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【能力】ここだけ異能者の集まる学園都市【魔術】 - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/09/28(月) 06:16:25.64 ID:83sVTYRuo
このスレッドは学園都市と称していますが、とある魔術の〜シリーズとは世界観の異なるものです。
とあるシリーズを舞台としたスレッドをお探しでしたら、申し訳ありませんがブラウザバックをお願いします。

ここは異能者……能力者が集まる大都市。通称:学園都市である。
この都市は学園都市の名の通り、人口の8割程度を学生が占めている。さらにその学生の殆どが能力者であり、学生は皆、異能の力と共に共存している。そしてまた、その背後には別の異能を操る者の存在も…………。

(世界観や用語について詳しくは>>2参照)


ここは自分自身のオリジナルキャラを創作し、他プレイヤーのキャラとある時は何気ない日常風景、あるときは戦闘などを文章で交流するロールスレッドです。



【キャラクター作成について】
・プレイヤーが使用するキャラクターは、無能力者、能力者、魔術師の中から選択し作成できます。
・能力者はLevel1〜4、魔術師はランクD〜Aまでのキャラが作成可能です。
・学園都市で生活するどのような人物でもルールの範囲内であれば制作が可能です、但し能力者のみは学生に限ります
・また、世界観に関わる組織の長やそれに準ずるような立場の人間はPCにすることは出来ません
・人外、また能力以上に特殊な生態を持つ存在はPCにすることは出来ません
・版権キャラクターをそのまま使用する事は推奨しません


【キャラクターの武装に関して】
・能力者側の特殊な武器(ex.炎で出来た剣、妖刀)の所持することは出来ません
・上記の特殊な武器の使用は魔術師側のみ認められています。
・能力者側は能力の応用で武器を強化する(又は能力を纏わせる)などは可能です
・学園都市内での過度な武装所持は風紀委員(>>2参照)によって取り締まりを受ける可能性があります
・魔術師の魔術の行使には何かしらの装備が必要となりますが、必ずしも武器である必要はありません

【キャラクターの所属する組織に関して】
・世界観を決定づける組織を個人の判断で制作してはいけません(議論スレへどうぞ)
・既存の組織の長にPCを設定することは推奨しません     (こちらも、議論スレへどうぞ)
・既存の組織に所属する事に制限はありません
・小規模、もしくは個人の範囲の組織を設定する事は可能です


ロールについては、スレッドに参加する前に、こちらのサイトによく目を通してください。
なりきりの基本となるマナーやルールが詳しく書かれています。↓↓
http://harmit.jp/manner/manner.php


したらば避難所雑談所
http://jbbs.shitaraba.net/internet/20492/

WIKI
http://www8.atwiki.jp/schoolcitiy/
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このパー速VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) [sage]:2015/09/28(月) 06:16:39.33 ID:83sVTYRuo
【基本的世界観用語】
学園都市……数年程前に突如として10代の若者を中心に発現した”異能”、そしてそれを扱う”能力者”を教育収容すべく我が国日本が建設した研究都市。
10万人を超える人口を都市内に有しており、中でも学生の割合は8割を占める。


能力者………数年程前に10代を中心に発現した”能力”を操る者の事。
能力強度(単純な強さである為にその人物の戦法や工夫などは反映されない)によって1〜5までのレベル分けがされており、最高の強度を誇る能力者は俗に『Level5』と称されるが現時点で存在している能力者はLevel1〜4まで。

魔術師………能力が発現されるよりも遥か昔から受け継がれている、”能力”とはまた違ったタイプの”異能”。
数年程前から確認された新たな異能”能力”について調査する為に数多くの魔術師が学園都市に潜入している。
魔術に関わらない学園都市の人間からすればその存在はもはや噂のようなものである。
魔術師にはその技能によってランク分けがされておりランクはD〜Sまで存在する。(キャラ設定が可能なのはD〜Aまでです。)

魔術師はその思考によって大きく組分けがされており、それぞれ

[バルタザール]:穏健派。能力者側との接触の事前調査の為に学園都市に潜入している
[メルキオール]:中立派。能力者側の動向を監視する為に学園都市に潜入している
[カスパール]:過激派。能力者側の危険性を確認する為に学園都市に潜入している

という3つの組分けで、その思考のもとに全世界に様々な魔術組織が存在する。





【組織】
風紀委員会……全体の人口の内8割を学生が占める学園都市において、都市内の治安維持を司る組織。当然の如く、構成員は学生オンリーである。

管理委員会……学園都市の基本方針を司る学園都市の頭ともいえる組織。都市内の規律を制定するだけでなく、都市外との外交も司っている。

学園都市第一学園……都市内の数ある学園の中で最も規模が大きく、校風が自由である学園。
(この学園に必ず属さなければならないというわけではありません。)
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/09/28(月) 06:48:49.20 ID:YE5K9E9Mo
私の予想では李の人が此方にいらっしゃると考えておりますが、もしいるのであれば此方にご連絡ください。。お話したいことがあります。

pick-co-jp@excite.co.jp
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/09/28(月) 06:48:59.56 ID:YE5K9E9Mo
私の予想では李の人が此方にいらっしゃると考えておりますが、もしいるのであれば此方にご連絡ください。。お話したいことがあります。

pick-co-jp@excite.co.jp
5 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/10(土) 07:52:49.73 ID:narEhMNq0
「いつ治んのかなーー?……これ。
左手で余裕とかほざいてた頃が懐かしいわ」

そう、番長服の少女が吐き捨てたのは真上から太陽がさんさんと照らす正午の公園であった。
視線を落とせば白い布で包まれ、ギブスを装着した不安定な右腕が映る。つい一週間前にとある人物との戦闘で産まれ出た負の副産物だ。
ふと脳裏を過ぎった”血の海”とも形容できる惨状を強引に押し込みつつ、ベンチの背凭れに体を預け瞼を下ろし、深い溜息をついた。

───数分後、目を開けた彼女には一本のラクロスラケットが映る。彼女が自宅から持参した”武器”である。
何かを思い立った様に彼女はそれを左手で握り締めて体を起こした。

「……これどうやんだっけ?
ラクロスなんてもんあんま見たことねぇし……いや、戦闘用だからそれはあんま参考になんねぇか……?」

左手の指で軽快にラクロスラケットをクルクルと回しつつ、彼女は首を傾げるのであった。
このラケットは一週間前の戦闘で彼女が回収した”遺品”であるが、いまいちその使い方は理解できていない。あの日の戦闘で使い手の動きは見ていたものの、恐らくそれは使い手の”能力”あってこその脅威であって彼女には真似できない芸当だ。
回していたラケットを空中に放り投げて再び手に取り、左手で握り締めた。

「とりあえず!!全力で振ってみればぁ!
答えなんてついてくるもんよぉぉぉぉぉぉ!!!」

遂にはヤケクソになり、能力を以ってして爆速的な速度を生じた左手を勢いよく振るう。
”戦闘用”と彼女が称するほどには、そのラクロスラケットは一定の強度を持っている。彼女の爆加速があって振るわれても、その形状は寸分違わず其処に存在し続けるはずだ。

────だが、それが起きたのは間も無くの事である。




「あっ」

彼女の左手からするりとラクロスラケットが抜け、凄まじい速度を保持しつつ”空を飛んだ”。
───落ちる先は何処か。素っ頓狂な声をあげる馬鹿には見当もつかない。

//昼間は返すのが遅れます……申し訳ありません
もしよろしければどうぞ!落ちた位置とか状況は都合の良い様に変えてくださってOKです!
6 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA [sage]:2015/10/10(土) 07:54:25.86 ID:narEhMNq0
//あれ?酉テスト
7 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/11(日) 20:00:59.18 ID:gBGcfcdf0
>>5

「今日も、争いは絶えませんね……」

いずもがそんなことをしているその時、セイラは公園から近いとある路地に居た。
その路地に居る人数はセイラを合わせて3人、がその2人は腰を抜かし、まるで化け物を見るかのような目でセイラを見ていた。

『な、なんでここに"黒影"が…!?』

『ふざけるな…!ま、まだ死にたくない…!』

「ならば、即刻この学園都市から立ち去ってください
今度は殺しますよ?」

『ひ、ひぃいいい〜!!』

そのセイラの言葉を耳にすれば慌てて立ち上がり逃げ去ろうとする2人、がそこにちょうどいずもが投げたラクロスのラケットが──



ラケットは2人のうちの1人に当たり、気絶してしまう。それを目の当たりにし片方も気絶というなんとも情けない光景に。
セイラは飛んできたラケットを拾い、飛んできた方を見つめる。

この持ち主はこのラケットを無くして心配していないだろうか、もしそうならば早く届けなければ。
そんな場に似合わない暢気なことを考え、セイラはラケットを持ち公園へ──


「あの人のでしょうか…」

公園には1人の人影があった。番長服に腕にギブスを装着しているという随分妙な格好だったが、このラケットはあの人物のものなのだろうか…
しかしラクロスや何かスポーツを嗜んでいるとも思えず、しかも片手にギブスをはめていることから怪我をしていると分かる。
なのに何故ラケットを振り回していたのだろうか。
疑問は募るばかりだがやはり確認するのが一番手っ取り早い。そうと決まればセイラはいずもの元へ足を進めた。

「あのう、すいません
このラケットはあなたのものなんでしょうか?」
8 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/11(日) 21:48:30.92 ID:ltXKbjgB0
>>7

「ほ、ほああああああああああ!!やっちまった!!どうすんだよこれ!!!」

想定外の事態に、無茶苦茶に慌てる素振りを見せる骨折番長である。
それもそのはず、彼女には例のモノを投擲する気などさらさらなく、ただ「振る」という動作に爆発を付与して全力で振るったのだ。次の瞬間、無事そのラクロスラケットは空の彼方へと飛んでいった訳である。
この事態から引き起こされる事態として、彼女の知能で想定されるのは3つ。

@風紀委員に見つかり風紀委員の支部へと連行。
A不良に当たってラケットをへし折られた挙句に大群引き連れて取り囲まれる。
B善良な学生に当たって、最悪の事態。

「…………くぅ……どうか@でありますように……!!てかそもそも当たりませんように…!」

と、あまりの事態に次の行動を起こせずにラケットが飛んでいった空へと左手だけで拝む高天原いずもであった───。


◇◆◇◆◇◆


それから数十分後、明らかにその状況に進展を齎す一人の少女が公園に現れた。左手で拝むことをこの数十分間続けていた高天原いずもであるが、その来訪者の姿が見えると目を細めて凝視した。

「……あれ?……あれってもしかして……もしかして……もしかするのか……??」

年齢は……自分と同じくらいだろうか。
凛とした顔立ちに、”美”さえも感じられる白髪。背丈はちょうど自分と同じくらいの…………、、、
────そして、手に携えたラケット。ラクロスというスポーツで用いられる一品。

高天原いずもはそれを目にするや否や少女の方へと駆け出していた。セイラは足を速めたが、それよりもずっと速く───!

「──そう!そうそうそう!!!それオレの!!
本当にありがとう!!ラケットってより傷つかないでくれてありがとう!!!」

……とセイラの言葉を遮る勢いで感謝の言葉を述べ、ペコペコと凄まじく何回も腰を曲げる番長。
傷つかないでいてくれてありがとう……というのは拾ってきたセイラの事を指す。
───勿論、彼女には投擲されたラクロスラケットが脳天直撃して気絶した哀れな男の末路を知る由などないのだから。

//すみません!気づくの遅れました!いつでもどぞ!
9 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/11(日) 23:50:51.95 ID:gBGcfcdf0
>>8

「え、えぇ
傷など傷んでいるところは見当たりませんでした」

一瞬呆気に取られるも、いずもの言葉をラケットが傷つかなくて良かった、と捉えたセイラはラケットに傷らしきものは無かった旨を伝える。

もう一つ、セイラが驚いたことがあった。番長服などを着ているのでてっきり男かと思ったがどうやら女、しかも自分と年はそう変わらないくらいの。
ファッションは人それぞれ、その中で彼女のセンスがこれだったということなのだろう。

「ちゃんと大事に扱わなければいけませんよ
かなり勢いもありましたし、当たりどころが悪ければ最悪の事態になるかもしれませんから」

ふとあの男達のことを思い出す。だがそれは男達の安否では無く男達がちゃんと学園都市から立ち去ったかのこと。
魔術師は本来この街にとって邪魔な存在。男達がなにか問題を起こす前に消した方が良かっただろうか。

「──ここでは争いが絶えませんね
いつもどこかで争いあっている人間が居る──本当に愚か」

それはどうてことない独り言。この世界に対するただのぼやき。
酷く冷たい表情で小さく、だがハッキリとセイラは言った。それがいずもに聞こえたかどうかは分からない、だがそんなことはセイラには関係はないことだ。

「それにしてもなぜそのようなものを持ち歩いているんですか?
見たところ片腕を怪我されている様ですが……」

気づけば表情は元に戻っていた。まるで先程までの彼女が錯覚と思えるほどに。
セイラは柔らかな表情で抱いていた疑問をいずもへとぶつけてみた。
10 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 12:36:30.78 ID:s1Cwds8d0
>>9

「……あ、いや……そういうことじゃなくて…………。
………あっ……はい………すみません。」

───基本的に高天原いずもは”番長”という肩書きで少女としての自分を無理矢理押し殺した様な人物であるので。
初対面の人物から、それも真っ当な理由で叱られたというならばいつもの落ち着きの無い態度は見事に変容する。──と、それはさておき。


冷酷ではあるが、何処か呆れの様な感情を孕んだ呟きが高天原いずもの鼓膜を震わせる。
ここで彼女は一瞬、とある”語句”に対する違和感を感じるのだが一度置いて即座に言葉を返した。

「はっ……やらかしたオレが言うのもなんだが、若気の至りってヤツだろ。オレは嫌いじゃあねーけどな!」

と、下劣ないちゃもんをつけて自身に良く喧嘩を挑んでくる不良を頭の中に浮かべつつ鼻で笑いながら言い放った。
返却されたラクロスラケットを左手で弄びつつそう言い放った彼女。一見何も考えていない様にも見えるが、少女はきちんと、先ほど感じた「違和感」についての考察を行っていた。

(……”ここ”では争いが絶えない。確かにそうかも知れねぇが……表面上では風紀委員の統制で無理矢理にでも”平穏”を保ってるはずだ。)

(…………”ここでは”っていう特別視した様な言い回しも何処か引っかかるな…………

それはこのセイラという少女が”魔術師”なのでは無いかという懸念である。異なる魔術師との数回の邂逅を経て、彼女の神経は”防衛すること”に於いて特化されている。
──然し、ここで時間切れ。目の前の少女から、右腕を無様にも吊り下げる番長へと質問が投げかけられていた。静かに、返答する。


「…あ?……ん………ああ。
……こいつぁ、オレが持ち続けなきゃならねぇもんだからな。詳しくは省略するが、右腕がこうなっちまった原因である少女の、”遺品”だ。」

//申し訳ない遅れました!


11 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 13:08:11.46 ID:h2AEh7Ez0
>>10

いずもとセイラはかなり相性が悪い。どんな相手にも敬意を払い戦いに臨むいずもと、争いを根絶するために殺しさえ厭わないセイラ。
この2つが相容れないのは当然と言えよう。
だからこそセイラはいずものその言葉に不快感を覚えずにはいられない。

「──あなたは、争いを肯定するんですね」

悲哀の表情を見せ、いずもの言葉に静かに返す。だが、これでいずもをどうにかしようとは思わない。
争いが絶えないのはこの世界のせいだ。目の前の少女がこんなことを考えてしまうのも。
早く──一刻も早く争いの無い"理想"の世界にしなければ。


狂気的なまでのその思想を内に孕む。盲信的な平和への思い。
歪みきった平和を願う少女は、ただ"争い"の無い平和な世界を望むだけだ。

「それはつまり…あなたにその怪我を負わせた人のですか?
なぜ自分に危害を加えた者の遺品などを……」

普通に考えれば、自分に怪我を負わせた者の遺品などをこんなに大事にしないだろう。
むしろへし折ったりしてもおかしくないはずだが……。彼女とそのラケットの持ち主の関係は一体どのようなものだったのだろうか。
親友?それとも血の繋がった者か、いずれにしてもいずもとなんらかの深い関係があったのだろう。

「…そういえば自己紹介がまだでしたね
私の名はセイラ、セイラ=ロア=アインフェルトです」

ふと思い出したかのようにセイラはそう自己の名前をいずもへと告げる。
恐らく彼女は魔術師では無いだろう、ならばアインフェルトを名乗っても自分が学園都市の人間では無いということはバレない。
折角の出会いなのだ。この街での人脈を増やそうという考えからセイラは己の自己紹介をするのだった。
12 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 13:54:22.18 ID:s1Cwds8d0
>>11
「……んー……ちょいとニュアンスが違ぇな。」
「そりゃあ醜い理由で生まれた争いってならオレは全力でねじ伏せるけどさ。
あってもいい争い……いや、なくてはならない争いってのも人間の間にはあると思うんだよ?……ん……難しいなコレ。」

「争いが無いからって、全てが丸く収まるわけじゃあねーだろ?絶対不満ってのはいつか爆発する。」

自身に対して明瞭な不快を露わにするセイラであるが、少女は全く以って気に掛けなかった。
──それは”価値観”の違い。「争い」を憎み、「争い」が根絶された世界こそが”理想”であると説くセイラに対し、「争い」が無くなっても”理想”なんて物は絶対に出現しないとするいずも。
───何方が正しいなんて事はない。故に、「争い」なんて物は、今現在の彼女らの様な”価値観”のすれ違いで生まれる物なのだろう。

次に高天原いずもは、左手に握るラケットへと視線を落とし、クルクルと回しつつ話を続けた。

「…………………簡単。オレがそいつをただの自己満足の為に殺しちまったからさ。」

「確かにあの場において、道徳的にオレは正しかったんだろうけど………。
オレは、コイツの持ち主の”正しさ”ってモンを力づくで打ち消した。」

「…………だから、オレはコイツの持ち主の”正しさ”を背負う必要がある、義務がある。そしてその義務こそがコイツ……ってわけ。……あー!やめやめ!自分でもわっけわからん!!」

このラクロスラケットの持ち主は邪魔をする人間を”[ピーーー]”事で「自分を貫く正義」を体現した……悪魔の様な人物であった。
一方、高天原いずもは「他人を護る正義」。相容れない二つの「正義」は激突し、「自分を貫く正義」は命を落とした。彼女の言う通り、彼女の行いは間違いなく正しいものであるのだが、彼女は相手を理解せずに殺してしまったことを悔やんでいる。
だから───この一本のラクロスラケットは、彼女にとって「戒め」の様な役割を持っていた。
強引に話題を締め、次の話題へ。


「ほえー!やっぱり外国人かぁ!見た目っから思いっきり外国人だしな!」

「オレは”番長”──高天原いずもってんだ!
よろしく、セイラ!」

……と左手を差し出し握手を求める彼女の顔には眩い程の笑顔があった。




13 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 14:52:00.96 ID:h2AEh7Ez0
>>12

「あってもいい争い…?そんなものあるわけがないでしょう
争い傷つけ合うことはどのような理由であれ悪です、争いが必要な世界なんてそんな世界ならば──」

そう、争いは悪、無くさなければならない障害。
確かにこの世に必要悪があることは認めよう。だがそれで争いが起きるのならばその世界は間違っている。そんな世界は作り直す必要がある、だからこそ自分は──

「不満で争いを起こすのなら、それを私が潰す
私が悪を引き受ける」

悪が必要ならば自分が悪へとなろう。不満を潰し、理想を貫き通そう。
それで世界から争いを無くせるのなら。
狂った思想、捻じ曲がった正義感。修正不可なそれはセイラにとって唯一の支えであり、希望。
争いを無くせば自分のような者は居なくなる、それが彼女の"平和"だ。

「……私にはよく分かりません
あなたは自分の正義を貫いた、その結果相手を殺した、それだけではないですか
なのにあなたはなぜ、殺した相手の"正義"、"正しさ"を背負わなければならないのですか?」

いずもとセイラはその根本から全てが違う。生まれや立場、価値観から何もかもが違った。
それは二人の生まれが違うからではない、もっと本質的なものがもとから二人は違うのだろう。
故にセイラは、いずもの言っていることが理解出来なかった。
[ピーーー]ことになんの意味も見いだせないセイラには──


「番長…?あぁはい、いずもさんですね
こちらこそよろしくお願いします」

先程までの雰囲気は消え失せ、最初と同じような柔らかなそれに戻りセイラはいずもの左手に応えるのだった。
14 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 15:18:59.28 ID:s1Cwds8d0
>>13
「………それがどういう理由であれ、相手の”命”をへし折った上で貫いた”正義”なんてもんはいらないよ。

オレは”他人を護る”ことを”正義”だとか謳っておきながら、目の前に対峙してるヤツの事なんてこれっぽっちも理解せずに殺した。
……だから、オレはこいつを背負う義務がある。”他人を護る”ことが出来なかったオレ自身への戒めの為にもな。」

「ははっ……なーんていってるが、所詮オレは”番長”。こんなくっだらない話、忘れてくれ。」

高天原いずもはそう言う事で「正義」に対する全ての話を締めくくる。
依然として明るい笑みを顔に浮かべる少女であるが、何処か其処には拭いきれない「悔しさ・虚しさ」が確かに存在していた。


◆◇◆◇◆


「あー……アレか?番長ってわからないか?
B・A・N・C・H・O!……あってるっけかこれ」

握手を解き、何処か”番長”という語句に疑問符を浮かべたセイラに対して説明する少女である。
笑みを崩さずに彼女は額の鉢巻を片手でキツく締め直した。次に自らの男装をキチッと整えつつ、左手の親指を立てて───

「……ほら!こんな感じのやつ!!
強くて……みんなのリーダー的なアレ!」

その左手の親指を自らの方へ向けつつ、声を上げた。
こんな事を言っているがその実、風紀委員に迷惑ばかりかけている”残念番長”であるのだが、セイラには知る由も無いだろう

15 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 18:42:10.80 ID:h2AEh7Ez0
>>14

「……やはり分かりませんね、何かを護るためには何かを失わなければならない、それは当然のことだと私は思っています
全員を救うことなど不可能です、だからこそ人を護るということは何かを失う覚悟が必要…私はそう思っています
あなたの行動は何も間違っていない、私はそう思いますよ」

自分はとっくにそんなことは覚悟している。平和のためには誰かを殺さなければならない。自分が誰かを殺し、そして誰かを救えるならば自分は喜んで人殺しに身を移そう。
誰も殺さず、全ての人間を救うことなど出来ないのだから──

「いいえ、くだらなくなんてありません
貴重な話をありがとうございます」

セイラは礼を言うと己の正義、そしていずもの正義、この二つの違いを思い知る。
誰かを護る正義、誰も死なさず、全員を護る──そんなこと、出来るのならばとっくにしている。
それが出来ないからこそ自分は──


「番長…すいません、日本の文化はまだあまり分からなくて……」

いずものアバウトな説明に首を傾げるセイラ。
だがこのような説明の仕方をされても誰も分からないだろう。
しばらくいずもの仕草を見ていたセイラだったが、そのひたすらに明るいいずもの様子に思わず噴き出してしまった。

「ふ、ふふっ、いずもさんあなた面白い人ですね」

年相応の可愛らしい笑みを浮かべセイラは口元を手で隠す。
その姿は普通となんら変わりのない"少女"だった。
16 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 19:06:47.90 ID:s1Cwds8d0
>>15
「……ああ、よくあるアレ?留学生的な?
まあ世界最先端レベルの能力者育成都市だから多いんだろうな。」

──我が国日本は世界で一番早く「能力」の発現に気付き、持てる限りの技術を使用して”能力者収容都市”を創設した。
唯一の能力者収容機関であるが故に、世界の能力者は此処に集められる。更には、世界でも随一を誇るその技術に魅了され、移り住む人間も居るほど。……その中には「能力」を危険視する存在の影もある。


「おっ……面白い!?オレ…なんかギャグ的なこと言ったつもりはねぇんだが!!?」

割と真面目に「俺が番長だ!」とかいう自己主張をするつもりでの発言だったのだが、其れは見事にセイラに笑われてしまった。
兎に角喧しく、兎に角煩く、兎に角明るい彼女が言ったのでは幼い女の子の無邪気な声にしか聞こえないので──無理はない。
勿論、セイラの笑いに対しても彼女は真剣考えている様子である。


◆◇◆◇◆

───そんなこんなで少し時間が経ち。いずもがヤケクソでむしろ自分をも笑い飛ばすようになってから。
ふと、彼女はこんな言葉をセイラへと投げかけた。


「───そういや、学園都市にいるってこたぁ、セイラも能力者……なのか?」
17 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 19:29:48.75 ID:h2AEh7Ez0
>>16

「えぇ、まぁそんな感じてすね」

確かに表向きにはセイラは留学生ということになっている。
ここへの留学生は珍しくなく、セイラがそれであってもなんら違和感は無いだろう。それに馬鹿正直に自分の正体を告げるつもりはセイラには毛頭ない。

「えぇ、とっても面白いです
あなたのような楽しい人と話してると時を忘れてしまいそう手すね」

楽しそうに会話をするセイラ、一体彼女は今何を考えているのだろうか。
このような少女があの時、セイラの近くに居ればセイラは変わっていただろうか。今のようではなく、年相応の──



そんなこんなでセイラといずもはしばらく語り合った。
こんなに話したのはセイラにとって久しぶりだ。思えばかれこれここに来てからほとんど人とまともな会話を交わしたことがなかった。
そしてそんなセイラにある質問が投げかけられる。

「──いいえ、私は違いますよ、無能力者です」

間違ってはいない。自分は魔術は使えないし能力も使えないのは合っているのだから。ただ特殊な"武器"を持っているだけ。
そう言ってセイラはただ変わらずに笑みを浮かべるだけだった。
18 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 20:00:03.20 ID:s1Cwds8d0
>>17

────────返答があった。
「そうか。」と短く言葉を切って、高天原いずもは一度沈黙する。依然として口元は緩んでいるが、目を伏せ、何かを考えているかの様な様子である。
…………”番長”を名乗る少女が何故「能力者」であるかどうかを尋ねたか。理由はたった一つ。

(………………”世界”を達観してるかのような言動。)
(確かにこの馬鹿都市は外国人も相当に多いけど、だいたいそいつらには理由がある筈だ。)

理由。それは前述した通りの「能力」を所持した為に学園都市に赴いた、学園都市の「技術」に魅了された……などが挙げられるが、実は此処には例外が存在する。
そう、「魔術師が”能力”の危険性を懸念して潜入している」という全くイレギュラーなものだ。
魔術師が全員が全員、外国人であるとは限らない。然し、今まで遭遇してきた魔術師はほとんどが日本人ではなかった。───であれば。セイラが外国人である時点で高天原いずもは彼女を危険視していた。

(…………無能力者…………??

───いや、可笑しい。
あれ程、冷酷を孕んだ言動ができるんなら、それ相応に何かの経験は積んでいる筈なんだ。
セイラの言葉は……絶対憶測とか軽いもんで語られた言葉じゃなかった………ッ!)

ふぅ………と、一度大きく空気を吸い込んで、即座に吐き出した。そうして尚、”魔術師”という概念に対してこびりついた泥の様な印象は拭えない。
───まだ慌てる時じゃない、と自らを諭す。もしセイラが能力者へ危害を加える存在なのだとしたら、オレはさっきまでみたいに笑っていられなかった。

「………………一つ聞いていいか?」

胸の鼓動が高鳴る。何度も経験はしている筈なのに、やはり身体は緊張し、喉が乾く。

「セイラは、魔術って知ってるか?どーも、学園都市のごくごく一部で噂になってる………都市伝説みたいなもんなんだけどよ………?」


19 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 20:24:22.64 ID:h2AEh7Ez0
>>18

セイラはいずものその様子を見逃さなかった。
なにやら先程までの姿とは打って変わり、何か思考しているらしきその様子。恐らくは自身の正体のことだろう。
先程の質問、自分が無能力者と答えたことに関して疑問を抱いてる、のだろうか。
確かに、あれ程のことを言っておいて無能力者というとはおかしいかもしれない。
だが、間違いではないのだ。セイラは魔術は使えないし能力も使えないのだから。


「──えぇ知っていますよ、知っていますとも……」

"魔術師"
自分がこの街に来た理由。両親を奪った憎むべき存在。
魔術師が悪いわけではない、だが争いを起こしたのは魔術師だ。言わば両親の仇とも言うべき存在。
あの…あの紛争さえ起きなければ今頃私は──!
そう思うと自然に口調に力が込められた。拳を強く握りしめ、顔は険しいものとなる。
それに気付くと慌てて元の調子に戻したが、先程のセイラから感じられるその負の側面を、いずもは感じ取れただろうか。
セイラの奥底に潜むその狂気を──

「…それで、それがどうしましたか?
なにかその"魔術師"に気になることでも?」
20 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 20:43:44.06 ID:s1Cwds8d0
>>19
「…………………………っ…………。」

セイラが彼女に見せた対応は、彼女が未だかつて経験した事のない様な異質なモノであった。
横目でセイラの様子を伺えば、明らかに”魔術師”に対して特異的な感情を抱いているかの様な反応───

──勿論の事、それを彼女が見逃す筈が無かった。
然し、その異質な感情が一体何物であるのかは理解し難い。
恐らくは”憎悪”だとかいう憎しみを孕んだ意思であろうが、彼女にとってそれはそんな言葉では表しきれない程にどす黒いものだ、そう直感する。

だが、高天原いずもはここで、その”憎悪に似たナニカ”は自分には決して向けられないものであるとも感じた。────であるなら、自らの身の安心は一時的に保証されている。……だから、踏み込む。



「───セイラ、お前は”魔術師”について何処まで知ってる?」

「いや……質問を変えるよ。
セイラ=ロア=アインフェルト、お前さんにとって”魔術”って何だ……!」


21 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 21:09:29.99 ID:h2AEh7Ez0
>>20

「…………」

見抜かれていた。自身が魔術師サイド、少なくとも魔術師と関わりがあるということを。

ここまで来たら、もはや正体を隠す必要も無い。
ふぅっ、と一息、そしてセイラは告げる。

「私が無能力者である、ということは本当ですよ
私は自ら魔術を封じましたから」

多数の魔術師と接してきたいずもならば分かるだろう。
魔術師が魔術を封じることがどれだけのことなのかが。魔術は魔術師にとって時には命よりも大切なもの、もしも魔術師がこれを聞けばどう思うだろうか。

「それと、能力者にも危害を加えるつもりもありません
魔術師は場合によっては殺しますが」

「私の目的はここ学園都市から魔術師を全て追い出すことです
魔術師と能力者、この二つの邂逅は間違いなく争いが起こる…だから、それを止めるために私は来たんです」

「それと私にとって"魔術"とは…ですか……
争いを生み出す憎きモノであり、人類が生み出した"パンドラの箱"と言ったところでしょうか
まぁまだ"魔術"に希望を見出したことはありませんが」

あまりにも簡単に"[ピーーー]"という言葉を使うセイラ。
雰囲気は先程までと変わらない。だからこそセイラの異常性が鑑みえる。
人を[ピーーー]のをいとも簡単のように語るセイラに、いずもはどう感じるだろうか、だが少なくとも先程までと同じように接することは出来ないだろう。
22 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/12(月) 21:39:40.70 ID:s1Cwds8d0
>>21
「……………………………………。」

番長はセイラが語る言葉をひとつひとつ自らの内へと取り込んでいく。鼓膜を伝い、脳へと伝達される信号の中には明瞭なる殺意までもが含まれていた。
”魔術”という語句がこれ程までに人格を豹変させる現象を経験したのはこれが初めてだ。……いや、これからもこんな経験は二度としないかも知れない。
淡々と殺意を垣間見せるセイラに対し、確かに番長少女は狂気を感じていた。

────全てが終わり、セイラの口が閉じられるといずもは重たい口をゆっくりと開けた。

「……………オレは”番長”になる漢だ。能力者、魔術師が接触するって事が間違いなく良くないことだってのは理解できるし、”都市を護る”側としてはそれは防ぐ必要がある。」

「…………魔術師を追い出す、ってのが正しいかはわかりかねるけど、接触を避けるって点ではオレらの行動理念は合致してるな。」




────だが。これが間違いなく高天原いずもとセイラ=ロア=アインフェルトの大きな差である。

「………でも、お前がその理由で”魔術師”を[ピーーー]ってなら、オレは間違いなくお前の前に立ちはだかるよ。」

「お前さんは多分それが”必要悪”っていうんだろ?
ならオレは”必要善”にでもなってお前を全力でとめねーとなぁ……」


然し其れは「敵意」では無い。平然とした顔で殺意を売るセイラに対しても、依然として接し続ける彼女の態度からしても其れは伺えるだろう。
彼女はこの都市で過ごす中、様々な魔術師を目に映した
───任務であっても娘の身を案じる心優しき者。
自らの無力さに失望し助けを求める者。
自らの行動の指針を見失っていた者。
利用し尽くさんと何かを企む道化師のような者。

もしかしたらこのいずれかもセイラの殺意の対象に入るのかも知れない。悪人ならば[ピーーー]……独裁的で狂気を孕むその殺戮の対象に。
ならば彼女は”悪人ならば救う”。別の道を示す。
数日前には奴には見せられなかった別の道を、もっと多くの人間に見せつけ、救いを与える。
それこそが彼女の使命であるから─────、

「……ってこった!立場的には敵対しちまうかも知れねーな!!
参ったもんだ!うっはっは!!」

23 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/10/12(月) 22:28:52.57 ID:h2AEh7Ez0
>>22

「えぇ、そうですね
あなたにとっても魔術師と能力者の接触は避けたいはず、それが誰かを護ることになるのだから」

淡々とセイラは目的の合致を語る。だが、かといっていずもに協力を仰ぐわけではない。
これは自分ひとりで始めたことだ、他人を巻き込むわけにはいかない。
この戦いはセイラ=ロア=アインフェルトがしなければならない。

それにきっと協力を求めたところで無駄だろう。
この二人は本質的に違うからだ、いや本質的どころかまるっきり。似ているようでまるで違うのだ、この二人は──

「──えぇ、そう言うと思いましたよ
あなたの考えと私の考えはまるで違うもの
一人として見捨てない、全員救おうとするあなたと、必要ならば殺しも厭わない私とは」

決して二人のそれは相容れない。目的は同じなのにまるで真逆、なんと皮肉なものだろう。
同じ目的を持っているのに、決して交わることが出来ないとは──

「でも安心してください、私は能力者は殺さないと決めていますから
学園都市外の私が能力者を殺せば、それこそ争いの元ですからね
それに強行に及ぶのは話し合いが通じない、最悪の場合です、私も出来るだけ命は救いたいですから」

「まぁ、そういうことです
敵対という形…になってしまいますね、その時はお手柔らかに……」

柔らかな笑みを浮かべ、そう告げればもう時間がかなり経っていた。
いずもとの出会い、それはこの学園都市にはこのような手合いの人間も居るということを知る貴重な出会い。
しかしこの優しすぎる"番長"との邂逅でも、彼女の心は揺らがない。
もう彼女の心は変わることは無いだろう、それ程までに彼女は歪に歪みきっているのだから。
そのままセイラは踵を返す。今度会うときは敵同士か、それとも──


────と、最後に一つともう一度セイラはいずもの方を向き直る。

「あなたは素晴らしい人だと思います、ですがあなたは優しすぎる
その正義を貫き通してもなお、誰かを殺めてしまう時が再び来るかも知れません
もしその時に躊躇するようなことがあればあなたは──
人を救う前に自分が死んでしまっては意味がありませんよ」

では、と今度こそ本当にセイラはその場を去っていく。
最後の言葉はいずもを心配してのことだろうか、それは本人以外の知るよしではない。

//ここら辺で〆させていただきます、ロールありがとうございました!
24 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/13(火) 19:42:42.67 ID:2WO8IF1f0
学園都市。それは多くの学生たちに能力の在り方を指導し、光ある未来を築くための施設。
だが、そこには例外も存在する。光満ちた所には、必ずいつか、どこかに影が落ちるように。
崇高な志を持った者がいるのなら、当然ながら邪な野望を抱く者もいる。
対極の存在とはいずれ、必ず現れるものだ。

某日夕方。一人の男子生徒が今まさに、その"影"に侵されようとしていた。

『ちょっとジャンプして見ろよ』
『ウチの兄貴がバイク壊しちまってよ……カンパがいるんだよな……』
『もちろん払ってくれるよな?あ?』
『や……やめてください……ひっ!』
『舐めてんじゃアねえぞ一年坊が!』

人通り少なく、怒号響く路地。十全に影の落ちたそこで繰り広げられているのは、弱者を脅して金をゆする……カツアゲと呼ばれた行為である。
不良たちの悪事の中でも特段ゲスな行動と言われるその行為の様子を、路地の曲がり角に寄りかかり、陰からジッと眺める青年がいた。
第一高校の学ランに、どこか時代錯誤な軽いリーゼント。目付きは悪く、各所に作った生傷から、彼もまたあの中の仲間の一人であるかのように見受けられるだらう。
だが注意深くそれを見れば、実際それを行っているのも、受けているのも第一高校の人物ではない。
裏で通じている線もあるが、何よりも彼からは、その揉め事の最中にいる"どちらの味方でもない"という雰囲気を放っていた。
彼はナリを潜め、まるで狼のような鋭い眼光で、その様子を虎視眈々と注察していた。

不注意かつ不運な生徒を態々救ってやるのは自分の温情を超えている。しかしだからと言って、カツアゲを働くような下卑た連中を見過ごすのでは自分のプライドに関わる。
であればあの揉め事が終われば、誰にも邪魔されぬケンカで決着をつけてやろう。彼はそう考えていた。
狂犬のごとき闘争への期待と欲望の中、しかしそれをしっかりと鎮めながら、彼は獲物の発生を待つ。

しかしてあのカツアゲが何者かに阻害されるという可能性を、彼は完璧に意の外へ置いていた。
25 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/14(水) 19:33:43.51 ID:RAX+nQB+0
>>23
「………敵対………ねぇ………。
平和ってのを願っておきながら……悲しいもんだ。」

───彼女は何処か、この状況に既視感があった。
包帯に包まれた右腕。そしてこのラクロスラケットの持ち主と対峙した、あの緊迫した情景。
”正義”を振るいながら、然しそれでいて相容れない二つの”正義”。
今回はそれが”平和”という語に変化しただけで、二人は同じ道を歩めないという事が確定してしまった。
彼女はふっ、と笑みを浮かべる。でもそれはこれからの明るい未来を暗示している訳でなく、寧ろ、その逆を予感した何処か哀しみの溢れる含笑い──



「…………答えておくよ、セイラ。
意志を貫いて、誰かを殺してしまうんならそれはオレにとって正義なんてもんじゃない。
もしそんな状況が生まれてしまうんなら、どうあがいても救えない状況が出来てしまうんなら、それは………


─────オレが”折れる”時だ。」


そう言い、彼女も同様にその場から去っていく。
───”正義”という、彼女には重すぎる責任をその小さな背中に背負いつつ。

//すみません!遅れました!改めてありがとうございました!!

26 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/14(水) 20:13:24.61 ID:RAX+nQB+0
>>24

「………よっ!」


威勢の良く、高い声が路地裏に反響し、同時に何かを殴りつける鈍い音がした。
───振るわれたのは小さな拳。しかし、不良の一人の土手っ腹にめり込んだソレはその不良の意識を一瞬で消し飛ばす。
断末魔さえ上げる間もなく倒れた仲間の一人を目に映せば、彼らは目の前の男(?)に向けて警戒心を抱いた。だが目の前に見えるのは体格的には随分小さい。
───文字通り、その存在を”舐めきって”いた。

『あァ!?なんだテメェはよォ!!』
『ちっこい癖に舐めてんなァ………!!』

「………………最近認知度上がったとかつけあがってたけど、やっぱ他校となるとあんま知られてなかったり………!いかんいかん!!
こんな様じゃ馬鹿兄貴みたいになれねぇじゃねぇかクソ野郎共!!」

と何時ものペースを崩す事なく事にあたる少女。
黒の学ラン、燃え滾る赤の鉢巻………。少なくとも第一学園においては”(馬鹿)番長”などと呼ばれる少女、”高天原いずも”その人である。
当然、それを知らない不良達は見事に彼女を笑い飛ばして。じりじりとその馬鹿げた少女へと距離を詰めていく。………その数、約4人程。

『なに言ってんだこいつ!!随分と粋がって馬鹿じゃねぇのかっ!!』
『てかなんだよ!小さいのにそんなかっこつけちゃってェ〜〜〜〜!?!』
『調子に乗るのもそれくらいにしとけよ?オイ………そろそろやっちまうぞ。』

然し、その少女は依然として笑みを保ったままであった。
無理もない、だって久々に”番長らしい”人助けが出来るのだから。最近は色々な概念に束縛されていた感があったから、彼女の気分の高翌揚は凄まじい。




「───ッてな訳で、ちと宣伝させて貰うわ。
オレは高天原いずも!この学園都市の”番長”になる漢だ!!」

そして彼女は、恐らくその空間の何処かにいる”誰か”に向けて、声を放った。

「んでもって。さっさとそっから出てきやがれよ───────『番犬』。お前の獲物、全部オレが頂いちまうぞこの野郎。」


27 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/14(水) 20:47:46.25 ID:EV/BAJnM0
>>26
「……」

彼は少女の放った威勢よい声に応ずるように、路地の角から半分だけ身体を出して、少し表舞台へ干渉する。
作ったばかりの生傷に獣のように鋭い眼光。気迫十分に、突如現れたハイエナへと睨みを利かせながら。

「……生憎、人助けは趣味じゃねえんだ。お前のせいで、俺の楽しい蹂躙プランが台無しだ……」

低く野太い声で、一歩も譲らぬような気迫でもって呟く。
そこには若人に特有の、ギラギラとした生気に満ちた雰囲気が垣間見えるだろう。

「……好きにしろよ女番(スケバン)。……もっとも、俺はお前を認めちゃいねえがな」

彼が不良らを狙う理由は、高天原いずもが彼らを攻撃する理由とはおよそかけ離れている。
彼は、単に喧嘩がしたいだけだ。闘争への羨望と期待、そして欲望。闘いに付随する人助け、などといったかりそめの目的は、彼の信念とはそぐわない。
戦うために戦う。それが彼の行動理念であり、同時に"狂犬"とあだ名される理由でもあった。

だからこそ彼は、突然の乱入者に対してあからさまな不満を示しつつ、その闘いを観るのだろう。
自分も闘いたい。しかしここで飛び入れば、くだらない人助けに加担する事になってしまう。

彼は路地裏の陰に再び身を潜める。思えば"番長"を名乗る人物は、存在は知れどその底力は知れず。
見定めるような眼光を放ちながら、彼はその闘いに不干渉の意を示した。


28 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/14(水) 21:32:45.06 ID:RAX+nQB+0
>>27
「はっ…………オレの能力の名前くらいは知ってるだろ?───爆破剛掌〔ブラスター〕。
お前の大層楽しそうなプランをぶち壊したくなっちまってな!はは!」

と、不服そうな様子の番犬に対して、頗る明るい声で言葉を発した番長。
刃物の様に鋭い気迫───、正にそれは彼女の背中を刺し殺さんとするほどにギラギラとした物であったが、同じ様に歪な気迫を有する彼女は、その気迫に物怖じなんてこれっぽっちもしなかった。

「………ほぉん………同じ不良であれども本質は全く異なるってワケか。
………ま、女なんて言われちゃあ………オレも黙ってるわけにゃあいかねぇなァ………!!」


『さっきから何を言ってんだ………あ!?』


「───────眼に灼きつけろよ、番犬!!特別大サービスで出力上げてやる………!!」

──高天原いずもは”番長”に成り上がる為に「性別」を捨てた少女である。故に、意図的に”女”と称されるという事は彼女にとっては一種の侮辱に等しい。
然し彼女はそれに対して不満はない。ただ単に、まだ自らを証明出来ていない自分の愚かさが、其処に現れているだけのこと。
─────であれば。”力づく”でもその負のイメージを払拭せねばなるまい。
汚い言葉を撒き散らしながら迫る四人の男達を前に彼女は右手を用意した。とある事件に巻き込まれ傷を負っていたが、今現在は完治している。
療養を経て、万全の右腕。当然、彼女が振るうのは相手を殺さない程度のフル出力───!!


「………………さっさと失せろ、クソ野郎共!!ぶち壊せ!爆破剛掌───!!」

右腕は真正面に突き上げられるワケではなく、不良軍団のうちの一人の腹に向かって横薙ぎに振るわれた。
瞬間、彼女の拳と彼の間には”爆発”が生じ、凄まじい速度を以って、他の3人へと体が弾き飛ばされた。
予想されていた通りに減速することなく彼の身体は不良3人へとぶち当り、ドミノ倒しの様に四人全員が地面に突っ伏す。火力だけが取り柄の能力、であるがための一掃であった。


『………………………………………………。』

因みに、この時点で状況を読めなくなっていた、不良に絡まれた健全な少年は見事に意識が飛んでいる。


「………………っと片付いたぞ!どうやらこっちのは意識飛んでるっぽいな!
こりゃあ本当に人助けか判断できねぇな!」

「ん………で、悪いな番犬さんよ。楽しそ〜〜なプランぶち壊しちまってよ。」

と一連の問題を片付けた少女は、改めて”番犬”こと高山 厳佐武郎へと声を掛けたのだった。





29 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/14(水) 22:26:49.44 ID:EV/BAJnM0
>>28
「……そういう所だ。俺が気に食わねえのは……」

対する返事は明るく、その無為に大きく自信げな声は、彼の琴線を軽く刺激する。
彼女の"爆発"の演舞を見ながら、彼は小さくそう呟いていた。

「……」

彼は事が済んだのを一目見て、 路地裏から歩き出てくる。
ポケットに軽く両手を突っ込みつつ、のしのしと歩み寄るかと思えば、彼はいずもと数m離して相対するように立ち止まった。
倒された不良らの様子を一瞥し、ふと「クールじゃねえな」と呟いたのち、彼は少女へ向き直った。

「……ひとつ聞かせな。何でお前、アイツを助けた」

"アイツ"とは、カツアゲに遭っていた男子生徒の事であろう。手段と目的は違えど、この不良らは同じ風体で此処に転がっていたはずだ。
目の前の少女は、わざわざ"人助け"のためにこの路地に転がり込んできた。……彼にとって、それが疑問であった。
そこに疑問を持つ事、それ自体が彼の信念に関わる事であるからだ。

「あと━━━━俺を番犬と呼ぶな。俺は"高山巌佐武郎"だ……」


30 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/14(水) 23:15:01.13 ID:RAX+nQB+0
>>29
──基本的に。高天原いずもの人助けには詳細的な理由は存在しないのである。
ただ其処に困っている人がいたならば、助けるのが人間としての道理であると勝手に結論づけている為に行われる善行。………それを無理矢理にでも”理由”として語るのであれば、言葉は一つ。

「何でってお前……………それが”番長”の役目だからだろうがよ。」

大した間もなく、即答だった。路地裏には一陣の風が吹き込み、彼女の真紅の鉢巻を靡かせた。
「番長」の役目というのは明確な定義なんてものは存在しない。かつて「番長」として大成していた兄を真似た思考が、そのまま彼女の中で「番長」として信仰されているというそれだけの話である。

「おっと………悪ィ悪ィ、あんま好きじゃなかったか?」

「そいでもって厳佐武郎、オレからも質問いいか?
───何故、コイツを助けなかった?
どうせ一連の流れが終わった後にあいつらボコボコにする、みたいなのがお前さんのプラン?だったんだろうけど。
………助けたっていうちょっとした付加価値が付くだけじゃねーの?」


彼女の場合は、この本来ならば付加価値である「人助け」が付加価値でなくメインの目的となっている。
恐らくはこの「人助け」をメインか、付加価値であるか、それとも欠けても良いものと捉えるかが荒ぶる両者の決定的な違いなのだろう。
少女は飄々とした態度は崩さぬまま、もう一人の不良へと質問を投げかけたのだった。
31 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/14(水) 23:55:12.98 ID:EV/BAJnM0
>>30
「"番"か……フン、高天原……前からウワサは聞き及んじゃいたがな」

彼は小さく首を振るいながら、気絶する少年の横に股を開いて屈む。俗にヤンキー座り、と言われるそれだ。

「どんな厄介事にでもノコノコ出て行って助けてやるか……甘すぎるぜ」

彼は少年の顔から、少女の顔へと視線を戻す。
何故、少年を助けなかったのか。その理由について聞かれたからだ。

「……コイツみたいに、力に対してシッポをふる事は簡単だ……それだけで生きられる」
「だがな。そいつァ"生きてる"んじゃあねえ……"生かされてる"だけなんだよ……こいつは一生、鎖につながれたままだ」

彼は倒れ伏す少年の顔を見ながら思う。
これから同じような目に遭った時、同じように助けが来るとは限らない。
その時は、決して彼一人で逃れることはできないだろう、と……

「こんなダセえピン助野郎どもをワザワザぶっ倒してやろうなんて義憤は、結局は……コイツの鎖をより強固にするだけだ」

そこで俺はこう考える、と。彼は立ち上がって、いずもの方へと向き直る。

「俺が番だったとしたらな……そんな鎖を断ち切る力すら持たねえ奴の不注意まで、面倒は見てられねえ。」

これが彼の答えである。
助ける事、それ自体に対する価値ではない。少年そのものに助ける価値がない、彼はそう判断したのだ。
元より、陽が暮れるような時間に、辺鄙な路地にわざわざ立ち寄るような行動。それ自体が些か注意に欠けていると言える。
自業自得を跳ね返す力もない。それでは助けてやる道理はない。喧嘩に対する欲求と共にこじ付け、その判断を下した結果が、彼の答え━━━━━━━

この答えは、正義の味方であろうとするいずもにはどう映るのであろうか。
32 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/15(木) 01:02:23.80 ID:XimMngqD0
>>31
「………………………なるほど。」

一理ある、と思った。
強力な力を振るい、兎に角助ける事だけを念頭に置いて”番長”の役目を全うして。「人助け」という観点からすればそれは間違いなく正しい事ではあるが、一時的な「人助け」に過ぎない。
もう一人の不良がそう語る様に長期的な目でその「人助け」を見るとするならば、それは「人助け」としてなんら意味の無い結果を導き出す可能性も否めない。
………でもそれでいて、多くを救ってきた彼女は”本当の意味”で救われた人間も数多く見てきた。自らの殻を破ろうとする人間を何度も見てきた。──だから。

「………………お前の意見は間違いなく正しいと思うよ。今だって一瞬、自分がしてきたことの理由を見失いそうになったぐれぇ、めっちゃ理にかなってる。」

「確かにオレがやってるのは一時的な”人助け”で、そいつの為には何も役に立たねぇかもしれない。
多分、オレがやってるのはただの自己満足だって言われてもしょうがないし、実のところ、それが一番デカイと自分でも思っちまうよ。」

「………………でも、違うんだ。オレは今までその一時的なモンを道標に、自分の進む方向をしっかり考え直そうとする奴を何人も見てきた。

だからオレは、”番長”としてそれを見つける手助けをするんだ。
何度も”護り”にすがるようなら、その”護り”の尊さってもんにそいつが気付けるまで、何度も何度も”助けてやる”。勿論、その度に手段やらは変えてな?」

しかしやはり、彼女の信念は揺るがなかった。
一時的な”人助け”が意味を成さないのであれば、それを複数回続ける事によって無力さに”気づかせる”。それも”人助け”の一環であると、彼女は語った。
自身はただ単に助ける道具なのでは無く、一時的な邂逅でオレがそいつの「道標」になってやるのだと。
何度も何度もそれを重ねて、道を示してやるのだと。

────そしてそれが彼女の目指す「番長」である、と。

………と少し語った後、彼女は何処か照れ臭そうに頰を染めつつ笑いながら言葉を発した。厳佐武郎にはさぞ忌々しいであろう、いつも通りの明るい笑顔だ。

「ま、さっき言った通り、結局一番の理由はただの自己満足なんだと思うよ。」
「オレの憧れの存在がそんな感じのことやってたから、同じ事やることで何処か気取ってたんだな。………ははっ、忘れてくれ。そもそも馬鹿が軽々しく語っていいようなもんじゃねぇや!」



33 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/15(木) 01:47:34.97 ID:FQm8FDYh0
>>32
「……ヘッ。」

……甘い。余りにも甘すぎる。彼はいずもの考えに対し、呆れに近い感情を抱いた。
人助けに人助けを重ね、それで結果的に人が無力と気付けるだろうか。そんなはずはない……さらに人助けにすがるだけだ。
与えすぎた飴は破滅をもたらす。彼女には、与えるべき鞭が足りなさすぎる。
そんなものは"番長"ではない、ただの"便利屋"ではないか……と。
だがいずもの持つ、彼女なりの"番長"に対する想いは理解したようで。
少女の語る言葉を飲み込みながら、彼はそんなこみ上げてくる様々な感情を吐き出すように、ただ言葉にならぬ声を発するのだった。
互いの信念は決して相容れぬものではないが、理解できないものではない。しかし互いに、決してそれを受け入れはしないのだろう。

彼は改めて、いずもに語りかける。それは、彼女が背負う、"番長"という看板についての事だった。

「……なァ、高天原……俺はお前をナリだけ男の真似事してる妙な奴だと思ってたが……てめえの考えを持ってる辺り、それなりに"漢気"はあるらしい」

「"番長"を自称するだけある、が……女(スケ)に番張られちゃ、一高の看板背負ってる俺のメンツとしちゃあ頂けねえんだ」

彼はその顔に、ニヤリとした笑みを浮かべる。まるで本能的欲求に従うような、湧き上がるような笑みを。

「だがよ。どっちが番張るか、なんて言い争いはごめんだ。いつまでも決着なんてつかねえ、スッキリしねえからな」

「……だからよ」

「"こいつ"だけは白黒つけようぜ。この辺じゃ、俺も一高の看板背負ってやってんだ……」
「どっちが一高の番にふさわしいか……ここで漢を見せてみな。高天原出雲」

彼は拳と掌を打ち合わせ、満面の笑みをその顔に浮かべた。
声は彼女と同じように明るく、しかし明らかに異なるベクトルで。昂りの中、しかし静かにこう言った。

「━━━━━━━━━━ケンカしようぜ」
34 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/15(木) 20:33:06.97 ID:XimMngqD0
>>33
「───────ああ………!」

宣戦布告を耳にして、彼女は口元を愉快に歪ませる。
───如何してここまで心踊るのだろう。自らの意思を吐き出せた、自らの存在を認めてもらえた………其処には多くの要因が絡んでくるが、一番の要因は間違いなく………”戦闘への意欲”である。
高天原いずもはここ最近、厄介事に巻き込まれてばかりでこういう”喧嘩”を忘れていた。自らの存在意義を示す為のタイマン………久しく忘れていた戦闘への興奮がふつふつと沸き起こってくる。

「正直、確信してたぜ?どうせオレらみたいなやつが会っちまったら結局はコレに収束しちまう。」

「でも嫌いじゃねぇ………!寧ろ、そーいうのは大好きだぜ厳佐武郎ッ!!
拳交えて解決するのが一番合理的で、何より『番長』らしい!!」

ガツン、と自身の有する唯一の武器たる両拳を合わせ威勢良く声を張り上げた。
───level3「爆破剛掌」。超至近距離かつ1vs1において真価を発揮するその能力──!今思えばこの戦いのためだけに存在しているのでは無いかとも思えてしまう程。
───気迫は十分。戦乱を予期してか路地裏には風が吹き込んできた。………激突は近い。








「………………んじゃ………………────勝たせて貰うぜ。」

風が鎮まると同時に、最初に始動したのは高天原いずもであった。
バゴン!という衝撃音が鳴り響くと、まず最初は標的の腹を射抜かんと右腕を振りかぶったいずもが厳佐武郎の眼前に迫る。
ただ強引に発生した爆風によって圧倒的初速度を得る。”番長”を名乗る少女は其れを────「爆発駆動」と呼んでいる。
対をなす''番”は、反応できるか。果たして──────!
35 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/15(木) 21:15:14.88 ID:FQm8FDYh0
>>34
「ステゴロやる以上、俺はお前を"男"と見なす……女だろうと容赦はしねえが、その積りでいろよ」

戦いとは千差万別。その辺の雑魚を蹴散らすのもいい。殴り合いの死闘を繰り広げるのも乙。そして能力による派手な戦闘こそ美しい。
闘いの舞台とそれに賭けるものは、あらゆる所で変化する。そして今まさに、その闘いのゴングは、彼女の地を穿つ衝撃音によって鳴らされた。

「まっすぐ突っ込むか……」

彼は闘いの中で洗練された洞察力でもって、彼女の動きをスロー・モーションのように見る。
彼は左手をポケットに突っ込んで、右手の拳をギリリと握りしめる。弓を引き絞るようにそれを振りかぶれば、彼の"能力"は発動される。

「━━━━━━━風圧操作(ブロウローダー)ッ!!」

叫び声と共に、路地に再び猛烈な風が吹き荒れる。
それは自然現象などではない。非常に暴力的な、"意思"を孕んだ爆発的な流れ。
そしてその本質に気付けるのは、その風を正面から受ける少女であろう。
この風は、"能力"であると。


彼の起こした突発的かつ暴力的な風圧は、空中を飛ぶいずもの肉体に容易に干渉するであろう。
しかし圧倒的初速度を持つだけあり、その肉体を完全に押し戻すのは難しい。そこで彼は風圧を右寄りに発生させる事で、慣性を保ったままの少女の肉体を彼より左側に進行させようと試みていた。

そして━━━

「オラァッ!」

彼はそれが成功したのであれば、その肉体の動きに合わせるかのように、己の身体を回転させながらの鋭い右フックを繰り出すだろう。
いずものような能力強化による超威力はないが、しかしその拳は日頃の喧嘩によって鍛えられた、相手を倒す為の拳。
クリーンヒットすれば、それは十分なダメージで突き刺さる。もっとも、空中でいずもが何らかの回避行動を取っていたのであれば別であるが。

……これが彼の能力、Level3「風圧操作(ブロウローダー)」。
風魔としての彼が今、その本性を顕現させた。
36 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/15(木) 22:22:15.25 ID:XimMngqD0
>>35
個人的な感性ではあるが、高天原いずもは戦闘においての初手は”正面衝突”こそが最善手であると考えていた。暴力的な爆発を敢えて加速手段として繰り出される「爆発駆動」からの突撃は、何よりも相手に圧倒的なインパクトと隙を生じさせる事が多いからだ。
────然し、その右腕を振るわんとした刹那に彼女はそれが失策であると予感した。………要因は一つ。

(………………………風ッ!?
この強さ………ありえるはずがねぇ!)

彼女の拳の進行方向を力づくでも捻じ曲げようとする暴風だ。明らかに”番長”の右腕を阻害する風………このままでは間違いなく相手の”策”に囚われる!
───現に、彼女の双眸には鍛錬された剛腕が此方へと迫るのを見た。………この一撃は不味い、かといって既に時は遅く、完璧な防御体制をとる時間は無い。

だが、”ダメージを抑える”事であれば間に合う。彼女は慣性で無理やり前方へと押しやられる身体を強引にも、迫る拳の方へと振り返らせて───、



「………………………ッぐ!!!」

すぐさま自らの腕をクロスさせる事で男の剛腕を防御した。様々な戦乱を経験してきた彼女であるからこそ出来た荒々しいこと限りない技である。
その後、拳の一撃を受けた彼女の体は飛ばされることとなったが、其処は見事にその足腰を以ってして後方に着地したのであった。



「………………はっ………、そう簡単に入れさせてくれるわけがねぇか!!
くそ………楽しいじゃねぇかこの野郎………ッ!」

とニタリと笑みを浮かべて声を放つ高天原いずも。
楽しい、という言葉は事実であるのだが実のところ、彼女は”焦って”いた。


(『爆発駆動』は彼奴の風があったら寧ろ利用されちまう。
でも………使わないなら使わないで奴の動きについていける自信は………、)

彼女にそう思わせる程に、先程の厳佐武郎の動きは計画的だった。目の前の男は”戦い”慣れているし、単純な動きは絶対に通じない。
防御という観点において奴の能力は、彼女の爆発能力に対して確実に優位に立てるものだ。もしあれが攻撃に転じるのであれば………此方はどんな手段を取ればいい?


(─────いや、待て。不利ってだけでコイツの威力は有効………!当てることさえ出来れば………)

彼女が選んだ道は、”相手の行動を伺う”事である。彼女が豪語する通り、確かに彼女の能力は”火力”という点においては並みの能力は凌駕している。
─────隙を見てぶちこむ!もっとも、目の前の百戦錬磨の男が隙を見せてくれるかはわからない、が。
37 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/15(木) 23:02:43.87 ID:FQm8FDYh0
>>36
「……俺のパンチを防いでのけるたァ、やるじゃねえか」
「今ので大抵の奴はフラフラだ……褒めてやるぜ」

どうやら、相手の不意を巧く突くことが出来たらしい。彼は調子に乗った風な口を聞くが、しかしその拳はしっかりと握りしめたままに。
彼の語気はどんどん大きく、そして昂ったものとなる。興奮しているのだ、このかつてない能力のぶつかり合いに!

「お前の闘いには……工夫も、小細工も!そしてェ、何よりもクールさがない!」

彼は後方に着地し、未だ態勢も完全に整わぬいずもに向けて拳を振りかざし、有無を言わさず駆ける。
闘いは先手必勝。畳み掛けた方が勝つ。相手が自らの能力に動揺しているその精神的な穴を突く━━━━━
彼はただ安直にダッシュしているわけでは無い。その証拠に、彼の拳が届く射程範囲に入る直前。
"至近距離"の一歩手前、いずもとのギリギリの間合いでもって、再び先のような暴風を引き起こしたのだ。

「そこが気に入ったぞッ━━━━━━高天原出雲ーッ!!」

Level3であれば、彼女の能力の威力からしても理解できるように、その威力は人の身を超えたものとなり得る。
その"風"の威力もまた、そうであった。先程とは違い、対象が加速度を持たぬ状態で与えようとする風圧。
静止した人間程度の重量をよろめかせる事などは、容易の内に完了するであろう。

彼はそんな風に戦うのだ。
相手の動きを阻害して、身動きの取れない状況に追い込み、そして確実に撃ち抜く。
彼の戦法は、隙を伺うのではない。隙を"作る"能力━━━━━━━

もし、いずもをその風圧で少しでも怯ませる事ができたのなら。……いや、そうでなくとも確実に彼は突き進み、その肉体に今度こそ鉄拳を加え入れようとするのだろう。
今まさに振り抜かれんとする殺人右ストレートを、力いっぱい死ぬほどの勢いで、雄叫びと共に叩き込んだ。
38 :高天原いずも ◆XFPbrxjPgA :2015/10/15(木) 23:29:15.70 ID:XimMngqD0
>>37
高天原いずもの能力名は『爆破剛掌-blaster-』という。名前の通り、触れた”対象”との間に爆発を生じる超攻撃的能力であるが其処には実は”対象外”が存在するのである。
そしてその”対象外”の枠に厳佐武郎が使用する「風」という概念も当てはまる。風なんてものを殴りつけたところで何処をどう爆発すれば良いか、演算処理が間に合わない。───なので、実質的に彼女は「風」への直接な対抗手段を有していないのである。

「………………厄介すぎるぞこりゃぁ………!!」

で、あるならば強引に打ち消してやる。彼女はこの戦闘が始まる前と同じ様に両拳を突き合せる。
───またしても衝撃音が炸裂して。然し同時にこの空間に明らかに不自然な空気の流れが誕生した瞬間でもあった。
生じた爆発による”爆風”が、いずもの身体を不安定にさせていた”風”を相[ピーーー]る。残るのは完全なる無風───然し、それでも目の前の敵は怯まない。

爆風を生じさせた事で僅かに後方へと飛んでいたいずもは素早く着地し、右足裏の母子球へと力を込めた。
────勢い良く彼女の身体が弾かれる。


「全力で応じてやらぁ!!爆破剛掌───!!」

猪突猛進の勢いで迫る厳佐武郎の右腕に呼応するように、彼女もその右拳を突き出した。
全力にはありったけの全力を。「無風」を作り出した事で「爆発駆動」を使用。そして其処から繰り出される彼女の拳は間違いなく、彼女の中で最大出力の鉄拳である。このままの勢いで両者が衝突すれば、恐らくその二つの力は互角。その衝撃で両者とも吹き飛ばされるだろうが………
─────────激突の結果は………いかに。
39 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/16(金) 00:08:47.63 ID:H/XBRCks0
>>38
「ぬッ……ぐぁあっ!」

彼は想定外の衝撃に対応し切れず、その場から後方へと吹き飛ばされてゆく。
背中側へと[風圧操作(ブロウローダー)]を展開させて逆方向に自分を吹き飛ばし、激突による負傷は免れていた。

その結果は彼にとって余りに予想外。想定不能の大番狂わせである。
彼はこの瞬間に巻き起こったすべての事象を視認していた。その上で彼は、立ち上がってなお闘いの意思を示す。
……だからこそ面白い。
肉体は激しい痛みの警報を発する。しかしそれはむしろ、彼を興奮の絶頂へと追いやってゆく。
予測不可能な闘い。いつ振りだろうか、こんな闘争は。自分にとって初めてのケンカを思い出す。
互いに死に物狂いで、加減もわからず、どちらが倒れるかも知れなかった闘いを。

今の、この戦場こそがその再現だ。
彼はまだ戦える、と言った風に、威勢良く足を地に踏みおろした。

「これで終わりか高天原!まだ戦えるだろう!?」
「さあ立ち上がれ!大地を踏め!俺と死ぬ気で殴り合え!」

彼は上がる土煙の向こうへと怒鳴りつける。その声は……何よりも淡く純粋な、それでいておよそ普通とはかけ離れた期待に満ちあふれたものであった。

「……ここが地獄の一丁目だぜ」

彼はその言葉と共に、静かに風を巻き起こす。
土煙を晴らしたその先に、彼が見るものとは何であろうか。
40 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/10/17(土) 01:14:47.37 ID:9UBUmpW50
>>39
「………………ッそ………!!うおあっ!?」

────激突。真正面から迫る凶器に向けて、同等の凶器を振るうことで全てを相[ピーーー]る。
路地裏には二人の”番”が巻き起こした爆風が吹き荒れた。その張本人たる彼女も、その凄まじい風には完全に対処しきれない。厳佐武郎の様にクッションとして利用できる様な能力でもないのだ。
──故に、彼女は四肢を全て利用して体を保った。爆風に乗せられる形で彼女は後方へと着地する。

「……………………………………。」

視線を移せば、目の前には砂煙が立ち込めていた。向こうの状況は読めないが、高山厳佐武郎という男がこの程度で倒れるはずがないということは、拳を交えた彼女には容易に理解できる。
右腕に目をやれば、僅かに焦げているのが目に映った。能力によってある程度の緩和作用はあるとはいえ、「爆発」を発動させる際は反動はくる。この右腕で能力を行使できるのは残り2回程度か───。

彼女は何気なく、近くに落ちていた石ころを拾い上げた。砂煙はそろそろ相手の能力で掻き消される………つまり、また激突が始まる訳である。
───ならば、始まる前の一瞬を突いてやる。彼女は左手を前に上げに掌に石ころを乗せる。そして右手はデコピンの形を作りつつ、石ころへと添えた。


────────霧が、晴れる。
高山厳佐武郎の目に映るのは、地面に突っ伏すでも、そこにただ留まる訳でもなく。
………既に次の動作を始める少女の姿であるだろう。

「ああ………………まだだな。」

霧が晴れるや否や、彼女は石越しに相手の標準を合わせた。短い言葉と共に、放たれた中指が──畝る。




「………………………まだ倒れるわけにゃあいかねぇぇ!!」

バシュッという音と共に、彼女の左手から石ころが投射された。拳一つ分くらいの大きさの凶弾は、爆発の恩恵を受けて厳佐武郎の”右足”を穿たんと突き進む。
───数々の死地を乗り越えてきたからこその技。様々な人間との出会いは、彼女の力の一部をなしているのだ。
勿論、反応できない速度ではない。彼女の凶弾を”風魔”はどのように片付けるか───!
41 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/17(土) 20:28:05.84 ID:JsBfaI8c0
>>40
少しばかり興奮から醒めてきたのか、一転して冷静な様子で、彼は土煙の向こうへと焦点を合わせる。
恒久とも思える時間の中、その障壁の向こうから現れ出でた影は━━━━既に自らへと凶弾を向けていた。

「……ッ!」

砲弾が射出される直前に、彼は彼女が何をしようとしているのかを認識する。
彼は歯を食いしばって、拳大の凶器をしかと刮目した。

「こ……っの!」

息つく間もなく、その岩は射出される。銃弾とも見まごう凄絶なスピードは、彼の足を穿つには十分すぎる威力。
不意を打たれた彼は、その"小石ひとつ"に対して全力をもって対処しなくてはならなかった。

先程土煙を払うのに使用し、最早消えかかっていた風を咄嗟に演算認識してつかまえ、その出力を強めて打ち払おうとした。
新しく風を作る事をせず、前に作った風を利用したのは、それほどに切羽詰まっていたゆえだ。
消えようとしていた能力的事象を無理に捕らえて強化したのであるから、当然彼の能力的範囲では相当な"無理"を行った事になる。

「……ッハァー、ハァーッ」

彼女の放った石つぶては地に落ちたが、代償に彼は大きく体力を削られた。
今まで直情的で曲がりのない攻撃方法しか使わなかった相手の"不意打ち"に、まんまと引っ掛かったのだ。

「チッ……小細工を……!」

何の工夫もせず、ただ真っ直ぐで素直な戦い方。彼はそんな彼女へ、半ば敬意のこもった感情と共に、それを好敵手として認識していた。
だが、彼女が突然に自らを出し抜いた事は彼を落胆させると共に、その怒りに火をつけるのは十分だった。
━━━━"逆ギレ"である。

「クソ……舐めてんじゃねえぞッ!!」

呼吸を整え、彼はポケットに両手を突っ込み仁王立ちする。
彼の周囲に、突如暴風が立ち込める。リーゼントの髪が軽く揺れ、学ランの裾がたなびく。
その瞳はいずもを捕らえて離さぬ勢いで、確りと睨みつけていた。
彼の能力上、力は加減しない方が演算上での負荷が最も少ない。ただめちゃくちゃに起こせばいいだけだからだ。
そしてその戦法は……最も彼に合っている。

「高天原……お前の能力が、俺にヒントをくれた」
「渾身の拳……見たけりゃ見せてやるよ」

彼はおもむろに、握られた右拳を高く構える。周囲の風はどんどんとその強さを増してゆく。
そして、その強さが最高潮にまで達した時━━━━━彼は、それを"圧縮"する。

「喰らってくたばれッ!!ブロウ・ローダァアアアアッ!!!」

瞬間。彼が地を蹴ると同時に、後方で爆発的な風圧が生じた。それは路地に吹き抜ける突風を作り出し、いずもへ吹きかかる。
そして彼本人は━━━━その風を追い風として利用、超加速的直線運動を巻き起こし、凄まじい速さでいずもへと"突っ走って"いた。
その動きは、いずも自身が最も感じるであろう。それは彼まるで、彼女の"爆発駆動"の再現であるかのようだと。

彼は戦いの中でいずもの"爆発駆動"を観察し、そして自らの能力で応用を試みたのである。
押し出す暴風でもって自らのダッシュを加速させ、そして一挙に走り抜けて殴りつける……

この試み自体が彼にとって初めてであるし、風に押されているためにそのダッシュは不安定なものだ。
だが、彼がそこまでしなくてはならない理由は━━━━こうまでしなければ、彼女には勝てないだろうと思ったからだ。
強靭な両脚が激しく大地を蹴りつける。右拳を振るいあげ、その筋肉を脈動させる。鋭く刺さる眼光で、敵を睨みつける。

風に押されて通常以上の速さを手に入れた彼は、肉薄が叶えばその右拳を、彼女の顔面めがけて打ち放つであろう。その狙い先は、彼が戦いの中で、本当に彼女を"女である"と認識していない事が窺い知れる。
文字通りの渾身の一撃。彼女はこの拳に対して回避するか、迎撃するか、それとも━━━━━
42 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/10/17(土) 22:56:56.58 ID:9UBUmpW50
>>41
───高天原いずもにとって、”右腕”というのは必要不可欠の武器であった。「番長」を謳う彼女の戦闘センスは間違いなく並みの人間のソレを凌駕している。
だが、高天原いずもという少女にはそれを扱えるだけの繊細さが皆無なのである。修練を怠った………というわけではなく、日々の喧嘩で戦闘においての繊細さは練磨されていると錯覚し、手をつけなかった。
──故に。彼女は左腕をメインにしての戦闘に慣れていない。つまり、彼女にとって右腕を失うという事は大幅な戦力の低下を意味する。

「くそ………今のを防ぐか………………よ………!!」




そして、彼女の右腕は既に限界を超えていた。石を投射した右手の指は黒く変色して焼け爛れていて。………番長少女は苦痛に顔を歪ませる。

「………………ははっ、見せてみろよ厳佐武郎!」
「オレだって見せつけてやらぁ!!
────派生系なんかよりも!オレのオリジナルが何よりも強いってなァァァァ!!!」

───それでも彼女は右腕とともに突き進まねばならない。この戦いは”魔術”だとか社会的な危険だとが使命なんてものは一切無い………ただの若者の喧嘩である。
しかし、彼らにとってはこの戦いはどんなものよりも重要なものであろう。
そう、これはお互いの「番」としての矜持を示す為の戦争なのだ。相手が全力の「番」を振るうのであれば此方も全力で「番」で応じる。───例えそれが、自らの体を壊す力であったとしても。

───歯を食いしばれ。拳を握りしめろ。
相手より先に倒れるな。そして、自分を示せ。

「あああぁァァァァァァァアアアアアアアアアッッ!!!」

無理矢理にでも右腕に持てる全ての力を込める。見開いた眼で眼前の漢を眼に移せば、確固たる意思と覚悟を持った眼光に射抜かれる。
───負けじと決死の意思を込めて睨み返した。そして彼女は心の何処かで満足する。その瞳には間違いなく「番長」を名乗る彼女にとって最高の栄誉が存在していた。

奴はオレを1人の「漢」として相手してくれている───!!

「─────負けるわけにはいかねェッ!!全力でぶち壊す!!!」

バゴン!!と轟音が響いた。一番初めに見せた「爆発駆動」を持てる限りの最大出力で行使する。
最高の速度と最高の速度。お互いの最強。「番」としての意地。─────全てがこの路地裏にて激突する。
その強靭な脚で大地をしっかりと踏みしめ、焼け焦げた右腕を大きく振りかぶって。

次の瞬間、学園都市の路地裏の一角で凄まじい爆発音が轟き、竜巻の如く暴風が吹き荒れた。




───────────────


「………………………………あ………………………。」

───激突の数秒後。高天原いずもの身体は後方の壁へと打ち付けられていた。まるで何かが燃え尽きた様に、血を額から流しながら沈黙する少女。
………意識が朦朧とし、視界が血に淀む。爆風が自らの体を吹き飛ばした事までは理解できた。
さて、厳佐武郎はどうなったか。彼女はいつ切断されても可笑しくない意識を、意志の力で繋ぎとめ、懸命に相手の姿を探した。
土煙が晴れた先、彼女が眼にする高山厳佐武郎の姿はどんなものであろうか────。

43 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/18(日) 00:16:18.23 ID:aLGGRsbq0
>>42
街路に響き渡る轟音。路地は爆風の通り過ぎたのち、ドラム缶やゴミ箱が見るも凄惨にひしゃげ曲がり、転がっている。
辺りに舞い散る土煙の中。先の爆音とは対照的な静寂が辺りを覆った。

永い時間が過ぎた。やがてその土煙が晴れた時、そこから生ける者を映し出す影はふたつ。
ひとつは壁に打ち付けられ、右腕を焦がしたひとりの戦士。

そして、もうひとつは……
爆発パンチを諸に受けて裂け爛れた学ランをまとい、口から血を流して、それでも二本の足でかろうじて立つ……"漢"であった。

爆発という能力、その破壊力は彼の身体をズタズタにするダメージを負わせるには十分すぎるほどだった。
先程までピンピンとして喋っていたはずの彼は、彼女の放った捨身の一撃をその身に喰らい……そして、眼に見えるほどに衰弱していた。
いつ意識が途絶えようかという状態らしい。それなのに倒れようとしないのは、ひとえに彼の"メンツ"への意地。
負けたくない。舐められたくない。自分の象徴ともいえる喧嘩で、負けるわけにはいかない。
彼はただ、抗うために立っていた。

「……認める、ぜ……高まが……原……」

彼は激痛と共に血の滲む胸部を押さえながら、それでも掠れた言葉を吐き出す。発声のたびに、口から血が噴き出る。
最早、体力も限界であろうというのに。彼は最後まで、倒れようとしなかった。

「……おめえは…………漢(おとこ)だ」

彼は足を引きずるように動かし、眼の前の高天原へ歩み寄ろうとする。

「一高の、看板は……捨てねえ、……だが、おめえを……認めた」
「番長……ふたり、ってのも……面白え……!」

聞いているかもわからぬいずもに、思いつくがままの言葉を放つ。
限界状態の彼の言葉には、嘘偽りなどを工夫する余裕などなく……ゆえにその言葉は、きっと本心であった。

「……教えて……やる……」
「俺は巌(いわお)……高山、巌……」

やがて、たった数mの距離を本能のままに、辛うじて歩んだ彼は……
聞いていなくてもその耳に聞かせる。いずもの眼前で、ある人物の名前を言い放った。

「俺の………本当の、名……前」

「だ」

次の瞬間、まるで糸が切れたかのように、彼の身体は地に崩れ落ちる。
意識を完全に失った彼の身体には、凄絶なまでの戦闘の跡が、いくつもの生傷として表れている。
それらは必ずや、彼にとっての勲章となるだろう。

このような素晴らしい相手と、本気の喧嘩ができた……
彼は耐え難い痛みと苦痛の中、しかし確かな充足感に包まれて、その意識の灯火を消す。
普段の彼からは想起も及ばぬ、暖かな笑みをたたえた口元が、その顔に浮かんでいた。
44 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/10/18(日) 01:07:24.43 ID:40JVo8Mg0
>>43
「────────はは。
………………そ………………け………ち………まった………なぁ………」


僅かに曲線を描く口元から、鮮やかな赤が滴った。ほぼ膠着状態の口を懸命に動かして言葉を紡いでいく。
といってもその殆どは碌な言葉にはならず、沸き立つ嗚咽感に襲われると赤黒い塊を吐き出して。
土煙が晴れると其処にあったのは「番長」の姿である。───勿論、其れは”高天原いずも”という「番長少女」ではない。
自分は負けた、という事実が明確に視覚化される。しかし、彼女に”悔しさ”という感情は沸いていなかった。

「……………………………………………………あ………りがと………な………!………………巌………!
…楽しかった………………………

─────ただただ楽しかったんだ、と。先程までの戦闘を思い浮かべて今一度そう感じたのだ。
「番長」として認めて貰えたという事実。それをこの高天原いずもという「少女」がどれほど欲していたか………恐らくそれは本人にしか、否、本人でも知覚できていない事なのかも知れない。
人助けという善行の前提として振るわれる能力が、彼女の評価をどん底まで下げている。これからも、「番長」としての評価を上げる上でのそのデメリットは背負い続ける事になる。
────でも、彼女はこの戦闘で拳を交える事で救われた。能力も何もかもを了解して、拳と拳で交わり、そして「番長」としての高天原いずもを認めてくれた”漢”によって。


………………………ぜ………………………………!」

そして無理矢理繋ぎとめられていた彼女の意識は、遂に途絶えた。本当に、本当に満足そうな笑みを浮かべて少女は眠る様に気を失った。
─────これにて「番長」の矜持を示す戦いは終焉を迎える。”漢”同士が激突した、熱すぎる余韻をその路地裏に残して。

//そろそろいい感じだったので、これにて締めさせていただきます!
戦闘ロールってやはりいいですね!とても楽しかったです!
45 :高山 厳佐武郎[風圧操作 lv.3] ◆3XNDKmtsbA [sage saga]:2015/10/18(日) 02:23:26.90 ID:aLGGRsbq0
>>44
/こちらこそ楽しかったです!
/長期間に渡るロールにお付き合いいただき、ありがとうございました!
46 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 [sage]:2015/11/01(日) 07:28:16.74 ID:3uZJV+hP0
「─────っへへ、これちょっとヤバイ感じですかね!?」

そんな素っ頓狂な声が反響したのは、時刻にして22時。夜の闇が都市中を闊歩する時間帯であった。
金髪碧眼、見るからに日本人のソレではない少女の身は大勢の男に取り囲まれていた。そしてその傍らには蹲って震えるもう一人の少女の姿。
───自分は意外にも正義感があった。取り囲まれつつ自らの心の内で自身に驚愕する金髪碧眼少女であるが、どうもこの現状を打破する能力など持ち合わせていないようで。
身体に目が眩んだ欲の愚勢は卑猥な言葉を発しつつ、じりじりと少女達への距離を詰めていく。

「あー!誰か助け来てくれないかなー!!
流石に全能たるこのワタシでもこの状況どうにもなんないですよ!?」

金髪碧眼少女の名は創ノ宮つくりという。この都市に住んでいる機械マニア及びオタクであれば一度は聞いたことがあるであろう機械屋の女店主。
トレードマークであるゴーグルに電灯の仄かな明かりが反射し、そしてそれを手にかけた少女はそのまま目の位置へとゴーグルを下ろした。───装着。

「…集中モード!!
何時まで保つかはわかりませんが、なるべく早めに来て欲しいですね…何処の誰だかわからない正義の味方さん!」

その場に居合わせる筈のない虚の存在へと少女は声を向けた。「集中モード」と彼女が称するのは実は能力であり、効果としては目に移した物に既視感を感じることで相対的に身体能力を上げるというもの。
──然し、その能力はもともと戦闘用ではない。無理矢理に戦闘用に転用した付け焼き刃の用法では恐らくこの手の連中には”刃''が立たない。
少女達の運命は、如何に──────。

47 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/02(月) 23:40:30.42 ID:it1YG0tf0
>>46
「これは見過ごせませんねぇ……」

少女達の元へ、そんな声が響いた。
それは女性のもの、そしてその声の主を知るものが居ればとても驚くものだろう。
"セイラ=ロア=アインフェルト"
彼女はこの学園都市ではちょっとした有名人だ。
いきなり転入してきて、しかも無能力者。さらにその雰囲気と容姿から男子に人気もあるらしい。
そんな彼女が今、溢れんばかりの殺気を纏ってそこへと現れた。彼女のことを知るものならばおよそ想像出来ないその姿は周りの視線を一つに集めた。

「見過ごせません、見過ごせませんよねぇこれは……
えぇ、見過ごせません」

カツ…カツ、と近づいてきながら言葉を紡ぐ。その燃え盛るような緋の瞳を揺らめかせ、セイラは二人へと視線を向ける。
その姿は正に"狩人"。
獲物を屠る、弱者をねじ伏せる強者。

「私にあなたたちは殺せません
ですが殺さない程度にやるのなら大丈夫ですよね…?
ですから、そんなことを私がしないように今すぐここから立ち去って欲しいのですが……」

セイラの目に迷いは無い。その言葉は本気だ。実際今にもセイラは動き出しそうな雰囲気である。
普段の物静かで清廉としたものではない、殺気を帯びた瞳で男達を射抜く。それだけで殺せそうな程にセイラの瞳は殺気を帯びた──いや殺気そのものだった。

「さぁ、どうしましょうか?」
48 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/03(火) 06:54:51.22 ID:6BMQslVIO
>>47
(─────こりゃあまた……)

ゴーグルの底から覗かせる碧色の双眸は、現れた救世主の姿を確りと捉えていた。
──『人口古典』。それは”能力発現に気付いていない”彼女が「集中モード」と称するモノの本質である。この能力は使い手の記憶能力及び記憶引き出し能力を一定期間だけ極限まで高める。そうする事で「既視感」を得て、その場の事に対処していく…というのが創ノ宮つくりの基本的戦闘スタイル。
そしてそんな能力を介して目に映したセイラの姿にもまた何処か既視感を覚えるのであった。

(……………凄まじい素質をお持ちのようで…っ!)

それは世間一般的に”殺気”と称される。間違いなくアレは敵ではないと認識できていながらも、畏怖を感じる程に鋭い気の刃。
ああ、あれは間違いなくワタシでは歯が立たない部類の相手だ、と。
この男達くらいなら傍らで蹲る少女がいない単騎決戦であれば難なく乗り越えられる程の戦闘力はある彼女だが、目の前の相手には”既視感”による分析がうまく働かない。───畏怖している、という条件も存在するが、この事はセイラ=ロア=アインフェルトの戦闘力が異様に高いということを察知するには十分な材料であった。
───いつの日か目にした事がある白髪緋色目の少女とは別人である、と。もう一つの既視感が働きかけたところで、現実は彼女を意識の中から引き摺り出した。

『っへっへ…いい感じのねーちゃんじゃねぇか…』
『こんなかわいこちゃん3人と遊べるとかラッキー♪』

依然としてチャラチャラとした男達の態度は変わらない。つくりの様に観察眼に優れていない…否、この愚民共はただ単に自らの欲に飢えているだけだ。
そこでつくりは”救世主”に向けて言葉を投げるのであった。

「……ですって!!やっちゃってくださいよ麗しの救世主さん!!
こう見えてワタシそれ程に運動神経はありまして…どんな事をするかはわかりかねますがなるべく巻き込まれない様には善処しまーす☆」

──男の数は総勢6人程。金髪碧眼の女店主はセイラに向けて敬礼の仕草をしつつそう言い放つと、変わらぬ陽気な面持ちで蹲る少女の肩へとその手を乗せた。
……………どんな挙動が来てもいい様に。少女は全神経を研ぎ澄ませた。

//置きに近くなると思われますが、よろしくお願いします!






49 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/03(火) 09:54:59.92 ID:HtqPfb9w0
>>48
つくりの言葉を聞けば、セイラは横で蹲り怯えている少女へと微笑みを投げかける。
それは安心させる為にだろう、この状況から察するにこの二人は戦闘向きの能力ではない、もしくは無能力者。ならばさぞかし怖かっただろう。
こちらに言葉を投げかけている方はどうにしても、蹲っている方の少女からはそれがよく感じられた。

「安心してください
それと──しばらくは目を瞑っていたほうが良いですよ、あなたがそういうスプラッタなことがお好きならば構いませんが」

そう忠告すればセイラは男達へと向き直る。彼らが魔術師であれば八つ裂きに出来たものを……
しかしそれを考えても仕方ない。殺せないのならば二度とこんなことをしないよう調教すればいい。

「麗し…ですか?
まぁ分かりました、ではそちらの方を連れて離れてください
もしも私があなたがたを傷つけてしまっては意味がありませんから」

それにしても運動神経に優れている、とは言ってもそれはどのくらいなのだろうか。
基本的に巻き込まないつもりであるがもしもこいつらが手練であれば"アレ"を使うことになってしまうかもしれない。その時に万が一彼女等を巻き込むようであれば──
いや、その時は彼女を信じよう。自分は前の戦闘だけに集中しなければ。

「お待たせ致しました
それにしても私は貴方達のような外道は大嫌いなのです、しかし人を傷つけるのもまた……
なのでここは1つ、手を引いてはもらえないでしょうか?」

無理だとは分かっている。
セイラは世間一般では無能力者、そんな彼女の忠告を耳にするものは少ないだろう。ましてやそれに従おうとするものなど。
だが一応一回は戦闘を回避しようとしたという事実が欲しい。そして向こうから手を出してくれば正当防衛は成立するのだから。




──まぁもっとも、正当防衛というか過剰防衛になりそうだが。

セイラは自らと中の原典へ語りかける。記録を辿り、武器を生成する。
手を前へ翳し、光の糸が形を紡ぐ。
果たして、表れるはどの原典か。

「もしもそれが無理だというのならば……
腕の一本、足の一本、耳の一つ、目の一つ──無くなっても文句は言えませんよね?」
50 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/03(火) 11:02:28.95 ID:WxOypOqW0
>>49
「………と、あったこれこれェ!ワタシの愛しの子猫ちゃん達カモン!」

男達の注目がつくり達から離れたのを見ると、早速彼女も行動を開始した───。
手を伸ばしたのは自らのリュックサック。機械屋を本職とする創ノ宮は「大」が付くほどの発明好き、故に珍妙かつ実用的?な道具は山程作ってきた。
……そして。彼女が取り出したのはオリジナル性には欠けるが、やたら大きな一丁のワイヤー銃。
金髪碧眼少女は蹲った少女の手をとって、半ば強引に自らの体に押し寄せつつ頭上を見上げた。
────いい感じの出っ張りがあるな、と。

──────────────
──────────────




『おいおい聞いたか?俺らと戦うつもりなんだってよ!!』
『見た感じ能力持ってる感じもしねェし…どっから湧いてくんだその自信w w w』

当然の如く、セイラへの態度を改めない男達。それもそのはずで、この男達は全員がLevel2〜3くらいのそれなりに高位な能力を有している。
無論、能力の強度が高いというだけでその位が戦闘力に比例する訳ではないが。
男達はジリジリと距離を詰め、やがては眼前の少女を弄ばんと1人が拳を振り被る。
だが時点で、セイラの精製は丁度終わる頃───。つくりはその様子を男達の背後から見ていた。

「……ありゃあ見た事ないタイプですねぇ!まあでもこっちに手ぁ突き出してるってことはそういう事なんでしょー!」
「合点承知!っじゃあ頃合い見て上に逃げるとしましょうか!!”創工房”の真骨頂、どーん!」

傍らの少女の腰へと手を回し、もう片方の銃を構えた右手は上に。
狙いを定め、重い引き金を弾くとデカイ反動と引き換えに銛が先端についたワイヤーが打ち出された。
そしてそれが路地裏に隣接する建物の上階にうまく刺さったと見るや否や、もう一度引き金を。

「……さーって、どうぞヒーロー!」

助けてもらってる分際でやたらと煩い金髪碧眼。そしてその身体は傍らの少女と共に上へと引き上げられていた。
───舞台は整った。後は「ヒーロー」がその力を振るい、断罪するのみだ。
51 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/03(火) 11:47:34.43 ID:HtqPfb9w0
>>50
「今回はこれですか…まぁこれに場の狭さなどは関係ありませんし大丈夫でしょう
むしろこの狭い場所でなら投槍も避け辛いというもの」

現れたのは一本の槍。穂先が複数に枝分かれし、それがまた一本に収束し捩れ、歪さを醸し出している。
ただの槍では無いことは見るからに明らか。

「えぇ、能力など持っていませんよ、ましてや魔術なども
だって私はただ、武器を、道具を利用しているに過ぎませんから」

どうやらあの二人の少女は上へと逃れたらしい。これで何の遠慮もなく戦える。
この戦闘で何か噂が立つかもしれないが仕方のないことだろう。
だって自分は"正義"を行っているのだから。

「ヒーロー…ですか…あまり私には似合わない称号ですね
ではまぁ、始めましょう──贖罪の時です」

自らへと振られた拳。しかしそれはセイラを侮っていたための一撃で避けることはあまりに容易。
軽い動きで拳を避け、手に持つ槍で空振り伸びきったことで無防備となった男の腕目掛けて刺し穿とうとする。その際槍が路地裏の壁を通り抜けたところを目撃した者は居るだろうか。
52 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/03(火) 13:42:14.42 ID:WxOypOqW0
>>51
上への避難が成功した後、創ノ宮つくりはセイラ=ロア=アインフェルトの英雄っぷりを傍観していた。
この場所であれば追っ手が来たとしても囲まれない限りはどうとでもなるし、あの様子では援助なんて必要ないだろうし。

「魔術でもない………ですか。」
「まあでもあれはどう見ても能力ではありませんし…」

……と路地裏の建物をすり抜けた巨槍を見て呟いた。『人工古典』たる彼女はその人生経験から膨大な数の知識を脳に宿す。故に、能力者でありながら『魔術』についてもある程度は理解していのである。
もっとも、彼女はそんな便利な能力の殆どを自らのガラクタ開発の為に注いでいるのだが。

(”魔術”よりの”魔術に類似したナニカ”でしょう。
”道具を使ってる”とか言ってるあたり、”人間”を媒体にせずに”聖遺物”だとかを媒体にしたとか?
どちらでもない概念って方針もありえますがそれならとっくに世界は大荒れですしねぇ………。)

「ってか、すり抜ける槍っていいですね!うん、ホログラム的なの作ってしまえば再現は可能……いや無理か!」

と、見下ろしながら変なところだけ言葉を発したつくりであった。そんな能天気な彼女のお陰か、怯えていたもう1人の少女もかなり落ち着きを取り戻してきたようである。

//こちらが操作するとごっちゃになりそうなので、モブ達との戦闘描写はそちらで適当にでも処理してくださって大丈夫ですよー!




53 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/03(火) 14:03:59.73 ID:WxOypOqW0
//すみません…次返せるの夜になりそうです…
54 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/03(火) 16:10:13.60 ID:HtqPfb9w0
>>52
『あ、あぁ!?う、腕が……!?』

あまりにも突然の出来事に男は動揺を隠せなかった。無能力者、戦闘能力など皆無だと思っていたただの小娘が、いつの間にか槍を持ち自分の腕を貫いている。
周りの男達もただ呆然して、今の出来事を飲み込めないようだ。
そんな中セイラだけは涼しい顔で今しがた貫いた男を見ていた。

「あら、腕の一本で随分と驚いていますね
こんなことをするのならば覚悟の上ではないのですか?それにほら、私も忠告しましたし」

腕から槍を抜き、男達を嘲笑うかのように言う。一気に抜いたので更にその痛みに男は呻き、一歩後退する。
そして苦痛に顔を歪めながらも、その瞳に怒りの闘志を燃やしセイラへと向き直った。それも当然、ここまで馬鹿にされたのだ。プライドだけは一丁前の彼らが黙っていられるはずがないだろう。

『この糞アマが…調子に乗りやがって…!
もう許さねぇぞ…!!』

その男の声に続き後ろの男共も戦闘体勢に入る。
一人はナイフを手に持ち、一人は能力の発動を準備し、そのそれぞれがセイラへの敵意を剥き出しにしていた。

『後悔すんじゃねぇぞ?てめぇのせいだからな…?』

「あら、それは自分に対してですか?」


─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

それからしばらく時間が経った。勝者はセイラ。
戦いは一方的なものだった。一人は足を貫かれ動けなくなり、一人は片腕を斬り落とされショックで気絶、一人は腹を貫かれ、とにかくもはやそれは戦いではなく、セイラの蹂躙劇だった。
しかし、それで死んだ者は誰一人として居ない。痛みに悶えるものは何人も居るが全員がまだ息のある状態だった。

「ふぅ…こんなものでしょうか
……服がかなり汚れてしまいましたね…」

セイラの服は、返り血で赤一色となっていた。その銀髪は赤で彩られ、透き通るような肌は血が滴り落ちる。
その姿は狩人というには生易しい、言うならば"死神"。

「終わりましたよ、それと一旦ここから離れましょう
あと私、今携帯電話を持っていないので申し訳ありませんがここに救急車を呼んでくれませんか?」

死神は平然と、戦闘前と変わらない素振りでそう言うのだった──
55 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/03(火) 20:26:28.02 ID:WxOypOqW0
>>54
「キミは見ちゃだめねー!あっりゃあグロいグロい」

無双の強さを発揮するセイラ=ロア=アインフェルト。男達に囲まれていただけで蹲る程の畏怖を覚えていた少女にこれを見せるのは流石に不味い。
建物の屋上に座するつくりは傍の少女に自らのゴーグルを着けさせた。レンズ部分は前が見えない様に黒に覆われている。
そろそろか…と、戦乱の行方を目に映しながらつくりは自らの足を覆う分厚いシューズへと手を掛けた。明らかにメカメカしいソレの出っ張り部分へと指を向ける。


─────────
──────
───


「────もうとっくに呼んでますよっ…と!」

ガダン!!と轟音が路地裏に反響し、つくりとその背中に体を預けた少女が上空から落下してきた。よく見てみれば彼女が履いている靴の靴底からはゴムのような衝撃吸収材が出っ張っている。
そしてその後、金髪碧眼少女はやたら早口で言葉を発し始めるのであった。

「いやぁ〜〜〜!やっぱ発明っていいですね!!不可能を可能にする人類叡智の結晶!!
…っかぁ〜〜〜〜!!例えば!この”スーパー運動くん”に備えられた機能は三つ!どれも普通の靴や普通の人間には実現不可能n────『あっ、ありがとうございましたッ!!』

ぺちゃくちゃとこんな状況でありながら自らの趣味の話題を強引に振ろうとするつくりの言葉に、おどおどとした少女の感謝の言葉が割り込んだ。
勿論これは”セイラ=ロア=アインフェルト”に向けられたものであるが、目の前に惨劇が広がっている故に少女がセイラを見る事は許されない。────ペコペコと頭をさげる少女。

『私……ほんと弱くて…!!どうやっても抵抗できなくて…抵抗していいかもわからなくて……本当に助かりました!!』

そしてそんな様子を見て何処か満足げな様子なつくりも、少女の横に並んで頭を下げるのであった。

「……ってなわけでワタシからもお礼を。
いやぁ、若気の至りってやつで英雄っぽい事をしてみたかったんですがね?ワタシは所謂無能力者ってやつですから歯が立たないわけですよ!いやぁ…全く困りますねぇ
───助かりました、ありがとうございます!」

そして続け様に言葉を繋いでいく。

「それが賢明でしょう!貴女の姿も含めてこの状況見られれば下手したら此方が犯人にされるっていう事態も想像できます。」

が、ここから離れる上でも問題点がひとつ。

「然し、生憎ワタシの”ISKANDAR.Mk.U”───あ、いやバイクの事です。……はちょいと離れた所にあります。
流石にその姿で彷徨こうものならこの現場を見ていなくとも人に不信感を抱かれるでしょう。その中に風紀委員さんでもいたらジ・エンドです。

───であれば。上、行きません⁉︎」

そう、さっきまで彼女らが行った様に。屋上へと登ってそこから移動しょう…というのが彼女の考えである。
56 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/03(火) 21:54:09.81 ID:HtqPfb9w0
>>55
「ありがとうございます、死なれては困りますからね」

降ってきたつくりへとセイラはペコリと頭を下げる。
もしこれで死なれてはセイラは自分へと課した禁忌を犯してしまうことになる。それだけはならない。
歪んだ自身の生き方を認めながらも、それを止めることはできない。
自分にはもう、これしか出来ないのだから──

「あ、あぁいえ、そんなお礼なんて…」

突然の感謝の言葉に思わず驚いてしまった。お礼を言われたことなど何年ぶりだろうか。
掛けているあのゴーグルは恐らくこの光景を見せないためにあちらの少女が配慮したのだろう。振り返れば確かにこの光景は耐性の無い者に見せるのは酷というものだ。

「弱い…ですか、それは違いますよ
それは自分でそう思っているだけです、人はみな強い、そうあなたも……
ただ自分のことを弱いと思っているだけです、あなたにはあなたの強さがあります、それを忘れないでください」


「ただ──決して私のようにはなってはいけませんよ」

それは、未来ある少女達へと向けた忠告──いや、願いだろうか。
二度と自分のような生き方をする者が出て欲しくないという彼女の、セイラ=ロア=アインフェルトの──

「イスカンダル…かのマケドニアの征服王の名を付けたそのバイク、是非見てみたかったものですね」

ふふっ、と柔らかな笑みを浮かべ、つくりの言ったことを考える。
確かに現状を誰かに見られれば通報されることは間違いなしだろう。まだハロウィンの期間中なら仮装で通ったかもしれないが生憎ハロウィンはとっくに過ぎ去っている。どうしようかと考えれば、つくりが一つの提案をした。

「上…ですか?確かにそれならば……」

確かにそれならば見つかることは無いだろう。いつも上を見ている人間などおるまい。つくりの提案は願ってもないことだった。

「そうですね…ではそうしましょうか、よろしくお願いします」
57 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/04(水) 06:34:12.54 ID:3USLCgZU0
>>56
ぴくり…と僅かに金髪碧眼ゴーグルの耳が動いた。

「征服王イスカンダル…!おお!おお!こんなところにワタシの趣味をわかってくださる方がうんうんいいねぇ!!いいですよぉ!!
あの黒鉄の加工!ギンギラギンに輝くb(割愛」

────────────
───────
────
──


「────で、あればこの子はここら辺で別れた方が良さそうですね。少しばかりお待ちください……ささ、こっちですよー!」

『うぇえっ!?ふぁっ…はい…ぃ…!』

……と創ノ宮つくりは視界を遮られている少女の手を取り、路地裏の外の方へと駆け出した。
───ここからは色々と面倒な事になる。建物の上を転々と移動して行くということはそれなりに運動神経が必要。何故かそんな事にも経験豊富であるつくりにも流石に介抱しながら林立する建物を飛び越えていくなんていう超人技は不可能である。

────暫くして、金髪碧眼少女改め金髪碧眼ゴーグル少女だけが戻ってきた。少女と表現する割にセイラより2歳年上の”女性”の部類だが、持ち前の性格が見事にそれを破綻させている。

「ささ、なるべくワタシに身体を寄せてください!なぁ〜〜に!心配ありませんよ!路地裏ですしこんな事に興奮するのがいるとしたらそこにのたれ死んでる人たちくらいです!HAHAHA!!」

と、つくりの手元を見ればやたらごついもので覆われている。そしてその後、つくりは先程のようにワイヤー銃を打ち出し、見事に引っ掛ける。
誰も心配しないのにわざわざうるさく賑やかにしゃべる…女店主として仕事をしてきた影響か。






58 :テロリスト [sage]:2015/11/04(水) 16:33:07.89 ID:voW+/wRk0
ヒャッハー!風紀委員?拘束?そんなの知るかボケェ!全員蜂の巣にしてやるぜ!

                                           ,r'"´ ̄ ̄ ̄`\
                                         /          ヽ
                                          !, -‐''´ ̄ ̄`¨`ー,ハ
                                          「  _,,.-──‐- 、 ハ
                                        ,レ'"´__,.-‐rェュ,-、「 `ヽ     ウルァアアアアアア!!!
                                        i! / ( ゙ー',j) ,lゝ‐='ハ   ,!
                                           i!(!    ̄ ____   jト、_,イ
                                        ヽハ  /r===、ヽ //_>‐-、、
                  \ ,,_人、ノヽ                 `ヾ、! i /二ソ_ノ フ,ィニゝ ̄`ヽ
                   )ヽ    (                 ,イΛヽ`二´,イ/ ̄ ̄ヾ二二ヽ
                - <       >─              ,イ/  !ヽ ,ィ´ i/ /´ ̄ ̄ヽ ̄ヽ l
                   )     て              「j i  ! ,l/   }イ  〔 GATE 〕  `!
     ドパパパパパッ!! /^⌒`Y´^\                  リ  \ l/    _」 !          !
               \ ,,_人、ノヽ       rェェ‐-、 __ _rァァ、トタ、 />ー'i !ヾ/l ̄``ー-、,  i|
                )ヽ    (      ,r'´ヽヽ_」     `ヽ`ヽl/     j ,/ i/i!   b   ! ,イl
           \ ,,_人、ノヽ     >─ Q)二 )i !         ,! ,! / ``ー─l/ /i! ヽ _ , -‐|,イレ!
            )ヽ    (   て     ヽ _,ノ_ノノ ̄ ̄| ̄|ー=、//      ! / ,!  !    /´ !
         - <       >─\       >≠=〈二!ーレ'⌒ヽ/ ヽ__,ィ´ 」  \ !   ,イ  !
            )     て          /r'二  ̄``Tヾ ̄`ヽ、_,.-ー-、レク^ヽ   `ー '´!   !
           /^⌒`Y´^\           ! (二´  ``ヾ|ミj   l ヽ         `ヽ    /    !
                            L(二´  ``,イミ,i!  !  ゙i          ,!   /   ,!
                            (_, __,,ハミソ  j  ,リ         ,'  ,/    `!
                                 `ヾ、_,イ           /  /    /
59 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/06(金) 18:34:29.90 ID:CyTUFKPM0
>>57
「お、お好きなんですね…ホントに……」

彼女が話し始めてどれくらい経っただろうか。どうやら彼女は趣味のことになると止まらなくなるらしい。
やっとその話が終われば、あちらの少女とはこれで別れになった。確かにあの少女ではここからの道のりに付いていくのは難しいだろう。それに風紀委員に見つかれば彼女まで疑われてしまうかもしれない。
それは避けなければはらない。自分のせいで誰かに迷惑を掛けることは避けたい。
少女を外へと逃がし、つくりが帰ってきた時にはゴーグルをつくりの方が付けていた。そういえば駆けつけた時もあれをはめていた。つくりの能力のことを知らないセイラは、そのゴーグルに違和感を覚えていたが、まぁそういうファッションなのだろうと納得することにした。

「身体をですね、分かりました
しかし興奮…とは?この状況のどこに興奮する要素があるのですか?それにあの人達は死んではいませんよ」

つくりに身を寄せ、その言葉が半分理解出来ずにいるセイラ。そういうことに疎い彼女にはまぁ仕方ないのかもしれない。そんなことを感じたことがないセイラにとっては。

しかしそういえば彼女の名前をまだ聞いていなかった。見た目と性格から自分と同じか年下か、とにかくあの場からの離脱を手伝ってもらったのだから名前くらいは聞いておきたい。
そう思い、上へと登れたらセイラはつくりの方を向き直った。

「そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね
私の名前はセイラ=ロア=アインフェルトです、以後お見知りおきを」

とスカートの裾を摘み、つくりへと挨拶する。
血濡れの服でそれをすれば滑稽以外の何者でもないのだが。
60 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/08(日) 07:20:36.10 ID:6483Nynz0
>>59
「……な、な〜〜る〜〜〜!わかった!キミがそういうところに疎いってのはよくわかりました!!」

と、言葉に疎いセイラに対して強引に話を締める。別に知らないというならばわざわざ教える必要もなく…寧ろ教えてはならないような気がしたもので。
こうしてよくわからないやりとりをしつつ、創ノ宮つくりとセイラ=ロア=アインフェルトは建物の屋上へと引き上げられるのであった。

──────────
───────
───



「……セイラ、さんですかぁ〜〜。ってかどっかの令嬢さんだったりします?」

碧眼の双眸に、その姿が映る。この学園都市にそういう「お姫様学園」なる物がない訳ではないが、先程同じ目に映した戦闘能力を見るにそんなところに通っているとは到底思えない。
───然し、先程の色々と疎い言動や今の仕草……どうも戦闘時とのギャップが激しく思える。
と、軽く相手に質問を返しつつ、つくり自身も自己紹介を始めるのであった。

「ワタシは創ノ宮つくりといいます!大学生ではありますが、そんな事は関係ない!
日々物作りに没頭するピチピチの女店主!創工房という店を営んでおります!」

スカートの裾をつまみ挨拶するセイラに対し、この適当極まりない少女は右手を額に持ってくる───所謂敬礼をした。
本人は特にふざけてるという気はなく、そもそもの創ノ宮つくりという人間がこういう風にできているのだから、しょうがない。

//すみません…昨日は用事で返せませんでした…
61 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/08(日) 15:15:56.36 ID:1cQjvx4ZO
>>60
「──いえ、そんなものじゃありませんよ
ただ手に入れた玩具ではしゃぐ普通の女子高生です」

つくりの問いに対し、僅かな間を空けセイラは微笑みながらそう返す。それが何かを隠しているということは一目瞭然だろうが、本当のことを話すわけにもいかない。
だがもしこれ以上問われたならば話さねばならないだろう。第一目の前であれだけのことをしたのだ。自分をただの女子高生と思ってくれるはずがない。
この少女は今はこのように話しているが先ほどからこちらのことを探っているような様子が見えなくもない。だが思い過ごしという可能性もある。この少女は本当にただの少女なのか、はたまた道化を演じているのか──

──がそんなセイラの考えも次のつくりの言葉で霧散してしまう。

「だ、大学生…!?
それにしては随分と…その…若々しい…?ですね……」

あろうことかこの少女──いや、女性は自分よりも年上、しかも大学生だった。見た目とその性格からてっきり自分よりも下くらいかと思っていたセイラはつくりの身体をまじまじと見ながら、見た目と年は関係がないということを思い知ることとなった。
だがまぁつくりの性格を見ればその勘違いも仕方が無いだろう。と言っても今まで年上に対してかなり馴れ馴れしい態度を取っていた自分を思い出し、すかさず謝罪へと。

「す、すみません…ついその…自分よりも年下か同年代だと勘違いしてしまって……
今まで馴れ馴れしい態度を取ってしまい何と謝罪すればいいのか……」

頭を深く下げるセイラ。セイラがつくりに頭を下げているというその光景はその見た目からもあってさぞ滑稽だっただろう。
62 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/08(日) 18:52:54.48 ID:6483Nynz0
────前提として、創ノ宮つくりの記憶力は人間のソレを遥かに凌駕している。
目の前で見た事象を寸分の狂いも無く転写し、いざという時にはそれを思い出して全てを説明可能。
もっとも、そういう素質を持っていても彼女がその恵まれた素質を利用するのは「発明」という行為だけであるので、彼女自身もその有用性には気づいていないのであるが。

「あれま、そういうんではないんですねー」

そしてそんな彼女から見ても、目の前のセイラ=ロア=アインフェルトというのは異質というカテゴリーに分類される少女であるのには間違いなかった。
問い掛けには如何にも何かを隠蔽するかの様な作り笑いで返されたが、創ノ宮つくりはそれ以上は何も言わない。───こういう作り笑いは今までで何度も経験した「踏み込まれたくない」と訴えかけるものだから。


「そりゃあ…ねぇ…?若くないと女店主なんてやってらんないじゃないですか☆」

と、この点に至ってはつくりもセイラの感情はうまく読み取れてないご様子で。
そして頭を下げるセイラの肩を掴み、半ば強引にあげるようにして言葉を続けた。──キラキラと輝く碧眼の双眸と共に。

「そしてセイラさん、それはノンノンなのですぜ?

同年代だろうが下だろうが上だろうが真ん中だろうが、ワタシにとってワタシ以外の人は全員”お客様”!」
「…ゆ・え・に!!馴れ馴れしいとかむしろ大歓迎なのですよ!
気づいてました?先ほどの戦闘中から既にこのワタシ、創ノ宮つくりのセールスは始まっていたとゆーことをーーー!!」

先程までの情景をよくよく思い出せば、ちゃんと自身に課された使命を果たす最中、妙に道具を強調するかの様に使用する彼女の姿が思い出される事だろう。
簡単な話で、超強力ワイヤー銃何で使わなくも不良の注意が他所向いてる間に路地裏から少女を連れ出せば全て心配は消えたはずなのだ。
……他人を利用してまで商品を売り込む。一見正義にしか見えないその行動の裏に隠された真意を、セイラは感じる事ができただろうか。
そして続けて締めくくる様に。

「………ま、とりあえず関係無くワタシには普通に接してくださいってことです!
ささ、少し進みましょうか。」


63 :セイラ=ロア=アインフェルト :2015/11/09(月) 17:31:53.84 ID:cM8fGpWH0
>>62
もしもセイラが持っているあの原典を、つくりが持っていれば、セイラと同じ魔翌力を持っていればあるいは、あれをセイラ以上に使いこなせていたのかもしれない。
つくりの驚異的な記憶力を持ってすればセイラ以上に武器の情報を引き出し、扱うことが出来ただろう。
このつくりの能力がセイラにもあれば、セイラは今以上の強大な力を手に入れ、更に活動の域を広げることが出来るだろう。
だがまぁその方法が無いわけでも無いのだが──

「はい、ですのでお気になさらず
私はただ、私のような者が────」

そこまで言いかけたところで、セイラは口を噤む。
と言っても、多分向こうはこちらの事情までは知らないが、恐らくこちらが何らかを隠していることはわかっているだろう。
セイラ自身、自分がおかしいことは薄々分かっている。だが止めるわけにはいかないのだ。
この世界にはどうしても悪が必要、だからその悪を自分が全て背負わなければならないから──

「そ、そのようなものなのでしょうか
店主というものを体験したことが無いので私にはなんとも……」

つくりのキラキラと輝いたその瞳は、恐らくまたスイッチの入った証。
こちらのことなど無視するかのようにつくりは更に言葉を重ねていく。まさにマシンガントーク、それについていけずセイラはただただ唖然。

そして話が終わり、つくりに先へと促される。
しかしもうあの現場からかなり離れた。しかも屋根からならば自らの寝床へと誰にも見られず帰ることが出来る。だとすればこれ以上彼女が自分に付き合う義理はない。
自分に関わりを持つ人間は出来るだけ少なくしたい。自分と関わって、碌なことなどある筈がないのだから。

「──ここから先は私一人でも大丈夫です
すいません、このような事に付き合わさせてしまって……」

そう言葉を告げるとセイラは1人歩き出す。その歩みは、何処か寂しげなようにも感じられた。

「では、また機会があれば──」

その言葉と同時にセイラは遠く、暗闇へと駆け出した。セイラの姿はあっという間に小さくなり、やがて見えなくなるだろう。

──と、よく見れば先ほどセイラが立っていた場所になにやら一枚の紙が落ちていた。
そこには『ありがとうございました、機会があればあなたのお店へと立ち寄らせて頂きます
では、このお礼はいつか必ず──』と、丁寧な文字で書かれていたのだった。

//ではここら辺で〆ということで……
長い期間のロールありがとうございました!!
64 :創ノ宮つくり ◆BDEJby.ma2 :2015/11/12(木) 20:45:49.13 ID:NhP7g4fD0
>>63
「─────了解しました、ではワタシもそろそろ店に戻るとします」

時が経ち、後方を見やれば先程の路地裏の方が何やら騒がしいのが知覚できるだろう。つくりが呼んでいた救急車やら風紀委員やらが尋常ならざる事態に対応している姿が容易に想像できる。
普段、風紀委員からは自らのセールスを邪魔されていると勝手に思い込んでいる彼女は、何気なくその方向を眺めながらほくそ笑むのであった。
……そして、出会いが唐突であれば別れは早い。創ノ宮つくりは嘲笑から暖かい微笑みえと切り替えて、改めてセイラの方へ向き直る。

「たとえ誰であろうがどんな無茶ぶりにも付き合うってのが店主ってもんです!……それに、久々に動けて楽しかったですよ!っと。」

「もし良かったらワタシの………───ってアレ?」

刹那、一陣の風が吹き込んだのを身体に感じると、眼前にいた筈の少女は既に走り去っていた。そしてその風と共に彼女の手元へと舞い込んだ置き手紙を、その透き通った碧眼へと映す。
暫くした後に、その女店主は心底嬉しそうな顔でこう言い残すのであった。──ガッツポーズも忘れずに。



「…………よし、お客さんゲッツ!!」

//本当に申し訳ありません…送信できてなかった事に今更気付くとは…
ありがとうございました!

65 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2015/11/15(日) 16:39:37.67 ID:LZv4/px4O
すみません、新規として向こう側にキャラ投下しました、よかったら見てください
66 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/16(月) 22:39:01.13 ID:Nqv+yx7tO
「あーあ、退屈だわ〜……」
欠伸をしながら街を歩く、長い髪の少女

「だいたい能力者調べるって……なーんでそんなめんどいことこの私がしなきゃなんないのよ…………」

と、荒んでる様子も伺えます

「はぁ…………まあこっちの学校通うことになったし…………テキトーに学園生活満喫するかな〜……めんどーな修行とかもしなくて済むし……あ、むしろ魔術師とかばれたら駄目だししない方がいいかも、よし、そーしよ」

そう呟くとにっこりして、軽く伸びをします
67 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/16(月) 23:08:34.00 ID:Pi+2lD670
>>66
退屈である、と愚痴を零す少女と相反して退屈な日常が存在しない少女が一人。
──名は高天原いずも。学園都市内の一部の生徒から「(残念)番長」だとか「番長もどき」だとか称される人物である。

「っざけんな!!今日ばかりはオレは何もしてねぇってんだぁ!しっ!しっ!!」

黒の学ランに深紅の鉢巻という何処からどう見ても「男」の風貌をしたその人物は、麻宮の前方から全力で駆けてくるのである。その様子は猪突猛進ともいえるが、実際の彼女は何かを追いかけているのではなく追われている側である。

「うおおおおお!?バイクとか卑怯だろ!」

彼女の後方に目をやれば学園都市の平和を司る「風紀委員」の面々。──追っ手である。
高天原いずもは、それから逃げるのに必死で前はあまり見ていない。麻宮麗奈という少女に激突するまで──後数メートルである。
麻宮がこのまま対処しないのであれば激突という形になるが………果たして。

//ちょっと絡んでみました!
68 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/17(火) 12:52:03.32 ID:GkcugdZIO
>>67
「な…………ちょっと…………!」

少女はそれに対応できずに、正面からぶつかり、吹き飛ばされてしまいます

「う、いったぁーーー!!!」
しりもちつきながら項垂れて

「ちょっと!!ちゃんと前みてんの!?私の可愛い顔が傷物なったらどう責任とってくれんのよこの不良!!!」

と、怒鳴り付ける
69 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/17(火) 20:12:32.32 ID:xXut9ag+0
>>68
「──おおわァッ!?…悪ィ!立てるか?」

──激突は必然に。比較的身体の大きな黒の体躯は見事に前の少女を突き飛ばす事となった。
すぐさま駆け寄り、その少女へと包帯でぐるぐる巻きにされた右手を差し伸べるのだが……

「………す、すまん。悪気はなくて…その……すまん。」

手の代わりに返ってきたのは耳を劈く程の罵倒であった。流石に言い返す言葉もない「不良」こといずもは膝をつき、両手を顔前に合わせて反省の意を示すのであった。
然し、其処は「退屈な日常が存在しない不良」であるからか。厄災は連鎖的に訪れる。
──背後から迫るのは風紀委員の怒鳴り声。

『止まれ!お前がしたってことはわかっている!』

「うるせぇ!やってないって何度言わせんだど畜生が!!───…くっ、くそォ!逃げるぞ!!」

そう言って彼女が手を伸ばしたのは眼前の少女の右手である。許してもらってないのに逃げるというのは何処か彼女の「漢」に逆らう様で。
もし抵抗がなければ此処から彼女による逃走劇に巻き込まれることとなるが、したのであれば見事に連行されるというまた滑稽な結末が待っている。
70 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/17(火) 20:27:25.88 ID:OyQN4qk6O
>>69
「……ま、まあ反省してるなら許して上げるよ、私も鬼じゃないし……」
と、子恥ずかしそうに言って、手を取ります、そしてその包帯だらけの手に驚いて

「この手…………なんか相当怪我してーーー」

と、言うのも束の間、風紀委員連中が後ろから来てるのを確認

「て、逃げ!?ちょっと!なんで私が!!!」

とか言いつつも無抵抗、そのまま一緒に走り去る事になりそうです

71 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/17(火) 23:08:52.19 ID:xXut9ag+0
>>70
「………………へへっ…いくぜ!!」

少女の手を捕まえるや否や、その少女へと歯を覗かせる爽やかな笑みを向けた。そしてすぐさま発せられる威勢の良い声は逃走劇幕開けの合図である。
───「不良」……否、「番長」たる高天原いずもの逃げ場はいつも決まっていた。少女の手を引っ張りつつ彼女が向かうのはそう………”路地裏”である。

「………折角だから嬢ちゃん、オレの豆知識タイム!
ああいうアホどもの相手をする時はなッ、路地裏がベスト!」

二人の少女はどんどんと障害物を掻き分けて進んでいく。凄まじく慣れた様子で路地裏を突き進むいずもに手を引かれる麻宮は、汚らしい路地裏の情景と相反して訪れる疾走感を味わうことだろう。
因みにその障害物の中には高天原いずもの様に善良な「不良(もどき)」ではなく本物の「不良」も存在したりする訳で。よくよく聞いてみればいずもは走りつつ、内数人の肩をトントンと叩いて何かを伝えているかのようで。

入り組んだ路地裏を進むこと数分、学ラン少女はようやく速度を緩め、麻宮へと声をかけるのだった。

「此処の奴らはちょっとしたダチでな!お前さんがオレを不良っつったように正しく不良だけど心に熱いモン持ってたりすんだよな、これが!ははは!」

「────ところで嬢ちゃん、勝手に連れ出しておいて悪いが………どっか行く途中だったり………あ、いや、違ぇな。まずは自己紹介だよな!」


「…………オレは高天原出雲!この学園都市の”番長”になる漢だ!!えっと……嬢ちゃんは?」

と完全に自分のペースに持っていこうとする学ランの少女である。────まずは自己紹介。
72 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/17(火) 23:22:16.06 ID:OyQN4qk6O
>>71
「ふーん……まさに不良の溜まり場って感じね…………」
連れてこられた裏路地を見渡して、そう言って

「ところで番町さん…………漢…………って言うけどあなた、女よね?」

と、首かしげて言います

「あ、自己紹介ね、私は麻宮麗奈って言うの、ここの学校に転校することになったからよろしくね」

とにっこりと会釈します

「あ、不良さんたち、あんまり私が可愛いからって襲わないでね」

一言付け足してまたにっこり

「つーか……騒がしい学校ね……さすが能力者が集まってるだけあると言うか…………」

そして溜め息
73 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/18(水) 00:05:19.91 ID:nwk/kmwN0
>>72
「…ったく……最近は妙に勘のいい奴が多くて困るっての!……ま、そんな女なんてもんは番長名乗る時からとっくに捨ててるからよ。」

麻宮の察しの通り、高天原いずもの性別は女である。
元々はこんな豪快な性格ではなく、何処の学校にもいるような真面目な生徒であったが、とある事をきっかけに彼女は「漢」を名乗り始めることとなった。
といっても女としての残り香の様なものは確かに存在していて、使い倒しておきながらいつでも新品の様に綺麗な学ランに鉢巻、さらっさらの髪だったり。

「麗奈か……いい名前だな!よろしくっ!!
学校……となると色々あるわけだが、まあ第一学園か?一番デケェしな!」

第一学園とはこの学園都市内において一番の規模を誇る学園の名である。学園都市の学園といえばココ!も称されるほどには知名度も高い。

「───なるほど、因みにオレは其処の高等部2年だぜ。ま、学校にいることは少ないんだけどな?」

それには魔術師の存在が大きく影響を及ぼしている。高天原いずもは学園都市の中でも少ない魔術師との交戦経験がある普通の「能力者」であり、また都市の平穏を守る「番長」でもあるから。
彼女の中で「魔術」という概念は非常に危険なものであるとの認識がある。別にそれは魔術そのものがというわけではなく、其処にあるのは「魔術」と「能力」がぶつかり合い大きな抗争へと発展するという危険性だ。
彼女は「番長」として、その抗争へと発展する危険性を有した事象を回避するために地味に暗躍していたりする。


「そりゃこのばかっぴろい都市だからな!おまけに第一は一番有名な学園なんだしな!」

74 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/19(木) 00:15:31.22 ID:Ttu8sw51O
>>73
「番町って事は……あなたも能力者、なんでしょうね」

と、服を払いながら言って考える
同じ学校……で先輩…………ここで私も能力者って事にしとけば後々楽なんじゃないかなと

「私も同じ学校だけど、あなたの後輩、一年生って事になるかな」


そう言って
もしいずもが能力者なら、私も炎を操る能力者って事にしとこう、そして学校に居る間はそれで通そうと、そう思った麗奈です

「よろしくね、先輩」
と、にっこり笑顔でそう言う

ここで麗奈が考えたのは
"同姓のいずもはともかく、周りの不良は私の容姿なら、これで今後味方になってくれるだろう"
なんていう自意識過剰な考えるでした
75 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/22(日) 09:35:12.21 ID:UxuofPrv0
>>74
「おうよ後輩!なんか慣れてねーみてぇだし、わからねぇことがあったらなんでも聞いてくれや」

と、拳をドンと自らの胸に寄せる番長。依然としてその顔にあるのは喧しい程の笑みである。
──麻宮麗奈が炎を操る魔術師であるならば、高天原いずもは「爆発」を操る能力者だ。その事を示すため、彼女はとある行動に出る。

「……ち、な、み、に」

胸に寄せていた右拳を振りかぶり、瞬時に地面へと叩きつけた。轟音が鳴り響き、叩きつけた地点には漫画のようにクレーターが形成される。
するとあら不思議、周りにいた不良の数人は、その拳を目に映して身震いするのである。まるでその拳、否、高天原いずもという存在に何処か畏怖を抱いているかのように。まるで、かつてその拳を自身の身体に受けた経験があるかのように。

「オレの能力はこんなんだ!ド派手だろ?ははは!!
叩くしか能がねぇとか言われるけど結構気に入ってんだぜ!」

─────その能力の名は「爆破剛掌」という。

//遅れて本当に申し訳ありません…!
76 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/22(日) 20:04:01.91 ID:QdOAzmKhO
>>75
「へー、流石番長ってだけあって凄い能力ね」

と、その爆発を見て関心したかのように呟く

「ま、私も能力者なんだけどね」

と、左手の手のひらから丸い火球が現れました

「これは一例でしかないんだけど、こんな風に炎を生み出して操れるって感じ」

その火球は適当にそこらの壁に当てると壁が軽くクレーターのようにその部分が壊れました
77 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/22(日) 20:28:29.15 ID:UxuofPrv0
>>76
「─────成る程、便利そうな能力だなぁ。そして麻宮後輩、お前もなかなか慣れてるっぽいし」

────軽々とその火球を操って見せた少女に、高天原いずももまた少女が自分にした様に、関心の声を漏らした。
というのも彼女自身が自分自身の能力を制御できていないからこそ生まれた感嘆であり、先程地面に拳を叩きつけたのも「なんとなく」の裁量で行ったものだった。彼女からしても制御しやすい異能は案外羨ましかったりする。

「凄い能力だとは思うんだがどうも制御できなくてな!!今まではこれでなんとかなってきたが……」

これからは、と言いかけたところで彼女の口が静止した。恐らく、この後に続くのは「これからはこんなもんじゃ通用しなくなるかも知れない」という語句。
何に対しての通用かというと───「魔術」に尽きる。能力者サイドにおいて彼女は「魔術師」との経験のある「能力者」であるから、最近は一層警戒をしているのである。誤魔化すように笑みを浮かべ、取り繕うのだった。

「…あ、いや何でもねぇすまん!
───ところで、こっからどーする?とりあえず風紀委員はまけたから安心して行動できるわけだけども…」
78 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/22(日) 20:52:39.46 ID:QdOAzmKhO
>>77
「?」
と、きょとんとする様子を見せて

「なんか脅威って言うか……強大な敵でもいるような口振りね……」

と、疑問を呟く

「これから……?あーー、確かに……つーか私は特に逃げる必要もなかったと思うけど」

なんて苦笑いして言って
79 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 :2015/11/23(月) 11:03:01.31 ID:huaXCghH0
>>78
「ははっ、どうだかな!」

───強大な敵は既に存在する。オレが遭った奴らが偶然「善人或いはそれに近い人間」だっただけだ、と少女に向ける笑顔の傍ら、思う高天原いずも。
学園都市が最近慌ただしいというのは彼女自身も薄々気がついていた。それが魔術師のせいかどうかは不明であるが、不穏な動きが水面下で行われているのは間違いない。
「能力者」にとっての敵か、それとも「両者」にとっての敵か……それがどうなのかはわからないが───。

「それについては……すまんとしか言いようがねぇ………!
あまり一緒にいるのも風紀委員のこと考えたら良くねーだろ?また巻き込んじまうかもしれねぇ。」

それは実に核心をついた一言でもあった。高天原いずも自身にそんな気は全くないが、高天原いずもと行動することは麻宮にとって危ない橋だったりする。
彼女と行動することで万が一捕まるようなことがあれば「魔術師」という肩書きが露見する可能性も少なくないからである。もっとも、彼女からすれば(一緒にいたら迷惑かかる)程度の認識でしかないが。

「そろそろお開きにするか?」


80 :麻宮麗奈 ◆rwDSHkQLqQ [sage]:2015/11/23(月) 19:06:48.10 ID:8z9dMOETO
>>79
「ま、そーなるわね〜……」

なんて言って

「でもま、学校生活、思ったより退屈しなさそうかも」

などとさっきの能力を見てからか言ってます

「それじゃ私もそろそろいくね、初日から遅刻じゃ洒落にならないし、またね」

と言うと、手を振りながら裏路地から去っていきました
81 :高天原いずも ◆BDEJby.ma2 [sage]:2015/12/06(日) 21:11:13.51 ID:WsKJrkoB0
>>80
「ははっ、じゃあな!…………また会おうぜ!」

裏路地から去る麻宮に、同じくして手を振って送り出す番長少女。


──それから間もなく、麻宮が口にした『遅刻』という言葉を受けて、自らの傷だらけの右手に視線を落とす。
爆発の行使─────否、番長として。歴戦の強者達を前に刻んだ正義の刻印。目を伏せ、そして僅かに口を歪ませて、右手を力強く握り締める。
魔術に触れた学園都市サイドの人間として、もうあっち側には戻れない。───戻らない、と。

「はは、懐かしい言葉だなぁ………畜生。」

//すっげぇ今更です…本当に申し訳ありません…




82 : ◆BDEJby.ma2 [sage]:2016/01/12(火) 02:02:43.54 ID:XJrXc9uB0
削除よろしくお願いします。
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