者を保温させる事を終えたなら再び治療を再開。しゃがめば丁度脇腹の傷と平行する様になり、鼻歌交じりに器具を使ったり軟膏を使ったりとするのだが】
【――――……不意に、その音も途切れて】


「もし、言いたくなかったら何も言わなくても良いんだけど…………
カノッサに喧嘩を売られる事が妙に多くて、って言ってましたよね……?
それに腕の傷も、背中の傷も。此処の傷だって“喧嘩”じゃ済ませられないし――――何よりもカノッサ機関が喧嘩じゃ無くて殺す事を平気でするのは、今まで何度も対峙して分かってるつもりだけど……
戦ったなら分かると思うけど……習い事で覚えたもの、だけじゃ生き延びられない筈です。今は良いので、良かったらお店に付き合って貰う時にその事も少し聞きたいかなぁ……」

【少女の言葉が真実ならば、今まで何度かの戦いで生き延びている事になる。“ただの一般人であれば”それは難しい事だと理解して居るのは、自警団に所属しているからこそ】
【少なくとも幸運だけで生き延び続ける事は出来ないし、相応の実力が無ければ一方的になぶり殺しにされるだけだ】
【チラリと向けた視線の先は竹刀袋。中身は分からないが、仮に変哲も無い木刀だとしてもたかが其処等で倣った武術程度では機関の者達の前では戯れに等しいのだから】
【今は話す必要が無いが、後に可能ならば――――少女についてより知るにしても、女について知るにしても。きっと双方にとって都合の良い場所なのだろう】


「はい、終了〜。お疲れ様、違和感は無いですか?無ければそのままお店に…………ん?……ちょっと待って下さいね」

【次は頬を治し、額に関しては指先で優しく数回撫でれば痣も痛みも消える筈で。治療も終わった事だからそろそろ移動でも――――そう提案しかけた時】
【言葉を途切らせ、ジ、と少女の双眸を見つめて。その場で何やら調合を開始したかと思えば、差し出されたのは小さな丸いプラスチックケースだ】
【薬でも無く、中は少量の液体で満たされていて】


「目、あまり良く無い……よね?暗い道を歩くならちゃんと眼鏡とかしなきゃダメですよ〜
多分、これ位なら丁度良いと思いますが…………
んー……流石に私じゃ魔眼とかの機能を付けたりなんて事はできませんけど…………」

【開いて見ればコンタクトが二つ収まっている事が知れる。特に視力を計る事も無く、機械を使う事も無かったけれど確かに“其れ”だ】
【優れた医師は患者を見ただけで容態を把握したり病気を特定するとは言われるが――――この女も其れに近いのか】
【実際に付けてみたならば分かる事。一般のお高いコンタクトと大差は無い上、視力の補正も大体は合う筈だ。その手に通じる者ならば何か特殊な能力も仕込めるのだろうが、生憎其処までの技術は無く】
【其れでも視界が鮮明になったと考えればマシであろうか】
575 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/24(水) 23:49:49.64 ID:v51rsDBz0

「――あ、えっと……」

【給仕の少女からの説明を受けた彼女は、それでも何処か自信なさげにそう呟くのだった。】
【僅かに皺の寄った眉間、その下の青い瞳は、不安げに何度か給仕の少女を見つめ返す。】
【しかし、それでも彼女は小さく息を吸い、意を決したかのようにはっきりとした声色で、注文を始めた――】

「とりあえず、この……チキンのハーブ焼き四人前と、あとジンジャーエールを三本、お願いします。
 あと、ガーリックライスとサラダ、それぞれ大盛りで……ついでに、コーンスープも、一杯。
 あとは鳥ハツと水菜の生姜炒めと、それから……」

【――注文は、長かった。彼女は健啖家でもあるようだった。先程までの困惑ぶりはまるで嘘であった。】
【五品目、十品目、十五品目――まだ続く。一度に注文するということは、彼女一人でこれら全てを纏めて食べ切るつもりなのだろうか。】

「……デザートにいちごとプリンのパフェ、それといちごケーキワンホール。お願いします」

【結果として注文は一分強、総計三十二品目にも及んだ。】
【無論クリスマス・サービスを鑑みても、少女が支払うべき対価は相当のものになるのだろう。】
【だが、彼女はまるでそういった異常さには無頓着であった――彼女は正義であると同時に、奇妙であった。】
【その一つの証左として、給仕の少女が席を離れて厨房へ向かおうとする時――彼女は、給仕の少女へと声をかけるだろう。】
【「あの、待ってください」自ら、であった。】

「……その、いっぱい頼んじゃったし……
 よかったら……運ぶの、手伝っても、いいですか?」

【既に声色からは、既に注文を述べた時にあった勢いはなくなっていた。彼女は奇妙であると同時に、正義であった。】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/24(水) 23:50:38.17 ID:v51rsDBz0
//>>575>>572さん宛ですッ……。
577 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 00:02:28.53 ID:no+MD98yo
>>574

【肌を撫ぜる寒風は容赦なく少女の体温を奪っていくが、それと反比例するかのように治療されている箇所はぼんやりと温かい】
【自分の体温が低い上に女性の体温が高いからか、其の差を余計実感できて――――…………あまり考えたことはなかったけれど、人の体温はなんとなく安心出来る】
【噴き出す鮮血と温度はきっと同じなのに、どうしてこうも違うのだろう。其の差は理屈や少女の頭では説明できない】

「…………ちょっと恥ずかしいぐらいで傷が治るなら、安いものです」

【実際傷はかなり深く、痛みも相応に酷い物だった。戦っている間はまだ脳内麻薬か何かで痛みも緩和されていたが、時間が経つにつれ其れは悪化する】
【病院での治療が受けられない以上自然治癒に任せるしかなく、特別そういった能力が高い訳でもない彼女は数週間、下手すれば数ヶ月は其の痛みから逃れられなかっただろう】
【それがこんな短時間で治ってしまうのだ、代償として肌を晒すのぐらいは安い物といって差し支えないに違いない】
【結局コートを被せてもらったので、むしろブレザーを着込んでいた時より暖かくなったのだが】

「…………ええ、もし私が本当にただの学生だったら、多分この場にはいなかったと思う」
「治療してもらったもの、それぐらいなら話しても構わないわ――――…………ただし、私の話は少し血腥いから、いい気分にはならないと思うけれど」

【彼女の言葉に嘘はなかった。少女の人格はどちらかと言うと善、正義寄りだが、その経緯は下手な悪よりも悪じみている】
【自分が話す分には構わないが、其れを聞いた時果たして相手がどういった反応をするのか――――或いは、拒絶や否定をされるかもしれない】
【職業柄慣れている……といえば、少し嘘になってしまうが、其の可能性も踏まえて、少女は後に話すことを約束した】

「え…………よくわかりましたね」
「って、え…………? これ…………貰っても、いいんですか?」

【まさか目が悪いことを見抜かれるとは思わなかった。いや、睨みつける勢いで目を細めたりと、材料はあったのだろうが】
【此れが腕の良い医者の実力なのかと、驚愕とともに感服する――――が、更に驚いたのはこの後だ】
【女性がコンタクトを取り出して、差し出してきた。そんなもの持ち歩いていていることにも驚きだが】
【貰っていいと了承をもらった後に其れを付けて、視力を測った訳でもないのに丁度良い事に更に驚愕を重ねることとなる】
【此れが名医というやつなのだろうか、すっかり視界は開けども、少女は女性と出会った瞬間から驚きっぱなしだった】
578 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 00:04:24.34 ID:mhnFKo4N0
>>575

【そういえば、店内を見渡せば気付いただろう。目立つところに、クリスマスセールなどと書かれていて】
【なんとなんとの全品半額らしい。となれば、普段ちょっぴりお高いメニューも出やすい、わけで】
【給仕の少女がてんやわんやしてたのはそんなところにも理由があったのかもしれない。慣れないメニュー、多めなのだ】
【だからといって音をあげて「帰ります!」というわけにはもちろん行かないなら、頑張るしか――そう、頑張るしか、ない】

はーい、……はい? ……え、えっと、ハーブ焼きが四つと……、ジンジャエールと……。――――。

【とりあえずと言われれば飲み物の注文かと思う、そこに一品二品付け足されることに、そこは疑問を持たないけど】
【さらさらと伝票に文字を書き出していた手はすぐに止まることになる。思っていたのの倍……倍以上?は量が多い】
【えっえっなんて明らかな困惑を顔に出しながら、しかし、手はきちんと注文を取っていく。最終的には――】

ワンホール――、……。

【自然災害を畏れる昔のひと、みたいな顔をしてしまっている給仕の少女がそこには居ることだろう。だけれど、】
【仕事は忘れてないらしい。僅かに震えているような声で注文を復唱すると、それでいいかと彼女は問い】

……あの、本当に、いいの? すっごい量だよ、本当にすっごいよ……、その、ほんとうだよ?

【むしろ何かの間違いであって欲しい的態度を取ってしまうのだった。給仕だというに、ずいぶんと自我を持ち】
【とにかく凄い量であるのを強調しまくった後に、本当に本当にいいのか、と、訪ねて彼女は首をかしげる】
【それでも尚頷くなどで肯定すれば、本当なのか――とでも言いたげな顔でカウンター向こうの厨房へ向かう姿が見られ】

あ……、ええと、その、大丈夫ですっ、お客さんに手伝わせたなんて言ったら、お姉ちゃんに怒られちゃうし――。
ゆっくりしててくださいっ、大丈夫だから――。

【とりあえず素で尋ねたと思えば、すぐに給仕らしく取り繕う。あどけない顔に、少しびびっている笑顔を貼り付け】
【それでも仕事を全うしようとする。伝票を何度も見ながら、見て確かめながら、立ち去ろうとした背中に】
【そう声を掛けられれば――少し肩を震わせ振り返り、その言葉をお断りするのだ。座っていて欲しい、と】

【そう、少女はお客様なのだし――座って待っているのが、きっと、一番いいだろう】
【料理は早く出せるものから順番に出てくる、もちろん、飲み物が一番最初に提供されて】
【ついでにお通しは小エビをエビマヨっぽく仕立てたもの。たくさん食べる彼女には、きっと、物足りないが――】
579 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 00:32:54.23 ID:7vI+2uHB0
>>577
「血腥くても、何でも良いんですよ。私は怪我や病気なら見ただけで大体の事を判別出来る自信はありますけど、その人の生い立ちまでは見通せませんからね〜」

【結局最終的に必要なのは言葉だ。幾ら洞察力に優れていようとも内面まで見通す事は出来ないのだから】
【「どんなお話しでもへっちゃらです」と、胸を張って言う様は滑稽なのだけれど】
【約束が交わされれば、例え良い話でも無いと伝えられて居ても何処か嬉しそうに頷くのだから不思議な性格】


「ふふ、慣れてくれば大体の事が分かります。匂いや顔色、歩き方とかから判別する事が出来るのが良いお医者さんの条件ですから
それに、寧ろ折角調合したのですから貰ってくれないと無駄になってしまいますよ〜。こーんなに小さい物でもずっと取っておく訳にも行きませんからね」

【悪戯っぽい笑みはまるで自分がその良いお医者さんやらだと言いたげで】
【謙遜のケの字も持ち合わせて居ないのだろう。決して傲慢では無いのだが、同時にお淑やかさも掛けて居り】

【――――コンタクトを手渡した事によって、全ての治療が終える事となる。器具やらを全て戻せば、バッグに収めて】
【ふう、と吐かれた白い吐息は疲労を取るかの様。実際の所どれだけ集中していたのかは本人にしか分からないが……跡が残る事が無い程度には真剣に挑んでいたのか】
【ブレザーだとかを着直した後も、コートはそのまま羽織っていて良いとだけ告げて立ち上がり】


「さてさて、ずっとお外で話して居たら風邪を引いてしまいますからね〜。お店にゴーゴーですっ
…………あ、そう言えばお名前の方はまだでしたね

ドリー。ドリー=グッドフィルが私の名前です。皆さんにはドリーと呼んで貰っていますから、あなたもその様に呼んでくれると嬉しい、かな?
今は自警団とお医者さんを兼業していますが、本当はグッドフィル家は元々羊飼いをして居た一族なんですよ〜
医療行為は村の小さなお医者さんとして行っていた程度なんですけどー……」

【終えてしまえば此処に長居する必要も無い。どうせ店に付き合って貰う約束もしたのだし、暖かい場所に移った方が良いだろうと歩みを始め】
【数にして数歩分。そう言えば、と手を打ち鳴らせば今更思い出した様に自己紹介】
【羊飼い――よりも、フワフワとした髪だとか性格だとかの所為で寧ろ本人が羊にも見えるけれど】

【少女が簡単な自己紹介を返すならば其れを聞きながら歩みを進めるだろうし】
【そんな事をしている間に辿り着いたのは件のお店だ。様々な食べ物の香り――――詰まり、レストランに着く事となる】
【「仕事上がりに一人でご飯を食べるのは寂しくて〜……」言い訳染みた其れと共に苦笑を浮かべて。止める事も無いならばそのまま脚は店内へと進み、やがては店員に席へと案内される事となろう】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 00:35:24.76 ID:0cK9bVefO
>>578

「えっと……承知の上、です。
 いつもより『ちょっと』多いけど、このくらいないと……困っちゃう、ので」

【給仕の少女の困惑は、どうやら彼女にはある程度予見できていたものらしい。】
【申し訳なさそうに苦笑すれば、薄くともはっきりと紅い唇から覗くのは、白磁の歯である。】
【そして手伝いの申し出を遠慮された彼女は、今度はまた些か不安げな調子でこう述べるのだった。】

「あ……ご、ごめんなさい。じゃあ、待ってます」

【ややオーバーに謝罪の意を表明すれば、彼女は膝の上に手を置き、そして待つ。料理が来るまで、眈々と、淡々と。】
【少女は普段起こることには敏感であったが、しかし普段起こらないことに対しては鈍感であった。】
【給仕の少女が肩を震わせている理由も、果たして彼女は何を笑っているのかと思索する程度。】
【しかしながら、給仕の少女が述べた「お姉ちゃん」――その言葉には、僅かながら反応を示すようだった。】
【故に彼女の表情は僅かに強張っていた――が、蓋の空いた瓶入りジンジャーエールとエビのお通しが配膳されれば、その表情はやはり楽しげなものとなる。】

「……美味しい、です」

【箸を器用に扱い――この少女、外見からすればこんなものはあまりにミスマッチであるが――エビのマヨネーズ和えをかきこむ。】
【続いてジンジャーエールの一本を軽く喇叭飲みすれば、満面の笑みでそう告げた。】
【――給仕の少女から、彼女自身が注文した品目がやってくる度に、彼女はそんな調子で片っ端から平らげて行くだろう。】
581 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 00:51:59.35 ID:mhnFKo4N0
>>580

【僅かに少女の表情が強張ったのを見て、彼女は何を思ったのだろう。「あ、セリーナのことなの」だなんて付け足すけれど】
【「今日はお店、来ないのかなぁ……」なんてぽつりと呟けば――ふと寂しいような少し恨めしいような目をして】
【だけどすぐに「少々お待ちくださいねっ」なんて営業用の声を出して、その背中はカウンターの向こうに消えていく】

【余談だが、彼女の声。まるで鈴の音のように透き通って震えて、店内によく響いて聞こえる】
【不思議に金属質な声をしているのだ。それが特徴的で――高めの音程で推移する地声、今はいつもより少し高い】

【それからしばらく。別の客の注文を取ったり、少女の料理を作ったり、彼女はばたばたとしていたが】
【眉間に皺が寄るほど料理が遅れる、とか、そういったことはなかっただろう。少し遅いことはあったとしても――】
【そうして何品目かの料理を持ってきたとき、彼女は、ふっと――給仕の手を止め、まじまじとその食べっぷりを見て】

その、……本当に食べちゃうんですね、わたし、そんなに食べられないから……、……――。

【だなんて、本当に不思議、というよな声で話しかけるのだった。きょとん、というか、呆然、というか、そんな目をして】
【空っぽのお皿を集めてお盆に載せたなら、それをカウンターの上へと置いて――手をからっぽにして、】
【口元に両手をそっと添えるようにしながら――ちょっぴり気の抜けたような口元を隠す、それで何も誤魔化せないけど】

…………冗談かと思ったから…………。

【――素直なのはいいことである。だが給仕としてはどうだか。まさか、本当に食べてしまえるのだとは思ってなかったらしく】
【冗談だったらそれはそれで作る側としては気分がよろしくないもの、だけど、本当に食べてくれるのなら、話は変わり】
【その食べっぷりに機嫌がよくなってくるものなのだ。故、彼女はにこにことしながら――、】

【「あ、ちょっと、待ってて――」だなんて言って、ぱたぱたとカウンターの中へ入っていく、そして数分、】
【戻ってくる彼女の手には小皿が持たれていて。それを他所にでも提供しに行くのかと思えば、】

その、……サービスです、いっぱい食べてくれるから――よかったら。

【ことん、と、その皿を彼女の傍に置く。見れば、ごぼうサラダ――だと思われるものが入っていて】
【あんまりに食べてくれるから嬉しくなっての行動。もちろん、彼女が拒むようなら、片付けられるだろうけど】
【特別に大したものとかではない、が、もしよければ――なんて彼女は笑って、緩く首をかしげていた】
582 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 00:59:01.79 ID:no+MD98yo
>>579

【袖を折っていたブラウスを元に戻し、その上からベージュ色のカーディガン、そして黒色のブレザーを着直して、首にマフラーを巻く】
【そしてコートを返そうとするもそのまま羽織っていていいと返され、数秒停止した】
【恩人に寒い思いをさせる訳にはいかないだとか自分だけ暖まってもとか色々考えるも、今までも調子から考えて多分押し切られてしまうことは目に見えており】
【葛藤の中でそのまま大人しく借り受ける事を選択し、小さく頷いて礼を述べ、そして立ち上がった】

【治療が終わったのならば、後は約束通り女性に同行することになる――――が、少女は未だ行き先を伝えられていない】
【そのため必然的に女性の背中を追いかける形となるのだが、進み始めて僅か数歩で女性が止まった】
【どうしたのだろう、と首を傾げて見つめると、女性が自己紹介を始める――――――――ああ、そういえばまだ自己紹介すらしていなかった】

「私は山城桃子、レイリスフィード学園高等部普通科の一年生です」
「えと、山城家は――――――――………………これは、あとで話すって約束したし、あとで話します」
「それと治療ありがとうございました、ドリーさん」

【頭を下げて、治療の礼を述べる。本当ならば此の程度では、そしてお店とやらに同行する程度では返せない程度には大きな恩があるのだが】
【情けないことに返せるものは今のところ無く、女性の言葉に甘えて約束を果たす事しか出来ない】
【少女も女性に倣い自分の家の説明をしようかと考え、そしてやめる――――つまり彼女の出自、家系はカノッサ機関と戦って生き残れた理由に繋がるということだ】
【生まれからして訳あり、それも血腥いとすでに提言している辺り、少女の其れは相当に根深い物らしい】

【さて、自己紹介も終え、少女は女性の半歩斜め後ろからついていき、お店とやらに向かう】
【辿り着いたのは何やら食欲をそそるいい匂い――――レストランだった】
【最近ろくな食事を取っていなかったため、思わず彼女のお腹が反応する。恥ずかしそうに右手でお腹を抑えながら、おそらくは女性も予想がつくであろう言葉を少女は発した】
【お金無いんですけど……と。少女は治療前に言った通り、お金がなくて病院から出てきたのである】
【財布の中身は残り四十二円、とてもではないがまともな場所で食事が取れる金額ではなく――――】
583 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/25(木) 01:26:48.06 ID:0cK9bVefO
>>581
【給仕の少女が独白するのを耳にしつつ、耳を澄ませば何処となく奇妙なその声に、少女は食事の合間に少しだけ首を傾げたる。】
【が、やはり次の品目がテーブルの上に置かれたのならば、彼女はそれを平らげることに専念するのだった――大抵の料理は、三分も経たずに完食されていた。】
【何品、彼女は食べ終えたか。彼女自身も数えないようになった頃合いで、給仕の少女に話しかけられれば。】

「あ、……無理もないと、思いますよ。
 大抵、ものすごく驚かれるし」

【愚直過ぎるほどに語る給仕の少女にも、彼女は特段の苛立ちを見せることもない。】
【また給仕の少女が思う所を、この少女が知る由もなかった。しかしそれでも、喜びは少なからず把握することができるようだった。】
【そして給仕の少女が厨房に暫く篭り、手に何かしらの器を持って出てくれば、この少女は僅かに首を傾げて――】

「――あ! どうもすみません、ありがとうございます……。
 いえ、サービスだなんて。ちゃんとお代は払います、から」

【――そしてそれが、単なる追加注文にとどまらないことを把握したこの少女は、一際嬉しそうに微笑むのだった。】
【しかし、牛蒡のサラダが入った器も、他と同じように食べ終えられる。少女はそれを理由にして、請求にそれを上乗せすることを望んだ。】

「……あの、もしよかったら、お名前。教えて、いただけますか?」

【――ふと顔を上げた少女に緩やかな笑いを投げかけるのは、一人の心優しい給仕であった。】
【一期一会は、少女にとっては必ずしも流儀でなかった。それ故に、彼女は名前を尋ねた。この少女は給仕の少女へと、敬意に似たものを捧げていた。】

/すみません、眠気で頭が回らなくなってきました……
/凍結か軽く〆るか、どちらかをお願いします。
584 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 01:28:53.85 ID:7vI+2uHB0
>>582
「それじゃあ、桃子ちゃんですね〜。治療に関しては別に良いんですよぅ、私がしたくてした事ですから
でも、やっぱりお礼を言って貰えるのは嬉しいですね〜……どういたしまして」

【名字では無く名で呼ぶ所が馴れ馴れしいが、大体の相手には同じ様に下の名で呼んでいる事は容易に想像出来るだろうか】
【山城家については深くは追求しない。約束があるから、のみならず。言いたくない事ならば無理に言わせる必要も無いのだから】
【だから、“後で”と言われれば頷くだけに留めて】


「何を言ってるんですか〜。私は山城ちゃんよりもお姉さんなのですから、私が奢ってあげますよ。こう見えてもお金はすっごい沢山持ってるんですら
それが嫌なら……う〜ん……そうですねぇ……食事に付き合って貰うお礼です。それも嫌なら……あっ、私からのクリスマスプレゼントと言う事でどうでしょう

ほらほら、育ち盛りの子がお腹を空かせてちゃいけませんっ。桃子ちゃんならダイエットも必要ありませんし、さっきまで怪我人だったのですから尚更です!
レッツゴーレッツゴーですよ〜。ここのオムライスとかパスタがお勧めと聞いていたから、前々から来てみたかったんですよねー」

【取り敢えず分かる事は無理にでも付き合わせる、と。或いは腹の音さえ聞こえなければ、また何時かと約束して別れる未来もあったのかもしれないが――――生憎、お金が無いだとかの話も覚えて居るのだから逃す筈も無く】
【それでもと後込みしていたならば背中を押すようにして入店する事となるのだろう。女のスタイルは日々の努力によって維持されているのかも分からないが、音符が着きそうな程には上機嫌での入店となる】

【着席したならばメニューを開き、散々悩んだ挙げ句に適当なセットを頼み。少女にも問うが、特に何も無く一緒の物でとでも言えば同じセットメニューが2つとなり】
【――――内装はシックな雰囲気。辺りを見れば豪勢とまでは行かずともそれなりに良い物であるのは確か】
【適当に話して居れば、やがて並べられるのは小盛りのパスタが数種類とサラダ、飲み物にバゲット、その他、スープだとか様々な物。一つ一つが小さく様々な味が楽しめる、だとか】
【学生からすれば、クリスマス前には幾分豪華な物であると表しても良いであろう。――無論、一般学生からすればの話だが】

【頂きます、と。まあ大体は適当な事を女が一方的に話して居るので適当に頷いてやりながら食べて居れば良いだろう】
【出てきた物も粗方食べ終えた後。口の周りを拭いて、水を一度飲んで。やがては、黄色い双眸は少女へと向けられて】


「それで、桃子ちゃんのお家…………山城について、それがカノッサから生き延びれた事に繋がっているなら――――……もし、話したくないなら何も言わなくても大丈夫ですよ
折角美味しかった食事なんですから、気持ちよいままで帰りたいですもんね」

【珍しく真剣であった。“後で”と回した事――――其れを、此処で一度だけ問う】
【嫌であればとは世辞でも無く、本心。嫌な事ならば話す必要も無いし、また今度――そう笑顔で別れれば良いだけなのだから】
【治療も終えた、食事も終えた。ならば後残すのは話す事だけだ。彼女の話を聞いて女が拒絶をするか否定をするか、それとも罵倒するか。少なくとも正義の立場――――紡がれる話は未知】
585 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 01:30:17.40 ID:mhnFKo4N0
>>583
/了解ですー、明日はちょっと昼間に出かける予定があるのですが
/多分夜は大丈夫だと思うので、凍結というのでも大丈夫ですよ!
/この後レス返しておきますので、それでそちらのやりやすいようにしていただけたらと……
/ひとまずお疲れ様でしたっ
586 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 01:45:11.27 ID:mhnFKo4N0
>>583

【鈴の音の声。それはどこか、今宵の雰囲気と似合う気もする。クリスマス――鈴の音というのも、ペアみたいなものだし】
【それにしても人間としては不思議めな声であるのは確かだった。綺麗な声といえばそう、なのだけれど――】

ううん、食べて欲しいの、今日ね、いろいろなもの、はりきって作っちゃったから――。

【彼女が接客が下手、というよりは、この店がいくらもアットホームなようだった。時々見える素は、悪気はなく】
【こちらもこちらでサービスと言って聞かない。最終的には「クリスマスプレゼント」とか言い出す始末で、】
【だけどそれでもよっぽど少女が拒否するなら、彼女も折れるだろう――客相手に問答するのも、少し気が引けるから】
【――言葉を信じるなら、在庫過多気味になっているらしいのだった。それなら助けると思って――まで、必死ではないが】

りんねです、鈴音・シュトラウス。鈴の音って書くの――、

【それから名を問われれば、彼女は自分の名前を告げる。手の平を少し見せるようにすれば、指先でそこに文字を】
【鈴、音、と書いてみせる。少女が漢字を扱えるものかはさておいて、自分の名を、正しく伝える方法として】
【櫻の響きと異国の響きが混じっている。それならどこかとのハーフだろうか、それとも、――】

【(実際のところ、彼女が既婚者、だから、だったのだけど)】

あ。……ケーキ持ってきますね、少し待っててください。

【それから、ふと。少女が食事系のものを食べ終えていることに気付けば、彼女はまた空き皿を回収して】
【そう言ってまた姿を消すのだった。――というか、どうやら、彼女が厨房も接客もやっているらしく】
【ずいぶんと忙しそうだが、同時に、楽しそうでもあるのだった。ころころとよく笑っていたし、】

【――なんてことを考えるような間もなく、彼女はすぐに戻ってくる。片手にはパフェ、片手にはホールケーキ】
【よいしょっと少女の前に提供して――ふうと一息、それで、どこかおいしそうに食べてくれるのを期待するよな目をして】

【ケーキはメニューにも書いてあった通り、手作りのものらしい。クリームは売られているケーキよりいくらか甘さを控えて】
【苺は甘いがきゅんとすっぱい。それでもたーっぷり使われているのは、どうやら、彼女の趣味らしいが――赤と白が映え】
【スポンジもふわふわとしていて柔らかい。そんなケーキの上には、いかにも挑戦してみたらしいチョコの飾りなどが乗り】
【うすーく固めてくるんっと巻いたものとか、なんだかそういうのがいろいろと乗っている。まあ、楽しげなケーキだ】

【パフェのほうは――こちらもまた苺が多い。多分彼女が苺好きなのだろう。なんとなく好きそうな顔をしている(?)】
587 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 02:19:15.65 ID:no+MD98yo
>>584

【少女も、当然だが人間だ。食事を取らなければ死ぬだろうし、欲を言えば食べるならば美味しいものが食べたい】
【櫻の国から此方に出てきてから、生活費はアルバイトでなんとか稼いでいたものの、それでも学生のアルバイトで稼げる金額などたかが知れている】
【食事は質素の限りを極めており、まさしくただ命を繋ぎ止めるためだけの作業とさえ言えた】
【ああ、でも――――匂いだけでも幸せになれる、ならば其れを食べた時どれだけ幸せになれるだろうか】
【奢ってくれるなら――――けれど恩人に此れ以上恩を重ねるのか――――葛藤に次ぐ葛藤、泣き喚く腹の虫、加速する虚しさ】
【逡巡している間に少女は女性に背中を押され、いつの間にか入店していた。ここまで来たら逃げれない、と言い訳してありがたく奢られる事に決める】

「…………」

【店内に視線を向ける。派手さはなく落ち着いた雰囲気、お金のない少女でなくとも、普通の学生ならば入るのに少し躊躇うような、それなりのお店であることが伺える】
【とはいえ少女が気にしていたのはお金がない、その一点であり、店の雰囲気に対しては物怖じしている様子はなかった】
【こういった雰囲気に慣れているのか、或いは此のお店よりも高級な店に行ったことがあるのか】
【いずれにせよ、諸事情を抜きにしても落ち着き払った態度である事は確かだった】

【メニューを開くも、どれも今の少女からすれば手が届かないものばかり――――悩んだ結果、頼んだものは女性と同じ物】
【会話――――と言っても女性の言葉に少女が相槌を返すのが主な形となるのだが、そうして話している内に料理が運ばれてくる】
【思わずキラキラとした視線を送り、そしてこほんと咳払いで其れを誤魔化し、そして頂きますと料理を食べ始めた】
【美味しい、と感想を述べるならばその一言に尽きた。お金がなくて普段お茶漬けばかり食べている彼女からすれば、此の食事はとんでもないご馳走である】
【しかしながらがっつくような真似はせず、食べ方をみれば礼儀作法が行き届いている事は察しがつくかもしれない】
【食べつつも女性の話に頷き、驚き、時には笑い、小さいながらも反応を返しつつ、つつがなく食事は終わる】
【普段一人で食事を取っており、誰かと食べるということ自体久しぶり――――誰かと食べる食事というのは、やはり良い物だと実感する】
【其れに加え彼女はとんでもなく空腹だった。空腹は最高の調味料とも言うし、様々な条件が重なり合って今宵の食事は彼女にとって非常に素晴らしい物だったと言えるだろう】

【それでは本題へ入るとしよう――――約束は約束だ、其れに今現在何も返せない以上、自分にできることは此れぐらいだから】
【話したくないなら話さなくていい、そんな女性の気遣いは嬉しかったが、水を一口飲み喉を潤すと、ゆっくりと口を開く】

「…………折角だし、聞いてください。あなたが助けた人間がどんな人間か――――もしかしたら、助けなければよかったって、後悔するかもしれないけれど」

//ごめんなさい、続きます……
588 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 02:20:37.28 ID:no+MD98yo
>>587続き

【先ず彼女が手始めに話したのは、己の生まれ育った山城家について】
【山城家は櫻の国で代々将軍のお抱えで死刑執行人を務める家系である、彼女はその山城家十二代目当主の長女として生まれた】
【斬首には一定以上の技術が必要となる。下手なものがやれば罪人を苦しめることになるのだ、だからこそ執行人を務める当主は幼い頃からその技術を叩き込まれることとなる】
【彼女もその類に漏れず、物心ついた時には既に厳しい鍛錬に身を置いていた】
【しかしながら彼女が殺人技術を磨いていたのは、あくまでついでだった――――彼女には、双子の兄がいたからである】
【兄は総てにおいて彼女より優っていた。誰もが、兄が当主になると信じて疑いなかった。少女自身、そう思っていた】
【だから彼女は兄のついで、武門の家に生まれたのだから彼女も相応の実力は身につけなければならない、そんな理由で修行を続けていたのである】

【そして転機が訪れた。少女が十一歳の時である――――両親が、何者かによって殺された】
【父が行っていた仕事は次期当主に引き継がれることとなる、そして其れは順当に兄となるはずだった】
【遺言で父が兄を次期当主にすると告げていたからだ、よって十三代目当主は彼女の兄となる】
【其処で話が終われば、彼女はただの武家の家の出の箱入り娘というだけで話が終わるのだが――――】
>>587

【山城家には、代々引き継がれている一振りの刀がある。呪刀、そう称される其れは、当主と認められた者にしか握ることが許されていない】
【兄が引き継ぐはずだった其れ――――しかし呪刀は兄を認めず、少女を選んだ】
【理由は分からない。けれど兄は呪刀を扱えず、総てが劣る少女が呪刀を握ることを許された】
【遺言によって当主は兄だと決定している、ならば少女は――――結果として、死刑執行人の任を少女が、其れ以外の仕事を兄が行うことで決着がついた】
【其れから三年間、彼女は多くの人間を殺す事となる――――数にして、六百人以上】

「……私がカノッサ機関の人間と戦って生き残れたのは、それが理由です」
「技術がないと、罪人を苦しませることになる――――だから私は、人を殺す技術を磨き続けました」

【そして話には続きがある――――そういった経緯があるため、山城家の当主は代々非常に優れた技術を持つ剣士が多い】
【それを理由に、上司――簡単に言ってしまえば殿様から、政敵や邪魔な存在の暗殺を依頼されることが多々あった】
【断ることも出来たのだろう、しかし兄はそれを引き受けて、少女は殺した】
【最初は知らずに殺した。可笑しいと思いながらも、此れが仕事なのだと自分を無理やり納得させて殺した】
【そうして罪がない人たちをも殺し続け、疑問がたまり兄に尋ねたのだ――そして少女は、自分が罪のない人々をも手にかけていた事を知る】
【それでも彼女は殺し続けた。自分が断罪者であり続けなければ、殺された人々は罪を赦されたということにはならないからだ】
【殺し続けることによって、殺された人々の死を無駄にしない――――それが逃げだと分かっていても、彼女は殺し続けていた】

【そしてそんな自分を変えたいと、とある出会いをキッカケにそう思うようになってから、彼女は公式の斬首刑以外の仕事から一切手を引き】
【殺さなくてもいい、そんな世界を作りたい。それこそが殺し続けてきた自分ができる唯一の償いであり、やらなければならないことだと考えた】
【結果は残念ながらカノッサ機関相手に敗走を繰り返し、死にかける始末なのだが――――それが、彼女がカノッサ機関と対峙して、逃げなかった理由である】
【いずれにせよ彼女が殺し続けてきた悪人であり、そしてそれを必死に償おうと足掻いている弱者であること】
【少女は其れ等を伏し目がちに、時に間を置いて、淡々と女性に語るだろう――――非難されても仕方がない、血に濡れた人生を】

//非常に遅くなりました、申し訳ないです……!
589 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 02:22:18.77 ID:no+MD98yo
>>588
//途中の安価は無視してください……そして連投すいません…………
590 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 03:17:45.96 ID:7vI+2uHB0
>>587>>588
【基本的に世話を焼く事が好きな性格。だから食事を美味しく食べてくれるならば奢った方とて楽しく見ていられる】
【そんな内に双方の食事も終わり、テーブルに並べられた皿も全てが片付けられて】
【――――さて。自分から聞かせて欲しいと望んだ話した。当然途中で口を挟むような真似もせず】

【ある意味ではこの女もポーカーフェイス。ただ頷き、話を聞くのみに徹して浮かべた表情の下での感情を覗かせないのだから】
【話の節々に何と無く先からの言動で頷ける面も多い。食事の取り方もそれの一つではあるが――――間違い無く急所を狙ったであろう斬撃を、他の部位で受けた様にも見えていたから】
【ただの人間で在れば怯えている内にたった一振りで決着が付く。だけれどこの少女はどうだろうか。嗚呼、なる程。ならば合点が行く】
【正直に記すならばこの女は対象の殺害よりも拘束を最優先とする。即ち、殺害を良しと思って居らず…………だが、思っては居ないだけで否定はして居ない】
【やむを得ない状況ならば殺さねばならないし、殺されなければいけない存在も居る。実際に少女に遠く及ばず数回ではあるが命を奪った経験もある。決まって、そんな日は嘘の様に喋らなくなるのだけれど】


「結論から言ってしまえば――――……私は、あなたを助けて良かったと思って居ます」

【確かに殺す事は悪いことだ。だが、事情も背景も知らずに最初から否定して悪だと決めつける程愚かな生き方をしては居ないつもりだ】
【少女には殺さねばならない理由があった。もしも其れが悦楽の為だとかならば、この場を戦場としていたかもしれない】
【だけれど、実際はどうだろう。罪も無い人を確かに殺しているし、過ぎた事だからと無視出来るだけの事では無い】
【果たして一つの命で償いきれる罪なのかと問われれば、答えは否――――だけれど。それでも助けて良かった、と】
【罪を感じている。変えたいと思って居る。死を無駄にしない為にと泥沼を歩み続けていた時もあったとしても――――きっとそれも正しい考えの一つなのだから】


「桃子ちゃんは決して楽しんで人を殺していた訳でもありません。幼い頃から血を浴びたなら、きっとそれ相応に罪だって深いのかもしれません、けれど。それでも私は貴あなたを助けて良かった、と
力の使い方なんて幾らでもあるんですから。生かす為の技術を殺す為に、殺す為の技術を生かす為に
――――変えたい、と思って居るのだから。償いたいと思って居るのならば、私は自分のした事は間違ってなかったんだな、って」

【彼女の切っ掛けは分からない。それでも、変わろうと思ったのならばそれで良いのでは無いだろうか】
【沢山の命を奪ったのならばそれ以上の命を生かせば良い。彼女ならば出来るだろうし、彼女の白い手ならば何人もの命を掬い上げる事が出来るだろうから】
【自分が助けたのはそんな人物なら――――自分の行いは何一つも間違っては居ない。ただ傷付いていた正義の徒を助けた事に何の間違いがあろうか、と】

/続きますです……
591 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 03:18:05.69 ID:7vI+2uHB0
「もし、沢山の人があなたを責めたとしても私は味方で居てあげます
――――私が驚かせた時も、治療をして居る時も、食事を届けに来た時も。そして、今はこうして下を向いて話してる姿も。桃子ちゃんは普通の女の子なんですから
少しだけ変わった……ね。だから、上を向いて下さい。下ばっかり見ていると良い事だって見逃しちゃいますよ?」

【もしかすれば非難する者も確かに居るのかも知れない。だが、自分は其れでも味方で居る――と】
【ただ慰めるだけの言葉では無い。実際に、そう思ったから。確かに血腥い経歴を持っては居るが、自分が見た限りは彼女とて変わらない一人の少女だ。非難出来る筈も無い】
【だから暗く考える必要も無いのだから顔を上げて、なんて。先までと変わらぬ柔和な表情で】


「…………桃子ちゃんが本気で殺さなくても良い世界を作りたいと想っているなら。きっとそれは一人ではとても難しい事です
カノッサだけで無く、世界には様々な悪が存在して居るんですから。もしかすればどうにも出来ない所まで追い詰められる事だって

でも、組織が在るのは其れだけではありません。UNITEDTRIGGERやSCARLET等の人々を守る……所謂正義の組織だって存在して居ます
もしも桃子ちゃんが本気なら――――……」

【其処で言葉は途切れた。これより先は果たして彼女に言っても良いのだろうか。学生、ならば態々戦わずとも別な方法だって探せるのかも知れない】
【――――だが。もしも彼女が自分の手で殺めたからこそ自分の手でその世界を作り出したいのだとすれば】
【断られれば、それで良い。若しくはそれこそが安全であり、今までの様に危険な目に遭わないで済むのかもしれない】
【……分かっては居るのだけれど。それでも、その先の言葉は紡がれて】


「私は自警団にしか所属していませんから、その自警団にしかお誘いできません
それでも、もし桃子ちゃんが良ければ――――自警団に入ってみませんか。もしかしたら今まで以上に危険な目に遭うかも知れませんし、カノッサの上位やそれ以上に危険な人と戦う事になります
命を落とす方だって、珍しくはありません。……それでも最前線で戦える事は間違い在りません。そして、数多くの命を助けられる事も」

【少女の話を真面目に聞いていたからこそ言わねばならないと感じた】
【彼女が一人で行いたいと言えば引き留める事も無い。然れど、激戦地に赴くのならば多くの命を救える事も守る事も可能だから】
【――――強制でも何でも無い。ただただ問うただけ。全ての選択権は少女に委ねられていて】

/おお……気付くのが遅れて申し訳無いのです……
592 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 03:43:13.69 ID:no+MD98yo
>>590>>591

【罵倒されても仕方がない、いやむしろそうあるべきだと考えた上で、彼女は自らの事を女性に話した】
【しかしそんな思いに反して帰ってきた言葉は温かく、女性の浮かべる表情は柔らかかった】
【許されるべきではなく、認められるべきではない――――心の奥底でそんな風に思い込んでいるから、その反応は彼女の予想から大きく外れていた】
【断頭台は死ぬまで断頭台だと、そう言われたことを思い出す。あの時の剣士の言葉と、自分の経歴を知ってなお普通の女の子だと言ってくれた女性の言葉】
【何方が一体正しいのか、彼女には分からなかった――――――――いいや、多分きっと両方間違っていなくて、どっちも正しいのだろう】

「…………そう、ですね」

【たった一人の力と言うのは、とても小さい。自分を変える、そして世界をも変える、そんな言葉を豪語するも彼女の中に不安がないわけでは無かった】
【自分にそんな大逸れたことが出来るのか。やらなければいけないのだと思う一方で、そんな考えがなかったといえば其れは嘘になるだろう】
【一人で背負い込み、一人で何とかしようとする。生まれ持ってそういう気質のため、誰かや何かに頼るという発想が欠けているのだ】

「…………え?」

【だからこそ、女性の提案は彼女にとっては衝撃だった。たった一人、其れも何の異能も持たない無能力者が世界を変えるのは難しい、其れが現実である】
【だが悪にカノッサのような組織が存在するように、正義にも組織が存在する】
【其れに所属することによって助けられる人が増え、或いは彼女の願いも成就させることが出来るかもしれない――無論その分、危険も増えるが】
【普通の人間なら真っ先に思いつきそうな発想だが、少女には其れが思いつかなかったらしい】

「…………その、私。そんなに強くないんです。カノッサ機関の人間にも、全部負けてるし」
「勿論今の強さのままで甘んじるつもりなんて無いし、絶対に強くなって自分の思いを貫けるようになりたいって、そう思って努力はしているけれど」
「こんな私でも…………自警団に、入れるんでしょうか」

【彼女は殺した数は多いが、戦った数は少ない。そしてその戦闘において全敗しているため、決して強いとは思えないだろう】
【実際の所、状況さえ整えば彼女も弱くはないのだが――――如何せん経験も含めて戦闘に関しては未熟者であり、強いとは言い難い】
【こと殺すことに関しては超一流だが、それはあくまで最終手段だ。そして殺すことが出来ない以上、彼女は自分の力を十全に発揮できない】
【戦闘での地力が強くなるにはまだたくさんの時間がかかるだろう、そんな自分でも大丈夫なのかと、問いかける】
593 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 04:16:25.69 ID:7vI+2uHB0
>>592
「強くなくちゃいけない、弱いから何も出来ない――――そんな事、無いんです
それに桃子ちゃんが努力しているならきっと大丈夫ですよ。焦っても事を損じる、なんてよく言うじゃないですか
仲間だって、沢山居ますから」

【自警団とて数が少ないわけでは無い。現に、自警団に所属して成果を上げている者だって多いのだ】
【少女自身、信念があるのだからとてもそうには見えないが――――例え弱かろうが仲間が居る。そうで無くとも、背を預ける事が出来る者が居るだけで安心感も大きく異なるだろう】
【決して孤独で戦う事も無い。一人よりも大勢の方が良いはずだから、と】

【己が着けていた腕章を、少女の前へ。そして何やら詠唱を唱えたかと思えば、掌サイズの子羊がテーブルの上へと出現する事となる】
【指先で頭を撫でてやり、小さく何かを伝えたならばその羊も少女の元へとトコトコ歩み寄って】


「桃子ちゃんが入る、と言うのでしたら――――その腕章と、その子を少しの間連れて行ってあげて下さい
自警団には私の方から伝えておきますし、その結果もその子を通じてお伝えしますから」

【メェ、と小さく鳴いたならば少女の肩にでも乗って睡り始めるのだろう】
【召喚獣と呼ぶにはあまりにも小さいが、例えとして出すならば其れが一番近い】
【其れを通じて伝える、と言うのだから相応の能力は持っているようだけれど】
【――――腕章に関してはそのまま受け取って良いか。伝えたその日から自警団としての活動も可能、そんな意味も込めて伝えられた言葉】


「……あら。気付いたらもうこんな時間になってしまいましたね
この時間まで学生さんを連れ回しちゃいけませんよね……ごめんなさい、そろそろお開きにしましょうか

――あ。これ、私からのクリスマスプレゼントです。余り多くは無いので期待はしちゃいけませんよ?
それと、コートとその子は……また今度会った時に。だから、それまで絶対無事に居るって約束して下さいね
その子は飴が好きなので、もしも良かったら一日一個飴玉を食べさせてあげて下さい。後は……ホッカイロ変わりにも出来る優秀な子ですよ」

【ふと時計を見てみればもう良い時間だ。まだ色々と話してもみたいが、これ以上連れ回したりする事も出来まい】
【何よりも少女はまだ成人前なのだから、時間としても好ましくは無く。それではそろそろ今日の所はお開きにしよう、と】
【伝票を手に取り、席を立った所でそう言えばと懐から財布を取り出して背を向けて何やらゴソゴソと】

【手渡されたのは封筒で――――話の流れからしてお金でも入っているのだろう。学生が一週間生活するには十分な、と表せる程度の金額】
【羽織らせていたコートと子羊に関しては、次に会う時に返してくれれば良いと。言ってしまえば、無事で無い限り返せないのだから絶対に無事で居ろ――との事】
【カイロ代わりにも出来るだとか何だか乱暴な物言いだが……実際、触れてみればそれくらいには温かい】


【さて、支払いも終わり店の外。「それじゃあ、また何時か――――」との言葉。そして挨拶を終えたならば女の姿も何処かへと消える事となって】
【それから数日。夜に寝る前――件の羊が肩によじ登ったかと思えば一鳴き。それから口を大きく開ければ聞こえて来るのは女の声で】
【自警団として認められたから明日から活動が出来る。そんな旨を伝えられたとは余談か】

/では時間も丁度良い感じですのでこの辺りで〆にさせて頂きますねっ!
/お相手、有り難う御座いました!お休みなさいませー!
594 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 04:29:09.98 ID:no+MD98yo
>>593

【治療に食事、至れり尽くせりとはまさにこのことで、もしかしたら一生分の運を今日使い果たしているのではないかとすら思える】
【其処まででも十分だったのだが――――――――今日のことについてお礼を言って、お開きになった後】
【肩に羊を乗せながら、封筒の中身は何なのだろうと確認をして、愕然】

「…………あの人、聖人なのかしら」

【これで年が越せる。普通の学生が一週間過ごせる程の金額ならば、彼女なら二週間かそれ以上生活することも可能だろう】
【すっかり板についた節約生活、それを以ってなお逃れられなかった不幸の連続――此処に来て、少しは努力が報われたのかもしれない】
【まだ自警団として活動出来るか分からないけれど、もし入ることが出来たならば相当に頑張らなければいけないだろう】
【困っている人を助けるのは当然で、見返りはいらないと――彼女はそう言っていたが、このまま貰いっぱなしなのは此方が落ち着かない】
【肩から落ちそうになっている子羊をなんとなく頭に載せ直し、封筒を丁寧にポケットの中へと入れると】

「…………頑張らないと」

【改めて確認するように繰り返し、家に帰るべく帰路につく】
【後日、羊が突如女性の声でしゃべりだし少女のド肝を抜くこととなるのだが――――その時、晴れて彼女は自警団の一員となった】

//絡みありがとうございました!乙です!
595 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 10:12:51.81 ID:XhQpbfbZO
>>585>>586
/分かりましたー。では凍結をお願いしたいです。
/こちらも今夜からならばお返事できそうなので、時間を作り次第お返事します。
/こちらこそ、ひとまずお疲れ様でした。ありがとうございましたッ
596 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 14:48:02.62 ID:v9RY7llg0

【―――話の発端は今から数日前、クリスマスも迫った休日のある日のこと】
【日頃の大司教としての激務の、束の間の休みを過ごしているであろう夫。其処にマリアは何か言いたそうにそっと近づいて】

その……―――デートに、行きませんか?

【少し頬を赤らめて気恥ずかしそうに、照れたようなような表情で。それでも少し勇気を出して、微笑みと共に誘ってみるのはクリスマスデート】
【ずっと騎士団に属していた彼女、当然の事ながらデートなど誘うのも行くのも初めてな訳で……照れているのは、そういう理由もあるか】
【続けて「クリスマスの日に……一緒に、どこかに行きましょう」、と小声で告げる。何処に行くかはまだ決めていないと言うのだけれど……】
【もし、マリアの誘いを受けてくれたなら―――話は当日に移る】



―――貴方、どうで御座いますか?今日の為に用意したの御座いますよ♪

【時は出かける直前。玄関の前で出掛ける用意をしながら、マリアはまるで遠足に出かける前の少女のように嬉しそうな表情を浮かべて】。
【心底これからの時間を楽しみにしているのも手に取るように分かるだろう。足取りも軽く、心なしか声も楽しげに弾んで】
【くるりと舞うように振り向けば、満面の笑みと共に着ている服の感想を訊いてみる。―――というのも、この服は新しく買ったもの】

【黒色のタートルネックの上に着込んだ白いトレンチコートは丈の長いスリムなシルエット。首には黒いマフラーを巻いて】
【長いコートの丈の下からは、すらりと細い脚線を際立たせる黒いスキニーパンツを穿いた脚が伸びる。】
【いつもの可愛らしい感じとは少し違う、全体的にモノトーンで纏めた大人な雰囲気……ただ、変わらないものも二つ】
【頭には子供達から貰った愛用の白いキャスケットと首元には親友から貰ったネックレス。この二つだけはいつもと同じように身に付けている】

【今日の為に用意したのだが、新しい服とあってか嬉しそう。騎士団を離れた以来マリアもそれなりにお洒落も楽しんでいるようで】
【騎士団時代にはあまり見せなかったこんな女性らしい一面も、最近はよく見せるようになった。これも一人の女性として人生を楽しんでいる証拠か】

【―――対するフレデリックの方はどうだろうか?もし、いつもと変わらないローブ姿で出てきたとすれば……マリアは夫にきっぱりと告げるだろう】
【曰く、「折角二人でデートなので御座いますから、そんな恰好ではいけません!」とのこと。……こんな日くらいは、夫にお洒落をして欲しいらしい】
【という訳で、最初の目的地は洋服店ということになるか。尤も、フレデリックがお洒落に気を使ったなら洋服店には行かないだろうが……】

【因みに、子供達は教会で近所の友達や教会の人々とパーティという事らしい。二人が出かけている間はマリアと仲の良い修道女が子供達を見守っているという話で】 
【恐らく帰るまで心配する必要はないだろう。流石に夜には子供達も帰っているだろうから、日が暮れるまでには帰らねばなるまいが……】

/予約です!
597 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 15:34:09.32 ID:CuRblc8Ro
>>596

【最初にデートの誘いを受けた時の反応は、いつも通りの物静かなものだった】
【真っ直ぐ目を見て言葉を聞き、小さく笑いながら「勿論だ」と返す】

【大喜びするでもないし、青年のようにどきりと頬を赤らめるでもない】
【先日出来た友人にも『石のよう』と言われたとか。その通りの反応で――】



―――似合っている、という以外には答えづらい……そんな所だ。
普段の服よりも落ち着いた色だが、地味でもない。この季節には丁度良かろう
もっとも……お前なら、何を着ても「似合っている」と言うぞ、私は。

【当日。以前と比べれば少しは上手くなった口で妻の事を褒めてみて】
【その一方で、フレデリック自身はやはりローブ。デートする気が無い、というよりは】
【純粋に他の服をほぼ持っていない、なんて事情もあったりする】

【強いて言えば結婚式の時に着たスーツはあったが――アレは些か、場が違うし】
【それに、マリアに服のことを指摘されると分かっていたと言うように可笑しげにする辺りは――】

ああ、分かっているさ。だが生憎と私にはファッションセンスというのが無い
だからお前に選んでもらおうと思っていたんだ。こういう時でもないと、時間もないからな

……さて、それでは最初の行き先は決まったな。行こうかマリア
たまには子供たちの事を忘れて、私に付き合ってもらうぞ?

【――と、言葉を返しながら彼女の手を取って、まずは一路洋服店へ向かうこととなる】
【年の瀬、或いはクリスマスの今もゼン=カイマが抱える問題は幾つかあったが】
【今日ばかりは彼女が全てに優先する。フレデリックの態度は、一貫してそんな物だった】

/お待たせしましたー、よろしくお願いします!
598 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 16:31:44.75 ID:v9RY7llg0
>>597

まあ!……ふふっ、有難う御座います。分かっていても嬉しいもので御座いますね。貴方に褒められるのは……♪
(……何を着ても似合ってる、ですか。ふふっ……本当に貴方という人は、いつもそうやってさらりと褒めてくれるのですから―――)

【褒められれば、「そう言うと思っていた」という表情をしつつも嬉しそうに微笑む。最愛の人に褒められて、嬉しくない筈なんて無い】
【……彼はいつもそうだ。決して無碍に否定する事なんて無く、いつだって自分を見て頷いてくれる。……そういう所も彼の好きな所】
【それにしても、「何を着ても似合っていると言う」なんて……嬉しいことを言ってくれるのだ。思わず笑みが零れるくらいに……】

【すこし上手くなった褒め言葉に、擽ったそうに笑いながら。彼の服装について言及すれば……彼もまた「分かっていた」と言う表情をする】
【お互い何を言われるか分かっているのだから、おかしなもの。言葉を介さずとも、大体思っていることは分かるのだろう】


お任せ下さいな。貴方の事を一番よく知っているのは私で御座いますもの、似合う服だってばっちり選んで見せましょう!
いつもと違う貴方の姿も楽しみです。さて、どんな服を着せましょうか……

では参りましょうか。ふふっ―――今日は、何もかも忘れて二人だけの時間を過ごしましょう!


【……ファッションセンスが無いと自認する彼。致し方あるまい、今に至るまでローブ以外の姿を殆ど見たことが無いような男なのだから】
【こういう時こそ、妻として夫に一番似合う物を選ばねば。―――さあ、行こうか】
【毎日子供達に愛を注ぐ彼女だけれど、今日ばかりは夫だけを見て過ごそう。二人だけの時間が、幕を開けた―――】


【向かった先はゼン=カイマの中心部にある洋服店。街は復興してすっかり賑わいを取り戻し、今日はクリスマスとあって賑やか】
【クリスマスソングが流れ、各所に装飾が備え付けられてクリスマスムード。街行く人の足取りも心なしか軽やか】
【向かった洋服店はそれなりに大きな規模の物。服なら大体ここで揃うという、結構な品揃えが売りの店舗】
【勿論中は人で賑わっている。クリスマスプレゼントに服を、なんて考えている人も多いに違いない】
【そんな中に大司教夫妻が入ってくるものだから、ビックリさせるかもしれないけれど……】

/宜しくお願いします!

599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 16:52:58.47 ID:CuRblc8Ro
>>598

【街の中心部に足を向ければ、半年で見事に復興を果たした街並みが目に入る】
【教会や図書館などはまだまだ往年には及ばないが――人の営みは騒がしさを覚える程】

さてマリア、ここからはお前の領分だ。戦闘ならともかく
服に関して言えば私などはお前の足元にも及ばんだろうからな
知識もセンスも、だ。……それと、出来ればゆったりとした物がいいな、私は。

【――しかし、敢えてその光景への言及はしなかった。店に入れば、自然と注意を引くものの】
【フレデリックは何一つ気にする様子は無い。時折挨拶されればソレには応えるし】
【時折、子供たちに祝福の言葉を掛けてやったりもするが――その程度】

【ここではあくまでも彼女の夫として振る舞う、と決めているようであり】
【早速、服についての注文を出した。背もそうだが、身体の大きさ故の注文で】
【よくよく考えてみれば服に合う靴も探さねばならないか。その辺りも含めて】
【言葉の通り、フレデリックはマリアに頼らざるを得ない、なんて具合だった】
600 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 17:44:17.40 ID:v9RY7llg0
>>599

【思えば、よくここまで復興したものだ。初めは瓦礫を残すのみとなっていた街は、嘘のように賑わいを取り戻し】
【道行く人も活気に溢れ、苦難を乗り越えて新しい年を迎えようとしている。―――それも、彼の復興事業があってこそなのだろう】

【店内に入れば注目を浴びる事になるが、夫は構わずといった雰囲気。子供達の挨拶に応えてやるくらいのもので】
【……今日の彼は大司教ではなく、あくまでマリアの夫であるという事なのだろう。その態度が、マリアには少し嬉しかった】
【ほんのりと頬が赤らんだのは決して寒さのせいじゃないと、彼の横で浮かべた嬉しそうな笑顔が物語っている―――】

お任せ下さいな、ゆったりとしたもので御座いますね……ちょっと探してきます、そこの試着室で待っていて下さい。

【さて、夫の注文はゆったりとした物との事。承ったマリアは、早速注文に応えるべく服を探しに行く】
【フレデリックはすぐ傍にあった試着室で数分間待つことになるだろうか。……あまり掛からないとは思うけれど】

(……あ、これは似合いそうで御座いますね……―――でも、サイズが足りないでしょうか……)
(こっちはどうで御座いましょうか……あ、これなら大丈夫で御座いますね!……これに合いそうなズボンは……)
(……靴はどう致しましょうか。なるべく歩きやすい方がよいので御座いましょうけれど……)


【―――そんな風にして店内を探し回ること数分。マリアは自分の選んだ服を一式揃えて夫の待つ試着室に戻り】
【用意した服をフレデリックに渡せば、着替えが終わるまで試着室の外で待つ―――】

ゆったりした物と仰っていたので、セーターにしてみました。気に入って貰えれば嬉しいのですが……
ちょっと着て見せて下さいな。外で待っておりますので!

【用意した服はベージュのセーターと、その上に羽織るブラウンのベストと黒いスラックス、そしてブラウンの革靴】
【セーターなら伸縮性もあるし、何より暖かい。防寒着としても役に立つ、冬にはもってこいの服】
【色はグレーとベージュで悩んだが、ベージュにした。彼には落ち着いた暖かい色の方が似合うと思ったから……】
【そのセーターの上にブラウンのベストを着て黒いスラックスを穿けば、色の組み合わせも丁度いい】
【彼ならラフな格好よりある程度落ち着いた格好の方が合っていると思うが……満足してくれるだろうか】
【(余談、驚いたことに採寸もしていないのに服はぴったりのサイズだ。夫の体のサイズも把握済みという事か……)】
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 18:21:58.95 ID:CuRblc8Ro
>>600

ああ、頼む。お前のことだ、良い物を選んでくれると信じているぞ?

【そう言って、後は言われたとおりに試着室へ。ローブを緩め、黒鉄の義手を確かめたり】
【或いは左手の薬指――其処に輝くリングを眺めてみたり。数分経つのは案外早く】
【やがて服が用意されれば礼を言ってから受け取って、早速袖を通してみて】

【当然ながら、そのサイズがピッタリであることにも気付くのだが】
【試着室のカーテンの向こうで待つ彼女の気遣いだろう、と心の中で改めて礼を言う】

……ふむ。中々……いや、流石といったところ、だな
サイズも丁度良い。着心地や、それに色も私の好みだ
あまり派手なものは好まんからな。……ありがとう、マリア

【試着室から出て来れば、今度こそはとちゃんと目を合わせながら感謝して】
【やはり身体が大きい分、洋服を着ると中々栄える。もっとも、普段はローブ姿だからか】
【それに比べるとぴたりとした感覚が慣れない、という様子なのが少し可笑しく】

【後は――他に買いたいもの等が無ければ、フレデリックの方で会計を済ませることとなり】
【当然ながら服は着てゆく。それまで着ていたローブは、見知った者に預けてしまえば】



……これでデートの用意は出来た、というところか。

――マリア。お前は何処か、行きたい場所などは有るのか?
或いは買い物などでも良いが……今日は何にでも付き合うと決めてある
幸いにして、世界の何処にでも行ける術も在る。……さて、どうしたものかな?

【ひとまず、用意は整った。店を出て少し歩きながら、彼女にプランを尋ねかける】
【本来は男性がリードすべきであろうが、其処はやはり不慣れというのもあって】
【ならば、できる事を全力で。彼女が何処で何をしたいと言っても、フレデリックはそれに応えるだろう】

【ただ一つだけ、こちらからアクションを起こした。それというのは、手をつなぐこと】
【そっと左手を伸ばして、彼女の右手を取ろうとするのだった】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/25(木) 18:31:08.36 ID:NoVX7bRAo
【街中】
【クリスマスということもあって、普段より人通り(主に二人組)が増えているこの場所】
【二日間限定のイルミネーションは中々工夫が凝らされていて綺麗だ】

「ちょっとー、マユミー」 『なになにー』
「あっちで、トナカイヘッドマスク被ったサンタがプレゼント配ってるってさ!」
『マジぃ〜、ウソー、一人二役とかマジウケルー』

【噂を聞いた2人の女子高校生が向かった先には、確かに居たのだ】
【サンタの服装をした、トナカイ頭の人と思わしきモノが――身長は2m、帽子を貫通した角も相まってかなり大きく見える】
【袋から取り出されるプレゼントは、縦横30cm、高さ20m程で、薄ピンクの箱を赤いリボンでラッピングしているという……まあ、普通そのもの】

「おじさーん、プレゼントくださぁーい」 『アユミー、失礼だよー、もしかしたらおばさんかもしれないのにぃ』

【近くに建てられた「プレゼント配ってます」の看板、その隣で無言で配るトナカイ頭】
【更に、中身はお菓子詰め合わせの事が、その中身のラインナップも、同じく書かれている】
【中々シュールな光景だが……感じるだろうか、この辺りから感じる僅かな悪意を……気づけるだろうか、異常に生気溢れるトナカイマスクの目が時折ぎょろりと動くことを】
603 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 19:10:54.14 ID:v9RY7llg0
>>601

あら!―――良く似合っておりますよ。気に入って下さったようで嬉しいです!
―――ふふっ、どういたしまして。

【試着室から出て来た彼の姿を見れば、マリアは少し驚いたような表情を見せる。自分で選んでおいて言うのも変だが、とても似合っていたから】
【そして彼の「ありがとう」を聞けば、驚きの表情は直ぐに嬉しそうな満面の笑みに変わる。その言葉を聞けたなら、選んだ甲斐もあったというもの】
【彼はこうやって感謝の言葉をちゃんと伝えてくれる。―――ありがとう、最愛の人のその一言がマリアにとってはどれだけ嬉しい事か】

【ローブ姿以外の彼の姿を見るのはこれで二度目という事になるか。いつもと違った洋服姿に袖を通した彼を見るのは新鮮な気分】
【こうやって服を着てみれば、やはり体の大きさが目を惹く。いつもはローブを着ているから目立たないが……】
【こうして見れば、本当に洋服が良く似合う。普段何時もローブを着ているのが勿体無く感じてしまうくらいだ】

【マリアは既に自分の物を買っていたから大丈夫。あとは会計という事になるが……
【本当は服をプレゼントするつもりだったのに、彼の方が支払ってしまった。「私が払うつもりでしたのに!」と少し残念そうにするけれど】
【兎に角、これで支度は終わった。―――では、出掛けようか】


……そうで御座いますね……―――では、たまには私の我が儘にも付き合って貰いましょうか。。
夜の国、ルルーメンに参りましょう。一度行ってみたかったので御座います!

【不慣れなのはマリアも同じ。大体にしてこれが人生初のデートなのだから……】
【何処に行くか迷いながら、最終的にマリアが指定したのは―――普段マリア達がいる場所とは正反対の夜の国、その首都。】
【夜の国を訪れたのは、いつか聖地巡礼の折の一回だけ。其れも僻地にある希望の灯≠ナ、中心部には訪れたことが無い】
【折しもクリスマス、首都は恐らく一日中夜である事を活かして美しいイルミネーションと銀世界で飾られていることだろう】
【高台に行けば午後0時であろうとも夜景が楽しめるだろうし、市街地に行けば首都とあって様々な店が揃っている】
【此処なら買い物も食事も楽しめるデートにはお誂え向きのスポットだろう。そうと決まれば早速転移することになろうか】
【伸ばされた手をそっと握って―――】

/予定としてはケーキ屋→見晴らしのいい高台を予定しています!
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 19:30:30.07 ID:CuRblc8Ro
>>603

【残る洋服店でのやり取りは些細な物。ただ、ここで口が達者になったのを示すように】
【『お前が選んでくれたのだから似合うのは当然だ』とか、先に会計をして彼女が残念がれば】
【『夫婦なのだから、構わんだろう』だとか。つまり、恋人という関係なら所持金も別々だが】
【今では全てを二人で分かち合う仲だから――と、そういう意味か。さて、ともあれ街に繰り出して】


ほう、夜の国か……。確かに、あそこであればさぞ素晴らしい光景が見れるだろうな
我々の住むこの国とは昼夜が違う。私も出向いた事はあまり無いことだし……

……良し、行こうかマリア。お前の我が儘、今夜は私が全て叶えてやる
お前のことだ、術式は忘れていないだろうが……手を、離すなよ?

【繋いだ手から伝わるだろう感覚は、ぐうっ、と引き寄せられるようなもの】
【転移の術式が発動した証拠だ。やがて視界が歪み、開けたかと思えば】

【視界に飛び込んでくるのは、色とりどりに電飾を施されたルルーメンの街並みで】
【空も周囲も暗い中に、建物の輪郭を縁取るようなイルミネーションがよく映えている】
【相応に人も多い。はぐれてしまわないようにと、術が落ち着いた頃にぎゅっと彼女の手を無骨に握り直し】

―――さて、ここからどうした物か……街を見て回るか?
宝飾店、レストラン、本屋に……ケーキ屋も有るようだ。
子供たちへの土産に後で一つ、買ってやりたいものだが……

【ズラリと並んだ店舗を見回せば、望むものは何でも有りそうな活気がある】
【その中でも目に付いたのはケーキ屋。流石にかき入れ時だからか、忙しげだが】
【時間も時間とあって、並ばずに買えそうで――その場で食べるのなら、席も空いている様子だった】

/了解です、こんな感じにしてみたので詳細はお任せしちゃいますねー!
605 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/25(木) 19:44:39.52 ID:v9RY7llg0
>>604
すみません、急にキーボードが故障してロール出来ない状態になりました
二時間後に続行か否か連絡します、急で申し訳ありません
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/25(木) 19:44:48.79 ID:v9RY7llg0
>>604
すみません、急にキーボードが故障してロール出来ない状態になりました
二時間後に続行か否か連絡します、急で申し訳ありません
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/25(木) 19:49:16.46 ID:zgck0SfRo
【どこかの街外れ】

【中心部から離れた、普段は閑散とした雰囲気の漂っている街外れ】
【其処もクリスマスとなれば話は違い、行き交う人々は誰もが笑い合い年に一度のイベントを楽しんでいた】

【天からゆらゆらと降り注ぐ白い雪に、各所で輝くイルミネーション】
【そんな街の風景の一角に、一つの小さな店がポツンと建っている】
【もしその店を見かける事があったならば、その前で看板を持って立つ少年の姿も目に入るかもしれない】


た、ただいまクリスマスフェアーやってまーす……!
えと、その……特別割引や……プレゼントなどのキャンペーンも行っておりますので
お暇な方は是非是非、僕のお店に寄って頂けると嬉しいです……!


【身長は150cm前後であろうか、赤を基調として襟や裾に白いもこもこのついた所謂サンタ服を身に纏っており】
【頭には先端が垂れて丸い毛玉のついたサンタ帽を被っていた】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


ふふ……今日はこの辺も賑やかで、なんだか僕も楽しくなっちゃうな……。
お店が終わったら……僕も何処か遊びにいってみようかな?


【通り過ぎていく幸福そうな人々の姿を見て】
【少年は楽しそうに顔を綻ばせながらそんな事を一人呟いていた】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の扉の脇にはシンプルに飾り付けられたクリスマスツリーが置かれていて】
【壁には「あったかい魔法のアイテムあります!」や「クリスマスキャンペーン実施中」という張り紙が見える】

【本日も変わらずのんびり営業中であった】

/1時になったら持ち越しお願いします!
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) :2014/12/25(木) 19:58:46.20 ID:gSofLskQ0
>>605
/了解です、難しそうな場合は置きレスに移行もできますのでー!
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) :2014/12/25(木) 19:58:57.75 ID:gSofLskQ0
>>605
/了解です、難しそうな場合は置きレスに移行もできますのでー!
610 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 20:25:00.60 ID:CuRblc8Ro
/>>608-609が連投になってしまったうえ、少し端的でしたので……


>>605-606
/上の通り、難しそうであれば置きレスに移行も可能です
/明日以降はこちらが1月4日頃まで来れなくなってしまうので
/一応、その事情もお伝えしておきますねっ!
611 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/25(木) 21:56:17.41 ID:5OPVa+vpO
>>586

【最終的に折れたのは少女であった。彼女は他人の顔色を窺いがちな子供であったから、数回のやり取りもせずに了承した。】
【それでも、どこか遠慮がちに調理された牛蒡を口に運んでいたが、何せ量はそこまで多くない。僅かなドレッシングを残し、彼女はやはり完食した。】
【そして自らの問いに答えられたのならば、どこか申し訳ないような苦笑を浮かべながら、こう応じる。】

「リンネさん、ですか。ありがとうございます。
 しかし、なるほど――私の知識が正しければ、櫻の方の言葉で『鈴の音』って、意味ですよね」

【「リンネさんの綺麗な声と、何か関わりがあったり、するんでしょうか」最後の疑問は、半ば独り言であったが。】
【彼女は外国語全般の浅い知識を有していたから、発音はたどたどしくとも鈴音が掌に書いた文字は把握できているようだった。】
【だが、彼女は名乗らなかった。無論、悪意があるわけではないようだった。単純に、彼女が名乗るのを憚ったのみだった。】
【一人二役の従業員として、厨房に鈴音が戻る前、あるいは戻った後に、疑問を抱き問うたのならば――そこで、初めて彼女は応じる人間であった。】
【何れにせよ、彼女がデザートとして頼んだ――尚、これだけの健啖ぶりにも拘らず、彼女は寧ろスレンダーな体型をしている――ケーキとパフェは、少女に届く。】
【丁寧な飾り付けの苺のケーキを、少女は手慣れた勢いで欠片に切り取り、何処か格式ある雰囲気で食していく。】
【そのようにしてケーキが皿上から消えるのに、そう時間はかからないだろう――その最中、少女はやはり呟くように。】

「……えへへ、美味しい」

【ケーキが終われば、パフェも同様であった。やはりスプーンの扱いには、誰かに教わったと思しき上品さがあった。】
【零れるほどに飾り付けられた苺の数々を、瞬く間に彼女は食べ終えるだろう。無論、何かしらの鈴音の干渉がなかったのなら、であるものの。】

「――ごちそうさま、でした」

【そして最後の一口を収めれば、彼女は丁寧に手を合わせて、一言と共に一礼するのだった。】
【「櫻の国だと、こうするんでしたっけ」それはどうやら、鈴音へ向けた敬意の一環であるようだった。座ったまま彼女は鈴音を見上げ、にこやかに微笑むのだった。】

/遅くなりましたが、お返しします……!
612 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 22:10:27.19 ID:mhnFKo4N0
>>611

そうなの、……――分かりやすいでしょ、

【少女からそんな風に言われたなら、彼女はそうやってあっさりと返す、ある程度の自覚はあるらしい】
【自分の声が鈴の音と似ている、なんて自覚も珍しいものだろうが――実際そうなのだから、仕方なく】

“あの蛇(ひと)”は知ってたの、わたしが、こういう声だって――。

【名付けの単純さをどこか面白がるように笑いながら、ただ、この名前が気に入らないなどとは思っていない声】
【こんな声だと知っていたから名付けられたらしい。そうだとすると、名前が後付なのだろうか。それとも、】
【赤子の泣きじゃくる声で判断したのか――それは不明だけど、とにかく、名と声にはある程度の関連性があるらしい】

良かった、……、わたし、あんまり、ケーキって焼かないの。甘いものって、作ったことがあんまりなくって――。

【おいしいって食べてもらえるなら、やっぱり彼女は嬉しげだ。あどけない顔付きを、もーっとあどけなく笑ませて】
【最後の一口を食べ終えるまでじっと見つめている、――そんなことをしていれば、食べづらいと思うかもしれないけれど】
【もしそう思って態度なり言葉なりで示せば、彼女は傍から離れていくだろう。それで、食べ終える頃に戻ってきて――】

……あの、それで、良かったら。あなたの名前も知りたいな、その――、
――お客さんの名前は、出来るだけ覚えるようにしてるの。それに、よく食べてくれたお客さんだから――。

【櫻風に挨拶してくれたのを見れば、自分も真似するように手を合わせてみて――「そうです」なんて頷く】
【かちゃかちゃと空っぽのお皿を片付けながら、そんなことを尋ねるのだ。少女の名前を知りたい、と、】
【それは給仕としてでもあるし、個人としてでもある。こんなに食べてくれたひとは初めてだ、だから】
【どんな名前をしているのかって、知りたい。お盆にお皿をしっかり載せて――両手で、ちゃんと持ちながら】

【返事してくれるかどうかを、そっと待つ。曖昧に首を傾げながら――その唇を、柔らかく噤んで】

/よろしくですー
613 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/25(木) 22:14:46.26 ID:whV4X2P4O
>>612
/うぐっ、早速ですが次少し遅れそうです……すみません。
614 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/25(木) 22:25:06.09 ID:v9RY7llg0
//フレデリックさんの方へ
//大変お待たせしました!ようやく何とかなったので、今から書き出します!
//ご迷惑をお掛けしました……!
615 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/25(木) 22:43:27.29 ID:Na2pYbSy0

【町中】

【きらきらと輝くイルミネーション】
【楽しそうな音楽】
【大きな包みを持った人、色とりどりの箱を抱える人、赤と緑の小さな箱を大事そうに持っている人、楽しそうな表情を浮かべて行き交う様々な人々】

【そんな楽しそうな町の片隅。煉瓦の壁の前に立ち、声を張り上げるのは一人の少女】

【ハニーブロンドのセミロングに生成色のブラウスと紫色のスカート、肩には茶色のケープを羽織っており、足元は黒いニーハイに赤茶色のショートブーツという出で立ち】
【少女は人が通る度に「マッチはいかがですかー? 」と手に提げた籠の中のマッチ箱を取り出しては振っている】
【その姿はさながら「元気が良いうえにあまり困窮してなさそうなマッチ売りの少女」といったところで】
【時折「あー、寒いー。でも後少しー……」などとぼやきながら】

マッチー、マッチはいかがですかー? 
【声を張り上げて道行く人々に呼びかける】


616 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/25(木) 23:03:29.12 ID:OIyA/vz+o
>>615

【イルミネーションに照らされる街の中、鼻歌を歌いながら歩く男がいた】
【白いスーツ、革靴、メガネ、どれを取っても高級そうな衣服だが、これだけ固めれば趣味が悪くも見える服装だ】
【トランプ柄のネクタイが特徴的なその男は、撫で付けた髪を掻き上げながら、目線を彼方此方と流していた】

(なんかいい稼ぎ口でもないもんかねぇっと)

【邪な考えを浮かべながら歩く男の耳に声が、それから声を追ってその姿が、目に入る】
【まるで聞き飽きたお伽話のような、アホみたいな事をしている少女がいる。今時マッチなんて売れる筈もないだろうと心の中で突っ込みを入れた】
【……だが、すぐに何か良からぬ事を思い付いたようで、つかつかと少女に歩み寄っていく】

お嬢さん、そのマッチを一箱頂きたいのですが、よろしいかな?

【顔には貼り付けた様な営業スマイル、手にはこれまた高そうな財布と、そこからチラリとわざとらしく見せた札束】
【何だか怪しい空気を醸し出す男が、少女に話し掛ける】
617 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/25(木) 23:16:59.48 ID:v9RY7llg0
>>604

【夫婦だから―――そんなことを言われれば、マリアは擽ったそうにクスリと笑う。そこまで言われれば、マリアも納得するしかない】
【「全く、口達者なんですから……」……そんな風にあきれるマリアの表情はしかし、決して不満げなものではなかった】

ふふっ―――楽しみにしておりますよ、貴方。
誰が離すものですか♪

【夫の頼り甲斐のある言葉を聞けば、マリアはいたずらっぽい笑顔を見せて応じる。―――今日は一杯我が儘を言おう】
【夫の手を離すまいとぎゅっと握って。いつもの空間が歪むような感覚に身を委ねれば……ふわりと体が浮くような感覚】
【次の瞬間には視界が開ける。―――其処はもう、目的地の夜の国・ルルーメンの街の中だった】


【闇の中に立ち並ぶ建物の数々を、光の数々が煌びやかに彩る。時には点滅し、時には色を変え】
【まるで魔法のように輝く電飾。街の至る所が光で飾られ、色とりどりの光はまるで瞬く星のよう】
【昼の国では夜が来ないという条件上、絶対に見ることのできないイルミネーション。マリアにとっては初めての体験で】
【光による絢爛な光景≠ヘマリアを魅了するには十分だった。きらきらと目を輝かせて眺める様子は、まるで少女のよう】
【いたく感動しているようで、「ほらほら貴方、ご覧くださいな!」なんて、モミの木を飾る特別大きな光のクリスマスツリーを見てはしゃいだり】

【……さて、イルミネーションに見惚れるのも良いが此処は人が多い。うっかりすれば逸れてしまうかもしれない】
【しっかりと手を繋ぎ直せば、どこに行くか訊かれて……マリアは少し高めのテンションのまま応える】

そうで御座いますね―――……ケーキ、食べに行きましょうか!
子供たちの分も忘れずに買わなければいけませんが―――ふふっ……わがまま、聞いて下さいな。
―――「貴方と一緒にケーキを食べたいです。」
さ、行きましょう!こうしてあなたと二人でケーキを食べるの、夢だったので御座います!

【―――マリアは無類の甘党だ。良く友人とお茶をするのだが、その時はほぼ必ずケーキを注文するくらい】
【故に、そこにあるケーキ屋はマリアの目を一番惹いて―――さっそくマリアはフレデリックに我が儘を言ってみる】
【「貴方と一緒に」というところだけ小声で、内緒話をするみたいに。いたずらっぽい笑顔を見せて―――】

【そうと決まれば、マリアは彼の手を引いて店まで行くだろう。足取りは心なしか軽やかに、スキップするみたいに】
【店のドアを開ければ、ふわりと甘い香りが漂う。甘党を魅了して已まないその香りは、マリアの心も例外なく擽って】
【「一緒に食べる」ということは、店内で二人で食べるということなのだろう。真っ先に空いている席を見つけて座れば】
【フレデリックも座るのを待って、備え付けてあるメニューを開く。そこには数々のケーキの写真が値段とともに添えられていて】
【どれも高すぎず安すぎずと言ったところ。マリアは早速メニューに目を通し……目移りしているようだ】

……貴方はどれにしますか?私は、……うう、決め兼ねます……!

【……アドバイスでもしてやるといいか。―――メニューには「オススメ・櫻の国テイストの抹茶ショートケーキ」なんて書かれている】
618 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 23:33:37.23 ID:whV4X2P4O
>>612
【鈴音が残した言葉は、少女のそれと同様に独白に似ていた。少女にはその問いをそれ以上深めることはできなかった。】
【少女は心の何処かで、それの答えを捜していたのかもしれない。名前を問い返されれば、目を見張って狼狽えた。】

「えっ――あの、えーっと……」

【言葉に詰まった彼女が、鈴音に答えを返すには、数秒の時間を要するのだった。】
【先ず要領を得ない言葉を繰り返し、一度首を振って、一つの深呼吸を挟めば、漸く彼女は名前を語り始める。】

「……アンジェリカ。アンジェリカ・L・エインズレイ、っていいます」

【――懐から取り出したSCARLETの名刺を取り出し、彼女はそれを鈴音へと差し出すのだった。】
【白い一枚に印刷されているのは、彼女が語った名前と、SCARLETに関する簡易的なパーソナル・データである。】
【それが受け取られたのならば、少女は一瞬の躊躇いを見せた。そして再び深く息を吸い、あどけなくも凛々しい表情を浮かべた。】

「これは、余計なお世話かもしれませんが――何か困ったことがあったら、いつでもSCARLETまで連絡してくださいね。
 私は、戦うことばかりだけれども……もし何かお力になれたら、嬉しい、ですし」

【少女はそして、そこで言葉を終えるのだった。】
【食事を終えた彼女は、それ以上何かを話さなかった。彼女はどこか不慣れな手付きで、相応に上等な財布から代金を取り出した。小銭一枚の釣り銭もなかった。】
【「改めて、ごちそうさまでした。とっても、美味しかったです」純朴に浮かべた笑みからは、未だ齢十八も行かぬであろう少女に相応な、柔らかくも甘いものが満面に含まれているのだった。】
【――鈴音が彼女を引き留めなかったのならば、彼女は立ち上がって鈴音へ一礼する。】

「――それでは、また会いましょう。
 その時は、またここのケーキが食べられたら、嬉しいです」

【そう一言を残して、少女は店を去ろうとする。その声色は、先程の不安げなそれよりも幾分かはっきりしていた。】
【扉を開ければ一瞬だけ振り向き、件の微笑みを鈴音へ向けた後、幾分温かくなった聖夜の夜へと繰り出して行くのだろう。】

/予想以上に遅れてしまいました……本当にごめんなさいッ。
619 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/25(木) 23:49:02.21 ID:mhnFKo4N0
>>618

【少女がうろたえるような顔を見せると、彼女も、しまった、というような顔をするのだろう】
【地雷でも踏んでしまったのかと心配するのだ、それで、「言いたくなければ――」なんて言葉を紡ぎ】
【そういうところを見ると彼女には気弱なところがあるらしいことも分かるかもしれない。臆病者――とまでは行かなくても】

アンジェリカ……アンジェリカ、ね。
……うん、困ったことがあったら――その、多分、先に相談するのは、お姉ちゃん……セリーナになると思うけど。
それでも。何かあったら、SCARLETのところに行くね。……SCARLETには知り合いも居るの、知ってるかな――、

ロウってひととか、何人かね、知ってるんだ。

【そして名乗ってくれたならどこか安堵したように笑い、少女――アンジェリカの言葉も、きちんと受け取る】
【こんな場所に居るから、一番に相談することはないかもしれないけど……なんて少し冗談めかしたりしながら、】
【知ってるひとの名前を挙げてみたりして、いちおう、まるきり関わりがないわけではないらしい、それを教え】

また来てね、ここじゃなくても――見かけたら、話しかけてくれたら嬉しいな。

【にこり、と笑って、彼女は退店しようとする彼女の背中を追いかける。とりあえず、お会計さえ済ませてもらえれば】
【彼女が立ち去るのを止めるわけもなく、見送ることになるのだが――食べた割りには安い、半額だから――とはいえ】
【外食にしてはそれなりの値段になるだろうか。だけど彼女にとっては、見慣れた金額かもしれなくって】

ありがとうございましたっ。

【ドアを開けて入り口までその姿を見送る、真っ白な息を吐き出して――寒そうに身体を震わせて】
【外に行くのを前提にしていないサンタ服だから、冗談みたいに寒かった。きゅっと身体を縮めて、――】

【――なんにもなければ、そのまま、二人は分かれることになるのだろう。更けていく聖夜の空、】
【雪雲に街明かりが反射した、ぼんやりと明るい街中の様子、うっすらと積もった雪の白が夜に縁取って】
【「さむぅ」なんて鈴の音が呟いたような気がした。続く鈴の音は扉に付けられたもの、からり、夜に鳴き声をあげた】

/おつかれさまでしたー、で大丈夫でしょうかっ?
620 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/25(木) 23:52:08.25 ID:whV4X2P4O
>>619
/大丈夫ですよ! 二日間、絡みお疲れさまでした。楽しかったです!
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/25(木) 23:53:44.89 ID:Na2pYbSy0

>>616

はいどうぞー、此方無料でー……す
【かけられた声ににこやかに応え、其方を見る少女】
【その表情がみるみるうちに固まっていく】

【姿といい笑顔といい何となく胡散臭そうな、そんな感じを覚えたらしく】

……カップル爆殺とかしないでくださいねー、ホストのお兄さん……
【引きつった笑顔を浮かべながら何処かの酒場の名前が書かれたマッチ箱を手渡す】

【どうやら「女性に振られた腹いせにカップル爆殺を企んでうろついてるホスト」という斜め上すぎる認識をしたようだ】


622 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/26(金) 00:00:19.65 ID:BLJT7mtSo
>>617

【イルミネーションを共に目にしても、その反応は大きく変わってくる】
【静かに見据えるフレデリックと――対照的に喜んで、瞳を輝かせるマリアと。】

【普段は子供たちの世話をする良い母である彼女が、少女のように楽しげにするのを見ると】
【それだけでも、此処に来て良かったなんて内心思って。照れ臭いからか、言いはしないのだが】
【そんな彼女を見ている方が幸せだでも言うように、視線は電飾よりも可愛らしい妻に向ける頻度のほうが多く――】

あぁ、そうしよう。ケーキを……む、私も食べるのか……?
それはまあ、構わんが……食べ過ぎるなよ、まったく…――。

【いつもとは違う高揚した様子に、甘いモノが好きだとすぐに分かる反応】
【思わず苦笑しながら手を引かれて店内に入り、椅子に腰を下ろす】
【メニューを眺めてみれば色とりどりの甘味が並び――さほど経験が無い分、目が滑る】

(モンブラン、チョコ、ストロベリーにカボチャ……タルトも有るのか)
(こういったものは中々慣れそうにないが……オススメ、か)

……マリア。私は以前櫻の国で、この抹茶というのを味わったことがある
渋みがありながらもほのかに甘く、香りも良かった……それをふと、思い出してな。
悩んでいるのならこの"オススメ"というので、どうだ?

【悩む彼女に告げる言葉はそんなもの。実のところ、この小話は嘘ではない】
【以前、櫻の国で魔物を退治した際に味わったことが有る。今は亡き副団長――】
【加賀屋善助もまた、時折抹茶を味わっていたとか。そんな事も添えて、薦めてみて】
623 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/26(金) 00:15:05.94 ID:6mESOJEdo
>>621

んな事しねーよ!そんなに寂しい人生送ってねーっつーの!!

【不意打ちに投げかけられた言葉に、差し出した手も疎かに素がでてしまう】
【男の大声で周囲がざわついたが、すぐに咳払いをして、マッチ箱を受け取るとしげしげと眺め出す】


マッチ売りの少女なあ、この寒いのにご苦労なこった
今時マッチなんてタダでも物好きくらいしか貰わないだろ、転職するべきだと思うぜ

【なんて、バカにするような口ぶりで、マッチを擦ってタバコに火を点け、少女の隣で壁に寄り掛かる】
【自分にもブーメランが突き刺さっているのだが───それには気付かず、辺りを見回してから少女にしか聞こえないような小さな声で囁いた】

……俺様なら、そのマッチを札束に変えられるぜ?
乗ってみないか?

【何か確信があるのかもしれない不敵な笑みを浮かべながら、怪しい儲け話を持ち出した、胡散臭い事山の如し】
624 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/26(金) 00:25:06.48 ID:x1M/qAnq0
>>622

【子供を育てる彼女が、今日ばかりは子供に戻ったようにはしゃぐ。心の底から楽しんでいるのが見て取れて】
【時折此方に向く夫の視線に気付いてか気付かずか、いつもの落ち着いた微笑みとは違う明るい笑顔を見せるのだった】
【これもきっと、世界で最も信頼する彼にだけ見せる表情。――大好きな人が横にいるからこそ、こんな表情をするのだ】

食べ過ぎを心配するほど私は太ってはおりませんよ!ふふっ……

【私も食べるのか、と苦笑いとともに言われれば「当然で御座います!」と言い切る。……だって、彼と一緒に食べることが目的なのだから】
【折角一緒にデートをしているのだ、一緒に食べなければ意味がないではないかと言わんばかりにぐいぐいと彼の手を引っ張って】
【席に着けば、夫と一緒にメニューを眺める。こういうのは自分のほうが慣れている筈だけれど……新しい店だとやっぱり目移りするのだ】
【甘い物の誘惑は、彼女の決定能力を鈍らせる。あれのいい、これも見逃せない……そんな風に考えていてはキリが無いとは分かっているのだけれど】
【どうしても「これ」と決めることが出来ずにいると……横にいた夫がアドバイスをくれる】

抹茶、で御座いますか……先日紅茶入りのケーキは食べたので御座いますが、抹茶は初めてで――
……貴方は味わった事があるので御座いますか?ほぉ……なかなかに薫り高い逸品なので御座いますね……
―――よし、決めました!貴方が薦めるなら、これにしましょう!

【夫の薦めとあれば、迷うことはない。折角これがいいのではないかと勧めてくれたのだもの、是非とも味わってみたい】
【給仕を呼べば、寸分の躊躇いもなく彼の薦めた抹茶のショートケーキなるものを頼む。……フレデリックは何を頼むか決めただろうか?】
【同じ物を頼むのなら、同じ美味しさを共有できる。違ったものを頼むなら、分け合って楽しむことが出来る。どう転んでも楽しいのには違いないけれど】
625 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/26(金) 00:37:03.22 ID:jd40mIoI0

>>623
……あっ……で……ですよねー……
【少女は男の言葉に頬を掻きながら誤魔化すように苦笑する】

あはは、別に大丈夫ですよ! 寒さには慣れてますし、どうせ酒場の宣伝の一環ですし
ほら、チラシとかティッシュとか……あんな感じ? 
というかお兄さん口調変わってますよ? 
【少女は少しばかり呆れたように苦笑する】

……えー、それ何か悪い事じゃないでしょうね? 
【少女は眉を顰めつつも取り敢えず聞いてみようとはしてみる】



626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/26(金) 00:38:23.92 ID:BLJT7mtSo
>>624

うむ、元は……あぁ、まさに紅茶と同じだ。煎じて飲む者なのだが
最近はこういった菓子にもなるのだな。美味いに違いあるまい

さて、私は……無難にフルーツケーキにでもしておこうか
甘い上に幾つかの味が楽しめるのなら、きっとコレが良いだろう。
飲み物は良いのか?水でも良いだろうが……私はやはり紅茶、だな

【――と、こちらも注文を決めてしまう。選んだ品はフルーツケーキ】
【ベースはショートケーキだが、いちご以外にもラズベリーやキウイ等が盛りつけられ】
【どちらかと言えば甘さよりも口当たりの良さ、爽やかさが売りのものであった】

【続けてこちらから聞くのは飲み物。甘さで口を一杯にするのも良いが】
【きっと後で喉が乾いてしまうに違いないから――と促してから、こちらも店員に声を掛けて】

【しばらくすれば注文したケーキも飲み物も、二人の前に置かれることとなるだろう】
【フレデリックの前に置かれたそれは、照明を浴びてフルーツ一つ一つが宝石のように輝いて】
【これがまた、何とも美味しそう。いつも堅苦しげな表情も、流石に少し緩んで見えた】
627 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 00:41:09.31 ID:JJZRb56ho
【路地裏】

【霜が降りる季節。放射冷却で冷え込んだ夜はアスファルトは夜露に濡れる】
【クリスマスの幻想はこんなところまでは届かない。灯りは遠く、静かに凍てついた冬の匂いがした】
【今どきのファッションの若い3人の男は飲んだ帰りか、大声で話しながら路地裏を歩いていた】
【下世話な話と煙草の煙。彼らの被る緑のキャップは”自称”最強ギャングチームの証だ】

【それは単純な出来事だった。角を曲がるとそこに人影が不意にあるのに気がついた。で。彼らは突然に】
【真ん中の男がドンと胸を突かれる。刀の白い刃が目に入るが誰も理解をすることが出来ない。そいつは理解せずに死ぬ】

【そして刺客は一人目から抜いた刀を両手で構え、体の回転とともに横に斬る。二人目の腹を深く斬り裂く。そいつは知るが死ぬ】

【3人目は理解した。目の前の彼奴は刺客であると。だが片手で握り返した刃の斬り上げで喉を斬られて、声も上げれずに死ぬ】
【彼の被っていたキャップが血だまりに落ちる。ほんの数秒で路地裏は静かになった。刺客は刀の血振りをし、音を立てずに納刀した】

生憎だけど…此処に主は居られないのよ

【刺客は少し離れた所に置いておいたバッグのジッパーをあける。着ていた血塗れのレインコートと手袋、靴にまとわせたビニール袋を押し込む】
【バッグか安物の刀を取り出す。そしてそれをそこらに無造作に捨てておく。物的証拠を残す。そうすれば後は”彼ら”がやってくれる】

【黒の長い髪を一つ結びにした少し背の高い女。切れ長の目で銀縁のスクエアフレームの彼女はスーツに朱塗り鞘の刀といういつもの出で立ちに戻る】
【胸元には金色のバッチ。四つ割菱のマークはマフィアの一組織――富嶽会の代紋であった】

……クリスマスに何やってんだろ…あ、もう終わったか

【腕時計を見て、ため息を吐き出してひとりごちる…愚痴る】
628 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/26(金) 01:03:26.69 ID:6mESOJEdo
>>625

あー、やっぱりな、通りで安っぽいマッチだと思った
ナンパする気にもなれねえガキンチョの前でいつまでも演技続けられるかってんだ

【歯に衣着せぬとはこの事である、下まつ毛の長い目を細め、マッチ箱に書かれた酒場の名前を眺めたりしながら紫煙を吐いた】
【元々が無料で配られる物、それを金に変えるとなればそれなりの価値を見出す必要があるのだが…】

何にも悪い事はしねえさ、そうだな…お前は何も言わず黙ってりゃ言い
勝手にマッチと金を交換したがる奴が出てくるから、善意でそれに答えてやるだけさ

【得意げに話しながら、携帯灰皿にタバコを押し込むと、左手でマッチ箱を転がしながら、少女の前に向かい合うように立つ】
【それから、咳払いをしてから───】

おお!?これは凄い!こんなレア物がこんな所で買えるだなんて僕はなんて幸運なんだ!!

【演技がましい大声を上げながら、マッチ箱を持った左手を高く掲げる。いきなり大声を上げた男に視線が集まった】

(ここで……《ポーカーフェイク》ッ!)

【そして、視線が集まった所で能力を発動する、『左手で触れた物に対する認識に錯覚を起こす能力』、今彼が左手で持っているマッチ箱は、周囲から見ればあたかも珍しい物かのように見えているだろう】
【そのマッチ箱を、周囲の人間を捕まえては「これは凄いと思わないか?」などと無理矢理賛同を得るように聞いて回る、そうやって周りを巻き込む事で更に往来の注目を集めるのだ】

なあ君!?これを僕にもっと売ってくれないか!?金ならいくらでも出すから!!
早い者勝ちだろう?他の人には───

【こうまで言って、トドメに『売り切れ間近』のような雰囲気を出せば、後は堰を切ったように人々が殺到する】
【周りを歩いていた人間達がにわかに少女に群がり、金を手にマッチを買い叩こうとするだろう、無料であった筈の物に架空の珍しさと値打ちを見出して】

【男の名はエース・セブン───職業は、詐欺師であった】
629 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/26(金) 01:05:36.87 ID:x1M/qAnq0
>>626

飲み物で御座いますか……私はオレンジジュースにしましょうか。
甘い物を食べていると、爽やかな酸味も味わいたくなりますし……
それに此処のジュース、果汁100パーセントの美味しいものだそうですよ!どんな味なのか楽しみで御座います……!


【飲み物はどうするのかと聞かれれば、マリアはオレンジジュースを注文する。】
【ジュースなど子供っぽいなどと侮るなかれ、此処のジュースはオレンジを贅沢に使った美味しいものだ。これを目当てに来店する者もいるとか】
【爽やかな口当たりは甘いケーキにはよく合う。果実そのものの美味しさを余すところなく使っているのだから、その瑞々しさも折り紙付き】
【―――注文はこれで終わりか。となれば後は運んでもらうだけ。やがて二人の注文が承れて】

【暫くすれば、注文したケーキがやってくる。待っていましたとばかりにマリアは目を輝かせて目の前の緑のケーキを見つめる……】
【抹茶をふんだんに塗したそのケーキは輝きこそしないものの、その代わりに抹茶の絶妙な香りがふわりと鼻腔をくすぐり】
【生地やクリームにも抹茶が練りこまれている徹底ぶり。ケーキとしては異色の緑に包まれた見た目は、それだけでも特別な感じを醸し出す】

【―――こんなにはしゃいで目を輝かせても食前の祈りだけは忘れず欠かさないのは、流石に元騎士団の一員であり大司教の妻と言ったところか】
【いつものように祈りを捧げれば、フォークを緑のケーキに切り込んで……一口大に切って口に入れれば、抹茶の豊かな香りが口いっぱいに広がって】
【遅れて来るクリームの甘みと絶妙なハーモニーを奏でれば、それだけでマリアの表情を嬉しそうに綻ばせるには十分だった。】

―――抹茶というものがこれ程に美味しいとは……!貴方の薦めてくださったケーキ、とても美味しいです!
……貴方のはどうで御座いますか?……なんて、貴方の表情を見れば聞かなくてもわかりますが……♪

【―――フレデリックのケーキの感想も聞いてみる。美味しいか、なんて聞くまでもないけれど……】
630 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 01:10:09.89 ID:AdwgkDkno
>>627
【そんな彼女の奥、騒いでいた3人が死んだことでシーンと静まり返った路地裏の奥から小さな風切り音が聞こえたかと思うと】
【突如として、三日月型の"衝撃波"が彼女に襲いかかる。薄い水色掛かったそれは速度こそあるものの、軌道は直線的】
【もし当たってしまったならばヒットした部位が凍りつくことになるが、彼女にとっては見切るのは容易だろう】

【その可否を問わず、その衝撃波が飛来した方向から姿を表すのは一人の女】
【黒いコートに同色の長い黒髪。右目が縦に刻まれた傷とともに固く閉じられ、白い肌に浮かぶその表情は氷のごとく冷ややか】
【そしてその手に持つのは―――黒い柄に細い鍔、半透明の刃と、どこか一般的なものとは違う刀、であった】


「―――偽装工作か? ならば止めておけ。……貴様がこの3人に続いて、血に沈む」


【口調もやはり、表情と合致した冷たいそれで。淡々と言い放てば、片手に持つその刀を両手に構え】
【―――彼女の有無を聞く間もなく、疾駆。一般女性の脚力とは思えないそれで、徐々に彼女との距離を詰めていく】
【十分に近づくことが出来れば、まずは一撃。右の腰に構えた刀を、斜め上へと振り抜くことだろう】
【それにより傷が出来れば途端にその傷は凍り出し、細かな氷の棘によって傷口をえぐられるかのような追加ダメージを負うことになる】
【氷は振り払うのが容易であるし、それにそもそも太刀筋自体が単純だ。女としては、先ずは、といった所だろうか】

【……さて、彼女は覚えているだろうか。とある事件の際、今眼の前に居る女と一度戦っていることを】
【顔も、髪も、傷も、服装だって変わっていない。ただひとつ変わっているのは―――その武器】
【以前敵対した際、女の武器は長さ3m以上も有る長大な刀であった。しかし、今は普通の――とはいえないかもしれないが――刀】
【この女に何があったか、それを引き出すのは自由だし、そもそも覚えていないかもしれない】
【ただひとつ言えるのは、目の前に刃が迫っていることだけだ】

/よろしくお願いします1
631 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/26(金) 01:18:45.43 ID:BLJT7mtSo
>>629
/っと、申し訳ない……!そろそろ時間なので、凍結の方お願いできるでしょうか
/詳細は>>610に書いたとおりでして、しばらく来られないので……どうでしょう?
632 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2014/12/26(金) 01:22:17.19 ID:x1M/qAnq0
>>631
//了解です、それでは置きレスのほうに返して頂ければお返事しますので!
//新年を迎えてからクリスマスロールという不思議なことになりますが……よろしくお願いしますね!
//重ね重ね、今日はご迷惑をお掛けしました……!
633 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/26(金) 01:26:11.49 ID:BLJT7mtSo
>>632
/ありがとうございます、出来るだけ早めにレスを返せるようにしますので……。
/それと、今日のことに関しては本当に気にしないで下さいな!
/ではまたっ!今日の所は一度、お疲れ様でしたー!
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/26(金) 01:39:16.57 ID:jd40mIoI0

>>628
まあある意味妥当な価値ですよね
これで人が来てくれてお金が入れば儲け物というか
【少女は籠から別のマッチ箱を取り出し掲げてみてまた籠に戻す】
【が、直後ガキンチョという相手の言葉にムッとして「ちぇっ、どうせ子供ですよーだ」などとむくれてみたりする】

【そして、相手の言葉に「えー、怪しい」などと呟きながら取り敢えず従ってみる事にする】
【何だかんだいってもまだ子供。面白そう(?)な事には乗りたいお年頃のようである】
【が、その直後男の演技じみた大声に「何言ってんだこの人」的な表情を浮かべる】
【が、それも一瞬の事。何やら周囲も巻き込んでマッチを褒め称える男に作り笑いを浮かべる事しか出来なくなる】

【それからは怒涛の展開。我先にと金を手に殺到する人々に若干涙目になりつつ対応しだす少女】

【やっぱり悪事の片棒じゃないかと脳内で叫んでみたり、目標とする少女に、もう悪い事はしないと話した少女に延々と心の中で謝り続けたりと脳内が大忙しで】

【もう何がなんだかといううちにマッチが完売してしまい、最早抜け殻のようになりながら「スミマセーンウリキレデース」と殺到した人々に謝ったりしている】
【当然、籠の中には大量の金が入っている】


635 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 01:41:59.98 ID:JJZRb56ho
>>630

【刃が迫る。衝撃波の刃が灰色の海を渡り、迫る】
【彼女は容易に気がつく。察すれば、すぐに気持ちを切り替える。スイッチを切るが如く】
【幾多の抗争を経て、経験を積んだ彼女は狼狽えない。戦闘に移ることが出来る】

【身体を低く落とし、縦に足を開き、腰だめに鞘を倒し、柄に手を添える。鯉口を切る】
【衝撃波に正面から向き合い、待ち構えるとすう、と息を深く吸い込んで、横一閃に斬る】

【衝撃の波を斬るなんて芸当は”この世界”では、ある限られた人間には造作も無いことだ】
【彼女は出来る。朱塗りの刀は夜の剣。現の夢を現し、現し世を夢とする。『夢創無幻』】
【斬られた波は瞬時に散り、彼女はその風を浴びて髪を揺らすだけであった】

【女の言葉に返す前に彼奴が先に動き出す。疾い。疾い。だが、知っている速さだ】
【識っているものを恐れる必要はない。彼女は待ち構える。抜いた刀を両手で持ち右の腰にためる】

【彼女は迫る刺客の斬撃を刀を右から左へ打ち払う。手首を軽く折って、峰を当てて、相手の刃を滑らせようとする】
【掛かれば、勢いを殺せずにバランスを崩すだろう。並みの剣士ならば。彼女は技の作法通り】
【払った刀を大きく上段に振りかぶって踏み込み、真正面、真下へと体重を載せた斬りを見せるだろう】


斬られて困るのは私じゃないわ。


【刃のごとく冷たい口調は彼女も同じだ。表情はただ、冷たさよりも鋭さを持つ】
636 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/26(金) 02:04:56.00 ID:6mESOJEdo
>>634

【ただの価値の無いマッチに群がり金を差し出す人々、その中には最初の男の話すら聞いてなかった者もいるのだろう】
【集団心理とは恐ろしい物である、売り切れと聞いて今にも爆発しそうな勢いだ】

よーし、よくやったマッチ売りの少女!撤収だ!

【一方男はその様子を満足気に眺めると、最初に少女から無料で手に入れたマッチ箱を集団へと放り投げ、それに人々が気を取られている間に素早く少女の腕を掴む】
【無理矢理腕を引いて集団から素早く離れるように少女を連れ出そうとするだろう】

……な?ただのマッチがあっという間に金の山だ
人間っつーのは群れると一人一人の考える力が下がるからな、ちょっと焚き付けりゃこんなもんよ

637 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 02:10:20.12 ID:AdwgkDkno
>>635
【氷の衝撃波は呆気無く散り、また初撃は躱される。当然だ、女もそのつもりで刃を振るった。故に、想定内】
【そして彼女が自分の斬撃を払い、追撃を仕掛けてくることもある程度予想できた。何せ、一戦交えたことが有るのだから仕方がない】

【彼女の目論見通り、バランスを崩しかける女。だが、其処で倒れていてはカノッサの、そしてナンバーズの名が泣くというもの】
【崩れかけた脚だが、女性としては強靭な足腰で踏み止まり、振り抜いた刀を止めずそのまま防御に用いた。大上段の一撃を、受け止める】

「久方振りだな、マフィアの剣士。
 前は殺し損ねたのだ、今日は存分に殺し尽くしてやろう」

【言葉からは、前回戦った際よりも殺意や害意といったようなものが増幅している印象を受けるだろうか】
【女の刀も、以前とは違う。とはいっても、その以前の刀「創虚」と同じく異常な刀であることは明白だが】

【鍔迫り合いもそこそこに剣と身体を引いて防御の状態を脱すると、もう一度攻撃に転じる】
【身体を引いた状態から素早く足を動かして踏み込み、今度は斜め右上から。同じく体重を載せた威力の有る一撃を彼女に放つ】

「では困るのは誰だ? 『上』か? 
 ……まぁ、直に何も考えられないようになる。 それまで精々足掻いてみせろ」

【―――そして彼女と女の斬り合いの最中。彼女は気付くことができるだろうか】
【彼女達の上、ビルの屋上から1人の人影が姿を表していることに。そしてその人影が、微笑みながらそちらを見ているということに】
638 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/26(金) 02:27:37.66 ID:jd40mIoI0

>>636

【マッチに群がる人々、売り切れと聞いて今にも爆発しそうな様子】

【はじめは抜け殻のようにぽかんとしていた少女だったが、彼女は集団心理によって熱狂する人々の様子に段々と青ざめていく】

【どうやら人々の様子がこの少女のトラウマを抉ったようで】

──ひゃっ!? 
【エースに腕を掴まれ集団を後にする】

……う、うん……凄かった……
【恐らく満足げな表情を浮かべているだろう彼の言葉におずおずと頷く少女】
……人が群れると考える力が下がるの? 
えっとつまり……例えば誰かが「能力者は敵だ」って言ったら皆その意見に賛同しちゃって町全体の意見になる……って事? 
【少女は自信なさげにエースに尋ねる】

639 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/26(金) 02:45:02.18 ID:JJZRb56ho
>>637

【金属が玉を散らせて共鳴するかのごとく鳴り合う。刃は受け止められた】
【ぎりりと、そのまま押し込もうとするが如何せん体格や筋力は劣っているのが事実】

…私といたしましては直ぐにでも帰らせて頂きたいのですが。

【仕事でも無いのにわざわざ戦いたくないというのが本音。戦闘に彼女は何も惹かれない】
【戦争は外交のカードであると言われるように抗争も利益追求のカードの一つでしか無いと考える】
【何故、目の前の人間やその他の彼奴らがわざわざ戦いたがるのか…彼女は理解できない】
【故に非常に事務的な態度で、半ば諦めつつもそんなことを言うのだった】

【そして下がった相手を追わず、構え直して、待ち構える】
【袈裟で斬りかかってくる相手を今度は彼女のほうが頭の上にに剣を構えて、それを受け止める】
【足を一歩踏み出して出来るだけ腰を落とし、剣を手の中で返して、みねの部分を当てる】
【力で劣る彼女の武器はこの正確無比な教科書通りのテクニック。必要な物を合理的に正確に行う】
【峰を当てることで刃こぼれを防ぎ、かつ曲線によって滑らせて相手のバランスを崩すことが出来る】

【ただこの防御は相手の懐で低い位置で防ぐために直ぐ様反撃をすることが出来ない。斬るには近すぎるのだ】
【しかし、彼女はやくざ者だ。剣術の外からアプローチをする。上段で防いだ時の腰の回転と敵の剣の重さを】
【スピードに変換する。腰のひねりに足をくわえて、そのまま蹴りを相手のみぞおちめがけて繰り出す】
【それが決まったのなら返す勢いで、刀の柄頭で思い切り殴りつけるだろう】

そうね。ウチと、上と、警察と、彼奴らに殺された老夫婦よ。

【反撃が終わると退いて、刀を鞘に納める。逃げるんじゃない。構え直したのだ】
【彼女の得意技は一太刀を読ませない、居合術。鞘を持ち、絵に手を添える】

【そんな中ではビルの屋上の人物に気がつくはずがない。そういった意味では彼女は凡人なのだから】
640 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/26(金) 02:55:38.04 ID:6mESOJEdo
>>638

クックック……まあ、そんじょそこらの奴じゃあこう上手くはいかないだろうなあ
やはり俺様の手腕と話術、それに演技力があってこそであって、努力とかじゃあ決して追い付けない才能が……

【ご想像通り、得意げである、これ以上ないくらいのドヤ顔で、少女から離した手で煌びやかな金髪を撫で上げながら自慢話に華を咲かせる】
【後ろを振り向けば、まだ何人かがマッチを奪い合っている、もう暫くすれば彼等もそれが無価値な物だと気がつくだろうに、男は群衆を冷ややかに眺めて前を向いた】

ん?そうだな……例えば、能力の無い奴らばっかり集めて、それっぽい前例を挙げてそう言やあそうなるかもなあ
自分で物事を判断出来ない馬鹿を最初に数人その気にさせりゃ、あとはそいつら自体が撒き餌になってどんどん広がってく。今のマッチみたいにな
ま、そんなに上手く物事が運ぶなんて、相当なやり手か単純馬鹿の集まりを相手にしたかだろうけど

【人は一人を騙すより、集団の方が騙しやすいとエースは語る、たった今やった詐欺を例えに出してその信憑性を増して】
【とは言え、実際に少女が言ったとおりにするには今挙げた物以上の問題があると付け加えて、現実的ではないと首を振った】

……所で、マッチ売りの少女よ
あのマッチの山が金の山になった訳だが……それは一体誰のアドバイスのおかげだろうなあ?

……なあ?

【ふと少女に向き直り、邪な笑みを浮かべながら『わかってるよな?』と言わぬままに念を送る】
【慈善や、得も無しに協力をするなんて、この男にはナンセンスであった】
641 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 03:19:23.67 ID:AdwgkDkno
>>639

「そうか、だがそれは出来ない。それに貴様に、帰る場所など無い。此処で死ぬ」

【帰りたいという彼女だが、無論それを女が許すはずはない。背中を見せれば、それは死に繋がることになる】
【……彼女が仕事で刀を血に染めるというのなら、この女が刀を扱う理由はもはや衝動に近い】
【人を斬らなければ自分が生きている価値がない。人斬りとしての本能が、女を殺人鬼たらしめているのだ】
【もっとも、別の理由もあるには有るのだが―――それはこの際、語らなくてもいい話】

「ッ―――グッ!?」

【彼女の太刀筋は美しい。まるでお手本かのような正確な動き。だが、それが女には面白く無い】
【勿論理論に基づいた動きも必要だが、死合でそんなことばかりやっていてはすぐに死ぬのがオチだと、女は確信している】
【自らが上という事もあり、力を入れ押しつぶそうとするが―――それは彼女の蹴りによって中断される】
【そう、彼女はマフィア。教科書通りの動きばかりやっているわけではない。生きるため、勝つために様々な策を講じているのだろう】
【鳩尾には的確な蹴りが入ったものの、続く柄頭の打撃は素早く引いた刀身でガードし、此方も身を引く】

「……ほう? なるほど、"ソレ"を殺した理由はそれか。
 ふん、それならば是非とも私に殺させて貰いたかった所だな。まだまだ足りない、人を斬る感触がな」

【彼女が居合の構えをとったのに対し、女は刀を真正面に構え、ただ佇むのみ】
【その居合を受けられるかは、分からない。技量の有る方が勝ち、無い方が負ける、ただそれだけのこと】
【ジッと、彼女の動作の始まりを待った】

【屋上の人影は、まだ動かない。まるで機が熟すのを待っているかのようで】
642 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/26(金) 03:30:47.49 ID:jd40mIoI0

>>640

……へえ……
【少女は感嘆の声をあげながら思案する。この手腕、もしかしたら何処かの街の人々を焚きつけてアンチ能力者を造り上げているのではないか、と】

……やっぱりそうなんだ……
【少女は少し暗い面持ちでぼそりと呟く】

【能力のない人々、未知のものに対する不安を煽る言葉、忽ち広まる能力者への不信感。容易に想像できた】

【そして、それによりアンチ能力者となった人々が何をするのかの断片も──】

【嗚呼、やはりこの男は……という不安が彼女を襲う。しかし、その行為に対する否定が全てを打ち消した】
【自虐の可能性がないとはいえないが、もし自分の作戦だとしてそれを否定的に言う人は多分いないだろう】

うん、まあ……そうでしょうね
【成功してるっぽい例はあるけどね……と心の中で思いつつ少女は笑う】

……や、売ってませんけど
【少女は真顔で突っ込む】

そして頼んでませんけど
【何処までも突っ込む】

頼んでませ……っ


……せめて一割はくださいっ!! 
【だが相手の「分かってるよね? 」というオーラに負け頭を下げる】
【何だかんだいってちょっとは欲しかったようだ】


643 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/26(金) 03:53:04.58 ID:6mESOJEdo
>>642

ハッハッハ!わざわざ言わなくてもわかってるよ、俺様はそんなに強欲な人間じゃあないぜ?
ちゃーんと分けようじゃあないか!マッチ売りの少女ちゃんは『一割だけが』お望みのようだから、残りは俺様が貰ってやろう!

【少女の承諾を受け取った瞬間、待ってましたとばかりに上機嫌になって、籠の中の金を本当に殆ど持って行ってしまう】
【いつの間に計算したのかはわからないが、残ったのは一割程度、それでも少女は確かに『一割はください』と言ったので不正ではない】

クックック……馬鹿な奴らから巻き上げた金は最高だぜ!
よかったなあ、俺様がいたおかげで思わぬ臨時収入だぞ、マッチ売りの少女!

【手にしたお金を数えながら、汚い笑みでしれっと少女も巻き込んだ】
【そう、人を騙して手に入れた金を少しでも手にした時点で少女も同じ穴の狢である。それを狙って金を『山分け』したのだ】
【しかし、まあ……ここまで見れば少女もわかっているだろうが。この男、色々と残念な奴である】
644 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 03:58:43.12 ID:JJZRb56ho
>>641

いいえ、帰る場所はあるわ。此処で死んでも、私は帰る。家族がいるもの。

【マフィアにとって仲間は家族同然、自らの命よりも重いものである。古くはそうであった】
【今の組織はどうだか知らないが、このやくざ者たちは相も変わらず仁義を切っている】
【故に彼女は刀を取り人を斬るのだ。家族やその友人の為に帰る場所を守るために】
【…ただ刀を持つことはそれよりも早く覚えた。彼女の本来の血筋は武家の人間であったためだ】

【剣を流し、蹴りを打ち込み、打撃の追撃は叶わなかったが、崩すことが出来ることを証明できた】
【相手は剣士である。どれだけの実践を積んできたかは知らないが、この方向には耐性が薄いのか】
【彼女は理論を構築して方向性を考える。能力とフィジカル以外でのアドバンテージを得ようともがく】

そうしてほしいと、ウチの古い友人に頼まれたのです。
…それは残念。連絡先を存じ上げなかったものですから。

【あの若者たちは街の老夫婦が営む小さな雑貨屋を襲撃した。強盗の際、面倒になって殺害したが】
【証拠不十分であったため殺人は適応できず、直ぐに保釈された。しかし、街の住人はそれを許さなかった】

【彼女は一歩ずつ、ゆっくりと間合いを詰める。長々と待ち構えるほど弱くはないし、突っ込むようなこともしない】
【剣術の基本的なすり足はしないものの、上体は全く揺れない。何処の流派にも当てはまらない。自身のスタイル】

【手は動かない。順でも逆でも、左手でも抜ける。その瞬間まで技は見せない。教科書通りの癖の無さである】
【呼吸も整えて、乱れずに…しかし、手に汗を感じる。喉が灼ける。つま先から脳天までが繋がる様な緊張感】


【間合いまで後、5歩―――4歩―――3歩―――2歩――――1―――――】
645 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/26(金) 04:24:19.08 ID:jd40mIoI0

>>643
うわあズルい……『だけ』とは言ってないのに……まあ良いけど
【あんな大人にはなりたくないなあ……と少女はぼやく】

臨時収入ねえ……っていうか他人を馬鹿にするとかお兄さんあくどいなー……良い死に方しないよー? 
【少女は呆れ顔で溜め息を吐く】
【が、すぐに自分もある意味加害者だと気付きすうっと青ざめる】

あ……あわわ……ど……どうしよう……
は……犯罪の片棒担いじゃった……
わ……私、犯罪者になっちゃった……
【少女は涙目でわたわたと慌てはじめ】

こ……こうなったらやる事は一つしかない! 
【何かを決意したように通りの奥を見据えると、ていっという掛け声と共にエースに籠ごと金を押し付け】

ちょ……ちょっと贖罪の為に路地裏の人に殺されてくるっ!! 
【混乱からか最早訳の分からない事を宣言して路地裏へと駆け出していくのだった】



/強引ですが時間も時間なので此処で締めます
絡みありがとうございました

646 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/26(金) 04:33:14.05 ID:6mESOJEdo
>>645

何言ってんだ、騙される方が悪いんだよ、それに俺様は騙しちゃいねえしな
あいつらが勝手にマッチに価値を見出して勝手に金を払っただけさ、俺様は値段も付けてないし売り付けてもいないもんねー
それでいい死に方しないなら、商売人はみんなそうさ

【「それに、死に方に良し悪しがあるか」と付け加えて、自己弁護と言い訳で自らを飾る】
【まったく悪びれる気はないようだ、極悪人ではないにしろ、良い人間ではない】

お?なんだ、全部くれんのか?まあくれるなら貰っとくけど……っておいおい
落ち着けよ、だから別に悪い事してる訳じゃあ……って、聞けよ!

【そんな人間だから、巻き込まれた少女の気持ちなんか知る由もない、宥めようとするがそれすら聞かずに少女は走って行ってしまった】
【不穏な言葉を残していったが、止める義理も追う義理もないので放っておく、運がよければ正義感に溢れたお人好しが慰めてくれるだろうと】
【少女に押し付けられた籠を指に引っ掛けくるくると回しながら、鼻歌混じりに街を歩いて行った】

/乙でした!
647 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 04:33:34.15 ID:AdwgkDkno
>>644

「……はっ、ご立派な理想だな。
 だが、現実は非情だ、そんな理想も、現実の前ではすぐに崩れ去る」

【女は以前より現実主義者だ。「今から見せてやろう」と言って刀を構え直す】

【この女、確かに剣と格闘を織り交ぜたそういった戦法にはあまり縁がない。そういった流派である】
【だが、たかが一発貰った程度だ、鳩尾へと放たれた蹴りは中々に強力だったが、まだ動ける。そう目が言っていた】

「……マフィアの"仁義"という奴か。……ふん、下らん」

【彼女が話す極道の掟ともいうべきソレは、女によって一笑に付された】
【女の性格を考えれば当然だ。人を斬れれば良いといった異常な思考の前では、そんな事を考えるまでもない】
【今だって、恐らくこの路地裏に来た時点で男たちの運命は決まっていた。彼女が斬らなくとも、女は問答無用で斬っていたのだ】

【そして、居合の構えを取りつつ接近する彼女と、動かずじっと待ち続ける女。もうすぐ、間合いに入ると言ったその瞬間】
【女は脚のバネを全力で放ち、彼女へと接近するだろう。意表を突く算段だろうか。兎に角動き始めにはいつの間にか、女は刀を右に構えており】
【彼女が放つであろう居合と女の右からの薙ぎ、それが激突するその直前になって】


「――――――AEGIS」


【そんな女の声ではない、青年のような声が上から響いたかと思えば、彼女らの間に割って入るのは白い半透明の盾だ】
【大きさは彼女らを分け隔てることのできるくらいには大きく、そして、彼女らの一撃を"防ぎきる"事ができるくらいには硬かった】

【その直後、彼女らの上から人影が降ってくる。ふわりと着地したその人影は、全身を白で固めたスーツ姿の青年だった】
【髪も、スーツもスラックスも、革靴も白。ただネクタイとメガネのフレームだけは、闇の如く黒い。そんな青年だ】
【その表情は、にこやかに微笑んでいた。自然なその笑みを湛えたまま、青年は彼女へと振り返る】

「……いやーごめんごめん! ウチの冴が手間かけさせたね。本当に申し訳ない!」

【口を開いたかと思えば、出てくるのはそんな謝罪の言葉。女はといえば、青年の姿を認めればため息を履き、刀を収めていた】
【頭を掻いてそんな言葉を吐く青年。この場ではある意味異常とも言えるそのほほ笑みで、彼女の次の句を待った】
648 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 05:08:45.95 ID:JJZRb56ho
>>647

【女の発言を受け、彼女は短く笑う。嘲笑、冷笑の類の笑みだ】

あら、可哀想な人。同情します。

【仁義なんてものを置いておいたとしても家族の意味を理解しない姿勢を彼女は笑う】
【孤独だの孤高なんて何も美しくない。単なる一人ぼっちの言い訳だ。だから同情してやる】

【もし相手が動かなければ十分に間合いを詰めて、左手で抜いて右手を添えて回して斬り上げる】
【かの映画そのまま、逆抜きで斬る。その腹づもりだったが相手が不意に詰めたのでプランを切り替える】
【定石通り、受けて流す。スピードを殺さないなら横か逆袈裟の斬り上げだろう。後者は既に使っている】
【そう考えるならば横に薙いで、トドメの袈裟、無いし上段。突きも考えられる】
【だから、相手の脇に飛び込んで、一撃を回避して下段から逆手で斬り上げて背後から突くと切り替える】
【回避からのカウンターは彼女の得意技である。これならばスピードで勝るとも劣らない自身もある―――】

 ……ッ!

【踏み込もうと、身体に力を込めたところで障害。把握できない自体に全ての所作をストップして硬直する】
【直ぐに全てを把握した彼女は舌打ちをする。…これは敵のもう一人の存在に気がつかない自分に対してだ】

そんな謝罪は、私達の世界じゃ無価値ですよ。正直…不愉快です。

【刀の柄に手をかけたまま彼女は吐き捨てるように言う。表情にも現れている】
【本当ならばカネ持ってくるか指の1つでも詰めろやとやくざ者らしく言うところだが、相手も相手だ】
【面倒なことになって戦闘が再開することも、会話が長引くことも嫌だから。事務的に済ませる】

では、さっさと連れて帰って、二度と私の前に現れないでいただきたいのですが。

【もうそれ以上、何もいいたくないし、何も言うなよという強烈なメッセージも込める】
【どうせ何を言っても素直にハイとは言わないだろうし、こちらも言われても頷くほど機嫌も良くない】
649 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 05:32:56.19 ID:AdwgkDkno
>>648

「アハハ、そんな怖い顔しないでよ。君も、冴もさ」

【彼女の真意を知ってか知らずか、また後ろの女の表情も見て取ると、先ほどまで戦場だった所でスカしたようにそう言い放つ】
【空気が読めないのか、それとも読んでいないだけなのか。何方にしろ、彼女が憤るのも当然だ】
【だが、青年は話を続ける。相変わらずの微笑みで】

「わかってるよ。どうせ勝てない相手だ。冴の性格からすると死ぬまで殺り合いたい所だろうけどね。
 流石に私の部下が殺されるのをみすみす放っていく理由もないしね」

【彼女の要求に、青年は驚くほどあっさりとYESを返す。そして彼女を、「勝てない相手」とまで評した】
【これには後ろの女も青年へ向ける目つきが鋭くなるも、すぐに戻る。この青年、それなりに力は持っているようで】
【しかし、饒舌なのか青年はよく喋る。身に纏う色も相まって、まるで女とは正反対の存在だ】

「さぁ、どうだろう? 君の視界に冴や私が入るかもしれないしそれはわからないよ。注意はしておくけどね。

 ……さ、帰るよ冴。 もうすぐ警察も来ちゃうしね」

【何も喋るな、なんていう彼女の言外の意志を無視するかのように捲し立てて―――言うことも済んだかのように青年は女へと向き直る】
【青年の言葉を裏付けるかのように、聞こえてくるのは小さなサイレンの音。恐らく、この青年が通報でもしたのだろう】
【そして―――突然青年と女の姿は掻き消えた。それこそワープかのように、その場に残ったのは彼女と3つの骸だけ】


/ここらで〆させていただきます、ロールお疲れ様でした!
650 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/26(金) 21:40:50.23 ID:JJZRb56ho
>>649

【彼女は黙って何も言わず、ただ相手がさっさと立ち去ってくれることを待っていた】
【饒舌な男の態度にはいらだちを覚えずには居られないがそれをああだこうだ言う方が惜しい】

【残された彼女は刀から手をはなし、腕時計をちらりと見た。そして溜息。ツイてないにも程がある】
【警察が来るまで暇そうに彼女は待っていた。逃げる必要はない。どうせ元々呼ぶつもりだった】
【この辺の所轄なんて身内みたいなものだ。さっさと処理を押し付けて帰るとしよう…】


/遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました!
651 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 14:06:00.67 ID:zAgS/XJWo
【街中】
【クリスマスが終わり、すっかり街もいつも通りの様子を取り戻している】

「ちょっとー、マユミー」 『なになにー』
「トナカイヘッドマスク被ったサンタのプレゼントって開けたー?」
『開けた開けた、フツーのお菓子だったから食べたたよー』 「味も普通だったよねー、まータダだしいいっか!」

【2人の女子高校生が会話をしていた、それは他愛もないごくごく普通の会話】
【話題に出ているサンタとは、クリスマスイブ・クリスマスの時期にこの辺りでプレゼントを配っていた存在】
【身長2m超えだけあって目立っていたようで、同じ相手に対する話題は周りからもちらほら聞こえてくる】

「ところでマユミぃ〜」 『なぁに、アユミぃ』 「あんたそんな顔だったっけぇ」 『えー、どれどれぇ……キャハハハ!』
『あたしこーんなにヤマンバメイクした覚えないんですけど〜』 「またまたぁ」 『ほんとだってぇ』
『そーいうアユミも最近テレビに出てる人みたいだしぃ』 「あー、ほんとだぁ、お人形さんみたーい」

【……この街、何かがおかしい……】
【2人だけの会話ならば、ただの冗談の言い合いだったかもしれないのに】
【同じ様な話題で盛り上がっているのは彼女らだけではないのだ、メイクなんてするわけのない外回りサラリーマン集団まで同じことを言っている】


……ククク、不ゥ自然を自ィ然に受ゥけ入れろ……そォの漲る力に気ィづいた時が、"混沌"の始まりだ
毎日をだァらだらと、……何となくで過ゥごすなァら、いィきいきと過ゥごした方が楽しいだろう?
もォうすぐだ……もォーすぐでだ、こォの街は"腐った秩序"を捨ゥてるぞ……ッ! 熱くなるなァ

【この街にあるとある通り、……浮浪者やら犯罪者やらが溜まる為、知る者は誰も通ろうとはしないこの場所に】
【サンタの服装をした、トナカイ頭の人と思わしきモノが居た――身長は2m、帽子を貫通した角も相まってかなり大きく見える】
【……その者は、この通りの入り口付近の物陰に座っていて……表の様子を、声を、伺うのだった。】
652 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 15:50:14.22 ID:Rvh/J0cHo
>>651
/まだ募集してますか?
653 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 15:52:36.66 ID:zAgS/XJWo
>>652
/大丈夫ですよー
654 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 16:13:24.91 ID:Rvh/J0cHo
>>651
【クリスマスも過ぎ去ったというのに、どうにも街は賑やかだ、どいつもこいつも浮かれていやがる】
【女子高生ならまだしも、サラリーマンも主婦も、異様なメイクで歩き回っているのだ】

(……え?今日なんかイベント事あった?)

【白いスーツに、トランプ柄のネクタイというこの男の出で立ちですら、この現象の中ではパンチが弱く見えてくる】
【男は撫で付けた金髪を右手で撫でながら、眼鏡の奥の瞳を彼方此方へと動かして動揺を表していた】

(いや……明らかにおかしいだろ!)

【女子高生ならまだしも、そんな冗談は言わなそうなサラリーマンまでもがゲラゲラと笑っている様子に、頭の中でツッコミを入れながら】
【いつまでもこんな所を歩いていたら自分までおかしくなりそうだと、表通りを離れる事にした男は、件の者がいる通路に向かって早足で歩いて行く】
【周りを出来るだけ見ないようにして、逃げ込むように通りに差し掛かったその時、一際異様な風貌の何者かが目に入ったのである】

……ッ!?うおッ!!

【どう見てもまともな人間ではない、そう判断出来る情報が多過ぎるそれが不意に視界に入った為に、思わず身を隠してしまう】
【それに加えて、そいつが何やら呟いているから、ついつい顔をこっそりと出して聞き耳を立てるのであった】

(えぇー……何あれ…?なんか呟いてるし……)
655 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 16:35:34.83 ID:zAgS/XJWo
>>654

だァが……全員に配れたわけじゃアねェーかァらな
貰った後"食ァべなかった"奴らもいィるだろう――そォいつらにィは別の手ゥ段で……

【そう言えば、大体の者はあの話題で盛り上がっていたようだが、全てが全てそうではなかった】
【"一体皆どうしちまったんだ"】 【"だからサンタは信用ならないんだよ、ザマァ"】
【無論、そんな彼らはこの異質な空間に戸惑い(大体は)、むしろ自分がおかしいのかと思い始める者までいる様子】

む……あァの動き……見ィられたか

【物陰で街中を観察していると、自身のいる通りに何者かが近づいてきた】
【それは正義か知らぬ者か――どちらにせよ、明らかに見られたことだけは認識できた、だから隠れるところまで見ることが出来た】
【明らかに目立つ格好で街中ウォッチングをしている自分が、気にされないわけがなく、案の定そうであったので……】

……どォっちの者なァのか俺様はどォーでも良ォい、が……邪ァ魔するもォのかを見ィ極めねェーとな、ククク

【……この頭がヘッドマスクだとすれば、この時ニヤリと口元を歪めたのは一体どういう仕組みなのだろうか】

バァレバレだぞ? メェルィィイイーーークゥリスマスッ! ――おォっと、2日程遅かったか……ヒャハハッ!
……出ェてきてもォらおうか、さァもなくば無ゥ理矢理引ィきずり出ァすぞ? まァー、テメェーが何者かによォって俺様が何をすべきかが変ァわるのでな……ククク

【それはともかくとして、気づかれたからには例え杞憂だとしても手を打たねばなるまい――】
【彼が隠れている(と思われる)方に身体を向け、挑発的に掌を動かすのだった】
656 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 17:10:04.56 ID:Rvh/J0cHo
>>655

(うっわー……絶対原因だ…アレ絶対この現象の原因だよ……)
(……関わりたくねえなあ…とりあえずここから離れて自警団にでも連r)

【こういう輩には関わらないのが一番である、さして止める理由もなければ、視界が煩い以外に困った事もない】
【正義感の強い奴を呼べば自ずと片付けてくれる筈であるからして、事勿れに逃げ……ようとしたのだが】
【残念ながらそうもいかないようだと、そう思ったのは大声で固まった体の緊張が解けてからであった】

(やっべええええええええええ!!?見つかったあああああああああ!!)

【隠れていた壁にピッタリと背中をくっつけて、冷汗がビッショリと流れ出す、冷たい風がそれを冷やして体が震えてきた】
【無視して逃げようか、とも一種脳裏をよぎったが、もし失敗すればどうなるかわかったものじゃあない】

(くっそ、あのトナカイ男強そうだな……はっ倒すのも難しそうだ)
(斯くなる上は……)

【生唾を飲み込み、深呼吸をして冷汗を引っ込ませる、覚悟を決めて、男───エース・セブンはネクタイを締め直した】
【それから、無言のままに隠れ場からトナカイ男の前に姿を表し、路地の真ん中に仁王立ちする。───そこからの行動と言動はとても素早かった】

【まず、トナカイ男の姿を確かめると、素早く視線を左右に滑らせて周囲を確認、他に誰かいないかと、路地の広さを測る】
【それを手早く済ますと、両脚を素早く踏ん張り、バネの力を最大限に生かして、広げた両腕を前に伸ばして跳び上がる。トナカイ男に一気に突っ込む形で空中に放物線を描いて───】



すンませんッッッッッしたァァァァァァァァァッッッ!!!

【地面を滑りながら、ジャンピング土下座でトナカイ男の前へと躍り出た】
657 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 17:29:55.39 ID:zAgS/XJWo
>>656

ククク……安心しィなァ、[ピーーー]気はねェ――今は、な

【だがしかし、いきいきとしたその眼は、本当に[ピーーー]気がないのか怪しいほどだった】
【"相手が何者かを見極めるためには"】 【……さて、この呼び出しだけで出てくるか】
【"相手と接触するのが、手っ取り早い"】 【……出てこないなら、相応の力を出すだけ】

よォし、出てきたな……まァずはお前がどォこのしょぞ……

【などと、ぼくのかんがえためっちゃかっこいい決めポーズを取りながら喋る怪しげな者】
【しかし、相手の取る行動は、その者の言葉を最後まで言わせず……むしろ、慌てさせた】

そォーそゥ、そォれで良ォい……って、テメェー大きな声出ァァすんじゃアねェェエエーーッ!!

【どっちが大きな声かはともかくとして……そう、ここで騒ぎがあると知れればこの街の人々が野次馬根性を見せてくる可能性が高い】
【"この姿は"既にこの街の人々に割れている、もし自分が悪者であるかもしれないと思われたら、計画は台無しだ】
【……さて、このトナカイヘッドマスクらしきモノ、次の瞬間にはカモシカヘッドマスクにその姿を変えている】

「あれー、あれってあのサンタじゃねぇー?」 『アユミー、あれトナカイじゃなくてカモシカだよー』
「ほんとだー、じゃあただの親戚さんかなぁ」 『多分そぉーじゃねぇ〜?』 「だねぇー」

【これなら同一人物だとわからないので安心である】

……まァったく、冷や汗かァかせやがって…………まァー良ォい、テメェーは俺様の邪ァ魔をしィなさそうだから見ィ逃してやっても良ォいぞ

【ジャンピング土下座の着地先にゆっくりと近づき、その顔を覗きこもうとする怪しげなトナカイ頭……いや、カモシカ頭】
【かなり油断していると思われるが、はたして――】
658 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 17:53:48.34 ID:Rvh/J0cHo
>>657

【カモシカに進化(?)した男に土下座する、白いスーツの男……一体何の場面なのか、訳が分からない風景である】
【とはいえ、勢いに任せて許しを請うという行動は成功したようだ、どうやら見逃して貰えるらしく、それを聞いた男は───】

(……『見逃してやってもいい』……だァ!?)

【地面に額を擦り付けながら、不満気に眉を引きつらせていた】

(このアホ……俺様にこんなポーズさせてただで済むと思ってんじゃあねえだろうな……!)
(折角のスーツも汚してんだぜ……無一文になるまでたんまり搾り取ってやる……!)

【カモシカ男が金を持っているかはわからないとして、タダで済ます気はなさそうだ】
【とは言え、ただ単に油断させて攻撃する、というのがこの男のやり方ではない。曰くそんなスマートではないやり方はしないのだ】
【顔を上げると、二ヘラとした営業スマイルをカモシカ男へと向けて、おずおずと話し出す】

い、いやあ…すみません…覗くつもりはなかったんです……ハハ
いえですね、実は僕、あなたの邪魔をしに来た訳ではなくて……その、憧れているというか……

……この街の人々をおかしくしたのはあなたですよね?いや、実にすばらしいと、僕はそう思った訳でして、はい……

【心にもない事を次々と口から吐いて、カモシカ男の機嫌を取ろうとする、この男には慣れた手口である】
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 18:15:05.91 ID:zAgS/XJWo
>>658

うゥーむ、よォーくと顔が見えねェーな、まァーそォーんなことどォーでも良ォいんだがな!

【そう言ったかと思えば、覗きこむ動作を止めて身体を起こし……そして】
【相手が顔を上げたことを認識すれば、それがよく見えるようにと数歩ほど後ろに下がる】

ククク、次からは気ィをつけるんだな……正義かと勘違いしィちまうからよォ

【覗かれた事自体はどうでもよかった、ただ、相手が自分に害する立場かを気にしていた】
【この態度を見る限り、今のところは大丈夫そうだと――この者は、そう認識する】

ほォう、俺様に憧れるとは良ォい事だ! 俺様は超強ェ"悪魔"だァからな、どォんどん憧れなァァアア

そォーだ、こォの街に訪れた変化は俺様が齎したもの……まァさか奴らも、菓ァ子に仕ィ込んでいたとは思うまい
だァが、こォれはおォかしくなったんじゃアねェ――混沌を望むように進化させただァけよ
どォちらにせよ、素ゥ晴らしいと思うのは正しいことだ! ヒャハハハ!

【――やはり、この街に訪れた異変はこの者の仕業で間違いなさそうだ】
【そして、褒めて機嫌を取ろうとするその行為は、どうやらこの者には特に効果がある様子】
【理由は単純、この者はかなり傲慢だからである】 【隠そうとしないそれは言動に表れまくっているので一目瞭然】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 18:35:13.36 ID:Rvh/J0cHo
>>659

へ、へぇ!!悪魔!通りでこんなに悪どい事が出来る筈だ!!
僕、実際の悪魔なんて初めて見ましたよ!サインが欲しいくらいだ!!

(マジで頭イってんのかこの被り物!?悪魔なんている訳ねーだろ!)

【とりあえず話を合わせて笑っているが、神も悪魔も信じないこの男にはバカの狂言にしか思えない】
【頭の中で悪態をつくが、それを全く気取らせないくらいに表情と声色を作っている。心を読まれたりしない限りは大丈夫な筈だ】

お菓子に仕込む!?まさかそんな方法があったなんて!僕には思い付きもしませんでしたよ!?
人々が浮かれるクリスマスに、みんなが食べるお菓子に仕込む……いやあ素晴らしい手腕だ、すごいなー憧れちゃうなー

【とりあえず褒める、褒めちぎる。頭ではバカらしいと思っても次々と口からでまかせを言い続ける】
【どうやらカモシカ男にはこの戦法は効くようだと見た男は、迷う事なく誉め殺し戦法を取る事にした】

所で悪魔様、とても素晴らしいお力をお持ちの様ですが……これだけ凄い事が出来るあなた様なら、当然『逆の事』も出来るんですよね?
あ、いやすみません、こんな事聞くまでもない事ですよね?『出来て当然』ですものねえ、ハハハ……

661 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 18:51:20.28 ID:zAgS/XJWo
>>660

サインなァら埋ゥもれるくらい書ァいてやっても良いぞ……ククク、複製品だァがな

【すっ、と、……どこからともなく現れる現れる色紙は真っ白で何も書かれていないが】
【気づけばそれが二枚になったりするのだから、おそらく"埋もれる程のサインを出せる"と言いたいのだろう】
【なおこの色紙、そのへんの店で買おうとするとそれなりにする、わりと良いものらしい】

そォーだろォ? 人間共が食ゥい物に弱ェのはわァかっている
そォの上、ぱァっと見ィは既ィ製品そォのものだからな……怪しむわけはねェって訳だ

【そう言い、担いでいたサンタの袋から出されるのは……まあ、一目で義理とわかってしまいそうなチョコレート】
【どこからどう見ても普通。穴なんて空いてないし、重さもにおいも全てがそのまま】
【そしてそのチョコレートは彼の目の前にかるーく放り投げられる、渡す気があるのかないのか……】

……でェてこォい、"シューダ"!

【その者の目の前に現れる魔法陣、そこからいずる闇はその者の肩の上で形を成して行き――2m程でターコイズブルーの蛇になる】
【その直後、その者が持っていた色紙は空へと投げられ――蛇がそれに向けて炎を吐く】
【当たり前だが色紙は燃える。そこら辺に落ちても燃えっぱなし。】 【燃え尽きればその内消えるとは思うが】

今の見ィたな? 世ォの中には可ァ逆変化と不ゥ可逆変化っつゥーもォんがあァァんだよ、覚えときな

【むっとした様子でしゃがみ込み、相手の顎の下に手を当ててクイッと軽く引こうとする】
【"出来て当然"と言われた行為が出来ない(?)となれば、この性格では怒るのも当然か――】
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 19:23:25.71 ID:Rvh/J0cHo
>>661

(人間舐められてんなあオイ……まあめちゃくちゃ騙されてる奴多いけど)

【何もない所から色紙を出したり、蛇を出したりする行動には感嘆の声を上げながら、考える事はこのカモシカ男の隙を突く事】
【当然ながら、物理的にではない、精神的な隙を探って差し込む事だ】

(……ま、そう簡単にはいかねえと)

【出来ることなら、逆の事を目の前で実戦させて街の人間を元に戻してやろうとも思ったが、不可逆ならば仕方がない】
【実際の所、街の人間はどうでもいいのだ、この自称悪魔に痛い目を見せられればそれで】

───なーんだ、そんな事も出来ねえのか……期待して損したぜ

【もう下手に出るのは辞めた、顎を掴む手を振り払い、溜息を大げさに吐きながら立ち上がって、スーツの埃を払う】
【別に本心を出した訳ではない、アプローチの仕方を変える事にしただけだ】

偉っそうに自分の力を語る癖して、世の理に縛られてるんじゃあお笑い種だぜ、下手に出てみて損した
お前がやってた事の逆なら、『俺様にだって出来る』のになあ?

(……絶対出来るとは限らないけど)

【態度を豹変させて、上から目線で、あたかも『今まで力量を図っていた』風に装って話す】
【あれだけ傲慢そうな奴だ、少し挑発すれば乗ってくる筈だから、「自分には出来る」と言えば乗る筈だと信じて】
663 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 19:32:52.22 ID:Rvh/J0cHo
>>661
/申し訳ありません、次のレス遅れるかもしれません
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 19:57:11.65 ID:zAgS/XJWo
>>662

あァ? テメェー何言ィってやがる――煩ェ奴め、戻らんモンは戻らんっつゥーの!

【簡単に挑発に乗る辺りはプライドがものすごく高そうだが……】

第一俺様が街を戻す利点なァーんざ1つもねェ、が……そォーんなにやァって欲ォしいのか? あァ?
良ォいだァろう、やァってやる――たァだし、テメェーに"俺様がやるなら"のやァり方を見ィせてかァらだ
今、"逆"を出ェ来るとか言ったな? テメェー如きにこォれが扱えるのか、テメェーこォそ"理"に縛られてねェーか……見せてもらおうじゃアねェーかァッ!

【相手の左前腕を自身の右手でぐわっと掴みかかり、その行為に成功すれば――】
【軽く上の方に腕を持ち上げようとする、但し"肉体は持ち上げない"――"その魂のみを持ち上げ"ようとするのだ】
【そして、この段階で何かしらの抵抗をして腕を開放しなければ、次の瞬間には左前腕の魂は握りつぶされ砕け散り、欠片が地面に散らばっているだろう】
【――万が一砕けたところで肉体は無傷だ(痛みは砕ける瞬間だけある)、ただ、自分には左前腕がないような今ある左前腕が自分のものでないような、奇妙な感覚があるのみ】

……菓ァ子を介してこォの街の人間共の"魂"に混沌を植ゥえつけた――体を巡るエネルギーの流れによって、そォの内全身に回る
こォの状態を解除するには魂に"逆のモノ"を植ゥえつけりゃア良ォい、簡単な話だァろう?

だァが俺様は混沌だ、混沌が混沌に染まったモノから……わァざわざ混沌を取ォり除くなァーんて馬ァ鹿馬鹿しい、敵に塩どィころか大量の兵ェ器を送るレェベルだ
……一旦中身ぶゥっ壊して再生成を待ァつ位ならやァっても良ォいがな? 全部壊したら永遠に元に戻らんが構わんな?

【なお、自身の魂が存在する限り、もし腕の魂が砕かれていたとしてもその内元に戻るので安心(?)だ】
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 19:57:56.91 ID:zAgS/XJWo
>>663
/了解です
666 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 20:40:25.67 ID:zAgS/XJWo
>>663
/飯落ちします
667 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 20:53:02.64 ID:zAgS/XJWo
>>666
//戻りました
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 21:24:11.83 ID:Rvh/J0cHo
>>664

(バカめ、乗りやがったな!!)

【思った通り、相手は怒って話に乗って来た、一応まだ全てが思い通りという訳ではないが】
【怒りに溺れた者程制御しやすい物はない、それに自分になら言った事が出来るある程度の自信があった】
【正確には、出来ないが『出来たように見せる』事ならば、出来る】

(この左手で触れてその気にさせりゃ、後は演技力で──)
うおっ!?てめ、何しやが……

【そう、左手に宿る能力さえあれば、『それっぽい事』は出来るのだ、が…】
【油断していた、そうでなくとも戦闘事は苦手なこの男、悪魔の素早い動きに対応仕切れず左手を掴まれてしまう】
【左手を失ってはまずいと抵抗しようとしたが余りにも遅かった、そのまま左手は握り潰され───】

お、俺様の腕がァァァァァァァ………無事だった!?

【痛みもあったので思わず取り乱したが、腕自体は健在だった、驚いたが一先ずは安心だ】
【だがしかし、左腕が上手く動かない事に気付く。動かないというよりは左腕が自分の物じゃない感じだ】

(おいおい…思ったよりこれはまずい状況じゃあねえか……?)

【左腕が無事でも、上手く動かないとなれば想定していたやり方が出来ない、これはのっぴきならない事態だ】
【だが、あんな啖呵を切ったのだから、『やっぱり無理です』なんて言えばどうなるかわからない。それに、本当に悪魔じみた事をする相手だ、後に引く事は許されない】

(チィ……しゃあねえ、ここが詐欺師の箔の付け所か)

【やるしかない、そう思い切った男は決意を固め、不敵に笑って見せた】

ククッ!やっぱりお前は半人前だぜ!鹿男!
菓子を介する?逆のモノを植え付ける?そんなまどろっこしい事する自体がナンセンスなんだよ!!
俺様なら一瞬!ほんの一瞬でお前のやった事を無に帰す事が出来る!魂を賭けてだ!!

【こういう時こそ大きく出る、こうすれば絶対の自信があるのだと、相手にも自分にもプレッシャーをかけられる】
【『魂に干渉』なんて事は出来ない、しかしそれ以上に簡単に、やってやれると言い切った男は、勝負に出た】

だがそれには、それを証明する被験者が必要だ、分かるだろ?
お前に選ばせてやる、お前が混沌を埋め込んだ人間を連れて来いよ、俺様はそれをいとも簡単に戻してやるぜ

【後にも先にも、こんな危険な賭けはないだろう。ないようにあってほしい】

/遅れて申し訳ありません
669 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/27(土) 21:30:33.00 ID:bBxOAj6KO


【とある繁華街の一角。突如悲鳴があがる】

【その場にいるのは有象無象。その中で目立つのは二人の人物】

【一人は少々体格の良い火達磨。恐らくはごろつきか何かだったのだろう。両手を振り回して周囲に助けを求めている】

【もう一人は、蘇芳色のボサボサとした少し長めの髪にボロボロの灰色の着流しの青年。虚ろな焦茶色の瞳と狂ったような歪な笑顔を火達磨に向けていた】

【周囲の人々は助けを求めて右往左往する火達磨から逃げ惑うばかりで何も出来ない】

【一体何がどうなっている、と逃げ惑う人々は混乱する】
【確か、男が青年にわざとぶつかって治療費要求という名のカツアゲをしようとして、それで青年に無視されて】
【男が無視をするなと肩を掴んだら急に「お前も俺を蔑んでるのか」と自分の身体に何かを突き刺して】
【青年が引き抜いたそれを壁に当てたと思ったら壁から炎を纏った犬が飛び出してきて男に襲いかかって】
【──それで、今に至るのだった気がするが】

あはははは……ざまァみろ……
俺を蔑むからこうなんだよ……
【青年は片手で顔を覆い、ケタケタと笑う】




670 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 21:54:30.12 ID:zAgS/XJWo
>>668

驚いたか? 怖気づいたか? こォれが俺様の能ォ力だ――

【バァーーz__ン】
【……と、効果音が入りそうなポーズを取りながら、自慢げな表情を見せるそれ】
【本当にこの頭はマスクなのだろうか、あまりにも表情が変化しすぎるが……】

……ほォう、まァともに"魂砕技(ディルムカプテスプ)"を受ゥけてもまァだ言ィうか!
良ォい根性だ、気ィに入ったぞ――俺様の部ゥ下にしィてやァっても良ォいぜ

【先ほど砕いた魂の欠片の1つを拾い上げ、それを食しつつ……残りは、今吹いた風のエネルギーを受けると消えてしまう】
【言動はあいも変わらずといったところか、そして挑発すれば簡単に乗っかてくるところも変わらず】

だァが、ここまで言われると懐が広ォォーーい俺様でェもむゥゥかっ腹が立ァってくるなァ〜〜ッ

……ほォう、連ゥれて来いと
そォーだな、確かに証明する手ゥ段は必要だ……だァが、連ゥれてくる必要はねェ――おォい、そォこの覗き、こォっち来ィな

【相手が気づいていたかはわからないが、このやりとりを覗いていた者が居たのだ――】
【この者が何も言わなかった理由も、このタイミングで呼び出した理由も、あえて言う必要はないだろう】

{いいっすけれど……なんだか話がイマイチ全然掴めないっすけど大丈夫っすか} 大丈夫だ、来ォい

【ともかく、この者が呼んだことでここに来たものは、……いわゆる普通の男、……なのだろうか、戸惑っている様子なんてどうでもよい】
【白い顔に現れた赤い模様はまるで狐のよう。右手には野良猫の頭が握られていて、……色々と血塗れだった】

……さァて、戻せるか? テメェー如きが蝕む混沌を"一瞬で"退けられるか? 見せてもらおうじゃアねェーかァッ!
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 22:40:24.05 ID:Rvh/J0cHo
>>670

【勝算はほぼなかった、しかしだからこそオッズは高くなるというものだ】
【ギャンブルはイカサマをして勝つものだと、昔から思ってきた、今の賭けだって同じだ、出来ないなんて事は無い】
【こっそりと、右手に隠し持った勝利の鍵を持って、固唾を飲む】

【悪魔が連れ出してきた男を見て溜息が出そうになった、どう見たって普通じゃないし、空気だって読んでくれなさそうだ】
【どうあったって相談に乗ってくれそうにもないから、後は自分の力を信じるしかない】

よし、ルールはこうだ
俺様の力によって、この男に『元に戻った』と自覚させたら勝ち。簡単だろ?

【まず最初に、ルールを定めておく、これは後であれこれ言われるからとか、正当性の為ではない】
【要は、勝つ条件を定める為だ。自分でゴールを決めれば、行く方法は問わせない】

……では、その……君、これを見てくれ

【名前がわからないから、仮に『君』と呼んだ男に、右手に持ったとある物を見せた、それは悪魔も見たことのある筈の物】
【『一目で義理とわかってしまいそうなチョコレート』を、これ見よがしに右手に掲げ、男に見せびらかした】

君、これが欲しい?いや、欲しいはずだよ、なんてったって君はこれが欲しいが為に存在すると言っても過言じゃない筈だ

【まるで精神科医か、催眠術師のように、男にチョコレートを見せびらかして語り掛ける、偶然男がチョコレート大好き人間でもなければ首を縦に振る訳がないだろう】
【だから、先んじてチョコレートに能力をかけておいた───左手が動かなくても、物品自体を動かして左手に触れさせたのだ】

【この男の左手に宿る能力、それは『左手に触れた物に対する認識を錯覚させる』能力だ】
【例えまともな思考回路を失っていようと、興味心に直接作用すれば効果はある…今、このチョコレートは相手の男からして、『喉から手が出る程欲しい物』だと錯覚している筈だ】

これが欲しいなら、君に是非とも上げようじゃないか、僕の言う事を聞いてくれたらね
何、簡単な事だよ、その手に持った猫ちゃんの頭を放り投げて、僕の今から言う事を繰り返してくれたらいい

───『私は元に戻りました』……ってね

672 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/27(土) 23:08:29.89 ID:zAgS/XJWo
>>671

ほォう、まァー普通の条件だな――良ォいだァろう、やァってみな

{えっ?} {ちょ、ちょっと待って下さい一体何が始まるんですか、変なことに巻き込まないでください}

【2人で話が進む中、何がなんだかわからず混乱する男――右手に持っているものさえ無ければ普通だったのだが】
【既にもう巻き込まれている事は明確なわけであって、今更巻き込むなというのが筋違いというものだ】
【……もっとも、本人にはその自覚が全くもってないようなのだが】

{えっと、あっ、はい}

【男は言われるがままに義理チョコを見る――】

{うーん、いい匂いですね……ちょうど食後のデザートが欲しかったところです}
{是非頂ければ嬉しいのですが……ええ、無理にとは言いませんが}

【左手を構えながらそういう男――女ならまだしも男の爪がこんなに鋭いのは異常だ、そう思わせる】
【……この眼、もしくれないならば血祭りに上げるつもりなのでは、そんな殺気まで覚える】

{くれるんですか、いいんですか!}
{なに、簡単な事ですよそのくらい……"私は元に戻りました"、こんな感じですか? では本番}

【猫の頭を投げ捨てて――偶然にもカモシカ頭の奴にべちゃっと当たったようだが……ともかく、そうしてから】
【――"私は元に戻りました"、意図してか意図せずか、頭があたってしまった相手に向かって、そう言うのだった】

(……ちァゃんと全部食ァべろ! ……じゃアなくてだ)
(確かに自分の意志で"元に戻った"、とォは言ィっているな……何をしィたのかはわァからんが)

……ふゥむ、確かに元に戻ったとは言っている、だァが本当に自ィ覚しているのか、言ィっているだけなのか、はァっきりしてもらおうか

【――この者、負けず嫌いか】
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/27(土) 23:30:12.75 ID:Rvh/J0cHo
>>672

……ふっ……!

【言ったな、確かに言った、今、確かに『元に戻りました』と言った】
【最初に決めたルール通り、自分は勝利の条件を満たしたのだ、こうなれば勝ちは決まったようなもの、後は負けを認めない子供を宥めるだけだ】

フハハハハハ!!おいおい悪魔さんよお、そいつは負け惜しみが過ぎるってもんだぜ?
お前は確かにルールを呑んだ筈だ、そしてそのルールに則れば、俺様の勝ちは明白じゃあないか!!
あ、もしかして疑ってるのか?俺様が物で釣って言葉だけ言わせてると言いたいの?冗談を!!

俺様は確かに、こいつを元に戻してやったぜ?一瞬にして、手も触れずなあ!気になるならもっと観察してみればいい!

【これだけ自信満々に言っているが、勿論嘘っぱちだ、元に戻してはいないし、放っておけばボロが出るだろう】
【それを見越して、このタイミングでチョコレートを男に渡してやる、男がチョコレートを食べてしまえば、真実は闇の中だ】
【何故ならば、悪魔の出した、『混沌の種が入ったチョコレート』なのだから、食べてしまえば『元に戻した事がチャラになったと口実が出来る』】

魂がどうとか言えるくらいだから、よーく確かめてみてみるといいんじゃあないか?
ああ、もっとも、『もう遅い』かもしれねえけどな!

674 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/28(日) 00:07:23.35 ID:7sSfcK2io
>>673

なァかなか口の立つ奴だッ
……まァ、こォーんなことしィなくとも、魂を直接見りゃア良ォい話だ

【そう言いながら、何が何だかよくわかっていない男に近づき――胸部に手を当てる】
【そして身体に指をめり込ませながら(けれど傷ひとつついていない)、腕を引くと――】
【これは魂の一部だろうか、先ほどと違って砕けて使いものにならない訳ではない様子】

ククク、やァはり元には戻ってねェ――混沌の色だ
……むッ、……こォいつ、俺様特性のチョコレートを今さァっきッ!

【相手の思惑通りだった、この男は食後のデザートを食べていた――】
【つまり、例え一度戻っていたとしてもそれを証明する手段はおそらくない!】
【……ちぎり取った魂の一部を男の胸部に戻し、繋ぎ目もきちんと修復すれば(相手がわかるかは別)】

悪魔の証ォ明って奴か――けッ

【悪魔という生き物は取引が大好きだ、秩序は嫌いだが条件を易く破るわけでもない】
【だからこそ、これ以上深くはつつかなかった、つついたところで反論出来る材料が揃うとも限らない――その為に労力を使うのならば】

今ォ日は調ォ子が悪ィぜ {あの、なんか心臓痛いんでかえっていいですか} 帰れ帰れ、そォの内治る

【やっぱりよくわからないまま男はどこかへ立ち去っていった――】

……俺様、やァられたらやァり返す質でなァ〜―― 一発くらい殴っても良ォいだァろう? あァ、殴る前に……

【言葉で勝てないなら肉体で勝とうとする、いわゆる底辺族の定番に出る自称悪魔】
【サンタの袋を持ったかと思えば、相手に向けてその中身をドバドバと放出!】
【……しかし今の中身は菓子ではない、蜘蛛とかムカデとか……いわゆる多脚の奴ら】
【明らかに未知の種類もいるのだが、……要するにただの嫌がらせである】
675 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/28(日) 00:30:09.87 ID:VdjwE4dXo
>>674

ククク……大好きだろ?悪魔の証明……
何しろ悪魔なんだからなあ?ハッハハハハハ!!

【追求したければするがいい、すればするだけ屁理屈で返そう】
【そう言わんばかりに、この男の頭は勝利の自信に満ち溢れていた。最早勝ちを確信したからこそ調子にも乗る】
【負け惜しみを言う悪魔を目に大笑い、思い切り指差して笑ってやるのだ】

……おいおい、口で負けたからって今度は拳で勝負か?
よしたほうが良いと思うぜ、俺様は実は力で済ます方が得意でな

【だが、この状況は真に宜しくない、相手が力でくるというのならば、もしかしたら本当に勝ち目がないかもしれないからだ】
【戦闘なんて想定してはいない、左腕が動かないのだから尚更だ……右手が使えるのは不幸中の幸いだが】

よ、よーく考えてみろよ?お前は既に一発やってんじゃあねえか?言うならばチャラだぜ?
それに、片腕が使えない俺に殴り勝ったって、逆にアンタの箔を落とす結果になるだけだと思うけどなぁぁ〜……ってうお!キモっ!?

【狼狽えながら、どうにか殴られるのだけは避けようとあれこれ言い訳しながら、視線を泳がせる】
【その時、袋から飛び出た不快害虫の群れに驚いて、声を上げながらその場を飛び退いた……攻撃するなら、チャンスのようだ】
676 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/28(日) 00:54:03.56 ID:7sSfcK2io
>>675

ククク、悪魔だァけにな――証明も実力行使もどォーっちも好ゥきなんでなァ〜ッ!

【左の手袋を外すと、赤く鋭い爪がある普通の手があらわになり――】
【そこに、厨二病とかが好みそうな黒色のオーラ……混沌の魔翌力のそれをまとわせ、滾らせる】

俺様に力で叶うとは思い上がりも甚だしいってモォノよ

【……どうやらこのオーラ、ただの威嚇でしかないらしい】 【今のところは、だが】
【自分の力に余程の自信があるようで、先程の負けは既になかったコトにされている様子】

今更落ォちるモォノなァーんざ、なァーんにもねェ……
落ォちるだけ落ォちて得ェたこの"俺様という存在"にはなァァアアーーッ!!

【地面を蹴り、一気に近づいたかと思えば――今度は左の手で相手の右前腕部をつかもうとし】
【成功すればやはり、魂だけを引きずり出そうとする】 【なお、砕かれる前ならばただの幽体離脱的な感覚で済む】
【そしてその左手に力を込めようとし……】

……ふゥむ、確かに一発は殴っていたか、今回はそォれを代金にしィてやァろう

【……寸でのところで踏みとどまった】 【そう言えば、あの時左腕の魂を砕いたのは、紛れも無い自分】
【どうせ治るからとかる〜く砕いただけだったが、慣れない相手にとってはそれなりのダメージはあるか】
【なんて思ったこの者は、成功していた場合は魂を戻してから、その手を離して一歩下がる】

だァが、こォの街はもォう俺様のモォノだ! ヒャハハハハ!
そォの記ォ念に……そォいつらは俺様、"邪禍"様からテメェーへのクゥリスマスプレゼントにしォといてやるよ、炭の代ァわりさ

【――知っているかはともかくとして、邪禍という名前は指名手配犯のリストにあった気がする、色々な罪を犯した悪魔とのことだが】
【ともかくこの者は、そんな捨て台詞を吐きながら、そして嫌がらせでしかない沢山の脚のプレゼントを置きっぱなしで、この通りの奥にへと逃走を図る】
677 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/28(日) 01:28:03.90 ID:VdjwE4dXo
>>676

待て待て待てって!!本当にやめろマジでやめろ!俺様をこれ以上傷付けるとえーとあのその……

【虫はキモいし、殴られそうだしで、最早四面楚歌な状況、本当にどうにかハッタリを利かせられないかあれこれと考える……が、無理……ッ!】
【こうなれば奥の手を使うしかないと、右手を悪魔に向けたその瞬間、それを狙ったかの様に右手を掴まれる】

やべっ!?

【先程左腕にやられたのと同じ物が来る───左腕に続き右腕もやられれば、それは詰みでしかない】
【最早こうなれば、男に出来る事は神に祈る事だけだ】

…………!?

【だがしかし、祈りはなんと通じたようだ。ギュッと閉じていた目を開けて、自分が助かったのだと理解する】
【悪魔が手を離すと、右腕が動くのを確認して】

その名前……確かお前……
……っておい!いらねえよこんなもん!持って帰れ!!

【邪禍という名前に聞き覚えがある、指名手配されている者の名前だと記憶しているが、それを確かめる前にキモい虫にたかられてはそれどころではない】
【スーツから靴から、虫を払いのけている間に邪禍は逃走出来るだろう。そしてこの男も、特にこの街を救う使命感なんかもない訳で】
【『取り敢えず通報しておこう』的な考えの元に街を去る……こんな異様な街にいつまでもいたくないから】

/乙でした!
678 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2014/12/28(日) 01:42:46.31 ID:7sSfcK2io
>>677
/おつでしたー
679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/29(月) 00:01:16.91 ID:HuPPcl1Ro
【街中】

【クリスマスほどじゃないが繁華街の通りは店の明かりも絶えず、まだ人も多い】
【人の波を無理やりかき分けていく人物。グレーのパーカーを着た青年だ。手には不釣り合いな黒い革のカバン】
【それを少し離れた後から追う人の影。通行人と肩をぶつけながら走る。付かず離れずの距離だった】

ハァ…!!クソッ!おい!誰かソイツ止めろ!ドロボウだクソッ!

【周りの人の山よりも1つ2つ背の高い男。サングラスをかけている黒髪の人物。服装もシンプルに】
【黒のスーツと赤いシャツ。人が多すぎて上手く走れない。声を上げても通行人は防寒するだけ】
【パーカーの青年はちらと後ろを確認し、また向き直って走る。ちょっとした…というか結構な騒ぎになっていた】
680 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 00:31:48.87 ID:UCNQ7g220

【とある都市。其処に存在する本屋】
【深夜帯まで営業しているその店は常に一定の客が出入りしているのだけれど】
【今宵の舞台は其の店の角。小難しい古文書だとかが所狭しと並べられた場所で】


「…………困りました。イリニの背ではあの本にまで届きません
ですが、寝ている店主を起こす事も気が退けます。踏み台でもあるならば、イリニは助かるのですが」

【純白のローブを纏った少女が一人、足を震わせながら背伸びをしていた】
【どうやら本棚の一番上に収められた『精霊ノ存在』と書かれた分厚い本を取り出そうとしている様だが……如何せん、頭数個分も及ばず】
【困ったと言いながらその声は全く以て無感動なのだから、少し可笑しくも思えるかも知れないけれど――――少女一人でこの事態を解決できる術が無い事だけは確かな様】
【もう一度背伸びをして手に取ろうと頑張るのだから、もしこの現場を見た者が居るとすれば危なっかしい印象を与える事だろうか】








【曾て戦場とされていた地。今となっては只の野原となっており、土を掘り返せば偶に骨が見つかる事が名残とされる程度】
【そんな場所に佇む人物が一人。――――傍らには、魔物達の亡骸が転がっていて】


「お前等にも言葉が通じるなら話し合いで無駄に死ぬ事も無かっただろうが…………まあ、今更言っても遅いか
悪いが、空腹の連中に自分の身を差し出してまで満腹にさせる慈悲は俺には備わって無くてな
悪戯に苦痛を長引かせた訳でも無し、それで勘弁してくれ」

【そのどれもが首が切り落とされた以外に外傷は無く、青年の実力を示す事にもなろう】
【――――かといって、無傷で済んだ訳でも無く。腕を切りつけられたか、血が流れるけれど本人は気にした様子も無い】
【軽装の鎧、風貌からして軍人の様にも思えるか】

【外見から判断するに、歳は大凡二十代。蒼髪であり、暗い朱の瞳を持った隻眼の人物】
【手にした剣の切っ先から滴る鮮血を振り払ったなら古びた布を巻き、腰に提げ】
【――――顔の左に走る傷跡。瞼が閉じられたままである事から、開かない事が知れるか】


「しかし、何だ…………流石に連日野宿ともなると疲労も蓄積するな……
もう少し歩いて宿でも探すか、その時間を惜しんで此処を今日の寝床とするか……いや、流石に此処は血生臭い」

【特に建物だとかも無い此処は見通しが良い。故に、遠くからであっても青年の姿は容易に発見が可能で】
【――血の臭いに気付いてか、それともこの時間に居る事を不思議に思ってか。何であれもしも近づくのならば数瞬早く気付いた青年が視線を向けるけれど】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 01:14:56.55 ID:QJtgtQZso
>>680

――――――――……

【それは雲間に隠れる弧月のようにふと揺れる】
【下草をなぞればはらはらと散って、刃は煌き踊るように】

【騒ぐ血の香が新鮮であればあるほどにその赤に誘われる者は少なくなかろう】
【元は己の身体に流れる生命の液体、親しみつつも恐れを抱きそれ故に愛おしくさえある】
【それが鮮血ならば尚の事……青年がそれに、誘われた者に気がついたならば……】
【暗闇の中で見えるであろう瞳は一瞬だけ金に輝いて、やがてホタルのようにふと消える】

……剣は伊達ではないという事か、まさか見つかるとはね
気が付かなければその隙に味見でもしようかと思ったのに残念だ……

【台詞に似合わぬ軽快な口調、それはさして敵意を向けるでもなしに近づいて来る】
【猛禽のように鋭い黒瞳、腰まで伸びる金髪はあちらこちら跳ねておりどことなく獣を思わせる】
【影に紛れる黒いトレンチコートにひたすらに丈夫なブーツ、無味乾燥とでも言うべき出で立ちの女性】

仕事の程は順調かい、フーテンの人?

【そう尋ねる彼女の身体からは血の香は無く】
【だがそれ故に魔物が現れるこの場に於いては妖しくも見えるかもしれない】
【彼が聡い人種ならばこの女性が人間という種族ではないことが分かるだろう】
682 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 01:48:18.70 ID:UCNQ7g220
>>681
「剣を握ってる歳月も忘れたんだ、気配にはそれなりに敏感になってるさ
――――仕事の方は……まあ、何だ。良くも無ければ悪くも無い。何分、お国を離れたから仕事自体今は休暇中の様なもんでね」

【辺りの小枝を集めた火を起こせば即席の焚き木として】
【取り出されたのは干し肉。視線を外し、其れを口に含んで咀嚼する事数回】
【これまで数え切れない程に人間と対峙してきたけれど、彼女の帯びる気配だとかは其れ等とは異なる。なれば、考えられるのは――――】


「…………で。物好きなお前さんは何で態々こんな人気の無い所まで来たんだ
人間から忍んで生きる様な性にも見えないが――――嗚呼、別に素性を聞き出したい訳じゃ無い。言いたくなければ其れはそれで
何であれ、今此処で面倒事を起こす気が無けりゃどうだって良いさ

寒ければ火で温まっても構わないし酒が欲しければ分けてやる。生憎と髪を整えてやれる程度の櫛は無いけどな
――――つまりはそんな所だ。……血の臭いも傷も見当たらない。誰かを別に殺したくて堪らない、訳でも無いんだろ?」

【人外の種族。然れど動向を探るわけでも無く、爆ぜる焚き木を眺めながら肉を喰らうのは何と無く可笑しく】
【女性が戦闘に長けているならば分かる事。男も視界に頼る事無く、気配で女性の動きを掴んでいる、という事】
【軍人で在れど戦闘狂でも無いのか、此処で暴れさえしなければどうでも良いとだけ応えて】

【ふ、と冗談を一つ交えれば漸く其処で再び視線を向ける事となろう】
【ただ近寄るだけならば得物も取る事はあるまい。焚き木の前に座ったって干し肉を投げ渡す程度】
【若かし、構えを取ったり或いは言葉によっては話も変わる。戦闘に発展するならば、溜息混じりに剣の柄を握る事となるのだけれど――――】
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 02:15:45.78 ID:QJtgtQZso
>>682

当たらずといえども遠からず、流れというやつか……

【流れ、定住を持たず風の向くがままに流れる者達】
【彼らにとってその生活をする上で力が必要であるが彼は果たしてどうだろうか】
【その剣、含まれる想いはただそれだけなのか……深淵の如き黒はじっと見つめ】

まあ何さ……今風に言うならば自分よりも強い奴をに会いに来た、探しに来たというところかな
今のところは外ればかりだけど……今日は今日で血の香りがしたもので愚かとは思いながらものこのこと誘われた
血が流れるところに戦いあり、戦いあるところに英雄あり……だろう?

【干し肉を食らう彼の姿は申し訳ないが英雄とは程遠い、だが剣を直接振るう姿を見たわけではない】
【魔物と対して屠られない程度の力があるならばその姿を見たくなってか、女性のカタチをした獣は少し笑みを浮かべて】

さしあたって君はどうなのだろうか、魔物相手に遅れは取らないみたいだが……
誘った側の罪だとでも思ってその一端を見せて貰いたいな―――――――

【女はその手指をぴっちりと伸ばし構える】
【肉を裂き絶つ程に鋭い爪は凡そ人の物で無し、ならば魔物の類と見て相違なく】
【ぽん、と踏み出した一歩で風に舞い青年の近くへと降り立つと同時に爪での一閃を頭上から振り下ろす】
【何の事はない酷く荒い行動だが振られる爪と指の硬度たるや鉄にも引けは取らない物、剣とかち合えば鍔迫り合いとなるも必死か】
684 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 02:45:09.01 ID:UCNQ7g220
>>683
「英雄だろうが何だろうが皆等しくイキモノだ。そんな血腥いのが英雄だとか呼ばれる位なら戦う事無く飲んでは喰っちゃ寝をするヤツは聖人だな
――――俺の剣は見世物に出来る程綺麗でも無いぞ。だが…………火の粉を振り払う程度には在るつもりだ
楽しませる気は無いが…………死ぬ気も無いモンでね」

【未だに布を纏わせたままの剣。跳躍の音を耳に通すと同時に、剣は上へと振られて】
【迎撃を目的とした其れでは無い。“受け”を目的としたその行動】
【相手は女、或いは雌。だからと見掛けで判断するのは実に愚かな行為】
【先ずは一手を受けてその腕力や俊敏、戦闘に於ける機転の速さを確かめる為に】


「――――ほう、なる程
武人の鍛えられた指だ拳だとも違うみたいだな。まともに頭に喰らってたら瘤程度じゃ済まなそうだ
……適当にあしらってやろうかとも思ったが、そう単純な話で終わりそうも無い」

【剣と異なり、指や拳が得物となれば其れだけ手数も多くなる。何よりも、自在に操りやすいのが脅威】
【其処に異常なまでの硬度となれば、其処等の鈍器よりも遙かに凶悪】

【ギリ、と剣で耐えていたけれど――――不意に、抵抗も零となる事だろう】
【受け流す事が目的。更には、其処から起き上がり様に鳩尾へと拳を叩き込む事を目的とした行動】
【その威力たるや鋼鉄の扉を歪ませる程度には、と記せば恐らくは十分】


「子供と女は殺すなと頭に散々言われては居たが…………危害を加えるな、とは一言も言われてないからな
――――気が変わった。ある程度までは楽しませよう
顔に傷が付いただのと後から因縁を付けてくるのは無しだぞ?」

【その成否に関わらず、立ち上がって数歩分の距離を作れば剣を構える事となろう】
【我流、それでも生き延び続け戦果を挙げ続けたのだから下手な其れよりも上等】
【ニィ、と笑みを見せれば次の一手を見極めるかのように視線を注ぎ】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 02:59:15.45 ID:QJtgtQZso
>>684

――――――――っ!?……ゲホッ!

【鍔迫り合いはしかし唐突と失われた力に拮抗を崩し】
【その余白を埋めるが如き拳の一撃は一部の歪みも無く鳩尾へと流れこむ】
【虚からの剛、その転換の疾さに飲まれるままに女は2歩3歩と後ろへたじろいで咳き込む】

【女の身体構造は凡そまともではない人間の数十倍の生き物でも殴ったかのような抵抗】
【喩え話ではあるがその頑強さは拳伝いに分かるだろう】

ふ……っ……容赦ないな、だがそれ位が丁度良い……
傷の心配は要らない、むしろつけられたならば己を誇りに思うと良い――――――!

【みしりと微かに響くのは筋が締まる音と拳が握られた音】
【ボクサーだとか拳闘士だとかから見れば笑われてしまうであろうその構えは、しかし腕に身体に渦巻く力に掻き消える】
【技量ではなくただの力量、技が成る以前の力の領域の拳】

【一呼吸の内に地面を蹴れば土を抉り、つがえられた矢のように男へと迫り】
【一瞬瞳と瞳が合う間をもってから腹部を狙い一直線に放たれる右の拳、風が鳴く音が拳に纏っていたという】
686 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 03:20:05.59 ID:UCNQ7g220
>>685
「随分と自信があるみたいだな――――そうなら俺としても色々とし易い」

【腕に伝わる感覚は人体とは異なる……が。効果があるならば其れで良し】
【一気に攻め立てる事は不可能だけれど、少しずつ削いで行く事は出来る】

【相手が疾風の如く迫ってくるのは目視出来たが、果たして避ける事が出来るかと問われれば否】
【ならば受ける事に専念すべきかと腹に力を入れたならばその拳を受け――――】
【軽装の鎧とて斬撃には強いが打撃には弱い。真に身を守るには相応の筋肉が必要で在って】


「――――ぐゥ……ッ……!?」

【鍛錬を重ねた筋肉は鋼のような強靱を持つ――――が。全ての打撃を無効化するには至らない】
【それでも一撃を耐える事が出来れば、今は良い。短く息を吸ったならば強制的に零とされた肺に空気を取り入れ】
【拳の刺さる距離。ならば――……】


「……ハッ……!負け知らずに初めて負けを教えてやるってのも軍隊生活を思い出して悪くは無い――――!!」

【剣を上へと構え、添える左の掌は広げられ。其れを思いっきり振り下ろすが…………斬撃を目的とはされていない】
【剣を振り下ろす動きはただのフェイク。真の目的は女性の顔面を鷲掴みし、己の体重と振り下ろした速度を加えて頭部を地面へと叩き付ける事だ】
【狙うのは脳震盪。頑強な身体と先の一撃で把握した事から、ならば無力化を図ろうとでもしたのだろう】
687 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 03:48:10.01 ID:QJtgtQZso
>>686

耐えるか、なればこそ良し―――――――!
だがその剣程度で我が鋼皮やすやすと切り裂ける物では無……――――――――ッ!

【「無し」と続くその言葉は不意に完全に広がる何かによって妨げられる】
【此奴め何か面妖な技でも用いたかとの思案も遙かその答えは痛みを以って証明される】
【青年の目論見はこれでもかという程に果たされる、女の身体の重量は相当異常の物その重みを崩せば重力という刃が迫る】
【息を吐く間に肉の潰れる音が響き、青年が見下ろせば地面に叩きつけられた女の姿がある】

――――――――……っ……

【金髪に添って漏れる血液はどこまでも朱いルビーを思わせる】
【滴り混じり地面に飲まれてゆく様は溶岩のようでもあったという、脈動は確かに】
【途切れがちの呼吸は狙いの通り脳が揺れた為の物……だが、この異業種はまだ止まらない】

……ぬかったか、だがそれも良し……良き着眼だ青年よ
超重の者は重力に飲ませてしまえば事足りる、か……柔軟な発想、戦いに慣れているな?
ならばその纏う戦香、我とて慣れ親しんでいる物だ……っ!

【蛇の頭のように唐突に現れる影は彼女の右手、開かれた掌は自分の顔に添えられた彼の左手首へと迫り】
【骨を砕きかねない握力を以って握り締めそのままの姿勢から遙か後方へと投げ飛ばそうとするだろう】
688 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 04:17:53.25 ID:UCNQ7g220
>>687
「チッ…………嫌になる位頑丈に出来てる身体だな。今ので終いにするつもりだったが簡単には終わらせない、ってか
――――ゴーレムだとかの相手もしてたんだ。其処等の人型なら転がすのはそう難しい事でも無い
……其処等の人型なら、な」

【全ての衝撃を逃がさぬ様に、と最後まで叩き付けたのが此処で仇となったか】
【左の手に激痛を感じれば素早く振り解こうとするも、万力に締め付けられる様な其れを解く事は出来ない】
【直ぐに投げ飛ばされる事となるが――――強く掴まれている今、下手に逆らえば文字通り手首が砕ける事は今までの事から嫌な程に理解して居る】
【結論を記せばそのまま投げ飛ばされ、背を強かに打つ事となり。口から血が噴くも、勢いを殺す為に数度転がって】


「……大の男が腕一本で投げ飛ばされちゃあ…………敵わないよなァ…………
人間で無けりゃ魔物か?それとも亜人か?――――いや、いい。最中に聞いた方が楽しいモンだ。…………なァ?」

【立ち上がれば再び剣を手にするも……其れは女性へと向けられず。何を思ったか、刃で自身の脇腹を裂くのだが――――不思議な事に、出血が無い】
【正確に記すならば、直ぐ様に血が蒸発しているのだけれど。数秒と経たず、男の側に表れたのは一匹のドラゴン】
【右手で触れて遣れば其れは右腕を覆うような装具と化し――――謂わば、此が男の異能であるのだと理解出来る一場面】


「女相手に使う気は無かったが、此処まで頑丈なら話は別だ
――――戦いに慣れてるな、と言われたがその通り。こう見えてもちょっとした国の斬り込み隊の長を務めていてね
死線も何度も潜ってきたし、何度も殺され掛けた。流石にドラゴンの力となっちゃあ目の前の奴等も紙くずみたいになっちまったけどな
……まあ、何だ。お前さんなら死にはしないだろう、多分。手を抜いてたら俺が殺されちまいそうだ」

【其処から刹那の疾走。――――先までの動きとは、大きく異なるのが其処で理解出来る】
【正しく人間離れした速度。一撃目は屈み込み、視界を外してからの掌底。狙いは顎で、“浮かせる事”】
【其れが通ったならば、地面に叩き付けるようにして踵を振り落とすだろうし――――一撃目が外れたならば、肘が初手と同じ鳩尾へ目掛けて放たれる】

【男本来の身体能力にドラゴンの力が加わったが故の変化。先までが鋼鉄の扉を歪ませるならば容易に破る程度には、地面に踵を叩き付けたならば相応に“響かせる”程度には強化】
【――――だが、今は剣を持たずに徒手。仮に全てが当たったとしても女性の頑強さならば死なずとも済むだろうし、或いは反撃に転ずる事も可能であろうか】
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 04:43:07.17 ID:QJtgtQZso
>>688

―――――――ぺっ……

【悠然と起き上がり口内に広がる血を吐き出す】
【拭う掌からは赤い跡が伸びて広がる、そして視線は青年へと……】
【それはまるで彼が何を成すかを待つように】

(自決……という潔さでは無い、では――――――――!?

【青年の異能をまざまざと見つめ黒の瞳は黄金へと色を変える】
【その内に揺れ動くのは全き歓喜のそれ、打ち震える】

っ……ははははははははは!!そうか、そうかそういう事か!――――――ッ

【高笑いの内に彼の掌底は正しく入り女の身体は中に浮く】
【そこから生じた間を射抜くよう踵が振り落とされ地面に縫い付けられる】
【ならば更に響くかと思いきやそれは成されない、再びと伸ばされたその右掌にて己の身を打ち付ける足を掴み浮かせようと】
【そうしてそれが出来たならばそのまま自分の胸に引き寄せるように腕を振るだろう】
【その動作に攻撃の意思は無い、あるのは探求の意思青年のそのドラゴンの力への……】
690 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 05:03:13.78 ID:UCNQ7g220
>>689
【其れを掴んだならば鉄骨の様な頑強さ。然れど其れは人にとっての話で、彼女にとって鉄骨が柔な木の棒と同じならばそれ以上の頑強さを感じ取れるだろうか。だけれどそれは仮に、の話】
【在るのは破壊する為だけの力だ。剣を持てば大木を小枝の如く容易く断ち、槍があるならば大岩を豆腐の様に貫く】
【人成らざるイキモノ。まるでドラゴンの力を人間の形に収めただけの様な、そんな暴力】


【男は探られる事を拒んだ。否、闘争の本能が引き寄せる様な動きから逃れるようにと身体を動かしたのだろう。例え、攻撃の意思が加わっていなくとも】
【先までの“人間”ならばきっと抗う力も不足して止められていた。だが、今ならば――――】

【そのまま掴んでいたならば、まるで天地がひっくり返るような感覚を味わう事となるか】
【詰まりは、女性に片足を取られながらもその場でのバク宙。彼女自身の重さを用いて、再び叩き付ける様な】
【其れが成功したとすれば、勢いをそのままに膝を落としに掛かるのだが――――きっと、其れは顔面では無く拳一つ分離れた隣へと落ちるはずで】


「――――楽しそうに笑うヤツだ。戦い好き、って奴等の考えはよく分からん
好きな時に食って寝てた方がよっぽど楽しいと思うんだがな
仕事でも無ければ態々好き好んで斬った斬られた殴った殴られたなんてしなくても良いんじゃ無いか?」

【或いは其れが成功せずとも追撃は加えられる事が無い。成功しなければ脚を引き寄せさせたままとなるだろうし、成功したならば丁度顔の上辺りで膝を着いて見下ろす形となる】
【「まだ続けた方が良いのか」とだけ問うたならば一先ずはそのままの状態で静止して】
691 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 05:21:45.56 ID:QJtgtQZso
>>690

ああ、――――――――…

【それはまごうことなき嘆息だった、恍惚に沈む笑み】
【腕伝いにひっしと響くその重み、頑強さは覚えがあった……】

【だがその甘美に酔いしれる暇も無く世界が回転する】
【天は地に地は天に一度移り変わりやがて見上げるのは黒い黒い空】
【暫くの間に顔の横に落ちてくる膝は、恐らく受けていたならば鼻でも折れていたに違いない】

……感動の再会だというのにいけずな奴だ、といっても一方的な物か――――――――
それにしても随分と傷めつけてくれて……感謝しよう、ここまでやられたのも久しぶりだ
油断というか感極まった私も私なのだけど――――――――

【骨が軋む身体を痛みも無しと云うように言葉を並べる】
【口惜しいというかどこか残念そうに、彼の腕を見つめている瞳は金】

竜種の力を扱うとは驚いたよ、笑ったのは君がそれを持ちだしたからだ
自分以外の竜種をまさかこの世界で見ようとは思わなかったのでね……加えてそれを使役する人間など……
まるで夢物語のようだ、良い夢だ……うん実に良い

【倒れたまま掌を伸ばせば青年の衣服、襟でもあればその辺りに引っ掛けて軽く引き寄せる】
【顔を近づけて、もっと近くでその力を見たいというように】

/すいません眠気がMAXなのでここいらでひとつ……
/明日でしたら午後からおりますので呼んでいただければ!
692 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 05:24:13.67 ID:UCNQ7g220
>>691
/了解であります!恐らくは午後の10時から10時半辺りにお呼びさせて頂くかな、と!
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 21:07:23.16 ID:nFkNi9xR0
【街中――児童公園】
【クリスマスも終わった街中は年末に向けて忙しげ、そのなんとなくせわしない感じは、】
【大通りから少し離れたこの公園にも伝わってくるようだった。公園の傍を歩くひとの歩調は、いつもより速い気がして】
【まっぷたつに半分のお月様がしんと照らしこむ、――ぽつりと浮かんだ人影ひとつ、ベンチと一緒に影を伸ばし】

ふぁ――うう、眠たくなってきちゃった……、……。

【見れば少女が一人。自分の膝の上をなぜだか撫でるような仕草をするから、よく見れば、猫が一匹居るのに気付けるか】
【薄汚れた毛色からするに野良猫、それを膝に乗せて――眠っているらしいその背中を撫でていて……ふと、】
【猫がするように大きなあくびを一つ。それから目元を緩く拭って、それから改めて、猫の耳の裏など掻いてやる】

【真っ黒な髪、腰まで届く長さは髪を編みこんだハーフアップ、露出した耳元には、右にだけ宝玉の欠片のピアスが付けられ】
【黒と赤色のオッドアイはどこか蛇の目に似た形、真っ白な肌の色に鮮やかに映えて、あどけない顔を飾り】
【暗めの赤を基調にしたコート、黒のフェイクファーを首元にあしらって、そのボタンはおなかの辺りから開けられ】
【そこから零れるのは溢れんばかりのフリルスカート、パニエを重ねたように膨らむ丸みに、猫はうずもれるように眠り】
【薄手のタイツとショートブーツの足元、冷えてしまったように足先をむずむずさせながら――もうひとつ、あくびをして】

冷めちゃった……、――。

【座ったお尻の傍に置いていた珈琲店の飲み物を取り上げて一口、……少しだけ不満げに、そんなことを呟くのだった】
694 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/29(月) 21:41:17.24 ID:vRviZkVSo
【路地裏】

【――――左膝。右拳。右中段蹴り、左回し蹴り、右肘。襲い掛かる猛獣の如きコンビネーションを青年は弾き、いなし、躱していた】
【……コイツ、やはり只者ではない。Yシャツの男性がその事に気付いた時には、目の前に右足が鎌のような鋭さを秘めて迫っていた】

(体格も明らかに俺の方が上なのに……何故易々と受け切れる……――――ッッ、右の上段……いや、受け切れ……なっ……これはッ……!?)

【上段蹴り。頭部にヒットすれば一撃で終わらせられる云わば必殺の蹴り。しかしながらモーションは大きく、受け切られたならば隙も生まれる】
【青年の右腿が上がった瞬間、刹那で蹴りの軌道を読み取り――――男性は向かってくるであろう蹴りの軌道にガードを置いた。しかし――――蹴りの軌道が、急変した】
【確かに男性の読み通り上段蹴りのモーション。しかしながら腿が上がり足が遅れて出てくる寸前の所で膝を内旋させ、男性の予想よりも上から弧を描いて鎌が振り下ろされる】
【そしてガードの上を通り越した其れが頭部を撃ち抜き、凄まじい音が鳴り響いたと思えば男性は仰向けに倒れていた】

【上段蹴りではない。可変蹴り――――別名ブラジリアンキック。曲がる上段蹴りと言えるそれは、実戦で使用するまでには長い年月がかかる筈の高等テクニックであり】
【それをこの、170pにも満たない、歳は20あるかどうかの青年が取得し――――そして、ここまで威力なのか。その驚愕を最後に、男性の意識が深い闇に落ちた】

――――っは……、ぷ……ハァッ……!! ――――なきゃ……。 ……殺さ――――なきゃ……!!

【不安、恐怖。そしてそれを塗り潰す高揚。それらが青年の心臓を急激に早くしていたが、ようやくその興奮も徐々に収まりつつあった】
【ゆっくり深呼吸をして、腰につけたボトルホルダーからペットボトルを取り出して水を飲む。落ち着きを取り戻してから、倒れる相手を眼鏡のレンズ越しに見つめる】
【――――自分が、彼を倒したんだ。体も大きく、技も使う彼よりも、僕は強い。そのような実感に胸が震えるが、同時に恐怖も湧いてきていた】

(……――――恨まれたとしたら……今度は武器を持って、仲間を連れて――――僕を殺しに来るかもしれない……だからその前に……!!)

【――――殺そう。それが青年の結論だった。――――ニット帽に眼鏡をかけた、長袖の黒シャツと赤いズボンを履いた青年は】
【彼はゆっくりと男に近づき、右足を上げ、今にも男の顔面を踏み潰さんとしていた】





【山奥 滝にて】

【岩から圧倒的な水量が流れ落ち、どうどうと地響きを打たせて轟く。滝壺周りは純白の水煙に包まれぼやけてはいるが、その中心には人影が見えており】
【もし注視したならば、白装束に身を包む黒髪の男が凛とした顔を少しも崩すことないまま滝に打たれている姿が見えるだろうか――――】

っふ……――――。臨……兵……闘……者――――!!

【首の後ろ辺りで水の衝撃を受けながら、両手で印を組み九字を唱え出す。一文字一文字力強く、そして尚且つ丁寧に――――。それにしても、何とも古風な鍛錬】
【夜の水は身を凍らせる程冷たく、滝から流れてくる濃い霧のようなひんやりと湿った空気が辺り一帯を占め、まるでここだけ極寒のような寒さ】
【滝壺近くの大岩の上には、男の衣服と思われる和服と大小の刀が置かれている。綺麗に畳まれた和服は、緋色の鷹の紋章が上になるようにして置かれていた】

――――皆、陣、列、在……前ッッ……!!

【両手を複雑な形に組み換え印を結ぶと共に九字を唱え、心身を大自然の中に溶け込ませていく。この滝は街から近い場所にあり、自然を感じられるスポットなのだが――――】
【まさかそのスポットで、しかもこの時間この時期そしてこの時代に「滝行」をする男がいるとは誰が思うだろうか。男は滝を浴びながら、更に精神を研ぎ澄まさんとしていた】
695 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 22:12:12.74 ID:UCNQ7g220
>>691
「――――――再会も何もお前さんの様な知り合いが居た覚えは無いぞ。まあ、生憎と俺は自分の生い立ちも分からん
赤ん坊の頃の知り合いだったとかだとしても記憶はないしな

で、もう一つ。俺にはソッチの趣味も無いから感謝された所で微妙な気分になるだけだ
気が済んだならもう十分だろ?連日野宿続きで疲れてるし、悪いが俺は宿探しに出掛けさせて貰うぞ
其処の焚き木は自由に使ってくれて構わないし何なら食い物の一つでも――――……おい」

【記憶を辿れど女性の様な知り合いが居た覚えも無い。ならば相手の思い違いだろうと考えて】
【口から零れた血が滴りそうになった時、やはり其れは再び蒸発する事となる】
【確かに出血はしているけれど流血はしていない。其れが異能の力であり、血を流すほどに高まる能力】

【此で終わったならば後は自分の宿でも探しに行こうかと立ち上がろうとした時――――その動きは、襟を掴まれる事によって阻止されて】
【だけれど攻撃の動作で無いと知ったのだから好きにさせる事だろう。近づけば血の香り……だが、人間とは異なって居た】
【能力が発動している故に、竜の血潮に近い。完全な其れではないけれど、限り無く近いもの】
【触れるならば好きにさせるだろうし、眺めるならば好きに眺めさせては居たけれど。やがて溜息を吐けば女性を肩にでも担ぐ事になるか】


「確かに竜種は世の中あんまり見掛けないからな。――――嗚呼、それでさっきの言葉に繋がる訳か
何であれ、確かにドラゴンの力を扱えるし召喚も出来る。勿論俺が使役出来るのはこの一匹だし相応の代償も必要だけどな
――――夢見心地でも良いが、其処で寝てたら竜でも風邪をひくか虫に食われるぞ?」

【特に抵抗する事も無いならばそのまま焚き木の方へと歩み、やがてはその側で降ろす事だろう】
【革袋から取りだした瓶に入った酒を呷り、今度は酒の旨みを味わうような意味合いの溜息】
【もう一度飲んだならば干し肉を囓り、漸くと視線を向け】


「さっきの言葉から考えればお前さんは所謂竜種……で良いんだよな?
なんでまたそんな奴がこんな所をプラプラとしてたんだ?」

【竜種とは確かに珍しい種族。何と無くプライドが高いだとかそんな偏見を持っては居るけれど】
696 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/29(月) 22:37:33.81 ID:hS1eRF/4o
>>694
【暗い山奥の滝壺、荘厳と言うべき光景だ。雄大な自然の大きさは、この世界に渦巻く全てを包み込んでただそこにある】
【その中にあって、滝に打たれて印を結ぶ男の姿は、もはや壮絶ですらあった】

【冷え切った空気が張りつめ、刃のように研ぎ澄まされていく彼の精神が、緩むことなく周囲にも向けられていたとするなら】
【感じ取れるだろうか。蠢く気配。それも複数。音を殺してはいるが、確実にいる】


【滝に打たれる男の存在には気が付いているのだろう。明らかに、彼を目的とした動きだった】
【彼が唱える九字が最後の一文字に達する頃に、気配の一つが速度を上げて接近してくるだろう】

【気配の主。男が動けば、その姿が見えるだろうか。それは、両耳と口元にピアスをつけた、彫りの深い顔立ちの男だった】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベスト、山の中では溶け込む迷彩柄のズボンと黒い軍用ブーツ】
【鉛色の髪をオールバックにし、同じく鉛色の瞳をした男だ。右手から伸びる、錆び色のワイヤーが闇の中に踊る】

【向かう先は、男ではなく大岩の上に置かれた衣服と大小の方だ。もし、接近が叶えば気配の主は】
【ワイヤーを使って岩の上の服と刀を、誇り高き鷹の紋章を、その手に引き寄せ奪い取ろうとするだろう】


【彼は知っているだろうか。その男が、国際指名手配されている、ある悪党どもの一人であると】

/もしまだいらっしゃれば、よろしければ……
697 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 22:40:48.52 ID:QJtgtQZso
>>695

竜種の香りに違いないか……
しかし何だろうこれは、私は嬉しいのか―――――――

【三度確かめるように匂いを嗅ぎ深く深く息を吐く】
【遠くに置いて来てしまった記憶がふつふつと湧き上がり胸に流れるのは郷愁】
【襟元を握る掌も心なしか震え……】

【自分の想いの中に浸り続ける彼女は掲げられようがお構い無し】
【ひっきりなしに「良いな、うん」と呟いて満足するまでには相当の時間を要し】

【そんなこんなで一息つけば酒と肉をかっ食らう青年の隣に当たり前のように座り】

うむ、その認識で間違えはないよ……といってもこの世界の竜種ではないがね

【揺れる火の光に右手を照らせば鋭い爪が露わになる】
【血肉を屠り鉄を裂き絶つ鋭爪、本来の姿よりは大分可愛らしくはなって性能も下がっているが】
【しかしそれでも人の畏怖の対象であるのは変わりなく】

こちらに来たのももう何年前か、もう何年も絶つというのに動いた竜種を見たのは今回が初めてでね
ああ……酷く興奮してしまって我を忘れかけたよ、申し訳ないと思うが……君だって生き別れた家族と会えばこうもなるだろう?
ああ、そうだ君こそその竜の一端を何処で手に入れたのか、一体どんな手練手管で口説いたんだい?

【そんな恐ろしい代物を持ちながらも未だ興奮醒めぬ様子の彼女】
【ずいずいと肩を寄せてさながら子供のように彼の腕に触りながら問う姿に竜の威厳はそれほど無く】
698 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/29(月) 22:53:20.12 ID:Myg6/0910

【路地裏】

【薄暗い道を歩くのは、一人の少女】
【ハニーブロンドのセミロングに生成色のブラウス、青いリボンタイに赤紫色のパーカー、紫色のスカートに黒いニーハイと赤茶色のショートブーツの、十代前半程の少女】

【ワインレッドの瞳を潤ませながらあてもなく歩く】

【少女はクリスマスという日に大罪を犯した。巻き込まれた形とはいえ詐欺紛いの行為の片棒を担がされたのだ。巻き込まれたなら罪じゃないじゃないかと思う人もいるかもしれないが……実はちょっと乗り気だったりしたもので】

【取り敢えず借りていたケープは返却したし宿も引き払った。持ち物も全部売り払って金に替えて罪滅ぼしに寄付した。だが、まだ足りた気がしない】

ごめんなさい……ごめんなさい……
【少女は小さな声で謝り続けている。自分を信じてくれた少女に、裏切る事になった事を。今度正義組織の基地に来てみないかと誘ってくれた少女に、もう自分には行く資格がなくなったという事を】
【良くも悪くも少女は純粋だった】
【ただ同然の物を高額で売りあまつさえその収入を一割でも得ようとした自分にはもう正義である資格などないと、本気でそう思っていたのだった】


699 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(島根県) [sage]:2014/12/29(月) 22:55:53.25 ID:9q5KV52zo
>>693

【児童公園にて】
【年末に向け賑わいを見せる街をパトロールしていたその女性は現れた】
【こんな深夜まで公園にたたずむ少女が居ていいのかという疑問を浮かべながら】

おい、こんな夜遅くまでこんなところに・・・。

【その女性はそこで言葉が詰まる】
【この少女、どこかで見覚えがあったのだ】
【そう、噴水広場で出会った】

あれ、鈴音じゃないか?
おぉ、久しぶりじゃないか。

【見覚えがあったその容姿、服装・・・】
【それは女性に鈴音を思い出させた】

【鈴音が見る女性の服装、容姿も前と変わらないだろう】
【軍服に身を包み、赤い目をしている】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 23:02:18.81 ID:UCNQ7g220
>>697
「異世界の、って訳か。今まで異世界の輩と会ったのは片手で数える事が出来る程度だが……それが竜ともなれば初めてだな
別に口説きも叩き伏せもして無い。気付いた頃からコイツが居たし、物心ついた頃から当たり前のようにこの異能を扱ってた
――――お前さんは俺が考えてる竜とも違うな。何て言うか……子供みたいな奴だ」

【其れが攻撃の予兆で無いならば好きにさせ、空いている手で肉を喰らい酒を飲み】
【――不意に、触れていた腕の其れが消える事となろう。気付けば成人男性の頭程度の大きさのドラゴンが男の肩へと止まっていて】
【全身は鮮血の様な深紅。双眸の色とて同じ事】

【人語を喋れないのかそれとも今は喋るつもりが無いのか、今はただ「ガァ」と鳴くのみで】


「軍隊での生活も長かったが、それ以上にコイツは長い相棒だ
――――世の中には雷やら火やら様々な竜が居る様だが、コイツはそのまま“血”の属性
分けてやれば相応以上の働きをしてくれるから感謝してるけどな

…………お前さんの元々生きていた世界じゃ“親戚”も少なかったのか?
悪いが俺は生物の知識に疎くてね。他の世界なら尚更だ」

【深紅の竜の年齢は不詳。ただ、正真正銘の竜である事だけは確かだ】
【更に血を流せば成体と同じ程度には成長するのだろうし、或いは何かを満たせばやはりそれ位には成長するのか。謂わば、現在は幼体期】
【宿す属性もこれまた奇妙だが――――だからこそ、人間との相性が、血を避けられない者との相性が良いのだろう】

【問うたのは彼女が元居た世界。この世界しか知らないが故に興味が惹かれ】
701 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 23:02:53.47 ID:nFkNi9xR0
>>699

【猫の穏やかな寝息が昇ってくる、手から伝わる暖かさも、また、眠気を誘って】
【ここがたとえば春の日差し溢れる公園とかならとっくに寝ていただろう。この刺すような寒さだけが、意識を現世に縛りつけ】
【それでもあくびを連発しているのを見るに、なかなかに眠たいらしい。だけども、猫のせいで、身動きはとれず】

……――、

【かけられた声に、彼女は半分眠たげな目をぱちくりとさせる。それで、補導だろう、と結論を出し】
【とりあえず成人している証拠はないのでどうしようもないのだが――そもそも戸籍の類もないのでしょうもなし】
【言い訳しようとしながら視線を向ける、そうすれば、そこには、見覚えのある顔があって】

あ……、……こんばんは。

【あどけない顔をふわっと脱力させて笑う。補導するとか成人だとか、そういうやり取り、存外疲れるものなら】
【そういったことをしなくて済むのは安堵だから。――にこりと微笑みかけると、彼女ははっと気付いた様子をして】
【しー、なんて、人差し指を立てるのだった。それから視線で示すのは膝の上で眠る猫、「起こさないように」と囁いて】

野良猫なの、なつっこいから撫でてたら、膝で寝ちゃって……。

【なんて、ちょっぴり苦笑がちに言う。だけれど、それが心底嫌がっての言葉でないのは見て取れて】
【よしよしと耳の裏を優しく掻いてやる様子から見るに、むしろ、動物好きそうだ――】

【――ちなみに膝上の猫はごく薄い色味で三毛のような柄が入っている。それなら、女の子だと察するのも出来た】
702 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/29(月) 23:04:20.12 ID:vRviZkVSo
>>696

【滝に打たれるというその行為が求めるは無の境地。その「無」とは、何も考えない――――ということとは、少し異なっており】
【邪念の無い清い心でありながら、周りを肌で鮮明に感じ取る。その一瞬矛盾しているようにも思えるそれこそ、彼が求めたモノであり――――】
【完璧ではないにしろ、近付いてくる脅威を見抜くまでには彼の精神はたどり着いていた。――――九字を言い終わる間際、男はゆっくりと目を見開いていた】

――――……何奴ッッ!!

【鋭敏な反応を見せるも彼がいるは水中(膝下まで)。本来どうしても動きは遅くなり、その中を歩むとじゃぶじゃぶと音を立て機動力が水に奪われる】
【――――確かにこの場合もそうなのだが、それにしてはじゃぶじゃぶという音が静かで、歩行で波打つ水の動きも少ない。なんというか、すいすいと滑るような、歩み】
【無駄のない最小限の動きが、水中内での歩みでのロスを抑えてはいるが――――それでも、間に合わない。彼がざばぁと音を立て川から上がると同時に、奪われる】

……あの輩――――何処かで……いや、資料で――――!! 名前までは分からぬが、カニバディールの手下か……!?

【見えた相手の姿。SCARLET故に自警団や警察の資料――――特に能力系犯罪者関連には良く目を通している。もし予想が正しければ、あの盗人はとんでもない人物だ】
【ヴェンドゥラーを堕とした、あのカニバディールの手下。与えた悪影響だけなら六罪王にも引けを取らない、怪物の――――部下。危険でない筈がない】

うぉおおおおおおおッッっ!! 我が誇り盗まれて堪るかァァッ!! 

【――――否、今はそんな場合ではない。自分の命に匹敵する刀と、誇りである紋章が奪われんとしているのだ。ギン、と瞳を鋭くさせて瑛月は鬼の形相で走った】
【機動力はある方だが、とてつもなく速いというわけではない。それでもこの、舗装のされていないがたがたの山道ならば話は別だ】
【力まかせに地面を蹴らない、武術的な走り――――その特徴は走りが環境に影響されないことがある。陸上競技場のトラックでも、ここでも、スピードはさほど変わらない】
【となれば、実質かなりの瞬足。白装束のまま一気に山を駆け下り相手を追う男。もし追いついたのならば、そのまま飛び蹴りを後頭部に放つのだが――――!?】

703 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(島根県) [sage]:2014/12/29(月) 23:14:52.71 ID:9q5KV52zo
>>701

なんだ?私を自警団かと思ったのか?
ははっ、補導なんてしやしないさ。

【彼女に手を振って挨拶する】
【にしても、先ほどのあくびを連発しているのがどうでも気になったのか】

なんだ、眠たいのか?
まったく、こんなに寒い中で寝たら風邪引くだろ。
ほら、これ着ろよ。

【中尉の階級章がついた白い外套を彼女に渡す・・・はずだったが】
【これではさすがに寒かったのか、身震いして外套のポケットからウォッカの小瓶を取り出し飲んだ】
【これがあれば私は暖かいんだよ、とか笑いながら話し、それから彼女に外套を渡したわけであるが】

ん?静かにしろって?
あぁ、わかった、その三毛猫だな。

【三毛猫が彼女のひざに乗っている】
【三毛猫というからにはほとんどメスというのは知っているのだが】
【そんなことはどうでも良く、まぁ端的にいえば外套を渡すときには猫に気づかなかったのか】
【その猫に外套のボタンが当たってしまったわけであるが】
704 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 23:22:10.25 ID:nFkNi9xR0
>>703

……たまに言われるの、家に帰りなさいって――ね。

【なんて言って彼女はまた軽く苦笑する。「子供みたいだもんね」なんてさらに自嘲めいて呟いたと思えば、】
【眠たいのか。そう尋ねられて――少し言葉を探すように視線を動かしたあと、ふっと、】

猫の寝顔ってね、すっごい眠たくなるんだよ。……ううん、猫だけじゃなくて、動物の寝顔って――。
わたしは、とっても、眠たくなっちゃうの。なんでだろうね、安心して眠ってるの、分かるからかな……。

【そんな自論を言い出すのだった。曰く、猫とか動物の寝顔は、とっても、とっても、眠たくなるものだと言って】
【膝の上の猫の寝顔は見えないが、どんな顔をしているのかはなんとなく分かる。きっと、安らかで】
【それだけじゃなくて、この、ゆったりとした呼吸のリズムもなんとなく眠気を誘う。一緒に眠りたくなる――】
【――まあ、こんな場所で寝ようものなら最悪翌朝冷たくなって発見されるかもしれないので、そんなのはしないけれど】

あ――ううん、大丈夫だよ。足はちょっと冷たいけど……、この上着ね、とっても暖かいの。
だから、気にしないで……、……、……ほんとにいいの? あなたが寒いよ、そしたら――。

【なんて風に考えていたら、上着を渡されそうになって。ぱたぱたっと手を振って拒否を示すのだが、どうやら、】
【それだけでは聞いてもらえないよう。結局押し負けて受け取ってしまった手、そうしたら、ふと、】
【膝元の猫がむくりと身体を起こして、それにびっくりした彼女の「きゃ」なんて小さな声がする】

【猫はなんだかうるさいなぁというような顔をして、くるりと身体の向きを変えると、また、彼女のスカートに埋もれて】
【すやすやと寝息を立てるのだが――その間、固まったように様子を見ていた彼女が、少し、おもしろかったかもしれない】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/29(月) 23:28:59.35 ID:QJtgtQZso
>>700

おお――――――――……なんと、まあ……

【万感の想いをその声は含んでいた】
【小さくはあるがその姿は竜、夢にまで見た懐かしい姿に思わず指先を伸ばし触れようとして】

血の竜か、人との親和性が高いのも頷ける……
飼われているという訳でも無いのかな、共生……?

……ん、ああ何だね?私の元いた世界か……
純粋に戦いばかりの世界でね、人と異形との永劫の戦いに満ちた世界さ……まあ末期的かな
剣が振り下ろされない日も無ければ血の流れない日は無かったよ

【語る彼女の表情はしかしその内容に反してどこか懐かしそうでもあり】
【ならばこの生き物の在り方自体が戦いを好むように作られていると分かろう物】

竜種は私が生きた時代にはもう数も多くは無かったかな、戦いばかりの世界で寿命を迎えられるなんて贅沢は出来ないだろう?
まして竜なんて寿命の長い種族で私の知る限り寿命で尽きた者はいなかったかな大半は戦場で朽ち果てるのさ
弱ければ死ぬ、ただそれだけがあの世界の法則だった……でもここも似たようなものさ、だろう?

【悪なる物があるとするならば戦いは当たり前でその先の死さえも許容しているという事】
【遺伝子に刻まれたその因子は、しかし元を辿ればあらゆる生命にもあるのではないかと】
【首を傾げて問う彼女はこの世界とて弱者は斃れるだけ、と言いたいのだろう】
706 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/29(月) 23:32:23.61 ID:hS1eRF/4o
>>702
【そこに間違いなく存在していながら、己が精神を極限まで無に近づけていく、というその在り方】
【隙だらけに見えて、その実鋭敏に研ぎ澄まされたそれをごまかすことなど、盗賊どもには荷が重い話だ】

[ひ――――!!!]
[(クソッタレ、気が付くのが早えぇ!! それに何だありゃ、川の中を突っ切ってる人間の動きか……!?)]

【放たれた声に、ピアス男が短く悲鳴を上げる。同時に、鉛色の瞳が水の中を滑るように迫る彼を捉える】
【川の中に合って水の抵抗を受けていても、なお無駄を省き尽したその動き。初動の差で衣服と武器を手にすることいは成功したものの】
【自分に迫りくるその姿は、まさしく鬼。でありながら、この山道をあまりに正確に駆け降りるスピード】

【慌てて走り出すピアス男も、盗賊だけあって相当の逃げ足だが、気迫と鍛錬がそれを上回る】


[ぐお――――!!!]

【彼の放った蹴りは見事にピアス男の後頭部を直撃し、ピアス男が吹き飛ぶ。勢いのまま手から飛び出した大小が宙を舞う】
【しかし、和服と紋章の方は手放さず、握りしめたままピアス男が山道に転がった】

【恐らく追撃をかけようとするだろう彼とピアス男の間に、先ほどの気配の一つが乱入する】
【それは、『安全第一』と表記された工事現場用の黄色いヘルメットを被った、筋骨隆々の男だった】
【黒いタンクトップと、青みがかったニッカボッカを着用し、 足には黒い安全靴をはいている】
【その顔は、溶接作業用マスクに覆い隠されて見えず、覗き窓から見えるくすんだ鉛色の瞳は、恐ろしく無機質だ】

【だが、何より異質なのはその両腕。一目で義手とわかるごつい金属製の両腕は、ところどころに錆び色を含んでいた】

《ウィーン……ガシャン。データ確認。対象ヲ、『SCARLET』構成員、『スクラップズ』敵対者リスト、分類Aクラス殺害対象ノ一人、中邑 瑛月と断定シマス》
《ぼすヨリノ指令ヲ確認。発見次第、抹殺セヨ=\―――》

[ひ、ひひ、そうだやっちまえ、オートマーダー!! そいつの首と刀とこの紋章で、ボスへの最高の手土産になるぜえぇ!!]

【ピアス男がくらつく頭を押さえながら、機械的な声音でしゃべる義手男に向かって叫ぶ】
【義手男が踏み出し、右の義手を振るって彼に――――中邑 瑛月に殴りかかろうとするだろう】
【相当な重量を持つだろう義手の殴打。まともに受ければ脅威だが、動きはそう早くない。達人たる彼なら、おそらくは見切れる範囲内のはずだ】
707 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(島根県) [sage]:2014/12/29(月) 23:37:59.29 ID:9q5KV52zo
>>704

人間で重要なのは中身だ、中身。
背が小さいのなんか気にすることはないさ。

【そういいつつ彼女の頭をポンポン、と軽く叩いてやる】

動物の寝顔はかわいいよなぁ。
まぁ、私はハムスターくらいしか飼ってないんだが。

【ハムスターの寝顔も十分にかわいいものであるが】
【ハムスターと寝起きを共にしており寝顔なんかたまにしか拝めないものであるが】

私は寒くないさ、ウォッカがあるからな。

【さきほど飲んだ小瓶の中身はウォッカであったが】
【よほど酒に強いのか、頬を赤く染めるそぶりも見せない】

ははは、鈴音、お前表情が固まってたぞ。

【彼女の固まった表情が面白かったのか、笑ってしまった】
【彼女を馬鹿にするといった感情はまったく含んでいないのだが】
708 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 23:44:25.15 ID:nFkNi9xR0
>>707

……背はあんまり小さくないんだよ、音々ちゃんとかより、おっきいし……。
でも背よりもうちょっと女の子っぽいのが良かったの、その、……――なんでもない。

【ちなみに彼女、身長は百六十と年齢平均越えではある。あるのだが、痩せているせいかいくらか小さく見え】
【顔もあどけないせいか、背丈が平均以上という印象がまるでない。最近は高い靴を履くので、無理やり嵩増ししているが】
【靴まで含めてしまうと百七十近いことになる。なんというか――アンバランス? 違和感ではないのだけども】

【――指先はなんとなく胸元に触れている気がした。もうちょっと育ちたかった場所、それは、】
【もう全くと言っていいほどぺったんこな胸なわけで……せめて、もう少し、あったなら、良かったのに……なんて】

ハムスターも好きだよ、でも、咬まれたらすっごく痛いのはちょっと嫌かな……かわいいんだけど。

【ハムスターいいなぁなんて呟く。「蜥蜴とかなら飼ってるんだけど」なんて言って、くしゅっと笑い】
【その蜥蜴というのも規格外に大きかったりするのだが――まあそれは余談。とかく、ペットは蜥蜴“とか”らしい】

お酒飲んで寒いところに居るのも危ないんだよ、確かだけど……、……どっかで寝ちゃ駄目だよ?

【――なんて、気を抜いていたと思えば、少しだけ表情も真面目になるのだから、よく色合いの変わる子だ】
【空想のハムスターに咬まれて指先をさすっていたと思えば、次の瞬間には相手のことを心配している。大丈夫か、って】
【これでどこかで……なんてことになったら、だって、自分のせいだもの】

…………だって、動いたらほんとに起こしちゃうと思って。

【……だとか、少し拗ねた顔をしていた】
709 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/29(月) 23:45:40.76 ID:UCNQ7g220
>>705
「否定はしないさ。結局は何処の世界も我が儘を通すために暴力に頼りっきり、ねぇ
原始的というか…………成長しないもんだな、何処の世界のイキモノも」

【最終的に必要なのは金でも話術でも無く暴力――――とは男の持論】
【金がしっかりと役目を果たしている内は良い。それが無くなれば力ずくでも奪う者達が出てきて、やがては大規模な争いに発展するのが常】
【結局は何処の世界も同じ事か、と一人呟けば吐息を漏らし】

【――――竜に関しては触れられる事を拒む様子も無い。そのまま触れて遣っていれば、気でも向いたのか腕を伝って女性の肩へと向かいその爪で髪でも梳かす事だろう】
【少しばかり荒っぽい動作ではあるのだが】


「共生と言えば確かに其れに近い。コイツは俺の血を栄養としているし、俺はコイツの力を借りて生き延びた場面も多いからな
……それで、お前さんはこれからどうするんだ?
俺は暫くは野宿も懲り懲りだから今から宿なり廃屋なり探すつもりだが

何処かに行くなら止めるつもりも無い。向かう方向が同じなら、まあ安い一部屋を借りるか適当な酒でも飲ませてやるよ」

【元々は襲ってきた魔物を殺し終え、一休みしていた所に女性と出会ったのだ】
【本来は宿を探すのが目的だったのだから、今から其れへと戻ろうとして――――問いかけた】
【今日初めて会ったのだからこのまま別れるのも道理。町か其処等まで着いて行く、と言えば言葉の通りに適当に何か奢るのだろうが】
710 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/29(月) 23:46:37.89 ID:8yBPI0Auo
【街中】

【街の大通りには美しいイルミネーションが施されていて、オレンジの灯りが絶えることなく】
【暗い夜空をバックスクリーンに浮かび上がらせていた。商業施設も歳末セールを繰り広げ】
【行き交う人々の多くは来年に向けて休暇に突入。残りの一部は年末の忙しさに飲まれている】
【今は師走。まあ、もうそれも後数日のことだからもう今更慌てる事もない………ある1人を除いて】

てめっ……この野郎っっ!!待てって…!クソッ!

【歩道に溢れかえる人並みを無理やりかき分けて走る。男は周りの人の山よりもひとつ背が高く】
【少し離れていてもその様子が見える。サングラスをかけた男は細身のスーツに赤いシャツを着ている】
【彼はただ慌てているわけじゃない。その様子、カメラをもう少し引いて、先を写せば自体がわかる】

この…ドロボウ!捕まえてくれよ畜生!自警団何処行った!?

【その数メートル先ではアタッシェケースを抱えたグレーのパーカーを着た青年が必死に走っている】
【飲み屋で置き引きをしたのだがあと一歩のところで見つかって鬼ごっことなってしまった】
【時々振り返り、周りの通行人にぶつかりつつ逃げている。付かず離れずで深夜のちょっとした騒ぎになっていた】
711 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/29(月) 23:56:45.80 ID:vRviZkVSo
>>706

【冬の寒空を舞う大小をそれぞれの手で掴めば、そのまましゃらりと金属をすれる音を鳴らし、白銀の刀身に短刀の白い刀身を晒す。一気に臨戦態勢、というわけだ】
【まずは一安心――――と行きたいが、このまま逃げられるわけにもいかない。誇りはもう一つ、あの紋章。一気に詰めて痛いお仕置きをせんとした刹那、割り込む異物】

……なっ――――!? いや、確かに先程の気配は複数……その正体は貴様、ということか……。
ふん、願ったり叶ったりだ……数で勝っているからといって簡単に倒せるなどと思わない方がいい――――この青狼£邑瑛月、2人に飼われるほど大人しくはないぞ

【異様な姿、大きさ、雰囲気――――そして、威圧感。どうやらこの男もカニバディールの一味らしく、倒さねばならない敵】
【本来数で負けている相手と戦うことは愚策だが、ふと湧き立つこの怒り、使命感が彼の瞳を、雰囲気を、攻撃的へと仕立て上げる。零れた笑みが、微かに不気味でもあった】

スクラップズ……貴様らだけはこの手で打倒しなければならない……が――――まずは返してもらうぞ……ッッ!!

【大男の先手。圧力は凄いが冷静に分析すれば何ともないテレフォンパンチ。ぶおん、と物凄い風圧が髪を大きく靡かせるが瑛月の肉体にダメージを与えることはなく】
【姿勢を低く下げて回避すると同時に素早く前へ出て、可能ならばオートマーダーの右脇を横切りながら左の短刀で脇腹を裂かんとする】
【そしてそのままピアス男へと向かうことが出来たのならば――――右の「御代櫻」、本来の彼の得物で紋章を持つ手を裂こうと刀を振るうのだが……!?】
712 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(島根県) [sage]:2014/12/30(火) 00:01:03.46 ID:gC1xHKS5o
>>708

背より女の子っぽい、ねぇ・・・。
・・・、まぁ、その、胸囲には個人差があるからな・・・。
気にしなくていいんだぞ?

【地味に彼女の手が胸に添えられているのを見ての一言だった】
【それじゃああなたはどうなの?と聞かれれば並よりあるため顔をそらしたくなるのだが】

かまれたら痛いよな、うちのハムスターは短気だからすぐ咬むんだけどな。
というか、お前さんの蜥蜴とかは規格外すぎてだな・・・

【前見せてもらった彼女のペットが映っている画像を思い出す】
【・・・、どれもこれも規格外だったとしか覚えがないのであるが】

氷の国じゃ交通事故での死者数より酒飲んで道に倒れて凍死する人数のほうが多いからな。
まぁ、私は酒豪って言われてるから大丈夫だと思うんだけどな。
まぁ、明日になって冷えていることは・・・、たぶんないかな?

【少し冗談めかして言っているのだが】
【生真面目な彼女には冗談に聞こえないかもしれない】

あぁー、申し訳ないことをした。
すまんすまん。

【わびながら彼女の頭をワシャワシャとなでてやる】
【内心彼女の落ち込む表情がかわいいと思っているのだが】
【さすがは軍人、それを外に出さないように意識をしていた】
713 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 00:10:05.32 ID:+Cju3Wai0
>>712

【……ムー、そんな感じで彼女は頬を膨らませた。どんな慰めも、実際の胸囲のなさの前には裸足で逃げていく】
【ないものはないのだ。どれだけほしがっても、ないのだ。さらに言えば、パッドやらで偽装できるだけの胸もないのだ】
【寄せたり押し上げたりするものがない。なにもない。ほんとにない。――絶望、諦め、そんな単語が胸元に漂い】

……でもかわいいんだよ。みんないい子なの、コモンってば、あまえんぼさんだけど……。
夜は一緒に寝てるんだ、――サラマンダーの子供なんだって。だからかな、抱っこすると暖かいんだよ。

いつかお家に遊びにおいでよ、そしたらコモンもきっと喜ぶよ。

【だけど――諦めきっているのだろう。死んだ目で笑うのだが、それも、長続きはせずに】
【すぐにペットの話になると元気になる/活き活きする。最終的にはいつか本当のペットを見せてあげる、なんて笑い】
【遊びにおいでなんて言うのだ。流石に今日今すぐという話ではないだろうが――】

そうなの? ……でも気をつけてね、最近、ほんとうに寒いし……。
うちのほうだと雪の日も増えてきたの、だからね、寒いからあんまり外出たくないんだけど……。

【氷の国。そういえば行ったことないなあなんて思うのだ、一時期放浪していた頃も、その場所は】
【いかにも寒そうで行かなかったものだから。――寒い場所は嫌い、苦手、冬眠したくなってしまうから】
【「お仕事行かないとだしね」なんて笑う。そういえば、テレビでもよく見るなら、もしかしたら知っているのかも】

【彼女、某UTのリーダーとCMなんて出てたりする。といってもほとんど居るだけ、みたいな感じだけど――】

もう、……子供じゃないんだよ。わたし、二十一なんだから。

【くしゅくしゅとされると、髪が崩れてしまいそうで少し気に食わない、だけど、撫でられるのは確かに嬉しくて】
【最終的にどこか拗ねたように唇を尖らせながらも大人しく撫でられているのだから、まだまだ子供ということだろう】
【二十一だとアピールするが、どう見たってそう見えないのだから仕方ない。さらに言えば、性格も――子供っぽいし】

/すいません、日付も変わったことですし、この辺りで凍結していただけたらと……
/明日は帰ってくる時間がちょっと分からないのですが、夜には多分戻ってきてると思いますので!
/ロールできるようになったらお知らせします。ひとまずおつかれさまでしたー
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(島根県) [sage]:2014/12/30(火) 00:11:57.39 ID:gC1xHKS5o
>>713
/了解いたしました!
/ただ、明日は無理かもしれません・・・
/年始まで引っ張ってしまいそうですが、よろしくお願いします
715 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 00:16:58.31 ID:+Cju3Wai0
>>714
/あ、それなら、置きのほうにでも返しておいてもらえれば、そっちでの続行も出来ますよ!
/こっちは三日にネット環境がないとこに行くのですが、それ以外なら多分置きでなら安定して返せるかと……
716 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/30(火) 00:20:35.46 ID:tQ6yHA/ro
>>709

正義か悪か、そんな話は心が贅沢な者が言えるのさ……
生命と生命のぶつかり合いにそんな話はただただ無粋、在るのはただ奪うか奪われるかの2つだけ
それに……成長しないのではなくて根源的に生き物はそういう代物なのさ、戦いがなければ生きられない……と、君は積極的だなあ……

【彼女の世界観は酷く単純だったし彼女の居た世界も同じくらいに単純だった】
【行き着く先は生産と消費、カタチがどんなに変わろうとその根本的な原理は不変の物】
【竜と戯れる姿とは酷く不似合いな、殺伐とした世界……】

人と竜の共生など私の世界では成し得なかった、歩み寄る者はいたけれどね……
ふむ、そう考えると興味深い……竜と人が何を生み出すのか面白そうだ

ん?……ああ、私は気にしないでいいよ元より根無し草だここに来たのだって何となくみたいなものだし
一緒に居たいなら断る理由はないけれど、今日は今日で酷く遊ばれたから離れさせて貰おうかな……滾ってしまってからでは遅いしね
心配せずとも大丈夫だよ弱くは出来てないしそれに君の匂いは覚えたからね……ふふ

【指先に竜を止まらせてそっと「お戻り」と彼の肩へと寄せる】
【果たして何が大丈夫なのかその意味は不明だが、青年にとってはよろしくない事なのかもしれない】
【なんせ戦いに生きた龍の1つに見初められてしまったのだから】

【言葉が終わればそれは別れ、立ち上がり去ろうとすれば思い出したように彼を見て】
【自分のヤトガミ・フガクという名前を告げて更に青年の持つ名と竜の名を問うて答えてくれたならば満足気に頷いて】
【やがて何処へでもなく歩き出すだろう】
717 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/30(火) 00:21:45.89 ID:qtwugkPLo
>>711
【元々冷え切っていた空気が、その刃が夜空の下に晒された途端、さらに鋭さを増したかのような錯覚にとらわれる】
【美しく、されど恐ろしいその輝き。剣士の誇りにして、悪を断つ牙】
【それでも、それらを前にしただけで腰が引けるほど、盗賊どもも情けなくはない】

[ひひ、ひぃっひひっひっひっひ!! そりゃ、簡単に倒せるなんざ思っちゃいませんぜ!!]
[青狼≠スあ生かす二つ名ですなあぁ、この年の瀬に一人寂しく修行に打ち込むアンタにはお似合いですよおぉ]

[さあて、ボスに代わって、この『スクラップズ』首領代理、スカーベッジ・トラーシュが……アンタの命、盗み出させてもらいますぜ!!]

【人数は確かにこちらが上。しかし、盗賊どもが数に頼るのは、戦闘能力においては生粋の戦士には劣るためだ】
【眼前の敵、瑛月はまさに生粋の戦士。能力なしで恐るべき悪たちと渡り合ってきた男】
【油断などできようはずもない。盗賊どももまた、彼の零す不気味ともとれる笑みに、獰猛な笑いで返す】


[ひっひ、盗賊が一度ぶんどったもんを、そう簡単に返すとお思いですかい!?]

【ピアス男、スカーベッジの言葉が終わるころには、義手男、オートマーダーの一撃が空を切った後だった】
【すれ違い様の一閃が、オートマーダーの脇腹を切り裂き、鮮血を宵闇の中に撒き散らす】

【そのまま接近してくる瑛月を、どうにか蹴りの衝撃から立ち直ったスカーベッジが迎え撃つ】
【スカーベッジの右腕の肘から先が、突如ガラス片のブレードに変化したのだ。その右腕を、瑛月の振るった刃を受ける軌道に合わせる】
【刃が振り切られれば、ブレードはあっけなく砕けるだろう。強度はそれほどでもないらしい、わずかに鮮血も混じっている】
【スカーベッジが微かに苦鳴を漏らすが、まだ笑みは消えていない。生身の腕を切られるよりは、ダメージを軽減したらしい】


《ウィーン……殺害シマス、ゴ注意クダサイ》

【そこへ、背後からオートマーダーが襲い掛かった。脇腹を裂かれたというのに、怯むどころか気にも留めていない様子だ】
【オートマーダーの能力、身体の機械的制御による痛覚遮断の成果だった】

【太い右脚が振るわれ、瑛月の足元を薙ぎ払うようなローキックが放たれる。先端に鉄芯の詰まった安全靴のおまけつきだ】
【先のパンチよりは速度が速く、かつ死角からの攻撃。これを凌げれば、二人の盗賊の隙を見出すことが出来るだろう】

【スカーベッジは、まだ攻撃には転じきれていない。だが、その紋章は意地でも離さないとばかりに、左手に握りしめ続けていた】
718 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/30(火) 00:42:10.20 ID:aMHgtLfso
>>717

狼は……群れない獣だから――――なぁッッ!!

【右腕で振るわれた白銀の刃が、透明な刃に受け止められる。――――否、砕けたがそれでもこの一撃で誇りを取り戻すことはできなかった】
【やはり相手も一筋縄ではいかない。何故ならあの悪意の化身、カニバディールに仕える者共なのだから当然――――であるが、それでも此方に分があると思っていた】
【あの機械の大男――――その一撃は当たれば一溜りもないが、当たる気はしない。武人故に、技の大振りさや予備動作には鋭敏に反応するのだ】

(しかも脇腹を裂いた……あそこは血の詰まった箇所、激痛が走る。故にそう簡単には動けないからこのピアス男に注意を――――いや、機械なら――――ッッ!?)

【右足に響き渡る衝撃、痛み、重み。ただ重いだけじゃない、硬いのだ。ただのローキックとは思えないその蹴りが彼の足元を掬い上げ、転倒させる】
【不意を突かれたことにより、喰らったダメージも更に大きくなっていた。脇腹の一撃をもろともしないタフネス。それこそが最も恐るべき要素だったのかもしれない】

……〜〜〜〜っぐぅ……ッッ!!
(なんという……――――威力……!!筋肉が薄い膝上に喰らっていたら間違いなく折れていた……が、そうでなくともかなり響く……ッッ……)

【転倒したということは隙を生む。そのことは格闘慣れしていない人でも容易に理解できることであり――――即ち、絶体絶命。2人相手にこの隙は命取りであった】
719 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 00:42:47.73 ID:byChaEer0
>>716
「竜が何処かの賊にやられる心配なんて端からしてない。逆に必要以上に殺さないか心配している位だ
――――そんな事なら止めもしない。…………若かし何だ。匂いを覚える、ってのは竜よりも犬よりの印象が強いな
兎にも角にもまた機会があればその内会うだろ。それまで達者でな」

【未だに火の絶えない焚き木を踏み消し、瓶も布袋へと仕舞えば立ち上がり】
【小さな竜の顎を一度撫でて「お疲れさん」と呟いたならば、其れは朱い霧となって四散した】
【――――この時になって漸く流血を始めるのだから、異能を解除したのだと知れて】

【名を問われたならば、数歩先で立ち止まる】
【敵対している訳でも無いのだから教えたところで害は無いか、と頷き】


「俺の名前はリデル=シカトリス。竜の方はフォルサ、だ
…………同じ様な軍服を着て槍を持った子供に会う機会があったら隊長が探してた、とでも伝えてくれ

――――じゃあな、ヤトガミ。お前さんが別な“親戚”に会える事を願ってるよ」

【自身の名と竜の名とを告げれば、付け加えるのは一つの伝言】
【何時ぞやの殺した者達の感情を封じた槍を得物とする少年の事だろうが――――何かを言う前に後ろ手を振ってその場から去るのだから恐らくはもうその耳には何も通らず】

【其れが今宵の別れとなろう。何れまた会うことがあるのか、其れは誰にも分からない話】
【ヒュウ、と冷たい風が一度吹き抜けた頃には、男の姿も闇に紛れて失せていて――――】

/こんな所でしょうか!二日間、お相手有り難う御座いましたっ!また機会がありましたら是非っ!
720 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2014/12/30(火) 00:53:28.87 ID:tQ6yHA/ro
>>719
/お疲れ様でした!
721 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 00:58:26.46 ID:n6WIr1oWo
>>710

【師走。坊主までもが忙しく走り回るとは言うが、多くの人が仕事を納めた今は、落ち着きを見せ始めていた】

【そんな中、逃走する青年が通行人にぶつかりながらも走り続ける先。少しすれば一瞬、人混みの途切れる時があるか】
【しかし、青年がちょうどそこに差し掛かるタイミングで、その場所を横切ろうとしている存在があった】

……うぅぅ、寒っ。
さっさとホテルに帰って……あら?

【寒風に揺れるのはポニーテールにした銀の髪。モッズコートにデニムのショートパンツ、黒いタイツを履いた少女。】
【些か妙な空気に気が付いたか、ムートンブーツの踵をカツンと鳴らして立ち止まれば】
【そこはちょうど、青年の真正面の位置取りとなろうか。鋭い蒼の瞳が、そちらへ向けられて】

……――えっ、ちょっ、な――――――

【――――突然の事態に、躊躇いの刹那が生じた。ほんの一瞬だが、それが青年の運命を左右する事となるだろう】
【青年の方が避けられなければ正面から衝突してしまい、追う男に更に迫られる事になるが、果たして…………】


/まだいらっしゃいましたらー
722 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/30(火) 00:58:31.78 ID:qtwugkPLo
>>718
[ひひ……誇り高くて結構ですなあぁ!!]

【砕けたガラス片が山道にばらまかれ、ただのゴミに戻っていく】
【美しい軌跡を描いて空間を裂く白銀の刃、鍛え上げ、研ぎ澄まされた剣客の腕なればこその輝き】
【相対する盗賊どもの闇もまた、悪意の中で長年蠢き続けてきたからこそ、たどり着けるどす黒さ】
【正義と悪が、自然の中で交錯する】


《ウィーン、ガシャン……キュイイィィィ……》

[ひひっ、隙ありぃっ!!!]

【オートマーダーの能力が功を奏し、命中した蹴りが大きな好機を悪漢たちにもたらす】
【山道に倒れ伏した瑛月に、スカーベッジの手からまたも錆び色のワイヤーが伸び迫っていく】
【そのままいけば、ワイヤーは瑛月の両腕に巻き付き、肉に食い込もうとするだろう】

【同時に、オートマーダーが瑛月に覆いかぶさるような動きをし、そのまま義手で彼の胴体辺りに掴みかかろうとする】
【義手を含めた体重をかけて、瑛月の身体を地面に押さえつけるつもりらしい】

【双方の行動が完全に決まってしまえば、瑛月の動きを止めることが出来る、と踏んでのもの】
【すぐに命を取りにいかない辺りは迂闊と言えるだろうが、この異形にして凶悪な盗賊どもに捕えられる、ということが】
【どんな結果をもたらすかは、想像に難くないだろう。この状況に、瑛月はどう対抗するか――――】
723 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/30(火) 01:20:46.26 ID:aMHgtLfso
>>722

……っぐ……――――!!
(不味い……この状況は――――!)

【迫る遠近両方の悪意。オートマーダーが巨体を揺るがして彼を捕まえんとし、スカーベッジはワイヤーで彼を捉えんとする】
【どちらか一方、じゃ駄目だ。両方を防ぐ以外に勝ち筋はない。――――ワイヤー。果たして刀で切れる素材なのか。も再度得物を奪われたのなら待つのは地獄】
【――――義手による捕獲。そもそもあのパワーとスタミナだ、捕まえられればどれだけ暴れても無駄だろう。やはりどちらも凶悪すぎる。改めてこの絶望を認識した】

(……――――大男の方はまだ緩慢故に凌げるが、問題はワイヤー……切れなければ絡められて負けでは割に合わな――――いや……!!)
(――――ある。あるぞ……!!「ワイヤーに絡め取られる心配のない刀」が――――!!)

【まずはオートマーダー。右足は動かずとも身体は動く。大地を転がって躱せば、次は問題の――――ワイヤー】

――――庭常白光……聖刃<bッ!!

【純白の刀身を持つ短刀が――――瑛月の掛け声に合わせて伸びる。否、伸びると言うよりも――――聖の魔力が刃となって、元の刀身の先から生えている】
【魔力の刃なら、ワイヤーに絡め取られる心配もない。通常の刀とほぼ同じリーチと化したそれで、その聖刃≠フ部分でワイヤーを2つ纏めて切り裂かんとした】

【左の短刀で防御をすれば、右の本来の得物は――――攻撃。転がって躱した後、しゃがんだ状態を活かした――――地を這う横一閃、狙うは右膝】
【どうしても巨体を支えるとなると、右膝にその重い体重は圧し掛かる。そこ自分が浴びたローキックを、刀でするような、そんな行為だった】
724 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/12/30(火) 01:44:03.21 ID:qtwugkPLo
>>723
【呻く瑛月を見て、スカーベッジの顔はますます悪意にぎらつく。オートマーダーは相も変わらず無機質だ】
【二つの異形が瑛月を捕えようとする。あわよくば、生きたままボスの前に引き出そうという狙いらしい】

【誇り高き孤狼たる彼に対し、人数で対抗する盗賊どもの姑息な手口は、確かに効力を発揮していた】
【オートマーダーの掴みかかりは回避される。しかし、その隙をワイヤーが地を這いながら狙う】
【剣士の命たる腕を縛り上げようとした、まさにその時。思いもかけないことが起きた】


[んな――――いっづあぁ!! な、なんです、その妙な刀は――――!!!]

【短刀から伸びる魔力の刃。瑛月を完全に無能力者と認識していた盗賊どもは見事に虚を突かれた】
【恐らくは、武器の方に仕込みがあったのだろう、という考えには思い至らず。ワイヤーがあっさりと切断される】
【スカーベッジの身体の一部となっているワイヤーの断端から、わずかな鮮血が飛び散った】

《ガ、ガ……ウィーン、ガガ、ガガガ!! 機能、一時、停止――――》

【先の一撃の意趣返し、転倒を逆手にとった機転が、横殴りに振るわれる一閃と化す】
【筋肉と義手の重みが枷となり、オートマーダーの巨体が崩れ落ちる。痛覚を遮断しても、筋肉が受けるダメージはかわせない】
【山道に音を立てて倒れたオートマーダー、すぐには動くことは出来ないだろう】


[ひ、ひ……無能力者と聞いてましたが、まさかそんな隠し玉がおありだとは……]

【和服と紋章を握る左手を垂れ下がらせて、スカーベッジが後ずさった】
【瑛月の気迫と技量の前に、気圧されている。額に脂汗が伝う。しかし、そのままではやられる】

【どうにか気力を振り絞り、スカーベッジが動く。右手がベストのポケットから錆び釘を取り出すと】
【瑛月の右肩めがけて、投げつけた。尖った先端が、瑛月に向かって飛んでいく】

【しかし、やはり怯みながらの苦し紛れ。軌道はブレ、狙いもあまり正確ではない。これを潜り抜ければ、スカーベッジに刃が届くか】
725 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/30(火) 01:44:10.74 ID:g5gor8Fno
>>721

【青年はいつまでも追ってくる執念深いヤツに後ろに気を取られていた】
【ここまできたら逃げ切らなけりゃたたじゃ済まされないそんな恐怖が脳裏に焼き付いて必死だ】

『ハァ…!ハァ……!!ああっっ!!退け退けドケッ!!』

【人並みをかき分けてて飛び出したそこで、少女とエンカウント。うしろに気を取られていたせいで近い】
【無意識で脳は避けるように信号を送ったが身体は間に合わない。男は運も体力も使い果たし足がもつれて】
【盛大に路上に頭から突っ込む。アタッシェケースも投げ飛ばしてあり得ないぐらいの勢いで転がっていった】

【青年はもう逃げることも出来ないと言った感じで息も絶え絶えで、鼻血を流して起き上がろうとしない】
【飛んでったアタッシェケースは鍵がぶっ壊れて中身が飛び散った。それは金。紙幣のカネがあたりにばら撒かれる】
【殆どが帯封をしてあって束のまま転がっていたが幾つかは帯もちぎれてあたりに散らばっていた】

【程なくして、追っかけていた男も現れる。背は高いものの痩せていて見た目からして運動には向いて無さそうだ】

ハァ……はぁ…………煙草のせいだクソッ…だが…辞める気は無いぞ

【手を膝において暫く息を整えながらぼやく。やはり慣れないのか年のせいかクールタイムは長い】

ったく…何だってんだ……あっ!俺の金!クソッ!アンタら取るなよ!もう懲り懲りだ

【男はようやく金を拾い集め始める。通行人に文句言いながら。だれも関わりたくないといった感じだ】

…拾うのは…手伝ってくれない?

【とも言うが、誰も関わりたくない。ので、通行人には無視されていた】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/30(火) 01:58:14.21 ID:aMHgtLfso
>>724

……――――此方も誇りを持って言おう。俺は無能力者だ、魔力の才能もない。
これは元々刀に宿っていた聖の魔力を――――弟子≠ノ工夫して貰いこのような形で放てるようにして貰った……

――――本来は貴様らの長……憎きあの化け物に食らわせる予定だったが――――まあいい。
……ああ、盗人。お前はこれも盗んでいたよな……――――ならばもう一度そのチャンス、くれてやるッッ!!

【ジョシュアという魔工技師が作ったくれた銀のバングルが、左手首に装着されているのが見えるだろうか。これこそ聖刃≠フタネであり、瑛月の新たな刃】
【オートマーダーも転倒し、残りはピアス男。しかしながら右足に重い痛みが残っている故、遠く離れた相手に攻撃する方法は――――アレしかない】
【盗人にくれてやると言わんばかりの、投擲。投げたのは刀ではなく、抜刀した時に地面に落とした御代櫻の鞘。回転しながら、釘を弾き――――狙いは、左小手】

返してもらおう、その誇り――――!!

【紋章を取り返さんと放たれたその投擲は、相棒のロウの銃弾の如く正確な軌道で向かうが――――果たして結末は】
727 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 02:12:28.67 ID:n6WIr1oWo
>>725

【地面にダイブする青年、飛んでいくアタッシェケース、飛び散る紙幣。】
【そんな光景を暫し眺めた少女は、やがて現れた男に、倒れたままの青年を少し気にしながらも視線をやって】

……あー……その、これ…………アンタの、なのね……?
まあ……何となくだけど、事情はわかったわ。

【それから、彼が金を集め始めてから。ようやっと状況が飲み込めてきたのか、少女も動き出す】
【取り敢えず手近な所に落ちている紙幣を拾っていくが――――ふと、疑問が過る】
【ちょうど彼に背を向けた姿勢で、小さく呟きが漏れた。聞こえるかどうかはわからないが。】

…………こんなにたくさん、何のお金なのかしら。

――――というか、どこか……そう、鉄の国かどこかで、会わなかったかしら。
ああ、勘違いだったら別にいいんだけど。あの時も、ちゃんと顔見たわけじゃないから。

【そんな中で、顔だけを彼の方に向け、投げかけるのは訊ねる言葉】
【あれは、鉄の国の首都での事だったか。ヘル・ベアトリックスと戦った折、共闘した男に似ている様な、そんな気がして】

【言うだけ言ったなら、止まっていた手を再び動かして、再度紙幣を拾い始めた】
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/30(火) 02:22:20.03 ID:qtwugkPLo
>>726
[弟子……? ははぁ、そいつぁずいぶんと有能なお弟子さんをお持ちなんですなあぁ……ひ、ひひ……]
[孤狼だと名乗って置いて、アンタもきっちり人脈を利用なさってる辺り……ひ、ひ、憎たらしい限りですよおぉ……]

【口だけは減らず、視線はこんな状況でも盗賊の性を反映して、瑛月の左手首に光るバングルへと吸い寄せられる】
【誰しも、そのままではない。更なる成長を遂げていた正義の刃が、異形の悪意を打ち破ったのだ】
【それを悟ったところで、眼前の危機に対抗できる術もなく。言葉と共に投げかけられる鞘が、迫る】

[ひぃっひ……そいつぁお優しいことで……ついでに、なるべくスローでお願いいただけると――――]

【進退窮まって、無意味な要求を呟くスカーベッジに、容赦なく彼のよこした『チャンス』が飛ぶ】
【釘があっさりと弾き飛ばされ、弧を描いて飛んでいく鞘が、スカーベッジの左手を直撃した】
【呻き声と共に、スカーベッジが和服と紋章を手放す。勢いそのままに、尻餅までついた】


[ひ、ひぃっひひ、ひひ、こ、この通りお返ししましたぜ!! だ、だからご勘弁を……]
[いやその、違うんですよ、こいつぁちょっとした、その……そう魔が差した、ってやつでして、はい!!]
[反省してますんで、どうか見逃していただけやせんか、この通りっ!!]

【半身を起こしたスカーベッジがジリジリと地面を這うように後退しながら、叫び始める】
【小物の悪党らしい、命乞い。あの異形の手下にしては、拍子抜けなほどと言えるかもしれない】

【『スクラップズ』のしぶとさは、瑛月自身経験しているはず。その首領代理が、こうもあっさりと――――いや】
【動いている。後ずさるスカーベッジの右手が、微かに。後ろに回した手が、奇妙に動いている】
【瑛月の位置からは見えにくいだろうか、その右手はズボンにしまわれていた携帯端末を取り出そうとしていた】

【どれほど無様を晒そうと、最後に生き残れば勝ち。盗賊どもらしい、誇りの欠片もなくされどしぶとさの一因でもある考え方】
【スカーベッジはそれを体現して見せた。みっともない命乞いで時間を稼ごうとしつつ、携帯端末で仲間を呼ぶ算段】
【瑛月にこれ以上の連戦が困難であれば、これを阻止すべく力を振り絞るだろうか】

【死角で端末を操作するスカーベッジの指が、今にも援軍を召喚しようとしている――――】
729 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/30(火) 02:39:07.90 ID:aMHgtLfso
>>728

【重い足の痺れもようやく立てる程度には回復してきたようで、瑛月はよろよろと立ち上がった。瞳は正しく餓狼の其れで、今にも喉元に喰い付かんとするようにも見えた】
【事実、其れは間違ってはいない。刃という牙を、奴らに突き立てる――――その意志を剥き出しにして、ゆっくりと迫った】

ロウの阿呆なら許す可能性が0.0000000001%くらいあるかも知れないが――――生憎俺だ。俺は奴のような広い器は持っていない、故に……0%だッッッ!!

【ひょい、と何かを投げる仕草。また鞘の投擲か――――と思いきや、今度はただの石。しかし軽い分早く、小さい分見分けにくい。狙いは勿論、怪しい右手】
【――――見抜いていた。若くも熟練を匂わせる剣士は、怪しい挙動を見落とす程甘くはない。無の境地に近づいたばかりの精神が、見落とすほどぶれてはいない】

獲物を捉える餓狼の双眸――――その鋭さを舐めて貰っては困るな……。流石にこれ以上の援軍は俺も勘弁願いたい……!!
その前に貴様を――――っぐぅっ…………!!

【右腕を上げ、刀を振り下ろす動作で――――昂ったせいか力み、右脛がぴきり、という痺れるような痛みに襲われる】
【骨にひびが入っているかもしれない、そう予感させるほどの激痛。――――思わず右膝から力が抜け落ち、膝をついた――――ということは、隙を晒していることと同義】
【逃げることも、また攻撃を仕掛けるも自由だが、彼らはこの僅かな時間をどのように利用するのだろうか――――】
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/30(火) 02:55:45.91 ID:g5gor8Fno
>>727

【壊れたカバンに無理やり詰め込んでみたり、やっぱり口が閉まらなくて仕方なく抱え上げて】
【両手いっぱいに金を持って、男は転がっている青年に近づいてしゃがみ、声をかける】

おい、にーちゃん。シケた商売してるとすぐに死ぬぞ。やるならデカく稼げ、出来ないなら…バイトでもしなよ

【それだけ言って、金拾いに戻る。警察にしょっ引くことも蹴りの一発もしなかったのは器が広いからじゃなくて】
【この男もそこそこ名の売れた強盗犯で要は同じ穴のなんとやら…だからあまり強く言えないという訳がある】
【つまりはその金が一体何処から出たのかは定かではないが真面目に稼いだりしたものでは無いわけだ】

……ああ、サンキュー。…はぁー…どうなってんだよ、全く…

【アタッシェケースを一旦、地面に置いてそこに集めた金を投げ込んだ。疲れ果てて、男は煙草を取り出す】
【どうするにも一服してから考えようという事らしい。安い紙巻の煙を吐き出して男はうなだれる】

……鉄の国?……鉄の………………………

【世界を股にかける手配犯故にそこらのビジネスマンよりも多くの世界を行き来しているため鉄の国も何度か】
【訪れているが麻薬ディーラや情報屋や軍人上がりのドライバーにこんな少女が居た覚えはない】

……えっ、いつ?

【男はサングラスを軽くずらして、素の目で相手の顔をよく見てみる。どうにもこうにも思い出せない】
【しかし、向こうからすればこの男の特徴的な目、白眼が赤く、瞳は黒いその目を見ているならば】
【印象的に記憶に残っているかもしれない。こんな目の人間は彼以外居るはずないだろう】
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2014/12/30(火) 03:12:33.77 ID:qtwugkPLo
>>729
【確かに、スカーベッジの醜態は時間稼ぎのために演技ではあった】
【だが、瑛月の殺意を秘めた目、餓狼そのものの気配を前にしては、やはり心底から戦慄せざるを得なかった】
【いったい、どれほどの修羅場を潜ればここまでになるのか】

[ひ、ひぃっひ……いやいや、そう自覚なさってるんなら、これを機会に器を広げてみちゃいかがです!?]
[あのロウの旦那の相棒だってんなら、同じようにするってのも……うおぉ!!?]

【時間稼ぎもほぼ意味はなく。闇にまぎれて軽い動作で放たれる小石は、やはり意趣返しのように思えた】
【投げられた小石が右手に命中し、携帯端末が取り落とされる。後は、ただとどめを待つばかりか】

[ひ――――!? ……おおっと、息切れですかい……?]
[ひ、ひぃっひ……これ以上は、とおっしゃりますが、もう手遅れだったようですぜ]

【振り下ろされるはずだった刀は、蓄積したダメージに阻まれ。再び、その身が地面に吸い寄せられる】
【とはいえ、それも僅かの間。この状態を覆すには、二人の異形だけでは及ばない】
【ならば、選ぶべきは撤退だが、それを許すほど甘い相手でもない。必然、機を待つこととなる】

――――カヒュー……

【奇怪な呼吸音が聞こえた。息詰まるような、異様な音が。同時に、ボコボコという、下水が逆流するような音】
【瑛月が振り返れば、倒れているオートマーダーの身体に巻き付く、何かが見えるだろう。赤黒く太いそれは】
【肉だった。肉の触手。瑛月なら、勘付くだろうか、この場に現れた者がなんであるのか】

ヒュー……久しぶりだな、中邑 瑛月……私が誰か、わかるか?
聞いているかもしれないが、これはお前の仲間の功績だよ……UTのミハエル・ガーナランドとSCARLETのカミナ・ゲルギル
セードムシティの一件で、あの二人に焼かれた挙句砕き潰されたんだ。あの時ばかりは、流石に死ぬかと思ったよ。ヒューハ、ヒュハーッ……

お前は、変わりないようで何よりだな? ク、ク、クヒュー……

【しかし、瑛月の記憶の姿とそれとは、異なったものであるだろう】

【それは、人間の上半身を半分ほどにした大きさの肉塊だった】
【胸までほどしかない身体にボロ切れのような黒い布を巻きつけ、口に装着されたマスク型人工呼吸器からは、細い呼吸音が漏れている】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡がある。唯一、右顔面にのみ、ほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【首筋から生える数本の肉の触手は、オートマーダーの巨体に絡まり、その身をしっかりと確保していた】

……今回は失態だな、スカーベッジ

[ひ、ひ……すみません、ボス……一人で山籠もりなんざしてやがるもんで、好機と見たんですが……]
[し、しかしわかったこともありますぜ!! 実は――――]

【スカーベッジが、肉塊男に、カニバディールに耳打ちする。呼吸器の奥の口元が、笑う形に歪んだ】

なるほど……変わりない、といったのは撤回せねばならないな。ずいぶんと面白い玩具を手に入れたじゃあないか……魔力の刃とは
ふむ……その左手のバングル、初めて見るがそれが発動装置か何かか? お前の弟子はいいセンスをしているらしいな。朴念仁のお前にも似合っているぞ……ふ、ふ

【世間話でもするかのように軽い会話。瑛月が見せた隙と、自身の登場によって出来たであろう時間の間隙】
【その間に、肉触手はオートマーダーを確保し、一瞬で引き寄せた。小さくなったカニバディールの身体に、巨体が担がれる。スカーベッジも立ち上がり、その横に並んだ】


カヒュー……また追うべき相手が増えたな。お前のその弟子とやらのことも調べておこう
探し、見つけ、追い詰め、殺す。お前の弟子の死体の上に、お前の屍も重ねてやる

カノッサ機関は、『スクラップズ』は、敵対するものの存在を許さん。どんな手を使おうと、どれほど時間がかかろうと……
貴様を殺す。弟子も殺す。UTも、SCARLETも、自警団も、警察も、何もかも……!! 食い尽くしてやる……!!

【質量が減っても、悪意は健在らしい。その身から放たれる圧力が、山道の間に不快な空気をもたらした】
【言葉が終わるころには、異形どもは撤退に移り始めるだろう。山道を外れた闇の中に、三つの異形が飛び込もうとしている。追撃か断念か、瑛月の選択やいかに】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 03:26:39.74 ID:n6WIr1oWo
>>730

【彼が青年をどうもしないのであれば、少女が何かする道理も無いわけで】
【悴んだ手でちまちまと金を拾い上げていけば、彼の所へと持って行って】

はい、これ。
でも―――こんなに持ち歩くの大変でしょう?カード使った方がいいんじゃないかしら。

【知ってか知らずか、国際的な手配犯にキャッシュカードを使えだなんて、皮肉めいた言葉】
【そんな話し方や表情の端々から、少女の性格の勝ち気そうなのが覗いていた。】

【それから、こちらの質問に関して、どうにも彼にはピンと来ない様子】
【んー……、と腕を組みながら、今一度自分の記憶を振り返れば。サングラスの向こうにあった特徴的な目は、確かに記憶にある】
【――――とはいえ、意識のハッキリしない状態で取り込まれた情報だったのだが。】

その目!やっぱり見た事あるはずよ!ほら、GIFTの女!骸骨を呼び出したりするやつ!
……あぁ、でもあいつと戦った時はドレスの方を着てたはずよね、私……。この格好じゃあ、わからないかしら……。

【しかし、確信を得た少女はまくし立てる。あの時に相対していた相手の情報を、断片的にだが述べてみる】
【そこで、自分の格好がその時と全く異なるものである事に気付いて。】
【あー、とコートの前を開いて眺める少女の腰の左右には、長短一振ずつの剣があった】
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(石川県) [sage saga]:2014/12/30(火) 03:34:38.76 ID:aMHgtLfso
>>731

くそ……こんな……時に……――――ッッ〜〜〜!?

【顔を顰めたのは痛みのせいではない。このような好機でも仕留められない自分への怒りでもあり、直ぐに立とうとするが――――】
【――――突然耳に届いたその奇妙で、恐ろしく背筋を凍らせる独特な呼吸音がその動きを止めた。瑛月が屈んだまま、右ひざを視点に身体を回す】
【グロテスクな映像が濡羽色の双眸に映り、そして見えるは――――自分に馴れ馴れしく話しかける、化け物。人からは大きくかけ離れた存在に見えた】

【それでも、この吐き気のする雰囲気で分かる。ただの悪党とは一線を画した、そのどす黒く深い悪意で分かる。――――カニバディールだということが】

貴様は随分と姿を変えたようだな……ロウがああなったのも分かるよ……最早心も体も、人から遠のいてしまった化け物め――――……!!
その汚い手で罪なき市民に触れることは。我々の仲間を傷つけることも。――――絶対に、許さない。
……ロウが殺せないなら俺が殺してやる。貴様の罪は重すぎた、最早この世に生きていくことさえも世界は赦さない……!!

(……動け……!! なぜ動かない……!! そこまで傷は重いか、いや……そうじゃ……ない……のか……!?)

【言葉は刃の如き鋭さだが、実際に刃が異形の肉体に突き刺さることは無い。右足の痛みが重い故に動けない――――否、違う】
【――――そのグロテスクな見た目から吐き出される悪意が、圧力が、殺意が、負の感情たちが。彼の身体を縛っていた、ということだった】
【……今ここで闘っても勝てない。足が万全でも――――心が、ダメだ。大粒の汗が首筋を伝い、そのことを自身に教えていた】

【目の前から彼らが居なくなっても、彼は数分その場に座っていた。磨いたはずの無の境地が、悪意に浸食され脆く崩れているような気がしてならなかった】

/このような長い時間まで付き合って貰って済みません、ありがとうございましたー!
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2014/12/30(火) 03:51:17.78 ID:qtwugkPLo
>>733
ふ、ふふ……ロウのやつは、まだ立ち直っていないのか? 彼奴とはもう一度会いたいと思っていたのだがな
おいおい、見た目で判断するな。私は人間だ。どこまでいってもな……

ヒュハー……いいぞ、その気迫。そのダメージでなお……それでこそ、食らい甲斐がある
世界が赦さずとも、そう簡単には私は死なんぞ。まだやることが山積みなんだ

それでは、また会おう瑛月。手下たちが受けた傷は、その時にたっぷりと礼をする

【結局は、彼から奪ったのは時間と心の安寧にとどまり。異形どもは刀も和服も紋章も残してそこから去った】
【カニバディールがオートマーダーを担いで歩き去り、スカーベッジが後に続く。やがて、静寂が訪れる】

【正義と悪。あまりに長く続いてきた終わりの見えない戦い。その歴史に、また新たな一幕が刻まれたのだった――】

/こちらこそ、お付き合いいただき感謝です! ありがとうございました!!
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/30(火) 03:56:37.60 ID:g5gor8Fno
>>732

【男はカネを受け取って、それを壊れたアタッシェケースの山に投げておいた。煙草を指でつまんで】
【眉間にしわを寄せた難しい顔をしながら煙を吐き出した】

ああ…ありがとう。……カードもあるけどね、余り使えないから……審査が通らないんだよな
それに、これはシゴトで使う金だったから。俺の周りじゃキャッシュでしか受け取らない奴ばっかりだ

【持っているキャッシュカードは基本的に盗難、偽造その他もろもので作ったものである】
【その他身分証も全部、正規のものなんて1つもない。そもそも本名自体当の本人が忘れている】

GIFT……?GIFTに知り合いは………あっ?…ああー…あれかぁ…

【彼からすれば所謂、正義悪の抗争は副次的なもので、あの時だってたまたま巻き込まれてたまたま】
【戦ったわけだ。火事場泥棒も失敗に終わったし彼からすれば記憶としては重要じゃなない部類に含まれる】
【故に反応がめちゃめちゃ薄い。そんなこともあったなと感嘆する程度である】

……ああ、あの時のお嬢さんか。………へぇー……
………なにしてるの?…こんなとこで

【まあ、なんとなしに此方も覚えているが、だからって覚えているという事実以外覚えていないのである】
【そのために反応がこれもまた薄い。挙句に会話が下手くそなのか会話も途切れ途切れである】
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 04:24:24.84 ID:n6WIr1oWo
>>735

ふーん……審査が、ねぇ……。
ま、現金持ち歩くんなら、気を付けた方がいいんじゃない?また盗まれたって知らないわよ?

【少々、訝しんでいるかのような表情を見せたが、すぐに、少女はフフッと笑って】
【悪戯っぽいその表情は、それまでの勝ち気そうなものに比べれば、少しは年相応だったろうか】

――――あ、思い出したみたいね。
何って……今泊まってるホテルがこの近くなのよ。食事が遅くなっちゃって、その帰りだったの。

だけど……また会えて良かったわ。
せっかく何かの縁で一緒に戦ったのに名前も聞いてなかったし、アンタはいつの間にかいなくなってたみたいだし。
ああ―――私の名前は、ゼリシュ・フェーブスよ。

【彼にとっては失敗した仕事の一つであっても、少女からすれば命懸けの戦いの一つ。】
【あの日、名前も知らぬままに戦場を共にした彼の事を、気にかけてはいたようで】

【少女――ゼリシュは自分の名を名乗ったならば、軽く首を傾げつつ視線を投げかけて。その姿は、彼の名乗りを催促するようで】
737 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/30(火) 04:58:43.79 ID:g5gor8Fno
>>736

アタッシェケースの金をぶちまけなくても、能力使って抗争に繰り出してるやつは皆
生命保険には加入できないだろうさ…レーサーと一緒だ…挙句に大半のやつは金も持ってない

【まあ自警団や機関に加入している能力者で保険や年金を慎ましく積み立ててる奴なんて数人しか居ないだろう】
【彼の周りでそんなことをやっているのはその保険会社を脅せるマフィアの人間ぐらいのもんだった】

ああ……そりゃあ……ご苦労なことで

【この場合正しいのかわからない返答。しかしそんな細かいところを指摘していてはこの男との会話なんて成り立たない】

【彼はポケットから取り出した、携帯灰皿に律儀に吸い殻をしまう。礼儀正しい訳じゃなくて】
【こういう都会の街中ではマナーやモラルに厳しいオヤジにねちねちと絡まれることが多いための自衛策だ】

そう言ってもらえると…ありがたいね。皮肉で言われることのほうが多いから
……まあ、あの時は急いでたから。……俺は……あーっと……ヒライって…名前

【名前を名乗るときに一瞬まごついたのはどれを名乗るべきかわからなくなったからだ】
【広く認知されているのはロッソだがそれを言えば捕まりかねないケースもあるしだからといって】
【普段良く使っているヒライはどう見ても名前と容姿が吊り合わないからまたいらぬ嫌疑をかけられがちだ】
【だからといって適当な偽名を使うと後々面倒に………だから考えるのもやめて普段使いを名乗った】

…あ、話しついでに悪いんだけどさ。その…半分持ってくれない?金…クルマに積んじゃうから

【男は抱えきれない半分を彼女に手渡そうとする。それだけでサラリーマンの年収ぐらいはある】
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/30(火) 05:24:05.79 ID:g5gor8Fno
>>737
/すみませんが睡魔が相当来ていて文章に支障が出だしているので
/先に落ちさせていただきます。適当に締めるも凍結も置きも任せますので
/兎に角もうヤバいです。すみません失礼します!
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2014/12/30(火) 05:32:04.42 ID:n6WIr1oWo
>>737

【そこまでマナーに頓着する人間でもないが、目の前で吸殻を捨てたなら、きっと、少女は小言を言ったはずで】
【そういった点では、今回に於いても彼の自衛策は奏功したと言ってもいいだろう。】

【はっ、と一息。白く煙めいた吐息は、しかし煙よりも早く消えていく】
【流石にまた、冷えてきた。白く細い指先を、軽く擦り合わせるようにして】

ヒライ、ね……。櫻の国系なのかしら――――いえ、関係ないわね。覚えておくわ。

――――ん、別に構わないけど。
えーっと、アンタの車は…………――――――

【彼の口にした名を、繰り返し、自らの言葉として紡ぎ出す。そうすることで、改めて記憶へと残していく】
【名前の特徴が櫻の国のものに近いな、と思ったが――ハーフか何かであれば、特段問題ということもなく】

【さて、彼からの頼みには快く応えて。手渡された大金にも、特に表情を変えるでもなく歩き始めた】
【思えばこの少女、身に付けているものはどれもなかなか、上等なもののようで】
【あまり金に困ってはいないのだろう。札を幾らかちょろまかす事もなく、無事に運び終える事となるか。】

――――はい、これで終わりね?
それじゃ、いい加減寒いし、ホテルに戻るわ。
また会いましょう、ヒライ――――

【それから、二言三言程度交わしたなら、少女はまた、当初の目的へと帰っていくだろう】
【その途中、『またお腹空いてきちゃったわ……』だとか言っていたようだが、それはまた、別の話。】



/ではここで〆ということで!遅くまでありがとうございましたー!
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/30(火) 23:59:38.47 ID:PhtMdGhwo
【しん、と静まり返ろうとしていた路地裏での話】

【両腰に二本の刀を提げ、黒の二重回しを羽織り、これまた黒の襟詰学生服を身に纏う、一人の少女と、一人の警官が其処にいた】
【青い制服を着た彼は、喉元を腕で抑えられ、塀へとその身体を押し付けられ、まともに呼吸も出来ない状態で、顔を真っ赤にして怯えていた】
【身長は、警官の彼の方が高く。然しその身長差、そして男女差という物がありながら、彼は押し付けられたまま脱する事は叶わず】
【そして。其処から両者の足下に視線を動かす中途―――――――― 彼の右手が、切断されて、墜ちた鮮血が足下で波紋を作っていた】

「動く、な……ッ!!ああ、もう!!」

【少女の右手には一本の刀。空になっているのは黒鞘の太刀。月光を浴びて煌めく白刃には、まだ新しい鮮血がべったりと付着し】
【両者から視線を僅かに外せば、其処に在るのは拳銃と、それを握る右手=B幾つかの薬莢もすぐ傍に転がっていた】
【苛立ちを全く隠そうとせずに、少女は警官の男へとそう言った。それでも警官足る彼は、決して少女の言葉に屈する、と言う事はしなかった】
【尚、足掻こうとする彼の喉元へと、刀の刃が近づいた。苦しげに息を荒くする彼の末路は、数刻先に書いてあるように見て取れる】
【両の目を瞑る警官に―――――――― しかし、刃は振るわれなかった】

「……いや、いいわ、もういいわ。どっかいけ、あっちいけ」

【そのまま彼の肩を掴んで、少女がそのまま右へと引っ張ると、崩れ落ちかけた警官の彼は、右手首を抑えてそのまま叫びながら逃げ去っていく】
【血払いの後、少女はその背を目で追い掛け乍ら刀を納める】
【その所作の最中に、左手が、左の腰に携えられた刀の柄に触れた】

「―――――――― あー、もやもやする……ぜんっぜん、すっきりせん」

【右手が左腰の刀の柄を握り締め、引き抜いた。刀身は中途から折れていて、刃には少女の顔が映った。随分と浮かない顔だった】

【警官の叫びに、後に残る血痕。先程警官が銃を数発撃ったために、銃声も響いた】
【自警団か増援の警官か、何処かの誰か≠ェ此処に来るのも、時間の問題だろうか】
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 00:33:59.31 ID:i4wlFU8I0
>>740


【重たい静寂に包まれ、立ち入りを拒むような血なまぐささ満ちる路地裏】
【或る種の異界へと変わり果てたそこに、敢えて踏み込もうとする者が一人いた】


 ……路地裏案件=c…、年の瀬だというのに、随分お盛んなことだね。


【そいつ≠ヘ、長い巻毛の金髪と、右眼を隠す眼帯が印象的な若い女性だった】
【ダッフルコートから光沢のあるワークブーツまで黒ずくめの姿は、見るからに細くしなやかで】
【右眼を隠す革の眼帯と、ベルトで腰に釣ったロングソードの鞘からは、常ならぬ剣呑さが漂っていた】


 私はロレッタ・ヘントプレック。対特異能力者超国家緊急対応部隊SCARLET¢{査官。
 泣き言ひとつ吐かずに通報してくれた「彼」の気骨に報いるためにも、あなたを確保する。


【――口ぶりからして、敗走した警官の連絡によって飛び出してきたのだろう】
【コートの襟には、確かに徽章バッジがつけられている。本物のSCARLET、つまりは精鋭】


 ……今すぐこの国の警察に出頭するか、大いに痛い目を見てから出頭するか、選べ。


【冷たいハスキー・ボイスを響かせながら彼女は剣を抜き、櫻の剣術でいう「下段」に構える】
【両刃剣においてはカウンターに適していると目されるその姿勢からは】
【選択を突きつける言葉とは裏腹に、戦いは避けられないものと捉えていることが伺えた】
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2014/12/31(水) 00:44:58.71 ID:GYpM8m1Ho
>>739
/お手数おかけしました!お付き合いいただいてありがとうございました!
743 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 00:59:12.95 ID:2Osv1jaGo
>>741
【足音を聞いて振り返る―――――――― 随分と速い仕事だと感心した】
【SCARLET=\――――――― 全国の自警団、及び警察機関等々より選抜されたメンバーにより構成される、選りすぐりの】
【言うなれば、対能力者戦闘におけるエキスパート=Aプロフェッショナル=\―――――――及び、最精鋭=z

「……、早っ」

【人斬りが斬る人間を選ぶと言うのは御笑い種だ。然し―――――――― ここの所、如何にもいくら人を斬ろうと心に靄がかかったままだった】
【このへし折れた妖刀の様に、ぽっかりと穴が空いたような。或いは、答えの提示されていない問題を突きつけられているかのような】
【面倒だとは思い、同時にまた危ないか、とも思い、そしてまた、丁度良い、とも思った】
【この女が精鋭≠ナ、相応の実力を備えているのは分かる】
【ならば】

「そう言われて、大人しくお縄につく阿保はおらんって知っとるだら――――――――紅=B
 年の瀬くらいゆっくりしときたいのはウチだっておんなじだけど―――――――― 何か。

 すっきりしん。どうも頭に蜘蛛の巣が張っとるみたいに。アンタも剣士なら――――――――」

【左手が右の刀を再度抜いた―――― 二刀は同じく下段の構え、否。更にそれは崩れているような、完全に脱力しているような様相を見せている】
【まるで両手を広げて斬れ、と言っている様に等しい様な。ただ、剣を持っているだけの様な、そんな構え方だった】
【けれども。彼女の全身の筋肉は、既に張りつめられ】


「ウチが気持ち良く除夜の鐘を聞けるように、手伝ってくれん?」


【彼女に返す言葉は拒絶=B斬り合い≠フ意を多分に含ませて、彼女へと挑発する様に、ほんの少しだけ暗い笑いを浮かばせて】
744 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 01:39:03.36 ID:i4wlFU8I0
>>740


【重たい静寂に包まれ、立ち入りを拒むような血なまぐささ満ちる路地裏】
【或る種の異界へと変わり果てたそこに、敢えて踏み込もうとする者が一人いた】


 ……路地裏案件=c…、年の瀬だというのに、随分お盛んなことだね。


【そいつ≠ヘ、長い巻毛の金髪と、右眼を隠す眼帯が印象的な若い女性だった】
【ダッフルコートから光沢のあるワークブーツまで黒ずくめの姿は、見るからに細くしなやかで】
【右眼を隠す革の眼帯と、ベルトで腰に釣ったロングソードの鞘からは、常ならぬ剣呑さが漂っていた】


 私はロレッタ・ヘントプレック。対特異能力者超国家緊急対応部隊SCARLET¢{査官。
 泣き言ひとつ吐かずに通報してくれた「彼」の気骨に報いるためにも、あなたを確保する。


【――口ぶりからして、敗走した警官の連絡によって飛び出してきたのだろう】
【コートの襟には、確かに徽章バッジがつけられている。本物のSCARLET、つまりは精鋭】


 ……今すぐこの国の警察に出頭するか、大いに痛い目を見てから出頭するか、選べ。


【冷たいハスキー・ボイスを響かせながら彼女は剣を抜き、櫻の剣術でいう「下段」に構える】
【両刃剣においてはカウンターに適していると目されるその姿勢からは】
【選択を突きつける言葉とは裏腹に、戦いは避けられないものと捉えていることが伺えた】
745 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 01:45:11.07 ID:i4wlFU8I0
/メモ帳コピペ失敗したのに気付かずレスしてました、本当はこっちです!

>>743


【力まない独特の構え――柳に雪折れなし、と言ったところか】
【一見すれば冗談のような体勢だが、微かに膨れた四肢が少女の「意志」を物語っている】
【ロレッタは年の終わりに、とんでもない大物を引き当ててしまったのだ】


 うん、手伝うよ。好きなだけゆっくりすればいいし、気持ち良く除夜の鐘を聞けばいい。
 ……塀の中で、になるけれどね。


【剣士――すなわち、暴力を振るう者としての矜持。そんなものなどロレッタにはない】
【飽くまでSCARLETとして、彼女は少女の問いに応じる】


 ――――――さあ、小手調べといこうか。


【言い放つと同時、彼女は剣先を跳ねさせて、刀身を肩の高さまで持ち上げる】
【防御に適した自然体の両刀を見て、受け流しを無視する上からの突きで攻め込むつもりか】
【或いは、単に我慢比べに弱いのか――】

【――だ、なんて】
【もしあなたが思案に囚われてしまったなら、数秒後には手酷い怪我を負っているだろう】


【ロレッタが剣を振り上げるのと同時に、あなたの臍から胸元にかけての空間が微かに歪む=z
【剣士としての勘や、戦いにおける知性が働けば、その歪みは「剣筋」によく似ていると感じるかもしれない】
【事実――わずか一拍のあと、そこには虚空をなぞった裏刃の圧力が、そっくりそのまま転写されることになる】
【避けるか受けるかしなければ、実際に切り上げられたのと同じ傷を負うのだ】
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 02:15:05.80 ID:2Osv1jaGo
>>745
「ははぁ。随分お優しい事で。
 ほーでも、ウチはちょぉっとアンタには激し―――――――― っ!?」

【独特の、櫻の国の片田舎の方言を交えさせた挑発の意を多分に含んだ言葉が、無理矢理再生を停止した】
【その動き。未だ自分は剣の間合いの外、であれば、剣を得物とするならば踏み込むのが常道であろう、と言う考えは―――――― 本当に直前で覆された】

【斬られる=z

【斬る¢、、或いは斬り合う$l間として、その気配には少女は―――― 対刀剣客たる宮藤帯刀は、特に敏感だった】
【嫌な予感を肌や直感で感じ取る力については、不安定ではあるが、長けていた。反射的に、後方へと跳ねるように下がった】
【其処に見たのは、僅かな空間の歪み―――――――― あの感覚は、間違いなく斬撃だった】
【剣とは基本的に剣≠フ間合いでしか戦えない。宮藤帯刀とて同様だ、敵を殺傷に至らしめるまでの範囲は、この二尺数寸の刃の範囲での話】
【然し相手が、異能=\――――――― 飛び道具を備えているとなれば】

「―――――――― いやぁ、いつも以上に気ぃ遣う戦いになりそうだわ……」

【異能=B予測の不可能、前例、症例が一切存在しないオーダーメイド品。即ち、此処からどう来るかが分からない】
【となれば、此処からどうすればいいか―――――――― 宮藤帯刀の剣術は、即ちこうだ】
【隙を作れ、間隙に迫れ、そして斬り拓け】

「しかし、大人しく牢屋に入る訳にはいかん、ウチにも事情があるんだわ―――――――っ!!!」

【相手は自分の最も苦手とする相手、ならば此処こそが機=z
【両の眼に軽くかかる程度の前髪の下―――――――― 白濁した右眼、それが僅かに顰められた】
【宮藤と言う姓を持った人間が、受け継いできた人斬りの絶技=B彼女のそれと同じ、魔眼≠フ形を成している、それは正真正銘の異能】
【視界内にいる彼女へと―――――――― ほんの僅かな違和感≠、原因は分からない、漠然とした違和感≠、芽生えさせる】
【気にしてしまえばそれまでという本当に小さな違和感=Aではあるが―――――――― それを、気にしてしまえば、或いは大きな隙になりうる】

「それ、プレゼントってね!!」

【右手に握る、中途よりへし折れた刀を、彼女へと向けて放り投げた。縦に回転しながら、彼女へと迫っていくそれは】
【切れ味は無く、服の上からならば或いは薄皮一枚傷つける程度の鈍、はっきり言って衝撃力以外の要素は持ち得ない、持ち得ないが】
【投擲の直後、すかさず剣を両手に構え直し突進した。彼女へと至る道を、それを以ってこじ開けようとした】
【一撃目から、これは賭けだった。それだけ宮藤帯刀は、飛び道具を苦手としていた】
【両手に握る剣の切先は彼女の胸へ。そのまま止まる事無く、疾駆の勢いのまま彼女の胸部をその突撃で刺し貫かんと迫る】

/これからと言うところで本当に申し訳ありません!凍結お願いします……!
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 02:24:10.70 ID:i4wlFU8I0
>>746
/こちらも明日がちょっと早いのでありがたいです。凍結しましょう!
/1時頃にはロールをできる状態になると思うので、その時にこちらからレスしますね。いったんお疲れ様です
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 14:54:58.12 ID:i4wlFU8I0
>>746

【少女が濁った片目を眇めたとき、ロレッタの額にうっすらと動揺の汗が滲んだ】
【魔眼による邪視――奇しくも、それはこの若きSCARLETの捜査官にとっても憶えのある異能】
【もちろん、偶然似ていただけのこと。しかしその目は不思議とロレッタを惹きつける】

【――この奇妙な感覚は、なんだ?】
【そんな『問い』に心を鷲掴みにされた一瞬の隙に、少女は容赦なく付け入ってきた】
【現実がロレッタの首を引っ掴んだ時には、既に刀が宙を待っていて――】


 ……まだ、人にお年玉をやるような歳でも無いでしょ?


【彼女は焦らず、迫り来る脅威を一つずつ冷静に処理することを試みる】
【まず、恐らくは陽動の投擲。これを素直に避けようとすれば、そこに刃を合わせられるに違いない】
【だからロレッタは右肩側に構えた長剣を片手に持ち替え、左手で目の前を払いのけた】
【刃によるそれと同様に手の接触≠コピーして、自分に届く前に弾き飛ばしてしまうというわけだ】


 警邏の腕を斬り飛ばすのに値する事情なら、きっと評定所で取り合ってもらえるね。
 でも私の仕事は――あなたの話を聞くことではなく、あなたの頭を冷やすことよ。


 …………はい、お返し。


【砲弾の如く突入する少女に対して、ロレッタは頭上から剣を振り下ろす】
【一か八かのカウンター、狙いは首筋――と見せかけて、実際は刀の横腹に刃を打ち込む腹づもりで】
【もしそれが成ったならば、片刃で刀を抑えこみながら】
【即座に一歩踏み込み、相手の勢いを利用した胸元への突きを浴びせようとするだろう】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2014/12/31(水) 16:23:57.16 ID:JfynYd3SO
【大晦日の繁華街、やれ年末セールだの、カウントダウンだの、いよいよ新年に向けての盛り上がりがピークになっている頃】
【道行く人も当然いつにも増して多い】
【例えば、派手な装飾が施されている服を着たそこの少年】

大晦日なぁ……なんだか、全然そんな感じがしねーや。くはは

【両耳にピアスをし、服には何やら宝石などの装飾が散りばめられていて】
【爪は全て装飾で輝き、髪は茶色に染められて】
【見るからに不良といった風貌の少年は、ドスンと誰かにぶつかられる】

「痛ってェなぁ…おいてめぇ、ちょっとこっち来いや」
え、ちょ、なんだよおい?


【そのまま引きずられるようにして路地裏に連れ込まれ、その先には武器を持った複数の姿】
【どうやら面倒な事に巻き込まれたらしい。これから何をされるのかは、分かりきった事だ】

「ちょうど弱そうな良いカモだ!ボコして金目のもん全部奪い取っちま」
あ、わりぃ殺しちまった

【男達が襲いかかるまさにその瞬間、最後までその一言を発する事なく男達は静止する】
【少年はもう既に路地裏を後にしようとしているところだ。男達はバラバラになって崩れ落ちながら、その様子を眺めるだけ】
【一瞬で事は終わった。いや、最初から終わっていた】

やーれやれ…まったく、天下の殺人鬼様に手を出すからこうなるんだよっと

【少年が手首を回して何かを回転させる。その手に握られていたのは、返り血すらついていない鋭利なナイフだった】

/18時半から深夜まで返せないと思いますが…
750 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 18:29:29.51 ID:2Osv1jaGo
>>748
【成らなかった、か?】
【瞬間的にそう思い、然し否とする。元より無傷のまま辿り着く事が出来る様な相手では無いのだろう】
【まるで鏡に映したかのように、返されるのは胸への突き―――――――― 両刃剣の先端が迫り、胸元を刺し貫かんとし】
【咄嗟に、右手を刀の柄から外し】
【宮藤帯刀は、それを掴んで、胸を貫くのを押し留めた】
【少女にそう言う、手を硬質化させる、何て立派な異能は持ち合わせていない。手を保護するのは、薄手の白い手袋一つだけであり】
【となれば、彼女の右手は―――――――― 白い布はズタズタに引き裂かれ、その下の皮膚は真っ赤に染まり、大量の血が噴き出してくる】

「―――――――― い、痛っ!!!!」

【思わず反射的に、随分と最小限の叫びを口にした】
【とは言う者の、痛かったのは一瞬だけだった。今両手に在る感覚は、馬鹿みたいな熱と、彼女の刃の冷たさだけ】
【邂逅早々右手をダメにするなんて余りにも不利で馬鹿な判断だとは分かっている。だが。これで――――――――】

「羨ましいわ。公務なら無条件で指針≠ニ肯定≠ェ付いてくるもん。

 いや全く―――――――― こんな年の瀬に、否定される身にもなって欲しいわ!!!」

【間合いの内に、入り込めた】
【片手しか使えないのはいや全く、不安ではあるが。ただの剣士の闘い≠ノ潜り込めたとしたら、もう、負けるつもりは無い】

「だったらウチも、その首飛ばして血抜いて、物理的に冷やしてやるわッ!!!」

【彼女の剣を掴む手に、更に力を籠める】
【宮藤帯刀の腕力は、本差二本を両手に握り振り回せると言う程に、異様な物がある。ソレを以って、彼女の得物を奪う、若しくは、動きを奪う事を期待した】
【もしもそれが成ったのならば、左手の刀を振り上げて】

【振り下ろした刃は、彼女の首へと斜めに切り込もうとする様に見せかけ―――――――― 軌道を変える】
【それは、半円を描くように。彼女から見て右腕を、肩からばっさりと斬り落とそうとする】

/昨日は申し訳ありません……お返しします!!
751 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 19:03:40.57 ID:i4wlFU8I0
>>750

【文字通り、身を削りながら距離を詰めてくる少女のやり方は、傍から見れば暴勇でしかない】
【だがロレッタは、敵対者が抱く指針の明確さと、剣術への自信を過たず読み取っていた】

【剣士としての誇りを語る者は、この世に数多いる】
【だがこの女は違う。法の守護者として、そして市民の庇護者として剣を振るう】
【そこに目の眩むようなロマンや死線の悦楽などない。ただ、粛々と犯罪者を拘留するのみ】


 ……人斬りをして肯定されると思っていたなら、それは驚きに値するね。
 死罪にならなければ、社会復帰プログラムをお勧めするよ。……よければ付き合うけれど?



【ある種の憐れみを言葉の端に匂わせて、ロレッタは少女の叫びに淡々と応じる】
【彼女の対応は当然ながら口だけに留まらない。刃を握る力が強まったのを手応えから感じ取ると】
【すかさず少女の軸足の膝を左足の裏で強く蹴り、その反発も込みで、剣を引き抜こうと試みるだろう】
【うまく行けば――完膚なきまでに右掌を引き切りながら、僅かに間合いを離すことになるか】
752 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 19:42:43.07 ID:2Osv1jaGo
>>751
【感じ取った、だが一歩遅れた】
【自分の振るった刃が空振り、握り締めていた剣が引き抜かれようとする。手を離すのが、一拍だけ、遅れてしまった】
【人差し指、中指、薬指にかけてが。ごっそりと、千切れて落ちる】

「―――――――― う、いッ――――――――あ、あぁああああッ!!!」

【痛みに叫びはすれども。闘志は未だ潰えていなかった】
【この時点で既に撤退は視野に入れていた。この女は、元より折れた刀を以って打倒出来るような相手では無かったのかもしれない】
【だが、それを成すにも先ず。この女は、見逃すような人間では無い】
【結局の所、宮藤帯刀の道は前にしかない、として――――――― まだ無事な、左手に握る刀を強く握り締めて】

「あぁ、人斬りは肯定されん事くらい分かっとるわ、この……バーカ!!

 ほーだけど―――――――― 剣は暴力の象徴、人を斬ってこそ煌めき、剣士は人を斬ってこそ存在の証明」

【距離を開けようとする彼女へと向けて、思い切り前へと右脚を踏み出した】
【蹴られた膝に痛みは奔れど、体勢を崩す程の物では無い事は幸いだった。こういう時、全身に付いた筋肉の感謝しようと思える】
【片手で出来る小細工、と言うのは大きく限られてくる。けれど真正面から、剣一本で、習熟した剣士と戦う、と言うのは】
【負ける気こそなけれども、実際問題技量も経験も劣っている。ならば、結局の所やる事は、というより、やれることは、一つしかなかった】

「ウチとアンタじゃ、ただその剣を捧げる物が違う。それだけの話だわ――――ッ!!!」

【右手から噴き出る血を、彼女へと浴びせようと小さく振った。瞬間、水滴と言うには少し多過ぎる程度の両の血が彼女へと向かって飛んだ】
【もう一歩踏み出した、そしてそこから繰り出されるのは、下方からの大振りの斬り上げ―――――――― 予備動作も大きい、分かり易い一撃で】

「自分が立派な人間だと、思っとるなよなぁ――――――――ッ!!!!!」

【そして、そのまま、宮藤帯刀は刀を手放し。そのまま、全霊の力と共に、彼女へと体当たりを繰り出し、体勢を崩し】
【あわよくば、そのまま押し倒してしまおうと考えた】
【一撃目は決して囮では無い。故に、避けるという選択肢を与えないようにと、目晦ましの血飛沫を放った】
【この一撃を避けられないとしたら、剣を以って受け止めるしかない。故に、腕の力全てを籠め、彼女の剣を使用不能に持ち込もうと考えた】
【運良く行けば、弾き飛ばすか、最低でも一瞬使用不能になればいい。ただ、それが駄目ならば、彼女はなます切り】

【―――――――― まともに斬り合っていたら、勝てる筈が無い。この短い邂逅で、二度目の賭けに出る事に決めた】
753 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2014/12/31(水) 20:19:31.78 ID:FEPG0VWDO
【公園】

【後少しで、年が明けようとしていた】
【街中はすっかり静まりかえり、しんとした空気が満ちている】
【そんな中──公園のベンチに、一人の少女が座っていた】
【夜色の長髪に夜色の瞳をした、18歳ほどの少女だった】
【布に包まれた刀剣らしきものを背負った彼女は、ふっと白いため息をつく】


……さすがに今日は静かだな
おかげで何もやることがないな──

ベティも、No.7も無事年を越せるといいが
……いや、それは他のみんなもだな
ロッソも、サフィアも、ヒノも、ファラエナも、あの神父も、瑛月も、佳乃も
ふふん、思えばこの街にきてずいぶん経つな……


【ふっ。また、白い息を少女は零す】
【握りしめている缶は、まだじんわりと暖かかった】
754 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 20:23:03.81 ID:i4wlFU8I0
>>752

【すんでの所で重傷を避けたロレッタの唇から、荒い息が零れる】
【自ら泣き別れにした指を一瞥して僅かに顔を顰めながら、彼女は姿勢を立て直そうとするが】
【そんなことなど許さぬとばかりに、少女の熾烈な反攻が始まった――!】


 ――――――!! 目潰しか、っ……!


【眼帯で守られていない左目に、鮮血の飛沫が飛び込む】
【赤黒く暗転する視界と粘膜に走る痛みが、ロレッタの鉄壁の構えに小さな穴を穿った】
【迸る剣気と踏み込みの足音を察して、辛うじて後ろに一歩半跳び退くけれども】
【――反応が遅れた。半月のような孤を描く一閃が、彼女の左の二の腕に引っかかり、痛みで挙動を鈍らせる】

【初撃が決まれば、連撃は流れるように嵌っていった】
【刺突の構えで接近を制そうとするのも間に合わず、ロレッタの身体はアスファルトに叩きつけられた】
【右手はなんとか剣を握り続けているが、それを振れない状況に追い込むことは容易いはずだ】


【膂力と多少の体格差によって敵を組み伏せようとする少女と、下になったロレッタの視線が、今まさに交錯する】
【彼女の顔には――今や眼帯などなく、不穏な紅い輝きを湛えた魔眼が、右の眼窩に座っていた】
【転ばされるまでの僅かな間に、左手で右眼を解き放っていたのだ】


 ……そりゃあ、ね。――SCARLETの人間が立派じゃなければ、夢も希望もありゃしないでしょ。


【二度目の賭けを当てられても、飽くまで強かに】
【相手の激情を煽るよう、ロレッタは口の端を吊り上げてみせた】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 21:15:59.70 ID:2Osv1jaGo
>>754

【此処まで来る代償は大きかった。何せ自分の指を三本、彼女に渡して見せたのだから】
【剣士として余りにも致命的。下手をすればもう、宮藤帯刀は右手で剣を握る事が出来なくなるかもしれない】
【【息が切れている、呼吸が荒い。だがそれでも。今こうして。圧倒的な優位に、立つ事が出来た】

「やっと、捕まえ――――――ッ!!」

【彼女の、外れた眼帯の下――――――― その下に在るのは、妖しく輝く紅眼 ―――――――― 魔眼=Aだ】
【如何にもこうにも、何だって二度も。自分に共通点のある人間≠ニ相反し、殺し合わなければならないのかと辟易する】
【その、腹の底にたまる、或いは不快感のような何かを叩き付ける様に、彼女の剣を握る右手の手首を抑えつけようと、左の手を伸ばした】
【それが成せば、彼女の身体を地面に縫い付ける様に体全体、体重を思い切りかけて、彼女のそのオッドアイを、覗き込んだ】

「はン、ほーかほーか、立派で羨ましい、強くて結構!!ほだけんどなぁ!!」

【或いは嫉妬心か、或いは羨望か―――――――― 右手、二本しか指の残らないそれが、微かに痙攣した】
【斬殺者の衝動=A自分の遺伝子に刻まれた人斬りとしての本能が反応している―――― 彼女は、自分の持っていない物を持っている】
【彼女は強い=ASCARLETの人間として、立派で、美しい。自分は、それに間違いなく嫉妬していて、斬る価値のある℃メだと言っている】

「ウチの指を三本、持っていったのは―――――― 赦せんわ」

【彼女の目。朱く、不穏に煌めくその眼へと】
【僅かに残った右手の指の内の一つ、親指を押し付けようとした。瞼を閉じるのならば、その上から】

「先ずは一つ。その、気色悪い目を、貰う」

【そしてゆっくりと力をかけていく―――――― 魔眼を、押し潰そうとしていた】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 21:44:12.57 ID:i4wlFU8I0
>>755

【ロレッタの紅い魔眼。それが露わになれば、彼女の知覚能力は膨れ上がった】
【――もはや、彼女自身にも長時間耐えることはできないほどに】

【単純な筋力と上背で負けているのはロレッタの方だ。それは、がっちりと決まったマウントが物語っている】
【だが少女には、無傷の手をどうしても彼女の拘束に回さなければならないという弱みがある】
【その上で、破壊的な衝動と嫉妬心を満たすため、非効率的な殺しを行うつもりだ――】

【だからロレッタは、ギリギリまで少女を誘い込むことにした】
【抗弁せず、衰弱したふりをして、身体を委ね――そして、彼女の手が『視界』に入った瞬間】


 ――この眼は私の痛みだ。他の誰にもやるものかッ!


【奥歯で頬の内側の肉を思い切り噛み――その咬合の圧力を親指の爪のある空間に転写≠オようとする】
【指先を噛み潰される痛みに相手が怯んだなら、すかさず頭突きを入れて】
【あまつさえ拘束が解けた暁には、ちょうど真逆の位置関係で、相手の両腕と太腿を抑えこもうとするだろう】

【一連の流れがどこまで決まるかは分からないが――最後の手順まで踏まれれば、『拘留』の二文字が脳裏をよぎるかもしれない】
757 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 22:12:15.98 ID:2Osv1jaGo
>>756
【かん、と二本の鞘が乾いた音を立てて叩き付けられた】

【指に激痛が奔ったと知覚した時、彼女の額に頭突きが叩き込まれる。其処で拘束が弱まってからは】
【最早数秒の間に、宮藤帯刀と彼女との力関係は逆転していた】
【両腕と太腿が、押さえつけられている―――――― 優位を、この一瞬の交錯の内に、完全に奪われた】

「な、ぁ、な ―――――――――」

【息を荒げながら、激痛を諌めようとしながら、現状を理解しようとした。剣は、遥か後方に投げ出した。攻撃手段が、まるでない】
【余りにも絶望的過ぎる。宮藤帯刀は所詮は剣士であり、其処に在る魔眼は決して直接的な攻撃用の物では無く】
【ギリッ、と奥歯を噛み締めた。余りにも、絶望的だ】


「ウチを―――――― ウチを、逮捕するか、お前――――――!!!」


【思い切り睨み付ける―――――― 出来る事と言えば、それくらい】
【魔眼を、発動する。彼女へと、もう一度、ほんの僅かな違和感を―――――― 然し、その違和感の正体を、彼女が知っているのならば】
【或いは、それを気にする事が無ければ、その違和感を植え付ける、と言う事は何の意味も成さない】
【何処かで彼女へ綻びが出なければ。宮藤帯刀は、彼女の手から脱する事は出来ない。だが】

【だが、牢獄へと叩き込まれる事だけは、決して許容する事は出来ない、そんな事があれば――――――――― 自分は】
【折角見つけた剣≠フ意味から、引きはがされる事になってしまう。それだけは―――――― もう、耐えられない】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 22:41:50.25 ID:i4wlFU8I0
>>757

【口の中に溢れる血の混じった唾液を飲み下しながら、ロレッタは改めて少女と向き合った】
【片や白、片や紅。魔眼を宿し、剣を握り、されど全く違う目的のためにその力を振るう歳若い二人】

【同情の念の一つや二つが、もしかしたらこの捜査官の胸にも浮かび上がってきたかもしれない】
【だが、彼女はそれをおくびにも出さず、険しい顔つきで少女を見つめていた】


 あなたの情熱は、市井で野放しにしておくには危険すぎる。
 ……確保しない理由が、ない。


【逮捕執行。最初から今に至るまで、彼女はそのつもりでいる】
【そこに折り合いをつけることは絶対にできない。少女が剣に誇りを見出すように、ロレッタにとって職務の遂行は譲れない矜持なのだ】
【いくら金を積もうが、権威を傘に脅迫しようが、止めることはできないだろう】
【逃れる手段はただひとつ――実力で抵抗することだけだ】


 いい? あなたには黙秘権がある。あなたのあらゆる供述は法廷で不利に用いられる可能性がある。あなたは弁護士の……


【被疑者に対する義務としての警告を行いながら、彼女はコートのポケットから一組の手錠を取り出そうとする】
【その隙はほんの僅かであり、常識的に考えれば対処するのは不可能、だが――】

【――抗いがたい、『違和感』。それが一瞬だけ、ロレッタの手を止めた】
759 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 23:09:02.63 ID:2Osv1jaGo
>>758
【呼吸を整える。手錠をかけられれば終わりだ、如何に力が強いと言えど鉄を引き裂けるほどの力は持っていない】
【だから一瞬を突く。何処かに、隙がある筈だ。息を深く吐いて、ほんの少しの間、両の眼を瞑った】
【それからもう一度、彼女の顔を見た。体格の差はあれど、彼女の方が歳は上か―――――― 同じ魔眼を持ち、同じ剣を振るう彼女は】
【その胸中に何を思うか、どうせ自分を見下すだけなのだろうが―――――― 欠片も、感情を感じ取る事は出来なかった】
【実に職務に忠実で、立派な事だ。だが―――――― だが】

「―――――― うっ、さい」

【権威なんて持っていない。金なんて持っていない。だから―――――― 出来る事と言えば】
【実力だ。剣と、力と。出来るのは、この身一つだけだ。だから】
【勝て=z
【自分が「剣になる」と誓った大事な友達≠ノ――――――――― 捧げると言ったこの剣は、たかが警察機関に捕らわれていい物じゃない】

「知っとるわ、ウチは―――――― 結局の所破綻しとって、誰とも交わる事なんて出来ん。
 壊れとる。知っとるわ、そんなん。今更警察のお世話にならんくても、分かっとる―――――― だけど!!」

【一瞬の隙。ほんの一瞬だけ、彼女が手を止めた】
【思い切り腕に力を籠めて、無理矢理に動かした。彼女の拘束を振り解くには、この瞬間しかない】
【―――――― 思い切り、両腕を振った】
【ほんの一瞬に、自分の力をありったけ注ぎ込んだ。これで足の拘束が解けなければ、もうどうしようもないのだろう】
【だが、もしそれが成ったのならば】



「私≠セって、希望を――――――――― ようやく、ようやく光を――――――――― 

 見る事が、出来たんだ――――――ッ!!!」



【彼女の腹部へと、思い切り膝蹴りを叩き込んで、自分から引き剥がそうとした】
【仰向けのままの蹴り出し、大したダメージにはならないかもしれないが。その膂力は、やはり人よりも並はずれているが故に】
【もしも直撃すれば、人一人を引き剥がす程度の力には、なるかもしれない】

【それが成されれば立ち上がり、ゆらりゆらりと後方へ下がるだろう】
【突き刺さった―――――― 剣の下へ】
760 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2014/12/31(水) 23:24:59.28 ID:i4wlFU8I0
>>759


 ―――――― う"ぉぼっ……、…………!?


【少女が放った蹴撃は、ロレッタの胃を下から突き上げ、見事に拘束を解いた】
【こみ上げてくる嘔吐感と視界のぐらつきを精神力で抑えこみながら、彼女は立ち上がり、剣を抜くが】
【能力を起動しようとした途端、右眼を左手で抑えこむことになる】


 (目潰しが、想像以上に効いた……こっち≠セけで戦い続けるのが、こんなに辛いなんて。
  わかっていたつもりだけど――くううっ!!)


【それでも何とか片手で上からの突き込みを行う構えを取り、少女を追撃しようとするが】
【両足を貫くように『転写』された突きは、満身創痍の状態でも難なく回避できる】
【再度の形勢逆転。今のロレッタは――本人は認めないだろうが――自分の身を守ることで精一杯の状態だった】
761 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2014/12/31(水) 23:53:33.60 ID:2Osv1jaGo
>>760
【―――――― さて。精一杯なのは宮藤帯刀も同じだった】

【指を三本落とされた。それ以前に手をズタズタに刻まれかけている彼女には、気力よりもまず、失血】
【間違いのない、どうしようもない問題として、彼女の戦いの為の現実的な身体状況に至っていなかった】
【彼女の突きを、左手だけで剣を握って引き抜いて、半ばふらつく様な形で回避する。だが、それは相手とて同じだ】
【今ならば―――――― 逃げると言う選択肢に、現実味が現れてきた】

「ッ、はぁ―――――― ッあ ――――――」

【完全に切れきっている息が言葉を呑み込んで、声がまともに出ない】
【このまま闘いに行くとしよう。そのままさくりと剣先が彼女の胸元を貫けばいいが、それを成せずに、また先程の様な泥仕合になれば】
【今度こそ、自分が死≠ハ】

【先程まで感じていたモヤモヤとした腹の底に溜まるような不快感は、果たして誤魔化されたのか、はたまた、抜け切ってしまったのか】
【今は唯、純粋に戦闘に対する判断のみを考えていた】
【此処で前進をして、出来る事ならば殺したい―――――― だが、此処でそうしたところで、自分の気は納まれど、利≠ノ繋がらない】

「ウチは、ここで、死ぬわけには、いかない―――――― まだ、まだ。やるべき事が残ってる。だから――――――

 さぁ ―――――― 悪、党に ―――――― 逃げられるのは、どんな気分だ――――――精鋭=v

【背を向ければ、彼女の異能を鑑みて、追撃される可能性がある。ダラダラとやってはいられない】
【だから―――――― 今、この時だけでいい。全力で、両脚を動かせ】


「じゃあ、な―――――― ウチ≠ヘ、まだ、まだ ――――――ッ!!!!」


【剣を片手に、一瞬で反転し、そのまま駆け出して、血を散らしながら。宮藤帯刀は、その場から逃げ出していった】
【落とした指の断面、痛みが、今になって返ってくる。―――――― 当分、これは忘れられそうにない】

/こんな感じで、〆でどうでしょうか!!
762 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 00:10:33.28 ID:7RKbdeO8o
【路地裏】

【既に年を越した頃合いだが――時を問わず、この地の治安は悪い】
【波止場から真っ直ぐに路地を行くとたどり着く有る一角でも、やはりそれは同じであり】
【激しい衝撃音と閃光が走った直後に、男一人が崩れ落ちる音が周囲に響き】

――ったくさぁ、ちょっと質問しただけで突き飛ばすそっちが悪いんだよ?
相手を見る目もないくせに、上に立ったような物言いしやがって……

……ま、もうそんな口も利けないだろうから許してやるよ
僕はお前みたいな雑魚相手にしてる様な暇、無いんだから

【騒ぎを聞きつけて覗き込む者があれば、声の主――つまり、犯人は一目瞭然だ】
【長い黒髪をストレートにした彼は、身体をピタリと覆うような】
【拘束具じみた服を着用し、腕や足は何かを抑えるように何本ものベルトで隠されていて。】

【ちなみに被害者は、壁に影が残るほどに強烈な火力を受けたらしく、黒焦げで】
【生存の余地が無いことは何とも明白。実に単純な、能力者の殺人事件だった】

/一応予約ですー。
763 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [saga]:2015/01/01(木) 00:42:22.67 ID:6NrK29dK0
>>761


 ……慣れっこだよ。だけれど、最悪だね……ッ。


【――あと一手、あと一太刀が届かない】
【直接決着を付けに行こうにも、感覚の拡張による視界の喪失とふらつきにより、足を動かすことがままならない】

【屈辱的な状況で、ロレッタは吐き捨てる】
【完全な失態だ。異能犯罪者を捕える最大のチャンスを、みすみす逃してしまった】
【血で汚れた眼を袖で拭い、右眼に眼帯を付け直しながら、腕時計型の端末をつなぎ、少女の情報を近隣の警察に吹き込むが】
【今は大晦日――有効な人手を回してもらえるかは、甚だ怪しいところ】

【それから、救急車も呼んだ】
【自分が到底動ける状況ではないと言うのと――念のため、切り落とされた警官の腕を回収してもらうためだ】
【ひと通り事後処理を終えた彼女は、力なくその場に身を投げ出し】
【路地裏の凄惨な有り様などお構いなしに輝く星空を、じっとりと睨む】


 戦う道しか選べなかった子供……。
 だからと言って、手ぬるい扱いをするのは道理じゃないんだ――!


【――捜査官ロレッタ・ヘントプレックの苦闘は、この年もまだ終わらなかった】

/お疲れ様でした、レスが新年またいでしまったごめんなさい……濃厚なバトル、楽しかったです!
764 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/01(木) 01:15:45.16 ID:/ismiZrZo
【公園】

【そこは錆びた遊具と小さな砂場が申し訳程度に存在するだけの、路地の端にひっそりと存在する小さな公園であった】
【夜も更けてきたこの時間帯はもちろんのこと、昼間でもあまり人が集まらないような場所である】


………………、


【人気がないということは、誰もいないから安全と取ることもできるけれど、逆に不審者に襲われても助けを求められないリスクだってある】
【何を言うでもなくベンチにもたれかかり、ぼうっと星を見上げるあの少女は、その辺りの事情を理解しているのだろうか――――】

【件の少女は、黒いロング丈のパーカーに白色のTシャツ、下は赤チェックのフレアスカートとローカットスニーカーという服装だ】
【背丈だけ見ると平均的だが、白い肌とうっすら紅に染まった頬、短く切り揃えられた太眉に枝垂れるように長い睫毛が特徴的で】
【前髪も顎までで揃えられたサイドの髪も、胸までの長さの後ろ髪も、そのすべてが一直線に切り揃えられた髪型をしている】
【漆で染めたように艶めく黒髪は、乱雑に被ったフードの隙間から流れ出て、淡い街灯に照らされるとほんの少し赤紫色を帯びた】



……、……はぁ………。


【少女はダウンジャケットやマフラー、タイツなどを着て防寒対策をしている。雪が降るほど冷え込んでいるわけでもないので、凍える心配はなさそうだが】
【――――心なしか公園内の気温は、実際より随分冷たく感じられる。まるで教会の中にでもいるような神聖≠ネ雰囲気が、一帯を覆っているせいだ】
【他者の侵入を阻むかのような抑圧された空気。だがそれは、人為によって意図的に形作られているにしては甘く、どちらかというと自然現象に近い感触がある】

【赤らんだ顔に白い息。聖域のなかで孤独に浸る少女のちいさな背中。彼女がなぜか寒がっているかのように見えるのは、単なる錯覚であるのか――――】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/01(木) 01:16:54.54 ID:NUVUwP0oo
>>762

【ハッピーニューイヤー。だから何?って感じ。だって何かしたわけでもなにかおこるわけでも無いし】
【もう形骸化してるんじゃないの?でもまあ、はしゃぐのは嫌いじゃないし。雰囲気も嫌いじゃないから】
【屁理屈言うのはやめとこう。そんで。なんか眠れないから私は街へ出た。そして路地裏に飛び込んでみる】

…オニーサン、もう年明けあけたって知ってる?

【私はニヤリと笑ってみた。何で笑えたのかわかんないけど今は分析している暇なんて無いから保留】

【彼女は金髪のロング。ビビットなピンクのニットキャップ。そしてとある女子高の制服を着ている】
【まあそれはどうだっていい。気になるのは彼女の武器となる装備だろう。それはぱっと見でわかる】
【両腕にはメカメカしい金属製のガントレット。左手のモニターが青白く光る。パイプが軋む音を上げる】
【両足にはこれまたメカメカしいニーガードとローラーブレード。モーターが低く唸る音が聞こえる】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/01(木) 01:26:38.56 ID:rzVSsaoDo
>>762

――――――――……一体何のっ!

【その音が響いたのは古い一年が終わって新しい一年が始まる頃だった】
【なんて事はない普通の夜警をして周りの喧騒に浮つきながら帰るだけ、その筈なのに】
【轟音はこの世界に日常など無いと宣告するかのようだった】

……っ!……貴様……

【腰に掛けた剣に手を伸ばし青年に向けて駆け出す】
【黄金の髪、碧眼は青年の罪を問いただすように引き抜いた剣と同じく鋭い】
【時代錯誤に見える焼け爛れた色合いをしたフルプレートアーマーは一踏み毎に重さを感じさせぬ軽快なリズムで鳴り響く】

――――――手に掛けたなッ!!

【声が先か剣が先か巨躯に構わず地面を蹴り伸びるマントを棚引かせ剣は薄い月明かりに輝く】
【振り下ろされる一閃に澱み無く、ならば騎士の手腕に一切の容赦はない青年の肩口からスッパリと胴の中心までを狙う一撫で】
【手にする剣はブロードソード、幅広の剣と呼ばれる類であり刀のように切り裂けはしない物の重量ならば引けは取らない】
【凡そ生身で受けて無事でいられるかどうか、ただそれは青年の力にもよるのだろうが果たして】
767 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 01:39:32.07 ID:7RKbdeO8o
>>765

年ぃ?あー、そういやさっき、うるさい鐘が何度か鳴ってたっけ……?
でも生憎と僕はそんなの知ったことじゃないし、宗教も関係ないんでね

……で、キミ誰?面白い格好してるけど、能力者?
それともコスプレイヤーって奴とか。どっちでも見逃さないけど
前者なら歓迎だなぁ!それが僕の使命ってやつだから…――で、どうなのさ。

【少女が姿を見せたなら、それだけでも彼――中性的な容姿の人物はニヤリと笑い】
【舌を覗かせて、手に付着した固形の血液を舐めとって見せる】
【その手からはパチリ、と火花。身体自体が電流を迸らせているかのようで】

>>766

――…っとぉ、危ないなぁ!なになに、今夜は仮装大会でも開催されてるのかい?
随分時代錯誤な格好じゃないか、まるで中世の騎士サマだ!

【不意を突かれる形ではあったが、剣での一撃を軽やかに後方へ移動して回避する】
【拘束具には軽く表面を斬られた後。言葉と態度だけの相手でないことは分かるだろう】

【――さて、彼の背後には既に壁。隣には先ほど黒焦げにされた死体が倒れており】
【おもむろにその頭部を踏みつけて見せると、これまたニヤリと笑ってみせ】

"手に掛けた"……殺したよ?でも、それって何か問題かなぁ?
僕の邪魔したから殺されたんだ。相手の力量もロクに測れない雑魚の分際で
汚らしい手を伸ばしてきてさあ……"汚物は消毒"だ、ってね…――♪

>>ALL

【彼の両腕からパチッ!という音がした。直後、少女と騎士に向かって高速で電流の槍が打ち出される】
【槍は触れるだけでも肉体をしびれさせる力を持つものの、一瞬で消し炭にするほどの火力はなく】

【むしろ特筆すべきはその貫通力か。服や肉などは言わずもがな、騎士の甲冑すらも】
【もし正面から直撃を受ければ貫き、身体に大きな穴を開けることとなるだろう】
【幸いにして両手を向けるという動作があったから、戦いなれしているのなら対策は容易い、が――?】
768 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage]:2015/01/01(木) 01:45:49.85 ID:/ismiZrZo
/予約が入ったため>>764の募集は一時取り消します、ごめんなさい!
769 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 02:02:33.20 ID:+kapkCwBo
【倉庫街】

【大小様々な倉庫が立ち並ぶこの空間、普段は忙しなく人や物資が行きかうこの場所も、新年を迎えるこの夜は静かなもの。そのはずだった】
【そこに蠢く者たちがいた。複数人。月明かりの下に照らし出される異様な形の人影たち】

【倉庫街の中央に大型車が1台停車しており、その荷台に人影たちが次々に荷物を運びこんでいる】
【開け放たれた倉庫から、物資を奪い取っているのだ。その手際の素早いことは、人影たちの場馴れしていることを示している】
【食糧・貴金属・武器弾薬。その他様々な品が、大型車の暗闇の中に吸い込まれていく】


[フンフンフ〜ン……『スクラップズ』は正月も休まず営業中でござい、っと。ひっひっひ……]

「この倉庫は終わりだ。後は向かいの倉庫で最後だな」
『うっし、チャチャっと開けちまおうや。お前ら、運び出す準備しとけ』

【鉛色の髪と瞳をした、顔のあちこちにピアスをつけた男が鼻歌混じりに物資の運搬を仕切り】
【一つの身体に二つの頭と四本の腕を持った異形の男たちが、倉庫の鍵を解錠しにかかっている】

【そんな異形どもの中心に、重苦しい男の声が届いた】


――――時間だ。撤収作業に移るぞ……カヒュー……

【重苦しい男の声が響く。奇怪な足音をさせて倉庫の一つから出てきたのは、人間の上半身を半分ほどにした大きさの肉塊だった】
【胸までほどしかない身体にボロ切れのような黒い布をしっかりと巻きつけ、口に装着されたマスク型の人工呼吸器からは、細い呼吸音が不気味に漏れている】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡がある。唯一、右顔面にのみ、ほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【額には黒い瞳の巨大な一つ目。面積一杯を埋めている。本来の両目の位置には義眼。右が青、左が黒】
【その場を荒らしまわる者たちの中でも、一際目立つ異形の姿だ】


【その言葉を受けて、異形どもが撤収作業に移る。大型車の荷台に次々と乗り込み、物資の最終確認に入る】
【肉塊男は、周囲を警戒しながら自らが殿に立つ。誰かがここにやってくれば、真っ先にこの肉塊が気が付くことになるだろうか】

/予約ですー
770 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/01(木) 02:07:10.93 ID:NUVUwP0oo
>>767

ふーん……ウッフフフ…私も同感

【そりゃあこんな殺人鬼にシーズン気にされちゃ困る。まあ、その方が気骨?とかその辺を感じて好きだ】
【けれどどちらかと言うと季節に敏感な洒落たシリアルキラーのほうがもっと好きだけど……閑話休題】

能力者ってものの定義に何が含まれるのかしんないけど、最新科学の粋を煮詰めて焦がして作った”コレ”で
超人類的なサムシングを起こす人ってのが含まれてるなら…あたってるね。そうです、私が能力者です。
……なんか自分で言ってて違和感ある…やっぱナシ!ちょーヤバい無能力者って感じ!

【シリアスさが全く感じられない饒舌な彼女。喋るのはティーンエイジガールの本能だから仕方ない】

まぁ〜でもどっちでもいいじゃん。人類は平等だよ。そんで、アンタみたいなのは許されない。
理由は…………っとぉ!!

【ニヤニヤ笑いながらしゃべり続けていたが電撃が飛べばその動きは早い。傾けた体重を感知して】
【ローラーブレードはモーターを回転させ。アスファルトを焦がして緊急回避。下がりつつ、S字に動きに変化をつける】

電気は好きよ。私も。…弾けちゃっていいっすか?!……・ハァッッ!!

【彼女は姿勢を低く重心を下げて、前傾に、スピードを載せて加速する】
【そしてブレードが光る。青白い閃光がバチバチとローラーを包み込んで彼女は跳躍する閃光が弾ける】
【その高さは数メートル。人間の脚力ではあり得ない距離。スピード。彼女は飛びかかる】
771 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/01(木) 02:10:49.10 ID:rzVSsaoDo
>>767

(――――――――……ッ、避けられた!?相応の相手という事か!)

【肘を引き脇を閉じ剣を戻し再度構え、思考を並行させる】
【不意打ち気味のこちらの攻撃に対応してみせた青年、元より能力者と分かってはいるがそれでも只者ではない】
【言葉には余裕さえも見て取れて騎士は尚も強く剣を握る】

過程は知れぬがだからとて戦場でないこの場所でやすやすと生命を奪って良い道理もない!
そして死者を冒涜して良い権利などこの地上の誰一人として備えはしない、その足を退けろ愚か者!
でなければその四肢無事では済まぬと思え―――――――!!

【剣を右後方へ、左肩を戦闘に身を乗り出すようにして構え駆ける】
【騎士の瞳はある程度の攻撃翌予測を以って青年の掌へと向けられていた】
【そうして不意に響くパチッ、という音……攻撃の契機か先程の閃光と音の原因はこれなのだろうと】

(付け入る隙は、有る―――――――!)

【剣を携えたからには騎士に逃走という文字はない】
【眼前に雷の槍が現れる、その寸前右に大きく避けて閃光を躱す……そして同時に剣を右下から斜めに大きく切り上げる】
【風さえも裂くような轟音しかし剣の柄に添えられた掌は1つのみ、斬撃の影から伸びる右の拳に果たして青年は気が付くか】
【確りと強く握られた拳は胸部へと一直線に振るわれる―――――――】

【騎士の拳をもし受けたのならば青年はその拳がどうにも軽い事に気が付くだろう】
【拳の一撃に芯が無い、もっと言うならば手甲の重さだけで殴っている感覚だ生身の筋肉やら骨やらから生まれる力がそれには含まれていなかった】
【それを悟り、月明かりに栄える騎士の顔を見たならばそれが作り物であると連鎖して分かる筈だ】

【焼け爛れた黒色は呪いの証、騎士に生身の身体無く宿る魂で稼働するリビングアーマー】
【お伽話の怪物の名前を借りるならばデュラハンのそれに近しい存在、それが今剣を振るう騎士の正体だった】
772 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 02:32:31.58 ID:7RKbdeO8o
>>770

ふぅ〜ん、"ちょーヤバい無能力者"かぁ……ビンゴ、だ。
じゃあキミにも……そうそう、弾けちゃってよ!
僕がいくらでもアシストしてあげるからさあッ…――!!!

【少女の動きは速い。だが、彼の瞳は俊敏にその動きを追い続け】
【ふと右手を銃のように構えると、指先から稲妻の球を射出する】
【数は5つ。軌跡を追うように放たれているから、動き続ければ避けられなくもないのだが】

【如何せん、威力が高い。腕に当たれば手先から肩までを、胴に当たれば四肢までを】
【それこそ数秒だがしびれさせ、着弾点に重度の火傷を与える事は出来る程で】

>>771

【彼が如何に強い力を持ったところで、左右の瞳を別々には動かせないと見える】
【騎士の一撃へは、来たる剣撃の反対側に身を屈めて走り抜けることで回避を試みたが】
【生憎と、拳までは読めなかったと見える。胸部に手甲が打ち込まれれば】
【比較的細身の身体は背後によろめいて、半ば強制的に壁に背をつけることとなり】

っ、くぅ……!痛ったいなぁ、まったくさぁ……!
呪われた鎧風情が騎士気取りやがって……丸わかりだよ?

まあ、お陰で大した一撃でも無かったから感謝しといてやるよ
同時にアンタは後悔したほうが良い……電撃を躱せない距離まで
自ら近付いちゃったことを、逝く前にタップリとね…――!

>>ALL

【背後には壁、前方には騎士が剣を構え、更に少女も今に飛びかからんという状況下】
【彼は口元の血を拭いながらニヤリと笑って、拝むように両手を合わせた】

【瞬間――閃光が走る。打ち出されるのは、先ほどとは違って不定形の電撃の奔流】
【それは大地を浚う津波のように彼の前方を襲い、敵を焦がし破壊せんと猛り狂う】
【石畳を砕き、粉塵の舞い上がる中に彼の人影は軽やかに舞って、壁面に突き出した広告に飛び乗ると】

さぁーて、二匹の内どっちかは死んだかな……?
まだほとんど抵抗されてないけど……ホント、大変だよねぇ
炎や水と違って、雷は触れるだけでアウトなんだから。

あの人≠ェ好きなのもうなずけるってもんさ…――く、ふふっ。

【余裕綽々に下方を眺めて悦に入る。その手には雷球が新たに作り出されていたが】
【粉塵よりも上にいるせいで、イヤに目立つ。格好の的という言葉がぴったりであった】
773 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 02:34:03.87 ID:/ismiZrZo
>>769

【――――ごぅ。寒空を俯瞰するように、上空で風が吹き荒れた】

【煌々と月明かりを浴びて、ふだんそこで働く人々ともども、この街もまたつかの間の休息に興じていたのだろう】
【その静寂を無惨にも食い破って、悪は蠢く。悪意は突然に、際限なく、見境なく、平穏を破壊していく】
【家族と、あるいは恋人と。大切な誰かと最初の夜を過ごして、最初の朝を迎えて。空っぽの倉庫の前に立ち尽くし、人々は何を思うのだろうか】

【それを想像して義憤に燃えるのは、たとえばそれが自警団員やSCARLET、警察の人間であれば当然のことだ】
【そういう仕事に就いていない一般の人間だって、少しぐらい同情するのが当然だろう。それが、まっとうだということなのだから】


…………、これは………。


【――――だが。一般人がまさしくその現場に居合わせてしまった¥鼾、果たしてこの反応は正解であったのか】
【ひゅん、と。ふと風が吹き下ろしたように思えば――――いつの間にか、倉庫の蔭から異形たちの凶行を眺めている少年がいる】
【流行りもののシャツの上に青系のカーディガンを合わせ、胸にはシルバーのアクセサリー、下は深緑色のカーゴパンツを履いており】
【その上にダッフルコートとマフラーをして防寒対策を整えた、果てしなく平凡な外見の人物だ】
【顔つきも幼く、髪は染料で染めた茶色。ワックスを使って前髪を上げた若干派手な髪型が、かえってどこにでもいる若者という印象を強めている】


………どうしよう………。


【黒色の双眸に浮かぶ感情は、犯罪に直面してしまった怯えよりも、困惑が勝っているようだった】
【特に気配を消す努力はしていない。どころか――――桜の国では妖気≠ネどと呼ばれる独特の力の残滓が、微弱ながら周囲に垂れ流されている状況】
【異形の一団に誰かひとりでも敏感な者がいれば、少年の存在は即露見してしまうはずだ】
【どんな素性であれ、少年は目撃者になってしまった。その命はまさしくまな板の上の鯉といったところだが――――】

【……頼りなさそうな挙動、緊張した表情。しかし無害そうな瞳の奥底に、なにか、一般人とは違うモノ≠ェある】
【黒すぎるほど黒い双眸が、当惑しながらも何がしかを猛烈に思考している。よく少年を観察すれば、そんなことも感じ取れるかもしれない】


/よろしくお願いします!
774 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/01(木) 02:51:08.38 ID:NUVUwP0oo
>>772 >>771

【S字に回避し続けて、彼女は口笛1つ。外れた稲妻がセメントを焦がし、ガラスを割ってモノトーンの夜に瞬く】

まだまだダンスはスローテンポ。アン・ドゥ・トロワで行きましょ、ね?

【彼女はニヤリと笑う。跳び上がって上空で。それはよく見えるだろう。意味は?意味なんて無い】
【受け取ったあなたに任せる。スマイルフォーユゥ。彼女は腕を伸ばした。相手に向かって?BUTそれはNO!】

……あっぶなっ!!

【さすがに慌てる彼女。目の前が白ける…例えじゃなくて。リアルにスパークする。けど、無問題(モーマンタイ)】
【路地裏というフィールド。すぐ近くには幾つもの壁、壁…ウォールがある。フィールドは用いてなんぼのもんでしょ】
【ガントレットの腕に仕込まれた、クナイのような小型のナイフ。それを射出する。電磁気の力で高速でビルの上方】
【へと突き刺さる。クナイはクサビだ。それだけじゃない。それはワイヤーがくっついている。内臓のモーターが巻き取る】
【高速に巻き込まれて空中で摩擦も何もない彼女は身体を安々と持ってかれる。首がつりそうだけど大丈夫…なはず】

【完全に巻きとって、彼女はビルに張り付く。重力を90度曲げたように壁にしゃがみつく。また笑って】
【看板の上のあいつよりも高く跳んでやった。どうだ、と言わんばかりの顔】

ニヒッヒヒッヒ〜映画見ててこれだって思ったけど。やっぱ”アリ”だね

【制服のブレザーのポケットに手を突っ込んで、電池を取り出す。単一よりも2周りデカい】
【ローラースケートの踵の電池を射出して交換する。フル充電。ここからフルでも2回は跳べる】

…あれ?騎士のおにーさんやられちゃったかな?おーいっ!アンタが頑張ってもらえないと私、決定打
無いんだけど?マジで困るからヨロシクね!
775 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/01(木) 03:05:29.67 ID:rzVSsaoDo
>>772>>774

――――――――……戯け

【瞬光が辺りを照らす一瞬、逆光に隠れる騎士は剣を踊らせその切先を地面へと突き刺す】
【青年からは僅かにその動作と冷たい言葉と冷めた視線が届くのみ、後の全ては煙に隠れて】
【白煙の中に全ての出来事は綺麗に塞がれる】

【形なき物を捉え切り裂くないし防ぐ、その技術を騎士のいた時代では「散らし」と呼ぶ】
【今や全盛とは遙か遠い姿では流れる電流の全てを散らす事は叶わないしかし……】

【騎士は今は魂だけの存在、体力の損耗はそも肉体にのみ課せられた物】
【幸いか、誰にも届かない自嘲を浮かべ沸き立つ刃を携える】


軍場で相手を侮る貴様に斃れる騎士など在りはしない、精々舌を噛まぬよう注意する事だ――――――!

【煙の幕を切り裂くは刃、超重量の鎧などまるで無いかのような跳躍に合わせ、左逆手に構えた剣を青年の居座る広告ごと切り上げる】
【駄目押しとばかりに刃の背に右手甲を押し当て力を上乗せすれば、剛刃は流れ奔り青年の真下より迫る】
776 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 03:08:43.62 ID:+kapkCwBo
>>773
【風。吹き抜けるそれは、宵闇にその音を響かせる。まるで、その風と共に現れたかのように】
【その少年は、そこにいた。異形どもの許されざる悪行の中に、突然】

【そこにあるのは、義憤でもなく同情でもなく。間違いなくその少年は一般人ではあるはず】
【少なくとも見た目は、どこにでもいそうな好青年だ。でありながら――――】
【恐怖ではなく困惑。気配の中に妖気。そして、その瞳の奥の何か】

【警戒していた肉塊のごとき怪物は、即座に彼の存在を察知し、彼の持つそれらの要素を意識の中に捉えた】

――――何者だ!!


【それらをわかった上で、肉塊男は叫んだ。隻腕を襤褸切れの中に突っ込み、引き出したのは大型拳銃】
【間髪入れずに、倉庫の影の少年のいる方に向けて、発砲した。夜の空気を切り裂く轟音が響く】

【肉塊男の単眼は、少年の闇を思わせるような双眸の奥に、この状況でなおも絶えない思考を見出していた】
【加えて、発せられる妖気。肉塊男の盗賊の眼力がそれらを看破し、即座に排除すべき危険な存在と判断したのだ】

【肉塊男が動けば、他の異形も一斉に倉庫街に展開する。すぐに仕掛けることはないが、悪意を剥き出しにして少年を睨んでいる】
【降ってわいたこの状況、彼は一体どう動くのか】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 03:18:50.71 ID:7RKbdeO8o
>>774

雷撃の嵐に巻き込まれるより先に上へ、かぁ……
意外とやるじゃん無能力者。行動力だけは褒めてあげるよ

……でも、僕を上から見下ろそうってのは気に食わないなぁ
その機会がなきゃただの雑魚のくせに……あ、そうか……。
電池式ってことは電気系統が有って、そいつに負荷を掛けて焼ききってやれば…――。

【にぃ、と笑う頃にはもう手の内の雷電を少女へと投げつけていた】
【この電球、触れれば炸裂するのは当然だが――狙いは彼女が張り付く壁であり】

【そちらに触れても、やはり爆弾のように膨張して周囲を電流で包み込む事となる】
【狙いは彼女が身につけるマシンの破壊。直撃を受けても、先ほどまでの雷撃より弱い物の】
【範囲が広いというのは厄介か。――もっとも、雷対策でもされていればそもそも話が変わってくるのだが】

>>775

ちぇッ、アンタも生き残り?活きが良いのとしぶといのは違うでしょ、全くさぁ
鎧の癖に……いや、中身が無いから面倒だ、ってわけ?

【土煙が白刃の煌めきに割かれると、広告ごと叩き切られる前に跳躍し】
【刃に髪を幾分か切られつつも、華麗に一撃を回避してみせる】

【――そも、広告の上に飛び乗る時点でそうなのだが、軽やかさにも限度が有る】
【消耗の見えない雷撃の能力、そして身体能力といい――ただの殺人鬼では無いのだろう】
【ニタニタとした笑いを受けべながら、跳躍して降りる先は鎧の直ぐ目の前であり】

戦場で相手を侮るなって?……くくっ、侮るさ!
だってアンタは今、剣を振るってその懐はがら空きの状態なんだから!

身体がデカい分、リーチはあっても小回りは効かない……
どれだけ軽やかに鎧や刃を動かせようが、速さと細かさは違うもんだからねぇ
……其処を突かれて今まさに攻撃されるような奴、侮って当然だろ?違うかい、ッ…――!

>>ALL

【懐に飛び降りた彼は、そのまま両手を鎧の胴へと伸ばして触れようとする】
【実に単純な攻撃方法だ――直接触って、電流を全力で流してやろうと言うのである】

【その発光たるや、直視すれば視界が真っ白に染まるかと思われるほどであり】
【鎧の材質によっては伝熱で鎧を構成する金属すら溶けかねないようなパワーであった】
【だが、体勢で言えば騎士のまさに目の前。少女からすれば背を見せているようなもので】
【何かしらの反撃があれば――とも思える、諸刃の剣の戦法であった】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 03:39:35.49 ID:/ismiZrZo
>>776

【――――それを避けられたのは随意ではない。単なる反射と偶然の代物だった】
【気づけば怒号が響き、無意識に下げた頭の後ろの壁にヒビが入っている。一瞬遅れて、「………ッ」と少年が息を飲む】
【妖気を垂れ流していたのも意図してのものではない。あの醜い肉塊を見た瞬間、脳髄に駆け巡ったものに囚われてしまって、抜け出し損ねた結果だ】

【薄く風に混ぜた銀色が、異形の者が蠢くのを教えてくれる。もはや退くことはできない】
【そのとき少年の顔に浮かんでいたのは、間違いなく恐怖だった。その瞬間までは確かに、少年は一般人であったのだ】


――――いやぁ、情報通り。新年早々派手にやってますね。
さすがに噂に聞く『スクラップズ』の皆さん、実に手際が良い。


【覚悟を決め、あえて倉庫の蔭から抜け出して、肉塊へ歩み寄る。――――表情にはもう、一片の動揺もない】
【かちり、とスイッチを切り替えたかのように。大仰な手振りで、演劇じみた大股で、少年は闇に向かって歩いていく】
【決して表情には出さず、その裏で必死に頭を回す。この男が何を考え、何を欲して、どう動くのかを推察する】

【情報通り=\―――そう、ぼくはこの襲撃を初めから知っていた】
【まったく、新年早々大嘘もいいところだ。ここに居合わせたのは本当に偶然だった。けれどそのハッタリにすべてを賭け、相手より先に自分を騙す】


あなたが、カノッサ機関ナンバーズ・No.29の、カニバディールさんですね?
ぼくは………そう、『イタチ』と。そのように呼んで下さい。


【この少年は、『スクラップズ』が今日ここで略奪を行うことを知っていた。『スクラップズ』の動向を察知できる何らかの筋か、あるいは能力を持っている……】
【いかにもそのように振る舞って、少年は自らに付加価値を足す。数も実力もおそらく向こうが上、だからただ殺すのではまずい≠ニ思ってもらうために】
【……実際、少年の挙措は自然すぎるほど自然で、ひと目見ただけではそういう風にしか取れないはずである。彼は自分を騙すことにかけて、達人級の腕前だった】

【そして幸運であり異様だったのは、目の前のモノがカニバディールという名で、周りが『スクラップズ』という配下たちであることを、少年が知っていたこと】
【どのみち、いずれこちらのルート≠燉~しいと思っていたから、下調べはだけは欠かさなかったのだ。こうなればもう、それが早いか遅いかだけ――――】


お取り込み中に申し訳ありません。
ぼくはGIFT≠フ……マリオン・リヴァーズの手の者、といえばわかってもらえるでしょうか?
今日はあなたに、折り入ってお願いがあって来ました。


【ちゃらっ、と。買ったばかりのアクセサリーを自慢するかのような気軽さで、少年は懐から十字架≠フネックレスを取り出すだろう】
【――――確かに、形状はGIFT≠フ金十字とまったくの同一。だがその材質は金ではなく鉄だった。無骨な鉄十字が、異形の前に晒される】

【嘘まみれの少年の言葉の中で、このことだけが唯一の真実。……しかし同時に、端から見ればおそらく一番信じがたい台詞であろう】
【これを信じるかどうかはそちら次第である。ただ――――もし試す≠ツもりなら乗る用意はある、と。少年の自信はそう語っていた】
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/01(木) 03:47:07.02 ID:NUVUwP0oo
>>777

……目の付け所は悪くないねえ。正直ねえ…私も、それは思った

【能力や魔術なんかと違って、テクノロジによるこういったメカってのは理屈が万人にバレているとも言える】
【しかし専門的な分野になればその心配がグッと下がる。理屈にはさらなる理屈で勝る。しかしここではそうじゃない】
【電気電撃というワードから発想されるものが、偏狭で画一的な単なる一般論だと気が付かなくちゃいけない】
【例えるならば能力というだけで炎の能力者を連想しては行けないのだ。電気といって電気が一種類と思ってはいけない】

これの開発者が言ってたんだよね。『テスラは天才だ』って

【単なる電撃で焼けるようなやわな作りじゃない。捨てられた理論は現実を跳躍する。現に私は跳んでるんだ】
【まあ、でも。電撃はどちらにせよ避けるに越したことはない。彼女はもう片方のワイヤーを射出する】
【そいつは向かいの壁に突き刺さって。彼女はワイヤーを切り替える。壁から壁に跳ぶ。大胆な跳躍。路地裏を飛んだ】

さてさてさてぇ!!そろそろやっちゃいますかっ?!

【そしてそのままその勢いを消さない。空中で踏み込む。空気を蹴る。彼女には出来る。機動を変化させる】
【ワイヤーを起点に振り子のように壁を走る。コンクリートを削り2本の轍を残す。加速して、加速してクサビを外す】

【そのまま吹っ飛ぶのさ、背後からこんどは鋭角的に猛スピードで飛び込んでいく。速く速く速くなれ!私!】

はぁぁぁぁああっっっ!!吹っっっ飛べぇええっっ!!

【拳を構えて背後からの飾り気のないストレート。ナイス挟撃。ナイス電撃戦。リアルにスパークしてるけどそれは置いておいて】
【只々、固い拳を猛スピードで振りぬいた。それ以外の技は知らないしね】
780 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/01(木) 03:51:53.77 ID:rzVSsaoDo
>>777

――――――――ちっ!……

【夜を塗り潰すように現れた白光に視界が染まる、息を呑むような一幕】
【魂が鎧を媒介としているならばその鎧が崩れれば確かにこの意識は魂は消えてしまうかもしれない】
【揺らぐような景色、幾ら戦場を離れていたとはいえこんな光景が最期などと……】

(――――――――……そうだ、この光景より尚も眩しく昏い炎を……私は知っている)

【空は真っ赤に焼けていた、守るべき物も全て煤けて形など無く慟哭に塗れる猶予さえも与えられなかった】
【ただ生き残ってしまったという明白な事実と目覚めてしまったという悲劇があった】
【ならば罪を果すには生きるしかない、一度斃れてしまった過去を二度と繰り返さない為に】

…………主よ、遙か時を経て感謝申し上げます

【鎧の纏う煤は呪いの残滓、宿すは「燃焼」という事の起こり】
【それを受けて尚も形を残す鎧が幾ら時を経て劣化していたとしても、融けて消える道理無く】
【紅く紅くと赤熱するに留まる金属に揺れ動く黒の煤、形の無い筈の炎が確固たる形を以って青年の前に立つ】
【微かに踊る呪いの煤は青年の頬に僅か触れるだろう、それはまるで地獄よりの亡者の掌のように……】

騎士は背中を見せてはならない、ならば……逃してなる物かよ……
名も知らぬ少女よ、裂き立つ力があるならば今まさにそれを証明してみせるのだ――――――――

【胴へと伸びた青年の腕を騎士の右手が伸び握らんと迫る】
【空に舞う少女につなげる為、軋む鎧を奔らせて青年を捉え倒す為】
781 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 04:05:48.74 ID:7RKbdeO8o
>>779>>780

(――クソがッ!どうして焼き切れないっ、どうして溶け落ちない……!)
(こいつら揃いも揃ってビックリ人間ショーの優勝者か何かじゃ、っ……!?)

そういう、ことか……!呪われた鎧はまだ死ねないってか……!?
っ、僕に触るなよ汚らしい煤がッ!鎧にこびり付く汚物共が…ッ!!
だったらその呪いごと、蒸発するまで熱して…――グ、っ…!?

【悪態を吐く。ただの人間であれば焼けばいい、鎧であれば溶かせば良い】
【単純であるがゆえに、その回路が狂うとたちが悪い】

【呪いの篭った手が伸びるように、煤が頬を撫でると、更に電流の力を強めるも】
【結果は鎧を赤熱させるにとどまって――細身の体は、鎧の豪腕なれば掴むも容易く】
【その動きを封じられた直後、凄まじい速さで少女が迫る。拳が当たる際には、鈍い音がイヤに耳に響き】

ガっ、ぁ……!!あぁ、お前らァ…、……!!
よくも"1回分"……っ、無駄にしてくれやがったなぁ……!

【背後から打ち込まれた拳は、肩甲骨を砕いて肋を破壊し、おそらくは肺腑すら潰したのだろう】
【目元は一挙に憔悴の様相を呈し、真っ赤な血が直近に在る鎧に吐き掛けられる事となるか】

【――そのまま二言、三言罵詈を飛ばすも、負傷は負傷ということか】
【ゆっくりと右手の人差指で曇天を指してから――ぐたり、と動きを止めた】
【呼吸の僅かなそれすらもない。拘束を解除すれば、路面に崩れ落ちることとなるだろう。死んだのだから。】



【落雷――自然界のそれとほぼ変わりない、石畳にクレーターを刻み、周囲を破壊し尽くすソレ――】
【が、降り来るのはおおよそ30秒程も後のことであった。中心点は、"彼"の死体】
【ゴロ、という不穏な音は周囲に響く。雷撃と関連付けられれば――その回避は、不可ではなかった】
782 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 04:25:32.74 ID:+kapkCwBo
>>778
【銃弾に対する反応を確認。瞬間的に頭を下げる少年、偶然も手伝っていたようだが素人の動きではない】
【垂れ流される妖気は、自身の姿によるものだとまでは、さすがに知る由もない。挑発の意図があるかもしれない】

【風が吹く。その中に混じった銀には、盗賊どもの首領も気が付かなかった。それよりも、彼の表情】
【多分に怯えを含んだ顔でありながら、次の瞬間。その顔から色が消えた】

(なんだ……? 先ほどまでは妖気こそあれ、確かにそこいらの男にしか見えなかったが……)
(今は、読めん……ただの演技、ハッタリにも見えるが……そうとも言い切れない何かがある……)

(情報通り、とはふざけたことを……漏えいには細心の注意を払っていた。だが……)

【彼の言葉にはすぐには答えず、じっとりと単眼で睨みつける。彼と同じく、肉塊男の中でも思考が渦巻いていた】
【おそらくは、ハッタリ。だが、それを確定させるものがない。用心深い肉塊男の一面が、その動きを停止させた】


――――いかにも、私がカニバディールだ
『イタチ』、か……ふん、似合いの偽名だな

【向こうが話しかけてくれば、こちらも同じく言葉を返す。少年の目論見は、図に当たっている】
【相当派手に暴れまわっている自分たちのことは、知られていてもおかくはない。彼の言葉をただ信じるのは危険だ】
【そう判断しつつ、盗賊どもの首領は、眼前の少年をすぐに殺しにかかることが出来なかった】

【この世界で見た目では当てにならない。幾度となく修羅場をくぐり、そのことをよく知っていたこともあるが】
【何より、少年の自分を騙す技術に。あまりにも自然に振る舞う姿に、飲まれかかったためであった】


マリオン・リヴァーズ、だと……? GIFT≠フ中においても、とりわけ強力で危険な男とは聞いている
レイリスフィールド学園での活躍≠ヤりには感心させられたよ……

――――その配下が、我々に頼み……? 裏の世界の競合相手たる、機関員の我々にか?

【自然な動作で取り出される、GIFT≠フ象徴たる十字架。だが、それは幾度となくこの世界を脅威に晒した金十字ではなく】
【自分たちの優位を誇示する彼らには似合わぬだろう、鉄十字。これをどう判断するべきか】


――――その言葉を確認する手段は、私にはない
彼奴等の象徴たるその十字架も、鉄色とあっては少々胡散臭いな。下位構成員ということか知らないが……

お前の度胸は本物だろうがね。さて……話を聞く価値はないとは言えないな
――――1つ検証≠済まさせてくれるかね? それが終われば、話を聞かせてもらおう

【そういって、肉塊男カニバディールは、隻腕をすっと掲げた。間髪入れず、その背後から二つ頭の男たちが飛び出した】
【中央から白と黒で両側に色分けされたスーツに、胸ポケットにNo.50の刺繍がついたその異形どもは】
【少年に接近を試み、そのまま右脚での回し蹴りを放とうとするだろう】

【おの右脚からは、いつの間にか泥が湧き出して、脚全体を覆っていた。これにより、質量と硬度が上がっている】
【少年の実力を測ろう、というつもりらしい。かのマリオンの配下ならば、この程度はしのげるだろうと】
【泥を従えた蹴り、まともに食らえば相応の威力の打撃を受けることになるだろう】
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/01(木) 04:37:34.21 ID:NUVUwP0oo
>>781 >>780

……ハァッ…ハッ…ハァァ…

【振りぬいた拳を握りしめたまま、彼女は固まっていた。全力で振りぬいて動けない】
【急制動を繰り返すこの装置は体力の消費が激しい。くわえて、戦闘のプレッシャーにはまだ慣れない】
【息を整えるのに意識を全部使って冷静さを取り戻そうとする。機械より脳が先にショート仕掛けている】

……何なんだったの?あいつ……わけわかんない…………あッ!!

【放心状態から戻って、空気の変化に気がつく。ほんの数秒前の出来事だ。近い、避ける時間?】
【そんな細かいことを考えれる暇がない。彼女はよろけるように少しだけさがって、しゃがみ込む】
【すると、目の前にかざした左腕から青白いレーザーのようなもので構成されたシールドを展開する】
【それは危機が迫った際に一度だけ自動的に防護するシールドであった。此方の生み出した電気が反発し合った】

…ホントマジ何なの?…分けわかんない

【ハァァァァと長い溜息と怒りを吐き捨てて、彼女は立ち上がって制服の汚れを払う】
【右腕は故障してしまったらしい。動きが遅く。ワイヤーシステムとパワーが落ちてしまっている】

騎士さんマジありがと。…上手くやれたけど、ひとりなら近づけなかった。
…まだ能力者には遠いね…やっぱ”本物”のシステムじゃなきゃな…
784 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/01(木) 04:49:58.72 ID:rzVSsaoDo
>>781>>783


応とも、この身体そうそう容易くなくなりはしない……
ましてそれを蝕む呪い、例え残滓であろうとも同じ事――――――――

【青年の背後からは夜を別けるように少女が迫る、それはまるで星のようで】
【そういえば星をこうして見たのはいつぶりになるのだろうかと己に向けられる罵詈雑言も蚊帳の外に騎士は思う】

軍場で見る星もまた……愛しくもあり憎らしくもあり、か……

【星が落ちて生命が砕ける慣れ親しんだ音がした】
【赤熱した鎧は血を蒸発させむせ返るような血の香りを辺りに蔓延させる】
【煤はいつのまにやらその姿を顰め、鎧には色濃い血の跡が刻まれる】

死して尚も刃は絶えずか、その心意気は嫌いではないが……
出来れば正しい場で相見えたかった物だな―――――――

【曇天を貫かんと伸びる指先は戒めのように昏い夜を鳴らす】
【朽ちた青年の身体をその場に置き、少し離れた場所で先程電流を散らした時のように剣を構える】
【恐らくこの剣は壊れるだろうが時間と引き換えたならば仕方の無い事、後の司教からの叱責は甘んじて受けるとして】

【万雷と鳴り響く一撃、平時に何発と振るわれたならば恐らくは災害級の使い手だろう】
【刃中程で溶け落ちた剣、余波で爛れたマント……生身があったならば例え散らしたとしても無事ではなかった】
【その力を持つ者の遺体を相対した者としてきちんと処理したかったが、力及ばずとはこの事だろうか――――――――否、青年が散り際に残した言葉】

"1回分"……と彼は言った、となれば……これは序章に過ぎないという事か?
これだけの位階の使い手で……いや、今はやめておこう……

【こびり着いて離れないその台詞はこれから先に待ち構える物を予感させる】
【今以上の者がいたとしたならば果たして自分は戦えるのか、しかし疲弊した精神はそれ以上の思考を放棄した】
【だが心に留めて置いて損はあるまい、これ程の強敵がまだ控えているかもしれない……と】

ああ、お嬢さん……ご無事なようで何よりです
いえいえこちらこそ助かりました、生憎と生兵法ばかりが目立ってしまい……

【声色はいやに柔らかかった、剣を持たぬ騎士の時は大体はこんな感じなのだろう】
【物腰柔らかに人当たりは良くそれなりの当たり障りなさで、ニコリと浮かべる笑みは……】
【先程の戦いの一部でも見ていた少女にどのように映るのか……】
785 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 05:10:45.14 ID:7RKbdeO8o
>>783>>784

【激しい雷撃――落雷で、路地裏はまるで戦場後のように様変わりしていた】
【その中心地に倒れる"彼"の遺体は、じっとりとした血液を輪のように広げながら】

【パチリ≠ニ。雷撃の白い火花を散らしてスパークし】
【やがてムクリと起き上がるその顔には、張り付いたようなニヤリとした笑み】
【陥没したはずの臓腑は、破れた服から見る分では完治すらしており――】

…――勿体無いコトしてくれるなぁ、チクショー。
お陰で1回死んじゃったじゃないか……大変なんだよ?
肉体を再構成して、全部元通りにするだけのエネルギー集めるのってさぁ

ってゆーか……良い雰囲気のトコ悪いけど、敵はまだ健在だよ?
僕がもう一人居るとか、クローン二号が出てくるとか、そう思った?
だったら残念、それは大外れ。見当違いもいいとこって奴さ

【ケタケタと笑うと、口の中の血液を唾液とともに血に吐き捨てる】
【立ち上がって背筋を伸ばす姿は、明らかに壮健な人体のそれであり】



【少女と騎士、共に万全とはいえない両者を見て笑みを大きくすると】
【追撃――ではなく、崩れた壁を足場として、器用にその屋根まで跳び上がり】
【小馬鹿にしたように長い髪をいじりながら彼らを見下ろし】

ま、今日はいいや……試運転してみて、どれだけやれるかも分かった
半不死の鎧とデキる無能力者じゃ不十分だけど、大目に見ておこうか。

……対象の範囲も確定出来たことだし、今この場は見逃してあげるよ。
でも次に有ったら全部蒸発するまで灼いてやる。命一個分、きっちり返す……!
それじゃあ……ね?どっちも首洗って待ってなよ、鎧の方は装甲をね…――。

【Blitz≠ニいう文字を稲妻で壁に刻むと、彼は建物の向こうに姿を消す】
【事実上の、終戦。ただし宣戦布告付きだったが――ともあれ、これで路地裏に静謐が戻った】
【死者、一人。犯人の所在や素性については、まったくデータベースに無いとの事だった】

/時間等のキリもよいので、この辺りで!
/新年&深夜にも関わらずお付き合いいただきありがとうございましたっ!
/それでは、お疲れ様でしたー!
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 05:23:04.89 ID:/ismiZrZo
>>782

【まず――――完璧ともいえる鉄面皮の裏で、少年の心に去来するのは多大な安堵だった】
【外見に反して理性的。感情に流されず慎重に動くその精神性は、少年にとっても好ましいものだ】
【そして……ひしひしと感じる知性と気品が、少年の想定していたよりずっと上の位のものであることが、何よりも恐ろしい】


ええ、偽名です。元々『イタチ』というのは情報屋としての名前ですからね。

――――そう、競合相手だからこそ、です。
先ほどは手っ取り早く身分を証明するために、マリオン・リヴァーズの手下なんて名乗りましたけれど………。
ぼく個人としては、別にGIFTに与しているわけではないんですよ。

ぼくはね、GIFTから……あの男の支配から抜け出したいんです。
あの男が強力で危険というのは本当です。ぼくも不覚ながら、都合のいい情報源として目を付けられて、弱みを握られてしまったんです。
この鉄の十字は、GIFTそのものというより、あのマリオンに下ったことを示す証――――本当、悪趣味な話ですが。
それ以来無理矢理従わされて、危ない橋をいくつも渡る羽目になって……もうウンザリなんです。


【それでも雑多な感情はすべて切り捨てて、少年は雄弁にお願い≠フ内容を語り出す。……いや、騙り出すというべきなのか】
【とりあえず、情報屋という自称に関しては嘘ではない。ただ、実際には屋≠ニいうほど大仰ではないけれど】
【後で調べてみれば、それほど有名ではないながらも、ソチラの世界で『イタチ』と名乗る情報通が実在したことは裏が取れるだろう】
【またその情報通が、最近はGIFTに有利になるよう動いている素振りがあるということも同様に……】

【けれど、その後の動機≠ノ関しては――――カニバディール自身が判断するしかない】
【マリオンへの嫌悪を並べ立てる語り口には確かに本物の憎悪があるけれど、演技臭いと取ってしまえばそれまでだ】
【わかるのは――――少年はGIFTとしてではなく、『イタチ』という情報屋個人として、カニバディールと契約≠オたがっているということだけ】


だから、あなたの力をお借りしたい。カノッサ機関でも有数の立場にいるあなたに。
少しでもあいつの優位に立つために、より深い位置の情報が必要なんです。

――――そのためでしたら、いくらでもお付き合いしますよ。仕方ない≠ナすから。


【この世のあらゆる色合いを乱雑にぶちこんでかき混ぜたような、混沌とした黒色が、巨眼をまっすぐ見据えた】
【そして……ざわり、と空気が澱んだ感覚に気づくかもしれない。霧がかかったように、周囲の大気がうっすら銀を帯びていることにも】
【それは少年の網≠セ。妖気をごく薄く風に溶け込ませることで、その内側で動いたモノを察知する感知網であった】

【――――故に。双頭のNo.50が動き出したとまったく同時、少年は動くことができた】
【回避動作は単純、軽く真後ろに飛ぶだけ。しかし、まるでワイヤーか何かで吊っているみたいに、少年の体は大きく飛翔する】
【不自然に吹いた銀色の追い風≠ェ、少年をふわりと浮かせたのだ。ここまでやれば、少年の力が風を操るものだということも、もはや自明か】


あなた方は確か、デュアル兄弟さん……でしたか。
申し訳ないですけど、ちょっと痛いかも知れませんよ――――!


【回し蹴りを回避するだけなら、ここまで大きく距離を空ける必要はない。この動作はつまり、反撃への布石だ】
【妖気が溶け込んだ風が渦を成し、銀ははっきり目視できるほど濃厚になる。その流れが着地した少年の背後に集中し、いくつかの銀風の塊が形成されたかと思えば――――】
【次の瞬間、そこから圧縮された細い銀風の帯≠ェ弧を描きながら射出され、異形の兄弟へと高速で突撃するだろう!】

【帯の数は三つ、うち二本は両側から彼らの足下を狙う。ちょうど足の腱のあたりを掠めるような軌道だ】
【また、少年の使う銀色の妖気≠ヘ大気に溶け込ませることで風を操るだけでなく、それ自体が強力な斬撃≠フ属性を併せ持っている】
【その妖気が多分に混じったこの風の帯。もし直撃した場合は、足首を鋭い刀剣で斬られたのと同じダメージが発生するだろう】


(検証≠ゥ――――すみません。その言葉、そっくりそのまま返させてもらいます)


【……そして。このとき初めて、少年の表情と心の内とが一致した。わずかな微笑、】
【帯の最後の一本は時間差で飛び出すなり、デュアル兄弟を大きく迂回し、横合いからカニバディールの胴体を狙う!】
787 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/01(木) 05:38:10.73 ID:NUVUwP0oo
>>784 >>785

【彼女は舌打ち。完治し、復活した彼奴を見て睨みつける】

……さすが能力者。私らの常識の外に居る。再生するなんて…ぶっ飛んでる

【同時にニヤリと笑みが溢れる。新しいものに触れるとゾクゾクする。そういう性分だ】
【特に今までの常識とかを打ち破ってショックで揺さぶられるとたまらない。若さゆえだ】

調子に乗ってるんじゃないよアンタ。見逃してやったのは”こっち”だよ。私はアンタの命を
獲ってるんだよ?…フフン。そーいうわけだから。たっぷり勉強して出直してきなよ

【自信は損なわれない。吹かしてるわけででもない。だって事実。勝っている。撃退している】
【1つダウンをとったんだ。だって殺さなきゃいけないなんてルールはないじゃん?だからそれでいい】

…Blitzkriegって訳ね。文字通り、電撃戦か……フフン。まーいいけど
さて…と。じゃあ、警察に通報しなくちゃ。…はぁーめんど。因縁付けられるのとかマジ面倒い
能力者の作法とか戦闘のマナーとか私知らないし。あー言うのはさっさと逮捕、逮捕…マジめに
あー!もうイヤ!マジでアホくさ。さっさとSCARLETあたりが倒してくれないかなー…

【彼女はトントン、とつま先を地面に打ち付けて、軽くローラーを転がしてその場で軽く一回転】

つー訳で私、もう行くから。…あ、知り合いの刑事さんにこの事話すから貴方の名前教えてくれない?
事情聴取とか色々あるから。私はハル、ね。ハル。ハルちゃんでよろしく〜

【いうことも言って、話すことも話し終わったら彼女はローラーを転がしてまた風のように去って行くことだろう】
【暫く其処に居たならば彼女の通報で現れた所轄の警官か自警団が現れて…ややこしいことになるはずだ】


/というわけで私もこれにて失礼します
/新年早々朝までお疲れ様でしたー!
788 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/01(木) 05:49:51.90 ID:rzVSsaoDo
>>785>>787

なっ――――――!?貴様一体どのような外法を使った!!

【一度潰えた生命が蘇る、騎士自体もおおよそは似たような物だが青年程に鮮烈な蘇りがあっただろうか】
【理論も理屈も皆目見当が付かない、ただ驚愕の色を浮かべるだけしか出来ずならばせめて打ち倒そうとしても】
【既に剣は潰え振るうもの無し、徒手のみで構えるもそれでは足りない事は明白か】

見逃す、だと……貴様……っ!……
何者かも知れぬ青年よ、また現れるならば次こそはその生命貰い受けると誓いましょう

【青年は怨嗟を残し夜の暗がりに消えていった】
【見逃して貰った事は幸いではあるが、しかし騎士という身分にとっては不名誉に他ならず】
【それを示すかのように握る拳はギチギチと鳴っていた】

Blitz=c…名前かそれとも組織か、何れにせよ一筋縄では行かないのでしょうね……
雷……自然現象を操りましてや蘇るなどと……―――――――

【今ほど己の身体が無い事を不安に思うことは無かった】
【力を持つ者に対し虚ろの鎧のままでどれだけ自分は戦えるというのか】
【いち早く身体を取り戻さなければと心に深く誓う、心の在処も分からぬままに……】


―――――あ、ああ……私は教会所属のアレサと申します
け、刑事ですか!?……あの、そういうのは教会を通していただけると……その、幸いです……
それはそれとして今宵は互いに無事で何よりでした、しかし彼奴もまた現れるでしょうから身の回りには十分注意の程をお願いしますハルさん
それでは私も戻るとしましょう、夜警に時間をかけすぎては怒られてしまいますしね……それでは

【教会の騎士、そう名乗るアレサは敵を思うてかハルの身を案じながらも尚も敵の強大さに畏れを抱く】
【今宵は閉じられるがあの雷がいつ再びと現れるかは分からない、その時が果たしていつになるのか……と】

/お疲れ様でした!
789 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 06:26:15.43 ID:+kapkCwBo
>>786
【内心で安堵する少年に対し、肉塊男の脳裏に渦巻くのは疑念だった】
【それなりに多くの人間に出会い、見てきたことで多少なりとも観察眼を養ってきた盗賊どもではあるが】
【彼の底は、まるで見えない。自分が無限の暗闇をそのうちに覗かせる深淵を相手にしているかのようにすら思えてくる】

【何が少年の本質であるのか、わからない。この底知れぬ少年は、いったい何者なのか】
【そう思わせる確かな実力と、未知がその少年にはあった】


情報屋、か……失礼ながら、その名は聞き覚えがないな

ほう……? GIFTではなくマリオン・リヴァーズ個人に従っている、ということか?
いや、強制的に従わされているのか……マリオン・リヴァーズの起こした事件の手口を考えれば
相手の弱みに付け込む程度のことは、彼奴にとっては序の口なのだろうな

鉄十字は、マリオンのオリジナルかね……悪趣味という点には同意するよ
彼奴も私に言われたくはなかろうがね……ふ、ふ……

(つまり、マリオンに対抗するために『イタチ』としての顔で、個人的に契約を結びたいということか)
(……マリオンに対する嫌悪感はあるのかもしれないが、その支配から抜けるために我々に接触する……)
(バカな。悪党としての格はマリオンには劣ると言えど、我らとて性質の悪さでは相当なものだ)
(この男が、それを知らないはずはない。闇金融から逃れるためにヤクザ者に借りを作るような真似を、無意味にするような人間には見えんが……)

【『イタチ』としての彼については、後に探りを入れることになる。結果、彼の話の一部に裏は取れることになる】
【少なくとも、この件について彼の言葉に嘘はない、と判断することになる。少なくとも、この件については】

【だが、動機に関しては大きな疑いを以って見た。確かに、凶悪無比で知られたマリオンほどの男なら、ついていくのも一苦労だろう】
【確かな憎悪は感じ取れるが、それが本物という確証は持てない。少年の鉄面皮は、引き剥がすには頑丈すぎる】
【故に、他の目的の存在を疑いつつも、表向きはそれを信じるふりをする他なかった】


それはありがたいね、是非付き合ってもらおう。どうしても必要な手順だ
(……なんという目をする。まさに混沌そのままの目だ……)

【単眼の一つきりの視線を見返す彼の瞳。そのあまりの闇に、一瞬肉塊男は戦慄した】
【だが、それも一瞬のこと。すぐに意識は、この空間を支配し始めている銀色の感知網へと向く】
【単に相手の目をくらます、というわけではないようだ。そう考えたところで二つ頭が飛び出した】

『んなっ!? 飛びやがった!!』「この銀の霧といい、その風といい、なかなかに芸の多い男らしいな」
『おうとも、俺らがデュアルだ!! よろしくなぁ、クソガキ!!』「後退……来るぞ、ギュスターヴ!!」

【回避されることは想定していたが、まさか飛翔してのけるとは。表には出さずとも二つ頭も驚愕を抑えきれず】
【そこへ、反撃の一手。解き放たれる銀の帯。触れれば何が起きることか。両側から足を狙うそれに、回避行動を取ろうとする】

「ぐぬ――――!!」『いってえ、ちくしょう!!』

【片方はかわす。だがもう片方が両足の腱を傷つけられる。悪態をつきながらデュアル兄弟が後退する】
【脚の神経を襲う痛みに、デュアル兄弟がバランスを崩す。それを背後で視認した肉塊男の下にも】
【時間を置いて襲いくる、三本目。単眼が、向こう側の少年の微笑を確かに見た】

【直後、肉塊男の能力が発動する。隻腕が、急激に膨張して巨大な肉塊に変わる。一瞬遅れて、銀が肉塊を切り裂いた】
【出血はそう多くない。肉による防御の成果だった。腕が、再び不気味な音を立てて元の姿に戻っていく】


なるほど……マリオンが利用しようとするだけのことはあるらしい。大したものだ

【言うが早いか、今度は肉塊男自身が動く。肉の触手がまたもその身から伸びて、少し離れた倉庫の屋根を掴み】
【自分自身を振り子のようにして、少年との間合いを一気に詰めようとするだろう】

【その途上、空中で隻腕を以って肉切り包丁を取り出そうとする。少年への接近を狙うジャンプが成功していれば】
【包丁を少年につきつけようとし。それに対する反応を観察しようとするだろう】

【少年の反応がそれ以上の敵意でなければ。つきつけた包丁はすぐにしまい込み、少年に向き直り】
【「私に何を望む――――?」と疑問を投げかけてくるだろう。ゆっくりと距離を取り直しながら。すなわち、肉塊男が】
【少年を確かな実力者と認め、話を聞く姿勢を見せたということだ】
790 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 07:29:43.45 ID:/ismiZrZo
>>789

【双頭の足下を通り過ぎた風は即座に妖気を抜かれ、ただの風として霧散する。そのさまを眺め、少年は丁寧に笑った】
【「ええ、今後ともよろしく」なんて兄弟へ平然と言ってみせる。慢心とはすこし違う、余裕を見せるための演技だった】
【これから結ぼうというのは、対等な契約≠ネのだ。クソガキと侮られて足下を見られては困る――――】


(――――――――ッ!!)


【だから、まだ地金を見られるわけにはいかない。決して底を見せるわけには行かなかった】
【直視も憚られる肉の触手が伸び、肉塊が一気に迫ってくる。一瞬、少年が目を見開いたかと思えば……浮かぶのは、完全な無表情】
【多少不審には思うかもしれないが、そのとき少年の内側で起こった出来事は、おそらく誰にもわかるまい】

【少年が斬れるのは、物体だけじゃない。自らの心を、少年は斬った。『イタチ』は刹那、感情を切り捨てた≠フだ】
【感情の制御どころではない、感情の放棄。意図的に、狂うことができる――――それは能力とは違う。ただただ、精神/ココロがオカシ/ イという/ だ/ けで、/】


………重い一撃だ。きっと、吸ってきた血の重さなんでしょう。
ぼくなんて、あなたに比べればまだまだですよ。カニバディールさん。


【――――ガキン、と。突きつけられる包丁と、少年が懐から抜刀した小太刀とが、ちいさく音を上げた】
【少年としては、こちらもカニバディールの首元に刃を突きつけたかったところだが……咄嗟にできたのは防ぐことだけ】
【結局それも寸止めだったわけだが、もしもカニバディールが本気であれば、おそらく防御越しでも無傷とは行かなかったはずだ】


ぼくが望むのは簡単な契約です。
まず大前提として、お互いのことや、この契約のことは内密に。
定期的に連絡を取り合って、こちらからはGIFTの情報を提供する。
マリオンのことはもちろん、最近では例の『新人類』のことや、ほかのメンバーの動きなんかも、できる限り。
それと――――元々はこっちが本業だったんですが、SCARLETや自警団なんかの動きもある程度は掴むことができるでしょう。
代わりにそちらは、カノッサ機関内の情報を提供する。
例の神様だかNo.11だかの情報でもいいですし、六罪王やほかのナンバーズのことでも、なんでも構いません。
お互い、情報は多い方がいいでしょう?


【そうして並べ立てられるのは、本当にごく単純な契約だ。ギブ・アンド・テイクで情報をやりとりする、それだけの話】
【少年はGIFTの陣営だけでなく、いわゆる正義側の陣営への筋も持っているという。本当であれば情報源としてはそこそこ役立つかもしれない】
【――――さて、と。少年はそこまで言い終わると、いきなりこんなことを言い出す】


とりあえず証拠として、これだけはサービスしておきますね。
――――マリオンが血眼になって捜してる例の『鍵』の情報、お渡しします。


【少年は携帯を取り出すとなにやら操作し、カードを抜き取ってカニバディールに手渡すだろうか】
【内容物は彼の言のとおり、GIFTが捜索しているという――――「イクス」という名の少女の容姿や目撃情報が記されている】
【マリオンにとって、相当核心に近い情報のリーク。これは『イタチ』が彼を裏切るという表明であり……そして同時に】
【ファイルを開いてみれば、書式や形式からみて、明らかに自警団の報告書のコピーであることもわかるはずだ】
【……契約がどうなろうと、この情報がカノッサに知れてゴタついてくれれば、こちらとしても動きやすくなる。そんな狙いもあるのだけれど……】

【条件は提示した。信用してもらうための先行投資もした。聞きたいことがあれば好きなだけ聞け、と言わんばかりに少年は佇む】
【柔和に歪んだ少年の双眸には、おだやかな混沌が竜巻のように逆巻いて、ゆっくりとカニバディールを見つめている】
791 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2015/01/01(木) 15:36:41.91 ID:oFCetzEdO
【年も明けて、色々何かが変わった事もあるが、何も変わらない者もいる】
【例えば、両耳にピアスをつけ、服には宝石等の装飾が散りばめられ、両爪も同じような装飾をして、髪を茶髪に染めて街中を歩く少年】
【行く宛もなく、目的もなく、浮浪人のように歩く】

ハッピーニューイヤー…
なんでわざわざ新年を祝うのか、俺にゃ分かんねえなぁ。今日が普段生きている日常と何が違うのかね…

【なんて、一人ぼやきながら道端を気楽そうに歩く】
【人生お気楽に、ただ流れるままありのままを受け入れて】
【しかし少年の顔立ちはまだ中学生程。補導されるかもしれない。まあ、そんな事への対処は手慣れたものだけど】

【それよりも、問題はもっと根本的で根源的なものから、それこそ遺伝子レベルまでに遡るところにあった】

いてっ…あー、わりぃわりぃ…
って、あっ…ごめん殺しちまった…

【ドン、と一人の男性にぶつかる。慌てて謝る少年だが、その瞬間男性の首筋から血が噴き出した】
【そしてそのまま倒れて、事切れた】

はー…まあ、運が悪かったという事で…

【やったのは、他でもない少年だ。その場にそれ以外の人は存在しなかった】
【証拠とばかりに、少年の右手にはいつの間にやら返り血も一切ついていないナイフが握られていた】
【少年はため息をつき、さほど気にしていない様子でその場をゆっくりと去ろうとする】
792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 18:54:54.39 ID:+kapkCwBo
>>790
【付けられた傷を風が撫でていく感覚と、少年の微笑に、兄弟が揃って顔をしかめる】
【少年の表情からその内心を見透かすのは至難の業だ。彼の余裕を見せつけられているような感覚に陥ることになる】

【それは、空中を滑っている間も少年の表情を睨み続けていた肉塊男の方も同じだった】
【この状況下で、まったくの無表情。この肉の怪物をして、不気味さすら感じさせる変化だった】

(なんだ、あれは……眼前に脅威が迫るその瞬間において、あんな顔が出来る人間がいるとは……)
(能力によるものかと疑いたくすらなる……)

【少年の精神の深淵、その深さは異形どもを圧倒して余りあった。その内側は、あまりに深い闇に見通せない】
【自身の精神すら分断して見せる。それも自分の意志で。その事実を知っていれば、異形どもすら硬直したであろう】


カヒュー……人殺しの腕で比べても、大きな顔は出来ないがね
それにそちらこそ、その重い一撃にきっちり対応しておいて、意地の悪いことをいう

【瞬時に抜き放たれた小太刀が、包丁に添えられているのを横目に、そう語る】
【抜刀の速度、精度、共に実戦レベル。今回はこちらの方が早かったが、逆転していてもおかしくなかった】


契約か……我々のような人種には妥当な言い方だな
ああ、その点については無論の事だ。これを知られるのは私にとっても都合が悪い

その上で互いに情報共有を、ということか……確かに『新人類』を始め、GIFTの情報は知りたいところだ
――――ああ、そちらの情報は私にとってはさらに大きい。彼奴等とは当然ながら対立が深いのでな

……ああ、情報はあるに越したことはない。知ることは最大の武器と言っても過言ではないからな

【契約内容は、想定の範囲内ではあった。マリオンの支配から逃れたいというなら、単に力技では叶うまい】
【当然、彼が情報屋として信頼がおけるかは後で調査を入れるつもりでもあったが。少なくともGIFTに関わりがあることと】
【この少年が只者でないことは確かだろう、と判断している。ならば、正義側の情報は喉から手が出るほど欲しいものだ】

【しかし、機関の情報を渡す、という条件はリスクでもある。『スクラップズ』が好き放題に暴れまわっていられるのは】
【逆五芒星の後ろ盾に「よるところが非常に大きい。そうでなければ、裏社会の人間相手に略奪・殺戮を行えるはずもない】
【機関に対して不利益となるようなことをしてしまえば、それが漏れることがあれば、自分の首を締めることになりかねない】
【そう思案しているうちに、少年の方から一歩踏み込んできた】


『鍵』……機関にもその存在については届いているが……

【受け取る仕草も慎重に、肉塊男が隻腕を伸ばして少年の差し出したカードを受け取る】
【後ろに差し出すと、先ほど運搬を仕切っていたピアス男が駆け寄り、カードを受け取って携帯端末に差し込む】
【その頃にはデュアル兄弟も仲間たちの元へと戻り、異形どもが表示されたデータを確認した】
【その間も、少年から意識を逸らさない辺りは、盗賊の用心深さか】

【そうして確認したデータの内容。正義と悪、複数勢力が追い求める『鍵』の正体】
【さらには、それが自警団の報告書であるという事実。彼に話を同時に裏付ける証拠でもある。異形どもはそれを理解した】


(……食えない男だ。甘く見れば、こちらが利用されて食われかねない)
(だが……これを有益に使うことが出来たのならば……)

【おだやかでありながら、混沌として渦巻くその瞳。単眼が、それを静かに見つめ返す】

……なるほど。情報屋としてのお前の手腕は確かなものらしいな

――――契約を結ぶにあたって、一つ。言っておきたいことがある
お前ほどの男ならわかってはいるだろうが、我々は所詮は一介の盗賊団、小物の悪党に過ぎない
あれほどの悪事をやれたのは、機関員という立場合ってこそだ。お前に情報を提供することが、機関の不利になると判断すれば
その時は、情報の交換は出来ない。あくまで、こちらが判断した時は、だが……。それでいいのならば、契約に同意しよう

【そうして、もし少年が契約を結ぶことに同意したならば。早速、情報交換を求めるだろう】
【少年に、現時点でほしい情報を聞く。それを持っていれば、肉塊男は提供するだろう。先に自分がサービスを受けたので、次はこちらが話す側に回る、ということらしい】
793 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/01(木) 20:32:44.21 ID:/ismiZrZo
>>792

【契約成立――――、その事実に少年はほくそ笑み、心の底から安堵する。もちろん、腹の中でだけれど】
【カニバディールの相手だけでも一杯一杯だというのに、数の利は完全に握られている。この契約に失敗していれば、少年は……】
【カノッサ側へのパイプを得ることと、自分の命を守ること。危険極まりない綱をどうにか渡りきって、少年は一挙両得の利を得た】


(………油断は出来ない、けどね………)


【何が「小悪党」だ、と。少年は表情には出さず噴き出した。むしろ大変なのはこれからだ、と考えながら】
【彼はあらゆる勢力の中間で、すべての情報に触れられるかもしれない立場を手にした。けれどそれは、どこからでも狙われる可能性があるということだ】
【……どこかでボロを出して、利にならないと判断されれば。少年はおそらく死よりも恐ろしい結末を迎える羽目になるだろう】

【殊に――――悪知恵は回れど「面白いものはあえて泳がせる」スタンスのマリオンと、カニバディールとでは趣が違う】
【少年が契約を結んだ中で、当面もっとも恐ろしいのは間違いなく、目の前にいる男だ。智恵に長けた悪魔ほどタチの悪いものもない――――】


ええ、公開する情報はうまく調整してください。お互い、貴重な情報源が食われてしまうのはもったいないですから。

それと……いくらカノッサの後ろ盾があるとはいえ、その「一介の盗賊団」はいまや、GIFTや他の勢力と同等の脅威として認識されていますよ。
いくらマリオンを嫌ったとはいえ、更に奥深い闇≠ナあるあなたをこうして頼ったのだって、そういう理由もありますし……。
――――何より。グラトンさんといい、あなたといい。うまく言えませんけど……そう。GIFTと比べてきれいなんですよ、あなたたちの悪≠ヘ。
誰かを妄信することなく、ただ自分の意思を狂信して、一定の美学に基づいて行動する――――そういうのの方が、ぼくは好きなんです。


【冗談のつもりか。さらりと平気な顔で大物ぶった台詞を吐いたあと、少年は若干驚いた様子でカニバディールを賞賛する】
【実際、本当に意外ではあったのだ。昼の国の件をはじめ、各地で暗躍する『スクラップズ』の面々を、あくまで小悪党だと公言したことが】
【ここで嘘を付く理由もなく、続けた言葉はほとんど本心。奇しくもそれは、先ほどカニバディールが抱いた動機への不審感に対する答えにもなっていた】
【白熱するように狂うマリオンより、冷え切って静かに狂うカニバディールの方が話がしやすいというのもあるが――――要は、好みの問題だったのだ】
【かつてのNo.6のことを口にして、楽しそうに追想しながら。なんの皮肉か、目の前の異形たちが美しいから好きなのだと、少年は言ってのける】


さて、差し当たってこちらが欲しい情報ですが……。
いろいろありますけど、なにせまだカノッサの事情には疎いですから、まずは根本の情報が欲しいですね。

――――そう。たとえば六罪王≠フ面々ついて、とか。
あなたのほかに、活発に活動していたり、危険な行動をするナンバーズだとか。
そういうものでしょうか。ああ、もちろん、話せる範囲で構いません。


【「ありがとうございます」と礼儀正しく一礼して、少年は情報交換に応じる。欲しい情報は、と問われたなら――――】
【こういう場面で、あえて初手から一番奥へ踏み込もうとするのは、この少年の処世術であるのだろうか。それとも単に性分の問題なのか】
【カノッサに関する根本の情報。よりにもよって現・六罪王や他のナンバーズの素性、その活動内容について、少年は一気に切り込んでいくだろう】
794 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 20:58:36.12 ID:DNKC0GODO
【公園】

【ちらほらと、雪が時折舞う新年だった】
【街の明かりは普段より格段に少なく、電灯に群がる羽虫もいない】
【そんな中──小さな公園で、ぽん、ぽん、と何かを叩くような音がしていた】


……ふふん、櫻の国の遊戯は難しいな!
お父さんもお母さんも、なんだってこれを勧めてきたんだか──


【ぽん、ぽん、ぽん──音の正体は、羽子板で羽つきをしているものだった】
【ただし、相手はいない。羽をついているのは、一人の少女だけだった】

【夜色の長髪に夜色の瞳をした彼女は、18歳くらいだろうか】
【布に包まれた刀剣らしきものを背負う彼女の頭には、白いぽんぽんのついた帽子】
【更には寒さからか、これまた白いぽんぽんつきの赤いマフラーをしていた、が……】
【……俗に言う、「サンタクロースコスチューム」に片足を突っ込んだような格好だった】

【少女の近くのベンチには、対になっている羽子板がひとつだけ置いてあった】
【──ぽん、ぽん、ぽん……ぽとり】
【「あぁ!」という声と共に、羽が地面に落ちた】
795 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 21:24:27.33 ID:LRFLJ6RLo
>>794

───ぶぇっくしょい!!

【公園のそば、道ゆく男がクシャミをした】
【男がふと気付くと、空から雪が舞い散り、身を包む白いスーツに撫で付けた金の頭髪に落ちて来ていた。どうりで寒い筈だと呟く】
【気温は寒いが財布も寒い、年越しに大きな賭け事をして素寒貧、身包み剥がされなかったのは不幸中の幸いと思う事にした】

……あーあ、神様はどーして俺様を見逃したのかねえ

【金が無ければ宿も食い物も何もない、何より元手が無いので遊べない】
【神に祈ろうにもお布施すら出来ないとなれば、何とか『稼ぐ』しかないのだが、新年を迎えたすぐには釣れる魚もいやしない】
【無い無い尽くしで新年1日目の夜を過ごす男は、特に行く宛も無くして公園へと、ぶらぶらぼんやりと歩いていた】

…………?

【何となく公園に入った男の目に、一人で遊ぶ少女の姿が映るのであった】
【こんな時間に、一人で遊ぶ少女だなんて、普通に考えれば何か勘繰りたくなるような物だが】
【まあそれは今の男にとってはどうでも良く、今まさに地面に落下した羽を拾い上げながら、少女の目の前に姿を表した】

こんな時間に一人遊びとは関心しねえな、お嬢さん
ていうかこれ……確か一人でやる遊びじゃあないだろ?
796 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 21:38:27.44 ID:DNKC0GODO
>>795

【わぁんと響き渡るような大きなくしゃみが聞こえ、少女はびくっと肩を震わせた】
【後ろめたいことがあったわけではなく、単純に驚いたのだ】
【まさか、こんな時間に誰かが側を通るだなんて思っていなかったから】
【さらにはその「通行人」が話しかけてきたものだから、なおさら驚きであった】
【もう、彼女の頭からは落とした羽のことなんかどこかへ消えてしまっていた】


……は、ハッピーニューイヤーだな!


【──なんと言っても、第一声がこれである】
【礼儀正しいのか、それとも状況が読めないバカなのか】
【……この時期にサンタコスチュームを身に纏うあたり、後者なのかもしれなかった】


お前この遊び、知っているのか?
ハネツキという遊びで、バドミントンみたいなものだと聞いているが……
あぁ、いや、だから、一人用じゃないのはもちろん承知だ!
だが、その……相手がいなくてな!!


【黒に近い瞳や髪をしているものの、この話しぶりでは、彼女は櫻の国の人間ではないらしい】
【ふふん!と胸を張ってそう言い切る彼女だが──ようは「ぼっち」なのだ】
797 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 21:58:20.87 ID:+kapkCwBo
>>793
【数に頼って相手を襲う、姑息ではあるが有効な手段として盗賊どもが好む手口だ】
【しかし、その数をもってしても、この少年に手を出すのは危険だと判断させたのは、彼の手腕と言えるだろう】
【危険な綱渡り、ではあったのだろう。だが、それを渡り切ったのは彼自身の腕による必然だ】


【互いに相手のことを高く評価し、同時に畏れてもいる。特に、このカニバディールという男は】
【実際のところ、機関員の中でも相当な臆病者だ。自分ではかなわないであろう相手に対しては、ことさらに敏感になる】
【それであるがゆえに、脅威と判断した相手には最大の警戒心を以ってあたり、可能な限りの手段をとって排除しようとする】

【そのカニバディールの目から見ても、眼前の少年は読めない。わからないのだ。それはある意味、何より恐ろしいこと】
【底を読ませない少年の在り方は、この肉塊男に確かな戦慄をもたらした。深淵に覗き返されているかのように】


お互いの命に関わることだからな。言われずともだ

……ヒュハーッハハ……光栄だな。流石に、彼らと同程度というのは言い過ぎだと思うがね
――――ほう。グラトン博士を知っているのか

綺麗な悪とは、皮肉にも聞こえるな……だが、面白いことを言ってくれる
確かに、グラトン博士には大いにそういった美学があった……惜しい人を亡くしたよ
仮にも、GIFTに連なる人間からそういった言葉を聞くのは少しばかり意外ではあるが、連中も一枚岩ではないのは私も知っている
機関も、とても人のことは言えないがね……ふ、ふふ……

しかし、そういった数々の悪の間をうまくすり抜け続けているお前こそが
私には誰より恐ろしく見えるよ

【彼の賞賛に対して、そして自身も知るあの恐るべき科学者のことを聞いて】
【こちらもこれに関しては、世間話のように気軽な言葉を返して見せる。同時に、彼への不信感は薄れたようだ】
【GIFTという組織の在り方そのものにも触れつつ、やはり最後には少年自身へと興味は向けられる】

【この『イタチ』という少年が、自分に何をもたらすことになるか。利害を超越した無意識下で、肉塊男はそれに惹きつけられてつつあった】


――――。なるほど。ストレートなのは嫌いじゃあない

残念ながら、機関内部でも秘密主義と個人主義が横行しているのでね、すぐには踏み込めないところも多いが……

現在最も活発に活動していると言えるのはのは、六罪王の一人、ダグラス・マックスウッドという男だ
水の国のラグナールを破壊した張本人だ。配下にNo.100のナンバーズ、ブランデン・ケミッシュを従え、今は南方の孤島に拠点を構えて、何事か企んでいるらしい
必然、機関員も多く関わることになる。彼の動きに注視しておけば、機関の動きの一端を見ることにもなるだろう


そうだな、それともう一つ……機関についての情報が少ない代わりと言ってはなんだが、面白い話がある
お前も知っているだろうグラトン博士。彼には、息子がいる。トライデント=コーザー=ヴァーミリオンという
デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツに安全靴を着用し、赤髪を乱した若い男だ。これが、また愉快なやつでな――――

【世間話のように、彼に情報を話していく。脳裏では、相当な速さで思考をしている。何を話し、何を伏せるべきか】
【まず、自分と同盟関係にある参謀や出納係については、話せない。自分との繋がりが薄く、かつ機関にとっても重要なダグラスの拠点のことは有用と思えるが】
【こちらの価値を示すには、それでは弱い。そう判断して、もう一つの情報。グラトンの息子の存在】

【語る話は、彼が悪を異常なまでに憎み続けていること、苛烈なまでの手段で悪党を処刑して晒し者にしていたこと】
【父であるグラトンが何よりの憎悪の対象であり、彼の手で何らかの改造を施されて怪物に変身する力を得ていたこと】
【鉄球を操る能力など。彼については、楽しむように。詳細に情報を話して見せた】

……ああ、そうだ。マリオン・リヴァーズ。お前から見て、どういう男だ? 所業については知っているが、直接会ったことはないからね

【同時に、彼に尋ねるのは、件のマリオンについて。相手の組織について知らないのはこちらも同じ、情報を求める】
【あくまで、世間話をするように気軽に。しかし、単眼はしっかりと彼を見つめて】

/大変お待たせしました……
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 22:00:38.06 ID:LRFLJ6RLo
>>796

【少女から浴びせられた第一声、余りに元気よく自信満々に言われると、突っ込みを入れる気も吹き飛んで】
【代わりにずるっとズレた眼鏡を上げながら、苦笑いを返した】

お、おう……ハッピーニューイヤー……

【他に、何と返してやればいいのか、居た堪れない彼女の立場を察し、思わず目を逸らした先にもう一つの羽子板を見つけた】
【それを無言のままに拾いにいき、拾った羽子板で少女が今までやっていたように羽根を一人で打ち上げる】

新年早々寂しい事を言う奴だな……こっちまで寂しくなっちまうぞ
ま、俺様も実際寂しいんだけどな……懐が

【呟きながら、何度か上手い具合に打ち上げていたが、何度目かに打ち上げた羽根が落ちて来た瞬間目を光らせる】
【「ぅおらあ!」と声を上げながら少女の方向に思い切り羽根をスマッシュ!!……した筈なのだが、羽子板とフォームの勢いからは考えられないくらい、打たれた羽根はへろへろとした緩い放物線を描きながらスローで少女の元へと向かっていく】
799 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 22:24:17.83 ID:DNKC0GODO
>>798

【ハッピーニューイヤー、と言葉を返されれば、ふふんと少女は満足げに笑う】
【他人と話すことが、嬉しくて楽しくてたまらない──】
【なんだか、そんな感じの笑い方をする少女だった】

【その後ぽん、ぽんと相手が羽を打ち上げるのを見て、やっと落とした羽の存在を思い出したらしい】
【「おぉ!」となんとも妙な歓声をあげ、くるくると羽を目で追いかけてみせる】


た、確かにさっきまではハネツキの相手はいなかったぞ!
でも、と、友達いないわけじゃないし!!
それに────わっ、……!!


【ぎゅ、ん──! ……少なくとも彼女の五感は、猛烈な速度で迫る羽を捉えた!】
【歪む大気! 燃える羽! ひび割れた大地……!】
【ピィイイイ──とカン高い風切り音をたて、周囲の空気が渦を巻き、あまりの勢いに地が割れる!】
【……というのはすべて彼女の幻覚である】
【完璧なまでのフォームにより繰り出された一撃を受けようと、彼女の瞳も輝くものの】
【幻覚の中の羽に動きを合わせれば、結果は簡単に予想がつく】

【ぶん!と力任せに振るった羽子板は虚しく宙を掻き】
【ぽとん……と、彼女の頭の上に、羽が着地する】


……、…………。

ま、まぁ……それに今はお前がいるから、寂しくはないが
懐が寂しいのはどうしょうもないな……私も無職のようなものだし

くっ……しかし幻覚とはなかなかやるな……!


【──なんという勘違い。なんという理不尽】
【勝手に幻を見ておきながらそれを相手のせいにするなど鬼畜の所業……!】
【ぷるぷると声を震わせ頭の上から羽を取れば】
【今度は少女が羽子板を振り──かぶり!】
【ぱァん──! 勢いよく放たれる羽ッ!】
【……だが、それは最初の数コマだけの話】
【羽が羽子板から離れて少しもしないうちに、ふらふらと羽は迷走しながら男へと飛んでいった】
800 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2015/01/01(木) 22:27:23.58 ID:oFCetzEdO
/>>791で再募集します
801 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 22:40:19.12 ID:7RKbdeO8o
【森林――人里離れた水緑地】

【其処には何十という数のホタルが空間を飛び回り、せせらぎを照らしだしていた】
【不思議と寒さは感じられない。少し歩けば積雪もあるのに。】
【一種の聖域のような、そんな場所に――人影が2つ存在した】

だからさぁ、お前もさっさと"能力者狩り"に手を貸せよ、ロース
僕も昨日二人やったけど、中身の無い鎧とかガードの堅い女とか
結構面倒でさぁ……あ、何ならタッグでも組んで…――

『……イヤですわ、ブリッツ。貴方のような半端者と組むだなんて。
 それに、水と雷は確かに強力ですけれど、互いに干渉しても怖いでしょう?』
 あの現大司教様と同じコト……さ、今日は帰ってくださいますこと?
 私はアーグ様の脱出をお手伝いするために力を蓄えないと行けないので…――。

【一つ目。中性的な面立ちの青年で、ぴったりとした拘束具のような服を着用しており】
【腕や足は何かを抑えるように、何本ものレザーベルトで覆われている】

【名前はブリッツ、か。『ちぇっ』というと、木立の中を人里の明かりに向かい】
【彼と話していたもう一人――ロース、というらしい女性は其処に残る】

【彼女は一言で言えば"ナメクジ"。白いドレスを着ている様に見えるが、体表は滑っており】
【川のせせらぎに足を浸し、何か瞑想でもするかのようにホタルの光に包まれていて】
【何とも不思議な二人だが、今まさにその距離は離れつつあって】
【"誰か"が"どちら"と出会うかは、まったく偶然の引き合わせとなるだろう】

/どちらか選んで頂いても構いませんし、両方いるところに……でもOKですのでー!
802 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 22:42:10.18 ID:/ismiZrZo
>>797

【決して油断はしない。決して弱みは見せない。そのスタンスはどうしたって崩すことができないが――――】
【いま少年の心の中に、確かに愉悦が存在していた。悪とか善とか、そういう判断基準で動かないからこそ、少年は歪な中立を保っていられるのだけれど】
【……認めるべきだろう。『イタチ』という個人として、カニバディールというバケモノは存外好ましい話し相手だ。これは嬉しい誤算であった】
【強い緊張と畏れとが、奇妙な尊敬の念を生み出す。この気質こそ少年に多くの情報を掴ませる秘訣であり、同時に致命的な悪癖のひとつでもある……】


えぇ、ちょっとした縁がありまして……顔を合わせた程度でしたが、得られたモノは大きかった。
できればもう一度会って、しっかりお話ししてみたかったですよ。
GIFTの方はちょっとばかり宗教的というか、良くも悪くも能力に縛られている感じです。
ああいう――――自由で、何をするかわからないような、見ていて面白い人はなかなか見ません。

……ぼくは見ての通り、弱い子供ですからね。
こうやっていろんなものを見て、いろんなことを経験して、力を付けなきゃと思っているだけです。

【カニバディールの含み笑いを楽しそうに受け取って、少年はグラトンの、焼け付くような狂気を思い出す】
【その縁というのがまた奇妙なもので、思い返して吹き出しそうになる。……さすがにカニバディールの前で、正義側の使徒としてグラトンと敵対したとは言えず】
【またそのとき肩を並べて戦った仲間が、皮肉な事にかの『UT』のリーダーであったということも、口には出さなかった】
【模範的な学生みたいな台詞を、模範的な学生みたいな顔で吐きながら、少年は最後に笑う。その力≠何のために使うのかは、伏せたままに】


………なるほど、ありがとうございます。
ダグラスさんの方も気になりますが……グラトンさんの息子、かぁ。


【カニバディールからもたらされた情報を、少年は几帳面にメモし始める。ダグラスの方はこちらでもある程度アンテナは張っていたが――――】
【トライデント=コーザー=ヴァーミリオン。その男についての情報は初耳だ。興味深そうに、そして何より楽しそうに、少年は感慨を込めて呟く】


マリオン、ですか。あいつは………。
そうですね。あれも相当頭が回るやつですから、ぼくにも本質が掴めていたかどうかはわかりませんけれど。
――――ひとつ確かなのは、あれは狂ってるってことです。それも、自分から望んで。
長期的なビジョンで行動するかと思えば、細かいところでは刹那的。狂気を愉しんでいる、とでも言いましょうか。
一応、根本にはGIFTの、無能力者の価値を認めない考え方が根付いているみたいですけど……。
グラトンさんとは別の意味で、何をするかわからない。何を考えているかわからない、そんな男でしょうか。


【それから、憎しみと疲れの滲んだ、あるいは滲ませた声で、少年はカニバディールの問いに答えた】
【ぐちゃぐちゃに纏った狂気で考えと行動を覆い隠した、未だ得体の知れない外道――――それが、少年の印象であるようだ】
【また少年は、マリオンの『自分や他のものに迷彩を掛ける』能力のことや、類い希な身体能力、拳銃とナイフを併用する戦闘スタイルについても話すだろう】
【彼が従えているメリッサ・ハーレイという科学者のことや、『クグツ』なる無人兵器を使用していることも同様に】
【そして何より……人質、伏兵、騙し討ち。あらゆる手段を講じ、敵を追い詰めあざ笑うことに全力を尽くす精神性が一番厄介だと、そう告げて】


人を人とも思わない外道で、容赦というモノを知らない狂人。
……もしアレが『鍵(イクス)』を手に入れることがあったら、あいつは正義だろうがカノッサだろうが見境なく破壊して、世界は善も悪もなく滅茶苦茶になるでしょうね。


【最後にぽつりと、そんな事を漏らす。狙ってのことかそうでないのかは、苦悶とも愉楽とも取れる表情から判断するしかないけれど】
【――――嫌々とはいえ、長らくマリオンの側にいた情報屋だ。彼の狙いに関して、少年はもっと根元的な部分まで知り得ているのかもしれない】
803 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 22:58:04.36 ID:LRFLJ6RLo
>>799

はあ……これがファイトマネーの出る競技なら俺様は大金持ちになれんのになあ……

【羽子板を空ぶった少女を満足そうに眺めながら、羽子板で自分の肩を叩いてしたり顔】
【別に今のショットは能力を使った訳でも無ければ少女の言う様に幻覚でも勿論ない。『本人的には本気のショット』でアレである】

まあ、いい……暇潰しに遊んでやるよぼっちちゃん
その程度のショットで俺様に敵う筈も無いがなァ!!

【紛う事無きウンチ(運動音痴)なこの男、しかしこれ程褒められると調子に乗る】
【打ち出された羽根に対し、あり得ない体制の構えにて迎え討つ、タイミングも場所もバッチリに羽子板を持つ腕をぶん回した】

【しなる腕、響く風、舞い散る粉雪の軌道を大きく変えた一打は、羽根に必殺の力を伝え───無かった】
【一体何故だろうか、完璧に返せる筈の羽子板の流れだったというのに、何故か羽根はてんてんと地面を転がっていた】
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 23:12:11.50 ID:DNKC0GODO
>>803

ふ、ふふん!
あいにくだったな!勝負の始まる前ならその手の交渉には乗ったというのに……!
だがもう勝負は始まってるからな!後から言っても遅いんだぞ!!


【訳:負けると思うから お金賭けたくありません】

【そんなこんなで突如始まった羽つき勝負】
【だが互いの結果をみる限り、とても試合にはならなさそうだった】
【……なんせ 下手vs下手 である。ラリーもできないようではお話にならない】

【放った羽が再び返ってくることを予想していた少女──だが、無様にも羽は地に落ちた】
【これを少女の視点から見れば……「決まった!」と叫ぶガッツポーズものなのだ】
【その証拠に、彼女はにんまりとしたり顔である】


ふふん……いい、勝負だったな────


【そう呟く彼女の額には一筋の汗。だがやったことといえば羽つきを一往復しただけである】
805 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 23:32:42.99 ID:LRFLJ6RLo
>>804

【一体何が起きたと言うのか?確かに打ち返した(打ち返してない)筈なのに、何故、羽根がここにあるのだ?】
【男には今この瞬間まで全く理解出来なかった、完璧であった筈の返球が出来ていない?いや、そんな筈はないだろう(ありました)】
【導き出される結論は一つ…】

(こいつ……目に追えないスピードで返しやがった……!?)

【落ちた羽根を拾い上げ、トランプ柄のネクタイを緩めながら、ゆっくり深く呼吸する、寒い冬だと言うのに体は熱を持ってきた】

いいぜ……お前は中々やるようだな……!
少し本気を見せてやる……くらぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

【「ここからが本気だ」と言わんばかりに、高く高くサービスボール(羽根)を投げ上げる、重力に従い落ちて来た羽根を羽子板で打ち出した瞬間───その羽根は分身≠オた】
【いや、違う。分身したかと思った二つの羽根の内、片方は羽根と一緒に拾った『いい感じの石ころ』だ】

これが俺様のフェイバリット……《イリュージョン・ジェミニ》だ!

【※良い子は真似しないでね】
806 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 23:32:53.51 ID:QYwTWsmAo
>>801

【青年が去ったのとは、また違う方向。そちらから一つ、足音がした】
【川辺の彼女がそちらを見たならば、その主の姿はすぐに見えるところにあって】

――――アーグ、か……
報告にあった大司教の幽霊と同じ名前、だな。

【その人影が手にした携帯端末、その画面の明かりが、ボンヤリと姿を照らし出す】

【それは、若い男。黒い軍服と制帽が特徴的で、長めの金髪をヘアゴムで一纏めにしていて】
【もみあげの二房は、長く垂らしたまま。胸元には、何処かの自警団のバッジが光る】

【彼女とは少しの間合いをとって。足を止めた男は、端末をポケットへとしまい、碧の瞳を彼女へ向けた】

なあ、お嬢さん。幾つか、聞かせてほしい事があるんだけど。
彷徨う島≠ニか――――ダグラス≠ニか。…………知ってるんだろ?

【ニヤリ、不敵な笑みが口元に浮かぶ。左手はポケットの中に入れられていたが】
【彼女の出方次第ではどの様にも動けると、そういった様子ではあった】
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/01(木) 23:40:53.25 ID:7RKbdeO8o
>>806

……あら。ブリッツよりも礼儀を弁えた方ですのね?
その態度にお応えして、一つ忠告を差し上げますわ
"小川に足を入れぬこと"……理由は、お教えしませんけれど。

【目をつむっていた人型の人外――体表をヌメらせる彼女は】
【来訪者の方にゆっくりと向き直ると、まずそう一言告げた】

【小川というのは、彼女が今まさに使っている其処か。清らかな水だ】
【触れてもひやりとするくらいで、飲める温度。しかし忠告とわざわざ言うのだから】
【従って、川の端で足を止めるのが良いだろう――彼女は、おもむろにシルクハットを手にとって】

先ほどのご質問、端的にお答えすれば知っているどころか当事者でしてよ?
島には時折お茶会に足を向けておりますし、ダグラス様ともお話を致します。
……貴方様は、どういった方でしょう。お名前、知りませんでしたわね

【すぐに動ける様子の来訪者と違って、泰然とした様子で言葉を返す】
【むしろ恭しく礼までして『ロースですわ』と名乗りすら加えてみせて――。】
808 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/01(木) 23:45:30.24 ID:+kapkCwBo
>>802
【どうにも、この肉塊の化け物は奇妙な縁に恵まれることが多い。この少年のその一人と言えるだろう】
【中立という夕闇の中に立つ少年、普段であればこの悪党にとってはあまり好ましい存在ではない】
【だが、その少年の未知たる点が、また少年と同じく肉塊の内側に彼を認めるような思いをもたらしていた】

……。そうか……私としても、彼とはもっと話してみたかったよ
ふ、ふ。確かに、そこがGIFTの最大の特徴にして、欠点でもあるといえるだろうな
面白い、か……ヒュハ、ハハ、ヒューハ……。お前自身も面白い男だな

弱い子供とは、お前こそよく言う……本当に弱い子供は、蹲って泣くばかりだろうよ。私は見てきた
お前は強かだよ……恐ろしいほどにな

(ちょっとした縁、か……。あのお方との縁が、その程度で済むとも思えんが……)
(まあいい。彼ももはやこの世にはいない。今更詮索しても詮無きことだ)

【グラトンと彼との縁が、いったいどういったものだったのか。気にならないと言えば、嘘になる】
【だが、それを詮索したところで、どうなるものでもない。それよりも、今の利益を追うことが重要だ】
【それがまさか、自身の不倶戴天の敵であるUTとの共闘によるものだったとは。それを知り逃したことが、果たしてどう影響するか】
【同時に、少年が底を見せないことも追及せずにいたことが、どうなるか。彼が求める力が、いったい何をもたらすのか。今はまだわからない】


ああ、なかなかに面白い男だよ……実の息子であるかどうかもわかってはいないが
デュアル兄弟を瀕死にまで追い込んだ実力者だ。ぜひまた会ってみたいものだよ……

【常にその瞳の内に愉悦の色が見て取れる少年。この情報を彼に与えたこともまた、何をもたらすかはわからない】

……自ら望んでの狂気、か。そういわれて考えてみれば、確かに彼奴の所業には思い当る節があるな
あのレイリスフィールド学園にテロを仕掛けるなど、並の悪党に出来るものではない
それでいて、犯行内容は残忍かつ狂気的だ……GIFTもずいぶんな人材を抱え込んでいるものだよ

その話を聞くと、能力者至上主義だけで彼奴を見ることは出来ないな
ますます、会ってみたくなった……ふ、ふふ……

【その憎悪と疲れは、確かなものとしてカニバディールの単眼には映った。それだけ、マリオンという男が】
【少年をもってしても見えない、闇を秘めた男ということなのだろう】
【彼が語るマリオンの能力や戦法、配下のメリッサ・ハーレイ、無人兵器、それらの情報を配下のピアス男に記録させつつ】
【その内側に、悪意と警戒とを充満させていく。この世には、相変わらず脅威と驚異に満ち満ちている】


外道という点では、私もまったく言えないが……マリオンに鍵が渡ることは、私にとっても困ることらしい
我々のような悪党は、その実食らう対象の存在に生かされているようなものだからな
何もかもいっしょくたに壊されてしまってはたまらない……相応の対処を考える必要があるかもしれないな

……だが、お前はそのマリオンの側に長くいたのだろう? 話を聞く限り、配下だろうと使い捨てにしそうな男だ
そのマリオンに長期間従っているというなら、それなりに有用と見られているということ
それだけの能力をもったお前ならば、マリオンが何をしようとしているのか、もっと深いところまで掴んでいるのではないのか……?
鍵がいったい何を呼び覚ます鍵であるかも、同様に……

――――契約のことがある。ただで聞こうとは思わない
先ほど、戦神を名乗る存在と、No.11のことを出したな? No.11に関しては、機関内部でも情報はほとんど出回っていない

私が知っているのは、前任のNo11が行方知れずになっていることから、殺してすり替わったのではという噂があることと
荒狼騎士と名乗り、自らは戦神に仕えている、と称していた事実だけだ
No11の周辺に関しては、調べておこう。代わりにお前は現在の立場から、マリオンも含めた鍵に纏わることについての情報を提供してもらいたい

何せ、鍵にまつわる出来事は、どんな立場のものも他人事ではないからな。双方の立場から調べることが出来れば
マリオンが鍵を手にした時のような、最悪を避けることにもなるだろう

【マリオンについて聞けば、やはり興味が向くのは鍵について。何せ、複数の組織が一度に狙う存在だ】
【それを抑えることが出来れば、どれほどの利益になるか、単眼に滲みかける利己心を、抑え込む。この少年とて、狙っていないとは限らない】
【あくまで、彼との関係は契約に基づくべき。それを改めて己に言い聞かせつつ、言葉を紡いだ】
809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/01(木) 23:54:17.11 ID:DNKC0GODO
>>805

【熱い。雪が降っているはずなのに、熱かった】
【ついさっきまでは、ひとりだけで寒かったはずなのに──】

【──少女もまた、赤いサンタマフラーを、静かに緩めていた】
【その表情は真剣そのもの──幻覚でくるか、本物でくるかを見定めているのだ】
【羽子板(ラケット)を握る手が、自然と汗ばむ】
【強敵(ライバル)を前にして、口元に笑みが宿る】

【羽が羽子板から離れ、こちらへ向かってくる】
【先ほどとは違い、軌道は完璧に読みきった……!】
【羽子板を握る手に、力を込める。これで────】


──終わり、…………なにぃッ!


【文句のつけようがない返球が、出来る予定だった】
【非の打ち所がないスマッシュを、打てる予定だった】
【しかし……! 直前で気付く──羽(たま)が、2つあるということにッ!】

【軌道修正を試みる少女──だが、間に、合わ、ないっ……!】
【がり、と羽子板が捉えた影は石(フェイク)──! 本物、は……!】


う、ぉおおおおおお────!!


【ぐ、と額の真ん中を、本物(はね)が抉る】
【だが──まだ、負けたわけじゃ、ない!】
【この石さえ、打ち、返せば──!(※そういう遊びではありません)】

【羽の力に圧され、仰け反る少女。けれどその腕は、確実に羽子板を振っていた】
【がりりりり……!と石は彼女の羽子板を削るものの……打ち、返される!】
【ゆっくりと倒れつつある少女。だが、男の石(かくしだま)は凄まじいスピードを持ち彼へと向かう──!】
810 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 00:12:14.29 ID:yZ4ae+hxo
>>807

これでも一応、マジメなお仕事してるんでね。
――――それに、女の子とはよくお話するもんで。

【こちらに向き直った彼女の言葉に、『ご忠告どーも』と、返す言葉はどこか軽い】
【しかし忠告はちゃんと受け取ったのか、少し気にする様子を見せながらも、川には踏み入れず】

――――なるほどねぇ。
俺は……ディハート・グリムジャック。所属は夜の国自警団と、UNITED TRIGGER。
ダグラス――アンドレイとは、友人だった=Aってところか。

【答える言葉、自らの素性を語れば、それは所謂正義の組織】
【言ってしまえば、彼女――ロースとは敵対する存在なわけだが】
【そうすればかの六罪王、ダグラスとの関係は、些か奇妙ではあるか】

……さて。当事者だってんなら、重ねて質問だ。
島には、何かあるのか?それから――――何を企んでるんだ?

【――――動かず。しかし、瞳の力はより強く。真っ直ぐな視線が、彼女を見据えていた】
811 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/02(金) 00:13:11.82 ID:C9qqLKgkO

【町中】

【響き渡る幾つもの悲鳴と、逃げ惑う人々】

【彼らが来た方角には一人の青年が立っている】

【蘇芳色の少し長めの髪に灰色のボロボロになった着流し。焦茶色の瞳は虚ろで、肩から血を流している】

【青年の足元には黒焦げになった幾つかの死体。初詣の帰りだったのだろう、皆着物を着ていたようで】

【青年は片手には血の滴る筆を持ち、もう片方の手で顔を覆っている】

ああ、やっぱりいたんじゃないか……櫻の人間……
此処にも、此処にも……! 
【青年が鬼気迫る表情で筆を持つ手を遠巻きに見ている人々(やはり皆着物を着ている)に向けるたびに人々はビクリと肩を震わせる】

お前ら櫻の人間だって隠してやがったな……
それでもって俺が誰なのか知ってたんだな!? 
そうして俺を蔑む目を向けていたんだな!? 
畜生……許せねェ……
お前ら全員! 消し炭にしてやるよ!! 
【青年は叫ぶと同時に地面に膝をつくと自らの肩に筆の穂先を突き刺す。そして一度筆で肩を抉るとそれを抜き、地面に穂先を付ける】
【筆を持つ手が動くたび地面には何かが浮かび上がっていく】

【そうして出来上がったのは一頭の犬の絵。それは不思議な事にぴくりと動き】

【瞬時に絵が消えたか、と思われた矢先絵のあった場所には一頭の紅蓮を纏った中型犬が立っていた】

【燃え盛る犬は驚愕と脅えが入り混じった表情を浮かべる人々を見据えると手近な着物の人間に飛びかかろうとする】



/予約です
812 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 00:26:58.22 ID:9QFOod+to
>>810

【忠告を守る彼の様子に満足したのか、にこりと笑い返しながら】
【自分が投げかけた質問の答えを淡々と聞いてゆく】
【終わる頃にはなるほど、と独りごちて、唯一無機物であるシルクハットを頭に載せ】

ディハート様……ダグラス様の元ご友人、ですか。
どういった方であるかは理解いたしましたわ……勿論、その立場も。

その上でお答えするなら、まず一つ目の答えは『色々』ですわね
お茶会の為にあつらえた場所もあれば、お城もあり、館もございます。
聖堂もありますのよ?それぞれ、アーグ様やダグラス様の所有物ですけれど……

……あぁ、お茶会の席は全てヴィサスお姉様が管理していましてよ?
他に島全体の所有者もいらっしゃいますから……誰が何を、という考えは無意味かと

【力強い視線を受けつつも、時折くるりと回ってみたりして】
【さながらその所作は何処かのお嬢様。肌や服が人間のそれであれば、また別だが】
【果たして軟体の肌となれば何処と無く妖しいダンスにも見え――】

……なにを企んでいるか。難しい質問ですわね、ディハート・グリムジャック様?

ダグラス様は……そう、大きなことを。アーグ様はとても私的な事を考えていらっしゃいますわ
ヴィサスお姉様はもっとも抽象的な理由をお持ちですし、他の方々はあまり存じ上げませんの。

…――ですからよろしければ、貴方もお茶会にいらしてはどうかしら。

【ぴたり、と彼女の動きが止まり、その手が指す先――ディハートの足先に位置する小川が光ると】
【浮かび上がるのは魔法陣。転移の術式を持ち、足を踏み入れたなら】
【視界が暗転し、やがて彼は長テーブルが置かれた森の中に"移る"事となるだろう、が――。】
813 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 00:27:41.69 ID:hiEfwU40o
>>809

(勝った───!)

【確信、ここで見せた必殺技に託した絶対の自信による『負ける筈がない』という考え】
【それは即ち慢心、油断───紛う事なき、負けの要素だ】

なん……だと……?

【本体を敢えて見逃し、分身を打ち返す。まさかそんな行動、そんな無意味な行動を取る少女の姿に目を疑う】
【まさかまだ戦うと言うのか───何故そこまで諦めようとしない───!?】
【自分ならとうに諦めている筈なのに───『自分なら』?】

(……そうか…俺様、は───)

【迫る石ころ、鈍痛、逆さまになる視界…すべてがスローモーションに見える世界で、頭に浮かんだ言葉】
【自分にもある、意地とプライド、それらが少女にも確かにあるのだ、自分とは違う物に掛けているのだ】
【ようやく気付けた、自分に足りなかったもの……倒れた彼は、「道理で勝利の女神が見逃す筈だ」と考えて、ふっと笑った】




(なんだこれ)

【そして我に返った】
814 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 00:40:50.98 ID:nYL3EgpDO
>>813

【──倒れたのは、2人同時だった】
【ぽとりと少女の額から羽が落ち、くるりと地で弧を描く】
【すう、と息をする。冬の澄んだ空気が、肺に満ちていく】
【気付けば、知っている星座が真上まで来ていた。──もう、そんな時間なのか】

【──ふふん、とまた、笑みが零れる】
【夜色の髪が、汗ばんだ首筋に張り付いてきたが……不快感などなかった】
【あるのはむしろ────】


ふふん……楽しかったな!
ハネツキは難しいが、それでも2人でやるとこんなに楽しいのか!

お前とは……また、勝負したいものだな!
私はリーべ!リーべ・エスパスだ!


【「お前は、なんて名前だ──?」】
【立ち上がるほどには、まだ体力は回復していないのか】
【息を荒くしながら、少女は男の名を聞いた】
【彼は正気に戻ったが──多分、この少女は「コレ」が「素」なのだ】
815 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/02(金) 00:53:34.22 ID:w3lgl6d0o
>>811

【逃げ惑う人並みが引いたその場に残る1人の人間。現場に近づいてくる。ゆっくりと歩いてくる】
【そいつは背の低い白髪交じりの男。顔に刻まれたシワが年齢を示す。ヨレヨレのトレンチコートを着ていた】

あれあれ…ったく。まだ、所轄は着いてないの?…どっかに委託してんのかな?まあどちらにせよダメだなあ…
さっさと来なくちゃ押さえれないでしょ…全く

【ブツブツと文句をいう男。ニヤついた笑みを浮かべながら男は立ち止まった】
【距離は少し遠い。人々を助けようともしない。だが事態は動く。一般人が襲われる既のところで】
【ゆらりと動く空気。まるで時空がそこだけ”人型”に動く。駆ける足音が近づいていく】

【ブウウンと歪んだ人型が人になる。そいつは特殊警棒を持っている。それでソイツは横合いから殴りかかる】
【歪んだ人型は”光学迷彩”。一般では流通していないクオリティ出来栄えだ】

あー…何処やったっけ。…っととあった。あ、私…警察のもんです。この国のじゃないんですがね…ふっふっふ
国際捜査協定だとかいうもので活動できるんですわ…まあ、余談余談
えー…と。現行犯、ね。おとなしく捕まってくれるなら一番…お互いのためにいいと思うんだけど…
……ま、あの。能力者だよね?あんた。そういう場合は”特別な”対処、認められてるですわ。

【警棒を持ったソイツは、黒ずくめの戦闘服に黒ずくめの装備で身を固めている。顔はガスマスクで隠す】
【警棒を握りしめたまま動かずに、相手の様子を伺う。性別も年齢も何もわからない】

まぁーその。要は、手っ取り早く能力者は殺せって事ですわ。……さて、警告義務は済んだんですが…ね?
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 00:54:21.95 ID:yZ4ae+hxo
>>812

【ダグラス、アーグ、そしてヴィサスと、島の主。幾つもの名前が、存在が、浮かび上がっていく】
【その一つ一つが、こちらにとっては有意な情報となり得るもの。しっかりと記憶に刻んで】

【視線の先、動く彼女の姿。しかし―普段の彼であればいざ知らず―流石に状況が状況だからか】
【大きな感情の揺らぎを見せる事もなく、ディハートは言葉を聞いていた】

…………俺も、茶会に?
いきなり何言って――――――――

……――――なーるほど、どこかの誰かさんの得意なやつかい。

【突然の招待。一瞬、怪訝な表情を見せて。しかし束の間、目にするのは魔法陣の光で】
【想起するのは、かつての友の、その友人。苦い表情を浮かべながらも、存外大胆に踏み込んでいく】

【――――そして、暗転。広がるのは森、その中に見えるはテーブルか】
【ポケットから抜き出した左手が握るのは、トランプの束。辺りを強く警戒しつつ、ゆっくりとテーブルへ近付いて行く】
817 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/02(金) 00:57:25.92 ID:Oo2lS9WRo
>>808


ええ……そう言ってもらえるとありがたいですよ。
ただ弱いだけの子供は、いい加減卒業したいところです。
それでもぼくみたいな、最初がマイナスから始まってるようなやつは、臆病に、慎重に、小賢しくやっていくしかないんですけどね。


【カニバディールに認めてもらえて、少年は嬉しそうに笑うけれど――――謙遜の言葉は消えない。いや、謙遜ではないのかもしれない】
【自分は弱い、と。そう本気で思い続けているからこそ、少年は力を欲しているのだ。弱いなら弱いなりに、手段を選ぶことなく事を成そうとしている】
【……ふと、少年は破顔した。もしかして目の前の肉塊と自分は、そのような点では似通っているんじゃないか、と】
【もし精神というものをカタチにできたとしたら、自分のそれはたぶん、この男のようにグロテスクなんだろうな、と。そんな風に、自嘲して】


釈迦に説法かもしれませんけど、マリオンに会うことがあったら、くれぐれも気をつけてくださいね。
……付き人のメリッサ・ハーレイなんですが、どうも学生くずれらしくて、まったく場慣れしていないみたいなんです。
おそらくぼくと同じか、もしくはうまいこと誑かされて、いいように使われているんだと思いますが……攻めるなら、そこかもしれません。


【カニバディールがマリオンと出会うというシチュエーション。カノッサとGIFTというまったく別の組織の二人ではあるけれど、】
【裏の世界は、意外にも狭い。それが実現しないとは限らないだろう。『スクラップズ』のような質は無いにせよ、マリオンにも『クグツ』なる手勢はある】
【少年はマリオンの弱点について、メリッサのことを持ち出した。カニバディールにこの情報を渡したのは、たぶんマリオンに対する嫌がらせだろう】


/お待たせして申し訳ない、続きます……
818 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/02(金) 00:57:45.32 ID:Oo2lS9WRo


――――さて。さすが、話が早くて助かります、カニバディールさん。

こちらとしても、その件はかなり気になっていたところですよ。
例の戦神に私兵を出して支援しているのも、おそらくそのNo.11の手腕なんでしょうし。目的が読めませんが……。
GIFTはともかく、SCARLETや自警団の網には何か引っかかることがあるかもしれませんから、こちらもアンテナだけは張っておきます。

それで、マリオンの目的と、『鍵』……イクスという少女についてですが――――、


【取引が円滑に進むことに、少年はずいぶんご満悦な様子だ。程度はどうあれマリオンの気質に苦労させられていたというのも嘘ではないのかもしれず】
【欲しかった情報をそのまま提示されて、少年は感服しつつ「よろしくお願いします」と頭を下げるだろう】
【そして、すっと表情が緩む。あの、感情を切り捨てた表情だ――――強引に平静を保つかのように、事実だけを淡々と、少年は話し始めた】


『イクストゥム』と。
マリオンはソレについて、そう呼んでいました。

GIFT Labの調査したところによれば……数千年前の砂の国で、六つの大都市を一夜にして滅ぼし、緑溢れる大地を丸ごと砂漠に変えた巨人=c…だとか。
どうにも眉唾物の伝承ですけど、あいつが何の確証もなく動くとも思えません。
何より、GIFTの別の一派……ディック・ホワイトという人が、鉄の国から同じような兵器を回収して使っていたのを、ぼくは見たことがあります。
それに、これに関してはぼくもそれほど詳しくはありませんけれど……前にそちらの六罪王の方が、同じようなものを使役してしていませんでしたか?


【触れられるのは、マリオンが求めている力≠フ正体。イクストゥムという名前の、世界を揺るがす破壊の力】
【――――カノッサ機関に長く居るカニバディールなら、少年に指摘されるまでもなく、何か思うところもあるかもしれなかった】
【少年が触れたのは、そう遠くない過去、実際に世界を震撼させた事件に関することばかり。それがまた、繰り返されようとしているのかもしれない】


マリオンの話と、それらの兵器の話を統合するに……イクストゥムを手に入れるために必要なものは、おそらく3つ。
まず、件の『鍵』――――イクスという少女。これはイクストゥムの核部分に相当する生体部品≠フはずです。
それから当然ですが、イクストゥムの『本体』。いまどこにあるのかは、ぼくにもわかりませんが……例の伝承を鑑みれば、場所は推察できるかと。

そして……鍵とは別に『燃料』が必要だという話を、マリオンがしていたことがあります。これに関しては既に目処が付いているみたいでした。
正体はわかりませんけど、あれだけの兵器を動かすものです。たぶん、相当に強いエネルギーを持つものだと思います。


【できるかぎり要点を絞って――――ついに、少年はそこで口を噤んだ。話せることはすべてを話した、ということだろう】
【当事者たちを除けば、この件の核心についていま最も近づいているのは、間違いなくカニバディールだった】
【しかし、あちらから戦神やNo.11の情報収集を確約してもらったとしても、なぜここまで話すのか。……理由は一応、推察できないことはない】


……もしも、この中の、どれかひとつ。
どれかひとつでも、先んじて入手できれば――――どんな形であれ、大勢の一歩先に出られるのかもしれませんね。


【元々少年はマリオンの目的を阻みたがっていた。きっと、こうして少しでも情報を外に漏らすことで、他の勢力に妨害してほしいのだろう】
【――――そう、自分の手は汚さずに、だ。大きな勢力同士が勝手に潰し合ってくれれば、それだけ裏で動きやすくなるということか】
【まるで煽るかのように、少年は挑発的に付け足す。けれどそれをどう捉え、どう動くのか。すべてが『イタチ』の思うままにいくとは、限らないはずだ】
819 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 01:04:01.06 ID:9QFOod+to
>>816

【長テーブルの上には茶器。緑茶もあれば紅茶も有り、和菓子もあれば洋菓子もある】
【しかし調和が取れていて、雑多ではなく賑のようなものを感じる程であり】

【空間を見ると、霧の中。ふわり、とその中をホタルが飛んでいるのが幻想的で】
【遠く背後を見ると、巨大な城もうっすら見える。――だが、今目を向けるべきは】
【その列席者であろう。もっとも目につく位置、最奥の上席には女性が座っていた】

【髪は金、瞳は碧。凛々しい顔立ちで、軽装の鎧を身につけていた】
【鎧の文様は龍がモチーフだろうか。更に下を見れば、ロングスカートのドレス姿なのだが】

『……ロースの寄越した客、だな?要件は聞いているぞ、でぃハート・グリムジャック。
 私はヴィサス。彼女の現在の所有者であり、この茶会の支配人であり、"完璧な存在"だ。
 
 聞きたい事は多かろうが……まあ、まずは座ったらどうだ?
 其処の席など、空いている。件の大司教が中々穴蔵から出てこないのでな
 他にも招待した客が未だ来ず、というのが多くて困っていたのだ……さあ、座れ。』

【示された椅子が自然と後ろに引かれ、スペースを作る。彼女の右斜め前の席だった】
【丁度向かい合う席には一人、参加者が居る。黄金の鎧を頭からつま先まで身に纏った人物だった】
820 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 01:11:44.66 ID:hiEfwU40o
>>814

(あー……寒っ)

【真冬に、しかも雪が降っている時に汗なんてかけば冷えるに決まっている、身震いをして「なぜオレはあんなムダな時間を」と後悔した】
【ギャンブルに負けたのなら大人しく過ごしていればよかったのだ、テンションとは恐ろしい】
【というよりも、石ころが意外と痛かった、額を抑え、頭を振りながら上体を起こす】

……いや、多分これ遊び方違うと思う……お前家帰って親にちゃんとルール聞いてこいよ

【埃を払いながら立ち上がりメガネを上げる、元が高級そうなスーツでも白地にはこれでもかと泥汚れが付着してしまっており、溜息が出そうになった】
【名前を聞かれて、答えるべきか少し悩んだが、きっとこんなスッキリした頭の少女になら教えても問題はないだろうと思い、羽子板を元あったベンチに置きながら答えた】

エース・セブンだ……あんまり覚えておかなくていいぞ

【エース・セブンは詐欺師である。故に偽名も使うには使うが、普段から自分の名前としているのはそれだ】
【普通に詐欺をする時にも、自己顕示の為にその名前を残すのだが、こんな所で無駄に追っ手を増やすとマヌケと思われてしまうかもしれないと少し躊躇っていた】
【結局は、リーベがまさかそんな人間であるとは思えなかったので答えてやることにしたが】

ぶぇっきしッ!!……寒っ!
俺様はもう寒いから帰るぜ、お前も風邪退く前にさっさと暖かい家に帰りな

……べぇっくし!!

【大きなクシャミをしながら、汚れた尻を気にした様子でさっさと歩いて行ってしまう】
【スコアは2-2の同点でドローゲーム、深夜のハネシキ勝負は決着のつかない共倒れのまま幕を閉じたのであった】

/乙でしたー
821 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 01:22:31.60 ID:nYL3EgpDO
>>820

……………。


【多分これ遊び方違うと思う】
【多分これ遊び方違うと思う】
【多分これ遊び方……】
【遊び方……】
【遊……】


……。…………えぇええええ!
でもお父さんとお母さんはバドミントンみたいなやつって言ってたぞ!電話で!!
え、遊び方違うのか……?えー…………


【何度も頭の中でリフレインする、男の言葉】
【……どうも、リーべにとっては大層ショックな事実だったらしい】
【彼女の表情は、今まで見せた表情の中で一番真っ白に燃え尽きていた】


……エースか、うん、覚えたぞ
トランプみたいな名前だな……うん
エースも風邪、引くなよ……ルール違うのかぁ……えー……


【──ひゅうひゅうと、冷たい風が吹く】
【燃え上がった体温も、少しすればあっという間に冷えていき】
【エースが去った後、公園に残るのはリーべただひとり】
【「……遊び方、違うのかぁ」なんてまた呟けば、後に続くは大きなくしゃみ】
【──次の日。彼女が止まないくしゃみに悩まされたのは、当然のことであった】

/絡みありがとうございました!お疲れさまでしたー!
822 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/02(金) 01:28:17.88 ID:C9qqLKgkO

>>815

【突然現れた黒ずくめの人物に燃え盛る犬は反応しきれず殴られ、殴られた所から霧散し消滅する】

【実体はあるものの実際の犬とは比べものにならない程強度は低いらしい】

【すかさず襲われていた晴れ着姿は逃げ去り、後に残されるのはコートの男と黒ずくめ、それから灰色の着流しを着た青年のみで】

……警察……ああ、正義のヒィロォってやつか……
胸糞悪ィことこの上ねェな……
【何で彼奴らは助けられるんだか……と青年は顔をしかめ呟く】

能力者? まあそうだな……
で? 能力者ならぶっ殺す? へぇ……そりゃまた御立派な精神な事で……
【青年はそういうとケタケタと笑い出す】

能力者は殺す! うん、間違いねェな! 能力持ってるだけで何しでかすか分からねェもんなァ!! 
そういう輩は生きてるだけで罪だよなァ! あはははははははははははは!!! 
【青年は嗤う。壊れたように、狂ったように】
【そうしてひとしきり嗤った後】

…………ふざけんじゃねェよ、この野郎
【低い声で呟き男を睨む】

823 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 01:32:24.68 ID:yZ4ae+hxo
>>819

【先ほどまでとは異なるこの場所。ロースの言葉や遠くに見える城から推測すれば、ここが件の島であろうはずで】

【歩む先、長テーブルの側からは女性の声。奇しくもディハートと同じ、金髪碧眼の持ち主がそこに座していた】
【彼女こそが先ほども名を聞いた、ヴィサス。ロース曰く、抽象的な理由で動いているという者。】
【椅子が一人でに引かれれば、今は断るべき理由も無く、促されるままに腰を下ろして】

話が早くて助かるね、どうも。
だけど、所有者≠セとか完璧≠セとか、妙な言い方するじゃあないの、お嬢さん。

――――ああ、紅茶を頂けるかな。櫻のも嫌いじゃないけど、こっちのが俺には合うからさ。

【持ち前の性格なのか、その振る舞いは、敵地にいるという事を感じさせないようなもの】
【脚を組み、テーブルに頬杖をつくようにして――まあ、行儀はよろしくないのだが】
【彼女に向けた顔、口元に浮かべた笑みは余裕か、それとも――――――】

だけど、またさっきのロースって娘みたいな感じのが出てくるのかと思ってたから、ちょっと意外だったぜ。
気が強そうなお嬢さんと、それから――――

…………なあ、顔くらい、見せたらどうだ?

【ここにきてディハートの言葉の先は、彼女からもう一人、黄金の鎧の人物へと移って】
【その表情は先ほどまでと違い、真剣。強い感情の籠った瞳は、射抜くような光を宿していた】
824 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 01:42:23.28 ID:9QFOod+to
>>823

『事実をありのままに告げたまでだ。ロースは私の所有物だよ
 そして、完璧というのもまさにそのまま……私はそういう存在なのだ
 いずれ言葉の意味を理解できる時が来るだろう…――お前にも、他のものにもな。
 さて……紅茶、だな。良い選択だ、私も紅茶が一番良いと思う。
 菓子もあるから好きに味わうといい、ディハート・グリムジャック』

【彼が紅茶を所望すれば、ヴィサスが一口茶を楽しむ間にティーカップが出現し】
【それに合わせてクッキーや砂糖菓子が周囲に並ぶ。全て、ディハートの手の届く位置に、だ】

【加えて何処かからは優雅なクラシック・ミュージックすら聞こえてくる】
【至れりつくせり、豪華な茶会――霧に包まれているから、終わりも見えず】
【どこか不思議な空間であった。さてその中で異様さを誇る黄金の鎧は――】

――顔以外は勘弁願うよ、今はこの鎧を脱げないんだ
櫻の国で身体を真っ二つにされてね。傷を塞ぐため、今じゃ救命胴衣代わりってわけさ
まあ、息苦しいのは僕も嫌いだ。キミと同じでね……ディハート。

【声を返しながら鉄仮面を取り去ると、まず眼に入るのはふわりとした金の髪】
【肌は白く、声は優しく貴公子然としていた。その顔は、ディハートもよく知った者】
【名は長いが――敢えて呼ぶなら、最とも有名なもので呼ぼう。六罪王ダグラス、と】
825 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/02(金) 01:59:54.61 ID:w3lgl6d0o
>>822

【特殊部隊員のようなガスマスクの人物は相手の様子を伺ったまま動かない。どうにも】
【トレンチコートの男の指示を待っているようだ。上下関係が見える。革手袋をはめた手を握りしめる】

うーん………正義であることはまあ、間違いないんだけど。…ヒーローなんて子供騙しと一緒にされたら
困るんだよな…コッチにも立場ってものがあってねえ。…正義を執行する機関だよキカン。装置。メカメカ。

【トレンチコートの男は後頭部を軽くかきながら苦笑いしながらブツブツと話す】

精神じゃなくて、方針。個人的な感情じゃなくてこれまでのいろーんな事を鑑みて会議して……はぁーまあいいや
私は職務を遂行するだけだ。政治家や官僚が考えた方針にのっとってさ。

【コートのポケットに手を突っ込んで、寒そうに肩をすくめ溜息。応援も来そうもなくて気が重い】

そりゃあ普通にしてりゃ誰も文句は言わないよ…ったく。こういうことしといて何を言うつもり?
能力使って人殺して、能力者を差別するなって?…まー私に言われても。そういう方針ですから。
ああ、じゃあ言い方をかえよう。命を掛けて迅速に平和を取り戻す。…如何です?命がけの戦い
をしてシノギを削り合ってどちらかが倒れる。嗚呼!素晴らしき哉!これこそ戦闘だ!

【男は饒舌に喋る。無能力者と相手違い、能力犯罪者と立ち向かうときは非常に危険を伴う】
【警官の身の安全と迅速な対応のためにはより強行手段が用いられるのは当たり前のことだ】

【この話に夢中になってあたりを警戒することを忘れていたなら背後から迫る気配に気がつけるだろうか】
【いつのまにかもう一人のガスマスクの人物は”居なくなっている”。消えている。光学迷彩で完全に消えた】
【そして、刑事が話している間にソイツは背後から忍び寄り、警棒を振り上げる!】
826 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/02(金) 02:07:59.09 ID:7Lk2MqBzo
>>817>>818
マイナスが出発地点、か……そこに関しては、我々も同じことだ
形は違えど、裏側にいるような者たちにはそういった連中は多い……
それが闇の中で食らい合う、まったく愉快極まる世の中だよ……カヒュー……

いいじゃあないか、臆病も慎重も小賢しさも、生き延びるためには必要なことだ
そうとも、何よりも生き残ることが重要だ……

【火傷と呼吸器のためにわかりにくいだろうが、カニバディールもまた口元を歪めていた】
【自分より強大な存在はいくらでもいる。そもそも、この世界そのものの巨大さの前では、己など塵芥だ】
【そんな、世界の狭間でかろうじて存在し、生き延びようと手段を選ばずに足掻く。自分と眼前の少年との共通点をそこに見たように思えた】


学生くずれ、ということは元はレイリスフィールドの学生か……
マリオンの事件で明るみに出た『ヒュドラ』の件と言い、あの学校も裏側に何を抱えているのかわからないが、そこの学生だったのなら相応の能力の持ち主なのだろう
場馴れしてはいなくともマリオンにとっては利用価値があるということだな。確かに突くべき弱点としては、都合がよさそうだ

しかし……ハーレイ、ということは、アトラヴェル警察の本部長だったエドガー・ハーレイの縁者か……
エドガー・ハーレイ自身は、マリオンの事件の後行方知れずとなったようだが、その件で一度指名手配を受けたSCARLETのヘイダルの者たちも、無関係ではなくなるな

特殊部隊ヘイダル。その一人であるアルフレドという男とは、一戦交えたことがあってね……鍵を追う以上、彼奴等も出張ってくるかもしれないな
戦神の一件では、あの『TRAVIS』も被害を受け、正義連中への支援をあの御曹司が宣言していたな
我々が壊滅させたヴェンドゥラーという街には、『TRAVIS』の支社があってね。私にとっては、無視できない存在の一つだ
そういえば、あの御曹司もレイリスフィールドの学生だったか?

……ふ、ふふ、ふ、カヒュー……。なあ『イタチ』、お前のおかげでずいぶんと面白くなってきたじゃあないか
鍵を巡る一連の事件に、これだけの数の名のある者たちが関与している。今挙げたものたちだけではない
それぞれの事件に関わり、マリオンや戦神に対抗したやつらもいるはずだ。鍵を中心に、何人もの実力者や大組織が回っている

【言葉を紡ぎ始めれば止まらず。この一件に関わる出来事が、どれほど大きな影響力を持っているかを再確認していく】
【そのたびに、カニバディールの表情は喜悦に歪んでいく。隻腕が、先ほどイタチに突きつけた包丁を取り出す。と、右腕が膨張し、巨大な肉となって包丁を飲み込んだ】

上手くすれば、ここに絡んだ連中全てを……『我々』が平らげることすら、不可能ではないわけだ……

【ぐしゃり、と音を立てて、肉塊に飲まれた包丁が潰れた。バラバラと地面に包丁の破片が散る】
【その破片を、首から伸ばした肉触手でまたも飲み込み直しながら、なお言葉をつづける】
【その『我々』が機関を差すのか、自分たちとイタチを指すのか、あるいは『スクラップズ』のみを差すのか、それはわからなかった】

/続きます
827 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/02(金) 02:08:23.82 ID:7Lk2MqBzo
>>817>>818
ここだけの話だが、機関も組織内部においては個人主義や秘密主義の傾向が強くてね。No.11の未知なる部分もそうした組織の一面に埋もれているのが現状だ
ああ、頼むよ。正義側の網には、私ではどうしても手が遅れるのでね……

(……マリオンの件について、もう話すつもりか。こちらの情報が入るまで、出す気はないかと思っていたが)
(それだけ、この男にとって鍵に関わる件は重大事なのだろう。マリオンのことを考えれば、当然ではあるだろうが……)

【少年の満足した様子を見て、まずは取引が先に進んだことをこちらも喜ぶ。だが、次の瞬間】
【またも、己を戦慄せしめたあの顔。やはり、この少年自身、油断ならない相手だ】
【間違いなく、只者ではない。妖気や胆力、頭の回転の速さのみならず。何かを秘めている】


巨人=c…鍵はそれを動かすためのものか
確かに、普通ならその伝承を頭から信じることはしないだろうが、この世界ではそういったふざけた出来事が当たり前のように起きてきた
マリオンが動いていることを合わせれば、伝承だと切り捨てるわけにもいくまい

ディック・ホワイト……W(ダブル)か。彼のことは私も知っている。最近は噂を聞かないが
……ああ。かつての六罪王の一人だったレギン。彼が同じく巨人を用いていたよ
夜の国を破滅一歩手前まで追い詰めたほどだ。最期には正義気取りどもに敗れ去り、彼は空間に空いた大穴へと飲まれて消えた
だが、空間に穴を開けるほどの途方もないあの巨人の力……

『イクストゥム』があれに匹敵する力を秘めているとするなら。マリオンのような男がそれを手にすることは
お前が言ったことが、現実となることは想像に難くない……

【彼が触れた二人。ディック・ホワイトとレギン。奇しくも、カニバディールは双方に関わりがあった】
【その二人ともが、途方もない力を持つ巨人を使い。今また、マリオンが同じようなものを狙っている。何とも、奇妙な因果ではないか】

【さらに、詳細に語られていくイクストゥムという兵器に纏わる存在たち。肉塊男は、しばらく黙してそれに耳を傾けた】

鍵、本体、燃料……マリオンの一連の行動は、これらを狙ってのものか。自身の悪趣味もあるのだろうが
現時点では情報が不足しているが、それはこれから明らかにする他ないな
目指すべきものがわかっただけでも、十分な収穫だ。お互い、契約の効果はしっかりとあったようで何よりだよ

【にたり、と笑ってそう漏らす。彼が持ちうる情報全てをここに提示したことを悟って】
【自身が、再び世界を揺るがす出来事の中へと、足を踏み入れたことを悟った上で、笑ったのだった】


ハ、ハハ――――ヒューハ、ヒュハ、ヒュハッハハ……
やはりお前は強かだ。マリオンを妨害するために、私を、ひいては機関を炊きつけるつもりかね……?

ふ、ふふ……いいだろう。こんな愉快な出来事の、蚊帳の外に置かれたくはない
乗ろうじゃあないか……私のやり方でな

さて……まずはイクストゥムの情報をもってNo.11に接触するとしよう
そこから、彼自身について探りを入れる。何かわかれば、すぐにそちらにも連絡するよ……
お互いの目的のために。一つよろしく頼むよ……カヒュー……

【笑みを崩さず、肉の怪物は少年に笑いかける。同じように挑発的な言葉も交えつつ】
【暗躍する二人の邂逅が、この先いったい何をもたらすのか。それは誰にもわからない――――】
828 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 02:17:03.17 ID:yZ4ae+hxo
>>824

【現れたカップには、砂糖を少し入れて。紅茶を混ぜて溶かしたなら、持ち上げて一息】
【謎の多い島と、どこの王侯貴族かと言いたくなるような豪勢な茶会。】
【不思議の国にでも迷い込んだような、そんな気分にすら、なってしまいそうで】

……大した自信だねえ…………ま、自信は無いよりある方がいいもんだけど、さ。
でも――――自称完璧≠チてのは、だいたい最後にゃやられる、ってのがセオリーだけどな?

【放つ言葉は彼女を煽るようにして。カップを傾けて一口を飲みこめば、眇にて彼女をチラリと伺って】
【―――それから、向かいに座った人物。取り去った鉄仮面の下には、先より名の出ている彼≠フ顔】

はん、身体を真っ二つに、なんて平然と言ってんじゃねえよ。
それで死んでねえ辺り、流石は六罪王サマ≠チてところか――――アンドレイ?
アンジェルの件では、随分と世話になったな。

……で、だ。どうせ止めなきゃいけない様な事なんだろうが、一応聞いておく。
お前―――幽霊大司教だとかこいつらなんかと組んで、何をするつもりだ?

【六罪王としての名ではなく、一芸術家としての名で呼ぶ者は今では数も少ないか】
【それでもこの男は、ディハートは、敢えてこの名を使い続けて。】
【そこにはディハートの様々な気持ちが込められているが―――今は置いておくとして】
【正義の徒と、六罪王と、完璧を自称する者。奇妙な顔触れで、茶会は進んでいく】
829 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/02(金) 02:20:55.03 ID:O7I9rWtc0
 ――つまり、だ。あんたらは何もやってない。
 確かに頑張ったって思うぜ、私は。そりゃ誰だって褒めるさ。
 でも――足りないんだよ。まだあんたたちは頑張れるだろう?

【路地裏で声を小さく、しかし通るような声の女】
【灰色の髪、ボロボロの学ランのような物――路地裏にいる割には、その体は清潔感にあふれていた】
【さらり、とした髪に、胸の同年代と比べても大きな膨らみが、栄養が体にいきわたっている事を示している】
【そこで女は何人かの人に対し、演説のようなことを行っていた】
【更に、女は大きな袋を持っていて――その中の物が、ごそり、ごそりと時折動く】
【季節外れのサンタクロース、とも思えるかもしれないが、周りの空気と合わせて、それはかなり不気味に思える】
【ただ、女の話術か、ひきつける物があるのか――そこにいた数人は、全員が女の話に耳を傾けていた】

 私達は凡人の何倍も頑張っても足りないんだ。何故だかわかるか?
 運がなかったからだ。運がない以上の理由が無いんだよ。何でかって言えば――そう、その幸の薄い路地裏住まいを助けてくれる人なんかここにはいない訳だ。
 じゃあどうすればいいか? 変えるしかないよな? ここを一度ばーっと……それができるだけの執念が私達にはあるんだ。
 後はどうすればいいか――練習するしかないよな。

【ぼとり……そう、女はいいながら手に持っていた物を降ろす】
【もぞもぞと暫く動いたかと思えば、口にガムテープのついた人の顔。それが袋の中から現れた】

 度胸だ。そう度胸が必要なんだ。覚悟も必要だ。
 それは人をできるって思わせる――ただ暮らしているだけのあいつらには絶対ない覚悟。
 差を明確にするんだ――――できるよな? そうだ。私の話を聞いていたって事は、あんたらはヤる気があるって事だ。
 じゃあ、一度ここでバラせば、それも後からついてくる……簡単だろう?

【女は未成年であろう女を誘拐し、この場まで運んできたのだ】
【ソレを殺せという――今すぐに、そうすれば覚悟が身に付くと】

 手でもいい、武器でもいい。なんでもいい、自分の手でヤるんだ――ここにいる全員で。
 
【――――それは紛れもない、犯罪の行われている現場だった】
830 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 02:30:01.24 ID:9QFOod+to
>>828

【紅茶を飲みながらヴィサスを見れば、うっすらと笑っているのが分かるだろう】
【彼の言葉に面白みを感じたのか、或いは別の意図が有るのか――】
【なんとも言えない所だが、不穏だった。そして話し相手が明確に変化し】

平然とだなんて酷いなぁ、経過まで説明したほうが良かった?
あの時はもう……大変だったんだから。今だってそうだよ。
……あぁ、あの娘。その後どうなったんだっけ……元気にしてる?

【へらへらとした話し口。以前と変わらぬ余裕を見せる辺りは】
【威厳こそ足りないが、やはり流石に六罪王か。意識のない罪ほど重いものも無い】

【――ちなみに返答への答えとしては、なんとも言いがたい】
【アンジェルは現状、UTの地下で拘束されているハズだった】
【だった、というのは――状態が良くないから面会できない、そういう理由があって】

……――大きなパーティを開きたいんだよ、ディハート。
そりゃもう、幾つかの国を上げて世界記録を作るくらいの大きなのをさ

実を言うとね、僕は自分の死期っていうものをそこはかとなく感じてるんだ
胴体を真っ二つにされて、特殊な鎧で今は命を繋いでるけど
何となく分かる。僕はきっと、今年の内には死ぬだろうってね

だから、大きくやりたい。死ぬ前に大輪の華を咲かせるって感じかな
そのためにはキャストが必要だから、こうして此処に……何ならキミも、こっちでどうだい?

【こちらも紅茶を一口。笑っているが、言葉には嘘が混じっているようには思えなかった】
【死期が近い、だから一つ大きくやりたい。至極勝手で子供じみた――しかし、実行可能であろう計画】
【全貌は語られない。聞きたかったらおいでと、彼の自警団バッジが止められた場所を指さした】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/02(金) 02:35:53.52 ID:C9qqLKgkO

>>825
お……おぅがにぜぃしょ? えくすきゅ? じゃすてぃ? 
め……め、か? 
分かんねェなオイ……櫻の俺にも分かるような適当な単語は無ェのかよ……
【“正義を執行する機関”という言葉自体が難しかったのか頭をがりがりと掻く青年】

……つまりはお上の命令って事か? 
やっぱり何処の国でも上層部は糞なんだな……
【不快そうにぼそり、と口にする】

普通に……へェ? 
【青年は何処か馬鹿にしたように笑う】

…………普通にしてても、普通だと主張しても駄目。助けを求めても助けてなんかくれなかっただろ? お前ら正義の味方はさ
せっかく逃げるだけじゃなく立ち向かう手段を見つけてそれを行使して自分の平穏を護ろうとしてるのにそれが悪い事なのかよ? 
……でもまあ、言い換えた意見には賛成なのかね? 
気持ち良いよね、自分の平穏を護りきるのって……

だからさ、お前みたいな邪魔者は──
【言葉と共に自らの身体に穂先が固まり堅くなった筆を突き立てようとした刹那、注意力を失っていた青年に光学迷彩の人物が襲いかかるだろう】
【仮に成功した場合青年は誤って筆の穂先で自らの左腕を斬るだろう】

832 :桐斗 仁 [saga]:2015/01/02(金) 02:44:46.55 ID:LbFMs/x5o
>>829
【小さくも、どこか凛とした声が聞こえた】
【その声は酒で惚けた男の脳に入り込み、酔った頭がすうっと冴える】
【不思議と惹かれるその声の方へ、男は脚を運ぶ】

【数名と、そいつらに演説する女の前に現れた男】
【伸ばしっぱなしの髪を後ろでくくり、黒のレザージャケットを羽織っている】
【 達観しきっている訳でもないが、活力を感じることも無い、年齢どおり中途半端な顔立ちで顔に特徴は無い 】
【右手には琥珀色のウイスキーの瓶。よっぱらって居たのか、はだけたジャケットの奥、男の首筋には逆五亡星】
【この世でもっとも巨大な悪、カノッサ機関に属する人間である事を示していた】

部外者からの発言で申し訳ねぇんですが・・・・・・もうちと、穏便なやり方はないんですかい?

【だが、男の口から出たのは機関の人間とは思えない台詞】

はたから聞いてても、あんたの言うことはわかる。
あんたらに何か信念が有るのもわかる。
ですが、どうもその嬢ちゃんを犠牲にするってやり方は・・・・・・オススメしないというか。

【騙る男の視線はきょろきょろと、落ち着かない】
【自分でも、自分の立場とセリフのギャップに戸惑っているのか】

あー、なんだ。その嬢ちゃんから足が着くことだって有るだろうし・・・・・・

【ぐだぐだと語っているが、男の言いたいことは要するに】
【そこの女の子を逃がしてやれ、ということである】
【逃がしてしまえば尚更足が着くと言うのに】
833 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/02(金) 02:56:52.89 ID:O7I9rWtc0
>>832
 ――ん、と。ちょっと待ってくれ。客人だ。
 皆逃げる準備しておけよ、煩い奴だったら流石に分が悪――。

【ふらりと寄った足取りの男の容姿を、ちらと視界に入れて自分なりに分析する】
【伸ばしっぱなしの髪にレザージャケット……規則に五月蠅い警察関係の人間ではないだろう】
【それ所かウイスキーの瓶、ジャケットははだけ――なんだ? 浮浪者の仲間か?】
【と、頭で考え、僅かに顔を顰めていたが、今までの考えが全て消えた】
【逆五芒星――それだけでその容姿等にすべて合点がいった。つまりはそういう事なのだろう。ああ、と短く感嘆の息を漏らす】

 ……あー、今日はお終い、だな。
 また会えたらっつぅ事で……そうだな、その時までにどうにかしておけよ。
 多分、私はここの辺りにいるから。

【顔を戻し、短く言葉を伝えて遠回しに撤退しろ、と教えれば】
【それを察したのか、言葉を地面通りに飲み込んだかは知らないが、そこにいた数人は全員帰っていき】
【残されたのは袋から顔だけ出した少女のみ。声すら出さず、それ所か新たな登場人物に驚いているようだった】

 ――あれだろアンタ。その首筋の奴はお洒落じゃないんだろう?
 お洒落じゃなくて、何かの儀式でもないんだろ?
 だったら止めるのは無粋って奴じゃねーか? ……まあ、それはいいとして、だ。

【視線の落ち着かない青年。それに対し経緯を示す事なく、言葉は砕けた物を使い】
【カノッサ機関、という割には何とも怪しさが漂う男に、はてどうしたものかと内心では答えを練っていた】

 じゃあ、ここでこれを逃がしたとして、だ。
 まず嬢ちゃんは私の事を広めるだろう? そのリスク込みの穏便なやり方ってのは何があるんだ?
 まさか、何か可哀想だから、なんて理由じゃないよな。
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/02(金) 02:57:24.40 ID:Oo2lS9WRo
>>826 >>827

【確認するように、ひとつひとつ。カニバディールの口から重要なファクターが現れては消えていく】
【その流れを追って、少年は視線を中空へ投げた。――――いまカニバディールが挙げたすべての事柄が、自分と関わっていることを再認識して】

【事が進めば、いずれ『イタチ』の正体が露見する日は来るだろう。彼が、レイリスフィードの学生であると知られてしまう日が】
【元々彼が、メリッサ・ハーレイと知り合いだったことが。『TRAVIS』の御曹司と、今現在も友人関係にあることが】
【一年前、学内でマリオンの存在が明らかになったとき、ちょうど『ヘイダル』のメンバーが学園に調査へ訪れて、接触の機会があったことが】
【すこし前、かの戦神と同等に渡り合い、その侵攻を食い止めたもう一柱の神≠ェ、彼の幼馴染の体の中に眠っていることが――――、】

【すべての結節点となる場所に、ある少年の影がチラついている。情報屋なんて傍観者では、とうてい済まないような修羅場の中心に】
【光も闇もまとめて吹き荒らす、銀の竜巻のまんなかで、ひとり凪いだ大気を感じている者がいるのだ……】

【隠しきれるものではない。いずれは、明るみになる時も来る。けれど――――そう。いまはまだ、その時ではないはずだった】


ええ。どうぞ、平らげられるものなら、平らげてみてください。
少なくとも、マリオンが作るくだらない世界よりかは……あなた達が作った世界の方が、まだ希望がありそうだ。


【やはり少年は、平然とそう言うのだった。グロテスクに蠢く肉塊への本能的な嫌悪を、そういうものだと軽く割り切って、切り捨てた】
【カニバディールたち、『スクラップズ』の作る世界。そこに希望があるなどと嘯く口調は軽快で、まるで鉄の仮面に覆われているようだった】


――――ああ、本当に。あなたと契約できてよかったですよ。
こっちの世界に足を踏み入れてから、きょうほど有意義な時間を味わったのは、本当に久しぶりでした。
こちらも、また新しい情報を仕入れておきます。またよろしくお願いしますね、カニバディールさん。それに、『スクラップズ』の皆さんも。


【本心から嬉しそうに。どこからどう見ても嬉しいようにしか見えない顔で、少年は興奮した様子で天を仰いだ】
【連絡先の書かれたメモを差し出してながら、少年はまた一礼して、丁寧な笑顔を浮かべる。なんともこなれた、自然極まりない動作だ】
【とりあえずこれで、お互い今宵の用事は済んだ。無事連絡先を交換したなら、少年は「ありがとうございました」と告げて、夜の闇に消えていくだろう――――】


【…/ …/ ………、/】

【……と、その途上で。あっ、と立ち止まって、少年は振り返る】
【緊迫、興奮、愉悦。あらゆる色を包括した混沌の瞳が、どことも知れない深淵の奥底から、その場の全員をまとめて俯瞰したように思われた】


これは情報交換云々じゃなくて、単なる一個人の興味です。ですから答えなくても、嘘を付いても、なんだって構いません。
その上で、後学のために、最後にひとつ質問させてください。

――――あなたたちは、これからどこへ向かうんです?


【各地で暗躍し、犯罪を繰り返す盗賊団。どこへゆく、というのは当然、次の襲撃場所を教えろと言う意味ではない】
【なにを目指し、どこへ到達しようとするのか――――彼らが目指す展望を、少年は問うたのだ】

【そして、それがどんな答えでも。真実だろうが韜晦だろうが、あるいは口汚い罵声であろうが、少年は同様に満足気な表情を浮かべるはずだ】
【去っていく背中は小さい。まるで子供のようだし、実際に子供だ。これが果たして、将来どういう大人になるのかなんてことは、】

【――――銀の風を振り払って、あの恐ろしい混沌の中心へ突き進まない限り。いまはまだ、誰にも見えない所に横たわっているのだった】


/ここらで〆、でしょうか……!
/二日間、本当にありがとうございました!
835 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/02(金) 03:01:49.25 ID:w3lgl6d0o
>>831

おや、出身は私も櫻だよ。と言っても幼い時に水に移り住んでしまった。今となっては国籍も何処だか…
国際捜査管てのは移動が多くてねえ……お陰でアパートを借りたのも最後がいつだったか

【非常にのんびりとはにかんだ笑みを浮かべながら彼は話を続ける】

上はまた上に隷属する。その上はまた上に。民主主義国家ではそれは最終的に民衆へと帰結する。
要は多数派だ。…誰も悪くない。しいて言うならば、皆、悪い。そして実務は我々が請け負う。ただ、それだけです

【ふぅううと長い溜息。もう飽き飽きといった苦笑い。子供にいつまでも質問を繰り返される父親のような気分だ】

そんなこと、私は知らないよ。それにね。他の人もそう言うし、能力のない人間はこう言うんだ
『普通にしてただけなのに何故、こんな目に合わなくちゃいけない』って彼らは助けを求めた…
だから、その声にのっとって”改善”されたんだ。残念ながら政府は無力だ。全員を救うほどの力は持っていない
けれども、ひとりでも多くの人々を救おうとした。その結果、たまたま君は零れ落ちた。残念ながらね
……まあ、よそう。これは水掛け論だ。だって誰しも『最も不幸な被害者』何だから…

それに私が問題にしているのは君が何故人々を殺害したのかといことだ。私の見解ではお前が能力を用いて
何らかの理由で殺害し、今後放置していると被害が拡大する恐れがあるので拘束ないし、迅速な対処
を選んだんだ。もし正当な理由があるというのならおとなしく拘束されて弁護士に話すといい。権利は保証されてる

【刑事が熱弁を振るい相手を引きつけることに成功できたなら。背後のステルスは警棒を構えて】
【相手が全く気がついていない事を察知して、警棒を持ち替えて首に勢い良く回してそのまま締めようとするだろう】
【警棒を喉に押し、両手で引いてホールドしているが両手足は拘束されていない。暴れれば容易に解ける】

【しかし、可及的速やかに、迅速な対処をと刑事は言っていたにも関わらず気絶させて逮捕しようとした行為は】
【少し相反している。後ろからナイフでも一刺しすればすぐに対処できるはずであるのに】
836 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 03:12:23.26 ID:yZ4ae+hxo
>>830

胴体が真っ二つになったら大変どころの騒ぎじゃねーだろ、フツーは。

……知らねえよ。俺も自警団の方が忙しかったし、アンジェルの方も具合が良くないだとか何とかで、
あの件が落ち着いてからまだ会ってねえんだよ。

【返しの問いには、些か不機嫌そうに。しかし、それでも、答える内容は至極素直なもので】
【ただ、ここにいる筈、という点を語らなかったのは、前例から来るほんの少しの抵抗だった】

【それから、此方からの問いへの答えを聞いて。最初に出たのは、溜め息だった】

……死ぬ前に思い切ったことをしたい、ってのは、いい。だいたいの人はそう思うもんだろうからな。
だけど、お前の言うパーティーってのは、言葉ほど穏やかなものじゃあねえんだろ?

―――何回も言わせるなよ。
俺は、俺自身の正義を持って、この仕事やってんだ。
ラグナール。あの街でお前がやった事、忘れてなんかいねえ。
また力で誰かを虐げようっていうんなら――――俺は、絶対に許さねえ。

【カップを持つ手に、力が込められる。自らの信念を以て、彼の誘いの言葉を払い除けて】
【彼が、六罪王が言うパーティー≠ェ成功すればきっと、傷付く人が、悲しむ人が大勢いるはず】
【そんな事は、とても許せなかった。胸元に輝くバッジは、己の正義の証。】
【それを捨て去る事など、有り得ないと。そっちには、行けないと。】
837 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 03:23:47.62 ID:9QFOod+to
>>836

勿論、穏やかとはとても言えないだろうね。だってパーティーなんだから
火薬と火花はまず大事だ。パレードもしよう……そう、大勢でね
それも世界各国で同時にやれれば最高さ。
全ての行動は僕の名の下に行われて、最後は派手に決めて…――そして、死にたい。

……だから、僕はキミには一生許してもらえなさそうだ
また友達が一人居なくなったよ。フレデリックとも、音信不通でさ
本当の天涯孤独ってやつだね……だからこそ、誰かに見てもらいたいのかも知れないけど。

【正義に打ち震えるディハートに対して、巨悪を振るうダグラスの言葉は軽かった】
【絶対の理由が有るわけではない。自己分析をする余裕すら存在する】

【その上で口にするのは、史上最大の悲劇を是とする独り善がりの騒乱】
【或いは、この場で殴られても構わないというような投げやりな態度】
【自分から全てを突き放す、孤高気取りの青年。――そんな、軟弱で巫山戯た心が透けて見え】

『……どういった論を交わそうが結構だが、私の茶会で流血沙汰は許さんぞ。
 動かすのは舌だけにしておけよ……これは二人、どちらへの忠告でも有る。』

【釘を差すのはヴィサスであった。爬虫類のような切れ目長で鋭い瞳を両者に向け】
【そして、紅茶を味わう。美麗な動作は完成されていて、何処か威圧感を覚える程で】
【一応、だが――戻るのであれば、先ほど来た道に同じ魔法陣が敷かれている事も、併記しておく】
838 :桐斗 仁 [saga]:2015/01/02(金) 03:28:27.74 ID:LbFMs/x5o
>>833
・・・・・・察しの通りだよ

【ばつが悪そうに、首筋の逆五亡星を掻く】
【察しの通りの意味は2つ】
【首の逆五亡星が示すものと、そして】
【少女を逃がしてやれという理由の殆どがかわいそうだから、ということ】

どうも気分が悪いんだわ。
人殺しを咎める気はない。理由と意味があるのなら
ただ、なんつーか・・・・・・
誰でも良いのに殺すとか、そう言うのは意味と理由が有ったとしても、別の方法があるんじゃねーかって、思っちまう

本当はリスクなんて、難しいこと考えてねぇよ畜生

【自分でも言っていることがおかしいのはわかっている】
【それでも必死に反抗する理由はただ気分が悪い、気に入らないから】
【そんな浅いような、それでも譲れない理由】

あんたも、多分カノッサだろ。
なら何か通したいモノが有るのはわかる。
・・・・・・けどよ、どうしても、その娘を殺さなきゃいけない事なのか?
839 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/02(金) 03:33:15.36 ID:7Lk2MqBzo
>>834
【言葉を紡ぎ出す間、カニバディールはじっとイタチを観察し続けていた】
【やはり、彼の深淵からはそう簡単にくみ取れるものはない。当然、自分が上げたこと全ての中心に、眼前の彼がいるとは知らない】
【だがしかし。その鉄仮面の奥に、何かが。何かがちらついたのだけは、意識のどこかで感じ取れた】
【もう一つ。言葉の端に浮かぶ、己への嫌悪らしきものも。それらを飲み込んで、肉塊は笑った】

希望……希望か。ハ、ハハハ……ヒューハッハッハッハ……!!


ああ、こちらこそだよ。久しぶりに、有意義な時間を過ごせた
倉庫荒らしなどよりも、よほど大きな収穫だ。こちらこそ、宜しく頼む。それでは、また……

【こちらも、不気味な笑顔を呼吸器越しに浮かべて見せながら、別れの挨拶を送る】
【背後に控える異形どもも、思い思いの礼を返す。嬉しそうにしか見えない彼のその姿を】
【その場の異形ども全員が、彼と同じように沸き上がる恐れに近い感情を抑え込むような瞳で見ていた】

【連絡先を受け取り、こちらからも同じように渡す。これで、全ての成すべきことは終わり】
【自分たちも一刻も早くここから撤収せねばならない。踵を返し、大型車に乗り込もうとして――】


【全員が、一斉に彼の方を振り返った。深淵に潜む混沌のごとき、彼の瞳を全員が見返す】
【少年が一人でその混沌を内側に飼い慣らしているのなら、異形どもは全員で一個の生物として、同じく暗い昏い混沌で応じる】

――――。面白いことを聞くな

私たちはな、下に行くんだ

【カニバディールが、火傷塗れの隻腕を地面に向けた】

少しでも長く生き抜き、少しでも多く悪を成し、下へ下へ……誰よりも深く絶望的なところに向かう

【さて、それが彼にとってどんな感想を抱く答えだったかはわからない】
【だが、その時ばかりは、異形どもは少年の混沌と深淵に、ただ圧倒されるだけの存在ではなかった】
【異形どもの瞳は、昏く重く。自分たちこそが、生きた一個の地獄たらんとするかのように】

【彼のような少年相手に、するべき目ではないはずだ。されど、銀の風の億に眠る、その恐ろしい何かを】
【認めたからこその、異形どもなりの誠実な答えだった。盗賊どもは、地獄へ向かう。それがわかった上で、突き進んでいる、と】


【彼がされば、盗賊どもは即座に大型車を発進させる。道なき道を走り、自分たちの領域へと向かう】

[……ボス。あの男、本当に信用なさるんですかい?]

バカな。あの年であんな目をするような男を、手放しで信用するはずがないだろう
スカーベッジ、デュアル。ただちに、あの男についての情報を可能な限り洗い出せ

こればかりは、勘だが……私があの時挙げた全員と比べても、最も警戒に値するのはあの男、『イタチ』だ
たとえ、マリオンが巨人を手にすることがあろうと、彼奴の方こそを睨んでおくべきだ……

【その道中。大型車の中で交わされた会話は、異形ども以外の誰にも届かず、闇に溶けていった】

/了解です! 長期間のお付き合い、本当にありがとうございました!!
840 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/02(金) 03:48:34.51 ID:O7I9rWtc0
>>838
 ――へぇ……。

【相手の話を一通り聞いて、に、と口元を少し緩めた】
【それはとても奇妙だったからだ――カノッサ機関に入り込んだスパイ、という線すらあり得る程】
【世界を混乱に陥れる組織には似合わないようんい思えた】
【人を殺す事に、意味と理由を求める】
【ただ、カノッサ機関には、その理由がなくたっていい。それが混乱につながる。混乱を生じるから】
【――歪に見えたソレに、興味が湧いた】

 アンタみたいなのもいるんだな、機関≠ノは。
 ――アンタのせいで興の予定も潰れちまった。だから少し付き合えよ。

【サツが来ちまうかもしれないけどな――ニヒルに笑いながら、袋の近くへと女は歩いた】
【未だにその場に放置されたように、袋に詰められた少女は、女が近づいてきた時に、その顔を見て怯えるが】
【言葉を失っているのか、やはり声が出ない――そんな様子も気にせず、女は口を開いた】

 理由が無い? まずそこからだろう。あるんだよ。理由が。
 ――まあ、それはいいさ。少なくとも今あったばかりのアンタに長々と聞かせても退屈だろう?
 だから、短く纏めるけどよ――私はな、世界を変えたいんだよ。
 それには覚悟が必要なんだ。何でかって、この世界を変えるには、この世界にいる大勢の人間を殺さなくちゃならない。
 生きてる価値のない人間を、生きる価値のある人間が殺す――それをする為には、殺す事に慣れる必要がある。
 その覚悟が本物である必要がある――それで、男よりも殺し辛い、コレを選んだって訳だ。

【女の言う事はつまり、革命だった】
【今を生きる世界に対する、路地裏の隅の人間たちによる、住居の反転を狙う革命】
【それには、止まる事は許されない。折れない覚悟が必要――女は、そう言いたいようだ】

 それで、これでもまだ殺さなくちゃいけないのか――って聞くならよ。
 代わりに、アンタが死んでくれるのか?
841 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/02(金) 03:49:26.13 ID:C3q4vrs/O

>>835

……なっ……!? お前も櫻、だと!? 
ああ、でもガキの頃に他国に移住か……関係はねェな……
【目の前の男も櫻の出身と聞きとっさに身構えるも話を聞く内に“何事か”に関係はないと気付いたのか身構えるのをやめる】

……多数派……誰も悪くないが強いて言えば皆悪い……か……
【「子供に質問を繰り返される父親」。男は自分の気分をそう評した。しかし、何処か釈然としない表情で呟く青年のその姿は本当にまだ十歳を少し過ぎたばかりの子供のようで】

……助けて貰えない人間がいる……
【やっぱり理不尽だ、と青年は呟き】
……偶々零れ落ちた? 違うね、零れ落ちるべくして零れ落ちた……否、落とされたんだ、俺は……
【だって、××××××の×××ないし××××だもんな、と青年は哀しげな表情で呟く】

……で? 何故人を殺したかって? 

……あはは
あはははははははははははははははははははははは!!! 
【だが、話が犯行動機に及んだ途端青年はまた狂ったように笑い出した】

……決まってんだろ? 
此奴ら、櫻の人間だっていうのにそれを隠してそしらぬ振りしてやがったんだ! 
表向きは俺の事なんか知らないつて顔しといて裏では俺の事嘲笑ってたんだ!! 
だから殺した、俺を蔑む奴らは皆殺す……邪魔する奴もだ!! 
【どうやら青年は櫻の国の出身でありながら櫻の人間が嫌いらしい】
【そして、初詣の為に着物を着ていた人々を皆“櫻の国の住人”と思っているようで】
【しかも彼らが何らかの理由で自分を蔑んでいると思い込んでいるようで】
【だから、人々を殺害したらしい】

【青年が自らの主張を高らかに叫び終えたその時だった】
【不意に(勿論青年の視点から言えば、だが)青年はもう一人の人物に警棒と腕でホールドされてしまう】
【すぐさま青年は目を見開き、畜生、離せ! と叫び拘束を解こうと暴れる】
【そして解放されたのであれば青年はその場に崩れるように両膝をつく】
【身体能力はあまりないようだ】

【警棒を喉に押し、両手で引いてホールドしているが両手足は拘束されていない。暴れれば容易に解ける】



/すみません、ここらで凍結という事で……
明日も深夜になると思います
842 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 04:06:29.88 ID:yZ4ae+hxo
>>837

【長く、息を吐いた。目を閉じて、長く……長く。】
【息と一緒に何か別のものも吐き出そうとするかの様な、そんな風にも見えて】

――――同じ立場の人間だったなら、上手くやっていけたんだろうけどな……俺達。
だけど、俺とお前はこうして、正反対の所に立ってる。それでも本当は、戦わずに済めばいいって思ってた。

…………でもな、そんな自分勝手な事して最期を迎えるなんてこと、させねえからな。
捕まえて、そのツラぶん殴って、少しでも自分のやった事を償わせてやる。死ぬのはそれからだ。

【ここまでを言い終えたなら、渇いた口を、紅茶で潤して。冷え始めた紅茶が、妙に沁みる感じがした】
【カタン、と音を立ててカップを置けば、中はもう空っぽ。先ほどより随分と落ち着いた様子であったから、】
【殴りかかる心配はもう、無さそうではあったけれど】

大丈夫、殴るのは今じゃない。
第一、今ここで暴れたって、俺一人じゃ勝ち目なんて無いしな。


――――そろそろ、帰るか。だけど、その前に一つ――……

元≠セろうが何だろうが、間違った事をしようとしてるやつがいたら、俺は止める。
それが―――ダチってもんだ。少なくとも俺は、そう思ってる。

【ヴィサスの言葉に返す答えもまた、自分の置かれた状況を冷静に把握したもので】
【それから席を立てば、また来た道を帰っていくのだが、最後に一つ放ったのは、友だった者への言葉】

【――歩き出せば、もはや振り返ることも無く。やがては魔法陣の元へと辿り着くか】
843 :桐斗 仁 [saga]:2015/01/02(金) 04:09:30.59 ID:LbFMs/x5o
>>840
//私の方から絡んでおいて申し訳ないのですが、すいません・・・・・・凍結をお願いしてもよろしいでしょうか?
//眠気でどうも文章が思いつかないので・・・・・・
844 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/02(金) 04:21:54.42 ID:O7I9rWtc0
>>843
/いえいえ、大丈夫ですよー!
それではそちらの暇な時間帯に解凍してくれればと思います!
845 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 04:34:10.45 ID:9QFOod+to
>>842

運命ってのは、皮肉だね。僕と気の合う奴はみんな僕の手が届かない場所に居るよ
そして、それはキミから見ても同じコト……僕に手が届くかな?
……そうだったらいいと思うけど。期待はしないでおこうかな

【ディハートが紅茶の杯を空にして立ち上がり、帰路に付いて背を向けると】
【その最後の言葉――果たしてそれが、どうダグラスに響いたのかは分からないが】

【ガタン≠ニいう、椅子が動く音は聞こえたはずだった】
【かける声はない。或いは聞こえたとしても、魔術は無慈悲に発動する】
【ディハートは再び浮遊感を味わってから――森に出るだろう。もうそこは、島では無く】

…――お茶会、如何でしたか?ご友人も居らっしゃったはずですが……。
言いたくないのであれば、それも宜しいかと思います
私これでも、人の心を欠片は理解できるつもりですので…――。

……それではディハート様、今宵はもう、お帰りになったほうが宜しいですわね
遅い時間ですもの。ブリッツがもし戻ってきたら、貴方を殺さなくてはならないし。

【先ほどと寸分たがわぬ場所に立っているのは、ロース。白いドレスのような体表は変わらずで】
【遠く山並みの奥を見れば、うっすらと空が白んでいた。ホタルも姿を消していて――。】
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 04:49:55.00 ID:yZ4ae+hxo
>>845

【背中の向こうで、何か聞こえたような―――そんな気がした】
【それが自分の願望故の幻だったのか、それとも確かに発せられたものだったのかは、確かめる術もなくて】

【そうして森に戻れば、その景色が、随分と久し振りであるかのように感じられた】
【それほどに長く、あの島にいたような、そんな気分だった。】

……ああ、戻って……きたんだな。
行って良かった……んだと、思う。自分でも、何だかハッキリしねえんだけど、さ。

いずれはアンタとも戦う事になるんだろうが、今日は、色々と―――ありがとう。
その物騒なやつが帰ってくる前に行かせてもらうよ。今は、戦う気分じゃねえや……

【どうだったか、もしロースが話せと言っていたとしても、今は、語る事はできなかっただろう】
【どこかボンヤリとした様子で、幾つか告げて。そうすれば、彼女の言葉に従って、歩き出す】

【少しもすれば、その姿は木々の間に消えて。足音までも、遠くへと消えていった】



/遅くまでありがとうございました!お疲れ様でした!
847 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 04:57:46.79 ID:9QFOod+to
>>846
/お疲れ様でしたー!
/ちょっと今頭が動かないので、お返事はまたお昼ごろにさせて頂きますね!
848 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/02(金) 08:06:07.26 ID:RWL8fRzxO
/すみません、>>841の【身体能力は〜】の下の【】内は消し忘れです
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 15:08:50.68 ID:9QFOod+to
>>846

構いませんわ。私は貴方様の敵ですけれど、愚図ではなくてよ?
友人同士の出会いくらいは手配させて頂きます。

……さ、どうぞお気をつけて。先ほど居た彼、ブリッツと言うのですけれど
雷のように荒々しい起床の持ち主ですの。私が臨機応変に
それこそ水のごとく在るのとは正反対ですわね。

【では――とシルクハットを手に取り、恭しく頭を下げて彼を見送る】
【やがてその姿が見えなくなった頃、小川の水が一斉に跳ね上がり】
【周囲のホタルを全て飲み込んで、明かりが消えた。朝日がさす頃には】
【其処には既に何もなく――ロースというドレス姿の彼女も、消えていた】

/改めてですが、お疲れ様でしたっ!ありがとうございましたー!
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/02(金) 15:12:07.59 ID:w3lgl6d0o
>>841

【刑事は今度は苦虫を噛み潰したような顔だ。ああ、これだから能力者ってのは嫌なんだ】
【誰も彼もトラウマを抱えて精神衰弱状態で異常な犯罪に走る。そして死に急ぐ】
【それが能力の発露に繋がるのか、それとも能力者故のさだめとなってしまっているのか】
【どちらにせよ、そう考えると同情を禁じ得ない。あまりにも可愛そうだと…そう思ってしまう】
【能力者も無能力者も互いに互いを恐怖しているのか。いつまでたっても不安定なままだ】

そうか…だが、それを情状酌量の余地ありとするのは裁判官だ。だが、多くの場合
能力者というのは精神鑑定を受けてもその犯罪の重大性と当人の潜在的な攻撃性によって
重罪は免れない。…それについては私は常々、疑問視しているのだが…生憎、司法はどうしようも

【刑事は薄い笑みを浮かべながら法律と見解をいつまでも述べ続けた。だがしかし、彼の話すような】
【内容は聞いたことがない。多少なり新聞を読んでいれば気がつく事だが彼は雄弁に詭弁を弄し不安を煽る】
【ステルスを切り姿を表わすもう一人の人間。首を絞めるその姿を見て刑事はそちらへと歩み出す】

ああ、もういい。やめだやめだ。……そもそも私は担当部署が違うんだ。これは所轄に任せよう。もうすぐ来る
……君は、変わりたくは無いかい?蔑んだ人々に復讐するのもいい。だが、それだと君はより君の居場所を
自分の手で失ってしまう。君がどんなに強くても、”悪”であるうちは最後は打ち倒されるのが運命だ

【ホールドを開放して特殊部隊員のような人物は一歩下がる。刑事は更に近づいて】

ならば、弱きを助ける正義となればいい。私は一人でも多くを救いたいんだ。だけれど力がない。
だから力を貸して欲しい。カノッサやGIFTのような悪と立ち向かおう……その間は君の身分は保証する
私はそういう仕事をしているんだ。大きな戦争やテロを未然に防ぐ……

【心に付け込むような優しい声色で男は話す。一体何の話だか想像を出来ない。具体的な話は避けているが】
【何かの組織の存在をにおわせている。何にせよ魅力的に映るだろうか】

連絡しろ。事態が動き出して君が必要になる時が来る。…内密にな

【男は手帳に電話番号らしき数字の羅列を書き、ページをちぎっては彼の前に投げる】
【そうしている間に、パトカーのサイレンが聞こえてきた】

『ヤナギさん』

おし。…じゃあ行こう。今夜も冷えるな…全く

【ガスマスクから変声機を通したような声が聞こえた】
【そして二人組みは慌てるわけでもなくその場から立ち去り、遠くの人山に紛れていった】


/今夜は来れるかどうかちょっとわからないので勝手ながら〆させて頂きました
/お付き合いいいただきありがとうございましたー!
851 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 18:35:27.05 ID:9QFOod+to
【公園】

【寒風が吹く中、物好きにも東屋で読書をする少年の姿があった】
【髪は白銀。ハンチング帽を被っていて、深緑のコートを着込んでおり】
【手元の文庫本はボロボロ、ページを捲る手はほのかに霜焼けで赤らんで】

探偵かぁ……探偵って、色んな人とお話するお仕事だし……
ただ旅をしているより、もっと勉強になるかも……。

【ふと本から目を離して頭を上げ、ぼそりと呟きながら東屋を出る】
【向かう先は自動販売機。ちゃりん、と小銭を投入するものの】
【手持ちが乏しいのか、小さな手の内をぼうっと眺めていた】

【――勿論、足りないのはほんの数十円。其処に苦心する辺り】
【身長140cmほどの少年は、大分生活に困窮している様子だった】
852 :桐斗 仁 :2015/01/02(金) 18:48:29.80 ID:LbFMs/x50
>>840
【男の視線が下がる】
【即ちそれは、返す言葉が浮かばないということで】
【必死に頭を回して反論を考えてみても、思いつくのは自分でも浅いとわかるものばかり】

世界を変えたいって思うのは俺も同じだ。
そんで世界を変えたいなら大勢[ピーーー]必要があるのもわかる。
でも……その女の子じゃなくとも、生きる価値のない人間なら幾らでもいるはずだ
わざわざ何もしていないその子じゃなくても、[ピーーー]べき人間は他にも……

【やっと返した言葉。けれども声は弱弱しく】

【そしてその子を守るために、代わりに[ピーーー]るかと言われれば―――】

……それは、できない。
俺にだって目的はあるんだ。わざわざこんな組織に入ってまでやりたいことがな。
だが、見捨てるわけにもいかん。その子を見捨てたら、俺の目的の意味がなくなってしまう。

【ゆっくりと、男は少女のほうへ歩いていき】
【心配するなというように、少女のほうへ笑いかける】
【といっても、助けられる保証などないのに。】
【―――いや、この方法でなら―――】

なぁ、取引をしないか。

【これだ、と。確信を持ったその声は強く、響く】

俺にその子をくれ。
その代わりに、俺はあんたの駒になる。今回みたいな、何もしてない女の子を[ピーーー]ようなことじゃなかったらなんでもしてやる。

【そういうと男は首筋の逆五芒星、その隣に刻まれた14の文字を示し】

これでも、俺はNo.14だ。
その子を殺して得られる男たちの覚悟よりは、いいものだと思わないか?

//遅くなりました・・・・・・
853 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/02(金) 20:28:57.38 ID:JGlgJnwto
【夜、公園】

【円筒状のそれから突き出る蛇口の前に、縋り付くように、しゃがみ込む人の姿がいた】
【黒い髪に、黒の学生服、その上黒のインバネスコートを羽織り、黒鞘の太刀を右腰に携えた黒づくめの姿は、夜闇がその性別をも暈し】
【その手元もまた、暗闇に紛れさせていた、が】

「―――ッ……早く……如何にかせんと……ッ!!」

【近付いている内に、その全容が分かる筈だ】
【よく筋肉が付いてはいるが、その体躯は少女の物であり。彼女の傍らには、三つ、暗い赤色の物体が置かれていた】
【良く見ればそれは、怪我を負ったときに使用されるような、少し大きめのガーゼだった】
【それは最初からそうであったように赤黒く染まり、白の木綿糸の跡はまるでそちらの方が異物だったかのように、点々と残すのみであり】
【膨大な量の出血を、思わせた】

「どうする、どうすりゃあ―――――――――」

【手元を覗き込める距離になれば、分かるだろう】
【流され続ける水が流すのは、右手の傷口。手の平にも、大きな傷が刻まれているが、それ以上に】
【人差し指、中指、薬指―――――― 大凡の違いはある物の、大体が第一関節付近からの切断面が目立った】

「……こんなの、ウチに。価値が無くなったような、もんじゃんか……ッ!!!」

【服に水が跳ねる事も、血が跳ねる事も気にも留めず】
【ただ時折弱々しく声を漏らして、只管傷口を洗い流し続けていた】
854 :ジョシュア(上) ミスターY(下) [sage]:2015/01/02(金) 21:06:29.18 ID:H4ZwOjOHo
【とある小さな神社】


……ふぅ。やっとお店の方も落ち着いてきたなぁ
えと、一日遅れだけど……ご利益無くなったりはしないよね?


【元日も過ぎ人気も疎らな夜の神社を、少し不安げな表情で歩く人影があった】

【身長は150cm前後であろうか、赤地に桃色の花の刺繍が散りばめられた晴れ着に身を包んでいる】
【ふわふわした毛並みの金髪を緩く結っていて、澄んだサファイアのような碧眼を持つ】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】


確かお賽銭は……硬貨一枚だと縁起が悪いんだっけ?
二枚入れて……ガラガラを鳴らして、手を叩く……うぅん、やっぱり向こうの風習は難しいなぁ


【一人ぶつぶつと確認するように呟きながら】
【前をよく見ていないのか、少々危なっかしい足取りで歩いている】

【もし、同じような目的で訪れた者がいるならば人気が少ない事もあり少年が目につくかもしれない】
【また、前をよく確認していないこの少年に近づくことがあれば、ぶつかってしまう可能性も考えられる】


【――】


【どこかの川原】


はははははははーーーーーーッ!!!


【薄らと積もる雪と、寒風が身を凍えさせ】
【たまに見える釣り人以外にほとんど人気もない冬の川に、雷のような豪快な笑い声が響いた】
【もしその声のした方へと視線を向けることがあったならば、冬の川を下着一丁で泳ぐ馬鹿が目に入るだろう】

【その漢、身長の頃160cm程であろうか。低めの身長ながら岩を切り出したような見事な筋肉を備えており】
【下半身には白い褌をみちりと締めて、頭部には額に「Y」と金の刺繍が施された藍色のマスクを被っていた】


うむ、やはり新年といえば 寒! 中! 水! 泳! これに限るね!!
煩悩を払い、清々しい気持ちで年の初めを実感する! まったく、これぞ冬の醍醐味というものだよ!! 


【身が凍るような冬の川で、豪快にバタフライを決める覆面姿の筋肉達磨】
【通りかかれば嫌でも目につくようなそんな人物に対して、声をかける者は果たして存在するだろうか】
【また、近くで何かがあればこの男は敏感に察知し反応をしめすかもしれない】
855 :カニバディール [sage saga]:2015/01/02(金) 21:06:44.78 ID:6VGtrbQcO
>>853
カヒュー……カヒュー……

【夜の公園。呻きながら傷口を洗う少女。その右手の切断された指。不相応にも思える鍛えられた肉】
【一人の少女が絶望に沈む、そんな光景。そこに割り込んだのは、息詰まるような奇怪な呼吸音だった】

【公園の茂みの中から、ガサガサと音を立てて表れた物。それは、人間の上半身をさらに半分ほどの大きさにした肉塊のような怪物だった】
【胸までほどしかない身体にボロ切れのような黒い布をしっかりと巻きつけ、口に装着されたマスク型の人工呼吸器からは、細い呼吸音が不気味に漏れている】

【左腕は付け根から消失し、露出した右腕と首、顔面には広範囲に渡る凄惨な火傷の跡がある。唯一、右顔面にのみ、ほとんど火傷が見られない】
【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【脊椎の手前には、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本生えて、それが肉塊を支えていた】

【額には黒い瞳の巨大な一つ目。面積一杯を埋めている。本来の両目の位置には義眼。右が青、左が黒】
【そんな姿の化け物が一匹、月明かりの下に現れたのだ】

【化け物は、蛇口の前に跪く少女に気付くと、彼女に一つ目の視線をじっとりと注いだ】
【一つ目が彼女の切断された指の傷と傍らの物体、そして彼女の漏らす言葉を捉えた】

……価値が無くなる。どういう意味だ?
その指に、どんな価値があった?

【呼吸器を付けているにも関わらず、淀みない発音で重苦しい声が送り出された】

/レス速度が遅めになりそうですが、もしよろしければ……
856 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/02(金) 21:25:04.37 ID:O7I9rWtc0
>>852
 アンタは物燈がいいのか、悪いのか……。
 殺す必要があるのは理解してる。
 でも目の前の子は駄目だ、ね。
 
【殺すべき、人間】
【それを選別しろと言うのだろうか――少なくとも女はそう感じ取った】
【確かに、価値のある人は生き残り、次代へとそれを繋ぐべきだ、というのであればその通りだと女も考える】

 ――私からすれば同罪なんだよ、全員。

【だが、それを見て命の価値があるか、ないのか】
【それを判断する基準が、恐らく女は周りと違っていた】
【周り、それも常識の範疇である、模範的な周りとは違って、文字通り周り――自らの周囲、全員と】

 アンタはどう思う?
 この路地裏にいるような人間と――ただ、寝て起きるだけで明日が約束されるような表の人達。
 酷い差だとは思わないか?

【言葉を続けた】
【一瞬、ほんの一瞬だけ、眼を尖らせて、何かを恨めしそうに、ぎり、と睨むような顔をしたが】
【まさに刹那の間の出来事であり、目の錯覚でそう見えただけかもしれない、という程にそれは曖昧】 

 こいつらは生きる為に常に全力なんだよ。今だってそうだ。気を抜けば明日には死んでるかもしれない。
 でも、表の奴らは違う――何もしなくたって明日がある。ただ適当に、流されるように生きているだけでいいんだ。
 それでアイツらはこう言うんだ――可哀想って、ただ見るだけ見て、何もしない。
 ――なぁ、コイツもその一人だろう?

【声をかけ、男は笑いかける――それで本の幾ばくか、安らいだように見える表情が】
【ふっと、女の声と視線を投げれば、再度固まり、眼の端に滴を浮かべ】
【縮こまるよう身体をこわばらせながら、視線から逃れられないでいた】

 ――だから、だ。
 私はアンタの言う、何もしてない人間をまた選ぶかもしれない。
 まあ、善処はするが……それでいいなら、アンタと取引で構わないぜ?

【瞳を逸らし、再度男へと向ける】
【それは挑発か、試しているのか、それとも本音か】

 革命だ。
 この世界を、生きるべき人間が生きる――何も考えずに明日を享受できる人間と、明日と今日に生を願う、命の価値を知る人間を。

 ――反転≠ウせる。アンタはその手伝いをするって事で、いいんだよな?

/こちらも気づくのが遅れてごめんなさい!
/でも、ちょっとこっちは返事返すのが安定しないです……最悪切って頂いても……
857 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/02(金) 21:39:02.74 ID:JGlgJnwto
>>855
【ガサガサ、と音がした。気配を辿って見れば、その発生源は茂みの方―――――― 振り返る】
【犬や猫のような小動物にしては、気配が大き過ぎる。聞こえてくるのは、何か不気味な―――――― 呼吸の、音だろうか】
【人間か。水は出したまま、手も拭わずに、ゆっくりと振り返りつつ、振り返る。視線の先、茂みから現れたその姿は】

「――――――――― ッ、ひ、とじゃ―――――――――ッ!?」

【一人沈んでいく絶望の中への介入。その姿は、この正常な形を失った右手が霞んで見える程に、異形の様相を醸し出していた】
【これは、人なのだろうか。そうは見えなかった。人の上半身よりもさらに小さい、残骸に無理矢理機械を繋いで動かしているような姿をしていた】
【自分が白と黒とで両の瞳で色が違う様に、彼もそうなのかと思えば、それは良く出来た義眼―――― その視線は、額から、注がれていた】
【思わず、刀の柄に左手を添える。だがそれは、無差別に襲い掛かるような知性の無い怪物ではない様で、自分へと、問い掛けてきた】

「……聞いとった、のか」

【その言葉に、直接返答を返す前に、覚悟するかのように一つ言葉を挟んだ。その言葉自体には、大した意味は無かったが】
【思考の時間を稼ぐこと、僅かに間を取り持つ事を目的とした。見た事も無いこの異形の怪物―――――――― 言うべきか、否か。迷った】
【或いは、この目の前の化物が人の形をしていないことが、踏み切らせたのかもしれない】

「―――――――― ウチは、人斬りだ。
 二刀流の剣士―――――――― 両手に二本、剣を握って振り回す。それだけが、ウチの取り柄だった」

【右手を、突き出した。親指と小指だけを残して落とされた指は、腕が一つ、丸ごと存在しない―――― それ以上に、異形の彼と比べれば】
【小さく見える異形だが。剣士としては、明らかに致命的な欠損だった】

「こんなんじゃ、剣を握れん。自分の実力は、自分がよく分かっとる。
 剣一本じゃ、ウチは、たかが知れている。

 二刀流だけが、これがウチの、存在価値だった」

【泣き出したくなりそうなのを、歯を食い縛って耐えながら独白した】
【指を、手を失って、その上剣も失った。自分の取り柄が無くなった。故に、価値がなくなった、と】


「アンタみたいな化物と比べたら、ちっぽけかもしれんけど。
 ―――― アンタ。何者なん?」


【最後に、吐き捨てる様に、或いは紛らわす様にそう言った】

/大丈夫です、こちらこそよろしくお願いします!!
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 22:10:43.02 ID:hiEfwU40o
>>851

【小さな少年が自動販売機の前で苦心している間に、自動販売機の向かい側から、少年の姿が目に入ったらしい者が歩いて来た】
【大きな足音が聞こえるのでもなければ少年に話し掛けるのでもない。とはいえ静まり返った夜の公園では足音はよく聞こえるし、何より何か何とも言えぬ雰囲気がその者からはしていたので、程なく少年は近付く者に気付くかもしれない】

【少年が振り返れば、そこには見上げる程に大きな、190cm近い男が、モンローウォークで歩いてくるのがまず目に入るであろう】
【褐色の肌に良く生える真っ白なアフロヘアに、艶めかしく半開きの黄金色の瞳、それに加えて黒いレザーのパンツとジャケット、ボンテージブーツという出で立ちが、これでもかと『ヤバさ』という物を表現するのに役立っている】

【その男は、特に少年に話し掛けることも無く歩み寄って行き、右手をポケットに一度突っ込むと、何かを取り出した右手をぬぅと少年に突き出し───】

はい、これ……足りるかしら?

【……掌を少年の前に開くと、ニコリと笑顔を向けながら問い掛けた】
【開いた右手の掌には、自動販売機でジュースを一本買うには十分な程の小銭が載っていた】
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 22:20:08.87 ID:9QFOod+to
>>858

【少年は人一倍気配に敏感だ。理由はあるが、ともかくくるりと振り向けば】
【そのままの視線ではナニが来たのか理解できず――ぐう、と目線を上まで上げて】

【自然と口がストンと開いた。呆気にとられるとはまさにこのことだろうか】
【一歩も動くことも出来なうちに―ちなみに口元を見れば犬歯が長く、鋭く―】
【――ちゃりん、と小銭を手に受けて。質問には、遅れてコクコクと首を縦に振り】

……ぁ、あっ……その、あの……。ありがとう、ございます……
これで丁度で……えと、二本買える、かな……?

【貰った分も合わせて、慌てて小銭を自販機へ。買い求めるのは温かな、お汁粉の缶】
【それを二本。一方を自分の手に取ってから、もう一方を眼前の男性に差し出した】
【『どうぞ』という言葉は尻すぼみ。怯えている、というか――かなり静かな性格の少年らしかった】
860 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 22:36:21.82 ID:hiEfwU40o
>>859

【少年の第一反応には特に対応せずに、少年が小銭を受け取ると「そう、よかった」と頷いた】
【動揺する少年を尻目に出された缶を受け取る、少年が自動販売機に向いている間に目線を合わすようにしゃがみ込んでいた】

あら、どうもありがとう。嬉しいわぁ

【「ウフフ」と笑い、快く礼をする。話し方は何だか女性っぽいが、顔付きや声は見間違える筈もなく男の物である】
【所謂『ソッチ系』の人間そうな男は、少年の読んでいた本に視線を滑らせると、目線を合わせたまま続けた】

こんな時間に、お外で読書だなんて感心しないわよ、暗いし、風邪を引いちゃうかもしれないし───

それに、怖〜い人だって、来ちゃうかもしれないわよン?

【至極もっともらしい事を言っているようにも聞こえるが、言う本人の姿と雰囲気がやたらと危険なソレである】
【とはいえ、今の所はこの男も、雰囲気がアレなだけで、優しげに少年を心配しているだけなのだが】
861 :カニバディール [sage saga]:2015/01/02(金) 22:46:37.02 ID:6VGtrbQcO
>>857
【こちらを振り向いた彼女の表情、慣れ切った反応だ。いきなりこの異形を目の当たりにして、気を失わないだけ相応の胆力があると言えるだろう】
【彼女の孤独な絶望に、不躾に踏み込んできた怪物は、気にする様子もなく無遠慮な視線を彼女に投げる】
【この有様で生存しているのは能力によるものだが、彼女がそういった感想を抱いても無理はない。機械によるものの方が、まだまともだろう】
【奇しくもオッドアイは共通の特徴だが、それすらも偽物。あまりに違う二人のきみさな邂逅】

【彼女が刀に手をかけるのを見ても、異形は変わらず彼女を見ている。問いかけへの答えを待っているのだ。果たして、それは齎された。一つ、落とされた言葉を掬い取って返す】

すまないね。盗み聞きをするつもりはなかったのだが、偶然聞こえたんだ


【彼女の内の葛藤は知る由もなく。それが齎したわずかな間は、異形に取っても彼女を観察する時間となりえた。果たして、彼女は思考の結論を出したらしい】
【己の異形が、その解答に一役買ったことなど知らぬままに、彼女の答えを咀嚼する】


人斬り……それも二刀流か。なるほどな
それならば、その手指はまさに生命線だろう
その言い草からして、ただの悦楽のための人斬りでもないようだ。そんな人間の右手が、その有様か……
確かに、価値を切り落とされたとはその通りらしい

【突き出された右手を、ひとつきりの目玉が眺める。見事なまでの切断面。剣士が受ける傷としては最悪のものだ。離れた位置に二本だけ残された指は、まるで引き裂かれた誰かと誰かのように】

だろうな。どれほどの剣士だろうと、離れた指二本で得物を操るのは至難の業だろう

この世に唯一、見出していた価値を失った……そういう人間は、何度か見た覚えがある。皆、死人のような目をしていた

いったい、誰にやられたんだ? 人斬りというなら、自警団か警察か、正義組織にでも追い立てられたのかね?

【泣き出しそうな少女を前に、気遣うつもりなどさらさらないと言わんばかりの続け様の問い。異形は自身の興味だけに従っていた】
【それ故に、彼女の言葉は真剣に聞いている。一字一句、聞き漏らすまいとばかりに。己を失った、剣士の言葉を】

カヒュー……これでも、れっきとした人間なのだがね。お前と同じように肉体を失って、それを無理やり補った結果がこれだよ

ヒュハー、ヒュハ、それはそうだ。私と比べれば、たいていの者はそうだろうよ

私かね? そうだな、肩書きはいくつかあるが……
カノッサ機関ナンバーズ、No.29。カニバディールという、しがない犯罪者だ

それで、お前の名前は? 人斬りさん

【吐き捨てるような語調にも構わず、異形は名乗った。指名手配されている、犯罪者の名を。彼女の誰より大切な友人と同じ組織に立つ者の名を】

/いきなりお待たせしました……よろしくお願いします
862 :桐斗 仁 [saga]:2015/01/02(金) 22:46:47.67 ID:LbFMs/x5o
>>856
酷い差だと思うさ。理不尽だと思うさ。
でも、だからといって・・・・・・その子達に生きてる価値がないとは思えないんだわ

【尖る視線に、自らも視線を尖らせて返す】
【男はこの女の言うことを否定できない。だが、肯定もできない】
【誰一人として犠牲のない世界をめざす、それが目標の男に取って】
【女の言う生きる価値の無い人間、有る人間、そのどちらも見捨てる訳には行かない存在だから】

・・・・・・なにもしないのは、悪いことなんだろう。
だが、よ。それを言うならおまえらも何かしたのかよ
助けを求めてみたのか?


意味と理由が存在するなら、何だってやってやる
何もやってない子を殺すことになったとしたら・・・・・・そのとき、かんがえる

【女の案に乗るという事は、今日助けたあの子もいつかは殺されてしまうかもしれない】
【でも、今見過ごせば確実にあの子は死ぬ】
【それだけは避けなければ。今はこうするしかない】
【それに───】

これだけ言い合って変な言い方になるが、あんたは信用できる、と思うから。
・・・・・・少なくとも、あんたは意味も理由も無いことは言わない。そんな気がする

俺はカノッサ機関No.14、桐斗 仁
俺はもう、あんたの駒だ。好きに使え

//すみません遅れました・・・・・・
//短いロールでしたが、とりあえずここで〆と言うことで!
863 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 22:51:24.84 ID:9QFOod+to
>>860

い、いえ……あの、お金。……ありがとうございます
……櫻の国から出て来たんですけど、中々やりくりが難しくて。
宿に泊まるお金も丁度無くて、それで……こ、怖い人……ですか……?

【普通であれば引く対象――つまり『ソッチ系』という彼、或いは彼女を前にして】
【驚きつつもちゃんと言葉を返すのは、そういうわけだったと分かるだろう】

【つまり、櫻の国から来たばかりだから一般常識でも知らないことがある、と】
【怖い人と言われれば思わず身を縮こまらせるが、どういった人か想像が付かないのか】
【目の前の人物がそうだとは思い込まず。――ふと、クンクンと匂いを嗅ぐように鼻を動かし】

……でも、おにいさ…――お姉さんからは、怖いにおいがしないです。
近付いてくるときもそれは分かってたから……大丈、夫……?

【語尾が何処と無く疑問符なのは、自信が無いからだろうか】
【首を傾げる様子などは小動物のようにも思えて――カコッ、と缶のプルタブが開く音がした】
864 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 23:26:04.38 ID:hiEfwU40o
>>863

そう、旅をしているのね。素敵じゃないの
お金のやりくりに悩みながらも世界を巡る旅……いいわねぇ、夢があるわぁ

【『櫻の国から出て来た』という少年の談から、恐らく旅をしているのだろうと考えたようだ】
【少し夢見がちに、憧れるように頷く】

でも、余り手放しにいい事とも言えないわねぇ、本当に危険なのよぉ?
人は結構ポンポン死んでるしねぇ、つまりポンポン人を殺しちゃうような困ったちゃんが沢山いるのよぉ……特にこんな夜には、ね

【歯に衣着せぬ、そのまんまの言い方で、怖い人とはどんなに怖い人なのかを端的に語る】
【割と慣れた口振の言い方からして、この男もそのような場面には慣れているらしい───どの立場からだろうか?】

あらあら、ワンちゃんみたいねぇ。匂いで悪いかどうかわかるのかしら?
……でも、人はワンちゃんとは違うのよぉ、それにワンちゃんにだって、匂いではきっと善悪はわからないわぁ
それにアタシ、香水もつけてるしねぇ

【「ウフフ」とミステリアスに笑いながら、続ける言葉は何か引っかかるような物言いだ】
【少年を見る目は悪どい物ではなく、正しく小動物を愛でるような物であるが……】

でも、ジュースを買うお金も無いなんて本当に大変ねぇ、こんなに寒いのに
あなた、宿はどうしているのかしら?

865 :ロレッタ・ヘントプレック/若きSCARLET捜査官 [saga]:2015/01/02(金) 23:26:58.37 ID:lVIDLJMs0
【――大都市の郊外にぽつんと残された、歴史ある墓地】

【都会にあって特有の静粛な陰鬱さが残されたこの場所は、年始に意外な賑わいを見せる】
【年の始まりに祖先や肉親に挨拶をしておこうと考える人が、少なからずいるのだ】

【今は既に夕刻。閉園の時間まであと30分ほどとなり、流石に人影はごく僅かだが】
【それでも、家族の霊前で去りし一年の報告を行っている者は、まだ残っていた】


 ……ごめん、みんな。今年は来るのが遅れてしまった。
 年末に仕事で怪我をしてしまって。……本当はまだダメなんだけれど、無理を言って来たんだよ。


【それは、ロングのダッフルコートと光沢のあるワークブーツで身を固めた若い女性だ】
【喪服――というわけではないが、毛先のカールした長いブロンドを除けば、彼女は頭から爪先まで黒ずくめで】
【右眼につけられた革の眼帯の存在もあり、重苦しい空気を纏って見えた】


 道すがら、ロッテの好きなお菓子を買ってきたよ。一緒に食べよう。
 お父さんお母さんには花だけだけどね。……いいでしょ、本当はまだお年玉もらってるんだから。


【献花台の瓶に瑞々しい花を挿しながら、女性は寄り添うように並んだ3つの墓碑を見つめる】
【生年と名前を鑑みるに、そこには彼女の父と母と妹が眠っているのだろう】

【だが本当に重要なのは、彼らが亡くなった時期だ】
【――3つの墓碑には、等しく5年前の同じ月、同じ日が、命日として刻まれているのだ】

【記憶を掘り起こしたなら、それは当時、カノッサ機関の大規模な異能テロが起きた日だと分かるかもしれない】
【その上で彼女に声をかけるかは、あなた次第である】
866 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/02(金) 23:27:01.10 ID:JGlgJnwto
>>861
「―――――――― ナンバー、ズ ――――――――」

【この男は、自分の大切な―――――――― 言ってしまえば、この指よりも大事な友人≠ニ同じ組織に立つ者】
【この異形の人間は、自分よりも遥か上の、大物】
【息を?んだ。だがどんな事をすればいいのかわからなかった。どんな行動を取ればいいのか、どう言えばいいのか。分からなかった】
【辛うじて、敬語でも使うべきか、何て、どうでもいい事を思った。だが、流石に今更過ぎるかと、それは止めて――― 緊張に、無傷の左手を握り締め】
【彼に問われた事に対して、一つずつ答えていく事。それが兎も角、思いつく事だった。】

 ・・・
「ほだよ。ウチの指を斬ったのは、SCARLETの女だった。社会に肯定された、正義≠セった。 
 剣を、折られたくらいなら。まだ取り返せた。けど、今度は指だった。指を斬られた。
 ―――――――― どうしようもないじゃん、こんなん」

【この男は、此方への気遣いを欠片も見せなかった。同情などほんの欠片も無かった、実にらしい£jだった】
【異形がただ興味だけで聞いていたのは、やはり功を奏していた。いらない憐れみを籠めた同情などされていたら、この身でありながら剣を抜いていたかもしれない】
【そんな事をしたところで、No.≠ニ言う絶対的な存在に対して良い状況に陥る訳でも無いのだから、二十に幸運だった】

「否定されるだけのウチの剣を、やっと肯定してくれる人を見つけた。
 疎まれて、拒絶されるべきウチを、否定せずに、あまつさえ友達≠ノなってくれるって。
 ウチは正義に許容されない、排斥されるべき人間かもしれん。でも、でも―――――――― せっかく、せっかく理由≠見つけたのに。

 あんまりだら、こんなん」

【櫻の国の片田舎の方言を交えながら語る。左手が、両目の掛かる程度に伸びた前髪をくしゃりと握った】
【カノッサ機関、No.≠ナある、余りにも分かり易い悪≠ナあるこの異形の男に対して、こんな独白をするのは余りにも滑稽だと、彼女自身も知っていたが】
【やはり。人間と会話している感覚が無いからか、それとも自分よりも余りにも崩れている£jに対した言葉を叩き付けるのを、楽に感じたからか】
【つらつらと、そう語って】


「ウチの名前は、ミヤフジ。宮藤、帯刀。えっと、カニバ、ディール、さん?

 カノッサの、ナンバーズが。ウチの名前なんて聞いてどうする気?」


【最近で名を問われたのは二度目。しかも両者共にカノッサ機関のNo.≠ニいう大物なのは、何か自分には奇妙な縁でもあるのだろうか】
【或いは自分が、どう心の内で足掻こうともその性根が市井に決して交われない、悪≠セからなのか】
【そう名乗り、慣れない敬称を付けて彼の異形の名を呼んだ後。今度もまた、別の理由ではあるが、紛らわすような口振りで彼に問うた】
867 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 23:33:43.49 ID:9QFOod+to
>>864
//っと申し訳ない、時間になってしまったので凍結をお願いしたく……!
//舞台裏に書いた通り、来れるのは明日の昼か明後日になりそうです
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/02(金) 23:38:19.31 ID:hiEfwU40o
>>867
/了解です、明日の昼にはいると思うので準備出来次第舞台裏で呼びかけてください
869 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/02(金) 23:41:58.58 ID:9QFOod+to
>>868
//ありがとうございます!恐らく12〜2時ごろにはお呼び出来るかとっ。
//では、一旦お疲れ様でしたー!
870 :カニバディール [sage saga]:2015/01/03(土) 00:22:21.02 ID:MeslWLhWO
>>866
(……なんだ……?)


【世界最悪の組織の戦力である、と明かされたことを考えれば、その反応は自然と言えるかもしれない。だが、そこに何らかの違和感を見出す】
【驚きの中にも、何か異なった色合いを感じる。それが何かはわからなかったが。それも、彼女が言葉を紡ぎ出せば、そちらへの興味の前に雲散霧消した】


SCARLET、か……そうか、彼奴等の仕業か
肯定された、正義=c…カヒュー……その通りだろうな

ああ、そのままではどうにもなるまいな
人斬りとて人なのだから、人の身でどうにもならないことはあろうさ

【平然と言ってのける言葉は、あっさりと彼女の絶望を肯定する。ただ、事実だけを重い声音に乗せて送り出す】
【この手の人間は下手な同情を嫌う、ということは異形も知っていたが、そうした打算よりもやはり、自身の興味を、利己を優先するこの男の精神性によるところが大きい】

ほう……それは珍しい話だ。人斬りの剣を認め、あまつさえ友人になるとはな
そんな機会に恵まれたにも関わらず、かかる有様に追い込まれた。絶望の一つもして当然だな

理由、とはその友人のために、と言うわけかね。お前の剣は、その友人に捧げたといところか?
友人のためなら、誰だろうと斬れる……そのはずが、今や剣を握ることすら出来なくなった……カヒュー……

【方言を交えた彼女の言葉を、余すところなく己の中に取り込んでいく。握り締められた前髪を見ながら】
【以外にも、この状況下での話し相手として、異形はふさわしい相手だったのか、すらすらと語られる彼女の理由。その悲壮な傷口に塩を塗りこむような容赦ない返事を異形は向ける】
【自らへと投げつけられる独白を、全て受け止めながら】

宮藤帯刀……帯刀とは、人斬りには似合いの名だな
どうする、か……ふむ、単に興味本位ではあったのだが……

【彼女の持つ奇縁は知らず、考え込む姿勢を見せる。彼女よりも、より悪質でドス黒い、邪悪な本質をもって】
【返される問いに、先の彼女と同じく少しの間を置いて。異形は答えた】


……私はね。正義という連中が嫌いだ。奴らが、忌々しくて、恐ろしくて、仕方がないんだ
彼奴等に被害を与えるためなら、私は手段を選ばない

……落とされた指は、回収してあるのか?
私の仲間のナンバーズにも、敵に切り落とされた腕を接合手術を受けて戻したものがいる。機関には、それだけの技術がある

指がないなら、義肢を製作する技術者もいる。やりようはある……
上手くすれば、彼奴等への最高の嫌がらせ≠ノなるだろうな

……話に乗る気はあるかね?

【なんとも、身勝手な話だ。この異形は、少女の絶望や意思など無視し、同情の欠片も見せず、失敗の可能性も示唆せずに】
【単に正義への個人的な嫌がらせのために、彼女に指を取り戻す機会を提案したのだ。それでも、一応は意思を問う姿勢を見せたのは、彼女に何を見出してのことなのか】
【言葉を切った異形は、答えを待って佇んでいた。いつ切りかかられても対処出来るよう、警戒を絶やさないまま】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 00:58:59.14 ID:bIAF8vNRo
【酒場】

【ニューイヤーでまだまだ浮足立った街並み。飲みの場も大いに盛り上がっている】
【この旧市街の交差点にある古臭い安酒場の前に1台の車がとまる。街並みに不釣り合いな】
【真っ赤なスポーツカー。喧騒の街にバリバリと裂くように響き渡るエンジン音。気取ったガルウィング】
【世界に何百台しかないとかいう代物で通行人の何人かはケータイのカメラを向けて収める】

あー…うっせえし、狭いし、目立つし…やんなるなあ…ったく

【降りてきたのはその気取った車とマッチした背の高い男。黒髪のとんがったような鼻の人物】
【高そうな茶の三つ揃えを着て、顔を隠すように夜でもサングラスをかけていた。成金の青年実業家】
【またはマフィア、あるいは映画俳優といった感じだ。そんな男は不釣り合いな安酒場に入る】
【真っ直ぐカウンターに向かっていって空いている席に座る。ポケットから札を取り出して】

あー…飲み過ぎで頭痛い…とりあえずビール。ヌルいギネスを1パイントでな

【そう注文すると、隣に座っていた客が彼の目の前に小さい茶封筒を差し出す。彼はそれを手に取ると】
【中身の折りたたまれた書類を広げて、すぐに封筒へ戻す。彼は上着の内ポケットに手を入れて今度は】
【分厚く膨らんだ封筒を取り出して、隣の客に渡す。客は中身の紙幣の束をざっと確認するとポケットに入れ】
【ビールがつく前に席を立った。今日は混雑していて空いている席はなかなか無い。もしかすると一部始終を…】
872 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/03(土) 01:05:12.23 ID:pInsXFo5o
>>870

【この異形の怪物は、彼女に欠片の同情も見せなかった。その言葉の一つ一つが、宮藤帯刀の心を抉ろうとする】
【それは事実なのだから。それが宮藤帯刀と言う少女の前に立ちはだかる事実だからこそ、傷付けられこそすれ不快感を与えられる事はなかった】
【この男は、本当に興味でしか動いてなかったのだろう―――――――― そして同時に、邪悪だった】

【自分の中に在る悪性、或いは友人≠ェ持つ悪性よりも純度の濃い邪悪≠ネ性質そのもの―――――――― その思考の合間に、垣間見た】
【寒気が奔るほどに恐ろしい。ナンバーズ≠ニは、或いはカノッサ機関とはこういう存在なのだ、と改めて実感した】
【そして同時に。自分が生きる事の出来る世界が、そう言う世界≠オかないのだと再認する】
【何故ならば、この宮藤帯刀と言う少女は、この異形の男に邪悪による恐ろしさこそ感じれど、それが不快や敵意に直結しなかったのだから】


「―――――――― ウチなんて、比べ物にならん」


【思わずそう呟いた。同時に、自分の知る友人≠烽アれほどの闇を抱えているのかと、考えた】
【―――― 抱えているのだろう。カノッサ機関のナンバーズとは、そう言う存在なのだろう。邪悪を以って、大事を成す=z
【自分は。それを見届けることが出来ないかもしれない。その邪悪≠フ果ての地形まで、辿り着けないかもしれない、それでも】

「そう、ウチは。この剣を、友達≠ノ捧げたい。その為ならば誰だって斬れる。
 だから、こんな所で―――――――― 剣を握ることが出来んくなるなんて¢マえられん」

「ウチは正義の事を忌々しいとは思わん。だけど、今分かった。
 世界に肯定された正義≠ェ、妬ましい、恐ろしい―――――――― そして、怨めしい」

「だから――――――――」

「指は、刀の片割れと一緒に落としてきた。そこまで頭が、回らんかった。それでも、何とかなるのなら」

【彼の持ちかけた言葉は、余りにも不確定要素が多過ぎる。話に乗るか、と問われても、何をするかも分からない】
【それによってもたらされるのがどんな物なのか、それによってどんなデメリットがあるのか。その答えを求めない程に、宮藤帯刀は馬鹿では無い】
【だが。それ以上に、その言葉は魅力的だった】

【彼奴等への最高の嫌がらせ≠ノなるだろうな】

【あの、自分の指を落とした女を。自分を市井から排斥する正義を。或いは――――――――友人≠悪とする、この世界の正義たちに対する】
【ささやかな復讐になるのならば】

「カニバディールさん。アンタ、本当に自分勝手な人だわ。ほだけど、その方がやり易い。
 信用は出来んけど、納得はできる」

「私の指を、取り戻し。もう一度帯刀≠オ。アイツらを、斬りたい。
 剣≠ノ、なりたい」




「――――― 乗る。その、自分勝手な提案に」

【斬りかかる事は無く。返す言葉は、了承だった】
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/03(土) 01:10:50.79 ID:lIHem76W0

>>850

……ハッ、精神鑑定ねェ……
まあ、自分一人のしでかした事だけで裁かれるってんなら構わねェよ俺は
それで斬首されようが火刑に処されようがな
【×××の××だからって差別されるよりよっぽどマシだ、と青年は拘束されつつも笑う】
【ただ、その笑顔は自嘲めいたものではあったが】

【刑事の話す内容がおかしいという事には全くもって気付いていない】
【まあ彼は元から新聞を読まない性分だし、そもそも此処何年も新聞(瓦版)を読んでいないので気付けないのも当たり前なのだが】

…………ッ!! 
げほッ……何言ってんだお前……
【不意に拘束が解け、地面に崩れるように両膝をついた青年は咳き込みながらも刑事をキッと睨みつける】
【だが、その直後に浮かべた表情はひどく寂しげなもので】

……そんなの、とっくに解ってる
【ぽつりと呟く言葉はその表情同様ひどく弱々しい】

【実のところ、彼は薄々感づいてはいた】
【自分の行為が自分の首を絞めているということに】

【はじめはただ、恐れていただけだった】
【せっかく知らない土地に来たというのに自分が嘗て受けた差別が、人々が自分を見る物珍しげな目とどうにも重なってしまって】
【いもしない「自分の出自を人々に教え、怪物か何かを見る目を向けさせた犯人」を探して他人を虐げた】
【誰かの言った嘘の人物像に飛び付き、そんな人間などいもしないのに必死に追いかけた】
【そのうちにそんな奴はいないと気付いたのに、それを認めたくなどなくて】
【其処からはもう後に退けなくなって】
【誰も彼もが本当に自分を「所詮“蛙”の子は“蛙”なのだ」と蔑んで嘲笑っているような気がして】
【そう思っていると錯覚した相手を難癖をつけて殺す事で「自分は“蛙”ではない」と満足する反面「これじゃあ本当に“蛙”じゃないか」という気持ちも膨らんで】
【それでも青年にはどうも出来なかった】
【今までの経験から「声に出して否定する事」も「誰かに助けを求める事」も「ただ逃げてひたすら時が過ぎるのを待つ事」も否定せざるを得なくて、もう何にも出来なかった】
【何が最善の手なのかも分からないでいた】

……せい、ぎ……? 
【俺が? と青年は呆けたような表情を浮かべて呟く】
【青年はそのまま投げられた手帳のページを拾い上げる】

……何がなんだか、分からないな……
【サイレンの音を遠くに聞きながら青年は二人組を見送る】

……なぁ、俺はどうすれば良いのかな? 


────にいさん……
【青年の呟きは虚空にかき消された】


/遅ればせながらお疲れ様でした! 

874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/03(土) 01:39:08.62 ID:FbWSea7Jo
>>872
【どこまでも悪辣で、邪悪。この異形の本質は結局のところそういうことだ】
【このような救えぬ悪党も存在する。それも、その精神を具現化したような異形の姿で】
【その事実は、人斬りたる少女に何をもたらしたのだろうか。ポツリとつぶやかれた言葉に、異形は密かに呼吸器の奥で笑みを浮かべた】

【彼女の中で渦巻くものを見通すことは出来ない。人の心は知りがたい。それがこのような状況ならば、なおさら】
【だが、この場の二人にとって重要なのは、それではなかった】


――――そうか。幸いにして、利害は一致を見たらしいな
お前の友達も、こちら側なのだろうな? どんな人物かは知らないが
その友達が、お前の剣を以って何を成すのか、叶うならば見てみたいものだ……カヒュー……

ふ、ふ。そうかね……こうして同じ側の相手と対等に言葉を交わすのも悪くはないものだ
指はない、か。ならば義肢だな……制作には少しばかり時間が必要だろうが、何、機関の技術者が集まればそう長くはかからない

【彼女の疑念は至極当然と言えるだろう。まともな人間なら、このような化け物の話には乗らないはずだ】
【だが、そのまともの領域にいられない者も確実に存在する。彼女の選択が、その証左だった】
【自分の放った一言が、トリガーを引いた。一人の人斬りを、再び血生臭い世界へ引き戻すためのトリガーを】


カヒュー……ああ、私はひどく身勝手な男だ
だからこそ、利害が合えば裏切らないさ。何せ、自分の為だからな

ついてくるといい。機関の本部へ案内しよう……

【異形はそういうと、すぐに踵を返して己が這い出てきた茂みの奥へと歩を進めた】
【それに従っていけば、異形はやがて途中で立ち止まり、身をかがめて地面に触れる。すると、土にカモフラージュされた地下への入り口が口を開けた】

【一度、帯刀を振り返り、首で降りてくるように示すと、先に穴へと飛び込んだ。少しして、着地音が響いた】
【穴には、梯子がかけられている。指のない状態で降りるのには苦労するだろうが、そんな気遣いとは無縁の男だ】


【梯子を降り切れば上の蓋が一人でに閉ま。眼前に広がるのは、薄暗い光に照らされた巨大な人工の通路だった】
【通路の真ん中に異形が立ち、その傍らには大型車が停車している。運転席には、鉛色の髪をオールバックにし、同じく鉛色の瞳をした】
【顔のあちこちにピアスをつけた男が座っていた。鉛色の瞳がちらと帯刀を見て、すぐに前方に戻された】
【異形は荷台へと乗るように彼女に促して、自らが先に乗り込んだ。かしゃかしゃ、と奇怪な足音が響く】

【さて、ここが分かれ道。引き返すなら、ここが最後の機会だ。異形どもは追ってはこないだろう】
【乗り込んでしまえば、後は闇の奥へと一直線。即座に車は発信するだろう。機関本部へ向けて】
875 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/03(土) 02:14:41.88 ID:pInsXFo5o
>>874

【利害の一致。或いは、この男の言葉に頷く事が無ければ、物理的に≠ナはあるが、普通の生活に戻ることが出来たかもしれない】
【だがそれは決して幸福では無い事は、こうして、この異形の言葉に頷いたことで明確となった】
【断頭台は死ぬまで断頭台≠ニ、且つてとある少女に言った。そして同じく、人斬りは死ぬまで人斬り≠ニも、口走った】
【こうも分かり易くそれが証明されると、思わず小さく笑いが浮かぶくらいに愉快だった】

「そう。ウチの友達も、こっち側。もうカノッサ機関におるよ。
 名前は―――――――――― いや、今は止めとく。もしもウチの指が繋がったら、その時に。
 それで報酬にするわ。それだけの価値は、いや、それ以上の価値が、あるもん」

「期待するわ。カノッサ機関―――――――――― 世界への大逆集団の、技術力」

【宮藤帯刀は不遜にそう言った。友達≠ノは、それだけの価値があると――――― それは信頼、多大なる評価の証に他ならない】
【彼のその問いには最低限答えども、勿体ぶってその正体は教えず。彼女はあからさまに、目の前にいる彼以上の存在だと信じて疑わなかった】

【踵を返す異形の男に、数歩遅れて追い掛ける。彼が現れた、茂みの奥へと、草葉に鬱陶しそうにしながら足を踏み入れる】
【やがて立ち止まった異形が、地面に触れると出現する大穴―――――――――― こんな所に道があるのか、と感心した】
【このネットワークの広さ、とでも言うのだろうか。流石はカノッサ機関と言ったところか】
【こんなに身近に大悪にとっての出入り口があって、それに気付かずに今まで過ごしていたと考えると、ゾッとすると思いつつ、異形が下りた穴を覗き込んだ】
【掛かっているのは梯子一つ。少し不満気に顔を顰めたが、やがて四苦八苦しながら、穴を下り終える】

「……はーっ、結構立派な……」

【薄暗い光に照らされた地下通路。彼の言葉通り本部へと繋がっているのだろう――――― つくづく恐ろしい物だ】
【其処に在るのは一台の大型車両。運転席の男は、随分と奇怪な姿をしていたが、隣に立つ異形に目が慣れたせいか、大した衝撃にはならなかった】
【此方へと目をやった瞬間、挨拶でもしておくべきかと迷ったが、すぐに視線は戻された】
【少し考えたが、まぁいいかと考え、カニバディールに促されるままに車両の荷台へと迷うことなく足を踏み入れた】

【今更提示された選択肢を変える気は無いし、そうでしか生きられない事はこの異形との対話で散々理解した】
【此処で引き返したところで。自分が社会に紛れこめず、正義を恨みながら、ただ身を縮めてひっそりと生きる事しか、出来る事など無いだろう】
【だから―――――――――― この道は、闇の中へと続けばいい】

/ほんっとうに申し訳ない!!!良い所なのですが、凍結をお願いしてもよろしいでしょうか……?
876 :カニバディール [sage]:2015/01/03(土) 02:29:12.47 ID:FbWSea7Jo
>>875
/了解しました、明日は今のところ開いておりますので、また可能な時間にお声かけ頂ければ!
/いったんお疲れ様でした!
877 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/03(土) 02:32:01.01 ID:pInsXFo5o
>>876
/ありがとうございます、恐らく明日は夕方辺りからなら出来ると思うので、よろしくお願いします!乙でした!!
878 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/03(土) 06:38:53.98 ID:iJsRarfoo
>>864

っ……はいっ!色々な世界を見て回るのはとても楽しい、です!
お金があればもっとなんて思いますけど……その、大祖母様の言いつけで。
『いずれ大きくなった時のために、いろんな事を知っておきなさい』……って。

【少年の歳は多く見積もっても12歳。それも大分臆病で大人しいタイプ】
【そんな子供にちょっとの路銀を持たせて見聞を広めろとは――】
【中々、大祖母様というのは奇特な人らしい。さて、"怖い人"の談に入れば】

【140cmにみたない身体は怯えるように縮こまって、余計に小さく見えてしまう】
【これで性格も、どの程度世界を知っているのかも分かっただろう。その上で、今まで生きてこれた理由は――】

ワンちゃん……犬ではないです。でも、僕はその……オオカミ、なので。
人の善悪は、匂いでわかりますよ。悪い人は血や、火薬や、冷たい臭い。
優しい人は……良い匂いです。美味しいパンの匂いがする人とか……香水は苦手、ですけど……。

【ふと頭に載せたハンチング帽を手にとって。すると、白銀の髪の間からは】
【ひょこり、とケモノの耳が現れる。あーん、と口を開けば鋭い犬歯もよく見えて】

【――なるほど、獣人だ。『尻尾もありますよ』なんて言って、コートの後ろがふわりと動く】
【簡単に説明すると――彼は狼の妖怪らしい。それで、いずれ一族の長になる日のために】
【同じく妖狼である大祖母様の言いつけに従って旅を続けている――そういうワケで、と語り】

宿は……丁度、昨日で宿賃が無くなっちゃって……。
……でも、寒いのは大丈夫です。風が当たらなくて、雪の積もらない場所があれば
野生の仲間たちだって凍死はしないって言ってたし……多分、ですけど……、…。

/ちょっと余裕があったので、先に一レスお返ししておきますね―!
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/03(土) 15:12:43.56 ID:JPMHAzI+o
>>878

───『可愛い子には……』ってやつかしら、ねぇ
今時珍しい人じゃない、嫌いじゃないわよそういうの

【櫻の国には、愛しい子供なら敢えて試練を課すという…そういう諺があったなどと思い出した】
【大祖母様とやらは今のご時世からすれば随分と奇特な人のようだが、少年自身が楽しいと語るなら文句は無い】

【少年が語りながら、自身の正体を明かすと、帽子の下にあった耳を見て目を丸くした】
【それから、「あらあら」なんて言いながら少年のお尻を見て、空いている左手を自分の頬に当てた】

なるほどねぇ、そりゃ旅をさせる訳だわぁ
でも、こぉんな可愛らしいあなたがオオカミだなんて言われても信じられないわねぇ……あ、バカにしてるわけじゃないのよぉ

そうねぇ……オオカミだったら寒くても大丈夫かしら……とはいっても、アタシも手を貸せないしねぇ

【オオカミの妖怪で、その長となる物で───なんて語られても、にわかには信じ難いようだ。言っているのが幼い少年なら尚更のこと】
【一応フォローは入れるが、プライドを傷付けてしまうかもしれない】
【それで、野宿の話となれば、『狼なら寒い所でも大丈夫かも』という何ともアバウトな考えで納得はしたが…】

でも心配ねぇ……あ、そうだ!いい事を教えてあげましょう
本当にこの辺りは危ないから、危なそうな人がいたら目を合わさずすぐ逃げた方がいいわぁ、勝てる相手でも怪我はしないに越した事はないの

特に、ね───

【それでも、少年の事が気掛かりなようで、生き残る術の一つとして、街に蔓延る危険人物の対処法を伝授】
【これは少年が見るからに戦え無さそうと判断しての事だが───と、なんと男はいきなり、ジャケットのジッパーを降ろし始めた】
【ジッパーが開くに連れて、露わになる褐色の肉体、筋肉が引き締まった体のラインが表す通り、ジャケットの下には何も着ていないようだ】
【そして、ジャケットのジッパーを下まで降ろすと、少年には刺激が強いかもしれない尋常じゃないローライズによる今面積の褐色のキャンバスが広がった───そして、今まで少年には感じ取れなかった、血の匂い】

『こういうマーク』を付けている人は大抵ヤバい奴よぉ、気を付けてね?

【男が示すのは、自分の臍、臍を囲むように肌に彫られた逆五芒星の刺青だ】
【また、これはわざわざ示したりはしないが、彼の左胸には《No.6》という文字列も刺青されている】
880 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/03(土) 15:30:30.21 ID:iJsRarfoo
>>879

【狼の妖怪、と告げて納得してくれる相手に安心したのか、タブの空いた缶を傾けると】
【両手で温かさを喜びながら、普通の人はあまり好まないお汁粉のをずず、と味わって】

【そんな時に『良い事を教えてあげる』と言われれば、何だろう――と首を傾げ】
【ジッパーが下がり、香水に紛れて血臭が漂うと、分かりやすく耳が動く】
【相手がどういった人物なのか。自分でつい先程言った、ある枠に当てはまる相手と理解せざるを得なくなり】

……え?……ぁ、あのっ……"ソレ"って、その……!
でも、なんでお姉さんみたいな優しい人が…――っ、……。

【視界に広がる褐色の逞しい肉体。そこに刻まれた逆五芒星と、意味深な数字】
【その意味は理解できる――何故なら、彼も旅をする身であるからだ】
【カノッサ機関という巨大悪、そしてその尖兵たるナンバーズ】

【噂程度にだが知っていた。怖い話の典型じゃないか、と思わず一歩引き下がり】
【慌てたからか、まだ半分以上も残った缶を取り落とす。――あまりにも無力な少年、そう見えるはずで】

【だからこそ、彼の周囲に不意に沸き立つ"力"にはすぐに気付けることだろう】
【殺気の類ではない。どちらかと言えば、自己防衛のために何らかの能力が発露したような具合】
【これをどう取るかは、No.6である彼次第ではある。ただ、少しずつ"力"は強まっていて】
881 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/03(土) 15:57:05.29 ID:JPMHAzI+o
>>880

あら……知っていたの?
そうよねぇ、今更教えてあげる程の事じゃないものねぇ

【悪の組織と言えば、ほぼ確実にその名前が上がるカノッサ機関。わざわざ教えてやる事も無く少年は知っていたようだ】
【それに余り落胆した様子も無く、ジャケットの前を開いたままで何事もないように、変わらず少年に話し掛ける】

言ったでしょぉ、匂いだけではわからないわよって
『良い人だ』って思い込んじゃうと、いくら鼻がよくても勘違いもしちゃうわ

【狼狽える少年がにわかに発揮する何らかの力、それを感じ取ると、こちらも負けじと力の片鱗を見せる】
【男の背後にボンヤリと、力が集中して空間が歪んでいる───立ち姿がぶれたように重なる、ヒト型の何か≠ェ、薄っすらと立っていた】

心配は無用だったようねぇ……でも
……アタシはね、疲れちゃうから無駄に戦うのは嫌なの、だから優しいのは明確な敵以外にだけ

その力≠アタシに向ける事、それはアタシに敵と見なされる事を意味するわぁ……
良く考えなさい……!

【『敵ではない』から、優しく接していた。故にそれは、敵となるなら容赦はしないと暗に示す言葉だ】
【それでも、彼が機関員なのは変わらない、相応に『悪い人間』の筈だ。それを知って戦闘を回避するか、それとも……】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/03(土) 16:15:42.17 ID:iJsRarfoo
>>881

【こく、と首を縦に振った。つまり知っている――その恐ろしさも含めて、という意味で】
【直後に自分が発露した力と、それに呼応するように出現した男の背後の"揺らぎ"】
【それも人型をした物を見れば、しばし悩むように硬直し】

……、…………分かり、ました。
僕は戦いなんてしたことも無いし……あなたは、優しい人です
悪くて……今は怖い人でも、ありますけど……。

【この少年は正義の味方や、それに憧れる熱意を持っている訳ではない】
【ましてわざわざ言葉にしてしまったように――戦いは分からない】

【だから、ともう何歩か交代した。そして彼の周囲の力は、彼自身を覆い隠すように動き】
【コートを纏った小さな身体が、空間のカーテンに包まれるように肉体を隠し始める】
【いわゆるステルス迷彩のような――或いはそれ以上の、透明化の能力を発揮して】

……お姉さん。僕はもう、行きます
でも僕は……あなたみたいな人が悪いことをするの、嫌だなって…――。

【――それきり、ぷつんと気配が途切れる。声も、姿の輪郭や匂いすらも。】
【まるで寒風に融けてしまったかのような見事な遮断の技術であり】
【寂しげな言葉を残して――少年は、"危険"から逃れるように消えたのだった】

/ちょうどキリが良さそうでしたので、このあたりで失礼しますねっ
/二日間に渡りお付き合い頂き、ありがとうございました!お疲れ様でしたー!
883 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/03(土) 16:46:24.13 ID:JPMHAzI+o
>>882
/挨拶が遅れて申し訳ありません、お疲れ様でしたー!
884 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/03(土) 20:08:52.69 ID:P1Yl7m840
【――大都市の郊外にぽつんと残された、歴史ある墓地】

【都会にあって特有の静粛な陰鬱さが残されたこの場所は、年始に意外な賑わいを見せる】
【年の始まりに祖先や肉親に挨拶をしておこうと考える人が、少なからずいるのだ】

【今は既に夕刻。閉園の時間まであと30分ほどとなり、流石に人影はごく僅かだが】
【それでも、家族の霊前で去りし一年の報告を行う者は、まだ残っていた】


 ……ごめん、みんな。今年は来るのが遅れてしまった。
 年末に仕事で怪我をしてしまって。……本当はまだダメなんだけれど、無理を言って来たんだよ。


【それは、ロングのダッフルコートと光沢のあるワークブーツで身を固めた若い女性だ】
【喪服――というわけではないが、毛先のカールした長いブロンドを除けば、彼女は頭から爪先まで黒ずくめで】
【右眼につけられた革の眼帯の存在もあり、重苦しい空気を纏って見えた】


 道すがら、ロッテの好きなお菓子を買ってきたよ。一緒に食べよう。
 お父さんお母さんには花しかないんだけどね。……いいでしょ、本当はまだお年玉もらってるんだから。


【献花台の瓶に瑞々しい花を挿しながら、女性は寄り添うように並んだ3つの墓碑を見つめる】
【生年と名前を鑑みるに、そこには彼女の父と母と妹が眠っているのだろう】

【だが本当に重要なのは、彼らが亡くなった時期だ】
【――3つの墓碑には、等しく5年前の同じ月、同じ日が、命日として刻まれているのだ】

【記憶を掘り起こしたなら、それは当時、カノッサ機関の大規模な異能テロが起きた日だと分かるかもしれない】
【その上で彼女に声をかけるかは、あなた次第である】
885 :カミナ・ゲルギル(上) マシラ(下) [sage]:2015/01/03(土) 20:09:34.38 ID:OZQt/spbo
【街外れ】

……最近の冷え込みは本当に厳しいものじゃの
こういう夜は炬燵の中で蜜柑でも貪っておりたいものじゃが……そうはいかぬか

【中心部から外れ、人気が少なく治安の悪いとある町外れの一角】
【身をぶるりと震わせながら、薄く積もった雪を踏みしめ歩く人影があった】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【肩付近にはバスケットボールほどの大きさの、淡く光る白い"虫"のような物体が浮かんでいた】

まったく、冬くらいは悪党共にも静かにしておって欲しいものなのじゃ
獣と変わらぬのじゃから、熊を見習って冬眠しておればよいものを……

【などと、重ねた手に愚痴を乗せた白い息を吐きかけ温めながら】
【周囲に視線をやりながらも少女は歩き続ける】
【緋色の鷹のワッペン――SCARLETの所属を示すところから、これが見回りであることを察せられるだろうか】

【人気が少なく、通りかかる者がいれば互いに目に付くこともあるかもしれない】
【また、路地裏も近く治安が悪いため、ここでどのような事件が起こっても不思議ではないだろう】


【――】


【路地裏】

ええ、勿論ですとも……貴方様の要望通りの品を揃えられるよう、最大限努力いたしますので!
はい、……ハハハ、これはまた嬉しいお言葉です! では、後日またご連絡しますのでよろしくお願いします――――

【薄暗く陰惨な雰囲気の漂う路地裏の一角で、妙に腰の低い口調で電話に語りかける男の姿があった】

【身長は160cm程度であろうか。茶色の短髪に垂れ目の猿顔をした男だ】
【黒地に白のストライプが刻まれたスーツを身に纏い、その胸にはカノッサの証である逆五芒が刺繍されていた】
【腰には、得物であろう長40cm程の朱塗りの棒が括りつけられている】
【猫背気味の姿勢が更に身長を低くみせ、面立ちも合わせて卑小な雰囲気を醸し出していた】

【頭を何度も下げながら、電話口に向けて喋っていた男は】
【それから数分程度で話を終えて、ニヤニヤとした胡散臭い笑顔を浮かべながらポケットに端末を仕舞う】

……さて、今夜の仕事はこの辺りですかねえ?

商品の取り寄せに"玩具"の仕入れ、先輩方への挨拶回りもまだ済ませてしませんし
年末は特に、身体が幾つあっても足りないというものです

【愚痴じみた、しかし台詞の内容とは裏腹に実に楽しそうな口調で一人そんな事を語り】
【ポケットに片手を差し入れながら、近くの廃ビルの壁に背を凭れかけさせる】

…………しかし、路地裏を回ってもなかなか都合よく出会えないものです

最近はまた、この近辺も"賑わって"きたと思っていたのですが
カノッサに貢献するに足る人材となると、やはり難しいところですねえ――

【やれやれ、と言わんばかりの両手をひらひらとさせる仕草を取り、声は寒空に溶けて風に流れていく】
【誰か通りかかることがあるならば、このカノッサの男を見かける事もあるだろうか】
886 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/03(土) 20:46:08.62 ID:Y0v3IvOA0
>>885
/まだいらっしゃいますか?
887 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 20:58:06.18 ID:OZQt/spbo
>>886
/ここにおりますぜ!
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/03(土) 21:07:09.86 ID:Y0v3IvOA0
>>887
/それでは、お願いしますー

>>885

【街外れにある廃屋。ちょうど『SCARLET』の彼女の見回る道すがらにあるその場所で】
【もはや人気など微塵も感じられないはずの窓から、仄明るい光が外へと漏れ出ている】
【まるで火でも燃やしている様な、少なくとも電灯の明かりなどとは趣の異なる、オレンジ色で激しく揺らめくのが見てとれる光が】

【人気の無い廃屋で、誰かが火を燃やしている。『SCARLET』の人間ならば、それを不穏な何かのサインと考えてもおかしくないだろう】
【そして直後、それは間違いではないと言う事が示される事になる】

……死ね、パイロマニアック!!

【唐突な、叫び声。正に不審な明かりが漏れている、そこから発せられたと思しき、男声の叫び声】
【そこに続いて、メシャッと言う、何かが潰れて砕ける音が微かに響き、それに連続して俄かに光が絞られて、元の静寂に戻る】
【後に残るのは、一瞬の異変を無視する様な、何の変哲もない廃屋と、微かな積雪のある光景だけである】

【しかし、この一連の小さな騒動は、高い確率で見回りをしていた少女の目撃するところとなるだろう】
【何か、尋常ならざる事が、そこで起こっていた事は、間違いないようだが……】
889 :カニバディール [sage]:2015/01/03(土) 21:17:37.18 ID:FbWSea7Jo
>>875
【どこまでいっても悪は悪。性根に染みついてしまったものがある、というのも確かかもしれない】
【それでもやはり、彼らは選択したのだ。自らの意志で悪の道を歩む決断を下した】
【彼女と同じように肉塊も笑う。どこまでも救えない、昏い笑いを】

カヒュー……驚いたな。奇妙な偶然もあるものだ
まさか、同僚ないし上司の友人だったとはな。偶然とはいえ、機関の利益にも繋がっていたんじゃあないか

ああ、是非名を聞かせてもらいたいね……いずれ、会うこともあるかもしれないからな
それ以上の価値か……ふ、ふ。ますます楽しみだ……

世界に反逆する組織の力だ。相応の成果はあるさ

【彼女の不遜な態度に、むしろ楽しそうに笑う。彼女の友人がどれほどの人物かはわからないが】
【目の前の人斬りは、よほどその友人に心酔しているらしい。人間一人をここまで惹きつけてのける人物】
【いつか、直接会ってみたいものだ、とその思いは今はしまい込んで】


【ぽっかりと空いた地下への入り口は、人斬りの少女を後戻りできない闇の奥へと導く】
【彼女の不満も恐れも共に飲み込んで、その下の闇をのぞかせていた】

元は、各国の犯罪者や裏社会の人間たちが使っていった密輸トンネルだ
その一部を整備・改造した上で、機関で使用させてもらっている。何せ、本部への道だ。決して知られないよう、少し複雑な道のりを辿ることになる。少しばかり、時間がかかるぞ

【彼女の逡巡と反応には、運転手も肉塊男も特に気にする様子もなく】
【あっさりと、選択は成される。彼女が乗り込めば大型車が走り出す。荷台の扉が閉められ、中からは外は伺えなくなる】

【荷台には、別にもう一人が乗り込んでいた。それは、10代後半と思しき学生服の少女だった】
【腰ほどまである長い銀髪。整った顔立ち。だが、その肌は真っ青に染まっていた】
【その青い肌には、無数の傷跡が生々しく刻まれている。そんな少女が、乗り込んできた帯刀を見て薄く笑いかける】

ああ、紹介しておこう。私の手下たちだ。機関とは関係のない、私兵だがね
運転手がスカーベッジ・トラーシュ、こちらの女が蓮華院 美鈴という

スカーベッジ、美鈴。こちらは宮藤 帯刀という、ある機関員の友人だそうだ。くれぐれも失礼のないように

[ひひ……どうも、宮藤さん。スカーベッジってもんです。機関本部まで責任を持って送り届けさせていただきますよおぉ]
《うふふぅ……初めまして、美鈴です。よろしくね……?》

美鈴は医学をかじっている。傷の応急処置くらいなら出来るだろう

【ピアス男が首だけを振り向かせて運転席の窓から挨拶をし、青肌女も気味の悪い笑顔を浮かべてそれに習う】
【カニバディールの指示を受けて、青肌女が荷台の前の方に摘まれていた医療器具を持って帯刀の方に近づこうとするだろう】
【帯刀が拒むことがなければ、青肌女は帯刀の指の傷に手当を始めるだろう。鎮痛剤を打ち、消毒を施してガーゼを交換する、以外にも素早く的確な処置だった】

そうだ……これは、今回の件とは関係のない私の頼みだ。無視してくれても構わない
お前の指を切り落としたという、SCARLETの女……名前はわかっているのか? どんな姿で、どんな戦い方をした?
敵の情報はいくらあっても困らないからな。ああ、ただでとは言わない。こちらからも、 SCARLETや自警団の関係者の情報を提供しよう
そちらがもし望むなら、だがな。お前の友人がカノッサにいる以上、いずれはその友人の前に立ちふさがるかもしれん連中だ。知っておいて損はないと思うがね

【続いて、本部への道すがら提示されるのは、情報交換だ。奇しくも、双方カノッサに連なる立場、敵は同じくしているともいえるはず】
【彼女が望めば、カニバディールの持つ情報が提示されることになる】

【――――さて。やがて、大型車は幾度もカーブを超え坂道を上り、あるいは停車して扉の開くのを待ち】
【ついに、そこに到達する。荷台が開けば、そこは大きな倉庫のような場所だ。三人の異形が大型車を降り、先に立って歩き出す】
【それについていき、倉庫の先にあるエレベーターに乗れば、それが相当な速度で上昇していくだろう。少しの間を置いて、到着を示す音が鳴る】

【扉が開く。その先に広がる光景。そこがカノッサ機関本部。ある山岳地帯に構えられた広大な軍事基地だ】
【広い空間内を、何人もの機関兵や研究者らしき者たちが歩き回っている。異形どもを見て、頭を下げていく者もいる】
【それらに軽く手を上げて応じながら、異形どもは歩く。帯刀がそれに続けば、しばらくは長く入り組んだ通路を歩いていくことになるだろう】
890 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 21:24:04.75 ID:OZQt/spbo
>>888

――――ちぃっ、全く……新年早々派手に焚き火をあげよって!


【目に映る炎の光と耳に届いた何者かの声】
【見逃すはずもない――SCARLETとしての職務を果たすべき事案が発生したのだ】
【少女は忌々しげに舌打ちを一つ鳴らすと】
【淡く光る虫のような物体を追従させながら、現場へと急行する】


【――】


其処に居る者達――わらわはSCARLET所属のカミナ・ゲルギルじゃ!!
御主らの行いに事件性があると判断してこうして馳せ参じた!

わらわの誤解であるならば、顔を見せ事情を説明するがよい!
――そうでないならば、相応の手段を以て処断する! 返答は如何に!!


【剣を抜き、威圧的に構えながらも大声で廃屋に向けて語りかける】
【少女の位置は入口から数m程度離れた場所――何があっても対応できるよう警戒している】
【耳に聞こえた内容はどれも穏やかではないものであった】
【映画の撮影等であればいいが――恐らくは、異能者による事件であると少女は踏んでいる】


【鋭い視線で廃屋を睨みながら、呼びかけた結果を確かめるべく注意深く観察していた】
【果たして、この声に対して何らかの反応はあるのだろうか――】
891 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/03(土) 21:26:49.41 ID:ezSq54GSo
>>884
/まだいらっしゃるでしょうかー?
892 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/03(土) 21:27:11.45 ID:P1Yl7m840
>>891
/いますよー!
893 :サリー&ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダム [sage saga]:2015/01/03(土) 21:37:58.91 ID:ezSq54GSo
>>884

【厳かな静寂の中、女性のちいさな独白だけが響いている。墓石たちはただ冷たく佇んで、無言のままに死者を悼んでいるようだった】
【女性のほかにいる人々の目的もだいたい似たようなものだろう。逝った誰かを想うために、いつだってこの場所は開かれているのだから】
【けれど、時にはそれ以外の目的で訪れるものもいないではない。この静かで人気のない立地を後ろ暗い理由で利用しようとするものもいる】

【……ただ、まあ、今回のものは。そのどれにも当てはまらず動いていても不審がられない、例外的な客人だった】


――――おねえさん、こんばんはっ☆
おねえさんも、家族とお話しにきたの? そのわりに、なんだかちょっと、元気がないんじゃない?


【そこにはいない大切なものたちとの会話を楽しむ女性の横合いから、とつぜん、ひょこっと三つ編みが顔を出すだろう】
【甲高いはしゃぎ声。ぱっちりと大きな双眸と抜けるように白い肌。顔に散らばったそばかす。……それは、幼い少女であった】
【ちょっとだけ痛み気味のブロンドの髪を二本の三つ編みおさげにして垂らし、茶褐色の瞳を楽しげに見開いている】
【服装は深い青色のドレスと白いエプロンを組み合わせたエプロンドレス。元気ではあるが、よく見ればその手足はか細くて、若干不健康な印象もあった】

【いささか不謹慎なのは否めないけれど、少女の言葉に悪気はない。例外的≠ニいうのはつまり――――子供だという意味だ】
【墓地という言葉のもつ、重苦しくて悲しげな意味合いが、幼い少女にはいまいちわかっていないらしかった】


「これ、サラ。騒ぐでないと言うておろう? そちらのご婦人はご家族に新年のご挨拶をしておるのじゃ。邪魔をしてはいけないよ。
 ………すまんの。どうにもこの子には、こういう厳かな場所は退屈なようじゃ」


【そして……たぶん、少女の保護者だろう。少し経って、小径の奥から慌てた様子の男が駆け寄ってくるだろうか】
【ウィングカラーシャツの上にジレ、下はスラックス。金色のアスコットタイを絞め、シルクハットを被った紳士風の老人だ】
【刻まれた無数の皺、オールバックにした長めの白髪、立派に蓄えられた口髭と顎髭。そんな外見からするに六十は越えていそうだけれど】
【腰はぴんと伸び、恰幅も良い。右腰にはレイピア、左腰にはマインゴーシュを吊り下げた騎士じみた武装までして、老人らしい弱弱しさは全くなかった】

【老人は女性と少女のところまで追いつくと、帽子を脱いでゆったりと一礼し、申し訳なさそうに女性に謝罪するだろう】
【少女と同じ茶褐色の瞳は狼のように鋭かったが、いまばかりは沈痛な面持ちだ。やれやれといわんばかり、少女の頭をぽんぽんと軽く叩いて】
【老人からうっすらと漂ってくる花の匂いが、ここにいる理由が女性と同じなのだと、静かに告げているようだった】


/よろしくお願いします!
894 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/03(土) 21:42:32.47 ID:Y0v3IvOA0
>>890

「……ダメ、死んじゃってる
 まぁ、これで死に切れてなかったら、そっちの方が悲惨だって話だけど、ね……」
……間に合わなかったか。……クソッ、あと1分でも早く殺せていれば……ッ!

――――ッ!?
「っ、『SCARLET』!?」

【少女――――カミナの声が響くほんの数瞬前、一組の男女の会話がやはり廃屋の中から微かに外へと響く】
【その内、男の声の方は、先ほどの叫びと同一の物の様だが――――程なくして、外からの怒号に気付いた様に、その声は途切れた】

【――――10秒経って、問題の窓から人影が現われ、それが窓を乗り越えて外へと出てきた】

……中にある『モノ』については好きにすると良い。そう言うのが仕事なんだろう?

【現われた人影は、そうしてカミナを見据えながら、相対する】

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年】

【じっと視線をカミナに向けながら、不退転とばかりに立ち尽くす。まるで決闘でも始まりかねない雰囲気だ】

「……端的に、状況を話すわよ
 死体が4つ。3つは焼き殺された女の子。残る1つは焼き殺してた男。で、その男を殺したのが私たち……
 何なら、様子も録画してたけど、見てみる?」

【その後ろから、もう1つの人影が同じく窓から外へと這い出てくる。心なしか、此方が出てくる時、微かにぎこちない仕草が混じる】

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【――――目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性】

【良く見ると、左腕に薄くピンクがかった、真新しい火傷の跡が広がっている】
【窓から出てくる時に動きがぎこちなかったのは、その腕を庇っての事なのだろう】

……先に言っておく。この事で我々は何の誉れも謗りも受け止めるつもりはないぞ……

【睨みつける様な攻撃的な目でカミナを見据えながら、青年は重く押し殺したような声でそう呟く】
【――――『SCARLET』のワッペンを見つめ、そしてそこに服するつもりはないと言う、ある種の宣言なのだろう】
895 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 21:59:29.57 ID:OZQt/spbo
>>894

…………ふむ。

(事件を鎮圧した、という言が真実であれば感謝すべきであろうが)
(すぐに信じてやるにはまだ、ちとばかり証拠が足りぬのぅ――)


【凶悪犯を殺めたという事が本当であれば、逮捕するどころかむしろ感謝すべきであるが】
【本人からの言葉だけでは信用することは少々難しい】
【すぐには返事をする事もなく、二人組の顔を眺めながらも数秒の間思考し】


なるほど、話は判ったのじゃ……
じゃが悪いの、職業柄信用するには幾つか手順を踏まねばならんのでな

なに、映像証拠もあるならばそう難しい話でもない
簡単な現場検証を行った後に、少しばかり事情聴取に付き合って貰うだけで済むのじゃ


【声色と、視線に混ざる感情を幾分か和らげながら――しかし最低限の警戒を解くこともなく】
【そんな内容の言葉を告げて、廃屋の方へと数歩近づいた】


……そういう訳で、すまぬが御主らの身の潔白を証明する為に時間を貰えるかの
無論、相応の恩赦や待遇は約束するつもりじゃ――よいか?


【剣を収め、武力行使を行わないという意思表示をして見せながら問うた】
【もし快諾が貰えたならば、カミナは携帯端末を取り出し最寄りの自警団支部へと連絡を取って】
【間もなくして到着した団員達による現場検証が始まることだろう】

【拒否されたならば――その時は別の対応をする必要が生じるが】
【穏便に済むことを願いながらも、カミナは二人の返事を待っていた】
896 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/03(土) 22:12:40.63 ID:pInsXFo5o
>>889
【元々は此処は犯罪者たちの密輸トンネルだと言う。はぁ、と少しマヌケな、感心の声を漏らした】
【カノッサ機関が存在せずとも悪≠ヘ決してその根を絶やさず】
【「人の性は悪」と唱えた遠い昔の思想家の言葉は、果たして本当に人は悪≠ェ本質である、と言った様にすら思えてくる】

【手頃な場所に腰を下ろしたところで、もう一人、誰かが乗り込んでいる事に気付いた】
【自分とそう年齢の変わらない、学生服の少女だ。今日会った人間が異形続きなばかりに、少しばかり安心したような気分になった、が】
【腰まで届く美しい銀髪、整った顔立ちだが、その肌は青色に染まり、その上其の身体には傷跡が幾つも刻まれていた】
【やはり、この少女も異形なのかと。カノッサ機関で人間の形をとどめている人間は少数派なんじゃないかと、思い始めていた】

「ああ、えっと……宮藤、っす。よろしく」

【驚いていたところに、薄く笑いかけられた。カニバディールの紹介を受けて】
【宮藤帯刀もまた、慣れない敬語を交えようとしながら、彼等に向けて小さく頭を下げる】
【きっと彼等もまた、あの異形の男と同じ、深い邪悪≠ネのだろう――――― あの男の配下、と言う事もさることながら】
【何となく。人斬りとして生きてきた直感が、そう告げていた】

「えっ、あ、ああ―――――――――― ど、ども」

【その傷痕だらけの肌に似合わず、それとも似合って≠ゥ。青肌の少女には医療の心得が有る、と異形は言った】
【少しだけ戸惑った。戸惑ったが―――――――――― 恐る恐る、彼女へと右手を差し出した】
【そして其の言葉は正しかったようだ。鎮痛剤を入れた注射針に少し慄いたが、直ぐに処置は終了した。手早いものだった】
【清潔なガーゼに置き換えられた、この状況に似合わない心地良さを右手に感じながら、彼女へとまた、慣れない礼の言葉と共に頭を下げた】

【それから、荷台の中で落ち着かないながら、時折身動ぎしながらも大人しく本部へと辿り着くのを待っていた】
【あらぬ妄想。例えば彼等の様に、自分もトンでもない異形になるんじゃないか?なんてちょっとした不安に駆られたりしていると】
【同乗する異形の男から、一つ提案が齎された】
【単刀直入に言って、情報交換の形になるのだろう。自分や友人≠フ話なら兎も角として、問われたのは忌々しいSCARLETの女の話だ】
【少し頭の中で話をまとめる程度の逡巡な時間の後に、躊躇なく。無視をする事も無く、それについて話し始めた】

「……女の名前は、知らん。ウチとおんなじ剣士に見えたが……剣士≠轤オい誇りは見れんかった。典型的な正義の狗だわ。
 黒づくめで、眼帯を付けた女だった。その下は真っ赤な魔眼=Aオッドアイ。それの効果は――――― よく、分からんかったけど。
 異能は見れた。斬撃を飛ばす、あと――――― 目を潰そうとしとったたウチの親指に、よく分からん攻撃をした。
 原理は知らんけど遠距離攻撃の異能力者なのか―――――――――― ああ、それと。ウチの方が背は高かった」

「ウチの知っとる情報はこんだけ、あの忌々しい女の情報――――― 有効≠ノ、使ってほしい。
 さぁ今度はカニバディールさん、ウチにいろいろ話してほしい」

【自分が遭遇した女の情報を提示する。戦闘を経て得た物故に、それの情報は其方に傾いているが――――― それと】
【最後の言葉だけは、少し誇らしげに言って、それから。異形から齎される情報の提供を待った】

【やがて、どれだけ荷台で揺られ続けていただろうか。ようやく、車が停止した】

「うわっ、ちょ、ちょい待っ――――――――――」

【降りていく異形の三人に遅れる形で、慌てて降りて、彼等の背中を、辺りを見渡しながら追い掛ける】
【倉庫のような場所、その先に行けば、エレベーターが在った。それにまた、彼等に遅れる形で乗り込んだ】

【辿り着いた先】


「―――――――――― うわぁ、広っ ――――――――――」


【山岳地帯に構えられた広大な施設。これが――――― カノッサ機関の本部】
【何人もの機関の人間が行き交う。その姿が人の形を留めているのに少しの安堵を覚えて、頭を提げられる異形の背中を追い続けた】
【長く、入り組んだ通路を歩く。―――――――――― もうそろそろだろうか。全く未知の世界の中を、恐る恐る歩き続ける】
897 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/03(土) 22:15:18.42 ID:P1Yl7m840
>>893

【「家族水入らず」の時間に土足で踏み入って来られて、女性は反射的にむっとした表情になる】
【だが、振り向きざまに声の主が子供であることを確かめると、彼女は幾らか穏やかな顔つきに戻った】


 ……うん。でも、私は年末のギリギリまで仕事があったからね。
 殆ど休まずにここまで来たから、ちょっと疲れているのかもしれない。


【受け答えの合間に、少女の姿をさっと検分する。――身なりはいいが、どうにも手足が骨張っていて、不安を煽られた】
【衣装からして栄養失調になるほど貧しいとは思えないから、身体がよくないのだろうか】
【深読みかもしれないが、もしそうなら、なおさら邪険にはしたくない】
【――などと思っているうちに現れた、保護者と思しき老爺。彼が頭を下げると、女も恐縮したように一礼を返す】


 ‪いえ、気にしないでください。分別のある子供は却って心配になります。
 サラ――と言いましたか? その、かわいらしい娘ですね。


【いかめしい盛装の彼がサラの頭を撫でる姿に、女はあたたかさと、一抹の切なさを見出した】
【家族が触れ合える時間は限られている。そして、期限を確認することはできない】
【失われた者は確かにここにいるけれど――生と死を隔てる壁は、余りにも高く分厚い】


 ……不躾な問いかもしれませんが……あなたのご家族も、この墓園に?


【前髪を整えるふりをして、うっすらと濡れたまつ毛を袖で拭いながら】
【墓参りの残り香を漂わせる彼に、ロレッタはそう尋ねるだろう】
898 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/03(土) 22:21:45.09 ID:Y0v3IvOA0
>>895

(……まさか、こうもぴったり合致したタイミングで、『SCARLET』と行き合わせになるとは……
 ――――ツイていない。何を言われたものか、分かったものじゃない……)
「(……どうなる事かしら、ね……『法』って奴を持ってくるなら、こっちだって犯罪者なんでしょうけど……
  ……だからって、「ハイそうですか」は言えないって、ね……)」

【わずかな沈黙。それは互いの胸中にそれぞれの思いを逡巡させる】
【極論してしまえば、これは――――これも、また「私的な殺人」に当たる。犯罪者の首に賞金がついている事も珍しくは無いとはいえ】
【こうして『参考人』の形で関わる事になるのは、当然に気分の良いものではなかった】

「……うーん…………どうする?」
……誉れも謗りも必要ない、とは言ったが……それで穏便に済むのなら、それに越した事は無い……
差し当たって敵じゃないと言うのなら、無駄に反目する必要もないだろう。とりあえず、合わせるぞ……
「ふぅん……なるほど。じゃああたしもって、ね……」

【いささか温和さを見せるカミナの言葉に、2人は目配せをしながら相談を始める】
【迷っている女性に対して、青年は「とりあえず『SCARLET』に協力する」事を提案し、女性もそれに賛同した】
【ペアで行動しているところを見ると、この2人はそれ相応に互いを信頼しあっているのだろう】

……さして忙しい訳でもない。長々とならないなら……構わない
「右に同じって、ね。んじゃあ……っと…………――――――――――――――――はい、これが録画データ
 あぁ、ほとんど10時間以上映ってるから、最後の方だけを参照しといてね。日中の事なんて、今回の事に関係無いし、無駄でしょ?」

【首肯して、やや肩の力を抜いた様に表情を緩めながら、腕組をしてそっと瞑目する青年】
【同じく、女性はSDカードを取り出すと、装着しているバイザーに差し込んで側面で何らかの操作をし、済ませるとカードをカミナに手渡した】
【――――どうやら、そのバイザーが映像を記録する装置を兼ねていたらしい。同時に、映像の長さも膨大なものになっていた様だ】



【――――廃屋の中の部屋は、清算の一言に尽きるだろう】
【言葉通りに、4体の死体が転がっている。その内3体は全身が真っ黒焦げになっており、残る1体は『両手足と頭』を強い力で粉砕されている】
【焼死体の内、2体はやや時間の経った物だが、1体は実況見分の時にまだ煙を上げているほどで】
【更に、焼死体は全員、不自然に背を逸らし、腕を後ろに回した状態になっていた――――拘束されたまま焼き殺された様で、これでは助かり様がない】
【――――周辺に、燃料などが見当たらない事から、何らかの異能を用いて3体は焼き殺されたのだろうと思われるだろう】

【一方、提出された映像記録の方は――――言葉通り、午前10時ごろから撮影が始まっており、半ば2人のプライベートムービーと化している】
【とりあえず、何らかの目的があって、方々を歩きまわっているらしい事は会話から推察されるのだが……】
【そして問題のシーンでは、女性が廃屋に何かを感じた様子で、2人して内部に突入し――――そこで、今まさに焼かれている女と、それを陶然と見つめる男が映る】
【その次の瞬間、青年が何らかの力を発して、男の両手足が不意に砕かれ、その直後「死ね、パイロマニアック(放火魔)!!」と言う叫びと共に、頭部にトドメがさされた】
【後の事は、3人の接触を女性視点で撮影したものが残るだけ――――と言った映像となっていた】
899 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/03(土) 22:22:40.83 ID:pInsXFo5o
>>896
/ごごごごめんなさい!!ミスが有ったので修正させてください!

/>女の名前は、知らん。

/此処の所を

>ロレッタ。ロレッタ・ヘントプレックって名のっとった。

/に変更をお願いします……本当に申し訳ない
900 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 22:33:42.65 ID:bIAF8vNRo
【路地】

【賑やかなオフィスと商業ビルが立ち並ぶメインストリートから外れた旧市街】
【赤いレンガの建物と石畳の残る街並みは美しいのだが夜はうって変わって】
【薄暗いそこは街の中でも治安の良くないブロックだ。落書きだらけのビルの壁がそれを十分に知らせる】

【店もフェンスをおろして人通りの少ない路地。オレンジの灯りの街灯の下。誰かが倒れていた】
【まれに通りかかる地域住民は無視して素通りする。ここで生きてきてそうやって学習した。多くは】
【酒に呑まれた阿呆かギャングやマフィアの抗争の果てにリンチか暗殺されたこれもまたアホのどちらかで】
【関われば面倒くさいかつ身に危険が生じるのにも関わらず何の特も無い。だから、優しさはとっておく】

【そいつは建物の隅で仰向けで倒れている。黒い髪にとんがったような高い鼻の背の高い男】
【顔を隠すようにサングラスをかけている。服装は茶の三つ揃えのスーツ。気取った成金の青年実業家】
【もしくは映画俳優、あるいは犯罪シンジケートの一員っていう…要は胡散臭いっていう雰囲気だ】

………あれ…?…何処だ、ここ………

【男は目を覚ましたのか呟く。だが起き上がろうとしない。立ちたくなかった。ポケットを探って煙草とライターを見つける】
【くしゃくしゃの紙箱の安い紙巻きをくわえて、オイルライターを擦る。擦る…擦る擦る擦るが……点かない。諦めたように手からこぼれ落ちる】
【新年から飲んだり飲まれたり…一体何をしていたのか今日の明け方以降の覚えがなかった】
        
901 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/03(土) 22:44:09.78 ID:ezSq54GSo
>>897


まぁ……それはいけないわ! ちゃんとお休みもらわなきゃダメよ?
わたしだって、おじいちゃんが疲れて帰ってくるとつらいもの! 家族を悲しませたら、だめ!


【一瞬むっとした女性の顔に、少女はまったく気づかなかった様子だ。まぁ、たとえ気づいていてもこの調子だったのかもしれないけれど】
【答えが返ってくるなり少女はぷりぷりと怒り出して、妹を叱るお姉さんみたいな態度で、女性の額へ「ずいっ」と人差し指を突き出すだろう】
【そのおじいちゃん≠ニいう口ぶりからして、どうやら老人とは孫と爺の関係で間違いなさそうだった】


「いや、そういってもらえるとありがたい。
 人に迷惑をかけるのはいかんが、子供はやかましいぐらいが一番良いと、儂も思うよ。
 ……先ほどは失礼した。儂はヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダムと申す者。こちらは孫の、」

わたしはサラ=マリー・ド・ノートルダムよ! サリー≠チて呼んでね☆


【老人は苦笑いを浮かべてお礼を言うと、くすぐったさそうにしていた孫の頭を今度は優しく撫で回す】
【甘やかすとまではいかないけれど、少女をずいぶん溺愛しているらしい。あまり強くは叱れないようだった】
【それから老人は、貴族じみて長い自分の名を丁寧に名乗って、いっしょに孫の事も紹介しようとするが――――】
【元気溌剌と答えたサリーに遮られ、「儂以外の者には愛称で呼んでもらわんと怒り出すんじゃ」と付け加えて、また一笑する】


「……うむ。ここには妻と、息子と、その嫁が眠っておる。儂らも新年の挨拶を、と思うてな。
 そういう君は――――、」


【そんな、楽しそうな団欒の裏で――――やはりここに来るからには、この二人にも相応の理由があったようだ】
【シルクハットのつばをずらして、女性と同じ種類の表情を孫に見られないようにしながら、ヴァレリーは静かに言った】

【……この二人が家族だとすれば、察するのは簡単だろう。ここにはヴァレリーの妻と、その息子夫婦。つまり、サリーの両親が眠っているのだ】
【けれどサリーは、頭を撫でる大きな手になつきながら、大人二人の様子に疑問符を浮かべるばかりだった】


「――――、その日付は、たしか」


【悲しげに伏せたヴァレリーの双眸は、そのとき偶然、墓前に刻まれた同じ日付に気づいて見開かれる――――】
【何かしら覚えがあるのだろう。果たしてどんな事件だったか、回想するように……そして悼むように、静かに目を閉じて】
902 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 22:48:19.98 ID:OZQt/spbo
>>898

快く協力してくれた事、感謝するぞ
その証拠が確かな物であるならばそう長く拘束することにはなるまい

互いにとって――良い選択をしてくれたのじゃ


【抵抗されたならば、どうしても強硬手段を取らざるを得なくなる】
【カミナとて無駄な暴力を振るう事を好む性質ではなく】
【二人がこちらの話を受け入れてくれたことに対して内心ホッと胸を撫で下ろしていた】


【――】


【間もなくして三台程度の車両が到着し、中から専用の器具などを持った自警団員達が姿を現す】
【そしてカミナに対して軽く敬礼をした後に、早速とばかりに現場へと踏み入っていった】

【内部の凄惨な現場、未だ残る焼け焦げた死臭に眉を顰めながらも】
【嘔吐することもなく淡々と現場検証を行っていく】
【一方でカミナは、自警団の持ってきた映像端末を用いて渡された映像を確認する】
【言われた通りに、最後のシーンまで早送りで流し】


……典型的な能力犯罪、というたところかの?
見る限り力に溺れた"快楽"目的の殺人か……惨い事をするものじゃ


【胸糞が悪い、という感情を隠すこともなく吐き捨てて】
【終わりまで見ればその時点で映像端末の電源を切り、カードを近くにいた団員に渡そうとする】
【もし二人にとって渡しても構わない物であれば、カードは証拠として持っていかれることになるだろう】
【渡す事に問題があるならば、それを告げれば映像を別のカードにコピーした後に回収しようとする】

【「ふむ」、と小さく溜め息を吐いた後にカミナは二人の方へと向き直った】
【そして――】


……この映像があれば、御主達が罪に問われることもあるまい
下手人に賞金がかかっておればしかるべき手続きの後、御主らに届くよう手配しよう
そうでなかったとしたならば、大した額ではないが恩赦が払われることになるじゃろうな

何にせよ、此度は協力感謝するのじゃ
今宵失われた命は帰ってこぬが――御主たちのお陰で、今後こやつの犠牲となる者はいなくなるのじゃからな


【カミナは礼を告げながら二人の方へと近づいて、男の方へと手を差し出して握手を求める】
【先程の遣り取りを見て、どちらかといえば主導権を握っているのは男の方であると判断していたようで】
【応じてくれたならば微笑みながらも見た目相応の微弱な力で握った後に、そっと離すだろう】
903 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/03(土) 23:18:18.09 ID:Y0v3IvOA0
>>902

……あぁ、そうである事を願うよ……
「って、まるでそうならないみたいな言い方は止す。何を言ってるんだか……」

【調子を合わせてはいるが、どうも青年には居心地の悪さは相変わらずの様で、ポツリと妙な独白を零す】
【まぁ、日常普通の人間でも、警察と関わるとなると居心地の悪さを感じるのは当然だろうが】
【そんな様子に、女性は呆れた様に突っ込みを入れる。ともすればおかしくなりそうな空気を、軽く流してくれる様で】
【女性の方が多少年上と言う事もあり、そうした場面のフォローは慣れているのだろう】

…………流石『SCARLET』……相応の地位にあるらしいな……
「そりゃそうでしょ。言ってしまえばエキスパートって奴だし。この人だって多分そう言う兵(つわもの)だって、ね……?」
……軍人連中とはまた違うスキルと言う奴だな……

【整然とした様子の応援が現場に踏み入って行くのを見届けながら、2人は軽い雑談を交わしていた】
【普段接点の無い相手のそうした活動は、やはり物珍しい様で、邪魔にならない範疇で興味深げに感想を漏らす】
【そうして自分たちのペースを保つ様は、こうした物々しい『場』に慣れている様子も同時に窺わせていた】

……あぁ、まぁな。これは推測に過ぎないが……「女を焼き殺す事」に快感でも感じていたんだろう……
……正直、反吐が出る。しかも複数焼いてたと言う事で、多分常習犯と言う辺り、もう救い様がない……
「多分……ってか、このうっとりした表情見なよ……間違いないっしょ、これ……
 モロにエクスタシー、な表情してるじゃん。興奮ですらないって辺り……もうね、考えたくもない……
 あれだけ力一杯、容赦なくやっちゃうのも分かるって、ね」

【再生される映像を、同じく覗き見る様にしながら、2人も似たような感想を口にする】
【1度見た映像を、こうして再見すれば、より鮮明に記憶の中からも思い出す事が出来る】
【彼らが放火殺人犯に抱く印象は、共通して「最悪」の一言に尽きるのだろう】
【ましてや、その為に異能を使っていたと言う事は、先天的であれ後天的であれ、その為に力を求めていたのでは、と言う様なバックグラウンドまで想起され】
【1度見て気分を害すれば、2度見ようとは到底思えない映像だろう】

【とりあえず、カードが回収される事自体に女性は何も言わない】
【カードにコピーして渡していた辺り、恐らく映像そのもののデータはバイザーの中にも保存されているのだろう】

……それは助かる。それが生業だからな……首実検などする余裕もなかったが、もし賞金が掛かっていれば、不意の仕事とでも思う事が出来る……
「……まぁそれよりも、無駄な面倒に巻き込まれなくて済んだ、って時点で、こっちとしては十分な気もするけど、ね……」
おいおい、金は大事だぞ……分かっているだろう
「はいはい分かってますって! 悪かったわね金の掛かる女で!」
…………そう言う拗ね方は良くないぞ

【賞金の事など頭になかった――――とは言うが、実際には青年は、そうした報酬を得る事を生業としているらしい】
【やはりその存在は気になるらしく、自分の行いが裁かれずと聞けば、もう興味をそっちへと移している】
【そんな様子を見ながら、やはり女性は呆れた様に言葉を交わしていたが、微妙に口元には笑みが浮かんでいる】
【どうやら、青年とのこうしたやり取りそのものを、楽しんでいるらしい。この様子も、また彼らが『慣れている』事を感じさせた】

……あぁ、そうだな。3人目が間に合わなかったのは残念だが……4人目が無いと言う事は大きい。とても……とても大きい
その事には、大きな意義がある。それだけで……善しとしなければ、な……

【差し出された手に、青年は応える様に手を伸ばし、握り返す。相変わらずの厳しい目だが、今は攻撃的な印象はなりを潜め、真摯な表情と言える様なものになっている】
【「4人目が無い」……自分のその言葉を噛みしめる様に、青年は小さく何度も頷いていた】
904 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/03(土) 23:27:06.93 ID:P1Yl7m840
>>901

【「家族を悲しませたら、だめ」――確かに、そうなのかもしれない】
【女性が今の仕事をしている理由の大半を占めているのは、家族を奪われた未練を晴らすことだ】
【それで己の命までも落としてしまえば、元も子もない】
【子供は幼いながらに聡明なもので、遠慮なく本質を抉ってくる。彼女の妹もそうだった】
【少女に「そうだね」と頷きながらも、女性はよそ行きの苦笑に滲み出る感傷を隠しきれなくなってきていた】


 ヴァレリーさんに、サリーですか。袖振り合うも多生の縁≠ニ言いますし、憶えておきます。
 ……私は、ロレッタ・ヘントプレック。こちらには、父と母と妹が居りまして。


【きらびやかな響きを帯びた二人の名を反芻しながら、女性も名乗り返し、今一度まじまじとサリーの方を眇める】
【――親なき子。自分と同じだとロレッタは思う。異なるのは、ヴァレリーという肉親に恵まれていたことだ】
【恐らく、サリーは彼にとっても最後の家族なのだろう】
【ヴァレリーがこの天真爛漫な少女に十二分の愛を注いでいることは、その屈託の無さから容易く読み取れた】


 ――――ブレイザーシティ。といっても、私が住んでいたのはその近隣ですが。
 ある日突然、あまりにも突然に、カノッサ機関の占領下に落ち、街全体が城塞化された。
 ……その日が、私の家族の命日。

 暫くはみんなの亡骸を探すこともできなかったので、ここにあるのは墓碑だけです。
 私は――ひとりだけ、生き残ってしまった。


【ヴァレリーの静かな問いには、ロレッタもまた粛々と答える】
【血塗られた記憶を呼び起こす作業は大いなる苦痛だったが、それと向き合わないことには、彼女の一年は始まらなかった】
905 :カニバディール [sage saga]:2015/01/03(土) 23:29:57.73 ID:FbWSea7Jo
>>896
【世に悪の種は尽きることなく。それは善なる者たちも同じなのかもしれないが】
【いつまでも争いの尽きぬこともわかろうというものだ。この通路は、その証左の一つといえるだろう】

【彼女は知らないことだろうが、肉塊男の一味は異形ばかりだ。その中では青肌女はマシな方ではあるが】
【やはり、その内面はどす黒く。彼女の中で育まれる、機関員への風評被害も、精神に限ってはあながち間違いではないかもしれない】

《ふふふ……どうも。帯刀……刀使いかな? ああ、刃物で斬られる痛みっていいよねえ……》

[ああ、また初対面の相手に……ドM女が……]

【青肌女が早速その異常性を言葉に滲ませ、運転席のピアス男が呆れたような声を漏らす】
【肉塊男は気にもしていない様子だ、いつものことなのだろう】


【その異常性故か、自らが傷を受けることが多いための医療の心得なのだろうか。結局は悪趣味の上の技術だが】
【少なくとも、この場では確かな効力を発揮した。帯刀の右手から、痛みは溶け落ちるだろう】
【帯刀の礼の言葉には、相変わらず気味の悪い笑みと共に、少なくとも言葉の上では丁重に返礼するだろう】

【一度見せた不遜な態度もどこへやら、大人しく待機する帯刀を見ながら、その内側の不安までもは見通せない】
【少なくとも、その危惧通りになることはないのだが、それはもう少し後の話になるだろう】


そうか、相手も剣士か……。ロレッタ・ヘントプレック……初めて聞く名前だな
ふ、ふ。誇りを感じられない正義の狗とは、なかなか愉快な言い回しだ

魔眼=c…能力の中でも厄介なものの1つだな。その力の詳細がわからないとなると、なおのことだ
斬撃を飛ばす、シンプルだが面倒な異能だ。その、よくわからない攻撃が、あるいは魔眼によるものかもしれないな
服装や背格好の情報も覚えたよ。提供に感謝する。ああ、きっと有効に使って見せるとも

ああ、約束通り話そう。いくつかあるが、そうだな……まずは、そのロレッタと同じ、SCARLETの者たちからだ――――

【そこから、本部に到着するまでの間、肉塊男の重い声音が荷台の中に響くことになる。垂れ流されていく敵たちの情報】

【まずは、SCARLET所属者から。一人目。マーシャル・T・ロウ。二丁拳銃を操る、若い男。茶髪に青のソフト帽、白シャツ×灰色のジレ×ジーンズ】
【拳銃は能力によるもので、それぞれ炎と氷の弾丸を撃ち出す他、銃弾から腕を生やすという芸当もやってのける。拳銃の精密射撃の制度は凄まじく、跳弾を用いた戦闘は変幻自在】
【ただし、相手を決して殺さないという不殺の信念を自らに課した男でもあり、付け入る隙と成り得る。カニバディールの喉を潰した張本人でもある】

【二人目。中邑 瑛月。先のロウとは相棒に近い間柄の、櫻の剣士。まごうことなき無能力者でありながら、能力者に正面から挑める実力者】
【剣術の腕は当然ながら驚異的であり、大会での情報によると唯刃流なる流派の使い手。無駄のない体捌きと刃の鋭さ、相棒と違って敵の命を奪うことを躊躇わない容赦なさ】
【また、本人に能力はないものの、小刀から聖≠フ魔力を秘めた刃を出現させる技も確認されている】

【三人目。カミナ・ゲルギル。かつての正義組織、justiceのリーダー、貴宝院 織守の現在の姿。二重人格であるらしく、その内側にもう一人、シーナ・ゲルギルという地術師がいる】
【その名の通り、能力による折り紙で、鶴や鬼、蛙や恐竜など様々な紙の生物を生み出し、攻撃や防御を担っている】
【自身も紙の羽によって飛翔能力がある他、刃を潰した剣を用いていたこともある。紙を発射台にレーザーを撃ち出す必殺技も有する。カニバディールの下半身を砕いた相手でもある】

【四人目。アルフレド・フェリシアーノ。警官でありながらSCARLET所属者。SCARLET所属者の特殊部隊『ヘイダル』の一員。二丁拳銃で魔力弾を撃ち出す、ロウにも似た能力の使い手】
【風や雷を秘めた魔力弾の他、連射も効く厄介な得物に加え、本人の機転も利く】

/遅くなってすみません、続きます……
906 :カニバディール [sage]:2015/01/03(土) 23:30:12.38 ID:FbWSea7Jo
>>896
【ここからは、SCARLETとは別の者たち。だが、悪にとっては十分な危険性を秘めた相手たちだ】

【五人目。ライラ・フェルンストレーム。おとぎ話の魔法使いのようなローブと帽子に、木製の杖をもった若い男。杖は仕込みであり、内部に刀がある】
【火や風、土や水など多彩な魔翌力を組み合わせた中・遠距離攻撃に加え、仕込み杖の刃に魔翌力を用いた斬撃を飛ばすことも可能】
【お調子者にも見えるが、確かな強者。本人はカノッサ機関ハンターなどと名乗っており、機関への明確な敵意のある男】

【六人目。天鬼ちゆり。巫女の姿をした自警団員。符を用い、式神をはじめとした様々な術を使う他、体術も相当な腕前】
【自警団員でありながら、敵に対する容赦のなさはその冷たい表情にも表れている通り。カニバディールは特に、体内に埋め込む形で発動する植物の符に重傷を受けた】

【七人目。トライデント=コーザー=ヴァーミリオン 。デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツに安全靴を着用し、赤髪を乱した若い男】
【かつて機関に君臨していた、奇しくも帯刀の友人が抱えているNo.6の前任者、グラトンの息子を名乗る男】
【その父を含めた悪を憎む有様や凄まじく、悪と判断した相手を見つければ、躊躇いなく殺しにかかる】
【三つの鉄球を飛ばしたり鉄球から光弾を撃ち出したりする他、自らの喉を突くことで鉤爪と触手を持った怪物に変化することも出来る】


【長く長く、本部に到着する直前まで語り続けられる情報の山。一度にこうまで流し込まれてもわからないかもしれないが】
【それは、それだけ異形どもが、あちこちで敵を作り、命を奪い合い、その上でここまで生き延びてきた証左でもあった】
【正義と悪の争いの歴史は深く。荷台の中に響く肉塊の声は、忌々し気な色を隠しきれていなかった】

【七人目まで話し終えたところで、車は目的地に到達する。彼女が追える程度の速度には歩調を調整しているが】
【異形どもは振り返ることなく、エレベーターまで歩くだろう。広い上階に到達し、またしばし歩いて。ある一室の前で、足が止まる】

【中に入れば、その先は金属の匂いが漂う工房のような部屋だった。忙しなくいきかう、技術者や研究者たち】
【カニバディールが入ってきたのを見て、一斉にその動きが止まった。責任者らしき男と、肉塊とがしばし言葉を交わし、やがて肉塊が向き直った】

――――待たせたな。すぐに順位にかからせる
一端、彼らについてそちらの別室に移ってくれ。採型と色合わせを行いたいそうだ。それが終われば、すぐに作業に取り掛からせる
急がせるが、そうだな……一日と少しはかかるだろう。採型が終われば、一度待ってもらうことになるな

どうするかね? 一度戻るなら、送っていく。またあの公園で夜に待っているから、また受け取りに来てくれればいい
そちらが望むのなら、宿泊用の個室を用意することも出来るぞ

【異形から必要事項が伝えられる。彼女がそれに応えれば、すぐに作業が開始されるだろう】
【後は、完成を待つばかり。宿泊か帰還か、どちらを彼女が選ぶにせよ、その後は時間が義肢の完成まで飛ぶことになるだろうか――――】
907 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/03(土) 23:48:46.54 ID:OZQt/spbo
>>903

人の性癖など千差万別であろうが……此処まで来れば認められるべきものではあるまいな
同族を焼き[ピーーー]ことで快楽を得るなど、人ならぬ化け物の所業じゃ

こやつが特別な例であればまだ救いようはあるが
"能力"に目覚めた者は誰しも少なからず万能感を覚え、それに溺れる事例は少なくない
授かった玩具の使い道も判らぬ輩の何と多いことか――


【このような稼業に身を置いていれば、嫌でもこのような事件は見慣れることになるのだろう】
【過去に見たテロなどを思い返しながらも吐き捨てた】
【"力を持つ者はそれを正しく使う義務がある"。それがカミナの掲げる持論であった】


(――……ふむ。)


【これまでの遣り取りで少しばかり気になる点が散見した】
【二人が此度の犯人ではないことを既に疑ってはいないが】
【職業柄もう少しばかり事情に踏み込まなくては解放する訳には行かない】
【話に耳を傾けながらも、訊くべきことを頭の中で整理して】


……あまり気に病むでないぞ? 気づいたときにはもう、手遅れだったのじゃからな
御主達の迅速な行動は、わらわの目から見ても最善と呼んで差し支えのないものじゃったよ

わらわ達では、もっと被害が広がらなくては捕まえることも適わなかったからの
SCARLETとしても、わらわ個人としても御主達には感謝の言葉を贈りたい


【「――有難う」と、正義の徒として確かな感情を込めた礼を述べ】
【握っていた手を離して一歩ばかり後退した。そして、こほんと咳払いをして一拍の間を置くと】


――……して、悪いがもう少しばかり話に付き合って貰うのじゃ。

こうした場に立ち会った以上、御主達の素性を聞かぬわけには行かんのでな
名と職業と……この辺りに居った理由などを聞かせて欲しい

先程から手馴れた様子といい、悪を憎んでおるとも取れる言い回しといい
"訳有り"な事くらいはわらわとて察しは付いておるが――可能な限り、真実を教えて貰えたならば助かるのじゃ
ここで虚偽を語られては、わらわとて穏やかな対応は出来ぬからの


【次に尋ねたのはそんな内容の質問であった】
【参考人として、そして賞金などを渡す際の手続きなどをする上でも必要な手順である】

【しかしながら無理に問い質すといった声色ではない】
【余程露骨な嘘をつかない限りは誤魔化すことは難しくなく、ある程度カミナ自身も"配慮"する事だろう】
【この少女は現時点で二人に対して悪い感情は抱いていない。可能ならば最後まで穏便に済ませたいと考えていた】
908 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 00:10:56.96 ID:fXsNsFUKo
【街中】
【スキップのテンポに合わせて、月色の癖っ毛がふわりと揺れる】
【買い物帰りだろうか。紙袋の中、一人前には思えない量の野菜と肉をたっぷり詰めて、少女はスキップ気味に】
【少女の獅子は骨が浮き出ている程細く、小柄で青白い肌色から非常に不健康そうだけど】
【顔に浮かんだ笑顔からは、そんな雰囲気は感じられない】

【胸に抱えた大量の食料は、路地裏の恵まれない子供達へ送る物】
【食べて貰えて、有り難うと言われるのを想像するだけで思わずにやけが浮かんでしまう】
【・・・・・・そううまく行くかはわからないのだけど】

【規則的に刻まれていたスキップのリズムがほんの少し狂い出す】
【同時に、段々と足取りも狂っていって】

あ、あれ・・・・・・いやっ!?

【すってんくるりと派手に転けて、辺りに食料をバラまいた】
【夜とは言えど道の真ん中。派手な動きと音はよく目立った】
909 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/04(日) 00:13:45.43 ID:e220hLGMo
>>905>>906

【青い肌の彼女の異常性の片鱗に、引き攣り気味な愛想笑いで返した】
【宮藤帯刀と言う少女の性質は悪≠ネのだろうが、その精神、倫理観は基本的に普通≠ナあり――――― はっきり、引いていた】
【それもまたこの居心地の悪さを助長させた。早く着かないだろうか。その思いが、少しだけ強まった】

【それから。荷台に、彼の声から綴られていく。無数の、悪の敵£Bの情報】
【ガンマン、剣士、地術士、警官 ―――――――――― それが、自分の指を落としたあの女£Bの仲間、SCARLET】
【全世界の正義組織より選抜された精鋭達。恐らくは、その誰もがあの女と比べて遜色ない実力を備えているのだろう】
【―――――――――― 大衆正義の狗共=B無条件の肯定を得られる、忌々しい、存在だ】

【ハンター、符術使い、前No.6≠フ息子】
【彼女の中では、SCARLETに対する感情が強い故に、如何にもあまり重要視しよう、と言う気にはならなかったが――――― 兎も角、頭には入れた】
【特に前No.6≠フ息子について、黙って聞いていた宮藤の顔が僅かに上げられた】
【直接的な関係は無い。が、現No.6≠ノ対して何か分かったような口を聞いたとすれば――――― 自分が、その男の喉を突く事としよう】

【無数の情報の山。全部覚えられるか不安ではあったが、兎も角全ての情報を聞き届けた】
【その多量の情報。何か思うところが無い訳でも無いが、それより何より――――― あの異形の肉塊の、忌々しげな声色が、それを押し留めた】
【――――― もしかすれば、この男のこの異形の姿は、今名を連ねた達との戦いによって成された物では無いか、という憶測が産まれた】
【或いは、先程考えた自分も異形に成るのでは無いか、という考えは】
【あの異形と同じように、悪≠ニして正義≠ニ戦い続けるとしたら、あながち間違いでは無いかもしれないと、そんな考えが掠めた】


【降りてからも随分と長い道のりだったが、漸く辿り着いたようだ。成程それらしい、金属の匂いが強く感じられた】
【異形が足を踏み入れた途端に全員の動きが止まった辺り、やはりと言うか、改めてこの男が大物≠ナある事を再確認した】
【腕を組んで、彼等の一歩後ろで待つ。肉塊と男との会話が終わり、此方へと向き直った時、それを解いて、異形の男の話を聞いた】

「うん、めっちゃ待ったわ。まああとちょっとか――――― 了解。
 今日はいろいろあって疲れた、今日は此処に泊まるわ。それにこれから何回かはお世話になるかもしれんし、カノッサの本部にも慣れときたい。」

「その採型と、色合わせ、が終わったらウチはすぐ寝るわ。後はよろしく頼むわ――――― カニバディールさん」

【彼女が取った選択は此処に泊まる事】
【指の切断面を洗っていたところを異形に遭遇し、心情を吐露し、あれよあれよと車に乗れば変人奇人に囲まれて】
【無数の情報を叩き込んで、辿り着いたのは悪の総本山―――――――――― 精神的に、彼女は非常に疲労していた】
【そして部屋へと案内すれば、その言葉の通りに。後は翌日に呼び出されるまで、ぐっすりと深い眠りに突き続ける事だろう】
910 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/04(日) 00:13:58.19 ID:K7Osa2jro
>>904

【突きつけた人差し指を満足げに引き戻して、サリーは満面の笑みを浮かべた。無知な子供そのものの笑顔だ】
【けれど……女性の可憐な笑みのなかに滲み始めたものに気づけないほど、鈍感というわけじゃないらしい】
【「あれ?あれ?」と戸惑って、少女は女性の顔をまたのぞき込もうとするけれど――――先んじて、ヴァレリーがそれを止める】


「ロレッタ……じゃな。こう見えて物覚えは良いほうでな、儂も覚えておくよ」

わかったわ! よろしくね、ロレッタお姉さ……、……?


【年長者らしい落ち着いた様子で、老人は女性の名を反芻して、重たいものを振り払うように皺だらけの笑顔を作った】
【そして再び、サリーを押し留める。……サリーは異常に人懐っこくて、初対面の相手を「お兄さま」とか「お姉さま」とか呼ぶ癖があるのだ】
【だがそんな可愛らしい挙措だって、許されないときはある。サリーは最後までわからない風だったけれど、ヴァレリーの強い目線に負けたか】
【若干不満そうに「……ロレッタさんっ」と言い直し、大好きなお爺ちゃんにならって、ぴょこっと頭を下げるのだった】

【……それからすぐ。ヴァレリーは「お花に水を差し忘れてしまった」といって、サリーに水を汲んでくるよう頼んだ】
【子供に聞かせる話ではないと判断したのだ。まして――――死者との、決して縮まらない断絶を解すことができない、幼いものには】


「嗚呼――――そうで、あったか。

 ……こんなことで慰めになるとは思わんが、儂も同じようなものじゃ。
 妻は病気で、早くして先立った。ひとりになった儂を心配して、息子夫婦とサラはよく遊びに来てくれたよ。

 しかし――――そう、突然の事だった。
 不幸というのはいつも、こちらが用意する暇など与えてくれぬ。唐突に、理不尽に、見境なく、大事なものを奪っていく。
 ……神様とやらがいるのなら、この手で切り殺したい……そう思うほどに。

 ――――殺されてしもうたよ。儂の息子と義理の娘は。あの子の両親は……」


【その、血と涙が香る言葉の重みを必死で受け止めるように。老人はきつく目を閉じて、ロレッタの話を聞き届けた】
【長い静寂の後、老人は薄く目を見開いて、はるか彼方にあった日常を脳裏によみがえらせる】
【堂々としていた立ち姿が、そのときばかりは歳相応の危うさをあらわして。ロレッタと同種の痛みが、老体を痛めつけていた】
【ここにはいないサリーは果たして、それ≠知っているのか。すべてを知らないままなのか――――】


「君の家族も、儂の家族も……断じて殺されてよい人間などでは、なかったはずなのにな。
 それでも儂は、元軍人ゆえ、人の死には慣れておったが――――君はそうではなかったのだろう?

 若い身空で、辛かったであろう。しかし……君がそれでも道を外さず生きておることを、儂は嬉しく思うよ。
 ……子供が悲劇に喰われるのは、もう見とうないからな。
 そして、そう思っているのはきっと……遠い彼方で見守っておる、君の家族も同じじゃよ。

 こうして、いまここにいることを、君は誇ってよいのだと、儂は思う……」


【必死で、まるで鞭打たれる罪人のように、老人は若者へ、苦々しく独白する。少なくともそれは、年の功のご高言なんてものではなかった】
【未だに迷い、苦しんで、失い続けている者の、不確かで曖昧な台詞だ。涙は流さなかったけれど、その年老いた体のどこかから、鮮血が流れていた】
【すべて言い終わると、ヴァレリーはそれきり口を噤むだろう。果たして自分がうまく言葉をかけられたのか、惑い続ける彼に、確信などあるはずもない】
911 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/04(日) 00:19:30.28 ID:6R0/15Lw0
>>907

……まぁ、認めて良い類のものじゃあるまい、な……
「確かに、あたしは御免ね。こんな遊びに付き合わされて、火をつけられるなんて、考えたくもない……
 ほんっとこれも、人の業って奴よ、ね?」

……それも、言えているな。人として生きる中で手に入れたもので、人としての道を踏み外すとはな……
どちらにせよ、こいつ単体で言うならば、遠からず報いを受ける事にはなってただろうな……
「…………」

【人の業――――同じ存在と考えたくもない非道な行いだが、しかしそれも――――同じ『人間』のやった事なのだ】
【だからこそ、その事実は正視しなければならない。だが、そこに怒りを発するのは自由だろう】
【深淵の例えを持ち出すまでもなく、この業は表裏一体である。そんな存在を認めたくないという思いは、必要ですらあるだろう】
【人間だからこそ――――そんな事を認めてはならないのだ】

……あぁ。だがな……3人目の被害者自身については、もう諦めもつく……
だが……3人の被害者の家族、友人、同級生か同僚……そうした面々の事を考えると、気分を苛まれもするよ……
こうして、悪事の被害者を見るたびに思う……被害者は、1人じゃ済まない。10人、100人と居るんだってな……
まぁ……割り切らなければならないと言う事は分かっている。この苦い思いも、時間に任せて洗い流さなきゃならないとは分かっているけどな……
「……うん、まぁ、ね……」

【気に病み過ぎてはいけない――――カミナの言葉は尤もだ。青年自身、その事はハッキリと理解している】
【だが、「殺しの被害者は、殺された1人に留まらない」――――これが青年の信条だ】
【4人目が無いと言う言葉を自分に言い聞かせていたのも、それを思っての虚しさを留める為だったのだろう】
【それでも、そうした事を思う事にも慣れてはいるのだろう。いずれ割り切れるだろうと口にして、気持ちを切り替える】

…………ん、確かにそこら辺の確認も必要だろうからな。まぁ、ここにきて回答拒否は無いさ……
「だね。そんな中途半端は無いって……でも――――――――いや、うん……」

【素姓を尋ねられる。この事は2人も予想していた事であり、折り合いは既につけていたのだろう】
【改めて、居住まいを正す2人。やはり口火を切ったのは、青年の方だった】

――――俺はトライデント。トライデント=コーザー=ヴァーミリオン。職業は……さっきも言った通り賞金稼ぎの様なものだ。『傭兵』の方が正しいニュアンスかもしれないけどな……
「私は、アコーディオン=キュリオス=グリーン。同じく賞金稼ぎ兼、個人発行紙の記者……って言っても、こっちはさっぱり収入になってないんだけどね?」

【共に名を名乗る2人――――トライデントとアコーディオン。共に『賞金稼ぎ』を名乗るが、この職業に名刺などない】
【そこは、過去に挙げた賞金首などを参照にでもしない限り、真偽としては確認の取りづらい部分だろう】

「この辺りをうろついてたのは、私の発行紙のタネを探す為だよ。今日はトラ君……トライデントも空いてたから、同行してもらっただけ
 なんでも、路地裏に変なマネキンのバラバラ投げ捨て事件とか、まぁ他にも定番の狼藉とか、そう言うのをタネとして探してたのよ」
……詳しくは、ややこしくなるから省く……省いていいのか分からないが、俺は『叔父』で、アコード……アコーディオンは『姪』なんだ
それでまぁ、色々あって一緒に行動している…………これで構わないか? 難ありって言うなら、長い上に複雑な話になるんだが……

【行動の理由としてはなんてことは無く、『取材』と称してあちこち歩いていたと言うだけの事らしい】
【ただ、「路地裏にバラバラのマネキン人形が度々捨てられている」と言う言葉は、奇異なものがあるかもしれないが――――】
【一方、トライデントの言葉には、彼らの抱える『事情』の一端であると思われる、奇妙な人間関係を明かす言葉が混じっていた】
【『年下の叔父』と『年上の姪』――――100年以上前ならともかく、現代でこうした人間関係は、そうそうあり得ないおかしなもので】
【彼らの『訳あり』の『訳』は、何か想像以上に歪なものである事が窺えるだろう。話すと長くなる、とトライデントは言うが……】
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 00:38:23.80 ID:F5k37Ixgo
>>911

いや……話を聞く限り、おかしな点は見受けられんからの
これ以上、あれやこれやと深く追求する理由はわらわとしてもないのじゃ


【二人組……トライデントとアコーディオンによる説明は概ね満足のいくものだった】
【もっと違う形、個人的な繋がりで事情を聞いていたならば深く聞こうともしただろうが】
【今は飽く迄も職務に則った事情聴取に過ぎない】
【現時点で彼らの事情を必要以上に掘り下げる事は、無意味に時間と気を遣わせるモノだと判断していた】


それにしても……マネキン人形が捨てられておる事件とはまた奇妙じゃな
わらわもこの周辺はよくパトロールしておるが、初めて聞く話なのじゃ

ただの愉快犯による悪戯か、不法投棄の類であるならばよいが
……なにやらあちらこちらでキナ臭い気配が漂っておることじゃ、何か意図があっての事ならば――


【カミナが興味を示したのはこちら、"マネキンが捨てられている"という事案であった】
【聞くだけで不気味さを感じさせる事件であるが、どうにも意図が読めない】
【頻発し、事件として取り上げられているならばただの不法投棄では片付けられまい】

【考え過ぎかもしれないが――何処かの組織やグループが意図して行っている可能性も捨てきれない】
【自身の顎に指を添え、数瞬の間考え込むような仕草を見せてから】


すまぬな、これは無理に語る必要のないことなのじゃが
その事件について知っておることを聞かせて貰ってもいいかの?

情報の重要性に応じて先程の其れとは別口での報酬も考えよう
……どんな些細なことでも予兆は見逃すわけにはいかん、協力してはもらえぬか?


【などと、事件についての情報を求める】
【しかしながら記者から無料でネタを取り上げるわけには行かない】
【その内容に応じた情報料を用意するとの条件を提示した上で、トライデント達に協力してほしいと頼み込んだ】
913 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 00:55:00.16 ID:9YZj5YH+0
>>862
 ……駄目だな、私の言葉が足りないんだろうな。

【意思の宿る双眸を、暫く明確に視線を合わせる】
【一人で納得したように、矛先を逸らせば強張る顔を緩めて浅く笑って溜息一つ】
【口調は何処か自傷めいて、顔も何かを憐れむようで、けれどもそれは他者に向けられておらず】
【ともすれば――意味ありげな言葉と合わせれば、誰宛かは探りやすいだろう】

 ――私の声に誰かが耳を貸してくれたなら、こうはならなかったよ。
 アンタが守ろうとしている奴は、自分さえ守れればそれでいい。そういう類の人種だろう?
 それが普通なのさ、向こうだと。

【ガムテープを剥がし、袋から取り出して……まるで物みたいな扱いようだが、そのまま少女を取り出して】
【ほら、と投げ捨てるように男へと渡す。工廠成立だ】

 ――カノッサ機関No.6、穢土宮だ。
 まあ番号なんて、どうでもいいんだけどよ――じゃあ、好きに使わせて貰うぜ。
 アンタは自分を売りに来たんだ。いい働きしてくれよな。

【そのまま横を通り過ぎる。まるで隙を晒すような行為も、ある意味では信用に当たるだろう】
【逆に言えば、アンタは私の言う通り動く駒だと――今の少女の様に、物扱いしているのかもしれない】

//昨日は忙しくて、ごめんなさい……! 〆レス返しておきますね!
/ありがとうございました!!
914 :カニバディール [sage]:2015/01/04(日) 01:02:59.54 ID:FUFxxJ31o
>>909
【彼女の顔が引きつることにも、青肌女は気にした様子はなく。バックミラーでそれを確認したピアス男は、密かに溜息をついた】
【悪に身を置くものであろうと、異形どもほどの変質者はそう多くはないということだろう】

【長く量の多い情報だったが、彼女の頭には入り切ったらしい。彼女が望むなら、データ化したものか文章にまとめたものを】
【彼女に提供するだろう。自分からそれを言い出さない辺りは、やはり身勝手な男である】

【前No.6≠フ息子について話したところで、わずかながら彼女に反応があったことは見て取るが】
【彼女の友人のことを知らない肉塊男に、その理由はわからない。触れることはなかった】

【彼女の予想は当たっている。異形につけられた無数の傷は、そのうちの何人かとの戦いで受けたものだった】
【普通なら死んでいてもおかしくないダメージ。それで生きていられるのは、肉塊男の異常性故だが】
【それだけの傷を怪物に与えたのは、その正義の使徒たちのいずれもが、侮れない存在であることを示していた】
【帯刀が、それと同じ憂目に合うかどうかは、まだわからない。だが、これからも血塗れの道を進むなら、可能性はゼロではないだろう】


【さて、時間は過ぎ。帯刀をカニバディールが振り返った】
【待った、という彼女の率直な言葉には、苦笑で返すだろう。その苦笑すら、傷によって異形に歪む】

ああ、わかった。来客用の個室もある。後でそちらに案内させよう
美鈴、案内は任せたぞ

承知した。後はこちらで全ての手配を済ませておく
それでは、我々はいったんここで失礼しよう

[おつかれさんでした、宮藤さん。美鈴、念押ししとくが、ほんと失礼のねえようにしとけよ?]
《わかっているとも、まったくスカーベッジは心配性だなぁ……》

【呆れたように頭を振るスカーベッジと、異形の足音を響かせて去るカニバディール。二人が退室していく】
【美鈴はその場に残り、採型と色合わせが済むまで待機するだろう】
【作業は、そう時間をかけずに終わる。技術者たちは手早く動き、帯刀の指の傷を調べ終えた】

【終わりを告げる言葉が告げられ、解放されれば美鈴がやはり相変わらずの笑みを浮かべて出迎え、部屋まで案内するだろう】
【来客用の個室は、高級なホテルのような部屋だった。悪の総本山の中にあるということを忘れそうになるかもしれない】
【大きく柔らかそうなベッドは、対等の疲労を優しく包み込むだろう】

《それじゃ、また迎えをよこすからね。おやすみなさい……うふふ》

【美鈴が去り、ドアが締まれば後は彼女の眠りを妨げるものはいなくなる】


【ノックの音がした。すでに時刻は翌日となっていた。迎えが来たということだろう】
【彼女が扉を開ければ、一人の幼い少女がそこに立っているはずだ】

【その身を包むのは、白い拘束具。金具は外されているが、至る所に黒いベルトが取り付けられている】
【長い金髪を縦ロールにし、人形のように作りものめいた顔立ち。その幼気な表情を、その目が台無しにしていた】
【少女の目は黒い糸で縫い閉じられていた。幾重にも往復する黒線が、その瞳を閉ざしている】
【耳にはヘッドホンにようなものを着用しており、視覚・聴覚とも封じられているかのようだ】

{おはよーございます!! ええっと、帯刀? お姉さん!}
{私、ベティー! ボスの……あ、カニバディールっていう人の、お使いで来たの!}
{指が完成したから、お姉さんを呼んできなさい、って! こっちこっち、ついてきて!!}

【またも現れた異形の姿。だが、少女は帯刀がどう反応しようと、子供らしい気ままさで気にすることなく】
【彼女を案内しようと先に立って歩き出すだろう。やがて、個室からそう離れていない部屋の前で立ち止まる】

/またも続きます……
915 :カニバディール [sage]:2015/01/04(日) 01:03:11.03 ID:FUFxxJ31o
>>909
{ボスー!! 連れてきたよ!!}

カヒュー……ああ、ご苦労ベティー
すまないね、宮藤さん。手が空いている人員が、そのベティーしかいなかったんだ……
だが、良い出来の物が仕上がったよ……早速、つけてみるといい

【その先は、診療室のような部屋だった。脇に白いベッド。二つ並んだ椅子に、事務机】
【白衣の男たちが数人、室内を歩き回っている。そのうちの二人が、肉塊男と共に佇んでいた】

【ベティーがカニバディールの側に走り寄り、代わりに白衣の男たちが帯刀に椅子に座るよう促す】
【彼女が言葉に従えば。いよいよ、装着が開始される。箱から取り出されたのは、恐ろしく精巧な本物と見紛うほどの義指だった】

【男たちの手つきは慎重なものだ。一本ずつ、切断面に指が装着されていく。つけ終われば、何やら器具を操作し始める】

そろそろ、神経が繋がるぞ。急に感覚が戻ることになるから、心の準備をしておくといい

【カニバディールの言葉から少しして、神経が繋がる。その瞬間、帯刀に失った三指の感覚がよみがえるだろう】
【のみならず、右の手全体に何かが行きわたるような感覚に襲われるはずだ。それが済めば。指は彼女のもの】
【以前と寸分違わず、まるで元からそうであったような自然さで。義指は、彼女の新たな指となるだろう】

動かしてみるといい。元の指と変わらず、使えるはずだ
ああ、それと右手全体に何かが伝わったような感覚があったと思うが、それは技術者たちがその義指につけた機能の一つだ
試しに、その辺にある何かを持ってみるといい

【語られるのは、さらなる要素。カノッサの技術が実現した、義指に備わった力】
【机の上の、筆記具でも何でも、何かを彼女が掴んだなら。それが手に吸い付くような感覚を覚えるはずだ】
【握ることなく、手を下に向けても持ったものは落ちないだろう。まるで張り付いたかのように】

吸着機能だ。右手で何かを掴むか握るかして、吸い付くことを望めば、義指がその意志を感知して手が持っている物体が手に張り付く
同じく、離したいと思えば離れる。生物に対しては効果がないが、物体であるなら、たいていのものには吸着することが可能なはずだ

あまり大きな力が加わると外れてしまうがね。たとえば、敵の武器や防具に吸着させて奪おうとしても、激しい抵抗にあえば離れてしまうだろう
だが、上手く使えば壁に張り付くことも出来る。何より……それは使用者の意志の強さに反映される
わかるかね? ひとたびその手に刀を握れば……きっと思い入れの強い得物だろう? 自分が剣としてあり続けようとするその意志をもって刀を握れば
以前のように、攻撃を受けて刀が手放される事態は少なくなるはずだ

【そう大きな機能ではない。要は、少しだけ物に張り付く。ただそれだけ。それも敵に対して使うには向かない】
【だが、彼女が確かな意志でそれを発動すれば。新たな指はそれに答えて、彼女の魂たる刀をより強く、彼女と一体にするかのように動くはずだ】
916 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/04(日) 01:03:57.78 ID:6R0/15Lw0
>>912

……そうか、助かる……
「まぁ、正直本当に色々とややこしいから、ね。これくらいで勘弁して貰えると、こっちも助かるわ」
「(……うん、本当に、ね……必要ないのに吹聴しても、面白くない事になりそうだし……それは、しかるべき時に、ってね……)」

【深い追及を避けたカミナに、2人はどこか安堵した様子でそっと首肯した】
【――――2人の抱えている事情は、今回の出来事に直接関係すると言うものではない。だからこそ、余談になってしまうのだが】
【それが、到底『余談』では済まされない内容と化しているのだ。話す事の理由が薄い中で、無理に話す事もない】
【それが、2人の共通の見解であり、またそれがカミナに無事に伝わったのだろう】

「あぁ……『SCARLET』の方じゃ、まだ掴んで無かったんだ……まぁ、今はまだ事件性のある話でもない、奇怪なだけの話だし、しょうがないのかな?」

【アコーディオンも、良く分からないと言いたげに口元をすぼめて首をかしげる】
【――――そっと火傷した左腕を庇いながら、改めてその事を思い返してみた】
【確かに、今のところ『それだけ』の話なのだが、不気味な話である事には変わりない】

「……うん、構わないわよ。こう言う事はむしろ、成るたけ多くの所に情報を伝播させるべきだし、ね
 それに、『SCARLET』経由で情報を発信できるとなれば、むしろ光栄な話だし? 100人に読まれてるかも怪しい私の個人紙に比べれば、ね」
……随分、ハッキリ言うんだな……
「だって、稼ぎよりもそっちの方が、あたしにとっては大事だもん。分かるでしょトラ君なら?」
……分かっている。単に金を稼ぐだけなら、必要の無い事だからな。それがお前にとって大事だって事は、俺には分かるさ……
「流石『叔父様』!」
……だからそれは止めろと……

【カミナの頼みを、あっさりと快諾するアコーディオン。むしろ知らせる相手が居ると言う事は、アコーディオンにとってはありがたい話らしい】
【稼ぎにならない個人紙と言い、仕事ではなく個人的な信念の様なものが、それを後押ししているらしい】

「……って言っても、私も詳しい事まではそこまで知らないんだけど……
 ――――路地裏で、破壊されてバラバラにされたマネキンが放置されるって事が、何度も起こってるらしいの
 それは、ただそこに捨てられただけじゃなくて、明らかに『破壊された』痕跡があるものらしくって、ね?
 それが見つかる現場が、ある程度はブレながらも、ほぼ直線の方向に移動してるって話で……誰かの作為があるんじゃないかって、そう言われてる……
 だけど、それだけで……何が起こるか、まだ詳しい事は分からないらしくて、ね……
 何の意味があるのか、ただの悪戯か、それとも人殺しに関連する様な予兆なのか…………何も分からないのが現状なのよ……

 ――――あぁ、ソースは確かなものだから、そこは心配しないでね?
 『UNITED TRIGGER』のディハート・グリムジャックって言う、ナンパ男だけど……UTのメンバーだから、信用できるでしょ?」

【詳しい事を語るアコーディオン――――とは言いながら、その内容は大分抽象的で、到底『詳しい』とは言い切れない】
【それも無理は無い。何しろアコーディオン自身にも、それ以上の事は分からないからだ】
【それだけ、この件はまだ取り留めもなく、発展もせず――――それだけに不気味、と言う事なのだろう】
【ただ、『UNITED TRIGGER』からの情報と言う事で、情報源は信用できると思われる。この事態が、それだけ不気味というのも、分かる話だろう】
917 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/04(日) 01:07:14.75 ID:CIRcEZKj0
>>910

【孫娘に席を外させるヴァレリーの気遣いに小さく頭を下げながら、ロレッタはその言葉に耳を傾ける】
【赦しを求めるように震える喉。幻の痛みで出来る皺。そして、遥か遠くを見る瞳】
【――他人の事なのに、ロレッタの眼には、全て覚えのある仕草として映った】
【過去から生まれ、未来にまで垂れ込める亡失の靄の中に、彼と彼女は立っていた】


 ええ。年老いた祖母を看取ったことはありましたが……全くわけが違いました。
 命が、尊厳が、あんなに簡単に奪われるものだなんて、それまで考えたことがなかった。
 何の謂れもなく死ぬことが、こんなに理不尽だなんて――。


【あの日の記憶が蘇る。機関謹製の兵器による砲撃。顔の見えない悪意】
【ガラスと家の骨組みが凶器に変わり、死の沈黙をまき散らした。誰も、断末魔さえ上げられなかった】
【頬を叩き、見よう見まねで脈を測り、それで初めて家族の命が奪われたことを理解した】
【――そしてそれさえも、地獄のような三ヶ月の始まりでしかなかったのだ】


 正直、生きているのが申し訳ないと思う時もありました。
 ……ですが、死のうとするとあの光景が眼に浮かんできて、ぎりぎりの所で踏みとどまれる。
 死ぬのはあまりにもバカバカしくて、苦しいことだと、家族が教えてくれる。

 …………皮肉な話、です。あんなに酷い記憶が、今の私を、一番強く突き動かしてくれるなんて……。


【一番小さな妹の墓碑に手をついて、ロレッタは項垂れた。今の自分は、見せられるような面をしていないと彼女は思っていた】


 ……絶対に、機関の連中を一人残らず縄につかせて、法によって裁かせる。
 そのために私はSCARLETにまでなった――社会のルールで自由を奪ってやるのが、奴らへの最高の意趣返しだから……!


【大理石に刻まれた家族の名を確かめながら、彼女は胸に抱いた誓いを復唱し――】
【それが終わったならば、「お騒がせしました」と一言添えて、ヴァレリーに詫びるだろう】
918 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 01:22:26.00 ID:9YZj5YH+0
>>908
 おっと……大丈夫か?

【その近くを歩いていた人――灰色の髪に、着崩した学ランを来た女が、大袈裟に転んだ様子を見て、声をかけながら近寄る】
【手元にあった食物を拾いながら、少しの疑惑を頭に浮かばせながら、何もなければそのまま手伝い――】

 ……なぁ、少し聞くぞ。
 これだけの量、まさかアンタ一人で食べる、のか?

【そのまま何も言われなければ、拾いながら訪ねて】
【咎めるような事を言われるならば、手を止めてから聞くだろう】

/まだいますか……?
919 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 01:23:08.11 ID:F5k37Ixgo
>>916

…………成程、詳しく聞いてみればますます奇妙な事件じゃの
人形を用いるとなれば真っ先に呪術が思い浮かぶが、実際に調査してみなくては断定も出来ぬか

それに――現場がある程度規則的に移動しているという点も気になるのじゃ
何かしらの大掛かりな儀式的意図が介入しておる線も考えられる所じゃな


【話を聞いた限りで"術師"としての観点から幾つかの説を挙げるも】
【現状ではあまりにも判断材料が少なすぎる】
【この状況で一人であれこれと説を唱えても仕方がないとすぐに気がつき、思考を停止させた】


UNITED TRIGGERの隊員が問題視しておるとなれば
同盟先のSCARLETとしてはますます放置は出来まいの……うむ、わらわの方からも呼びかけておこう

我々もそれほど人手に余裕がある訳ではないが
可能な限り原因を解明出来るよう務めるとするのじゃ――


【UTメンバーからのリークとなれば、信用度は疑いようもない】
【カミナはこの事件を明確に取り組むべき問題として認識し、手を打つことを約束した】
【とはいえ、今現在に至るまで全く目的を掴めておらず】
【日々多発する能力者犯罪に追われるSCARLETや自警団には余裕もない】
【何かしら事態に進展がない限りは、雲を掴むような話になりそうだが――】


――貴重な情報、感謝するのじゃ。
長らく付き合わせてしまったが、最後に連絡先を教えてもらってよいか?

先程約束した報酬を渡すのは、今宵の事件を纏めた後になってしまうからの。
それに……今しがた聞いた事件についても、そちらで何か掴んだことがあれば教えてくれると助かるのじゃ


【――カミナは最後にライデント達の連絡先について訊ねた】
【理由は今語った通り、二つの理由から連絡を取れるようにするのが好ましいと判断したためだ】
【この遣り取りが終わったならば、トライデント達から何かアクションがない限りはここで別れる事になるだろう】
920 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 01:44:30.14 ID:fXsNsFUKo
>>918
あ、ありがとなの

【自分も慌てて拾いながら、申しわけなさそうに】
【とがめるような事は言わず】

私一人じゃないよ。皆で食べるの!
路地裏の子達、まだお家まではあげられないけど・・・・・・
せめてご飯は食べてほしいなって!

【ふうっと拾った野菜を吹いたり払ったりしながら、その声はどこか嬉しそうに】
【自分の行いで誰かが幸せになる、そう信じて、それを期待して】
【少女はもう笑顔が止まらないらしい】
921 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/04(日) 01:44:49.93 ID:6R0/15Lw0
>>919

「……全く、ね。3回程度で済むなら、悪戯って事もあり得るだろうけど、これだけ回数が続くなら、そうも言ってられないし、ね
 底知れなさがあって……それで、みんな慌てだしてる様な気がする。本当に、何が起こるのか……」

【悪戯にしては、しつこすぎる。しかし、やはり何を目的にしているのか、一向に見えてこない】
【そこにこの事件の不気味さはある。だからこそ、その真意を解明したいと、みんなが思っているのだろう】

……地点を規則的に動かしているって言うのは、確かに気になる所だな……
確かに、手が込み入り過ぎている……何が起こってもおかしくは無い。それだけの事をする『見返り』が、下手人にはあるんだろう……

【この事件について、主に言葉を発していたのはアコーディオンの方だが、トライデントも難しい顔で考え込んでいる】
【マネキンである意味、破壊する意味、特定個所に捨てる意味――――全てに、何らかの明確な理由がある気がしてくる】
【そして、それによって何を目指しているのか。不穏な空気だけが、やたらと濃く漂ってくる】

「……大々的に動けば、分かる事も出来る事も、増えてくるよ、ね?
 ……やっぱり、情報の共有、情報の公開って、大事よねぇ……
 ……片手間にはなっちゃうけど、こっちも知らせてそれっきり、とはしないつもりよ」

【カミナの言葉に、アコーディオンは口元に微かな笑みを浮かべる。こうした変化を促すのが、本意だったらしい】
【アコーディオン自身も、他の調べ物と並行しながら、ではあるものの、やはりこの件には興味を持っているらしく】

……あぁ。報酬の受け渡しには必要なものだろうからな。俺は構わない
「私も同じく、ね。何かあったら……私の個人新聞よりも、そっちのがもっと広範に伝えてくれそうだし、ね」

【報酬の受け渡しに必要とあらば、2人ともに連絡先を打ち明ける事に遠慮はしない。それぞれに通信端末を取り出し、連絡先を提示する】
【色々と互いに抱えている問題は多い。その事を考えれば、こうしたパイプを繋いでおく事は、将来的に何らかの役に立つだろう】

…………じゃあ、我々はそろそろ失礼する……。……これからも、より多くの『悪人』に、死の裁きが下される事を……俺はそうするし、そちらもそうである事を、願っている……
「情報については心配なく! 有用なものがあったら、こっちは出し惜しみしないから、ね!」
……じゃあ、カミナ・ゲルギル、また会えると良いな……
「カミナさん、もし良かったら、春燕によろしくねー!」

【快楽殺人犯が絡んだ一連の騒動も収束し、2人は別れの挨拶を済ませて去っていく】
【3人が同じ場にいたからこその邂逅。そう考えれば、互いに心強い繋がりが出来たのは僥倖と言えるだろう】



【――――――――ただし】

…………まさか『SCARLET』が近くにいるとは、全く恐ろしい巡り合わせもあったもんだな……
「カミナさん、まぁ話の分かる人で助かったけど……下手をしたら、あの場で一悶着あった訳だし……」
……次があれば、良いな……………………それが、穏便で済むならの、話ではあるが…………

【彼らの抱えているのは確かに、人を守り悪を討つ正義だ。しかし、それが抱えている『歪』が、必ずしも好ましいものであるとは限らない――――】

/遅くまで乙でしたー!
922 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 01:49:18.40 ID:gHtJ+/QTo
【路地裏】

【数名の自警団が倒れこむ暗い通りに、ただ一人の人影が立っていた】
【服装は――拘束具に近いぴったりしたもの。手足は複数本のベルトで隠されていて】
【黒い髪をした"彼"は、細身で何処か中性的。ニヤリと笑って、倒れ伏す自警団の男を蹴飛ばし】

こんな連中が市民の盾なんて、一般市民様もさぞ不安な毎日だろうねぇ?
ちょっと電気を流しただけで指も動かせないでお漏らしまでしちまうんだからさぁ

……でも、能力者じゃないんだよなぁ。ただの正義の味方なんて必要ないんだよ、雑ァ魚
気絶する前に無線で能力持ちの味方でも呼んだらどうだい?

【彼はそう言って自警団員を馬鹿にしながら、両手からパリッ!と白い火花を散らす】
【電気――独り言にも聞こえたそれが、どうやら下手人の能力らしく】
【徐々に高まる電流の光は、抵抗できない被害者たちにトドメを刺す準備に思え――。】
923 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/04(日) 01:54:30.23 ID:K7Osa2jro
>>917

【孫のもとへ駆け寄ってきたときの、あの泰然とした空気はもうない。ヴァレリーは、一気に余裕を失っていた】
【表立って取り乱してこそいないものの、顔色は蒼白で肩は小刻みに震えている。彼を支配するのはいまや、痛みだけだ】
【しかし――――ロレッタの話から逃げることは、自分からも逃げることだと思った。その一心で何も言わず、彼女の話を聞き届ける】


「そうか、君はいま、SCARLETにいるのじゃな………。

 ――――戦場で、君のような者を多く見たよ。敵軍に家族を殺され、暗い復讐に燃える幽鬼どもを。
 だから言える。君は、強い娘じゃ。家族の死を目の当たりにして、それでも修羅に落ちることなく、まっとうに罪を裁こうとしておる。
 拭いがたい悲しみを胸に置いたまま、他人の痛みがわかる者へと成長したのだ。それは人として、何よりも立派なことよ。
 君には悪≠斬る権利があるし、ここで泣く権利もある。……自分を赦す権利も同様に、な。

 だから――――死ぬなよ、若人。
 世界というのはいつも、狂わしいほど理不尽だ。戦場では決まって、君のように正しき心を持つ者から死んでいった。
 これから君が、どんな悪と対峙するかはわからん。だが決して、裁くことに囚われすぎるな。
 何があろうと必ず生き抜いて、またここで家族と語らえ。死して得た英雄の誉れこそ、本当の正義≠ゥらもっとも程遠いものだ」


【ふと、ヴァレリーは顔を上げる。決意したようにしゃがみ込んで、ロレッタの隣で三つの墓碑に頭を垂れた】
【――――そこから先は、悲劇という猟犬に追われ続ける獲物としてではなく、ひとりの騎士≠ニしての言葉のように思われた】
【近くから見れば、彼の芸術品のように鍛え上げられた肉体がよくわかるだろう。その背より滲み出る威風堂々たる風格が、駆け抜けた戦場の数を物語る】
【それが許されるのなら、激励するように、ヴァレリーはロレッタの肩を軽く叩く。茶褐色の双眸はいつになく苛烈に、何かを覚悟したように輝いて】


「……構わんよ。誰かに聞いてもらうことで、より強まるものもある。それに儂の方も、柄にもなく語りすぎたでな。
 それに……騒がしい程度で謝らねばならんなら、儂はこれから何度詫びればいいかわからんよ」

――――おじいちゃーん! ロレッタお姉……じゃなくて、ロレッタさーんっ!!


【走りよって来た気配を感じて、ヴァレリーはその光を胸の内へと隠した。ロレッタの言葉に笑顔を返し、すっと立ち上がる】
【遠くから、手桶を持ったサリーが大声で二人を呼んでいた。殺された両親が眠る場所にいるとは思えないほど、少女は元気いっぱいだ】

【……彼女が「ごほっ、ごほっ」といきなり咳き込んでしまったのを見かねて、ヴァレリーは慌ててサリーの元へ行くと、手桶を受け取り】
【その背中を優しくさすってやりながら、ゆっくりとロレッタの元へ戻ってくるだろう】


「……あと、そうじゃな。悪を裁くのもよいが……。
 まず、自分を守れ。そしてどうか、この子も守ってやってくれ。のう、SCARLETの若きエースよ。
 今の時代は、君たちが。そしてその後に続く未来は、この子たちが作っていくのだからな。

 先ほども言ったが……子供≠ェ悲劇に喰われるのは、もう見たくないからの」


【そうして最後に、ヴァレリーはそんなことを言う。これは運命の被害者としてでも、まして騎士としてでもない、六十過ぎの老いぼれとしての言葉だ】
【横でまた疑問符を浮かべるサリーをよそに、彼は笑う。すこしだけ悪戯めいてはいるけれど、それは間違いなく心の底からの笑顔で、願いだった】
【ヴァレリーからすれば。この子供≠ニいう言葉には、サリーだけではなく、ロレッタのことも含まれているのだろう――――】
924 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 01:56:24.98 ID:9YZj5YH+0
>>920
 路地裏の……路地裏の、ねぇ。
 
【一度目の呟きは、まさに驚愕】
【大声になりそうだったそれを無理矢理押しとどめて黙り、二度目にはそれを頭の中でかみ砕くように呟きなおす】
【人の物をどうこうはできないな、と払う、叩くの動作はせずに、ただ渡すだけ渡して、それが終われば顔を上げる】
【綺羅と輝いた笑顔が眩しく感じた。こういう奴もいたりするのか、とそれは女にとっての考えを改め直す機会でもあった】

 なぁ、アンタ。
 アンタは裏の人達について、どう思う?

【――それと当時に、それは間違いなく、女が付け入る隙であった】
【付け入る、というつもりで女は動いた訳ではないが、その行動にはこの表現が似合うだろう】

 単純に、だよ。
 可哀想とか、そういう感想でいいんだ。
 アンタがどうしてそんな、慈善事業みたいな事をするのか気になってよ。
 よかったら、少しでいいから教えてくれないか?
925 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 01:57:48.84 ID:F5k37Ixgo
>>921

【連絡先を首尾よく交換し終われば、後は別れの挨拶を交わすのみだ】
【この事件を追うならば今後また繋がりが生じてくる事もあるだろうが】
【今日の所はこれまで……必要以上に引き止めることなく、解散する事と相成った】


うむ、頼りにしておるのじゃ
わらわ達は規則に縛られておる以上、どうしても手の届かぬ領域があるからの……
御主達のような足の軽い協力者が居ればSCARLETとしても好ましいところじゃ

この件に限らず、妙な兆候が見られたならば小さなことでも連絡を貰えたならば有難い
今は少しでも"敵"の手掛かりが欲しい所じゃからな――


【どうしても後手に回らざるを得なくなる正義組織としては】
【情報関係の協力者というものは重宝するに値する貴重な存在である】
【今後彼らと良い関係が築いていけるようにと期待を込めながらも】
【軽く挨拶を交わしあってからその背中を見送り、カミナは現場の方へと戻っていった】


【――カミナは気づいていない。彼らが抱えている"歪み"について】
【今回は飽く迄も警察的立場から接したに過ぎず】
【彼らの秘める思想や、その複雑な過去に一切触れていないのだから】

【これが今後の関係に何らかの不和を齎すか、或いは――】

/お疲れ様でした!
926 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 02:00:18.24 ID:s7AseFyLo
【路地裏】

【一体何処をほっつき歩いたらこんな所に辿り着くんだ?旧市街を抜けて路地を曲がり】
【何処まで歩いても出口が見つからねえ。それはここがギャングや浮浪者ばかりの捨てられた】
【ブロック(地区)だからか?それとも馬鹿みたいに飲み過ぎて頭が揺れているからか?クスリでもキメたか?】

【積み上げられた木箱に寄りかかって、それがガラガラと崩れ落ちる。それに巻き込まれてそいつも】
【倒れる。錆びたフェンスにしがみついて立ち上がる。むしゃくしゃして木箱を蹴飛ばすバラバラに崩れる】

……クソッタレ

【またその場に崩れ落ちる。息は荒い。黒い髪にとんがったような高い鼻の背の高い男】
【顔を隠すようにサングラスをかけている。服装は茶の三つ揃えのスーツ。気取った成金の青年実業家】
【もしくは映画俳優、あるいは犯罪シンジケートの一員という…要は胡散臭いっていう雰囲気だ】
【髪の毛も服も泥と砂に汚れていて、道端で一晩過ごしたような風貌】

【無理やり立ち上がって、ビルの壁にもたれながらタバコをポケットから取り出す。それに火をつける】

ああ…クソッ…クソッタレ

【スラックスのベルトに挟んだ拳銃を抜く。黒い大口径のリボルバー。美しい模様が刻まれた拳銃】
【男は撃鉄を起こす。右手に握りしめて銃口はこめかみに当てる。くわえ煙草の煙が細く登る】
927 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/04(日) 02:02:17.95 ID:e220hLGMo
>>915>>916
【案内は、蒼い肌の彼女が任されたらしい。確かにその姿は少女の姿をしていて、多少の親近感は湧く物の】
【先のあの言葉を思い返し、やはり少し微妙な感情を交えながらも、兎も角案内をしてくれる彼女へと「よろしく」とまた声をかけた】
【去っていく彼ら二人の後姿を目で暫しの間追った後、彼女の後を歩いていく。相変わらずの笑いを浮かべる彼女が案内した先は、宮藤には随分と意外な様相をしていた】
【簡素なベット一つあれば上等と考えていたが、其処は豪奢なホテルの如き個室。またも感嘆の声を挙げた後、案内をしてくれた彼女へと礼を言って中へ入った】

「……まぁ、よー考えたら悪党も人げ……生き物、だもんなあ」

【人間と口走りそうになって、少しの間逡巡し。言い換える、そんな呟きの後に】
【インバネスコートを外して、学生服を脱いだ。刀をベッドの傍らに置いて、学生服を脱いで白のワイシャツ姿になると】
【寝間着は持ってきていない故に、そのままベッドに潜り込んで、直ぐに寝息を立て始めた】

【翌日】

【扉を叩く音で目が醒めた。急いで革のベルトの左腰に刀を通し、学生服と二重回しを脇に抱えて】
【寝惚け眼を擦って何とか視界を改めようとして、頭を縦横無尽に跳ね回る寝癖を着けたまま、急いで扉を開いた】
【扉の向こう側に立っていたのは、少女だった。少女ではあるが――――― 】
【美しい金髪に、西洋人形の如く幼くも美しく、また愛らしい顔立ちを、否定するかのように双眸は黒い糸であからさまに閉じられていた】
【身体中に黒いベルトが取り付けられた拘束具を身に纏い、耳には聴覚を封じる物だろうか、何らかの装置が取り付けられたその姿は】
【その快活で幼げで、明るい口調に全くそぐわず。やはり、その姿は異形だった=z

「……分かった。ベティ―……ちゃん?」

【面食らった、とでも言うべきか。お陰で残留する眠気はサッパリ払われて、此処が悪の城である事を再確認する】
【僅かな空白と、言い様も無い感覚、それを間違いなく醸し出していた宮藤を気にする事も無く、ベティ―と名乗った少女は歩き出す】
【子供の無邪気さのまま、とでもいうべきなのだろうか。学生服を羽織り、寝癖を如何にか直せないかと左手で四苦八苦しながら】
【彼女の後を追っていくと、そう歩かずに一つの部屋の前に辿り着いた】

「し、失礼します」

【何となく言った方が良いだろうと、またなれない敬語につっかえ乍ら、恐る恐る中へと足を踏み入れた】
【中は何処か清潔感を感じさせた。白衣の男達もまたそのようにさせるのだろうが、それ故に一際そこにいる異形の男が際立って見えた】

/すみません、私も分けます……
928 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/04(日) 02:02:47.48 ID:e220hLGMo
>>915>>916
「随分可愛らしい子もおったんだね、ビックリしたわ。お陰で朝から気分が良い。
 いや、楽しみにしとった。―――――――――― 漸く、帰ってくる」

【ちょっとした軽口を言いながら、促された通りに座る】
【右手を差し出して、取り出されたのは―――――――――― まるで今し方切り落としてきたかのような、余りにも成功に出来た物】
【成程、これが機関の技術力。世界大逆を掲げるのは伊達では無い。先日、カニバディールと遭遇してから、宮藤帯刀は驚嘆ばかりだった】
【慎重に、指の一本一本が接続されていく。異形の男の言葉に対して、少しばかり身構えると、その感覚は直ぐにやってきた】

「――――――――――ッ、――――――――」

【未知の感覚だった。神経が繋がる感触、それからすぐに指に感覚が戻り、それから右手全体に何か妙な感覚が襲い掛かってきた】
【恐る恐る、ゆっくりと曲げてみる。どういう理屈か―――――――― まるで元からそうであったかのように。何の違和感も無く指が動いた】
【恐らく、ここまでまともに指が動けば剣も扱えるだろう。それだけで、宮藤帯刀は驚嘆していた】
【そして言われるがままに、机の上の筆記具、ペン一本を掴んでみると、手に吸着するかのような感覚が】
【錯覚かとも思ったが、手を離してみても落ちる事が無い】

「――――― どういう理屈で動いとるのか、全く違和感が無い。流石、世界最大の悪――――― か。
 けど―――――――――― うん」

【ペンを離れる様に望むと、それが重力に従って机の上に落ちる。気に留める事も無く、立ち上がり、宮藤帯刀は左腰に通してきた刀の柄へと、手を添えた】
【引き抜いた。それは誰を斬る訳でも無く、刃が振るわれる事も無く。宮藤はその感覚を感じて、二、三度頷いて見せた】
【――――― 成程】

「大満足だ―――――――――― これなら今度は、絶対に。剣を手離したりせん」

【心の底からそう言って、右手に握る刀を鞘へと再度納めた】
【言葉にはせずとも、その口調の端には。おかしな話ではあるが、この自分勝手の塊である異形に対して、多少の感謝の念が滲んでいた】
【そして、カニバディールへと向き直る。虹彩異常を宿した、白黒の双眸には。絶望に墜ちた少女の瞳では無く】
【斬殺者≠ニして相応しい、爛々と輝く剣≠ニ成っていた】


「これなら、また応えられる。友達≠フ、剣で在れる。ウチの、私≠フ、一人しかいない友達の。


 ――――――――――穢土宮入間の、力になれる」


【恍惚とすら思わせる、悪らしからぬ、希望に満ち溢れた言葉の最後に零れた名≠ヘ数字達≠フ六番目≠ノ坐する】
【この世界に唯一存在する。彼女の思う友達≠セった】
929 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 02:18:58.90 ID:fXsNsFUKo
>>924
どう、思う?・・・・・・なんで、だろ・・・・・・

【落とした物を受け取ればきょとんと、目をまんまるにして】
【なんでこんな事するのか、彼等をどう思ってこんな事をするのかと問われれば意外にも答えられない】

可哀想、って思ったのかな
よくわからないの・・・・・・

【そのせいか、出た答えは答えと呼べないもので】

うーん・・・・・・とにかくあの子達をみて、なんとかしてあげたいと思ったの。
これ、可哀想って事なのかなぁ・・・・・・

【少女は可哀想、と言う感情を気に入ってないようだった】
【思い出すのはぼろ布を着て、手足に枷を付けてゴミを漁っていた頃の事】
【あの頃に感じた周りの可哀想という視線が、気分の良いものじゃないことを思い出したから】
930 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/04(日) 02:22:17.88 ID:CIRcEZKj0
>>923

【肩に触れようとするヴァレリーの無骨な手を、ロレッタは受け入れた】
【彼の言葉をまごころで受け止めようとするのと、同じように】
【節くれた老人の指は、年輪のように遠い日々の記憶を留めているように思えた。質量より大きな重さを、そこに感じた】

【ただひとつ、猛禽の如き彼の瞳が――何を決意したのかだけが、大いに気がかりだったが】
【ロレッタがその真意を問うよりも、場違いに陽気な声が今一度哀悼の場に木霊するほうが、少し早かった】


 ……勿論。ですがヴァレリーさんも、私にとっては等しく守るべき市民≠ナす。
 そちらこそ、どうか無理をなさらぬよう。
 あなたが老体に鞭を打たずに済むよう、SCARLET一同、奮励努力していきますので。


【子供≠ニいうフレーズの意味を汲むように、ロレッタは市民≠ニいう言葉にアクセントを置いた】
【古強者であろうと、明日を生きる若者であろうと、彼女にとって庇護の対象であることに変わりはなく】

【恐らく礼装ではない二振りの剣。それが抜かれる機会が訪れないことを、彼女はただ祈るのだった】

【それからロレッタは難しそうな顔をしたサリーへと歩み寄って、その頭を撫でようとするだろう】
【自分とよく似た色の髪をこれ以上痛めることがないよう、努めて、優しく】


 お姉ちゃんでもお姉さんでもいいよ、サリー。
 おじいさまは気を遣ってくれたようだけれど、私はそう呼ばれると……結構、嬉しいんだよ。


【ヴァレリーに対しては打ち解けてからも神妙な顔を向けていた彼女だったが、今ばかりは、その頬がぐにゃりと緩んでいた】
【二人が訪れる前、墓石に語りかけている時と同じように】
【――『家族』に言葉を投げかける瞬間と、同じように】
931 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 02:29:48.40 ID:9YZj5YH+0
>>929
【女は少女の言葉を聞いて、要領を得ない返事に僅かに顔を憂いとさせるが】
【どこかで、可哀想と言い切らないでよかったとも考えていた】
【ああは言ったが、女の言葉は本心を引き出す物――まあ、これも嘘の可能性もあるが】
【ただ、実際にその食物を届けようとしたのは事実だろう。するりとこけた様子も合わせて、それが猶更信頼できる】
【なんとかしてあげたい……大元をたどれば一緒か、どう結論が出た】

 ――アンタは立派だな。全くもって同意見だ。
 私もアイツらをどうにかしてやりたいって思ってる。でも答えが浮かばないんだ。
 ……ダメな選択肢だけは知ってる。

【少女のおい立ちを知らないが、手を差し伸べる姿勢はとても好感が持てた】
【心の奥底では、その眩しい無垢な笑顔にちくり、と心が痛む気持ちになったが】
【何故そうなったか、は女にはわからなかった。もとい、分からない振りをしているだけだが、結局女はそれに気づけない】

 アンタはそうやって、ソレをしてればなんとかなるって、思ってるか?
 いつかはどうにかなる。救えるって。よくわからないなら、それでもいい。
 
【そんな少女に質問を重ねていく。それは問答のようにも思えた】
【ただ、威圧感は無いだろう。その言葉の調子は軽い。元来そういう人間でないことも災いしたのだが】
【単純な疑問、それを目の前の女は聞いている……。特に裏で考えを巡らせなければ、そう取れるはずだ】

 それとも、アンタはそれをする事自体に、満足してるのか?
932 :ニーベルンゲン・シュバルツシルト [sage]:2015/01/04(日) 02:31:13.46 ID:ZxdnEZaL0
>>926
【路地裏。冬ともなるとそこに吹き抜ける通り風はより一層刺さるような寒さを増し、建物内の暖かな空気と対象的な、まさしく「世間の闇」という特色を顕著にさせる】
【この路地裏にて。社会の墓場たるこの地で……人生に絶望した者がまたしても、その生命に終わりを告げようとしていた。】
【その時。ふと嗄れ、くぐもった声が辺りに響く。その声は、男へと向けられているらしかった】

「この時刻に、これまた……面倒事に鉢合わせる物だ」

【やがて、何やら金属を擦り合わせたような、高い金属音が辺りへと響く。その一定間隔で鳴り響く音は、その音量を増し、いずれ一人の鎧を纏った男が、自殺を試みようとした男の前に現れた。彼が声の主であろうか。】
【彼は、赤い光をフル・フェイスの兜から見せるのみで、その顔は推し量れない。背に羽織ったマントは禍々しく深い、だが美しくも見える赤に染まり、その内側にはかの機関を示す「逆五芒星」が、でかでかと、冒涜的に刻まれていた。】

【彼は男の方へと近寄り、辺りの様子を見回す。銃のリボルバー、そしてフラフラの男。】
【どこか察しが付いたのか、彼は男に向けて、独り言のように呟いた。】

「生きる当ての無くなった浮浪者か、あるいは……いや、そうではないらしいな」
「どうせこれから死ぬのだろう?貴公。私が見てやろう。本当に、貴公にそれが出来るのかをな」

【半ば挑発するかのような口調で言う。自殺者というものは、得てして自分の勝手な思い込みによって死んでいく。そこに覚悟だとかいったものは微塵もない】
【だからこそ、彼はそれを試す。男が本当に覚悟を持って死を望むなら、このような状況下で死のうとするはずはない。彼は男の、言わば「胆力」を試していた。】
【勿論、死ぬも生きるも男次第である。だがそこに何よりも深い「絶望」が無いのならば、むざむざプライドを捨てて果てる所以もないであろう】

933 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 02:37:51.71 ID:rVrAU7KR0
>>922
「随分と良い趣味してるねぇ……嗚呼、いや。この場合は悪い趣味って言った方が良いのかな」

【路地裏に響いたのは若い女の声。――――自ら存在を知らせる様に声を掛けるのだから哀れな迷い人でもあるまい】
【さて、街灯或いは月光に照らし出されるのは一人の修道女の姿。得物らしき物は手に持たず】
【――――強いて表すならば腰に金銀二丁の銃を提げ、手には水晶を持って居る程度】
【……正し。その水晶自体から魔力を感じ取れるのだから、そう気を抜くことも出来ないか】


「ったく。それにしても雷好きはキミ達みたいな性格に難がある人しか居ないのかな
カテドラルを持ってた団長サマだってカタッ苦しいし、杖を振り回してたミイラだってヘンな人だったし
キミに至っては何だか自分自身を締めてるみたいだし

――――さて、そんなのは何だっていいや
あんまりオイタが過ぎる人にはお仕置きしなきゃいけない事に変わりは無いから、ね」

【悪態。そこから、不意打ちに近い形で水晶から銀製の槍が“撃ち出された”】
【人一人ならば容易に貫ける程度の速度ではあるのだけれど、狙いは胴では無く雷撃を準備して居るであろうその両の手】
【尤も、戦闘に慣れていれば避ける事は簡単な事だ。目的はただ一つ、転がる自警団員達を殺めさせない事なのだから避けの行動に移れば狙い通りなのだけれど】
934 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/04(日) 02:48:08.49 ID:K7Osa2jro
>>930

【世界の盾≠ニしての、まっすぐで屈託のない言葉――――ヴァレリーは何も言わず、ただ深く頷いてみせるだろう】
【いままで何人の血を吸ってきたのかもわからない双つの剣も、主の想いに共感して、自ら冷たい沈黙を守っているかにみえた】
【そして、なんだかよくわからない、といった様子のサリーも……何となく二人の会話がまとまったのを察したか、意味もなく嬉しくなって笑う】


――――まぁ、ほんと!? いいのねっ!!?
うふふっ……うふふふふっ☆ ロレッタお姉さま、もっと撫でてちょうだい!


【そうして彼女の歓喜は、ロレッタに撫でられた瞬間にさらに跳ね上がって、彼女を「お姉さま」と呼べたそのときに最高潮に達した】
【初対面とはとても思えないほど、心の底から嬉しそうに、サリーは自分からロレッタの手に頭をすり寄せんばかりの勢いだ】
【どんな場所だろうがどんな相手だろうがお構いなしの人懐っこさは、きっと生来のものなのだろう。ヴァレリーが小さく「やれやれ」と呟いていた】


「……さて、サラ。懐くのもよいが、儂らはもう一度お父さんとお母さんに挨拶しに行かねばならんだろう?
 そろそろ切り上げなさい。閉園時間も迫っておるし、ロレッタにも都合があるはずじゃ」

えーーーっ! いやよ!!
ここでわたしとロレッタお姉さまが出会ったのは運命に違いないわっ! お父さんもお母さんもそのぐらい許してくれるはずよ!!
ねぇねぇロレッタお姉さま? お姉さまはどこに住んでいらっしゃるの? SCARLETのお仕事ってタイヘン?


【もう時間も遅い。話もひと段落付いたところだし、しばらくして、ヴァレリーの方から別れを切り出すだろうか】
【……ただ、サリーの駄々のこねっぷりは半端ではなく、その視線はロレッタに釘付けのまま固定されている】
【会って少し話しただけで『運命』とは大仰な台詞もあったものだけれど……それぐらいサリーにとってはこの出会いが嬉しいようだった】

【ヴァレリーの制止も聞かず、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。このまま付き合っていてはそれこそ朝になりそうである】
【別に付き合ってやってもよいのだが、そちらからも何か言ってやれば、さすがにサリーもわがままは止めるかもしれない】
【どちらにせよ、おそらく次のやり取りで何がしかキリはつくだろう。少女と戯れるもよし、別れを告げるもよし、だ】
935 :カニバディール [sage]:2015/01/04(日) 02:51:24.83 ID:FUFxxJ31o
>>927>>928
【常に浮かべられた奇怪な笑み。彼女のわずかな親近感も台無しにする辺り、やはり青肌女も異形の者だ】
【そも、あの肉の怪物に付き従う者たちは、おおよそまともな存在でないのはむしろ当然か】
【ともあれ、彼女のかけた声には快活に返事をし。彼女が上げた感嘆の声には、正式な機関員でもないのに少し得意げにして見せて】
【最後の彼女のつぶやきには気が付かないまま、美鈴は自分たちの異形どものねぐらへと帰って行った】


【学生服に刀。寝ぐせがついたままの頭。迎えの少女は、子供らしい遠慮のない好奇心でそれらを見る】
【そう、目が縫われているのに彼女は見ている。首に巻かれたチョーカーに組み込まれた、小さなカメラで】
【それが、少女の目と耳の代わりをしているのだ。そんな自分の有様を、少女は当たり前のように扱っている】
【歩く姿は、子供らしい元気なもの。それゆえに余計に際立つ異形。それらすべて、この本部の中に飲み込まれている】

【慣れない敬語で告げられた挨拶に、中の異形が応じる。白衣の男たちは、軽く会釈をするにとどまった】


{えへへ、そっかな? ありがとー、お姉さんも綺麗よ? ボスボス、可愛いっていってもらっちゃった!!}
良かったなベティー。事実、お前は愛らしい子だよ……

ああ、待たせてすまなかったが、無事に完成した。お気に召すといいがね

【幼子が親にそうするように無邪気に接する相手としては、あまりに醜悪だが、少女は異形に懐いているらしい】
【その異形は、彼女の軽口にも気にせずに応じて見せる。彼女の驚きを感じ取れば、密かに笑みなど浮かべて】
【やがて、その瞬間が訪れた。人斬りの少女に、再びその価値が戻る】


【曲げられた指も、やはり以前と同じようにしわを寄せてしっかりと曲がる。細部まで精密に仕上げられた証】
【人斬りの指として新たに生み出された義指は、この瞬間から彼女の一部としての一歩を踏み出した】
【続いて発揮される、指としてのものとは別の、もう一つの機能。彼女はどんな反応を示すか。その場の全員が注目した】


――――それはよかった。安心したよ。吸着機能も問題なく動くようだな
機関の技術者たちは優秀だろう。私も初めて目にした時は驚いたものだよ

よくやってくれたな、お前たち。聞いての通り、素晴らしい結果となった
技術者たちにもお前たちにも、全員に私から特別ボーナスを出そう。いい仕事をありがとう……カヒュー……

【異形が、白衣の男たちにそう声をかけると、彼らは深々と頭を下げる。表情からは、抑えきれない喜びが見て取れた】
【邪悪に加担する者たちと言えど、技術者たるもの自分たちの功績を認められることは、やはり大きいことであるのだろう】
【配下たちには以外にも気前がらしい異形が、再び帯刀へと視線を注いだ】
【抜き放たれる刀に、動揺はまるで見られない。ただじっと、単眼が満足げに頷く彼女を見つめていた】

/さらに続きます……
936 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 02:51:29.97 ID:gHtJ+/QTo
>>933

【響く声。暗がりの中、ぴくりと動いた細身の彼は振り向いて】
【自身とは対局に在る、光の中の修道女を見遣る。ニヤ、と嫌らしい笑みを浮かべると】

人の趣味に文句付けるのは良くないなぁ、宗教も一緒だろ?
他人の信仰にケチつけて、挙句戦争までやる馬鹿が歴史上で何人居たのさ

【やがて不意打ちで襲い来る銀製の槍。しかし、彼は動じること無く両腕を振るうと】
【路地裏全体を一瞬、真っ白に照らし出すほどのスパークが発生し】
【目が慣れて、視界が戻る頃には槍は半ば程まで溶け落ちて、路面に在った】
【つまり伝熱で一挙に溶かして叩き落としたというわけか――火力は、とてつもない物があると見え】

フフッ……二丁拳銃に上等な魔術の使い方、そして修道女……。
"アンタ"か‥――なるほどねぇ?僕はアンタを知ってるよ
でも、アンタは僕を微塵も知らない……んじゃ、まずは"計らせて"貰おうかな、っと…――!

【意味深長な言葉を紡いでから、素早く壁際まで向かって右腕を壁に当て】
【直後、放電。過剰なまでの威力は方向も自在らしく、修道女の側面までの石造りが吹き飛んで】
【重い物、鋭いものなど形状は様々に、石壁の破片がその身に襲いかかる】
937 :カニバディール [sage]:2015/01/04(日) 02:51:40.60 ID:FUFxxJ31o
>>927>>928
満足のいく出来になったなら何よりだ。正義の敵が、ここにめでたく復活を遂げたというわけだな……
いい目だ……それ自体が剣と見紛うような、いい目をしている……

さて、それでは報酬をいただきたいな。いったい、その友人とは――――

【端々に感じられる自分への感謝に、異形もどこか満足そうな気配を見せる】
【だが、それ以上にその目。紛れもなく、目の前の少女は恐るべき人斬りなのだと。そう確信させる、恐ろしくも美しい瞳】
【己が、彼女を人斬りの道に引き戻したのだと。悪としての自負が、異形の中を駆け巡った】

【残るは、彼女が提示した報酬の件だ。いったい、これほどの人斬りを己が剣とするものは誰なのか】
【それを問いかける直前に。彼女自身から、答えがもたらされた】

――――ハ、ハハ……ヒューハッ、ヒュハ、ヒュハーッハハハ……!!
今度はこちらが、大いに驚かされたよ……なんとまさか、今のNo.6……それが、お前の友だというのか……

その二つ名を、変革者=B残念ながら、直接お会いしたことはなく、面識はないが……
新たにナンバーズの上位に名を連ねたお方だ。どれほどの実力者なのかと興味があったが
今、私の目の前にいる剣≠見れば……その地位に相応しい、いやあるいはそれ以上の人物だと、思い知らされるというものだ……

すまないが、自分よりはるか上に位置するお方の友人とわかって、すぐに態度を変えるのもなんだな
穢土宮様がいらっしゃらない時は、今まで通りに振る舞うことをお許し願いたい……

いやいや、あの夜、あの公園を訪れたことは、私にとって大きな幸運だった……

【異形は笑う。予想していなかったその答えに。何と奇怪な因果か、自分も繋がりのあったあの狂気の科学者の後任が】
【眼前の人斬りの唯一無二の友にして、剣の持ち主だとは。図らずも、大物に接していたのは自分の方であったのだ】

カヒュー……いや、失礼。興奮してしまった……
言われるまでもないことだろうと承知で言うが、お前の刃が永劫、穢土宮様と共にあることを祈ろう
変革者≠ェ正義の敵である限り。今回のことは、私にとっても代えがたい利となることだろう……

さて。全ては滞りなく済んだ。これから、どうするかね?
多少なら本部に滞在も出来るが、帰りたいなら希望の場所にまで送り届けよう

【これが、最後の問いかけになるだろう。異形が帯刀に向き合ってそう告げた。その単眼には、未だに受けた衝撃の余韻が渦巻いたままであった】
938 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 02:51:46.84 ID:fXsNsFUKo
>>931
【要領の得ない曖昧な言葉、それを語る少女の顔は、どこか困っているようで】
【少女は深く考えて動くタイプじゃない。ほとんど直感だ】
【自分でも自分が分かり切っていないのかもしれない】

・・・・・・ダメな選択肢?

【目の前の入間は、自分よりこの問題を深く考えているようだった】
【そんな入間の言うダメな選択肢とは何なのか気になった】

何とかなる、とは、思ってないの。満足もしてないし。
でも───おいしいものを食べたら、笑ってくれるでしょ?
まずはあの悲しい顔を何とかしてあげたいの。
でも食べ物だけじゃまた悲しい顔しちゃうから、今度はちゃんとしたお家に住めるようにして、皆と同じ事をできるようにしたげるの。
そしたらもっと笑ってくれると思うの!
満足するとしたら、多分、そのときなの。

【またにっこりと、眩しい笑みを入間に向ける】
【頭にあの子達の笑顔を想像して、自然とゆるんだその表情は嘘をついている様には見えないはず】
【考え事態はとても浅いものだ。どうすればいいのか、それに返したのはとてもアバウトなものだし】
【ちゃんとしたお家に住めるように、皆と同じ事をできるようになんて難しいことをさらっというし】

うん。何時かはできると思うの!

【だが、それができると本気で信じている。差別だとか、そんな言葉は少女の中にはない】
939 :ロレッタ・ヘントプレック [saga]:2015/01/04(日) 03:07:13.17 ID:CIRcEZKj0
>>934

【サリーの反応は、別に予想以上ではない。家族がいない人間の鬱屈は、過去を辿る形で理解できるからだ】
【だが流石に、墓場でこんなばか騒ぎをしていたら、周りから白い目で見られるだろう】
【閉園間際でよかった。お陰で、この娘の我儘にある程度付き合ってやれる――】


 大丈夫ですよ、ヴァレリーさん。今夜じゅうは私もこの街にいますから。
 サリーが一緒に遊びたいというのなら、後で付き合います。

 ……さあサリー、わた、……お姉ちゃんも話をしたいのは山々だけど、今はお父さんとお母さんが待っているよ。
 「家族を悲しませたら、だめ!」だからね――おじいさまと一緒に行っておやり。


【こういう時、どれくらいの言葉を使ってやればいいのかは意外と難しい】
【ちょっと間違うと、「初対面の相手に運命を感じるようなふしだらな女になっちゃだめだよ」――とか、言いそうになってしまう】
【だけれど、年末まで犯罪者との戦いで働き詰めだった身としては】
【子どもとの他愛のない会話に言語野を割り当てられることが、この上ない救いだった】


 さ、ヴァレリーさん。どうぞご家族のところへ。
 その間、私も自分のことを済ませておきますから。
 
 ……積もる話を分け合うことができて、少し気が休まりました。今日はありがとうございます。


【サリーを撫でる手を止めて立ち上がると、ロレッタはヴァレリーに家族の再訪を促す】
【そして、改めて謝意を表してから、ひとまず自分の墓参りの続きに戻ろうとするだろう】
940 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 03:07:55.57 ID:s7AseFyLo
>>932

【男は現れた男に一瞥くれただけで(それはサングラスで見えないのだが)無視して】
【憔悴しきった顔で煙草のフィルターを強く噛み、引き金を引く……が力を込めても】
【それはセーフティがかかったように動かない。しかし、そのリボルバーにそんな機構は存在しない】
【男は何度も指に力を込めたが、ガチ、ガチと動かなくてついにはその場にしゃがみこんだ】
【背を壁につけてピストルも手からこぼれ落ちる。リボルバーの模様は赤く怪しく染まっていた】

……俺は[ピーーー]ない…そういう運命に居るんだよ…呪いとも言えるけど…そういう言葉は好きじゃない
この世は運命と意志の相互作用で出来てる。…俺はその運命を……乗り越えられない
そーいう人間だよ。俺は…意志と行動は相反してる。…運命に操られてるまんまだ

【絶望して死を望むということはある。ただ死が最も深い絶望だろうか。人はそんなに簡単じゃない】
【死を望みつつ死んでいない人間は絶望しきっていないということだろうか。絶望は一種類なのか?】

【煙草を指に挟んで煙を吐き出す。いつ火を付けたのかも覚えていない。無意識で付けたみたいだ】
【頭にピストルを突きつけるぐらい追い詰められると人は何をするのかわからない。そう思うと笑えてくる】
941 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 03:10:13.70 ID:rVrAU7KR0
>>936
「さあ?ボクは神サマだとかが嫌いだからそんなの勉強してないし、何人居たのかも分からない
それと――――訂正してあげるならこれは教会として、じゃなくボクとしての行動だ」

【カラン、と溶けた槍が転がって。其れから計るに脅す程度の能力では無い事も知れる】
【漏らした溜息は面倒な事に突っ込んでしまった事に対してだけれど――――負傷した者達を見捨ててこの場を離れる訳にも行くまい】
【そして徒手で取り押さえられる相手でも無し。必然として戦闘が避けられない所までは容易に想像出来る】
【水晶を仕舞い、手にしたのは双銃。殺めた所で何の問題もあるまい。そう思った最中、青年の言葉が耳を通り】


「ほんと、ボクも有名人になったよね。会った事も無い人がボクの事を知ってるだとか言ってくるんだもの
名前を広める気も無いのに一方的に知られてる、ってのは結構気味が悪いけど
確かにボクはキミの事を知らないけど、知る事は出来るさ。――――キミには痛い思いをして貰うことになると思うけどね」

【轟――響いたのは正しくその音で、数瞬遅れて路地裏を抜けるのは突風】
【“返した”破片の中でも視界が確保できるならば、女の背に純白の翼が生えている事が分かるか】
【詰まる所、翼を羽ばたかせて大小の破片を防いだと言った所。重い物は頬を斬ったりするけれど、気に留める程でも無いと判断】
【然れど其れだけに終わらず、中に交えたのは銃弾。其れは発砲音で理解出来る事かも知れないけれど――――大腿部と腹部とに目掛け、魔力を吸い上げる寄生虫を利用した弾丸は放たれて】
942 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 03:13:17.56 ID:9YZj5YH+0
>>938
【聞き返すようなオウムの一言。今はそれに答えずに、少女の返事を待った】
【ただ、それに疑問を持てば横目に遠くを見て、ふっと小さく笑い、それがどういう結果だったのか……というのを、何となくで悟らせてくれる】

 ――良い考えだよな。
 皆そうやってだ、手を差し伸べたり。努力する奴の後押しをしてくれればいい。
 皆が皆、そうやってちょっとずつ歩み寄っていければいい。
 


 ――だけどな、駄目なんだよ。全然。
 届かないんだ。そういう想いが、幾ら重なっても。

【少女の中に差別はないかもしれない】
【総てに分け隔てなく、そう接する事のできる人種は、故に考えた事がないかもしれない。理解できないかもしれない】
【周りの差別する人の思考を――――その考え方を】

 人一人が救える数には限界がある。
 アンタが救おうと頑張っている奴らは幸せになるかもしれない。
 けどな、それじゃあたりないんだ――全体の一割にも満たない。ほんの少しの数なんだよ。
 なんでか分かるか? ――――アンタ以外の誰もが、そんな事をしないからだ。
 する訳ないよな? しなくても明日がある。三食ご飯がついて、温かい場所で寝られるんだ。
 自分が満足してるんだから、適当に生きたってどうにかなる――裏では、明日を生きる為に、日々全力で、死にもの狂いで生きてる奴がいるのに。

 ――不公平だと、想わないか?

【差別という考えがないのだとしたら、女の言う事はやはり理解できない物かもしれない】
【できたとして、やはり女の言う事が理解できるかは別だが、それは酷く後ろ向きだ。目の前の少女とは対照的に】
【それは、女なりの現実への回答だった】

 私がやってダメだった選択肢の一つが、ソレに近い事だった。
 教えを説いても、救われた奴は、全然いない――幸せになれた奴なんて、殆ど……。

【――――――――一度、言葉を切った】
【それは少女の反応を伺っているようにも思える。少女が口を挟もうとしないのであれば、数秒後しか、その伺う機会を用意しないだろう】
943 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 03:21:40.86 ID:gHtJ+/QTo
>>941

安心しなよ、ただ有名だから知ってるわけじゃないんだから……。
それに、アンタも僕を知ってるはずだ。とても間接的で、想像力を働かせれば
ようやく分かるようなもんだけど…――ツ、痛……!

【朦々と立ち込める土煙の中、真白な翼は良く良く目立ち】
【へぇ、と声を上げるのも束の間、そこに交えられた銃弾に狙い通りの箇所を撃たれる】

【――が、倒れない。というのも、彼の服が拘束具であり、ベルトであり】
【つまりはギッチリと固定された薄手の防弾性能を持っていたことと――】
【地に落ちた弾丸二発、どちらも帯電していたのを見ると、恐らく放電で押し返したのだと分かるだろうか】

ハッ……テキトーな性格してるって聞いてたけど、個人の事情で僕を攻撃するなんて
アンタ結構な"正義の味方"じゃないか。……なーんて言われると、むず痒いんだろ?
大方『キミみたいな下衆を見てると踏み潰したくなる性分なだけ』とか言いたい所だろうけどッ…――!

【瓦礫がダメなら直接電流を浴びせれば良い。両手から迸った青白い電撃は】
【細く何筋にもバラけて、さながら矢の雨を浴びせかけるように修道女の全身を】
【どこ、という狙いを付けずに攻撃する。打たれれば、その箇所の肉を灼いて抉り】
【数が多ければ多いほど、しびれる箇所も増えるだろう。最も多少であれば、気力で痺れは押さえられるか】
944 :ニーベルンゲン・シュバルツシルト [sage]:2015/01/04(日) 03:27:12.84 ID:ZxdnEZaL0
>>940
「ほう……」

【「不死」。それを表す言葉を聞いた時、彼は一瞬だけ、兜の奥の光を大きくした。】

「不死性とは、これまた珍しい……私も見たことはない」
「その様子では……虐げられて耐えかね、結局居場所を失ったといった所か?」

【まるで挑発するかのように男に相対する。初対面だというのに何処か見下したような、余程男のネガティブ思考に拍車をかけるようなセリフを重ねていく。】

「あるいは、そうだな……社会の泥沼に足を突っ込んだまま、何も出来ずに途方に暮れたと言った所か」

【推測ではあるが、それでも男の神経を逆撫でするような事を言う。】
【しかしその声に感情は無く。淡々とした口調によって、あくまで男に向けて呟く。】
【そこに込められた感情が優しさであるか罵倒であるかも、何もわからない。ただその捉え方は、男の感性と気分であろう。おそらくこの状況では、最低の捉え方をされるであろうが】

「……話してみろ、貴公が何をもって、この路地裏に迷い込んだのか?」
「得てしてここは、人が最後に迷い込む道……地獄の果てには、やがて皆このような閉塞空間に身を投じ、自らを隠蔽するのだ」

【彼は上を向き、微かに見える夜空を眺める。凍えるような夜風が、二人の足元を通り抜けて行った。】

「……貴公はどうかな?」




945 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 03:35:59.80 ID:fXsNsFUKo
>>942
【肯定されたと思った。が、】
【続く否定の言葉を聞いて、緩んだ口元が固く、への字にゆがんでく】

【少女は沈黙する。してしまう】
【差別する、その気持ちは分からなくとも】
【誰もそんなことをしない、それわかってしまうから】
【誰もが自分のような、誰かを助けようという気持ちを持っていれば、あの視線に苛立つ事なんて無かったはずだから】

【口に出かけた言葉、助けてくれる人が居るよと】
【けれど、その助けてくれる人が少数派なのは少女自身がわかっている】

・・・・・・じゃあ、どうすれば、皆幸せになれるの?

【助けられる人は助ける、善悪は関係ない。みんな助けるそう誓った】
【けど、自分の力で助けられない人はどうすればいいのか】
【少女は泣き出しそうな目をしていた。】
【そして少女の問いは、すがるような声で送られた】
946 :宮藤 帯刀 [saga sage]:2015/01/04(日) 03:49:54.13 ID:e220hLGMo
>>935>>937
【少女の姿を褒めれば、彼女は無邪気に喜んで彼の異形をボスと呼んで良く懐いている様――――― 姿形さえまともならば、或いは微笑ましい光景なのかもしれないが】
【その在り方もひっくるめて異形≠ネのかもしれない。それが成っているからこそ、邪悪≠ネのかもしれない】
【―――――――――― 此処にいる以上、悪≠ネのだろうが、そう異形へと懐いている彼女を正義≠ェ斬り捨てていい存在かと考えれば、疑問も湧いた】
【つくづく自分の倫理観が普通≠ナある事に絶句する。だがこの倫理≠ェこうなっているからこそ、こうして自分は悪なのだ、とも思った】

【自分の事を綺麗≠ニ言ってくれた彼女に、礼を言って】


【配下達にしっかりと礼を言い、ボーナスまで出すと言う彼の姿はその姿と思想を除きさえすれば、理想的な上司≠ノすら見えた】
【異形に頭を下げる彼等の喜びは、所はどれだけ変われども科学者と言うべきか。彼等へと、自分も小さく礼の意を籠めて頭を下げた】

【昨日、報酬として勿体ぶった一番にして唯一の友達≠フ名前を口走れば――――― この、何処までも邪悪な男に、変化が現れた】
【彼女は、この目の前に存在する異形よりも上のナンバーを持つナンバーズ=Bそして何より、人斬りである自分すらも受け入れる最高の器を持つ人物=z
【No.6の前任である科学者について、残念ながら宮藤帯刀は知りはしなかったが――――― そんな彼に、当然とばかりに誇らしげに両腕を組んで胸を張った】】

「ふふん、その二つ名の通り。入間≠ヘ、絶対にこの世界に変革≠齎す大物、そしてウチはその剣=I!
 ウチ何かを見て思い知らされた、何て思っとったらいかんよ。――――― 入間は、もっと素晴らしい人だもんで。

 まあ。別にウチはカノッサの中では特別偉い訳でも無いし、口調何て全然気にせん。入間がおるときでもそのままでもいいし。
 けど、入間に何か≠オたら。

 その時は、ウチが―――――――――― 怒る=v

【嬉々として声を弾ませて、彼の笑いに合わせて、誇らしげに嗤う】
【No.6の友人と考えれば、大物と考えられるかもしれないが。宮藤帯刀自身は、ただの剣≠ナあると考えていた】
【そもそも宮藤帯刀とカニバディールの立場を比べれば、間違いなく彼の方が立場は高いのだ。それ故に、その口調に対して、文句は無かった】
【だが。最後に放った言葉は、単純で且つ、何処か子供っぽい響きは在れど――――― 非常に大きな、念押しの意が籠められていた】
【義眼の上に鎮座する単眼が未だ衝撃に揺れているのを見て、満足し、彼の最期の問いかけに答えるとする】

「言われなくとも、ウチはこの命の続く限り、入間の―――――――――― 剣で、ありたい。
 だから、まあ。それが入間の利≠ナあるなら、ウチは、カニバディールさん。指の礼もあるし、アンタに協力しないでもない。
 ――――― まぁ、そうウチに出来る事は無いけど。仲間もおるし、でもまあ、覚えといたら得があるかも、程度に」

「そんじゃあ、昨日の公園に連れてってもらうわ。此処の居心地も悪くは無かったけど。
 やっぱ自分の部屋が一番だわ、うん」

【元に戻った、どころか新たな力を手に入れた右手、そして友達の名を聞いて衝撃を受けた異形に、随分満足気に笑って、帰還を選択した】
947 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 03:50:42.13 ID:rVrAU7KR0
>>943
「ボクも色々な所から恨みを買ってるから、どうだろうね
想像すればするだけ何だか沢山考えられるけど――――……」

【弾丸の効果は薄い。数多く放てば分からないが――――相手も案山子では無いのだから、素直に全てを被弾するとは到底考えられず】
【ならば斬撃か刺突か。双銃が淡い光を放ち始めたかと思えば、次には一振りの剣と化し】

【――――軽口を返すものの、実際に脳内では繋がりを搾りつつある】
【己を知る者等は大体は路地裏の悪党。けれど、目の前の彼は其れの枠を越えている】
【或いはゼン=カイマだけれど和解とは言わずとも敵対関係では無くなっている――――ならば】
【確実に答えは――青年の僅かな背景へと向かいつつあるけれど、思考は一度中断され】


「ッ――――!……く…フフ…………団長サマの雷の方がよっぽど痺れるよ

正義の味方だとかはむず痒いも何も、ボクには似合わない言葉だけど――――ッ!!」

【腕を振るい胴や頭への雷撃を避けるも、皮が爆ぜ肉の焼ける痛みが襲う】
【――――加えるならば其処に痺れもある、けれど。脚が動くのならば、其れで良い】
【近づく程に避ける事が難しくなるにも関わらず、徐々に加速。やがて横を過ぎる其の寸前、切り上げる様に斜め上へと一閃】
【肉を焦がしても尚攻撃に転ずるのは一介の修道女とも掛け離れ】


「カノッサだとかアーグだとかダグラスだとか、“迷惑な存在を消したくなる性分”さ
元々綺麗だとは言い難い世界だけど――――カビが浸食する前に切り離さないと楽しめる場所も無くなっちゃうしね
…………さて、正義の味方を前に悪人なら何をするんだろう。――なんて、分かりきった質問だったかな」

【斬れても斬れずとも数歩先まで抜ければ漸く脚を止める事になろう。滴るのは血液。左の腕は斬った殴られたとも異なり、赤黒く爛れて居るけれど】
【――――この男は誰だ。痛みを無視して、考えて、やがてはカマ掛けにも似た言葉】
【ダグラス、アーグ。そのどちらかにでも反応すれば答えは得たような物だ。くす、と漏らした笑みは詰まらない冗談でも零した事に対してか、それとも】
948 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 03:58:54.81 ID:s7AseFyLo
>>944

【男は煙草を吸い込む。赤く先が灯り…ジリジリと焼ける。焼ける音がかすかに聞ける】
【大きく吸い込んで肺にタールを貼り付けて脳までニコチンを届けるとゆっくりと吐き出して話しだす】

…不死なんてもんじゃないさ。…アンタが剣かなんかで頭をはねれば、俺は死ぬぜ
ただ…運命がそうさせない。…ある時、目の前でライフルをつきつけられた。俺が気がついた時には
奴はマガジン1つ分、30発俺目掛けて撃ちまくった。けど一発も当たらなかった
高速でバイクから飛び降りても6ヶ所折っても、死にはしなかった…そういう感じさ
……あるやつはそれを神に愛されてるなんて言うけど…俺はそうは思えないね

【ただ淡々と疲れ果てたように男は話す。そこに生気はない。操られるように口を開く】

……俺は何でも手に入れられる。俺の意志は他の奴らの意志を凌駕する。…わかるのさ
けど…何だろうな。それを引き換えに運命の手綱は悪魔が握ってる。……何だろ
俺にもわかんないよ。けど、全てを終わらせるには死んじまうしか無いんだ

【男は煙草を投げ捨てる。路上を転がって夜露に濡れたアスファルトが火を消す】

俺は元々、ここで生きてるような奴さ。夜でしか生きていけ無い。……あんた、カノッサだろ?
…なんか、似てるな。あいつに…カニバディールなんかに似てる。同じ、匂いだ
949 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 04:01:17.69 ID:9YZj5YH+0
>>945
//ごめんなさい、一度凍結していただいていいでしょうか……今日中に返しておくので……
950 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 04:03:28.13 ID:fXsNsFUKo
>>949
//大丈夫ですよー!
//それとすいません、私からもお願いが・・・・・・
//あのレスを一度書き直してもよろしいでしょうか?朝までには終わらせますので・・・・・・
951 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 04:04:02.94 ID:gHtJ+/QTo
>>947

【雷撃と剣撃の交錯。修道女が駆け抜けた先で、振り返ってみれば】
【彼は綺麗に斜め一閃、胴を覆う服に朱を散らすように傷を受けていた】
【だが、まだ浅い。細身なだけに身軽なのか――寸前で身を引いていたからだ】

【そしてその傷を、痛みを躊躇すること無く手元からの雷撃で焼き塞ぐと】
【額に浮いた汗を拭いながら、またニヤ、と笑ってみせ――】

っ……ふ。どうしたのさ、グリース・イムリンパルス?
余裕綽々って口調の割にボロボロだ。……ま、それが雷のイイトコロだよねぇ

どんな奴でも、電気ってのは怖い。火や水のように、防げば終わり……じゃ、ない。
剣で斬れば剣から腕に伝わるし、盾越しだって関係ない
肉に触れれば焦がすし、場所を上手いこと絞って当てれば
体の機能をめちゃくちゃにしてやることも出来る……何より、速いし。

あぁそうそう!さっきアンタ、魔力を吸収する弾丸を使っただろ?
あれ、無駄だから。なんでって、僕にはこの"雷"以外に力がないからさ
魔術、呪術、瞳術、その他諸々……気やら魔力やら、そんなもんは持ちあわせちゃいないのさ

……ホラ、早く考えて答えを出せよ。じゃないと、その前に"全壊"にしちゃうよ?

【カマ掛けには――これは乗ったと取って良いのか、悪いのか。】
【返事は"雷"に関することばかりだった。その利点、自らの力であり、長点であり】

【――何より、答えだ。果たして雷といえば、一体誰が浮かび上がるだろうか】
【その上で、彼がどういう人物かを絞るにあたって重要なのは――彼が持つ力、なのだが】
【何を持っていて、何を持っていないのか。其処を加味すれば、辛うじて答えが見え始めるはずだった】
952 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 04:14:47.65 ID:fXsNsFUKo
【新年も】能力者スレ【信念の為に】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1420312449/

//次スレですー
953 :ニーベルンゲン・シュバルツシルト :2015/01/04(日) 04:17:28.88 ID:ZxdnEZaL0
>>948
【彼は男の話を聞いて、納得したように言葉を返す。】

「閉塞空間に生き、そしてそれを糧とする……か」
「カニバディールを知っているのか、一般人……かは知らんが。まあ、無理もない。奴は我等が組織の星の中でさえ、一際異彩を放つ存在だ……」

「……奴とは一度だけ合間見えた事がある。闇、それも絶望しか無いような所でさえも、しかしそれを楽しむような、「捻くれた」と言えば良いのか……それでいて礼儀を身につけている所が、また不可解な輩だ」

【彼は思い出すような、考え込むような仕草を取る。しかしながら理解し難いものと言うのは、そう簡単に価値観が変わるわけでは無い】
【やがて彼は考えるのをやめ、話を本題へと戻す】

「その「似ている」と言うのがどちらの事かは分からないが……少なくとも貴公は、泥沼を愉しんでいる様には見えんがな」

【その後、「私はそもそも生きる世界が違う」と付け足し、自分とカニバディールとの違いを表明する。】
【彼は項垂れる男に向けてふと近寄り、何を思ったか、その手を差し出した】

「……その力。使用すべき所に使用する気は無いか?」

【彼は男に「交渉」を持ち出した。何故かと言えば、今男が欲しているのは恐らく「居場所」であると踏んだからだ】
【たとえ異形だろうが巫山戯た存在だろうが何だろうが受け入れる、ただ一つの思考の元に動く「居場所」に】
【そう言う意味では、自分と「カニバディール」は似ているのかもしれない、と改めて思う。】

「勿論。貴公が望むなら……だが?」

【その手の行き先は、混沌への道標である。これはどうせ居場所が無いのならば、こちらへ来ないか、という勧誘に過ぎない】
【どちらにしろ男は、この手を取ってもいいし、取らなくてもいい】
【ただその力は、必ずや機関への貢献が約束される事だろう。それを踏まえてなお、彼はその手を差し伸べたのだ】


/済みません、眠気が不味いのでこの辺で凍結でも宜しいでしょうか……?
954 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2015/01/04(日) 04:17:58.81 ID:K7Osa2jro
>>939


ほんとに!? ほんとに!? 約束よ!!
うふふっ、きょうはサリーとずっと一緒にいてもらうんだからっ☆

「おお、すまんのぅ。この通り騒がしい子で悪いが、よければ相手をしてやってくれ」


【ロレッタの返事をすべて聞くまでもなく。たぶん「大丈夫ですか」のあたりで既に、サリーは飛び上がらんばかりに喜んでいたと思う】
【赤らんだ頬に手を当ててきらきら瞳を輝かせる孫娘を尻目に、ヴァレリーは申し訳なさそうに、だが彼もまた嬉しそうに告げるのだった】
【二人は改めて一礼し――サリーが「ぜったいよ!」とまた念を押して――、もう一度亡き家族の下へと向かっていく】


「……いや、こちらこそ。
 気が休まったのは君だけではない。おそらく儂にとっても、この出会いは良いものであったのだから」


【その去り際――――ぽつりと。サリーに聞こえないよう、ヴァレリーはロレッタに言葉をかけた】
【シルクハットで隠れて、先ほど妙な光を宿していた目元は見えなかったけれど……少なくともその言葉は、紛れもない本心のものだ】

【――――さて。その後サリーは嬉しげに、新しい「お姉さま」が出来たことを両親と祖母に報告して戻ってくる】
【もしロレッタが本当に許してくれたなら、老人とその孫娘はロレッタと共に墓地を出て行くことになるだろう】
【案の定というか……その間じゅう、サリーからひたすら質問責めに会うかもしれない】
【普段はどんなことをしているのとか、趣味はなにとか、彼氏はいるのとか。……なんだか妙な質問まで混じっているけれど】
【少女の知的好奇心は尽きることがない。しかしあまり不躾な質問のときや答えたくないもののときは、ヴァレリーがフォローを入れてくれるはずだ】


……それじゃあ、またね! また≠諱Aぜったいよ!
ロレッタお姉さまっ! サリーのこと、忘れないでね!!

「うるさくしてすまんかったな、ロレッタ。また機があれば、この子と遊んでやってくれ」


【とはいえさすがに、一緒に夜を越すわけにもいかず――――そう、賑やかな夕飯を終えた後ぐらいか】
【まだまだ話し足りない様子のサリーを「体に障るから」と抑え、ヴァレリーはサリーを連れ立って家に帰っていくはずである】
【たしかに、精神的にはどうあれ、少女の体にはやや疲れが垣間見えた。見た目のとおり、サリーは体が弱いのだろう】

【老人と孫娘は、そうして去っていく。彼にとっては愛する妻と息子と娘、彼女にとっては祖母と父と母】
【大事な人の墓前で、また新しい大事な人ができたことを、二人はそれぞれの形で受け止めて、】


(………………、………)


【そう。ヴァレリー=ルゥ・ド・ノートルダムは密かに、サリーにも、ロレッタにも、決して誰にも見えないよう】
【重く粘ついた決意と覚悟を胸の内に秘めて、縋るように孫の手を握りながら、暗い夜道を歩いてゆくのだ――――】


/遅くなってごめんなさい……!
/お付き合いありがとうございました!
955 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 04:27:23.38 ID:fXsNsFUKo
>>949

【肯定されたと思った。が、】
【続く否定の言葉を聞いて、緩んだ口元が固く、への字にゆがんでく】

【少女は沈黙する。してしまう】
【差別する、その気持ちは分からなくとも】
【誰もそんなことをしない、それわかってしまうから】
【誰もが自分のような、誰かを助けようという気持ちを持っていれば、あの視線に苛立つ事なんて無かったはずだから】

【口に出かけた言葉、助けてくれる人が居るよと】
【けれど、その助けてくれる人が少数派なのは少女自身がわかっている】

誰も、そんなことをしないのは・・・・・・その通りだと思う
・・・・・・でも、あなたもあの子達を助けたいと思ってるんでしょ?
あたし達みたいな人は少ないかもしれない。でも、0じゃない。
ちょっとずつでも、ちゃんとやっていけばあたし達みたいな人も増える・・・・・・はずなの

【何とか返した、その言葉も弱々しく】
【増える・・・・・・と言っても、自分の言葉を信じきれない】
【確かに良い人たちは居た。けれど少数だ。皆皆そうじゃない】

【助けられる人は助ける、善悪は関係ない。みんな助けると誓った】
【けど、自分の力で助けられない人はどうすればいいのか】

あたしはまだ、わからないの・・・・・・どうすれば、皆が笑ってくれるのか
でも、何もしないのは絶対やなの。
あなたは、どうすれば皆が笑えるようになると思うの?

//すいません、こちらの方にレスを返していただけると助かります・・・・・・
956 :カニバディール [sage]:2015/01/04(日) 04:31:25.97 ID:FUFxxJ31o
>>946
【カニバディールとその一味は、精神肉体共に歪みきった怪物たちだ】
【どんなに微笑ましく見えたとしても、それは変わりのない事実】
【彼女がそれをどう感じたか、それは異形どもの知るところではないが。それは、彼女に自分の中の悪を認識させる一助となったようだ】

【帯刀が礼を言えば、ベティーも笑ってそれに返す。それだけなら、やはりただの子供のよう】
【後は、カニバディールに従ってその場にたたずんでいるだろう。時折、辺りを見回したりしながら】


【彼女が頭を下げれば、白衣の男たちもそれに返礼しつつ同じように首を垂れる】
【彼らの生み出した技術が何をもたらすのか。それをわかっていても、やはり彼らはその腕を振るうのだ】

【そして、この邂逅の最後の一言。その場に落ちた衝撃の波紋が、異形どもの中に広がっていく】
【胸を張る彼女を前に、密かに異形はその本人に一度会ってみたいと願う。その深淵を覗いてみたいと】

それは失礼したな、その器の大きさは今の私には測りかねるようだ
その変革≠ェもたらされた世界、是非ともこの目で直に見てみたいものだよ……

それはありがたい。私としても、この方がやりやすいのでね

――――…………。ああ、無論……肝に銘じておくよ

【弾む声に滲む誇らしさと喜びは、とてもあの人斬りの目をした少女と同じとは思えないほどに】
【されど、やはり。彼女はこの世界の闇に息づく、人斬りであるのだと。あまりに鋭い、抜身の剣なのだと】
【その念押しの一言が、確かに感じ取らせた。傍らのベティーが、少しだけ怯えたように後ずさった】

【子供っぽさを残したその一言に、カニバディールは確かな真剣さでもって返答した】
【願わくば、そのような事態になってほしくないものだと。心底から、そう思いながら】


それはありがたいね……そうしてくれるのなら、嬉しい限りだ
機関員としての私の行動が、穢土宮様の利に繋がる時は、頼りにさせてもらうこともあるかもしれない
私は、自分の得になることは決して忘れないよ……ふ、ふふ……

承知した。すぐに送り届けよう

{バイバイ、帯刀お姉さん!! また会いましょう!!}

【彼女の答えに頷き、異形が歩き出す。それを見送るベティーの声が、別れを告げた】
【後は、来た時と同じ道を辿り。再び、地下通路へと潜ることになるだろう。昨日と同じく運転手を務める、ピアス男のスカーベッジが頭を下げて出迎える】

【荷台に揺られること、しばし。やがて、大型車が停止する。荷台から降りれば、昨日と同じ場所】
【眼前の梯子は、あの時よりも軽やかに上ることができるであろうか】

それでは、我々はここで失礼させていただこう
有意義な時間だったよ、宮藤さん。また、互いの利が一致することがあれば、その時はよろしく頼む

[ひひ……ボスともども、あたくしら盗賊団『スクラップズ』を、どうかよろしくお願いしますぜ]

【二つの異形が、別れを告げる。スカーベッジの口から漏れるのは、彼らの名。国際指名手配されている盗賊団の名だった】
【カニバディールが率いる異形の軍団。あるいは、戦場で同じ側に立つこともあり得るかもしれない】

【それが終われば、異形どもは大型車に乗り込んで去っていく。エンジン音が壁に反響し、少しの間の後、静寂が訪れた】
【出入り口の蓋を押し開ければ、あの日と同じ公園の茂みの奥に出るだろう。完全に彼女が地上に上がれば、蓋は一人でに閉まる】

【昨日と同じ場所、同じ人物。されど、大きな変化が一つ】
【その人物は取り戻したのだ。己の価値を。戻ってきた。人斬りが戻ってきた。新たな年の到来と共に――】

/これで締め、でよろしいでしょうか? 二日間、ありがとうございました!!
957 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 04:33:04.76 ID:rVrAU7KR0
>>951
「ボロボロ?ボクからすれば丁度良い眠気覚ましだよ
自信たっぷりなのは良い事だけど、余りに其れが過ぎると足元を掬われるって誰も教えてくれなかったのかな
――――もしそうなら、今日ボクがキミに教えてあげるよ。世の中の厳しさってヤツをさ」

【「欠伸が出るよりはマシさ」――――ニィ、と笑んで見せれば左の手を開き】

【掌に溜めるのは純粋な魔力。やがてはコンクリート壁すらも容易く砕くほどになれば――――其れを放つ事となる】
【とは言っても、青年目掛けてでは無く。先は“地面”だ。目眩ましや破片を利用するのでは無く、もっとその深部――――要するに、下水管水道管の破壊】
【ジワリ、と染み出るのでは無く吹き出させる程に壊す。――――次の瞬間には、其れが渦を巻いて辺りを漂うこととなろう】
【恐水鳥の瞳の力。吹き出す水は辺りに浸水いる事も無く、ただ一つの渦となり】


「とあるお爺ちゃんにカテドラルを返せって言ったら儂が付けた力だー、とか何とか言われたりしてね
その他にもその“お仕事”の後に他の人達のを纏めて聞いてみたら――――まあ、キミみたいに雷を扱う様だったけど

キミが関係しているなら聞きたい事は色々とあるけど…………敢えて今一つだけ言葉を選ぶとしたら、喋りすぎると後々痛い目を見るよって事かな
――――コレがボクの答えだけど、どうだろ。其れだけ電気が好きなら充電の手伝いもしてあげるけど?」

【腕を薙いだその動きに反応する様に、青年に向けて勢い良く固められた水が向かう事となろう】
【たかが水ではあるが――――凝縮され、相応の速度を持った水流は下手な得物よりも凶悪で】
【其れは強い“衝撃”となって青年の身体を打ち付けようとする事だろう。若かし、真の目的は“濡らすこと”にあり】

【続ける様に放ったのは紛う事無き“雷撃”だ】
【頭を狙うようにして放たれた其れはまるで鞭の様。果たして青年に対し、別な者が雷撃を加えた所でダメージが通るのか否かを確かめる意味合いも含まれ】
958 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 04:34:47.70 ID:s7AseFyLo
>>953
/了解しました。レスしておきますので
/ご都合の良い時にでもよろしくお願いします
959 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 04:53:54.45 ID:gHtJ+/QTo
>>957

さぁて……どうかなぁ?自信ってのは、なんかしら根拠があるものだ
アンタがそれを、僕の能力――雷の強力さだと思ってるなら、哀れみすら覚えるねぇ
確かに、僕の唯一の武器はそうだけど…――ん、あぁ?

【地面が砕け、水が吹き出す。雨のように降りしきるかと思えば、水は形を持ち】
【流石に"彼"も怪訝そうな面持ちで彼女の行為を見ていたが――】

はっはぁ……?そうかそうか、記憶力はマトモな訳だ
大当たりだよ?僕はそのお爺ちゃん……アーグを背景に持つ存在さ
僕に関して言えば、ただそれだけで存在の全てが説明できる程に……なんてね。

にしても色々と手札を持ってるじゃないか。銃に槍、水を操って次は……ッ!

【迫り来る水塊を避けるように、恐ろしく身軽に路地裏の段差を飛び回る】
【バーの広告、積み上げられた荷物、或いは小窓。およそ人らしく無い敏捷さで】
【しかし、目的が濡らすことであればそれは成功だ。爆ぜた水までは避けられないのだから】
【重い衝撃をうけることは避けたものの、気付けば全身はびっしょりと濡れていて】

【水に意識が取られていたからか――雷撃を避けるような動作は見えなかった】
【不意打ちに近い。水しぶきの中で、彼の頭部に叩きこまれた攻撃の成果は――】

―――……充電ッて言うには乱暴過ぎるんじゃない!?
でも助かったよ、サンキュー♪生憎と僕は、濡れてそこらに放電しちまうような
出来損ないの塊じゃないのさ。海水レベルの量をブツケられれば別だけだけど…――

……あぁ、返しとくよ?今、過充電だからさぁ……溜めるのは良くないって言うだろ?
眠気覚ましにぴったりとも言ってたし、もう少し強烈なのを味わいなッ!

【グリースの放った雷撃は、吸い込まれるように彼の頬へと消えてゆく】
【にやりとした笑いは健在で、水に濡れながらも感電するようなこともなく】
【真に雷撃は己のものであり、それによるダメージは一切受けないと言うかのごとくで】

【おもむろに修道女へと両手をかざせば、数瞬置いて放たれるのは】
【高度に圧縮された雷電の塊。1m程もあるそれは、真っ直ぐにグリースを狙っていた】
960 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 05:24:00.66 ID:rVrAU7KR0
>>959
「――――コレだけ手札があればキミも退屈しないで済むんじゃない?
しかし、そっか。それなら“丁度良かった”キミ達には聞きたい事が沢山あったから探す手間が省けたよ
尤も、キミがどの程度まで答えられるかは分からないけど」

【彼が異なった場所に属していたならば話は変わっていたが――――“そう”ならば逃げないし逃がさない】
【向かってくる塊を視認すれば右の手を突きだし】
【腕を犠牲にして生き長らえるのかと思えば、そうでも無く。然りと“纏わせ”その状態で壁に触れたならば放電させる事だろう】
【雷の魔力石により雷を操り、回避。無論魔力とて無限では無く有限だけれど、焦る様子も見せずに何処か冷めた様な視線が向けられて】


「答えられなければ殺すだけだし、逃げようとするなら脚をもいで這いずらせるだけだ
――――何から聞こうかな。アーグの協力者でも良いし、目的でも良いし

嗚呼、そうだ。一番最近の話でも聞いてみよかな――――多分キミの所にカノッサの100番が居たと思うけど」

【剣が光を放ったかと思えば、手にするのはランス。斬撃の跡を焼いて防ぐならば“突く”事を目的としたか】
【バサリ、と羽ばたけば風が今までの破片だとかを巻き上げて】
【――――痛みを気にする風でも無い。彼から引き出すべき情報は山ほどあるけれど、先ずはこの前会った者について問うかとでも考えたか】


「あの子の扱いや今どうなっているかが気になってね。キミが知らなければお爺ちゃんについてでも質問を変えさせて貰おうかな
――――喋れる状態なら、だけど」

【疾風の様な速さ。加速からトップスピードに至るまでは実に短く、ランスの先端は腹部の丁度を貫かんと向けられて居て】
【貫かれればそのままの勢いで壁に縫い付ける事となるだろうし、受け止めるには相応の筋力も無ければ難しいか】
【然れど武器の特性として直線上を進む。避ける事自体は難しい事では無いかも知れないけれど】
961 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 05:49:36.69 ID:gHtJ+/QTo
>>960

っ、ふ……フフフフ、っ……!

…――お前なーんも分かってねぇなぁー、バーカ♪
あの爺さんに協力者だの目的だの、そんなもんあるわけ無いだろ?
自分で、独りで生き返って、やりたい事をヤるんだよ!

其処に明確な理由なんかあると思ってんのか?深慮遠謀があるってぇ?
んなわけねーだろ。爺さんはアホみたいに強い魔術師だ!
その力で、その時にやりたい事をやる。その布石が百年の眠りさ!
元々強かったのを、より盤石に……なに、ちゃんと目的があると思ってたワケ?

"賢者の石"みたいな伝説級のアイテムを探すとか、世界征服とかぁ?
……お前らはアリだ、んで爺さんは象。お前らがなんで象はアリを殺すんだって言っても
向こうからしてみりゃ歩いてるだけだっつーの…――んだよ、速ぇなぁ……!

【ケタケタと笑いながら、だった。一挙に迫る直線のランスに、腹部を抉られ】
【抑えるような筋力もない――自然と壁に叩きつけられ、杭をされるように動きが封じられて】

【血がぽたり、と足元に落ちて広がってゆく。口元からは唾液に混じって大量の赤が溢れだし】
【――瀕死。両手はランスを掴んで、強烈な電流を其処に流しこむものの】
【手札は多いのだ。対策を講じているのであれば、恐るるに足らない――予測可能な反撃で】

あァ……あのガキ……?あんな奴、僕が始末してやったよ
役に立たないから、動かなくなるまで蹴っ飛ばしてから海に捨ててやったんだ

……でも、そうかぁ…。アンタが知ってるってことはアイツ、生きてるのか。
もっとちゃんとやっとけば良かったなぁ……モノが手元から離れるの、嫌いでさぁ……?
斬りつけるだけじゃなくて、刺しときゃ良かったな…――っ、今みたいに……ッ!

【三白眼じみた瞳が、いささか落ち窪みつつもぎらりと光ってグリースを睨む】
【しかしなおも口元は笑っていた。額には油のような汗が浮かび】
【両腕には抵抗の証か、稲妻がバチバチとスパークする。さも、カウンターの機会を窺うかのように】

/申し訳ありませんが、此処で一度凍結をお願いしたく!
/当方、本日は休みですので起き次第……恐らく昼過ぎには来れるかと思われます
962 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 05:55:55.10 ID:rVrAU7KR0
>>961
/こちらもそろそろ眠気が危うかったので丁度良かったのでありますっ!
/ただ、もしかすれば午後に用事が入るかもしれません故に12時〜14時の間にこちらの方からの返信が無ければ22時30分頃からの再開にしていただければ幸いです……!
963 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 05:57:14.57 ID:gHtJ+/QTo
>>962
/お時間と用事の可能性、把握致しましたっ!
/でしたら昼夜、様子を見計らってお呼びかけしてみますね。
/それでは、今日の所はこれにて!お疲れ様でしたー!
964 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 11:51:35.19 ID:s7AseFyLo
>>953

【男は思い出したように少しだけ笑って。また懐からタバコを取り出した】
【何となく所在無くて火をつける。中毒と言ってしまえばそれまでのこと】

あいつはシンプルだ。目的も手段も、欲望も最短で……わかりやすい。俺にはそう見える
余計なところばかり見るから不可解なんだ……あいつは立派な『ジャグマーカー』だ

【ジャグマーカー―裏社会の、特に泥棒の用語で犯罪計画の立案者を意味する】

似ているのはアンタだよ…アンタらは隠そうとしない。自分が悪だって事をさ…なんであれ良い奴の
振りはしない。……他の悪い奴らはイイ者のふりをするもんだ。…自分で気がついてない時だってある

…俺は同業だ。カニバディールとな。…あいつは副業かもしれないけど。俺は本業の泥棒だ
けど、あいつよりやってることは複雑だ。タタいた銀行や企業は数えられないが手順は全部覚えてる
現金輸送車が着く時間、金庫の重量、街のエスケープポイント…頭に焼きついてる
…結局死ぬのを避けてるんだ俺は。…だから、死にたくなっちまうんだよ

【気の抜けた笑い。男は煙草を指に挟んで、灰が落ちる。今度は大きく笑う】

ハハハッ…俺はな、自分に…自分の運命に絶望してんだ。俺は俺に苦しめられてんだ
……生憎、世界に絶望しちゃいないんだよ。アンタらはこのピストルで俺の頭をふっ飛ばしてもくれなけりゃ
なくしちまったもんを探してもくれないんだろ?正義も悪も混沌も秩序も…俺にはどうだっていいんだよ

【今度はいつまでも男は笑い続ける。ついには気でも狂ったのかと思える乾いた笑い】
965 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 12:52:50.46 ID:rVrAU7KR0
>>961
「――――ボク等が蟻なら、蟻に貫かれたキミは何だろうね。何とかフォローしてあげたいけど……ごめん、何も思いつかないや
キミを殺すとは言ってもボクはただ飛んでただけだ。さあて、お互いに蟻よりも弱いイキモノを出し合ってみようか

ボクが唯一出せるとしたら…………自信過剰の目の前に居るキミとかかな」

【貫いた手応え。突き進めば、然りと縫い付けて】
【血が掛かろうと気にすることも無い。可能ならばランスを捻り、更なる苦痛を与える程】
【――――其処に浮かべるのは笑みでは無く、冷酷な遂行人と同じ様な其れ。死神と呼ばれる由縁】


「それにしても、特に目的も無いのなら余計に厄介だね。目的が無い分、余計に読みにくいんだ
キミの口が軽くて助かったけど…………其れが事を楽に運ぶかと言えば、そうじゃ無い
でもね、どれだけ強くても生きてれば死ぬ。詰まりは生きている限りは殺せる
――――百年眠ってたなら、次は永劫に眠って貰うだけさ。……キミは殺すし彼も殺す
ダグラスも同じだし、邪魔をするのが居るならきっと同じ様にすると思うけど

…………余裕綽々って口調の割にボロボロだね。其処が雷の良い所なのかな?」

【彼自身が雷こそが能力だと言っていた――――だからこそ、水流で無理矢理伝導先を変えて】
【無論掌を焦がされはするものの、身体までは届かせない。ランスを蹴り抜けば、更に深く縫い付けるようにして――コレより先の布石】

【――――ランスを抜くでも無く、更に飲み込ませるのでも無く。手を離せば掌の状態を確かめて】
【コレならばこれから先の事をするには十分事足りるとの判断。肩を回し、指を握り開きを繰り返し】


「キミだったか。丁度良かった…………本当に
ボクは子供だからとかで敵の心配を心配する程に聖人じゃ無い。あの子とはそう関わりも無いし恩がある訳でも無いけど
少しは境遇が似てるからか気になって、ね?

――――ま、その口振りからしてまだ生きてるみたいだね。キミの始末を失敗させたのはボクだけど
モノ扱いもそうだけど……何て言うんだろ、あの子から幾つから話を聞いたけど其れこそ『キミみたいな下衆を見てると踏み潰したくなる性分なだけ』だ
水で溺れさせても良いんだけど、キミはコレで十分」

【両腕に帯電して居るのを確認するも、ただ一瞥するだけで】
【殴る事もせず、掌は脚を掴む事だろう。そのまま抵抗が無いならば“下に引く”事となる】
【ランスによって縫い付けられた身体、無理に引っ張られたらどうなるか】

【フレデリックの様な異能であれば別だが――――大体は“破ける”】
【斬撃等々とは異なる痛み。内と外とから過剰なまでに痛覚を刺激して、見た目も相応に悲惨となる攻撃】
【仇討ちだとか高尚なモノでは無く、ただ青年に対して純粋な敵意を持って居るから】

/時間が確保できたのでお返しさせて頂きますっ!
966 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 13:54:28.89 ID:gHtJ+/QTo
>>965

【ランスが捻られれば、傷付いた内臓がねじ切られる様な耳に残る音がして】
【血が"溢れる"のではなく――それこそ、吐瀉と見紛うほどに大量に血を吐き出し】
【それでも尚、惨めな命乞いや悲鳴を上げたりしない辺りは筋金入りという訳か】

【一気に、顔色は悪くなる。青白く、目は落ち窪み、死相というのが透けて見える】
【両手はランスを握りしめたまま、前傾の姿勢を正す余裕も無いようで】
【更に深々と肉体を壁に縫い付けられれば――足下の血だまりは急速に大きさを増し】

ハッ……!好きに言ってろよ、クソ蟻が……!
僕にとっても、あの爺様にしても……隠すような事情も弱点も無いんだ…っ!

口が軽いだってぇ……?そうでもしないと面白くないじゃないか……
これからでっかいパーティーを始めようって時に
お前ら蟻が行列作って踏み潰されるのを待っててくれないとさぁ……!

……あぁ?知るかよ、あんな出来損ないのクソガキなんか。
生きてるなら殺してやるさ、アンタが今言ったみたいに……っ、ホントに修道女かよ…――。

【――脱力した状態で、宙吊り。その上で足を下に引かれれば、耳を塞ぎたくなるような】
【肉と筋繊維の千切れる音。右は膝関節で、左は股関節で――それぞれ、足を喪失し】

【やがて、血液混じりの唾を吐きつけると、そのままぐったりとランスにしがみつくようにして】
【ようやく、というか――静かになった。肉体からはすさまじい勢いで血が流れ出し】
【周囲には濃密な血臭が漂い始め、気分が悪くなるほどのものだった】

/お待たせしましたー、こちらもお返しいたしますねっ!
967 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 14:20:45.84 ID:rVrAU7KR0
>>966
「――――確かにパーティーは参加者が多い方が賑やかで楽しいね。其れを台無しにするのも楽しい
精々ボク等に欠伸をさせない様に頑張って欲しいな。態々行列を作って待っててあげるんだ、それ位の努力はすべきだよね」

【嗅ぎ慣れた臭い。脂臭いとでも表すべきなのか、少しずつ広がり始める生臭さに鼻を摘む事もせず】
【脚をその場に落とし、青くなる顔を眺め】
【――――「まだ元気?」何て小首を傾げて問うのだから最早どちらが悪なのかも分からない】
【彼の身体を縫い付ける物も必要が無くなったと判断したか、一気に引き抜けば一振りの剣へと戻し】


「折角助けた命だ、正義の味方にならまだしもキミみたいなのに易々と殺させるのもボクとしては癪に障る
まだ話せるんだとしたら、其れがキミの判断かダグラスの判断か、アーグの判断か聞きたい所だけど……もう難しいかな
…………嗚呼、歴とした修道女だよ。でも神サマにお祈りをしたり迷える人々を救ったりなんて役目は持って無い

キミの様な人を殺すのがボクの役割だ。――――ボクってば仕事熱心でしょ?」

【吐きかけられた唾を袖で拭い去り、鮮血を吹き出す彼に対して送る言葉】
【反撃するだけの余裕も無いと考えれば首を落としたりする事も無く、ただ血が流れ出るのが収まるのを待つのみ】
【血が身体を汚そうと靴を濡らそうと気にする素振りも見せない。彼の活動が完全に停止する事を確認する為だけに視線を送り】
968 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 15:02:18.10 ID:gHtJ+/QTo
>>967

【槍が剣へと形を戻せば、彼は抵抗なく地べたに転げて血を垂れ流す】
【返事は――流石に無い。睨んでヘラヘラと笑うことも、もう無い】

【一分か、三分か。もぞ、と動くことすらもなくなり、次第にあふれる血液もなくなれば】
【それは生き物としての終焉を意味する。だが――停止することだけを心がけていたなら】
【まだ、足りない。彼はこう言っていた。"雷が自信の源だと考えているならお笑いだ"と】

――その点ちゃんと理解出来てるワケぇ?
ありえない、なんてことは有り得ないって言うじゃないか……

足引っこ抜かれても、腹にデカい穴を空けられても、血をどれだけ失おうが
それでも尚"こうやって"復活できるほどの不死性が……僕の自信さ
どうだい、凄いだろ?ちゃんとタネはあるんだ…――まあ、知る前にアンタは死ぬんだけどさぁ――!!

【紫電が迸る。両腕に蓄積された高圧の雷撃が、それこそ二本の槍の様に真っ直ぐに修道女を狙い】
【その身体を、肉、骨、血液、或いはそれ以外の全ての区別なく抉り、弾き飛ばそうとする】
【雷とは速い物だ。疾風と比べても――いや、比にはならないか。ともあれ、攻撃を放った本人は】

【"立って"いた。放られた足とは別に、綺麗な素肌の足が再生されて】
【ニヤニヤとした笑い顔は健在で、両腕に巻きつけられたベルトを外し捨てながら、立っていた】
969 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 15:26:39.71 ID:rVrAU7KR0
>>968
「――――チッ……!!」

【終わった、と考えて居たから対処には遅れる】
【ましてや文字通り雷電の速さなれば一の刹那も時間は無駄には出来ないのだけれど】
【――――雷で形成された槍の一本は“叩き切った”。然れどもう一本は肩を抜き、内部を焦がしながらやがては壁へと消えて】

【油断した中での攻撃ともなれば、流石に痛みも普段の其れより強く感じる事だろう】
【額に汗を浮かばせ、痛みの激しい肩を抑え】
【五体満足。なる程、と頷くだけの余裕も無く】


「…………キミのマジックの種明かしをさせれば良いのかな
一回じゃ意味が無いなら、生きるのが嫌になる位になるまで何回だって殺してあげるよ
百や二百じゃ無い、もっともっと多く――ね」

【消耗戦となれば此方が圧倒的に不利なのは誰にでも分かる事だ。彼が生き返る起因を知らなければキリも無い】
【適当な所まで情報を吐き出させた後に離脱すべきか、と思考を変えて】

【魔術で形成させた槍を幾本放つ事だろう】
【もう一度握られた剣。ただ、再度殺しても同じ事だと判断すれば“避け”を主体として】
970 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 15:54:58.51 ID:gHtJ+/QTo
>>969

ヒュー、おっそろしいねぇ♪でもそんな逃げ腰で何が出来る?
僕を1回殺すのに片腕と、それに両手を焼かれたワケだ
かける100なら……おいおい、こんな槍で倒せると本気で思ってるのかいッ!

【ベルトが全て地面に落ちた。その腕で、自らに迫る槍へと放電すれば】
【視界が真っ白になるような強烈な稲妻が発生し、槍の全てを熔融させる】

【その威力は桁違いだ。つまりベルトは真に拘束具――そのパワーを抑えていた、という訳か】
【彼は放電を続ける両腕で足元の石畳を砕き、更にそのまま地下に電撃を撃ち放つ】
【目的は単純。先ほど修道女がしたように、しかし更に強烈に配水管を破壊すること】

吹き出す水には僕の雷電が含まれる……アンタが水を操れるにしても
雫の何十適を全て受けずに対処できるのか……"計ってやる"よ

そんで報告するんだ、あの爺さんに『あの女は口ばっかり達者な腰抜けだった』ってさ
……逃げるなよ?まあ逃げてもいいけど、その足をぶち壊してやればいいか
膝のあたりを雷の槍でぶち抜くか、神経を焼き切っちまうのも良い……選ばせてやろうか?

【吹き出す水柱には、まさしく彼の言うとおりに電流が込められている】
【一滴ならぴりりと肌が痺れる程度だろう。だが、それを何重にも受ければどうか】
【あるいは、頭からぐっしょり濡れるほどに浴びたなら――彼は腕を地面から引き抜いて、既に次の用意を始めている】

【――だが幸いにして、水の勢いは"強すぎる"ほどだ。それこそ、豪雨で視界が遮られるようなもので】
【上手く凌げば、道は開けているのだ。まだ目はある――十分な注意が必要だったが。】
971 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 16:22:07.08 ID:rVrAU7KR0
>>970
【一回殺すのに――――ふと、頭を過ぎる一つの考え】
【先縫い付けた時、脱出しなかったのか出来なかったのか。後者であるならば……殺さなければ、道はあるのだと】
【若かし四肢を千切れば失血でもう一度死に、そして蘇る事だろう。――――ならば、別な手段が必要だ】

【今ならば拘束具は無い。即ち、只でさえ“切れ味の鈍い物”を通す絶好の機会】
【骨を砕いたり腱を切ったりするよりも余程簡単な手段が一つ。“固めてしまえば良い”と】


「防ぐ答えが一つだと思うなら大間違いだよ。特に水なんてのは雹みたく重さが無いからね
――――水を扱ってきたのだって伊達じゃ無い」

【一つの水の塊を作りだしたならば、其れを爆発させた。その時に辺りに飛び散る水を以て、帯電した雫を振り払うのだろう】
【ただ、爆発なんてのは一瞬。長らく降り注ぐ其れを全て払いきるだけの持続性は無い】
【――――その一瞬の内に加速。麻痺するまでには行かないが、それでも痺れは確実に身体を犯しつつあり】

【トン、と跳んだのは脚が麻痺しても勢いを消さないため】
【降り注ぐ其れ等をまるで裂くようにして現れた女が手にしているのは――――剣では無く、一本の槍】
【たった二振り。どちらも、それぞれの腕の肘関節を狙った物だ】
【致命にはほど遠いし、貫くだけの威力は無いが……それは、ただの槍であればの話だ。“石化”の効果を持つ槍なれば、果たしてどうか】


「ッ…………。気が、変わった
数多く殺すよりも、キミにはコッチの方が手っ取り早い

口ばっかりが達者なキミに言われると、その言葉も説得力があって嫌になるね
――――だけど、其れはどっちも出来ない身体にさせて貰うよ」

【成否を問わずして、横を抜ければ膝を着き】
【ふう、と息を吐いて身体に力を込めれば槍を支えにして立ち上がるのだろう】
【元より焼けていた左腕に再度雷撃を喰らっているのだから、ジクジクと血が滲み。痛みが響くけれど、其れが動きを鈍らせぬようにと心を落ち着かせて】
972 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 16:38:11.87 ID:gHtJ+/QTo
>>971

【絶対的とも思える不死の力。其処に自信を持つだけあって、回避はせず】
【石化の――石鬼の槍は、確かにその両腕を捉えていた】
【ピシリ、と硬化の音。僅かに動揺するような声も届くことだろう】
【直後の反撃もない。思えば、雷撃を放つのはいつも手か腕からであったか――】

――おいおォい、ホントに万国ビックリ人間ショーかよ
腕を石にされたのは始めてだ。……けど、ちょっとだけヒントをやるよ

僕は腕以外にもベルトをしていたのはどこでしょうか=c…?
……正解は足だ、じゃあなんでしてたんだ?なんかを抑えるためだよなぁ!
そんで、そっちはアンタがご丁寧に開放してくれたんだったよなァー!

【立ち上がった修道女へと振り向きざま、身軽に飛び上がって】
【更にそのまま蹴り掛かる。両腕は確かに石と化し、電流は止まっているものの】
【先ほど再生した足は、その素肌から青白いスパークを迸らせていて】

【彼にはパワーは無い。しかし、飛び蹴りというのはそれだけで勢いのある一撃であり】
【加えて強烈な――先ほど腕に貯めていたそれを転化した――電撃をまとわせてあって】
973 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 16:57:12.20 ID:rVrAU7KR0
>>972
【――――ここに来て、久しぶりに笑みを零した】
【避ける?否、受ける。更に昇華させて、カウンターを仕掛ける】
【再度突撃をしろと言われれば難しい話だが、突撃をされるならば丁度良い】
【この槍は其処等の物と異なり、鈍い切れ味を工夫する必要があり――――補う一つが、先程の様な“速さ”】
【自分は速度を出す必要が無く、それ以上の物を青年から送られてくるのだから。問題としては……万全では無いこの状況で、耐えきる事が出来るかどうか】


「本当にキミは口が軽くて助かるよ――――。口は災いの元だ、って昔から言うけど
あれ、もう腕から電気は出してこないのかな?そっかそっか、流石に石にされちゃ電気を通すことも難しいのかな

それじゃあ、次は脚を石にしたらどうなるんだろうね。今度は口からでも吐いてくれる?
――――何でも良い。ボクからはヒントじゃなくて助言をあげるよ。『偶にはその口を閉じたらどうだい』ってね」

【窮地であり、好機であり。槍を構えれば、蹴り掛かられた際の勢いを利用する形で青年の両足を貫かんとする事だろう】
【――――然れど、当然防御も疎かになるのだから勢い良く蹴り飛ばされ】
【長い事ゴロゴロと転がり、壁にぶつかる事で漸く止まるのだろう。今の所は立ち上がらない――――が、指先が動いているのだから生きているのは確か】

【暫しの時間を要するも、再度槍を支えにフラリと立ち上がれば吐血するけれど】
974 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 17:15:07.83 ID:gHtJ+/QTo
>>973

甘いなぁ……やっぱ甘い。考え方が人間本位だよねぇ、アンタ
戦ってる相手は死なないんだ、ちょっとは頭を使えばいいのにさぁ

……それとも、そろそろ軽口叩く余裕も無くなってきた感じ?
なら折角だからもうひとつ教えてやるよ……助言は受け取るだけにしといてね。
足だって再生できるんだから、腕だってそうだと思わないのかい?
確かに、拘束された上で石化なんかされちゃたまったもんじゃないけど……

【ガゴッ!という、石と石を叩き合わせる音がグリースの元にも届くだろう】
【見れば――彼はその両腕を地面に叩きつけていた。当然、数を重ねれば腕は砕け】
【肘先が失われて血が滴るも、即座に新たな生身の腕が生成されて】

【また一方、足を見ればそちらも左右双方が石と化していたが】
【何を気にする様子もない。折を見て砕いてやるとばかりに、まずは立ち尽くし】

【槍を支えに立ち上がる彼女に向けて、両腕から放つのは雷の槍】
【貫通力に重きを置いたそれは、逃げ道を経つように膝目掛けて放たれて――】

さぁて、どうしてやろうかな……あの爺さんからは、邪魔になる能力者は殺せって言われてるんだよ
アンタはその最たる相手だ。って言っても、ただ殺しちまうのも勿体無いよなぁ

折角強いんだから、そうだなぁ……なんならお前も僕と同じになってみるかい?
爺さんの手先として色々やるのさ。まあ、基本的に殺しばっかりだけど……
……どうせ今の生活と変わんないだろ?褒美は何度死んでも良い肉体だ…――ほら、首を縦に振ってみなよ

【石化した右足で地面を叩きながら、ほとんど答えの分かりきったような提案を持ちかける】
【といっても、まさか通用するとも思っていないのだろう。その手には、飽きること無く雷電が形を成し】
【底なしの生命力と稲妻の力を、嫌というほどに漲らせて見せていた】
975 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 17:41:42.10 ID:rVrAU7KR0
>>974
「――――面倒な身体だなあ、キミは。ヒュドラ退治みたく焼き鏝で切断面を溶かした方が良かったのかな」

【目論見が外れたなら舌打ちをして。迫る槍、一つは操って消失させるももう一つが右の膝を貫く】
【当然、再び膝が折れるのだけれど――――それでも尚立ち上がり】
【機動が削がれ、歩く事も難しい状況。状況が悪化しつつある事を自覚しているからこそ、冷静に様々な事を考え】

【殺した所で、石化させた所で意味が無い。さて、ならば次に試すのは拘束だが…………生憎、この状態では其れも難しい】
【飛翔して逃げるも、雷で追撃されれば其れを上手く避ける事が出来るかも分からない】
【ならば後は全部の魔力を一気に解放して天使化を進める事だが――――其れは、奥の手。行ってしまえば数分後には全ての魔力を費やしてしまうのだから】


「冗談のつもりならキミも下手だねえ。そんなのはご褒美じゃ無くただの罰ゲームだよ
何度も死ねる身体なんてね……まあ、キミに言った所で分からないだろうけどさ
それにあのお爺ちゃんの手先になる位ならそれこそ死んだ方がマシさ

さあて、どうする。手負いの女をいたぶるのも一気に殺すのも楽しいと思うけど
――――報告をしっかり出来る程度にはしておかないとね」

【提案に対しては笑って応え。それ位ならば死んだ方がまだ良い、と】
【満身創痍。槍を支えに立っている事が精一杯なのだから、後は木偶を壊すのに等しい】
【荒い呼吸。金の双眸は鋭く射貫いていたけれど】
976 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 18:13:35.46 ID:gHtJ+/QTo
>>975

そうかい?僕は便利だと思うけどねぇ……ま、痛いのは確かか
でもそんなのは慣れの問題さ。子供はすっ転んだだけで大泣きするけど
大人はちょっと溜息つくだけで済ますのと同じでさぁ

……にしても、どうしてやろうかなぁ。仲間にはならないんだろ?
じゃあ殺すか、奴隷にするかだ。でもこんな怖い奴隷、爺さんくらいしか喜ばないだろうし
その爺さんだって今はまだ墓の中……じゃあやっぱ殺すのが…――『お待ちなさいな、ブリッツ。』

【――声が、増える。両腕に溜めた電流をスパークさせ、今にも彼女を殺そうという彼を遮るような声】

【そちらに視線を向ければ、路地から姿を見せるのは女性だった。歳は17、8だろうか】
【白い裾広がりのドレスを着ていて、頭には黒のシルクハット。――だが、よくよく見れば】
【その体表はナメクジのように滑っていて、服も髪も、帽子以外は全て体組織だと分かるだろう】

【その雰囲気から察するに、仲間か。しかし、彼よりは余程話が分かりそうな人物で】

『選択肢はもうひとつ有りますわ、グリース・イムリンパルス様。
 この場は我々から貴方への貸しとして、生き延びて頂くというものです

 ……ブリッツから色々とお話は聞いたのでしょう?
 勿論、不死にも原理はあるのですけれど……お話は出来かねますし
 貴方様も如何にお強いとはいえ、これ以上の相手はしたくないハズでしょう?』

おいおい……おいおいおォい!なに考えてんだよロースっ!
こっちは二回分殺されてるってのに、見逃せっての、ッ――!

【『喧しくて申し訳ありませんわね』と言いながら、ドレス姿の女性――ロース、か】
【彼女はいとも容易く"水"を操作して見せた。具体的には、水球で彼――ブリッツを包み込んだのだが。】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 18:37:55.36 ID:rVrAU7KR0
>>976
「嗚呼、おいでよ。――――キミにボクを殺せるなら
チャンスは一回キリだ。捕まえ損ねたらそのまま逃げちゃうから慎重にしないといけないよ?

殺しきる事が出来ればキミの勝ちだ。だけどね、そう易々とは死ぬつもりも無い」

【高まり行く魔力。翼が一組増え、二組増え。巨大な神聖な魔力の爆発と共に其れが具現化する――――その寸前】
【新たな声に気を取られ、視線を向けてみればまた別な人物】
【この辺りに光の柱を降らせて一気に決着を付け、再生の間に逃げるか…………それとも確実に仕留めてから逃げるか】

【その手には得物が無い。否、女の魔力こそが最大の武器と化した状態ならば必要が無い】
【魔力を全て解放すれば首をもがれたり心臓を貫かれたりしなければ活動は出来る】
【止まっている一瞬が幸い。一気に片を付けんとするが…………聞こえてきたのは意外な言葉】


「へえ、テカテカに光ってるキミは随分と穏やかな性格をしてるんだね
察しの通り消耗戦じゃ結果が見えてるんだからこれ以上は続けたくない所だね
――――仮に肉の少しも残さずに消したとしても生き返るなら、面倒だ」

【即ちは見逃すとの言葉に、キョトンとした表情を浮かべ】
【実際後は逃げるつもりであった。それだって確実では無いのだから、その言葉が本当であるならば断る理由も無い】
【――――だが、同時に気に掛かる事もある。何故態々逃すのだろうかと】


「またボクの名前を知ってる人だ…………ほんと、知らない相手に名前を知られてるのも薄気味悪いね

――――キミ達にとってのお邪魔虫を消すには丁度良い機会だと思うけど、其れを逃がしちゃったら怒られるんじゃ無い?
ま、ボクからすればなりなりに情報も手に入ったし安全に帰れるなら十分なんだけどさ」

【敵であるのは確かだろう。だが、戦闘に発展する事が無いと知れば一先ずは溜めていた魔力も解き】
【油断させてから襲いかかるつもりなのか、それとも真の言葉なのか】
【後者だとすれば、自分が考える限り何の得も無い様に思えるが――――其れを確かめる意味でも問うて】
【何であれこれ以上の戦闘を避けられるならば其れで良し。ただ、流石に好機とばかりに自ら背を向けてその場を去るような愚行はせず】
978 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 19:00:05.41 ID:gHtJ+/QTo
>>977

『ええ、私はそこの鉄砲玉とは違いましてよ?
 ……というより、ブリッツが少々単細胞なだけですけれど。

 さて、お返事ですけれど……私、ブリッツ、そして背後に居るアーグ様
 まとめて我々と呼びますけれど、その我々にもきちんと考えがありますの。
 特に貴方のような方は"逸材"ですから……殺すのは、勿体無いですわ

 それともう一つ、釘を刺して置きますわね。薄々気付いてらっしゃるでしょうけど
 私もブリッツ同様に不死ですわ。そして、操る属性は水……。
 
 ……貴方様は確かにお強い、けれど二人がかりで襲えば何時でも殺せる
 その点だけは確実にお伝えしておきますわ。過信でも満身でもなく
 不死を二人相手にして貴方は勝てない、という事実の忠告でしてよ?』

【そう言ってから『よろしいでしょうか』と確認まで取る――ここまでが途切れず告げられる】
【確かに、"彼"より話術は数段上だ。その上で能力も厄介そうなのは否めない】
【強いて言えば、ブリッツよりも弱点は多そうだった。が、そんな事は百も承知のハズであり】

『……さ、ブリッツがまた癇癪を起こす前にお逃げになったほうが宜しいですわ
 いずれお茶会でお会い致しましょう、グリース・イムリンパルス様。
 ドラクレア島にて、我が主たるヴィサスお姉様がお待ちしておりますから……、……そうそう

 ―――ディハート・グリムジャックという、自警団の方にお会いすると宜しいかと。
 先日、そのお茶会にお誘いしましたの。とても紳士で、話していて楽しいお方でしたから』

【言うだけいうとロースは水を操って脱出口を示すように路地を清め】
【シルクハットを手にとって、恭しく礼をするのだった】
979 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/04(日) 19:29:22.19 ID:rVrAU7KR0
>>978
「はいはい、ご親切に忠告までどうもね。お喋りな彼が種明かしをしない様に十分釘を刺しておくと良いよ――――
キミは考えがあると言ったり、電気君は無いと言ったり…………全く、忙しいね

――――時が来ればキミも彼も相応に虐めてあげるさ。今日の事も含めてね」

【槍を戻せば、膝に手を当てるような体勢を保持して】
【女性の言う事は最も。不死を二人相手にすれば勝ち目は無い】
【だから、“時が来れば”――――と。其れを負け惜しみと取るかは相手次第。ただ、冗談を告げる風でも無く視線は冷えていて】


「気に掛かる事は色々とあるけど、確かにキミの言う通りだ。彼がまた暴れたら面倒だし――――言葉に甘えて逃げさせて貰うよ
……お茶会にでも誘われた日には棺桶を幾つか担いでいった方が良いのかな。聞きたい事も、その時に色々聞かせて貰うさ

さて。知らない名前だけど――――気が向いたらね。ボクもこう見えて忙しいんだ
それじゃ、また何時か。さっきの彼にも“宜しく”ね?
ボク個人の恨みも色々と積もってるんだ。生憎、続きをキミに問い質すだけの余裕も無い
それと、其処に転がってる自警団の彼らにはそれ以上危害を加えない様に頼んだよ。……態々殺す必要も無い人達でしょ?」

【双銃を腰に提げれば、一瞥。所々が焦げた翼を広げ、示された場所へと向かうように飛翔し――――やがてはその姿も見えなくなる事だろう】
【少しの間は翼が羽ばたく音が聞こえたけれど、それだって直ぐに無くなるのだから女が完全に離脱したのだと知るにはきっと十分で――――……】

/この辺りでしょうかっ!二日間、お相手頂き有り難う御座いましたですよ!
/また機会がありましたら是非にっ!
980 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/04(日) 19:56:35.32 ID:gHtJ+/QTo
>>979

『問題ありませんわ。だって、彼が知らないことも多いですもの
 それで納得してしまうような頭の作り……というのは、説明不要でしょう?
 考えについても、それこそ考え方次第。詳しくはお話出来ませんの。

 ええ、それと……自警団の皆様を?構いませんけれど、これも貸しに致しましょうか
 貸し2つ、いずれ返していただくことを忘れないで下さいませ。それでは、また…――。』

【この場を離脱するグリースを見送るように礼をしたまま――次第にその音が消える頃になると】
【ようやく頭を上げて、ブリッツを解放する。路地裏に紫電が爆ぜるものの、もう遅く】

クソッ、逃げやがったなあの女……!なんで邪魔したっ、ロース!
あのまま戦ってれば、"一回分"で十分ぶっ殺してやれた!
……クソ、くそッ!あれじゃあずっと逃げられちまうじゃねーか……!

『何故そう馬鹿なのかしら、ブリッツ……彼女は大事な"聖人候補"でしょう?
 今この場で死ななかったから+1、あの方が上手く事を運べば更に1。

 合計で二回分、貴方は得をしたのではなくて、ブリッツ?
 それにグリース様はいずれ時が来れば、と仰っていましたわ
 ……虐めてくださるなんて、楽しみですわね?』

/ですねっ、こちらこそお付き合い頂き感謝なのです!
/是非またよろしくです!お疲れ様でした&ありがとうございましたー!
981 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 19:58:56.97 ID:F5k37Ixgo
【図書館】


むっ……ぬぅぅ…………このっ――


【とある街にある大きな図書館。夜になれば人気も疎らなその場所の一角】
【高い本棚の前で四苦八苦している人影があった】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げている少女であった】

【少女は高い位置の本にどうしても手が届かないらしく】
【背伸びをしたり、ぴょんぴょんと小さく跳ねたりと苦戦している様子であった】


……やはり、背丈が低いというのはどうにも不便じゃな
わらわの数少ない弱点なのじゃ

やれやれ……諦めて何処かから踏み台でも探してくるべきかの?


【不服そうな表情を浮かべながらも、少女は上の棚にある本を睨みつけて独り言を呟いていた】
【もし近くを通りかかることがあったならば、この少女の姿が目に留まるかもしれない】
982 :カニバディール [sage]:2015/01/04(日) 20:54:24.19 ID:FUFxxJ31o
>>981
【この街一番の規模だろう図書館。人が少なくなりつつあるこの場所は、また昼とは違った雰囲気だ】
【無数におさめられている蔵書の数々は、時に関わらず自身を紐解くものを待ち続ける】

【そんな図書館の片隅、大きな本棚の前に跳ねる小さな人影】
【小柄ながらも、どこか気品と迫力を秘めた女性。そんな彼女も、この状況では普通の人にも思える】

【その彼女の耳に聞こえてくるであろうか。かしゃかしゃ、と乾いた足音が】


――――どうしたんですか? 何か取りたい本でも……あ……

【現れたその人影は、彼女を見て小さく声を上げた】
【それは、少し長めの茶髪と丸い目に青い瞳の、青年の姿をした人形だった。人形がひとりでに歩いているのだ】
【中肉中背の体格に面長な顔。 白いシャツの上に青いジャケットを羽織り、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカー】
【そんな姿の人形だった。彼女には見覚えがあるだろうか。いつか、路地裏で異形どもとの一戦の際、会った相手】


ええと……カミナ・ゲルギルさん、ですよね? 覚えておられますか? 以前、路地裏でお会いしたUTのギア・ボックスです
お久しぶりです。その……あけましておめでとうございます

何か、読みたい本があるんですか? よかったら、取りますよ

【以前の遭遇の時を思い出しての気まずさか、少しためらいながらの言葉】
【人形は、彼女が拒むことがなければゆっくりと近づき、彼女が求めていた本について尋ね】
【彼女がそれを許せば、その本に手を伸ばし彼女に手渡そうとするだろう】

/まだいらっしゃましたら……
983 :ギア・ボックス [sage]:2015/01/04(日) 20:55:30.15 ID:FUFxxJ31o
>>982
/すみません、コテハンをこちらに変更で……
984 :カミナ・ゲルギル [sage]:2015/01/04(日) 21:22:25.71 ID:F5k37Ixgo
>>982

…………む? ああ、御主は確か……スクラップズの連中と戦った時の。
久しいな、健勝なようで何よりなのじゃ


【声に振り向き、その顔と紡がれる言葉を認識して返事をする】
【あけましておめでとうございますと、新年の挨拶された瞬間に少しだけキョトンとした表情を見せ】
【「……そういえば年が明けておったのじゃな」と、少々複雑そうな声色で呟いた後同様の挨拶を返した】


悪いの。わらわの手にはちと高すぎるのでな

まったく……小魚だの牛乳だのを口にしておっても一向に背丈だけは伸びぬのじゃ
天は二物を与えるとは言うが、いかなわらわでも三物を授かるとまでは行かなかったようじゃの……


【自分の容姿や技能に対しては絶対的な自信を持つカミナだが、唯一背丈だけはコンプレックスであった】
【愚痴じみた台詞を洩らしながらもギアの申し出を快く受け入れて】
【ちょっと爪先立ちになって背伸びをしながら目当ての本を指差し……受け取った】

【本の表紙に目がいったならば「古神道」という文字が真っ先に印象に残るだろう】
【専門書……それも至る箇所が綻び年季の入った本である】
【カミナはそれを満足げな表情で受け取ると、胸に抱くようにして持ちながら】


して……ギアはここに何か用かの?
わらわは見ての通り、個人的な調べ物をしておったのじゃが

世話になった礼じゃ……もし、わらわの助力が必要ならば遠慮なく言ってみてもよいぞ?


【借りを作ったままにしておくのは少女の性分として気持ちのいいものではない】
【それに加えて個人的な興味も含め、ギアに対してそんな事を持ちかけた】

/発見遅れ申し訳ない、いますよ!
985 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/04(日) 21:26:39.57 ID:9YZj5YH+0
>>955
 アンタはさ、どう思う?
 誰か一人にだけ背負わせて、自分たちは素知らぬフリ。
 ただ何もせず生きていける無味乾燥じみた人生にすら、本気になれない表の人間……。

 ――――なぁ、要らないと思わないか?

【その否定の意思に強さを感じなかった】
【それは目の前の少女も、多かれ少なかれ、それが遠くの世界を夢見るような】
【儚くて切ない――無茶の道だという事を理解しているという事だろう】
【人は誰かの行動に突き動かされる。それを理解していない訳じゃないし、それも分かる】
【零じゃない、だから増えるかもしれない……それなら、逆は? 減る可能性は?】

 私はな、全員が笑うのは無理だって思ってる。
 どうしてか? 簡単だよ。お互いに理解する気が無い。
 アイツらにとって、私達は同情の対象。それだけだ。私達が幾ら頑張っても、覆らない物があると知ってる癖に。ほんの少し助けてやるだけでも違うって、分かってるのに。
 何もしないんだよ――それに比べてどうだ?
 家もない、住処は路地裏。明日があるかわからない――目の前に必死で、全力で、そういう奴らと表の奴らとじゃ、世界が全然違う。
 ――――この世界は変わらないんだよ。だからこうやって、未だに変わった兆候すらない。
 だから――――誰かが変えようとしなくちゃいけないだろ? 反転≠ウせなくちゃいけないんだ。
 
【それは危険な思想家の妄言か】【それとも真に世界を見た革命家の一石か】
【狂った酔狂の狂言か】【全て偽りの虚言回しか】

【少女はどう受け取るか――――その声は対照的に、堂々としている。それが演技かどうかはわからないが】
【自らの言葉に自信を持っている】【なぁ――そう語り掛ける言葉は、話の騒然さに比べ、酷く優しく聞こえ――た、かも】

 要らない方を残す必要がない――アンタも心の何処かではわかってるんじゃないのか?
 今のままじゃ、どうしようもないんだって。
986 :ギア・ボックス [sage]:2015/01/04(日) 21:52:21.26 ID:FUFxxJ31o
>>984
ええ、その時にお会いしました……
貴女も、お元気そうで何よりです

時間が経つのは早いですよね……僕の方も、気が付いたら年を越してしまってました

【幸いにして、覚えてもらえていたようだ。その少し呆けたような表情に、自身も苦笑しつつ返した】
【いつの世も、戦いは尽きることなく。正義に身を置くものたちに休みはない】
【年明けに気が付かない、というのは、残念ながら今なお、悪が息づき続けている証拠だ】


いえいえ、お気になさらないでください

ハハ……身長ばっかりは、どうしようもないところありますよね
いやでも、少しくらいはそういうところがあった方が、他の人も接しやすいと思いますよ
あまり完璧すぎる人だと、僕なんかは近づきづらく思ってしまうところありますし……

(……そういえば、桔梗ちゃんと初めて会った日もこんな感じだったなあ……)

【相当な自信家らしい彼女の言葉に、柔らかく笑いながら話す】
【事実、そういう面があるからこそ、ギアも自然にカミナと言葉を交わすことが出来ていた】
【そうでなければ、こうして気軽に声をかけることは出来なかったかもしれない。カミナは事実、それだけのものを備えていた】

【彼女の指の先を辿り、こちらも少しばかり身体を伸ばして目当ての本を手に取る】
【見るとはなしに、「古神道」と書かれたそのタイトルと、相当に古いらしい本の様子を無機質な瞳に映す】
【今なお、自身の研鑽を怠っていないのであろう、その姿勢に感心させられつつ。ふと、人形の魂の内側を過る追憶】

【今は色あせかけたその記憶に、少しだけ人形の表情が陰った。が、それもカミナの問いかけを受けてひっこめる】


ええ、僕も調べもので……この通り人形の身体なので、これを修理するための参考にする本を探してたんです
『人形の製法と歴史』って本なんですけど……

それなら、ちょっとだけ探すのを手伝ってもらえませんか? 多分、この後ろの棚の辺りにあると思うんですが……

【そういいつつ、ギアが背後の棚を振り返る。キョロキョロと棚を眺めるが、目当ての本は見つからないようだ】
【視線を下げれば、カミナの背丈であるならむしろ見やすいだろう場所、ギアの見ているところより少し下の位置に、そのタイトルの本が収まっている】
【恐らく、ギアにそのまま任せていては見つけるのには時間がかかるだろう】
987 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 22:12:50.58 ID:F5k37Ixgo
>>986

ふむ……人形の身体、のぅ
動く人形などは珍しくはないがの、こうも自然に定着しておる実例を見たのは御主が初めてじゃ

その経緯にも大いに興味はあるが……それはまたの機会としようか
「人形の製法と歴史」じゃな? 任せるがよい、すぐに探してしてみせよう――


【"人形の身体"というワードを聞いて、その全身を興味深げに眺める】
【少女からしてギアという青年は実に"人間らしい"という印象を感じていた】
【容姿などではなくその在り方が、である】

【しかしながら、今はそれを聞き出す時ではないと話を戻し】
【カミナは袖口から白く小さな物体――手乗りサイズの折り鶴を4体出現させると】
【"視覚共有"の特性を発動し、周辺の本棚に素早く飛ばしてタイトルを頭に映し出す】

【見つかるのは数秒後ほどか。近くにあったその本を発見すると】
【手を翳して鶴を呼び戻し、再び袖口にスッポリと入り込ませて行った】
【そして、見つけた本のところへとトトトッ……と歩み寄ると、それを抜き出して】


――ほれ、これじゃろ? 灯台下暗しとはよく言うたものじゃ。
御主もわらわを見習ってもう少し小柄ならば、一目で見つけられたかもしれんの?


【くくっ、と冗談めかしたような口調で彼にそう告げながら本を渡して】
【カミナは近くにある大きな長机に歩み寄り、椅子を引いて其処にペタンと座った】


……時間はあるのじゃろう? ならばしばしわらわに付き合うがよい
一人静かに読書をするのも悪くはないが……今は、そんな気分ではないのでな


【そう言って、彼に対してちょいちょいと手招きして誘う】
【もし誘いに乗ったならば、自分と対面の席に座るようにと促すだろう】
988 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/04(日) 22:30:30.90 ID:AXtn6EuGO
>>985
【入間が語る、その方法は】
【表の人間、要らない、反転させる】
【言ってしまえば、革命。】

・・・・・・違う

【握られた拳から、皮膚が擦れる音がなる】
【閉じた口から、歯ぎしりが響く】

違う!そんな、そんなことして笑えるもんか!!

【声は優しく聞こえた、入間のあの子達への思いやりは偽物じゃないのだろう】
【でも】
【入間の口から放たれた提案は、思いやり以外の感情が】
【憎悪が、表の人間への憎しみが強く、感じられた】

確かに、あの人達は酷い人なの・・・・・・
困ってる人を助けられる癖に、何もしない。可哀想って、そういう目をするだけ
それでも、あたしはあの人達を落としてまで、あの人達に自分と同じ思いをさせてまで幸せになりたいなんて思わなかったの

世界は変わらなくちゃ行けないと思うのはあたしもだよ
でも、そんな方法じゃ絶対だめ。笑える訳がないんだもん

【続けて、少女は自分の境遇を語った】
【カノッサ機関のモルモットとして弄ばれていた事、そこから逃げ出した後は、ゴミを漁り哀れみを送られる生活をしていたこと】
【けど、それでも、あの人達を殺したいとまでは思わなかったこと】

・・・・・・あなたの言ってることで、本当に、それで皆笑えると思うの?

【その口振りは責めるような者でなく】
【どこか心配するような、こんな行動を起こそうとする様になるほどの境遇を心配しているようだった】

//すいませんレス遅れました・・・・・・
989 :ギア・ボックス [sage]:2015/01/04(日) 22:35:57.45 ID:FUFxxJ31o
>>987
ハハ……僕も自分以外では見たことないですね

ええ、ちょっといろいろありまして……そうですね。またいつか、話す機会があれば聞いてください
ありがとうございます。僕はこっちの方を見ますんで……

【彼女の視線と言葉を受けて、思わず苦笑が漏れる。その内側の魂の動きを、人形の身体が反映する】
【人として肉体は死んでも、魂はそのまま。カミナが感じだ印象も、それゆえにだろう】


【彼女が呼び出した折り鶴を、今度はギアの方が興味深そうに見つめる】
【世には様々な能力があるが、彼女にそれは非常に汎用性が高く、かつ強力という印象を受けていた】

【わずか数秒、見事に本は見つけ出された。鶴が主の下に戻ったのを見て振り返ると、カミナが本のもとへ軽やかに歩み寄るところだった】

ああ、これです!! そんなところに……見つからないはずですね
フフ……そうかもしれないです。本当にありがとうございます、助かりました

【彼女の言葉に思わず顔が綻ぶ。やはり、気高さの中にどこか親しみも感じられる女性だ】
【それでいて、あの日ちらと見た姿。悪に対しては、容赦なくその刃を向けるのだろう、とそう思いつつ】

はい、今夜も明日も今のところ読書以外に予定がないので……
わかりまして、僕でよければ喜んで

【彼女の手招きに応じて、長机に歩み寄る。彼女の正面の椅子を引いて座る】
【服の上からでもわかる球体関節が動き、乾いた音を立てる】

――――その本は、何の本なんです? 恥ずかしながら、あまり学がないほうで……
神道、というと、神様についてのことなんですか?

【さてなにから話すべきか。考えてみれば、彼女のことはよく知らない。あの鉄火場にたまたま踏み込んで、少し言葉を交わしただけ】
【となれば、まずは興味はその本に向く。彼女が調べようとしていることは、人形には未知のものであった】

【本当は、世の悪と戦い続ける彼女に、もっと聞いてみたいことは多くあったが】
【さすがに、恐らくは非番なのだろう彼女に、いきなり聞くことが躊躇われた故であった】
990 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 22:57:51.82 ID:F5k37Ixgo
>>989

……ふむ? ああ、御主の予想もそう大きく違ってはおらぬよ
とはいえ神話やその成り立ちを示したものではなく、もっと儀式的な内容じゃがな


【質問に答えながら、机の上に置いた分厚い本をパラパラと捲り】
【その内から大きく"手"の絵図が示された頁を見つけ、それを広げてギアの方へと見せる】


術技……印の結びからその手順、呪文などを専門的に記した書物じゃ
魔術などといった術理に比べたならばよりオカルト――そうさな、教会の者が使う信仰術に近かろうか
何かを害なす為ではなく、祓い清める為の礼儀作法といえば判りやすいかの?

わらわの一族が先祖より受け継ぐ"神気"――昔に比べて随分と不便な身体になってしまったのでな
そろそろ"これ"の使い道を模索してみるのもよいのかもしれぬと……最近は神道の勉強しておるのじゃ


【開かれた頁に記されているのは、指を複雑に絡め合わせる絵図と】
【その作用や手順が細かく説明されているという内容であった】
【説明に偽りはないだろう――昔に比べて、というのが何かは不明であるが……】


……とはいえ、まだわらわも語って聞かせられるほど理解しておる訳でもないからの
これ以上深く語ろうとすれば、たちまちボロが出てしまう事じゃろう

じゃから、そうじゃの……わらわの方からも聞かせてもらってよいか?


【本人もまだまだ勉強中のようだ】
【もう少し実践的なレベルまで消化できていれば、簡単な術理を教えることなども可能だったろうが】
【それが出来る段階ではないらしく、ひらひらと手を振り、演技がかった苦笑を見せながら話をひとまず置いた】
【会話の切り出しとしては、印象は悪くなさそうであった】


御主のその本――……「人形の製法と歴史」、じゃったか。もしや御主は、自分でその身体を整備しておるのか?

修理するための参考と言うておるものじゃから気になっての。
自分一人では手が回らぬことなどがあるのではないか?


【カミナが気になったのはその点であった】
【ロボットなども、自らを直す者は殆どいないだろう】
【少女は、作り物の身体をしている者には専門の知識を持つ"整備士"がいるものだと考えていた】
【例えるならば、自分で自分の身体を手術するような物。それでは不備が出るのではないかと、そうした質問だ】
991 :ギア・ボックス [sage]:2015/01/04(日) 23:30:17.72 ID:FUFxxJ31o
>>990
儀式的な……

【思わず、間の抜けたオウム返しの返事をしてしまう。何せ、自分にはさっぱり縁のなかった領域の話だ】
【彼女が広げて見せてくれる本、そこに記された絵図をまじまじと見つめる】
【いずれも、自分がやろうとしたら指がつるのではないかと思わされるような、複雑な形】

印を結ぶ、っていうのは聞いたことがあります。呪文と一緒に結んで、術を発動させるんだとか
信仰術……神様の力を借りる、っていう感じの力、なんでしょうか……?

祓い清める礼儀作法、そう言っていただけるとちょっとイメージしやすくなりました
へええ……僕も一時期、あちこち旅してましたけど、こういったことを使う人にはほとんど会ったことがないですね……
符を用いた術を使う巫女さんには会ったことがあるんですが……

"神気"っていうのは、その力を使うエネルギー、のことですか? それを使いこなすために……
元々持っている力があっても、理論を知っているといないとじゃ、全然違うでしょね。それは僕の専門分野も同じですから……

(昔と比べて……?)

【彼女の説明にいちいち頷きながら聞き入る。自分の知らない世界、なんとも興味深い話であった】
【自身も、一応は物を作る技術者の端くれ、そういった理論を学ぶことの重要性はわかる】
【やはり、彼女は自身の研鑽の為にここにいるのだ。その姿勢があってこそ、あれほどの戦いを生き延びてきたのだろう】

【その言葉の端に滲んだ彼女の過去の何かに、意識が向くが。先に彼女が自分のことを聞かずにいたことを思い出して、疑問を飲み込んだ】


カミナさんでも、道半ばなんですか……奥深いというか、長い歴史の積み重ねがあったんでしょうね……

ええ、僕に答えられることでしたら

【彼女もまた、未だその道を学んでいる最中だという。あの本の古さから、相応の歴史の深さを思わされる】
【人々が連綿と紡いできた歴史。それがこうして後に残されているということは、なんだか感慨深いものがあった】
【自分が滅ぶ時が来ても、その思いが後の世に伝えられていく。それはすごいことなのではないだろうか】

【そんなことを考えながら、彼女の質問を受ける。居住まいを正して、彼女を見つめ返す】


そうなんです、どこかが壊れたりしたら自分で……
これでも、玩具作りとか物作りをかじってまして、多少の傷や不具合なら、どうにかなってます

ただ、そうですね……お察しの通り、ちょっと限界はあります
背中の方はなかなか手が届かないですし、体内のこととなってくるとまたしんどいですし……

【彼女の提示した疑問は、正鵠を射ている。その通り、この身体を自分の手でどうこうするには限度があった】
【整備士の心当たりはなかったし、自分の身体のことはものつくりとして把握しておきたかったということもある】
【しかし、だからこそやればやるほど限界は見えてくる。それゆえに、今宵この本を探しに著書間にやってきたのだ】

【苦笑して見せる生き人形の表情から、今のところ打つ手がほとんど見当たらないのだろうことが読み取れるだろうか】
992 :刃渡 鋭利 [saga]:2015/01/04(日) 23:42:36.08 ID:qjkGvN/0O
【―――――闇夜の路地裏】
【チンピラや良からぬ連中が屯する事で有名なこの場所】
【定期的に自警団が見回りに来たり、とにかく警戒されているこの場所】
【それでも、事件はやっぱり絶えないもので】


「ふーっ……いやー、わりぃわりぃ。たまたま通りがかったからさぁ」


【今回は特に悲惨なものだ。5,6人が鮮血を地面に流しながら死んでいるのだから】
【その中心に立っているのは、一人の少年】
【両耳にピアス、装飾が施された服と爪―――薄暗い中でもよく目立つ、派手な格好をしている】
【その手には一本のナイフ。誰がこれを引き起こしたかは、一目瞭然】
【返り血は体はおろか、ナイフにすらついていない】


「全員殺しちまったわけだが、まあさすがにちょっとくたびれたな」


【ところで、死体にはチンピラと自警団のものが混じっている】
【恐らく、ここでちょっとした抗争でもあったのだろう】
【対立する正義と悪、それすらをこの少年は飲み込んでしまったのだ】
【正義も悪もない、まさしく正真正銘紛れもなく"殺人鬼"だ】


「腹減ったからラーメンでも食って帰ろっと」


【少年はまるで何事もなかったかのように、その場を後にしようとしている】
【それこそ、遊び疲れたから帰るというノリで】
993 :サフィア・エレファリス [saga sage]:2015/01/04(日) 23:49:10.89 ID:HwFIsjIo0

【町中】

【次第に日常に戻りつつもまだ何処か浮かれた様子の繁華街をとぼとぼと歩くのは一人の少女】

【ハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカー、紫色のスカートの十代前半の彼女は深いため息を吐く】

……ああ、年明けちゃったし路地裏の人には出会わないし……どうしたら良いんだろう……これじゃ贖罪なんて……
いっそのこと能力者嫌いの手にかかろうか……あ、ヤバそうな人に絡んで酷い殺され方されるのも……
【どうやら何かの贖罪の方法を考えているらしき少女】
【だが、ぶつぶつと呟く言葉はなにやら物騒で】
【言葉の断片が聞こえたらしき通行人がぎょっとした表情で少女を見るが少女は気づいていない】

……はあ、もう一回路地裏行ってみようかな……
【路地裏にいる殺人鬼と会うかもしれないし知り合いと会っちゃうのも気まずいし……と少女は呟き路地裏の方へと歩き出す】

994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/04(日) 23:54:47.13 ID:F5k37Ixgo
>>991

わらわが専門に修めておる術とは、力の使い方が全く異なる理が働いておるからな
道半ばどころか、ようやく入口に足を踏み入れた程度なのじゃ

とはいえ多少なれど扱うことが出来たならば、随分と行動の選択が広がるじゃろうからな
元より半ば遊ばせておったこの力じゃ、今からでも理論を学んで損はないと思うてのぅ


【未だ学び始めたばかり、簡単な結界や邪気祓いが使える程度だ】
【研鑽を積んできた専門家とは比べるべくもない児戯の領域である】
【しかしながら"織守"を失ったことにより余らせていた"神気"を遊ばせておく理由はない】
【かつてより大幅に低下した戦闘力を補うための手段として、カミナは神道を学んでいた】


――やはり、な。なに、恥ずかしがることはない、当然のことなのじゃ

自分の事は自分が一番よく知っておる、ともいうが
臓腑や身体の成り立ち、原理まで突き詰めたならばそうはいかん。
わらわとしては――自分で学ぶよりも、専門家を雇うことを強く勧めるのじゃ


【やはりか、とカミナは彼の身体を眺めながら語る】
【とはいえ……そんな事は彼自身が当然理解しているとも考えていた】
【繰り返すようだが「自分の事は自分が一番よく知っている」】
【誰かの手を借りる、などとまだロクに交流もしていないカミナでも思いつくことが考えつかないはずもない】
【それを踏まえた上で、少女は言葉を続けた】


この稼業は兎に角身体が資本じゃ……いざという時、身体が動かなかったなどと言い訳にもならんからの
コンディションを最良の状態に整えるのもまた、仕事の一つなのじゃ

……とまあ、偉そうに語って見せはしたが今更言わずとも御主自身が判っておろうな
恐らくは真っ当な人形師では手に負えんのじゃろう
とあれば、そうじゃな……御主の身体の造りにもよるが整備できる者に心当たりがないことも、ないのじゃが……


【ふむ、と少しばかり考えこむ】
【心当たりはあるが、それが本当に有効であるかは少女にはまだ判らない】
【ギアが"どういう人形なのか"……恐らく尋常な代物ではないということは考えずとも理解出来るがそこ止まりだ】
【ならばと次に口にした質問は――「彼の身体がどういう成り立ち、造りをしているか」であった】
【同盟相手であり、同じく正義の為日夜戦う仲間のため、少しでも何か出来ないかとカミナは想っていた】
995 :ニーベルンゲン・シュバルツシルト [sage saga]:2015/01/04(日) 23:58:18.90 ID:ZxdnEZaL0
>>964
「━━━無理もない。私はそもそもその「善」を消す為に動いているのだからな」
「その結果が「善」などという偽りの主張とは、全く異なるものになるのは当然というものだ」

【返された言葉を、淡々と返す。起伏のない言葉と、兜から覗く虚ろな紅の光。しかしそれとは裏腹に、驚くほど落ち着いた佇まい】
【それらは彼が人生に絶望しながらも、未だ生きる支えを持っているという事を暗に示している。そして、その報復を果たす「力」を持っているという事も】

「自分に、か……ならば一層の事、自分を殺すのを辞めればいい」

【男の話を一通り聞いてから、彼は提案する。絶望しきった彼には、その言葉は何の救いにもならないであろうが】

「貴公を救えるのは貴公だけだ……だが、その運命の矛先は、自分に向けても何も得られはしない」

【絶望とは、理不尽な事柄に精神が疲弊した状態の事を指す。その事柄が肉体的であろうが、精神的だろうが、絶望は簡単に覆るものではない】
【ならば、彼は考える。疲弊する原因と、その矛先が他に向けば、男の居場所が出来るのではないかと。男は自分で、自分の首を絞めているのだ】
【自分が苦しみたくなければ、誰かが苦しめばいい。自分以外の、誰かが━━━━】

「そのピストルを向けるべき相手は自分ではない……今一度、よく考えるんだな」

【言葉を言い終えてから、彼は差し伸べていた手を引っ込めて、ふと踵を返す。】
【男がどう生きようが、それは男の勝手である。だがこの助言が、もし男の生き方を変えるのであれば】

「余興が過ぎた。私は帰ろう……」
「そして何れ、逢い間見える時があれば━━━━その時は答えて見せろ」

【男は、必ずや歓迎される事だろう。「機関」に、正義の敵に。自分を捨てた者の基地に】

「此処に居るのは、No.3 ニーベルンゲン・シュバルツシルト」
「さらばだ。私は待とう、お前の答えを」

【風に乗って、彼の言葉が届く。その時には、彼の姿は其処に無かった】
【あるのはただ闇と男と、そして一丁のリボルバー拳銃が残されるのみだった】

/日跨ぎではありますが、此処らで終了でお願いします……
/お疲れ様でした
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/05(月) 00:14:23.06 ID:k69oI4sGo
>>992

【少年の背後で、物陰にモゾモゾと蠢くものがいた】
【まるでそれはネズミのように、しかしネズミとの共通点は行動以外には無く、どうやら人であるようだった】

(ヒュー…怖ぇなぁやっぱりよォ〜…)

【少年が歩き去ろうとするのを、物陰からコソコソと見守る男がいた、冷汗を拭いながら、血だまりに自分が転がっていない事を神に感謝する】
【そうして、少年がある程度離れていったのを確認すると、足音を立てないようにヒッソリと死体の一つに近付き、慎重に漁る】

(な〜んで俺様がこんなこそ泥みたいなことしてっかってーと〜…)
(金が全くもって無いから詐欺の元手にもならねぇからなんだよなァ〜!)

【死体を漁るドブネズミのような行動であるが、彼の服装はその行動とは裏腹な高級スーツ】
【白いスーツだけではない、革靴もメガネもトランプ柄のネクタイも全てが高級そうなそれであって、死体から金目のものを剥ぎ取ろうとする行動はとてもとても似合わなさそうだ】
【が、現実的にしているのである。彼の名前はエース・セブン、今全くもって無一文な詐欺師であった】

(殺人狂は馬鹿みてぇだが、金目当てじゃないだけ助かるぜ!)
(俺様には頼むから目を向けないで───おっと)

【手が滑ったのだ、ぬるぬるした血が付着していたそのせいで、死体のポケットからキーホルダーか何かが滑り落ちた】
【ワタワタと慌ててキャッチしようとしたが、中々上手く掴めない、ウナギの掴み取りが如く何度も何度も手の中を跳ねるキーホルダー】
【しかし手先の器用さには自信がある、男は何とかそれを量掌に収める事に成功した、これで一安心だ】

【───その一連の行動中、手の中を跳ねるキーホルダーがチャリチャリチャリチャリと路地裏に悲鳴を響かせていたのだが】
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 00:20:36.68 ID:M9YqJB8Eo
【深々と沈むような静けさに包まれた公園】
【時間も遅く更に寒さもあってか人気は少なかった】

「ふう…………」

【後ろ髪だけを伸ばし注連縄のように結った白亜の髪】
【細められた瞳は左右色が違っており、右が紫白で左が紅色】
【取ってつけたような運動服に同じようなスニーカー、トレーニングでもしているのだろう】
【そんな青年の掌には一振りの幅広の木刀―――――そして傍らには刀とナイフが1つずつ】

【刀には僅かな妖力が、ナイフには退魔の力が淡い銀の輝きとして漏れている】
【陰と陽、背反する物を有する者、構える剣は呼吸の度に厳かに揺れる】

「ただひとえに刀として……研ぐように練るように身を削いで……」

【視線は真っ直ぐ見据えながら長い時間を掛けて木刀を振る】
【身体の一つ一つの部位の動きを意識し、切先の軌跡を身体に馴染ませるように】
【練磨、その単語を繰り返し頭の中で呟く】

【彼の刀は粗いながらも堂に入っている、戦場で鍛えられた類の技術】
【正しい型は無いまでもそれに近しい動きというのは剣技の至る先はある一点に収斂されるという事だろうか】
【呼吸が荒くなる頃には青年の頬は薄ら紅に染まり、木刀が空を裂く音が大きくなっていることだろう】
【街灯に形作られた影はさながら舞うように踊っていた―――――――】
998 :ギア・ボックス [sage]:2015/01/05(月) 00:24:56.44 ID:FBdYS3k4o
>>994
元々は専門外だったんですか……てっきり、さっきの鶴やあの時見た恐竜、あれって紙で作ったものですよね?
その神気を使って動かしているのかと……

それで、少しでも手を増やすために、こうして……。それはやはり、SCARLETの一員として戦うための力ですか?
……カミナさんは、どうしてそうまでして、正義を貫けるんですか?

いきなり、すみません。でも僕自身は、貴女も知っておられるようですが、カニバディールという男とその一味との
因縁の上で、ごく個人的理由で戦っているという面がどうしても拭い切れないんです

UTのリーダーのセリーナさんや、SCARLETのロウさんにも話を聞いてもらったことがあるんですが……
迷いを抱えて生き残れるほど、甘くはないとわかってます。だから、カミナさんがどうしてそこまで出来るのか、聞きたくて……

……いえ、すみません。いきなり聞くには失礼な話でした

【彼女の言葉に、ギアが抱いた想い。つい、それを口に出してしまった。あるいは、己に絶対の自信を持つ彼女を前にして】
【意識の底に沈めていた問いを、浮かび上がらせてしまったのかもしれない】
【ともあれ、直後我に返ったように取り繕う。無遠慮な質問だった、と。人形の瞳の奥で、魂が後悔に揺れていた】


そう言っていただけると、ありがたいです……
人間だった頃は、そういったことを知ろうともしてませんでしたから……今は四苦八苦してます
いずれは、そうした専門家の助けが必要になるとは思ってました

【それはその通り、ギアとて自らの状況が息詰まる未来は見えてはいた】
【カミナの視線の先で人形の身体はやはり無機質なまま、そのうちの魂はしかし、見透かされているかのような感覚に揺れる】
【だが、未だそれを解決する方法に行きあたってはいなかった】


まったく、その通りです……敵はこっちの状況なんて考えてくれるはずがありませんから
自分でもいくつか当たってはみましたが、やはりそれが出来るほどの人物には、なかなか……

え……本当、ですか!? あの、その方を紹介していただくわけにはいきませんか?

【彼女の言葉に、また情けなくも縋るような声を絞り出してしまい、すぐに恥じ入るように俯く】
【再び顔を上げてカミナを見つめる。考え込んで見せる彼女の脳裏に何が跳ね回っているのか】
【あるいは、自分の現状を打破するきっかけになるかもしれない、と。希望を見たギアには、そこにまで気を回す余裕は残念ながらなかった】
999 :刃渡 鋭利 [saga]:2015/01/05(月) 00:25:33.48 ID:7hYsxrcyO
>>996
「あー……?」


【その場からもう立ち去ろうと踵を返した瞬間、チャリチャリと妙な音がした】
【まだ人がいたのか、と面倒くさそうにその方向に振り返ってみれば死体を漁る男の姿】
【さっきからこの場にいたのか、それとも今来たのか、どちらにせよ、こそ泥でハイエナである事は間違いない】


「よぅ、こんなところでなーにやってんだ?あんた」


【少年は男を見ながら軽い調子で訊いてみる】
【見られたからといって、別に殺す道理はない。殺戮の時間はもう終わり、と決めてるのだから】
【つまりは気分の問題で、一般人からすれば少年の気分次第で殺されるかが決まるというとんでもないものだが】


「お目当てのものは奪ったんだろ?ココらへんは俺みたいなあぶねーのがいるから、とっととトンズラこいた方が良いぜ?」


【笑みを浮かべ、ナイフを片手でくるくる回しながら話す】
【この男に少し、興味を持った様子で】
1000 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/05(月) 00:34:48.63 ID:R0+I4vt70
>>988
 ――じゃあ、アンタはそれ以外の方法があるんだな?
 両社が手と手を取り合える、素晴らしい方法が――あるんだろう?
 まさか、それがないのにこれは駄目、あれは駄目――そうやって選択肢だけ潰していくのか?

【声を荒げる事に対し、女はあくまで冷静だった】
【目を僅かに伏せて、その表情は呆れのような――ああ、同じ事をいうのか、と】
【残念そうな、僅かにトーンを下げて――――少し、声には情熱じみた物だけ込めて】

 言っただろう?
 要らない奴がいるって、そいつが笑う必要なんかないだろう。
 ――アンタが幸せにしたい奴は、アンタがいる間だけ笑ってるんじゃないのか?

【――何で、そんな口ぶりなんだ】
【その口ぶりは冷静を務めていたが――――同情するような、結局は見下している】
【そう受け取った女は、奥歯を軽く噛みしめ――その瞳の奥は、やや鋭く意思が宿っている】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

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 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2015/01/04(日) 23:34:16.77 ID:fmd5c3qro
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