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【新年も】能力者スレ【信念の為に】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/04(日) 04:14:10.23 ID:fXsNsFUKo
ようこそ、能力者たちの世界へ。
この世界は、数多の能力者たちが住まう世界。


無限大の大きさのこの世界。
多くのことが語られたこの世界だが、まだまだ多くの空白がある。
先人たちの戦い、絆、そして因縁。これらが絡み合い、この世界は混沌としている。
もしかすると、初めて見た貴方はとっつきづらいと思うかも知れない。
――だが、この世界の住人は新しい来訪者にことのほか優しい。
恐れず、以下に示す雑談所や、場合によってはこのスレでも質問をしてみてくれ。
すぐにスレへの溶け込み方を教えてくれるだろう。


【雑談所。質問や現状、雑談などはこちらでどうぞ】
PC【http://jbbs.livedoor.jp/internet/14029/】 


【はじめに】
このスレの元ネタはVIPで行われていた邪気眼スレです。
長く続けるに際して、いくつかのルールを設けています。以下にそれを記します。
・この世界は「多様性のある世界」です。
・完全無敵の能力は戦闘の楽しみがなくなり、またスレの雰囲気も壊れますので『禁止』です。 
・弱点などがあると戦闘の駆け引きが楽しめます。
・戦闘では自分の行動結果に対する確定的な描写を避けること。【例:○○に刀で斬り付ける。○○の首が斬れる】など。
・基本の心構えですが、「自分が楽しむのと同じくらい相手が楽しむことも考える」ことが大事です。
・書きこむ前にリロードを。場の状況をしっかり把握するのは生き残る秘訣です。
・描写はできるだけ丁寧に。読ませる楽しみと、しっかりと状況を共有することになります。
・他のキャラクターにも絡んでみると新たな世界が広がるかも。自分の世界を滔々と語ってもついてきてもらえません。
・「コテハン」は禁止の方向で!
・基本的に次スレは>>950が責任を持って立ててください。無理なら他の能力者に代行してもらってください。また、950を超えても次スレが立たない場合は減速を。
・スレチなネタは程々に。
・スレの性質上『煽り文句』や『暴言』が数多く使用されますが過剰な表現は抑えてください。
・基本的に演じるキャラクターはオリキャラで。マンガ・アニメ・ゲームなどのキャラの使用は禁じます。(設定はその限りでない)

【インフレについて】
過去、特に能力に制限を設けていなかったのでインフレが起きました。
下記の事について自重してください。
・国など、大規模を一瞬で破壊できるような能力を使用。
・他の人に断り無しに勝手に絶対神などを名乗る。
・時空を自由に操る能力、道具などを使用する。時空を消し飛ばして敵の攻撃を回避、などが該当します。
・特定の物しか効かないなどの、相手にとって絶対に倒せないような防御を使う。
・あくまで能力者であり、サイヤ人ではありません。【一瞬で相手の後ろに回り込む】などは、それが可能な能力かどうか自分でもう一度確認を。
・全世界に影響を及ぼしたり、一国まるごとに影響が及ぶような大きなイベントは一度雑談所でみんなの意見を聞いてみてください。

 勝手に世界を氷河期などにはしないように。
・能力上回避手段が思いついても、たまには空気を読んで攻撃を受けたりするのも大事。
・エロ描写について

 確かに愛を確かめ合う描写は、キャラの関係のあるひとつの結末ではあります。
 なので、全面的な禁止はしていません。
 ですが、ここは不特定多数の人が閲覧する『掲示板』です。そういった行為に対して不快感も持つ人も確実に存在します
 やる前には、本当にキャラにとって必要なことなのか。自分の欲望だけで望んでいないか考えましょう。
 カップル、夫婦など生活の一部として日常的に行う場合には、一緒のベッドに入り、【禁則事項です】だけでも十分事足ります。
 あまり細部まで描写するのはお勧めしません。脳内補完という選択も存在しますよ。


前スレ【 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1417955166/
wiki  【http://www53.atwiki.jp/nrks/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 : ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/01/04(日) 20:16:26.87 ID:K7Osa2jro
>>1乙です!
テンプレについて一部変更がありましたので、補足しておきます

・「コテハン」は禁止の方向で!
→新規の方から「誰が誰だかわからない」等の要望があったため、議論の結果コテハンは「推奨」となりました。強制ではありませんが、一考をお願いします
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 00:32:15.48 ID:M9YqJB8Eo
いちおつです!
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 00:37:58.26 ID:M9YqJB8Eo
【深々と沈むような静けさに包まれた公園】
【時間も遅く更に寒さもあってか人気は少なかった】

「ふう…………」

【後ろ髪だけを伸ばし注連縄のように結った白亜の髪】
【細められた瞳は左右色が違っており、右が紫白で左が紅色】
【取ってつけたような運動服に同じようなスニーカー、トレーニングでもしているのだろう】
【そんな青年の掌には一振りの幅広の木刀―――――そして傍らには刀とナイフが1つずつ】

【刀には僅かな妖力が、ナイフには退魔の力が淡い銀の輝きとして漏れている】
【陰と陽、背反する物を有する者、構える剣は呼吸の度に厳かに揺れる】

「ただひとえに刀として……研ぐように練るように身を削いで……」

【視線は真っ直ぐ見据えながら長い時間を掛けて木刀を振る】
【身体の一つ一つの部位の動きを意識し、切先の軌跡を身体に馴染ませるように】
【練磨、その単語を繰り返し頭の中で呟く】

【彼の刀は粗いながらも堂に入っている、戦場で鍛えられた類の技術】
【正しい型は無いまでもそれに近しい動きというのは剣技の至る先はある一点に収斂されるという事だろうか】
【呼吸が荒くなる頃には青年の頬は薄ら紅に染まり、木刀が空を裂く音が大きくなっていることだろう】
【街灯に形作られた影はさながら舞うように踊っていた―――――――】
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 00:48:10.90 ID:Q/7lTEOwo
>>1乙であります!
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/05(月) 00:51:02.77 ID:vm27Ku/Ao
>>1乙です!
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/05(月) 00:51:18.12 ID:vm27Ku/Ao
前スレ>>995

【彼の頭のなかで男の言葉が響く。エコーとディレイが混ざり合ったように揺れる】
【頭がはっきりしない。意識が飛びそうでそんなんで気分が吐きそうなほど悪い】

救いってなんだよ。

【ただ一言だけで返す。俺を救う”救い”ってなんだよ。銃か?金か?神への祈りか?マリアのキスか?】
【誰に問えばそれはわかるんだ?俺は祈るしか無いのか?何に祈ってるんだ?全てか?全てだよ】

…じゃあ誰に向けろって言うんだよッッ!!……なあッ!クソッタレ!

【視界が揺らめいて、頭が割れんばかりに痛む。それでも立ち上がって彼は叫んだ】
【俺は誰に向かって叫んでんだ?もう何もわからない。目の前が真っ赤になる感覚】
【平衡感覚も失われてぐらついてまた倒れる。仰向けに倒れて立ち上がる気もしなかった】

俺は…こんなところでしか生きていけないのかよ

【目を開けたら、もう何時間も経っていた。迷宮のようなここもすぐに出て行くことが出来たなんということもない】
【単なる路地裏で出てしまえば普通の街並みが広がる。衝動も収まって…結局その程度かと男は自嘲した】


/こちらこそお付き合いいただいてありがとうございました!
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/05(月) 00:52:22.17 ID:JaXJ43qq0
>>1
9 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [saga]:2015/01/05(月) 00:54:27.05 ID:7hYsxrcyO
>>1乙であります!
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/05(月) 00:57:50.04 ID:k69oI4sGo
>>1
>>999

【気怠そうな少年の声が聞こえ、ギクリと体を硬直させると、ゆっくりと顔を上げて少年を見る】
【男の蒼い目が少年の目と合った、頬を引きつらせながら苦笑いを浮かべると、獣を前にしたようにゆっくりと立ち上がる】

あ、ああ!俺様はえーっと…て、敵じゃない!断じて敵じゃないぞ!うん!

【持っていたキーホルダーをポーイと投げ捨て、両手を挙げて無害だと叫ぶ】
【自前の撫で付けた金髪を右手で撫でようとしたが、掌に血がベットリ付いているのを思い出してやめた】

【それで、だ、どうやらこの少年は殺人狂のようであったが、目の前の自分を殺すつもりはないらしい】
【それに気付くと、「占めた!」と裏で笑みを浮かべて、笑顔を作り向き直る】

い、いやー!はっはっは!いやはや全くごもっとも!…じゃなくて、ご忠告ありがとうございます!
いやはや、あなたのような慈悲深いお方に出会えて僕はなんて幸運なんでしょおねえ!ははは!

【口調をガラリと変え、わかりやすくヘコヘコと相手を褒め称えながら、煽てようとする】
【普通ならば、この場を乗り切ってラッキー…となる所だが、そこがこの男の違う所】

(こいつ馬鹿じゃね!?殺しすぎて頭がおかしくなってんだろ!!)
(だったら精々俺様の為にその殺しの腕利用出来るように仕向ければ…クククっ!我ながら自分の天才じみた発想が恐ろしいぜ)

【…なんてことを考えたりしていた。要は隙あらば利用しようとしているのである】
11 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/05(月) 01:00:10.01 ID:YsASVGYao
>>998

どうして――か。
そうじゃな……それらしく綺麗な言葉で飾り立てたならば、万を語ることも出来ようが
生憎とわらわはそう口の回る方ではないのでな


【気を悪くした様子はない。むしろ、当然とも言える質問であった】
【戦い続けるにしても何らかの理由があるだろう】
【命を賭けているのだ。人を――殺しているのだ。それがただの思いつきであっていいはずがない】
【正義を掲げる者の多くは"芯"と呼べるべき戦う理由が存在しているだろう】
【この少女の場合は――】


簡潔に言ってしまうならば……わらわは"見てきた"からじゃ
無秩序に能力を振るい、訳の判らぬ身勝手な思想を掲げて罪のない者達を傷つけるその様をな

わらわとて最初は、朧げな記憶から生まれた曖昧な幼い正義心から来る脆い意志であった
じゃがな、悪逆の輩を百と見て剣を振るい続けたならば、其れは揺るがず折れぬ強固な鋼となろう

――この世の悲劇を無くす為に、民を理不尽から救う為に
わらわは"人民の為の正義"を掲げて戦っておる。それが正しいと、信じておるのじゃ


【脆いガラクタを焼き焦がし、槌で幾度と叩きつけることで完成させた歪な鋼の意志】
【見方を変えたならば相手の正義を踏み躙り、一方的に否定するカミナの正義は】
【誰であろうと理解を示し、救う方法を考えるセリーナやロウに比べたならば"横暴"とも取られかねない融通の利かないものだ】
【しかし、誰かがこの役目を果たさなくてはいけないと】
【厳しく律する存在が世界には必要だろうと考え、この一点に関しては簡単に譲ることも変えることもない】
【短い言葉であったがその声には、ギアを見詰める瞳には、燃えるような苛烈な意志が宿っていた】

【「――悪いの、少し熱くなってしまったのじゃ」と、息を吐きながら締め括る】
【この少女は何処までも――"不器用"であった】


……本当に、力になれるかどうかは話を聞いて見ぬことには判らぬがな
わらわの古くからの友人に、人形の"ようなもの"を専門で取り扱っている者がおる

ぬか喜びさせてしまうだけかもしれぬが、手を打たぬよりは余程有意義なのではないかと思うのじゃ
限界が判っておるのならばいずれ必ずガタは来る――対策するのは早いほうがよいからの


【ギアの様子に満更でもない微笑みを浮かべながらも、本を閉じて自分の手元に引き寄せる】
【そして、椅子を引いて腰に負担をかけないようゆっくりと立ち上がると】


と、いう訳で――行くとするか
確か今宵は別の予定はなかったはずじゃな?

善は急げ、門限などがないならば今からでも"友人"を紹介してやりたいところなのじゃが……どうかの?


【即断即決。すぐにプランを決めると、ギアに確認を取ろうとする】
【もしこれに頷いたならば、カミナは受け付けで本を借りる手続きを済ませた後、図書館の外に出ることになる】

/遅くなって申し訳ない!
/明日仕事なのでそろそろ落ちなきゃなのですが、持ち越しなどは大丈夫ですか?
12 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/05(月) 01:02:52.49 ID:FBdYS3k4o
>>11
/いえいえ、大丈夫です。こちらもお待たせしてしまってますし……
/持越しの方も了解です!こちらも明日は帰宅が夜になりそうですが、また可能な時間帯になりましたら、舞台裏でお願いできればと思います
/いったん、お疲れ様でしたー
13 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/05(月) 01:07:10.06 ID:YsASVGYao
>>12
/申し訳ない……では、また今夜よろしくお願いしますね!
/おやすみなさいませー!
14 :刃渡 鋭利 [saga]:2015/01/05(月) 01:11:42.54 ID:7hYsxrcyO
>>10
「俺にゃ敵も味方もいねーよ。いるのはただの殺す対象だけだ」


【少年に、敵も味方もありはしない】
【自分以外の人間など、ただ、殺すか殺されるか、それだけの対象でしかない】
【ただ一人で、独りで生きていくだけ。彼にとっては味方も、敵もいない】


「慈悲深いつもりもねーよ……今日はここまで。あんたも、次会った時はどうなるか分からねーぜ?」


【笑みを浮かべながらも、その眼光は男を射抜くよう】
【少年がこの男を殺そうとしないのは、あくまでも気分が乗らないだけ】
【次に会った時は殺すかもしれない。どんなにこの少年を煽てて取り繕うと、無駄な事】
【殺す時は誰であろうと平等に殺す。それは、男にとっては不安材料になり得るかもしれないが】


「で、わざわざ死体漁りするんだから貧乏なのか?あんた」


【それにしても、こんな危険を犯してまで金目のものを欲するという事は、この男はとても貧乏なのだろうか】
【路地裏にはこういった種類の人間が大勢いるので、なんら不思議はないわけだが】
15 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/05(月) 01:45:44.72 ID:0SQ8GH9R0
>>1000
それ、は・・・・・・

【強い意志を持っていったけど、具体的な方法を問われればそんなものは無い】
【目標はある。それをかなえる意思もある。ただ、実現する方法がない】

でも・・・・・・

【でも、と。否定しようとしても、その先に続く言葉は無い】
【畳み掛けるように続く入間の言葉にも言い返せないし】
【入間に向けた目が、自分が嫌悪した哀れみの目であることにも気づけない】

【意思をくじかれ、残ったのは無力感】
【鋭い視線から目をそらすように、うつむいた少女は口を開くことも無く、ただ無力に沈む】
16 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/05(月) 01:47:19.73 ID:k69oI4sGo
>>14

はっはっは、おっそろしーい…いやほんと、バカにしてる訳じゃあないんですよ

【成る程、と頭の中で独白する。この少年がどのような原理で殺すのか】
【何か恨みがある訳でなく、理由無しにただ殺す、人どころか生物の摂理に反した異端の存在だ】
【だが、話せるということは思考出来る、機械じゃあない】
【『敵も味方もない』というが、『気に入らない人間』にはなれる筈だ】

そーなんですよー!いやー不景気でね!困っちゃいますねぇ!
僕にもあなたみたいな、頭空っぽで人を殺せるような小さくて筋肉で出来た脳味噌があれば…おっと、口が滑りました失礼

【調子よく少年を煽てるが、ついつい調子に乗り過ぎて口を滑らせ本音が出てしまう…ように見えるが、これはただの演技だ】
【道化のような笑顔と動きで、「おっと失礼」と口を抑える動き、だがこれこそが策でもある】
【この際、多少怒りを買って攻撃されてもいいという覚悟でいく】

(《ポーカーフェイク》ッ!)

【そして、動作の中でヒッソリと能力を発動させ、効果を上げようと考える】
【この能力は左手で触れた物に対する認識を『別の物に錯覚させる』能力、つまり口元に触れた左手を通す声を、内容共々非常に腹が立つ物だと錯覚させる】
17 :刃渡 鋭利 [saga]:2015/01/05(月) 02:08:39.80 ID:7hYsxrcyO
>>16
「…………………ふー」


【この男、口を開けば中々に腹が立つ】
【さっきから聞いていれば失礼な事ばかり言って、自分の立場が分かっていないのだろうか】
【ただの挑発か、それとも何か別の意図があるのか】
【どちらにせよ、怒りこそしないがこのまま男に喋らせておくのも中々癪に障るもので】


「おにーさん…口は災いのもとって、知ってるか?」


【やはり、ここで殺してしまおうか】
【警告がてらに、ナイフを男の頬目掛けて振る】
【その動作は常識を逸した素早さ。返り血すら浴びない程に素早い攻撃】
【当たっても、死ぬ程のダメージは負わない。せいぜい頬に軽い切り傷ができるくらいだろう】
【だが、少年がそれで攻撃を止めるかどうかは、その後の男の態度次第である】
18 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 02:09:20.40 ID:Q/7lTEOwo
>>4
//こんな時間ですが、まだいらっしゃいますか?
19 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 02:11:09.99 ID:M9YqJB8Eo
>>18
/おりますよー
20 :刃渡 鋭利 [saga]:2015/01/05(月) 02:11:23.13 ID:7hYsxrcyO
/すいません、眠気がやばいので自分はこの辺で…凍結するか〆るかはお任せしますー
21 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 02:11:54.87 ID:Q/7lTEOwo
>>19
//ヤター!ではサクッと書いて突撃させて頂きますねっ!
22 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/05(月) 02:17:52.16 ID:Q/7lTEOwo
>>4

【深夜の公園で一心に木刀を振るう――それも、妖と退魔を兼ね備えている】
【そんな不思議さに惹かれてか、ふらふらと木立から小さな人影が現れる】

【身長は140cmに満たない。小柄で、白銀の髪の上にはハンチング帽を被り】
【新緑のコートを着込んだ、10歳かそこらの少年であった】
【こんな時間に出歩く年少者など、大概は浮浪者か危険人物の仮の姿だが――】

…………わぁ、っ……。

【なんて小さな声を上げながら、公園の隅で舞踊の様な練習風景を眺め】
【さも『邪魔をしては悪い』とばかりに話しかけもせず、じっと見つめる辺りは】
【身なりからしても、その行動からしても、一般的な"深夜の年少者"らしく無くて】

/では、よろしくおねがいしますねー!
23 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/05(月) 02:35:49.64 ID:k69oI4sGo
>>17

(効いてる効いてる)

【内心ほくそ笑んでいた…いや、今更それを隠しはせず、少年にもわかるくらいにニヤニヤと笑う】
【ここまでくれば能力の後押しはいらない、声にかけた能力を解除して、話術でイラつかせるだけだ】

あー…悪いな、ついつい本音が出ちま───おうっ!

【言葉を返す途中で、少年が振るうナイフ、思わず身をかわした…のだが、体が動いたのは頬がスッパリと切れてしまってからだ】
【綺麗な切り口が熱みを帯びて、恐怖半分喜び半分】

【素早く後ろに後退りしながら、右手にピッと取り出したのは、一見ダイヤのエースが描かれたトランプに見える代物だ】

ははっ!そう怒るなよ坊ちゃん!図星を言われたんで返す言葉も無くしたか?
相手してやってもいいが俺様も暇じゃあないのさ!やりたいならそっちから来な!…ま、お前じゃあ俺様どころか部下にすらかなわねえけどな
そこの路地のアジトで待ってるぜ…あばよ!

【震える声を抑えながら、最後の一押しに捨て台詞を残していく。その内容は、恰も自分が何らかの組織の一員で、仲間と共にアジトで迎え撃ってやろうという物だ】
【勿論これは嘘である、たしかに行った所にギャングのアジトはあるが、そのギャングのメンバーにこの男はいない】
【要は、少年に喧嘩を売って居場所を勘違いさせ、全く関係のない相手を潰してもらおうという魂胆】

【言うだけ言うと、持っていたトランプを地面に投げ付け踵を返す。投げ付けられたトランプは、地面に角を立てて立ったかと思うと、眩い閃光を辺りに撒き散らした】
【閃光が再び闇に飲み込まれた時、男はその場には既にいないだろう。あとは血だまりから続いていく足跡が、路地の角に逃げて行くだけである】

/>>20では、切りがいい感じなんでここで終わっておきます
/お疲れ様でしたー
24 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 02:40:03.78 ID:M9YqJB8Eo
>>22

(――――――――…ん、なんだ?)

【ひとつふたつと振る内に不意に視線を感じ瞳だけを少年へと移す】
【こんな物を見ても楽しくないだろうに物好きがいたものだと一息、返す吐く息に合わせて正中線に木刀を振り下ろす】

「……・ふー……ふう……夜中に散歩するのはお勧めしないぜ」

【休憩するには丁度良いタイミングだ、残心し数秒すればやがて木刀を収め呼吸を整え件の少年へと】
【最初の印象は小さいヤツ、だが彼とてこんな時間に歩くからには事情の1つはあるのだろう】
【ならばと青年の声色は柔らかく冗談含みの友好的な物で】

「で、何か興味でも惹かれるものがあったか?」

【青年とて根無し草、だから特別少年に対して特別な贔屓をするつもりもなかった】
【だがらただただ対等なまま気軽なままで首でも傾げ尋ねるのだろう】
25 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/05(月) 02:49:39.65 ID:Q/7lTEOwo
>>24

っ、あ……えと、その……ごめんなさい……。
……僕、櫻の国の出身で。そうやって木刀で練習してる人を見るの
なんだか久しぶりで……良いなぁって、思って。

【言葉を掛けられると、まさか、と思っていたのかビクリと驚き】
【少しオドオドとした態度ながらも、ちょっとした事情を話し出す】
【大概、櫻の出身というと黒髪なものだが――千差万別、ということだろうか】

【そんな事情に加えて、逡巡してからそっと傍らに置かれたナイフと刃物を指さし】

そっちの武器も、なんとなくですけど……櫻っぽいなぁ、って……。
妖力って、魔力や呪術の雰囲気とは違うものだから……
……あ、でも別に欲しいとかそういう訳じゃなくって……!

【――なんとなく、性格が透けて見える様な少年である】
【寒いのか、両手を口の前に持ってきて吐息で温めながら、返事をした】
26 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 03:14:44.14 ID:M9YqJB8Eo
>>25

そう怯えなくていいよ取って食うような性格はしてねーから……

【木刀を片手に説得力は薄いかもしれないが敵意の類は皆無】
【狼狽える少年を見て逆に困ったような笑みさえも浮かべて、こくこく頷きながら話を聞き】

へえ……櫻の出か、故郷を思い出してって事ね……それなら納得だ
練習を見たことがあるなら幾らか心得でもあるのかお前、ぱっと見若いけど櫻の連中の強さたるや年齢とかあんま宛に出来ないしなあ
ま、技術の程はいいとして故郷を懐かしむついでにちょっと触ってみるか、コレ?

【櫻、彼の国に青年も幾らか関わりはあるようでぼんやりと虚空を見つめる様はそれを思い出しての事】
【しかし櫻の出身と云えば髪の色は黒ないしそれに近しい物だった筈だが、ふむ……と首を傾げ、出会ってばかりで尋ねるのも悪手かと一先ずは置いておいて】
【手に持った木刀をくるり回し柄を少年へと差し向ける、なんとなし「握ってみるか?」と問うてみて】

【木刀は別段特殊な効果は無い、通常のよりも幅広で重たい程度の後は土産物屋で見かけそうな木っ端な物だ】

おっ、見る目はあるみたいだな。察しの通りそっちの刀は櫻の国で作られた物
心金に妖怪の骨やらを使った刀でな、言うなれば妖刀の類なんだろうけど……如何せん年代が薄いんで曰くは皆無と言っていい
今はただ妖気が溢れるだけの刀ってところか、刃物だしあんまり他人には触らせたくはないけどお前なら別にいいや触ってみたけりゃ好きにしていいぜ

【歳相応の素直さ、少年の毒気の無い人柄に惹かれる者もきっと多いのだろう】
【青年の周りにはあまりいないタイプだからか刀を触らせるなんて普段はあまりやらない事もついついと】
27 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/05(月) 03:28:17.75 ID:Q/7lTEOwo
>>26

い、いえっ……僕は道場で練習してた人たちを見てただけで……
……でも、みんな毎日練習してて、遠くにいても声が聞こえてたんです。
そういう真面目な所とか、似てるなって……ちょ、ちょっとだけ……。

【木刀の柄を向けられれば、折角だからとおずおず小さな両手を伸ばし】
【身長の半分は有りそうなそれを、なんとも感慨深そうに下から上まで眺め】

【ついでに振るってみようともするのだが――如何せん素人】
【筋力も足りないからか、倒れかけたところで止めて、慌てて返して】

妖刀……やっぱり。僕、こういうものを見分けるのは得意なんです!
何となく"空気"が掴めるというか……え?さ、触ってもいいですか……?

……じゃあ、その……ちょっとだけ、失礼します……。
櫻の国に居た時も、何度も刀は見ましたけど……みんな、大事そうで。
触ってこうやって見るのは、初めてで……すごい、です…。

【興味を持っていた刀に触れる許可をもらうと、一瞬きょとんとするものの】
【子供だからか、好奇心は抑えられない。たたっ、と駆け寄ると】
【そっと柄に触れて、鞘を引いて。その刃の煌めきを見て、静かに声をあげる】

【それから指で、刀の腹を触ってみたりもして――そんな時、刀の妖力が俄に強まるのを】
【所持者である青年は認識出来るだろうか。まるで、何かに"共鳴"するかのようだったが――。】
28 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 03:43:08.71 ID:M9YqJB8Eo
>>27

ふふっ、馬鹿言えオレが真面目なモンかよ
今はただ何となく技術が落ちるのがイヤだな〜って感じで鍛錬してただけだしな

【幼き頃聞いた遠くから響く鍛錬の声】
【青年には生憎とそういった幼少期は過ごさなかったが、どことなく脳裏に浮かび微笑ましく思え】
【また木刀の重さに負ける彼の姿も微笑ましく、頷きながら木刀を受け取り】

目、というか感覚があるのか?ま、心ゆくまで好きなように――――――――

【得意げに語る少年にならばこの妖刀との出会いも必然か】
【そう、それを示すのは微かに沸き立つ妖力……紫白の瞳は静かに震える】

…………っと、お前大丈夫か?
空気が掴めるというか、触媒めいた……まさか気でもおかしくしてないよな?

【良からぬ事が起こるのではないかと青年は音も無く駆け出し妖刀の背をそっと左手で抑え】
【右の手をそっと少年の肩へ乗せ、妖気に当てられてでもしていないかとその顔を覗きこむ】
【少年に妖気に限らず異質な物を感じる力があるならば青年の紫白の瞳にも何かしらを感じるかもしれにない】
29 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/05(月) 03:55:59.15 ID:Q/7lTEOwo
>>28

【広がる妖気。それは青年が駆け寄って刀を抑え、肩に手を乗せる事で収まった】
【例えば小説などであるような、憑依だとか――そういう事は、ないらしく】
【――それどころかむしろきょとんとした、無垢な顔で。少年は、青年を見上げ】

大丈夫、ですけど……お兄さんこそ、その……大丈夫、ですか?
ぁ……傷とかじゃなくて、眼が……こう、刀と同じで……。

【す、と少年が指差すのは自身の瞳。黄金の眼だが、次いで青年の方を指し】
【その眼が妙だと、刀の持つ妖気と同じようなものを感じると、そう伝える】

【もっとも、この少年からも――それは同様だった】
【つまり、妖気を感じる力があれば少年の存在そのものから妖かしの力を感じる事が出来】
【或いは別な場所に気が付けば。例えば、少年の背後でふわ、と膨らんだコートの裾だとか】
【そちらに視線が行って、何かしら気付くことが出来たなら。なぞは、あっさり解けるのだが】
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 04:07:12.51 ID:M9YqJB8Eo
>>29

……ふー、なんだ大丈夫か良かった……
貸した手前で一大事にでもなっちまったら顔向け出来ないからな、良かった良かった……

【肝心の少年はどうやら別段変わりもなくならばほっと胸を撫で下ろす】
【ただ心配であるのは変わらないのか、抑えたままの刀をそっと少年の手から解き鞘へと納める】
【きょとんとした笑みを不慮で崩したくなどないから】

ん、眼にまで気が付くのかお前……
こっちの方はなんだ、説明がややこしいが魔眼とかの類でねお前のソレに気がついたのもこの眼のお陰……
つーかオレの事よりもお前だ……その纏う妖気、コートもそうだけど一体どうした?

【あどけない表情を浮かべるが少年は敏い】
【ともすれば眼の無い自分と比べたならばその結果を語るまでもなく】
【ならばその力の由来は何たるか、微かな妖かしの力にふうわりと揺れたコート】
【どちらにしても妖刀に誘われた少年はやはりというか只者ではないようで、少年の前でしゃがみ込み視線を合わせた上でその疑問をぶつける】
31 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/05(月) 04:30:23.47 ID:Q/7lTEOwo
>>30

……え、っと……心配かけちゃって、ごめんなさい……。
でもっ、僕はなんとも無いですし……格好いいですね、刀って。

【刀が鞘に収まるのを、少年はまさか抵抗するはずもなく受け入れて】
【手からするりと妖刀が抜けても、纏う雰囲気はそのまま】
【眼についての『魔眼』というコメントを聞いても、何処かイメージが浮かばないのか】
【適当になるほど、なんて言ったくらいで。それから自分の事になるとおもむろに帽子を手にとって】

あの……僕、妖怪なんです……狼の。
妖狼って、狐や狸よりも妖術が苦手なんですけど……僕は別みたいで
妖気とか、妖刀とか……そういうの、よく分かるんです。

……ぁ、尻尾。コートの下にあるので、今のでちょっとびっくりしちゃって

【帽子がなくなれば、白銀の綺麗な髪が見える。そして、その合間からは】
【ぴょこん、と狼らしい三角の耳が現れて、口元をあー、と開ければ】
【其処には鋭い犬歯が覗く。オマケにと後ろに振り返りながらコートの裾を引き上げれば】

【今度は、髪色と同じカラーの尻尾があった。どうも作り物とも思えず】
【時折ふりふりとそれを動かしながら、『人化した狼の妖怪なんだ』と説明して】
【信じてもらえるのかが気になるのか――黄金色の目は、まっすぐ青年を見つめていた】

/申し訳ない、ちょっと体調が優れず……一度凍結をお願いします
/再開の時刻に関しては、また昼頃にでも舞台裏に書かせて頂きますので……。
/本当にすみませんが、先に失礼しますね。お疲れ様でしたっ
32 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 04:32:07.02 ID:M9YqJB8Eo
>>31
/分かりました!どうかお体にお気をつけて!
33 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/05(月) 04:44:01.54 ID:M9YqJB8Eo
>>31

銀狼……なんで銀髪なんだろうと思ったけど成る程な……
刀が反応したのも同じ気質だからかな

【成る程合点がいったと頷きながらふわりとした毛に覆われた耳と牙を覗く】
【人には遠い獣の因子、だが少年の人となり故かそれさえもどことなく愛らしく見えてしまう】
【そっと伸ばした掌は狼の子の頭へと「よしよし」と言いながら撫でようとして】

少しびっくりしたけどもまあそういう事なんだろう
そんな目をしなくても信じるさ、大体騙すにしたって態々そこまでするような人間もいないだろ?
しかし櫻の狼の子が1人で国を出て……か、国には戻ったりはしないのか?

【真っ直ぐな瞳は眩しく見えてそれを悟られぬようにと悪戯混じりに少年の耳を優しく触れてみる】
【それにしても櫻の子がたった1人と旅に出るなんて、どこかに理由でもあるのではと勘ぐり訪ねてしまうのは】
【やはり少年がその姿を晒したというところが大きく、ならばと青年は少しばかり親身になってしまった結果である】
34 :刃渡 鋭利 [saga]:2015/01/05(月) 14:57:59.81 ID:7hYsxrcyO
>>23
「てめぇ…覚えてやがれ、全員バラしてそこら辺に晒してやんよ」


【本当に腹が立つ男だ、と少年は思った】
【わざわざ喧嘩を売ってきたのだから、それを買わない手はない】
【アジトの仲間もろとも皆殺しにして、思い知らせてやろうと思った】
【まさか自分が騙されているとは、微塵にも思っておらず】


「フラッシュ…!?チッ、どこまでも馬鹿にしやがってあの野郎…!」


【直後、放たれる閃光。思わず目を閉じて目を光から守る】
【もう一度目を開ければそこに男の姿はなく、つまりはそのアジトに逃げたという事だろう】


「今すぐ行ってやるからな…!首洗って待ってろ!」

【全身の衣類に仕込んである刃物を確認しつつ、そのアジトへと足を向ける】


【後日、アジトには大量の死体が転がっていたという】
【一つのギャング集団が一夜にして全滅した、という話だ】

/絡みありがとうございました!
35 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 21:31:53.61 ID:1CGqvg1Qo
【昼間、図書館にて】

【日も登り切って少し経ったこの時間帯。平日ということもあって、あまり館内に人気は感じられない】
【もともとそう大きな場所でもないのだ。古本独特の枯れた草木のような匂いと、ぺらぺらと誰かがページをめくる音だけが、静かに響き続ける】

【きょうも変わらず、誰かに守られ続けている、いつも通りの日常。退屈なまどろみを祝福するように、雲間から太陽が顔を出して】
【窓から差した入り込んできた日光が、やんちゃな子供のように館内を照らし出すと――――】


………………………。


【そうしてようやく、その少女の存在は浮かび上がった。透明にすら思える白髪が、光の色に染まってさらりと動く】
【館内のすみもいいところ、忘れ去られたような場所。ちいさな窓の下に、古びた椅子がひとつ置いてあって】
【――――そこで、およそ存在感というものが欠如した幼い少女が、ぽつんと座って本を読み漁っているのである】

【疵一つない雪のような肌に、ごく薄い青色の瞳。長めの白髪も天蚕糸のように透き通る、およそ色素というものが抜け落ちた姿だ】
【まるでガラス細工の人形かなにかと勘違いしそうな姿だけれど……丁寧に三つ編みに結われたサイドの髪、それを留める黒いレースリボンや】
【あまり似合っているとはいえない、体をすっぽり覆う白いコートなどの比較的ふつうの服装が、どうにか彼女を人間たらしめていた】


…………うーん………?


【器用にも椅子の手すりの上に何冊もの本を積み上げて、少女は目の前の本に集中している】
【読んでいるのはありふれた絵本のようだが……目を皿にする、とはこのことだろう。ものすごい集中力で、ほとんど微動だにしない】
【ときおり、意味がわからない、というふうに首を傾げたりしているけれど、それに気付いたものはひとりもいなかった】
【彼女は誰にも気付かれずここに来て、そしてこのままなら、同じく誰にも気付かれず出ていくことになるのだろう】

【じき、太陽がまた雲間に隠れる。そうなれば彼女の存在も、たちまち空気のような透明色に戻ってしまいそうだ――――】
36 :イクス・ヴェーラ ◆KCAHZPw1dU [sage saga]:2015/01/05(月) 21:32:57.10 ID:1CGqvg1Qo
/コテ付け忘れ……orz
37 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/01/05(月) 21:40:12.19 ID:1CGqvg1Qo
>>36
/トリップミスにつきやり直し、何度もスレ汚しすみません……
38 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 22:03:40.14 ID:gl3Qh4uD0
>>35

【窓から差す光は神様の取った絵筆のよう、どんな物の形だって描き出す】
【それなら、ついと伸びる影はもう一つ。それは、そのまま、誰かが傍にやってきたことを示し】
【だからと言って何を言うでもない、害意でも敵意でもなく、邪魔するつもりもなく、佇むのも、少女】

【いつだって何かを睨みつけるような瞳は、ただ、唯一、本相手にだけは和らぐ。それなら、今だって大分柔らかなもので】
【どこかむくれたような拗ねたような表情は変わらないようなのだが――とは余談、とかく、彼女はその場に棒立ちする】
【そうして待つのだろう、絵本の世界に沈む少女の意識が浮上する瞬間、声を投げれば届くだろう、その瞬間】

――――ねえ、キミ、この本を借りてもいいかい。

【掛けられる声は、どこか掠れた声音。古書の少し埃ぽい頁を捲ったときのような、そんな印象を抱かせるものだが】
【辛うじて少女、或いはそれに近しい存在なのだと分かるような声――絶妙に瑞々しさのない、だけど枯れすぎない声質】

【太陽が隠れてしまう刹那に、その姿は光と影に塗りつぶされる。ピンクがかった金髪は光が当たれば透き通るようでも】
【光がなければ色あせてしまったよう、緩く巻いた毛先だけが、染めたように深いピンク色を濃くして、その髪色を目立たせ】
【ほぼ常に拗ねた子供と同じ表情をする瞳は勿忘草の花の色。つんと立っても低い位置にある頭を見れば、身長は百四十と少ししかなく】
【生成りと白を基調にしたワンピース、裾の長く布地の多いそれは、かざりっけの足りないドレスにも見え、体を隠し】
【ちらりとのぞく爪先はブーツでも穿いているらしかった。踵のないブーツ、硬い踵でも、足音は軽く】

棚のほうになかったものだから、凡そ誰かが読んでいるのだろうと思って。
……ああ、まだ読んでないなら別にいいのだけれど。読み終わっているなら、貸してもらえないかしらん――。

【消える瞬間の太陽の光線に彼女は少し眩しそうに目を細めて――睨んでいるようだが、ただそうでないのは態度から窺え】
【お願いするにしては媚の少ない声だが、もとより誰に媚びる性格でもない。視線でも向けてみれば、彼女は】
【透明色の少女が積み上げている中の一冊に手折れそうに細い指先を示し、返事の言葉を、少女を見つめて、待っている】
39 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/05(月) 22:23:37.98 ID:1CGqvg1Qo
>>38


【自らに存在感がないということを、本人は自覚しているか否か。自分が存在しておらず、また他者の存在も認めないのならば、】
【この場合、そこにあるのは目の前にある本の世界だけだ。自分も他人も否定して、透明な少女はやわらかな世界に没入していた】
【けれど、それはべつに他人が嫌いだからというわけではないらしい。声をかけられれば、少女はあっさりこちらの世界へ戻ってきて】


………ちっちゃな女の子なのに、へんなしゃべり方………。


【ただし――――いきなり投げかけられるのはそのような、不躾極まりない台詞なのだった】
【読書の邪魔をされて怒っている……のかと思いきや、そういうわけではない。少女の表情にはひたすら無垢で、純粋な疑問だけがある】
【きょとんとした様子の少女だったが、そのうち相手の意図を思い出したかのように、「好きに持っていっていいよ」と積み上げた本を指し示すだろう】

【そして再び、絵本の世界へ舞い戻る……のかと思いきや、これもまた違う。とん、と椅子から降りて、少女は彼女の隣に立った】
【顔だけ見ると幼いが、この少女の身長はそちらより十センチほど上だ。見下す意図はないけれど、どうしても目線は上からになってしまう】
【そんな月白色の視線には、目の前の少女自身への興味と、「なにを読むのかな?」というような疑問の、二種類が折り混ざっているようだった】
40 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 22:40:01.88 ID:gl3Qh4uD0
>>39

【彼女にとって、本とは目も耳も何もかも塞いで、ただ一つ、心だけをどこか遠くに連れて行ってくれるものだった】
【こんな場所じゃないどこかへ――現実逃避。それを自覚しているようで自覚していないようで、ただ目を逸らしたなら】
【目を逸らした先で、見つめられるならきっと目が合う。花の色だというに、その瞳は蒼褪めるようで、どこか暗い色をして】

悪いね、もう少し伸びると思っていたのだけども、伸びなかったのだよ。
それに姦しいのは苦手なものだから。これくらいが落ち着く、――あんまり喋ると喉が掠れて痛い。

【デフォルトが拗ね顔の彼女がもう少し意図的に拗ね顔をすると、思い切り拗ねたような顔になる。僅かに眉間に皺を寄せ】
【だけども特別に不機嫌というわけでもない、ただ、誤解させてしまう可能性は十分すぎるほどだ、彼女は僅かに首をかしげ】
【百四十二センチの身長について言及する、しかしよっぽど不満顔でないのを見るに、納得するか、諦めきっているのだろうと見え】
【変だと指摘された話し方についてはそんな風に返し、最終的には喉の保護だと言い訳するのだが、まあ、真偽はどうでもいいか】

【彼女は少女の疑問に大した感慨もなく返してやると、本の持ち出し許可をもらえたら、ほんの誤差レベルで表情を嬉しげに変え】
【指差していたのは、積み上げられた下のほうの本だ。取るのはなかなかに難しそうで、それなら、手伝ってもらうのかと思えば】

【きらり、煌いたのは勿忘草色の、ラメを振り掛けた綿菓子のようなもや。見れば、それは、魔力由来のものらしく】
【それがふわふわ動いたと思うと積みあがる本に緩く纏わる、――と思った瞬間には、邪魔な本は持ち上げられているだろう】
【何の妨害もなければ、彼女はそうして用のない本を退かし、目当ての本だけを取り上げる。終えれば、本は元の位置に戻し】
【もやも消えてしまう――能力だろうか。こんな世界だもの、珍しくはないが、それもまた少女の興味に化けるかもしれず】

毒入りケーキみたいな本と絵本が好きでね。久しぶりに読みたくなったものだから――、……。

【そうして手元に持ってきた本は、それなりに有名な絵本だ。子供に聞いてみれば、ある程度の人数が知っているような】
【どっちみちメルヘンっぽいのが好きなんだろうと心中こっそり思いながら、心なし嬉しげに表紙を開く、のだけど、】
【……じっと見られているのに気付くと、「どうかしたかい」なんて言葉と視線を向けて、読書は中断するのだった】
41 :サフィア・エレファリス [saga sage]:2015/01/05(月) 22:42:18.25 ID:kMT2S8dF0

【路地裏】

【薄暗いその場に響き渡るのは鈍い音】

【そして、音の発信源にいるのは一組の男女だった】

【男の方は体格は良く人相は悪いスキンヘッドの破落戸】

【女の方はハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカー、紫色のスカート姿の十代前半くらいの少女】

【少女が座り込んでいるところを見るとどうやら男が少女を殴り倒したようで】

……目当ての女の人に逃げられたから逃がした私に八つ当たり……? 人間としてどうなの? それって
【少女は男をキッと睨みつけ挑発の言葉を吐く】
【当然男は逆上して「テメエ! 」と叫んで少女の胸ぐらを掴む】

……何? 事実を述べたまででしょ? 
そんなのも分からないの? 
…………この屑野郎
【少女が低い声で挑発した瞬間、男は少女を殴りつけようとする】


42 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/05(月) 23:03:43.12 ID:1CGqvg1Qo
>>40

【まるで親鳥を見つめる小鳥のようだ。少女は他人の顔を見るとき、ほとんど無遠慮にじっと目をのぞきこむクセがある】
【自分と同じ色調ながら、自分よりずっと鮮やかで美しい彼女の瞳。それを宝石でもみつけたかのように、少女は身を乗り出して】


そうなの? わたしも、こっちの言葉でしゃべるのは、得意じゃないけど……。
ほら、わたしが読んだ本だと、女の子ってみんなこういうしゃべり方してるんだよ。


【「伸びる?」……などととぼけた様子で少女は首をかしげ返した。表情に変化がないところを見るに、身長差についてはいっさい気にしていなかったようである】
【自分もその女の子であることを忘れてしまったかのような口ぶりで、ほら、と少女は持っていた絵本の一ページをかざしてみせるだろう】
【ページいっぱいに広がるファンシーな世界。その中央で、青色のドレスを着た少女が、いかにもな女の子言葉で動物と話しているところだった】


…………わぁ。いまの、魔術なの?


【そして――――感情の希薄だった少女の顔つきに、かすかながらも、とつぜん子供らしい輝きが宿ったように思われた】
【ふわりと持ち上がる本の束に軽く目を見開き、いままで見ていた二つの宝石と同じ色をしたやわらかそうな奔流を、興味深げに追いかける】
【魔法≠ネらば、まだ絵本などによく出てくる単語だ。けれど少女がとっさに口にしたのは魔術≠ニいう、よりあやしげな響きの言葉だったが】


それ、わたしまだ読んでない。一緒に読んでいい?
毒入りケーキの本なんて、わたし見たことないよ。すっごく気になる……。


【そんな一幕もあって、いよいよ少女の興味は最高潮といったところだ。のそりとそちらへ密着して、うしろから絵本をのぞき込もうとするだろう】
【毒入りケーキみたいな、という例えはどうやら理解できなかったらしい。その妙ちくりんな曲解がまた、少女の興味を煽っていた】
43 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 23:12:55.11 ID:2tS2b7gu0
【寒さを増した夜の闇を切り裂いて、通りで甲高い音が上がる】
【固いものに重く柔らかいものが擦れて出る音。それに重なって、濡れた布袋を叩きつけたような響きもあった】

【明滅する街灯の下には、煙を上げる一台の乗用車。型は数年前の物だが、手入れはよく為され車体には曇り一つなく】
【ただフロントに付いた人間大の凹みさえなければ、暫く現役で走り続けられたであろうに】
【その元凶となった――この場合の不幸な被害者は、まだ年若い、一人の制服姿の女であった】

【エアバッグの作動した車内は、覗き込んでも人の気配は皆無。恐れをなして逃げ出したのか、動転して助けを求めて転がり出たのか、或いは初めから人などいなかったのか】
【何れにせよあるのは、その場にて不幸な事故が起こったのだという事実、それだけを明白に】

あ、あ――……が、ッ……!

【倒れてからどれ程の境を彷徨っているのか。ただ、がくがくと痙攣する肢体からは、未だ生にしがみ付く意地が垣間見えて】
【初めの音からやや経とうとも、寝静まった住宅街の現場には異常を察して点る灯りは一つも現れない】
【孤独の中女は、黒髪の下より流れる鮮血に伏して、漸くの一呼吸と共に喀血を道路に溢した】

44 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 23:15:32.98 ID:gSMGdDvI0

【――――夜の繁華街、と言うのは賑やかであると同時に治安も悪くなり】
【一角が辺りよりも更に騒がしくなっているのだから、其処が今宵の舞台である事も容易に知れる】

【さて、いざ見てみれば柄の悪い男女が数人。其れに対峙しているのは、コートを纏った女性一人】
【ふわふわとした金色の髪。柔和な表情は争い事とは遠い人柄にも見えるのだけれど、“自警団”所属を示す腕章が彼女が手練れである事を表すか】
【やがては男達が殴りかかるのだが――――相手がただの華奢な女、と考えたのが不運】


「全くもう、暴れちゃ駄目ですと何度も言った筈ですよ〜?
痛い思いをしたのはその罰です!お酒を飲むなとは言いませんが、次からは周りの迷惑にならない様に気を付けて下さいね〜?」

【正に一瞬の出来事。男達からしたら、気が付けば腹から強く地面に激突した事となり】
【件の女は悶絶する姿にクスリと笑みを零し、鼻歌交じりにその場を後にするのだろう】
【連行だとかしないだけまだ優しいのか否か――――野次馬達は別な意味で唖然としているのだから、其れが更なる注目を惹き】
【話し掛ける者が居るのだとすれば脚を止めて其方へと向き直るのだけれど――――】








【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】
45 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/05(月) 23:20:58.07 ID:gl3Qh4uD0
>>42

ああ――いやね。こういったのは本の中くらいだと相場が決まっているのだよ、まあ――。
現世において絶滅しているとは言わないけれど、あんまり見ないかしらん。私は見たことがないがね。

それとも、小鳥や兎と話せるなら、こんな言葉遣いになるのかね。
……なる気もするよ、兎や栗鼠や小鹿相手なら、キミの言う、“こういう”話し方のほうが似合いそうだもの。

【見せられる本の頁、彼女は素直に覗き込むと、大して表情も変えずに小さく唸る、それから、紡ぐのは】
【些か夢が足りないといえばそうだ。こういう風にしゃべる人間はあまり居ないのだと教える、……だけど、】
【全く居ないわけでもないのだよなんてことも教えてやって、ついでに、「キミはこういうのが好きかい」などとも尋ねる】
【別に答えによって喋り方を変えてくれるようなサービスはないが。純粋な好奇心だろう、ふと、気になったのだ】

【――かと思えばそんなことも言っている辺り、自分好みの喋り方というのがファンシーに似合わないのも分かっているらしい】
【赤子相手に声が高くなるみたいに、兎や栗鼠相手には女言葉になる。少し突飛だが、理解できる気も――というか、理解できた】

能力だよ、……別に大したものじゃないがね。かゆいところに手が届く程度には便利だが……、

【「生まれたときからある」】
【そう彼女は付け足して、少女の顔に子供らしさを見て取ったなら、一番上の本だけを持ち上げて、手渡そうとしてやる】
【本に纏わるもやは触れても何の感覚もなく、触れたという実感もない。ただ、運ばれてきた本には当然触れることができ】
【やろうと思えば一気に六冊とか手渡せるのだが――流石にそれは軽くいじめっぽいので、やめておく】

……見た目はとっても甘そうで、実際味も甘いんだろう。だけど、味わううちに苦くなって――、最終的に死ぬような。
そんな話が好きだというだけで、別に毒ケーキの本ではないよ。……探せばそういった本もあるだろうけれど。

【そんな趣味嗜好、ただ、眼前の少女には伝わらなさそうだとも思っている。それなら、少し、投げやりめく声がして】
【それでも全ての説明を放棄して独り占めするわけではない辺り、――そう、後ろから覗き込まれるのを、彼女は受け入れた】
【普段は他人との接触を苦手とするが、本がそこにあれば別だった。「とある国の王様のお話だよ」と、囁くような声が、珍しく甘い】
46 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/05(月) 23:45:30.16 ID:1CGqvg1Qo
>>45


えっ、そうなんだ……。
だったらわたしも、あなたみたいな話し方の方がいいのかな。
できるだけふつう≠ナいないと、目立っちゃったら困るし……。


【とぼしい変化ではあったけれど、当然の事実を突きつけられた少女の顔には、若干ショックを受けたような色合いが浮かんだ】
【子供のように、夢を壊された、というようなものではなく、なぜか「しまった」というような風ではあったけれど】
【「好きってわけじゃないけど、参考にはしたんだ」といって、少女は心なしか難しい顔になったように、ううん、と軽く咳払い】
【少女の口調をまねて、「ど、どうだい。ふつうに見えるかい」などとかなりぶっきらぼうにしゃべり始めるだろう】

【正直に言ってまったく様にはなっていない。普段からこんな似合わない口調でしゃべっていたら、むしろ目立ってしまいそうで】
【それこそふだんから動物たちとしゃべっているかのような口調のほうが、少女の異様な見てくれからするに、むしろ自然そうだった】

【――――そんなふざけた試みも、幸い長続きはしなかった。少女の目の前で、再びあのもやが乱舞しはじめ】
【つ、と無造作に浮き上がる本。周囲を包むもやに触ろうとして失敗するのを数回繰り返したあと、それは少女の手の中に収まった】
【おかしな口調も一瞬で忘れて、「すごいなぁー」と感慨深そうに少女は述べる。視界をよぎる勿忘草の花弁のひとひらが、少女の脳裏で何度も反響して】


…………??? 甘いのに苦いの? それで、死んじゃうの? 本の話だよね?
やっぱりよくわからないや。ねぇ、早く読んでみせてっ。


【やはりというか、こういう詩的な例えはこの少女には通じそうもない。どこか諦めたような彼女の様子にも気付かず、きょとんとしたままにせっつく】
【やがて始まるお話を、少女は静かに取りこんでいくだろう。最初のひと口に感じた甘みを、物珍しそうに噛みしめて】
47 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/05(月) 23:53:36.65 ID:k69oI4sGo
>>44

【「俺は見たんだ、本当だ」「あの廃墟には何かがいる」】

ケッ!馬鹿らしい事ばーっか言いやがって!
…ま、そういう輩は適当にでっち上げてやりゃすーぐ騙されるから楽なもんだけどな!

【夜の闇を切り裂く光、それはまさしくこの男が持つマグライトの発する光だ】
【闇に生える真っ白な高級スーツと撫で付けた金髪、ゴールドフレームのメガネに光を反射させながら、廃墟をズンズンと突き進む男がいた】
【トランプを散りばめた模様のネクタイをしたこの男は、少し前に依頼を受けたばかりであった】

【『この廃墟に悪魔が出る』だとか何だとか、酔っ払ったアホの与太話だといつもなら一蹴する所なのであったが】
【なにぶん酒が入っていたのであったから、言ってしまったのだ…『俺は悪魔祓いだ』と】
【勿論嘘だし、悪魔なんて祓うどころか信じたくも無い、と思っていたが、そういえば以前に悪魔と知恵比べをした事があった】
【だから、やれると思ってしまったのだ。悪魔なんて皆同じものだろうと、祓ってやると申し出てしまった】

テキトーにそれっぽい物を持っていきゃ信じるだろ、あいつらバカそうだし…───

【悪魔の存在をでっち上げて報酬金だけはたんまり貰ってやるつもりだった、最初から悪魔なんていないだろうとタカを括っていたのだ】
【…じゃあ、今目の前に飛び込んできた、光に照らされる少女は一体何なんだろうか?幽霊なのか迷子なのか、まさか本当に悪魔だとでも言うのだろうか?】

は、はは…

【思わず出るのは苦笑い、引きつった頬が戻らなくなりそうだ】
【ずり落ちたメガネを上げ直しながら、『そんな訳はない』と自分自身に言い聞かせる、『あんなものは噂を聞いてソレになり切ってるだけだ』と】

いや、まあ俺様は悪魔祓…ぃ…というか何というか……それはともかくだ!
悪いが、ガキのごっこ遊びに付き合ってる暇はねーんだよ
ほれ、もう夜は遅いぜ、さっさとママの所に帰りな

【なんかもう、嫌という程只ならぬ雰囲気のする少女だが、必死にそれから目を逸らしたい、こんな得体の知れぬ物を相手にしたくはないからだ】
【震える体を抑え、冷汗を押し込みながら、虚勢を張って、少女の脇をすり抜けて行こうとする】
48 :リヒト・マグダウェル [sage sage]:2015/01/05(月) 23:53:59.12 ID:JaXJ43qq0
【近くに様々な店が立ったことにより寂れたバー】
【だが、客足がなくなったといえばそうでもなく知る人ぞ知るバーと言われている】
【そんなバーでピアノの演奏が客が少ない店内で奏でられる】

 やれやれ、最近は静かになったものだねー

【そんな店内で一人テーブル席に陣取りカクテルをちびりちびりと飲んでいる男がいた】
【灰色のTシャツと灰色のパーカーを着こなし長ズボンをはいている】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色、目つきはだるそうだがサングラスで隠している】
【それだけなら特に問題ない、だが彼には問題があったそれはパーカーの袖口にはGIFTのシンボル金十字架のエンブレムがあるからだ】

 最近はどこの組織も静かなもんだ、おかげでこうしてのんびりできるが
 ――このときも一時の平穏だろうな

【悪の組織も正義の組織もどこも最近は静かだ、だからこそこ今回彼は有給休暇が取れたわけだ】
【とはいえこれも一時の平穏だいずれどこかの組織が派手にやらかすだろう】

 まー、だとしてもしばらくはゆっくりさせてくれよ

【愚痴をはいて手をカクテルが入ったコップをつかみ、一気に飲み干す】
【一気に飲み干したあとに短く「ゲップ」と音をだした――】
49 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 00:11:17.90 ID:iyNYY9cV0
>>46

【出来るだけ普通で居たい。その言葉に彼女は気持ち不思議そうな顔をした瞬くが、何を言うでもなく】
【ただ、続く少女の言葉――自分の喋り方の真似をされる段になると、どうにも苦いような顔をし】
【最終的には「キミは普通にしていたほうがいい」だなんて言葉を言うのだった。――つまり、駄目だということで】
【ある種人から見た自分を見るようで、なんだかおなかの奥がくすぐったいような……微妙な恥ずかしさを、呑み込み】

【それからもやで遊んでやって、本を手渡してやって、なんだか、子猫と遊ぶみたいだとふと思う】
【何にでもじゃれるふわふわの子猫、――眼前の少女を見ていると、なんだかそれを思い出すようで】
【猫じゃらしでフェイントを掛けるように動かしてみたりすることしばし、まあ、図書館なのだし、あまりふざけるべきではない】
【そんな理由から適当に切り上げるのだろう――結局、どれだけ追いかけても、そのもやには触れられない】

【(その実、もやの正体は、実体のない、見えない、三対六本の腕だ。だが、魔力が漏れ出してしまっていて)】
【(それがあの紫色のもやの正体、透明人間に出来る影のような、そんな――メリット、デメリット、曖昧なもの)】

【掠れた声は優しげにすると、どこか眠たいような、子守唄を歌ってやるような声にも聞こえ】
【少女に見やすいように本を傾けてやるのは、さてこれから寝かしつけてやろうというようでもある】
【もちろんここは図書館、ベッドの中ではないから、実際に寝られるとなると――きっと、困ってしまうのだけど】

【小さく咳払いをして、ゆっくりと読み上げていくのは、どこかにある小さな国と、そこに住む、自分は不幸だと思っている王様のお話】

【小さな国はいつでも笑顔で溢れていました。みんなが自分はとっても幸せだと言って、暮らしていました】
【だけどその国の王様だけは自分は不幸だと思っていて、楽しそうなみんなが羨ましくて――或いは憎らしくて】
【ある日、国中に「笑ったり、楽しそうにしたりすること」を禁止してしまいました】
【国から笑い声は消え、ひっそりと静まり返ります。そんな中で、王様は、始めて楽しいと、幸せだと思ったのです】
【だけど一日、二日、数日経つと、そんな気持ちは嘘のように消えて、王様はまた不幸な気持ちに逆戻り】
【なぜなら、本当は王様は、幸せそうな国民を見ることをとっても幸せだと思っていたのだから】
【――それに気付いた王様は、みんなに謝りました。そうして、小さな国は、また、笑顔で溢れるようになったのです】

【だけど前と違うのは、一人自分は不幸だと思っていた王様も、みんなに混じって笑うようになったということです――】

【――最後の頁が捲られて、描かれているのは、みんなと楽しそうに笑う王様の絵。「おしまい」と彼女は呟き】

……小さい頃に母に読んでもらったんだ、昔は家にもあってね。
だけどあまりにも古くなったものだから捨ててしまった、――いや、どこかに寄付したのだったかな。

【閉じた本を彼女は手の中でふらふらと弄び、ぱららららっと読めない速度で頁を捲ったりして、戯れる】
【「面白かったかい」なんて尋ねてみて、ふわりと――見間違えでなく、彼女は柔らかく笑ってみせるのだろう】

【ちなみに彼女、身長が低いのと童顔気味(表情は鋭いが)なせいで、分かりにくいのだけど】
【十七とかだったりして、それなら、きっと、少女よりも年上だ。気持ち、ほんの少しだけお姉さんぶるようにして――】

【透明色の少女のためだけの読み聞かせ、頁を捲る間隔や、文字を読み上げる速度はずいぶんとゆったりで】
【それなら、小さい子供相手にでも繰り返したのだろうと推測できた。上手いか下手かで言えば、それなりに上手い、と言え】
【演劇のように感情をこめるわけではない、どちらかと言えばしっとりと読み上げるのが特徴だった。ただ、無感情ではなく――】
50 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/06(火) 00:12:28.53 ID:x+/Ax2e7o
>>43

【遠くからやって来るヘッドライトの灯り。スモークガラスの黒いセダンの高級車】
【運転手はそこでの事態を目にするとスピードを落として停車する。ハザードを付け、暫くして運転席が開く】

【手入れの行き届いた長い髪の女。後ろでひとまとめにしている。銀縁の眼鏡をかけた切れ長の目で】
【グレーのスーツのパンツスタイル。運転席のドアは開けたまま。彼女の両手には拳銃が握られていた】

【あたりを見回して警戒している。そうしてから故障した自動車に近づく。車内を確認し、誰も居ないことを知ると】
【拳銃の撃鉄を戻し、セーフティーをかけると倒れた少女に駆け寄った】

動かないで。血を吐くときは内臓を損傷しているかも知れません。…名前言えますか?何処だか分かりますか?

【少女の身体に手を入れて仰向けに起こそうとする。そうしたなら、頭を上に向けさせ気道を確保する】
【彼女の対応は間違いは1つもなく合理的だった。しかし全くの動揺もないのは何故だろうか】
【それは彼女がマフィアでヤクザで、刀1つで何人も斬り、何人も目の前で死んでいったからゆえだろう】

【彼女は携帯電話を取り出すと短くダイアル。勿論、救急を呼ぶためだ】


/まだいらっしゃれば
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 00:20:16.52 ID:WY5cQMlJ0
>>47
「人間は面白いわよね。気付かない内に自分でイケナイ所に脚を踏み入れているのだから
何故かしらね、何故かしら。気付けば後戻りも出来ないのに、気付けば後悔しても遅いのに

――――今晩は、悪魔払いさん?今日のお話は誰にも知られずに消えちゃう人間のお話かしら、それとも悪魔と楽しくお話しした人間のお話かしら」

【男性の様にまだ己を制する事が出来るならば良い。ただ、仮に精神が弱い者がそれ程までに近づけば――――気が狂っても可笑しくは無い程に、其処は日常と掛け離れた雰囲気】
【すり抜ける事を止める事もせず、クスリと笑って見送るのだから幸いにして切り抜ける事も出来ただろうか】
【足音だって聞こえない。ならば、確かに不可思議な存在からは逃げられた筈――――なのに】


「其れを決めるのは貴方自身。喜劇悲劇惨劇お好みのお話しはあるのかしら
自分の死ぬ瞬間を見てみたいのだと言うのならば叶えてあげるわよ。好きな人を自分の物にしたいと言うのならば代償を貰うわよ

――――私は人間の敵だもの。帰る所は夜で、帰る所は闇の中
フフフ……貴方は忙しいのね。でも、私から見れば忙しそうに見えないの。不思議ね、不思議
だからお話しをしましょう悪魔払いさん。貴方が忌むべき悪魔とお話しを」

【歩いた先に現れたのは、やはり同じ少女。魔術を使用した形跡も無く、まるで最初から其処に居たかの様に】
【戦闘狂で無い事が幸いか、攻撃を仕掛ける素振りも見せる事は無く】

【依然として此処はまだ悪魔が活動する範囲の中。自警団だとかが来る筈も無く――――或いは一介の其れが来たところで事態が好転する訳も無い】
【何をどの様にするかは全て男性に委ねられた事だ。少女自身も反応を楽しむかの様に男性を見上げれば小首を傾げて】
【――――一見すればただの少女。然れどその実大きな邪悪を秘めている事は誰にでも分かる事】
【男性に魔力だとかを感知する力があれば、それこそ最早人の形をしているのが不思議な位の大きさを感じ取れるかも知れないけれど】
52 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/06(火) 00:20:26.74 ID:dsHKvYH/o
>>11
……いえ、それらしい言葉よりも、本当のことが聞きたいです
戦いに身を投じる以上、決して綺麗なことばかりではないのは、僕も経験してきましたから……

【気を悪くしたわけではないらしいカミナの様子に、まずは内心で胸をなでおろしつつ】
【彼女にその先の言葉を促す。血みどろの戦いの中になぜ自ら身を鎮めるのか】
【尋常ではない何かが、その中にあるからではないのか。今の自分の場合は、憎悪によるものが大きかった】

見てきた=c…あいつらのような存在を、ということですか……
僕も、カニバディールと再会する前までは、夜の国でレギンという男のテロに居合わせたことがきっかけではありました
貴女のように、その意志に槌を振るい続けることは叶いませんでしたが……

でも、そうか。貴女のような方もいるんですね……そうですか……
ありがとうございます、話してくださって

【彼女の語る正義。確かに、過激とすらいえるものではあるのかもしれない】
【だが、その中にギアは希望を見ていた。自分のように迷う者もいれば、彼女のように不器用なほどに己の道をひた走る】
【そんな正義もいる。そんな人のために、救われる人々も確実にいるのだと】
【それを感じられたからだ。自分を見つめる彼女の燃える瞳の中に、彼女の正義を確かに見たからだ】

【セリーナヤロウのそれとは、違うかもしれない。だが、人それぞれ正義は違って当然なのだ】
【そんな中で、自分は彼女やセリーナやロウと同じ側に、まだ立っていられる。それが、ギアにとっては救いだった】
【「いえ、ありがとうございます。少し気が楽になりました」、と。不器用な少女に、人形はそう言った】


人形の、ようなもの、ですか……
いえ、紹介してもらえるだけでも、本当にありがたいです! 少しでも可能性があるのなら……

はい、このまま手をこまねいていても、先は知れていますし……
それならば、そういった心得がある誰かに一度、見てもらいたいと思います

【思わず身を乗り出し、図書館であることを思い出したのか、慌てて声を潜めてゆっくりと座り直す】
【それほど、彼にとっては重大事だった。何せ、己の今の身体のことなのだから、当然ともいえるだろう】

はい、この後も時間は空いてますので……
是非、お願いします! こんな遅い時間からで大丈夫なのでしたら……
少しでも早く、見ていただきたいです!!

【彼女と同じく、ギアも即決した。少しでも早く。己の抱える問題は、それほど深刻なのだから】
【ギアもまた、カミナに続いて本の貸し出し手続きを済ませて彼女の後に続く】
【カミナの瞳に見た希望の灯を、絶やさぬように】
53 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/01/06(火) 00:39:50.36 ID:ro7XhKuto
>>49

【いくらやってもつかめないもやを追って、少女の細腕はすばやく動く】
【白磁のようといえば聞こえはいいけれど、その実かなり不健康にも見える肌色からは、ちょっと想像できない機敏さだ】
【少女は遊ばれていることにもまったく気づかず、ただ不思議そうな調子で素直にもやへ手を伸ばし続けるだろう】
【なるほどたしかに、そのさまは小動物じみていた。あるいは……なにも知らない、生まれたばかりの赤子のような、それ】

【けれど、さすがに体の方は赤子とは違う。幼くはあるが十つとすこしを数えた体格は、こんな隅っこで眠るにはすこし大きすぎる】
【掠れた声は甘く、そして優しく、ころころと色を変えていく。それを不思議そうに、そしてちょっと面白そうに聞き届けて】
【少女は眠くなるどころか、ちょうど遠足前の子供みたいに、むしろわくわくして眠れないといった様子だ――――】

【――――そして少女は、最初から最後までだまって耳を澄ませた】
【どこかの不器用な王様が、みんなといっしょに笑いはじめるまでの、幸せに終わるお話だ】


うん。いいお話、だね。面白かったし、上手だったよ!
王様がみんなとお友達になれて、よかった。それは正しいことだって、わたし、そう思う。

………あっ、わたし、知ってるよ。こういうときって、拍手して褒めるのがいいんだよね?


【ぱたん、と閉じられる世界。王様の笑顔が移ったような彼女を前にして……すこし間があって、ぽつん、と少女は呟いた】
【相変わらず微妙な変化ではあるけれど、そこにあるのは物思いにふけるような、夢見がちな女の子の顔つきで】
【どんなに妙な存在だって、子供は子供、ということなのだろうか。単に物語を聞かされただけなのに、だいぶ機嫌がよくなったらしい】
【はたと思い出したように、「お姉さん」に拍手が贈られる。目立たない程度のちいさな拍手ではあったけれど、そこには心からの感謝と賞賛があった】
【……最後に、「でも、ぜんぜん毒ケーキじゃなかった……」と余計な言葉をひとつ付け加えるのはまあ、子供ゆえの愛嬌と言ったところか】

54 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 00:44:01.38 ID:iyNYY9cV0
>>53
/申し訳ないです、眠気がちょっとひどくなってきたので、凍結なりしていただけないでしょうか?
/こちらは明日は夕方以降でしたら再開できますし、そちらの都合に合わせられると思うのですが……
55 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/01/06(火) 00:46:32.02 ID:ro7XhKuto
>>54
/了解です、では明日に持ち越しということで……
/こちらも明日の夕方以降は空いておりますので、その辺りで返信してもらえればすぐ再開できると思います
/お疲れさまでした、お休みなさいませ!
56 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 00:53:04.39 ID:iyNYY9cV0
>>55
/ありがとうございますー、時間の空いたときに返信しておきますね!
/ひとまずお疲れ様でした、また明日よろしくおねがいしますー
57 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/06(火) 01:08:25.47 ID:kOeVxDIfo
>>51

(ああそうさ悪魔なんていやしねえしいたとしてもあの邪禍の奴みてえにうまくやれる筈だ)
(俺様ならやれるさやれるに決まってるほらやり過ごせたこんなガキに構ってる暇は俺様には)

───んなァッ!?

【本当に怖かったが、何事もなく少女の脇をすり抜けられた、勿論あんなのを悪魔だなんて思いはしないが、とにかく気味が悪かった】
【だから、これ以上構いたく無かった存在から逃げられた事に安堵したのだが、しかしそれらは束の間の事であったのだ】

(あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!
『俺様は奴と擦れ違ったと思ったら目の前に奴がいた』
な…何を言っているのかわからねーと思うが 俺様も何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…)

【思考時間奴0.1秒、生き物は恐怖を味わった瞬間に思考が早くなるという、それだ】
【体の震えが抑えきれなくなってきて、冷汗が湧き水の如く流れ出てきた、マグライトの光はあっちにこっちに揺れながら、目の前にいる少女を照らす】

(いや違う!んな訳あるか!よく考えろ俺様!そう、これは…)
双子トリックだ!!

【頭の中でだけでは足りない、導き出した結論を声に出して張るくらいしなければ信じられない】
【大きな声で叫ぶと少し落ち着いた、深呼吸して平穏を取り戻す】

…わわわ悪いなあおおおお嬢さん、おおおれ、俺様ぁあは紙芝居屋さんじゃぁぁなないんだひょ…
おおお面白いは話はななないんだよよぉ、あるのはもも儲け話だだだけささ…

そそそうだ!おお俺様のてて手伝いをしないか!?手伝ってくくくれたら小遣いをややろう!さっきあっちにいたおおお姉ちゃんも一緒にだ!
なななぁに、かかかんた、簡単な事だ!い、いかにもぶ不気味な物をみみみ見付けてくくればいいだけだ!

【しかし、いくら震えを抑えようとも抑えきれない、ガクガクと震える声帯から絞り出る声は少し高くなる】
【其の内、この少女が本当に悪魔なのではないかとも思えてきたが、だからと言って自分が悪魔祓いだというのはペテンに過ぎない】
【本当に祓う事は出来ないのだから、当初の目的は何か『悪魔っぽいアイテム』を持ち帰って詐欺る事であった】
【今となっては生きて帰る事すら怪しい───だが、マトモに相手するよりは生存確率が高いと思うので、そうする事にした】
58 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 01:31:58.43 ID:WY5cQMlJ0
>>57
「可笑しな人間ね、ヘンな人間。――――だけれどそうね、お手伝いをしてあげても良いわよ?」

【代償として命を貰うだとかを持ちかける事が無いが――――実際の所、この悪魔からすればただの暇潰しなのだろう】
【人を殺める事も生かすこともただの暇潰し。それ以上でもそれ以下でも無い】

【――――不意に、細い指が自身の胸へと当てられる】
【その指先から血が滲み始めるのは数瞬先の事。メキリ、ゴキリと嫌な音を立てるのは更に数秒先】
【気付いた頃には手首位まで沈められているのだけれど、本人は気にした様子も無く】
【ぼたりぼたりと滴る鮮血。漂うのは噎せ返る様な血の香り】


「さて、どうかしら。悪魔の骨なんてそこら辺には転がっていない物だけれど
転がっていても精々人間の骨。他の生き物の骨なんて珍しいと思うけれど」

【心臓が脈打つのすら見える程にぽっかりと空いた胸。手にしているのは肋骨か胸骨か】
【死の概念も無いかの様に、その姿が当然で在るかの様に笑みも崩さず其れを差し出して】
【受け取るも受け取らぬも自由。それ自体、悪魔からすれば深い意味も無いのだから】
59 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/06(火) 01:39:46.34 ID:A2kEVahu0
>>15
 ――アンタは優しいよ。
 だから泣くし、叫ぶんだろう?

【言葉の詰まる少女の気持ちがわかる――そう、少なくとも今の女は思っている】
【それは女もあらゆる手段に目を向けてきたからこそであり、そこで目を瞑るなら】
【いずれは、彼女も分かってくれるだろう――無力感に苛まれている少女に、女はそれ以上言葉をかけなかった】
【――実際、女の言っている事があっているかといえば、それは違うし、考えも突飛で、随分と染まり切っている】
【ただ、女は間違いなくそうしないといけない、と今は思っている。それは間違いなく、それが正しいと思っている――そう、思い込んでいる】

 ……何でもない、忘れてくれ。
 届けに行くんだろう? この食べ物を。

【沈黙した少女に対し、かける言葉が浮かばなかった】
【――そんな少女を無理にこちら側に引き入れる気も、後で問題を起こしかねない】
【そのまま通り過ぎようとし――通り過ぎる時に、こう呟くだろう】
【考えが変わったら、こっちに来い=\―その後に続く言葉は、指定の場所、そこの路地裏】
【何もなければ、このまま通り過ぎて――何事も無かった、それ程に何も残らず消えていくだろう】
60 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/06(火) 02:05:28.35 ID:kOeVxDIfo
>>58

そそそうか、手伝ってくれるか…だだだったらら…ちょっと待って、深呼吸する

すぅー……ハァー……よし

だったら、君はまずあっち側を…ってオイオイオイ!!?

【思考を働かせろと自らの脳味噌に指令を下す、この少女が悪魔かどうかはともかく、ヤバい何かなのは確かなのであるから、この少女をどこかにやるのが先決だ】
【であるからして、手伝いに乗ったのは好都合、指揮を執って、手分けするフリをしてトンズラこけばいい。我ながら完璧な作戦だ】
【と言う事で早速実行に移ろうと、声を落ち着かせて指揮を執ろうとした矢先、少女の行動だ】

【耳を塞ぎたくなる様な生々しい音と、映画の特殊効果みたいな光景、表情だけは平静を装っていたが遂にはそれすらも無くなった】
【飛び散る鮮血と反対に顔を青ざめて、その場に尻餅をついて立ち上がれない】
【マグライトを取り落とし、後ずさろうにも手が砂で滑って、それでも視線は少女に張り付いたままになる】

(こ…こいつマジの悪魔じゃねーの!?)

【※さっきから言われてます】

(やべぇよやべぇよ…悪魔ったってあのトナカイ頭みたいなもんバッカリだと思ってたよこいつやべぇよ…)
(なんで開きになって平然としてんだよこんなのよしんば俺様に悪魔祓いの才能があっても無理に決まってんだろ)
(もうダメだ俺様は死ぬ殺されるきっとこの悪魔に魂を喰われて死ぬんだこんな事なら詐欺なんてしなければよかった…)

【胸に大穴を開けながら、涼しい顔で骨を差し出す少女を目の当たりにして、一人で勝手に死の恐怖を味わうしかないこの男】
【物凄い速さで走馬灯と懺悔の台詞が頭に浮かんでは消えて行く───だが、思い付いた】

(───待てよ?どうせ死ぬならいっその事…)

【小悪党とは、最後の悪足掻きだけ厄介な物である】
【ハッと気が付き、死の恐怖を克服ではなく『開き直った』男は、ふぅと息を吐くと立ち上がり、人が変わったかのように表情を引き締め、乱れた金髪を撫で付け直す】

…どうやら、本当に本物の悪魔みてぇーだな…信じよう
だが、悪魔に貰いっ放しというのは少々怖い、だから『交換』と行こうじゃあねえかお嬢さん。これで『貸し借り』は無しだ

【そう言って、尤もらしい理屈で左手に何かを持って差し出し返した、それはダイヤのエースが描かれたトランプだ】
【少女がそれを受け取れば、男もまた差し出された少女の骨を受け取る。悪魔に貸しを作らない交換条件だ】

【…が、この男には秘策があった、悪魔を騙くらかしてなんやかんやしてやろうという秘策が】
【これはその為の第一歩、ただの人間が悪魔に歩み寄る】
61 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 02:33:35.83 ID:WY5cQMlJ0
>>60
「――――教会の悪魔払いかと思ったけれど、違うのね」

【尻餅を着いた姿を楽しそうに眺めるだけで手助けをする事も無く】
【話は進み、差し出されたトランプだが――――さて、受け取りはせず】


「そうね、これを受け取ればもしかしたら貴方は気付かない内に契約をしているのかもしれないし死んでしまうかもしれないわ
――――けれど、私は別にその事に興味は無いの。これも悪魔の言葉、信じるも信じないも貴方次第」

【悪魔は其れを無償で受け取ったところで何が発生する訳でも無いと言う。ただ、其れを言う本人が紛う事無き悪魔】
【もしかすればその言葉自体が嘘なのかも知れないし――――答えなど本人にしか分からぬ事】
【実際の所は、受け取った所で本当に何も無い。持って居るだけで何だか不安になる事を除けば、だが】


「悪魔に限らず人間もそうよね?善人として有名な聖者が実は悪魔よりも酷い存在だったなんて話もよくあるもの
そろそろお茶会の時間。みんなを待たせてしまっては悪いものね
――――気を付けなさい、人間さん。一人で余り進みすぎると戻る事も出来なくなってしまうわよ」

【片腕を薙ぎ、召喚したのは一冊の古びた本】
【適当な頁を開き、綴られた文字を撫でたならば。――やがて、少女の足元に幾多もの魔方陣が形成されて】

【気付いた頃には、何も無い。瘴気も少女の気配も】
【然れど――――飛び散った鮮血と“骨”だけが夢では無かったのだと教えてくれるだろうか】

/申し訳無いですが眠気が危ういのでそろそろ失礼します……お疲れ様でした―!
62 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/01/06(火) 02:57:49.08 ID:kOeVxDIfo
>>61

(オイオイオイ!疑りぶけーぞこの悪魔!!)
(やっぱ下手に出る感じで行くべきだったか!?いやまだ他に手はある!)

【少女の言葉には返事をせず、ただただ蒼い目で見つめながら祈るのみ】
【悪魔の囁きに下手に返せばどうなるかわからないので、返事する時は慎重に考えなければならないのである】

…尤もだ、だが一つだけ間違いがある
俺様が信じるのは俺様自身じゃあない、俺様が信じる運命の女神さ

【とりあえずなんかカッコ良さそうな事を言えばそれっぽく見られるかもしれないと思った】
【言っている意味は自分でもよくわからないが、きっとカッコいいと思う】

【と言う事で、なんやかんやあって、企みも失敗した訳だが、何とか生きて入られたようだ】
【一先ずは安心…もう死んでいるなんてオチは勘弁だから、頬っぺたをつねってみたが痛かった】
【痛かったのだから現実であって生きている、目を塞ぎたくなるような現実だが、あの悪魔だって実際に現存したようだ】

…チッ!なーにが悪魔だっつーの!人間舐めんなよ!
俺様の行く道に指図される道理は…ないっつー…のっ!

【姿が見えなくなればすぐに悪態を吐く辺りが見事な小悪党、落ちていた骨はちゃっかりと強かにハンカチに包んで持っていく】
【なんだか街の嫌な雰囲気もなくなったし、これを持って行けば悪魔祓いは完了だ、内容はどうあれいなくなったのだから】

/乙でしたー
63 :如月 氷雨 [sage]:2015/01/06(火) 18:06:05.81 ID:noe7EaDWO
【水の国――――――の公園。噴水の音が穏やかに響き、もう日が落ちている。夜の闇と、若干の街灯の光が照らしていた。】
【日中の喧噪は、其処には無い。入れ替わるように穏やかで、そして幾ばくか陰鬱な静寂が広がっていた。】


「 (これからどうしたものか……。)」


【若い、独りの女がいた。年齢にして、20代前半程度であろうか。場合によってはそれよりも若く見えるかもしれず、服装はこの地域では比較的珍しい和装である。】
【ゆるやかな着流しの上には、濃藍の――――それはまるで雨≠フような色である。見る物を不安にさせるような、】
【そんな色の羽織を着込んでいた。一陣の風が吹き、その裾を僅かに揺らしている。下半は黒い袴。安物らしく、裾がほんの少しほつれていた。】
【切れ長の瞳は、琥珀のような深い、何処と無く月≠思わせるような色合いである。】

【羽織には、どこかで見たことのあるような――――それこそ、見る人が見ればなんなのか分かる。機関≠フ紋様が、目立たないよう刺繍されていた。】
【銀色で羽織りに映えるそれはしかし、今現在活動の機関の紋様ではない。数世代古い、今ではほとんど見ることの出来ない物である。夜の國支部所属を表す…いや、「表していた」ものだ。】


「まあとりあえず……ここらではいつ厄介事に巻き込まれるか分からない。よっこらせ、きちんと準備をするに越したことはないな。」


【女は名前を如月 氷雨といった。最近この場に訪れた、現在はどこにも所属していない流浪人である。身の回りの動乱が一息ついたこともあり、この付近を散策していたのだ。】
【如月は剣客であった。和装に違わないといおうか。その腰には二振りの得物がある。】
【本差しは立てかけられ、脇差しは腰にあった。多くの剣士達とは異なり、右腰に帯刀している。左利きであるらしい。】

【通常、剣士といえば恵まれた体躯でありそうだが、彼女の場合はその限りではないらしい。】
【小柄で、身体の線も細い。しかし、常人と比べて全く鍛えていないというわけでもなさそうで、】
【つくべきところに、必要な筋肉だけが着いている――――――――そう形容すれば、分かりやすいかもしれない。】


「……――――――――。」


【如月には全く能力≠ニ呼べるものを持ち合わせていそうにない。】
【その身に、その武器に、どこを探しても、一切能力や異能の片鱗が見えないのだ。】
【隠している≠フではなく、元々持ち合わせていない≠謔、で。察しの良い人物なら、雰囲気や細かな仕草から何と無く無能力者であることが推測できるだろう。】


「…せいっ!」


【立ち上がり、軽く準備運動を行った如月は、一声かけるとともに左手を腰に伸ばした。大刀の下の、脇差にである。】
【――――瞬間、シャッ!という音と共に一閃の抜き打ちを、誰もいない中空めがけて放つ。】
【同じ動作を何度も何度も、確認するように放つ。銀色の剣閃が月光を煌びやかに反射し、周囲には鞘と刃の擦れる音が残響していた。】

/雑談戦闘なんでもござれな絡み待ちですー
64 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 19:21:56.02 ID:iyNYY9cV0
>>53

【本を読むのは好きだ、一人で読むのも好きだし、たとえば*――家族と一緒に読むのも、好きで】
【個人的に図書館を経営する家の子に生まれたなら、遊びに来る子供の読んでやったこともあった、それなら】
【こうやって誰かと本を共有するのも好きで……、まあ、つまり、本に関わることなら大概好きなのだ】

【拍手をもらえれば本当に僅か――得意げなように瞬く、そうすると、青い瞳に金色の睫毛が影を落とし】
【どこか瞳の青をうっすら透かして。やがて視線を持ち上げてやると、それから少女に視線を合わせ】

【まあ結局はリア充の戯れなのだよ、……なんて言葉は辛うじて飲み込んだ。昔抱いた感想からズレてスレた、その思考】
【王様は結局ずっと幸せだった。それに気付かなかっただけで、それを失って、初めて認識できたというだけで】
【どちらにせよ恵まれていたのだろう、恵まれていて、だけど、自分が不幸だと思う人間は、世界には思ったよりも居て】

【(今の自分は恵まれているだろうかとふと思う、たくさんの本に囲まれて――ああ、不幸ではないな、と、そう思う)】
【(誰も居ない家もとっくに慣れた。一時期家にやってくる人間も居たが、居なくなった。それも、また、慣れた)】
【(ただ寝て、起きて、本を読んで――たまに庭の薔薇に水をやって、それでいいって、そう納得する)】

ああ、……それは悪いね、これは普通の絵本だから――、
……私の好きなようなのはキミには少し早いかもしれない、エグいのが好きだから。

【最後に付け足された言葉には、ほんのりと眉尻を下げて、首をかしげるようにする、明確に表情は変えないが】
【ご希望に添えなかったことに多少の申しわけなさみたいなものはあるらしい。――だけど、いまのところは】
【それじゃあ今から見せてあげようということでもないみたいで……、あどけない彼女には、ちょっと早いかもだなんて】
【そんな風に思うのだ。見た目的にはこちらもずいぶんあどけないのだが、中身は。――残念ながら、あどけないとは遠く】

…………キミは本が好きなのかい、夢中で読んでいたようだけれど。

【最後にほんの少しだけ苦笑気味に唇をゆがめてから、ふっと、彼女はそんなことを尋ねる】
【最初に見た透明色の彼女の夢中っぷりを思い出したのだ、今聞かせてやった本に集中していた素振りからも】
【まあ好きではあるのだろう――なんて推測しながら、或いは、好きだという言葉を期待しながら】

【その返事を、きっと、静かに待つのだ】

/帰りが遅れまして申し訳ないです、食事も済ませましたので、これ以降は普通にレス返せます……!
65 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/06(火) 20:12:33.21 ID:ro7XhKuto
>>64

【ささやかな拍手を終えて、少女はほんのすこし――――笑ったように、見えた】
【ガラスの人形のように無機質で儚い姿をしているけれど、たしかに血の通ったなにかが、うっすらとそこには感じられた】
【それはきっと、信頼の表れだろう。ただの興味の対象にすぎなかった彼女を、少女は個人として好ましいと思ったのだ】

【ほんの一瞬、ちいさな口から漏れそうになったなにかを目ざとく察して、少女は「なに?」と首を傾げた】
【いまの話で少女が読み取れたのは、不幸な王様が無事幸せになったという表層だけ。王様は最初からそれ≠持っていたのだと、そこまで考えは至らなかった】

【――――そしてそれを、自分に重ねて物思いにふけることもなかった。自らの幸せと誰かの幸せを測るための天秤を、少女はまだ有していないのだ】
【自分が幸せなのか、それとも不幸せなのか。目の前の彼女が幸せなのか、それとも不幸せなのか……】
【なにもわかっていない子供の顔で。少女は永遠に透き通りながら、当然のようにここに在るだけだ。すくなくとも、いまはまだ】


えーっ………? だめなの?
えぐい、っていうのがなんなのかわからないけど………。


【薄青の宝石と日光が作る陰だけがぽつんと置いてあった白いキャンバスに、その信頼が、ようやくわかりやすい感情を浮かび上がらせる】
【不満そうな声色はもちろんのこと、頬をちょっとだけ膨らませて、少女は明らかにむっとした表情を作っていた】
【それでも、我欲……というと大仰か。要は、だだをこねるほど意志が強いわけではないらしい。読んで読んでとそれ以上せっつくことはない】
【まあ、客観的に見て、妥当な判断だった。相手はスポンジのようになんでもかんでも吸収してしまう盛りの子供、透明ゆえになににでも染まりかねない】


……………? わたしが、本を好き? 好きって、なに?
わからないけど、こうしていっぱい読むのは、参考にするためだよ。
こっちの言葉とか、文化とか、そういうものが、これには詰まってる。
こうやってちゃんと勉強すればふつう≠ノなれるって、そう言われたから。


【そして――――このようにして誰かに守られてきたのか、それとも単に運が良かっただけなのか、現時点では、少女は透明のままなのだ】
【いまだ何者にも染まらないまま、きょとんとした顔でそこにいて……好き≠フ意味がわからないと、そう言う】
【少女が本を読むのは、明確な実利のためだ。知識を得てふつう≠演じるために、必要なことだからだ】
【それを証明するように、積み上げられた本はよく見れば、ジャンルがめちゃくちゃだ。絵本のような幼児向けのものから、どこぞの研究者が読むような専門書まで……】

【吹けば飛ぶような肉体、あどけなさ過ぎる精神。その口振りからしても、少女は文字通り浮き世離れしている】
【まるで、どこか遠い国からやってきたばかりのような。それで現地の事情を急ごしらえで仕入れているような、そんな風情であった】


あっ、でもね。いま、あなたに本を読んでもらったときは、楽しかったよ。
王様とみんなのお話も、幸せでおもしろくて、なんだかあったかくなった。

好き………なのかな。これって。ねぇ、わたしって本が好きなのかな?


【……ただ、その急ごしらえの知識のなかには、ちょうどいまさっき掴んだものも混じっているようだった】
【すこし熱っぽくなって、少女は他ならぬ自分のことを他人のなかに求める。ずいっと顔を寄せて、熱心に質問するだろう】
【知識でできた海のなかから、珍しい貝殻でも見つけたかのように。自分の本の好みという、ささやかながらはじめての感情を、少女は拾い上げていた】
66 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 20:43:33.40 ID:iyNYY9cV0
>>65

【そうして嬉しそうにしてもらえると、どこか拗ねた表情の下、ふんわりと心が和らぐのをかすかに感じる】
【置いていかれたときにそんなものなくしてと思っていたのだけど――どうやら自分はまだ人間のよう、どこかで思い】
【「なに?」と尋ねられたら、「さあねえ」なんてなんとなくで誤魔化す。「大人になったら教えてあげるよ」、とも告げ】

人によっては「嫌だ」と思ったりするということだよ、私は好きだが、キミはどう思うだろうか――、
……だから、教えるのはまた今度にしよう、いつかまた会ったときに、キミが……、……そうさな、大人になっていたら。

【そして、同じような言葉で締めくくるのだ。とにかく、好みに差があるものだからと、まして、子供にはまだ早いと】
【彼女はそのあどけなさを見て、少女のことを子供だと認識していた。実際は違うかもしれないのだけれど――】
【人によっては怒らせることかもしれないけれど。大人としてみていなかった、嫌がらせとか、そんなつもりではなく】

…………好き、とは、……本を読むのが好き、とは、……そうだな、なんだろう――。
本を読むたびに違う自分になれる、……違う自分になりきって、その本の世界の住人になれる、……。

――本を読めば読むほど、いろんな自分が自分の中に増えていく。……いや、

……――、本を読んでいて楽しいかい、愉快だったり、もっと読みたいと思ったり、するなら。
きっとそれはキミが本を好きなのだよ、勉強するためだとしても、楽しいと思うのなら。

【本を読むのが好き、それはどんな状態だろう、どんな風に思っていれば、本が好きだと言えるのだろう】
【現実から目を逸らした彼女の言う本が好きとは、そういう、現実逃避みたいな、知識欲みたいな、ものになるけど】
【そうやって違う自分を増やしていくことでどこか満足する、もっとたくさんの自分が欲しくなる、そんな、エンドレス】
【――だけど、結局は、楽しいとか楽しくないとか、そんなところになるのだ。すごく簡単に、快か不快かにするなら】
【キミが楽しいと思うなら、きっと好きなんだよ、なんて、結局そんな言葉に落ち着く】

【どうしてそんなに普通になりたいのか、とか、気にならないと言ったら、きっと嘘になるけど】
【まだ出会って少しだ。まして彼女は、あんまり、人と関わったことのない人間だし――尋ねるのは、今は難しくて】

それなら、――そう、きっと、好きなのだよ。
もっといろんな本を読むといい、本はそれこそいくらでもあって、それごとに内包する世界も違うのだから。
そのうちにきっと“好き”の向きも分かる、自分がどんな本が好きなのか、分かっておくと――楽しい。

……今度にでも、好きだと思った本を教えてちょうだいな。

【だからそれを尋ねるかわりに、もっといろんな本に触れるといい、だなんて言うのだ】
【積み上げられた本を見る限り、言われなくともやっているのかもしれないが。それでも、もっと、いろんな本を読んで欲しい】
【そしていつか好きな本を見つけたなら、――それを教えて欲しいだなんて思う、だから、そんなお願いをする】

【(多分、普段はどこかそっぽを向いていても、きっと、彼女は、誰かと、)】
【(それを自覚しているかは置いておいて、目の前の少女に彼女が興味を持っているのだけは、確実だろう)】

【――顔を寄せられて、熱心に質問されて、彼女が返した言葉はこうだった。ほんの少しだけ、引く体の動きは】
【ただ少女を拒絶するわけではなく、その距離感に慣れないだけだ。人馴れしてない野良猫みたいな、ちょっとした仕草】
67 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/06(火) 21:17:15.10 ID:ro7XhKuto
>>66


…………大人、かぁ。わたしは、ちがうんだ。
でも、あなたはちっちゃいのに、大人なんだね。


【大人――――その言葉の意味だけは、少女も知っていたようだ。そしてそれが、自分に当てはまらないであろうということぐらいの自覚はあった】
【子供扱いされたことに対して、怒ったり不快になったりということもない。そういう細かい情緒はまだ、解すことができない】
【代わりに少女はそんな言葉を返すだろう。本当の年齢差など素知らぬまま、けれど……これもたぶん、なんとなく、の産物だが】
【大人なの? と聞くのではなく、大人なんだね、と少女は断定した。自分にはない成熟したなにかを、少女は彼女に感じているのだ】


自分に、なる………?


【――――最初にその言葉を聞いたとき。少女はそれまで有していた感情をすべて捨て去って、人形に戻ったように思われた】
【無機質で味気ない、在るだけの無機物。好き≠フ意味も分からないもの。しかしその裏で、少女はふと思い出す】
【自分がさっき、こう言ったことを。「好きってわけじゃないけど、参考にはしたんだ」と】
【無意識下の言葉。少女はあの、動物たちとお話しして楽しそうに暮らす、まるで自分みたいな¥翌フ子のお話を、意識せず否定していた】
【その後の、王様が国民たちと友達になって幸せになる話は、面白いと感じたのに。これが「嫌だ」ということなのか……?】

【機械のような表情で、少女はそのことについて考え出す。自分の好み≠フ一端を、探そうとして】
【けれどそれよりも先に、彼女の優しげな声が、とても簡素で当たり前で、わかりやすい答えを提示してくれた】


そっか。楽しくて、幸せだってことは、やっぱり好き≠ナいいんだね。
………なんだか、安心した……ような気がする。

ねぇ、ありがとう。――――わたしいま、たぶん、幸せな気分だよ。


【結局のところ、その差異はわからないままだった。好き≠ヘわかったけれど、嫌い≠ヘ少女にはまだ早かったのかもしれない】
【……だけど、おそらくいまは、それで十分なのだ。相変わらず自分のことは要領を得ないままだけれど、】
【自分はたぶん、幸せだ。そう告げる少女の顔には、知らず知らずのうち、笑顔が戻っていたのだから――――】
【「うんっ」とたしかに頷いて、少女は本の山に目をやった。宝物のありかでも見つけたような、きらきらした輝きが、瞳のなかに宿っている】


――――ねぇ、ねぇ。あなたもいま、幸せ?


【その輝きは、いきなり彼女の方に向いて。引いた分の距離をずいっと詰めて、少女は真正面から二つの勿忘草の花をのぞき込むだろう】
【一瞬、少女はなにか言おうとして言葉に詰まる。そして最後に飛び出したのが、こんな台詞だった】

【彼女がどこから来て、どんな暮らしをして、なぜここに来たのか。……そう、彼女のことが好き≠ノなったとたんに湧き出てきた、無数の疑問が】
【頭のなかでごっちゃになって、最終的にはこんな言葉にまとまったのだ。自分は幸せだった。なら、あなたは幸せなのかと、】
【果てしなく単純で――――なにひとつ。まだ彼女のことを知らないがゆえの、純朴な台詞だ】
68 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/06(火) 21:17:57.89 ID:HoB33B83o
>>52

――うむ、良い返事なのじゃ!

あやつはこう……9時頃にはぐっすり寝ておるようなイメージがあるが
流石にまだ店は開いておるじゃろう……寝ておるならば叩き起こすだけじゃがの


【くくっ……と、少々悪そうな笑い声を零しながらも】
【安心していいのかどうか微妙な発言を返しつつ、図書館を後にしていった】
【どうやらその"友人"とは、それなりに気安い仲のようである】


【――】


【歩くこと10分少々。街の中心部から離れ、徐々に喧騒も遠ざかっていく】
【周囲を見れば通りかかる人々も疎らで、どこか閑散とした雰囲気が漂っていた】

【そんな道を進み、辿り着いた場所は小ぢんまりとしたある店の前であった】
【カミナは、<Fairy's Gift>という看板の下げられたファンシーな外観のその店にの入口に立ち】
【扉の横に取り付けられたベルを鳴らすと、中からトトトッ……と、軽い足音が近づいてきた】


「お……お待たせしました――って、あれ? おり……じゃなくて、カミナさん?」
「あの……今日は何の御用でしょうか……」


【内から扉を開き、姿を見せたのは華奢な容姿をした少年。】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【少年は、夜分遅くに現れた友人の姿に目をパチクリしながらも対応する】
【その視線はカミナを通った後に、一緒にいたギアの方へと徐々に移動していく】


よしよし、ちゃんと起きておったようじゃな!
何……ちと珍しい客がいてな、御主ならばこやつの力になれるのではないかと思うて連れてきたのじゃ

連絡を入れてやれればよかったが、生憎と今しがた決めたことなのでな
……まあ、どうせ暇じゃろう。話の一つも聞いてやってくれれば助かるのじゃ


【簡単な説明をすると少年は合点がいったという様子で手を合わせる仕草をして】
【「なるほど……」と、控えめな声で呟いた後、ギアへと顔を向け――】


ギアよ、こやつはジョシュアといってな……見掛けはこうだがそれなりに腕は立つのじゃ
本来は義肢を専門的に扱っておる技術者じゃが、高度な人形師と呼んで差し支えのない知識はあろう

御主の構造が判らぬ以上、どこまで整備が可能かははっきりと口には出来ぬが
何らかの助力にはなるのではないかと思うての――


【義肢――言うなれば擬似的な人体を造り上げる専門家がこの少年のようである】
【厳密には"人形"とは違うが、身体の整備くらいならば可能だろうかという算段からの紹介であった】

【少年――ジョシュアは、カミナの声を聞きながらも】
【どこで挨拶したらいいかな……と、ギアをチラチラと見ながら少し迷っている様子であった】
【自己紹介でもしてやったならば、この少年もそれに乗って返すだろうか――】
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 21:36:53.19 ID:iyNYY9cV0
>>67

だけども、……子供の顔をして大人の人間も居るし、逆も居る。
私は、――子供にしてはかわいくないものだから。大人でもないのだろうけどね。

【子供じゃない、だけど、大人でもない――どうやら、彼女は、自分のことをそんな風に思っているらしい】
【その理由が子供にしてはかわいげがないとかいうものだったりするあたり、少し、ずれている感じはするのだが】
【かわいげがあったら子供ぶるつもりだったのか。だけどそんな思考はIfでしかなく、なんら意味のない戯れめいて】
【少女の断定には曖昧に緩く首を振る、言われるほどに大人びた成熟はないと、そんな思考をしながら】

……そうかい。それなら良かった。
本はいろいろなことを教えてくれる、キミが普通になりたがるのは分からないが――、

人間の勉強をするのに、これ以上のものはきっとないのだから。

【幸せなのだと少女が気付く、その笑顔に釣られたように、彼女は、また薄くだが柔らかく笑う】
【本を読むくらいしか自分は知らない。だから、これくらいしか教えられない、だけど、本当にたくさん読んでくれたら】
【きっと、いろんなことを知れる。少女の欲する“普通”は分からないけど、きっと、そのヒントも手に入るのだ】
【その理由を知りたいとは思うけど――やっぱり尋ねられる気はしなかった。どこか、臆病さが揺らめき】

…………、――、

【そうしてほんの一瞬だけ思考に落ちた意識に、少女の尋ねた言葉が突き刺さる。幸せかって、――自分は、どうなのか?】
【釣り目の双眸が珍しく丸くなる。不意を突かれた表情は、あどけなさを残す顔付きに、珍しく見た目相応なかたちを作りだし】
【きゅっと引き結んだ口元から、ほんの小さく吐息が漏れる。――気まずいように、僅かに視線が逸れると】

……本が読める限り、私は幸せだよ。他の人が言うところの“友達”も“恋人”も“家族”も、本の中で事足りる。

【多分、この言葉は嘘ではない。本を読んでいれば彼女は楽しいのだ、本さえ読めれば、それで、いいのだ】
【そこに友達も恋人も家族もきっと居ない、だけど、――本の中で、擬似的なそれに触れられれば、満足だなんて】
【嘘ではないけど、きっと正しくもない。けれど何もかも諦めて、捨てて、投げて、本の世界に引きこもってしまわないのは】
【こうして外に出てきたり誰かに話しかけてみたりするのは――彼女がまだどこかで希望を持っているからに違いないはずで、――】

キミは、――キミの名前は、なんて言うんだい。
私は……、……アンネリーゼ、呼ぶなら、リーゼでいい。

【――それ以上に尋ねられたくなかった。そうしたら、いろんなことを話さなければいけない気がしたし、それは、少し――】
【だからこうやって話題を変えようとするのだ、名を尋ねて、名を教えて、それくらいしか思いつかなかった】
70 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/06(火) 21:57:13.08 ID:T+MvaIpGo
>>33

【伸ばされた手で優しく頭を撫でられると、大人しくそれを受け入れて】
【嬉しそうに目を細め、うっすら頬を染める辺りなどは】
【狼と言うよりは、むしろ子犬では、と思えるような反応で】

騙す人……には、会ったことないですけど……この間、"優しいけど怖い人"に会ったんです
飲み物を買ってくれて、色々心配もしてくれて……でも、カノッサ機関の人で……。

ぁ……僕、大祖母様に色々と世界を見てこいって言われて、それで旅をしてるんです。
将来はお前が一族の頭領なんだから、って。……それでその、なんだか帰りづらくて
帰るだけのお金も今はないですし……むしろどうやって帰ろうかなって…――あ、はは……。

【耳を触られればくすぐったそうにぴょこん、と揺らして声が上擦り】
【またその一方で、少しシュンとしたように『カノッサ機関の人と会った』と言う】

【もっとも、見境なく襲いかかるタイプではなかったのか――怖い、というより残念そうな様子で】
【話が故郷に帰るという段になれば、最後の最後で"ぐぅ"という小さからぬ音がした】
【咄嗟に赤らむ頬を手にした帽子で隠すものの――それが空腹から来る音だというのは、中々隠せるものではなかった】
71 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/06(火) 22:23:59.95 ID:kOeVxDIfo
【街の外れにある廃工場、こういう所には不良少年が集まるらしい】
【漏れる明かりに釣られて中を覗いてみれば、焚火の入ったドラム缶を囲んで沢山の少年達がたむろしていた】
【そうしたアウトローの集団は、何やら大いに盛り上がっているようだ。上座とでも言おうか、積み上げた鉄骨の上に腰掛けた男に多くの少年達の目が釘付けになっている】

───つーことで、俺様はギャング集団を一夜にして壊滅させたのさ!!

「すげー!!」「流石だぜエースさん!」「伊達に趣味悪い格好してねー!」

【真っ白なスーツに革靴、トランプ柄のネクタイにゴールドフレームのメガネ…趣味が悪いくらいに高級な衣服に身を包んだ男が、大きな身振りで語りを締めると歓声が上がる】
【自分を褒め称える声を聞くと、その男は満足そうに、撫で付けた金髪を自分の手で撫でながら頷くのであった】

よーしよーし、俺様は凄いだろー?そんな俺様の凄さを分かってるお前らに小遣いをやろう
この俺様の凄さを好きなだけ言いふらしていいんだぞー?はっはっは

【したり顔で、懐から取り出した札をばら撒きながら踏ん反り返る、その男】
【少年達相手にいい身分な物である、お山の大将とは正にこの事】

「エースさんやべーっすよ!やっぱりギャング壊滅出来るくらい強い能力があるんですよね!?」
「バーカ、ギャング程度には能力使うまでもねーんだよ」

はっはっは、そいつは想像に任せよう…だが、まあ───
俺様にかかりゃあカノッサだろーとSCARLETだろーと相手にすらなんねーがな!ハーッハッハッハ!!

【…いや、もう本当に、その本人がこの大きな笑い声を聞いたらどうなるか分かったものじゃあない】
72 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/06(火) 22:29:53.32 ID:ro7XhKuto
>>69


………?
子供の顔で大人、なひともいるんでしょう?
だったらあなたは、「かわいい大人」さんだと思うよ?


【返ってきた曖昧な答えに、はて、と少女は疑問を呈した。子供っぽいけど大人、な人が存在するのであれば、】
【かわいらしい大人がいてもおかしくはないだろう、と。……彼女が「かわいい」というところは、少女は微塵も疑っていなかった】
【残念ながらというべきか、幸いにもというべきなのか、それは精神的な意味ではない。外見がかわいい、という意味なのだろうけれど】
【目の前の少女をひねくれた子供≠セとか捉えて、それをかわいいなんて思えるほど、少女が大人であるはずもない】

【――――こくり、と少女はだまって頷いて。「がんばってふつう≠ノなるよ」と意気込みを新たにするだろう】
【新しい発見を得られたおかげか、なにやら妙に張り切ってしまったようで、この分だとしばらくは本の虫になりそうだ】
【もしもいま、ふつう≠ニは何かと少女に聞いてみたとしても、本人にもうまくは答えられないかもしれなった】

【ただ誰かに言われて、自分がおかしい≠アとだけは知っている。だがどこがどうおかしくて、なにをもってふつう≠ニ評するのか――――】
【そのあたりを知るのは、きっとこれから。彼女が浸る本の世界へ自らも飛び込んでみて、自分の手で探していくしかないのだ】


うん、あなたは、アンネリーゼ。
え、わたし? わたしはイクス。……イクス・ヴェーラだよ。


【表層を撫でるようでいて、知らずのうちに真をつく。おかしな質問がもたらした刹那の葛藤に、少女はやはり気づけない】
【ただなんとなく、彼女が自分と同じところまで下りてきたような、妙な感覚だけが残って、逸れた視線の先を不思議そうに追う】
【もう聞きなれた掠れ声がようやく紡ぎ出した独白――――その意味がわからず、少女はしばしそれを留めて、先に次の質問に答えた】
【オウム返しに、彼女の……リーゼの名前を反芻して、自分はイクスと名乗る。苗字を名乗るのには慣れていないみたいで、間があって付け加えられた】


えっと……リーゼ。リーゼが幸せなら、わたしも嬉しい……そんな気がするよ。
けど、さっきの言葉、考えてみたけどわからないの……。
本って、友達や、コイビトや、家族とはちがうよ。だって、生きていないし、動かないもの。
生きている人に、同じ人はひとりもいない。わたしにも、あなたにも、代わりはいない。こないだ読んだ本には、そう書いてあったよ?

……あっ、ごめんなさい。もしかして、わたしが知らないだけなのかな。
ねぇ、友達とか、家族とか、わたしちょっと興味ある。本をどう使ったら、そういうものが作れるの?


【そして……その単純なやり取りの裏で少女は考えて、結局わからなかった。友達や恋人や家族が本のなかにある、という意味が】
【本当にわからないのだ――――物と人とは当然ちがうものだと思い込んでいる。創作物のなかにあるそれ≠フ尊さを、少女はまだ知らないから】
【本は本で、人の代わりにはならない。本のなかにすべてを求めた少女とは相反する、残酷な台詞だった】
【……とはいっても、自分が子供≠ナリーゼが大人≠ナあることはイクスも承知している。間違っているのは自分では、と少女は謝るだろう】

【友達とか、家族とか――――イクスにとってもまったく縁遠いその世界に、瞳の輝きは向けられた】
【現実か、本の世界か、どちらの言葉が正しいのか。無知な少女はきっと、リーゼが正しいと言った方こそ真理だと認識するにちがいなくて――――】


/遅くなりました……orz
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 22:35:24.10 ID:2W2aQXOj0
>>50
入れ違いで落ちてしまっていました、申し訳ないです……
74 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/06(火) 22:49:08.55 ID:dsHKvYH/o
>>68
ハハ……仲のいいご友人みたいですね
普段なら、寝ているところを起こすのは気が引けますけど、今回ばかりはお言葉に甘えます

(店……人形のような、ってことを考えると、技術者の人だろうか?)

【カミナの笑いに少し苦笑しつつも、ここまで来て引くつもりはないようで】
【興味は、自然とその友人の方に向く。いったい、どんな人物なのであろう】

【カミナについて図書館を出てから、乾いた足音を夜の街に響かせて彼女の後に続いてきた】
【辺りを見回せば、人通りも減ってきている。このようなところに店を構える人物とくれば】
【世俗の喧騒の中に身を置くことをよしとしない、孤高の職人――そんなイメージがギアの内に生まれる】

【やがて目的の店が見えてくる。小さな店の外見にファンシーな看板。その時点でイメージとは外れていた】
【一見の客を相手にしない、看板すら出していない店……そんな想像をしていたからだ】
【だが、その驚きは店から出てきた主の姿を見て、さらに上書きされた】

(……? お手伝いさん、かな……? いや、まさかこの人が……?)
(カミナさんが懇意にしているなら相当な腕前なんだろうけど、この人だとしたらまさかこの歳で……?)
(いや、実は見た目と実年齢がかけ離れているとか……)

【子供たちに読み聞かせたこともある童話を思い起こさせる見た目に、少女と見紛うような容貌】
【ギアの内側に、勝手な憶測がいくつも往来する。幸い、何とかそれらを表に出すことは防いだ】
【こちらに向いた彼の視線に我に返り、少し慌てたように会釈して見せる】


義肢の技術者……なるほど、それで人形のようなもの、と……
カミナさんが太鼓判を押すのなら、技術の高さについては疑うところはないですよ


はじめまして、ジョシュアさん。僕は、ギア・ボックスって言います
ええと、こんな成りですけど、元は人間で……今はこの通り、生き人形です
あ、怪しいものではないんですよ。一応、UTっていう組織のメンバーをやってまして……

夜分に突然、申し訳ないんですが……是非、相談に乗っていただきたくて

【カミナからの紹介を聞いて、まずは頷いて見せる。先の彼女の言葉はこういうことだったのか】
【義肢の技術者。ギアとて、ジョシュアには足元にも及ばずとも一応は、物造りの端くれである】
【義肢という、機能・デザイン共に高いレベルの精密さを要求される物を生み出す技術者、それもカミナほどの女性が認めるほどなのだ】

【続いて、ジョシュアへと自己紹介をする。イメージとの差異に少し戸惑いもあったが、人形らしからぬ人間に近い笑顔を浮かべて】
【ペコリと頭を下げながら、ギアは言葉を送り出した。しかし、やはり期待が大きかったためか】
【初対面だというのに、後半の言葉の声音には、抑え切れない縋るような色が滲んでいた】
75 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 22:51:26.64 ID:iyNYY9cV0
>>72

【ぱちくり、眼が一度瞬いた。そうして僅かに苦くなる、どうやって返せばいいものだろう、その言葉を探すようだ】
【とりあえず自分は少女から見れば年上だろう(と思っている)が、世間的に言えば所詮十七、大人という年齢ではないし】
【そもそも性格も大人びては居ないと思っていた。だからこそ、少女の評価――大人に見えるというのを、どうにかしたく思うのだが】
【こうして頑張って否定しようとするのも子供っぽくてなんとなく癪だ。……結局、彼女は言葉を返すのをやめて】

【「がんばって」なんて、新たな意気込みを励ますことで、誤魔化そうとするのだ。逃げ、といえばそうなのだろう】
【それなりに年齢も近そうな少女を子供と断定するのもひどい話だとは思うのだが、子供の扱いは、やっぱり、あんまり慣れていない】
【図書館の娘をやっていたのもだいぶ前の話しだし――あの頃の自分は、もっと、違っていたのだし、そんな思考】

イクス、ね――。

【――告げられた名前を彼女は小さな声でなぞる。結局待てど、その口から苗字の類が紡がれることはなく】
【尋ねたりすればかえってくるかもしれないが――自主的に言うつもりはないようなのだった。ただ、彼女の名を刻んで】
【少女……イクスが苗字を告げる際に生まれた間には、ほんの数ミリ単位で瞳を細めたように見えるが、きっと、見間違いだ】

……本は、確かに、生き物ではないよ。生きてはいない、そこに自分の考えや意思はない、……命もない。
だけれどね、本には書いた人間の考えや意思や命が関わっている。関わっているし、或いは――。
書いた人間のそれまでの人生や、家族との親密さ、友人との関係、恋人との睦まじさ、……そんなものもね、関わっている。

だから、本を読めばその人間に触れられる。その人間の全てに触れて……、……家族や恋人や友達にも、触れられる。

【もしかしたら、彼女は、少し。変わった人間なのかもしれなかった】
【本はもちろん好きだ、自分には思いつかないようなストーリー、自分には出来ないような構成、そういったものも魅力だが】
【その向こう側にある、本には直接関係のない、だけど、本に関わらないことは不可能な、作家のそういったものを見出すのも好き】
【国語のテストでよくあるような作家の気持ちを考えなさい、を、もっとずっと深読みしてしまうようなタイプ、だろうか】

…………後は、本の中に出てくる人間には家族が居たり友人が居たり恋人が居たりするだろう。
そういうのは大体描写されるから、それでも――いいのだけど。

【そして後から思い出したようにそう付け足す。別に、本から手に入れるのは、作家のものでなくともいいらしい】
【見境がない――という言葉にも近いのかもしれない。或いは渇望しているみたいに、本の中にそれらを求め】

同じ人間は居ないだろうね、だけども、ほとんど同じな他人なら、存在する、……こともある。
まるで、鏡に映したような……、……キミには居ないかもしれないがね、双子だとか、呼ぶ。

……私には、居たよ。ただ、もう、居なくなってしまったけれど。

【――ほんの十年近く前、彼女には、姉妹が居た。同じ日に生まれて、同じ顔に生まれて、同じ声に生まれた、鏡のような姉】
【だけどある日に鏡は割れてしまって、その欠片は、今でも心に突き刺さっているよう――じくじくと痛む、夜もある】

……――。

【どうしてだろう、ふっと、なぜだか、自分が責められているような気持ちがした】
【友達も家族も恋人も、親しい人間関係などない。それを分かっていたはずだのに、理解しろと突きつけられるようで】
【そして、それを欲している自分も居るのだと、見せ付けられるようで――ぎゅっと唇を噛み締める】

【現実に求めるべきものだとも分かっている。だけど。現実は、――きっと、彼女にとって、こわかった】
【思い通りにならなくて、割れてしまって、拾い上げようとしても、手が傷だらけになっていくばかりで】
【いつの間にか諦めて別の世界に逃げ込んでいる、それでいいと思っている、(――そんなの、知っていてやっていたはずなのに)】
76 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 22:51:27.01 ID:WY5cQMlJ0
【櫻の国。最早誰も訪れる事が無くなる程に朽ちた神社】
【普段ならば一つの気配も無い筈なのだけれど――――今宵は、其処から妖気を感じ取る事が出来て】

【石畳の階段を上ったならば、見えるのは風化した鳥居と小さな社であろうか】
【――――社の前に立つのは、巫女装束を纏い翡翠の首飾りを下げた一匹の妖狐】
【目を瞑り、手を合わせている所からして参りでもしているのだろう。然れど、廃れた場所に神も残るのかは疑問だが】


「…………」

【其れも終えれば、神社から去ろうとして――――新たにこの場に訪れた者と出会うとすれば、そのタイミング】
【耳と尾を立てて居る事から余程驚いている事も知れるだろうか。抱くのは敵意だとかでは無く、怯えた様な――と表すのが適切で】
【元より害意を抱いた者がこの場に訪れたのだとすれば少女にとっての不幸】
【或いは、漂って居た妖気に疑問に思って訪れた者だとすれば――――話はどの様に転がるか】








【満月の夜――――人々からその存在を忘れ去られ、ただ朽ち行くだけの遺跡】
【嘗ては祈りを捧げるのであっただろうその場所も今となっては誰一人として訪れる事は無くなった……が】
【今宵は、無礼にも其処に座る女が居た。金色の髪に、同じ色の双眸。何よりも特筆すべきは背に生やした純白の翼】

【在りし日の其処を思い、思慮に耽っている訳でも無い様。ただ単純に単純に月光浴を楽しんでいるのか】



「――――今日は星も月も良く見える良い夜だ。風も心地良いし…………ボクだって偶にはこんな夜も、ね」

【漏らした言葉は誰に向けた物でも無い。ただ、何と無く慈しむ様に己の座る台座を掌で撫で】
【バサリ、と一度羽ばたかせた翼。純白の羽が月光を浴び銀色となって風に舞い】

【辺りに人気は無い。だからこそ、この女の存在も相対的に目立つというもの】
【もし、女の存在に気付いて近寄ったならば――――「ボクに何かご用かな」なんて言葉と共に、緩んだ笑みを向けるのだけれど】
77 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/06(火) 23:16:00.24 ID:HoB33B83o
>>74

「あ、いえ……その……ご丁寧にどうも、有難うございます……」
「ぼ、僕なんてそんな、まだまだ……ですけど……えと……」


【先程から会話を聞いていて出てくる"自分に期待する"ような旨のワードに】
【気恥ずかしいやら申し訳ないやらで上手く言葉が出てこず】
【頬に薄く朱を宿しながら、顔を俯けてしどろもどろな様子で返事をする】
【見た目通りというか何というか、非常に控えめな性格をしているようであった】


「僕は……カミナさんが先に紹介しちゃいましたけど……」
「このお店……<Fairy's Gift>の店長、ジョシュア・ランドバーグといいます」

「生き人形のお客様は初めてですので……どこまでお力添えできるか判りませんが」
「僕が出来る限りは、ご期待に応えていきたいと思います……」


【ふわり、と安心させるような柔らかな微笑みを浮かべながら名刺を取り出しギアに手渡す】
【名刺を見れば店と少年の名前、そして「第二種一級魔工技師」という肩書きが記されていた】
【相談内容については――先までの会話の内容から察しがついているようで】
【こうした答えを返すからには、ある程度整備するアテが存在する――という証左であろうか】

【何はともあれ互いの自己紹介は終わり、次は早速相談を聞く段階に移ることになるだろう】
【しかし、このまま外で話をするわけにも行かない】
【店内に入り、落ち着いてから今後の話を進めていくことになる】


うむ、では早速踏み込むのじゃ!
わらわは砂糖たっぷりの紅茶とスコーンでよいぞ?


「え……あっ……も、もう……本当にマイペースな人だなぁ……」
「あの……ギアさんも中にどうぞ。奥の席までご案内しますので……」


【カミナは勝手知ったる、と言わんばかりに堂々と扉を潜り中へと入っていく】
【そんな様子に、ジョシュアは困ったような楽しんでいるような、そんな感情が混ざった表情を浮かべた後】
【ギアの方へと顔を向けて店内へと誘い、前をトコトコと歩きながら案内していくだろう】

【店の中は小洒落た外観とは違い、実用的な造りをしている】
【左右に並んだ無数の棚には、鉄などで出来た人工の腕や足が陳列されており】
【ガンパーツや、様々な種類の魔銃のサンプルもエリア毎に細かく区分されて置かれていた】

【その他には何に使うのか】
【人体模型や大きな水晶玉、妙な形の筐体なども設置されている】

【ジョシュアが誘うのは店の奥――大きなカウンター席であった】
【其処まで到着したならば、「どうぞ……」と椅子の一つを引いて着席を促した後】
【自身はカウンターの向こう側に行って、背凭れ付きの大きな椅子にポスンと腰掛けて相談の体制を整える】

【カミナの席は、誘導に従っていたならばギアの隣になるだろう】
78 :リヒト・マグダウェル [sage sage]:2015/01/06(火) 23:25:00.24 ID:HfxLKl1P0
>>76

 ほー、こんな場所が残っているもんだな

【存在を忘れられ朽ちて行く遺跡に物見遊山気分で来る一人の男】
【服装は長袖の灰色Tシャツに灰色パーカーのを着て、下には長ズボンを着用して】
【髪は黒でショートカット、瞳は濃褐色で目つきはだるそうながらサングラスをかけているためわからない】
【ここまでなら特に問題ない存在であるが問題にするものがあるそれはパーカーの袖口にGIFTのシンボル金十字架のエンブレムだ】

 いやはや、あるところにゃあるもんだな

【それがあるのに本人はいたってのんびりとしている、人がいないことがそうさせているのだろう】

 ま、ここに来るやつは変わりもんだからなそうそうきやしないか

【そう一人心地につぶやいて彼は祈りをささげる場所――教会の扉を何の躊躇もなくあける】
【だれもいないということが彼の興味心強くして躊躇せずに扉を開けたのだ】
【だが教会の中にも誰もいないという確信めいた予想はあっさりと裏切られることになった】

 ……おいおい、ここに人がいたのかよ…

【自分の目の前にいる天使のような存在に驚き呆然とつぶやいた】
【だが彼女の言葉が彼を呆然から現実へと引き戻した】

 いや、ちょっとなここにまさか協会があるなんて思わなかったからその観光かな
 そしたらあんたがいたわけで

【自分がここに来た目的を話しながら彼は目の前の少女を観察する】
79 :ネモ・アーネスト [saga]:2015/01/06(火) 23:26:59.64 ID:6WI4G1WP0
>>59
>>59
あたしが泣いて、叫んでも・・・・・・誰かが笑ってくれないなら
意味、ないの

【何もしないのは嫌、出来ないのは嫌】
【けれど、提案された手段に乗ることなんて絶対に出来ない】
【誰かのために、誰かを切り捨てる。たとえそれが何もしていない人間だって】
【人を取捨選択出来るほど、少女はまだ割り切れない】

・・・・・・うん。届けると、思う。

【胸に抱えた食べ物の意味も、今はもう分からなくなってしまった】
【これを食べたら笑ってくれるだろう。でも、それは一時的なもので】
【またすぐに泣いてしまうのなら、悲しんでしまうのなら】
【上げて落とすようなもの。寧ろ残酷でないのかとすら思ってしまう】

【すれ違い様、一言だけを残して入間は消えてしまった】
【それからしばらくの間、少女ぼんやりと、空を見上げて】
【ふらふらとした足取りで帰っていく。腕の中からいくつか食物が零れ落ちても、それに気づくことは無く】

//ここらで〆でしょうかー
80 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/06(火) 23:29:50.36 ID:ro7XhKuto
>>75

【イクスはやわらかい笑顔をたたえたまま、リーゼを見据えている。その裏にあるものとか、瞳の奥にある過去とか、そんなものはおかまいなしに】
【……なにも知らないということは、不幸であり幸福だ。すくなくともイクスには、リーゼを大人びてみせている陰のようなものがなかった】
【逃げ続けるための理由も、省みるべき過去も。たとえあったとしたって、気付いていないのだから意味がない――――】


…………、そんな風に考えたこと、なかったかも。
わたし、本は知識のかたまりだと思ってた。知りたいことのかたまりとして、ただ置いてあるものだって。
でも、そうだよね。当たり前だけど、これを描いた人がいるんだ。王様や国民たちを考えて、作った人が………。


【イクスは目を見開いて、息を飲んだように見えた。本を知識を仕入れるための道具≠ニしか思っていなかった価値観が、たやすく揺らいだ】
【思わず周囲を見渡し、イクスはかすかに体を震わせるだろう。そこらじゅうにある本のなかの誰か≠ェ、自分を見つめているような気がして】
【その震えは最初、恐れているようであり。しかし「すごい」というちいさな呟きと同時に、明るいものに転じていくようでもあった】

【自分になる、という先ほどの言葉が、そのときイクスにもすこしだけ理解できた】
【本のなかの誰かになって、描き出された登場人物といっしょに、その世界で生きるのだ。あまりに巨大すぎる夢幻を受け止めきれず、イクスは思わず目を閉じる】


…………ふたご?


【その姿勢のまま、少女はリーゼの絞り出すような声を聞く。やや間があって、「双子」の意味をイクスは思い出した】
【血を分けたもうひとりの自分。実際に見たことはない、推理小説だかなんだかの登場人物として使われていたから知っていただけ】
【けれど、リーゼによって想像する≠ニいう頭の使い方を呼び覚まされたばかりのイクスには……それを失ったということが、ひどく悲しいことに思えた】
【詳しい理屈はわからないのに、なんとなく苦しい。うぅ、とイクスはうなって、飛び起きるように目を開く】


ええと、えと、…………あの。あのね。
わ、わたし、昔のことなにも覚えてないの。記憶喪失だって『マスター』は言ってたけどっ。
だからっ、その、わからないことだらけだし、こういうときどういう風にいえばいいかわからないけど、その、あの………。


【――――記憶喪失だという言を信じるのなら、過去にはもっと感情豊かな少女だった可能性だってあるかもしれないけれど】
【このさい、「初めて知った」のか「思い出した」のかなどどちらでもいい。イクスは初めて、もしくは久々に、誰かの気持ちになって考えていた】
【幸せが正しいなら、不幸は間違ったことだ。イクスはリーゼが不幸な顔をしていて、間違った状態なのだと気付いて、慌てふためいている】

【双子というのが家族≠フひとくくりだということも知っている。限りなく自分に近い相手を失って、リーゼはどんな気持ちなのだろう】
【それを、それこそ本のなかの登場人物の気持ちを考えるみたいに、必死で想像して。うーんうーんとうなりまくって、最終的には、】


――――あっ、そうだ。わたし! わたし、たぶん、生きてるよ!
リーゼの双子さんにはなれないし、本のなかの誰かにもなれないけど……。
生きてるんだから、わたしでも、リーゼの友達とかコイビトとか家族とか、そういうのになれるよね?
わたしが、ここにいるリーゼにとっての、そういうのになるよ。それでリーゼ、ちょっとは元気にならない?


【なぜ気付かなかったんだ、と言わんばかり。きょう一番大きな声で、イクスは自分を指差すだろう】
【リーゼがいつもしているように、本の登場人物として彼女と関わることはできない。けれどそういえば、自分も生きているじゃないかと】
【だったら――――夢のなかでは会えなくても、現実でならば、リーゼと関わることができるはずだ】

【……ふつう≠フ人が冷静に考えれば、当たり前すぎてあくびが出るぐらいの、くだらない結論だ】
【友達や恋人や家族の意味もよくわかっていないし、そもそも自分が必死にリーゼを励まそうとしているという自覚すらない】
【だがそれだけに、イクスは本の世界が悪いとも現実の世界が悪いとも思えない。ただリーゼの不幸を取り除かなければ、と】
【理屈もわからないばかみたいな感情に振り回されて、ばかみたいな一心で、ばかみたいなことを言うしかなく――――】
81 :穢土宮 入間 [saga]:2015/01/06(火) 23:47:26.28 ID:A2kEVahu0
>>79
/途中何度か遅れてごめんなさい、〆ありがとうございます、お疲れ様でした!
82 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/06(火) 23:52:58.36 ID:iyNYY9cV0
>>80

【本の中には誰かの心や思いが詰まっている。或いは、人生すら賭けて書いた人間も居るだろう、それなら、もしかすれば人生すら】
【この抱き抱えられる程度の本の中に、入ってしまうのだ。それは或いは恐ろしくて、或いは、希望でもある】
【いつか自分が書いたお話が、誰かの目に触れるなら。誰かが読んでくれるなら――そのときに】

【初めて自分は誰かと関われるんじゃないかと、誰かの心に心や言葉が届けられるのではないかと、そう、信じているから】

……そう、一卵性双生児(ふたご)。
顔も、声も、考えることも一緒だった。……いや、“ローゼ”のほうが快活だったか――。

だけど、ほとんどが一緒だった。何をするにも一緒で、よく本を一緒に読んだ。
……ああ、けれど、姉は犬が飼いたくて、私は猫が飼いたかったんだ、何もかもが一緒ではなかった、が……。

【何もかも同じ双子だった。そう言って、ほんの少しだけ言葉を訂正する、姉のほうが元気だったように思う、とか、】
【だけど実際はすごく些細で、本人たちにしか分からないような差だ。それで、何がどうとか、言葉の意味は変わらない】
【あの頃の自分には姉が居て、両親が居て、家に遊びに来る友達も居た。……どこで、間違えたのかは、思い出せもしない】

【そもそも、間違いだったのだろうか。あの“もや”が生き物に触れないのは、そういう風に生まれてきたのは】
【だとしたら、何もかもが間違いなのだろうか。もしかしたら生まれてきたことすら、――そこで思考はフリーズして】

――記憶喪失?

【少しだけ声が“きょとん”とした色合いを帯びた。それは、きっと、イクスの口からそんな単語が出てくることを想定しなかった色】
【どうしてこの子は慌てている素振りなのだろうというのをなんとなくぼんやり考えて、……よく分からなくて、曖昧な顔をする】
【本相手ならいくらでも考えていられるのに、目の前の人間相手だと少し熱意は鈍る。ひどい話だけど――】

…………、申し訳ないが、同性趣味はないよ。男にも興味はないが――。

【なんて、他人事のように見ていたら。続く言葉は、もっと、もっと、想定外のものだった】
【今度こそ瞳は最大限にぱちくりして、――そのまま十数秒は経過してしまうほど、言葉を見失ったように】
【それからやっと出てきた言葉は、突っ込みからだった。友達、家族、まあそこまではいいとして――恋人は、どうかと】
【きっと恋人の意味もよく分かっていないイクスには意味の分からない言葉だろう、ただ、何かを否定する言葉であるのはきっと伝わって】

……本が好きなら、今度、家に遊びにおいでな。ここより、ずっとずっと、小さいけれど……図書館をやっていた。
ここみたいにたくさんの本はないけれど、いろんな本がある。きっと、……キミの知らない本もたくさんある。

気に入りそうなものを見繕ってあげよう、それで……――感想が、聞きたい。

【だけど、全否定のものでもないと、続く言葉で気付くはず。それは、明確に、友達になりましょうというものではなかったが】:
【結局本についてでないと何も言えないみたいなのだけど、少し遠まわしに、また会いたい。そんなような言葉を紡ぎ】
【さっき言ったような、イクスの“好き”の向きが分かったなら――それで、お勧めの本を探してあげようとも、約束する】
【そして続けるのは、その次も会いたい、そんな言葉。素直じゃない、その素直じゃない感じは、どこか年頃とも一致しそうで】

【――だけど、彼女の中では、比較的素直に好意を見せた形になる、のだから】
83 :カニバディール :2015/01/07(水) 00:15:42.72 ID:ilKF0PmnO
>>77
い、いえいえ、こちらからお邪魔したわけですし、あの、そんなにかしこまらないでください

【見た目もそうだが、内面もまたギアの想像とはかけ離れていた。何とも控え目で謙虚な姿勢】
【頬を赤らめる顔を見れば、本当に少女のようですらある。こちらの方が萎縮してしまいそうだ】

はい、よろしくお願いします!
<Fairy's Gift>、って素敵な店名ですね

ハハ、やっぱり僕みたいなのは珍しいですよね……
いや本当、お話を聞いてもらえるだけでありがたいです! 先の見えない状態だったので……

【彼の微笑みに、こちらも自然と顔が綻ぶ。名刺を差し出されれば受け取り、「これはご丁寧に」と、間の抜けた言葉を出してしまう】
【こちらも、名刺を返す。ギア・ボックスという名前と「道端のオモチャ屋」という何とも怪しい肩書きがあった】
【彼の名刺に目をやれば、魔工技師という肩書きが目にとまる。未知の技術。ますます期待が膨らむのを感じた】


え、あ、大丈夫なんですか? ってもう歩き出してる……
はい、ありがとうございます、それではお邪魔します……

【カミナの姿はまさに本人の在り方そのものな威風堂々たるものだ。ジョシュアの様子を見ればそれがいつものことだともわかるが】
【やはり、気の置けない仲間であるのだろう。少し羨ましく思いながら、ジョシュアについてギアも乾いた足音を再開させた】


【店の中に一歩踏み込めば、確かにジョシュアが一級の技術者だとわかるものだ。外見からは想像もつかない】
【恐ろしく精巧な鉄製義肢の数々。さらには魔銃らしきパーツにサンプル。細かい整理整頓の行き届き】

【そんな光景に感動してみれば、人体模型や水晶玉や筐体といった奇妙なものも目に入る。ジョシュアという少年に密かに底知れぬものを感じた】
【そんな思いを振り払い、カウンター席へと向かう。椅子を引いてくれた彼に礼を言いつつ、席に着く】
【背凭れ付きの大きな椅子に腰掛ける姿は小柄ながらも様になっている】

【横に座ったカミナに紅茶が来るまでまずは待ち、少し間を置いてからギアは語り出す】

それで、ご相談と言うのは……お察しの通りこの人形の身体のことです
僕がこうなったのは、以前……

【まずは、簡潔に現状を語る。横にいるカミナが先刻見せてくれた気遣いのことはきにかかるが、やはり状況説明は必要だ】
【カノッサ機関六罪王との戦いで、最後の一撃を受けて死んだこと、自身の念を込めたものを肉体をゲートに異空間にしまい込む能力が暴発し】
【異空間にあった自作の人形複数体と死にかけていた魂が混じりあって、この身体になったこと】
【オモチャ作りしての技術で、どうにかこの身体の整備をしてきたが、次第に限界が見え始めたこと。魂が感じる感覚はあれど、身体に神経は通っていないこと、など】

……それで、カミナさんの勧めをいただいて、伺った次第なんです
自分でもわからないところが多いこの人形の身体と付き合っていくには、自分ひとりの力ではとても……

【そこまで話して、ギアは話し疲れたように俯いた】
84 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/07(水) 00:33:50.52 ID:1aCKEsZso
>>82


ローゼ………そっか、リーゼは妹さんだったんだ。すごいね、姉妹がいるって、なんだか楽しそう!
じゃあ、わたしとリーゼで姉妹に……は、なれないんだよね、たぶん……。


【ほう、と感慨深そうに、イクスはリーゼの話に耳を傾けている。想像≠キることを覚えた少女は、最初よりずっと感情豊かに見えた】
【自分にも家族がいたのだろうか、なんて考えもしなかったことを考えるけれど、記憶をなくしてしまった以上、そこに答えが出ることはなく】
【楽しい気分のまま、姉妹になろうなんてまたばかなことを言いかけるも……家族としての最初の前提に血の繋がり≠ェあることは、本が教えてくれていたようだ】


…………ドウセイシュミ? なぁに、それ?
友達は、ふつうの仲よし。家族は、血の繋がった仲よし。それで、コイビトと、フウフ?……は、特にすごい仲よし、じゃないの?
あれ? ちがう?


【案の定、イクスにはリーゼの呟いた、複雑極まりない人間模様を表す言葉の意味はわからなかった】
【どうやら恋愛小説の類はほとんど読んだことがないらしい。この辺りのことを知るにはまだ時間が必要なようで】
【とにかく「イクスのなかでは、友達も家族も恋人もみんな「仲よし」という意味で、区別されていないのだろう】
【結局、とりあえず否定の意志だけは伝わって、少女は残念そうに眉をひそめる。断られるにしたって、友達になろう、とそのまま言えればよかったのだけれど……】


と、図書館! すごい、リーゼは図書館をもってるんだね!
うん、行くよ。行ってみたい。それで本を読んで思ったこと、たくさん聞かせてあげればいいんだね。
そのかわり、リーゼ、また本読んでくれる? リーゼの声、本を読むときはなんだか甘くて優しくって、好きなの!

……あ、でもわたし、またリーゼにおかしなこと言ったりしちゃうかもしれないけど………。


【彼女が遠回しに好意を返してくれたことには気づけずとも、頭ごなしに嫌悪を叩きつけられたわけではないことぐらいはわかるのだ】
【いつまでもぐずぐず落ち込んだりはしていない。どこまでも好奇心旺盛な少女は、わっ、と感嘆の声を上げて話に飛びついた】
【最初のころの吹けば飛びそうな印象も、いつの間にやらなくなって――――瞳の中に、白と青の中間のような色の大輪の花が咲いている】

【相手の気持ちになって考える、ということをほんのすこし学んだイクスは、最後にはっと気づいて遠慮するような声を上げるけれど……】
【それすらも、人間臭い。生の感情をむき出しにして、イクスは誰の目から見ても不安そうに、「また会ってもいいの?」と問うていた】
85 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/07(水) 00:52:12.83 ID:EWLXzcbM0
>>84

【一部の女子高だとか――そういった限られた空間だと、姉妹の契りを結ぶ、だとか、そういうこともあるらしいが】
【それも別に正式なものじゃない。二人でそうしようと決めるだけの――それなら、この場で、この二人でも出来るけど】
【きっと彼女はそれに頷かないだろう、だから、姉妹になるのは、おそらくは、難しい。だけど――】

……恋人と夫婦は違う、大体は男女でなるものだから。

【彼女が否定したのは恋人についてだけ、だったのだから。それで、家族になるのが難しい、そうなれば――】
【否定しなかった、それに、そんなに難しくもなさそう――なのは、残った答え。友達になるという、そんな回答】
【多分、彼女からは言えない答えだ。面と向かってはっきりと「友達になりたい」なんていえたら、こんな根暗な趣味はしていない】

【だって、本を読んで、その本の中にある人間関係や、本を書いた作者の気持ちや、取り巻く人間関係で】
【それで誰かと関わった気になっているだなんて、結構な重症だ。読書趣味はともかく、その趣味は、出来れば言わないほうがいい】
【だけど。そうして考える時点で、大分現世に未練がある。友達だとか、そういったものに憧れている、だから、】

【「友達になりたい」。それはいえないけど――遠まわしに、ごく遠まわしに、「また会いたい」なんて、頑張って、――】

私のものじゃない、両親がやっていたんだ、もう、閉めてしまったけど……。
キミが……、――イクスが来るなら、本たちも喜ぶ。あの子達は、誰かに読んでもらうのが、仕事だから。
……私だけじゃ、みんなを読んであげられない。だから、キミが来ると、助かる……、……、その。

本も読んであげよう。気に入ったものがあったら貸しても構わないよ。

【まあ、頑張れているほうだと思う。彼女にしては珍しく他人を名前で呼んで、続く言葉は】
【なんだか本が好きすぎる、? あの子たちだなんて呼んで、本に感情でもあるかのようなことを言うが】
【もちろん彼女の家にある本が全部魔本みたいに意識がある、わけではなくって――ただ、家族のようなものなのだ】
【それで、彼女は、読んであげることで本と遊ぶ――そんな思考をしているだけで、彼女の中ではなんら違和感のない言葉】

【――変なことを言うかもしれない、なんて、人間みたいに気にするイクスの言葉に、返す言葉はなかった】
【なんと言えばいいのかがよく分からなかったのだ。だから、――彼女の希望することに、同意を返してやり、不快ではないと見せ】
【ついでに元図書館らしく、貸し出しもしてくれるらしい。そんなことを彼女は、告げて――】

【(いつもの仏頂面が、気付けば、なんだか少し緩んでいるように見えた。誤差かと思うような、差異でも)】
【(ずっと間近で見ているなら、気付けるだろう。少なくとも、ぱっと見の印象が柔らかくなる程度の効力はあって)】
86 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/07(水) 01:24:19.21 ID:1aCKEsZso
>>85

【「やっぱり、そうなんだ」とイクスは得心がいったようにうなずいた。本のなかに登場する彼らがだいたい異性同士であるという共通点には、さすがに気づいていたか】
【けれど、恋人や夫婦は男と女でなるものというのは理解したものの、愛とか恋とか、そういうものは絶対に理解していない顔をして】
【当たり前といえば当たり前なのだ……ちいさなお姉さんから言外に投げかけられるメッセージにも気づけないようでは、そんなものは百年早い】

【……しかし、もしかしたら。なにも知らないからこそ、イクスは逆に、友達というものの本質に近い場所にいるのかもしれない】
【たとえば、まだ物心ついたばかりの子供が、わざわざ「友達になろう」と宣言してから友達になるものだろうか】


――――ほんと?
行っていいなら、行くよ! ぜったい行く! リーゼ、ありがとう!


【彼女から明確な返事はなかったけれど、否定の意志がないことは受け取って、イクスは希薄な感情をぜんぶ使って瞳を輝かせた】
【友達になろうとか、いいよ、とか。そういうやり取りがなくたって、友達というのは――――大抵、いつの間にかなっているものなのだ】
【それにイクスはきっと、リーゼを否定しないだろう。無知だからこそ、本の世界に熱中する人間を根暗だなんだと罵倒するような、よけいな先入観はないのだから】

【世間一般に愛着≠ニか呼ぶ類のものはまだ知らなかったから、本を家族みたいに扱うリーゼの態度に疑問を覚えはするも……】
【彼女が幸せなら、それがなによりも正しいんだと、イクスは意図して思考を止める。気遣い、というにはあまりに自覚がなさ過ぎたけれど】
【善とか悪とか、そんなのはわからない。ただ幸せか不幸せかで判断する子供なのだ。そしてイクスが、リーゼの幸せを願うことにしたのだけは、たしかなことで】


うぅ、ほんとはいますぐ、遊びに行きたいくらいなんだけど……。
マスターに怒られちゃうから、きょうはだめかも。
わたし、よくここにこうして来るから、次に会ったときはきっとお家に案内してほしいな。

えと………約束、ね?


【マスターという呼び方だけは奇っ怪極まりないけれど――――保護者、ということでいいのだろう、きっと、】
【どんな本があるのかな、どんな本を貸りようかな、そんなことばかり考えていたイクスだけれど、その人物のことを思い出すとすこし落ち着いた様子】
【いますぐ飛び出しかねなかった心を抑えると、ひとつ約束を交わそうとするだろう。いつか読んだ絵本にならって、すっと小指を突き出して】

【友達になろう、とは言えずじまい。けれどこうして、また会いたい、と……それだけは、イクスもはっきりと告げていた】
87 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/07(水) 01:39:00.11 ID:EWLXzcbM0
>>86

【愛だとか、恋だとか、それは、もしかしたら――彼女にも分からないのかもしれなかった】
【本の登場人物を通じて、“それらしい感情の動き”は知っているけれど、実際に、誰かに恋したことはないし】
【もちろん、愛したこともない。さっき言った通りに、そういったことに興味がないのだ。どうでもいいとすら、思うほど】

【だから聞かれなくて良かったのかもしれない。そんな可能性、彼女は思い当たらないから――知らずに回避した旗だが】

うん、……いつでも構わないよ。
あとで紙にでも書いてあげよう、……地図は読めるかい。

【ぱぁっと輝くその瞳に、ほんの僅か、気圧される。気圧されるけど――不快、だとは思わなくって】
【普段は家に居るから、なんて言葉を付け足して、いつでもいいという言葉の証明にする。それから――】
【地図も描いてくれるらしい。こんな約束をしておいて、教えないなら、それは意味がなくなってしまうのだし】
【分からないと言われたら代案は……次に会えたときにでも、直接教えてやるとか、そんな感じになるのか、なんて考えながら】

……構わないよ、菓子だとかの準備もないのだから。……そうさな、次までには買っておこう。
私もここにはたまに来る、――毎日のようには居ないが、――じゃあ、そのときにでも。

それともやっぱり地図を書いてあげようか、イクスに任せるよ。

【やくそく、そう、彼女は小さな声で呟いて。差し出される指に、一瞬初めて見たような表情をする】
【だけど当然初めてのことでないなら、すぐに気を取り直して、突き出される指に、小指を絡ませ――】
【「――指切った」、そう、お決まりの文句で指を離すのだろう。これで、約束は成立して】

【――ほんの数秒ばかし、小指を見つめる視線があった。それから、手をきゅっと握り締めて】
【地図が欲しいと言うなら、「それじゃあ紙を借りてくるよ」なんて言って、そうでないならば】
【「それじゃあそろそろ帰ろうかしらん」なんて言って、彼女は行動を移そうとするだろう】
【どちらにせよ共通するのは、――その表情が、少しだけ、気恥ずかしげというか……そんな色味だったということ】
88 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/07(水) 02:06:53.40 ID:1aCKEsZso
>>87


………ふふ、っ。


【果たして少女が、こんなにもやわらかく誰かに触れたのは、いつぶりだったか……】
【小指に絡みつく暖かな感触。王様のお話を聞かされたときと同じ色で、そしてそれよりずっと大きな温もりが、イクスに笑みを作らせた】
【どれだけ人間らしく振る舞おうと、少女の存在感は希薄なまま。いまにも消えそうで、儚い笑顔】
【だがほんのすこし、そこには色が付いていた。「お菓子!」なんて声が、透明な存在をすこし黄色に染めるのだ】
【瞳に宿っていたつめたい青。そして、温もりがもたらす赤。喜びがもたらす黄色。澄んだガラスはいつになく、頼もしく見えるだろうか――――】


ち、地図…………? う、えっと…………。


【さて、次にここで会ったとき――――なんて言い方は、たぶん、「地図」という発想そのものがなかったのか】
【あるいはもっと根本的に、「他人の家に遊びに出かける」という概念を知らなかったか、どちらかだろうけれど】
【地図を読めるかと言われて、イクスは表情を消して目を逸らす。それは無機質なものではなく、ちょっといたずらっぽく意図して作った無表情で】

【……まぁ、つまり読めないということである。やがて、どういう顔をしたらいいのか、途方に暮れるように目線をさまよわせる】
【だがすこし経って、イクスはとつぜん「あっ、そうだ」と声を上げるだろう。表情にも明るいものが戻ってきて】


やっぱり地図、描いてくれる? わたし、次に会うときまでに勉強して、読めるようになるよ。
わたしが地図を読んでリーゼの家に行くか、ここでわたしたちがもう一度会うか。どっちが先か………。
えっと、競争、って言えばいいのかな? なんだか、おもしろそうじゃない?


【小指どうして交わした約束が、ほんのすこし愉快な方へゆがむ。競争なんて言葉は初めて使ったけれど、意外と悪くない気分だった】
【紙を取りに行く背中を、月白色は静かに追うだろう。そして地図が手渡されれば、またひとつちいさく笑って】
【……いつのまにか、だいぶ時間も経った。おそらくそんなやり取りのあと、そう遠くないうちにきょうの別れは訪れるのだろう】

【その気配だけは、イクスも感じている。自分も長居はできないし、リーゼにも都合があることぐらいわかる】
【ただ、なんと言えばいいかわからなくて――――自分の胸にある寂しい≠ニいう感情を、うまく理解できなくて】
【その瞬間が来ても、イクスは複雑な表情で押し黙ってしまうはずだ。声をかけるも、そのまま去るも、それは自由なのだけれど……】
89 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/07(水) 02:35:00.32 ID:EWLXzcbM0
>>88

【「どんなのが好きだい」なんて彼女は尋ねるのだろう、それは、確かに、イクスに喜んでもらいたいがためで】
【ちなみに何も言わないと普通にクッキーとかが用意されることになる、――もちろん、手作りなんかでない、市販の】
【家が本だらけなせいかあんまり火を使いたがらないのだとは余談。手作りのクッキーだなんて、幻もいいところ】
【――だって、普段、食パンだとかそういったパンを冷たいままでひたすら食べるような食生活、なのだから】

………………。

【読めないんだろうな、と、思った。だけど、それを指摘してしまえば、どこか、拗ねさせてしまいそうな気がして】
【だからイクスが黙るのにあわせて押し黙る、とりあえずそれは決して責める風合いの沈黙でなく、ただ、ゆっくりと待ち】
【そのうちに彼女のほうで何か妙案が浮かんだようなら、ちゃんとその言葉を聞くのだろう、それで――】

じゃあ、競争にしよう。

【なんて、今度はきちんと笑ってみせるのだ。目をいくらか細くして、唇の端っこを、持ち上げて】
【満面とは違う。どちらかと言えば微笑めいて、そうやって彼女の提案を受け入れると、向ける背中は、立ち去るでなく」 
【どこかで紙をとペンを調達してくるためで――実際、十分かそこらすれば、戻ってくるのだから】

――普段は図書館のほうに居るがね、ドアでも叩いて返事がなかったら、家のほうに居る。
庭を回っておくれな、そっちのドアも叩いて出てこなかったら、寝て――いや、どこかに出ているだろうが。

【ひらりと地図を揺らしてから手渡すのだろう、書いてあるのは、――ここから電車で少しの街の住所だ】
【街外れのほうの川の傍に住んでいるらしい。それでもって、存外、広い敷地を持つ家の子でもあるらしい】
【見る限りでかい建物と小さめの建物があって、庭もそれなりに広そうだ。よっぽど金持ち、というわけでもないのだが】
【――とりあえず夕方くらいまで寝てる日も多いのは見栄なのか知らないけど黙っておいた。それで困るのは、イクスだろうけど……】

【とりあえず手書きの地図というので、よっぽど緻密だったりはしないが、読める人間ならたどり着けるだろうクオリティではある】
【つまりイクスがちゃんと地図を読めるようになれば、これの通りに歩けば来られるということで、】
【軽く説明を施してやって。それを終われば、彼女はふわりと視線を持ち上げて、】

…………じゃあ、私はそろそろ帰るよ。今度にでも遊びにおいでな、どっちが勝つのかは、分からないが――、
――また。

【押し黙ってしまったイクスの様子に、だけど、今度の彼女は黙り込まなかった】
【変わりに、その綺麗な髪を、叶うのなら撫でてやろうとして――その手はほんの少しだけ、ぎこちなかったが、優しげではあり】
【それで納得してくれるなら、今度こそ立ち去っていくのだろう。納得してくれないなら――少し、困ってしまうのだけど】
90 :イクス・ヴェーラ ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/01/07(水) 03:17:07.59 ID:1aCKEsZso
>>89

【来客の味の好みを確かめる……果てしなく当然の質問だったけれど、少女は本の好みだって、きょう初めて知ったばかりで】
【残念ながらお菓子の種類なんて数えるほどしか知らない。「バームクーヘン」とか「シュークリーム」とか、そんな言葉が呟かれ】
【けれど最終的には、「なんでもいいよ」と、いちばん困る台詞が飛び出すのだった。リーゼが出してくれるものならたぶん、なんでも美味しいだろうから】

【……そして自分の提案が受け入れてもらえれば、イクスは軽く目を見開いたあと、つられたように笑い返すだろう】
【満面の笑みなんて、少女にだってまだできない。だからそれとはほど遠くとも、それでもはっきりと笑ってくれたことが、ただうれしかったのだ】


うん、うん、わかったよ。
………えと、これが『でんしゃ』のろせん……だよ、ね? それで、こっちは………。


【注意点を頭にたたき込みつつ、イクスは受け取った地図を穴が空くほど見つめはじめた】
【幸いまったくわからないというわけではないようで、特にこのあたりの地名については、なぜか諳んじることさえできるほどだ】
【問題は方角とか絵の意味するモノの方で……道を指でなぞったり、なにかを懸命に思い出すように視線を上向けたり、ぱたぱたと細かい仕草で地図と格闘する】
【……ときおり、自分のなかで目処を付けたように、うんうん頷いたりもして。知らないことは多いけれど飲み込みは早そうで、意外に油断ならない相手かもしれない……】


…………あっ…………。


【――――そして、別れ際。無言で、気を紛らわすように地図に視線を走らせていたイクスの頭に、ふと暖かいものが触れる】
【白に白を重ねた、白すぎる長髪。手に取れば肌の色が透けて見えるほどのそれは、そういう方面に明らかに疎そうなくせして、意外に手入れされている】
【はっと淡い驚きに目を開いて、そしてイクスはすっと目を細めた。こうして撫でられるのは嫌いではないようで、抵抗もせず体を預けるはずだ】


うん――――うん! きっと遊びに行くから、まっててね!
ばいばい、リーゼ。今度いっしょに、たくさん本、読もうね………。


【その優しい感触が、胸のなかにある行き場のない感情を、すこし解いていった。イクスは何度も何度もくりかえし頷き、ふつう≠フ子供じみて笑う】
【透徹で無機質だった月白色の視線は、澄んだ水束のようになってリーゼへ降り注いでいく。……正直、まだいっしょにいたいという思いは強かったけれど】
【イクスはそれを飲み込んで、雪の結晶のような指を広げて。素直に軽く手を振りながら、その背中を見送るはずだ――――】

【……やがて、楽しい時間が終われば、少女はまた空気に戻る。在るけれど無い、そんな存在へと立ち返る】
【けれど、たとえ誰にも見つからなくても。そのあとそれらしい本を片っ端からもってきて、一生懸命解読にいそしんだ、その記憶≠ヘ】
【かつて無くしてしまったなにかとは、きっと別の場所にしまわれて。少女のなかで、決して消えることなく残り続けるのだ――――】


/長らくお付き合いありがとうございましたー!
91 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/07(水) 03:19:20.16 ID:EWLXzcbM0
>>90
/申し訳ないです、眠気がひどいので、お返事のレスは明日ということで……
/ひとまずお先にお疲れ様でしたっ、ありがとうございましたー!
92 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/07(水) 15:47:30.10 ID:EWLXzcbM0
>>90

【なんでもいい、そう言われれば、彼女は別段困った顔もせず――「そう」だなんて頷いて、終わりにする】
【もてなす気持ちはあっても、かわいげがないものだから、そこであんまり本気で思い悩まない】
【――とりあえずバームクーヘンくらいなら常備できるし、後はクッキーでも用意しておけば……そんなことを考えて】

そう、それが電車で――、この川さえ見つかれば後は簡単だろうから。
川沿いに歩いていけばいい、古い洋館がある。そこが、両親が図書館をやっていた建物だから。

【呑み込みは早そうだと見れば、とりあえず、そんなヒントを与えてみせる。目印は、その川だと】
【そしてそれを辿って歩いていけばたどり着けるだろう、とも。――地図さえ読めるようになれば、簡単だった】
【入り組んだ道の奥とかではない、地図初心者にぴったりな、難易度で言えばイージー、そんな感じで】

【それを終えれば、ぽふりとその頭に手をやって。少々ぎこちないが、ゆるゆると撫でてやって――】
【その声を背中に聞きながら、この場所から立ち去っていく。だけど、それは、今生の別れだとかでは、きっとなく】
【だってまた会う約束をしたのだから、指きりまでしたのだから、――帰りにお菓子を買って帰ろう、なんて、ふと思考し】

【絡めた小指をもう一度見つめる、それは、なんだか、むずがゆいような、そんな感情を呼び起こし】
【だけれど――まあ嫌な気持ちではないな、と、視線を逸らす。普段、あんまり、誰かと関わらないけれど――】
【結局、そういった流れになったときに受け入れてしまうくらいには、もしかしたら、彼女は寂しいのかもしれない、だなんて】

/おつかれさまでしたー!
93 :サフィア・エレファリス [sage saga]:2015/01/07(水) 23:49:46.31 ID:4UnyIP/LO

【路地裏】

【薄暗いその場に響き渡るのは鈍い音】

【そして、音の発信源にいるのは一組の男女だった】

【男の方は体格は良く人相は悪いスキンヘッドの破落戸】

【女の方はハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカー、紫色のスカート姿の十代前半くらいの少女】

【少女が座り込んでいるところを見るとどうやら男が少女を殴り倒したようで】

……目当ての女の人に逃げられたから逃がした私に八つ当たり……? 人間としてどうなの? それって
【少女は男をキッと睨みつけ挑発の言葉を吐く】
【当然男は逆上して「テメエ! 」と叫んで少女の胸ぐらを掴む】

……何? 事実を述べたまででしょ? 
そんなのも分からないの? 
…………この屑野郎
【少女が低い声で挑発した瞬間、男は少女を殴りつけようとする】


94 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/08(木) 00:29:36.63 ID:Oo4s96Iao
>>93

まーまー旦那、そこら辺にしておきましょーよ。 …下手にやったら自警団もくるしな

【スキンヘッドの男が、今にも少女に殴り掛かろうとしたその瞬間。肩にポンと置かれる手】
【振り替えればそこにもう一人の男がいる、撫で付けた金髪を空いた手で撫でながら、笑顔を浮かべる蒼い目の男だ】
【真っ白な高級スーツと革靴に身を包み、トランプ柄のネクタイを締めたその男は、ゴールドフレームのメガネの奥で、嫌らしく目を細めながら続ける】

…まあ、俺様としちゃあ来てくれないほうがいいんだけどな?何せこんなに壊し甲斐のありそうな体だ…
ゆ〜っくりと、少しずつ殺してやるよ…楽しみだろ?

【ぞわ…≠ニした、這い寄るような悪意の塊、爽やかな笑顔の裏から、体の芯から震え上がりそうな程の恐ろしい悪意が、男から発せられている】
【戦闘に慣れているものでも一瞬で硬直させてしまいそうな程の邪気…ただの一般人が浴びればどうなってしまうか───】

(…って感じになってる筈だ、このハゲが見た目によらず雑魚モブ野郎じゃないとかいう変則パターンじゃあなけりゃな!)

【…が、そんな悪しき雰囲気を醸し出す男の中身は、見せ掛けの威嚇が成功する事をひたすら祈るだけであった】
【実際、この男にそんな雰囲気がだせる程の経験も無ければ実力も有りはしない。これは自分の能力で自分を『見せかけている』だけである】
【左手で触れた物に対する認識を錯覚させる能力…自分で自分を触れる事で、いかにも自分が『悪しき実力者』のように錯覚させようとしているのだ】
95 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/08(木) 21:33:47.52 ID:e080q2Uio
【路地裏】

「そんなっ……今回で終わりだと言ったじゃないか!!」

いや……思ったよりあんさん困ってへんみたいなやからな……次回1000万、計5000万で全て終わりといこうやないの。
何処までも搾り取るとかそんなことはせーへん。情報の正しい値段分だけしかワイは請求せんからホンマに次回で最後や……。

【高そうなスーツに身を包む中年男性が声を荒げる。どこか脅えを含んだ声を漏らす中年男性のレンズには、下卑た笑みを浮かべる男の姿が映っていた】
【黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った20代後半の男。スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳】
【咥え煙草の男が持つ雰囲気はどこか軽く、悪く言えばヘラヘラ、良く言えばニコニコといった感じである。その男がこれ見よがしにポケットから取り出したのは、USBメモリ】

考えてみーや……こんな情報漏れてみ? 次の選挙は勝てるわけないどころやない、まず早々に辞任を要求されることは間違いなしや……
ほんならこの5000万、寧ろ安いやろ……? それともアレか、次の1000万渋って4000万余計に無駄にするんか? お? どうしますか水の国の大物議員さん?

(……これ以上搾ったらあっちもヤクザ出して本気で殺しに来るやろ……しゃーないけど此処がギリのラインちゃうかな……いや、あと1000万なら……どうやろか)

【恐らくスキャンダルを盾にした恐喝、それも相手が相手故に超高額。大粒の汗を流しその言葉を噛み締める議員に、男はわざとらしく煙草の煙を吹きかけた】
【苦虫を噛む潰したような顔を浮かべながら、中年男性は沈黙した。――――分かっていた。頷く以外選択肢が無いことを。しかしながら困惑からか、簡単に頷けずにいた】




【公園】

【風切り音にしては鈍く、大きく、長い。音にすればヒュン、ではなくぶぉぉん、などと表現できるモノであり、それが夜の公園に響き渡っていた】
【――――長さにして約5尺の長尺木刀。薄藍のインバネスに身を包む黒髪の男が、額から大粒の汗を流しながら懸命に其れで何度も何度も面を振り下ろす】
【その格好、そして左腰に佩いた大小の刀。所謂櫻の国の「サムライ」のような男であり、そのインバネスの右胸部分には緋色の鷹の紋章が存在感を示していた】

ふぅ……ッッ!! ――――っふ……ッ……!! ……あと……3回……ッ……!!

【その風切り音、そしてその長さ。視覚と聴覚両方から木刀の重さを訴えかけているかのようで。そしてそれを扱う男の苦しそうな表情、歯軋り、漏れた声――――】
【それらが更にその訓練の苦しさを強調させていた。伝う汗は顎先で雫を作り、そして公園の砂へと吸い込まれていく】
【――――重い風切り音が2回。最後の1回を前に暫しの沈黙が走る。納得のいかない表情は少しだけ物騒というか、尖ったモノであり】

っは……ッハァッ……まだ完璧とは遠い……もっと剣の重みに全てを預けないと――――。力で振ろうとする意志がきっと何処かにある筈だ……!! 
その邪念を……っふぅっ……断ち切らないと……!!

【荒い息を零しながら自分に言い聞かせるような言葉を紡ぐ。重く長い得物を刀の握りで振り回す行為はかなりの全身運動であり、そして筋力だけで出来る行為でもない】
【腕の力だけなら持ち上げて面を振り下ろすことはできても、振り下ろした木刀をピタリと振り切った瞬間に静止させることは出来ない】
【振り下ろした勢いに流され地面に木刀が衝突してしまうものなのだが――――この男の先程の面は、振り下ろした瞬間「ほぼ」静止していた】
【――――しかしその「ほぼ」が気に入らない。完全に静止していないということは、全身の筋肉から放たれる力を完全に1つにまとめ切れていない証拠】

【短く鋭い息を吐き、男はゆっくりと木刀を持ち上げ――振り下ろす。最後の1回となった面、その風切り音は今までと全く異なる音色だった】
【ひゅん、とまるで真剣を振ったような其れ。その音に男は一瞬目を見開けば――――微かに、そして確かに笑った】
96 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/08(木) 21:52:40.91 ID:LFkUi8P70
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】



【――――水の国 広場】

<……久しぶりだな、2人とも……>
風の国じゃなくて、ここで会うなんて意外だったよ……!
「おっす、お久しぶり! ……どう最近? 商売の邪魔になりそうな動乱もないし、順調だったりする?」

【燃えるような赤い短髪に黄金色の瞳を持ち、首には緑色のスカーフを巻いた】
【長旅用の生地の厚い服の上から、胸部を覆うブレストアーマーとショルダーパッド、焦げ茶のマントを羽織り】
【腰に歩兵用の両手剣を佩いた、身長170cm前後の青年と】

【白いストレートの長髪に赤く緩やかな光を纏った瞳をしている】
【白いタンクトップの上から白いジャケットを羽織り、白いハンドグローブに白いスカートを履いた】
【肌の色白さも相まって、眩いほどに白さが際立っている、身長160cm前後の少女と】

【分厚い筋肉質の肉体を暗緑色の皮膚で覆い、赤茶けた髪をもっさりと生やしている】
【何かの獣の皮革を材料としたらしいと思しき頑丈な半ズボンに、両腰に巨大な短斧(柄の短い斧)をぶら下げた】
【素肌を晒している上半身の、その胸元に焼きごてらしきもので魔方陣の様なものを焼きいれている、身長220cm程の巨人が】

【噴水の側で、偶々行き合ったと言った風情で、懐かしげに立ち話に興じている】
【3人の風体はバラバラも良い所だったが、相当に打ち解けている様子のその会話は、明るい雰囲気と共に弾んでいた】

<それが、そうでもないのだ。珍品への興味と言うのは、むしろある程度の不安が無ければ薄れてしまうようでな……>
「あー、そっか……日常的に、あんたの商う品が欲しいなんて客も、そうそう居る訳じゃないもんねぇ」
難しい所なんだね……商売って、やっぱり……

【まだ宵には早いが、既に周囲の人影もまばらになりつつある広場に、3つの声色があっけらかんと響く】
【それをそっと隠す様に、そばの噴水が軽やかな音とともに水幕を噴きだし始めていた】



【――――所変わって、水の国 ビル街】

……久しぶりですね。私たちが共に任務に当たると言うのも……。で、首尾の方はどうでしたか?
「ご心配なく。あなたの誘導のおかげで、ぬかりなく済みましたわ。本格的に燃え上がるまで7分ほど……気付いた時には、手遅れでしょう」

【こげ茶色の無地のスーツとスラックスを着込み、首元にはダークグリーンのネクタイを締めている】
【さっぱりした短めの暗い茶髪に、切れ長の目元にすっと引き締まった鼻梁が映える】
【全体的に細身の印象がありながら、どこか所作に重々しさの目立つ、身長170cm前後の青年と】

【白を基調とした修道服でほぼその全身を覆い隠し、ケープの付いた帽子の中に、明るい空色の髪が覗く】
【手には、頭部に幾つかの小さな鈴と、銀でメッキされたと思しき翼の装飾が施されている細長い杖を携えている】
【豊満と表現されるだろう胸部が目立つ、身長160cm前後の女性が】

【並んで郊外へと向かう道を歩きながら、互いに言葉を交わしている】
【嬉々として言葉を向ける青年とは反対に、女性の方は憮然と、事務的な言葉を返していた】

流石ですね……まぁ、彼らには丁度良い火傷をしてもらうとして…………どうです? 久しぶりに私の家に寄って行きませんか?
「……食事やコーヒーをごちそうになるのは悪くはありませんが、私は今は節制の最中ですわ。お気持ちだけ、受け取っておきますわね……」

【中心地に背を向けて歩く彼らの歩調は、微かに早い。この場に似合わない服装と相まって、それなりに目立つ格好であるかもしれない】
【――――彼らの首元には、金色の十字架を象ったネックレスが、歩調に合わせて揺られていた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
97 :サフィア・エレファリス [sage saga]:2015/01/08(木) 22:22:55.77 ID:CnSsnhEwO

>>95

【鈍い風切り音が響く公園。其処に迷い込んできたのは誰かの気配】

【気付いたか気付いていないかは別として、その気配は男のすぐ近くで留まって】

【風切り音の最後の一回が消えた後、少し幼い少女の声が男を呼ぶ】

……あのっ……お侍さん……
SCARLET、ですよね……? 
【緋色の鷹を見たのだろう、少女の声はそう問い掛けて】

【振り向けば其処に立っているのは十代前半程の少女】
【ハニーブロンドの髪に赤紫色のパーカー、紫色のスカートを履いている】

【少女は男が肯定するかしないかに関わらず、あの……と口ごもりやがて彼を見据え】

……私、罪人です! お願いします! 
捕まえて極刑に処して下さい!! 
【ぺこりと勢いよく頭を下げる】


98 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/08(木) 22:43:46.08 ID:e080q2Uio
>>97

【目にも留まらぬ速さで振り切り、そしてピタリとその勢いに流されることなく刀は静止する。男の身体から夥しく流れる汗が水蒸気になり空へと昇っていく】
【ふぅっ、と一度大きく息を吐き切ると同時に男は短く言葉を吐いた】

……――――何か用でもあるのか? 
――――ああ、確かに俺はSCARLETだが……もしや、何か事件を目撃したとか……?

【一振りごとに雑念を消し、一振りごとに集中力を増していく。そのような修行の中では察知能力も鋭敏になっており、従って彼女の気配にもある程度は気付いていた】
【夜に少女がうろつくとは感心しないな、というような少し厳しげな表情ながらも、彼は彼女の問いに答える。もし事件なら、急いで行かねば、そう覚悟した瞬間――――】

――――……は? あー……と、兎に角。まず……何をしたのかと名前を聞こうか、うむ、多分最初はこれからだ……。

【自分が持った覚悟は空回りするような感覚に襲われることになる。自首というのも珍しいが、それが少女――――となると前例がない。少なくとも彼は知らない】
【いきなり頭を下げられて「捕まえてくれ」と言われても、勿論困るだけであって。修行によって磨き上げた集中力も、その不可解な行動にかき乱されつつあった】

99 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/01/08(木) 22:52:42.51 ID:LFkUi8P70
>>96
/取り消しで
100 :サフィア・エレファリス [sage saga]:2015/01/08(木) 23:07:27.04 ID:6mWjCpSSO

>>98

【少女はきつく目を閉じ、頭を下げたまま停止していたが男に名前と罪状を述べるように言われるとハッとしたように目を開け顔を上げ「そうだった……」と呟く】

サフィア……サフィア・エレファリスです! 
し、白いスーツのマッチの箱が高く売り飛ばされて一割の報酬が要求されてクリスマスが…………じゃない! 
無料配布のマッチをレア物と偽って高値で売る詐欺の片棒を担ぎました! よりにもよってクリスマスに!! 
しかも一割の配当を要求しました! 
【若干慌てながらも自分の罪状を告白する少女】
【まあ実際の所マッチを高値で買ったのはある意味(マッチに価値があると思わされた)買い手の自爆みたいなものなので誰も悪くはないのだが】
【というか片棒だの配当金だの言っている時点で他に誰かいると感づかれそうなものなのだが少女は気づいていない】


101 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/08(木) 23:09:38.34 ID:PLV8OaES0
【――――某大図書館。この時期は暖房も全開で動かしている為に常に温かく】
【本を目的としてでは無く、身体を温める事を目的として訪れる者も少なく無いのだけれど】

【木製の長テーブルの一角、既に突っ伏している姿があって】
【コートを纏い、ふわふわとした金色の髪を持った女性――――で終われば良いのだろうけれど、あろう事かその腕には“自警団”所属を示す腕章】
【言ってしまえば職務怠慢。気持ちよさそうな寝息まで聞こえるのだから何とも憎い】


「ん……ぅ…………駄目ですよう、これはとっても大切な物で〜……Zzz」

【寝言を呟きはするものの、起きる気配は無く――――同時にこの時間故に、周りに起こしてくれるような者も居らず】
【さて、近くに積み重ねられた本は実に不安定。今にも女性の頭を目掛けて落下しそうで】
【――――見つけた者が起こすか、それともただ様子を見るかは全て自由。或いは寝ているのを良い事に、悪戯を仕掛けた所で易々と起きそうにも無いが】









【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないであります……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】
102 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/08(木) 23:21:49.12 ID:e080q2Uio
>>100

【懐から一応メモ帳とペンを取り出して、恐らく書かなくても良い事だろうと思いながらも彼女の声に合わせてペンを走らせていく】
【サフィア・エレファリス。無料配布のマッチをレア物と偽って高値で売る詐欺の片棒を担ぐ。……なんというか、微妙だ】
【確かに良くないことだが、捕まえるまではいかないというか……いや、そもそも少女だし。被害者が「捕まえろコラァ!」とか言っていたならば話は別かも知れないが】
【――――というかこの場合は買ったヤツがアホとしか言えないのではないか……などと思考を巡らした末の、結論】

……まぁ、結論から言うと極刑には出来ないし罪人でもない。どうしても償いたければ買い手に謝って返金……だがそんなことは不可能だろう……。
あーサフィア……さん? それでも罪を償いたいのならば、もうしないように自分を戒めることだ。正直今の段階で十分だとは思うが。

しいて言うなら滝行で心を清めるとか、教会で懺悔するとか……まぁ、そんな感じで……。

【体の疲れもあるせいか少々だるく、少しばかり適当になってしまったが……一応自分なりに考えた上での答えだ】
【ポリポリと頭を掻きながらの最後あたりの口調などまさに適当加減が見えているかも知れないがもう一度言う。自分なりに考えたうえでちゃんと答えは出しました、と】
【取りあえず重かったので、持っていた長尺木刀を床に置いた。どさり、と音を立てて床に落ちれば、多少砂埃が舞った】
103 :サフィア・エレファリス [saga sage]:2015/01/08(木) 23:50:03.27 ID:6mWjCpSSO

>>102

え……そ、そうなんですか? 
で、でも買った人にお金返せなかったし……
【そう呟いて涙ぐむサフィア】

だから私、所持金を全額寄付したんです……
持ち物も服も今着てるの以外全部売り払ってそれも寄付にまわしたし……
でも足りないんです……
ただでさえも恵まれた半生送ってきて誰の苦しみも分からない癖に……詐欺の片棒なんて……もうそれこそ誰かを助ける資格なんか……正義でいる資格なんかなくて……
だから贖罪の為に路地裏の殺人鬼に殺されようと思ったのに会わないし……
【サフィアはワインレッドの目を潤ませながら唇を噛む】
【おかしなところが多々あるが、本人は至って真面目らしい】
【良くも悪くも純粋なのだろうか】



104 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/08(木) 23:58:17.92 ID:FQ/GVCPVO
>>70

機関か、機関でも中にはそういう奴もいるんだな……
しかしまたなんだ……優しくしてくれた人が世界の敵だなんて、なかなか難儀な話
全部が全部どうしようもない悪人って訳じゃない、と……まあでもそんな落ち込むなよ
とりあえずは助けて貰った、今はそれだけでいいんじゃないかだって助けて貰って嬉しかったんだろう?

【人が数集まればその実は定かでは無くなる、少年の言うように中には人を助けてくれるような者もいるのだろう】
【事は複雑だきっと青年では少年の心のしこりを解く事は出来ない、想いに対する答えなんていうものは青年自身の事ですら出ていないのだから】
【だから申し訳なさそうに返す言葉にそれらしい答えはない、ただ助けられた事だけは確かだとそう伝える術しか知らず……】
【見下ろす視線には僅か歯痒さを含み─────】


修行の為の一人旅ってトコか、お前のばーさんも中々にシビアな事を提案するなあ
何もこんな歳で一人で行かせなくてもいいだろうに、せめて用心棒の一人はつけても罰は当たらないだろうに……

【掌に触れる感触は悪くない、話しながらもただただ無心にモフモフと繰り返す】
【その様はまるで日向に佇み犬でも撫でてうつらうつらとしている老人のようで先程まで剣を扱っていた姿とは酷く乖離していた】

【旅となれば自分の身の回りは自分で始末しなければならない、即ち衣食住】
【くうくうと鳴るお腹の音は要するに食が満たされていないということで……】

旅の終わりはお前が決めることだけども、まあ空腹は仕方ない事だ
それくらいなら力にはなってやれるさ、尤も安い物だけどな。ちょっと待ってな─────

【少年の想いに答えは出せないけれどせめて空腹くらいならば助けられる、それはとても小さい事だけれど困っているなら見過ごしたくは無い】
【傍の細長いバック、刀を収めている物であろうそれのサイドのチャックを開け中のシリアルバーを取り出し少年へと渡す】

狼的には甘いものよりも肉とかのがいいんだろうがそこは許してくれ今あるのはこれ位でね
栄養的には申し分無いだろうから次の食事までは保つだろうさ
次期頭領の血肉にでもなれれば幸いだけど……どうだ?

【別段何の変哲も無いシリアルバーだ、少年が嫌えばそれは仕方ないとでも呟いて元に戻す】
【或いは付き合いでも食べてくれたならば少しばかり照れ臭そうに再びと彼の頭を撫でるだろう】

しっかし……頭領の一人旅だってのに護身用の武器の一つくらいは無いのか
狼ってんなら爪やら拳が主流になるのかもしれねーけど危ない時とかはどうするんだ?

【空腹はさて置いて、先程から気になっていた事のひとつを世間話と投げかけて見る】
【木刀にさえも振られてしまう少年が果たして如何にこの世間から身を守ってきたのだろうか、と】

/遅くなってしまい申し訳ありません!
105 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/09(金) 00:26:19.43 ID:H3nbOWUfo
>>103

お、おい泣くのは止めてくれ……こんな状況を他人に見られてみろ、俺が危ない奴だと思われてしまうだろう……
安心しろ、君は心の優しい子だから……他人の不幸に心をそこまで痛められるというのは、素晴らしい事だと思うぞ。

【彼女の瞳が潤むのを確認すれば急に狼狽し始める男。こちらが悪いことをしているようで単純に泣かれることが好きではないのだが、それよりも――――】
【……見栄え。床には木刀、日時は夜、場所は男の彼女だけの公園。しかも彼女が泣いていると来た。見られてしまえば通報されても仕方がないのである】
【故に焦りながらも慰めようとしているのだが、決して嘘の言葉で彼女の気分を上げようとしている訳でもない。不器用な気はするが、純粋で、優しい子なのだと思う】

……――――お前は馬鹿かッッッッ!!!!!!

【怒鳴ったというよりは渾身のツッコミを放っているように男は声を荒げた。前言撤回。純粋で優しいおバカちゃんでした。真面目に言っている分重症なのかもしれない】
【全て寄付しているというのも相当問題だが、それよりもSCARLET的立場からすれば後半。路地裏の殺人鬼に殺されようと……の部分は本気で説教すべきポイントだ】

あのなぁ……世の中に1つも罪を犯していない人間などいない。嘘を付いたことのない人間もいなければ、悪戯や意地悪をしたこともない人間もきっといない。
ポイ捨てとか、陰口とか、そんなことは正義の味方だってしたことある人も多くいるだろう。俺なんか正義の味方にしょっちゅう酷い悪戯を食らっているし……。
そもそも資格とはなんだ。君が言う資格は正確には分からないが、恐らく君が思う資格を、正義たるべき基準をクリアしてる人間などほとんどいないぞ。

あと、恐らく君は勘違いしている。先程の話を忘れても、今から言う事だけは忘れちゃあ駄目だ。

【純粋過ぎるのだろう。そして正義とは心の一点の曇りもあってはならないと考えているのではないだろうかと、彼は彼女を分析した】
【故に少しでも自分が悪い事をしてしまうことが許せない。そしてその汚れを必死に拭い取る為の自分への厳しい罰――――ということなのかもしれない、と】
【人の心理を読み取ることは難しい。ましてや心理学者でもないのだから、この読みは素人の適当な推測にすぎない。それでも先程とは違い、真剣な様子で言葉を並べる】
【そして、念を押して言うは「今から言う言葉を忘れるな」という注意。彼女の勘違いを、男は一呼吸おいてからゆっくりとはっきりと言葉にするだろう――――】

責任を取るということは、何も全財産寄付とか自殺をして過ちを犯した自分に厳しい罰を与えれば良いというモノではない。
そんなものをして得られるのは自己満足くらいで、責任を取るという行為とは全くかけ離れている。自分の身と引き換えならばどんな責任も取れる……それは誤解で甘えだ。

責任を取る道は身投げのような行為ではない。もっと地味で長く全うな……そんな道だ。そしてその道は、「反省と学習」だと俺は思う。
自分が犯した過ちに関する全てを分析し、把握し、検討し……反省する。そしてもうそんなことが二度と起きないように、そして過ちを挽回するために全力を注ぐ。
其れはある意味、厳しい罰を受け入れることよりもはるかに地味で苦しい作業だが、「責任を取る」というのはその行為の中にしかない。

【寄付で責任は取れない。命を引き換えに責任も取れない。本当に責任を取るという行為は極刑に処して貰うことでもなく、「反省と学習」である――――と】
【――――力強さと冷静さを兼ね備えた瞳で彼女を見ながら、彼女の勘違いを男は指摘した】
106 :サフィア・エレファリス [saga sage]:2015/01/09(金) 01:12:41.54 ID:Ju6rI+jJO

>>105

……うぅ……
だ、だって……申し訳なさすぎて……
【泣くのをやめろ、と言われ慌てて目を擦るサフィア】
【しかし、男が声を荒げたことで引っ込んでいた涙がまた浮かぶ。ひっと声をあげ肩をびくりと震わせた】

わ……私だって正義の資格の定義はよく分かりませんよ……
分かりませんけど…………
【サフィアは言い淀む】
【実際、彼女は正義に対しては漠然としたものしか抱いていなかった。本人も言っていたが、恵まれた半生……つまりカノッサや他の悪とは無縁の生き方をしてきたわけで、当然正義に触れる機会などなくて】
【だから自ずと幻想を抱く】
【そもそも「恵まれた半生を送ってきて誰の苦しみも分からない癖に」という事は「正義は何かしらの辛い出来事を経験している」という定義が根底にあるわけで】
【「生きる為に何かやった」のに「清廉潔白」という矛盾した構図が出来上がるわけで】

……でも、前に食い逃げと宿代の踏み倒しもやっちゃって……もう後がなかったのに今度は詐欺なんてやっちゃったから……被害者だけじゃなく他の人達にも申し訳なくて……
【もう一度目を擦りながら言う彼女。男が「今からいう事を忘れるな」と念を押せばこくりと頷く】

【そして相手の言葉を聞けば「反省と学習……」と反復する】

……出来る、でしょうか……こんな私に……
向こう見ずで……無鉄砲で……反省ばっかりの私に……

107 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/09(金) 01:15:39.12 ID:vnZVtHCjo
>>104

【優しいからその人は正義、とは限らない。諭すように語りかけられれば】
【残念そうに俯きながらも首を一度、縦に振った】
【『何故、なぜ』と騒ぐような年でも無い。或いはこれも『大祖母様』の言いつけかも知れず】

でも、色々大変だけど、色々楽しいですし……
ずっと櫻の国に居るよりはずっと勉強になるのかな、って……。

それに、お武家の人が修行するみたいでちょっと格好良い…、……え?
……っ、ぁ、良いんですかっ!?確かにお肉も好きですけど
僕、甘いものも大好きで……じゃなくて、会ったばっかりなのに、そのっ……。

【――お腹に関しては、どうやらしばらく大した物を食べていないらしい】
【シリアルバーを差し出されれば嫌うことなど無く、しかし躊躇うように受け取って】

【本当に食べてもいいのか、なんて具合に包装を破らず青年を上目遣いに見上げる】
【その辺りのマナーというか、躾は狼らしくもない。――彼が『食べてもいい』と一言告げれば】
【大きく頭を下げて礼をしながら、嬉しそうにそれを平らげてしまうはずで】

頭領って言っても、まだ何年も先の話ですし……足は速いんですよ、僕。
身体が大きくないから、爪とか拳での戦いはむしろ苦手ですけど……

……でも、ちょっとなら妖術が使えます。狐火とか、鎌鼬とか……知ってますか?
他にも少しだけ特別な力もあったりして……。

【脚が速いのは、まあ当然のこと。妖術という話になると、証明するように】
【まずは離れた、何もない空間を指さしてみせる。そこに浮かぶのは青い火の玉】
【こぶし大だが徐々にサイズを増して、人の頭ほどにまで肥大化すると】

【今度はそれを千々に割くように、風の刃――つまりは鎌鼬が吹き荒れる】
【何十にもバラけた火は周囲を照らしだしながら、やがて消えて】
【どうでしょう、なんて具合に、今度は褒めてほしそうな視線が青年に向いた】

/いえいえ、こちらこそ気付くのが遅れて申し訳ないです……!
108 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/09(金) 01:39:17.34 ID:H3nbOWUfo
>>106

……大声を挙げたのは悪かった。しかし俺はSCARLETだ……自分から殺人鬼の餌になろうとする奴を見逃すことなど出来ない。
自分の命を簡単に投げ捨てようとする奴こそ、正義の資格を持ち合わせていないとも思う。
人の命を守ることは正義の使命。自分の命を簡単に投げ捨てようするヤツに人の命が守れるか。

【正義の資格。彼女が言った言葉を使って男は彼女に問う。これは紛れもない説教だ。「学習」したのか声は荒げないが、静かながらに厳しく男は言う】
【――――しかしこの言葉、少女に向かって「貴様は正義失格だ」と言っているかと言えば、ノーである】

出来るでしょうかじゃない、するんだ。そうしなければ君は「反省した」とは言い難い。責任を取れたとも言えない。そのままでいいのか?
反省ばかり……と言ったが、果たしてそうだろうか。君がやったのはとりあえず自分を罰し、謝る行為ではないか?
なぜ起きたのか、どういう悪影響を及ぼしたか、じゃあどうすれば起きないのか……自分を罰するのでなく自分が犯した罪を見つめ直す。
――――失敗から学ぶ。それが反省であり学習であり責任を負うということだ。

【出来るでしょうか。その問いに男は「できるさ」などと背中を押すような事は一切言わなかった。代わりに「しなきゃならないんだ」との言葉を贈る】
【このことから逃げれば、結局彼女は自分が犯した罪に向き合っていないことになるぞ――――と。涙目だからといって、優しい言葉は与えない。正しい言葉を彼は与えた】

重すぎる罪は反省の場さえ与えられないが、生憎君のは違う。……まぁ食い逃げとかは立派な犯罪だが今回は許す。
だからまず反省しろ。出来るでしょうかじゃなく、するんだ。一番最初に反省してほしいのは、命を簡単に投げ出すようなことはしない、ということだが。
其れさえ出来ればもう、君には正義の資格というものはあるんじゃないか。 ……少なくとも俺の中では、君にはその資格は十分にあると思うぞ?

【例えば食い逃げなら無一文だったことが恐らく原因だろう。だからこそ対策として常に飯が食える程度の金は最低限持つなどがあるだろう。それが反省であり学習だ】
【――――そう彼女に説き終わると、厳しかった男の表情に微笑みが見えた】
109 :サフィア・エレファリス [saga sage]:2015/01/09(金) 02:22:32.45 ID:Ju6rI+jJO

>>108

自分の命を……いえ、それは多分違うかなって、私も思います
【自分の命を投げ捨てる者に、と問われれば首を横に振る】

……責任を……それは嫌です、絶対に

……流石に毎回罰してる訳じゃないですよ……
次は気をつけなくちゃって……そんな感じで……
【それが反省といえるか自信がないのだろう、否定する声は弱々しい】
【そして、食い逃げが立派な犯罪と聞けば、ああ……そりゃ追いかけられるよなあ……なんてズレた事を考えたりなどして】
【ちなみに食い逃げの件だが、ほぼ男の推察通りである。原因は「お金が足りないのを忘れていた」というもっと間の抜けたものであるが】

……はい
【それから、反省しろと言われまた小さく頷く。それはやはり何処か自信なさげなものだったが】

110 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/09(金) 02:43:22.15 ID:H3nbOWUfo
>>109

……弱弱しい返事だが、俺から言えることは此処までだ。次そんなことをしないようにはどうするかを考え明確な対策を立てる。以上!
――――っふぅ……嗚呼疲れた、修行終わりにコレだからな……。

【以上、と強く言い切ると長ったらしかった話も終わったらしく、大きく一つ背伸びの運動。先程までの修行で身体は疲れ、今は変わった少女への説教で心が疲れた】
【肩を軽く回してから、床に置いた長尺木刀をひょい、と持ち上げる。腕だけの力じゃ上げることも苦労するため、全身を使って一気に肩まで上げて担いだ】

じゃあ俺は行くが……最低限、路地裏に死にに行くとかそんな馬鹿な真似はよせ。というか一人で路地裏に行くな。そもそもこんな時間に一人でうろつくな。
あと飯と宿に困らない分だけの……ああ、案外言うこと沢山あるじゃないか……というか君確か――――無一文じゃないか……!!

……ったく、今回だけだ。一人暮らしの男は金がかからないから遠慮しなくていい……というか受け取らないなら置いておく。言っておくが使わんのが一番の無礼だぞ?
恩は返すとかそんな事も要らないから、黙って貰っておけ。でも少ないとか思ったんなら蹴る……あ、いや冗談だ。それじゃあ直ぐに宿に泊まるように。

【最後に――――と言って帰る間際に注意を告げるが、心配性なのか言いたいことが今になってどんどんと出てくる】
【しかも最低限の金は持っておけ、と言った直後、確か寄付してすっからかんであるということも思い出したらしく、大袈裟に溜め息を吐いて見せた】
【男は片手でゴソゴソと懐から財布を取り出せば、その中から札を3枚。一番大きな札を3枚ということなので、3万。十分に宿も飯も払える分ではあった】
【それを彼女に渡そうとし、受け取らないのなら公園の地面に札を置き――――その後男は巨大な木刀を担いだまま公園を出て行く】

【まったく、手のかかる子供だな――――などと、勝手に親みたいなことを思いながら男は帰路に着くのであった】

/長時間にわたるロールありがとうございました! 
/途中いきなり長文になってすみませんどうしても書きたかったんです!

111 :サフィア・エレファリス [saga sage]:2015/01/09(金) 03:31:51.40 ID:Ju6rI+jJO

>>110

は、はい! 
【男に言われ改まったように頷く。頷きながらも「なんか学校の先生みたいな言い方だな」などと思ったり】
【したのもつかの間、疲れたという相手の呟きに「う……すみません……」とすまなそうな表情を浮かべる】

あ……はい、もうそんな事はしません……はい……は……
ごめんなさいっ!! 
【男の注意を聞きはじめこそちゃんと返事をしていたが注意の多さに段々と戸惑いだし「無一文じゃないか」という突っ込みには思わず謝ってしまう】

【そしてお金を渡されそうになるとまた、すみません……と頭を下げて受け取る】

本当に何から何まで……ありがとうございます
……さようなら、本当にありがとうございました! 
【ぺこりと頭を下げるとサフィアは男を見送る】

……また人に助けられちゃったな……
私もいつか……
【サフィアはそう呟くと自分も公園を後にするのだった】




/こちらこそお疲れさまでした! 楽しかったです! ありがとうございました


112 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/09(金) 21:50:37.12 ID:GJanBF4eo
>>107

(オレは元々根無し草、旅にまた旅には慣れている……でもさしあたってコイツは違う)
(元に居たところから身一つで世界へと飛び出した、右も左も分からない霧の中でただ1人)
(不安に思わない理由なんてある筈もない――――――――)

【「大丈夫だぞ」と小さく告げて食べるように促す】
【仰々しく頭を下げる様は微笑ましいが少年の来歴には感じるところがあった】
【気軽な身分である自分にでさえ時に不安に思う時がある、幼いこの少年にそれがどれだけ冷たい物か】
【だからせめて、と彼が安心出来るように笑みを浮かべて……】

ふうん……徒手は苦手なのか、惜しいなもし出来たなら教えて貰おうかと思ったんだけど……
ん、妖術なら少しは知ってるぜこちとら結界の類に理解があるんだ、櫻の方の技術って言っちまえば源流は似たようなモンだろう

【妖術、櫻に少しの関わりがある青年にとって畏れ慄く物でなくむしろ興味深くもあった】
【特に狐火に関しては、思うところがあるのか静かに丁度刀の切先のように目を細めてやがて「いいぜ見せてくれよ」と返したならば】
【魂を思わせる青い火の玉が揺蕩い踊る、綺麗だがどこか恐ろしい炎の姿はやがて不可視の風に裂き絶ち割られる】
【散華する火は鮮やかな華、季節外れの花火にも見えて青年は「ほう……」と半ば呆け混じりに感嘆の声を零す】

――――……おう、やっぱり間近で見ると良い物だな凄かったぞ

【やがて少年の視線に気が付いてにこりと笑いながら賞賛の声を上げる】
【ひとしきり満足気に頷いて、そしてその後ではて?と、そういえば特別な力とやらは見せてくれたのだろうか】
【まだならば期待の目を少年に向けて件の力の姿を待つ】
113 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/09(金) 21:56:09.58 ID:kKV08i7No
【酒場】

【ニューイヤーの熱も一気に凍りつくぐらいに雪が降り、風が吹く】
【この旧市街の交差点にある古臭い安酒場の前に1台の車がとまる。街並みに不釣り合いな】
【真っ赤なスポーツカー。喧騒の街にバリバリと裂くように響き渡るエンジン音。気取ったガルウィング】
【世界に何百台しかないとかいう代物で通行人の何人かはケータイのカメラを向けて収める】

あー…うっせえし、狭いし、目立つし…やんなるなあ…ったく

【降りてきたのはその気取った車とマッチした背の高い男。黒髪のとんがったような鼻の人物】
【高そうな黒の三つ揃えを着て、顔を隠すように夜でもサングラスをかけていた。成金の青年実業家】
【またはマフィア、あるいは映画俳優といった感じだ。そんな男は不釣り合いな安酒場に入る】
【真っ直ぐカウンターに向かっていって空いている席に座る。ポケットから札を取り出して】

あー…飲み過ぎで頭痛い…とりあえずビール。ヌルいギネスを1パイントでな

【そう注文すると、隣に座っていた客が彼の目の前に小さい茶封筒を差し出す。彼はそれを手に取ると】
【中身の折りたたまれた書類を広げて、すぐに封筒へ戻す。彼は上着の内ポケットに手を入れて今度は】
【分厚く膨らんだ封筒を取り出して、隣の客に渡す。客は中身の紙幣の束をざっと確認するとポケットに入れ】
【ビールがつく前に席を立った。今日は混雑していて空いている席はなかなか無い。もしかすると一部始終を…】
114 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage]:2015/01/09(金) 22:27:38.84 ID:H3nbOWUfo
>>113

【――――見ていた。その一部始終を確かに見ていた「動物」がいた。古臭い酒場とは友達のような動物であるラット――――の胴体と、ビデオカメラの頭】
【そんな奇妙な動物が、レンズの瞳が、酒場の隅に身を潜めながらもその怪しげなやり取りの様子を捉えていた】
【ラットは酒場の影を伝い、客に気付かれないように「アジト」へと戻る。やりとりが行われたカウンターから4つほど離れた席に居る男の――――右ポケット】

……ん、なんかあったんかPapa-Rat。……ほう、ほうほうほう。流石ワイの子や、いい仕事するやんけ……へへへ。

【幾ら奇妙な見た目でも、アルコールで緩み切ったこの空間でラットのサイズの動物が慎重に移動すれば気付くことも難しい】
【ポケットへと戻ってきたラットが、撮影した動画を飼い主の男に見せる。飼い主はにやりと微笑みラットを撫でると、置いてあったバドワイザーを飲み干し、席を立った】
【――――向かうは、自分とほぼ同じタイミングで席を立った男と、もう一人。つまり先程のやりとりをしていた2人である】

……恐らくお急ぎでしょうがちょっとすんませんねぇ。さっきのコンビプレー……見させてもらいましたわ。
グラサンの兄ちゃんが今持ってるその書類……相当な価値があるってことでっしゃろ。 何せ札束と交換や……怪しいわぁ、ワイ好みの匂いがプンプンするわぁ。

あ……コイツでそのあやし〜い一部始終も撮影してまっせ。別に張っとったわけやないが……癖なんや。こういう感じの店やと、一応仕込んどくんです。
どや、かわええやろ……ビデオカメラを生き物にしたと思って貰えればええ。そんで……今コイツがケツからひり出したUSBが今の動画入っとるっちゅうわけや。

【黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った20代後半の男。スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳】
【持つ雰囲気はどこか軽く、へらへらとした下卑た笑みを浮かべており――――そのコートのポケットから、独りでにビデオカメラが顔を出した】
【そのままコートを爪で掴んで肩口へと昇っていく、顔がビデオカメラで胴体がラットの奇妙なモノ。それが震えてフンをしたと思えば、フンではなくてUSBが出てくる】
【それをこの男は掴んで、そのままコートのポケットへと仕舞った。にやついた笑みは、まだ続いている――――】

115 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/09(金) 22:50:16.16 ID:kKV08i7No
>>114

【サングラスの男はポケットからタバコの箱とオイルライターを取り出してカウンタに投げる】
【灰皿を手繰り寄せて、煙草を一本引き抜いて、それに火をつける。じっくりと肺まで吸い込んで】
【タップリと口の中で溜めて軽く遊んで、スゥーと長く細く薄くなった煙を吐き出す。じっくりとその時間を楽しむ】
【それは横に男が座って、脅し文句をひと通り述べてニヤリと笑い終えてからの話で】
【勿論、男は煙草を吸っていたので返事はしない。サングラスの下の目で軽くチラリと見ただけだ】

…………

【肘をついて、指の間に煙草を挟んでグラスに継がれたビールに一口つける。ヌルいビールは美味い】
【気が抜けてそれが香りになって鼻を抜ける感じがする。気の抜けたビールとは違う。喉越しや爽快感を】
【求めるのも悪か無いけど、そういう飲み方はまた違うもんでする方がいいと思う……なんて事を考えていたので】
【まだ喋らない。実に数分は喋らなかっただろう。相手が追撃の一言をいいそうな絶好なタイミングで男は口を開く】

………マスター、コイツに同じもんやってくれ

【それだけ言って、ポケットから紙幣を取り出してテーブルに投げた。おごってやったんだからチャラにしろって】
【そんな意味もある。けど、これは交渉にやってきた相手に対するサーヴィスみたいなもんだ】
【こんなんで納得するかよ。とでも相手が言い出す前に男はまたポケットに手を突っ込んで】

表のクルマ、やるよ。…どう?

【そう言ってクルマのキーをカウンタに投げる。目立つ”跳ね馬”のエンブレム。誰もが知る高級車だ】
【そんなものを顔色一つ変えずにヒョイヒョイと渡してきた。話が速くてとてもよろしいが上手く出来過ぎか?】
116 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/09(金) 23:10:40.99 ID:H3nbOWUfo
>>115

【長い沈黙の中でも、男はにこりと細めた瞳で彼を見ながら、肩に乗ったラット……の見た目をした化け物を撫でる】
【「さて、どうしますか?」と言うような表情を維持して、じっくりと返事を待ちながらも――――心内では強硬手段に出られた場合の「備え」をしていた】

…………。
(……もしかしてそれほど重い情報なんか? そんなら殺して口封じっちゅうのも見えてくる……一応コッチも色々武器は持っとるし後ろ盾もある……)
(――――兎に角、交渉は欲張りすぎない。たまたま落ちてきたラッキーに対して多くを求めすぎるのはアホや。リスク考えて動かな……)

【色々な考えを張り巡らせていると、ようやくサングラスの男が口を開く。――――こちらが交渉する前にあっさりと、その男はそう言った】
【……つまり先程の資料は、高級車にも引けを取らない、いやそれ以上の価値があるということらしい。受けたいところだが、何も知らずに受け取るのは愚策だと思った】

……わぉ、いきなりそこまで言ってくれると思いませんでしたわ。ワイもそこまで強欲や無いしそれ以上の金になるモンを要求しようとは思いまへん。
――――ま、兎に角ちょっとお互いの事を話しましょうや。折角の出会い、名前も知らんと終わるのも哀しいですし。

ワイはサミっちゅうモンで、今はカノッサにいさせてもろうてます。……あ、あともう飲み物も食べ物もいりませんわ。
こっちこの店初めてなんで……そっちがグルやと下剤とか睡眠薬とか飲まされるかも分からんし。……すみませんね、ビビりなんですわ。

【惜しい顔もせずに高級車を差し出すのは怪しい。もしその奥が見えずとも、このような取引をしているこの男についての情報を知れるだけでも多少は得だろう、と】
【故にこちらから自己紹介を告げ、そしてアピールする。自分にはカノッサという後ろ盾がいるぞ、とのことを】
117 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/09(金) 23:18:00.83 ID:RSm6tm470
【――――夜の公園。この時間にもなれば遊ぶ子供も居らず、静寂に包まれている筈だったが】
【今宵はブン、ブンと何度も風を切る音が響いていて】
【見遣ればいるのは栗色の髪をポニーテールに纏めた一人の女子生徒。歳は漸く高等部に入った程度であろうか】
【手にしているのは無骨な木刀。振り上げては振り下ろし、振り上げては振り下ろしなんて単調な作業をひたすらに続け――――】


「四十八、四十九、ごじゅ………じゅ……ぅ…………っ!!」

【回数は言葉に出していた通り五十回。額に浮かんだ汗を手の甲で拭えば、呼吸を整えるように一度深く息を吸って】
【長い吐息と共に木刀をその場に落とす事となる。最早拾うだけの気力も無くなる程に疲れたのか、落ちた木刀をそのままにフラフラとベンチに寄って】
【どっかりと腰を降ろせば項垂れるようにして身体を休める事だろう】


「つ、疲れたぁ…………。ううん、でも町の平和を守れるようになる為にはもっと頑張らなきゃっ!
本も読んで沢山研究したし、ぼくだって何時かきっと自警団の人達みたく……!」

【一人呟いたのは所謂将来の夢。大方自警団だとかの正義の味方に憧れでも抱いて居るのだろう】
【――――とは言え、素振りを見れば太刀筋はずぶの素人同然であり何より鉄芯の木刀でも無い物を50回振って疲労困憊なのだから実力もたかが知れる】
【精々喧嘩でちょっと強い程度の実力者。自分だけでは現実を見る事が出来ないとは何とも悲しい事】

【何であれ街灯の下で行っていたのだから良くも悪くもその姿は目立っていた筈で】
118 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/09(金) 23:57:27.06 ID:kKV08i7No
>>116

…うるせぇし、目立つし、中身狭いしで嫌になってたところさ。それに好みじゃない
限定何百台かしらないけど……何かなぁ……らしくないよね、あのウィングが…

【うーんと唸る。何が気に入らないのかは全くわからないがまあくれるというんだからどうだっていい話】
【売ればプレミア、乗ってもプレミアというお宝なのだから…まあ、余程の金持ちということなんだろうか】

名前?ロバート・レッドフォード

【なんて言って男はニヤリとしたり顔】

…何だっていいじゃん。名前なんて。アル・パチーノでも構いやしないよ
アンタみたいな強請屋に名前をとられちゃ何されるかわかんないしね

【そう言って肩をすくめて笑ってみせたあと。相手のグラスを掴んで、半分ほど一気に飲み干す】

アンタのそういう、スタンス…嫌いじゃないぜ。けど、リスクとアルコールを天秤にかけるのは、ナンセンスだ
……そんな、チンケな商売してると…アンタ、死ぬよ?

【煙草を吸って、吐き出す。時間を取る。映画のカットのように自然に気取る。雰囲気を生み出す】

……”また”カノッサか…そーいや、アイツは何番だったんだ?…カニバディールは29だったし
ベイゼは……忘れたなあ…また聞いてみるか……ああ、アンタは?…あるんだろ?カノッサって、番号
……やっぱ、沢山いるんだなあ…

【どうやら彼は機関の人間と親しいようであるにもかかわらず、全員に番号があると勘違いしているらしい】
【無論、カノッサという名前は脅しにもならず出身を聞いたぐらいにしか彼は思ってなかった。一体、何者だろう】
119 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/10(土) 00:34:07.00 ID:7BLne4kxo
>>118

ワイも憧れる部分が無いとは言いませんけども、実際乗り回すとなると悪目立ちしそうですなぁ。
乗るよりかは観賞用の方が……って感じですかねぇ。もしワイが貰ったんなら……置く場所ないしすんませんが売らせてもらいますわ、ハハ……。

【窓から見える鮮やかな赤を見れば、「ほう」と唸ってから率直な感想を告げる。あんなのが道路を駆ける姿を見たら自分でも撮影したくなる程ではあるが……】
【……自分がカメラのフラッシュを浴びる側に立つとなると、面倒くさいと男は思った。そもそも車もあるし、2台置くスペースも無い。売るしかないな、と苦笑い】

ええやないですかこっちは名前教えてるんですし……ワイのは本名でっせ? まぁ別に知られても問題ないっちゅうことで言ったワケですけれども。
ま……構いませんわ。じゃ、ロバートさんって呼ばせていただきます。偽名を使うその慎重さ……注文断ったワイと似た性格してるんやないですか?

……っと、ワイもタバコ吸わせて貰いますね。酒もまぁまぁ好きなんですけども、酒とタバコどっちやめるかーって聞かれたら酒辞めますわ……。

【肩に乗っていたラットがコートの胸ポケットにがさごそと入ると、煙草1本とライターを持って顔を出し、サミに手渡しした。小さく「おおきに」と呟き、煙を肺に含んだ】
【煙を吸い吐くその間、喫煙者にとって一番落ち着く時間だけはサミの表情から「造りの部分」が消える。濁リ冷え切った双眸が姿を現し、先程までの笑顔も無い】
【――――ふぅ、と吐き切るとまたへらへらとした表情に戻り、「いやーやっぱこの時間が一番好きですわー」なんて言葉を添えたりして】

……見ての通り言っての通りワイは煙草好きですけど、ロバートさんには負けますわ。なんとなくわかるんですよ、どんだけニコチンに侵されてるか。
……となると、お酒もワイよりは好きっぽいですし――――案外ワイよりも早く死ぬんちゃいますかねぇなんて。ヘヘヘ。

ああ、ワイは番号ないんですよ。なんせカノッサに入ったばっかりですし、ナンバーズでもあらへん。そもそも番号貰える方が少数派っちゅーかエリートですよ、多分。
そもそも正規雇用でもないっちゅーか……なんか特殊な契約なんです。ワイが設定した目標額まで稼ぐまではおる、目標達成したら退団っちゅう。
だから会ってみたいですねぇ、ヴェンドゥラーを落としたカニバディールさんとか……ベイゼさんもカノッサでしたっけ、すんませんまだ新入りなんでそこまで把握してません。

【オマエの方が早く死ぬんじゃないか?と敬語で言う当たり少しだけ性格の悪さが出ているというか、そんな印象をもしかすれば与えるかもしれない】
【そもそも盗撮からの恐喝に近いことをしている時点で、性格が良い筈もないのだが。その片鱗が少しだけ見えたような、見えていないような】
【話によるとどうやら新入りらしく、軽く頭を掻いて申し訳なさそうにしながら話を進める。その中でナンバーズについての説明を軽くして、彼の間違いにも訂正を加えた】
120 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/10(土) 01:07:11.44 ID:u6cpzjZeo
>>119

【男は煙草を灰皿に押しつ付けて消し、ビールを一口のんだ】

…好きにしなって。アンタがどうするかなんて俺は知った気こっちゃない。乗りたきゃ乗る
金が欲しけりゃ売ればいい。欲しがるマニアの金持ちなんていくらでもいるさ…
それに、そういう話なんだから…”商品”を出せよ。ニィちゃん
…言わせてもらうんなら、アンタが渡したところで俺は一安心って訳じゃない
データのバックアップなんて今どきスグ簡単にできるんだろ?俺はアンタを買ったんだ。…Do You Understand?...Kid

【気取ったように指を鳴らして、カウンタに頬杖をついた。意識してやってるわけじゃない。その為に】
【カッコつけがやりがちな相手の反応を待つ余計な時間ってものがない。すぐにビールを手にとった】

俺が辞めるときは、あの世に酒と煙草がなかったらさ。…天国か地獄。…ある方に行くね、俺は

…ニコチンで済んでるなら十分だよ。タールとアルコールで素面を塗り固めないと、俺みたいなのは生きていけない
―――だったら、嬉しいね…好きなもんに殺されるなら、本望だよ

【本当にそうだったらいいと彼は願う。いや、祈る。誰に?誰とかじゃなくて祈る。だから、純粋に口に出して祈る】
【しかし、そういう死に目はイマジネーションの中では描けない。リアリティがかけすぎていて想像できない】
【それが悲しくもあり、だが納得も出来て……そこで考えるのはやめにした。必要のないことだ】

【また煙草に火をつける。手持ち無沙汰で煙草が目に入るとつい、火を付けてしまう】
【いつが旨くて、不味いのか。未だによくわからない。アトランダムにその時はやって来る】

あー……そう。……そうなんだ。…へぇー……ふーん…ああそう…そうか………

【そうしてまた、黙りこくる。何か考えているようだ。…暫くして口を開いてから一言漏らす】

……じゃあ、もっと沢山いるね

【さっきも似たような感想だったがそれは新情報が加わったことで更新された。もっと居るんだなと、思った。…それだけだ】
121 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/10(土) 01:33:27.92 ID:7BLne4kxo
>>120

【にやにやとした笑みを浮かべながらも、身体には害の心の栄養を吸い尽くし、こちらもその吸殻を灰皿に入れる】
【ポケットから顔を出したままのラットも彼の方を向いて小さく笑った。胴体と口だけはラット故に、笑っているということは相手に伝わるだろう】
【そして笑えるということからも、いや先程の煙草をサミに渡した仕草からも、知能は動物の域を超えているのではないかと思われる。動物か、も怪しくはあるが……】

……くくく、いやあスンマセン。どんだけカッコつけても早い男は嫌われますよ、ロバートさん。
まだワイは売るとは決めたわけやない……ああ、最初に言った通り値段も釣り上げる気もないですよ? ただもうちょいお喋りさせてくださいってことです。
安心してくださいちゃんとUSBは渡します。ワイはあれです……こういう一期一会の出会いを大切にする人なんですよ。冷たい事言わずに……ね?

【サミは眼前の男に興味を持っていた。勿論先程の資料も興味あるが、カノッサとも関わりを持っているとなればこの男、そこらの安っぽい悪党とは違う】
【持つ雰囲気も、だるそうにしている雰囲気はあるが――――どこか、修羅場を知っているようなモノ。的外れかも知れないが、サミにはそう思えた】

……ワイ、実は元パパラッチなんですよ。醜いスキャンダル専門です。
……ほら、最近復帰したあのアイドル……不倫現場を目撃されてそこからネットで叩かれまくってた。あのアイドルを地に堕とした週刊誌の写真、ワイのですわ。
――――ってことで元パパラッチとなるとですね、少しでも興味あるもんはとことん追っかけたくなる性があるんですわ。

カノッサでもないけど、カノッサともつながりはある。そんでさっきの資料には車を売っていいほどの大金。……ロバートさん、あんた何者や?

【サミも2本目の煙草に手をかけた。今回は自分で煙草を取り出し吸う。この吸うまでの所作も良いものだな、などと頭の隅で思いながら】
【ライターの火が煙に変わる瞬間、サミは単刀直入に聞いた。濁される可能性は高いが、どんな反応をするかだけでも気になる】
【胸ポケットから顔を出すラットは、ロバートをじっと映していた。きっとロバートが浮かべる表情も、このラットに中に動画として残るのだろう】
122 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/10(土) 02:25:59.18 ID:u6cpzjZeo
>>121

【煙草を口元にゆっくりと持って行きながら相手の目をジッと見てみた。相手からは彼が目を見ていることを】
【サングラスに遮られているせいで目で確認することは出来ないが、動作と雰囲気でそれは読み取ることが出来る】
【目を見て知ろうとする。作り笑いは簡単にわかる。目は笑えないからだ。だが、その程度のことを気にしているわけじゃない】
【もっと奥…奥を見通そうとしてくる。ナイフと銃口を向ける時と同じ気持ちで、視る。…同じだ、同じ―――】

―――夜は永遠じゃないって知らないのか?

…まあ何だっていい。本当にせっかちなら…もう既に、アンタの頭に銃弾をブチ込んでる
……アンタがどんな手練だろうとな。……そんとき、俺が生きてるか死んでるかなんて話は、ナンセンスさ

【ここで、1人をやるぐらいは彼にだって出来る。殺せる。それだけがオーダーで後は犠牲にしても、それだけは】
【死というものの恐怖、リスク…そんなものは持っては居ない。生きてるうちは死んでないし、死んでも死とは無縁だ】

……俺は俺だよ、バカヤロウ。

【表情に変化はない。だが、一番、声色に鋭さがあった。納得を強要させる意味を含む】
【それは相手の口を封じるということもあるが…自分にも言い聞かせて納得させなくてはならない】
【それぐらい何者かなんていうアイデンティティが欠落している。弱点と言えば弱点だ】

あの紙切れ、アンタが持ってたってせいぜい中古車ぐらいの価値しか出せない。…うまく売り払っても
まだ、あのクルマには届かない。……俺だから、アレを使えるんだよ。

ロバート・レッドフォード、スティーブマックイーン、アル・パチーノ……映画は嫌いか?

なら……ハーマンラム、リーマーレイ、DBクーパー、ボニーアンドクライド、ブッチアンドキャシディ
ジェシー・ジェイムス、ジョン・デリンジャー――――
123 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/10(土) 02:51:52.12 ID:7BLne4kxo
>>122

……何言ってるかはよう解りませんが、まぁ嫌われてるっちゅうことだけは解ります。
あーいや、いきなりどこの馬の骨かも知れないヤツに情報握られて嫌いにならない人間はいませんねぇ、そういや。

――――それはそうと、やっぱワイの勘違いでしたわ。似てるって話……。
何しようが死んだら終わりやさかい、ワイからしたら生死を度外視することがよっぽどナンセンスや。
チンケな……とか言われるんでしょうけど、そのチンケさが無けりゃ金を掴んでも使う前に死にますぜ?

【サングラスの男がサミを見る。それがいやなのか、サミは煙を上ではなく正面に吐き、自分の顔を煙で隠した】
【「おー怖い怖い」とやや馬鹿にした声色で肩を竦めて呟けば、先程自分が言ったことに訂正を加える。眼前の男が苛ついているのだろうか、と思うサミ。なんだか嬉しそうだ】
【それでも鋭さの増した声を当てられると、表情から笑顔が消えたというか、皮がはがれたというか。影の秘めた、冷たい其れが下卑た笑顔の下から出てきて】

…………すんません、映画は全く見ないんですよ。たまーに彼女に誘われて映画館は行ったりしますが……DVDとかは一切。
ま、確かにそうですな……よー分からん情報貰ってもワイだけで有効活用はできんやろ。ってことで車のカギ出してください。こっちもUSB渡します……これですね。

(――――ここいらで退くべきかね……。結局得るモンはそんな無かったけど、カニバディールさんとは知り合いみたいやし……会ったら聞こか)

【無表情のままで、男は右ポケットからUSBを出し、カウンターに置いた。色もディテールも、ラットの身体から排出された其れと同じのUSB】
【――――なのだが、実は中にデータは入っていない。右ポケットにはUSBが2つ。出した方は偽物の、同じデザインだが中身は空っぽのUSBである】
【ある意味これは眼前の男を試している行動であった。騙してまた高価なものを奪おう――――という意志の下ではなく、単なる悪戯心に近い】
124 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/10(土) 03:30:36.35 ID:u6cpzjZeo
>>123

こんなジョークを知ってるか?…『この世には生きている奴しか居ない』…そういうことさ
……嫌いじゃないって言ってるだろ。俺は、嘘つきが一番好きなんだよ

【俺もそうだから。とは言わず。その後の笑みは相当、皮肉めいたものに受け止められるだろう】

アンタじゃ掴めねえよ、バカヤロウ。命かけたってクズ切れみたいな分しか手に入らないんだよ
金を稼ぐこと以外の余計なことを考えてるのが無駄なんだよ。……全ては運命と意志の結果だ
生き死になんてもん純粋な意志に混ぜ込んでちゃ運命を変えれやしないんだよ。バカヤロウ
…………そういうもんだよ。……戦うしかないんだ

【声を荒げるわけでもなく、だがしっかりと彼は言った。一体、誰に向かっていってるんだ?俺は】
【結局、自分に帰ってきてる。結局、俺は何がしたかったんだ?金はあって、でも失ったものも多い】
【それでもやっていくしかない。立ち止まった瞬間に終わりだということはわかっているから】
【男は煙草を消した。吸うのも忘れて殆どが灰になってしまっていた。勿体無い一本だった】

…ニブい奴だな。強請以外もたまにはみときなよ。交渉ってのはプロデュースが大事なんだから

【ここまでバラしといてバレないのは驚きだった。それほどいつの間にか自分がマニアになっていたというわけか?】
【まあでもどっちだっていい。どうせ、近いうちに知るだろう。それほど自分は大人しいわけでも無名でもないはずだ】

【男はポケットから鍵を取り出してカウンタに置いた。………2つ】
【ニヤリと笑って】

さあ、好きな方持ってけよ…勿論、一つだけだ。なんせ、クルマは1つしかないんだから

【どう見ても全く同じロゴの同じ鍵だが、よく見てみると違う気もしてくる。兎に角、鍵は2つある】
125 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/10(土) 04:03:56.92 ID:7BLne4kxo
>>124

一応ワイも命かけて金稼がせて貰ってます。そんでも死んだら何もかも無しですからね、命がけの中でも自分なりに生きれるように頑張っとるつもりです……。
バランスやで、ホンマ。金だけ稼いでも死んだら無意味や。だからと言って死を恐れすぎるとワイみたいな下衆が金稼ぐなんて無理や。そのギリギリを責めるのがワイや。
ハッ、運命とか意志とか、さっきの夜はなんたらとか……アレですね、ロマンチストですかい? ……ま、アンタは掴めるかも分からんが、どっちにしろワイより早う死ぬで。

【2本目の煙草を灰皿に押し付けながらサミは言う。笑顔の仮面を被せるのは止めたらしく、悪党らしく目付きの悪いアッシュグレーの瞳を向けながら】
【オマエじゃ金を掴めない――――そう言われても、怒りの表情を見せることは無い。ただ少しだけ強く言い切ったのは、少なくともお前は早死にする、との忠告】

【――――キーとUSBを交換して終わりだと思ったが、アッシュグレーの瞳には想定していない光景が広がった。何故、キーが2つあるんだろうか】

……はは、なんで2個持ってるんですかねぇ。好きでもない車のダミーキーとか普通用意しますかい?
偽名も使うしホンマ抜け目ないと言うか……――――ああもう、分かりました分かりました。お互い悪党やろうからお見通しやろなぁ……。
――――こっちも2つあげます。これでええやろ……貰っていきますよ。流石に3つ目用意しとったらお手上げやけどそこまでしとったらドン引きやで……。

じゃ、車貰いますよ……次会うときは本名で呼ばせてもらいます。カノッサの方と知り合いならそんくらい引き出せるかも知れませんし。ってわけでおごりおおきに。
最後に……意味ないかと思いますが言っておきますね。お酒と煙草は程々に……ですよ。

【苦笑いと共に右ポケットに手を突っ込み、同じデザインのUSBがもう一つカウンターに転がった。同時に2つ並んだ車の鍵をポケットに仕舞いこみ男は酒場を出る】
【もしどちらかが本物ならそのまま車を使って立ち去るだろうし――――どっちも偽だったら、持っている小型武器でも使って車をスクラップにでもするだろう】
【車が開いて乗ることが出来たのならば。もしホンモノがあの中に存在していたのならば。サミはシートに座り、こういうだろう】

……シートイマイチやな……。

/こんな時間まで付き合わせて申し訳ありません、お疲れ様でしたー!
126 :リーべ ◆iSvU5VOMV977 [saga]:2015/01/10(土) 20:22:10.50 ID:oHC/NtYDO
【路地裏】

【冷たく暗いこの場所にだって、暖かい場所はある】
【例えばダクトの下。飲食店の近くであれば、柔らかな風と料理の匂いに浸れることだってできる】
【例えば室外機の横。吹き出す空気と音に堪えれば、機械の発する熱で寒さを凌げる】
【そして例えば────】


うーむ、なかなかいないものだな
確かにファラエナの言った通り、蟲はたくさんいるのだが……


【──例えば、ゴミ箱の下。生ゴミが発酵時に出す微妙な熱は、ある種の生き物たちにとっては天国にも等しい】
【がこりと、ゴミ箱を持ち上げて少女は独り言をぽつりと漏らす】
【夜色の長髪に夜色の瞳をした、18歳くらいの少女だった】
【ロングコートを身につけ、布に包まれた刀剣らしきものを背負っているあたり──「いかにも」という格好だ】

【かさささ……と、寝床を奪われた小さな生き物たちが逃げていく】
【「ここにもいないな」……なんて、少女はまた呟いて】
【今度は、近くにあった大型ゴミステーションの下にある隙間を、大真面目な表情で覗き込み始めた】
【──落とし物や、逃げたペットでも探しているのだろうか?】


……どこにいるんだ、No.7


【……どうも、そういうわけではなさそうだ】
127 :リーベ ◆iSvU5VOMV977 [sage]:2015/01/10(土) 20:28:16.80 ID:QqDjIDc00
/何度もごめんなさい。テストです
128 : ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/01/10(土) 21:30:47.68 ID:ebO1BlgpO
>>126
/まだいらっしゃいますでしょうか?
10時過ぎた頃から絡んで頂きたいのですが、如何でしょう
129 :リーべ ◆iSvU5VOMV977 :2015/01/10(土) 21:39:23.98 ID:oHC/NtYDO
>>128
/ぜひお願いします!
130 : ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/01/10(土) 21:41:55.42 ID:ebO1BlgpO
>>129 
/ありがとうございます。
では10時20分頃になると思うのですが、此方から絡みに行かせて貰いますね
131 :リーべ ◆iSvU5VOMV977 :2015/01/10(土) 21:47:09.05 ID:oHC/NtYDO
>>130
/分かりましたー
132 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/10(土) 22:42:27.91 ID:u6cpzjZeo
>>125

……そうかい。…なら、頑張れよ。……俺よりマシに生きろよ

【グラスに残ったビールを飲み干すとそう言って少しだけ笑った。強い意志を感じて嬉しくなる】
【ロマンチストだって、そう言われても仕方ないけど、実際はそうじゃない。”そう”であるだけだ】
【極限までリアリストでなけりゃこのシゴトは出来ない。あるをあるがままに受け取るのがリアルで】
【それをわざわざ言葉や別のものに変換する方が夢想的だ。ジャストファックドゥイット。行動主義だ】

そういうこともあるさ

【失笑する男にニヤリと笑い返す。そして2つのUSBを軽く眺めた後、手に握りこんだ】

おう、本名…分かったなら、俺にも教えてくれ
………ご忠告、どうも。…アンタもな

【見送ることもなく。それだけ言って、また煙草に火をつける。空のグラスにUSBをカランと投げ入れて】

信じろ、さらば開かれん…ってな

【2つのキー。勿論、1つは本物だ。そしてもうひとつは…スペアキーだ。というわけでどちらも本物】
【どちらを突っ込んでもクルマは手に入るというわけだ。男は煙草を一本吸い終えてから席を立った】

【余談だが、そのクルマにはこの男は何の細工もしていない。だが前の持ち主はそういう訳じゃない】
【何せナンバーもそのままだ。乗っていれば珍しい車であるだけに止められることも多いだろう】
【それをすぐに売りに行っても問題だ。それには盗難届けが出されている。普通の中古車屋では通報されかねない】
【非合法な車屋もそんないわくつきのクルマは安く買い叩かれるのが関の山だ……サングラスの男は知らなかったことだが】


/遅くなってすみません。こちらこそお付き合いいただいてありがとうございましたー!
133 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/10(土) 22:49:54.52 ID:cl8ipj9Do
>>126

【携帯電話、というかスマートフォンが栄華を極めるこのご時世にもまだ、公衆電話という物は存在している。】
【もはや何の為に? と、見かける度そう思う人も多いだろうが、置いてあるからには、利用している人間もまだまだ存在し】
【例えば年配の方だとか、年配の方だとか、あとはまあ、そう、お年を召した方なんかが、利用する訳である。つまり、そういう事だ。】

【ただし、今宵の場合は珍しい客が利用しているようで―――大分話が逸れたが、今夜の話題はここから始る。】
【電話ボックスの中に居るのは年配という言葉からは程遠い、17、8歳といった所の外見をしている独りの少女であった。】
【このクソ寒い時期だというのに若い女性特有の短いスカートから健康的な足を程ほどに覗かせ、少女は気だるげに電話を続ける。】


 『―――そう。ポイントVT-I/565よ。ええ、完璧に始末したわ。積んである衣類の下に隠したから、直ぐ分る筈。』
 
 『……この格好のままホトケをぶら下げて原付で基地まで帰るのは無理でしょ、ヘリで回収部隊を寄越しなさいよ。』

 『違う違う、今日は私服よ。制服じゃない。ていうか、学生服で死体袋引き摺ってバイクはそれこそ余計に怪しいし―――』
 
 『……もう、どうでもイイからとっとと回収してね。……クスリ? ……アンタが煩いから最近は控えてるわよ。ええ、そうするわ。』

 『……また説教? あのときの事なら……覚えてないのよ、本当に。仕方がないでしょ? ただ相手は女だったわ、ソレだけは確か。』

 『どんなヤツかって―――だから、そうねえ、ちょうど今見えてるあそこでゴミ箱漁ってる変な女が良く似てるけd……………………。』

 『……あ、ううん。なんでもない。もう切るわ、じゃあね。あとは報告書でも読んで? ばいばい。』

【スカートの上は暖色系のシャツに落ち着いた色合いのジャケット、そして首元には白黒チェックのマフラーを巻いて】
【上と下で随分防寒に差がある格好をした其の少女は、気に入らない相手との電話を一方的に切り上げると、公衆電話の中から】
【ガラス越しに見える路地裏の変な少女―――いや、正確に言えば"朧気だがなんとなく見覚えがある"少女を、驚いた表情で凝視した。】

【こんな時間に公衆電話で怪しい内容の会話をする少女に、ゴミ漁りの変な少女。】
【お互い変わり者に違いはなかったが、それ以上にこの二人には深い―――とまでは行かないものの】
【そこそこの"因縁"が存在している。勿論、それはまだ確信と言える程の物ではないし、困惑しているのも確かだったが。】


 (……見覚えがある。クスリのせいで記憶はぶつぎりだけど……確かに、あんな感じの女だった。)
 (それに最近、"No.7を探しています"とかいう文章と一緒に、ふざけた絵がはっつけてあるバカみたいな張り紙を見た。)
 (それもあちこちで。うざったい。と言う事は、例の"女"は私を探している……そして、今、私の目の前にいるあの女も、―――……。)
 (……なんであんな所探してるかは分らないけど、"何か"を探してる様子……ソーンには黙っておくけど。ちょっと調べてみるか。)

 ……幸い。あの時は顔にバイザーを着けてたし。それに格好は学生服だった。今は私服……
 ……可能なら。今此処で……。

【少女は電話ボックスから出て、外気の中に身を繰り出す。寒い夜風が、彼女の薄い茶髪のセミ・ロングヘアを揺らした。】
【そのまま少女は歩を進めると、路地裏へと立ち入っていき―――"あの時"とは少し違う、低く唸る様な声ではなくて】
【歳相応の明るめな声で"彼女"に話しかけるだろう。丁度後ろから、興味を持った通りすがりを演じる様に―――。】


 ……ねぇ。そんなとこで、なにしてるの?
 あ、もしかして落し物? それなら私、さっきこの辺で"帽子"を拾ったんだけど―――
 貴女が探してるのって、このニット帽?


【そう言いながら、本来は自分の持ち物である帽子をわざとらしく"拾い物"と称して】
【本当に偶然話しかけただけ、と言った体で彼女に語りかけるだろう。これ、"貴女のモノ?"、と。】

/遅くなってごめんなさい。
ID変りますが同じ中身です。お待たせしてすみません。
134 :リーべ [saga]:2015/01/10(土) 23:10:22.09 ID:oHC/NtYDO
>>133

【──ゴミステーションの下を、覗きこむ】
【もちろんそこにあるのは、朽ちかけたゴミ、ゴミ、ゴミ】
【なんだか奥に硬貨があるような気もするが、どうせ缶のフタだろう】

【──もちろん、ゴミ箱の奥に手を伸ばしたりはしない】
【彼女が探しているのはソレではなく……】
【「ねぇ」と、話しかけられれば、硬貨のことなんてすっかり忘れ、声の主に視線を向ける】


────そうだ!探しもの……いや、 捜 し 人 だ !

すまないな!せっかく拾ってくれた帽子だが、それは私の帽子じゃない!
きっとどこかの誰かの帽子が風に煽られて落ちてしまったんだ!
こんな寒い中ニット帽を落とすなんて、きっと困ってるに違いない!
お前がよかったらその帽子の持ち主、私も探すの手伝うぞ!


【ふふん、だなんて笑いながら、夜色の少女はそう言った】
【語る内容は帽子についてなのだが──】
【その前に、とても、とてつもなくおかしなことを、口走っていたような気がする】
【……ゴミ箱下を覗いているのに、人を探しているとか、なんとか】


あぁ、そうそう!
お前も見かけなかったか?カノッサ機関のNo.7!
とりあえず会う奴会う奴に聞いているんだが、なかなか見つからなくてな!!
蟲使いで、超強いんだ!多分学生だな!

────……ちなみにこんな顔だ!


【ばーん!と少女の懐から出されたのは、一枚の紙】
【「No.7」という文字の横に、幼稚園児が書いたような、イラストひとつ】
【髪はぐしゃぐしゃ出鱈目に描かれ、口はぐいっとにこにこ笑顔】
【その隣には、やっぱり幼稚園児が書いたような、金髪ぐるぐるで目元にぐりぐり線が引かれた絵(?)】
【……それを描いたであろう本人も、なんだかドヤ顔で満足げだ】

/よろしくお願いします!
135 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/10(土) 23:40:32.88 ID:cl8ipj9Do
>>134

【あまり考えたくは無かったが、矢張り"そういう事"だったか。】
【出来れば違っていて欲しかったと言うか―――いや、探す手間が省けて感謝したいくらいだが】
【それにしても、"彼女"があのときの"彼女"で、ついでに言えば最近自分を探してる"彼女"でもあると、あまり思いたくはなかった。】

 (……ビンゴ。すっごい偶然。これってもしかして運命? キミとボクは結ばれるべきだよ―――なんて。)
 (これが映画で、わたしが男ならナンパでもしてそのままベッドで油断した所をズドン、と行けたんだけれど……。)
 (どうにもそうはいかないみたいだし、そもそもコイツ……いや、まさか本当にコイツだとは……、考えたくはないわね、ぶっちゃけ……)

【ぶっちゃけて言えば―――自分を"あそこ"まで追い込んだ、能力者として強力な力を持つあの相手が】
【こんなところで大真面目に人探しをして未就学児レベルのお絵かきでWANTEDごっこをしている女だとは】
【想像したくもないし考えたくも無かった。一度は自分を相当追い詰めた強敵の、普段の姿がまさかこれとは。】

 (……そんなとこに居る筈もないのに。向かいのホーム、路地裏の窓、……いかん。山崎まさゆきが浮かんでしまった。)
 (秒速5センチメートル、なかなか面白かったわね……じゃなくて、なんなのコイツ。マジでこんな所探してたワケ……!?)
 (どういう神経してるんだか……あの張り紙の原因もこのバカか。忌々しい……こんなふざけた女に私は、あそこまで……!)

 ……あ、あははは。探し……人? あ、人探しね、うん。なんとな〜く、事情は分かったわ。
 ただ私が思うに、あーっと、えーと……なんていうのかしら。多分、ゴミ箱の下に人は……うん、居ないと思うの。
 貴女の絵、ちょっと個性的だから、悪い意味じゃないんだけど、その、前衛的で誰を探してるのか伝わらないけど……

 にしても、にしてもだよ、その探し方と、其の絵じゃ、多分あと百年経っても見つからないと思うわ……。
 どんな相手を探してるのかは別として、人探しなら自分の脚でやるより探偵でも雇った方がまだ、マシだと思うわ。
 それとも、貴女人探しに自身ネキ? そんなに自身あるわけ? ないわよね? こんなとこで這い蹲ってるんじゃ、自信ないでしょ。

 ……大体見つかるわけないでしょ。カノッサのナンバーズがゴミ箱の下に隠れるか。
 隠れるわけあるか! 常識ってもんがないのかお前には!! せめて警察か役所にでも駆け込みなさいよ!!
 あのねえ!? いい!? いくら蟲使いだからって、この真冬にダクトの下で暖とろうとする程、貧乏でも寂しくもないわよ!!

 基地に帰れば暖房が熱いくらいゴーゴー効いた部屋で、PCでも弄りながら、
 ヘンテコな張り紙してわけのわからない捜査網を勝手に引いてるアンタをせせら笑ってるに決まってるわ!
 アンタこのままじゃ一生わた……No,7とやらを探し続ける羽目になるわよ!? そんな負け犬人生でいいの!?意味分ってる!?

 だいたいね、一ヶ月も二ヶ月も前から張り紙してるみたいだけど、見つからないんだから方法変えなさいよ!!!
 凝りもせずヘッタクソな絵を彼方此方見境なくペッタペタ貼り付けては剥がされて貼り付けては剥がされて!!
 新手の宗教かって話題になってたわよ!?あんた教祖かなにか!?
  "グロ画像寸前の作画崩壊した絵を所構わず張っ付ける教"の教祖かなにか!?

 そんなわけのわからんネットの一部で話題になってTwitte○で晒し者にされてるへんてこ女の喧騒の渦中にいる身にもなtt……

【―――最初の方は丁寧だったんだよ。結構、これでも我慢した方だと思う。でも、色々ぶちまけた。】
【当然自分が誰であるか、という一番重要な点までは語らないものの、堪えていた思いがクチから出て来る出て来る。】
【ほぼ罵倒と化したソレの中にちょくちょく自分の正体を漏らしそうになりながらも、寸でのところで堪えて彼女は―――ぜぇ、と息を吐いた】

 ……もういい。とにかくねぇ、わかる!? ……そんな探し方じゃ見つかるわけもなし。
 それに、私だってそんな女のことなんて知らないわよ、カノッサとかどうでもいいし。
 ただ……あんた、しっかりしなさいよ。あんたがふざけてると、こっちが―――ああん、もう!!
 と、とにかく!! ……協力は出来ないけど、アンタに少し興味は沸いたわ。

 ……そもそもアンタ、なんでそいつ探してんのよ。親でも殺されたの? そのカノッサのナンバーズ、とやらにさ。

【半ば誤魔化すように、彼女は話題を逸らす、だろう。】
136 :リーべ [saga]:2015/01/10(土) 23:59:51.17 ID:oHC/NtYDO
>>135

【──ぜぇ、ぜぇと息を吐き、話題を逸らしかけた相手】
【そんな彼女に、夜色の少女は更なる追撃を繰り出した!】


   ──だって、蟲はゴミ箱の下にいるって、聞いたぞ?


【言うに事欠いて、この一言である。よりにもよってこの言葉である】
【失礼にも程がある。探しておきながらその対象を蟲扱いだ】
【ゴミ箱の下を覗いていたのも納得だ。多分蟲を探すノリでこいつNo.7捜ししてやがる】
【蟲使い=蟲と仲良し=蟲がいるところにいそう】
【なんて脳内変換だ。……なんてやつだ!】
【しかも相手の渾身の台詞の波をこの一行で済ませる始末。鬼畜にも程がある】
【その上表情は若干きょとんとしてからの、にこにこ笑顔。もう最悪だ。己のバカを自覚なんてしちゃあいない】


……っていうかなんだ、ネットに載ったのか!?
ふふん、私の画力も大したものだな!うん!!
これでNo.7捜しが一歩前進したぞ!ありがとう!!


ん?No.7を探す理由?決まっているだろうあいつは学生だぞ!
カノッサで人殺しとかするより、学校行って、友達と放課後ケーキ食べたりしてる方がいいだろう!
機関にいるのだって、絶対理由があるだろうからな!
まずは私は、その理由を聞いてあいつの問題を解決してやりたい!
何か不幸な原因があるに違いないからな!


【……蟲呼ばわりした相手でも、それを探す理由は至極まっとうなものだった】
【簡潔に言えば、「更正させたい」──それだけ】
【10年前に親を殺されたわけでもない】
【5年前に親友を人質にとられたわけでもない】
【……自分が狙われているわけでもない】
【そこにあるのは──ただの、愚かしいまでの、善意】
137 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/11(日) 00:26:02.39 ID:Mx0218PIo
>>136

【今何の話してたっけ。ああ、そうか。こいつが私のことを探してて、ゴミ箱漁ってて、キレて……。】
【で、なんだっけ? もういい。どうでもいい。すっげえいい笑顔じゃん。青春じゃん。きっと青春が聞こえる。】
【其の瞬間に聞こえる。笑顔なら、何時の日も大丈夫。きっと青春が聞こえる……μ’sの事はどうでもよくって。】

【とにかく、底抜けのお馬鹿だと言う事は覚悟しなければならない様だった。】
【自分を追い込んだあの女は間違いなくこの少女で、そして残念な事にこの様だったのだ。】
【まあ、性格や脳みその出来不出来はともあれ、こうなってしまった以上は仕方がない。梨花は彼女を睨みつけた。】

 ……蟲は、ね。蟲は確かにそうでしょうよ、そりゃゴミ箱の下にはいるでしょうよ。
 けど、じゃあ―――木の上は? 土の中は? 廃工場とか、それこそアパートの階段なんかもそう。
 蟲はね、"何処にでも"存在するものなの。この地球上で最も多彩で、多数で、そして人間に身近な生き物なのよ。

 だから蟲使いを探すときに、蟲を探したって無駄ってものよ。
 それこそ地球上隈なく探す羽目になるわ、効率が悪すぎるし、見つかるとも限らない。
 ……その蟲使い、学生だったんでしょ? なら制服の形状は? 色は? 学校の炙り出しが最優先でしょうに。
 
 その学校に乗り込んで、生徒を一人一人探す方がよほど効果的よ。
 まあ、実際制服を細かく覚えてないと無理な話だけど―――それでも、蟲を探すよりは
 幾らか楽になるはず。これからは学校を中心に聞き込みをすることね、ぶっちゃけこんなとこに居る筈ないわ。

 ……あと。ネットに載ったところで、この画像じゃいくらなんでも捜査には結びつかないわ。
 本気で探してるなら、……そうね、もっと情報が集まりそうなところに乗り込む事。それがベストじゃないかしら。
 例えば今で言うなら―――……自警団。あとは、さっきも言ったけど私立探偵。それに……ああ、そういえばUTもそうね。

 あそこは確か、正義の味方は片手間で、本業がペット探しだって聞いたから、今度訪ねてみるといいわ。
 少なくとも、こんな所でゴミに手突っ込むより楽チンで綺麗なはずよ。……大体、汚いでしょうに。はい、ほらハンカチ。

【こんな路地裏で這い蹲っていたら汚れるに違いない。梨花はそう思ったのだろう、ぶっきらぼうにハンカチを投げつけて】
【そしてため息混じりにリーベの言葉を聴いた。助ける理由についてもそう、まさか本気で―――善意から、探しているのか。】

 (……バカだバカだと思ってたけれど。まさか本当に、善意の塊で私を探しているとは……。)
 (どこまで御人好しのアホなの、コイツ……!? 自分がアホだって、気付いてないのかしら……ただ。)
 (……ま、肝心な部分については分ってるみたいじゃない。"不幸な原因"っていう表現には、イラッとくるけど、ね。)

 ……学校で友達と遊んで帰りにケーキ、ね。
 
【梨花はどこかつまらなそうに視線を伏せると、壁に寄りかかりながらぽつり、と呟き始める。】

 ……そういうの、うざったいわよ。
 別に幸せでもなんでもない。友達とか。甘いものとか。勉強とか。遊びとか。
 ぜーん、ぜん。幸せに感じないわね―――全部やったことあるけど、まったく。これっぽっちも。

 ……私は幸せだとは思わない。なんでかはよく、わからないけど。
 言葉にするのは難しいけれど。ただ―――それが一番の幸せだ、とは、思えない。

 アンタは"其の方がいいだろう"って、勝手にそう思ってるかもしれないけど
 案外その……"蟲使いさん"の方は、ありがた迷惑に思ってるかもしれないわよ。
 どういう理由があれど、カノッサで悪事働いてるような若造でしょう? 未来は無いに等しいわ。
 むしろカノッサに居る事で―――……カノッサこそが、居場所だったら。奪ってしまうのは、それこそ……

 ……それこそ、不幸。そうは、思わない?

【テンションの差に耳がキーンとなりそうだが。少女は静かに、リーベに向かってそういった。】
138 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山口県) :2015/01/11(日) 00:51:47.93 ID:JvFtoahI0
【ざくり】【この街――――世界中において極自然的な頻度で人間から発生する怪音】
【普段何気なく聞いているような気がするのに、いざ目の前でそれを聞けば背筋にピタリと冷や水が刺さる様な】
【明らかに人体から発せられる。人体が自力で発生させることが可能な音では無い。それは意図的に、明確に行われた=z
【彼≠フ足元に転がる二つの蛋白質が――――その何よりの証拠である。】

【彼≠フ容姿は極々簡素な和の装いであり、夜に映えない藍の色。黄色人種に似たまだ若い肌と黒髪、加えて明らかに不自然である赤色の瞳が輝いている。】
【年齢は外見からして十代前半。あどけの無い顔は未だ子供特有の幼さを残しつつ、玉石の様に嵌った双眸は他者を探るような不快なモノ】
【彼だけを見れば反抗期≠ニ呼んでしまえる程度の可愛い外見だが、彼の足元に存在する二つの塊が其れを赦さない。】

【二つの肉片&エれもなく人間の物で、生臭くも香しい濃密な血臭と肉の硬直度合いから考えても―――真っ黒】
【右手に携えた血の滴る刀が凄惨な現場の犯人を紛れの無い、言い逃れの仕様が無いほどに物語って≠「た。】

「―――――――この世界の誰にも、僕を握る資格なんてないんだ」

「欲に塗れた汚い手で、僕に触れるなよ」

【何の変哲もない路地の裏、血溜まりだけが香ばしく=z
139 :リーべ [saga]:2015/01/11(日) 00:53:19.50 ID:hkP9NdODO
>>137


……お前、頭いいな!!


【にこにこ笑顔から今度は一転。口を逆三角にし、はっとした表情になる少女】
【むしろどうして今まで気付いていなかったんだろう。特に、制服の件とか】
【それに、SCARLETメンバーの1人には相談したものの、自警団やらUTには行っていない】
【「盲点だった……」なんて、わりと真剣な表情で呟いたりもしている】

【だがハンカチを投げられれば、またぱっと笑顔になって受け取り】
【「ありがとう!」なんて元気に礼を言って、少し汚れが気になっていた場所を擦るのだ】
【そして──相手から、静かに言葉をかけられれば】
【夜色の彼女は、それを静かに、静かに聞いて……】

……私は、そうは思わないな!
カノッサを居場所だって思っているんなら、きっとそれは「勘違い」だ!

──例えば。No.7が親を殺された後、手を差しのべてきたやつがカノッサ機関員だった、としよう
それに恩を感じ、機関のために働くのは立派な「勘違い」だ

──例えば。No.7の親友がカノッサ機関員で、No.7の目の前で死んだとしよう
それに罪悪感を覚え、親友のいたカノッサで働くのは「勘違い」だ!

──例えば。No.7の恋人がカノッサ機関だったとしよう
恋慕を抱きカノッサ機関で働くのも、「勘違い」だ!!

本当に恩人が、親友が、恋人がNo.7のためを思っているんなら……カノッサ機関とは、関わらせない
人を殺したり、実験台にしたり、小さい子の五感を奪うようなところには関わらせない!!


……未来はない、だって?
ある!絶対に……未来はある!なくったって、私が作らせてみせる!

不幸なのは……カノッサが居場所だと「勘違い」していることだと私は思う


【──夜色は、真っ向から、少女の言葉を否定した】


……お前が、私が言ったようなことに幸せを感じないのは分かった
でも、それは仕方ないことだ
私にはお酒やタバコを好む人間の気持ちがわからないし、車に金をかける良さもよくわからない
きっと、それと同じことなんだろう

……だけど、人を殺したり、罪になることをするのは、間違っているんだ。悪いこと、なんだ
──せっかく、歳が近いんだ。
そんな女の子が悪いことをしていて、それを止めたいと思う
それは決して……いけないことじゃないと思うんだ

……ふふん。ケーキが嫌いなら、饅頭を試してみる
ドレスが嫌いなら、泥遊びを試してみる
たった、それだけのことじゃあないか!


【──この少女はきっと、ずっとこうやって生きてきたのだ】
【悪事を働く人間に理解を示し、その上で「表側の世界」に引き戻すような】
【そんな行いを、ずっと、ずっと────】
140 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/11(日) 01:23:11.33 ID:Mx0218PIo
>>139

【違う違う。梨花の頭は決して良くない。ただ、それ以上にリーベちゃんがry】
【これ以上は流石に悲しくなるのでやめよう、リーベを貶めれば貶める程、梨花が悲しくなるのだから。】
【本当にどうして、こんな能天気な女に自分はあそこまでやられたのか……戦闘中は勘が良くなるのだろうか。分らない。】

 ……でっしょー。これでも学年主席なのよー。(棒読み)
 飛び級で大学院生やってくらいの超がつく天才なんだから、アドバイス貰えた事に感謝なさいな。
 ……ま、元気で単純なのは良いことだとおもうけど、ね。私もちょっとは見習いたいもんだわ、アンタのその能天気さとか。

【しかし―――"勘違い"、か。そういう風に、考えた事は余りなかった気がする。】
【いや、そもそも省みる事自体が……ずっと、ただずっと、リーベとは対照的に、梨花はずっと、】
【ひたすらに従事してきたのだ。殺して、殺して、探して、探して。……探す所だけは、唯一共通しているが。】


 (……他に、方法なんて無いんだから。仕方が無いじゃない。)


【確かに、リーベの言う事は正しい。どんな理由があれど、カノッサと関わる事に正解は、ないのだから。】
【もっと別の道を探すべきだし、それを出来る環境に居なかったのだとしたら、それは確かに勘違いであって】
【そして勘違いしたままの彼とか、彼女とかっていうのは、きっと『不幸』なのだろう、この上なく―――不幸だ。】

 (……ほかに、方法なんて知らないんだから。仕方が無いじゃない。)

【ギリ。少しずつ、右手に力が入っていくのを感じる。拳を握り締める。振りかざしてやろうか。】
【どこまでもどこまでも、正論しか吐かないこの間抜けな少女の横面を、殴り飛ばせたらさぞ気持ちが良いだろう。】
【―――だが、それだけだ。真っ向から説得を試みる人間の存在に対し、無力である事を証明するのが暴力による反撃なのだから。】

【―――なにも、言い返すことは出来ない。梨花はただ、小さく呟いた。】


 ……そう。アンタの言い分はわかったわ。
 けどね、残念だけど……本当に、未来なんてないのよ。
 一度暗い世界に足を踏み入れたらそれが最後、もう抜け出す事は出来ない。

 知ってる?
 麻薬はね、物によっては一度吸えば最後、
 一生涯その後遺症に苦しみ続けるようになる程強力な物もあるの。

 知ってる?
 人を殺す感覚はね、忘れる事の出来ないほど強烈で不快な物、らしいわ。
 どんな正当な理由をつけようと、頭の中で納得がいこうと、人としての心がそれをずっと拒否し続けるんだって。

 知ってる?
 人を殺す為に魂を悪魔に売ってしまうほど、度し難い怒りの感情を人間が持てる、って事。
 "復讐"だなんて陳腐な言葉で片付くほど、分りやすい物じゃない……恐怖と憎悪の入り混じった何かに、
 身体も、心も、……未来も、運命も、全部を支配される感覚は、言葉に出来ないほど辛くって、永遠に終わらないそうよ。


 ……知ってる?
 一番身近な人を目の前で奪われると
 そのときの光景を毎晩毎晩毎晩毎晩毎晩毎晩毎晩、夢で見続けるそうよ。


 ―――呪いなら、まだいい。
 それを解く方法がきっと、どこかにはあるからね。
 けど、アンタが救おうとしてるその娘にはもう、アンタじゃ何も出来ないわ。

 ……呪いじゃない。悪事に手を染めるって事は……その時点で、"明日"を捨てる、って事なのよ。

 ……つまり。もう死んでるも同然、ってこと。饅頭だろうがステーキだろうが、野球観戦だろうがなんだっていい。

 ……死んだ人間には、そういう生きてる人間の世界の常識は―――……光は、届かないんだから。


【―――まるで、そんな誰かを見て来たかの様に。一番身近に、見て来たかの様に。少女はそう、呟いた。】 
141 :リーべ [saga]:2015/01/11(日) 01:57:10.25 ID:hkP9NdODO
>>140


……届かせて、みせる。そのための、力なんだから


【夜色は、はっきりとそう言った──目の前の少女に、届くように】


後遺症に苦しめられても、不快な感情に襲われても
怒りに呑まれても、夢の中でうなされたとしても……!
──それは!明日悪いことをする理由には!ならないんだ……ッ!


私じゃなにも出来ない?……言ってくれるな!!
死んだ人間だって?違う……違う!!
だってあいつは生きている!
痛みを感じないかもしれない!体を蝕まれているかもしれない!
でも──生きて、いるんだ……!

私はな!目の前でゆっくり死のうとしているやつをそのままにしておく程甘くはないぞ!
お前が言うようなやつがいるんなら、遣れることをやって、やって、やって、やって……!
それでもダメなようなら、私の手で「救って」やる──!!


【──「救う」】
【彼女は、そう断言した。だが……「救う」、とは】
【手を尽くし、策を巡らし──それでも救済が、不可能な、場合、は……?】


   【────「今はまだ、刃を抜くときじゃ、ない」】


【あの時、彼女はそう言っていた。なら、彼女が「刃を抜くとき」という、のは……】
【──「そういう」こと、なのか】

/ひぎいいい遅くなってごめんなさい!
/それと、そろそろ終わりそうな感じもしますが、眠気がきてしまい……
/〆か続けるかは、そちらにおまかせします。ごめんなさい
142 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/11(日) 02:14:48.55 ID:Mx0218PIo
>>141

【―――崇高な事だと思う。人を救おうとする気持ちも。それで行動を起こすことも。】
【気高く、そして美しい、人が持ちえる魂の輝きが、最大に発揮される瞬間こそが、きっとそれだ。】
【勇気が無ければ出来ない。暗い闇を見据え、血濡れの世界に足を踏み入れる覚悟がなければ、人は救えぬ。】

【そして―――その結果が、"刃"を抜く事になるのなら。】
【それもまた、ひとつの救済と言えよう。そういう覚悟すらも、正義には求められる。】
【誰かが引き金を引かねば。なら、私が。そういう人材こそが―――英雄への素質を持った、人物なのだ。】


 ……そうね。全てが言い訳。悪事を働く時点で、理由は存在し得ない。
 よく言うでしょ? 理由悪、だとか。純粋悪、だとか。小賢しい、それこそ"聖者の理屈"よね。
 悪を行使するに足りる理由なんて……そんなもの、世界中探したってどこにもあるはず、ないんだもの。

 よくわかってるわ、私だって……止めなくちゃいけないと、考える貴女の様な存在が必要な事も、よく……よく、わかる。


【寄りかかっていた姿勢から、梨花は身体を起こして、ぼんやりと浮かんだ月を見つめる。】


 ―――そうね。それが救う事なのかもしれない。道を示すよりも、むしろ―――……、


 ……ただ、覚悟しておいた方がいいわ。奪うと言う事は……とてもとても、辛いものよ。
 自分で言ってた通り、人の命を奪うのに足る理由なんて―――そんなもの、どこにもないのだから。

【目を閉じる。残念だがまだ死ねない。やるべき事をやる、その瞬間までは。】

 ……けど。なんだかほんの少しだけ―――ホッとしたわ。
 アンタみたいな底抜けの善人も、居るんだって事がわかって……すこしだけ、ね。
 人探し、だっけ? ……実は私、学生なのよね。大学生だけど。自分の分る範囲で、捜査に協力してあげるわ。

 ―――梨花。霧野梨花よ。それが私の名前。アンタは? なんて呼べばいいのかしら、妖怪"ペタペタ張り紙"さん?

【―――よくわからないが、少し。少しだけ晴れた表情で、目の前の少女は自らの名を名乗り、そして協力を申し出た。】
【あれだけ言葉を否定し、あれだけリーベをバカにしていたのに……だ。呆れたのか、それとも純粋に情が沸いたのか。】
【ともあれ、それだけ名乗り、名前を聞き届けたのなら梨花は路地裏から出て、帰路へと点く事だろう。】

【―――ハンカチは次ぎ会う時までに、洗っておいてね、なんて言葉を残して―――。】

/こっちのほうが遅かったので、謝らないで下さい・・・orz
当方も眠気がきついのでこちらで〆とさせていただきます、
リーベさんは名乗ったと言う事にしていただいてもいいですし、返していただいても結構ですよー!
ひとまずお疲れ様でした!
143 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/11(日) 02:25:16.67 ID:BqJ/1Lryo
>>112

僕は苦手、ですけど……大祖母様は徒手での戦い、すっごく得意なんです。
見ててもすごいし、『水の国の大会で勝ったこともあるんだ』……って。
……妖術、知ってるんですか?それだと、見劣りしちゃうかもしれないですけど…――

【そう言って術を行使する。結果は知っての通りであって、火の灯りもやがて消え】
【青年の感嘆の声と、それから賞賛とを受けると、嬉しそうににっこりと笑ってみせる】

【――そこから、更に一拍。ひゅう、と冷たい風が周囲に流れ】
【少年はふと自らの右手を上げてみせる。其処には肌色の肌があるはず、だが】
【透明≠ネのだった。その手首から先は、空間と溶け合ったように透き通って、見えず】

これが、僕の特別な力です。『同化』って呼んでるんですけど……
風とか、火とか、自分が使える物と一体化出来るんです。

この手は今風と同化していて……風って、目に見えないじゃないですか
それに実態もない。全身を風と同化させれば、気配も無く姿を消せるんです
……その状態から出来ることは限られていますけど、便利かなって。
144 :リーべ [saga]:2015/01/11(日) 13:45:06.69 ID:hkP9NdODO
>>142

【「覚悟しておいた方がいい」──その言葉に、彼女は何も答えなかった】
【頷くことも、声をあげることも……何も】
【ただ何かを──過ぎた日々を思い出しているかのような、そんな目を、していた】


……梨花。霧野、梨花、か──ふふん、いい名前だな
私はリーべ。リーべ・エスパス
あのな、「愛」って意味なんだ。お父さんが、つけてくれた名前
ふふん、どうだいい名前だろう?私はこの名前、大好きなんだ!


【協力を申し出られれば、夜色──リーべは少し意外そうな表情を見せた】
【無理もない。先ほどまであんなに言葉も態度も全否定されていたのだ】
【だがその表情も、すぐに楽しげな笑みへと変わる】

【「佳乃と、似てる」──以前会った学生の姿をふと思い浮かべながら、リーべは自らの名を告げた】
【そしてなんとなく……なんとなく、自分の名前の意味を、梨花に教えてみた】
【「あの時」も彼女は……お父さんお母さんと、何かにつけて言っていたような気がする】
【きっと彼女は両親を愛しているし、両親もまた、彼女を愛している】
【──そんなことが伺える、小さなエピソードだった】

【「梨花──ありがとう!」】
【路地裏から消える彼女に対し、最後にそう、リーべは告げて】


……人を殺せば、忘れられない、か
そうだな──うん。私も、そう、思う
でも────


   【 「────誰かが、やらないといけないんだから」 】


【最後に紡がれた言葉は、風の中に消えていった】

/遅くなりましたが、お疲れ様でした!ありがとうございましたー!
145 :リーべ ◆my2He3rcPs [sage]:2015/01/11(日) 13:46:15.74 ID:hkP9NdODO
/一応トリップテストです
146 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/11(日) 20:17:44.98 ID:rp97QuGGo
>>143

(水の大会……っつーと歴戦の猛者揃い、そんな人の血縁とあらば……)
(今は苦手だとしても将来的には果たしてどうなるか……―――――――)

【かの大会と云えば集う戦士は比類なき者達だと聞いている、更にその戦いの勝者となれば】
【少年の大祖母は万夫不当に間違い無くならばその血縁の彼ならば「可能性」の1つや2つは眠っていそうだ】
【浮かべる賞賛の笑みはやがて好奇心と、静かな高翌揚を含ませて……】

―――――――属性同化、と言えばいいのか心底驚きだ……
その能力1つさえあればギルドに引っ張りだこだぜ、潜入やら隠密の類……それこそ闇討ちだって可能だ

【刺すように冷たい風が一陣舞えばそれが彼の異能の始まりの合図】
【姿を無くした少年の手は今や風と1つとなっている、不可視の手】
【それだけあれば様々な事が成せると青年は興奮気味に話す、だけど……】

……ああ、いや悪い……珍しい能力だったんでついつい興奮しちまった

【果たしてこの純朴そうな少年が陰の仕事などに良い顔をするか】
【褒められただ嬉しそうに笑みを浮かべる彼に、一体何の権利があって彼の笑顔をくすませられようか】
147 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/01/11(日) 21:07:30.30 ID:1dTZLM9to
【公園】
【だいぶ雪の降り積もったこの場所は、子供たちにとっては格好の遊び場所……になるはずだった】

「ヘケヒャハーッ!!」

【ガタイが非常に良く、筋肉モリモリな20代前後に見える男性で、2本のアホ毛を持つ深緑色の髪で、それは天へ向けて逆立っており】
【身長約175+髪15cm、青紫色の左目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は狂気を感じる赤色をした右目に】
【黒色に桃色の模様を持つ帽子付きウィンドブレーカー、その中に青のタンクトップ、紺色のジーパンの様なジャージ、黒基調の運動靴】

【――そんな人物が、公園を占拠していたのだ】
【雪合戦とは一体何だったのだろうか、殺人級の豪速雪球が公園に訪れた者達を無差別的に襲いかかる地獄絵図】
【流石に死亡者は居ないが、気絶者はそれなりに出ている――まあ、とりあえずヤバイ、軽々しく入ることが出来ない】

『すみませんね……はい、気が済めば終わりますから……』

【気絶者の手当てをしているのは、20代前後に見える女性で身長約155cm、黒い短髪で、白いローブに身を包み、木製に見える杖を右手に持っていて】
【桃色の右目と、白目が漆黒の空洞に見えて瞳や虹彩は清々しさを感じる空色をした左目で、桃色のシャツとジーパンに青いブーツ】
【杖から出る魔翌力によって、雪球によるダメージを回復しているようだ】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/11(日) 22:48:47.06 ID:0PlZ3XtSo
【路地裏】

【薄暗い路地に、ペンライトの光が走る。そして人の話し声、それは一人分だから】
【電話だととわかる。年齢を感じるしわがれた男の声だ】

そうそう…いいから所轄呼んで…いや、別に自警団でも何でもいいけど。…いや、その方がいい
殺しぐらいでって……まあ、ここいらじゃそうかもしれないけど。今回は話が違うんだよ…
ガイシャは能力者だが…今回はワケが違う…いーから、捜査官まわして…ね

【路地裏は血にまみれていた。あたりに飛び散って真っ赤に壁を染め上げていた】
【そして数えきれないぐらいの銃弾痕。コンクリートをボロボロにして、薬莢が山のように散らばっている】
【そして折れた直剣とボロボロに撃ちぬかれた死体。その側で手帳にメモをする男が1人】
【背の低い白髪交じりで藪睨みの男。寄れたスーツに古いコートを羽織っている】

はぁーやれやれ…俺の本チャンの仕事じゃないんだから余計なことやらせるんじゃないよ
お陰で仕事が進まないし、休みも無いんだから…はぁーあ

【そう言って男は革の手袋をはめて死体に近づく。ライトをかざしながら血に沈んだポケットの中を漁る】
【傍から居れば死体漁りの浮浪者にも見えなくはない。彼は血染めの財布に手をかけた】
149 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/11(日) 23:52:27.61 ID:5OZZ6fLK0
【街中――人気のない神社の境内】
【しんと静まり返った空気は張り詰めた糸のよう、誰かの吐息ですら、か細く震えるようで】
【そんな中にかろりとひとつ下駄めいた足音が響くなら、――或いは神聖めいた空気が、ほろりと崩れるよう】

……――わあ、お星様、綺麗……。
――あれがオリオン座、あっちが、……おうし座? ……あれ、なんだろ――。

…………もうちょっとちゃんと聞けば良かったかな、――ううん、あれは、もうちょっと前かぁ……。

カニバディールがお星様に詳しいなんて、ちょっと、意外だったの――ね。

【そういえば初詣もしていなかったと時間外れに出向いてきた人物は、お参りを済ませた後、ふと空へ視線をやり】
【そこで満点に輝くお星様の集まる姿を見つける、――境内の中は、明かりも少ないため、非常に空が綺麗に見え】
【それから、ずり落ちてくる袖を片手で押さえながら。ついついと指先で線を引っ張るように、星座をなぞり】
【オリオン座は正しいのだけど、おうし座は全く素っ頓狂なものを差している。つまり、星座など分かっていないのが見え見えで】
【誰かにちょっぴり聞いたようなのだが――時期でも違ったのだろう、ひとりでに、彼女は、ちいさく苦笑などして】

【腰まで届く真っ黒の髪。少し長めの前髪を三つ編みめいて編み上げて、後ろの髪も、少し手を加えたもの】
【蛇の目とどこか似た丸い釣り目の眼は黒赤のオッドアイ、夜に透き通るように白い頬は、寒さに少し赤らんで】
【落ち着いた色味の赤と、そこから少し暗い赤で描いたストライプの柄、裾に少しだけの花柄をあしらう、着物の格好】
【締めた帯には猫のシルエット。腰まである灰色のケープが、ひらひらと夜風に揺れて、時折猫の顔を見せ】
【首にはふわふわのマフラー、手元は布の手袋、足元はころりと音の通りに下駄、小さな石粒に、ぎゃりと音が鳴いて】

…………――。

【真っ黒の空を見上げていると、どっちが上なのだか一瞬分からなくなる。空に落ちるような錯覚に、少女は一瞬背中を強張らせ】
【何にもない場所で、或いは少しふざけるように両手でバランスなんて取っている。ほんの僅か、ぴしと両手を広げるような程度だが】
【その仕草を終えれば、彼女はまた空を見上げ続け。――ほわほわと、真っ白になった呼気が、何度も繰り返し昇っていく】
150 :照垣我鬼 [saga sage]:2015/01/12(月) 00:18:19.03 ID:OP3YkrZaO

【町中】

【人々が闊歩する繁華街。人並みを縫いつつも何処か上の空といった様子でふらりと歩く一人の青年】

【蘇芳色の少し長めでボサボサな髪に灰色のボロボロになった着流しのその青年は、やがて一人の男と肩がぶつかってしまい】

「……オイ、テメエ! 今わざとぶつかってきたろ!? 」
【立ち止まり、青年へ怒鳴る男。青年もその言葉に立ち止まり「……あ? 」という低い声と共に振り返る】
【その表情はいかにも不快そうなもので】

……んだよオッサン、俺今気ィ立ってんだけど

「知るか! わざとぶつかってきた上に礼儀もなってねえのかテメエは! 」

【忽ち始まる言い争い。通行人は遠巻きにちらりと見ていたりヤジを飛ばしていたりで】

【やれわざとぶつかった、わざとじゃないだの謝れ、誰が謝るかという口論は更に激化し】

「……このクソ野郎がぁっ!!! 」
【不意に男が青年に殴りかかる。青年は避けきれず殴り飛ばされ、近くの建物の壁に身体を打ちつけて倒れる】
【忽ちあがる見物人の悲鳴】

……このヤロ……ッ
何しやがる……!? 
【上体を起こし、相手を睨みつける青年】

…………ざけんじゃねェよ……クソ……ッ
…………ッ殺すッ!!! 
【青年は咆哮すると同時に穂先が固くなった筆を取り出し、自分の肩へと突き刺す】

【周囲からは悲鳴があがる】

151 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/12(月) 03:26:35.65 ID:KNN2vUNUo
>>146

『属性同化』……―あ、の……ギルドのお仕事って、お金は貰えますか?

……僕、今はお金が無いんです。色々な人に助けてもらったけど
ずっとそれじゃ……その、ダメだと思って……。
せめて、宿を借りてご飯を食べるくらいのお金は自分で稼ぎたいんです

【青年の最後の言葉に首を横に振って、気にしていない、と伝えてから】
【逆に問いかけるのは、自分の能力はお金になるのか、という事】

【事情は簡単だった。実際、つい今しがた食べ物を貰ったばかりだ】
【しかしこのままではダメだと言い放つ辺りは、件の大祖母様というのは】
【きちんと躾をしたのだろう、と思わせる。もっとも少し悩みながらの発言でもあって】

でも……闇討ち、とか……人を傷付けるようなことは、出来ればしたくないです
それ以外で、僕に出来る事は無いかなって……お兄さんは、何か知りませんか?

【妖狼であろうと、子供の心はそう変わらない。心優しい――或いは懦弱な理由がそこにあり】
【手の同化を解き、霜焼けで赤らんだ両手で帽子をかぶり直しながら尋ねるのだった】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/12(月) 03:50:16.02 ID:c7HS0fABo
>>151

――――――――……

【視線を伏せ数秒沈黙する、少年の希望する物事……】
【ギルドの仕事とてその全てが普通の物ではない、例え人間を傷つけるような仕事を選ばないようにしたとて】
【仕事を進めていけば個人ないし組織から敵対視される可能性が有るそう危ぶむ一方で彼の旅の意味も考えざるを得ない】
【経験を重ね研鑽を積む期間、それは彼だけの物で青年の勝手な判断で阻んで良い物ではない】

…………あるにはあるぜ、情報収集やら遺跡探索やら
その手の仕事なら上手くやれば人間と関わる事は少ない必然傷つける機会も少なくなる

【彼は自分の成長を望んでいる、自分がどうするべきかを悩んでいる】
【そんな姿を見て「辞めた方がいい」などとどうして言えようか、少年の行い考え方は尊い物だ】
【ほんの少しの後悔に揺られながら青年はポツリと零すように言葉を連ねる】

だけど……ゼロって訳でもない、むしろ仕事を続ければその内必ず誰かを傷つける機会に出会うだろう……
こんな世界だ痛くないまま傷つかないまま生き続けるなんてのは正味無理な話、ああその通りさ……どうしようもない事だってやっぱりあるんだ。
それでも前に進みたいってならオレはそうするべきだと思う、ただ進むからには選ぶからには相応の覚悟を――――――――

【曖昧な自分の言葉で彼にどれだけ伝わるだろうか、確りと見据える瞳はしかし不安という色を僅か含む】
【こんな想いは烏滸がましいと言われればそれまでだ、酷く勝手な自己満足の類……】
【結局のところ青年も彼と同じように誰かに無意味に傷ついて欲しくないだけ】

覚悟が出来るなら進めばいいそこから先はお前の判断だ、誰も傍に居てくれないお前だけの道だ
それでも大丈夫だと言えるなら街のギルドに行ってお前の能力を見せればそれに合いそうな依頼を紹介してくれるだろうぜ
153 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/12(月) 14:36:13.90 ID:KNN2vUNUo
>>152

【沈黙からややあって口を開いた青年の言葉を、少年は静かに聞いていた】
【それこそ、じっと彼の目を見つめて、帽子の下では耳をピンと立たせて。】

【やがて『いつかは必ず誰かを傷付ける機会がに出会す』と言われれば】
【尻尾がその言葉に応じて揺れたのか、コートの後ろがふわりと揺れ】
【全てを聞き終え、こちらも数秒の沈黙を持つ。持ってから、俄に口を開き】

……僕だって、狼です。誰かを傷付ける事もあるのは分かります
出来ればそうしたくない、けど……お兄さんの言う事が正しいと思うんです
『世界はそんなに甘くないんだ』って。だから…――

【迷いながらもしっかりと、自身の歩むべき道を選び取る】
【改めて青年に向けた黄金色の瞳は、弱くも確かな意志を秘め】

あの、お兄さんの名前……教えてもらっても、いいですか?
僕は虎千代って言います。幼名だから、苗字とかはまだ名乗れないですけど……。
……それと、今日はありがとうございました。

お仕事の話とか、ご飯とか、刀とか……すごく楽しかったです
またいつか、もう一度こうやってお話、してくれませんか……?
154 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/12(月) 15:08:30.36 ID:c7HS0fABo
>>153

――――――――おう、そうか

【静かに見据える瞳に意志を感じ取ったならば小さく頷く】
【1人の男が選んだ道、ならばその姿を称える事こそが最も相応しい】
【苦難はあれど振り返れば尊いと思えるような道でありますように、と】

虎千代か、良い名だな……オレはエルフェスだよろしくな
礼は要らないさ次の機会にでも取っておいてくれればいい、暇な時はこの辺で修行してるからさ
……そうだ、こういう機会だ餞別くらいは渡してやらねーとな

【手を伸ばしまたと頭をぶっきらぼうに撫で回す、出会ったばかりだけれど精一杯の慈愛を込めて】
【手渡す品もその1つ、微かな妖力を宿す無銘の刀―――――エルフェスには既に銀の刃が有る、ならばあるべき物あるべき場所に】
【未分化の力なればまだ幼い彼が所有すれば共に成長する事もあるだろう】

頭領の幼少期に付き従った刀、なんて話は中々痛快だろう?
どこか未来で昔話でもする機会があったならその刀を渡した人間がいたって添えてくれたならこれ程面白い事はない

【差し出す刀を受け取れば所有者は真に虎千代となる】
【刃は力だ、その力をどう扱うかは虎千代の手による物であり善か悪かは彼の生き様によって決まるだろう】
155 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/12(月) 15:40:49.02 ID:KNN2vUNUo
>>154

【今一度、優しく頭を撫でられればやはり嬉しそうにそれを受け】
【加えて差し出された刀を、少し戸惑いながらも両手で受け取る】
【自分には過分――どころか、まともに扱いも知らない物ではあったが】
【しっかりと刀を握る手元からは、『大事にする』という意志が滲んでいて】

……ありがとうございます、エルフェスさん。
僕、エルフェスさんみたいに毎日練習します

それで、いつか……、……僕、明日にもギルドに行ってみます。
時間だけはあるから、ちゃんとしないと。
……それじゃあ、僕はこれで。また会う時まで元気で居てくださいね、エルフェスさん。

【大事そうに刀を抱えたまま、ぺこりと深く頭を下げて礼をして】
【そうして後に何もなければ――彼はそのまま公園を後にすることだろう】
【その背中は小さいながらも、明日への気力が満ちているように見えた】
156 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/12(月) 16:05:07.29 ID:zVCqbB6Oo
>>155

無理に扱おうとしないでいいぜ、刀を扱える身体が出来上がるまで待ったっていいんだ
それまではお守りとしてでも持っててくれれば嬉しいかな……。

【短刀ではないけれど或いは守刀として、持っていてくれればそれでいい】
【全ては生命あってこそ、扱えない間は生命を守る為の刀として】
【そしていつか振るう時が来たならば彼の力として……】

ん、そっちもな無理はしても無茶はしないように気をつけて
それじゃ次に会う時楽しみにしてるぜ、じゃーな!

【遠ざかる背中はまだ小さいがいつかの未来にはその背中を目指す者達も現れるのだろうか】
【彼の物語にもしも自分がそっと添えられたなら、と微笑みを浮かべ見守り】
【やがてエルフェスも道具を始末し帰路へとつくのだった】

/お疲れ様でした!
157 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/12(月) 16:09:02.99 ID:KNN2vUNUo
>>156
//お疲れ様でしたー!
//図らずも長期に渡ってお付き合い頂き、ありがとうございましたっ!
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/01/12(月) 18:43:08.23 ID:AedoJMtmo
>>147
//これで再投下します
//ただ、明日早起きなので長居は出来ません
159 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/12(月) 20:47:17.84 ID:DAmt+CtQo
【路地裏】

【――――左膝。右拳。右中段蹴り、左回し蹴り、右肘。襲い掛かる猛獣の如きコンビネーションを青年は弾き、いなし、躱していた】
【……コイツ、やはり只者ではない。Yシャツの男性がその事に気付いた時には、目の前に右足が鎌のような鋭さを秘めて迫っていた】

(体格も明らかに俺の方が上なのに……何故易々と受け切れる……――――ッッ、右の上段……いや、受け切れ……なっ……これはッ……!?)

【上段蹴り。頭部にヒットすれば一撃で終わらせられる云わば必殺の蹴り。しかしながらモーションは大きく、受け切られたならば隙も生まれる】
【青年の右腿が上がった瞬間、刹那で蹴りの軌道を読み取り――――男性は向かってくるであろう蹴りの軌道にガードを置いた。しかし――――蹴りの軌道が、急変した】
【確かに男性の読み通り上段蹴りのモーション。しかしながら腿が上がり足が遅れて出てくる寸前の所で膝を内旋させ、男性の予想よりも上から弧を描いて鎌が振り下ろされる】
【そしてガードの上を通り越した其れが頭部を撃ち抜き、凄まじい音が鳴り響いたと思えば男性は仰向けに倒れていた】

【上段蹴りではない。可変蹴り――――別名ブラジリアンキック。曲がる上段蹴りと言えるそれは、実戦で使用するまでには長い年月がかかる筈の高等テクニックであり】
【それをこの、170pにも満たない、歳は20あるかどうかの青年が取得し――――そして、ここまで威力なのか。その驚愕を最後に、男性の意識が深い闇に落ちた】

――――っは……、ぷ……ハァッ……!! ――――なきゃ……。 ……殺さ――――なきゃ……!!

【不安、恐怖。そしてそれを塗り潰す高揚。それらが青年の心臓を急激に早くしていたが、ようやくその興奮も徐々に収まりつつあった】
【ゆっくり深呼吸をして、腰につけたボトルホルダーからペットボトルを取り出して水を飲む。落ち着きを取り戻してから、倒れる相手を眼鏡のレンズ越しに見つめる】
【――――自分が、彼を倒したんだ。体も大きく、技も使う彼よりも、僕は強い。そのような実感に胸が震えるが、同時に恐怖も湧いてきていた】

(……――――恨まれたとしたら……今度は武器を持って、仲間を連れて――――僕を殺しに来るかもしれない……だからその前に……!!)

【――――殺そう。それが青年の結論だった。――――ニット帽に眼鏡をかけた、長袖の黒シャツと赤いズボンを履いた青年は】
【彼はゆっくりと男に近づき、右足を上げ、今にも男の顔面を踏み潰さんとしていた】




【路地裏】

「そんなっ……今回で終わりだと言ったじゃないか!!」

いや……思ったよりあんさん困ってへんみたいなやからな……次回1000万、計5000万で全て終わりといこうやないの。
何処までも搾り取るとかそんなことはせーへん。情報の正しい値段分だけしかワイは請求せんからホンマに次回で最後や……。

【高そうなスーツに身を包む中年男性が声を荒げる。どこか脅えを含んだ声を漏らす中年男性の眼鏡には、下卑た笑みを浮かべる男の姿が映っていた】
【黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った20代後半の男。スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳】
【咥え煙草の男が持つ雰囲気はどこか軽く、悪く言えばヘラヘラ、良く言えばニコニコといった感じである。その男がこれ見よがしにポケットから取り出したのは、USBメモリ】

考えてみーや……こんな情報漏れてみ? 次の選挙は勝てるわけないどころやない、まず早々に辞任を要求されることは間違いなしや……
ほんならこの5000万、寧ろ安いやろ……? それともアレか、次の1000万渋って4000万余計に無駄にするんか? お? どうしますか水の国の大物議員さん?

(……これ以上搾ったらあっちもヤクザ出して本気で殺しに来るやろ……しゃーないけどココがギリのラインちゃうかな……いや、あと1000万なら……どうやろか)

【恐らくスキャンダルを盾にした恐喝、それも相手が相手故に超高額。大粒の汗を流しその言葉を噛み締める議員に、男はわざとらしく煙草の煙を吹きかけた】
【苦虫を噛む潰したような顔を浮かべながら、中年男性は沈黙した。――――分かっていた。頷く以外選択肢が無いことを。しかしながら困惑からか、簡単に頷けずにいた】
160 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/12(月) 21:19:50.44 ID:2dTsL4Bjo
>>159

そーだぜオッサン…さっきから話を聞いてたが…こりゃアンタの部が悪いも悪い、ドン底だ…
さっさと金払って終わらせちまった方が楽になると思うぜ?

【路地裏にて行われる怪しい密談、その話を異様な聴力で聞き付けた者がいた、金の匂いに引き寄せられた者がいた】
【今にも頷きそうな男性の背中を押す様に、声をかけながら歩いて来るその男、真っ白な高級スーツに身を包んだ、金髪の男だ】

…もっとも、払うべきなのはそいつじゃあねえ…俺様にさ

【ゴールドフレームのメガネの奥から、蒼い瞳で二人を見渡し、撫で付けた金髪を撫でながら、会談に参加したのを表す位置で立ち止まると、そう続けた】
【どうやら、ヘラヘラ笑いの男の手助けをするようでもなく、突拍子もない事を言いながら、自分の親指で自身の胸元を指すとニヤリと笑う】

ククク…考えてみろオッサン、アンタ相当搾られてんだろ?似たようなやり口で
このままじゃあズルズルと落ちる所まで落とされるぜ…底の底、ドン底だ

だったらここでその一千万、俺様に払えばスッパリとそいつとの関係を切らせてやろうってえ話よ
握られた弱みに震えて眠る夜はもう来ねえ、素敵な話だと思わねぇか?

(……決まった、ぜ!)

【胸元に、トランプ柄のネクタイを揺らしながら、やけに『それっぽい』セリフを吐かしてしたり顏。しかしこいつもやはり金の事しか考えてないのである】
【ようは金の匂いにつられたハイエナだ、何処から来るのかその自信、自分ならこの『顧客』を奪い取れると完全に思い込んでいる】
161 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/12(月) 21:48:26.91 ID:DAmt+CtQo
>>160

【後方、知らない声。交渉中の2人の視線がそちらを向く。続けて中年男性は男を見るが、男もふるふると小さく首を振ることしか出来なかった】
【どちらの知り合いでもないらしく――――つまりこの高級スーツの彼は完全な部外者。部外者がいきなり、「その1000万は俺に寄越せ」と言ってきた、というわけだ】

……――――お前誰やねんコラ、どつくぞ。いきなりしゃしゃり出てきて金寄越せってお前の頭はハッピーセットかよ。
一応聞いとくけど、あんさんはあんなアホの話聞く気あるんか? 動揺しとるんは分かっとるけど、流石にそこまでは落ちぶれてないやろ……?

「……――――だ、誰でもいいっ……!! 神でも悪魔でもなんでもッ!! この男から私を切り離してくれるなら誰でもいいから……助けてくれェッ!!」

【冷めた瞳と反応を見せたのは脅す側、コートの男。ギロりとアッシュグレイの双眸を刃の如く尖らせ、荒々しい言葉を重ねて】
【その後中年男性へと半ば強要するような言葉を投げかけたのだが――――中年男性の動揺は、男の想像を遥かに上回っており、藁にも縋る思いで言葉をぶちまけた】
【――――「助けてくれ」と。刹那、中年男性の顔面を大きな掌が覆った。指を立てた掌底が顔面にヒットし、指が目に入り目潰しの役目を果たす】
【悲鳴にもならない声を上げながら前傾し中年男性は自身の目を覆ったが、下がった後頭部のやや下、首の後ろに肘が落とされ―――――気絶。僅か3秒の出来事である】

……ハァ、この豚にはホンマ失望やわ。こんな見た目からアホ丸出しの奴に縋るとか終わっとる。
――――で、お前は何してくれとんじゃ。この豚がアホ過ぎたんのもあるけど、元の原因はお前や。

まぁシバくのは当然として、一応その前に聞かせて貰おか? どうやってこの豚とワイの関係を断ち切るつもりやったんかを。
(アホそうなのに金持ってそうやな……御曹司、とか? そうなら人質にして……いや、そんなことは後で確かめればええ、まずは……潰す)

【肩を竦めてからうつ伏せになった中年男性を軽く蹴り飛ばしてから、再度スーツの男を睨む】
【度重なる搾取が中年男性の精神を、得体のしれない眼前の男に救いを求める程にまで衰弱させていたにしろ、顧客を奪い取られそうになったことは屈辱他ならない】
【ぽきぽき、と拳を鳴らしてゆっくりと近付く様子からも、この男は彼を獲物として捉えているのだろう。瞳の其れも、餓狼のような攻撃的なモノだった】
162 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/12(月) 22:21:13.16 ID:2dTsL4Bjo
>>161

よーしいい返事だ!物分りがいいなオッサン!(だからこんなのに金毟られるんだよ)
んじゃあ早速、銀行にダッシュして金下ろしてき───…

【極限状態の人間は扱いやすい、藁にも縋る思いであるなら、例え部外者であろうとも助けを請う筈だ】
【実際の所助ける気なんて毛頭ない、金だけ前金で受け取って、後はなあなあにしてトンズラこく算段であった】
【その為、トレンチコートの男のした行動は全くの予想外、一瞬にしてプランを全てぶっ壊されてしまった】

わー強〜い

【思わず笑顔のまま、棒読みで感想を漏らしてしまう程、鮮やかな手付きである】

【…で】

(…やべぇぇ……こいつ唯のパパラッチじゃねぇわ、喧嘩慣れしてるわ)
(うわーやだなー何でお前そんなに強いのにこんな事してんだよー俺様ハムスターにだって負けんだぞ不公平だろ)

【指をポキポキ鳴らして凄む男を前にすると、冷汗がどっと吹き出て来た】
【自分の事を棚に上げて、相手をただの小物だと油断していたが故に今の状況は予想外、必死に頭を働かせて打開策を練る】

(『ハッハッハ!ジョークジョーク!』…あ、ダメだこれ殴られるわ)
(『金をやるから許してくれ!』…そういやギャンブルでスったからこんな事してんだっけ)
(…ヤバいヤバい、何か考えろ何か、殴られた後ケツ毛まで毟られるぞ…!)

【詰め寄る男と一定の距離を保つため、後退りしながら考える、この状況をどう抜け出すか】
【思って見れば、相手があれだけ強そうなのは予想外だった…となれば、相手も恐らく自分を強いとは思っていないのではなかろうか?】

(だと考えて…見えた!活路が…っ!)

【次の瞬間、その動きは非常に早かった。ゆっくりと後退りしていた所から、大きく身を屈め、膝と腰を折り、伸ばした両手を地面につける】
【そして、低い体制から更に低く、頭打ち下ろして、腹の底から───叫ぶ】



すいまッッッッせんッッッしたあァァァァッッ!!

【そう、DOGEZAである。早く、美しく、そして盛大な】

ほんの出来心ッス!カッコつけたかったんス!!すいません!マジすいません!!

【いやもう本当に見事な土下座である、必死さがこれ程かと言うほど伝わりそうな謝罪だ】

(……ふっ…どうよこの悪魔をも油断させた俺様の土下座!ここから反撃してやるぜ!)

【そうしておきながら、心の中ではこれなのだから、もう本当に三下です本当にありがとうございました】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/12(月) 22:25:45.69 ID:GdGWHO5I0

【とある港】
【昼日中、そこに入り込んだ船舶より、一人の人影が降り立った】
【頭から膝下まですっぽりと外套に身を包んだ、ひょろりと伸びたシルエット】
【とことこと人目を避けるように船から離れて、桟橋に積まれた箱の陰からひょいと頭を覗かせる】

さて、この国にはどのような人々がいるのか、……慣れるまでこのフードは外さない方が賢明だろうな

【辺りを窺うようにして港を睥睨して、漏らす声は女と思しき高めの音。動く寸前に思い直して、丸眼鏡とフードを被り直し】
【一瞬日の下にさらされた顔には、翡翠色の目と髪、そして緑みを帯びた肌があった】
【決意と共に足を踏み出して――】

――――ところで、ここは何処なんだ

【歩き始めてから早数分。二度ばかり袋小路へ突き当たった女はそこで漸く足を止める】
【傍目からすれば鞄一つ提げた旅行者のような身なりだがどうやらその御多分に漏れず、この辺りの地理には詳しく無いようで】
【まともな地図も持たないまま、一般的でない場所へまで入り込んでしまったようであった】
164 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/12(月) 22:39:48.47 ID:DAmt+CtQo
>>162

……前と後ろは同時に見られへん。お前を相手にしとったらあの豚に逃げられてまうやろ?
そんな時はこういう暴力が一番都合ええんや……――――で、次はお前やな。

(やけに自信ありげなワリに冷汗たらしとるやんけ……ひょろいしホンマに何も策なしのアホなんか……?)

【ゆっくりと近付けば近付くほど、彼の首筋を伝う汗は鮮明に男の瞳に飛び込む。最初の発言から見える自信は、本当に根拠のないものなのか?】
【――――そのような疑念が、彼の脳内を駆け巡っていた。確かに彼は世間一般からすれば強者のグループに属するが、能力者には劣る】
【正確には自分も能力を持っているのだが戦闘用ではない――――のだが、もし能力が相手にあるならば、体格も年齢も性別も関係ない。それ程能力というのは強いから】
【もしかしてスーツの男がとんでもない戦闘力を……などと警戒しながらも其れを隠し暴力を見せつけたが、分からない。本当の馬鹿なのか。それとも。その2択が脳を彷徨う】

【――――そこからの、土下座。高級なスーツを汚すことを全く躊躇わない其れだった】

…………じゃあ、金目のモン全部置けや。それで許したるわ。財布とか腕時計とかあるやろ、仮にも高そうなスーツ着とるんやから……

【この必死感は、肚の中で何か企んでいる奴には出来ない。その土下座の綺麗なフォームから男はそう判断した。コイツには何もない、ただのバカだとの結論】
【はぁ、と息を吐きながら男はコートの胸ポケットを漁る。タバコを出して吸うつもりなのだろうが、その様子は相手を舐めたことで生まれた一瞬の隙でもあって――――】

165 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/12(月) 23:05:37.44 ID:2dTsL4Bjo
>>164

うっス!サーセン!ごめんなさい!金なら幾らでも出します!


(ヴぁぁぁ〜〜〜〜〜カ!!いとも簡単に騙されやがったな!!)

【ただのバカだが───バカはバカでも厄介なバカ、それがこの男である】
【土下座がやけに真に迫っているのも、半分程本気の土下座だからこそのもの、それだけに厄介で面倒くさい】

いやぁ〜ハッハッハ…今全部出しますんで少し待っててくださいね〜…
それにしても見事な手際だ、文武両道と言いますか、能ある鷹と言いますか、いや実に素晴らしいお人です、それに立ち振る舞いに余裕がある。

【土下座の状態から顏を上げ、営業スマイルを浮かべながらお世辞をつらつらと】
【そうしながらポケットをまず漁り、中から高級そうな長財布を取り出して地面に置く…それに重ねて、一枚のトランプ】

───そういう余裕綽々な奴の足元掬うのが俺様は大好きなんだよ!!

【次の瞬間、財布に重ねられたダイヤのエースが突然強い光を発し、路地裏の闇は真昼のように照らされる】
【この男の持つダイヤのエースは閃光弾だ───一瞬にして眩く爆発した光は、見た者の視界を奪う】

【この男はその性質を知っているから、寸前に目を覆っていたが、しかし相手の男はどうだろうか?】
【もし、強い光に視界を奪われてしまったなら、それを見たこの男は一転攻勢に出るだろう、顔面を狙った左手でのパンチだ】
【ヘロヘロで腰の入っていないパンチだが、下手なところに入って仕舞えばそれでもダメージにはなるが…】
166 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/12(月) 23:19:50.53 ID:QhD+yUvm0

【――――某大図書館。この時期は暖房も全開で動かしている為に常に温かく】
【本を目的としてでは無く、身体を温める事を目的として訪れる者も少なく無いのだけれど】

【木製の長テーブルの一角、既に突っ伏している姿があって】
【コートを纏い、ふわふわとした金色の髪を持った女性――――で終われば良いのだろうけれど、あろう事かその腕には“自警団”所属を示す腕章】
【言ってしまえば職務怠慢。気持ちよさそうな寝息まで聞こえるのだから何とも憎い】


「ん……ぅ…………駄目ですよう、これはとっても大切な物で〜……Zzz」

【寝言を呟きはするものの、起きる気配は無く――――同時にこの時間故に、周りに起こしてくれるような者も居らず】
【さて、近くに積み重ねられた本は実に不安定。今にも女性の頭を目掛けて落下しそうで】
【――――見つけた者が起こすか、それともただ様子を見るかは全て自由。或いは寝ているのを良い事に、悪戯を仕掛けた所で易々と起きそうにも無いが】










【昼夜問わずに繁盛を続ける喫茶点。其処の一角に何とも不釣り合いな姿が一つ】
【その者は所謂修道着を身に纏い、みっともなくテーブルに突っ伏しているのだから尚更目立つもので】


「あー……疲れたー…………。もっとこう、派手なら良いけどずっとこそこそとしてるのはやっぱりボクの性に合わないってば……」

【まだ湯気の立つコーヒーとケーキを側に置き、一人愚痴ればだらしなくその状態でコーヒーを啜り】
【愚痴が終われば深い深い溜息と共にまたテーブルの上で伸びるのだろう】
【周りの客がヒソヒソと話して居ても構う事無く其れを貫いているのだから大したもので】

【――――さて、不幸にもこの店は修道女の向かいの席を除いて満席。詰まり、必然としてこの女の向かいに座らなければいけなくなるのだが】
【声を掛けるならば気怠そうに「どうぞー」何て言うのだろうし、無言で座れば向かい側からジットリとした視線を注がれる事となろう】
167 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/12(月) 23:31:06.87 ID:DAmt+CtQo
>>165

……ごちゃごちゃ言わんでいいしはよ出さんかいカス。お世辞やってわかんねんそんなん……。
……ん、なんやこれ。トランプ1枚だけって――――〜〜〜〜ッッ!?

うぉおおおッ!? なんやとコイツ……ウソであんな土下座出来るんかいッッ!?

【異変に気付いた時にはもう遅く、豹変した彼の言葉とほぼ同時に大量の光が視界を奪う】
【ただでさえ夜、しかも路地裏。暗い場所から一気に明るくなれば、瞳に加わるダメージというのも相当であり――――】
【いくら素人のパンチでも、易々と男の頬肉にめり込む。一転攻勢、走って距離を詰めてからのパンチ。腰は入っておらずとも助走の勢いは乗り――――】
【視界が見えない中で、突然重く痛い感触が響いた。意表を突く攻撃というのが余計にその威力を高めており、思わず5歩程下がり頬を痛々しく抑えた】

……――――うぐぅぅっ……っの野郎ォォッ……!! 絶対許さへん……殴ったことやないで。
「ワイを騙したこと」がムカつくんや――――!! 今のでよく分かった、お前はワイと同じ……騙しと卑怯で生きてきたタイプ……!!
同族嫌悪っちゅうやつなんかな、やられるとホンマムカつくで……――――しばいてフルーソ湾に沈めたるわッッッ!!

【土下座からの不意打ち。自分も使ったことのある手だが、眼前の男程上手くはない。なんせ自分をだますのだ、だまされたのだ】
【騙す者として騙されるのは赦せない。頬に響く痛みもあるが、所詮素人の拳。クリーンヒットしたはいいものの、体重は30s差近く。一発じゃ流石に沈まない】
【こめかみに青筋を立てながら、男は左手でコートの内ポケットからナイフを取り出し、ひゅんひゅんとその場で振り回す】

ワイは容赦せんで……人だって殺す。ワイをコケにしたんや、死んでも文句言うなや……!!
(――――まだ視界が完全に戻ってへん……ビビらして時間稼ぎせな……)

【危ない刃物と言葉で威嚇。近づけさせないような動きをしながら男は瞳と頬に受けたダメージの回復を待った】
【逃げられても構わない、というか完全に回復していない視界じゃ追うこともままならない。厳しそうに瞳を細く開けながら、元の景色が見えるまでナイフで空を裂くだろう】
【確かにこの作戦、安易に寄せ付けない点では強いが――――飛び道具にはあまりにも無力。視界がままならない中で動くことは難しかった】

168 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/12(月) 23:58:07.40 ID:2dTsL4Bjo
>>167

はっ───ハッハッハァ!バーカバーカ!騙されてやんの!

【肩を上下させ、(パンチ一発で)乱れた息を整えながら、取り敢えず小学生みたいな語彙の罵詈雑言を浴びせ、愉悦に浸る】
【この男の見立てでは、このパンチで目の前の男はコンクリートに頭を減り込ませる筈であった…が、実際問題これでもかなり良い所に入った物である】

一緒にすんじゃねーよ!俺様とお前じゃレベルがちげーっての!
そうだな…月と……そう、月とお盆くらい違ぇ!!

【この一発で相手が慌てている分、余計にこの男は調子に乗る、心の弱みを見せないという点では精神的な駆け引きの種にはなるのだが、これは天然だ】
【だが、この男が本当に戦闘慣れしてないのも事実、今は不意打ちがために上手くいったが、警戒されてしまえばグッと不利になる】
【相手が武器を持っているなら尚更、その間を埋めるのは簡単ではない】

…それに、直接人は殺さねえ!何故なら暴力に頼るのは三流のする事だからだ!
だから安心しな、お前は俺様を殺すつもりだろうが、俺様はお前を殺すつもりはねえ、一つ安心だな

【右手の人差し指を立て、左右に振って、『殺す気はない』と告げる。相手によってはこれ程神経を逆撫でする言葉はない】
【しかし、相手がいくら凄んでも、この調子に乗った状態となれば何のその。完全に自分が優位だと思い込んでいるが故に、先程のような冷汗は一滴たりとも流さない】
【だが、わざわざ語っているせいで相手に休憩時間を与えてしまっているという事実、本人にはどちらもその気が無い】

(こうなったら仕方ねぇ、この男をどっかにやって、あのオッサンを安全に起こす!)
(そうすりゃ、きっとあのオッサン、助けられたと思い込んで金を払うに違いないぜ!金を貰ったら後はトンズラだ!)

【こいつの狙いは、気絶させられた男を安全な場所で起こし恩を売ること。そうして金を手に入れたなら、後はトンズラ】
【実際に言った通り縁を切らせる訳も無い、また後で同じ男に集られようが、どうでもいいのである、自分さえよければ】

…どうした?こねぇのか?
こねぇならこっちから行くぜ!?

【男の視界も回復してきた頃になってから、見計らったかのように行動に出る】
【左と同じ様に右の拳も握り、構え…足を踏み出した───いや、『蹴り出した』】

パンチ!と見せかけたウォレットシューット!!

【振り子の様に振った革靴が捕らえたのは、先程トランプと一緒に出した長財布、上等な革の、よく使い込まれた物である】
【それを思いっきり、不意打ちで、男目掛けて思いっきり蹴り出す。顏を狙ったつもりだが逸れて、よくても胴体か太腿に当たるルートだ】
【だが、長話をしていたせいで男の視界もだいぶ戻っている筈、めちゃくちゃ大振りなモーションのキックは隙が大きい】
169 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/13(火) 00:28:07.07 ID:niGs2PFDo
>>168

……そういう余裕を出していいんは地力のある奴だけやで? お前みたいなペテン師のもやしっ子にゃ不殺は重いし甘い。
――――さっきのワイも正直甘かった、だからこそお前も俺もその「甘さ」に付け込む。ちゃうか?

(……そこで嘘つくメリットはない、恐らく本気……ってことはもし武器持っとったら頭や心臓は狙いにくい)
(まず持っとるかすら謎やけど、無いとワイは倒せん……刃物や銃か? いやどっちにしろ殺さん場合は足狙いが基本や……)
(さっきわかった、あの自信はペテンの上手さ……アホやけど駆け引きは得意……策は山ほどありそうやな。ま、スペックじゃ圧勝……ペースをどっちがもってくか、やで)

……――――『Papa-Rat』!! 横の壁に登って待機!!

【ひゅんひゅん、と空を裂きながら語るは「甘さ」。もし頬を殴った一撃が拳じゃなくナイフなら、とっくの間に絶命している】
【その甘さこそ命取りなのだ――――と、ようやく開いた瞳を鋭くさせながら語る男。そこに悔しさはなくその甘さは最大限利用する、という利己的な思想を持っていた】
【まずは、対応。何かしらの策を持ってくるだろう――――と予想しつつ、男はそれへの対抗策をある程度脳内で固めた。頭を使った闘いでは、負けたくない】

【――――叫んだ奇妙な単語に遅れて、コートのポケットが急に膨らみ、奇妙な生物が頭を出した。顔はビデオカメラ、胴体と口はラットの動物】
【其れが「きゅう」と鳴けば、俊敏な動きでコートを飛び出し、鋭い爪でコンクリの壁をみるみると登った。そして約3mほどの高さで壁にしがみつきながら、ただ2人を見る】
【――――見る、だけ。今はそれだけであり、ずっとそうかもしれない。疑念を沸かせ、注意を1でもそちらに向けさせることが出来たなら十分な効果であった】

……視界を遮らんと意味ないでボケェッッ!!

【一瞬だけびくりと反応したが、財布くらいが太腿に当たってもびくともしないのは当たり前であり、そのまま男は距離を詰める】
【185p90sと体格は良く、リーチもパワーも優っていると見ての接近戦。格闘スキルも恐らく上であり、何よりこちらの左手にはナイフがある】
【詰めることができればそのまま左で喉元に向かって突きを繰り出す――――フリ。フェイントから長い脚での右ローで足を崩していこうとするだろう】

【――――刺されば一撃で絶命もありうるナイフに最大限の注意を払うのがセオリー。そのセオリーを逆手に取り、ナイフで釣り意識を上に置かせての、下段を企む】
【相手の左膝やや上、筋肉の薄い箇所を狙った適切なローキック。これで仕留める気は勿論ないが、格闘技に精通している者の一撃は、そう軽すぎるということは無い】





170 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/13(火) 01:11:03.31 ID:IM8Yccgbo
>>169

(…なんか気持ち悪い生物いなかった今?)

【財布を蹴り出した瞬間、一瞬世界がフリーズした気がした、闇夜を這う小さな生き物がいた気がしたからだ】
【それがただのネズミならまだしも、何か違和感のある造形だったように見えたから、余計に気になった】

…うお!?なんだあれ気持ち悪い!!

【いた、壁に張り付いているのを見つけたそれは、ネズミとカメラを合体させたような、奇妙な造形の生き物】
【生き物なのかすらこの男には定かではないが、機械を無理矢理埋め込んだネズミ的な見た目は、思わず叫んでしまう】

【という事は、つまり気を取られているという事だ】

ぬおぉッ!?あぶなちょちょ待った待っ───!

【接近してくる男のナイフがギラリと光って喉に迫る、今にも食らいついて来そうな鉄の牙が恐ろしいと思うのは、子々孫々に受け継がれし恐怖】
【慌てて首を引っ込め、両手で喉の前を覆う、素人丸出しの防御姿勢、フェイントは見事に効いたようだ】
【そこに足を狙ったローキックが刺さる、へっぴり腰になっていたせいで効果は大きく、軸足になっていた左足の膝がガックンと曲がりバランスを崩す】

うおっつ!!セーフセーフ…いやアウト!?

【大きな動きで尻餅をつく、喉にナイフが刺さっていない事に安堵するも、よくよく考えればもっと危険な状態だ】

やっべぇ…えーとえーとこんな時は…これじゃない、これでもない…!

【まるで慌てたネズミ型ロボットのように、服のあちこちからコインやら財布(二つ目)やらトランプやらを出すが、放り投げたり取り落としたり。どうやら役に立たないガラクタばかりのようだ】
【そうしながら、尻を擦って座ったまま後退り、だが歩けば簡単に追付ける程度にしかスピードは無い】
【今までの余裕はどこへやら、テンションの上下はまるでジェットコースターのように、ピンチに陥っていた】



(…とでも思ってんのか?いや思っててくれ!頼む!)

【この男、ここまで来ても心の底では諦めていない。この状況で『二つ』手を打っていた】
【一つは『能力』、左手で触れた物に対する認識を錯覚させる能力。それを以って、相手から見た自分がピンチであるかのように見せかけている】
【二つ目は、先程捨てたトランプ、使えないからと投げ捨てたかの様に見えたハートのエースは、しっかりと男が通ると見た道筋に『仕掛けられて』いた】
【このまま後退りした男に近付けば、恐らくは踏み付けるであろうトランプ一枚。ハートのエースの柄は、強力な両面テープとなっており、踏んでしまえば地面と靴の裏がしっかりとくっ付いてしまうだろう】

【とはいえ、一つ目の能力も、しっかりとした観察眼があれば錯覚はしないし、機械の目から見れば効果は無いも同然】
【トランプの接着力だって、意識して思い切り剥ぎ取れば引き剥がせる】
171 :くろは [sage saga]:2015/01/13(火) 01:21:32.07 ID:oqGXB37R0

【すでに秋から冬への移り変わりが終り、立ち止まっていると夜の寒さが身に染みる】
【学園指定の制服――彼女は都合によりセーラー服を着用している――の上にカーディガンを羽織り、吐息は白くならずに虚空へ溶ける】
【剣道部の手伝い兼稽古の相手を務めさせられていた所為で時間も更け、一緒に下校した友人とも先程の十字路で分かれて少し】
【いつも通る道とは違い、少しだけ遠回りをすれば通りかかれる公園が一つ。遊具などもいくつかあるが、やはり彼女が小さかったころよりも少ない】
【此処辺りは余り民家が無い、というか公園の周りはうるさいという理由で家が余り建たず。そのため昼間こそ人が集まる公園だが、今は時間も時間、昼間の人は見る影も無し】
【遊具はブランコに滑り台だけの簡素な、寂れた遊具場であり、昔あった(らしい)ジャングルジムなどは影も無く。「時代の移り変わりは残酷だなぁ」なんて呟いて】
【今から行おうとしている行動から目を逸らす様に、少しでもそのことを後回しにしようとでもいうかのように】【視線は辺りを軽く撫で、最後は溜息と共に正面を向く】

【こんな時間、こんな場所で出来る事。それは、自身が拒否し、拒絶した記憶の断片を垣間見るという地獄=z
【以前、彼女が出会った少女は泣いていた】【自らの記憶と戦い、受け入れ、受け入れられず、だがそれでも認めきれなくて泣いていた】
【その姿は恐らく、誰が見ても綺麗だと思うことはないだろう】【絵面という点で見れば、紛れも無く白いキャンパスだとは言い難い】
【けれども彼女にとってはとても眩しく、自らにすら目を向けない¢カ在が吐く瓦落多(がらくた)な言葉に光を見出してくれた】
【表面では何でも無いかの様に振る舞ってはいたけれど、内面では言葉に表しづらい感情が渦巻いていて】【ようやく自分が向き合うべき事柄に、目を背けていた事柄に視線が向いたような気がするから】

(いつまでも逃げ続けるのは―――――――ちょっとカッコ悪いし、ね?)

【僅かに滲む脂汗を拭い、背中に背負った竹刀袋を肩から外す】
【自らの前面に竹刀袋とその中身が来るようにすると、カチャリと金属特有の甲高い音が一つ】
【竹刀袋の中に仕舞われた鉄の塊――――片刃の直剣がその存在を声高に主張している】【自らが抜き放たれるのだという淡い期待と、手入れを余り施されていない刃の錆びが混ざり】
【きぃきぃ、と余計な音も漏れ出していた。】

【刀を抜く】【たったそれだけの事】【小さい頃はいとも簡単に、呼吸をするのと同じレベルの行動だったはずなのに】
【今では刀を握るだけで心臓の動悸が始まり、ジクジクと脳内に沈む鈍痛は思考を侵食する】【気が付けば、冬場であるというのに体がぐっしょりと濡れているような気がした】
【ぬるりとした感覚】【いや、実際には濡れてもいないし、どこも痛くなどなっていない。これは自らがその時の感覚を思い出しているだけに過ぎず、今この瞬間には何一つとして残らない】
【自らの奥底に眠った記憶。触れたくもない泥沼を掻き混ぜる様な気持ち悪い感触に、剣を握る事すら躊躇ってしまう】【辛うじて剣の形を模したモノ―――――竹刀や木刀は平気の様だが】
【事実として握られた手には震えと怯え、それを補って余りある興奮が体全体を支配する】【握るのを躊躇うのは理性、歓喜し体を震わせるのは紛れもない本能の一部】
【思考を放棄するえばその分だけ感覚は鋭くなり、手綱を手放せば手放すほどに慙死の鼓動は強さを増して】【思考の片隅だったモノが大部分を支配する】
【紛れも無く―――――異常だった】【たかが剣を握るだけ、その錆びついてしまいそうな刀身を今一度この世界に触れさせるだけ。ただそれだけの事すら、今の彼女にはできない】


【呼吸が変動する】【考えろ、手綱を手放せば何の違和感も無く】
      【ドクリ】
【心臓が鼓動する】【考えるな、歓喜の情動は四肢の末端すら支配する】
     【ドクリ】
【頭蓋が振動する】【思考しろ、心臓が血液を送り出す様に】
    【ドクリ】
【脳髄が脈動する】【思考するな、溢れ出る血液の様にそれは止まらない】


「………………………ハァ……ハァ………ハァ…………。」

【立ち止まる。停滞する。滞る】
【表す言葉自体は幾通りも存在するが、結論は一つとして変わらない】
【――――――――――つまり、意気地無し≠ニいうわけだ】


【カラスが嘶き、輝く月は半分錆びた鈍色(なまりいろ)】
【月夜に映えたる木の葉すら今では妙に恨めしい】
172 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/13(火) 01:38:28.29 ID:niGs2PFDo
>>170

(入った……! 立ちあがる前に決める……!!)

【相手は策士。故に仕掛けられる前に早急に決めたいという心理があり、そして大きな隙を晒している今、ここを一気に攻めないと言う選択肢はない】
【立たせる前に距離を詰め、全体重を乗せて顔面を踏みつけフィニッシュというプランを瞬時に脳内で構築し、そして行動したのだが――――それは焦りでも無かったか】
【一気に決めなければ。そうしなければ何をされるか分からない。その心理こそが隙であり――――そのプランは足元から崩されていくことになる】

……ッッ!? どうなって……!? ……ッ、くっそまたトランプかいな……!!
(足が――――離れへんやんけ……!!)

【高く上げて顔面を踏み潰す筈の右足が地面から離れず、思いがけない事に男もバランスを崩し前方に左膝をつく形で転倒】
【何があったのかという顔で足元を見れば、糸を引いてへばりつくトランプと足。またしてもしてやられたと、男は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ唾を吐いた】

【しかしながらこちらもタダじゃ終われない、足は動かずとも手は動く。右手をコートの内ポケットに突っこんで、取り出したのは液体が入ったガラス玉】
【其れを間髪入れずに相手の――――手前に投げ付け、玉は易々と割れて中の液体が彼の足元に広がる。……この液体は何か。毒でもないし水でもない。油である】
【意識して慎重に立ち上がろうとしないと滑ってまたしても転倒するだろう其れ。生死のかかったこの状況で、そのような動きはできまい――――と、男が仕掛けた策】

……この、くっ……そぉッ!! メンドクサイことするんやな、ホンマ……でもこれで終わりや、燃えて死ね。
ワイは薄く広くでなぁ、魔法も使えるは使えるんやけど、煙草の火くらいにしかならんしょうもないレベルしか使えんねん。……でも、それでも十分やろ?

【そしてその間になんとか右足をトランプから引き剥がし立ち上がリ――――右手に小さな炎を、ろうそくの其れのような小さな炎を浮かべて走る】
【そのまましゃがみこみ、水たまり、いや油たまりとなった彼の足元にその炎を付ければ――――生まれるは、ろうそくなんかより何十倍も大きな炎】

【彼の焔が油に触れる前に逃げなければ――――待っているは丸焦げコース。高級な白いスーツも黒く染めるほどの焔が彼を覆うだろう】
【トランプから足を引き剥がしている時間を加味すれば、一度転倒しても十分に間に合う。しかしながら二度転倒すれば、一度目の転倒で学習しなければ敗北が待っている】


173 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/13(火) 02:25:04.36 ID:IM8Yccgbo
>>172

ハハッ!まーたまた引っ掛かりやがったなバーカ!

【脚をくっ付けたからといってどうという事もない、やろうとおもえば出来たのだが、ぶっちゃけ忘れていた】
【策を講じている間に目的を見失ってしまう…よくある事だ、特にこの男には】
【とはいえ、相手をムカつかせて無理矢理な手に出させるという点では効果があった】

…って、何だそれ……やーい外してやん…違ぇ!油かこれ!?

【放り投げられた球体が、自分に当たらないと分かるや否やバカにする…が、すぐに広がった液体の何たるかを匂いで感じ取った】
【そして、急いで慎重に立ち上がろうとする彼の目に映るは小さな炎、すぐに相手の目的が分かった】
【転びはしないものの、産まれたての鹿のように脚がプルプルと震えている、走って逃げるだなんて不可能に近いし、ズボンの裾に油が染みてしまっている】

(ここで決めるしかねぇのか…つーか決めねぇと死ぬ、ステーキになっちまう)
(この手は使えて二回…出来れば二度目は使いたくねぇんだが…)
(あいつが『もういや』って思うような方法を…俺様に構いたくなくなるようなやり方を───)

【覚悟を決めた男の目に、蒼い決意の火が灯る。勝つか負けるか二つに一つ、勝負の時に身を任せる】
【さっきも言った通り、賭けで負けに負けてここにいる今、今更部の悪い賭けに臆すような男ではない】

【一つ、付け加えるなら───】

【この男は、立ち上がる時、『左手で油滴る地面に触れていた』】

───おいおい、追い詰められて『心中』する気かぁ?俺様は野郎とあの世に相乗りするのはごめんだぜ
頭冷やしてよーく見てみろ、お前の足元にまで広がっちまってるぜ?…油

【この能力は特性上、何度も使えば使う度、効果を薄くしてしまう。だが、二回目はまだいけると踏んだ】
【油が雫を落とす、左手で下を指差した人差し指から落ちて、ピチョンと音を立てた】
【相手が激昂している今なら、余裕の表情を飄々と浮かべてやれば、効く筈だ、効いてくれ】
【左手で触れた油が、『両者の足元に広がっている』と錯覚させる。本当は自分の足元にしかないが、少しでも気を取られて確認すれば、それでいい】

(頼むぜ…俺様のエース=I!)

【言い終えたか終えないか、それくらいのタイミングで、素早く右腕を挙げ、銃の形にした指の、合わせた中指と人差し指で出来た『銃口』を相手に向ける】
【相手が気を取られたか取られていないか、確認する暇は無い。だが断言出来る、気を取られていなければ簡単にかわされてしまうと】
【スローモーションのように見える一瞬、だが、それは実際には非常に早い。右腕の袖から、空気を切り裂いて射出された『スペードのエース』は、吸い込まれるように相手の右腕に向かっていく】
【ハートのエースは粘着、ダイヤのエースは発光、そしてスペードのエースは…トランプを象った鉄の刃だ】
【鉄をも切り裂く斬鉄剣、とまではいかないが、非力で運動音痴なこの男でも機械に頼ればブレはなく、薄く硬く鋭い刃は人の肉体ならば容易く斬り裂ける等、誰しもが知っている事】
174 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/13(火) 02:58:49.48 ID:niGs2PFDo
>>173

……そんな手に引っかかるワイやない、自分で投げたんや自分が一番分かっと……ッッ!? 
いや――――そんな筈ないッ!? んな筈ないのに……なん……でやねんッッ!!

【男は立っている。彼は立ち上がろうとしている。つまり男が彼を見るということは自然と視線は見下ろす形になる】
【その中で彼が見せたハッタリ。「こちらにも油が来ている」というそれは、男が鼻で笑うレベルの低いモノの筈だった。しかし微かに視界の隅に見えたのだ】
【――――油が自分の足元にも、ある「。それは錯覚なのだが、無論そんなことに気付くはずもない。何故油が此処まで来ているのか。理由不明の現象、生むは動揺】

【動揺は行動を変える。しゃがんで火をつけるなど自殺行為。しゃがまず視線は下、足元はおぼつかず、兎に角後ろに下がり油から逃げようとする】
【――――相手から目を離すその行為は、戦闘中のタブーであるということも忘れて。相手の手の上で踊らされているが如く、動きを強制されているかの如く下がる】
【見えていなかった。空を裂いて飛ぶスペードのエースなど、全く。赤い血が舞って、痛みが全身を駆け巡って、ようやく気が付いた。――――そう、自分が犯した失態に】

ぐおおおおッッッ……!? こんなもやしに……くそったれェッ……!! 
(――――は……? 油なんかないやんけ、いや――――勘違いな訳ない……!! なんかこっちの精神か何かに影響を及ぼす……能力――――か……!?)

【痛みに気付かされたのか、足元に油など全くないことに気付き、そしてそれは――――明らかに眼前の奴が仕掛けた事だと激痛の中で理解する】
【策だけじゃない。あれは策だけでは出来ない。……何かある。そう確信した瞬間、男は壁に張り付いていたペットへと視線を移した。ペットは先程のやりとりも、見ているだけ】

……――――わかった。ワイの負けや……その豚はあれや、好きにせぇ。気に喰わんけどワイもこれ以上怪我しとぉないし……1000万さっさと貰ったれ。
ワイも頭使って闘う方やけど、お前には振り回されたで……お前の方がそういう喧嘩は強いって認めたる……その代わり名前教えーや、興味あんねん。

(……その代わりお前の……「能力者」の情報を貰う。金は半分の500万やが、ワイのカノッサでの初仕事や。プラス信頼がつくなら1000万と交換でも十分オイシイ……)
(――――いや寧ろ得や、信頼は金より価値あるで……。これでワイを信用してなかったヤツも信用する。ワイの名前がカノッサで売れる。…儲けもんやで……!!)

【腕を抑えて顔を顰めながら言うは、降伏。自分の負けだ、そしてこの中年男性の身柄も渡すという内容】
【その間にラットはゆっくりと壁を離れ、男の後ろに回ってから背中を登り、ゆっくりとコートのポケットへと戻っていくだろう】
【――――如何にも悔しそうな表情のまま、否本当は笑いたいのだがそのような表情を作って男は言葉を続ける】

……お前の名前だけ聞くのもアレやし一応ワイも言う……サミ。サミ・ライスっちゅう悪党や。
こういう出会い方してなけりゃ、賢いお前とはコンビ組んでぼろ儲けしたかったわ……っぐ……!!

(――――言え。名前を言え……!! こっちの『Papa-rat』は映像だけやなく音声も録音する……)
(名前と動画をカノッサ掲示板に流せれば完璧にワイはできる奴扱いになる……カノッサ機関員として最高のスタートを切れる……!!)

【深い傷を撫でて痛みに耐えながら、ゆっくりと路地裏を離れようとする。このまま逃がしてくれるかどうかで、この後の動きは大きく変わってくるが……】









175 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/13(火) 03:45:45.80 ID:IM8Yccgbo
>>174

……クク……クックック……ぶぁーーっハッハッハッハ!!!

う・そ・だ・よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!

【賭けも上手く決まれば、その時まで毅然とした態度でいる事が出来ればかっこいいのかもしれないが、だが、大笑いで指差して嗤うというのがこの男の底というものだ】
【指鉄砲の銃口をふぅと吹いてカッコつけた後、ゆっくりと油溜まりから後ずさって離れる辺りちゃっかりしている】

(とはいえ、まだやる気があるようなガッツ溢れる奴だったらやべえな)
(これもう諦めてくんねぇかなー諦めた、よっしゃ!!)

…ふ、ふふん、俺様はまだまだ続けてもいいんだが、お前がそう言うならそうしてやってもいいぜ?
あ、でも別にオッサンを助けた訳じゃないからな?俺様は一千万騙し取ればそれでいいんだから、お前がいつまで隠し球持ってようが俺様知らんから

【正直これ以上続けていれば間違い無く負けていただろう、その証拠に脚がプルプルしている、油とは関係無く震えているのは、キックのダメージがかなり効いているからだろう】
【見た目からもギリギリなのがわかりやすいのに言葉は強がり、ついでにその気でも無いのにフォローも入れる】
【憎めないように見えるが、ただ単に恨まれるのが怖いのだ。手の内も割れているのにこんな奴はもう相手にしたくはない】

クックック……俺様の名前か?いいぜ、教えてやる
よ〜く覚えておきな!俺様の名前はエース・セブン!イケメンクールな…えーと…イケメンクールなナイスガイだ!

【名前を聞かれると、警戒する事も無く名前を名乗る。意味が重複した自惚れた別称も加えて】
【とにかく名前も、技術も割れた…こんなのがカノッサの脅威になるかは不明だが】

…あ、そうだ!ちょっと待てサミ…ら……サラミ!

…俺様、結構ドライな性格で、ケジメはつける性格だからさ、ほら、それはそれ、これはこれって事で…ね?
……今度何かいい儲け話あったら、教えてくんない?

【ワザとじゃない、悪気はない、間違えた名前を呼びながら、サミを一瞬呼び止めて】
【囁くような声で、バカみたいなお願いをしてから、サミが行った後で気絶している男を助け起こしに行った】



…オッサン、おいオッサン、起きろ、起きてくれ
大丈夫、もう怖い奴はやっつけたから、安心していいぜ

【…キメ顔で、助け起こした男に言うが、何か間違っている気がしないでもない】

/乙でしたー!
176 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/13(火) 21:26:09.77 ID:niGs2PFDo
>>175

ああ……エース・セブンって言うんか、「良く」覚えとくわ。よ〜く……なぁ。
――――ま、もし次出会うことがあったらそん時にでも儲け話持ってくわ……いちち……それじゃあ、な。

(――――まだ『papa-rat』は起動中……今の音声も録音済……!! つまりお前の手口もカノッサにモロバレ……こういうタイプは対応されたら終いや……!!)
(今のうちに笑っとくんやな……後に地獄が待っとる、次会う時もないやろからなぁ……! ククク、この闘いの勝者はお前やない……ワイや)

【エース視点からは見えないだろうその表情は笑み。痛みすらも忘れる程の、下卑た怪しい笑顔。声を漏らして笑いたい衝動を抑えて、男はよろよろと歩む】
【度々見える体の震えは、エースから見ると痛みによるモノだが違う。……可笑しくて、嬉しい故の震え。地力の無い手品だけの男が、実力者に負われて嘆く姿が頭に浮かぶ】
【――――殺してやる。この「情報」で、お前を。エースに聞こえない程の小さな声で、サミはそう呟くと同時に路地裏を抜け出し大通りに消えて行った】

……――――『papa-rat』。アレ吐き出してくれ……。

【サミの声に合わせて「きゅい」とラットが鳴く。ごそごそ、とポケットが動いてから、ラットがUSBを持って顔を出した】
【そのUSBを握り締め「ひゅう」と口笛を鳴らすと、サミが言った。――――Hello,My money】

/お疲れ様でしたー! 

177 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/13(火) 22:28:07.20 ID:RUH/bw130
【街中――噴水のある広場、その噴水の傍】
【ちょっとしたデートにも訪れるひとも居る場所、それなら、誰も居ないよりはずっと賑やかで】
【だけどうるさすぎもしない、聞こえるのは僅かにひとの声の残骸と、吹き上げられる噴水の、水の音】
【時折ひるりと風の音が紛れ込んで――吹き上げられた水を悪戯に攫って、地面で弾けさせる】

もう一月も半分――、……全然何にもやってないの、お仕事くらいかな、したの……。
……あ、でも、この前初詣したし、あとは――おみくじ、引きたいな……――。

【そんなライトアップされた噴水の淵に腰掛ける姿は、カップルの中ではうずもれて見える、お一人様の光景で】
【噴水側に振り返るようにして座っていて、見れば、その手元はついと噴水の水面のほうに伸ばされていて】

【もしその手元を凝視したなら、その少女のほんの戯れを見ることになる。きらりと零れる魔力は桜色/紫色】
【落ちた魔力色の欠片は噴水の水のごく一部を淡く染め上げ、――瞬くような間に、にゅるりと水面が隆起する】
【つるっとした細長い身体つきはなんとなく蛇に見えるような気もするが、うなぎとも、あなごとも、よく分からず】
【ほらと差し出した彼女の腕ににょるっとよじ登る、手のひらサイズの、水の塊――淡く桜色に染まる、物体】

お仕事運を見るの、……お仕事かな? ボランティア――だよね、……。

【魔力に操られた水の蛇は彼女の手のひらでうにうにと身体を揺らす、彼女がそんな蛇にふうっと吐息を吹きかけてやると】
【同時に溢れさせた魔力がぴきぴきと水蛇の表面に張り付いて――、やがて、立派に、本当の蛇のような姿を模す】
【それはぴょんと彼女の頭に飛び乗ると、その天辺で、へたくそなとぐろを巻いて――どこか、自慢げにするのだった】

【真っ黒な髪は腰にまで届く。顔に添う右の髪だけを一房三つ編みにすれば、露出する耳には、右耳だけのピアスが付けられ】
【どこか蛇の目に似て丸みを帯びる眼はほんの少しだけ釣り目、黒と赤、色違いのビー玉をはめ込んだような、オッドアイ】
【深い赤色のワンピースはところどころに生成りのレースをあしらって、ふわっと後ろのバッスルが、シルエットを丸く変え】
【羽織っているのは厚手のケープ、スカートから伸ばす足は薄手のタイツに包まれて、足先には、ヒールの高いパンプス】
【透き通りそうなほどに真っ白な肌の少女、――この時間に公園で遊ぶには、少し、遅いように見える程度には幼い顔をしていて】

……たんぽぽのお花が、綺麗に咲きますように、って、へびさまにもお願いしないと。

【薄桜色の魔力片を鱗のように纏った蛇を頭に乗せる少女の光景。デートなどしている二人組みの大多数はそれに気付いていないが、】
【気付いてしまえば――それなりに目立つものではあって。少女の揺らした足が地面を蹴飛ばして、ころん、そんな音がした】
178 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/13(火) 23:40:06.29 ID:bNIwKd8l0
【某酒場。喧噪に包まれる其所の一角に、似付かわしくない姿が一つ】
【緑色のローブを纏ったその女は酒を飲むわけでも無く、台の上に本を幾らか積み重ねて居て】
【――――これまた“遺跡”だとかに関する小難しい専門書】
【然れど本人は苦もなく読み進めている様で】


「うーん……そっか…………大きな魔獣を封印した所だったんだ……
何時か行ってみたいけど、やっぱり一人だと危なそうだしまたクルちゃんとかを誘おうかな……」

【小さな呟きは誰に聞かせる訳でも無く、喧騒に消されて】
【さて、酒場の中では特に浮いた存在だ。周りの者は大半が仲間と飲みに来ているので気にしていない様だが――――】
【後から来た者は席を探そうと辺りを見渡せば先ず最初に目に付くだろうし、或いは一人で酒を飲んでいた者が良い獲物を見つけたとばかりに近寄る事も考えられる】
【何であれ、酒場とは治安が安定しているとも言い難く、近寄る者全員が善人とも考え難いが…………果たして】






【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけです
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対し、感情の含まれない双眸を向けたならばこれまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】
179 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/14(水) 22:23:32.07 ID:wxiCZ+O7o
【路地裏】

【――――左膝。右拳。右中段蹴り、左回し蹴り、右肘。襲い掛かる猛獣の如きコンビネーションを青年は弾き、いなし、躱していた】
【……コイツ、やはり只者ではない。Yシャツの男性がその事に気付いた時には、目の前に右足が鎌のような鋭さを秘めて迫っていた】

(体格も明らかに俺の方が上なのに……何故易々と受け切れる……――――ッッ、右の上段……いや、受け切れ……なっ……これはッ……!?)

【上段蹴り。頭部にヒットすれば一撃で終わらせられる云わば必殺の蹴り。しかしながらモーションは大きく、受け切られたならば隙も生まれる】
【青年の右腿が上がった瞬間、刹那で蹴りの軌道を読み取り――――男性は向かってくるであろう蹴りの軌道にガードを置いた。しかし――――蹴りの軌道が、急変した】
【確かに男性の読み通り上段蹴りのモーション。しかしながら腿が上がり足が遅れて出てくる寸前の所で膝を内旋させ、男性の予想よりも上から弧を描いて鎌が振り下ろされる】
【そしてガードの上を通り越した其れが頭部を撃ち抜き、凄まじい音が鳴り響いたと思えば男性は仰向けに倒れていた】

【上段蹴りではない。可変蹴り――――別名ブラジリアンキック。曲がる上段蹴りと言えるそれは、実戦で使用するまでには長い年月がかかる筈の高等テクニックであり】
【それをこの、170pにも満たない、歳は20あるかどうかの青年が取得し――――そして、ここまで威力なのか。その驚愕を最後に、男性の意識が深い闇に落ちた】

――――っは……、ぷ……ハァッ……!! ――――なきゃ……。 ……殺さ――――なきゃ……!!

【不安、恐怖。そしてそれを塗り潰す高揚。それらが青年の心臓を急激に早くしていたが、ようやくその興奮も徐々に収まりつつあった】
【ゆっくり深呼吸をして、腰につけたボトルホルダーからペットボトルを取り出して水を飲む。落ち着きを取り戻してから、倒れる相手を眼鏡のレンズ越しに見つめる】
【――――自分が、彼を倒したんだ。体も大きく、技も使う彼よりも、僕は強い。そのような実感に胸が震えるが、同時に恐怖も湧いてきていた】

(……――――恨まれたとしたら……今度は武器を持って、仲間を連れて――――僕を殺しに来るかもしれない……だからその前に……!!)

【――――殺そう。それが青年の結論だった。――――ニット帽に眼鏡をかけた、長袖の黒シャツと赤いズボンを履いた青年は】
【彼はゆっくりと男に近づき、右足を上げ、今にも男の顔面を踏み潰さんとしていた】




【公園】

うっひょ〜、桁が凄いことになってきたで……。コツコツとババア騙して芸能人のスキャンダル売り捌いてお偉いさん脅したかいがあるっちゅうねん。
しかもこれからは新たに能力者情報ビジネスもあるし……死なんように気を付ければ目標額もアッという間やろなぁ、ウェヘヘヘヘ……。

【黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った20代後半の男。スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳。彼は夜の公園のベンチに腰を下ろし、一人微笑んでいた】
【大柄でがっちりとした体格の男が一人で何かを見つめてにやにやしているという図は、正直怪しい印象を与えるだろうか。見た目だけではなく、発している言葉も怪しいのであるが】

【にやにやが止まらないのは、預金額に並んだ0の行列が理由であった。コツコツと……という割には大胆かつ違法な事を次々と口にしていくが、それでも積み重ねには変わらない】
【片手に肉まん、片手に預金通帳。預金額にしては食べ物が質素というか安上がりなのは、「目標額」と言うように何かしらの目的があって貯金をしているからなのだろう】

――――……それもコレも。ぜーんぶお前のおかげやで〜? な、『papa-rat』。ワイの生涯のパートナーやでホンマ……ほら、お前も食えや。

【「お前」ということから誰かに話しているのだろうが、夜の公園には彼一人。……いや、確かに人間は彼だけだが、他に「一匹」いるのだ】
【彼の着ているコートの右ポケットが膨らんでいる。話しかける様な口調の彼のアッシュグレイの視線も、そこにある。直後、そこから――――何かが顔を出した】
【――――『papa-rat』と呼ばれた其れは、実に奇妙で小さい生物。ビデオカメラの頭にラットの口と胴体で大きさはラットそのままという、無機物か有機物か分からない其れ】

【その怪しい生物?の口に彼は持っていた肉まんを近づけると、もしゃもしゃと其れを咀嚼し始めたのであった】
【暖かい色味の光を放つ電灯の下に広がる奇妙な光景。通帳を見て怪しい内容を呟く男と、その男が持っている肉まんを食べる小さな化け物――――】
180 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/01/15(木) 00:04:32.07 ID:JKlqbRX60

【路地裏】

【月明かりの下、対峙するのは二人の男】

【一人はまだ十歳くらいの少年。恐怖の表情を浮かべ、じりじりと後退っている】

【そんな少年を追い詰めるのは二十歳ほどの青年。蘇芳色の少し長めでボサボサの髪に灰色のボロボロになった着流し姿。片手には筆を持ち、じりじりと少年に近付いていく】

【やがて少年は壁に背をつけへたり込む】

「く……くるな! 化け物! 俺が何したっていうんだよ! 」
【震える声で叫ぶ少年。自分を恐れながらも立ち向かおうとするその様子に青年は深いため息を吐く】

あのなァ……自分に非がない事を高らかに主張しても無理なんだよ

「そ……そんな事あるものか!! くそぉ……だ、誰か! 誰か助けてよ! 」

……大声で誰かに助けを求めたって駄目
助けを求める声なんて誰にも届きやしねェんだよ
……ああ、この場は逃げて相手が追わなくなるまで隠れてるっていうのも駄目な? しつこいから
【青年は何処か壊れたような笑みを顔に貼りつけて愉しげに言う。じゃあどうすりゃ良いんだよ! と少年は泣きそうな顔で叫ぶ】

……どうすりゃ良いんだろうね? 
声が枯れる程叫ぶ主張は届かない、声が枯れる程救いを求める声をあげても助けなんか来ない、逃げて相手が諦めるまで隠れても相手は諦めやしない……
もう、耐えて殺されるしか“なかった”……じゃねェや、ないんじゃねェかな? 
【どうすれば良い、と問われれば青年の表情から狂気は消え、寂しげなものとなり】

【先程までの愉しげな声とはうって変わって淡々とした声で少年の問いに答えはじめる、が】
【最後には泣きそうな声になり】

……分かったかな? それが現実なんだよ、少年? 
【何処か哀しげな笑顔を浮かべると、自らの肩に筆の穂を刺す】

ごめんな? もう少しパッと死ねるのなら良かったんだけどな……
【肩から抜かれ赤く染まった筆の穂先を近くの壁に走らせる青年】

せめてあまり苦しまないように死んでほしいな……
【そう青年が呟くと同時に壁から出てきたのは燃え盛る一羽の鳥】

【炎を纏ったそれは少年の胸を目掛け一目散に飛んでいこうとする】

181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/15(木) 00:14:56.53 ID:ZTtLGELco
【街中】

【とある繁華街。びっしりと立ち並ぶ古い雑居ビルにはネオン看板が溢れんばかりにある】
【そんな街で突然、起きた出来事に通行人は気を取られる。酔いも覚めることだろう】
【鳴り響く銃声3発。そして、ガラスが砕け散る音。落ちてくる砕け散ったガラスと人影】

……痛っ……クソッ。…おい!ボサッとすんな爆発するぞ!

【落ちてきた男は起き上がって叫ぶ。黒い髪を乱し、額から血を流したサングラスの長身の男】
【黒のスーツに黒いネクタイを締める。通行人は何事かと距離を取って見ているだけで動かない】

ああ!クソッタレ!…逃げろって言ってんだよッッ!!

【男は右手に握っていた黒いリボルバー式拳銃を真上に構えて、何発か撃ち鳴らした】
【銃声が目の前で起きて、今度は混乱気味に人だかりは離れていく。人がひき出したその時】

【彼が飛び降りたビルの3階の窓が全て吹っ飛ぶ。爆音、爆風、大爆発でワンフロア全てが吹っ飛んだ】
【男は真下で瓦礫に埋もれる。暫くして、巻き上がった砂埃を全身に浴びながらそこからゆっくりと歩き出す】

あー…クソッ……ふざけんじゃねえよ…

【流れる血を軽く触って、恨み節を吐き捨てる。すぐに警察でも駆けつけるだろう。面倒になる前に―――】
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/15(木) 23:09:55.26 ID:ZTtLGELco
>>181で再募集します
183 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/16(金) 19:48:07.44 ID:6g2Gy4z7o

【冷たい風が吹いていた。冷え込んだ空気が緩慢な動きでひゅう、と町の中を抜けて行く。】
【前日に降った大雨の影響もどこ吹く風で、乾燥した土地の上を寒さを伴いこの国全土に寒冷を齎して。】
【風の国―――季節によって吹く風を変える、四季の美しい落ち着いた国土。丁度季節は冬、時刻は夕刻が過ぎた頃。】
【この国の中央に位置する大きな街道に沿って存在する一軒の"店"は、寒さとは対照的に、暖かなランプの明かりを店外に零していた。】


 「―――ま、私が調べた限りではこれが限界。ただ……そうね、やっぱり"根"は深い事件と考えて良い筈よ。」
 
  ……だろうね。二束三文の仕事でマフィアが動く訳もないし、それに……あそこは土地柄、そういう暗部も多い。

 「言い訳にならないわ、許される話じゃない……セリーナ、話に聞く限りじゃ貴女だってその苦しみは―――」

よしなよ、ラウラ。冷静にならなくちゃ、これを追求するにはもっと情報が必要だ、其れと確かな証拠もね。
 
 「……手遅れにならなきゃ良いんだけど。ああ、それとアルバートさんはどう? 協力、得られそうなの?」

うん、今度久しぶりに会って食事する予定だよ。ま、新年の挨拶も含めて、顔出しておきたかったからね。

 「ふーん、なら私も、と言いたい所だけど。生憎忙しいのよね、貴女の依頼のせいで。」

あっははは! ごめんごめん、まさかここまで大ごとになるとはね〜……。

 「ともかく、偶には地元に顔出しなさいよ? 最近は情勢も落ち着いてるし、ジェリコが心配してるの知ってるでしょ?」  

  ……うん。まあ、その内ね。

 「……なによ、渋い顔しちゃって。ま、進展があれば追って連絡するわ、それじゃそろそろ失礼。」

 あれ、もう行っちゃうの? もっとゆっくりしていけば良いのに―――。

【店の中は酒場の様な形状をしているが、同時に中央には"商談用"と思わしきスペースも確保されていて】
【その上壁一杯に、店主の趣味なのか、綺麗に磨かれた刀剣類やら銃火器類やらが年代を問わず飾られている。】
【少し風変わりな酒場、と言えば聞こえは良いが、実のところこの店には飲食の提供と同等以上に重要な業務ガ存在していた。】

【―――UNITED TRIGGER。それがこの店の名前で、そして同時に"組織"の名称でもあった。】
【遡る事今から丁度二年前に、結成された民営の"正義"を掲げる組織にして法人団体―――つまりは、企業。】
【依頼と言う形で各地の警備・救助・防衛活動を承る他、犬猫の捜索から物騒な話のトラブル・バスターまで幅広い業務形態を持つ。】

【いわば"ギルド"に近い運営状況の新興企業であり、この酒場はその本拠地なのであった。】
【現在もこうして、店主にして創設者であるセリーナ・ザ・"キッド"は、旧友であり地元の賞金稼ぎ仲間でもあった】
【"ラウラ"という女性となんらかの情報交換の最中である様子。聞こえてくるのはどうにも、物騒で怪しい単語ばかりだったが。】

【恐らくは何かしらの事件の匂いを嗅ぎ付けて、それに関して情報収集をして貰っている、という所だろう。】
【だが報告自体はもう済んでいる様で、一杯飲んでいけば? と誘うセリーナに対し、ラウラは長引くのは御免だ、と言って】
【早々に資料を手渡すと別れを告げる―――どうやら本当に昔からの知り合いなのだろう、セリーナの酒癖の悪さも知っている様だ。】

 ぶー。まあいいんだけどさ、それじゃ今度は地元で会えることを期待してるよ。気をつけて帰ってね、ラウラ!

【黒の上下パンツスーツにネクタイ、そしてポニー・テールに纏めた髪を靡かせて】
【さながらビジネスマンか、敏腕秘書と言った様な格好のラウラは、手を振ると静かに店を出て行った。】
【丁度他に客は居らず、セリーナは渡された資料に目を通しながら独り、夜に向けて酒とつまみの準備を始める―――。】

【静かな時間が流れる。訪問客が居れば、恐らくはセリーナと一対一で会話する事も出来ようか。】

/予約で御座います
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/16(金) 20:27:20.72 ID:bH57j5z10
>>183

(―――また、此処に来る事になりましたね。)

【旧友が発ってから暫くした後、丁度つまみをお供に酒を楽しもうとしている頃だろうか。酒場の扉が静かに開いて】
【暖かい室内にひゅるりと乾いた寒い冬の風が舞い込んで、店主の髪や肌をひんやりと撫でることだろう】
【そんな風を合図に、扉の方を向けば―――其処には、凡そ酒場には似つかわしくない女性が立っている筈】

―――こんばんは。

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を北風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は優しく澄み、口元の笑窪や右の目元の泣きぼくろが整った目鼻立ちの顔にアクセントを加える】
【ベージュのトレンチコートは季節に合わせて厚手の温かそうなもの、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【コートの下はグレーのシックなトップス。コートの色と合わせて落ち着いた大人な雰囲気の色合い】
【黒色のスキニーパンツは、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる。足元はブラウンのブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく。―――外見はこんな感じ。】

【店主のセリーナにとってはあまり見覚えのない人物だろう。少なくとも言葉を交わした事は無いのは確かだ。けれど】
【幾多の悪人とも相対したこともあるセリーナなら直ぐに分かるだろう。瞳を見れば少なくとも悪人ではないと断言できる筈】
【冬の寒気に負けない、暖かく優しげな雰囲気を齎している……そんな人物。】

―――セリーナさんで御座いますね?……少しお時間、宜しいでしょうか。

【静かに頭を下げて礼儀正しく挨拶をする様子からも、彼女の腰の低い丁寧な人柄が垣間見えるだろうか】
【今はまだ真意は分からないが―――少なくとも何かしらの想いを秘めて此処に来たのは間違いないようで】
【それに応じるかどうかはセリーナ次第。少なくとも酒を飲みに此処に来た訳では無いのは確かなようだが―――】

/宜しくお願いします!
185 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/16(金) 20:57:28.66 ID:6g2Gy4z7o
>>184

【此処の所、店に来る手合いは大体が要人警護だったりとか、犯罪者の護送任務だったりとか】
【以前と比較すれば大分落ち着いた依頼が増えていた。極端に物騒な話は最近、余り聞いていない。】
【それ自体は良い事だし、この落ち着いた時間が何時までも続くのなら、それはとても幸せな事と言えた。】

【―――ある意味で、UTが廃業する時こそ世の中が平和になった証拠、とも考えられる。】
【だが残念な事に、物騒な話が減っても困っている人間の数だけはどうしても減らなくて―――。】
【例えば最近で言えば、鈴音の考えた"貧困"に喘ぐ人たちへの救済措置、それに麻薬の撲滅など―――。】

 ……貧困、か。強敵だなあ。銃で倒せないんだもん……っと、そういえば昼のレストランは順調かな。
 確か命名は―――そうそう、「たんぽぽ」だっけ。
 ダンデライオン、なかなかいいセンスだと思うなぁ〜。とっても鈴音ちゃんらしい名前だ。
 
【そういった"目に見えない敵"と戦う為に、新たにUTが始めたサービスの一つ、食料の無料提供。】
【結構な費用がかかるそれを認可したセリーナもまた大きな賭けに出た物だが、一番の問題は客が来るかどうか、だ。】
【鈴音は信用を得るためにもUTでそれを行う意味がある、とセリーナを説得したのだが―――確かに帳簿を見るに人は来ている様だ。】

 ―――予想以上、だなあ。アタシはてっきり、始めのうちはそれこそ閑古鳥が鳴くかとばかり思ってたんだけど……。
 このペースでお客さん増え続けたら、結構な額が飛んでいく……むむむ、どうにかこうにか費用を産出せねば……。

【帳簿と睨めっこをしながら、手馴れた様子でウィスキーを一杯開けると、ぐい、と喉へ流し込んだ。】
【赤鉛筆で一つ一つ確認をし、あーでもないこーでもないと格闘をしていると―――からん、ころんと鈴の音が鳴った。】
【入り口のドアに設置されたベルがなったと言う事は、つまり来客を意味していて。セリーナは書類から顔をあげて、笑顔で出迎えるだろう】

 ―――っと、いらっしゃいませ! 寒い中来店してくれて、どうもありがとう。
 ちょっと今書類片付けてて―――ごめんなさいね、直ぐに飲み物を用意するよ。
 暖かい飲み物がいいかな? それとも何かアルコール、が……?

【流石に客の前でまでお酒を飲みながら書類整理、とは行かなかったのだろう。】
【セリーナはカウンターへ立つと、いつもどおりの時代錯誤な服装の上にエプロンを着けて】
【注文を確認しようとするが―――どうにも、彼女はただお酒を飲みに来たという訳でも、食事をしに来た訳でも無さそうで。】

 ……オーライ。
 アタシを知ってて、それで話があるってコトは、何か大事な用事があって此処に来た、そうだよね?
 いかにも! アタシがセリーナ・ザ・"キッド"さ、そして今はご覧の通りお客さんが他に居なくてね、時間ならたっぷりあるよ。

 何か、お話があるって言う事なら聞くけど―――まあ、その前に寒かったでしょう?
 身体が温まる物を用意するよ、珈琲とココア、紅茶もあるけど何が良いかな。

【礼儀正しく、そして自分とは対照的に"女性らしい"態度の彼女に少々驚きながらも】
【何か依頼であれば真摯に話を聞かねば、とそう思って、とりあえずは飲み物をサービスするだろう。】
【カウンターの席を一つ用意すると、そこに腰掛けるよう案内し、セリーナはポットをコンロにかけて、そして彼女のほうを向いた。】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/16(金) 21:54:31.07 ID:bH57j5z10
>>185

【ドアを開ければ、ふわりと暖かな空気と共に元気な声と笑顔が出迎えてくれた。この人がセリーナさん、なのだろう】
【―――話には聞いていたが、やはり活発で明るい人だ。ドアを開けてすぐに飛んできた声を聞けば、その人柄も察せて】
【彼女の明るさに釣られるように、此方まで笑顔になるくらいだもの――元気を他の人に分けてあげられる、そんな人なのだろう】

―――はい、貴女にお話があって参りました。
それにしても……ふふっ、あのCMの通りの方なので御座いますね。とても元気な方です!

あ、飲み物で御座いますか?わざわざ有難う御座います、それでは紅茶をお願い致しますね。

【案内されたカウンター席に足を運びながら、大の紅茶好きな彼女はお言葉に甘えて紅茶を頼んで】
【コートを脱いで丁寧に畳んで静かに腰を下ろしてから膝の上に置けば、セリーナが紅茶を淹れてくれるのを待つ】
【(余談だが、マリアは此処の紅茶が美味しいことを知っている。と言うのも、実は鈴の声を持つ少女に淹れて貰ったことがあるのだ)】

【紅茶を淹れ終わった頃になるだろうか。ティーカップを口に運んで暖かな風味を一口楽しめば、静かに話を始める筈】
【……と、その前に自己紹介。大切な話をすると言うのに名前すら教えていないのは失礼な話だもの……】

―――申し遅れました、私はマリア……マリア・シャリエールと申します。
昼の国、ゼン=カイマから参りました。……参ったと言っても、転移魔術で一瞬なので御座いますが……

【―――ここで、セリーナはピンと来るかもしれない。】
【彼女の首に掛かっている十字架のネックレス、ゼン=カイマから来たという話、左手薬指の指輪―――そして、シャリエール≠ニいう姓】
【これらの情報から、セリーナがかつて敵対したある男が浮かび上がるだろう。―――彼女は、彼の妻という事なのだろうか】
【セリーナは、今の彼が過去に敵対していたころとは違うという事を知っているだろうか。そうでなければ、少しややこしいことになりそうだけれど……】
187 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/16(金) 22:25:51.57 ID:6g2Gy4z7o
>>186

【まあ―――これはこの店に限った事なのかもしれないが、客層がかなり"荒れて"いる店だ。】
【セリーナの賞金稼ぎ仲間は勿論の事、腕っ節に自信のある者や時に人間以外の存在も来店するほど。】
【だからと言うかなんというか、基本セリーナも接客はラフだし、客も客でタメ口が多いものなのだが―――いやはや。】

 (……れ、礼儀正しい……!)

【ワリと素で感動してしまうほど、セリーナは驚いた。この女の人、どれだけ育ちが良いのか。】
【もしかしてどこかの財閥の令嬢……? 成る程そうであればこの目にまぶしい可憐さも美貌も納得がいく。】
【滲み出ている良い人オーラがまるで聖者を思わせるような―――そう、何も知らないセリーナにそう思わせる位、柔和だ。】

 (……どうしよう、でも護衛の人を連れてる訳でもないし……かと言って、普通の人にも見えない……。)
 (単に礼儀正しい、ってだけじゃなくてなんていうか―――こう、アタシとは住む世界が違う様な、そんな印象が……、)

 ―――へ? CM、って……ああ! そういえば年末にそんな物を放映したっけ、そうだった!
 あ、ははは……いやあ〜、アレも結構急遽製作したって言うか、ぎこちない感じのモノですよ、ええ……。
 今思えば、もうちょっと季節感を出してそれこそビキニサンタのコスとか用意出来たのに……いえ、こっちの話です。

 ―――でも、もしかしてあのCMを見てウチに興味を持って貰えたのかな?
 だとしたら、無理言って撮影して貰った甲斐があったってものさ! あれ、いざ流してみたら
 アタシの友達から大ブーイングで……「知り合いとしていくらなんでも恥ずかしいだろー!!」とか、なんとか。

 もうみんなして思春期かってくらいピュアでシャイだから困っちゃいますよ、
 むしろお客さんが初めてじゃないかな〜、あのCMについてポジティブな意見言ってくれたの!
 だからサービスしちゃおっかな、紅茶ね!それならとびっきり良いのを仕入れてあるから、ちょっとだけ待ってて!

【まあ、確かに元気は元気だ。酒場の店主というよりは、むしろ八百屋のおっちゃんみたいなノリではあるが。】
【とりあえず紅茶を用意しつつ、自分とは正反対に落ち着いた彼女の自己紹介を聞いていると―――ピタリ、と手が止まる。】
【"ゼン=カイマ"、そして"シャリエール"―――セリーナにとっては苦い名前が二つ、唐突に、予想だにしないタイミングで耳に入って。】

 (……魔術。ゼン=カイマ。そしてシャリエール……、まさか? いやそんな―――でも……。)
 (たしかさっき指輪も見え……け、けど、それにしたってこの、彼女の礼儀正しさは……!?)
 (あの"団長"サマの……いやいや、ちょっとそういう風には見えないって言うか―――、……想像、し難いな。)

 すぅ―――……ふぅ。オーケイ、ちょっと、ちょっとだけ―――……落ち着かせて欲しいんだ。
 大丈夫、ものの数秒で頭の整理が……………
 
 ―――kkkけけけけっけけけっけけけけ結婚してたの"アイツ"!?!??!??!!?!?!?!??????

 え、うっそ!? なんで!? あいや、なんでってのも失礼だけど、えぇぇ!? な、、ちょ、―――ええぇぇぇぇ……。

 いやいやいやいや、アレだけ色んな所をかき回して暴れて荒らしてそれで、こんな、きれいな、……はぇ〜……。

 あー、えっと、その、あの〜……し、失礼、取り乱して―――お、おくさま、ですか? フレデリック、の? え?

【―――まあ、先ず会話にならない状態だ。セリーナはあの宗教都市の一連の攻防については、余り詳しい事情を知らない。】
【というのも同時期にかかりきりだった大規模な作戦、そう雷の国奪還任務において準備作業がかなり立て込んでいた為である。】
【事後報告的にしか事情を知らないことと、フレデリックには個人的に―――そう、アンジェルを巡る話で個人的に、深い因縁こそあれど】

【―――恨んで恨んで恨んで恨みまくっているが、そんな因縁こそあれど。まだその後に直接会ってはいない、というのが現状。】
【期間が開いたことで決着をつけようという気も沸いていないし、少しは丸くなったとは聞き及んでいたがそれにしたって―――。】
【しかも奥さんがいたんじゃ目の前で悪口やら貶し言葉やらいう訳にも行かないし、そもそも結婚は祝福すべき事柄だ。なんとも。】

 (う、うううぉぉ〜……これは、なんていうか……なんっていうか……っ!! すっげぇ〜……フクザツな、気持ちだなぁ……。)

【言葉に出来ない。まあ、でもそんな物だ……。】
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/16(金) 22:49:58.05 ID:NaihC66Y0
【――――深夜の繁華街、となれば治安も悪くなり。所々で客引きの声やら罵声が聞こえたりとするのだけれど】
【その中でも一際目立つ騒動が路地裏入口付近で起きていて】
【見遣れば柄の悪い男達に囲まれる青年が一人。その身形と気配とは軍人を連想させるもので】
【何よりも顔の左半分に傷跡が走っている事が特徴か。瞼が閉じられたままである事から、開かないのだと知れるけど】


「俺は金を持っていない…………と何度も言っている筈だが
縦んば持って居たとしてもお前達数人で奪えるとは到底思えないけどな」

【その言葉に逆上したのか、男達が一斉に襲いかかるも――――それぞれが拳の一撃で沈められ】
【残った一人が叫びながら飛びかかってくるが後ろ襟首を掴んで地面へと叩き落として】

【所詮は命の取り合いもした事の無い者達。強い痛みを味わえば蜘蛛の子を散らす様にして逃げ】


「全く、俺も舐められたもんだな―――――
さて、当初の目的通り飯でも食いたいが…………金も残り少ないし、どうしたもんか」

【大した障害でも無かったとばかりに溜息を吐けば辺りを見渡すが――――】
【先の出来事もあり、必然的に人集りが出来ているのだから遠目からでもよく目立つ】
【当の本人は周りでヒソヒソと声が交わされている事も気にせず辺りの店を見ているのだから、更に目立ち】







【――――夜の繁華街、と言うのは賑やかであると同時に治安も悪くなり】
【一角が辺りよりも更に騒がしくなっているのだから、其処が今宵の舞台である事も容易に知れる】

【さて、いざ見てみれば柄の悪い男女が数人。其れに対峙しているのは、コートを纏った女性一人】
【ふわふわとした金色の髪。柔和な表情は争い事とは遠い人柄にも見えるのだけれど、“自警団”所属を示す腕章が彼女が手練れである事を表すか】
【やがては男達が殴りかかるのだが――――相手がただの華奢な女、と考えたのが不運】


「全くもう、暴れちゃ駄目ですと何度も言った筈ですよ〜?
痛い思いをしたのはその罰です!お酒を飲むなとは言いませんが、次からは周りの迷惑にならない様に気を付けて下さいね〜?」

【正に一瞬の出来事。男達からしたら、気が付けば腹から強く地面に激突した事となり】
【件の女は悶絶する姿にクスリと笑みを零し、鼻歌交じりにその場を後にするのだろう】
【連行だとかしないだけまだ優しいのか否か――――野次馬達は別な意味で唖然としているのだから、其れが更なる注目を惹き】
【話し掛ける者が居るのだとすれば脚を止めて其方へと向き直るのだけれど――――】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/16(金) 23:34:25.50 ID:bH57j5z10
>>187

【丁寧で物腰が柔らかいが、かと言ってワザとらしい慇懃無礼な印象は微塵も無いだろう。きちんとしているけれど、よそよそしくは無い】
【それはちゃんと心から話しているから。丁寧だけれど、丁寧さの中に暖かさもしっかりと包まれているから】
【……でも、高貴な生まれとか何処かの財閥の令嬢という訳では無い。むしろ―――いや、この話は後の方が良いか】

ぎこちないなんて、そんな……あ、確かに鈴音さんは緊張気味のようで御座いましたが……セリーナさんは活き活きとしていましたよ!
……あら、ご友人からは不評で御座いましたか。でも私はいいなって思いましたよ!恥ずかしがらないのって、自分に自信を持てている証拠ですものね。
ふふっ―――それではお言葉に甘えて紅茶、頂きますね!

【―――きっとこの元気が、セリーナが様々な人を惹き付ける所以なのだろう。この人のエネルギーは、だれかを惹く力がある】
【だからこそ、彼女は皆に慕われているのだろう。正義の旗頭としてだけでなく―――魅力的な、人として】
【UTが、個々が力を持った面々が、彼女の下で繋がっている理由―――それが、ほんの少しだけ垣間見えた気がした】

【……そして、自己紹介。マリアの名乗った名前に――正確にはその苗字に、不意にセリーナの手の動きが止まる】
【そう。彼女にとっては恨み骨髄に徹したであろう仇敵の、その名前を名乗ったのだ。……まあ、驚くなと言う方が無理がある訳で】
【果たして天地でもひっくり返ったかのように驚かれる。あまりにも驚かれるものだから、此方まで目を丸くしてしまう……】

だ、大丈夫で御座いますか……?

―――はい、フレデリックの妻で御座います。
……主人が貴女に行った事は存じ上げております。謝って済む話ではないとは十分に承知しておりますが……本当に、申し訳御座いませんでした。

【―――そう言って、深く頭を下げる。それで済む訳では無いとは分かっているけれど……それでも、伴侶として】
【そして、更に言葉を紡ぐ。ともすれば、セリーナにとっては結婚なんかより余程驚くべき事実を―――】

―――あの人は、戦いが終わってから変わりました。
過ちを悔いて、ゼン=カイマの長として人々の為に前を向くようになったので御座います。
まだ不器用な所も御座いますが……誰かの為に戦う、そんな人になったので御座いますよ。

ふふっ―――もしかしたら驚かれるかもしれませんね。写真、ご覧になりますか?

【そう言ってポケットから取り出した写真に写っているのは、間違いなくフレデリック本人。だが―――】
【―――小さな子供たちの手を取って、笑っているのだ。この光景、セリーナには信じられるだろうか】
【他にもまだある。壊滅したゼン=カイマにおいて復興の陣頭指揮を執っている様子や、一人の聖職者として勤しむ様子】
【極めつけは、結婚式の折にタキシード姿で皆に祝われている様子―――全て、紛れもない事実だ。】
190 : ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/16(金) 23:58:58.68 ID:SdlTVMuVo
>>188
/まだ募集してますか?
191 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/17(土) 00:07:50.17 ID:OXVU3hiKo
>>189

【―――此処に来て初めて、CMを褒められて少しだけ照れたのだろうか、セリーナは頬を紅くして。】
【大体が調子に乗りすぎだとか、年齢を考えろだとか、そんな類のちょっかいやからかい文句ばかりだったから。】
【純粋で真っ直ぐな彼女の言葉でそう言われると、なんだか褒められ慣れていないセリーナには、くすぐったく感じてしまう。】

【勿論、それに反応してもう少しCMの時の話でも出来れば良かったのだが―――事態はそれ所ではなく。】
【本当に「フレデリックの妻です」とそう名乗られて、それこそ被っていたハットを一旦取り、こめかみを指で抑えた。】
【なんという唐突で複雑な邂逅だろう、それも直接ではなく間接的な。まさか、奥さんから渡された写真越しの再会とは。】

 ―――……あぁ〜……、ゴメンね、えっと……うん、そうだ。まずはありがとう。
 あんなヘンテコでチグハグな出来のCMを褒めてくれて。ついでにアタシも変じゃなかったなら幸いだ。
 ただね、此処に来て自分に自信が持てなくなってるよ、今目の前に居る―――えっと、マリアさん、だっけ? マリアが……、

 ―――げ、幻覚とかじゃないんだよね……? おっどろいたなぁ、本当に……改心して、結婚まで……。
 いやね、直接ぶつかったのはほんの一瞬だったから、そりゃあ、お嫁さんのマリアさんの方が
 アタシよりよっぽど彼をよく知ってるんだろうケド……にしても、そうか〜……。
 
 ……ああいや、謝らないでちょうだいな、マリア……さん? えっと、アタシより年上かな?
 アタシは今25歳なんだけど、まあそれはともかく、謝罪は直接彼から聞きたいし、それでこそ謝罪だからさ。
 それに、今は見る限りじゃ改心して、彼も人の役に立ってるんでしょう? なら、今の今彼を糾弾しようとも思わないし、ね。

 ―――彼を必要としてる人がいて、彼がそれを自覚して、努力を重ねてるなら。
 それはもう立派な罪滅ぼしさ、励んでくれてるなら結構だよ。邪魔する気だってないし、そもそも……
 謝るならアタシじゃなくて、アタシの仲間の方に謝って欲しいんだ。それは今度、直接会って伝えるつもりだから。

 ……ま! そんな訳で、マリアさんみたいなしっかり者がついてるなら一安心、ってトコさね!
 何も無く無罪放免、ってなってたなら流石のアタシもガンベルトに指をかける羽目にはなっただろうけど、
 こんな一生懸命な姿を証拠に見せられたんじゃ、手出しは無用さ。

 ただ……一つ忠告するなら、多分アタシより過激な考えの人もいるだろうから、
 彼を糾弾する誰かが現れた時にも、きっと傍に居てあげてね。尤も、その辺は折込済みで結婚したんだろうけど、さ。

【―――はぁ。とため息を一つついて、時の流れの偉大さを改めて実感する。そうか、一年の間にそんな事が。】
【だが確かに、人間は変っていく事が出来る生物だ。フレデリックもそれに漏れず、改心出来たのならそれでいいじゃないか。】
【今の今になってセリーナが茶々を入れる必要はないし、後はアンジェルに謝罪デモして貰えれば、それで万々歳、という所だろうか。】

【ともあれ、そこまで吐き出すとセリーナはふと、思いついた様に何かをカウンター下から取り出して。】

 ……っと。これ、もし良かったら持ってってよ。結構寝かせてある良いお酒なんだ、葡萄酒は飲む?
 飲まないなら他のに変えてもいいけど、今ウチにあるお酒の中じゃ一番高級なヤツだ、せっかくだし持ってってよ。
 ま―――元・仇敵さんの結婚祝い、ってワケじゃないけどさ。そういう話を聞かされて、手ぶらで新婦さん返すのも野暮、でしょ!

 ―――マリアさん、結構おめでとう。正義の味方とか、UTの長とか、そういうの抜きで、一人の女性として祝福するよ。

 ……で、もしかして今夜はそれを告げに来たのかな? 謝罪も兼ねて、結婚報告をしに……?

【そんなわけはないのだが。話題を全部結婚に持ってかれて、セリーナも困惑しているようだった。】
   
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/17(土) 01:24:09.74 ID:XzO8SAzm0
>>191

――――……!

【―――やっぱりこの人は、見立て通りの人だった。とても―――とても、人間として強くて素敵な人だった。】
【強いというのは腕っ節や戦闘技術なんかじゃない。心だ―――この人は、胸の中にある部分が誰よりも強いのだ】
【悪に対して決して折れる事無く立ち向かう強さと、過去がどうであろうと今を見つめて許せる寛容さを併せ持って】
【その本当の強さを正義にして、戦っているのだろう。悪を倒すのではなく、正す為に―――】

【そんな彼女に敬意を表して、マリアは謝罪の代わりに感謝の言葉を告げる。―――きっと彼女には、こっちの言葉の方が相応しい】

―――ありがとうございます。
どうか、何時か主人が訪れた時には宜しくお願いしますね。……あの人、少し口下手で不器用な所が御座いますから……

ふふっ―――ええ!何があろうと、あの人の進む道を傍で支えるつもりで御座いますよ。
私は、どんな時でもあの人の傍に寄り添うと―――そう決めましたもの!
苦しい時や辛い時に、横に居て一緒にその重みを背負ってあげられるように、って……―――

【―――そうやって心の丈を語る様子を見れば、本当に夫婦なのだと分かるようで。マリアの夫への強い想いも感じることが出来ようか】
【人間は変わる生き物。その変わっていく道の中で、伴侶として彼を精一杯支えるように―――いつだって、傍に居よう】
【セリーナの言葉に応じるように、マリアは優しく微笑む。その表情は柔らかく、春の日差しのように―――】

【これで、驚きと共に迎えられた自己紹介は終わり。―――そしてセリーナがカウンターから渡してくれたのは葡萄酒、それも一番良い物】

え、……その、こんな高そうな物を頂いてしまって宜しいので御座いましょうか……いえ、
折角贈って頂いたのに、こんな事を言うのは失礼で御座いますよね。

―――本当に、ありがとうございます。

【こんな良い物を貰ってしまって良いのだろうかとマリアは少し困惑するけれど、最期はセリーナの純粋な善意に応えるようにして】
【至極大事そうに貰い受ければ、転移魔術を使って自宅まで転送する。……転移魔術とはなかなか便利な魔術だ】

【―――さて、話は本題へと移る。】
【此処に来たのは結婚報告では無くて、もっと別の大切な事。その話の切り口を、静かに紡ぎ出す―――】

……いえ、本題は別で御座います。―――鈴音さんが此処で運営しているレストランの事で御座います。

恵まれない子供に、料理を通じて暖かみを与える―――そんなレストランだと聞きました。
……どうかそのレストラン、私にも協力させて下さい。

私も、恵まれない子供達を支援しようと取り組んでいるので御座います。
世界中の人に募金やチャリティ運動を呼び掛けて、集まったお金を孤児の為の支援に使う……その名もシャリエール基金≠ナす。
「困難な境遇にある子供達に手を差し伸べる」―――それが、この基金の理念です。

……実を言うと、私も孤児だったので御座いますよ。幼い頃に身寄りを亡くして、教会に預けられたので御座います。
―――その教会で、ある老シスターに出会いました。あの人は、私に母親のように接してくれました……
……きっと私も幸運だったのでしょう。独りだった筈の私は、いつも傍に居てくれたお母さん≠ゥら沢山の幸せを貰いました。
彼女は既に天寿を全うしこの世を去りましたが……亡くなるまで私の事を優しく抱いてくれたことを、今でも覚えています。

……私も、お母さん≠フようになりたい。一人でも多く、寂しい思いをしている子供達に手を差し伸べたい……そう思って、この基金を設立しました。

鈴音さんからは、資金面のやりくりはセリーナさんが行っていると聞きました。―――是非この基金を使って頂ければ嬉しいです。
遠慮は要りません。私自身が、鈴音さんの活動に心から賛同しておりますもの!

【先程「育ちのいい人か、資産家の令嬢か」と述べていたが―――それどころか彼女は、元々は恵まれない孤児だったのだ】
【優しさや丁寧さは、大切な人から愛と共に受け継いだもの。育ちが良いのではなく、愛を受けて育ったから――】

【申し出たのは、資金面での全面的なバックアップ。マリア達夫婦の設立した基金を是非レストランの運営に使って欲しいと】
【無料となれば、資金のやりくりも大変だろう。どうかお金のことは気にせずに存分に子供達に手を差し伸べて欲しいと思って】
【遠慮は要らない、そもそもこういった使い方がこの基金の目的なのだから―――】
193 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/17(土) 01:30:24.44 ID:OXVU3hiKo
>>129
/申し訳ないですが、ちょっと眠気がきつくなって来ましたので
明日以降に持ち越していただいても宜しいでしょうか?
当方明日、明後日はどちらも午前午後空いて降りますが、其方のご都合は如何でしょう
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/17(土) 01:38:00.22 ID:XzO8SAzm0
>>153
/了解です、此方も明日明後日なら午後6時以降は空いておりますので好きな時にお返し頂ければ!
/久しぶりのロールでお返事が1時間以上掛かったりして、本当に申し訳ないです……
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/17(土) 01:44:39.21 ID:XzO8SAzm0
>>194
//あわわ、安価ミスです……>>193です!
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/01/17(土) 18:56:23.88 ID:L37OUYBBo
【郊外――空き地】
【正確にはここは売り地である。ただ、雪に埋もれてその看板が見えないだけであって――】
【さて、そんな土地に、しかも吹雪いている中に……ある存在が、1つあった】

さァて……こォの寒い世ォの中を熱くしィようじゃアねェーか

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

なァにを使うか……寒さに強く、熱の類を使える……うゥーむ

【なんて考えていると、その者の上の方にある屋根から轟音が聞こえてきて――】
【程なくして落ちてくる無数の雪は、あっという間にその者を埋めてしまうのであった】

……糞ッ、俺様じゃアなァかったら生ィィき埋めで凍ォ死しィィてたぞッ!

【顔だけずぼっと出して、愚痴愚痴しているその者】 【傍から見たら危ない状況だ】
【――こんな天気だから、外を歩くものは殆どいないが……誰か、通りかかるものは居るのだろうか】
197 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/17(土) 20:07:01.93 ID:OXVU3hiKo
>>192
【まあ、その実きっちり金銭も要求している辺り、"正義"を胸に秘めてはいても】
【よく言えば現実的、悪く言えば"ちゃっかり"とした性格の人間である事は間違いないのだが。】
【只、自分に嘘を吐かず、そして真っ直ぐで明るい心をもっている事もまた、マリアの見抜いた通りであった。】

【だが逆に言えばそんな"彼女"だからこそ、"たんぽぽ"に関しては随分と大きな博打に出たと言える】
【金銭を要求せず、見返りを求めず、ただただ只管に困っている人を助ける為のキャンペーン―――正直、らしくない。】
【だが彼女は彼女でこの件に関しては思うところがある様で、鈴音の熱意に圧されたのも勿論、この計画には狙いがあるのだった。】

 ……なるほど、それで―――、ウチに協力を申し出たい、って事か……。
 (その為にわざわざ出向いてくれるなんて、本当なら電話でも大丈夫だったのに。本当に、礼儀正しいというか、丁寧だ……。)

【だからそう、マリアの口から発せられた言葉に関しては、予想外の物であったから、驚きは隠せない。】
【勿論、支援の声自体は他の所からも少しずつではあるが届いている。ボランティアの力というのは実に偉大だ。】
【そしてマリアのそれも、慈愛の心に満ちた"寄付"であった。多額の費用を投じて、この活動を支援してくれるというのだ。】

 ……マリアさんも、孤児だった……、そうでしたか。
 わかりました、確かに―――そういう経緯があったのなら、この寄付のお話にも真実味が増しますね。
 実はアタシ、ボランティア、とか。寄付、っていうのが昔からあんまり得意じゃなくって。人よりお金に執着が強いものだから、ついね。

 それに―――そういうお金が、廻り回って悪い事に使われてるような悲惨な状況を、賞金稼ぎの時代にちょくちょく見てて。
 酷い所だと、"もともとそういう事に使うため"に、寄付を名乗って資金繰りをしてる麻薬組織なんかもいたくらい。
 だから、正直に言えば―――……。

【―――そんな、優しい話の筈なのに、意外にもセリーナが始めた話はどこか、荒んだモノだった。】
【マリアの言葉を素直に受け取って、喜んで支援を受けると普通ならば言い出しそうな所を、セリーナは言葉を濁した。】

 ……正直に言うなら、"このプロジェクト"自体に、アタシまだ……自信が無くて。
 暴力は、失くす事が出来ると思うし、そうでなくとも、今この世界に暴力を振りまいてる"原因"を
 取り除く為に動く事なら出来る―――カノッサやGIFTを打倒する為に、アタシが「旗」を立てたのはそういう事。

 けど……貧困、ってどうやったらなくなるのか、アタシ自身そこに答えを見つけられてなくて。
 分らなくなるんだ、考えれば考えるほど……お金を稼げる人と、稼げない人、二通りの人間が生まれるのを、
 どうすれば止める事が出来るのか……精精がアタシに出来るのは、こうして勇気ある貴女や鈴音ちゃんの様な人の活動を
 どうにかこうにか形にしてあげる事くらい―――……言ってしまえば、これはとても事後的な対処法だ。根本の解決には、至らない……。

 ……今はまだ、目の前の困っている人を救う、っていうその為に、その一点の為に動く事が出来る。
 お腹を空かせた人にご飯を食べさせたい。立派な考え方だ。実行に移せる鈴音ちゃんは尊敬できる娘だし、
 マリアさんみたいに、自分の過去にそういう何かを抱えながら、前を向ける人は本当にステキだなって、そう思う。

 ―――けどアタシは……つい最近、自分の生まれと生い立ちが"奴隷"って人種だった事を知って、
 それでその頃の記憶を思い出して困惑したり、時々無性に苦しくなったり……鎖を見ると嫌な気分になったり……。
 そんな、情けない人間だ。鈴音ちゃんやマリアさんに比べれば―――……アタシの心は濁ってる、それも酷く……醜い。汚い。

 一瞬でもアタシは、"忘れていて良かった"とか……"記憶を消されて良かった"とか、
 そう考えてしまった。卑怯にも、あんな過去を持ちながら―――奴隷だった事を、受け入れたくないと思ってしまった。


 アタシはマリアさんとは違う。そんな、前を見切れてないアタシが、貴女のお金まで使うのは、……ごめんなさい。


【まだ、今後の事まで考えたら、自信が無いのだろう。そもそも、貧困と向き合う事自体が、怖いのだろう。】
【相手が銃や剣ならば、身を捧げれば倒せる。だがそうではない、実態の無い敵を前に、セリーナは悩んでいるようだった。】

/遅くなりました、お願いします
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/17(土) 21:41:10.07 ID:XzO8SAzm0
>>197

【無料レストランの資金面での協力を申し出たのだが、―――返ってきた答えはあまり肯定的なものではなかった。】
【思う所が在るのははっきりと見て取れた。武器を取り戦えば解決する問題ではない、貧困という難敵に―――】
【見えない大きな敵と戦うのが怖い。手探りでも根本的に解決する方法が見つからない……そんな憂いを、セリーナの瞳から感じ取って】

【マリアは、静かに言葉を紡ぎ出す。セリーナが悩む貧困≠ヨの、彼女なりの考え方を―――】

―――貧困がこの世から無くならない、恵まれない子供を無くす方法が分からない……

……セリーナさん、貴女の気持ちはよく分かります。
貧しい子供たちを一遍に無くすことのできる方法は、何処にあるのか……とても、難しい問題で御座いますよね。


……私は、この問題に対する一つの答えを見出しております。―――「愛」こそが、その答えではないでしょうか。
もし世界中の人々が傍に居る人を愛することが出来れば、貧困は無くなります。そうでしょう?―――人は、愛する人のために与える≠アとが出来ますもの。
そうして、世界中の人々が与え合うことが出来れば……恵まれない人も、いなくなるとは思いませんか?

確かに一人一人が与えられる量は非常に小さいで御座いましょう。それだけではきっと、貧困を解決する事は出来ません。
でも―――それを多くの人々が行えば、どうでしょう?

貴女が誰かに手を差し伸べて愛してあげることが、貧困の解決への第一歩となるので御座います。
鈴音さんも、そのことに気付かれていました。「料理を通じて、暖かさを知らない子に暖かさを伝えたい」、って……
恵まれない子供たちに愛を与えるのは、決して事後的な対処では御座いません。愛を与えることこそが、唯一の貧困への答えなので御座います!


……奴隷≠ノ関しても、同じことで御座います。
貴女が奴隷≠セった過去を苦しく思う理由……―――それは、愛されることが無かったからでは御座いませんか?

なら――――どうか、貴女自身が記憶の中の過去の貴女≠愛してあげて下さい。
そうすれば、きっと向き合える筈で御座います。―――どうか、過去の貴女≠嫌わないで受け入れてあげて下さい。
いきなり正面から向き合うのは難しいでしょう。ですから……少しずつでも良いから、愛してあげて下さい。


―――基金の話は、無理は言いません。どうしても駄目と言うなら強いることはありません。ですが……

【「―――使いたいという気になれば、何時でも協力いたしますよ!」と、微笑んで。―――マリアは言葉を紡ぎ終える】
【この実体の無い敵は、多くの人々が繋がる事によって倒せるのだ。一人が身を捧げるのではなく―――皆が分かち合うことによって。】

//すみません、大変遅くなりました!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/17(土) 22:07:31.12 ID:25h9OpLX0
【夜の国――街外れにある森の中】
【昼ごろまで降っていた雪が、黒々とした葉や枝に積もり、冥い森を白く縁取る、それが月明かりに煌き】
【どこか遠くで獣や鳥のなく声がする、風はじゃらじゃらと葉を鳴らして、粉雪を舞い散らせる。或いは幻想的な風景の中】

…………あ、れ?
……どこだろ、ここ、……確かあの辺に目印が……、……あれ?

【聞こえてくるのは、鈴を指先で鳴らしたような、透き通る声。なんだか慌てたように鳴いて、言葉を辿れば】
【どうやら迷子――であるとも知れて。薄ぺらい雪を踏む音、硬い葉っぱを蹴飛ばす音、ざくざくと重なっていく】
【手元の角灯を振り回すみたいに辺りを照らせば、暗く黒い森はよく見えるも――探す目印(もの)は、見つからず】

【真っ黒い髪を腰ほどまで伸ばした少女だった。きょろきょろとする眼は蛇の目に似て、黒と赤の、色違い】
【時折見える耳元には右にだけピアスが付けられていて、宝玉の欠片をあしらっているのも、分かるモノには分かり】
【生成りのブラウスと焦げ茶のコルセット、深い赤のミニスカートが揺れて、足元は長めの靴下】
【羽織っているのは長めのマント、これも、深い――というより暗い赤色をしていて、足元は、安全靴めいたブーツ】

迷……、……。

【手に角灯と籠を持った少女は、(きっとそうだろう)と思う言葉を呟きかけて、ふっと、意図的に口を手で押さえて黙り込む】
【認めたら負け。認めなかったら迷子じゃない。なんとなくそんな気になって、彼女はふらりと辺りに視線をめぐらすと】

――迷ったら、指輪で帰ればいいもんね。

【なんだかどうにも危機感めいたものが足りないように見えたのは、――どうにかする手段がある、らしく】
【大丈夫なんだったと気付いてしまえば、少し上機嫌めいて、また歩き出す。どっち……とかもうよく分からないけれど】
【森の奥へ奥へと向かっていく少女。それも結構な軽装となれば、もし誰かに見つかれば――なかなかに怪しい人物であって】
200 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/17(土) 22:36:11.42 ID:OXVU3hiKo
>>198

【愛―――"愛"。そうか、愛か。今のセリーナに、いや、もっと言うならこの世界に足りていないものは、それか。】
【確かに、それは他の何かで埋め合わせが効く様な代物ではない。どんなに技術が発展しようと、時代が変化をしようと、】
【愛が欠ければ人の進化は促せないだろう。そして欠けたそれを何かで補おうとすれば、そこにはきっとまた、争いが生まれる。】

【愛は、愛だけは、愛でしか補えない。そんな簡単な事すらも、分らなくなってしまうほど。】
【自分が身を置いている"戦い"の世界がどれほど過酷なのか、今マリアの言葉を通じて身をもって痛感した。】
【漠然としていた自分の想い、踏み躙られる誰かを見るのは嫌だという、反撃の旗印に名前をつけるのなら―――それは"愛"だ。】

【誰かを愛する心。自由を愛する心。自然を、世界を大切に想い、愛する心。】
【在り来たりかも知れないが、いや、むしろ在り来たりであるからこそ重要なのだろう。】
【そうだ―――特定の誰かを対象にせずとも。愛があったから、自分は銃を握ったのではないか。】



 "―――……All you need is LOVE (愛が世界を救う) "。


【途方も無い時間を有するだろう。だが、人に残された最後の武器は、きっとコレだ。】
【銃弾でも刃でもミサイルでも衛星兵器でもなく、人が人のまま幸せになるには、この武器が必要だ。】
【奇麗事で言って居るのではないと、分る。悲惨な現状を見てきたからこそ、彼女のそれが冗談や酔狂ではない、と。】


 ……マリアさんが言うと、"愛"って言葉の重みも、テレビでよく聞くキャッチフレーズとは、違って響くね。
 ほんの少し前の―――……何もかもを悲観的に見てた頃のアタシなら、きっと貴女を笑ったかもしれない。
 けど、今なら分る。今なら言える。―――みんなが愛を持ってくれたら、それを自覚してくれたら、世界は変る。

 なんだかハッとさせられちゃったなぁ……ははっ、資金援助の他に、愚痴まで聞いてもらう形になっちゃって。
 初対面の人に、失礼だったかな、って想ったけど……ごめんなさい。でもマリアさん、貴女には正直に打ち明けて良かった。
 
 
 ―――アタシね、ずっと思ってたんだ。
 アタシや、UTの仲間や、SCARLETだけじゃなくて……皆が、隣の誰かの為に動ける世界が、欲しいって。
 別に、アタシ達が偉いわけでも、凄いわけでもないんだ。本当は誰もが、誰かにとっての"ヒーロー"である、
 そんな当たり前だけど気が付きにくくて、実際やるのに勇気が必要な真実に、皆が気がついてくれる様な世界。

 別に武器を握る必要は無い。それでも、困っている人を助ける為に、見て見ぬフリをしない人が増えて欲しい、って。
 例えば、アタシはなんだかんだいっても、無能力者だ。特別な力はもってないし、銃が無ければそれこそ一般人と変らない。
 それでもそんなアタシだから、立ち上がることで他の皆にも勇気を与えられるんじゃないか、って―――そうなって欲しいな、って。

 ずっと、そう想ってた。でも、きっとそれだけじゃダメなんだ。勇気だけじゃ、それは起こり得ない。
 愛も必要なんだ。誰でも良い、自分の子供でも、家族でも、友達でも、恋人でも。それに―――自分自身でも。

【正義の味方、とか言われる様な、そんな大層な職業についていなくても、誰もが誰かの英雄である―――】
【それが今までのセリーナの考え方であった。そして、それに気がついて貰えれば、きっとこの世界でも変ると。】
【だが今日、その考え方にもう一つ新たな"要素"が加わった。勇気の他に、愛が無くては、人は立ち上がれない。】

【やっと重要なピースを手に入れた。漠然とした言葉だが、大切に想う気持ち失くして、人は救えない。】
【いや、むしろやっと"思い出した"のだろう。一番最初に、自分に"護りたい"という感情を抱かせた、"あの人物"を】
【セリーナは愛していたのだ、と。だから戦えたのだ、と。それを愛だと、当時セリーナは、まだ理解できていなかったのだ。】

【だがこれで、一つの光明が見えた。そして同時に、新たな問題も。】

 過去の自分については―――時間をかけて見詰め直すとして。
 誰かを愛するには、マリアさん、自分にも余裕が必要だ。幸せじゃない人間が、幸せを分け与える事は出来ない。

 ―――資金援助の話、喜んで受けさせて貰います。本当に―――ありがとう。

【そう。やるからには、もっともっと"余裕"が必要。まずは軍資金から、と言う事だ。】
201 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/17(土) 23:28:12.20 ID:XzO8SAzm0
>>200

【そう。愛は、どんなに金を積んでも手に入る事は無い。ただ―――誰かに与えられる事によってのみ、手に入るものだ】
【そして、性別も、年齢も、人種も関係なく全ての人が分け与えることが出来るものだ。だから―――分け与えよう】
【特別な事はしなくていい。多くの人を救おうとしなくていい。まず、隣にいる人から。手の届く人から、愛を分けよう】
【それを世界中の人がすれば、きっと貧しい人は無くなる。だから……―――まず、愛することから始めよう】

【―――そんな想いはセリーナにも伝わったようだ。彼女の打ち明けて良かったという言葉を聞けば、マリアは優しく微笑みを浮かべて】
【「それは良かったです!」と、言葉を返す。少しでも彼女の心にかかっていた靄が晴れたのなら重畳だ―――】


―――そうで御座いますね。大切な誰かの為に立ち上がる……それも、愛の一つで御座います。
正義や理想だけ≠掲げて戦うのは難しい。でも、其処に大切な人への想いが加われば―――きっと、動けますよね。

誰かを愛するのに、特別な技能や能力、道具は要りません。想う心さえあれば誰だって出来る事です。―――そう、例えば大切な人の為に戦う貴女みたいに。
ふふっ―――セリーナさんなら、きっと気付けると思っておりました。虐げられている誰かの為に立ち上がって戦える貴女なら―――ね!

……ええ、此方こそ喜んで協力させて頂きます!さあ―――出来るところから手を差し伸べましょうか!

【そうと決まれば、マリアも全面的に協力をする。カウンター越しに手を差し伸べてセリーナに握手をしようとして】
【手を握ってくれたのなら、これで今回の話は成立。さあ――――悩むより、考えるより、手を差し伸べよう】

【セリーナの立ち向かう問題に、一筋の道を見出すことが出来たのなら……それは、とても嬉しい事だ】
【問題は、きっと一筋縄ではいかないだろう。しかし……きっと彼女なら乗り越えられる。そんな気がする】


【―――さて、話も纏まったならここに来た目的は果たせた。果たせたのだけれど、これだけでさようならでは少し寂しい気もして】
202 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/17(土) 23:35:00.30 ID:vzLlu7qwo
【街中】

【とある繁華街。びっしりと立ち並ぶ古い雑居ビルにはネオン看板が溢れんばかりにある】
【そんな街で突然、起きた出来事に通行人は気を取られる。酔いも覚めることだろう】
【鳴り響く銃声3発。そして、ガラスが砕け散る音。落ちてくる砕け散ったガラスと人影】

……痛っ……クソッ。…おい!ボサッとすんな爆発するぞ!

【落ちてきた男は起き上がって叫ぶ。黒い髪を乱し、額から血を流したサングラスの長身の男】
【黒のスーツに黒いネクタイを締める。通行人は何事かと距離を取って見ているだけで動かない】

ああ!クソッタレ!…逃げろって言ってんだよッッ!!

【男は右手に握っていた黒いリボルバー式拳銃を真上に構えて、何発か撃ち鳴らした】
【銃声が目の前で起きて、今度は混乱気味に人だかりは離れていく。人がひき出したその時】

【彼が飛び降りたビルの3階の窓が全て吹っ飛ぶ。爆音、爆風、大爆発でワンフロア全てが吹っ飛んだ】
【男は真下で瓦礫に埋もれる。暫くして、巻き上がった砂埃を全身に浴びながらそこからゆっくりと歩き出す】

あー…クソッ……ふざけんじゃねえよ…

【流れる血を手の甲で拭う。これだけの事態だ、すぐに警察でも駆けつけるだろう。面倒になる前に―――】
203 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 00:12:29.98 ID:owtrpU7Bo
>>201

【―――セリーナは「教会」や、「宗教」と言うモノとは、ほぼ無縁に生きてきた人間だが、改めて今夜思ったのは】
【案外、宗教というのも悪くないのでは、という事。こんなに優しい人間が育まれるのであれば、それは素晴らしいと言える。】
【普通に教育されただけでは、中々こうまで優しくは成れまい。聖人君子、という言葉は好きではなかったが―――彼女には、相応しい】

 はぁ……でも―――そっかあ。大切な人、ねえ。
 なかなかそういう人を見つけるのも難しいと言うか、タイミングって大事なのかなぁ〜……。
 どういう経緯があったのかは分らないけど―――ほんと、どうやってこんな優しくてステキなお嫁さんを、ゲットできたんだか……。

 ひとつ今夜の話で分らない事があるとすれば、……"貴女"みたいな人間が、今は心を入れ替えたとはいえ、
 どうしてフレデリックと共になる事を選んだのか、って所くらいだね。いやほんと、女のアタシから見てもよく出来過ぎてて。
 正直羨ましいくらいなんだ、何処に出しても恥ずかしくないお嫁さん、っていう感じだし―――冗談抜きで、フレデリックも幸せ者だよ。

 ま、それはともかく―――本当に、ありがとう。このお金は絶対に無駄にしないよう、大事に使わせて貰うよ。
 

【差し出された手を握り返す。仄かな暖かさが伝わる、温もりのある掌だ。】
【この暖かさを他の人にも分け与えられることを期待しつつ、セリーナはふと、"ある事"を思い出した。】
【それは遡る事一ヶ月ほど前の話、まだ年を越していない時期に、フレデリックが一度この酒場に訪れていた、という事実。】

【そして更に言えば、そのときに書き残していたメモの内容について―――である。】
【丁度セリーナが不在の時に訪れていたようで、伝言を残し彼はその場を去っていたのだった。】

 ―――っと、そうだ! そういえば、マリアさんにもう一つだけ聞いておきたいことがあって。
 実は、丁度一ヶ月半くらい前に、一度フレデリックがウチに顔を出しててね、その時アタシは居なかったんだけど、
 なにやら相談したい事があるみたいで……まあ、その前に話したい事も色々あるんだけど、とにかく何か悩みがあるみたいなんだ。

 え〜っと、確かこの辺に―――……ああ、そうそうこの書面だ!
 霊廟の大司教と、それに纏わるある六罪王の件について、少し相談がある―――とだけ、書いたメモが残ってたんだけど。
 連絡先も分らないし、アタシも「たんぽぽ」の件と他の案件で此処一ヶ月はずっと手一杯だったから、まだ彼に会いに行けてないんだ。

 なにかこの霊廟の司教さん、っていうのと、それからさ迷う島の六罪王、って単語に聞き覚えは無いかな?
 もし知ってることがあるなら、先に聞いておければ今度フレデリックさんに直接お話しようかな、って思うんだけど―――。

【どうやら、フレデリックが残した書面について、予め前情報で予習をしておきたい、という事らしい。】
【六罪王、という単語からして放っておける案件ではない事は確かだが、急務であれば書面で書き残す、という方法も取らない筈。】
【どの程度の事件が起きていて、何をすればよいのか、詳しくは把握していなくとも事情だけでも―――と、セリーナはマリアに尋ねた。】 
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/18(日) 01:08:12.32 ID:P16oyWX10
>>203

―――それは勿論、あの人なら私の全てを受け入れてくれると感じたからで御座いますよ。
言葉を交わさずとも、私の心を理解して、受け入れて……一点の曇りも無く信頼してくれたから。これ以上、どんな理由が要りましょう?
ふふっ―――私の目に狂いはありませんでした。あの人はいつだって、私の事を信じて下さいますもの!

あの人が幸せ者かどうかは分かりませんが……もしあの人が私と一緒に居て幸せと思っているのなら、これ以上嬉しい事は御座いません。
そして―――これからも、幸せになれるようにしたいなって……そう、思います。

―――ええ、どういたしまして。是非その資金で、誰かを愛してあげて下さいな!

【握られた手から温もりを感じれば、マリアは小さく微笑む。―――人の手が温かいのって、誰かの手を握るためのような気がする】
【差しのべられた手を握る、たったそれだけの事でも暖かさを分けることが出来る。……困った人に手を差し伸べるって、そういう事】
【……さて、話は次の話題へと進む。何かを思い出したように、ふとセリーナが声を上げて―――】

訊きたいこと、で御座いますか?何でしょう、お答えできる話ならお答えしますが……

―――……あの人が、セリーナさんに相談したい事?どんな事で御座いますか?――――ああ、霊廟の話で御座いますか……
……ええ、その話については存じ上げております。―――恐らくセリーナさんにもご協力を仰ぐ事になるでしょうし、お伝え致しましょう。

まずは、霊廟の大司教の話を。
……ゼン=カイマの近郊には、かつての大司教が眠る霊廟が御座いました。其処にはアーグという名の過去の大司教が眠りに就いておりました。
しかし―――その古の大司教が、死の直前に自らが用意した術式によって永年の眠りから復活したので御座います。
彼がこうまでして復活を遂げたかった理由は分かりませんが……少なくとも良からぬ事である事には間違いありません。
というのもこのアーグという大司教、異教徒を新しい術式の生贄にしたなど血生臭い「裏の顔」を持っているので御座います。


次に、六罪王の話ですが……
此方はセリーナさんも覚えがあるかもしれませんね。―――ダグラス・マックスウッドという名で、ピンと来ませんか?
ラグナールの一件の張本人……そして、旦那様の元$e友。彼が、カスケード海淵にあるドラクレア島という島に前述のアーグと共に潜んでいるので御座います。

……恐らく、何かしらの計画をしているのには間違いないでしょう。彼らは「パーティの準備をしている」などと言っているのですから……

【知っている情報はこれくらいか。大まかな事情は把握できただろう……つまり、遠くの島で復活した悪司教と六罪王が良からぬ事とを企てているという事】
【憂いを帯びた顔で話すのは、やはり今後が心配だからであろう。どうも、何事も起きないというわけにはいかなさそうで―――】
205 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/01/18(日) 01:46:00.53 ID:djZBEXG7O

【――――喧噪に包まれる繁華街。少しばかり治安が宜しくない場所で、其れは起きていた】
【先ず、柄の悪い男が顔を血に濡らしながら突っ伏している。他には、仲間と思われる者達もショーウィンドウに頭から突っ込んでいる者も居たり】
【一言で表してしまえば惨事だ。放っておいても直に自警団だ警察だと来るだろうが…………】


「ふん……悪事をするなら次からはもっと上手くする事ね。こんな場所で子供の売買の話をするなんて馬鹿の極み以外の何でも無いわよ」

【見れば男達は其れなりに有名な拉致集団、らしいけれど。――――この場を訪れた者がその事を知っているかはまた別な話】
【無論、自警団だとか或いはカノッサだとかであれば直ぐにでも分かるのだけれど】
【兎にも角にも、人々がざわついているのだからその現場だって嫌でも視界に入る】
【――――そして。突っ伏した者達以外で血を浴びているのは女性……即ち赤髪の修道女以外誰も居らず】

【誰もが避けているのだから、興味を抱いた者は幸い。この騒ぎを引き起こした者に接触するのは実に容易だが――――?】













【――――某大図書館。この時期は暖房も全開で動かしている為に常に温かく】
【本を目的としてでは無く、身体を温める事を目的として訪れる者も少なく無いのだけれど】

【木製の長テーブルの一角、既に突っ伏している姿があって】
【コートを纏い、ふわふわとした金色の髪を持った女性――――で終われば良いのだろうけれど、あろう事かその腕には“自警団”所属を示す腕章】
【言ってしまえば職務怠慢。気持ちよさそうな寝息まで聞こえるのだから何とも憎い】


「ん……ぅ…………駄目ですよう、これはとっても大切な物で〜……Zzz」

【寝言を呟きはするものの、起きる気配は無く――――同時にこの時間故に、周りに起こしてくれるような者も居らず】
【さて、近くに積み重ねられた本は実に不安定。今にも女性の頭を目掛けて落下しそうで】
【――――見つけた者が起こすか、それともただ様子を見るかは全て自由。或いは寝ているのを良い事に、悪戯を仕掛けた所で易々と起きそうにも無いが】


予約でありますー
206 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 01:56:22.44 ID:owtrpU7Bo
>>204

【言葉を聞く限りでは、二人は正に理想の夫婦、とでも呼ぼうか、羨ましく成る程だった。】
【互いが互いを必要とし、文字通り愛し、そして信用しあう夫婦―――新婚だから、という浮かれた物ではなく】
【マリアの言葉からは純粋に相手を愛しく思う心が伝わってくる。自分を受け入れてくれる、確かにそれはこの上ない幸福だった。】

 ―――自分の全てを受け入れて貰える、か〜。
 良いなあ善いなぁ! なんっていうかこう、本当に愛し合ってるって感じが伝わってくるよね〜!
 今でもあのフレデリックにこんなお嫁さんがいるって事は若干信じられないけど―――でも、とりあえずは二人の幸せを祈ってるよ。

 はぁ〜……そうかあ、結婚かぁ〜……なんだか、色々と考えさせられるね……。
 結婚は愚か、最後に恋人と一緒に居たのってもう結構前になる様な……ふふっ、ちょっと羨ましいや。


【やはり女性であれば、誰でも結婚、という言葉にはそれなりに反応する物だろう。】
【セリーナとマリアも然程年は離れていないようだし、やはりそれなりに思うところもあってか】
【さしもの酒飲みも、少し自分の置かれた状況については思考を巡らせて―――矢張り、羨ましい。】
【尤も、銃を握り続けている現状で、恋人など望むべくもなかったし、作れると思ってもいないのだが―――閑話休題。】

 ……異教徒を生贄に捧げて、怪しい儀式を敢行した大昔の―――……ええっと、つまり、「オバケ」ってことかい?
 事情は飲み込めたよ、そういう事ならウチに任せて欲しい。なんたってアタシの銃は、昔の人間にはとにかくよく効くからね。
 それに「ゴースト・バスターズ」ならもう何回も見てるし、オバケ退治は過去に何度かやってる、きっとUTで力になれると、そう思うよ!

 ―――ダグラスね、やっぱりフレデリックとは"友達"だったんだ。
 別の筋から二人が以前に関係を持ってた事だけは聞き及んでたんだけど、
 これでそれが確実な物だって分ったよ。つまり、六罪王が動き出そうとしてる、って事だね?

 "眠りから覚めた危険思想の元・司教様と、現司教様の悪い旧友さんが、二人きりで島で悪のバカンスを堪能してる"―――って所か。
 
 ……どの道、その"パーティ"ってのがロクなモンじゃないのは確かだろうね。
 出て来る料理に手をつけたら片端から食中毒になっちゃいそうだ、その二人はなんとかして止めないと。
 その為の作戦を練りたい、ってのがフレデリックの相談内容かな……にしても、"島"か。なら上陸には空か、海を駆使しないとだ……。

 ―――オーライ、大分把握できたよ。こっちでも少し、その"アーグ"っていう人については文献を当たってみるね。
 弱点か何かあるなら漁っておきたいし、それに六罪王と魔術師を両方同時に相手取るのは少々、骨が折れそうだしさ。
 ありがとう、マリア。これで一つ、また不安要素が減って、代わりの別の悩みの種が出来たよ、―――なーんて。ま、なんとかするさ!

【とりあえずの事情はこれで把握できた。よからぬ事をしている二人が、新しいよからぬ事を企んでいる、という情報。】
【出来れば先手を仕掛けて行きたい所だが、足並みはフレデリックと揃えたい。矢張り彼とは近々話す必要がありそうだ。】

 ―――あんまり、暗い顔しないで。此処でその情報を知れたからには、アタシが絶対にその二人を止めてみせる。
 それに、強敵だった彼が仲間になってくれるんなら百人力だよ、フレデリックの協力にも期待してる。
 何より―――マリアさんは、彼を信じてるんでしょう? なら、きっと大丈夫さ! 必ずなんとかする、約束だマリアさん。

 さて―――そろそろ時間も遅くなってきた。調べたいことも増えたし、アタシはそろそろ仕事に戻るとするよ!
 もう少しゆっくりしていくなら、食事か何か用意するけど、帰るならアタシがバイクで送って―――って、
 そういえばマリアさん、此処までは転移魔法で来てたっけ。良いなあ、アレって便利だよね〜、アタシは魔法が使えないから羨ましいよ。

【調べ物も増えたし、帳簿の整理もまだ続きがある。話が終わったなら、セリーナは酒場の仕事に戻ろうとするだろう。】
【そろそろ夜の時間に向けて、お客さんの足並みも増えてくる頃だ。他にも用事があれば、勿論対応はするが、果たして。】 
207 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 01:58:57.51 ID:NDB9hiVR0
>>205

【場所は図書館、それも大が付くほどに大きな場所、それなら、どうしたってテンションの上がる人種が居る】
【いわゆる本好きとか呼ばれるような人間たちで――訪れて以来、逆に本も読めず、うろうろとしてしまっていた】
【それだけで既に何時間か経過していて、夢中だったから気付かなかったのだが――足は結構疲労困憊、それに気付けば】
【目を留めたのは金髪の女性が眠る机、あんまり近くに座るのもどうかと思ったものの】

【自覚した足の疲れに出来れば歩きたくない怠惰。かたん、ちょうど向かい合わせになる位置の椅子を引き】
【よいしょっと腰掛けるのは、――少女だった。それも、この時間に出歩くには少し幼すぎるような、少女】

【透き通るような金髪は毛先に従ってピンク色を宿し、くるりと癖っ毛めいて巻く、不思議な髪質をして】
【あどけなさを多分に残す顔、だけども、表情はどこか拗ねた子供みたいなもので固定される。瞳は、勿忘草色をして】
【真っ白のワンピース、袖も裾も長く、小柄な彼女の手足をすっぽり隠してしまうほど、体つきも隠してしまって】
【羽織っているケープは童話の女の子めいて赤い、籠でも持っていれば、おばあさんの家にでも行きそうなほど】
【――百四十二センチの矮躯。表情がやけに厳しいのをのぞけば、普通の――少女、中学生くらい、だろうか?】

……ああ、何か見繕ってくれば良かっただろうか。

だけども……、――もう歩きたくないのだし。何かいい本がないかしらん。

【とりあえず金髪の女性の向かいに座った彼女は、数度足を伸ばしてふらふらとさせる、それで、一つため息をして】
【手持ち無沙汰になって小さく舌打ちをする。まさか、目の前の女性の本を奪うわけにもいかないならば】
【ついっと近場の本棚のほうに手を伸ばす、そうすると、腕の延長線上に、勿忘草色の“もや”が浮かび、】
【まるで綿あめにラメをまぶしたようなそれが、ふわふわと、少女の腕の通りに動いて】

【浮かんだもやは合計で六つ。あっという間に数冊の本をその中に纏うようにして持ってくると】
【とすとすっと長机の上に置いていく。それは、音もしないほど、静かなものだったのだけど――】
【今にもくずおれそうに積み上げられた本にとっては、どうだろう。或いは、少女が座った衝撃だとか】
【今にも決壊しそうなのを後押しするには、或いは十分かもしれなくて――?】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 02:26:12.36 ID:gzrQvZzR0
>>207
【時間も時間だ。普通ならば子供が此処を訪れたならば注意をするであろう】
【況してや彼女は自警団。叱りながらも手を引いてやるべきなのだろうが――――そう、其れは“普通ならば”の話】
【職務中に眠りこけるような女にそんな事が出来る筈も無く。当然、バランスを崩し始める其れに気付くはずも無くて】

【――――少女が適当に見繕った本を読み始めて僅か数秒。ガラガラだとか、様々な音に例える事が出来るであろう轟音が辺りに響き渡る事となった】


「んー……ですからぁ、これは何度も…………うひゃあっ?!事件ですか事故ですかテロですか?!
み、皆さん!大丈夫ですよう!落ち着いて行動を――…………あれ?」

【飛び起きた、なんて表現が正に打って付け。慌てる様にしてバタバタと身支度を終えれば辺りに注意喚起】
【実際の場面で其れを見る事が出来れば頼もしいのだろうが……今は、こんな状況だ。更に加えれば今の女は騒いで迷惑な来訪者】
【人々の視線を一身に浴びるも、其れを気にする程に出来た神経では無くて。状況の理解に更に数秒】
【なる程ー。なんて一人納得したならば、その頃になって漸く前に座っていた少女の存在に気付く事となるか】


「あはは――……騒がしくしてすみません……お怪我の方は無かったですか〜?」

【護身術だとか犯罪者の心理だとか小難しい本が散らばる中、少女の方に緩やかな笑みを向けての問い掛け】
【自警団の腕章が偽物で無い事は確かなのだが――――どうにも、“其れ”からは遠くも見える外見と性格】
【余程長い間寝ていたのか、頬にはコートの皺だとかが移っているのだけれど気付くはずも無く】
209 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 02:38:09.46 ID:NDB9hiVR0
>>208

【とりあえずいろいろ取っては見たが、内容はどうだろう。そう確認していく少女の視界は活字で埋もれて】
【だけれど、視界の端っこでぐらぐらと揺れる本のタワーが見えてしまえば、ふと、気になるように視線は上がる】

…………――。

【それから、少女はそちらへ手を伸ばす。そうすると、また、さっきの“もや”がふわふわと空中に現れ】
【すいっと空中を泳いで、その本のタワーのほうへ向かう。そうして、彼女は、バベルみたいになった塔を、】
【能力で持って直そうとするのだけど――いかんせん気にするのが遅かったし、手を出すのは、遅すぎた】
【そのもやたちが到達するかしないか、それくらいのタイミングで塔は倒れてしまって。即ち、女性の頭上にも降り注ぎ】

――あ、

【――とりあえず女性が真っ先に見るのは、手を不思議な高さに持ち上げている少女(何かが気に食わない顔をしている)と、】
【女性の眼前辺りでふやふや浮かぶ最大六つまでの勿忘草色の綿あめ……のようなきらきらするもやだ。魔力で出来たもの、とわかり】
【少女としては助けてやろうとしたのだが、女性から見れば至極不審だ。――少女は小さく舌打ちをすると、もやを消し】

私はなんともないよ、キミは大丈夫……なのかい。

【やっぱり微妙に気に食わない顔をして、至極何でもなかったかのように手元の本を取るのだった。その本は、】
【櫻の作家が書いた、狐憑きがどうこうとかいう本で――ちょっと違うとはいえ金髪碧眼の彼女が読むには、少し不思議なようだった】

……それと、頬に跡がついてる。

【最初の一頁を開いて、視線を落とす。――そのまま、教えてくれるのは、頬に描かれた落書きのおはなし】
【だからといってどうできるものでもないし……、真っ先に女性が見た少女の怪しさを誤魔化せるものでも、なく】
【少女からすれば少しぶっきらぼう気味なのは元からだし、特に今は、本をどうにかしてやろうとしたら、間に合わなかった、】
【それが気に食わないような腑に落ちないような気持ちであって。余計に機嫌が悪いように見え、それならば、】

【自警団員に悪戯してやったぜー!みたいなテンションではないのは、見て分かるのだけど】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 02:56:15.97 ID:gzrQvZzR0
>>209
【靄に気付いたならば、先ず疑うのは“悪戯”だ。アレだけ積んでいた本を崩したのは彼女だろうか】
【何を言い訳する風でも無く消したのがより一層怪しく思わせ――――積んでいた方が悪い、と言われればそれまでだが】
【然れど問い詰める事も無い。否、元よりこの女がその思考に至ったのかすらも怪しい】
【年中頭が春で、何も考えて居ない様な性格だ。それでも、少女に怪我が無いのだ、と知れば満足そうに頷いて】


「それなら良かったですよう。私の不注意で怪我をさせてしまったら、どれだけ謝っても謝りきれないですからね〜……
あ、でもでも。もし本当は何処かをぶつけたりしていたのに隠してる、なんて事だったら正直に言わないと駄目ですよ?
少しの怪我も大きな怪我に繋がります。お医者さんからの忠告ですからね。えへん」

【そのお医者が落下してきた本の角に頭をぶつけ、大層なたんこぶを作っているのだから何とも説得力も無し】
【――――さて。此処で漸く女は少女に“不審”を抱く事となる】
【とは言えど、靄に関する其れだとかでは無く……もっと単純な、何故子供がこの時間に此処に居るのかなんて事だ】
【むう、と小さく唸り頬に手を添えれば暫しの思案。――――やがて名案が浮かんだとばかりに表情が明るくなるのだけれど】


「ほっぺたに跡……?あ、ちょ、ちょっと待って下さいね!今隠しますから!

ふぅ……兎に角、もう遅い時間ですし、宿題とかなら明日の朝早くやった方が良いですよ〜?
子供はよく寝ないと大きくなれませんから、夜更かしばっかりしてるとメッです

――――あ、迷子ならお家までお送りしますよ!私の方がお姉さんですし、こう見えても誰かを守りながら夜道を歩ける位の自信はあるんです!
ん〜……家出なら難しいですけどー……」

【まあ、浮かんだのは至極普通なものばかりだ。何はともあれ、散乱した方を片付けねばともう一度積み上げて――――】
【そんな最中に指摘が入れば、コートの襟を立てて応急処置。大して意味を持たないのが現状だけれど】

【厳しく咎める訳でも無い。優しく諭すようなその言葉】
【子供がよる一人で出歩き、一人で帰った所で碌な事は無いから――――と、言葉の裏にはそんな意味も秘めて】
【学校だとかを含めたのは、その本をのぞき見てからの感想なのだろう】
【何であれ、帰宅を促すし送って行くとも提案する。――――嫌だ、と断った所で𠮟咤する事も無いのは確かだが】
211 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 03:12:35.41 ID:NDB9hiVR0
>>210

【多分、一般的な――見た目相応の性格をした子供だったりしたなら、】
【これは違うだとか繰り返したかもしれない。だけど、彼女は、そういった、潔白を示すことをせず】
【疑われるならそれでもいいや的、どこかスレた目をするだけなのだった。――それでも、】
【どこまでもひねくれてないのは、本をどうにかしてやろうと思った、それで分かるのだが――女性は、それを認識してないから】

何にもないよ、……キミのほうがよっぽどひどいと思うのだが。
一番分厚い本とキミの後頭部が六年ぶりに逢ったカップルのようだった。

【要するにそれくらいひどくぶつかってました、ということなのだが。それが、きっと、そのたんこぶの元凶で】
【もう読み終えたのか、――多分そうではなく、指先はぺらりと頁を捲る。読んでいない証拠に、すぐに頁を戻し】
【小さく唸る声が聞こえれば、視線をこっそりと持ち上げるのだ。それで、窺うのは――女性の、表情】

【怒られるだろうかと思って。口角が無言のままで下がる。ぶすくれたような顔を、して、――?】
【――いたのだけど、すぐに女性の表情が変わって、彼女の表情も変わる。解せぬ……そんな色を瞳に宿し】

宿題ではないよ、そもそも、学校には行っていないものだから――、……身長は諦めているのだし。

……まだ彷徨ついていたばっかりで本も見てない、せっかく来たのだし、もう少し、本を選んでから――、……。
それに迷子でもないよ。……それとも、私はキミに従わなければいけないのかしらん、一市民として?

【ミスマッチな本を選んだのも、自主的なものらしい。もう何十年も前の本なのが、余計に似合わないが】
【本に集中できないように同じ行ばっかり何度も視線で繰り返しながら、身長については、どうにも投げやりだ】
【見た目だけならいくらも幼く見えるが、これでも今年で十八。……もう背が伸びるのには、あんまり期待できない年頃で】

【帰りなさいとやんわり言われても突っぱねる、曰く、本を読みたいのでイヤです、なんて――】
【よっぽど本が好きらしい。――それから、彼女はようやく、もう一度視線を上げたと思うと】
【やっぱりぶすくれたような顔で、わざとらしく首を傾げてみせるわけで――】

【――もしかして:嫌味】

/そして申し訳ないですっ、あっさりと眠気さんが来ちゃいまして……
/はじめたばっかりですが、明日に引き継ぐなりしていただけたらと思いますっ
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 03:16:44.21 ID:gzrQvZzR0
>>211
/了解であります!こちらの都合で遅れさせてしまい思うしわけないのですよ……
/こちらは今日の午後10時半辺りならば再開できるかなーと!
213 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 03:22:03.28 ID:NDB9hiVR0
>>212
/了解ですー、ただ明後日がちょっと朝早いかなって感じなので
/もしかしたらあんまり遅くまで出来ないかもしれないのですがっ
/そこだけお伝えしておいて、ひとまずお疲れ様でした!
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/18(日) 03:22:59.15 ID:P16oyWX10
>>206
//すみません、恐らくもうあと少しで〆になりそうなのですが眠気が襲ってきまして……持ち越して宜しいでしょうか?
//明日も空いているという事でしたので、午後6時頃にお返ししておきます!
215 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 12:26:56.67 ID:owtrpU7Bo
>>214
/返事が遅くなりました、ごめんなさい。
今日の六時にまたお待ちしています、ありがとう御座いました。
216 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 16:38:33.56 ID:q5zduQsDO
【街中】

佳乃に梨花、それにSCARLETの瑛月、か────
ずいぶんと協力者は得られた、けど……多分、まだ足りない、な

……やっぱり、ロッソの言うように、一度は行くべきなんだろうな──UTに
うぅん……SCARLETや自警団もだけど……苦手なんだよなぁ、組織ってやつ、は


【夕暮れ時。ぶつぶつ、ぶつぶつと独り言を呟きながら歩く、1人の少女がいた】
【夜色の長髪に夜色の瞳をした、18歳ほどの少女だった】
【彼女の背には布で包まれた刀剣らしきものが負われている】
【独り言の内容や武器を所持しているところからして──後ろ楯を持たぬ正義側の人間なのだろう】


……あ。でも、UTって実際、どのへんにあるんだ?

【ぴたり。急に少女が立ち止まる。紡がれた内容は、あまり賢くないものだった】
【有名スポットの名前は世間に知れ渡っているが、明確な所在地は知らない──】
【よくある話だろうが、多分現実世界で言えば「ねずみの国ってどこだっけ」レベルの話だ】
【その上、まぁまぁ人通りが多い時間帯にこの少女は急に立ち止まったのだ】
【当然、誰かがぶつかる可能性だってゼロではないし……】
【正義の精神を持つこの少女のことだ。近くで騒ぎがあれば、すぐにそっちへ駆けつけるはずだ】
217 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 17:43:42.67 ID:lhWuPTqlo
>>216

【――――多くの人の目線に触れる大通りは、彼にとって恐怖の対象だった。それでも通らないといけなかったため、目線が合わないように地面を注視して歩いていた】
【その結果予期せぬ衝撃が肩に伝わり、小動物のようにびくりと身体を振るわせて驚いたこともあってペタンと尻餅をついてしまった。要は急に止まった彼女とぶつかったのだ】

……う、うわぁっ……!! えっと、その……すみま、せん。
あ、でも――――さっきUTって言ってませんでした……? UTの人ですかッ!? なら……ベイゼという裏切……じゃなかった、その人がどこにいるか……とか!!
そういうこと分かったりとか、しませんか……!!

【ニット帽に赤いズボンと黒の長袖シャツに身を包む青年は転倒の衝撃でずれた眼鏡を直してから、「あ」と何かを思い出した仕草と同時に急に立ち上がって詰め寄った】
【――――おどおどした様子の言い始めからの急激な喰い付き、それも「UT」というワードについて。そしてベイゼという、人物への因縁というか何かがあるような言動】
【兎に角相手の話も聞かないまま一方的に尋ねるのは、会話に慣れていない証拠でもあって――――もしかすれば彼女を困らせてしまう、かも】

【錫色の瞳からは必死な様子というか、どこか攻撃的な色が見える反面、怯えているような雰囲気も何処か漂っており――――詰め寄った癖に、瞳はそっぽを向いていた】
【目を合わせるのが怖いのか、変わり者なのか。変わり者と言えば服装にもそれらしき様子が見える。水入りペットボトル2本をホルダーに入れて左右の腰に装着している、という】

/もしいるのなら、そして7時辺りでご飯とお風呂で長い間ができちゃいますがそれでもよろしければ!
218 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 18:07:01.49 ID:q5zduQsDO
>>217

【どん──伝わってきた衝撃だったが、一瞬彼女は何があったか、分からなかった】
【いや、多分ぶつかられたのだろうとは思ったのだが……】
【それがまさか、「自分が急に止まったせい」だとは思いもしなかったのだ】


……っと、と────、


────、…………!
す、すまない!もしかして私のせいか!いやそうだなそうに違いない!
怪我っ!怪我はないか!!大丈夫か!!


【──だから、彼が転んだ原因が自分だと分かってしまえば、それはそれは大慌て】
【怪我はないか、どこかぶつけていないかと、出てくる言葉は全部相手を心配するものだった】
【先ほどまで深刻な表情を浮かべていた少女とはまるで別人とも思えるほどの豹変ぶり】
【口調だけ見れば、目の前の男といい勝負かもしれない】


──え? で? ベイゼ? 誰だ!?
すまないな!あいにくだが私はUTの所属じゃないんだ!
それどころか組織には所属していないんだ……集団の類いは苦手でな……


ところで、そのベイゼというやつを探しているのか?
私も今ちょうど、人探しをしている最中なんだ!
1人探すのも2人探すのも似たようなものだし、よかったら特徴を教えてくれないか!
私のせいで転んでしまったようだし……償いも兼ねて手伝うぞ!!


【だがしばらくすれば落ち着きを取り戻し、男を助け起こそうと手を差しのべる少女】
【多少冷静にはなったらしいが、元気いっぱいという様子からして、うるさいのは生まれもっての性格だろう】
【男とは対称的な、人懐っこさ全快のまるで飼い犬のような少女】
【他人が苦手なタイプであれば、ずかずかとパーソナルスペースに押し入ってくる彼女のことをあまり好ましく思わない可能性もあるのだが……】
【当の少女本人は、そんなことは全く意に介さず手を男に差しのべたまま、にっこにこにっこにこ】
【──男がその手を握ることを、期待しまくっている。とても。】

/大丈夫です!よろしくお願いします!
219 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 18:30:52.98 ID:lhWuPTqlo
>>218

あ、えっと、いえ……だ、大丈夫です、これでも僕鍛えてますし……その、強いんで……。
でもその、心配してくださるのはありがとう……ごさい……ま……す。

【控えめな口調の割には、余りにもころっと「自分は強い」などという言葉を青年は吐き出した。しかし彼の体格は豊かだとは言えず、見た目も細い】
【何より眼鏡……は偏見かもしれないが、正直外見からはそのような強者の雰囲気は漂っていない。それでもぶつかった感触は、妙に固かったのではあるが】
【強いという言葉は簡単に出てくるのに、お礼の言葉は何故か喉元に引っかかって出てこないというか、慣れていない印象を与えるかもしれない】

【青年は自ら詰め寄ったにも関わらず、彼女の過剰な心配に驚いた様子で慌てて3歩下がってまた下を向き、間合いを開けてから話を進めた】

あ……そうなんですか、よかった……。え、良いんですか?でも、自分もベイゼとは会ったことが無いんですよね……。それでも、会わないといけない。
会って――――……ケジメをつけさせないといけないんです。えっと……真っ赤なショートヘア、濃い赤のジャケット。黒いチューブトップと首元のチョーカーです。
覚えていたらで結構です、もし会ったら……その、「逃げられると思うな」ということをお伝えください。ちょっと物騒ですけど……まぁ、そういう理由がありまして。

【動きでのお礼は手馴れているらしく、ぺこぺこと3度も頭を小さく下げてから青年が自らが追っている「ベイゼ」という人物の特徴を話した。だけど、変わった話である】
【青年はベイゼとは面識が無い。なのに「逃げられると思うな」とか「ケジメをつける」とか。彼が自分で言ったように、何だか物騒だ】
【加えてその言い方は、弱弱しい口調とは対照的に牙が見えていた。伏せた瞳は刃の如き鋭さを見せて、放つ声には重みがあったような、そのような感覚】

……あっ、その……っっ。

【差し伸べられた手に視線が止まる。止まってから、左右に大きくぶれる。明らかな動揺を見せるが、結局俯いて、へたくそに手に気付かなかったフリをして立ち上がった】


220 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/18(日) 18:42:54.53 ID:P16oyWX10
>>206

ありがとうございます。ふふっ―――セリーナさんにもいつか、素敵な人が見つかりますよ。
私が保証します。同性の私から見たって、貴女は人間としてとても素敵な人ですもの!

【望むべくもないだなんて、とんでもない。彼女は人を惹き付ける力のある、とても魅力的で素敵な人だ】
【マリアの言葉は決してお世辞ではない。こんなに素敵な人だもの、見つけようと思えばきっと直ぐに素敵な人が見つかる筈】
【誰かの為に銃を取り戦い続けるのは立派だ。でも―――偶には女性として、自分の事に時間を使うのも良いのではないだろうか】
【25歳なんて、まだまだ若い。たまには恋をしたって良いのではないだろか―――そんな事を、思ってみたり】


【そして、話は大司教と六罪王の事。どちらも強大な力を持つ、恐らく難敵になるのは間違いなさそうで】
【だからこそ、不安になるのだ。大切な人々が傷つくかもしれない、災いが巻き起こるかもしれないと】
【伝える声色は、憂いを帯びた暗い物だった。――――でも、目の前にいるセリーナは違った】
【堂々と、力強く。「止めて見せる」って、「大丈夫だ」って、勇気づけるように約束してくれた】
【ああ――――やっぱり、この人は強い人だ。】

―――ありがとうございます、セリーナさんがそう言って下さるならこれ程心強い事は御座いません。

……ふふっ、――――貴女が大丈夫と言えば、何だか本当に大丈夫な気がしてきますね。貴女は不思議な人です―――
では後日主人とお話する件、宜しくお願いしますね。貴女が居れば百人力で御座います!


―――この転移魔術も、あの人が教えてくれたので御座いますよ。えへへ……ちょっぴり自慢です!
この術式があればいろんな所に行けますもんね、確かに便利です。でも、バイクに乗るのも楽しそうで御座います!

それでは、家では子供達も待っていますしこれでお開きにしようかと思います。
色々お話を聞いて下さった上にお酒まで頂いてありがとうございました。また会いましょう、どうかお元気でいてくださいな!

【これ以上長居して仕事の邪魔をするわけにもいくまい。家では子供達や夫が待っているのだから】
【貰ったお酒やいろいろな話に対してきちんとお礼を述べて。最後の最後にもう一度、柔らかい微笑みを見せて、ぺこりと頭を下げれば】
【次の瞬間体を光が包んで、ふわりと光の魔翌力の残渣を残して―――愛する人の待つ家に帰っていった】

//此処で〆という事で、お付き合い頂き有難う御座いました!
//度々遅くなってしまって、本当にごめんなさい……!
221 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 18:53:10.28 ID:q5zduQsDO
>>219

【お礼を言われれば、これまた少女はにこにことした笑みを浮かべる】
【「そうか!強いのか!」そう言えば、これまた嬉しそうな笑顔だ】
【──疑うことを、知らない。そんな印象を抱かせるかもしれない】
【まぁ実際、他人に疑念の目を向けることなど、この少女はほとんどないのだ】
【それこそ先日、明らかな詐欺に自分から突っ込んでいって騙されかけるという偉業を成し遂げたほどである】


────「逃げられると思うな」?
ふぅん……?確かに物騒な話だな。なんだ、喧嘩か?

……でも、お前、そのベイゼってやつに会ったことがないんだろう?
一体何があったんだ? いや、その……気になるんだ
ベイゼってやつが悪いことしたにしろ、お前が何かをされたにしろ……
その行動をした、「理由」ってやつが、な!
ふふん、なぁに、お前が話したくなければそれはそれでかまわないけどな!


【そして、「ベイゼ」という人物の話を聞き、さすがの少女も首を傾げ出す】
【疑っているわけではない。むしろ、全面的に信じている】
【それでも、「全く会ったことのない者を探す」事実には、奇異の目を向けざるを得なかった】
【──更には、節々に垣間見える鋭い気配。「何かがあった」と察するには、十分すぎた】
【その結果として、少女は男に、彼の「行動理由」を問いただす】
【別に答えたところで、目の前の少女が男に害をなすようには、見えないが──】

【ちなみに、差し出した手を華麗にスルーされれば、なんだかもう、ものすごく落ち込む】
【ぐぐー↓とめっちゃ俯くし、さっきまできらっきらに輝いていた目は泥沼の如く濁りに濁る】
【死んだ魚なんて例えがあるが、これじゃあむしろ腐乱死体だ】
【……まぁ、放っておけばすぐに元に戻るだろう。気にする必要はない。多分】
222 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 19:33:55.87 ID:owtrpU7Bo
>>220

【実際の所、まだ何も決められていないし、対策だって立てられていないのだが……ただ。】
【それでも、これから悪意と戦おうとしている者が、最初から負けることを考えていては話が進む筈もない。】
【だから、勝つ。護る。自信が無くて、皮算用で、少し無責任に思えても―――その意気込みだけは、失ってはいけない。】

 ―――アタシも、マリアさんみたいな人に頼られて、ちょっぴり嬉しいな。
 そうやって少しずつ、信頼を勝ち取っていくのも、アタシのやるべき戦いの一つだからね。
 うん、それじゃ任されたよ! フレデリックとは改めて話を進めていくね、今夜は本当に来てくれてありがとう。

 ……其方こそお元気で、色々大変だとは思うけど―――また、遊びに来てね。それじゃ、さようなら!

【―――美しい輝きと共に、マリアが去っていくのを見届けると、セリーナはひとつ、息を吐き出す。】

 ……恋人。恋人ね。……アタシが魅力的かどうかはともかくとして―――……大事な人、かぁ。
 ……やっぱり、マリアさんは強いよ。それにフレデリックも。アタシには……それを考えるだけの、余裕も無い。
 ソレに……愛。今のアタシに足りないのは、……愛、か。ただ、もしそれを得たらアタシはまた―――……ううん、やめよう。

 ―――せっかく、打開のヒントを貰えたんだ。感謝しないとね、それじゃ―――仕事、頑張りますか!

【そんな事を独り、呟いて。セリーナは書類を纏めると、次なる来客に備えた―――。】

/いえ、此方こそありがとう御座いました! 
223 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 19:47:52.24 ID:lhWuPTqlo
>>221

……そう、です。――――……僕は強いんです。

【不自然な間だが、再度自分は強いと告げる。ちらりと一瞬だけ彼女の笑顔が見えた。作り笑いじゃないな、ということも直ぐに分かる】
【自分の外見は分かっている。強そうに見えないのも、なよなよしているのも。それなのに疑いもなく即座に頷き彼女は笑顔を見せた】
【錫色の瞳に映るその笑顔は眩しい反面、彼に恐怖と疑念を抱かせていた。周りの人とは全く異なる反応、異質。反対に、何かを潜ませているのかという、行き過ぎた疑念】

【それでも彼女から発せられる言葉にはどこか優しさが見えているとも感じていて。おずおずとしながらも彼女の疑問に答える形で青年は口を開いた】

……――――その、深くは話せないのですが、ベイゼは僕達を裏切ったんです。
僕は彼女を知りませんし、その裏切りで僕の心が深く傷ついたかといえば……そんなこともないんですけど。
……でも、裏切りという行為は一番許せないんです。先程話したように僕は彼女とは会ったことはありませんが、きっと彼女を心の底から信じていた人もいた筈です。
たった一筋の希望にしていた人もいたかも知れません。その希望から裏切られる哀しみも苦しみというのは……――――何よりも耐え難い痛みだと、僕は思います。

あっ……その、なんかすみません、いきなりこんな事言っちゃって。まあでも、そんな感じです……。それで、そのベイゼがUTにいるとかいう話を……大分前に聞いたので。
それでも結構前なので今はどこにいるか見当もつかないんですけど、仕事なので何とかしないと…………――――すみません。

【彼女は「裏切り」という悪いことをした。僕は其れを許せない。案外シンプルな行動理由を彼なりの言葉で語る】
【裏切りの痛みを僕は誰よりも知っている――――そう告げるかのような言葉を並べた後、引き締まった真剣な顔つきを解いてまた申し訳なさそうな顔を浮かべた】
【加えてUTという彼女が漏らした言葉への反応理由も告げれば、ぼそりと「仕事」なのでという言葉を零した。長い沈黙の後の謝罪は、彼女の落ち込みを見てのモノであった】
224 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 19:48:56.25 ID:owtrpU7Bo



 『……おいおい。掲示板にゃ30代って書いてなかったか? 小娘と取引なんて、聞いてねーぞ。』

 アンタの方こそ、40代とは思えない老け顔ね。買人の癖に儲かってないワケ? 金ならあるんだから、早くモノを出しなさいよ。

 『……チッ。ついてねえ、オイお前いくつだ? 見た所17、8歳って所だが―――』

 ゴチャゴチャと詮索しないでよ。他人の便所を覗くな、この業界じゃそんなの当たり前だと思うんだけど?

 『ざけんな、ガキは別だ。こちとら商売でやってんだぜ、てめえみたいのがサツにしょっぴかれて、
  んでもって俺等の情報まで漏れたらどうしてくれるってんだよ? ガキは信用ならねえ、てめえ学生かなんかだろ?』

 警察? はん……なに、買人の癖に警察如きに一々ビビってるワケ?
 なっさけない連中……。警察なんてちょっとモノ握らせて、懐膨らませてやればコロっと騙せるでしょうに。
 それとも、そういう小細工が出来ない程儲かってないのかしら。とんだモグリを掴まされたわね、モノだって用意出来てるのか怪しいわ。

 『……んだと?』

 黙ってクスリを差し出せ、ってそう言ってんのよ。金ならくれてやるわ、ホラ―――。


【ドサリ。薄暗い路地裏、アウトローのひしめく穢れた通路の裏に、鈍い音が響き渡る。】
【札束の入ったずた袋が、無造作に足元へ投げ捨てられる音。会話の主であるチンピラの一人が、それを拾い上げ】
【中身を確認すると、仲間に目配せで合図をする―――"本物だ、偽札じゃあない"。仲間はそれを理解すると、"取引相手"を睨みつけた】


 『……へへっ。どういう事情でこんな大金持ってんだか知らねえが、よう、口の悪い嬢ちゃん。』

 『別に俺等は売ってやる義理はねえんだ、なんでか分かるか? ―――相手は貧相な小娘一匹だから、だよ。』

 ……金だってあるのに……? そんな腐った商売してると、信頼なくして直ぐ廃業するわよ、アンタ達……!

 『そうだなぁ、"情報が知れ渡る"ならそりゃあそうだろうよ。……で、一体どこの誰が俺等の商売をバラす、ってんだ?』

 ……きったない奴等……。

 『売る方も売る方なら買う方も買う方、ってな。説教される云われはねえぜ、ヤク中のお嬢さん。』


【場所は路地裏。舞台はアンダー・ワールド。1人の不良少女が、クスリを買おうとして売人に囲まれている、そんな状況。】
【一見さんはお断り、という様な縄張りに、良く分らない10代の女が大金持って転がり込んだならそれはもう、カモであって。】
【薄汚れた空気の中、金だけ奪って売人達が少女へゆっくりにじり寄っていく―――もし、こんな状況を目にした人がいるならば】

【―――果たして少女を助けるか。それとも自業自得だと見捨てるか。時刻は丁度、これから夜に差し掛かろうとしていた―――。】
225 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 20:08:45.40 ID:q5zduQsDO
>>223

【そんな疑念を抱かれていることなんて、彼女は知らない──知る由もない】
【再度告げられた、「強い」という言葉にも、やはり嘲笑する様子は見られない】
【──彼女は、自分自身が異質というのを理解していた。その思想も、能力も】
【故に、彼が抱く感情を素直に彼女にぶつけられれば】
【悲しみはすれど──きっと、怒りはしないのだ】
【そのことは、今の彼には恐らく、知る術を持たない】


裏切った……裏切った、か──
確かにそれは、悪いことかもしれないな……
お前の言う通り、それは誰かを傷つける行為かもしれない
それに──信じていた人に手のひらを返されるのは……きっと、自分の身を斬られる以上の痛みだ

……ふふん、お前は「いいやつ」だな!
誰かの痛みを考え、代弁し、行動する。なかなかできることじゃあない!

……ちょうど、UTに行こうと思っていたところなんだ
ベイゼってやつに、もしかしたら会えるかもしれない!
ふふん、ひょっとしたらお前の方が、ベイゼに会うのが早いかもしれないけどな!

そうそう、名前!お前の名前を聞いておかないとな!
私はリーべ!リーべ・エスパスだ!よろしくな!


【──しばらくへこんでいた様子を見せていた彼女も、彼の言葉を聞けばぽつぽつと返事をしていく】
【最初の方こそ低い声ではあったが、喋っていくうちに元気が戻ってきたのだろう】
【最終的には、少女はやっぱり楽しげな笑みを──そう、笑みを浮かべる】
【なんというか、単純そのものな性格だった。簡単に凹み、簡単に笑う……子供みたいに】
【そしてきっと彼女は、彼のことを信用している──彼が何者かも、知らずに】
226 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 20:26:33.10 ID:lhWuPTqlo
>>225

……そんなこと、ないですよ。僕は決していいやつじゃないです。リーベさん……の方が、よっぽど僕なんかよりいい人です。
でも、その……僕なんかがいうのも何ですけど、リーベさんはいい人過ぎて。その、何というか……傷つくことも増えちゃうんじゃないかなぁ、って。

あ、あの……僕はJ.J.アンブローズですっ。よろしくお願いします、リーベさん……!

【極論を言えば信じなければ裏切られない。ということは根拠もなく漠然と目に入るものを疑いもせずに信じていればいる程、裏切られる回数も増える】
【彼女は、リーベはいとも簡単に彼が「強い」ということを信じた。彼自身も嘘はついていないのだが、全く疑う様子もなく脊髄反射で頷く彼女を心配してしまった】
【――――いずれ絶対に裏切られないと思っていた何かから見捨てられ、自分の居場所が世界から消えてしまうような悪夢が起きてしまわないかを】

【自分なんかが関わるのがもったいないほどのいい人だと彼は思う。故の心配であり、故に視線が恐る恐るながら彼女の瞳に向いた】
【――――ふるふると震えながらも、反らしたい気持ちに耐えながらも何とか視線を固定し、上ずった声で名前を言う。不器用な笑顔もセットだ】

……――――あ、その。僕も折角なんで聞いていいでしょうか。リーベさんは、どういう用事があってUTに……?
も、勿論僕には関係ないでしょうし、言いたくなければ言わないで結構ですよっ?

【こちらも不器用に言葉を切り出せば、彼女に理由を尋ねる。彼女は良い人だ。ちょっと怖いし苦手だけど会話を交わして友達になりたい。なんて思いながら】
227 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 20:46:14.43 ID:q5zduQsDO
>>226

じぇーじぇー.アンブローズ、か……ジェイって呼べばいいか?


【告げられた名前は略称とも思えるものだった】
【アンブローズと呼べばいいのか、ジェイと呼ぶか──少し、悩む】
【結果として彼女は、その判断を相手に任せた。彼がジェイと呼ばれたくない意思さえみせれば】
【間違いなく、彼女は彼のことをアンブローズと呼ぶはずだ】

【……いいやつだと言われてしまえば、照れたようにリーべは笑った】
【人懐っこいくせに、もしかしたらほんの少しだけ、照れ屋なのかもしれない】
【──「傷つくことも、増える」】
【続けざまに言われたその言葉には、明確な答えを彼女は示さなかった】
【ただただ、彼女は笑っていた。ほんの少しだけ、寂しそうに】
【そう、ただ、笑うだけ。彼女はこの時、多くを語るなんてことをしなかった】


……ん? UTに行く理由、か
特に大事な理由は、ないんだ。ただ、知り合いに勧められてな
後は、さっきも言ったが……私も人を探しているんだ
いろんな人に聞いているんだけど、なかなか手がかりが掴めなくてな!
知り合いの話もあって、この際UTに行ってみれば何か分かるんじゃないかと思って!


【──別に、何かの依頼があるとか、助けを求めるだとか、そんな理由ではなかった】
【知り合いに、行ってみればと言われた。ただ、それだけの単純な理由】
【それに取って付けたように、「彼女の人探し」が理由その2に加わって】
【更に、アンブローズの件で、完全にUTに行く理由が出来た──ただ、それだけ】

【それにしても、彼女がいろいろ手を尽くして探している人物なのだ】
【きっとそれは──例えば、彼女の生き別れの兄だとか、死んだはずの父だとか】
【もしかすると、遠い昔に大切なことを伝え忘れた、ほの甘い想いを持つ異性だとか】
【そう、きっとそんな、心が暖まるようなエピソードが……】


   ────カノッサ機関の、No.7なんだが


【────今、なん、と……?】
228 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/18(日) 20:57:28.67 ID:wdaG61w9o
>>224

へーそうかいそうかい、お宅らそんな阿漕な商売してんのか
いやー、これはとんでもないもの見ちまったなー…いや、『撮っちまった』かな?

【カシャ、カシャ、というカメラのシャッター音が、何度も何度もなりながら近づいて来る、それと一緒にマヌケな声も】
【手に持ったスマートフォンで売人達を照らしながら、ニヤニヤとした面で近づいて来るのは、白い高級スーツに身を包んだ男の姿だ】

信頼ってさー、商売には大切な、大切な、たいせ〜つな物だよなー…
ま、こりゃ商売のフリしたごっこ遊びにしか見えないが?とにかく、こんなのが広まったら餌も来なくなって商売上がったりじゃあねーかなー?

はーい、ピースしてピース

【ニヤニヤとした表情で、撫で付けた金髪を開いた手で撫でると、そのままその手をポケットに、もう一つのスマートフォンを取り出した】
【まるでそれは2丁拳銃、両手のスマートフォンで写真を撮りまくりながら、ゴールドフレームの眼鏡に画面のライトを反射させ、続ける】

はい、旦那さん達、いいお話があるぜ?おっと動くなよ?動いたら俺様は即逃げるからな?俺様の足の速さ舐めんなよ?
このスマートフォン、一つ50万で売ってやるよ、今なら二つで100万ポッキリ、おっ得ー♪

ああ、言っておくが薬なんかいらねーよ?俺様は金でしか取引はしない主義でね
さーどうする?変な気は起こすなよ?マジでな?

【なんというか、少女を見て助けるつもりではなさそうだ。どちらかといえば利用しようとしている立場】
【だがまあ、状況に一石を投じる事にはなっているか】

/まだおりましたら…
229 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 21:07:53.84 ID:lhWuPTqlo
>>227

一応ホントはジェイク・ジャスティン・アンブローズなんですけど……長いですし、J.J.って略してます。
ジェイでも何でも、好きな呼び方で構いませんよ……!

【少しだけ饒舌になったのは警戒が解かれた証拠と言っても過言ではなかった。通常よりもやや大きいボリュームで、「好きな呼び方でどうぞ」との言葉を零す】
【未だ視線にはばらつきが見えるが、それでも最初に比べると彼女を見る回数が増えており――――眩しい笑顔の中に混じる曇りを、彼は偶々捉えた】
【その理由を聞き出せるほどの勇気はないために、其れについての言葉を投げかけることはしないが、何となく安心もした。彼女にも、そういう部分があるのだな、と】

じゃあ僕と同じです……ね。そうだ、僕にもその人の特徴を教えてください! 力になれるかはわからないですけど――――ッッ……。

【自分も助けになれば――――という内容を言い終える間際、彼の瞳が大きく見開いて言葉が止まった。同時に視線を大きく下に向けて、彼女から錫色の瞳を逃がした】
【……カノッサ機関は、彼が所属する組織である。靴下に隠れた左足首には逆五芒星の紋章が刻まれ、加えてNo.17と彫られている。つまり、ナンバーズ】
【――――長い長い、そして不自然な沈黙の後、アンブローズは言葉を切り出す。多少柔らかくなったはずの舌がカチコチに固まって、動揺は目に見えていた】

……カ、カノッサ機関って……あのカノッサ機関です……よね。 それで、そ、そのNo.7さんとはどういうご関係なん……です……か?
そもそも何故カノッサ機関の人と関わって……それで、あの、えっと……カノッサを、どう、思って……いたりするん……ですか?
……――――っぷはぁっ、その、一気にすみません。

【一気に3つの質問を、途切れ途切れの言葉で投げかける。喉が一気に乾いたらしく、腰に装着したボトルを取り出して水を飲んだ】

230 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 21:22:30.96 ID:owtrpU7Bo
>>228

 (チッ……面倒な、いっそ全員この場で"滅茶苦茶"にしてやろうかしら……、)
 (……いや、不味いわね。こいつら皆無能力者だし、それにこれで足がついたらまたソーンのヤツに……クソッ!!)

 『―――ま、そういう訳だからよ。大人しく"ネンネ"してくれや。お嬢ちゃ……あぁん?』

【少女の手が、スカートの中へと伸びる。何か"武器"の様なモノを取り出そうとして、しかしその動きは止まった。】
【どうやら彼女は彼女で、彼等を撃退するのに少し抵抗がある様だった、そしてその間にも売人達は少女へと近寄って】
【主格と思わしき1人が懐からボロボロのナイフを取り出すと、刃を展開させ今正に惨劇が行われようとした―――その時。】

【―――この薄暗い路地裏には相応しくない、純白の高級スーツを身に纏った男の出現に、売人達は一斉に振り返った。】

 『……オイ、てめぇ誰だ? そんな偉そうな服着てこんな場所に何の用だよ。ヤクが買いてぇのか?
 欲しけりゃくれてやるが、腕につけてるオメガだかフランク・ミュラーだかと交換だ、それとも腕ごと置いてくかよ。』

【ナイフをくるりと回転させ、この場に似つかわしくない男の出現を嘲笑する売人達。少女はその後ろで、怪訝な顔。】
【だがその腐した様な態度も直ぐに一転するだろう、そう、謎の男が両手に持った、デュアル・スタイルのスマートフォンが】
【彼等の悪事をカシャリ、カシャリ、カシャリと音を立てて記録し始めたからだ―――主格の男の顔に、青筋が立っていく……。】

 『なっ―――……て、てめぇッ!! オイ、ふざけんなよこのジーク・フリード気取りがッ!!
 関わるんじゃねえ、何のつもりだかしらねえがさっさとカメラをこっちへ寄越せ、寄越すんだよファッカー!!』

 『小賢しい野郎だな、……まさか、オレらを強請ろうってのか、えぇ、オイ? ハッ……調子に乗りやがって……』

 「あ、あにき、マズイぜ……アイツに従わなきゃ、このままじゃ情報が―――、」

 『黙ってろッ!! ……オイ。そこのお前、逃げ足が速いとか言ってたな。なんだ、ガチョウみてぇに走るのか?
 それとも服装に似合うようマセラティかランボルギーニにでも乗ってんのかよ。ま、何でもいいが逃げてみたらどうだ?』

【そういうと別の男は、素早く懐からロクに手入れもされていないであろう、古いトカレフを取り出したではないか。】
【ちょうど斜め上から横向きに構える、いかにもなギャングスタ・スタイルで銃を突きつけると、男達はターゲットを少女から】
【現れた謎の男へと変えて―――ゆっくり、忍び寄っていく。その手にはそれぞれ鉄パイプ、ナイフ、そして古びたハンドガン。】

【―――総合して三人。体つきは屈強だ。そして、単細胞で間抜けでヤク漬けの彼らにはどうやら、交渉が通じないらしい。】
【さて、どう乗り切るか。どうやら逃がすつもりはないようだ、捕まれば大変なことになるだろうが―――はて、少女の方は、どうか。】
【少なくとも注意をひきつけられたからには少女は自由の身、逃げる事も出来そうな物だが、流石に目の前の騒動を無視は出来ない様で】

 (……チィッ!!次から次へと、ああもう!!私はただクスリが欲しいだけなのに!!
 ていうか、あんたらもあんたらで黙って交渉には応じなさいよ!!まったく……どうする!?)

【もし男が普通に逃げ切れるのであれば―――越した事はないが、そうでないとしたら、どうやら共闘は必須、か。】

/おりますよ!!!!!まってましたとも!!!!!
231 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 21:24:02.47 ID:owtrpU7Bo
/っとすいません!ちょっとワンコの散歩で40分ほど抜けます!ごめんなさい!><
232 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 21:35:54.47 ID:q5zduQsDO
>>228

ジェイク、ジェイクか!
長いかもしれないけど、私は略さない方がいいな!いい名前だし!
だからジェイじゃなくてジェイクって呼ぶことにする!
じゃ、改めてよろしくな、ジェイク!


【ちゃんとした名前を聞けば、またリーべはきゃいきゃいと子供のようにはしゃぎはじめる】
【もう、先ほどちらりと覗いた陰は、完全に消えていた】
【楽しげな彼女の笑顔──それはきっと、ジェイクの本名が聞けた、だけの理由ではないはずだ】

【──だが、その笑みだってジェイクの態度があからさまに変わってしまえば、当然曇る】
【特徴を教えようとしたまさにその瞬間に、豹変されてしまったのだ】
【口元は言葉を紡ごうとしたまま固まり、表情は怪訝そうなものになる】
【そして、ジェイクがようやく口を開けば「あぁ!」と納得した表情に変わる】
【「──カノッサ機関、なんて聞けば動揺されるのも当然か」】
【そう、彼女は思っていた。相手の動揺は、カノッサへの恐怖か何かに由来するものだと、そう──】


ん……すまないな。いきなりカノッサだなんて言って、驚いたか?
私も配慮に欠けてたな……あまり迂闊にカノッサ、なんて言わない方がよかったか

No.7とは、そんな深い関係はないな──強いて言えば、一度戦ったぐらい、か……
でも、彼女……No.7はどうも普通の学生かもしれなくて、な
なんとか、「表側」の世界に戻せないかと、そう思って!

カノッサ機関のことは──難しいな。うぅん……
……「悪いこと」をする組織だっていう印象は、ある
でも──そこに所属する、所謂「機関員」が悪人かと言われれば、私は「違う」と答えるな
確かに今は悪いことをしているかもしれないが……きっとそこには「理由」があるんだ
例えば親が死んで機関に拾われた、とかな……
だから、彼らは経歴が悪かっただけで、根っからの悪人じゃないと、私は信じてる!
……私は、カノッサの機関員たちだって、きっかけさえあれば「表側」の世界に来れるって──そう、信じてるんだ!


【──敵意なんて、まるでなかった】
【そこにあったのは、雑じり気のない純粋な「善意」】
【今どき子供ぐらいしか語らないであろう理想論を、リーべはいとも簡単に語ってみせた】
【──機関員たちだって、平和に生きることができる】
【そう、彼女は信じているのだ。まっすぐに、どこまでも、まっすぐに】

【しかし彼から見てしまえば、リーべは機関員に機関を「裏切らせる」存在になる】
【──会ったばかりの少女の信頼に、答えるか】
【それ、とも────…………】
233 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/18(日) 21:56:08.88 ID:wdaG61w9o
>>230

ハッハッハ、バカだなーお前ら
足りない頭でよく考えてみな…銃なんかでどうにかなると思うか?
俺様がお前らの立場ならこう考えるね…「こんなに自信があるなら銃なんて効く筈もない」ってな
…ま、そう言っても無駄か

【交渉は決裂、素直に金を渡してくれるだなんてこの男も最初から思ってはいなかった】
【人の神経を逆撫でするような言葉をつらつらと吐きながら、呆れたように溜息を吐く】
【…一つ、予想外の事があったとすれば】

(やっべぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!銃持ってたぁぁぁぁぁ!!)

【銃を所持していると見抜けなかったことだろうか】
【内心冷汗ビッショリである、表面ではそれを見せまいとしている物の、頭の中はそりゃもうパニック状態だ】

(やっべーなー…どーしよーかなー…銃とかやめろよー撃たれたら死ぬだろー)
(あ、でももしかしたらあの銃実は弾入ってないかもしれないな、よしそれだ、それでいこう、それを願おう…ってんな訳あるかーい!)

…オーライ、わかったよ、そう怖い顔すんなって
特別サービスだ、一つサービスでくれてやるよ
ほーら!受け取れ!!

【ここで、男は観念したフリをして、左手にある方のスマートフォンを、銃を持った男に放り投げる】
【少し高めに、緩い放物線を描いて飛ぶスマートフォンは、簡単に目に追えるし、頭の上で簡単にキャッチ出来るだろう】
【この行動には二つ理由がある。一つは、視線をスマートフォンに誘導し、高い所を見させる事で自分から視線を外す事】
【二つ目は、スマートフォンの裏にこっそりと貼り付けたカード───『クラブのエース』】

【銃を持った男がスマートフォンをキャッチするかしないか、それ位の位置に来た瞬間、それは発動する】

【バン!!=z

【───という、大きな破裂音がスマートフォンから…正確には、スマートフォンに貼り付けたカードから鳴り響く、まるで爆弾が爆発したかのような爆音だ】
【この男の持つトランプの内、クラブのエースは音を録音・再生する事が出来る代物。それを持って、突然の爆音で自分以外の人間を驚かそうとした】

【そうして、売人達が驚いたならば、その瞬間この男は動く】
【視線を上げさせ、隙を作り、その瞬間に上がった顎をぶん殴る。運動音痴の素人でも、油断した隙に顎に拳が入ればダメージは期待出来る筈だ】
【狙いは銃を持った男、取り敢えず逃げるにも立ち向かうにも銃は恐ろしい為に、その排除を狙う】

【ついでに、殴る手はスマートフォンを握り込んだ右手でだ、普通の拳よりも威力がある筈である】
234 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 22:02:42.07 ID:lhWuPTqlo
>>232

は、はいよろしくお願い……します。……にしても、「表側」の世界に戻すって……どう、するんですか。
僕はそのNo.7さんを良く知りませんけど、その「きっかけ」はどうするんですか。いや、それよりも――――。

もしそのNo,7さんが表側の世界に戻ったとしたら、それは――――……裏切りじゃ、無いんですかっっ……!?

【弱弱しく始まった言葉は、段々と力を帯びて。最終的には叫ぶような形で彼女に尋ねた。周りの視線が集まる。本来ならば怖くて震えているだろうが、今は違った】
【――――怒りだけとは言えない複雑な感情。純粋な怒りならば、カノッサらしく言葉よりも手が出ていた。怒りで言い表せないからこそ、ジェイクは言葉を続ける】

……裏切りを助長する行為だとは思いませんか。信じていた仲間が敵になるんですよね。
――――……きっと、自分の身を斬られる以上の痛みだってリーベさんは言いましたよね。

そもそも、表の世界に戻る事は簡単じゃないでしょうっ!! 裏切りは誰かの心を酷く傷つける。その償いは、絶対に必要なんだ……!!
貴方が表側に強引に連れ込んだせいで、No.7さんは償いのためにより苦しい想いだってするかも知れないッッ!!

【本当はこの後に叫びたかった。喉が擦り切れる程大きな声で。彼には似合わない程の激しい、魂の叫びを】
【……――――どうして手遅れになる前に、僕を連れ出してくれなかったんですか、と】
【彼はナンバーズであり、カノッサでは裏切り者への制裁係でもある。その制裁は小指を切り落とすでも、鞭打ちでもなく――――死。殺すことで、償わせるのである】
【自分の唯一の居場所がカノッサになる前に。カノッサに出会う前に。どうして貴方は僕を「表側」に導いてくれなかったのか】
【無理な話であるのは分かっているが、そう思わざるを得なかった。――――裏切りは許せない。あの痛みはもういやだ。与えることも、与えられるのも、嫌だ】

【……――――殺さなくてはいけない。こんないい人を殺すのは途轍もなく嫌だけど、それでも裏切られるよりはマシだ】
【彼女の善意が、いずれカノッサを滅ぼすかもしれない。彼の世界にたった一つの居場所が、消える。それだけは嫌だ。其れを避ける為なら、誰だって殺してみせる】

……叫んですみません、此処では迷惑なので、路地裏に行きませんか。

【――――妙に落ち着きを感じさせる低い声だった。訪ねておきながらジェイクは彼女の言葉を聞かずに路地裏へと行こうとするが――――】
235 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 22:22:27.61 ID:owtrpU7Bo
>>233

【成る程―――確かに言われてみればそうだ。と、今の今になって納得しているほど、彼等は間抜けだ。】
【自信満々にはっぱをかける事で強請が成功するのは、ある程度の知能を持った相手であればこそ、しかし残念ながら】
【彼等の知能は猿以下、オランウータンにも及ばないし、脳みそのサイズはピンボールと同じかそれより少し小さいくらいの物だった。】

 『はっ……銃が効かねぇ身体だァ? ッハハハハ! そんなヤツがこんな所に散歩に来るかよ、馬鹿馬鹿しい!』

 『そういう事だ、もしそうなら最初っから拳で脅してくりゃいいじゃねぇか。そうしねェって事は……なぁ?』
 「いやでも兄貴、博愛主義者で暴力反対の人権派の金持ちって可能性も―――」

 『やかましいわッ!! 問題は金があるかねーか、其処だけだ。コイツは確実に金を持ってる、重要なのはそれだけだ。
 今夜はこのクソガキと合わせて大漁と行こうじゃねえか、終わったら死体をゴミに捨てて俺達はその後モーテルさ、クールだろ?』

【銃をフラフラ、フラフラ。プロであれば絶対にやらない様なわっかりやすい悪党のモーション。】
【勿論隙も大きいし、ハッキリ言ってこの距離で弾丸が当たるかどうかも分らない程、彼等は単なるチンピラだ。】
【つまるところ、意気揚々と間抜けを晒してスーツの男に近寄って行ったのは良いが―――まんまと、彼の"術中"に、ハマった。】

 『あぁ? オイ、てめ何のつもり―――おわァッ!?』

 「あ、あにきッ!? てめぇゴラこの成金がァッ! いきなり携帯ブン投げるとはどういう了見――――――、」



                        『「『―――――わぁッ!?!!?!?!?!?』」』

【放り投げられた携帯電話、受け取られた携帯電話、そして―――炸裂する、携帯電話。】
【思わず手から離れたそれを拾う間も無く、巨大な破裂音に驚いて銃口が滅茶苦茶な方向を向く、瞬間。】
【銃を持ったそのギャングに即座にキマったのが顎への一撃、所謂"アッパーカット"―――男は後ろに吹き飛ばされる。】

 『ぉォッ!? ―――ごほっ!!!』

【しかし身体の造りだけは頑丈なのか、それとも矢張りチンピラだけに暴れ慣れているのか。】
【すぐに体勢を立て直した二人が鉄パイプ踊りかかる―――上から真っ直ぐ振り下ろすように、男を狙った。】
【そしてもう1人の男がナイフでもって胴体を狙おうとした、次の瞬間。それまで黙っていた"少女"が遂に、動き出した。】

 ……ったく。素人が素人にけんかを売って、それを素人が買って……何のジョークよ、これはッ!!

【―――とび蹴り。凄まじい勢いで放たれる、とび蹴りがナイフの男の顔面を、ブチ抜いた。】
【滅茶苦茶綺麗なフォームで打ち放たれるそれは、正直言って喧嘩慣れしている、なんて表現で収まる物ではなく】
【格闘家か、もしくは彼女もギャングなのか、いずれにせよこんな所でクスリを買おうとしている時点でおおよそ普通ではないのだが……】

【―――ともあれ、ブチキレたのかなんなのか、飛び上がった少女の蹴りが1人を吹き飛ばした。】
【そしてそれだけでは収まらず、倒れた身体に圧し掛かって拳を振るう、振るう、振るう―――。】
【どうやら其方の心配は要らないようだ、となれば後は最後の1人、鉄パイプの小物を〆れば一件落着、か。】

 ―――なにボサッとしてんのよッ!! さっきの手品みたいので、とっととソイツかたづけなさいッ!!
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 22:26:31.00 ID:gzrQvZzR0
>>211
【痛いところは無意識に手で覆ってしまうのが人間の常。この女も例外では無く】
【――――だからと言って何かに支障がある訳でも無いのだけれど】

【大凡ご機嫌であるとは言い難い表情。やはり自分が騒がしくした事を良く思っていないのかな、なんて思案】
【ならばどうにかして機嫌を取りたいが――――そんな考えは虚しい事】
【何よりも親戚の子だとかならばまだしも、出会って数分程度の相手。好物だって知らないのだから難しい話】


「うぅ……そ、そんな事はありませんけどー……でも、世の中には沢山悪い人も居ますから女の子一人で歩くのは――……もう、そー言う事では無くてですねっ!!」

【このままでは間違い無く言い負かされる未来しか無い。然れど果たして悪党に襲われたとして戦う力を持っているか分からない少女を一人に帰す訳にもいかず】
【うんうんと唸っていたのだけれど、やがては良い説得の文句も浮かばなかったのか「うがー」何て言葉で誤魔化して】
【かといって無理に連れて行く様な真似も出来ないし、叱る程の事でも無い。どうするべきか、と悩んだ末の答えが――――……】


「それなら、ご一緒にお買い物とかはどうですか?
えっと、最近は美味しい出店もありますし……近くに移動式の古本屋さんもあって珍しい物が見つかるかもしれませんし〜……」

【高圧的な態度等々とは真逆。哀願にも近い様な声の質】
【――――やはり、自警団らしく無いのだけれど。言葉で負かす事が出来る程強くないのだから仕方ない】

【背丈からすれば女の方が約十センチほど高いのに、俯きがちに問う姿はどうにも小さく感じさせて】
237 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/18(日) 22:31:08.36 ID:q5zduQsDO
>>234

【徐々に上がっていく声量。怒気を孕む声色】
【それに対し、リーべは驚きを隠せなかった】
【笑われることはあっても──今まで、怒られたことはほとんどない】
【だが──確かに、自分が為そうとしていることは、「裏切り」を助長する行為だった】
【ジェイクが裏切りを忌むなんて、今までの会話から分かったはずなのに──少しだけ、リーべはそう思うも】


……それでも、カノッサ機関は悪事を為す
その機関にいた誰かが、No.7の脱退で傷つくんなら……私はその「誰か」だって、「表側」に戻してみせる

──確かに、表側に戻ることでNo.7は苦しむかもしれない。……けど!
機関に居続けるなら、No.7はずっと人を殺し続ける!罪を犯し続ける!
表側に戻れば、罪は償える!でも──機関にいれば!それすらできないんだ!
「悪いことをしたら、ごめんなさい!」──それすら、人として当たり前のことすら、言えないんだぞ!!

「どうやるか」──?話を聞いてやればいい!
聞いて、悩みを解決してやればいい!
機関にしか仕事がない?ハローワークに行けばいいさ!
仕事が続かないなら続くまで私も一緒に働いてやる!
友達がいない?簡単だ私が友達になってやる!
名前名乗って握手すればもう友達だろう!
親がいない?バカヤローいくつだ自立しろ!
立てるようになるまで私が支えてやる!
居場所がない?機関にいればもっとなくなるぞ自覚しろ外の世界に目を向けろ!
まずは友達作りから始めろ居場所なんていくらでも出来る!!


やり方なんて、いくらでもある!
──政府も、自警団も!「カノッサ機関」は見ているがその構成員は見ちゃいない!
私が組織に属さないのはそれが理由だ!
個人を相手にした私のやり方は、集団の中じゃ異物になってしまうからな……!
……私は、世界の善い組織が、集団が、「救えなかった」人たちを、助けたいんだよ──!


【──自らの思想の、その深い部分を誰かに語るのは、久しぶりだった】
【徹底した、個人主義。それが、この善意の塊の少女の、正体だ】
【組織が救い損ねた、「少数派」の社会不適合者たちをなんとかしようとするのが、この少女だった】
【集団では相手にしにくい、「個人」の深いところまで踏み込もうとするのが、この少女だった】

【リーべが叫んだ言葉の中には、謀らずもジェイクのような者に対する対処法もあった】
【それを聞いたジェイクがどうするか──未だ、定かではないけれど】
【リーべはそのまま、何事もなければ彼の言葉に従い、路地裏へ向かうはずだ】
238 :リーベ ◆my2He3rcPs :2015/01/18(日) 22:42:01.23 ID:0F9OeA4i0
>>234
/「路地裏に向かうはずだ」なんて書いておいて申し訳ないです、少し眠気が来てしまいました
/〆か継続かは、そちらにお任せします
/〆の場合、リーベの携帯が鳴って誰かに呼び出され、去っていった感じにしていただければ
/継続でしたら、明日は昼間はいますが夜は返信できないと思います
/夜に安定してレスできるのは、明後日になるかと……
/なんとも勝手を言ってしまい申し訳ないです
239 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 22:44:22.77 ID:NDB9hiVR0
>>236

【痛そうに患部を押さえる手、だけど、少女にはそれをどうにかする手段はないし】
【崩れる前に本をどうにかしてやれなかったのは少し気後れするが、それだけだ。よっぽど心を痛めるとか】
【ああ私のせいだと泣き崩れるとか――そういったことは全くない。一人勝手にぶすくれて、気持ち頬を膨らませ】

【どっちみち間に合っていたとしても、なんとなく気に食わないのだ。それを、どこかで自覚しながら】
【おんなじ行を繰り返して読む、というか、多分読んでもいない。なんとなく目を通して――頭は通さずに】

人通りの多いところを歩くよ。

【なーんて、聞いているのかいないのかよく分からない返答だ。それが完全な解決策にはならないのを、分かっているよな口ぶりで】
【いっそ自殺願望でもあるのかと思うくらいだ。積極的に死に急ぐわけじゃない、ただ、漠然と――消えたい、?】
【少女は背もたれに軽い体重を預け“きしり”と鳴かせて、いっそう俯くように視線を落とせば】

【なんだか、本格的に、相手の言葉を無視しようとしだしているように見えた、だろうか】
【視線は今度こそ全うに行を追いかけだし、そのうちにぺらりと頁が捲られ……ない。ふと、指が止まる】

……その古本屋はいつも同じ場所に居るのかい、

【食べ物には興味を表さなかった。枝切れみたいに細い体を見れば少し分かる、きっと、食べることに興味が薄いのだ】
【それなら三大欲求に何が含まれるのかって、読書欲、読書欲、睡眠欲――、多分、そんな具合なのだろう】
【そんな彼女は移動式の古本屋と言う言葉に興味を持つ。いつも居るのかって……、それとも、レアエンカウントなのかって】

【たまにしか来ないようなら、毎日存在する図書館より優先すべきだと思った。――なんせ、古本屋、大好きだ】
【向いた視線は初めて相手の言葉をもっと聞きたいと興味を持つ色、おすまし顔と比べれば、きらきらと輝いてすら見え】
【――多少嘘だったとしても、彼女を連れ出すのは簡単だとここでやっと分かる。好きなもので釣れば――案外、】
【気難しそうな顔しながら、実体は結構子供なのかもしれない。相変わらず、表情は仏頂面だったけど】

【瞳ばっかりがさっきよりも活き活きとして――隠せない】
240 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/18(日) 22:51:03.58 ID:wdaG61w9o
>>235

(よっしゃ!今の俺様めちゃくちゃカッコいいぞ!ビデオ撮っときゃよかった!!)

【これは所謂ラッキーパンチ、喧嘩なんて慣れたくもないと豪語するこの男が、人一人ノックダウンさせるのは搦め手がいくらあっても難しいものだ】
【とはいえ、出鱈目の拳でも良いところに入れば、素人がプロを倒す事が出来るとか言うとか言わないとか】
【つまりはまあ、そういう色々な幸運のお陰で何とか一人を倒す事が出来たのだが…】

…あ、て……ちょ、ちょい待ち!タンマタンマって!今のは手が滑っただけだって!本当───!

【一人を倒した所でまだ二人いる、その反撃がこれ程早いとは思っていなかったのだ】
【構えた男達を見て、慌てて言い訳を繰り返すが───と、ここで少女の助太刀が入る】
【一瞬何が起きたのか分からなかったが、素早い判断でそれを理解、更に少女の言葉が背中を押す】

よっしゃあ!覚悟しろよこの虫野郎!

【言われた通り、鉄パイプを持つ男だけに意識を集中する。振り下ろされる鉄パイプを躱し…いやッ!】
【『躱す』のではなく、『向かって行く』ッ!敢えて近づいて行く事で、威力の最大点から位置をズラしたのだッ!】
【…いや、違う。この男はそんな風に、戦いの戦法とか搦め手で動いたのではない】

【そう、これは───…】

取り敢えずよくわからんがくらえぇい!!

【弱い物にのみ許された攻撃、《ヤブレカブレ》だ!】
【相手の攻撃にあえて向かい、頭から突っ込む事で、取り敢えず何か起こす気だ!】
【具体的に言えば、押し倒して後ろにあるブロックとかに後頭部をぶつけさせるとか、ゴミ箱に頭を突っ込ませるとか、そういう事が起こるかもしれない】
241 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 23:03:22.21 ID:gzrQvZzR0
>>239
【女からすれば、困った事態。まさか何時も同じ場所に居るのか、なんて聞かれると思いもしなかったのだろう】
【実際に見た事は本当だし、まだ居るのもきっと嘘では無い。だが、何時も同じ場所か――――と問われれば、分からない】
【えっと……の続きが浮かばない。何時も居た様な気がするし、居なかった様な気もする】
【現実には各国を巡っている為、品は別として非常に珍しいのではあるのだが】


「多分、一年に一度見れるかどうかじゃ無いでしょうか〜?
普通の移動式の物とも違いましたし、もしかしたら別な国でも希少の本とかが見つかるかもしれませんよっ!」

【――――嘘では無い。女本人が知っているかも分からないが、行商人の様な者が勤めているのだから毎日同じ場所で所か、果たして今までに同じ場所で開いた事があるかも怪しい】
【少女の様な性格こそ、微細な変化には気付きやすいのだから。これで何処まで興味を引くことが出来るか分からないが、少なからず意味を持つ言葉だとは確信して】


「でも、時間も遅いですから向かうなら早めに向かわないと閉まってしまったり……もしかしたら、本がどんどん売れてしまったり、なんて事があるかもしれないですね……?」

【ならば一層煽ってみるかとの判断。古本なのだから通常の本屋だとかとも品揃えが大きく異なり、普段ならばお目に掛かれない本も売れてしまうかもしれない、なんて】
【じい、と向けた視線は少女の観察めいて、行く――と言ってくれたならば嬉しそうに表情も綻ぶのだけれど】
242 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 23:12:43.53 ID:NDB9hiVR0
>>241

【これが、いつも同じ場所に居るような――毎日見かけるような店なら、きっと、動かない】
【それなら今度でいいじゃない、ということになってしまうのだ。おそらくは――の話だけれど】
【でも。それが、――年に一度だとか、或いはそれ以下の頻度でしか見られないとか、そういったことならば】
【――――その女性の言葉を聞いて、少女はよいしょっと、ひどくあっさりと立ち上がるのだろう】
【話が早い。今までこの本を読みたそうにしていたとか、お尻に根っこでもあるんじゃないだろかという様子は捨て】

【さっきのもやがまた現れる。そうして、選んできた数冊の本を、元どおりの場所に納めていくと――】

……じゃ、行こうか。場所はどこだい、遠い?

【なんともまあ手早い手のひら返しを見ることになるだろう。指先でちょい、と、顔に掛かる毛を耳に掛け】
【女性が嬉しそうにする横を通り抜けてさくさくと図書館の出口のほうへ向かいだす――着いてこないならば、】
【ある程度の位置で立ち止まり、「はやく」というように振り返りまでするのだ。そこまで、本、……好きらしい】

だけれど、別に、キミらの言うことを聞くわけではないのだからね。
そろそろ新しい蔵書が欲しいと思っていたんだ、最近は文庫本ばっかり読んでいたものだから。

【――だけど、そんな態度を取ったのだが、彼女、背が低いせいもあってか、歩幅も狭く、歩みもなんとなく遅い】
【それでも今宵は気持ちが逸るからいつもより早めではあるのだが、それでも、常人より、まあ、ちょっと……早いかなくらいで】
【地味に言い訳ぶるが、つまり、大人の言うことなどあっさり聞いてしまうのがなんとなく恥ずかしいのだ。年頃めいて】
【本が増やしたいという、そんな言い訳をして――女性が案内する先へ、とことことついていくことになるだろう】

【もちろん、その間に会話を振られるようなら、ある程度は返してくれる――はずだ】
243 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 23:16:35.70 ID:owtrpU7Bo
>>240

【まあ―――これが、例えばプロの格闘家を相手にした戦いだったりとか、軍人が相手の喧嘩だったりしたなら】
【ラッキー・パンチが次々起こる事もそう無かっただろう。だが、今回の相手は調子に乗ったチンピラ×3であって】
【言ってしまえば雑魚の集まり、烏合の衆、何をするか分らないという点を除けば、比較的戦い易い相手と言えた。】

 『 ―――ぐあはッ!! あぼっ、ごぁ……ッ!! 』

【少女に馬乗りにされているナイフ持ちの主格等、もはや顔面に次々と拳を浴びて気絶寸前だ。】
【そして鉄パイプを握った小物にしても、結局は小物でしかない。攻勢に転じたスーツの男に、一瞬気圧され】
【振りぬいたそれは宙を穿ち、男へ届く事は無い―――掴みかかられた。腰元に抱きつかれ、体のバランスが崩れる。】

 「ひッ―――て、てめェッ!! 放せ、放せコラ!! どけこの―――おわぁァァッ!?」

【膝蹴りを乱発し、なんとか身体を引き剥がそうとするがどうにも上手く行かず―――ごしゃり、と音がして。】
【背後にあったゴミの山へと二人はダイブ、と言っても主にパイプを持った男がダメージを被り―――ゴミ山から突き出た】
【大漁の鉄屑に頭を酷く打ちつけて、首をやられ、そして―――抵抗虚しく、そのまま気を失った。少女の方も、片付いた様だった。】


 【かくして、チンピラはこれで片付いたのだが―――ここで、新たな悲劇がスーツの男を、襲うだろう。】


 ……ふぅ。ねぇアンタ、一体何のつもり? 助けてくれるなら、正直もっとスマートにやって欲しいわね。
 もう少し賢い連中になら、そういう"ハッパ"もかけられるでしょうけど―――問題は要求した額よ、50じゃ逆上されるわ。
 代わりにこう言うべきだった―――手に持ってる小銭の入ったその「ずた袋」と、この携帯電話を交換しようじゃないか―――ってね。

 それからそう、さっきなんか"撮影"してたけど……私も強請るつもりなら、そのスマホ、直ぐに渡しなさい。
 今直ぐここで破壊してあげるから。いい? 十秒しか待たないわよ。1、2、3、4、5678……


【―――信じられるだろうか。こいつ、謝ったり礼を言ったりするどころか、なんかキレ始めた。滅茶苦茶だ。】
【挙句の果てにはなんかダメ出しまでし始めるし―――この小娘、これじゃカモられて当然である。】
【いくらなんでも対人という項目が出来て無さ過ぎる。失礼と無礼を塗り固めた様な、そんな少女だった。】
244 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/18(日) 23:22:08.45 ID:lhWuPTqlo
>>237

【ジェイクはリーベに背を向けて、近くの路地裏へと歩き出す。そしてその後を彼女が着いていく。たどり着いたのは先程の大通りとは対照的な、静かで狭い所だった】
【――――ジェイクの足が止まり、ゆっくりと振り返ると同時に叫んだ。カタカタと眼鏡を揺らしながら、最初は小さく、後に狭い路地裏に響き渡るような声で――――】

居場所が出来るだって…………? 軽々しくそんなこと言うなよッッッ!! お前なんかに僕の何が分かるんだ!? 僕の過去を、僕の心をっ!! 僕の傷をッッ!!
僕の何もかもを理解できていないお前に何が分かるッッ!! 迷惑なんだよ……そんな簡単に解決できると思われてるのは――――迷惑なんだよぉぉっ!!

【――――吼える。しかしながらその中身は裏切りに関する内容とは違った。やり方は幾らでもあると告げるリーベへと、ジェイクは餓狼の如き双眸を向ける】
【まるで自分が背負っている闇を、想いを、大したものではないと否定されているような。ジェイクにはそう感じざるを得ず、故に吼えた】
【No.7の話から、急に自分自身の話になったかのようなのは――――】

カノッサ機関No.17。僕の仕事は裏切り者への制裁。要するに消すこと――――これが僕の真実です……!!
僕だって人を殺すことに罪悪感はあります。良くないことをしているのは勿論分かってるんですよ……でも居場所を奪われるくらいなら、僕は拳を血に染める……!!
――――僕はこれでも、カノッサに救われたんです……。力を失い絶望していた僕にッッ!! カノッサは『暴力』という力を授けてくれたッッ!!

裏切られ傷ついた心の痛みを、裏切った者に肉体の痛みとして返すこの『暴力』という力は、僕の神だ……ッッ!! 
行き場を失って逃げ込んで、やっと手にした僕の居場所を、護ることの出来る力だから……神なんだ……ッッ!!

【――――自分が、カノッサだから。つまり彼女は、彼が最も嫌う裏切りを。それも彼の組織から裏切らせようとしている存在になるのである。だからこその、怒り】
【ジェイクはコンクリの壁を力任せに殴る。それも無駄のない洗練された、それはボクシングチャンピオンの右ストレートのような、いや全くもって一緒の動き――――】
【――――そして、爆音。拳がコンクリを砕き、巨大鉄球を壁にぶつけたような大きなクレーターが空く。「僕は強い」と彼は言った。その裏付けが今ここで、されたのである】

……――――僕もッッ……出来ることなら……ッ……人を殺さずに居場所を作りたい……ッッ!! 
けどダメなんだッッ!! 裏切られる痛みを知っているからこそ――――僕は人を裏切りたくない……!! 

……リーベさん……貴方とは――――……カノッサに入る前に逢いたかったのに……なんで……もっと早く救おうとしてくれなかったんですかァァッッ!!!!!!!

【石片が微かに舞う中、心に仕舞う筈の本音が叫びとなって痛々しく漏れた。理不尽な内容の叫びが、遅すぎたSOSが今になって彼女に伝わる】
【――――裏切ることは出来ないし、裏切らせない。そのような思想の中では、目の前の彼女は障害でしかない。――――ジェイクは構える。決意する。彼女を殺すと】

……――――ごめんな……さい、リーベさん。僕は貴方を殺さないといけない。僕の居場所を奪う存在だから、カノッサにとって敵だから。
僕は一切手を抜きません。全力で貴方を殺しに行きます。それでも、もし僕が負けることがあれば――――僕はカノッサから要らない存在になります。
弱者は必要ないんです、だから僕は強くなりました。……最初に言いましたよね、僕は強いんです。だから、もし負けたらその時は、その……時は……――――――――

――――――――僕を…………救って……くだ……さい……ッッ……!!

【震えた声を恥ずかしげもなく披露した後、両目を拭ってジェイクはファイティングポーズを取る。擦ってやや周りが赤くなった目は、獲物を捉える餓狼の如く】
【裏切られ蔑まれ差別され、溜まりに溜まった黒く重く暗い憎悪を。弱者を虐げる世間への、そして弱かった自身への怒りを――――ジェイクは握り締めた拳に込めた】


/継続でお願いします!
/返信はいつでもいいので気長に待ってます、では一旦お疲れ様でした!
245 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 23:28:29.35 ID:gzrQvZzR0
>>242
【やった、何て一人喜んでいれば横を抜けられ――――あれ、なんて一人言葉を漏らすことになる】
【急かされれば慌てた様に後を追い、欠伸をしている司書だとかに小さく礼をして】


「ん〜……此処からならきっと十分も掛かりませんよ
でも、店主さんが少し変わった方みたいで…………」

【その言い訳に対しては微笑ましそうにするが、揚げ足を取ったりすれば拗ねられそうだからと何も言わず】
【本当に迷子になったら危ないとかそんな理由で手を引いて行こうともするが――――断られれば無理にする事も無い】

【向かう最中に聞くのは好きな本とかそんな当たり障りの無い事】
【逆に何かを聞かれれば、それはもう嬉しそうに話す事は間違い無く】



【さて、脚を進めれば件の古本屋とやらは路地裏と表通りの丁度境界。少々危うい場所に在った】
【適当に広げられた茣蓙に、その上に無造作に並べられた書物達。悪霊撃退方だとか猿でも分かる禁忌の術だとか――――】
【或いは、ずっと昔の珍しい絵本だとか。まあ、色々と独特な品揃えがあるのは確かで】

【店主はと言えば、魔女を連想させる様なトンガリ帽子を被り自分の読書に没頭している】
【新たな来客者に気付いても視線を上げる事は無く、「いらっしゃい」とだけ告げるのだから無愛想】
【声からして老年、では無く随分と若いようにも聞こえるのだが――――?】


『……何か探している本があるなら言って。別な在庫を探すし、どうしても欲しいなら旅の途中で見つけた時に送るから
売りたい物があるなら其処に置いておいて頂戴。後で買い取り金額を出しておくわ』

【視線はやはり外れない。ただ其れを告げるのが仕事だとばかりに、冷淡に――――】
【聞けば欲しい本の依頼をすれば、見つけた時に送るという。或いは“別な在庫”とやらを探す、とも】
【風貌も合わさって何とも怪しげな人物では在るが、きっと危険は無いのだろう。ペラリ、ペラリとただ自分の好きな様に本を読み進めていくだけ】
【その見掛けから離れる事無く、読んでいる物は魔術の古文書、とは余談】
【無造作に並べられた其れを漁って適当な本を見つけるのも良いし……その者の言葉に反応するのも、また】
246 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/18(日) 23:37:14.81 ID:wdaG61w9o
>>243

【ゴミ山から突き出た二人分の足と、倒れた二人の男、そして少女…一体これは何のシチュエーションなのだろうか?】
【女たらしの少年ですらドン引きしそうな風景だが、まあ取り敢えずゴミ山から白スーツの男が頭を抜いた】

…ふ、ふぅ……なんとかなった…じゃなくて…

フハハハハ!雑魚どもが!俺様に敵う訳が無いともっと早く気付くべきだったな!
…いてて、あいつ思い切り蹴りやがった…

【少女に助けられた上に、それでも結構押され気味だったくせに、聞かれてもいない強がりセリフでカッコつける】
【…が、ゴミ山の中で変なミラクルが起きたのか、眼鏡がゴールドフレームの高級そうなものから『2001』眼鏡に入れ替わっているせいでシュールな光景にしかならない】

…さて、こいつら幾らくらい持ってるかなー…って
え?何?何お前?え?あ、さっきの女の子?え?何で俺様怒られてんの?

【これだけやっておいて、倒れたギャングに対してやらうとした事は財布漁り。起き上がる前に早速やろうとしたが…】
【いきなり横から少女に責められて、何がなんだか分からない様子。分からないが、いきなり捲し立てられれば自分が悪い気がして来た】

…えーと……なんだか知らんけどこれが欲しいのか?





ダ〜〜〜〜〜〜メっ☆

【少女がスマートフォンを欲しいのだと知ると、「よく知らんけど」と右手に持ったスマートフォンを見せつけるようにして首を傾げた】
【が、「渡せ」と言われれば素直に渡さないのがこの男、相手が必死ならば尚更の事】
【さっきは失敗したが、今度は行けそうだと踏んでいるが、普通に考えれば取引とかどだい無理である。少女の力を見れば普通に殴って奪われそうだがそれを全く考慮していない】

【無論、ムカつく面をぶん殴って無理矢理奪ってもいい。そうする場合確定描写で奪ってしまっても構わない】
247 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 23:46:51.21 ID:HsdRRlcxo
【公園】

【ここは都会のど真ん中にある森林公園。子どもを楽しませることよりも大人が休みに来るような静かな場所】
【夜は殆ど人が居ない。時間外れの犬の散歩かジョギングぐらいだが…こうも寒いと殆ども居ない】 
【公園の外周に路駐されている映画に出てくるような古臭い青いポンディアック。今どきこんなものに乗ってる奴は居るのか】
【その車体は歩道に乗り上げているものの非常に邪魔である。切符を切られてしまっても仕方ないような停め方】

………ハァァァァアア…疲れた……今回は…特に……

【公園のベンチに腰掛け、魂ごと吐き出すかのように煙草の煙を吐く。白い煙は夜に溶け込んでいく】
【ダークグリーンのレンズのサングラスをかけた黒い髪の男。額に白い包帯を適当にグルグルと巻いてある】
【着ている白のシャツも黒のスーツも瓦礫に埋もれてきたかのように汚れていて、おまけに袖は少し焦げている】

どうすっかなあ………これから……

【煙草の灰を落として、またため息をつく。すぐ横に喫煙禁止の標識、看板が立っているが男は気にしないで吸い続けていた】
248 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/18(日) 23:48:27.39 ID:NDB9hiVR0
>>245

【少女は彼女が喜んでもあんまり気にしていない。それ以上喜ばせてやる義理はない、というみたいに】
【だけど好きなものに関してならばある程度素直な顔を見せるらしい。それは、なんとなく嬉しげな表情からも】

体育会系の部活に入ってる高校生とかでなければなんでもいいよ。

【ちょっと気持ち高く/明るくなった声からも察せて――、うきうき、とか、わくわく、とか、そんな感情なのだろう】
【世の中では一般的に好まれている人種を一刀両断する、……まあ、彼女に合わないだろうことはすぐに分かり】
【それから好きな本について尋ねられれば、「毒の入ったケーキみたいな本」だとか、妙なたとえで返すのだ】
【さらにそこを尋ねたなら、「甘くて甘くて甘いのに、食べる傍らから毒にやられてのたうつようなのがいい」だとか言い】
【――まあ、少し変ではあるのだろう。これくらいの年頃なら、甘いは甘いでもスイーツ(笑)みたいなのを、好みそうだが――】

――――わあ、

【やがて。歩く前方に件の古本屋が見えれば、彼女は女性に振り返り、「あれ?」なんて尋ねるような目をする】
【頷くなりで肯定してやれば嬉しそうにぱたぱたと――珍しく小走りなんてして――駆け寄り、ふわっと視線を落とし】
【さらに言うとその顔を覗き込めば、見た目の年頃に比較的相応な笑顔まで見られたりして――まあ、余談だが】

【もうずっと昔の――年頃に読んだ子はもう爺や婆、或いは死んでるんじゃないか。そんな絵本を見つけ出せば、】
【彼女はそれを取り上げて大切そうに開く。そうして、書かれた文字を指先でなぞって――やはり嬉しそうにするのなら】
【絵本も好きなジャンルであるらしい。悪霊退散とか、禁忌とか、そう言うのは、あまり――、――?】

…………、

【そんな彼女の表情が、笑顔からふっと褪めた。しゃがんだ膝の上に件の絵本を開いて乗せたまま、じ、と、店主を見つめ】
【それから、きっと傍に居るのだろう女性を横目でちらと窺う。そうしてたっぷり数秒、何かをためらうようにしてから】

欲しい……わけではないよ、もしもの話なのだけど。そうさな、たとえば――、

――死んだ人間を生き返らせる方法の書いてある、本、……とか、――そういうのは、あるのかい。

【探している本。絶版になってしまって、どこを探しても見つからない本とか、そういうのはいろいろあった】
【いろいろあったはずだのに、探している本――そう言われて、思いついたのは、それらの在庫があるか、ではなく】
【どうしてだろうと少し思ったのだが、よく分からない。僅かに喉が渇くような感覚がして、言ってしまったのを、少し後悔する】

【(両親は、その方法の書かれた本や、その類の禁術を探しに、どこかへ行ってしまった)】
【(その方法を自分が見つけ出したなら、二人は帰ってくるだろうか。******も帰ってくるだろうか?)】
【(そうしたら、あの時みたいに、あの日までの毎日みたいに、戻ってくるなら。また、手に入るなら、)】

…………いや、なんでもない。
書いてるお話でね、そういった話を扱おうかと思って。
参考にできたらと思ったのだけど――、まあ、無くても構わんよ。

【――ほんの一瞬でひどい気持ちになった。だけどそれは誰のせいでもなく、ただ、自分への自己嫌悪として】
【結局言い訳めいた言葉を並べて、彼女は視線をまた絵本に落とす。そこには、さっきまでみたいな、――笑顔は無く】
249 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/18(日) 23:56:46.88 ID:owtrpU7Bo
>>246

【全く酷い光景である。救世主様は倒したドチンピラ(直球)から金奪おうとしてるし。】
【でもって少女は少女で、倒れた一人の身体を足で蹴飛ばしゴソゴソガサゴソ、クスリを探す。】
【―――まったくもって、酷い光景である。(一行ぶり、二度目) 正義はどこへ行ってしまったのか(棒読み)】

 ……意気込んでるとこ悪いけど、アンタ超かっこ悪かったわよ。
 序に言うなら今だって……ちょ、私はともかくアンタまでお金漁るって―――……あのさぁ。
 その高級スーツ、いくらで買ったわけ? はした金で買える様なモンじゃないでしょ、それ。なのに……はぁ。もういいわ。

 やってることはお互い様、チンピラ同様ってワケね。
 少しでも「ああ、助けに来てくれたんだ」とか、期待した私がバカだったわよ。
 で、アンタ名前は―――ていうか、何よその『ダ〜メ』って! きっもち悪いわね、さっさと渡しなさいよ!!

 ……別に、大人しく渡せば壊さないわよ。その代わり、さっきの写真だけは消して、お願いだから。
 もし消してくれるなら―――なにもしないわ。それにアンタの分け前だってあげるし、―――クスリは好きでしょ?
 
【どうやら、押してもそうそう退いてはくれない、そういう相手の様だ。少女はやり方を変える事にした。】
【倒れた男からクスリの―――コカインの入ったそれを抜き取ると、指で摘み上げ、そして妖艶な動きで男に近寄る。】
【指から口にコカインの袋を移し、唇で挟んだそれを近寄った男に抱きつくような形で押し付け、シャツの中に入れようとする―――。】

 あと、そう……もし消してくれるなら、"遊んで"あげてもいいのよ?
 大丈夫、代金は取らないわ。その代わり、写真さえ消してくれれば……ね?

【潤んだ瞳で男を見上げ、もう片方の手で羽織ったコートを少しずつ肌蹴させる―――少女。】
【写真を消すだけで、コカインとそれから一晩の思い出が手に入る。序に言うなら、この少女、中々に顔立ちは整っている。】
【オマケに若い。タダでそれが手に入る、というのだから悪い条件ではない筈だ。フッ、と息を吹きかけて―――大人っぽい仕草で、誘う。】

 (―――ま、油断した隙に携帯とタマ○ン捻り潰してとっととおさらばするけど、ね。)

【……胸中では、そんな風に考えていたのだが。綺麗な花には棘がなんとやら、というやつだ(適当)】
250 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 00:16:04.83 ID:0w5a6U700
>>248
【店主たる魔女は見られている事に気付く事無く――――否、気付いたとしていてもきっと自分のしたい事をしているだけだ】
【静かに頁を捲り、目で追い。必要だと思った物は頭の中に留めておくだけの作業】
【それでも耳だけはキチンと業務をこなしていたのだろう。死者を蘇らせる、なんて聞けば頁を捲る指もピタリと止まり】


『……貴女の求めている“程度”が私には分からないけど。骨だけで生前の意思を宿らせれば良いのか、取り敢えず肉体だけを復活させれば良いのか
もしも生前と何一つ変わる事無く、肉体も魂も取り戻して生活に復帰させる為の物なら――――無いわ。今は』

【上げた顔。感情なんて交える事も無く、ただ淡々と事実を告げるだけ】
【とんがった特徴的な耳は――――エルフ、と呼ばれる種族だろうか。エメラルド色の双眸が少女を見遣り】
【其れを求めていたので在ろう客の姿を視認すれば再び視線は読みかけの本へと戻された】

【女は、と言えばそちらはそちらで何か目当ての本でも見つけたのだろう】
【懲りずに欲しい物を積み重ねていくのだから暢気なもの。深刻めいた少女の悩みに今は気付かず、のほほんと本を漁っていたが】
【魔女は、異なって。相も変わらず自分の読書。だけれど、意識の半分程度は仕事に戻し】


『……そう。それにしてはまるで自分の事の様に一生懸命考えて居る話なのね
貴女がどうしても欲しい物なら優先的に見つけるわよ。――――勿論、相応のお金は払って貰うけど

何故必要なのかは聞かない。恋人を生き返らせる人も、何度も憎い相手を殺す為だけに使う人も、親や子を呼び戻す事に使った人も見てきたから
――――言えるのは、私が知る限りではその中で求めていた結果に辿り着けた人は居ない事だけど
摂理に反するなら、どんな結果になってもその道を選んだ自分を恨む他無いのだから』

【“今は”と言っていたとおり、以前はあったのだろう。何度か売りの知る限りの結末は――――】
【必要な部分だけ読み終われば書物を適当な場所に置き、売り物の中からまた別な物を手にとって開くのだろう】
【また、読み耽るだけの作業だ。澄んだ声で紡がれるのは詠唱にも似ていて、だけれど大きく干渉はしないよそ者の言葉でもあって】


『……絵本が好きなら在庫はもっとあるわよ。此処じゃ無い所にだけど
この場で何か買い求め?まだ探している最中なら、其処の女の人と好きに探していても良いわ』

【別な場所に在庫がある――――荷車も無いのだから、この魔女が商売を行える理由が其処にあるのだろう。何でも入る袋があるとか、きっとそんな】
【欲しいのならば見つけるが、と続けた上で加えたのは絵本が好きならば別な所にはもっと沢山ある――――なんて】
【このまま去るにしても止める事は無いし、何か買うならば事務的にその作業を行うだけだ。或いは、行ってみたいと言えば……話の中身からして、案内でもされるか】
251 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/19(月) 00:31:43.41 ID:hNk6zXVQo
>>249

馬鹿野郎、俺様は宵越しの金は持たない主義なんだよ、金なら沢山持ってたが寄付してやったぜ…カジノにな
今頃あそこの通りのカジノは俺様に感謝してるだろうが、わざわざ礼を受け取りに行くなんてダッセー事もしないのが俺様さ、だから金欠なのも頷ける事さ

【なんだか、かっこいい風に「金欠だ」と告げるが、どう聞いたって『カジノで有金スった』のを言っているだけである】
【隠そうともしない辺り慣れっこらしい、煌びやかなのは見た目だけだ】

お?俺様の名前か?やっぱ気になっちゃう?気になっちゃう感じ?
そーだよなー…俺様程のオーラがあれば道行く人がみんなして名前を覚えたく…おっと

【名前を聞こうとしたその一言を聞き逃さなかった(それ以外は聞き逃した)。撫で付けた金髪を撫でながら、名乗りを勿体振る】
【どうせ言うつもりなのに勿体ぶっていた所に、少女が詰め寄り上目遣いで見上げて来たからさあ大変。金も女も大好きな欲望まみれのこの男は───】

ちょ、お前、触んなよ!移るだろ!

【詰め寄られた男は、猫のような素早い動きで後退りながら、空いた手でパッパッと体を払い叫んだ】
【…何が移るというのだろうか】

…ったく…アホかお前は、勝手に同族扱いすんなよ、言っておくが俺様はクスリはすべからく嫌いだ!特に注射とかマジでな!献血なんて絶対に行かん!
それに女は好きだがお前みたいなのは嫌いだ、自惚れてんじゃねえぞ!

【しっしっと汚い物を見るような視線で、蒼い眼が少女を睨む。どうやらお気に召さなかったようだ】
【それから、スマートフォンをくるくると指先で器用に回しながら、ニヤッと笑って少女を見る】

つーかさ、そいつらはもう倒れてんだから、くれてやる金もいらねーだろ?今の内に目的のブツだけ奪っちまえば
だから、そいつらに払うべきだった金を俺様によこしな、そうすりゃこれをくれてやるよ

【この男、少女が売人に差し出したバッグを見逃してはいなかった。最初に出した金額とは言わないが相当な額が入っていた筈だ】
【『気絶している売人にくれてやるくらいなら俺に寄越せ』と、何ともこすからい事を言いながら、いつの間にか回収していたもう一つのスマートフォン(売人に放った奴)も見せながら言う】
252 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 00:33:17.72 ID:BJnyX1c70
>>250

【それは、尋ねた瞬間に、自分が嫌になるような問いだった。少なくとも、少女にとってはそれだけの意味があった】
【だって、普段は、死者を生き返らせるなんて冒涜だ、と、思っているのに。思っていたはずなのに、どうしてだろう】
【禁術を扱っているのだろう本でも見てしまったせいだろうか、それとも、――ああ、今まで探していないなんて、うそになるけど】

…………――ない、

【鸚鵡返しめいて零れる声は、安堵、残念、いろんな感情を綯い交ぜにしたものだった。僅かに息を吐き、肩の力を落とし】
【落胆にも見えるかもしれない。だけど喜んでいるようにも見えた。ない、無いのだ。そんな本は――無い、それなら、】
【かわいそうな庭の片隅にただ埋められただけの姉の体と魂。無理やりに起こされることも、……きっと、ない】

いい。……要らない。欲しくない。無いなら、それでいい。
ただ――、……私と似た夫婦に聞かれても同じように答えて欲しい。

……そんなものはない、と、言ってやってもらえないだろうか。
もちろん、もしも会ったらでいいのだけれど――どこに居るのかは、知らないものだから。

【その答えに、彼女はやっと心中で何かしらの整理がついたらしい。海蛆を口に放り込まれたみたいな顔をしていたのだが、】
【自分に似た人たち、だなんて、きっと両親をそう呼称する。――それ以外は、何にも、分からなかった。どこに居るのかも】
【そんな格好をしているのかも、分からない。もっと言えば、年齢も忘れてしまった――親の年齢など、考える年頃ではなかった】

【とにかく、自分と似た夫婦に同じことを尋ねられたなら、同じ言葉を返して欲しい――と、そう彼女はお願いすると】
【“今は”という言葉を、聞き逃してしまったのか、あんまり気にしていないのか。とかく、それを無いものだと認識する】
【いつかはあったとか、これから無い保証はないとか、そういうのは口にせず――ただ、断って欲しいと、そんな、我侭な願い】

ここではないところ? だけれど、……あいにく持ち合わせが少ししかなくってね、だから――。
あんまり見てしまっても欲しくなるだろうから。…………、――。

【それから、在庫の在り処には少し興味を示した。たくさんの絵本――それも、珍しいものばかりだろう】
【それを思えば、もう、尻尾なんてちぎれるくらいに振りたいくらいなのだが、邪魔をするのは財布の中身】
【少女らしい見た目の通り、持ち合わせは万に届かないくらいだ。値段設定によっては、なんにも手を出せないこともあり得】
【その場合、なんだかもう断腸の思いとか、それぐらいの顔をすることになるのだが――だけど、確かなのは】

【お金がなくてもそこに行くのが許されるなら。――それはもうめっちゃくちゃ行きたい、そんな顔をしていたことだろう】
253 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 00:57:58.45 ID:0w5a6U700
>>252
【私と似た夫婦、との回りくどい言い方からして“関係”を理解するには十分だ】
【そして、対象はその者等では無いにしても――――少女とその二人とに関係する者が、探していた本の対象となる事までは直ぐに分かる】
【少女の願いを聞くだけの義理も無く、生憎と慈悲に満ちあふれた魂でも無い。だから――――……】


『……その時の気分で考える。中には本を売りたくない人も居るから』

【もしもその二人が自分にとって“売りたくない相手”だったならば、その時は】
【それは店主の特権だ。在る筈の在庫を無いと突っぱね、客を選り好みできる】
【もしかしたら、その時はあったとしたら。何に使うのか、何て問うてから決めるかもしれないが――――IFの話だ】
【誰にも分からない事で、形の無い未来の話で】


『……構わない。元々値段は私が自由に決められるのだし、希少な物でも無ければある程度は値引いてあげる
貴女は手荒に扱いそうにも見えないから好きな本でも探すと良いわ』

【――――だから、きっと死者を蘇らせる本のお話は一旦の幕。変わりとして、また別な場所の案内状】
【自分がこの古本屋の支配人だから値段なんて好きな様に出来ると告げ、もし“普通の本”ならば余所で買うよりも値引いてやる事も出来るなんて】
【ただ本を漁るだけにしても、手荒に扱う様にも見えないから別に良い、と】
【連れてきた女については……本に熱中しているのだから、多少居なくなった所で気付く事も無さそうだ】


『……行くのなら、コレを持ってて。泥棒が入って来れない様に色々と魔術を掛けているから
無くしたりすれば魔獣に食べられるけど、私は責任を取らないわよ。側に居れば大丈夫だとは思うけど』

【差し出したのは一つのタリスマン。通行許可証とか入店許可証とかそんな役割なのだろう】
【さて、其処まで話して少女が拒む事が無ければ二人の足元に転移陣が展開される事となる】
【移動までは数秒と掛かる事も無く。次の瞬間には、本、本、本――――本がびっしりと収められた無数の書架の並ぶ場所へと移動している筈だ】

【ずうっと昔の本から比較的新しい本まで。先の大図書館よりも、更に大きくて】
【普通の人間ならば半分も読み終える事が出来ずに一生を終えてしまいそうな位には冊数も多かった】
【時折徘徊している魔物が此処の番人を務めているのだろう。ただ、手渡された物を持っていれば見向きもせず、害も無く】
【――――ふう、と溜息を吐けば帽子を外し特徴的な耳とエメラルド色の髪とを露出させ】
【必要ならば案内するし、好きにみたいならば其れでも構わない――――そんな言葉で選ばせるのだろう】
254 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/19(月) 00:58:51.79 ID:p0s2Gyt1o
>>251

【堂々とそれだけの言える辺り、ある意味で大物と呼べない事も無いのではないだろうか。】
【少なくとも、常人であればカジノで大負けした話を寄付と称して人様に自慢するような真似はするまい。】
【まあ、上にも下にも突き抜ければ天才、という訳で―――これで擁護になっただろうか。いや、ならないだろうが……。】

 カ……、ああそう、要は"ボロ負け"して全額"スッた"ってワケ?
 アンタ、私が見た限りじゃ相当どうしようもない類のおっさんね……さっきの脅しといい、このエピソードといい……。
 ま、まあでも、アレじゃない? カジノが寄付で成り立ってるのは確かでしょ、あんな物皆捨てる金で遊ぶんだから、寄付同然だものね。

 ―――もっとも、アンタみたいにスッちゃいけないような金までスッちゃう御莫迦さんもいるみたいだけどね。

【加えて適当な擁護が重なる。いや、擁護したと思ったら図星を突っつく辺り、分かっててやっていそうだ。】
【ともあれ、そんな事はどうでも良くて、今は矢張りカメラの回収をする為にとっととこの男を買収しなければ―――、】
【いけなかったのだ、が。予想外の反応をされて戸惑う。ばっちい? 汚い? 移る……? いや、何がだ。何が移るんだ。これじゃまるで】

 なっ―――――――――――ちょ、ちょっとなによその反応っ!?
 ひ、ひとが折角一肌脱いで遊んでやるっていってんのに、なによ汚物見るような目で、この……っ!!///

【―――いや実際乗り気で来るだろうと思ってたのだ。皮算用だけど、マジで。】
【だからすっごい冷めた対応をされて、無理やり正気に戻されると、まさに自惚れてたも同然の自分に気付いて】
【よくよく考えればハニートラップなんてやった事もないのに耳年増で試したのが裏目に出たのか、少女は顔を真っ赤にし反論した―――】

 ふ、ふざけんじゃないわよ誰がアンタみたいな似非成金ギャンブラーと寝てやるもんですか!!
 こっちから願い下げよこのオッサン! だいたい移るってなによ、私は病気持ちじゃ―――……と、とにかく何なの!?
 普通に考えたらオッケーって言う所でしょ、ねぇ!? 何よ、それとも私そんなに可愛くないわけ!? 17歳よ17歳! 何が不満なのよ!

 アンタみたいな金にしか興味ない喧嘩も弱いような男が私いっちばんだいっっっっっ嫌いなのよ!!
 金金金金金、金しか言えんのかこのオッサン! アンタの名前なんかどーーーーーーーでもいいわよ!!!!
 心底どうでもいいわよ、グリマスとモバマスの違いくらいどーでもいいわよ同族扱いされて困るのは私のほうですけど!!!

 ――――――はぁ、はぁ、はぁっ……喧嘩より疲れる……っ、とにかくっ、今直ぐ携帯を……、
 
 ……この金、渡せばカメラを渡すのね。……分った、分ったわよ、チッ……本当に薄汚い拝金主義者ね、気に入らないっ!

【手にしたバッグを男の足元へ放り投げる―――前に大分酷い事ばかり口走っていたが。】
【まあでも言う事は律儀に聞く辺り、実際そこまで悪い娘ではなさそうだ。口は酷いもんだが、まあともかく。】
【交換条件、と言う事で金は直ぐに差し出した。だがそんな事より、そんな事より拒否られた事のほうが重要だ―――……。】

 (……なによ、最初から抱かれてやるつもりなんて無かったけど……くっ、こうもハッキリ断られるとブッ飛ばしたくなるわね……!)

【内心腸煮えくり返っているが、其処は堪えて。少女は男の反応を、待った。】
255 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 01:00:39.78 ID:BJnyX1c70
>>253
/申し訳ないです、昨日もお伝えしたとおり、明日の朝が早いので……
/今日はこの辺りで凍結していただけないでしょうか?
/一応上手く行けば今日の夜から普通に再開できると思うのですが
/場合によっては明後日の朝も早くなってしまうかもですので
/なんだったら置きのほうに移行でも構いませんので、そちらの都合のいいほうにしていただけたらと思いますです
256 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 01:10:20.89 ID:0w5a6U700
>>255
/っと、了解であります!
/今週から来週の水曜辺りまで色々と用事が詰まっております故、置きの方に移動にして頂ければ幸いですっ!
257 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 01:11:12.37 ID:BJnyX1c70
>>256
/了解ですー、それなら次のレスは明日の夕方頃にでも置きのほうに返しておきますっ
/ご迷惑おかけして申し訳ないですが、それでよろしくお願いします!
/ひとまずおつかれさまでしたっ
258 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/19(月) 01:41:55.14 ID:hNk6zXVQo
>>254

一肌もふた肌も脱がなくていーんだよ、ンなもん見てーのは『女なら何でもいい』ってのしかいねーんだから
大体17でクスリ買うとかもうエリート薬中じゃねーか、マジで引くわ

…え?ちょっと待って、成金ギャンブラー?オッサン…?
いや、あの、言い過ぎじゃない?俺様傷付くよ?俺様もこれでも人間だよ?
いやまあ俺様それでも言いすぎたかもだけどそこまで言われる程の事言った?いや、あの…

わ、わかった!わかったから!謝ろう!お互い言い過ぎたなウン!お互いごめんで終わろう!

【実際自業自得なのだが、流石にこれだけ罵詈雑言を、しかも歳下の少女に捲し立てられると堪えるらしい】
【主にオッサンの辺りが堪えるらしい、慌てて少女を宥めようとする】

…ま、まあ…何はともあれだ…取引ってのは金で行うのが基本なんだよ、うん
そもそも、俺様はまだ優しい方だろ?俺様がなまじっか正義感溢れる人間だったと考えてみろ?
やれ『クスリは良くない』だの『女の子は体を売っちゃいけない』だの、つまんねー説教されるよかいーだろ

ま、約束はしっかりと守ってやるぜ、そらよっ!

【宥める為の言葉選びが何処かズレてる、自分は正義漢じゃないと言うのはまだしも、人を正しい道に導くのが嫌いだとでも言うかのように】
【それはそうと、少女がバッグを渡すと、代わりに二つのスマホを投げて渡す───こっちには罠は無いので安心していい】

ちなみにそいつはくれてやるぜ、壊すなり売るなり、『元の持ち主に返す』なり好きにしろよ

【…どうやら盗品らしい、二つとも】
259 :????? ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/01/19(月) 01:56:19.55 ID:/KyHaBJYO
>>258
/ID変わりますが、ごめんなさい。
そろそろ〆に近づいてるところだと思いますが、眠気がキツくなってきたので一旦凍結させて貰っても良いでしょうか?
明日以降も七時ころからお相手できるかと思います
260 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/19(月) 02:02:41.81 ID:hNk6zXVQo
>>259
/アッハイ、大丈夫ですよーリアルは大事にして下さい
/それでは一旦お疲れ様でしたー
261 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/19(月) 12:45:56.23 ID:lWb4+VfDO
>>244
【──移動の間、彼女は何も語らなかった】
【あれだけ元気で、お喋りで、それでいて押し付けがましい少女が、何も】
【……ジェイクが歩みを止めれば、自然とリーべもその場で立ち止まる】
【感情的になったジェイクの言葉。それは、彼女の目を大きく開かせた】
【一体、何を言っているのか──そう、言いたげな表情でもあったが】
【彼の言葉が重なるにつれ、彼女の表情は、真剣なものになっていく】

──カノッサ、機関……No.17、か……。なるほどな……それで納得がいった
引っ掛かっていたんだ──何で、「ベイゼ」がUTにいるのか。逃げるだけなら、わざわざUTじゃなくてもって、思ってた
それに……お前は「仕事」だって、そうも言ってた。会ったこともない人間を追いかける仕事って、何だ?って──そう思ってた
そうか──機関員だったんだな、ジェイクは……

【──「機関員を、悪人だとは思わない」 そう彼女は言っていた。……それは確かに、真実なのだろう】
【声を荒げるジェイクに対し、リーべはひどく静かな声で、ぽつりぽつりと答えていく】
【そこには敵意も、殺意も、嫌悪すらなかった】

──すまないな、ジェイク。お前に会うのが、遅くなってしまって
もっと早く会っていれば、お前は苦しまずにすんだのに
……だが、過ぎたことを悔やんでも仕方ないな
お前は「今」……!「ここで」……!「苦しんで」いるんだ……!

私は手加減をしないぞジェイク!苦しんでいるお前に追い討ちをかけるがな!
いいかよく聞けジェイク・ジャスティン・アンブローズ!!
お前がカノッサを居場所だと思っているのは────「勘違い」だッ!
本当に居場所になり得る場所は、暖かくて、楽しくて、安心するところなんだ!
苦しみを教え、痛みを教え、殺しを教えるような場所じゃない……!
暴力を行使させ、罪悪感を覚えさせ、殺人を犯させるような場所じゃ、ない……!!

そうだなジェイク──私はお前の何もかもを理解できていない。名前を知って、少し喋っただけの仲だ
だから私は知らなくちゃいけない……お前に何があったのかを
すべては「理解」することから始まるんだ……お前の過去を、お前の心を、──お前の、傷を!

だけどとりあえずもう一度言うぞ!
カノッサが居場所だって言うのは、 「か・ん・ち・が・い」 なんだ──!

【「──僕を、救って、ください」】
【その言葉は、彼女の拳を握らせるには、十分すぎた】
【声が、どんどん大きくなっていく。びりびりと、大気が震え出す】
【真剣な表情をしていた。けれど、それは言葉の強さと共に、笑みへと変わっていく】
【──ひどく楽しそうな、笑みだった】
【心の底から込み上げる感情を、それでも押さえつけているような笑みだった】

────負かす

負かして、ぼこぼこにしてその勘違いを再起不能にしてやる
強いと言ったな、ジェイク……だけど────

   ────私も、強いんだ!!

   【 ご────ッ! 】

【笑う。笑う。楽しそうに、笑う】
【誰かを助けることが最上の喜びだと言わんばかりに、笑う】

【ジェイクを見据えたまま、強く強く、真正面の空間を殴り付ける】
【普通ならば、彼の体には届かない──彼女の腕は、2人の距離を埋めるには短すぎる】
【だから、彼女の能力(ちから)が、それを補う】
【殴り付けた空間。そこから生じてきたのは、強力な「衝撃波」──ッ!】
【びりびりと空気が揺れ、大気が歪む。びしりと壁にヒビが入り、地面が抉れる】
【通常のフィールドであれば回避行動をとることで対処できるだろうが、ここは路地裏】
【回避ひとつ取るにしても、動きを制限されることは避けられない……!】

【彼は手を抜かず、全力でとそう言った】
【だがそれは彼女も同じ──小手調べなんてまどろっこしいことなどせず】
【最初の最初から、全力で勝負を仕掛けてきた──!!】
/継続了解しました!返しておきますねー!
262 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/19(月) 15:50:36.36 ID:epI8ka/ro
>>261

――――……逃げないんですね、リーベさん。そんな貴方になら、殺す前に1度だけ――――僕の心を見て欲しい、なんて思えちゃいます……。

僕は、アンブローズ家は……村を牛耳る名家でした。つまり僕は生まれた時から「権力」という力があって、そのおかげで何一つ不自由なく幸せに暮らしていました。
――――……村民に家を焼かれ没落するまでは。村民たちが突然僕達に反抗して――――そのせいで母親と祖父母は死に、父親と僕だけが残りました。
「権力」を失った僕等への村民たちの対応は、急変し、2人のアンブローズへの村全体での迫害が始まったんです。

……力があったから今まで村民は僕達と仲良くしてたということに、此処でようやく気付きました。クラスの皆は僕を虐げ、信じていた親友までも苛めに加担しました。
権力を失った僕にとって、その親友は唯一の光だったんです……それなのに平然と……僕が弱者になったから――――僕と仲良くするメリットなんてないから、裏切った。
父親も新しい職場での苛めに耐えきれず自殺し、次は僕だと覚悟しました。力があれば。弱い自分を妬みました。その僕に新たな光を与えてくれたのが、カノッサなんです。

……――――カノッサは僕を絶望の淵から救ってくれたッッ!! 居場所だけじゃなく、新たな力まで与えてくれたッッ!! 
いくら世間から悪だと言われようとも……何人もの罪のない人を殺すことになってもッッ!!……僕にとっては、此処が二度と失いたくない「居場所」なんです……!!

【彼女だからこそ、聞いてほしい。彼女だからこそ、知ってほしい。僕に優しくしてくれた「いい人」だからこそ、最後に。死ぬ前に僕を――――覚えていてほしい】
【ジェイクは包み隠さず過去を吐き出す。居場所を求め、力に固執し、裏切りを嫌う理由を。彼が得た暴力は、自分を護る為の力】
【勘違いだと言われても、完全な居場所ではないとしても、彼にとっては護らなければならない砦であった。彼女は笑う。彼は潤んだ瞳を引き締めて睨む】
【構えて相手を見据えるその姿――――その利き腕、右の拳。まるで銃口を向けられているような圧力がそこから漂い、じりじりと間合いを詰めると――――】

……――――〜〜〜〜〜ッッ!!!!!!

【――――空気が大地を抉りながら、彼を襲う。狭い空間における広範囲攻撃、躱すことは難しいが――――その中でジェイクは腰を落とし、両手を前に突き出した】
【……舞い上がった小石やコンクリの破片が彼の身体を切り裂く。空気が彼の身体を吹き飛ばさんとする。それでも彼は力強く踏ん張り、地面に轍のような跡を作った】
【……――――力で、耐えた。彼の小さな体には大量のパワーが凝縮されている。特殊繊維で筋肉は補強された其れは、地面を抉る程の踏ん張りを見せた】
【それでも衣服は細かな部分が破れ、そこから赤い血が水玉模様のように滲みだしている。抉れた大地に赤い水滴が滴る。その中で彼も、笑った】

……全力なんですね。嬉しいです……――――でも、僕はこの程度じゃ沈まない。「暴力」を得る為に全てを注いだ……――――誰よりも、僕は強くありたいと思っている。
僕は負けません。もう自分の弱さに耐えきれないだろうから。だからこそ僕も――――全力で、貴方を殺す。

【――――刹那、躍動。改造された筋肉は爆発的なスタートを生むが、それだけが脅威じゃない。予備動作が極限まで減らされた、熟練の武人の動きなのである】
【単純なパワー、スピード。そしてテクニック。激しい動きの代償には先程の傷が齎す大きな痛みがあるのだが――――そんなことはどうでもいい。護る為に、牙を剥いた】
【居場所を護り、カノッサを護り、自分を護る。その為に真っ直ぐ、先程壁に放った右ストレートを、左足を踏み出して放――――たない】

【顔面へと放たれようとした右拳はぴたりと止まり、視線を拳へと誘った後――――右のローキック。しかもその右足、膝より下の部分は黄色いオーラに覆われていて】
【――――もしその蹴りが彼女の左膝やや上の部分に当たったのなら、感じるは鉄パイプで殴られたかのような感覚。その右足がまるで鉄であるかのような、錯覚】

/こちらも返しておきますー!


263 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/19(月) 17:11:15.34 ID:lWb4+VfDO
>>262

【──「衝撃」で沈まない程の、力。それだけを見て、リーべは彼を「パワータイプ」なのだと判断した】
【接近されては、恐らく腕力や近接戦闘の経験の差で、敵わない人種だと考えた】
【通常であれば「接近させない」ことがこの場では最良手──だが彼女は敢えて、そうしなかった】

【爆発するかのような急接近と右ストレート。攻撃に対しては反射で思わず仰け反ってしまう】
【──すぐに分かるはずだ。彼女は彼ほど、近接戦闘に特化されているタイプじゃあない】


ん……ぐ、ぅ────ッ!


【意識外での痛み──「脚」……「フェイント」……!】
【ぎり、と喰い縛った口から、僅かに声が漏れ出す】
【目元が苦痛で歪む。けれど……口元は未だ、愉悦を孕んだままだ】
【声を上げる程の痛みを受けても……彼の一撃は、彼女の心を折るには足りない──!】


……お前は、逃げるべきだった
逃げる勇気を、知るべきだった

迫害に耐え、村に残るのも立派な勇気だっただろう
でも……ジェイク。彼らを捨てる勇気も、示すべきだった


【痛い。だが、語らなくてはいけない。追撃が、こないうちに】
【息が乱れる。けれど、彼を知った以上は、ここからは「自分」の役割だとそう思う】


ジェイク──かつてお前が出来なかったことは仕方ない。きっとお前は幼かった
だが……今なら出来る。今なら、「違う」勇気を示せる


【──語りかける。息を吸う。呼吸を整えていく】
【まだ、まだきっと追撃はこない。ジェイクはきっと、話を聞いてくれる】


固執するな、依存するな……盲目になるな!
お前がカノッサであっても、人殺しであっても……受け入れるやつは、いるんだ!


【叱咤する。未だに左足は愚鈍でイヤな感覚を返してくる】
【多分この左足が使えるようになるには、少し時間を必要とする】
【──言葉を、紡ぐ。また、息をする。……まて。ただ、息を整えるには、】
【「話が長すぎる」し、「息を吸いすぎ」じゃあ、ない、か……?】


この、私のようにな────ジェイク!!


   【 ど 、 ん ────! 】


【ジェイク、とそう叫ぶ。叫びながら、肺に溜め込んだ空気を思い切り吐き出す】
【彼女の気道を通過し呼気として放たれた空気──だがそれはただの空気ではない!】
【「声帯砲」──そう呼ぶのが相応しい、「振動」付きの空気】
【しかも彼女は声──「音の波」を自らの身体の中で増幅させて放ったのだ】
【ジェイクがこの間何もしていなければ──彼はライブハウスのステレオど真ん前で受ける以上の爆音と振動に見舞われる!】
【彼の身体を後退させる目的ではない──狙いは「頭脳」……!】
【急な爆音と振動により、彼の「聴覚」を一時的にバカにさせ】
【感覚の狂いによる「思考力」の低下をも引き起こさせる!】
【──卑怯と言われるかもしれない。だが、これだって、彼女の「全力」……!】


/ごめんなさい離席しておりました
/次に返せるのは夜中か、もしくは明日になりそうです、ごめんなさい……!
264 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/19(月) 18:41:12.07 ID:epI8ka/ro
>>263

【――――タイミング、位置共に完璧だった。膝やや上の部分と言うのは周りに比べて筋肉の装甲は薄く、其処に鉄の如く固い右足が凄まじい勢いで捻じ込まれたのだ】
【相手は女性だということもあってか、ジェイクはこの瞬間に決着した――――と、思っていた。大の大人でさえ立てなくなるロー。其れを喰らっても彼女は、立っていた】

ッッ……――――捨てても未来なんて無いじゃないかッッ……!! 今まで僕は村の中だけで生きてきた!! 周りの世界なんて1ミリも触れてこなかった!!
親は死に、僕だけが残って……知り合いもいない中、行く宛もなく飛び出したって……――――何もできずのたれ死ぬだけだろ……!!

もし飛び出していたとしても……何もない子供を誰が救うんだ……!! 僕はあの時理解したんだよ、人はメリットデメリットだけを見て生きているって……!!
だから村民はあの時から僕を虐げた!親友も平気で裏切った! なのに……――――リーベさん、貴方は……そうは見えない……!!
No.7を救って何のメリットがあるんですか!? 寧ろ危険でデメリットしかないじゃないですか……ッッ!! 分からない……分からないんだ……!!

【――――信じられなかった。あのローを耐えたことも、彼女のような人間がいることも。直ぐにでも追撃を重ねるはずが、何故か彼は彼女の話を聞いていた】
【自分を理解しようとしてくれたからこそ、そして理解者を彼の本心が求めていたからこそ――――動くはずの足が、拳が、その間だけ止まる。そして叫ぶ】
【分からない。彼女は何故救おうとするのか。分からない。僕は本当はどうしたいのか、どうするべきなのか。――――それは明らかに、動揺だった】

――――ッッ、うっ……あ゛ぁぁあっ……!!

【ど、んッッ――――!! 耳を襲う爆音に、視界が、頭が、脳が揺れる様な錯覚に襲われる。耳は一時機能を失い、余りの音に足元もふらつく】
【反射に近い動きで思わず耳を塞いで前傾姿勢になるジェイクには、彼女の姿は見えていない。即ちそれは隙であり――――】

/了解です、ゆっくりで構いませんので!
265 :????? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/19(月) 19:25:30.50 ID:p0s2Gyt1o
>>258

【はて―――女なら何でも良い。そう、そうである。上等である。女なら何でもいいのである!!】
【全くこの男ときたら、カジノで大火事(激寒)になるくらいには人生破滅型の男であると言うのに、なんだ!】
【ヤク中だからダメなのか。それとも10代では色気が足りないと申すか。確かに彼女は少しばかり胸が貧相だが―――】
 
 ……ちょっと、それどーゆー意味?
 何、私を抱く様なのは物好きの変態だけって言いたいワケ!?
 一々カチンとくる物言いばっかりする男ね、何よアンタ!!
 紛争地じゃ下は1歳から上は80歳まで、ヘロインとアヘンとAK47で毎日宇宙と融合してるの知ってた!?
 別に私の年頃でクスリくらいなんて事無いわ、だってこの国には優しい優しい"保護法"とかいう腐った制度があるんだものね!!

 アンタ達大人が情けない事ばっかりやって、腐った世の中を蔓延らせてるから私みたいな"糞餓鬼"が生まれんのよ、分かる!?
 アンタだって同じよ、たっかいスーツ着てやってる事はチンピラまがいの強請りにギャンブル、オマケにチンピラにまで集る始末!
 アンタ少しは「路地裏に美少女が!!助けねば!!」とかそういう正義感とか無いわけ!?
 
 それとも何、そういう大事な物までカジノでスッてぜーんぶ置いてきちゃったのかな!?
 
 オッサン! オッサン!  こ の ダ メ オ ッ サ ン  ! ! ! 
 

 ――――ぜぇ……ぜぇ……はぁーっ、スッキリした。ごめんね、言い過ぎたわ。
 ヤク厨の世迷い事だと思って気にしないで頂戴?

【―――多分、こっちはこっちで相当堪えたのだろう。私はそんなに魅力がないのか、と。】
【いやどう考えても魅力なんてあるわけねーだろ頭湧いてるのかと突っ込むもよし、ただそうなると再び戦争がry】
【そもそも常識的に考えて、言ってる事が滅茶苦茶なのはこのお薬大好き少女の方だ、悪いのは社会では無くて個人である(断言)。】

【……尤も、お互いお互いを説教出来る様な類の聖人君子では無かった様だが。ともあれ、彼女は全部を吐きだすと口を閉ざした。】

 ……説教垂れてくれた方がまだ良いわよ。それって、私に少しだけでも関心があるってことでしょ?
 ……ま、タダの義務感から言ってる場合もあるけどね。それなら確かに、アンタみたいにいっそ放っておいてくれた方が、楽っちゃ楽ね。

 けど……、まあいいわ。結果的にアンタには助けられたし、そのお金はとっておきなさい。
 どーせすぐカジノでスッちゃうんでしょうけど、ね。それから、はい。盗んだ物でも、アンタのはアンタのでしょ。

【意外にも、端末を破壊する事は無く。データを完全消去すると、少女は携帯電話を彼へと放った。】

 ……で、アンタはこんな所うろついて何してたわけ? 私はまあ、見ての通りだけど。
 みたところ喧嘩も素人、唯一不思議だったのはさっき携帯から変な爆発音みたいのが鳴った事くらいだけど―――。
 アレって何、トリックか何か? ―――ま、答えたくないなら其れでも良いけど。そもそもアンタ、一体誰なのよ。

【名乗るなら自分から、と言うのが常識的な対応と言う物だが、其れを彼女に求めても無駄であった。】
【少女は肩までの薄い茶髪を路地裏の風にゆらり、と揺らし、珍しい紫色の瞳で彼をじっ、と見つめた。】 

/お返ししておきます、遅れてすみません。今夜も宜しくお願いします!
266 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/19(月) 20:25:42.29 ID:hNk6zXVQo
>>265

【よくもまあ、これだけの罵倒が次から次へと出てくるものだ、と、半ば関心するしかない男は黙って聞いていた】
【聞いていたというよりも、隙間ない言葉の嵐に対応出来なかったと言うべきか。まるで暴風に向かっていては息すらも出来ないように口を閉じて黙るしかなかったのである】

(相当鬱憤溜まってんのなー…じゃなきゃ薬に逃げたりしねーか)
(つーか俺様オッサンじゃねーし、まだ二十代だし、お兄さんだし…あ、でもヒゲ生やしたら結構ダンディじゃね?俺様そっちの路線も行けそうだな…)

【それはそうとして、そんな事を考えていたりもした、とんでもないポジティブだ】

…チッ……せめてもう少しオッパイつけて……あーなんでもないなんでもない

結局止めて欲しいのか欲しくないのかどっちなんだよ?二律背反ってか?ツンデレか?ツンデレなのかお前は?
わざわざ口出してやる義理もねーからそー言っただけだっつーの

ま、自分で自分を痛めつける奴の気持ちなんて知ったこっちゃねぇけど?ついでに他人を救おうと躍起になる奴もな
…おっと、へへ、助かるねー。こういうの結構高く買う奴がいるんだわ

【『好きにしていい』とは言ったが、返ってくるならそれはそれで。少しでも金になるのだから遠慮せずに貰っておく】
【受け取ったスマホを器用に手の中で回すと、その内の一つから裏面のトランプを引き剥がし、スマホをポケットにしまう】

なんでって…そりゃあ、金の匂いがしたからさ、事実稼げたじゃん?
とてもそうは見えないかもしれないが、俺様これでも凄腕の詐欺師でね、こーやってバカな奴がバカな事に使う金を、代わりに正しく使ってやってるのさ

…ちなみに、さっきのは…おっと、これ以上は言えねーな
さっきから黙ってたが、なんだかやたらと写真が苦手みたいじゃねーか?薬買ってる所をカーチャンに見られたら悲しませちまうからか?それにしちゃ必死過ぎる気もするが?
とにかく、そんな怪しい奴に手の内は教えてやんねーよ、いつかいい金ヅルになるかもしんねーしな

でも名前だけは教えてやるよ、俺様の名前は…エース・セブン!通りすがりのイケメンさ!

【トリックはそうそう明かさない、何故ならば彼にはそのトリックが生き抜く為の全てであって、効果が無くなっては困るからだ】
【少女も見知った通り、戦闘は素人でしかないこの男が、何度もこういう場所に姿を現して尚飄々としていられるのは、そういった所をしっかりとしているからかもしれない】
【…だが、自己顕示欲は強いようだ、ポーズ付きで名前を名乗る、警戒もしないで高らかに名乗る】

/よろしくお願いします
267 :霧野 梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/19(月) 21:10:00.97 ID:p0s2Gyt1o
>>266

【ポジティブなのは良い事だと思うし、この場合に求められる反応は正にそれ、としか言い様が無い。】
【だって相手の言っていることは大抵が滅茶苦茶な逆ギレもいいところの暴言の塊なのであって、正直に言えば】
【マトモに取り合ってやる必要なんて蚊ほども無いのだから。自画自賛に走って受け流す方が、遥かに大人な対応である。】

 ちょ……ちょっと。なによ、今なんか言ったわよね……!?
 信じらんない、断った上にダメ出しまで……!! こ、こっちだって好きで小さくなった訳じゃないわよ!
 大体ねえ、最初っから抱かれるつもりなんかこれっぽちも無かったのよ、いい!? 盗る物盗ったらとっととおさらばする気だったからね!

 まったく……で、止めて欲しいかって? ……止めてくれるなら止めるなウザイ偽善者って言うし、
 止めないなら止めないで止めてよ見て見ぬフリすんな、って言うけど? ツンデレより天邪鬼って言って欲しいわね。
 私はね、そうやって『自称・オトナ』とかいう腐った生き物をからかって遊ぶのが大大大好きなのよ。我ながら中々良い趣味してるでしょ?

 ―――どっちに転んでも私に絡むとロクな事がない、ってワケ。
 でも残念、首を突っ込んできたのはむしろアンタの方だもの、だから小言と嫌味くらい聞いてきなさい。罰は当たらないわ。

【指で髪の先をくるくると巻き取って、何もかもを舐め腐ったような態度でそう言ってのけるクソガry 少女。】
【ハッキリ言って、彼女はただの問題児だ。ただ単に、自分を構おうとする人間をからかいたいだけの、天邪鬼。】
【だが自信たっぷりにそう語る少女の首元に見える注射針の痕は、矢張り健全とは言い難い。色々抱えていそうだった。】

 それにしても、本当に金稼ぎにしか興味がないのね。そんな携帯電話が売れるなんて、初めて知ったわ。
 私ってなんだかんだでお金に困った事もなかったから、少しは勉強になったかも。
 ただ……そう、凄腕サン、ね。……名乗るなら、もっと喧嘩の腕も上げておいた方がいいわよ? 天才詐欺師サン。

 ―――……親はいないわ。ずっと昔に亡くなってる。ただ……"代わり"の人間がいてね。
 結構五月蝿いのよ、無理難題を押し付けるくせに、"こういう物"に頼るとすぐキレ始めて……。
 ま、それだけよ。深くは語ってもしょうがないでしょ? アンタと同じ、名前以外は教えてあーげない。

 (―――……エース。エースね、……なるほど。どっかで見た顔だと思ったけど……あの掲示板の動画の男、コイツか。)

 ……イケメンかどうかはおいといて、ま、―――アンタみたいな欲望一直線の分りやすい人間は、嫌いじゃないわよ。
 偽善者でもないし、善人でも悪人でもない、人間らしいっていうか……クスリを金に換えれば私と殆ど同じだし。
 ありがとう、セブ。…・…ああ、"あだ名"をつける癖があるの。今度また会ったら、遊びましょ。

 そろそろ帰らないと、保護監察官サマが五月蝿いから……それじゃ、またね。天才イケメン詐欺師、サン。

【クスリの入った袋をポケットにあるだけ詰め込むと、少女は手をひらひらと振りながら振り返らずに路地を去っていった。】


 ―――そうそう。

 梨花、っていうの。私の名前。どうせ覚えちゃくれないでしょうけど―――ま、一応名乗っとくわ。


【最後に自分の名前一つを残して。引き続き路地裏には、冷たい風が吹き込んでいた―――。】


 (……エース・セブン。カノッサの連絡ツールに乗っていた男……"能力者"。)
 (……ま、今日は見逃してあげる。そういう気分でもないし、それに―――……。)
 
 (……最近。少し、疲れてる気がするわね……。)


/長くなりましたが此方はこれで〆、とさせて頂きます!
ありがとうございました!
268 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/19(月) 21:32:45.63 ID:hNk6zXVQo
>>267

べ、別に俺様も金には困ってねーし?稼ごうと思えばゼロから稼げるし?
いやほらなんつーの?俺様程になれば金稼ぎは手段じゃなくて目的だし、最終的に稼ぐまでの過程を楽しんでるし?

…だが、その忠告の答えはノーだ、喧嘩なんか躱してナンボだろ、わざわざ暴力に頼るなんてダッセーことしてられっかよ
あーやだやだ、野蛮人は力こそ全てってマジで思ってるからなー

【『別に金に困ってない』と言い訳をするが、流石に色々と苦しすぎる。自分でもそう思っているのかしどろもどろだ】

【そして、どうやら喧嘩を強くなる気は後にも先にも無いらしい、暴力は愚か者の為の武器だと思っているから】
【賢い物は知恵を武器にする、自分はとても賢いから暴力なんていらないのだ、と、これも言い訳に聞こえなくもないが】

あーそう、俺様はお前みたいな生意気なガキは大っ嫌いだ
俺様より歳下なクセして、俺様よりこの世の暗い所も知ってそうなのも含めてな
ガキはガキらしくキャーキャーバカやってりゃいーんだよ、まあもうお前は遅いだろうけど。じゃあな、次は精々マトモな奴から買いな

【少女───梨花の方は、最後の最後に少し譲歩したというのに、こいつときたら相変わらずである】
【とにかく嫌いな物は嫌いらしい、きっと気紛れに助けられたのも知らず、自分が何に目を付けられているかも知らないこの男は、何よりも愚かで幸せなのかもしれない】
【最後に付け加えた言葉は、そんな男が僅かに持ち合わせた両親が唾液腺から滲み出て憎まれ口に溶けたような、そんな優しさ】

…さーって、俺様もさっさとトンズラするか



───重っ!?おっもいぞこれ……あ、ちょっとこれ運ぶの手伝…もういねーわ…

【金は命より重い───とはよくいうが、身を以て知るその重さはとてもじゃないがこの男には軽々持ち上げられないようだった】

/乙でしたー!
269 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/19(月) 21:51:20.79 ID:YdxzMHJso
【公園】

【ここは都会のど真ん中にある森林公園。子どもを楽しませることよりも大人が休みに来るような静かな場所】
【夜は殆ど人が居ない。時間外れの犬の散歩かジョギングぐらいだが…こうも寒いと殆ども居ない】 
【公園の外周に路駐されている映画に出てくるような古臭い青いポンディアック。今どきこんなものに乗ってる奴は居るのか】
【その車体は歩道に乗り上げているものの非常に邪魔である。切符を切られてしまっても仕方ないような停め方】

………ハァァァァアア…疲れた……今回は…特に……

【公園のベンチに腰掛け、魂ごと吐き出すかのように煙草の煙を吐く。白い煙は夜に溶け込んでいく】
【ダークグリーンのレンズのサングラスをかけた黒い髪の男。額に白い包帯を適当にグルグルと巻いてある】
【着ている白のシャツも黒のスーツも瓦礫に埋もれてきたかのように汚れていて、おまけに袖は少し焦げている】

どうすっかなあ………これから……

【煙草の灰を落として、また、ため息をつく。すぐ横に喫煙禁止の標識・看板が立っているが男は気にしないで吸い続けていた】
270 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/19(月) 23:38:50.22 ID:lWb4+VfDO
>>264

【──例えばこれが、他の正義の味方であれば】
【ひょっとしたら、ふらつくジェイクを抱きしめ、愛について語りだしたかもしれない】
【そうでなくたって、正々堂々とした戦いを求め、「立て、しっかりしろ」と叱咤したかもしれない】
【だが──だが、この、夜色を纏った少女は違った!】
【彼女はそんな手を抜くような真似はしない……!彼女は、いつだって、全力なのだ──!】


    歯 ァ 、 喰 い し ば れ ぇ え ──── ッ ! !


【狙いは前傾姿勢になったジェイクの身体、ではないッ!】
【腹部を狙えば、僅かな肉や衣服で若干ながらもダメージが軽減されてしまう……!】
【だから、隙を見せた彼に対し、彼女は──その顔面ど真ん中を、殴りにいく──!】
【しかもご丁寧に、「振動」付きの攻撃ッ!】
【直撃すれば、例え「女の子のパンチ」であろうとも相当なダメージになる……!】


……何もない子供?救うさ!私なら助ける!
No.7を救うメリット?あるわけないだろバカかお前は!
だけど……だけどな──!
1人だって多くの人間が笑えてた方が、いいじゃないか!
1人だって多くの人間が幸せな方が、いいじゃないか……!
少しずつでも、みんなが幸せになって、平和な生き方を知れば──それだけ世界は平穏になる!
みんなが正しい知識と精神さえ持てば……盗みも、殺しも、裏切りだってなくなるはずなんだ!

私のしていることなんて意味はないと笑うやつだっている!
でも……そうして笑っているより、少しでも行動する方がずっとずっと、いい──!!


【──もしかしたら、聞こえてないかもしれない。それでも、リーべは叫んだ】
【「私はお前みたいなやつを助けたいんだ」と、そう主張していた】
【彼女の「理由」はメリットもデメリットも関係なく──ただ、自分がそうしたいという単純な理由だった】
【それは世界を本当に平和にしたいんだという、荒唐無稽な願いを叶える小さな一歩のうちのひとつだった】

【──足が、痛む。まだ、動かなかった】
【ぶ、ぅううんと、痺れた左足に振動を走らせる】
【びり、とまた痛みが襲ってきた。だけど、何もやらないより、マシな気がした】
【──足が、痛む。ぶ、ぅううんと、動かない左足に振動を送る】
【その余波か。びりびりと、僅かに彼女の足元のコンクリートが震えてた】
【──足が、痛む。足が】
【まだ、彼は立ち上がるだろうか。自分の左足は、まだ動かせないというのに】

/思ったより早く帰れたのでお返ししておきます!
271 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/20(火) 00:47:12.48 ID:jjSyhTvzo
>>270

【母親から説教を喰らったときに飛んでくるような、そんな拳骨が飛んだ。視界がぐらつくのは、その振動のせいだろうか】
【拳に圧されて身体が反る。それでもジェイクにも、倒れてはいけない理由があった。己を、居場所を、そして「強い自分」を護る為には敗北は許されないのだから】
【バランスを崩す寸前で踏ん張り、姿勢を戻す。想いの籠った拳は骨に響き、そして心に響いた。――――それでも倒れない。……僕は強いから、とジェイクは呟いた】

リーベさん……やっぱり貴方は馬鹿ですよ……!! それも、超弩級の……ね……!!
ホント――――出会うタイミングが、悪すぎた……ハハッ……!!

【負けたらカノッサには居られない。負けたら自分を「強い」とは思えない。……だから負けるのは怖い。それでもその恐怖を上回る感情が、彼を微笑ませる】
【――――高揚。それは不安や恐怖を塗り潰す、闘いの中でしか感じられない極まり。罪悪感の向こう側にある高揚が、彼に力を与える】
【そしてジェイクは心から勝ちたいと思えた。彼女は強い。だからこそ強い彼女を倒して「強い自分」を感じたい。優越感を得たい。だからこそ、勝つ――――!!】

――――うぉおおおあああああああッッ!! 

【沸騰する感情を垂れ流しながら突っ込む。身体は軋み視界は歪む。無数の傷跡がいちいち染みる。それでも――――少しふらつきながらも、前のめりに疾走を止めない】
【前傾姿勢になることで、見た目は足狙いの低いタックル。速く鋭い、まるで槍のような突進だが――――彼女に衝突する寸前、ふわりと足が浮いた】

僕は裏切らないッッ!! 裏切り者になんか――――なってたまるかぁぁぁっ!!!!!!!!!!!

【――――胴回し回転蹴り。空手などで使用される大技である。その場で前転しながら、右の踵を彼女の鎖骨に向かって上から振り下ろすという、捨て身技】
【踵を魔力のプロテクターで補強してより破壊力を上げるだけではなく――――タックルに見せかけて視線を下げさせようとする工夫まで入れた。これが、全力である】
【パワー、スピード。共に後悔はない程の全力。疲労で多少軸がふらつきやや右に反れたが――――それでも完璧にハマれば鎖骨には命中する】

【――――外せば、隙だらけ。決まれば大鎌のように踵が突き刺さり大きなダメージを与えるだろう。鉄のようになった踵はガードされたとしても十分痛い】
【ジェイクの想いは彼女に比べて狭い。世界平和なんてどうでもいい、自分の居場所さえあれば――――そしてその場所が崩れなければ、何でもいい】
【そして、裏切る痛みを与えず、裏切られる痛みも与えられなければ――――UTでもカノッサでも、殺しても殺さなくても、そんなことはどうでもよかった】

【でも今だけは勝ちたい。負けたくない。この魂の昂ぶりはそんな理由なども知らず、ただ目の前の人物に負けるものかという意地だったから――――】

/気付くの遅れて申し訳ないです……
272 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/20(火) 12:12:14.41 ID:tps04s/DO
>>271
【──まだ、くるか。そう分かった時、リーべはやはり、笑っていた】
【平和を望む少女の中にある、争いを楽しむ感情がそうさせていた】


く、ふっ……ふふふ、あはははははははは──!

こいジェイク!そうだ私は馬鹿かもしれない!
それでも決めたことは絶対やるぞ!
No.7には「痛い」って言わせるしお前にはもう一度だけ「裏切って」もらうッ!!
救うさ────救ってみせる……!!


【──疾走が、見えた。だけど、リーべは避けなかった】
【直線的な、あまりに真っ直ぐな動き。ふぅっと身体を逸らせば、それだけでよかった】
【いくら左足が動かなくったって、左足を軸にして半身になれば、それだけでよかった】
【だけどリーべはそうしなかった。する理由が、なかった】


……ぐ、ぅ──っ、ぅ、あ、ああぁあああああ──!!


【元から避けるつもりがないのだから、フェイントなんて仕掛けられれば命中するに決まっている】
【彼女の視線は下がったまま。彼の捨て身には気付くのが当然遅れる】
【防御は間に合わない──「ず、が……!」と、死神の大鎌のような一撃が、彼女の右鎖骨を抉る……!】

【きィん──!と激痛が脳を駆け巡り、右腕の使用不能を本能が伝えてくる】
【耐えきれず、声と空気を一気に吐き出し、そこに混じった「振動」が大気を揺らす】
【びしびしびし……! 頑丈なはずのコンクリートが、2人分の重みと衝撃で細かく亀裂が入り──】


ん、くっ……ちなみにな、ジェイ、ク────

私は馬鹿だけど……卑怯なことだって、するぞ……!!


【────リーべが、「退いた」!】
【苦しげではあったもののその口元に笑みを湛えたまま、左足を引き摺るようにして数歩、「退いた」……!】
【その、瞬間……! ばこ、と、地面が文字通り、「割れた」──!?】
【正確には、リーべが先ほどまでいた場所のコンクリートの下が、丸々空洞になっていたのだ……!】
【偶然の産物?否!そんなご都合主義がこの場で成立するはずがない……!】
【なら、どうして────!?】

【──だが今は理由なんてどうだっていい。重要なのは結果だ】
【辛うじて落とし穴から逃れたリーべの左足は未だ動かず、右腕だって力が入らない】
【「声帯砲」すら、鎖骨からくる痛みに引っ張られ満足に撃てる気がしなかった】
【──動くのは、左手と右足のみ。近接戦闘を主体とする相手にこれ以上挑むには、無謀とも言えた】

【一方──大技を繰り出し着地しようとしていたジェイク】
【そのままであれば、リーべが元いた場所に突如現れた「落とし穴」に落ちる羽目になる……!】
【いや、もし全身落ちなかったとしても、体勢的に下肢は穴に突っ込むことになるかもしれない】
【穴の大きさは、「リーべの左足」を中心に半径1mほど……】
【人をなんとか落とすことが出来る大きさだ】
【──その深さは、成人男性の背丈ほど。しかし受け身を取らずに落ちれば多少は危ない】
【……不思議なことに、「落とし穴」の底の土は、砂浜のようにさらさらで柔らかいもの】
【穴に落ちたとしても、大きな怪我はしないはずだ──そう、まるで天然のクッションのように!】

【──穴に落ちるか、着地時に再び隙を見せるようなことがあれば】
【最後だと言わんばかりに、リーべは残った左手を振るい、ジェイクに向けて「衝撃波」を撃ちこむはずだ】
【「押してだめなら、退いてみよ」──その結果、は……!】
/昨日はあれから寝てしまいました、こちらこせ申し訳ない!
273 :リーベ ◆my2He3rcPs :2015/01/20(火) 13:07:20.80 ID:UV2jy4FZ0
>>271
/離席するため返信が遅れるかもしれません
274 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/20(火) 15:43:12.55 ID:jjSyhTvzo
>>272

【全体重が、疾走の勢いが、遠心力が踵に乗る。繰り出された大鎌の蹴撃が彼女の鎖骨に突き刺さる。――――勝った。殺った。今度こそそう思った】
【パワーには自信がある。体格は恵まれていないが、投薬や改造によって強化されたその筋肉は、見た目からは分からずとも相当な馬力を誇っているから】
【その馬力を持て余すことなく活かした技の一つであると言ってもいいのが、この胴回し回転蹴りだから。それでも彼女は――――倒れない】

【――――またしても、分からない。何故耐えられるのか。何故避けないのか。――――僕が弱い、否、そんなはずはない……と】
【倒れないのなら、避けないのなら、何発でも叩き込む。鉄のように固くなった拳足を、死ぬまで叩き込んでやる。そう誓いながら体勢を整えようとしたのだが――――】
【……ぐらり。身体が大きく傾いた。地面を蹴り出して近寄ろうとしても、蹴り出す地面が無い。――――足場が、崩れていく】


なんで……まだ……立って…………――――〜〜〜〜ッッッ、これは……ッ!!! 


【必死に地面を掴んで落ちていく身体を支える。爪が剥がれそうになっても、身体のあちこちがすれて傷口が開こうとも、負けることだけは許されないから】
【何とか完全に落ちることだけは回避したが、それでも腰から下は穴の中。――――隙だらけ。彼女が衝撃波を撃ち込もうとする。――――詰み。一瞬そう思った】

【――――のだが。彼女が振るおうとした左手に突如飛来してくる、ナイフ。彼女が地面に掴まるジェイクを見ていたのなら、そのナイフは死角から来ている】
【衝撃波を阻止するためのナイフ。刺さらなくてもジェイクへの攻撃を止められれば良い。そして勿論、それを飛ばしたのはジェイクではなく――――】
【2人だけの路地裏に入り込んだもう一人の男。黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った、スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳を持つ男】


「……ア〜〜〜〜〜ンブロ〜〜〜〜ズ。お前ホンマ生きとるかー? いやー……元パパラッチのワイに感謝せーや。」
「発信器が路地裏で止まっとるしなんやろなー思ったら、こないなことなっとったとはなぁ……お前が負けるってどんな恐ろしいねぇちゃんやねん……。」

サミ……さん訂正……――――ま……だ……負け……て――――ない……ですッッ……!!


【片手にはナイフの柄。刀身は先程飛ばしたモノらしく――――その男の肩には、頭が小型ビデオカメラで口と胴体がラットという奇妙な生物が乗っていた】
【その奇妙な生物はうんともすんとも言わず、タダ黙ってじっと彼女を見ているだけ。まるで彼女を撮影しているかのように、じっと】
【兎に角その男は、彼女を牽制しながらどうにしかしてジェイクを担いで逃げようとしているようだが、そのような隙は彼女にあるだろうか――――】
275 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/20(火) 16:38:37.15 ID:l0xnRPOMO
【──場所は水の国名物『闘技場』】


──俺を倒せるものはおるかッッ!!


【その男──上背は170程度、体格は闘士としては"貧弱"の部類…しかし表情はやる気にみちみちていて、不気味な自信が見てとれる。黒い帽子、黒いインバネス、白い革の手袋──叫んだ言葉は山びこのように場内に響き渡った】


すぅう…俺を倒せたらッッ! そうだな…有り金を全部置いていこうッッ!!!


【シーンとする場内──一呼吸置いて続けざま叫ぶのだった。】

276 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/20(火) 18:23:43.06 ID:tps04s/DO
>>274

【──彼女はさっきまで、ずっと「そこ」に立っていた】
【左足が動かないせいだ。痛くて、痺れて、動かないせいだった】
【それをどうにかしようと、左足に「振動」を与えて、いて──?】

【……砂と化していた、土。あまりにあっさりと砕け落ちた、コンクリート】
【ずっと動かなかった少女。振動を左足に送っていた、少女】
【──そう、振動が送られていたのは、「左足」だけではなかった】
【「左足」を通じて、その下の地面にも振動を送り込んでいたのだ】
【振動を与えることで、大きな土の粒子は砂粒へと砕かれる】
【砕かれた砂粒は更なる震えを受け、地中における体積を小さく小さくしていく】
【──加えて、振動を受けたコンクリートの強度は通常よりも弱く脆くなり……】
【「ある程度の衝撃」を与えれば崩れ落ちる、即席の落とし穴が作り出されたのである】

【だがそんなことをして、彼女の足だってただではすまない】
【ゆっくりは歩けても、走ることは到底無理だった】
【痺れだって、取れる様子なんてまったくもって見えないのだ】

【──それでも、彼女は最後の最後までジェイクに対する攻撃の手を緩めようとはしなかった】
【自分の身体のことよりも、ジェイクに対し重きをおいた結果だ】
【そんな中──もう一撃を撃とうとした彼女の左手にずきりとした痛みが刺さった】
【……つい、ジェイクから視線が逸れる。自分の左手に、短い刃が突き立てられていた】
【放とうとしていた衝撃波も、その痛みのせいで霧散してしまう】
【「増援──……」リーべは思わず、奥歯を噛み締める】
【無事な四肢が右足しかない以上、戦いを続行するのは事実上不可能だった】


……行くのか、ジェイク。お前を、そんな風にさせてしまったところに


【──まだ、膝は折らない。無傷な右足だけで、全体重を支える】
【もう、追いかける余力は残っちゃいない。歩くのだって、精一杯なのだ】
【それでも、「言葉」で彼を追いかける。きっと、行ってしまうのだろうと思ってはいたけれど】

【彼女の言葉を肯定するのであれば──リーべはこう答えるだろう】
【「そうか、残念だ……でも、また会おうな。死ぬなよ」】
【……一度は敵対し殺しあいまで行なったというのに──これでは馬鹿だなんだと言われても仕方ない】

【去りつつあるジェイクと、カノッサ構成員らしき男】
【それをリーべは、悔しそうな表情で見送ることしか、出来ない】
277 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/20(火) 18:52:58.34 ID:l0xnRPOMO
>>275
/10時くらいまで待機してます!戦闘希望です!
278 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/20(火) 21:41:25.35 ID:jjSyhTvzo
>>276

【ナイフが命中し視線が逸れるのを確かめると、男はひょいとジェイクを肩に担ぎ上げる。不満そうな顔でも、満身創痍のジェイクは抵抗も出来ずに持ち上げられ】
【――――出来ることは、リーベの方を錫色の瞳でじっと見つめながら歯を食い縛るくらい。細まった視線で彼女を見つめる彼は、一体何を思っていたのだろうか】
【彼女を倒せなかった悔しさか、裏切りを助長させることへの嫌悪か、はたまた――――自分を倒して、救ってくれなかったことに対する失望か。それは本人すら、分からない】

……そ、それでも……カノッサは僕をあの村から救ってくれた……!! あそこが僕の居場所――――……なん……です……。

【――――彼の言葉はどこか、少しだけ自信なさげに見えた。言葉の末尾が薄く消えかかる様に小さい声になっていったのが、その証拠】
【背負う男は何かを悟ったのか、急に早足になって彼女から離れようとする。彼女が追撃を仕掛けてこないことを察知した上で――――である】
【彼女の言葉がジェイクの心を揺り動かしているのではないか、少なくとも今のジェイクは少し変だと、サミと呼ばれた男は彼女に背を向けながら感じていた】

「……アンブローズ、次この姉ちゃんに会ってもリベンジしようとか思わん方がええ。……ま、所詮新入りの言葉やから聞くのも聞かんのも自由やけど」
「――――勝てる勝てないやなくて、お前はこれ以上アイツと話したらアカン」

…………はい……大丈夫です……。

【また会おう。その言葉に反応したのは背負う方の人物だった。――――会わせてはいけない。……絶対に。深い話を知らずとも、其れだけは男にも理解できた】
【一瞬だけ、ジェイクの伏せた瞳が彼女へとまた向いた。――――それでもかち合えば、直ぐに目を反らす。……悔しそうでありながらも、哀しい瞳】
【――――そして担がれたジェイクは曲がり角を曲がって彼女の視界から消えるだろうが、路地裏から姿を消す瞬間の彼の表情は】

…………!!

【……まるで、敵兵士に攫われたお姫様のような。いつか勇敢な王子様が自分を救いに来てくれることを祈り、願うような】
【そのまま彼女へと手を伸ばして助けてを叫んでいるかのような――――そんな哀しい、少なくとも悪党には見えない顔付きだった】

/これで〆にさせていただきます、ありがとうございましたー!
279 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/20(火) 23:10:16.57 ID:PFMWGd14o
【廃城】

……ふぅん、新しく同僚が増えるって訳だ。
最初に選ぶ場所はかつての激戦地となると、気性は荒いのかな?
目が合った瞬間に殴りかかってくるようなタイプじゃないと良いけど…――。

【深夜。人が住まなくなって久しいとある城に、朧気なガス灯の光が灯っていた】
【その回廊――石造りの、広く鬱蒼とした森を見下ろす――を、一人の男が行く】

【衣装は黄金の全身鎧。龍の衣装が勇ましいが、決してゴツゴツとした硬い印象は与えない】
【むしろその線は細く、首から上に覗く貴公子然とした顔立ちと、ふわりとした金髪を見れば】
【何処かの若い貴族が気まぐれでも起こして夜の散歩中、とでも思えるような様子であって】

さて、と……この部屋だったかな。独り言を続けてるとまるで変人だ
そろそろゴールに辿り着いて、意味のある言葉を…――っと。

【ふと立ち止まるのは大きな扉の前。構造から察するに、食堂だろうか】
【埃をかぶった扉を引き開ける重々しい音が、さながら化け物のうめき声のように周囲に響いた】
280 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/01/20(火) 23:33:28.27 ID:I0PmgCmiO



【路地裏】

【月明かりの下、対峙するのは二人の男】

【一人はまだ十歳くらいの少年。恐怖の表情を浮かべ、じりじりと後退っている】

【そんな少年を追い詰めるのは二十歳ほどの青年。蘇芳色の少し長めでボサボサの髪に灰色のボロボロになった着流し姿。片手には筆を持ち、じりじりと少年に近付いていく】

【やがて少年は壁に背をつけへたり込む】

「く……くるな! 化け物! 俺が何したっていうんだよ! 」
【震える声で叫ぶ少年。自分を恐れながらも立ち向かおうとするその様子に青年は深いため息を吐く】

あのなァ……自分に非がない事を高らかに主張しても無理なんだよ

「そ……そんな事あるものか!! くそぉ……だ、誰か! 誰か助けてよ! 」

……大声で誰かに助けを求めたって駄目
助けを求める声なんて誰にも届きやしねェんだよ
……ああ、この場は逃げて相手が追わなくなるまで隠れてるっていうのも駄目な? しつこいから
【青年は何処か壊れたような笑みを顔に貼りつけて愉しげに言う。じゃあどうすりゃ良いんだよ! と少年は泣きそうな顔で叫ぶ】

……どうすりゃ良いんだろうね? 
声が枯れる程叫ぶ主張は届かない、声が枯れる程救いを求める声をあげても助けなんか来ない、逃げて相手が諦めるまで隠れても相手は諦めやしない……
もう、耐えて殺されるしか“なかった”……じゃねェや、ないんじゃねェかな? 
【どうすれば良い、と問われれば青年の表情から狂気は消え、寂しげなものとなり】

【先程までの愉しげな声とはうって変わって淡々とした声で少年の問いに答えはじめる、が】
【最後には泣きそうな声になり】

……分かったかな? それが現実なんだよ、少年? 
【何処か哀しげな笑顔を浮かべると、自らの肩に筆の穂を刺す】

【肩から抜かれ赤く染まった筆の穂先を近くの壁に走らせる青年】

【壁から出てきたのは燃え盛る一羽の鳥】

【炎を纏ったそれは少年の胸を目掛け一目散に飛んでいこうとする】

281 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/01/21(水) 17:34:29.05 ID:b1Lsum2DO
>>278

【──穴のあいた路地裏。傷だらけの四肢】
【それを見ても、「やりすぎた」だなんて、リーべは思わなかった】

【2人の姿が、手の届かないところへと消えていく】
【救えなかった悔しさからか、ぎりりとリーべは拳を握った】
【──からりと、刺さったナイフが抜ける。血が溢れ出す】
【けれども、彼女にとってはそんなもの、痛くもなかった】
【むしろ──「彼」の状況を考えれば、全身の瑕だってかすり傷にすら思えた】


……っ、く、────ふふ、んっ!


【──すがるような表情のジェイクに対し、リーべは最後の最後まで、笑ってみせた】
【それは彼女なりの強がりだったのかもしれないし、再度の宣戦布告だったのかもしれない】
【もしかすると、「必ず助ける」──そんな意味も、持ち合わせていたのかもしれなかった】


……ぐ、────!
ふ、ふ、ふん……ふは、は……さ、さすがに痛いもの、だな
おっと……ふふん、しまった、な──No.7より先に「痛い」って言うだなんて
……いや!誰にも聞かれてないし、……の、ノーカンだな、ノーカン!

それにしても…………すごいなカノッサ機関は
こんなに救いたいやつがいるだなんて……まるで掴み取りセールみたいじゃないか……

いてて……あー────、……少し、休む、か……な…………


【そして彼らが去った後。リーべはようやく、少しだけ弱音を吐いた】
【ずっと体重を支えていた右足だって、わりと疲弊している】
【宿屋へ戻ろうと一歩足を踏み出そうとして──ずた、と転んでしまった】

【しかし地面に文句を言っても仕方がない。仕方がないから、寝っ転がって独り言を語ることにした】
【戦いの後の火照った身体に、冬の風が心地よい】
【風邪をひくかもしれないが、その時はその時だ】

【──ふと、路地裏の空を見上げてみた】
【薄汚れた壁と壁の狭い隙間から、いくつか星が輝いてみえた】
【ふふん──また、リーべは笑った。心の中で、その星のひとつに拳を向ける】
【「覚えとけよ、カノッサ」そう呟くと──ずどん!】
【拳を向けられた星は、5色の火花を撒き散らし、無数の流れ星となって夜の彼方に消えていった】
【「ばーかばーか!」──もちろん、小さな空は何にも変わっていない】
【けれどいつかは。夜色の少女は、またふふんと笑った】


/〆が遅くなって申し訳ありません!
/長い間お付き合いいただきありがとうございましたー!
282 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/21(水) 20:48:52.15 ID:zPAD1fhNo
//>>279で再度募集させて頂きますね
283 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/21(水) 22:29:31.54 ID:PFEwFWnK0
>>279

【――こつ、ん。響く音は女性ものらしく細いヒールというよりは、ただ底の厚いだけの靴と見え】
【だけどよっぽどの酔狂でなければ履くのは女性だろうというのだけは音で分かり、ついでに言えば、体重も軽そうだ】

【おぼろに灯る明かりに興味を示した“彼女”は、きっと普段から廃墟の類に侵入する癖でもあるのか、】
【案外気楽にそこに立ち入っていた。明かりもなく、装備もなく、強いて言えば、手元に喚んだ魔力で照らして】
【そんな彼女が現れるのは、もう一人――この廃墟の中に居る“彼”が、食堂に入った、少し後になるだろう】

【こつりと硬い音を鳴らして――何の意味もなければ誰に向けるでもなく首をかしげたと思うと、そっと、食堂の扉に手を、】

【――腰まで真っ黒の髪を伸ばした少女だった。顔の右にのみ一房の三つ編みを垂らし、揺らして】
【黒と赤のオッドアイはどこか蛇の目に似て暗闇に艶めき、右耳にだけ付けられた宝玉の欠片のピアスが、淡く光を放ち】
【生成りの姫袖シャツ、腰元のコルセットはその細さを目立たせ、ふわあっと膨らんだ赤いスカートは、そのシルエットをぼかし】
【一番上に羽織っているのは深い赤色をした長いマント。ただ、ときおり扱いきれてないようにどこかに引っ掛ける辺り、】
【ただお洒落として選んでいるだけだとも知れる。別にどこかの姫騎士とか……そんなのは、体格からも、ありえないわけで】

あれ――、「だれかいるの?」

【そして、そんな、不法侵入の彼女はそんな言葉を漏らす。きょとんとした声、それはまるで鈴の音のようによく響き】
【まさか目の前に立っていたりするなら誰か……とは言い出さないが、不思議そうな声を零すのは確かであって】

……こんばん、はー?

【すわ幽霊かとも思わずに挨拶するなら、少しばかし性格が知れるようだ。なぜかって、その声が不安みを帯びるから】
【だってまさかひとが住んでいたりするなら――自分、明らかに、明らかに、十中八九、真っ黒なわけで】
【幽霊とかよりそっちのほうが怖い。もし部屋の中が暗いようなら、彼女は右手に灯す桜色/紫色の魔力光を意図的に弱め】
【咄嗟に顔が見られないようにしながら――もちろん明るい部屋では何の意味もなく、ちょっぴり気弱なように身体を小さくしながら】

【そう、――よく通る声を少し大きくして、声を投げるのだった】
284 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/21(水) 22:49:44.79 ID:zPAD1fhNo
>>283

【食堂に足を踏み入れれば、点々と灯された明かりが周囲を照らす】
【見えるのは埃、くすんだ食器、壊れた家財、そして暖炉】

―――やあ、こんばんは。『君も』夜のお散歩?
大丈夫、このお城には幽霊も住人も居ないから。

【その暖炉の前に、彼は立っていた。朧気な照明が黄金色の輪郭を浮かび上がらせ】
【優しげな――というより、柔らかそうな笑顔もよく見えて】
【彼の手は暖炉の火かき棒に添えられていた。ぐ、とそれを掴み】

ただひとつ言うなら……有るらしいんだよね、隠し通路。
財宝部屋とか、秘密の拷問室につながってたりってワケじゃなさそうだけど……

……君も見る?まあでも、散歩にしては少しハードだ
特に熱いのが苦手ならあんまりオススメ出来ないな。
その場合は……上に庭園が有ったはずさ。荒れ放題だろうけど、見ものだと思うよ?

【柄を弄ぶように指を動かし、カチカチと鎧が鳴る音を立てながら】
【存外紳士的に――代案まで出しながら、訪ねかけた。】
285 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/21(水) 23:05:34.02 ID:PFEwFWnK0
>>284

【室内が明るいと見れば、彼女は、ちらちらと部屋の内部を大雑把に見渡し、それで、人影も発見する】
【明るいと見れば右手でちらちら無数に浮かぶ桜の花びらの集合みたいな魔力の塊を消そうとするのだけど、】
【誰かが居るようだしと思いなおして、それもやめる。結果、もっとも近い自分へと、色味のあるハイライトをつけて】

……、明かりがついてたから。不思議だなって思ったの、……だって、こんなに、――。
幽霊は別に怖くないの、ただ、……もしかして誰か住んでるなら、ヤだなって――。

【「古いのに」。その言葉は誰に気を使ってだろう、ほんの微かな口の動きだけで、】
【それだけの理由で踏み入ってきてしまうのだから常習犯らしい。よろしくない癖なのは確かだろう】
【それでも本人は特に反省した素振りもなく――ただひとが居たのに少しびびっているように、身体を未だ小さくしながら】
【幽霊は怖くないなんてところで少し自慢げにしたように見えた。――まあ、その類が怖ければ、入っては来ないだろう】

…………隠し通路? そんなのがあるの? ただの――お城みたい、なのに。

――いいのかな、でも……怖くない? その、……びっくりする仕掛けが、あるとか――。

【相変わらず入り口のところで佇みながら、ただ、思い出したように振り返ってドアをぱたんと閉めると】
【再び彼のほうへ振り返って、そんな風に言葉を紡いでいく。隠し通路、その部分では驚いた顔をして】
【他のお部屋は普通だったように思えた。もちろん、細かく見てきたわけではないから、気付いてないこともあるだろうが】
【――左手だけでちょんと口元を隠して、今度はその隠し通路を探してやろうと意気込むように、彼女は食堂を見渡す】
【だけどきっとそれだけじゃ見つからないだろう。そうしていたところに、君も――なんて誘いが、飛べば】

【一言目がそれである辺り、だいぶ興味があるのだろう。だけど気にするのがお化け屋敷的仕掛けである辺り】
【幽霊は怖くないなんてちょっと嘘なのかもしれない。それとも、本当に、心臓が小さいだけなのか】

熱いのも、あんまり、得意じゃないけど……、あ、でも、冬だし――。

【――冬だからいいんじゃない、なんて思っている辺り、ちょっと楽観的なところがあるのは、確かだろうけど】
【そんなことを呟きながら、彼女は彼への警戒をだいぶ薄れさせたようだ。こつり、と、距離を詰めてみようとして――】
286 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/21(水) 23:17:54.76 ID:zPAD1fhNo
>>285

あぁ、明かりね。アレはボクが点けたんだよ
懐中電灯を盛って歩くのは面倒だし、明るければお化けも出ないだろう?

……さて、びっくりする仕掛けは……どうかな?
ただのお城に見えて、実は何処かへの入り口だったりして。
ボクも知人に聞いただけだから、あまり詳しくは知らないんだけど……

…――まあ、折角だ。怖くなったら戻ればいいさ
この城の隠し通路は、この火かき棒を押し込んで引くと起動するってことだけど――。

【相手は少女。ごく丁寧に、表裏を感じさせない柔らかさで言葉を続ければ】
【不意に、手遊びしていた棒の柄を掴んで、言葉のとおりに操作する】

【すると食堂の大きな暖炉が重々しく岩を引きずる音を立てながら動き出し】
【本来は火が灯るその場所に、暗がりへ続く階段が出現する】
【その先は真っ暗だ。――しかし、鎧姿の彼が覗きこんで、手を振れば】
【驚くべきことに、壁際に燭台が出現する。その明かりが通路を照らし】

さて、っと…――これで大丈夫。少し埃っぽいね?
この先には旧式のエレベーターが有るらしいんだ、それに乗って……おっと。

……悪いね、名前も聞かないで廃城の隠し通路をお散歩、ってのも無いかな
ボクはダグラス。こんな姿をしているけど、一応芸術家さ
絵を描いたり、彫刻を作ったりね。今日はそのアイデアを探しに来たんだ…――キミの名前は?

【名前を告げて、名前を聞く。それが無事に済んだならば、先んじて通路を下る事となるが】
【無論、付いて行かないのも自由。仮にそのまま後に続けば、やがて広い空間に出て】
【巨大な鳥かごのような、鉄のエレベーターが姿を見せ――それに乗り込無事と鳴るだろう】
287 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/21(水) 23:34:39.91 ID:PFEwFWnK0
>>286

……びっくりするのは、……その、……苦手なの。お化けは平気なんだよ、――ほんとなんだけど――。
なんだろ、でも――財宝の部屋とかじゃ、ないんでしょう? そう言う場所に行きそうだけど……。

…………――、じゃあ、そうしよう、かな。

【懐中電灯を持って歩くのは面倒。そう言われてしまえば、彼女は少し気まずいように右手の魔力を背中に隠し、それから消す】
【これは一応明かりとしてでもあるけど、急場のときの武器として……とか、脳内だけで言葉を紡いでも、無意味なら】
【気まずいように視線を横に逸らして、ちょっと黙る――それから、そんな風に言葉を返していって】
【お城の隠し通路となれば、金の延べ棒とかありそうだと思う。だけど違うみたいなら、彼女は首をかしげ】
【――そんなところも気になってしまったから。途中で戻れるという彼の言葉に、頷いてしまう】

【そして彼が火かき棒を操っているくらいの頃に彼の隣くらいへとたどり着いて。ぱちくり、】
【面白いような少し不安なような表情で、起動する仕掛けを見つめるのだろう。やがて、暖炉の動きが止まれば】
【最初は指先で、そのうち手のひらで、ぺたぺたと暖炉に触れてみようとしたりして――納得すれば、手を離、】

あ……えっと、りんね。鈴音・シュトラウス――、鈴の音って書くの、
……芸術家さんなの? ***みたいな……、?

【納得するかしないかしないかくらいで声を掛けられて、彼女は少し驚いたように手を離す。それから彼に向き直ると】
【告げるのは、ころころと鈴の音みたいな声によく似合う、櫻風の名前だ。苗字は違うのを見るに――と思えば、】
【その左手の薬指には銀で作った蛇の指輪があり。それならば納得できるというものだ、この見た目で、結婚でもしているらしい】

【(ちなみに彼女の見た目といえば、高校に通っているくらいに見え――辛うじて合法か、違うか、それを悩むくらい)】

【それから挙げてみるのは、この世界でもっとも有名な芸術家の一人として数えられるような人】
【それですら少し自身なさげに言う辺り、あんまり詳しくないのが窺える。「彫刻……」なんて呟き、「すごいね」なんて笑えば】
【ひとまず名乗りを終えたというので、中へと入っていくことになるだろうか。彼女は、彼の後ろをきちんとついていくだろう】
288 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/22(木) 00:00:11.39 ID:ao61JjjFo
>>287

【少女が魔術の明かりを消したのを見る――というより、知ってか知らずか】
【ふっと小さく笑って見せる。これもまた、影のない純粋な笑顔】
【怖い相手ではない。ちょっと奇妙な相手ではあったが、悪人の気はなく】

リンネ……鈴音か、良い名前だね。名は体を表すって感じかな
キミみたいに可憐な女の子にはぴったりだと思うよ。

……ん、まあね。ただ、ほら……有名な芸術家ってのは
大体が年寄りか死んだ人ばっかりだろう?勿論、例外だって居るけどね

そういうわけで、あんまり有名じゃないんだ。
よっぽど興味のある人なら知ってるってくらいで……さ、この話はこのくらいにしようか
お嬢さんをこんな場所に立ちっぱなしにさせるなんて、ナンセンスだから…――。

【相手の名前、指輪、そしてやや不釣り合いな外見。気になる所はいくつかあるが】
【男――ダグラスはソレを尋ねなかった。彼自身が芸術家、という特殊な人物だからか】
【それとも単純な性格なのかは分からないが――ともかく、やがて二人はエレベーターに乗り込み】
【古式な、大きなレバーを操作すると乗り込み口も柵がかかり、下へと折り始める】

【しばらくは石壁が上へ流れてゆくのを見るばかり。だが、30秒もすると】

さて……ここが隠し通路の先、古代都市ヘルクラネウム……。
火山に飲まれた街だよ、鈴音。此処に…――あぁ、大丈夫かい?

【――その世界は一変する。一挙に温度が上昇し、視界は周囲四方が真っ赤に染まる】
【足下を見下ろせば、黒い岩と街並み。そして赤い部分を見れば――マグマ、だろうか】
【まるで――いや、まさに火山の内側に着てしまったかのようだった。そして、なおもエレベーターは下がり続け】

【たっぷり一分か、二分経った頃に荒れ果てた街へと辿り着く】
【そこら中が黒く焦げ付いた街だった。人は居らず、かといって人骨も無い】
【火に飲まれた街――熱く、息苦しい土地。エレベーターの乗り口は、ゆっくりと柵を開くのだった】
289 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/22(木) 00:11:17.14 ID:7u60+9Xk0
>>288

【小さくでも笑われた。彼女がそれを目撃したなら、子供ぽく頬を膨らませる姿でも見られただろうが】
【幸いだろうか。ちょうど視線は横に逸れていたため、彼のそんな表情を見つけるのは、誰も居なくって】
【怖くない。それはきっともう認識していた、だから、怖がりな少女も、最初みたいに恐縮はせず】

大切なひとが付けてくれた名前なの。――、ごめんなさい、わたし、芸術家のひとってよく分からなくて……。
でも、……有名じゃなくても凄いって思うな、わたしは、絵とか、あんまり上手くないし――その。
彫刻なんてどうやって作るのかもわからないの、……彫るの? 粘土とかで作るのは、別のものかな――。

【とまあ、そんな感じに言葉も返す。だけれど、立ち話は――ということになれば、先に記したように】
【大人しくその後ろをついていって、件のエレベーターに乗り込み、興味ありげに内部を見渡したり】
【やがて動きだせば古式のレバーをどうにかしてしまわない程度にそっと触れてみたり、まあ、好奇心旺盛なよう】

ヘル……、えっと……へる――? 火山って……、あのお城、こんなのの上にあったんだ……。

【――絶対聞き逃したのだ。最終的には小声で「ヘルなんとか」とか呟いて、納得したように(出来てない)頷いたと思えば】
【ついっと上を見上げて感慨めいて呟く。だけど見えるのは、きっと、エレベーターの天井くらいで】
【やがて下までたどり着けば、まだ来たばかりというので元気もたっぷり。興味ありげにあたりを見渡すも】
【そのうちふっと気付いたように、猫が毛づくろいするみたいに、マントをくしゃくしゃと縛りだすのだろう】
【普段“たまに”(重要)そこらへんに引っ掛けるというのを思い出したらしい。こういう場だと、命取りになりそうなのだし】

すごいところ――、ひとが住んでたの? ほんとうに? ……暑そう……。

【冬服というので、当然ながら布地も分厚いし、暖かいように出来ている。そのためか、彼女は首元をぱたぱたして】
【暑いのは苦手なほう。だけど、やっぱり暑そうなので帰ります、といえないくらいには、この場所に興味が湧いて】
【だけど――やっぱり臆病な性質ではあるのか、彼がエレベーターを出て行くまで、外に出ようとはしないのだろう】
290 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/22(木) 00:28:36.53 ID:ao61JjjFo
>>289

ヘルクラネウム=c――まあ、要するに古い街さ
もう誰も住んでないし、住めないんだ。見ての通りね

で、上にあったお城は此処への入り口を守るための要塞だったとか。
……まあ、詳しいことなんか覚える必要はないさ
ボクも歴史の授業は嫌いでさ、単語を覚えるのは苦手なんだ

【少女の様子を見てそんな言葉を掛けてから、一歩エレベーターの外へ】
【大地が震えるような、其処から響く音が街全体に響いていたが】

【巨大なバケモノが現れることも、亡者の兵士が出てくる事もない】
【暑すぎるくらいではあったが――やがて一歩、もう一歩とダグラスは前へ進む】
【少ししてから振り返って彼女を見遣り、共に行くかどうかを尋ねるだろう】


【――さて、ここからの選択肢は2つ。一緒に付いて行ってみるのも良し】
【或いはこの場に留まるか、戻るか。後者の場合、ダグラスが一度姿を街の奥に消すと】

【代わりに、崩れた街並みから物音がすることだろう。逆に、共に進めば街並みをみることができるが】
【如何せん、暑さが酷い。やがて宮殿の様な場所にたどり着くが、その頃には真夏の砂漠も同然の温度で】
【日影に入っても熱いぶん、余計に始末が悪い――というのも記しておく】
291 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/22(木) 00:44:26.86 ID:7u60+9Xk0
>>290

【きっと聞き取り損ねたのを察されて、もう一度言ってもらえたなら。今度こそ、彼女はそれを聞き取って】
【言われたとおりに鸚鵡返しする。そして、今度こそ、分かったという風に頷いてみせ】

……学校は行ったことがないの、お勉強を教えてもらったこともあったけど――、
先生をしてくれてたひとが居なくなっちゃった。それからは、……やってない。

【だから、きっと、彼以上に知らないのだと彼女は呟くように言う。勉強はやってないのだと言って、だから、】
【この場所も何も知らないという顔をする。もしこの場所が教科書などに載る有名な場所でも、彼女はちっとも分からないだろう】
【勉強を教えてもらっていたのも僅かな期間だけ、小学生の途中くらいまでしか――できなかった、ものだから】

何の音――――、……、わたしも、行きたいな、暑いけど……――その、気になるもの、とっても、……。

【それから聞こえてくる音には不思議げな顔をする。それこそ何か骨のモンスターでも出るかと思うのだが、】
【見渡す限りにそういった影はない。から、多分、出ないのだろう――なんて考えてみるも、それが正解かは分からず】
【ついていきたいと言ったのは。興味深いのも確かだが、ここにおいていかれるのは――少し、怖い、それも本当のこと】
【でも帰ってしまうのは勿体ない気もするという、そんな気持ちからだ。どうせなら、ついていってみよう、と】

……ううん、生ぬるいな――。ダグラスは、暑くないの? ……とっても、暑そうだけど――。

【とりあえずついていくと宣言して、それに許しをもらえるなら、彼女はまたその後ろを追いかけていくのだろう】
【生ぬるいなんて呟くから何かと思えば、その手元には薄桜色の水で出来た蛇なんてものが居るのだった】
【頭の中に銀の鈴を一つ浮かべた水蛇、彼女の異能に関係するのだろうが――まあ、冷たいのを期待したという、ちょっとした余談】
【むしろ気になるのはしっかりと鎧を着込んだ彼の現状。大丈夫なのかって――そう、尋ねた】
292 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/22(木) 01:13:21.25 ID:ao61JjjFo
>>291

君は…――へえ。いやさ、勉強なんて出来なくても生きていけるだろう?
それにいつでも勉強できるし……その蛇の方が、多分大事な物だ
だからそう気にすることはないさ。人生、楽しく生きたって思えれば良いんだから

ん、あぁ、これかい?本来なら暑いんだけど、ボクも力≠持っててね
頭で『ボクは今涼しいんだ』って考えると、それが現実になるのさ

……一応言っておくけど、思い込みの力ってワケじゃないよ?
それがボクの能力なんだ。さっき壁に燭台を作ったのも…――便利だろ。

【にこり、と笑って鈴音に向かって手をかざす。すると周囲に水のヴェールが現れて】
【さながらファンタジー小説の一節の様に、彼女を強烈な暑さから防護する】
【『想像を現実にする力』――事実だとすれば、非常に恐ろしい能力だが――。】

さて、鈴音……ここは宮殿だ。かつては王様が住んでいて、今は王様のお墓だね
ボクが聞いた話によれば、此処にはとある剣が在るとか……。

……で、だ。ボクはそいつを取りに来たんだけど、君も来るかい?
多分、怖い事は無いんだけど……居るらしいんだよね、炎の妖精っていうのがさ。

【そこで、付いてくるか否かを再び問う。炎の妖精というと、どういう存在だろうか】
【火の玉か、凶悪な子鬼か、それともサラマンダー――トカゲのような形か】

【いずれにしても危険な可能性もあるから、付いてくるなら安全は保証しない、と】
【何処か軽い雰囲気のまま告げるから、緊張感が全くないのだが――】
【ともあれ、そういった危険性を説いてから進む。黒焦げの宮殿を、まっすぐ奥へ。】

//申し訳ない、そろそろ凍結をお願いできるでしょうか
//恐らく今夜も来れると思うので、其処で再開できればと思うのですが……
293 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/22(木) 01:16:07.47 ID:7u60+9Xk0
>>292
/大丈夫ですよー! こちらは今夜もばっちり大丈夫だと思いますのでっ
/今夜中にお返事しておきます、ひとまずお疲れ様でした!
294 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/22(木) 01:17:23.83 ID:ao61JjjFo
>>293
//ありがとうございます、でしたらまた今夜!
//それではお先に失礼しますね。お疲れ様でしたっ!
295 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/22(木) 01:31:56.81 ID:7u60+9Xk0
>>292

そうだけど――、お勉強が出来たほうが、きっと、いいことがあるの。それは、よく、分からないけど――。
いい学校に行けるとか、それだけじゃないって思うんだ。……わたしは、学校も行ったことないけど……。

やってて楽しいもん。……また、お勉強、やろっかな。

【学校は行ったことがない。だから勉強の意味というのはよく分からない、新しいのを知るのは楽しい、くらいしか】
【だけど彼女はいい学校を目指す理由もないし、それで十分なのだった。“あの子”は教えてくれるかな、なんて、考えて】
【その蛇のほうが――なんて言われれば、少し照れたように笑う。蛇は大好きだった。そういわれれば……」
【確かに勉強より蛇のほうが好きに思えてくるから、多分、本当にそうなのだろう】

考えると――……本当のことになるの? ――じゃあ、今、全然……暑くないの?
凄いね、……わたしはね、魔力でモノを作れたり……お水を作れたり出来るの。

……でも、生ぬるかったよ。ううん、でも、無いより……――わっ、?

【最初はびっくりで、後半はなんとも気の抜けるような吐息付きで、呟く彼女はなんとも羨ましそうだ】
【さっきまで真冬の中に居たからか汗ばんで来たし、というか、たった今、ついと汗が垂れてきたし】
【それを袖の服で行儀悪く誤魔化しながら、――教えるのは、自分が持つ、異能について】
【お水を――といいながら手の上の水蛇を見せるようにすると、水蛇は胸を張るように、或いは自慢げな仕草をして】
【生ぬるかったといわれると“しゅん”と頭を垂れるのだった。なんだか――意思でもあるような、様子で】

【そんなところに水のヴェールが現れる。一瞬ものすごくびっくりしたらしい彼女は、ただ、暑くないのに気付いて】
【蛇を乗せていないほうの手でヴェールをおっかなびっくり触れたりしてから――ありがとう、なんて、破顔するのだ】
【そこからはなんとも元気そうに歩いていくだろう。分かりやすいといえば分かりやすく、或いは、子供っぽい、なんて】

剣を……取りに来たの? ねえ、こんな場所にあるなら――凄い奴なのかな、なんだろ、えーっと、……。
なんかとにかくすっごいの、ゲームの最後のほうに出てくるくらいの――ちがう?

妖精……、? 別にいいけど――。

【なんとも今更なものだが、彼女、なんだかゲームっぽく思えて、――少しだけテンションが上がったようだ】
【といってもゲームなんて幼馴染で親友の女性がやっているのを見たくらいで、何も知らないのだけど】
【まあとにかく、こんなところにあるなんて凄いのだろうかなんてことを尋ねて、少しきらきらした目で、首をかしげる】
【――それから妖精が居るらしいと聞けば。……別にこれは彼が悪いのではなく、ただ、彼女の頭の問題なのだが】
【妖精と聞けばフェアリーでつまりなんかかわいくて、――そんな連想ゲームをしてしまったのだろう、それが例えば】

【妖精(ゴブリン)だったりする可能性を一切考えてない。いや、ゴブリンならまだいいだろうけれど、】
【少なくとも火の玉、子鬼、サラマンダー、それらの可能性は全く考慮していないらしいのが、表情から微妙に窺えた】

/というわけでお返ししておきますー
296 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/23(金) 08:52:59.37 ID:3a0LuEVs0
【――――ガガッ、ザー…………ブゥン】
【その時間、日常通りの平常他愛無い番組を映し出していたはずのテレビが、突然に画像も音声も乱れさせた】
【それも、1つの放送局だけではなく、複数のチャンネルで、同じ様な現象が発生し】
【乱れが収まったその時、画面に映されていたのは、先ほどまでの番組の続きではなかった】

【――――3人の人物が、画面に映り込んでいる】
【中央の人物が、大きな革張りの椅子に腰かけ、左右に陣取る人物は、そのそばに控える様に直立している】
【全員が、暗い紫のゆったりしたローブに身を包み、頭部にはより鮮やかな紫の覆面を被っている】
【さながらその有様は、邪教の司祭か祈祷者かと言った出で立ちで。その服装の故に、性別も体格も判別は困難を極める】
【そして背後の壁には――――逆五芒星の描かれた、巨大なタペストリーが掲げられていた】

<――――これは、我々カノッサ機関による電波ジャックである。これを見る全ての人間は、我々の言葉をしっかりと心に刻め……!>

【事態が如何に唐突であろうとも、その言葉を聞けば、少なくとも何が起こっているのかは理解できるだろう】
【向かって左の人物が、ハッキリとした声で電波ジャックの宣言をする。その声は、少なくとも男性であろうと言う事は分かるものだった】

<……我々には、『六罪王』と言うリーダーが居る。これは諸君でも知っている者は多いだろう……
 この度、我々はその『六罪王』に新たなリーダーを迎え、新たなる行動を始める事になる……!>

【淡々とした言葉を用いて説明を続けながら、中央の人物をサッと指差す左の男】
【中央で椅子に座っているこの人物こそが――――彼らの言うところの『新たなる六罪王』なのだろう】

「――――ひいては、我々の新たなるリーダーは、世界に向け、また我々に関わる全ての者達に向け、正式に就任の挨拶を行う事を望んでいる!
 その場所は……かつて≪No.6≫、グラトン=ブルーガー=ウルバヌスが拠点として選んだ、雷の国『セードムシティ』だ……!」

【続いて、向かって右の人物が声を上げる。張りのあるその声は、左の人物よりも若そうな、やはり男の声だ】
【その声で、彼は『セードムシティ』の名を上げた――――少なくとも、『六罪王』が現われて終わり、などと言う話では済むまい】

「……かの地では、機関と共に生活を営んだ者達が、未だ多く残されていると聞く。我々のリーダーは、その者達を迎える事も望んでいる!
 当日、我々と共に来る事を望む者は、我々の差し出すその手を握り返せ! 諸君らには再び、カノッサと共に生きる日々を与えてやろう!」

【その予想に従う様に、すぐさま右の男は宣言する。『セードムシティ』を再び、収奪の場とする事を】
【新たな六罪王も、かつて1度機関の手に落ちたその地を選ぶ事によって、自分たちの権勢を見せつける事を目的としているのだろう】

<我々の齎す混沌……否まれたくなければ、我々を否まない事だ……>
「カノッサはカノッサへ……諸君らのあるべき場所へと帰るんだ……!」

【左右の人物が言葉を結ぶと――――中央の人物が、ゆっくりと動き、カメラを真っすぐに指差す】
【次の瞬間、指先から何かがほとばしると、カメラに何かが高速で命中し、画面は砂嵐――――そして程なく映像は終了する】
【71秒のその映像が終わり、今度こそ再び本来の番組の続きが始まる。ただし、どこの放送局であっても緊急テロップが画面の上部を占拠し】
【ラジオでも、同内容の音声のみがあちこちの周波数をジャックして放映され、それぞれの放送局が訂正と対応、そして臨時放送に追われる事になる】

【――――日常は、慌ただしさの中に葬られ、新たな動乱がすぐそこまで迫ってきている事を、状況は雄弁に物語っていた】

/イベントの布石のための文章につき、絡み不要
297 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/23(金) 21:17:18.77 ID:Fl4U9RQb0
【水の国・繁華街の一角】

【商店街となっている大通りは昼夜問わず今日も多くの人で賑わう。何せ「買い物をするならココ」と謳われる程の品ぞろえなのだから】
【冬晴れの透き通るような空とあって、今日はお出かけ日和。心なしか道を歩く人々もいつもより多い気がする……】

【そんな商店街の雑踏の中で誰かを探すように辺りを見回すのは、幼さを残しつつも活発そうな印象を受ける10歳くらいの女の子】
【キョロキョロと不安げに動く瞳は澄んだマリンブルーで、肩にかかるくらいの鮮やかな赤髪は冬の日差しに映えて】
【ふわふわの白いセーターと黒いスカートを着てその上に桜色のコートを羽織り、首に掛かるのは十字架のネックレス】
【背には白いリュックサック。少女らしいあどけない可愛らしさを備えた顔は、今は不安そうに眉を顰めている……】

―――こっちにも、……――いない……―――
……どこに行ったんだろ……

【……その様子を見れば、どうやら迷子らしいという事も伺えようか。「おかあさん……」と弱々しく呟く声が零れるのと同時に】
【そのマリンブルーの瞳から、じわりと涙も溢れて零れる。―――子供の涙は、一度零れれば堰を切ったように流れ出るもので】
【大通りの雑踏の真ん中で泣く少女は、嫌でも目立つ。通りを行く人は何かあったのだろうかと少女を見遣ったりするものの】
【未だに手を差し伸べたり話し掛けたりする者は一人もいない……】

【ただでさえ人通りの多い商店街だ。あらゆる人が此処を通る可能性はある訳で】
【買い物に来た、ぶらぶら歩いていた、パトロールをしていた……そんな様々な理由でこの商店街の大通りを通る者もいようか】
【果たして、この小さな少女に話し掛ける人は居るのだろうか―――】
298 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/23(金) 22:34:50.10 ID:rjUnhBS30
>>297

【水の国にて】

【人が多い、賑やか、地方出身なら誰でもそう言いたくなるような繁華街は、今日も市民の生活を豊かにする場所】
【ここを歩く男もまた、その活気に「ほー」だの「はー」だのと声を出しながら辺りを見て回っていた】

【赤いネクタイが際立つ真っ白なシャツ、上には襟を立たせた土色のビジネスコートを羽織り】
【髪はシルバーブロンドをうなじの辺りで一つに結んだ形、ターコイズブルーの瞳は海を連想する】
【そんな容姿の男は 肩に鞄をぶら下げながら街を練り歩いていた、のだが】

この国に余り来たことはなかったが、改めて回ると広いもんだなー。
ブランド品はよく分からねぇ……だが、なかなか雰囲気の良い街じゃないの。
これなら幾らでも土産がありそうだが………………ん…………?

【ふと、とある少女の姿が視界に入った、それも彼女は泣いている】
【となれば男の性格上、放っておく事など出来ず、その少女に近付いて腰を低くして声を掛けた】

あー……そこの君、大丈夫かな……?
もしかして迷子…………?お父さんやお母さんは居るのかい……?

(……しかし、この子どこかで見たような気がするんだが…………何処だったかな?)

/まだいらっしゃれば……!
299 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/23(金) 22:44:12.33 ID:426vrsifo
【路地裏】

【薄暗い路地に、ペンライトの光が走る。そしてぼそぼそと聞こえる人の話し声】
【一人分しか聞こえないから、電話だととわかる。年齢を感じるしわがれた男の声だ】

そうそう…いいから所轄呼んで…いや、別に自警団でも何でもいいけど。…いや、その方がいい
殺しぐらいでって……まあ、ここいらじゃそうかもしれないけど。今回は話が違うんだよ…
ガイシャは能力者だが…今回はワケが違う…いーから、応援回して

【路地裏は血にまみれていた。あたりに飛び散って真っ赤に壁を染め上げていた】
【そして数えきれないぐらいの銃弾痕。コンクリートをボロボロにして、薬莢が山のように散らばっている】
【そして折れた直剣とボロボロに撃ちぬかれた死体。その側で手帳にメモをする男が1人】
【背の低い白髪交じりで藪睨みの男。寄れたスーツに使い込んだコートを羽織っている】

はぁーやれやれ…俺の本チャンの仕事じゃないんだから余計なことやらせるんじゃないよ
お陰で仕事が進まないし、休みも無いんだから…はぁーあ

【そう言って男は革の手袋をはめて死体に近づく。ライトをかざしながら血に沈んだポケットの中を漁る】
【傍から居れば死体漁りの浮浪者にも見えなくはない。彼は血染めの財布に手をかけた】
300 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/23(金) 23:15:58.06 ID:Fl4U9RQb0
>>298

【知らない土地で迷子となれば、それはもう幼い子供にとっては耐えきれないくらいに不安になるに決まっている】
【当然だ。周りの人はみんな知らない人、周りの建物もみんな知らない建物……そんな状況で不安にならない子供なんていない】
【滲む涙は少女の目を真っ赤に腫らし、表情を堪らない不安に曇らせて―――】

【―――そんな風にして泣いていると、傍で母親ではない誰かの声がする。涙で滲んだ視界をごしごしと拭って晴らして振り向けば】
【そこに居たのは、あまり見覚えのないお兄さん。―――この人は、だれ?分からないけど……】
【とっても不安なこの状況で声を掛けて貰えれば、少しだけ不安も和らぐ。ほんのちょっぴり顔に浮かんだ不安の色は引いて】
【それでもまだ上ずった涙声で、何とか彼の言葉に応える。所々詰まって少し聞き取りにくいのは、仕方ないか……】

―――…えっと……うん。……―――おかあさんと、お買い物にきたの……
……でも、のらねこさん、おいかけてたら……―――はぐれちゃって……―――――

【―――つまりは、母親との買い物途中に道端で見かけた野良猫に興味を惹かれていたらはぐれたという事らしい】
【子供らしい旺盛な好奇心が災いしたか。加えてこの人通りの多い混雑した道では、はぐれやすいのも頷ける】
【……さて、この子の母親は何処に行ったのか。今頃必死で我が子を探している頃だろうが】
【此方から母親を見つけようにも、情報が無い。手っ取り早いのは少女に聞く事か……】

【言葉少なに答えた後も、尚も少女は不安そうな顔をしている。さて……どうしたものか】

//はいはい、反応が少し遅れましたがおりますよー!
301 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/23(金) 23:54:33.96 ID:rjUnhBS30
>>300

【少女の気持ちは大人の彼にも分かる、彼も昔は子供だったのだから】
【迷子の経験だってある、妹が見ている手前 泣いたりは出来なかったが、心がぐるぐるとしてとても不安で怖かった思い出があった。結局 後で物凄く叱られたっけ】
【だから同じような娘の事を放ってはおけない、男は彼女の話を懸命に聞き取っていた】

そうか…………追いかけるのに夢中ではぐれちゃったかー……
……うん………………よし、そうだ!一緒に探してあげるぞォ!心配しなくてもすぐに見つかるさ!
大丈夫、お兄ちゃんに任せておきなさい!!

【子供は何に対しても興味津々、それはきっと良いことなのだが、時に問題も連れてくる】
【少女と同じか少し下の頃の彼は、妹と一緒に珍しい魚を見に行って迷子になった、その時は館内アナウンスでどうにかなったのだが】
【此処は街の中、水族館のように範囲が限られている訳ではない】
【となれば少女の来た道を戻ってみるのが今は最善か、任せておけと胸を叩いて張り切ってみせた】

それじゃあまず……どの方向から来たのかは分かるかな……?あるいは、何か目印みたいな看板のある場所とか?

【先ずは何処からここまで歩いたのか、或いは母親のいた場所の近くに目印はないのかと聞く】
【それさえ分かればある程度絞り込む事が可能なのだが……】
302 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/24(土) 00:10:42.51 ID:faXfpI9E0
>>301

―――……ほんと……?

【彼の言葉を聞けば、泣きそうになる程に不安げに話していた彼女の声色が少し明るくなる。】
【「……一緒に探してくれるの?」って聞き返して。彼のお蔭で不安が少し薄れたらしい】
【一人の時より一緒に探してくれる人が居る方が心の不安も和らぐ。まだちょっぴり怖いけれど……】
【―――大丈夫、もう泣きたくなるほど怖くは無い。一人ぼっちじゃないから泣かない】
【セーターの裾でごしごしと涙を拭ってぎゅっと手を握れば、彼の顔を見てこくりと頷く。どうやら任せたらしい】

【そんな訳で、捜索が始まる。まずは何処から来たのか……それを尋ねられれば、少女は暫く考えて】
【思い出したように北の方を指さす。北の方に、いったい何があるのか……】

……えっと、……あっち。さっきまでね、おっきなお店で今日のばんごはんのお買い物してたの。

【この商店街で、北の方にある晩御飯の材料を買える店と言えば―――】
【―――そう、スーパーだ。先程まで彼女とその母親は商店街の北の方にあるスーパーで買い物をしていたらしい】
【距離もそう遠くは無い。それならすぐに向かう事も出来るだろう……さて、其処に母親は居るのだろうか】
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/24(土) 00:40:08.42 ID:ZozvehhI0
>>302

ああ、絶対にお母さんを見つけてあげるからな!

【良かった、どうやら少しは安心してくれた様子、これなら一緒に歩いても大丈夫そうだ】
【後は彼女の母親を見付けられれば良いのだが…………少女に質問する場面へと移り変わり】

【彼女は北を指差して示す、確か向こうには……スーパーがあっただろうか】
【話を聞くに、どうやら予想は当たっているようだ、主婦らしく買い物をしていたのか】

夕飯の買い物…………なら向こうにあったスーパーか、よし、じゃあ行こうか。
きっと見つかるさ、お母さんだってきっとすっごく心配しているぞ?
早く会って安心させてあげないとな……おっと、そうだ…………

【出発しようとした時、男は彼女の手を取って優しく握る、この人の数だ、またはぐれると大変と思ったのだろう、少女と手を繋いで】
【彼女が拒まないのであれば、そのまま北へと歩き始めることだろう】
【幸い遠い場所ではない、直ぐに向かえばまだそこに居るかも知れなくて】
304 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/24(土) 00:47:47.14 ID:faXfpI9E0
>>303
//すみません、始まったばかりですが如何せん開始が遅くて眠気が来てしまい……
//宜しければ、明日以降にして頂ければ幸いです……私は明日明後日なら6時以降は空いておりますので!
305 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/24(土) 00:55:35.14 ID:ZozvehhI0
>>304
/分かりました!実は私も……そろそろお願いしようかと思っていたところです
/お互い万全な状態の方が良いですものね、時間も了解です!恐らく明日は8時頃には来れるかと思いますのでー
306 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/24(土) 00:56:46.83 ID:faXfpI9E0
>>305
//了解です、ではそれくらいにお願いしますね!ひとまずお疲れ様でしたー!
307 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 01:34:58.22 ID:bKyI8ZHq0

【――――櫻の国に存在する無数の神社の内、その一つ】
【境内に至までの石畳の階段でさえ酷く風化し、上るのも下るのも危うい様な其処】
【当然参拝客は疎か管理する者も居らず――……果たして、そんな状態がどれ程まで続いたのか】

【漸く本殿の前まで訪れたならば雑草が好き放題に生い茂り、強い風が吹いただけで崩れてしまいそうな其れが視界に入る事だろう】
【――――然れど、本殿の内部から“聖”を感じ取れる事も確かだ】
【興味のままに中へ入るのも、或いは警戒してその場で様子を伺うのも此処を訪れた者の自由だけれど】







【昼夜問わずに繁盛を続ける喫茶点。其処の一角に何とも不釣り合いな姿が一つ】
【その者は所謂修道着を身に纏い、みっともなくテーブルに突っ伏しているのだから尚更目立つもので】


「あー……疲れたー…………。もっとこう、派手なら良いけどずっとこそこそとしてるのはやっぱりボクの性に合わないってば……」

【まだ湯気の立つコーヒーとケーキを側に置き、一人愚痴ればだらしなくその状態でコーヒーを啜り】
【愚痴が終われば深い深い溜息と共にまたテーブルの上で伸びるのだろう】
【周りの客がヒソヒソと話して居ても構う事無く其れを貫いているのだから大したもので】

【――――さて、不幸にもこの店は修道女の向かいの席を除いて満席。詰まり、必然としてこの女の向かいに座らなければいけなくなるのだが】
【声を掛けるならば気怠そうに「どうぞー」何て言うのだろうし、無言で座れば向かい側からジットリとした視線を注がれる事となろう】



/時間故にあまり長くは出来ないかと思いますが、もしよろしければっ
308 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 01:51:13.99 ID:irot9VB0o
>>307

…ケッ……なーにが『櫻の国の賭博は勝てる』だ、殆どスっちまったじゃねーか
あれ絶対イカサマしてやがる…あーあ高い旅費払ったってのによー

【まるで煩悩の塊のような悪態を呟きながら、廃れた石段をゆったり昇ってくる者がいた】
【真っ白な高級スーツは雪景色に保護色となり、撫で付けた金髪とゴールドフレームの眼鏡が煌びやかに余計目立つ】
【そんな邪な男が果たして聖なる気配を感じ取れたのかは不明だが、やれやれと石段を登り終えると、膝に手をついて息を整えてから本殿の方を見遣る】

だが、ここは櫻の国…ククク……『下調べ』はしーっかりとしてるぜ…
この国の宗教施設のお布施ってのは盗り易いってな……まるで盗ってくださいと言わんばかりに

【…賽銭泥棒である、紛う事なき邪な悪人だコイツ】
【ニタリと笑った男は、賽銭箱を探し───目の前にあるのなら、辺りに人がいない事を確認してから近付いて行くだろう】
309 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 02:07:22.16 ID:bKyI8ZHq0
>>308
【目的の物は直ぐに見つかる筈――――だった】
【然れど其れは何とも立派な物。装飾が派手だ、とかでは無くまるで歳月を感じさせる事が無い程に綺麗で】
【さて、辺りを見渡したならば何やら違和感を抱く事になるだろうか】

【確かに先程までは朽ちたも同然であったも関わらず、今は石畳に欠けた箇所の一つも見当たる事も無く】
【依然として人の気配は無いものの……何やらまた別な人外の気配が一つ】
【尤も、其れこそが恐らくは“聖”の本質で在るのだが男性が気付く事が出来るのか否かはさて置き】


【――――見るからに高そうな賽銭箱。手を伸ばしたならば、頭上から降ってくるのは金だらい】
【まともに当たった所で流石に死にはしないものの、悶絶程度は間違い無い重さと速度】


「あほう。久々の参拝客、祝ってやろうかと思えば――――とんだ邪な考えを抱く者の様じゃな?
そんな考えを抱いて居るからどの神も仏もお主に幸を与えないのじゃろ。恥を知れい、恥を」

【金だらいが当たった当たらないに関わらず、そんな幼い声が背後から聞こえるであろう】
【見遣れば狩衣を着た人物―恐らくは少年―が其処に居て】
【やれやれ、と溜息を吐きながらも首を振ればジットリとした視線が男性へと送られているはずで】
310 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 02:26:38.82 ID:irot9VB0o
>>309
おっ───あったあった!

【お目当ての賽銭箱を見付けると、「おぉ、これが」なんて風に目を輝かせて近寄って行く】
【近くに寄ってから、もう一度辺りを見回した───聖なる気配とかそんなのは、目の前の金に眩んでしまっているが、何となく危険≠感じた気がしたからだ】
【とはいえ、目に見えて何かがいるようでも無かったので、再び賽銭箱に向き直り、しゃがみ込んで隙間に手を伸ばそうと───】

【その瞬間、ガァン≠ニ見事な金属音が境内に鳴り響いた】

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ

【突然の事過ぎて、何が起きたか理解する前に、頭を抑えてもんどり打つ】
【それでも人が来るのを警戒して声を出さない様にするが、とにかく只管に痛いのと驚いたので悶えるしかなかった】

!!?!?

なっ…なんだお前!?お前か?お前だな!?危ないだろこれ!……痛ゥ……

【後ろからした声に、頭を抑えて地面に伏せり、尻を天に向けながらの体制で顔を向けて、涙目になりながら叫ぶ】
【相当効いたようだ、相手の話を聞いて何者か問い質す前に『悪戯を仕掛けたのはお前か』と怒っている】
311 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 02:43:12.91 ID:bKyI8ZHq0
>>310
「危ないも何も、手を付けよう何て考えを抱かなければ痛い思いをすることも無かったじゃろ
昔から悪戯を行う童には諭すよりも痛みで覚えさせる方が良いと伝えられて居る故にの

――――余程金に困っている者ならば見逃すが、お主の金々ピカピカの身形からしてそんな訳も無かろ?
例え言い訳をしようとも先の独り言で大体は理解して居る。自業自得じゃな」

【悪びれる様子など微塵も無い。寧ろ得意げに鼻を鳴らせばトン、と賽銭箱の上に座って】
【外見からしてまだ十代の半ばにも満たないであろう。然れど言葉はどうにも古くさく】
【「良い薬になったであろ?」何て小首を傾げながら悪戯に笑い】


「まあ、妾に感謝するのじゃな。剣山でも降らせてやろうかと思ったが、譲りに譲ってただの痛みで済ませてやったのじゃ
これは妾の物では無く、実際には訪れた者が此処を思って収めた物じゃからの
……懲りないならばまた別な痛みで“躾け”てやっても良いぞ?

ほれ。それが嫌ならば賽銭箱からさっさと離れる事じゃな」

【紡いだのは脅しとも取れる言葉。謂わば、大人が子供に悪い事をするなら拳骨しますよ――――と言う其れに近く】
【見た目からして非力な存在である事に間違いはあるまい。邪魔だと払い退けて箱から中身を取り出すのも有り、だが…………】
【先程の出来事からして一筋縄で行かないのも確かであって】
312 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 03:06:12.63 ID:irot9VB0o
>>311
なんっだお前偉そうに…!

【普通これだけの事を言われれば、バカでも少年の正体に大体の辺りをつける物だが、この男は相当にアレらしい】
【『いきなり目の前に現れた、なんか偉そうなガキ』程度にしか思っていない。取り敢えず立ち上がってスーツの埃を払うと、咳払い】

お前な……これは…そう、お前は勘違いをしている!独り言ってのはそう、聞き間違いだろ聞き間違い!
なんかこの辺、風の音とかが変な風に聞こえるから、丁度賭博で金をスった男の嘆きに聞こえたんだろ、それか櫻の国はヨーカイとやらがいるらしいし…多分それだ

【これを言い訳と言っていいのだろうか、子供でもしないような苦しい言い訳を、素面で並べるこの男 】
【勝手に悪者にされた風や妖怪はたまったもんじゃない】

俺様はな……お願いしに来たんだよ!お願い!
神様に、『賭博で勝たせてくれますように』……じゃ、なくてだな……せ、世界平和?を……う、嘘じゃねーぞ!?

【嘘です、何もかもが嘘の塊で、まるで真実のない嘘八百。強いて言えば賭博に勝ちたい我欲は真実】

だから、えーと……ほら、そこにいたら邪魔だろーが、俺様のお願いが届かねーよ
タライとか剣山とか、そーいう悪戯仕掛けてる暇あったら帰ってカーチャンの肩でも叩いてろよ、小遣い貰えるかもしんねーぞ?

【とにかく、この『悪戯っ子』をさっさと退かして、賽銭箱を漁りたい。その一心で口から出任せを次々吐いて、少年をどこかへやってしまおうとする】
【物理的な手に出ないとは言え、ある意味では非常に厄介な輩のパターンかもしれない】
313 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 03:26:01.66 ID:bKyI8ZHq0
>>312
「ほう、なれば此処が妾の家であるとしたならばどうする?お主が手を出そうとした其れこそが、“小遣い”とやらだとしたならば
まさか童の姿をした者から強奪する程に落ちぶれた存在でもあるまい
――――其れとも、子供に強請るほどに貧しい生活でも送っていたかの?」

【子供の容姿である事を利用して返された言葉】
【即ち此処は自分の家で、ならば手を出そうとした物は当然――……】
【トン、トンと踵を木箱に打ち付ければ何やら考える素振り。そうじゃな、と呟いたならば下を指さし】


「まあ、誠意とやらを見せれば考えない事も無いのじゃよ。妾が此処を離れた所で、お主が世のため人の為になる様な真似をするとも思えないからの
額を擦り着けて懇願しろ、とは言わん。然れど、小遣いを強請るならば相応の態度を見せるべきじゃろう?」

【頼み込む誠意によってはくれて遣っても良い、なんて物言いは実に尊大】
【「次第では中に入って居る物を全て譲っても」――――その言葉がどれ程惹き付けるかは、分からないけれど】
314 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 03:47:46.51 ID:irot9VB0o
>>313
……うぐ…いやまあ、貧しいっちゃあ貧しいが…
(あー言えばこー言う奴だな……つーかガキなんだから夜は寝てろよ!背伸びねーぞ!)

【言い返す言葉も無くして、言葉を詰まらせ、心の中で悪態を吐く】
【確かに今は貧しいが、帰りの旅費も無いくらいに貧しいが、それは自業自得なのであって、その上子供から無理矢理奪い取るというのも気がひける】
【自分の事を棚に上げて文句を心の中で呟きながら、少年に言われた事をよく考えた】

(……待てよ?こいつもしかして───)

(ここのガキか!?)
(そうかそうか、つまりそういう事か……こいつはここのガキで、しかもあの箱の中にヘソクリでも隠してやがんだな…)
(そりゃ必死で隠したくなるな…俺様も昔はそーやって金貯めたもんだぜ)

【この男が世界を測る物差しは自分の物一つしかない───全く理解が及ばない物は『まさか』とも考える事なく、勝手に決め付けて納得してしまった】

オーケイ、わかったよ、そこまで言われりゃ俺様も引き下がるさ
俺様だって、やりたくないもんはやりたkお願いしまァァァァァァァッッッす!!!

【引き下がる、と言った瞬間に、舌の根も乾かぬ内にこれである】
【誠意を見せれば中の物がもらえると聞いた瞬間、今までの会話の流れを全てぶった切っての見事な土下座。それはそれは、教科書に載せたいくらいの綺麗な土下座であったという】
315 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 03:58:48.36 ID:bKyI8ZHq0
>>314
【――――逆上するか、そうで無ければ怒って帰ってしまうか。きっとそのどちらかだと考えて居たから】
【土下座が行われた時には、文字通り目を丸くして】
【状況把握に暫しの時間を要する事となる。……漸く脳の処理が追いついたなら、クスクスと漏らされた小さな笑いはやがては腹を抱える程のモノと化し】


「く、くくくくく……まさか本当に額を擦り着ける様な輩が居るとは思いもしなかった――が。良い良い
約束は約束じゃからな、妾とて其処までされれば無下にする事も出来ん」

【目尻に浮かべた涙を拭い去り、落ち着いた頃に賽銭箱から飛び降りて】
【好きなだけ持って行けば良い、なんて言うのだが――――】
【忘れてならないのは、確かに最初はボロの神社であった事だ。つまり賽銭箱の中だって相応であり】
【期待に胸を膨らませて手を突っ込むなり開けてみるなりしたならば…………中には砂だとか落ち葉だとかだけが溜まっている事が理解出来るだろう】
【つまりは、そう言う事。金になる物など一つも無く、精々遙か時を過ごした石ころだとかが中に入って居るだけ】


「約束は約束じゃ。好きなだけ持って行って良いぞ?
ほれ、遠慮する事は無いからの」

【――――質が悪いのは、この子供が恐らくは元より中身を把握していた事】
【好きなだけ持って行って良いとの言葉には何とも楽しそうな感情が含まれて居るのは確かで在り】
316 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 04:14:40.68 ID:irot9VB0o
>>315
(く……ククク……)

(フハハハハハハ!!馬鹿なガキが!!大人はなぁ!土下座の一つや二つくらい痛くも痒くもねーんだよ!!)

【※個人差があります】

(テメーのヘソクリまで全部頂いて言ってやるぜ!俺様に気を許したのが運のツキだ!)

【(未だにただの子供だと思っている)少年が、少し冗談交じりに言った瞬間にこれである、土下座の見事な動作の割に、心の中は遥かに真っ黒】
【笑われているのも全く気にしてはいない、要は金が手に入ればそれでいいのだから、笑われた所で金が無くなる訳じゃあない】

よっしゃあ!それじゃ早速頂くぜ!約束したもんな!ちゃんと言ったからな!?今更『やめた』とか持ち上げて『はい上げた』とか無しだからな!?

【一体どっちが子供かわかりゃしない、念入りに釘を刺しながら、賽銭箱に歩き寄って中を覗き込む】
【蒼い目を輝かせて、箱の中を覗き込み───沈黙】

【中を確り確認してみたり、一応手を突っ込んで掻き回してみたりして、そうしている間に理解してきたのか、笑顔はやがて落胆の表情へと変わって行き…】

…………

【「えぇ〜」とも、「冗談だろ?」とも取れぬ、微妙な表情を浮かべた顔を、無言のまま少年に向けた】
【そしてそのまま、ガックリと膝をついて】

こんなのってないよ…あんまりだ……

【手の中に、賽銭箱の中にあった『割と綺麗めの石』を握り締めながら、力無く嘆くのであった】
317 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 04:29:21.12 ID:bKyI8ZHq0
>>316
「約束は確かに果たしたじゃろ?中に金目の物があると勝手に勘違いしたのはお主じゃ
妾は嘘の一つも吐いて居らん。――――くく、もう一度土下座をするならばまた別な物をくれてやっても良いのじゃな」

【勘違いさせたのは自分なのだけれど……関係無い、と言わんばかり】
【本人は涼しげな表情のままで、空を見上げて。「そろそろ、か」何て呟いたのは丁度その頃】


「――――そろそろお主も自身の場所に戻らねばならぬ頃じゃの
満ちる月の夜、随分と騒がしい客が来たものじゃが……良い

もう一度会う事がある……事は、無いであろうが
そうじゃな――……精々博打で命まで落とさぬ様に気を付けると良いよ」

【一瞬ばかり辺りがぼやけたかと思えば、瞬き一つ分の時間で綺麗だった境内も荒れ放題の其れへと戻り】
【当然賽銭箱だって最早ただの四角い箱の役割を持つだけの物と化し――――子供の姿だって無い】
【ただ、握っていた石だけは確かに存在して居て――――……】

【帰り道も来た時と同じ。或いは本殿にならば何かあるのかもしれないが……何故か、開く事も無く】

【因みにその石、不思議な力だとかは無く強いて記すならば其れで叩けば当然の如く痛い。それだけだ】
【価値があるか否かは……世の中石マニアなんて者も存在するのだから、その手の者に吹っ掛ける事も出来るかもしれないけれど】

/そろそろ眠気が危ういのでこの辺りで……お疲れ様でした―!
318 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 04:40:28.81 ID:irot9VB0o
>>317
ぐぬぬ……ちくしょー!俺様が何をしたってんだ!!

【※賽銭泥棒しようとしました】

もー二度と会いたくねーよ!!こんにゃろー!俺様をコケにしやがって!

【因果応報というかなんというか…悪い事はそうそう出来ないものである】
【或いは、『そういう存在』を目の前にして、ここまで己を貫き通したのは褒められたものかもしれないが───ボヤける景色は、何らかの力かそれとも涙か】

【気付けば、少年の姿はとうにそこにはなく、握った石の冷たさと、不気味に静まり返る境内】
【狐につままれた様な顔をして、立ち上がった男はスーツの埃を払うと、手の中にあった石を見つめ】

……売れねーよなぁ…ただの石だもんこんなもの……

【こうなってまで、金を稼ぐ事ばかり考えながら、落胆した様子で石段を降りていった】

/お疲れ様でしたー!
319 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/01/24(土) 18:54:26.83 ID:zqvFwGHCo
【街外れ――そこを歩く影が、1つ】

さァて……今ォ日は一段と静かだな

【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

やァはり……何か"におい"がすゥるんだよな、こォの辺り
豚とトリュフの関係じゃアねェーが、何かが埋ゥまってる気ィがする

【すんすん、とにおいを嗅ぎながら歩くその者――辺りは一面の雪、においなんて分かりそうもないが】
【靴に雪が入っているだろうその状況でも、ただただにおいの元を追っていて】 【それだから……】

こォっちか? …………グゥゥゥアアアアーーーッ!

【……突然消えた、その影が、何かに落ちて。】
【原因は、この街外れの雪が無い時を知っているものならば、あるいは想像できるものならわかる】
【この道路の両脇……そこにある側溝は2〜3m程の深さがあるのだ、本来は開いていない蓋もこの時期故に開いていて】
【そこに雪が被さり天然の落とし穴になっていたのだ――蓋が開いているとわからせる目印のスコップは、今ここに落ちた者が見ていたわけがなかった】
320 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/01/24(土) 18:56:19.56 ID:zqvFwGHCo
>>319
/すみません、投下したばかりですが取り消します
321 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 20:00:24.86 ID:kx63kXrD0
【――――雷の国『セードムシティ』】
【近頃各地で流れた、出所不明の映像――――カノッサ機関の、新たな六罪王の標的となった街であり】
【また、かつての≪No.6≫グラトン=ブルーガー=ウルバヌスによる、長期的な占領を受けた事でも知られる街である】

「退け! 一刻も早く、女房と子供を逃がさなきゃならないんだよ!」「待て! 一般人の通行に際しては略式の検査を……!」
「中に入れないとはどういう事だ! 社からの連絡はちゃんと通っているだろう!?」「現在確認している! だからその中継車を一端退かせ!」

【再び不穏な気配に包まれるこの街は、収拾のつかない喧噪に包まれていた】
【恐怖と共に逃げ出そうとする人々、事態の収拾のために乗り込んでくる人々、逆に野次馬精神で乗り込んでくる人々――――】
【復興のために駐留し、今は治安を守る為に活動する事になった雷の国駐留軍をしても、この坩堝を止めるのは安易な事ではない】
【そしてそんな混乱に乗じて、新たな悪意の種は運び込まれ――――開花する】


「……サツキ、準備は整った様だぜ?」
そう……こっちの仕込みも大体終わったわ。後は合図を待つだけ……博士は?
<……何とか。欺き持ちこめた数は流石に少ないが……あなたにとっても、ここで勝つつもりはないんだろう……?>
そりゃ、ね……大した策も準備もないのに、こんな場所で対等に戦えるはずもないわ。今回の目的は『お披露目』なんだから……
でも……ここで事を起こされたら、実際の被害以上に軍はうろたえる事になるでしょうね……さあ、火薬庫で火遊び、そろそろ始めるわよ……!

【――――市内一角の、どこか寂れた趣の電波塔のふもとで、主要道路の喧噪を余所に、不気味に沈黙する数人の集団】
【一行を取り仕切っているらしき女の口元がニヤリと歪んだその時。『セードムシティ』の北の区画で、巨大な爆発音が響いた】

――――さあ、みんな頼んだわよ!「おーし! 運試しの始まりだぜ!」<うむ……>

【それを皮切りに、それぞれに行動を開始する一行。目に見える騒乱の裏で、本当の事態はただ静かに進行する――――】


「何だ、何が起きた!?」
「装甲車3両、軽戦車2両、工作車5両が、暴走しています!」
「何故だ! 車両を奪われたのか!?」
「確認できません! …………っ、何……内部に乗りこめたのに制御できない!?」
「報告! 南西部、ポイントC−245にて、戦車3両が、同じく暴走を確認!!」

【事の発端は、雷の国国軍の兵器の暴走だった。外からではなく、まずは内から――――事態は、完全に国軍の予想外の展開を見せていた】

「――――機関に恭順を示す者は、その場に腰をおろせ!! そして我々の誘導に従え!!」
「っ……敵です! 機関の歩兵が少数! 数、装備の程度、共に詳細は不明!」

【更に、混乱に乗じて内部に侵入していた機関兵たちが、そのプロテクタとヘッドギア、軽装の武装を以って、市内を駆け抜ける】
【国軍の兵器の暴走と言う、何を信用したら良いのか分からない事態に、住民達はあっさりとパニックに陥った】
【服従するならその場に座れと叫んで回る、機関兵のプロテクタの肩部には――――『RAGNAROK LANBORATORY』のペイントが成されている】
【かつてこの都市を襲った災厄の象徴。それもまた、混乱に拍車を掛けた】

「……何が暴走するか分からないのでは話にならん! 歩兵部隊で機関兵を掃討、車両その他の兵器は、制御を確認の後、暴走車両を止めろ!」

【機関の仕掛けた攪乱である事は分かっている。だがその仕掛けを理解できなければ、泥沼に嵌っていくだけだ】
【初動を完全に先んじられた国軍。今、完全に『セードムシティ』は混乱の中に墜ちた――――】

/これよりイベントを開始します。侵攻側の方は投下を開始してください
322 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 20:01:52.89 ID:kx63kXrD0
【――――『セードムシティ』南東部 電波塔】

じゃあ……私は上で準備をする。後の備えは、任せたわよ?
「あぁ、問題ないさ……俺の悪運を信じとけ! お前のこの『運試し』、絶対に上手く行くって!」
えぇ……行くわよ!

【寂れた鉄塔を登っていく女性と、それに従う2人の兵士。それを見送って、そこに残った人物は軽く帽子を被り直した】

【くたびれた薄いスーツを右肩にひっかけ、Yシャツにスラックスとテンガロンハットにその身を包んでいる】
【やや無精髭の目立つ顎に、やや長めでだらしなく乱れ気味の金髪とは裏腹に、活力に満ちた瞳を光らせている】
【腰に、鞘に収まったごつい2本のナイフ、何本ものハードダーツ、そして一丁のリボルバーハンドガンをぶら下げている、身長170cm前後の男性】

【そのテンガロンハットには、逆五芒星を象り、その下に≪No.21≫とあしらわれたバッジが留められていた】

――――さってと……おっさん、あんたは下がってなって。殿を受け持つのは、俺の役割だろ?
「……言われずともそのつもりだ。ただ……指示だけは、させてもらわなければ、ね……」

【鉄骨の後ろに半ば隠れる様にして、≪No.21≫と言葉を交わす、もう1つの人影がそこにいた】

【一目見て研究衣である事が分かる白衣を身に纏い、胸ポケットに4本の4色ボールペンとメジャーを押し込んでいる】
【やや白髪交じりの為に、全体的にグレーに見える髪をきっちりとバックに整え、神経質そうな印象のメガネを掛けている】
【やつれ気味の頬と、眉間に寄っている皺が特徴的な、身長160cm前後の男性】

【白衣の襟の部分には、≪No.84≫と言う刺繍が施されている】

<……グゥゥゥ……>
{……キシキシキシ……}

【更に、≪No.21≫の両隣には、それぞれに控える様にして、また別の影が蹲っていた】

【黒く大型で、尾がネズミのそれの様に体毛を伴わずむき出しで、更に先端が3本の指状に分かれている黒犬と、薄汚れた緑色で、人間の頭ほどはある巨大な鋏を振り回す巨大な蟹】
【黒犬は前足の肩に、蟹は甲羅のくぼみに、ドーム状のカプセルが埋め込まれており、液体に満たされた中に『脳』が沈んでおり、神経の束が身体へと繋がっている】

「お前たち……分かっているだろう、敵が来たら殺せ。特に能力者と思しき強敵は……1つ、ただの1つの首で良い、スコアを上げるんだ……」
へっ……まぁ、カリカリしなさんな。ただ祈りゃあいい、幸運って奴をな……「幸運を目指して全力」だ。分かるよな?

【やはり神経質そうにメガネの位置を直しながら、2体の生物に指示を飛ばす≪No.84≫。引き換え≪No.21≫は気楽な態度をみせていて】
【ポケットからコインを1枚取り出すと、手遊びなのか、片手でコイントスとキャッチを何度も繰り返して遊び始めていた】
【ただし、もう片方の手は装備満載の腰に添えられている辺り、まるで無防備と言う訳でも無い様で】
【――――明らかに異質なこの一団は、動乱から敢えて距離を置く様にして、静かに何かを待っていた】

/こちら主催です。セリーナ、ロウのお二方、今日はよろしくお願いしますー!
323 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/24(土) 20:04:06.78 ID:9z3zM7lXo
【雷の国・セードムシティ】

【『グールソルジャー』という存在がある。人を食らう兵士であり、かつてこの街を支配した】
【機関・≪No.6≫の発明。今では厳重に収容され、管理されている――が】
【此度の新六罪王の襲撃において、このような場所が狙われるのは当然の事で】


となれば、送り込まれるのはある程度の力を持つ人物って訳だ
例えばそう……新顔じゃないにしろ、六罪王≠セとか。


【ニヤリと笑う男が、件のグールソルジャー収容所へと真っ直ぐに近付いていた】
【その出で立ちは奇矯。黄金の鎧をまとっており、意匠は龍であろうか】
【目立つものだったが細身である以上、防御のための装備とも思えず】

【そして、貴公子然とした笑い顔――ふわりとした金髪。首から上は晒されており】
【知る者が見れば、彼が誰かはすぐに分かるだろう。かつて月≠落とした男】
【名は――ダグラス・マックスウッド。六罪王が一人、強い能力を持つ人物であった】


……それにしても、どうしようか。大分守りが堅いみたいだね
生憎とボク自身の戦闘能力は高くもないし、そうだな…――。

よし……うん、決めた。強力な壁を壊すには、同じくらい強力な兵士が必要だ
城塞を破壊する破城槌のような……あぁ、良いね。破城槌≠ゥ……!


【――背丈はざっと4,5m。黒を基調とした、分厚い鎧をまとった兵士が出現する】
【全く前兆は無かった。六罪王たる彼が手を振ると、空間に突如現れたのだ】

【そしてその兵士―響く金属音からして、中は空洞か―は、巨大な鎚を持っていた】
【恐らく、それで収容所の扉も壁も、全てを破壊してグールを街に放つ腹積もりなのだろう】
【六罪王は鎧の巨兵の向こう側。守り手が何処に陣取っているかによるが――】


さあ、ゲームの始まりだ。先ずは其処の兵士を倒して見ると良い。
彼はルークで、ボクがキング……簡単なチェスだろう?
勿論……王を直接狙ったって構わないさ。出来る≠ネらだけど――ふふっ、そう怖い顔をしないでよ…――。


【収容所を守り切るか、巨兵と六罪王を撃退するか。守護者の勝利条件は、その2つ】
【果たして、当の六罪王は余裕綽々とばかりに金の髪を指先で弄び】
【一方で、強大な鉄の兵士は両手で鎚を持って収容所の正面へと進むのだった】

//『グールソルジャー』収容所前、VSダグラスのお二人はこちらへっ。
//精一杯やらせて頂きますので、今夜はよろしくお願いします!
324 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/24(土) 20:08:12.98 ID:faXfpI9E0
>>303

うん、行こ。……おかあさん、きっとしんぱいしてるよね。ごめんなさいってしなきゃ……
あのね、わたしのおかあさん、すごくやさしいの。……いつだってわたしのことを思ってくれてるもん。
きっと今も、すごくしんぱいしてるから……えっと、だからね、はやくみつけなきゃ。

【……どうやら少女にとっては、とても優しい母親らしい。そんな母親から受けた愛情が、言葉の端に垣間見えて】
【幼いながらに、優しい母親を心配させまいと思っているようだ。……迷子になっている時点で心配させまくっている気もするけれど……】

【差し出された手を握れば、一緒に歩き出す。……人ごみの中で小柄な少女が歩くというのはなかなか大変で】
【歩く速度もちょっぴり遅めだけれど、大好きな優しい母親を見つけるために頑張って歩みを進める。―――そして】
【数分もせぬ内に、目的地に辿り着くだろう。この界隈随一の大きなスーパー、此処も多くの買い物客で賑わっていて】
【そして……―――居た。「あ、おかあさん!」と少女が声を上げて指差した先には、一人の若い女性の姿】
【彼女がこの少女の母親なのだろう。そして……―――此処まで少女を連れてきた彼≠ノも、見覚えがある女性ではないだろうか】

【上質の絹糸のようなブロンドの長髪を北風にさらりと靡かせ、頭には白いキャスケットを被り】
【マリンブルーの瞳は何かを探すようにきょろきょろと動き、右の目元の泣きぼくろがアクセントの整った目鼻立ちの顔は心配そうに曇る】
【ベージュのトレンチコートは季節に合わせて厚手の温かそうなもの、そこからすらっと伸びる手首は白魚のよう】
【コートの下はグレーのシックなトップス。コートの色と合わせて落ち着いた大人な雰囲気の色合い】
【黒色のスキニーパンツは、すらりと長い脚のシルエットを際立たせる。足元はブラウンのブーツ】
【首には十字架のネックレス、左手の薬指にはプラチナリングとダイヤモンドの指輪が煌めく―――】

【彼女はまだこちらに気付いていないらしく、尚もきょろきょろと我が子をあちこち探し回る。……さて、どう声を掛けた物か】

//お返ししておきます!
325 :ユーリ・ハセ ◆SnY/08zmQ. [saga]:2015/01/24(土) 20:26:02.96 ID:Vxcu+SLY0
【新六罪王の誕生――それに呼応する、セードムシティの「奪還」任務。】
【それに参加するように、という指令……とはいかないまでも、推奨する文章が届いていた】
【No.が単純な序列ではないカノッサ機関でも、1に近づくほどその扱いは丁重なものになるらしい】

【そして、現在。セードムシティ中心にほど近く、事実普段は交通の要所として、車で賑わう大通りに、今は人が溢れていた】
【ぎゃあぎゃあという、人の喧騒すらもその男の耳には届いていないかのように、舗装されたばかりの平坦なアスファルトを歩く男が一人】
【白いシャツに黒いジャケット。ネイビーブルーの折り目正しいパンツ】
【射干玉の髪はざんばらに切られつつも、後ろ髪だけは長くひとまとめに、腰まで垂れ下がっている】
【男の名前はユーリ・ハセという。戸籍も既知の人物も後ろ盾もなく、突如カノッサの一桁に名を連ねた――餓狼のような男だった】

【そんな男が、大通りを歩いていく。向かう先には中央警察署があり、その前には助けを求める人間が殺到していた】

【そして、それを妨げる自警団や正義漢は存在しない。なぜなら、持ち主が乗り捨てた車の上を、浮石を跳ぶようにユーリに追従する存在があったからだ】
【その見た目は、異様の一言に尽きた。】

【狼である。ここまでは異様というのには要素が足りない。次に、かなり大型である。体調は2m50cmを超え、体高も背が大人の肘程度はある。そして、決定的に異様なのが―――その体が、鋼鉄でできているということだった】

【重量もかなりのものなのか、飛び乗った車の天井部分はひしゃげ、フロントガラスは砕けた。】

【軍用車の暴走、機関兵の乱入、それらが数日前の新六罪王の演説に結びつかず、呆然と立ち惚けていた人間も、機獣とそれを従える男の金色の瞳を見た途端、恐懼に駆られ服従を示しうずくまっていた】

【そして、彼は警察署前にたどり着いた。】

「正義は何処か、悪はここにあるというのに」

【惧れから口をつぐむ民衆の中に、正義は存在しえず、その声は朗々と、場違いなほど舞台、演技、劇場じみて響いた】
【ゆえに、彼が待つのは――】

//お待たせしました!八攫さんの方、よろしくお願いします!
326 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/24(土) 20:31:55.27 ID:Gj/cOD6Jo
>>322

【……此処に来るのも3度目か。マーシャル・T・ロウはトレードマークの青いソフト帽の鍔をぐっと下げて、苦笑いを隠しながら言葉を零す】
【この町で起こる混乱に何度も足を突っ込んできた。それは今回も同じだ。前回前々回のように死に近付くことになったとしても、彼の足が止まることは無い】
【いつものように青臭く罅だらけの思想を馬鹿みたいに振り撒きながら、男は戦地に赴く。シャツの右肩には――――緋色の鷹】

【そして彼自身も鷹の目の如き鋭い瞳を正面に向ければ、異様な雰囲気とその奥に隠れる人影――――と、異形の影。男は小さく鋭く息を吐き、歩幅を広げる】
【コツ、コツ。焦ることなく、ゆっくりと相手との距離を縮めて行く。目が合えば微笑を向けるだろう。脅える様子はない。覚悟は出来ているから】
【それに――――今回は1人じゃない。同じガンマンがいる。信頼できる仲間がいる。彼女の前で脅えるなんて、カッコ悪い真似は出来やしない】

……――――SCARLET所属、マーシャル・T・ロウ。
成人式で暴れまくるアホみたいによぉ、新六罪王就任記念パーティーか何だか知らねぇが兎に角ぶち壊しに来たってワケよ。
そんでアンタら……と2匹か、なんじゃありゃ……。ま、新しい六罪王さんに「アイサツ」してぇんだけど――――やっぱりその奥にいる感じかい?
そうなら、いやそうじゃなくてもチョット気になるから通してくれねぇかな?

【右手に赤、左手に青の自動拳銃を握り締めて男は名乗った。2回に渡りセームドへの襲撃を邪魔した男の名前を、相手は知っているかも知れない】
【名乗らずともその格好で分かるかも知れない。白シャツに灰色のジレ、青のソフト帽に首から下げられた、宝玉のペンダントの格好】
【――――いや、もし分からなくても、その笑みから、その「アイサツ」という言葉から、そして右肩の緋色の鷹が、彼らにとってこの男が敵だと示す筈だ】

……2対2プラス2匹。2匹といってもタダの動物じゃあ無さそうだが……こっちの味方は超心強いセリーナさんだぜ?
――――念のため聞いてみるけどさ、闘わずに通してくれる――――ってわけには行きませんかねぇ。みんな痛いの嫌だろ?
こんなこと言っておきながら銃握りしめてるってのもアレだけど、ここ物騒ジャン。……そんくらいは許してくれよ?

【チラリと彼女の方を見てから、直ぐに相手へと視線を戻して告げるは、受け入れてくれる筈もない無意味な交渉】
【不殺主義を抱く彼だからこその言葉が、銃弾を撃つよりも前に飛ばされる。――――相手が答える前に不意打ち、なんてことも彼はしないだろう】

/ロウ中身です、よろしくお願いします!
327 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 20:36:18.58 ID:NIdOobODo
>323

……ふん。何処の誰かは知らぬが、随分と人を食ったような態度じゃな
そういう気取った語りをする男がわらわは……虫唾が走るほど嫌いなのじゃ――!


【突如として響いた声は――天より来るものであった】
【そちらに視線をやったならば、夜空を舞う"紅蓮"の姿を目に捉えることが出来るだろう】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【背部には薄く引く伸ばされた白い三角形の"翼"を広げていた】

【そしてその周囲には――全長2mにも及ぶ4枚の巨大な"紙飛行機"が追従している】


【少女は髪を風に靡かせながら5m程度の高度まで降下すると】
【入口付近に陣取り襲撃者達の姿を視界に収める】


(召喚か……転移か。あれだけの大物となれば、そう多く呼び出せるとは思えんが)
(手札があの一体だけとは思えぬ――機を、誤るわけには行かんの)


【4mを優に超える鎧の兵。それはきっと、ただの虚仮威しなどではないだろう】
【手に持つ槌は生身は勿論のこと、収容施設を破壊するのも容易と考える】

【それに――何よりも不気味なのは金色の鎧を着た男】
【少女はダグラスを名前しか知らない為、特定できずその能力も把握していない】
【故に用意された手札がこの巨人一体である、などと楽観視することは出来なかった】


――遊戯に例えるとは舐められたものじゃな
よかろう……貴様の自慢の手駒を残らず潰し、すぐにその余裕面を歪めてやるのじゃ!

わらわはSCARLETのカミナ・ゲルギル!
不埒な悪党めが、正義の名の下に屈するがよい――!!


【声高らかに己の名を告げ、腰から剣を引き抜き切っ先を巨人へと向ける】
【それに呼応するようにして、周囲に追従していた"紙飛行機"達が一斉に狙いを定め――矢の如く放たれた】

【狙いは巨人。それぞれ頭、両肩、右股関節に向けて高速で飛翔し突き立たんとする】
【紙飛行機の先端は"特性"により鉄のように硬化しており、直撃したならば相応のダメージが下るだろう】
【人型を制する定石、関節などを狙った初撃――果たして、鎧の巨人に如何なる効果を齎すだろうか】


【カミナの左右の空間が歪み、新たに2枚の大きな"紙"が出現し】
【空中で見えない手で操作されているように、独りでにパタパタと折られ始める】


/カミナです、よろしくお願いします!
328 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/24(土) 20:36:51.80 ID:K+WSsw7po
>>321-322


 
  あぁ――――――――――……最高にツイてない。今朝の占いが最下位だったのが確実に響いてる。



【周囲を取り囲む怒声と罵声、混乱と喧騒に包まれた雷の国における"護衛任務"】
【突然の「声明」に対して、混沌を極めるこの都市において、暴徒鎮圧と敵襲撃に備えての警戒・及び戦闘の配備】
【―――というのが今回、この"女"に課せられた任務であった。そこまではいい。だがしかし、事態は警護任務の幅をとうに超えていて】


 ……なんだって急に走り出したのさ、おいおい……ッ!!


【警戒任務と言う事で、一台のトレーラーに待機していた彼女は、突如動き出した国軍の戦闘車両の追突を受け】
【トレーラーの荷台に閉じ込められた状態のまま、"相棒"と一緒にトレーラー毎横転、荷台の中でミキサー攻撃を受けた。】
【追突を受け横転したトレーラーは二転、三転すると引っくり返ったままの状態で故障し、完全にその機能を停止した―――……。】

 いったたたた……、痛っ、へい、"アニー"!!
 悪いけど圧し掛かるのは勘弁してよ、アンタは馬でアタシは人間だ! 重くて死んじゃうよ!
 はやく退いて―――……くそっ、どっちが天井でどっちが地面かもうわかんないよ……ああ、もう――――――――ッ!!

【荷物と機材と相棒の"馬"との間でごっちゃになった荷台の中で、彼女は愛用のテンガロン・ハットを見つけ出すと】
【意を決したように両腰に巻きつけた"ガンベルト"から二挺の銃―――Colt Navy 51に酷似した"魔銃"と、Colt SAAを引き抜くと】


 ……已む無しだ、アニー。―――――――――――GO!!(突っ込めッ!!)


【凄まじい勢いで、ヒンジが捻子くれて開閉不可能になった扉めがけ二挺で計12発の弾丸を全弾漏れなく、ブチ込むッ!!】
【丁度円形に撃ち抜く様な形で弾丸を撃ち放つと同時、それに呼応するように愛馬・"アニー"が唸り声を上げて疾走を開始ッ!!】
【狭い荷台の中で瞬時に加速、そしてその背に"主"を載せた状態で蹄を高く振り上げ―――孔だらけの扉を強く、深く、蹴りぬくッ!】


 【――――――――――轟音。】

【同時に、甲高い馬の鳴き声を戦場に響かせ、"1人のガンマン"が戦場へと舞い降りた。】
【緩くクセのついたショート・ヘアのブロンドを爆破の風に揺らしながら、純白のシャツに土気色のベスト、】
【そしてその上には冬用のコートを羽織り、それぞれを靡かせながら混沌と化した雷の国を弾丸のように駆ける―――!】


 ―――待機はこれだから嫌いなんだ。行くよ"相棒"ッ!!


【両腰のリボルバーを再装填<リロード>しながら、白馬に跨ったガンマン―――セリーナ・ザ・"キッド"が動き出す。】
【すれ違う"RAGNAROK"の名を刻む兵士全てに馬上から"正確に"弾丸を降らし続けながらも、ただ只管に走る、奔る、走るッ!】
【暴徒鎮圧、という目的の為だけに、猛速で馬を進めるセリーナの瞳に入ったのは電波塔―――そして、それによじ登る人影。あれは……】

 ……怪しいモン見っけちゃったね。見逃すわけには―――いかないかッ!!
 (情報収集もしたいところだ、高い位置からならこの街の現状を見渡せる……筈ッ!!)

【愛馬に鞭打ち、重い肉体を急速に方向転換させると、近くに居た機関兵を1人後ろ足で蹴り飛ばして】
【そのまま電波塔の方へと直行、まさに雷の様な速さで"其処"へと向かい、そして―――。】

 
 ―――白衣の男に、アタシ同様時代錯誤なガンマン、それにペットが二匹。
 でも知ってるかい? 許可のない生き物を放し飼いするのはこの国じゃ禁止されてるんだよ、"カノッサのおにーさん"。

【―――急停止。電波塔に構える二人のナンバーズと二匹の怪物を前に、白馬とそれに跨ったガンマンが立ち塞がった。】
【セリーナは彼等を見つけると言葉を発し、そして馬から下りる。相手は自分に近いガンマンと、それに―――科学者、だろうか。】

 何を企んでるつもりか知らないけど、街中で勝手に"軍の乗り物"が動き出してる―――そこにきてこの電波塔ジャックごっこだ。
 洗いざらい悪事を吐いて貰うよ、抵抗するなら……殺してでも連行する、それがアタシの流儀だ。
 だから、一回しか言わないよ。―――"抵抗せず、投降しろ。"
329 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/24(土) 20:42:26.94 ID:mQFIJLluo
>>323
【悪夢、再び――――グラトンという機関でも屈指の狂気と頭脳を兼ね備えた男の軌跡】
【それが色濃く残るこの街に、もう一度現れた闇が六罪王とは、この街は本当に呪われているのかもしれない】

【そんな思考をどうにか振り捨てて、それ≠ヘ混沌の内に叩き込まれた街の中に立っていた】
【北区画での爆発、国軍兵器の暴走。思わず、浮足立ちそうな自分を、必死に押しとどめる】
【この上、ここのグールたちまで解放されたらどうなる? 自分の役割を見失うな――――】

【果たして、その判断は正しかったらしい。この場に現れたのは、考え得る限り最悪の相手】


――――六罪王……ラグナールの時の主犯か……!!

【狂気の頭脳が残した遺産の一つ、グールたちがひしめくこの世の地獄に、降り立つ罪の王】
【それに比べれば、あまりに矮小な有様で、しかし確かな己の意志でそれ≠ヘマックスウッドの前にいた】
【収容所とマックスウッドの間に、その無機質な身体で立ちはだかっていた】

【それは、青年の姿をした人形だった。生きた人間と見紛うような人形が、一人でに歩き、話している】
【少し長めの茶髪と丸い目に青い瞳、中肉中背の体格に面長な顔】
【白いシャツの上に青いジャケットを羽織り、深緑のカーゴパンツと黒いスニーカーを身に着けている】
【人間とは微妙に質感が違う肌と、衣服をしたから押し上げる球体関節。そんな姿で、人形は恐るべき六罪王の前に立ったのだ】


【しかし、やはり力の差は歴然だ。何もない空間から常識外れの巨躯を持った兵士を召喚する】
【まるで冗談のような芸当。これすらカノッサの大幹部たる力の一端に過ぎないのだ】

【兵士が自分の中の空洞に反響させる足音は、その怪物じみた大きさの破壊槌と兵士自身の質量の巨大さを思わせる】
【されど、引くわけにはいかない。これ以上、悪夢を繰り返させてはならない。たとえ、勝ち目が薄くとも――――退けない時もある】


悪いね、そっちと違って余裕がないものだから。顔が強張るのは勘弁してほしいな
盤ゲームはあまり得意じゃなんだけど……

(余裕だな……確かに、本人の戦闘能力は高いようには見えないけど……)
(とにかく、ここを奪われるわけにはいかない。なら、まずはこの巨人から……!!)

【無機質な人形の青い瞳は、黒い巨兵の方を向いた。迫りくるその姿、自分以上の無機質さを感じさせる巨体】
【両手に握られた槌、まともに食らえば自分も収容所の壁もひとたまりもないだろう。あれを振らせてはならない】


>>327
――――!!

【宙にその身を躍らせる、頼もしい仲間の姿を、その攻撃を見た途端。生き人形は行動を開始した】
【カミナの初撃が、それぞれの関節を狙ったのを見て、生き人形・ギアは巨兵の身体を支える足に狙いを定める】

【両手を掲げ、自分の両肩に充てる。身体の中にめり込む両手、ギアの能力の発動】
【引き出された両手にそれぞれ握られていたのは、ミニカーだった。この状況下で、おもちゃとは何のつもりか】

【だが、ギアは大まじめにミニカーを発進させる。地面を這うように、二台のおもちゃは巨兵の足元に向かうだろう】
【もし、巨兵がそれに対処しなければ。ミニカーはある程度接近した時点で、強烈な冷気を車体から発生させるだろう】

【フリーズミニカー。ギアの自作おもちゃ武器の一つ。戦闘用により強力な冷気を秘めた代物、まともに食らえば一瞬ではあるが、脚が凍り付く可能性もある】
【小手先の戦術、なれどそれが生き人形の定石。己の持てるすべてを以って、ギアは悪夢に対峙した】


/ギア・ボックスです。お二方、よろしくお願いします!!
330 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/24(土) 21:04:11.58 ID:9z3zM7lXo
>>327


何処の誰か…――あぁ、それは失礼?ボクの名前はダグラス……
ダグラス・マックスウッド≠セ。一応、機関の六罪王でね?
覇気とか殺気とか、迫力がないのは目を瞑って貰えるかな。


【複数の巨大な折り紙を従えた少女を前にして、にやりとした顔は固まりもせず】
【むしろ初対面のビジネスパートナーに挨拶をするかのように、恭しく礼をする】

【その間にも放たれた紙飛行機が巨兵へ迫り――その内、いくつかを振るった鎚が叩き壊す】
【硬化した先端部も含めて、圧潰させたのだ。力のほどはやはり、巨体に見合ったものがあり】
【幾つかの残った紙飛行機が関節部分を襲うと、鈍い音と共に巨兵の動きは一瞬止まるが――】


血は出ないし、その程度じゃ止まらない。簡単さ、町の広場によく銅像が有るだろう?
あれば動いたと考えれば良いんだ……人型だからって、弱点が人間と一緒とは限らないのさ。
……でも、ただの力押しは馬鹿のすることだ。大丈夫、ちゃんと弱点は用意してあるよ


【『ヒントは破城槌≠ェ発想の元だって事さ』――そう告げると】
【ダグラスは先程の攻撃で飛ばされた、巨兵の兜に腰掛ける】
【巨兵は頭部を失っても健在だ。そしてやはり内部は空っぽ――ぐっと、巨大な鎚を握りしめ】

>>329

【巨体の良い所は、細かなことを気にしなくて良いこと。これは今の状況にも当てはまる】
【象は小石を前にしても足を止めない。同様に、ミニカーを前にしても巨兵は止まらず】

【当然、踏みつけて冷気が放たれ――その黒い両足は、真っ白に凍りついて地面に縛り付けられる】
【カミナの間接への攻撃、そしてこの冷気。共に動きを止める事自体は可能とわかっただろう】
【――だが、それだけではダメだ。巨兵はおもむろに鎚を振り上げると】


どうやらボクを知っているみたいだね、人形君。いい身体をしてるじゃないか
いや、比喩でも何でも無く……ボクは芸術家でね、服の上からでも"分かる"んだ

だから、君のような完成された存在を壊すのは少し気の毒だ
気の毒だからこそ一つだけアドバイスをするけれど…――小手先は止めた方が良いんじゃないかな
だって、あまりにも力量差に違いが有るだろう?梨の礫とか、焼け石に水っていうんだよ、それは…――。

>>ALL

【振り上げられた鎚は、ただまっすぐに巨兵の正面へと叩き落とされる】
【その一動作だけで風が起こる。耳が痛いほどの衝撃音を伴って、地面に巨鎚が辿り着けば】

【さながら其処に隕石でも落ちたかのような衝撃が広がって、路面の破片が周囲に飛び散り】
【これも例えるなら、手榴弾のように二人の守り手を襲うだろう。それこそ、直撃は絶対に避けねばならない威力を持ち】
【中には頭を割ってしまいそうなサイズの破片も混じっているのだから――真に、恐るべきパワーを秘めているらしく】


さあ、今の動きで足を氷でつなぎとめる路面は崩れ、間接に詰まった紙の芸術品も潰れてしまった。
重機の機動部に指を入れると、動きを止める事はできても指が切り落とされてしまうような物かな

……ほら、謎解きは始まったばかりだよ。でなければ逃げても良いかもしれないね
ボクだったら身体を張って他人を守ったりしない……だって、非力だからさ。


【地面を叩いた鎚を、巨兵はゆるやかな動きで持ち上げる。と言っても、決してのろまではない】
【しっかり両手で持ち直せば、再度直進を開始するだろう。石の破片を踏み潰し】
【砂礫の粉塵を黒い巨体でかき分けるようにして、ただまっすぐに――!】
331 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/24(土) 21:04:43.28 ID:ZozvehhI0
>>324

そっか…………うん、いい子だ。しっかり謝らないとな?
優しいお母さんなんだな、分かった、それじゃあ一緒にお母さんを見つけよう!

【どうやら彼女はちゃんと謝れる子供のようだ、それに素直で、優しい。きっと彼女の母親から受け継いでいるのだろうか】
【誰かを想うことが出来るというのは人の心には大切なもの、少女には それがある】

【人の波に流されないように少女の歩幅に合わせて歩く、しっかりと彼女の手を握って】
【少し歩けば目的地のスーパーは見えてくる、余り遠くなくて助かったという所か、まだ彼女の母親は此処に留まって我が子を探しているかもしれない】
【辺りを見回してそれらしき人物を探す、すると彼よりも早く、少女が母親を見つけたようだ】
【指差された方を確認すると、その姿は 男の良く知る人物のものだった】

………………あ……あれがお前のお母さんか…………?
……なんてことだ、こいつは…………こんなことは…………!

【少女と共に早足気味に"母親"へと駆け寄る、声が周囲の音に掻き消されぬ程まで近付けば、その姿を見て ああ間違いないなと確信する】

マリアッ!!!マリアじゃないか!
まさかこんな偶然 ホントにあるなんてな、これも神のお導きってやつなのか。

…………ってことは、この子は孤児院(お前のところ)の子供か……まあとにかく、見つかって良かった。

【驚いた、こんなところで同僚、友に会えるなんてと 彼は思わず驚嘆の声を上げる】
【どうやらマリアがこの少女の母親らしい、孤児院には稀に行くことはあったが、子供一人一人を把握している訳ではない、故にどこかで見た顔だなと思っていたのだ】
【この口振りから察するに、この男……エルヴェツィオが"お母さん"の知り合いだということが分かるだろうか】
332 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 21:14:50.45 ID:kx63kXrD0
>>326

<――――……ガゥゥゥ、ガゥゥゥ……!>
ん…………んぉ、来たな……!

【1人で延々とコイントスをして遊んでいた≪No.21≫。そんな彼に、接近する人物を知らせる為だろう。横の黒犬が唸り声を上げる】
【顔を上げれば、その人物が目に留まる。これでもう手遊びは終わりだとばかりに、それまでちょいちょいと跳ねあげていたコインを、ピィ――ンと高く跳ね飛ばした】

……っへぇ、SCARLETの兄ちゃんのお出ましかよ。こりゃあちょっとツイてないぜ
でもま、ツキなんてのは、流れに乗りさえすりゃあどうとでも変わる。今から嘆くには、ちょいと早過ぎるってもんだな?

【両手を腰に当て、向こう面を見据えながら、≪No.21≫はヘッと不敵に笑んで見せる】
【「ツイていない」と言いながらも、わが身の不幸を呪う様なつもりは、毛頭ないのだろう】

まぁ待てよ。俺たちのリーダーは、今から世界に向けて挨拶をするって所だ。そんな具合で、まだ通す訳にはいかねぇんだよ
ま……運が良けりゃあ、俺たちを押しのけて上にいけるかもしれねぇけどな?
それがしたけりゃあ……見せてみなよ、お前の強運を。マーシャル・T・ロウ……お前は幸運の女神様に、どれだけ好かれてるんだ?

【――――先ほどから、やたらと『運』を強調する言葉を口にする≪No.21≫。それは相手に「幸運頼みでも無ければ自分たちには勝てない」と揶揄している訳でもなく】
【本当に純粋に、その総量を差し図ろうとでもしている様だった。真っすぐにロウを見据えるその瞳を縦に横切って、跳ねあげられたコインが地面に落ちる】

「……おい、余裕をかましている場合ではなかろう。見つかれば、相応に手合いが来るぞ……!?」
……安心しなよおっさん。俺の運気はそう安くはねぇ。これから真っ当にぶつかりあってナンボさ
「急いては事を仕損じる」ってなぁ……無駄無駄にせかせかしてると、運にも嫌われちまうぜ?

【影に隠れる≪No.84≫が徐々に気を揉みだしているが、≪No.21≫はさほど気にした様子でも無い。ある種、この空気を楽しんでいるようにすら感じるだろう】

>>328

<――――ガゥ、ガゥ!!>
あん……あ、う、馬!? ……っはー……馬に跨って登場とは、随分珍しいものをみたなぁオイ

【更に接近してくる人影に、思わず目を見張る≪No.21≫】
【この都市部で、騎乗の上で駆けつけてくる人物が居るとは、流石に予想できなかった様だ】

――――しかもどうやら、こりゃあすげぇ相手を引きずりだしちゃったって事か? ……ツイてんだかツイてないんだか……
「!? セリーナ・ザ・"キッド"……ウルバヌス博士を倒した人間の1人か……!?」

【その人物の素性に感づいたらしい≪No.21≫が苦笑する。この土壇場で、とんでもない強敵にぶつかった様だ、と】
【更に、柱の裏から様子を窺う≪No.84≫も思わず声を張り上げる。その声はグラトンの名前を口にした】
【――――白衣を纏った出で立ちと言い、グラトンの名を口にする事と言い、『RAGNAROK LABORATORY』の関係者に、間違いは無いだろう】

……おいおい、こいつらペット扱いしたら泣くぜ? 運が悪かったせいでこうなっただけで、「人間に戻りたがってる」んだからよぉ
それに、俺から言う事は1つだ……ここを抜きたきゃ、幸運の女神様の加護を見せてみろ……ってな!

【左右に控えている黒犬と大蟹を一瞥し、肩をすくめながら――――≪No.21≫はあっけらかんと口にした】
【『RAGNAROK LABORATORY』が関わっている時点で、こうした手合いに出会う事も、半ば予想されていた事かもしれないが、しかし――――】

/続きます
333 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 21:15:06.34 ID:kx63kXrD0
>>326>>328

はっ……まぁ何でも良いさ。とにかく、ここに顔を出したからには、お前らには『運試し』に付き合ってもらうぜ?
運が良けりゃあ上に生き、運が足りなきゃ逃げ帰れ、見放されたそれまでだ、ってなぁ……

【腰から、左右に1本づつのハードダーツを抜き取りながら、≪No.21≫は尚も不敵に笑んで見せる】
【戦いを『運試し』と言い切るその姿勢は、まるでこの戦いそのものを――――否、死ぬかもしれない事態さえ、楽しんでいる様だった】

――――行くぜ、『ゲヘナ』……死者の魂たちよ……ぉ!

【軽く口中で、何事かを呟く。その瞬間、≪No.21≫の身体から灰色のオーラの様なものが噴き出して】
【同時に――――ォォォン――――ォォォン――――と言う、微かな嘆きの声の様なものが聞こえてくる】
【このオーラが、≪No.21≫の能力なのだろう】

「……どちらか1つ、片方にトドメを刺せば良い。その首を1つ持ちかえれば、お前たちを人間の身体に戻してやる……
 ……その身体の使い方も、分かっているな? ……行け、己の命を取り戻して見せろ……」
<……ガアアアアァァ!!>{ギチギチギチ……!}

【柱の裏の≪No.84≫も、なおもメガネの位置を直しながら、2体の生物に指示を飛ばす】
【その言葉を、生物たちはハッキリと認識しているらしく、返事をするかの様にそれぞれに鳴き声を返した】
【――――それぞれの背に植え込まれたカプセルの『脳』……ここまでくれば間違いない、それは人間のものなのだろう】

へっ、行くぜ……初撃は教えたよな? そっからは自由に戦え…………『ブラスト』!!
<ガアア!!>{ギ……!}

【構えた≪No.21≫の怒号が号令となり、一斉に戦闘態勢に入る3者】
【黒犬と大蟹は――――それぞれに、何かを2人に目掛けて『放射』した。だが、その内容は生物として、驚きに値するものと言えるかもしれない】
【黒犬は、>>326に対して、なんと尾から火炎放射を見舞う。生物が火を噴きだすと言う時点で、既に驚嘆に値するだろう】
【一方の大蟹は、>>328へと口から大量の泡を吹きつける。これなら、まだ火炎に比べれば理解は出来るかもしれないが】
【問題は、その量と粘性――――包まれると、冗談ではなく行動に支障をきたしかねない、立派な足止めの『技』だ】

――――1発で終わってくれるなよ!!

【その直後、≪No.21≫が手にしたハードダーツを、2人に向けてそれぞれ投げつける】
【競技用とは訳の違う、武器としての特製ハードダーツである。まともに喰らえばただでは済むまい】
【それに、纏っていたオーラを付加して投げるそれは――――わずかではあるが、空中で軌道を修正させる】
【急に投げた故に、狙いは怪しくはあるが、だからと言って嵩を括っていると、抉り込む様な軌道で突き刺さる事になるだろう】

/次から、ロウの方→セリーナの方→主催、となる様にレスの順番の調整をお願いします
334 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/24(土) 21:36:03.23 ID:NIdOobODo
>>329

(ギア――今は悠長に言葉を交わしておる余裕はないが)
(六罪王との交戦経験があるあやつが傍におってくれるのは、今は心強いところじゃ)


【共に此処を守る生き人形に、一度視線を向けて考える】
【頼もしい仲間だ。ダグラス――カノッサの頂に座る一角を相手にするならば尚の事】
【走り出したミニカーを見やった後、袖口から天に向けて小さな"折り鶴"を飛ばしながら視線を正面へと戻した】


>>330

――口では何とでも言えるものじゃな道化!
貴様のような優男がカノッサの長ならば、わらわ達の仕事も楽になりそうなものじゃ!

(……六罪王ダグラス、確か情報ネットワークにも記載されておったな)
(大物じゃな……かの資料が正確ならば、あの兵如きは序の口じゃろう――)


【威勢良く啖呵を切って返すも、内心では最大限の警戒を示していた】
【このような場で六罪王を騙る者などおりはすまい】
【世界最強の暴力――カノッサ機関。その頂点を任される六の席の一角】
【その底知れぬ力に対抗するべく、カミナは己を奮い立たせるべく声を吐き出していた】


(やはり、真正面から打ち破れるものではないか)
("動く鎧"、ならば関節を砕いたところでまたくっつくだけじゃろう)

(破城槌……確か杭を台車に乗せて門に叩きつける兵器であったか?)
(抱えて打ち付ける物にせよ、随分と形は違って見えるが――)


【紙飛行機達が迎撃され、命中しても大した効果を得られていない所を見て】
【まともに攻撃したところで無意味であることを悟る】
【ダグラスの語る"弱点"――本人の口から放たれた其れが本当である確証はないが】
【それを見つけ出すことが勝利への道であると、カミナは思考し――】


ちっ――考える余裕もなさそうじゃな!!


【――それも無数に飛び散る石礫達によって、すぐに中断せざるを得なくなる】
【カミナは翼折り紙の特性"加速/飛翔"を駆使して空を駆け、襲いかかる破片達を回避していく】
【空中に居るアドバンテージ。立体的な動きが可能だったからこその対処であった】


            <貴宝院流不折正方形一枚折り・戦斧>


【回避が終了した瞬間、追従させていた"折り紙"が完成する】
【それは2枚の巨大な"戦斧"。完成した瞬間、注がれた神気によってボコボコと立体的に膨れ上がり】
【刃の部分が重く、鋭い鋼のごとく強化された】


本体が傷つかぬならば、まずはその邪魔な玩具から砕いてくれよう!


【"戦斧"折り紙はブーメランのように回転しながらそれぞれ左右に向けて飛翔】
【弧を描くような軌道で、巨人を挟み込むようにしてその重厚な刃を叩きつけようとする】
【狙いは――槌の"柄"。持ち手を砕くことで武器としての機能を失わせようとする攻撃であった】
【未だ情報は少なく確証はないが】
【発想の元が兵器ならば、武器が弱点である可能性もあるのではないかと――】

【カミナの左右上方にそれぞれ新たに紙が出現し、折られ始める】
335 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/24(土) 21:39:45.26 ID:Gj/cOD6Jo
>>332 >>328

……好かれてるかどうかは分かんねぇが、まあ自分から好かれようと媚は売っちゃあいねぇなぁ。
――――知ってるか? 女神様ってのは気紛れでよぉ、アイツは神を信じて縋るヤツよりも神なんて信じずに自分の力で何とかしようって思ってる奴がタイプらしいぜ。
だから俺は運なんかに頼ろうとは思ってねぇよ……実力。実力さ。お前がもし今朝の占いで1位とかであり得ないくらいツイてたとしても負けないくらいの実力差で勝つさ。
ま、女神様はお前みたいな男がタイプってわけでも無さそうだから――――微笑むってこともないんじゃねーの?

【ちゃりん、とコインが落ちる。ロウはそれに目もくれず、運を語る相手を見据えながらこちらも持論を語った。其れは相手を否定するような内容で、一種の挑発】
【視線がかち合う。――――にやりとロウは微笑む。その微笑みにコンマ1秒遅れて、男は両銃のグリップをぎゅっと強く握り締めた。すると聞こえるは、強く土を蹴る音】
【それに混じって聞こえる声で彼女だと分かった。セリーナ・ザ・"キッド"。正義を語り合った仲間にして、同じガンナー】

ハァ……にしても随分とド派手な登場じゃねーかセリーナ……映画の撮影でもしてんのか? カメラどこだ?
因みに俺も入れて時代錯誤なガンマンは3人だ。きっと弾丸飛び交って何が何だかわかんねぇ感じになるんじゃねぇかな……。

……そんじゃいっちょ、アクションシーンの撮影をよぉぉッッ!!!!

【ただ歩いてきた自分が恥ずかしくなるような、彼女のド派手な登場。わざとらしい溜め息も、その後には安心感が見える様な笑み】
【同じガンマンだからこそ、組織は違えど同じ正義だからこそ誰よりも彼女を信頼し、彼女の強さを理解している自信があるから、その表情がある】
【背中を預けられる仲間がいるからこそ、護れるモノがあるからこそ、全力を発揮できる――――マーシャル・T・ロウは、そういう人間だった】

【――――黒犬が炎を吐き出す。其れに合わせてロウは左の青い銃から弾丸を「地面」に放つ。銃弾が当たった箇所から真っ直ぐ巨大な氷柱が生える】
【高温で溶かされ氷の盾は小さくなっていくが、それでも彼の身を護るくらいは出来た。――――そして、次の手。放たれたダーツを捉えると、瞬時に右で発砲】
【精密射撃には自信があるだけに、ダーツに銃弾を当てて相殺を狙っていた。軌道は確かに飛来するダーツへと向かい当たる「筈」だった。しかし――――】

……――――ッッ、外し……いや違うッ、曲げたのか……っぐッ……!!

【――――微妙な変化が、運命を狂わせる。放たれた角度、力加減を瞬時に見抜き正確にダーツに当たる筈だった弾丸がダーツに「躱された」】
【そしてそのダーツの鋭い先が左肩に深く食い込み、ロウは苦悶の表情を浮かべる。――――この相手、只者ではない。改めてそう認識しながら、No.21を睨んだ】
336 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/24(土) 21:42:51.53 ID:faXfpI9E0
>>331

【少女が指差した先に居たのは、嘗ての同僚。まさかこんな所で出くわすとは夢想だにしていなかったであろう】
【つまりは、この迷子の少女も彼女の子供という事であり……全く以て、奇遇としか言いようのない邂逅】
【……ゼン=カイマならまだしも、二人とも縁のある場所とは言えない水の国で出会うとは。世界とは案外狭い物のようだ】

「―――まあ、エルヴェツィオ様!こんな所で出会うとは思っておりませんでした!
 ……ああ、ティアも!無事で良かった……!……全く、心配して探し回ってたのですよ?」

……ごめんなさい……

「分かればよろしい。ふふっ―――さ、おいで。寂しかったでしょう、もう大丈夫ですよ。
 ……エルヴェツィオ様、あなたがこの子を連れて来てくれたので御座いますね?
 私の子供がお世話になったようで……有難う御座いました。あのまま見つからなかったらどうなっていたことか……」

【母親―――マリアも、声を聞きつけて其方を振り向く。次の瞬間目を丸くして驚いたのは言うまでも無く】
【それから、彼と手を繋いだ我が子を見つけると安心したような笑顔を見せる。……やっぱり、心配していたらしい】
【少女が彼の手を離れてマリアの元に駆けよれば、マリアはぎゅっと抱きしめて頭を撫でて……少しだけ、少女を優しく叱る】
【―――そうやって我が子を心配したり叱ったりする姿は、血が繋がっていないのに本当の母親のよう】

【そして、少女を抱きつつエルヴェツィオにも深々と頭を下げてお辞儀をする。……あのまま見つからなければどうなっていたことか】
【心配性のマリアは、きっともっとあちこちを探す羽目になっていただろう。少女だって更に遠くに行ってしまっていたかもしれない】

【さて。少女の好奇心は彼≠ノ移る。どうやら母親と知り合いらしいこの人は、一体誰なのか】
【母親と親しげに話す彼を不思議そうに見つめて。「……おかあさんと、しりあいなの?」なんて訊くのだった】
【そう言えば、彼は少女には自己紹介をしていない。勿論マリアには今更自己紹介なんてする必要はないけれど……この少女には要るかもしれない】
337 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/24(土) 21:47:41.32 ID:C91auDM+0

>>325

【三度混乱に包まれる雷の都市。鋼鉄の獣は命無き水銀の潮の様に虚空を奔り、俄かに恐慌に陥る人々を一顧だにせずかれとともにその進路を駆ける】

【それを阻むものはなかったのだろう。条理を穿ち平常を砕き、“秩序”へと侵攻した混沌の軍勢――――昼日中の影が如く速やかに伸びるその腕は、国軍が鉄と硝煙を以て遮るにはあまりにも巧みであったのだ】

【……けれど、それはよりよい形へのひとつの道程だ。靱き一と靱き一。ひとは、平常を越えた力を以て異能(ちから)に対抗する。 】

【人々の恐怖に応えた様に、或いは必要に駆られたカウンターパートがその分水嶺を挟み対峙することを決めた様に】
【過ぎ去りゆく“恐怖”からそこにある“脅威”へと彼がその役割を変じた瞬間に、また新たな影が舞い降りる―――殺意とはまた異なる敵意が、澄み渡る風の様に大気を満たす。】

【――――― 夜を絶つ様に白刃が閃き、斬り墜とされた闇が暁に食まれるかの様に、黄金の―――明らかに自然のものと異なる火の粉が舞った。彼の為した混沌をこの静寂に塗り替えるように、音もない緊迫がこのときに生まれて】
【太刀を執るその腕が彼を示し、突き付ける刃が顕わにされる。見れば、艶やかな黒を靡かすか細い影がひとつ―――蹴り出した体躯が着地したのは、彼と民との中間たるその一点】


…………カノッサ機関。この混乱も、貴方達の“王”とやらの目論見か―――――

何の為にあなたがこの場に現われたのか、この場所で何を狙っていたのか……私は、未だなにも訊いてはいない。
…………けれど。――――――

【黄金の、彩りを得た白き太刀を繰る藍き人影。】
【腰までの伸びやかな黒髪が、濡れ羽烏と呼ぶに相応しい色合いでその容貌を飾って】
【銀の混ざる橡色の瞳をして、濃藍のトレンチコートを纏った―――少女、だろうか】
【移ろい行く刹那を留め、硝子の様な雰囲気を漂わせる。 時の停まった様な一瞬に、その冷たく透る声が張り詰めた空間を吹き抜けたならば】


……その恐怖と逆五芒の意味する悪意だけで、今宵退けるべき “敵” には十分―――――― 混乱や逃避はここで終わり、大罪もろともに駆逐してあげる。征くわ“機関”――――――この先に、“混沌”を入れる犠牲(ばしょ)はない!


【為される明確な敵対の宣告―――――】
【ひとの流れを戦闘の中枢から離れさす術を脳裏で試みながら、敵対者たる彼とその傍らの獣に最大の警戒を注ぎながら。牽制し敵対し熱を帯びた刃にその意志を託して、濃藍の影は彼の前に立つ】
【果たして、それは彼の求める“正義”には足りるのか。その存在が破壊への意志を呼び起こすとして、向けられる力は何へ向かうのか―――――、】
【数メートルの距離を置いて向かいあう彼らの、何れかが先手を打つこととなるのだろう。軋る大気が爆ぜる様に、開戦の号砲は踏み込む足音とともに響き渡った】

【異常な速度を以ての接近、一歩が彼へと到達させるかの如き予備動作のない剣士の殺し手。しかし近接戦闘を得意とすることを想定することは容易なれば、初手を推測することは不可能には遠く】
【反撃を刹那に行うことも、接近を阻むことも容易となるのだろう。それゆえの、複数の意図を重ねた一手であった。少なくともこの瞬間に、彼の注意はこちらに向くはずで――――。】


/こちらこそ大変遅くなりました……ッ、防衛側、八攫 柊となります
/それでは、よろしくお願いします……!
338 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/24(土) 21:50:50.53 ID:mQFIJLluo
>>334
(カミナさん……まさか、彼女と共闘して六罪王を相手取ることになるとは……)
(一人では到底無理だけど、彼女がいれば可能性はある――――)

【交戦に入る直前、彼女へと視線を飛ばす。話している余裕がないのはこちらも同じだった】
【魂の全てを、眼前の戦いへと集中させるべく、ギアは意識を巡らせる】


>>330
【人形の小細工など、まるで意に介さぬ悠然たる歩み。城壁たるルークにふさわしいと言えよう】
【足を攻撃して動きを止める、この手の巨大な相手に対してたいてい有効となる手段】
【しかし、六罪王の力はそんなセオリーをあっさりと踏み越えて見せる】

芸術家、か……今までのテロもその一環とでも言いたいのか?
芸術にしては、ちょっと悪趣味過ぎるよ……なまじ、芸術家としての技量は一流みたいだから、余計に……

完成された存在とは過分な評価をありがとう。嬉しくないけどね
忠告はありがたく聞かせてもらう


(確かに、これじゃあのパワーの前ではないに等しい……あいつのゲームに乗るしかないか――――)
――――!!?

【思考を中断せざるを得ない、破滅的な一撃が振り下ろされた。人形の身体を通して、魂を揺さぶる衝撃音】
【固い地面をいともたやすく粉砕するパワー、自身の氷など何の意味も成さなかった】

【路面の破片が宙を舞う、冗談のような光景を前に、ギアの魂が反射的に人形の身体を動かす】
【細かい破片に、人形の身体のあちこちを傷つけられ、人形の破片が路面の破片に混ざって散っていく】
【どうにか致命傷は避けた。しかし、これで初撃は無意味なものとなった】


く……ご丁寧な解説をどうも――――!!
(破城槌……映画でよくある、正面から門を叩く杭……城壁の上からの攻撃や横からの狙撃に弱いものだったはず……)
(空洞の身体……兜が取れた穴……)

【ダグラスのセリフには、もはや返答する余裕もなく。ギアは、動き出した】
【大道芸をかじって得た身軽さで地面を這うように進み、こちらへ迫りくる巨兵へと接近していく】

【そのまま突っ込む、と思いきや急激に横に方向を転換し、同時に見ゐてに隠し持っていた何かを投げ上げた】
【プレゼント包装を施された小さな箱。それを、絶妙なコントロールで巨兵の兜が会った場所へ入り込むように投げたのだ】

【巨兵が動きを変えたり迎撃したりすればそれまでだが、うまく穴へと入り込めば】
【箱は内部で破裂し、巨兵の左半身の方に向けて数個の鉄球を打ち出すだろう。おもちゃ武器、サプライズキューブ】

【空洞の中から横に向けて衝撃を与えることで、巨兵のバランスを崩す狙い。あわよくば、そのまま転倒させられないか】
【箱を投げた直後には、ギアの両手は自らの腹に添えられている。さらなる武器を用意しているのだろう】
【小手先が通じないなら、通じる武器を出すまでと、そういわんばかりに青い瞳は巨兵を睨んでいた】
339 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/24(土) 22:07:04.69 ID:9z3zM7lXo
>>334


ふふっ、君は気が強いね。でも、どんな言葉もボク相手じゃ水を殴るような物さ
確かにボクは殴り合いじゃ実に弱い、それは自他共認める所。

……でも、能力は違う。自慢じゃないけど、僕の能力は強い≠
キミのその力も厄介だけど、きっと負けない……いや、倒せる位には。
さて、そうだな…――!……なるほど、勘も良いわけだ


【瞬間的な攻撃速度においては、カミナの術が圧倒的に巨兵を上回る】

【それを証明するかのように、折り創られた戦斧は巨大な鎚の柄を襲い】
【構えて受けるものの万全ではなく、恐らくは思うよりもあっさりと分断され】

>>338


テロも芸術か……いいや?生憎と、僕は人の死体を弄くり回して快感を得たり
こうして破壊行為をして街をめちゃくちゃにするのが好きな爆弾芸術家じゃあない。

好きなのは絵を描くこと、彫刻を作ること……あぁ、油絵が特に好きかな
題材には月が良い。きれいな女性や風景も良いけど、彫刻なら男性をモチーフにしたいね
……まあ、そういう人間だよ、僕はさ。ネジが外れてるのは承知の上だから…――おっと、速いね……!


【カミナの戦斧が鎚の柄を分断すると、その巨体が動きをぴったりと止める】
【破城槌という武器そのものがモチーフ――だとすれば、この巨兵の本体は】
【大きく目を引く黒の鎧ではなく、鎚の方なのか。では、そちらだけ狙えばよいかと言えばそうではないらしく】

【動きを止めた巨兵の胴内に投げ込まれたギアの仕掛けが炸裂すると】
【その内部で耳を劈く金属音が何度も響き渡り、あるタイミングで分厚い装甲凹凸が生じ】

>>ALL

【巨兵は恐らく、与えられた力を喪失したのだろう。本体≠ナある鎚を分断され】
【その体内を荒らされてバランスが崩れると、ぐらりと横ざまに倒れこんで、停止する】


かくして収容所は守られた……―ってなれば、素敵だけど。
でも生憎と僕は諦めが悪いんだ、次と行こうじゃないかふたりとも

さあ、何にしようか?先ずは炎が必要かな、紙を燃やさなくちゃならないだろう?
それに速い動きにも対処できないと困るから…――あぁ分かった、"こう"だね
…――僕自身は弱いんだけど、今どきは便利な鎧があってさ――!


【言葉の切れ目が戦局の変わり目。鎧の兜に腰掛けた六罪王は、立ち上がるなり】

【――跳躍≠キる。バネを弾いたような凄まじい速度で、まずより近い位置に居るギアに襲いかかる】
【放つのは勢いに任せた掌底。鳩尾を狙ったものあり、威力は人ひとりを吹き飛ばすに余りある】
【細身の身体からは想像できない速さと威力だ。気を抜いていたのなら、初動は見えない程だろう】

【そのまま、もう一方の腕がカミナに向いた。放たれるのは火炎放射≠ナある】
【ただし威力が一般的なそれとは違っていて――広い範囲に、強力な衝撃波を伴った熱波を放つのである】

【分かりやすい――というよりも、ドラゴンのブレスを想像すれば良い。それがまさに直喩だろう】
【点でダメなら面で攻める。動かず喰らえば、思い切り殴られるような衝撃と】
【全身にオイルと火焔を食らったような熱傷を受けることとなる。紙も避けねば、燃えるはずで。】
340 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/24(土) 22:23:50.16 ID:ZozvehhI0
>>336

【しかし本当に 何という偶然なのか、偶々来た場所で迷子の少女を発見し、母親を探してみればそれがマリア、彼女だというのだ】
【そんな運命があるのかと意図さえ疑いたくなるような話だが、あるとすればそれが神なのだろう】

ハハ、俺も同じだ、いや本当にビックリしたぜ。
この子はティアちゃんって言うのか……通りで優しそうな子のわけだ、マリアが母親なら納得だな。

…………いいってことよ、迷子の子供の母親一人探せないで神に仕えてるなんて格好つかねえしさ。

【再会を果たす母と子、ああ、これが家族というものなのだ、血縁など無くても立派な家族】
【二人を見ているとそう伝わってくる、マリアから礼を言われれば 予想外の出会いだったせいもあってか少しむず痒そうに指で頬をかいた】
【ともあれ、無事に再会出来て本当に良かった、彼は偶然に対しても感謝することだろう】

…………ん……?ああそうだ、挨拶が遅れちまったな。
前に君のお母さんと一緒に第三近衛騎士団という所で働いていたって言えば分かるかな……?
俺はエルヴェツィオ、姓はサルヴァドーリだ、どうかよろしく。

お母さんは本当に強かったぞ〜?まるでアークエンジェルだ。

【そういえば少女にはまだ名前すら名乗っていなかった、質問されてようやくそれを思い出し】
【親から授かった名を教える、彼の名はエルヴェツィオ、という】
【その後騎士団時代のマリアをややオーバー気味に話した、大天使に例えるぐらいに】
341 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/24(土) 22:30:16.52 ID:K+WSsw7po
>>332>>335

【ド派手な登場には中々の評価を貰えた様で―――意図してはいなかったが、まあ、注意を惹きつけられたなら幸いだ。】
【ここにいる二人はどう見ても強力な存在―――少なくともナンバーズに属するカノッサの上位勢力である事は間違いないのだ】
【別々の場所で動き始めたら、と考えると恐ろしい。だから今此処に自分と、そして"信頼する仲間"で釘付けに出来るなら、ベストだ。】


 (―――ロウさん……まさか、こんなところで背を任せることになるとは、ねっ!)
 
 おやおや、"グラトン"を倒したって情報はしっかり伝わってるんだね、ソイツは有り難い限りだ。
 そう、確かにアタシがセリーナ・ザ・"キッド"、UTの創設者にして現指揮者、そんでもってただの賞金稼ぎさ。
 それにしても可笑しな話だ、確かにグラトンは倒して、"ラグナロク"の名前はむこう100年くらい見るつもり、無かったんだけど……!

【白衣、そして"RAGNAROK"、この二つのワードと、目の前のおぞましい"怪物"、それが導く答えは一つ。】
【そう、生物兵器を主として研究する、カノッサ機関の邪悪な研究組織、RAGNAROK LABORATORYの「復活」であった。】
【確かに、9ヶ月ほど前に打倒していた筈だったが―――残党か、もしくは再構築されたのか。ともあれ、危険である事に変りは無い。】

 ……人間を"無理やり"改造してやった怪物に、それを操るナンバーズ……相変わらずらしいね、反吐が出る……ッ!!
 ただ幸運の女神ね……悪くないけど、アタシはどっちかって言うと"運は自分で掴み取る"タイプでさ……!
 コイントスも裏表両方同じ絵柄のを使って、どっちが出ても上手く行くよう取り計らう―――。
 
 ―――それがプロのギャンブラー、ってね! 

【放たれた負のオーラ、見るだけで触れてはいけないとわかるそれを振りまくNo.21に、襲い掛かる二匹の怪物。】
【しかし連中の言葉を借りるならば彼等は元・人間であって、且つ人間の姿に戻す術が存在するという―――。】
【どう、する。少なくとも、攻撃に対しては対処しなくてはならない。だがしかし、此方から攻撃は出来るだろうか】

 (……厄介な、人質を使うみたいに"元人間"なんて言葉をチラつかせる……卑怯者め。)
 (ロウさんはどうする……人間じゃなくなっていても、彼らには人間に戻る手段があるんだし―――……)
 (不殺を貫くのかな。こんな時で、こんな腐った連中が相手でも……なら、アタシがもっと動くしかない、のかな……ッ!!)

 ―――悪いねロウさん、意識しなくても動きが全部絵映えするみたいでさ!
 天性のモノらしいよ、こういうのって! それはともかく、相手は―――……元人間だ。
 それに元に戻す方法も、連中の言葉が本当なら存在してる……出来るだけ、"鎮圧"に傾注しようかッ!

 ―――そこでだ、アタシがこの"生き物"さんは引き受けるッ!!
  火力はアタシの方があるし、それに防御力だって人並み以上だ、アタシの方が適任でしょっ!
 けど代わりに、そこのいけ好かない"ポーカー"マンに、本当の幸福の女神ってヤツを見せてあげて欲しいんだッ!!
 
 (少なくとも……これで、ロウさんに"悪い"役目を負わせる事だけは避けられる……アタシが撃つ分には、まだ……ッ!!)

【炎をロウがかき消したことで、セリーナはその隙に引き抜いた愛銃、"弾"末魔を構える。】
【そして放たれた"泡"めがけてすかさず発砲、すると弾丸は紫色の魔弾と化して宙に停止し、その場で"召還陣"を形成。】
【普通に行けばこのまま武装を召還して―――というところだが、現状は先ず泡を弾く為のシールド(盾)、として陣を生み出すに留まり。】

 ……"そこ"だッ!!

【―――ダーツ、軌道を変更するそれに関しては、ギリギリまで自分への動きを"見切って"】
【もはや衝突する直前、という所でもう片方の愛銃、Colt SAAを神速の抜き撃ち―――ファスト・ドロウにて撃墜。】
【軌道変更後の、確定した方向を狙って弾道を重ね、瞬時にそこめがけ正確に弾丸を放つ―――まさに、"業"といえるそれが炸裂した】

【―――ダーツの一撃は看破、泡はどうにか防いだが……予断は赦されない。】
【セリーナは怪物二人の処理は引き受ける、と言って、二匹の前に立ちはだかるだろう。】
342 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 22:35:18.04 ID:NIdOobODo
>>338>>339

【カミナの戦斧が槌を破壊し、ギアのサプライズキューブが鎧を蹂躙する】
【かくして巨人は倒れ伏し……しかして、相手は悪名名高き六罪王】
【次は何を"呼び出す"のかと、本体を攻撃する機は存在するのかと考えようとした瞬間――】


な、んじゃと――――!?


【――予想を完全に上回る、ダグラス本人による攻勢であった】
【その面立ちや口調から典型的な召喚タイプ……術師は脆弱な印象を持っていたカミナは】
【見事に意表を突かれ一瞬、対処に移るまでのタイムラグが生じてしまった】

【其れに加えて、相手の選択は広域に渡る火炎の波】
【天敵である"火"が相手では術による防御は出来ず】
【また、広範囲の面の攻撃は如何に機動力に優れようとも躱しきれるものではない】
【即座に離脱を試みるも、生成していた紙の内二枚が焼け焦げ消滅していき】
【また、片翼を掠めたことによりそこから炎上……墜落する事と相成った】


くっ……大仰な鎧を着けておるかと思えば、訳の判らぬ仕掛けをしおって!

しかし、貴様自身が向かってくるならば都合が良い
のこのこと前線に乗り込んできた事を存分に後悔させてやるのじゃ――!


【残った片翼で歪な空中制動を行いながら】
【接地の瞬間に一度逆方向の加速をして勢いを和らげ地に立った】
【衝撃に思考を揺らされながらも、地面に剣を突き立てブレーキをしてダグラスを睨みつけ吠える】

【次の一手は――先程の延長線上、槌の柄を断ち切った二つの戦斧が舞い戻りダグラスを狙う】
【位置関係的には背後からの襲撃となろうか】
【ダグラスの至近にいるギアを斬ってしまわないよう、横振りではなく脳天から振り下ろすような軌道だ】
【時間差で二発――一発目を避けたならば、其処に狙いを付け直してもう一撃と襲いかかるだろう】


(……何よりもあの炎が厄介じゃな)
(もう一度向けられたならば、今度は避ける事も適うまい――ならば……)


                    <貴宝院流不折正方形一枚折り・亀甲>


【残った一枚の紙は、大きな亀の甲羅を模した形へと成りカミナの傍に浮かぶ】
【防御用の折り紙ではあるが、あの火撃に対しては無力なはずだ。……何らかの策があるのだろうか?】

【カミナの頭上、高高度に3枚の紙が出現し折られ始める】
【離れているのは恐らく、先程の火炎放射の範囲に巻き込まれないようにするためであろう】
343 :ユーリ・ハセ ◆SnY/08zmQ. [saga]:2015/01/24(土) 22:37:42.99 ID:Vxcu+SLY0
>>337
【黄金のかけら、そう形容すべき火花が目に映った。】
【そして、この場に現れたのはまぎれもない正義だと、ユーリの悪が告げている】

【持つ武器は日本刀。であれば、戦闘スタイルは自ずとショートレンジの接近戦。】
【以前戦った拳法家のような神父との戦闘のようなクロスレンジではない。であれば、選択すべき武器は】

「本来ここは私が希求する幸福のある場所ではない」

【男は本来、自らに欠落した幸福という存在を他者から奪い自らは幸福になるという信念に従って幸福な人間のみを殺す、他者の幸福を慟哭しながら貪る中心偽証者】

「然れど、末席とはいえカノッサ機関に世話を受ける身」
「私の戴く王は六罪王などではありませんが、ここで悪を執行しようというのは変わらない」

【以前、幸福を望む方法を模索していた時に出会ったある人物を、ユーリは自らの王と定めていた】
【現在は第六位に籍を置く人物は、ユーリに道筋を示し、カノッサへの道を開いたに等しい】
【故に、彼が戴く王は彼女一人。穢土宮入間という、混沌なる世界を望む存在のみ。】

【つまるところ、これは彼女を追いカノッサに在籍するための点数稼ぎのようなもの。偽りの忠誠を示すための単なる行動】

【そして、相手が接近を始めた刹那に、迎撃への行動は始まる――】
「綱刃ノ三――牙刀双連」

【主人を飛び越えるように跳躍した機狼は、空中でその姿を変え、二振りの刀身の厚い、刃渡り二尺程度の双剣がユーリの手に収まった】
【その双刃は迫る白刃を交差させて受け止め、弾こうとさらに力を込める。】

【もし叶わなければ、状況は鍔迫り合いの様相と化すだろう】

【そして、それが叶おうとそうであるまいと】
「私はここにいる市民に手を出すつもりはありません――兵士がどうするかは知りませんが」

【彼女の行動に、こちらの意識を市民から遠ざけようとする意思を感じたのか、そう言葉を投げて見せた】
344 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/24(土) 22:46:55.60 ID:mQFIJLluo
>>339>>342
そりゃ失礼、芸術家としては正統派なんだね
今まであった機関員たちは、大半がそういう爆弾タイプだったけど

……なるほど、こだわりがあるらしいね。その辺りを語らせれば長そうだ。題材に月を、っていうのはラグナールを思い出してぞっとするけどね
カニバディールに捕まってた時、あの場にいたけど……芸術のつもりはないにしろ、テロをやる時は派手好きに見えるよ

ネジが外れてるというより、基盤から歪んでるんじゃないかな――――っと!!

【速度を上げて方向転換した瞬間、カミナの攻撃とのタイミングも合った】
【サプライズキューブが効力を発揮し、巨兵の装甲が形をゆがめる。倒れ伏すルークが地響きを立て、その向こうのキングが姿を現す】


出来れば、その素敵なシナリオの方向でお願いしたかったけどな……

(炎……? 鎧、っていうのが特殊なものなら、装備による力かもしれないけど……)
(さっきの召喚といい、ラグナールの件といい、こいつの能力はいったい何だ……?)

【思考は、戦闘に置いても必要なものではある。しかし、同時に己を縛る枷にもなり得る】
【また、彼自身が口にした通り、直接的な戦闘能力には乏しいという事実。それらが、ギアに隙を生み出した】

な――――がはっ……!!!

【目にも留まらぬ速度。そうとしか形容の出来ない一撃は、生き人形の鳩尾と魂を抉り抜いた】
【軽い手応えがするだろう。内臓や骨や脂肪のない人形の身体は、容易く掌底に吹き飛ばされた】

【反射的に、右手が反撃の一手を繰り出す。幾度も繰り返した動作、武器を取り出して投げつける】
【真正面から単純極まる軌道で跳ねつつ、ダグラスに向かう小さな球体。玩具武器、スライムボール】
【命中すれば破裂し、粘性のある液体となって纏わりつき、動きを制限するというもの】

【しかし、咄嗟の反射的な行動故、数も4つほどしかなく動きも単純。当たったとしても、その鎧にどこまで効果があるか】
【振り払ったり擦り付けたりすれば、案外簡単に取れる代物でもある。すなわち、この瞬間、ギアはほぼ何もできず】
【カミナの気遣いも無用とばかりに、二人から離れたところへと吹き飛び、地面へと転がることだろう】

【苦痛は尾を引き、すぐには動けない。今狙えば、そこにいるのは単なる的だろう】
345 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/24(土) 23:01:31.25 ID:pOhImczjo
【酒場前】

【3車線のこの街のメインストリート。その通り沿いにある老舗の酒場】
【1台の車がその前で路肩に寄せて止める。この街ではパーキングスペースだから】
【法律上のあれこれはセーフ。シルバーのスポーツクーペ。高級車のエンブレムが光る】

【降りてくるのは長身の男。190弱。60キロ。股下89。BMI17以下で痩せすぎで色も白い】
【ソイツはダークグリーンの気取ったサングラスを幾らオレンジの街灯たちで明るいからっていって】
【夜でもかけている。黒い細身のモッズスーツ。赤いシャツ。赤いネクタイ。赤いチーフが胸ポケットに】
【おまけに黒いつば広のハットとブーツ。気取りきったモッズ野郎は真っ直ぐ店に直行する】

……なんだよ。開いてないじゃん

【『CLOSED』のついたドアを押しても開かなくて、しゃがれた声で呟いて溜息】
【無意識にポケットの煙草を探す。安い紙巻をくわえて、店の横。電気の消えたガラスの前で】
【オイルライターで火を付けた。なんとなく見上げると、交差点の角のビルにはヴィジョン。内容は】
【どこかの国で起きているカノッサのテロの速報のニュース。映像が繰り返され、深刻そうに話すコメンテータ】

………ったく。

【薄くなった白い煙を吐き出して、気分を紛らわせる。同じように休業を知らなかったヤツが何人も通りかかった】
346 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 23:02:23.67 ID:kx63kXrD0
>>335

……分かってねぇのはそっちもだな。女神様の実像、見誤っちゃあいけねぇぜ?
女神なんて言われてはいるが、要は1人の良い女なんだぜ?
図々しく擦り寄って来る男なんざお呼びじゃねぇが……つれない男も愛し甲斐がないのさ
ラブコールをしつつ、良い所を見せる。これが幸運の女神様との正しい付き合い方だ……現実の恋愛の延長線上なのさ。よっく覚えとけよ!

【実在するかも分からない相手との『付き合い方』も無いものだが、≪No.21≫はさっぱりと言い切ってニヤリとした表情を見せる】
【幸運の呼び込み方――――要するにゲン担ぎと言うのは、それこそ人それぞれだが、≪No.21≫は相応に自信があるらしい】
【まるで、幸運によってのこの戦闘の勝利を、確信しているかの様に――――】

……カメラは『上』さ。まぁ、ここを撮る事は無いと思うがな……

【つっと、思わず頭上を意識しかけ、いかんいかんと視線を前へと戻す≪No.21≫】
【敢えてそんな冗談に乗って来る辺り、どうやら結構ノリの良いタイプではあるらしい】

ほぅ……魔銃か……!
面白い……こういうやり方で防ぐたぁな……「持ってる」じゃねぇかお前!
(だが……ダーツは当たった。これでホールドが弱まれば、そうそう流れも引き寄せにくくなるぜ……?)

【防御の手段として、氷柱を生み出すと言うのも、≪No.21≫には予想し難いものがあった】
【相手は、相応に手数を整えてこの場に立っている。そうした相手を敵に回すのは、立ち回りのペースを上手く握っていかないと危険である】
【しかし、≪No.21≫は揺らがない。今のところ此方は無傷。ならば、ペースはとりあえず此方に寄ってきていると踏んでいるからだ】

>>341

「……『RAGNAROK LABORATORY』は、確かに一時活動を縮小した。流石にウルバヌス博士が居なくなれば、止むをえまい……
 だが……この度、新たな六罪王を迎え、我々も再び表に帰ってきたと言う訳だ……――――この遺産を、継承したのは私だ……」

【グラトン――――あの狂おしい頭脳の代わりとなる人間など、そうそう居るものではない】
【故に、そこに頼り切っていた『RAGNAROK LABORATORY』も、苦しい舵取りを強いられていたのは間違いない】
【だが、今こうして――――その『遺産』を継承した新たな『RL』が、この場に存在するのは事実だ】

……ま、こいつらは運がなかったのさ。死なないだけマシ、元に戻るチャンスがあるだけマシって奴だが……
「……私に、ウルバヌス博士を超える事など出来はせんさ……ならば、その後を追うしかない……こうするしか、無いのだ」

【その経緯をすら『運』の一言に片付けてしまう≪No.21≫。そこには嘲りや憐れみ、そうした「上からの視線の感情」がまるで感じられない】
【ただ淡々と、その有様をだけ見つめる様なその言葉は――――本当に『運』に透徹されている様なものを感じさせるかもしれない】
【一方で、≪No.84≫はしつこくメガネの位置を直しながら「自分は天才にはなれない」と言う自嘲の言葉を零す】
【やっている事がグラトンのコピーである事も、分かっているのだろう。それが歯がゆいとでも言いたげな言葉だ】

/続きます
347 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 23:02:57.78 ID:kx63kXrD0
>>335>>341

ほぉ……面白い事を言ってきやがったな……セリーナ・ザ・"キッド"……!
よし……その勝負、乗ってやるぜ! これもまた、1つの『運試し』には違いない!
おい、お前ら! 聞いた通りだ……そこのセリーナを倒せ! やれた方をあのおっさんに元に戻してもらう!
出来なくても気にすんな! その時は俺の方に戻って来い……こっちのロウを倒す役に立てたら、元に戻してやるよ!
……良いよな、カテドラルの旦那!?
「……良いだろう。私は構わない。だが……戦力を分散するのは必ずしも上策じゃ無い。気をつけるんだ……」
はっ、万に一つも望みがねぇ訳じゃねぇ…………なら、俺を信じろ!
<……ゥウゥゥ……>{……ギ、チ……}

【それぞれに相手を分けるやり方。≪No.21≫はそれに興味を引かれたと、敢えて戦力の分断に乗る腹を決める】
【腰からダーツを1本、そして片方のナイフを引き抜くと、真っすぐに>>335へと向かい合った】
【一方で、黒犬と大蟹は、言葉を受けて>>341へと向き直り、低く唸り声を上げ、静かに口を打ち鳴らす】
【――――相手が容易ならない相手である事は、重々理解しているのだろう】
【だがこれで、互いに『競争』の形となった。生きて人間に戻れるのはどちらか――――仲間であるはずの相手にチラリと視線を飛ばし、静かな火花が散り始める】

……よっし……っと、そういや、まだ名乗って無かったな……
俺の名前はパウル、パウル=ミュンツァー。六罪王と一緒、新しい≪No.21≫だよ!

【右手にナイフ、左手にダーツを構え、いざこれから――――の瞬間、思わず名乗りをしていない事を思いだし、気を取り直す様に名乗る男――――パウル】
【どうにもとぼけている様な態度だが、今のは完全に『素』だろう。ただ、そのギャンブラー気質は本物の様で】

――――2本目、行くぜ!!

【再びオーラを交えたダーツを投げつけるパウル。今度は1対1で、狙いもある程度ついている】
【その狙いは、ロウの胴体部、大体みぞおちに当たる範囲だろうか。回避をするなら、より大きな動作を必要とする場所である】
【と、同時にパウルは右側へと――――ロウから見て左側へとステップする。左肩を負傷したのを受けて、回りこもうと言うのだろう】

<――――ガァァァァ!!>
{……………………!!}

【一方、>>341に相対する黒犬と大蟹は、どこかじりじりした空気を保っていた】
【――――ただ飛びかかるだけでは勝てない相手である事を、先ほどの防御で理解したのだろう】
【ならば、確実に付け入る隙を狙っていかなければならない。早い者勝ちではあるが、そもそも辿りつく事を考えなければ――――】
【そんな思惑が合致したのだろうか。両者の動きは揃った】

【――――黒犬が、真っ向から火炎放射を放ち、浴びせかける。無論、これがそのまま通るとは思っていない】
【その隙に――――大蟹が、かさかさと横歩きで近づいて行くのだ】
【――――銃で撃たれても、キチン質の甲殻を持つ蟹の方が、致命傷を受ける確率は低い。なら、まずは付け入る隙を作る――――そんな判断だろう】
348 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/24(土) 23:03:41.72 ID:kx63kXrD0
>>全イベント参加者

【混乱の坩堝と化していた『セードムシティ』】
【ある所では暴走車両が人を轢き殺し、ある所では戦闘による銃弾が誰かを撃ち殺す】
【そんなパニックに陥っていた市内全域に、ブゥン――――という電子音が響く。それは、都市の外、気を揉みながら状況を見ていた人間たちも同じだった】
【電波ジャック。前日のそれに引き続き、更に大規模な独自ライブ放送が、開始したのである】

――――改めてこんばんは、世界中の皆さん。この放送は届いてるかしら? ……スピーカーの音からして、大丈夫そうね……

【市内あらゆるスピーカーからその音声が響き、あちこちのモニターにその姿が映り込む】
【赤く焼ける夜空をバックにして、その人物は悠然とカメラの前に姿を表していた】

【右袖に瑠璃溝隠(ロベリア)、左袖に池を伴った雪景色、そして背中に満月をそれぞれあしらった、派手な赤地の櫻の衣装を優雅に身に纏い】
【艶やかな光を纏った黒い長髪を、金の簪と共に複雑に頭上に編み上げて、丸みを残しながらも目鼻立ちのすっきりした顔に、紅の口紅が色を添える】
【首から、紐に通され、額に特殊な印の様なものを刻み込まれている、4つの頭蓋骨をぶら下げている、身長160cm前後の女性】

……私は、サツキ……首狩 殺鬼(くびかり さつき)とでも、サツキ・ザ・ヘッドスラッシャーとでも、好きに呼んでくれれば結構よ
先の放送の通り、私はこの度、カノッサ機関の新たな六罪王として、機関の一派を取り仕切る事になった
私たちの最終目標である『混沌』を世界に齎す為に、私たちの力をここに示してあげましょう……!

【名は体を表す、と言う訳でもないが、恐らくはわざとなのだろう。首のしゃれこうべをカラカラ言わせながら、新たな六罪王――――サツキはこれ見よがしに空を仰ぐ】
【――――かなりの高所からの撮影なのだろう。火中の『セードムシティ』を、かなり見晴らし良く眺める事が出来る】
【赤く染まる市街地と、それに照らされる夜空。そして、断続的に続く爆発音。『セードムシティ』の混乱の様子が、遠く眺める様に映し出されていた】

……私たちの力を以ってすれば、この通り。事前に如何に防備を固めようとも、関係無いわ
私たちはこの力を、あまねく世に知らしめる。その為には、百の言葉を並べたてるより、この有様をだけ見せて、理解してもらう方が良いでしょう
――――そして、共に混沌に生きる事を、思いなさい。私たちと共に、古い世界を打ち壊し、新たなる世界に手を取って歩きだす。これはその最大のチャンスと取って欲しい……!

【カメラは、遠く1台の戦車をフレームに収める。流石に戦車砲を発射こそしていないが、副砲の機銃が掃射され、バタバタと人が倒れていく】
【そうして暴走するその戦車には、ハッキリと雷の国国軍のエンブレム――――雷の国の護る力が、仇となって人を殺している】
【それもまた、信じるべきものを混乱させる、混沌の一側面と言えるのかもしれない】

……それでもなお、私たちと共に生きる事を拒否する者もいるでしょう。それならそれで結構。ただし……1つだけ。言っておかなければならない事があるわ
これは私に限らず、私の直属の部下たちにも、形を変えて透徹されている1つの『在り方』、1つのやり方よ

【カメラの外から、ぐい――――と何かを持ちあげるサツキ。それは雷の国国軍の兵士の死体。首元に刺し傷のあるそれを、彼女はその細腕で】
【――――否、指先から飛び出ている線の様なもので持ちあげ、これ見よがしに掲げる】

これだけは……これだけは忘れずにおきなさい…………「死んだぐらいで、許されると思うな」と……ね!

【突如、死体がバラバラに分解される。それは引き裂かれるとかそう言うレベルではない。さながらジューサーに掛けられたように、空中で液状化していき】
【そしてそれが、サツキの指先からその身体へと吸い取られていく。ものの4秒で、死体は跡形もなく消え去ってしまった】

……私たちの敵となる者は、例え死んだとて、その肉体も、魂も、許されず、放たれず、利用され続ける事になる……!
それを恐れないと言うのなら……決戦し、地獄の向こう側へと無残に送り届けてあげるわ
……これを見届けた人たちは、愚かさと決別する事を期待する。今一度、この有様を胸に焼きつけなさい……

【そう言い残し、電波ジャックは終わり、沈黙する――――事は無く、そこにあるのはやはり混乱と悲鳴だけである】
【だが、六罪王の言う通り、これ以上の言葉は不要だった。その混乱と悲鳴とが、彼女の何よりの表現なのだから】
349 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/24(土) 23:04:06.72 ID:9z3zM7lXo
>>342

ああ、世の中には訳の分からないことが一杯だね
だがそれは不思議≠ェ悪いんじゃなく、キミの想像力が欠けているだけさ
『どうしてこのひ弱そうな男は鎧を着ているのか』……とは、思わなかったのかい?

……そうそう、それとキミにはもう2つばかり言いたいことが有るんだ
この攻撃を凌いでから言わせてもらうよ…――その時にはもう、遅いけどね

【飛揚する敵を血に落とした。それだけでも十分とばかりに笑ってみせると】
【迫る戦斧には、先ほど巨兵を呼び出したのと同じように盾≠頭上に作り出して対応する】
【その通常でない点はただひとつ、中央で折れ曲がる事。つまり、斧を受け止めた直後】
【それをぱくりと飲み込むように折れて、挟み込み、戦斧そのものを無力化せんとして】

【更に直後、倒れ伏していた巨兵の鎧がカッ!≠ニ音を立てて左右に開く】
【まるで鋼鉄を切り開いたかのような音であった。その奥から、何者かが飛び出し――】

>>344

基板から歪んでるって考え方は、ちょっとしてなかったかな。
でもそうかもしれないね。ネジを戻せば治るかって言えば、多分違うからさ…、っ……?

【人形であるギアを吹き飛ばし、頭上では斧を受ける。それが僅かな隙となったか】
【スライムボールの粘着質は爆ぜてダグラスの手と胴を絡めとる】
【無論、それで倒れこむまでは行かないが――瞬時に飛びかかって止めとは行かなくなり】

……こういうシナリオはどうだい?君は必死に抵抗するが、呆気無く僕に焼かれてしまうんだ
でも安心しなよ、いつかキミと同じ形をした人形を作ってあげるからさ
墓前に捧げる、せめてもの供養って奴かな。……じゃあ、燃えてみようか?

>>ALL

【ダグラスの攻勢はすさまじい物があった。ギアのスライムボールで動きは一時止まったものの】
【すぐに掌底を食らわせた方の腕を倒れ伏すギアに向け、今しがたカミナに放ったのと同様の】
【ドラゴンのブレスに近しい一撃を見舞おうとする。避けねば――威力は言うまでもない】

【だが幸いなのは、スライムボールで行動が阻害されていることか。狙いを付けるまでに数秒かかった】
【その数秒は大事な刹那――強大な一撃故に、狙いを変える事は難しいはずで】


さて2つ、言いたいことがあると言ったけれど、お嬢さん…――?

一つ目はね、僕の能力さ。単純な能力勝負、物量勝負じゃ僕は負けない
この頭のなかにある創造物が付きない限り、決して……と、言い切ってあげよう。
想像物を現実に引き出すのが僕の力だからね……便利だろう?

それと、2つ目は……これも想像力の話。がらんどうの巨兵を倒したからもう無力――。
そう思っていたのなら、これもダメだ。見たところ、キミは僕と同じ召喚タイプだろう
となれば接近戦には滅法弱いんじゃないかな…――例えば、彼のような騎士相手だとか、ね?


【――巨兵の鎧から飛び出したのは、もう二回りほど小さな漆黒の鎧を身に付けた騎士であった】
【速い。ダグラスがギアに向かって跳躍したのと同じ程度には、速いのだ】

【加えてパワーもあるようだった。足音は重く、中身≠ェ有ることを認知させる】
【そんな漆黒の騎士は、直刃の剣を握ってカミナの元へと真っ直ぐに突進し】
【手にした剣で、勢いを乗せた突きを見舞おうとするだろう。狙うは、左の胸部であった】
350 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/24(土) 23:05:43.55 ID:faXfpI9E0
>>340

まあ、相変わらずお世辞が上手いんですから!ふふっ……
―――でも、この子がこんなにも優しく育ってくれたのは、母としても嬉しい限りで御座いますよ。
本当に、良く気の付く良い子です。少しおっちょこちょいな所もありますが……私の自慢の娘で御座います!

【控えめだけれど、それでも自慢げに優しく育ってくれた娘の事を語ってみせるマリア。その表情は何処か嬉しそうで】
【この子の事が、どんな事があっても何よりも大切なのだ。こんなに良い子に育ってくれた娘が、何よりも嬉しいのだ】

【叱ったりもするけれど最後にはやっぱり愛娘を心配し無事を喜ぶし、自慢げに愛娘の事を語ったりもする】
【母親として、世界中の誰よりもこの少女に愛を注いでいるからこそ……こんなにも、心配したり安心したりするのだろう】
【少女がマリアを母親のように慕う理由も、きっと其処にある。親を失った少女が、こんなにも心を開く理由……それはきっと、愛に他ならない】

【―――さて。一緒に母親を探してもらった人なのに、少女はまだ名前を知らない。】
【改めて教えて貰おうと訊いてみると、応えてくれた。という訳で、自己紹介をまじまじと彼の顔を見つめながら聞き入って】
【ティアもあどけない声で頑張って自己紹介をする。母親から習ったばかりの丁寧語を一生懸命使おうとしているのが何とも微笑ましい】
【まあ……「不束者」の意味とかは、たぶん分かっていないだろうけれど。】

あ、えと、……わたしはティアっていいます!ふつつかものですがよろしくおねがいします!

―――あ、それ知ってる!おとうさんがリーダーだった所でしょ?……おかあさん、つよかったんだ。

【騎士団というワードを聞けば、ティアは「知ってるよ!」なんて元気よく返事する。母親が居た所だから、その存在はちゃんと知っているようだ】
【―――おとうさん≠ニはつまり、元騎士団長の事だろう。実はこの子、結構騎士団とも関わりが深いようだ……】

えっとね、わたしもいつかおかあさんみたいな人になりたいの。まほうとかもね、おかあさんやおとうさんからいっぱい教わってるの!

いくよ、見ててね?――――えい!

【……そう言って披露するのは、マリアも得意とする光の魔術。小さな手にふわりと光の塊を生み出して、自慢げににかっと笑ってみせる。】
【今はまだ、それだけしか出来ないけれど……まだ10歳ほどの少女が此処まで出来るのは優秀と言って良いだろう。】
【褒めてやれば、喜ぶだろう。子供は褒められると嬉しいものだから……】
351 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/24(土) 23:26:27.88 ID:irot9VB0o
>>345
───あら、困ったわね、閉まってるわ

【通りがかった何人もと同じように、また一人が『CLOSED』の看板を見て残念そうな声を出した】
【軽い溜息と共に漏れたそれは、艶かしい女言葉なのであったが、それを紡ぐ音程は非常に低い】

折角お仲間の祭り騒ぎを肴に一杯やろうとしたのに……もしかして、そのせいで休みなのかしら?

【雷の国で起きている戦いの中継を映し出すニュースを、ちら、と振り返り眺め見る。然程気にする様子も無く、そのシャンパンゴールドの視線は傍の男に向いた】
【彼はそこにいた男と同じ程の長身だ、それに加えてガタイも良く、褐色の肌に補色する白いアフロヘアが更に体を大きく見せる】
【タイトな黒い皮パンツとボンテージシューズ、それに皮ジャンパーを着た男は、腰を強調するモンローウォークでサングラスの男に歩み寄っていった】

こんばんは、ナイスガイ
あなたもこの店に閉め出されちゃったのかしら?待ってても開きそうにないわよ?

【休業の看板を見れば、他の店を探しにそこを離れるか、早めに家に帰るかする奴らばかりの中で、その場に残る者は珍しい】
【彼自身もそうなのであるが、だとしても同じ事をする者は珍しいのであって】
352 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/24(土) 23:28:50.49 ID:7MVheVhw0
>>343


(…………、……―――――――)

【彼が求めるという幸福――――僅かな葛藤を、浮かび上がる小さな疑問を胸裏に押し込んで剣を執る。】
【為すべき“今”は機関の迎撃、そして敵方の目論見を挫くこと。総てはその後に願う事だ――――……ひとの部分を、そうして封じる。】

【そして疾駆する藍は剣を揮い、鋼の狼が双つの刃となってそれを防ぎきる光景を双眸に映した。】
【ただの使役獣ではなかったのか――――内心で瞬時の変形からのこの様な業を可能にする構造の精緻さに感嘆を覚えるが、それに気を取られている余裕はなく】

【組み合った状態で技法を測る。加える力が会話の様に、手応えに手応えを返して次の一手を推測させ】

――――…………っ!

【弾き飛ばそうとする動きに均衡が崩れ、押し込まれた動きに呼応して瞬間的な所作で後方に一度跳び退る。反撃を加えられなかったのは―――崩された体勢が確実に理由にあって】
【少なくとも組み合った際の膂力に関しては、刀剣を労せずして扱える程度でしかないと推測出来るだろうか。恐らくは彼に対しては、体格の差もあって不利は間違いないだろう】

【着地、そして構えなおす太刀。より冷静な思考を齎したのは、意図を読んだ様な彼の言葉だった】


……あなたは、意外と紳士的なのね。大人しく倒されて通してくれるなら、私も話が早いのだけれど……――――――。

【機関(かれら)総てを駆逐せんとする様な――けれど毒のない端的な言葉。“混沌”を求めず此処に立った理由を問うている様でもあり、退けることに違いはないと己に刻む様でもあって】
【自分を殺そうという相手であるにも関わらず、目的が未知であったときより明らかに安らぎを帯びた表情がそこにはあった】
【……退くつもりはない、兵士に人々への攻撃を実行させる程の余裕を与える事も。】

【もしもその猶予があるのならば、彼の言葉を思い起こさせる様に市民に視線を遣って】

【彼らが逃れたなら“彼”を見遣る。……思うのは、先程の行動の意味と意図。】
【跳ね除けたのは体勢を崩すことを狙ったか、或いは遠隔型の攻撃手段を隠し持っているのか。どちらにせよ再度の接敵と斬撃は必要にして最善であった――――――……元より少女の戦闘手段は、この剣戟に限定されている】

【疾走――――低く屈めた体勢から、再び瞬発力を活かした瞬息の挙動。狙い通り距離を詰めることが叶うなら、立ち上がり様に彼の右脛部を斬り裂き機動力を奪うことを狙う】
【ただ、迅さを追求した精緻なる上昇型の剣。それにしてはなにかを秘めた様な表情だったが―――彼女の操るその刀刃に、確信めいた意図への答えはあった】

【“かたちあるものを斬る”概念を得た切断力特化型の刃、物理法則を越えたかの如き極限域の鋭利さを特徴とする剣の異能。】

【太刀が太刀として機能する状況にある限り、その刃を前に並みの重合金装甲程度は薄紙の護りに等しく】
【“だからこそ対処法もその鋭利さに拠ったものとなる”。刃筋を外す、浅い部分を抉らせ芯を外す――――精密な動作を高速で行うこと、その前提が崩れれば十全の破壊力は発揮し得ない。ならば、その“誤差”を彼女の体勢を崩すことに充てることも、彼の技量次第では可能となる筈であったが】

【“意図的に”、今の彼女は切断の異能を発現させている。すなわち見誤れば先の比でない破壊力を、その身へと叩き込まれることとなる】
【熾烈なる銀光は音を引き裂いて、双刃が防ぐならばその強度を試さんとばかりに鮮烈な斬弧を描き出した。刀の間合いは双刃の間合い――――状況は、何れにも楽観できるものでなく】
353 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/24(土) 23:33:33.63 ID:Gj/cOD6Jo
>>341 >>346

【――――鎮圧。確かに彼女はそう言った。そしてその言葉は、実際はどうなのかは分からないが、ロウには自分の、「不殺」への配慮に思えた】
【命懸けの戦場の中で配慮をされる。ロウには嬉しくもあり心配でもあり、そしてすこしだけ自分が情けなくもなった】

……――――わりぃ。でも「出来るだけ」だ。お前は無理すんな、無理するのは俺だけで――――って言ったら、お前を心配させちまうからな……。
OK……じゃ、俺はこの"ポーカー"マンだ。人の命を弄ぶそっちのメガネもぶっ飛ばしてぇがここは分業、俺はコイツを……俺のやり方で「捕まえる」。

ま、今はちょっとだけ劣勢だが任しとけや……つーかっ!! さっきダーツスカしてるからこの鬱憤晴らさねぇと納得しねぇんだよっ!!
次はもう外さねぇ――――要はちょっと待って撃ちゃ良いんだ……早い男は嫌われる、其れだけ思っときゃもう恥晒すこたぁねぇなぁオイ!

【ロウの瞳は一点だけ。No.21だけを睨み――――放さない。正義の心や使命感だけではない。彼女に任されたということと、プライドに傷つけられたこと】
【射撃だけは傲慢ながらナンバーワンだという自負がある。だからこそ、彼女が当てて自分が外すということが結構イライラ来ていたらしく――――眉間に皺が一気に寄った】
【――――言い聞かせる。ロウよ、クールになれと。――――言い聞かせる。ロウよ、自分を信じろと。神を信じる者ではなく自分を信じる者にこそ、女神は微笑むと】

【左肩に痺れるような痛みが走るも、まだ動く。大きく肩を動かすような――――例えば上への反応は確かに遅れるだろうが、こんな傷は幾らでも受けてきた】
【ロウは細く息を吐きながら、膝を僅かに緩める。両手はだらりと下げられており構えとは言い難いが、老獪な雰囲気は確かに彼の周りから放たれて――――】

……ナイフか、ガンマンにとっちゃ寄られることが一番嫌なんだ。そう簡単にそのナイフが使えるとは思うなよッッ!! ……ッラァッ!!

【パウルのダーツが放たれ、十分に引き寄せてから――――敢えてロウは傷を負った左腕を上げ、左の銃で跳ね飛ばした】
【やや上げるのが怪我のせいで遅い分だけ引き付けられる。曲がらないことを確認してから真っ直ぐ放たれた銃弾で相殺。問題はまたしても次の手だ】
【両手をだらりと下げた構えは一見隙だらけに見える。腕を上げて照準を合わせる時間がロスになるからであるが、この構えはあることに適していた】

……――――現実の恋愛と一緒にされると、プライドの高い女神様はお怒りになるんだぜ……いや、そんなことはいい。
どっちに女神さまが惚れようとも――――勝つのは俺だからなぁッッ!!

【パウルがロウの左に回る。しかしロウは身体を彼へと向けることは無く―――――――赤い銃口が、背中を通って彼に向けられる】
【背面撃ち(バックショット)。彼の得意とする銃技の一つであり、変則的なフォームで弾丸が放たれた。狙いは右脛。機動力を削ぐ目的と不殺の意志が其処にはあった】

>>348

【突如天空から響く声。もしかしてパウルが言ってたカメラというのも、上空かどこかからこの光景を六罪王が見ているからなのかと想像を瞬時に深める】
【サツキ。そう名乗る六罪王が物騒な挨拶を続ける。画面に映るは不気味な姿の女性。死体を分解したり、戦車が人々を蹂躙したりと怒りを沸き立たたせる映像が流れる】
【――――それを無言で、ただただ無言でロウは見つめ、終わる直前に小さく舌打ちだけを残した】

……死んだくらいで許さない、死んでも利用してやる――――か。じゃあ俺は死なせずにアンタらをぶっ潰す……絶対に……絶対にだ……!!
其れが俺の正義だ。聞こえてるかどうか分かんねぇけど、それだけは言っておくぜ。……ちょっと待っとけ、直接拳骨ぶち込んでやるよ……ッッ!!

まずはコイツ等が先だ。コイツ等とっちめてから六罪王さんに「 ア イ サ ツ 」しねぇとなぁ……!!

【ようやく口を開けば、言葉に端々に感じられる憤怒。熱いマグマの様な何かが、言葉に、視線に、声に現れていた】



354 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/24(土) 23:34:12.07 ID:NIdOobODo
>>344>>349

【戦斧は盾に飲み込まれ無力化する】
【勢いをつけて振り下ろしていた分制動が出来ず、避けることは適わなかった】


――――っ!

(想像した物を現実にする力、じゃと……)
(六罪王ダグラス……侮ってはいなかったがこれほどとは――)


【想像した物を自由に生み出す――言ってみるならばカミナの完全な上位互換だ】
【こちらも紙で形を作れる限り、あらゆる物を真似て生成出来るが】
【完成させるまでに時間が掛かり、"紙"という性質に縛られ多くの弱点を有しているのだ】

【一瞬で場を制圧されていない以上、何らかの制限はあると踏んではいるものの】
【現状その欠点を見い出せず、ただただその底知れぬ力に圧倒されるばかりであった】


火に接近戦……ああ、認めようわらわの弱点だとも
じゃが、そんな見え見えの弱点を突いてきた輩がどれだけおったと思っておる?

――わらわを舐めるでないわ馬鹿者が!
この程度の児戯……苦境の一つにも数えられぬわ!!


【この少女の武器の一つは"経験"だ。多くのテロに立ち向かい命を賭けて磨いてきた技術】
【即座に状況を判断し、手駒を操作し身体を動かす判断力と精神力】
【其れ故に高速で迫る騎士に対しても、怯むことなく対処をしていく】

【カミナは"亀甲"折り紙を自身の前に移動させ、大盾の役割として起用する】
【それによって表面を強く削られながらも斜に構えて突きを"受け流し"】
【直後に亀甲を前方に強く突き出すことでシールドバッシュ――衝撃により体勢を崩させようとする】


              "――茅葉屋経/天つ剣の法琢ぎは/敵災事/悉斬失――"

                  【<"神道――剣印・伊都之尾羽張剣">】


【盾による防御と同時にカミナは――"反撃"の一手を繰り出した】
【地面に突き立てていた剣から手を離し、呪文と共に手で素早く複雑な"印"を組むと】
【体内の神気が形を持って顕現――剣に白き光となって纏わりついた】

【"亀甲"の陰から飛び出したカミナは、騎士に向けて1.7m程の白き光の刀身を持つ剣を力任せに横薙ぎに振るおうとする】
【技術としては一端の剣士とも比べ物にならない稚拙なものだが】
【もし先の行動で体勢を崩されていたならば、"高熱"の光刃により鎧ごと焼き切られる可能性もあるだろうか】


(これで斬れたならば儲け物――其れが出来ぬならば……)


【また――空中に新たに1枚の紙が出現し。折られ始める】
355 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/24(土) 23:34:17.35 ID:7MVheVhw0
/っと、内容は変わりないのですが描写の補足を……っ!

>>352

… 立ち上がり様に彼の右脛部を斬り裂き機動力を奪うことを狙う】



… 立ち上がり様に擦れ違う様に、彼の右脛部を斬り裂き機動力を奪うことを狙う】

……でしたっ
356 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/24(土) 23:43:07.63 ID:mQFIJLluo
>>348
【朦朧としかかっていた意識が、皮肉にも敵によるスピーカーからの放送によって取り戻される】
【電波を使っての派手な告知は、かつてこの世界に牙を剥いたあらゆるテロリストたちに共通する要素の一つだ】

【新たなる六罪王の宣言。死してなお、その魂を弄ぶという、許しがたい宣告】
【かつての六罪王の手で人形の身に落とされたギアにとって、それは冷たい怒りを呼び覚ますものだった】
【その怒りが、この場での意識回復に一役買ったのだから、皮肉ではあったが】


>>349>>354
【ともあれ、ギアは目の前の戦闘に意識を引き戻す。人形の瞳が、スライムボールの成果を捉える】
【しかしやはり、多少の足止め程度では止まらない。それでも、追撃から逃れる隙は見逃さなかった】

ぐぅ、う……!! そりゃ、ずいぶんシンプルで捻りのないシナリオだ……!!
流石にそれは、気持ち悪いから遠慮しとくよ……自分そっくりの人形が墓前にあっちゃ、未練が湧いて成仏出来なさそうだし……
それに、自分の死体を担ぐ経験は、すでに通過済みだ……!!

【必死に身体を引き起こし、痛みをごまかす目的も兼ねてダグラスへと叫び返す】
【だが、いつまでもそうしてはいられない。痛みにかまけて死んでは無意味だ】

【ブレスの射程範囲から、身体を引きずるようにして逃れる。直後、解き放たれた地獄の業火】
【わずか数秒が生死を分ける。身体の大部分は、ブレスから逃れることに成功した】
【しかし、その熱気だけで最後に逃れた左足全体を火傷したような錯覚に襲われ、ギアの魂は声なき悲鳴を上げた】


【その痛みを必死に無視しようとしながら視線を戻せば、さらに新たな兵士の登場】

(自分の想像したものを創り出す……? それが本当なら、想像が及ぶ限りほぼ何でも出来るってことじゃ……)
(六罪王の地位になるからには、相応の理由があったってことか……こんな力に、どう対処すれば……)

(クソ、痛みで頭が回らない……そうだ、こうなったらもう単純に……!!)

【頭が彼の能力の源というなら、頭を狙えばいい。しかし、ただ狙ったところであっさり対処されるだろう】
【ならば、今の手持ちで意表を付ける何かを。ギアの魂が結論を出すか出さないか、というところで、人形の身体は駆けだしていた】

【熱気を浴びたせいで先ほどより動きは遅くなっている。その状態で、あの速度の騎士へと駆け寄ろうとし】
【その道中で、肩に充てた手を引き抜く。鞘ずれのような音と共に、姿を現したのは一本のサーベル】
【今までのおもちゃ武器とは違う、純粋な武器。持ち手の部分は、かつてゼン=カイマで得た土砂竜・ハビギスの鱗で装飾され】
【また同じくゼン=カイマで刀身に聖水の永続塗付を施してもらった代物。自らの忌まわしき血筋、ボックス一家が受け継いできたサーベルであった】

【カミナの繰り出したまばゆい刀身の剣をかわしすように姿勢を低くしつつ、騎士の足へとサーベルで斬りかかろうと】
【する、と同時。ギアは両腕をそれぞれ逆の方向へと振るった】


【左腕で握ったサーベルを騎士の足元へ向けて振るい、右腕は振った勢いそのままに】
【自身の身体から切り離し、ダグラスの方へと飛ばした。人形ゆえに出来る、自分の身体を飛び道具にするという所業】

【人間大の人形の右腕が、空中を突き進んでいく。狙うは、ダグラスの顎。想像力が武器なら、脳を揺らすという単純極まる発想の下の攻撃】
【ただ、意表を付ける可能性のみに賭けた一手。自覚しているからこそ、攻撃を放った直後も気は緩めず】
【すぐに二人の敵の攻撃に対処できるよう、ギアは敵と敵の間で神経を尖らせて相手の行動を待ち受けた】
357 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 00:04:05.50 ID:9hNy4HkHo
>>351

【ガラスにもたれかかって、煙草を吸い、だるく手を降ろして指先で叩いて灰を落とす】

ハロゥ、ドラァグ・クイーン。

【しゃがれた声は短く挨拶。顔を向けること無く、サングラスの男はヴィジョンを見上げていた】
【相手がドラァグ・クイーンであると、判断は声でしたのだろう】

生憎、ここらでスタウトを1パイントで出すのは此処しかないからね…
……500より足りない偽物の方じゃなくて568ミリきっかり注ぐ所は…

【少し残して、男はまた、黙る。ニュースは新しい情報もないのか繰り返し流されて】
【ただただスタジオ内でコメンテータが机上の空論を繰り広げているだけで何の価値もなかった】

……シゴト終わりのいい気分だってのに、最悪さ

【それは店のことか、ヴィジョンの内容か。男は答えない】
358 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/25(日) 00:06:45.78 ID:EAaD3ypRo
>>354>>356


ふふっ……聞こえたかな?我らが新たな六罪王様は女性だって。
僕も気になってたんだ、なにせ同僚だし、怖い人だったら嫌だろう?
まあ彼女のしていることを聞くに……彼女も基板が歪んでそうだね


【新たな六罪王自らの声明(>>348)を聞いて、ダグラスは楽しそうに笑いかける】
【それは道端で出会った友人にそうするかのようで――だからこそ、余計に気味が悪く】

【――さて、端的に状況を述べると、騎士は上等な技術で二人の攻撃を受け止めていた】
【まずカミナによる盾の防御を、騎士は寸前で見切って攻撃の勢いを殺し】
【それによって体勢を最小限の崩しで止め、直後の剣撃にも最善の対処を行った】

【第一に白熱した刃を受け止める。剣や鎧ごと切り裂かれなかったのは――風の魔力があるからだ】
【目に見えるほどの、濃密な緑の魔力。風を具現化したようなそれが、光刃と剣との合間に存在し】

【やがて魔力はつばぜり合いの状況から、一挙に膨張。両者の合間に暴風を生み出して、カミナを強引に退けんとし】
【そして、次点でギアの攻撃を受け止めた。ただし剣で、ではなくて――鎧で、その体で。】
【サーベルを伝って血が滴る。しかし騎士は無言で足に突き立ったサーベルと、ギアを見遣り】


……彼≠ヘ所謂『唖』でね。言葉は使えないけど、その行動は雄弁だ
君たちの前から一歩も引かない、必ず斬り伏せる……そんな意志が透けて見える。

まあもっとも、だ……この騎士は僕の創造物じゃない。
だから僕は操作もできないし、指図しても聞いてくれない時があってね
あぁ、そう……巨兵の内部に作ったのは移動用のゲートなんだ、彼自身ではなくて――。


>>ALL

【騎士は風の魔力をまとった剣を大地に突き立てる。直後、それを捻るように握り締めると】
【発生するのはごく小規模な――しかしカミナとギアを飲み込むには十分な、竜巻であった】

【その内部には、目に見える程に濃縮された風の刃が存在する。無軌道に、全てを切り刻まんと舞っていて】
【当然それらは騎士をも襲うが、鉄までは切れないようだった。傷だけつけて、また別を襲わんとする】
【竜巻から逃れればこの剣撃の嵐から逃れることは可能だが――その場合、追撃もまた難しくなる事となる】


そして、ノーマークとなった僕は自由に行動できる……と言っても、僕は弱い。
何度もしつこいけど、それは重々承知でね。長期戦で殺し合いをする神経も持ち合わせてないんだ

だから、色々と面倒を片付けようじゃないか。君たちはそこの収容所をどう思う?
守ればそれで終わり?都市の端っことはいえ、人を喰うような時限爆弾を放置しておきたいのかな
……或いは、それごとなくなれば僕の任務も達成なんだけどさ。


【ダグラスは――ギアの右腕を、跳躍することで回避した。受け止めも、叩き落としもしなかったのは】
【恐らく彼自身の身体能力によるのだろう。跳躍して、降りる先は――収容所の屋根】
【人外の飛躍を行ってそこに立ち、二人を見下ろすような格好で言葉を続け】


ところでさ……僕は結構目立ちたがりなんだ。だから、2つのことを君たちに聞きたい

一つは、僕の本気を見たいかどうか。最近、ようやく辿り着いたんだ
僕は一体、能力でどこまでのことが出来るのか……そして、どう扱うべきか。

2つ目は簡単だよ、伝言ゲームだ。君たちには数多くの仲間が居るだろう?
UT、それにSCARLETや自警団のお友達……中でも、能力者のみんながさ。
彼らに伝えてほしいことが有るんだ。必死に戦ってる中で悪いけど、伝えてくれるかな。
359 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/25(日) 00:08:50.11 ID:5Mk4J1uBo
>>346-347>>353

【No.84の自嘲気味な言葉は、先任のあの"賢者"に比べると、聊か自信なさ気にも聞こえる程。】
【それだけ、「あの」人物の手腕が優れていた、という事の証明なのだろうが、かと言って目の前にいる白衣のNo.84が】
【取るに足らない注意すべきでない存在かと言えば、そうでは無いだろう。仮に模倣だとしても、模倣出来る事自体が脅威なのだから。】

 ……運が無かった、ね。確かにそうかもしれない。
 不運で身体を失うような悲しい事件だって、残念だけどこの世界には溢れてる。
 そいつは紛れも無い事実だ。……だけどね、アンタ達にはそれを「不運」で片付ける事が赦されても……!!

 ―――アタシやロウさんには、そんな世の"理不尽"を見逃すだけの、『汚い心』ってのが、備わってないもんでさッ!!

【だからこそ、全力で鎮圧を目指し行動する。どうしようもなければその時は当然、引き金は引くつもりではいたが】
【それでも最初から可能性を放棄した戦いを出来る程、セリーナに良く出来た脳みそと言うものは備わっていないのだ。】
【ならばその悲しい現実とやら、不運という名の非常識に、中指を突き立てる事こそ彼女の仕事と言えるのではないか―――】

 (……自我は、ある。だからあの男の言葉に従って、互いに互いを牽制して……)
 (アタシを殺すよう競争しようとしてる、ってワケだね……やっぱり、両方元に戻せるればベスト……)
 (けどそのためには生きたままあのNo.84と、そしてこの蟹と狼二匹を捕縛する事が必須……! やれる所まで……ッ!!)

 ……なかなか絶望的な状況だ、けど希望は見えてきた。
 今度はこっちから、先手を打たせてもらおうか!


【次の瞬間、防御に使っていたあの"召還陣"が後退を開始、泡を弾き飛ばした状態でセリーナへと接近―――!】
【そして青白い輝きと共に、セリーナの肉体を透過したその刹那―――セリーナは、セリーナでなくなっていた。】

/続きます
360 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/25(日) 00:09:12.55 ID:5Mk4J1uBo
>>346-347>>353
        


                     騎士怪醒――<"ティターン・アーマー">!!




【"弾"末魔―――セリーナの持つ"魔銃"の力が解き放たれた。その真価を発揮すべく、召還銃としての機能を覚醒させる。】
【召還された武装は"魔導鎧"―――魔力を人造的に生み出す魔道エンジンを背に積んだ、悪魔製の"自動装着アーマー"】
【太古の巨人族、強固な皮膚を持つ「タイタン」をモチーフとして精製された強固な外骨格に全身を包まれたセリーナは】
【見た目には、まさに"人造の悪魔"―――機械、そして悪魔とを融合させたかのような不気味なシルエットと化す。】

【しかし"ソレ"は紛れもなく、ただの人間であり能力者ではないセリーナを"戦士"の次元へと昇格させる為の武器】
【関節部分に、魔力が流れていく音が木霊する―――魔道エンジンの駆動音が全身を駆け巡る。】
【装着された事で使用者のパワー・防御力を大きく上昇させる鎧―――外見こそ生物的なフォルムを持っているものの】
【魔力によって駆動するこの武装はまさに、特殊な動力を有するとはいえ、一種のパワード・スーツと呼べる物であった。】

【―――尚、彼女が頭部に被っているテンガロン・ハットの影響で装着後の鎧にもその「形状」がきちんと反映されている辺りが】
【いかにも単純な"メカニック"――機構を有するものでなく、悪魔の技術で造られた"魔導機械"である事を伺わせた。】


 本当なら、フリスビーとプールでも用意したいところだったんだけど―――
 こっちはこっちで、悠長に遊んでる暇もなくてね。悪いけど、最初から全力でいかせてもらうよッ!!

【装備されたその鎧で放たれる炎を受け止め、魔力を駆動させ防御力へとエネルギーを転換する―――。】
【強烈な炎を受け止めきるが、矢張りノー・ダメージとは行かない。内部のセリーナに熱が徐々に、伝導していく……!!】
【しかし、反撃しないわけには行かない。セリーナは視線を炎を撃ち放つ黒犬へと固定すると、炎の中をなんと、進み始める……ッ!!】

 ―――人を噛むワンコには、ちょいとお仕置きが必要だッ!!

【そのまま炎を掻き分けるようにして直進、ダメージを負いながら"弾"末魔を握る手に力をいれ】
【グリップを素早く回転させると、銃身部分を持ち銃床で黒犬の頭部を殴打するように鋭い一撃を振りかざすッ!!】

 (―――問題は、あの六罪王……どんな奇術を使ってるのか、何だ"アレ"は……!!)
 (……車を操るのも、能力……? だとしたら、さっきの死体のは……クソッ、考えれば考えるほど、混乱するッ!)
 (今は先ず、目の前の脅威を取り除く事が先決か……!!こんな時、身体が二つくらいあれば、って思っちゃうよね……!!)

【圧倒的な存在感の"サツキ"に対し、まだ攻撃を重ねる事は出来ないが―――セリーナは確かに戦慄していた。】
【どう戦うか。あの不思議な術を前に、一体何をどう対処すればよいのか。何も浮かばないが、だがしかし―――。】
【とにかく危険で、そして恐ろしい存在である事は明白だった。まるで呪いが形を成したような、そんな存在だ……!】
361 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/25(日) 00:11:15.10 ID:lpY5zSOQ0
>>350

お世辞だなんて…………本当のことじゃねぇか、謙遜する必要なんて無いんだぜ?
おっちょこちょいかー、確かに迷子になったからにはそんな部分もあるんだろうな。
しかしその時もお前に心配させまいと想っていたし、本当にいい娘だよ。

ふつつかもの……か、嫁入り前じゃあるまいし……フフ
ああ ティアちゃん、こちらこそよろしくお願いします。
(礼儀正しいな…………将来はきっとマリアのようになれるだろう。)

【ちょっぴり背伸びをしているような所がまた可愛らしい、だけど一生懸命さも感じさせる】
【今はまだ幼いが、きっと将来は母親のように強く、美しく、優しい人になれる筈だ】
【エルヴェツィオはティアの瞳の内、そこに 秘めた可能性と呼ぶべきものを見出だしていた】

お父さん……?ああ、フレデリックのことか。
お前のお父さんはな、誰よりも強いぞ!大きな槍で戦ってどんな奴にも負けなかった。
悪いやつなんてすぐに倒しちゃう人なんだぞー、ホント 大した奴だよ。

【父親の話が出たのならこっちもとにかく褒める、憧れは人を成長させる物の一つだから】
【騎士団についての話はマリアから聞いたこともあるのか ちゃんと分かっているようで、それならば彼も心置きなく話せるというものだ】

…………おっ、凄いな!この歳でこんなにはっきりと使えるなんて。
今これだけ出来ればお父さんやお母さんよりも強くなれるかも知れないぞ?ふむ……そうだな…………

【エルヴェツィオは凄いぞと自分のことの様に喜んでティアを褒める、実際素晴らしいのだから】
【伸ばせばフレデリックやマリアを超す魔術師も夢ではないかもしれないと、そう言って】
【その後、何かを思いついたのか、腰を屈めて彼女の前に両手を見せながら】

俺はマリアやティアちゃんみたいな光の属性は苦手だが、雷と風の魔術は得意でな……
……ほら、もっともっと上達すればこんなことも出来るぞ……?お父さんとお母さんに沢山教えてもらうといい。

【両手の指からバチバチと音がしたかと思うと、右は左に、左は右の指へと光る細い糸のようなものが絡み】
【くいくいと手を動かしてそれを指の間にどんどん通していくと、あら不思議】
【あっという間に糸がほうきの形になっていた、簡単に言えばあやとりだ】
【どうやら電気を糸の形にしたらしい、感電しないのは他に流れないよう細かく操作しているからだろう】

【言うなら魔術のお手本、上手くなればこんなことも可能だと教えるのだった】

/申し訳ありません、遅くなりました……!
362 :ユーリ・ハセ ◆SnY/08zmQ. [saga]:2015/01/25(日) 00:14:55.34 ID:Mh/fnxdG0
>>352
「そうはいかないと言っています」
「貴女を倒して次に行くあてもありませんが、早い決着は嫌いではない」

【耳ざとい被害者たちの一部は、どうやら男の方に害意はないということを知るや、静かに、気を向けられないようにその場からの逃走を図る】
【ぶぅんという音とともに、街角のモニターに>>348の放送が開始されてしまった】
【その凄惨たる映像と、人を人と扱わない新しい六罪王の名前が響き渡る】
【動き始めていた足は止まり、伝播しかけた希望は吹き消された】

【しかし、それは幸運なことだったかもしれない。】
【なぜなら、希望を持った人間はユーリの信条における「幸福」の定義を満たし、その場で狙う人間はその市民たちに置き換わっていただろうから】
【それを一瞬横目で見て――落胆したように呟く】

「食指が伸びん日だ」

【相手に対する時は紳士的、とも慇懃無礼、とも捉えられる口調はなくなり、餌を見失った餓狼の言葉に品性はなかった】

【そして、疾走が始まった】
【姿勢が低い、こちらの攻撃は近接のみだとしたら、当てられない、もしくは当てづらい姿勢ではある】
【そして、先ほども感じたが―――疾い。間違いなく自分よりも、行動速度では上に立つだろう。故に自分が取るべき行動は反撃を狙う、もしくは先の先を取り、速度が発揮される前に攻撃を当てるしかない】

【そして、今取るべき行動は迎撃。】
「綱刃ノ十三 放狼火 累(かさね)】

【右手に持った双剣の一本が、あらゆるパーツが回転、展開、あるいは歪むように、ソードオフショットガンに変形する】
【そして、相手との距離が限りなく近づいた瞬間――左足を軸とし、右足を引くようにし――しかし、わずかに間に合わず脛骨に、横方向へ1センチ程度の深さの切創が刻まれる】

(――鋭い!)

【日本刀は、鋭いことで有名な武器である。しかし、今の抵抗なく切られた感触からして、ありえないと言ってもおかしくはない、鎌鼬が如き切れ味だということが文字通り『体で』理解できた】

【しかし、それだけでこの接触を終わらせる機はない】
【上昇とほぼ同時と言っていいだろう、ソードオフショットガンから、固形化した魔力が放たれる。狙いは打ちおろすように、同様に腰から下】
【弾丸は数十、文字通りばら撒かれる弾丸は魔力によるものであっても、実弾と変わらない威力を持つ――】
363 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/25(日) 00:22:51.11 ID:VUI9B4Lso
>>357
ホント、困るわよねぇ…こんなことになるなら、アタシも『あっち』に行けばよかったわ

【ふぅ、と溜息を吐いて、サングラスの男に並びガラスに寄り掛かる】
【最初の一言を否定しないということは、つまりそういうことなのだろう】

そう?それは困ったわね……折角のサタデーナイトだっていうのに
アタシで良ければ何か気分転換の協力するわよ?いい店も紹介するし……

【その理由が何だとは聞かずに、無垢な風に悩みを問題視してみて、まるでカウンセラーみたいに答えた】
【こちらは理由が店の休業だったらの事、こんな人間の紹介する店がどう『いい店』なのかは不安だが…】

それとも、気分が悪い理由はアレかしら?
アナタってそう見えて、正義感が強いタイプ?

【そして、続けるこれは、指差した先のヴィジョンの内容が理由なのかという問い】
【「とてもそんな風には見えなかった」ので、はなからそれが理由だとは思えない、とでも言う風に】
364 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 00:41:56.86 ID:2J6obS+u0
>>353

あぁ、簡単に行くなんて思っちゃいないさ!
だからこそ考え、よりモアベターな方法を模索し、そこに近付いて行くのさ!
そうして、女神様の御姿を心に思い浮かべる事……それが己の限界を超える為の、たった1つのやり方さ!

【銃と言う武器の絶対的なアドバンテージは、遠距離からの攻撃、そして高速での射撃にある】
【故に、近づかれてしまってはそのアドバンテージを失い、ただの重りとなり果てる】
【逆を言えば、こちらはそれを狙っていけば、相手に絶対的な隙を見出す事が出来るのだが――――当然、それは相手も警戒する事】
【だからこそ、傷につけ入り背後に回り、そして最後の一押しを幸運に委ねる。足りない所に手を届かせてくれるからこその、幸運なのだと】

――――ぐ、あッ!? ……っち、見もせずに……!
(……あ、不味い……っくそ、『暴霊』が少し、成仏しちまいやがってんの……!)

【回り込み、後は斬りかかる事に成功すれば、十分に倒し得る――――そこまで踏んだ所に、変則的なフォームを経て放たれた銃弾が迫る】
【骨を掠めこそしなかったが、右足の一部を捉えられ、危うく転びそうになる】
【同時に――――オーラから発せられていた――――ォォォン――――という空耳が、微かに遠のく様に小さくなった】
【どうやら、負傷と同時にオーラの力もわずかに弱まったらしい】
【流石にこの程度の負傷で戦いに支障をきたす心算は無かったのだが、足回りが悪くなるのは、どうにも避けづらく、如何ともし難い】
【――――考え方を変えなければならない。パウルは一端、ナイフを腰の鞘に差し戻した】

>>359-360

……仕方ねぇだろ? 俺たちは「初めに幸運ありき」じゃ無かったんだ
ともすれば、こんな所を駆けずり回ってないで、フルコースを侍らせながら「困ったもんだ」なんて言って踏ん反りかえっていられたかもしれねぇ
逆に、鎖で繋がれて死ぬまで編み物をさせられたかもしれねぇしな……つまりは全部『運』なのさ。『理』を超えるもの……それこそが『運』の流れだ

【悪びれる様子も無く、パウルは激昂するセリーナに、ごく普通の語調を以って応える】
【運の良し悪しは『理』を超える。だからこそ、理屈で食い下がっても仕方がないのだと】
【――――ここまで信条として透徹されていると、いっそ清々しさすら感じかねないものだろう。善悪と言うものも、彼にとっては大した意味がない概念なのかもしれない】

<!?>{!?}

【火炎放射で動きを止めながら、蟹の一撃でリードを取る。それを狙っていた黒犬と大蟹だったが】
【展開される魔導鎧には、流石に怯む様子を見せる。彼らはセリーナの事を知ってはいたが、その使用する武具までを知ってはいない】
【こうした戦い方をする人物だと言う事は、流石に理解の範疇を超えていたのだろう】

<ガ、ギャゥ……ッ!?>

【火炎放射を真っ向から逆らいながら、真っすぐに突き進んでくるセリーナに、黒犬は焦りを見せるが】
【動きがワンテンポ遅かったらしく、グリップアタックを頭に叩きつけられる】
【ベタン、と地面に叩き伏せられる黒犬。肩に設置された、カプセルの中の脳が液体の中でゆら……と揺らめいた】

/続きます
365 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 00:42:12.21 ID:2J6obS+u0
>>353>>359-360

っちィッ!
(……考えるべきは、『どう動くか』じゃねぇ……『どう動かすか』だ……!)

>>353から脚に喰らった弾丸で、パウルは思わずその場に右ひざをつく】
【これでは、自らの動きに支障が出る事は理解しているが――――だからと言って、手が尽きた訳ではない】
【自分が動けないなら、相手を動かす。それが常道の考え方である】

……けっ、喰らえ!!

【膝をついた姿勢でパウルはポケットに左手を突っ込むと、何かを真っ向から>>353へと――――顔面を狙って投げつけた】
【それは、ポケットに忍ばせていたダイス――――要するに『サイコロ』である。それが3つ】
【それ自体には――――特に何の仕掛けもない、ただの小道具に過ぎない。だが勿論、そんなものを投げつけるのが目的ではない】

(……真っ向から浴びせかけられれば、必ず『反応』はする! ……そこを…………『賭ける』!!)

【何か分からなければ、それを『回避』するとパウルは読んだ。ただの一般人ならともかく、反応『できる』事で、回避を選択するだろうと】
【そして問題はその先――――パウルは腰からリボルバーを抜くと、>>353の向かって左側に逸らした方向に、弾丸を1発、オーラを纏わせて放った】

【――――これは、人間工学的な話になるのだが。人間は、意識せずに自然に動こうとすると、必ず『左より』に動くのである】
【これは、心臓が人間の左半身にある事と関係しているらしいのだが、ともあれ――――パウルはそれを狙ったのである】
【咄嗟に確認の出来ない攻撃を顔面に見舞う。それを回避させ――――その方向を予測し、そこに1発の銃撃を叩き込む】
【無論、確率の問題である以上、それは『賭け』だ。だが『運試し』と言うなら上等である。喜んで成否を賭けてやる――――それがパウルのやり方だ】

<――――ガァァァァァ!!>

【一方、>>360に殴り倒された黒犬だが――――ここに、誤算が1つあった】
【肩のカプセルから身体を動かしている以上、頭部を攻撃しても脳震盪などを起こす確率は非常に低いのだ】
【なまじ、普通の生物の外見をしているところから、頭部を狙うのが効果的と思われるものだが――――この改造生物の場合、そうではない】

【咆哮しながら、仕返しとばかりに黒犬は>>360の腕に噛みつき、喰らいつく。同時に、3本の指状に分かれた尾を以って、更に身体を捉える】
【接敵したのなら、離さない――――そこに、執念じみたものが感じられる】

{――――ギチギチギチギチ!!}

【同時に、やや離れた位置にいる大蟹も同じだった。黒犬が動きを止めようと動いているのなら、攻撃は自分の役目になる】
【再び蟹歩きで接近しながら、その甲羅の突起の一部を、>>360目掛けて発射する】
【鎧を纏っている以上、劇的な効果こそ現われないだろうが、無駄と言う訳では無かろうと踏んで】
【同時に、これで接近までの時間を稼げれば、今度こそ鋏による一撃を見舞う事を狙うのだろう】
366 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 00:48:47.40 ID:9hNy4HkHo
>>363

【この男は細かいことをあまり気にしない。彼(彼女?)が彼女(彼?)であろうと】
【横並びになってガラスに寄りかかってもどうだっていい。別に構わない】

……まともな飲み屋ってのは、少ない。『ジン・ライム』と『ギムレット』の違いも知らなくて
『ソルティドッグ』が『ブルドッグ』になってる店だってある……

【話の途中で男は煙草をくわえる。沈黙の時間を作る。無意識にカッコつけて、雰囲気を作るのは妙に上手い】
【映画のワンシーンのように癖のある話し方のスタンスを取る男だ。大きくはない声で確実に話す】

いや、別に……。……正義感なんて、ありゃしないよ。…正義と悪なんて。一緒さ…そんなこと
でも…あーいうのは、好きじゃないね。……どっちが、どっちとかじゃなくて。…そういう気分

【男はポケットからライター程度のサイズの金属製の携帯灰皿を取り出す。吸い殻を押し込む】
【そういう所はマメなタイプらしい。けれど、正義には見えないというのは当たりだ】

あるんだろ?『マトモ』な店。……別にニュー・ハーフがポールダンスしてようと構いやしないさ
1パイントのギネスがあるなら、ポリスの制帽にチップを挟んでやってもいい
367 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/25(日) 00:48:52.22 ID:y5cudChWo
>>356>>358
―――くっ、やはり付け焼刃では仕留めきれぬか!

(風、か……これはまた面倒な――)

【暴風により体重の軽いカミナは用意に吹き飛ばされ】
【片翼で姿勢制動を行いながらも、空中で一度回転しながら着地した】
【仕留めきれなかった際に使おうと考えていた"策"は、相手の属性とあまりにも相性が悪い】
【故に即座に思考を切り替え、亀甲折り紙を引き寄せながら次の手を模索する】

【竜巻に関しては、吹き飛ばされたことで距離があった為】
【素早くサイドに移動することで範囲から逃れ対処する】
【が、当然ながらこの行動によってカミナが騎士に光刃による追撃を行う事は不可能となる】

【しかし――元より術師であるカミナにとって接近戦は望むところではない】
【そもそも騎士とまともに打ち合えるような技量も体幹も無いのだから】
【距離が空き、着地や回避の隙などを狙う行動を取られなかったのはむしろ好機ともいえようか】
【カミナは光刃を天に掲げるようにして腕を伸ばし――】


ふん……収容所の事などわらわの知ったことではないのじゃ
危険であると、排除する必要があると判断出来る情報が耳に届いたならば相応の対処はしよう

――じゃが、そうでない限りは街の対応に委ねるのじゃ
もしも裏でこそこそと下らんことでも企んでおるならば、まとめて叩き潰してやるがの


【カミナの正義としての性質は――法の番人に限りなく近い】
【故に殆ど事情を知らない自分ではなく、管理する者達の判断に委ねるのがこの少女の答えだ】
【今はただ守る……カノッサの手により更なる混乱を招かないためにも】


……貴様の本気などに毛頭興味はないのじゃ
もしもどう扱うべきか悩んでおるのならば、資源でも作って平和利用でもするがよい
それをするような人格ならば既に行っておるじゃろうがな――


【戦闘中にも関わらず、わざわざ悠長にダグラスの放つ言葉に応えていく】
【まともに考えたならば異常としか思えない行動だ。……何を、企んでいるのか】


――それと、伝言ゲームじゃと? 勝手にするがよい
貴様が情報を吐き出す分にはわらわ達に損はない。後ほど広めてやろう――


【短く返した後、天に掲げていた剣を地面に突き立てる】
【すると、白く発光していた神気が周囲に拡散していき淡い輝きを見せた】


――ついでに貴様の首も添えて、の?
                

                  <貴宝院流秘術・降り神/悪路王>


【その言葉をトリガーにするようにして、上空から超質量の物体が地表に向けて飛来する】
【其れは巨大な"金棒"を振り翳し、落下の勢い其の儘に力任せに騎士を叩き潰そうとするだろう】

【体高5mにも及ぶ、黒い皮膚と鋭く長い二本角を持つ"鬼"】
【先程までの紙による紛い物ではなく、血が通い心臓の鼓動を刻む"実物"そのものの顕現】
【鉄塊と呼ぶに相応しい巨大な金棒を握り締め、カミナの切り札がこの場に降り立った】

【空中にて生成していた折り紙達を結合、神気で満たすことで偽神を生成する奥義"降り神"】
【ダグラスが語っている最中に準備を整え、術を成らせたのだ】

【とはいえ相手は六罪王、これが決定打になる可能性は如何程のものか――】
【カミナは油断せず、場の状況を見逃さぬようにと気を張っていた】
368 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/25(日) 00:53:16.00 ID:QWAl1El30
>>361

【背伸びするのも、きっと成長したいからだろう。もっともっと大きくなって、立派な人になりたくて】
【今日も、明日も、色んなことに挑戦する。失敗もするし間違えたりもするけれど……子供だもの、そんな事で折れたりはしない】
【……ただ、丁寧語はまだ難しいようだった。途中から敬語で話すのを諦めていつもの話し方に戻っている……】
【まあ、敬語や丁寧な言葉づかいはその内憶えるという事で……】


うん、知ってる!おとうさんすごく力持ちでね、わたしが持ってもびくともしなかったおっきなやりを持ってたもん!
わたしはまだ、だれかをやっつけたりはできないなぁ……あ、でもね、ケガをなおしたりはできるんだよ!
弟や妹にね、魔法をかけてあげるの。すりむいたきずも、わたしにかかればすぐになおっちゃうんだよ!
きずつけるより、なおす方がわたしはとくいかも。

……えへへ。わたしも、おかあさんみたいになれるかな?

【お父さん=\――フレデリックの事を聞けば、目をキラキラと輝かせたりする。……やっぱり憧れているらしい】
【父親という最も身近な人物だからこそ、その姿もよく見ているのだ。当然、護るために戦う姿も】
【対して、小さくか弱い少女はまだ戦う事は出来ない。でも、その代わりに傷ついた誰かを治す力を持っていて】
【己の持つ力を使って、怪我をした妹や弟を治したり―――小さな事だけれど、誰かの役に立つように努力しているようだ】
【自分もいつか、母のような人になれるだろうか。努力の先に、いつか……―――】

【自分の披露した魔術を褒められれば、ティアは嬉しそうに笑顔を見せる。何だか認めてくれたような気がして】

―――わぁ……!

【……そして、エルヴェツィオの魔術。青白い光を放つあやとりを見れば、ティアはその目をキラキラと輝かせて見つめる】
【好奇心旺盛な少女は、こういう面白い魔術が惹かれるようだ。じーっと、まるで猫みたいに見つめ続けて】
【「わたしにも、できるかな?」なんて、自信の持つ光の魔翌力をこねくり回すけれど……まだ難しいみたい】


「……さて。無事にこの子も見つかったのですし、そろそろ帰りましょうか!
 エルヴェツィオ様はこれからどうされるので御座いますか?」  

【―――さて。偶然の出会いなど驚くべき事は色々あったが、迷子だった娘も無事に母親の元に戻ったのだからこれで一先ず安心か】
【これから二人は転移魔術で家に帰るが……エルヴェツィオはどうするのだろうか。】
369 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2015/01/25(日) 00:58:27.25 ID:LDiwblRlo
>>358>>367
……ああ、よく聞こえたよ。御多分に漏れず、派手好きな女性みたいだね
自分も相当なくせに、怖い人だったらなんてよく言うよ……

【ギアにしてみれば、この状況下で友人に対するような笑顔を浮かべる彼も十分に恐ろしい相手だ】

【剣士には遠く及ばない一閃では、騎士には及ぶべくもなく。カミナへの対処、見切りの鮮やかさはギアにもその技量を感じさせた】
【さらには、肌身に感じ取れる強大な風の魔力。この剣技に加えて風の術、とんでもない強敵だ】

【自身の左腕には、固い感触。斬撃を鎧で受け止める、躊躇なきその行動】
【鮮血が流れるところを見ると、生身の生物ではあるようだが。こちらへと向く視線を見れば、先の巨兵の方がどれほどマシか】


……そうだね、その意志は僕にもよく見えるよ……

移動ゲート……それであの空洞か……
創造物だけで十分だろうに、欲張りな人だよ……

【ますます深まり行く、六罪王の闇。創造の力のみならず、こうした繋がりまでも持っているということか】
【そんなダグラスの力をさらに誇示するかのように、騎士は新たな技を繰り出す】
【竜巻。内に抱いたものをなます切りにする、風の刃。捕えた獲物を細切れにする地獄の領域】

うあ、ぁ――――!!

【自分すらもその内側に置いて、刃の中に身を置く騎士を下に見ながら、ギアは空中の住人となった】
【人形の身体が、風の刃に削り取られていく。破片が吹き飛び、魂がのたうち回る】
【必死に視線を巡らせ、身体をばたつかせながら竜巻からの脱出を試みた】

【幸い、竜巻が小規模だったためか、全身に切り傷を作りながらどうにか竜巻から吐き出される】
【地面に着地し、左腕のみの身体で追撃が叶わなくなったダグラスの方を見た】


(ダメ、か……)
収容所ね……ここを支配していたやつの残した、呪いの産物って言う風に見えるな
そりゃあ、放置しておくつもりもないさ。だけど、そっちの好きにさせるわけにもいかない
それに、彼らも実験の犠牲者だ。手出しはさせない

(とは言ってみたものの……この状況下で、どこまでやれるか……)
(とにかく、腕は戻さないと……テレポート――――!!)

【ダグラスの屋根まで跳び上がる跳躍、戦闘は弱くとも身体能力は高いのか】
【あっさりかわされた右腕は、明後日の方向へ飛んでいき、と途中で青い光に包まれて消えた】
【次の瞬間には、ギアの身体に右腕が戻っている。念を込めたものを手元へテレポートさせる、ギア能力の一端】

【関節を嵌め直し、立ち上がってダグラスへと視線を投げる。騎士への意識も散らさない】


目立ちたがり屋は、見てればわかるよ
君の本気ね……全力で遠慮したいな。今のままで十分だし、能力の限界やら扱いやらは、孤独に追及しておいてよ

伝言の方は……こっちとしても是非聞いておきたい。六罪王が正義組織に、能力者たちに、何を言いたいのか興味あるよ

【言葉だけは、普段誰かと話すときのように、もはや意地の領域ではあるが】
【先ほど準備していた武器を、会話の最中に引きずり出す。大型の筒状の物体】

【玩具武器、花火バズーカ。自身の装備の中でも、最高レベルの威力のもの】
【これを、騎士へと向けて発射した。派手な音と光と煙を発しながら、火球のごとき花火玉が】
【騎士へと一直線に突き進む。おそらくは、カミナの鬼が振るうこん棒がそのまま振り下ろされた場合】
【ほぼ同時に着弾することになるだろうか。攻撃を放った後は、体勢を整え直す】

【騎士への対処、ダグラスの伝言、双方を漏らさぬように。魂を削って、意識を維持しながら】
【生き人形の瞳はまだ死んではいなかった】
370 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/25(日) 01:17:21.68 ID:/IP19oSzo
>>364

クソ、やっぱそう簡単には直撃してくれねぇか……!! 
でもこっちもそう簡単には近付かせねぇよ、例えテメェが女神さまにお近付きになれたとしても……な!

(音が弱く……灰色のオーラが弱まったってことでいいのか……? それでも接近に対して大きなプレッシャーは与えた……!!)
(軽傷程度じゃまだ機動力じゃボロ負け……俺ぁ足クッソ遅いんだよ、接近戦とかマジ勘弁……兎に角寄られないように必死になれ、俺……!!)

【ナイフを戻す仕草にほんの一瞬だけ安堵した。ロウは典型的なガンマンであり、寄られたら弱く寄られなければ無類の強さを発揮するタイプ】
【そして寄られないように様々な銃技を使うというのが基本戦術である。故に接近の選択肢を消してくれるのならばこんなにもありがたいことは無いのだが――――】
【――――と、内心これ以上突っ込まないでくれと思いながらも表情は余裕。勿論演技であり、本来ならば痛む左肩のせいで笑ってもいられない】

【余裕を演じる瞳に映るは、膝を折るパウル。――――ふと思った。やっぱり女神は俺についてきていると。そのチャンスを逃さない男ではなく、瞬時に右の銃口を向ける】
【――――その瞬間、相手が素早く何かを投げ付けてきた。本来ならば左の銃で防ぐのだが、生憎痛みで反応が追いつかないことを熟知していた】
【故に苦し紛れに顔を背けながら左に大きくステップしたのだが――――その踏み出した左脛を弾丸が抉った。踏み出し、地面に付いた瞬間だった】

……なん――――……だとぉぉッッ……!?

【瞬時に分かった。これは見てからじゃなく「読み」撃ちだ。PKのキーパーの如く、正面か左か右かの3択にパウルは勝ったのだ――――と】
【脳裏に浮かぶは自分から離れていく美人。これは女神の想像図か。――――悔しいが、流れというモノがあるならば確実にパウル側だろうと思った】
【今度は自分の膝が折れる。――――このままでは接近戦に持ち込まれる。そうはさせるかとロウは地面の小石に目をやると瞬時に左で地面を撃ち抜いた】

……さぁ教えろよ女神様よぉ……どっちの方がアンタのタイプだ……? どっちが色男だオイ……!?
(こっちのピンチだぜ……直ぐにでも立ち上がって俺を殺したいんだろ……なら即立つ、急いで立つはずだ……!!)

【小石に当たって弾丸が低い弾道で跳ね返る。出来るだけ低くしたつもりだが、それでも膝を折ってしゃがんでいる場合だと彼の右肩の上を軽く掠める程度だろう】
【――――つまりコレも一種の賭け。運試しである。相手が立ち上がろうと少しでも体勢を上げていたならば――――弾丸は右太もも目掛けて飛んでいくことになるのだ】
【……ロウは信じた。女神は気紛れだ、直ぐにこちらへと戻ってくる。一度自分の手を退けて離れて行った女神は、きっと振り返って笑顔を見せてくれると信じたのだ】
371 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/25(日) 01:21:47.82 ID:5Mk4J1uBo
>>364-365

【―――全ては運次第。確かに、考え方としてそういう物もあって然るべき、かもしれない。】
【それだけこの世界には不運だとか、理不尽な暴力だとか、そういう色々が折り重なっているのだから。】
【ちょっと立場が違えば、銃を握らず、剣を振るわずに済む世界にだって居座れたかもしれない。その通りだった。】


 ……なるほど。"パウル"って言ったかい? アンタの考え方はよく分ったよ。
 それなりに納得のいく答えだと、アタシもそう思う。恵まれない分には腐っちまうのも頷ける。
 けど、けどね。いいかい、"自分が不幸"だからって、"他人まで不幸"にしちまおうってのは―――傲慢だ。

 確かに運ってのは大事な要素だよ。生れが貴族なら、戦う必要も悩む必要も無いし
 生れがストリート・チルドレンなら、今日生きていくことにすら全力を傾けなくちゃいけない。
 確立って言うのは冷徹で理不尽で、それでいて不条理だ。悲しい事はこの世の中に溢れてる。

 ―――でもね。アタシはいつでも自分にのみベットしてきた。
 人生は幾分か運任せだけど、別に運に負けてやる必要まではないんだ。
 気に入らない運命や不幸に、楯突こうって言う意思があったって、別に良いじゃない。

 理を超えるのが運なら、その運を打ち破るのもまた、理を持つ人間の"可能性"だ!
 現にアタシは、何度も何度も死にかけながら此処に立ってる。運が良かっただけじゃあ、ない!
 アタシには仲間がいる。自分で培ってきた絆がある。―――尊敬する、ロウさんみたいな、大切な人もいる!!

 ―――人と人の絆は、時に運命を凌駕する事もあるッ!!
 もし仮に、この陰惨な世界が、神の与えた不幸な運命だって言うなら―――良いよ、アタシは神にも銃を向けるさ!!


【だがその道理を超越した道理に、大人しく従がってやるほど、この女は大人しくなかった。】
【気に入らない運命なら書き換えろ。創造主が決めた? ならその主にも弓弾くまで。】
【セリーナは頑として、パウルの透徹とした態度にも、牙をむき続けるだろう。】

【―――しかし問題はパウルではない。二匹の野獣だ。】
【脳をめがけクリティカル・ヒットした筈のグリップによる殴打も、獣の意識を奪うには至らず。】
【すかさず、前足の肩についた"ユニット"を見てその理由を看破するが―――その時にはもう、敵の術中に嵌っていた。】

 (……!? そうか、この脳みそ……"そっち"が本体なのか……くっ、!!)

 ―――がっ、ぁぁあっッ!? くっ、うう――――うぁ、あああああっ!? 痛ッ……ううぅ、ァ……っ!!

【どうにか、鎮圧を為そうと接近戦による拘束を狙ったつもりだったが、誤算だった。】
【不得意な接近戦において反応が遅れれば、セリーナの腕はアーマー越しに深く、噛み付かれる。】
【頑丈で強力な顎が魔力の駆け巡る回路を噛み千切り、鱗のような鎧を罅割れさせ、内部に深くダメージを伝えていく……!】

【バキバキ、と機械が砕ける音が鳴り響くと同時、セリーナは咄嗟に犬を振りほどこうとするが―――ッ!】

 なっ、ぁっ!? こん、のォォ……っ!! くっ、はな、せ……ぇっ……!! う、うあああああああっ!?

【―――巻きついた尾が、それぞれ右腕、左腕を雁字搦めに捉えた上、胴にまで纏わり着いて】
【セリーナの上半身をガッチリとホールドし、完全に拘束する―――銃を構える事すらままならない状況だ。】
【両腕を絡め取られたまま、なんとか拘束を振りほどこうと動力を最大にし、アーマーを駆動させようとするも―――。】

 ……!? あ、やっ、うぐっ……うう、くぁぁっ……!! はぁ、はぁ……あ、ああああッ!?

【磔状態となったセリーナの背部に、次々と飛来する蟹の鎧が、じわりじわりとセリーナを甚振る。】
【拘束を解けない状況の上、もう一体からの攻撃はもがくセリーナに休む暇さえ与えない―――!!!】

>>370

【注意は存分に惹きつけられている、と言えよう。しかしセリーナは確実に窮地に陥っていた。】
【仮に、ではあるが、ロウの意識がセリーナの方にも向いていて、尚且つ援護が出来る状況ならば、】
【セリーナを拘束している黒犬に攻撃さえ与えられれば、この状況はなんとか―――打開、出来るかもしれない。】
【しかし全てはロウ次第と言えた、少なくとも暫しの間はセリーナは自力でこの状況に"耐える"必要だけはあるのだが―――。】
372 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/25(日) 01:22:41.58 ID:VUI9B4Lso
>>366
あら、詳しいのね、そして拘るのね
アタシはそんなに詳しくないから、きっとわからないけど、きっとアナタがそう思うのならそうなのね

…アナタって、対岸の火事は見逃せないタイプなのかしら、えぇ、きっとそうよ
でも…嫌いじゃないわよ、そういう人。それと、『そういうの』も

【男のタバコを灰皿に押し込む手を見ながら、彼は言う】
【何にしたって『嫌いだ』なんて面と向かって言う相手も今の所はいないのだけれども】

アナタが気に入るかはわからないけど、アタシが気に入っている店なら
ポールダンスは見れないと思うけど、それなりに良い物は飲めると思うわよ

それ程遠くないけど…そうね、あれアナタの車かしら?

【どんな店なのかは不明だが、取り敢えずポールダンスはないらしい】
【それ程遠くないとは言うが、歩いて行ける程の距離でもないようだ、路肩の高級車を示すと、暗に『乗せろ』と促す】
373 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/25(日) 01:25:44.10 ID:EAaD3ypRo
>>367

そう?案外冷徹……いや、平等な精神の持ち主と言ったほうが良いかな
じゃあ、本気を見せるのはまた今度にしておくよ
もっと派手にやれるはずだからさ。練習は大事、そうだろう?

【悠長というべきか、或いは痴れ者か。自信からくるそれにしても、長口上】
【酷いのは、カミナが作戦のために一々答えていたことに対し――】

【このダグラスは会話をするだけにとどめて、騎士が潰れるのを見過したことだ】
【何の対策も講じなかった。故に、騎士は圧倒的に巨大な鬼に頭上から叩き潰され】
【漆黒の鎧から血液を噴出させながら――死んだ。間違いなく、死んで地に伏せていた】

>>369

【追撃の花火バズーカか、騎士の死をより一層濃密な闇に誘う物であった】
【実にグロテスクだが――歪にひしゃげたその鎧姿は、四散して】
【それぞれの鎧ごと周囲に飛び散り、それぞれの部位ごとに血液を流す】
【その臭いに反応したのか、収容所の奥でグールソルジャーが騒いだような、声もして】


……あーあ、完全に殺されちゃったね。困った事をしてくれるよ、キミらはさ
彼は借り物なんだ、あの人……ほら、アーグって聞いたこと無いかな?

そのアーグの作った人間なんだ。他にも何人か居るけど……全員、不具でね
つまり、彼は言葉が無いだろう?人の皮膚を持ってない娘も居るし
逆にある意味では持ちすぎていてどっちつかずの子も居るんだ

まあ、そうだね……全員に共通する所が有るんだけど。

【それが何かはまだ言わない。含みを持たせるように、数秒だけ合間を挟むと】
【改めて二人に視線を向けて――向けつつ、両腕の放射砲を温めて】

/続きます。
374 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/25(日) 01:26:22.19 ID:EAaD3ypRo
>>ALL


――僕が伝えて欲しいのは、簡単にいえば招待状なんだ。
それも……いや、これもといったほうがいいのかな。二通でね?

一通目はドラクレア島っていう、とある絶海の孤島へのお招きさ
君らの仲間のディハート・グリムジャックは既に一度呼んだけど
今度はもっと大々的にお招きをかけようと思ってるんだ

主催者は僕でもアーグでもないけれど、そのどちらも参加はする。
盛大なお茶会って所だね……ただし、招待はしても送迎は無しだよ?


【ずる、ずると何かが大地を這っていた。気付くか否かは、二人次第】
【ダグラスの話に耳をしっかり傾けていたのなら、気付くことは難しいだろうし】
【そうでなければ――四散した騎士の死体が、一箇所に集まりつつ有ることが分かるハズ】


それで……もう一つはボクが主催するパーティだ。パレードと言い換えてもいい。

こう見えてもボク、実は瀕死の重傷を折っててね。
胴体を真っ二つに斬られたんだ。なんとか能力で身体を繋いだけど
この鎧がなきゃ、きっと30分と持たずに死ぬだろうと思う

……でね、いつまでも不思議な鎧を着ていても、死期が迫るのは止められない物だろう?
それならいっそ、派手に死んでやろうと思ってるんだよ、ボクは。

君たちからすれば世界の片隅で一人ひっそり死んでくれなんて言われるかもしれないけど
……ボクは六罪王だ、わがまま位は無理に通す。それに、目立ちたがり屋だからね
場所は決めていないけど、世界中を練り歩こうと思ってるんだ
今日、君たちが拒んだボクの全てを掛けた創造物にでも乗り込んで……ね。

…――さあ、そろそろ今日はお開きにしよう。君たちも疲れただろう?
芸がなくて悪いけど、コレ≠ェ鎧を着たボクの――全力全開、ってやつだ…――ッ!!


【突如として暴風が吹き荒れる。ただ、その風はまったく攻撃力を持っておらず】
【カミナ、そしてギアの両者を今いる位置に貼り付けにするためだけの物であった】

【見れば四散した騎士の死体は蠢き、集合して再び原型を取り戻して居て】
【血みどろの漆黒鎧は怪しく光り、暴風の源たる風の魔力は彼から放たれているようだった】
【事前に死体の一部でも、気付いて集合を止められれば風の威力は減る、が――】

【――跳躍したダグラスは、両手の火砲を地表に向ける。そして、放つ】
【単純に、ドラゴンのブレスを二重にして――しかし上空から故に、広範囲にばら撒く形】
【風で動けずに居るままであれば、肉体は焼失しかねないほどの威力は健在であり】

【そしてその後、ダグラスはそのまま巨兵の鎧前へと着地する】
【僅かな揺らぎ。力を使いすぎたからか身体がぐらついていて――攻撃の最後のチャンス、とも思えた】
375 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 01:45:49.48 ID:9hNy4HkHo
>>372

だって、そのほうが良いだろ?こだわらなくちゃ、格好がつかない

…それか、羨ましいのかもな

【命をかけるほどの理念や心情があって、命を捨てられるほど守るべきものがあって】
【そういうものもなくて、ただ酒場に居て、煙草とアルコールを欲しがってる。何もない】

【男はポケットからキーを取り出して、運転席に潜り込む。さすが高級車。クーペでも乗り心地は抜群】
【エンジン音もしっかりと響く。けれど、男は得意げな顔もせず。むしろ不満気で】

タダじゃなかったら、こんな色気のない最新式なんて乗らないよ

【タダでこんな高級車を貰えることがあるのだろうか。著名人か資産家かはたまた…どういう人間だろう】
【灰皿は吸い殻で一杯だった。男は行き先を聞いて、アクセルを踏むことだろう】
376 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/25(日) 01:47:11.31 ID:lpY5zSOQ0
>>368

【成長して大人になれば言葉は自然と覚えていくもの、それに挨拶は出来るのだから今は十分なはず】
【それに子供の内は色々なものを真似てみると案外呑み込みが早いものだ、試すことは経験となる】

そうか、もう回復魔法まで使えるのか、凄いぞ。
ティアちゃんはそれでいいさ、悪い人を倒せるようになれなくても、誰かを助ける事の方が凄いことだ。
それにそういう人は俺やフレデリックが倒してやるからな、子供は焦らずにじっくりと努力する時期なんだから 安心して頑張るんだぞ。

なれるとも!俺が保証するぜ、ティアちゃんはお母さんみたいになれる!
じゃあ大きくなったらお父さんを手伝ってあげよう、きっと喜んでくれると思うぞ。

【誰かを助けられるのなら大きな力なんて必要ない、本来 平和な世界に戦いなどいらないのだから】
【だから今のフレデリックやエルヴェツィオ、マリアはきっと 平和への架け橋を作るために戦っている】
【生きている間に世界が平和になる保証なんて何処にもない、だが それを信じて次の世代へと平和を繋ぐ為に戦うのが、今を生きて戦う者の務めなのだから】

ハハハ、今のティアちゃんにはちょっと難しいだろうな。
でも上達すれば誰にでも出来るはずだ、優秀な魔術師が近くに二人もいるティアちゃんなら早く出来るようになれるかもな。

そうだ、出来るようになったら俺に見せてくれ、その時は改めて色々と教えてあげるからさ。

【やはりあやとりを見せたのは成功だったか、応用を利かせると面白い事も出来ると伝わったようで】
【興味もまた、人の成長に必要なものの一つ、出来るようになったら見せてくれと小指を差し出して彼女とゆびきりしようとするだろう】


ん……そうだな、俺も散策していただけだからな、今から帰るところだ。
一通り欲しかった物は買えたし、ここでしか買えない花ってのも手に入れたからな。

【どうやら彼も今から帰るつもりだったらしい、駅に向かいがてら色々な通りを見ていたらしく】
【帰りは当然列車、ちなみに騎士団時代からの印象なのか、マリアが転移魔術を使えることは知らない様だ】
377 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/25(日) 01:55:39.03 ID:lpY5zSOQ0
>>368
/此方>>376ですが、眠気で文章を打つのも限界に近づいてきました……
/もうそろそろ終わりだというのは分かっているのですが、もう一度凍結をお願い出来ますでしょうか?
/明日も今日と同じ時間に来れると思いますので……!
378 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 02:01:21.34 ID:2J6obS+u0
>>370

……確かに、その通りの様だな……! やっぱお前も、「いいもん」……持ってるんじゃねぇか……簡単にはくたばりそうもないか……!

【これでも、遊んでいる心算は無い。やたら『運』を口にこそすれ、本気を出していない訳ではないのだ】
【そして、自分の運気には絶対とも言って良い自信を持っているパウルは、その差によって勝てると踏んでいた】
【それでも、やはり相手はそれなりに場数を踏んできた戦士だ。どうやら戦場で生き残る流れの様なものを、ロウも身につけているらしい】
【――――それならそれで構わない。そうした相手とギリギリを競るのも、悪い話ではない】

ッ、ジャックポット(大当たり)……!!

【そうして、自分の攻撃は見事に図に当たった事を確認し、知らず表情を緩めさせる】
【ある程度の概算はあったが、やはりこれも最終的には『運』なのだ。その一撃が浅いとはいえ決まったのは、非常に良い流れである】
【ここからなら、まだまだ十分に流れを変える事が出来る。なら、今は攻めの姿勢を崩さない事だ】
【脚の痛みに鞭を打ってここから立ち上がろうとした――――放たれた弾丸が跳弾して飛来したのは、正にそのタイミングだった】

がぁっ!! ……っぐぅぅぅ…………跳弾を、利用だと……!?

【太腿に命中した弾のせいで、立ち上がろうとした姿勢が元の木阿弥。再び膝をついてしまう】
【これでは、まともなアジリティを発揮できなくなる。ここにいる3人全員の武器に『銃』がある以上、それは致命的な事態だ】

(……早急に決めなきゃならない。この流れを以って……確実とは言い難いが、打開にはここ一点に『賭ける』しかない……!)

【こうなれば、出来る事は決まっている。一撃に、文字通り『賭ける』事】
【現在の最大の攻撃を以って、ここから一気に相手を戦闘不能にしてしまう事しか、今を勝ちに導くチャンスが見えない】
【そして、この競り合いでは、決める時に決めなければ、どちらが勝ってもおかしくない状態になっているのだ】

>>371

――――――――!?

【力の籠った言葉だ。恐らくは年下だろうに――――パウルは、思わずセリーナの言葉に面食らった様子を見せる】
【摂理にすら、意志を以って反抗する。そして運気の良し悪しをすら踏み越えてやる。パウルの口からは、絶対に出てきそうにない言葉だ】
【その言葉に、これだけの力を込める事の出来るセリーナは――――言うまでもないだろう、それだけの道を歩んできた】

……良いぜ。馬鹿でもクズでも運がありゃあ幸せになる。善人でも天才でも、運に恵まれなきゃズタボロになるんだ……
だからこそ、俺もだ。俺も己自身をベットして生きてる。どっちが先にくたばるか、それで決めちまおうじゃねぇか……!

【単なるギャンブル馬鹿なら、わざわざこんな所に出向いてくる必要もないのだ。しかし、彼にもこの信念があり、その為に『命』を賭けている】
【なら、面食らいこそしたが、それに押される訳にはいかない。『理』は、『運』を超え得ない。それを勝利を以って、証明してみせる】

<ガウウウウ!!>{ギチギチギチギチ!!}

【これが最大最後のチャンスだ。絶対に離さない――――彼らの口から言葉は聞こえないが、その動きは雄弁にそれを伝えてくる】
【――――否、黒犬は、それを言葉にして伝えた。尾の指1本を、セリーナの眼前で、こう動かして見せたのだ】
【『N』『O』――――『NO』。離しはしない、と。例え英雄を殺してでも、人間に戻って見せるのだと】

/続きます
379 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 02:01:51.42 ID:2J6obS+u0
>>370-371

……っく、移植体連中が、結構やってるじゃねぇか……これで、俺が無様を晒してはいられない……!
――――行くぜ、これが今の俺の、最大最強の一撃だ……!!
喰らって消し飛べ、マーシャル・T・ロウ! お前の魂も俺の『ゲヘナ』の一部にしてやる……!

【右足が、もう持ちあげる事すら難しくなり始めている。なら、このまま最後の攻撃を敢行するのみだ】
【幸いにして、パウルの切り札はこの状況でも放てるものである。そんな所も、パウルには恵まれていた】
【真っすぐに>>370を見据えると、右手のリボルバーを腰のベルトへと戻して】

――――行くぜ……『ゴーストレイ・シュトローム』……!

【両手を、真っすぐに身体の前方に突き出す。そこから、力を込める様にゆっくりと腰へと引いて行く】
【――――オーラが昂り、人魂の様なものがその身体をぐるぐると取り巻き、力の高ぶりが見えていく】
【同時に――――ォォォン――――ォォォン――――と言う、例の嘆きの声の様なものも、ハッキリと高まっていく】

――――はぁぁぁぁぁぁ…………デャァァァァァァァァァァァァ!!

【そうして、パウルは咆哮と共に、右腕を真っすぐに>>370へと突き出し、左腕で右腕の肘の辺りを握り締めながら支えて、力を解放した】
【――――身体に渦巻いていたオーラが、一気に奔流となって>>370へと発射される。それはさながら、霊気のマシンガンだ】
【真っ向から喰らおうものなら、まず戦闘不能は間違いない。最悪の場合には、命に関わりかねない】
【そんな力の奔流を、己の賭けとばかりにパウルは全力で見舞ったのだ】

<……グウウウ、ガウ!>
{ギチギチギチギチ!!}

【一方の>>371に喰いついた黒犬だが――――ここにきて、顎の力が微かに弱まった】
【流石に、頭部そのものに入ったダメージそのものを無化できた訳ではないらしく、頭部のグリップアタックを無視して喰らいついた結果、力が入らなくなり始めていたのだろう】
【だが同時に――――時間稼ぎは十分にできた。すぐそこまで大蟹は迫っている】
【持ちあげた鋏を、ハンマースイングの要領で、>>371の胴体へと叩きつけようとする蟹。直撃すれば――――鎧も解除出来るかもしれない一撃だ】
380 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/25(日) 02:05:00.15 ID:y5cudChWo
>>373>>374

……下らん。哀れみの感情でも期待しておるならば筋違いじゃ

……アーグとやらにも大きな借りがあるのでな
わらわの前に現れるようならば、"子"もまとめて冥府に叩き返してやるのじゃ


【騎士の"死に様"を見ても眉一つ動かさず、冷酷ともいえる態度で切り捨てる】
【自身に対して明確な敵意を向け、同情する理由もないならば少女は迷いなく相手を殺傷する】
【故に騎士の境遇を憐れむこともなく、"アーグ"という名に対して激情を滾らせていた】


…………貴様らは本当に救いようのない、世界を侵す害毒なのじゃ!!

人を超えた力を授かりながら、其れを己が私欲のために振るい世を乱す悪党めが!!
それを聞いては貴様を生かして帰す訳には行かぬ……ここで、幕を引かせてやるのじゃ――!!


【隠すこともない"怒り"を声に載せ少女は咆哮する】
【"力在る者には力を正しく使う義務がある"。それを信条とするカミナにとって】
【ダグラスの語る"パレード"の内容は断じて許せるものではなかった】
【鋭く刺し穿つ剣の如く感情を視線に載せ、射[ピーーー]ように睨みつけながら】
【カミナは"悪路王"に向けてダグラスへの攻撃を指示しようと――】


……っ!? こやつ、まだ……――


【――視野狭窄。ダグラスの話を聴き、激情を宿していたからこそ】
【バラバラに粉砕された死体が集まっていたことに気づくことが出来なかった】
【鬼はカミナを守る為に巨体を盾として立ち塞がり――】


――いかん、あれは……"悪路王"、巻き上げるがよい!!

「――――――――ッッッ!!!」


【――大地を揺るがすかのように吼えながら、金棒を地面突きたて渾身の力で"巻き上げる"】
【人間を遥かに超える怪力により、まるで地面を其の儘刳り貫いたかのような巨大な土塊が生み出され】
【上空から降り注ぐ破壊的威力を持つブレスから身を守る即席の"盾"として作用する】
>>369(ギア)が近くにいたならば、同様に土の壁で威力を軽減する、または鬼の身体に身を隠すことも可能であろうか?】

【しかし、あれだけの威力の攻撃をこんな小細工で防ぎ切ることの出来る道理はない】
【ある程度威力を軽減するだけに留まり、貫通した熱波が鬼を焼き、その背後に身を隠すカミナにもまた高熱に炙られた】
【悪路王の肌は見るも無残に焼け焦がされ、ケロイド状になった肉が更に悲惨さを演出していた】

【だが……献身的な守りによりカミナへのダメージは最低限に留まる】
【皮膚の一部を火傷し、肺を焼かれないよう息を止めていたことからゲホゲホと荒い咳を吐き出すも】
【ダグラスへの最後の一撃を指示する程度は――】


ダグラス…………マックスウッド――――――ッ!!


【――半死半生の状態ながらも、巨大な鬼は金棒を握り締め】
【地面に小さなクレーターを作りながらも凄まじい力で跳躍、ダグラスとの距離を一気に詰めると】
【嵐の如き勢いで最期の攻勢――最早技術とも言えぬ、力任せに金棒を振り回して痛打を与えようとする】
【文字通りの決死の攻撃。仕留められようが逃げられようが……一分と待たずして鬼は事切れるだろう】
381 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/25(日) 02:06:05.02 ID:VUI9B4Lso
>>375
【男に続き、靴の泥を落としてから助手席に乗り込むと、「いい車ね」なんて、よく分かりもしないのに呟いて】

キケンな香りがするわね、ステキ

【車の出所とか、タダな理由なんて、どうでもいいから聞きはしない】
【その事実が問題なのであって、そういった問題のある物品は往々にしてこういった人間を惹きつける物である】

【行き先を告げれば、それはそれ程距離も無かった。エンジンが丁度暖まってきたくらいには到着するだろう】
【マシンにとっては消化不良かもしれないが、そういったことは気にせず先んじて助手席から降りると、目の前にある雑居ビルを示した】

ここ、ここ…寂れてるように見えるけど、結構良いのよ?

【テナントが殆ど入っていない、ほぼ廃墟と空き家ばかりのビル。儲かってなさそうな探偵事務所の電気は消えていて、白紙ばかりの看板のネオンは切れかけている】
【そんなビルの傍に、別のネオン看板があって、それは地下へと続く階段の傍に置いてあった】

【先行して降りて行く男について行けば、降りた階段の先にある扉を開いて、店内に案内されるだろう】
【ブルーライトが暗い店内を淡く照らす雰囲気は、『よくあるバー』といったイメージだ、少ないが客も男女いて、バーテンダーも初老らしき着飾った坊主頭の男】
382 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage saga]:2015/01/25(日) 02:18:40.23 ID:LDiwblRlo
>>373>>374
【こん棒と花火の二重奏は、騎士を完全に抹殺した。あれほどの力を誇った騎士も、最後はあっけない物か】
【バラバラに飛散し、鮮血を垂れ流す騎士の残骸から、無理やりに視線を切ると】
【食人鬼兵らの呻きをバックミュージックに、今宵の戦いの収束へと向かう】

機関員が言うセリフとは思えないね……困ったことをそこらじゅうでやってるのはそっちだよ
今度は、借り物を戦場に投入するのはやめておいたほうがいいんじゃない?

アーグ……確か連絡にあった、かつての大司教……
その人物が作った……またその手の話か……元とはいえ、仮にも聖職者がすることか……

話を聞くだに愉快なメンツだね、出来ればお近づきにはなりたくないな

【こうまで悪意の塊のような事実を見聞きすると、さすがに辟易するというものだ】
【世界を覆う闇の深さは、今更あげつらうまでもなかった。それでも、目を逸らしてはならないのが、自分たちだとも自覚はしている】
【花火バズーカを手早く体内の異空間へと押し戻しながら視線をダグラスへ向ける】

【語られることのない共通項、芝居がかった間を空ける動作にかき消される】
【代わりに、言葉で渡されるのは、また別のどこかで起きる波乱への誘い】


(ディハートさんにも接触していたのか……)
ドラクレア島……六罪王の今のアジトってところかな
誰が主催なのかは気になるけど、メンツを見る限り規模は大きくても落ち着いて楽しめる類の会じゃあなさそうだね

【ダグラス本人の動きに、その語る内容に、意識は傾く。ギアの視界に、蠢く騎士の残骸は入っていない】


真っ二つ……!? ……六罪王が鎧一つで命を繋ぐ有様だとは驚いたよ

それで、死に際にパレードをやるって? いつだったかの、宗教騎士団の真似事か?
あちこちを暴れまわって、有終の美を飾る……本当に、ひっそり一人で死んだくれた方がいいと思ってしまいそうだよ……

ああ、疲れたよ。終わりにしよう。パレードと言わず、今ここで終わって行ってくれれば――――
……くぅ!? また風……!?

【ここに至ってようやく、騎士の死体に気づくが遅かった。怪しく血に濡れた鎧がまき散らす暴風】
【迂闊にも、またもその檻の中に閉じ込められる。足を縫い留められた、その状態でのブレスの雨】

【これまでか――――と思いかけた途端、>>380にて"悪路王"が生み出した土の防壁が】
【自身への業火を和らげた……が、完全な無効化とはいかず】
【自分が生身を失った時と同じ、炎に襲われるという地獄を再び味わう結果となった】

【全身を覆う熱、魂を襲う激痛。唯一あの時と違うのは、今や己は生身の身体ではないこと】


【最後の力を振り絞り、ギアの胸から取り出される箱。巨兵にも用いた、サプライズキューブ】
【それを、手に握りしめたまま破裂させ。ダグラスの着地点へ、鉄球たちを送り込んだ。まともに食らえば、肉に食い込む威力】

【それを放てば、ギアの魂は炎の齎したダメージに耐えきれず。収容所前の地面に、ゆっくりと崩れ落ちるだろう】
383 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 02:24:29.45 ID:rSSJX3w80
【――――深夜の繁華街、となれば治安も悪くなり。所々で客引きの声やら罵声が聞こえたりとするのだけれど】
【その中でも一際目立つ騒動が路地裏入口付近で起きていて】
【見遣れば柄の悪い男達に囲まれる青年が一人。その身形と気配とは軍人を連想させるもので】
【何よりも顔の左半分に傷跡が走っている事が特徴か。瞼が閉じられたままである事から、開かないのだと知れるけど】


「俺は金を持っていない…………と何度も言っている筈だが
縦んば持って居たとしてもお前達数人で奪えるとは到底思えないけどな」

【その言葉に逆上したのか、男達が一斉に襲いかかるも――――それぞれが拳の一撃で沈められ】
【残った一人が叫びながら飛びかかってくるが後ろ襟首を掴んで地面へと叩き落として】

【所詮は命の取り合いもした事の無い者達。強い痛みを味わえば蜘蛛の子を散らす様にして逃げ】


「全く、俺も舐められたもんだな―――――
さて、当初の目的通り飯でも食いたいが…………金も残り少ないし、どうしたもんか」

【大した障害でも無かったとばかりに溜息を吐けば辺りを見渡すが――――】
【先の出来事もあり、必然的に人集りが出来ているのだから遠目からでもよく目立つ】
【当の本人は周りでヒソヒソと声が交わされている事も気にせず辺りの店を見ているのだから、更に目立ち】







【最早人々の記憶からも忘れ去られた遺跡。其処に在る朽ちた柱の上に一人の姿】
【背から翼を生やし、月光に照らし出される様は何処か神秘的な雰囲気にも思えるか】
【――――ただ。天使の其れを纏って居るのでは無く所謂修道着を纏って居るのだから一層存在感を醸し出し】

「まあ……作っては忘れていくんだから人間も結構勝手だよねぇ…………」

【人で栄えていたであろう曾ての遺跡を思ってか、座るその場所を優しく撫で】
【指先に付着した粉塵は手入れの施されて居ない歳月を示す物。尤も――――そんな事は、この遺跡の現状からでも分かる事なのだけれど】

【今宵は満月。故に、辺りを照らす光量は十分であり、女の姿も容易に見つける事が出来よう】
【腰に提げられた金と銀二色の双銃が視界に入るだろうが、未だ敵意を見せる事も無く】
【寧ろ「ボクに何かご用かな」――なんて尋ねて来るのだから不思議なもの】


/予約でありますー
384 :ダグラス・マックスウッド ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/01/25(日) 02:30:48.34 ID:EAaD3ypRo
>>380


ふふっ……キミは本当に怒りっぽいね、相手がボクで良かったよ
キミは経験が豊富だと言ったけれど、その短気は弱点だ
現に、キミは彼の復活に気付くことが出来なかった…――。

……それに、キミの能力は恐ろしくて実に強力だけれど
やはり想像力が足りないんじゃあないかな。例えば……巨兵はまだ、動くとしたら?


【巨兵のすぐ前に着地して、そこに迫る鬼――悪路王だったが】
【その金棒は、胴体を真っ二つに切り開かれた状態の巨兵の動きに阻まれる】

【しかし、流石に全盛の力は出ないのだろう。直撃は身を以て防いだが】
【そのままジリジリと押されるようにして、ダグラス自身も圧迫を受け】
【やがて鬼が倒れ、巨兵がそれに準じた頃には、額がぱっくりと割り開けた姿があり】

>>382

【巨兵と悪路王のやり取りを見れば分かるように、ダグラスにもそうそうの余裕は無かった】
【故に、サプライズキューブのように小さな物体にまで気が回らなかったのだろう】

【炸裂し、はじけ飛ぶ鉄球をその身に受けることとなり――鎧で、幾らかは防ぐものの】
【如何せん、防御を重視した装甲ではない。内部の弱体化した身体は、この日一番のダメージを受け】
【切れた額から出血しながら、大量の吐血を引き出すに至る一撃と化した】


ぐっ、ぁ……!ふ、ふふっ……キミの言うことは、少し違うね……!
宗教騎士団……フレデリックのしたことは、彼なりの正義だったッ…!
その点だけは、譲れないボクの意見だ……いや…、……真実≠ウ……。

……友達だったんだから、それくらいは言わせてくれよ…。
それに有終の美だなんてとんでもない…――破壊は、本来の芸術の対局に位置する観念だ……!

そこに美を見出すものも居るけれど……だが、そうだね……。
……破壊の路を究めれば、何か新たなものが見えるかも知れないと思ったんだ
死の寸前にでもそれが分かれば、僥倖……後は…、……ふふっ。


【『自己満足に決まってるじゃないか』――そんな、独り善がりな言葉を血とともに吐き出せば】
【よろよろと立ち上がって、巨兵の鎧内部へと倒れこむように、姿を消した】

【先ほど言っていた移動用のゲートがそこに合ったのだろう。音は、それきりすっかり聞こえなくなって】
【次いで、唖の騎士が風に包まれて、周囲に砂塵が舞い上がると】
【瞬きする間に、件の鎧騎士もまた消えていた。敵は全て、これで消えたのだ】


【結果だけを言えば、六罪王の撤退。そして、カミナとギアによる収容所の死守達成】
【防衛の成功と言える筈だ――が。ダグラスという不安の種は、広く拡散されることだろう】
【ドラクレア島――そして、死前のパレード。罪を罪とも思わない意志が、その葉を広げようとしていた】

//それでは、時間も遅いのでこの辺りで!
//カミナの方、ギアの方、おふたりとも大変お疲れ様でした〜!
385 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 02:31:31.40 ID:9hNy4HkHo
>>381

危険な香り…ね

【考えるように、なんとなく繰り返す。男はこの短い距離でもウィンドウを開け】
【煙草に火をつける。さながら途切れない鎖のよう、チェインスモーカーというわけだ】

…成る程。そりゃあ、ポールもガードマンのアーミーも居ないはずだ

【灰皿に無理やり煙草を押し込んで、車を降り、店へと向かう】
【迷いなくカウンターにつき、一言で「ギムレットを」と、店主に言った】

ビールのつもりだったけど…BARだと、合わないしね。…ベテランであればあるほど
ギムレットは甘くなるんだ。本来の、オールドスタイルはガムシロップみたいに甘いライムジュースを使う
……味じゃなくて、伝統さ。…やっぱりビールも頼もう。チェイサー代わりに

【飲みたがっていた、さっきの注文の多い注文をぶつける。望み通りのものが出てくるかわからないが】
【じゃなくちゃ飲まないってほどにこだわっているわけじゃない。基本的に、酔えればいい】

……それで、アンタはどういう人間だ?

【唐突に、男は店主がシェイカーを振るうのを見つつ、煙草に火をつけながら聞いた】
【名前…それも含まれるけど、もっとシンプルで本質な答えを求めていると伝わるといい】
386 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/25(日) 02:37:29.46 ID:KUXypC2Wo
>>383

例え忘れられたとて想いは確かにあったのでしょう……
ただ今の時には語り部たる者が去り、ただ静かに佇むのみ……ですか、悲しいものです

【声は唐突に、加えて響くは金属が揺れ擦れる音】
【一歩一歩毎に響くそれは巨神の歩み、護るべき為に立ち塞がる絶対の巨兵を幻想させる】
【或いはかつての時にはそれ程までの力を携えていたのかもしれないが……】

月が語り部であったならば、失われてゆくものもきっと無かったのでは……と
こんな夜にはどうしても思ってしまいます、万物の慈愛を宿す黄金の星の魔翌力でしょうか……。

【今や騎士は、煤けた色合いの鎧こそ身体となった者には名残なく】
【月と同じ黄金の髪をふわり揺らし、悲しくもどこか少し困ったような笑顔でふと語りかける】

それはさておき、この時期に月見ですか修道女様?
なかなかに風情のある話ですが身体を壊さぬようお気を付け下さい、季節柄この寒さは少々辛いですから

【騎士の名をアレサ、紆余曲折を経て教会に身を寄せる事となった「かつて」の時代の騎士】
【その些細、彼女が同じくして教会の所属ならば承知の上かある筈が無い「顔」を例え偽りとしても得た話も耳に入れている事だろう】
【ただこうして二人だけで話す機会というのは恐らくは少なく、向ける顔の微笑みは親交を深めたいが故のものだった】

/よろしくお願いします!
387 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/25(日) 02:37:51.96 ID:QWAl1El30
>>376

そうかな?えへへ……おかあさん、いっぱいおしえてね!

「ふふっ―――優秀なんて、私はまだまだで御座いますよ。でも……愛娘に教えるくらいなら、きっと出来ます!
 分かりました、頑張って練習して出来るようになりましょうね!」

うん!


【差し出された小指を絡めると、「うん、やくそく!」なんて元気よく応える事だろう。この少女、元気も取り柄らしい】
【持ち前の元気と優しさで、色んな事に挑戦したり努力したりする。そんな風にして今までこの少女は育ってきた】
【優しさも、魔術も、母親から色々なものを受け継いで……そして、きっとこれからも学んでいくのだろう】
【まだまだ育ちざかりの小さな少女の成長は止まらない―――】

【さて、そろそろ帰る時間となってしまった。家ではティア以外の子供達も帰りを待っていることだし】
【夕飯の支度をしに戻らねば、何のために夕飯の材料を買いに来たのか分からなくなる。……名残惜しいけれど、今日は此処でお別れ】
【と言っても、どうせまたすぐ会えるのだが。ゼン=カイマに戻れば大抵は家にいるのだし、尋ねれば何時でも顔を合わせられる】

「あら、花なんてあなたも中々お洒落なので御座いますね!誰かに渡すので御座いますか?
 
 ……さてと。エルヴェツィオ様も帰る所なら、あまり長く引き止める訳には参りませんね。

 ―――実は、旦那様に転移魔術を手取り足取り教えてもらったので御座いますよ。お蔭で、こんな場所にも気軽に買い物に来れて便利で御座います!
 まだまだ未熟で、転移させられるのは私含め二人が精いっぱいで御座いますが……場所さえ分かれば、何処へでも行けます!
 ……出来る事なら、エルヴェツィオ様も転移で送り届けられれば良かったので御座いますが……申し訳ありません……
 
 では、お先に失礼致しますね。あ、そうだ。また今度、家に寄って行って下さいな。紅茶でもお出ししますので!」

ばいばい、エルヴェツィオさん!えっと……またこんど、あそんでください!

【―――そんな言葉を残して、二人はゼン=カイマの自宅に転移する。】 
【買い物に行って、迷子になった我が子を探し回って、思わぬ出会いに驚いて……今日は色々とあり過ぎた】
【そんな一日も、たまにあれば楽しい。日常の中のハプニングは、人生を豊かにするもの―――】

//時間も遅いですし、此処で〆という事で!お付き合い頂き有難う御座いました!
388 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/25(日) 02:38:49.61 ID:/IP19oSzo
>>378 >>371

……奇遇だな……こっちも当たりだよ……!!

【女神が振り向く姿が脳裏に見えた。確かに女神は俺を見捨ててはいない。ロウは不意に微笑んだ。そして女神を此方に呼び寄せるのは、来てほしいと思うことではなく】
【――――あくまで自分自身の力で勝利を得ようとすること。そして自分を信じることであると心の中で何度も何度も呟く】
【これでお互い膝をつく手負い。ここから仕切り直しなどはない。故に決着の時も近い――――そう思わせたのはお互いだろう】

……全力、か。いいね……じゃあテメェの全力――――俺が受け切ってやんよ……!!
こっちもギリギリまで宝玉の魔力を引き出すッッ!! 男と男が女神を奪い合い全力を尽くす……いいじゃねぇかよッッ!!

弾丸憑依――――――――Slaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaap!!!!!!!!!!!!!!!

【宝玉が再度淡い輝きを見せる。ロウはパウルに右銃を向ける――――そしてパウルが吼えた瞬間、ロウも吼えその技の名を腹から叫んだ】
【銃弾が銃口を飛び出した瞬間、弾丸の側面から彼を覆うほどの巨大な掌が生える。――――これこそが彼の「弾丸憑依」において最も信頼に値する技、Slap】
【掌がぼこぼこと音を立て揺れながらマシンガンを受け止めていく。徐々に掌の形も歪み、その盾が壊れていく】
【弾丸自体が手と繋がっているので、その弾丸がパウルに当たることは無い。――――これは盾。掌が弱って消えるか、消える前に防ぎ切るか】
【この僅かな時間、緊迫したこの間に――――響くのはセリーナの痛々しい声だった】

……――――なっ……!!

【余りにも鮮明に耳に届くは彼女の絶叫。直ぐに視線を向ければ、彼女が黒犬に捕まり、噛み付かれ、苦悶の表情を浮かべている光景】
【――――本来このような場合でも、あくまで自分を優先にし隙を見て彼女の救出に走るべきなのだが。まずはこっちを、パウルを凌ぎきってからだが】
【そのような冷静さは憤怒の焔と使命感で吹っ飛んだ。slapが彼を護っている僅かな間に、出来ることがあると信じて】
【そしてその行為は明らかにパウルへの警戒もおろそかにし、掌の盾が脆くなったとしても――――此処は、やらなければならないと思った】


正義(ウチ)の女神に……――――〜〜〜〜ッッッ、何やってんだこのクソ犬がぁぁあああああああああああああッッッ!!!!!!!!!!!


【彼女は正義組織を、いや世界を支えてきた希望。幾つもの闘いに勝利し、多くのモノを護り、多くの人に笑顔を与えてきた】
【――――そんな彼女だけは護らなくてはならない。自分なんかよりもよっぽど重要な存在であり、絶対に失ってはいけない正義の女神であり太陽だと思う】
【だからこそ、自分が彼女を護るナイトにならなければなんて、勝手ながらに思っていた。……だからこそ、ロウは激高し吼えた】

【そして吼えると同時に宝玉のペンダントが光り、不穏な魔力をばら撒き、そして――――ロウは持っている左銃を捨て瞬時にガンベルトに刺さっていたリボルバーを抜いた】
【左の青いリボルバーが輝き姿を変える。今まで使っていた赤青の自動拳銃とは全く異なる姿、デザイン、そして威圧感―――】
【銃を分類するならば、リボルバー式の装飾銃だろうが―――其れにしても規格外のサイズ。30cm近い全長であり、そして綺羅びやかに輝いている】
【左銃は蒼、『Deep Blue Dreamer』 。全体がメタリックブルーで煌めいており、黒のグリップにはペンダントの宝玉半ば剥き出しでが埋め込まれていた】

/続きます




389 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/25(日) 02:39:26.49 ID:/IP19oSzo
/>>378 >>371 続きです

【そして刹那、ロウは左銃でトリガーを引く。1回じゃない。指が引き千切れるほどの負担に耐えながら、3回一気に引く】
【片方はslapで必死にも関わらず、意識をあちらに向けて引いた。slapが耐えきれなくて自分が傷ついてもいいと思える程にまで】
【――――彼は護るモノがあればあるほど、その実力を発揮できるタイプの人間だ。そして今がその100%の時――――なのかもしれなかった】
【指から血が噴き出て、今後のパウルとの戦闘にも影響するかも知れないがそんなことはどうでもいい。兎に角目の前の彼女を救うことに必死だったから】

……放せッ!! 放せェェッ!! 放しやがれこの野郎がぁああああああッッ!!!!!!

【鼻。尻。そして蟹の鋏へ。まずは黒犬の鼻へと一直線に向かう弾丸。鼻に受けた時の痛みは尋常ではなく、噛む力が一気に緩むはず】
【尻へと向けた弾丸。本来なら尻尾の根っこを正確に狙うはずだが、高速で引き金を引くにあたり少々狙いもいつもよりは雑になる。故に大きな範囲、尻を狙う】
【最後の銃弾、蟹への一撃はあの攻撃を止めることさえ出来ればいい、ダメージを与えるつもりはなかった】
【鼻、尻、蟹の鋏。この計三発を一気に撃ち抜く秘技――――高速三連銃撃(トリプルクイックドロウ)。激高しながらもその集中力は群を抜いていた】
【しかしながらこちらに時間を割いた分だけパウルへの意識割合は減り隙も増し左人差し指も痛んだことで僅かに反応が鈍る】
【そして強い反動からか左肩の痛みも徐々に増していくという、ロウにとっては厳しい代償が積もる。それでも彼女を失うよりは、何千倍もマシなのだが――――】

【――――打ち終わったと同時に、脇腹にパウルの弾丸が刺さった。slapが僅かに耐えきれなかった。死ぬほどではないが、弾丸を数発体に浴びて2m程吹っ飛び倒れる】

……――――っぐぅっ、ふふ……流石に両方同時にやって耐えきれるとは思ってねぇよ…………。
喰らうだろうなと覚悟してたけど……思ったより重いし痛てぇじゃねーかよチクショウ……。

うぉっ……脇腹もやべぇが脚にも数発来てるぞコレ……やべぇ、立ち上がれ……ねぇ……。

【震えながら、吐血しながら声を発するが身体が動かない。正確には首や腕、手は動くが上体を起き上がらせるには時間がかかるし、足も動かない】
【――――セリーナを助けようとしておいてこの有様だと、どこか笑えてくるようで、ふふ……と弱弱しい声を漏らす】
【パウルがまだ動けるならば――――今度はロウが危機。最後の最後に、セリーナに命を預けることになるかも知れないと言う事態】
【ロウは悟った。やっぱり自分はセリーナのように主役にはなれない。主役ぶろうとして、自分のキャパシティ以上に物事を進めようとするとこれだ、と】
390 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/01/25(日) 02:41:57.19 ID:lpY5zSOQ0
>>387
/此方こそ、ありがとうございました!
391 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/25(日) 02:53:51.98 ID:VUI9B4Lso
>>385
【男の隣、奥側の席に座ると、「じゃ、いつもの」とバーテンダーに注文し、男の注文も聞いたバーテンダーは黙って頷いた】
【シェイカーの子君いい音が、微かなBGMにテンポを取る空間で、フフと笑う】

アタシ?アタシはペコラ・バローニオっていう者よ……なんて、そんな事は聞いてないわよねぇ

【分かっていながら名前を言って、揶揄うように笑うと、細い目がゆるりと男を見た】
【近くに重ねて置いてあった灰皿を手に取り、男の側に置いてやりながら、空いた手でジャケットの裾を捲り、ウィンクをして】
【暗い中で淡い光に照らされる褐色の引き締まった腹筋と、臍を囲むように刻まれた『逆五芒星』の刺青、この世界でその模様を身に付ける者がどういうものか、改めて聞くまでもないだろう】

…カノッサ機関、丁度今賑やかにしている人達のお仲間よ
所で、アナタはどういう人間なのかしら?

【それを自称するのがどういうことか、わかってはいるが───ここの店は、客も店員も、店の中にいる間では人の立場を気にしたりしていない】
【機関でなくとも、『こういう人間』が気にいる場所なのだ、人の何某を言うような者はいないだろう】

【そうしている間にカウンターに置かれるのは、真っ赤なブラッディ・メリーとビール、そしてギムレット】
【ギムレットを男のカウンターに置いた後、無言のバーテンダーが「これを使いました」とアピールするように、ローズ社のラベルが貼られた瓶を棚に入れた】
392 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/25(日) 03:02:38.49 ID:y5cudChWo
>>384

――げ、ほっ……貴様らのような、我欲の為に無力な民を虐げる輩に対する怒りがわらわの力の源じゃ……
上から目線の助言など……余計なお世話もいい所なのじゃ

貴様の"悪業"はわらわ達が必ず止めてみせる……
覚悟しておるがよい、わらわの剣が身を貫き……魂までも焼き焦がすその日をの――


【髪の色と同じ、紅蓮に燃え盛る炎のような激情。悪を許すことが出来ないと誓った正義の心】
【この融通の利かない頑固な性根は欠点でもあり、カミナの行動源でもあった】

【去っていくダグラスに対して怨念じみた言葉を吐きかけながらも】
【身体の至る所から走る火傷の痛みに、剣を杖のようにして膝を突く】
【"織守"を失ったカミナは見た目通りの小柄な少女と同じ耐久力しかない】
【最小限にしたとしても、天敵である火炎を身に受けたのだ――無事である訳がなかった】


>>382

……後一歩の所だったのじゃがな、詰めを誤ったのじゃ
御主の身体は大事ないかの……いや、聞くまでもないことか――


【幾らか時間経った後、呼吸を整えたカミナはゆっくりながらもギアの方へと近づきその身を案じる】
【お互いに死力を尽くしていたことは明白……特にギアは、様々な物に守られていたカミナ以上に身を削ったことだろう】
【崩れ落ちた彼に近づくと、周囲に無数の大きな紙を出現させ】


――生憎と、今は大した術は行使できんが……御主を運ぶくらいは出来るのじゃ

未だ戦火は治まっておらん。
いつ奴らの増援が来るか知れぬ以上、何時までもこの場で倒れておる訳には行かんからな


【巨大な折り鶴を出現させると、首でそちらを指して乗るようにと促す】
【もし其れに従ったならば、鶴は安全な場所まで自動で飛翔し彼を運ぼうとするだろう】


……後は、わらわに任せておくがよい
何、ダグラスのような手合いが来ぬ限り……今のわらわでも容易く蹴散らせるからな

じゃから、今はゆっくりと眠っておれ……これからはきっと今以上に忙しくなる
後のことはまた改めて、話すこととしよう――


【一方カミナは、生成した紙の"兵"達を従えながら再び収容所の入口に陣取る】
【ダグラスを退けたとしても、他の機関員がここを狙わないとは限らないのだから】

【……結果としては、増援が来ることはなく徒労に終わるのだが】
【もしここで何事もなかった場合は、今日はこの場で別れる事になるだろう――】
393 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/25(日) 03:02:40.64 ID:5Mk4J1uBo
>>378>>388-389

【互いに、互いへとベットし、命を天秤にかけるそう、まさにこれこそがデス・ゲーム。】
【金銭も栄誉も余韻も無い、勝てば生き残り、そして負ければそこには無限の虚無が待っている。】
【だがその賭け自体を、ご破算にする事だってきっと、出来る。―――双方生き残る、という、荒業が成功すれば。】

 (―――……ああ、そうだ。ロウさんはきっと、これを大事にしたかったんだろう。)
 
 (アタシも生きる。相手も生きる。それが一番じゃないか。それがベストじゃないか。)

 (そうしたらきっと、もう悪夢を見る事も無い―――……貫く事さえ、出来るなら。)

 (……呪いの様だと思っていたこの戦いにも、意味があるとすれば……それは。)

 (……全員が、全員生きて帰る事、か―――そう、だよね。それが最高さ、そうに決まってる。けど―――ごめん。)


 はぁ、ハァッ……っ!! がっ、ああああっ!! く、そっ……う、うぁ……ぁッ・・・・・……!!

 (……こいつは、厳しい、かも………っ。)


【―――運命が残酷ならば、時にそれに屈する者も出てくるだろう。鎧の中で意識が段々と、遠のいていく。】
【強烈な締め付けと次々に襲い掛かるダメージ、そして腕に降りかかる激痛すらも、感覚が麻痺していく様に―――。】
【ここまでか―――否。その瞬間、先程の攻撃の効果が遅れて現れ始める。セリーナの拘束が、僅かにだが緩まるのを感じた。】

               【そして、何より―――。】


                   『"ウチの女神に、何やってんだ"』


【―――力強い言葉が、セリーナの脳裏を激しく揺さぶる。そうだ。こんな所で、希望たる自分やロウが倒れる訳には行かない。】
【緩んだ拘束、そして重なった味方の―――セリーナにとって最大の理解者であり、尊敬する彼の言葉と、援護射撃が隙を生み出す!】


 (―――ろ、ウ……さ、ん……ッ、くっ、ソッ……!!)

 ……やられ、っぱなしで、――――いられる、か……ッ!!

 (応えるんだ、彼の期待にッ!!)

【―――ティターン・アーマーの背中、魔導エンジンの機関部が激しく脈打ち、鼓動する。】

 (応えるんだ、アタシの運命にッ!!)

【魔力が鎧の全身を駆け巡り、強烈な補助動力がウォン、という静かな怒りを湛えた音と共に彼女を奮い立たせる。】

 (―――応えるんだ。アタシを信じてくれる、皆の希望にッ!!)


                  く……っ、う、――――――うォォォォォォォォォォォォォォッ!!
 

【最後の力を振り絞り、セリーナはアーマーのパワーを全開にし、黒犬を持ち上げ、そして"投げ飛ばそう"とするだろうッ!!】
【まさに馬鹿力、しかしそれ故に、一度動き出したそれは、更に上回る力を誇示しない限り、止める事など出来よう筈もないッ!!】
【そしてその先は―――そう、"黒犬"を投げ飛ばす事が出来たのならば、その巨体を丁度、大蟹めがけて吹き飛ばそうとするだろう!】

 ロウ、さん……ッ! ありが、とっ……うぐっ!!―――後は、アタシに……任せてっ!!

【―――力強い言葉を残し。自分を見捨てず、ダメージを省みずに援護をしてくれた彼に、最大限の恩返しを。】
【セリーナの闘気に感応するかの様に、愛銃"弾"末魔のエネルギーが周囲へと満ち溢れていく―――!】
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 03:03:15.64 ID:rSSJX3w80
>>386

「町だって何だって勝手に作るだけ作って結局忘れて、後は時間が壊してくのを待つだけさ
――――なんだって人は忘れるよ。作って、作った事すら忘れて。まあ……子供に与えた玩具みたいだよね
一時は夢中になるけど、何時かは飽きるんだから」

【此は何時作られたのか、何時から忘れられているのかも分からない】
【結局は一時の情熱を向けるだけの物だから――――なんて、小さく呟いて】


「……ん。月は好きだよ。一人で孤独に見えるようで、周りには沢山の子が居るし
何より太陽みたいに眩しくないし…………光だって優しいから、さ

人一倍身体は丈夫だから風邪はひかないと思うけど……もしもボクが風邪をひいたら、教会まで負ぶって行ってほしいな
――――嗚呼、それと。ボクに修道女様はむず痒いから禁止ね。グリースって普通に呼んで欲しい所だけど。ねえ、アレサ?」

【屈託無く笑えば冗談を交えて返して】
【死神、と呼ばれている事は教会の中で聞いて居るであろう。何故、その様に呼ばれているかも】
【イリニから聞かされたか、神堂から聞かされたか。それとも小耳に挟んだかは騎士自身だけが知る処だが】


「呪いは……まだ解けて無いみたいだね。こうしてキミと落ち着いて話すのは初めてだったと思うけど――――
うん。どう、教会の方には慣れてきた?」

【呪いの所為で肉体が無い、とは聞かされて居た。そして騎士が教会に来てから暫くして、顔を手に入れた事も】
【金色の双眸はその顔を観察する様に見て、同時に騎士の呪いについても感じ取ろうとでもするのだろう】
【尤も、解呪の方法は物によって異なるのだから下手に何かをする訳にも行かず――――変わりとして、恐らく以前居た場所とは大きく異なるであろう教会には慣れたか、と】
395 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 03:13:09.13 ID:9hNy4HkHo
>>391

【サングラスの男はカウンタに肘を立てて煙草を吸う。乾いた、安いタバコの臭い】
【彼がこの煙草を選ぶ理由は一番、何処でも売っている。それだけだ。それが重要だ】

…名前は、大事だよ。アンタをいつまでも『クィーン』や『12(トゥエルブ)』なんて呼ぶわけに行かない

【クィーンで連想されるのがトランプのカードというだけに彼はなかなかゲームが好きな人間か】
【はたまた賭け事の好きな男というわけだろう。どちらかと言えば後者の雰囲気が強い】

俺は…………。

………銀行強盗

【少し、間を開けて、そう言った。犯罪者はいくらでも居る。強盗も結構多い。銀行強盗だって】
【世界的に見ればそこそこ居る。だが、ソートして一番上に来るのは伝説の『ジョン・デリンジャー』か】
【現代でも絶賛指名手配中の連続強盗犯の『もうひとり』ぐらいのものだ】

チンザノ・ロッソ

【たまたま、此処はBARだが、オーダーした訳じゃない。カウンターにはグリーンのギムレット】
【男はそう名乗った。レノックスでも無く、マーロウでも無く、ボガードでもない。シンプルに】

最近はカノッサばかり知り合いが増えるぜ。先にいっとくが、お誘いはお断りだ
………機関も、ベッドもな
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 03:16:27.71 ID:2J6obS+u0
>>388-389

粋な、事を……! 幸運の女神は……俺と共にある、んだ……!
俺は……幸運を振り向かせるだけの……良い男、なんだぜ……!?

【男と男が、女神を奪い合い全力を尽くす――――その言葉に燃えないパウルではない】
【力を以って、この場を撃ち抜き、そして女神の祝福をその手にする。その為に、パウルは防御をもろとも破壊しようと、霊気の奔流に力を込める】
【――――死者の霊魂を己の力に変える『霊的熱量エネルギー力場 ゲヘナ』。それを最大限に活用して】

……逸れた!? あいつ、何を……
<ギャアァゥ!!>{ギチッ!?}

【全力で撃ち抜こうとしたパウルだが、ロウの意識はセリーナの危機に向く】
【思わず疑念を口にするパウル。如何に力があるとはいえ、そうして半端に意識を散らす事は危険だと、分かっているだろうに】
【信頼の情が分からないではないが、目の前を打開する前に行動を起こすのは、少々信じ難い行為だった】

<……ゥゥゥ……>{…………}

【――――そして、その引き換えに、セリーナに襲いかかっていた黒犬と大蟹は銃弾に捉えられる】
【弾丸は上手く狙いを捉え、黒犬の口は離され、下半身を捉えられて転倒し、蟹の腕は弾き飛ばされてキチン質の甲殻に罅が入る】
【倒れ伏した黒犬が、微かな呻き声を上げた】

(……それは、運をアテにしすぎた怠慢に当たるんじゃないか? ……言ったはずだぞ、女神は擦り寄られると袖にされるって……)

【『ゴーストレイ・シュトローム』でロウを打ち倒したパウルは、微かに眉を潜めていた】

>>393

……くっ!? なんて気迫だよ、本当に……!
……ぁ、こりゃ、不味いな……!

【片膝をついたまま、パウルはその姿に再び息を飲んだ。確かに感じたのだ――――その命が、死の淵に近付いたのを】
【しかし、今セリーナのやっている事はなんだ。それは不屈の執念による、復帰と言うべきものだった】
【結局、脚のダメージに呻いているパウルは、さほどでもないが――――移植体と呼んだ、2体の生物兵器が危ない】
【だが、それを助けに行く余裕も、どうやら今の自分には残っていない様だった】

<……ゥゥゥ……――――グアア!!>{!!!}

【持ちあげられ、投げ飛ばされる黒犬。慌てて避けようとした蟹だが、強烈な勢いのそれを逸らし切る事は出来ず、真っ向から喰らってしまう】
【2体揃って、ひっくり返り――――バキッと、カプセルの割れた音が響いた】
【べシャッと、中身の『脳』が地面に投げ出され――――黒犬と大蟹は、動かなくなる】

>>388-389>>393

ぅ……!?
(ま、不味い…………これは、本格的にピンチだ……!)

【状況を顧みて、パウルは思わず呻く。暴霊の一撃は放ったばかりで、現在は無防備、逃げ場もどこにもない】
【その中で高まっていく、>>393の力――――死が、迫る】

≪――――姿勢を低くしなさい、2人とも!!≫
!?「!?」

【――――頭上から、声が響いたのはその瞬間だった】
397 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/25(日) 03:20:54.57 ID:KUXypC2Wo
>>394

人は変わらず……私の生きた時代もそして目覚めた時代も、戦いはあり続けています
記憶・想い出の類は薄れますが身に刻まれた本能だけは潰える事は無いのかもしれません……

【腰に携えた剣に触れふと零す、昔と今と変わらない物があるとすれば浮かぶ星と人の罪業】
【悲しくも淋しくもあるが騎士の身は神に非ず、理という力に逆らう事は出来る筈もない】

貴方が望むのならば、そのように致しますグリース様

【死神という名には似合わないその翼、くつくつと喉を鳴らすフリをし笑みで返す】

呪いが深いのか祝福が深いのか……最近ではよく分からなくなっていますがこうして顔を得られただけでも幸いです
ええ、未だ不慣れな身ではありますが最低限の仕事はこなせていると思います……
ただ戦力としては正直……といったところでしょうか、全盛の頃の能力と比べれば粗悪と言わざるを得ませんね……。

【内より即ち鎧による祝福と、外より即ち煤による呪い……その狭間に囚われる騎士】
【魂だけで動く駆動体はその陰と陽の奇跡的なバランスによって齎され、どちらかに過不足があったとしたならばこの場で話す機会さえもなかっただろう】
【ただその擬似的な不死の状態を幸いかどうか……それは個人による物であり騎士にとっては言うまでもなく】

先日に試してみたのですがこうなる以前に使っていた技能の8割は扱えなくなっていました……
使えたとしても下級程度の技能のみ、情けない話ではありますが騎士と名乗る以前の状態です

【剣抜きつれ、しかし刃に全盛の力無く】
【銀の刀身にただただ月の黄金が栄えるのみ、力なく微笑み浮かべる様は自虐を少々と含んでいて】
【ただそれでも悲しみに暮れずにいられるのは「教会」という身を寄せる場所を得られたからだった】
398 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/25(日) 03:31:56.95 ID:VUI9B4Lso
>>395
別に、名前を言ったからって名前で呼ばなくても良いわよ?
愛称とかあだ名とか、そういう方が仲良さそうでいいわ。アタシ、アナタとは仲良くしたいもの

【捲ったジャケットを降ろし、カウンターに向いて自分のグラスを指で撫でる】
【血のように赤い液体を見つめながら、うっとりとした風に言って】

【赤い眼の犯罪者、人を殺さぬ銀行強盗───きっと今聞いた名前の彼の目は、同じくらいに赤いのだろう】
【別段驚く訳でなく、疑う訳でなく、それは店内の雰囲気も同じで、全てを受け入れて流すようなそんな感じ】

ステキね

【ただ、薄金の目を向ければ一言、車にでなく一人の人間にそう言った】

どっちも誘いはしないわ、アナタはそのままのアナタが素敵だもの
一緒になってしまえば、一緒の物としか思えない……だから、それでいいの

【手の届かない恋に焦がれた乙女のような心情が、手も触れず内に入れない事を選択する。それ以外の選択はない】
【小さなグラスにアツい唇を付けて流し込むと、静かにグラスを置いた】
399 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/25(日) 03:38:17.04 ID:/IP19oSzo
>>393 >>396

【腕、手、首と口。それしか満足に動かせない身体だということは、此処でロウはリタイア――――だと、誰もが思うだろう】
【しかもそれは油断に近い。力をぶつけている最中に他人を気にし、そして助け舟を出すと言う行為をして相手に勝てる程甘くない】
【相手の受け取り方によっては愚弄するような行為でもあるそのようなことをして運が自分に傾くほど、女神は優しくない】
【――――それはそうだ。運命の女神よりも、今ここで必死に戦っている正義の女神を優先したのだから】
【女を取り合うなんて言っておきながら、ロウはセリーナを見ていたのだから。女神が激高してこのような結果を残すことも無理はないし、ロウも受け入れていた】

【――――が。まだ終わっちゃいない。きっとそう考えていたのは、ロウだけなのかもしれない――――】
【……変化させた左銃。そこにはダイヤルがついている。それを捻ると銃弾が曲がるシステムであり、左右どちらかに大きくカーブした弾丸が撃てるのだが】
【これを応用すると上下左右自由に曲げることが出来るのである。なあに簡単だ、銃を横に向ければいいのだから。そうすると撃ち分けが上下になるという仕組みだ】
【要は手首の向き、銃の縦横の向きでどの方向にでも曲げられるという話だ。そしてそれは――――こういう時にこそ、活きる】

【――――仰向けになっている状態では、正面の相手に銃弾を当てることは不可能だ。例え位置がわかっても、銃口を相手に向けることがまずできない】
【しかし曲弾を使えばどうだろうか。場所は分かっている。腕と指は動く――――となれば。ロウはダイヤルを左親指の腹で限界ま右に捻り、肘から下を空に伸ばした】
【只今銃口は空を見ている。ロウは手首を内側にひねり、掌が見えるようにする。銃口は今も空。しかしこのままトリガーを引いても弾丸は空へと向かわない】

                                    【――――じゃあ、どこに?】

……俺は主役じゃねぇ……最優秀主演女優賞がセリーナなら俺は……――――最優秀助演男優賞狙い……だ……!!

【か細い声と同時に、弾丸が空へと放たれる。放たれて直ぐに弾丸が曲がる。あり得ないくらいに、急激に。そしてその弾丸が向かうは、正面で片膝を付く相手の腹へ……!!】
               【――――まだ終わっちゃいない。地べたに這い蹲る男の目は、まだ死んではいなかった――――】

400 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2015/01/25(日) 03:41:22.67 ID:LDiwblRlo
>>384
【最後の最後で放った攻撃が、六罪王にその日一番のダメージを刻みこむとは】
【これまた、皮肉な話だ。苛烈な戦いも、終わる時はそんなものなのだろうか】

……それは、悪かったね……。彼らには、彼らの正義があって、あの行動に及んだんだろう
なら君は……? そんな友達がいたのなら、なおさらこんなこと……

……そうか。諦念だとわかってて、それでも、か……。ダグラス・マックスウッド……
悪いけど、たとえ死の淵にいようと、やらせはしない。必ず、止めて見せる……!!

【もはや言葉で収まるものではない。わかりきったことではあった。それほど、度し難い者たちなのだ】
【去っていくダグラスと消え失せる騎士たち。今宵の地獄はここまでのようだ。されど、未来は未だ、暗雲に包まれたまま――――】


>>392
つぅ……ええ、もう少し、でした……
ハハ……お恥ずかしい限りですが、見ての通りです……

【カミナに返答するギア、人間であったなら息も絶え絶えであっただろう】
【人形ゆえ、呼吸の仕草のみに留まるが、身体から剥がれ落ちる破片は痛々しいほどに】

【今になって、魂に襲い掛かる苦痛と疲労。それを、カミナの紙が柔らかく包み込んでくれた】


助かり、ます……この状況で倒れていては、どうなるかなんて明白ですから……
お言葉に甘えます……今は……休み、ます……

次もまた……戦えるように……

【どうにか、カミナの折り鶴にしがみつくように乗り。その身は、運び出されるだろう】
【共に戦った仲間に絞り出した言葉を最後に、今宵はここで別れることとなる】

【セードムシティを覆う闇、ひいては世界に迫りくる悪夢に、されど正義もまた折れずにここにある――】


/こちらも、これにて締めとさせていただきたく!!
/ダグラスの方、カミナの方、遅くまでのお付き合いありがとうございました!!
401 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 03:43:08.53 ID:rSSJX3w80
>>397
「別に戦力を求めてる訳じゃ無いよ。強ければ其れで良い、なんて事は無いのはボクは今までの戦いとかで十分理解してるつもりだからさ
――――とは言っても、騎士であるキミにとって其れは不安なのかもしれないけど
強いから全部を守れる訳じゃ無い。弱いから何も守れない、訳では無い事と同じ様にね」

【強さを求めるのは二の次で良い。其れは騎士である者にとってはどの様に聞こえるかは、修道女である者には分からない】
【――――ただの修道女である者には、きっと分からない。然れど戦う為に創られた存在ならば】
【“不安なのかも知れないけど”と加えたのはきっと汲み取ったから。強くなればいけなかった存在】
【だけれど、今は焦る必要も無い。一度は身に付けたモノ、なれば時間をゆっくりと使って取り戻していけば良い――――そんな事を言っていた最中】


「それに、キミが最初から強いままだと先輩であるボクの立つ瀬も無くなっちゃうしさ
……自分を卑下した所で女神様サマだとか神サマだとか哀れんで力を与えてくれる訳でも無いよ

ほらほら、笑う時はちゃんと楽しそうに笑う
何より……ボクも居るし、イリニも居るし。慌てて転ぶよりも頼ってくれた方が、ね?
特にイリニに関してはあんな調子だから少しでも仲良くしてやってくれるとボクとしても嬉しいかな。ほら、あの子は話し掛けないと輪に入ってこないタイプだしさ」

【バサリ、と一度羽ばたけばその近くに降りて。今は一人じゃ無いのだから全てを抱え込む必要も無い、なんて】
【コツン、と拳で叩くのは騎士の肩。無理に笑ってもそれは笑みでは無いのだから意味が無い事。今は自分等も居るのだから、気軽に頼れば良いのだ、と】
【――――白色の少女に関しては、多分騎士を気に掛けてるのか話し掛ける事は無くとも食事の時無言で隣に座っていたり、或いは稀に近くで聖書を読んだりとしているだろうか】
【浮いた存在、と表すのが恐らくはピッタリ。無論仲間はずれだとかは無いのだが――冷淡な雰囲気が何処か話し掛け辛い】
402 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/25(日) 03:45:33.59 ID:y5cudChWo
>>400
/お疲れ様でしたー!
403 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/25(日) 03:55:38.27 ID:5Mk4J1uBo
>>396>>399

【ロウが生み出した大きな隙、そして激昂したセリーナの魂に呼応する"魔銃"の力。】
【膨大な魔力が渦巻き、周囲に圧倒的な力が満ち溢れていく―――そして、セリーナは天高く、"弾"末魔を掲げる!!】



                  八首猛撃――――<ガトリング・ヒュドラ>

                               番犬吠々――――<ケルベロス・マグナム>                                  



【放たれた弾丸はニ発、其々が天空で光の線となって美しい流星を描き、そして上空数メートルの地点で停止】
【ニ段の召還陣を展開すると、爆発的なエネルギーを消耗して、バトル・フィールドに2つの武装がイン・ストールされた!】


【―――見えるだろうか、その巨体が。】
【中空に展開された特大召還陣から、聳えるようにして現れたその火器は―――これは、何だ?】
【超巨大な魔道機械の胴と、そこから伸びた八本の金色の銃身。視界を埋め尽くすような巨大な重火器―――】
【召還された最初の武装は、長距離制圧射撃用の超・重機関銃―――『ガトリング・ガン』。】
【獰猛な"ヒュドラ"―――伝説の魔獣の八つ首をモチーフとして生み出された、おどろおどろしい"魔界兵器"である!】

【セリーナは超重量のそれすらも、片手で持ち上げて、しっかりと"ホールド"する。】
【唸る魔導機械に搭載されたエンジンは、アーマーのそれよりも更に強烈で、ピーキーな性能のものだ。】
【召還と同時に壮絶な駆動音が戦場を揺るがし、全身を振動させる勢いで魔導機械の"回転"が行われる。】
【スーパーカーのエンジンでもこう五月蝿くはない。回転式連発銃につき物の空転が始まり――銃身も吊られて、回転。】
【まるでカウント・ダウンをするかのように音がどんどんと大きくなり、回転速は上がり続ける、そして――――ッ】
【引き絞られたトリガーと共に、破壊の嵐が巻き起こった。瞬間、空間が破裂するほどの爆音が響く。】
【ヒュドラの首を模して生み出された八本の銃身は超高速で回転し、紫色の魔力弾丸を暴力的なまでの速度で撃ち出す!!】
【ガトリング・ガンそのもの―――否、もっと強烈といっても過言ではない。放たれているのは魔力の塊なのだから。】
【本物の竜が暴れまわるかのように、彼女はガトリング・ヒュドラを振り回す―――弾丸は一直線になど飛ばない。】
【電波塔も、パウルも、戦場の全てを吹き飛ばすかのように凄まじい勢いで、熱気と弾幕が張られ、銃身が鋭く焼け付いていく―――!】
【まさに破壊の渦<ヴォルテクス>―――全てを破壊するために弾丸はこの1レスの間、吐き出され続ける―――!!】


【そして次に、召還陣から取り出されたそれは―――銃、のような"何か"。否、そうとしか形容できない程の巨大な、武装。】
【拳銃と思わしき形状ではあるが、しかしそれでもグリップは驚く程大きく、なおかつ中心のシリンダーのサイズは、それこそ】
【通常のリボルバー拳銃とは比較にならないほどに巨大で、そして独特の存在感を放っている。装填される弾丸の大きさなど】
【大口径の特殊弾頭―――所謂、『スマートグレネード』等に代表される弾薬だ。なにより、このバケモノじみた拳銃の最大の特徴】
【それは銃身、つまりシリンダーから敵へめがけ真っ直ぐに伸びたそれ<バレル>が三つも、"三連装"に連なっている事だろうか。】
【西部劇にも良く出てくる、水平ニ連装のショットガンの上部に、もう一本のバレルを継ぎ足したかのような"歪"過ぎるフォルム―――。】
【銃身基部にはレリーフとして、地獄の番犬<ケルベロス>を模して精製された事を伺わせる彫像まで用意され。まさに、三つ首の砲身。】

【その巨大三連マグナム・リボルバーを今度は左手に構え、ハンマーをガキリ、と引き起こし―――ブラスト。】
【初弾で風の属性を、次弾では氷の属性を、そして三発目には爆発と炎の属性を引き起こす特殊弾丸を、連続で発射するッ!!】


 う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ――――――――――ッ!!!

【目に映る、悪意の全てを破壊すべく―――彼女はこの猛撃に、ベットした。】
404 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 04:09:21.87 ID:9hNy4HkHo
>>398

じゃあ……『クィーン』でいいじゃないか。『12』じゃ…アンタがナンバーズだったらややこしい
名前が気に入らないってワケじゃないぜ。…ただ、覚えやすい

【甘い、ギムレットを流し込む。ストレートのバーボンを愛する彼からすればこの程度はなんてことはない】
【チェイサーのビールは舌に残る甘さを洗い流す。久しぶりのオールドスタイルはやはり、旨かった】

素敵か?…金なんて一番、つまらない欲望さ

【灰皿に煙草を押し付けて、肺に残った煙を吐き出す。吸い殻は消し足りなくて少し煙が残る】

………アンタは、どの女よりも女らしい。ハートはグレース・ケリーか
……男にしか出来ない芸当だ

【余計なことを喋らず、その唇が嘘であろうと、男の喜ぶセリフを外さずに喋るのはシナリオのある映画ぐらいで】
【現実にそんな事を言える女性は少ない。男の求めるものを知っているのは男だけだ。それが『良さ』なんだろうか】
【だが、この男はそちらになびくことは本能的に無い。なびくことはないが、評価はしているつもりだ】

……機関はそんなにも、魅力的なのか?…金はあるんだろう。いつでも戦争をおっ始めるぐらいだ
けど…居なくてもいいような奴も居る。善悪の話じゃない。……組織に埋もれてるようなタマじゃない奴だって
405 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 04:12:48.90 ID:2J6obS+u0
>>399>>403

――――少々、遅くなってしまったようね
「っ、殺狩! あぁいや……殺鬼!!」<……サツキ様!>

【声に従い、姿勢を低くした2人の頭上から、3つの人影が降りてくる。この鉄塔の上で短い演説を行った張本人――――首狩 殺鬼だった】
【両脇に2人の兵士を伴い、指先からの1本の糸を頼りに、地上へと降り立つ】

どうやらピンチの様ね…………全員、固まりなさい!!
重層して、『糸』の結界を作るわ!!

【2人の兵士が、パウルとカテドラルを誘導し、サツキの背後へと回す】
【次の瞬間――――サツキの指先から、大量の糸が飛び出し、周囲の鉄塔や柱に打ち込まれ――――『陣』か形成された】

『光の糸』……『鉄の糸』……『血の糸』『骨の糸』『脳の糸』『炎の糸』『水の糸』!!

【さながらそれは、巨大な繭の様な形となって一行を包みこむ。そしてそこに吹き荒れる破壊】
【――――電波塔が形を失い、バラけて傾く。ただでさえ寂れた周辺が、荒野と化す。残されていた2つの死体が、原型すら残さなくなる】
【そんな中――――様々な材質で構成された陣は、その役目を終えて解ける様に消えうせた】

…………っく、流石ね…………腕利きと言う訳はあるわ……ッ
「ぐ、ぁ…………きっつ…………」<…………まさか、私まで、負傷するとは…………>

【そこにいたのは、右腕を引き裂かれて顔を顰めるサツキと、脚だけに留まらず、腕にも顔にも流血を見て取れるパウル、そして白衣の脇腹を赤く染め上げるカテドラル】
【如何に重層的な結界とはいえ、流石にあの破壊を前にして無傷で守り通す事は、無理があったらしい】

……まぁ、いい……私の目的は果たしたわ…………この街はもう、好きにしなさい…………出来ないかもしれないけど、ね…………

【痛みに顔を顰めながら、サツキは忌々しげに告げる。自分の存在を知らしめる、その目的には成功したと】
【既にこの街のダメージはかなりのものになっているが、これ以上執着する理由もないのだろう】

……来た。丁度いいタイミングね…………!

【その折――――エンジン音が響いてくる。そして近づいてくる。しかも、相当に大きなものだ。それを耳にして、サツキの表情にようやく光が差す】
【現われたのは、暴走した雷の国の装甲車――――どうやら、サツキがわざわざ『呼んだ』ものらしい】

……『血の糸』、追加…………! さあ、脱出よ!

【指先から放たれる糸が、装甲車に巻きつけられ、沁み込むように消えていくと、間髪いれずにサツキはその場の機関員たちを、糸を以って車内に放り込む】
【――――時間を無駄には出来ない。それに専心すべきとでもいう態度で、セリーナとロウを顧みようともしない】
【――――パウルとカテドラルの生存を、優先したのだろう】

――――然るべき場所で、また会いましょう……不躾な挨拶になって、ごめんなさいね?

【最後に2人を見下ろしながら、サツキは端的にその言葉を残す】
【装甲車が発信し、『セードムシティ』を脱出したのは、その6分後の事だった――――】

/これにて主催との戦いは終了です。遅くまでお疲れ様でしたー!
406 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/25(日) 04:25:38.53 ID:KUXypC2Wo
>>401

――――――――……はい、私とてそれは理解しているつもりです……なによりも……

【全盛をもってしても剣の届かない相手がいた事を、騎士は経験していた】
【全ての原因であり因果の起こりの魔女にただ強くと鍛えたその身体は呪われて】
【今もこうして騎士を俯かせる、永遠と続く熱病のように……】

……ふふ、教会に身を寄せる修道女の言葉とは思えないですね
ですが……お心遣いありがとうございます、想いに応えられる力は未だ備えずともいつかは剣としてあなた方へと……

そうイリニ様もです、言葉は無くとも私のような部外者に対しても分け隔てなく接して頂いて、何よりも寄る辺を私に与えてくれた
ただ朽ちるばかりの鉄塊に手を差し伸べて頂いて、どうして共に歩まない理由がありましょうか……

【月光が翼に遮られ剣は本来の銀を取り戻す、羽音は風の鳴る音のように】
【温度は感じないけれどコツンと鳴った鎧は暖かいと心が魂が感じていた】
【それは、白い少女に手を差し伸べられた時のように―――――――】

―――――……と、話は変わりますがグリース様は教会に所属する人々に詳しいでしょうか?
……というのも私の呪いに関する話でありまして、呪いやその類を扱うないし詳しい人がいれば教えていただきたいのです
紆余曲折とありまして、カミナというお方のご助力により解呪の方法を模索しているのです……。

【唐突と溢れる言葉はいつか騎士が直面しなければならない事がらについて】
【騎士とてただ呪いと祝福に生かされる事を良しとは思ってはいない事の証左、そして紡がれる縁より】
【かねてより尋ねようと思っていた事をこの場にて、呪いとは忌避される物だ教会という社の内で話すべきではないと騎士なりの配慮は】
【朽ちた歴史の名残にてようやくグリースへと向けられた】
407 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 04:29:41.39 ID:rSSJX3w80
>>406
/申し訳無いのですが時間が危ういのでこの辺りで……!
/凍結或いは置き移行お好きな方を選んで頂ければっ!
/凍結の場合、再開出来るのは火曜日以降になるかなーと!
408 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/25(日) 04:30:56.75 ID:/IP19oSzo
>>403

くっそ……姿勢を低くしたからか……? 兎に角俺の最期の弾はスカ……やっぱあんなことしちゃあ運命の女神にゃ嫌われるな……。
――――……っ!? サツキ……っぐ……ここま……で……?

(……止めを刺さない? いや、救出重視で深追いはしないってわけか……?)
(セリーナの弾丸連射が効いてるのか――――だから俺への追撃もし難い……!! ってことは、俺もアイツに救われちまった……と)

【――――本当ならば立ち上がり名乗り口上をしてからサツキに宣戦布告をしたい。力を振り絞り声を上げて、彼女に銃弾をぶち込みたい】
【それでももう動けない。最後の銃弾もパウルが低く伏せたことでギリギリ躱されたのかどうかロウには見えないが、当たる音がしなかったことが失敗の結果を彼に伝える】
【――――これで終わりか。そう悟るも直ぐに其れが勘違いだと分かった。――――脱出するぞ、という声が聞こえたからである】

【そして動けない中、耳に響いたのはサツキの声。然るべき場所で会いましょう、という内容――――つまり自分は生き延びたという証明】
【相手を逃がしたことを悔いる気持ちもあるが、自分の運を褒めるべきか。こんな状況でも死ななかったことも、彼にツキがあったことの証明】
【……それにしても複雑だ。セリーナを救おうとしてピンチに陥り、結果救われたのだから。……ああ、カッコ悪い。空を見上げながらロウは唾を吐き捨てた】

【後は助けが来るのを待つだけだが、もう腕も動かない。出来るならばこの気の抜けた表情をソフト帽で隠したいのに、それが出来ないことが大変歯痒かった】

/ありがとうございましたー! とても楽しくロールさせていただきました!
/途中無理やり詰め込んだりして申し訳ありませんでした!

409 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/25(日) 04:31:38.69 ID:/IP19oSzo
>>408 >>405 >>403
/安価付け忘れです、最後の最後にすみません……
410 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2015/01/25(日) 04:36:43.90 ID:KUXypC2Wo
>>407
/当方も平日はレスが厳しくなりますので置きレスにてお付き合いいただければ幸いです!
/ではではお疲れ様でした!
411 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/25(日) 04:38:29.20 ID:VUI9B4Lso
>>404
じゃ、アナタはアタシの事をそう呼んで
『クィーン』だなんていい響きだわ、勿体無いくらいに

【語源がどうであろうと、その響きは素晴らしく甘美な物に聞こえる、いたく気に入ったようだ】

良いのよ、つまらなくても…欲望を満たそうとするのは悪い事じゃない
キケンで、荒々しくて、とてもステキ……それでいいのよ、アタシはそういうヒトが好き

【照れたように笑いながら、『女性らしい』という言葉は嘘でも嬉しい】

あら、それって誰の事かしら?……フフ、そうね、きっと、わざわざ『機関』なんて括りに居なくたっていい人はいるわ
でもね、何故か、なんてその人にしかわからないの。表では強がっていても不安なのかもしれない、同意だけしてくれる部下が欲しいとか、大きな群れにいることで自分も大きく見せたいだとか、きっと色々よ
人は簡単な習性やルーチンだけで生きてないもの……きっとその中には、機関なんてどうでもよくて、たまたまそこにいる事にした人だっているわ……そういう人は、自分でも理由がわかってない人
魅力的かと言われると……そうね、アタシにとっては魅力的だわ。ただ普通に生きるよりはね……でも、普通じゃない生き方なら別に機関にいる事だけがそうじゃない、きっとアタシもわかってない人

【機関にいる人間が何故そこにいるのかなんて本人にしかわからない、魅力的だからという理由も理由にしたら弱いかもしれない】
【それでも、人それぞれの理由があっても、様々な理由が機関という場所に落ち着く事になるのなら、きっとそれが魅力的だという証拠なのであって】
【アリの中の怠け者を取り除けば働きアリから同じだけ怠け者が生まれるみたいに、人には理解出来ない大きな力が、『そう』であるからそうさせているのかもしれない】
【彼だって、きっと彼自身確かな理由は知らない、そうであると設定付けられた人間だから、そうなのだ】

【真っ赤なアルコールを飲み干すと、代金をカウンターに置いて席を立つ】

……アタシ、余り強くないの。眠くなって来ちゃったわ
それにそろそろいい頃合いよ、『戦っている間飲んでました』じゃあ面目も立たないしね、少しは『らしく』しなきゃ

【そう言って、ロッソが避けたりしなければ───軽く肩にボディタッチしてから、先に店を出て行くだろう】
【この店は誰も拒まないし、追いもしない、暫くここにいるも店を出るも自由だ】

/そろそろ眠気が来たんで〆ます!お疲れ様でした!
412 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/01/25(日) 04:39:49.78 ID:rSSJX3w80
>>410
了解であります!では後程置レスの方にお返しさせて頂きます!
お疲れ様でありましたっ
413 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 11:39:56.64 ID:9hNy4HkHo
>>411

それがいいなら、それでいい

【名前なんて、つまらないものだ。何故か他者から与えられることが普通の奇妙なものだ】
【男はロッソと自ら名乗る。与えられた名前もあるが、それも偽名だ。本物はどこかへ置いてきた】

欲望……ね。本当に、欲望に正直なら金なんて盗らないさ…純粋なやつほど本物だけを
手に入れようとする。……少なくとも、俺も…本当に、金が欲しいのかは………どうだろうね
……神にでも尋ねなくちゃ

【金なんて単なる紙切れ、鉄くずで、それ自体には何の価値もない。我々が勝手に価値を見出してる】
【襲った数を考えればもう十分な筈だろう。それでも、まだ戦い続けるわけは…何処にあるのだろう】

……さあね。少なくとも、アンタはそのタトゥーが無い方が魅力的だったよ
サイコのシリアルキラーだったとしても、テロリストだったとしても
…・でも聞かないさ。ソイツにしかわからないことなんでしょ?…それに、俺には抱えきれない

【自分にも五芒星を彫る才能はあるんだろう。何度も誘われているぐらいだ。やっていることもそうだろう】
【それでも、入る気なんてなれない。組織って言うものが嫌いなのか、それとも自分は正義に憧れているのか】
【義賊なんて呼ばれるように立ち振る舞ってるだけにそんな気もする。だからって正義にもなれやしない】

あんたらの仲間が勝ってるのか、負けてるのか知らないけど
…どっちしても、哀しそうな目をしていればいいのさ

【男は肩に触れられることを受けれ、自分もギムレットを飲み干す。ビールが少し残っている】
【もう一本煙草に火を付けて、それが吸い終わるまでに飲みきって、チェックして。男は席を立った】


/遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました!それではお疲れ様でしたー
414 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/25(日) 11:50:18.24 ID:RJZhS7fRO
984 名前:ロウの人◆EeJ7tvIqpI [sage] :2015/01/25(日) 04:35:06
>>983
主催者様、セリーナの方ありがとうございましたー!
途中無理やり1レスに色々行動詰め込んだ部分があってそこがちょっとやっちゃったかなと反省しております……!!
その前に自分はイベント前に色々皆様にご迷惑をおかけしたので本当に申し訳ありませんでした……!

熱い展開をさせていただいてとても楽しかったです、やっぱりイベントっていいなぁ……と再認識です!

985 名前:名無しさん [sage] :2015/01/25(日) 10:51:18
>>984
そりゃ新規の参入を拒んでまで好き勝手に御自分が楽しめる環境作れば楽しいでしょうね
415 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/25(日) 13:50:40.15 ID:5Mk4J1uBo
>>405>>408


【―――破滅の号砲は鳴り止まない。ただ只管に、全てを撃ち尽くさんと崩壊の嵐が降り注ぐ。】
【この国の、混沌とした状況を打破する為に。そして、新たに芽生えた猛烈な悪意を此処で、根絶やしにする為に。】
【もはや一片の容赦なし、回転する二対の巨大な銃火器から、放たれた爆裂弾と大口径機銃用魔弾が、宛ら流星の様に―――。】


                     

                         ――――――――――――――ッ!!



【音を置き去りにし、全てを撃ち抜いた、その筈だったが。しかし現実はそうではなかった。】
【銃撃が開始される直前、現れた新たなる悪意の盟主―――六罪王・"ヘッドスラッシャー"が】
【展開したその奇怪な能力によって、弾丸の殆どは陳腐なまでに"無力化"される―――こんな事が。】


 ……ハァッ、ハァッ、……う、くっ……ううっ!! や、った……!?


【銃撃が止み、爆炎の中に立ち込めた煙が霧散した後、セリーナ、そしてロウの前に現れたのは】
【傷を負ってこそいても、あの大火力の猛攻撃の中を三人の人間を庇いながら無事生存している悪の王だった。】
【正直に話せば、絶望的な感情がセリーナの心を支配していた。あれだけの火力、あれだけのパワーを持ってしても……!!】

 ……なっ……、そん、な……そんな、―――バカな……コトって……。
 
 (信じられない……全力をぶつけて尚、誰一人として"倒せなかった"だって……!?)

【限界だった。両腕に回された補助動力がオーバー・ヒートし、背中の魔導エンジンが火花を上げる。】
【それと同時に、大重量を連続して持ち上げたアーマーの腕部関節が破損、エネルギーが絶たれると】
【その手から火器がドサリ、と地面へ零れ落ち、そして同時に、支えを失ったセリーナもまた、膝を突く。】

 ……っ、っはは……街をこんな状態にした、張本人を……う、ぐっ……ッ!
 みすみす、取り逃した上に……ふっ……"好きにしろ"、だって……? ははッ……!
 情けまで、かけられちゃ―――……っ、ほんとうに、負け……。

【言葉を紡ぐ事すら叶わない。視界の隅に消えていく装甲車のエンジン音が、どんどんと遠くなっていって。】
【セリーナは身体に力を込めようとするが、それすらも矢張り不可能で。完全に、敵を見失ってしまった。】
【唯一この状況で誇れる事があるとすれば、ロウ、そしてセリーナ双方共に生き残れた事、くらいか。】

 (―――……ロウさん……ごめんなさい、かっこ悪いところを、見せちゃって……それに、)

 ……アリ、が、と・・・・・・。

 (すっかり、助けられちゃったなあ。……さっきのロウさん、とっても、かっこよかtt―――――――――。)

【そこで、セリーナの意識は完全に、途切れた。】

【こうして今宵の狂騒は一旦の幕を閉じる。だがしかし、残された爪痕は余りに大きく。そして、恐ろしいものだった。】

/以上となります、〆レスが遅くなって申し訳ありません。お二人とも、お疲れ様でした。
 
416 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage !red_res]:2015/01/25(日) 15:22:01.31 ID:2J6obS+u0
【今回の事件の中心にいた人物である、六罪王サツキは、既に『セードムシティ』を去った】
【暴走させられた軍関係の車両も、後に出動した国軍によって破壊・制圧され、内部に侵入した機関員たちも散り散りに撤退を開始する】
【都市部の混乱も、それで少しづつ収束に向かい始めているのだが――――軍民の差別なく、植えつけられた衝撃は決して小さいものではなかった】

「……我々は、あの連中の掌で、踊らされた様なものだ……!」
「あっさりと、兵器のコントロールを掌握されるなんて……情けない失態ですな、これは……」
「それだけじゃない。ようやく人心も落ち着きつつあったものが、これで全部元の木阿弥だ……!」
「……機関の連中がやってくる前に比べて、人口が約4分の1にまで減少してしまった……この1年半でだ」
「……上は、どうするつもりなんだろうか……?」

【被害こそ、過去の占領や奪還を目的とした戦いに比べて小さいものであったが、デモンストレーションと言うその目的にはそれで十分だった】
【蹂躙されたこの土地には、今回も少なくない血が流される事になった。ようやく全てが終わったとされていた、その矢先に】
【細々と積み上げてきたものが、彼らの『始まり』によって、悉く無に帰される事となってしまったのである】

【――――生き残った者たちの胸に、なんとも言い様の無い虚しさが、誰からともなく漂うのを、当人たちも自覚していた】
【都合3度の戦いによって、様々なものを失ってきた彼らを、誰が責められようか――――】



「……あ痛て、いてててて……しかし上手くいったな、サツキ!」
えぇ。ちょっと手古摺らされたし、あなたの傷も容易じゃなさそうだけど、とりあえず……最初の名乗り上げには、こんなものね
「あぁ、運が良かったな。だから言ったろ? 俺の悪運を信じろ、絶対に上手くいくってな……! っ、うぁぁ……いて!」
っふ……そうね
<……まぁ、やはりあの手合いは今回の様な潜入には向かないな……ある程度の数を揃えてこそ、だ……っぐ……!>
そうね。そうした所も今回の実地で色々と確かめられた訳だし、次への布石としては上々と言ったところじゃないかしら?

【撤退用に確保した戦車を乗り捨て、改めて機関の用意した車両に乗り換えながら、今回の事件の中心人物である3人は、総括を始めていた】
【パウルの負った手傷は決して軽いものではなかったが、それをサツキは、指先から放たれる『糸』で処置していく】
【既に治療を終えたカテドラルは、それでも神経質そうにメガネの位置を直しながら、静かに見つめていた】

<……しかし、『血の糸』……改めて見ても、恐ろしいものだな……傷を癒すにも、使えるとは……>
本業が本業だもの。まぁ、あくまで応急処置よ。それより、カテドラル博士……先に、連絡を済ませてくれないかしら?
<……あぁ、分かった……>

【脇腹を濡らす血の感触が気に入らないのだろう。カテドラルはしきりに脇腹も気にしながら、操縦席へと潜り込んで行く】

――――さて
「う、うぉっ!?」
……いくらピンチだったからって、『殺狩』なんて呼んじゃダメじゃない……私が鬼首 殺狩(おにこうべ あやか)なのは、あくまで2人きりの時だけ……そうでしょ?
「あ、あぁ……悪かったよ。殺狩……」

【――――強者の首を狩る六罪王、死者の霊をエネルギーとして操る≪No.21≫、人間の脳を改造生物に移植する≪No.84≫】
【敵対者に、死を超えた破滅を以って当たる3人の強者が、また悪徒の列に連なる事になったのだ――――】

/これにて今回のイベントは終了します
/参加して下さった皆様、ありがとうございましたー!
417 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/01/25(日) 17:03:37.73 ID:lACE5HRMO
【──幅6,7Mほどの、狭い路地裏である。】
【街灯が薄暗く辺りを照らすのみで、厭に居心地の悪い。】

──虐められている最中に出現したこの能力…! まるで俺を主人公に仕立て上げる何者かによる"導き"を思わせるな…。
普段なら絶対に立ち入らないこんな路地裏に足を踏み入れてしまったぜ…!

【歩きながらぼそぼそと独り言を呟く一人の青年がいる。】
【背は170cmほど、黒いインバネスに隠れてはいるが体格もさほどよくない。】
【黒いハットの下にはぐふぐふといった笑み──白い手袋に包まれた隻手をばッと前に出せば】
【1Mもある大きな"クチバシ"のみが出現する──】

うははははッ!よくわかんねーがこの変な能力はきっと俺が物語の主人公たる証!
これからはヤンキーがたむろっているコンビニも避けずに入れるぜ!

【言うことは小さい、上に主人公というのも自分で勝手に思い込んでいるだけだろう…】
【にも関わらず、彼は自身たっぷりに高笑いをあげる。その声は、狭い路地裏の奥の方まで響き渡った。】
418 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/01/25(日) 21:54:18.71 ID:D8RoPLR1o
【路地裏】

……新しい六罪王、ねぇ…………。
――――おいこら、暴れんなっつーの。

【今宵見られるのは、事件のワンシーンではなくその後の光景】
【つまりは、若い男が軍服姿の男に組み伏せられている、という場面】

【組み伏せている側、黒い軍服の男は、一結びにした長めの金髪の上に黒い制帽を被っていて】
【胸元に光っているのは、どこかの自警団の、所属を示すバッジ。】
【他方、自警団員の下で片腕を極められているのはまあ、言ってしまえばどこにでもいるゴロツキといった風体。】

【――さて。ここで何があったかと言えば、このゴロツキが運悪くも自警団員に追剥行為をしようとし、返り討ちにあった、といった具合で】
【今はゴロツキを連行するために呼んだ応援を待っている、という場面。近くには、得物だったのだろうナイフが落ちていた】

はぁ…………アイツの事もあるっていうのに、次から次へと……――――――あ?

【有利な状況と油断していたか。ふと見れば、ゴロツキが自由の利く腕を目一杯に伸ばし、その指先をナイフに触れさせていて】
【次の瞬間には、そのナイフで以って切りつけようとするであろう事は、想像に易いだろうか。】
【―――ともあれ、誰か通り掛かる者がいたのなら、タイミングとしては刃が振り抜かれる直前となるが……】
419 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/26(月) 03:59:31.63 ID:2lnM/ZwM0
/2レスに分けますっ

>>362

【早い決着は嫌いではない――――それに関しては同意見で、珍しくそのままに感想を浮かべる。敵対する相手には違いなく―――それこそ瞬く間に消える感覚なのだろうが】

【そんな時だった、悪意に満ちた放送が耳に届くのは。対峙する彼同様にモニターを映す瞳は、“敵”の首魁たるものの姿を視ることとなる】

>>348

【紹介、挑発、そしてそれだけ言って本当に見せたいものはここからだとばかりに余裕を見せる大罪の一角。角度の変化が見せた遠景は、火に包まれた当の街】

(――――――六罪王……!!)

【突如“成果”を示しながら姿を現わした今宵の元凶にギリ、と敵愾心の音が鳴る。けれどその直後に切り替わるカメラは、その何倍も衝撃的な光景を映しだしていた】

――――――――なっ……!?

【機銃の掃射、斃れる人々。思わず声が漏れた今も、街が人が残骸がその暴虐の犠牲となって】
【愕然と――――“暴走”であったはずの動きが完全な意図を以て、ひとの命を奪う様を目にさせた】

【ただ、“機関”の力を誇示するためだけに殺されてゆく“死なせちゃいけない”人たち。今、ここにいるのに手が届かない。機関員が――――彼の様な力あるものが、“正義”への、或いは生き或いは斃れたものたちへの、どれだけの力として働いてしまったのだろうとのし掛かる重みが増す】
【意志たちの魂さえも貪られただ糧となるのだと、無惨と呼ぶのすら尠少な最期が六罪王によって語られ、示されて】
【それは、パフォーマンスであったのかもしれない。それは、唯の暴威であったのかもしれない。だが、崩壊してゆく街並みとそこで“生きていた”人々が、この世の地獄に供されたのは見紛う術もない事実であり―――。】


【――――――失いたくないから、護りたかったんだ。理解し、覚悟していてなお打ちのめされて―――瞳が、その腕が、届くはずのない場所に伸ばそうとする様に震えて】
【此処までの靱く―――その靱さを自らの定義とした様な彼女からは想像し難い、俯く様を抜け落ちた力に呈した】

420 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/26(月) 04:01:07.41 ID:2lnM/ZwM0
>>362

【そして舞台は力と力が見(まみ)える戦場に今一度移る。未だ構えきらない斜め向きの刀身は、つ、と、受けた衝撃の大きさをこちらを向く彼に示すか】


……あの放送をあなたは聞いた?
忠誠を誓った訳でもないのに、あんなものに力を貸して今、“幸せを求める” 筈の貴方は戦っている―――――、


……それでも、仕える“誰か”のためだと躊躇いなく言えるのなら。

犠牲を“機関”に在ることだと受け容れてなお、辿り着く場所でいつか笑えるのなら。

機関(あなたたち)総ては私の敵だ―――――その齎し得る悪夢のあらゆるすべて、刻み墜としこの手で絶望の淵源を終わらせる……!!


【痛みは、剣へ。敗北(もろさ)は、この悪夢を越えるためのさらなる力へ。渇望する――――――“必要だから、より強い己として在ろう”。護りきるために、今度こそ届くべき場所にこの手を届かせるために。】

【斬り込む直前の空白に、『放送』によって齎された劇的な変化。“死なせないこと”、“失わせないこと”――――根源を穿たれた剣の少女は、さらなる熱を以て己を研ぎ上げた。自らの魂の呪縛すらも切断する。】
【餓狼の言葉に透徹した闘志を研ぎ澄まし、彼を追う眼は踏み込むべきその瞬間を見逃さない。低空を貫きながら刃は肉を断ち、骨まで到らす傷を彼の右脚に与えた】

【だが追撃を期して総身を反転させた時には既に遅く、彼は、反撃の体勢に入っていて―――――――。】

―――――ッくぅ……ッ、……――――――――――――!!


【至近距離からの散弾の接射――――連続で左右の脚を撃ち出し範囲から逃れるが、左の脛部が取り残され弾け、鮮血を迸らせる。 】
【――――だが、それで終わりなどではない。奇しくも彼と同じ意地と相克たる日々への意志が、太刀を右手の片手持ちの姿勢に変えさせて】

【左脚を穿たれた直後から衝く左手が運動の起点――――――噴き零す多量の血で苦痛が螺旋を描き、左手と右腕、体幹の誘導、重力と慣性に任せ叩き付ける左脚、そして残る右脚を軸に踊る様に、嵐の如き連撃を放ちだす】


【腱の弾性、関節の回転。凡そありとあらゆる肉体の構造を利用して加速――――辺縁部を軸に次々と接点を変える独楽の如く、本来撃ち得ぬ軌道で放たれる刃は予測困難。機動力を奪ったうえで、最大の効率を以て破壊を試みる。】
【だが完全に防御に回ったならば、彼ほどの技量があれば流し続けることも不可能ではなかった。全身で放つ斬撃ならば、必然的に予備動作は大きくなる―――……その速度に、対応しきれるならばの話ではあるが。】
【仮に“受けた”ならばいつか崩され得る、直撃したならば断ち切られかねない。尤も不安定なことには変わりない体勢、完全に一撃を入れるか“受けきって”防がれたならば追撃は望めない―――― ひとつのミスで己が死に到り得る、隣り合わせの剣舞を剣は放つ。】

【心と思考を切り離し、鋼の意志は何処までも冷静に、冷徹なまでに妥協なく。】
【秘めて灯す 黄金は、願う未来をその手で掴み取らんと駆ける、今宵彼女を押し進めてきた絶対の燃焼―――――!】

【連撃の末に、左脚で跳ね上がる様に立ち上がり斬撃―――――正中線から垂直に昇る刃を放つ至鋭の一閃。仮に不完全であれ何処かを捉えたならば、互いに動きの停止する隙が刹那だけ生まれ得て】
【傷ついたその意志の刃は届くのか、そこで彼はなにを選び取れるのか。】
【この攻防以前に互いに傷を受けた両者の肉体―――決着は、けして遠くない。或いはその斬閃に到る過程で彼が彼女へと一撃を叩き込むことも、可能性として十分にあっただろう】
421 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/26(月) 04:17:51.63 ID:2lnM/ZwM0
/【連撃の末に、左脚で跳ね上がる様に立ち上がり斬撃―――――



【連撃の末に、右脚で跳ね上がる様に立ち上がり斬撃―――――

…でしたっ
422 :ユーリ・ハセ ◆SnY/08zmQ. [saga]:2015/01/26(月) 22:30:54.72 ID:ji8kvkwU0
>>420
【散弾銃の一撃――反動で跳ね上がる右腕。しかしその向こうに、期待/渇望していたほどの飛沫く赤は見られず。】
【好機と見る一瞬の寸暇をすら与えなかったのは彼女の切なる意思。しかし、それはこちらも同じこと――譲れ得ぬもののため、その能力を振るう】
【一撃目――左手に残った双剣の片割れが、跳ね上げるように刀の中ほどを横から打ち上げ、凌ぐ。】
【二撃目――掲げた姿勢の右腕にあったソードオフショットガンが双剣へと立ち返り、打ち上げた左とともに今度は叩きつけるようにその刃閃を歪ませる。】
【三、四、五―――数合か、十数合か、数十合とも知れぬ金属と金属のぶつかる音、火花。】
【男には、正義が解せる。この相手が言っていることも、モニターを凄惨に染める六罪王が紛れもない悪であることも】
【そしてそれが、自分と乖離した理想を持っている存在だとしても。】

【嵐のような刀の乱舞を受け止めるのは、自在に変幻し、千変し、万化する二振りの剣にして斧、盾にして槍。時に薙ぎ、時に弾き、時に突き】
【しかしその対応も、だんだんと追いつかなくなり始めていた】
【空間に正義の流す血ともう一つの朱が混じり始めることで視覚化され始める。】

【神話に見る光景だろうか、電子化された英雄譚のムービーの模倣だろうか。】
【上腕、頬、腿、様々な箇所から血が吹き出始めたのだ。一合ごとにその傷は増えていき、しかし】
【反比例するかのようにその瞳は爛々とした妖しい輝きを増していく】
【そして、乱舞の終わり、これまでのいかなるものよりも鋭い一撃が下より襲いかかる。】

【刹那、血の混じった唾液を吐き捨てるが早いか】
「綱刃ノ一、月刀孤狼」

【これまで二つに分かたれた武器としてしか存在しなかったそれは、一つの武器としての形を取り戻した。】
【柄も鍔も刀身も銀色で、反りが通常よりも深い四尺あまりもある長大な刀だった。】

「混沌を望む機関にあっても、私は到達した場所で初めて笑えるのだろう」
「機関の望む世界がそこになくとも」
「私が幸福のために斬った人間が、機関の敷いた犠牲の数を超えるとしても。その道を邪魔するのであれば」

「正義(あなたがた)はすべて私の敵だ―――――それを阻む壁、障害、あらゆる総てを断ち棄てて未来の淵をこの手で掴むと誓った――!」

【そのとき、瞳が彼女の目を覗く。爛々と光るその眼は、金色に濁り輝いて。】
【群狼の瞳、と名付けられた彼自身のちっぽけな、しかし近距離戦、このような状況においては絶大な効果を齎す異能(チカラ)】

【その効果は単純で、見たものに本能的な恐怖を刷り込む。此方が捕食者で、彼方が被捕食者であるという認識を植え付ける魔眼】
【されどその効力は絶対的でなく、一般人相手にならば大通りで見せたように畏怖で縛ることもできるが、その力の差が小さくなればなるほど、その威力は減衰する】
【つまり、あとは思いの強さが、この能力の成否を決定づけるだろう】

【そして、長刀にて繰り出されるのは唐竹割り。正中線を垂直に落ちる剣戟は】
【それは彼の願い(いのり)を押し固めて圧縮、鍛えて刃と成した乾坤一擲。世界の全てに己一つを擲つ、最剛の一撃】
【いづれに勝利か、敗北か。あるいは生か、はたまた死かを―――――齎すのか】
423 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/26(月) 23:34:53.48 ID:wyzolhrRo
【『夜勤急募!監視カメラを見ているだけの簡単なお仕事です!』】
【『職員募集中、研究所のお手伝いをしましょう!』】
【路地裏に貼り出されている求人情報はどれも胡散臭いものばかりで、きっといくらお金に困ろうが誰も手出しはしないだろう】
【やるとすれば余程のバカか、怖いもの知らずだ】

【『わざわざそんな事しなくても、もっと楽に沢山稼げる』】
【この男はそれをしっているから、こんな胡散臭い求人なんて目にもくれず、ポスターが貼られた壁の前で今もこうして精を出していた】

ククク……旦那、コイツは超やべぇシロモノだぜ…気を付けろよ……

【そういって、白い高級スーツを着た金髪の男が、客らしき物に白い粉を手渡した】
【人相の悪い客が、震える手でその粉を持っていくのを、ゴールドフレームの眼鏡の奥から蒼い目で見つめ、ニヤリと笑う】
【何かよからぬ商売の予感、売人らしき男は、ひっそりとそこに佇んでいて、正義の者なら感じるであろう『悪』の雰囲気がプンプンしている】



(───あいつらバカだなー、あれフ○スク砕いただけなのに)

【…どうやら、想像し得る物よりもよっぽど悪どい商売を行っているようだが】

……さーて、そろそろ最初の客がキレて殴り込んでくる頃だし、店仕舞いするか…
結構儲けたな……

424 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/27(火) 01:29:48.85 ID:Qs/u3wDu0
>>422

【神域の速力と鋭利さを以て時を刻む一振りの刃は、数多の衝撃音と破壊的な振動を響かせながら一対双手の得物と撃ち合う。影すら追い縋ること能わぬ死闘の鬩は、織り成されし数多の戰の再現か】


【―――――その果てに、“機関”の彼たる異能を少女は見た。振り抜く刃が翔けた手応えの直後に、大刀を捉えながらだというのに橡色が金に引き寄せられる】
【本能の次元で“ひと”を冒す旧き魔の瞳は、原始の衝動とともに死への感覚を喚び起こしていた】


【――――そうだ、死とは恐ろしい。】
【なによりも、そこにいた友達が、仲間が、そこにいた誰かの日々が 喪われることが恐ろしい。大切なものを壊したくない、失われて軋むことを自覚したのだから抗うことは自明となった。……ならば、ひとつとして失わせることなど出来なくて。】

【死ねば終わるその道程もまた、この日々に彼らとともにある命なのだとやっと分かった。……そして、“道具”は彼女自身にとっても“人間”になった。 】

【 それが、生きて護り通そうとする事だと気付いた―――――――。】

【斯く死を視てそれを退ける術を瞬間に模索し、数多の亡びへと続く道を断ち切りたいと心から求める。己が死を道具であり“ひと”である一つの命の消失とするからこそ、眼前に迫る絶命を座して待つことなど出来はしない。手が、腕がぎこちない動きで辛うじて動く。】

【けれど重傷の躰に起こる僅かな変化は、必要となるその動きを鈍らせるに十分過ぎる制約で――――――、】


【飛沫き、沈みて夜を紅に染める沈黙―――――その一撃を以て彼女の動きを停めた彼には、刀の食い込んだ躰の様がよく見えることだろう。手応えは、位置の違いがあれど確かなものがあったか】


【肩口――――本来であれば確実に致命傷。】
【交錯しながら少女の肉に食い込む刃と刃――――押し返し得る筈もなく、膂力と体勢の無慈悲なまでの差が腕を削ぎ落とされるまでの僅かな時間をさらに縮めていると確信させる】
【如何な技術か引き戻された薄刃に備わる小さな鋩が、致命打を“重篤な傷”に押し留めているに過ぎなかった。右手の構えが左腕による誘導を得て、太刀という重みをそこに置き、今は動けぬ状態を作り出していた】

【まるで―――――“そこにあることで未来が定められてしまっているかの様に”。】


――――――――……それこそが、私の否むべき諦観(あきらめ)の犠牲だッ!

【ゆえに消失を為しながら肉体が加速する。押し込まれながら右脚を軸に回転させて、両者の刃が抉る血と肉の激痛を剣を還すその黄金火に委ね叩き返す。】
【一度死の刃を眼前で留めた太刀は、斯く迸って虚空に消えた。消失の一瞬だけ両手が空く。そして一度は楔となった刀刃なれど、絶対を願うその刃が少女のもっとも信頼する一振りである事に変わりはなく―――――。】

【虚空よりの“抜刀”―――――黄金の焔を纏う切断概念の剣が、今一度顕れて揮われるだろう。その閃く軌道は、慣性をそのままに体幹の加速を得て彼の胴を右から左へと薙ぎ貫かんとした】

【砕け散る刹那の最速の一刀、生を、視えたその終わりを越えて残る力をも擲つ乾坤一擲。望む未来を掴むための刃は、切り拓くべき“今”へと総てを注ぎ込む。】

(…………っ、―――――――)

【最後の一撃の成否に関わらず、その繰り手たる少女は、ふらりと、左膝から崩れ落ちるのだろう】
【絶望の未来を叩き斬り、誰かの愛した平穏を護ろうとする刃――――――最後の最後まで彼を止めることを、“犠牲”の、滅びの否定を願って振り抜いた熾刃の一閃。】

【それは、如何な結末を迎えるのか。齎されるその時を確かめることもなく、少女は、未だ暁けぬこの夜に沈黙した】


/……すみません、本当に遅くなりました……ッ
425 :ユーリ・ハセ ◆SnY/08zmQ. [saga]:2015/01/27(火) 02:41:46.69 ID:OLXS4caA0
>>424
【ふと、思うことがあった】
【自分も、彼女も。今見過ごせば訪れてしまう未来という名の暗色の茫漠を拒むためにただ今という、気を抜けばその未来に飲まれてしまいそうな中で足掻く存在なのではないか、と】

【ただ、一つ違いがあるとすれば。彼女の方法は正しく、彼の方法は絶望的なまでに間違っている】
【不幸という名の未来を否定しうるのは彼女の方だけ。彼はそう、未来という沼に嵌り窒息するだけの獣にすぎない】
【タールピットに飲まれたが最後、そのまま化石と化したダイアウルフたちのように】

【ふと気づくと、手には肉を割く感触が伝わってきていた。銀色の刀身を血色が覆い、紅玉のような輝きを見せた】

【そして、彼女の乾坤一擲】
【かの刀が現れた邂逅の瞬間。そのときに僅か見えた火花と同色の炎。それは明るく、烈しく】

【右から迫る、彼女の刃。両手は肩の肉に挟まれた刀を握っていて、そしてその長さから引き戻すことは不可能に近かった】
【つまり、彼女の正義は完遂されようとしていた―――その時】
【彼の意思と関係なく、刀がひとりでに解け、そのまま腕に絡まるようにして変形を始める】

【現れたのは手甲だった。肘から先を覆うそれは本来彼の思考通りに変形するのだが、このような形を使ったことも思い浮かべたことも彼は無かった。なぜならそれは、彼にとって殺すための道具でしかなかったのだから】
【まるで、武器そのものが彼を守ろうとしているかのように】
【だから、彼はその意思に応えるように】

「私が否定するのは―――この進む道が潰えるという今だけだッッ!」

【右肺の下あたりに侵入していた刃を両の手で掴み、無理遣り押しとどめる。全身の切創から血が再び吹き出した】
【ふと、両手の平が熱くなったのを感じる。否、熱ではない。それは初めて形成された装具ゆえの構造の甘さか。装甲の薄さか。それとも度重なる変形で金属の帯びる魔力が減り、防護を弱めたのか。手のひらから横溢する血で滑り始めた】
【すわ両手ごと胴体が寸断されるのも時間の問題か、と脳裏によぎる刹那、すでに横方向への力が失われていることに気づいた】

【見れば、彼女は既に膝をつき、そのままの姿勢で絶入していた】
【そして、横にはいつの間にか狼の姿へと戻った彼の得物が、擦り寄るように存在している】

【この広場で立っていたのは、青年の方だった】
【もはや全身から血を流し、無事な部分を探す方が難しいような様子で、特に脇腹と両掌の傷が深くはあったが。】

「間違っていることなど、自分でもとうにわかっているのです」
【誰に宛てるでもない、聞こえるとしてもその遠巻きにしている市民には聞こえない程度の大きさのその呟きはあるいは未来を切り開ける彼女に、それができない自分の無念を託すかのように。その瞳に濁りはなく、薄らと憧憬すらを写して】

【左手で右の脇腹をおさえ、浅い呼吸で宣言する】

「カノッサ機関《No.8》のユーリ・ハセが、おまえたちの正義を下した悪の名だ」

【市民たちは、ただ沈黙していた】

【そして、彼は広場に背を向けた。来た道を戻るように、いつ明けるとも知れぬ薄闇の中を歩き出すだろう】
426 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/01/27(火) 12:58:35.55 ID:V6XyQLciO
>>417
/これを再利用して待ちます
427 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/01/27(火) 23:17:43.96 ID:yjNd16XJo
【公園】

【ここは都会のど真ん中にある森林公園。子どもを楽しませることよりも大人が休みに来るような静かな場所】
【夜は殆ど人が居ない。時間外れの犬の散歩かジョギングぐらいだが…こうも寒いと殆ども居ない】 
【公園の外周に路駐されている映画に出てくるような古臭い青いポンディアック。今どきこんなものに乗ってる奴は居るのか】
【その車体は歩道に乗り上げているものの非常に邪魔である。切符を切られてしまっても仕方ないような停め方】

………ハァァァァアア…疲れた……今回は…特に……

【公園のベンチに腰掛け、魂ごと吐き出すかのように煙草の煙を吐く。白い煙は夜に溶け込んでいく】
【ダークグリーンのレンズのサングラスをかけた男。とんがったような鼻。レンズにかかるぐらい伸びた黒い前髪】
【ホースハイドのライダースジャケット。リジットのデニム。腰に2つのガンベルトには3丁のリボルバー式拳銃】

【煙が舞う、ベンチのすぐ横にある看板は禁煙をうたっている。標識もノンスモーキング。見えているのかいないのか…】
428 :八攫 柊 ◆wEoK9CQdXQ [saga]:2015/01/28(水) 03:54:58.59 ID:bFVm71NU0
>>425

【振り抜いた、それ故に生命は鼓動を閉ざすことなく“今”を駆け抜けた。曇りなき刀身が血に濡れる。その火の粉の残滓すらも振り絞る一撃―――――黄金火は、やはり顕現と同時に夜闇を染めて】
【だが掠れる視界は、解け、決着を期した斬閃に割り込む意志持つ鋼色を視て――――もはや腕に入らぬ力は、その薄壁を押し切る事も出来ず姿を崩した】
【そして込めた最後の力を失って少女が頽れる。膝がその身を崩すまま手を付いて】


(……駄目、……だった、か。もう、……負けられるわけ、ない、……のに――――――)

【弱り、肺腑にだけ流れを生むだけの呼吸を繰り返す。心が、変わらぬ現実に穿たれそうになる。】
【機関すべてを敵に回し 護りきる力をこの街の犠牲に誓ったのに、なんて脆くか細いのだろうと酷い口惜しさに口元が歪む。未だ辿り着くべき結末を諦めきれず、動こうとする傷だらけの肢は“どう動ければいい”――― 問いに答えぬまま血を流すけれど】
【立ち上がる、ための力を求めて。ほとんど無為のその行為を、骨が軋む音色にだけ激痛を感じさせて。】

【僅かに見開かれた橡色の瞳。映り込むのは、逃避するでもなく泥濘と灯を前にした様な黄金の瞳】
【そのあるじより零れ落ちてひとの沈黙に消えようとする言葉に―――――少女は、消えさせてはならないものを見た】

 ……待、って。……、……っ……!

 ―――――いつか、必ず。
 ……私は、貴方の軌跡を追ってその道を断ち切る―――――……あなたが欲しがるその先の場所を、辿り着く終わりになんて、させない。 

 ……“敵”として、見ていて―――――……諦めず恐れ(あなたたち)と戦える限り、あなたの最大の敵になるから。……何も、手放しは、しない――――。

【そして 答えを紡ぐ。意識を向けられれば死ぬかもしれないというのに、それでも、紡がずにはいられなかったから】
【今は、未だ遠い夢。怨嗟でもなく 絶望でなく、打ちのめされた闇のなか、 誰かの手をさがす様に静謐な瞳がひとり去りゆく孤狼なりし青年を映していた】


【彼の求める幸せのカタチを、彼をそんな場所に縛り付けた絶望の闇を少女は知らない。けれど、“犠牲”も、諦観も戦いゆく彼女に見逃して見過ごせるものではなく――――。】
【“敵”を“敵”のまま、彼を彼として己をそれに敵対するための刃の如く“道具”めいて対峙する構図をおいたまま。……意識の途絶える間もなくまでは、馬鹿馬鹿しいまでの直向な意地を張り通していたのだろう】


(……少し……つかれた、かな。大丈夫、未だ……何も、私は、為し遂げてはいないんだから―――)

【……死ねないのだから、未だ死なない。絶望的な黒き杭を幾本も打ち込まれ、打ち込まれたゆえに思い、追い続けるべき意志がその胸裏では試行を重ねられて】
【今宵命を繋いだ刀をその腕に抱きながら、血を流し過ぎた少女は瞳を閉じる。戦うべき明日に、願うべきその日に―――今は、備えてこの夜が終わる】

【滅びてなど、いない。そう、消えかけの灯に 励ます様に。小さな黒い石がポケットから落ち、小さな掌に微かに温度を与えた】


/……この辺りでしょうかっ。何かと長時間お待たせ気味で、重ね重ねすみませんでした……お付き合い、本当にありがとうございましたっ……!
429 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/01/28(水) 16:25:22.33 ID:43PZixQAO
>>417
もう一度これを利用して待ちます
430 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/29(木) 00:13:01.25 ID:x77+Hne1o
【大通り】
【夜遅くでも人通りが多くとても賑わっている】
【その通りの人混みをかき分けながら歩いていた】

今日も記事になるものを捜してこい、ですか。
全く、一記者に丸投げせず、たまには編集長自らが出向いて頂きたいものですね。
まぁ、そんなことはありえませんが。

【上司に対する愚痴をこぼしつつ、前へ前へと歩みを進める】
【もうそろそろ通りを抜ける頃だろうか、そこからは闇の世界が広がっており】
【暴行に窃盗、殺人まで何でもありとなっている】

仕方がないですね、今日も会社のため、報道のためにネタを捜してきますか。
何か起こればいいんですけどね。

【弓を背に負い、矢筒を腰にかける】
【一応ひと通りの「記者としての用意」はできた】
【そして闇の中、一人で歩みを進め始めた】

【聴力は高く、叫びや銃声でも聞こえるものならすぐ駆けつける】
【また、嗅覚も人並みに効くため、血の匂いにも敏感だが】

【衣服は黒のジャージにスカートで、首からはカメラと社員証をぶら下げていた】
【果たして、この闇の中で何が起こるのか】
431 :アイン ◆r0cnuegjy. :2015/01/29(木) 20:09:38.18 ID:hqpYt91oo
【路地裏】

【一条の月光が薄暗い路地裏の一画を照らしていた】
【薄茶色の壁を背に映るのは女の白い肌。引き締まった腹部に、鍛えられた両脚、端正な顔が闇夜に浮かび上がっている】
【女は一糸纏わぬ姿で壁際に立っていた。いや、立たされていた。挙げられた両腕は交差し、一本の短剣により壁に縫い付けられていた】
【両太腿にもそれぞれ短剣が突き刺さっている。三箇所の穴からは赤い血が滴り流れていた】

【女の顔は苦悶に歪み、涙で濡れていた。床へと落ちていた視線が上がっていき、ある点で止まる】
【視線の先、暗闇の中に男がいた。黒い短髪に東方の顔立ち、赤黒い外套の裾が脚まで流れている】
【木箱に座る男は暗がりの中で薄く微笑んだ。右手で弄んでいるのは小さな針】
【女の視線が針を捉え、恐怖に目を見開いて大粒の涙を流し始める】

『お願い……もう、許して……たすけて……!』

【女の涙ながらの懇願に、男は退屈そうに欠伸をしただけだった】

 ……まだ違う、か

【瞬間、男の右手が消える。高速で振られた手は針を投擲、女の体に突き刺さり肉を抉る。女の口からは絶叫】
【男は薄い笑みを浮かべながら女の全身を眺める。女の身体の至る所に針が突き刺さり、白い肌に赤い線をいくつも作り上げていた】
【男の右手に魔翌力で生成された針が現れる。それを見た女の表情が恐怖に歪んだ】

『おねがい……』

【女の二度目の、いや、何十回目かの懇願。何度も聞いたそれに男は笑みを深くした】

 ん〜、中々保つじゃあないか……!
 自警団員なんていう勝気な女だ、遊ぶ相手には絶好だと思ったが、思ったよりも楽しませてくれる!
 これで36本目だがまだ気が変わらないとはな!

【男の視線が地面に落ちる。そこには無残に引き裂かれた自警団の制服と女性用の下着が散らばっていた】
【たまたま通りかかった自警団員をその場の思いつきで捕獲したが、それが想像以上に楽しめていることを、男は心の底から喜んでいた】

 さて……何本目で“殺してくれ”というかな?

【男は内心の興奮を隠そうともせずに口元を歪める。女の顔は恐怖と苦痛で蒼白になっていた】
【またも男の右手が左へと振られる。37度目の動作に37度目の絶叫が響いた】
432 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/29(木) 21:00:19.62 ID:x77+Hne1o
>>431
【月光が街全体を照らす頃】
【昨日獲り損ねた記事のネタを探して歩き回っていた】

昨日はネタが全くなかったですね・・・。
今日は気をとり直して頑張りますか。

【その悲鳴を聞いたのは路地裏を歩き回っていた時だ】
【女性の悲鳴、だろうか】
【それに鉄の匂いが少しする、おそらくは血だ】

むむ、これは記事のネタになりそうな匂いですね。
さて、行くとしますか。

【スゥー、ハァーと一つ深呼吸して】
【弓を背に負い矢筒を腰に、そして何よりの商売道具であるカメラを構えて】
【男性と女性がいる路地へと駆けて向かう】

うわぁ、これはまたすごいことになってますね・・・。
こんばんは、私は中央新聞社の辻風と申します!
取材してよろしいですかね?

【一つ挨拶をして構えていたカメラで写真を撮る】
【カメラは確実に女性の凄惨な姿とその加害者の男性を捉えたが】
【果たして男性と女性の反応はどうなのか】
/まだいらっしゃいますかね?
433 :アイン ◆r0cnuegjy. :2015/01/29(木) 21:22:14.74 ID:hqpYt91oo
>>432

【女の絶叫に耳を澄ませ、次の答えを男は今か今かと待っていた】
【女が苦痛に眉を顰め苦鳴を漏らす。言葉が発せないほどの痛みなのだが、それさえ男は焦らしと変換して楽しんでいた】
【ようやっと女の口から零れる唸りのような声が止まり、荒い息のまま顔を上げる。ようやくかと思った瞬間、思わぬ乱入が水を差した】

【現れた人間に対して壁に縫い付けられた女は顔を向けるが男は不機嫌そうに口を引き結ぶ】
【女の顔には驚愕。割って入ってきた人物に対して助けを求めるべきか逃げろと言うべきか迷っていた】
【男の指先が微かに動く。指に挟まれていたのは三十八本目の針。女の目がそれを捉え、表情が恐怖ではなく焦燥感で埋まる】

『逃げて!!』

【女が叫ぶのと同時に男の腕が真横へと一閃】
【一瞥することもなく寸分違わぬ精度で針は来訪者の眼に向かって飛んでいく】


//おりますぜ
434 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/29(木) 21:34:34.90 ID:x77+Hne1o
>>433
【耳に入るのは女性の「逃げて」との叫び】
【目に入ったのはこちらへと飛んでくる針】
【幾分男性のほうがアクションが早かったもので】
【とっさに右に突っ飛んだものの、左肩を針がかすめる】

痛った!!
まったく、女性にいきなり攻撃するとは・・・。
男性としての身なりが整ってませんね。

【カメラをバッグに仕舞って後ろに投げ、弓に矢をつがう】
【弓の弦はぐぐっと拗じられ、鏃はは男の方向へと向いている】
【狙いはワンキル、頭部か胸部といったところか】

私と同じ女性を痛めつけたものですし、きちんと制裁は受けてもらいますよ?
全く、あんなに針を突き刺したらヘタしたら死んでしまうじゃないですか。

【矢は綺麗な放物線を描き男性の胸部へと向かう】
【スピードは風の魔力に支援されているのもあり弾丸並といったところか】
【だが、一直線に男に向かう矢はステップさえ踏めば簡単に回避できてしまうが】

【矢を放つと同時、風の魔力は風圧を高めながら手中へと集っていく】
【やがて風圧さえ整えば様々な手法で攻撃ができるのであるが】

/よろしくお願いします!
435 :アイン ◆r0cnuegjy. :2015/01/29(木) 21:57:02.41 ID:hqpYt91oo
>>434

【避けられた針はそのまま直進して路地裏の焦茶色の壁に突き刺さる】
【左肩の負傷で済んでくれたことに壁際の女は安堵の息をつくが、緊張感は晴れない】
【もう一度逃げるように言おうと口を開きかけるが、壁から突如として現れた真っ黒な触手状の何かが口を覆って声が出せなかった】
【突然のことに驚きながらも首を振って拘束を振りほどこうとするが、触手は全く離れない。唸り声のような声が響くだけだ】

【男は座ったまま相手が弓に矢を番える姿を確認。射線から急所である心臓部をずらすように少しだけ動く】
【弾丸のように音速近い速度の矢が一直線に胸部に命中。衝撃で男の背が後ろに反れる】
【しかし緩やかな動きで重心を前へと戻す。視線が下へと落ちていき、胸から出ている矢羽を見つめる】

 ……弓矢か、魔翌力による強化を受けているとはいえ、地味な武器だなぁ
 さて、どうやって相手をしてやろうか……

【膝の上に肘を置き、手で顎を支える。顔には思案】
【胸を矢で貫かれたというのに慌てる様子さえ見せない。胸の傷口から血が矢に伝わり、赤い雫が地面へと落ちていく】

 あぁ、そうだ
 俺はお前の相手をどのようにやるのかを少し考えるから、その間に攻撃でも大技の準備でも何でもしたまえ
 それぐらいで、いいハンデだろう

【ふと思い出したかのように言葉を続ける。視線は壁際の女にも、矢を放ってきた相手にも向けられていなかった】

//お願いします!
436 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/29(木) 22:18:07.60 ID:x77+Hne1o
>>435
【放たれた矢は男性に向かって直進し、命中した・・・、のであるが】
【胸部を射られて血を噴き出しているものの、なぜが死なない】
【まるでどこぞの世紀末を描いた漫画のように】

むむっ、胸部を射られて死なない人など漫画で見て以来です。
ああ、また私はこんな強者とあたってしまったんですね・・・。
全くもって不運としか言い表せません。

【というか急所を射られて死なない人などいないと思っていたが】
【それは夢想であり、現実には死なない人もいるもので】

余裕ですね。
私はだんだん余裕がなくなって来ているんですがね・・・。
というかなんで胸部を射られて死なないのかが一番記事にしたいんですが・・・。

【いちいちバッグからカメラを出して胸部から矢羽をだしている男性の写真を撮る】
【これが一番新聞の記事になりそうだったもので】

大技の準備といわれましてもね。
まぁ、とりあえず風を呼び込んでおきますか。

【男性の思考中、常に風の魔力を手中に集めておこうと思いつき】
【手中の風の魔力は濃く、そして密度が高くなってくる】
【ゴオォという暴風の音が漏れているのだが】
【思いついた大技は、「竜巻」だ】
437 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/29(木) 22:40:39.08 ID:hqpYt91oo
>>436

【提案の後は、男は敵の声やカメラのフラッシュなどを全て意識の外に追いやって、戦闘手段の選択肢を検討していた】

(風の魔力に投擲攻撃……こんな状態に飛び込んでくるあたり、戦闘経験や危機管理能力は無し
 となると、相当加減をしてやった方がいいな……相性的には質量攻撃が良さそうだが、ここは敢えて風で飛ばしやすい炎でいくか)

【主だった指針を決定して更に詳細な魔術の選択に入ろうとした時、男の耳に異音】
【一旦思考を中断して音源の方へと感覚を集中する。その先にあったのは高濃度・高密度の風の魔力】
【男は苦笑すると、魔力を集めている女ではなく、壁際でさっきまで痛めつけていた女の方を見る】

 大技の準備をしろとは確かに言ったが……もう少し範囲ぐらい気にしたらどうだ?
 まぁもちろん、それぐらいの魔術が見れなければ面白くないし、女の方の心配は無用なわけだが

【左手を下から上へと掲げると、岩の半球の壁が現れてシェルターのように壁際の女を覆っていく】
【あくまでもあの女は楽しむのための玩具であって他人の魔術に殺されては困る、という考えだった】
【木箱から降りて敵に相対するように道の中央に立つ。背中に右手を回すと矢を掴み、後ろから引き抜く】
【胸から押し出された血が地面に飛び散るが、出血はすぐに収まった】

 さて……それでは記者兼魔術師の大技とやらを採点でもしてやろう!
 遠慮はいらん、思いっきりぶちかませ!!

【勢いよく両腕を広げて男は叫ぶ。防御する様子など欠片もなかった】
【口元には挑戦するような笑み。そこには攻撃を恐れるどころか、敵を試すような自信と余裕があった】
438 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/29(木) 22:53:44.19 ID:x77+Hne1o
>>473

あ、確かに。
すみませんでした・・・。

【なぜが敵?である男性に謝ってしまう】
【女性の周りに現れていた触手にまで魔力が及んでしまっていたのか】
【そんな意識は全くなかったもので】

あぁ、あの女性の心配はいらないんですか。
・・・、ってなぜ岩の壁が現れてるんですか・・・。
あぁ、やっぱり私は強い能力者としか相対しないんですね・・・。

【これは相当な不運であるのだが】
【これはこれで面白い、といったところか】
【だが、やはりこの男性は強すぎる、というか一生かけても勝てそうにない】

私は魔術師じゃなく、ただの記者ですが・・・。
わかりました、行きますよっ!!

【ブワッと一陣の風が吹き抜ける】
【その風は表通りの木の枝まで揺らすほどの強風で】
【そして放出された濃く、密度の高い風の魔力は渦を巻いて男へ迫る】
【まるで竜巻のようだ、稲光は生じていないが】

【その風が消滅するか、それとも通り抜けた後、男性はすぐには記者の姿を捉えることができないだろう】
【記者も自らの魔力に耐えられず、後ろに吹き飛んでしまったわけだが】
439 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/29(木) 23:19:10.79 ID:hqpYt91oo
>>438

【路地裏の奥深くから表通りまで吹き抜けるほどの豪風。短い前髪が後ろへと抑え付けられ外套の裾が狂ったように暴れる】
【暴風の渦を前にしても男は動かない。両腕を広げたままの男に膨大な風圧の全てが襲い掛かった】

 ぐっ、うぉおおおおおおおおおおお!!

【咆哮が男の身体と共に渦の中へと消えていく。そのまま渦は直進して通路の先の壁に到達。爆音と土煙】
【煙が晴れて巨大な穴が露わになる。強力な風圧が壁を破壊して貫通させたのだ】

【男はその穴で横たわっていた。投げ出された足が通路の方を向いている。軽い音を立てながら壁の破片が地面と男の身体に降り積もる】
【壁の断面を掴み、男は上体を引き起こした。額からは出血、口からも血が垂れていて顎を赤く染め上げている。胸からも出血が再開】
【外套は所々が破れ、破片で切れたのか、脚や脇腹に細い赤い線。壁に叩きつけられた衝撃で左腕が妙な方向に曲がっている】

【壁の断面に手をかけて男は立ち上がる。右手を開いたり、地面を踏みしめたりして身体の状態を確認】
【男の目が左腕の損傷を見つける。躊躇うことなく右手で左腕を掴み、強引に正しい方向へと矯正。激痛にうめき声のような苦鳴をもらす】
【最後に口から血を吐き捨てると、顔を上げて敵の姿を探し始めた。血で濡らした口には獰猛な笑み】

 くっ、はははははははは!! 中々やるじゃないか!
 いくら防御なしとはいえ、これだけの大怪我は簡単に与えられるもんじゃない! ただの記者にするには惜しい!
 いいハンデとは思ったがやり過ぎだったかもしれんな……自警団なんぞを痛めつけるより余程面白い!

【喉を反らして哄笑をあげる。心の底から楽しいように男が叫んだ】
【だが言葉の通りダメージが大きいのか、言い終わると咳き込み、また血を口から吐き捨てた】

 さぁて、どこだ……?

【姿を探して歩き始めるが、動きが遅い。脚の骨にもダメージを負っているようで引きずるように歩いている】
440 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/30(金) 00:03:46.23 ID:mdePvl9Do
>>439
【男性には確かにダメージは通ったものの】
【魔力を多く使ったためか壁に寄り添うようにして座り込んでいた】

自分自身の魔力制御ができないとは、まだまだ未熟ですね・・・。
でも、あれだけの竜巻が起こせたのですし、よしとしましょうか。

【男性の足音が聞こえる、それも足を引きずるような】
【おそらくは足にダメージが通ったのだろうとは思考するものの】
【対峙したところで実力差はだいぶあるのは目に見えている】

まずいですね、とりあえずは逃げ、いや、まさか・・・。
商売道具をあの路地においてきた気がするんですが。

【そのとおり、商売道具のカメラはバッグごと吹き飛ばされ、結構遠くの路地にあった】
【だが男の足音も近づきつつあり】
【判断に戸惑った挙句、出た結論は】

よし、カメラを取りに戻りますか。
とはいっても、あの男性と戦闘状態に入るのは必然的ですし・・・。
そうだ、さっきの竜巻をもう一度発動してみますか。

【魔力は当然無尽蔵ではない】
【先ほどの竜巻で3,4割魔力を消費してしまっている】
【継戦となればとんでもなく絶望的な状況に置かれることは確かだ】
【その上先ほどのようなハンデは一切ない】
【しかし、記者はこの一撃に頼ることとしたのである】

よし、集中して、風を集めるように・・・。

【再び、手中に風の魔力が集い始める】
【記者の周辺には風が吹く音が響いているが】
【男性は記者の位置がわかるのだろうか】
441 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/30(金) 00:27:30.40 ID:wIUTXKCRo
>>440

【男の歩く不規則な音が路地裏に響く。一歩進むごとに踏みしめる反動で脚に鋭い痛みが走る】
【周囲に女の姿は見当たらない。隠れているのか、何なのか男には分からなかったが、考えるのはすぐにやめた】
【男は念のため事前に作った岩の防壁を確認。豪風が掠めていったが防壁は無傷。中にいる針だらけの女も無事だろう】

【男の歩みが止まる。離れた位置から感じる魔力、微かに届く空気の震える音】
【男はまるで出来の悪い生徒を見たかのように苦笑した】

 聞こえているかは知らんが、一つ忠告してやる
 戦闘に不慣れなら路地裏になどくるな。あまりの危機意識のなさに自殺願望かと疑ったぞ

【目を伏せて男も相手と同じように集中を始める。片手に集うのは同じく風の魔力】

(流石にあの一撃を不利な炎では打ち消せんな……少し格好はつかんが、方針を変えるとしよう
 多少、お灸も据えておいてやるか……そうだな、片手を持っていくぐらいなら、これぐらいでいいか)

【脳内で魔術の構成を決定して、魔力を調節。あとは相手が撃ってくるのを待つだけだった】


//すいませんが、夜更けになってしまったので、凍結か打ち切りをお願いします
//明日はいつでも返せますので
//では、おやすみなさい
442 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/30(金) 00:39:43.06 ID:mdePvl9Do
>>441
【男性の歩みが止まる】
【記者はその場で硬直し、あたりの様子をうかがう】
【すると眼中に男の姿が入ったのであるが】

むむ、いま飛び込んだら返り討ちにあってしまう気がしますね・・・。
記者としては筆を持つ腕は命に等しいものですし。
ついでにネタを獲りに行くために脚も命に等しい。

【腕に脚、それはカメラよりも重要な商売道具である】
【それはきちんと認識していた、そのためにむやみに突撃などしなかったのだが】

多分、魔力の動き方で気づかれてますね・・・。
本当にあの男性は人間ですかね、人外にしか思えないのですが。

【魔力の動きだけで存在を感づく人間などほんのひとにぎりの優秀な魔導師ぐらいだろうか】
【だが、あの男性も例外ではない、その上歩みを止めた、というのは何らかの意味があるはず】
【そう踏んだ上で、商売道具であるカメラを取りに向かうための道程を考えていった】

あの男性には風の魔力の動きで場所を悟られているであろうから・・・。
それなら魔力を開放して、弓で先頭をしますかね。
でも、それであれば力量の差がありますしね・・・。
というか、そもそもあの男性には敵う気がしないのですが。

【そこで出た策は、捨て身の選択といったところか】
【カメラが入ったバッグのある位置は視認している】
【男性がいる2つ向こうの路地にポトリと落ちていた】
【そこまで取りに行くのなら、風の魔力であの男性の攻撃を相殺できるという考えに至った】

よし、じゃあ取りに行きましょうか。

【覚悟を決めて走りだした】
【走る速度は風の魔力の恩恵を受けていることもあって軍人以上になっている】
【だが、路地から路地に渡るタイミングは魔力の移動でわかってしまうのであるが】
/凍結ということでおねがいします。
/では、また明日!
443 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/30(金) 16:33:47.24 ID:jnPjjoFho
>>442

【赤衣の魔術師の鋭敏な感覚が隠れていた敵の動きを捉える】
【魔力を溜めてからの攻撃だと予想していたが、相手の突然の方針転換が男には理解できなかった】
【しかし気にするほどのことでもない、と無駄な思考を即座に切り捨てる。右手に魔力を溜めたまま、空いた左手を走る記者へと向けた】

 命知らずにも程があるな……真っ直ぐ向かってくるとは
 殺しはしないがこれで少しは反省しておけ

【苦笑しながら、魔術師は左手から魔術を発動。開かれた五指から眩い光が溢れる】
【それぞれからは炎の帯。五つの火炎が直進しながら合流。通路を埋め尽くすほど巨大な一つの火炎の奔流となって女へと向かっていく】
【強烈な熱量により熱せられた空気が急速膨張。熱風が狭い路地裏の至る所に吹きすさび道に転がる細かな石を吹き飛ばす】
【大気が建物に囲まれた狭い空へも登っていき、壁や地面は業火が近づく先から表面が黒く焦げていく】

【圧倒的な熱量を誇る巨大火炎魔術。しかし宣言通り殺す気はなかった。先ほどの渦状の魔術であれば相殺が可能な程度に加減がしてある】

//今日もよろしくお願いします
444 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/30(金) 20:53:11.70 ID:mdePvl9Do
>>443

【まさに通りをわたっていたその時だった】
【男性から放たれた巨大な火炎がこちらへ迫りつつあった】
【相殺するには魔術を用いるしかないという考えで落ち着いた】

【だが、先ほどの魔術であまり魔力は残っていない】
【つまり、少しの負傷は覚悟して防御しなければならないのだが】

っく、少しの負傷はしょうがないですね。

【風の魔力を開放する、それは先ほどのような威力はないのだが】
【渦状に広がっていく風の魔力は火球によって膨張された空気を含み大きくなっていく】

【そしてついに旋風と火球が衝突する】
【先ほどの竜巻のような威力はないのだが、この場を切り抜けることはできるのか】
445 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/30(金) 21:35:42.57 ID:jnPjjoFho
>>444

【暴風と豪炎の激突。火炎そのものの勢いに熱波が加わり旋風の勢いを殺しながらじりじりと押し込んでいく】
【力のぶつかり合う衝撃で通路と壁が大きく凹み拮抗箇所が動くにつれて路地が破壊されていく】

【魔術師の表情に不愉快さが滲む。予想していた以上に敵の抵抗が小さかった。勢いが弱まるとはいえこの熱量は殺すには十分過ぎる】
【瞬時に決断。記者の放った風の魔術がこちらに到達しない程度に弱まった瞬間に左手を後ろに引く。火炎は魔力へと戻り消失】
【微かに残った熱風だけが女に向かって吹き荒ぶ。それだけでも火傷を負うほどの温度だ】

【右手に溜めていた魔力も霧散させる。これ以上は必要ないだろう、という判断だった。男の顔には不可解さが浮かんでいた】

 全く、目的がよく分からないやつだな……

【通路に残るのは破壊の痕跡。炎の暴虐に二度の風の暴力。二人の間の路地は抉れ、削れ、少なからず形が変わっていた】
【ふと思い出したように前方にあった岩の防壁を見た。竜巻の圧力には耐えたが、火炎の高温に耐えられたかは中を見ないと分からない】
【男は興味をなくしたように通路の先、記者が居るであろう方角に視線を戻す】
446 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/30(金) 22:27:39.73 ID:mdePvl9Do
>>445

【旋風の発動後であった】
【魔力を使い果たしてしまったのか、その場にへたり込んでしまった】

はぁ、はぁ・・・。

【どうも呼吸が落ち着かない、魔力を使い果たしたのは初めてであったためか】
【先ほどまでの火炎のあとのこりである熱風が記者を襲う】

熱っ・・・!

【熱風をもろに食らい、両腕を火傷してしまったのである】
【その後もしばらくへたり込んで動かなかったわけであるか】

私は記者ですから、商売道具のカメラが命なんですが・・・。
あいにく、先ほどの竜巻で吹き飛ばされてしまいましてね。

【記者が無理をした理由はたったそれだけであった】
【一般的にみればバカとしか思えない理由なのだが】
【記者からすれば、命であるカメラを置いて逃げるわけにもいかなかったのである】

まぁ、私の負けといったところですかね。
煮るなり焼くなり、好きにされてかまいません。
多分、へたり込んだままあと数分は動けないでしょうしね。

【これを勝負と受け取るかどうかは魔術師次第だが】
【記者はあの女性のようになることをすでに予想している】
【顔にはすでに諦めの表情が浮かんでいるが】
447 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/30(金) 22:49:17.02 ID:jnPjjoFho
>>446

【熱風の影響で微かに歪む風景の先にはへたり込んだ女記者が見えた】
【記者特有の戦う理由に男は何度目かの苦笑。その理由は笑うしかなかったが不可解さへの答えとしては不十分だった】
【通路の奥に目を向ければカメラが転がっていた。魔術師はそれに右手を向ける。袖から黒い触手が伸びていきカメラを回収】
【触手を引き戻す反動で腕を振るい、カメラを記者へと投げ渡す。表情には呆れ】

 俺が不愉快であり不可解なのはそんなことじゃない……取材とやらをするにせよ、相手ぐらい選べ
 近づいてきた瞬間にお前を殺すことだって出来たし、今でもお前を殺せる
 やらないのは単に、お前が好みの女じゃないからだ

【自警団員を掴まえ拷問としか思えないようなことをする残虐な男が終始加減していたのは、単純な嗜好が理由だった】
【魔術師にとって目の前の女は戦うにしても痛めつけるにしても興味の惹かれない相手だったのだ】
【犯罪者でありながらも説教のようなことをしているのは、年上としての倫理観という、似つかわしくないもののせいだ】
【若く抜けてる人間を目の前にして、つい口が動いてしまった】

 死にたくないなら力をつけるか知恵をつけろ。せめて勝てない相手に立ち向かうのはよせ

【言い終わった男の身体が揺れる。負傷の軽い方の足で踏みとどまるも表情には苦痛】
【身体のあちこちから流れる血が足元に小さな血溜まりを作っていた。負傷の状態でいえばこちらの方が圧倒的に悪い】
【舌打ちを一つして、男はその場に座り込んだ。記者に襲いかかる様子など微塵もない】
448 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/30(金) 23:02:04.68 ID:mdePvl9Do
>>447

【男性に諭され、以前の取材を思い返してみる】
【やはり突撃取材、といったところか】
【相手の能力や力量を何度も測り損ねていた】

ははは、私、確かに特務員、つまり能力を持つ記者としての自信はありました。
ただ、やはり、なんと言ったらいいんですかね・・・。
考えるより前に足が動いてしまうんですよね。
治さなきゃいけない悪い癖ではあるんですが。

【特務員として、記者は確かに自信を持っていた】
【ただ、思考が抜けているというべきか、口より先に手が動くというべきか】
【治さなければいけない、と自覚していても抜けない癖なので困ったものなのであるが】

そうですね。わたしは力も知恵もないもので。
命を落とさないよう、今後は考えてから行動するようにします。

【なんとか今後も生きていける気がする、とそんな根拠のない自信が湧き出てきた】
【ただ、やはり生き残るには男性の言うとおり知恵も力も必要なわけで】
【それらを身に付けるための道標、それがこの男性であると】

私、辻風文と申します。
あなたのお名前をお伺いしたいのですが、よろしいですか?

【最後に名前だけはどうしても聞いておきたかった】
【先ほどまでどうだったかは一切抜きにして】
449 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/01/30(金) 23:09:25.53 ID:fxKd8Iw2o
【路地裏】

「……もう……まいった……から……!! やめ……て……くれ……ッッ!!」

……強い……強いんだ……!! 僕は強い、強い……オマエなんかよりも……上……なんだ……ッッ!!
脅えてるのは何でさ……オマエよりも僕の方が力≠ェあるからだろ……!? ハハハッ、そうなら――――無様に媚びてみろよォォッ!!

【懇願を聞くことも無く、青年は腫れ上がった男の顔面に追撃の拳を放つ。錫色の瞳を見開きながら、青年は何か取り付かれた様に「自分は強い」と口にして――――】
【その強さを確認するかのように、下にいる男に暴力を何度も、何度も重ねていた。マウントポジションをいいことに、無抵抗の男を暴力の赤に染める】
【返り血が眼鏡のレンズにかかっても。黒いシャツや赤いズボンが赤で汚れようとも――――決してその拳を止めることはない。暗い興奮の中では、そんなことは霞んでしまっている】

「俺の方が……よわ……いです……!! たす……げで……くだ……さ――――」

嫌だね……オマエだって僕の立場ならやめないさ……!! 分かるよ……愉しいのが……!!
特にオマエみたいな奴が掌を返して媚びるのを――――潰すとなったらそりゃもう……最高さ……そう……最高なんだ……よ……!!

【苦く後ろ暗い罪悪感の向こう側にある高揚。自分の方が強いという優越感。死に物狂いで手に入れた力≠振るう快感が其処にはあった】
【罪悪感はある。確かにあるのだが――――それが寧ろ「スリル」という名の歪んだ興奮に繋がって。加えてここまで残酷になれる自身が「スゴイ」とも彼は感じていた】
【相手を倒し、殺し、蹂躙し、自分を認める。強い自分を護る為の、強い自分で居続けるための抵抗。それが彼の暴力であり、その裏には原始的な喜びが秘められていたのである】



【公園】

うっひょ〜、桁が凄いことになってきたで……。コツコツとババア騙したり芸能人のスキャンダル売り捌いたりお偉いさん脅したかいがあるっちゅうねん。
しかもこれからは新たに能力者情報ビジネスもあるし……死なんように気を付ければ目標額もアッという間やろなぁ、ウェヘヘヘヘ……。

【黒シャツにジーンズ、その上にグレーのトレンチコートを羽織った20代後半の男。スパイキーショートの茶髪に灰色の瞳。彼は夜の公園のベンチに腰を下ろし、一人微笑んでいた】
【大柄でがっちりとした体格の男が一人で何かを見つめてにやにやしているという図は、正直怪しい印象を与えるだろうか。見た目だけではなく、発している言葉も怪しいのであるが】

【にやにやが止まらないのは、預金額に並んだ0の行列が理由であった。コツコツと……という割には大胆かつ違法な事を次々と口にしていくが、それでも積み重ねには変わらない】
【片手に肉まん、片手に預金通帳。預金額にしては食べ物が質素というか安上がりなのは、「目標額」と言うように何かしらの目的があって貯金をしているからなのだろう】

――――……それもコレも。ぜーんぶお前のおかげやで〜? な、『papa-rat』。ワイの生涯のパートナーやでホンマ……ほら、お前も食えや。

【「お前」ということから誰かに話しているのだろうが、夜の公園には彼一人。……いや、確かに人間は彼だけだが、他に「一匹」いるのだ】
【彼の着ているコートの右ポケットが膨らんでいる。話しかける様な口調で語る彼の視線もそこにある。直後、そこから――――何かが顔を出した】
【『papa-rat』と呼ばれた「何か」。実に奇妙で小さい生物であり、ビデオカメラの頭にラットの口と胴体で大きさはラットそのままという、無機物か有機物か分からない其れ】

【その怪しい生物?の口に彼は持っていた肉まんを近づけると、『papa-rat』はもしゃもしゃと肉まんを咀嚼し始めたのであった】
【暖かい色味の光を放つ電灯の下に広がるは、奇妙な光景。通帳を見て怪しい内容を呟く男と、その男が持っている肉まんを食べる小さな化け物――――】

/どちらかお好きな方を……
450 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/30(金) 23:18:41.72 ID:jnPjjoFho
>>448

【記者の反省の言葉に中年の魔術師は満足そうに頷いた】

 アインと名乗っている

【短い名前を短く答え、魔術師──アインは苦痛を堪えながら立ち上がった】
【左手を後ろにある岩の防壁に向けて掲げ、下げる。手の動きと連動して半球の壁が地面へと戻っていく】
【中にいた自警団員の女性は無事だった。だが憔悴のせいか気を失っている】
【左腕の袖の中から影の触手が四本伸びていき、一本が自警団員の腰に、残りが壁に縫い付けている短剣の刃を掴み、壁から引き剥がす】

 流石に未熟者のお前に人を助けたという功績までやる気にはなれん。その火傷は愚かさの代償として受け取っておけ
 さっさと病院に行くんだな。今の状態で他の連中に見つかれば、今度こそこの女のようになるか、もっと酷い目にあって死ぬぞ

【アインは最後の忠告を言い残すと左腕を軽く引いて全裸の女性を手元に引き寄せる。自警団員の両手足が力なく垂れている】
【女を触手で宙に浮かせたまま路地裏の犯罪者は表通りではなく路地裏のより深くへと向かい始める。暗い路地の奥へと】
【そのまま彼の姿は見えなくなった。残ったのは破壊された通路と、傷を負った記者だけだった】


//お疲れ様でしたー
451 :辻風 文 ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/01/30(金) 23:25:57.00 ID:mdePvl9Do
>>450

アインさん・・・、ですか。

【そろそろこの場をあとにしようと立ち上がる】
【最後にアインから忠告を受けると】

はい、わかりました。
アインさん・・・、ありがとうございました。

【自らの命を守るためには力をつけろ、知恵をつけろ】
【そして常に考えて行動しろ、今後につながる三原則を教えてもらった】
【そういう点では恩師と言っても過言ではない存在だが】

むむ、まだ熱いですね。
家に帰って冷やしておきますか。

【病院には行かず、自宅で処置を済ませてしまった】
【というのも、病院はとっくにしまってしまっているのであるためだが】

【この日以来、記者は毎日鍛錬を続けている】
【魔力をつけるために日々魔法を使うよう心がけ、実行している】
【ただ、何度か窓ガラスを割ってしまったようだが】

/ありがとうございました!
452 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/31(土) 20:07:39.40 ID:XYUDSkPNo
【路地裏】

【爆裂、轟音。眩い閃光が狭い空へと駆け上がった】
【衝撃と熱量で武装した人間たちが軽石のように吹き飛んでいく。中年の男の上半身と下半身が分断。壁に叩きつけられ絶命。同じく中年の女が壁に叩きつけられて全身の骨が砕かれ死亡】
【爆心地から離れていた二十代の男に熱波が直撃。全身を焼かれて絶叫と共に倒れる。後ろにいた同年代の男が熱風に遅れて飛んできた地面の破片や小石に胸や腹、四肢を貫かれて絶息】
【爆発をまともに受けた大男が吹き飛び、若い女を下敷きにして落下。大男は破片で身体中に穴を開けた上に全身を炙られて即死。下敷きになった女は潰れた蛙のように全身から体液や血を広げて死んだ】

【合計で六人の魔術師が一度の爆発で全滅していた。出来上がった死体の群れを男がつまらなさそうに見ていた】
【黒い短髪に東方風の顔立ち。三十代の風貌。裾の長い赤黒色の外套が爆風の余波に靡いている】


 ……おい、これだけか


【男の声には苛立ち。返事がないことは状況から明らかだった】
【赤衣の魔術師の眉が不機嫌さに歪む。近くに転がってきた中年の男の下半身を足で踏み砕きつつ舌打ち】


 手加減をした上で六人がかりだというのに、魔術一発で全滅とはな
 魔術師の風上にも置けんほどに弱いな。完全に時間の無駄だった


【苦々しい表情で男は吐き捨てるように言った】
【路地裏での遭遇戦。相手が集団であったことからそれなりの戦闘を期待したが勝負は一瞬でついた】
【玩具を失ったという残忍で一方的な怒りが魔術師の内心で唸りをあげていた】


 ……仕方ない、今の音でまた別の誰かが来ることでも期待するか


【溜息を一つついて男は壁際に寄る】
【爆発の轟音に次の獲物が誘われることを期待して、狩人はその場で待つこととした】
453 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/31(土) 20:49:49.23 ID:Y7u5lDlpo
>>452

【爆発―――爆発か。通常、路地裏で火薬が炸裂する事はあり得ない。】
【マフィアかギャングが麻薬絡みで血で血を洗う様な抗争を毎日毎日しているだとか】
【クーデターで軍事政権が国を乗っ取ったりでもしない限り、路地裏で大爆発は通常、起きない。】


 でも可笑しな話よね、この国じゃ―――いえ、この世界じゃ、一年を問わず年中路地裏で
 人殺しだの、爆発だの、レイプだの、警察どころか軍隊の手に余るような悲惨な事件が起きてる。
 いつから無法地帯になったのかしら。警察も軍もUTも緋色の盾も役立たずの能無しだらけで、気が滅入る。


  ―――だから、動くしかないのよ。

                    私達の様な
                       "悪党"が
                        "悪党"として、
                          "悪党"の限り、
                     
                            ―――より凶悪な、"邪悪"を打ち滅ぼす為にねッ!!


【しかし、現実は無情だ。ふと目を凝らせば悪意の種はそこら中に転がっている、それがこの世界の常識。】
【正義も、愛情も、勇気も、全てが無力であるならば。せめて悪だけは強く在れ。どんな理不尽も超える、悪で在れ。】
【倒れ伏し、肉塊と化した魔術師の死骸を通り過ぎて、路地裏の奥から歩みを進める影が一つ―――彼の前に、現れるだろう】


 見つけたわよ……世界の歪み、悪意の根源、消されるべき悪魔―――ッ!!


【小柄な全身に纏うのは、群青色の防護マント。その背にはこの世界における大悪党の名を示す、"カノッサ"の刻印。】
【逆五芒星の汚名を被り、その身を悪に堕として尚も、自らが憎むべき"邪悪"―――能力者の根絶を掲げる1人の少女。】
【頭部には機械式の戦闘補助バイザーを装備し、高圧的な口調で敵意をむき出しにする彼女は、堂々とその名を名乗る。】

 
 カノッサ機関がナンバーズ、7の数字を背負いし"復讐の戦姫"ッ!!
 No.7<Nemesis>、目標・能力者と思わしき"魔術士"を―――排除するッ!! 


【マントの中から取り出した1挺の回転式拳銃―――】
【よく磨かれた、シルバー・ステンレスのフレームを持った大型マグナム・リボルバーを構え】
【アイアン・サイトのみの簡素な照準を魔術師へとロック・オン、発砲音と共に先ずは牽制の一撃を―――放った。】
454 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/31(土) 21:10:49.65 ID:XYUDSkPNo
>>453

【小さな音と気配を魔術師の感覚が知らせる。口元には獰猛な笑み。床に落ちていた視線が上がり、少女を捉えた】
【その姿を見て残虐な狩人の顔が一瞬驚きを表す。続くのは嘲り。現れたのが子供であるせいだった】
【喉の奥から嘲笑を漏らしながら、道の中央へと歩み出る】

 やっと獲物がきたかと思えば、ただの子供か
 女であるのが良いのか悪いのか、あまり好みの身体でもなさそうだが

【内心を隠すことのない言葉が、少女の名乗りによって遮られた。次第に魔術師の表情が嘲笑から初めの笑みへと逆戻りしていく】
【カノッサ機関という言葉が、狩人の考えを一瞬にして塗り替えた】

【マントから取り出されたリボルバーを魔術師は素早く認識。しかし避けることも防ぐ動作も取らない】
【そのまま銃弾は彼の身体を貫く。衝撃で背が反れるが停止。上に傾いた顔をゆっくりと前へと戻していく】
【胸からは鮮血が溢れ出して外套を濡らしていく。貫通した銃弾によって後ろの地面にも血が飛び散っていた】

 ……カノッサのナンバーズなんだ、そんなつまらん武器を使うだけじゃないんだろ?
 ほら、もう少し待っててやるからとっとと次の攻撃を出せ。俺を失望させるな

【銃弾で貫かれた男は余裕の表情。喉からこみ上がってきた血が口から首へと垂れる。口に残った分を地面に向かって吐き捨てた】
455 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/31(土) 21:30:52.94 ID:Y7u5lDlpo
>>454

【―――貫通。ぶち抜いた弾丸が、容赦なく彼の者の胴体を破砕する―――、とは、ならない。】
【この拳銃は、44口径の大型弾薬を使用する強力な兵器であったが、これは一体どう言う事か……答えは単純だ。】
【単に能力を有する人間、ではなく、魔術師の身体能力が異常に優れていると言う事実を意味していた―――何と言う、耐久力か。】


 ……へぇ。防ぐか、それとも避けるか……"そういう何か"で凌ぐのかと思ったけど……ふふっ。
 魔術師とは思えない様なフィジカルね、アンタ、アメフトの選手か何か? それとも我慢が大好きなドMさん?
 まあ、どっちでもいいけどぶつかっただけでコロコロ転げまわるダサいサッカー選手よりは手強そうね、気に入ったわ。

 ただ―――子供、ですって?
 良い度胸してるわね、この私に向かって……ガキ扱いしたコト、一生後悔させたげるわ!!


【弾丸を喰らって尚も平然としている魔術師に対し、驚愕の表情を浮かべつつ、挑む様に哂う少女。】
【面白い相手に巡りあえた、少なくとも容赦だとか、そういうくだらないことを考えてやる必要は無さそうじゃないか。】
【ならば全力で吹き飛ばすとしよう。どうやらこの男、攻撃を喰らいたくて喰らいたくてたまらない、といった体であるし―――。】


              "Summon Insects"     (  ―――来たれ、我が眷属よ―――   )
 
                 "Scorpion"    (  ―――猛る甲殻で仇敵を打ち破れッ!!―――  )


【掲げた少女の腕が天を貫く。と同時に、猛烈な地響きと共に路地裏の路面にビキビキと罅が入り始め】
【振動が一定に高まったその刹那、地面を突き破り現れるのは一匹の巨大な―――節足動物。】
【強固な外骨格に巨大な鋏、鋭い視線と毒液を垂らす針の尾―――これは、蠍だろうか。】

【体長にしておよそ5mはあろうか、巨大な蠍が尾を振り回して二人の間に現れる。】
【まずは先制攻撃とばかりに、振り上げた両の鋏でアインの身体を引き裂こうと襲い掛かった。】
【この少女の能力は推測するに―――こういった生命体の召還・そして使役、といったところだろうか。】
456 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/31(土) 22:28:30.05 ID:XYUDSkPNo
>>455

【地響きが己の足元を揺らそうが赤衣の魔術師は両腕を組んだまま余裕を崩さない】
【蠍が地面を突き破った衝撃で微かに外套の裾が揺らめく。魔術師の表情には小さな驚き】

 ほう、これはまた面白いものが出てきたな

【迫り来る五メートルの巨体と巨大な鋏に向けてアインは徐に右手を掲げる。手からは魔力の微かな燐光が輝く】

 これだけのでかさなら装甲はかなり頑丈だろう。敢えて、質量攻撃も熱量も持てない風の魔術で相手をしてやろう

【掲げられた右手が翻る。その瞬間、前方に大気が集中。流れ込んでいく風が路地の石や瓦礫を転がしていく】
【塵を含んだ空気が圧縮されたことにより白濁。球状となった薄白色の大気が浮かび上がり、斜め上から巨大蠍の胴体めがけて射出される】
【単なる風の魔術では正面からぶつけただけでは巨大蠍の強固な外殻は突破できない。しかし蠍の形状上、上からの圧力には弱いと判断】
【圧縮した大気をぶつけて地面に押しつぶすという方法を取った】
457 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/31(土) 22:51:53.69 ID:Y7u5lDlpo
>>456

【狭い路地裏においては、本来巨大生物というのは動きを制限され、戦い辛いという欠点を持つ。】
【がしかし、この巨大蠍に関しては話が別だ。体躯を振り回し、溢れんばかりの力で両側の壁すら破砕し】
【自分が動きやすい様に、戦場を"テラフォーミング"していく―――この力、まさに"怪物"と呼ぶに相応しい。】

 ―――面白いだけじゃないわ。
 私の仲間はみんな優秀で命令には絶対服従、まさに躾が行届いた"猛獣"ッ!!
 加えてどいつもこいつも大喰らいなの、私に似たのか知らないけど―――いつでもどこでも、"餌"には餓えてるッ!!


【雄叫びと咆哮を混ぜ合わせたような、獰猛な泣き声で鋏を振り下ろそうとした、瞬間。】
【蠍の正面から上方にかけて現れたのは空気の"塊"―――空間が歪むようなエフェクトの後に】
【弾かれた大気が武器となって蠍の甲殻へと襲い掛かった。押し潰すようなプレッシャーが、蠍を上空から叩き潰す―――が。】


 ……あら。"敢えて"って言葉はどういう意味かしら、魔術師さん。
 私の知る限りじゃ、無駄と知っておきながら尚もその"悪手"を選んだ、ってコトになるんだけど―――……何のつもり?

 ……バカにしているの? 舐め腐っているの? ……子供だと思って、"手加減"でもしているつもり?
 それとも―――挑発するのが好きなワケ? へぇ……そう。そうなの。そういうことなの。そういうつもりなの!!

 なら―――……余裕綽々でせせら笑うことすら出来ないよう、その顔をグシャグシャにしてやるッ!!


【少女―――Nemesisが怒りを露にしたその瞬間、蠍がそれに呼応するように素早く反応、刹那反撃に躍り出る。】
【大気の重圧に耐え切りながら、逆に押し返す様にして全足に力を込め、ぐぐぐ、と身体を持ち上げていき―――】
【轟音、と共に唯一自由であった"尾"による一撃が空間を薙ぎ、大気圧を"打ち返す"―――まるで、野球のスイングの様に。】

【加えて、その後に蠍は猛スピードでダッシュ、続けて尾による刺突攻撃へと転向する。】
【一発、二発、三発と先端の鋭い針を用いて魔術師・アインの胴体を串刺しにしようと攻撃を加えたッ!!】
458 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/31(土) 23:07:33.17 ID:XYUDSkPNo
>>457

【風の豪球は路地裏の上空へと勢いよく打ち返され破裂。微かな余波が狭い路地に吹き抜けた】
【攻撃を防がれた魔術師は表情ひとつ動かさない。巨大蠍の接近を静かに待つ】
【迫り来る尾による刺突。一撃目、二撃目と躱し三撃目に向けて右手を翳す。針は直前で停止】
【アインと針の間、針と尾の周囲には白く濁った大気。空気の圧力で尾を掴み更に大気の壁で強烈な刺突を止めていた】

 そう怒るな。お前は生き残りたいだろうし、俺はある程度戦いを楽しみたい
 ならば俺が手加減してやるのが一番妥当だろう? 合理的だと思うがな

【空いた左手を開き、無造作に後ろから前へと振るう。動きに連動して現れたのは半透明の巨大な拳だった】
【空気を固めて作った拳は巨大蠍の顔面に真正面から叩きつけられる。ダメージ目的ではなく、押し返すことが目的だ】
459 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/31(土) 23:27:12.44 ID:Y7u5lDlpo
>>458

【弾かれた大気が上空へと浮かび上がって、街灯を一本吹き飛ばした。】
【砕け散ったガラスが落ちて来るのもお構い無しに、Nemesisは握り締めた銃を再び構えて】
【バイザー越しに敵の戦力を分析開始。大気の変換、防御や攻撃、先程の爆発―――総合して考えると】

 (……魔術。それも"属性"操作に特化した物、と言う所かしら……。)
 (さっき自分で言ってた様に、"敢えて"風を選んだ、なんて芸当が出来る以上)
 (爆発を生み出すような炎の魔術とか、水を変換する様な物だって、使えるのかも……)

 (―――でも、物理に乗っ取ったモノなのは間違いない。)
 (超能力やサイコ・キネシスでもなければ、霊力や精神汚染の類が操れる訳でもない……!!)


 ……―――"ある程度"、ですって?
 アンタ、名前も知らない魔術師だけど、随分調子の良い事言うわね。
 私にはこの戦いを愉しむつもりなんて毛頭無いわ、アンタ達異能者と違ってこれでも平和主義者なの。

 ただ……私の理想の世界に、魔法や超能力は必要ない。それだけの話……!!
 故に、認められないのよッ! アンタみたいな、人を殺したり、戦うこと自体を愉しんだりする、気狂いの存在はねッ!!


【激しい攻撃が対照的に、ひらり、ひらりとかわされる光景は、きっとNemesisの怒りを更に加速させるだろう。】
【なぜならば、弄ばれているような気すらしてくるからだ―――お前など相手取るに越したことの無い、単なる赤子だ、と】
【まるでそう言い聞かせるかのように、簡単に蠍は大気の拳により押し返される―――コイツ、かなりの強敵だ。No,7は悟った。】


 ……チィッ!! どこまでもどこまでも、人をバカにしくさってェェェェッ!!

【ならば、次なる一手だ。蠍は尾から垂らした毒液をびゃっ、と弾き飛ばして、遠距離からの攻撃を試みる。】
【同時に、それをカモフラージュとして、蠍は再び地面へと"潜行"―――そう、出現した時と同じ様に、地面に潜る。】
【攻撃がかわされるのであれば、その攻撃がどこから来るかわからないようにしてやれば良いと、地面からの攻撃を試みる。】

【―――唐突に、地面から蠍の尾だけが、まるで柱のように突き出して、その上に居るであろうアインを串刺しにせんと襲い掛かる。】
【仮にそれが回避されようと、何度も、何度も地面から尾が突き出ては潜り、そしてまた探るように突き出て―――というのを、繰り返す!】
460 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/01/31(土) 23:41:33.16 ID:KByBWzjXo
【冷たい夜の空気が爆ぜた、路地裏の闇が幾つかフラッシュして、金属音がして、そして静寂を取り戻す】
【知る者が聞けばその音と光は、銃撃による物だとわかるだろう。路地裏の奥まった所での事だ】
【よくある事かもしれないが、そこでの音を聞くだけでも銃撃している人数は数人はいるようだ。しかしもっと不自然なのは、その銃撃が一度止んでからずっと静寂が続いている事】

【不気味な程に静か過ぎる路地から、床を伝って外に流れ出す赤い液体───まだ新しい鮮血が、僅かな地形の傾きに沿って流れ出す】
【その路地の中にいたのは、騒ぎの中心であった所にいたのは複数の人間だ…尤も、立っているのは一人しかいないのだが】
【その他の人間は皆、血を流して倒れている、体に空いた穴からドクドクと血を噴き出しながら】

悪いとは思わないわ、これがアタシのやる事
アナタ達もアナタ達のやるべき事をしたの、そうでしょ?

【立っている人間は、その男は、その手に銃は持っておらず、むしろ銃を握るのは死体だけ】
【黒い皮パンツを履いた褐色の肉体、そこには上着を着ておらず、引き締まった肉体に幾つか浅い傷が刻まれている】
【白いアフロヘアが目立つが、それよりも注目すべきは肉体、ローライズのパンツから素肌を広く晒した上半身には、二つの刺青が彫られていた】
【一つは、左胸の『No.69』という刺青、そしてもう一つは、臍を囲むように彫られた逆五芒星の刺青───それが示すのは、彼の所属】
【そして、そのような人間が血だまりの中にいるということは……】

/予約ですー
461 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/01/31(土) 23:42:38.97 ID:XYUDSkPNo
>>459

【激昂したような声をあげる少女に対してアインは苦笑するだけ。その在り方に興味を抱くが、今は問うときではないと切り捨てる】
【掲げ続けていた右手を翻す。毒液に対して垂直方向から突風が吹きその全てを路地裏の壁に叩きつけた】
【視線を蠍に戻すが、既に地面に潜った後。魔術師は限られた選択肢を瞬時に決断。直立不動だった体勢を初めて崩した】

 探知をしてもいいがつまらんしな、モグラ叩きにチャレンジだ!
 といっても、前衛でないのであまりこの手のは得意ではないんだが……

【宣言と共に愉しげな笑みを浮かべるが、すぐに口を引き結ぶ。前衛でない純粋な魔術師であるアインは動体視力が優れていない】
【振動で位置を探ろうにも全体が揺れるようでは不可能。出現を見切った上で回避するしかない、とは考えなかった】

【前触れなく地面から迫り来る針。一瞬遅れてアインは後方に跳躍。胸と背中から鮮血を散らしながら空中を退避】
【地面に着地してまた一瞬遅れて跳躍。今度は僅かに滞空してから着地。時には大きく、時には小さく、距離や滞空時間を不規則に変えた跳躍で残りの刺突を回避】
【しかし初撃だけは反応しきれず、右脇腹を削り取っていた。引き裂かれた外套からは血が流れ出している】
462 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/01/31(土) 23:54:16.90 ID:Y7u5lDlpo
>>461

【猛毒は矢張り―――といった所。】
【しかし最初から本命はこの地面からの強襲にあった。】
【その初撃が命中したのは計画通り、これ幸いといった所だったが―――。】

 (コイツ……!! 一向に攻撃してこない……!?)
 (冗談じゃないわ、まさか本当に私を弄んで愉しんでる、ってワケ……!?)
 (クソッ……胸糞悪いわね!! けど"前衛"じゃないってのは……へぇ、つまりそういうこと、よね。)

 ―――ふぅん。
 出来ることは沢山あるけど、"舐めプ"したいから本気は出しませんよ、ってコト?
 益々気に入らないわね、さっきから私を舐めたコトばかり言って……!!
 しっかり攻撃は喰らってるくせに、なんでそんなにヘラヘラしてんのよ!

【前衛を担当してはいない―――と言う事はつまり、動体視力には優れない、と言う事。】
【先程から銃撃を生身で受け止めていたり、風で防御したりと"動き回らない"様子が散見されるのは】
【つまるところ接近戦において高い対応力を持ちえていない、という事に他ならないと、Nemesisはそう判断して】

 ―――喰らい尽くせッ!! Scorpion!!

【初撃には対応できない、ならば次々に新しい攻撃で追い詰めていけばそれで―――。】
【Nemesisの言葉と同時に、蠍の攻撃パターンは少し変化する。そう、それは刺突にプラスして行われた。】
【突き出た尾の先端から、毒液をスプレーのように放射!尾自体が回避されても付近に濃い硫酸の様な毒による二次被害を齎そうとする】

【命中すれば毒液は身体を溶かそうとするだろう、序に言えばその攻撃に重なるようにして】
【蠍は遂に地面から出現、飛び出す様に瓦礫を巻き上げ跳躍、鋏でアインの身体を捕まえようとするだろう―――!!】
463 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/01(日) 00:04:50.50 ID:JXUoIkcDO
【街中】

【休日の夜ということもあり、街中は普段の同時刻と比べると賑やかだった】
【記念日を祝うカップルに、食事帰りの家族連れ】
【夜遊び真っ最中の学生たちに、飲食店の客引きたち】
【──電飾と喧騒に彩られたそんな街中を、1人の少女が歩いていた】


……雷の国でカノッサ機関蜂起、か
ふふん!なかなか派手なことするじゃあないか!!
No.7にベティ……それにジェイクが無事だといいんだが──


【夜色の長髪と夜色の瞳を持つその少女は、ふふんと笑って独り言を紡ぐ】
【視線の先には、ビルに設置された大型ビジョン】
【そこに映っているのは、先日雷の国であった「乱痴気騒ぎ」の顛末だった】

【彼女はしばしの間その映像を眺めていたが】
【そのうち思い出したかのように、近くにいた人物に話しかける】


──いきなりすまないな!
UTに行ってみたいんだが、どこにあるか詳しく知っちゃいないか?


【──あなたは、その通行人なのだろうか。それとも、その会話を聞いていた人なのだろうか】
【或いは、近くで騒ぎを起こそうものなら彼女はその「現場」にすっ飛んでいくはずだ】
464 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/01(日) 00:08:53.21 ID:SN0zHjCbo
>>462

【不規則な跳躍で回避し続けるアインは微笑んでいた。自ら不利な状況を選び取り、その上でそれを楽しんでいるのだ】
【だがほぼ勘で行っている回避は成功ばかりではない。針の一部が脚や腕、脇腹などを次々に掠めていき鮮血が外套を染めていく】
【更に追加された毒液の噴射が身体にかかり外套から衣服、肌を溶かしていく。周囲には皮膚や肉の溶ける異臭】
【噴射後、アインが地面に戻ってくることはなかった。空中で静止したまま、赤衣の魔術師は路地裏の壁に手をついていた】

 む、しまった。つい浮遊魔術を……これではモグラ叩きにならんな

【地面を覆う硫酸への対処としてアインは無意識に浮遊魔術を発動させていた。傲慢な魔術師の表情には苦いものが広がる】
【地下からの攻撃に対して使わなかったのも、手加減のうちに入っていたからだ。それを破ってしまったことをアインは気にしていた】
【眼下に広がる硫酸の海に向けて右手を翳す。その瞬間、地面から巨大蠍が出現。瓦礫がアインの身体を掠めていく】
【毒液に意識を向けていたせいで反応が遅れる。そのままあっさりとアインは鋏に捕まってしまった】

 はは、やるじゃないか! こちらの分析が上手くできているな!

【鋏に捕らえられたまま、アインはさも愉快そうに笑い声をあげる。更にはそれに少女への賞賛が続いた】
465 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/01(日) 00:25:35.95 ID:jStJy18lo
>>464

【―――捉えた。捕らえた。ようやっと、気に入らない術士の身体を、捕縛した。】
【Nemesisはバイザーの奥でほくそ笑む。所詮は攻撃型の魔法使い、接近戦ではこんな物か、と。】
【加えて言えば相手は自分を下に見すぎた。油断、というヤツだろう。あとは鋏でぺシャンコにしてやるだけ、だが。】

 (……それはそれで油断、ってヤツよね。)
 (アイツ、浮遊できたのにわざとそうせずに愉しんでた……)
 (刺されたら死ぬかもしれないのに、そしてなによりあの"笑顔"……!!)

 くっ……褒められたって嬉かないわよ、さっきからヘラヘラヘラヘラとッ!!
 何が可笑しいっていうのよ、このまま鋏で潰れるまで切り刻んでやるッ―――!!

【Nemesisに容赦は存在しない。鋏で挟まれたままの彼に対し、蠍へと指示を飛ばす。】
【万力のように力が加えられ、挟む力がぐぐぐぐ、と増していく。加えて、もう片方の鋏すらも】
【その首を切り刻もうとゆっくり、術士の頭部目掛け進んでいく―――Nemesisの口角が上がった。】
466 :アルティミア・ネーヴェリエル ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/02/01(日) 00:31:34.67 ID:uVw2GpqBo
>>460

【真夜中の路地裏はなんだってあり得る】
【恋を乞い、ヤクを吸い、女を犯し、人を殺める・・・。】
【一人の軍人がそんな路地裏を巡回していた】
【世にはびこる様々な害悪を除去するために】

はあ、今日も寒ぃなぁ。
防寒機能さえない軍服なんか私は嫌いだぜ。

【はぁと息を吐くと白いモヤが広がる】
【そして冷えきると消えてしまうのだが】
【路地裏での人の命なんかこんなもんなんだろうなとつぶやき】

まあ、今日も何かしらのことは起こりうるだろうが・・・。

【不吉言うべからず、言ったとおりになってしまうもので】
【マズルフラッシュが目に入り、そして轟く銃声】
【聞いた時には能力者が機関構成員に襲われたものと思い】

まずい、援護しなきゃな。
よし、走るとするか!

【久々の遊撃戦である】
【迎撃戦が多かったもので、何分自ら戦闘をするという機会に恵まれなかった】
【そんなこんなで、ある種の興奮を覚えつつ現場に駆けつけたものである】

【駆けつけた時、血だまりの中にいる人物が目に入る】
【ただ、その場の様子がおかしかったのは・・・】
【倒れている人物の衣服には自警団の所属をしめすマークが入っていることだった】

相変わらず、派手にやりやがるな。
ったく、あんたのほうが機関だったか。

【ちっ、と舌打ちひとつ】
【相手が振り向くのを待つ、ただ、それはそこにいる人物が機関員か、もしくはそれ以外かを確かめる行為に過ぎなかった】

【現場へ駆けつけた女は赤目で白い顔】
【そして着衣は上下ともに氷の国軍のマークが入った軍服を着用していた】
【この衣服でほぼ確実に女が軍人であると判明するはずだが】
467 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/01(日) 00:47:08.27 ID:ZVXmKVHQO

>>463

【煌びやかな街中、何処か浮かれたような人々の間を縫って歩くは電飾や街の喧騒には凡そ不似合いな若者】

【蘇芳色の少し長めの髪に灰色のボロボロになった着流し。二十歳かそこらといった、櫻風の顔立ちの青年】

【その格好といい何処か上の空といった表情といい虚ろ気味な焦茶色の瞳といいふらりふらりと歩く様といい、如何にも物騒な事をやらかしそうな輩だ】

【少女に話し掛けられると青年は虚ろ気味な双眸をゆっくりと彼女に向け】

……え、ゆ……ゆな? ゆないて……!? はっ!? 
【……たのも束の間、急に話しかけられたからか、はたまた聞き慣れない単語だったからなのか慌てだし】

そ、そうか! 新手の因縁つけだな!? 
お前、俺を蔑む気だな畜生!! 
【終いには少女をキッと睨みつけ懐から何かを取り出そうとし】

【……そして、取り落とす】

【青年が取り落とした物は一本の筆。不思議な事に黒ずんだ赤色が穂から柄の一部を染め上げているそれはころころと少女の足元に転がっていく】


468 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/01(日) 01:04:38.27 ID:I2BHdV+Yo
>>466
【足音がして、話し掛けられる声もする。そのまま背後から襲い掛かってくるのなら迎撃しようとも考えるのだが、わざわざ声をかけてくれたのだ】
【それに敬意を表し、先手を取らずに振り向くと、シャンパンゴールドの半開きの目が女に向いた】

あら、女の子がそんな風に舌打ちをする物じゃあないわよ

【もう一度言うが、彼は男である。上半身を晒した、褐色の引き締まった肉体も、顔つきも、声も全て男性のそれ】
【しかし話し方や一挙手一投足は何となく艶めかしく、女っぽい。世界には色々な人間がいるし、おかしい事でもないのだが】

軍人さんに見られたのなら……このまま『仕事が済んだから』と帰る訳にはいかないわよねぇ
……それに……アナタもそうさせるつもりはないんでしょ?

【カノッサ機関の人間が、行動を他人に見られた時、その相手が国の為に生きる人間であったなら、起こる事はただ一つ】
【男の輪郭がブレるようにして、もう一つ≠フ人型らしき物が重なる、未だその全容が分からないが、能力の類なのは確かだ】

でも……一つ『忠告』をしてあげる
アナタがもし……もしも、『アタシの行動に目を瞑る』としたなら、アタシもアナタに何もしないわ
そうするなら黙って背中を向けて帰りなさい、それ以外の行動をすれば……アタシはアナタを『敵と見做す』

469 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/01(日) 01:06:17.82 ID:SN0zHjCbo
>>465

【両側の鋏からアインの両の二の腕に力が入っていく。刃の如き断面が肉に食い込んでいき腕から肩の骨が軋み始める】
【狩人から獲物と化した魔術師の表情が苦痛に歪められる。いくら魔術の補助が肉体にあろうが、この質量差の前には無力】
【全身に力を込めて抵抗。更に大気を操作して圧力で膨大な力を微かに弱める。それだけでは拘束を解くどころか時間稼ぎにしかならない】
【だがその時間稼ぎこそが必要であった】

【両手を胸の前に向けて微かに集中。二つの手のひらの間には小さな球体が生成される。両手を下げると同時に球体が棒状に変化】
【それもまた今まで通り圧力を生み出す風の魔術だったが、比べられないほど強力なものだった。一瞬の集中によって強化されたのだ】
【集中なしで操作した大気と、集中によって生み出された圧力による合力が巨大な鋏の力と拮抗。強引に開かせていく】
【何とか隙間を生み出して脱出。首に迫り来るもう片方の鋏からぎりぎりのところで逃げ出すことができた】

【浮遊魔術によって後方に退避してから着地。片膝を地面について咳き込み、血を地面に飛び散らせる】
【胸には貫通銃創。全身には針による切り傷に硫酸による火傷。右脇腹には裂傷。左右の二の腕は鋏で裂け、両肩の骨には罅】
【アインは既に満身創痍だった。地面に血を吐き捨てて、立ち上がる。血だらけの口には獰猛な笑み】

 くっ、ははははははは!! いいぞ、中々いい状況だ!
 これだけ怪我を負えばちょうどいい“ハンデ”だろう! これでやっと戦いを始められるぞ!!

【赤黒く染まった喉を反らせて魔術師は哄笑をあげる。声が収まると、まるで準備運動をするかのように肩を回す】
【当然、激痛が走り動きが止まる。だがその痛みさえも楽しんでいるように口元を歪めた】

 さて、ではそろそろ攻撃に移るとしようか

【右手の五指を立てて巨大蠍、更にその奥のナンバーズへと向ける。そのまま手を上から下へと一閃】
【指の軌跡が残ったように景色が歪む。それは五つの真空の刃だった。地面に垂直に立った三メートルもの刃が巨大蠍へと直進】
【五つのうち外側の二つはそれぞれ蠍の脚、その根本に向かっている。構造上脆いであろう箇所を狙っているのだ】
【更にこの刃は例え下半分が防がれて消えたとしても残りの上半分は変わらず直進する。後ろの少女を庇うなら刃の全ての部分を消す必要がある】
【巨大蠍が防御しきるには高さがありすぎ、回避すれば少女へと向かう。二段構えの攻撃だ】
470 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/01(日) 01:07:06.77 ID:JXUoIkcDO
>>467

【そりゃあもう、突然話しかけられたのだ。ぶっちゃけこの少女は不審者以外の何者でもない】
【しかも彼女の背中には、布に包まれた刀剣らしきものが一振り】
【──夜の繁華街なのだ。彼が「そう」勘違いしても、なんと言うか、正直仕方のないことだった】


……? 因縁? なんのことだ?
私はお前のこと知らないが、誰かを蔑む気なんて毛頭……


──っと、なんか落としたぞ?
ふふん、これは知ってるぞ! 櫻の国の筆記具だな!
風流なもの使っているじゃないか! あそこの国は独特な文化が多いらしいからな!
それにしても……色がついているんだな?
この筆記具は、ボールペンみたいにインクが内部に入っているのか?


【──蔑む気か、だなんて言われれば、少女は不思議そうな表情でそれを否定する】
【そしてさらに言葉を続けようとしたのだが……ころりと転がってきた筆に、意識がいった】

【──口ぶりからすれば、彼女は櫻の国のことをよく知らないのだろう】
【好奇の色を瞳に宿し、そのまま少女は筆を拾い上げようとする】
【筆に触ることを彼が拒まぬのであれば、拾った筆を彼に返却するはずだ】
【──その間ずっと、彼女の意識は「ナゾの筆記具」に張り付きっぱなし】
【仮に彼に筆を返したとしても、にっこにっこにっこにっことアホ面かました笑顔を彼女は浮かべているのだ】
【──UTのことはすでに頭の隅でノックダウン済み】
【今の彼女は、彼の「筆」と彼自身のことが知りたくてたまらない様子だった】
471 :ネーヴェリエル ◆/EhN7y6aoQ [saga sage]:2015/02/01(日) 01:10:53.89 ID:uVw2GpqBo
>>468
/申し訳ありません、明日予定がありますので・・・
/凍結ということでよろしくお願いしてよろしいでしょうか?
472 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/01(日) 01:12:17.91 ID:I2BHdV+Yo
>>471
/わかりました、明日の夜もいるので再開出来る時に舞台裏で呼び掛けてください
473 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/01(日) 01:20:53.05 ID:jStJy18lo
>>469
/大変申し訳ございません……ッ!
ちょっと眠気が強くなってきたので、本当にこれからというところで申し訳ないのですが、
一旦凍結して明日以降に再開、という形でも宜しいでしょうか……orz
474 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/01(日) 01:23:21.96 ID:SN0zHjCbo
>>473
//了解です。明日は夜にはいると思います
//では、おやすみなさい
475 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/01(日) 01:25:26.56 ID:jStJy18lo
>>474
/ありがとうございます、明日夜でしたら8時以降になってしまうと思うのですが
また宜しくお願いしますorz今晩はありがとう御座いました、おやすみなさいませ><
476 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/01(日) 01:39:28.63 ID:+7aTPnCrO

>>470

【筆を取り落とした青年はパニックに陥っているのか身構えながらも涙目になっており】

う……嘘だ! 
お前、そんな髪の色だし何か背負ってるし……金か何か請求する気……へっ!? 
【夜色かそれに準ずる色の髪をした人物と何かあったのだろうか? 何やら訳の分からない理由で疑い出す青年】
【その言葉が少女に遮られ面食らった表情を浮かべる】

ふ……風流、かァ? 
別に普通だと思うけど……
って、『いんく』!? 『ボォルペン』!? 『いんく』とか『ボォルペン』って何だよ!? 
これは普通に穂先を墨につけて……って、返せよ!! 
【風流と言われ困惑しつつも少し照れたように頬を掻く青年】

【しかしその表情はすぐにポカンとしたものとなり、インクとボールペンについて尋ねる。どうやら彼はそれらについて全く知らないらしい】

【が、すぐにハッとした表情になると少女から筆を奪い返そうとする】

【筆を奪い返したのなら青年は「ったく……人の商売道具を……」などとぼやきながら筆を懐に仕舞う】

【そして少女の様子に気付くと一瞥しこう尋ねる】

……何笑ってんだァ? 
他人が慌てるのがそんな面白かったかよ? 
【それはもう、ふてくされたような表情で】

477 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/01(日) 01:59:57.63 ID:JXUoIkcDO
>>476

【差し出した筆は乱暴に奪い返されてしまったが、少女が不快だと思っている様子はない】
【むしろ彼女の好奇の表情はますます色濃くなっていく】
【──何せボールペンもインクも知らない人間に出会えたのだから!】


む? 笑ってちゃいけないか?
なんたって、インクもボールペンもお前は知らないみたいだからな!
ふふん、文化の違いとは恐ろしいな! 恐ろしいが興味深い!

とりあえず先に言っておくが、私はお前になにかを請求するつもりも揺すり集りをするつもりもないぞ!
そんなことしてなんの得になる! ふふん、人を疑うのはよくないことだぞ?


【ふふん。そう少女は笑うと、まるで子供に何かを教えるかのようにずびし!と男を指差し。失礼なやつだ】
【そして尚も彼女は笑顔を崩さず、男に手を差し出した】


──せっかくの機会だ! 異文化交流といこうじゃないか!!
私はその筆記具については知らないからぜひ教えてくれ!
櫻の国の知り合いはあんまりいないからな!
かわりに私も、ボールペンとインクについて教えるぞ!
とりあえず説明よりも実物をみた方が早いだろうからな! コンビニいこう、コンビニ!!
コンビニわかるか? いろんなものが売ってる便利な店だ! なんと24時間営業!!


【ふふん、ふふん、ふふん。なんだかもう、相手の戸惑いなんてガン無視であった】
【初対面だというのにこの人懐っこさ。彼女は男の「スキル:疑心暗鬼」を1割でも見習ったほうがいい】

【「──ほら!」 そう言うと、彼女は差し出した手を少しだけ揺すった】
【「一緒に手を繋いで、コンビニいこう!」──もう一度いうが、初対面である】
【「この人混みじゃ、迷ってしまうからな!」……初対面である!!】


/ごめんなさい、思ったより早く眠気がきてしまいました
/明日の夜ぐらいから再開可能ですので、一旦凍結をお願いしてもよろしいでしょうか?
478 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/01(日) 03:13:56.72 ID:vi58DGUoO

>>477

【少女が向ける好奇の目に青年はたじろぎ、目を逸らす】

……ンな目で俺を見んじゃねェよ…………焼くぞ
【まるで何かのスイッチが入ったかのように青年は低い声で言う】

そりゃ笑っちゃいけねェだろ? だって笑うって事は俺の事蔑んでるって事じゃねェか
あァもうこれだから櫻の……
【青年は言い掛け、はたと気づく。いくら夜色の髪とはいえ筆を知らないのなら櫻の国の人間ではないのではないか、と】

……るッせェ、お前に何が分かるんだよ
子供が偉そうな口垂れんなっての……
【そして、人を疑うのは良くないと言われれば何処か不機嫌そうに答え、頭をがりがりと掻く】

【その後口の中で「そんなの分かってるよ……」と呟く姿はまるでお姉さんに注意された十歳前後の子供のようで】

……は? 
【諭す言葉の後に差し出された手。それをちらりと見た瞬間青年は「わけがわからないよ」と言いたげな声を発する】

え、ちょっと待て! お前何言ってんだよ!? 
異文化交流とか筆について教えろとか言われても困るし別にその『いんく』とか知りたくねェし! 
しかもまた訳分からん単語使いやがっ……だァッ! 万屋ならちゃんと万屋って言えよ『こんびナントカ』じゃなくて! 
【少女の唐突の提案に青年は案の定戸惑い最後にはコンビニという単語にキレだす】

【そして、手を繋ごうと誘われると青年はぶすくれた表情で一言「いい! 」と叫ぶ】

【もう大人だからとか少し抵抗があるとかそもそも行きたくないとかそんな理由で拒否してるのだろうが、言い方が子供っぽい】



/凍結の件了解です! おやすみなさい
479 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/01(日) 08:04:08.31 ID:1ozCPGFIo
 
480 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/01(日) 20:28:12.24 ID:JXUoIkcDO
>>478

【焼くぞ、と言われればさすがに彼女の表情も僅かに乱れる】
【乱れるとは言うが、それは笑顔が少し薄れ、不思議そうに瞬きをする程度のもの】

【──なんとこいつ、男を一瞬でも怒らせたことに気付いていないのだ!】
【少なくとも彼女的には、現在「めちゃめちゃフレンドリー」な対応をしているわけであり】
【そこに怒りの感情が発生することなど、予想すらしていなかった】
【空気読解スキル:ゼロ。きっとそれは世界を救う。ただし自分の精神世界だけを】


……?? なんで笑うことが、蔑むことなんだ?
そりゃあ、嘲笑だって「笑い」かもしれないけどな
でも、楽しくっても笑うし、嬉しくっても笑うぞ?

それに──それにな!


【──そして、不思議そうな表情だって、次々に溢れてくる好奇と歓喜に流されていく】
【ふふん! 少女はやっぱり笑って、差し出した手でまたも相手を思いっきり指差した。ずびし!】


「お前に何が分かるか」──だと?
ふふふふん! よく言ったなその通りだ私はお前のことなんて何も知らない!
何も知らないからこそ好き勝手言うし何も知らないからこそ遠慮なんてしないからな!
悔しかったらお前のことを教えてみるんだな、ちなみに私もちゃあんと教えるぞ!
互いのことを何も知らないまま会話をするのは個人的にイヤだからな!

私はリーべ!リーべ・エスパス!
年齢は18で最終学歴は高校! 両親は健在で今もいちゃいちゃラブラブだ!
好きなものはお父さんとお母さん! 嫌いというか怖いものは不倫だ!!
お察しのとーり櫻の国の人間じゃない! 櫻の国の文化には興味はあるけどな!
ついでにお前のことも興味津々だ! 知りたくて知りたくてたまらない!
さぁ、私は話したぞ!


   まずは   お前の   名前を言え   ────   !!


【びりびりびりびりびり──!】
【彼女の声量に依るものか、はたまた能力の一端か】
【周囲の空気は乱れ激しく震え出す……!】

【口元には楽しそうな笑み。夜色の瞳だって、愉快そうに爛々と輝いている】
【しかしなんて一方的で暴力的な自己紹介。穏便さの欠片だってありゃしない!】
【コンビニだの筆だのインクだのといった異文化交流トークは完全にそっちのけ】
【ずびししししし!と彼を指差したまま、夜色の少女はまたふふんと笑うのだ!】


/お返ししておきます!
481 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/01(日) 22:12:19.52 ID:iVFbthuso
/置きレス移行の可能性もありますが>>449で絡み待ちです!
482 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/01(日) 22:36:35.87 ID:JXUoIkcDO
>>478
/申し訳ありません、明日ちょっと早いので、今日はこれで落ちます
/明日は夕方ぐらいからいる予定ですので、そちらがよろしければ継続をお願いします
/わがままばかり言って申し訳ないです……
483 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/01(日) 23:22:51.35 ID:wM1escuHO


>>480

【不思議そうに瞬きをする少女に、青年は思わず溜め息を吐く】

【そりゃあ個人的事情から好奇の目を向けられるのがトラウマだからといって相手にとっては関係のない事だし、その事で「焼くぞ」なんて脅されたって相手にとっては理不尽な事だろう】

【だが、何できょとんとしてるんだ、もう少し怯えたりとかあるだろう! と青年は内心思っていたのだった】

……なんで、って……そりゃ『ボォルペン』とか知らねェ俺の事馬鹿にしてるからだろ? 
此奴はそんな簡単な事も知らねェ屑だ、自分様が教えて差し上げねェといけねェってよ
……っていうか逆に聞くが何でお前はあの時笑ってたんだよ? 
【青年は相変わらず溜め息を吐きながら答え、更には相手に指を突きつけようとする】
【だがそれは少女によって阻まれた】

【自分の言葉に「言ったな」と返し自己紹介を始める少女】
【そのある意味堂々とした様子に青年は次第に苛立ちを募らせていく】

【──違う、そういう事じゃない】

【お前の学歴やら両親の事なんて俺にはどうでも良い】

【嗚呼、寧ろなんて妬ましい事なのだろう? 】

【学歴を言えるという事は、そこまで学ぶ事が出来たという事で】
【両親の話が出来るという事は家族に纏わる不幸なんて何一つないという事で】

【即ち、自分が失ったモノをこの女は全部持っているという事で】

【びりびりと震える大気の中、青年はぎちりと歯軋りをする】


……ンでだよ
【愉しそうな少女の表情とは対照的に激しい怒りを含んだ表情の青年】
【ようやく絞り出した声は、ひどく恨めしそうで嫉ましそうで怒りに満ちた声】

────何で、お前なんかが全部“持って”んだよッ!? 

【青年はリーベと名乗った少女を睨みつけ怒鳴ると懐から先程取り落としてしまったあの筆を取り出す】

……奪ってやる! そんなの……!! 
【青年は叫ぶと同時に自らの肩に筆の穂先を向け、事もあろうか突き立てる】

……こいつをどう使うかって? 
こうやって使うんだよォッ!!! 

【言葉と共に引き抜かれたそれは鮮やかな朱に染まり】
【その穂先はすぐさま青年が筆を持つ手とは逆の手、左手の甲の上を走る】

【その朱が幾つかの線を描き終えたその時、左手の甲から現れたのは炎に包まれた鳥】

【それはリーベ目掛けて飛ぼうとする】
【ただし、軽い一撃で破壊出来るものではあるが】




>>482
/了解です、取りあえずレスは返しておきましたので折を見て返していただければ!




484 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/02(月) 15:45:11.31 ID:eFotA/hI0
{薄暗い路地裏}

{有りとあらゆる事が起こる混沌とした場所}

{ゲロを吐く酔っ払い、痩せ細った乞食、乱暴され、放置された少女、麻薬中毒の若者}

{その一角、その人物は長い銀髪に紫のメッシュ、鎖をあしらったヘッドギア、半袖のパーカー、切り刻まれたタンクトップ、ブカブカのジーンズ、ベルト替わりの黒光りする太い鎖、雪肌、戟}

{その全てがシャーベットの様に成った血と肉片によって鮮やかに彩られていた}

「ん、この人もあんまりお金もってないや……」ゴソゴソ

{もはや人の原型を留めてはいないモノの遺品を漁る男の娘の名は犬神・ディザスター・禍}

{不幸を振り撒き……絶望を撒き散らす……}
485 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/02(月) 15:49:59.16 ID:ZEzN+pKDO
>>483

……まったく、お前被害妄想激しいな!
私は馬鹿にしてもないし蔑んでもない!

相手が知らないということは、教える楽しみがあるってことだ
自分が知らないということは、教わる楽しみがあるってことだ!
教えるのも教わるのも、私にとっては楽しいぞ?

うぅん、難しいな!
誰かに何かを教えたり自分のことを伝えるのはいつだって難しい……
えぇっと──つまり、だな……、…………う!?


【「何故笑っていたか」と聞かれると、ようやく彼女は不満げに頬を膨らませた】
【──その不満だって、自分の正確な意図が相手に伝わっていないことからくるもの】
【つまり、自分の意思伝達の未熟さに不満を覚えているのだ】

【くるくると、夜色の瞳を煌めかせる】
【難しい、難しいと言いながら、それでも彼女はどこかその「難しさ」を楽しんでいる節さえ見えた】
【くるくると、夜色の瞳が煌めいていた】
【不満げそうに膨れた頬の下。その口元は、やっぱり少しだけ笑っていた】

【──だが、いきなり……少なくとも彼女にとってはいきなり感情を爆発させた青年に、夜色は驚きの声をあげる】
【物事がどうとか、意思伝達がどうとか、そんな些細なことは、今の彼女にとってはもうどうでもよくなっていた】
【……聞こえてくるのは不満だった。怨恨でもあり、嫉妬と同時に憤怒でもあった】

【伝わってくるのは、あまりに断片的すぎる情報。いや、情報と呼ぶのもおこがましい、「欠片」】
【けれどそれだけで、彼女はある程度の事情を理解した】
【「何で、お前なんかが」──ただ、その一言で】


……ふふん。あぁ、全部持ってるぞ!
お父さんは私に名前をくれた!リーべは「愛」って意味だ羨ましいか!
お母さんは私にご飯を作ってくれるしおやすみのキスもしてくれる!妬ましいか!

私は路地裏に棄てられてた子供なんかじゃないし、自宅が戦争とかテロで壊れたことは1回たりともない!
友達がカノッサ機関のせいで死んだりとか恋人と死に別れたことももちろんないな!

ふふふふふん! 羨ましいか妬ましいか恨めしいか憎たらしいか悩ましいか口惜しいか!!
だけどそれは私が超絶むちゃくちゃラッキーでお前が単にアンラッキーだっただけだ!


【──ひゅうと、焔の猛禽が風を裂いて翔んでくる】
【アレは鉤爪で柔肌を割くだろうか。嘴で眼球を抉るだろうか。それとも紅蓮で焼いてくるだろうか】
【ふふん。また彼女は笑った。この少女は戦いをも楽しんでいた】

【ぐぐ、と拳を握る。くく、と口角が歪む】
【焔鳥が迫ってくる。だが、リーべはそれを避けようとはしない】
【──ぐぐ、と拳を握る。ぶぅん、と大気が震える】


──奪えるか? やってみろ
でも、それじゃお前は惨めになるだけだぞ…………!


【ぎりぎりまで、灼熱の敵意を自らに引き付ける】
【熱気がはっきりと分かり、不快感すら覚える距離までソレを接近させたなら】
【リーべは拳を思い切り、焔の鳥へと突き付ける】
【回避行動を取らなければ、拳の一撃に加え、拳から放たれた「衝撃波」が鳥を襲うことになる……!】

/時間があいたのでお返ししておきます!
486 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 15:51:10.14 ID:WP+PBcfsO
>>484

【背は170cmほど、黒いインバネスに隠れているが体格は並】
【黒いハットと白い革の手袋を嵌めた青年が偶々その場に現れた】
【青年と言えば意気揚々、尚且つ怖いもの知らずといったご様子】


路地裏と言えど事件がすくねーーなァ? もっとこう、主人公補正でなんとかなんねーもんかね!


【主人公──もちろん戯れ言である、だが、彼は自身はそういう身であると信じて憚らない】
【ぽっと出の能力者であり、それだけで覚悟もない彼はその凄惨たる現場を目撃すれば──】


ひぃッ…


【驚きで足がすくんでしまうのだった】
487 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 16:01:40.73 ID:eFotA/hI0
{ひぃッ}

{小さく溢した悲鳴に反応したのか、男の娘はゆっくりと体をブリッチの様にそらせて視線を青年に向ける}

「あは♪ぎゃは♪」

{そして口を三日月の様な笑顔に変え
『元』人間だった氷の粒の上を歩きながら近づいてくる}

「ねー、おにーちゃーん……食べ物かお金………有るよね?」

{小柄な体に不釣り合いな戟を背中から抜き取って地面に引きずる}

{スラムで産まれ育った少年の理念はただひとつ、奪うことだけである}
488 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 16:11:46.84 ID:WP+PBcfsO
>>487


(やッべェ…いきなり夢に出てきそうなすっげー場面に出くわしちまった…なんなんだこの子供は、アホじゃねーのか…つーか案外冷静でいられるな俺…。)


──食べ物も金もねェ、俺にあるのはほんのちょっとの正義感だけだぜ糞ガキが…。ぶたれたくなければ失せるんだな。俺のげんこつはいてーぜ?

【冷や汗だらだらと垂らしながら、頭の中でぼやく。そうしていく内になんだか頭の整理がついてくる。】
【相手は所詮子供だ、コジャレた発言でも返して大人の余裕を見せてやろう。】
【──ハットを外して、にやりと笑顔を浮かべた。】
489 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 16:24:00.06 ID:eFotA/hI0
>>488

「せーぎかん?ナニソレ?おいしーの?」

{素で解らないと言った様に、笑顔を若干弱くして言葉を返すと共に}

「えい♪」

{さっきまで自分が破壊していたモノの内臓、腸だろうか?
それを戟の先に刺して、内容物や血液が混じるそれを青年に向かってぶん投げる}

「無理って言葉の意味……教えてあげるよッッッ」

{それを皮切りに殆ど細切れにされた人体の冷凍パーツを次々と飛ばしてくる}

{160cmを少し越える位の身長ながら力はそれなりに在るらしい}
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/02/02(月) 16:25:48.82 ID:0iEC9TwzO
単刀直入に書くと今ロールしてる二人は見るに堪えない
犬神に関してはなりきりに向いてない
お前色んな場所で問題起こしてるだろ
491 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 16:35:53.80 ID:WP+PBcfsO
>>489


人によっちゃあ何よりも『大切なモノ』になるもんだッ…!
俺にもやっとそれが芽生えてな、丹念に育て上げているところさ…いくぜ…
御披露目しよう、俺の能力をッ──!いてッくっせッ!


【高説を垂れれば、外したハットを上方へ高く放る──】

【──冷凍されたパーツは鋭利な刃物となって身を襲う。彼にそれを防ぐ手立てはない。】
【御披露目するはずの能力はこの攻撃を防ぐのに適しておらず、両手を顔の前に交差させてなんとか致命的なダメージを防ぐ。どうしても鼻につく『人体の臭さ』だけは防ぎようもないが…。】
【──攻撃が止めば、彼の手に1Mほどもある巨大な嘴が出現し、それを握る。】


──お前はどうやら悪い奴のようだからな…、礎にさせてもらうぜ、俺の正義のッ!


【たンッと地面を蹴る音が鳴れば、体は空を切り相手への接近を試みる。】
【ぽた、と上方へ放ったハットが地面に落ちると同時、彼は嘴を彼へと突き立てようとした。】
492 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 16:47:12.83 ID:eFotA/hI0
>>491

「お金にもお腹の足しにもならないのに?意味がわからないねッ」

{迫り来る嘴に戟をかち合わせて拮抗させると同時に自分の背後の地面を凍結させる}

{もう一度、嘴に戟を思いきり叩き付け地面を滑って後ろに距離を取ると壁を蹴って跳躍して無数の氷柱を飛ばす}

{その氷柱にな螺旋を描いてネジ山の様な物が付いており、貫通力と破壊力を上げてある}
493 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 16:57:01.90 ID:WP+PBcfsO
>>492


ふふ、ッ…!


【嘴を相手にいい様に利用されつつも、後退する相手へ嘴を放つ。】
【同時、相手が衝撃で後退したように、此方も躯を後退させつつ、二本指は嘴が向かう前方を差す。】
【相手が壁を蹴り三角飛びをして上方へ出れば、指をくんッと上方へ向ける。】
【すると嘴は直角に方向転換、空中にいる"身動きの取れない"相手へ──】

【──身へ迫る氷柱の対処法はただひとつ。】
【上方から下方へいる自身への攻撃ならば、自らも後退し"続け"避ければいい。】
【貫通力も破壊力も、当たらなければ無意味に等しい。】
494 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 17:05:54.28 ID:eFotA/hI0
>>493

「くぅッッ」

{飛んでくる嘴、それを体を無理矢理捻って戟を振るい迎撃するも体勢を崩して背中から地面に叩き付けられしまう}

{それでも深紅の光無き瞳は青年を捉え、先程と同様の氷柱を「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」とでも言わんばかりに乱れ撃ちにする}

「あは、あははは♪やーーっと楽しくなってきたね!!!」
495 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 17:22:13.92 ID:WP+PBcfsO


【迎撃された嘴はいとも容易く地面に落とされる。】
【同時、その嘴は消失するが再び青年の手元に出現。】

楽しい? …変な感性してやがんな。

【乱れ打ちされる氷柱の弾幕。無傷で防ぐ手立てはない。だからといって逃げるのは得策ではないし】
【保留というのも、状況を悪化させるだけで悪手となる。】

(さっきの攻防でちょっと分かった。こいつはただただ単純。その行為ができれば次の手を考えない。一撃で仕留められる攻撃をもっているから仕方ないんだろうけど──今だって向こう見ずに連射してるだけだ。)

【彼は嘴を持つ手を前に出し真半身になる。なるだけ受ける箇所を狭め、顔への攻撃は嘴でなんとか防ぐというのみだ。】
【あとは、目視でなんとか避けるしかない。それだけで無傷にすますことはできないが、致命傷は免れるだろう。】

──おいおい、俺がさっき帽子を上へ投げたのしらねーのか? 能力を見せてやるっつったろう? 正義の味方ってのはな、中々用意周到なんだよ。
上からお前のこと、狙ってるぜ?

【傷だらけになりながら、少年に騙りかける。確かに先ほど、帽子を上方へ投げた。】
【「御披露目しよう、俺の能力を」という言葉と共に行われたあの行為自体に、意味があったと彼はのべるが…。】


496 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 17:32:40.31 ID:eFotA/hI0
>>495

「うん?だからなにが出来るっていうのかな?」

{笑顔を崩さないまま戟を構え突進する}

「どんな能力でも!発動さえさせなければ僕を倒すのは無理なんだよ!」

「無理、無理、無理、無理、無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!」

{足場を凍らせる事であらん限り速度をあげて襲いかかる}
497 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 17:47:04.28 ID:WP+PBcfsO
>>496


【騙り(つまり嘘、少しでも注意を他所へ向けるための方便)は不発に終わった。──パワー系の際限なき向こう見ずはこんなにも厄介。】
【とはいえ、氷柱の弾幕をやめて"接近戦"にシフトしたのはありがたい。】
【ただでさえ威力の高い攻撃を無差別にされれば、下手に手をだせなくなるからだ。】
【──しかしながら、力不足は否めない。小さく舌打ちをして、「やべえ。勝てねえかもなァ」なんて。】

(──しかし相変わらず無計画だな。直線的にただただスピードをあげればやれることなんて限られる。)
(付け入る隙はそこ…諦めるなんて主人公には)似合わねえもんなァ…。真似、させてもらうぜッ! 正義ってはの無理も無駄も押し通すッ!!

【再び彼は嘴を相手へ向けて放つ。相手が氷柱に施したように、彼も嘴に"回転"を与えた。】
【加えて相手のスピード。衝突は"互いの速度が合間って"威力が上がる。】
【相手の体の速度が早ければ早いほど──此方の攻撃による相手に対する負荷は強まる。】
【とはいえこれすらも、所謂囮の手札、本命は──】

【──タン、と地面が鳴る。放たれた嘴を追うように青年は駆け出した。】
【相手の檄による対処を想定し、もし嘴が迎撃されれば、その直後、嘴を防いで無防備になるであろう相手へドロップキックをかますために──!】
498 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 18:03:37.01 ID:eFotA/hI0
>>497

ギャイィィィィィィィィィン

{放たれた嘴を石突きで弾く}
{その数瞬後、お互いの一撃が綺麗に交差して甲高い金属音が響く}

「あぎゅうぅ」

{がら空きになった腹部にドロップキッキを食らってふっとばされ}

{唯(ただ)でさえ氷柱等によってヒビが入っていた壁により大きなヒビが入る事になった}

「ふふふふふふふふふ、僕の能力……『血塗れかき氷』(ブラッティアイスエイジ)……低温を操る能力なんだけどさぁ…………」

「凍らせるのにも幾つかバリエーションがあってね……」

「ゆっくり凍らせる、一気に凍らせる、浅く凍らせる、深くまで凍らせる、範囲もマイナス5度とかマイナス100度とか…………自由に決められるんだよねぇ」

{そして、くっくっくっと「可笑しくて堪らない」といった感じに狂った様に笑う}
499 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 18:29:51.53 ID:WP+PBcfsO
>>498

ガキのくせにずいぶんたけえ耐久力だこって…。

【渾身のドロップキックも、どうやら致命打にはならなかった様子だ。】
【此方は怪我だらけの状態でハッスルしてしまったものだから、そのぶん
苦痛が表情を歪ませる。】
【対して、不穏にも微笑む少年。そして、広い能力範囲を示されれば、】
【小さく、彼の表情に絶望が帯びる。】

(なんてェ話だっつーの…、戦略を考える以前の問題…、付け入る隙がない…。)

【最終的に彼の頭に浮かんだのは、逃げ。】
【こんな場当たり的な戦闘でわざわざムキになる必要もないのだ──、】
【──ちいさく、息を吐いた。こいつの望みは確か…金と食料。】

…これは、俺の全財産だ。ここは俺の中の正義を一時的に折ってやる。

【財布を取り出し、そちらへ放った。】

500 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 18:42:51.27 ID:eFotA/hI0
>>499

「!」

{放られて財布をぱしっ、とキャッチする}

「わー、ありがとー!」

{そして財布を自分の懐に納めると戟を石畳に深々と突き刺す}

「じゃーね!おにぃちゃん!」

グラッグラグラグラ

{氷震、地中の水分を一気に凍らせる事により揺れを引き起こす}

{勿論、無数の氷柱でボロボロになった周囲の壁が耐えられる筈がなく二人の頭上に凄まじい質量を持ってして崩落してくる}

「楽しかったよ!じゃあ!また明日とか♪」
501 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/02(月) 18:48:11.30 ID:WP+PBcfsO
>>500

(かわいくねえっての…。)逃げるか…ッと。

【長居すると確実に被害を被る。その場から逃げ安全圏に入ったところでようやく安心したという】


お疲れさまでしたッ
502 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/02(月) 19:01:08.81 ID:eFotA/hI0
>>501
「あは♪逃げられちゃったかぁ〜」

{ゾンビの如く瓦礫の山から這い出た男の娘だっただそのまま倒れ混む}

「あはは、楽しかったぁ……」

{笑顔はそのままにドロップキックを食らった腹を押さえてを戟の方へと這って行った}


//お疲れ様でした、下手な私と絡んでいただきありがとうございました!
とっても楽しかったです、いずれまた!
503 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/02(月) 20:08:43.92 ID:9qLF9OsQo
>>469

【楽しんでいる、それだけならば良い。だがこの男、何故こうも"無抵抗"なのか。】
【勿論防御らしい防御はしているし、大気操作で壁を作る等の工夫も、確かに見られた。】
【しかし現状で、鋏に捕まって尚も顔色一つ変えずに、小手先の技で時間稼ぎをしている程。】

 (……可笑しい、いくらなんでも……攻撃が上手く"ハマ"り過ぎてる。) 
 (勿論、私だって考えて攻撃してるわ。刺さって当然っちゃ当然だけど、其れにしたって―――……。)
 (違和感があるのよ、虚を突かれて攻撃を浴びたのなら、もっともっと苦しそうな顔や驚いた表情になる筈じゃない……!!)

 アンタ、一体何を考えて―――なっ?!

【そして、今度はNemesisが虚を突かれたのだった。】
【生成される新たな大気圧、開かれた鋏、脱出する魔術師・アイン。】
【仕留めそこなった上に、目の前の強大なる"異端者"はなんと―――笑っていた。】

 ハンデ……"ハンデ"、ですって……?!
 "戦いを始められる"……!? お前……魔術師、お前……ッ!!
 どこまで莫迦にすれば気が済む……!! こっちだって遊びでやってるんじゃ、ないんだからっ!!

【ここまでの被弾はあくまで意図的なレベル、本領発揮はここからだ―――。】
【そう言わんばかりの圧倒的な威圧感、そして豪胆な笑いにはさしものNo.7も、たじろぐ。】
【ここまでやっても"ハンデ"とは、これではまるで"弱い"と言われているのに等しいじゃないか―――。】

 ―――ッ……おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!

【弾かれた大気が、強靭な刃と化して一斉に襲いかかる。】
【Nemesisは即座に反応し、巨大蠍に防御態勢を取らせる―――が。】
【術師の目論見通り、蠍ではその刃の全てを受け切る事が、出来なかった。】
【"横"ではなく、"縦"に―――貫通した刃がNemesisの上半身めがけ尚も飛来するが】


 ……―――ちぃっ……!!
 (そういう"武器"か……ッ!!)

【咄嗟に伏せる事で回避、しかし蠍は刃を受け切る為に長い"尾"を振り回して防御した為】
【その尾をズタズタに斬り裂かれた上、脚部の装甲が薄い部分は間接を精密に抜かれ、悶絶。】

 ぐッ……あ、あああっ……!! はぁっ、ハァっ……!! こい、つぅぅ……ッ!!

【―――そして変化は、攻撃を回避した筈のNemesisにも現れていた。】
【刃は直撃していない筈なのに、その身体を小刻みに震わせながら、彼女もまた地に蹲る。】
【辛そうに息を吐き出しながら痛みに耐える姿からはおおよの予想が立てられるだろう、そう―――、】
【蠍と彼女の痛覚は恐らくであるがリンクしていた、と言う事だ。だからこその、正確な指示だったのだろう。】

【ともかく、反撃を。Nemesisは膝を突いて立ち上がると、蠍を撤退させようと後退する―――。】

/先にお返しさせて頂きます、お待たせしてしまい大変申し訳御座いません。
504 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/02(月) 21:33:10.29 ID:saj9X3e0o
>>503

【真空の刃は関節を切り裂き、Nemesisを通り過ぎて通路の先で霧散】
【少女が苦痛に喘ぐ声をアインは心地好さそうに聞いていた。だが獰猛な魔術師の瞳はその関係性を見逃しはしなかった】

 なるほど、召喚物と感覚を共有しているのか
 となると操作するのにはいいが、範囲に対して弱くなるな……
 なら、両方狙うのはやめておいてやろう。地味な攻撃が増えるのはつまらんが、仕方ない

【後退していく蠍に向かって右の拳を真っ直ぐに突き出す。瞬時に前方で大気が集中。白濁した巨大な半透明の拳が生成され直進】
【撤退に合わせて巨人の如き拳が巨大蠍の真正面から飛来する。細かい関節を狙う精密な攻撃の次は純粋な力、衝撃による一撃だ】
【最初に放った大気の球体以上の衝撃力を持つがそれだけでダメージになるとはアインは考えていない。撤退に合わせたのは押し出して後ろの少女に叩きつけるためだ】
505 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/02(月) 22:26:20.69 ID:9qLF9OsQo
>>504

【此処に来て、気がかりなのは矢張り最初の"爆発"か。】
【もし仮に、この術士が今の段階で本気を出していないのだとすれば―――】
【いや、十中八九の所彼は本気を出していないだろうが、これは恐怖と言い換えても良い。】

 (……まだ、"あの"爆発に関する能力を見せてない……、)
 (いやそれどころか、本気は愚か実力の半数を見せているかもわからないくらい……。)
 (まったく、底知れないわね、コイツ……!! 今まで見てきたどの能力者よりもずっと、強い……っ!!)

 ……ふふっ……でも、それでいいわ……
 アンタみたいな規格外のバケモノを、殺して殺して殺しまくる為だけに、
 私のような気狂いが存在しているのだから……殺してやる、殺してやる、絶対に、此処で、お前を、お前をッ!!

【まるで加減してやるからもっと遊ばせろ、そう言わんばかりの緩い攻撃。】
【しかしそれでも、殺意をむき出しにするNemesisとは対照的に、蠍の方は限界が近い。】
【唸りを上げて立ち上がったは良い物の、撤退のスピードは遅く、そして脚には力が上手く入らない。】

 ―――――――ガっ、ああッ……!!

【吹き荒れる風、向かい来る待機の拳が、踏ん張りの利かない蠍を吹き飛ばす。】
【そしてそのまま、Nemesisごと路地の奥へと両者を押し出し、薄暗い壁へと叩き付けた。】
【砕けたレンガが煙となって周囲を覆い、煙幕の様にして1人と一匹の姿を隠す―――死んだ、か?】
506 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/02(月) 22:42:08.10 ID:KQERGCaaO

>>485

【怒りを露わにする青年の目前で自らの恵まれた境遇を語る少女】

【その話は青年の怒りの火に油を注ぐには十分過ぎた】

……ハッ、父親が愛という意味の名前をくれた? 
奇遇だね、俺も両親から貰った名前がある
『照垣 我鬼(テルガキ アガキ)』って名前がな
意味だけ見りゃ「私の鬼」って物騒な名だがそれだって夭逝しねェようにつけた愛ある名だ! 
……でもそんな名前をつけてくれた父親はいねェ! 
温かい飯を作ってくれる母親も……俺に名前の意味を教えてくれた優しい兄さんだってもういねェんだよ!! 

……あァそうさ! 
羨ましいし妬ましいし恨めしいし憎らしいし悩ましいし口惜しいさ! 
だからこそ負けねェ! 
こんな「あらカワイソウでもお生憎様ワタクシこんなに幸せですのよ幸せで御免あそばせ」って奴に! 絶対負けたくなんかねェ!! 

【ぎりりとリーベを睨みつけると同時に彼女に飛びかかろうとする炎の鳥】
【震える大気】
【突き出された拳】
【放たれる、衝撃波】

……そんな事は……分かってんだよォォォォォッ!!!! 
【惨めになるだけ】
【その言葉を受けた彼が返すは悲痛な叫び】

【その声は炎の鳥を強くするか】

【──否】

【衝撃波に敗れ、呆気なく霧散する火の鳥】

【その様に呆然とする青年】

【隙だらけ、といっても過言ではない】

507 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/02(月) 22:44:46.59 ID:saj9X3e0o
>>505

【アインは拳を突き出した姿勢のまま静止。右手の五指を開くと連動して圧縮された大気が霧散していった】
【体勢を戻して白煙の先を伺う。敵の姿は見えず、気配もない。それを死んだか、と魔術師は疑いもしなかった】
【壁に出来た巨大な穴を見つめる瞳には理知の色合い】

(大した負傷もしていない召喚師が召喚物の状況に気づかず、押しつぶされて死ぬなどありえない
 そしてあの手の半狂乱の人間が殺戮対象を前に撤退するのには理由がいる。俺がこれだけ負傷しているように見える以上、
 撤退するにはそれ以上の負傷が条件だ。この一撃でそれだけ負傷したなら話は別だが……)

【戦場と互いの状況、そして合間に見えた敵の心理状態。それらが相手の死亡はありえない、とアインに訴えかけていた】
【自身の推測を確かめた赤衣の魔術師には悪戯めいた笑み】

 ……さて、どうしてやるか。姿を消したのなら、地下に潜るか召喚物による奇襲。あの蠍の状況を見るに後者が濃厚か
 油断したように見えるように、背を向けてやってもいいが見えないのは流石にな……

【次の一手の予想を口にしながら、アインはその場に腰を下ろした。苦痛に僅かに眉が歪む。足元の地面は赤黒く染まっている】
【Nemesisが出てくるまでは大人しくして出血を抑えることにしたのだ】
508 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/02(月) 22:45:05.88 ID:9bhYVg1Ro
【UT】

【今や正義のアイコンとなったUNITEDTRIGGER。んで、ここはその事務所】
【パッと見単なるウェスタン調の飲み屋何だけどそうだってんだから仕方ない】

【ドアが開く。人影が中へと足を踏み入れる。長い影が伸びる。中は静かだ】
【来客どころかメンバーすら居ない。まあ忙しい場所だからそう言う日もあるのかもしれない】

おーい……誰も居ないのかよ…ったく。なら、鍵ぐらいかけとけって

【その影はしゃがれた若い男の声を発する。臆すること無くどかどかと中に侵入して】
【片手に持っていたビニール袋をカウンターの隅に置いた。ポケットから煙草を取り出して火をつける】

【背の高い痩せた男だ。顔にサングラスをかけ、シャツにネクタイ、ダブルのレザージャケットの気取った男】
【そいつはくわえ煙草のまま、カウンター内にずかずか入って、灰皿を探す。ついでに冷蔵庫も勝手に開ける】

やっぱ、ラガーしかねーじゃん…スタウト置けって言ったのに…まーいいや

【そう言って勝手に持っていく。ついでに棚もあさって一分以内に高そうなオールドバーボンを発掘する】
【棚の影にコッソリあるんだから大事なもののはずだが男は気にしない。ショットグラスをストレートであおる】

【この男がメンバーかって言ったらNOだ。でもファミリーかって言われるとそれなりにYES。とは言え知らない人間が】
【見れば不法侵入者であることには変わりない。泥棒でもある。…いや、実際問題泥棒何だけどそれはまた別の…】
509 :ネーヴェリエル ◆/EhN7y6aoQ [sage saga]:2015/02/02(月) 23:04:16.99 ID:+QrIPC1E0
>>468

【女の子が舌打ちをするものじゃないとは諭されたものの】
【まぁ同胞がやられたと分かれば怒るのも当然であろうが】

同胞がやられて黙ってられるか。
こいつらに背を向けておちおち帰っていくわけにはいかないからな。

【背に負っているシュヴェールトを両手で持つ】
【両手剣といえども、ほっそりとして軽そうな外見をしているが】

さて、始めようか。
仇討ちさせてもらうぞっ!

【叫びとともに男に突撃していく】
【ただ突撃していくわけでなく、男を貫かんとして突くようにシュヴェールトを構えている】
【おそらくは刺突攻撃だと見破れるだろうが、男の行動はいかに】
510 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/02(月) 23:11:33.56 ID:ZEzN+pKDO
>>506

【──衝撃波が、焔の鳥を打ち破り】
【砕け散った紅蓮が、花弁の如く周囲を舞う】

【ざわざわと、通行人たちが騒いでいた】
【2人を遠巻きに眺め、怯えた表情を浮かべる者が大多数だった】
【──けれどリーべは、それら全員を見ていなかった】
【彼女が見ていたのは、目の前の青年だけだった】


……ふふん。なら、お前風に言わせてもらうとお前は
──「俺様こんなに不幸で惨めで可哀想なんだくそったれだから何してもいいんだ」
と……こうなるか?


オニとは……櫻の国の魔物だったか
異国では敢えて魔物や邪なモノを近くにおくことで、近寄ってくる邪気を祓うという風習があると聞く
お前の、我鬼って名前もそういう風習に倣ったものか──ふふん、いい名前じゃないか!


【ふふん。また、笑う。青年が少しでも自分自身のことを語ってくれたことが、嬉しかった】
【そして青年──我鬼と同じ状況に自分が置かれたらどうなるか、少しだけ考えてみた】
【……考えてるのは、すぐに止めた。考えたくなくなるぐらい、ソレはつらいことだった】


……でも、過去は変えられないんだ


【──紡がれたその一言だけは、妙に低いものだった】
【彼女の暗い、夜色の瞳。それはその一瞬だけ……我鬼ではなく、過去を見ていた】
【だが、ふるりと首を振ってふふんと笑えば、夜色はまた青年に向き合っていて】


そうだ──過去は変えられない!

寂しいか、淋しいか、悲しいか! でも、過去は変わらないんだ!
変わるのは今! 変えるのは未来だ!


【……握った拳を、緩める。意識すらしていないほど、その動きは自然だった】
【能力の一端を開放した直後とは思えぬくらい、リーべの表情は明るかった】


──友達になろう、我鬼!!

私はお前のことをもっともっと知りたいし、教えてやりたいこともたくさんある!
孤独はつらいだろう、きつく、むなしいだろう!
だけど……誰かが側にいれば、孤独を和らげることができる!

我鬼────友達に、なろう!


【開いた手を、我鬼に差し出す】
【先ほどは拒絶された、少女の右手】
【──彼は、それを握ってくれるのだろうか】
511 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/02(月) 23:12:44.84 ID:9qLF9OsQo
>>507



            FUSION INSECTS (  ―――我が身と融け合い、変化せよ。―――  )

              STAG BEETLE       (  ―――絶なる力で、仇敵を斬殺せよ。―――  )
  



【―――しかし、正解は術士が予想した回答のどちらでもなかった。】
【聞こえてくるのは蠍の鼓動でも無ければ、彼女の持った銃による発砲音でもない。】
【勿論、傷ついた昆虫が地下に潜っていく独特の潜行音でもない。ならば、この"音"は一体、何か。】

【呪詛の様にも聞こえる、地獄に響くラブ・ソングとでも表現しようか、場違いな程美しい音色で奏でられた"詠唱"。】
【Nemesis本来の、10代の少女らしい高い声が紡ぐ言葉はどこか退廃的で、声色に反して破滅的で、そして混沌に充ちて。】
【全てを破壊し尽くせんと、路地裏に小さく小さく響き渡る―――刹那、世界が動く。煙の中で揺らめいた影の、シルエットが変わる。】

【おおよそ少女の姿に近かった"彼女"の身体から、幾本もの触手染みた物体が生え始め】
【ソレが腕に、脚に、頭に、そして胸にと絡み合って、"彼女"の身体を"彼女"ではない何かへと"変えて行く"。】
【ぐちゃり、ぐちゃり。甲殻が軋み合い、筋肉が組成される気色の悪い音が連続して耳を穿った、次の瞬間―――烈風が、奔った。】





 ―――――――――――望むのなら、遊んでやろうじゃないの、"まほーつかい"。





【現れたのは―――否、"術士"の傍を超高速で"駆け抜けた"のは、彼女であって彼女ではない存在。】
【人間としての形は捨て、まるで昆虫―――そう、丁度"クワガタ"蟲に近いようなシルエットを得た、未知の怪物。】
【人と、そして蟲とを"合体"させたかのような、二足歩行の昆虫人間―――言わば"異形"の、音速を駆け抜ける猛戦士。】

【そう―――彼女のとった行動は、"召還"ではなく、"融合"。】
【No.7<Nemesis>の真骨頂にして切り札、昆虫と融合する事によって得る圧倒的な身体能力。】
【クワガタ蟲との融合を果たした彼女は今、全身に外骨格と鋭い装甲、そして顎を模した二対の鋸を携えた狂戦士へと姿を変えて】

【生まれ変わった挨拶代わりとばかりに猛ダッシュ、目にも止まらぬ速度で伏せたアインの頭上を駆け抜け】
【そのまま下方、つまりは通り過ぎる最中のアインの頭部目掛け鋸を振るい、通りすがりに"切り伏せ"様としたのだった―――!!】
512 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/02(月) 23:33:12.87 ID:saj9X3e0o
>>511

【路地裏に響く音。場違いでありながら惨状にどこか似合う歌声に、アインは思わず聞き惚れていた】
【美しい旋律に無意識に身体が揺れる。顔を上げればその先に見えるのは、異変】

 ……ふん、無駄で無意味だが第二幕の始まりにはちょうどいいか

【少女の身体の変化に、魔術師は不愉快げに鼻を鳴らした】
【いかに人を殺すことに抵抗がないこの男とはいえ、人の身体が変化する様は不気味に感じた】

 さて、それでは……──っ!?

【声を出した瞬間、アインはNemesisの姿を見失う。音速の接近を魔術師は捉えられない】
【経験から来る咄嗟の判断がアインの上体を強引に左に逸らさせた。鋸が肩口を掠め血が噴き出す】
【即座に左手を地面について反転しつつ地面から飛び退いて後退。左手で切り裂かれた右肩を抑える。肩は胸の半ばまで切断されていた】
513 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/02(月) 23:41:47.17 ID:Fw+WJGl/o
>>509
あら、仲間思いなのね

【間違いなくやったのはこの男、女が戦う理由も十分にある】
【彼本人もそれに納得しておきながら、クスリと笑うようにして頷いた】

【剣を抜く女に対して、こちらは武器を持たず、更には上半身を曝け出した状態である、攻撃力も防御力も低そうに見える】
【だがしかし、そんな風に見えてもそうではないのが異能の力の為せる業、突撃してくる女に対して慌てず騒がず】

『ファーマーズ・マーケット』

【一言名前を呼べば、ぶれた輪郭が分離する様に離れ、男の目の前に現れた異形の人型】
【真っ黒な肌を包む様な厚い羊毛と、捩れた角を頭部に持つ羊の亜人───能力の形の一つ、『アートマン』だ】

【現れたアートマンは、そこにある死体の一つを掴むと、片手で軽々と持ち上げ盾にする。女の剣は死体の胴体を貫き、その突撃の勢いまでもがアートマンが抑えつけた】
【次の瞬間、アートマンが盾にした死体ごと、空いている方の手で拳を握り、女を殴り付けようとする】
【片腕で人一人を持ち上げてしまう程のパワーだ、死体を挟んでいるとはいえ軽くは無いが、それ程スピードは無い】
514 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/02(月) 23:51:51.11 ID:9qLF9OsQo
>>512

【ひゅん、ひゅん。ひゅん、と、両手に握った鋸を指で器用に回転させながら】
【異形と化したNemesisはそのもう一方を構え、魔術師を見据えて太刀筋を突きつける。】
【丁度、"これからが本番だ―――"とでも言わんばかりに、複眼と一体化した視線が術士を射抜く。】

 
 ―――アンタ、見たところド派手にドンパチ暴れまわるのは得意、みたいだけど。
 そういうヤツって大抵は速度を伴う接近戦とは相性悪いのよね。
 サザビーはどうあがいてもνガンダムには勝てないって、知ってた?


【火力で勝負が出来ないならば、白兵戦で息吐く暇無く責めて攻めて攻め抜いてやる。】
【そう覚悟したのだろう、被弾も承知のうえで彼女は前進、再びの加速、加速、猛加速―――!!】
【圧倒的な瞬発力でアインへと瞬時に接近を図り、愚直にも二対の鋸を左右に振るう形で切り裂こうと襲い掛かった。】

【しかしその軌道は太刀筋もそして進行方向も聊か直線が過ぎる―――言わば単純な、直線的攻撃だ。】
【こういった事態に対応が出来るのならば、見切る事は勿論可能だろう。尤も、それでもこの速度は先程とは別次元だった。】


 第二幕はッ!! お前への鎮魂歌<レクイエム>で、幕を下ろすッ!!
515 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/03(火) 00:18:40.40 ID:VVBzt6Xgo
>>514

【後退したアインの肩はゆるやかに上下していた。口からは荒い息が漏れ出し表情は苦悶に歪められている】
【額からは血混じりの汗が流れ、それを手の甲で拭う。魔術師の表情から余裕が吹き飛んでいた】

(……今のは、流石に少し危なかった、な)

【座っていたという態勢、相手の出方を見るための集中と観察、傲慢さから来る油断、苦手な高速機動】
【その全てが重なり合い赤衣の魔術師は一瞬だけだが追い詰められた。咄嗟の対応が出来ていなければ首が跳ねていたかもしれない】
【そして致命傷こそ避けたが傷は深い。胸の半ばまで到達している傷口からは絶えることなく血が流れ続けていた。傷はそれだけではない】

【それでも尚、魔術師は笑っていた】

 いや、その例えが成り立つのは、双方が最高峰の実力を持つ場合だけだ

【高速で向かい来るNemesisに向けて、アインはただ右腕を掲げる。交差した鋸が腕に食い込み、肉の半ばまで切り裂く】
【だが刃が入るのはそこまで。腕に纏わせていた圧縮空気が緩衝材となって超高速の刃の勢いを大幅に削いだのだ】
【左手が下から上へと翻る。Nemesisの足元から、巨大蠍さえ吹き飛ばした拳状となった大気が吹き上がり、腹部へと直進】
516 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/03(火) 00:25:58.63 ID:DsguA/cWO

>>510

【呆然とした我鬼の意識を引き戻したのは、ざわつく通行人達の声】
【ゆるりと緩慢な動きで辺りを見回せば怯えた表情を浮かべる人々】
【その表情が、自分を蔑む冷たい物に“見える”】
【それと共に聞こえだすのは、彼が嘗て浴びせられた言葉の幻聴】

【あのガキだろう? 】
【嗚呼、あの罪人絵描きの息子】
【彼処の長男、『肝喰鬼(キモクイオニ)』だったよな? 】
【あんな奴らの身内か】
【此奴もどうせ碌な奴じゃねえよ】
【こんな奴、死ねば良いのにねえ】

……違、う……っ
【紡がれた言葉は酷く弱々しいもので】

【両手で頭を抱え、首を横に振る】

違う……俺は違う! 
俺は確かにそうだけど……でも、違うんだ! 
俺は“二人”みたいな事はしない! 
俺は…………!! 
【過去のフラッシュバックだろうか? 喉も裂けるかといわんばかりの大声で叫ぶ我鬼】
【しかし、すぐに我に返ると忌々しげに舌打ちをする】

……過去は変えられない……
知ってるよ、そんな事くらい

……だがな
孤独とか寂しいとか、そんな次元じゃねェんだよ
判るかよ? 
何の罪もねェ母親が目の前で焼き殺されてそれを助けられなかった無力さと悲しさが

優しかった兄が本当は母親の死で狂っていて殺人鬼になっていて父親を怨みながら処刑される絶望が

妻の死で狂った父親が当時の幕府重役の息子をそいつの所為で妻が死んだとはいえ殺して処刑される苦しみが

今まで親しげにしていた人達が冷たい目を向けて蔑んでくる悲しみが

自分は自分だ、父や兄とは違うって声が枯れるまで叫んでも助けてって声が枯れるまで叫んでも誰も見向きもしない、聞きやしない絶望が

灯りも付けられない、竈も使えない、そんな暗く冷たい中で生きる苦しみが、生米と鼠の味が

そうして過ごした長い時間の果てにやっと外に出たのに、もう大丈夫だと思ったのにまた虐げられ蔑まれた絶望が

人々が向ける奇異や好奇の目が自分を蔑むものに見える恐怖が

いもしない敵を創りだし捜さなければどうにかなりそうな気持ちが
そんなのいないって分かってるのに認めたくない苦しみが

人を殺めて周囲が「やっぱり蛙の子は蛙だ」と嘲り嗤っているように見えだす恐怖が

他人なんか護る気すらしないのに「弱きを助ける正義」へと誘われた戸惑いが

暗闇にいるしか道はないのに、俺みたいな筋金入りの人殺しの屑なんか死ねば良いって事なんか分かりきってるのに、それでも針で開けた穴程の光でも求めてしまう思いが!! ごちゃごちゃが!!! 

……友達、だと!? 馬鹿にしてんのか!? 
お前まで俺を戸惑わせる気か!! 
【我鬼は叫ぶ、まだ手は取らない】



517 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/03(火) 00:32:21.66 ID:qV2HgaNDo
>>515

【―――ほんの少し、傷がずれていれば。】
【だが勝負とは常にそう言ったギリギリの中で培われる物。】
【たらればの話をし出してはキリがない。Nemesisはチッ、と吐き捨てた。】

 ……ハッ。
 そうね、確かにアンタの謂う通り。
 今の例えは私とアンタの力が共にハイレベルであってこそ、成り立つ仮定ね。

 だからそう……残念だけど、今宵の宴には当て嵌まらないわ。
 なんたって―――私の方が圧倒的にッ!! アンタよりも強くッ!! そしておぞましいからねッ!!


【がしゅ―――鮮血が荒れる。突き刺さった鋸型の双剣が、アインの右腕を引き裂く。】
【そのまま両の刃を擦り轢いて、両断してしまえばよかったのだが、それは叶わなかった様だ。】
【矢張り、肉体が単に頑丈なだけでなく、魔術で強化・攻撃を緩和吸収していたのか。成る程、道理で。】

 (……剣が、止まった……!? これもさっきの"大気操作"の力、か……!!)
 (力押しじゃ、どうしてもSTAGのパワーが劣る……あくまでスピード型のこの形態で、ド突き合いは御免だわっ!)

 ほうら、どうしたの!? とっとと反撃しないと―――う、ぐぁっ!?

【振りぬかれた左手が、巻き起こす大気の拳が、Nemesisの胴を下方から穿った。】
【丁度アッパー・カットの様な形で腹部に大気圧が命中、その身体は―――そう、その身体は、】
【意外なほどに軽く、宙へと浮くだろう。そう、この形態には"重み"がない。同時に、パワーも、防御力も。】

【全てを犠牲にして得た速度で瞬時に戦闘を決める、それがこの"クワガタ"との融合形態の特徴であった。】
【浮いた身体をすかさず反転し、中空で姿勢を建て直し、そのまま下降する勢いを利用してアインへととび蹴りを―――放つ。】

 こんのォ……―――ペシャンコになれッ!!
518 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2015/02/03(火) 00:32:41.40 ID:c7GseEGbO
     ま   /: : : :/: : : : : : :.:..:i: : : : : : : : :..i: : : : : : : : : : : :.,
  小  っ   ,:..: : :/: : : : : : : : :.:.|: : : : : : : : : |: : : : : ;: : : : : : :',
  学  た  ,: : : : : __:l: : : : : : |: : : : _:__|: : : : : ;: : : : : : :.;
  生  く  |l: : : : : :._|_ヽ: : : :.|:'":´_:_:_: :..:.:|: : : : :,': : : : : : : l
  は     |l: : : : :|.イテヨハ|){ヽ:.|: !イテヨミリヽ,: : : : : 、: : : : : : ,'
  .最       |.|: : : :ハ`ゞ-''   `!  ヾ__ソ ィ |: : : :/YY: : : : /
  .高      | |:.:.:.:.:.:l            : : : :|:.:.:.:/.ノ/:.:.:.:.:.:/
   だ      ',:::|、:::ハ   ヽ       : : : :.|:::::/_ノ::::::/:::/
   ぜ      ',:|.ヽ:::ヘ   、- _,,   . : :..:.:ィ|::::::::::::::::/:/
   !         | ヽ::::|\.   ‐   . . : :./:.|/:/::::::://
519 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/03(火) 00:42:35.11 ID:VVBzt6Xgo
>>517

【魔力で操作している圧縮大気の感覚は術者にも伝わっていた。Nemesisの軽さにアインは退屈そうに息を吐いた】
【左手を更に上へ掲げる。空気の拳が連動して動き、振り下ろされた蹴りを受け止める】
【更に上空から二つ目の拳が現れて空中のNemesisに向けて打ち出される】
520 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/03(火) 00:55:25.01 ID:SoMKfoZDO
>>516

……暗闇にいるしか道はない?
──違うな

筋金入りの人殺し?
────違うな

死ねば良い……?
──────違う!!


【リーべから、笑みが消える】
【手を我鬼に差し出したまま、彼女もまた叫んでいた】


お前の苦しみも悲しみも、恐怖も絶望も、経験したことのない私にはわからない!
だって私はお前自身じゃ、ないんだから!!
けど、それを想像することはできる──!

……いいか、私のお父さんは極悪人だ!
サイコパスなんて、私のお父さんにぴったりの名称だと思う!
あの人は、人を騙し貶め苦痛と恐怖に歪む表情が大好きな人だ!!
私のお母さんは傭兵だ!
戦場を駆け巡り穏やかな笑顔で戦士や一般人を虐殺しまくる殺人鬼だ!

──そんな人たちでも、私のことを愛してくれた……
だから私はお父さんとお母さんが大好きだ!!
……罪深い両親が死ぬのだって、想像したくないくらいつらいのに
普通の、平穏だった家族が実際に殺されるのは身を斬られる以上につらいことだろう……!!


【幸せな家庭だと、言っていた】
【苦労のない家庭だと、言っていた】
【そう言ってはいたが──目の前の夜色からは想像が出来ない程、彼女の両親は歪んでいた】
【そんな両親すら、彼女は大好きだった。だから……我鬼の苦しみを想うことは、酷くつらかった】


いいか、我鬼! お前はお前だ!
私はお前を蔑まない! 虐げもしないし嘲りもしない!
だってお前は苦しんでいる!! 生きたがっている!!
そんなお前に、ひどいことなんか出来るか、出来るものか!!

ここは櫻の国じゃない! 新しい生き方は絶対できる!!
暗闇だけが道じゃない! 人殺しだけど、お前は屑じゃないし死んでいいわけじゃない!

まずは身なりを整えろ!
金がないなら金を稼げ!
職場がないなら一緒に見つけてやる!
不安なようなら共に働くぞ!!

いいか我鬼! お前は生きていていいんだ! 光をを求めていていいんだ!!
掴めないなら──.一緒に、掴んでやるから……!


【──初対面の人間なのに、彼女は必死だった】
【ここで我鬼を救ったところで、彼女に益はなにもない】
【それでも、見ず知らずの人間のためにここまで熱くなれるのは……】
【「ろくでなし」の両親から、精一杯の、純粋な愛情を注がれてきたからだろう】
【そして彼女は、その受けた「愛」を──誰かに返すのだ。その身が宿す、名前のように】
521 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/03(火) 00:59:00.81 ID:qV2HgaNDo
>>519

【受け止められた―――というのか。確かに、いや確かに今の彼女は軽量級のボクサーだ。】
【極限まで無駄な筋肉を減らし、パワーを全て速度へを割り振ったピーキーな形態、それは間違いない。】
【しかしそれでも矢張り―――驚異的だ。この空気の壁がある限り、虚を突く攻撃でなければ、防がれてしまう、か。】

 (受け止めた―――ッ!? それも、こんなに簡単に……くっ、ならこれを"足場"にして……ッ!?)
 
 うがぁっ?!―――くっ、ふぅっ……っ!!

【降りかかった猛一つの拳で身体が穿たれ、左方へと投げ飛ばされる。】
【着々とダメージが蓄積していく。同時に、Nemesisの体力もまた、消耗していって。】
【ただでさえ悪燃費のこの融合状態で超高速を繰り返し、尚も攻撃を貰い続ければ―――。】

 (クソッ……このままじゃ、ジリ貧じゃない……ッ!!)
 (ダメだ、直接攻撃を当てようにも、あの壁が邪魔して……ならっ、油断させるか……!?)
 (でもどうやって……アイツを油断させる方法なんて―――いや、そうだ。コイツはこっちの出方を"愉しんで"る……!)

 はぁっ、はっ、ぁっ……うううぅ……っ!! とっとと、倒れなさいよッ!!

【ならば。新しい手立てで勝負を賭ければ、またこの男の油断を誘えるか。】
【手品でも見せるかのように、次々に新機軸の攻撃を打ち出していく。そう、愉しませればいい。】
【反撃したり、止めたり、掌で踊らされている様に"見せて"やればいい。演技は余り、得意ではなかったが―――、】

 ならッ……こんなのは、どうッ!!

【まず一刀、右腕を大きく下方から上方にかけて振るい、地面を鋸で抉る。】
【凄まじい速度で切り裂かれたコンクリートがはじけ飛び、それ自体が鋭利な"矢"となり】
【高速でアインへと飛来する―――これを数セット、つまりは何度かに分けて散弾の様に飛ばす、飛ばす!】

【そして更には、そこに畳み掛けるようにしてもう片方の刃を大きく振りかぶって―――なんと、投擲したではないか!】
【ブーメランのように猛回転を繰り返した鋸は、半円を描くような軌道で正面からではなく、右方からアインへと迫るだろう。】
【そう―――同時に、だ。先程の振りぬいたコンクリート片による攻撃と、同時にブーメランを仕掛けて―――その双方を、防がせれば】

 (その隙を、見つけられるかもしれない……ッ!!)
522 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/03(火) 01:25:08.35 ID:VVBzt6Xgo
>>521

【攻防の二つの拳が赤衣の魔術師に付き従うように左右に滞空する。主人の表情には退屈さが増していく】

(そろそろ終わりが見えてきたな……女子供じゃまぁこんなもんだろう)

【高速の近接戦闘は確かにアインにとって苦手な領域だったが、どれだけ早かろうと反応できてしまうのなら、防げてしまう】
【魔術師の脳内では勝負が決まり始めていた。いくら苦手な領域とはいえ、無策で突っ込んでくるなら倒れるつもりはなかった】
【魔術師が望むのは純粋な力押しで足りない相手への、頭を使った戦い。そう、Nemesisの作戦は完全に正しいのだ】

【迫り来る攻撃に対してアインは大気の拳を前に掲げる。巨大な拳の五指が開き壁となって飛来する破片を弾き続ける】

(わざわざ高速機動形態になっていて今更遠距離攻撃とは……万策尽きた、というやつか?)

【右翼から来る鋸はもう片方の拳が迎撃。真上から叩きつけるように振り下ろされる】
523 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/03(火) 01:39:29.19 ID:qV2HgaNDo
>>522

【―――両方が、弾かれる。通常ならば絶望に歪んだ表情が見られたことだろう。】
【術士の退屈は更に増し、そして彼女はバラバラになるまで甚振られる―――それが、規定路線。】
【所詮、彼女は少女でしかない。如何に怒りを携えようと、如何に強靭な肉体を持とうと、所詮は女、子供である。】

【だが―――失礼を承知で言うならば。女子供にしか為しえない、必死な戦い、という物もある。】
【そしてそんながむしゃらで、滅茶苦茶な攻撃こそが恐らく、生と死の狭間で行われる戦闘というコミュニケーションの、醍醐味。】


 (……かかったな。)


【破片が弾かれ、ブーメランも大気に乗って迎撃される、だがNemesisは異形と化した表情の下でにやり、と哂った。】
【まず、最初に変化が訪れるのはブーメラン。弾かれたそれが上手い具合に"風"に乗って後方へと流れ、そしてなんと】
【再び吸い寄せられるようにしてアインの背中を切り裂こうと、再度の攻撃を仕掛けてくるではないか―――そう、そこまで計算済みだ。】

 (風で弾く……右からの攻撃に対しては、お前はやっぱり"大気"の拳で弾くだろう。)
 (その方向とタイミングは、さっきからずーっとずーっとずーっと、お前が同じやり方で"見せて"くれたからわかるッ!)
 (クセさえ掴めば後は感覚で、風に乗せるようにして投擲することは可能……小さい頃から得意だったのよね、ブーメラン遊びッ!!)

【そして後方から迫るその"刃"に加え、更なる攻撃が重なるだろう。】
【そう―――融合に隠れて完全に陰を潜めていたが、この場には猛1人の勇敢な戦士が存在する。】
【確かに疲弊はしていたし、ボロボロになるまで追い詰められては居たものの―――まだ、彼は消滅しきってはいなかった。】


 (―――いまだッ!!)

【"予め"クワガタと化す事で注意を自分へと轢き付けて、ゆっくりと"休ませておいた"蠍が】
【彼女の背後でこそこそと動き、その身を地面へと"潜らせ"、潜行していたのだった。】
【そして遂に、先程刃で"抉っておいた"地面から尾の先だけを突き出させて―――その先から、毒を噴射して攻撃ッ!!】

 (後方から刃、前方から伏兵の毒霧、そして―――ッ!!)


 ――――――――――はぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッ!!


【最後の一閃を浴びせようと、Nemesis自身も最大の加速でもって猛ダッシュを繰り出し】
【手に握った最後の一振りを大きく上へと翳し、そして上空へと跳躍、勢いをつけて袈裟懸けに一気に振り下ろそうとする!!】
【上・前・後、合計して三方からの一斉攻撃が、最後の一撃となって魔術師に襲い掛かる―――!!】
524 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/03(火) 01:51:07.47 ID:F/uEL4fwO

>>520

【目の前の少女の口から語られた家族の事】
【それは彼から見たリーベの様子からは全く想像もつかない事で】

【普通であれば、彼と同年代の普通の男性であれば、どう反応するか? 想像は容易いだろう】
【しかし、我鬼は少し寂しげに笑っただけだった】

……俺もな、兄さんと父さんの事本当は大好きだった
人を殺めて肝と血を奪うから本当は喰ってた訳じゃないけど『肝喰鬼』
そう呼ばれてたけど、普段は本当に優しくて頭が良くて……良い兄さんだった
兄さんが持ってきた血と肝を平然と使って地獄絵図なんか描くし、息子が死んでもお構いなしで絵を描いてるし、挙げ句の果てに「仕上げだ」って言って地獄絵図描くように依頼してきた重役の息子をぶっ殺すような狂人絵師だったけど、昔は俺の目標で憧れの父さんだった
……俺は二人とは違う、なんて憎んでるように言ってたけど心の深くでは憎んでなんかいなかった


──なあ、殺人鬼と謳われた男の弟でも、重罪人の息子でも、生きていて良いんだよな? 
俺は……
【生きていても、良いのかと言いかけた彼の耳に届いたのは「此処は櫻の国ではない」「新しい生き方は出来る」という言葉】

【彼がずっと、海を渡ってきたその時からずっと欲しかった言葉】

【此処は櫻ではない、お前を虐げる人なんて誰もいない】
【だから、もう大丈夫だ】

【其処まで深い言葉ではないかもしれない、それでも──】

【言葉を失う我鬼、その視界がぼやけていく事に彼自身が気付く頃にはその頬を涙が伝っていて】

────ありがとう
【ただ、それだけしか言う事が出来なかった】


525 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/03(火) 02:12:49.69 ID:VVBzt6Xgo
>>523

【後方に流れていった鋸の動きをアインは把握していた。周囲の大気を操れるだけでなく、探知にも使っているのだ】
【その動きの変化を感知した魔術師は退屈さに舌打ちをした。弾いたと思った攻撃が戻ってくる。あまりにも平凡な一手だ】

(頑張って考えてこれ、か。無い頭で頑張りました、というところか)

【当然、これだけで仕留められると敵が考えている、とはアインは考えない。やるとしたら高速接近からの挟撃】
【既に戦いを楽しむ段階は過ぎた、と傲慢な魔術師は断定した。あとは流れ作業のように捌いていくだけだ】
【思考が現実の対処さえ完了させその後の展開を思い描く段階に入ったとき、視界の端に違和感。それを捉えたアインの顔に驚愕が広がる】

 ──針、だと!?

【蠍の存在は完全にアインの意識の外だった。地中からの攻撃は前回同様、感知不可能】
【噴出される毒液。背後からは鋸が迫るために逃げられない。残るのは上だけだが、それが罠だということは分かりきっていた】
【跳躍したNemesisが迫り来ていることは見ずにも分かる。三方向からの同時攻撃は絶対に回避不可能。逃げ場はどこにもない】

【となると、防ぐしか道はなかった】

【魔術師の掲げられた右足が地面を強く踏みしめる。それに呼応するかのように地面が隆起。分厚い岩の壁がアインを取り囲む】
【せり上がった防壁が背後の鋸、前方の硫酸、上空のNemesisの斬撃を阻む。厚さ数十センチもの防壁は近接攻撃を容易に防ぎきる】
【更に壁の表面が隆起。岩の槍が空中の少女目掛けて射出される。数本は逃げ場を埋めるように、数本は四肢狙いだ】
【アインの視界は塞がっているが感知魔術によって狙いは正確だった】

//すいません、今日はこちらに眠気が……
//今日はこのあたりで凍結ということで、お願いしたいです。明日は夜に居るかと思います
//では、おやすみなさい
526 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/03(火) 02:17:25.89 ID:qV2HgaNDo
>>525
/了解いたしました、途中レスが遅くなってごめんなさい><
決着が近いとは思いますが、それでは、おやすみなさいませ!今夜はありがとうございましたー!
527 :リーべ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/03(火) 02:19:34.57 ID:SoMKfoZDO
>>524

……当たり前じゃないか
お前は生きていていいんだ
櫻の国じゃ、差別されてたかもしれない
でも、ここじゃキモクイオニなんて知ってるやつはそうそういない!
いたとしても、お前が弟だって思うものか!

……世界は残酷だ。罪人やその身内を追い詰めてしまう
けど、私はお父さんやお母さんは大好きだし、お前はお兄さんとお父さんが大好きだ
──それで、いいじゃないか。それが、いいんじゃないか
彼らを愛せたのは、世界できっと私たちだけなんだ!
すごいことだと思わないか? 世間から疎まれてるやつを愛するなんて、それは凄い偉業なんだ!


【ありがとう。それを聞いて、リーべの口元が綻んだ】
【もしかしたら、目の前にいる青年は、違う世界の自分だったかもしれない】
【なにかが少しでも違えば、自分自身が罪人の父と母を憎みつつ愛し、苦しんでもがき続けていたかもしれない】
【──彼が拒まなければ、リーべは我鬼にそっと近寄り、その手を握るのだ】


……我鬼。もう、大丈夫だ
お前はここから、新しい生き方が出来るんだから
迷いそうになったら、誰かを頼れ。私に頼ってくれるんなら、余計嬉しいけどな!

──とりあえず、新しい生き方第一歩はコンビニからだな!
櫻の言葉でなんと言っていた? YO☆RO☆ZU☆ヤ だったか?
まぁそれはいい! コンビニは便利だぞー! 間違いなく人生で一番よく使う店だからな!


【……そっと手を握って、彼を励ます。それまでは、よかった】
【むしろ、そこで終わればよかったものを、この能天気な夜色バカは一番最初の異文化トークに急転換】
【手を握られたままであれば、きっとそのままコンビニに直行しぺらぺらぺらぺらとその機能について説明するはずだ!】

【……最も、彼が拒めば残念そうに連絡先を渡して「頼れよ!絶対だからな!」なんて言って去るはずだ】
【仮にコンビニトークが終わったとしても、連絡先を渡すことに変わりはない】
【もし我鬼に宿屋がなければ、リーべの泊まっている宿屋のベッドを彼女は貸してやるのだろう】
【──ふふん。夜色の笑みは、最初に会った時より楽しそうだった】
【それはきっと……気のせいじゃあ、ないのだろう】

/区切りもいいのでこのあたりで!
/絡みありがとうございました!楽しかったです!
/お疲れさまでしたー!
528 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/03(火) 03:08:25.48 ID:F/uEL4fwO

>>527

……そっか、そうだよな
第一、八年位前の首都とはいえ一部地域で騒がれた奴だしな……皆知らねェよな

……あァ、きっと凄い事なんだよな
誰が何と言おうとも俺は兄さんも父さんも好きだ、これからもずっとそうでいよう

【しっかりとした声で呟く彼の手はリーベに握られる】

……ん、ありがとうな
もし何かあったらその時は頼むよ! 
【そう言って子供っぽく笑う我鬼。その顔はとても晴れやかで】

【が、それも束の間。再び始まった異文化トークに「まだ続いてたのかよォ……」と苦笑する】
【とはいっても何処か楽しげではあるのだが】

あー、そうそう万屋な
で、何だっけ? 「コンビィフ」だっ……あ、「コンビニ」……
【コンビニへと引っ張られる道すがら、ぺらぺらと話されるその機能を子供のように目を輝かせながら興味深げに聞き、そしていちいち反応したりして】
【何故かインクやらボールペンそっちのけで「何かおにぎりの種類がいっぱいある」という話に食いついたり】
【そうして連絡先を渡されるのだが「なァ、前もこんな数字の羅列書いてある紙渡されたんだけど何なの」とまさかの電話知らない発言があったりなどして】
【この件で電話について教えて貰ったりしたのならば「箱の中に何か住んでるのか!? 」と阿呆な発言をかましたり】
【宿屋のベッドを貸してもらったらもらったで初めて見たベッドにはしゃぎまくって飛び跳ねてみたり「もうお前幾つだ」と突っ込みたくなるような事ばかりやらかして】
【それでも、彼なりに楽しんでしばしば子供みたいに笑っていたらしい】


/数日間お疲れ様でした! 
529 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/03(火) 20:16:32.85 ID:qV2HgaNDo
>>525

【攻撃の全てが命中するとは、さしものNemesisと言えど考えていなかった。】
【如何に速度を伴う攻撃、相手の苦手とする分野とは言え、捕捉されていれば通用はしない。】
【加えて、高い防御力も持つ相手に対し、だからこその多段攻撃の実行、"どれか"が当ればそれでいいのだ。】

 (速度は見切られる、単発攻撃じゃ壁に阻まれて命中しない……)
 (だったら、まだまだアンタを"楽しませて"やるわよッ!)

【三つの攻撃が同時に襲いかかる―――最も高い攻撃力を誇るのは、Nemesis自身の斬撃だったが】
【仮に他の二撃であっても、現在の術師は手負いの状況、ダメ押し程度の威力は叩き出せると踏んでいた。】
【だがまさか―――まだ"打つ手"が残っていたとは。ノー・タイム・ラグで繰り出された防御壁に、攻撃は防がれて。】


 っ……!? ―――コンクリートを、盛り上げて……っ!?
 (あの手この手で……忌々しいッ!! けど、これなら向こうも反撃は……えっ!?)


【今度は、此方が油断する番だった。中空で態勢を整えようとしたNemesisに対し】
【防御壁から放たれる岩の槍が一気に襲いかかった。軽量の甲殻は耐久力には優れない為】
【彼女の細い肉体、右足と左腕を深く貫通するが―――残りの二本は、"ある物"によって防がれる。】

 ―――……うがっ、くっ……!!
 (……ごめんなさい、Scorpion……!!)

【そう、地面から飛び出した蠍が、最後の力を振り絞り、残り二本と逃げ場を塞ぐ槍から身を呈して彼女を庇ったのだ。】
【しかしこれにより完全に動きを止めた蠍は、その姿をしゅるしゅると縮小させていき―――やがて、地面へと消えて行った。】


 ……ふっ……"やる"じゃない……流石に……う、ぐぅっ……!!
 私を玩具扱いしてるだけの事は、あるみたいね……!!

 けど―――……はっ、なっさけない状況ね、アンタ……!!
 さっきまでは"避けない" "防がない"で大物ぶって、私を掌で転がしてたのに……!
 いざ命の危険が及ぶと、カッコ悪くてもいーから壁の中に隠れてまで、攻撃を防ごうって……? ふふっ、ふふふ!!

 ―――本当に大物ぶりたいなら、とっとと出てきて、私ごとき小娘拳一つで捩じ伏せて見せなさいよ、術師ッ!!


【ここに来ての挑発―――突き刺さった槍を両方とも引き抜くと、関節から血液が弾けた。】
【しかしNemesisは苦悶の声を上げつつも、"出てこい"と怒鳴りつけるだろう。でないと、厳しいのだ。】
【このまま籠城攻撃を続けられれば、恐らくだがNemesisに決定打を加える事は出来ない―――ならば、引きずり出すまで。】

 (プライドの高そうな、人を舐めた態度の術師が……小娘の私に煽られて、冷静でいられるかしらね……さあ、来なさい!!)

/お返しします
530 :ネーヴェリエル中身 ◆/EhN7y6aoQ [sage saga]:2015/02/03(火) 21:54:51.80 ID:nIuQPNG30
>>513

【軍人としては、突きと見せかけた斬りで男にダメージを与える気であったが】
【不意に出現した羊のような、人のような異型に驚きを隠せないでいた】

なっ!?こいつ、亜人を召喚してきやがった!!
っち、間に合わねぇか。

【そう、突きを斬りに切り替えるタイミングが狂ってしまったもので】
【亜人の持つ女の遺体にシュヴェールトが突き刺さり、なかなか抜くことができない】

【その上、亜人が殴りかかってくるもので】
【それを右に横っ飛びして回避、それから亜人の元へと戻り遺体からシュヴェールトを抜く】
【そしてシュヴェールトを羊の亜人の肩にむけて突きささんとした】

【今度は斬りに切り替える、などではなく単純な突きにすぎない】
【また女性の遺体を盾にしても、横に飛んでも回避できるはずだが】
//申し訳ありません
//明日から明後日にかけてネット環境がない場所に向かいますため
//ロールができなくなります
//凍結でも打ち切りでも構いません
//凍結の場合は置きレスへの移行をおねがいします
531 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/02/03(火) 22:31:26.78 ID:rJoZXqKx0
テスト
532 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/03(火) 22:31:31.91 ID:y6ggbJKYo
>>530
/了解しました、置きスレに返しておくので返答出来る時にレスしてください
533 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2015/02/03(火) 22:31:42.04 ID:4WUxFp4D0
【街中】

【夜になり幾分人気の少なくなった通りの片隅に、一人と一匹の姿があった】

【一人は黒い外套を纏い、ピンクゴールドの髪を覆うようにしてフードを目深に被っている】
【布のズボンと革のブーツは、長く使われてきたのだろう、汚れや傷が見られるものだった】
【人相は分かりづらいが、低い身長や細い体格から考えて大人であるとは考えにくそうだ】
【一匹はその人物の肩にとまるフクロウだ。白い毛並みは美しく、夜の暗さの中でもよく目立つ】

やっと大きな街に着いたみたいだよ、リッテ。
さて、まずは宿を探さなきゃ。動物が一緒でも大丈夫なところをさ。

【人物は自らがリッテと呼んだフクロウの手を伸ばし、優しげにその頭を撫でる】
【フクロウはそれに答えるように目を閉じ、くるる、と喉を鳴らした】
534 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/03(火) 22:32:15.59 ID:3EjloRMno
>>529

【岩の防壁が逆再生のように地面に吸い込まれて消える。再び姿を現したアインは右肩を左手で押さえて苦々しい表情を浮かべていた】

 ……くそ、まさかこんな小娘にここまで追い詰められるとはな
 “風の魔術だけで相手をする”、と決めたがそれも破ることになった……!

【自らに課した制限を破ってしまったことが魔術師のプライドを大きく傷つけていた】
【更には消耗も激しかった。荒い息に肩が上下していて足元には血溜まりができている。苦悶の表情には痛みや出血による分も大きい】
【右肩と右腕の損傷は著しく半身はぼろぼろだ。対して相手の損傷はやっと片腕片脚に目立つダメージを与えた程度】

 流石に、これは俺の負けと言っていいな。ガキだと思ってナメ過ぎた
 最後の奇襲も、まぁ中々だった。意外とやるじゃないか

【傲慢な魔術師の口元には小さな笑み。彼の口をついて出たのは相手の実力を認める言葉だった】
【己のことを強大だと自負するからこそ、追い詰めた相手には敬意を払う。傲慢な人間には傲慢さなりの礼節があった】
【アインの身体が膝から崩れ落ちる。口を左手で抑えるが隙間から血があふれ出した。体力の限界が来たのだ】

 ……ここまで、だな

【周囲の空気がアインを取り囲むように渦巻く。急速に風は強くなっていき、通路の中央に巨大な竜巻が出現】
【大気の渦の中に魔術師の姿が消える。風は唸り声をあげながら夜空まで上昇。周囲の瓦礫や血溜まり、硫酸の全てを巻き上げる】
【最後に竜巻は根元から持ち上がり天へと消えていった】

【そこに魔術師の姿はなかった】

//凍結直後で申し訳ありませんがこのあたりで
//四日間お疲れ様でした
535 :No.7<Nemesis> ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/03(火) 22:49:21.34 ID:qV2HgaNDo
>>534

【ビデオの逆再生が始ったかのように、岩が全て地面へと戻っていく。】
【不思議な光景、と言ってしまえばそれまでだが、中々に恐ろしい物だった。】
【何をどうすればこんな術が使えるのか―――高度な、熟練された技術の結晶。】

 ―――はんっ……やっぱり、そういう"縛りプレイ"で、私をバカにしてた、ってワケね……!!
 アンタの顔に泥を塗ってやったのは素直に喜んでおくわ、けどねえ、それだけじゃダメなのよ……!!

 ―――この身が……たとえ朽ち果てようと……能力者は全滅させるッ……!!
 それが私の選んだ、私だけの、私が唯一、生きていられる道なんだから!!

 (とは言え……さすがに、身体の限界が……がッ、はっ……!!)


【急速に使用した昆虫の召還能力、そして立て続けの融合。】
【串刺しにされた蠍のダメージは勿論、Nemesis本体への被弾も多い。】
【既に血液が彼方此方から垂れていて、怒りと意地だけが彼女を突き動かしていた。】

【全ては憎き相手を倒す為。だが、なぜ其処に拘り続けるのかだけは、不明であったが―――。】

 
 (……意外と、やるですって……?)
 ……っ、あ、ったりまえでしょ……私は、ガキでもカノッサの―――ふっ、ぅ……ナンバーズなのよ……っ!

 さあ……続けましょう、どっちかが、死ぬまで、アンタが、目の前から消えるまで―――なっ!?


【握り締めた刃に力が篭る。ゆっくりと足を引き摺りながら、Nemesisは歩を進めようとして】
【現れた砂塵によって視界を塞がれる。竜巻が突如として襲い掛かり、路地裏のゴミやら塵やらを巻き上げ】
【術士の姿を隠していく―――まずい、見失えば奇襲には対応できない。Nemesisはなんとか目を開け、その姿を見ようとするが―――。】


 (ここ、まで……って、まさか!!)

 ま、待てッ!! まちなさっ……ぐっ! まてっ、魔術師っ!! 勝負は、まだついてな―――あぅ、ぅ……っ!!

【撤退していく術士に対し、声を振り絞ろうとするが、それすらももはや叶わないほど。】
【消耗しきった体力を補給する為に蹲り、彼女は融合を解除すると、先程までの少女の姿に戻って。】

 ―――……はっ、はっ、ハッ……はぁっ、くそっ、くそくそくそっ……!! 次会ったら、今度こそ、絶対に……くそっ!!

【呪詛の言葉を吐き出しながら、暫く路地裏で蹲り続けた。次の邂逅と、決着を誓って。】

/お疲れ様でした!長くなってしまいましたが、とても愉しかったです。
ありがとうございました、また絡んでください!
536 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/03(火) 23:40:45.23 ID:kNlpIGrko
【酒場】

【とある街角のBAR&レストランは値段の割に旨いものが出ることで評判だ】
【カプレーゼとプロシュートをつまみながらワインでも飲んでパスタでも巻けば最高の気分】
【値段と立地と深夜営業など問題で多少、うるさくて煩わしくて客層が良くないことを除けば】

『テメー、だからピザにゴミ入ってたってつってんだろ??』
『マジでヤベーよ?俺ら。マジで、ヤベーから』

【グリーンのキャップを被った3人組。店主を呼び出して今日も今日とてクレームをぶつける】
【揃いの帽子はギャングの真似のつもりらしい。本人たちはマジだけど。所詮、この程度だ】

『詫び入れろって、ああ?土下座だよ土下座。しらねーの?あ?あ?』
『マジでヤベーから。コイツ怒らせるとマジでヤベーよ?マジやべえわマジで』

【大声を張り上げてテーブルを叩く。取り巻きは笑う。他の客は既に静まり返っている。店主は平謝り】

【もう一度テーブルを叩いた時。近くの席の人間が立ち上がった。クリーム色のバーバリーのトレンチコートだった】

【その人は間髪入れずに、手近な男の手をテーブルナイフを突き刺しテーブルと合体させて】
【叫び声が上がるより先に、テーブルの上のワインボトルを掴んでもう一人の男の後頭部に叩きつけると】
【ナイフの刺さった男は絶叫して、ビンが砕ける音がして、残ったワインが軽く飛び散ってそいつが失神して倒れて】

『何だテメエは!』

【と一番イカツイ男が言おうものなら懐から拳銃を取り出して、男に向けて黙らせる】

お食事中は、お静かに。

【静かに女は言った。黒い髪の銀縁のメガネの女。ポニーテイルにしていて、二十歳そこそこといったところか】
【ナイフが刺さった男の声がうるさかったのか、引き抜いて銃把のケツで殴って黙らせた】

詫び入れるのは貴方では?…さあ、どうぞ。

【銃を振って、ジェスチャ。土下座をするのはあんただと。ビンの欠片が飛び散った上でやれよと】
【完全に怯えきった男はゆっくりと床に膝を付ける。ガラスが刺さらないようにまごまごしていると】
【女は首根っこ掴んで床に叩きつけて、目一杯に押し付けてた】
537 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/04(水) 15:26:56.74 ID:PHs/sMY+O
【憩いの場であるはずの公園。】
【その一角、本来ならば主婦層やらが子供を遊ばせて談笑を繰り広げるベンチの一つ。】
【──この日ばかりは子供たちはそちらを向こうとしない、並々ならぬ負のオーラがどんよりと流れているからだ…。】

ガキに負けたガキに負けたガキに負けたガキに負けたガキに負けたガキに負けた…。

【──一人の包帯だらけの青年が、頭を抱えて壊れた機会のように言葉を繰り返す。】
【負のオーラは口から漏れだす愚痴と共に広がっていく。心なしかカラスが多い。】
【かあかあとけたたましく鳴き声が響き渡る。パブリックスペースはたった一人の青年によって、】
【『恐怖の公園』と銘打てそうな場所に変化した… 。】

俺が? まさか? 主人公なはずなのに? ガキに負けて? 一門無し? まじかよおおおうぅッううう…。

【主人公──当然戯言である。それ以外は昨晩起こった事実だが、】
【終いには黒いハット頭から外しそれで顔を隠して泣き始めてしまった…。】

538 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/04(水) 19:52:00.61 ID:ULMuxWtko
>>536で再募集します
539 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/04(水) 20:50:18.57 ID:mN4WeyDpo
>>536

【……しまった、一声遅れた。そう思ったのはBARの雰囲気からは浮いた格好の男だった。和装でスパゲティを頬張るのだから、どこかシュールでもある】
【その和装の男自身が彼らに呼びかけあの場を丸く収めるつもりだったのに、息を深く吸った瞬間に他の客が立ち上がったのである】
【――――おいおい、大丈夫か。不安そうな顔つきでそう思いながらも、冷めかけたスパゲティをフォークに巻き付けて、口の中でゆっくりとその甘さを噛み締めるのだが】

【……その咀嚼が、急に止まった。彼女に何か危害を加えようとするなら直ぐにでも立ち上がり止めるつもりだったが、状況は思いもよらない方へと転がったのだ】
【立ち上がった女性客が、暴力で分からせたのだ。痛々しい絶叫が、ガラスが砕ける音が耳をつんざく。一瞬唖然とするが、男は眉間に皺を寄せた】
【――――しかし、それは先程とは違う理由。先程というのは言わずもがな、態度の悪い3人組を見ていた時である】

……――――もういいだろう。そいつ等のしたことは勿論擁護出来んが……明らかに貴女もやり過ぎだ……!!
こんな乱暴で過激すぎる方法では、脅威は払えたとしても周りの人は余計に怯えてしまう可能性も否めない。
何故刺した、何故瓶で殴った。――――今のようなことが出来るのならば、もっと穏便に済ませることだって出来たのではないか。

【男はそのような言葉を発して立ち上がった。しーんと静まり返っている店内ではその声も良く響き、客の視線もきっとそちらに集まるだろうか】
【もしそうであれば、白い長着に黒い袴を履き、薄藍のインバネスコートを羽織った20代中盤の黒髪の男の姿が――――彼らの瞳に映る筈だ】
【その彼が言うのは「やりすぎだ」ということだ。少なくとも彼自身がやるなら、もっと穏便に済ませる算段だった】
【しかしこうはいいながらも、自身には若干の罪悪感が圧し掛かっていたのも事実。もし自分がもっと早く声をかけていたら、3人組はこんな痛い思いをしないで済んだ、と】
540 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/04(水) 21:32:53.18 ID:ULMuxWtko
>>539

【彼女は背を丸めて土下座から逃れようとする男の上に片膝を載せて、手で頭を押さえつける】
【ところが、急にわけもわからない和服がいけしゃあしゃあと現れて何故なんて問うものだから彼女は】
【顔を上げる。表情なんて無い。鋭い刀ののような冷たい目はしっかり相手の目を捉えてさも当然のように】

ヤクザだから。…ですが、何か。

【彼女は暴れる男の相手をするのは疲れたのか立ち上がった。が、動こうものなら銃を突きつけて黙らせる】

やり過ぎに見えたのなら結構。ハナからそのつもりでしたから。
……それに。私は此方の店主に頼まれたので引き受けただけのことですから。

【視線を店主に向ける。店主は一瞬ビクッとして、少し躊躇いながらも事のいきさつを話し始めた】
【彼らはここ数日毎日のようにやってきては迷惑三昧であったこと。客足も遠退き店員も怪我をしたとのこと】
【警察や自警団はとりあってくれず、その他に頼めるほどの謝礼を出せるほどの余裕もなかったこと】

『ですから、目には目を…と思ったのですが…いやはや、まさかここまでとは…』

【目を泳がせながら乾いたように笑う。早く終わってくれと顔に書いてあるようだ】

まあ、どちらにせよ。後は叩き出して終了ですから。……よければ差し上げますので、お説教でもなさっては?
541 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/04(水) 22:05:22.92 ID:mN4WeyDpo
>>540

【――――店主から頼まれた。彼女はそう言った。男も彼女と同時に店主へと視線を送る。理由を話してる間も、その濡羽色の双眸は真剣な眼差しで】
【まさかここまでとは、と最後の言葉を吐き切ってから困った笑いを店主が浮かべたなら、ようやく視線を切った後に小さい溜め息を吐いて】

……そうか。貴女は引き受けただけ、と。
――――……店主、俺も一応自警団の一員だが……そのようなことがあったとは知らなかった。
そしてそれを自警団が取り合わなかったことも。……それについては申し訳無かった。

【右手で軽く口周りを拭き取ってから、男は静かに言葉を紡ぎ始める。何を言い出すかと思えば、小さく店主に向かって頭を下げての謝罪の言葉】
【――――元はと言えば自警団が取り合わないことが悪かった、という内容。だからこそ店主はヤクザと語る彼女に頼んだのだから、自分たちにも非があると言うのだ】

しかしまぁ店主も想定していなかったとは言ったが――――果たして、そうか?
迷惑な3人組も懲りてもうこんなことはしないだろう……しかし、これで「よかった」と言えるか? 済まない、これだけ言っておく。

【――――果たして、そうか。そう言いながら男は流し目で彼女を見た。視線が彼の言いたいことを全て示していた】
【「ヤクザを雇ったのだから、このような暴力的な結末を迎えることは容易に想像できるだろう」「ヤクザを雇うからこんなことになったのだ」】
【――――そんな瞳と、「果たしてそうか」という言葉。その短い言葉と一瞬の視線に、そのような意味が内包されていることは明らかであった】

【彼女が「説教でもどうぞ」なんて言う。先程の発言も相まって、なんとも不愛想な印象を受けていた。無理やりよく言えばクールビューティーとでもいうやつなのか】
【こんな印象を受けたこともあり、元々あまり気が長くないこともあって少々苛ついていたのだが、そんな様子を隠しながら男は返答する】

……いや、いい。言葉より体に刻んだ方がよっぽど記憶に残るのは知っている。再犯を抑える点では暴力は優秀だ。それも激しい程。
――――こんな目に会っておいてもう一度やるようなら寧ろ俺はコイツ等を尊敬するよ。

【勿論拒否。ここでの説教なんて先程味わった恐怖に薄れて意味もないだろう。そもそもこんな状況でどうぞと言われてする気になるかといったら、NOだ】





542 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/04(水) 22:55:29.56 ID:ULMuxWtko
>>541

【店主は分かりやすく動揺した。目を背けて俯いてもごもごとしているだけだ】
【店主も復讐したい気持ちはあった。自警団やその他が解決してくれていればそれで満足だっただろう】
【けれどマフィアという悪魔と契約してしまったからには映画で見るような『血の裁き』なんてものを期待していた】
【しかしそれはまさか自分の店、それも目の前で行われるとは思っていなかった。そんなものは無関係だと思っていた】

【彼女らはそんな甘ったれた思考も見透かしていたのだろう。人を呪わば穴二つなんて言葉をまざまざと見せつけてやった】
【店主がもう少し男気を見せてくれていればヤクザとしてもその心意気を重んじたやり方をするのだけれど…そうも行かない】

【彼女の視線は冷たく店主に突き刺す。舌打ちもしない。嘲笑すらする気も起きない】

それはそれは。流石、自警団さん。慈悲深い方。
今度は私がカタラーナを食べ終える前に立ち上がっていただけると助かります。
…新聞の一面に乗るような重大な事件や多額の報酬が無くても。

【そう言って笑う。皮肉はタップリ。トゲがあるどころか返しも付けてある】

それでは店主、彼らには水でもかけて差し上げてください。それと貴方。二度とここへは来ないように。
後、富嶽会のシマにもお気をつけを。…私とまた会いたくないでしょう?

【放心状態だった店主は素っ頓狂な声を上げて店の奥に引っ込む】
【完全に怯えきった男も店主が戻ってくるよりも先に無理やり2人を起こして尻尾を巻いて出て行くことだろう】
543 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/04(水) 23:21:50.17 ID:mN4WeyDpo
>>542

……ああ、1口で30回噛むように昔から躾けられていたからどうも食べるのが遅くてだな。
――――今更言うのだから信じるかどうかは自由だが、俺がこの事を知っていれば報酬など無くても解決に力を貸した。

【皮肉は返すより流す方がいい、というのは長年の経験から学んだ。自警団という立場だからこそ批判は慣れている。勿論好きではないが】
【これが流しているのかというのは疑問符が付くが、表情や口調に攻撃的なものは一切出なかった……というか隠した筈だ】

……初めて食べたがここのナポリタンは中々に上手い。あとは落ち着ける環境さえあれば最高だからな。
その環境が貰えるなら俺は軽くアームロックでもして五月蠅い輩を追い出すよ。

【そんなことを言いながらも、内心は当分客も落ち着くだろうなどと思っていた。流血沙汰があった店に気軽に足を運ぶ人はあまりいないだろうから】
【彼女が脅せば男は小動物のように怯えて、直ぐにみっともない後姿で立ち去った。店主も同じく、リスが巣穴に隠れるかのように奥に消える】

――――ふごく……かい。 何だったか……無能力者中心とか聞いたような……で、今は……今は知らないな。 
カノッサGIFT相手が殆どだからな、あまりマフィアには……うむ。まぁ無能力者中心となれば少しは俺と接点がある……

【そんなことを言いながらも男はカウンター近くの自分のテーブルに戻る。スパゲティは更に冷めたのだが、冷めたスパゲティも嫌いではない】
【取り敢えず色々喋ったから喉が渇いた。しかしグラスの中に水はない。男は店員を呼んで水を注がせようとした】
544 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/05(木) 00:15:14.62 ID:GJo8SSPfo
>>543

ええ、信じましょう。…言わせて頂けるのなら、私も無報酬ですから。

【何でも屋や近頃のカルテルはどうか知らないが古く臭いマフィアというものは仁義を重んじる】
【人助けは当たり前。ただし、気軽に利用しようものなら……このような事が待っている】

適当に、若い衆でもこさせますから、ご心配なく。ああ…それよりもテレビの取材でも打ちましょうか
雑誌の特集でも入れれば人気はむしろ上がることでしょうし。

【放送業界、広告代理店等々そういう水物のバックに居るのはこういった人種だというのは有名な話】
【手荒な制裁からは見えなかった綿密な計画が垣間見える。同時に、この女の周到さもだ】

……ふ『が』く、会です。北斎はお嫌いですか?

【イントネーションを強めて訂正する。彼女は見逃さない】

…昔はそこそこ大きかったですけど。時代の変遷もあり、今はD.R.U.G.S.傘下に居ります。
まあ今は…まともなシノギの方が効率もいいので。旭日ホールディングスってご存知ありません?
ええ、無能力者…というか弱者の自衛が元に設立されましたから

【富嶽会…かつては一国並みの軍隊を持つ武闘派と言われ、各地の自警団の設立や民主化、独立運動】
【にも大きな支援をし、最大級の人数を誇ったが現在は斜陽である。しかしながら会社については】
【金融からゼネコンとその莫大な資産を利用して世界をまたにかけている。悪いことはしてない…はずだろう】

まあその、D.R.U.G.S.もクスリなんてシノギに手を出したところで昔の様には上手く行かなかったようですけど。
誰も本音で話さないのですから…当たり前のこと。
545 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 00:37:14.73 ID:Hb8kMIfC0
【街外れ――大きな川沿い、土手の斜面】
【空にはまん丸の月が煌く、明日はひどい雪だというから――息はいつもよりも白い気がして】
【こんな時間でも時折通りすがるのはジョギングをしていたり、散歩だったり、仕事帰りだったり】
【――だけど、斜面にちょこんと座る“少女”はきっとどれでもなく、ただ、ぼんやりと真っ白の息をぼかして】

…………――、なんだか持ってきちゃったけど、なんなのかな、これ……。

【そんなこんなで沈黙はしばらく続く。少女がここを訪れて、ここに座って、十数分くらいの頃に、ようやく洩れる声】
【太ももと身体で挟むようにしていた小さな巾着袋を引きずり上げると、するり、その紐を解いてゆき】
【やがて中から取り出すのは、月白色をした鉱石――のようなもの。だけれどそうでないのは、零れる魔力と】
【その石がふんわりと柔らかな光を放っていることから、きっと、分かって。彼女はそれをじっと見つめて――】

【腰まで届く髪は綺麗に真っ黒色、顔の右に垂れる髪だけを一本三つ編みに編んでいて、】
【黒赤で色違いの瞳はどこか蛇めく、編まれた髪で露出する右耳には、片方だけのピアスがあしらわれ】
【くすんだ赤のシャツと、黒布のコルセットスカート。少し薄手にも見える格好を、暖かそうなケープで包み】
【足元は厚手のタイツとかかとの分厚いロングブーツ、斜面からずり落ちないように、しっかりと地面を押さえていて】

……あのひとの匂いがする……。

【握りこぶしで言えばふたつくらいあるような石。彼女はそれに、ふと、口付けするように顔を寄せると】
【そんなことなく「すん」と鼻を鳴らして匂いを確かめる、――それで、そんな風に小さく呟き】

へびさま、そこに居るの?

【それからはなんだか上機嫌な様子で、石を月に翳したり、戯れに斜面を少しだけ転がしてみたり、そんなことをしだすのだ】
【だけどそんな扱いは乱暴に見えて、よく見れば、すごく大切そうに扱っているのも知れ――宝物、みたいなものなのだろう】
【――それにしても、光を放つ石。いくら満月の下とはいえ、今は夜。その光は、遠くからでも……きっと、窺えて】
【美しいその色味が宝石だとすれば、かなりの大きさだ。誰かの興味を引いてしまう可能性は、十分にあり】
546 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/05(木) 00:40:07.80 ID:DYmwBmq9o
>>544

む、そうなのか……? いや、だからこその此れか……? 
というかそんなことが出来るのか……? あー、マフィアのことは勉強不足だ……ああ、お水ありがとう。あといちごシャーベット1つ。

【無報酬。そのことに目を見開けばどんどんと想定外の情報が雪崩のように流れ込む。テレビや雑誌まで操れるのか?と男は首を傾げるしかないようで】
【軽く頭を抱える動作をしているとウェイターが水を注いでくれた。頭を抱えるこういう時には甘いものだ、ということでいちごシャーベットを追加注文】

ああ、ふがく。申し訳ない。……北斎は……好きか嫌いかと言ってもまずそんなに作品を知らないのだが。
無知で済まない、剣の事ばかり考えて来たからな、そういう知識には疎い……。

【D.R.U.G.S。彼女の話に出てきた単語。それくらいは流石に知っているが、それでも最近はあまり聞かない気がする】
【自分がSCARLETになって、カノッサやGIFT相手の任務が増えているから気が付かないだけかもしれないが、少なくとも彼の中では久しぶりに聞いた言葉だった】

……流石にそこは。しかしD.R.U.G.Sとは……アイツ等が刑務所を襲撃した時にこちらが出向いている。
ビスコ……いやビスクだったか。確かD.R.U.G.Sの一員にそんな奴がいたのだが……まぁ知らないか。
まぁともかくクスリのことや襲撃のこともあって……まぁ、自警団やSCARLET からしたらD.R.U.G.Sは敵――――という認識だな。

【敵だ――――とは言ったが、だからと言って目の前の彼女に向けて左腰の刃を向ける、なんてことはするわけもなく。取り敢えず口にスパゲティを運ぶ】
【敵だからと言って事情も知らずに飛びつくほど荒々しい番犬のような男ではない。スパゲティの食べ方からもこの男が荒々しくないということは分かるだろう】
【スプーンとフォークを巧みに駆使しくるりと丸めて口に運ぶ食べ方をする男だから――――というのは、理由になるかは分からないが】
547 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 01:03:54.02 ID:1Hi48DVTo
>>545
【きっと彼女は知る由もない、こんなに月が綺麗なのに、こんなに空は澄んでいるのに───汚ッたねェ奴らの報復が行われていたなんて事】
【綺麗な面もあれば汚い面もある、裏と表は表裏一体で、それが一緒の場所にないからこそ綺麗な世界は保たれているのだ】

「…チッ…!もう二度とツラ見せんじゃあねーぞ!!」

【吐き捨てられた言葉と共に、重い革靴の蹴りが腹に入ってソイツは唸った。数人連れ立って歩いて行く男達を見送ると、ヨロヨロと立ち上がる】
【傷に塗れて、泥に汚れて、でも顔だけは意地でも守った。いなくなった相手に悪態を好きなだけ吐きながら、ふらつく足でその場を離れる】

【真っ白な高級スーツも汚れて擦り切れ、砂埃を被った金髪を、手で撫で付けて整える】
【ゴールドフレームの眼鏡から、レンズの汚れを息を吹いて飛ばすと掛け直し、傷の痛みに片目を閉じた】

いっ……痛……ったく…これだから暴力に訴えるしかねぇバカは嫌いなんだよ…
あーあ……ついてねーな……どっかに金ヅルでもいねーかなー…

【出る言葉と言えば相手への悪態か自己正当化の言葉ばかり、思う事と言えば金の事】
【恐らく金を稼ぐ手段に失敗して今があるというのに、それを後悔するまでもなく次を考えられるのはある意味才能かもしれない】
【そんな男が何となく歩いていると、段々と町外れの川沿いに来ていた。特に何の理由もない、ただなんとなく歩いていたら来ていただけ】

金ヅルもいいが今は病院が先かもしれねーな……結構いいの何発か───

【呑気にそんな事を考えながら、せせらぐ川に目を向けた時、その蒼い目には月光に輝く月白色の輝きが映った】
【金目のものに目がないその目は、映った物の大きさやら輝きやらを瞬時に脳内に情報として送り、強欲な脳味噌は値打ちをすぐに計算し出す】
【それと同時にそれを所持する少女の見た目も持ち出して、まず打ち出すのは『効果的な騙し方』、もはや痛みやら怨みやらは吹き飛んだ】

(オイオイオイ!アレ売ったらいくらだよ!?少なくとも100万は下らねぇんじゃねーの!?)
(神様ありがとうマジありがとう!!俺様にこんなチャンスをくれるなんて!!)

【自分の物でも無いのによくもまあこれだけ利己的に考えられるものである】
【とにかく、少女の持つ物の輝きは誘蛾灯めいて害虫を一匹引き寄せてしまったようであり───】

ぐあーーもうダメだー!!死ぬー死んじゃうーー!!誰か助けてーー!!

【そんな風に叫びながら、ボロッボロの男が土手を滑り降りながら少女の近くに行き倒れましたとさ】
548 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 01:16:15.14 ID:Hb8kMIfC0
>>547

【よく見ていると、なんだか、彼女はその石――鉱石に、ときどきとは言え、声など掛けているのが窺え】
【地面をころころしてみたり月明かりに翳してみたり、抱きしめてみたり、頬ずりしてみたり、とっても大切そうに】
【とりあえず大切な相手にやりたいことを一通りやっていたところ、だった。ずざあ、そんな効果音が聞こえる錯覚、ではない?】
【――その視界に、いきなり、上のほうから、ひとが降ってきて。彼女は細身の身体を余計に細く強張らせ、びっくりと】
【大きく肩を跳ねさせて――思わずその手から石は転げ落ちる。だけれど、ひどく慌てた様子で、彼女はそれを捕まえると】

あ、あの……、――。

【きゅっきゅと巾着袋に元のように仕舞いこんで、きちんと手首を通すようにして提げて、そちらに向き直るのだろう】
【まだまだあどけなさを多分に残す顔からは高校生ほどに見える少女だ。それなら、こんな夜更けに一人で居ていい年頃ではなく】
【まして金目っぽいものを持っていて無事で済むような見た目もしていないのだった。もっと、ずっと、気弱そうに見え】

だいじょうぶ、――? ……あの、あんまりひどいなら、救急車とか……。

【――だけど、こんな夜更けに平然と出歩く子だ。不良らしく見えないなら、どこか“まとも”でない気はして】
【その証拠に。ぼろぼろで転がってきた相手に対して、“急で驚いている”様子は見せても、“怪我の様子にビビっている”素振りはなく】
【むしろ、心配するよな言葉を言っておきながら、真剣みが足りないくらいだ。それじゃあ、死なないって、思っているような】

【(本当に死にそうなひとの大体はこんなに騒がないって、彼女は、――実体験とかで、知っていた、ものだから)】

【それから彼女はようやく立ち上がると、巾着袋は“しっかり”と握り締めながら、彼の傍にしゃがみこみ】
【懐から携帯電話――今時パカパカする奴――を取り出して、救急車の有無を問うように、首を傾げたのだろう】
549 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/05(木) 01:21:10.70 ID:GJo8SSPfo
>>546

書いて字の如く、裏社会ですから。知らないのも無理はありません。
機関などと違って、マフィアというだけ捕まえることは誰にも出来ません。つまりは、そういうことです。

【マフィアの力は単なる暴力だけに留まらない。金の力からコネの力まで全てが含まれて居る】
【違法であっても悪ではない。悪であっても裁く根拠を与えない。用意周到さこそが彼らの持ち味だ】

ああ、申し遅れました。富嶽会で秘書をしております、霧崎です。どうぞ、お見知り置きを

【富嶽会の秘書は実質のbQ。影では『斬り裂き』なんて異名を付けられているが、知らないだろう】
【しかし過去に霧崎家という名門の剣の道場。秘伝の流派があったということはもしかすると知っているかもしれない】
【とは言え元々、田舎の小さな道場であったし十年以上前に何者かにまとめて惨殺されるという痛ましい事件もあった】
【知っているのは親しい人物か余程のマニアぐらいのものだ】

あら。その襲撃は私も居ました。勿論、襲撃する側でしたけど…何だか、機関の何方かを切り損ねた覚えが在ります。
ビスクさんは有名な方ですから。存じ上げないはずがございません。…まあ、ご存じないでしょうけど。
………ええ、私もD.R.U.G.S.は嫌いです。そもそもクスリなんてそんなもの…

【彼女は断りもなく机を挟んで向かいの椅子に座る。ついでにワインもオーダー】
550 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/05(木) 01:40:40.84 ID:DYmwBmq9o
>>549

……確かに。こんな世間に疎い奴にまで知られていたら話にならなそうだ……。
――――あ、ああどうも……。俺は中邑瑛月。水の国自警団、SCARLETに所属している。
霧崎、か……偶然にも剣に関係――――ああ、きっと関係ないことだな、済まない。

【――――霧崎。その名前は剣だけを追い求めてきた彼自身にとっては知っている名前だった】
【自らの流派、一刀正伝唯刃流。田舎も田舎辺境の地にある道場にあるこちらも秘伝の流派。田舎であっても地方が異なるが、似た境遇の流派なので名前は知っていた】
【――――のだが、霧崎という名前の人が全員その秘伝剣術使いではないか、と思い言いかけた言葉を引っ込めた。でも、事件のことは知らない】

【逆に彼女がこちらの事を知っている、なんてこともあるかもしれない。SCARLETであり、大会にも出場した身で、毎回大会では解説者として出演する】
【どう考えてもUTのセリーナ程ではないが、ある程度のメディア露出もあるというわけで。もしかすれば知っている、なんてこともあり得る】

…………彼奴有名なのか……。と、言うかだな……てっきり敵だ、なんて言えば余計に厳しい返しが来るかと思ったが。
嫌いだとしても、反抗はとてもできそうにないと言うことなのか。……まぁ兎に角、俺はD.R.U.G.S.が市民を危険に晒すのならば立ちはだかるだけだ。

【急に座ってきた彼女にやや眉を顰めるのだが、何も言うことは無く。しっかり30回噛んで飲み込んだ後、彼女の言葉に意外そうな顔を浮かべて口を開いた】
551 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 01:47:31.85 ID:1Hi48DVTo
>>548
う……うぐぅ……きゅ…救急車は…やめてください……

【たった今の叫び声の元気は何処へやら、わざとらしく息も絶え絶えな風に言いながら、少女の携帯電話を持つ方の手を抑えようとする】
【当然、救急車なんて呼ばれたら金目のものが手に入らないからである。怪我は当然ながら痛いのだが、今は怪我より金だ】

病院に……行っている暇はないんです…急がなくては……
急いで金を用意しないと……この怪我より酷い目にあってしまう…だから…救急車は……

【やたらとそれっぽい理由をでっち上げて、ついでに目的もアピール。今回の設定は『借金苦に苦しむ青年』風味】
【この男は少女の事は知らない、だから少女がどんな経験をしてきたかも知らない、なので見た目からして一般的なよくある、所謂『お人好しなくらい優しい性格』だろうとアタリをつけて臨んでいた】
【優しさに漬け込むというのは常套手段であるし、成功すれば相手は勝手に正義感を満たされるのだから後腐れもない、もっともやりやすい手段だ(本人談)】

大丈夫です……ちょっと一週間ご飯を食べてないだけなので……少し休めば…ウグッ

【そこに幸薄やら病弱やら何やらと同情心を誘う属性を盛りに盛る。因みに今宵の晩飯はカッコつけたレストランのディナーだった】
【そういう風に口からべらべらと嘘を塗り固め、関係ない事で負った傷も利用しているが、実際よく考えれば貧乏人にしては些か元の格好が似合わなさすぎるか…?】
552 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 01:58:44.00 ID:Hb8kMIfC0
>>551

【――ちなみに、この少女、病院嫌いもいいところで、白衣なんて見た日には後ろから殴るくらい(大嘘)】
【なので、彼がそう言うなら、或いは同類かと判断して――「そう?」なんて、大人しく手を抑えられる】
【きょとん、と瞬けば、まだ怪しんでいるわけでないのだが、数秒ほど相手をじっと見つめて――】

お金――? 悪いひとに追いかけられてるの?
……、でも、わたし、お金持ってないの。だから、貸してあげられないし――……。

【だけど、元々性格としては気弱だし優しい子だ。それなら、明らかに瀕死の重傷でもなさげな風、分かりながらも】
【しゅんと眉を下げて、首をかしげたら、そんな風に尋ねるのだ。借金でもしたのかと、そんな風に脳内補完したようで】
【それでも――今ここで、ぽんと貸してやる金などない。それに、そんなことして、返してもらえるのかも分からないし、】
【――別に、よっぽど訝しむわけではない。だけれど、やっぱり、怪しいのだ。それでも、やっぱり、】

…………じゃあ、UT(うち)、来る? ……ご飯くらいなら出してあげる、それに……。
今夜くらいならお店の隅っこで寝てても平気、だと、思う――まだ、お客さん、たくさん居ると思うけど……。

【放っておけない程度の性格ではあった。それならば、×家(うち)○バイト先(うち)、仕事場に来ないか、なんて誘う】
【もしかしたらテレビなどで聞いたことがあるかもしれない。UTが、孤児や浮浪者に向けて、食事を配るサービスを始めたこと】
【今はまだ試験的なものなので、日時が限定されているのだが――なんせ彼女が発案者なので、少しくらいの時間オーバーは許され】
【……ないのかもしれないけど、時々、時間外でもこうして連れて行こうとすることがあった。彼も、また、その一人として】

お金はあげられないけど――、UT(うち)なら、借金取りのひととかも、あんまり来ないって思うの。

【なんて言って、にっこり笑うのだ。だけど、全うな頭をしているなら、気付くだろう】
【UTは風の国で、ここは風の国じゃなくて、電車とかはもう終電もないだろう、つまり、どうやって行くのか、行けるのか?】

【(あと、ここまでに、彼女は一度も「うち」が「UT」だとは発言していないわけで)】
【(家に誘うとは言ってないし、そんなつもりもない。だけれど、「うち」というのは、「家」と勘違い、してしまうかも――)】
553 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/05(木) 02:00:18.71 ID:GJo8SSPfo
>>550

SCARLET?…あら、エリートでらっしゃるのね。これはとんだご無礼を。

【微笑んでみせるがトゲだらけなのはいまさら言うまでもない】

剣はお好き?

【彼女は右手で軽く指を鳴らす。すると左手に刀を握っているではないか。勿論、鞘に収められていて】
【攻撃するような意志は無い。ただどんな手品かと聞かれれば案外、能力であるためつまらないものだ】

【ただこの技が使えるのは霧崎の血を引く人間にしか出来ない芸当。門外不出の流派であるため情報】
【ほぼ皆無だが、証明するには十分な技だろう。なにせ本当になにもないところから刀を出したのだから】

【ちなみに、指を鳴らしたのは彼女の数少ない茶目っ気というやつである】

生憎、SCARLETさんのお名前は存じ上げていません。UNITEDTRIGGERさんとは少々、お付き合いありますけど。
…ああ、プライベートですよ?セリーナさんとの個人的な。

ええどうぞ。お仕事なら存分に。ビジネスライクで

【D.R.U.G.S.の事案には勿論、彼女は居ることだろう。武闘派のヤクザは其処でも尖兵として使われる】
【どんなに嫌っていても参加しているならば義を果たさねばなるまい。裏切りは最も許されない行為なのだから】

【彼女が刀から手を離すと床へ落ちる前にそれはまた一瞬にして消えた】
554 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 02:18:10.99 ID:1Hi48DVTo
>>552
……実は…恥ずかしい事ながら……友達が借金を押し付けて消えてしまって……
はは……僕だってそこまで落ちぶれていません…君みたいな女の子にお金を借りようだなんて……
……ああ、もうお金になるものもない……宝石強盗にでもなるしか道は……

【まだ慌てる時間じゃない、慌て者は身入りが少ないのはよく知っている。それとなく、である】
【それとなーくそれとなーく、相手に『今自分に何が出来るか』を誘導させるのだ、間違っても欲を出してはならない】

───えっ…?家(ウチ)に……?

【出来ればこの場限りで騙し取ってトンズラしておきたかった、だからこの言葉は予想外。そして勘違い、日本語って難しい】
【驚いた表情はわざとなのではあるが、ある意味少しの本心もあって、驚いた言葉の裏ではいくつもの邪な言葉が会議じみて飛び交っている】

(チッ……今欲しいのは宿じゃねーんだよ───だが、待てよ…こいつ結構いい身形してるし、何よりあんな宝石を持ってるんだ……家はとんでもない豪邸かもな)
(だったら、家に行って、ゆっくりと調べてから後で金目の物を盗むって手も……そうだな、内部から細工出来る分そっちのがいいかもな)

【勘違いとは恐ろしい物である、きっと『うち』がどこか知っていたなら拒否している事だろう。あんな所には近付きたくもないとも言う筈だ】
【それくらい拒否反応を起こす所に潜入し、挙句に盗みを働こうなどと画作するこの男、野良犬よりも意地汚い】

───い、いいんですか!?こんなどこの馬の骨かわからない僕を保護してくれると!?
……あぁ、君はなんて優しい子なんだ…!まるで女神様のようだ…!

【縋り付くような演技で、泣き真似もしながら、うんうんと頷く】
【虎穴に入らずんば虎子を得ず───だが、そこが虎穴だとは全く知らず───この男は、少女の優しさを利用する事にした】
555 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/05(木) 02:18:57.97 ID:DYmwBmq9o
>>553

……好きというか、俺の全てだ。――――……ッッ、今のは……能力。そうだろう?
てっきり無能力者かと思ったが違うのだな。あの動きは人体じゃ無理だ。
手品でタネがあるなら是非ご教授願いたいが……お、ありがとう。

【少し考えながらも置かれたいちごシャーベットを一口運び飲み込めば、こちらも言葉を零す。――――剣は俺の全てだ、と】
【そう強く言い切り光を湛える凛とした瞳を向ければ、彼女の左手にいつの間にか握られていた刀。目を丸くしながら水を軽く含み飲み込む男】
【――――そして喉を潤してから発するのは、それは能力だろうという推測】

……――――唯一つ言うならば、俺は誰よりも剣に向き合っているという自信がある、くらいか。
頼るは五体と剣のみ。能力なんて便利なモノも、バネのある筋肉も馬力も持ち合わせていない――――ああ、済まない。
……こういう関係ない話をするのは俺の悪癖だ。まぁ俺は俺の、君は君の仕事をする。それだけだな。

【剣への想い。自信。そして剣ばかりの人生を歩んできた、という発言。故のその発言なのだろう――――】
【そう言い切ると少しだけ溶けたシャーベットをさくりとスプーンで掬い口の中に放り込み、満足そうに甘酸っぱい味を噛み締めた。意識はシャーベットに向いたらしい】
556 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 02:32:00.86 ID:Hb8kMIfC0
>>554

ううんと……、……やめたほうがいいと思うよ、その……。
えっと――、ごめんなさい、何か、あったら良かったんだけど――、……。

【宝石泥棒。その単語に、彼女は、困ったような顔をして――やめたほうがいい、なんて言うけれど】
【だからといって代案を示してなどやれない、まさか、路地裏でひとでも殺してくすねて来い、なんて言えないわけで】
【そもそも金目当てだったことがないので、どれくらいの金が手に入るのかも分からない。――故、言葉を濁すにとどめて】
【何かあったらなんてしょんぼりしながら、その左手には件の巾着袋、右耳には、こちらは宝玉の欠片のピアス】
【なんだかんだ金になりそうなものは持っているのだが――くれてやる気が毛頭ない、というのが、言葉からは窺えるようでもあり】

うん、それもお仕事みたいなものだし……、大丈夫だって言うと思うよ。
それに、UT(うち)なら、ご飯も作ってあげられるし――、だいじょうぶ、怖いひとも、きっと来ないよ。

【言葉からすれば。なんだか彼女、慈善事業でもやっている家の娘――みたいにも聞こえるのだけど】
【実際は正義組織なのでお仕事なのである。相手が勘違いしていることにも気付かず、というか、原因とも思わず】
【そうだそれがいいよねなんて言いながら笑って、ぺたんとあわせた両手を口の前に。ころころと鈴の転がるように笑えば】

じゃあ、あの……、ごめんね、ここからだと遠いから、転移の魔術で行くの。

【それから、空っぽのほうの手をすっと差し伸べる。何かと思えば、転移術で移動するらしい】
【だから触れろ、繋げということだ。そうでなければここに置き去り、怖いひとに「なう」で追いかけられていると思っているなら、】
【一応様子を窺うようにしてからだが、相手の手をぎゅっと握ろうとするだろう。もし許したなら、そこには三十六度の平熱と】
【相手のことをよっぽど、ではないにしろ、それなり以上には心配している暖かさ。そのまま転移するなら――】

【場面は切り替わって、冷たい風の吹く場所へ。空気の匂いも違う、ここは、別の国だとすぐに分からせて】
【あたりを見渡せば――まあ当然なのだが、もっとも近い場所にある建物には、UNITED TRIGGERの看板】
【――「こっちだよ」なんて平然とそこに入っていこうとする彼女を見れば、勘違いに気付くだろうか?】
557 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 02:50:12.95 ID:1Hi48DVTo
>>556
(よっしゃー!!ラッキーだぜ!今日の俺様はツイてる!)
(クックック……悪いなお嬢さん…良いことすれば良いことがあるとは限らないんだよ……幸福ってのは貪欲に求める奴にこそ訪れるんだ)

【(優しさに触れて改心とか)ないです。欲の塊みたいなこの男に、そんな人並みの良心だとか遠慮だとかは無い】
【考えるのは、盗みを働く算段と、少女の優しさへの嘲笑と、自分の幸運を賛美する言葉ばかり】
【おもわず笑みが浮かびそうになったが必死で堪えて、『まだ笑うな』と自分に言う】

…え?遠い?魔術……え、えぇ、はい

【…なんだか、この辺りで嫌な予感がして来たが、そんなのは欲に飲まれて消えてしまう】
【狼狽えながら少女の手を握ると、一瞬の浮遊感と輝く視界、初めて身を以て体感する、『転移』の感覚は少し気持ち悪い物だった】

【ふと気が付けば、足の痛みにハッとする。いつの間にか道に自分は立っていて、周りの景色は違っている】
【すぐにここは風の国だと分かった、標識を見たのでも、感覚でもなんでもなくて。『これ』があるのはそこでしかないから】

───……!?

!?!?

………ッッ…………っ!!

【『驚きの余り声が出ない』とはつまりこういうことなのだと、男は今身を以て知る。本気で声が出ない】
【声帯だか横隔膜だか知らないが、とにかく喉が震えて声が出せず、頬も引き攣り、体も緊張しきっている。やっとの事で右手を挙げると、震えた手で看板を指差して───】

……う……『うち』って…ここ……なの……?

【震えの余り変な声が出ているが、自分でも気にする暇が脳に無い、今頭の中は積み重ねたプランがビルの爆破解体の様に崩れ去っている最中だ】
【指差した先の看板の字を、『UNITED TRIGGER』の文字を何度も何度も読み返しながら、少女に聞くまでもない確認をした】
558 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 02:57:51.12 ID:Hb8kMIfC0
>>557

【転移の間際。視界に移るのは、立ち上る桜色と紫色、つまり、少女の魔力の色で】
【分かる人間には、この少女が「二人分」の魔力を持つこととか、興味深いことはあっただろうが】
【だけれど彼にはそんなのどうでもいいだろう。――だって、彼女も、もはや日常のことだから、何も言わないし】

うん……、……あ、ごめんね、UNITED TRIGGERだって、言ってなかったよね。
ここでバイトしてるんだ、他にもね、お金のないひとのためにご飯作ったりもしてて――。

【「テレビで見たことない?」なんて、彼女は至極裏のない、なんてことない、普通のにっこり笑顔】
【入り口でドアノブに手を掛けてから振り返る、だけど、そこにあるのは――なんだか、不思議な顔をした、彼】
【「あれ?」なんて思うのだった。笑顔のまま、彼女はこてんと首をかしげると……また、彼のほうへ戻ってきて】

どうしたの? 

【じっ、と、その目を覗き込むように見つめようとする、のだろうか】
【ちなみに彼女、素の身長も百六十センチと平均越え、さらに高い靴を履くので、百七十近くは身長があり】
【覗き込む――というのも彼の身長次第では案外ガチに覗き込まれることになる。そうすれば、色違いはぱちぱちと瞬き】

ここなら、借金取り……? みたいなひとも、来ないと思うけど――、
それに、お薬もあるし、ご飯もあるよ。……だめ?

【どうして入らないのか、そう、言外に尋ねてくるのだ。こんなに、今の彼にぴったりな場所ではないか、と、】
【心底不思議そうな顔をしていた。今はまだ怪しんでいない、だけど、あんまりに断ると――怪しまれてしまいそう】
【それとも、理由をつけて逃げることも不可能ではないだろう。けれど、“多少”の理由程度では動じないはず】
【それは、彼が、最初に「死ぬ」とか言ってしまったからで――死にそうに見えなくても、だまされている、とは、あんまり思っていなかった】
559 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 03:25:04.46 ID:1Hi48DVTo
>>558
【ここで突然だがこの男───エース・セブンという男がどういう男なのか、特に正義や悪の観念について簡単に説明しよう】
【特に悪どい事を好んでやる訳でもなければ、良いこともせず、とにかく自分の為だけに都合よく立ち位置を変えて生きている彼にとって、正義だの悪だのはどうでもいいこと】
【ここまではよくある中立派だが…特にその性格が良くなかった、彼は自分の中立派の立ち位置こそが世界で普通の事であって、それ以外はまるで蚊帳の外ならぬ、『動物園の檻の中』の世界に見えるのだ】
【ハッキリと言えば、悪だろうと正義だろうと、彼にしてみれば『正義(悪)組織とかwwwマジpgrwww』なのである】

【そしてその考えを別段隠そうともしない、今まで何度も何度も、カノッサもUTも、正義も悪もどちらの組織も超バカにしてきた】
【『大したことない』とも言ったし、『アホの集まり』とも言ったし、とにかく言いまくった。調子に乗ってそこら中の酒場とかで言いまくった】
【その時は酔っていた事もあったし、幸運にもその組織の人間がいなかったこともあった、だが噂は巡り巡る物なのだ】
【もし、自分がUTをボロカスに言っていた事が伝わっていたなら……きっと自分は探し出されるまでも無いが、わざわざ顔を出せば話は別となる】

(やばい)

(やばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばいやばい)

【冷汗がドッと噴き出してきた、今すぐ逃げ出したい気持ちに駆られるがそれは出来ない、何故なら怪我をしているのは事実だからだ】
【自分を連れてきた少女が、ここを『うち』だと親しく言ったのなら、彼女もUTの人間だろう。だとすれば詐欺を放り投げて逃げ出すのは、ライオンの目の前に生肉をぶら下げるが如し】
【かといって足を怪我していれば、自慢の逃げ足もスピードを活かせない、逃げ出す事も叶わないのだ】

【それを知らぬ少女は無垢な表情でこちらを見つめてくる、最早悪態を吐く余裕もない。決断ばかりが急かされる】

(待て待て待て待てよく考えろ俺様!このガキは俺様の事なんて知らなかった!きっと俺様の悪口なんて届いてないか、スルーされてるに決まってる!)
(そうだぜ、こんな詐欺師の悪口なんかいちいちUTが気にするかよ!!こんな小悪党の───いやそうじゃねえよ!)

【そういう問題ではない、そもそもUTをいくらバカにしていたって、そういうのが問題なのではなくて】
【問題なのは彼が詐欺師であるという事である。人を騙して生きる人間が、UTなんかにいるような正義漢に許される筈がなく、オマケに現在進行形】
【どうしたって四面楚歌、絶体絶命五里霧中。下手を打てばブタ箱生きだ、これぞ正に因果応報】

───あ、あー……いえ……その………まさか、UTなんて所に案内されるとは思わなくて……


そ、そうですね……それじゃ……お邪魔…しましょうか……

【とにかく、今逃げるのはダメだ、それは分かる】
【中に(自分にとっての)危険人物がいない事だけを願って、愛想笑いを浮かべて、中に入る事にした】
560 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 03:36:01.78 ID:Hb8kMIfC0
>>559

【じっと見つめる瞳は、きっとどこまでも澄んでいた。相手は怪我人で、悪いひとに追われてて、お金がなくて、おなかも空いているのだ】
【或いは慈愛とかそうやって呼んでもいいかもしれない。あどけないかんばせのくせ、こういうときだけは妙に大人びた顔をして】
【よく見れば左手の薬指に指輪がある辺り、見た目の年齢よりは実年齢は少し上なのかもしれない】

【(五、六、ずれて見えるのが、“少し”で済むならのおはなしだ)】

わたしね、ここのお店でお料理作ったりしてるんだ。だから、ちゃんとしたUTのひととは、違うかもだけど……。

【彼が何を考えているのか、なんて、ちっとも知らなかったし、気付かなかった。ただ、彼女は】
【彼が黙ってしまったのを不思議そうにして、そんなことも教えてくれる。――なんでも、正規のメンバーではないらしい?】
【給仕という立場。もちろんきちんとセリーナに雇われているが、戦うことのない、調理担当のスタッフであって】

……そう? なら良かった、ここなら大丈夫だから。
奥にミハエルとかも居ると思うし――何かあっても、きっと大丈夫だよ。

【それから、彼が諦めて受け入れるなら。良かったーなんて感じに笑うのだ、あどけなく笑って、今度は、】
【彼の手まで引いて店内に引きずり込もうとする。奥に――というのは、きっと、今度こそ正真正銘の正規メンバーの名前か】
【追っ手のひととか来ても大丈夫だから!なんて感じだ。多分……迷惑掛けるとか考えてまごついたものと、判断している】

【――そうして店の中に入れば、中には酔っ払いたちが多数居る。だが、その酔っ払いというのも、ただのおっさんとは違って】
【曰く、セリーナの知り合いで賞金稼ぎとからしい。よく分からないけど、顔のいかついガタイのいいおじさん、が多いのは確かで】
【彼らは彼女に親しげに声を掛けたりするし、彼女もそれに返すから、彼女がここの給仕なのは、本当だろう】

じゃあ……えっと、お薬持ってくるね。自分で出来る?
それともご飯が先がいいかな、お店にあるものでよければ、すぐに作るね――。

【そうして。彼女は彼を空いた席に案内してやるのだろう、それで、そんなことを尋ね――】

/すいません、時間もそろそろいい感じですし、明日に引継ぎお願いしたく……
/明日でしたら用事ないので、お好きな時間に呼んでもらえたらと思いますー
561 :霧崎 ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/05(木) 03:37:28.12 ID:GJo8SSPfo
>>555

……さあ、それはどうでしょうね。手品であると言ったほうが素敵ならそう言うべきでしょう?
尤も種も仕掛けもありませんけれど。

【彼女は頼んだグラスワインを一気に飲む。飲み干す。ふう、と一息ついたら立ち上がって】

私は一人でも多くの家族を……誰かを救えるなら、剣でも銃でも能力でも使います。
…戦闘にこだわりを持ち込むなんて、能力者みたいな事を仰るのですね。貴方は。
少なくとも、私よりはよっぽど能力者らしい。

【まるで正義のひとりのように話す。逆説的ではあるが彼女が剣を抜く理由は家族を守るためだ】
【マフィアというのは家族を最も大切にする。それは血のつながりのない兄弟たちであってもだ】
【それを拡大解釈するならば全ての弱者を守るのが彼女の使命であると…そう考えていた】
【その意志を最も有効に貫くには裏社会に身を置き、悪の側に立たなくてはならない】
【富嶽会の人間というのはそういう人種で、コレが彼らの言う仁義というものの一部であった】

貴方は、争いのない世界を本当に望めますか?剣をふるう相手も居なくなった平和な社会を。
……剣を持つだけで脅威とされる幸せな世界を。…私は、望めるわ。

それでは、このへんで失礼します。本日はお邪魔いたしました。ではまた、機会があれば。

【彼女は立ち上がる。指を揃えて一礼する様は秘書の顔で、手本のような一礼であったことだろう】
【後は真っ直ぐに店からでていく。会計する様子はないがまあ止めることは誰も出来ないだろう】
【なお、会計を持ってくれたりなんてことは無いので……】


/そろそろ眠気が来ましたので勝手ながらここらで〆にさせて頂きます
/遅くまでお付き合い頂いてありがとうございました!
562 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/05(木) 03:42:20.68 ID:DYmwBmq9o
>>561
/ありがとうございました、自分も眠いので後で書きますー
563 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 03:51:10.03 ID:1Hi48DVTo
>>560
【まるで骨の無い人形みたいに少女に引っ張られて、彼が思う事はただ一つ】
【『失敗した』───】

【それは、まず事の発端の怪我を負う理由だったり、この少女をターゲットにした事であったり、また今さっき聞いた『少女がUTのメンバーじゃない』という事も含めて】
【幸運かと思っていた全てが、実は自分を地獄に叩き落す不運であったとは夢にも思うまい】

み、ミハエルさん!?……あー……はい、どの方がその人かはわからないけどこれは……その…安心だ…

【店内に広がる、自分を取り囲む檻の獄卒達を眺めながら、皮肉めいた言葉を呟いて絶望感を増す】
【これだけの数、しかも戦い慣れしてそうな奴らを相手に逃げられるだろうか?いや、出来ないだろう】
【席に通され、座った後も、項垂れて───酒場なら、酒でも飲んで絶望を流したかったが───とりあえず、怪我の処置をする事にした】

あー……じゃあ、包帯とガーゼと消毒薬をお願いします、あ、処置は自分で出来るので……
余り急がなくても良いですよ、はい……

【この状況から何とか逃げ出す方法を考えなければならない、その為には怪我を放っておく訳にはいかない】
【とりあえず、少女が薬箱やら取りに行っている間にでも辺りを観察しようとする、何か糸口を探して】

/了解しました、明日は昼か夕方辺りから再開出来ると思いますー
564 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 03:54:36.36 ID:Hb8kMIfC0
>>563
/了解ですー、それじゃあ手の空いた頃にお返ししておきますのでっ
/ひとまずお疲れ様でした、また明日よろしくおねがいしますー
565 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 13:58:31.81 ID:Hb8kMIfC0
>>563

うん、あ、でも、……忙しい、かなぁ。
お侍さんとか、ロウは、あんまり見かけないし――。
ワンちゃんも……最近、見ないな――。

……わたしね、まだ、一年も居ないから。――会ったことないひともね、たくさん居るの。

【なんて、彼女は彼の心中など察せない、まあとりあえず――UTの知り合いが、最低でもそれだけは居るらしい】
【うーんとか唸りながら、彼女は彼を席に案内して、案内すると、一通り、手当てをするのに必要なものを聞き出し】

――ん、分かった。ちょっと待っててね、すぐに持ってくるからっ。

【どこか満足げに一度頷いて、店の奥へと引っ込んでいくのだろう。そうすれば、店内には】
【全員がいかついゴツい強面のおじさん、というわけではないけれど、何割かはそんな感じの客層と】
【壁に飾られたたくさんの銃とか武器、壁に貼られた手書きのメニュー(丸文字だから、多分彼女が書いたのだ)】
【とかとか――、まあ、飲み屋らしさもあれば、壁の銃など、そんな“普通”の飲み屋では見ない光景も】

お待たせ――、じゃあ、それやってる間にご飯作っちゃうね。
えっと……お兄さん、何食べたい? あるものなら、なんでもいいよ。

【――なんて思っていれば、彼女が戻ってくる。左手に提げていた巾着は裏のどこかに置いてきたらしい、すっかりと消え】
【変わりにあるのは、まあ、普通の……救急箱だ。中には包帯もガーゼも消毒薬も入っている、そんな代物】
【それをがたんと机の上に置いてやると、彼女は少し自慢げに胸を張って――「なんでも作るから」だなんて、言うのだ】
【現状を考えるとご飯なんて食べられそうにないのかもしれないけれど。……それから、彼女は、ふっと彼に顔を寄せ】

……こういうところ、苦手だった? ごめんね、でも、お客さんたち――みんないいひとだから、安心してね。
ちょっと顔怖いけど……、いいひとなんだよ。だからね、怖がらないであげて欲しいな――。

【そんなことを小声で囁くのだ。――どうやら、彼の少しおかしい様子を、こういう場が苦手だと勘違いしたようで】
【大丈夫だよっなんて元気付けるように笑う。鈴の音色とよく似た声、笑うと、余計に声は鈴めいて】
566 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 15:40:12.91 ID:1Hi48DVTo
>>565
【少女が救急箱を取りに行っている間、目ざとく辺りを観察する。どいつとどいつが厄介そうで、どいつが楽に抜けられそうか】
【そんな物見たってわかる筈も無いが、分かったことはただ一つ、自分を眺める者はいても、怪しんだり睨んだりはされていない】

(……悪口が伝わったりはしてねーみてーだな…)
(だったら……あとは隙を見て消えるだけか)

【さんざっぱらバカにしていた事が伝わってはいないようだ、それはまず一安心出来たが】
【あとは、詐欺師である事をばれないように取り繕いながら逃げるだけだ、その後この辺りにはもう近付かないようにしようと心に誓う】
【今の設定は確か、借金取りに追われる青年であった筈、いつその話を少女に蒸し返されてもいいように、考えをまとめておく】

───あ、どうも…ありがとうございます……
えーと……い、いえいえ!別にその…苦手な訳じゃあないんですよ!えと…ま、まあ顔は怖……いえ!
そうですね……それじゃあ何か軽い物を…いえ本当!軽い物でいいんです!遠慮しているんじゃあなくて、その……いきなり沢山は胃が受け付けなくて……

【救急箱を持ってきた少女の言葉に、再び周りの客の顔付きを眺めてから、謙虚な風を装って誤魔化す】
【実際怖いなんて物じゃないし、腹だってそんなに空いてないのだけど、でも断れば怪しまれる。『飯を食べてない』なんて言わなければ良かったと後悔した】

【『いい人』なんて言われても、だからこそ安心出来ないのだ。『いい人』は悪党を見逃してはくれないから】
【せめて悪い人なら、金でも掴ませて口裏を合わせてもらうとか出来るのだが、生憎だとしても今の持ち合わせは殆ど無い】
567 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/05(木) 15:42:37.66 ID:DYmwBmq9o
>>561

……使えるもは使っただけ強くなる、というわけではないと思っているからな。
この現代社会は便利なモノが増え労力を使わずとも色々なことが出来る――――が、その代わりに昔の人間に備わっていた身体能力は消え失せた。
銃を持てば遠距離でも苦しまずに戦える。しかしそれは楽をしている。そのような厳しい状況でも無理やり近づいて剣を活かす、ということが無くなれば剣も錆びる。

剣士ならば剣だけを磨き、銃士ならば銃を磨く。一つの分野のプロフェッショナルになることこそが能力をも跳ね返す技術の習得に繋がる。
確かに剣士たるもの剣を――――という心境もある。それが君の言うこだわりなのだろうが……それだけではなく、これが俺の中で最も強くなれる方法だ。
――――つまり多くの人を護る近道。どうやら君とは正反対の考えらしい。

【シャーベットを崩すスプーンが止まった。「能力者らしい」という言葉への反応だった。ぎょろり、と濡羽色の双眸を彼女へ向ける。彼女の眉間をじっと見つめる】
【まるで男が人を救うよりも自己満足を優先しているような――――そんな言葉に聞こえたからこそ、彼はスプーンを止めて言葉をすぐさま返す】
【……にしても、男が言及しなかったのではあるが「そこも」気になっていた。――――家族を護る為、という言葉。仮にもD.R.U.G.Sである彼女からそんな言葉が聞こえた】

――――誰に言っている。我々はSCARLET。それを望んでいるからこそ、我々はカノッサやGIFTなどの脅威に立ち向かっているのだ。
闘いを求めているんじゃない、人を護るという行為だけを求めている訳でもないし、賞賛を浴びる為でもない。
――――武術の世界でも、究極は闘わずに済むことだ。武人として、SCARLET として、中邑瑛月として俺はそのような世界を望み、勝ち取らんとしている。

……――――それだけだよ、ヤクザの霧崎。……ああ、機会があれば。無いに越したことはないがな。

【ぎん、と瞳に強い光を湛えて男は言い切る。薄い言葉ではない。言葉に、声に心がしっかりと乗っている】
【まるで「SCARLET を舐めるなよ」と言っているように目を細め眉間に皺を寄せて、去りゆく彼女の背中に鋭い視線をぶつけながら告げた】
【その熱気が伝わってしまったのか再度視線をシャーベットに戻せば、形を崩すほどに溶けてしまっていた】

/締めの文ですー、ありがとうございました!

568 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 15:53:37.95 ID:Hb8kMIfC0
>>566

ううん、気にしないで。
本当なら、借金取りのひとのほうを何とかできたらよかったんだけど……、
……セリーナ、居ないみたいなの。

【にこりと笑ってから、少女の表情はしゅんと凹む。結局、これじゃあ何も出来ていない、と】
【大本は放置なのだから――といっても、本当は、そんな借金取り存在しないし、何も心配は要らないのだろう、けど】
【そうして零す言葉は、彼にとってはプラスの方面に動くだろうか。なんと、居ないらしいのだ、店主――】

そう? じゃあ、……ちょっとだけ待っててね。すぐに作ってきちゃう。
アレルギーのものとか、ある? 嫌いなものとか……、何かあったら、なんでも言ってね。

【軽いものを。その注文に彼女は、今あるもので、軽めのもの――と、緩く思考して】
【ざっくりメニューを纏めてから、そんな風に尋ねる。何かあるなら言えばいい、言わなくても、問題はなくて】
【それから裏へと入っていくのだろう。そうすれば、店の中には彼と――たくさんのお客さんだけ】

【もしかしたら誰かに話しかけられたりするのかもしれないけれど、まあ、そこは、――上手くやるしかないのだろう】
【けれど誰も彼に対して敵意を持っているわけではなく、ただ、あの少女がぼろぼろの男を引っ張ってきた――というので、】
【興味を惹かれているような感じは、あったのだろうけれど】

……――おまたせー、おうどんがあったからおうどんにしたよ、これなら、消化もいいし――。
おうどんで大丈夫だった? 駄目だったら後でわたしが食べるね、……。

【――さて、それから、十数分、或いは二十分程度の時間の後。再び姿を見せる彼女は、】
【さっきまでの服装に合わせてエプロンなどつけていて、それをひらりと翻して持ってくるのは、そして彼の前に置くのは】
【言葉通りにおうどんだ。あっさりめの出汁に、少し長めに茹でたうどんをあわせた――まあ、風邪引きさんに食べさせるようなもの】
【確かに軽めのもの。重たくない、おなか空いてなくても、それなりに食べられそうな――】
569 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 16:22:57.90 ID:1Hi48DVTo
>>568
き、気にしないでください、これは僕の問題なんですから!
ほ、本当!気にしなくていいです!匿ってもらえるだけでも嬉しいです!

(セリーナ……?そいつの名前は聞いたことがある…たしかここのリーダーだよな)
(そいつがいないって事は……ラッキーだな……言うほどラッキーか?)

【セリーナ───UTのリーダーである人間がこの場にいない、というのは吉報だ。こういう所のリーダーというのは、良くも悪くも厄介な存在にしかならないからだ】
【何より、多数の人間に顔を覚えられては商売あがったりだ、とにかく人員は少ない方がいい】

あ、特に無いです……お構いなく……

……はは、どうも
(なーに見てやがんだよ酔っ払い共!てめーらこんな所で飲んでる暇あんならパトロールでもして来いや!)
(正義漢気取ってんなら街の平和守れよ!出てけ!マジで出てけ!)

【特にアレルギーは無い───強いて言えば、この状況にアレルギーだろうか】
【ボロボロの人間が連れて来られれば気になるのは当然なのであって、声を掛けられたりじろじろと見られたりするのは必然。怪我の処置をしながら愛想笑いを返すが】
【心の中では自分を棚上げして、『さっさと失せろ』と心から願う、もしかしたらこの店の中にも一度騙した人間がいるかもしれないし】
【少女が帰ってくるまでの時間は苦痛以外の何物でも無かった、間が持たないとかいうレベルじゃあない】

……───ああ、どうもありがとうございます……似合ってますね、エプロン
これはまた美味しそうな……はは

【帰って来た少女にお世辞を言っておかなくては気が持たない、似合ってるとか言う割には少女ではなく、周囲に気を配るように視線を泳がせている】
【正直腹が減ってる減ってない以前に食事も喉を通らなさそうだが、それこそ言ってしまった手前食わなくては怪しまれるわけで】
【器用に箸を使ってうどんを啜る。こう言った他国の様々な文化は勉強済みだ】

……ところで…あの…差し出がましいとは思うのですが……
ここって……泊まる所もあります…よね?

【男は考えた、今この状況で抜け出すのが難しいなら、時を待てと】
【このUTに保護してもらう体でいながら、上手く怪しまれないタイミングで消えればいいのだ、そうすればゆっくり怪我も治せる】
【だがこれにはリスクもある…UTの内部にいるという事は、『そういった人間』に顔を覚えられるかもしれないという問題…内部にいながら、顔を覚えられるなというのは難しいかもしれない】
570 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 16:37:11.39 ID:Hb8kMIfC0
>>569

【ことん、と、うどんのお皿を置いて。似合ってるだなんて言われたら、少し照れるように彼女ははにかむのだろう】
【なんでも、普段着てる制服からエプロンだけ持ってきたらしい。黒布のエプロン、ひらりひらりとフリル飾りが揺れて】

ちょっと薄めの味にしてるから、あんまりに薄かったら言ってね。
……食べられそう? 無理はしないでね、その、――怪我してる、んだし。

【だなんて言うなら、なんだか、もう、病人相手の扱いみたいな感じになっているのだけど――悪気、ではなく】
【彼の座るテーブルの空き席に勝手にちょこんと座りながら。彼が手当てに使った道具の、ゴミでも出ていれば】
【それをくしゅくしゅとまとめて潰したりして――エプロンのポケットへと、突っ込んでしまうのだろう】
【流石に血とかの部分はそうはしないけれど。それはテーブルの上でまとめて、後で捨てるつもりのようだ】

ううんと……、奥にUTのひとが寝たりする場所はあるんだけど。
使っていいのかな、……ごめんね、明日セリーナに聞くから。それまでは、
……その、ここで寝てもらっても大丈夫? 

――――あ、大丈夫、今晩はわたしもここで寝るね。

【泊まる場所――それを尋ねられると、少女は、少しだけ、困ったよな顔をするのだろう】
【寝る場所はある。それどころか、すごくある。なんならお風呂とかもあるし、もっと大きなキッチンもあるし――】
【暮らしていける設備は余裕であるのだが、見知らぬ誰かを勝手に泊めていいのか。多分、駄目とは言われないだろうけれど】

【だから今晩だけは店(ここ)で寝て欲しいらしい。何が大丈夫なのか、自分も一緒に泊まっていくから、なんて宣言して】

そうだ――、お兄さん、お名前は、なあに?
わたしはね、りんねって言うの。鈴の音って書いて――鈴音。

鈴音・シュトラウス。

【テーブルの上でなんとなしに指を弄んでいた指の動きが止まる。それなら、ふっと、思いついたように】
【尋ねてくるのは彼の名前だ。すぐにころころ笑いながら自分の名前も告げて、鈴音というらしい】
【鈴の音みたいに澄んだ声の彼女には似合いの名前だ。――異国風の苗字は、薬指の指輪のせいらしい】
571 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 16:50:32.08 ID:FxxsOrV3o
>>537これで待機します
572 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 17:01:22.74 ID:1Hi48DVTo
>>570
ここで、ですか…あ、いえ、嫌なわけじゃあないんです、有難い事だ……
その…少し、落ち着かない、かな……なんて……

【宿泊用の部屋なんてのがあれば、そこの窓からでもいくらでも抜け出せたかもしれない。だが、まさか店の中でとなると難しい】
【表口から出れば当然目立つだろうし、裏から回ろうにも内部事情を知らないので迂闊に裏口を探しにはいけない、それに奥にはメンバーが宿泊してると言うじゃないか】
【オマケにこの少女も一緒だと言うのだから難易度が上がる、下手な動きでは気付かれてしまう】

(考えろ!考えろ俺様!!もたもたしてるとUTの奴らにツラ見られちまう!)
(さっさと抜け出すには……客も消えてこのガキが寝た頃に、窓から路地裏に出るか!?)
(とにかく『チャンス』を待たなくては!それまでごまかし切るしか───)

───へ!?な、名前!?
え、えーと……エース・セブンです……

(……ハッ!?)

【思い付いたように問われる言葉、そういえば名前を聞いてはいないし、言ってはいなかった】
【思考の方に頭をやっていたから、突如問われたそれに素っ頓狂な声を出して、それから名前を告げたが…気付いた時にはもう遅い】
【やってしまった、今まではどんな状況であろうと隠さず名乗っていた、それは自分の事を知らしめたいからであり、名前を隠さない事が自分の潔さの誇りに繋がったからだ】
【この状況で誇りとか自己顕示欲とか出したって損にしかならない事くらい、バカだって分かる。だがしかし、言ってしまったのだ、ついつい癖で】

あ!えーっと今のはその…名前!名前……なんですけど……その…
…余り、僕の名前を伝えたりしないで欲しいんです……ここにいるってバレたら皆さんが困りますから

【誤魔化そうとしたが、今更誤魔化したって怪しくしかならない、それっぽく理由を付けたして、せめて名前がUTに広まらないでと願うしかない】
【なんだかんだ言って無意識のうちに出された物を平らげていたエースは、満腹とか気付かれとか後悔とか、色々入り混じった溜息を吐いた】
573 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 17:12:15.28 ID:Hb8kMIfC0
>>572

エース……、うん、エース、ね。
他のひとに言わないのはいいけど……、あとでセリーナにだけはお話しておいていい、?
危ないものね、殴ったりしてくるひとたちなんでしょ、そのひとたち……。

……何かあったらいつでも来ていいからね。

【慌てる彼の様子に、彼女は、きっと、きょとんとした目をしていた。だけど、“それっぽい理由”は、】
【それっぽいがゆえになんとなく信じられて。そっかあなんて吐息一つ、それから提案するのは、そんな――】
【“セリーナに言っておいたほうがいいかな”なんて、ひどい話だ。悪意がないからこそ、厄介で、面倒な、提案】
【何かあったらなんて言うけど、多分もう来ない。そんなの知らず、彼女は、あくまで彼のことを気にかけ】

でも……、大丈夫だと思うけど、あとでちゃんと病院、行ったほうがいいよ。いけるなら、だけど――。
……わたしね、病院って嫌いなの。だから、行きたくないし、行かないけど……。

あ。……全部食べられた? よかった、じゃあ、えっと――お店が終わるの、もうちょっと後だから。
それまでゆっくりしてていいよ、何か食べたいものとか、飲みたいものがあったら、言ってね。

【病院にも行ったほうがいいよ、なんて言うのだ。少なくとも自分は絶対に行かないし、行かないのだけど】
【一般的なひとは怪我とかしたら病院に行くのくらいは知っている。だから、そんな風に告げて、――ふと、】
【空っぽのお皿に気付いて嬉しそうな顔をする。それから、そのお皿を提げ様と立ち上がりながら】

【お店が終わるまで、そこでゆっくりしてろとのことだった。――ひどいはなしである】
574 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 17:26:49.48 ID:1Hi48DVTo
>>573
ははは…そうなんですよ……奴ら思い切りぶん殴って……はい
…はい、そうですね……お願いします

【そりゃそうだ、面倒事を持ち込んでおいて、トップの人間にも内緒にしろだなんてのはおかしい】
【鈴音一人に抱え込ませるようにしたって、きっと怪しまれるに告げ口されるに違いない、ならば怪しまれるのだけは避けるのが取るべき手である】

【だが───そんな中にも、光はあった】

(…『店が終わる』だと!よし!ここにも閉店はあるんだな!?)

【『店が終わるまでゆっくりしていろ』という事は、この店は年中無休24時間営業ではないという事───つまり、チャンスはあるという事である】
【店が閉まり、客が消えてから、それから鈴音が眠ってしまうタイミングを計り、逃げ出せばいい。少なくとも道はある】

そ、そうですね……病院、行った方がいいでしょうか、やっぱり……
……ああ、安心したら少し疲れが……ちょっぴり、休みま……す……───

【だからって、下手に客と接したりしていてはボロが出るかもしれない、その時まで黙っていても不審がられるだけだ】
【安心から、眠気がやって来て寝落ちしてしまった……風を装い、テーブルに突っ伏して寝たフリをする】
【いかにも何か有り気な人間がこうして眠っているのだ、わざわざ叩き起こすような事はされるまいと高を括り、『時』が来るまでこうして待つ事にした】
575 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 17:28:40.09 ID:Q4Z90B9DO
>>537

【──「かー」 また、カラスがひとつ哭いた】
【陰り始めた陽光。烏の慟哭。青年の嗚咽。それら総てが、「善からぬモノ」を引き寄せるトリガーとなる】
【時刻は夕方──暗闇が日の光を押し退け、夜が蠢き始める刻だった】


──ふふ、随分と嘆いているようねぇ……
何があったのかしら……若き、「主人公」さま──?


【ずるり──彼の座るベンチの「影」が、揺らめいた】
【水面に石を投げ込んだかのように、影はゆらりと嗤う】
【そして──1人の女が、影の中から姿を現したのだ】

【長い長い、黒の髪。宝玉のように紅い、両の瞳】
【夜闇で染め抜いたが如き夜会服に身を包んだその女は、囁くように言葉を紡いだ】
576 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 17:42:33.75 ID:Hb8kMIfC0
>>574

そのひとたちのこと、分かる? ……ううん、分からなかったら、いいんだけど――。

【とりあえず、セリーナには伝える方向で話は固まっていく。それなら、と、彼女は“彼ら”のことも聞きたがるが】
【分からないならそれでもいいというので、無理に設定を練ったりしなくてもいいようだ。ただ、分からないと答えればいい】
【どちらにせよ彼女は納得して――、うんうん頷いている。悪い子ではないのだろうが、少し、――抜けた感じはあり】

それまではちょっと賑やかなの、我慢してね――、
大丈夫、喧嘩とかにはあんまりならないから。安心してて、いいよ。

【なんて――言うのだから、やっぱり、閉店はあるのだろう。安心してて――なんて、そ知らぬ顔で】

あ――うん、じゃあ、毛布持って来るね。おやすみなさい。

【それから、彼が眠ると言い出すのなら。そんなことを言い出すし、実際、数分後に毛布が掛けられるだろう】
【暖かめに設定された暖房の風、ふかふかした毛布の暖かさ、本当に寝入ってしまいそうになる、そんな温度だけど】
【寝入らずに待っていたなら、一、二時間後くらいに、最後の客も居なくなって、店内はしんと静まり返る】

【しばらく彼女が店じまいなどしている気配もあったが――それも、また、しばらく放っておけば消え】
【椅子に腰掛ける音とちっちゃな吐息の音を最後に、店内にはしんとした静寂の帳が下りる。彼女も、また、寝入ったようで――】

【――そっと顔でも上げてみたなら、目の前におにぎりが二つと、「おなかすいたらたべてね」の書置きがあるのを除けば、】
【問題なく店から出ていけそうな様子だった。問題の彼女も、机に、思い切り突っ伏して、既にすやすやと寝息を立てており】
【一度寝入るとなかなか起きない性質もあって、――多少なら音を立てたりしても、大丈夫そうなのだけど】

【店の奥へ行く扉は鍵が掛かっていて、レジのお金とかもしまわれたあとだ。盗めそうなものは、特になく】
【お店用のじゃがいもとかなら盗めそうだけど――金目になりそうなものは、残念ながら、ほとんどないようだった】

【結果、手に入りそうなのはおにぎりだけ。なんていう、ひどい、しょっぱい結論になりそうで――】
577 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 17:51:07.64 ID:FxxsOrV3o
>>575

【腕を通したインバネスの袖で、目尻を拭う。】
【それ自体はなんら自然的な、有り体な行為。】
【ただそれがきっかけで、ふと聞こえてきた声と眼下に見えた異質な変化が一致した。】

うおッ!!── ぐぇ

【驚き、下方からの出現から逃れるように、上体が後ろに退けて──】
【がこんッ!! 思い切り地面に頭をぶつける──。】

──なんだお前わ ! 急に出てきたらびっくりすんじゃねーか ! こちとら"子供に戦闘で負けて"傷ついてるんだからもうちょっと空気を読んだ現れ方をだな…、ええ…、したほうがいいだろぉ ?

【無能力者の時分であれば、当然恐れて逃げ出すような事態。】
【ただ能力を手にして、戦闘を経験して──、強気な態度でダメ出しできるくらいには肝が座っている。】
【とはいえ、その異様さ──徐々に言葉が弱くなっている。】
578 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/05(木) 18:05:33.66 ID:1Hi48DVTo
>>576
【下手に喋り過ぎればボロが出る、架空の借金取りの事についてはとりあえず『わからない』と首を振っておいた】
【人を殴る借金取りなんてこの世界にはいくらでもいる、もっとひどい奴だって。だから特定しようにも数が多過ぎるし、実際にいないのだから、結論は闇に飲まれるだけだろう】

【後は、その時間まで寝たフリで時間を稼ぐだけ、それまで延々と策を練りながら、耳を澄まして情報を探す】
【其の内雑談の声も少なくなって来て、暖かい毛布の緩やかな重さとか空気感もあって段々と気が遠く───…】


……───ハッ!

【目が覚めた頃には、すっかり暗くなっていた。店の中は電気が消えていて、人の声もない】
【どうやら眠ってしまっていたようだが、いい具合の時間に起きたようだ、近くで聞こえる寝息の方に視線を向けて、よく寝ていると確認する】

…あぶねぇあぶねぇ……だがどうやら、いいタイミングのようだな…

【右手で自分の髪を撫でて、眼鏡をあげると、静かにつぶやきながら席を立つ】
【この様子なら、店を出るどころか何らかの物品だって盗んでいけそうだ、何、鍵ならこじ開ければいいのだから】
【それに、何しろ正義の組織である。それなりに良い物だってある筈で…】

さーて、と……

【これだけ苦労させられたのだから、収穫無しだなんてそんな事、納得行く筈がない】
【夜目を効かせて辺りを探し、金目の物はと見回したその先に、見付けた物は───】

【───それからややあって、店の中には鈴音が一人残された、鈴音には毛布を一枚かけられていて、店の中からは『あるもの』が消えている】
【店の中にエースの姿はもう無いが、正門からは『おにぎりを食べながら出て行く白スーツの男』がいたとかなんだとか…】

/お疲れ様でしたー
579 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 18:08:27.96 ID:Q4Z90B9DO
>>577

【ず、ず、と徐々に徐々に、女は影から姿を現していく】
【陽光など知らなさそうな白い喉。触れば逃れられなくなりそうな、鎖骨】
【形のよい乳房は夜闇のドレスに包まれ、艶やかな長髪は腰ほどまで伸びていた】
【──ずず、ずず。ようやっと、女の全身が影から出てくる】
【背の高い、女だった。夕闇をヒトガタにすれば、このような姿にでもなるのだろうか】


……ふ、ふ──これは失礼、「主人公」さま
でもえらいわね……子供に戦闘で負けて「あげた」のでしょう──?
それとも……本当に、負けてしまったのかしら……


【う、ふ、ふ、ふ、ふ────女はそっと、嗤った】
【くく、と白い喉が鳴り、紅い瞳がゆぅるりと躍る】


……ねぇ、「主人公」さま──
あなたはどんな負けかたを、したのかしら……?


【ゆらり。街灯の瞬きにあわせ、長く伸びてきた影が揺れた】
【女の笑いは、漏れた吐息のようだ。気を付けねば、すぐに空気に溶けてしまう】
【ゆらり。女が、青年に腕を伸ばす──細い指を、彼の首筋に這わせようとしていた】
【ふふ、ふふ……囁くように、女が嗤った】
580 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/05(木) 18:10:45.20 ID:Hb8kMIfC0
>>578

【低めの温度で設定した暖房と、掛けてもらった毛布。なんとなく薄暗い室内に、カウンターの中の明かりだけがついていて】
【或いはとっても寝心地のいい――間違いだった。この少女、いつでも、どこでも、最悪誰とでも眠れる性質で】
【それはもう、熟睡――起きるのは、他のメンバーが起きる頃、その後、店のほうへ顔を出してくる頃】

【起こされた彼女はしばらく寝ぼけ眼で借金取りがどう、とか、こう、とか、言っていたものだけれど――】
【説明してもらおうとして探したエースの姿は、どこにもない。そのついでみたいに、おにぎりも消えていて】
【帰ってしまったらしい――と気付けば、少ししょんぼりとするのだ。机の上、ぐでーっと、身体を預け】

ちょっぴり、へんなひとだったな…………――。

【なんて呟き一つ。数分後には、また、すやと寝息が聞こえてくるのだから――なんとも、平和な終わり方だった】

/おつかれさまでしたっ!
581 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 18:21:11.94 ID:FxxsOrV3o
>>579

お、おお…。

【彼もまた俗物、スタイルのいい所謂美女についつい見とれる。】
【主人公を自称するくせ、結局の処凡夫に等しい。】

【──だが、彼もまたほんのりとプライドが湧いてきた身であり、】
【最近できたばかりの心の傷を撫でられるような真似をされれば、少しばかり不愉快に感じるようである。】

【──して彼は、己の手のひらに1Mもある嘴のみを出現させ掴んだ。】
【自身の首もとへ伸びる女性の手。嘴で軽く振り払おうとしては、】

  ── 負けてねェよ、あいつは俺を殺しにきた。俺は死んでない。つまり負けてない。
前言撤回。俺は負けてない。ただ勝てなかった≠セけ。俺は主人公だから次はちゃんと勝てるぜ。(まあちょっと嘘だけど)

【正確には、金と食料を奪われそうになり、戦闘に発展し、命が危なかったので金を手放して逃げた、】
【つまり、負けてはいるのだがバレやしないということで自分のちっぽけな矜持を守るための嘘。】
【女性の挑発に応じるように「お前には多分負けないね。」と負けたこと前提とした内容の、今の嘘に抵触する発言を次いで述べて──】
582 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 18:40:08.62 ID:Q4Z90B9DO
>>581

【はたり。手首に嘴があたり、拒絶の意図を明確に示されれば】
【──ふふ、と。女の口元が、愉悦に歪んだ】


……私「には」──ねぇ……?
ふふ……でもいい心掛けよ──? 死ななければ負けないというのは、ね……


【つつぅ。払われた手首に、そっと女は舌を這わせた】
【まだ若い、味がした。だが──このままにしておくには惜しい味だとも女は思った】


なら……試してみましょうか──?
あなたが、ちゃんと……「勝てる」のか……
ふふ、ふふふ──そう、あなたが、ちゃあんと、私を、「殺す」ことが、出来るのか

相手を負かすとは、そういうことよ──「主人公」さま……
臓物を撒き散らし、鮮血にまみれ、脳髄の香りを吸う……
──あなたは私に、そんなことができるかしら……?


【ふふ、ふふ──そう、女は嗤う。青年が己の言葉にどう返すのかが、愉しみでならなかった】
【ふ、ふ、ふ、ふ、ふ。女は嗤う。何故だかひどく、この場は愉快なものだった】
【ふ────ふ、ふ。女は、嗤う。ベンチの影がすぅと伸びる】
【その伸びた影が、青年の背後から、彼を羽交い締めにしようとしていた──影術士、か】
583 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/05(木) 19:01:51.13 ID:cZ4WrMRoo
【路地裏】

【薄暗い通路には血と硝煙の鼻をつくような臭いが充満していた】
【通路のあちこちには奥に行くにつれて破壊の痕跡が続いていた。地面には血が飛び散り、破壊された壁の破片がばら撒かれ、所々に折れた剣や水晶の槍が刺さり、真っ二つにされた岩の壁が薄明かりで浮かび上がっている】
【爆音に金属の衝突音が響く。怒号に絶叫が更に続く。戦闘はまだ終わっていなかった】

【爆発。衝撃で地面が砕け破片が飛来。大きなダストボックスに次々と突き刺さり後ろに隠れている男の身体まで揺らす】
【隠れている男の手元には巨大な剣。刃渡一二一センチメートル、幅は一五センチもある。柄を持つ手には厚みがあった】
【袖の上からも分かる鍛え上げられた筋肉に覆われた腕、上腕がそれに続き、更に分厚い胸板に太い首が暗がりに浮かぶ】
【安手のシャツとジーンズ、ハーフコートに身を包んだ、典型的な剣士の肉体だった。男は一八五センチメートルという長身を何とかダストボックスの影に収めていた】

 いや、やる気のあることで……

【男の口が苦々しく呟いた。若くも老いてもない、三十歳前後の東洋人の顔つきだった。絶え間ない爆発がダストボックスを揺らし男のすぐ隣を岩の槍や銃弾が飛び交っている】
【ダストボックスの向こうには数人の男女が怒号を挙げながら攻撃を続けている。対して剣士側はただ一人だけ】
【追われているのかと言えばそうではなかった。むしろ賞金首となっている集団を剣士が追う側だった】

 さて、と

【大剣を片手で軽々と持ち上げダスクボックスの影から切っ先だけを通路に突き出す。刀身を鏡代わりとして通路の先を確認。敵の位置を記憶してすぐに剣を引き戻す】
【同時に男は魔術を発動。水晶の槍を数本生成して射出。通路の先で魔術を撃とうとしていた男と女の両腕を正確に撃ち貫く】
【続いて物陰から飛び出し疾走。彼我の距離を瞬時に詰め切り、仲間の負傷に驚いている魔術師の両足を一閃。血が切っ先に誘われて半円状に飛び散る】
【間髪入れずに隣にいた大男の胸に捻りを加えた右掌底を打ち込む。二◯◯センチ近くある巨体が吹き飛び壁に衝突。気を失って倒れ込む】

【四人の魔術師が地に倒れ伏していた。男はため息をつくと剣を肩に担いだ】

 あとは警察に引き渡すだけだな。死にたくなかったらこれ以上、悪いことはするなよ

【倒れた四人全員に向かって男は言って、コートの中から携帯を取り出して耳に当てる】
【男の足元、脚を斬られた魔術師が持っていた杖を背中に向ける。その先では魔力の燐光が輝く。剣士はそれに気づいていない】
584 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 19:05:22.98 ID:FxxsOrV3o
>>582

──そうか…。

【思いもよらなかった──。】
【死ななければ負けない…。ということは殺さなければ、勝ったことにはならない。】
【至極当然の理屈。勝ち負けの基準が死生ならばそうなる。】
【単純明快、だが当然彼には[ピーーー]覚悟なんてないし、死ぬ覚悟だってもちろんない…。】
【生きる道を探るように、女性の発言に対する言い逃れを探す──。】

いや──そうだな…。今決まった。俺にとっての勝利=c。
──今からお前を、「俺には絶対勝てない」と精神ごと屈服させてやる。

【彼の答え。[ピーーー]のではなく、精神ごと戦闘不能にさせる──。あまりにも困難な勝利の定義。】

【彼は戦闘体制を取った。】
【──戦闘の基本。まずは相手の情報から考えうる相手のスタイルを探る。】
【先ほど彼女は『影』から姿を現した。女性には動きがないが──】
【影が相手の能力の基ならば観察の対象は影──当然気づく。不可思議に動く影に──!】

(──なるほど、十中八九こいつは影を自在に操れる。影の中に入れるのも先ほど実証済み…。)
(やべえな…。タイムリミットは、陽が落ちるまで、ってことか…ッ。影なんてなぁいたるところにあるが、夜になれば…、)──ッ!

【奇襲に気付き、女性へ向けて駆ける。接近に成功すれば、嘴の先で女性を突こうとするだろう。】
【──殺さない≠ニいうルールをとってしまった以上。彼は相手に必要以上のダメージを与えられないとなる。】
【しかも相手の体躯は華奢。攻撃が成功すれば、致命傷になりかねない。】
【故に、手加減せざるを得ない。一撃で仕留めうる胸や喉元ではなく、四肢を目標にするしかない。】

【困難な、困難な勝利の定義。愚直に守りながら、彼は相手の足へと突き立てようとした。】
585 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 19:31:34.81 ID:Q4Z90B9DO
>>584

【影は青年を掴むことなく、ぬるりと溶けて元の影に戻る】
【──しん。まるで変化などなかったかのように、ベンチの影は静まりかえっていた】

【青年の考える通り──夜になってしまえば、影は至るところに現れる】
【電灯。家の窓。店の電飾。ほんの僅かな灯りから、影は長く長く伸びるのだ】
【故に──彼にとっては短期決戦が望ましい。逆に、女にとっては周囲が暗くなるまで待てば、それでよかった】


……それは楽しみだわ、「主人公」、さま──?


【武器など、女は持っていない。それは服の上からでもはっきりと分かることだった】
【彼女が使えるものは、影と、己の肢体のみ──武器のある男と戦うには、不利かもしれなかった】


【弾かれるように向かってくる青年。それを見て、女は何もしなかった】
【殺さないという相手のルールを逆手に取った行動だった。──そう、彼は彼女を、「殺せない」】
【だからこそ、何もしない。防御も、回避も】


……っあ、──あ、は……! ん、ぁあ──……!
そんなモノをオンナに突き立てるだ、なんて……っく、ふぅ────
さすが、主人公さま、といったところ、かしら、ぁ……ぁ、あっ!


【彼がそのまま嘴を脚に突き立てれば、どろりとした液が彼女に穿たれた孔から溢れ出す】
【びりりと背筋からくる感覚──あまりの衝撃に、女は堪らず声を漏らす】
【ぬるりと脚の間を伝う、粘性のある液体は、ぽたぽたと、地面を黒く湿らせていき──】

【──青年と女との距離は、ちょうど嘴の長さ分だけ。女が腕を伸ばせば、簡単に届く程】
【ふふ、と女は嗤い、声をあげて腕を振るう】
【「あ、はぁ──」 影で鋭くコーティングされた「爪」が、青年の首筋を切り裂こうと彼に迫っていた】
586 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 19:37:57.46 ID:FxxsOrV3o
>>585
/ごめんなさい、夕飯食べるので遅れます
587 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs :2015/02/05(木) 19:39:01.92 ID:Q4Z90B9DO
>>586
/了解でっす
588 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 20:15:50.07 ID:FxxsOrV3o
>>585

(卑猥ッ…! ) ふッ!(じゃなくて──近距離なら、こっちのが有利だろッ! )
(ダメージには受けていいダメージと受けちゃならねェダメージがある、)
(相手のダメージは現状受けちゃならねェダメージのはずだッ!)

【相手の喘ぎ──何もおかしなことはしていないのに俗物の心を揺さぶる。】
【一息強く吐いて、揺れる思考を即座にまとめれば彼は手に持つ嘴を消失≠ウせた。】
【距離は近接。そして今が勝負を決める機、ここを逃せばもう勝ちはない。そんな状況──。】
【彼女の機動力は落ちている、そして二人の間は腕力が物を言わせる距離。】

行くぞッッッッ!!!!!

【この距離で怒号のような叫び声。相手を怯ませれば御の字というそれだけの行為。】
【同時、彼は片手の手のひらで彼女の振るわれた爪を受けた。鋭利な爪は容赦なく彼の掌を貫く。】
【その上で彼はさらに距離を縮めようとする──互いの能力が無意味な段階まで。】
【そして──彼は彼女の華奢な腹部に、渾身のボディーブローを放とうとする。】
589 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 20:20:57.61 ID:FxxsOrV3o
>>587
ただいまもどりましたっ
590 :リーベ ◆my2He3rcPs :2015/02/05(木) 20:31:29.41 ID:YuFcS2060
>>589
/ごめんなさいちょっと次遅れます
591 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 20:33:16.99 ID:FxxsOrV3o
>>590
了解ですッ
592 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 21:18:47.88 ID:Q4Z90B9DO
>>588

【──ず、と爪が肉を捉えた。柔らかな肉と硬い骨を貫く感触が、影を通して伝わってきた】
【首筋への一閃を避けられてしまったことは残念だったが、それでも攻撃が通用したのは幸いだった】
【ずるり──彼の抵抗さえなければ女は影をゆるりと伸ばし、貫いた彼の手と自らの手をしかりと繋ごうとする】
【繋がれれば最後。影は手に絡み付き、無理に引き剥がそうとするならば右手は裂かれてしまうはず──!】


【怒号を真正面から受けても、女は細かに身体を震わせるのみ】
【意識は僅かに逸れたものの、怯んではいなかった──むしろ、吐息が増えるのみ】
【そして距離が縮まってしまえば、彼女になす術などなにもない】


────っう、あ、が……はぁっ……!!
ふ……ぐ、……ぅ、ん……ぁ、あっ────!!


【ぐ。彼の拳が、吸い込まれるかのように柔らかな腹部にのめり込む】
【は──! と肺から空気が絞り出され、酸素を求めてひゅうと苦しげに女は悲鳴をあげた】
【体力的な限界なのか。彼の攻撃を受けきった後は、女は青年にしなだれ掛かろうとしており──】

【──ここまで、抵抗らしいことは「爪」の一撃のみ】
【青年を挑発して、ただのこれだけで女がすませるとは考えにくかった】
【そのことに彼が気付ければ──女の行動がおかしいことが分かるか】
【そう……ただですませるはずが、なかったのだ】


【彼に正面からもたれ掛かることが出来れば……はぁ、と女は息を吐いて嗤う】
【嗤った口元から覗くのは、尖った4本の牙、だった】
【女はその牙を青年の首筋に突き立て、血を啜るつもりなのだ】
【つい先ほど、双方の手を影で繋ぎ止めようとしたのは──この行動を妨害させないためか……!】
【僅か1ccでも男の血液を味わえれば、彼女は彼から離れるだろうが──】
【そもそも影による手首の拘束及び彼の首筋への一咬みが失敗すれば、ふらつきながら彼から距離をとるはずだった】

/大変遅くなってごめんなさい、今戻りました!
593 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk :2015/02/05(木) 21:30:47.12 ID:FxxsOrV3o
>>592

【掌に受けた攻撃、これが先の彼の思考にあった言葉を用いるならば、】
【受けてもいいダメージ≠ニいうことになる。掴み離さなければ距離は保たれるからだ。】
【嘴による攻撃にしか手札を持たない彼にとって、離れればそれこそ影の餌食。 】
【是が非でもこの距離を保つ必要があり、そしてそれのみ十分だと考えていた。】

【──彼の誤算は、女性の攻撃を影によるもののみ≠ニ決めつけたこと。】
【「彼女にはそれ以外の手札はない」──そう決めつけてボディへのダメージを決定打にすべく、】
【もたれかかった彼女の腹部へ、再び拳を離し、連打を行う。】

──な…!

【それが成功しても、しなくても──、女性による吸血は免れない。】
【例え連打を浴びせても、噛みつくという行為自体は容易い。】

【──拳が、止まった。これもまた悪手。しかし予想外の事態に正確な考えは付かない。】


/おかえりなさい!
594 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/05(木) 21:48:49.65 ID:GJo8SSPfo
【UT】

【今や正義のアイコンとなったUNITEDTRIGGER。んで、ここはその事務所】
【パッと見単なるウェスタン調の飲み屋何だけどそうだってんだから仕方ない】

【ドアが開く。人影が中へと足を踏み入れる。長い影が伸びる。中は静かだ】
【来客どころかメンバーすら居ない。まあ忙しい場所だからそう言う日もあるのかもしれない】

おーい……誰も居ないのかよ…ったく。なら、鍵ぐらいかけとけって

【その影はしゃがれた若い男の声を発する。臆すること無くどかどかと中に侵入して】
【片手に持っていた革のカバンをカウンタの上に置いた。ポケットから煙草を取り出して火をつける】

【背の高い痩せた男だ。顔にサングラスをかけ、茶の三つ揃えのスーツと高級な腕時計を身につけている】
【そいつはくわえ煙草のまま、カウンター内にずかずか入って、灰皿を探す。ついでに冷蔵庫も勝手に開ける】

やっぱ、ラガーしかねーじゃん…スタウト置けって言ったのに…まーいいや

【そう言って勝手に持っていく。ついでに棚もあさって一分以内に高そうなオールドバーボンを発掘する】
【棚の影にコッソリあるんだから大事なもののはずだが男は気にしない。ショットグラスをストレートであおる】

【この男がメンバーかって言ったらNOだ。でもファミリーかって言われるとそれなりにYES。とは言え知らない人間が】
【見れば不法侵入者であることには変わりない。泥棒でもある。いや実際………】

【なお、余談ではあるが丁度24時間前にここから遠く離れた歓楽街にあるカジノが襲撃された】
【被害は金庫に隠してあった宝石類。警察が到着するまでの10分間で犯人たちは逃走した】
【警備員は縛られ、客達は事件に気づくこともなかったらしい。所謂、プロの犯行だとニュースは言った】
595 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 21:50:34.56 ID:Q4Z90B9DO
>>593

【ご、ご、ご、ご、と腹部に拳が入っていく】
【それでも──彼女の身体は彼から離れない。彼もまた、それを望んでいなかった】


……ん、ぐ──ふっ、っつあ……は──ぁ、あっ……!
ふ、ぅ────は、……、く……

──あぁ…………おい、し……


【腹部を攻撃が抉る。だが、牙は首筋に確かに届いた】
【殴打を繰り返されれば、先ほど穿たれた傷からずるりと体液が溢れ落ちていく】
【けれど、一度吸血行為に入ってしまえば、女は攻撃も傷も気にすることなく、喉を鳴らして血を啜るのだ】

【分かるだろうか。己の身体から、血が抜かれていく感触が】
【感じるだろうか。血を喰われ、啜られていく感覚が】
【例え対象が血液であろうとも──女の行為は「捕食」に値する】
【己を喰われていくというのは……彼にとっては、どう感じるもの、なのだろうか】


【──青年が死なない程度に血を喰らえば、女は自ら手の拘束を解き離れようとする】
【ふらふらと足取りが覚束ないあたり、確かにダメージは与えられているのだろう】
【だが、きっと彼女にこれ以上戦闘を継続する体力は残されていない】
【──彼が追撃をしないのであれば、そのまま彼女は近くの影に逃げ込むつもりだった】
【もっとも、その前に交わす会話があれば、返事をするのだろうけれど】
596 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/05(木) 22:00:32.64 ID:FxxsOrV3o
>>595

【相手が吸血している最中も攻撃をするのが好手】
【ただ攻撃を止めた迷いが、吸血による脱力≠ノ導き、追撃を封じていた。】
【──彼女が離れる、見た感じこれ以上のことはなさそうだ。】
【今彼女に攻撃する気概は見えない。…補食ではあるが、自分は殺されてない。】
【彼女にとっての勝利の目標が此方の血液を食すことならば、この勝負は負けたことになる。】

【──少しだけ、呆気になる。】

──…お前そういえば、俺のこと殺すっつってないもんな…。
一ついいか? お前の吸血による、その、後遺症とかってないよな…?

【血液は捕られた。実際屈服もさせられなかった。】
【実際問題は、負けに等しい──。】
597 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/05(木) 22:18:55.24 ID:Q4Z90B9DO
>>596

──ふ、ふ。本当は、もっといろいろと、したかったのだけれど
残念ね……あなたから血を差し出してくれるのが、理想だったのに
けれどこうなった以上は、仕方ないわ……ふ、ふ、ふ


【ゆらり、ゆらり。女が、影に近付いていく】
【太陽は、もうほとんど沈んでいた──すでに影が、多くなりつつあった】


吸血されれば変化するのは──お伽噺よ
もっとも……あなたがそれを望むのであれば……ふふ。圈族に成るのは、不可能では、ないわ

──もう、月が昇り始める頃合い
今日はこれでお暇させていただくわ
私はロゼッタ──ロゼッタ・ルゥ……
次に逢う時は……イイ事ができるといいわね──


【口の端に残った血液を、ぬらりと舐め取る女。その表情は、少しだけ残念そうなものだった】
【食事は出来たものの、その「過程」は彼女にとって満足いくものではなかったらしい】
【それでも、これ以上女はこの場に長居するつもりはなかった】

【一歩、影の中に踏み込む。少し、女の身体が沈んだ】
【ふふ、ふ──最後にそれだけ嗤ってみせると、彼女自身が幻であったかのように、女は姿を消したのであった】

/この当たりでっ
/ありがとうございました、お疲れさまでしたー!
598 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/05(木) 22:25:24.79 ID:FxxsOrV3o
>>597

【ずずず、彼女の躯が闇に沈む。】
【なんだか今の戦いが、なかったことになっているような──…】
【ただ首の歯の跡と、掌から流れる血液がリアルを表していた】

──まーた負けちまったよ…、

【自身の首もと袖でぬぐいながら、そうぼやいて立ち去った】

//お疲れさまでした!!
599 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 00:04:55.10 ID:AuGakuQl0
【――――櫻の国。封魔城と呼ばれる其処の近辺。城からそう遠く離れていない雑木林】
【封魔城自体がが古来より悪しき妖怪を封ずる場所として活用されていたが故に近寄る妖も少ないのだけれど……】
【今宵は其処に一人の姿。巫女装束を纏った妖狐、か】
【首に下げた翡翠の首飾りから漂うのは“聖”。其れはこの妖怪が悪しき存在では無いと知る判断材料にもなるのだけれど】

【ぼう、と見上げるのは木々から覗くことが出来る月】
【……何をしている訳でも無い。否、だからこそどことなく“違和感”を覚えさせるだろうか】


【妖狐を中心に広がり行くのは強い妖気】
【やがて雑木林の全てを包んだならばゆっくりと濃度を増して行き――――】
【その気配、例え遠くで在っても感じ取る事が出来よう。果たしてその原因を見つけた者が悪と決めるか否かまでは分からないが】






【昼夜問わずに繁盛を続ける喫茶点。其処の一角に何とも不釣り合いな姿が一つ】
【その者は所謂修道着を身に纏い、みっともなくテーブルに突っ伏しているのだから尚更目立つもので】


「あー……疲れたー…………。もっとこう、派手なら良いけどずっとこそこそとしてるのはやっぱりボクの性に合わないってば……」

【まだ湯気の立つコーヒーとケーキを側に置き、一人愚痴ればだらしなくその状態でコーヒーを啜り】
【愚痴が終われば深い深い溜息と共にまたテーブルの上で伸びるのだろう】
【周りの客がヒソヒソと話して居ても構う事無く其れを貫いているのだから大したもので】

【――――さて、不幸にもこの店は修道女の向かいの席を除いて満席。詰まり、必然としてこの女の向かいに座らなければいけなくなるのだが】
【声を掛けるならば気怠そうに「どうぞー」何て言うのだろうし、無言で座れば向かい側からジットリとした視線を注がれる事となろう】

/長い時間は難しいかと思われますが……
600 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 00:10:02.39 ID:jiMWUxQAo
>>594

――おいおい、折角悪天候で客がいねーからサボってたのに
普通の客よりも面倒な事してんじゃねェよ。……俺にも一杯寄越せ

【そんな声が上がるのは奥まった客席から。目を向ければ、むくりと起き上がる人物が居て】
【髪は赤く、肩に掛かって余る程度の長さ。深紅のジャケットと白いレギンスを穿きこなし】
【その背はブーツも合わせて170cmとちょっとはあるだろうか】

【一見すればモデルのような外見なのだが――いかんせん、態度が悪かった】
【此処の店員であろうに暇に任せて寝ていたり、客に暴言を吐いたり酒を要求したり】

……つーか久々だな、まだ生きてたとは驚いたぜ
幽霊じゃねェかどうか、殴って確かめてみても良いか?

【――というのも見知った顔だからなのだが。すたすたと彼の方に向かって行くと】
【途中でロックグラスを手にしてから、ニヤリと笑って彼に向かい合った】
【黄土色の瞳は相変わらずぎらりと力強く、なんというか――既に酒の匂いが幾らかしていた。】

/まだいらっしゃいますかー?
601 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 00:21:35.37 ID:0jkyXERX0
>>599

おねーちゃん、そういうのね、お行儀が悪いわ! メッ、なのようー。

【――聞こえてくる声は、多分、聞き間違いでなければ、どうにも幼子のもののように聞こえたことだろう】
【それも、就学しているのかも悩むくらいの、幼子の声だ。性別まで気にするなら、女の子だ、ともきっと分かり】
【もしそれで修道女が視線を向けるなら――そこに立つのは、なんだか怒ったように腰に手を当てて】
【まるで妹の不始末を叱る姉のような(ふりをしているだけで、実際は、もうちょっと、物足りない)態度の、女の子】

【クリーム色の髪はくしゅしゅっとした猫っ毛、サイドテールに纏めても、大人しく垂れるというよりか、ふわふわとして】
【眼は大きくて少しタレ気味、真夏の抜けるような青空とおんなじ色をした――蒼穹色の眼。右目の下には、】
【紫色で蝶の刺青が成されていて、それが、少し違和感なようだったが。……それより、幼子が一人歩きしている違和感】
【服装は黒と白を基調にしたゴスロリめいたもので。靴は厚底のものだが、それでも、見た目どおりのちまっこい背丈をして】

もっとね、お行儀よくしなくっちゃ!

【母親でも傍に居るのかと見渡しても、誰もこの幼女の行動を咎めるものはない。なぜなら、親は家に居るからで】
【それなら、或いは、というか、結構失礼とも言えるこの行為。止めるものは居らず、――というか、むしろ、】
【「お姉ちゃん」呼びのせいで、一部の客は、「あああの子の保護者、あの修道女さんなのね」みたいな、目線が、】

あっ、お姉ちゃん、お隣座っていいですかーってね、聞きにきたの!

【そんなの気にせず、女の子は、真夏のヒマワリの花みたいに、にこーっと笑って。そんな風に、尋ねた】
602 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 00:38:35.35 ID:AuGakuQl0
>>601
「あのねぇ、大人も偶には息抜きをしてノンビリしてたい時があるんだよ……」

【大して気にした様子も見せず――と言うよりか、チラリと視線を向けた後に温い珈琲を一度啜り】
【大人、と表すにはまだ僅かに成人に届かないようにも見える年齢】
【それでも少女からすれば十分に大人に見えるのかも知れないけれど――――】


「ん……ボクの隣?別に良いけどさ。何で態々ボクの所に――――って、気付いたら全部埋まってたみたいだね
ま、どうぞ。所でキミ……一人でお散歩するには遅い時間だけど、お父さんかお母さんは近くに居ないの?
迷ったなら家まで送ってあげるけど……」

【少女の見た目はその通り。路地裏で非行に生きる少年少女とも異なるのだから、尚更疑問で】
【漸く状態を起こし、椅子に座るには丈が足りないのだとしたら抱えて座らせる事だろう】

【後に問うたのは何故一人でこの場に居るのか、何て至極真っ当な事】
【友達の家からの帰りにしては余りにも時間が遅すぎる。この性格、迷子だとしたらフラフラとまた別な所へと行って仕舞いそうだから家まで送るが、と加えて】
【――――辺りの視線に気付くのはその頃。然れど慣れているのか、さして気にした様子も無く】
【寧ろ適当に果汁ジュースを頼むのだから誤解を重ねる要因となろうが……実害は無いのだから、良い】
603 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 00:43:19.91 ID:7obtCuH+o
>>600

自分でやれよ。バーテンはお前だろ?

【そうは言いつつもグラスにオールドバーボンを注いでやる。自分にも注いで】
【ビールはチェイサー代わりだ。灰皿に置いてキープしていた煙草を吸ってから話し始める】

ドロボウだってヒマじゃないんだよ。気ままに盗んで贅沢三昧って言うのはフィクション…
実際は……まあ、いいさ。今回も無事に終わらせたんだ。愚痴るのはもう暫く後にしよう

【ハイペースにアルコールを流し込む。さっさと酔ってしまいたい気分だった。シゴト終わりってのはそういうもんだ】

……さあ?俺もゴーストかどうかはわかんないな。唯一つ言えることは
このバーボンを人知れず勝手に飲んだのは幽霊だって事だけだ

【高そうなバーボン。別にコレじゃなくてもいいんだけど何となく空にしてやろうとは思う。ビールが好みじゃなかったあてつけだ】


/居りますが次レス、少しばかり送れます。ご容赦を!
604 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 00:50:29.73 ID:0jkyXERX0
>>602

むう。……でもね、あのね、大人のヒトがそうやって、ぐでぐだぁ〜ってしてたらね!
私なんてね、もうね、ぐだぐだぐだぐで〜〜〜ってしなきゃいけなくなるの!

【――大人はぐでぐでしないものだという印象があった。もちろんするだろうという認識もあったが、】
【少なくとも人前ではあんまりやらないだろうという幻想みたいなものがあって。それなら、この現場は】
【大人に対する幻想の一つが潰えそうな危なっかしい場面であって――とにかく、言葉を聞いた幼子は】

【そんな必死の反論を返すのだが。――なんとも微妙にずれて。そんなのしろ、とは、誰にも言われていない】

ここしか空いてる場所がないなの、私ね、喉が渇いちゃった!
あのね、あのね、自動販売機とかでも良かったんだけれど、寒いなーって思って!

【別にいい。その返事を聞けば、彼女は、ひどく嬉しそうにきゃいきゃいと笑いながら、修道女の隣に座るのだろう】
【とりあえず分かるのは、お茶するくらいのお金は持っていることと、寒いのは嫌だということと、】

あのね、お父さんは居たことないなの! それでね、お母さんはね、おうちでご本を読んでるわっ。
あ、私ね、私ねー! リンゴのジュースがいいなー!

【父親は居ない片親の家庭で、頼りの綱である母親も、なんか、おかしいということくらい、だろうか?】
【後は強いて言えばこの子がめちゃくちゃ人懐こいとかそんなくらいで、だけど、十分といえば十分すぎるくらい】

【リンゴジュースがいいなんてわがままをして足をぱたぱたさせる、その様なんて、見た目どおりの子供のもので――】
605 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 00:56:26.91 ID:jiMWUxQAo
>>603

いっつもバーテンだと飽きちまうからな。
それに、たまには男に注がせるのも悪くねェだろ?
いっつも逆の立場なんだ、こういう時ぐらいよォ……。

【ほのかに赤らんだ顔のまま、注いでもらったバーボンに口を付ける】
【といっても、彼のように極度に酒に強いわけではなく】
【半分も減らない辺りで一度グラスを置いて、『疲れた』と椅子に座り】

OK、それじゃこのバーボンは俺が目を離した隙に幽霊が飲んだって事にしとこう。

つってもまあ……相変わらずセリーナはいつも忙しそうだし
そうそう文句を言われることも無さそうだけどな。
……で、お前の方は最近どうなんだよ。人知れず死にかけたりしてねェだろうな

【近況を尋ねる一方で、自分のことは語りたがらない】
【というより――バーテンとして働いていて、格好が周りの影響を受けてか】
【化粧とか、衣装だとかが大分女らしくなったくらいしか、変化が無いというのもあるのだが。】

/お時間の件、了解であります!
606 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 01:14:52.61 ID:AuGakuQl0
>>604
「うーん……それじゃあ…………」

【脳をフルに使ったばかり。特に用事も無いならば相応に相手をしたのだろうが今はそれだけの気力も無く】
【さて、どうやって凌ぐべきかと頭を働かせて】
【――――幸いにして相手は幼子。深く捻らずとも少し言い聞かせればそれで十分か、と一人納得し】


「もしもボクがこれからビシッとしたらキミも同じぐらいビシッとしなきゃいけなくなっちゃうかもしれないよ?
疲れてもボクがちゃんとしている間はキミだって休めないし……それなら今は夜だし、ぐだくだーってしてた方がきっと良いよ」

【少女が大人を手本としているならば――――自分が軍人の如く振る舞い少女にも其れを真似させなければならない、なんて】
【そんな内容を噛み砕きに噛み砕いた言葉。そんな事をさせられる位なら今の調子の方がきっと良いよ、と】
【どうしようか、と問うのはあくまで少女に決めさせる為だけれど……何とも、誘導尋問じみていて】


「お父さんは居なくてお母さんは……まあ、少なくとも迷子じゃ無いのかな
何であれ、余り遅い時間まで出歩くのは良い事じゃ無いんだけどさ……
――――林檎ジュースね。りょーかい」

【忙しい今、深入りして解決出来そうな事でも無い家庭事情――否、そもそも解決だとかする必要が無いかもしれない家庭事情】
【希望通りの林檎ジュースをオーダーしたなら、序でに他にも食べたい物があれば注文してやり】


「それで……キミは何でこんな時間に出歩いてるんだい?
遊んでて、なんて言い訳するには時間が遅すぎるけどさ」

【別に咎めている訳で無いのはその口振りからして分かるだろう。自警団だとかの様に生真面目では無いのだから、取り敢えずは聞いておく程度】
【別に犯罪をしていたり或いは巻き込まれたりしている風でも無いのだから、というのも関係しているけれど】
607 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 01:22:54.53 ID:0jkyXERX0
>>606

え、えー。やなの! 私ね、あのね、あんまりね、びしってするの……苦手!
だからね、あのね、お姉ちゃんと一緒にぐで〜ってするの! ――ぐでー。

【大人はお手本である。そして、いつか、大人を越えたいと願うような、前向きな子なら】
【ぐだり感も越したいと願うもの、それなら、当然、きちり感も越さなきゃいけなくて――それは、苦手だと】
【言うのは、まあ、見て分かる。あんまり、背筋を伸ばしてかっちり座るのが似合わないような、子だから】

【――わざとらしくぐでぐでーとか言いながら机に突っ伏するのだろう。そうすると、冷たい机が、気持ちよくって】

迷子じゃないなの! あのね、私ね、お散歩してたんだよっ。
だってね、ニュースで雪が降るって言うから――ずっと待ってたんだけどー。

……結局ね、降らないの! だからね、すっごく寒くてね、ここに来たのよ、なの。

【机に溶ける勢いで突っ伏しながら、彼女は「はふー」とため息など吐く。それで語るのは、】
【雪をずっと待っていたらしいこと。結局降らないだなんて口を尖らせて、ぶーぶー言い出し】
【「あ、でもでも、私ね、お金払うよ!」なんて思い出したように言う辺り、悪い子でもないのだろうが――】

雪だるま作ろうと思ったの!

【そもそもこの時間に出歩いている時点でだいぶ悪い子だ。そして、彼女にはその認識がないらしく】
608 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 01:43:37.10 ID:AuGakuQl0
>>607
「ああ、そう言えばそんな事言ってたっけ……んー、肝心の雪が無いとかまくらとか作ってあげようにも作れないからねー……」

【なる程、と納得したのも束の間。雪が無ければ相応に喜ばせてやる事も出来ないかなんて思考に至り】
【水は操れても其れを結晶と変える技能なんて持ち合わせては居ない。むぅ、なんて眉間に皺を寄せた頃に丁度運ばれて来たのは件のジュース】
【少女に渡す前に自分の元へと引き寄せたならストローを抜き、あろう事かジュースを浮かせれば林檎の形へと整えるのだろう】
【――――何とも珍しい状況。少女の口元までフワフワと浮かぶ其れ】


「お金の事は気にしなくて良いよ。ほら、お姉さんの仕事は小さな子に奢ってあげる事でもあるんだから……其れを奪っちゃ駄目だよ?
兎も角、食べてごらん。……あ、でも一気に食べちゃわない様に気を付けてね」

【食べると表すべきか飲むと表すべきか迷う状況。確かに囓れるが……歯応えなどは勿論無い】
【ただ、小さな子供なればそんな珍しい飲み方で喜んでくれるだろうか、なんて】

/申し訳無いのですがちょっと席を離れなければいけない状況に……
/なるべく早く戻る様にしますが、もしもそちらのお返し後から一時間以内にこちらの返事が無ければその後送り届けるなりして別れた、と脳内補完していただけると幸いですっ
609 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 01:51:30.90 ID:0jkyXERX0
>>608

そうなのっ、お天気のお姉さんは雪がいーっぱいって言ってたのに、嘘だったわ!

【なんて、幼子は頬っぺたをぷくりとしてぷんすかする。見れば足元では足もばたばたさせていて】
【拗ねたようにしてしまうのだが――だけど、すぐに、にこりと表情を変えるから、何かと思えば】

だけどね、だからお姉ちゃんと会えたわ! だからね、あのお姉さんがウソついたのもね、いいのっ!
だってね、きっとナニカの理由があったに違いないなの、“こっかのいんぼー”なのよ!

【だとか言い出す――のは、プラス思考なのだろう。きっとそうだ、素晴らしいまでの、プラス思考の子なのだ】
【だなんて言っていたら、気付けば口元でふわふわ浮かぶ、リンゴの形をしたリンゴジュース、きょとん、と目が丸くなり】

わあ、なにこれなにこれっ? お姉ちゃんの能力なのっ?

【すぐに喜色満面になって、きゃいきゃいはしゃぎだすのだから、やっぱり子供っぽい。というより、子供だ】
【食べてごらん、なんていわれたら「いただきまーす!」なんて言って、かじり、かじり、素直に少しずつ齧ってみる】
【そのたび「おぉー」とか「わー」とか呟くから、やった甲斐があるだろう。なんとも楽しそうで、】

でもね、私だってね、お金持ってるのよ!

【だけど、お金のことになるとちょっぴり譲れないものがあるらしい。懐をごそごそしたと思うと、】
【ほら!なんて言ってお財布まで出してくる。――まあ、単純そうな子だ。言いくるめることは、容易だろうけど――?】

/了解ですーっ
610 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 02:00:41.07 ID:7obtCuH+o
>>605

そりゃあご苦労…真面目に働いてるようで何よりだ

【この男は出来そうもない。いや、まあアルコールに対する熱意で言えば向いてるのだが】
【こだわりが強すぎてスタウトビール、癖の強いモルトウイスキー、ドライジンのストレートなど】
【自分以外楽しめそうもないものばかり揃えることだろう。ギムレット?ジン・ライムで十分だろ】

この間もどっかで誰かさんと大立ち回りしてたらしいじゃないか。ニュースで見た

【何処からか椅子を引っ張ってきてそれに座る。ビールを飲み、軽く首を回す。彼も疲れているようだ】

どうって……何も変わりゃあしない。適度に稼いで、適度に追われて、適度に死にかけてる
眠れなくて酔っ払って潰れたりもしてる。………ま、そんなところさ

【軽い口調で話しているがハッピーな人生で無いらしい。目に見えてわかる。死にかけているのはアタリだ】

……そっちこそ、変わったんじゃないか?…見た目が変わってるってことは、中身はずっと変わってるはずだ

【男も話を無理やり逸らす。こういう話のほうが暗いトーンにならずにすむからだ】


/失礼いたしました。只今戻りました
611 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 02:13:12.26 ID:jiMWUxQAo
>>610

まあな。お前も真面目に不真面目な人生送ってるようで何より……
……って、まだ眠れねェのか?そっちまで相変わらずだと
こりゃ今日は一緒に日の出を拝んでやらないとダメだな。……ん。

【『付き合ってやるよ』なんて言いながら、既に大分酔っていそうな辺り】
【なんとも無責任な台詞だが――まあ、それも持ち味というところか】

【加えて話が自身の変化に移ると、少し考えるようにグラスを眺め】
【静かに揺れるバーボンの表面に映る自分を見る】
【ショートだった髪は長く、一切しなかった化粧も最近は慣れた物で】

んー……まあ、生活が変わったからな。機関のナンバーズが
急に居酒屋でドリンク作る生活しようってんだぜ?

殺し合いもしなくなったし、付き合う人間のタイプも違う。
……鈴音って知ってるだろ?アイツにほら、服とか化粧とか……
ともかく色々教えて貰ったんだよ。で、それもあってだな……俺は悪く無いと思う。

………………、………―――お前はどう思う?

【グラスを口元に運んだまま、飲むとも飲まないとも付かない格好で尋ねかける】
【変わった自分はどうなんだ、と。酔ってでも居なければ、まずしない質問だった】

/お帰りなさいませ〜
612 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 02:46:44.39 ID:7obtCuH+o
>>611

完全にイカれっちまう前にさっさと俺も足洗ったほうがいいかもな。金はあるんだ
今度は夢でも追っかけるか……機関どころかSCARLETからもラヴコール来てるんだ。意外だろ?
ヒゲでもはやしてクーデターでもやって革命ごっこ……やめだ。これも眠れそうにない

【職業柄のストレスか元々の持病かわからないが眠れないのはさすがにキツイのだ】
【歳もあるし、不健康そのものだから寿命を半分以下にしている気分。とは言え転職も難しい】

……どう思うって

お前がそれでいいなら、それでいいじゃないか。人は変わるもんだよ。変えたくなくても気づかずに…
でも変わらないために変わり続けなくちゃならない。…悪くないんだろ?なら……最高だよ、勿論

【見た目が変わっても(まあ、見た目も良くなってるんだからいいのだけれど)中身の大事なものは変わってない】
【そんな風に思えたから、微笑みも付け足して言葉を返してやる。良い方向に変えようとしている行動は否定できない】
【男なんてまずまあそんなものだ。いかに上手く肯定してやるかが紳士のマナーってもので口説き方でもある】
613 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 03:10:19.39 ID:jiMWUxQAo
>>612

機関にSCARLETに……へェ、モテる男は辛いって奴だな
でも、機関に居ると不幸になるぜ。自由で金は入るけどよォ…。

SCARLETは知らねェけど……でも、忙しそうだな。
……しばらく無職になってみたらいいんじゃねェか?
結構楽しいぜ、毎日此処で酒飲んだりしてさ……

【一度は自分が通った道だからと、ちょっとしたアドバイスをしてみる】
【役に立つかは分からないが、話すだけで考えが洗練されたりするものだからだ】

【――それから、質問の答えを聞くとしばらく彼をじっと見たあとは】
【カウンターに突っ伏して、髪の合間から同じくらい真っ赤な耳を覗かせて】

っ〜〜……。まあ……まあ、おう……うん、そうだな……。
お前がそう言うなら多分……自信無かったけど……OKなんだろ。
……くっそ、相変わらず口が上手いよなお前…。

【何かを隠すようにグラスのバーボンを一気にあおって空にする】
【顔色は一層赤みを増すが、気にする様子もなく『おかわり』とばかりにグラスを彼の方に差し出して】
614 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 03:38:30.46 ID:7obtCuH+o
>>613

俺がいまさら金なんか欲しがると思うか?お前が思ってる以上に持ってるぞ
暫くどころか一生ブラブラしてられる。……それもそれで困る。やってられるか
退屈から逃げたくなってそれこそ血迷って機関にでも入るだろう

…まあ、いいよ。どうぜ、何処にも属さない…っつーかそういうのは向いてない

【アルコールは進む。薄いビールは水みたいなもんだ。煙も今日はうまく吸えているのか旨く感じる】
【安い紙巻きでも味はあったんだと久しぶりに思い出した。シガーも吸いたい気分だ】

あんまり、来てやれなくて……暇じゃないってのもあるけど、つけられるかもしれないんだ。俺は
…今は大丈夫だ。昨日のシゴトでまとめてリセットだ。…場末の賭場だからアガリは薄かったけどな
ウチにでも帰ろうかと思ったけど…ここに寄ってみて正解だった

【おかわりを注いでやると、男は持ってきたカバンを手繰り寄せて、金具を外して開く】
【中身はシャツや雑誌などだ。しかしまた上手く弄ると、二重底になっていて、貴金属が現れる】

欲しいのがあればもってけ。バースデイ…クリスマス…?…なんでもいいや、プレゼント
…これで買えるほど安い女だとは思ってないけどね
615 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 03:57:45.97 ID:jiMWUxQAo
>>614

一生やること無しってのも……多分、死にたくなるよな
俺もだらけるのは好きだけどよォ、一週間も暇してたら嫌ンなるぜ

……にしても、つけられてるとは穏やかじゃねーな
立場とか色々在んだろうけど……困ったら言えよ。
俺だって、お前が思ってる以上に強いんだぜ?

最近はご無沙汰だし、戦う以外に出来る事も無ェけどさ……。

【再びグラスを満たした液体に意識を向けつつも、すぐには飲まない】
【別にそれが目的ではないからだ。邪魔そうに、しかし嫌では無さそうに】
【その長い髪を掻き上げると、カバンの二重底に気が付いて】

便利なモノ持ってんなァ、オイ……俺、ルビーが良い。赤いからな。
でもこんだけじゃ足りねェな……半年に一回くらいは持ってこいよ

そんで、その日は毎回朝まで飲んで日がな潰れるんだ。
……別に半年に一回じゃなくてもいいけど、たまには顔出せ
生きてるかどうかくらい確認しとかないと……その、何だ…、……心配だからな。

/っと、そろそろ時間的に限界なので〆か凍結辺りでお願いしたく……!
616 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 04:30:28.61 ID:7obtCuH+o
>>615

ならさぁ……もうちょっとなんか無いかなあ…真面目に考えてくれよ
俺のセカンドライフスタイル。……俺もBARでも開くか?

【なんならホテルごと買えるのだけど、オーナーなんて退屈なことはしたくない】
【どんな仕事がいいかと言えば『暇しなくて』、『格好がつくやつ』。金はあるからいいらしい】

スパイとドロボウは似たようなもんだよ。騙して、盗んで、変な小道具を使う
違う所は雇い主が居るかどうかってトコだ。ペンシル型の拳銃は持ってないけどね

他のメンバーの分も持ってっていいぞ。こういう加工済みのは闇市じゃ安く買い叩かれるんだ
表に流すにはまた加工しなおさなくちゃならない。手間だからな。仲間が未加工品を今頃サバいてる
セリーナなんかこの派手なやつで…いや、こっちの銀のロザリオだな。アイツはもっと信仰心があった方がいい

【茶化すような笑い声。アルコールもいい感じに回る。落ち着いて飲める時しかこんな酔い方は出来ない】

ああ…わかったよ。暫くは休むことにするから、また旅にでも出よう。そしたらデカいヤマも転がってくるかもしれない


/了解です。では、凍結の方でお願いします
/当方、夕方以降はいつでも居ると思いますので適宜、適当なご都合で…
617 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 04:43:08.09 ID:jiMWUxQAo
>>616
//ありがとうございます、では凍結ということで!

//恐らくこちらが次に夜来れるのが日曜or火曜なので
//昼の間に返せるようであればレスを返して……という風に進められたらと思います。
//それでは申し訳ない、今日の所はお先に失礼します。お疲れ様でしたっ!
618 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 14:20:35.21 ID:jiMWUxQAo
>>616

真面目に、ね……まあ、手狭な店で喫茶とかBARとかだな
でも暇かも知れねーし、格好が付くかどうかは……んー…。

……そうだなァ、個人的には車とかバイク関係とか
あとは牧場とか楽しそうだと思うけどな……羊とか、馬とか、牛とか。
格好付くか知らねーけど、楽しそうだとは思うな、俺は。

【BARと牧場経営では大分隔たりがある。方向性だって全く違う】
【それでもまあ、言うだけならタダだとばかりに提案してみて】

なんだ、そんなに沢山余ってんのか?……それじゃあ、もう幾つか貰っとくかな
鈴音のやつにはこっちのと……セリーナにロザリオ?

そりゃお前、馬の耳に念仏だぜ。アイツが信じてるカミサマなんてのは
ギャンブルの時とドンパチの時に当たれ≠チて祈る女神様くらいなモンだ
どうせ銀製なら、弾丸でも持ってきてやった方が喜ぶぜ、きっとな。

【ニヤッ、とつられるように笑いながらグラスの縁を舐めるように味わう】
【やがて話が旅に移れば、『春先なら櫻の国か?』と尋ねてみて】
619 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/06(金) 15:15:14.27 ID:eYpCcu5V0

【さて、世の中には不思議な事が沢山ある。】
【幽霊、UFO、未確認生物、超能力、都市伝説、陰謀論、etc……】
【ことこの世界においては奇妙のオンパレード、フルコースと言っても過言ではない。】
【むしろ、常識に沿った事を探す方が難しいくらいに、この世界には不思議な事が溢れている様だが】
【それにしたって"コレ"は―――なんというか、奇妙と言う言葉を通り越して非現実的、目を疑う光景だった。】


 『いや……これ、なんだ……?』
 
 {……ドラゴン?}

 「にしちゃ小さい、翼も無いし。……どう見たって、"アレ"だろ、あの〜……ほら、昔図鑑で見た、アレだよ。」

  [ああ、わかるぜ。あれだろ? 今度映画もやるやつだ―――……けどよ、絶滅したんじゃなかったか?]



【街道。と言っても、一時間に一台か二台ほどしか車が通らない様な、どっかの田舎の、クソ寂れた街道が、今日の舞台。】
【枯れ草が冬の風に舞い上がり、気温も決して高いとは言えない中、交差点のど真ん中に何か"巨大な物"が―――鎮座していた。】
【蛇か、鰐か、そういう何かに見えなくもない独特の"鱗"を持った肌に覆われた筋肉質の肉体と、長く伸びた尾をだらん、と転がして、】


 
 
         『 { 「 [ なんで"恐竜"がこんなとこで寝てんだよ。 ] 」 } 』



【恐竜―――そう、一匹の巨大な『獣脚類』が、なんの因果か道に寝転がっていた。】
【気持ち良さそうに寝息を立てる表情は見ているこっちまで眠くなってくる程―――でもない。】
【でもないが、それにしたってとんでもない光景であった。寝返りを打つ度に地面が揺れるのが分かる。】

【ごろん、と転がった爬虫類のそれと良く似た肌と、長い尾、そしてナイフの様な鋭い牙が並んだ頭部。】
【太い後脚は車一台を優に踏み潰せる程大きく、またその反対に前脚は何の冗談かと思うほど短く、小さい。】
【白いお腹を見せながら、寝相で後ろ足を畳み丸くなっている姿はただのでかいトカゲにも、見える気がしたが。】

【その正体は紛れも無く、全長は12mを超える超大型の肉食恐竜―――その名もティラノサウルス・レックス。】
【恐竜界のスーパースターにして、地上最強の肉食動物の名を欲しいが儘にする、言わば太古の地球における"王様"其の物であった。】

【尤も、近年では羽毛がどうだとか、腐肉漁りだとか、実は走れなかっただとかヘンテコな俗説が多く存在し】
【その正体を疑う声も増えてきているのだが―――其れでも尚、培ってきたそのカリスマと誇りに、陰りが見える事は無かった。】


 「……まあ、寝てる分にはでけえ犬とあんまり変わらねえがな……」


【……どうにも、目の前の眠っている個体に関しては、少し風格を失っていたが。】
【ぐうう、と喉を鳴らして、竜のおうさまは、気持ち良さそうに街道をベットにし続けていた。】
620 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 15:52:12.66 ID:nvPjN/oRO
>>619
/戦闘ありですか?
621 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 15:52:45.82 ID:0jkyXERX0
>>619

【ご先祖様はでっかい白蛇で、この前燃え盛る街で仔竜と戯れ、そして、いま目の前に居るのは、……恐竜?】
【恐竜という単語を脳裏に浮かべたのはいつぶりだろう、少なくとも、年単位ではなかったような――多分、なかった】
【だけど目の前に居るのはザ・恐竜とでも呼ぶような感じで、それがティラノだかトリケラだかは分からなかったけれど、】

…………わぁ。

【――鱗のあるものには勝手にシンパシー的なものを感じる性質なのかもしれなかった。ふらりと現れた“少女”は】
【交差点のど真ん中で寝こけるちょっとした小山を見つめて、それから、すっかり寝ていることを確認して、】
【こつこつっと恐竜が立てるだろうそれに比べたらずいぶんとちっちゃな足音で以って、そっと近づこうとするのだろう】

【真っ黒い髪を腰ほどまで伸ばした少女だ。ちっちゃく丸い頭の形はヘッドドレスで飾られ、そのリボンが風に揺らぎ】
【黒赤の瞳は左右で色が違う。どこか蛇の目に似る丸く少しだけ釣った形は、不可思議そうにぱちくりと瞬いて】
【赤を基調にしたワンピース。スカートにはたくさんのパニエが仕込まれているのだろう、容易な風ではふわりともせず、】
【ただ羽織ったケープのほうが頑張ってひらひら揺れている。スカートから伸びる足は、寒いのか厚手のタイツと、ロングブーツで】

わあ――――。

【そんな容姿の少女だった。右耳だけのピアスと、左手薬指の指輪とで、ほんの少し飾りっ気的な色を足し】
【だけど浮かべる表情は大人びたとかとは真逆、むしろ子供っぽく目をきらきらとさせて――そうっと、起こさぬよう】

【近づいてみて、出来ることなら、尻尾とか、おなかとか、緩く押してみたりしようとするのだから、】
【或いは命知らずとも呼べるのかもしれない。――普段は怖がりなくせ、こういうときばっかりは、なんとも】
【勇気溢れる――というか、あんまり考えてない――というか、(鱗があるって仲間じゃない?みたいな)】

【よく言えば鱗のある生き物(魚除く)に対して妙にフレンドリー。悪く言えば――というか、はたから見れば、】
【多分。多分というか――きっと、おそらく、煙と一緒に高いところを好みそうに、見えるわけで】
622 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 15:53:37.05 ID:nvPjN/oRO
>>620
はなしでッ!
623 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/06(金) 16:17:45.32 ID:eYpCcu5V0
>>621

【周りに人だかりが出来て行く―――と、言う訳でも無く。この時間帯だし何より田舎のこの地は、人も少なかった。】
【居合わせた三、四人の大人は皆「はて、どうしたものか」と言った、とても冷静な対応。はしゃぐことも、興奮する事もない。】
【ただし、携帯電話で写真を取る事は忘れていなかったが。其れでも矢張り、喜びよりどう対処するか、の方が重要らしかったのだが―――。】

 「……? お、おいお嬢ちゃん! やめとけって、寝てるって言ってもコイツは―――……!」

 『ばかっ、離れろ! 起きたら大変だぞ、おま……これだから子供はっ、怖くねえのかよ、おい!』

【好奇心、というか、むしろ鱗を持つ者への一種のシンパシーを感じたのだろうか、】
【ゆっくりと近づいていく一人の少女に対して、周囲に居た大人たちは流石に止めようとするが】
【かと言って自分たちが近づくのはあまりにも気が引けるし、少女の姿を見護る事しか出来ない状態だ。】

 
 ―――――――――――――スゥゥゥゥ……グルルルルルルルルルルルッ……。

【お腹に指を置いたなら、寝息の度に大きく上下する皮膚の感触が伝わるだろう。まるで、巨大なポンプの様だ。】
【尾は非常に堅く、と言うか、全体的にとても筋肉質なのだが、触り心地は蛇や鰐と余り変わらない、つるっとしたもの。】
【大人しくしている分には大きなトカゲ、と言った所だったが―――本能だろうか、彼女が触れた事で竜の眼は、ゆっくり開く。】


 ――――――――ッ……グルルルル……

【低く唸る様な声を上げると、竜―――ティラノサウルスは地響きを立てながらゆっくりと、後脚を持ちあげて】
【大地へと突き立てると、体重を移動させ尾を振りあげながらバランスを取って、雄大な姿を晒し、立ち上がった。】
【一度大きく「伸び」をする様に身体を振るわせ、天を見上げて頭を持ち上げると―――直後、凄まじい吠え声が響き渡る。】


 
  
 ――――――――――――グオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン………ッ!!



【特に威圧のつもりだとか、威嚇のつもりだとかは無い―――】
【……無いのだが、その姿に集まっていた大人たちは、恐れをなして全速力で逃げ帰り】
【眼ざめの鳴き声をあげたティラノサウルスは、気がすんだら今度は自分に近づいた少女へと顔を寄せ、鼻をくんくん、と動かす。】

【―――敵か、敵ではないのか。その辺りを確かめているのだろうか。くわしくは分からないが、ともかく】
【竜は少女に対し敵意を向ける事は無く、―――そこで、不思議な事が起こった。】


【――――――――竜が消えた。】

【誇張表現や比喩ではなく、本当に竜は一瞬にして姿を消し。】

【代わりに、その場には冬場に似つかわしくない様な、随分と薄着の―――ちょっと薄着過ぎる"女性"が現れた。】



 んんんんんんんんんんんんぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!

 ぷはぁっ!! いやぁ〜、よーく寝たぜ、ふぁ〜ぁ……おかげでまだ眠気が取れねえな、へへっ。

 んで……おい、なんだよ"ニンゲン"! やい、なんかアタシに用でもあるのか?



【状況を整理しよう。まず、竜は、ティラノサウルスは消えた。】
【そしてその代りに、良く寝たと言い張るとてもファンキーな口調の女性が現れた。】
【燃える様な赤味がかった茶髪をポ二―テールに纏めて、上は白のぴったりとしたタンクトップ、下はホットパンツのみという格好の】
【なんとも言い難い―――これが夏場ならパンク・ロックでもやっていそうな感じの、攻撃的な印象を持たせる女性が一人、現れていた。】

【これは――――どういう、ことだろうか。いや、"そういう事"なんだろう。どういう理屈かは―――わからぬが。】
624 :??? ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/06(金) 16:18:16.37 ID:eYpCcu5V0
>>620>>621
/申し訳ありません、戦闘でも大丈夫だったのですが、今度絡みましょう!
625 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 16:28:10.79 ID:nvPjN/oRO

二戦、零勝、二敗──死んでいないが敗けてばっか…。おかしい。こんなことってありえねェだろ…。最近「俺なんて特別じゃないんじゃないの」なんて不安が芽生えてきたわ…。
──俺にたりないもの。それはきっと場数のはずだ。勝負のなかで俺はもっと強くなるんだ多分。

──ふふ、俺の嘴もどこか躍動しているぜ。

【黒いハットとインバネス。白い革の手袋を填めた中肉中背の青年。】
【その手に握られているのは、1Mほどの嘴──。】
【歩きながら、独り言をぼそぼそと溢していてどこか不審。】
【独り言のなかに出てきた「躍動」──というよりは、確かなリズム、鼓動がその嘴から感じられる。】
【それについては、今は割愛。】

とは言え、いきなり戦いを見ず知らずの人に仕掛けるのは気が引ける…どうしたものかなァ。

【しゅゥゥ──手に持つ嘴が消失する。】
【はァ、と白い息を吐きながら、無意味に路地裏に足を踏み入れるのだった。】
626 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 16:33:51.71 ID:0jkyXERX0
>>623

【それに、集まってきた大人たちが見出す少女は、あからさまによそ者だった。ここに住まう、者ではないのだ】
【どうしてこんな場所に居たかといえば、転移魔術を悪用したお散歩だったし、それ以下でも以上でも意味はないけれど】
【こうして何か面白いものを見つけられたなら――ぱあと表情を輝かせ、そっと近づいて……尾や腹に、触れてみる、】

【途中掛けられた大人たちの声には、なんともふんわり振り返って「だって寝てるよ?」なんて目を返したという】
【そんなのより、触りたかったのだ。触れてみたかったのだ、その鱗の背中に、硬そうな尾っぽに、柔らかそうなおなかに――】
【――それで、念願叶って触れてみた尾っぽは思ったよりも硬い。それが、余計に、きゃらきゃらとした楽しさを引き出し】
【わーとかいいながら尻尾を撫でてみたりしてる様子を見て誰が今年で二十二になる女性だと気付くだろうか。無理である(断言)】

【――だけども、元は比較的というか結構臆病な少女なのだ。薄らと目を開けた、恐竜さんが】
【起き上がる、或いは、大きく大きく吼えるというなら――流石の彼女も、少し、というか、かなりびっくりしたようで】
【びくーっと身体を強張らせて、そこに影が縫いつけられたようだ。だけれど、怯えて逃げ出したりしないのは】
【鱗仲間としての友情感(一方的)とか動物好き感(これまた一方的)とか、そんなものから来るようで】

えっと……、こんにちは。

【結果、くんくんと匂いを確かめられる頃には、フリーズも溶けていた。大人しく嗅がせて、或いは腕など差し出しながら】
【恐竜が嗅ぎ取るのは、シャンプーの甘い匂いだろうか、石鹸の爽やかな香りだろうか、それとも、洋服の香りかも】
【比較的甘い系統の香りがする。いろんな匂いがするけれど――混ざって不快にならないようには、調整されているようで】

――――、あれ?

え。えっと……、……えっと、――恐竜、さん?
あ……――、ううん、用事は、ないの。……おっきいなあって、思って――。

【恐竜の姿が消えたとき、彼女はひどくきょとん/ぱちくりと目を瞬かせたのだろう】
【だけれど、でっかい生物が消えて、代わりに人間が現れる。そんな光景は、個人的理由で見慣れていて】
【その類かと気付くのは遅くない。故、恐竜はどこだお前は誰だ、というような混乱も起こさず】
【――それでも一応、恐竜さん、なんて、疑問系で彼女を呼んでみて――それから、ふるふると首を揺らす】
【理由はなかった。大きくて、鱗があって、触ってみたかったのだ。ほんとうに、それだけなら――】

本当に恐竜さんなの? すっごい大きかった――。

【さっき一瞬ビビった顔なんてもう忘れてしまったようだ。目をきらきらとさせ、きゅ、と握った両手を胸の辺りにやり】
【敵じゃないという認識が成されたのを理解するのは容易い。だって、そういった、敵みたいなひとに向ける目では、ないから――】

/すいません、ちょっと買出しに行かないといけないことになってしまったのです……
/お次のレス遅れますが、一時間は掛からないかと思います。申し訳ないです
627 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 16:55:08.01 ID:NXb4GyKfo
>>625

【「主人公」──それはただ力を持つだけではなく運命を引寄せる者の称号】
【そんな存在が路地裏に一度足を踏み入れれば、その引力に従って事件が舞い込むのである!】

【急ぐ二つの足音が路地に微かに響く。次第に大きくなっていくそれらの音は曲がり角で青年の前に姿を現した】
【片方は二十代の若い男。所々が破れた茶色の外套を身に纏い息を切らしながら走っている】
【その後ろで手を引っ張られているのは同じく若い女。艶のあるブロンドの髪や質と品のいい服装が育ちの良さを物語っていた】
【男が青年に気がついて走り寄る。表情には恐怖や焦り、緊張】

『すいません、助けてください! 悪いやつに追われているんです!!』

【近づくなり男は息も絶え絶えといった様子で叫んだ。後ろでは女が咳き込みながら肩を上下させている】
【それぞれの服には血痕がついていた。返り血特有の飛び散った形状になっている】
【外套の隙間から見える男の服には薄汚れ。こちらはあまり良い家柄ではないようだ】
628 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 16:56:33.30 ID:7obtCuH+o
>>618

何にしろ、世間から離れて隠居生活か…犯罪者らしいもんだぜ全く…
元泥棒のマスターってなもんなら古いハードボイルドそのもの。後は探偵が来るのを待つだけだ
生憎、情報屋はやってないけどね…

【こりゃあ当分、隠居は先だ…と煙草に火を付けて、箱をカウンターに投げ捨てて背伸び】
【映画のような生き方をしても映画と違ってスクリーン外の事も考えなくちゃいけないのが本物の面倒な所だ】
【監督もライターも居ないっていうのは時として煩わしい。照明ぐらいは誰かに頼もうかなんてジョークは言わずにしておく】

ここにある分はな。女の子にプレゼントする以外に使い道はない。…元々ジュエリーなんてそういうものだけどね
……偶にはマタイでもヨハネでも善きサマリアの何やらでも聞かせてやった方がいい。勝利の女神の一神教じゃ
そのうち一文無しだ。後はバッカスぐらいしかついてないんだから…頭の後にテープでも貼っとかないとやられちまうぞ

【そういう彼は意外と信心深い方だ。犯罪者ってのはゲンを担ぐ人種でもある。なお教会には行ったことはないし聖書も読んだことは無い】
【ただ、悪魔は後頭部から魂を抜き去るって事は知っている。何でって?契約したからじゃないか?悪魔と】

櫻?…さあ?…俺、あんまよくわかんないし。寒くなきゃこの際どうでもいい。…彼処の酒は酔うのが早いな
のんびり温泉で満足できるんならオマエも丸くなったってなもんさ

【異名じゃない方の名前は櫻の国風であるのに容姿は全くっぽくない男。性格も全く傾向が違う】
【勿論、地理にも詳しくはない。全然、他人事だ。じゃあ何故そんな名前なのかは不明である】
629 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 17:11:52.81 ID:nvPjN/oRO
>>627

お…──。

【運命力──彼はそれを自分にあると信じていたが、二度の敗戦でその自信も希薄となっていた。】
【だが、早速導かれた。いや、問題が自分に導かれるようにやってきた。表情が和らぐ。】

【「やっぱり俺は主人公! 野球でいったらエースで四番! サッカーでいえばストライカー! エトセトラ! エトセトラ!」】

【──二人の事情、経緯など分からない。だが、彼は二人のような存在を心から歓迎した。】
【彼らが悪い奴と言うのならばそうなのだろう、そして助けてほしいと述べるのなら二人は被害者なのだろう。】
【それ以上の推察はしない。彼の目的は戦闘。ややこしい事情はごめん被る。】

いいでしょう! 助けはしませんが逃げる手伝いはします! その悪いやつ≠ニやらを足止め、あるいは打ち負かしてさしあげましょうッ!

【ぐぐぐ、と拳を作る。さぁ逃げてと言わんばかりに道をあける。】
【二人が逃げれば、二人がやってきた先を見つめる。どんな適が現れるのか?、そんな期待を秘めながら── 】
【どうやら、この二人を疑うと言うことはしないようだ。】
630 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/06(金) 17:20:34.68 ID:jiMWUxQAo
>>628

つっても、今更真っ当に生きようって気もないんだろ?
なら良いだろ……足を洗うまでにのんびり考えとけよ
ただし、勝手に放浪の旅に出たりするのは禁止な。……ふぅ

【一息ついたのは、再び注いでもらったバーボンを半分ほど飲んだから】
【もう心地よく酔える、なんて許容量は大分超えていて】

【半ばカウンターに身体を預けるようにしながら、幾つかの宝石を選びとると】
【彼なりの神学、とでも言えば良いのか。自身には縁のない話を聞いて】
【ぼんやりと教会に行ってみようかとか、聖書がどうとか、酔った時特有の考え事をして】

櫻は俺も大して詳しく無ェけど……良いところらしいぜ
一年中咲いてる桜の木があるとか、そこら中に菓子屋だの料亭だのがあって
海のものも山のものも、食い物なら何でも美味いとか……。

……でもやっぱ、温泉は良いよな。思いっきり足伸ばして浸かりながら
向こうの酒を飲んでみるのがいい…――平和ボケっぽいな、こりゃ

【以前から考えれば、よほど風情に満ち溢れた希望を口にしてから】
【自嘲するようにからから笑って、残ったバーボンも飲み干すと】
【流石に今度はおかわりを求めたりせず、代わりにジーっと彼を見る】
【具体的にはサングラスと、その奥の瞳を――だった。】

/恐らく次にお返事できるのは深夜になってしまうかと……申し訳ないです
631 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/06(金) 17:23:30.32 ID:eYpCcu5V0
>>626

【恐らく、その鱗仲間というか、どことなく自分に近い"匂い"―――と、いっても】
【肉ばっかり食べてる恐竜形態時の彼女の匂いと、シャンプーと石鹸のフローラルな香りの鈴音とを】
【一緒くたにするのはちょっとおかしな話だが、動物的な意味での似た香りを感じ取っていたのは、確かであった。】

【だからこそ、普通ならば"ニンゲン"が平然と近づいて来た時とは全然違う対応を見せた。】
【これが普通のニンゲンで、なおかつ男性で在った場合など、それこそ恐竜の姿のまま一噛み行こうぜ!】
【という流れだったのだが、相手が相手であるだけに、ぶっきらぼうな口調ではあったが、彼女は大人しく名を名乗る。】


  ん〜? こんにちは、だって? あっははははは! おまえ、おもしろいヤツだな〜!
  アタシは今、目を覚ましたんだから、「こんにちは〜」じゃなくて、「おはようございます」だぞ!
  ニンゲンの挨拶くらい、最強のアタシにはすぐ使いこなせるんだぜ! ニンゲンよりもずっと上手にな!ッハハハ!


【―――いや、こんにちはです。時間帯が時間帯なのでこんにちはが正しいです。】
【この時間のおはようございますは完全に誤用です。使って良いのはお仕事をしてない人だけです。】
【と、恐らく真面目に突っ込むだけ無駄だろう、なんていうか―――そういう類の奴だとは、すぐに分かる筈だ。】
 

 あぁん? んだよ! なんの用事もねーのにアタシを起こしたのか!?
 っかぁ〜、これだからニンゲンっていうのは自分勝手で滅茶苦茶だな!
 アタシはな、気持ちよく寝てたんだぞ!? まあ、そろそろ起きるつもりだったけどよ!
 
 まったく、珍しいからってあんまりペタペタ触るなよな〜、アタシはな、本当の本当に恐竜さんだよ!


【傍迷惑にも程がある場所で昼寝に興じていたお前に言われたくねーよ、と突っ込んでやると良い。】
【自分勝手なのはむしろこの女の方である。ただ、矢張り本気で怒っていると言う訳では無い様で】
【彼女は自分に興味がある様な態度の鈴音に対し、なんだかちょっぴり嬉しそうにこう名乗った。】

  
 ―――スタン! スタン・バークレイ!
 "誇り高き竜の王"、ティラノサウルス・レックスの、スタンだ! それがアタシの名前だよ!

 おっきいに決まってんだろぉ? なんたって世界一強いんだからな、アタシは!
 ニンゲンなんてちっぽけにも程がある様な生き物と、比べる事すらおこ、おこが、おこましい!おこましいんだぞ!わかったな!?

 ふっふ〜ん、だけどまあ、"お前"はなんだか良い匂いがするからな! 特別に赦してやるぜ、スタン様、って呼びな! ッハハハハ!


【腰に手を宛てて、豪快に笑う彼女の名はスタン。スタン・バークレイ。】
【ティラノサウルスにして女の子―――といっても見た目は20歳くらいの、若い女性、か。】
【どこだかの酔いどれガンマンに近い様な、いやむしろあれよりも"メリハリ"がついたかなり肉付きの良い身体を】
【おしげもなくあけっぴろな格好に包んでいる物だからそれはそれは扇情的な筈だったのだが、脳みそがこれではダメダメだった。】

【だが、やはり鈴音に対しては良い印象を持っている様で、名を名乗りながら、人間の状態のまま】
【鈴音の胸元や首筋にずい、と顔を近づけ、くんくん、と匂いを嗅いで「嫌いじゃない匂いだ!」と豪語するだろう。】
632 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 17:26:42.24 ID:NXb4GyKfo
>>629

『あ、ありがとうございます!』

【男は手短に礼を言うと女の手を引いて表通りへと走り去っていく。その直後に曲がり角から物音】
【壁の角を掴む手。まず現れたのは顔だ。黒髪に凹凸の少ない東洋人の顔つき。煙水晶の薄茶色の瞳が青年で止まる】
【それに太い首、大きな肩と厚い胸板、服の上からも分かるほど筋肉に覆われた上腕に腕が現れ、太い脚が動き地面を踏みしめる】
【一八◯センチ以上の長身に各所が鍛えられた筋肉で覆われた男だ。右手には全長一五◯センチ近い剣が握られている】

 む……

【剣士は青年に相対すると苦しげな息を吐いた。肩が上下していて口からは荒い息】
【安物のシャツやジーンズは血で薄汚れていた。額からも血を流していて髪が張り付いている】
【服のあちこちは切り裂かれていて鮮血で赤く染まっている。血塗れの剣士は剣を持ち上げると肩に担いだ】

 こっちに……一組の男女が来なかったか……片方は金持ちのお嬢様のようなやつだ……
 どっちにいった?

【息を切れ切れにさせて男は青年に尋ねた。追っ手というのはこの男でまず間違いないだろう】
633 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 17:37:21.55 ID:nvPjN/oRO
>>632

(こいつだな)──ああ、俺を倒せば教えてやらんこともない。(結構弱っているように見えるけどまあいいか。)
お前が追ってる連中に追われているから助けてくれと言われたんで、請け負った処だ。

【にやァ、青年は小さく微笑み上記を述べた。】
【ただただ強そうだ。その分、遣り甲斐がある。】
【一つ不満があるとすれば、なんだかぼろぼろな処。イーブンな勝負を望んでいたのだが、こうなっては仕方ない。】

(巨体、得物は大剣。恐らく機敏な動きは無理。息も切れ切れのようだしな。)
(耐久力は──万全だと高そうだけど、今はそうでもなさそうだ…。)

──どうする? 俺と戦うか?

【相手を観察しながら、答えのわかりきった問い。】
【先ほどいちいち推察しなかった二人の事情が絡んでくると少しややこしそうだが…】
【知らぬ存ぜぬで押し通せばなんとかなる。】
634 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/06(金) 17:41:19.26 ID:0jkyXERX0
>>631

【彼女は、どこか、人間と違う気配がする。もちろん、それは、ごく普通の人間には】
【なかなか分からないような程度で、巧妙に偽装されて、“ただの人間です”という顔で生きているけれど】
【分かる人物によって“嗅がれ”てしまえば、そんなの、嘘だってすぐにばれてしまうのだ】

じゃあ……おはようございます、よく眠れた?
眠るにはちょっと、寒いみたいだけど――、……寒くないの?

【でも、だからって人間に害なす存在ではない。少なくとも、いまは。――おんなじように、恐竜に害なすモノでもなく】
【それなら大人しくおはよう、なんて言葉を改める。改めて、ついでに、そんなことまで尋ねてくるのだ】
【見てるだけで寒そうな相手の格好を見ながら、「寒くないのか」なんて。……寒がりの自分には、無理な格好だ】

うん――ごめんね、だって、とっても珍しかったの。恐竜なんて、見たの、初めてだし――。
鱗があるんだあって思って――、わたしね、鱗って好き、なんだろ、なんかね、好きなの――。

――……わあ、本当に恐竜さんなんだ? 居なくなったって、聞いてたけど……。

【相手の態度に、彼女が気を悪くする――みたいなことはないようだった。むしろ、元気だなぁ、なんてきっと思って】
【恐竜がとっても珍しかったのだという。それが人間になるとは思ってなかったから、ちょっと、失礼にも触ってしまったけど】
【ごめんね、なんてジェスチャー付きで頭を下げて。それから、――鱗に萌える類だろうか。変態疑惑だが、多分ちがう】

【――恐竜なんだというのには、こくこくと頷いてちゃんと認識する。それから、改めて、彼女の姿を見て――】

ティラノサウルスって――えっと、図鑑で見たことあるよ。……名前くらいしか、分からないけど……。
ティラノサウルスって言うの? ……うん、覚えておくね、ティラノサウルス……。

スタン様……、――あ、わたしはね、りんねっていうの。鈴音・シュトラウス。
だから、わたしのことは、鈴音様……、……、――ううん、鈴音って呼んでね。

【なるほどティラノサウルスか、と、思うのだが。人間形態を見ても、本当にあれがこうなるのかは分からず】
【自分の知ってる動物が人間になる例というのは神様だったりするので、この子も神様なのだろうか、なんて、思う】
【思いながら、彼女の種族名を繰り返して――それから、スタン様と呼べ、なんていわれたら。あまりにも正直だろう、】
【そう呟いて――それで、気付いたように自分の名前を告げるのだ。あとは、真似をしてみようとして、早々に心が折れていた】

【ずいと顔を近づけられれば、少しびっくりしたように身体は後ろに下がる。少し驚いた顔でスタンを見ながら――】
【「シャンプーの匂いかな」「お気に入りの奴なの」なんて、そんなことを言うのだった】
635 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 17:48:25.77 ID:NXb4GyKfo
>>633

【青年のやる気満々な返答を聞いて剣士は眉間に皺を寄せた】

 早めに教えてくれると助かるんだがな……

【仕方ない、といった口調で男は呟き、片手で担いでいた剣を真っ直ぐに構えて柄を両手で握る。正眼の構えだ】
【剣の刃渡は約一二◯センチ、幅には約一五センチ。銀色の刀身が僅かな光を反射して鈍く輝いている】
【すり足で剣士は距離を少しずつ詰めていく。前衛にとって僅かな距離の違いが生死を分ける】

 ……やらずに教えては、くれないものか?

【どこか遠慮がちに男は提案】
636 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 17:55:59.70 ID:nvPjN/oRO
>>635

ダメ。俺は強くなるため戦闘がしたい。そして約束を反故にするのはあんまりしたくないんでね。

【相手がゆっくりと近づいてくる。青年は動かない。】
【本来ならば距離を取る場面。近接主体の相手が得意な距離で戦うのは得策ではないからだ。】
【とはいえ、相手は弱っている。万全ならば距離を取った戦い方をしただろうが、弱っている(と見受けられる)。】
【ならば──彼にとって強くなるため≠フ戦闘ならば、ここは一つ弱っている相手を、】
【相手の得意な距離≠ナ打ち負かしてこそ、成長が望める──。】

あ、変な事情とか口走られても困るだけだぞ? やめてくれよ? あいつらが実は悪人でしたとか、そーいうのは。

【ぶおん。1Mはある嘴が彼の手元に出現する。それをこん棒のように握る。】
【嘴はとくんと脈打つ。まるで生き物のように。】
637 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 18:12:45.68 ID:NXb4GyKfo
>>636

【交渉はあえなく決裂。男は溜息を一つつく。交渉事は大の苦手なので仕方がないと諦める】

 そういうわかりやすい善悪関係は残念なことに現実にはない……

【じりじりと剣士は距離を詰め続ける。煙水晶に似た茶色の瞳が嘴を視認するも、反応はない】
【敵の得物は一メートル。対してこちらの得物はその一・五倍はある。腕の長さも考えれば更に範囲は広い】
【剣士の動きが止まる。そここそが必要な距離を満たす場所。血混じりの汗が男の頬を流れる】

【前に出した左脚に重心を移動。蓄えられた力を前方移動に変換、左足からの大きな踏み込み】
【巨体に似合わない速度で瞬時に相手を間合いに取り込むと軽く掲げた大剣を一閃。頭を狙った振り下ろしを放つ】
638 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 18:32:50.87 ID:nvPjN/oRO
>>637

(威圧感が半端じゃないな──、力に力で対抗してもしょうがねえべ…。)
(なんとかヒットアンドアウェイで…──)
──はやいなッ…!

【剣による攻撃が予測される。範囲さえ考えられればやりようはある。】
【踏み出せば、前に出るのは当然の理。それに合わせて行動すればいい。】
【そのスピードは範疇を越えているため──こちらも前方に、『超近距離』、懐に入り込む、などと言う器用な真似は不可能。】
【元より横に大剣が振るわれた場合ならば巻き込まれてしまう可能性は否めないのだから、前に出るという選択肢はないのだが…。】
【──結局相手による攻撃は縦。手筈通り、後転による後退、なんとか刃圏から逃れれば、しゃがみこむような体制から降り下ろした直後の相手へ、】

【両足で地面を蹴り、地に下ろされた大剣を越えて…。】
【彼は相手へ飛び込んだ。──己を一つの槍のように=A長い嘴で、相手の肩を突こうとする。】

639 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 18:39:39.69 ID:NXb4GyKfo
>>638

【攻撃直後の隙を狙った反撃を東洋の剣士は軽く身体を捻りながら回避】
【相手の左側へと回り込みつつ剣を引き腰を狙った水平斬りを放つ】
640 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 18:57:41.26 ID:nvPjN/oRO
>>639

むむッ…!

【此方の攻撃は空を切る。巧く着地ができず、一度地面を転がりながらも、】
【地に手をついて、立ち位置を変えた相手へ顔を向ける。】

【次に行われるのは水平切り、嘴の先を下に向け、嘴の側面をもう片方の手で支える。】
【防ぎきる──ことはまず不可能。強固な嘴は破壊されなかったが、身体は凪ぎ飛ばされるように──】
【路地裏の壁へと衝突させられた──。】

けほッ、けほッ…、
(──ヤバい、万全じゃあなくても近接は脅威だ。…レベルアップだのなんだの、あまっちょろいこと″lえず、)
(自分の得意な距離で戦うべきなんだ…。まだ負けちゃあいないが敗色濃厚。)
(勝つためには…甘い考えを捨てるんだ。一つ成長できた…。)

だけど…、

【ふらふらと立ち上がる。表情が歪 む──。】
【まだ出しきっていない。だから、敗けを認めるつもりはない。】
【背後に壁がある位置から歩き移動しては、再び嘴を構える。】


641 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 19:09:28.13 ID:NXb4GyKfo
>>640

【剛力で押し込んだ剣筋は空中で振れることなく停止。身体の移動と剣撃に遅れて全身から滴る血が地面に降り落ちた】
【剣士は広がった脚を引き戻し大剣を構え直す。顔には苦渋の表情。たった二度の攻撃にも関わらず、息が上がる】
【前触れ無く剣士は青年に向かって突撃。突進の速度の乗った刃が右肩を狙って斜めに振り下ろされる】
642 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 19:15:58.79 ID:NXb4GyKfo
//食事につき次遅れます
643 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 19:22:03.37 ID:nvPjN/oRO
>>641

【本来ならば、ここは後退する。ダメージが邪魔をしなければ、の話だが。】
【──万全ではない状態。素早い接近に対応できるような動きはできない。】
【速度にのった剣を受け切ることも当然不可能──。】

(一度は、動けなくなるくらいまで盛大に負けてやるさ…。)

【刺し違える覚悟。彼も倒れるように、前方へ踏み込んだ。】
【──結果、両手で嘴を前方へつき出しながら、大剣の裡でなぎ倒されることになる──。】

/申し訳ない…、問題がありましたら、御指摘下さい…。
644 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 19:22:52.65 ID:nvPjN/oRO
>>642
了解です。
645 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 20:05:01.40 ID:NXb4GyKfo
>>643

【なぎ倒した衝撃が剣士の両腕にかかる。襲い来る激痛を男は奥歯を噛み締めて耐えた】
【踏み出した足を戻して大剣を地面に突き刺す。剣を支えとして何とか追手の男は立っていた】

 む……追うのは無理か……

【苦痛に眉を歪めながら男は呟いた。数度剣を振った程度で息が上がっては仕事どころではない】

 おい、生きてるか?

【なぎ倒された青年に向けて男が声をかける。それに敵意や殺意といったものは一切なかった】

//特に問題はないですよ?
646 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/06(金) 20:05:33.18 ID:7obtCuH+o
>>630

…まあ、な。俺にはマフィアもお固い仕事さ

今も、放浪の旅みたいなもんだけどな。

【いつの間にかバーボンは品切れで、ビンをひっくり返しても雫しか落ちない】
【適当にビールをもう一つ開けて、惰性のアルコールだ。泥酔の底なし沼に足を突っ込む】
【せめてもの抵抗でつまみでも探すことにする。適当なものを見繕って、これもまた惰性で食す】

そりゃいい、お固い国だから住むには向かないが…遊びに行くには結構だな
……いいじゃんか。平和でも…不幸なんて頼まなくてもやって来るんだ。楽しめよ
俺もオマエも知らないけれど、大抵のヤツはコレが普通なんだ。退屈にやられて生きてる
多数決が偉いって言うなら…コレが正しい姿なんだ。好きか嫌いかは別として…

この世界ってのは運命と意志の相互作用だ。クソッタレな運命は捻じ曲げてやらなくちゃならない
…でも平和ボケしてろって言うんだから…たまには言うとおりにするのも悪く無いだろ

【アルコールで饒舌になる。こういう時でしか話せないタイプだが、内容はいつもの調子】

【何本目かの煙草の煙を吐き出して、見つめる目をサングラス越しに見つめ返して、外さない】
【変な無言の時間が流れる前に「なんだよ」と口火を切る】


/伺っておりますのでご心配なく!
647 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 20:23:28.43 ID:nvPjN/oRO
>>645

…(また敗けた…。だけど次につながる敗けだ…。)
(──死ななければ、の話だけど…。)

【激痛、正直これ以上は無理…。恨みを買っても仕方のない状況──。】
【痛みに表情を歪めながら仰向けになり相手をみる。】
【手にあった嘴も今は消失している。】

生きている…、動けません。

/ならよかった…。



648 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 20:32:42.70 ID:NXb4GyKfo
>>647

 そうか、少し待て

【男はそう言うとポケットから電話を取り出してどこかへと連絡をする】

 しばらくすれば救急隊が来てくれるはずだ。それまで大人しくしていろ

【大剣を引き抜き男が地面に腰を下ろす。口から漏れるのは疲労と安堵による息】
【仕事は失敗に終わったがひとまず死なずに済んだことで気が抜けたのだ】
【煙水晶に似た剣士の瞳が倒れている青年を見つめる】

 まぁ、なんだ……こっちも仕事だ、恨むなよ?

【男の静かな低い声が青年に向けられた】
649 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/06(金) 20:34:19.36 ID:4fVJ2u+DO
【街中】


……No.7にベティ、ジェイクのこともあるが──
UTに用事も出来てしまったことだしな……えぇと、「ベイゼ」だったっけ


【金曜日の夜。仕事や学業から解放された人々が騒ぎ始める時間帯──】
【酔客や浮かれ顔の連中の一団に紛れ、1人の少女が歩いていた】
【夜色の長髪に、夜色の瞳。齢18程の見た目を彼女はしていた】
【布で包まれた刀剣を背負うことから、ただの観光客でも学生でもないのだろう】
【左手と右肩あたりに包帯をしているあたり、怪我をしているようだった】


いてて……むぅ、「裏テク探し」やUT探しも大事だけど……
……っう、腕のいい医者探しも大事だな
こう──傷とか怪我を1日でぱぱっと治せるやついないんだろーか
たた──ふふん、我鬼とベッドの上ではしゃぎ過ぎたか?


【なにやらぶつぶつと独り言を呟きながら、少女は街中を往く】
【時折包帯を巻いている箇所を気にしているあたり、ファッション包帯というわけでもないらしい】

【ぶつぶつ。ぶつぶつ。少女は歩く】
【人が多い往来でのワンシーン。誰かにぶつかられても仕方ない事態であるのは間違いなく】
【また、少女は好奇心旺盛な性格。路地裏あたりで騒ぎが起これば、真っ先にそちらにすっ飛んでいくはずだ】
650 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 20:38:37.06 ID:nvPjN/oRO
>>648

仕事──いや俺は恨まないけどな…。
殺さないのか? いや殺さないとしても…そこまでしてくれるのか? ありがたいにはありがたいけれど
お前の邪魔をしたんだぞ──

【そう、事情は知らない。自分本意な目的でこの男に喧嘩を売ったのだ。】
【心底不思議そうな顔で、男の顔を見つめる。】

651 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 20:44:25.59 ID:NXb4GyKfo
>>650

【青年の言葉に男の方も不思議そうな顔をする】

 確かにお前は仕事の邪魔だったが……お前を殺して何かなるのか?
 もう仕事が失敗なのは間違いない。お前を殺したところで俺に得なんてないと思うが……

【既に終わったことに関して男は言うつもりはなかった】

 それに救急隊を呼ばないとお前、死ぬだろ。仕事以外で人を殺すつもりはない……
 あと、俺も死にそうだしな

【それだけ言うと、男は壁に背中を預けた。怪我に触れたのか、また顔を歪める】
652 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 20:50:25.54 ID:nvPjN/oRO
>>651

(俺が逆の立場だったら…、流石に助けようとまでは…。)
(──うおおお、…)

【裡にわき出る罪悪感=Bこの男、紛れもない善人。】
【なんというか自分の筋を通してる。かっこいい。それに比べて──。】

──完敗だよお兄さん。完全敗北。まごうことなき敗け。
敗北をこれまで二度経験したけどそのどれにも当たらないほど悔しいわ…。

【目尻に涙が浮かぶ。被っていたハットを外し、顔に被せる。】
【鼻をすする声が響く──。】
653 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 21:02:19.33 ID:NXb4GyKfo
>>652

(……なんだこいつ)

【突然泣き出した青年に対して男は訳がわからなくて困惑するだけだった】
【表情の変化が乏しい顔にその感情が少し表れている】

 強くなりたいらしいが、どうしてだ?

【救急隊が来るまでの間、黙っていると気絶しそうなので男は話を繋ぐこととした】
654 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 21:08:39.62 ID:nvPjN/oRO
>>653

──戦えるようになったから。

【ちょっとだけ鼻声でその質問に答える。】
【しかし、自分でいっておきながら要領を得ない答えだなと──一度咳払いをしては帽子を顔からのけて】

──元々いじめられッ子だからな、能力を手にしたとき、世界が変わったような感覚になった。
きっとなんにでも立ち向かえる≠謔、な…、その感覚を本物にしたい。

【とはいえ、彼の能力は嘴を自由自在に操れるというもののみ。】
【それでも、彼としては充分だった。そして、強くなりたい目的は割とありきたりなものだった。】
655 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/06(金) 21:15:55.11 ID:NXb4GyKfo
>>654

 ふむ……まぁ、頑張れ

【青年の答えに男の反応は薄かった。この世界ではそういった事情で戦い始める人間も珍しくない】
【またそういった事情に深入り出来るほど、男は賢くもなければ無遠慮でもなかった】
【自分から話を切り出したはいいが、それ以上彼には話を広げられなかった。元々、口の回る人間ではなくむしろ真逆の人間なせいだ】
【話題を探して男が視線を彷徨わせたり唸り声をあげている間に、救急隊がやってきた】

 ……何か依頼があれば言ってくれ。金さえくれれば、酷い犯罪以外はやる

【最後にそう言い残して男は先に救急車に乗り込んでいった】

//お疲れ様でしたー
656 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/06(金) 21:20:18.23 ID:nvPjN/oRO
>>655
お疲れさまでした!
657 :ベイゼ・べケンプフェン ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/07(土) 14:46:41.98 ID:GqmrRhdTo
>>646

平和を楽しむ、か……普通のコトってのは難しいな、ったく…。
……んじゃ、今度は櫻に行って温泉入って、景色でも眺めようぜ
年寄りみてェな趣味だけど、まあ……良いんだろ?

【ニヤリ――ではなく、"へらっ"とした笑みを向けながらそう言った】
【アルコールも度を過ぎればこうなるという、ダメな酔い方の典型で】

【それから目を合わせたまましばらく時が経ち、『なんだ』と言われれば】
【おもむろに身体を起こして小首を傾げたり、グラスをからん、と揺すってみたり】
【なんとも煮え切らない態度でもう少し時間を浪費してから、向き直り】

いや、その……考え事してて、ふと思ったんだけど……、…。
……俺達ってしたことあったっけ、って。……キス、とか?

【急にこういうことを言い出すのも酔っぱらいの悪いところだ】
【恥ずかしがっているのか、単に血の巡りが良くなっているだけなのか】
【顔を真っ赤にしながら髪先を弄ったり、チラと彼の方を見てみたり。】

/ありがとうございます、お待たせして本当に申し訳ない…。
/ちょっと今日もこれから用事があるので、お返事は日曜になってしまうかと思います
/置きレスに以降して頂いても構いませんので、そこはお任せ致しますね
658 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/07(土) 18:15:42.47 ID:xYkzBbn+o
>>657

まあ、任せるよ。準備ができたらコールしてくれ。それまではつまらない
マネーゲームでも楽しんでるさ。自営業ってのはややっこしくてね…

【溜息とともに煙を吐き出し、灰皿に煙草を押し付けてもみ消す】
【旅行のことは丸投げだ。そもそも彼に任せるとカジノと悪人がついてきて】
【最終日にはチップと銃弾が飛び交うことになる。今回はお呼びじゃない】

…いや、無いよ。もっと言うなら、愛してると言った覚えもない

【大した時間は要して居ないが割りと流れてするりとこの関係までやって来た】
【この男は『I LOVE YOU』を『HOW ARE YOU』並にサラッと言うタイプの人間だが】
【逆に深い中ならわざわざいう必要も無いだろうという考え。だって、当たり前だろ?】
【女心をわかっているのか居ないのか…まあ、結局はわかっていないということなんだろう】

…して欲しいのか?

【ムダに長い足を組んで、さり気なく片手でサングラスを外す。赤い目だ。白眼が赤く、瞳は黒い】
【彼女はこの目を気に入っていることを彼は知っている。そして意地悪く笑う】


/了解しました。でしたら以降は置きレスに移行という形で
/無理ない時にちゃらっとお返しいただければ十分ですので!
659 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(青森県) [sage]:2015/02/07(土) 20:01:31.42 ID:6KTlAteio
【路地裏】


〜〜〜〜〜♪


【一人の男が道端の木箱に座って調子っぱずれな鼻歌を歌っていた】

【綺麗に刈り上げられた側頭部、ツンと縦に伸びた金髪とその髪型は所謂ソフトモヒカン】
【両手の十指のうちいくつかに填められ眼球や口を模った趣味の悪いシルバーリング】
【そして野山を舞台に巨大な骸骨が描かれた絵が刺繍されたスカジャン】
【男はまるでチンピラのような風貌だが】

【加えて異様な点が一つ】

【男の右腕からは一本の触手が生えていた】


「ぅ、ぁ………っぁ、…ぁ、ぁ…っ」


【チンピラ男の腕から伸びる触手の先端】
【其所には二十代半ば程の女性が触手に首根っこを絡みつかれて宙に吊り下げられていて】

【女はせめてもの抵抗にと体を必死にバタつかせているが】
【触手の締め付けは一層強くなっていく】
660 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/07(土) 21:19:49.73 ID:TYdjSeg90
【――――世界は、絶えず時の流れと共に移り変わっていき、今を生きる人の数だけ、物語もまた時の流れと共に紡がれていく】
【今を生きる人の数だけ紡がれる、幾百億編の物語――――】


【――――夜の国 公園】

……ぁ、はぁッ! ……やべぇ、身体が動かねぇ……ちっとばかり、無理をしすぎたか……?

【前面を開いたままで青いコートを羽織り、魔術師である事を如実に表す青のハットを被った】
【手には指輪と、グリップの部分に赤い石をあしらわれている、金属製の棍を握り締めている】
【ひょろっとした体格の、深い眼窩が鋭い視線を放っている、身長180cm前後の居丈夫が】
【辛そうな表情で、荒く呼吸を繰り返しながら、ベンチにだらっと座り込んでいる】
【棍を保持しているだけでもどうやら相当な負担らしく、両手で杖の様にして支えているそれは、プルプルと震えていた】

……流石に、無理あったか。とはいえ、身体を動かさない事には……どうしようもねぇな……少しでも……

【常闇のこの国であっても、そろそろ表を出歩く人影が少なくなり始める時頃である】
【ベンチに陣取りながら疲れ果てた様子のその人物は、街灯に寂しく照らされていた】


【――――所変わって、水の国 商店街】

……1つ聞くが、帰り道が偶然同じだったからと言って、なんで手なんて繋ぐ必要があるんだ?
「それを言うなら、なんでわざわざあたしの為のお土産なんて買ってくれたの? ……どっちにしろ、理由なんていらないじゃん」
…………む…………

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年と】

【明るいピンク色の長髪を肩甲骨の辺りまで伸ばし、前髪をやや膨らませる様にセットしている】
【紫色に着色されたカジュアルジャケットと、レギンスとハーフパンツを組み合わせて着用している】
【――――目元にレンズ、両耳に円形のボディ、後頭部に装着用の調節器が一体化した、機械的なバイザーをつけている、身長160cm前後の女性が】

【互いに手を繋ぎ、並んで夕闇の道を歩いている】
【青年の右手には、可愛らしいプリントのされたビニールの包みが提げられており、どこか不機嫌そうなその表情と、実に対照的なコントラストとなっており】
【対する女性の方は、空手で青年の左手を握り、心なしか嬉しそうに口元に笑みを浮かべている】

「ほらほら、そのケーキ美味しそうだから、早く行こう! あぁでも、それ崩しちゃダメだから慎重にね?」
どうしろって言うんだ? 子供じゃあるまいし、そんなにはしゃぐなよ……

【呆れた様子の青年に対し、我関せずとはしゃぎながらついて行く女性。共に夜道の帰路を急ぐ――――】


【――――更に所変わって、水の国 ホテル】

……あぁ、くそ……! 100000もかよ、100000もすっちまったか……今日はツイてないねぇ致命的に……
この頭が、もう少し早く冷えててくれたら、なんて……ま、運が無かったな……

【くたびれた薄いスーツを右肩にひっかけ、Yシャツにスラックスとテンガロンハットにその身を包んでいる】
【やや無精髭の目立つ顎に、やや長めでだらしなく乱れ気味の金髪とは裏腹に、活力に満ちた瞳を光らせている】
【腰に、鞘に収まったごつい2本のナイフ、何本ものハードダーツ、そして一丁のリボルバーハンドガンをぶら下げている、身長170cm前後の男性が】
【物憂げな表情で、ホテルのカジノエリア出入口から出てくる】
【勝った者、負けた者、出てくる人間の表情には、それぞれに固有の変化があるものだが、彼は明らかな『負けた者』だった】
【外気の寒さに、一瞬だけ身をブルッと震わせると、苛立たしげに葉巻とライターを取り出す】

……あぁ、来んな来んな。今日の俺はシケてんぞ!

【タバコを吹かせると、追って出てきたコールガール――――そんな事をするという事は、恐らく不慣れなのだろう――――を邪険に振り払う】
【大量の煙と共にため息を吐き出しながら、いやはやと言った様子でゆっくりと頭を振って見せた】



【――――どの物語も、今と言う時の中に、確かに存在している物である】
【もし変化が訪れるとしたら――――それはどの物語なのだろうか】
661 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/02/07(土) 21:56:30.98 ID:AFRBz4EpO
>>634

【恐竜ーーー恐ろしい竜、と書いて、"恐竜"。名前の通り、巨大で野蛮で、そして獰猛な種族だ。】
【人間が存在する遙か昔に実在したそうだが、人の歴史から数えて、何千万年も前に既に絶滅している。そう。】 
【鈴音の言う通り現代の社会にはもはや適合しない、存在する筈のない"種族"ーーーだが、疑う余地なく彼女は実際していた。】


 ………んん? おっかしいなァ。
 普通はよ、アタシの姿を見たら、ニンゲンはみーんな、ビビってどっか行っちまうモンだけど
 お前はちょっと変わってるな! アッハハハハハ! 変だぞ、お前!

 よく眠れたー? なんて、そんなことニンゲンに聞かれたの初めてだぜ!? 
 大抵はさ、うわー! とか、ギャー!! って言って、すぐどっか行っちまうんだ。
 だからーーーうん、よく寝れたぜ! まァ、あとも〜ちょっとくらい寝ても良いけどな!

 ………? さむい? 寒いわけねーだろ!
 そりゃ、暖かいに越したコトはねーけど、それでもこれくらいならへっちゃらへっちゃら!
 アタシはニンゲンみたいなヒンジャクと違ってガンジョーだからな!
 それに、"もこもこ"は嫌いなんだ! なんて言うかイガイガして暑苦しくて、それにケンカの時邪魔だろ!?
 あんなモン着てるから、ニンゲンは弱っちいんだぞ! はんせーするべきだぜ、まったく!

【敵意が無い、悪い人間でも無く、むしろ好意的な人物であるーーーという所までは、察した様だ。】
【なるほど、彼女も臭いを嗅げば善悪の判断くらいはおおよそ着くようで、鈴音の事も変だと笑いこそしたが】
【普通に仲間だと認識した模様。そしてもこもこ、と言うのは恐らく人間が冬場に着込むアウターやコートの事だろう。】


 鱗がすきぃ? ッハハハハハ! 変なやつ!
 でもアタシの鱗は、誇り高きティラノサウルスの鱗だからな!
 みほ、みほ、れ、みーほ………見惚れる? そう、見惚れてもトーゼンってヤツだぜ!

 しっかしニンゲンってのはみーんな同じことを言うんだな、個性が無いぜ!
 ティラノサウルスが居なくなってるなら、お前の目の前にいるアタシは何だよ!?
 しょーしんしょーめー、ティラノサウルスはアタシだし、アタシの前住んでたところには恐竜一杯いたぞ!?

 ニンゲンの方がすくないくらいだぜ、むしろ聞きたいんだけど、
 なんで此処にはこんなに恐竜がすくねーんだ!? 

【ーーーどういう所でどういう育ち方をしたのかは分からぬが。】 
【スタンと名乗る彼女がトチ狂ってなくて、恐竜の脳みその記憶力を信用するとしたら】
【どうやらこの世の果てには、"ロストワールド"が実在するらしい。古生物学者は皆廃業である。】


 そう、ティラノサウルスだ!
 恐竜でいっっっちばん強くてカッコイイ、ティラノサウルスだぜ!
 間違っても"スピノ"を最強だなんて言うなよ!? あんなの、デカいだけで魚しか食わないザコだからな!ザコ!

 りんね、りんね! りんね、って言うのか!
 お前は面白いやつだから、覚えておいてやるよ!
 よし、りんね!………様? オイ! 待て、オカシイぞソイツは!

 "様"はな、強い奴につける言葉だ、って教わったぜ?
 りんねがアタシより強いならーーーふっふーん、りんね様、って呼んでやるよ!
 ケンカするか!? ケンカするか!? ケンカは良いぞ、楽しくて気持ち良くて楽しく……て………………

【名前を覚えて、されど矢張り反応するのはりんね"様"の部分。】
【ジョークという概念をまるで理解してないであろう彼女は、本気でそれを受け取り】
【ならどっちが強いか決めようぜ!ーーーなんて、拳を構えたりしたの、だが。】

 ……………うぇぇぇ。お腹が…………。


【突然言葉を止めると、彼女のお腹から"ぐぅぅぅぅぅぅ〜"という、切ない音がなる。】  
【そしてそのまま蹲り、空きっ腹でぐるぐるなるお腹を抱え、"寝たらハラ減った……"と、悲しい言葉を発する。】
【多分、疲れていたから眠ったのだろうし、となれば当然お腹も空くのだろう。】
【スタンは一転して自分が空腹だったことに気づき、ゴロゴロとその場を転がったーーー。】

/遅くなりました、すみません!
662 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/07(土) 22:15:12.64 ID:aogNW4hO0
>>661

【恐竜。恐竜――そういえば、恐竜は、鳥になったとか、言うけれど】
【結局恐竜って鳥なのか爬虫類なのか何なのか、実は彼女はよく分かっていなかった。だから、】
【恐竜は恐竜で。なんかすごくて。おおきくって。つよくって。――居ないはずのもの、という認識をする】

わたしもね、寝てなくって、暴れたりしてたら――きっと、どこか行ってたよ。
えへへ、寝てたから――――……。

【でも彼女は確かに目の前に居て、自分のことを変だとか言う。変だろうか、なんて、ふっと考える思考回路は】
【少しだけきょとんとした顔をしてから首をかしげて、弱く苦笑気味に笑う。それから、そんな風に答えるのだ】
【たまたま寝ていたから近づいたりしてみたらしい――或いはそれを人間の言葉で寝込みを襲う、とか言うのかもしれないけど】

そうかな……、わたしね、寒いのって苦手なの。暑いのも苦手だけど――だから、そんな格好、絶対出来ないや。
スタン――スタン様は強いんだね、きっとわたしより強いの、……脱いだら強くなるかな?

【――どうやら寒いのは大丈夫らしい。個人的というか彼女的意見を言うなら、ここは、大分さむいと思うし】
【出来ればもう少し厚着してくればよかったかな――なんて思っていたところ。それが、こうまで言われてしまうとなると】
【なんだか逆に説得力すら感じ始めてしまう。そうか、脱げば、――いや、無理でしょう、即決で思考して、緩く首を振れば】

お魚さんの鱗はあんまり好きじゃないけど――取るの邪魔だもんね、びしびし辺りに飛び散ったりするし……。
でもね、蛇とかの鱗は好き――! ご飯食べたときの鱗とか、散り散りになってたりするの、かわいいもの――、
……スタン様は、ご飯食べてもそうならないかな? 蛇じゃないもんね……――そっかあ。

【「そうなの、見とれちゃう」なんて、彼女はなんてことないように言うのだ。それなら、やっぱり、】
【スタンのことを悪いようには思ってないみたいで――ころころと笑いながら、魚のは好きじゃない、なんて、少し差別だ】
【続く蛇の鱗についての愛情度と比べるとまるで違う。この場合、鱗が好き――より、……蛇が好き、なのかも】
【――それから少し真面目な顔をしてそんなことを言う。ご飯食べても、皮とかは伸びないかな――なーんて】

え……恐竜がいっぱい居る場所があるの? 聞いたことない、そうなんだ……。
――でも、そっか、あるんだね、どっかに……。……わたしの家の傍の森にもね、珍しい動物とか居るんだよ。
だからね、そういう感じなのかな……、――あんまり、ひとに見つからないといいね。

【――多分、彼女も素直な子なのだ。恐竜たくさん居た、といわれたなら、そうなんだ、なんて真面目に返し】
【こんなご時勢でも、恐竜なんて絶滅したといわれる世界でも、――どこかに群れの住まう場所があるらしい、と受け取る】
【まさか過去から飛んできたとか、パラレルから飛んできたとか、思わない。スタンは確かに現代に生きる恐竜で――】
【――おんなじように、現代に生きる恐竜が、他にも居るのだという認識。正解かどうかは、さておいて】

すぴの……? ……え、あ。……喧嘩はしないよ、わたし、そういうの、得意じゃないし――。
その。だから、鈴音って呼んでほしいな、――――、おなか空いてるの?

【スピノって何だろう。全く知らなかった、恐竜の種族名だろうとは推測が付いたものの、】
【彼女の脳内にある恐竜知識なんてプテラノドンとかティラノザウルスとかトリケラトプスとか、そんな程度】
【だから「はてな」を浮かべて考えていたら――なんだか喧嘩する流れになりかけていて、慌てて制し】
【鈴音って呼んで、むしろ呼んでください、喧嘩はしたくないの――そんな顔をしていたのだが、】
【スタンが地面をごろごろと転がりながらおなかをきゅるきゅる慣らしだすと、……どこかほっとしたような表情になるのだった】

ちょっと遅いけど――お昼ご飯食べに行こ、わたしもね、なんにも食べてないの。

【多分これで喧嘩のこととか忘れてくれるだろう――なんて淡い期待。ちょっぴりの下心で、彼女は、優しく手を差し伸べて】

/よろしくです!
663 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/02/07(土) 22:19:03.80 ID:AFRBz4EpO
>>662
/携帯からなので、次レスも少し遅くなりますorz
本当にごめんなさい!
664 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/07(土) 22:45:12.78 ID:aogNW4hO0
>>663
/大丈夫ですよー、ごゆっくりどうぞです!
665 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/07(土) 22:47:13.86 ID:CfCI7fnNO

【街中】

【煌々とネオン輝く繁華街】

【夜が更けても眠らぬ街の通りには、艶めいた出で立ちの娼婦だとか怪しげな呼び込みだとかちょっとワルそうな少年少女といった様々な“オトナ”がおり】
【そんな“オトナ”達の中にその場にそぐわぬ“オコサマ”が一匹】

【ハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカー、紫色のスカートに黒いニーハイと赤茶色のショートブーツの精々十五歳そこらの女の子】
【ワインレッドの瞳をキラキラと輝かせて愉しそうに繁華街を駆け回る】
【如何にも「おのぼりさん」といった様子の彼女の足はふと深夜も営業しているペットショップのショーウィンドで留まる】
【厚いガラスの向こう、区切られたスペースには遅い時間の為か既に眠っていたり、まだまだ元気に狭いスペースを駆け回ったりと思い思いの行動をしている生き物達】

【その中の一つ、可愛らしい仔兎がプルプルと震えているスペースに少女の目は留まる】

……うわあ……いいなあ、可愛いなあ……
【ショーウィンドにぺたりと両手をつけ、年相応の女の子らしい声をあげる少女】
【だが、はたと気付いた様に「うん? 」と呟いて顔を上げると】

……野兎ってジビエだっけ? 
【可愛らしい仔兎を前に突拍子もない事を呟く】




【路地裏】

【暗く狭い空間に響き渡るのは鈍い打撃音と低い呻き声、それから】

「オラッ! 痛えか!? 痛えならちっとは抵抗してみやがれ!! 」
「すぐには終わらせねーぞ! 先輩が受けた分、倍にして返してやるからな!!! 」

【何処か正気を失ったような若い男の怒鳴り声】

【見れば其処には自警団の制服を着た若い男が二人、何やら灰色の襤褸を蹴りつけており】
【否、襤褸ではない。二十歳程の青年だ】
【蘇芳色の少し長めの髪に灰色のボロボロになった着流しのその青年は、蹴られ地に臥しながらも自警団の男達を睨みつける】

ゲホッ……テメェ……こないだの自警団員か……? 
腰抜かして逃げ帰った癖に仲間連れて暴力かよ? 
……これが“正義の味方”のする事、か……? 

「ははっ、何とでも言え! 先輩をお前に殺された俺達と、その恨みをはらされてるお前、どっちが正しいだろうなあ!? 」

【口からどす黒い血を吐き出しながらも啖呵をきり、自警団の男達を睨む青年を男達はせせら笑う】

【そうしているうちに男の片方がナイフを取り出す】

「なあオイ、そろそろ腹刺してそこから火ィつけてやろうぜ! 」
「そうだな! 先輩と同じ苦しみを味わってもらおうぜ!! 」

【自警団員とは思えないような笑みを浮かべて顔を見合わせる男達の前で青年は「これが正義か? 」といわんばかりの表情を浮かべている】

666 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/07(土) 23:23:32.06 ID:lBwTaPlho
>>665

【――――大通りを歩いていた男の鼻先に漂ったのは危険な香りだった。それも一瞬だけ。周りの歩行者を見渡すも、誰もそれに気付くことは無い】
【それでもこの感覚が嘘だとは思えない。何度もこの香りを、何回嗅いでも慣れないこの不穏を身に浴びて来たからこそ、それは寧ろ確信に近かった】

【男は走る。その匂いを辿るように、長年培った戦闘の勘というモノを最大限に活かして狭い路地を行く。そして眼にしたのは――――自警団員が、ナイフを持つ姿】
【自警団の制服を来た2人の男が下卑た笑みで見下ろすは20歳程の青年。大分痛めつけられたということは彼の姿を見ただけで直ぐに分かった】

……――――どういうことだ、説明しろ。貴様等は彼を殺す気なのか。

【倒れる青年の後ろ、即ち2人の男の前に現れたのは――――白い長着に黒い袴を履き、薄藍のインバネスコートを羽織った20代前半の黒髪の男】
【左腰には緋鞘の刀に白鞘の短刀という大小拵え。所謂櫻の国の侍のような恰好をした男が、水に濡れた刃の如き濡羽色の双眸を2人に向ける】
【――――彼等の会話は聞こえていなかった。辿り付いた頃には彼等が先程交わした会話は既に終わっていたのだから。だから判断材料は、表情】

【倒れる男が悪人なのかもしれない。もしくは自警団員が悪人でもないのに、もしくは悪人だとしても軽犯罪を犯した程度なのに酷い暴行を加えたのかもしれない】
【――――勿論どっちかを的確に判断するなど瞬時にできるはずもないので侍は彼らの顔を見たのだが、その下卑た笑みからは、この光景の理由が後者としか思えなかった】

667 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/07(土) 23:33:36.17 ID:qG67KqUXo
>>662

【大方、間違っては居ない。恐竜も全てが全て、鳥として生き残ったワケではないし】
【厳密に言えばそもそも、"恐竜"という括り自体が、生体・種族を現す単語として余りにも大雑把過ぎて、】
【不適切なのではないか、鳥類は鳥類の子孫として別に命名すべきではないか―――そんな、話まで浮かんでいる程。】

【人間はとても傲慢だ。自分で勝手に名前をつけて、それを自分達の基準として当たり前のように押し付ける。】
【惑星と決めてかかって数百年、掌返しが余りにも華麗すぎて"冥府の王"の名を持つ星のファンは大勢怒った、というし】
【そのうち恐竜、というジャンルにおいても同種の事態が起こりえるかもしれない―――閑話休題。無駄話が過ぎたが、さておき。】

 ん〜、でもよぉ、なんっていうんだろうなァ……こう、ぐわーっ! と大きくて、
 どどどーん! と存在感があって、普通はあんまし近付こうとしない、と思うんだけどなあ。
 たとえ寝てたとしてもよぉ、やっぱりりんねは変わってるな! あんまり見た事ないタイプのニンゲンだ!

 寒いのがニガテなのか! ニンゲンはよわっちぃからなァ、すぐ風邪引きやがるしよ〜。
 アタシなんかピンピンだぜ! ―――……お腹がバカ空いてることを、除けば、だけど……ううぐ。
 おお、脱げ脱げ! 服なんて着てるからよわくなるんだぞ! なんか、めん……めん、めんきき! とかいうのが、つくらしいぞ!

【免疫、である。まあそんな概念を知っていただけでも御の字、だろう。】
【だが残念な事に、脱いでもとたんに筋力は上がったりしないし、身体が緑色になったりもしない。】
【というか、鈴音がそんなことになろうものなら件のガンマンが泣いて止めようとするだろう、ゆっくり強くなればいいのだ。ゆっくり。】

 さかなぁ!? げえ、サカナの話なんてするなよなぁ〜!
 ただでさえお腹が空いてるときに、やめろよりんね! 普段は魚なんて滅多にくわねェけど、
 こうなってくるともう、パラサウロロフスとかイグアノドンじゃなくてもいいからなんでも肉がくいてぇよ〜……。

 ―――へ? おひる、ごはん……!?
 なんだりんね! 飯のあるところ、しってるのか!?
 よーし! じゃあ食い物の場所教えてくれたら、アタシもお礼にアタシの故郷のことをおせーたるよ!

 その、めずらしいどうぶつ、ってのの話も聞きてぇしな! そうと決まれば腹ごしらえだ!!
 
【―――と、力強くそういうと、矢張り喧嘩のことなんてとうに忘れているのだろう。】
【彼女は鈴音の手をとって、素早く立ち上がると、今直ぐ行こう早く食べようとうずうずして止まらないようだった。】

/遅くなりました、ごめんなさい!
668 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/07(土) 23:49:33.98 ID:aogNW4hO0
>>667

【いろんなことは、きっと、学校にも行っていないし、あんまり興味もなかった彼女には、難しすぎる】
【それなら、おそらくは――こんな認識でいいのだ、“恐竜ってすごくてかっこよくて、あと、ちょっとおばか”】
【――最後のほうは些か、人生で初めて見た現物のせいだと思うのだが。悪気はない、ないのだ――いちおう】

ん……そっかな、わたし、変わってる――? ……そっかあ……。

……でも、急に脱いだら、免疫が付く前に風邪引いちゃうの。スタン様は……引かないの? 風邪とか、

【なんだか、ショックを受けたように見えただろうか。いや、ショックというほど、重篤なものではないのだけれど】
【少し気にしたように――それで意味はないはずだのに、彼女は自分の身体をぺたぺたと触れながら確かめるようにし】
【最終的には身体の前で手を繋ぐようにして両手を下ろすのだが。手の重さでもったりと凹むスカートは、どれだけ柔らかいのだろう】
【――というか、よく考えたら、脱いだら下着だった。ケープくらいなら、二分くらいなら、脱いでもいいかななんて思ったすぐ傍】
【スタンの格好を思うと、もっと脱げといわれそうで――それなら、お付き合いは出来ない気がしてくる。流石に、】
【片田舎とは言え、下着だけとか、それなんてイケナイ撮影?みたいな感じになってしまう、まして、正義組織の人間が!】

【というので、――微妙に話題を逸らしながら。風邪なんて引かないのか、なんて尋ねるのだ】
【見てるだけで風邪が引けそうな格好。本当に寒くないのかな――なんて思うところに、寒風一つ吹き抜けて。彼女は身体を縮め】

うんと……あっちのほうに、お店屋さん、あったと思うよ。
見間違いじゃなかったら、だけど――そうでなかったら、えっと……。

……ここじゃない場所でいいなら、わたしが働いてるところで、――ご飯作ってあげるのも、出来るけど。
どうする? ちょっとね、遠いから――分かるかな、転移の魔術で、行くことになるけど――。

【お散歩――そのつもりで出歩いていたなら、ざっとは分かっていても、細かい店の分布まではよく分からない】
【だけど、あっちのほうにあった気がする――なんて曖昧で言葉を返せば、少し自信なさげな指が“あっち”を示し】
【けれど確実なのは、ここから根本的に移動してしまうこと、だ。知っている店に行けば、何もかもよく分かる、】

【まして、そこで働いていたりするなら――食材のストックから、調理器具の具合まで、もう、完璧レベル】
【どっちにせよ自分がお金を持つことになりそう、だけど、あらかじめの催促も、釘を刺すこともないのは】
【きっと、聞きたいのだ。お礼だとスタンが提示した――故郷の話、他の恐竜の、お話とか】

【――珍しい動物について話すのも悪くない。恐竜の女の子と、幻獣と呼ばれる生き物について語るの、……面白そうだって】
669 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/07(土) 23:58:33.91 ID:CfCI7fnNO

>>666

【目の前に現れた男。その姿に自警団員達は思わず顔をしかめる】
【誰なのかは知らないが、とんだ邪魔が入ったものだと】

「殺す……? 何言ってんだ当たり前だろ、此奴は悪人なんだぞ? 」
「そうそう、此奴が何やったかアンタ分かって止めようとしてんのかい? 」

【自警団員達は何処か呆れたような表情で男に答える】

【一方の青年はというと突然現れた同郷らしき男の姿に驚いたように暫し目を見開かせていたが自警団員の言葉に少し辛そうな表情を見せ小さく頷いた】

……此奴等の言う通りだ、どういう訳で俺を庇うのかは知らねェが
その必要はねェぞ? 
【青年は血の付いた口元を手の甲で拭うと、自業自得だしな、とぽつりと呟く】

670 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/08(日) 00:04:22.64 ID:YboIKqvko
>>668

【勿論、スマートな恐竜というのも中には存在する。ジュラシックパークのアレが有名だ。】
【だが、実はこのティラノサウルス、恐竜の中では随一と言っていい程巨大な脳を持っている事で有名だったり。】
【と言う事は、それなりに頭もよくて考える能力はあった筈、なのだが―――まあ、人間も皆がテスラやダーウィンという訳でもないし。】

 かぜ〜? アッハハハハハ! ひいたことねーよ、風邪なんて!!
 大体なァ? いいか? ニンゲンはほら、野菜とか、とーふとか、変なもんばっか食べてるだろ!?
 アタシみたいに肉!肉!明日も明後日も肉!!毎日肉! って生活をしてればな、風邪なんか引きッこないんだぜ!

【―――バカ、という表現がピッタリだった。大馬鹿でもいいし、スカポンタンでもいい。】
【一般人の思考レベルを100とするなら、彼女はマイナス1億と飛んで6500万年、と言った所だ。】
【しかし―――鈴音の平坦な体つきと比べると、肉肉生活実践派のスタンの身体はそれはそれは、それはそれは、だった。】

 お店……うーん、ニンゲンの店かぁ……うーん。
 そーだなあ、よしっ! りんねのお店の方がいいな! だって、りんねが作ってくれるんだろ!?
 アタシは肉が喰いたいぞ! たっぷりたっぷりの肉が喰いたいぞ!! りんねなら信用してもいいし、そっちがいいな!

 まじゅ、まじゅちゅ? それはよくわかんねーけどさァ、要はすぐ着くって事だよな!
 腹減ったよ〜、はやく行こうぜりんね! じゃないと、りんねの服を喰っちまうぞ! な〜んてな! アッハハハ!

【何気ない言葉から見えるのは、初めてであったにも関わらず、自分を怖がらずに話しかけてくれた鈴音への、信頼。】
【鈴音が作ってくれるなら、そっちがいい。―――屈託のない笑顔でそういう姿は、確かにおバカではあったが。】
【それでも、矢張り流石に恐竜。鼻も目もよくきくのだろう、信頼していい人間を見分ける能力には、長けていた。】
671 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/08(日) 00:08:28.29 ID:BtdNZxpJ0
>>670
/すいませんっ、お返事が微妙にちょっと遅れそうです……
/そんなに遅くなるほどのものじゃないので、ほんの少しお待ちいただけたらっ申し訳ないです!
672 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/08(日) 00:10:25.66 ID:YboIKqvko
>>671
/大丈夫ですっ、お待ちしてます!
673 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/08(日) 00:23:06.48 ID:BtdNZxpJ0
>>670

お野菜も食べたほうがいいんだよ、お豆腐は……その、食べたいときに食べたらいいと思うけど。
でも――恐竜さんなら違うのかな、……でも、草を食べる恐竜さんも居るんでしょう? 名前は、分からないけど……。

【――どちらかと言えば野菜が好きだった。肉も好きだし、食べると言えば食べるのだが、】
【流石に毎食肉オンリーな肉食系女子には敵わないだろう。まさかそのせいなのだろうか、この平坦な……やめとこう】
【ないものを強請っても悲しくなるばかり、現に、彼女はスタンの胸元とかをあんまり見てない。或いは、見えないのだ】

ううん、わたしのお店じゃないよ。セリーナってひとのお店なの。
でね、わたしは、そこでお仕事してて――、そういう意味では、わたしのお店、かもしれないけど――。
――でもセリーナってひとが店長さんなんだよ。とっても凄いひとなの、なんていうのかなあ、…………、

……――あ、うん、じゃあ、行こっ。お洋服食べられちゃうのは、その、困るし――。

【どうやら、彼女の持つ店ではないらしい。聞けば店長は別に居るらしく、彼女は雇われであるらしく、ただ、】
【そんなのスタンにとっては興味のないことだろう。誰がどうでどうとか、きっと、そんなのどうでもいいだろう】
【問題はどれだけおいしく肉が食べられるかとか、そんなことのはずだ。それなら、洋服を食べちゃうぞ、なんて、】
【どんなひとなのかを素直に説明しようとした彼女の意識を強制的に切り替えるには効果抜群、あっさりと思考を放棄し】
【「えっと……じゃあ、その、ごめんね」なんて言って、手を繋ごうとするのだろう。もちろん、それは、悪意ではなくて】
【こうしないと、二人で飛べないのだ。――だから、ぎゅ、と、手を繋ぐ。それが叶うなら、「だいじょうぶだから」とまで告げ】

【ほんの一瞬の出来事だ。今まで見えていた景色にぱっと浮かぶのは桜色/紫色の魔力光】
【あとは景色が歪むともひっくり返るともなんともつかない変形――或いは錯覚を起こして、】
【次の瞬間には、空気の匂いや風の温度が変わっている。全く別の場所に来たと、誰だってすぐ分かるほどに】

えっと……ここが、わたしの働いてるお店、UNITED TRIGGERのお店。
今の時間なら、お客さんも居ないし――、ゆっくりしてて大丈夫だと思う、お店の仕込みも、
午前中に、ほとんど終わらせてたから……、もしかしたら、セリーナも居るかもね。

【そして、目の前には、どーんっ、と店舗がある。今の時間なら空いているだろうし、暇しているだろう】
【それなら行きずりの女の子一人連れ込んだって怒られないはず、――なんて、自分をほんの僅かに勇気付け】
【こっちだよ、なんて掛ける声は優しい。何もなければ……そのまま、からり、扉を開くはずだった】

/戻りましたっ
674 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/08(日) 00:25:46.17 ID:xhptoQ/+o
>>669

知るワケ無いだろう、だが貴様等は自警団に有るまじき表情をしていた。
――――愉しんでいたな、抵抗しない相手を痛めつけることを。それにこの状況、殺すよりも「捕まえる」が優先されるように思えるが?

【出来る限り殺しは避けたい、そんなことは当たり前である。殺さないと殺される、そんな状況じゃない限り警察も発砲しない。自警団もそれは変わらない】
【――――この状況を見よう。明らかに2人の男が青年を圧倒している。青年は這い蹲り、暴行を受けているのだから】
【――――この状況を見るに「捕まえる」ことはそう難しくは見えないだろう、なのに何故お前らは殺そうとする。そのような事を侍は彼らに尋ねたのである】

……――――それとも必死だったのか? 殺そうとしないと殺される――――そう思ったのか? 
俺にはそうは見えないな……弱者を暴力で虐げるという愚かな行為を愉しんでいたように見えたがこれは気のせいか?

【彼らが呆れた表情を浮かべたとしても、侍は変わらず叩き付けるような口調を冷静な声色で放つ。寧ろ呆れているのはこっちだ、そう言わんばかりに】
【――――その後、下から声がした。地に臥した青年が発した言葉に、侍は少しだけ目を見開き、暫しの沈黙の後言葉を返す】

……――――じゃあなんだ。死ぬ覚悟も出来ている、とそういう訳か? もしくは牢屋に入る覚悟か。
……それ程の事をした、と自覚しているのか。そもそも何をしたかも聞いてはいないのだが。

【侍は青年の味方か――――と言われればNOである。だからと言って2人の男の行為も見過ごせない。青年が何をしたか、それすら侍は知らないのだから当然だ】
【もしかすれば青年が大悪党の可能性だってある。故に刀の濃口を切った状態を保ち、警戒の姿勢を保ちながら男は尋ねる。「必要はない」という言葉の理由を】


675 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/08(日) 01:08:03.84 ID:vSfrpxH+O

>>674

【自警団に有るまじき表情、無抵抗の相手を痛めつける事を愉しんでいたといわれれば男達は互いに顔を見合わせ、そんな顔をしていたかと首を傾げる】

「……まあ本来ならな、だが此奴は何人も殺してる悪党だ。そういう奴は即行死んだ方が……」

【さらり、と答えかけた自警団員に畳みかけるように問う男。その追及に彼は答えられなくなり】

「お……お前には関係ないだろう!? それに俺達は俺の先輩が此奴にやられた事をやり返そうとしてただけだ! 」

【終いには逆上し男に対して声を荒げる】

……まァな、自分が犯した罪が死ぬ事で償われるってんならそうするし、牢屋に入って償われるってんならそうするよ
【男の問いに答えながら起き上がりその場に座り込む青年】

何をした、ねェ……
難癖つけて理不尽に人を何人か殺したのと……何件か傷害もやったか? 
あァ、それから大切な事が一つ
……以前、其処で赤い顔して怒鳴ってやがる自警団員の先輩とやらを殺した
【指を折りながら自分の罪状をあげる青年】
【その口調こそふざけたものかもしれなかったが声と表情は至って真面目だ】

……で? お前が連行してくれんの? 
それならそれで良いけど? 同僚が死ぬのを見て腰抜かしてた癖に仲間連れて強気になってる其処の奴よかマシだ
【青年は自警団員をちらりと見てからどうにでもしろといわんばかりに目を閉じる】


676 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/08(日) 01:41:42.57 ID:xhptoQ/+o
>>675

……――――正直、同感だ。世の中には不殺を掲げ大量殺人鬼ですら殺さないと言い張る馬鹿もいるが、俺は違う。
殺人鬼1人殺さないことで何人もの犠牲に繋がる可能性を考えると、そのような脅威は一刻も早く消し去ることだ。
だが、可能ならば殺さずにいたい。悪ではない限りそう思うのが人として当然だ……と俺は思う。
それに俺達は自警団だ。市民を護り、犯罪者を取り締まり牢屋に閉じ込め、法の裁きへと送り込む役目。その使命を「一部」放棄している、とも取れないか?

【――――即行死んだ方がいい。侍はそのような意見に首を横に振ったりはしなかった。しなかったが、それでも尚彼らの行為には納得できない、と侍は言葉を続ける】
【自警団の使命は脅威を消し去ること。しかしながら其れは悪人を見付け次第殺すことではない。可能な限り悪人を確保し、そして法の下で正式な処罰を与える】
【――――明確に自警団の手帳に書かれている訳ではないが、これこそが侍が思う「自警団の使命」であった】

……――――珍しいな、寧ろ不気味だ。 罪を重ねる奴が罪を償おうとする……俺もそのような例は初めてかも知れない。
じゃあ何故殺人を犯した、それも一度ではなく何度も。もしそれが隙を見出すための演技ならば無駄だぞ、SCARLET は用心深い。

【不可解な視線を青年へと下ろす侍。何度も罪を重ねる者というのは、悪いことをしているという自覚が無かったり、自分の利だけを追求する人格破綻者が多い】
【しかしながらこのような状況でも冷静に自分の罪を数え上げ、そして償うという内容の言葉をころんと吐き出すこの青年は――――極めて、異質】
【故に余計警戒心を強めるようなことになったのは、侍自身が言ったようにSCARLET に所属しているからなのだろう。戦闘を重ねれば用心も深くなるものだ】
【どうやらこの男、制服は着ていないが自警団であり、SCARLET 。それなりの地位と実力があるらしいが、どうやら連行する気は無さそうだ。彼自身で、だが】

……――――いや、違う。この2人の行動によってはそうするかも知れんが、基本的には俺は干渉しない。……今日は非番なんだ。
下手なことをしない限り俺は「見ている」だけだ。貴様が逃げ出すとか、2人が自警団に有るまじき行為をするとか。

……――――言っておくが、見た分はしっかりと「報告」させて貰うぞ。

【インバネスコートの右胸にある緋色の鷹は、まさしくSCARLET 。その彼は刀の鯉口を切った状態を維持したまま待っている。2人がここからどうするか、を】
【「報告」と言ったのは、2人に釘を刺す為だ。格好が悪い言い方をすれば「告げ口」。自警団に有るまじき行動を取ったと伝えるぞ、という一種の脅し】

677 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [saga sage]:2015/02/08(日) 02:38:57.45 ID:1zJbjMPNO

>>676

【完全なる同意、とまではいかないがある種の肯定の意を示す男の様子に自警団員達はひとまずホッとした表情を浮かべる。どうやら否定されるだろうと思ったようだ】
【しかし、その後の男の自警団の使命とは何かを語る言葉を聞き二人は唸る】
【確かに目の前の青年は同僚を殺した憎き仇だ。だが少しやり過ぎたのではないか? と】

【一方の青年は男の話を聞きながら少しだけ表情を曇らせる】
【“殺人鬼”“そのような脅威は一刻も早く消し去れ”】
【その言葉で想起したのは自分ではなく別の、今は亡き“殺人鬼”の事】

(悪ではない限り……か……けど理由は、なァ……)
【青年は他の誰かを思い、こっそと深い溜め息を吐く】

……ん、まあ珍しいっちゃ珍しいだろうけど……そういう奴がいても別に良いんじゃねェかな? 
それに自分で犯してない罪ならともかく自分が犯した罪くらいは、な? 
【何処か意味深げな事を呟き遠くを見る青年】
【しかし、何故罪を犯したかに追求が及ぶと、地面に視線を落とし唸りながら考える】

最初の一人は……カッとなって殺したようなもんなんだよなァ
縋るものっていうか……追ってきた仮想敵? それを全否定せざるを得ない事が起きて……そんな時に肩掴まれて……それで……といえば良いのか……
二人目からは…………あー、心情とか説明しようとすれば長くなるかもしれねェな……
まァ、隙とかそんなんじゃねェのは確かだ、『スカァなんとか』が何かは知らんが
【うぅむ、と唸りながら頭をがりがりと掻く青年】
【隙などを作る気かなどと問われれば安心しろというように少しだけ口角をあげ】

……何だ、違うのか
連行されるなら此奴等よりかマシだと思ったんだけどなァ……
って、お前もそういう? というか『スカァト』? とかいうのはそういう奴らの集まりなのか? 
【干渉はしないと言われれば本当に残念そうに深い溜め息を吐き】
【かと思えばふと気付いたように首を傾げ問い掛ける】
【『SCARLET』を知らないのか言葉を間違ったりはしているが】

【一方の自警団員達は青年と男の会話に次第に青くなっていき、「報告させてもらう」という言葉に止めをさされたのか「ひぃっ」と引きつった声をあげる】



/すみません、眠気がおそってきたのでここらで凍結という事で……
678 :ロウの人 ◆EeJ7tvIqpI [sage saga]:2015/02/08(日) 03:11:08.09 ID:xhptoQ/+o
>>677

……俺達からすれば全員が全員そうであってほしいよ。捕まった時に暴れられては面倒だし、其方に怪我をさせずに済む。
――――にしても良く分からんな、犯していない罪ならともかく、というのは。犯していない罪を償うと言うのも変な話だろう。

しかも殺した理由も……カッとなって、というありがちなパターン。いや、悪いとは言っていないがそこは普通なんだな……と。

【世の中の犯罪者が罪を償う気を持っているのなら、そして彼のように捕まることに抵抗を感じさせないような素振りならどれだけ此方側は楽だろうか】
【しかしながらそんなことはあり得ない、と軽く肩を竦めてモノを言えば、言及するは意味深な言葉。本当に深い意味があるかは分からないが、少なくとも侍はそう感じた】
【――――理由についても、なんだか肩すかしというか。仕方がない理由や不幸があるのかと思えばそんなこともないのか、まぁ深くは語ってくれなかった】

――――……ニュースや新聞くらいは目を通しておけ。SCARLET は自警団・警察・軍によって設立された――――説明すると長いから要約すると、正義の傭兵部隊だ。
どこにカノッサやGIFTが攻めてきても、自警団・警察・軍の広域ネットワークのどれかには引っ掛かる。
その時出動するのが最寄りの自警団・警察・軍と我らSCARLET だ。つまりいつでもどこでも、この瞬間にでも連絡が届けば出動せねばならない。
そういう仕事で――――ッッ!? ……はい、こちら中邑。――――ハイ、はい。分かりました、今すぐ本部に戻って出動します……!!

【狙ったようなタイミングで携帯が鳴った。丁度「連絡が届けばいつでも出動を」と言ったまさにその時、その出動命令が出たのである】
【びくり、と中邑と呼ばれた侍は身体を軽く震わせてから急いで携帯を取り、シンプルな会話を交わして直ぐ様切った】

……――――なんだこのタイミング……まぁつまりそういうことだッ、だから俺は早く……あっ、お前ら2人! 
言っておくが後でこの青年がどうなったか確かめるからな? もし殺したとして死体を隠ぺいでもする気か? そんな小細工を考えるくらいならちゃんと使命を果たせ!
――――では、済まない失礼する……!!

【――――予定が変わった。急変である。となれば此処で2人の様子を見ている場合じゃない、が――――釘は出来るだけ刺しておこうと、最後に一言】
【結局見ていなくても、結果で分かるんだぞと彼等に早口で言い放った後、彼は路地裏を駆けて去って行った。結局青年をどうするかは、2人に託されたのである】

/すみません、既に締めの文を用意していたので使わせてもらいます……!
/ありがとうございました、お疲れ様でしたー!



679 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2015/02/08(日) 13:42:04.37 ID:ce+1y23fo
【どこかの街角】
【短髪を逆立てた男が、訝しげに辺りを見回している】
【どこか狼のような印象を与える、長身痩躯】

―ー――んん?
迷ったか、こりゃあ………

【がりがり、と頭を掻く】
【ため息をついて、懐からよれよれの地図を出して、眺める】
【たまに回転させているあたり、方向感覚は褒められたものではないようで】

ダメだ、わかんねえ。
シルフィード商会、シルフィード商会……
そもそもどっちにあるんだろうな……

【最近このあたりに支店を出した、異国の商会の名前を口にしている】

/おはつですー
680 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 14:05:13.34 ID:m5fjPrADO
>>679

──ふふん、どうやら迷子のようだなぁ!!


【昼間の、街中であった。人通りもそれなりにあることだろう】
【少なくとも、日曜日の昼間の街中で、人っ子ひとりいない事態はありえない】

【──そんな中、上記の言葉が突如叫ばれた。熱烈シャウトのバインドヴォイスである!】
【当然、周囲の通行人は声の主に視線を向ける。いた、女の子だ】
【夜色の長髪に夜色の瞳をした、18歳くらいの女の子だ】
【彼女は男に対してずびし!と指を指しており──当然、周囲の視線は男にも向かうことになる】


もう一度聞こう……お前、迷子だな!!


【2度目の、シャウト。男に刺さる、通行人の視線】
【……晒し者にされている。間違いなく、この、夜色の少女のせいで】
【いや、多分彼女は善意で声をかけたのだろう】
【しかし、周りが彼らに注目しているというのは事実】
【獣のような雰囲気を纏わす彼が、怒らなければいいのだが……】
681 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2015/02/08(日) 14:12:27.03 ID:ce+1y23fo
>>680

――あァ?

【片眉をくい、とあげ、声のした方向に振り向く】

迷子、だと?

【自尊心を傷つけられたのか、面白くなさそうな顔で夜色の少女へと一歩を踏み出し】

待てよ、そうだな……

【はたと自らの境遇を考える】
【認めたくないものの、自らの現状は、まさしく――】

そうだ、迷子だ!!!

【少女の声に負けない音量。仁王立ちで、高らかに吠えた】
【ずびし、と刺された指。正面から受け止める男】
【周囲の通行人は、二人を気味悪そうに見ている】
682 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 14:25:01.16 ID:m5fjPrADO
>>681

【唸り声の如くあげられた、不満げな返答】
【ずずいと力強く踏み出された足に、機嫌の悪そうな表情】
【事態はまさに一触即発──こんな真っ昼間、血で血を洗う闘争が発生するまであと僅か……!】


   ……そうか、迷子か!!


   【────わず、か……?】


   私も迷子だ!!!!!


   【 ……………… 】


……しかし私と違ってお前は地図を持ってるな!!
くっ──なんてやつ! お前、迷子慣れしてるだろう!


【……話を整理しよう】
【1.彼は迷子である】
【2.彼女も迷子である】
【3.迷子が2人に増えた】
【∴話は解決しない。QED】


だがな、私も迷子だが地図の見方くらいはわかるぞ!
どこ行きたいんだ? ほら、地図を見せてみるがいい!


【にしたって、何でこの少女はこんなに偉そうなのか】
【地図も持たない迷子という、男に比べるとはるかに(頭が)重症のくせにこの口振り】
【挙げ句の果てに彼に近付いて地図を覗き込もうとまでしている】
683 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2015/02/08(日) 14:33:26.79 ID:ce+1y23fo
>>682

何ィ、テメェも迷子なのか……!?
そりゃあしょうがねェな…!

【少し驚いたように声をあげる――】
【が、自分自身迷子なのだ。目の前の少女が迷子だからといって非難には値するまい】
【そう思って、しょうがない、と口にする。引き続き大音量である】

【なお、このあたりで通行人は頭を抱えて日常に戻っている】
【こいつらダメだな、と】

フフン、自慢じゃねェが方向音痴だからな。
迷子くらいは慣れっこよ。
こういうときに備えて地図はもらっとくもんだ、嬢ちゃんも次から気をつけろよ?

【あまつさえ自慢気である】
【少女が覗き込もうとするのに合わせ、地図を差し出す】
【それなりにきちんとした地図で、目的の場所への道順がわかりやすく書いてあり】
【どうやら男の方向感覚のなさを知った人間が作ったらしいのだが――】

でも地図ってよ、自分が何処にいるかわかんねェと役に立ちゃしねえ。
不便なもんだぜ、まったくよ。
嬢ちゃん、ここが何処らへんか知ってるか?

【――いささか見込みが甘かったようである】
684 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 14:49:47.34 ID:m5fjPrADO
>>683

うん、気を付ける!
いや……迷子というか、そもそも目的地が正確にわかっちゃいないんだけどな!
お前、UNITED TRIGGER──UTの本拠地の場所って正確に知ってるか?
そこに行きたいんだが、いかんせんちゃんとした場合知らないんだ!


【ふふんと偉そうに胸を張る少女。威張れることではまったくない】
【彼女が告げた横文字は組織名──この世界では名を馳せる正義組織の名称である】
【テレビでは水着の女の子を使ってCMを流したり、かと思えばテロ行為を真面目に阻止したり】
【どこぞの酒場が、そのUTなる組織の本拠地らしいのだが──彼女はそこに行きたいようだった】


……けど、地図を持たない私より、地図があるお前の方が事態の解決は早そうだな!

────うん、うん、まずは上下逆だな!
ついでにえぇと……今、多分、ここだから……
……よし分かったぞ! でもここでお前を放っておくとまた迷子になりそうだからな!
一緒に行こう! 妙に丁寧すぎる地図だから、「2人揃えば念殊の知恵」ともいうし、もう迷わないだろ!


【※3人揃えば文殊の知恵】
【──まぁ、それはともかく。この少女、迷子ではありながら地図はそれなりに読めるようだ】
【といっても、周囲に目印となる建物や店が多いからこそ地図の内容が理解できているらしい】
【ふふん!と楽しげに笑えば、周りをきょろきょろし地図とにらめっこしながら歩き始めた】
【……だいぶ、元気な少女のようである】
685 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2015/02/08(日) 15:13:41.30 ID:ce+1y23fo
>>684

UNITED……TRIGGER、ね。
聞いたことはあるがよ、詳しい本拠地の場所は知らねェな。
つーか、そういう組織って正確な所在地、公表してるもんなのか?
襲撃されねェように秘匿してるもんだとばっかり思ってたぜ。

【何かを思い出すように、組織の名前を口にする】
【男もまた、鉄火場に生きる者なのか。何処か剣呑なことを呟いて】

おお、上下が逆だったのか!
道理でおかしいと思ったぜ……どう見ればいいかくらい、アイナの奴書いといてくれりゃあ……

いや、さすがだぜ嬢ちゃん!
助かった助かった!

【地図を読み解いた少女に、ぱん、と両手を合わせて拝むような仕草を見せる】
【そして、同行してくれるという少女に向けて、驚いたような視線を向けて】

――ホントか?
いや、そりゃ実際助かる。
初めて会ってここまで世話になるのも申し訳ねーけどよ。

連れてってもらえると助かるぜ。

シルフィード商会に着きゃあ土地勘のある奴もいるだろうし、
今度はこっちがUNITED TRIGGERってとこにも連れてってやれるかもしれねーな。

【少しばつが悪そうにガリガリ、と頭を掻く】

【元気に歩く少女を見やる――何か眩しいものでも見るように】

【尊大な態度、けれど間違いなく、元気で、かつ善良なその性質】
【いささか不釣り合いなそのあり方と、UNITED TRIGGERという組織名】

【この少女もあるいは、戦うチカラを持つ者か、と】
【歩き始めた背中に、その戦力を図るような視線を向ける】
686 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/08(日) 15:16:18.66 ID:3UM8unhDO
【聖徒 病院前公園】

オデノカダダハボドホドダァよ…。元ネタ詳しくねェけど…。

【先の戦闘では動けないほどのダメージを負ったものの、親切な相手が救急車を手配してくれた。】
【そのため大事には至らず、二日ほど安静にした結果それなりの回復を見せたようだ。】
【二日間風呂には入っていないものだから、髪の毛もぼさぼさの 、病衣に身を包んだ青年である。】
【──ベンチに座り、きゃっきゃはしゃぐ子供を眺める。手にはパックのタイプのイチゴ牛乳。定番のスタイルだ。】

分かったよ。俺は特別じゃない。主人公じゃあない。この三連敗で気づいた。
とはいえ、だからこそ早く戦闘に身を投じなきゃ。勝負勘を忘れてしまいそうだ…。

──いたた…。

【とはいえ、である。少しでも動けば傷にさわり、激痛走る。】
687 :照垣我鬼 ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/08(日) 15:28:47.52 ID:Z0wEKcAQO


>>678

…………? 
暴れられたら面倒ってのは分かるけどこっちが怪我するのも嫌なのか? 
お前、変わってるな
【男が自分の心情を吐露すれば青年は可笑しかったのかクスリと笑う】

……あァ、犯してない罪
例えば、親兄弟が犯した罪を何もしてない息子や弟が償わされる
そういう事が現実にあるんだよ
それに、 普通の理由ってのは初犯だけで後は酷いモンだぜ? 
なんていったっけ……えェと……被害妄想? そんな感じだしさ……
【しかしその表情はすぐにやりきれないものへと変わり、吐かれるのはどうやら加害者の身内に対する周囲の冷遇のようで】
【それでも何処か自虐めいた口調で自分の動機を「被害妄想」なんていってみたりして】
【何というか若干自棄とでもいおうか】

……えェー、俺瓦版とかあまり読まねェし時事とか興味ねェんだけど……
【年若い少年のようにげんなりとした表情で面倒くさそうに呟く青年】
【まあ、瓦版やらニュースに触れないのもそれなりに理由があるのだが】
【それでもまあ気にはなるようでふんふんと頷きながらもSCARLETについての説明を聞き】
【あれ、この前勧誘された『正義』ってもしかしてこれか? などと考えてみたり】
【していた途中で止められた思考】
【鳴りだした男の携帯の音に「わ゛ァァァァッ!!? 」と驚いて大声をあげる青年】
【中邑と名乗った男が携帯を取ってからも「えっ、何だこれ、何だよこれ」などと小声ではあるが密かなパニック状態】
【電話を知らないのか着信音に慣れてないのかとにかく、落ち着いている第三者が見れば面白いことになっており】
【済まないがという相手の挨拶にも「え、おうっ? 」などとぎこちない返事】
【慌ただしく去る男を見ずに、吃驚したァ……などと胸を押さえて呟くのだった】

【余談、ではあるがこの三人。中邑なる男が去った後にまた一悶着あったようで一時間程後の路地裏には炎を纏った中型の犬に追い回されている自警団員二人の姿があったらしい】


/遅ればせながら其方こそお疲れ様でした!
688 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 15:32:14.55 ID:m5fjPrADO
>>685

うーん、やっぱり隠されてるのか?
でもちょっと用事があるからな、行かないってわけにはいかないんだ!
せめて構成員に会えれば話は変わるんだけどな……
まぁいいや、ありがとう!


【男の言うことに、彼女は大いに納得した】
【何せあの、世界的に悪の限りを尽すカノッサ機関とも戦う組織なのだ】
【所在地を公開しているのなら──確かに、爆弾を大量に投げられてジ・エンドだ】
【目的の情報は得られない。けれども彼が疑問に答えてくれたのは確か】
【故に彼女は素直にお礼を言うのだ。元気いっぱい、にっこりと】


ふふん、ここまで来て助けないというのもおかしいだろう!
困った時にはお互い様という言葉もあるしな!

んで……お前の行きたい場所は「シルフィード商会」というのか
響きだけ聞けば商人の集まりみたいなところだが……
お前はあんまり、商人っぽくは見えないな! どっちかというと狩人って感じだ!!


【──向けられた視線を受けて、だろうか。もしくは、彼の持つ餓狼のような雰囲気からか】
【ふふんと少女は笑って、彼を狩人だと言ってのける】
【──男に気を使ってか、後ろを時折振り向きながら歩く少女】
【その背中には、布に包まれた刀剣が一振り、あった】
【……武器。それは間違いなく、何らかの戦力を持つ証明だ】


──ところで、お前の名前は?
私はリーベ! リーベ・エスパス!
名前を知らないってのも、味気ないからな!


【ふふん。また少女は、快活に笑った】
689 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2015/02/08(日) 15:47:10.60 ID:ce+1y23fo
>>688

ほお、そりゃまた大変だな。
戦う組織だと思ったが、嬢ちゃんも用があるのか。
どうやらこの地も、俺の流儀は無駄にならねェのかも知れねェな。

【向けられたお礼を、莞爾と受ける】
【粗にして野だが、卑でないのがこの男であるようで】

狩人か。
嬢ちゃん、いい勘といい目をしてる。
物騒な世の中だからな、商人っつー羊の中にも、俺みたいな狼が必要なんだとさ。
自慢じゃねェが、商売事はさっぱりだ。
荒事になりそうなときだけ、ちいと凄んでみるのが俺の仕事だよ。

【ふふん、と少女に笑みを返す】
【ちらりと刀を見るが、表情は変えず――】
【そういえば、男は無手である】

そうか、リーベ。
先の名乗り、痛み入る。

俺の名はハーヴィル・ストロット。
流れの傭兵だ。

戦場で相対することのないよう、お互い祈っておくこととしよう。

【肩をすくめて、己が名を告げた】
【道すがら歩いていけば、シルフィード商会はもう近いようだ】
690 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 16:01:23.25 ID:m5fjPrADO
>>689

伝言、頼まれてるんだ!
それに……知り合いからも、行ってみればいいみたいなこと言われたからな
頼まれた言伝てついでに、行くのも悪くないと思って!

……それにしても、お前傭兵だったのか!
武器……は、見えないな。銃とか、剣とかは使わないたちなのか?
まぁ私も、人を殺せる武器はあんまり好きじゃないからな!
ふふん、格闘家か、能力者ってところだろう! どうだ、当たってるか?


【なんとも、おかしなことをいう少女だった】
【殺傷力の強い武器を嫌うくせに、彼女自身は刀を持っているのだから】
【──けれども、それを語る機会はきっと、今ではない。そろそろ別れの時が近付いていた】


ハーヴィル、ふふん、いい名前だな!
私が戦場に出ることは少ないだろうけど──それでも、闘わないにこしたことはない!
……っと、地図によれば、シルフィード商会はこのあたりみたいだが?


【お互いの名前を告げあい、またも彼女は笑った】
【何が楽しいのかはわからないが、彼女にとっては何かが楽しかったのだ】
【──そして地図と現在地を見比べ、リーベはゆるゆると足を止める】
【近くまで、来ているのだ。商会とやらはきっと、目視できる場所にある】
691 :ハーヴィル ◆BGu5s6DCUNnt [sage]:2015/02/08(日) 16:22:27.95 ID:ce+1y23fo
>>690

伝言か。
律儀なこったな……
その知り合いが、信頼に値するなら、成程行ってみるのも悪くない、だな。
確かにまあ、志を同じくする奴らとは一緒にいたほうが良いだろう。

【ふふ、と笑う。自らが歩んできた道、もう過ぎてしまった景色を思い出して】

――ああ、傭兵だ。
嬢ちゃんに嫌われちまうくらい、純然たる人殺しの武器を使う傭兵さ。
期待には沿えねえが、格闘家でも能力者でもなく、俺は単なる殺人者、だよ。

【肩をすくめて、自らを嘲る】
【剣や銃を嫌いながら、刀を持つ少女】
【餓狼のような、人殺しを名乗る男】
【揃って迷子になり、同道したのは如何な偶然か――】
【しかし同じ道を歩むときも、ここまででひとまず終わる】

いい名前か?
初めて言われたがな――

ああ、商会はここだ。
ありがとよ嬢ちゃん、本当に助かった。

【少女にお礼を告げて、幾人もの商人が忙しく立ち動く、事務所の中に声をかける】

おい、トマス! いるかあ!?

【声に答えて、若い実直そうな青年が顔を見せる】
【昔からの知己なのか、何事か話し合い、ハーヴィルが懐から取り出した手紙を渡して】
【そのあと、自分の持っていた地図も青年に渡す】

【何やらリーベのほうを指して、青年に説明していて】
【得心したような表情で、あるいは珍しいものを見るような表情で、青年が地図に何事か書き込み】

―――嬢ちゃん、待たせたな。
ちょいと野暮用で、UNITED TRIGGERにはご一緒できねえが、
トマスの奴が場所を知ってた。
さっきの地図に道順を書いてもらったからよ、これでいけそうかい?

【言いながら、地図を差し出す】
【『丁寧すぎる地図』の書き込みとよく似た、けれど少し違う筆跡で、ある酒場への住所が書いてあった】
692 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 16:44:24.65 ID:m5fjPrADO
>>691

……殺人者、か。ふふん、そう卑屈になるもんじゃないぞハーヴィル!
この世界に闘いがある以上、傭兵が必要になるのも仕方ないことだ
だから……うぅん、うん。なんかうまく言えないな
とにかく、私は傭兵、嫌いじゃない。お母さんも傭兵だしな!


【最後の最後。何かさらっと大事なことを言った気がする。母親が、傭兵とか、なんとか】
【それが理由なのかは知らないが、リーベはハーヴィルを嫌う素振りは見せなかった】
【むしろ、自分を卑下する彼をたしなめようとするほどだった】
【もっとも、慰める類いの言葉なんて、なんだかうまく言えなくってうやむやになってしまうのだけれども】

【そうして、商会について彼にお礼を言われれば、またしても彼女はふふんと笑い……】


…………!!
すごいな、「旅は道連れ世のためならず」とはよく言ったものだ!
ありがとう、ハーヴィル! ちゃんと地図があるんなら、UTまでいけるはずだ!


【※旅は道連れ世は情け+情けは人のためならず】
【……地図を渡されれば、驚きと歓喜の声をリーベはあげる】
【まさか本当に、UTへの地図を得られるとは思っていなかったのだから当然だ】
【差し出された地図をぎゅうと抱きしめ、一通り喜べば】
【その後はうんうんと頷くと地図を軽く眺め】


……本当にありがとう!
じゃあ、私はもう行くからな!
戦場では迷子になるんじゃないぞ、ハーヴィル!!


【最後はやっぱり、彼女らしいと言うべきか】
【大きな声で思いっきり余計なことを言ってから、たたっと外へ走りだす】
【少し彼から距離を取れば一度だけ振り返り──「気を付けるんだぞ!!」なんて叫んで大きく手を一振り】
【……そしてまた、くるりと彼に背を向ければ、そのまま彼女は元気よく街中に走り去っていくのであった】


/このあたりで〆でしょうか!
/ロールありがとうございました、お疲れさまでしたー!
693 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(福岡県) [sage]:2015/02/08(日) 16:52:58.26 ID:ce+1y23fo
>>692

あっはっは、ありがとうよ、嬢ちゃん。
ご母堂とは同業か。
知り合いの女傭兵はロクなのいねえが、
お前さんみたいに立派な子供が育てられるなら女傭兵も捨てたもんじゃねェな。

【口下手だろう目の前の少女に微笑みかける】

旅は……何だって?
ああ、ったく、お前さんこそ気をつけていくんだぞ、リーベ!

【何を言いたいのかは大体雰囲気で察し、喜んで駆けていく少女の背中を見送って】
【横でにやつく青年の後頭部をはたいて、ハーヴィルはリーベを見送った】

【シルフィード商会。その看板が、風に揺れていた】

/ありがとうございました!
/とても楽しかったですー。
694 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 17:15:45.51 ID:RL8B3HOqo
【公園】

【昼間の公園は子供で溢れかえっていた。数ある遊具のどれにも子供がわんさか取り付いている】
【子供たちの年代も幅広い。シーソーに乗っているのは六歳ぐらいの男の子に七歳ぐらいの女の子】
【ジャングルジムには八歳ぐらいの男子女子が複雑な動きをして何だかよく分からない遊びをしている】
【背丈が小中大と揃った三人組が公園中を走り回っているし、ベンチの上にも三十代ぐらいの男が座っているし──】

【その男は黒い短髪に切れ長の瞳、凹凸の少ない東洋人の顔つきを持っていた。赤黒く裾の長い外套を着込み内側は黒い服で統一】
【全体の風貌は若くもないが老いてもいない。その男の前には五人の女子が並んでいた】

 よし、じゃあやってみろ

【男が子供たちを指差すと、各々が各々の返事をして胸の前で両手を合わせる】
【それぞれの身体を青や赤、緑に白、黒の色を持つ燐光が包み始める】
【少女たちの集中が深くなり輝きが最高潮に達したとき、光が弾けた。少女たちの前には小さな若芽や灯火、影でできた小さな生物に光球、そして水球が現れていた】

 それがいわゆる“魔術”ってものだ。そいつを使いこなせるようになれば人生は楽しいぞ
 学校では人気者、他人を助けるも自分を助けるも自由自在。彼氏にも婿にも困らない

【男が説明を続けるが少女たちは興奮して騒ぐばかりで聞いている様子がない。男は小さく苦笑した】
【男が指を宙で回す。指先に赤、青、緑、黒、白の燐光が灯り、弾けた】
【男の背後から地面を割って大樹が出現。それを火柱が包み込んで燃やし尽くす。続いて影の触手が炎を包み込んで業火を消し去り、その真上に現れた光球の明かりが影をかき消す。更に水柱が噴出して光球を内部に閉じ込めた後、水柱は一瞬にして凝結。氷の柱が風に煽られて砕け散った】

 それなりに修行だの勉強だのをすればこういった曲芸もできるようになる
 役立つかはさておいて、綺麗だろ?

【雪のように光り輝きながら舞う氷の欠片を見て、少女たちがまた甲高い歓声をあげる】
【男が少女たちからふと視線を上げると公園にいる人の何人かが彼を見ていた。それらは好意的なものばかりではなく、いくつかは恐怖の色合いを含んでいた】
695 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 18:03:16.68 ID:omXtERbto
>>694
/まだいますかー?
696 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 18:03:37.99 ID:RL8B3HOqo
>>695
/おりますぜー
697 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 18:17:08.19 ID:omXtERbto
>>694
【はしゃぐ者達と睨む者達、公園で繰り広げられる魔術の曲芸への評価は賛否両論だ】
【無垢な者や知らぬ者ならその美しさに見とれもしようが、これだけの芸当を簡単に起こす事の恐ろしさを知る者は、恐怖の対象としかそれを見ない】
【───とはいえ、どこの世界にだって、『こういう奴』もいる】

……なあ、旦那

【ベンチに座る男の肩に、背後から声と共に手が置かれる】
【振り返ってみれば、そこに一人の男がいた。白い高級スーツに身を包んだ、撫で付けた金髪の男だ】
【振り返った男の顔を見ると、ソイツはキラリとゴールドフレームの眼鏡を輝かせ、レンズの奥から蒼い目で見詰める】

【…よく見れば、スーツは葉っぱまみれだし髪は焦げてるし肌は切れてるし体は濡れてるし凍ってる】
【どう考えても巻き込まれてます本当に(ry】

その……『魔術』?でいいのか?それさ……

俺様にも、教えてくれない?

【どこの世界にだって、『バカ』はいる───女の子にキャーキャー言われるそれを見て、恐る前に『羨ましい』と考えるような奴が】
698 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 18:35:29.76 ID:RL8B3HOqo
>>697

【周囲の様々な視線を受けても男には何ら気にした様子はなかった。恐怖であれ好奇であれ、注目されることが嫌いではなかった】
【少女たちに暖かな目を向けているとき、後ろからの声に男は振り返った。そこには属性全種盛りを振舞われた可哀想な人がいた】
【男の瞳がその姿をはっきりと見た。騒いでいた少女たちも見た。そして全員が笑い出した】

 あっはっは! こりゃ中々洒落た格好のやつがいるじゃないか!
 曲芸に巻き込まれるなんてそうそうできる体験じゃないぞ!

【魔術師の男は思いっきり大笑い。少女たちは指を差して笑う、嘲り笑う、引きつり笑う、反応がそれぞれだった】
【この男に罪悪感、申し訳なさ、優しさ等々に表現されるものは一ミリたりともなかった】

 で、魔術を教わりたいっていうのか? この俺から?
 どうしたもんかな……ここにいる可愛らしい女どものためならともかく、野郎にタダでは教えてやれんな?

【目尻の涙を指で拭い去り、男は続けてまだ笑ってる少女たちを指差す。少女たちはどっから見ても立派なロリばっかりだ】
【男の言葉に対する少女たちの反応も照れたり、きょとんとしたり、とやっぱりそれぞれだった】
【五人の少女の内二人は現れた金髪の男を指差しては「おっさん」だの「変な格好」だの「ダサイ」だの「成金っぽい」だの言っている】
699 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 18:53:20.77 ID:omXtERbto
>>698
【まあ、当然の事ながら笑われる、そんな事は分かりきっていたと言わんばかりに、クールにあしらいながら葉っぱやら氷を払い落とした】
【崩れた髪型を撫で付けなおして、眼鏡を押し上げ、『何故か』と問われれば、肩に置いた手をそのまま男の首に回し、肩に腕をかける形で顔を寄せる】

そー意地悪言わねーでくだせぇよ旦那ー
いや、何も別に『タダで』って訳じゃないですよ勿論、お礼はしますよ……だからお願いしますって…

【まるで悪どい取引のように、耳元で囁いて頼み込む、わざわざそういう事する必要もないのに】
【使い方とか理由とかはともあれ、『礼はする』とまで言って頼む辺り、相当教えを乞いたいようだ】

いやー、旦那の魔術、この身をもって体感しましたよ
あんな素晴らしい術、俺様……じゃなかった、僕が習おうだなんておこがましい事かもしれませんが、どうかそこをなんとかお願いします

この通りです!この通り!!

【オマケに、お世辞をつらつらと調子よく言い並べ、機嫌を取ろうとしたり】
【男から離れたかと思えば、地面に額を擦り付けて見事な土下座をしたり……ちなみにここは公園である、当然ながらその様子に人々は困惑した】
【必死で頭を下げているこの男はまだしも、下げられている男にまで、恐怖とか驚嘆とかよりももっと下の、見世物を見るかのような視線が二人の男に諸共送られている】

【言ってしまえばこの男、こうして勢いに乗せて押し切るつもりなのだが、それにしては見事な土下座である。まるで本当に心の底から頭を下げているかと思ってしまうくらい】
【そんなんであるから、魔術師の男もこの男に巻き込まれ、「なんだあいつら変人か?」「もしかして芸人のコンビじゃね?」とか有らぬ疑いをかけられ始めた】


(……腹立つ野郎だなコイツよォ〜〜!!)
(偉っそうにしやがってこのロリコン野郎が!ガキに囲まれていい気になってんじゃねーぞ!)
(……まあいい、こいつから魔術の曲芸を習ったらあとはオサラバだ!こいつのツラでも魔術だけでキャーキャー言われるんだから、俺様ならそりゃもうモテモテだぜ!)

【それでいて腹の中ではこうなのだから、とんでもない奴である】
700 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/08(日) 18:55:50.60 ID:XEuqX0Gn0
てす
701 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 19:03:18.94 ID:RL8B3HOqo
>>699

【ベンチの周囲は見事な土下座のせいで一瞬にして見世物と化してしまった。少女たちもコントを見る目になっている】
【そんな土下座男に対して魔術師はどうかというと、豚を見るような目を向けていた。見世物扱いより更に下に見ているのだ】

 おーおー、見上げた根性だな、んん?
 そんなに言うなら一つ、気概でも見せてもらおうか
 月並みな注文だが、三回回ってワンと鳴いたら、考えてやらんでもないぞ?

【下手に出ることをいいことに、男は更なる要求をつきつけた】
【大人の男の尊厳とかを全く知らない少女たちはこの要求に「つまらなーい」とかブーイングを挙げている】
【しかし魔術師の男は薄ら笑いを浮かべるばかり。公園の人々も見守っている中、さぁ一体どうする!】
702 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 19:17:41.26 ID:omXtERbto
>>701
(……やっぱこいつブン殴ろうかな)

【普段から人の神経を逆撫でしまくっているくせに、舐められるのはやはり応える】
【一瞬良からぬ思いが頭を巡ったが、冷静になってよく考えれば攻撃した所で叶いそうもないしやめた】
【男の要求に、何も答えずに立ち上がると、目をカッと見開いて───】

……テメー今何つった?
……『三回回ってワン』だとぉ〜?

【流石にこれは飲み込めないか、というよりこれだけ馬鹿にされてまで平気な人間はいないか、いるとすればプライドを捨てた人間だけだ】
【あ、こいつ?ありませんよプライドなんて。心理描写とか間の表現とかするまでもなく、まるで氷上のようなトリプルアクセル、そして…】

ワン

【言 い ま し た】

(ククク……アホが!俺様がそれしきの事で引き下がるかよ!!)
(もとよりここいらにいるようなガキ共に興味はねーんだ!いくらでも言ってやるぜ!)

【本人の中では計算済みの行動らしいが、それにしたって何か大切な物を棄てているとは思わないのだろうか。いや思うまい】
703 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 19:25:42.70 ID:RL8B3HOqo
>>702

【残念なことに尊厳などこの男には元からなかったようであった。なんとも清々しいまでの三回転。小さな鳴き声が公園に虚しく響く】
【魔術師の男は要求した側だというのに、そのあまりの早さに若干引いていた。少女たちはやっぱり「つまらない」の大合唱】
【公園に少しだけいる一部の大人たちなんかは白い目を向けていて、自分の子供に「みちゃいけません」なんて言い出す始末】

 ……はぁ。お前のような、一般的なプライドのないやつはたまに見るが、いつ見てもこう、物悲しくなるな
 生きてるの、楽しいか? 友達とかちゃんといるか?

【魔術師の口から次々に出てくるのは憐れみの言葉。豚を見る目も更に下がって可哀想なものを見る目に変わっている】

 で、そんな可哀想なポチは一体何が目的で魔術を覚えたいんだ?
 どうせしょうもない理由なんだろうが、一応聞いてやろう

【少し真面目にとり合おうとする男。展開が面白くないと思ったのか、少女たちは別のところへ走り去ってしまった】
704 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 19:48:10.94 ID:omXtERbto
>>703
いやー、ははは、ありがとうございます!いや、それだけ熱意があるって事ですよ!

【周りに集まっていた女の子達がいなくなったのをいい事に、営業スマイルを浮かべながらその場を移動】
【男の隣に座ると、手揉みしながら話を続ける】
【可哀想な視線だとか、同情の言葉だとか全て無視、ある意味強靭なプライドと心があるからこそか】

理由ですか……そりゃ勿論モテたゲフンゲフンッ!!……それはですね…

【一瞬本音が出そうになったが咳で誤魔化す、そんな本音なんか言えば確実にアウトだ】
【ここで重要なのは、魔術を習いたいもっともな理由と、それを言う相手の立場】
【『正義と平和の為に』と言っても、もし相手がそれと対立する立場なら絶対に教えてはくれないだろう、逆もまた然り】
【相手の立場を見極めて、教えたくなる理由をでっち上げなくてはならない】

(……こいつどう見ても良いやつじゃあねーよな…こんな性格の奴が自警団とかSCARLETだったらそく告発もんだぜ)
(だとすれば良くて中立か、悪寄りって所か……)

……それは……勿論正義の為だよ!

【勿論嘘である、言うまでもなく嘘で、素人目にも嘘だと分かるくらいに嘘っぽい】
【だが、嘘とバレる事を見越して分かりやすい嘘をついたのだ、こうして嘘を見抜かせる事で、真実の事をなあなあにしていられるからだ】
705 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/02/08(日) 20:07:10.63 ID:e0mkYOEtO
http://bnj.wp-x.jp/wp-content/images/content/150201_isis2.png
706 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 20:07:28.04 ID:RL8B3HOqo
>>704

【咳き込んで漏れかけた本音を隠そうとしたのを見て、男は眉間に皺を寄せた】
【男には口先で物事を動かす人間と幾度となく出会い、やり合った経験があった。自分自身も、人を騙すのに言葉を使うことが何度もある】
【だからこそそういった人間がどういう性格かは良く分かっていた。面倒臭くなって男は溜息を漏らした】

 あれこれやって取り入ろうとしているところ悪いが、今はそういう間抜けの相手をする気分じゃない
 魔術なら教えてやるから、とっとと理由を吐け。金か女か護身か、どうせどれかだろう

【男は本心から、早く言ってほしいと思った。理由の内容は大して重要ではなく好奇心からそれを判明させたいだけだった】
【また金髪の男の予想は正しかった。確かにこの魔術師は全く正義というものからはかけ離れている】
【それ故に、魔術を知る理由が悪行であったとしても、この男は何ら気にしないだろう】
707 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 20:21:55.24 ID:omXtERbto
>>706
………

(チッめんどくせー奴だな……勘のいい奴はこれだから…)

【全く判り易く嘘をついてみたのに、その事すらも簡単に見透かされてしまっては意味がない】
【オマケに本当の理由すら見透かされている、こうなってしまった以上誤魔化そうとしても意味がない、寧ろ機嫌を損ねてしまうかも】

……ケッ、スカしてんじゃねーよ…偉っそうに…

女にモテたいからだよ!オ・ン・ナ・に!!
あ、女っつってもお前みたいにガキにじゃねーぞ、お前の趣味をどーこー言う気は無いが、俺様はあーゆー趣味じゃねー

【最早隠す事は出来ない、開けっぴろげに素直な理由を言う…が、だからって口調まで素を出す必要はあったのだろうか】
【とはいえ『教えてやる』という言葉は聞いたので、最早下手に出る必要無しと判断したのかもしれない】
708 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 20:32:16.97 ID:RL8B3HOqo
>>707

【相手の予想どおりの変貌に男は小さく苦笑した】

 悪いが俺も子供に興奮するタイプじゃないな
 それより、モテたいならそうと早く言えばいいだろうが。中途半端に隠すから面倒なんだ
 で、どんなのがいいんだ? 風でスカート捲りからバレずに女湯に入るまで、色々あるが……

【男の脳裏に浮かび上がるのは今までに作ってきた数々の下らない魔術。若い頃にはこれらを似たような理由で使った経験もあった】
【なので相手のことをどうこう言う権利も言うつもりもなかった。むしろ男は素直なやつだ、と感心さえしていた】
709 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 20:44:33.28 ID:omXtERbto
>>708
バレずに……?

【まず食い付くのはそれだ、当然である、男の夢なのだから】
【ゴクリと唾を飲み込み、「是非とも」と言いたい所をグッと抑える。それも欲しいが、もっとも習いたいのはそういう物じゃあない】

つーかそれは『モテる』というか欲望そのままだろ
もっとこーさ、簡単で、煌びやかで……女の子が見たら「キャースゴーイ!」と目を輝かすようなさー…
あ、ほらさっきやってたじゃん?あのイリュージョンみたいなの!あれの簡単なバージョンとかないの?

【この男は見ていた、というか体験した、あの様々な色と魔力が織り成すイリュージョン、アレに目を輝かせた少女達のように、自分も女を惹きつけてみたい】
【とはいえ、あれだけの事が出来るかどうか…いくら簡単な物をと言っても、このど素人に、である】
710 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/08(日) 20:48:03.34 ID:0lk0xN+so
>>686
でまちますっ
711 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 20:50:38.71 ID:omXtERbto
>>708
/申し訳ない、少しの間飯落ちします
712 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 20:52:56.14 ID:RL8B3HOqo
>>709

【欲望の解放よりも女にしっかりとモテたい。その欲求はこの魔術師にもよく理解できるものだ。何せ目立ちたがり屋だ】
【そもそも魔術のそういった派手な側面を男は特に好んでいた。とはいえ決して簡単なものではない】
【男はどこか年寄り臭い溜息を漏らした】

 お前の欲求はよく分かるが、あれは無駄に高度な技術だ
 簡単にしろと言われても、お前が出来るほど簡単にするのは俺にも無理だ
 もちろん、正しい修練を年数をかけて続ければお前でも四十年ぐらいやれば出来るようになるが……やるか?

【聞いている男にも既に答えは分かりきっているので、答えを待つ間にモテたがりに受けそうな簡単な魔術を探しておく】
713 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 20:53:14.49 ID:RL8B3HOqo
>>711
//了解っす
714 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/02/08(日) 21:04:15.91 ID:F1o+BwszO
何でディックは名前変えてんの?
715 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/08(日) 21:05:26.02 ID:m5fjPrADO
【──路地裏】
【表通りから少しだけ入ったこの場所には、表の綺羅びやかな輝きがかろうじて入り込む】
【地面の塗装は剥げ、ゴミは所々に散見される。わずかに表に戻れば、そこには賑やかな雑踏があるというのに】
【そんな、裏社会への入り口ともいえる場所に、1人の女が立っていた】

【──小汚い場所に似つかわしくない、黒の夜会服を着た女だった】
【その艶やかな黒髪は、腰ほどまで伸びているだろうか】
【ふふ、と口元に笑みを湛える女の瞳は、やけに赤かった。まるで、何かの宝玉のように】


──今日はなかなかつかまらないわね
これ以上表通りに近付きたくないのだけれど……


【胸元がやけに開いた、夜会服。それは夜闇で染め抜いたかのような色をしていた】
【──彼女は、ロゼッタ・ルゥは、娼婦と呼ばれる類いの人種だった】
【己を売り、日銭を稼ぐ……一般社会からは差別され、蔑まれる者だった】
【それを知ってか知らずか。女は表通り側に行くことに躊躇いを見せている】

【──けれど、近くを男が通りかかればゆるりと声をかけるのだ】
【他の女が近くにいれば……娼婦なのだ。彼女から声をかけることはないのだけれど】
【また、路地裏を根城とする犯罪者たちにとって彼女は格好の獲物だろう】
【非力な女が、護衛もなしにこんなところをふらふらしている。狙わない理由が、あまりないのだ】
716 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 21:40:51.34 ID:omXtERbto
>>712
【そりゃまあ当然である、あれだけの魔術が自分にも出来ると思うくらいの人間なのだから、当然出来る筈もない】
【四十年かかると言われ、それで良いとなる訳がなく、目を丸くして首を横に降る】

よ、四十年!?んなもん待てるわけねーだろ!
四十年もしたらもう爺じゃねーか!ババァにしかモテねーよ!ババァにモテても嬉しくねーよ!
つーか俺様でもそんなにかかるとかありえねー!

【流石に四十年も魔術の修行に身を入れるなんて事は出来ない、そもそもそれだけ時間が立てばターゲットも年齢が合わなくなってしまう】
【というより、自分には簡単に出来ると本気で思っていたようだ、魔術に関しては本当に素人だと思うのがいいだろう】

じゃあもうもっと簡単なのでいーよ!ピカーッてしてパーッてなって、なるべく女にモテそうなのな!

【それでいて、妥協してこの無理難題、果たしてそんな魔術があるのだろうか?】

/お待たせしました
717 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 21:52:22.83 ID:RL8B3HOqo
>>716

【男の予想通りの展開。だがしかし、そんな便利な魔術は脳内を検索しても見当たらなかった】
【男は両腕を組んでしばし唸り声をあげた。頑張って探すが中々見つからない】

 うーん……煙草を吸うなら指先に火でも灯せば多少は様になるんじゃないか?
 でなけりゃ手から少しばかりの雪を出すとか……

【男は右手を下に向けつつ前に出す。軽い白色の燐光が灯り、次の瞬間には手から小さな雪が地面に向かって降り始めた】
【見せたはいいが、あまりに地味だと男は思った。モテるかは何ともいえないが、あまり要望通りとは言い難い】
【男の表情には何とか頑張って考えをひねり出したときの、苦さが浮かび上がっていた】
718 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 22:01:12.30 ID:omXtERbto
>>717
うっわスゲー地味……

【男の手からしんしんと降る雪を眺めながら、腹の底からどうでもよさそうに感想を漏らす、失礼な奴だ】
【こんな雪を降らせたって何の役にも立たないし、女に披露しようにも雪が降ってたら何も起きてないと一緒ではないか】
【そう思ったが、とは言っても物は試し、やって見なけりゃわからないものなので】

ま、背に腹は変えられねーか、その程度じゃ余り役にたたなそーだけど、それでいいわ
えーと…こーやって手出せばいいのか?

【言うまでもないが、この程度の魔術しか習得出来ないと思われているのは他に誰でもない、こいつ自身の才能の問題である】
【人を散々「偉そう」だとか言っておいてこの態度、とんでもない奴だ】
【男の真似をして右手を出してみるが、雪が降るなんて事は無い】
719 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 22:30:42.97 ID:RL8B3HOqo
>>718

【相手の態度に男は一瞬顔を顰めたが、すぐに自分の反応に気がついて苦笑した】
【こういう手合いに礼儀だとか配慮を求める方がおかしい、と思い直したためだ】
【何といっても、若かりし頃の彼自身も似たようなものだった】

 お前、本当に魔術を何一つとして知らんのだな……モテるにしたって、もっと他に手段があるんじゃ?

【あまりの無理解に思わず男の本音が漏れた。そういいながらも、彼は更に魔術の基礎、魔力とは何かといった話を続けた】
【それらは非常に学問的な話で、学校の授業に近いものがあった】
720 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 22:48:50.51 ID:omXtERbto
>>719
え?そりゃそうだろ、魔術なんて見たことしかねーし、習おうとした事もねーよ
まあ、俺様は魔術なんて無くてもモテるけどな?なんつーの?俺様の魅力に更に魔術が加われば、鬼に金棒って奴だろ?

【要は、魔術を習うつもりなんてなかったが、気まぐれでやってみたくなったらしい】
【『他にあるだろ?』と問われればそれを否定はしないどころか、『すでにモテる』と言い返す】

あー……その話長くなる?

【ゼロから物事を教えるのも大変だ、それも相手がこんな奴なら尚更の事】
【勿論こいつはそんなこと知る由も無い、長ったらしい話を退屈そうに、適当に相槌を打ちながら話半分に聞いているだけ】
【もう既に頭の中は魔術を披露してモテる事で一杯で、殆ど基礎の事しか聞いてない】
721 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 22:56:44.97 ID:RL8B3HOqo
>>720

【聞いていないことは分かりながらも、男は一応最後まで続けた】

 ──と、これぐらい理解していれば簡単な魔術なら、少し練習すればできるだろう
 もっとも、お前は大して聞いていなかっただろうから無理だろうが……

【男の表情や声はすっかり諦めの成分が一◯◯パーセントだった。聞いてないやつに理解させるのは無理なわけだ】

 大体、モテたいなら俺にそんな話を聞くよりも既にモテてるらしいから女漁りにでも行った方がいいだろうが
 むしろ手伝ってやろうか? 俺がお前の後ろかどっかで魔術で演出して二人で山分けは?

【男はもう教えるのも面倒くさくなって違う方向を検討し始めた】
722 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 23:18:17.69 ID:omXtERbto
>>721
……あ、終わった?

いやお前な、俺様を何だと思ってんだ?こーゆーのは要点だけ聞いてりゃいいんだよ要点だけ
教科書も先生の話もテストに出そうなとこだけ覚えるんだ、馬鹿正直に全部覚えようとする奴は『頭が硬い』って言うんだぜ?
大体あんな落ち着きのなさそーなジャリンコ共でもできてたんだから俺様に出来ない訳が……

【こういう事を言う奴の点数は悪くはないが良くはない、というのが定説である。ドヤ顔で言っているが…】
【手を前にかざし、聞いていた通り魔力の流れを集中させる、見た目や力の入れ方は成る程、要点だけを取り入れた物だが】
【が、どうしたって魔術は発生しない、普通であったなら下手くそにでも発動しそうなのに、全くしない】

【何故か?それは魔力の流れを感じ取れる者になら分かるだろう】
【この男には全く魔力が流れていない、流れていないだけでなく、待機中の魔力ですら集まらないし、素通りしていく】
【…言うなれば、『才能ゼロ』なのだ、この男は。もし話をちゃんと聞いていたとしても、魔術の習得は難しかっただろう】

……やっぱでねーじゃねーか!
チッ!やっぱり俺様は俺様の魅力だけでもう十分って事か!魔術に頼るなっつー神の思し召しだな!

【もう一度言うが、魔術が発動しないのはこいつ自身の問題である、本人はそう思ってはいないが】

えー?お前とナンパしたってなー……お前性格悪いし女の子に嫌われちまうよー…

【だからって、一緒にナンパするのはお断りする、自分を棚に上げて何を言うか】
723 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/08(日) 23:26:26.23 ID:RL8B3HOqo
>>722

【金髪の男から魔術は当然発動せずお誘いも断られた。尽力が無駄と分かり、魔術師はがっくりと肩を落とすしかなかった】

 ……俺も頑固老人どもによくキレられてたが、お前ほど酷くなかったぞ
 一体どういう思考をしたら、世の中簡単に生きられると思うのだ……

【男の口から出るのは呆れの言葉ばかり。やるだけやった、という達成感も男の胸中には到来しなかった】

 まぁいい。魔術に興味がないのなら、お前のような人間に用はない
 女漁りも一人で行くさ……

【すっかり意気消沈した様子で男が立ち上がり、寂しい足取りで公園から出て行った】
【背中には哀愁が漂っていた】

//乙です!
724 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/08(日) 23:42:31.78 ID:omXtERbto
>>723
お?何だよ、コツとか教えてくんねーの?
ま、精々頑張れよー、女を口説くコツはな、とにかく褒めて褒めて褒め倒す事で……

【落胆して歩いていく男を、悪びれない様子で見送りながら、礼のつもりかナンパのアドバイス(笑)】
【もはや聞かれてすらいないが、ひたっすらにしたり顔で語り続けるその姿は、何故か自信に溢れていたという】

/お疲れ様でしたー
725 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/09(月) 16:36:05.25 ID:Vjqxs9Zd0
>>673

【実際の所、人間状態の彼女は肉以外を食してもきちんと消化・吸収できるだけの体機能を備えているのだが】
【矢張りと言うか何と言うか、"肉食としての誇りが〜"だの、"野菜は美味しくない〜"だのと駄々を捏ねて食べない事が多い。】
【逆に言えば人間状態の時に肉ばかり食べると本当は健康的にも良くないのだが、本人はそういう事に対して余りに無頓着と言わざるを得ない】


 その"草を食べる恐竜さん"ってのを、食べるのがアタシの仕事みてーなモンだからな!
 まあ、"こっち"の姿でいる時には、りんね達と一緒で本当はなんでも喰える、って教わってるんだけどよォ。
 アタシの"ぷらいど"ってのがゆるさねーわけさ! なんたって肉食最強のティラノだからな! りんねは野菜とか―――うぉッ!?


【野菜とか、好きなのか? なんて事を聞いてみようかと思っていたのだが、恐る恐る手を繋いで】
【その一瞬後には自分を包む景色と、環境と、匂いと、空気が全部変わって―――どこか、別の場所へと"移動"していた。】
【余りの出来ごとに驚いて言葉も忘れ、ポカーン、としている彼女の表情はいつにもましてアホらしいというか馬鹿っぽいというか―――。】


 う、うおぉぉお!? な、なにが起きてんだ!? パッ!て! パッ!!て変わったぞ!
 りんね、なんか凄い事が起きてたぞ!? 今のはなんだ!? どうやったんだ?! すっげー!!
 うゎっははははははは! りんねはスゲーなぁ、ピカッ! ってなってびゅーっってきてパッ! だぞ!?

 ほぇぇぇ〜……歩ったり、走ったりしないで、ヘンなトコに来ちまったぜ……。
 ああ、ゴメンな、ヘンじゃなくてキレイな店だな! ココがりんねの……ゆな? ゆなと……。
 長いから、"ゆなとり"って呼ぶぜ! ここがりんねの店なんだな、うんうん!

 ―――……うーん。せりーな……どっかで、聞いた様な……うん?
 なーんか聞き覚えのある名前なんだけどなァ、せりーな、せりーな、うーん……まァいいぜ!
 おっじゃましまーす! っていうのがニンゲンが店に入る時のるーる、なんだろ? 偶にはしたがってやるよ!

【鈴音に従うがまま、おじゃましまーす、と大声で叫びながら扉を開けるスタン。】
【こう言う所は素直、というか、見た目はアレでも矢張り脳みそも精神年齢も子供なのだろう。】
【鈴音の言う通り今の時間帯は人の姿も少ないらしく、がらん、とした店内には鈴音とスタンの二人だけ。】

【転移魔法には成熟した見た目に反した子供っぽい反応を見せ、一通り大はしゃぎした後】
【どうやらこんな事が出来る鈴音は"只者ではない"と認識したようで、態度も幾分かは軟化してくる。】
【大人しく席に着くと、「はやくーはやくー!」と今にも涎を垂らしそうな勢いで鈴音の料理を待っているだろう。】

【若干気になるのは―――セリーナ、という言葉には聞き覚えがあるかのような反応を見せる所。】
【ただまあ、そこは矢張り恐竜、鳥頭と言い換えても良い記憶力ではどうやら詳しく覚えてはいない様で。】
【興味は鈴音へと移っている。魔法の次はどんな物を見せてくれるのか―――楽しみだ、という様な感じであった。】

【―――セリーナは、居ない様だった。店を開けているのか、単に不在か。】
726 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/09(月) 17:04:51.20 ID:mM7sZkyN0
>>725

【なんだかはしゃいだ様子のスタンに、彼女はほほえましいような、かわいらしいような、そんな目を向けるのだろう】
【それから、書いてもらった術式だから、自分でやったわけじゃない……みたいなことを、少し照れるように説明するのかも】
【最終的には、「わたしはこんなに上手じゃないよ」みたいに言って――、「練習中なの」とも、付け足した】

【からりとベルの鳴く音で扉を開く、中の空気も――きっと、客の居ない時間なら、大して暖かくもなく】
【ついさっき――というわけでもないが、数時間前まで居た場所だ。なんら感慨もなく、久しぶりという気持ちもなく、】
【「好きな場所に座ってね」だなんていいながら、とりあえず彼女は、スタンのために水でも持ってくるのだろう】

もしかして、セリーナのこと、知ってるの? ……でも、テレビとか出てるから、知ってるかもね。
はい、お水――、……それじゃあ、スタン様は、お肉が食べたいんだよね? 

じゃあ、お肉のお料理作るね。ちょっと待ってて――ほかにも、食べたいものは、ある?

【聞き覚えがある。そう言っていたことが少し気になるなら、なんだろう、知り合いなのだろうか、なんて思考を少し】
【だけど、彼女はセリーナの友好関係も、スタンの友好関係も、よく知らないから――そんな推測くらいしか立てられず】
【にこにことしながらお水を差し出すと、ついでに「寒くない?」なんて聞いて。頷けば、暖房の温度を上げてくれるだろう】
【それから。何か希望のメニューは、と尋ねるのだ。何もないなら――お任せにしておけば、あるもので作ってくれるはず】

【例えばステーキとか、例えばハーブ焼きとか、例えば、唐揚げとか――】
【ここは酒場でもあって、それなら、お肉を使う類の料理はたくさんある。もちろん、】
【肉類の買い置きも、それなりの量があって――それなら、多分、スタンに食べさせるくらいは足りるだろう】
【いっぱい食べそうだなあなんて思いながらも――、まさか、足りる、よね、……なんて、少し思って】

【とりあえず。何が食べたいとか、こういうのは嫌だとか、そういうのを告げたなら――】
【――彼女は、調理のために、しばし。席を外すのだろう。その間は待たせてしまうことに――、?】

あ……、スタン様、ただ待ってるの、退屈だよね? この子と遊んでても、いいよ――。
……それとも、一緒に、お料理やる? 自分で作ってみるのも、楽しいと思う――。

【ただ待たされるかと思ったら、そんなことはないらしい。“この子”と言って差し出すのは、掌の上の、】
【薄く桜色の水の身体の、蛇だ。頭の中に一つ銀色の小さな鈴を浮かべた、水蛇――が、ぺこりと頭を下げたと思えば】
【遊び役を仰せつかって、使命に燃える様子で頭をぶんぶんしだす。これはこれで面白そう、ではあるのだけど】
【続く言葉――よかったら一緒にお料理しないか、なんて、どうだろう。もちろん、これは、無理強いするものではなくって】
【興味あるならおいで――なんて、ちょっとしたお誘い。スタンの座る机の上に水蛇を置いてやりながら、】
【「どうする?」なんて、優しげに呟いて。彼女は、そっと首をかしげていた】

セリーナも居ないみたいだし、一人ぼっちで待つの、寂しいもんね。

【それから、そんな風に呟いて――】
727 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/09(月) 20:25:45.52 ID:INCvc1TLo
>>726

【多分、"魔術"という物がどんなモノなのか、それすらもスタンのミニマム脳みそでは理解出来ないだろう。】
【精々が手品とか、超能力、といった単語でやっと腑に落ちるといったくらいの状況。だから、練習中だ、と言われても】
【スタンの中で鈴音が特別な技術を持った存在である、と言う事に代わりはなく―――矢張り目をキラキラさせて、食いつく。】

 てれび……ああ、それって知ってるぜ!
 なんか、しかくい箱のなかにちっちゃいニンゲンが入ってるやつだろ!!
 ニンゲンは皆あれに夢中だよな、アタシにはさっぱりわかんねーけどさ。でも……うーん。
 
 てれびだったかなぁ、まあいいや! そんなことより肉だな! 肉ならなんでもいいぜ!
 それ以外なら―――そうだな、なんでもいいぜ! 美味しい物作ってくれよ、得意なんだろ!

【まあ、無茶な注文である。】
【だが料理と言ってもステーキか、よくて焼肉くらいしか食べたことは無いであろう彼女にとって】
【どんなモノでも鈴音の作る料理であればほぼ間違いなく満足できる事だろう、一定以上はなんでも"美味しい"で1括りの女なのだ。】


 あ……そういえば、なんか昔にヘンなモン食べたんだよなァ。
 肉が全部"ぐちゃぐちゃ"になってるんだけど、でもちゃんと纏まってて、
 外は焼けてて、そんでもってなんかソースがかかってるんだ! あれ、なんだっけなぁ……。
 アレ食べたいぞ! 名前はわかんないけど、変わった料理だったな!

【多分それハンバーグ。だけど、そんな名前なんておぼえてるはずもなく。】
【むしろステーキとかから揚げですら名前を覚えている事は無いだろう、彼女にとって肉は肉だから。】
【でもチャンスなのかもしれない、美味しい料理で餌付けしてしまえばきっと、てなづける事だって出来てしまうだろうから……。】

 うーん、暇っちゃ暇だけど……おお!? 蛇、蛇だな!
 アタシ、蛇も食べたことあるぞ! ぼりゅーむに欠けるから、そんなには食べないけどな!
 でも美味しかったなあ、お前も食べちまうぞ! なーんてな、ジョーダンだよジョーダン! っはははは!

 ……アタシが、てつだう? い、いいのか!? いや、やったことないぜ、料理なんて!
 けど……そうだな、アタシが食べるものだモンな! じゃあ、りんねが教えてくれるなら、手伝ってやるよ!
 せっかくだし、それに愉しそうだからな! 蛇を見ながら一緒に料理しよう、そうしよう!

【どこからともなく、現れた水蛇に対してはおいしそうだ、とか冗談を飛ばしつつ】
【指でちょんちょん、と突付いてみたり、自分の腕に巻きつかせてみたり、遊んでみようともするのだけど】
【でもより魅力的な誘い―――初めての料理に対し、スタンは挑戦してみることを決意して。】
【カウンターをぴょん!と飛び越えると、キッチンへと回り込んで鈴音の指示を待つだろう。―――こうなると、犬みたいだが。】

/遅くなってごめんなさい、今夜もよろしくおねがいします。
728 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/09(月) 21:13:32.92 ID:mM7sZkyN0
>>727

うーん? ちょっとね、違うんだよ。えっと、テレビってね、……――。
……どうなってるんだろ……、で、でも、違うんだよ、人間が入ってるんじゃなくて……えっと……。

【テレビの仕組み。そういえば、数年前に拾った猫が、テレビの裏側を何度も確認していた光景を思い出し】
【やっぱりそう思うものなのだろうか――なんてちょっぴり思う。それから、違うのだと説明してやろうとするも】
【よく考えたら自分もよく知らなかった。テレビってどうなってるのだろう、……小さく唸って、首をひねり】
【最終的には違うんだよ……、なんて言うけど。これじゃあ、何がどう違うのか、全く分からない説明】

あ――、じゃあ、それ、作るね。ハンバーグ……だと思うよ。
それとも肉団子かな? それって、どれくらいの大きさだった――?

これくらいだったらね、ハンバーグだと思う。これくらいだったら……肉団子かな?

【だけど、スタンのしてくれた説明は彼女にも理解でき。だけど数度首をかしげるなら、候補がいくつか】
【それなら、と、尋ねるのは件の食べ物の大きさだった。指で掌サイズくらいの円を作ったり、人差し指と親指で円を作ったり】
【それでざっくりと大きさを聞き出すと――やっぱりハンバーグかな、なんて笑って】

え、えっと……。

【蛇食べたことがある、ボリュームが足りなかった、そういった言葉に、彼女は、】
【引きつった笑顔で言葉を詰まらせるのだろう。彼女としては――おいしかったなら良かったとか言えるわけもなく】
【そっかじゃあボリュームのために太らなきゃとか冗談を言える性質でもなく、というか、】
【水蛇もピシーと固まってしまっている。それから、はわわ、あわわ、なんて風に慌てた仕草をしだし】
【だけど冗談だと聞けば――少し距離を取ってしまったが、「ホントに?」なんて、目を(目はないけれど)向けるのだった】

……――うん、いいよ、一緒にやろ。お料理するの、楽しいんだよ、ちょっと難しいこともあるけど――。
じゃあ、ハンバーグつくろっか。わたしはね、パンは牛乳に浸すの、それで――。

【ぴょんとカウンターを飛び越える身体、一瞬取り残されてぽかんとする彼女は、きっと気の抜けた顔をしていて】
【現状を理解すると少し苦笑気味に笑ってから、自分は正しいルートでキッチンに入り込む、それで、】
【器とか、牛乳とか、パンとか出して。まずは、牛乳を器に出すのとか――そういうのから、やらせてみるのだろう】
【ただあんまりに零したりするともったいないからと少し怒られる。だけど、ちょぴっと、くらいならば】
【拭けば大丈夫だから、なんて言って、笑って許してくれるはずで――、と、ふと、】

あ。……お料理するなら、エプロンとかつけなきゃ。――つけなくても別にいいんだけど、
お料理慣れてないなら、お洋服を汚しちゃうものね。だから、ちょっと、わたし、とってくるね――。

つまみ食いしちゃ駄目だよ、そのまま、待っててね。

【そんなことを言い出すのだ。それで、止められたりしなければ、店の裏へと入っていくのだろう】
【それで、数分すればエプロンを持って戻ってくる。彼女が普段使ってるものと、その予備の二枚で――】
【よっぽど拒むとかがなければ、スタンにも、エプロンをつけてやろうとするのだろうけど】

/すいません、気付くの遅れましたっ……
729 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/09(月) 22:02:33.82 ID:INCvc1TLo
>>728

【実際、テレビの仕組みを子供に説明するのは骨が折れると言うもの。】
【小さい頃から見て育ったのならともかく、そうでない人に感覚的にどういう物か説明するのは】
【まず電波という物を理解させる所から始めないといけないし―――人間以下の脳みそを持つスタンには、到底無理な話だ。】

【だから鈴音の説明がおぼつかない物だったところで、仮におぼついていても結果は変わらないのだし】
【スタンは????を大量に頭に浮かべたまま、「よくわかんねーけど、ニンゲンってやっぱちっちゃいな!!」と】
【勝手に納得して喜んでいるので、まあ―――まあ、これでいいんだろう。ともかく、ハンバーグ、という言葉の方が重要だった。】

 !!! そーれーだー!! はんばーぐ!! ハンバーグだよそうそう!!
 にくだんご……にくだんごも美味そうだけど、アタシのはハンバーグだな、だって結構おっきかったぜ!
 まあ、おっきいって言ってもせーぜーパキケファロサウルスくらいのモンだったけど、でも美味しかったな、ハンバーグ!!

【正解はハンバーグ。スタンはそれだよ!と大喜びして作ろう作ろうと言い出すだろう。】
【だが彼女に任せておいたら一生作れる物でもないし、きっとサイズもとんでもないモノを要求される筈。】
【そんな事になれば、さしものセリーナも消えた肉塊数十キロを前に頭を抱えて帳簿を破り捨て始めるに違いなかった。】

 ん? なーんだよっ、そんなにビビんなってりんね!
 アタシはな、食べ物だったら何でも食っちまうようなバカとは違うんだぜ!?
 ティラノサウルスはな、ハンターなんだ! だから食べるのはエモノだけ、つまり戦うやつだけだ!
 
 戦わないやつのことは食わないし、それにりんねはダチだろ!
 向かってくるならそれこそ肉食が相手でも喰ってやるし、仲間ならハドロサウルスだったとしても喰わん!
 仲間を大事にするのも、王様としての勤めってヤツだからな。ホントのほんとに喰わねーってば、第一りんねじゃお腹一杯にならねぇ!

【鳥頭と言えど、そこにはそれなりのプライドというか、誇りに似た何かがある様で。】
【弱者からは奪わない、というのが、王様たる彼女の一族の掟、と言う事らしい。襲うのは敵だけだ。】
【だがまあ、それでも矢張り後半の方はどこか物騒、というか冗談になっていないというか―――まあ、大丈夫だ。】

 うん、わかったぜ! じゃあこの白いヤツを―――どばーっっ!! うおーっ、全部出たぞ!!
 どーだ、アタシも料理上手だろ!! で、次は……、お、ご、ごめん。ちょっと零しちゃった……。
 勿体無いのか、そっか……きっとレアなんだな、この白いヤツは……翼竜の肉くらいレアなんだな。

 よ、よし! じゃあしんちょーにやってくぜ! ―――えぷ、ろん?
 うぇぇ〜! こんなの着るのかァ!? ったく、しょーがねえなあ、りんねの頼みじゃ仕方ない!
 どうやって着るんだ? アタシ、こんなひらっひらのヤツ、着たことねーからわかんねーぞ!?
 
 なぁ、りんね! このえぷろん、ってやつ着せてくれ! ニンゲンはヘンな衣装が好きだなあ、しっかし!
 
【牛乳をド派手にぶちまけたのは勿論、パックを明ける時にも歯で易々と噛み千切って開封するほど。】
【その時点で周囲に結構飛び散ってたし、器には一気にどしゃああああー! と入れたものだから、……。】
【りんねに怒られると珍しくしゅん、とした表情で素直に謝り、気合を入れてエプロンを着ようとするも、うまく行かず。】

【仕方が無いから両手をばんざいして、ぴょんぴょん跳ねながら"着せてくれ!"とせがむだろう。―――まるで、子供だ。】 
730 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/09(月) 22:21:46.52 ID:mM7sZkyN0
>>729

【「パキケ……?」なんて彼女は首を傾げていた。きっとスタンには、その姿も、或いは鳴き声とかも浮かぶのかもしれないけれど】
【女の子らしく、恐竜とかよりも花とか草の図鑑を見ていた性質なら、きっと、本当に分かってない。はてなを浮かべて】
【だけど、ハンバーグだと判明したなら。一緒に嬉しそうにしながら――】

難しそうだけどね、思ったよりは簡単だよ。
でも――スタン様にはちょっぴり難しいかな? ……だいじょうぶだよ、わたしも、一緒にやるからね。

……ところで、パキケ……パキケなんとかって、こんなちっちゃいの?

【思ったよりは簡単なものらしい。それなら一安心だろうか、――とはいえ、】
【この様子だとスタン一人では無理だろう。だけど大丈夫、なんと、わたしも手伝います――少しドヤ顔である】
【最後のほうだと素っ頓狂なことを言っているので台無しだが。こんな、と示すのはあからさまな掌サイズ、無理というもの】

そう? ならよかった――、わたし、食べたらきっと、おなか壊しちゃうよ。
あれ……でも、蛇の毒って、食べたらおいしいんだっけ。――アミノ酸がどうって、聞いた、ような……。

【元々有毒蛇の子孫。瞳の赤いのは別に警戒色でもなんでもないし、服の赤いのも、ただの好みだけど】
【まさか本気で食べられるとは彼女は思ってなかった。それなら、ふふ、なんて、少し嬉しそうなのは――】
【あまりにも堂々とダチだと宣言されたからなのだろう。ちなみに、怯えてしまった水蛇のほうは、なんだかびくびくとして】
【だけどそんな水蛇は気にせずに、「スタン様、おっきいもんね」なんて、のほほんと言うのだった】

【それからのこと。エプロンを取ってきたら、なんかぎざぎざに引きちぎられてる牛乳パックとか、零れた牛乳とか、】
【――とりあえずスタンにエプロンを着せてやってから、少し、説教タイムだ。とはいえ、怒鳴り散らす、とかではなく、】

牛乳ってね、牛さんの子供の分を、分けてもらってるの。ほんとうはね、赤ちゃんのご飯なんだよ。
だからね、大切にするの。赤ちゃんのためのご飯を分けてくれた牛さんのためにも、
自分のご飯を分けてくれた赤ちゃんのためにも、零しちゃったりしたらもったいない……でしょ?

【きゅっきゅと零してしまった分を拭いて、流しで絞って、また拭いて、……数度繰り返せば、零した分も綺麗になる】
【「だから、次から、気をつけようね」なんて言って――ほんの一瞬してから、「だいじょうぶだよ」って、きっと笑うのだ】
【自分も怒られるのは苦手だし、怒るのも苦手。そもそもスタンは反省していて、それなら、これくらいで、いいと思う】

【――そんなこんなで、パンを牛乳に浸したり、お肉を取り出したり、ボウルにぬべーっとあけたり】
【ちなみに彼女の家だとたまねぎは炒めないで入れていた。そっちのほうが歯ごたえがいいとか、そんな理由】
【他には溶き卵やハーブの入った塩、こしょう、牛乳パンとかを、ひき肉に入れてやり】

こうやって混ぜるの、ゆっくりやってね。それで、ねばねばってしてきたら、教えてね――。

【ちなみに、手洗いの方法とかもきっちり教えたはずだ。忘れがちな親指、爪の間、手首まで洗う、きちんとした方法】
【それで、ちゃんとペーパータオルでしっかり拭いて。――彼女も、ここで働くようになってから、こういうのを覚えたらしいが、】
【まあ自分たちで食べるだけなら、別にいいかなとも思うのだけど――体験しておくのも、まあ、悪いことではないだろう】

【とりあえず、次にスタンに与えられる試練は、お肉その他材料を混ぜることだ。しっかりと、粘り気が出るまで】
【今度は横で彼女も見ている。それなら、少しは、安心できる――だろうか?】
731 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/09(月) 22:45:55.69 ID:INCvc1TLo
>>730

【そう、そう言えば当たり前と言えば当たり前だが、彼女は元々恐竜なので】
【人間における常識や知識は疎いという次元を超えて無知でも、動植物に関してはこう見えて博識だ。】
【食べれない花や毒のある草を見分けるのは勿論、餌となる恐竜の名前も事細かに覚えている程。根はバカでもないのかも。】

 パ・キ・ケ・ファ・ロ! パキケファロサウルス、だな!
 うーん……りんねよりかはおっきい、けどアタシからしてみたらちっちゃい!
 恐竜の時のアタシから見たら、りんねから見た"肉団子"とあんまり変らないくらいだな!

【無論、言うまでもなく誇張表現である。実際、そんなに小さい恐竜ではない。】
【だが彼女の中では必要以上に小さく見ているらしく、大きい=偉い、つよいという図式が出来上がっていて。】
【だから、自分よりも小さい―――といっても人間時の身長的には余り変らないのだが、それでもりんねに怒られるとちゃんと反省した。】

 うし!? そっか……牛乳ってこれ、牛のやつなのか……じゃ、じゃあ牛の子供、かわいそうだな!
 よし、アタシはティラノサウルスだからな、子供を虐めるようなはずかしーマネはできねえ!
 これからは牛乳、大事にするぞ! りんね、約束だ! アタシはもう零さねえぞ、牛乳!

 ―――ところで、ニンゲンもぎゅうにゅう、でるのか!?
 うしは出すんだろ、じゃあニンゲンのぎゅうにゅうも今度は飲んでみたいな!
 やっぱり、ニンゲンのは肌色なのか!? うしは白いから白のぎゅうにゅうがでるんだろ!?
 あれ、でもうしって黒いのもいるし……なあ、黒いぎゅうにゅうもあるのか!? それも飲んでみたいなぁ……。

【―――反省しているのか、いないのか。】
【ともあれ、後半可笑しな方向に行きつつも、スタンはきちんと学んだようで。】
【それからは幾分か丁寧に作業を進めていくだろう。若干、不器用ではあるが、言われた事はきちんとやっている。】

 ―――ほう、ほう! まぜるんだな、こうか!? こーやって、こーやって、こね、こね……

【そして、恐らくは得意分野であろう、力を生かせる仕事を貰えれば手際よく材料を混ぜていく。】
【案外下手糞でもないようで、要領を覚えればしっかりとこねていく―――慣れてきたら、自分から軽々と塊を持ち上げて】

 ほっ、よっ、ほっ、ほっ! どうだ、りんね! うまいもんだろ!

【ぺちこん、ぺちこん。まるでジャグリングでもするかのように、ハンバーグをぺちぺちこねていく。】
【自慢げに鼻を鳴らすスタンは満面の笑みだ。尤も、細かい作業はどうしてもにがて、なのだが。】
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/09(月) 23:01:08.08 ID:mM7sZkyN0
>>731

【植物についてなら、彼女もちょっとは名前を知っている。だけど、それは、多肉植物の名前めちゃカッコいいとか、】
【そういう次元でしかなく――なので、恐竜的な方面でも、植物的な方面でも、きっと、その知識は劣るだろう】
【――そう言う風に考えたら、彼女が特別詳しいものって、実はあんまりないのかもしれなかった。とは、余談だが】

パキケファロサウルス……、そっかあ、でも、そんなにおっきいハンバーグは、きっと作れないね。
だって、中まで火を通そうとしたら――すっごい時間が掛かっちゃう、そんなの、出来たら面白いけど――。

【言われたとおりに名前を繰り返す、だけど、これで覚えるのかといえば、少し危うい。パキケ……と彼女はもう一度呟き】
【それから、自分よりも大きいようなハンバーグはきっと無理だ、なんてことを言う。けれど、すぐに、「だけど、」と続け】
【「出来るだけおっきいの、つくろうね」なんて笑うのだ。あくまで、無理がない程度に――のはなしだけど】

うん、だから、大事にしてあげてね。……ところでね、スタン様。
黒い牛乳も、あるんだよ――でもね、牛さんって、黒と白でしょ。だから、黒と白が、混ざってるの。茶色いんだよ。
“珈琲牛乳”って言うんだけど――、ううん、今、このお店にはないや、似た奴(カルーアミルク)ならあるけど……。

【大嘘だった。どうしようもないくらいに、大嘘。珈琲は黒い牛乳じゃないです、全くの別物なのだけど】
【軽く冗談のつもりだった。ここで「これがその珈琲牛乳です」と出せたら面白いのに、なんて、ちょっと思いながら】
【似た奴。――まあ確かに似た奴だが、アルコールだとかがどうこうで別物である。だけど、そんなことよりも、】

……あ、セリーナなら、出せるかも……。……その、ホルスタインだし。

【この発言のほうが問題だったかもしれない。セリーナと、同僚であるベイゼが戯れるのを、彼女も見ていたなら】
【その呼称、というか、あだ名というか。……そりゃもうばっちりだった。軽く冗談めかして、くすくすと笑い】
【「ホントはね、赤ちゃんを産むと、お乳が出るんだよ」なんて――正解を、教えてくれる】

【(ちなみに、セリーナと、ベイゼとが、戯れているとき。どう足掻いても絶壁でしかない彼女は、)】
【(そりゃあもう悟ったような目で見ているとか、なんとか――、圧倒的に、そこには、なにもない)】

うん、上手――上手、だけど、……その、あんまり。ボールの中で、やって欲しいな。
落としちゃったらもったいないよ、お肉は、牛乳より――牛さんとか、豚さんとか、その身体をもらうんだからね。
それに、落としちゃったら、食べられなくなっちゃう、……だから、ね、この中でやろ?

【だけど、彼女が、ちょっぴり――遊んでいるわけではないだろう、きっと、真面目にやっているのだろうけど】
【お肉を投げるような扱いをしだせば、そこはちょっと、注意してしまうのだ。ボールをついと差し出して、】
【「この中でやろうね」と、真っ直ぐにその目を見つめる。素直にしてくれるなら、すぐに破顔して――】

【――なんてやっているうちに、肉も粘ってくるだろう。それなら、あとは、焼く段階に入っていく――頃合】
733 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/09(月) 23:24:24.71 ID:INCvc1TLo
>>732

【セリーナと居る時に比べても、大分砕けた態度なのではないだろうか。】
【鈴音が冗談を言ってみたり、おっきいハンバーグには火が通せないかも、なんて】
【ちょっと抜けたことを言って見たりなんて―――正直、想像し辛い程。セリーナが聞いたら、なんていうだろうか。】

 うん! そりゃもうおっきいのをつくろうな!! 口いっぱいに頬張れるやつがいいぞ!
 でも―――こーひー、ぎゅうにゅう? なんだそれ!? 黒いのか、黒い牛の牛乳は黒いんだな!
 りんねはスッゲーなァ、アタシはまだまだ知らない事だらけだぜ……よし、今度黒い牛乳、ぜったい飲もうな!

 ……? せりーな、ほるすたいん? ああ、なんだ! セリーナ・ホルスタインって名前なのか!
 フルネーム、ってヤツだろ! 知ってるぞ、アタシもスタン・バークレイって名前だからな! それと同じだろ?
 セリーナ・ホルスタイン! 覚えたぜ、でもやっぱりどっかで聞き覚え、っていうか会った事ある気がするんだよなぁ……うーん。

【マズイ方向に話が行っている気がする。(断言)】
【スタンはバカだからともかく、それを吹き込んだ鈴音は―――いや。】
【いつもお風呂やらなにやらでセクハラしている罰が当たったのだろう。そうに違いない。】

【ともかく、スタンはまだ見ぬセリーナのフルネームをゲットし、"りんねはだせないの?" なんて首を傾げて。】

 赤ちゃん……うううん。アタシは飲んだことないから、わかんねェなァ。
 でもそっか、要はおかーさんが出すやつ、って事だな! 
 ……? じゃあ、せりーなってのはおかあさんなのか!? もしかして、りんねが娘か!?

【―――もう、滅茶苦茶だ。ドラッグスターを捕まえてそれってハーレー?かっこいいね。とか言ってる様なレベルの勘違いだ。】
【だがそれもこれも、毎日毎日顔を会わせるたびにやれ乳袋だの、ホルスタインだのと、言い合っているあの二人が悪いのだ。】
【いつだって子供が間違うのは大人のせいなのだ。もう、鈴音もスタンもいい年齢ではあったがともあれ、あの二人が悪い(断言)。】

 ん、あ、そっか! おっこちたら大変だもんな、わかったぜ!
 でもボールの中でやるの、けっこうむつかしいなぁ。これはぎじゅちゅがいるぜ、アタシじゃなきゃ出来ねーワザだ!
 よっし、だいぶ練れてきたぞ! 焼こうぜ、焼こうぜ! きっと美味しいんだろうなあ、っふふふ♪

 ―――でもお腹空いたぞ……先になんか、食べれる物がほしいなぁ……。
 なぁなぁ、りんね! 焼き上がりまでになんか、こう、ぱっ!とたべれるのないか?
 
【ぐぅぅ〜。とお腹を鳴らせて。辛抱溜まらん、と言う様子でスタンは鈴音に縋ろうとするだろう。】
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/09(月) 23:47:17.91 ID:mM7sZkyN0
>>733

【きっと、彼女は、一緒に居る相手に影響される節がある。それは、液体の水が、どんな形の器にもしっかり収まるみたいに】
【水は叩けば滴が飛び散る、だけど、ゆっくりなら、どんなものだって飲み込む。そんな性質なのだ、不完全かもしれないけど】
【――つまり何がどうかって、スタンの元気さに影響されているのである。あとは――、】
【セリーナのことを年上のお姉さん、だと思っているから、というのもあるだろう。呼び方のように、おねーちゃん、だと思っている】

銭湯って言う、お風呂屋さんに行くと売ってるんだよ。そこらへんのお店でも、売ってるけど――。
おっきーいお風呂に入ったあと、冷たい珈琲牛乳を飲むのがおいしいの! だけど――、……。

……ううん、今度、よかったら行こうね。

【お風呂は、苦手なのだけど。なんとなくいい出せなかった、だけど、一緒に行きたいと思うのは本物で】
【本当なんてちっちゃい本当の子供のときに母親と行ったきりだ、どんな場所だったかって――それすら曖昧なぐらい】

あ、――えっとね、それは違うの。あだ名みたいな奴だよ、セリーナの、あだ名なの。
……うーん、セリーナが居たら、聞けるのにね。中に居るのかな? ……ううん……。

【だけど、流石に「セリーナ・ホルスタイン」とか言う名前ではないと、訂正してくれるから、良心的なほうだろう】
【だからと言って発言自体は撤回しないのだが。セリーナはホルスタイン、ある種の怨みと一緒に、刻み込まれた言葉である】
【それでいて、やっぱりスタンはセリーナという名前に覚えがあるようなら――、あとで探しに行こうか?なんて、提案するのだろう】

【――ちなみに、そんなことしたら、お仕置き(意味深)されるかも、とか、そういうのは考えていないようだ】
【ちょっとした悪戯である。いつもの仕返し、お風呂であんなところやこんなところまで洗われた――仕返し!】
【ついでに言うとテレビカメラの前で俗いメイド服とか着せられた仕返しでもある。恨み言はたくさんあるのだ……多分】

あ――じゃあ、焼く前に、ちょっと何か作ろうか。
何がいい? おなかがすいてるなら……、ううん、でも、もうすぐハンバーグも出来るし……。

……そうだ、冷蔵庫に鳥皮があるの。じゃあ、これで何か、作っちゃうね。

【「あとは焼いたりするのばっかりだから、座っててもいいよ」】
【彼女はそんな言葉を掛けて、――座っているにしろ、何にしろ、とりあえず手を洗わせるのだろう】
【当然、生肉を捏ねたわけだから。よーく、よーく、綺麗になるまで、きちんと洗わせて、】
【そのあとで、スタンがキッチンの中に居たいなら居させるし、座って待っているというなら、そうさせるし――】

【ひとまずハンバーグのタネは置いておいて、取り出すのは冷蔵庫から鳥皮と、じゃがいものいくつかと】
【何にもなければ、すぐにでも、じゃがいもを切っていく“とんとん”と、いわゆる料理しているような音が聞こえ、】
【すぐに作っちゃうという言葉通りにすぐにじゅーっと焼ける音もしてくる。そのうちに漂ってくるのは、カレー粉の、香ばしい香り】
【あっさりと作ってしまうのは、カリカリにした鳥皮と細めに切ったじゃがいもの炒め物、程よいカレー粉の風味がして】
【ただ、普段生肉とかそういうのばっかり食べているなら、ちょっと驚いてしまうかもしれない――けど?】

【とりあえずそれを作りながら、ハンバーグも火に掛けていた。こちらもじゅうじゅうといい音、それと、肉の焼ける香りがして――】
735 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 00:08:16.55 ID:id9YdKqTo
>>734

【器に滴る水―――確かに、言い得て妙だと感じるものだ。】
【こうして明らかに知性の劣る相手に対し、しっかり"おねえさん"出来ているところを見ると】
【本当にそうなのだろう、と感じる事が出来る。スタンもそんな鈴音だからこそ、安心して一緒にいられるのだろう。】

【余談ではあるが、本来の彼女はもっと気性も荒く、とかく喧嘩っ速い所が散見される。】
【それがナリを潜めてここまで素直なのは単にお腹が空いているだけではなく、鈴音の存在感のおかげだ。】

 せんとう……戦闘?! そっか、喧嘩の後に飲むのか!? ……ちがうのか。
 あー、なんとなーくわかったぞ、それって"おんせん"に似てるやつだろ、あったかいお湯のある場所だ!
 アタシもよく、森の奥深くにある温泉には入りに行ったな! 喧嘩の後は疲れも取れるし、ゆっくり出来るから好きなんだ!

 ―――? そうだな、行こう! ニンゲンがいっぱいなのは嫌だけど、りんねと一緒ならまあ、ゆるしてやろう!

【鈴音が温泉嫌いなのは死ってか知らずか。だが、折角の好意を無駄にする様な恐竜ではない。】
【相手が多少なりとも無理をしている様なら、こっちから遠慮するのではなく、おおいにのっかってやろう。】
【それが相手への礼儀、手向けと言うものである―――なーんて、そこまで深くは、考えていないのだけれど。】

 あだ名、っていうのか? ふーん、なんだかよく分んないけど、そういうもんなのかー。
 まあいいさ、そのうち会えるだろ! そのセリーナとかいうヤツにも、そのうちな!
 アタシはこのお店気に入ったから、これからも遊びにくることにしたぜ!!

【多分あんまり出入りされると食費的に困りそうな予感もする。まあ、困るのはセリーナなのだが。】
【探しに行く? と尋ねられると、一瞬迷った様な顔をするが、腹ごしらえが先だ! とやんわり断った。】

 鳥皮? うん、なんでもいいぜ! もうお腹ペコペコだよ〜、これ以上待ったら死んじまう……。
 わりーけど、ちょっと座って休んでるぜ〜……やけろー、やけろー、はやくやけろー、はんばーぐー。

 ―――おぉ〜。りんね、斬るの上手だな! まるでラプトルかディノニクスみたいだ、よく斬れるなその銀色の!
 ……くんくん。んっ! なんだかすごくいいにおいだ! ―――うおおおお! 出来たか!? 出来たのか!?
 速いな、すごいな直ぐ出来るんだな! よし―――あ、く、喰っていい? りんね、食べていい? 食べるぞ?!

 それじゃ――――――――いっただきまぁぁ〜す!!

【ばくり。おっきく口をあけて、炒め物をかっ喰らうスタン。口いっぱいに頬張った鳥の皮が―――】


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んまいっ!!


【口の中で味がゆっくり熔けていく。肉汁が下を刺激する。じゃが芋の食感が心地良い。】
【キラキラに輝かせた目を鈴音にむけ、美味しいぞ、と目で訴えると、そのまま次々と口に放り込み、放り込み。】
【あっという間に前菜を完食してしまった。スタンはちょっと乱暴に口を腕で拭い、ハンバーグの完成を待つ―――鼻腔を突く、良い匂いだ】

 美味かったぞ、りんね! このとりかわ、ってやつ!! りんねは凄いな、あっという間に料理が出来ちまった!
 それもこんなに美味しいモン作れるなんて、もしかして天才か!? 天才なのか?! ニンゲンとは思えねえ、凄いぞ!
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 00:31:09.81 ID:nGhgEkJY0
>>735

【まあ――確実に言えるのは、お互い、相性が悪くなかった、と、それだろう】
【どちらかと言えば、この少女。喧嘩っ早いひとは苦手だ、さらに言うなら、大声を出すひとも、少し怖い】
【だけど、スタンのことを怖がらなかったのは――なぜだろう、きっと、そこに、悪意とかがないことを無意識でも気付いたから】

そうなの、温泉みたいなやつ――、おっきいお風呂に入るの、気持ちいいでしょ。
そうやって、いっぱいいっぱい温まって――外に出たときにね、一気に飲むの。

それがね、とってもおいしいんだよ――。

【水嫌いの水使い。冗談みたいな話だが、マジである。そして、それを言い出せなくなってしまったのも、性格で】
【つい最近も銭湯で珈琲牛乳しましたみたいな顔しているが、その記憶は十数年前のものだ。めっちゃ子供の頃の話だ】
【もう十年近くはお風呂になど浸かっていない、そんなことしたら、きっと、恐怖とかで大変なことになる――とは余談だが、】
【――どうしようなんてちょっと思って視線が逸れる。苦笑する。でも、まあ、多分、……なんとかなる、(よね?)】

そう? そしたらセリーナにもどこかで会えるよ、きっと――、あ、あとね。
わたし、セリーナの子供じゃないよ。わたしのお母さんはね、遥音って言うひとなの。
…………もう死んじゃってるんだけど。だからね、セリーナはお母さんじゃないよ。

……おねーちゃん、かな? お姉ちゃんみたいなひとなの、ときどき、とっても意地悪だけど――。

【そっかあなんて呟く、ちなみに今日のお会計はこの少女持ちなので、なんら心配はないのだけど】
【あんまり頻繁に来られるとだんだん財布が死んでいくのが目に見えるようだ。だけども、】
【会うのは楽しいので断るのも出来ずに目が死んでいくのも、また、見えるよう――?】

【――件のセリーナについてはお姉ちゃんみたいなひとだと説明して。それから、「うん、お姉ちゃん」なんて、呟き】

【それから、ハンバーグをじゅうじゅう焼きながら、鳥皮や、じゃがいもを炒めていく】
【ハンバーグは大きめに纏めたので時間が掛かるが、鳥皮のほうは。早く出来るようにと、小さく切ったので】
【思ったよりも早く出来上がって――そしてスタンに提供される。結果は、どうやら気に入ってもらえたようだ】
【おいしいと言ってもらえると彼女はひどく嬉しそうな顔をする。スタンの座る机まで這っていった水蛇は、】
【「せやろ」なんて言うように(あくまでそう見えた)頭をふらふら揺らして、スタンが食べるのを見守っていたという】

天才じゃないよ、ただね、お料理作るのが、好きなだけ。
……ううん、食べるのが好き、なの、かな……。――おいしいもの、いっぱい食べたいから、練習したの。

もう少し待ってね、もうちょっとで、ハンバーグも焼けるから――。

【天才なんていわれると少し照れてしまう。少し熱くなった気のする頬っぺたを彼女は両手で押さえ、】
【今度は恥ずかしい表情を隠すように手を動かし。動機はそんなものだった、と、素直に白状する】
【睡眠欲と食欲だけで百パーセントを振り切るような子だ、寝て、食べて、とってもいい子の過ごし方である】

【――なんて話をしているうちに、ハンバーグもいい具合になってくる】
【ぽってりと大きく焼けたハンバーグを皿に移すと、フライパンにはじくじくと煮える、肉汁が】
【そこにケチャップやら赤ワインやらを入れると、――それがソースになるのである、そして、それをたっぷり掛け】
【はいどうぞ――なんて言って、スタンの元へ持って行く、前にことんっと皿を置いてやれば、いかにもおいしそうな香りが広がり】
【続けてご飯と、お店用に作っておいた小鉢――中はきんぴらごぼう――を、出すのだろう】

【ハンバーグは握りこぶしくらいもある大振りサイズ。割ってみれば、中まできちんと火が通っていて】
【だけど、焼けすぎてぱさぱさになっていることもなくて――ソースを絡めて食べれば、お母さんの作るような、ハンバーグの味】
【手を叩いてシェフを呼んだりするよな味のジャンルではない、ただ、家庭的な、おいしいハンバーグが、そこにあって】
737 :スタン・バークレイ ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 00:56:19.25 ID:id9YdKqTo
>>736

【その辺りも、お互い爬虫類系女子(物理)だからなのだろうか、本能的に両者は惹かれあう。】
【蛇の子孫(?)と、太古の竜の生き残り。片方は少し引っ込み思案で大人しく、もう片方は五月蝿くて元気一杯。】
【対照的な二人だけれど、いつもお腹が空いている腹ペコ娘と、誰かの為に食事を作るのが大好きな彼女だから、仲良くなれたのだ】

 遥音……っていうのか、そっか……ごめんな? イヤな事きいちゃったかな?
 でも覚えたぞ、せりーなはおねーちゃん、だな! 意地悪なおねーちゃん、覚えた!
 ……でも、りんねに意地悪するなんて、悪いやつだな! 困った時にはいえよ、りんね!アタシが助けに来るからな!

【頼もしいような、頼もしくないような。ともあれ、出来上がったハンバーグを前に、スタンは今度こそ涎を垂らした。】
【お皿に乗っけられた茶色い大きなハンバーグは、湯気をもうもうと発しながら、肉汁を豪快に滴らせ、じゅうじゅうと音を立てている。】

 ―――――――――いいや。やっぱり天才だよ。

【割と真面目なトーンの声でそれだけ言うと、スタンは恐る恐る―――宝物に触る様に、静かにフォークを握って】
【ざくっ、と肉につきたてて、一切れに斬ると、再びそれを突き刺して、そして口にゆっくりともっていき―――ぱくり。】






 ――――――――――――――――――――――――――――――んめぇ……。



【ぽろり、と毀れるような一言が口をついて出て来る。意識したつもりはない、自然と漏れ出た一言だ。】


 うめぇ……うめぇ、これ、すっげっ……っ! あむっ、はむっ!!

【そこからはもう、止まらない。ただ只管に、一言も言葉を発せず、アレほど元気に喋っていたのが嘘のように】
【次々ハンバーグを口へと運び、味わい、また切って運び、その余りの美味しさに目を見開き、米をかきこむ―――。】
【口内に広がる幸せ一杯の肉汁と、よく焼けた焦げ目が香ばしい肉の香りを引き立て、そしてソースが全てを完璧に調和させる。】

【お腹が空いていたのもあるが―――悪魔的。まさに、悪魔的な美味さ。もう絶滅しても良い。そんな風に思えるほど。】
【きっと今、この瞬間なら隕石が落ちてきても文句は言えまい。スタンはご飯、きんぴら、ハンバーグを全てご馳走になり、そして。】


 ……りんね。アタシは感服した。―――ごちそう、さまでした。

【本日始めての敬語を使いこなし、その腕前と今宵の恵みに感謝するだろう。】

 感動した、感激した、すごい、すごいよりんね!! りんねは天才、いや神様だ!! ハンバーグの神様だな!!
 アタシが恐竜の王様なら、りんねはお肉の神様だ!!! もう一生ついていくぞ、この恩はマジでわすれねーからな!!
 なんて……なんて、美味しい……はぁぁっ、まだ口の中から消えない……〜〜〜〜っ! あ〜〜!! 美味かった〜〜〜!!!

 ―――りんね、アタシは、お前がハンバーグを作ってくれるなら、お前の言う事なんでも聞くって、約束するぞ!!
 それくらい、美味しかった!最高だった!!ありがとう、ありがとう……!!

【単純、といえば単純。だが、やはり動物には"ごはん"で餌付けが最強なのだ。】
【すっかり鈴音のご飯の虜になったスタンは、感激の余り鈴音に抱きついて、派手にスキンシップをはかりつつ―――。】


 ―――んんんんん〜……おなかいっぱいになったら、ねむく……んん、むにゃむにゃ……、

【そのまま、最初に出会ったときと同じ様に、―――バタ、と倒れ伏す。お腹が一杯になったら、眠くなったのだろう。】
【野生動物そのままの生活だが、恐らくこれは安心しきっている、という証拠でもあるのだ。】
【気性が荒くプライドの高いティラノサウルスの彼女が、ニンゲンの鈴音にこうまで懐く、と言う事は、そうそう起こりえない事。】
【幸せそうに眠っている彼女は、暫くすれば起きるとは思うが―――今は、そっとしてあげておいても、いいかもしれなかった。】

/と、いいところですがこれにて此方は〆、とさせていただきます!
長引かせてしまってすみません、ありがとうございましたー!
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 01:03:26.75 ID:SmtMc7nd0
【路地裏――――少し奥まで入り込んだその場所】
【辺りに転がっているのは数人の男女の姿。然れど、呻きながらも皆息をしており】
【よく見れば出血も無く。更にはその者達全員が機関に所属する事を示す逆五芒星を手の甲に彫っている事が分かるか】


「――――一件落着、でありますか。少し手間取ったでありますが、大きな怪我を負う事も無く終えられて良かったであります
…………連絡も済んだ事でありますから、もう少しで自警団の方々が引き取りに来ると思うのですが……」

【その場に立つのは、軍服に身を包んだ少女だ。腰には軍刀を提げ、片目は眼帯で覆われ】
【藍色の髪を纏めるように被ったのは制帽。一切の乱れを見られない其れは、少女の気質を表している様であり】
【――――自警団の所属を示す腕章。そして、其処に着けられたバッヂ。この少女が紛れも無く正義の徒である事を示すのだが】


「最近はカノッサの動きも目立つようになって来たでありますね……。あまり気を抜く事も出来ないであります……」

【呟き共に漏らされた溜息は現状を憂うが故か】
【路地裏となれば悪事を働く者も多いだろうし――――逆に、其れを阻止しようと見回りをする者も多い】
【だからこそ、この現場をそのどちらが目撃をしたって可笑しくは無い話であって】





【険しい山道。一般の者が訪れる事は珍しく、この道を利用するとすれば旅人だとか或いは鍛錬に励む者程度】
【――――寒い時期ならば尚の事。故に、その人影は目立ち】
【軍人を連想させる様な身形の男。顔の左半分に走った傷跡は、左の目を傷付けているのか瞼は閉じられたままで】


「金も無ければ近くに町も無い、か。――――仕方ない。今日は此処等で野宿でもして過ごすか……」

【近場に革袋を落としたならボリボリと頭を掻いて溜息を一つ】
【適当に木の枝だとかを集めれば其れを火種に焚き木を作って】


「しかし何だ。流石にこの時期に一人で野営は中々に冷えるな
……困ったモンだ。今日通った町に留まるのが正解だった」

【過ぎた事か、何て一人呟けば干し肉を囓り】
【――――月の光以外に、この焚き木を除けば光源は無く。だからこそ、この場所は分かり易い】
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 01:19:51.35 ID:nGhgEkJY0
>>737

ううん、大丈夫。もう十年以上も前のことだもん、……泣いたりもね、しないの。
お父さんも、お母さんも、わたしには、もう居ないけど――お友達がね、たくさん、居るから。

そうなの、スタン様もお友達だよ。だからね、みんなが居るから、寂しくない。大丈夫なんだよ。

……あはは、じゃあ、セリーナに悪戯されたら、スタン様の名前、呼んでみるね。

【母親は、自分が八つのときに、死んだ。父親も、同じ日に、同じ場所で、同じように、死んだ】
【ずっと、悲しかった。悲しかったし、寂しかった。ほんの数年前まで――ずっと、ずっと、そのことばかり考えていた】
【お母さんが居れば抱きしめてくれるはずだと、お父さんが居れば抱き上げてくれるはずだと、ずっと、考えて】
【手に入らないで、泣いていた。でも――本当に、最近になって、気付いたのだ。ちっとも、一人じゃなかったって】
【――にこりと笑って、さっき会ったばかりのスタンだって友達なのだと宣言する。少し子供っぽい、すぐに友達だ、なんて】
【でも。怖がりな彼女がすぐに宣言したということは、それだけ、スタンのことを――好いている、その証で】

……――そんなにおいしい? それね、お母さんのレシピなの、わたしのお母さんの、味なんだよ――。

【それから。スタンがなんだかすごい勢いで食べているのを見て、何度もおいしいって言ってもらって、彼女は】
【やっぱり少し恥ずかしいように笑いながら――お母さんの味なのだと教えてくれる。もうこの世には居ないひとだけど】
【消えてしまって、十年以上も経ってしまったひとだけど――こうして、どこかに、その要素は残っていたりするもの】
【――何より娘である彼女が生きているのだから、この世って、きっと、存外優しくて】

えへへ、そんなに喜んでくれたなら、わたしも嬉しい……、……へ、――おにく……お肉の神様?
そっか、お肉の神様か――、う、ん、でも、いいや。お肉でも。

――もう、そんなのいいよ。わたし、ハンバーグを作っただけだよ、そんなに、言われること、してないよ――。
わたし、だいたいここに居るから、食べたくなったらまた来てね、そしたら何度でも作ってあげる。

【おいしいおいしいおいしいって何度も言われると、そのたびにふわぁーっと心が嬉しくて、ついつい笑みがこぼれる】
【ある意味単純な性格をしているのだ、褒められると、もう、犬じゃないけど尻尾とか振りたい。ないけど――】
【――お肉の神様っていうのはちょっと違う気もしたのだが、その元気で言われると、「そうかな」なんて思ってしまって、】
【照れ隠しのように。いつでも来てくれたら、作るよって――そう言って】

【派手に抱きつかれると「ひゃあ!」なんて声を上げるのだろう。それは、前を見ていなかったから、である】
【転びそうになるくらいに抱きつかれて、びっくりして、ちょっぴり怖くて、でもすぐに面白くなって、ころころ笑う】
【だけどそうしていたらスタンがばたーんと倒れてしまって。どうしたの、とか、そんな慌てた声を掛けるのだが】

あ……もう、……毛布取ってこなきゃ。

【眠っている、と気付けば、そう呟いて。ほんの数分で、その身体には毛布がかけられることだろう】
【残念ながらどちらかと言えば非力なほうなので、奥のソファまで運んでやるようなことは出来ないのだけど――】
【スタンが目覚めるまで、彼女は、お店の中で待っていてくれた、という】

【だけど、そのあと。スタンが目覚めたあと、夜の営業が始まる、その前】
【彼女はいったん家に帰って、――そして、そのまま、戻ってこなかったという】
【いきなりやっぱり今日のお仕事は休むというのを電話したきり、ろくな理由も説明せず、】
【その日の仕事を休んでしまったのだ。もちろん、次の日は来るし、平謝りだったのだけど――】

【(――だって、家に帰ったら。そこには、死んでしまったはずのひとが居て)】
【(硝子細工のように透き通る血色の瞳を瞬かせて――、自分の名前を、呼ぶのだから)】
【(触れてみた白い髪はいつもみたいに冷たく、抱きしめてみた身体は蛇のように体温を持たず、)】
【(いつもやってくれたように、優しく、長い髪を耳に掛けてくれて――、それから、ぎゅっと、抱きしめてくれた)】

【(帰ってきた、のだ。彼女に蛇の血を齎した原因、遥か昔に人間と蛇とを交差させた、へびのかみ)】

【(今となっては彼女のたった一人の肉親である、“彼”が――どんな理屈なのかは分からないけれど、この世に)】

/おつかれさまでした
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/02/10(火) 14:10:13.48 ID:rcuzXsVm0
アインは名前出して愚痴スレラジオに参加してたのによく平然とスレに参加出来るよな
741 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 14:16:14.41 ID:noLtt8Ik0

【風はぴたりと止んでいて、辺りには静かな粉雪が舞い始めた、真冬の昼。】
【ずる、ずるずる、と―――何かを引き摺る音が、風の国のとある街道に響き渡った。】
【その引き摺る音に重なって、ぱかり、ぱかりと、蹄が雪を踏む独特の音が悲しいリズムを刻む。】


 ―――――――――――――――――――――――――――。


【どこか物悲しそうな、一匹の白馬の鳴き声が慟哭した。】
【誰かを探しているのか、それともどこかへ向かっているのか。】
【それは定かでなかったが、ただ只管に街道を真直ぐ歩き続けて行く。】


【人によっては、その白馬には見覚えがあるかもしれない。】
【何故なら、この美しい毛並みを持つ一頭の馬の持ち主は、この世界では幾分有名な存在で】
【その「主」を背に乗せ、勇猛果敢に戦場を駆け巡る様は、一時期連日の様にテレビで報道されていた事もあったからだ。】


【だが一つ不思議なのは、まずそんな主の飼う馬であれば、1人きりで街をうろついたりはしない、と言う事。】
【本来ならばその背には、主となる人物が載っていなくてはいけないのだが―――ここで、引き摺っていた何かの正体が判明する。】


【―――ずる。ずる。】
【背に乗っている筈のが、分厚い布に包まれて、馬の脚に繋がった紐で、ゆっくりと引き摺られていたのだ。】


【どうやら、その主は大変に傷ついている様で、自力で馬に乗る事すら出来なかった模様。】
【だが馬がどうにか乗せようにも、馬にはそんな融通の利く手はなく。仕方なく取った行動が、これだった。】
【全速力で引き摺り回しては傷に響く。だから急ぎつつもゆっくり、怪我に響かない様歩いて引き摺りながら―――……そう】


【ただ一心不乱に、自分と主が帰るべき"家"に向かって、歩みを進めていた。】
【傷つき、動けない主をなんとか救おうとする為に。雪の中に消えてしまいそうな声を上げて。】
【食事も、水分もとらず、ただ只管に歩いていく。全ては、自分が見染めた唯一の主を、なんとか助ける為に。】



【――――――――セリーナ・ザ・"キッド"を、救う為に。白馬アニーは、蹄を前に、前にと出し続けた。】
742 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 14:44:49.94 ID:TEBvk/C9o
>>741

【音も無く、白色の欠片が舞い落ちる。強い寒気に覆われた空は、どこまでも冷えきっていた】
【風の名を冠するこの土地には似合わず、風の止んだ昼。何か≠予感させるような、そんな日のこと】


【――――男は、足早に歩いていた。この寒さに加え、雪まで降っている。早いところ、目的の地に着こうとして】
【黒い軍服の上から外套を纏い、制帽は深く被って。ヘアゴムで一纏めにした金色の髪にも、白が纏わりつく】
【寒さに縮こまらせた身体に付いた雪を払う事もなく、黙々と歩いていく。】

…………ん、ぁあ?
アレ……って――――――――

【曲がり角に差し掛かった丁度その折、その耳に、音が飛び込んだ。視界に映るは、雪にも劣らぬ美しき白】
【その姿―――男には確かに、見覚えがあった。だが、主の存在無しに歩いているその様子は……明らかに、只事ではない】

おい、ちょっと待て!アイツは……セリーナはどうした!?
それに、引き摺ってるこれ――――いや、まさか、な……?

【碧い眼の男――ディハート・グリムジャックは、急ぎ駆け寄り、呼び掛ける。】
【脚に繋がれたソレ≠ノ、先から予感していた何か≠感じながら――――】
743 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 14:57:23.48 ID:a5kNSKr9o
【公園】

【「ねえ君、白馬の王子様っていると思う───?」】
【「そう、実はそれ、俺様なんだ───」】

……完っ璧だ…完璧な誘い文句だ…

【頭の中で思い浮かべた幾つもの言葉とシチュエーション、それと自分の晴れ姿、全てが完璧に合致した場面を思い浮かべて、ついついニヤケが出てしまう】
【真っ白な高級スーツ、煌びやかな金髪、知的なゴールドフレームの眼鏡、甘い言葉と共に蒼い目で見つめられればどんな女もイチコロさ】
【そして今の自分は既にそれらを持っている……足りないものと言えばそう、白馬くらいか】

……馬ってどこで買えるんだ?

【別に今更白馬なんていなくてもいいかもしれないが、白馬の王子様が白馬に乗らないんじゃあただの王子様だ、夢が無い】
【折角だから白馬に乗って、釣り上げた女とデートでも行きたいじゃあないか】
【とはいえ肝心の馬なんて飼ってないし、当然飼い方もわからない、いくらするかもわからないしないない尽くしだ】

どっかに野生の白馬とか、捨て白馬とかいねーかなぁ……なあ?
……所でお前飼い主は?捨て犬?

【そんな泡沫の夢を思い浮かべながら公園のベンチに腰掛ける男は、目の前にお座りしていた真っ白なサモエド犬に話し掛けた】
【昼下がり、公園で一人捨て犬に話し掛ける男…】
744 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 15:00:38.16 ID:noLtt8Ik0
>>742

【―――嗚呼、雪。普段は好きだけど、こうなってくると流石に冷える。】
【全く何をしているのだか。これじゃ、まるで悪人を引き摺って罰を与えてるみたいじゃない。】
【引き摺っているのが私で、引き摺られているのが私の主じゃなかったのなら、眺めてる分には面白そうな光景なのに。】

【今日は酷い一日だったわ。】
【決闘のルールは破る。主は負ける。オマケに雪は降ってくる。】
【散々だ。主がグレてた昔を思い出して、まあ、あの頃よりは―――なんて、そう思ったけど。】

【ただ傷ついたのならともかく……どうにも心が折られた様な主が、また立ち上がる事が出来るのか。】
【今の私には判らなかった。ただ、それでも助けてしまうのが従僕としての本能だろう、その先の事等知った事か。】
【確か大昔に心をへし折られた時には、数年間はグレたままだった。酒もギャンブルも、全部その頃の名残りだったかしらね。】

【―――今回もまた、立ち上がるまでに時間がかかるのだろうか。】
【だとしたら、その時に私はまだ―――まだ現役の馬でいられるだろうか。】
【なんでもいい。また主と一緒に走れるなら。誰か―――助けては、くれまいか。】



 【―――? "アレ"は……ああ、そうか。前に一度、背に乗せた事があったかしら。不本意だったけれど。】


【……主は随分、彼を買っているようだったけれど、私は彼を認めていない。】
【とはいえ―――この状況では、頼れるのは彼だけ、といったところか。やれやれ。】



 ―――――――――――――――――――――――。





【近寄って来たディハートに対し、白馬アニーは脚を止めて、深く息を吐きだした。】
【説明するだけの言葉と、其れを発せられる口があったのなら、洗いざらい説明してやれたのだが】
【無い物ねだりをしてもしょうがないと思ったのだろう、アニーは紐から脚を離して、包まれている"ソレ"に顔を近づけると】

【―――容赦なく、布をはぎ取る。露になったのは破壊されたアーマーとその下に見える白い肌。】
【沈黙し、大量に出血した状態でピクリとも動かない―――セリーナ・ザ・"キッド"の姿であった。】
【状況は分からないが、まずディハートがやるべき事としては―――背に彼女を載せ、病院へと急ぐこと、か。】
745 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 15:14:01.06 ID:Snir0ggXo
>>743

……あの、何してるんですか?
その子、ちょっと怯えてて……その、ええと……。

【と、犬の後ろから男に声をかけるのは幼く小柄な少年であった】
【ハンチング帽に深緑のコートを着ていて、見かけはなんとも地味】
【髪の色が白銀で、瞳は蒼だから目立たないわけではないが――男と比べるとやはり、という感じで】

さっきの、ちょっと聞こえたんですけど……馬なら牧場とか
あとは多分、草原とか……でも、買うならきっと高いですよ。
自分で捕まえれば、きっとお土産話にも出来ますし…――。

【少し不思議な、おどおどとしたタイプ。耳がいいのか、男の独り言も聞いていたらしく】
【ついでに言えば犬の感情がさも分かるかのような口ぶり――で、彼に話しかけるのだった】
746 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 15:18:23.31 ID:mRULybT8O
【夕暮れ差す自然公園】

──成長しとる…。

【黒いハットとインバネス、白の革の手袋。】
【中肉中背で、それ以外に特徴のない青年の正面には、】
【1.5Mほどの嘴(のみ)。先日までは1Mしかなかったそれも、何故か今日になってみれば】
【1.5倍の長さ、付随して横幅も広くなっている。】
【相変わらず嘴に触れれば、とくんとくんと心臓のような鼓動が。】

(今までこれを武器のように扱ってたけど…。)
(──これじゃあふってーし持てねえよなぁ…。)

──けど、破壊力もましてるだろうし
先の戦闘で学んだ、回転も組み合わせれば大ダメージが狙える…!
はずッ!!

【──その巨大な嘴に回転を加えて放つ。目標は木の根元。】
【木にまあるい風穴を開ければ、ぎぎぎと音を立てて木は倒れる。】
【一斉に小鳥が飛び去った。】

──殺せる。これは人をも殺せる。
始まる…。伝説が今 始まる…。

【ふふ、とぶつぶつ呟く。】
747 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 15:29:03.14 ID:a5kNSKr9o
>>745
え?

【なんとなーくそこにいただけの犬に話し掛けていた所に、話を突っ込まれた───つまり、見られたのである、犬に話し掛ける所を】
【余りにも不意打たれたので、間抜けな声と共に少年の方を向いて、それから少し気恥ずかしさがやってきた】

あ、な、何?こいつお前の犬?いや別に俺様なんもしてないよ?ただ目の前にいたから何となく気になっただけで…
いや、ホント、アレだぜ?首輪付いてないから捨て犬かと……ちゃんと見とけよ…

【男は少年の言っている意味がよく飲み込めなかったが、雰囲気から察するにこの犬が少年の飼い犬だと勘違いしたようだ】
【犬の考えてる事なんてこの男にはわからないし、まさか犬を指して「怯えている」なんて言われるとは思わないし】
【とにかく独り言とか、犬に何も危害は加えてないだとか誤魔化そうとするが、結局誤魔化し切る前に気恥ずかしさが勝ってしまい言葉は尻切れとんぼになっていく】


牧場……牧場かあ……あーゆー所って臭いし汚いから嫌なんだよなあ…王子ってあんな場所でわざわざ馬買ってんのか?
かといって捕まえろっつーのもなあ……餌で釣るのか?こう、人参を釣り糸に垂らして……

【項垂れたまま、少年のくれた情報について良く考える。考えるというより、愚痴か言い訳ばかりだが】
748 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 15:31:49.01 ID:TEBvk/C9o
>>744

【吐息。彼女―――アニーの思考も読めなければ、言葉を聞く事もできないが、布の剥ぎ取られるのを、ただ、黙って、見つめて。】

【――――イヤな、予感だった。外れてくれれば、どんなに良かっただろうか】

――――――――――――ッッ!

【見開かれた眼に映る光景。仲間の、彼女の傷ついた姿。】
【思わず息を呑み、一瞬の硬直。それから、顔を近付け、名を呼び、状態を確かめていく】

セリーナ……ッ!おい、セリーナ!しっかりしろ!
くそっ……!ここから一番近い病院は……彼処、か……早くしないと…………!

――――なぁ、まだ、走れるか?
…………頼む。病院まで連れていく、力を貸してくれっ……!

【出血量が多い。悠長にしている暇は、無いはずだ。】
【急がなければ。ディハートはセリーナを抱き上げたなら、アニーへと声をかけて】
【それから、彼女の背に乗るのだろう。今にも消えそうな炎を、絶やさぬ為に。】
749 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/02/10(火) 15:40:50.14 ID:bDtL+Jfk0
>>746

フハハハハハハハ!!妙な物音を聞きつけて!正義の味方クリフ・カートライト参上!
……ん?

【木が倒れる大きな音が響き渡る。ここは自然公園、人が居る場所でその音は人を引付けたはずで】
【一人の男も、その音を聞きつけて此処に来たようだ。……そして】

【「殺せる。」その一言を青年が放った次の瞬間、彼の前に猛然と走ってきたのは】
【――――男だった。それもかなり……いや、非常にガタイの良い偉丈夫とも言うべき男】

――――君、今何と言ったッ!

【―――やたら大きい声で、彼に放つ第一声はそんなセリフ。……誰だ、こいつは】
【彫りの深い顔立ち、キリっとした目つきと一昔前の時代の大工のような黄色人種系の濃い顔】
【オールバックの短髪に赤いバンダナを巻いて、やたら丈の長い白い羽織をマントのように羽織り】
【やたら年季の入ったジーンズを穿き、これまたやたら年季の入った靴を履いている】
【そんな男が今彼の目の前に駆けて来て、息の一つも切らさずに腕を組んで仁王立ちしているのだ】

大きな音がしたから駆けつけてみれば、私の耳に聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするぞッ!
君はどういう意図であのようなセリフを口にしたのだ!教えて貰おうッ!!

【この時点で感じているかもしれないが……この男、非常に暑苦しい。】
【それだけなら唯の変な人かと無視するかもしれないが……】
【白い羽織の肩にある自警団の腕章が見えたなら―――話は変わってくるかもしれない】
750 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 15:45:25.46 ID:Snir0ggXo
>>747

あっ……いえ、この子は別に僕の飼い犬とかじゃなくて……!
何かを飼うのは好きじゃないし……なんとなくその
この子がそういう感じの顔というか、雰囲気だったというか……。

【手と顔を横に振って、なんだか恐縮しながら答えると】
【何も悪くないはずなのだが、なんとも気弱そうな性格が垣間見え】

【また犬を気遣うようにそっと頭を撫でると、『ワン!』と返事が来る辺り】
【如何にも心優しい少年、というふうだった。何より、笑顔が幼い】
【男相手に小さくなったり、犬相手に楽しげにしたりと、感情がころっと変わるのもそれらしく】

……? いえ、捕まえるなら仲間で遠くから囲うんです。
こう……逃げ場がないようにしながら、ぐるーって。

しばらく追いかけて逃がさないようにすれば、いくら馬にスタミナがあっても
そのうち倒れるからって大祖母様が……ぁ、でもこれじゃ捕まえられませんね……
……牧場主の人にお金を払って買ったらどうでしょう……?

【――会話の中身がなんだかエグい。最終的には、男の派手な身なりから】
【お金でなんとか、というふうに帰結したが――まるで狩りの方法を話すかのようだった】
751 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 15:57:24.86 ID:mRULybT8O
>>749

伝説が今生まれたぞ──ひい…!!(何故自警団?)

【嬉しそうに、力強く。自分の前で拳を作る。】
【手応えを感じた。木一本を倒す破壊力! ──】
【彼に公共物を破壊した≠ニいうような、反省意識はなかった。】
【──故にびびる。突然現れた大柄で暑苦しく責任感溢れた男に迫られ…。】
【とたん、と尻餅をついてしまう。】

【とはいえ、とはいえである。】
【今彼が責められているのは、木を倒したことではなくついつい口走ってしまった失言。】
【無論明確な意図があった訳ではない。当然困惑した様子で──】
【否、どちらかというと大柄な男に迫られる威圧感に萎縮した様子で…】

──こ、言葉のあやで…俺は強くなったと勘違いした発言です御免なさい…。

【──実際に対面したら別段なんともない相手だ。】
【だが、男の風貌、態度、威圧感…苦手意識が植え付けられてしまった。】
752 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 15:59:14.40 ID:noLtt8Ik0

>>748

【なによ、ビックリした様な顔しちゃって。って、ビックリしてるのよね。】
【怪我人くらい見慣れているんじゃなかったのか。……それだけ、気にかけてくれてる、と言う事か。】
【呼んだ所で眼は覚めないと思うけど、私が散々っぱら引き摺ってきたのにこの調子だからね。ともあれ、今は急ごうか。】

 ――――――――――――――――。

【アニーは一度大きく鳴くと、前足を強く持ちあげて蹄を地面にたたきつける。】
【これは走る前の準備運動の様な物だ。正直な話をすれば、もう体力は残っていないのだが】
【こんなときくらいしか、馬として役に立つ事は出来ないだろうし―――二人が乗った事を確認すると】

【アニーは"白き弾丸"の名に恥じぬ、凄まじい走りを見せるだろう。】
【多少なり振動で傷に響くかもわからないが、もう知った事か。とにかく、奔る。】
【アニーに病院の位置まではわからないから、ディハートの指示に従いつつ、という形になるが】

【ただ、奔った。鎧の重さも、人間二人を載せている事も忘れて。限界のその先まで、脚を踏み入れて―――。】


 『―――急患か!? すぐにこっちへ―――っ!!』


【きがつけば、病院へとついていた。セリーナはすぐさま緊急治療室へと運びこまれる。】
【ディハートはその外で待つ事になるだろうが―――その際、セリーナの身体から外していた"魔銃"も】
【荷物としてディハートへと預けられる事になる、のだが。暫く待っている間に、何処からともなくディハートを呼ぶ、声がする。】


 「――――――――い。…………い。おい。」

 「聞こえ……る、か……小僧A、聞こえるか……ぐっ―――――――――……。」


【それはまるで、銃が喋っているかのような―――そう、渡された銃からディハートのみに語りかける様、言葉が聞こえてくるだろう。】
753 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 16:00:42.78 ID:a5kNSKr9o
>>750
え?違うの?
んじゃあやっぱ捨て犬か……つーか、怯えてるってそりゃ俺様のせいじゃねーよ、絶対
こーみえて俺様犬好きだぜ?犬にだって優しくするし、わざわざ行動に表さなくとも犬の方だってそれを察して───

【少年が飼い主でないと聞いて首を傾げ、やはり捨て犬なのかと理解する。だが、少年が伝える犬の気持ちにはまだ懐疑心が拭えないよつで】
【(自称)犬好きなのだから、犬の方から懐かれるとかそういうよく分からない理論の上、この男も犬を撫でようと右手を伸ばすと───】
【パクリ、とそりゃまた綺麗に右手を噛まれた】

……───と、まあこんな感じにな?

【だが、押し通す。涎まみれの右手を犬の口から引き抜きながら、痛みを我慢し何故かドヤ顔】

疲れるまで追いかけ回す?そりゃまた随分原始的だな、石器時代か
仲間集めるにしたって、『白馬を疲れるまで追い回そう』だなんて言っても、きっと手伝ってくれる奴はいなさそうだしな……

やっぱり買うしかないか、金出して
馬なんてあんな草食うだけの生き物、其れ程食費もかからねぇだろうしな
……十五万くらいで買えるだろ、よくしらねーけど

【※無理です、買えません】
754 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 16:15:00.04 ID:Snir0ggXo
>>753

……ぁ、は…はあ。その……な、仲良しですね……。
コミュニケーションもバッチリというか……あ、ははっ……

【空気は読める子らしかった。軽く笑いながらふとハンカチを取り出すと】
【『……使います?』なんて差し出したりもする】
【加えて犬に人を噛まないで、と注意するように話しかけたりもして居るのを見ると】

【まるで、本当に動物とコミュニケーションが取れるかのように見える――かも知れない】
【ただの子供の反応と思うなら、それでも全くおかしくはないのだが】

お金……どう、なんでしょう。僕、物の値段は詳しくなくて。
でも、白馬なら王子様が飼ってるようなイメージですし、結構……
……そういえば、お兄さんはなんで馬が欲しいんですか?

櫻の国なら移動手段になりますけど、こっちじゃ車とか、バイクもあるし……。
それに、身体の大きい動物は家に置いても置けないし……、……?

【話をしながらしゃがみこんで、サモエド犬をそっと後ろから抱きしめつつ】
【真っ直ぐに、純真な瞳で男の目を見て話をして】
755 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2015/02/10(火) 16:23:01.39 ID:bDtL+Jfk0
>>751

ムッ、大丈夫か?倒木の衝撃で足に怪我でもしたか!?そら、手を貸そう!立ち上がれるかな?

【実際迫られれば威圧感は半端ではないだろう。何せ身長188cm、体重90kg(筋肉質)のアスリート顔負けの大男なのだから】
【……だが本人には威圧感を与えている自覚は無いらしく、やたら明るい表情で尻餅をついた青年に手を差し伸べる】
【手を握れば、グイッと体全体が引っ張られるような感覚で立ち上がることが出来るだろう】
【腕一本で人一人を引っ張り上げられるのだから、力も相当な物に違いあるまい……。見た目に違わない力のようだ】


ハハハハハ!!そうか、誰かを[ピーーー]つもりはないのだな!宜しい、それなら何の問題も無い!突然事情を訊いて悪かったな!
だが、そんな勘違いされかねない言葉は言うもんじゃないぞ?今回の私のように、誰が聞いているか分からないぞ!

……で、あの木を倒したのは君だね?後で話を聞かせて貰うぞ!

【そして、彼が立ち上がることが出来れば話を戻す。聞き捨てならない不穏な言葉……その真相】
【「殺せる」なんて、自警団という立場上聞き逃す訳にはいかない言葉だ。事情を聞いて然るべき、其処に問題はないだろう】
【……一つ問題があるとすれば、やたらと暑苦しい事。性格ゆえ、本人には何ら悪気も無いのだけれど……】
【で、「勘違いでした」「そうですか、それならいいんです」で無罪放免かと言えば……違うらしい】
【次に問い詰められるのは倒した木の事。勿論この公園の所有者は自治体、木も公園の所有物なわけで】
【自警団として、見逃すわけにはいかない。―――結局、木を倒したことも責められるのだった。】
【……まあ、少し怒られるくらいで済むだろうけれど。】

それと……君、強くなったと勘違いしたと言ったね。―――本当に強い人間は、誰かを殺せるなどとは言わない。
……君、本当の強さとは何だと思う?

【―――そんな彼に、ふと掛けた言葉。強さって何だと思う?……そんな問いかけ】
【適当に答えるのも良いだろう。所詮はお巡りさんの小言……だが、その問いかけには少しだけ真剣味も帯びていて】
756 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/10(火) 16:25:34.96 ID:bDtL+Jfk0
//鳩ヶ谷くんの方、申し訳ないです!始まったばかりですが、少し用事が出来て1時間ほど外出しなければならなくなりました……!
//1時間以内には間違いなく戻ってきますので、少しお待ち頂ければ……!
757 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 16:27:10.13 ID:a5kNSKr9o
>>754
ははは、甘噛みだよ甘噛み、本気で嫌われてりゃ腕一本持ってかれてる、要はじゃれてんだよこいつ、可愛い奴だぜ
……借りるわ

【どう見ても甘噛みにしては強過ぎるくらいの噛み跡が付いているが、甘噛みらしい、甘噛みなのだ、彼にとっては】
【少年が差し出したハンカチを有り難く頂くと、右手の涎を念入りに拭き取る】

なんでって……そりゃあ、今お前が言った通りだよ、白馬は王子様が乗るもんだろ?
俺様にピッタリじゃねーか、俺様のこの美貌に白馬が加わりゃ正に『駆け馬に鞭』って奴だ……お、今の結構上手いな、馬だけに

【白馬が欲しい理由、重ねて言うがそれは途轍もなく下らなくて、重要ではないただの思い付きである。きっと一晩寝れば欲しい事も忘れてしまうくらいに】
【凄いしたり顔で『似合うだろ?』とか言っているが、白馬には似合わないくらいに下品な下地が隠せていない、白馬なんていても豚に真珠だ】

……つーかお前、動物好きなの?

【さっきから、犬の気持ちを代弁したり、仲良さそうに犬と触れ合う少年を、ちょっと羨ましそうに見詰める】
【飼い犬でも無いのによく懐くもんだ、と、噛まれた右手を拭きながら思った】
758 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 16:34:23.05 ID:TEBvk/C9o
>>752

【走り出したアニーに道を指示しながら、ディハートは少しでもセリーナに揺れが伝わらないように、抱き抱えるようにして】
【―――そうしている内に、場面は病院へと移る。背より降りる間際、「ありがとうな」、とアニーへと。】


【そこからは、ディハート自身の足で走り、病院側へとセリーナを引き渡して】
【治療が始まったなら、備え付けられた椅子に座りもせずに、落ち着き無くウロウロとしていた】

…………あぁクソ、落ち着かねえな……!
何があったってんだよ……クソ……っ!

【―――さて、セリーナの荷物はと言えば、椅子の上に置いていたのだが。】
【声が聞こえれば、ディハートはキョロキョロと辺りを見回すが……視線は人の高さ】
【その声の出処が“魔銃”であると気付くには、少し時間を要することとなって】

あ、あぁ…………?何だ、この声……?
誰もいない―――いや、何かが違うような……――――

これは、セリーナの銃――――お前、なのか……?

【しかし、気付いたのならば椅子に腰を下ろし、些か不思議そうな表情ではあったが】
【そちらへ向いて、会話はできそうな風ではあった】
759 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 16:39:02.97 ID:Snir0ggXo
>>757

【ハンカチを彼が受け取れば、そのまま使って構わない、と告げる】
【さほど大事そうな物でもない。洗って返す様な仲ならともかく、というところか】

あー……ええと、なるほど…。……でもそれって、大変じゃありませんか?
馬を飼うんじゃなくて、馬について詳しくなれば……
……その、女の人って動物が好きそうだし……試したこと無い、ですけど…。

【白馬を探す理由が、果てしなくしょうもない事なのだ、というのは分かったのだろう】
【その上で提案するのは動物に詳しくなること。なるほど、動物が嫌いな女性は中々居ないはずだ】
【お茶でも飲みながら犬猫の話が出来たりすれば、悪く無さそうではあるが――】

……ぁ、はいっ!というか僕、どちらかと言うと"そっち側"というか
つまり……ええと、こういう事なんです。……妖怪って、知ってます……?

【と、おもむろに帽子を取れば白銀の髪の間には動物らしい三角の耳が見えた】
【ちょうど彼が抱きしめる犬のそれに近いが、もっと鋭く縦に長い】
【例えるなら狼のよう。狼の妖怪、だとしたら――特に犬と仲が良いのも頷ける、が――?】
760 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 16:39:29.48 ID:mRULybT8O
>>755>>756

あ、はい…。すません…。(びびび、びびったあ…! なんてこえー自警団だよ…)
(こんな季節にはありがたいとすら思える暑苦しさを兼ね備える今に珍しい人間だな…。)

【軽々と立ち上がらさせてもらう。軽く礼を述べ、】
【次いで、説教は甘んじて受ける。叱り慣れている訳ではないが、】
【この怖いやつはただ怖いだけだ≠ニいうことが分かれば、ギャップ的なもので妙に安心する。】
【叱られながら、相手の人となりを観察してしまうあたり中々余裕そうだ。】

【帽子を深くかぶり、顔色を隠す。】
【──簡単に言ってしまえば、あんまり反省していない。馬の耳に念仏である。】

──本当の強さ、ですか…。(なんと…教育者のような質問を…。)
(…こいつこそ、真の主人公なんかじゃなかろうか。)

──相手を打ち負かすことのできる力!=Aですかね?

【お叱りを真面目に聞いてはいないのだが、この男のひたむきさにはある種の尊敬を覚える。】
【ようやくお叱りが終えたと思えば、蛇足のような、補足のような問。】
【──帽子の角度を浅くして、顎に手を当て考え……。】

【頭にぽっと出た──本当の強さとは何かという問に対する答え=B 】
【反射的というか、直結してその答えが出てくるあたり、彼にとっては其が嘘偽りのない答えなのだろう。】
【何せかれは、その強さを手にするために敗戦を重ねたのだから。】

/了解です!
761 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 16:59:55.65 ID:noLtt8Ik0

>>758

【"手術中"―――の三つの文字に、赤い光が灯ってから大分時間が経っていた。】
【出血量も去ることながら、胸部を撃ち抜いていた"超"がつく大口径の弾丸らしき物による銃創は】
【命の危険に及ぶ可能性も高い―――という、大雑把な説明のみを残して、医師は集中治療室の中に籠っていた。】


 「―――――――…・・・あ、あ。…………そう、だ………おれ、さまは、あの・・・っ、ぅ……!」

 「……小娘、の――――……………銃だ………っ……。」


【そんな、緊張して、落ち着かない態度で当然のディハートと、場の空気を打ち破る様に】
【セリーナの愛銃、"弾"末魔は苦しそうな声を上げながら、その言葉を紡ぎ始めるだろう―――。】


 「……なにが、あった、か……だと……? ……ふッ……なぁに、いつもどお、りの・・……っ。」

 「たたかい、だよ……小娘は―――……たたかった。たたか、って―――……そして、まけ、た。」

 「ただ、それだ、けの―――…・・・・……ぐ、ふっ……!! ―――それだ、けの……はなし、だ。」


【戦って、負けた。銃が告げる事実は、別段変った物でも無い。】
【こういう仕事に身を置いていて、正義という看板を掲げる以上は、こんな事もあるだろう。】
【だが―――それにしても、甚大なダメージ。過去に無い程、強烈で、凄惨で、そして深く貫く様な―――そんな、ダメージ。】

【UTを設立して以来、いや、ディハートと面識が生まれて以来、セリーナがここまで追い込まれた事は一度も、無い。】
【自ら組織を率いるだけの覚悟も、戦闘力も持ち合せている、というのは実際間違って居ないし、彼女もそう軟では無い。】
【だがそんな今までを覆す様に、いとも容易く魔銃は言ってのけるのだ―――"戦って、負けた。それだけだ。"……―――と。】


 「……くっ……おれ、さまの……名前は、―――"弾"、末魔だ……。」

 「小僧A…………ふふっ、なさけ、ない……姿だろう……? こんなに、持ち主もろとも、……ぼ、ろぼろに・・・・……っ!」

 「はっ……ははっ……。まったく、ひどい、話だ―――………持ち主を……護れなかった………武器、しっかく……ぐっ……!!」


【そして一番の謎は、セリーナだけでなく、武器である筈の"彼"までもがどうして傷ついているのか、という点だろう。】
【魔銃は時折魔力を火花の様に散らしながら、息も絶え絶え、という様子で言葉を紡いでいる。まるで、彼自身も大きな―――】
【大きなダメージを負っているのではないか、とそう思わせるほどに。何が起きたかは分からぬが、"弾"末魔は言葉を続けるだろう。】


 「―――……やられた、よ……おれs……おれさま、は……あくまの、技術を、つかった……魔銃、だ……。」
 
 「だが―――……てきに、へへっ……悪魔のちからを、無力化する―――・・・……いや、むしろ、」

 「悪魔を滅する―――……そういう、やっかいな……力を、もった……武器があってな……。」

 「が、ふっ……!! とも、かく……撃たれた……、それも、強烈に―――……、強い、退魔の―――だん、がんを……ぐ、ぁ……!!」


【―――恐らくは。それが医師から説明の在った、"大口径弾"の正体だろう。】
【纏めると、この魔銃とセリーナは、天敵とも呼べる相手と戦い、そして身体に毒を撃ちこまれた―――そんな、ところか。】
762 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 17:01:36.72 ID:a5kNSKr9o
>>759
あーなるほど、動物の話が嫌いな女なんていないもんな…
でも、俺様こー見えて動物には既に詳しいんだぜ?知ってるか?犬ってのはな……ネコ目イヌ科なんだ
あとな…犬とか猫って、人でいう爪先歩きをしてるんだぜ!

【聞いてみればなるほど確かに、動物について語れば知的な面も見せられるし、動物好きアピールにもなる、わざわざ本物がいなくてもいい訳だ】
【その提案に頷いてはみたが、曰くどうやら既に動物には詳しいらしい……出てくる知識は、どうでもいい無駄知識ばかりだが】
【まあ、これでも話のタネにはなるのだろう、決して動物に詳しい人間の話とは思えないが】

ん?そっち側=Hヨーカイ?

【『妖怪』という物には知識がある、櫻の国に出る、人を騙したり食ったりする化け物だと】
【中には無害な物もいるというのも知ってはいるが、それはどれも人とはかけ離れた姿の筈だ、とこの男は思っていた】
【少年がその妖怪だとは全く思えなかったが、少年の帽子の下にある、人とは違う耳を見ると目を丸くして】

……え?マジで?ヨーカイ?

【犬と同じ耳を持つなら、そりゃ犬と意思疎通も出来る筈だ…と、思うのも束の間】
【まるでカエルのように飛び跳ねると、座っていたベンチの裏に回って背もたれに姿を隠し、そこからちょっとだけ目を出して】

……俺様食っても美味くないよ!つか腹壊すぞ!
あ、アレか!?ビワって奴を弾けばいいのか!?それとも三枚のオフダか!?キビダンゴか!?タマテバコ!?

【…中には無害な物もいるとは知ってはいるが、基本的には有害、延いては人を化かして食らう系の物が大半だと思っているらしい】
【オマケに何一つとして持ってないし、幾つか間違っているが、口から出てくる対策アイテムからして、知識の仕入先は───】
763 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 17:16:59.45 ID:Snir0ggXo
>>762

え、っと……その、はい。妖狼って言えばいいのかな……
櫻の国の狼が妖怪になって、人の姿に化けてる訳で……
尻尾もありますよ?なんならそっちも見せ…――えっ、あ…!

【妖怪=\―少年の経験上、櫻の国に詳しくない人物でも知っている存在だ】
【今までに出会った人物は理解してくれた。が、そうでない人も居るのは当然で】

【目の前に居た男性が一瞬でベンチの向こう側に隠れると】
【焦るように立ち上がって、犬を抱えていたことに気付いて離してから】
【ぎゅっと帽子をかぶり直しつつ、両手でそんなことはしない、とジェスチャーをしてみせ】

ぼ、僕は人間なんか食べませんよ!馬や兎なら別ですけど
人間は骨と筋肉ばっかりで全然美味しくないって大祖母様が……あぁ、もう……!

……そ、それに琵琶を弾いたら亡霊に襲われますし!
御札は山姥対策!きび団子は子分が欲しい人向けで、玉手箱は開けたらダメですっ!
とにかく、そのっ……僕たちは人を襲ったりはしないですから……ねっ?

【もじもじと、居心地が悪そうに手を合わせながら説明する】
【改めて見れば小柄な青年――確かに人を殺せそうには見えなかった、が】
【男の気持ちを煽るように、先ほどの犬が不意をついて手の甲を舐めようとしたりもして】
764 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 17:38:02.05 ID:a5kNSKr9o
>>763
……本当か?

本当に、マジで、食うつもりはねぇのか?

【必死で弁明する少年を、ベンチから目を出してジト見する男───側から所か、横から見るだけで大分シュールな絵面である】
【確かにこの小柄な体躯だし、食うのだったらわざわざ正体を見せる訳もないのだが……】

やっぱ食ってんじゃねーか!?

やっぱりお前、俺様を───うひゃう!?

【だがしかし、警戒する人間は、自分に都合の悪い言葉は聞き逃さない。少年の滑らせた一言が一気に警戒レベルを上げてしまう】
【が、次の瞬間男は変な声を上げながらベンチの裏から飛び出した、尻を疲れた小鳥の様に飛び退り、ベンチの横から体を出す】
【どうやら、犬に手を舐められたのが原因らしい、腰を抜かしたみたいになって、手に触れたのが犬だとわかると一安心】

【一安心と共に、少年についても考えを改める余裕が出来た、こんな子供、たとえ妖怪であったとして、人を食べるとして、叶わないようなものだろうか】
【例え『人は食べない』というのが嘘だとしても、自分ならこれくらいなんとか出来るだろう───という、謎の理解と自信で納得した男は、スーツの埃を払いながら立ち上がる】

……ま、まあ?俺様、お前が人を食うとか食わねーとか実の所どっちでもいいし?食われそうになったら返り討ちにす、するだけだし?
まあね?そこら辺どーするかはお前の勝手だからいいけど?『俺様に噛み付いたらブッ飛ばすぞ』ってだけで?ぜ、全然ビビってねーし?
あ、アレだよ、お前が人を食うつもりがないってんなら?な、仲良くしてやってもいーよ、うん

【吹っ切れたとは言いつつも、実際まだ誤解が完全に解けた訳ではないし、めちゃくちゃビビられてはいるが】
【震え声でこいつが言うには、『人を食わないと言い切れるなら仲良くしてやらんこともない』とかいう回りくどい事であって、どう考えても20代の人間が10代の少年に言う言葉ではない】
765 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 17:41:54.39 ID:TEBvk/C9o
>>761

【超大口径の弾丸。以前見た、あの鎧を破壊するほどの弾丸となれば、その威力は計り知れぬほどであろう】
【胸に湧き上がる不安を描き消すように、ディハートは小さく頭を振った】

“弾”末魔……悪魔の……銃…………ね。
あの魔銃としての力も、悪魔の技術で作られたから、ってことか……。

なる、ほど……その退魔の弾丸ってのが……医者の先生が言ってた弾、ってわけか……。

【彼――“弾”末魔が語るのを、ディハートは暫くの間、黙って聞いていた。】
【銃がこちらに語りかけてきたのは驚くべき事ではあったが、悪魔の技術の結晶であるならば、まだ納得もいく】
【セリーナが能力者相手にここまで戦い抜いてこられたのもまた、彼の力あってこその事なのだろう】

だけど、一体相手は……。
そんなモノを持ってるようなやつが、敵にいるってのか……?

【戦いに敗れ、重傷を負う。もちろん、有り得ない話ではない。自身も以前、そんな経験がある】

【しかし――――セリーナに、そして“弾”末魔にここまでのダメージを与えたのは、何者なのか】
【そして、その者が用いたという超大口径の退魔の弾丸とは、何なのか】
【心中に浮かぶ疑問を、そのまま口にしていた】

――――だけど、お前もセリーナも、まだ死んじゃいない。
ここまで追い詰められて、でも生きてる。それだけでも、十分だ。
…………情けなくなんか、ねえよ。

でも、お前は大丈夫なのか?かなり苦しそうだけど、何か手当とか――――

【それから続ける言葉は、「情けない」という彼へ向けてだけではなく、己の不安にも向けてのもの】
【希望は消えていない。きっと大丈夫――――そう、言い聞かせるように】
766 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/10(火) 17:53:55.34 ID:bDtL+Jfk0
>>760

【説教の間も大きな声と暑苦しさは変わらない。終わりまで全くトーンダウンせずに喋り続けるのだからある意味凄い】
【近くに居れば体感温度が少し上がるんじゃないかと思うくらいの暑苦しさは、冬場にはありがたいかもしれないけれど】
【もしこれが夏場なら、げんなりしてしまうに違いない。実際、仲間から若干鬱陶しがられることもあるとか無いとか……】
【……まあ、説教の内容自体は特に変わった事でも無いけれど。「公園の木は公共の物だから壊してはいけない」とか】
【「本当なら器物破損で弁償やら色々しなればならないけれど、今回は自分が事後処理をしてやる」とか】
【「今度はごめんなさいでは済まないかもしれないから、気を付けるように」とか……そんな感じの事。】
【聞いているか聞いていないかに関わらず言い聞かせ続けるのだから、熱心なものだ……】


【で、一通り説教し終えてから投げかけた質問。「本当の強さとは」、―――その答えが青年の口から語られる。】
【青年の答えは相手を凌駕する力。戦って、勝つことの出来る力こそが強さだと……そう、述べた】
【一度深く頷いてから、少年の顔を見て言葉を返す。彼の思う、「本当の強さ」とは―――】

ハハハハハ!ウム、単純に力の強さを「強さ」と捉える人も多いな!
だが、腕っ節の強さとか、特別な能力とか―――そんな物が本当の強さだとは、私は思わない!

―――私は、自警団という立場上様々な犯罪者も目にする。
その中には、君の言う相手を打ち負かす事の出来る力≠持った者も多い。一人や二人なんてものじゃない……本当に、多い。
だが、彼らは破滅の道を歩んでいった。己の力に酔い、溺れ、犯罪に手を染め―――そして、捕まった。力の使い方を誤ったのだ。
君は、このような自らの力に溺れた者が本当に強いと思うかい?

……本当に強い者は自らの力の使い方を心得ている者の事だと、私は思う。
自らの力に溺れる事無く、その力を自他を助ける為に使える者こそ……本当に強い者だ。

君は、木の一本を根元からへし折るくらいの強い力を持っているようだな!
……もしその力を人に向ければ、確かに打ち負かす事は出来るだろう。最初君が言っていたように人も殺せる。でも、それで良いのか?
―――その力、どう使う?ここ≠ナ今一度、考えてみろ!

【そう言って、青年の胸を拳でトンと突く。―――己の心で力の使い道を考えてみろ、と言うように】

//お待たせしました!
767 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 17:54:04.11 ID:Snir0ggXo
>>764

ま……マジ、ですよ……?あっ…あぁっ、待って……!
だから美味しくないって言ったのは大祖母様でっ!
そもそも僕に嘘を言って楽しんでただけかもしれないですし……!

【『大祖母様が』というのが癖らしい。今回はそれが裏目に出た】
【実際、少年は人を喰ったことはないし――食べられるほどの強さもない】

【男が心を落ち着かせて彼を見れば、一層そのことは理解出来るはずだ】
【見たところ精々10代前半。背は140cm程度しかないのだし】
【見た目が全ての世界ではないが――ともかく、彼の妙な自信が状況を救ってくれたのは確かで】

はいっ!もう、あのっ……もし食べようとしたらぶっ飛ばしてくれれば……!

……ぁ、えと、僕の名前……虎千代、って言います。
本当は苗字もあるんですけど、まだ子供だから早い、って。
……お兄さんの名前も、聞いてもいいですか?

【――よく物を考えないでいうような所もあるのかもしれない】
【焦り故、ということも考えられたが――ともかく、自分の名前を告げてから】
【様子を窺うようにそっと近付いて、それから小さな手を差し出した】
【握手とは分かりやすい友好の印。もし手を取れば、ひやりとしつつも人らしい感触があるはずで】
768 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 18:12:39.80 ID:a5kNSKr9o
>>767
虎千代?虎って……なんかすげー強そーな名前…

【少年の名前を聞いて、「虎ってより犬だろ」と思ったが、悪い名前だとは思わない】
【もしくは、「虎千代っていう種類の妖怪なんだろうか」とも思ったが…どっちにしたってどうでもいいことだ、そう名乗られたのだからそう呼ぶ事にしよう】

俺様の名前はエース・セブンだ、よろしくな虎千代

【肉体的にも精神的にも歩み寄って、虎千代の小さな手を握れば、まだほんの僅かだが絆が芽生える】
【普通に仲良くなるにはまだちょっと関門がありそうだが、それはまた後々の事だ】

……所で虎千代、お前さ

【情けない笑顔で握手したと思えば、急に真剣な目付きになり、どうやって話を切り出すか考える顔】
【言いにくそうに目を泳がせ、顔を向けると───その先には、真っ白なサモエド犬】

あいつ、どうしよう……?

【エースは虎千代が飼い主だと思っていた、だがそれは勘違い。首輪もついていない犬なので、きっと捨て犬か野良犬なのは間違いないだろう】
【野良犬なら放っておいても強く生きるだろうが、何故かやたらと見てくる、見つめてくる、まるで何かを期待するような目で、サモエド犬は二人を見詰める】
【おそらくその視線にエースもそのまま放っておくのも気が引けて来たのだろう、『お前も触ってたから同罪だ』と言わんばかりに、虎千代に意見を煽る】
769 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 18:18:53.99 ID:noLtt8Ik0
>>765

【息も絶え絶えに語る内容を、疑う事無く受け入れてくれる事にまず、"弾"末魔は感謝をして】
【いつもであればもっと高圧的に、それこそ人間を見下したような態度を見せるのだが、今日ばかりはそれも成りを潜めた。】


 「―――……そう、だ……しょせん、こむすめは……単なる、ガンマンに、すぎ、ない…・・・……」

 「おれ、さまの………ッ!! 、おれさまの……力あってこその……なのに、どうにも……ははっ……。」

 「―――……だが、暫くはおれさまから……"卒業"してもらう、ことになりそうなんだがな……く、ふふ……っ!」


【なんとも、自分のお陰だと言わんばかりの傲慢さは隠し切れていなかったが、気になるのはその後の言葉だ。】
【セリーナには、自分から暫しの間"卒業"して貰う―――という、意味深なそれは、一体どういう事を意味しているのか。】


 「……カニ、バディー……ル……カノっ、さの……なんバー、29……っ」

 「ナンバーズ、って……事だな……あれが、正体はわから、ないが……なにか、凄まじい、武器を―――……。」

 「悪魔や、ドラゴンや―――……そう、そうだ……確か、あれは……"リリア"の奴をヤッた、時にも……使ってた……そうか……。」

 「―――昔、六罪王の中に……カノッサの、連中とも、―――敵対してた、とんでもない、悪魔がいてな……。」

 「それを倒そうと、小娘は………カニバディール、と・・・…共闘、した事がある……その時、奴が、持っていた武装だ……。」

 「思い出した―――……恐らく、アレはあの時の、リリアを倒す為に―――……強力な悪魔を屠る為に、作られた、武装だろう……。」


【ぽつり、ぽつりと語られるのはおおよそ二年ほど前の話だ。】
【彼女は敵対するカノッサのメンバーとも協力して、驚異的な能力をもった悪魔・リリアと対峙していた。】
【その対リリア戦闘時に、"弾"末魔は一度既に、セリーナを撃った"銃"とやらをみていたそうだ。そして、その説明が正しければ―――。】

【六罪王を倒す為の強大な兵器を―――その身に受けた、という事になる。】
【それも、悪魔や怪物に対して絶対的な力を発揮する、アンチ・イーヴィルの力を持った武器を】
【まさに悪魔の力を身に纏っていたセリーナと、そして悪魔そのものである"弾"末魔は、モロに受けてしまったのだ。】

 「……すっかり、ゆだん、していたな……あれは、特注の武装だ……おそらく、そう多くは、撃てまい……」

 「おれさまが、見た限りでも―――……超高価な、素材や機関が、詰め込まれた銃、だった……」

 「恐らく……乱、射は……できまい。が……アレがある限り、俺様は―――ぐっ、ふっ……!! カニバディールには、勝てんな……。」

 「……ふ、ふ、ふふ……相も、変わらず……小娘の仲間は……能天気で、ぽじてぃぶ・シンキングの連中が……多くて、困る……。」

 「生きていれば―――……ふふ……確かにな。そう、かもしれんが―――っ、おい、いいか……よくきけ、小僧……。」

【話が正しければ、その武器はセリーナにとって天敵であっても、そう多用出来る物では、無いらしく。】
【だが、たったの一撃でこの威力。もし仮に、もう一発をお見舞いされていたらと考えると―――ゾッ、としない。】

/続きますっ
770 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 18:19:10.20 ID:noLtt8Ik0
>>765

「……ここから先は……忠告だ……ふたつばかり、言いたい事がある……まず、おれさまは―――……。」

 「おれさまは、俺様自身の手で、治せる……じこ、ちゆの機能が……備わっているんだ、だから、案ずるな……だが……。」

 「厄介な事に―――……俺様は、俺様を、使う上での……"代償"を抱えていてな……俺様を撃つと、撃った本人にも……、」

 「毒素が、溜まっていくんだ……負の魔力だ。それが、蓄積して、精神状態が―――荒れれば、持ち主は―――ぐっ、うう……!!」

 「―――暴走して、一時的に……"悪魔化"しちまう……。小娘は……、セリーナは……そういう爆弾スイッチを、抱えて、戦ってるんだ……」

 「だが―――……俺様が、今は一時的に、どうにかそれを―――……"抑えてる"、そういう状況だ……わかるな……?」

 「暴走しない様、負の力が……行き過ぎない様、なんとか……堪えてるんだ。だが、それ故に、……自己治癒が、出来ん。」

 「おれさまは……今のままでは、俺様自身を、治せん……。」


【明かされた事実。それは、セリーナの魔銃が、自身を治すだけの力を持っている、と言う事と】
【この魔銃には使用に関する代償がキッチリ、存在していて、使用者の精神が汚染されれば、魔力が爆発し】
【使用者が悪魔となって、暴走形態へと移行してしまう、という物だった―――そして、それをどうにか押える為に】
【魔銃自身がその制御に力を裂く事で、なんとかせき止めているが、それ故に自身の治癒には力が裂けない―――という事実。】

【だが、それはつまるところ―――セリーナの精神状態が、危険な状態にある、と言う事を意味していた。】
【"弾"末魔は使うだけでは暴走しない。持ち主の精神状態が荒れた時に、その引き金が引かれる、と言ったのだ。】
【で、あればその暴走をなんとか抑えようとしている現状は―――……彼女が、精神的に追い詰められている、という事も意味していて】


 「……やっかい、なのは……、ここからだ……。いいか、小僧……。」

 「この案件はみっせつにリンクしている……まず、おれさまは……いまのままじゃ、俺様じしんを、治せない……」

 「つまり……わるいが、おれさまは銃として……機能、できん、ということだ……ただの、て、鉄屑と・・・・・・なる……。」

 「現状を……打破す、るには……、っ……小娘が、暴走しなく、なるよう……精神状態を、落ち着かせる、必要が―――がっ……!!」

 「――――――すまない、……もう、ことばを、つむぐ、のも――――――――――――――――――――――――――。」


【沈黙。魔銃は遂に、その言葉を失った。そして、なんのタイミングか、その直後に治療室のランプが、消え。】
【満身創痍、といった様子の医師たちが現れる。どうやら―――手術自体は、上手くいったようだった。】
【中にはゆっくり息をするセリーナの姿が見える。もうしばらくすれば―――会話も可能、だそうだ。】

【どうやら、魔銃におけるダメージこそ甚大だったものの、弾丸が上手く貫通したおかげで、】
【山を乗り越えた現在は後遺症も無く過ごせるだろう、という事で―――。】
771 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 18:20:03.07 ID:noLtt8Ik0
/っと、すみません。次のレスは少し遅くなります。
772 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [sage]:2015/02/10(火) 18:25:09.28 ID:WKYZHXwJO
/あ、あと山じゃなくて峠でした(・ω<)テヘ
773 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 18:27:25.89 ID:Snir0ggXo
>>768

はいっ!よろしくお願いしますね、っと……エース、さん。
……ふふっ。これで僕たち、友達ですねっ。

【名乗り合って握手をした。まあ、友達と言えなくもないが】
【わざわざ応えてやる必要も無さそうな事。反応は彼の自由意志であり】

【本題はここからだろう。空気が変わったことを理解すると】
【優しげな顔付きは、一瞬狼の面影を思わせる真剣な物に様変わりし】
【そしてエースの視線が泳いだ末に――サモエド犬にたどり着くと】

……えっ。エースさん、さっき『犬が好きだし犬の方も俺を好きだ』……って…。
こ、コミュニケーションも取ってたじゃないですか!
僕はちょっと撫でてあげたり抱きしめたりしただけで……あ、ぅ……。

僕、その……今は旅の途中で、決まった家もないですし
犬を一匹養う余裕なんて無いですよ……?

折角白いんですし……馬、にはちょっと遠すぎるけど……
……犬の散歩から始まる恋もあるって、テレビで……!

【つまり"お前が飼え"ということなのはわざわざ言うまでもないだろう】
【『白馬の王子様』を目指していたのが『白犬の飼い主様』とは、かなりのグレードダウンだが――】
【まあ、現実的では有るかも知れなかった。――この時、こっそり虎千代は犬の方に何かを言っていて】
【それを聞いて理解したのか否か――サモエド犬は、じっとエースを見つめるのだった】
774 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 18:32:19.81 ID:mRULybT8O
>>766

(──…さすが自警団。)

【自警団──力を正義のために使役する集団。】
【一般小市民の青年も、一時期自警団に憧れていた時分がある。】
【改めてその説得力のある内容に心がうち震えるものだ。】

【──青年は、小突かれた胸に、外した帽子を当てて瞳を閉じる。】
【内容を頭の中で咀嚼する──改めて、自分の答えを探す。】
【最早男に対して、暑苦しいといったマイナスの思いはなくなっている。】

【目を開けて、男をとらえる。】

──分かりますよ…。分かる、確かに、ね。人のために使う、その強さ。
自分の力を誰かのために役立てる強さ。

きっと、相手を打ち負かすことのできる力≠フないやつも、あなた方の組織に入って、正義の一つとして人のために作用するんだろう。悪いやつらから人を守るんだろうな。

──安心してください、能力で誰かを害するつもりはないんだ。殺せるっつーのは言葉のあやで…俺にだって正義はあるよ…。
…ただ、勝ちたい。どんなやつにも。筋を通さない、我が儘と自由とを履き違えたやつを殴って聞かせたいんだ。
俺の中の溜飲を下げるために。

誰かのためとかじゃあなくて、俺のために。俺の中の正義のために。そっちのほうがすっきりするし。

それが俺の求める強さなんだ。
…、木を倒したのは、筋を通してなかったから…すみませんでした。

【自分本意、ではあるが、後ろめたさもなにもない。自分の中の求める強さ。】
【結局は、男の望む答えにはたどり着かなかったようだ──。】


お帰りなさい!
775 :ニグレド・ユーリエフ ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/10(火) 18:46:45.22 ID:ooabHKvmo
【路地裏】

【大剣を背負った一人の男が、木箱の前で立ち尽くしていた】
【一八五センチメートルの長身に、その各所を鍛え上げられた筋肉が覆う。背中の大剣は刀身が一二一センチに幅が一五センチという大きさ。鈍い銀色の美しい刀身が僅かな月光を反射して輝く】
【ジーンズにシャツ、ハーフコートを着た魔術剣士の姿だった。三十代手前の東洋人の眉間には皺が浮かんでいる。煙水晶の瞳は目の前の木箱、の上に向けられていた】

『フシャーッ!!』

【そこには毛を逆立てて威嚇する黒猫がいた。影のように黒い整った毛並みに赤い首輪。三日月の瞳には怯えの翳りが見える。剣士の巨体にすっかり怯えてしまっているのだ】
【男は喉から苦々しい唸り声をあげる。近づこうとすれば逃げられるが遠ざかるわけにもいかない。この猫を飼い主に戻すのが仕事だからだ】

 まぁ……そう怒らず……大人しく家に帰らないか?

『シャッシャッ!』

【男は怖がらせないように小さな声で説得を試みるが交渉は瞬時に決裂。戦線は更に後退。敵大将のすぐ後ろは壁】
【対猫交渉官の顔には焦りが見え始める。時間をかけることは出来るが、誰かが乱入してくると敵の逃走を許してしまう】
【乱入者が自分と同じく猫好きとも限らない。何せこの場所は危険人物の方が多いのだから。あらゆる理由で早く終わらせたいのだが】

『キシャーッ!』

【交渉官の手が国境線に触れると猫の声による威嚇射撃。効果は抜群で男は手を引っ込めるしかない】
776 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 18:49:40.98 ID:a5kNSKr9o
>>773
……おいちょっと待て、お前それ俺様に押し付けようとしてないか?
『旅は道連れ』って言うだろ?犬一匹連れてたって困る事なんてねーよ、寧ろ役に立つかもしれないぞ?

というかお前犬と意思疎通できるんだからそれこそお前の方がいいだろ

【最初に構ってたのはこの男、なのだが彼も犬を飼うのは勘弁願いたいようで、だからって里親探しよりも虎千代に押し付ける事を考えるあたりが性格を表しているというか】

友達なら一緒にどうするか考えるべきだろ?持ちつ持たれつだろ?
ほら、あいつの目を見てみろよ……あいつもお前に───って俺様じゃねーよ!あっち見ろあっち!
ほら!優しそうだろこいつ?散歩に事欠かねぇぞ〜?

【いくら押し付けようとはしていても、何を吹き込まれたのか犬は物凄い勢いでエースを見詰める、一昔前のCMかってくらいに】
【これはもう改めて決めるまでも無さそうだが…】
777 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 18:57:54.88 ID:TEBvk/C9o
>>769>>770

No.29、カニバディール……、昼の国で暴れてたやつか。
あのリリアを、倒す為の…………となると、威力は相当なもの、なんだろうな……。

だけど、使える回数が限られてるんなら―――対策できるかもしれないけど……
それでも、危険、だな。特にお前の力を使うなら。

――ところで、さっき言ってた卒業≠チて――――

【リリア――かつて風の国を騒がせた六罪王。ディハートも、その名前や、一連の騒動については知っている。】
【六罪王という立場にいた事や、自警団を通じて得た情報から、彼女の力が強力だったことはわかる】
【そんな彼女を打ち倒す為に作られた武装……セリーナと“弾”末魔が受けたダメージの大きさは、もはや言うまでもなく。】

【―――ふと、彼が口にした気になる言葉について問おうとした折】
【「よく聞け」と言われれば、言いかけた言葉も止まって。】
【そして彼から語られるのは、“弾”末魔の、魔銃としての、悪魔の武器としての性質】

なるほど、な……悪魔の作った銃を人間が使って、平気な筈もない、か……。

つまり……お前自身のダメージを治そうとすれば、セリーナは暴走しちまう、ってことだな……?
となると、今のセリーナの精神状態も良くない、と……っておい!大丈夫か――――

【途切れる魔銃の言葉。直後、姿を現した医師達。彼らの話を聞いたなら、セリーナの荷物を手にとって】
【深呼吸を一つ。彼が沈黙した今、聞く者はいないが、一人、言葉を紡いだ】

――――だったら、誰かが落ち着かせてやればいいんだな。
うまくやれるかはわかんねえけど、やってみるしか……ねえよな?

【よし、と気合を入れたなら、セリーナの方へと、ディハートは歩き出した――――】
778 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/10(火) 19:07:00.35 ID:bDtL+Jfk0
>>774

ハハハハハ!そうか、それが君の力の使い道か!ウム、考えた方は人それぞれだ。どれが正しいなんて事は無いぞ!
私は誰かの為に使う力こそが強さだと思う。だが……其れだけが正義≠ネんて事は無い!

私は、人の数だけ正義があると思う。それを、間違っていると否定する事は出来ない。
……まあ、法を犯しているなら間違っていると思うがな!

【彼の正義と自分の正義は違うようだ。……でも、違うからと言ってどちらが間違っているとは限らない】
【諭す事は出来る。道を示す事は出来る。でも、最後に力の使い方を決めるのは自分自身なのだから】
【他人である彼がそれに口を挟む権利などない。……その使い方が法を犯しているのなら、自警団として逮捕するだろうけれど】

【誰にも勝ちたい。もっともっと強くなって、どんな人が相手でも打ち勝てるようになりたい……それもまた、道も一つ】
【熱い男だからと言って、誰かの道を頭ごなしに否定する事は無い。ただ―――】

……力を持つあまり、君の方が「我が儘と自由をはき違える」ことだけは無いようにしてくれよ。
力を持てば、それだけ自分の思う通りに相手を殴って屈服させられるかもしれない。―――でもそれは、自由じゃない。
もし間違った力の使い方をしたら、私が飛んできて君を捕まえるぞ!いいね!

【力とは恐ろしいものだ。持てる力が相手より上の場合、屈服させて自分の主張を聞かせる事も出来る】
【だが、それが正しいかどうかは……考えて欲しい】

……さて。そういえば、君の名前を聞いていなかったな!私はクリフ・カートライトという者だ!
779 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 19:12:50.82 ID:nGhgEkJY0
【街中――土手のある川沿い】
【半月の光だけが照らす空間、行き交う人間たちは、そのほとんどが犬の散歩か、ジョギングで】
【夕暮れでもないなら青春を語らうカップルも居ない、それなら、】
【浅いところとは言え、川の“なか”に居るような人影は、きっと、よく、目立って――】

――ああ、クソ、まだ黄泉くせぇ、

【――ざば、と、持ち上げられた水が落ちる音。見やる手首は陶器みたいに白く、何の汚れもないように見えるが、】
【しきりに手首を嗅いでは不快げな顔をする男にしてみれば何かがこびりついているよう、また、ざぶりと水へ腕を浸し】
【小豆洗う類の妖怪だとか、脅迫観念的な人でもこんなに洗わないだろうってくらいに、いつまでも、手を洗って――】

【透き通るように白い髪は、ただ、ごく薄く僅かに青色の色素を持つ。或いは、月明かりの錯覚かもしれないけれど】
【硝子球のように艶めく瞳は血色とよく似た色味を持つ。全体的に温度のないような顔付きは、ただ、不愉快そう】
【服装といえば白を基調にした着物と、黒にごく近い紫の羽織で。足元は――と見れば素足のよう、履物は、】
【川べりの砂利の上に揃えて放置されていて。それなら、自殺者が靴をそろえる――とかいう話を思い出しそうなほど】
【この寒さの中でわざわざ川に入る意味。観察していたなら頻りに手を洗っているだけと分かるのだけど】

【――まあそもそも、身長が百九十近くあるような男が居るだけでそれなりに目立つもの、なのだが】

――――だあぁ、もう……。

【水面に映る影が長く長く伸びてゆらゆら揺れていた、それなら、――なんだか白蛇のようにも見えた、とは、余談】
780 :虎千代 ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/10(火) 19:15:04.17 ID:Snir0ggXo
>>776

え?い、いえそんな無責任なこと僕がするわけ……。
……も、持ちつ持たれつって言われても、その……

……――ぁ、もうこんな時間っ……!
すみませんエースさん、僕あまり遅い時間まで外で遊ぶなって
大祖母様に言い付けられてるので……っ!

【便利な大祖母様である――狼だけに危機回避能力が高いのだろうか】
【ササッと帽子を押さえて、敬礼するように挨拶を済ませると】

……じゃ、じゃあ僕はこれで……っ!
ええと、ええと……その、仲良くしてあげて下さいね、エースさん!

【そう言って、風のように駆け抜けて公園から姿を消した】
【どうやら走るのも狼らしく、大分早い。次に会うのが何時になるかは分からないが】
【――取り敢えず、サモエド犬は嬉しげに舌を垂らしながらエースに迫っていた】

/最後おまたせして申し訳ないっ、お疲れ様でしたー!
781 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 19:27:26.44 ID:mRULybT8O
>>778

──分かりました。そのときは真っ先にお願いします

【こればかりは、先程の木についてどーのこーのよりも、しっかり肝に命じておかなければならない。】
【お叱り受けてる時のような気持ちのこもっていない謝罪ではなく、しっかりと相手の顔を見据えた同意を。】

【お願いします。そう彼は述べた。】
【──もし実際に間違えたとき、彼は今からそれを考えるのが恐ろしい。そのとき良心の呵責に苦しむか、それとも。】
【──どっちにしろ、いっそ捕まえてくれたほうがありがたい。】
【──失敗がないとは限らない。捕まえてくれなければ、そこからまた大きく踏み外してしまうこともありえる。】
【──男の宣言は、反対に捉えればいわば担保だ。改めて問題を確認できた今、自粛しそうな気持ちになる自分を、男は担保してくれた。捕まえてくれる≠ニ。】
【──自分の中の正義を、強さを、押し通すための担保──…。】

【だが…。】

俺の名前は、鳩ヶ谷 廉です。
──クリフ・カートライトさん。もしかしたら、俺も自警団で力の使い方を一つに絞るかもしれませんよ。

【彼は自分の中で、違う道しるべ見つけたような気がした。】
【クリフという男に触発された部分があるようだ。力の使い方も、正義のなんたるかも未だ変わらないが、】
【ただ、触発された──。その道しるべを見いだした。】
782 :エース・セブン ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/10(火) 19:33:41.97 ID:a5kNSKr9o
>>780
あ、おいこらちょっと待てよ!
旅してんのに遅い時間も何もねぇだろ───って早っ!?めっちゃ早ぇ!!

【なんだか苦しい言い訳をして逃れようとする虎千代を引き止めようとするが時既に遅し、元より運動が苦手なエースは虎千代の足の速さには追い付けない】
【残された一人と犬、見つめ合うも答えは出ず、置いていこうにも付いてくるし、このまま放っておいて下手に付きまとわれるよりも正しく躾けた方がいいか】

……お前……えーっと…名前、そうだ、名前だな……

【サモエド犬の前にしゃがみ込んで、『お前』じゃ締まりが悪い、取り敢えず───】

…ホワイトベッセル……お前の名前は今日から『ホワイトベッセル』だ

【白馬を飼ったらつけようとしていた名前を、犬につける事にした】

/お疲れ様でしたー
783 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/10(火) 19:54:28.93 ID:bDtL+Jfk0
>>781

ウム、任せておけ!私がこの手で君を抑えよう!
―――しかし、もし君が私より強かったとしたら……どうする?
今度こそ、抑える者はいないぞ?……―――力とは、そういうものだ。強ければ強い程、抑える人が居なくなる。
最後に自分を抑えられるのは、自分自身だ。努々忘れないようにしてくれたまえ!

【繰り返し言うが、力とは恐ろしいものだ。強ければ強い程、どうにでもなってしまう≠フだ】
【過ちを犯すのは自分自身。過ちを止めるのも自分自身。結局のところ、全ては自分次第なのだ】
【そういう事も含めて、彼は何度も繰り返す。「力の使い方を誤らないように」、と―――】

【―――そして、最後の言葉。彼の紡いだ、「力の使い方」の一つの道の可能性を聞けば】
【嬉しそうに、例によって例の如く暑苦しく高らかに笑うのだった。―――本当に、嬉しそうに】

ハハハハハ!!そうかそうか!もし自警団に来るなら、私は君を歓迎しよう!
―――何も、力の使い方は一つじゃない。しっかりと考えてみるといい!
相談したい事があれば、私で良ければ何時でも聞くといい!夜中でも飛び起きて君と話すぞ!

いずれにせよ……君なら使い方を間違える事は無い、そんな気がするよ!

【―――最後に、スッと右手を出す。男らしく最後に握手を交そう、という事らしい】
【手を握れば、その手が恐らく訓練による物であろう豆が出来ていたり、暑苦しい彼らしく高めの体温だったり】
【そんな事が彼の手を通じて分かる筈。……そして、握手が終わればもう一度高笑いをして】

ハーッハッハッハ!それではまた会おう!さらばだ!

【―――大きな体を揺らして、軽犯罪の多い夜の道をパトロールしに戻るのだった】
【因みに、自警団の詰所に行けば彼にはすぐ会えるらしい。……再会はそう難しい事でもなさそうだ】

//少し短めですがこの辺で!お付き合い頂き有難う御座いました!
784 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 20:01:14.35 ID:id9YdKqTo
>>777

【意識を保ち、言葉を伝えるのがやっとだったのだろう。】
【溜まりに溜まってしまった、負の魔力をどうにかこうにか制御する為に】
【"弾"末魔は自信の肉体の修繕を放置し―――主の為に、全力を投球し始めた。】

【だが、本当ならばもっと伝えたい事があった。】
【それは"弾"末魔が伝えずとも、自ずと理解できる事ではある、のだが】
【予め言っておいた方が、彼も対処し易いだろう事案―――だが、それは遂に叶わなくて。】

【魔銃・"弾"末魔はこのときを持って、一旦機能を完全に停止し、銃としての資格を放棄した。】
【だが、とにかく。真っ当な人間であるディハートに、UTの大切な仲間である彼に事情が伝わったのなら】
【ひとまずはこれで大丈夫、といえるだろう。セリーナを支え続けた魔銃は、己の不甲斐無さを呪いつつ沈黙した】


 (―――悪いな、小僧……恐らく、直ぐにどうこうできる問題じゃあ、ないと思うが……。)
 (……根気良く、話してやって見てくれ……話せる精神状態に、あればの話だが……。) 
 (ああ、まったく……どうして、俺様に心を理解するだけの機能を設けなかったのだ。)
 (今までだって、そうだ。何人も。何人も……クソッ。……クソッ……。)

【セリーナは幾本ものチューブに全身を繋がれ、呼吸器までつけているという、痛々しい状況だった。】
【だが賢明な治療と、発展した医療技術がなんとか、その命を繋いだおかげで、彼女はしっかりと息をしていて】
【まだ血が残っている胸をゆっくりと、上下させながら、確かに呼吸していた。暫くは、ずっとそんな調子だったのだが。】

【―――やがて、脈拍も血圧も安定域に入り、セリーナは――――――――静かに、瞼を持ち上げた。】



 ―――ん……っ、んん……――――かふっ……――――――――此処、は……っ……。


【小さく、息を漏らしながら。それでも、確かに目を開けて、自分の今の状況と、そして目の前にいる恩人の存在を認識した。】

 ……でぃ、ハート・・・……? でぃはーと……なの……? あ、ぅ……っ、くっ……ふぅー……っ―――……。

【彼にこうして命を救われるのも、二度目か。セリーナはディハートの名を呼ぶが、今はそれが限界だった。】

/遅くなりました、ごめんなさい。
785 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 20:09:22.63 ID:mRULybT8O
>>783

【青年はクリフを信頼した。この屈強な男ならば、と。】

【改めて考えれば──このクリフだって、強さを求めているのだ。死なないための強さ。守るための強さを。】
【それは勝つことよりも何よりも困難なはず──その男ならば、と。】
【握手をした上で、その努力を再確認する。並みの男は、こうはならない=B】

そのときは、殺してくれてもいいですよ。──それもなさそうだけれど…。

【彼の望む強さ、それが勝つためのものならば。】
【自警団のそれとは相容れない使役方法ではないのだ。】
【自警団に入り、前線にたてばいい。】

まあ、よろしくお願いします。また、…。

【彼はクリフを見送った。新たな思いを秘めて。】

/お疲れさまでした!
786 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 20:51:29.86 ID:ZP+CgGRYO
>>784

【ボロボロで、いろいろな管を生やした状態で。普段の快活なイメージとはかけ離れた様子ではあったけれど。】
【生きている。確かに生きているのだ。呼吸に合わせて上下する胸がそのことをはっきりと示していて】

【それを見れば、ようやく少し、安堵して。彼女の荷物を適当な所に置いて、椅子に腰掛けた】
【――――それから、少し。静かに開かれる眼、漏れる息。どうやら、意識が戻ったようで。】

――――病院。風の国だ。
何ていったっけ…………あの綺麗な白い馬。あの子に感謝するんだぞ。
それから――――コイツにも。

【ザックリと場所の説明、そしてセリーナを発見するに至った経緯を説明。】
【それから、先ほどまで話をしていた彼女の愛銃を指差し、「感謝しとけよ」とだけ。】

―――ああ、あんまり無理すんな。まだ手術も終わったばっかりなんだから。
落ち着くまで……ゆっくり休め。ここにいるから、さ。

【自分の事を認識し、名前を呼んではいるが――まだ、万全なはずがない】
【無理はするなと、前にも言ったような事を言って、静かに笑ってみせた】


/ID変わりましたがディハート中身です!
/が、少し用事ができてしまい、戻るのが0時頃になってしまいそうです。
/ですので、凍結か置き以降などしていただければ幸いです。
/一応ですが、こちらは明日でしたら22時頃では空いておりますー
787 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/10(火) 21:33:39.08 ID:id9YdKqTo
>>786
/了解しました。それでは一旦凍結という形で、お願いできたら幸いです。
ただ、明日はその時間からですと、早々に切り上げという事になってしまうかもしれないので
そうなった場合は置きレスの方でお相手していただければ、と思います。
先に此方でお返事を返して置きますので、まずは明日宜しくお願いします。
今夜はお疲れ様でした。

788 :ネモ・アーネスト :2015/02/10(火) 21:59:21.57 ID:0r8bZk8w0
【夜、町外れ】
【人一人居ないこの場では、切れた息の音すらあたりに響き】
【誰かが其の音に誘われて来たならば、鼻先を鉄臭い芳香が掠めるだろう】

はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・

【切れた息を吐くのは紺のブレザーを着た銀髪の少女。】
【暗闇の中でもはっきりと分かるほどに少女の肌は白く、血の気が無く。少女は左胸を押さえ、閉じかけた眼を必死に見開き】
【視界の先、逃げる男を捕らえていた】

【少女が抑える左胸、ブレザーの胸ポケットには緋色の盾、SCARLETの紋章が貼り付けられており】
【少女がSCARLETに所属することを示している】
【追いかける自警団の少女、それから逃げる男】
【二人がどういう関係であるかは明白だ】

【逃げる男、追いかける少女、二人の距離は徐々に徐々に離れていく】
【手負いの少女の脚はゆっくりと動きが遅れていっているのだ。】
【―――逃げられてしまうのも時間の問題か】

【さて、この場に現れるのは正義の味方か、それとも―――】
789 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 22:08:54.06 ID:5bUDkHvoo
>>788
【突如として、男の前に一人の青年が現れる。】

【黒いハットにインバネス。そして白の革の手袋を填めた中肉中背の青年だ。】
【彼は自警団への入団手続きを今しがた終えたところであった。】
【曰く ──】

事件の臭いがしたぞ。力を、正義のために使わせてもらうぜ。

【とのことらしく、お節介にも正面におどりでたようだ。】
【青年の正体はひとまずとして、自警団の紋章がインバネスに縫い付けてあるから、】
【信頼できる味方と見て間違いない──。】

/絡んでもよろしいですか?
790 :ネモ・アーネスト :2015/02/10(火) 22:26:03.46 ID:0r8bZk8w0
>>789
【男が視界の向こう、夜の闇へと消えていく―――】
【逃がすものかと手を伸ばしても届きやしない。】
【男は余裕を見せていた。後ろを振り向き、少女を見てほくそ笑む】
【勝った。俺は逃げ切った。そうして笑った、刹那】

【ぼすっと、間抜けた音が鳴り男がしりもちをつく】
【見上げる男、その視線の先には鳩ヶ谷が】
【男が立ち上がろうとするときには背後から少女も追いついてきている】
【男は額に冷や汗を描いた】

はぁっ・・・・・・はぁっ・・・・・・
い、今なら、まだ・・・・・・罪は軽いの。おとなしく諦めるの!

【追いついた少女が男に告げ】

ありがとう・・・・・・えと、そこの、おにーさん・・・・・・

【疲れゆえにぎこちない笑顔を鳩ヶ谷に向けて】
791 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 22:37:56.37 ID:5bUDkHvoo
>>790

(ふふ、力を使わずして、だな…。)いえいえ、疲れているようなら彼を連行するの、手伝いましょうか?

【してやったり、心の中でほくそ笑む──。はじめての犯人確保。】
【笑顔を交えて、疲れた様子の少女に問いかける。】
【──答えを聞く前に男の手をつかめば、少々強引にたたせた。】

──傷が深そうですね…。貴方も肩を貸した方がいいか。





792 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(山形県) [sage]:2015/02/10(火) 22:40:51.65 ID:dl9reqiSo
【スラム街――居酒屋】

こォこは……大丈夫だな、繁盛繁盛ッ

【土地の関係上雑誌などに載ったことはない、知る人ぞ知るきたなうまい店であるここに、また一人客が入る】
【それは黒い外套を羽織っている、コワモテで奥二重でエルフ耳の、男にみえる者だった】
【身長は約2mの、筋肉質な細身で、黒い白目と血の様に真っ赤な虹彩を持ち、ボサボサとしている長い黒髪だ】
【上下共に長袖黒ジャージを身に着けていて、首に紫色の毛のマフラーを巻いており、手袋や靴下も紫色だ、靴は黒】

いィつもので良ォいぜ

【それはカウンター席に座れば、"いつもの"を頼んで――どうやら常連さんのようだ】

どォーだ、"エルズペンタレグス"の売上は……ほォう、好ォ調かそォれは良ォかった
小さい奴の丸焼きも結構売ゥれてるか、良ォいことだ

【注文の品――酒瓶が一本、得体のしれない草のおひたしが一皿。酒瓶の蓋を手で開けて(栓抜きは使わず)、ラッパ飲み】
【……どう見てもアルコール度数50%は優に越してる酒です本当にありがとうございました】

んで、"使えそうな奴"は……ふゥむ、……ほォう…………

【そんな酒をラッパ飲みしてもぶっ倒れないどころかシラフとの違いすらわからないそれは、マスターと何やら怪しい会話をしている……】

【それが座っている席の両隣2つ分はそれぞれ開いている。隣か隣の隣に座るも良いし、それ以外の選択肢も無数に存在する】
793 :ネモ・アーネスト :2015/02/10(火) 22:51:31.49 ID:0r8bZk8w0
>>791
大丈夫なの・・・・・・一人、でも

【言いかけたとたんにふらりと】
【明らかに大丈夫には見えず】

ごめんなさい、やっぱりその・・・・・・肩、借りていい?

【血の気の引いた顔を見せて、鳩ヶ谷にそうお願いをする】
【そして肩を貸してやるかして、何かしら少女に反応をしたとき】
【手をつかまれ、観念したはずの男は急に一言叫びだす】

お、俺は悪くねぇんだ!助けてくれ!
794 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 22:55:55.85 ID:5bUDkHvoo
>>793

はいはい。

【男の手をつかんだまま、少女に肩をかす。】
【インバネスに血がべとりとつくが、あまり気にしていない様子だ。】
【とはいえ、一人で二人を支えるのはつらい。】
【さらにいえば、そのうちの一人は今にも逃げ出しそうな男である──】

まあまあ、それならそれでいいじゃあないか。
無理に逃げようとするとさらに面倒なことになるぞ? まずはこの子のところでちゃんと話した方がいいよ。

【と、諭すように男にいいながら、少女に 「道案内お願いします」と。】


795 :ネモ・アーネスト :2015/02/10(火) 23:19:53.26 ID:0r8bZk8w0
>>794
畜生・・・・・・

【男は其の一言だけ呟いて黙りこくる】
【振り切ることも言い訳をすることも無駄だと諦めたのだろうか】

うん、分かったの・・・・・・
SCARLETの支部がこっちにあるから・・・・・・

【そうして少女もふらふらとした足取りで歩いていく】
【少女の向かう先は自警団と協力関係にあるSCARLET。鳩ヶ谷も名前は聞いたことが在るはずだ】
【そこへ男を受け渡せば、少女はここで応急処置を受ける・・・・・・はずなのだが】
【其の前に少女は一つ、鳩ヶ谷に質問をする】

ねぇ、お兄さんはなんで助けてくれたの?・・・・・・
796 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/10(火) 23:23:31.35 ID:5bUDkHvoo
>>795

【男の手を引いて、少女の示す先へ進んでいく──】

【彼は自警団であり、スカーレットの名前も当然知っている。】
【ただ、先述のように自警団になったばかりであるから、内情は然程詳しくない。】
【今回も、ただ事件の臭いがして、自分も手を貸すべきだと感じたからしゃしゃり出たに過ぎない。】

──俺は、自警団だからだッ!
やはり自治には手を貸さないといけないのさ。

【青年はインバネスの紋章を少女に見えるように掲げる。】
797 :ネモ・アーネスト :2015/02/10(火) 23:42:07.56 ID:0r8bZk8w0
>>796
自警団・・・・・・そうなんだ。
じゃあ、その、なんで自警団に入ったの?・・・・・・

【問い、見上げる少女の瞳は真っ直ぐに】
【流れる血に少し意識を奪われながらも、真剣に鳩ヶ谷を見据えていた】
【少女は見た感じ非常に幼く、実の年齢も15かそこらだ】
【それでも少女は幾多の困難を、戦場を超えて】
【自分なりの正義を探してきた】
【自分を助けたこの男は、なぜ、どんな正義に基づいて自分を助けたのか】

何を守りたいって、思ったの?・・・・・・

【いつ会えるか分からなくなる前に、それだけ聞いておきたいと思った】
798 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/10(火) 23:48:59.79 ID:SmtMc7nd0

【――――路地裏。様々な悪党が巣くう場所として有名で有り、好き好んで通る者も居まい】
【そんな場所にて聞こえるのは数人分の呻き声か。見遣れば全員場所は異なれど掌で押さえ、倒れ伏す男達が数人】
【唯一立っているのは何処かの企業の正装を纏った女。――――と、純白のローブを纏った一人の少女か】


「礼は必要在りません。イリニはイリニの務めを果たしただけです
――――其れでは気を付けて帰ると良いとイリニは告げます。次にまた同じ様な事が起きても救う事が出来るとは限らないのですから」

【大凡、女が暴漢に襲われそうになった所を白の少女が救ったのだろう】
【その少女、年齢はまだ十代の前半にも思えるけれど其れ相応の実力を持ち合わせているのか】
【頻りに頭を下げる女に対し、感情の含まれない双眸を向けたならばこれまた抑揚の無い声質で告げて】

【女がその場から去って行く姿を確かめた後に倒れ伏す男達を一瞥】


「コレが我々教会の勤めです。害を為す者を排除し、死から救う事。イリニはそう教わりました
――――貴方達は処刑を行う程ではありません。その痛みにて罪の重さを認識すると良い、イリニはそう考えます」

【治療をするでも無く、ただ呟いたならば少女もまたその場を後にするのだろう】
【戦闘の際には其れなりに大きな音が響いていたし、何より罵声等もあったのだから場所を特定するのは容易】
【戦闘自体を見る事は叶わないだろうが、倒れ伏す男達と何食わぬ表情でその場から離れようとする少女しか居ないのだから双方の関係は誰にでも理解出来よう】

【この場所、悪人は勿論の事自警団だとかの善人も訪れる。不本意ながらの迷い人も居るか】
【何で有れ、少女の白髪はこの闇の中よく目立ち――――もし誰かが訪れれば、ピタリと脚を止めて「何かご用ですか」の言葉と共に視線が向けられるのだけれど】






【雪の積もった森の中。普段ならば静寂に包まれている此処も、今宵は何者かが雪を踏んで進む音が聞こえて】
【――――音の主は着物を纏い、一振りの刀を提げた少女】
【然れど、何処か妙な気配も漂わせて居り――――……櫻に通じる者であれば、其れの正体が所謂“妖気”である事も知れるか】


「……ふむ。妖が騒ぐわけでも無く珍しく静かな夜じゃな
この様な日々が続けば良いのじゃが――――そう、上手く行かぬのが世の常かの

……さて。流石に一晩歩き通しとなる前に適当な場所で休みを設けたい所じゃが」

【その身形でありながらも冷気に身を縮める訳でも無いのだから、やはり人間とは異なり】
【直ぐ側に在る大木を撫でれば――――一閃。即ち、抜刀】
【数秒の間を挟んだ後、森に響き渡るのは轟音】

【何事か、と様子を見に訪れたならば丁度少女が切株に腰を落ち着かせる所となるか】
【敵意は無い、けれど。漂う件の気配やら、立った今拵えた様に思える倒木やら。不審な点は幾つも存在していて】
799 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/11(水) 00:02:16.23 ID:jmaWITNeo
>>797

──(正義に殉ずる人間は、そういうことをよく考えるんだな…。)

【少女ほどの覚悟は、青年にはない。】
【最近やっと能力者になり戦う力を得て、】
【勝つために三度の敗戦を重ね、】
【とある男にただ触発されて、自警団に名を連ねることにしただけだから…、】

──俺の中の正義を貫くためにね。
守りたいものはないけど、誰もが見てみぬふりをするような悪を殴って聞かせられたら、気持ちいいでしょう?

【男はもはや完全に空気。少女との会話が繰り広げられる。】
800 :サフィア・エレファリス ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/11(水) 00:34:10.31 ID:zTYPi2c/O

>>798

────待てッ!! 

【少女が去ろうとした瞬間、路地裏に響く一つの声】
【その声は少し高めの、大凡少女と同年代の少女の声】
【見れば其処にはまた別の少女の姿】

【ハニーブロンドのセミロングに赤紫色のパーカー。年は大体15歳程か】


……大の大人が寄ってたかってうら若き乙女に悪行三昧!! 
覚悟しろ悪党共! このサフィア・エレファリスが貴様等を成敗…………

──せー、ばい? 

【何やら凛々しげな声を張り上げてビシィッと“悪党共”とやらを指差そうとした彼女】
【その手が途中で止まり、ワインレッドの双眸がころん、と丸くなる】
【それもそうだ、罵声を聞きつけて颯爽と(当社比)駆けつけたのにとうの悪党は倒れていて、自分と同年代らしき白い少女が立っていて】
【だが、彼女もそこまで馬鹿ではない。すぐに状況を理解して】

…………うわぁぁ!? 
【すぐさま赤くなる顔。その理由は明確】
【自分が思う「かっこいいヒーロー」っぽい台詞と共に颯爽と現場に駆けつけてカッコ良く悪党をなぎ倒すつもりが】
【何かもう終わっちゃった所に珍入して迷台詞吐いてポカンとしてるだけって、なにそれ恥ずかしい】
【しかもさっきの台詞絶対(キリッ って入った、凄い馬鹿みたい】

【……とまあそのような事を考えて脳内大慌て】

【そんな中でひどく冷静に「何かご用ですか」なんて言われたものだから】


……イエ、ナンデモナイデス……
っていうかすぐ去りますごめんなさい
【若干涙目になりつつ答え、踵を返そうとする赤紫色パーカーの少女だった】



/まだ大丈夫だったでしょうか? 
801 :ネモ・アーネスト :2015/02/11(水) 00:36:39.24 ID:/tKIigQD0
>>799
・・・・・・そう、なの。

【しゅんとした少女の表情の真意は】
【残念、そんなものか。言葉にしなくともそんな事】

殴るだけ、気持ちいいだけじゃ・・・・・・私は、良いって思わないな・・・・・・

【不満そうな眼を鳩ヶ谷に送り】
【くるりと背中を向けて少女はふらふらの足取りで歩き出す】

//すいません回線の関係で遅れました・・・・・・
802 :鳩ヶ谷 廉 ◆eKWCneGadk [saga]:2015/02/11(水) 00:48:00.93 ID:jmaWITNeo
>>801

…。

【不満そうな目付き。誤った答えをしてしまったのだろうか…。】
【男の手を引き少女主導で歩いていく。そろそろスカーレットの支部が見えてきそうだ。】
【「ならば、どういうのが良いのか──」その答えを聞くには、】
【時間が、短すぎる…。】

【男をスカーレットの人間に引き渡す。】

──今度あったときは、貴方の守りたいもの を教えてくださいよ。
俺の名前は鳩ヶ谷 廉。また会いましょう!

【そういって彼は踵を返した。べたりと少女の血にインバネスを汚したまま。】

/おきになさらず!
/ですがすいません、そろそろ寝なければ…区切りがいいのでこのへんで、お疲れさまでした!
803 :ネモ・アーネスト :2015/02/11(水) 00:50:24.36 ID:/tKIigQD0
>>802
//お疲れ様でしたー!!
804 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/11(水) 00:54:00.79 ID:zfw9dJPO0
>>800
【送る視線は何とも冷たいモノ。実際には白の少女は感情の起伏が極端に薄いからこそそんな風に受け取れてしまうのだが】
【――――知らぬ者がその視線を受けたならば。そして、己の行動を恥じているならば其れこそ“冷めた視線”と勘違いするだろうか】
【これまた丁寧に全ての台詞を聞き終えるまで律儀にその場に立っているのだから一層羞恥を煽る可能性も有り】


「人助けをしようとするその心には感心しますが、同時に状況を確かめてからで無いと問題を増やすだけだとイリニは考えます
もしかすれば一見善と悪が逆に見える状況、そんな時に先走れば貴女は称賛では無く非難を浴びるとイリニは思います」

【からかう訳でも無く、ただ淡々と告げられた言葉】
【少しでも口角を上げたならば冗談で言っているとも取れるのに、相変わらずの無表情であって】
【何でも無い、との言葉には「そうですか」とだけ答えてその場を離れようとするのだろう】
【……ただ、一度立ち止まったならば】


「そして同時に自警団の者でも無い方がこの時間に歩くのは危険な事だとイリニは判断します
――――幸いにして表通りも直ぐ近く。其処に行く事を勧めますが
それでは、イリニはまだ任務の途中ですので」

【振り向く事も無く告げるのは「危ないからこのまま帰れ」との旨】
【だが、白の少女もそして新たにこの場に現れた少女もそう歳が離れている様にも見えないのだけれど】

【何であれ、その言葉だけ残せばやがては奥へと歩き始めるのだろう】
【その背を見送るとしたなら――――その場に置かれた“布製の手提げ”に気付くか】
【恐らくは少女の忘れ物。人助けをするならば、最初の目的とは異なるけれどその任務を果たすことが出来る筈だ】
【尤も……悪を格好良く打ち砕くのでは無く、忘れ物を届けるだけなのだが】

/居りますよー!ただ、申し訳無いのですがあまり長く出来ない可能性も……!
805 :ユーリ・ハセ ◆SnY/08zmQ. [saga]:2015/02/11(水) 01:20:30.35 ID:QgugKmsp0
「大都市群の巨大ビルの一角に居を構え、外国口座に隠し預金」

【ここは裏路地、ある地下カジノの出口の一つ――のほど近く】
【うらぶれた雰囲気はしかし、スリルと背徳を楽しむ《路地裏の貴族》達の出入りが多いためか、他の通りと比してそれとは気づかない程度に整然さが漂っていた。】
【そして、今そこには延髄を背後から一突きされて何も言わなくなってしまったSPだったであろう黒服と、白い上下のスーツに紫のシャツ、オレンジのネクタイが洒脱な《貴族》が、荒い息を吐きながら無様に尻餅をついていた】

【そして、そこに響く声は陰鬱として、深夜の路地裏に溶けていく】
【その主人は黒いざんばら髪、長い後ろ髪を一束にして腰あたりまで垂らし】

【その金色の瞳は、冷たいばかりの光を放っていた】

「なおその口座に流れる多くの金が賄賂、ずいぶん幸せそうですね―――」
「ハリー・ウッド&ビルド社専務、アーティ=ソールズベリ殿」

【きりきりきり……銀色のリングと、それにつながる細いが剛い鋼線が青年の上腕を覆うように付けられた手甲の元へゆっくりと巻き取られる。】
【そのリングは本体から供給される魔力を自由な形で硬質化させる機能を持ったもの。黒服を刺したのはクナイの刃先のように硬化させたもののようだ】

『やめてくれ……どこだ?どこに雇われた?』
「いいえ、どこにも。ただ私が、私のために。」
『どこの人間だ?なんの恨みがあって私を殺そうとする!?』
「私は私の幸福を乞い願う。故に、あなたの命を頂いていく」

【暗闇に血がしぶいた。幸福な人間を殺す装置でしかないそれは、ただ一つの機能を正常に行使した。】
【日々のライフワーク……しかし、その活動は方向性を持って、路地裏の中で地位をあげることに終始し始めていた。】

(先のセードムシティ襲撃を成功させてもRAGNAROK LABORATORYから5,000,000の送金があっただけで、機関としての意思がない)
(――温い。世界に混沌をもたらすだとて、言っているだけではただの妄言)
(六罪王にも俺たちを率いる気概はなく、ただ時たま思い出したように暴れるだけ)

「悪とも呼べぬ、悪とは遠い」

【悪とは、確たる意思を持ってこそ。世界を混沌に堕とす組織を標榜するのならば】
【この男が自らの欲望を第一にして手足を動かしているように、組織という肉体も方向性を示すだけの精神がなくてはならない】
【木偶の巨人。それが、今No.8が抱くカノッサへの印象だった。】

「―――欲(アイ)が、足りないな」

【三人の屍体と一匹の生者。暗翳の中でその構図は異常のようであり、この上なく似つかわしくも見える】
806 :サフィア・エレファリス ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/11(水) 01:26:23.66 ID:zTYPi2c/O

>>804

【向けられる冷たい──実際には違うのだろうが少なくとも彼女にはそう見えた、視線】
【パーカーの少女は涙目のまま、うぅ……と小さな声をあげると俯いてしまう】

う……わ、分かってますよそれくらい……
【何故か敬語になりながら答えたその後、仕方ないじゃん……無鉄砲だもん……と呟くその目は明らかに潤んでいて】
【恥ずかしい思いをしたうえに同年代の子に冷たく指摘されてしまえばまあそうなるのも仕方がない事なのだが】

【そして、「危ないから早く帰れ」というような事を言われれば、「え、自警団なら子供でも夜に出歩いて良いの……? 」と揚げ足を取っているのかいないのか分からない事をこっそりと呟きつつ本当にその場を後にしようとする】
【もう恥ずかしいやら泣きたいやらでどうしようもないからとりあえずこの場を後にしようと考えたらしい】

【が、その視界にちらりと手提げが入り】

あ……あの! 
【忘れ物だよ、と告げる為に少女の背に声をかけようとする】
【それで聞こえないのならパーカー少女はその手提げを持って白い少女を追いかけるだろう】


/了解です
807 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/11(水) 01:45:09.16 ID:zfw9dJPO0
>>806
【追いかける足音に気付いたのだろう。立ち止まれば背後へと視線を送り】
【――――溜息はきっと少女の耳へも通っただろうか。追いつくまでその場で立ち止まって】


「危ないから帰る様に、とイリニは言った筈です。況してや最近はカノッサの動きも気になるのですから下手に出歩いていれば仕事を増やすだけだとイリニは判断します」

【恐らくは手提げの存在に気付いていないのだろう】
【冷淡、だからこそその言葉は刺々しく聞こえる可能性だってあり】
【それで話は終わりだと言わんばかり。そう語る白の少女こそ付き人も居らず、腕力だって弱そうなのだけれど】


「分かったならば早く立ち去るべきだとイリニは考えます
路地裏とは数多くの悪が蔓延る場。想像を絶する程に悲惨な死を迎える事も珍しくは無いのですから
――――それとも、不安ならばイリニが安全な場所まで護衛しますが」

【護衛を申し出る事が出来る程度には腕に自信があるのか】
【その言葉は少女からすれば癪に障るかもしれないけれど――――】

【何であれ、少女が己を追ってきた理由を未だ掴めて居ない様で】
【小首を傾げたのは、果たして護衛を必要とするか否を問うかの様】
808 :サフィア・エレファリス ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/11(水) 02:07:59.09 ID:zTYPi2c/O

>>807

【手提げを手に駆ける少女。溜め息が聞こえれば一瞬だけ顔を強ばらせるも何とか白い少女に追いつき】

それは分かってるんですけど……ほら、これ
中身は見てませんけどお金とか入ってたら大変だよなって……
【そう言って差し出すのは少女の手提げ】

……まあ、名前とか書いてあってちゃんと届けられるのかもしれないけど……
でも、路地裏だから悪い人に盗られるかもしれないし……
【段々と小さくなっていく少女の声。顔も次第に俯き気味になっていき】

…………ごめんなさい、余計なお世話でしたね
護衛でしたら大丈夫です、悪人に対抗する術なら一応ありますし……
【完全に俯くと、つい、と少女に手提げを押し付けて走り去ろうとする】
【どうやら完全に心が折れてしまったようだ】


809 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/11(水) 02:17:26.23 ID:zfw9dJPO0
>>808
/申し訳無いです、そろそろ時間が危ういので置きレス移行は大丈夫でしょうか……?
/〆の場合、お返事は後ほどさせて頂きたく……!
810 :サフィア・エレファリス ◆rrHt9B4adXq4 [sage saga]:2015/02/11(水) 02:23:02.85 ID:zTYPi2c/O
/把握です
/置きレスでも〆でも大丈夫ですよー
811 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 20:33:02.33 ID:xDin91DRo
【昼の国・ヴォルギーグの地下墳墓、入り口】

【ここは先日、亡霊と化したかつての大司教を封じ込める作戦が行われた場所である】
【現在も封じ込めの作戦自体は続いており、いずれ機を見て征討するということなのだが】
【それまでは、宗教都市ゼン=カイマの騎士が交代で見張りをする事となっていたのだった】


まあ最も、さぁ……そのゼン=カイマにしたって、大司教サマが居なきゃ
ただのお祈り集団だろ?立派な鎧着てたって、"ヒト"が"雷"に勝てるワケ無いんだから。

……さあって、と。どうやってぶっ壊してやろうかな……?
墳墓なんて壊したこと無いし、取り敢えずデカいのを一杯、か……
それとも地下に広がってるなら、縦にブチ抜いちゃえば崩れるかな?


【――重装甲の騎士たちを足蹴にしながら、一人の若者が件の墳墓の前に立っていた】
【線は細く、背もさほど高くはない。全身を拘束具めいた着衣で覆っており】
【特に腕や脚は何重ものレザーベルトで縛り付けられていて、独特の風貌と言え】

【何より特徴的なのは、その両手から迸る強烈な電撃であった】
【バチバチとスパークしつつあるソレは、今にも眼前の墳墓を吹き飛ばさんと言うかのようで】
【つい先程も、騎士を倒す為にか――森にはこの雷撃の音と光が響きわたっていた】
812 :セリーナ・ザ・"キッド" ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/11(水) 21:24:14.62 ID:vSlE5AnYo
>>786

【周囲にある医療機器に囲まれて、どうにかこうにか命を繋いでいるこの状況を】
【大切な仲間に見られるというのはあまり、嬉しい物では無かった。少なくとも、少し前までは。】
【自分は仮にも正義を名乗っている組織の長であるし、毅然とした態度を保っていなくては、いけないからだ。】

【だがなぜだろう―――"恥ずかしい"、という、そんな感情すら、セリーナには沸いて来なかった。】
【誇るべきプライドや、頼るべき信念や、譲れない何かがあったのならば、きっとこうはならなかった筈、なのに】
【もう恥ずかしいだとか、こんな姿は皆に見せられ無いだとか―――そういう"何か"が、まったく浮かんではこないのだ。】


 ……びょう、いん………………そ、っか……あたし……負けて……。

 でも……ごめ、んね……でぃはーと、たすけて、くれたの……? おぼえて、なくて……。

 ……う、ま……? アニーか……、それに……"相棒"が……? ……そっか……ごめん、なさい……。


【―――ただ傷ついている、というよりもなんだか、無気力というか―――】
【感情の波を、感じ取れないような、虚ろな言葉ばかりが彼女の口をついて出てくるだろう。】
【普段なら、「負けちゃった、えへへ。」―――と、笑い飛ばすくらいのユーモアは、彼女に備わっている。】


 ……むりは……ううん、けほっ……、っ、はぁーっ……むりは、してない……

 むりはね―――――――……もう、できない、から……あたし、には……。

 ……ありが、とう―――でぃはーと……。でも、いいよ……あなたは、……UTに、もどっ……。


【UTに戻れ。こんな所にはいなくていい、やっと彼女らしい言葉が出てきた。】
【だがそれも、私のことなど気にせず自分のすべき事をしろ、という叱咤の意味が込められたそれとは少し、違う。】




 あた、し……でぃはーと、には……もう、……あえ、ない、から……。




【―――そんな、冷たい一言が響く。電子機器の小さな制御音以外に音は無く、治療室の中は静まり返っていた。】
813 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 21:28:57.94 ID:BWjIwXJKo
>>811

 ──施設破壊の前に準備運動はどうだ?

【墳墓の周囲で男の低い声が響いた。次の瞬間、騎士と若者がいる場所に向かって熱風が叩きつける】
【続いて迫り来るのが赤白い光。超高温の業火が横倒しの円柱となって地面の草木を灰にしながら直進】
【墳墓の前に立つ若者を狙った魔術攻撃だ】

 たまには遠方にまで足を運ぶものだな。おもしろそうな奴がいるじゃないか

【火炎の先に立っていたのは男だった。東洋人特有の平坦な顔に短い黒髪。全体的な風貌は若くもなく老いてもいない、三十代前後のもの】
【長身を赤黒い色の長外套で包んでいた。火炎によって膨張した空気が作り出す風に長い裾が靡いている】
【生じた熱波のせいで男の周囲にあった岩や草が吹き飛び円形に切り取られた広場と化していた】
814 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/11(水) 21:34:52.71 ID:Z2qC3yoN0
【街中】


地図を手に入れたはいいものの……まだまだ、やることは山積みだな
UTの「ベイゼ」に会いに行く、No.7やベティ、ジェイクのことを解決する……


【酔客や浮かれ顔の連中の一団に紛れ、1人の少女が歩いていた】
【夜色の長髪に、夜色の瞳。齢18程の見た目を彼女はしていた】
【布で包まれた刀剣を背負うことから、ただの観光客でも学生でもないのだろう】
【左手と右肩あたりに包帯をしているあたり、怪我をしているようだった】


いてて……「裏テク探し」と……っう、腕のいい医者探しも大事だな
こう──傷とか怪我を1日でぱぱっと治せるやついないんだろーか
たた……ふふん、我鬼とベッドの上ではしゃぎ過ぎたか?
私も鍛え方が足りないな……まったく!


【なにやらぶつぶつと独り言を呟きながら、少女は街中を往く】
【時折包帯を巻いている箇所を気にしているあたり、ファッション包帯というわけでもないらしい】

【ぶつぶつ。ぶつぶつ。少女は歩く】
【人が多い往来でのワンシーン。誰かにぶつかられても仕方ない事態であるのは間違いなく】
【また、少女は好奇心旺盛な性格。路地裏あたりで騒ぎが起これば、真っ先にそちらにすっ飛んでいくはずだ】
815 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 21:37:44.08 ID:xDin91DRo
>>813

【奇襲と言って差支えのない一撃に呼応して、鋭い雷鳴が響いた】
【業火に対して、若者が雷撃を叩きつけたのだ】
【猛烈なパワーとパワーは、やがて相殺しあう。――周囲は焦土と化していて】

おいおい、急に火を投げつけたら危ないだろ〜?
下手したら"一回死んじまう"ところだったじゃないか……。

……騎士じゃないなぁ、かと言って正義の使者っぽくも無い
誰だよ、アンタ?能力者なら、ほぼ無条件に殺すし…――?
UTや自警団の人間ならもっと残酷にしないといけないからさぁ……

【クスっ、と笑いながら男のほうをじろりと見た】
【言葉が軽い。しかし、その内容はずいぶんと物騒なものであり】

【――おもむろに男を指さすと、その指先から稲妻が放たれる】
【狙うは男の脚。喰らえば、重度の火傷と痛烈な麻痺を受けることとなるだろう】
【加えて早い。先ほどの行動と言い、雷撃を操る人物らしいが――。】
816 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/11(水) 21:45:27.20 ID:way9657B0
【雷の国 幹線道路】

……こんな所でエンストとは、あんたらは何ともツイてなかったなぁ……
――――あぁ、もうこの! 大人しくしてろっての!

【くたびれた薄いスーツを右肩にひっかけ、Yシャツにスラックスとテンガロンハットにその身を包んでいる】
【やや無精髭の目立つ顎に、やや長めでだらしなく乱れ気味の金髪とは裏腹に、活力に満ちた瞳を光らせている】
【腰に、鞘に収まったごつい2本のナイフ、何本ものハードダーツ、そして一丁のリボルバーハンドガンをぶら下げている、身長170cm前後の男性が】
【1台の車と、そのそばに倒れる男女を見据えながら、手元に小さな女の子を後ろから羽交い絞めにして抱き抱え上げている】
【倒れている男女は、それぞれに肩と太ももにダーツを突き刺されて、麻痺したように痙攣を繰り返していて】
【抱え上げられた子供は、意味を成さない言葉を喚きながら、何とか逃れようともがいている】

【――――その男性のテンガロンハットには、逆五芒星を象り、その下に≪No.21≫とあしらわれたバッジがつけられていた】

ったく、しばらく眠ってろ……!

【男性は、子供の首を『チョーク・スリーパー』の要領で締め上げ、子供もやがて10秒ほどでぐったりと動かなくなってしまう】
【――――程なくして、その場に1台のバンが静かにやってきた】

……おぅ、ご苦労さん。今回は3人、急いで≪No.84≫の旦那に届けてやりなよ
今の段階じゃ、材料は『多すぎて困る』って事は無いだろうからな……

【バンからは、白い服――――と言うよりも、ほとんど感染防護服の様なもので全身を固めた数人の人物が降りてくる】
【統率された動きで、恐らくは親子と思われる3人を収容に掛かる。その様を、テンガロンハットの男性、機関の≪No.21≫は、一仕事終えた満足感を伴いながら見守っていた】
817 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 21:57:45.63 ID:BWjIwXJKo
>>815

【雷撃に打ち消され霧散していく炎の先に見える男の顔に、小さな驚きが浮かべられる】
【その表情は即座に肉食獣のような獰猛な笑みに取って代わられた】

 安心しろ、そのどれでもない。ただこの墳墓に一度立ち入ったことのある魔術師だというだけだ

【若者の指の動きに合わせて男の手が翻る。魔力の燐光が僅かな時間だけ男の前方で輝き、弾ける。その瞬間、巨大な火柱が噴出】
【空間を走る稲妻が火柱によって押し流される。盾の役目を終えた炎はすぐに消えた】

 ……能力か魔術か知らんが、早いし、妙なコスプレをしているな。強そうだ
 死ぬ前に名乗る気はないか?

【男が右手を前に突き出す。手の前で魔力の赤い光が輝く。集った魔力が直径二メートル程の火球を形成】
【触れれば爆発する火球が若者に向けて放たれる】
818 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 22:10:36.01 ID:xDin91DRo
>>817

……へえ、アンタこの中に入ったのかぁ…。
その魔術の技能を見ると、あながち嘘ってわけでも無さそうだ
なあおい、もしかしてナメクジ女と会ったヤツ…?

【炎、炎、さらなる炎。巨大な火球が会話を途切れさせ】
【舌打ちしながらも雷撃を準備すると――"射出"する】

【今度の一撃は真っ直ぐで、感電の力は弱いものの】
【火球を撃ちぬいて、そのまま奥にいる男を狙った攻撃だった】
【浮かずに居れば胴体に穴が空くだろう。――火球は、遅れて爆発し】

……っと…!さっきから暑苦しい術ばっか使いやがって……!
弱くないってことは認めてやるよ……面倒だな、クソっ…!
僕の名前はブリッツだ、けど……アンタの名前も教えてくれよ
丁度そこに墓場が有るんだ、墓標に刻んであげるからさ……ッ!

【火球の煙が晴れると、服から露出した肌に所々火傷を負った姿を見せ】
【唾を吐き捨てながらジロ、と男を睨んだ。火力で言えば、ほぼ互角か】
819 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 22:19:42.72 ID:BWjIwXJKo
>>818

【火球を打ち出した直後、男の眉が歪む。咄嗟に身体を右に動かすも遅れた左腕を紫電が掠める】
【僅かに触れただけで電撃の刃が男の腕を半ばまで焼き切った。赤黒い血が宙に飛び散り袖を同色で染め上げる】
【男の表情には痛みによる苦悶が差す。しかし一瞬だけだった】

 順番に答えてやる。あの気味の悪い女なら確かに会ったぞ、ダンスパーティだか何だかの招待も受けた
 それから、俺の名はアインだ。お前の墓に殺した者の名として彫っておいてやろう
 墓に入れる死体が残れば、の話だがな!

【男の右手が真上へと挙がる。上空に先ほどと同じ火球が瞬時に出現。数は三つ】
【それぞれが正面、右上空、左上空からブリッツへと高速で飛来する】
820 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 22:29:58.90 ID:xDin91DRo
>>819

【巨大な火球が3つ出現するのを見ると、ニィと笑いながら】
【その両手にスパークするほどの電流を溜めて、足下の大地に叩きつける】
【発生するのは半径10m程もある雷の球――それが、火球を飲み込むように誘爆を促し】
【周囲一体に稲妻と火焔とが飛び散って、森の木々に焼け移り】

……ってことは、ロースお客さんだ…。
こんな面倒なやつを招くなんて、相変わらず……フンっ。

―――あのさあ、アイン。アンタに一つ提案があるんだけど
取り敢えずこの辺をぶち壊しまくるのは止めってことで、どう?
続けたっていいけど、僕もアンタも得しやしない……だろ?

【爆発のダメージはブリッツにもあった。頭部から流れる血が、顔の左側を覆い】
【そのせいで視界が半ば消えていた。が、にやりとした笑みは消えておらず】
【提案が罠ではないと示すかのように、電撃の無い両手を広げて見せて――。】
821 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 22:41:13.17 ID:BWjIwXJKo
>>820

【ブリッツの両手に集う雷電に男が舌打ちをする。後方へと大きく跳躍、風の魔術も併用して一度で数十メートル後退して雷球から離れる】
【魔術師は木の頂上に着地。爆風による衝撃が遠くの木々さえも揺らし熱波が男の肌に叩きつけられる】
【眼前に広がるのはたった数十秒のやり取りだけで火の海と化した森と墳墓だった。それを見た男の瞳が細められる】

 ……ここ最近は半端な人間としかやり合ってこなかったが、これは中々どうして強いじゃないか

【男が強敵の出現に満足げに微笑む。手元で魔術が発動。歪んだ大気が口の前に掲げられる】

 俺としてはそれなりの強さのお前とやり合うのは得になるんだがな!!
 それともお前は俺とお喋りでもしたいっていうのか!!

【手元の魔術は拡声器の代わりを務めていた。拡大化した男の音声が戦場に大きく響く】
822 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 22:53:42.12 ID:xDin91DRo
>>821

そりゃあ、電撃を司るボクが弱くちゃ困るでしょ。
どっかの神話でもカミサマが使うのは雷……強いのは当然、ってね

……あぁそうさ、お喋りしよう。って言っても内容は簡単だ
アンタも一緒にこの墳墓をぶっ壊そうじゃないか
そしたら、世界はもっと面白くなる!……強い奴と戦いたいんだろ、アンタは?

【パチパチ、と木々が燃える。緑あふれる墳墓――で、あった場所は】
【既に真っ赤な炎に包まれつつあって、しかし彼の声は雷鳴のようによく通った】

……それに、一回潜ったならソコに誰が居るのかは聞いてるはずだ
開放しようよ。なあに、その人を出したらもう一度相手してやるからさ……。

【要件は至極簡単。墳墓を一緒に壊して世界に混沌を広めよう】
【そうすれば強い奴が混乱に引き寄せられる。――仲間になれ、というものではなく】
【その上、事が終われば再戦も辞さないと言う。無論、取引は――世界にとっては、最悪のチョイスだろうが。】
823 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 23:01:05.16 ID:BWjIwXJKo
>>822

【男はブリッツの提案に微かに首を傾げた。そして考えた】
【相手の提案はこの魔術師にとっては──はっきり言ってどうでもいい。一度入っただけで、しかも最深部には到達していない】

(……中に居るの、誰だっけ。先代の教皇だか何だかだっけ)

【標的と伝えられたものさえ、今となっては記憶がぼんやりとしていた】
【しかし男は即答しなかった。事態を把握しないまま誰かの手駒にされることが、最も忌み嫌うことだったからだ】

 ……いいだろう。ただしその前に聞かせろ
 墓の中身をブチまけて、お前やお前たちは一体何をするつもりだ?
 ただ純粋にこの世界をかき回すだけには思えん

【男の声は真剣味を帯びていた】
824 :リーベ ◆my2He3rcPs :2015/02/11(水) 23:05:38.32 ID:Z2qC3yoN0
>>814
/取り消しまっす
825 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/11(水) 23:05:50.20 ID:bgAucczDO
>>816

【──ず、ずん。地が揺れるかのような、腹にくる振動がした】
【地震か。それにしては、あまりに短すぎる。では、一体……】


   ふふん……またお前たちか、カノッサ機関────!!


   【 ず ──── ががががががががが !! 】


【笑いを含んだ少女の声と共に、突如発生したのは「衝撃波」……!】
【道路の塗装は剥がされ、土塊とコンクリ片が軽々と周囲に舞い上がる】
【発生した衝撃波。それは彼らの所有物らしきバンに襲いかかろうとしていた】
【襲撃物は「衝撃」だけではない。途中で生み出された土塊に鉄片、コンクリ片なども……!】

【「襲撃者」の目的は明確。バンの機能停止と親子の救出だ】
【特に初撃は前者に重きを置くもの。様々な破片をバンに叩き込み──】
【タイヤのパンクや重要機材の破壊を目論んでいるのだ!】

【明らかに気が緩んでいる時に、中距離からの予告なき襲撃】
【襲撃者は一切の躊躇も手加減もする気はないらしい】


【彼らは分かるだろうか。No.21の正面から、1人の少女が歩いてきているのが】
【夜色の長髪に夜色の瞳──布に包まれた刀剣らしきものを背負った、少女】
【間違いなく、襲撃者はこの、夜色の彼女だ】

/まだいますか?
826 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 23:08:16.52 ID:xDin91DRo
>>823

……さあね?生憎、ボクは"仲間"じゃなくて"手駒"なんだ
だから具体的な作戦や展望を教えろって言われても、知らないねぇ。

でもまあ……まず、六罪王に手を貸すのは確かだ
ダグラスってやつさ。どっかの街に月を落としたとかいう、若いやつ。
そいつと、それからもう一人他に居て……そいつらと、島でパーティーもやるなぁ
きっとその時は強い奴が沢山集まってくるはずさ。きっと、ね……?

【返事の内容は、有り体に言ってしまえば『想像の範囲』を出ない】
【しかし嘘という様子もない。自身を駒と言い切るあたり】
【事実、知らないのだろう。頭を使いそうな見た目でも無いし――】

……それ以降は永遠の命とか、神の降臨とか、神の国の創成とかじゃない?
だってあの人、カミサマ信じちゃってるし……あ、今の告げ口禁止ね
大司教様に『カミサマ信じてるなんてバカみたい』なんて言えないし、さ。

【『で、どうする?』という言葉を最後に付けて、視線は再び男を捉えた】
827 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 23:16:34.40 ID:BWjIwXJKo
>>826

 お前が手駒とはな。おまけに衛星を召喚か……くく、震えるな

【ブリッツの語った内容は魔術師にとってあまりにも魅力的だった。身体の震えは恐怖ではなく興奮によるものだ】
【返答を聞いた上でもう一度、男は考えた。そして結論を出した】

 よし、約束は約束だ。あの仏頂面の司教とその伴侶の歪む顔も見たいしな

【答えを返す男の顔から警戒は消えていない。隙を突かれる可能性も考慮していた】
【男の右手が頭上に掲げられる。手、腕、そして上空に景色が歪むほどの膨大な魔力が集い始める】
828 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 23:28:04.94 ID:xDin91DRo
>>827

中で寝てる大司教様は、割と冗談抜きで強くてさ
その一部を分けて色々と手を加えたのがボクってわけ。
だから強いのも当たり前だし……あ、これも秘密にしといてよ?

【――男の答えは、ブリッツに取っては笑いの止まらないものらしい】
【今日一番の笑みを見せながら、アインと同じように手を頭上に掲げると】

そうこなくっちゃあ……それじゃ、一気にぶっ潰そうよ
要は縦穴に遺跡が有るような構造だし……真っ直ぐに、ねッ…!!

【バチバチと周囲に放電する雷の固まり――周囲を真っ白に照らしだすソレ、を】
【ブリッツは言葉通りに真っ直ぐ、墳墓の直上から叩きつける】

【すさまじい轟音と共に崩れゆく墓。しかし、そのままでは半壊だ】
【言うなればヒビが入ったような状態。強烈な一撃を、もう一度叩き込めれば】
【全てが完全に崩壊することだろう――その時が"始まり"となるのだ】
829 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/11(水) 23:41:31.86 ID:BWjIwXJKo
>>828

【獰猛な笑みと共に、男の手が厳粛な執行人のように真っ直ぐに振り下ろされる。その瞬間、膨大な魔力が弾けた】
【上空の雲が渦巻き、魔法陣が浮かび上がる。更に複数の魔法陣が連なっていき一つの巨大な魔法陣を形成する】
【個々の小魔法陣から業火が落下。最後に中央の巨大な魔法陣から白色の炎が大瀑布と化して墳墓へと降り注ぐ】
【十二の業火と一つの真っ白な本流が合わさり、墳墓とその周囲の全てを押し流していく】

【放射熱が離れた木々さえ炎上させ岩や土を融解させる。暴風の如き熱波が墳墓と森に吹き荒び細かな石や草を吹き飛ばす】
【魔術がもたらす結果に魅了された男が放つ、範囲と破壊力を重視した対施設用の魔術だった】

 ……さて、何が出てくるのだ?

【熱風に煽られながら、男の瞳が墳墓の中心に向けられていた】
830 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/11(水) 23:56:27.10 ID:xDin91DRo
>>829

【封印としての墳墓は完全に破壊された。それも、完膚なきまでに】
【魂の安息所――その奥底から飛び出してくるのは、黒い霞】

【気付けばその霞は爆心地と見紛うような森の一角に降り立って】
【一人の、はたして人と呼んでよいのか妖しい風貌の存在と化していた】

【背丈は240cmを超え、等身はひょろりと長く骨と皮ばかり】
【ぴったりとした拘束具のような衣服は、ブリッツと似通っており】
【黒い羽のファーや、絨毯のようなマント。或いは目元を隠す金属のアイ・マスク】
【そして手元を隠す長い袖に加えて、十字架のような巨大な宝槍を側に携え――】

……あぁ、遅かったではないかブリッツよ。
 あまりのんびりとしているから、もう100年ほど寝てしまうところだった

ああ、ハイハイ……っと。って訳で、この人が"アーグ"さ
さっき言った、ボクを駒として所有してるかつての大司教サマ。
というわけで自己紹介のお時間だ。爺さん、こっちは手を貸してくれたアイン…――。

ほう……?それは素晴らしいき功績ではないか、褒美を取らせねば
 何が望みだ、アインとやら……?生憎と世界の半分や、美女はくれてやれんが……
 望むのであれば、出来る限りの礼はさせてもらうぞ…――。

【その人物を一言で言うなら、異形だった。放つ雰囲気が、まず聖人のそれと悪魔のソレと】
【まるで全色の絵の具をかき混ぜたような、なんとも不快なものであることが第一だった】
831 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/12(木) 00:00:26.60 ID:rTL0sPwl0
>>825
/申し訳ないです。今の今まで放置していました……
/今から始めるのはきついものがあるので、また今度という事にさせてくださいorz
/もし置きでよろしければ、明日以降でも出来るとは思いますが……
832 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/12(木) 00:02:42.18 ID:WkXLJX1DO
>>831
/いえいえ、構いませんよー!
/戦闘ロールでの置きレスは個人的に苦手なので、また今度絡ませていただければ、と!
833 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 00:04:39.33 ID:uBYb/U1zo
>>830

【アインは木々から飛び降りてその異形──アーグの元へと歩いた。近づいたとき、その不快感に顔を顰めた】
【単に邪悪なものはむしろこの魔術師にとっては味方だ。だがそうでありながら聖人である、などというものは見知ったことがなかった】
【嫌悪感に知的好奇心から来る興奮が入り混じる、なんともいえない感覚がアインの胸中で渦巻いていた】

 礼、か……
 俺を面白おかしいことに加えてくれるんなら、何だっていい
 お前が知る魔術も興味の範疇だが、ひとまず封印から出てきて、何をするのか教えてもらおうか?

【圧倒的で異様な雰囲気を持つ相手でさえ、アインは相対していた。生物としての違和感を好奇心が上回っていた】
834 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/12(木) 00:08:36.44 ID:rTL0sPwl0
>>832
/重ね重ね申し訳ないです。ではまたの機会に……
835 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/12(木) 00:13:40.78 ID:D2nzbY91o
>>833

【アインが臆せず歩み寄ると、アーグは口角を上げて笑ってみせた】
【歯はナイフのようにぎらりとしていて、不揃いで。】
【加えて唇の形も歪であった。これもまたいうなれば――奇形$みていて】

ク、フフッ……なるほど?では教えよう、単純だ…――"異教徒を殺す"…!
 私が眠っていた僅かに一世紀の間で、我らが神を信じぬ輩が増え過ぎたから、な……。

 ……さながらネズミよ。人の心を腐らせる、病魔を孕んだネズミどもだ
 『聖都スラウロット』……彼処がちょうど良かろう。
 我が復活を告げるにも都合が良い。それ以降は、風の国へ向かうが……

 ……貴様は小難しいことが嫌いだな?答えずとも良いぞ
 宗教など知ったことじゃない、楽しめれば良いという顔をしている。
 それで結構……理由に絶対は無い。私の創り出す渦≠ノ、共に飲まれよ。……良いな?

【人とは思えぬ体躯を折り曲げて、アインを鉄のアイマスク越しに見つめながら】
【くつくつと笑い、当面の目的を告げる。その体臭は、腐臭に近く】
【しかし濃密な香水のそれにも思えた――いずれにしろ、粘着く声といい実に不快であった】
836 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 00:23:47.54 ID:uBYb/U1zo
>>835

【アーグの答えにアインは苦笑して肩を竦めてみせた】

 偉そうな爺さんだな、全く。年寄りは昔から話が大仰で好かん
 だがまぁお前の言う通り、宗教など知ったことじゃない。誰が何を信じようが、俺が居ればそれでいい
 聖都だろうがなんだろうが、暴れて面白そうならそうするまでだ

【言い終わるとアインが膝をつき、大仰に傅いた。僅かに顔を伏せて戻す。そして皮肉めいた笑みを浮かべた】
【普段ならば誰が相手だろうと必ず上に立とうとするこの男だが、目の前に居る異形に対して力への敬意のようなものを抱いていた】

 ところで、お前らはドラクレア島とは無関係なのか?
 そこの男、ブリッツは知っていたようだが……

【傅いたまま、アインは思い立った疑問を口にした。てっきりブリッツはドラクレア島の主人に仕えているものだと思っていたのだ】
837 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/12(木) 00:27:52.41 ID:af9TslD/o
【酒場】

【店内の一角、あるテーブルの周りに人だかりができていた】
【だいたいそういう時は喧嘩か賭け事なのだが今回は違…いや、どちらでもある】
【それはなんてこと無い、腕相撲だ。腕っ節自慢は酒場には大体居る。何処でも見られる光景だ】
【だが今回、盛り上がっているわけは飛び入りの旅人が先鋒中堅を秒殺してしまったからだ】
【今行われているのは大将戦。見るからに豪腕の男は真っ赤な顔をして、長らく膠着状態にある】

ほら、ミスター…秒殺すると言ってもう1分近く経つぞ?

【対戦相手はそうやって煽る。相手は女性であった。長い黒髪で浅黒い焼けた肌をした女】
【背は高く、男性と比べても十分大きい部類に入る。ちなみにその他の部分もスケール外に『大きい』】
【世の男性ならすれ違えば二度見三度見して口笛でもならすもんだが、今はそんな事をする男は居ない】
【彼女の何倍も太い腕を相手に、葉巻に火を付けてふかしながらタイマン張ってるという言うのだから】

さて、一分になるな…

【腕の時計を見て、フィニッシュ。男の腕をテーブルに叩きつけて、テーブルの金をわしづかみだ】

諸君、ご苦労。…今日は帰って、奥さんの肩でも揉んでやったらどうだ?…自慢の腕っ節でな

【ニヤリと笑って、腕自慢を見送る。ウオツカを瓶ごと飲む彼女は黒い革のコートだ。肩には部隊章のような】
【ワッペンが縫い付けられてある。モチーフはブルーの羽根だ。ロングブーツの踵を鳴らし、葉巻の煙を吐き出す】
838 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/12(木) 00:35:50.76 ID:D2nzbY91o
>>836

ククッ……何を言う、私はゼン=カイマの大司教なのだ
 偉そうなのではない……偉いのだ、そこは譲ってやらぬわ

 ……まあ、語れば長い。それはまた別な機会にでもしておこう
 貴様の態度は気に入った。周囲の様子を見るに、力も申し分無いようだ。
 私はな、アインとやら……力の有る者は好きだぞ、全ての意味合いでな?

【尊大、かつ傲慢。しかしそれを裏付ける、目に見えない圧倒的な力が有る】
【まるで地獄から呼び出された化け物のような、この長身痩躯の老人は】
【一つ満足気に頷いて、傍らに経つ十文字槍にも似た杖に手を伸ばし】

無関係……?いや、いやいや……我こそはまさに、その主賓たる一人よ。
 主催はヴィサスという"古龍の女"だ。その者に我と、六罪王ダグラス……

 ……そして貴様を始めとした、資格≠持つものが招待されておる。
 もっとも、我が傑作である『"人造人間"』の一体を主催に貸している、という関係でもあるがな
 貴様の出会った白肌のロースがそれよ。このブリッツもまた同様……さて

―――他に質問や望みはあるか、アイン?なければ、私は征く。
 聖都の連中を皆殺しにするのだから……英気を養わねばなるまいて
839 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 00:43:12.12 ID:uBYb/U1zo
>>838

 なるほどな

【得られた答えに満足げに頷き、アインは姿勢を元に戻した】
【右手を空中で開くとその手に収まる形で槍が現れた。背中合わせの刃を持つ二又の槍だ】
【槍が一回転してから、アインの肩に乗せられる】

 大体事情はわかった。次に会うのはその聖都かドラクレア島になるかは分からんが、会ったときにはよろしくな
 俺はこの惨状を見に来た馬鹿どもと適当に遊んでから帰るとしよう
 ジジイはとっとと家に帰って柔軟体操でもしてろ。寝起きで運動なんてしたら、腰を悪くするからな

【力に敬意を持ってはいるが、アインの口から出るのは嫌味だか悪口ばかりだった。アインは年寄りが嫌いだった】
【融解したせいで形の変わった岩の上に腰掛けると、アインは口を閉ざして街の方角に目を向けた。これ以上、質問はなかった】
840 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/12(木) 00:53:49.35 ID:D2nzbY91o
>>839

フッ……よろしい。お言葉に甘えて体調を整えておくとしよう
 中々面白い時間を過ごせたぞ……次が楽しみだ。

 ……さて、では征こう。もしあの大司教を僭称する若造や
 その連れの女と出会ったら……言うまでも無かろうな?
 く……フ、フフッ……!さあ、全ては今始まるのだ…――!

ってワケだ、またねアイン。今度遊ぶときは戦場以外にしてくれよ?
こっちもやることは有るんだから……じゃ、元気でね?

【――アーグが巨大な杖を振るうと、ただそれだけで周囲の木々は枯れ落ちて】
【混沌の大司教とその駒は、痕跡一つ残さずに消えていった】

【あとに残った枯れた森。火が回るのは実に早く、騎士が辿り着くのもまた同じく】
【残ったアインのもとには10数名からなる重装の騎士たちが駆けつける事となるだろう】
【だが、かつて顔を合わせたフレデリックの姿は無い。――狩りの時間の、始まりだった】

/っと、この辺りでしょうか。お疲れ様でしたー!
841 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 00:55:06.65 ID:uBYb/U1zo
>>840
//お疲れ様でした!
842 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/12(木) 19:14:12.55 ID:JUruH6tl0
>>715
/これで再募集します
843 :上・ジョシュア 下・マシラ [sage]:2015/02/12(木) 20:28:44.72 ID:ZBYjIoV3o
【街外れ とある店の中】

【夜になれば人気も途絶える街の外れ、その一角にポツンと建っている店がある】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は、白い壁に赤色の三角屋根】
【丸い窓に半円形の黄色い扉という、まるで物語の一幕に出てくるような可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「アクセサリー、始めました!」という張り紙が見える】

【もしその扉を開け、奥を覗き込んだならば】
【カウンター席の上に何かを並べてうんうんと悩んでいる少年の姿が目に映るだろうか】

うぅん……やっぱり形はハート型でいいと思うんだけど……
デコレーションとかどうしようかな……

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【テーブルの上に並んでいるのは、小皿に乗った幾つかのチョコレート】
【ハート型を始めとして丸いトリュフや板チョコまで】
【色も多彩でバリエーション豊かであった】

【2月も中頃に差し掛かろうという時分、これは――】

……バレンタインまで、あとちょっとかぁ……。
新しい商品も色々作りたいし、早く決めちゃわないとね……。

【――バレンタインに向けての準備であることを察するのは容易であろう】
【しかし色恋に悩むという風情ではなく、もっと実務的な雰囲気が漂っていた】


【――】


【路地裏】

「〜〜〜〜〜〜ッ!!」

ふむ……やはり人体には効力が強すぎるみたいですねぇ
このままでは毒としても使い道が限られてくるでしょう……いやはや、困ったものですよ

【薄暗く陰惨な空気の漂う路地裏の奥地から、複数の人間の声が響いていた】
【ここに近づく事があったならばその声と、濃密な血臭を感じることになるだろうか】

【其処にいるのは縄で縛られ猿轡を噛まされた複数の男女と、その首筋にナイフを突きつけている黒装束達】
【そして少し離れた場所から、その一団を眺めている人物であった】

【その人物……身長は160cm程度であろうか。茶色の短髪に垂れ目の猿顔をした男だ】
【黒地に白のストライプが刻まれたスーツを身に纏い、その胸にはカノッサの証である逆五芒が刺繍されていた】
【腰には得物であろうか、全長40cm程の朱塗りの棒が括りつけられているようである】

しかし……ああ、そうですね。男女で差が現れるやもしれません
ええ、ええ、これは良い所に気がつきましたよ……では、次は其処の貴女に協力して頂くとしましょうか

カノッサの顔に泥を塗った溝鼠風情が、崇高な実験の贄となれるのです。光栄に思うことですねぇ……キキッ!

【ドロリと濁った目で、縛られている内の一人の女を指差し黒装束に指示を送る】
【黒装束――猿面を着けた140cm程の小柄な隠密は、懐から注射器を取り出し女の腕にゆっくりと針を近づけていく】

【……その近くに転がっている、最早原型も留めぬブヨブヨの"肉塊"。それが数秒後の自分の姿のようで】
【女は目に絶望の色を灯しながら、大粒の涙を滲ませた――】
844 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 20:43:29.00 ID:ZgLbisSGo
>>843

【そんな惨劇の場に近づく靴音があった。陰惨な空気の中にあって高く澄んで響く音が徐々に近づいていく】
【助けなのか迷い人なのか、その正体を知らせないようにするかのように、その音はゆっくりと近づいていった】
【暗闇の中、路地裏に差す微かな明かりの手前で音は止まった。斜めに差す光がその人物の足元だけを照らしている】

 ……中々楽しそうなことをしてるじゃないか、マシラ

【あえて焦らすようにゆっくりとその男は言葉を発した。そして緩慢な動作で光の中へと歩みを進めた】
【赤黒い外套の長い裾が揺らめく。中は黒い衣服で統一されている。長身の先にある顔が現れる。平坦な東洋人の顔つき、短い黒髪】
【少し前に“ある約束”を交わした相手。魔術師のアインだった。アインの口元には皮肉めいた笑みが浮かんでいた】

 薬の実験のようだな。俺も見学していいか?

【壁際に寄ったアインの瞳がマシラ、続いて死の針を突きつけられている女へと向けられる──来たのは助けではなかった】
845 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/12(木) 20:58:49.54 ID:af9TslD/o
>>715

ったく……あれだけ売って100と少し…か。あのヒゲ野郎…

【其処が入り口なら、彼は裏社会から出口に向かっていた】
【裏通りにこの街の宝石商…非合法なものを裏から表へ仲介する人間が居た】
【商品に加工されてあるものは盗品だとバレやすい。故に細工し直すのだがその為】
【普通ならば高級なブランド品でもその一桁少ないぐらいの価格で裏では売買される】

【オイルライターの蓋を鳴らして煙草に火をつける。背の高い男だ。モッズスーツにつば広のハット】
【見るからに高級な腕時計…懐の中には札束もあった。それとベルトには拳銃も2丁あるが上着で隠す】
【そして、薄暗い場所でなおかつこの時間帯であったとしても彼はサングラスをしている】

【彼は何の気も無しに、彼女の前を通るだろう。ドレスの女が居たところで気にもしない】
【ただ少しその瞳を見たのだけれど。それだけだ。夜鷹であることも彼は気がついている】
【此方の側に居ればそう言う人間ともよく合う。行きつけの酒場にはそんなスレた厚化粧の女が多かった】


/まだいらっしゃれば…!
846 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/12(木) 21:08:05.68 ID:ZBYjIoV3o
>>844

……おや? ああ、これはこれはアイン様ではありませんか!
ええ、ええ、勿論ですとも!未だ試作段階ですので、大した見世物にはならないかと思いますが――

【猿顔――カノッサ機関ナンバーズの「95」を冠する男、マシラは】
【聞こえてくる足音に、一瞬手信号で部下に指示を送ろうとするも】
【覚えのある声に気づくと、それを取り止め首をぐるりと回して彼の方へと振り向き】
【卑小さの滲む道化じみた声色で返事をした】

【右手を拘束された女の方へと向けて、空に首切りのジェスチャーを走らせると】
【黒装束は躊躇いもなくその針を女の腕に突き刺した】

「ぁ――き、ィ――――ッ」

【猿轡の隙間から洩れるくぐもった断末魔の叫び】
【血中に侵入した"ナニカ"は瞬く間に人間としての尊厳を塗り潰し陵辱する】
【肌の表面がボコボコと爛れ始め、肉が内側から裏返ったかのように原型が崩れ】
【数秒と経たぬ間に端に転がっている"物体"と変わらぬ肉塊へと成り下がった】

【まともな"毒"や"薬品"ではあるまい】
【もっと冒涜的な――優れた術師であれば瘴気に似たモノを感じ取ることも可能であろうか】

ハハハ――いやいや残念!やはり、女ならば結果が違うという事はなかったようですねえ!
全く、私めの愚考はいつもいつも的外れで困りますよ!

【パンパン、と手を叩きながら演技じみた口調で語る】
【言葉とは裏腹に、この結果を反省する様子などにはとても見えはしない】
【"寸劇"は終わりとばかりに、すぐに興味を無くしたように女から視線を外すと】
【再びアインの方へと身体を向けて、数歩と距離を近づけて――】

――お久しぶりです、アイン様。
変わらずご健勝のようで、猿めは嬉しゅうございます

【――紳士的に礼をしてみせながら、血臭漂う中改めてアインに向けて挨拶をした】
【ドロリと濁った目と、裂けるような笑みを覗かせながら】
847 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/12(木) 21:14:25.32 ID:WkXLJX1DO
>>845

【ちり、と暗い路地に、金属の擦れる音が響いた】
【つんと薫るのはオイルとタバコのそれ】
【その音も香りも、彼女には慣れ親しんだものであり──決して、嫌いなものでもなかった】


はぁい────買っていかない?
お仕事帰り……お疲れじゃあないかしら……?


【何を、とは言うまい。この場でこのような言葉が何を示すのか】
【──それが分からぬほど彼は無粋でないのは、その格好から見てとれた】
【宝石のような紅い瞳……魅惑の魔力のひとつでもあれば、よかったのだが】
【残念ながら、少しばかり珍しい程度の、そんな色でしかなかった】


/いえーいおりまーす!
848 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 21:21:25.79 ID:ZgLbisSGo
>>846

【人間の、異形への変化。人として死ぬことさえ許さない、魂の徹底的な冒涜を目の当たりにして、尚もアインは笑っていた】

 ふん、人間を肉塊に変える薬か。隣のやつを潰して尋問には使えそうだが、それ以外の使い道は怪しいな

【王が家来に向けてするように、一礼するマシラに向けてアインが手を掲げる。姿勢を正して良いという、単純な指図だった】
【マシラの卑屈さに対応しているかのように、アインには傲慢さと尊大さが共存していた】

 ついこの間もゼン=カイマにある墳墓を吹き飛ばして、中に封じられていた元教皇とかいう化け物を檻から出してやった
 おかげで今日は気分がいい

【厳重な封印を施されていた存在を解放したことへの黒い喜びが、アインの笑みをより深くした。言葉には達成感による興奮を含んでいた】

 お前も元気そうじゃないか。どうだ、その後は?

【配下に向けてするように、アインは問うた】
849 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/12(木) 21:39:37.60 ID:rTL0sPwl0
【風の国 路地裏】

……ふん、子供だてらに人食いか
……なんとも、業が深いもんだな……!

【傍目にもまともに手入れをしていない事が分かるぼさぼさの赤髪が、険があるものの端正な顔立ちを小汚く彩り】
【デニム生地のベストと枯れ草色のミリタリーパンツ、安全靴と思しき重厚な靴で全身を固めている】
【まるで何かに苛立ちを感じている様な攻撃的な眼をしている、身長170cm前後の青年が】
【正面から睨みつけてくる、ボロを纏った少年と対峙している】
【少年の手には、血みどろのナイフが握り締められており、そばには腹を抉られて横たわる、同じ様な服装の死体が転がっていた】
【更に、少年の口の周りには、派手な返り血の汚れが見てとれる――――死体に口をつけたのは、間違いないだろう】

……覚悟を決めろ。食人などと、許される事じゃないぞ……!
「――――――――ッ!!」
っとぉッ!!

【真っ向からナイフを突き立てようと飛びかかって来る少年。その切っ先は、中々に鋭かった】
【恐らくは、こうやって人を突き刺す事に慣れているのだろうが――――青年は動じず、突き出された腕に蹴りを見舞った】
【ガキィッ――――と、鋭くも耳障りな音と共に、少年の手のナイフが蹴り飛ばされて】

――――喰らえッ!
「ギャッ――――!」

【逆に青年が少年に踏み込み、腹部に拳をぶち当てる。殴り飛ばされた少年は、無様に地面を這いつくばり、絶息して起き上がれなくなった】

フン……探し物のついでだ……さあ、もう一度言う。覚悟を決めろ……人を殺して生き延びた代償を、払う時は来たぞ……?

【妖しく光る紅いラインで複雑な文様が描かれた、ハンドボールほどの大きさの、金属製と思われる3つの黒い球体を、閃光と共に現出させながら】
【青年は倒れた少年へと歩み寄る――――トドメを刺そうとしているのが、簡単に見て取れるだろう】
【――――不吉な風が、路地裏を駆け抜けた】
850 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/12(木) 21:40:35.90 ID:ZBYjIoV3o
>>848

ハハッ……いえいえ、本来の用途はまるで違うのですがねえ
どうやら人間では"器"が脆すぎて、変化に肉体が耐えられないようでして

現段階ではアイン様の仰る通り、脅しの種にしか使えない欠陥品でございます
ですが、いずれ来たるべき混沌の為……お役に立てるよう今後も改良を重ねましょう

【アインが王としての態度を取るならば、こちらが家来に徹する】
【掲げられた手に対し、大仰な仕草を混ぜながらゆっくりを曲げていた腰を上げ姿勢を正し】
【額に掌を添えながら首を緩く横に振って見せながら、「お恥ずかしい限りです」と添えて語る】

【とはいえ、先程惜しむような様子でなかったことを考えたならば】
【この惨劇は結果の分かりきった"処刑"だったのだろうが――】

おお、あのゼン=カイマの!! キキッ……ご活躍のようで何よりです!
ええ、ええ、私の方も順調ですとも――貴方様のお声一つで、すぐにでも第二段階に移行出来ましょう

【第二段階……言わずもがな、以前語っていた"煽動"の計画だ】
【第一段階は民衆の間に噂を広め、能力者に対する懐疑心、敵対心を募らせる事】
【それを終わらせるには十分すぎるほどの時間は経過していた】

して、如何致しましょうか――別件でお忙しいようでしたら、民衆の動きを留めておきますが
私は貴方様の夢を応援する請負人……アイン様のご都合を最優先として、事を進めましょう

【すぐにでも動くか――それとも気を窺うか】
【マシラとしては焦る理由もない。ただアインの意向に従って行動を起こすだけだ】

【それが結果として、己の利へと繋がるのだから――】
851 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/12(木) 21:51:27.30 ID:af9TslD/o
>>847

【男は足を止めて、灰を指先で叩いて落とす。洒落っ気のない乾いた煙】
【背だけは十分にある彼は見下ろすように彼女の目と向き合って】

同じ目をしてる。……いや、少し違うか

【と言い、サングラスをずらして少しおどけるように笑った。彼も赤い目だった】
【しかし瞳ではなく白眼が鮮やかな赤で瞳は黒い月のよう。異質であった】

【スーツ、時計は高級。客としては上客であろう。こんなところに用事があるのだから】
【マフィアか何か…目を隠すのだから追われる者か、追う者。幾らでも思いつくが】
【大事なのは人種じゃなくてその金…物事はシンプルに其処に集約される】

【彼はサングラスを元に戻し、煙草をくわえると、懐から分厚い茶封筒を取り出した】
【金持ちは金持ちだがここまでわかりやすく金を持って歩く奴もなかなか居ないだろう】
【男は何枚か紙幣を抜き出して、折りたたみ、彼女の前に差し出した。相場より少し多いぐらいだ】

同じ目のよしみだ…これでもっと、セクシーな服を買うといい。男ってのは馬鹿だ
…その方がシンプルだ。金持ち専門じゃないならな

【同じ目と言ったがそれは色だけの話だろうか。彼は何も言わない。金だけ渡せば】
【くわえた煙草をまた指に挟んで、そこから立ち去ろうとするだろう】
852 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2015/02/12(木) 22:03:58.95 ID:a/aPlalyo
【路地裏】

【今日も蠢く闇の中の住人達。鮮血と汚泥の悪臭がこの空間に尽きることはなく】
【悲鳴が咆哮が哄笑が、冷たい壁に反響する。この世の穢れの集積場】

【その中に混じって、一際奇怪な者たちがそこにいた】


カ、ヒュー……うぐ、ぐ……

[ボス、もう少しの辛抱ですぜ……!! ブレインデッド、そこの角の先、誰かいねえか確認して来い!]
り、り、了解した……

『ったく、手間かけさせやがってよ……明日には、次の段階に移行するってのに』
「やむを得なかったとはいえ、政府に警戒心も持たせてしまっただろう……時間はそう残っていないぞ」

【中央に、人間の上半身をさらに半分ほどにしたほどの、肉塊のような姿の怪物。顔面の大半と露出した右腕を火傷に覆われた隻腕の異形】
【額に苦痛を滲ませる巨大な一つ目。眼窩に右が青、左が黒の義眼。口には呼吸器。胸部には襤褸切れを巻いている】
【身体の下部から甲殻類を思わせる足と、それを補佐するように数本の肉の触手が伸びて、震えるそれらでわずかな身体を必死に支えていた】


【それに肩を貸す、両耳や口元や下の外周に鉛色のピアスをつけた、彫りの深い顔立ちの男】
【オールバックにした鉛色の髪と同色の瞳。カーキ色のジャケットにポケットがいくつもついた黒いベスト】
【迷彩柄のズボンに黒く厚い軍用ブーツ。引き攣った表情に焦燥が見て取れる】


【ピアスの男に命じられて先行したのは、空中に浮かぶ人間の生首。厳つい顔つきの中央、鼻筋に縦に並んで刺さった三本のボルト】
【すり鉢状の首の断面、その上に嵌った鉛色の首輪。毛髪の代わりに、頭頂部に向かって捻じ曲がる何本もの鉄の角】


【殿に付くのは、二つの頭に四本の腕を持った、一つの身体に同居する男たち】
【向かって右の頭は青白い肌に1つに束ねた白い長髪、白濁した瞳。向かって左の頭は浅黒い肌に乱した黒い短髪、光る黒い瞳】
【中央から向かって右が白、左が黒に色分けされたスーツ。本来の腕の位置から細い両腕、脇の下辺りから太い両腕】
【両胸のポケットには、それぞれ布地とは逆の色の糸で、『No.50』と刺繍されていた】


【異形どもの一行は、周囲を警戒しながら遅い行進を続ける。誰かがこの場に現れれば、まず目に付くことだろう】
853 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 22:04:24.16 ID:ZgLbisSGo
>>850

 ほう。思った以上に手早いな、マシラ

【配下の返答にこの場限りの王は小さく唸った。脳裏に浮かんだのはいくつかの“都合”】
【墳墓から抜け出したあの異形──アーグは聖都を襲撃すると言っていた。そしてドラクレア島の招待も受けている】
【しかしそのどれもが受動的なもの。何か一つぐらいは能動的に動く出来事がほしい、とアインは考えた】

 ……よし。ならば進めるがいい
 無能力者どもを扇動し、能力者どもを“狩る”祭りのときだ!

【結論は──戦争の号令だった。深い闇に覆われた路地にそれよりも深い闇を孕んだ声が響き渡った】
854 :リーベ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/12(木) 22:12:34.75 ID:WkXLJX1DO
>>851


──不思議な目ね。まるでノスフェラトゥだわ
ヴァン・ヘルシングから逃げ出してきたのかしら


【ふふ、と女は笑った。囁くような、笑みだった】
【身形も、言動も──娼婦からしてみればなんとしてでも相手にしたいタイプだ】
【けれど女は、金だけ渡されれば不満そうに眉をしかめる】


……何もしないでお金だけもらうほど、困っているわけじゃないわ
そこらへんにいる物乞と一緒にしないでくれない……?

どうしてもソレの処分をしたいのなら──それなりのことをさせて
ベッドに興味がないのなら、ディナーの相手くらいは


【差し出された紙幣は、受けとる。その後に続くものが、あると思っていたから】
【しかし彼がその場を立ち去ろうとすれば、言葉尻を強めて金を突っ返そうとする】
【──仮に、社会から見下され爪弾きにされる存在だとしても、少しばかりのプライドくらいはある】
【どれほど馬鹿にされようと疎まれようと、施しを享受できるほど彼女は落ちぶれているつもりはなかった】
855 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs :2015/02/12(木) 22:13:46.47 ID:WkXLJX1DO
>>854
/違うあなたリーベじゃない……
/名前欄はロゼッタのミスです
856 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/12(木) 22:16:01.91 ID:D2nzbY91o
>>852

【周囲を警戒していたのなら、まずその足音に気付くことだろう】
【角を曲がって近付く音。軽く、平然とした一定の足音――。】

……ハロー。ようやく見付けたよ、目立つナリのクセに
何処ほっつき歩いてるんだか分からなくて困ってたんだ。

なんて言ったっけ?……カニバディールと、"スクラップズ"……?
聞いてたよりも『Freaks』って感じだ……六罪王ダグラスの仲間、でいいんだろ?

【現れたのはやや小柄な、線の細い若者だった。その肉体には拘束具じみた衣服をまとい】
【両腕とその脚には無数のレザーベルトを巻きつけて、何かを抑えるかのようだった】

【――その上で、ニヤニヤとした軽薄そうな顔付きで語る内容は些か奇妙】
【彼の身体は何処を見ても逆五芒星が見当たらなかったし】
【何より、彼らからしても知った人物ではないだろう。だからこそ、事情を知るのが妙だった】
857 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/12(木) 22:28:59.40 ID:ZBYjIoV3o
>>853

キキッ――このマシラその言葉をお待ちしておりました!
愚鈍な秩序を打ち壊し、混沌たる乱の世へと導く第一幕……始めると致しましょうか――!

【両腕を天に掲げ、くるりと一度回って見せながら朗々と言葉を紡ぐ】
【それはさながら三流演劇の一幕のようで、滑稽さすら感じさせる仕草だが】
【続く行動はその冗談じみた滑稽さを塗りつぶす悪意に満ちた代物で――】

【号令を受けた黒装束達は、最早用はないとばかりに拘束されていた"モノ"の首にナイフを突き立て絶命させると】
【音もなくその場から飛び立ち、気配を闇に溶かして消えていった】
【恐らくはこの場の決定を伝え、行動を開始させるためであろう】
【これによって各地に忍ばせた隠密達は、計画に向けて一斉に動き始める事となった】

【とはいえ――】

……いえ、まあ残念ながら本日からいきなり暴動を起こすと言うわけには行かないのですがねえ
"団体"の代表に決定を伝え、人員を招集し改めて計画を練る必要がありますので

散発的な暴動では直ぐ様鎮圧され、小火にも満たぬ規模で収まってしまう事でしょう
故に統率を、戦略を必要とするのです――その点は、ご期待に添えぬようでしたら申し訳ありません


【――本当に今すぐ暴動を開始するとはいかないようであった】
【実際に暴徒として働く者達は飽く迄も部下ではなく"市民"だ】
【カノッサの干渉を匂わせずに、秘密裏に工作員を潜ませ進めた計画であるが故に】
【開始するまでは水面下で、静かに虎視眈々と期を窺う必要がある】

【しかしながら、今夜確かに火蓋は切られる事となった】
【数ヶ月の間じわりじわりと浸透させた毒は、近々姿を現し"能力者"に襲いかかる事だろう】
【その情景を想い――マシラはにやけた口元を更に三日月のように吊り上げた】
858 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/12(木) 22:30:32.12 ID:UTSJH2K90
/>>849
流石にもういらっしゃらないかな……?
859 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/12(木) 22:31:44.44 ID:rTL0sPwl0
>>858
/あと6分で下がろうとしてましたが、ここに
860 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2015/02/12(木) 22:33:11.39 ID:a/aPlalyo
>>856
【闇に身を潜め、鮮血を浴びて這いずるように生きてきた異形どもは、そういった音には敏感だ】
【浮かぶ生首が動きを止め、すぐ後に残る全員が足を止めて、一斉に足音の方を見た】

【現れたその男の姿を、異形どもの9つの瞳が見つめた】

――――それは申し訳ない……生憎、身を潜めて這いずりまわることが多いものでね……

ああ、それは我々のことで間違いない……私が首領のカニバディールだ……
それで……我々を探していたと? 確かにマックスウッドさんとは……その六罪王ダグラスとは、知己ではある

それを知った上で、我々に……いったい何の御用かね……?

【二つ頭とピアス男、浮かぶ生首が左右に別れて中央に肉塊を据えるように展開する】
【肉塊男は、何とか震えを抑え込みつつ、いつもの調子をどうにか保って彼に相対した】
【単眼が彼を観察する。自分たちの同僚たる証は見受けられない】

【ならば、いったい何者か。いずれにせよ、手傷を負ったこの状況で戦闘になることになれば不利】
【警戒を解かないまま、まずは言葉を投げた。醜い単眼の黒い瞳にだけは、傷を感じさせない生気を滾らせながら】
861 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/12(木) 22:36:30.31 ID:UTSJH2K90
>>849

「……どうなるのかな? まぁいいか。踏み込めば、変わる小さな流れ(もの)だ――――」

【――――球体と標的との中継地点に割り込む、影。軽やかな音色をたてるその声は、けして大きな音ではなかったが不思議と奏って】


【榛色の勝気な双眸。ふわりとした深緋色の長髪は宙に軽やかに流れ、しなやかな躰に纏うのはカーマインのマキシ丈の上質なワンピース・ドレス、】 
【豊満な胸元に揺れるのは銀の逆十字―― 中心に“機関”の紋章が刻印された、装飾的なチェーンを特徴とする首飾りだった】

【それは、救う側ではない。それは、兇気と破壊の意志を以て現実を塗り替え続ける。邪悪であり闇をなお深める深淵の顎門、血に塗れて滴る紅き衝動―――牙剥く命は今は微笑って、処刑人の如き彼を榛色に映せば】

「……餓鬼一人に随分とご執心だね? 生きていることが赦せないとでも言うみたいに。
 そこの人喰いが鬼だとするなら、アンタは東洋(イースト)の羅刹でも望むのかな―――――……もっと、もっと血を拡げそうだ」

【数多の獄炎を従えながら、遥か多き怨恨を食み飲んだかの様な黎き深紅を煌めかせながら。赫き女が、青年へと自らの意志と秩序への脅威としての“氷空綺藍”(おのれ)を操りながら口を開く】
【恐らくは異能の一端だろうか、触れるものあらば例外なく灼くその焔。地に臥す少年のすぐ傍で生じ、揺らめき、悠然と勝気そうに欠けるところなく整った横顔を照らすだろう】

【少年には現われるときに一瞥ほどくれるばかりで、言葉にするのは青年への興味。‟機関”の存在であるのなら、彼らふたりのいずれにも危険な存在であるはずだが―――】
【からかう様な口調と声は、場の空気など引き裂くものだとでもいう様に気軽に、奔放に。さながらヒトの世の理を無価値と笑うケモノの様に、力あるそれを湛えていた】


/>>859
それでは、よろしくお願いしますー!
/時間的にこちらからのものはやや短いレスになりそうですが、持ち越し or 置き移行は任意のタイミングでお願いしますっ
862 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/12(木) 22:36:33.70 ID:af9TslD/o
>>854

ナイトウォーカーであることには間違いないけど…
生憎、血を見るのが苦手でね。赤ワインでもゾッとする

【言われてみれば外見はブラム・ストーカーの言う特徴そのままだ】
【言われ慣れてるのか男はすぐに簡単なジョークで返す】

同情をしたつもりじゃない。アンタの目に惚れただけさ
…でもそんな目をしている奴とそんな気分には慣れなかっただけだ

【困ったように長い溜息をついた。煙草を吸って、彼は考えている。暫くの時間】
【短くなった煙草を、彼は几帳面に携帯灰皿に入れる。性格が少しだけ垣間見れる】

…オーラィ…オーケィ、わかった。じゃあ…ディナーにしよう

【彼はそれだけ言って、通りへ足を進める。彼女が躊躇した大通りへ迷いもなく歩き出す】
863 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 22:39:44.56 ID:ZgLbisSGo
>>857

 何、気にするな。速やかに事を運びたいのであれば、こんな形は取らん。元より俺が言い出したことだからな

【情景を思い浮かべて暗い笑みを浮かべるのはアインも同じだった】
【強大な魔術を使い自由気ままに敵を殲滅して目的を達成するのを好むのと同時に、こういった知略や策謀もこの魔術師は好んでいた】
【どの方法を取ろうともこの世界にとって悪い結果をもたらすことだけが同じだった】

 それにしても仕事の早い男だな、お前は
 それで、お前自身は何を望む? 心底からこの世界の混沌を望んでいる、というならそれでもいいが……

【アインの意識が来る祭事から眼前のマシラへと移る。暗闇のような瞳が細まり、その真意を測ろうと共謀者を捉える】
864 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/12(木) 22:46:55.36 ID:D2nzbY91o
>>860

やっぱり正解?そりゃ良かった、また探しまわるのは僕もゴメンだからさ
……で、要件は簡単だ。あんたらを手助けしろ、って頼まれててね
見たところお困りだろ?それに詳しくは知らないけど
そっちはそっちで作戦が近いとか……文字通りの手助け、必要無い?

【相手が誰かわかると、ニヤリという笑いは再び大きくなる】
【そして申し出るのは助け=\―無論、彼を運ぶ助力ではないだろうが】

【中身の無いその言葉を充填するように、路地裏に黒い霞が浮いた】
【漂う腐臭は路地裏自体のそれではない。もっと生々しい、噎せる様な悪臭であり】

――面白い男が居ると聞いていたのでな……?
 中々興味深い……単眼かつ、異形と呼んで差し支えのない、人間が居ると。
 無論、聞いたことを私なりに解釈しただけだが――要るかね、助けは。

【加えて響くその声は、実体を伴って現れるのだった】
【若者が現れた角から伸びる、黒い布に包まれた長い腕。そして、心を疼かせる声】
【黒い霞は何時しか消えて、腕の先に集結しつつあった。もう一人――若者の他に、居るらしく。】
865 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/12(木) 22:54:56.99 ID:rTL0sPwl0
>>861

……っ、ち……誰だ?

【耳に届く声は、状況への第三者の介入を伝えていた。青年はその歩みを止めて、乱入者へと注意を向ける】

――――機関の人間か……ッ!

【現われた女性の胸元で己が存在を誇示する首飾り――――その内に刻まれた機関の紋章を認めたのだろう】
【青年の口から、苦々しさを含んだ静かな怒号が漏れ出る。恐怖や焦燥ではなく、憤怒――――明らかな『敵意』をそこに孕んでいた】

……あぁ、その通りだ。他者を害する様な存在など、この世に生きる事を許しはしない……
そこのガキが人を殺して生き永らえると言うのなら、俺はそれを殺して罰するんだ……!

【中空を不規則に揺蕩う球体を、どうやってか眼前に整列させながら、青年は静かに言葉を返す】
【「生きていることが赦せない」――――それは的確な言葉だろう。少年に見せていた殺意は、本物のそれであったようだ】
【私的に人を裁く者――――青年の姿は、まさにそれだった】

……とんだ道草になるかと思ったが……どうやら今回は『当たり』だった様だな……
――――お前みたいなのがここにいると言う事は、『RAGNAROK LABORATORY』の拠点、この近辺にあるのは間違いない様だ……!

【少年への殺意は勿論の事――――青年の殺意は、眼前の女性に対しても燃え盛っていく】
【だが、その中に、純粋な『悪』へのそれだけではなく――――機関の、とある研究チームに対する目的意識が混在した】
【――――雷の国、夜の国、そしてここ、風の国の3つの拠点を分散させている『RAGNAROK LABORATORY』】
【本来青年は、それを探してこの近辺を彷徨っていたらしい】

――――さあ、お前も悪に相応しく葬ってやろう…………覚悟を決めろ…………ッ!

【言葉と共に、ぐっと腰を深く落として体勢を作る青年――――それとは全く別個の意志でも持つ様に、球体の1つが、女性へと撃ち出される】
【真っ向からぶつかれば、決して小さいダメージでは済まなそうな質量攻撃だが、同時に、不意を突く以外になんら工夫も無い、正面からの攻撃】
【様子見、牽制、もしくは何らかの仕込み――――ともあれ、口火を切る事を優先し、初動を取ろうとしての攻撃である事は間違いないだろう】
866 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/12(木) 22:55:46.37 ID:WkXLJX1DO
>>862

──嬉しいこと言ってくれるわね
娼婦の前でリップサービスなんて、する必要ないのに
けど、好みだわ。軽々とヒトの商売道具を使うんだもの


【拒絶の言葉にしてはあまりに不器用すぎ、口説き文句にしてはありふれたもの】
【それでも女は、赤い瞳を揺らして笑うのだ。たまには熱すぎない夜だって、楽しみたかった】


赤い目なのに、赤いものは苦手なのね──ルージュもお嫌いかしら
首筋の痕は遺していきそうな人なのにね、あなたは
それとも、路地裏のヴラドはそれすらも嫌うの──?


【……1人ではなかなか行く気に慣れない表通りも、誰かとだったら簡単に行けた】
【ゆるりと夜会服を揺らし、女は男の後から着いていく】
【店など指定するつもりはない。安い酒場だろうと高級なフレンチだろうと構わなかった】
【金はまだ、受け取ったまま。ならば男は女を買った。それまでの話】
【似非なスシ・バーに連れて行かれようと──からかいはするだろうが、拒みはしない】
【金をもらうとは、彼女にとってはそういうことなのだ。決定権など、娼婦にはない】

【──目的の場所につくまでのツナギか。ひそひそ笑いを浮かべて女は緩い雑談を混ぜる】
【途中に出てきた名前は、即席で付けたあだ名だった】
【名前なんてものとディナーの場所は、彼女にとっては似たようなものだ】
867 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2015/02/12(木) 23:02:45.77 ID:a/aPlalyo
>>864
手助け……? 我々のような者の手助けを頼まれる、とは
貴方も、それを頼んだ相手も、我々と同じく真っ当な者ではないらしいな……

ああ、現在進行形で困ってはいるとも。そこについては、まあこちらで何とか出来る
だが、その先のことについては……正直なところ、助けはいくらあっても足りないくらいだ

【彼の笑いを前に、異形どもの警戒がわずかながら緩んだ。本気で言っているらしい、と盗賊としての経験がそう言っていた】
【となれば、自分たちの手助けを頼む相手がどれだけ限られているか、それを考えると必然】
【彼が自分たちにとって数少ない協力者の誰かの使いだと察せられた】


[(ん……? なんだ、この臭い……)]

【真っ先に、ピアスの男がそれに気が付き、わずかに顔をしかめる。続いて生首が空中で少し後退し】
【二つ頭と肉塊男が、素早く周囲に視線を巡らせた。異形どもが、それらを捉える。怪しげな靄、不気味な腕、こちらの精神に触れてくるような声】
【自分たち以上の奇怪な何かが、この場に現れたことを異形どもは悟る】

――――さて、その興味に応えられるかどうかはわからないがね
この異形の姿は、不覚を取ったが故の結果だ……自慢できるものじゃあない

……先ほども言ったが、助けはいくらでも欲しい。近く実行する計画については、我々だけで何とかせねばならないことだが
それ以降については、どれほどの手があっても足りない。もらえるならば、ありがたくもらいたい

しかしながら――――こちらは、まだ貴方方が何者であるのか知らない
その状態で、手放しに助けを求めるというのはあまりなことだ

【現れたもう一人に、表面上は決して臆する様子を見せず。さらに言葉が紡がれていく】
【高まり行く緊張感が、皮肉にも肉塊の神経から先ほどまで感じていた痛みを追い出すに至っていた】
868 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/12(木) 23:11:01.49 ID:ZBYjIoV3o
>>863

いえいえ、この猿風情にそのようなお褒めの言葉――恐悦至極に存じます!

裏でこそこそと嗅ぎまわるしか能のない私めでも
アイン様のお役に立てたのならば、それに勝る喜びはございませんとも!!

【実に、白々しい態度である。まさか本当に忠誠を誓っているわけではあるまい】
【ただ上滑りするような台詞が矢継ぎ早に口から飛び出てくる】
【こうした態度を取るのはやはり、どこかしらで己に利があるからに他ならない】

私の望みは皆様のお役に立つ事――などと申しましても信用なさるはずもありませんよねえ?
……大きな望みとしては以前お伝えした通り、嘘偽りなくこの世の"混沌"を欲しての事で間違いありませんが

あえてその他に挙げるとしましたら、暴動が起こることで幾つか私の利益に繋がる事項がある事をお伝えしておきましょうか
例えばそうですね――暴徒に与えられた"兵器"は全て、私の元より提供された品でありますので
戦乱が広がれば広がるほど、私の懐が潤う算段となっております!

この世の沙汰は金次第、これがなくては何も回りませんからねえ!
アイン様からは俗物の考えと思われますやもしれませんが――人の"欲"を擽る為にはこの上なく材料となりますので!

【所謂戦争事業である。国と国の間其れとは比べるべくもなく小規模ではあるものの】
【十分すぎるほど利益を得られる算段がついている様であった】

そしてそれ以上に重要なのは、貴方様に"使って頂ける"事にあります!
私はナンバーズなどといった大仰な肩書きを持ってはおりますが、一人では何もできない脆弱な小猿にすぎません

故に、アイン様のような将来性の見込める強者に"有用"と思って頂けましたら
それだけでも私としては掛け替えのない財産として機能することになるのです――!

【そして次に語られたそれは――隠すこともなく他人に依存する内容】
【個人の暴力ではなく、隠密組織の運営や薬物や兵器の取引などで今の座を勝ち取ったマシラにとっては】
【アインとの"繋がり"は黄金にも勝る価値として認識されていた】
【他者との"パイプ"。その有用性を知る者であれば、決して軽んじる事は出来ない要素であろう】

【そこまで告げて、恭しく一礼しながら「ご満足頂けましたでしょうか――」と】
【相も変わらず道化じみたにやけた笑みを浮かべながら彼に聞いた】
【内容としてはそれほど突飛なものはない。全て信じるならば、純粋に己の利益を追求したがゆえの恭順であろう】
【少なくとも、情などで従っている訳ではないということを示した形になる】
869 :ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/12(木) 23:17:33.64 ID:D2nzbY91o
>>867

左様……あの小僧、ダグラスというのも並大抵の者ではない。
 愉快な男だったぞ。芸術性も悪くない…――会話も、中々弾む

 ……だが、奴もヤツで忙しいと。故に、手の空いた私が直々に着てやったのだ
 "協力者"だからな。ドラクレア島の――さて、貴様も大分利口なようだ
 確かに名も知らぬ者の助けなぞ、たとえ猫相手だろうと借りたくはなかろうな

【――現れる人物は、一言で言えば異形だ。辛うじて、ヒトの形はしていたが】
【まず背は240cm超――大柄ではなくむしろ細身で、若者と同じく】
【胴を覆い包むように、拘束具じみた服を着用しており】

【目元には点々と穴の空いた鋼鉄のアイマスク、襟元には黒羽のファー】
【そして手元は長い袖で隠れていたが、一本の宝杖を携えていた】
【それこそ、かの大司教が用いたカテドラル――それを加工した、十字架型の物であり】

ゼン=カイマは知っておろう、その100年前の大司教よ。名はアーグ……。
 つい先日、アインという魔術師と……このブリッツに開放された

 ……さて、お前はわざわざ聞くまいな?百年の眠りの意義であるだの
 私が何処へ征き、何時、何処で、何をするのか…――そんな事は、どうでも良い。
 私は異教徒が嫌いだ、何万何千万死のうと構わん。……そういう、大司教のアーグが手助けの主よ

【ブリッツという若者の風貌と、何処か似通っていた。裂けた唇でニヤリと笑うと】
【数十から数百はあろうかという、牙のような歯列が覗き】

【そしておもむろに目元のマスクを取れば、純然たる単眼が顕になった】
【奇形≠セ――それも全身、何処を見つめても人間らしくはなく】
【かといって、正体を図るには言葉では足りない。判断は、直感的にしろという具合だった】
870 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 23:25:03.57 ID:ZgLbisSGo
>>868

 ……なるほどな。戦争商人というわけか
 お前のその媚びへつらう態度や姿勢も嫌いじゃない。自分の立ち位置を理解した上で最も良い戦術を取るのは当然のことだ
 いわばお前にとってこれは、俺という優良物件に対する投資、というわけだな?

【アインの口角が上げられる。マシラの答えにアインは見下しはせず、むしろ感心していた】
【“論理的に正しい”ということをこの男は好んでいた。そしてマシラの行動指針は納得させるだけの論理性をアインに感じさせていた】

 良いだろう。それでは己の有用性を今後も俺に示し続けるがいい。そうである限り、俺はお前を重用しよう
 そして俺自身も、お前にとって投資する価値がある存在であり続けよう。お前の懐が潤う程度の破壊を撒き散らしてやる

【アインは敢えて互いの立ち位置を口にした。マシラの在り方にある程度の敬意を抱いた結果だった】

 さて、今宵はこれぐらいでいいか。何かあればまた伝える

【手短な言葉を残してアインが踵を返して暗がりへと進む。歩みは緩慢で、声をかければ彼は止まる】
871 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/12(木) 23:27:42.51 ID:X/1jFTqi0
【大きなショッピングモール、時刻は、日がとっぷりくれたばかりの頃】
【それなりに広く作れたはずの休憩所はひとでごった返していた、見れば、行き交う女性の手には洒落た紙袋、】
【どうやらチョコレートでも入っているらしいと知れるのは、時期柄と、特設コーナーから匂う、甘い香りのせい】

……もう、へびさま、重たいの苦手なら、もっと早く言えばいいのに。
それに、――疲れたのも早く言っていいんだよ、怒らないから……。

【室内の噴水広場、ハートのバルーンやプレートで飾られた空間、ピンク、赤、なんだか甘ったるく浮かれた空間】
【置かれたベンチに座るのは人影二つ、――その二人が人ごみにまぎれてしまわなかったのは、なんだか、】
【人間と違う気配がするから――なんて言ったら少し不思議だけど。軽く、違和感程度に、なにかがおかしい】

【真っ黒い髪を腰ほどまで伸ばした少女、少し長めの前髪を編みこんだ三つ編みで、流していて】
【黒赤色に色違いな瞳はどこか蛇の目めいて丸く釣って、真っ白な頬っぺたは、暑めの空調のせいか僅かに赤く】
【だいぶ膝の上で布地を終わらせる厚手のコート、後ろにバッスルをあしらったデザインのもの、襟元をぱたつかせれば】
【覗くのはシャツにコルセットにミニスカート、それから、足元はロングブーツで、疲れたようにぽんと足を投げ出し】

【話しかけているのはその横に座る男性、こちらは男だというに少女より長い色素のない髪と、血色の瞳と】
【なんとなく疲れたようにけだるそうな腕を袖に隠す、なんともシンプルな柄の着物は、時期的にいくらか涼しげにも見え】
【少女の高くて鈴に似た声はよく聞こえるけれど、男のほうの低い声はよく聞こえなかった。ただ、がやがやとする中に、】

――――あ、わたし、チョコレート見てくるね。お荷物見てて、――。

【ふらりと立ち上がる少女の髪の翻るのが見え。高いヒールの足音、こつこつと、広場に併設されたチョコレートの特設売り場へ向かう】

【――どちらかと言えば、男のほうが顕著だった。人間とは違う気配、少女のほうは巧妙に偽装してあったけれど、】
【ただなんとなく人ごみに疲れたようにため息を吐いたりするのは人間臭かったが。とにかく少女の居なくなったベンチは空いていて】
【人間に紛れるヒト以外に興味を持つのも、或いは歩いていった少女のほうを捕まえるのも容易く――、】
872 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/12(木) 23:30:59.05 ID:af9TslD/o
>>866

まあ…少なくともタクシードライバーに言うよりは意味がある…
…盗むのは、お手の物さ

【男は人並みに紛れると尚の事身長が目立つ。その余りある足を大股に歩く】
【しかし歩調はのんびりしたもので、結局は標準程度のスピードであった】

一番苦手なのは赤いドレス。…俺の周りじゃ赤いドレスの女は死神と一緒。
……けど、嫌いなワケじゃない。……むしろ

【彼はそこで話を一旦、途切れさせた。そしてまた不意に話し始めて】

…キスマークを残すのは趣味じゃないね
アンタだって背中に爪の跡を残すんだろ…カーミラ

【名前を一々、気にするような性分じゃない。こちらも適当にアダ名で返す】

【彼は少し…2,3ブロック程度歩いて、当り障りのない店に入る。パスタやピザなんかの店だ】
【高くもないがかと言って安すぎるわけでもない。ダサいわけでもないがベストなわけでもない】
【要はありふれた所だ。…本当なら安酒場に直行なのだけど、彼なりの気遣いと折り合いはこの辺だった】

【適当な席に座り、メニューも対して読まず、彼はビールとボロネーゼをオーダーする。無いわけ無いだろう】
873 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/12(木) 23:32:46.80 ID:UTSJH2K90
>>865

【青年より齎された宣告に、どこか挑発的な光が楽しげに榛色に宿る。直接に、かれに直ぐ様返答を紡ぐことはなく】

「だ、そうだけどそこの小さいの――――……どうする? 逃げ出す? ついでに死んでおく? あまり美味しそうにも見えないから、“意図的に” 喰べちゃうつもりはないんだけど」

【そして傍らの少年を振り返り、発言。巻き込まれようと気にもしないが、意図して彼を屠る事もない】
【此処で殺すことの意味の不在。あまりにも多くを殺戮してきたこの女にしては、あまりにも甘く、機能的ながらも人間じみた解であった】

【……その行動に、己が内にまた別の意味でも見出したのか。言ってくつと深まる叛逆者じみた微笑みもまた、敵対者には間違いなく邪悪なものであって】


【『三つの球体』、『容姿』、『機関―――特にRL≠ノ対しての敵愾心』。享楽的な意志に同居する“機関”の将が一角としての冷たい思考は、標的としての青年を即座に捉える】

【思い返す≪No.29≫が端末(ツール)よりの報告――――“機関”に共有された情報から浮かび上がるその実態は、血を忌み忌むがゆえに如何な罪をも赦さない粛清の徒】
【どこか得心のいった面持ちで当の彼を見遣るも、返される球形の暴威は死を望むもの。彼女を屠りより多くを、“悪”を戮すと、猛烈な意志がそう告げて】



「っく、くく―――――――……何処かの誰かを思い出すけど、同じ大言壮語にしても真逆だね。
 
 生憎私に相応しい終わりは、愉快なヤツを戮すことにしたその時から決めているんだ。

 だから、お前は届かない。
 だから、その命は何も創らない。
 ……覚えて殞になよ、“正義”の狂人。お前に、為せることなんて一つもない―――――。

 カノッサ機関Numbers.12、ダリア・レオンフィールド――――――――氷空綺藍=iアズライトヘイル)。
 敵意も憎悪も絶望も何も、一片たりとも残さず熄えて逝け――――――――――!」


【発動――――――殺意と歓喜に呼応して、炸裂する数多の球状爆発が、女の目の前から生じ青年へと延びる。都市を灼きビルを熄し大気を喰らい、あらゆる生命を滅殺する破滅の焔】

【火力特化型の異能なれど、直前に虚空に舞う蒼き煌めきは軌条の様に獄焔が翔けて無に帰す領域を示すだろう】
【回避ではなく、防御でもない破壊的牽制。突き進む鋼球の耐久力や性質を測りながら、青年をも狙うその一手であった】

【右に、左に躱すのか、或いは桁外れの耐久力と威力が連鎖する炎を小動ぎもせずに押し切るのか――――何れもあり得る択であればこそ、警戒と観測は恐ろしい密度で続けられて】
874 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/12(木) 23:34:28.66 ID:UTSJH2K90
/…脱字ッ…!

>>873
【火力特化型の異能なれど、直前に虚空に舞う蒼き煌めきは軌条の様に獄焔が翔けて無に帰す領域を示すだろう】



【火力特化型の異能なれど、直前に虚空に舞う蒼き煌めきは先行く軌条の様に獄焔が翔けて無に帰す領域を示すだろう】
875 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/12(木) 23:42:45.42 ID:6sCNboMD0
【場所は数十年前に朽ちた街――――所謂ゴーストタウンと呼ばれる其処】
【夜の国に存在する其処は今宵も厚い雲に覆われ、一筋の光が差し込む事も無く。正しく闇夜と呼ぶに相応しい一夜】
【…………其処に濃い瘴気が漂えば、異界の入口にも思えるか】

【街の中に踏み入れば一人の少女が路上に居る事が分かるだろう】
【金色の髪に、朱色の双眸。纏うのは紅いドレスだけれど――――その少女こそ、瘴気を発している張本人であり】
【悪魔だとか、魔族だとか。様々な呼ばれ方をするが決して“善”の存在で無い事だけは確かで】


「――――……あら、こんな所に誰か来るなんて珍しいわね?

引っ越して来た人かしら。それなら歓迎するわよ?迷い人かしら。それなら闇に誘われない様に気を付けなさい?
それとも悪魔払いかしら。それなら――――――」

【くすり、と悪戯気に見せた笑みは精々十代のそこら。然れどその気配は確かに本物だ】
【「――――それなら、直ぐに回れ右をした方が良いわよ」なんて言葉。どうにも芝居がかった言葉だけれど】
【何であれ、急に害を為してくる様な存在でも無いらしく。ならばその先は出会った者の反応によって話も変わるのだろうけれど――――】







【月光に照らされる森の中。其処に響くのは魔物達の咆哮】
【見遣れば其れは人と同じ形をしていて――――知識、或いは戦闘経験があるならば其れは曾て“人間”で在った存在だと知れるか】
【今となっては思考するだけの力も無く、満たされる事の無い空腹を満たそうと延々生物を殺めるのみ】
【そんな中、乾いた音が数回。どれもが見事に心臓、又は頭部を破壊して居り】


「死んだ後も良い様にコキ使われる何て大変だよねぇ……
――――ま、安心してよ。原因は突き止めてるしキミ達の遺体も手篤く埋葬するように指示してあるからさ」

【遅れて空から舞い降りたのは純白の翼を生やした一人の修道女】
【両手に持つ双銃がその職らしからぬ印象を与えるが――――……】
【無駄な弾痕を残す事無く一発で葬ったのは彼女の優しさか、一人その場で月を見上げ】

【――――場所が場所だ。そして今宵は月が明るい事もあり、見つける事は難しくも無く】
【“音”だって存外遠くまで響いたのだから場所を特定するのも難しくは無い】
【仮にその場を訪れて見れば、翼を生やしたその通りの女が一人月を見上げている姿が視界に入るのだけれど】
876 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage]:2015/02/12(木) 23:46:19.73 ID:a/aPlalyo
>>869
ふむ……やはり、マックスウッドさんの関係者か
あの方との会話なら、退屈はしないだろうな。彼の芸術には、門外漢の私でも唸らせられるものがある

ドラクレア島……マックスウッドさんの動向は、しばらく聞いていなかったが、今はそこにいるのか
相変わらず、精力的に動いておられるようで何よりだ……それで、貴方方に頼んだ、と

【靄から出でる姿、かつての自分をすら凌ぐだろう身長と奇怪なその出で立ち】
【そして、その手に握られた宝杖。見た瞬間、肉塊男に言い知れぬ怖気が走った】

――――ゼン=カイマ。よく知っているとも……いい思い出は全くないがね
100年前……それはまた何とも……今まで超常的な存在には何人か会ってきたが
古の大司教と会う日までが来るとは……何とも奇妙な縁に恵まれる

解放されたとは、封じられていたということか……あの宗教都市も、よくよく多くの因果をその歴史に抱えているらしい


【薄く呼吸器の奥で笑う異形。脳裏に浮かぶ今の大司教の姿は、すぐに現状の前に消える】
【戻した意識の前に、その歯列と。奇しくも己と似通った姿が晒される】

【異形。それを前にしても、盗賊どもは誰一人驚くどころか身じろぎもしなかった】
【慣れきっているといえば当然かもしれないが、それでもこの恐るべき古代の大司教を前に】
【一切、動揺を見せることなく、当然のように彼の言葉が真実だと受け入れる程度には、盗賊どもも肝が据わっているらしい】


……ああ、時間があれば聞いてみたくはあるが、残念なことに我々には時間の猶予があまりない
貴方が異教徒が嫌いという、その事実だけで十分だよアーグさん
手助けを乞うに、これほどの相手もそうはいまい……

お気に召すかはわからないが、貴方がいう異教徒は大勢死ぬ
手を貸してもらえるなら、私の想定の何倍もな

【100年の時を超える異形を前に、盗賊どももまた自分たちの邪悪を後退させようとはしなかった】
877 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/02/12(木) 23:48:30.00 ID:ZBYjIoV3o
>>870

ええ、ええ、勿論ですとも!
私としましてもアイン様とは"良い関係"を続けていきたいと望んでおりますから!

貴方様は、これからも心の赴くままに力を振るって下さいませ!
私はそれを可能な限り影からお支えしますので―――キキキッ!

【二人を結ぶものは情愛などとは程遠い利害関係】
【しかしながら、熱の篭らぬ関係であるからこそ互いに利が存在する限り"信用出来る"証左にもなるか】
【恐らくアインが望み、マシラに申し付けたならば】
【この猿顔は"金で用意できる範囲"の物であれば喜んで用意することだろう】
【そうすることで、互いに得をする結果になるのだからマシラに断る理由もない――】

はい、私はいつでもアイン様のお越しを心待ちにしていますよ!
では、お休みなさいませ……今宵も良い夢を見られる事を祈らせて頂きます――

【コールタールのように濁った眼でその背を見やりながら】
【先に見せたように大きく腰を曲げて紳士然とした姿勢で頭を下げて見送った】

【世を乱す"悪"の策謀】
【秩序を破壊し、混沌を目指す闇の毒牙は静かに……】
【平穏を過ごす民衆に気づかれることもなく、じわりと滲むようにして躙り寄ってきていた】

/お疲れ様でしたー!
878 :アイン ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/12(木) 23:49:38.82 ID:ZgLbisSGo
>>877
//お疲れ様でした!
879 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/12(木) 23:52:24.83 ID:rTL0sPwl0
>>873

「……ぐっ、ぅぅぅ……!」

【まともな返事を返さない。否――――まだ殴り飛ばされたダメージから立ち直り切っていないのだろう】
【ただ、この場に留まり続ければ死ぬ事になる。それだけは理解された様で】
【よろよろと蹴り飛ばされたナイフの所まで歩いて行くと、それを拾い上げて、同じくよろよろとよろめきながらその場を離れようとする】
【――――歩みは鈍いものだが、この場でこの少年が、これ以上の何らかの意味を成す事は、もうないだろう】

……≪No.12≫……また、大物が掛かったものだ……!
…………良いだろう。そこまで言うからには見せてもらうぞ……貴様の刃が、俺の身体に食い込むのか否か……ッ!
貴様らに出来る事は、罪を犯す事だけだ……そんな貴様らに、この命を砕く事が、出来るのか……ッ!?

【世を揺るがす悪の徒、その幹部である≪No.12≫――――ダリア。再び青年――――トライデントは、強大な敵と行き当たる事になった】
【だが、その事実が彼を尻込みさせたり躊躇させる事は無い。ただ、戮するべき1人とのみ、考える】
【――――それこそ己の生きる意味だと、既に定めているのだから】

ッッ!!
(爆発!? ……なるほど、分かりやすくも強力な異能を持っているらしい……!
 ならば……!)

【真っ向から浴びせられる爆炎。咄嗟にトライデントは、放った球体を上に――――右でも、左でもない――――逸らさせる】
【直撃のコースからは外れる事になるが、下手に煽られて軌道を狂わせ、命中せずに終わる様な事があっては、意味がない】
【誘導が効くのなら、この状況なら「急がば回れ」だ――――今は爆風の及ぶ範囲の外に球体を逃がして】

チッ……このッ!
(諸共薙ぎ払う心算だったか……手数が増え過ぎて、多少正確性は犠牲になるが……今は手を封じ込める事を選ぶ……ッ!)

【爆風はそれに留まらず、自分自身さえその射線に入れてくる。ある程度の距離があった為、トライデントはそれを左に回避するが】
【自ら、とは言え攻撃を逸らし、回避に専念するだけでは、押し込められる可能性もある――――トライデントは、そばの球体の1つから、紅い光弾をダリアへと発射する】
【それ自体は、然程の脅威となる攻撃ではない。本当に『牽制』の用として撃ち出された魔力弾だ】
【とは言え、それ自体はやはり直撃でもすれば軽視はできない。何より――――上方へと逸らした球体が、今度は頭上からダリアを襲う】
【――――同時に攻撃を展開すれば、どちらかへの対応はお粗末になるだろう。トライデントはそれを狙っていた】
【尤も、それは自分にも言える事――――やや複雑な動作の上に、回避の後ですぐさま取りかかったのは、容易な事ではない】
【集中を補助する為に、頭に左手を添えながらも、射撃と球体の間には、同時と言うのは苦しいタイムラグが生じていた】
【ここに付け入る隙がある――――トライデント自身も自覚しながらも、それでも敢行せざるを得なかった】
880 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/12(木) 23:55:15.19 ID:WkXLJX1DO
>>872

【女も、同性の中じゃそれなりに背が高い方だった。ピン・ヒールを履けば低身長の男は嫌がる】
【それでも少し首を傾けなければ、男の表情は読めなかった】
【きっとこれが違う男女であれば、似合いのダンスペアだったのだろう】
【けれど彼らはそんな洒落たモノじゃない。裏稼業の男と、娼婦の女。それだけだ】


あら……ブラム・ストーカーでありながらモーリス・ルブランなのね
ヴラドよりもラウール・ダンドレジーの方が相応しかったかしら?
あなたなら、世界中から赤いドレスを盗んで秘密の倉庫に閉じ込めてしまいそう


【ふふ、とまた女は笑った。軽口を言いあえる相手は、決して嫌いではない】
【カーミラ、と呼ばれたことにはどこか満足げだった。それは決して、間違ったアダ名ではなかったから】

【──店に入れば、女はルララ、と僅かに歌を口ずさむ】
【「bottle of white, bottle of red ──」 そう呟いて、女はロゼを頼んだ】
【食事はサラダでいいだろう。チキンののった、軽めのサラダ】


……ふふ、意外とこういうのは気にするのねヴラド
次にここに来るときは、赤いドレスを着てこようかしら


【そうして、席について落ち着けば意地悪そうにそう一言】
【相手の言っていたセリフは深入りしないタチだったが、それでも、気になる言葉くらいはある】
881 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/13(金) 00:08:14.54 ID:qvTGLqono
>>876

クッ…フフッ……!やはりな、物分りの良い男は好きだぞ?
 
 さて貴様が理解したとおり、私は異教徒の死を望む。
 故に貴様の今後の働きは、すなわち私の遙かなる想いに繋がるのだ
 ……分かるな?要するに貴様は殺せば良い。私は、その助力をする…――

【その事実があるだけだ、と言って口元の笑みを収めると】
【カッ、と巨大な宝杖で大地を突く。すると周囲に魔法陣が展開し】

私がする助力とは、すなわち貴様の傷を癒やし、身体能力を向上させる事。
 人間の働きを良くする最大の要因とは、すなわちその肉体の健康だ

 ……最も、貴様のその身体は既に我が道よりも先を往っている。
 望めば治すが、根治には長き時が必要となるだろう…――そこで、だ
 先ずは傷を塞ぐ。その上で一時的に肉体を高め、慣らすのが良かろう

 元の姿に戻るのであれば、それが第一段階として……
 あるいは異形を好むのであれば、喫緊の戦いにおける大きな有利となるであろうが?

【提案は簡単な――『お前を元の体に戻してやろう』という、明快なものであった】
【そこにはYESかNOの選択肢しか存在せず、かつ取引ですら無い】

【無償の助力。――まるで悪魔が耳元で囁くような、甘言の言ノ葉】
【考えてみれば、大司教だったというのだから回復の魔術はさぞ得意なのだろう】
【そして、この尊大さと混沌には力の裏打ちが有ることは、彼らにはよく分かるはずで】

【――それ故に、答えるかどうかだけが結果を左右する事となる】
【YESであれば魔法陣がカニバディールを包み込み、その傷を平癒させるだろう】
【NOであれば、或いは根治を望まぬのなら――残念そうに、異形の大司教は瞬きをするだろう】
【こういう手合の落胆とはかくも恐ろしいものか、と実感させるに十分な沈黙を伴って、だが――。】
882 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/13(金) 00:24:43.14 ID:AqNQCoBs0
>>879


「出来るか出来ないかじゃあない―――――私が望むから殺すんだ。
 それが罪だというのなら――――――この罪は、誰にくれてやるのでもない私のものだ……ッ!」

【罪を望む、己が意思は絶対だと告げてそう破顔。女帝の様に決然と、己が自由なる暴虐への確信を述べる】
【求める様に、呪縛を焼き払いそうある事を望む様に。今や何処かへと去った少年の、“可能性”とやらが僅かばかり興を惹いたのかもしれない。けれど―――それは、飽く迄自由を求めるその意志の一端であった】
【なればこそ、彼という“正義”を認めない。ここで、殺すともはや本能となった破壊的衝動が告げる】

【享楽と戦闘と“機関”としての役目、彼を屠るというひとつの強大な意志に埋もれた小さな感覚。それは、闘争の思考に刹那で上書きされて】

(……! 精度と反応には相当なものがあるな。ひとつ機能停止に追い込めればと思ったが、本体を叩く方が先決か――――)


「はッ……小細工がっ!
 こんな程度鎖如きで―――――――私を呪縛(しば)れると思い上がるんじゃないッ」

【掲げた左手を基点に結晶の如き氷の薄壁―――――光弾を凌ぐための、そして球体そのものを防ぐための強大な“氷壁”を展開する 】
【熱の残滓に晒されながら、僅かばかりも融けず、支えがなくとも揺れることすらないと言えばその異様な性質も窺えるか。二度の大きな衝撃を受け止め受け流しながら、右手は前へと伸ばされて】

【照準、そして彼の至近で蒼き煌めきが生じるとほぼ同時爆破。先程の爆炎を一箇所に収束したかの如き、凄まじい猛度の破壊現象が発生せんとした】

【視てから躱せるものでなく、けれど“氷壁”の展開と照準/視線が彼に注がれるその動きの分猶予が生じる 】
【最悪/最善/それはさながら均衡の崩壊の予兆か、者により意味を変える反撃(カウンター)の可能性が含まれる様でもあり―――――。】
883 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/13(金) 00:27:03.52 ID:UdQfj97/o
>>880

やめてくれ、気取ったヒゲと黒タバコは好みじゃない…
もっと言うならノベルスより銀幕のほうが良い
アル・パチーノやスティーブマックイーンの方が俺向きだ

【伯爵よりも紳士の方がまだ、近い。確かに間違ったあだ名じゃない】
【けれども彼は少し訂正する。小説は読まないってのもある。それに…】

【彼は注文したビールを飲み、また煙草に火を付け、そうしている間に運ばれてきた】
【パスタに過剰以上に異常な程、タバスコをかけた。そして、平然と食べる。リアクションは無い】

…これでも信心深い方だ。教会にも言ったことはないし、バイブルは持ったことも無いけどね
それに…悪いヤツのほうが繊細なんだ。何時の世も…悪魔と一緒だ

3つ揃ったら俺は、死んじまうよ。服装とと、シゴトと、場所…アンタが着たらリーチがかかる
体中に銃弾を撃ち込まれて死ぬなんて最悪だ…ジョン・デリンジャーの様な…

【こんなことを言ってもしかたがないと、愚痴るのはやめて目の前の食事に戻る。汗ひとつかかない】
884 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/13(金) 00:27:13.50 ID:AqNQCoBs0
/め、メモ帳からのコピペをミスッ…orz

【彼がその座標から動くなら、回避と行動は叶うのだろう。如何な意思が其処で生じるか】

…を、>>882の末に追加します
885 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/02/13(金) 00:30:14.61 ID:QetCzKZgo
>>881
マックスウッドさんの依頼がなくとも、利害は一致しているようで安心したよ

ああ、これ以上ないほどにわかりやすく、かつ私にとっても有益なことだ
殺すのは数少ない得意分野なのでね……100年の想いに少しでも繋がるなら光栄だ

【邪悪に彩られた会話、路地裏においては日常の光景。だが、その会話の当事者たちは、路地裏においても稀有な異形】
【今また、この場から更なる悪意が巣立とうとしている。その先ぶれが、この魔方陣なのだろう】


【そして――――その提案が成された時。異形どもに、一時の沈黙が降りた】
【先に述べるなら、アーグの方に落胆の沈黙が訪れることはないだろう。異形を率いる異形。この男にとって】
【ただ、その事実があまりにも容易く目の前に現れた、そのことに対する沈黙だった】

【肉塊男の姿に関して、この盗賊どもの身内においては半ばタブーとされていたことである】
【彼らなりに、様々な模索を繰り返してはいたものの、元の身体に戻るなど、到底望めそうにない】
【これから実行する予定の計画は、その望めないことを叶えることも目標の一つに入っていたほどだ】

【だが、ここに。確かな現実の姿を伴って。悪漢どもには似合わぬ言葉、希望というものが降臨した】

――――先も言った通り。この姿は、私が不覚を取ったことで受けた傷によるものだ
失くした両目、歪な形で補っている両耳と親指、この火傷、潰された半身、砕けかけたアバラ
この全てを感じ取るたびに、どれほど忌まわしい想いに襲われてきたことか……

答えは、YESだ。願ってもない。元の姿への第一段階として、頼みたい
異形の方は、私に限らずともすでに手元にいくらでもある。眼前の戦い以上に、私は最初の一歩が欲しい
時間がかかろうと構わない……この傷に別れを告げられるのなら

【あまりにも重苦しい声で、異形は答えを送り出した。今も己を内側から蝕む傷。この異形はその象徴であった】
【それを振り払える。期待を大きく超える助力であった。たとえ、悪魔に魂を売り払おうと――いや、すでにこの異形どもはすでに売ったも同然か】

ああ、ただ一つ……この額の目だけは残したい。これは気に入っているんだ
こう見えて、なかなかに便利でね

【最後に、思い出したように付け加える。盗賊らしい貪欲さを、隠そうともせずに】
886 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/13(金) 00:43:17.01 ID:HMDZeZNDO
>>883

【「あら、そう──?」 ふふ、と女は笑って……思わず、動きを止めた】
【今、何の話をしていたかなんてどうでもよくなった】
【銀幕だの小説より、目の前で彼がしていることの方がよっぽどフィクションだ】

【サラダが運ばれてくる。つい、必要以上に手元に引き寄せてしまう】
【……少なくとも、彼女はシーザードレッシングにタバスコをかける嗜好ではなかった】


……赤いモノは嫌いじゃなかったのかしら


【繊細だって?刺激物のカタマリをシャワーのようにパスタにかける男が、繊細?】
【悪い冗談だとばかりに、女は笑う。けれど、悪魔と一緒というのは同意できた】
【味覚に関しては、確かに彼は悪魔的だ。あんなものを食べればコキュートスが天国に感じるに違いない】

【──ようやく女が絞り出した一言が、それだった】
【タバスコの香りがここまで届いてきて、喉が渇いた。ロゼを、飲む】
【……普段は甘美に感じるロゼまでが、気のせいだろうか、酸味と辛味を帯びていると思った】

/ごめんなさい、そろそろ眠気がやって参りました
/このままご飯食べて別れたでもいいですし、お時間が許すようであれば凍結でも大丈夫です!
/ちなみに凍結であれば、明日の夜辺りから再開できるかと!
887 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/13(金) 00:49:05.26 ID:qvTGLqono
>>885

【カニバディールの答えを聞いて数秒後、アーグの唇はまさに裂けんばかりに広がった】
【都市伝説の口裂けか、或いは夢物語の怪物のようなその形相は】
【ただ純然たる狂喜が穴を開けているかのようで――直視にたえず】

よろしい……実によろしい。貴様は私の心を躍らせる……!
 必ず治してやろうではないか、私はゼン=カイマの大司教なのだ。
 
 今、あの街に居座る若造とは違う。不可能なことなど、神を殺める事のみよ
 ……眼を?左様、悪くなかろうな…――元より一つ目の私には
 元より二ツ目の良さなど知れぬ所だが……ククッ、分かったとも……。

【奇怪な笑みを浮かべたまま、その魔術は発動する。異形の混沌さに比類してか】
【その術の聖は極めて強く。先ずは全身の細かな傷を、全て順に癒してゆく】
【後にはただ、純粋な肌が残るのみ。傷など無かったかのような精度であった】

【そしてその治療範囲は、比較的軽度の傷である両耳と指にも及び】
【完全な形と、段階的に蘇る各部位の機能を取り戻させ――】

果てさて、次はどちらか……呼吸も脚も、共に無いと困るものよな。
 しかし過剰な治癒は破滅へ繋がる。癌と同じよ、再生は悪しきも蘇らせるのだ
 徐々に治す必要があるから、な……―どちらを選ぶかね、欲深き盗賊よ。

【次点の治療は、もっと大きな範囲であった。これもまた、選択肢】
【カニバディールが『此処を』と示せば、この大司教はその部位を治すであろう】

【足であれば、歩けるものを。半身であれば、治癒後には呼吸器など必要なくなる事だろう】
【無論、別の場所でも構わない筈だ――ただ、治る。全て元通りとは、まだいかないが】
【少なくとも形は取り戻せるであろう。宛ら、それは奇跡の一幕と言って差支えはなかった】

/治療の箇所に付いてはご自分で決めて貰って
/そのまま『治った』という描写までして頂いて大丈夫ですのでっ!
888 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga sage]:2015/02/13(金) 00:52:06.17 ID:Mc0h+t6T0
>>882

……ならば1人で抱えて死んで行け!
この世界に、貴様の様な存在の居場所など無いッ!!

【望む意志を貫く為の、力――――それを言うのなら、トライデントのそれも『そう』であろう】
【ただただ悪を屠る為――――その一言に、文字通りの『全て』を集約させてしまえるような】
【そんな生き方を、彼は貫こうとしているのだ。その為に、その意志を曲げる事を一瞬たりとも許さない】
【『自由』の上に『悪』が立ち得るのなら、その『自由』すら滅ぼしてやる――――それが、トライデントだった】

……ぐぅッ!!
(馬鹿な……あの防壁は、どうなっている!?
 光弾はともかく、『エターナルトライアングル』1体の直撃に、小揺るぎもしないなんて……!)

【「手数で以ってやり込める」。その目論見は脆くも崩れ去った】
【爆炎ただ一本槍の異能と、甘く見ていた訳ではない。だが、こうも攻防両立の立ち回りをされると言うのは、予想外だった】
【無論、苦しい攻め手が完璧に相手を捉える、などと言う楽観視をしていた心算も、また無いのだが】
【それでも、苦もなく――――と言った様子で防御を完遂されるのは、いささか不味い――――】

――――ッ!
(不味いッ! だが……これは、むしろ……?)

【防壁に気を取られた一瞬の思考の空白。そこに差し込む様に爆炎が足元から生じようとしている】
【回避する猶予は、既に逸した。だが、そのまま屈するか――――そんな選択を、トライデントが取るはずがない】
【咄嗟に側に控えさせていた最後の球体を操作し――――その瞬間、足元が爆裂した】

ぐああああッッ!! ――――っぁぁぁああああッッ!!
(この能力、恐らくは接近しなければ封じる事は出来ない! 近づけば、また何かの手がある可能性も大きいが、ジリ貧は避ける……!!)

【爆風に打ちのめされ、吹き飛ぶトライデント――――だが、その吹き飛ぶ方向が、真っすぐにダリアの方へと向かって】
【――――傍から見ても分かる、おかしな方向に捻じれた左足をそのままに、トライデントは跳躍する】
【その右手には――――魔力光をまるでスラスターの噴射の様に放射する球体が握り締められていた】

【――――爆発を逆用し、ダリアへと急速に接近する。その為に取ったトライデントの咄嗟の行動だった】
【目的は、「肉を切らせて骨を断つ」――――相手の能力によってペースを握られる前に、兎にも角にも有効打を打ち込む】
【その為に、トライデントは爆風と噴射を利用して、ダリアへと突撃を敢行したのだ】

――――喰らえぇぇぇぇッッ!!

【同時に、トライデントの握り締めた球体から、紅い光が突起状に突き出す。見るからに刺突を目的とした形状だ】
【――――突進の勢いそのままに、この魔力の光で出来た槍を、ダリアに突き立てようと言うのだろう】
【先ほどの防御を警戒し、それを超える可能性のある一撃を、打ち込みに掛かったのだ】
【――――爆発を逆用する、と言う奇策なら、そう簡単に対応はされまいと言う、トライデントの計算が、そこには挟まれていた】

/そろそろ移行のタイミングと思います……明日は返せるのが23時以降になりそうなので、置きレス移行かと思いますが、どうでしょう?
889 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(空) [saga]:2015/02/13(金) 00:55:36.38 ID:AqNQCoBs0
>>888
/了解ですっ、続きは置きレススレに返しておきますね。
/それでは、今夜はお疲れ様でしたっ。ありがとうございましたー!
890 :ヒライ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/13(金) 01:03:32.31 ID:UdQfj97/o
>>886

【彼は訝しげな視線に気がつくわけでもなく、ただそれをかっ食らう】
【途中でチーズとタバスコを更に追加して、またなんとも無く食べる】
【舌が崩壊しているとしか思えない行動だ。しかしビールを飲むなり】

…やっぱラガーは味がうすいな。硬水の方がやっぱり発酵は良い…

【なんて呟く。本当にわかっていってるのだろうか】

いや…?苦手で……かつ、愛してるさ。世界で一番

【そりゃあ愛してるだろう。そんなにかけるんだから。小瓶は目に見えて減っている】
【だが彼はやっぱりなんともなさそうだ。もしかしたら、あの目は唐辛子で染まっているのかもしれない】


/了解しました。あとちょっとという感じですが、明日の夜はイベントもあるので
/よろしければ置きスレにレスいただければと思いますが…よろしいでしょうか?
891 :ロゼッタ ◆my2He3rcPs [saga]:2015/02/13(金) 01:17:42.87 ID:HMDZeZNDO
>>890
/了解です!
/では明日時間が空き次第置きスレにお返事いたしますね
/それでは、今日のところはこれでっ。おやすみなさーい
892 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/02/13(金) 01:32:29.04 ID:QetCzKZgo
>>887
【根が臆病なところがあるのか、その凄まじい形相にピアス男だけは少しばかり表情に揺らぎを見せたが】
【ピアス男を含めて、全員がその深淵に通ずる入口のごとき凄まじい形相を前にして】
【目を逸らすことはしなかった。その向こう側を見通すには、あまりに器が足りなくはあったが】

疑ってなどいないさ。今まさに、この目で貴方の容易ならざることを見ているのだからな
ふ、ふ。二つ目もあれで悪くはなかったがね……いずれこの目も取り戻せれば、三つ目の楽しさも味わえる

【聖の術式。何とも皮肉なものだ。今、路地裏に無様を晒す原因となった決闘、その決着をつけたのも】
【自分の暗い過去を象徴する傷を癒しているのも、聖の力。己の半生に最も縁遠かったものの一つ】

【それが今、己の傷を消し去っていく。出来たばかりのアバラのヒビ。全身を蝕んでいた広範囲の火傷】
【火傷が治癒されていく過程では、一度あの鈴の音の少女が、己の右顔面を癒した、今は敵であろう少女が脳裏をよぎったが】
【むしろ、アーグという聖なる邪悪の手による、この奇跡が。あの正義の長たる女性を撃った己と、少女との決別の証になるかもしれないと】
【そう考えた後は、もはや迷いなど微塵もなかった】

【元の姿を取り戻していく肌。露出していた骨も戻り、わずかながら肉に覆われもしていた】
【そして、あの両耳と親指。これでもはや、あの火山での悪夢の残滓すら残らない】
【戻り行く、肉体の機能。あの日、利己から己が代わりの指を差し出した少女も、このような気分だったのだろうか】


【すでに、この時点でも通常ならありえないレベルの治癒が成された。背後に控える異形どもも、ついに驚きを隠しきれなくなりつつあった】
【だが、まだその先を。この大司教は平然とそう言ってのけるのだ。自分たちの領域など、軽く飛び超えて】
【それでいい。施されるものであろうと、己の利となるなら飛びつく】

……カヒュー……そうだろうな。己の限界はわきまえねばなるまい
再生のために朽ちるなど、本末転倒だ

――――呼吸がいい
私は、喰うことが好きなんだ。ああ、美食家ではない、むしろ悪食であるのだがね
敵の一人に喉を貫かれて、この有様となってから、己のこの口で飯を食っていないんだ

久々に、本来の食事を、呼吸をしたい……

【答えが提示される。古の大司教の力の前に、喉が差し出された】
【直後、そこを包む聖なる力。癒えていく傷。蘇る、あの懐かしの感覚。今も己の中でのたうつ魂たちを、飲み下してきたあの】

【喉には、皮膚が引きつったような、宿敵に銃弾で穿たれた傷跡がわずかに残りはしたが】
【確かに、あの感覚が戻ってきた。異形の、今は火傷のない右腕がゆっくりと掲げられて。呼吸器が、外された】

――――――――

【深く、深く息を吸った。吐いた。何度も、何度も】
【そのたびに、湧き上がってくる生命力。単眼に宿る生気。そして、邪悪な喜悦】

……素晴らしい。素晴らしい――――!!
大司教を前にして私のごとき悪党が言うには、不遜かもしれないが、言わずにはいられない
神に、感謝する、と……

アーグさん、これ以上ない助力だった。心より、御礼申し上げる
これで、また食らえる!! いくらでも!!
貴方の期待する通り……貴方の神の異教徒たちの命を捧げようじゃあないか……!!

【異形が天を仰いだ。周囲の配下たちも、自分たちの親玉の復活に喜を滲ませている】
【肉塊男、カニバディールの口が大きく大きく開かれ。ずらりと並んだ、獣のように尖った牙が覗き】
【勢いよく口が閉じられ、牙が打ち鳴らされる。路地裏に反響するその音は。更なる悲劇の足音でもあった】

/ありがとうございます、お言葉に甘えて呼吸と口の復活とさせていただきました!
893 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/13(金) 01:56:37.55 ID:qvTGLqono
>>892

【対面したばかりの男の肉体が、己が術によって癒やされてゆく】
【それを見るのもまた、アーグという化身にとっては愉悦であった】

ククッ……今、貴様は自身では決して叶わぬ"奇跡"に触れた……。
 神とはそういうものだ、カニバディールよ……見えぬのだ
 しかし確かに存在し、確かにお前を見守り、確かに助けて下さるのだ。

 いま、貴様の肉体を治癒させたのは私ではなく神であることを忘れるでない…。
 私は神の意志と、その力を媒介する道具に過ぎぬのだからな。フフッ……

 ……私もかつては奇形の落し子であった。動くことも、光も見えなんだ
 しかし、神の祝福が力を齎した……140年の時を生き抜く、紛れも無い力を……!

…――さて、使命もまた、私が言うまでもなく自覚できたな。
 神の使徒とはそうあるべきだ、お前は最も優れた信者と呼べるだろう
 十字架の首飾りも、気が触れるほどの祈りの時間も必要は無い……ッ!
 ただ心の中に、神は在るのだと確信することが要よ……この期待、裏切ってくれるなよ?

【今この場に蘇る、食人鬼の晴れ姿。それを見て、大司教は神とは何かを説いた】
【本ではない。教義ではない。物でも祈りでも無い――心、ただそれひとつであると。】

【たとえ盗賊でも、この大司教の宗教観からすれば全くの無問題であると言えた】
【むしろ奇跡を身に浴びた可愛らしい子羊にすら思えて、仕方がなく】
【天を仰ぐ彼に施しを与えるように、手で十字を切る。その手の先には、捻くれた爪が見え隠れし】

【それから、しばらくは今後の治療についてであった。定期的に――およそ一週間ごとに治療をすること】
【完治まではおよそ一ヶ月かかること。耳や指を始め、神経や機能が完全に備わるのは】
【おおよそ、桜が咲き誇る時期となること。語り口は優しく丁寧で、風貌とは実にかけ離れていて】

……さて、他に質問が在るのであればこの大司教が答えて進ぜよう
 その身にもう問題はない。私もまた、方々で異教徒を滅するつもりだが…。

【術式の終焉、カニバディールという一己の狂気の再来。それを十分に見届ければ】
【奇跡を説く大司教は、最後に質問はあるかと尋ねかけた】
【聞けばすぐに返事が在るだろう。なければ――また一週間ほどの別れとなるか】
894 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/02/13(金) 02:33:22.12 ID:QetCzKZgo
>>893
……まさしく。今まで見えることはなかったが、今ここに神は奇跡を示したもうた
ふ、ふ……この私が、神の奇跡に触れる、そんな日が来るとは……!!

肝に銘じておこう、アーグ大司教……
神に賜った、この肉体に誓って

奇形……貴方もそうだったのか。姿を見た時に、多少は感じ取ってはいたが
貴方自身も、神の御業か……140年という月日も、また

ああ、無論の事だ……私は実に幸運だよ
己の欲望と成すべき使命とが、こうまで見事に一致することになるとはな……

裏切らないとも。心の内に我らが神のいる限り……ふ、ふふ……!!

【教えを説かれる。異形の姿となって、この世界の泥濘の中に落ちてきて、まさかそのような経験をしようとは】
【無軌道に混沌を振りまいてきた異形どもは、ここに歪んだ道しるべを得た】
【その歪な心の中に降臨した神は、これまで以上に盗賊どもを一切の躊躇いなく、彼らの道へと邁進させるだろう】
【彼らと神を異にする者。すなわち、彼らの敵。そのすべてが、異教徒として認識される】

【今までと変わらず、それでありながらより過激に。盗賊どもはここにきて新たに強力な邪悪を得たのだ】
【アーグの捩れた爪が描く十字架が、異形にとってはこの上ない祝福となった】


【治療に関する説明には、無論熱心に耳を傾ける。定期的な治療。完治までの時間。元に戻るまでの期間】
【思っていたよりも短かかったそれに、ますます喜色満面に単眼を細める】

ふむ……ならば。貴方方がまた大きく動く時。その時を教えていただきたいな
貴方自身の異端殲滅行でも、マックスウッドさんが関わっているという件でも構わない

貴方方の戦場の末席に、我々も加えてもらえればこれほどの喜びはない

【大司教に提示された許可に、異形は質問を投げる。新たなる火種。その起こる時、場所。今わかっている範囲で】
【ここに新たに誕生した、狂える一信徒として、その場に馳せ参じたいがために。そして、渦巻く己の欲望を満たすために】
895 :アーグ&ブリッツ ◆SYLP4psCi. [sage saga]:2015/02/13(金) 02:53:51.96 ID:qvTGLqono
>>894

ク、クッ……神とは絶対の正義ではないのだ、カニバディールよ
 人は時として、正しき物の例えに神を用いるが……違う。

 そもそも、人の善悪など矮小なもの。天国も地獄も、私に言わせれば
 単なる選別のための場でしか無い……案ずるな、神は常に共に在る。
 そして胸を張って言ってやれ。『神は我らを祝福し給うた』……とな。

【誠に愉快、という様子だった。人の笑みがここまで奇怪な事もそうはあるまい】
【聖なる邪悪。大司教としての確かな力と、確固たる独自の宗教観】
【傲岸不遜で、固有の目線を持っていることはかのフレデリックと似ていたが】
【思考はより一層洗練されていた。老獪、とでも言おうか――齢に、恐らく嘘は無いのだろう】

【やがて一つの質問が帰ってくると、アーグは指を一本立ててみせた】
【あらわになるその手先。指は棒きれのように長く、爪は黒ずんで歪み、化け物のソレに相応しい――】

一週の後……おおよそ、そんなところよな。既に狙いは定めてあるのだ
 聖都スラウロット、彼処には異教徒が犇めいて暮らしておる。

 異教徒は、心を腐らせる病を孕んだネズミと同等よ。
 根こそぎ壊滅させねばなるまいて……用意もな、ほぼ終わっておる。
 このブリッツ同様の、我が魔力を分けた忠実かつ有能な部下が数名居るのでな

 ……大方、春になる頃にはスラウロットも水底であろうよ
 沈む都市からネズミが逃げれば、またそこを燃やすばかり……さて。

 カニバディールよ、貴様の欲望は実に素晴らしい物だ
 正義を騙る小僧小娘の偽りよりも、よほど人間らしいと言えるであろうな
 私は愛でるぞ、その欲を。気に入ったものへの助力は惜しまぬ……何時でも、呼べ。

【場所は聖都スラウロット。準備は整い、堰を切るのは一週間後であるという】
【急な話ではあった。しかし、その行動力と実力を示すには十分で】

【やがて話を終えると、大司教は連れの若者――ブリッツの頭に手を置いて】
【もう一方の手で宝杖を鳴らし、術式を展開した。僅かに空間が歪むのを挟むと】
【既にそこに、姿は無い。いつもは息苦しい路地裏の空気が、草原の風のごとく澄んで感じられた。】

/では、キリも良いのでここいらでっ!
/深夜までお付き合い頂きありがとうございました!お疲れ様でしたー!
896 :スクラップズ ◆EQBB9rCCt1P5 [sage saga]:2015/02/13(金) 03:18:19.74 ID:QetCzKZgo
>>895
……まったく、靄が晴れた気分だよ
これまでの全て、我々の汚れきった道ですら、神はそこにいたというのだから
ああ、声高に叫ぼう。我々は神の祝福を受けたと

【カニバディールの中の悪は、未だ変わりなくあった。この世全てを悪の上に成り立つものだと信じる、歪んだ価値観】
【生きることそのものの罪悪。それらは、変わることなく。そのまま、神の祝福を受けた】

【怪物は、より歪に。矮小と知りながら、人の善悪の中に生き、それでもなお神は己の中にいる】
【アーグが授けた教えは、ここに一人の盗賊をより邪悪な存在へと変貌させた。聖なる信仰をもってして】

【確立された視点、信仰に裏打ちされたアーグの、140年もの時を経て培ったもの、その一端が継承された。この世界にとっては、悲劇的なことに】


【立てられた指に、異形どもの視線が集中する。示される、新たな戦乱の兆し】

ほう……すでに、それほど間近に迫っているとは
スラウロット……行ったことはないが、知っている。そうか、次の戦場が聖都とは……ふ、ふふ

楽しみだ。貴方方が周到な準備を以って臨むというなら、哀れなネズミはただのたうつ他あるまい

……光栄だ。実に光栄だよ
ああ、また是非頼らせていただきたい。今宵、貴方方に会えてよかった

【空間を歪ませる直前、異形たちが一礼する。全ての言葉が交わし終えられ、今宵の悪夢は知られることなく一度の収束を見る】
【彼らの姿が完全に消えてしまえば、異形どもが顔を上げ。似つかわしくないほど澄んだ空気を再び吸い込んだ】


『……驚いたぜ。まさかお前が信心に目覚めることになるとはよぉ、カニバ』
「まったくだ……それも、このわずかの内に。のたうっていた先ほどまでからは考えられんな」
『いや、俺もちっとばかし信じてみる気になった。俺らの悪行も慈悲深き神様にとっちゃ、崇拝の一種だってんだからよ』
「気が合うな、弟よ。そうでなければ、このようなことがあるはずもないだろうからな……」

[ひ、ひひひ!! いやあ、素晴らしいもんを見れましたよおぉ!! こりゃ俺も今日から神の子ってやつになっちまいますかねえぇ!!]
か、か、神の加護を受けた、と、と、盗賊など、ほ、ほ、他にない……

ふ、はは……ああ、まったく、まったくだ……これだから、生きるのはやめられない
行こうじゃあないか、お前たち……我々の神と共に

【異形の盗賊どももまた、この場を去っていく。先ほどまでの醜態とは打って変わって、はっきりした足取りで】
【自分たちの悪に向かって。自分たちの神と共に】

/了解です、遅くまでのお付き合いありがとうございました!!
897 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 19:41:05.02 ID:QetCzKZgo
【昼の国。日の光が常に降り注ぐ大地。その輝きはこの世界のすべてを等しく照らし出す】
【しかし、眩いばかりの陽光は時に、影すらも濃く映し出すものとも成り得る】

【昼の国、地方都市ヴェンドゥラー。今や悪徳の街≠ニいう不名誉極まる照合を白日の下に晒し】
【ある意味ではその名にふさわしい、悪意に支配された異形の土地と化した場所】

【そこに巣食う悪意、盗賊団『スクラップズ』。この世に幾度も脅威をもたらしてきた巨悪たちに比べれば、小さな存在ではある】
【だが、この異形たちは粘着質なまでのしぶとさと、手段を選ばぬ悪意によって、ついにこの都市を陥落せしめた】
【あの悪夢の日より時は流れ、今なおその地は異形たちの巣窟であった】

【無論、自国の領土を侵食された昼の国が黙ってみているばかりだったわけではない】
【あらゆる手段を用いてヴェンドゥラーの状況を探り、都市を奪還する手段と機会を模索していた】
【この日、政府より派遣された諜報員より、ある情報がもたらされるまでは】

【ヴェンドゥラーの悪意の急激な活発化。市街地を絶えず行き来する機関兵。走り回る車両。都市内部や周辺を徘徊するクリーチャーたち】
【これまでは、隠れるように静かな活動を主としていた異形どもが、自分たちを覆う闇を自らかなぐり捨てたのだ】


【さらに、決定的な変化は都市の中央部にて起こった。全域が異形の巣窟となっているヴェンドゥラーの中でも、最たる有様であった中央部にて】
【中央部を昼の国の光すら届かぬ暗闇で覆っている存在。苦悶を浮かべた顔を無数にその表面に浮かべ、捻じ曲がった枝葉を空中に伸ばした巨大な異形】
【巨大樹『ラスター』。中央部の上空をほぼ覆い隠さんばかりに巨大なその樹木が、今】
【全体を淡く青い光に包まれ始めたというのだ。明らかな異変。都市の悪意が何をたくらんでいるのか、それはわからない】

【だが、それが更なる惨劇の先触れであることは、容易に見て取れるものだった。それほどまでに、その光は不吉を孕んでいた】
【事態を重く見た昼の国政府は、ついに決断を下した。国軍を動かし、ヴェンドゥラー奪還に向かわせること】
【そして、作戦の要となる異形の親玉の討伐のために有志を募ること――――】



――――以上が、現状で確認できるヴェンドゥラーの状況です

【声にも表情にも、あまりに重苦しい感情を湛えた男、国軍の司令官がそう言葉を締めくくった】
【ヴェンドゥラーに程近い場所に設置された国軍の野営地。有志たちが集められたのはそこだった】
【有志らには、今司令官自らの口から、今回の奪還作戦に至るまでの経過とヴェンドゥラーに駐留する敵戦力について簡潔な説明が成されたところだ】

【機関兵らとクリーチャー、そして主犯格『スクラップズ』。個々の練度においては、国軍には及ばないが数が多い】
【特に敵の主力たるおぞましき怪物たち、ヴェンドゥラー製クリーチャーたちは都市全体に配備されており】
【国軍はそのクリーチャーの掃討とヴェンドゥラーの東西南北の制圧に注力せざるを得ないことなど】

【その言葉を聞く者たちの中には、人間の青年の姿をした一体の人形の姿もある。人の魂を秘めた生き人形。UTメンバー、ギア・ボックス】
【少し長めの茶髪に丸い目に青い瞳、いつもの姿いつもの服装に身を包んだギアの細面は、司令官と同じほどに沈痛な面持ちだった】


そこで、このたび皆様に依頼したいことは一つ。ヴェンドゥラー中央部に巣食う敵の首魁――――
カノッサ機関No.29、カニバディールと、あの巨大樹とを討ち果たすことです

こちらでも魔力や不可思議なエネルギーを専門に研究している者を集めて検証を重ねた結果、あの巨大樹そのものが
都市全体に広がるほどに何か強力なエネルギーを発していることがわかっています。あの青い光はそのエネルギーの一端でしょう
つまりは、巨大樹と敵の首領、この二つさえ討つことが出来れば、敵の目論見に決定的な打撃を与えることが出来る。それが我々の考えです

最も重要で困難な任務を皆様にお任せすることになります……軍人としてはお恥ずかしい限りです
ですが、恥を忍んでお頼みします――――どうか、あの怪物をこの地より討ち払っていただきたい

【司令官が、有志たちに深々と頭を下げる。苦渋の表情を押し隠しながら】

/続きます
898 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 19:42:56.03 ID:QetCzKZgo
【司令官は軍の指揮のためにその場を去る。野営地全体が動き始める音が響き始める。軍が行動を開始したのだ】
【有志たちも、それぞれが動き出すことだろう。中央部を任された彼ら以外にも、野営地のあちこちにそれらしき者たちが見て取れる】

【軍とそれら有志が、ヴェンドゥラー中央部までの突破口を開き、最も実力あると見込まれた彼らがそこへ突入する】
【ただそれだけ、作戦とも呼べない単純な話。だが、彼らにとってはそれで十分なはずだ】
【あるいは享楽、あるいは信念、あるいは因縁、動機は多々あれど、彼らの今宵の目的はかの異形どものみであるのだから】


【それから数時間後。悪徳の街・ヴェンドゥラーに、戦乱の火が荒れ狂った】

第二分隊は右翼へ!! 第一分隊は俺と来い!! 囲みを突破する!!=@目標、左方向敵部隊!! 総員続けえええ!!!=@
グルルル……!! ゴガァァァ!!!=@怯むな!! もう少しで中央部への道を確保出来る!!
進め!! 進めええええええ!!

【軍人らの怒号、異形どもの咆哮、飛び交う銃弾、そして鮮血。この世に滲みだした悪夢の如き光景】
【それでも、彼らは悪夢の中を駆け抜けるのだろう。やがて、必死の奮戦の甲斐あり、道が開ける】
【中央部へ通じる道。累々と横たわる敵味方の屍で出来た道。その先に見える、天をも突かんばかりの巨大樹】

【そこへたどり着こうという直前、突如有志ら一行へと襲い掛かる影が二つ】
【黒いタンクトップに青みがかったニッカボッカ、溶接作業用マスクに黄色いヘルメットを身に着けた両腕が錆び色を含む巨大な義手になった男】
【右目に片眼鏡、シルクハットに燕尾服、鷲鼻に切れ長の青い瞳の小太りの中年男】
【建物の影から一行に打ちかかる彼らを、ギアが迎え撃った】

‘――――皆さんは、先に!!’

【短い一言と共に、戦闘が開始される。ギアが食い止めたことで、中央部への最後の妨害者たちは一行から離れ】
【一行は中央部へとたどり着くだろう。異形の住処の中心部、悪意の収束するその場所に】


【巨大樹『ラスター』はそこに我が物顔で鎮座していた。形容しがたい濁った色。樹皮に浮かぶ無数の生物の顔】
【捻じ曲がって奇形を晒す枝葉。そして何より、思わず見上げてしまうほどの巨大さ。それをすっぽり包む青い光】
【怪物としか形容しようのない。そんな存在であった。確かに、この場に集う戦士たちにしか相手取れないだろう】

【その場に根を張る故に、巨大樹は動かない。巨大樹の麓、その周辺にはまだ形を保った建造物が複数存在している】
【攻撃手段に利用することも出来るだろう。また、巨大樹自身の樹皮も、無数の顔や枝が突起物となっていて、よじ登ることも可能のはずだ】

【その異形の巨大樹の前に、立っている人影があった。三つ。いずれも、その身から尋常ならざる悪意を立ち昇らせている】
【向かって右側の一人は、筋肉質で体格のいい強面の男だ。スキンヘッドにサングラスという、いかにもチンピラのような容貌】
【白いスーツにワインレッドのシャツ、黒いネクタイを締めて黒い革靴を履いている。鉄のような無表情が一行に向けられている】

【向かって左側の一人は、軽薄さと幼稚さを兼ね備えたような幼い顔つきに濁った青い瞳をした、丸顔の男だ】
【赤いウエスタンチェックシャツ、青いジーパンにベージュのブーツを身に着け、整えられた短めの金髪をしている】
【にやにやと軽薄そうな笑いを浮かべながら、一行を舐めるように見ている】

【最後の一人。中央に立っている存在。国軍司令官から伝えられた特徴と一致する、ひときわ目立つ異形】
【それこそが、『ラスター』に並ぶもう一人のターゲット、カニバディールであった】

【人間の上半身をさらに半分にしたほどの大きさの肉塊のような姿。胸までほどしかない上半身に巻かれた黒い襤褸切れ】
【角ばった顔つきに短めの黒髪。左腕は付け根から消失し、右腕のみの隻腕。その場にいる一人、ミハエルなら奇妙に思っただろうか】
【かつて彼がつけた火傷は、ほとんど痕も残っていない。いったい、その身に何があったのか】

【胸部の下あたりからは肋骨の一部が覗いており、その後ろ側には赤い肉に包まれた脊椎が尻尾のように垂れ下がっている】
【下半身の代わりに、体内に繋がる形で甲殻類のそれに近い形状の太く長い足が四本】
【そして、一行を睨みつける黒い瞳の巨大な一つ目。面積を埋める形で額に埋まっていた】
【本来の眼窩には義眼を嵌め込んでおり、瞳の色は右が青、左が黒。無機質なそれらもまた、一行に向けられている】

/さらに続きます
899 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 19:44:37.53 ID:QetCzKZgo
――――ようこそ、諸君。我らが領地へ。心より歓迎しよう

【カニバディールが口を開く。悪意に彩られた、ざらついた声音が響き渡る】
【それに反応したかのように、『ラスター』がざわりと蠢いた。樹皮に浮かぶ顔が呻き声を上げ始める】

奇しくも今日は13日の金曜日。我らのごとき異形と、お前たちのごとき戦士との戦いには、ふさわしい日だ
そして、我々の……門出の日にもな

「……余計なおしゃべりはもうええやろが、カニバディール」
『クフヒヒヒ……始めよ、始めよ、始めようよおおおおおおお』

ああそうだな、レバーズ、スピードル。始めよう。我らと奴らの殺し合いだ
いつものように、始めよう――――

【カニバディールが右手を掲げると、『ラスター』の枝の一部が耳障りな音と共に伸びて】
【カニバディールを掴み、引き上げた。続いて、スキンヘッドの男・レバーズと、金髪の男・スピードルも】
【三人の身体が『ラスター』に引き寄せられ、グロテスクな樹皮に包み込まれ、『ラスター』の一部と化す】
【他の顔たちと同じように、『ラスター』から上半身のみを突き出しているような姿であった】

【戦闘準備が整った、ということだろう。『ラスター』そのものもまた、戦いの開始を告げるように無数の顔から咆哮を上げた】
【樹皮の防御に身を固め、一行より高い位置に陣取った三人。先手は、彼ら有志一行のものであろう】

【『ラスター』の巨体に遮られて、常に昼の国に降り注いでいるはずの太陽の光はなく、この場には薄暗い空間が広がっている】
【だが、見えぬほどではない。目を凝らせば、周囲の状況はわかるはず。今のところは、眼前の敵たち以外に気配はないようだ】

【周囲の建造物へ向かうか、麓へ直接向かうか、遠距離から攻撃を叩き込むか。取る行動は自由である】
【さあ、化け物退治の時間だ――――】

/舞台裏でも告知させていただいた通り、先に最初の投下文を書き込んでおきます
/開始時刻まで、もうしばらくお待ちください。ご質問などがございましたら、舞台裏かイベント運営スレにてお願いいたします
900 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/13(金) 20:43:25.65 ID:9r43MJNi0
>>899

{異形の者達がひしめき合うなかで戦場へと駆ける紫色の小さな影が一つ}

{その影は紫の腰まで届く髪に銀のメッシュ、そして鎖をあしらったヘットギア}

{光の無い深紅の大きな瞳、色白な肌、張り付けられた三日月の様な笑顔}

{ノースリーブのパーカー、切り刻まれた黒いタンクトップ、ベルト代わりの何重にも巻かれた黒光りする太い鎖}

{石畳を駆ける足には革のブーツ}

「UHYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」

{雄叫びとも奇声ともつかない声を上げ、今}

「さぁぁぁぁぁてぇぇ!!!お遊戯会の始まりだよぉぉぉぉ!!!!」

{螺旋を描いた螺子山の様な物が付いた氷柱を無数に異形の者達に放ちながら飛び込む様に今!}

{狂戦士、犬神・ディザスター・禍}

{不幸を振り撒き………
………絶望を撒き散らす!!!}
901 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/13(金) 20:49:18.08 ID:UdQfj97/o
>>899

【作戦開始前―ブリーフィングにて彼女はパイプ椅子に腰掛け、足と腕を組み聞き入っていた】

【傭兵として有志連合に参加した彼女の名はヴァローナ。本名では無いだろう。コールネームだ】
【背も高く体格は女性ながら恵まれていた。(女性としても相当恵まれた体型である)】
【髪は長い黒髪であるが、風に舞い、灯りに照らされるととても濃い紺であるとわかる】
【現代的な戦闘服にミリタリーブーツ。革のコート。肩にはとある部隊章が縫い付けられていた】
【青い羽根と【BBB】の文字。今となってはそれを知るものは少なく…今、過去を振り返る必要性はない】

【ブリーフィング中、作戦について質疑することもなく、皮肉の1つも発せずに席を立った】
【何か意見を求められたとしても、姿勢を崩すこと無くただ一言で切り捨てた】

どうせ、敵を殺すことには変わらんのだろ?ならどれも一緒の事だ―――


【―――作戦は開始され、中心部へと向かうごとに当たりは暗くなっていった】
【軍の支援を受けつつ、我々有志連合はヴェンドラー中心に突入することが成功した】
【依然、友軍部隊と敵は交戦状態にあるものの、我々散開し主目標へと直行した。手はず通りだ】

【廃墟や建物の間をぬって適当なビルの屋上へと彼女はやって来た】
【うつ伏せになり、大型の狙撃銃を構える。二脚を立て、スコープを覗きこむ。その銃は】
【使用者の魔力や能力を撃ち放つ。魔術の補助具のようなものだが、その威力は圧倒的だ】
【対物ライフル以上の見た目と威力を持つこれはオーダメイド。十分な魔力と技術、体力を必要とする】
【彼女の横には2m近い、黒い鋼の片刃の直剣もあった。狙撃で片付く仕事ではあるまい。相手が相手だ】

/まさかの続きます
902 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/13(金) 20:50:25.03 ID:UdQfj97/o
>>899 >>901

【メインターゲット、両方を狙える場所だ。ラスターはその巨大さ故、有効かどうか分かりかねる】
【カニバディールを狙うにしろ敵は3人。味方との連携も必要となってくる。…正直、面倒くさい】

…まあいい、焦るもんじゃないさ。…お帰り、私。

【今のうちに安い紙巻煙草に火をつける。最期の一服になるかもしれない。両切りの最悪の味。戦場の味だ】

【スコープを覗き、目標を据える。敵防衛陣と化すラスターの樹皮に狙いを定めた。枝葉も丸ごと撃ち抜いてやろう】
【なにか起こすなら急いだほうがよさそうだし、樹皮は邪魔だ。…それに、夜は嫌いだ】

【味方との連携がうまく取れない現状。後方からの支援に徹し、必要とあらば白兵し、刃を交える】
【むしろそちらの方が好みなんだが、功を急いで、死んでしまっては意味が無い。傭兵には勲章も死体袋も無いのだから】

【横にあるボルトを引く。扱い方は本物と一緒にしてもらった。すると、青白い光がチャンバーから漏れる】
【一々、隙間から光が漏れるのが難点だ。夜間では目立つ。気にせず、彼女は引き金に指をかけた】

さぁ、ご挨拶だ……ッッ!!

【ガチンッ!青白い光は彗星の如き青白い尾を引いて、目標へ。銃声はまるでSF映画のプラズマ銃のようだ】
【違うのはそれがめちゃくちゃ煩くて、眩しくて、反動がデカくて(まるでバズーカだ)現実だってこと】
【彼女はすぐにボルトを引き、充填させる。クールタイムが数秒あるのも難点だ。この派手さ、バレるのは時間の…!】
903 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/02/13(金) 20:56:49.40 ID:H97PRdaWo
>>897 >>898 >>899


――――了解だぜ、旦那。


【野営地の中央――――司令官の指示と沈痛な訴えを聞き終えた男は、ただそれだけの簡潔な返事を、静かに笑って告げた】
【筋肉質で背の高い体格に褐色肌、ボサボサで短い黒髪。少し睫毛の長いタレ気味の目に、鼻が高く彫りの深い顔立ち。砂と荒野の世界で生きてきた背中】
【銀色の双眸に焦りは見えず、いっそ暢気なほど。彼をよく見知った人間なら、それが周囲を不安にさせないための作った態度だとわかったろうけれど】
【黒いタンクトップの上に真っ白なジャケットを羽織り、ぶかぶかのズボンをポーチや無線のついたベルトで腰穿きして、首からはドッグタグを下げて】
【どこか無精で気だるそうな『普段の態度』を維持して、身の丈程もある重たそうな革製のケースを背負い直すと、立ち上がって振り返った】


聞いたとおりだ、野郎共!!
今回は別行動になるぜ! 手柄を取っちまって悪ィが、今回俺はそこの皆と一緒に最前線へ打って出る!!
アルフレド、隊の指揮は打ち合わせた通りだ! お前らは軍と協力して、あのバケモノどもを喰って喰って喰い散らかしまくれ!!

ここが誰の街≠ネのか、ここが誰の戦場≠ネのか。俺達で連中の歪んだドタマにきっちり叩き込んでやるんだ。
――――『砂漠の獅子』のプライドに賭けて! 俺たちで必ず、この場所(ナワバリ)を取り戻す!!


【そこで待機していた数十名の配下たちへ、アサド・アル=アーデルは獅子の咆哮じみた大音声を張り上げた】
【灼熱の砂漠を闊歩する王者の群れ。SCARLET麾下特務部隊『ヘイダル』の面々は呼応するように大声を上げると、素早く持ち場へ散っていく】
【指揮を任された副隊長へ軽く目配せだけすると、彼は指揮官へ「任せな」とだけ言い残すと、自らも任務の準備に取り掛かるだろう】
【同じく多くの者を率いる人間として、彼の気持ちは誰よりも理解できる。後に続く者たちを強く強く信じなければ、その無力感は消えてくれないのだ】
【街の人々の無念、街を守れなかった人々の無念。それらをすべて得物と一緒に背負い込んで、アサドは最前線へ向かっていく――――】


/すみません続きます……
904 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/02/13(金) 20:57:12.05 ID:H97PRdaWo

【――――そして数刻。誰かの血で出来た活路を、男は不敵に笑いながら、一度も振り返らずに突っ切った】
【最後の妨害者を食い止めた青年に「気ィつけろよ!」と大声を張り上げ、疾走し……やがて獅子は、獲物(あくい)の臭い≠嗅ぎつける】


……いつぞやはウチのもんが世話になったな、旦那。

No.29、カニバディール。それに、レバーズとスピードルっつったか? 俺たちが戦い続ける限り、お前らはどこにも門出なんざできやしねえよ。
お前らが行くのは真っ暗なブタ箱か、それとも地獄の煮え湯の中か、せいぜいそのどっちかだ。

まずはその悪趣味で迷惑極まりない観葉植物、悪ィけど撤去させてもらうぜ。
大人しく降伏するなら今のうちだ。気ィつけな、そっから降りてくる気がねェなら――――テメェらごとでも叩き折るッ!!


【新鮮な肉を目の前にした肉食動物そのものの顔で、アサドは今日一番の凄絶さで笑った】
【不気味な巨大樹――――『ラスター』と一体化した三人の異形を睨んで。笑顔の裏に怒りと悲しみの両方を詰め込んで、男は自らの得物を開放する】
【バレルの根元から吹いた蒸気が、己が臨戦態勢を告げる。黒色の特殊魔鋼をベースに要所を白い強化パーツで覆った円筒……】
【フレームの要所に橙色の魔翌力でエネルギーラインを滾らせた、魔弾砲『アルハーディ』。身の丈近くもある大砲≠フ銃口が、三人へ向けられて】

【引き金が、引かれる。側面部のモニターに≪B-Strike≫の文字が浮かぶと同時、橙色をした炎の魔弾が亜音速で射出される!】
【発射された弾丸自体は小さなもの。けれどそれは着弾した瞬間に猛烈な大爆発を巻き起こし、広範囲・大出力の砲撃≠ニ化すだろう――――!!】

【さすがに『ラスター』を一撃で叩き折るほどとまではいかずとも、対人攻撃としての威力の範疇はとっくに超えた一撃だ】
【狙い通りに当たれば、その莫大なダメージはカニバディールたち三人はおろかその周囲の幹にまで及ぶことだろう】
【加えて、その性質は炎。カニバディールたち三人はもちろん、樹に対して使うのであれば、これほど有効な属性は無いはずで】


俺は遠距離から支援に回る! 後ろは任せな!


【それが当たるにせよ当たらないにせよ、アサドは周囲の三人へ声を掛け、周りの建物のひとつへ駆け込んでいくだろう】
【『アルハーディ』は大出力な分重量があり、動きながら戦うには向かない。どうやら屋上に上がって狙撃に徹するつもりのようだ】


/アサドです、よろしくお願いします!
905 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/02/13(金) 21:23:12.27 ID:BlztNY/h0
>>897-899

【キャンプにて司令官の言葉を聞く有志達の面々、この任務、成功だろうが失敗だろうが後の運命を大きく動かすものになるはず】
【その中に一人。頭を下げた司令官に対してか、何かをぼそりと呟く男がいた】

…………恥なものか、この国、延いてはこの世界の脅威を排除することの…………

【男は黒のスラックスに白いシャツ、そして黒のライダースベストという服装】
【髪型は灰色の長髪を後頭部で纏め、ポニーテールに近い形にしていて】
【ギアならば誰だか知っている、そう、同じUNITED TRIGGERの仲間なのだから】
【聞けばリーダーは病院送りにされたという、ならばその借りは返してやらねばなるまい】


【そして時は流れ、悪徳という名となった街・ヴェンドゥラー】
【ブーツで踏みつける血は敵か味方か、いや、今はそんなことは気にしてはいられない】
【嫌でも視界に映るであろうあの邪悪な樹まで、ただひたすらに向かっていくだけだ】

……Good Luck……!お互いに無事で帰ろう…………!

【途中で別れることになるギアに一言だけそう伝えたなら、巨大樹(あの場所)まで全力で走った】


【……巨大樹、ラスターの近くまでどうにかたどり着けば その邪悪さがはっきりと分かる】
【そして…………目の前に見える人影、奴らを知っている】
【『スクラップズ』、三人の内一人はかつて討ち損じた頭領、カニバディール……!】

【とうとう、ようやく会えたな。ミハエルの目線が そう語っていた】
【見れば、かつての傷は消えているではないか、それは"奪って癒した"ものなのか】
【もしも そうだと考えたら、怒りが込み上げてくる。仕留め切れなかったからこうなったのだと、奴にも、自分に対しても】

…………すっかり、元気になったものだな、祝いにチェーンソーでもプレゼントしてやろうか……?
それにどうやらリーダーが世話になったようだ、きっちりと返してやる。
悪いが、門出など出来はしないさ。………………お前を殺すからな…………!

【ラスターと三人がまるで融合する、と同時にミハエルはその能力を発動させる】
【彼の隣に浮かぶ小さなスロットマシン、実体はないが確かにそこに現れる】
【スロットが回転し、カシャと止まれば「1」の数字を示す】
【すると彼の手に持たれているのは大鉈。ぎゅっと確かめるように握って】

【そして駆け出す、先ずは近くの建物に駆け込み屋上へと向かって】
【屋上へと出れたのならそこからカニバディールを狙って跳ぶ!接近して一気に殺す気の一撃をその鉈で放つだろう】
906 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 21:42:53.81 ID:QetCzKZgo
>>900
【真っ先に突っ込んできたその影に、まずは異形どもが目を向ける】
【次の瞬間には、狂気じみた彼の笑みをバックに無数の氷柱。自分たちと同じく、異形の氷柱】

【回転しながら飛び来るそれらを、『ラスター』の枝が蠢き、迎撃する】
【いくつかを叩き落とし、しかしいくつかは異形の身へと突き立っていく】
【樹皮に、本人の身体に。ドス黒い樹液と異形どもの鮮血が垂れ堕ちてコントラストを描き出す】

……ずいぶんと元気なのが来たものだな。こういう手合いを相手取るのは久々だ
お遊戯会とは余裕じゃあないか? はしゃぎすぎて大怪我をしても知らないぞ……

【受けた傷を樹皮で覆いつつ、異形たちは彼を睨む。垂れた血を振り払いながら】


>>901>>902
【続いて飛んできたのは、犬神とは正反対と言えよう静かな――――それでいて、同じくらい派手な一撃だった】
【魔力を湛えた一弾は、異形どもすら撃ち抜く強力な一発となって空を切り】

グオオオオオオオオオオオ……!!!

【見事に『ラスター』の醜悪な樹皮に穴を開けた。吹き飛ぶ樹液、迸る『ラスター』の苦鳴】

【三人が幹の揺れに伴って揺さぶられ、それぞれの悪態をつく】
【だが、強力ゆえにその光は、異形の捕捉するところとなった。カニバディールの単眼が、彼女のいる廃ビルの方を向く】
【孤高の女性の放つ光。眩い、ゆえにこの暗い魔都ではよく目立つ】

……素敵なご挨拶をありがとう。こちらからも返礼をせねばな

【カニバディールが手を掲げる。すると、彼女が開けた穴の中で何かが蠢きだすのが見えただろうか――――】


>>903
【司令官は、彼の言葉に深く頭を下げた。ふがいないが、今出来るのはそれだけだ】
【共に戦ってくれる『ヘイダル』の面々にも頭を下げ、彼は彼の戦場へ赴く】

【かけられる言葉に、ギアは同じくらいの大声で返事を返し。彼もまた彼の戦場へ。自分の父親との死闘へと身を投じ】
【獅子が、怪物の前に立ちはだかった】

……アサド・アル=アーデル。SCARLET麾下特務部隊『ヘイダル』の隊長
こちらこそ、そちらのアルフレドにはずいぶんこっぴどくやられたよ……彼奴は元気にしているかね?
あれから、お前たちはずいぶんと愉快なことになっていたようじゃあないか……

冤罪に始まり、テロに巻き込まれ、果ては仲間の裏切りとはな……
そんな状況で、我々のごとき小物まで相手取らずともよかろうに

「ハッ、言ってくれるのおクソ餓鬼が……吐いた唾飲むなや、おい」
『クヒヒヒヒヒ、いやいやこの場所がすでに地獄の釜の底じゃな〜い?』

なるほど、連中のリーダーにふさわしい威勢の良さだな……
だが、言うとやるとは大違いだぞ

【不敵に笑う彼に、その裏に怒りも悲しみの押し隠す彼に、異形はどこまでも醜悪に笑う】
【だが、その笑いを先に剥がされたのは異形どもの方だった】
【向けられた得物、解き放たれた一発、彼の副官アルフレドを彷彿とさせる魔弾】
【されど、彼のそれとはまた性質の違う、業火に身を焦がすがごとき一発――――】

【着弾。炸裂。亜音速の速さで放たれたそれを、元より動けぬ巨大樹は受けるしかなく】
【三人の悪漢は、樹皮の上をすべるように移動して範囲外にギリギリ逃れる。しかし、身に浴びる熱風を避けきれず】
【火傷を負った三人の唸りを、『ラスター』の絶叫が上回った。開幕の砲撃は、ラスターの樹皮を削り取り、焼き滅ぼした】

【先のヴァローナの狙撃と併せて、『ラスター』は開幕から大きな傷を負った。しかし、その巨躯にはまだまだ悪意が満ちている――――】

/続きます
907 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 21:44:47.52 ID:QetCzKZgo
>>905
【司令官は彼の呟きに目を向け。駆ける言葉が見つからないまま、やはり頭を下げた】
【ギアも、彼のほうに一度目を向けるが。これから向かうは戦場。無粋な言葉は不要だった】

【別れ際、ミハエルからかけられる言葉に、ギアも大きく返答した。生きて帰ろう、と】

【向けられる彼からの視線に、カニバディールは醜悪な笑顔を顔いっぱいに浮かべた】
【己を焼いた男、宿敵の一人。どうして忘れられようか。目線で語るのは、彼ばかりではない】

それはありがたい、チェーンソーもこれから必要になる道具だからな
……ああ、その通りだ。セリーナのやつは、その後どうしている? またよろしく伝えておいてくれ
ふ、ふ。無理だな。生き残るのは私だよ

【異形が笑う。あの日も見たスロットを見て、ますます深く。現れた鉈が、戦闘の火ぶたを切って落とす】
【屋上には問題なく出られるだろう。跳躍もまた、成功する。続く斬撃は――――膨れ上がった樹皮が迎え撃った】

【樹皮が斬られ、樹液が飛び散る。枝の一本が落とされるが、カニバディール自身は無傷だ】
【至近距離からカニバディールは、変わらぬ笑みを彼に浴びせるだろう】


>>ALL
【改めて、その場の全員を睥睨し、カニバディールが動き出す】

ふむ……まずは彼奴等に任せてみるか

【一つ呟くと、カニバディールが『ラスター』の樹皮の中に手を突っ込み、何かを取り出した】
【一枚の金貨であった。それを親指の上にのせ、コイントスの容量で放る。放物線を描いて落下した金貨が、地面に跳ね返って固い音を立てた。次の瞬間】

オオオオオオオオオオ……カネ……カネカネエエエエェェェ!!
モット……モットヨコセエエエェェェ……カネエエエエエェェェェ……!!!

【『ラスター』の麓の辺りから、何かが湧き出してきた。見た目は人。だがその身は死人のように朽ちた色をしている】
【腰布一枚の姿、晒された腹は不気味に膨れ上がり、それでいて伸ばされた四肢は枯れ枝のように細い。その目だけが貪欲な光を湛えて、落ちた金貨に先を争って群がった】

元ヴェンドゥラーの住人達を使って生み出したクリーチャーたちだ。その有様になってもなお、金品が大好きでね
……お前たち、金が欲しくばそいつらから奪え

【カニバディールの声を受けて、クリーチャーたちが一斉に前を向く。その目が、>>900の犬神と建物の中に入った>>904のアサドを捉える】
【直後、枯れた腕を伸ばしてクリーチャーたちが走り出した。その様は、さながら映画やゲームに登場するゾンビの群れだ】
【犬神に向かうものらはそのまま直進し、アサドを追うものらは建物の中に駆け込んでいく】
【接近に成功すれば、繰り出すのは単純な掴みかかり、ひっかき、パンチ。数は多いが、攻撃はその程度だ。冷静に対処すれば、問題はないだろう】


「舐めた真似しくさりよって……」

【どろりとした声音で、レバーズが言った。その手をゆっくりと空中に伸ばす】
【その動きに連動して、樹皮が盛り上がり、人の腕のような形をとった】

【視線が向くのは、>>905のミハエル。鉈の斬撃を放った後の彼を睨み】
【樹で出来た腕が振るわれ、彼を殴り飛ばそうとするだろう。大型ゆえに攻撃範囲は広いが、大振りだ。見切ることは不可能ではないはず】

『クフヒヒ、大変大変だあああ!!』

【スピードルもまた樹皮を操り、アサドとヴァローナに開けられた『ラスター』の穴を塞ぎ始める。一体化している者たちは、『ラスター』を好きに操作出来るらしい】

>>902のヴァローナには、カニバディールが指を差して見せる。すると、先の穴の中で蠢いていた物が、彼女の方へと飛び出すだろう】
【無数の触手に覆われた、球体状の怪物だった。触手から汚らわしい体液を流しながら、彼女のいる廃ビル屋上へと飛んでいく】

性犯罪者たちを素材にして作ったクリーチャーなのだが、作ってから一度も女を与えずにこき使っていたせいですっかり凶暴化してね
すまないが、お前が相手をしてやってくれ
ギキィイイイイイイ!!!!!

【汚らわしい獣欲を湛えた咆哮を共に、触手玉のクリーチャーが彼女に迫る】
【中距離にまで接近すれば、触手を伸ばして彼女を絡め取ろうとするだろう】

/いきなりお待たせしました……
908 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/13(金) 22:10:00.81 ID:9r43MJNi0
>>906-907

「大怪我ぁ?あははははは!!!でっかいブロッコリー見たいなのに言われるまでもないんだけどなぁぁぁ」

{背中に携えた戟と言う長い槍と鎌を合わせたような武器を握る}

{それと共に轟く轟音!巨大な幹に風穴が空き、それが癒着しながら辛うじて人に見えなくもないナニカが溢れてくる}

「えへへ、演出ご苦労様ぁぁぁぁぁ」

{戟を振り回しながらクリーチャーの群れに飛び込む男の娘}

「これもまた一興、でも僕の足を止めさせるのは無理だよ!」

「無理、無理、無理、無理、無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!よ」

{遠心力とてこの原理、この二つで操る戟の様な中距離武器は巧く扱えば生半可な鎧やなまくら刀等は容易く粉砕できる}

{更に先頭のクリーチャーを串刺しにして凍らせ、戟で粉々に粉砕しながら後方のクリーチャーに向けて打ち出す}

{その戟の鋒は異形の者の頭部をもぎ取り、長い柄は奇妙な腕を受け、石突きは体を押し倒し、更には犬神の拳足が飛ぶ、攻撃は既に反射の域に迄達している}

{ある者は首を食いちぎられ、あるものは戟やドリルの様な氷柱に全身を串刺しにされ、あるものは戟により滅多刺しにされる、虐殺}

{まさにそれ以外に表現の仕様の無い程の動き、戟の先端で石畳に落ちた金貨を弾くとその口で捉える}

「ほーれ、とっておいでー♪」

{あろうことかその金貨を巨大樹へと戟で弾く}
909 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/13(金) 22:19:02.64 ID:UdQfj97/o
>>907

【彼女はその着弾を確認し。その威力と有効性を分析する。やれなくは無い】
【ただ向こうの修復とこちらの攻撃スピードでは向こうが優位にある。やはり連携だ】

…ハハッ、やはりバレたか

【彼女は立ち上がる。だから一発で片付けたかったんだが世の中そうも行かない】
【狙撃銃は冷却中でまだ使えない。―汚しい怪物がやって来るのが見える】
【彼女はギリギリまで、引きつける。彼女は武器を構える。狙撃銃でも無く、剣もとらない】
【懐から水平二連、銃身を詰めて携帯しやすくした散弾銃を抜く。…ダムッ!ダムッ!!】
【散弾は散り、その触手全てをはじけ飛ばすような勢いで撃ち鳴らした】

…汚物を切って、剣が汚れたらどうする

【散弾銃を投げ捨てて、狙撃銃を蹴り上げる。両手でキャッチした頃には充填完了だ】
【くわえタバコを吐き捨てて、踵でそれをもみ消す】

醜悪な姿でどうもありがとう。年端もいかぬ少年兵を殺す時のような呵責にとらわれずに済む

【彼女はトリガーを引いた。またあの青白い閃光が暗い空を駆け抜けた】
910 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 22:29:59.40 ID:QetCzKZgo
>>908
ふ、ふふふ、ブロッコリーとは言ってくれるな……洒落のセンスはなかなかのようじゃあないか?
ほう面白い武器を持ってるな……私にくれないか

【変わらずに哄笑をあげる犬神に、カニバディールは含み笑いで返す】
【整った容貌に似合わぬ苛烈な連撃、クリーチャーたちはひとたまりもなく潰されていく】

あの数のクリーチャーどもを演出呼ばわりか……言うだけの実力はあるらしいな
(氷の能力……いや、あの武器の効果か? いずれにせよ、あれを食らうのは避けたいな)

おっと……

【カニバディールの思考に割り込む金貨。巨大樹の幹へ向かって飛ぶそれを、クリーチャーたちが目で追い】
【己の欲にかられた生き残りのクリーチャーたちが自分の方へと向かってくる】

……不良品どもが

【冷たい声と共に、カニバディールが樹皮から何かを引きずり出す。それは、戦斧であった】
【黒と金がベースカラーの大きさ1m半以上にもなる、長大なバトルアックス】
【柄の部分のカートリッジには、白いマギタイトが光を放っている】

【右腕でカニバディールがバトルアックスを横殴りに振るうと、迫っていたクリーチャーたちがあっさりと薙ぎ払われた】
【と、同時にその刃から光が放たれた。横に伸びた、光の刃。バトルアックスの持つ効力】
【カートリッジに組み込まれた魔力物質のエネルギーを、攻撃に付与する力だ】

【まともに浴びれば、火傷を刻まれるだろう光の刃が、犬神へと飛んでいく――――】


>>909
【異形となってもなお衰えぬ性欲に突き動かされ、触手玉は命知らずに突っ込んでいく】
【だが、やはり無謀な行為でしかなかった。ヴァローナの散弾銃をまともに浴びて、触手がちぎれ飛んでいく】

【悲鳴を上げるクリーチャーに、ダメ押しの一発が放たれた】

ギキャアアアアアアアアアア!!!=@グゴオオオオオオオオオ……!!
『あああああ!! ちょっとちょっと、治してる最中になにすんだよー!!!』

【狙撃銃の追撃の一発が触手玉を消し飛ばし、再び『ラスター』に穴を開ける】
【スピードルが不平を叫びながら、彼女を睨んだ。樹皮の上を移動し、さらに高い位置へと陣取る】

『いつまでもそんなとこにいないで、降りておいでよ、おねえさーん!!』

【伸ばされたスピードルの手から、無数の何かが飛んだ。先の狙撃で削られた、樹皮の破片】
【先端を尖らされたそれらが、先の散弾の意趣返しとばかりに、ヴァローナのいる廃ビルの屋上全域へと降り注がんと迫る】

【一発一発に威力は低いが、まともに浴びれば傷をいくつも重ねられることになるだろう】
911 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/02/13(金) 22:32:39.13 ID:H97PRdaWo
>>906 >>907


…………ハッ、余計なお世話だぜ。
確かによぉ、世の中思い通りにならんことばっかりだ。あいつも俺もずいぶん苦労させられてる。

だが――――俺たちの仕事は、秩序を守ることだ。
何もかもうまくいかねぇクソみたいな世の中だとしても、だからこそ、俺たちは守り続けなきゃならねぇ。
小物だろうが大物だろうが、誰かの生活を……誰かの家族≠脅かすような輩は、地の果てまでも追い回して喰い千切ってやる。

それに、俺たちが変わっちまったら……出て行っちまった奴だって、戻って来づらいだろうしな。

【吐き捨てるように吼えて、アサドは走り続ける。カニバディールへの返答には違いないけれど、どこか自分に言い聞かせるような響きもあって】
【かつてカニバディールと戦ったアルフレドも、正義よりも家族を選択したミドナとも……ただ単に「上司と部下」の関係とは言えない】
【裏切ってしまった仲間はもちろん。心から信頼する副官とアサドの信念だって、重なり合うところは多くとも完全に同一ではない】

【分かり合いたいのに分かり合えない。そのままならない世界を、もっとままならなくしている存在が、今目の前にいる――――】
【部下の前で情けない背中は見せられない。その一心でいくら笑っても、アサドとて不安や恐怖と無縁なわけではないけれど、】
【――――それでも、やるべきことはやる。そんな揺るがない覚悟を持ち続けるからこそ、分かり合えない誰かとも共に戦えるのだと、彼は思うから】


………チッ…………!
金の亡者ってか――――おいおいあんたら!! 大の大人が、人間やめてまでカッコ悪ぃマネしてんじゃねぇよ、ッと!!


【元ヴェンドゥラーの住人≠ニいう言葉に舌打ちしつつ、建物内のアサドは後ろを付いてくる亡者どもに振り返る】
【迫り来る金の亡者。……思えば自分の一番嫌いな人種。それでも、こんな姿にされていい道理があるわけがない。その考えは変わらなかった】
【巨大な銃砲を抱えながらだというのに敏捷な動きで、アサドは一気に階段を駆け上がって屋上に転がり込み、銃口を扉に向けて】
【無論すぐにゾンビたちが溢れかえって来るが――――アサドは冷静にグリップを引いてコッキングを行うと、橙色の砲弾が撃ち放つ!】

【先ほどの≪B-Strike≫ほどの超威力ではない普通の砲撃だが、屋上に続く扉がひとつだけである以上、ゾンビはそこへ殺到せざるを得ないはず】
【もし狙い通り着弾したなら、扉付近が崩落して入り口が塞がれ、ゾンビの進入を防ぐことができるだろう】
【それだけでなく、砲撃自体の爆風に加え、崩落した瓦礫がゾンビたちを襲う。これは防御と攻撃を兼ねた一撃だ】


野郎、自己再生も出来るってか………!
だったら――――こいつを喰らってみなッ!!


【目論見が成功してゾンビたちを少しでも足止めできたなら、アサドは屋上の縁へ駆け寄り、射撃体制に移るだろう】
【穴を開けた側から塞がれていたのではキリがない。狙うは自分と、もうひとりの狙撃手が空けた大穴。そして補修作業に取りかかったスピードルだ】
【側面のモニターに≪B-Splash≫の文字が浮かび上がり――――爆音と共に砲撃。今度は水色の弾丸が亜音速で射出される!】

【アサドの魔力の資質は熱≠ノ偏っている。撃ち放ったのは先ほどとは裏腹の、低温……すなわち、氷の弾丸だ】
【≪B-Splash≫は≪B-Strike≫よりやや低い威力と同等の広範囲を持つ砲撃だが、爆風が広がった範囲を一気に氷結≠ウせる特性を持つ】
【もし直撃した場合、砲撃自体の爆風によってさらに穴を広げつつ、その傷口を氷が覆い尽くすことによって修復を妨害できるはずだ……!】
912 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/02/13(金) 22:33:22.84 ID:BlztNY/h0
>>906-907

………………ッ!ちぃ…………っ………………!

【浅い、少なくとも異形の怪物には届かない、今はこの武器ではきっと駄目だ】
【あれを倒すにはもっと確実に強力な攻撃を与えなくてはならないだろう】
【アサドの持っているような貫通力の高い武器ならば……、しかしそれが出せるかは運次第】

相変わらずに使えない能力だ……!これでは………………ッ……!

【自らの能力に対してクレームを言う間もなく、敵からの攻撃が迫ってくる】
【咄嗟に大鉈を盾の代わりとして突き出す、そして、がいんという重い音が響いた】

…………っうあ………………!……くそ………………ッ!

【大鉈で受けるも樹の腕が放つ想像以上のパワーに押され、吹き飛ばされる】
【そして吹き飛ばされた先、建物のベランダの柵に強く叩きつけられた。柵が凹んでいる、背中に受けたダメージはきっと少なくはないだろう】
【落ちないよう片手でそこに掴まりつつ、ラスターを見る、樹がオートで攻撃するのではなく奴らが自分達の意思で動かすのだ】

【下を確認すればうじゃうじゃと人間、いや、人間だったものが群れて他のメンバーを襲っている】
【あれを解き放つ為にも、ラスターを破壊し、カニバディールを討たなければならない】
【ミハエルのスロットは、また回転を始めた】

【示した数字は「3」、現れるのは切り詰められた形のショットガン】
【二つの銃口を持つそれは残念ながら今ははずれだ、吹き飛ばすだけでは本体まで届かない】
【だがそれでも使わなくてはならない、醜くも賢しいカニバディールならば気付くかも知れない】
【一度出た武器は何らかの形で使わないと次のスロットを回すことが出来ないという欠点に】
【つまりある程度の予測が出来てしまうのだ、敵に能力を知られるというのは戦いにおいて不利となるのだ】

【だがミハエルはその事も当然承知している、その上で戦うのだ】
【もう一度、ラスターに向かって跳躍する、今度はラスターを中心に横に跳んで】
【通り過ぎる時にショットガンをぶっ放す、それだけならばきっと同じように防がれてしまう】
【だからその直後、もうひとつの攻撃をするのだ、仮に防がれたなら散弾の作った穴に向けて】
【以前カニバディールに火傷を負わせた手投げの焼夷弾、樹ならば炎はどうなのか、と】
913 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/13(金) 22:46:13.42 ID:UdQfj97/o
>>910 >>911

…アイツから、殺してやるか


【呟き。誰にも聞こえないが、フフンと笑って、宣言してやる。真上から破片が飛んできても余裕の笑みだ】
【勿論、可及的速やかに、行動せねばなるまい。あの唐変木をやるプランB。今考える。彼女は銃と剣を手に取り】
【数十メートルある高さへ、大きく蹴りだした。宙へ出た瞬間。彼女は落下せず、むしろもっと高く舞い上がった】


【『戦場の青い鳥』―――なんて随分前は呼ばれて、今はどっかの紛争地帯の伝説になっているらしい。】
【彼女の居た傭兵集団はいつしか『青い鳥旅団』などと呼ばれて、最終的には自らもそう名乗ることにした】
【しかし、今彼女の羽は青ではなく、黒く汚れ。大鷲のようであった両翼も片方しか無かった。今は飛ぶことは】
【少しの距離を滑空する程度しかできなくなっていた。それでも『片翼の堕天使』なんてまた伝説を作っている】
【だが当の本人はそんなアダ名は趣味じゃなかった。あまりに美化されすぎていて気恥ずかしい。自ら名乗るのは】
【もってのほかだ。だから、彼女はこの黒い羽を見て簡単に『カラス(ворона)』と名乗った。鳥は嫌いじゃない】


【カラスは空を舞い、攻撃を避ける。この国には相応しくない底知れぬ闇夜は彼女の姿を晦ます暗幕にはちょうど良かった】
【彼女はある場所まで飛んだ。有志チームの1人、アサド・アル=アーデルが居るビルの屋上へだ】
【彼女は彼の姿とその戦術を見、彼との共同作戦を申し入れるために、羽根を翻し、屋上へと降り立った】
【きっと敵かと思うことだろう。それかカラスか、鷲か、堕天使か悪魔か。全身の黒は迷彩に適している。彼女は挨拶もなしに】

―――旦那、ちょっとした作戦だ。私は前へ出る。3人まとめて叩き斬ってやる。…判断は任せるが、あの唐変木は急いだ方が良さそうだ
そもそも何か仕組んでいるからこの作戦は行われたんだ。…それと、私が敵とワルツを踊るには少し彼処は手狭でな
その大砲でホールを用意して貰えると助かる。…好機があれば、撃ってくれよ…私ごとな。

【彼女は平時のように少し笑ってみせた。相手と、自分を騙すための簡単な笑みは、何の意味もない】
【彼女は狙撃銃を置いて、2m近い黒い鋼の片刃の直剣を右手で握る。―――何処かで炸裂音が響いた。死んだのは敵だろうか】

それ…アンタなら使えるだろう。大砲より威力はないが、精度と初速は負けてないはずだ
…さて、まあその前に、あれがどれだけ硬いのか見てくるとしよう。

【彼女はそう言って、軽く助走をとり、またビルから飛び降りる。羽根を一度はためかせ、ビルの間を滑空する】
【距離を詰める、速度をあげる。剣を横に構える。瓦礫も破壊し、ビルの壁も切り裂いていく。突撃!突撃!突撃!】


ハァァァアアアアアアアッッッッ!!!


【目標はさっきのクソ野郎。スピードルだ。気色の悪いもの押し付けやがって。大木ごと真っ二つにしてやる】
【彼女は急加速からの急減速をしつつ、剣を振り上げる。突き刺してやる。上空から、彼女は突撃した!!】
914 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 22:55:03.36 ID:QetCzKZgo
>>911
ふ、ふふ、秩序、秩序か……
時に人を守る盾にも、蝕む敵にもなり得るものだ、それは……

だが、それを守るというお前の一念は確かなものなのだろう
厄介だ、お前のような敵は……ここで消えてもらいたいものだよ……

ふ……その上、まだ裏切り者の帰還を信じているとはな

【吠えるアサドに、静かに呟くように返すカニバディール。だが、その言葉は彼自身にも向いたもの】
【己を鼓舞し、仲間と共にそれでも戦場をかけ続ける。正義。またも立ち塞がるのか】
【心中に湧きおこる苦々しい感情を押し隠して、カニバディールは更なる攻撃の準備を始める】

オオオオオオオオオオ!!!=@ホシイホシイホシイイイイイイイイ!!!

【悪徳の街を形成してきた、救えぬ者共の成れの果て。アサドの言葉にも、返ってくるのは欲望の叫びのみ】
【しかし、彼らが異形と化したことすら、信念と正義を以ってあってはならぬことと断じるアサド】
【それほどの強固な思いを秘めた彼に、クリーチャー風情が追いつけるはずもなく】
【その策から逃れられる術も、当然なかった】

アアアアアアアアアアアアア!!!!

【考えもなしに屋上へ続く唯一の扉へと押し寄せたゾンビたちは、アサドの砲弾に吹き飛ばされ】
【さらに落ちてくる建物の残骸に飲み込まれていく。ビルの中へとゾンビたちが転落していき、終われば屋上にたどり着いた者は一体もいなかった】

『あいたあ!! まあた銃撃かあ、この狙撃パーティーさんたちめえ!!』
『でも残念、いくらでも治して……? うわわわわ!! ちょっとちょっと何いいいぃぃ!?』

【アサドが続けて巨大樹に見舞った砲撃は、見事にヴァローナが空けた穴をさらに広げた】
【爆風に煽られて叫ぶスピードルもろとも、傷口が凍り付いていく。樹皮が動きを止め、ダメージの回復を妨げる――――】

『ちくしょー、やったなあ!! 落っこちろ落っこちろ、バーカ!!』

【子供のような悪態をつきながら、スピードルが左手を突き出し、親指を下に向けた】
【すると、はるか頭上、『ラスター』の枝葉から何かが落ちてきた】
【それは、果実だった。あまりに巨大で醜悪な果実。人の顔が浮かび上がった、『ラスター』の果実だ】

【スピードルによって落とされたそれは、アサドへ向かって落下していく。果実に浮かんだ顔が、大きく口を開く】
【果実が人に食らいつこうとする、冗談のようなあべこべの光景。引力に従い高速で襲い来る】
【この果実を退ければ、アサドにヴァローナの言葉と反撃の好機が同時に訪れることになるだろう】
915 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/13(金) 23:02:41.91 ID:9r43MJNi0
>>901

【巨大樹へ向かったクリーチャー達が文字通り一瞬で殺害されるのを見ながらせせらわらう】

「えー駄目だよー!
あ、でもまた殺して奪えばいいのかな?」

【カニバディールのバトルアックスから放たれる一閃!それを眼前にしながらも未だに笑みを絶やすことは無い】

【いや、寧ろいっそう狂笑を濃くしながらその場で跳びはねてから手足を折り畳み体の表面を氷で覆うのと斧の攻撃が当たる瞬間が殆ど一致した】

「ぐあ“ぁ“」

【近くの廃墟の壁に思いきり叩きつけられるも先程宙に浮いていたためある程度のダメージを緩和させることに成功する】

「ゲホゲホっ、…………やっと………………やっとだよ…………………………………………………………………………………………………………ヤットタノシクナッテキタ」

【土煙の中から先端に楔の付いた氷でできている太い有棘鉄線が巨大樹に向かって打ち出される】

「これカラがタたかイッてことカナ?」

【体の至るとこれに出来た火傷と裂傷、その全てを自分の能力で凍らせて止血しているその姿は】

【まるで全身にルビーをあしらった様にすら見えた】
916 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 23:16:14.43 ID:QetCzKZgo
>>912
【鉈にぶつかる固い感触が、『ラスター』を通じてレバーズに伝わってくる】
【吹き飛ぶミハエルの行方をサングラスの奥の目で追いながら、レバーズが更なる追撃を放とうとする】

【柵が歪むほどの衝撃、ミハエルの受けたダメージは小さくあるまい。そこに追撃を打ち込めば……】
【しかし、その前に彼のスロットが、そして彼自身が動いた。現れる奇怪な形の銃】

【カニバディールも、レバーズと同じように視界の端でそれを捉えた】

(わざわざ鉈を振るってからあの武器に持ち替えた……前の戦いのときといい)
(ランダムに出した武器を、一度は使わねば入れ替えられないといったところか?)

【その枷が、この戦いにおいてどう影響するのか。その答えは、ミハエルが握っているのだろう】

【ミハエルが飛ぶ。その直後、レバーズの放った樹の拳が彼がいたベランダを砕いた】

「チィッ、ちょこまかと……!!」

【彼が発砲した銃撃が、カニバディールを襲う。再び、樹皮がそれを防ぐ】
【だが、それに隠して放たれたもう一つ。あの日の悪夢を喚起するそれを見て、カニバディールが顔を歪めた】

アアアアアアアアアア!!!=@「んなっ……!! このガキャアァ!!!」
嫌なことを思い出させてくれたな、ミハエル……!!

【レバーズが叫ぶ、『ラスター』が叫ぶ。炎にまかれて、『ラスター』が揺れる】
【レバーズが樹皮の一部を切り離して、それ以上火勢が広がるのを防ぐ】
【同時に、カニバディールが身体から肉触手を伸ばして樹皮から大型拳銃を取り出した】

【反撃の一発。轟音と共に銃弾がミハエルに放たれる。狙うは右肩】
【単純な銃撃、何の効力もないが狙いは正確だ】
917 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 23:32:10.24 ID:QetCzKZgo
>>913
【更なる高みへと舞い上がっていく彼女を見上げて、スピードルが口を開ける】
【あのでかい銃と剣を抱えて、あれほどの跳躍。流石の狂人どもも、超人的と見ざるを得ない】

【汚された翼持つ天使。異形の街に降臨するには、むしろ自然だろうか】
【いや、彼女は――――異形どもの肉を啄むカラスか】

【スピードルの攻撃範囲の広さに任せた無差別な攻撃は、彼女をまるで捉えられない】
【『ラスター』が作り出した闇は、仇となっていた。アサドのいる屋上に降り立つ姿も昏くなれど美しく】

『こんのお、この期に及んで呑気に仲間とお話なんてぇ……!!』

【幼稚なスピードルに、その笑みの深さはわからない。ただ、その巨大なまでの剣が、彼女と共に闇に溶ける光景を】
【そして、彼女が上空から落ちてくる光景を見た。邪魔する全てを叩き切って、こちらに向かって突撃してくる――――】

『うわわ、ちょっとちょっと、まだ氷が……!!』

【襲い来る黒い鋼に、先のアサドの攻撃で固まった樹皮とスピードルは対処し切れず】
【巨木の幹が、バターのように切り裂かれる。樹皮が蠢き、硬度をましてわずかにその刃を食い止めにかかるも】
【その切っ先は、ついにスピードルにまで達した】

『あぐ……!! い、痛いぃ……!!』

【口から血泡を吹き、スピードルが呻いた。脇腹の辺りを貫かれて、樹皮が鮮血に染まり、黒い樹液と混ざり合う】
【裏返りかけたスピードルの眼が、されどまだ意識を保ってヴァローナを睨んだ】

【その右手から先端の尖った木の枝が飛び出した。それを、眼前の彼女へと突き出そうとする】
【単純な刺突、なれど至近距離。まともに食らえば貫かれるだろう】

【攻撃の成否に関わらず、この一撃を最後にスピードルの身体はだらりと垂れさがる】
【カラスの刃が、敵の一人を行動不能に追い込んだ。残るは二人、そして異形の巨木――――】
918 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/02/13(金) 23:33:23.13 ID:H97PRdaWo
>>913

【――――ヒュゥ、とアサドは思わず口笛を吹いた。空から舞い降りてくる黒羽の女。天使なんだか悪魔なんだか一瞬迷ったけれど】
【その手にある狙撃銃と野営地での記憶から即座にもう一人の狙撃手≠セと判断し、『アルハーディ』を構えたまま彼女を迎えるだろう】


ハハッ、こりゃあずいぶん粋な登場じゃねえか姉ちゃん。知ってるかもしんねぇが俺はアサドだ、あんたは?
……あいよー、了解。自分じゃ小物なんて言ってやがったが、特に主犯のカニバディールはヤバイ輩だ。
小粋なダンス場ぐらいならいくらでも作ってやれるが、さすがに翼は作れねぇからな。うまいことこう、華麗に宙を舞ってくれよ?

そっちはコイツと同じ魔弾銃か――――なるほど、使えそうだ。
んじゃ、後でな。ついでに他の連中にもよろしく言っといてくれ――――!!


【軽口を交えつつ、アサドは手短に要求を聞き届けると女を送り出す。置き去りにされた狙撃銃を見やるとにやりと笑い、自分の戦場に戻る――――】


>>914 >>ALL

【アサドはただ、黙ってカニバディールを睨むのみ。そこがどんな戦場でも変わらない、いつも通りの笑顔を浮かべて】
【酸いも甘いも正義も悪もすべてまとめて叩き込んで咀嚼し嚥下した、そんな笑顔――――】


(この分なら上手いこと使い分けりゃあ、攻撃も支援も手が足りなくなるってこたぁなさそうだな……ッ!?)


【主戦力としては炎が有効。だがその後のフォローとして氷も有効。狙い通りの戦果を確認し、アサドは再び砲身を構えるも】
【ついカニバディールたちに目が行ってしまうが、少し考えれば自明。天を覆い尽くすこの膨大な闇すべてが自分の敵なのだと、彼は改めて自覚した】
【おぞましい人面果実が落下し、咄嗟に飛びのいたアサドの肩を歯が掠める。やや不意を突かれたせいで完全には回避できなかったが、】


確かに、狙撃手は近づいて殴るのがセオリーではあるがな……!
あいにくとこいつは、ただ狙撃するだけのシロモンじゃねぇぜぇッ!!


【怪我を負いつつも、アサドは素早い手つきでカートリッジ機能を兼ねているサイドグリップを換装していた】
【底の部分に≪B≫と刻印されたものから≪L≫と刻印されたものへ。ガキン、と重たい音を立ててコッキングが行われて】
【――――あろうことか、アサドは銃撃の間合いを捨てて突進した。巨大なストック部分をガギリと変形させ、砲撃銃は直線のフォルムへ】

【そして、引き金が引かれれば――――バーナーの噴射音を数十倍に増幅したような爆音と共に、バレルの先端から爆炎が噴き出す!】
【側面のモニタには≪L-Ignition≫の文字。今の『アルハーディ』はもはや銃ではなく、巨大な炎の槍≠ニ評したほうが正しい――――】

【ごぅっ、という鈍重な音を引き連れ、槍となった銃は果実へ横薙ぎに振り抜かれる。この重たい銃を実際に槍として扱えてしまう膂力も脅威的だ】
【灼熱の爆風が絶え間なく噴出する炎の穂先≠フ威力は、それこそ相性の良い植物が相手ならば、触れただけで呆気なく溶断してしまうだろう!】


っしゃぁ!!
前線に出てる奴ら! 俺が支援してやっから気張れよぉッ!!


【その一撃で果実を行動不能に出来たならば、アサドは再びカートリッジを換装するだろう。今度は≪I≫の刻印だ】
【モニタに≪I-embrace≫の文字が浮かび上がり、目視不可能なほどの弾速を持つ水色の弾丸が五発、連続で発射される】
【『ラスター』が回避するようなことがなければ、それは『ラスター』の各所に散らばって着弾。それ自体には一切ダメージは無いのだが、】
【その位置には刺々しい氷の柱≠ェ根付く。もちろん氷である以上滑落には気をつけねばならないが、足場に使うには十分な大きさと強度がある】

【支援砲撃を終えたアサドは『アルハーディ』と一緒に狙撃銃を手元に引き寄せ、またカートリッジを換装。次の攻撃に備えるだろう――――】
919 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/13(金) 23:45:42.80 ID:QetCzKZgo
>>915
それは残念だ……なら仕方ない。お前を殺して奪うとしよう
それなら、お前に奪い返される心配もなくなる

【同じく邪悪な笑みで返しながら。攻撃の成果を見守る。身体に出現する氷、やはりあれは自前の能力らしいと結論付ける】
【苦鳴と共に壁に叩きつけられる犬神。されどその苦痛すら、彼には楽しみのスパイスでしかないらしい】

ふ、ふふ……我々に負けず劣らずの狂いぶりだな……

【笑う犬神、笑うカニバディール。笑顔をかわし、血にまみれる異形たち】
【そこに添えられる犬神の反撃。氷で出来た有刺鉄線というトリッキーな武器が巨大樹を襲う】
【棘に樹皮が削られ、楔に抉られ、『ラスター』が更なるダメージを浴びていく】

【カニバディールはそれを横目に、またも触手を使って樹皮から何かを取り出した。それは一冊の本であった】
【血のような赤い表紙に、黒い文字が何かの魔方陣のような形をとって描かれており。その中央には眼球が嵌っていた】
【それ自体が怪物であるかのような、なんとも不気味な本。この場においては、むしろ馴染んでいるともいえるか】

【触手の上に載せた本をカニバディールが開く。その中から、黒い液体が噴き出してきた】

ある金持ちがコレクションしていたものを奪って手に入れた代物だ……
持ち主の持つ性質や魔力を反映してくれる、なかなかに愉快な道具だよ

【カニバディールの性質、貪欲なまでの食欲が液体という形で本からもたらされた】
【液体が、犬神へと向かっていく。スライムのような、粘性を持った液体らしい】
【そのまま、傷の手当をする彼に、纏わりつき食らいつこうとしてくるだろう】
920 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/02/13(金) 23:58:07.93 ID:BlztNY/h0
>>916

【危ないところだ、あの樹から繰り出される一撃はまともに当たれば即座に戦闘不能にされてしまうだろう】
【もしも反応が遅れてしまえば、まるでゴキブリが潰されるのと同じような事となるはず】
【そうならない為にも慎重に、だが倒すためにも大胆に、それを心がけなければきっと勝てない】


(…………よし……、確かな手応えだ。これならば勝機はある……!)
(どうやら普通の木と性質は同じようだ……、このまま押せばどうにかなるはず……)

…………それは悪いな、だがこれから向かうことになる煉獄の焔に比べればさぞ温いだろうな。
それにもうとっくにガキじゃない、舐めてかからないことだなッ…………!
(そうだ、このまま順調に攻めれば………………っ……そうきたか……!)

【ラスターの異形共に向けて挑発をかます、ダメージは上々、まだぼやけてはいるが勝機も見えた】
【次も樹からの攻撃と践んでいたミハエルだが、今度はカニバディール自らの銃による射撃】
【その狙いは確かだった、ミハエルの右肩を弾が掻き分けて貫く】
【此方のダメージもまたなかなかのものだ、彼の白いシャツの肩を真っ赤に染めていくのを見れば誰から見ても明らかだ】

……くぅ……っ…………!流石に黙ってやられているだけではないな…………
…………だがそれは、俺も同じこと!

【再びスロットが回転、止まったのは「5」、カニバディールならば一度見て知っている】
【それはファンタジーの挿絵の死神が持つような大鎌、切れ味は刃を見れば分かること】
【跳んだ先の壁を蹴って、ラスターへと再度接近を試みる】
【ミハエルとしては出来るだけ高度を保ちたいのだろう、落ちれば距離から考えても不利になりやすい】
【今度の武器は貫通力を持っている、横一文字に出される斬撃は樹皮で止めてもかまいたちのように飛ぶ斬撃となって襲いかかる】
921 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/14(土) 00:00:10.73 ID:7SNQUWcF0
>>919

「あはははは、違いないねおにぃちゃん♪
スラムじゃそれが唯一のルールだもんねっ!」

【魔導本から溢れる不定形のスライムたちを見つめる】

「へぇー、良いねそれ!高く売れそうだね!」

「でもね……」

「それより早く動けるなら恐れるにたりないんだよっ!」

【地面を強く踏みしめると同時にスケートリンクの様にツルツルのフィールドが出来上がる】

【スライム達にはその表面の水分が凍り付く程の冷気を浴びせると共に男の娘は瓦礫や建物、果てにはクリーチャーの死骸に氷の鎖を巻き付ける事により遠心力で加速を付けてほぼ一直線にカニバディールにとびかかろうとする】
922 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 00:12:17.17 ID:NjnR6cL5o
>>918
【彼もまた、己とは対極ながらあらゆることをそのうちに飲み込んできた男】
【その笑顔。何と忌々しい。それでもカニバディールも笑う。獰猛な悪意を湛えて】

【アサドの立て続けの攻撃の前に、『ラスター』が受けたダメージは甚大だ】
【その意趣返しにするにしては、果実では力不足であったらしい。歯は肩を掠めるに留まり】
【巨大な闇すら討ち払う正義の信念が、更なる強大な地あkらとなって発露する】

炎の槍……なるほど、アルフレドのそれもずいぶんと面白い代物ではあったが
お前の得物も相当だな……!! それも欲しい、私にくれ―――――!!!

【アサドの意志を反映して劇的な変貌を遂げる『アルハーディ』に、カニバディールが単眼を見開く】
【あまりに巨大な炎の一閃は、人面果実をあっさりと断末魔すら上げさせずに焼き尽した】
【溶け崩れた果実の残骸が飛び散り、アサドの更なる攻撃の道が開く】

次から次へと……!! 『ヘイダル』というのは、曲芸師の集まりか何かか……!!?

【放たれた氷の群れ。今宵の戦場は炎と氷がよく飛び交う】
【どちらも、この巨大樹を確実に蝕んでいく。揺れ動く幹が、怪しく呻きだす】

【動かぬ『ラスター』の幹に、次々と氷柱が突き立っていく。幹に根付いたそれらは、神秘的なホールを現出させた】
【幹に出現した無数の足場は、次なる攻撃を強く手助けするだろう】

(あの銃……これ以上、やらせるものか……!!)

【カニバディールが、アサドに対する警戒を最大に引き上げ、最大級の攻撃を差し向ける】
【地面が揺れ、太い何かが無数に飛び出す。根だ。『ラスター』の根の一部】
【地下にまで達していたそれらが地表に現れ、地面を這ってアサドが立つ建物へと向かっていく】

【対処がなければ、それらが建物に取り付き、土台から建物を突き崩してアサドを瓦礫の中へと飲み込ませようとするだろう】
【それだけでなく、根の一部はアサド自身にも迫り来ていた。鞭のように振るわれ、空気を裂きながら】
【二段構えの攻撃に、アサドはどう対処するか――――】
923 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/14(土) 00:19:41.73 ID:33UfTzNoo
>>918

ああ、有志チームの名前は知っている。……作戦は生憎、聞き逃してしまったがな
コールネームはヴァローナと登録してあるが…まあ、好きに呼べ。カラスでも悪魔でも
…昔のようには踊れないが、ま…やってみるさ

【そう言って彼女は飛び立った。昔のようには踊れない。片翼の今は飛び続けることは出来ない】
【魔術も使えたが、今は安定しない。嗚呼いいった装備がなければ使えなくなってしまった】
【それでも彼女は戦場に居る。翼を失っても魔術を失っても。剣を取り銃を取る。ただそれだけのこと】

>>917

【片翼であっても彼女は巧く飛んでみせた。細かな制動や速度はできなくなったもののビルの高さが】
【あればこれぐらいの距離の滑空は可能。加速が十分なら上昇も可能。直線の突撃は勿論可能】
【舞い上がり、落下エネルギーと加速を攻撃に用いる。さながら、それは急降下爆撃だ。羽根の風切り音は】
【闇夜を斬り裂く夜明けの歌だ。ザンッッ!という音とともに衝撃が彼女を襲う、ビリビリと着地の足が痺れる】

【着地で樹皮の表面が少し砕け散る程の衝撃。剣は枝を切り裂いて、スピードルを貫いたっっ!!】

最期に人の痛みを知れてよかったな

【それだけ言って剣を薙いで、引きぬいた。確実に殺してやるのがせめてもの慈悲だ。苦しませる趣味はない】
【傭兵は、息を吐きだした。汗が頬を伝う。片翼の飛行は非常にエネルギーを消費する。――油断が生じた】

―――チィッッ!!!クソ野郎がっっ!!!

【翼をはためかせ、勢いを付けて、横に回避しようと動いた。刺突はすんでで避けることに成功したしかし】
【足場の悪い、大木の上で、彼女は足を滑らせる。不意に掴んだ枝が、こういう時に限っては折れてしまう】


クッソッッ!!ウラァァァァァァアアアア!!!

【落下するさなか、木に剣を突き刺して減速させるが、停まることはない。ガリガリガリと樹皮に剣のあとを残す】
【地面に激突するのを避けるべく。彼女は翼を振るった。しかし、飛ぶほどの力は今は残されては居なかった】
【最大限減速し、戦場の中心から少し外れたところまで落下地点をずらして、彼女は崩れた建物の瓦礫の中へ】
【崩れ落ちる瓦礫、音とともに砂煙を上げる。さながらイカロスの失墜。ついに彼女は地上へとやって来た】
924 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 00:29:39.19 ID:NjnR6cL5o
>>920
【慎重さと大胆さ。相反する二つの性質を見事に乗りこなしてこそ、戦場で生き残れる】
【ミハエルはまさにそれを実践していた。この異形の怪物を相手にして】

ふん……相も変わらず口の減らない男だよ、お前は……
「おーそうかい、そら悪かったの! だが、舐めてかかって痛い目見るんはおどれも同じじゃ!!」

【挑発に叫び返す二人、なれど冷静さは失っていないらしい。そこは、異形どもの強みの一つだ】
【それが証拠に、銃撃の正確さは寸分たがわず。ミハエルの肩に確かな傷を刻む】

5……あの鎌か……!!

【カニバディールが呟くと同時、死神の化身のごときそれが君臨する】
【アサドに差し向けた根の一部を防御に回すが、逆効果だった。根の方が切れ味に負けて裂かれ】
【飛び来る斬撃が、カニバディール自身の身体を真一文字に切り裂いた】

ぐがあああああああああ!! おのれ……!!

【根の一部を断たれたことで、『ラスター』が大きく揺れる。怒りをあらわにしたカニバディールが、反撃に出る】
【カニバディールが右手を振るうと、枝から放たれる無数の葉。周囲が刃のように鋭利な、葉っぱの刃。その嵐】
【ミハエルの身体を切り刻もうと、無数の葉の姿をした凶器が迫る】
925 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 00:37:56.50 ID:NjnR6cL5o
>>921
ふ、ふふ……お前もスラムで過ごした口か? 思ったより気が合いそうだな……!!

【この光景を前にして動じもしない。彼もやはり怪物だ】
【それを気にすることもなく、スライムたちは殺到していく。されど、スライムを出迎えたのは、肉ではなく氷だった】

【地面もろともに、黒いスライムたちは氷漬けとなりあっさりと動きを封じられる】
【さらに、この場の全てを置き去りにするほどの速度での滑走】
【周囲の状況を見事に利用した動きが、異形へと迫ってきた】

ぬ……!!

【呻きつつ、カニバディールが迎撃態勢を取る。手に持ったバトルアックスを振るい】
【犬神を叩き落とそうとする、しかしその動作は彼の動きに比べてあまりに遅い】
926 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/14(土) 00:52:49.08 ID:7SNQUWcF0
>>925

【振るわれる斧、しかし男の娘はその斧を体を捻ってかわす】

【ほんの一瞬、重力によっと落下しそうになるがアサドの作り出した氷の柱に氷の有棘鉄線を絡ませ、そのまま一回転してカニバディールの目と鼻の先を丁度その狂笑と額の眼に見せつけるように掠めて醜悪な枝の上に飛び乗る】

「おにぃちゃんもスラム?あは♪それだったら………………………………負けたら全部奪われて死んじゃうってわかるでしょお?」

【足場を使って巨大樹の上部までかけ上がると】

「え〜い!!!」

【掛け声と共に戟の鎌の様につき出ている部分を樹皮に深々と突き刺し】

「それじゃあさ、悶え苦しんで僕と遊んでよね♪」

【そのまま足場から飛び降りる様にしてガリガリと樹木を削り斬りながらしかもご丁寧にドリルの様な氷柱を放ち続けながら飛び降りる】
927 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 00:56:48.82 ID:NjnR6cL5o
>>923
【片翼であろうと、いやそれゆえにか。この闇に解けつつ、その中で映える気高さ】
【そこから放たれる一閃は、醜悪な異形どもを打ち払う。『ラスター』がさらに大きく裂かれ】
【悪漢が、彼女に肉の手ごたえを伝える。そこからさらに動く剣が、スピードルを破壊していく】

『……ック、クフヒヒ……ざまみろ……お前なんか、嫌いだあ……』

【一瞬の隙をついた反撃。直撃は避けられたものの、彼女のバランスを崩すには十分だったようで】
【落ちていくヴァローナを蒼白な顔で見下ろしながら。スピードルは『ラスター』の樹皮の中で動きを止めた】
【まだ息はあるようだが、もはや動けまい】


【ブレーキ代わりに使われて、さらなる傷を負う『ラスター』。樹液を垂れ流しながら、無数の顔が落ちた彼女を見下ろす】
【その瓦礫へと向けて、アサドに振るわれたのと同じ根の鞭が振り上げられた】
【カニバディールらの指示ではない、『ラスター』そのものの動き。巨大樹は、彼女にターゲットを絞ったか】

【容赦なく振り下ろされようとする巨大な根。まともに浴びれば重傷。かわせても衝撃で瓦礫が飛び散るだろう】
【引きずりおろされたイカロスに、反撃の気力は残っているのか】
928 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage]:2015/02/14(土) 01:00:25.71 ID:QZt8Rt0xo
>>922

ハッ、羨ましいか!? ただ後ろからバカスカ撃ってるだけじゃデカブツ相手に心もとないんでな!!
悪いがコイツはオーダーメイドだ! こんなロマン溢れる武器、たとえ敵だろうと仲間だろうと誰にも渡す気はねぇよ!!


【敵意は崩さないまま、しかしにまりと若干得意げに笑って、アサドは軽口を叩いた。肩口の傷も浅くは無いが、その痛みが逆に高翌揚を齎す】
【灼熱と極寒の砂漠を活動拠点とするアサドは、対人のみならず、厳しい環境が生んだバケモノじみた生物と対戦する事も多々ある】
【多種多様な敵を前に、対人にも対巨大生物にも、遠隔攻撃にも近接攻撃にも対応できる武器を特注したのはある意味必定といえるだろう】
【――――その上、アサドの精神も出来上がってきた。端的に言えば「ノッてきた」というところ。手負いの獅子は逆に、その闘志を増している】


ちっ、なにが曲芸師だ! 半ば樹になりかけてるような奴に言われたかねぇぜ………!!
があっ、クソッタレ――――!!


【こうして建造物の屋上に陣取り、かつ相手があれだけ巨大な異形となれば、「建物ごと崩される」というパターンも予期してはいたが、】
【言うとやるとは大違い、というのは最初のカニバディールの言葉。せり上がる根はその数も大きさも即座に対処できるレベルを超えている】
【すぐ隣には別の建物の建造物。だがいくらアサドの体力が優れていても、鈍重な『アルハーディ』を抱えてこの距離を跳ぶのは――――、】

【――――もちろん、それは承知の上。先ほど換装したカートリッジは果実に使ったのと同じ≪L≫。近接攻撃翌用のものだ】
【先ほどヴァローナから受け取った狙撃銃を隣の屋上へ先んじて放り投げると、アサドは『アルハーディ』の引き金を引いた】
【爆音と共に炎が噴射され、そして……なんの迷いもなく、アサドは縁から跳ぶ。重さのせいでジャンプ力は稼げず、そのまま失速して真下へ……】

【そして直後、耳を劈く爆音が響き渡るだろう。もはや、曲芸師≠ネんて評されたのもあながち間違いとはいえない――――】
【いくら≪L≫の弾頭が強かろうと、形状や重さの面で本物の槍と撃ち合って勝てるわけがない。『アルハーディ』はあくまで銃なのだ】
【近接攻撃はあくまで緊急避難。それを見越したギミックが――――アサドが再び引き金を引いた直後、瞬間的に炎の出力が数倍に倍増する!!】


グッ………はっ!? クソ!! 野郎、しゃらくせぇ………!!


【イメージ的にはジェット噴射だ。爆裂は迫り来る根を一瞬にして炭に変えながら、その反動によってアサドの体を無理矢理隣の屋上へ叩き込んだ】
【無論、無茶苦茶という他ない回避行動の代償は大きい。崩落する建物からは逃れられたが二段目≠防ぎきれず、アサドは根に打ち据えられ】
【受身も取れずゴロゴロと屋上を転がる羽目になったけれど。――――それでも、逆に言えば、致命的な攻撃からはどうにか難を逃れていた】

【血を吐きつつ、勢いのままアサドは地面を転がる。さらに悪いことに、その途中、衝撃で『アルハーディ』を手放してしまうが――――】
【もしそれで、即座に追撃をと考えたのなら危険だ。武器を手放してしまったのは事故でも、そこからはわざと転がって距離を稼いでいたのだから】


(ッ、ああッ、痛ってぇ!!
 こっちも流石に手一杯なんでな――――早めに戦力は削らせてもらうぜ!!)


【がばりと体を起こしつつ、アサドが拾ったのは、先ほど放った狙撃銃。仲間に二つ目の武器をもらっていたのが、窮地をチャンスに転換する】
【接地、構え、射撃準備。ボルトを引くと、激痛に耐えつつ傷口のひとつにストックを押し当て、血液と一緒に魔翌力を注入する】
【「魔翌力を外に出す」ことが極端に苦手なアサドは、『アルハーディ』のように専用の機能を有しているものを除けば、魔術や魔翌力武装を扱えない】
【例外≠行使するには、こうした自らを痛めつける強引な方法が必要だ。それでも足りない分は気合で補って――――射出!!】

【青白い光を帯びて飛翔する、砲撃≠ニは異なる銃撃=B範囲が絞られる分、その威力は激烈なものがある】
【そして狙いは、カニバディールでも『ラスター』でもなく――――アサドが今まで一度も狙っていない、レバーズだ】
【少しでも敵の数を減らしておきたいという狙いか。武器を取り落とした状態であえて攻勢に転じ、さらに意表を突いた相手を撃ち抜く――――】
【この判断が、うまく相手の不意を付く結果となるか、それとも自分の首を絞める結果に終わるか。それはカニバディールたちの対応次第だ】
929 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 01:10:07.35 ID:NjnR6cL5o
>>926
【バトルアックスが空を切る。見た目通りの身軽さは、鈍重なカニバディールには相性が悪い】
【加えて、足場を器用に利用する抜け目なさ。なるほど、スラムの住人に特有のものだ】

ああ、泥の街にいたんだ……
――――無論だとも。死なない限りは、奪い返すチャンスはあるということもな

【その単眼はまだ戦意を失わない。自分の目の前を挑発するように掠める犬神の狂った笑みを、しっかりと睨み返す】
【だが、それすら嘲笑うかのように。犬神の戟が『ラスター』をさらに抉り潰していく】

ゴアアアアアアアアアア!!!

【『ラスター』が叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。刃による攻撃にドリル状の氷柱のおまけつき】
【巨大樹が受けたダメージは、先までの攻撃の蓄積もあってかなりのものとなった】
【追い詰めている。異形どもを着実に――――】

【なれど、ただやられるばかりではない。飛び降りようとする犬神の着地点に、先ほどのスライムが戻ってきていた】
【カニバディールが魔導書で干渉し、氷から解き放ったらしい。今度こそ、彼の肉を味わおうと】
【黒い怪物が、犬神に向かって飛びかかってくる】
930 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/02/14(土) 01:20:23.87 ID:W3Zazq3y0
>>924

……どうやら本当にその『ラスター』とやらは普通の木ほどの強度しかないようだな。
(こいつは俺の能力で二番目に攻撃力のある武装だ、巨大な根といえど所詮は樹だ)
(鋼鉄でないのなら切り裂くのは容易……!行けるはずだ……)

【アサドが造ってくれた氷の足場、丁度良いタイミングで、一先ずはそこに着地】
【これならば距離を保てる、流石は噂に聞く『ヘイダル』の隊長だと心の中で彼を称賛した】
【だが直ぐに次の攻撃がやって来る、次は木の葉の刃でミハエルを切り刻もうというものだろう】

…………確かに………………これは厄介だ……ッ………………!!

【残念ながら大鎌では防御は難しい、必然、両腕で顔を庇ってやり過ごすしかなく】
【通り過ぎていく葉が大小の切り傷を作っていく、ベストの部分は深くないが 庇った腕にはいくつか葉が刺さっていて】
【直ぐに払って抜いていくが傷が多い、そう考えたミハエルはポケットから何かを取り出した】

(余り使いたくはないが…………使わないで死ぬのはずっと御免だからな……!)

【注射器だ、何の薬か想像するのは容易、痛みを消して無理にでも動かす為のもの】
【首に思いきって刺すと全身へと回っていく、息もやや荒くなっただろうか】
【無事に終えればカニバディールに向けて氷の足場から斬撃を飛ばす、狙いはやや適当だが少なくともラスターに切れ込みを入れることぐらいは可能なはずだ】
【そして直後スロットが回転、大鎌は消えて別の武器が現れるが、それは先程見たショットガン】
【武器を持ち変えると一旦ラスターからは離れていく、高度を落として着地すると 近くのビルへ駆け込んでいった】

【最後に見た武器は確かにショットガン、近付かれなければ脅威にはならないものだ】
【だがミハエルも自分の能力の欠点くらい分かっているのだ、"一度使わなければ"次のスロットは回せないということは】
【ミハエルの姿がビルの中へと消えてしばらく、途中 何か炸裂したような音も聞こえるだろうか】
【そう、最後に見た武器はショットガン、近付いてくると普通は考えるもの】

【だが……突如ビルの壁を貫通して大きな光線がカニバディール達へと迫ってくる……!】
【カニバディールは受けたことのあるこれは、間違いなく別の武器によるもの】
【壁にぽっかりと空くことになる穴から覗けば、固定砲台を構えたミハエルの姿が見えるはず】
【隠れられる事を利用して建物内でショットガンを使っていたのだ、そして次の武器で砲撃したのだ】
【ミハエルの方からも姿が確認出来なかった為異形共に当たるかはまだ分からない】
931 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/14(土) 01:31:07.77 ID:33UfTzNoo
>>927

【廃ビルの瓦礫の中で、落ちた天使は目覚める。気を失っていた訳ではないが。そう言いたくなる気分だ】
【武器は、ある。翼は…ある。最後の一掻きで翼は無意識にしまったらしい。無いがある…説明は難しい】
【能力の類であるから普段は全く普通の人間と一緒の見た目だ、常に翼があったら邪魔で仕方がないだろ】

【パラパラと瓦礫が落ち、重苦しい音がした。根が彼女の真上にいる。次から次へとしつこい奴だ】
【起き上がるとき、ズキリと左腕が傷んだ。…しかし今は、逃げることが最優先。歯を食いしばって】

【彼女は瓦礫のベッドから跳ね起きて、再度片翼を大きく広げる。この闇よりも深い汚れた黒で覆い隠すように】
【それをまた覆い隠す巨大な根の攻撃を―――ザンッッ!!とまた、あの大きな翼の一振り。風の波が見える】
【かのような力強い一振りは、彼女を急発進させ、根の影から脱する。さながらブースターのような役割だ】
【焼けたような靴の後を地面に残し、根から脱するものの瓦礫のが舞う。片翼は彼女を包み込んだ】
【大盾となり、コンクリートブロック程度の瓦礫を防ぐのは造作も無い。…荒っぽい羽根の使い方は何となく】
【彼女が片翼を失った原因だとか、真っ黒になるほどの汚れだとかの理由が見て取れる】

【翼をひろげて、当たりを見回す。】
【やはり左腕が痛む。出来なくはないが両手で剣を振るうのはきつそうだ。戦術を変えよう】
【元々、力比べでは敵わないだろうから、鍔迫り合いなんて事をする予定はなかったが…まあ、用心だ】

【瓦礫から這い出て、戦場へ。ダンスホールは十分だ。なかなかやるじゃあないか。あの砲手は】
【ワルツなんて言ってみたものの、彼女はそれがどんな音楽で踊りだかは知らなかった。何にせよ】
【剣を振り回すものでは無いだろう。…さて、お喋りはここまでだ】

【彼女は再度、翼を広げる。飛ぶことは無理だ。あの足場まで行かなくては翔べない】

…まあいい。焦るもんじゃないさ。

【彼女は翼を振るい、心を奮い、瓦礫のストリートを駆け抜けるっっ!!】
932 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/14(土) 01:38:54.72 ID:7SNQUWcF0
>>929

「泥の街?」

【首を(普通ではあり得ない角度に)かしげる】

【それと共に響きわたる、天を割り地を割くが如き怒号】

「わひゃあ!?」

【柄にもなく子供のような(というより子供だ)悲鳴をあげてしまいドチャァと気味の悪い音を立てて下からとびかかってきたスライムの上に落ちてしまう】

「ぐぅ……がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

【ほぼ全身の皮膚を焼かれるような激痛が支配する】

「うぅぅぅ………がぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

【瞬間、男の娘は彼の身に付けていた自身の血でずぶ濡れだったパーカーやアームカバー等を凍らせてスライムごと脱ぎ捨ててスライムの群れからなんとか脱出できた】

「はぁ…はぁ…」

【勿論、奥の手ではあったし何より疲労やダメージはピークであった
自身の獲物である戟を杖代わりに使ってなんとか立てているだけである】

「………………………………あは」

【それでも】

「…………………………あははは」

【それでも尚】

「あははははははははははははははははははははははははははははははは!」

【彼の狂笑は止まらない!!!】

「だっからさぁ……………無理だっていってるでしょぉ………がふっ……………無理だって……………」

【見た目は殆ど虫の息である、最低限の止血はしている物の立っているのが不可思議なダメージ】

「無理…無理…無理…無理」

【だが男の娘の狂笑は止まらず、その血の様に深い紅(くれない)の瞳はドロリとしたナニカを宿し】

「無理ィィィィィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

【男の娘は吹雪を纏った自らの獲物を巨木(巨悪)に叩き付ける】

【彼の能力の名は『血塗れかき氷』(ブラッティアイスエイジ)
対峙した人間の殆どが名前の通りシャーベットにされてきた通常技にして必殺技!!!!!
剣術・槍術・杖術・棒術の複合技!!!!!】

【ようは力任せに相手を滅多刺しにする技!!!!】

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!」

「UHYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
933 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 02:00:58.81 ID:NjnR6cL5o
>>928
ああ、羨ましい……実に妬ましいね……
その周到さも、特注の武器も……ロマン、まさしくそうだ。それに誰にも渡す気がないと言われれば、ますます欲しくなる
殺して、奪うことにしよう。奪ったお前の武器で、お前の仲間たちを吹き飛ばしてやるのも面白そうだ……!!

【ここに至ってまだ高まり行くアサドの戦意に、カニバディールもますますその邪悪を深めていく】
【これまでの彼自身の歴史が求めたその武器は、カニバディールにはひどく魅力的に映った】
【手負いの獅子から相棒を奪い取る。盗賊がその幻影に心躍らせる】


ハハハ、それはそうだろう、違いないな!!

【カニバディールの笑い声が、建物の崩落音に重なる。『ラスター』が突き崩した建物が、みるみる瓦解していく】
【あの武器がこうなれば枷になる。瓦礫の中からあれを掘り出すのは骨か、という皮算用は】
【彼が放った爆音の前にかき消された。人面果実を跡形もなく消し飛ばした炎が、彼をロケットマンに変える】

【一見すれば自殺行為に見える跳躍は、根を焼きながら飛ぶという攻防一体の戦術に早変わりした】
【続く根の一撃は、確実にアサドを捉えたものの、その根も炎の熱に耐えきれずに焼け崩れていく】
【抜け目なく、狙撃銃を移すという行為もきっちりと。さすがは一組織の長なだけはある】

【ともあれ、彼の行動は全て通る。回避に成功した彼が転がる。それを捉えたのは、レバーズだった】


「クソガキが、あのためにあのアバズレの銃を――――!!」

【狙いは見抜いていた。悪漢ゆえの眼力。だが、予想をはるかに超える彼らの猛攻に、『ラスター』の限界が近づきつつあるのを知っていたレバーズは焦燥にかられ】
【追撃のために、樹皮を移動してアサドを攻撃範囲に捉えようとした。それが、アサドにとっての好機となる】

【流れるような射撃姿勢への転換、血液を媒体とした魔力の流動】
【青い魔力が流星となり、レバーズの身体を樹皮ごとぶち抜いた】

「があああぁ!!!! あぁ……!!!」

【レバーズがのけぞり、血を吐き散らす。衝撃で樹皮にその身が叩きつけられる】
【ダメージが全身を蝕む直前、レバーズが反撃に出る。枝の一本に手を伸ばしてへし折り、投槍のように投擲したのだ】

【一直線にアサドへと向かう枝槍。全力を以って放たれたそれが、獅子を射抜かんと迫る】
【レバーズ自身は、それを最後に力尽きて樹皮の中でその動きを止める】
【二人目も戦闘不能。残るは二つ。メインターゲットの二体を残すのみ――――】


>>930
く、ふ……この巨大樹を普通の木と言い捨ててあっさり切り捨てるお前が異常というべきだろうよ……

【カニバディールにもダメージが貯まってきているらしい。返す言葉がわずかに震えている】
【放った葉の刃も、薬物投与という正義らしからぬ手段の前にその効力を失っていく】

【ミハエルが続けて放つ一閃、ヴェンドゥラーに行き来する斬撃の応酬】
【カニバディールを掠め、『ラスター』をさらに深く切り裂く。いよいよ傷が巨大樹全体を覆いつくさんとしている】

【そこへ、不可解ともいえるミハエルの行動。ショットガンに持ち替えたまではいい。だが、なぜ距離を取るのか】
【何をたくらんでいるかはわからないが、早く潰さなければ。次に接近してきたときこそ――――その判断が、落とし穴だった】

【聞こえてきた炸裂音、カニバディールが目を見開く。悟ったのだ。ミハエルの、自身の弱点を利用した策にはめられたと】
【ビル壁をぶち抜いて迫り来るのは、あの日も見た固定砲台。自分をウェンカムイもろとも吹き飛ばした、あの】

【カニバディール自身からはそれたが、砲撃は見事に『ラスター』を捉えた。またしても開く大穴】
【もはや、樹皮の面積の方が少なくなりつつあるほど。異形が、はっきりと傾き始めた――――】

/続きます
934 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 02:02:20.62 ID:NjnR6cL5o
>>931
【堕天使へと迫る上空寄りの脅威。しぶとく追いすがる異形どもの攻撃】
【しかしそれも、広がられた片翼のもたらす驚異的な加速の前に空振りに終わる】
【天使らしからぬ羽根の扱いは、むしろ彼女を見ればらしい≠ニいえるだろうか】

【もはや、堕天使の舞踊の場に、これ以上の邪魔は入らない。戦士たちの猛攻が、異形についに反撃の体力をなくさせた】
【アサドが仕立てたダンスホールが、猛る堕天使を出迎える。瓦礫の街並みも異形どもも、もはや彼女を阻むことはない――――】


>>932
知らないか? あそこもまた、ここと同じ悪徳と狂気の街……我らのような者どもの街だよ

【人間離れした首の傾きにも動じることはなく。『ラスター』の咆哮が、代わりに犬神の方にそれをもたらした】
【落ちた少年を、スライムが出迎える。その身を削り食らい、飲み下そうとする】
【だが、それもひと時のこと。血液を凍らせるという機転が、少年の装備もろともスライムどもを凍らせた】

【二度の凍結についにスライムも力尽き。地面に落ちて砕け散った】


(まだ、立つか……怪物はどちらだというのだ……)

【犬神。彼はそれでも笑う。耳をつんざく大声で。流れる血のように赤い瞳で】

ギィィィィイイイイイイイイイイ!!!=@ぬぐ、おおおおお……!!

【犬神の咆哮、恐るべき連撃。狂気の殺意の雨あられ。巨大樹がぐちゃぐちゃに破壊されていく】
【もはや原型留めぬほどに。削られていく。抉られていく――――】



>>ALL
お、のれ……!! なぜ折れない、なぜ斃れない……!! なぜ、なぜだ……!! なぜお前たちは……
この、この……化け物どもがああああああああああ!!!

【異形の姿でありながら、カニバディールはそう叫んだ。これほどの闇を乗り越えてなお立ち上がる】
【お前たちこそ怪物だ。お前たちこそ化け物だと。恐怖を怒りを、あらゆる感情を煮詰めた混沌を載せて叫んだ】

【だが、それだけだ。もはや、異形たちからの反撃はない。限界を迎えたのだ。巨大樹の生命力が】
【仲間の二人も最早動けない。クリーチャーたちも種切れらしい】

【巨大樹と共にあるカニバディール自身も同様に。受けた傷から、口の端から、鮮血を垂れ流して呻く】
【戦士たちに訪れる、最大の機会。異形どもは動きを停止した。さあ、今宵の戦を終わらせる時】

【このおぞましき化け物どもに、とどめを見舞う時が来た――――!!】
935 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/14(土) 02:27:34.10 ID:33UfTzNoo
>>934

【彼女は駆ける。戦場を駆ける。駆け抜けて、舞踊場へ足を踏み入れる】
【駆け抜ける一陣の風と鳴り、足場に、1歩、2歩と彼女は跳んだ。速度は増して、高度を得て】
【三歩目を踏み抜くときは氷を割るかの如き勢い。彼女は風を得た。また、あの音が鳴る。夜を裂く刃が】

【彼女は目標をラスターに定めた。地の底に落とした、あの忌まわしき唐変木を叩き折ってやる】
【それに敵の主将を倒したのが正義の味方ではなく二束三文の傭兵であっては面目も立たないだろう】
【あってないような武勲は良い。派手な方を頂こう】

さあ、見せてみろ。その大木が倒れる様をなっっ!!

【弱り切った大木の、剥がれきった樹皮に狙いを定める。剣を構える。翼で風を掻き、突撃する!!】


ハァアァァァアァアアアアアアッッッ!!!


【彼女の突撃は、突き刺して薙ぐ、単純なものだ。片手が使えない今安定性は損なわれてしまうが】
【どうせ此一戦、この一撃が勝敗を決する一撃となろう。ならば後の事など考えてはいけない】
【翼で加速をし弱手を突く。それだけだ。全身が、彼女そのものが破壊する稲妻が如き、剣である】

【全てを攻撃に据えた、彼女はその目標の中心へと突撃した!衝撃は剣をつたって、彼女の全身を伝う】

砕け散れぇぇぇぇえええええ!!!

【突き刺してから、バキバキと木を折りながら、それを横に倒して、加速が助ける。抉り取ってやるつもりだ】
【木が勝てば彼女は失速し、剣を手放して墜ちることになる。彼女が勝てば木は大きく抉られることだろう】
936 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/14(土) 02:27:56.64 ID:7SNQUWcF0
>>934

【まさに絶末魔の、最後にして最期の雄叫び】

「バケモノ?」

【少年は力なく、それでもはっきりと笑みを浮かべる】

【瞬間的に筋肉を冷却していたが勿論疲労する、と言うよりこれ以上酷使すれば二度と使い物にならなくなる】

「意味なんてないんだよ?」

【少年はあっからかんと彼の叫びに答える】

「僕にはね、善意とか、悪意とか、倫理とか、野心とか、理性とか、獣性とか、他人の痛みだとか、守りたいモノだとか、主義主張だとか、誇りだとかプライドだとか」

「そういうお腹の足しにもならない事は全然わからなくてね」

「それに無理をいって理由をでっあげるなら………そうだなぁ」

「うん!強いていうなら!無理強いて言うなら!」

「おにぃいちゃんの野望なり欲望なりを粉砕したのは!」

【一拍置いてから見栄を切るように両手を広げ、とろける様な極上の笑顔で告げる】

「僕の気まぐれであり……戯(たわむ)れだ」

【ただ、それだけだよ…そうつけ足して男の娘は無惨な姿を曝す樹木だったものに戟を突き刺す】

「それじゃあね!ばいばい♪」

【数メートルの距離を取ると共に彼は両足に吹雪を纏う】

「大サービスのマイナス300度だよん♪」

【勢いをつけて地面を凍結させながら自慢の脚力で加速をつけた跳び蹴りは戟を樹木に打ち付ける様に炸裂する】
937 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/02/14(土) 02:38:36.82 ID:W3Zazq3y0
>>933-934

【今、ラスターは半壊状態にある、有志達による攻撃の積み重ねが 今という時を作り出した】
【ミハエルは巨大樹に空いた空洞を見た、あれの軋む音も聞こえ始めている】
【確実に、あともう一押し……それできっと この戦いを終わらせられる】

【もう一撃、砲身の奥が光を放ち始める、当然その光に温かさなど感じられはしない】
【唯、眼前の怪物を消し去る為だけの輝き、残酷さすら感じられない程に無機質な光だった】

…………なら、俺は化け物で構わないさ。お前ほど何かを忘れちゃあいないし、人間として生きている。
人間であろうとすることを辞めたお前に比べれば、まだ怪物ではない。
……それを誇って、お前たちから見た自己満足な正義を信じて進んで行くだけだ。

今度は………………外さない、今はお前の醜い姿がはっきりと見えているからな。
…………お前が奪ってきた生命(もの)……今返してもらおうかッッ!!!!

【砲身が焦げ付くほどの光の咆哮、ラスターとカニバディールに向けて今 解き放つ】
【絶対に破壊する、邪悪な毒樹と、それに縛られたあの怪物を……!】
938 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/02/14(土) 02:48:01.36 ID:QZt8Rt0xo
>>933 >>944

【思えば、砲撃ではなく銃撃で狙撃を行ったのは久しぶりだ。スナイパー特有の目には見えない手応えが、傷口からの激痛という形でアサドに齎される】
【これで、スピードルはヴァローナが。レバーズは自分が。『ラスター』の本体とカニバディールは残りの戦士たちが抑えてくれている】


…………ぐっ、あっ………!!
っがはっ………く、ははっ、奴さん、そろそろ年貢の納め時らしいな………!!


【さすがに二発目を撃つ余裕はない。ヴァローナに心の中で謝りつつ、アサドは狙撃銃をバットのように持ち替えて枝槍を弾き飛ばす】
【だがスピードも力も、倒れ際に最後の力を振り絞ったレバーズには及ばず。短い悲鳴を上げ、アサドは逆に弾かれて再び地面を転がる羽目になった】
【鮮血が薄汚れた地面をさらに汚していく。だが――――砂漠の獅子≠フプライドは、まだ澄み切った闘志を燃えたぎらせていた】


――――なんだ、いまさらビビったってのか?
人のことをバケモンだなんだと言う前に、まずは自分の体と、今自分がやってることをもう一度見直してみやがれ。

俺は家族≠守る。その覚悟と行動を、バケモノと呼びたいんならそれでいい。
だがな、教えてやるよ。本当の、本当の意味でのバケモノ≠チてのは、力がどうこうじゃねえんだ――――、


【……転げていった先にちょうど『アルハーディ』があったのは、偶然か。はたまた獅子の血と汗を吸った銃砲が、裁きを下せと求めたか】
【ガキン、と。おそらく最後になるであろうカートリッジ換装を行う。装填したのは、≪G≫と刻印されたグリップだ】
【グリップを引き、弾頭を装填する。慣れ親しんだ抵抗と、慣れ親しんだ悪≠フ叫び。燃え盛る闘志は一瞬だけ悲哀に煙り、そして天を焼く焔と化す】

【屋上の入り口部分の壁に背中を預け、アサドはどっしりと腰を下ろして構えた。かつてはきっとヒトだったであろう肉塊へ、銃口を向け】
【悪を裁くとき、いつも感じている一縷の哀れみ――――今はそれすらも燃料に、その闘志を魔力として叩き込む】
【引き金を引く。魔力針がバレルに沿って順繰りに十二本展開し、カウントを刻む。すべての展開が終われば、歓喜に打ち震えるように回転が始まる】
【魔力針に補助されて圧縮される莫大な魔力の奔流は、感情の砂にまみれた獅子の咆哮に乗せ……解放】


――――誰かを闇に引きずり込まなきゃ済まねえ、その心≠ェ!! それがお前をバケモンに変えたんだ、カニディィィィィルッ!!!
その悪意と傲慢、この俺がッ!! 焼いて、砕いて、欠片も残さず喰らい尽くす――――――――――――――ッッ!!!


【アサドの持つ弾頭の中でもっとも激しく、もっとも強力な砲撃。炎の力を帯びた≪G-Cannon≫が、すべてを引き裂く爆轟を引き連れ到来する――――!!】
【撃ち放たれたのはもはや、砲撃の範疇に留まらない。万物を焼き払い喰い散らかす、超高熱の巨大なレーザーだ】
【狙いは『ラスター』の上部。仲間を巻き込むことを避け、『ラスター』を焼却することを主眼においた一撃】
【最大火力の砲撃は、当たりさえすれば、満身創痍の『ラスター』を灰燼に帰すことも可能であるはずで――――いや、否】


うぉおぉぉぉおおおおぉぉぉぉおおおらぁあああああああああああぁぁああああぁぁぁッッッーーーーーーーーーー!!!!


【体を引き裂かんばかりの反動を血反吐を吐きながら堪え、アサドは最大出力で発射中の『アルハーディ』の銃口を、ねじ伏せるように引き下げる=I】
【銃口が下がれば当然、放たれているレーザーも『ラスター』を縦に割るように移動する。砲撃は再び、炎の槍≠ヨと変わったのだ】
【≪G≫は≪L≫の弾頭と違ってこんな使い方は想定されていない。アサドの体の負担も激烈だし、レーザーの移動速度もゆっくりとしたものだが、】

【……カニバディールは気づくはずだ。真上から徐々に迫ってくる莫大な熱量に】
【アサドの狙いは『ラスター』ごと、その幹に埋まっているカニバディールを一刀両断にすること――――!!】

【本人は小物などと評していたが、アサドはそうは思わない。目の前にいるのは手加減の許されない巨悪≠セと、本能が感じ取っている】
【地獄の業火は獅子の爪牙となり、醜き獲物へと迫る――――この一撃が、彼と彼の起こしたすべての悲劇に終焉を告げる福音≠ニなるか否か……】
939 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 03:12:36.44 ID:NjnR6cL5o
>>935
【悪徳の街に堕天使が舞い飛ぶ。美しく気高く妖しいその姿、その刃】
【逃れられない。正義でもなく悪でもなく、堕ちた天使の黒い剣は、容赦なく異形どもを滅ぼす】

アアアアアアアアアアアアアア!!!!!

【『ラスター』が叫んだ。絶叫であった。ただ単純に刺し貫き薙ぎ払うだけの剣戟が、破壊槌となった彼女そのものが】
【巨大樹に破滅をもたらした。押し勝ったのは彼女であった。幹が抉られ。砕かれ。へし折られて巨大な傷を晒した】


>>936
【告げられる、無慈悲にして狂気的な答え。この世の混沌を詰め込んだような、それでいて何もないがらんどうのような】
【これまで見た誰とも違う狂気。カニバディールの単眼は、それに相対して激しく揺れ動く】

気まぐれ……戯れか……ふ、ふふ……素晴らしい答えだよ、イカれたガキめ……

【その満面の笑みにも、突き立てられる戟にも、知己放たれる吹雪とダメ押しの蹴りにも】
【全てに抵抗するものはなく。巨大樹は凍り付き、貫かれ、弾け飛んだ】


>>937
【あの日もそれを見た。あの大砲による無慈悲の一撃。軌道上にあるもの全て灰燼に帰すあの】
【光に満たされた昼の国において、おそらく今もっとも残酷で、それでいてもっとも強いだろう光がそこにあった】

辞めた、だと……!? ふざけるな、私は……私こそが人間だ……!!
忘れているのはお前たちだ、その自己満足の正義こそが怪物だ……

おのれ……おのれ……またしても、またしてもぉ――――!!

【突きつけられる宣告。解き放たれる砲撃。光の奔流が今、邪悪を撃つ一撃となりて】
【『ラスター』とカニバディールを撃ち抜き、幹の大部分を消し飛ばした】


>>938
【どこまでも不敵なアサドの言葉に、もはや返る声はなく。最後に放った悪あがきも、手負いの獅子の前では】
【その身を僅かに汚すのみに留まった。燃え上がるアサドの闘志が今、邪悪を焼く炎となる】

家族……守る……ああ、そうだそれこそが……人の醜悪、人の怪物の根の一つだというのだ……!!
己の悪に気づきもせず……臆面もなくそんなことを口にする貴様らこそ……

【言葉の続きは、喉元にせりあがってくる鮮血と再び主の下に帰った『アルハーディ』が放つ回転音がかき消した】
【手慣れた様子での換装、装填。腰を据えて放たれる今宵最後の攻撃】

【魔力が、顕現した。アサドの正義の咆哮と共に】

黙れ……黙れ黙れ黙れ……!! 貴様らなどに、我が神の宿るこの心を……この魂を……
貴様などに、貴様などに!! 食われるなど――――!!!

【途切れ途切れの言葉は、意味を成さなくなっていった。ただ、アサドの放つ最高の一撃だけが】
【膨大な火力を束ねたレーザーの熱気だけが、その場を満たした】

【もはや、断末魔の声もなく。『ラスター』は灰と散っていく】
【その枝葉が、その幹が、炎に呑まれていく。そして、そこにきてさらに燃え上がる闘魂――――】

が、あああああああああ――――――――!!!

【悪を滅ぼす炎の槍。巨大樹を両断しながら己に迫りくるあまりにも強大な一閃】
【自らを焼き焦がす超高熱を前に、カニバディールにかわす術はなかった】
【『ラスター』の巨大な幹もろともに。カニバディールの身体が焼き切られた】

【福音というにはあまりに苛烈で強大で、されどやはりそれは正義の名を冠した福音であった】
【獅子の爪牙がついに怪物を引き裂き。異形の怪物を滅ぼした――――】

/続きます
940 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 03:17:21.01 ID:NjnR6cL5o
>>ALL
【全ての攻撃を浴びて、もはや残骸と化した『ラスター』が大きく揺らぐ。砕け散った樹皮の破片が次々に落ちてくる】
【無数の顔は、今や沈黙し。その色が、急速に生気のないものに変わっていく】
【そして、ついに『ラスター』全体を覆っていた淡く青い光が、ゆっくりと消えていくに至り】

【いくつもの穴を穿たれ、焼かれ、折られ、抉られ、凍り付き、引き裂かれた巨大樹は崩壊を始めた】
【最上部の枝葉が砕け散っていき、根元の部分が地面に沈み込んでいく。その質量が失われていくにつれ、この場に沈まぬ太陽の光が差し込んできた】

【その光に追い立てられるように、さらに『ラスター』がしぼみ朽ち果てていき、ついにはぐにゃりと折れ曲がった】
【そのまま空中で砕け散っていく。消えていく。この街の悪意と恨みを詰め込んだ、巨大樹が】


【その過程で、何かが『ラスター』より投げ出された。空中を舞いながら、複数の影が落ちていく】
【やがて、それらが地面に叩きつけられた。一つはレバーズ。火傷と銃創に包まれたズタボロの身体で、忌々し気に呻きながら横たわる】
【一つはスピードル。レバーズと同じく、剣による刺し傷や凍傷のもたらす苦痛に顔をひきつらせて痙攣し、血塗れの身体は息を漏らすばかり】

【そして、彼らに遅れて、地面にばらまかれたもの。それが、カニバディールの成れの果てだった】
【右腕。胴体。蟹足。そして、首。ミハエルに撃ち抜かれ、アサドに焼かれ引き裂かれ。バラバラになったカニバディールの残骸が、そこかしこに転がった】
【ピクリとも動かない。単眼は見開かれたまま虚空を睨み、その顔に生気はない】


【――――ここに、勝敗は決した。異形の怪物どもは、ついに討ち果たされた】
【巨大樹『ラスター』は枯れ落ち、カニバディールは砕け散った。彼らは見事、最も困難な任務をし果たしたのだ】


‘皆さん――――!!’

【声がした。最初に一行と共にヴェンドゥラーに入り込み、敵に襲われて別れた人形、ギアの声だ】
【人形の身体のあちこちが砕け、痛ましい傷となっているが、どうにか立って歩いている】

【この場の状況を目の当たりにし、こちらの勝利を悟ったのだろう。ただ一度、砕けたカニバディールを目にした時には】
【その顔に、複雑に絡み合った感情が浮かんだが、それも失せる。すぐに、自分の体内から能力で取り出した携帯端末】
【W-Phoneでどこかに連絡を取り始めた。おそらく、国軍の救援を呼んでいるのだろう】


[ボ、ボス……!!]

【さらに、もう一つの声。見れば、建造物の一つから、姿を現した男が一人】
【カーキ色のジャケットの上にポケットがいくつもついた黒いベストを着用し、迷彩柄のズボンに黒く厚い軍用ブーツを履いた】
【鉛色の髪をオールバックにした彫りの深い顔立ちの男だ。髪と同じく鉛色の瞳を見開き、眼前の光景を前に立ち尽くす】
【手配書を読んでいればわかるだろうか。『スクラップズ』のメンバー、スカーベッジだ】


【だが、今更やってきてももはや遅い。彼らの首魁は、打ち倒された後なのだから】
【――――しかし。漂う不穏な気配。戦いは終わった。それは確かだ。これ以上、戦闘が展開されることはないだろう】
【不吉の気配が、未だこの場に留まっていた。13日の金曜日、その不吉の時が未だここに内包されているかのように――――】

/続きます
941 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 03:21:26.99 ID:NjnR6cL5o
【スカーベッジがよろよろと進み出て、『ラスター』のあった辺りに歩み寄る】
【ひざまずくように足を折り。こう言い放った】

――――申し訳ありやせん、ボス!! 国軍連中に押されて、東西南北全て落ちました!!
『ラスター』のエネルギーが及び切ったのはこの中央部だけです!! ヴェンドゥラーの維持は不可能ですぜ……!!

【残骸に対して、まるで生きている者にそう報告するかのように、そう言い放ったのだ】
【当然、答える声があるはずもない。あってはならない――――】

……そう、か

‘――――!! そん、な……’

【国軍への連絡を終えて向き直っていたギアが、驚愕に目を見開く。そのギアを、単眼が睨み返す】
【首が、動いた。砕けた小さな身体が、散らばった蟹足が、異形の肉が、動いた】
【ミハエルの砲撃に貫かれ、アサドの最後の炎に焼かれた身体は、以前よりさらに質量を失い、未だ焼けこげ燻っている】

【だが。生きている。まだ生きている。いったい、この怪物はどれほどこの世にしがみつくつもりか】
【この有様になってなお――――】

がふ……今回ばかりは、流石、に……死ぬか、と……ぐお……思った、ぞ……
アーグさんの治療を……受けていな、ければ……もたなかっただろう……これも、神のご加護と、いうやつか……

【残骸から伸びゆく肉の触手。それらが結びつき、合わさり。カニバディールの身体を、再び繋ぎ合わせて元の異形の姿へと戻していく】
【見れば、『ラスター』の破片がその接合面には取り込まれている。カニバディールが先日受けていた、ある人物による奇跡と】
【『ラスター』に残されていたエネルギーの残滓、そしてカニバディール自身の強靭な生命力が合わさってこそ可能となった再生である】

【しかし、無論のこと無傷にまで回復しているはずもない。あちこちが裂け、爆ぜ、焼けこげた肉】
【荒い呼吸。震える蟹足。激戦とそこからの再生の代償は決して小さくない。だが、それでも異形はまだ立ち上がり、自分たちを打ちのめした者たちを睥睨した】
【スカーベッジが続けざまにカニバディールに何事か耳打ちし、その後、手でどこかに何かの合図を送る】


……機関兵らの被害、クリーチャーらの損害、装備の損失……ともに想定を上回った
国軍もやってくれる……余程我らを疎んでいたらしい、当然ではあるがな……
ヴォルドゥとオートマーダーは、戦闘不能……やってくれたな、ギア……

またしても我々の敗北……またしてもお前たちの勝利というわけだ……
――――お前たちに敬意を表して。最後に一つ見せてやろう

といっても、少しばかり形態が違うだけで、いつもやっていることと同じだがな
そう、いつだろうと同じ……盗賊の目的など、ただ一つ

ごくごく小規模な――――窃盗だ

【カニバディールが一歩進み出た。その顔、その目、単眼ではない元々目の合った位置】
【右の義眼。それはかつて、ギア・ボックスから奪い取ったもの。ギアの能力の一端を秘めた義眼】
【そこに灯っている光は。『ラスター』を覆っていた、あの青い光ではなかったか――――】


【空間が、歪んだ。この場所、ヴェンドゥラー中央部そのものが、その形を失い始めた。先ほどの『ラスター』のように】
【その行きつく先を見るがいい、なんということかその先にあるのは、青い光を放つカニバディールの右の義眼】

【戦いを終えた戦士たちには、何の影響もない。ただ、周囲にあった建造物が、その下の地面が、土地そのものが】
【そう、ヴェンドゥラー中央部という都市区画そのものが。カニバディールの義眼の中へと吸い込まれていく】

【異様な光景。そうとしか言いようがないだろう。一つの土地が、小さな義眼の中へと入り込んでいくのだから】
【それも、ごくわずかな時間。あの『巨大樹』が占拠していたこの場所は、瞬く間に――――盗み出された】

【そう、巨大樹が放っていたエネルギー。その本来の出どころはこの義眼であったのだ。『ラスター』はそれを町全域に広がるための】
【一種の増幅器の役割を果たしていた。門出とは、このことであったのだ。ヴェンドゥラーもろとも、新たな地へと旅立つという狂った計画】

/さらに続きます
942 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 03:24:33.72 ID:NjnR6cL5o
【全てが終われば、残るのは中央部のあった場所に現れた巨大なクレーター。一行は、クレーターの淵からそれを見下ろすような位置にいるだろうか】
【中央部は地下に至るまで削り取られていた。そのクレーターの底、中央部直下にあったもの】
【巨大な地下トンネルの一部、格納庫のような空間が、そこに姿を現していた】

【整備された床に並ぶ、何台もの車両。それに乗り込む無数の人影。それらが、揃って戦士たちを見上げている】
【機関兵、ではない。汚れた身なり、獰猛な顔つき、いずれも鍛えられた機関の兵員のそれとは異なる】
【男も女も、老いも若きも、実に統一性のない集団。服装もバラバラで、中には異形に近い姿のものや、幼い子供たちまでも混じっている】

【居並ぶ車両のうちの一つ。その傍らに、カニバディールとスカーベッジが立っていた】
【スカーベッジは、同じ車両の上に満身創痍で横たわっていたレバーズとスピードルを、必死に担ぎ上げて車両内へと運び込んでいく】
【カニバディールは他の者たちと同じように、傷の苦痛に蟹足を折り曲げながらも、忌々し気に戦士たちを見上げていた】


機関兵らと部下たち、そしてクリーチャーの多くを失い、『ラスター』を失い……全て奪い取るはずだったヴェンドゥラーは、中央のみしか奪えず……
物資と装備も運び出せたのはわずか……私もレバーズもスピードルも瀕死の重傷……大損害、とんだ大損害だ……!! 見事に、門出に土を付けられたよ……

……我々は負けた。だが、終わりはしないぞ……まだ、まだまだだ……
また、会おう……

『スクラップズ』!! 全員、撤退しろ!!

【ついに傷の痛みに体力の限界を迎えて、その号令を最後にカニバディールが崩れ落ちた】
【その身体を抱えて、スカーベッジが最後の車両に飛び乗る】

【――――全員。そう、格納庫の、車両内の全員がそれに呼応してエンジン音を響かせた】
【機関兵ではない。カニバディールの私兵、盗賊団『スクラップズ』は、ヴェンドゥラーに巣食っていた間に膨れ上がっていたのだ】
【ここにいる者たちだけでも100には届こうかという人数。あるいは泥の街の伝手を頼り、あるいは活動の過程で出会った者を招き入れ】
【ここまでに数を増やしていた。この数を以って、何をするつもりなのか】

【その答えを騒音の中にかき消して、車両が一斉に発進する。巨大な地下トンネルの闇へと消えていった――――】


【それから少しの後。国軍の救援が、この場にかけつけるだろう】
【望めば、ここに集った戦士たちに手当を施し、しばしの休息の場所を設ける】
【見事、大任を果たしてのけた戦士たちに、少し遅れてやってきた司令官が、もう一度深く深く頭を下げた】
【彼らが勝った。彼らの命がけの奮戦がついに異形どもを打ち破り、この地から盗賊たちを追放せしめたのだ】

【しかし最後に、異形どもが残していった不穏。それがこの場に影を落としてもいた】
【彼奴等はどこへ消えたのか。いったい何が目的なのか。未だ、悪意の気配は消えていない】

【だが、今宵は我らが戦士の勝利。それは揺るぎない事実でもある。長く居座ってきた異形どもが、昼の国から放逐された】
【それだけでも、この国の民は安堵に湧き、戦士たちに感謝するだろう】

【報酬は、後日届けられることになる。受け取るかどうかは、個々の意志に一任されることにはなるが】
【いずれにせよ、彼らへの感謝の思いは人々の胸に消えず残るだろう】
【ヴェンドゥラーに戻った陽光が、クレーターと取り戻された土地とを、喜びと不安とを等しく照らし出していた――――】

【ヴェンドゥラー奪還戦、終結。勝者――――犬神・ディザスター・禍、ミハエル・ガーナランド、アサド・アル=アーデル、ヴァローナ。及び、昼の国国軍】

/もう一つ続きます
943 :主催 ◆EQBB9rCCt1P5 [saga sage !red_res]:2015/02/14(土) 03:36:53.52 ID:NjnR6cL5o
【――――後日。昼の国政府より、この戦いに参加した四人の戦士たちに、そして正義組織に】
【ある情報が届けられる。失われたヴェンドゥラー中央部がある場所に出現した、と】

【その地の名は――――廃の国=B遥かな昔に滅び、今は歴史の裏に荒廃した『死んでいる国』】
【誰からも見放され、荒廃しきったその地に、ヴェンドゥラー中央部が丸ごと表れたというのだ】

【今もかつての恐るべき研究の残骸が蠢き続け、さらには行き場のない危険人物も入り込むあまりに危険な場所であるため】
【詳しい情勢までは探り切れていない。だが、偵察員らが命がけで調べ上げたところによると】

【『スクラップズ』は、ヴェンドゥラー中央部を拠点に据え、廃の国に隠れ潜む犯罪者や命知らずの盗掘団などを】
【拠点の存在とカノッサ機関の後ろ盾を軸にした物量を以って次々に制圧。彼らを傘下に吸収することでさらに肥大化し】
【短期間で急速に勢力を拡大。かの地における最大規模の犯罪組織へと変貌したという】


【今や忘れ去られ、各国も手を出しようがなかったその地。昼の国政府も、それ以上の手出しをする余裕はなく】
【『スクラップズ』は再び、より深い闇の奥へと消えた】

【これから異形どもが何をしでかすのか、未だ潰えない悪意がどこへ向かうのか】
【それはまだ、だれにもわからない――――】

/これにて、今回のイベントの終了文とさせていただきます
/皆さんの最後のレスへの返信、イベント全体としての締めの文、並びに報酬につきましては
/少し間を置いてから改めて投下させていただこうと思います

/参加者の皆様、遅くまでんお付き合い本当にありがとうございました!!
944 :ヴァローナ ◆8R7odKA9zA [sage saga]:2015/02/14(土) 04:26:04.77 ID:33UfTzNoo
【ラスターを砕き、彼女は減速しつつ、適当な場所へと着陸する。また視界の広いビルの上だ】
【翼を閉じて、その高みから大木が崩れ落ちるのを眺めた。――作戦終了。そう思われたが】


……チッ。殺し損ねたか。

【ビルの上からその後の全てを見た。街が吸い込まれていく様は流石彼女をも驚かせた】
【しかしながらまず、口から出た事はスピードルが瀕死であるにしろ一命を取り留めていたことだ】
【これなら、はじめから頭でも潰してやればよかったと舌打ちした。詰めが甘かったと反省する】

【ヴェンドラーを奪還し、敵を瀕死まで追いやり、大損害を与えてたとはいえ、撤退を許した事は】
【この戦争の終結が先延ばしになることを意味している。すぐに敵に攻勢をかけるべきだが如何せん】
【こちらの損害も安くはないことだろう。このクレーターのショックも大きい。またまごまごしているうちに】
【敵が立て直し、新た侵略を開始することだろう。後手に回るのは何処の軍も一緒か。しかし彼女には】
【関係のない話だ。自国でもなければ指揮官でもない。単なる、傭兵。金をもらって敵を殺すだけだ】
【だから気にするべき点は、敵を殺し損ねた。それに尽きる】

【彼女はしばらくして後方支隊がやって来たのを見ると、また翼をひろげて其処へ降り立った。治療を受けるためだ】
【治療費もただで済ませたいし、何なら入院して暫くの食費も浮かせたい所だ。クリーニング代も別途で貰いたい】
【簡単な治療を受けながら安い煙草をくわえる。止める人間は居ないだろう。また生き延びてこの味を吸うとは】


最も重要で困難な任務を皆様にお任せすることになります……軍人としてはお恥ずかしい限りです

【やって来た指揮官を見て、彼が作戦前に言った言葉を思い出していた。指揮官の謝辞には生返事で返す】
【そりゃあ最前線に自国の兵隊なんぞ出すつもりはハナから無いだろうさ。死傷者が増えれば国内で】
【厭戦ムードが流れてやってられん。傭兵ならいくら死のうと構いやしない。だから報酬金はタップリ書いて】
【無線機などの支援費はもっと高額だからケチる。使い捨てだ。…そう思うのは流石に、ひねくれているかな?】

【空を見上げると、眩しいぐらいに明るかった。本来の牧歌的な昼の国にふさわしい陽光だ。煙草の煙を吐き出して】

まあ、この国初めての夜明けを見れたのは…悪くないな

【と、独り。誰に言うわけでもない。強いていうなら目の前の手当をする医療兵か。煙草は相変わらず辛かった】


【剣を背負い、何もなくなった戦場を歩く。左手は折れているらしい。痛み止めを打ち三角巾を吊るす。額にも包帯が巻かれる】
【病院には後で行くといい、搬送は断る。夜明けだが明るすぎる日差しは少し暑苦しかった。本物の夜と、朝では無いからだろう】
【戦場から去る時に、不意にアサドに預けた狙撃銃のことを思い出す。…まあ、病院か戦場かどこかでまた会うことだろう】
【正義の味方ではない傭兵は、ただ其処から立ち去っていく。戦場の青い鳥、堕天使、カラス。いや、彼女は――――】

【余談だが、その後しっかりと病院へ行き、タップリ健康になってから国を後にした。報酬もしっかりと頂いた】
【しかしながらその大金はすぐに底をついてしまう。だがこれはまた別のお話…】



//主催者様、そして参加者の皆様、お疲れ様でしたー!!
945 :アサド・アル=アーデル ◆Oo..Ykgy2o [sage saga]:2015/02/14(土) 04:26:22.11 ID:QZt8Rt0xo
>>939 >>940 >>941 >>942 >>943

【その時確かに、アサドには終わりが見えた。自分の渾身の一撃と同胞たちの攻撃が、何よりもドス黒い悪を焼き滅ぼしたのを見た】
【――――それでも、油断はしていなかった。だからこそ、しぶとく生き残ってみせたカニバディール、レバーズとスピードルを見逃しはしなかった】


(………生き残りやがった、か…………。ったく大した野郎だぜ、あの肉塊の旦那も)


【甘いと自分でも思う。だがそれが、かつてあの異形の前に立ち塞がったもうひとりの青年とアサドとの最大の違いだ】
【アルフレドは迷いなく殺す。アサドは迷いながら殺す。果たしてどちらが正しいのか、未だに答えは出ていないけれど】
【ただ一つ正しいとわかっているのは、どれだけ迷っても躊躇してはいけない一瞬があるということ。背負った命が、アサドに引き金を引かせるのだ】

【……誰にも気づかれないよう、アサドは心の中だけでカニバディールを賞賛する。悪を誉めるなどあってはならないが、それでも「奴はとんでもない男だ」と】
【そう認めざるを得なかった。殺さずに済んだという情けない安堵と、また殺しに行かなければならないという悲しみ、そして覚悟】
【それを秘め、今度こそあの哀れな異形に引導を渡すべく。屋上の上から最後の狙撃体制に入、――――】


な、ん…………てめぇ、何をしていやがるッ!!?
あの『ラスター』ってのは、まさか…………ッ!


【「お前はどこにも行けやしない」と、アサドは言った。けれど……その行く場所≠丸ごと、己の内に収納するなどと】
【そんなことは、神様だって予想できるものか。ぐにゃりと曲がる景色、急速に収斂するヴェンドゥラーの街並み、およそ人間に止められるはずがない非常識】
【いまさら真相に勘付いても遅すぎた。うだうだ考える前に殺しておくべきだった。……いや、それも驕りか】
【何も考えて無心にトドメを叩き込んだところで、おそらく無駄だっただろう。最後の最後で、カニバディールの執念が正義≠上回ったのだ――――】


っ、は、っはははははははははははははははははッッーーーーー!!!
ああ、クソッタレ、ふざけやがって! なんつー野郎だ………!!
カニバディール、それに『スクラップズ』…………!!


【鮮やかに撤収していくカニバディールたち。残されたアサドの口からは、思わず笑いが零れ出る】
【何が楽しいわけでもトチ狂ったわけでもない。一切の意味を成さない、負け惜しみじみた哄笑。あるいはそれは、遠吠えのように】
【アサドはそのまま地面にぶっ倒れて、救援が来るのを待つだろう。しばらくは何もやる気が起きそうにない。大局で見れば勝ちだが、精神的には完敗だった】

【……しばらくそのまま天を仰いでいたアサドだが、やがてその頭上が陰る。軍の面々と一緒に、見知った顔がやってきていた】
【差し出された手を取って、立ち上がる。「わかってる、わかってるよ」と誰に言うでもなく呟くと――――本日最後の力で相貌を引き締めて】


「………………隊長。お疲れさまです。あなたと彼らのおかげで、最悪の事態は防げました。その、」

それ以上何も言うなよ、アル。ありゃあお前の言ってた通り、いや、それ以上の輩だ。
あぁ、畜生。ホンット世の中うまくいかねえことばっかりだ。あんなもん予想できるかっての。
まったく俺としたことがしてやられちまった。帰ったら皆にどやされちまうだろうが………。

――――だが、連中の臭い≠ヘこれで覚えた。こんな悪臭、二度と忘れようがねぇ。
アルフレド、お前もいつぞやの感触をよくよく思い出しておけ。いつでも奴らを探し出して、その喉元喰い千切ってやれるように、な。


【部隊長がいつもの調子に戻ってくれたことを察して、副官の青年は薄く笑うと、小さく「はい」とだけ返事をしてアサドに肩を貸す】
【武器も回収して建物から降りると、共闘した面々と司令官へ軽く挨拶して、それから可能ならヴァローナに狙撃銃を返却し、大人しく治療を受けるはずだ】
【ぽっかりと残されたクレーターが、男の心に空けられたそれと被って見えた。不屈の悪≠ェ正義を凌駕したあの瞬間を、男は忘れないだろう】

【――――必ずケリは付ける。けれどそれは今ではない。それまでに、この怒りとも悲しみとも付かない感情に整理を付けておこう】
【失われたヴェンドゥラー中央部を最後にきつく睨むと、砂漠の獅子≠ヘやたらと染みる消毒薬の痛みに耐えることに集中し始めるのだった……】


/楽しいイベントでした! 皆様お疲れさまでしたー!
946 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/14(土) 08:28:34.68 ID:7SNQUWcF0
>>943

「っ、ははっバケモノはそっちじゃん」

【まさに虫の息、もう指一歩動かせない】

【無傷とは言わなくてもあそこまでのダメージを負って未だに生きている真のバケモノを目の当たりにして力なく笑う】

「本当に……笑うしかなくて…………笑えないね」

「でも、まぁ」

【少し離れた所から救護班が来るのが見えた】

「面白い玩具が手に入ったと思えばいっか」

【でも火事場泥棒や追い剥ぎは出来そうにないなぁ、等と呟きながら担架に乗せられる男の娘】

【クレーターの中心部に軽く笑いかけながら少年は意識を手放すことになる】

「……んっく」

【カニバディールが投げた金貨を大事そうに自分の胃袋にしまいながら】
947 :犬神・ディザスター・禍 [sage]:2015/02/14(土) 08:33:04.70 ID:7SNQUWcF0
この度は私の様な初心者をこのようなイベントに参加させていただき誠にありがとうございました。
主催者様や参加者様の文章は独創性に優れたとても読みやすく、また、心を引き付けられる物でした。
とても良い勉強になりました
またこのような機会があれば是非ともまた参加して見たいと思います。
主催者様、参加者様
重ね重ね誠にありがとうございました。
948 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 14:23:06.94 ID:mlx/cHe2o
【路地裏】

【昼間の路地は静かだった。建物の隙間から差し込む陽光が薄汚れた通路を照らし出し、陰惨な雰囲気を多少なりとも和らげていた】
【遠くの方から表通りの喧騒が聞こえてくる。バレンタインデーという謎の風習に浮かれた人々が集い、それをここぞとばかりに商売人が狙い撃っている】

 知ってるか? 昔は正式な祝日だったんだが、今はそうでもねえんだぜ
 何でも実在が怪しいとかなんとか。おかげで俺んところも休みじゃねえんだな、これが

【静かな路地裏に男の静かな声が響いた。置き捨てられた木箱の上からだった】
【木箱に座っていたのは汚れ一つないカソックに身を包んだ神父だった。年齢は若く、少年とも青年とも取れる風貌をしている】
【薄いブロンドの髪が陽光に照らされて白色に見えていた】

 つってもまぁ、浮かれきった連中はわざわざお祈りになんかこねえから、こうして暇してるってわけだ

【穏やかな口調で神父が言葉を続ける。当人が意図せず険しく見える瞳が、胡座をかいた自身の脚の間に向けられる】
【そこに座っていたのは黒猫だった。目を向けられた黒猫はまるで返事をするかのように一鳴きあげた】

 あー……猫には分かんねえか

【神父は鳴き声に対して更に続けて、黒猫ももう一度鳴き声で返事をした】
949 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/14(土) 14:38:27.97 ID:DxXk96N9o
>>948

【猫も杓子も路地裏か。この世界の面倒ごとは全て路地裏から始っている、と言っても過言ではない。】
【怪しい人間とカノッサの悪いやつ、そして殺人鬼の坩堝となりつつあるような気もする昨今の路地裏事情だが】
【これでも数年前よりは大分安定してきて、落ち着いていると言うのだから驚きだ。ヨハネスブルグかな?(すっとぼけ)】


 ―――ええ、わかったわ。じゃ、この事は他言無用で。
 いいビジネスが出来て嬉しかったわ、最近じゃガキが相手だと分った途端、
 取引を切り上げようとする田舎モノのオバカさんも結構多くて。ええ、また今度。―――え? 

 ……そうねぇ。確かに本数打ってる割には、結構シャンとしてるのかも。
 けど、最後に使ったのは二日前だから。また今日の夜からはぷわぷわーお、って所よ。
 少なくとも"買い物"の最中くらいはシャンとしてないと、ボラれたら腹立たしいし、ね。それじゃ、また。


【ヨハネスブルグも場所によっては安全らしいから、この世界の路地裏よりはマシ、なのかもしれないが。】
【今日も今日とて、どうみても学校から抜け出してきたに違いない格好の制服少女が路地裏で怪しい男と取引中。】
【昼間で、少しは日の光も差し込み、雰囲気が暗くて陰惨としている、という事も無いのに―――まったく物騒なモノだが。】


 (さて……人目にはついて、ない、かな……ま、見られたところでどうと言う事も……ん?)
 (―――"アレ"は……いや、見間違いでなければあのときの―――……。)


【さて、そんな学生服の姿に薄茶色のセミロングヘアを肩の辺りまで伸ばした不健康不良少女が1人、】
【怪しげな会話と取引を終え、一切れのパンにランプ、ナイフ―――ではない、なんか物騒なモノをかばんに詰め込むと】
【木箱の上に座って猫に話しかけるという、今時キアヌ・リーブスでもやらないエクストリーム・スポーツに興じている"あの"男を見つけて】


 ……ねぇ。それ、何? もしかして、ドラマか映画でよく見る様な、「孤独だけどカッコイイ男」のまね?
 現実ではみた事が無かったから、実際に見るとなんていうか―――……あ、いや、うん。
 ミステリアスといえばミステリアスだけど……ごめんなさい、単刀直入に聞くけど、"妖怪聖書燃やし"には、友達がいないのかしら?


【ゆっくりと、歩み寄りながらそーっと話しかけるだろう。まるで気遣うように。悲しげな哀愁漂う孤独マンを気遣うように。】
【ねえ、友達、いないの? 元気だしてよ、友達なんかいなくてもエア友達で克服できるよ。そんな無責任な慰めでするかのように】
【いつだったか神父と言葉を交わし、公園で教科書と制服のブレザー(定価1万円)と聖書(プライスレス)を燃やしたあの少女が現れた。】
950 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 14:47:58.36 ID:mlx/cHe2o
>>949

【神父が猫に向かって話しかけ、猫が返事をしたりしなかったりする】
【喧騒から離れた場所で穏やかな時間を過ごしていた神父だったが、前触れなく嵐が来る】
【聞こえてきた梨花の言葉に神父──ディックが眉をひそめる。言われてみればそう見えることに今更気づいて気恥ずかしくなったのだ】

 ……こんな時間にこんなところに居るあたり、妖怪ブレザー燃やしにもお友達がいねえようだな
 表通りのバカ騒ぎに参加してそうだったが違ったか? チョコレートを追っかけなくていいのか?

【もの言いたげな目を向けるとディックは顎で表通りを示した。口調には明らかにバカにしたものが混じる】
951 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 14:55:14.49 ID:mlx/cHe2o
//そらよっ、次スレだ!
//http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1423893273/
952 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/14(土) 15:01:34.97 ID:DxXk96N9o
>>950

【猫は基本、返事をしないものである。ソースはウチの猫。いや、タマに喋るけど。(してやったり)】
【相も変わらず無愛想というか、口が悪いのか人間が悪いのかどっちもなのかハッキリしない人相の悪さで応対され】
【ここで憎まれ口GPをおっ始めれば彼女と彼の二人で恐らく世界は取れるであろう、御免何の話だっけ。ああそう、チョコレートか。】

 あら、私の場合はちゃんと"用事"があって此処にいるんだから、暇人のアンタと一緒にされちゃ困るわね。
 どう、"モンプチ"だか"カルカン"だか知らないけど、猫との御喋りは捗ってる? 鮭のおにぎりならあるけど、いる?
 あ、でもこれ賞味期限若干過ぎてるわね……昨日の夜中に買ったのに、もう賞味期限なんて。これだから生ものは……

 で、表のバカ騒ぎですって? 生憎、こんな所であやしい遊びに興じる族には関係の話でしょ。
 バレンタインだからって浮かれないで欲しいわね、大体なんで女の私がチョコを追うのよ、馬鹿馬鹿しい。
 アンタこそどうなの? チョコの一つや二つ、もらえたわけ? ママのはカウントしないでよ、それと妹や姉も、ね。

【ひょこん、と木箱の方に近寄ると、自分はしゃがみこんで猫と視線を合わし、「にゃー」だの「みゃー」だの話しかけるが】
【まったく動じないどころかじっと見つめてからぷい、と目をそらされてしまうと「あによ、態度悪いわね……」と自分を棚に上げた。】
【そしてふと、表の通りに視線を向けるが―――、矢張り、どうやら自分のような人間には縁のないパレードだ。そう実感せざるを得ない。】
953 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 15:15:32.50 ID:mlx/cHe2o
>>952

【みーとかにゃーとかは言うがこの猫はタマにも喋らない(便乗)。梨花に話しかけられても欠伸するぐらいだった】
【一喋ったら十返す梨花の反撃にディックは肩を竦めた】

 はっ。生憎と俺の周囲にその習慣に染まった人間がいなくてな。大体、聖ヴァレンティヌスは実在していないとされてる
 そういう事情がある以上、教会としてはその日を祝うわけにはいかねえんだよ

【鼻で笑いながらもディックの答えは内容が真面目だった】

 習慣的には女がチョコ買って異性だか同性だか自分だかに渡す日なんだろ?
 いいじゃねえか、表に行って並んでるバカどもをなぎ倒してこいよ

【喋りながら神父の手が猫を撫でる。猫が鼻を鳴らした】
【バレンタインデーというものが本当に縁遠いせいでディックの言葉もまるで噂を話すかのようなものになっている】
954 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/14(土) 15:29:07.15 ID:DxXk96N9o
>>953

【ぷっ。やっぱり貰えてないのか。顔立ちはいいのに、性格のせいに違いないわね。】
【そんな言葉が思わず口をついて出そうになる。危ない危ない。これではまるで性悪女だ。】

 ぷっ。教会がー、だの、大昔の偉人がー、だの、大層に言い訳しちゃって。や〜っぱり貰えてないんじゃない。
 だいたい、アンタ腹立たしいって理由で聖書に火着けてコーランバカにしつつ中指立ててイスラムに喧嘩売ってる破戒僧でしょ?
 今の今になって教会の姿勢がどうだの、神に仕える身として云々かんぬんなんて、そんなのズルでしょ、ズル。

【やっぱり性悪じゃないか(憤怒)。しかも頭で思い描いてた文言に加えて色んな罵詈雑言がプラスされレベル・アップ。】
【44マグナムの威力にビックリしてた所に、空気を読まない人間が50S&W弾を持ってきて、どや顔されたような気分の悪さだ。】
【ともあれ、今の今になってチョコを貰えない言い訳に神の名を持ち出したり歴史の嘘を紐解くロバート・ラングドンごっこは情けないと。】

 ……ま、ヘンなトコ真面目なのは嫌いじゃないけど。アンタ、意外とそーゆーとこはしっかりしてるのね。
 生憎心神深さっていう概念とは、南極と北極くらい離れたところで生きてきたもんだから、しっくりこない説明だけど、ね。
 だいたい、チョコレートなんて今日食べなくても明日でも明後日でも一ヵ月後でも食べれるのに、なんだって今日騒ぐ必要があるの?

 皆既日食とかジャイアントパンダに沸くならまだしも、チョコなんてそんなコンビニで買えるモノに群がるなんて……
 自分へのごほーび? それならもうさっき……、いや、なんでもないわ。と、とにかくよ。
 なんだかムカっとくるのよね〜、こういうイベントで皆が皆沸き立ってるの見ると……宗教臭くて、反吐が出るわ。

 ……あいや、ごめん。別にヘンな意味じゃないんだけど、その……ま、まあいいわ。
 アンタさ、猫とおしゃべりする以外の予定、今日って入ってるの?

【さて、梨花は自分自身も壮大な言い訳と口の悪さを散々に露呈した後、ディックに対し"暇なのか"と声をかけるだろう】
955 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 15:40:59.47 ID:mlx/cHe2o
>>954

【性悪女の口撃にディックの眉に更に縦皺が追加された】

 てめえ、しっかり尾びれ背びれつけてんじゃねえぞコラ
 人のことバカにしてねえで自分の身でも省みたらどうだ。友達の一人もいねえからこんなところでたむろしてんだろ
 騒ぎに参加できないで隅っこで一人ぼっちのくせに楽しそうにしてる連中バカにするとか根暗にも程があんだろうが!!

【一に対して十は返せないが五ぐらいは返す気になったディック。悪口GPの参加者としては負けられない戦いである(違う)】
【脚の間で丸まってる黒猫が二人を小馬鹿にするかのように欠伸をあげた】

 神父の前で宗教臭くて反吐が出るとかよく言えるなお前……
 暇かって? 普段は忙しいんだが今日に限って暇でな……俺の商売は周囲の忙しさに対応してるからな
 で、それがどうした?

【梨花の一言にさしものディックも呆れ顔を浮かべる。次の質問には答えながら意図が分からずに首をかしげた】
956 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/14(土) 16:00:18.28 ID:DxXk96N9o
>>955

【根暗―――根暗か。そういわれると流石に反論は出来ないだろう、だって根暗だもん。】
【ただ唯一他の根暗さんと違う所は、彼女は根暗は根暗でもネチネチはしていない所、だろうか。】
【嫌な事はイヤだとはっきり言うし、なんなら先程のご高説も此処ではなくてバレンタイン・フェアのケーキ屋の前で叫んだって良い。】

 ……フン。煩いわね、じゃあなによ? 此処じゃなくてみんなに向かって言って来る分には認めるってわけね?
 根暗じゃないって認めるってワケね? 正々堂々喧嘩を売る分には文句無いのよね? ついでに言うなら
 私も愉しそうにしてたら問題ないわけよね? よーし良いじゃないのやってやるわよ、見てなさいよ破戒僧……。

 でも暇でよかったわ、そうじゃないと私も"暇つぶし"出来なかったからね。
 丁度良いわ、こんな所でバッタリ出会ったんだし、ちょっと気分転換に付き合いなさいよ。
 ホラあれよ、可愛そうな非リア充の女の子を助けてあげると思ってさ、そういう事にしておけば自尊心も保たれるでしょ?

 ―――てなワケで、ちょっと行きましょうか!

【ぐい、と彼の腕を引っつかむと、猫を置き去りにして彼女は表通りの方へと歩き出す。】
【なにか最初の方には"皆に向かって行ってやる"とか物騒極まりない発言も飛び出していたが、まさか。】
【ともあれ、彼女は女子高生とは思えない勢いでずいずい彼を路地裏から引きずり出すと、コンビニの前へと歩いていって。】

 さぁ〜て、と……おっ、丁度良かったわね。車を取るのは気が退けるけど、単車なら胸が痛まないわ。

【そんな一言と共に、丁度休憩中だったのだろう、コンビニに立ち寄ってきたツーリング集団の"バイク"に目をつけた彼女は】
【あろうことか彼らがバイクを降りて、店内へ入っていくと同時にすかさず車両へと忍び寄り、鍵が刺さったままの固体を探そうとする。】

 うーん……流石にセパハンのフルカウルはなあ、タンデムが大変そうだし……
 腰も疲れるだろうからやめておこうかしら、ていうかライムグリーン×3って……これだから大学生の二輪乗りは。
 どいつもこいつもカワサキの下忍とホンダのCBR以外選択肢を知らないのかしら、面白みのない連中ね……えーっと、他には……お。

 ―――めっずらし、2stじゃない!! これね、鍵は〜……お、刺しっ放し。メットも二つ、完璧ね。

 ほいっ、乗った乗った。


【―――さて、コイツ何してんのか。見れば分る、盗難だ。人のバイクに跨ってあろうことかお前も乗れ、と言って居る。】
【車両は聊か昔のモノのように見受けられるが、十字に組まれた華麗なトラス・フレームに片側二本出しの個性的なマフラー、】
【そして絶滅危惧種の2ストロークエンジン特有の白煙とパラパラしたエンジン音が響き渡る、Yamaha R1-Zという古い車両であった。】

【その筋では最後期まで生き残った最後の2stバイクとして有名なのだが、閑話休題。】
【ともかく梨花は慣れた様子で車両に跨ると、すいすいと後ろへ下がって道路へ出る準備をし、またがれ、と指示するだろう。】

 ちょっと、はやくしなさいよ。このエンジン煩いから直ぐ盗ったことバレちゃうでしょ?
 やる気のない安時給のバイト店員と、今時2stなんか乗ってる捻くれ者のクソDQN持ち主が駆けつけてくる前に、ほら、急いで!
957 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 16:10:59.13 ID:mlx/cHe2o
>>956

 は? 行くってどこに……って、おい、待てこら!

【怪しげな発言にディックが怪訝な顔をしたが、腕を引っ張られてずるずると引きずられていく】
【抵抗しようかとも一瞬考えたが、暇なのは事実だったので成り行きに任せることにした──】

【辿り着いたのはコンビニ。未だに何が何やら分からないディックは梨花の動きを目で追うことしかできない】
【バイクを物色している間、彼は反射的に周囲の様子を伺っていた。広い場所についたときの癖だ】
【そのせいで梨花の悪行を見過ごしたのである。灯台下暗しとはこのことだ!】

 ……は?

【乗れ、と言われてもディックの目が点になるだけ。二度目になるが事態が飲み込めない】
【事態は飲み込めないが梨花が単車をパチっていることと見つかったら面倒なことだけは頭が瞬時に理解した】
【ディックはちょっとした罪悪感のせいで一瞬迷ったが──】

 あー……そういう運命……ってほどのことか、これ?

【いつもの口癖を呟いた後、言われたままにディックは梨花の後ろに跨った。ただ、こんな経験がないので何とも覚束ない感じだが】
【案の定というかなんというか、どう身体を固定すればいいか分からない様子でうんうん唸っている】
958 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y [saga]:2015/02/14(土) 16:20:59.29 ID:DxXk96N9o
>>957

【ガソリンとオイルの混じった、燃焼しきっていない匂いが鼻腔を突く。】
【環境問題や排ガス規制、そもそも白い煙で後方車両に迷惑過ぎだのなんだのと、何かと問題の多かった2st。】
【だがこうして股ってみるとああ、あの懐かしの日々が思い出される―――峠を駆け抜け750を千切ったあの―――そんな思い出ないや】

 良い感じね……よく整備されてる、もう結構時間も経ってるのに……うん、走れそう。
 って、なによアンタ、後ろ乗ったこと無いわけ? ホンット女気ないわねー、まあいいわ。
 腰の辺りに片手を回して、もう片方の手はシート近くにあるバーを掴むのよ、まあ怖かったら両手で抱きついても―――


 「ん? おい、なんで俺のバイ……あ、あぁ!? R1!! おれのR1が!!」

 「なにぃ!? こんな白昼堂々と盗難だと!? おいゴルルァ!! 免許もってんのか!!」

 げ……!! やっば、ああもうほら、神父!! どこでもいいから掴まりなさいよ、はやくはやく!!

【言うが速いか、梨花はすぐさまスロットルを捻ると凄まじい勢いでマシンを加速、加速、加速―――ッ!!】
【二輪に乗ったことが無い人間には分りづらいかもしれないが、走り出しから前輪が浮くような加速をすると、】
【風圧とGとで身体が後方に引っ張られるようなとんでもない感覚が一気に襲ってくるのだ―――しかし、そんな事はお構い無しに】
【梨花はパワー・バンドの6000回転まで一気にエンジンを吹け上がらせると、2st特有のドッカン加速が始り―――――――――――。】


 【―――遥か、彼方。コンビには後方へと吹き飛んでいき、風景は全て背景になっていた。】
959 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2015/02/14(土) 16:29:25.28 ID:W3Zazq3y0
>>939-943

………………こんなことが…………あるか……!

【確かに奴は死んだはずだった、崩れたハンバーグのようになっても生きているなど……】
【何という生への執着、それに狂わせたとはいえ奴らの計画も半端ながら達成されている】
【確かに任務としては勝利という形だ、だが未だ奴らが何かを企んでいるのかという不安感もある、ミハエルはどうにも素直に喜ぶ気にはなれなかった】

【口の中に溜まった血を吐き捨てると、しばらくぼうっとその場に立ち尽くしていた】
【だんだんと痛みが戻ってくる、薬が切れてきたのだろう、変なむず痒さを感じ始めて】

…………また逃した……、全くもって情けないな……俺は………………

【今感じている太陽の暖かさ、この光、片をつけるまできっと忘れることはない】
【駆けつけた援軍に半ば引きずられるように運ばれながらそう誓うのだった】

/遅くなりましたが主催者様、参加者の皆様ありがとうございましたー!
960 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 16:31:25.18 ID:mlx/cHe2o
>>958

 え、ちょっと待っ────!!

【ディックの静止の言葉はバイクのエンジン音と続いて襲いかかってきた風圧にかき消されてしまった】
【ディックは慌ててバーを引っ掴み魔力で筋力強化。腹筋と腕の筋肉で風圧に抵抗して流れかけた上半身を無理やり引き起こす】
【姿勢を元に戻して控えめに梨花の腰に片腕を回、そうとしたが控えめだと吹っ飛ぶのでしっかりしがみ付いた】

 ──あーあ、やっちまったなぁ
 不良の盗難に付き合うとかバレたら死刑だぜ、俺

【流れていく風景をぼんやりと眺めながら、神父は自らのした過ちを告白するかのように呟いた。いや、あんまり悪くは思ってないけど】
961 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 16:44:59.57 ID:DxXk96N9o
>>960

【死刑―――神父、というか教会関係者の死刑ってどんなのだろうか。】
【たしか一番やっちゃいけないのは火炙りだった気がするからアレではないとして】
【と、なると十字磔にしてゴルゴダの丘に何日間も晒すのだろうか。辛そうだ。イヤだなあ。】

 
 ッハッハー! ざまあないわね、下忍とCBRじゃどんなに頑張ってもR1-Zには追いつけないわよ!
 精々耕運機みたいな情けないエンジン音で田舎道でもトトトト流してることね、へっぽこめ!
 さて―――……ん? 死刑? 大丈夫大丈夫、今日一日借りるだけだから。その内返却するわ、無傷で。

 それにこの手の作業は慣れてるのよ。
 なんたってミッション逃走用に現地の乗り物を自分で回収して使えって命令が多くて……あいや。
 まあいいわ、それよりアレ、見てよ。あのケーキ屋、バレンタインフェアの真っ最中。よーし、丁度いいわ……っふふふふ。


【タタタタタ、と甲高いエンジン音を響かせながら場違いにも程があるバレンタインイベント中のケーキ屋に近付くと】


          やーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!

  このミーハーを煮詰めて作ったような世間に流されて生きるしかない主体性の欠片も無いバカ女の群れ共!!
 
 アンタの彼氏も、恋人も、許婚も、セフレもお客もだんなも、みんなみーーーーーーんな、おとこなんてのはねぇぇぇ!!!


 チョコより[ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー][ピーーー]の方がよっぽど欲しいのよバーーーーーーカ!!!!

 どんなに凝った高いものあげようと、チョコ貰ったあとのメロドラマ展開の事しか頭にない[ピーーー][ピーーー]野郎が男なのよ、バーーーカ!!!


        男 は チ ョ コ な ん か い ら な い の よ 、 勘 違 い バ ー カ ー ー ー ー ー ー ー ! ! 



【どうだ、参ったか。言ってやったぞ。お望みどおりぶちまけてやったぞ。】
【これ異常ないくらいに汚い言葉をぶっかけながら梨花はエンジンを唸らせ、颯爽とその場を離れた。大笑いしながら。】


【この女、ちょっと頭おかしいかもしれない。】
962 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 16:56:16.22 ID:mlx/cHe2o
>>961

 なんだよ現地調達とか……最近の不良はどうなってんだよ全く

【梨花のスネー◯ばりの主張にディックは閉口するしかなかった。だがその次の行動には呆れを通り越すこととなった】
【高速で走り去るバイクから飛び出す罵倒に店に群がる人間達が振り返る。嘲笑に苦笑。顔を赤くするのにも恥と怒り。反応は色々だった】
【中には学生服の後ろに神父服の人間がくっついていることに首を傾げる人や歌に出てきそうな状況を冷やかす奴もいた】

 ……お前、そんなにストレス溜まってんのか

【ディックはすっかり呆れかえっていた。時には梨花のそっくりの行動を取るこの神父も今は冷静だった】
【というかバイクに乗ってる二人がそろって罵倒を撒き散らしていてはまずい。どちらかは冷静でなくては(戒め)】
【瞬間的に注目の的になったディックだったが、気分は悪くなかった。連れ合いが楽しそうだからだろう】

 しかしあんまり真実を教えてやるなよな。そうでないと思いたいから物品に頼ってんだからよぉ
 そりゃ誰だって自分がオ◯ホの代わりだとは思われたくねえだろ、多分

【何となく群衆への同情心が沸いたディックはそれを伝えてみることにした。言葉の選び方がひどいのは梨花と同じであった】
963 :穢土宮 入間 [saga]:2015/02/14(土) 16:57:42.22 ID:95Cr05kQ0
 【バレンタインデー……その言葉の詳しい意味、内容、成り立ち。そういう事を抜きにして、とりあえず今日こと2月14日は親愛を伝える日であるという事だけ知っていればいい】
 【そしてその親愛には一か月後に渡された方が答える。単純明快で、行事という手間を借りて人を踏み切らせる素晴らしい行事だ】
 【だが、この行事に喜色を見出さない輩も必ずいる。それは俗にいう非モテだとか、妬みがましいタイプとか、メンタルヘルスの必要な患者だとかそういう物じゃなくて】
 【単純に、愛情と言う物を好きになれない少女の僻みだったりとか、なんだとか】

ハート型のチョコを渡して、愛だの恋だの、ねぇ――

 【端が千切れた、色の濁りが見て取れる数枚の新聞。書かれている日数は本日2月14日】
 【それを読む少女は、とてもバレンタインデーとは縁が遠いようには見えない。整っていて、出るところが出ているタイプの女性】
 【見てくれは20前後。灰色の前髪を手で少し整えて、視界を確保。長くなった髪も切らないとな、何て考えつつ】
 【少女が視界に収めていた記事は口に出した通りバレンタインデーに関わる記事。前年に比べ今年度は、更に例年通り、今の流行りは――エトセトラ、エトセトラ】
 【仏頂面にも見える、何処か不機嫌そうな、そうでないような表情で、新聞を捲る女性――――そう、そこには新聞を見る女性が座っているだけ】
 【そことは? 水の国。その街の通り。やや外れた人気の少ない場所。言うなら店と店の間】
 【現在は数分に一人、という位にしか人が通らない程の過疎を見せる。何故今日だけこのような状態なのかという事には見当がつかない為、省略しておく】
 【つまりは捻くれ者が目を向けたがるような場所。落書きアートの壁にもたれて、何度か首を傾げたり、頷かせながら文章を頭へと送っていく】
 【これだけならまだ奇異の部類だ。そういう世界だ。そういう事もある】

なあアンタ。もしかしてアンタにもそういう用事があったか?
別になかったならいいけどよ。

 【その女性の傍に更に一人、地面に倒れ伏す男性】
 【命に別条はなさそうだが、それでもやたらに殴られた痕跡のある、絡まれた男】
 【目を向ければ見えるだろう。傍で何もせず新聞を読んでいるだけの少女が】
 【これが犯人か、赤の他人か、理由があるのか、視線一つと、言葉なしの考察では、答えを導くには少し厳しいかもしれないが】


964 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 17:10:34.64 ID:DxXk96N9o
>>962

【よく見かけるが、カノッサ機関専用のハイテクマシン()だとか、ロボット()だとか、】
【いやそりゃもうロマンの塊で滅茶苦茶燃えるのだけれど、でもいくらなんでも目立ちすぎるし】
【そもそもそんなハイテクメカを逃走用に態々用意出来るような状況なら隠密行動、とも言えないのではないか。】


 あら、でも盗んだ車両に愛着持ってずーっと乗り続けてたら直ぐに脚が着いて豚箱行きよ?
 乗り捨て上等、キリコ・キュービーだって車種は同じでも毎回スクラップにしては乗り換えてたわ。
 ストレスは―――……ううん。溜まってるのかしらね……ていうより、なんかもやもやする、っていうか……。

 ま、何でも良いわ。やるなら身体にチョコでも塗ったくって「食べて?」ってやる方が幾分か健全よ。 
 チョコあげて形だけでも繋がっておこう、なんて体裁を用意してるのがなんとも意地汚いわ、ああ忌々しい。
 
 ……心の底じゃ、どいつもこいつも人の不幸を願って自分の為に生きてる癖に……馬鹿馬鹿しい。

 ―――さてっ、それじゃ走るわよ! 

【信号で止まった折、なんだか少し悲しそうにそんなことを呟いて。】
【梨花は勢い欲スロットルを捻ると、キレの良い走りである場所を目指して加速していく。】
【20分か、30分ほどだろうか、暫く走り続けると見えてきたのは―――大きなゲートに立ち込める歓声、これは―――、】


 よしっ、とうちゃーく。 ほら、先に下りなさいよ。アンタが降りないと私は降りられないんだから。


【―――遊園地、だろうか。それもかなり過激な絶叫マシンで有名な、ヤバイ遊園地だ。】


/っと、すみません!ちょっと犬の散歩行ってくるので一時間ほど空けます、ごめんなさい><
965 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 17:21:40.84 ID:mlx/cHe2o
>>964

 あー……

【梨花の主張にディックは何となく納得できるものがあった。そういう中途半端なものにイラつくタイプなんだろう、と思った】
【それに気づいたとき、ディックは苦笑を浮かべた。汚い言葉を使いながらもその主張に潔癖さを感じたからだ】

 いや、お前も大変だな

【更にバイクが加速していく。その移動の間もディックは暇じゃないように梨花に話しかけ続けるだろう】
【──数十分後】

 ……………………は?

【本日何度目かの唖然とした表情をディックが晒していた。お口ぽっかりである】
【見上げればそこには円環を描く線路。色とりどりの謎の構造物。この日にあって依然として喧騒まみれの広大な土地】
【要は遊園地だ。ディックにとって最も縁遠い、というか興味もなければ経験もないし話もあんまり聞かない場所だった】
【そんな場所に突然連れてこられたせいでこの反応なのだ。また目が点になっている】

 えっと……なんだ、ここでも爆破すんのか?

【ディックの口を突いて出たのは物騒な発想だった。ただの不良女子高生(ディック視点)が遊園地を爆破するわけがない】
【つまりそれぐらい困惑していた】

//了解でっす
966 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/14(土) 17:22:48.18 ID:v1qf7W5oo
>>963
あら……折角のバレンタインデーだってのに、浮かない顔しているわね、アナタ

【そんな風に紡がれる声は、甘い吐息のような息継ぎと共に漂う女言葉、だのにそれを発する音階は低くて】
【少女の方に歩み寄って来るのは見紛う事のない男性であった、他に歩く人間もおらず、声を発したのは彼に他ならない】

【褐色の肌に、黒いレザーのジャケットとパンツ、服の上からでも中の筋骨隆々な肉体が伺えそうな肩幅】
【それでいて歩む動作は柔らかいモンローウォークで、踏み出す度にボンテージシューズが柔らかく地面を踏み、肌に補色する白いアフロヘアが揺れた】

ダメよ、女の子がそんな仏頂面してちゃあ、ね…?
それに、人を殴るのも……手が怪我しちゃうわよ?

【そう言って、男は艶かしく半開きのシャンパンゴールドの目を少女に向けた後、倒れている男性の元にしゃがみ込もうとする】
【そうした後に、倒れた男性の体をゆすり頬を叩き、起こそうとするだろう】
967 :穢土宮 入間 [saga]:2015/02/14(土) 17:41:16.27 ID:95Cr05kQ0
>>966
――何が折角の、だよ。
別に今日がそーいう日だろうがどんな日だろうが私はこういう気分だったっつ――――

 【まさか人が通ってくるとは思っていなかった。それを表す様に言葉を返すまでの間には不自然な間が空いた】
 【不自然、というのは言葉と言葉の間にしてはやけに微妙で、機を待っていたにしてはやや粗暴な、本当に微妙な間。読んでいた新聞を片手で纏め、二つ折り、四つ折り、と畳んでいけば、視界は活字と灰色の背景から、動きのあるリアルへと戻ってくる】
 【耳に入る低い声。大して気にしていなかった。ある意味で注意が回っていなかっただけとも取れるが】
 【声のする方へと顔を動かし、別に今日が特別だから浮かない顔をしている訳ではない、と】

う……の……。

 【―――否定しようとして、言葉が止まる】
 【女の視界に入ったソレは、女からすれば非常に珍しいタイプの出会いだった】
 【思わず言葉を途切れさせて一瞬。気まずい間を再度作り出す位には面識がなく、いや繕うことなく言えば初対面だった】


………―――……―


 【……なんせ、女の住処にはオカマなんてものはいなかったのだから】

……いや、何でもない。気に障ったなら謝る。何でもないんだ。

 【女が言葉を戻したのは、男――女?――が、、寝転がった男を起こそうとした辺りだ】

あー、いや、それ私は何もしてねーんだわ。
ただ伸びてたから拾っただけ……なんだけど、アンタは拾った理由まで話してくれないと気が済まないタイプか?

 【気だるげに眼を開けて、ゆらりと瞳を上下させる男性は、頭が未覚醒の状態でも、とりあえず現在位置と、直前までの行動を頭で思い浮かべ――覚醒した後も、ほんの一瞬目前に映るアフロに脳内で疑問符を浮かべたが、それ以上には至らず】
 【ここは何処なのだろう、と男――女?――いや、イカペコラ、と呼ぶ事にする――に尋ねる】
 【それとは別に、女の言う事が真実であるならそれもそれで奇妙な話だ。伸びてた男を拾って傍に置いただけ。理由としては余りに不可解で断片的だろう。濁したのは面倒だからか、聞かれるのが不味い事だからか、はてさて】
968 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/14(土) 18:01:38.43 ID:v1qf7W5oo
>>967
【少女がこの男に対する反応はスタンダードなものであるし、何も悪い事じゃない、それは本人もよく解っている事だ】
【慣れだとか覚悟じみた考えもあって、反応を嫌悪する事はないが、こういう風に反応されたのは久し振りな事もあって、少し微笑みが漏れる】

───あら、そうなの?勘違いをしてごめんなさいね。『そういう人』、知り合いに多いから
別にアナタを攻めるんじゃあないし、事情聴取しようだなんても思ってないわ、そういうのは自警団のシゴト
それとも、聞いてほしいのかしら?だったら、聞いてあげる

【倒れた男を起こしながら、まずは少女に謝罪、そして『疑う訳じゃない』と告げる】
【言葉の一つ一つは嫌に落ち着いているし、危険を孕む風でもない、何処かゆったりとした余裕すら感じられる風で】
【少女が嘘を付いているかどうかも、本当に疑ってないというよりは『どちらでもいい』と言った感じで、拾った理由まで言いたいならば言えばいいと、少女に視線で促した】

アナタ、大丈夫?誰にやられたのかしらねぇ、酷い傷…
この子がここまでアナタを連れて来てくれたらしいわよ、お礼を言ってあげたら?

【目を覚ました男に、問いかけられた言葉に適当に答えつつ、傷の様子を見たりして、大丈夫そうなら肩を貸して立ち上がらせようとする】
【それから、放って置かれる所を少女がここまで連れて来たのだと───少女の言う事が事実ならば───告げて、また視線を少女に流して、礼をしてやれと男に促す】
969 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 18:22:22.70 ID:DxXk96N9o
>>965

【一歩退いた観点から見れば、何でもかんでも曝け出さない事で】
【互いに見えてくる関係、というのもあるのだが。そんなことは彼女には分らないだろうし】
【それにまだわかる必要も無い。10代というのは、もっと心と心をぶつけ合わせて良い時期なのだから。】

【だから、そんな若い二人の向かう先としてはまあ―――良いんじゃないだろうか。】
【勿論、梨花はそんなことなどこれっぽちも考えちゃ居ないし、ただ来たいから来ただけなのだが。】
【いや、つったって俺だって知ってるよ?初デートで行きたくない場所ランキング上位なのが遊園地だって事くらい、知ってるよ?】


 ―――なによ、デートでもあるまいし。パーッと気分転換したいから来ただけ、勘違いしないでよね煩悩神父。
 口ポカーンとさせる前にさっさと入場しちゃいましょ。バレンタインでどのアトラクションも混んでそうだしね。
 ……爆破? それじゃ、いつもとかわらn……そんな物騒なこと、女子高生がする訳無いでしょ、ちょっとは考えなさいよねー。

 学生二人で! えー?  学生証はぁ……あ、ごっめんなさい忘れちゃっててぇ、えへへー^^
 でもほら、制服着てるし学生には違いな……はぁ? 片方神父服? どこに目ぇつけてんのよ、学生だっつってんでしょ!!

【ドスの聞いた声で気弱そうな店員を脅して無理やり学生料金で入場、何事も無かったかのように園内掲示板に直行し。】

 っふっふふー。どれから乗ろうかしらねー。気分爽快になるにはー……おっ、これ行きましょうか。
 神父! アンタジェットコースター大丈夫よね? 大丈夫じゃなくてもまあいいけど、いきましょ!

【そのままぐいぐい手を引っ張って、まずはこの遊園地でも人気のある超高速弾丸コースターへと向かい】
【列に入れば「なによ人が多いわねー、30分もまつの?」だとか「おなかすいたわねー」だとか、小言を言い始めるだろう。】

【因みに、コースターの説明をしておくと、まず最初のスタートから3秒強の間に時速140kmまで加速】
【最新型のフェラーリとそう代わらない速度帯を維持したまま縦に横にをぐんぐん曲がった後、】
【一気に坂になったコースを駆け上がって、そこから一直線に落ちる逆U字型の落下ポイントの設けられている、とそんな一品だ。】
【幸いぐるぐる廻ったり、長い間走り続けたり、滅茶苦茶高所に行ったりと言うものではなく、スピードが売りのコースターだが、果たして。】

/おまたせしましたー
970 :穢土宮 入間 [saga]:2015/02/14(土) 18:27:31.46 ID:95Cr05kQ0
>>968
……?

 【口元に浮かぶ僅かな笑みに、怪訝な顔を示して首を傾げる。
怒りの反応を向けられる事はあっても、その逆に位置しているであろう対応をされるとは欠片も思っていなかった】
 【そりゃ、見た目、成り立ちからして自らとは考え方も違うのだろうけど……
と、腑に落ち切らないまま、ただ聞き返す程野暮な事でもない、とそれを流す事にする】

勘弁してくれ。私はそんな偏屈な自己顕示欲で生きちゃいねーんだ。
ただ、そういう目的じゃないんなら、猶更気がかりだよ。一々首突っ込む事でもないだろ?

 【何せ、見るからに怪しい組み合わせだ。
例えその主犯の人間が力の弱そうな女に見えても、普通は関わりたいとは思わないだろう】
 【――まあ、普通なら、と頭の中で出した結論に釘を刺して僅かに反らす。
女の中では目の前に現れた人は、既に外見から普通とは離れていた訳だし】
 【だとしても、殴り合いすら視野に入れるべき状況だ。知り合いにそういう人が多いから、という理由があっても手を出したくはならないだろう】
 【ゆったりとした、自らの内にある余裕を表現した様子も、更にそれを煽る。
何処かキレているようにも見えないからだ】

――――なん、だかなぁ。

 【言われた通り、何が何だか……という様子で男は女に感謝の言葉を述べる】
 【手に持っていた時計を持って、慌てた様子でそこからすっ飛んで離れていこうとする……。
何か用事があったのだろう。だとしたら災難な事だ。と他人事のように感じながら】
 【普通倒れている人を見つけて、運ぶなりするなら病院に連れていくなり、救急車をよぶなりするのが正解だと思うのだが】
 【そこでまったく別の、手当一つせずそこで寝転がらせたまま放置、という結果をさせたのに感謝をしろとは
……皮肉でいっているのだろうか】

それで、今のが皮肉なのか、それとも天然か敢えてなのかはわかんねーけど。
アンタはアンタで何用だ? お人よしの類なのか、それとも私に用でもある、のか――――

 【ただ、それを探るのは性に合わない、あっさと話をつけよう、と切り出したのは女から】
 【用がある、と言われれば思い当たる節もある。そういう組織に属している。
どこかで顔が割れていても可笑しくはないだろう】
 【それこそ、女も何でもない様子で、それがこの女の日常だから。
双眸だけは、まだ鋭利とは呼べないながらも、強い意思をもっている事が理解できた】
971 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 18:43:27.45 ID:mlx/cHe2o
>>969

【これまた本日何度目かの強引な進行でディックは遊園地に入るはめになった】
【ドスを聞かせて店員を脅している間は呆れ顔で梨花を見ていたが口を出せる雰囲気でなかった】
【あれよあれよと言う間にジェットコースターとは名ばかりの殺人コースターの列に並ぶことに!】

 ……こんなものに三十分も並んで乗るのか、乗るやつがいるのか

【コースターに沿ってディックの首の角度が徐々に上がっていく。坂だの登りだの下りだの、人間が作ったものとは思えない(迫真)】
【これは拷問か、はたまた自殺志願者予備軍が生を忘れるために作ったのではないか、などと待ってる間に考えていた】
【合間合間の梨花の小言への返事も何だか落ち着かない様子だった。コースターが怖いわけでなく、遊園地のような場所が慣れないのだ】

【かくしてディックは拷問コースターに乗った。高いところは苦手ではない】
【スタート直後の超加速。高い加速度で発生する力で腹を押されてディックは妙なうめき声をあげた】
【縦に身体が振られ、横に振られ、身体がシートに押し付けられて若干痛い。ここまでは若干痛くて景色が消えるぐらいで済んだが──】

 ──ぎゃぁああああああああああああああああ!!!!!

【超スピードに更に重力加速度が足された殺人的な落下地点に入るとディックの叫び声が木霊した】
【いくら高いところが平気といっても落ちるのが平気なわけではない。しかも完全に自分のコントロール外では恐怖しかない】
【コースターが落下していき、停止するまでディックの叫び声は長く長く続いたのだった──】

【──それから】

【コースターから降りたディックは(精神的に)死んでいた。人前で叫び声を情けなくあげたことを恥じているのもあるが】
【人生初のジェットコースターに与えられた恐怖は非常に疲れるものだった。ふらふらと覚束ない足取りで歩くと壁に寄りかかる】
【顔面は真っ青だった。むしろ白かった。まるで彼の髪のように(アホな比喩)】
972 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 18:43:39.72 ID:mlx/cHe2o
>>969
//おかえりなさい!
973 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 19:02:08.15 ID:DxXk96N9o
>>971

【様子が、可笑しい。いや、元々口数が多いタイプではないみたいだし、そんな物なのかもしれないが】
【それにしたって、という感じだ。遊園地に慣れていない―――というより、娯楽施設に来るの自体が、稀なのか。】
【まあそれを言うなら梨花もそうなのだが、梨花自身は大分この状況を楽しめているようで。ワクワクとしたままコースターに、乗り込み。】


 ―――――――――――きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああっはははははははははは!!!


【悲鳴。と、思いきや、それが段々笑いに変わっていく。隣で阿鼻叫喚冷や汗ダラダラのディックに比べると】
【なんともこの状況をエンジョイしているというか、若干興奮しすぎというか、怖いもの知らずというか―――。】
【若いなあ、と思う。ぶんぶん身体が振られるのに目を閉じる事も無ければむしろ両手を万歳して超ご機嫌であった。】

【落下地点で死にそうな悲鳴を上げているディックのことなど露知らず。】
【梨花は歓声を上げて物理法則に従がい、コースターと共に一気に落下―――!!】
【写真を撮る地点ではバッチリカメラを補則し、ピースサインを作って最高のショットを決めてしまう。】


 っはぁぁぁぁ〜♪ さいっこうじゃない! ねえ、今のコースター完璧だったわね!
 流石にバイクでもあの加速はそうそう味わえないし、なにより動きがダイナミックで面白い!
 落下する事なんてそれこそトンボでも呼び出さないと無理だs……こほん、とにかくよかったわ、ね、しん……ぷ?

【―――降りて早々、"何か"を買ってバックにしまいこむと、感激したと言葉を並べ立ててアトラクションを絶賛。】
【彼女は見たとおり楽しめたようだ―――対照的に燃えカスとなっている神父に気が着くと、???をいっぱい浮かべながら】

 ちょ、ちょっとちょっと! なによ、神父あんたもうバテたわけ!?
 バイクの後ろが大丈夫だったのになんでこんなコースターが……あ、あんた大丈夫?
 まったくもー、あのねえ? 事故も絶対起きないしこっちのが安全なのよ? 私の運転の方が危険なんだから。

 さて、それはともかくちょっと腹ごしらえでもしましょうか!
 よかったわね、乗る前になにも食べなくて! チョコ食べてたら後ろの人の顔茶色くなってたかも、ふふふ!

【冗談にならない冗談を言うと、二人分のホットドッグと飲み物をささっ、と購入し】
【そのまま食べながら歩いていると、次に見つけたのは――――】


【コンマ末尾偶数:オバケ屋敷】
【コンマ末尾奇数:フリー・フォール】
974 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/14(土) 19:03:30.89 ID:v1qf7W5oo
>>970
そうね、一々気にする方がおかしいかもしれないわ、それでなくとも、人が誰かにヤられているだなんて日常茶飯事な世界だもの
でも、それが日常だからって、日常的な事を疑問視したっていいじゃないの、そういう人だっているし、そういう気分だってある
物事の全てに理由がある訳じゃないのよ

【少女が不審に思うのは正しい、こんな『見た目で中身が決め付けられない』世界だからこそ、こう言った状況に切り込むのは、何か特別な理由でも無ければあり得ないだろう】
【でも、答える彼は特に理由も無いと言う、正義の為でも無ければ悪の為でもなく、かと言って少女が気になるでもなく】
【強いて言えば『気分で』、危険かもしれなくても、少女が攻撃してきても、それはそれで良かったのだろう、理由も無いから、何かを期待してもいないから】

【走っていく男を止めたりはしない、時間を気にする元気があるなら大丈夫だ、何かあっても自分で病院に行けるだろう】
【元気そうな男を見送った後で、少女の方を微笑みを湛えて向き直り、その言葉に乗る意思を優しく抱く様に、受け止めて】

あら、良い事をしたんだから、お礼をされるのは当たり前よ?アナタが放っておいたらあの人はアタシに起こされなかったかもしれないし、ね

【例え小さな事でも、良心があるなら良い事───どこからかは知らないが、わざわざ倒れた人間を運んで、だからと言って食うとか拷問するだとかなく、近くに置いて何もしない】
【そういった行為に、きっと欠片でも良心が働いた故の行動だと判断して、だったら礼をされるのが当然だと、そう言って】
【それから、右手の人差し指を自分の唇に当てて、何か思い出すように目線を斜め上にやる】

そう、ねぇ…用と言えば、どうかしら?
そうね、でも用事がなくても『あった事にした』方がいいかもしれないわね、きっと───

【特に用事なんかも無かったが、『用はない』では続かない、それに用事があった方がよさそうに思えたし、用事を作る事にした】
【と言って、唇に当てていた右手を下ろすと、そのまま二つの指で自分のジャケットのジッパーを摘み、引き下げていく】
【開かれていくジャケットの下、シャツも着ない褐色の肉体が寒空に露わになって行き、とうとうそれが全て解放された時、扉が開いたかの様に、上着の下にあった体が現れる】

……アタシ、こういうモノだけど…

【そこに現れたのは、ローライズに履いたパンツにより広がる褐色の引き締まった肌……と、そこに刻まれた二つの刺青】
【臍を囲むように彫られた『逆五芒星』の刺青と、左胸に彫られた『No.69』の刺青。その二つが何を表すかは、少女もよく知る所だろう】
【だからって、実際にどう、という事もないが、きっと彼はこれを見た少女の反応を待っているのだ】
975 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 19:11:07.43 ID:mlx/cHe2o
>>973

【ぷすぷす。そんな効果音が聞こえてきそうなレベルでディックは燃え尽きていた】

 ……速さの、問題じゃ、ない。誰が、好き好んで、落下体験が、したくなるんだ

【肉体的な疲労は殆どない。それにも関わらず言葉が途切れ途切れになっていた。こんな経験は初めてである】
【きっとこの経験は人生最大のトラウマとなってディックの心に刻まれただろう】
【ところが、腹ごしらえをしている二人、というか梨花が目をつけたのはもっと恐ろしいものだった】

【そう、恐怖のフリーフォールである】

【ついさっき落下体験が嫌だと話し、人生最大級の恐怖を味わったディックにピンポイントに当たるアトラクションである。コンマは鬼】
【乗る前からディックの顔が白くなっていた。そう、まるで彼の髪のように(二度目)】
976 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 19:20:15.89 ID:DxXk96N9o
>>975

【あれ、ブロンドじゃなかったっけ?(痴呆症)白い髪がより白くなっていく、美しい光景です。】
【さておき、梨花はとかく無慈悲だ。ディックが背後で死に掛けていようとお構い無しにチケット購入。】
【勿論それも二人分だ。買ったチケットを手にしてディックのところに戻ってくると、矢張り腕を掴んでぐいぐいと引っ張っていく。】

 
 らっかたいけん? したいでしょ!! えっ、ていうか、いや、アンタの言ってる意味が分らないわ!
 だって、普通に生きてて高さ40mの場所からびゅーっどどーんって落下しながら高速移動すること、アンタある?
 ないでしょ? ゴーカートみたいな日常で遊べるモノの完全下位互換なアトラクションにケチつけるならまだしも、意味不明だわ。

 良い? 神父―――非日常を金で味わう。これが、下らない日常に生きる人間の悲哀ってやつよ!


【いや、学生生活だって非日常に溢れてると思うよ(爺)】
【それはともかく、無茶苦茶な理屈でディックを捕まえると、無慈悲に彼女はフリーフォールに乗り込み】
【焼け焦げた真っ白の彼に代わってベルトやら安全装置やらガチャガチャ装備させると、自分も椅子に座ってその時を、待つ。】


【ぴゅろろろろろー。遊園地特有のヘンな起動音と共にフリー・フォールが上昇していく―――――――。】
【嗚呼、天辺まで行かずとも既に遊園地が一望できる高さだ、素晴らしい!!】
【さっきのジェットコースターが足元に、そして山々の光景も下に居る人もみんな米粒みたいに小さい、いや素晴らしい!!】


【―――そして、ガコン。唐突に止まる。いや、どうやらここが、天辺らしい。】
【しかし直ぐには落ちない、落ちないし、落ちるときにアナウンスもない。そう、つまり】
【ここから一分ほど、気の全く休まらない死ぬほど怖い待機時間が始るのだ―――!!!!!!】
977 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/14(土) 19:28:18.79 ID:vUrvBVL00
【風の国――UNITED TRIGGERの酒場、】
【窓から明るい光が外へ洩れていた、冷たい風の吹く中、それは、或いは目印のような】
【ここに来れば暖房が効いてるよみたいな甘い誘惑、或いは、】
【ドアに張られた紙っぺらの文字列、「チョコあります」なんて――丸文字で、書いてあり】

…………んー、ん。――んー……、

【店内に入れば、出迎える空気は暖かで、おいしそうな料理の香りもする。或いは、僅かに酒の匂いもして】
【だけど、まだ、土曜日とは言え早い時間のせいもあってか。喧騒もほどほど、酒臭さは控えめで、空席もぽつぽつあり】
【何より、給仕の少女が空き席で新聞紙をがさがさ広げているのだから――なんとも、のんびりとした空気があり】

【店内に給仕らしいのは一人だけ、真っ黒の髪を、きちりとしたポニーテールに結って、リボンで飾り】
【黒と赤で色違いの瞳は、いちおう、新聞を読みながらも時折店内を見渡すが、いかんせんサボりがちであるのは確かで】
【ついと顔の横に垂れてくる毛を耳にかき上げれば、右耳には宝玉の欠片のピアス。左にはない、片方だけの飾り】
【赤布でこさえた和装メイドと呼ぶような服装に黒のエプロン、布地の量はなかなかで、座っていてもふんわり広がり】
【足元はロングブーツ、なのだけど。スカートがロングなため、足先くらいしか見えず――とかく、未成年にしか見えない少女だ】

【客はまだ少ないとはいえ、仕事を放棄して読んでいる新聞。それには、昨日の、昼の国でのことが書かれ】
【しばらくすれば読み終えたのか、なんとも微妙な顔付きで新聞を机にぱさりと倒し、】
【――軽い礼と一緒に、近くの客へと返してやる。どうやら借りたものらしいが、まあ、それはどうでもよくって】

なんだか……、……最近セリーナも見ないし、どうしたのかな――。
――、……チョコ食べちゃお。このままだと、余りそうだし――。

【一応知り合いが、でかいことをやらかして。応援するつもりはないが、否定してやるだけの気持ちも、特になく、】
【ただ最近の立場的にはなんとなーく気持ちのいいものでなく、つまり、まあ、微妙に機嫌が悪い顔をすると】
【店長のほうにも数日会ってないしと、あどけなさを多分に残す顔付きを拗ねたようなものにする、それから立ち上がると】
【調理場の中のほうに入っていって――数分後にはかわいらしく小さな袋に分けてつめられたチョコのいくつかを持ち帰り、】
【空いた席でもちもち食べだして。入り口に張ってあった紙の正体、お客様に配るために作ったもの、であるのは間違いなく】
【だけど今少女のおなかの中に入れられつつあるのも確かに事実で――また、一個、もぐりと口の中に消えていった】
978 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 19:31:37.29 ID:mlx/cHe2o
>>976

【顔が真っ白になろうとブロンドの髪が白髪になろうとディックは逃れられなかった】
【梨花に引きずられても抵抗は一片たりともない。無駄だと分かっているのもあるが──】

 し、信じられねえ。こんな体験を金で買ってまでやるなんてよ……
 そりゃあ日常にくたびれた連中がそうでないものを求めて金を出すっつうのは現代社会じゃ珍しくもねえし──

【何やらぶつくさと社会心理学じみた何かを呟き始めた。だいぶ疲れている】
【梨花の無慈悲さのせいでフリーフォールという名の拷問台に縛り付けられたディックは事もあろうに十字を切った】
【聖書を燃やすぐらい信心深いこいつがついに神に祈ったのだ。フリーフォールは悪魔の産物で地獄そのものなのだ(力説)】

【ゆっくりと上昇する台座。ディックの視線がどんどん下に降りていく。人が点にしか見えない、酷い光景が広がる】
【停止時の小さな振動にディックの肩が小さく震える。顔には明らかな緊張が】

 ……これ、お前、楽しいのか?

【緊張のあまりつい分かりきっている質問がディックの口から出てきた。恐る恐る梨花の顔を伺う】
979 :穢土宮 入間 [saga]:2015/02/14(土) 19:34:41.50 ID:95Cr05kQ0
>>974
……へェ。

 【物事の全てに理由がある訳じゃない――女が動かされた部分はそこではなかった】
 【日常的な事を疑問視する事。この一文から汲み取るべきことを汲み取って……口の端へと乗せたにやけは仏頂面、怪訝な顔、疑惑の眼、全てを氷解させただ興味を示していく】
 【理由がない行動にしろ、ただなんとなく、にしてはできている気がする。これも女がそう感じているだけかもしれないが】

 いーや、無いなら無しでいい。代わりに少し付き合って貰うだけさ。
 望むならくれてやるしな。義理の詰まったバレンタイン。そこらの店に入って、美味しそうな物を渡すだけ――――だけど。

 【例え用事がないといっても、態々こんな七面倒そうな事に首を突っ込むくらいだ、暇なんだろうから巻き込んでやろうと言葉を続ける】
 【なんならお詫びの品、もとい感謝の気持ちもくれてやる、と――相手もなんだかんだで男なのだから、そういう物だって欲しがるんじゃないか、という単純な考えと、ちょっと皮肉とジョーク、そう喋っている間に――目の前の彼は、いきなり服を脱ぎだした】

 おい、いやちょっとまてって、アンタ見た目はそれでも趣味は普通なの――――

 【例えば、この人物が、なんとなくで人を助けた者が逆さの五芒星を持っている何て思わないし】
 【もっといえば、それをいきなり見せるなんてことも思っていないし】
 【―――何より、そこまで因果のような物で、手繰り寄せられた。と思いたくなかった。またしても―――言葉を失った】

 っぷ、あっははははははは! あーそうかい、そうかい!いや参った。 アンタ善人に見えるぜ。なのに正体はソレかよ! そりゃ知り合いもそういう連中だろうな!

 【思わず笑ってしまう。不意に噴き出したという風に、たまらず大声をあげて】
 【しかも、そんな奴が良い事だの悪い事だの語るんだから、なんだかおかしくて、おかしくて】

あー、悪い。別に私良い事した訳じゃねーんだわ。
ああやって傍に置いておけば、善人面した奴が突っ掛ってくるかなって思ってただけなんだよ、助ける気なんかゼロ。利用するだけしたら後はさようならのつもりでよ――って、忘れてたな、私の方も返さないとな、挨拶。

 【あいさつ、と言って女が返す仕草は、ペコラに比べればとっても小さい。ただ握りこぶしを向けて、焦らすようにそのまま少しの間静止して――手の平を、ゆっくりと開く】
 【そこにあるのは逆五芒星。書いてある数字は、6】

私、こーいうモンなんだよ。同業者さん?
980 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 19:42:02.29 ID:DxXk96N9o
>>978

【うぉーん、うぉん、うぉんうぉんうぉん。ぷしゅーっ。いやぁ〜な音がする。】
【フリーフォールで毎回鳴るあのぷしゅーっていう気の抜けるような音、あれは何なのだろう。】
【恐怖感を増す為に運営が意地悪で取り付けたとしか思えない。故障を疑わせて恐怖を煽っているに違いない。】

 ん〜……っ! 良い眺めね〜、思わず深呼吸したくなるわ。
 あら、要は映画や漫画と一緒よ? それをより近い距離で愉しむ為の場所、それが遊園地。
 これだって、そういう「普段の事を忘れる場所」として考えると、なかなか理にかなってるとは思わないかしら。

 その証拠に―――……ぷっ、くふっふふふあはっははは! あ、あんた、あっはははは!
 十字切ったりできるのね、あっはははは! だめよ、そんな、都合の良いときにだけ神に頼ろうなんて!

 ホラね、普段しないことしてみたり、普段の事忘れたりできるでしょ?
 だから……そうね、とっても、愉しいにきま


【心から愉しそうな笑顔。冷えた彼の表情とは少し対照的で、だけど】
【なんだか本当に嬉しさを堪えきれない、といった様子の今の彼女は】
【この間の公園とはまた全然違った表情を見せていて―――……みせていて、みせていた。のだが。】


【語らっている暇なんて無かった。】
【ゴトン。そんな世界の終わりを告げる鐘の音が鳴り響いた時、マシンはおぞましい速度で落下を開始した!!】
【もちろん梨花の言葉なんて途中で途切れて、二人は重力という名の怪物に頭からがっぷり喰われて急降下、急降下、急降下!!】


 う、わっ――――いぃゃああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!


【悲鳴に鳴らない悲鳴、だけど彼女はやっぱり笑っていて。嗚呼、終わりを告げる黒い鳥が飛ぶ。】
【地面スレスレでマシンはクッションにぶつかった様にふわり、と急停止―――もう一度ある程度の高さまで上がって】
【そしてまたすとーん、と落ちる。それを繰り返していき、最後にはやっと地面に到着。梨花は感慨極まって大笑いしていた……。】
981 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 20:00:52.28 ID:mlx/cHe2o
>>980

【謎の噴出音にまたディックの肩がびくっと震える。気弱でも何でもない男だったがこの場に限っては怯えまくっている】

 わ、笑うな! 今のは、あれだ、気の迷いっていうかちょっとした冗談っていうか……!

【自分のみっともない姿を見られたせいで慌ててディックが言い訳を始めた。残念ながら言い訳にもなっていないが】
【頭ではこの状況の有用性を理解していたが、まぁつまり、要は、怖いのである。落ちるのが】
【更に言葉を続けようとしたディックだったが、処刑の時間が来てしまった】

 ひっ、ちょっ、ぎゃぁあああああああああああーーー!!!!

【断末魔の如き絶叫が梨花と同時に発せられた】
【マシンがぴたりと止まれば叫びも止まるが、急上昇すると顔を引きつらせる】
【そしてまた急降下すると同じく絶叫をあげ続ける。地獄の時間がまた一つ過ぎていったのだった──】

【案の定、降りた後のディックは漂白されていた。フリーフォールの縦振動はしっかりとディックの魂を揺さぶっていた】
【手近なベンチだか花壇だかに腰掛けているディックの口からはそれこそ魂が抜け出そうだった】
982 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 20:10:25.10 ID:DxXk96N9o
>>981

【一方の梨花は、というと。若いというか何というか、元気いっぱいテンションはマックスだ。】
【さて、じゃあ次は何に乗ろうか、なんて手元のアトラクションマップと睨めっこしつつ、】
【1人だけ売店で買ったクレープをもぐもぐと頬張る。愉しそう。実に愉しそうだ。】

 ん〜っふふ〜♪ 冬場にも関わらずスプラッシュ系でずぶ濡れになってみるのも愉しそうね!
 でも、せっかくだし空中ブランコとか、あとそれからこのピザみたいな形の円盤、愉しそう!
 どーれーにーしーよーうーかー……なっ、って。ちょっと、神父ー?
 
 アンタ体力ないわねー、もうバテてるの? そんなんじゃこの先が思いやられるわよ。
 はい、これ水。そこの自販機で買ったやつだから飲みなさい、まったく……。
 あ、そうだ。ニ連続で私の乗りたい物乗っちゃったし、アンタなんか乗りたい物とかないの?

 と、いうよりは"乗れるもの"、もしくは"楽しめるモノ"って言ったほうがいいかしらねー、臆病者の神父さん的には。っふふ♪


【この一言に悪口GP決勝戦出場者の彼がどう反応するかは楽しみだが、さて。】
【梨花は折角だからディックも何か乗りたいものを選べ、と全然嬉しくない心遣いを見せるだろう。】
【いわばこれは、「断頭台がいい? それとも火炙り? 市中引き回しの後皆から刺される?」と、処刑法を選べと言っているのに等しく。】

【だがどうだろう、上やら下やらにガンガン動きまくるアトラクションでなければ、彼だって楽しめるのかもしれない。】
【たとえばそう、マップなんて見ずとも梨花の背後100m程先に見えるなんだかくら〜いおどろおどろしい「病院」のアトラクション、とか。】
983 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/14(土) 20:15:40.98 ID:A66andth0
>>977

……―――えと、……こんばんは……―――。

【入り口のドアは少し開いて、冷たい風が店内にひゅるりとなだれ込む。ちょっぴり早めの来客だろうかと其方を向けば】
【店の中を覗き込んでいるのは、お酒を飲みに来た男の人でも、様子を見に来た店主でも無く……この場には相応しくない幼い小さな少女。】
【と言っても、きっと給仕にとっては見覚えのある子だろう。何せ、同じ家で暮らしているのだから―――】

【目を惹くような鮮やかな赤い髪は肩まで伸びている。初めて出会った日と比べたら、手入れもされていてとっても綺麗】
【そんな長い髪を、後ろで三つ編みにして括っている。動くたびに三つ編みはぴょんぴょんと跳ねて】
【髪と同じくらいに赤い瞳は、少女の純真さを表すかのように澄む。顔立ちは年相応に幼く可愛らしいもので】
【お気に入りのふわふわで真っ赤なコートを着ているから、もう寒さに震える事も無い。因みにコートの中は白いワンピース】
【足元は子供用の歩きやすそうな靴。……もちろん、全部初めてお買い物に行った時に買って貰った物】

――――……りんね、どこ?……―――あ。

……―――えへへ……きちゃった……―――

【暫く何かを探すかのようにきょろきょろとしていたけれど、給仕の少女の姿を見ればふわっと微笑んで】
【ぱたぱたと其方に駆け寄って行く姿は、何だか懐いた猫みたい。それから、拒否されなければ抱き付こうとする筈で】
【受け入れて貰えれば、人懐っこそうな笑顔を見せて喜ぶだろう。白い頬っぺたが、ほんのりと赤く染まって】

【で、どうして彼女は此処に来たのだろうか?】
【―――コートのポケットから覗くリボンで括った不格好な小さい包みを見れば、少女が此処に来た理由も察せるかもしれない】
984 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 20:19:54.03 ID:mlx/cHe2o
>>982

【悪口GP決勝戦出場者の神父は絶叫系アトラクションの二連戦で既にKO一歩手前だった】
【梨花の差し出した水を緩慢な動作で受け取ると同じく緩慢な動作で口に含む。深いため息をつくと何とかベンチから立ち上がった】

 お前、あれか? 暇潰しにかこつけて俺を殺したいんじゃないのか……?

【もの言いたげな目で梨花を睨むディック。精神的疲労が半端じゃなかった】
【しかし楽しそうな梨花を見ると彼もあまり文句を言う気にはならなかった。つい、まぁいいか、と思ってしまう】

【梨花に選べと言われてもディックはえーという顔をする。処刑方法を選べと言われて選べるやつはあんまりいないのである】
【そこに見えるのはそんなに振り回されなさそうなアトラクション。というか何なのか分からない病院】

 あー、じゃあ、あれ

【あんまりやる気なさそうにディックの指が病院を指差す。誰がどう見てもお化け屋敷だが、それさえも彼は知らなかった】
985 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/14(土) 20:24:53.73 ID:v1qf7W5oo
>>979
【少女に見せたその刺青、刻み込まれた物を見て、少女がどう反応するか、これは簡単に相手の在り方を図れる事だ】
【正義の味方なら、これを見て嫌悪するし、同じ人間なら、こうして目の前の少女のように───】
【これは偶然の邂逅だ、示し合わせたとか、はっきりとした確信があったのではない、だが、こうした邂逅は偶然の一言では片付けられないように思える】

……あら、アナタもだったのかしら?それは偶然にしちゃあ出来過ぎてるわねぇ
とはいえ、アタシもアナタの事を知っていたわけじゃないのだけれど

【少女が挨拶代わりに見せた掌の紋様は、彼の体に刻まれたそれと同じ物を意味するカタチ】
【少女のように、出来過ぎた偶然に笑うのではなく、納得したように微笑んで、だからってジャケットの前を閉じる事はしない】

そうね、折角だから名前も言っておこうかしら、アタシはペコラ、ペコラ・バローニオよ
ヨロシクね、No.6さん?

【同業者だと分かったからじゃないが、以前よりも親しげに、名前を名乗れば微笑んで】
【特に大きな功績を挙げた訳でもないので名前や姿を知らぬのも当然の事だ、それ程にカノッサの規模が大きいという事でもあるが】

ふふ、でも安心したわ、アナタそんなに明るく笑えるのね。
女の子はそうやって、笑っているのが一番よ。ほら、お近付きの印にあげるわ

【こんなクサい事をただの男が言えばナンパ物と思われるだけかもしれないが、ただの男と言い切れない人間が言うとまた意味も違く思えてくる】
【そう言って、『お近付きの印』として少女に手渡そうと、ポケットから取り出すのは小さな可愛らしい小包、透けた中身に黒い固形物が入っている】
【別に哲学者の卵だとか、そういう悪者じみた物じゃあない、甘い匂いと今日がどういう日か考えれば、自ずと予測はつきそうなものだ】
986 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/14(土) 20:26:49.15 ID:vUrvBVL00
>>983

【なんかいろいろと思い通りにならない――というほどでもないが、なんだか、気に食わない感じがする】
【これで何か困っているわけではないが、これから困りそうな予感がする。不穏――そう、きっと、不穏な予感】
【当たらなければいいけど、なんて、自分で作ったチョコをもちもちと咀嚼しながら考える。ちなみに、生チョコである】
【いっぺんにどばーっと作ってばらーっと切ってしまえばいいから楽だと思って。ま、まあほら、おいしいし】

……――いらっしゃいませー。

【椅子に寄りかかって頭をくてーっと倒す。無意味に首を傾げるのは彼女の癖だけど、】
【シャフ度めいて倒すのは滅多になく、それなら、やっぱり大した意味はなく、退屈つぶしにもならず】
【お決まりに返す声はいつもよりちょっとやる気がない。よいしょ、と、重たい頭を引きずるようにして、姿勢を戻せば】

あ……、……もう、りんご、夜は忙しいからあんまり来ちゃ駄目って、言ったじゃない。

【それでやっと、誰が訪れたのかに気付くのだ。抱きつかれるというなら、それに、ぼんやり応じてやり】
【落っこちないように姿勢を支えてやりながらも、少し――表情を変える、別に、怒ったりはしないけれど】

今日はちょっと暇だからいいけど――変なおじさんばっかりなんだよ、夜のここ。

【そんなことを言えば傍の――新聞を見せてもらっていた客から、軽い突込みが入ったとか、入らないとか】
【なんとなくお客との距離が近い店。軽口が叩けるのが何よりその証拠で、チョコもいっこあげるから許して、なんて、軽口が続く】
【それで食べようと持ってきたチョコの包みを一つあげると、それで平和的解決。なんら問題はなく、】

家で何かあったの? コモンが煙じゃなくて水吐いたとか……。

【膝に乗っけてやったのを降ろそうとする、それで、尋ねるのはそんなことだ。もちろん、】
【本当にリアルにサラマンダーの子供であるコモンがそんなことしたら、大変だけれど、そんな事実はないだろうし】
【家で会うときよりいくらか構ってくれない感じがあるのは、さぼり気味だったとはいえ、仕事中、だからなのだろう】

【だけどもちろん邪険にするわけではなく。降りてくれたなら――「お水持ってくるね」なんて、言うのだった】
987 :ペコラ・バローニオ ◆81It1xIT0A [saga]:2015/02/14(土) 20:28:28.16 ID:v1qf7W5oo
>>979
/申し訳ありません、少しの間飯落ちします
988 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 20:30:05.09 ID:DxXk96N9o
>>984

【実際、慣れていないどころか初めて遊園地に来た人間に対してこれは少々やり過ぎといって言い。】
【その恐怖と魅力をたっぷり味わえる洗礼を受けさせたのだから、むしろこれで帰ろうと言い出さないだけ】
【ディックというこの男は中々どうして付き合いの良い人間だ、と梨花はそう思っていた。よくやりおる、とも。】

 はぁ!? ちょっ、あのねぇ……。
 なんで一度しか会ってないアンタに対して、殺意なんか芽生えさせなきゃいけないのよ。
 フツーに考えてあり得ないでしょ、むしろ感謝して欲しいくらいよ? お金は全部私が払ってるんだから!

【こいつ、一番最初にドラム缶でこの男を火炙りにして殺そうとしてry】

 ん? "アレ"、って……っ、―――――――――ぅ……。

【と、ここで今日始めて彼女の表情が笑顔から困惑顔、いやもっと言うなら気まずそうな顔に変わった。】
【指差したディックの方を振り返ってみれば、どう見ても"ヤバイ"雰囲気の廃病院を模したアトラクションが。】
【彼女は「うげ」とだけ言ったあとに、ここにきて初めて―――冷や汗を流して強引に話題を変えようとするだろう。】


 ……あ、ああ! そ、そうだ! せっかくだしゴーカートでも、ね、レースしましょうよレース!!

【さっき自分で車の完全下位互換、とのたまっていたそれの名前を思わずだしている辺り―――これは。】
【理由はわからないが、どうやら"後ろ"に控えるアレを避けようとしているのではないだろうか―――と、なれば。】

【今までの復讐が―――?】
989 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 20:40:02.13 ID:mlx/cHe2o
>>988

【なんだか相手の反応がおかしい。ディックがそう思ったのは一瞬だった】
【何せこの男は神父でありながら小石を使った詐欺をしたり、あるいは神父として数多くの人間の顔色を見てきた】
【だからこの男は相手がどういう心理状態にあるのか見破るのが早くて上手いのである】
【そんな表情の梨花を見て──ディックは天使のような聖職者そのものという綺麗な笑顔を浮かべていた】

 まぁまぁそう言わずに参りましょう
 折角貴女が私をお金を払ってまでこの場に連れてきてくださったのですからきっちりと楽しまないと申し訳がありません!
 ……そう、“きっちり”とねぇえええええ!!

【残念、綺麗な笑顔はすぐに悪魔的な酷い笑みに変わってしまった!】
【梨花の腕をがっしりと掴むとそれはそれは剛力で病院へと引きずり込んでいく】
【いくら神父だろうがこれだけの仕打ちをされて復讐しないわけがない。義は我にあり、と勇んで突撃するのである】
990 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 20:52:11.09 ID:DxXk96N9o
>>989

【ヤバイヤバイヤバイヤバイ。何でコイツよりによってあんなもん選ぶんだ。】
【いや、予想してしかるべきだった。こいつに選ばせるんだからアレが選択肢にある事くらい。】
【そうはいってもまさかここのオバケ屋敷があんなにおぞましいレベルの完成度なのはちょ、っと予想外で―――。】


 なっ―――ちょっ!? あ、あんたなんで急に元気取り戻してんのよ!?
 いいいい、いやよ!? 絶対いや、いやだからね! いやっ、いやって言って―――うぁあああ!
 た、たしかに私が払ってるけど!! いい、いいってば!! もうそんな恩着せがましい事言わないからー!!!
 
 、そそそそうよ! あのね、神父! 
 あのアトラクション、評判悪くて有名なのよなんでも一度入ったら一時間は出て来れないとか何とか!!!
 ていうかたぶん出れなくさせてそうな作りしてるっていうかデカすぎっていうかこれもう迷路みたいじゃない!!いや!!いやだ!!

【ずずずずず。引っ張られていく。あれよあれよという間に二人は廃病院の前へ。】
【そのアトラクションの名前は「惨殺迷宮 〜地獄の鬼すら逃げ出す〜 」というモノ。なんだろう、これ。】
【ディックには何のことか分らずとも、梨花にはすっかりその正体とそして詳細が見る見る内にわかっていってしまう。】

【注意書きには心臓が弱い人は避けてくださいだの、危険だと思ったら緊急脱出口がありますだの、】
【迷路の攻略時間は大凡30分から一時間、長い人では二時間もの間さ迷い続ける事になります、だの。】
【極めつけは入り口から近い位置に見える出口付近の光景だ。出てきた人の顔が皆死んでる。ヤバイ。ヤバイ。】

 な、ん、なんでこんなの選ぶのよ!? い、いまからでも遅くないわよ神父考えを改めましょう!?
 神様も赦してくれるわ、いますぐこれに入ることを中止すれば赦してくれるわ赦すからやめましょう!ね!ね!?ね!?!?

 「ええ、はい。そうです、迷路ですね。ただ、その、道中ちょっと怖いというか暗いというか、はい。」

【淡々と説明を続ける店員。隙あらば逃げ出そうとする梨花。】
【効果は覿面だ、梨花はなんとか逃げ出そうともがく、もがく。】

/ご飯食べてきます、少々お待ちください。
991 :上・ジョシュア 下・カミナ [sage]:2015/02/14(土) 21:01:08.35 ID:Ku26F4uio
【街外れ とある店の前】

あ、ありがとうございました……、その、またのお越しをお待ちしてます!

【中心部から外れ、人気も疎らな街の外れ】
【その一角に建つ小さな建物の前で、誰かに向けて頭を下げている人物がいる】

【身長は150cm前後であろうか、黒いタキシードのような服に赤い蝶ネクタイという童話めいた衣装を纏っている】
【先端が緩くウェーブがかったふわふわの金髪と、澄んだサファイアのような碧眼を持ち】
【全体的に線が細く、少女めいた面立ちと儚げな印象をした少年であった】

【去っていく、恐らく客であっただろう男性は】
【少年ににこやかな笑みを返して、商品の包みと共にラッピングされた小箱を持って去っていく】
【その姿が見えなくなった頃に少年は、はぁ……と大きく息を吐いて】

やっぱりちょっと緊張するなぁ……頑張って作ったんだし、喜んで貰えたらいいんだけど。
うぅん……もっとたくさん種類揃えておくべきだったかな?

【そんな独り言を呟きつつも、口元に指を添えて「んー……」としばし考えこむ】
【近くを通りかかることがあれば、そんな少年の姿を視界に入れることもあるだろうか】

【「義肢、魔銃のご依頼承ります!マジックショップ<Fairy's Gift>」】
【そう書かれた看板を下げたその店は】
【白い壁に赤色の三角屋根、丸い窓に半円形の黄色い扉】
【まるで物語に出てくるような、可愛らしい外観の建物であった】
【店の壁には「バレンタインフェア!商品20%OFF! チョコレートのプレゼントあります!」という張り紙が見える】

【――】


【街中】

……やれやれ、何やら最近騒がしいと思えば今日は"ばれんたいん"であったか
仕事に没頭しておると時の流れが判らなくなるものよな

【俄かに賑わいを見せる夜の街を、手元で小さな包みをくるくると弄びつつ歩く人影があった】

【身長は140cm程度であろうか。腰まで伸びた炎のように鮮やかな紅蓮の髪と、漆黒の瞳をしている】
【桜色の簡素なデザインの着物を纏い、胸元には"緋色の鷹"を模したワッペン】
【腰には茶色の鞘に収まった剣を下げており】
【肩付近にはバスケットボールほどの大きさの、淡く光る白い"虫"のような物体が浮かんでいた】

とはいえ、誰かと睦事を交わす予定もないしの。今日が何であろうと然程変わりはせぬか
しかし……そうじゃの、チョコレートが安売りしておるのは嬉しいところやもしれんな……どうしたものか

【周囲を見渡せば、至るところでチョコの安売りが行われている】
【商魂逞しいというべきか、そもそも異世界でこの行事を広めた者にはそういった意図があったのか】
【何であれ、パトロール以外に予定のない少女にとっては甘味の特売日とは変わらないようで】
【犯罪が起こらないかと見張る合間に、チラチラと各店のチョコレートへと視線が泳いでいた】
992 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/14(土) 21:02:50.57 ID:A66andth0
>986

―――あぅ、……ごめんなさい……―――

……―――えっと、……コモンは、だいじょうぶなの。……―――そうじゃなくって……

【あまり来ちゃ駄目って言ったでしょ、なんて言われると鈴音の膝の上で少しだけしゅんとする。】
【あまりお店の方に来てはいけないというのは知っていた。事実、今日までは鈴音が店に居る時は来なかった訳だし】
【勿論家で緊急事態があった訳でも無い。確かにあの子が水を吐いたらそれはそれで大変だけれど、そんな事も無い】

【なら、それでも来たのには訳があるわけで。……それはきっと、また後で分かる事。とりあえず今は】
【膝の上から降ろされると、鈴音が座っていた隣の椅子によじ登るようにしてちょこんと座って】
【やがて、鈴音お冷を持って来てくれれば。―――ポケットから、おもむろに持っていた何かを取り出す】
【其れは、ピンク色の包み紙と赤いリボンの小さな箱。多少緊張気味の面持ちで、鈴音に渡そうとするのだ】

――――……えっと、……これ。……―――つくったの。あけてみて?

【―――りんごの言葉通りに開けてみれば、中には小さな赤い箱と一緒にお手紙が添えられている】
【ほんの少しまで文字を読む事すら出来なかった少女が、全部ひらがなで、拙い字で、綴った内容は……?】

『りんねへ。いつもあたたかいごはんをつくってくれて、ありがとうございます。
 これは、りんごからのぷれぜんとです。がんばってつくったので、たべてください。
 りんごは、りんねのことがだいすきです。これからもいっしょにいてください。
 りんごより。』
 
【……こんなお手紙。所々字も間違っているけれど、出来る限り想いを覚えたての文字に綴って】
【どうしても、ありがとうの気持ちを伝えたかった。バレンタインは大切な人に思いを伝える日って、聞いたから】
【鈴音が帰ってくる頃には、自分はもう寝てしまっているから……どうしても、直接渡したかったのだ】

【因みに中のチョコは、ちょっぴり歪んだハート形。でも食べればちゃんと甘いチョコだから大丈夫】
【思えばフォークの使い方も知らなかった少女が、よく一人で作ったものだ……】
993 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 21:05:03.14 ID:mlx/cHe2o
>>990

【復讐手段を見つけたことにディックは大喜びだった。もう満面の笑みで行進していく】

 だぁーっはっはっは!! 二度もあんな目に遭わされたんだぞ! それに対して一回なんだからいいだろうが!
 うだうだ抜かすんじゃねえ死んでも逃さねえぞ!!!!

【その頭の悪そうな名前から迷う系であることはディックにも分かった。恐ろしいものであることも梨花と客の様子で分かった】
【具体的にどんなものか、そもそも自分にとってどうか、そんなことを考える余裕はディックになかった】
【二度の臨死体験への復讐しかもう頭にない。まさに今の彼こそが復讐の鬼であった】

 いやー、そうかー、迷うのか怖いのか暗いのかー。楽しみだなー

【梨花の言うことは完全に無視。店員の説明を受けて棒読みな感想を述べるディックの眼は爛々と輝いていた】
【梨花の片腕を両腕でがっちりロック。完全に逃がす気がない。腕は太くないが筋肉があってそれを魔力で強化してるので逃げられないゾ】
【店員の説明を受けながら注意書きもしっかり読むディック。真面目。梨花をちらっと見て心臓は弱くねえなと決めつける】

 いやぁ何が出てくるんだろうな! 何だか知らんがお前がビビってるってことは面白いってことだよな!!
 お前がどんな情けねえ顔を晒すのか想像しただけで興奮がとまらねえよお前の方こそ神様へのお祈りでも捧げておくんだな!
 だが残念ながら神様は答えてくれねえよこれからお前が行くのは地獄らしいからなぁああああああ!!!!

【復讐鬼の怒号。周囲の人々が何事かと見たり寄ったりしてくるがディックは一切気にもしない。そんなことより復讐だ!】
【そうしてディックは腕を極めたまま梨花をずるずると地獄へと引きずり込んでいくのだ──】

//了解しやしたー
994 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/14(土) 21:18:16.88 ID:vUrvBVL00
>>992

【だけど、何かあったら来るように、とは告げていたはずだ。仕事中では、電話も不確かだし】
【それに、もしも自分がここに居ない日でも、ここなら、誰かがきっと助けてくれるから――とりあえず、】
【困ったらこの場所を、というのを言っていたはずだった。だからこそ、「なにかあったの?」なんて、尋ねるけれど】

【慌てた様子はない。泣いてるとか、取り乱しているとかもない。それなら――その理由はなんだろう、と、考えて】

あ……、ちゃんとへびさまと晩御飯、食べた? 

【考えても理由は大して浮かばないなら。コモンが大丈夫と聞けば、「そう」なんて、軽く言って、続く言葉は】
【――そう、最近、家に新しい住人が増えたのだった。とはいえ、それはりんごのように幼い子供、などではなく】
【むしろ彼女より十年は年上だろう男なのだからおかしな話。背がとっても高くて、色素らしい色素を持たなくて、】
【どこか人間と違った気配の男――、彼女はそのひとを“へびさま”と呼んで、とっても慕っているらしく】

【仲良くしてあげてね、みたいな話があったはずなのだった。そして、本人も】
【なんだか蛇めいて冷たい……顔をしている割りには、子供好きなようで。膝に乗せるとか肩車くらいなら、きっとしてくれて】
【なんだかんだ子供を育てたこともあるひとなので子ども扱いもうまいとか、(――ただ、知識が数百年前のものなのだが)】
【(あと問題点があるとすれば、体温がないのだ。寒いのが苦手なので暖房の部屋に居るのが多いため、別段冷たくもないけれど)】

【まあとにかく暇してるので一緒に晩御飯を食べることが多いだろう。微妙に得体が知れないのを除けば、――まあ悪い奴ではない】

はい、お水――、……なあに、くれるの?

【かたんとコップを置いてやると氷の転がる音、からころ――と涼しげに響いて】
【差し出される小箱は少し首を傾げながら受け取る、それで、うっすらとバレンタインのチョコかしら、なんて、思う】
【「ありがとう」「見ていい?」なんて尋ねて、許可が下りれば箱を開けてみるだろう。それで、中から手紙を発見すれば】

――――りんごは、字、とっても上手になったね。

【開きながら、視線をその最初の数行に落としながら、そんなことを言うのだ。それから、よしよしっと頭を撫でてあげようとし】
【それで、そうやって、全部読めば――、立っていたのを、よいしょっと、しゃがみこんで。りんごより低い視線になるけれど、】
【だいたい同じくらいの高さに視線を合わせるのだろう、それで、にこりと笑って】

……ありがとね、お仕事終わったら大切に食べる。
ここで食べてるとね、おじさんに取られちゃうもの、だからお家に帰ってから食べるね。

それとも明日、おやつの時間に、一緒に食べようか? りんごはどっちがいい――?

【大切そうに手紙を畳んで箱に戻して蓋も閉じる、それは、この場所で食べてくれないってことだけれど】
【さっきまで自分で作ったチョコを食べていたのを思うに、絶対駄目というわけではないはず、それならば、】
【どうしてもと言ってみたりするならここで食べてくれるかもしれない。もともと、“どうしても”といわれれば断れない性質だし】
【――だけどそうでないなら、今晩だか、明日のおやつだか、りんごの好きな時間に食べるらしい。そこはお任せ、らしい】
995 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/14(土) 21:48:42.83 ID:A66andth0
>>994

【晩御飯を食べたかと訊かれれば、首をふりふりと横に振る。ご飯を食べるのが大好きなのに、それより優先するくらいに】
【だいすきな人にプレゼントを渡したかった、ありがとうの気持ちを伝えたかった……そういうこと】

【ということは、『へびさま』は夕飯前においてけぼりを食らってるのかもしれないけれど。】
【「ちょっと、りんねのところにいってくるね。」と伝えておいたから、心配はしていない……たぶん。】
【もちろん普段は、ちゃんと一緒に食べている。人見知りするりんごは最初の内は顔立ちや白さのせいで怖がっていたけれど】
【怖くないって分かれば、懐くのも早い。家で一人でいるよりも、誰かと一緒にいる方が楽しいもの】


【―――ちゃんと、渡せた。開けていい?と訊かれると、こくりと頷いて。手紙を読んでくれるのを待って】
【一生懸命書いた字を褒められて撫でられると、目を細めてそれはもう嬉しそうな笑顔を見せるのだった。】
【子供が母親に褒められた時に見せる、あの顔。撫でられる安心感と褒められた嬉しさが入り混じった、そんな顔だ】
【それから鈴音がしゃがんで同じ目線になる。笑いかけてくれれば、りんごもつられて笑って】

えっと、……それは、りんねへのプレゼントだから。……―――りんねにたべてほしいの。
……あのね、―――……あまいものをたべたら、つかれがとれるの。ほんに、そうかいてあった。
……だから、おしごとがおわったときに、たべてほしいな。

……あ。でも、へびさまのぶんは、あしたいっしょにつくろ?
りんねといっしょにつくったおかしを、おやつのときにみんなでいっしょにたべるの。だめ?

【―――本で読んだ、ということは文字を読む能力も身に付いたらしい。こんな所にも垣間見える成長の跡】
【りんごなりに、仕事で遅くに帰ってくる鈴音の事を思ってチョコレートを作ったらしい。―――だから】
【お仕事が終わった時に食べて欲しい、って。誰かによく似た、人を想いやる優しい笑顔で伝えるのだった】

【そして、その代わりに明日のおやつの時間には一緒にお菓子を作って食べる。へびさまには一日遅れだけれど】
【鈴音にとって大切な人だって知ってるから。……気持ちをお菓子にして送るのも、いいんじゃないか、って】
996 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/14(土) 22:04:36.41 ID:vUrvBVL00
>>995

【食べてないと聞けば、彼女は少しだけ顔をむうとさせる。「帰ったら食べるんだよ」なんて、言って】
【それから、家で待ちぼうけのひとは大丈夫だろう。ただの子供でもないので、空腹を感じれば勝手に食べるはずだ】
【――というわけで、きっと、今頃一人で食べているのだった。一匹だろうか。まあ、そんなのはどうでもいいことで】

……じゃあ、お仕事が終わったあとに食べるね。
とっても大事に食べるね、ありがとう――。

【あとでがいいといわれれば、彼女は大事そうに受け取った箱をエプロンのポケットにしまいこむだろう】
【ぽこっと四角く膨らんだポケット、そこに大切にしまったよ、というのを見せるみたいに、数度ぽんぽんと軽く叩き】

そう? じゃあ、明日、一緒につくろっか。
りんごからもらったらきっと喜ぶよ。

【にこりと笑ってその言葉も肯定する、自分の分は、もう既に渡してあるのだけど――】
【多分食事のあとにでも齧るんじゃないだろうか。最近お気に入りの炬燵で、なんていうと、どうにも】
【平凡すぎるのだけど、その実、あれで神様、――いや、“元”神様だったりして、変な話だ】

【ちなみに、そうでなくても、“おいしそうなチョコのストック”が、ここ数日、準備されていて】
【デパートとかスーパーで買い物したりするたびに見つけてきては買ってきて、積み上げられて、】
【自由に食べていいことになっていた――とか余談。それくらい、彼女が甘いもの好きなのだ】

……それで、りんごは、これを渡しに来てくれたの?
ありがとね、もらったよ、――だから、あんまり遅くならないうちに、

【別に、今すぐ帰れと言っているわけじゃない。りんごが邪魔だからとか、そう言う意味でも、もちろんない】
【ただ、今は営業中で、お仕事中で、お客さんも居るのだ。だから、いつもみたいには、構ってやれなくて】
【何かそれ以上の用事がないなら帰ったほうがいいよ――なんて言いかけるのだ。少し、申し訳なさそうなのだが】
【もちろん何か言葉を重ねるなら出来る、そんなに強い語調ではない。だけど、――よっぽど弱いものでもなくって】
997 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga]:2015/02/14(土) 22:25:26.34 ID:A66andth0
>>996

えへへ……そうかな。
やくそくだよ、いっしょにつくろうね。

【りんごは鈴音が既に渡してあることを知らなかったみたい。……でも、喜んでくれるならそれでいいか】
【とにかく、明日には一緒にお菓子を作るように約束して。嬉しそうに少しはにかむのだった】

【鈴音に負けないくらいに、りんごも甘いものが好き。―――でも、甘いもの以上に好きなのは】
【手作りの料理、だった。お菓子でも、夕飯のおかずでも、どんなものでも手作りのものが好き】
【手作りの料理を食べると、あったかい気持ちになる。作った人の気持ちが入っているからだろうか】
【その、ぽかぽかする気持ちが大好きだから……その気持ちを皆にも分けたくて、一緒に作ろうなんて言ったのだ】

【で、用事はこれで終わりかと問われれば、違うみたい。帰った方がいいよと言われれば】
【あわてたように、「あ、まって」と一言。それから、意を決したように鈴音を見つめて】
【もう一つの、胸に秘めた気持ちを伝える―――】

―――えと。……その、………――――あのね、おねがいがあるの。
……おひるのレストラン、りんごもおてつだい、したいの……。たんぽぽ、だっけ……。
……わたしも、……―――りんねのやくにたちたくて。―――……でも、……よるのおしごとは、おてつだいできないから……

―――おりょうりは、まだできないけど……おさらくらいなら、きれいにあらえるよ。
おりょうりをはこぶのだって、ちゃんとできる。……だから、ちょっぴりでも……りんねの、やくにたちたい。

……わたしとおんなじ、……あったかいおりょうりをたべられなかったこのための、レストランでしょ?
……―――わたしも、りんねみたいになりたいから。あったかいきもちを、おしえてあげたいから……
998 :霧野梨花 ◆/iCzTYjx0Y :2015/02/14(土) 22:31:11.46 ID:DxXk96N9o
>>993

【誰がこんな企画を考えて、誰の為にこんなものを作ったのか。頭が可笑しいとしか思えない。】
【大体にしてこの男、ジェットコースターはてんでダメなのにこの手のアトラクションは全然大丈夫なのか。】
【いや、予想してしかるべきだった。そういえば彼は神父。神父と言えばエクソシスト。オバケ如きに怯える筈が無い。】

 あ、あんな目ってなによ失礼ね!? わたしの乗り物チョイスがお、おかしかったみたいじゃないの!!
 言っておくけど、アンタの方がぜんっぜん!! おかしいからね!? こんなの、こんなの異常よハッキリ言って!
 だいたい誰がこんなもの作り出したのよ、まったく理解不能よ!! 責任者と設計者と施工主出しなさいよ、抗議するわ!!

【自分が先程までディックに言われていた事をほぼそのまま鸚鵡返しで口に出す。】
【なんとも見苦しい。どうにか逃げようとする。だがその腕はがっちりとホールドされていて。】
【オマケに恐怖で美味く身体が動かない。ふざけんな。やめろ。ばか。そんなしょうもない言葉しか出てこないほど。】

 し、ししししんぞうに病気抱えてるのよそうよ!! ドッキリとかダメなの本当に本当に!!

 「あ、じゃあ診断書とか……ありますか?」

 ……!? ……じゃ、じゃじゃじゃあ身長が―――

 「あいや、152cmくらいですよね? 十分です。ていうか年齢制限だけで身長制限は特に……」

 な、なら私実は小学生で―――ああ、まって! まちなさいよ神父!? ちょっ、引っ張らないでぇぇぇぇぇえぇぇぇええええ〜……!!


【ウェルカム・トゥ・ナイトメア。暗黒微笑を湛えて言いたくなる台詞と共に、二人は院内へと進んでいく。】

 ふっ、ふっざけんじゃないわよっ!? ビビってんだからおもしろいわけないでしょ!?
 ていうか、「お前が行くのは」ってなによ!? 冗談じゃないわ、アンタも道連れなの分ってて言ってる!?
 あーもう信じられない……なによこの暗さ……はっ、そうだ! 組織の戦闘補助バイザーに暗視機能が……っひぃっ!? 

【ぷしゅーーーーー=!!!激しい音と共にまずは冷気ガスの洗礼。といっても、本当に脅かすだけのそれ。】
【入り口の扉が無慈悲に閉まると、静寂を支配するのは一面の闇。かろうじて見えるのは蛍光色の血の跡っぽい装飾だけ。】
【だがその僅かな灯りを元に、院内を二人は進まされる羽目になる―――しかし、凄まじい光景だ。全て偽者とは言え、作りこまれている】

【先ず目を引くのはそこら中に散らばった血でベッタリのカルテ、カルテ、カルテの山―――。】
【時折足にぶつかるのは使い捨ての注射器と思わしき(針は既にないが)モノや、転がって居るマネキンの―――】


 ひぃぃぃぃぃぃ―――――っ?!!?


【生首か。いや勿論作り物だけど脚になんかぶつかったから下見てみたら顔ありましたって普通に怖いよ。】
【それもまた狙ったように血液がべっちゃり付着した髪の毛も生えたマネキンの首がごろごろ転がって居る。】
【更に見渡せば、そこには患者を運ぶ用のストレッチャーが放置されていて、そして中にはどう見ても人が入っているものも……】

 な、なんあな、なんなのよ此処〜っ!! どうなってんのよ!?
 なんでこんなに急患がいっぱいいんのに廃病院になってるのよ、設定おかしいでしょ設定?! 
 ちゃんとオペして蘇生させなさいよ医者の職務放棄よおかしいわ訴えてやるこんなダメ病院!!!!!!

 うぅ〜……ね、ねえ神父!? あ、あれ動かないわよね、動かないわよね!? 
 も、もう私近く通りたくないからあんた先に前あるってよ、全部アンタがどうにかしなさいよ!!ねえ!!

【まあ、べったりくっついている。さっきまでは逃げようと必死だったが今度は逆だ。】
【必死に腕にくっついて、あんまりボリュームの無い胸部をぎゅうううっとディックの腕に押し付けて、】
【とにかく離れないようにと引っ付き蟲状態。おまけにありとあらゆる仕掛けに一々わーきゃー反応して、そりゃあもう、ビビる。】 

/おまたせいたしました!
999 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2015/02/14(土) 22:44:36.07 ID:vUrvBVL00
>>997

【それならお菓子の材料を買って帰らなくっちゃだなんて思う、二十四時間営業のスーパーは、少し遠いけど】
【家にもお菓子の材料はそれなりにあるが、足りないものもある。とりあえず、――チョコがあった記憶はないし】
【チョコ(既製品)はあるけど、材料としてのチョコはない。というか、使ってしまったのだ、UTで使う分で】

おねがい?

【――帰ったほうがいい、それも、寄り道しないで、紫の子が渡した魔術を使って、そのまま、真っ直ぐに】
【寄り道とかをしたとして、何もない保証なんてない。そして、何かあった場合、自分は気付けない、助けられない】
【そんなことを考えていたらお願いだなんていわれて、彼女は少しだけ目を丸くして首をかしげる、なんだろう、なんて問い返し】【

ん……、お手伝い、してくれるの?

【紡がれる言葉は自分のやっていることをお手伝いしたいだなんて言葉、それは確かに嬉しい言葉だけど、でも、】
【なぜだか表情は少しだけ苦いものになる。ううんと小さく唸って、彼女は視線をそっと逸らしてから――静かに、戻し、】

……あのね、りんご。まだね、“たんぽぽ”は始めたばっかりで、何があるのか、どうなるのか、分からないの。
セリーナは思ったより来てくれてるって言うけど、わたしもそう思うけど、……ちっともね、来てくれない日もあるの。
それだけじゃなくって、喧嘩みたいになることもあるの、いらいら、――してるひとが来ることも、あるの。

りんごが来てくれるって言うのは、嬉しいけど。でもね、もしも、お客さんたちで喧嘩になったときとか、
もっと、もっと、怖い何かがあったときとか――どうなるか分からないの、守ってあげられるのかも、分からないの。
セリーナに戦い方とか、教えてもらってるけど、まだ足りないの。……それにね、

なにかあったときに、わたしとか、セリーナは、お客さんを守ってあげなきゃいけないの。
だから、わたしがもっと強くなって、みんなを守ってあげたあとで、りんごまで守れるようになるまで――。
それか、りんごが、自分のこと、自分で守れるようになるまで。それか、ね、お店が、もっと上手くいって……。

喧嘩とかしなくても、ちゃんとご飯が食べられて。争ったりする意味なんてないって、みんなが、分かるまで。
りんごはお家で一緒にお料理の練習とか、しよ? ……りんごが言ってくれたのは、嬉しい、けど――ごめんね。

【――まだ、未熟だと思った。最近やっと字が読めるようになった子、少し前まで、暖房も知らなかった、子】
【例えばそれで差別するつもりはない、だけど、そうだった、それが分かっていないと、駄目なときも、あって】
【というより、自分自身も未熟だと思う。戦い方も、喧嘩のルールも、全然知らない。まだ、教わりだしたばっかりで】
【守りきれないかもしれない、それに、店側に立つなら、そもそも守れないときもある。彼女は、しゃがんだまま、じっと見つめ】
【気持ちはとっても嬉しいの、と、笑ってみせて。よしよしっと頭を撫でながら、だけど、ごめんね、なんて紡ぐ】

りんごがもうちょっと大きくなって、わたしも、もうちょっと強くなって。“たんぽぽ”も、もっと上手く行って……。
それで、忙しくって、仕方なかったら。そしたらりんごにお願いするね、……それじゃ、だめかな?

【だけど断るばっかりではなく、ただ、お願いを聞くのは今じゃない、と】
【今じゃなくて、もう少し、未来の話では駄目なのかな、と、――今度は、こっちがお願いする、番だった】
1000 :ディック ◆r0cnuegjy. [saga]:2015/02/14(土) 22:50:11.65 ID:mlx/cHe2o
>>998

【入り口の冷気ガスなんてものは梨花の表情を見るので忙しいディックになんて全く効かない】
【むしろ梨花が自分よりちょっとだけ背が高いことが火に油を注いだ。気分的にはもう殺す気でいる】
【それはそれとして病院の恐怖はディックにも襲いかかっているわけなのだが──】

 何だよこの血の散らばり方……垂らしたみてえになってるじゃねえか。切り裂いたんじゃねえのか
 首が転がってるから何なんだ? 何でお前そんなビビってんだよ〜、怖いか? 怖いのか?

【全くもって冷静だった。反応がマグロである。むしろ微妙な粗に文句をつけていた】
【マネキンの首に怯える梨花を見てはにやぁっとした嫌〜な笑いを浮かべている。更にある閃きが起きて梨花に見えないように首を回収】

 いやぁ、俺も怖くて歩けないわー。足が竦んで動かないわー。でも前に進まないと終わらないわー、困ったわー、マジ困ったわー

【先に行けという梨花に要求に対してディックはこの調子。にやついた笑みを消そうともせず棒読みしながら歩みを止める】
【怯える彼女が見たくて入った彼からすれば時間をかければかけるほどいいわけだ。急ぐ理由などどこにもない】
【それに腕にくっつかれてディック自身、悪い気はしていない。ただ、していないが、何か違和感がある。あるというか、ないというか】
【そう、あるべきものがないのだ。いつぞやどっかのリーダーがぶら下げていたものが、腕にその感触が見当たらない。おかしい】

 まぁでも? お前がどうしてもってお願いするなら? 前に行ってやらなくもねえかなぁ
 お願いされたら考えなきゃなぁ〜〜〜

【違和感はとりあえずさくっと忘れておいて梨花をイジることに専念する】
1001 :1001 :Over 1000 Thread

 ,.――――-、
 ヽ / ̄ ̄ ̄`ヽ、   【呪いのパーマン Ver2.0】
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まど神「悪魔ちゃんバレンタイン」 @ 2015/02/14(土) 22:37:56.51 ID:6VCV6nty0
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モバP「トイレにカメラを仕掛けてアイドルの健康状態をチェックする」【安価】 @ 2015/02/14(土) 22:37:51.40 ID:gBPeUrpz0
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杏「杏・輝子・小梅のシンデレラジオ 第103回」 @ 2015/02/14(土) 22:32:59.35 ID:W/88t3Li0
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■ その他依頼スレッド Part3 (作者以外のHTML化依頼用) @ 2015/02/14(土) 22:30:37.39 ID:bR8cY0Ew0
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【仮面ライダードライブ】ブレン「バレンタイン?」鳴滝「そうだ」 @ 2015/02/14(土) 22:16:08.69 ID:vhNZGHZj0
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【デビルサバイバー2BR】峰津院都、初めてのバレンタイン @ 2015/02/14(土) 22:13:37.19 ID:eZM638Sp0
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