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【新生俺能】新生・俺が能力授けるからこの世界で戦え - パー速VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 19:10:05.38 ID:oZpj3G5Eo
ようこそ、厨二病隔離スレへ
このスレは周りから新たに能力を貰って厨二力を爆発させ、壮大な「バトル」を行うスレです

※ ここは能力による「戦闘」を主としたスレッドです※
※ 過度なインフレや確定描写は避けるよう心掛けて下さい※
※ 貴方が絡んでいる相手も貴方と同じ人間です。 皆が主人公ということを忘れずに※

・ まずはしたらばの専用スレで能力を貰いキャラを登録しましょう。
・ 登録が面倒な場合は本スレでも能力を貰うことが可能ですが、その場合キャラ登録や引き継ぎを行うことはできません。
・ 能力は原則一人一つ。 奪ったりコピーする能力の場合はこの限りではありません。
**キャラ登録をしたキャラクターのみスレを跨いでのキャラ・能力の引き継ぎが可能です。
**殺害した対象の能力と自身の能力を交換することが出来ます。(任意)
**奪った能力は宝石として出現し、それを取り込んだものが宝石に宿る能力を得ることができます。(宝石の複製や持ち歩きは不可)

◇作ったキャラの安価を名前欄に書きましょう(例として登録スレ>>66のキャラであるなら>>66 と名前欄に記入する)
◇本スレで能力を授与された場合は名前欄に能力名と授与レスの安価を書きましょう(例として>>66で【ソー】を授与された場合、名前欄に【ソー】>>66と記入する)
◇能力は死亡により再取得。
◇能力の使用などに関しては空気を読んで調整する。
◇荒らしは黙ってスルー。

◎戦闘之スヽメ◎
会話文(例:からあげうめえ)
【行動(例:?ゆっくりと近づき、殴りかかった)】 ※「刺さった」とか確定させるとそれ以上広がらないので無し
こんな感じでやると分かりやすい。俗に言う「ロール」。 
ヒールを担当して場を盛り上げるのもよし、商人、鍛冶屋的な能力を懇願しほそぼそとサポートに回るのもよし。
複数人数で徒党を組み勢力を広げるもよし、正義のヒーローとして君臨するもよし。

次スレッドは>>950、出来ない場合は再安価
次スレッドを立てるまで>>980からは減速すること(重複回避)
また立てれなかった場合そのテンプレを貼るといいかもしれません

したらば
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/19660/

俺能wiki
ttp://wikiwiki.jp/nanasia777/?FrontPage

今日も変わらずつまらない世界は廻り続ける。
君もその世界の住人なのだろう? ならば非日常に憧れたことが一度や二度はきっとあるはずだ。

今、君は新たな世界の扉を開けようとしている。
その先にあるのは、君の望む「非日常」の世界だ。

ーー名を「俺能新世界」

その世界のそこかしこには人ならざる悪魔だとか天使だとかいう存在が蔓延し、人と同様に日々を暮らしている。
そして中でも特殊な存在とされるのが、能力者だ。
能力というのは、人知を超えた何かであり、人であろうがなかろうが、生を受け死を待つ運命さえあれば能力をもつ素質を有する。

肝心の能力発現の方法だが、先天的なものと能力宝石の使用の二パターンがある。
能力宝石というのはその身に能力を一つだけ有する宝石で、それは主人を得ることではじめてその力を顕現する。
しかし主人が何らかの理由により命を落としたとき、能力発現が先天的か能力宝石によるかは問わず、能力宝石が具現化し主人の肉体から零れ落ち、新たな主人を探すのだ。

この世界は一度朽ちた。しかし今再興の兆しを見せている。そして切り拓いていくのは他でもない、君なのだ。
今日も能力者たちはこの混沌とした世界を廻す。さぁ扉を開け、君もそんな世界に身を投じるのだ!
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします :2016/04/04(月) 20:31:16.53 ID:Jr8W9zkZO
近接下さい
武器有りだと嬉しいです
3 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) :2016/04/04(月) 20:34:15.77 ID:yh1r2y9i0
>>2
【ウェポニスト】
好きな武器に変容させることが出来る剣を所持しており、それを自在に扱える。
剣は火薬や未知のエネルギーなど自分以外の力を使う武器にすることは出来ない。
矢などにして切り離した分の質量は回収しない限り減ったままになる。
身体能力は鍛え抜かれた軍人レベルだが、それぞれの武器の練度は達人の域には達しない。
4 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 20:35:03.21 ID:oZpj3G5Eo
>>2
【聖剣】
光のエネルギーを宿した両手剣を操る能力者。
このエネルギーは斬撃として飛ばしたり、目眩ましの要領で周囲を光で照らすことも出来る。
聖剣は帯刀する能力者の正の感情を感じる事で、その刀身を高熱の光で纏うようになる。
身体能力は軍人並みで剣の達人。
5 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 20:39:01.95 ID:Jr8W9zkZO
>>3-4
最初に来たウェポニストにします、ありがとうございます
6 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) [sage]:2016/04/04(月) 20:43:20.95 ID:Kaq+WDPx0
特殊からください
7 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) :2016/04/04(月) 20:45:38.74 ID:yh1r2y9i0
>>6
【カウントダウン】
指先で触れた能力を吸収し、光線として放てる。五回まで溜めることができ、それ以上で暴発する
自身発動型の能力者に対しては指先に触れた時間に応じて能力を封じることが出来る。
威力は5に近いほど高まる。小刻みに放つことも可能。
8 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 20:46:02.18 ID:oZpj3G5Eo
>>6
【ヴァグネッツ】
半径20mの磁力を操作出来る。
他能力者の所有物に対してのみ効果半減、生物に対する磁力操作は不可能。
初期装備-鉄球複数個
9 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 20:46:45.36 ID:gmsDuKxf0
>>6
【ストレイトライン】
短距離を直線的に高速移動する能力。
空間移動では無いため障害物の回避は出来ないが運動エネルギーは継続されるため
移動直後に速度を乗せた一撃を放つことが可能。
この能力の発動中は重力の影響を受けず、また連続での使用も可能だが体力の消耗はその分激しくなる。
10 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 20:51:22.37 ID:Kaq+WDPx0
>>7>>8>>9
【ストレイトライン】を頂きます。ありがとうございました
11 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 21:01:19.72 ID:gmsDuKxf0
深夜の街並み、人工の光と自然の闇が生み出すコントラストに人々が視線を奪われる時刻。
もうとっくに太陽は沈み淡い月光が照らし出しているというのに、その街は一向に眠る気配はない。
いや、むしろ人々にとっては夜こそが”始まり”なのだろう。
そしてそれはなにも、人間だけに限った話ではない――


「――うおぉぉぉおおお!!
 忍耐でござる!!忍耐でござるぅぅぅううう!!!」


――NINJA”ニンジャ”。

日の丸の国、ジャパンより古くから伝わる全く以て謎の存在。
現代科学の進んだ今でもその解析率は3割にも及んでないと謳われる程だ。
何故そんな存在が宵の街を疾走しているのか?何故ニンジャが今の時代を生きているのか?
そんな野暮なことは突っ込んではいけない。ニンジャとは誰にも囚われない生き物なのだ。
闇に塗れた街並みを疾駆する謎の黒い影、それはよく目を凝らさなければ肉眼で捉えることすら出来ないだろう。声は別だが。
12 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/04(月) 21:02:35.14 ID:msQdDs3j0
消え掛けた街灯が赤光を闇に当てがい、沈んだ静寂を虫の羽音が切り裂く。転がる砂利は外気に冷えて、萌ゆる桜は闇夜に枝を揺らしていた。
国一番の賑わいを見せる街のうしろ、コンクリートが雑草に貫かれ、朽ちた建物の外壁から鉄筋が露出する、そんな外れ。
黒と赤の二色使いの影が、漂う紫煙の残り香を厭い、その残滓を片足で踏みにじりながら首を垂れて足下を見た。

「……不愉快、不愉快だ。」

死んでなお臭う。と皮肉めいた呪詛を吐き棄てた先には、横腹に大穴を開けられた男。白目を剥きあんぐりと口を開けて、血混じりの涎を垂らして息を引き取っていた。
今はもう使われないコンクリの道路は尋常ではない抉れ方をしていて、黒づくめの男と死体の間で少なからず「能力」の使用があったことが見て取れた。
男が不意に視線を死体から右の拳にずらす、そこにはわずかに血液の付着した皮膚があった。
舌打ちをして、ハンカチでそれを綺麗に拭き取ると、微妙にはだけたジャケットをなおして溜息混じりに首をもたげた。
幾重にも乱流をつくる風を受けて赤髪を振り乱し、雑音の混じる静寂を聴きながら、月の白光と街灯の赤光の中を歩き出した。

「何処もマナーの悪い奴は絶えないな…。」

新芽の萌ゆる朝よりも、桜の乱れる昼よりも、黒い偏愛は夜に咲き、
純潔の処女も、不潔の混血も、忌むべき異端の性愛も、それが他人へのものならば、なにかに構わず愛を喰らう。
美しいのは己を愛する己だけ。
自己至上に生きる魔王、ーー始動。
13 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 21:07:44.12 ID:OoN3N0Z0o
暗い路地裏を、スーツ姿の男が一人歩く。
ただ無言で、無表情で。しかし近づき難い殺気を隠すかのように靴音を立てて。
コツコツと音が響くのみ。その眼はひどく濁っていた。
風を受け髪がなびく。それすら気にもとめず、ただ歩いていく。
14 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/04(月) 21:27:29.71 ID:msQdDs3j0
>>13
どうせなら目を瞑って、もう少しだけ静寂を聴いていたかった。狭い路地で背中を壁に預けながら、そんなことを巡らせていた。
しかしそんな小さな願いも叶わない。何故なら持ち主不明の靴音が彼の鼓膜を揺らしたから。
闇から這い出てくる男の姿。暗がりで遠巻きに見たその両の眼はひどく混濁しているようだった。
荒ぶ風の気流に赤髪が乱れる。点灯と消灯を小刻みに繰り返す街灯のもとに男は立ち、言葉多きを嫌って吐き棄てるように、唐突に言った。

「おい、失せろ。」


/よければよろしくおねがいします!
15 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage]:2016/04/04(月) 21:41:51.66 ID:oZpj3G5Eo
「ったく…仕事させるだけさせといてまーた逃げやがった…!」
「あのクソ野郎…今度出会ったらタダじゃおかねー…」

夜の公園は大概静かで、昼間のような賑やかさの片鱗などは一部たりとも残すことはない
しかしそんな静寂を破るようにして、声を荒げたぼやきと共に相良遥歩は訪れた
普段様々な雑用仕事を請け負い日銭を稼ぐ彼女、後払いの依頼人に逃げられる事も珍しいことではないが、この日は事情が違う。つまり先立つものを持ち併せていないのだ
からころからころ。空になったミルクセーキの缶を蹴って公園の中央広場へとふらり訪れれば、街頭に照らされたベンチが目に留まった

「あ゛ー……」
「どっかに一億くらいポンと落ちてねーかなー…」

ベンチにどかっと腰を落として両腕を背もたれに回し、おおよそ淑女には在り得ないような大股を開いて薄く雲掛かった星空を仰ぐ
泊まる宛てはないし、一夜の羽休めのために宿を借りるような手持ちも無く
今はたった一杯の暖かなミルクセーキを買うだけで精いっぱい。小さな缶に入ったそれに、全財産の半分すら費やすのは不条理だと憤り
天を仰いで想いを馳せるのは、スーツケースいっぱいにギッシリ詰まった札束のことだ
16 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 22:04:06.58 ID:gmsDuKxf0
>>15
からころからころ、中身の無い空き缶の転がる先はゴミ箱ではなく白い足袋。
その足先から頭までを見上げれば、凡そ常人のするような格好ではない者が露出した双眸だけで缶を見つめているだろう。
闇夜に忍ぶ為の忍装束は公園に設置された街灯により意味を成しておらず、背中に提げているのは馬鹿でかい大剣。
何もかもが異常、公道に出れば間違いなく職質行きだろうその男は覆面に隠れた口を動かした。

「そこの御主、童女がそのようなふしだらな格好をするものではないでござるよ」

ふしだらな格好、というのは恐らく自虐ではなく淑女らしさが全く感じられぬ少女に対するものだろう。
残念ながらそれは少女の望んだ溺れる程の札束には全く異なるものだが、非現実的という意味では合致している。
嫌に胸を張りながらベンチに座り込む少女を見下ろす謎のニンジャに対して、果たしてどうコンタクトを取るのか。
17 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 22:06:00.29 ID:OoN3N0Z0o
>>14
いきなり出てきた男に罵倒を浴びせられるも、冷ややかな表情を崩さない
「怒ってるのかい?」
冷めた目で、かつ濁った目でそう問う。
「あいにく君に口出しされる言われはなくてね」
むしろ煽りにも似た言葉を吐き返す。
18 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 22:06:11.30 ID:OoN3N0Z0o
>>14
//よろしくお願い致します
19 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage]:2016/04/04(月) 22:20:08.39 ID:wVKwfPVCo
裏路地、そこへの立ち入りは最近では避けられつつある
なぜなら、そこには――――


戸塚さつきは、ちょっと急いでいた
急いで家に帰らないと、門限になってしまう
家から閉め出されてしまう
帰れなく、なる
そんなのは嫌だ
だから、近道の裏路地を使うことにしていた
最近学校では裏路地には立ち入るなと注意をされている
なんでも――殺人鬼がいるとか
そんなのと、巡り合うなんて余程運が悪い人くらい――自分は、大丈夫
そんな根拠のない自信と、焦りが少女を裏路地へと誘った

「みぃつけた」

しばらく進んだら、何か聞こえた
幼い女の子の声?こんなところで?
―――上から?
頭に強い衝撃を受けて、戸塚さつきの意識は断絶した

何かを食べてる音がする
どこから―――私から?
目が覚めたら、お腹のあたりが軽い
見れば――ぼろきれを纏った幼い女の子が私を食らっていた
やめて、やめてやめてやめて
私から、奪わないで―――――――

そこで戸塚さつきの生は終了した
後に残ったのは、死体を食らう幼き少女
一心不乱に、ただただ食らう少女だけであった


裏路地、そこへの立ち入りは最近では避けられつつある
なぜなら、そこには――――
ジャック・ジ・イーターが、いるから
20 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/04(月) 22:20:46.40 ID:msQdDs3j0
>>17
「謂れは無くとも俺が失せろというなら失せるんだ。それが世の理だ。」

煽りに対する理不尽な主義。募るのは静寂を破られた苛立ちと気にくわない態度への憤りそのふたつ。
目深に被った黒いボーラーハットのツバから殺意を孕んだ両の眼を覗かせながら、それと、もうひとつ話題を提起しようとしていた。

「馴れ馴れしい。君などと呼ぶな。私には敬称(Sir)を付けろ。
尤も、貴様に名乗るほど俺の名は安売りしていないし、」

そもそも俺の名を聞く時間をも与えない。
そう彼が吐き棄てた刹那に、地面を抉る軽快な音が男の鼓膜を劈くだろう。その音に釣られて地面のコンクリを見ようものなら、眼前に途轍もないスピードで迫ってくる影に気付くのが遅れるだろう。
しかし彼を注視していれば、いくら暗がりだからといって、まず見失うことはない。
男が彼の行動を把握しようがしまいが、彼は男の首根を掴み、その人外たる腕力で締め上げる魂胆だ。

21 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage saga]:2016/04/04(月) 22:24:01.08 ID:oZpj3G5Eo
>>16
「あ?」

転がっていった缶が何かにぶつかり止まる音。何の気なしにそれを眼で追えば、下から上まで舐めあげてそして二度見
ニンジャエッセンス満載のコスプレ男か?と判断するも背中の大剣は紛れもなく彼の得物であり、少女程度なら紛れも無く両断することは容易い業物である
札束欲しがったらなんかヘンなのが来た。と額を掌で覆って溜息をつくも、その姿勢を崩すことはない
ほとんど無一文だが、格好だけはまるで豪邸のカウチに腰掛ける大富豪のソレだ

「いーんだよ…どーせパンツだからスカートみたいに気にすることなんてねーし…」
「ってかジロジロ見んな!」

目つきの悪い、しかしパーツは整っているその顔でニンジャを睨み返し、パンツ姿なので心配ご無用と掌を翻す
しかしじろじろと見下ろす視線が気になるのか、少しだけ恥ずかしそうに声を荒げて脚を組んだ
溜息交じりに再び天を仰ぐもやはりインパクト抜群のニンジャが隣に居ることがどうしても気になるようで、ちらちらと横目で確認しては忌々しそうに舌打ち

「…何だよ…!?」
「いつまでもジロジロ見んじゃねェ!セクハラ容疑でぶっ飛ばすぞコラぁッ!!?」

22 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 22:25:28.77 ID:OoN3N0Z0o
>>20
「ふーん・・・随分自信があるんだね・・・自らの存在に」
そこまで喋り終わると殺気が強まったのを察知してか、大きく飛び退く。
「・・・手が早いね、女性に嫌われるんじゃないかい?」
焦りをひとつ見せることなく不敵に笑う。
23 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/04(月) 22:38:23.07 ID:cDogrb230
月明かりが照らす暗い世界の中にご機嫌な少女が一人。
本来の意味を成していない傘がご機嫌そうに揺れている。
黒で統一された恰好は闇によく溶け込んでいた。
しかし彼女が歌う陽気な鼻歌が全てを違和感に変えている。


ふふふ、やっぱり夜は能力者がうじゃうじゃ湧きそうな雰囲気ね…。
今夜はどんな相手なのかしら…?


大人っぽい雰囲気を纏わせようとしたが、夜には似合わない。
だが本人はそれにすら気がつかないまま、ゆっくりとあたりを歩き回る。
狩る為の能力者を探して。
24 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 22:39:11.35 ID:gmsDuKxf0
>>21
「むむ…これは申し訳ないでござるな、失敬したでござる。
 拙者もこれ以上警察の世話にはなりたくないでござるからな……」

セクハラ容疑、荒んだ言葉を聞いた途端にビクリと肩を震わせて殆ど漆黒に隠れた顔を青く染める。
その反応からどうやら過去に何度も警察に追われた経験があるらしく、忌々しい記憶を否定するように緩く首を振った。
そしてそのまま踵を返し立ち去る――訳ではなく、あろう事かニンジャはベンチの空きスペース、つまり少女の隣に腰を下ろす。
どうにもこんな時間まで公園で遊んでいる少女の存在が気に掛かるらしく、同じくチラチラと視線を向けて。
少女の富豪じみた、悪く言えばチャラチャラとした容姿からニンジャはこう判断した。

「御主……もしや迷子でござるか?」

よければ拙者が交番に連れてゆくでござる、余計すぎる一言を付け加えて。
一切戯る様子のない双眸で鬱陶しい位に見つめてはただ少女の返答を待つように。
25 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/04(月) 22:39:34.60 ID:msQdDs3j0
>>22
「俺は俺を愛すのだ。嫌うなら嫌え、殺す。」

空ぶった片腕で空気を手繰り、またコンクリを蹴り込んで崩壊音を載せた核弾頭の如き前進。
飛び退くといっても然程距離を置けるわけでもないだろう。しかし念には念を入れるのが戦闘のセオリーだ。
路地の狭さを逆手に取り、前進中に両腕を開きそれぞれに外壁を力一杯に押す。すると比喩的なものは一切なしにぼろぼろと壁は深く抉れた。
どうやら推進力を増す魂胆らしい。核弾頭は核弾頭でも、最早並大抵のものではない。例えるならば大国ソ連の爆弾の皇帝「ツァーリ・ボンバ」
何もかもを破壊し尽くす勢いと危険性を以って、直線に男に向けて飛翔。
迫り来るその核は、鋼鉄の如き頑強さを誇る二本の指を立て、腹部を貫き、挙句は掻き切るつもりだ。

「それと貴様、俺を舐めればまず、死ぬぞ。」
26 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 22:43:54.64 ID:OoN3N0Z0o
>>25
「へぇ、それはまた自己愛に満ちた発言だね?」
「僕を[ピーーー]?どうやって?」
圧倒的速度で迫る男の下をくぐるように
スライディング。
「速さだけじゃ僕は捕まえられないよ、舐める?いや、相手にすらしないのさ」
27 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage]:2016/04/04(月) 22:55:21.43 ID:oZpj3G5Eo
>>24
「んァ…?」
「なんだなんだァ?そんなナリして警察が怖いってのかよ…」

こんな格好で街中を闊歩するのは職質上等の心意気を持った猛者なのだろうと思い込んでいた
しかしその実存外平和主義的な考え方に少女は拍子抜けしてプークスクスと口元を抑えて嗤う
笑いが収まれば再び天を仰いで暫く。不意に軋んだベンチに隣を見れば丁度先ほどのニンジャがこちらをじっと見つめているではないか

何故こいつは離れろと言われて近づいて来ているんだろうとあからさまに困惑した顔色を浮かべる少女
何か危害を加えてくるようにも見えないし、力づくで追い払う事などしない。しかし忍者が発した一言を皮切りに、少女はピクリと眉を動かした

「………今なんつった」
「こ…この…あたしを…ま・い・ご・だ・とぉぉ〜〜〜ッ!?」

眉をハの字にくしゃりと歪め、歯を剥き出しにしてグルリと振り向き、ドスを利かせた低音で忍者に問い詰める
人生で最も扱いの難しい時期である思春期を迎えた少女にとって迷子扱いはプライドを傷つけることに容易い
それでどうなるかと言えば、皆言わずとも分かるだろう。結果は予想の通りである

「…ブッ飛ばす」

すっくと立ち上がり、ニンジャの胸倉を掴もうと伸ばす手
青筋を立て顔をヒクつかせる彼女からは冷静さの欠片も感じ取ることは出来ず
一旦ブチのめして冷静にさせるか、一目散に逃げるかのどちらかでしかやり過ごす事は出来なさそうだ
28 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/04(月) 23:00:03.82 ID:msQdDs3j0
>>26
「[ピーーー]手段ならば幾らでもある。しかし貴様に選択権はない。諦観していろ。」

また空を突き刺した二本の指で自らの軌道を抉りながら、賢しい動きで背後(うしろ)を取った男へ向き直る。するとどこか、顔面に差した影からちらりと含み笑いが溢れたような気がした。
数瞬、沈黙が流れる。その間、彼の視線は男の背後にあった。そこには先ほどの爆進で破壊された残骸、具体的に言えば外壁の破片が山積みになっていた。
つまり男の逃げ場はほとんど失われたということだ。

「獅子は雑魚を狩るときでさえ手を抜かない。それが賢いやり方だ。」

彼を挟むようにして聳える建造物、その壁の前方は破壊されている。つまりあちらの壁には支えがないということ。まさに皮一枚で繋がっている状態。その皮というのがこちら側の壁である。
そうだな、決めた。と精一杯穏やかな口調で男へと投げかける。まるで「教えてやる、この寛大な俺様が。」と言わんばかりに。

「ーー圧死。」

言葉はそこで切れた。だが理解できるはずだ、それが貴様の死に様だ。と続けようとしていたことが。
彼は両斜め前に聳える外壁を粉砕、ぐらりと少しずつ男を挟む部分の外壁が支えを失って崩れ始める。
ぽろぽろと小さな破片が落ち始め、やがてごろごろと崩壊をはじめた。しかしそんな状態では逃げられてしまうから。と。
男はコンクリを蹴り抜いて空をめがけた発射、更にその上の壁を粉砕し一気に鉄筋コンクリートで男を圧しようとしていた。
29 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 23:02:17.00 ID:OoN3N0Z0o
>>28
「これを壁ととるか足場ととるかの違いさ」
積み重なったガレキに足をかけ空中で一回転を加えつつ、3本のナイフを生成し、一本を投げつける。
投げつけられたナイフは有り得ない加速を見せる。
30 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 23:11:06.90 ID:Dh2FOGi5O
能力ください
31 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/04(月) 23:12:25.94 ID:msQdDs3j0
>>29
崩れ行く壁の隙間から、空を舞う男と、唐突に顕現した三本のナイフを見た。
そして重力に従って地面へと舞い戻る魔王は、その途中で瓦礫の合間を縫って途轍もない速度で迫りくるナイフをひとつ捉えた。
鼻息を鳴らし侮蔑を含んだ視線を瓦礫の向こうの男へやりながらしかし、迫る兇刃を蹴り払った。
からんと甲高い金属音を立てて落ち横たわったナイフと、ブーツのソールについた刃傷を交互に見遣り、舌打ち。
瓦礫で塞がれた視界の先の男への憤りをいまだに募らせながら、その憤りを横たわる兇刃にぶつけるかのごとくその刃を地面ごと靴裏で粉砕した。
32 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 23:14:14.96 ID:gmsDuKxf0
>>27
「む……迷子ではないのでござるか?
 しかし、どこからどう見ても道に迷い途方に暮れた―――」

可哀想な少女でござる。言いかけた言葉は少女の突如豹変した凶悪な表情に圧され沈黙と化す。
何か気に触ったことでも言っただろうか?――いくら思い返しても、これだと思う原因が思い浮かばない。
どうやら可哀想なのはニンジャの頭らしく、こくりと首を傾げては顎に手を添え思案顔。
とにかく謝らなければ、そう思い腰を上げた少女の顔を見上げた。

「……ぐえぇ!?でござる!?」

その刹那、有無を言わさずに胸倉を掴まれ体を無理矢理に引っ張られた。
素っ頓狂な叫び声、とも言えるか分からないそれを上げながら困窮したように視線を泳がせる。
彼とてニンジャ、少女の細腕ぐらいは引き離すことなど造作もない……と思っていたが存外少女の力は強い。
ギリギリと締め上げられる首元に苦しさを覚えながらも理由は相変わらず探れず、ぶんぶんと首を振りながら言葉を紡ぐ。

「ど、どうしたでござるか…!心配せずとも交番には一緒に行くでござる!!」

まさに火に油、火山に爆薬。
冷静さを感じられない表情から咄嗟にヤバイ、という事を感じるものの出来る事といえば本能に従い瞳を閉じるぐらい。
ニンジャ絶体絶命、そんなナレーションが入っても不自然ではない状況が練り上げられていた。
33 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 23:15:11.38 ID:gmsDuKxf0
>>30
【バレコン】
拳銃を2丁所持しており、その弾丸の軌道を操る能力者。
操作中の弾丸はスピードが落ちる上操作中はその場から動けない。
身体能力は常人と変わらないが射撃の達人。近接の護身用にナイフも所持するがそれの扱いは素人。
34 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 23:16:20.11 ID:OoN3N0Z0o
>>31
パキンと響いた金属音と崩壊音に耳もくれず
残る2本のナイフを弄ぶように手のひらでくるくると回す
「さて、どうしようかな・・・」


//これってナイフ壊れたら再生成できるんですかね

35 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/04(月) 23:21:30.05 ID:Dh2FOGi5O
>>33
ありがとうございます
36 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/04(月) 23:24:41.24 ID:Y4nny6Pc0
>>34
生成したナイフが一本でも手元にある場合、ナイフの生成は出来ない
三本全部投げればできそうだけど・・・
37 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/04(月) 23:24:58.59 ID:msQdDs3j0
>>34
瓦礫を隔てて、数瞬思考を巡らせる。粉々の刃をいまだ踏みにじり、苛立ちをぶつけるしかなかった。
追って[ピーーー]か、いや、それほど躍起になる相手なのか、俺からこれ以上手を焼く必要はない。来れば[ピーーー]、そんな愚かを犯すのならば。
そうして彼は目を瞑り静寂を聴きはじめ、男の動向を窺い始める。
もう明かりを灯さない街灯が横倒しになって瓦礫に埋もれていた。

/能力説明見てきました。たぶん無理…なのかな?一本でも手元にある限りは生成不能的なの書いてたのでり
38 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage]:2016/04/04(月) 23:25:09.06 ID:wVKwfPVCo
>>23
裏路地に繋がる細い路地
最近、警察が警戒を促している裏路地
そこから――死臭が漏れる
何があるか、見てみればそこには―――――

//まだいらっしゃれば…そこには>>19の光景があったということでお願いします!
39 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 23:25:56.52 ID:OoN3N0Z0o
>>36
/なるほど、御教授ありがとうございます
40 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/04(月) 23:26:16.21 ID:msQdDs3j0
/ピーピーかこわるい(o_o〉

>>34
瓦礫を隔てて、数瞬思考を巡らせる。粉々の刃をいまだ踏みにじり、苛立ちをぶつけるしかなかった。
追って殺すか、いや、それほど躍起になる相手なのか、俺からこれ以上手を焼く必要はない。来れば殺す、そんな愚かを犯すのならば。
そうして彼は目を瞑り静寂を聴きはじめ、男の動向を窺い始める。
もう明かりを灯さない街灯が横倒しになって瓦礫に埋もれていた。
41 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 23:27:32.48 ID:OoN3N0Z0o
>>37
「・・・」
無言でその場に立つ
離れた方がいいのか、相手をした方がいいのか
少し迷ってから公園の方へ歩き始めた。
袖に2本のナイフを忍ばせて。
42 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 23:28:13.49 ID:OoN3N0Z0o
>>37
/御教授ありがとうございます、よろしければピーにならない方法もお教えくださると嬉しいです
43 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 23:29:20.68 ID:gmsDuKxf0
>>42
/メル欄にsagaと入力すれば確かならなかったはずです!
44 :フェア>>5【killer knife】 [sage]:2016/04/04(月) 23:32:21.50 ID:OoN3N0Z0o
>>43
///度々ありがとうございます、嬉しいです!
45 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage]:2016/04/04(月) 23:32:49.44 ID:oZpj3G5Eo
>>32
「ぬ…、…ぅぅう゛…っ」
「できるかッ!!」

ぐいと忍者を持ち上げ暫し右の拳を握りしめて振りかぶっていたが
抵抗することなくぎゅっと眼を瞑る忍者の顔面を拳で撃ち抜くことなど到底甘さの残る少女には出来る筈もなく
自分に言い聞かせるような叫びと共に引っ掴んでいた衣服を手放してぶんっとその辺に放り投げるようにして降ろした

「そんな無抵抗にされたらブン殴れるワケねーだろッ!?この馬鹿野郎!!」

抗う素振りすら見せなかったニンジャに対し理不尽なまでにキレる少女
それもそのはず、無抵抗の相手を殴れるほど暴虐になれない少女にとって、先手必勝などまず有り得ないのだ
つまりは相手が敵意を見せなければ思い切りその顔面を殴り抜くこともできず――

「こーなりゃ…けっ…けっとーだ!小動物みてェに縮み上がってんじゃねェ!」
「背中に背負(しょ)った立派なモンがあんだろ!?」

抜けやコラと忍者を指差しもう片方の手を腰に手を当て、前かがみになって叱咤する少女
傍から見れば何がどうなっているのか状況を全く理解できない絵面であるが

「…うぅ…くそぉ…立てよこのやろ…」

決闘に応じなければそのうち怒鳴る気力も無くなり、力なく肩を落として地べたに座り込むだろう
金欠ゆえに朝から何も食べておらず、頭もどこかぼうっとするほどに飢えている
46 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/04(月) 23:34:12.10 ID:cDogrb230
>>38
ふと異臭に気がつく瑠璃。
警戒地域である事から恐らく死臭だと判断した。
しかし瑠璃は動じない。その程度は慣れている。

「あらあら、何処かで殺し合いでもあったのでしょうか…?」

何処かといいつつも視線は裏路地に向いていた。
何かいるのは直感で理解した。あとはそれが何かを見極めるだけ。

「うふふ、出てきても大丈夫よ…?」
「だって今は夜、私と貴方以外は誰もいないはずよ…」

優雅そうに見えるだけの笑みを裏路地に向ける。
もちろん瑠璃も警戒しているようで、傘の持ち方が変わっている。

「まずは自己紹介から、私は片平瑠璃っていうのよ…」
「次は貴方の名前を教えてくれるかしら…?」

//宜しくお願いしますね
47 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage]:2016/04/04(月) 23:39:56.94 ID:wVKwfPVCo
>>46
むしゃむしゃむしゃ
おいしい
いつもどおりにこのあたりにきた人をたべる
おなかがへっているから、しかたないよね?
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ
そとからなにかきこえる
こえかな?だれかがはなしかけてる??

「おねーちゃんがきてよーあたしはいま、いそがしーの」

うん、たべるのにいそがしい
たべなきゃおなかがすいてちからがでないもん
だから、ここからあっちへはいけない

「るり、それがおねーちゃんのなまえ?
 あたしのなまえかーうーん…あったっけ?」

なまえをきかれた。こまっちゃった。
だって、あたしにはなまえなんてないもの
おかーさんも、おとーさんも、いなかったしね

「あ!けどみんなはあたしをこーよんでるみたい!
 ――ジェーン・ジ・イーターってね!」
48 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/04(月) 23:42:50.17 ID:msQdDs3j0
>>41
あれからどれだけ時間が経っただろうか。いつの間にか静寂に聴き入り浸ってしまっていた。時折聴こえてくる瓦礫の落ちる音や、この路地を通りがかる人間の悲鳴や驚嘆も最早良いスパイスになっていた。
どうやらあの男は来なかったらしい、中々賢い判断だ、あの状況で追撃のひとつでもくれていたら、その愚かさに俺は哀しんでいたかもしれない。だからその賢こさに免じ、今回のところは見逃してやろう。

そんなことを考えて、背中を預けていた崩れ掛けた外壁とジャケットが擦れる音を伴いながら、ふと横を見やっていた。
中々ハデにやってしまった。と軽く後悔。取り乱した挙句取り逃がしてしまうとは情けないなんて両目を顰めた。

ーー二色使いの影が闇へとたゆたい、足音は静寂に溶けゆく。夜に狂い咲いた魔王は、やはり美麗だと謳われる夜桜には到底及ばず、後味悪く苦汁を舐めながら、ため息を吐いていた。
しかし魔王は、たった今芽生えたばかりであった。

/これで締めさせてもらいます!ありがとうでした!
49 :フェア>>5【killer knife】 [sagaた]:2016/04/04(月) 23:45:53.75 ID:OoN3N0Z0o
>>48
公園へ向かう途中でふと思い返す
「彼の身体能力が異能だったのかな、それとも挑発が異能だったのかな・・・」
そんなことをぼやきつつ公園へひとり向かう。
//お疲れ様でした
///まだいますのでお相手いらっしゃれば幸いです
50 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/04(月) 23:45:59.74 ID:Dh2FOGi5O
しとしとしとしと。
降り頻る雨音は夜風を濡らし、月は雨雲にその顔を隠す。

都合の良い夜。
月明かりすらを嫌うモノ。雨音に溶け込むモノ。光無き闇にその姿を堕とすモノ。
そのモノ凶悪なる本性を漆黒のレインコートに包み隠し、しかしその輪郭は雨粒が弾き出す。
血に飢え、燥き求めるその獣臭は雨に打ち流されども尚濃く色を残した。
その臭いを嗅ぎとるのは同種のモノか、はたまたそれに嫌悪感を感じられる人間であろうか。

一匹の獣はただ己の欲望に忠実に、仕事帰りの通行人を尾行し始める。
獣の犠牲者になるであろう人間。別に彼である理由などない。ただそこにいた、それだけのこと。
51 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/04(月) 23:48:31.69 ID:nzqUmyAmo
4刀流の能力ください
52 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 23:54:05.96 ID:gmsDuKxf0
>>45
「………? …うぬぉっ!?」

今か今かと、来るべきはずの拳を待ち構えて数秒。
ニンジャを襲ったのは剛拳による鈍痛ではなく、自身の体が地面に激突した鈍くも小さな痛みだった。
それはそれで痛いでござる…、なんて泣き言を言っている暇などない。
情けなく地べたに両手と尻を着けて何が何だかという思考に割入るように次々と投げられる叱責。
当然ながら少女の乱暴さ、そしてその中に残る甘さなど知る由もないニンジャは困惑に眉を顰める。

「…立派なモン……?…あぁ!これでござるか!
 これは拙者の自慢のタイケンでござって―――」

少女の懸命な宣戦布告を、自身の剣が褒められていると勘違いしたのか覆面の上からでも分かる程に笑顔を浮かべるニンジャ。
長い長い自慢話の幕開け。しかし演説じみたそれは少女がへなへなと地べたに座り込むことで中断となる。
むむ、と唸りながら異常を察知したニンジャはやがてポン、と己の掌を叩いたかと思えばそっと少女に近寄って、
 
「……なるほど!御主は腹が減っていたのでござるな!!
 それならば拙者の握り飯を食べるでござる!」

意気揚々とそんな風に断定して、ゴソゴソと何処からか取り出すのはご丁寧に四角形を形作る竹皮。
無論それの中身は言うまでもなく握り飯。暖かいとは言えないが、味わい腹を膨らますには十分。
一つだけ欠点があるとすれば具がない事だろうか、とにかくニンジャはそれを少女へ手渡そうとするだろう。
53 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/04(月) 23:54:28.33 ID:msQdDs3j0
>>51
真っ先に浮かんだ能力

【ヴァルキュリア】
通常の二本腕に加え、背中に四本の腕が生えている。
背中の四本の腕には斧がそれぞれ一本握られている。
また、腕二本には一本の巨大な斧が握られている。
そして合計5本の斧を使い戦闘可能。身体能力は常人並みだが、斧を両手でなんとか振り回す事の出来る怪力を有している
 
54 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/04(月) 23:56:11.02 ID:gmsDuKxf0
>>51
【ヴァルキュリア】
通常の二本腕に加え、背中に四本の腕が生えている。
背中の四本の腕には斧がそれぞれ一本握られている。
また、腕二本には一本の巨大な斧が握られている。
そして合計5本の斧を使い戦闘可能。身体能力は常人並みだが、斧を両手でなんとか振り回す事の出来る怪力を有している
55 :>>53【ヴァルキュリア】 [sage]:2016/04/04(月) 23:58:39.75 ID:nzqUmyAmo
>>53-54
なるほど
ストックにこういうのがあったのですね、ありがとうございます
頂きます

ちなみに異形系が能力宝石を使うとどうなるんですか?
56 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 00:00:09.90 ID:TZphqAn+0
>>47
ゆっくりと近づいて見るとそこにいたのは気が触れた能力者だった。
常人なら気絶しそうなスプラッターな場面を瑠璃はじっと見ていた。

「ジェーン・ジ・イーター………」
「ふふふ、有名人にお会いできて光栄だわ…」

瑠璃はこの能力者を知っていた。
虐殺を行う能力者は割と見慣れている。
しかし、人間を食べる能力者など他に見た事がない。
それ故、ジェーンの噂を聞いた時に瑠璃はしっかりと覚えていた。

瑠璃はゆっくりだが足を止めない。
確実にジェーンに近づいていく。

「ゴミを食べるゴミだなんてなんとまぁ愉快なお話ですこと…」
「ふふふ、ゴミにも種類があるって初めて知ったわ…」

ジェーンを見下して嗤う。しかしそこに油断はない。
瑠璃は常にジェーンの動きを観察し、傘を最速で動かせるように準備している。
そしてそのままジェーンとジェーンが食べている物がはっきり見える距離まで近づく。

「でもゴミはゴミね、食べ方が汚いわ……」
「そんなに忙しそうに食べたら血が飛び散るわよ…?」


//すいません、もう眠気が…
//返信は明日になりそうです…zzz
57 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/05(火) 00:05:00.90 ID:90Lg8xspO
>>55
任せます

人に転生も良し、異形のままも良し
ただ身体能力等のスペックは新たに取得した能力に置き換わります
58 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage]:2016/04/05(火) 00:06:32.53 ID:S1C7ziTSo
>>52
「だからちがぁう!!」

一向に意思疎通の取れないニンジャに困り果て、仕舞いには天に向けて怒号を響かせる始末

しかし当初の目的であった先立つものは、こうして食べるモノを手に入れ暖かな寝床で寝る為にあるのだ
目的のうち片方だけでも手に入ったことは事実。不満げに唸りながらも結局は握り飯を受け取り
「うぇぇ…、塩だけかよぉ」などと愚痴を零しながらも完食し、まんざらでもなさげな表情を浮かべていた。

今日もどこかをさまよい続ける燃える少女、相良遥歩
安定した収入と毎日の食事を手に入れ、段ボールと新聞紙の寝床から抜け出すのはまだまだ遠そうである

//そろそろ落ちます。ありがとーございましたぁ!
59 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 00:09:02.76 ID:B0tjaFbNo
>>56
「あたしってそんなにゆーめーなの?」

どーやらるりおねーちゃんはあたしのなまえをきいたことがあったみたい
よくわかんないけど、ゆうめいってことなのかな?ちょっとうれしいかも

「ゴミ?しゅるい…?うーん…よくわかんないや」

なんか、わらわれてるみたい
けど、なんでわらわれてるんだろ?
よくわかんないや
るりおねーちゃんは、いまはおなかへっていないしたべなくてもいいかな…
ふつーにあそべたらうれしいね!うん、そうだ!あとであそぼう!

「だってーたべかたなんておそわってないもん
 それかるりおねーちゃんがおしえてくれるの?るりおねーちゃんってせんせー?」

ごちそうさま
おねえちゃんがいうにはきたないたべかたでたべおえてごあいさつ
ふきふき、たべたひとの布でかるくくちのあたりをふく
きれいになった、よねっ
くびをかたむけてるりおねーちゃんにきいてみる
せんせーだったら、すてきね!おべんきょーもしてみたいし!

//大丈夫ですよ!それではおやすみなさいー
60 :>>53【ヴァルキュリア】 [sage]:2016/04/05(火) 00:10:52.38 ID:qFp6qWLyo
>>57
わかりました
この能力の場合だと
仮に異形を残しても戦闘に背中の手を使ったら駄目ということですね
61 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/05(火) 00:16:28.65 ID:cf96C2/o0
>>58
「はっはっはっ!!…と言いつつ、握り飯を頬張ってるではござらんか!!」

天に響く怒号は残念ながら神には届かず、目の前のニンジャのツボをつくだけに終わった。

「具の入れ方が分からないんでござるよ」などと、然りげ無く致命的な言葉を返しながらもその表情は不変の笑顔。
何だかんだ言いながらも自身の握り飯を完食し満更でもない表情を浮かべる少女に好感がわいたのだろうか。
どちらにせよ少女にとっては、このニンジャに好かれるなど喜ぶ要素は一切ない……だろう。

今日もどこかをさまよい続ける不完全燃焼なニンジャ。
人々の常識を理解し溶け込むには、あと半世紀は必要だろう。

//こちらこそありがとうございましたー!!乙ですっ!!
62 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/05(火) 00:16:38.27 ID:90Lg8xspO
>>60
そゆことですねぃ

フレーバー程度なら良いかもしれませんが、その行動が相手に結果を与えてしまうものはNGです
63 :フェア>>5【killer knife】 [sagaた]:2016/04/05(火) 00:36:32.74 ID:7lYl4C1ko
///まだ誰かいらっしゃいますか?
64 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/05(火) 00:48:30.34 ID:90Lg8xspO
>>63
いますよー
65 :フェア>>5【killer knife】 [sagaた]:2016/04/05(火) 01:04:32.39 ID:7lYl4C1ko
>>64
///すみません!せっかく返信いただいたんですが眠気が・・・明日もし機会があればぜひ!
66 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/05(火) 01:05:12.11 ID:Tj5Fa/xS0
>>65
はいはーい
ご丁寧に返信ありがとです
67 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 06:42:36.59 ID:TZphqAn+0
>>59
「えぇ、貴方はとっても有名よ…?」
「裏路地には人間を食べる異常な能力者がいるってね…」

話し方や内容を聞いている限りジェーンはかなり幼いようだ。
瑠璃にとってそれは非常に憎たらしい。
何故なら瑠璃には過去の記憶が無いからだ。

「あら、学校にも行ってないのね…」
「じゃあ先生ではないけど私が教えてあげるしかないわね…」

ジェーンに近づくにつれて死臭が濃くなってきた。
少しばかり吐き気がするが、そんな事は気にしてられない。
正しくは、それを気にするほどの余裕が瑠璃には無い。

「じゃあまず私が教えることは2つ…」
「1つめはゴミは所詮ゴミ、食べ方なんて教えても意味が無いって事…」
「2つめはゴミが食事をとらなくても済むようになる方法よ……」

瑠璃が傘を強く握ると雨をしのぐ部分が外れ、ステッキの様なモノになった。
一見ただの変形だが、このステッキには刃が仕込まれている。
ただのステッキだと思ったが最後、簡単に切り裂かれてしまう。
といっても瑠璃が振るうことはあまりないのだが。

「さぁジェーンちゃん、そこで少し待っててね……?」
「今私が教えられる距離まで近づくから……」

瑠璃は常に笑みを浮かべ、恐怖を感じさせないようにしている。
ジェーンが怖がらないようにゆっくりと近づいていく。
瑠璃の姿はジェーンには先生に見えるのだろうか?
それとも瑠璃の中に潜む怪物を見つけるのだろうか?

//返信遅くなりました…
68 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 09:00:39.79 ID:B0tjaFbNo
>>67
「いじょー?」

いじょー、これのいみはわかる
おかしいってことでしょ?え、あたしおかしいの?

「うんっ、だから行ってみたいの!
 ここやあのはくいのひとたちのところみたいにつめたーいところじゃなくって
 がっこうはあったかいところみたいだし!」
「るりおねーちゃん、せんせーじゃないのにおしえるの?へんなのー」

るりおねーちゃん、なんかあせってる?
なんでだろ?

「じゃああたしはこんなふうにたべてていいってこと?それともたべちゃダメってこと?」

るりおねーちゃんはなにをいってるんだろ?
たべないとおなかがへって死んじゃうのに
死?死ぬ…あっ!

「あ!わかったよるりせんせー!るりおねーちゃんはあたしを殺すんだね!」

うんっ!わかった!
たぶんいまのあたし、るりおねーちゃんみたいにわらってるね!
だってうれしいんだもの!
わかったんだもん、わかっちゃったんだもん!
69 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/05(火) 11:08:46.55 ID:dwJHeKMiO
オススメをひとつ
70 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(愛知県) [sage]:2016/04/05(火) 11:23:36.00 ID:c6v+MEwm0
>>69

【カウントダウン】
指先で触れた能力を吸収し、光線として放てる。五回まで溜めることができ、それ以上で暴発する
自身発動型の能力者に対しては指先に触れた時間に応じて能力を封じることが出来る。
威力は5に近いほど高まる。小刻みに放つことも可能。
71 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(長屋) :2016/04/05(火) 11:24:29.04 ID:2YiFVLzgO
>>69
【デストロイキッカー】
破壊不能の特殊なブーツを所持している。このブーツは破壊不可だが電気も熱も通すことが可能。
このブーツには三つのギミックが搭載されていて一つ目は靴裏から壁に刺すためなどに使う破壊不可の3cm程の棘が無数に飛び出す。この棘には電気、熱を通すことが可能。
二つ目はかかととつま先からそれぞれ一枚づつ薄い長さ10cmの鋭利な刃が飛び出す。この刃は薄いものの棘同様破壊不可だが普通の刃物同様熱も通せば電気も通る。
三つ目は靴の裏から一瞬のみだが勢い良く炎が飛び出す。これにより推進力を得れるが一瞬なのでせいぜい宙で回転することや一瞬後ろに下がる程度だがただの炎なので攻撃にも使用可能。また、再使用にはチャージのため自分のみで2レス経過させる必要がある。
これらのギミックは同時に出せるのは二つのみ、本人の身体能力は軍人並みだが脚力は超人の域であり、蹴り技の達人。
72 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/05(火) 11:31:08.09 ID:cf96C2/o0
>>69
【累乗付与】
凡ゆる装備、武器に対して、水、氷、炎、麻痺、毒の属性から2つまで付与出来る。
初期装備として好きな近接武器を装備している。
身体能力は軍人程度だが近接武器の扱いは達人。
73 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/05(火) 11:33:49.43 ID:dwJHeKMiO
>>70-73
最初のカウントダウンにします
ありがとうです
74 :【カウントダウン>>70】黒塗りの奇術師 [sage]:2016/04/05(火) 13:55:48.80 ID:dwJHeKMiO
【漆黒の燕尾に身を包む人影が不動、ぽつんと雑踏に取り残されてそこにいた】
【仮面に覆われた目元は伺えず、形のいい薄唇だけが三日月の様に微笑んでいる】
75 :【カウントダウン>>70】黒塗りの奇術師 [sage]:2016/04/05(火) 15:43:53.25 ID:dwJHeKMiO
落ちます
76 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 19:41:02.80 ID:TZphqAn+0
>>68
「えぇ、貴方は異常よ…?」
「今時カニバリズムなんて流行ってないもの…」

異常者は自分を異常と気がつかない故、行動がエスカレートする。
ジェーンはそれには全て当てはまらないが十分異常といえる。
能力者としての自覚があるかどうかすら、言葉からは判断できない。

「白衣の人達…?」
「……なるほど、ねぇ」

どうやら作られたタイプの能力者のようだ。
人間を平気で食べれるのは頭がいじられているからだろうか?
弄られていなかったらそれはそれで異常なのだが。

「さてと、立ち止まったままの雑談はそろそろ終わりね……」
「貴方の顔を見ていると私が何を考えているか分かったみたいだからね…」
「でも始める前にきちんと今から行う行動の理由だけは説明してあげる……」

ジェーンも心の準備が出来たようだ。
ならばあとは自分の欲望のままに手にした仕込み傘を振るうだけだ。

「私以外に特別な能力を持った奴は必要ないの……」
「私だけがトップ、私だけが特別、だってこの世界は元々私のモノ……」

「そんな世界に貴方がいると邪魔なのよ…?」
「だから貴方を消してしまえば一石二鳥なの……」
「私の世界からゴミが消えて、貴方は一生食事をとらなくてもすむ……」

「最高に合理的ね、さぁ、始めましょうか……!」

瑠璃の戦闘は常にシンプル、仕込み傘を振るうだけ。
瑠璃自体の身体能力はそこまで高くは無い。
しかし、瑠璃は仕込み傘の使い方をよく知っている。
どのように振るえば早いのか、どう力をいれると良く斬れるのか。

仕込み傘を真っ直ぐジェーンに向け、貫こうとする。
その動作は非常に単純だが、それ故素早い。
避ける事は簡単だが、たかが傘と侮り受け止めようとしたら瑠璃の思惑通り。
瑠璃の傘は一定の速度を超えた瞬間だけ刃が飛び出すようになっている。
もしジェーンが傘に触れようとしたならば、容易く裂かれるだろう。

//遅れました申し訳ない
77 :フェア>>5【killer knife】 [sagaた]:2016/04/05(火) 20:12:52.58 ID:7lYl4C1ko
公園を通り抜けるスーツ姿の男がいる
コツコツと足音だけが響く。
不気味な明るさの電灯を通り過ぎ、また闇の中へと消える。
78 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 20:14:08.67 ID:B0tjaFbNo
>>76
「かにばりずむ…?」

るりおねーちゃんはむずかしいことばばっかりつかう
あたしにはもうよくわかんない
だけど、いやだからかな?いつもよりもっとかんがえちゃう
…うーん、かんがえてたらおなかへっちゃったよー!

「のうりょく…?とくべつ…?せかい…?
 うーん、あたしにはむずかしすぎてよくわかんないや」

よくわかんない!
だけど、あのぼうはよくないってなんとなくわかる
なんでかっていわれても…せつめいできないけど

「うーん…おなかすいちゃったから、たべちゃうよ」

少女は仕込み傘を凶器だと直感で悟り、当たってはいけないものと理解した
だから、ジャンプして横の壁の瑠璃の頭の高さよりも高いところに飛びつく
瞬発力、跳躍力に関してはそれこそ獣並みであるからこその、芸当だ
そして、そのまま壁を蹴って瑠璃の真上から拳を振るう
重力と、壁を蹴った勢いによる加速
拳に取り付けられている装甲
死角になりやすい直上
拳を振るう、たったそれだけの単純な動作は三つの条件に支えられて大きな脅威と化していて―――


//いえいえ今宵もよろしくお願いします!それとしたらばのキャラページの11レス目にメッセージがあるので見ておいてください
79 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/05(火) 20:25:33.58 ID:4uWTo5mD0
異様な雰囲気で佇立する影は減り始めた歩みを止めない雑踏の中。
固く唇を結び見つめるのは春の空の北極星。一際大きな光が目映いばかりだった。
疲れた顔の行き交う街路、遍く闇が落ちる夜。頬を撫でる寒さに切なさを知った。
80 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 21:28:54.08 ID:TZphqAn+0
>>78
「貴方にはまだ難しい話かもしれないわね…」
「まぁ理解しなくていいわ、貴方が消えてしまえば同じですもの……!」

やはり初撃は避けられた。しかしそれでも十分。
ジェーンは一度のジャンプでかなりの高さまで跳ね上がる。
どうやら身体能力は獣と同じ程度という事らしい。

野生の獣の身体能力相手に少し強いだけの人間は勝てない。
しかも相手の獣は拳に装甲までつけている。
さらに仕込み傘は軽く作られている。重い一撃を受けることは絶対に出来ない。

「お腹がすいているなんて可哀想……」
「今すぐ楽にしてあげるからね……!」

瑠璃はわざと体重を崩し、前に転がる。
そして地面に背をつけて、寝転がったような態勢をとる。

この態勢はジェーンに腹を見せている事になる。
勢いのまま突っ込まれたら瑠璃は大変な事になってしまう。
しかし瑠璃はそのリスクを負うことにした。

「貴方は話していてとっっっても嫌な相手だわ……!」
「私が常に悩んでいるのに貴方は悩みすら抱えていない…!」
「あぁ妬ましいわ、妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい……!」

瑠璃はその態勢のまま仕込み傘を真っ直ぐ構え、ジェーンの動きを見る。
拳に装甲があるものの、それ以外は恐らく堅くないだろう。
ならば装甲以外を貫く事が出来れば、大きなダメージを与えられるはずだ。

しかし相手は獣、どこまで俊敏に動くか分からない。
直前まで動きを見て、そして突きが入る一点を探す。
瑠璃の筋力、精密性、俊敏性はどれもジェーンに劣っている。
これでは到底勝ち目は無いが、瑠璃には仕込み傘がある。

仕込み傘の扱いだけならば他の何物にも負けない。
一切無駄が無い、一点に集中した一撃は他のどんな攻撃よりも凶悪。
瑠璃が確信をもって信じられる唯一の技術。それがこの仕込み傘の扱い。

一騎打ちにも似たこの場面、果たして結果はどうなるのだろうか?
81 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 21:46:37.82 ID:B0tjaFbNo
>>80
るりおねーちゃんはねころんでる
ねころんで、あぶないぼうをまうえにあげてる
たぶん、あれであたしをくしざしにしたいんだ
うん、わかったよ

「おねーちゃん、かんがえすぎじゃない?
 だからおなかがへってイライラしちゃうんだよ」

首から下を覆うボロキレ
これで左手を隠しつつも、右手は伸ばして相手を穿たんとする
仕込み傘での刺突、完全な位置へのそれは―――
少女を覆う布に刺さった
そして、硬いものに当たって逸らされる
硬いもの、それは左手の装甲

流星のように、装甲に覆われた右手は下へと向かう
地面と拳、その間には肉があるのみ
先の刺突は無意味だったか?いや違う
拳の狙いも、やや逸れた
回避は多少なりとも、容易となった
82 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 22:01:39.40 ID:TZphqAn+0
>>81
「考えすぎ……?!」
「全く、本当に貴方はゴミ屑そのものね……!」

最初にジェーンに話しかけた瑠璃はもういない。
今いるのは嫉妬に狂い正しい判断が出来なくなった瑠璃だ。

瑠璃の一撃は拳の装甲によって逸れてしまったようだ。
だがジェーンの拳も同時に逸れた。回避は容易い。
しかし瑠璃は正しい回避行動を取らない。

体を少し動かし、即死しない位置にずらすだけ。
そしてジェーンの拳は瑠璃の体を簡単に貫く。

「あぁ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……!」
「でも貴方を仕留められる可能性があるならばこの程度じゃ屈しない…!」

表情は激痛に歪み、笑みを浮かべる余裕も無い。
体から溢れる血が水溜りを作り出してしまった。
折角の服が汚れてしまう。しかしそんなことを考えている余裕は無い。

今の瑠璃を動かす感情、それは妬みや憎しみといった負の感情。
その感情達が瑠璃を支配していた。
ジェーンを何が何でも[ピーーー]、それしか考えられなくなっている。

傘の取っ手に指をかけて一回転、そして暗殺者のような持ち方に変える。
左手は全力でジェーンの髪の毛を握りしめようとする。
体を抉られたままジェーンを仕留める気のようだ。

完全に密着している状態で攻撃を躱すのは困難だろう。
しかも今回の一撃は瑠璃のリミッターが外れかけている状態から放たれる。
今までの一撃よりも多少素早くなっているだろう。

もし躱されれば瑠璃は気力を失い、ジェーンの餌になってしまうだろう。
だが一撃でも決める事が出来れば、ゾンビの様に起き上がるだろう。
83 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 22:08:28.39 ID:B0tjaFbNo
>>82
「あ、―――」

まっかだ、まっか
すっごくあかい
―――――たべたい、

そこで、名もなき少女の人は完全に途絶えた

右手を、ずぶりと肉から引き抜く
そして、左手が髪に触れるのとほぼ同じタイミングでその左手を両手で握りしめようとする
それが叶えば、あとは想像通りだ
――――左腕を、口元に運んで
喰らう、のみ
84 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 22:22:25.22 ID:TZphqAn+0
>>83
髪を掴もうとしたはずの左腕に違和感を感じた。
しかしその時にはもう遅かった。
瑠璃の左腕はジェーンに食べられていた。

「…………!!!」

声にならない叫び声を上げる瑠璃。
痛みの感覚を超えたような、もはや表現すら出来ないような痛み。
瑠璃は右手の仕込み傘をひたすらに、何度でもジェーンに突き刺そうとする。
腹、腰、首、狙いはバラバラだが一撃の正確さは失くしていない。

止まれ、死にたくない、だけど仕留めたい、様々な感情が瑠璃の中で暴れる。
もう終わりなのだろうか、瑠璃の体は限界に近い。
しかしジェーンの方は獣の本性丸出しで左腕を喰らっている。
仕込み傘を刺して止められるのだろうか?
85 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 22:34:57.59 ID:B0tjaFbNo
>>84
おいしい、やっぱりおいしい
けど――うるさいなぁ

狙いが定まらない連撃を受け、しかし大きな傷を負わない獣は食らい続ける
左手の肉を食らい、食らい続ける
筋肉も、すべて
骨が露わになるまで
全身から血が流れても
どちらかが意識を手放すまでは
86 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/05(火) 23:09:54.55 ID:TZphqAn+0
>>85
徐々に傘を握る腕から力が抜けていく。
もう瑠璃の命は限界のようだ。
あまりのも多くの肉と血液を失いすぎた。

瑠璃は遠のく意識の中、ひたすらにジェーンを憎んだ。
どうして私が全てなのに、と何度も繰り返しながら。

ある程度食べていれば気がつくだろうか。
瑠璃の体は他の人間とは違い機械的に作られた体だと。
味の違いが分からなければ瑠璃は死んだまま嗤うだろう。
所詮ゴミ屑ね、と……


//ロールありがとうございました
87 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/05(火) 23:23:52.05 ID:B0tjaFbNo
>>86
「おいしくない…ごちそうさま」

おいしくない
おいしくないからかんがえられるようになちゃった
うーん… なんだろう、
どっかちがうんだよね………
あたし、この肉はいやだな
きらい

だから、たべのこしたままここからいなくなるの
かべをけって、おくじょうにのぼって、つきをみあげる
―――たのしかったな、またあいたいな
//では私もこれで〆で…ありがとうございました!
88 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 08:46:08.90 ID:kA+t0q2g0
てす
89 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/06(水) 11:36:51.30 ID:2BipVBYK0
とある昼下がり、人も疎らで普段の街の喧騒はない。
そんな街のとある通りを祇方院酸漿は歩いていた。春休みももうじき終わる、その短い残りを酸漿は散歩に充てることにした。
まだあまり見慣れない街並み、しかし嫌いではない。特に今の時間帯は好きだ。平日の昼間、陽の光は心地良く、いつもの街の煩さは存在しない。そこにあるのは安寧、安心し過ごせる平和な街。
今だけは平和を感じることができる、普段は平和のへの字もないこの街が唯一安心して過ごせるとき。

「――あら、どうしたのですか?」

ふと、自分の足元を見ると猫が身体を摺り寄せてきていたことに気付く。可愛らしい仕草に思わず顔が綻び、しゃがみ込むと猫を撫でる。
柔らかい毛並みに感じる体温、それはこの猫が生きているという証。それを感じるとなんだか安心する。あぁ、生きているのだな、と。

「何か、食べさせてあげるものがあれば良かったのですが……」

ポケットの中を探るもそれらしき物はない。しまったな、と少し残念に思うとまた猫の方へと。
動物相手になら、どんなに感情を晒せるのに普段はなぜあぁも無感情になってしまうのだろう、もし今彼女を知っているものがこの光景を見れば腰を抜かしたりするのだろうか。
そんな無駄な妄想をしながら酸漿は猫と戯れるのだった。
90 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/06(水) 12:55:22.30 ID:LH1MXL4c0
店の中から聞こえる威勢のいい声、不審者がまた出たから気を付けろという声が聞こえる。
町の中でも人が沢山いる大通りを大きなレジ袋を持った青年夜霧晴斗は歩いていた。
彼は町に一つしかない児童養護施設に足を進めていた。

「このペースだと昼頃には着けるな」

早くいかないと子供たちのために買ったアイスが溶けてしまうと彼はそう思いながら足を進めていたがその足は突然止まった。
彼が見ている方向には大きな荷物を抱えた老婆がいた。
すぐに彼はその老婆に駆け寄って。

「荷物持ちますよ」

ああ、またやってしまったと思いながら彼は老婆と溶けたアイスとともに歩いて行った。
91 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage saga]:2016/04/06(水) 13:42:37.63 ID:IQEId8IMO
能力者による破壊と殺人が続くこの街は、まるで世界中の能力者をそこに留めておく為の監獄のような役割を果たしている
無限にも等しい財源から湧く金で、崩壊した都市はみるみるうちに再建され、この界隈では建設業に携わる能力者もそう少なくはない

「あーもー…いっそがしィ…」
「こんな仕事…安請け合いすんじゃなかった…」

セメントが満載された袋を担いであちらこちらを往復する少女もそのうちの一人である
倒壊したビルの再建作業は、人手が多いに越した事はない。進捗としては瓦礫の撤去がようやく終わり、新たな土台の建設に差し掛かった所であった
老若男女問わず体力に自信のある者募集との広告に引き寄せられ、周りの屈強な男達に混じってこの少女もやってきたのが今日の朝のことだ

「うるせェ…あたしは…っ…はぁ…まだバテちゃいねェ…!」
「ところで…はぁ…昼飯代は…経費から出るんだよな…?」

嬢ちゃんがバテた所で昼飯にするかとの親方の言葉に噛み付くようにして声を荒げる
それだけ吠えれるならまだ働けそうだなと睨みつけられ、しかし腹が空いたのも事実
悔しさに顔を赤らめ歯を食いしばり、セメントの詰まった袋を投げ捨てて、軍手をベルトの間に挟んで腕を捲った

「…んっ…んむっ…うめェ…」

いい汗をかいたばかりの身体にはまだ少し冷たいくらいの風が首筋を撫でる心地良い昼下がり、仕事の合間ののコンビニ弁当はやけに美味しい
92 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/06(水) 15:15:12.26 ID:LH1MXL4c0
老婆にありがとうとお礼を言われて大通りに戻ってから袋を確認したらアイスが溶けてしまっていた。

「しまった…」

口からそう漏れてしまうがもう後の祭りだ。諦めて新しい物を買おうとしてきずいたがもうお昼だ。
食事できる場所がないかと辺りを見回すと倒壊したビルを工事しているのが見えた。

「まーた壊れたのか」

そう言った後にまた探し始めると一軒の店が目についた。その店はいかにも年季の入った店だった。

「あそこにしよう」

誰かに言うわけでもないのに自然と口にしていた。
そして、その店から出てくる美味しそうな匂いに胸を弾ませてその店に入っていった。
93 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 17:13:37.53 ID:kA+t0q2g0
「あはははっ!!ここは楽しいなぁ!」

満面の笑みを浮かべながら大通りのド真ん中を歩く少女、メリー。
彼女は刺激を求めてここ、能力者の集まる街へやってきた新参者である。

右を見れば光を身に纏った少年が腕から棘を生やした邪悪そうな大男を圧倒し、左を見ればフードを目深に被ったいかにも怪しい男が一癖も二癖もありそうな美人に声をかけ、何やら親しそうに会話をしている。
倒壊したビルの間の路地裏に少し足を延ばして散策すれば当たり前のように死体が出てくる。
そんな何でもアリな混沌とした街の様子に彼女は

「うん!ここなら退屈しなさそうかな!」

見たもの全てに駆け寄って行き一通り巻き込まれた後、満足気に笑うのであった。
94 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 18:23:19.71 ID:zXMz4rDO0
>>93
少女が興味に手を引かれて駆けた先に、この場に不似合いな女性がいた。
修道服を纏い、屈託のない笑みを浮かべた小柄で優しげな女性である。しかしその足下には下半身のない死体があった。
彼女は死体の前に膝をつき、弔いの言葉をかけていた。だがもしその言葉を聞いたなら一種の狂気を孕む一文が少女の鼓膜を揺らすだろう。

「死。それは貴方への愛なのです。」

/時間があまりないので短文気味&落ちのおそれがあるのですがよろしければおねがいしますです
95 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 18:48:53.60 ID:kA+t0q2g0
>>94
「おおー、シスターだっ」

この街で起こることへの期待に胸を膨らませ、辿り着いた先で出会ったのは修道服を身に纏った女性と下半身のない死体。
これは何かありそうだぞ、と踏んだ少女は迷いなくシスターと形容した女性へ駆けていく。

「初めましてシスター!」
「ねーねー、このグロいのシスターがやったの?」

元気よく挨拶する少女の耳に飛び込んで来たのは狂気を帯びた女性の言葉。
その言葉にたじろぐ事もなく純粋な疑問を投げかける。

/こちらこそよろしくお願いします!
96 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 18:59:14.14 ID:zXMz4rDO0
>>95
「あら、初めましてお嬢さん。」

声のした方を見やり、変わらず屈託なく笑って見せる。間違いなく、その笑顔の中に他意はなかった。
「グロテスク」というワードが引っかかったようで、彼女は簡素な挨拶のあとすぐ様「この方は幸ある姿になったのです。」と正した。
そして彼女は「ですが」と逆説気味に続ける。殺意の片鱗も見せずに。

「この姿にしたのはまぎれもなく私です。私はこの方を心から愛しました。」
97 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 19:16:45.93 ID:kA+t0q2g0
>>96
少女の元気の良い挨拶に、女性はその顔に人を殺したとは思えない屈託のない笑顔を浮かべた。
女性は少女の発言を訂正した後に彼女の質問に答えた。

「…じゃあシスターは好きな人を幸せにする為に殺しちゃったの?」
「ん〜、メリーは好きな人殺しちゃおうとは思わないなぁ〜」

少女は幼い思考回路で彼女の言葉を理解しようとし、一つの結論を出した。

「あっ、もしかしてシスターって変態なの?」
「それなら納得かなっ!」

出会って一分も経たない殺人者に変態と言い放てる少女の度胸は褒めるべきかも知れない。
98 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 19:27:34.43 ID:zXMz4rDO0
>>97
「いいえ、この方は死こそ最大の幸せだったのです。
この世ではなく、あの天にいるほうが良いのです。
これが私の愛なのです。」

つらつらと変わらない動機を少女へと返す。それはそれは優しく、穏やかな口調で、時折「ふふ」と笑いながら。

「変態ではありません。私は隣人を愛しているに過ぎないのです。」

屈託なく笑っていた顔が少し曇る。といっても殺意苛立ち憤慨などを見せたとかではなく、困り顔になったのだ。
どうやら変態というワードが存外効いたらしい。

「ちなみにあなたの口ぶりだと、この方は私の恋人だと認識しているようですが、違います。
私は他人(ひと)を等しく愛すのです。もちろんあなたのことも愛していますよ。」

小首を傾げて笑みをこぼす。少女の怖いもの知らずな純真さとは真逆の狂気じみた純真さがその陰にた。
99 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 19:31:27.92 ID:zXMz4rDO0
>>98
/脱字です。最後の最後「その陰にいた。」です。
100 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/06(水) 19:40:00.50 ID:XNJ+4qKl0
>>92

「もう……5分も遅刻だよっ、私お腹ぺこぺこ!」

夜霧が店の中に入ると、BOX席に座っていた少女が片手を振るのと共に夜霧に声をかけた。
見知らぬ少女だ、だが周りの人々は少女と夜霧が知り合いだと思っただろう。
満面の笑みで夜霧を自分の対面の席に座るよう促す少女に夜霧はどんな反応をするか……。
101 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 19:50:50.27 ID:kA+t0q2g0
>>98
「隣人?…隣の人?この人隣に住んでた人なのかな…」

少女の言葉に顔を曇らせた彼女の口から出た隣人というワードが上手く飲み込めなく、混乱する少女。
だが、続く彼女の言葉でなんとか落としどころを見つけたようだ。

「あーわかった!シスターはこの人だけじゃなくてみんな大好きで」
「大好きな人は殺しちゃうんだね!」

彼女の言葉を少女が本当の意味で理解しているのか怪しいが、少女なりの言葉で理解していることを表現する。

「愛してるって…そんなこと言われたら照れちゃうな〜」

純真な狂気に晒されながらも、それに気づいた素振りも見せず照れくさそうに少し俯き、後ろ髪を掻く少女。
だか少女は突然何かに気づいたようにばっと顔を上げ

「んっ!?もしかしてシスター、愛するメリーのことも殺しちゃうんじゃ!!」
「ねーシスター?メリーまだ生きてたいんだけどー!」
102 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/06(水) 19:52:25.52 ID:LH1MXL4c0
>>100
何を頼もうかと考えて店の戸を開けたら見知らぬ少女から声をかけられた。
誰と言おうとしたが周りの人々は少女と自分が知り合いだと思っているようで言いにくい。
しかも少女は満面の笑みだ。仕方なく

「あ…ああ、すまないおばあちゃんが困ってて手を貸したんだ」

そう言いながら促されるまま少女の前に座った。そして、今一番聞きたいことを周りに聞こえないようにして言った。

「君は誰だい」
103 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 20:04:30.91 ID:zXMz4rDO0
>>101
「惜しいですね。半分当たりです。
私はたしかに世界中の人や動物、それ以外の方々も愛しています。誠意をもって心から。
ですがだからといって命を奪うなんてことはしませんよ。あくまでその人の最善を辿る手助けをするのです。」

臍の下あたりで重ねていた手のひらを解き、片手を目の前に出して、人差し指を立てる。そしてまた苦笑を浮かべながら少女の言葉を正すのだった。
普通殺人を犯した人間ならばすでに少女に手をかけているだろう。しかし彼女は動揺の一つすら見せない。何故なら、

「ーー愛しているから。」
「愛しているから、あなたを[ピーーー]なんてことはしません。あなたはまだ子供でしょう。そんな子供の若い命を摘み取ってしまうなんて、それは愛ではありません。主が哀しみます。」

純真無垢な彼女(マザー)から、慌てながら命をこう純真無垢な少女(メリー)へ、向けられる殺意など、あるはずもなかった。何故ならーー
104 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [saga]:2016/04/06(水) 20:05:35.13 ID:zXMz4rDO0
//ピーーーー

>>101
「惜しいですね。半分当たりです。
私はたしかに世界中の人や動物、それ以外の方々も愛しています。誠意をもって心から。
ですがだからといって命を奪うなんてことはしませんよ。あくまでその人の最善を辿る手助けをするのです。」

臍の下あたりで重ねていた手のひらを解き、片手を目の前に出して、人差し指を立てる。そしてまた苦笑を浮かべながら少女の言葉を正すのだった。
普通殺人を犯した人間ならばすでに少女に手をかけているだろう。しかし彼女は動揺の一つすら見せない。何故なら、

「ーー愛しているから。」
「愛しているから、あなたを殺すなんてことはしません。あなたはまだ子供でしょう。そんな子供の若い命を摘み取ってしまうなんて、それは愛ではありません。主が哀しみます。」

純真無垢な彼女(マザー)から、慌てながら命をこう純真無垢な少女(メリー)へ、向けられる殺意など、あるはずもなかった。何故ならーー
105 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/06(水) 20:07:03.83 ID:XNJ+4qKl0
>>102

「ふーん……君は優しいもんね、そういう事情なら許すよ!」
「さっ、なに食べるー?私はこれにしようかなって思ってるんだけど……メニューが豊富で悩んじゃうね」

座った夜霧と知り合いらしく話を広げる、少女はメニューを見て悩む素振りを見せたりしている。そして、夜霧に「誰だ」と尋ねられると顔を近づけて声を小さくして。

「私はアイナだよ。
あのね……お財布忘れちゃったの、私の分も払ってくれない?あとで必ず返すから、お願い!」
106 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/06(水) 20:26:37.27 ID:LH1MXL4c0
>>105
聞いてみたら彼女はアイナと言う名前らしくそれに続けて驚く返答が帰ってきた。
アイナはサイフを忘れたらしく奢ってほしいと言ってきた。
正直頭がついていかない。だけど、そのついていかない頭で俺は答えを返した。

「俺が奢るからお金を返さなくていい」
「――ただし俺の質問に答えてくれ」

ただで奢ってもよかった、が気になることがあるためアイナにそう返した。
107 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 20:28:24.83 ID:kA+t0q2g0
>>104
「んっ!メリーはシスターに殺されないのか!よかったよかった!」

彼女の言葉に取りあえずほっと安心する少女。
そして彼女の訂正によりやっとこさ彼女の愛を理解出来た様子の少女

「んん?…子供が大事で、人を愛して、誰でも助けてあげる…」
「何かシスターって普通のシスターっぽい!!」

ここまでで1番の驚きの声を上げる少女。
普通のシスターは殺人などしないのだが足元に転がる下半身の無い死体は既に少女の記憶から消え去っていた。

「うわわ、じゃあシスターは変態じゃなくて、良いシスターだったんだね!」
「ごめんなさい!」

少し慌てた様子でペコリと頭を下げ、少女を
ーー取り分け少女のみを愛している訳ではなく、【全ての人】に含まれるからなのだろうがーー
愛してると言ってくれた彼女に謝罪の意を見せる。
108 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/06(水) 20:34:08.60 ID:XNJ+4qKl0
>>106
「あ、ありがとう……!」
「ん、なになに?なんでも答えてあげる!」

夜霧の言葉に少女はほっと胸を撫で下ろし、そしてお冷を飲んでから夜霧にそう返答した。どんな質問が来るのだろう、少女は夜霧の顔を見つめながらそれが来るのを待つ。
109 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 20:44:14.02 ID:zXMz4rDO0
>>107
「ええもちろん、それがあなたの幸せではないですから。」

ふふ、と小さく笑い小首を傾げてみせる。そしてまた両手を臍の前で重ねた。
張り付いているのかと疑うほど笑顔は絶えない。

「そうです。私はあくまで普通なのです。分かっていただけてよかった。」

驚嘆がより前面につんのめった声を張り上げた少女に対し変わらない平坦で穏やかな態度のまま、心からよかったと胸を撫でおろした。
「愛を理解されること」ーーそれはつまり愛されることと同義。これほど嬉しいことはない。

「いいえ、よろしいのです。
ですが、私以外の人に変態、なんて言葉は使ってはいけませんよ。世の中みな私のように人を愛してやまないわけではないのです。
だから言葉とは選んで使うものなのです。」

罪悪感を感じこうべを垂れる少女に、慈愛に満ちた返答をしつつもその後にいくばくか説教じみた言葉を与える。
そして「分かりましたか?」とまた人差し指を立てた。
110 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/06(水) 20:44:17.64 ID:cHRYRL/O0
>>89
陽光燦然、毎日のように能力者無能力者問わずに争いが繰り広げられてる街とは思えぬ程の穏やかさ。
街路樹替わりに生える桜の花びらが舞い踊るその景色は、観光客が訪れても不思議ではないだろう。
そんな少女にとっては理想とも思える時間、ふとそれを割くかの如く人の気配が近づく。
コツコツと態とらしい足音は一定の規則を保ち、ある程度の距離まで近づけば不意にそれは途絶え、

「おぉ!鮭太郎ではござらんかっ!!」

穏やかな静寂を打ち破る大声と共に、黒装束に身を包む一人の男が戯れる猫へと駆け寄る。
鮭太郎、というのは恐らく少女に懐いた様子でいる猫の事だろう。
突如響いた言葉にビクリと反応を示す猫に構わず、わしわしと多少乱暴な手付きで背中を撫で回す。
春の陽気でおかしくなったのではないかと思う程の奇怪な服装の男性が猫を撫でる、なんとも微妙な光景だろう。

「……む、御主は?」

そこでふと、今更感の漂う質問を少女へと投げかける。
微かな風音と猫の唸り声だけが響く静かな時間、それは唐突にも終わりを迎えた。
111 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/06(水) 20:44:41.11 ID:LH1MXL4c0
>>108
どうやら質問に答えてくれるらしく安心した。
そして、考えていた質問を投げかける。

「まず一つ目、なぜ俺のことを知っている」

「二つ目、親はどうしたんだ。一人じゃ危ないだろ」

それに続けて最後の質問を強めに、そして笑って言う。

「そして三つめ―――なぜ財布がないのに店に入った?」

112 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/06(水) 21:12:06.86 ID:XNJ+4qKl0
>>111

「えっ?君のこと私は何にも知らないよ。名前もわからないしさー」
「ただ、私が財布を忘れたことに気づいて困ってた時に君がタイミング良く入ってきて……あははっ」

「……もう墓の中だよ、ん?一人で生きていける力があるから危ないことなんてないよ」

一つ目の質問に少女は明るく答えた。
偶然入ってきた夜霧をこの少女は利用することを閃いて、実行しているのだ。
二つ目の質問に少女は平然と答えた、両親の他界はもうとっくの昔に乗り越えたようだ。
そして、三つ目……。

「……空腹に耐えられなかったの。最近まとまった収入がなくてそうめんしか食べてなかったから、このお店の美味しそうな匂いにつられて……」

パーカーの猫の耳のように見える二つの突起を手で抑えて夜霧に謝った。

113 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/06(水) 21:12:28.75 ID:2BipVBYK0
>>110

酸漿の静かで心地良い時間はその大声とともに終わりを告げる。
こちらへと近づいてきたのは見るからに謎の男。その風貌は世間で言う"忍者"の格好で、怪しさしか感じられない。コスプレといった様子ではない、この街には確かに時々おかしな服に身を包んでいる者も少なくはない。
しかしこんなに見るからに怪しい相手は初めてで、一瞬フリーズしてしまった。

「……鮭太郎…?」

そう言って猫を少し乱暴に撫でるこの男。その様子は猫に悪意を抱いているというわけではなく、あくまで可愛らしさで撫でていると見てわかる。
ならば悪い人間ではないだろう、自論だが動物を大切にできる人に悪い人は居ない。そこで自分が何者かと尋ねられ酸漿は答える。

「たまたまその猫…鮭太郎さんが寄ってきたので戯れていたんです。良いですよね、猫」

そう言うと猫に向かい少し微笑む。人を前にするとやはり少しぎこちなかなってしまう。
その仕草で猫に敵意は無いということは分かるだろう。

「あの、鮭太郎さんを撫でても良いですか?」

猫にさん付けをするというのも変な話だ。酸漿はそう言って一応飼い主のようである目の前の男にそう尋ねた。
114 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 21:14:59.04 ID:kA+t0q2g0
>>109
彼女の許しの言葉に顔を上げると先程から変わらない笑顔がそこにはあった。
これまた普通の人間ならば狂気、もしくは違和感を感じるところであろうが、少女はただえへへと笑うのみである。

少女は月並みに例えるのなら大きな白い紙。
幼さ故に未だ何者にも染まらず、一般論や正義に縛られない少女だからこそ、彼女の愛を抵抗なく理解できるし、殺人を犯したシスターのことを“いい人”と結論付けることが出来たのだろう。

「ん〜、メリーは変態には変態って言っちゃうな〜…」

耳の痛いシスターの説教を終わらせるために少女は偶然視界に入ったものを話題に挙げることにする。

「あ、そういえばさ、シスターは何でこの人を殺しちゃったの?」
「死ぬのが幸せって、この人はシスターに『殺してくれ〜』って言ってきたのかなぁ?」

地面に転がる下半身の無い死体を指さし、『殺してくれ〜』と死体の生前の様子をおどけた様子で演じる少女。
勿論少女はシスターの“いい人”という評価に疑問を持つことはない。
ただ話題を変えるために質問したに過ぎないのだが、殺した当の本人である彼女はどう思うだろうか。
115 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/06(水) 21:27:09.62 ID:cHRYRL/O0
>>113
「おぉ!鮭太郎が……うむっ!この可愛らしさがなんとも……」

依然変わらぬ様子で猫を眺めて、ぎこちなくも優しい微笑みを向ける少女。
元より警戒していた訳でもないのか、覆面の上からでも分かる笑顔を刻みつけながら言葉を返す。
自然や動物を愛する――という点では、恐らく男も共通しているのだろう。

「勿論でござる!……というよりも、拙者も勝手に名前をつけているだけでござるからな……」

ごろごろと喉を鳴らす猫の顎を撫でながら、ポツポツと言葉を紡いでいく。
それは暗に正式な飼い主ではないと言っているようだが、付き合いは決して短くはないようで猫も穏やかな表情を浮かべている。
元々人懐こい性格なのか、猫は決して撫でられることを拒みはしないだろう。

「拙者は月影虎次郎でござる、御主の名は?」

と、夢中で猫を撫でる最中不意にニンジャの方が少女へ名を尋ねる。
いつまでも御主と呼ぶのは些か不便と感じたのだろう、ニンジャは肉球を指で触りながらジッと少女の顔を見据えた。
116 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/06(水) 21:28:34.98 ID:LH1MXL4c0
>>112
質問にアイナはこう返してきた
一つ目の質問の答えはよく考えたらわかっていたものだった。少し悔しい。そして、

「すまんデリカシーがなかった」

どうやら二つ目質問の答えは乗り越えているようだ、が謝らずにはいられなかった。
そして三つ目の答えを聞いて俺は、世話になっていた児童養護施設の住所を書いた紙を差し出した。

「その住所に行けば飢えはしのげる」

そうした後俺はまだ名乗ってないことに気が付いた。

「俺は夜霧晴斗だ晴斗って呼んでくれ」
117 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 21:36:17.60 ID:zXMz4rDO0
>>114
白紙の如き心に彼女の愛が書き込まれた。それは金輪際揺るぐことはないのか。少女という紙の上に修正液がまかれないことを祈る。

「いけません。いつか痛い目をみますよ。」

少しムッとして語調が荒くなる。といっても先ほどまでの穏やかさがほんの若干薄れた程度のものだから、恐怖とかいう印象は全く与えないのだが。
そして「分かりましたか?」と念を押そうとしたのだが、それは少女の声に遮られた。
これまた殺意を向けられてもおかしくない言葉と態度を投げかけられる。しかし彼女は憤怒だとか動揺をするどころか、戯ける少女を見て可笑しくなったのか、口を抑えて少し笑っているようだった。

「いいえ、この方に頼み込まれたのではありません。私がそう判断したのです。
この方は酒やタバコ、性、暴力など。そんな負のものに囲まれて生きていたのです。
結果的に自分自身を傷つけることに快楽を見出してしまうのは、幸せではありません。
一度天へ逝き、主の裁きを受け、そしてまたこの世に生をうける。つまり輪廻という円環に入ることが最大の幸せだったのです。
だから私はそれをこの方に与えたまでなのです。これは紛れもない愛情によるものなのです。」

終始彼女は落ち着いて話していたが、その言葉の一つ一つに魂がこもったような、力強く妙な説得力を持っていたという印象を受けるだろう。
それほどまでに彼女は、心からそう信じているということだ。
118 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/06(水) 21:38:51.00 ID:2BipVBYK0
>>115

「そうなのですか?てっきり飼い主の方かと…」

しかし猫はかなり目の前の男に懐いている様子。飼い主では無くてもその親密さがよく分かる。動物というのは人の悪意を読み取ることが出来るという、それ故に動物は自然と優しい心を持つ人に近づく。
この男に不信感などを抱かなかったのはこの猫のこともあったからだろう。

「月影虎次郎…なんだか古臭い名前ですね。
私は祇方院酸漿と申します、以後お見知り置きを……と言っても会うかどうかは分かりませんが」

そう言うとしゃがみ込み、酸漿は猫を撫で始める。今のが失礼なことだということに気付いていないらしい。
人の名前に古臭いなど初見の相手に対してはあまりに不躾。しかも名前を名乗った後のものも言う必要は無いはずだ。そんなことが判断出来ないからいつも酸漿は一人なのだろう。世間知らずというよりはただの無知、いや礼儀知らずなのだろうか。
しかし猫を撫でているその様子からは、さきほどのような刺々しい様子は見られず、むしろ和やかな雰囲気を感じ取る。

「そういえば、月影さんはなぜそのような格好を?近くで仮装大会といった大会は開かれていないと思うのですが……」

またしても失礼なことを言う。しかしそれは純粋な疑問、酸漿は不思議そうな顔をして月影を見るのだった。
119 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/06(水) 21:57:31.69 ID:cHRYRL/O0
>>118
「ふふ…そうでござろうっ!?古き良き名というものでござる…
 祇方院酸漿……難しい名でござるなっ!酸漿殿と呼ばせていただくでござる!」

古臭い名前、そのワードが本来失礼だと当たるものに気付いていないのはどうやら酸漿だけではない様子。
気にしないというよりも気付けないという方が正解か、どちらにせよこの二人、どこかずれている。
名前を答えてくれた、その事実がなによりも大事らしく変わらず覆面の下はニコニコと満面の笑顔。
酸漿と虎次郎が生み出す穏やかな雰囲気に呑まれるように、猫も嬉しげに一鳴き。

「……仮装大会?よくわからんでござるが……これが拙者の正装でござるよ」

素朴な疑問に対し紡がれる返答はあまりに衝撃的なもの。
明らかに一般人が、それも大会以外の場で着用するような服装ではないそれが日常的に身に付ける正装だと言う。
ふふん、と何処か自慢げに胸を張るニンジャの姿はどうにも場違いというか、非現実的だろう。
120 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 22:04:50.20 ID:kA+t0q2g0
>>117
説教から逃れる為に話題を変えようと試みた少女は、口を抑えて笑っている様子の彼女を見て、自分の思惑通り説教を逃れることが出来てその薄い胸を撫で下ろした。

「リンネ……円環…?」

わからない単語の混じる彼女の言葉に所々首を傾げながらもなんとか解読しようとする少女。

「シスターはを体に悪いことをしてる人を殺してリセットしてあげてるってこと?」

彼女の言わんとしていることをザックリ掻い摘んで自分の言葉で訳す少女。
さらに少女の言葉は続く

「メリーも少しお酒飲むけどさ、それって悪いことなのかなぁ?」
「焼き鳥なんかと一緒に飲むととっても美味しくて最高なんだけどなぁ」

彼女の趣味は食事。
となれば未成年だとかに縛られない彼女は勿論酒の味を知っているだろう。
確固たる信念を持ったシスターの言葉に、少女の打算などない純粋な疑問がぶつかる

「あ!シスターにお酒飲んで貰おう!量を考えれば…!」
「あ……でもシスターはシスターだから飲めないか…」

少女はお酒は悪いものじゃないということを伝えるため、ぶつぶつと何かを呟きながら考え込んでしまう。
121 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/06(水) 22:18:43.11 ID:2BipVBYK0
>>119

「はい、どうとでも呼んでいただいて結構ですよ」

不思議な人だ、と酸漿は思う。普段は自分に話しかける人は、会話をしているうちに去っていくことが多い。それが自分に原因があるということは分かっている、しかし治そうとは思っていなかった。両親はそんな自分を治そうと一人暮らしをさせたのだろうが、自分は今で満足している。
なのにこの月影という男は、そんな自分に嫌な顔一つ示さず、むしろ大きく笑い飛ばしてくる。それが酸漿には不思議でならなかった。

「正装…?その…忍者のような姿がですか?」

こんなものを普段から身につけているなんて不思議どころではない、変人だ。
胸を張る月影の姿は、やはり場違い感が溢れていてここだけが別世界のような感じに思える。

「……前々から思っていましたが…この街には、変人が多いのですね」

おそらくその変人の中には酸漿自身も入っている。酸漿のその性格や周りから浮いたその長い髪は十分その仲間に入るだろう。
他の人から"メドゥーサ"などと呼ばれている人が変人じゃないはずもないだろう。しかしそんなメドゥーサも可愛らしい動物の前では崩れるようだった。
122 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 22:21:07.20 ID:zXMz4rDO0
>>120
「身体だけが悪いのならば治すことができます。ですが心まで蝕まれてはもう治すことはできないのです。そういう人に、私はこうして愛するのです。」

やはり理解しきれない少女を決して咎めず、しかし簡単に言い換えることのない論調。

「酒は飲んでも呑まれるな、よくこう言われます。私が言いたいのは、溺れるほど飲むのはいけない、依存してはいけないということなのです。決して飲酒を否定するわけではありません。実際、酒は百薬の長と言いますからね。
ですが。あなたがお酒を嗜むのはいけないことです。お酒は成人してから、ということを聞いたことがあるでしょう?アルコールは成長過程の身体に良くないものなのですよ。
それに焼き鳥などの『つまみ』と一緒に飲むなんていう親父じみたことはいけません。あなたは女の子で、それにまだ幼いのに。」

そのあどけなさを大事にするべきです。と説教めいたことを饒舌に語る。それほど彼女にとっては目の前の自分より幾つも歳の低いーー身長は僅かに負けているようだがーー少女が飲酒をしているという事実に目くじらを立てたのだ。これも勿論「愛の説教」だった。
腕を組んで何か独りごちながら考え込み始めた少女。どうやら彼女なりのアルコールのイメージ回復のためのアピールを考えているようで、あぁでもないこうでもないと唸っていた。
マザーはその様子を静かに見つめて、頬を撫でた路地裏の風を知った。
123 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/06(水) 22:33:13.47 ID:cHRYRL/O0
>>121
「むむ…!ニンジャのような、ではなくニンジャでござるよっ!」

顎に手を添えてそう訂正する虎次郎だが、忍者というワードが出てきた事が嬉しいようで声を弾ませる。
正しくそれは酸漿が抱く印象と同じく”変人”なのだろう。とはいえ、悪い方向で……という訳ではないだろうが。
どちらにせよ虎次郎は酸漿が原因で立ち去るという事はないだろう、ずっと此処で猫と戯れているのではないかと思う位に。

「ふむ……変人、でござるか……?」

自分へ、そして他ならぬ酸漿自身に向けられた言葉だとは露知らずはて、と首をかしげる。
思い返してみれば俗に言う普通ではない、という印象を抱くような人間と多々出会い別れてきたのも事実。
しかしそれを一概に変人と言ってしまうのはどうにも”勿体無い”――虎次郎は考え込むような仕草を、唐突に解いた。

「それは個性でござるよ、各々が持つ自分らしさでござる」

にこりと、相変わらず覆面で隠されてはいるもののその下では微笑みが弾ける。
何処へともない”変人”へと向けた言葉、それは実際自分と酸漿へと向けられたものだとは知らないまま。
124 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/06(水) 22:50:51.82 ID:2BipVBYK0
>>123

「本物の…?現代にまだ忍者が存在していたとは驚きです……」

忍者といえば、様々な忍術を使い諜報や暗殺を生業としていた遥か昔に存在した者たちだ。しかしそれがこの現代に存在していたなんて一部のファンが聞けばさぞかし喜ぶことだろう。
が、そんなことを言われても流石に信じることはできない。幾ら忍者のような格好をしていて、喋り方もござると語尾についているがやはり本物とは考えにくい。ただ名乗るだけなら誰でもできるだろう。
だが別にそのことを確かめる義務は酸漿にはない、別に気にすることではない。

「個性…自分らしさ……」

それは考えたことが無いことだった。
個性、そんなもの自分には――――あるのだろうか。自分のことを今までつまらない人間だと思ってきた。実際自分は話すこともつまらなく、面白いジョークも何も言えない"無個性"だと思っていた。
だがもし、もしも自分にも"個性"があるのだとしたら。
それは、"良いこと"なのだろうか。

「……忍者、と言ってましたね。では何か忍者らしいことをしてもらえませんか?」

この月影とちう男に興味が湧いてしまった。人に興味を持つなど久しぶりだ。
さきほどとは違う、自然な微笑みで月影へと"忍者らしいこと"をしてと言うのだった。
125 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/06(水) 22:51:53.31 ID:kA+t0q2g0
>>122
「………あれ?シスターもしかしてメリーが思った程お酒嫌ってない?」

少女はてっきり、彼女が「お酒とか悪い諸々の物を嗜む人は全て殺す!」と言ってるのだと勘違いしていたのだ。
それが限度を守れば大丈夫
ーー限度を超えたからといって殺すのは十分おかしい事なのだがーー
で、おまけにお酒は否定しないと彼女の口から伝えられたことで少女は、いかにして彼女にお酒を認めさせるかという思考を止める。

だが彼女はどうやら少し怒ってるようで、それも彼女の『愛』に反するからではなく、『一般論』に則ったものであった。
未成年が飲酒する危険性については既に耳タコであるようで、このままじゃこちらをジッと見つめる彼女にお酒を飲まないと約束を取り付けられそうだと焦った少女は

「あ、あ、あーっ!!」
「ごめんシスターっ!メリー、チョー人気のレストランに予約入れてたんだったー!!?」
「お酒については今度ゆ〜っくり聞かせて貰うから!!またどっかで会おうね〜!!じゃね〜!」

目は泳ぎ、多少上ずった声でそう捲し立てると大通りの方向へ駆け出す少女。
自分から近づいておいて大好きな食事の取り方を奪われそうになると突然逃げ出す。
まさに自由な少女らしい身勝手な行動だろう。

/今回はこれで締めましょう!ありがとうございました!
126 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/06(水) 23:10:54.80 ID:cHRYRL/O0
>>124
「ニンジャは不滅でござる!これまでも、これからもっ!」

どん、という効果音が流れてきそうな程に胸を張り自信満々に言い張るニンジャ。
当然今迄一度も彼自身が本物のニンジャだという事を信じてもらえた事はないが、今後の事を考えれば其方の方が都合がいい。
そっち方面のマニアだの記者だのに捕まってしまったらニンジャもなにもあったものではない。

「忍者らしいことでござるか……うむ、承ったでござる!!」

酸漿の逡巡の意図も虎次郎が知る由はなく、彼女の極自然な微笑みと共に放たれる言葉に迷いなく肯く。
すると虎次郎は猫の頭をなでる事を中断し、ゆっくりと、それでいて自然な動きで立ち上がる。
とん、ととん、と数歩少女と猫の元から後退したかと思えば、唐突にも背に提げる大剣を引き抜いて。

「――忍法、火遁の術ッ!!」

力強い雄叫びが街を木霊し、両手で構えた大剣の刀身は深紅に赤熱し燃え盛る。
ぼうぼうと音を立て春風に揺らめく炎は確かに熱量を以て、刀身の周囲の景色は陽炎により揺れていた。
全然忍んでないじゃないか、というツッコミは恐らくこのニンジャには通用しないだろう。
127 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [sage]:2016/04/06(水) 23:14:14.08 ID:zXMz4rDO0
>>125
「もちろん神を信じる身なのですから、好んでいるとも言えませんけどね。」

酒を完全に否定していないとわかったことから、考え込むのをやめて顔を上げた少女と目と目が合う。ほんの僅かに少女の目線の方が高い位置にあったような気がした。
転瞬上ずった声と足をばたつかせて泳ぐ少女の両眼。そろりそろりと足を後ろにマザーから距離をとっているようにも見える。取って付けたような都合はどこからどうみても、聞いても、遍く怪しい。
しかし彼女は少女を愛しているから、そして愛を理解されたから、何の疑いも持たず。

「あ、そうなのですか。美味しいものをたくさん食べて更に成長してきてくださいね。
ですがーー。」

お酒はダメですよと言い終わる前に、少女はその場から去っていた。暫時その場に立ち尽くしたあと、ふと足下をみる。
転瞬何を思ったか突っ伏した下半身のない死体を抱擁、するとみるみるその足のない肢体はマザーと同化してゆく。
死体は最期までマザーヴィヴィアンの愛を受けた。彼女は立ち上がり、プロテスタント様式に則って十字をきった。
足下を這う小さな虫を避けながら、微笑みながら、夜桜の舞い散る狭い暗がりを、ひとり歩み出す。
今日も明日も明後日も、迷える羊に隣人愛を。さながら自分を愛するように、いや自分を愛する以上に、献身的で狂気的かつ猟奇的な愛を与えるのだ。

/りょーかいです!おつかれさまでした!
128 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/06(水) 23:33:30.14 ID:2BipVBYK0
>>126

立ち上がり、後退する月影の動きは自然。なるほど確かに忍者を名乗るほどではある。
その動作に乱れはなく、スムーズに次の行動に移るためいつ動き出したかが分からなくなる。

そしてその雄叫びと共に、引き抜いた大剣に真紅が宿り、灼熱の炎を纏いその熱がこちらにまで伝わってくる。
一目でわかる、この力は明らかに強力なもの。しかし、しかし――――

「これが忍術…なるほど、最近の忍者は忍ことを止めたということですね……」

そう、あまりに目立ちすぎている。しかしそれをあっさり認める酸漿も酸漿だ。
恐らく、ここに居る二人は二人とも天然、天然の人間が二人合わせればその場は瞬く間に不思議ワールドへと早変わり。常人では理解できない極地へと達する。

「貴重な体験をさせてもらいました、忍者との邂逅なんて一生に一回出来るかどうかです」

そう言うと頭を下げ、感謝を伝える酸漿。しかし忍者なのに忍ばないなんて本末転倒だということを忘れている。
それはもはやアイデンティティの否定では無かろうか。しかしそんなこと恐らく月影には通じるはずはない。それは酸漿にも同じだろう。

「―――と、つい話し込んでしまいましたね。もうこんな時間です」

気付けばかなりの時間が経っていた。そろそろ頃合いだろうと酸漿は立ち上がりお辞儀。

「この度はありがとうございました、とても楽しいひと時を過ごせたと思っています。また機会があれば会いたいものですね」

それは最初のときとは違う、とても満足感に溢れている言葉だった。
きっとこの忍者との出会いは、迷っていた少女を結果的に救ったことになるのだろう。
そう言い残すと、酸漿は「鮭太郎さんを可愛がってあげてくださいね」と最後に言い残しその場を去って行く。その背中には、僅かながら光が灯っているようにも見えた。

//キリが良さそうなのでここで〆ますね、ロールありがとうございました!!
129 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/06(水) 23:57:35.21 ID:cHRYRL/O0
>>128
忍ぶ事を止めたニンジャ、字面にすれば一層その言葉が織り成す意味不明さが伝わるだろうか。
例え暗闇に紛れる黒装束だとしても火遁の術なんぞ発動してしまえば、一瞬で特定されオイノチチョウダイされてしまう。
だが生憎このニンジャに常識は通用しない、ふーっと得意げな表情を覆面で隠してはそっと大剣に宿る業火を一振りし打ち消す。
知り合って間もない少女に芸感覚で術を披露し、いい汗を流してドヤ顔を浮かべる。
そんな光景を目にしてしまえば、ニンジャとは一体何だろうと永遠に解けない謎を背負い込んでしまう事間違いなし。

「む、もうこんな時間でござるか………こちらこそでござる!
 酸漿殿が満足してくれたのならば、これ以上に嬉しいことはないでござるよ」

上を向けば既に空は橙、沈み始めた太陽は前の陽光とは異なった優しい柔らかな光を運ぶ。
最初の頃のぎこちなさからは考えられない満足気な表情を見据えては、ニンジャも自然と頬が綻んだ。

「うむっ!きっとまた会えるでござるよ……縁というのは中々切れないものでござるからなっ!」

自分が酸漿という思い悩む少女を僅かにも変えた事実など露知らず、こくこくと頷いてみせるニンジャ。
無論、鮭太郎は拙者が面倒見るでござる。最後に残された言葉に届かぬそれを返しては去りゆく背中を見つめた。
心なしか最初よりも輝いて見える彼女の背中、果たしてそれはこの邂逅によるものか否か。
差し込む夕暮れの光は、ニンジャの顔を赤く照らしだした。

//了解です!!こちらこそありがとうございましたっ!!
130 :片平 瑠璃【自身加乗】 [sage]:2016/04/07(木) 11:03:23.14 ID:Smoy7Oet0
昼下がりの公園、そこそこ多くの人が集まる場所。
グループの中で遊ぶもの、一人で遊ぶもの…
後者は比較的目立つのだが、今日はいつも以上に目立っていた。

なぜなら遊んでいる少年の姿はまるで3Dゲームに出てくるキャラのような見た目なのだ。
全身が小さなブロックで出来ており、所々微かに青く光っている。
少し未来的にも見えるが、それにしては体が不自然だ。
人の形ではあるが全てブロックで出来ている都合上、どうしてもカクカクしている。
動きはなめらかなのだが。

そんな彼は一人でひたすら宙に向かって石を投げて遊んでいた。。
そして浮いている時間を数える、ただそれを繰り返す。
気まぐれに時間を延ばしたり縮めたりしてはブツブツ何かを呟く。
割と楽しそうに見えるのだが、周囲の人は奇異な物を見る目で彼を見ていた。
本人も嫌なのか、目の色が青色に変わっていた。
131 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/07(木) 11:17:35.51 ID:Smoy7Oet0
>>130
//名前ミスりました…
132 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 17:55:40.26 ID:4u9tqqNXo
夕焼けに沈む廃墟
時の流れに置いて行かれた古びた街の真ん中で、静かに煙草の煙は立ち上る
ここは古戦場、かつて人と人とが互いを殺しあった戦場であった場所
銃弾と異能に破壊しつくされたこの地は誰からも忘れ去られて置き去りになった
一人の男と共に

「――――」

煙草をゆっくりと口から離し、煙を吐く
煙は一瞬夕焼けを覆い隠し、すぐに晴れる
思い浮かべるのは遠い昔のこと
死がここに充満していた頃のこと
充実はしていたあの頃のこと
思えば、あの頃は最悪ではあった
だが――

「為すべきことはあった、か―――」

今は最高だ
だが、為すべきことがなにもない
こんな戦いしかできない男には、居場所などはない
だから、こんな忘却の彼方にしかいることができない
皮肉なことだ
不屈の終着点が、忘却とは―――

なんて自嘲気味に笑いながら煙草を吹かす
ああ――夕焼けは、綺麗だ
133 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/07(木) 18:07:31.26 ID:q8498i5G0
>>116

「全然大丈夫、気にしないでよ」

謝る夜霧を見てアイナは困ったように自分の頬を指で掻いた。
むしろデリカシーが無いのは初対面の人と知り合いのフリをして奢ってもらおうとしている自分だと内心に呟きながら。

「えっ、本当!?ここに行けば三食そうめん生活から解放されるの!?」

紙をアイナはその紙をキラキラと輝いた目で見つめてそういった。
これで自分は空腹に困ることはなくなるのだ、嬉しく無いわけがない。大事そうに紙をポケットにしまい。

「晴斗くんね、りょーかい!それで……なんでも好きなもの頼んじゃっていいんだよね?」

なんて、夜霧の財布事情を全く考慮していない発言をした。
134 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/07(木) 18:22:57.62 ID:ulpPjd/i0
>>133

「ああ、好きなもん頼んでいいぞ」

そう言いつつ自分もメニューを見て、安くて量が多い物を探す。
先ほど買ったアイスのせいでいつもより手持ちは少ないが、自分と少女一人くらいどうにでもなる。
そう思いながら財布があるかどうか確認する。
ついこの間スリにあって相手をフルボッコにしたばかりなのだ。気にしない方がおかしい。
無事財布があることを確認し、アイナも決まったようで定員を呼んで注文する。
135 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/07(木) 18:57:30.72 ID:q8498i5G0
>>134

「へへ、やったね!あー、早く食べたいなぁ〜」

店員にアイナはオムライスとオレンジジュースを注文し、料理が運ばれてくるのを暇つぶしにメニューに目を通したりしながら待つ。
136 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/07(木) 19:16:42.44 ID:ulpPjd/i0
>>135
アイナがメニューを見て注文を待っている間に言い忘れていたことを言う。

「アイナでよかったよな。今回は俺でよかったけどこの町は治安が悪いのを知っているだろ。危険だからこんな事はもうするな。」

そう少し説教した後俺しか質問しなかったのを思い出して不公平だと感じた。

「そういやアイナは俺に質問したいことはあるか?」
137 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/07(木) 19:32:30.67 ID:mrDVAnjB0
>>132

時の流れというものは残酷なもので、何もかもを置いて行ってしまう。場所も、人も、記憶も―――どんなものもそれには逆らうことはできない。
置いて行かれたものはいずれ朽ち果て消え失せる。それに一つの例外はなく、全て平等にそれは訪れる。


「……ここは、どこでしょうか。確か買い物をしに来た筈なのですが……」

そんな場所に、てんで場所違いな声が男の耳に聞こえてくるだろう。この人々から忘れられ、記憶から消え去った古戦場に酸漿は迷い込んだ。
いや、迷い込んだ――という規模では無い。街からこの古戦場までは距離は離れている。そんな場所に迷い込むなどあり得るのだろうか。余程の方向音痴出なければそんなことにはなり得ないだろうが……

「おかしいですね…どこで間違えたのでしょうか……」

どうやらその余程の方向音痴がここに居たようだ。これでよく今まで生きてこられたものだと感心する。
人には誰しも短所はある、しかしそれにも限度というものがある。超えている超えてないで言えば、彼女は完全に超えている方だろう。

しばらく彷徨っていると人影が見えてきた。他に頼れる人は居ない、ならば聞くしか無いだろう。
酸漿はその男の人影へと歩いていく。そしてこう尋ねることだろう。

「あの、ここは一体何処でしょうか」
138 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 19:42:16.25 ID:4u9tqqNXo
>>137
ここを覚えているのは自分だけ
他の誰も訪れることはない
その法則は、崩れ去った
たった一人の、方向音痴によって

人がいなかった、風の音しかなかった、だからすぐに気づいた
地を踏む者がいることを
声を聴いて驚いた、若い少女の声だ
しかも、迷っているときた
まったく、どう迷ったのやら――――
なんて思いながらに煙草を落とし、靴底で潰す
未成年の前で煙草を吸うのは、マナー違反だ

「ここは、そうだな――
 嘗ての戦場、今は誰も覚えていなく、誰も訪れることはない場所だ」

ここはどこ、と問われて答える
これ以外の説明など、思いつかない
住所などを述べても、恐らく少女には分からないだろうから

「街からは遠く離れているから普通迷い込むことなんてないんだがな――
 というより俺はここで君以外の他人を見たことはない」

煙草の吸殻を拾い、携帯灰皿に捨てる
ここで生きた人間を見るのも久々だ
殺すべき人間でない人間など、ひょっとしたら初めてかもしれなかった
139 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/07(木) 19:47:02.39 ID:q8498i5G0
>>136

「うん?知ってるけど私は平気だよ。自分の身を守れるぐらいの力は持ってるからさ!」
「……でもやっぱり危険は避けるに越したことは無いよね、言うとおりにするよ」

身を守れるぐらいの力持ってるとアイナは言ったが武器を持っているような様子はない、だとすればそれが意味することは……。

「んー…この児童養護施設、君も住んでるのかな?能力者に対する偏見とかはないよね?」
140 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/07(木) 19:55:28.26 ID:ulpPjd/i0
>>139
身を守れる力か、武器はないと言う事と能力者への偏見の心配。そのことを考えるとこの子も能力者か。

「いや、今は住んでないよ。あと能力者への偏見は心配ないよ。義母さんはそういうのを許さないからね。」

安心できるように笑いながらそう返した。
141 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/07(木) 20:07:26.86 ID:mrDVAnjB0
>>138

こちらに気付いて煙草を吸うのを止めるその行動から、どうやら比較的良識のある人のようだ。頭のネジが外れている人間ならばどうしようと思ったものだが杞憂だったようだ。

「誰も訪れることは無い…それはおかしいですよ。あなたと、私が現に今訪れています」

酸漿はそう意義を申し立てる。
突っ込むべき場所は間違いなく違うということは分かる。しかもそれを真面目な顔で、真面目なトーンで言うのだからどうしようもない。向こうからすれば酸漿の方がネジが外れた人間だろう。

「なるほど…道理で辺りに人っ子ひとり居ない筈ですね。これで謎が解けました」

何の謎が解けたのかまったく分からない。そもそも謎ですら無いだろう。
相変わらずどこか抜けた様子で話す酸漿、常人とは違うその雰囲気。それはある種、異能を持つ者たちに共通するものなのかもしれない、普通とは逸脱したそれは―――

「ではあなたは何のために、何を為すためにこの場に居るのですか?」

それは男にとっては特別な意味を持つ質問だろう。知らずのうちにそんな質問をしていた酸漿、元々大人びているとは言われていた。
しかしそんな質問をしてくる酸漿を男は果たしてどう思うのだろうか。
142 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 20:19:50.03 ID:4u9tqqNXo
>>141
「ははっ、確かにそうだ
 だったら俺たちは"誰もが"という全体から外れた例外なのだろうな」

そう、例外
彼女はどうかは分からないが自分はそうだ
まず、異能力者
次に、地獄を生き延びてしまった退役軍人
二つも例外と呼べる条件の揃った例外中の例外だ

しかし、彼女もまたよくわからない
突っ込むべき場所は間違っている
どんな謎が解けたかもわからない
大衆の中では異質に映る人間だ
だが、この異質には覚えがある
かつて共に戦った、彼らもまたそうであった
みんなのなかには、決して溶け込めない異質であった

「何のために、何を為すために、か
 痛いところを突かれたな」

鋭い質問であった
過去の同僚たちに挨拶をするため?違う、それはあの石の前でできる
独りで煙草を吸うため?違う、そんなのどこでだってできる
夕焼けがきれいだから?違う、もっと気持ちよく夕焼けを見れる場所を知っている
ならば――――何であろうか

「ひょっとしたら、何もできないから、他に居場所を知らないからかもな」

ならば、何のためでもない
そうとしか答えようがない
嗚呼、なんて愚かなことか
自嘲気味に、少し笑った
143 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/07(木) 20:33:04.03 ID:q8498i5G0
>>140

「……そっか、やっぱりここって能力者が多いんだね。ここでなら私も不自由せずにやっていけそう。
あとは治安が良ければ文句なしなんだけどなぁ」

この街では能力者絡みの事件は多いと聞く、自分は犯罪なんてするつもりはないが同じ能力者として複雑な心境だった。
144 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/07(木) 20:48:21.00 ID:ulpPjd/i0
>>143

「まあ確かにそうだな。ここは治安さえどうにかなれば良い所なんだが…」

アイナの言葉に同意してたところに頼んだ料理が運ばれてきた。

「おっと、料理が来たぞ冷めないうちに早く食べようぜ」

そうして二人が食べ終えたころにはもう外は夕方になっていた。
145 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/07(木) 21:28:43.02 ID:mrDVAnjB0
>>142

「例外…ですか……確かに私たちはこの世界の例外(エクストラ)なのかもしれませんね」

だが、それはつまり"個性"があるということだ。とある忍者に教えてもらった、他と違うことは悪いことでは無い、むしろ誇ること。
それは"個性"なのだから、その異質は自分にしか無いものだから。

「何も、出来ないから……他に居場所を、知らないから……
それは"言い訳"ですか?それはあなたが、知ろうとしないだけではないのですか?」

それは確信を突いた言葉。普通初めて会う人物にここまで近づいたことを言うなどありえない。
しかし彼女ならば、祇方院酸漿ならば。例外であり、この世界でのエクストラである酸漿ならばそれが出来る。
それが彼女の異質(こせい)だ。

「あなたが何者かは知りませんが、あなたは遠慮をしているのではないですか?」

一歩、一歩と男ににじり寄る。その目は真っ直ぐで、とても冷たい。

「例えば、この古き戦場で死に絶えた嘗ての仲間とか。そんなものにありもしない同情を抱いて、戦場というものから避けているのではないですか?
本当は、あなたは誰よりも戦場というものに"魅了"されているんじゃないのですか?」

そんな酸漿の言葉を、男はどう受け取るのだろうか。
146 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 21:53:48.82 ID:4u9tqqNXo
>>145
まるで刃だ
無遠慮に、的確に、少女の言葉は自分の中枢に切り込んでくる
だが、こんな言葉でも、折れることはない

「そんなことはないさ」

だから、強く否定する
少女の推察を、指摘を、異質を
下がらず、逆に一歩踏み込みつつに

「俺は絶対に生きて帰るという目的のために戦ったんだ、ここで
 そしてそれを、成し遂げちまった」

語りだす、こんな見知らぬ異質に
いや、名前は知らなくても知ってはいるのかもしれない
だって、彼女も自分と同じ―――
例外なのだから

「今までの俺はそれを軸にしていた
 だがよ、それがすっぽりと抜け落ちちまった、目的を失った」

そうだ、あの頃は必死だった
ただ、生き残るために動いていればよかった
諦めないことだけは得意だった俺は必死になって一つのことを為すのだけは得意だった
だが、成し遂げた後は?

「するとな、何をしていたらいいか分からなくなっちまうんだ
 で、結局何もできずに今に至る――何かすること、目指せることがありゃそれができるところが居場所にもなるんだがな」

結局のところ、道に迷っているのだ
ゴールについた、と思ったら更地に投げ出された
そして、道すら見えずに戸惑ってゴールから動けない

「間違ってもあいつらには遠慮しちゃいねぇ、同情もしちゃいねぇ
 戦場は地獄のクソッタレだ、もう二度と行きたくはないな」
147 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/07(木) 22:05:14.16 ID:AjIwMEz70
このところ周期的な頭痛に見舞われる。別段偏頭痛だとか群発頭痛だとかを持病として抱えている訳ではない。むしろこれまで味わった頭痛など数日ぶっ続けで呑んだくれた日の翌日くらった二日酔いくらいのものだった。それほどに彼は頭痛、いやそもそも痛みや病などとは縁遠い存在だったのだ。
蛾などの羽虫が集る薄汚れた街灯一本。その下でうずくまって未知かつ予想をはるかに超える痛みに呻く。集る羽虫の一匹になった気分で己を愛し愛するその身には余りに不愉快極まりなかった。
数分その場で苦しんでいるうちに段々と痛みは引いてくる。やがて息を切らして両眼を混濁させながら頭を抑えて立ち上がった。
だるさの抜けない手のひらで粗く額を掻き、やがて朦朧としていた意識は明瞭さを増してくる。反応した立毛筋は空気に撫でられ、身体の異変の去ったことを知った汗腺は気味の悪い冷や汗の分泌を止めた。
斜めに遠い月を一瞥、肩を上下して長い息を吐く。月と周りの星見るとふと「屈辱的なあの日」の記憶が脳裏をよぎった。

「……Jesus. (……畜生。)」

意思とは別に悔やんでしまう。眉間にはシワが寄り、陰の差す両眼は血走って8ホールブーツのアウトソールが数ミリコンクリを抉る。
あんなにも屈辱的な日はなかった。今でも断片が脳裏をよぎるそれだけで憤怒が爆発してもおかしくはないほど、あれは彼の悪徳だった。しかしあろうことか彼のプライドと美徳を犯(冒、侵)したのだ。いや、彼がそれを許してしまったといっても過言ではない出来事だった。
あの女との出会い、それが全ての歯車を狂わせた。純粋すぎたあの女は、家族のように等しく、いや家族なんてものよりも数倍の献身的な愛を以って彼を愛してしまった。そして彼女は彼に人を愛することを求める。それが間違いだった。
自己愛の塊である彼にとって、己のことを愛される、つまり理解されることは満更でもない、むしろあの時は相手が女だったから、「紳士として」光栄な気分でいた。だが自分が他人を愛する姿は、想像するだけで吐き気を催すほど気持ちが悪い。格好が悪い。ナルシズムを刺激しない。
そんな陳腐な関係はとうに棄てていたのだ。なのに、なのにあいつは、あの女はーー

「くそ、王たる俺の唯一の汚点だ。……恐らくこの頭痛、またあの女の仕業……いや、あの女のせいだ。
なんなのだ、これは……嫌な予感、気分だ。
……あの女、もしやこの街へ舞い戻ってきているのか。」

あぁ、もうこの先を思い出したくはない。
静かな怒り、語気が荒々しい。足は何かまとわりついたように重たくて、足取りはそれを振り払うように大振りで荒かった。
しかし足を踏み出す動作のなかには、一歩を出すたびにどこか須臾、瞬息、弾指、刹那、そんな極小単位ではあったがわずかな逡巡があった。それはきっと、「あの女」を思(想)ったのだろう。しかしそれをきっと本人は認めたくないはずだ。だからほとんど無意識と言って間違いはない。
彼は自己愛、まさにその象徴といっても過言ではない、しかし先ほど彼は「他人」を無意識ながら慮ったのだ。だがそれに彼が気づくことはこの世界を統べるより遥かに難しい。愛する自分を真に知る瞬間。それは那由多の先にある。
ずるずると宵闇が彼の肢体を舐め始める。蛾がとまる街灯の光に鱗粉が反射して穢れてきらめいた。彼はもう光に集る虫ではない。むしろそれよりも深みへと堕ちていく。
148 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/07(木) 22:21:11.81 ID:mrDVAnjB0
>>146

「………そうですか、それなら良かったです。私の眼は間違っていたようですね」

薄く笑いを浮かべ、縮めた距離を離す。それは安心からか、それとも―――

「私も争いは嫌いです、でも分かっています。この世から争いが消えることがないというのは」

分かっていたことなのだ、幾ら平和を望んでも争いが無くなることはない。
だがそれで諦めることはできない、止めることはできなくても減らすことはできる。出来ることをやれるように。それが自分のやり方だ。

「なんです、そんなの簡単じゃないですか。目指すことを探すことを目指せば良いんです」

……なんだろう、それはあまりに支離滅裂な気がする。しかしふざけている様子ではない。彼女は本気でそれを言っているのだ。
探すことを目標にする、そんなおかしい矛盾を彼女は告げたのだ。
ゴールが見えないのならその前にゴールを探すことを目標にする。それが彼女の挙げた提案だ。
149 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/07(木) 22:29:31.02 ID:Smoy7Oet0
>>147
月明かりが照らす世界の中思い悩む一人の男。
その悩みっぷりは何も知らなくても分かってしまう程。
彼の周囲の空気は重く濁っている様に感じてしまう。
静かな怒りは抑え込むにも抑えられない。
まるで何十倍も世界の重力が強くなってしまったかのようだ。
それとは対照的な何にも考えて無さそうな奴がいた。

「ヘェーイ、そこのおにーさん?」
「そんなに思い悩んでどうしたのさぁ?」
「周囲がまるで太陽にいるみたいに重くなっちゃってるよぉ?」

男の雰囲気には全く似合わない軽い雰囲気。
その雰囲気を出しているのはこの世界に全く似合わない何かだった。

「ねぇねぇ、そんなに悩んでいるのならさぁ」
「僕が君のストーリーを聞いてあげようじゃないかぁ?」

男からみて丁度右側の街灯。
それに逆さまにぶら下がった何かが言葉を発していた。。
奇妙な事に闇の中にも関わらず少し光っていた。
人間のような形の何かは男に一方的に語りかける。

「自分のことを王と称しているの聞いちゃったけどさぁ」
「正直、今の君は王じゃないんだよねぇ」
「だって王はもっと堂々と胸張って生きてなきゃダメだもん」
「思い悩んでちゃまるでドロドロした展開のストーリーのダメな主人公だよぉ?」
150 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 22:37:26.10 ID:4u9tqqNXo
>>148
縮まっていた距離は離れる
こちらも踏み出していた一歩を、下げる

「ああ、それもまた事実だ
 だがあんな地獄はあっちゃいけねぇんだよ」

瞼を閉じて思い起こす。あの地獄を
人が人でなくなる地獄を
あそこには法などはない
ただ、虐殺があるのみ

「………あははははははっ!!」

少女の言葉を聞いて、絶句
そして笑いだす
おかしかった、だが
こんなにも単純だったという事実もまた、おかしかった

「ああそうだ、その通りだな!」

支離滅裂かもしれない、だがしかし
それこそが、真理であった
151 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/07(木) 22:57:36.88 ID:mrDVAnjB0
>>150

「…?何かおかしなことを言いましたか?」

酸漿は男が笑い出した理由が分からないらしい。だが男が納得したような素振りを見せれば、酸漿もそれで良しとしたようだ。
迷いが消えたらしい男は、まるで先ほどとは違っていた。

と、そう言えばまだ自分たちはお互いのことをまったく知らないことに気付く。こんなに話していたのに、素性どころか名前すらも知らない。
よくそんなので今まで会話が出来ていたと我ながらに感心する。

「折角の縁です、ここであなたのお名前をお聞かせください。
私の名は祇方院酸漿…まぁ、しがない女子高生と言ったところでしょうか」

そう言って、酸漿は男の名前を尋ねる。袖振り合うも他生の縁と言う、この縁が今後何かに繋がるかもしれない。
人脈を広げるに越したことはない、それはきっと将来に役に立つだろう。そしてこの街で生き残ることにも。
152 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/07(木) 23:00:22.58 ID:AjIwMEz70
>>149
軽妙な言葉、軽率だ。今の彼にはいい起爆剤だった。
右半身を照らす街灯を見た。そこにいた言葉の主、闇の中目を凝らせばわかる逆さ吊り。さながら蝙蝠だ。

「[ピーーー]。」

最早言葉はいらなかった。最早理由もいらなかった。
ただ殺しさえすればそれだけで晴れる気がする。それほどの殺意が彼を呑んだ。
ハットの隙間に陰が差す。転瞬、跳躍する影。開かれた掌でもって文字通り息の根を止めるらしい。
彼の背後(うしろ)に、死を見た気がした。
153 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/07(木) 23:01:25.96 ID:AjIwMEz70
/ぴーーーーーー!
/返信遅れぎみで申し訳ないです…。気づいてませんでした……。

>>149
軽妙な言葉、軽率だ。今の彼にはいい起爆剤だった。
右半身を照らす街灯を見た。そこにいた言葉の主、闇の中目を凝らせばわかる逆さ吊り。さながら蝙蝠だ。

「[ピーーー]。」

最早言葉はいらなかった。最早理由もいらなかった。
ただ殺しさえすればそれだけで晴れる気がする。それほどの殺意が彼を呑んだ。
ハットの隙間に陰が差す。転瞬、跳躍する影。開かれた掌でもって文字通り息の根を止めるらしい。
彼の背後(うしろ)に、死を見た気がした。
154 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/07(木) 23:03:10.31 ID:AjIwMEz70
/もういや…。

>>149
軽妙な言葉、軽率だ。今の彼にはいい起爆剤だった。
右半身を照らす街灯を見た。そこにいた言葉の主、闇の中目を凝らせばわかる逆さ吊り。さながら蝙蝠だ。

「死ね。」

最早言葉はいらなかった。最早理由もいらなかった。
ただ殺しさえすればそれだけで晴れる気がする。それほどの殺意が彼を呑んだ。
ハットの隙間に陰が差す。転瞬、跳躍する影。開かれた掌でもって文字通り息の根を止めるらしい。
彼の背後(うしろ)に、死を見た気がした。
155 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 23:07:40.30 ID:4u9tqqNXo
>>151
解がなければ、探す
そんな簡単すぎた解を見つけた自分の顔はきっと晴れやかだろう
多分、明日はここへはこない

「今更って感じだな…
 俺は日下部藤四郎だ
酸漿ちゃんか、覚えたぜ」

あるかわからないいつかのために
今日を記憶するために
道を示した少女を知るために
名前を覚える
そして、名乗り返す
今後またどこかで会うかもしれないし会わないかもしれない
だが、これが無駄になることは決してないであろう

「そろそろ暗いし――街まで送っていこうか?」

空を見上げれば夕日はそろそろお休みの様子
それを見て、彼女は恐らく帰り道を知らないと思い、
提案をする

沈みゆく夕日は、なぜだかいつもよりもきれいに見えた
156 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/07(木) 23:22:47.13 ID:mrDVAnjB0
>>155

結局、真に正しい解なんてものはどこにも無い、自分が納得できる答え。それを見つければ良いのだ。
迷う必要なんてどこにも無い。

「日下部さんですね、はい。私もしっかり記憶しました。
この記憶は消え去りません」

消え去るものがあるように、決して消えないものもある。
それは形のあるものかもしれないし無いものかもしれない。しかしちゃんと存在している。
決して消えず、留まり続ける。刻み込まれたモノは決して消えない、消えてと望まない限り在り続ける。そんなものだ。

空はとっくに黄昏に染まり、もうそろそろ夜の帳が落ちる頃。
辺りは少しずつ闇に染まり、世界の色を逆転させる。それでも染まらないものはある、何物にも染まらずに自信を貫き通すそれは―――――

「えぇそうですね、折角ですし送ってもらいましょう」

ここから街まではまだ距離がある、きっと話す時間もたくさんあるだろう。
まだまだ色々話しておこう、聞きたいこと、知りたいこともたくさんある。
この邂逅を無駄にさせないために、無下にしないために。

遠くで未だ夕陽は輝いている。もしそれが沈んでも、月がきっと見守ってくれる。

「では行きましょうか、あの街へ」

今はまだ分からないかもしれない、でもいつか分かるときが来るのなら。
そのとき、私は一体どんな人間で、一体何を為しているのだろう?


//ではこれで〆ということで…!ロールありがとうございました!!
157 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/07(木) 23:23:45.49 ID:Smoy7Oet0
>>153
やはり彼の感情は爆発した。
全ての感情は殺意に変わり、ガラクタにむけて放たれた。
しかしそんなことはガラクタにだって分かっていた。

圧倒的な殺気、苛立っただけで抉れたコンクリート。
それだけで既に彼がどれほどの身体能力なのか予想が出来ていた。
そしてその身体能力でどんな攻撃を放つか、予想するまでもない。

彼に話しかけた時、逆さまにぶら下がったのは予想をしていたから。
足が使えなくても両手が使えればそれだけで十分。
ガラクタは彼の殺気を感じると同時に右手のフックショットを放つ。
撃った先は見なくてもいい。ガラクタは半径20mの地形を全て把握している。

フックショットで移動と回避を行いつつ、ガラクタはなおも話しかける。
軽い雰囲気のままではあるが、本人はからかっているつもりはない。

「やめてよぉ、僕は君に話しかけただけじゃないかぁ?」
「それとも全てをその圧倒的な力で捻じ伏せてみないフリをしていくのかい?」
「確かに君の圧倒的な力があれば僕なんて一瞬で塵芥だねぇ…」

「でもさ、本当にそれでいいのかい?」
「本当に何もかも見ないフリ、都合よく生きていくのかい?」

ガラクタは途中の街灯の上に着地する。
そしてじっと彼を見つめる。次の一手を予想するために。

「君はどうやら自分自身を良く信じているねぇ」
「自分を王と言うあたり、かなりカッコいい自分が大好きみたいだぁ」
「でも今の君はそのカッコいい自分じゃない、だから苛立っているんじゃない?」

次の一手は何か物を投げつけてくるか、また飛んでくるか。
特殊な何かを使ってくる可能性はとても低いと判断した。
ならば2択、どちらか見極めてまた逃げる。
ガラクタに勝ち目は無い、どう足掻いても無理だ。

「自分の過去に向き合わずに生きた奴はどうなるか知ってるぅ?」
「皆生き地獄さぁ、毎日それが甦って苦しみ続けるんだぁ」
「でも向き合うのも難しい話だよねぇ」
「だって大嫌いな過去を作ったのは自分自身……」
「つまり大嫌いな自分自身を自分だと認めないといけないんだから大変だよねぇ…」
158 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/07(木) 23:24:35.57 ID:It5U3Ish0
お日様は引っこみ、黒く塗りつぶされたような空に月と星が煌めいている。
街はずれの公園へ続く道の街灯達は光を灯し、道に光の輪を落とす。
街灯の側にある、緑をたくさん蓄えた街路樹の枝葉が風になびくようにふわりと揺れた。瞬間、甲高い風切り音と共に、揺れた枝の数本が落ちた。切り落とされたのだ。
地面へ落ちた枝の切れ口は鋭利な刃物で一気に斬り裂かれたようで、他の街路樹の枝も次々と落とされていく。
夜の乾いた空気に何度も耳障りな風切り音と枝の落ちる音、そしてとても悪そうな笑い声が響いた。

「うへへへへ!人間どもの緑を奪ってやるのだー!」

笑い声の主を街灯が照らす。その影、シルエットだけ見れば末恐ろしい怪獣が大きく口を開けて暴れ回っているように見える。
しかしながら大きく開いた怪獣の口から覗くのは憎たらしくニヤリと笑う少女の顔。
今日も今日とて怪獣ガルヴァレックス(着ぐるみ)は最高の悪役を目指して平和を乱しているのだ!
小さな身体を揺らして、尻尾をブゥンブゥンと横薙ぎに振り回し、風の刃をこれでもかと木々にぶつける怪獣ガルヴァレックス。
少しづつ枝を失い、幹だけの寂しい姿になっていく木達。ガルヴァレックスの脳内では、壊れていく自然をどうすることもできず呆然と見つめる人々が絶望に立ち竦んでいるのであった。

「無力な人間どもめー!やさしい正義の味方でも来てくれるといーなぁー!あっはっはっはっは!」

思いついた悪役らしいセリフを吐いて、ガルヴァレックスはまた憎たらしく笑う。
159 :日下部 藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/07(木) 23:25:06.77 ID:4u9tqqNXo
>>156
//こちらこそ、ありがとうございました!
160 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/07(木) 23:28:43.80 ID:cwMuRJVho
>>158
「・・・子供?」
ただの子供ではないようだということは分かる。
無邪気に木々を蹂躙する様は子供の残酷さそのもの。だがその威力は異能者そのもの。
スーツをただして声をかける。
「何をしてるんだい?」
161 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/07(木) 23:38:30.70 ID:AjIwMEz70
>>157
「俺の何を知る。散れ、死ね。黙ってこの世の芥となれ。」

掴んだのは街灯の錆びた身、どうやら空ぶったらしい。
空気がぐらぐら揺れている。音として聞こえるのは蝙蝠、我楽多の戯言。
最早耳には届かない。雑多な感情は遥かに忘却にある、今彼には純真な殺意しかない。

「地獄ならとうに見た。」

目に光はない。通すのは散らすべくあの標的一人。殺す。殺す。殺す殺す殺す殺す。
人が感じ得る感情すべてが須臾の間隙をもって殺意へと変わる狂気。それが今。
息というよりは冷気を吐いた。無駄に策略を練る冷静さなどはとうに失われている。
ならば疾駆する。殺す、殺す、殺すため。
162 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/07(木) 23:46:46.39 ID:It5U3Ish0
>>160
「おんっ? 見てわからないのか人間め!お前らの自然をぶち壊してるのだ!」

破壊活動の最中、話しかけてきた男。ガルヴァレックスは声の方へドヤッとした笑みを一瞬向けて、また破壊活動へ戻る。

「巻き込まれたくなければそこでぶざまに見てるんだなぁー!うははは!」

ガルヴァレックスが手を軽く振るうと、威嚇攻撃の如く男の足元へ風の刃が数発飛び地面が少し削れる。
大怪獣の悪事を止めるも止めないも、ここへ現れた男、正義の味方次第だ
163 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/07(木) 23:58:14.47 ID:cwMuRJVho
>>162
「・・・なるほど、僕は別に君のする行動を止める言われはないけど」
濁った目が殺気を帯びる。
後ろの月が不気味なほど大きく見える。

「風を切る音がうるさくてね」

薄ら笑いを浮かべながら、
風の刃を意にも留めずゆっくりと近づいていく
164 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/08(金) 00:00:32.61 ID:qzjs+nJq0
>>161
「あららぁ、怒り狂っちゃって……」
「感情が高ぶると正常な判断が出来ないんだよぉ?」
「もしその状態でまた過去を繰り返したらぁ、君はどんな顔をして生きる事になると思う?」

言葉が通じないのはガラクタ自身理解している。
しかし、それでもガラクタは話し続ける。
無駄だと理解した行動を繰り返す様は本当にガラクタのようだ。

「地獄、ねぇ……」
「僕もみたことあるんだぁ、君とはきっと別の地獄をねぇ」

恐ろしい程の殺気、殺気、殺気。
飄々としたガラクタも内心は震えている。
怖い、怖くて仕方がない。逃げたい。
しかし、逃げては目の前の男のようになるだけなのかもしれない。
そんな考えがガラクタを縛り蝕む。

「僕はさぁ、人間じゃないんだぁ」
「作られた存在だけどもぉ、必要ともされていないぃ……」
「それでついた僕の名前がガラクタっていうのぉ」

ガラクタの目が暗い青色に変わる。
冷静さ、というよりは哀愁に満ちた目だ。

「僕は君を見ていて羨ましいんだぁ……」
「だって君は自分自身に自信があるんだものぉ………」
「それだけだけど僕にはとっっっっっっても羨ましいんだぁ……」

「僕は人間のつもりだけどぉ、この見た目じゃ人間扱いされないしぃ…」
「機械と名乗るにはぁ、こんな性格いらないしぃ………」
「じゃあ僕は何ぃ?って聞くと【ガラクタ】としか返って来ないぃ……」
「これってすっっっっっっっごく寂しいんだぁ……」

「僕が君に声をかけたのはぁ、君が僕みたいにならないためぇ………」
「過去を引きずって殺気に身を任せ続けたらぁ………」
「いつか自信さえも無くなって僕みたいになっちゃうよぉ………?」

「だからぁ、過去をじっと見つめて向き合わなきゃダメだよぉ……」
「何があったのか僕は知らないのは事実だけどぉ……」
「ただ、確実に今のままじゃよくない方向に進んじゃうよぉ……?」

悲しい雰囲気を出していても、ガラクタは警戒を緩めない。
単純な一撃ならフックショットで十分避け切れる。
しかし、もし別の予測不可能な一撃がきたらガラクタの最期だろう。

だがそんな一撃を放てるとしたらそれは彼に余裕が生まれた証拠になる。
ガラクタはそれを少しだけ待っているのかもしれない。
165 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/08(金) 00:15:03.47 ID:wYZh67sW0
>>163
「わっ!なんだお前!巻き込まれちゃうぞ!」

先の威嚇攻撃で男は震え上がっているとでも思っていたガルヴァレックス。
男は震え上がるどころか近づいてくるではないか!
ちょっとびっくりしたガルヴァレックスは一旦破壊活動を止め、ぴょんっと後ろへ飛びのいて男と距離をとった。

「むむむ、私の作戦を邪魔する気だな!そうはいかない!軽く捻り潰してくれるわ!」

先手必勝、それは悪役にとって大事なことの一つである。ガルヴァレックスは尻尾を大きく二回ほど振り、近づく男へ再び風の刃を複数放つ。今度はしっかりと胴を狙ったものだ。
166 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/08(金) 00:19:10.79 ID:59+Cnewb0
「長い。二文字にまとめろ、愚図が。」

駄弁るな、と彼はつまりそう言いたい。
我楽多が彼の耳の中を揺する度、彼の殺意は増してゆく。余り動じない様子もまた殺意の促進剤。最早欲求と化した。
きっと拳は眼前のあれを抉らない。捉えたと思った瞬間に避けられる。空を切る。これほど苛立ちの積もるものも中々ない。
そういう思いがあったとしても彼は変わらない、決して。余裕などはない、あるのは殺意のみだ。

「粉砕してやる。せいぜい拳を見ないようにこうべを垂れろ。」

もうすぐ我楽多(あいつ)に手がとどく。殺意がついに捉えたか。
どう[ピーーー]かを考えるよりも先に拳が空(から)を破っていた。轟音で迫る核の如き殴打。しかしそれは猿でも予想のいく単純な攻撃。
その分それはあまりに重く、疾かった。
167 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [saga]:2016/04/08(金) 00:20:06.59 ID:59+Cnewb0
>>164
「長い。二文字にまとめろ、愚図が。」

駄弁るな、と彼はつまりそう言いたい。
我楽多が彼の耳の中を揺する度、彼の殺意は増してゆく。余り動じない様子もまた殺意の促進剤。最早欲求と化した。
きっと拳は眼前のあれを抉らない。捉えたと思った瞬間に避けられる。空を切る。これほど苛立ちの積もるものも中々ない。
そういう思いがあったとしても彼は変わらない、決して。余裕などはない、あるのは殺意のみだ。

「粉砕してやる。せいぜい拳を見ないようにこうべを垂れろ。」

もうすぐ我楽多(あいつ)に手がとどく。殺意がついに捉えたか。
どう殺すかを考えるよりも先に拳が空(から)を破っていた。轟音で迫る核の如き殴打。しかしそれは猿でも予想のいく単純な攻撃。
その分それはあまりに重く、疾かった。
168 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/08(金) 00:36:03.93 ID:qzjs+nJq0
>>166
「………なるほどねぇ」
「残念だけどぉ、僕の話は聞いてくれないのねぇ……」

悲しそうなガラクタ、しかし涙は出ない。
機械で出来ている以上、涙が出る事は無い。
ガラクタの中では泣いているのだが。

「でもねぇ、今の君はとっっっっっても生きている感じが伝わってくるのぉ……」
「さっきまでの腐った君はいないぃ、殺意の塊の君しかいないよぉ……」
「その感情のまま生き続けた方がぁ、幸せなのかもねぇ……」

既にフックショットで避け切るには限界があった。
彼の殺意が増す程、彼の一撃は破壊力を増していく。
殺意の塊と化した彼の一撃は、この世の何よりも重いだろう。

「でも僕はぁ、諦めないのぉ……」
「2文字で纏める事はできないからぁ、何度でもしつこくぅ……」
「でも君が僕を仕留めるのが先かぁ、僕が君と正しい会話が出来るのが先かぁ…」
「結果何て分かってるけどねぇ……」

ガラクタは突然、街灯から飛び降りる。
そして何もない空に向かって、銃を放つ。
妙に強い反動を利用して、一気に地面に落ちていく。

フックショットを落ちながら撃つには時間が足りない。
ガラクタはそのまま地面に叩きつけられる。。
全身に激しい痛みが通り、神経のような部分が紅く光る。
夜だというのに目立ってしまう不利な体だ。

そして痛みを堪えながらまたフックショットを構える。
しかし時間を考えるとかなりギリギリだ。間に合わないかもしれない。
それにガラクタの体も限界が近づいてきている。
フックショットは体に大きな負担をかける。それ故、あまり連発できない。
殺意の塊と化した彼が先か、それともガラクタか。
169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/08(金) 01:00:46.24 ID:dX9VPHS4O
近接武器能力下さい
170 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/08(金) 01:04:03.94 ID:59+Cnewb0
>>168
まるで大気を割ったかのような轟。哀しみを知った我楽多が墜ちていく。
しかし一ミリたりとも攻撃が直撃したわけではなかった。蝙蝠は蝙蝠らしく自ら羽搏く。あいつもその限りなのだろう。
なのに悲しいかな、飛び去るわけでもなく、蝙蝠は地に墜ちた。

「……。」

星空を掠める弾丸の疾駆。直線を描いて夜に溶ける。
赤灯が主張する、ブロック体の身体。一際闇に映えていた。
それが今揺れ動く、死に抗って必死に抵抗しようとしている。どうにも気が進まない。[ピーーー]の一言も発する気にならない。
なのにいつのまにか直進していた。あいつに死を押し付けようとする。殺意が理性を「殺していた。」

「最期の言葉は、あるか。」

あろうことか、情けをかけた。つまり逡巡があったわけだ。
殺意は間違いなく眼前の標的を殺さんとしている。引き絞られた右腕確実に目の前のものを狙う。
しかし理性は聞いていた。がらくたのこえを。
それが今彼に情けをかけさせた。彼からすれば今生一情けないことだ。
すると必然的に生まれるのは隙、タイミングはズレて構えを取る姿を視界が明瞭に捉えていた。
転瞬、無情な殴打の炸裂。だが避ける余地はあった。
171 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/08(金) 01:04:27.35 ID:P/dqkv900
>>169
【ブレイカ】
異能干渉能力を持つ能力者。
この力を武器に纏わせる事で実体の無い物や炎、雷などを攻撃できる。
好きな近接武器を一つ装備しておりその武器の達人。
トップアスリートクラスの身体能力を持つ。
172 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/08(金) 01:04:30.82 ID:9mg0oYP50
>>169
【ブレイカ】
異能干渉能力を持つ能力者。
この力を武器に纏わせる事で実体の無い物や炎、雷などを攻撃できる。
好きな近接武器を一つ装備しておりその武器の達人。
トップアスリートクラスの身体能力を持つ
173 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/08(金) 01:08:07.95 ID:dX9VPHS4O
>>171-172
どちらか迷いましたがブレイカ貰います
ありがとうございます
174 :【ブレイカ】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/08(金) 01:14:53.55 ID:dX9VPHS4O
ったく、こんなか弱い女を捕まえて何しようとしたんだかね
…あーあ、こんな時間だし、帰ろっかなぁ

【愛用の薙刀を肩にして溜息、赤茶色の長髪を掻き上げる仕草】
【少女の足元に目を回し倒れているのは3人の男達だ、何れも薙刀の一撃でのされたのだ】
【夜も深い繁華街、猥雑な賑わいを照らすネオンライトが貪婪に輝いている】
175 :【ブレイカ】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/08(金) 01:40:29.18 ID:dX9VPHS4O
/流石に時間が遅いですかね、落ちますまた後日
176 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/08(金) 14:08:33.73 ID:qzjs+nJq0
>>170
ふと気がついた時には目の前には彼がいた。
人の体には似合わない異常な力そのものがガラクタに迫っていた。
圧倒的な殺気を至近距離で感じたガラクタは思わず体を震わせる。

死を覚悟した瞬間、彼から驚くような言葉が出た。
[最後の言葉は、あるか。]その台詞がガラクタの頭に響き渡る。
行動と台詞の矛盾に気がつくのにはそう時間はかからなかった。

彼の能力と感情を考えると、目の前で構えている姿が見えるはずがない。
恐らく彼は今、ガラクタに情けをかけたのだろう。

「いや、そんな台詞をガラクタが話す余裕があると思うぅ…?」

ガラクタは必至だった。
情けといっても恐ろしい一撃が放たれる事に変わりない。
彼に恐怖を抱きつつも、ガラクタは彼の情けに感謝した。

心が恐怖と威圧で押しつぶされそうになる中、ガラクタは必死に体を動かす。
彼の情けを受けるために、彼の一撃をうけないために。
そして生きたまま彼に感謝の意を告げるために。
177 :アイナ・クリスティン [sage]:2016/04/08(金) 14:57:08.20 ID:cCUWS4EtO
>>144

「でも難しそうだよねー、私が言うのはおかしいかもしれないけど能力者ってちょっと戦いを好む人が多いから」
「……あっ、いただきまーすっ!」

嬉しそうに料理を平らげるともうすっかり日が暮れていた。
そろそろ家に帰らなくては、児童養護施設に行くための準備もしなくてはならない。
夜霧が会計を済ませるのを見届けてからアイナは店を出るだろう。

「ふぅ……お腹いっぱい!ごちそうさまでした!ありがとうね晴斗くん!」
178 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/08(金) 17:05:10.51 ID:E3f4cJAlo
>>165
飛んでくる風の刃を見る
この倒れた木々を見てもわかるように切れ味はかなりあるようだ。
かといって飛び上がれるような足場もない
ナイフを3本召喚し、2本を迎撃に
残りの1本を手元に走り始める。
迎撃に放たれたナイフは凄まじい速度で風の刃に向かっていく。
179 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/08(金) 17:29:04.86 ID:iwY7jcko0
>>177

「これぐらいお安い御用だ」

夕焼けにより昼間より綺麗に見える大通り、お礼を言うアイナにそう返して自分のケータイ番号の紙を渡す。

「俺の電話番号だ。何かあったら掛けろ。」
「あと最近不審者が出てるらしいから気を付けてな。」

そう言い残し帰路に着く。今日は良いこともあったな。
そう思ったら口元がにやけてしまった。
この顔を人に見られないようにカラスが鳴いている夕焼け空を眺めた。
180 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/08(金) 17:52:36.75 ID:iwY7jcko0
>>179
名前ミスりました
181 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/08(金) 17:59:02.61 ID:wYZh67sW0
>>178
「ぐぬぬ、こしゃくなー!」

風の刃と男の投げたナイフがぶつかる。一瞬鍔迫り合いがおき、男の胴を狙った風の刃は相殺され消え、二つのナイフはどちらも弾かれ地面へ叩きつけられた。

「はっはっはー!私に近づいてくるなんてばかめ!振り出しにもどるがいい!」

ナイフを片手にこちらへ走りこんでくる男。それを見て高笑いをするガルヴァレックスは勢いをつけて再び尻尾を振る。
今度男へ向かうのは風の刃ではなく、空気の揺れる風圧。打ち付けられればひとたまりもない。
しかし風の刃ほど速度は速くなく、尻尾を振るという予備動作もあったため、避けるのは容易いだろう。
182 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/08(金) 18:18:59.61 ID:E3f4cJAlo
>>181
「このナイフに風圧は関係ないのさ」
残り1本のナイフを投げてから回避する。
風圧で減速するはずのナイフは減速することなく、高速で迫っていく。
弾き飛ばされたナイフ2本がフェアの手元に戻っていく
183 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/08(金) 18:42:03.35 ID:wYZh67sW0
>>182
「なにっ!?ひえぇ!あぶない!!」

投げられたナイフは風圧をものともせず真っ直ぐ向かってくる。ガルヴァレックスは風を纏い自身を空中へ浮かせて紙一重でナイフを回避。

「このやろー!私は怒ったぞっ!」

着地と同時に身体を回し、尻尾から風の刃を1発飛ばす。
そのあとすぐ、再度身体に風を纏い、男へ突進していく。風の力も助け、小さい身体ながらも突進の勢いは受けた者を思い切り突き飛ばすほどになっている。
184 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/08(金) 19:07:10.82 ID:E3f4cJAlo
>>183
「飛んだ・・・!?」
流石に飛ぶことは考慮していなかったのか
眉をひそめる。
突進してくる少女への反応が遅れて突き飛ばされるも、なんとか立ちあがる。
「子供だと軽視しすぎたみたいだね、まさか飛ぶとは・・・」
ただ無感情にそうつぶやく。
2本のナイフを少女に向かって投げる。
ナイフは直角的な起動を描いて少女を追いかけていく。
185 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/08(金) 19:07:30.16 ID:E3f4cJAlo
>>184
//軌道ですね、すみません
186 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/08(金) 20:03:03.79 ID:wYZh67sW0
>>184
「へっ、私の力を思い知ったか人間め!」

勝ちほこるガルヴァレックスは突き飛ばされた男へ憎たらしい顔を見せ、挑発。

「もうその手は食わないぞまぬけー!……ってうわっ!」

二本のナイフがまっすぐ飛んでくる。ガルヴァレックスは余裕こいて風を纏う尻尾で弾き飛ばそうとする。が一つは弾き飛ばせたが、もう一つは尻尾をかいくぐりガルヴァレックスの顔を掠めた。

「ぎゃーすっ!いたい!!……ぐぅ……お、おぼえてろよ!」

頬の傷をおさえて涙目で男を睨みつける。
鋭い痛みに自信を失いはしないものの少し萎縮、悪役っぽい捨て台詞を言い放ち、ガルヴァレックスは風を纏ってちょこまかと逃げ出した。
正義の味方は、自然破壊をしていた大怪獣の撃退に成功したのだ!


/遅くなってすみません!。これで〆でお願いしますっ
187 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/08(金) 20:10:01.36 ID:E3f4cJAlo
>>186
「・・・顔を狙うのは良くなかったかな」
ゆっくりとナイフが戻っていき、消える
珈琲でも飲もうと喫茶店へと足を進め、男は静寂の中に消えた
//ありがとうございましたー!
188 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/08(金) 21:16:16.75 ID:59+Cnewb0
>>176
顔面の横に引き絞られた右腕、刹那音を置き去りにした直進。
狙うは我楽多の心臓。理性の蘇生を危険視した殺意が逸早くそれを抉らんと唸る。
だが自ら隙を作ったゆえに、その拳撃は狙いを完遂することはなかった。しかし我楽多の限界も近く、鈍った動きにつけ込んだ殺意が頬をかすめた。

「……。」

言葉が出てこない。本能は際限無く殺せと信号を送ってくる。不愉快だ。
理性は驚くまでに落ち着いている。死んでいるというよりは息を潜めているようだった。
次はどう動けばいい。殺せばいいのか。生かせばいいのか。俺は何を愛すのだ。
今なら確実に命を取れる。そうすればこの気持ちは晴れるのだ。ーー本当に?疑問があった。
殺せ、殺せ、殺せ、殺せ。焦燥の表れなのだろうか、殺意は命令系へと変わっていた。
この時間はたった数秒、されど数秒、それはまさに死合の世界にあるまじき静寂、隙だった。

「……Jesus.(……神よ。)」

今生二の屈辱。頭が痛い。そんな自分が嫌いになった。
我楽多を一瞥。ハットの陰から睥睨する殺意の眼が向けられる。だがその中には殺意抑制の慈悲が塵ほどはあった。
舌打ちをしてかかとを翻す。この場を後にする気らしい。
先ほどよりは若干、軽い足取りで。
189 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/08(金) 21:25:44.26 ID:iwY7jcko0
部屋に着いたときは、外は真っ暗だった。
自分が借りてる部屋に入って荷物を置き、いつも通りパソコンを使い事件がないか調べた。
出てきたのは、テロが起きたとか大統領が暗殺されたなどで、目ぼしい物は見当たらなかった。
やめようとしたときある一つの記事が目に入った。

「これは・・・」

その記事の内容は、泥人形に能力者が次々に襲われているという内容だった。

「泥人形ねぇ…」

何の能力だろうか?その泥人形の正体を色々考えるが眠くなって来た。
パソコンを閉じて寝間着に着替えて。

「おやすみ」

そう呟き、床に就いた。
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/08(金) 22:13:12.76 ID:DCC94XbI0
遠距離系からくださいなっ
191 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/08(金) 22:15:13.48 ID:wYZh67sW0
>>190

【アームズアーム】
両腕を重火器へと変化させる能力
放つものは現実の弾丸やミサイルではなくエネルギー弾。
無機物に対しては高火力、しかし全ての能力者はエネルギー弾に対する耐性を有している。
192 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/08(金) 22:29:31.41 ID:DCC94XbI0
>>191
あざーす!
193 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/08(金) 22:33:06.05 ID:iwY7jcko0
建物が崩れ、爆発音が轟き死体が大量に転がっている燃える街中を、二つの人影が走っていた。

『早く!』

二人いる少年の内青い髪の少年がもう一人の赤と黒のオッドアイの少年に叫ぶ。
その後ろには銃を持った男が二人を追いかけてきていた。

『分かってる!』

オッドアイの少年はそう言いスピードを上げる。
これなら逃げ切れる。そう思った瞬間。
発砲音がして、目の前の親友が血を吹き出し倒れた。

『・・・え?』

オッドアイの少年は目の前の親友に駆け寄り、そして声を荒げながら体をゆする。

『おい!しっかりしろおい!』

そうしてる内に発砲音とともに右足に激痛が走り声にならない叫びを上げる。

『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!』

足を押さえて転げまわっている内に男が顔に銃を向けた。そして
男の顔が吹き飛んだ。そして、迷彩柄の服の人たちが来て。自分たちを担ぎ上げたあと・・・

「うわああああああああああああああああああ!!」

寝ていた青年、夜霧晴斗飛び起きた。

「あの時の夢か・・・」

そう呟いた後、左右の壁からドンという音が聞こえた。

「やっちまった・・・」

時計を確認すると夜明け前だった。明日謝ろうと思いつつ着替えた彼は、夜明け前の町に繰り出した。
194 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/08(金) 23:16:08.67 ID:DCC94XbI0
>>193
  『アア゛アァア゛ヴァーアア゛ア゛アァァ──……』

金切りめいた慟哭──滅びかけた駆動装甲の節目から噴き零れる泥沼のような不純オイル。
錆のコーティングがぶわぁっと唐突に腐り落ち、剥き出しになるまばゆい黄金(おうごん)の表装。
オイル溜りを敷いて、体内を循環する全てを排気──奇怪的な道理でありとあらゆるオイルチューブが輝銀のエネルギーで満ち溢れる。

右腕を鈍空に突き上げると、機構的に暗銅のガトリングに換装。


『かくして私は人間に成り上がった。』
『ここまでしてやっと人間程度の強度でしかなく、運動力にしかあらずだからだ。ただし、ガトリングのみが異端としてのカタチである。』

『──しかし不条理だけが我が生涯だった。ようやくかたどりを与えられた慈悲/自悲としてのカラダは、
    ただひたすらに能力者を殲滅する衝動によって限度を追い越した稼働を実行する──。』

ぎょろ、りと睥睨する。
195 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/08(金) 23:48:58.12 ID:iwY7jcko0
あの夢を見た後は目が冴えてしまう。
ふらついていたら、街はずれの公園に着いていた。
来る途中に気が無残な姿をしていたが戦闘でもあったのだろうか。
そう考え一人で納得し、自販機で缶珈琲を買ってベンチに座った。

「・・・苦ぇ」

彼はそう呟き、満天の星空を見上げた。
196 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/09(土) 00:03:24.61 ID:ELJDaWmj0
>>194
なんだろう誰かに見られている気がする。
そう感じた俺は、鞘に石を入れて刀を作り出し構える。

「誰だ、出てこい」

短くそう言い。全神経を集中させる。
197 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 00:21:14.44 ID:t485Mhn20
>>196
輝銀のエネルギー粒子が体内で加速していく超常感覚。

──どくん、どくん、どく、どく、

『たかぶりの鼓動だ。つい躍動してしまい、発射が心臓の刻むリズムと同間隔になるじゃないか。』

ガトリングが、回転をはじめる──どくどくどくどくどっどっどっどどどどどどどどどどどど
と弾丸が発射されていく。

『君はビートをどう刻みたい?』

ささやきは、激しい銃撃音にかき消された。


/楽しんで殺死愛(ころしあい)じゃあ
198 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/09(土) 00:49:28.58 ID:ELJDaWmj0
>>197
こうして集中し始めどれくらい経ったのだろう。
静寂は銃撃音にかき消された。

「くそ!」

とっさに自販機の裏に飛び込み回避したが状況は最悪だ。
敵の方はこちらが外灯のせいで丸見えだが、こちらからは暗くて目視できない。
ここは退くのが最善だな。
そう結論付けて、照準を合わせられないよう飛び出し外套をたたき切って周囲を暗くした。
199 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 01:05:20.70 ID:t485Mhn20
>>198
『分からないな。』

マシンガンに左手を添えて銃口を安定させ、

『分からず終(じま)いじゃ、誰とも向き合うことなんて叶わないさ──。』

油断を誘うため、あえて外灯にさらされるポジションまでそそくさと歩み、
自動販売機の、バッテリーがあるだろう箇所に集中砲火──爆破を引き起こすかもしれない。
200 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 01:09:43.03 ID:t485Mhn20
/すまん! >>199はナシにしてほしい!
/読み間違えた!
201 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 01:14:43.03 ID:t485Mhn20
>>198
『分からないな。』

ガトリングに左手を添え照準を安定させ、

『分からず終(じま)いじゃ、誰とも向き合うことなんて叶わないさ──。』

目を瞑る──音源にすぐさま反応して、エネルギー弾を集中砲火する準備。
202 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/09(土) 01:17:34.83 ID:4K0yrBJT0
>>188
恐ろしい、ただその感情だけが一瞬ガラクタを支配した。
そして命が助かったあとも、ガラクタは恐怖し続けた。
いつ彼の気が変わるかわからない。ただそれだけだ。

だがそれと同時にガラクタを仕留めなかった彼に感謝した。
十分仕留められる隙はあった。しかしあえてそうしなかったのだろうか。
ガラクタに彼の真意はわからない。
ただ、目の前には助けられたという事実だけが残った。

「……………ありがとう」

いつもなら語尾を伸ばすが、今回だけは短く切る。
彼は長たらしい言葉を嫌う。
それに、シンプルな方が伝わる事もあるのだろう。
それは彼からガラクタが学んだ事である。

舌打ちをした彼はガラクタから離れていく。
ガラクタはただその離れていく姿を見る事しか出来なかった。
少しだけ、軽い足取りになったように見えたのは偶然なのだろうか。

「…………理想の自分と本当の自分は一致しない、かぁ」

彼がいなくなったあと、ポツリと呟く。
漠然とした安心がガラクタの緊張感を解していく。
だが安心しすぎたのか、ガラクタはその場で眠りに落ちてしまった。
そして夢の中で一つだけ行えなかったことを後悔した。

「なんて名前だったんだろうなぁ……」

//ロールありがとうございました。魔王カッコ良かったです。
203 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/09(土) 01:18:44.44 ID:ELJDaWmj0
>>199

「わざわざ姿を見せた!?」

どういうことだ。自らアドバンテージ捨てて的になるようなことを。
それほど自信があるのか、それとも誘っているのか。
おそらく両方であろう。まるで自分を馬鹿にしているかのような行動で火が付いた。

「…上等だ」

そう言い輪ゴムを刀へ変化させ奴に向けておいておき、最後にガラスで作った見えない刀を用意した。

「さあ…行くぜ」

そう言い相手の死角から石で作った刀で切りつける。
204 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/09(土) 01:25:25.19 ID:4K0yrBJT0
突然、街の中に気味の悪い足音が響く
ベチャベチャと泥を地面に打ち付けるような足音。
それは不安定にあたりを歩き回っている

「ゥ……ァァ…………ェ……」
「ィ………ァ……ォ……ゥォゥァ……」

声にならない声を上げながらあたりをうろつく。
夜の街にはぴったりなホラー感を纏わせて。
何かを探すように、彷徨い続ける。
205 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/09(土) 01:42:24.06 ID:ELJDaWmj0
>>203
こちらもミスです
206 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/09(土) 01:48:18.01 ID:SafhdZz30
>>202
背後に感じるのは死、恐怖感の死。それを極簡素に表した一言。
どうしてか胸の奥辺りがむず痒い。言い知れない感覚にただでさえ難しかった表情(かお)を更に顰めた。殺してやろうかとも思った。
頭の中を何度も反響する、あいつの声。己の足音はとうに聞こえない。感情の答えを手探りに探していた。しかしそれは那由多の先に、……いや、もう少しだけ近くにあるのかもしれない。

「……最後の言葉、だな。」

夜風に吹かれて独りごちる。うしろの我楽多はもう見えない。振り返らずとも知っていた。
いつの間にか殺意は忘却に消えていた。残滓として残った理性が聞いた最後(わかれぎわ)の言葉を何度もなんども思い返しながら、一歩ずつ踏み込む。
陳腐な感情だということは嫌という程分かっている。だからこの感情の意味を知りたくなかった。いや、知らなくてもいい。

「……Jesus. Jesus fuckig christ.」

畜生。あぁ、何てことだ。神よ。
まるっきりらしくないこんなこと。俺が他人を、愛(すく)うなんて。
暗がりに映える青白い街灯、集る羽虫の銀粉が消えかけの光に反射してきらめく。
空が高い場所にあった。手を伸ばしても届かない。尤も、あまりにも綺麗なそれは掴むことさえ憚られた。
畢竟の屈辱を知った日、深みから這いずり出てきた魔王ひとり。
かくして、まこと清々しい気分の夜を知る。
彼はもう決して、光に集る虫ではない。

/こちらこそありがとうです!がらくたくん純粋でいいキャラしてました!
207 :サー・マルセロ>>4【魔王】 [sage]:2016/04/09(土) 01:48:52.01 ID:SafhdZz30
/最後の最後まで誤字、すぺるみす
fucking ですね
208 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/09(土) 01:51:38.81 ID:ELJDaWmj0
>>201
さてお互い視覚これで使いにくくなった。おそらく相手も自分と同じような状況だと考えられる。
ここで策もなしに戦いを挑んでも能力の差で負けてしまうだろう。となれば取る行動は一つしかない。

「もったいないが仕方ない」

石の刀を捨てて輪ゴムの刀を作り構えて、新品のウォーク○ンを大音量で遠くへぶん投げた。
                 

                  策作るだけだ
209 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/09(土) 15:05:34.28 ID:4K0yrBJT0
突然街中に響く銃声。
だが悲鳴は不思議と聞こえない。
血も一滴たりとも流れてはいない。

銃声の主は人ではない。
人の形をした何か。それが公園で銃を放っていた。
それは落ちているゴミを見つけると楽しそうに近寄っていく。

そして全力で上空へ投げ飛ばし、目を瞑る。
傍から見ると何をしているのかサッパリわからない。

「1,2,3,4…」

5、と同時に右手の銃で宙に浮いたゴミを撃ちぬく。
そして撃たれたゴミはゴミ箱の中へ落ちていく。
それを確認してはまたゴミを探す。

ひたすらにそれを繰り返し続けているのだ。
反動が大きいのか時折休憩を挟んではいるが、ひたすらに。
210 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/09(土) 21:15:03.19 ID:vAbQfnl80
【街の一画、とある教会】

ここはこの世界において最も一般的であり、最も大衆へ浸透した神へ祈る教会である。
週末ともなれば大勢の信者たちが訪れ、聖歌隊のコーラスがその歌声を通りにまで響かせる。
しかし今日は何やら様子がおかしい。教会を取り囲むのは背に逆十字界を背負ったローブを羽織る者たち。
皆一様に火の灯った松明を手にし、各々がここではないどこかへ向けられた詩を口にする。
それは大いなる意思との交信、浄化した意思を統一し帰属させる為の狂った祈。
彼らの白い外套が所々返り血に濡れているのを見れば、ここで何が行われたのかは容易に想像できるだろう。

夜空を赤く染め上げるほどに燃ゆる炎に照らされる者たち、その異様な集団の中に一際背の高い人物があった。
一目でわかる。説明されずとも精神が理解する異様の中の異質。
近年急激に組織力を拡大し、曰く信仰力、即ち暴力によって自治教区を認めさせている【統一意思と終の輪廻教】
その最高主教、他教徒から悪夢の名で広く知られる法王アルトリアその人である。

「終願。我々の祈りし願い。その到達へとまた一歩。
浄化により解放された意思。浄火の奔流によりて大いなる意思へと帰属し。そして私へと還りなさい」

異教徒の浄化が正しく行われ、その終幕を宣言する法王の言の葉に周囲の信徒たちは歓声を上げた。
狂信。まともな人間から見れば彼らの行いは正しくそうであろう。
しかし彼らからすれば法王アルトリアという絶対者の元、大いなる意思に基づいた正の行いなのだ。
大いなる意思。それを依代とした人々の意思は時と共に肥大し、この世界に渦巻き廻り続けるだろう。
くるくる狂狂と。法王アルトリア、人々を導く偶像が息を吐く限りは。
211 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [saga]:2016/04/09(土) 23:00:05.58 ID:vBDQH/q00
遠く、夜の底が赤く染まる。逆徒が反乱を起こしたとか、そんな噂をつい先程聞いた。
真実とは少し湾曲して伝わっているのかも知れない。だがそれが噂、言伝というものだ。
何処か胸騒ぎがする。彼女のこころに危機感というものが初めて芽生えていた。ーー愛が、喪われようとしている。ーー
自分も聖職者の端くれだ、敬虔な信徒から宗教方面の話題はよく耳にする。だから今回の噂には少し引っかかるものがあった。
逆徒、異質、カルト宗教、暴虐、……輪廻、エトセトラ。それとなく心当たりのあるワードを手当たり次第思い返す。
すると脳の端でやけに長たらしい名称を思い出した。曖昧模糊なその固有名詞は、頭の中で明瞭にしようとする度その輪郭を暈してゆく。
だがただひとつ理解できていた、隣人愛ーー彼女の信条ーーのない行為だということ。
珍しく笑みのない表情に、取り巻く数人の信徒たちが心配の声をかける。しかし彼女はそんな声に耳も傾けずに、独りごちし始めた。

「ふふ、ふふふふ、……ふふふっ。
愛、愛、愛、愛。愛なのです……。愛こそがすべてを愛(すく)うのです……。」

ーーあぁ! 愛を知らない悲しい方々! きっと私の愛が貴方がたを熱く抱擁するでしょう!
歪んだ笑みで叫ぶ。地に膝まづき、胸の前でかたく指を絡ませて手を組んでいた。
ずぶ、ずぶずぶ、ーーずぶ。彼女の膝と接するコンクリが水面(みなも)のごとき揺らぎを生む。能力の暴走とはいかずとも、先走った狂気が地面の極一部を吸収、操作、放出の三過程を秒刻みで繰り返し気味の悪い状態を生んでいた。
一方で、呆気に取られていた信徒達はついに、「マザー、マザー」と雌(おんな)の嬌声にも似た歓びをあげはじめる。
隣人愛がこの世を愛う唯一の活路。ならば愛のないものは死こそ妥当。いや死こそが無上の愛(しあわせ)。
神もそれを望んでおられる。神はそれを望んでおられる。その御手で最後の審判を下される前に、私が無上の愛をもって罪を許しましょう。
ですが神よ、せめてもの慈悲として、愛を知らないあの方たちを、これ以上の悪から御救い下さい。

「共に祈りましょう。愛する私の下僕(ゆうじん)達。
あの方たちに無上の愛を知らしめ、そして救うのです。」

立ち上がり、熱い信奉の声を叫ぶ信者ーー狂信者へと向き直る。狂気じみた笑顔を見せて、狂気じみた声音による熱弁。
一言ひとこと発する度に狂った信徒たちが絶大な信仰を煽る。彼らはまさに使徒、信徒、教徒、逆徒、兇徒。愛を運ぶ信仰心の肉塊。
「愛は人を狂わせる。」その形はどうであれど、人は愛に翻弄されて死ぬ。それこそが幸せだと錯覚する。
彼女とその狂信者に至っては、神の説いた隣人愛という深みにはまってしまったのだ。
彼女自らが磔られた十字架の模様が両掌に浮かび上がる。これはどうやら彼女の極端な隣人愛が表れたものらしい。
主を彼女であると暗喩したものでもあるようだ。なぜならかの宗教の十字の偶像には、主が磔られているのだから。
狂の醒めない今日の日に、ついに神が下界に影を落とす。赤く染まる夜の底を、少しずつ絶大な愛を孕んだ漆黒が喰む。
212 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 23:00:44.40 ID:t485Mhn20
>>208
目を見開くと、苦渋を浮かべる。生気すら感じさせぬあからさまなデコイへと、┣¨┣¨┣¨┣¨とむせかえるような精密射撃をする┣¨┣¨┣¨┣¨ドドド......──。
着弾──引き裂かれたような爆閃が、アームズアームの位置を暴くように迸る。

────ホぉ……………………──

たとえ傷を負おうとも、それ以上の痛みを与えてやろう──。敵襲覚悟で、ガトリングをバズーカへとがしゃこんと換装。
213 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/09(土) 23:23:22.62 ID:ELJDaWmj0
>>212

「掛かった!」

耳を塞ぎたくなる発砲音がし、発砲された時の光で影が浮かび上がった。
その隙を逃さず俺は、刀を敵の方に向けて振り。

「刀よ、伸びろ」

刀の切っ先が、影の心臓にかなりの速さで一直線に伸びていった。
214 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/09(土) 23:45:28.49 ID:nAfs972H0
>>210

宗教というのは個人の自由だ、それが例え自分の信教と違う考えを持っていてもそれを咎め、更には私刑を与えるなど決して許されることではない。
人には自由があり、だからこそ人は人足り得るのだから――――

「なんて…惨い……」

そこに広がるのは、一種の地獄だった。いや、当人たちにすればそれは天国なのかもしれない。一方的に自分たちへと他人を染める。
しかしそれは決してやっていいことではなく、意志と尊厳を穢し尽くす悪魔の所業。それでも本人はそれが間違いだと思わず、正しいことだとただ盲信しそれを続ける。
精神の汚染、侵略、そんな歪んだ思想に穢され犯された信徒たちに少しでも安らぎを――――

明らかにこんなことは間違っている。
ここの聖歌隊によるコーラスを聴くと心安らぎ、悩みなども泡のように消えていった。
そんな場所が今は醜い地獄へと成り果てている。
これは怒りなのか、胸の奥に沸々と湧き上がるこの気持ちは。

「ふざけています…こんなこと……!」

なぜこんなことを平気でできる。なぜこんなことで歓声があがる。なぜこんなことを正当化できる。

だが、今出て行くことはできない。近くの木の裏に身を潜め、やり過ごさなければこちらが殺られる。
しかし目の前でこのような非業が行われる中、黙って待ち続けられるだろうか。しかし今はそれをしなければならない。こんなことが行われている間何もせず――――


パキッ


「……!?」

近くに落ちていた小さな木の枝を踏んでしまった。音が儀式の中に響き、自らの存在を露わにする。
たった一人、異物がその中へと投げ出された。
215 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 23:46:47.49 ID:t485Mhn20
>>213
やらせまいぞ──と。捉えた生気は、既に、確かな勝利に満ち溢れていた。

ゴム色の刃に体内への侵入を赦すと、いとも簡単に峰は串刺しにされた心胞ごと背後から突き抜ける。虚空に晒されて強ばった動悸は異常加速する──。
  ……──致命傷を負った心臓は、パァあんとカラーボールのように炸裂した。


──成程な。贈るべきは、祝砲か。

【アームズアーム、絶滅。最後を振り絞り、バズーカ──。】

ズ、ドン! と淡い灼熱の尾びれを靡かせながらバズーカがささやき──彼の脇をすり抜けて、その先のコンクリート塀に直撃。
粉塵に紛れて美しく崩壊していく背後の惨状をものともせず、ささやきはオッドアイの瞳を、生命の灯火のようにゆらめかせる──。
216 :【アームズアーム】>>191 [sage]:2016/04/09(土) 23:47:19.83 ID:t485Mhn20
/あざーした!
217 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 00:29:42.83 ID:IXanFyjC0
生い茂る木々を抜けて、月光の祝福を授かり静かに煌く湖畔。
鏡は真実を映し出すという。噂に過ぎないと一蹴するのも一興、だが騙されてみるのもまた一興というもの。
あの月を斬ることは出来ないだろうか――そう想う瞬間は、幾度もあった。
それは主に瑠璃色の星空に真っ赤な満月が咲き誇り、風を感じない寂しげな夜。

今宵もまた、そんな日だった。

「――………」

森林を住処とする小動物達の囁きに混じり、文字に表せぬ鋭い金属音が反響を残す。
後に訪れたのは静寂。なんの音も、なんの声もしない寂寥さえも感じる時間。
常闇に紛れ込む漆黒の影は、両手に携えた巨大な剣(つるぎ)を星空へと向けた。
柔らかな月の光を帯びたその刀身は、金属特有の鈍さの伴うものではなく絵に書いたような純白の輝きを放つ。
明滅を繰り返す鋒を満足そうに見詰めては、その影は何も語らず深紅に色咲く満月へ剣を振るった。

「風遁の術」

短い、極短い詠唱。
同時に刀身には竜巻の如く中心に風のベールが纏われ、彼の回りに散らばる小石を浮かせた。
水面が揺れる、木々が揺れる、草花が揺れる――無風の湖畔に訪れる、突然の優しい春風。
風は様々なものを運んでくるという。善悪に限らず、自然の摂理に導かれて。
果たして今宵の風は何を引き寄せるのか――
218 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage saga]:2016/04/10(日) 01:26:14.24 ID:9B98kmxKo
深夜の公園、もうその寝心地にもすっかり慣れてしまった段ボールと新聞紙の寝床の近く、地面にかがみ込んでなにかもぞもぞとうごめく少女
誰に対しても媚びず、少々粗暴で喧嘩っ早い普段とはまた違った様子で、屈み込んだ膝に、肘をついてそれを頬杖にし、安らぎの表情を浮かべていた
街灯に照らされた彼女の視線の先には、一匹の猫がちょこんと座っていた。人馴れしているが、首輪のついていないれっきとした野良猫である

「可愛いなお前は…ほら、食べろー…?」

先程コンビニで購入したおにぎりを小さく分けて食べさせれば、もっとくれとでも言いたげに鳴いてせがむ猫
コンビニ食品は出来合いの例に漏れずあまり健康的とは言えないが、猫にとっては人間の作ったどの食べ物も同じことだ。気に掛けるほどのことでもない

「…にゃー……にゃ…にゃーっ…」

指で摘んだ米の塊にかぶりつこうとする猫、しかし少女は意地悪くそれをさっと引いて取り上げる
猫も負けじと前足を使って小さなおにぎりを奪い取ろうとするが、少女の瞬発力と空間認識能力の前にあと一歩のところでおにぎりを逃し続けている
天性のボクシングセンスの、まさに無駄遣いである。必死になる猫を見てご満悦。頬杖をついたまま、おにぎりを取り上げるたびに猫の鳴き声を真似ておちょくっている
そして暫く一通り遊び終わってから、満足げな表情を浮かべてそれを野良猫の口元へと持って行って食べさせてやる

「……決めた。お前今日からニャー助な」

あたしが飼ってやると控えめな胸を張って猫に言い張る少女に、猫は何も分かっていないような視線を送りながら小さなおにぎりを咀嚼している
わしわしと頭を撫でられ、顎の下をかりかりと掻かれ気持ち良さそうに眼を細める猫にとっては、主従関係や名前などどうでもよいのだろう

遥歩は猫が好きだ。猫はどこか親近感を覚えるから。愛想のない猫も、甘えたがりな猫も、それぞれどこか自分に似ているような気がするのだ
日々を気ままに暮らし、その日その時を好きなように生きる。まるでそれは少女の生き様の写し鏡であり、猫とはそういう生き物なのだから
219 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 01:33:18.70 ID:VzpS7QEa0
>>215

「やった…のか…」

刀を輪ゴムに戻し一息つく。気が付くと地面にへたり込んでいた。
能力者との戦闘は久しぶりだった。立ち上がり殺した相手の前に行き。
石の刀を地面に突き立てた。

「いい勝負だった」

そう言い残し彼は人が集まる前に闇に消えていった。
満天の星空の下、残ったのは、死体と抉られた地面と、缶珈琲の空き缶だけだった。

>>216
こちらこそありがとうございました!!
220 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage saga]:2016/04/10(日) 11:55:06.73 ID:C0bIF6xk0
>>214
踏み抜かれ折れた小枝。その乾いた響きが浄化の歓声へと水を差す。
しかし彼ら信徒の中、誰ひとりとてその異音に気付く者は無い。
それも当然だろう、彼らは皆“酔って”いるのだ。半ばトランス状態となった意識にそんな小さな音は届かない。唯、ひとり。彼らの王を除いては。

「観取。子羊が迷い込んだか。或いは自己意思によりてのものでしょうか。
前者であれば捨て置けますが。後者であるのなら問わねばなりません。
無意味。隠れようとするのであれば。悪しき心象はお互い望まぬものでしょう。
借問。何を目的にして。何の為にここに居られるのでしょうか」

常人を遥かに超えた法王の聴力。歓声に混じり消えゆく筈の小さき雑音すらも逃さぬその耳と突如発せられた声に辺りは静けさを得た。
誰も遮る事など許されぬ。法王アルトリアの吐く息、紡がれる言の葉は大いなる意思そのものであるのだから。
しかしここで、アルトリアの言を受けて信徒のひとりが口を開いた。

『法王様、あの者はきっと異教のスパイでありましょう。慈悲など無用、殺しましょう!』
『そうです! 浄化を! 浄化のお許しを!』
『『『浄化!! 浄化!! 浄化!!』』』

それは法王を前にして功を立てようとしたが故か、それとも先の浄化による昂りが未だ落ち着かぬが故か。
ひとりの発言を皮切りに信徒たちから一斉に浄化を求めるシュプレヒコールが巻き起こる。
何たる光景、何たる異様、何たる狂気であろうか。同じ人間とは思えぬ意思の集合体が、年端もゆかぬ少女ひとりに向けられているのだ。
普通の感性、精神を持った人間であれば自我や理性を平常に保つ事すら難しいだろうが、少女酸漿はこの狂気にあてられた今何を思うのか。
しかしこの狂気の渦を止めたのは他でも無い、法王アルトリアその人であった。
細く長い腕をすらりと水平に擡げさせれば、先程までの喧騒が嘘のように静寂を取り戻したのだ。

「沮止。お前ですね。先に口を開いた者は。
私の彼の者との間に割り行った事は赦しましょう。しかし赦せぬはお前の穢れ。
我々は殺す事が目的ではありません。殺人とは浄化の手段でしかないのですから。
だけれどお前は開口一番に殺しましょうと。手段が目的になっているのではありませんか。
殺人という手段に愉悦を感じているのでしょう。その様な穢れ。私が見過ごせましょうか。
穢れたその魂を解放し。穢れを知ったその肉体を捨て去り。もう一度私へと還りなさい」

『ほ、法王様!? すみません! お赦しを!! すみませんすみませんすみませんすみばっ……!?』

両手を胸の前に組み、必死に祈り赦しを請う信徒の頭にアルトリアはそっと手を乗せる。
しなやかな細指が彼の頭を撫で、そして包み込むと次の瞬間、彼の頭は握り潰されざくろの様に真っ赤に弾けた。
超人的な握力を以って造作も無く行われたその浄化。執行者である法王アルトリアは目を閉じたまま、微細な表情の変化も見せずに白いハンカチで血に塗れた己が手を拭う。

「不面目。この様な者がいる所為で我々に対する疑念や望ましくない噂が尽きぬのです。
お前たちもこれを他人事とは思わず今一度自身の穢れと向き合い。そして自らそれを改められる強さを持つのです。
転換。話が逸れましたが戻しましょう。そこの木の陰に隠れた方。再度問います。貴公は。何故ここにいる」

酸漿が身を隠す木へと向き直り再び問い掛けに口を開いたアルトリア。
閉じられていた瞼はゆっくりと見開かれ、顕となった銀眼が真っ直ぐに、射抜く様な視線を酸漿へと向けた。
人間としての感情など微塵も感じさせぬその鈍銀の輝きは、しかし言い知れぬ程の精神的なプレッシャーを放ち。
物言わずとも嘘は赦さぬし通じぬという強烈な圧力を酸漿へと叩き付けるのだ。

221 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/10(日) 12:42:03.55 ID:4CgqwTVB0
>>217
春風の優しい音色に混じる不協和音。
ベチャベチャと泥が地面に打ちつけられるかのような不気味な音。
今宵の風は夜の素敵な雰囲気を壊す、魔物を呼び寄せてしまった。

「ノウ………リョク………サ……」
「…………ハッケン」

暗闇の中に一つだけ紅く光る目。
それは風を纏った剣を持った者へ向けられていた。
感情も意図も分からない何かは確実に近づいている。
222 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 12:57:33.68 ID:4CgqwTVB0
>>221
//また名前間違えてます、すいません
223 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 14:19:07.65 ID:IXanFyjC0
>>221
「……む…?」

森林のざわめきを掻き消して、突然にもニンジャの耳を擽るは不自然で不愉快な音色。
ベチャリ、ベチャリ――聴けば聴くほどにこの場に似つかわしくない、清涼とは言い難いそれ。
今宵の風はどうやら良くないものを運んできてしまったようだ。満月を背に、虎次郎は振り返る事なく星空を見やる。

「……この風に魅入られたでござるか?
 満月の下の出逢いというのも、中々乙でござろう」

しゅん。と、刀身に纏われた豪風は唐突にも蒸散し夜の空に溶け込む。
無風の境地にて訪れた春風のひと時は終わりを迎えて、愉しげに揺れ動いていた木々も落ち着きを取り戻した。
辺りを見渡す事さえも難しい闇に妖しく光る紅の瞳、それが捉えたのは無防備にも背を向けて語りかける黒い影。
とても穏やかで、優しい語調から感じられるのは”油断”か、それとも”余裕”か。

224 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 14:21:18.12 ID:VzpS7QEa0
鳥が囀り朝日が昇り始めたころ。彼は町のカフェで早めの朝飯を食べていた。
メニューはサンドイッチと珈琲だが彼の食事の手は止まっていた。彼は先ほどの戦闘を思い出していた。
もし奴が引っ掛からなければ自分が奴のようになっていたはず、それを考えると食欲がわかなかった。
珈琲の中に自分の顔が映った。酷い顔だ、相手にも失礼だからこんな事じゃいけない、そう思い食事を搔き込んだ。

「ごちそうさまでした」

そう言い店を出た彼の顔は先ほどまでの酷い顔ではなく、いつもの顔に戻っていた。
そろそろ人が起きる時間だ。
225 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 14:52:52.22 ID:4CgqwTVB0
>>223
「カゼ…………マンゲツ………」
「デアイ…………オツ……?」

同じ言葉を繰り返す。
足音はその場で止まり、何度も繰り返す。
そして今度は別の言葉。

「…………ナニヲ………イミシ」
「……ナニヲ…………モトメテイル?」

「イミハ………ナイ………」
「…ナニモ………ワカラナイ……」

ずどん、と大きな音をたてて木が一本倒れる。
そして今度は足音とは違った粘土の音をたてはじめた。
子供が何かを作ろうとこねるような音。

「………………カワイソウ」
「……………マタヒトリ」

TYPE-Dは何かを2つ投げつけた。
それは粘土でナイフの形をマネて作られたモノ。
しかし手元から離れた瞬間、それは突然木製に変わる。
無論、木製である以上威力は殆ど無いのだが。
226 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/10(日) 14:53:58.12 ID:WsIAAvEpO
>>220

やはり気付かれた。辺りに広がるのは一時の静けさと今にも弾けかねない緊張感。
あれはきっと自分とは比べ物にならない、純粋で純心な狂気。その狂気は場一体に伝染しこの空間を包み込む。
この中では自分の方場違いな存在、居てはならない異物そのもの。

ダメだ、此処に居てはこちらの心まで侵食される。しかしとても逃げられる状況じゃない、ここでもし出て行ったらどうなる。異端認定され殺されるのがオチではないか。
嘘をつこうとしても通じる相手とは思えない、そんな土壇場で考えた薄っぺらい嘘など簡単に見抜かれるだろう。そして結局は殺される。

「………!」

何かが弾ける音がした、それが何であるか嫌でも分かる。
こんな、こんな非道が―――

「許されるわけがありません…!」

一歩、踏み出しその身を晒す。どうせ死ぬのなら言いたいことを言い、やりたいことをやる。こんなことが許せるはずがない。

「穢れ?浄化?はっ、くだらないですね。
そんなもので殺人を正当化しようなど恥を知りなさい」

銀眼を睨みつける。銀色の瞳はまるで生気を感じさせず、異様なプレッシャーを放っている。
だがこちらはかの有名なギリシャの怪物、一睨みで相手を石にさせる化け物だ。まったく、こんなところでそんな不名誉な異名を言ったところで何も意味は為さないだろう。だが吹っ切れることはできた。あのふざけた法王とやらに一つ言ってやらないと。

「質問に答えていませんでしたね、私はたまたまここを通りかかっただけですよ。心を安らげようとここの聖歌隊のコーラスを聴こうと思いまして。
ですがこのような鬼畜の所業が行われているとは思いもしませんでした。私は宗教などは分かりません、ただあなた方が行っていることが間違っているということだけはハッキリと分かります」

身体の震えを隠し、また一歩踏み出す。怖くないといえば嘘になる。しかし見過ごすわけにはいかない。

こんなものが―――正しさなはずがない。
227 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 15:16:37.23 ID:IXanFyjC0
>>225
澄み渡る湖畔に響く無感情な呟きと、大木が地面を揺らす音。
最早この地に静寂が戻ることはないだろう。先の無音は恐らく、嵐の前の静けさというものか。
尚もニンジャは紅の月を見据える。凹凸の出来た表面を、淡麗に輝く闇夜の主を。
その無防備な背に放たれる二つの脅威――寸分の狂いもなく直進するそれは、ニンジャの背に突き刺さり――

――――一閃。

キンッ、という鋭い金属音が二度響いたかと思えば、刃物を模した木製のそれは同時に地に落ちた。


「この世は常に、不条理でござるな」


騒めく動物達の囀り。そこに先程までの穏健さは、一片も存在しない。
剣と称するにも巨大すぎる業物を両手に握り締めて、その鋒を”初めて”襲撃者へと向ける。
紅蓮の月光に照らされる二対の存在は、全く異なり本来互いに縁もゆかりもない夢物語のようなものだろう。
しかしそんな二人は、否、二体はこうして向き合っている。一体何の因果だろうか。
相対する人ならざる者へ向けて、漆黒の忍者は威圧さえも乗せられた眼光を魅せた。
228 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 15:44:29.22 ID:4CgqwTVB0
>>227
「ダメ………ナラバ………」
「チカク……タタカウ……」

効かなかったようで少し悲しげな声。
感情などあってないようなものなのだが。

「モット………チカクニ………」

泥人形は月に照らされ不気味さを増す。
目から放つ紅い光は忍者の威圧をうけ純粋な紅へと変わっていく。
殺意のような感情の表れか、それとも忍者の真似なのだろうか。
ゆらゆらと揺れる目は忍者から離れることはない。

「ブキヲ………モッテ………」

突然木に覆い被さるように倒れるTYPE-D。
そしてゆっくりと起き上がるとずるずると何かを木から作り出す。
今度は忍者の剣をマネたようで、大きな粘土の剣だ。
威力が無い事に気がついていないのか、少し自信ありげだ。

ぐらりぐらりと体を揺らしながら走って忍者に近づいていく。
そこらへんの人間と変わりない速度。身体能力は高くないようだ。
月が照らす夜に似合わない泥の音を響かせながら走る泥人形。
それはあまりにも夜どころかこの世界にすらも似合わない姿だった。
229 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 16:02:53.39 ID:IXanFyjC0
>>228
「ふむ――剣を使うか。
 ならば御主も、一介の武士と認めるでござるよ」

まるで自身の姿を投影したように、巨大な手製の剣を構え此方へと駆け抜ける泥人形。
ギラギラと人工の輝きを宿す一つ目は不気味に満月を反射して、周囲が暗闇という事もあり一層ホラーテイストが演出される。
だがそれをじっくりと噛み締め楽しむ余裕はない。今も刻一刻と、夜を乱す襲撃者が肉薄しているのだから。
心なしか衝突し合う殺意と敵意のさなか、ニンジャはその場から動かずに大剣を両手で構える。
露出した双眸は確りと揺れ動く泥人形の姿を見据えて、迎撃を決めるつもりだ。

「拙者の名は月影虎次郎、御主の名はなんという?」

その問が意味を成さないことなど、泥人形の様相を見ていればわかる。
だが戦闘前の名乗りはニンジャの礼儀、彼なりのジンクスといった方が正しいか。
澄み渡った声色は響く泥の音を越えて、きっと泥人形の鼓膜を叩くだろう。最も、それを理解するかは別だが。

もしも泥人形がそのまま接近するつもりならば、ニンジャは持ち前の剣術により武器を狙い袈裟斬りを行うだろう。
互いの得物は巨大。しかし、持ち主の技量の差というものは武器だけでは補えるものではない。
ニンジャは冷静に、泥人形の動きを観察していた。
230 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 16:33:09.26 ID:4CgqwTVB0
>>229
「ナマエ・・・・…?」
「……ワカラ……ナイ…」

恐ろしく落ち着いた忍者とは対照的な泥人形。
紅く光る眼は純粋さと輝きを増していく。
忍者を仕留める、その命令に従うために。

そのまま泥人形は近づき続ける。
そして大きな剣を月に向けて突き出したような構えをとる。
どうやら力任せに振り下ろすつもりのようだ。

「シト………メル………!」

剣を振り下ろすと同時にTYPE-Dは忍者の眼を見つめた。
まるで勝利を確信したかのように自信に満ちた紅い光。

そしてぽっかりと顔に空いた穴に丁度月光が差し込む。
月光はTYPE-Dの真実、泥で隠していたモノを映し出した。
しかし月光は突然遮られる。
振り下ろされた大きな剣によって。
231 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 16:55:51.64 ID:IXanFyjC0
>>230
「……わからない、でござるか……」

上空へ向けて突き出される大剣。それはニンジャのものではなく、泥人形のものだ。
それが攻撃の予備動作だという事に気がつくのに時間は要らない。力任せに振るわれたそれを、真っ向から迎え撃った。
ギィイン、という金切り声を大剣が響かせる。互いの持つ巨大な得物は、火花を散らし拮抗を繋げた。
しかし武器の性能の差は否めない――純粋な金属と、原質が粘土の武器では、どうしても壁がある。

「御主……物の怪の類でござるか」

ポッカリと空洞が作られた顔面を一瞥し、拮抗する相手の刃へと向けて一層力を込め弾き返そうと振るう。
ギギギという金属音は何処から鳴らされているのか、それを察するのに時間はかからないだろう。
一層大きな橙の火花を散らし、泥人形の剣を弾く。あわよくばそのまま、武器を飛ばさんと。
泥人形の勝利を確信した渾身の一撃は、ニンジャを仕留めるには至らずに相殺された。
しかしニンジャは責めない。今はその時ではないと、そう悟っているからこそ、迎撃に徹する。
232 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 17:18:31.54 ID:4CgqwTVB0
>>231
「ギ……ギギ………!」

必死に忍者を叩き斬らんと剣に力をいれる。
しかしどれだけ力を入れても勝てない。
本物の剣相手では勝負にはならなかったようだ。

「モノノケ…………?」
「…………チガウ……!」
「……………オレハ…………!」

珍しく正しい返答をする泥人形。
しかし返答をしたのが裏目に出たか。

気がついた時にはTYPE-Dが握っていた剣は無くなっていた。
残ったのは手で握っていた部分のみ。
どうやら忍者の一撃により吹き飛ばされたらしい。
TYPE-Dはどうして忍者が剣を吹き飛ばせたのか理解出来なかった。
しかし武器が吹き飛ばされた程度で眼の光は消えない。

「グギギギ…………!」

即座に剣を諦め、直接忍者に襲い掛かる。
体勢を低くして一気に至近距離に詰め寄ろうとする。
細く伸びた妙な両腕はそれぞれ忍者の手を狙っているようだ。
233 :ジェーン・ジ・イーター>>19【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 20:52:02.80 ID:hRkLZ/QYo
賑やかな笑みとネオンに照らされつくされたかと思える街
しかし、闇が失せることはない
――決して

闇の一角、路地裏
室外機の上にちょこんと腰掛ける少女がいた
少女は、手の紙を神妙な顔つきで見ていて―――

「いち…ぜろ…ぜろ…ぜろ…ぜろ…?」

あたりをあるいていたらちっちゃなかみを五まいみつけたからひろってみた
はじのほうにすうじがかいてあって、ひとのかおもかいてあるかみ
なんだろう、これ?
ぜーんぶおんなじかみだけどよくわかんない

「なんだろこれー?」

だれか、これがなにかおしえてくれないかなー
いまはあんまりおなかはへっていないからたぶんはなしはきけるしね
るりおねーちゃん、そういえばるりおねーちゃんはおしえてくれるひとだった
あ、けどダメだ……るりおねーちゃんはうごかなくなって、いなくなっちゃった
まだいたらきいてみたのになーざんねん
だからあたしはひとりでくびをかたむけてなやんじゃう
これはなんなのかなーって
234 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 20:54:20.53 ID:hRkLZ/QYo
>>233
//名前微妙にミス…
235 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 21:44:06.20 ID:IXanFyjC0
>>232
甲高い金属音、それを切っ掛けとして折れ曲がり刀身が地に刺さる泥人形の剣。
武器は奪った、ならば戦闘意欲も削いだはず。そんなニンジャの期待は一瞬にして裏切られる事となる。

「……まだ、続ける気でござるか」

剣はない、ならば素手で直接戦うのみ。そう言うように即座に身を屈み一気に猛突を繰り出す泥人形。
その速度はやはり常人の域を出ず、捉えきれない訳ではない。ニンジャは大剣を地に置き、徒手空拳の構えを魅せる。
ニンジャの身体能力は泥人形を上回っている。だからこそ、素手での鎮圧を可能と捉えた。
彼の中では武器を奪った時点で既に、この戦いは終わっているのだから。

「…ふっ……!」

細く華奢な泥人形の両腕が迫る最中、自身の両手を狙ったそれを後方へ飛び退きやり過ごす。
するとニンジャは一気に泥人形に近付き、顔面へと向けて鋭い回し蹴りを放つだろう。
それの成否に関わらず、ニンジャは即座に一歩後退し泥人形と距離を取るつもりだ。

/遅くなってすいません……
236 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/10(日) 22:01:56.47 ID:VzpS7QEa0
>>233
食材を入れたレジ袋を持って歩いてた俺は、細い裏路地が目についた。
裏路地は特に治安が悪く普通に死体が転がっている。
普段なら気にも留めないが、ネットで見た泥人形の噂もあり気になった。

「行ってみるか」

そう呟きガラスで刀を作り裏路地に入った。裏路地には久しぶりに入ったがいつも通りの酷い光景が広がっていた。
死体を踏まないように歩いていくが何もなく帰ろうかと考え始めたとき人影が見えた。
その人影の正体は幼い少女だった。黒いぼろぼろの布をまとい室外機に座っていた。

「お嬢ちゃん、何しているんだい」

なぜこんな所に考えながら、そう少女に話しかけた。
237 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 22:02:43.99 ID:VzpS7QEa0
>>236
名前ミス
238 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 22:06:49.14 ID:hRkLZ/QYo
>>236
うーん、うーん、
どうしようかなーもうたべちゃうかなー
けどこれ、かたいしおいしくなさそー
うーん、うーん、
ってなやんでたらだれかにこえをかけられたよ

「いまねーなやんでるの!」

なにしてるってきかれたからなやんでるってこたえるの
いまはなやんでいるから、こうとしかこたえられないよね
あっ、そうだ!
このおにーちゃんならなにかわかるかも!

「ねーねーおにーちゃん!これなぁに?」

だからりょうてでかみをもっておにーちゃんにみせるの!
いちとぜろがよっつかかれたかみを、みせるの!
おにーちゃんならわかるかな?おにーちゃんはなんでもおしえてくれるせんせーかな?
わくわく、どうなのかなー?
239 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 22:22:38.67 ID:VzpS7QEa0
>>238
少女はどうやら何か悩んでいるらしく聞いてみた。

「何かあったのかい」

何かなければ此処にいるはずがない。そう思い訊いてみたら予想もしてない答えが来た。
両手で諭吉さん見せられこれの使い道を教えてほしいと言われた。
普通の人なら今いる場所を考え放っておくだろう。だが彼は笑顔で教え始めた。

「これはね、お金と言ってこういう食べ物を買ったりする物なんだ」

そう言い持っていた袋の中身を見せる。袋の中身は生肉にお惣菜やお菓子などが入っている。
240 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 22:28:26.10 ID:hRkLZ/QYo
>>239
そこにいたおにーちゃんにきいてみたらニコニコしてこたえてくれた
やさしいのかな?こたえてくれたということはせんせー?
このかみはおかねっていってたべものと…こうかんするものなのかな?
えっ、けどそれっておかしいよ

「たべものってそこらへんにあってつかまえるものじゃないのー?へーんなの!」

だからいってみる
たべものなんてどこにでもあるよね
しかもこんなおかねなんかをつかわなくてもてにはいる
それに、おにーちゃんのふくろのなかのピンクのとかふくろとかはとてもたべものにはみえない
おにーちゃんは、なにをいってるんだろ?
241 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 22:39:59.73 ID:VzpS7QEa0
>>240
そこら辺にあって捕まえる?その言葉の意味を理解するのには数秒かかり、理解した情報を受け止めるのに数秒かかった。
この子は人を食っている現状そう考えるのは必然であった。
この街の中で最も治安が悪い此処でこの少女の発言はその意味しか持たない。
普通ならばすぐに逃げるが彼は微笑みながら少女に袋の中からチョコを取り出し。

「その食べ物は体に悪いし不味い。これを食べてみて」

少女に包装をはがして差し出した。
242 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 22:46:49.88 ID:74E98g6E0
>>235
「アキラメ…………ナイ…!」

何故ここまで忍者の討伐をしようとするのか。
それを知るのは泥に隠された真実のみ。
真実はひたすらに命令を下し続ける。

TYPE-Dが伸ばした腕は空虚しか掴まない。
掴むべき忍者はもっと奥にいた。
しかしTYPE-Dが近づく事は叶わない。

「グガガ………!」

忍者の鋭い蹴りがTYPE-Dを吹き飛ばす。
身長の割にかなり軽いのか、その場では耐えきれなかったようだ。
不思議な事に忍者の足に伝わるのは泥を蹴った感触ではない。
堅い何か、まるで機械でも蹴ったかのようだ。

「イギギギギギギギギギギ………」
「ガガガギギ、ギギ、ガガググガギゲゲゲ……」

眼の光を弱らせたと思えば謎の奇声。
それはノイズまじりで悲鳴のようにも聞こえた。

そして突然、眼の光が消えてしまう。
それと同時にTYPE-Dの体がめちゃくちゃに動き始めた。
本来曲がるはずのない角度を超えて体を曲げ狂ったかのように暴れる泥人形。
不思議なことに骨が折れた音は聞こえてこない。

とうとう壊れてしまったのか、それとも悶えているだけなのか。
生きているのか死んでいるのか、それすらも分からない。
TYPE-Dはただその場で蠢き続ける。
243 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 22:50:07.17 ID:hRkLZ/QYo
>>241
少年の考えは、正しい
実際にこの少女は人を食らっている
それも――ジェーン・ジ・イーターなんて名前が付けられるくらいには

「なぁにこれー?」

おにーちゃんはふくろからなにかとりだした
ちゃいろいいた、なんだろう?
たべものってことかな?
ちょっときになる
だから、あたしはすわってただいからおりておにーちゃんのところにいってみる
くんくん、においかいでみる
…?あまいような…?
パクリ、かたいけどたべてみる
もぐもぐ、あまい
おいしい!

「なにこれなにこれ!あまいよ!おいしいよ!」

ひとくち、じゃなくてどんどんたべちゃえる
こんなにおいしいものなんてはじめて!
いままではおいしさなんてもとめてなかったけどこんなにおいしいものがあるなんて!
けど、なんだろこれ!どこでつかまえられるのかな?
244 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 23:04:54.67 ID:VzpS7QEa0
>>243
少女は最初こそ警戒はしてたがチョコを食べたとたん、美味しい!と笑顔で言いながら食べ進める。
傍から見たらこれほど癒される光景はない。そして少女が喜んでくれて顔が笑顔になる。

「そうか美味しいか!」

そう言いながら少女の頭をなでる。

「こっちも甘くて美味しいぞ」

そう言い次から次へとお菓子をを差し出す。
245 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/10(日) 23:07:21.09 ID:IXanFyjC0
>>242
ニンジャの脚撃は確かに泥人形の顔面を捉えた。身長に見合わぬ身軽さを持っているのか、後方へ吹き飛ぶ姿が映る。
その流れに問題はない、しかし問題があるといえばその”感触”だ。泥のような感触ではなく、硬い何かを蹴ったような。
だが疑問を抱く暇はない。あの一撃で沈んだとは到底思えないし、あの泥人形の執念からしてそれはないだろう。
徒手空拳の構えは崩さずに、ノイズ混じりの不気味な悲鳴を挙げるそれを双眸で捉えた。

「……な…やはり物の怪の類でござるかっ!?」

人間の、否、動物の定義を無視した滅茶苦茶な動き。
関節に当たる部位は無残に折れ曲がり、発狂してしまったように蠢き続ける泥人形。
機械という物に疎いニンジャはそれを壊れたとは認識せずに、怪物が正体を表したと誤解を招いた。
地面をのたうち回り、体をぐちゃぐちゃに折り曲げ、それでも此方を[ピーーー]事に徹底した怪物。
それを見てニンジャは大剣を背に担ぎ直し、そっと近付いてゆく。

「…御主が未だ敵意を持っているのならば、容赦はしないでござる」

一歩一歩土を踏みしめて、慎重な様子で悲鳴を挙げる泥人形の元へ接近する。
その言葉通り、未だ泥人形が敵意を見せ襲撃を試みるのならば――月夜に煌く大剣が、それを物語る。
246 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 23:14:04.31 ID:hRkLZ/QYo
>>244
おいしい、おいしいっ
おいしいっていってたらおにーちゃんもなんだかうれしそう
あたしにはこれがなんだかはよくわかんないけどおいしいならそれでいいやっ
あたまさわられる、なでられるのもきもちいい!
こんなの、はじめて!
はじめてだらけで、なんだかとってもいいきもち!

「うんっ!うんっ!」

パリパリってちゃいろいのをたべたらこんどはふくろのをさしだされた
なんだろう、けどきっとおいしいよねっおにーちゃんもおいしいっていってるし!
ぱくぱく、わぁ!こっちもおいしい!
たべるのでこんなにいいきもちになれるなんて、はじめてっ!

―――――――――

おにーちゃんがおいしいものをもうわたせなくなってからあたしはおもった
こんなにおいしいもの、どこでつかまえられるんだろ?
さっきおにーちゃんはおかねでかうなんていってたけど、どうするんだろ?
うーん…ならきいてみよう!

「ねねっ、おにーちゃん!あのおいしいのってどうやったらたべれるの?どこでたべれるの?」
247 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/10(日) 23:35:07.01 ID:VzpS7QEa0
>>246

「しまった・・・お菓子がもう無い・・・」

こんな事になるならもっと買っておけばよかった。そう考えるが現実は変えられない。
今度からお菓子常備しようと考えていると少女がお菓子はどこで食べれるのか聞いてきた。
この子はおそらく能力者だここで教えて帰ったらどうなってしまうか、答えようとして少し考えた。
店に着いてもこの子はお金の使い道が分からない→トラブル発生→戦闘→死 この図式が彼の頭の中に出来上がった。
不味い不味い不味いどうにかしないとこの子死んでまう!

「わかった、案内するから一緒に行こう」

そう言い少女の可愛らしい手を握って歩き出した。

――――――――― ――――――――― ―――――――――

自分たちはスーパーのお菓子売り場に来ていた。
少女にかごを渡して最低限のマナーを教えた。

「俺はここで待っているから。食べたい物をかごに入れて持ってきな」

そう言いながら、何かあってもいいようにお菓子売り場が見渡せる場所で待機する。

248 :マザー・ヴィヴィアン>>17【アソートグロウ】 [saga]:2016/04/10(日) 23:37:42.93 ID:cRgqHVfp0
街を食む暗闇、街灯も消えた丑三を歩く彼女の背中が夜以上に深く沈んで昏く見える。
絶大な愛(殺意)に支配されて、呪詛にも似た福音を囁きながら両掌を組んで祈っていた。
揺蕩うようにゆらりゆらり、その小さな体躯を揺らしていると、突然眼前に白い影が立ちはだかる。
死人然として愛の祈りを捧げていた彼女はしかし気がつかずに、ついにこうべを白装束へと打つけていた。
白装束は静かに口を開き、開口一番に「貴様の信ずる神は誰だ。」と問い掛ける。
その両の眼は余りに鋭利で、自分から問いをかけておいて理不尽だが、最早どんな答えでも聞く耳は持たない。と物語っているよう。
暗がりの中で目をこらすと、白装束の袖から白銀にきらめく極めて鋭利そうな刃が覗いている。この者もまた殺意で出来ていた。

終始頭を垂れて話に聞き入っていた彼女は、ぬらりくらりと歪みきった笑みを浮かべて頭を上げる。
自分よりも遥か数十センチほど上に位置する顔を見た。既に彼女はあることを悟っている。悟ってしまっていた。
ーーあぁ、貴方は愛を知らない憐れな子羊なのですね。可哀想。慈悲深い私の隣人愛のさなかで貴方を抱擁してさしあげましょうーー
脳の中で慈愛をかけ、薄昏い声で、細まった両目をひどく混濁させながら彼女は説く。

「……貴方は愛を信じますか?」
「……愛とは無上の幸福です。」
「……愛とは人を救うのです。」
「……愛こそメシアなのです。」
「……愛がキリストなのです。」
「……愛は無限に注がれます。」
「……愛は等しく注がれます。」
「貴方はまだ愛を知りません。」

知りなさい、その為に狂(あつ)い抱擁を交わしましょう。そうすれば貴方に底無しの愛を注ぎましょう。
そう言って手を伸ばす。彼女の身体は喘ぎを上げて蠢動。禁断の門戸が開放された。
一方の白装束は、その行為をまるで不正解だと罵り、先ほど袖から覗かせていた白銀の刃を福音に似た呪詛の叫びと共に振り上げる。
それが如何に空しく隙だらけの行為かとは知りもせずに、ただ一心に己の信条にかけて小柄な女一人を殺し(浄化)にかかっていた。
力任せに振り下ろされる白銀が宵の闇にはためいて溶けゆく。ーーそう、文字通りとけゆく。
刃は彼女の肩を抉っていた、はずなのに。ずぶずぶと兇刃が水面のような揺らめきを生む彼女の身体に溶けていく。
白装束は眼前で起きるあり得ない現象に言い知れず底知れない恐怖を抱いた。だが時既に遅し。胸のあたりに感じる、妙に艶かしく、妙に妖しい愛(死)の抱擁。
兇刃が彼女の身体に溶けきったころ、ーーずぶ、ずぶずぶ、ーーずぶ。液状のものというよりはジェル状のものに身が沈むような音を聞く。
同時に白装束はあられもない声で号哭していた。じたばたと必死に暴れても、決して彼女は離れない。これこそが隣人愛。
ーーや゛めろ!!たずけてぐれ!!死にたぐない゛!!ごんな死に様はいや゛だ!!!
少しずつ、少しずつ味わうように食まれていく身体、足音を立てて近づく死への底知れない恐怖。いつの間にか白装束は心より信仰する神を忘れて彼女に命を乞うていた。
彼女は目を閉じて、ただひたすら抱擁をもって目の前の男を愛していた。ーーやがて目を開けて舐めるように呑まれていく男を見る。

「……いいえ、これこそが愛なのです。
最大の愛を知り、それを以って私に帰依するのです。」

白装束に与えられるべき愛とはデストルドー、タナトスであった。それが全うされる寸前に溢れ出た生へのリビドーは、余りにも滑稽。
ずぷ、ーーん。夜を劈く叫びが消えるころ、ついに彼女は一人の子羊を愛した。
これまで何人の人々を愛してきただろう。最早数え切れない。ーーだがそれだけ彼女はその体躯の中に穢れを受け容れたということ。ーー
小さな身の無尽蔵な空の中で、無数の命が我こそはと手を伸ばして悲鳴に似た歓声をあげて愛に悦ぶ姿が手に取って解るようだ。
我が体内に踊る者たちに最早神という残穢はない。毎秒ごとに姿を変えて蠢動する。時が来れば彼女の身体を出て傀儡となるのだ。
人体に百鬼夜行を連ねようとしている彼女、世界を救う愛が際限なく肥大化し暴走を始めている。
深まった夜。小さく狭い肩を揺らして、より一層の暗がりを。一歩踏み込むたび、水音と共にコンクリに足を沈めながら歩き始める。
愚鈍な空が星を隠す。愛に呑まれた彼女の昏さは、ただ薄気味悪く絶望を載せながら夜に映えて写るばかりだった。
249 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/10(日) 23:48:11.85 ID:hRkLZ/QYo
>>247
「うんっ!」

おにーちゃんのてをにぎってせまいみちのそとへあるいていく
おもえばこんなひとがいっぱいいるみちにでたのもはじめてかも!
なんかあたしをみるひとがおおいきがするけど、なんでだろ?
あたしのカッコ、へんなのかな?
たしかにあるいてるみんなとはちがうけど…それっておおきなことなのかな?

――――――――

おにーちゃんにつれられてスーパーってところのおかしうりばってところにやってきた
ここはすごい!さっきたべたおかしのふくろがいっぱいある!
けど、かってにとっちゃダメなんだよね、こわーいことになっちゃうんだよね
ちゃんとルールはまもんないとたいへんなんだよね

「うーん、どれがおいしいのかなー?」

おっきなかごをもっておかしうりばをみてみる
うーん…?ふくろになにかかいてあるけどぜんぜんよめないや!
とりあえず、あるものいっこづつぜんぶいれちゃおうかなー?
250 :TYPE-D【ネルネル】 [sage]:2016/04/10(日) 23:54:27.71 ID:74E98g6E0
>>245
TYPE-Dは忍者に言葉を返すことは出来ない。
ひたすらにめちゃくちゃに動く体は既に支配下から抜け出された。
もう忍者に攻撃することすら叶わないだろう。

だが突然、ノイズの混じった音声はブツッと嫌な音をたてて切れる。
それと同時に体の動きも大人しくなっていく。
そして不気味さを出していた泥の流れが完璧に止まった。
重力に流された泥は地面へ落ちていき、TYPE-Dの真実が残った。
忍者が近づけば自ずと理解できるであろう真実。

そこにいるのは人間。醜悪な見た目の人間。
手足はふやけてしわしわで顔はぐちゃぐちゃに掻き混ぜられたかのよう。
筋肉は殆ど無いようで骨と皮だけで出来ているようにも見える。

そして全身を支配するかのように取り付けられた機械。
忍者の蹴りによって凹み、プスプスといいながら煙を吐いている。
それには几帳面な字で「TYPE-D」とだけ書かれていた。

疲れ切った泥人形の眼がごろりと地面に落ちる。
しかしそれは眼ではなく、一つの紅い宝石のようなもの。
地面に落ちても月明かりに負けんとばかり、闇の中でそれは輝く。
死してなおも輝く、今度はそれしか出来なくなったらしい。
新たな命令が下るまで永遠に。

//ロールありがとうございました
//会話が出来ないキャラで申し訳ない
251 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/11(月) 00:09:13.13 ID:z+RFSW8N0
>>249
警察は来てないな。音楽が流れている店内を見回しながら安堵する。
正直いっぱい見られてたし来るまでに通報されてると思ってた。

「ちゃんとルールを守ってるな」

そう思い安堵した矢先、少女は棚の端から一個ずつかごにどんどんお菓子を入れ始めた。
その光景を見た俺は財布を確認して問題ないことを確認し、かごの中をお菓子いっぱいにした少女と共に会計してスーパーを出た。
ちなみに、会計した時お金が足りないことに気が付いて泣きだしそうになった少女の代わりに金を払った時、携帯を出して人がいたが気のせいだと思いたい。
今更だが少女の服装?はかなりきわどいし汚れてしまっている。それに裏路地に返すのだけはどうしても避けたかったため少女に提案をした。

「この後家に来ないか?」
252 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/11(月) 00:16:27.72 ID:vB9xIFrGo
>>251
もってたおかねじゃたらなかったっぽくてがっかりしてたとき、おにーちゃんにたすけられたりもしたけどおかいものはぶじにおわった!
いっぱいでおもいけどおいしいならいいかな!
スーパーをでたあたしとおにーちゃん
ちょっぴりおもいおかしをもってたあたしにおにーちゃんがこえをかけてくれた
こんどはなにかな?

「おうち?おうちってなぁに?
 けどおにーちゃんがいうならきっといいところだよねっ!いいよ!」

おうちってなんだろう?
あたしはそんなものもってないからよくわかんないけど、きっといいところなんだろうなぁ
おにーちゃんはあたしがしらないいいものをいっぱいもってて、いっぱいおしえてくれるせんせーだもん!
それはまちがいがないよ!うんっ!
253 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/11(月) 00:19:06.03 ID:85lgz6iW0
>>250
ブツリ。途切れるノイズ音は不快な音を立ててそれきり湖畔には如何なる音も響かない。
表面を覆うようにしていた人形の泥は土に流れ染み込み、やがて全て地面に落ちその本体が顕となった。
動きは完全に停止した。しかし油断は出来ない、月光に晒されるそれに近寄り瞳に映した。

「…これは……!」

崩れ落ちた泥から現れたのは人間。目を凝らさなければ判別する事もできないような、醜悪な状態であるものの。
筋肉や組織といったものが殆ど見受けられず、骨と皮だけで辛うじて人間の姿を留めている容姿。
トドメにそんな肉体を覆う無骨な見慣れぬ機械だ。先程の己の攻撃により、障害を受けた事がわかる。
あまりに凄惨な光景に、ニンジャは息を呑んだ。人に作られた人、そんなものは聞いた事はない。
ゾクリと、背中を駆け抜ける悪寒に身を震わせた。

「――御主はきっと、無念のままに自我を失ったのでござろうな……」

そう結論づけるのは早計かもしれない。しかし、こんな残酷な結果を自ら求めるなど考えられなかった。
故にニンジャは名も知らぬ遺体の為に立ち上がり、大剣を地面へと突き刺す。
土遁の術。短く発された詠唱に続いて、大地にはぽっかりと人間一人が入るには十分な穴が穿たれた。



―――
―――――


満月の夜は終わり、暁が空を蒼く染め上げる時間。
柔らかな一陣の風が通る朝焼けの湖畔のとある場所に、一つの簡素な墓があった。
大きめの石を盛り上がった土の上に乗せたような、墓と称するにも危ういかもしれないそれ。
しかしそれを作った本人は紛れもなく、土に眠る彼が成仏する事を望んでいた。

暁が照らし出す墓石の傍らには、紅に輝く宝石が添えられている。
死して尚も煌く事をやめないそれは、静かに光を携えた。


//こちらこそロールありがとうございましたっ
254 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/11(月) 00:29:31.29 ID:z+RFSW8N0
>>252
家に向かいながら少女に家の説明した。そして今までの会話思い出し一つの結論を出てきた。
少女は読み書きができず基本的な単語もわからなかった。おそらく自分と同じように捨てられたのだろう。
それを考えるとまたこの少女を裏路地に返すのが正しいのかわからなくなった。考えていると家に着いていた。
鍵を開けて家に入り、少女に風呂の説明をして入ってもらっている間に、着替えの子供のころ来ていた服を置いて夜食を作る。

「どうするか」

口から自然とそう漏れていた
255 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/11(月) 00:40:27.87 ID:vB9xIFrGo
>>254
おうちっていうのはつまりあったかいところ
あめにもかぜにもあたらないところみたい
すてきなところ!たべものがあったらずっとあんしんしていられるね!
けど、ということはよくわかんないひとはいれないところだよね?
あれれ?あたしっていつのまにかおにーちゃんにとってよくわかんないひとじゃなくなってる?
ってかんがえてたらいつのまにかおにーちゃんのおうちについてた
おっきい!そしてじょうぶそう!
たしかに、だれもはいれなそうであんしんなところだねっ!

そのあとはおふろっていうものにはいった
あわあわでからだをきれいにするんだって!ふしぎー
あったかいおみずにつかるのもはじめて!というよりこんなにあったかいおみずもはじめて?
ふきふきとからだをふいて、といってもむずかしかったからぬれてるけど
おにーちゃんにおそわったとおりにふくをきて、これもむずかしいね!
で、おにーちゃんのところにいってみる
そしたら、なんだかなやんでるみたい
うーん、きいてみよう!

「あたし、これからどーなっちゃうの?あそこにもどるの?
 あたしはいまがいいけど…おにーちゃんにはあんまりよくないだろうし……」
256 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/11(月) 00:52:16.58 ID:z+RFSW8N0
>>255
少女がお風呂からあがってきたが、聞きたいことがあるらしく聞いたらどうやら自分がどうなるか心配しているらしい。
当たり前だ。ついさっきまで地獄のような場所にいたのに、今は普通の生活をしている。不安になって当たり前だった。
だから思っていること口にした

「俺は迷惑じゃないし出来ることなら君にはここにいてほしい」
「無理にとは言わない。君が戻りたいなら返すしここに居たいのなら家族として君を迎える」
「だからここに居たいか、居たくないか素直に言ってほしい」

そう少女に答えた。
257 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/11(月) 01:03:42.04 ID:vB9xIFrGo
>>256
「かぞく―――?」

なんだろう、かぞくって
わかんない
けど、なんでだろ
すっごくあったかい感じがする

あそこにいたいか、ここにいたいか
つまりはそんなことだとおもう
あたしはどうだろう?
あそこもわるいといいきれるところじゃなかった
すくなくとも、ここをしるまでは
だったら、こたえはひとつしかないや

「あたし――おにーちゃんといっしょにいたい!」

うん、ここがいい
あったかくて、おいしいものがたべられて、あんしんなここがいい
あっ、じゃあなまえもはなさないと

「そういえば、なまえまだいってなかった!
 あたし、おかーさんとかからつけてもらったなまえはないんだけどみんなにはこうよばれてるよ!
 ジェーン・ジ・イーターって!」
258 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/11(月) 01:18:40.38 ID:z+RFSW8N0
>>257
嬉しかったこんな自分と一緒に居たいと言ってくれて。少女の正体はジェーン・ジ・イーター、ニュースにも出てた殺人鬼だった。
だけどそんなのはどうでもよかった。初めて会ったら間違いなく殺しに掛かっていただろう。だが言葉を交わしてことでわかった。
ニュースはこの子が楽しんで人を殺していると言っていたが違う。この少女はあの環境でただ必死に生きていただけだった。
だからこそ名前を聞いても刀を向けずに済んだ。そう感じながら自分の家族に自分のことを話す。

「俺は夜霧晴斗だ。今日からよろしくジェーン」

微笑みながらそう返す。そして心中でジェーンに誓った君を絶対守ると。
259 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/11(月) 01:20:28.20 ID:5mJwBw1b0
「ちょ〜っと、動かないでねぇ〜?」

既に陽は落ち、月の昇る真夜中。
治安の悪さには定評のある能力者の街の路地で動く2つの影。

一つは戯けた声で語りかけながらもう片方の影へと近づいていく少女の物。
もう一つは右手に持っていたナイフを取り落とし、這いつくばりながら必死に少女から逃れようとする男の物だ。

「えへへ…メリーはね、いつもはね、簡単に人を殺しちゃったりしないんだけどね?」

その顔に浮かべられたどこまでも無邪気な笑みに男は「ひっ」と恐怖の篭った嗚咽を漏らし、少女は男との距離を2m程まで詰める。

「でも今日は何となく殺しちゃーーー」

突然ハッと何か思いついたように言葉を止めた少女はその無邪気な笑みを、子供がイタズラをするようなニヤリとしたものへ変える。

「ふふっ…何となくーーー愛しちゃおうかっ!!」

瞬間、少女は跳んだ。
無様に這いつくばり

260 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/11(月) 01:21:03.26 ID:/4LqEguU0
夜の街中に小さく響くタイプ音と足音。
コツコツと鳴らす足はゆっくり。タイプ音は途切れることを知らない。
どうやらかなり早いペースで何かを打ちこんでいるようだ。

「…………あぁぁぁ疲れたよぉぉぉ」
「何で使えもしない奴のデータを送らないといけないのさ……」

ぶつくさ一人で文句を言いながらタイプし続ける一人の男。
そうとう手馴れなのか、持っているノートPCを一切見ていない。
本人は文句をいいつつ空を眺めながら街を歩いていた。

「でも次の子が楽しみだなぁ」
「今度はどんな見た目でどんな性格でどんな能力にしようかなぁ…」
「あぁ今度は女の子にしよう、それで性格は……」

考えている事を全部呟きながらのタイプ。
夜中に一人で笑いながら喋りつづける姿は軽くホラーだ。

しかもタイプする指のようなモノには関節が見られない。
さらに指を数えると計6本、やはりホラーである。
そんなホラー要素を持った男は空ばかり眺めている。
261 :相良 遥歩>>3【バーンド】 [sage saga]:2016/04/11(月) 01:23:04.24 ID:keMURp/So
「ぬあああああ゛!!5万円落とした!!」

有り金の殆どが入った封筒を紛失してしまった
少女がその事に気が付いたのは、コンビニでおにぎりをいくつか買おうと思い立ったその時のことだった
おそらく尻のポケットに差していたのがマズかったのだろう、するりと抜け落ち今頃は何処かの誰かが有効活用してしまった後だろう
慌てず急いで財布を取り出し中身を確認、ちゃらりと音を立てるのは、アルミ製の薄い硬貨が二枚のみである

「……やべェ…」
「…仕事見つけるまで完璧に一文無しじゃねぇか…!」

某美味しい棒一本たりとも買えぬ自らの財布事情の情け無さに、思わず涙ぐみそうになる
しかし泣いたところで失った日当は帰ってこない。30分で5万など割が良すぎた。夢を見たのだと思い込んで忘れる事にしたようだ
精神衛生上それがいい。涙を拭えば、微かに塩の味がした

「……………」
「………ふんっ」

しかし依然としてお腹は空いているし、それに喉も渇いた。何も食べずに眠るのは少々辛い、そこで眼に飛び込んできたのは、ぶぅんと音を立てる角が凹んだ自販機である
数分後には「コンポタ!コンポタ出ろ!」と怒鳴りながらガスガスと自販機を蹴り続ける憐れな少女の姿がそこにあった。
262 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/11(月) 01:29:43.49 ID:5mJwBw1b0
「ちょ〜っと、動かないでねぇ〜?」

既に陽は落ち、月の昇る真夜中。
治安の悪さには定評のある能力者の街の路地で動く2つの影。

一つは戯けた声で語りかけながらもう片方の影へと近づいていく少女の物。
もう一つは右手に持っていたナイフを取り落とし、這いつくばりながら必死に少女から逃れようとする男の物だ。

「えへへ…メリーはね、いつもはね、簡単に人を殺しちゃったりしないんだけどね?」

その顔に浮かべられたどこまでも無邪気な笑みに男は「ひっ」と恐怖の篭った嗚咽を漏らし、少女は男との距離を2m程まで詰める。

「でも今日は何となく殺しちゃーーー」

突然ハッと何か思いついたように言葉を止めた少女はその無邪気な笑みを、子供がイタズラをするようなニヤリとしたものへ変える。

「ふふっ…何となくーーー愛しちゃおうかっ!!」

瞬間、少女は跳んだ。
無様に這いつくばり、恐怖にその身を強張らせた男へ飛びかかったのだ。
グワッと大きく開かれた少女の口が目男の首筋へ一直線に向かっていく。

「なん、ちゃっ、って!!」

ガッ、ボキッ!
男の首の骨が噛み砕かれる鈍い音が路地に響き、続いて訪れるのは静寂。
少女は満足そうに笑うと口の中の不味い血をペッと吐き出し、人の賑わう大通りを目指して歩きだした。
263 :スレンダーマン>>23【エビルド】 [age]:2016/04/11(月) 02:12:07.27 ID:85lgz6iW0

――…いい子にしてないとスレンダーマンが来るわよ?

子供の頃に何度も何度も、母親からそんな事を叩き込まれた。
スレンダーマンなんか居ないよ。と、俺は決まってそう反論する。
その話は子供の間では有名だった。なんでも、悪い子の元にはスレンダーマンという怪物が現れるらしい。
黒くて細長い人間で、暗闇の中に子供を攫っていってしまうという、よくありがちな話だ。

馬鹿らしいと、子供ながらに俺は思っていた。
俺の友人の内数人はそれを本気で信じていたみたいだったが、俺にとっては笑い話でしかない。
勿論それを話す母親も本気ではなかったんだろう、スレンダーマンの事を話す時はにやにやと笑っていた。
お前は大人だなぁ――今はいない父親がそう言って、俺の頭を撫でていた記憶を思い出す。
あの頃に戻りたい。恐らく俺は生涯の中で最もそう強く想っただろう。


――――だって、スレンダーマンは実在するんだから。


ガタガタと体を揺らす震えは、一向に止む気配はない。
必死に声が漏れないように口を手で覆って、涙ぐむ視界を何度も何度も袖で拭き只々恐怖に打ちひしがれる。
安っぽいホラー映画を見る度に、自分が主人公ならばもっと活躍できただろうと子供の頃は思っていた。
けどそれは違い、人間というのは恐怖に対して全く以て無力なのだと実感させられる。


『……シュー……シュー……』


音が、音が近づいてくる。俺はただ、震える事しかできない。
黒い影は段々とハッキリ姿を現してきて、とてもゆっくりと俺の元へ歩み寄る。

そして、俺は何も出来ずに。
滲む視界に怪物の黒い顔を映して。
伸ばされる細長い腕が、俺を――――……



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

スレンダーマンは遊びたがっている。
自分と遊んでくれる相手を探して、何処へともなく彷徨い続けている。
彼が次に訪れるのは、貴方の目の前かもしれない。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
264 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/11(月) 13:39:10.58 ID:A+CVY4Fw0
>>226
「遺憾。彼らの呪詛。聖歌とやらはもう二度と聴こえる事はありません。
不可思議。通りすがりであるならば。そのまま通り過ぎればよろしいのに。
疑心。何故そうせずに。貴公は私に歩み寄ってくるのでしょう。
我々に。私に牙を剥こうというのですか。どこの宗教徒でも無い貴公が。それをして得をする事があるのですか」

少女がアルトリアに言い放った言に教徒たちはどよめき、怒りの声を上げようとする者もいたが皆一様に口を噤んだ。
恐らくは先の一件が脳裏に焼き付いているのだろう。下手に口を挟む事で自身が浄化対象になる事を恐れたのである。
まさに触らぬ神に祟りなしと言ったところだ。信徒たちは少女がいつアルトリアの逆鱗に触れてしまうのか気が気ではない様子で成り行きを見守っていた。

「思推。私には貴公の言っている事が不明です。
困惑。赦す。赦さぬ。正しい行い。間違った行い。我々の行動を。何故貴公が判断できるのでしょうか。
善悪の判断も覚束ぬ。年端もゆかぬ子供の身の程で。
貴公の様な子供に自己意思などはありません。環境から与えられたものをそうであると誤認しているだけ。
よって子供は浄化の対象になりません。確固たる意思の固まるその時まで。我々は可能性の芽を摘みません。
底止。よって貴公はここにあるべきではありません。私と道を同じくするのであれば話は変わりますが。
そうでないのであれば。踵を返し。立ち去りなさい」

怒るでもなく脅すでもない。強いて言うならば諭す様な口調で。その言の葉に感情は無いのだろうが、同時に敵意も感じられないものだ。
酸漿に体を向けるアルトリアは左手を上にして丁度臍の前で組みその場から動くことは無い。
多少作法を理解しているのなら気付けることであるが、左手を上に組むと言うのは貴方に剣を抜くつもりは無いという意思の表れである。
現段階でアルトリアの敵であるのは異教の者と穢れのみ。宗教と関与なく、彼女の弁を信じればただの通りすがりである酸漿はアルトリアにとって無用であった。
それに子供の意思や意識などは環境によって本当に何色にでも染まる白い画用紙の様なものだ。成長と共にそれの色は確立されていき、やがて人によって様々な模様を描く。
彼女の未来、大人として意思が確立した時そこにアルトリアの色が混じらないとは誰にも言い切れぬのだから。
しかしいかに子供と言えども自身の未来の選択権は己にある。そしてそれによって生じる結果に対する責任も。
酸漿がそれでも尚この惨状を見過ごせぬ、捨て置けぬと言うのであればアルトリアの言葉に耳を貸す必要など無い。
酸漿の心に灯った小さな炎。それが怒りから来るものか、正義感によるものか。どちらにせよ覚悟はするべきだろう。
自らが灯した炎に包まれて焼かれ死ぬ人間など、この世界ではさして珍しくもないのだから。
265 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/11(月) 17:27:10.50 ID:/4LqEguU0
>>261
それを見たときの感想は無様、それだけだ。
金が無いのかひたすら自販機を蹴り続ける少女。
ダーティはそれを無視する事が出来なかった。

次の瞬間、無様な少女のとなりを何かが通過する。
その何かは一瞬のうちに自販機に突き刺さっていた。
そしてそれが抜けると同時にコーンポタージュがゴロゴロとこぼれ落ちた。

「はい、これでいいかな?」
「願いは叶ったんだから静かにしててね、相良さん?」

声の主は少女から数メートル程離れたベンチに座っていた。
シルクハットを被った男、その男の手から機械的なコードが伸びている。
その男が何故少女の名を知っていたのか?
それはコードとノートPCを見ればわかることだろう。

「僕は休憩中なんだ、静寂なくらいが丁度いいんだ」
「ま、君みたいな爆発的な性格には分からないかな?」

ニヤリと笑った顔は非常にムカつく。
完璧に格下と確信し見下しているようだ。
266 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/11(月) 19:24:18.44 ID:D0pfmxoS0
>>264

「損得の話じゃありません。
私はちょっとばかし、首を突っ込みたがる性格なだけです」

一歩、退きはしない。決してここで退くわけにはいかない。
人が死んでいるのだ。こうも残酷に、残虐に、何の躊躇いも無く殺されたのだ。
辛かっただろう、怖かっただろう、痛かっただろう。
だがそれらは私には分からない。そんな辛さを味わったことがない、恐怖を覚えたことがない、痛みを感じたこともない。


でも――――確かに彼らは生きていた。それはしっかりとこの目が、この耳が覚えている。
今は失われたその魂に、せめてもの安らぎを。

確かに私は子供だ、彼女の言っていることは正しい。でも、例えこれがただの勘違いでも。思ってしまったのだ。
この怒りを、悲しみを。
だから――――

「確かにそうかもしれません。
でも私が思った、感じたこの光景、この景色、この気持ちは決して、嘘なんかではありません…!!」

そう強く言い放つ。もしこれが偽善だとしても構わない、どんなに無謀だとしても構わない。
私は私だ、自分のことは自分で決める…!!それが"人"だ…!!

「子供だと思っていたら、危うい目に遭いますよ。
世の中には鼠が猫を噛むこともあるんですから」

この灯火、一度燃えたのならば最後まで、最期まで燃やし尽くそう。
最期まで輝かしく、誰にも恥じぬように。
267 :アイナ・クリスティン :2016/04/11(月) 19:37:09.84 ID:ehw9Uyk50
夜道を照らす街灯、人気の無い道を歩くとき煌々と灯りを灯すそれは人に強い安心感を与えてくれる。
そんな夜道を早く家に帰ろうと進むアイナは内心でビクビクしていた、最近異能者が何者かに狙われているという話をよく聞くから。

「うっひゃー、遅くなっちゃった!おばさん怒ってるかなぁ……」

ある人物の勧めで児童養護施設に住むことになったアイナは、そこのおばさんが自分が夜遅くまで帰って来なかったことを怒るだろうと思った。
その心配という意味でもビクビクしながら道を急ぐ。
268 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/11(月) 22:46:37.85 ID:vB9xIFrGo
>>258
「うん――よろしくねっ、はるとおにーちゃん!」



―――――――――


そうして少年に家族が増えてしばらくして
人を食らって生きていた少女はこの当たり前に慣れたころ
人々は、人喰らいの女など記憶の片隅からも消し去ろうとしていた
あれから、ジェーン・ジ・イーターの食事は終わった
路地裏の警察も引いた
あの闇は、平穏な闇に戻った
今日も路地裏は平和だ
学生が近道に使い、麻薬が取引され、異能の刃が火花を散らす
たったそれだけの当たり前を、取り戻した
その陰に、一人の少年の善意があったことは誰も知らないままに―――

『路地裏で人を食らうシリアルキラーとして名を馳せたジェーン・ジ・イーター!
 最新の捜査でもそれが女性であるとしか明らかにされず、未だ街にいる狂気の殺人鬼!
 しかし、その凶行はある日突然止まってしまった!
 ジェーン・ジ・イーターとは果たして何だったのか!
 我々はその謎に迫ります!』

日常の一ページ
平和な家庭のテレビからはこんな特集番組が垂れ流されていた
恐怖で語られたその名も、今やただの語り草
しかし、ここはその名前は語り草ではなかった
温かな、一人の"家族"の名前で――――

「はるとおにーちゃん!チョコたーべよ!」


誰も知らない食人鬼の結末
それは―――
ありふれた、ただの女の子だった―――



//遅くなりましたぁぁ!すみません!キリがいいかなっておもったので後日談交えてこれで〆で!お疲れ様でした!
269 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 01:58:21.80 ID:A87aLliWo
>>265

「……っ…!?」

遥歩の脇を駆け抜け、自販機に突き刺さる鋭利なナニカ。まるで幾重にも束ねられたワイヤー染みたそれは容易に自販機を貫通し、そして意のままにそれを制御していた。
咄嗟に振り返り構えを取る。自分に対し敵意を見せる相手に対する構え、つまりは先程の行為を警告射撃と見たのだ

「…な…何モンだてめェ………っ…」
「なんであたしの名前を…まさか…っ!」

少女が驚いた表情を浮かべたのは、彼の能力よりも彼が自分の顔と名前を明確に把握している事に対してだった
何故だろう?それは彼の異能と、手元のラップトップを見て少し考えれば判ることだ
しかし少女が導き出した答えは、大多数の人間が容易に想像できるソレとは異なるモノであった
彼女の名誉の為に明言しておくが、彼女は決してバカなのではない。頭自体は極めてよくキレる。ただ少し発想が自由すぎ、そしてユニークすぎる。ただそれだけなのだ

「てめェ…Tweetagramであたしに粘着してきたネットストーカーだな…!?」

どうやら最初にヒットしたのはSNSでやたら彼女の投稿にフェイクだなんだとケチをつける人物らしかった
人違いも甚だしいものだがそれも致し方ないだろう。なんせ少女にとって目の前の人物はどう見ても敵意の塊
その自身に満ち満ちたムカつくフェイスをブッ飛ばしてやらねばどうも収まりがつかないのは自明だった
いらねーよこんなモンとゴロゴロ出てきたコンポタをブン投げ、中指を突き立てる。挑戦状だ!

//あわわわわざわざ返信ありがとうございます
//今日のところは落ちられてるようなので置きでやりましょっ!
270 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 02:16:56.10 ID:A87aLliWo
「ったく…今日は散々な目に遭ったっての…」
「……あ…」

あちこち破れ、焼け焦げたボロボロの服を纏い、拠点である公園へと帰ってくる遥歩
金はない。服もない。食料はおろか水すら確保できない。
まさに三重苦である。こんな見た目では痴女か何かと勘違いされてアルバイトにすら雇われず、服を買うための金も稼げず、金が無ければ食料も得られない
例えるなら絶望のどん底。段ボールと新聞紙を纏った方がまだマシであるとぼやき寝床に潜って暫く、聞き慣れた鳴き声と、とことこと此方に向かってくる足音に遥歩はかっと目を見開いた

「……にゃん吉…!」

がばっと勢いよく起き上がり此方へやってきた猫に両の手を広げてウェルカム
前に付けた名前を既に忘れ去っている辺り、名前のことは比較的どうでもいいのだろう
しかし紛れもなくこの猫はあの時餌付けをした猫である。それだけは遥歩は確信を以って断言する事が出来た
種族は違えど、やはり同類だからであろうか?遥歩は猫を見分けるのはそれなりに得意なようだった

「ごめんな…今日は何も持ってねーんだ…」
「でもお前だけはあたしを裏切ったりしないよな…?にゃん吉…」
「ほれほれ…にゃー…にゃ…、へへ……♪」

いつものようにじゃれあう少女の姿は、普段の遥歩を見慣れた人間ならドン引き間違いなしの豹変っぷりである
271 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/12(火) 02:30:18.26 ID:OpvyNBj50
>>270
「むむむ……あれはッ!!」

買い物帰りのレジ袋を提げて公道を歩くニンジャ。
途中何度か信じられぬ物を見るような冷徹な視線を浴びせられたものの、鈍感なニンジャは気にしていない様子。
それよりも今は重要なことがある。猫だ、ニンジャが愛すべき自然を生きし者だ。
何処ぞの公園住まいの少女よろしく唯一露出した双眸をカッと限界まで開けば、見据えた場所へと猛突を決めた。

「鮭太郎〜〜ッ!!」

迷惑なまでの大声と共に砂煙を巻き起こし、壁にぶち当たらない限り止まらないと言わんばかりの勢い。
猫の方はその声の主に視線を向ければギョッとしたような表情を浮かべ、にゃあにゃあと弱々しく鳴き始めるだろう。
最も、肝心の猫の方は呼びかけに対し反応したわけではなくその声の主に対して苦い表情を浮かべた訳だが。

「鮭太郎!!一体何処に行ってたでござるかぁぁ〜〜!!」

途端、ニンジャの華麗でダイナミックなダイビング。
じゃれあう少女にも目も呉れず猫まっしぐらに飛び込むニンジャの姿は、決して人前に見せられるものではなかった。
272 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 02:43:36.21 ID:A87aLliWo
>>271
「にゃ゛!?」

猫とほとんど同じ反応で全身の毛を逆立たせ飛び上がる遥歩
猫はニンジャから逃れるように、遥歩を盾にして隠れた。対して遥歩はこの状況に対し正面から立ち向かう
問題に対して真正面から向き合うのが遥歩のスタンスであり、そして唯一の手段なのだから

「うるっせェ!!にゃん吉が怯えてんだろーがっ!!」

猫へと飛び込むニンジャの顔面にタイミングを合わせた回し蹴りを叩き込もうとして逡巡
ただ少しむさ苦しく能動的なだけで、この男はただ猫が好きでこうしているだけなのだ。同じ猫好きとして遥歩にはそれが痛い程に伝わってくる
そんな純粋なるニンジャの顔面に靴を叩き込むことなど遥歩には出来ない。そこで彼女がとった行動、それは…

「ちぃっ………!!」

猫を庇うように四肢を大の字に広げてニンジャの前に立ち塞がること
これが猫もニンジャも傷付けずに場を収める唯一の手段だ。ガタイのいい男に突っ込まれ、無傷でいられるかは分からない。しかし迷っている暇などそれこそ無かった
覚悟を決めるのと同じか、それよりも早く。ニンジャのダイヴが遥歩の胴体に直撃することになった
273 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/12(火) 02:55:20.95 ID:OpvyNBj50
>>272
「鮭太ろ……おぉぉぉッ!!?」

この時ニンジャ自身冷静ではなく、猫のことしか目に映らずに突っ込んでしまったというミスがある。
だがそのミスに気付いたのは既にニンジャの目前に何時か出会った少女が立ち塞がり、己の道を阻んだ時だった。
あわわわ、等と情けない悲鳴を漏らしながら急ブレーキを掛けるも当然間に合わない。ニンジャは急には止まれないのだ。

「ウボァァー!!でござるぅぅ!!!」

ずざー、と、凄まじい量の砂埃を巻き上げてはその努力も虚しくニンジャと少女の体は激突する事となるだろう。
まるで何かのスポーツ競技かの如く綺麗にぶつかり、しかし勢いを落としていたためか然程の衝撃はなく。
絶命したような断末魔にしては随分軽い、互いが尻餅を搗く程度に終わるだろう。

「いててて……む、御主は…?」

地面に打ち付けた尻を摩りながら、ようやく猫を後ろにやった人物が何時か握り飯を食べさせた少女だと気付く。
遅すぎる、それは最早鈍感というよりも病気の域だ。ニンジャ自身に自覚がないのが腹立たしい。
274 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 03:08:15.41 ID:A87aLliWo
>>273
「ぐあッ……!!」

ニンジャの急制動もむなしく衝突するふたり。しかし衝突の勢いはいくらか弱まっていたようで、互いに怪我らしい怪我は今の所ない
だが短い悲鳴と共に少女はニンジャに押し倒される。一方のニンジャも遥歩に衝突した衝撃で尻餅を突いているところであった
威力は弱まれど痛いものは痛いのだ。少女は呻きのような短い声を上げ、起き上がると同時にニンジャを睨みつけた

「ぐ…ぅ……っ…」

「…てめェ…!にゃん吉が怪我したらどーすんだコラぁッ!!」
「…って…てめーはいつかの変態ニンジャ!?」

汚れ、膝の辺りからボロボロに裂けたジーンズを払いながら立ち上がる少女。痛みからかその眼には涙が溜まっていた
その身体はあちこち傷だらけではあるが、今の衝突の所為ではない。幾人かの他の能力者との交戦を経て今に至るといった感じだ。
その証拠に傷口の殆どは既に塞がりつつあるものであり、目新しい出血の跡は見られなかった
少女も今更この男があの時のニンジャだと気が付いたようであり、驚いたような顔つきで涙をぬぐったその手でびしっとニンジャを指差した
互いに鈍感、特に遥歩は手が出た後で考えるタイプなので尚更だ
275 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/12(火) 03:26:02.33 ID:OpvyNBj50
>>274
「変態ニンジャとは失敬な!!拙者には月影虎次郎という立派な名前があるのでござるッ!!」

互いに漸く相手が既に過去に出会った人物だと認識した直後、飛び交うのは口論じみた下らない言い争い。
どうやら変態ニンジャの部分が彼を刺激したらしく、腕をぶんぶんと振り回しながら己の名を告げる姿はぶっちゃけ不気味だ。
そしてふと、冷静さを取り戻してきたのか少女の姿がなんともまぁ無残なものだという事に気づき怪訝な表情を見せる。
まさか先程の衝突のせいか?と思ったものの、こんな如何にもタフな少女がそれ位で怪我等しようもないと何処かズレて結論づける。

「…それより御主、その傷……いや、深追いはしまい……。
 ……とにかく今は鮭太郎でござる!!勝手に変な名前をつけないで欲しいでござるなっ!!」

変な名前、というのは間違いなく少女の陰に隠れた猫に名付けられたにゃん吉なる名称。
しかし当の猫本人は別段気にした様子もなく、ごろごろと喉を鳴らせばあくびを見せ眠たそうな表情を浮かべている。
なんとも不思議な空間だ、第三者が加入したのならば間違いなく置いてけぼりを喰らうだろう。
276 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 03:47:39.03 ID:A87aLliWo
>>275
「…いい名前じゃん…なんでもっと先に名乗らねェんだよ変態ニンジャ…」
「…あたしは…相良遥歩だ…その……まだ名前…教えてなかったんだな…」

月影虎次郎。という名に関しては見るものの趣向によって評価の大きく変わる部類だろう
少なくとも若干古めにセンスを持つ彼女にとって、それは漢気溢れる"いい名前"判定であった
少し照れ臭そうに、普段あまりしない自己紹介をニンジャの後を追うようにして返した

「…大した事ねーよ、気にすんなって…」
「それより下着がモロ見えなほーがあたしとしちゃマズいんだよなァ…さみーし」

遥歩は普段からダメージ加工された衣服を着ている事が多いが、今日のダメージっぷりは何時もの比ではない
例えるなら致命的ダメージジーンズ。太ももから鋭利な刃物のようなもので大きく膝まで引き裂かれたような跡。カットソーの腹部は引き千切れて臍が露わになっている
首元から左肩の付け根までが完全に焼失し、左袖が丸ごと無くなったそこからは下着の肩紐が見え、相当寒そうである
ダメ押しに服のあちこちに焦げカスのようなものと、固まりかけの血の欠片がひっついていた

「しゃけたろーだァ!?んなだっせェ名前付けられっかコラッ!!」
「にゃん二郎のが可愛いし男気あんだろーが!」

鮭太郎というネーミングについては青筋を立ててキレる程に反対
怒りを露わにする少女の怒鳴り散らした猫の名は先程とはまた微妙に違っている。どうもイマイチ定着しきっていない感溢れる遥歩の名前たち
しかし鮭太郎の方が歴史が長いと知れば、渋々それ受け入れるはずだ
277 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/12(火) 04:04:21.78 ID:OpvyNBj50
>>276
「ふふふ…でござろう!?
 うむ、遥歩殿…そちらも良き名でござるなっ!これからよろしく頼もう!!」

相良遥歩。恐らくそれは別段珍しい訳でもなく、虎次郎のように古臭くもない少女相応の名というべきか。
どちらにせよニンジャにとっては”良き名”。両親が愛情を込めて付けた名前を貶す事など完璧超人な虎次郎に出来る訳もない。
少女の貴重な自己紹介の価値も分からず朗らかにそう込めるのは、彼の底知れぬ能天気さが伺い知れる。

「……ううむ…確かに、その格好は些か不便そうでござるな……」

所々が破れ美麗な肌が露出しあまつさえ下着さえも覗かせるその姿を、ニンジャは不便そうの一言で片付ける。
正常な成人男性ならば恐らく視線を釘付けに、若しくは目のやりどころに困るようなそれを前にしても殆ど不動。
とはいえ何かしてやれる事もないのが事実。服は一張羅だし以前のように握り飯を持参しているわけでもない。
どうするか、そう考え込んだ途端に遥歩からの怒号が鼓膜を叩いた。

「なななな…なにを言うでござるっ!?
 拙者が徹夜で考え込んだ名前を…!それに先程と名前が変わっているでござる!!」

にゃん二郎、にゃん二郎、にゃん二郎――ニンジャの脳内を木霊する名前。
流石にそれがさっきと全く異なった名称だという事に気付かない訳もなく、論点のズレた反論を繰り出す。
鮭太郎もにゃん二郎も歴史がどうだとか関係なく、猫の方は最早名前を覚える事を諦めている様子だ。
278 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 04:28:42.37 ID:A87aLliWo
>>277
「えぇー…それだけかよ…」

なんとも素朴で味気ない虎次郎からの反応に僅かに頬を膨らませる遥歩

「ニンジャなら色々持ってんだろ?ホラ…風呂敷とか…マントとか…」
「女の子がこんな格好なんだぞ?せめてなんかくれるべきじゃねーのかァ…?」

どうやら怪我や衣服の損傷を露骨にアピールしてきたのは何か衣服などの施しを受けられるかもしれないとの考えからであったらしい
アホのくせにこういう所では頭のキレる、意外と目ざとい少女である。しかしその目論見は失敗に終わった様子

「名前なんてどっちだっていいじゃねーか…不本意だけど…暫定しゃけたろーかァ…」
「…よっしゃ…じゃあしゃけたろー、こっち来い…一緒に寝ようぜ…」

結局のところは遥歩が折れ、渋々鮭太郎と呼ぶことにしたようだ。なんだんだでこの名前も味のあるもの。そう考えればなんだか少しだけマシに思える気がした
再び寝床に座り込めば鮭太郎を手招きで呼び寄せ、自らの身体を包む新聞紙の中へと誘えば心地よさそうに撫でる
暖かく触り心地もよい、確かな命のぬくもりは、少女を安心させ心地のよい眠りへと誘うものだ

「…な、なぁコジロー、…その…なんだ…忙しくなかったらさ…飽きるまででいーから…ここに居ろよ」
「あたしはそろそろ寝るけど…ほら、こんな格好じゃ夜中にボコボコにされちゃかなわねーだろ…?」

眠りに落ちる少し前、遥歩は虎次郎に不意に声を掛けた。それはあることを小次郎に頼むためだ
日の出まであと2時間ほど。たとえそれだけの時間であっても、その間にこんな格好で眠るのはどこか気が引けるのだ
要約すれば、「2時間ほど寝るから守ってくれ」、だ。勿論虎次郎に拒否権は存在している。他に用事が出来るなり、飽きるなりすれば遥歩のもとから離れることも何ら問題はない

「…それじゃ…おやすみ…」

そのまま虎次郎に背を向けるように寝転がり、しばらくすれば少女はすぅすぅと寝息を立て始めた
互いに出会ってまだ間もない間柄ではあるが、そんな虎次郎のすぐ側でここまで無防備な寝顔を晒せる遥歩。彼女なりに人を見る眼を持っているのかもしれないが、やはりそれ相応の信頼があってにのものなのだろう
鮭太郎を抱きしめるその表情は、どこか安らぎを孕んだものであった

//ぬぁぁ眠気が限界。ありがとーでしたぁっ
279 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 :2016/04/12(火) 04:46:56.19 ID:OpvyNBj50
>>278
「うむ!鮭太郎は鮭太郎にして鮭太郎……
 って…鮭太郎を布団にするつもりでござるかっ!?」

短い議論の末に暫定された名は鮭太郎、即ち名付け親の戦いは虎次郎が制したという事になる。
とは言え喜びを噛み締める間もなく、議論の的であった猫は遥歩に招かれその腕の中で安らぎの表情を浮かべることになるが。
鮭太郎、遥歩の二つの幸福そうな表情を目にしてしまえばそれ以上は何も言うことができなくなり、釣られるように微笑む。
そして遥歩がそのまま眠りに就くかと言えばそうではなく、唐突にも声を掛けられた。

「……ふむ、承知した。
 拙者も立派なニンジャの端くれ、遥歩殿が目を覚ますまで見張っていよう」

結果はYES、逡巡なくこくりと頷いては彼女と鮭太郎が寝床とするベンチの端に腰掛ける。
2時間という時間ずっと外を見張るというのは楽な仕事という訳ではないだろう。しかし、それを断る理由もない。
虎次郎は飽きるどころか遥歩が帰れと直接言うまで、この場に居座るつもりだ。

「……御休みでござる、遥歩殿」

暫くして静かで規則正しい寝息を立て始める遥歩の表情は、不思議なほどに安らぎを感じられる。
その腕の中で心地よさ気な表情を浮かべる鮭太郎の頭をそっと撫で回し、自らの外套を遥歩の体の上に緩く乗せる。
僅かではあるが寒さを防げるそれを与えた所為か、一層深みの増す寝顔へ向けて優しく微笑んだ。

//無理はしないでぇぇ、ありがとうございましたっ!
280 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/12(火) 16:38:29.09 ID:PWyS79da0
朝日が昇り始め、人々が起き出し始めた時刻。
夜霧晴斗は鳴り始める前の目覚まし時計を止めて布団から出る。
すぐに横の布団を確認して安心した顔をした後朝食を作り始める。
あいつも匂いに釣られて起きるだろう。そう考えながら朝食を盛り付ける。
そして、もう一つの布団に行き少女の頭を撫でながら起こす。

「ジェーン朝だ、起きろ」
281 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/12(火) 17:02:24.15 ID:2XJNVgja0
>>269
「はぁ、何言ってるのさ?」

思わず吃驚した顔で少女を見つめる。
思っていた答えとは別だったので不意打ちを受けたような気分らしい。
どうやらネットストーカーの事は知らなかったらしい。

「ネットストーカーだなんて失礼だな…」
「ただ僕は君のことを多少知っているだけなん

言葉を言い終える前にコンポタが顔面に直撃。
そのままコントのようにベンチごと後ろに倒れてしまう。
暫く痛みであたりをゴロゴロ転がりまわっていた。
その姿はあまりに滑稽すぎた。

「君ったら失礼極まりない奴だねぇ…!」
「コンポタをあげれば投げ返し、人をストーカー扱い……」
「そしてそのはしたない指……!」

「あーもう僕怒ったからね!相楽遥歩!」
「好みでもない無様な女にこんな目に遭わされて…」
「怒らない男なんていないんだからな!僕は怖いんだからな!」

シルクハットの位置を直してから少女を睨む。
どう考えても悪いのはダーティなのだが。
そんなことはもうどうでもいいようだ。
もう既に二人の能力者は互いに戦うことを望んでいた。

早速ダーティは相楽に攻撃をしかける。
人差し指を相楽にむけ、指先からコードを一気に伸ばす。
信じられない速度で伸びるコードの先には小さな剃刀程度の刃。
一撃の威力は低いもののそれを速度と命中精度でカバーしているらしい。

//こちらこそ遅くなって申し訳ない
282 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/12(火) 19:10:14.69 ID:A87aLliWo
>>281
「あたしがてめーの好みだとかそーじゃねーとか、んなモン知るかッ!!」
「御託並べてないでさっさとかかって来いよ…怒らせると怖いんだろ!?」

互いに理解し難く、いや決して分かち合えない性格なのは誰が見ても明らかである。そしてそのような二人が同じ場所に居合わせれば…やがてそれは抗争へと発展する
遥歩にとって先程の一撃。あれは紛れも無い警告射撃であり、遥歩への挑発行為であると彼女は捉えた。それを助長させたのは男の、遥歩の逆鱗に触れるどころか両手で撫で回すが如き態度である
遥歩にとって目の前の男は身分や素性、思惑など関係なしに撃破すべき存在。言うなれば"ブチのめすリスト"の暫定トップを飾っている
中々遥歩を物理的に攻撃しようとしない男に対し、遥歩は今度は此方から挑発を繰り返す。そしてようやく男から殺気が放たれ始めれば、今に来るぞ来るぞと目を輝かせた

「よっしゃ来やがった…!」

指先から繰り出されたケーブルはプロ野球選手の投球より少し遅い程度の速度しか持たない。しかしノーモーションから繰り出されるそれは奇襲に於いて驚異的な威力を発揮する
しかしこの少女、相良遥歩はこの攻撃を一度目にしていた。そう、男が少女の背後から自動販売機目掛けて繰り出したあの一撃をである

「よっとォ…!」

故にケーブルでの攻撃は予測していた。素早く身を躱し、ケーブルによる刺突を完璧に回避する
ケーブルとの間隔は10cmもない。必要最低限の距離で回避を行う事によってスタミナの消費を抑えているのだろう

「なァんだ、案外トロいんだな……へへっ…」

トップクラスのボクシングテクニックから生み出される流れるような足運び。それが迫るケーブルの回避をより容易にしていた
照準も指を向けた方向と単調であり、この程度の攻撃であればいくら撃たれようと彼女に傷一つ付けることすら出来ないだろう

――ただしそれはケーブルが一本であり、かつ真っ直ぐにしか射出されていない場合に限る
283 :キルト>>22【魔力操師】 [sage]:2016/04/12(火) 21:18:17.76 ID:MYcrM4pmo
暁闇。
日も月も臨めぬ宵越しの空、深淵の闇に飲まるる夜に、仄かに灯る幾つかの星。
此は街の奥、その路地裏の奥、更に奥。
真面の世界に生きる者なら、立ち入るは愚鈍な死者の国。
誰とて近寄ろうとは考えぬ、街中に佇む闇の闇。
恒常に漂う死の香、恒久に彩る紅の華、目下に残る闘争の痕は、誇りも散りて世を憂う。
此は終着、力を持った者共の、矜持と愚昧の成れの果て。
官軍は、役者は既に、彼の大団円の舞台を降りた。
後に残るは賊軍のみ、血だまりの海に只一つ、戦の記憶を地に刻む。
さぞ口惜しき事だろう、闇に呑まれしその命。
さぞ諦め難き事だろう、個性を消したその屍。
彼等は只、只弱い故に、名を呼ばれぬ屍と成る。
彼等は只、只勝てぬ故に、彼の血の海に沈むのだ。

「……無常なことよの」

一人。
名も無き屍の踊りを、その者達の恨みを眺むる者が居た。
薄く汚れた雑居のビル、切れかけの電灯色の其処、混凝土の屋上の上。
静寂、黒曜たる三白眼の瞳、幕降りた舞台を只冷静に眺むる者。
彼は何処にでも居て、何処にも居ない、全く以て普通では無い、普通の少年。
外見にも、声色にも、何においても平凡たる何処にでも居そうな少年。
反面、精神性も、能力においても、著しく非凡たる何処にも居ない少年。
死者の宴に、血色の空に、舞台の終に淡々と目を向ける様は、彼の異常性を如実に表す。
そう、彼は異常だ、常識を考える事など愚かしい、普通を考える事など馬鹿馬鹿しい。
故に、彼の行動は逃げるでも報せるでも無い、只一つ息を吸って。

歌を。
静かな夜に溶けるが如き、微かな歌を歌う。
誰も居なくなった舞台の下、只一人の歌を歌う。
誰も救われず何も戻らぬ、意味無き鎮魂の歌を歌う。
何も無い、何も残らない、残すものなど存在しない。
彼が歌を歌ったところで、救われるものなど何も無い。
何を綺麗に歌ったところで、彼の歌には意味は無い。
それで良い、少年には何かを残すつもりも、何かを救うつもりも無いのだから。
只、歌いたいから歌う、其処にそれ以外の理由は必要ない、少なくとも彼にとっては他の理由など邪魔に過ぎぬ。
利己的主義の舞台の先に、端書き等は必要ない。
唯我独尊の言葉の裏に、殊勝な意味など必要ない。
月明かり無き夜の中で、名も無き鎮魂歌を歌う……彼の物語に刻まれるは、その一節で十分だ。
284 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/13(水) 01:53:57.06 ID:AUz6A79+0
>>282
「あぁもう本当に君は人をイラつかせるのが得意だねぇ!」
「いいもんね!後悔したって知らないもんね!」

子供のようなイラつき方だが、本人はかなりキレている。
わざわざ望みを叶えてやったのに、と何度も何度も呟いて。
決して自分に非があるとは認めようとしない、その様は子供そっくりだ。

「…やっぱり身体能力はバカには出来ないねぇ」
「まぁその自慢の見切りがどこまで通用するか、って話だけどね!」

まるで身体能力を知っていたような喋り方だが本当は何も知らない。
心の中では避けられたことに驚き、少しだけ慄いた。
だが同時にそれはダーティの闘争本能を刺激した。

「あぁいいねぇ、この頭に脳内麻薬が分泌し始めるこの感じ…」
「全神経がビリビリして手足が動きたがるようなこの耐えがたい衝動…!」
「もし君が好みだったのなら「お化粧」してあげたくなるような欲望の暴動…!」
「素晴らしいじゃないか!もう戦闘理由なんてこの場にはいらない!」
「さぁ、互い互いに生き死にギリギリにリスクを負いながら遊ぼうじゃあないか!」

目をギラつかせながら早口で一気に喋り出す姿は変人と例えればいいのか。
不気味なほどご機嫌に変わったダーティは戦闘を遊びと例えているらしい。
この男は自分に絶対的な自信を持っている、それがよく表れている。

既に次の一手は考え終わったようで、別の手を相楽に向けていた。
別の手からは4本のコードを射出、勢いは前回と変わらない。
しかし今度は少しだけそれぞれタイミングをズラしているようだ。

だがダーティはそれを避けるだろうと予想している。
本当は先ほど射出した1本のコード、それが本命の一撃だ。
戻ってきたところで別段威力があるわけではない。

最初に射出したコードは避けられ、そのまま奥へと進む。
そこにあるのはコンポタが売り切れ表示に変わった自販機。
しかしそれにコードが刺さった時、既に別の物体へと姿を変えていた。
大きな金の塊に姿を変えた自販機は差し込まれたコードに引っ張られて戻っていく。
その射線上には相楽、そして相楽の前には4本のコード。
手数と速度を合わせたダーティの攻撃を相楽はどう読むだろうか?
285 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage saga]:2016/04/13(水) 18:51:36.45 ID:1NPzRkih0
>>266
少女の決意を乗せたその言の葉。少女の意思の宿る踏み出したその一歩。しかしそのどれもが法王には届かない。
表情に一切の変化を見せず、ただ少し困った様に、目の前の人間の行動がわからないと言った様に軽く小首を傾げた。
細長い首に置かれた様な小さな頭。それがかくんと傾くのは何やら無生物めいていて、絵画の世界を見ている様でどこか空恐ろしい。

「耽溺。聖職者である私に。法王に喧嘩を売るとは。どこまでも愚かな子供でしょうか。
宜しい。ならば成長し自己意思を得るその前に。法王アルトリアの仕置。とくとその身に焼き付けておきなさい」

遂に組まれた両手が解かれる。その所作が何を意味するのか、アルトリアと相対する少女であれば理解するのに言葉なんて道具は不要だろう。
決意を踏み固める様に前に出る少女に対してアルトリアも一歩、そしてまた一歩をゆっくりと進み出した。不気味な銀眼はその視線を少女に固定したままに。
そして彼我の距離がそのまま詰まるのであれば、アルトリアはその長い腕を少女へと向かって伸ばすだろう。場所はどこでもいい、掴めさえすれば。

「無用。その様な喩えは無意味です。私は貴公を追い詰めはしませんし。逃げ道も用意しているのです。
私は貴公に人を説くのみ。それが年長者としての責任であり。聖職者としての責務と考えます。
ですから大人しく。其処に直り。私の説教を受け入れなさい」

因みに現時点でアルトリアに少女を殺してしまおうなどといったつもりは全く無いようで、無理矢理にふん縛ってでも説教してやろうというつもりなのだ。
しかし少女に迫るは大きな手、細長く白い指。それらは紛れもなく先程人間の頭部をトマトを潰す様に破砕してみせたものであり、恐怖を抱くなという方が難しいかもしれないが。
言ってしまえばこれは少女にとってチャンスである。法王アルトリアと戦うのであれぼこの上無い程の。アルトリアは少女が能力者であるなど微塵も思ってはいない。
つまり油断している相手に対して全力の、致命傷レベルのダメージを先制攻撃で与えるまたと無い機会ではないか。

しかしそれに至るまで、少女の中でふたつ程条件をクリアする必要があるだろう。
ひとつはアルトリアの油断を見抜けるか。平時学生として暮らしている酸漿に殺意を見抜く勘や洞察力、そのような戦闘の機微を感じる触覚があるかどうか。
そしてふたつめ。上記のものがあったとしても、そして無かったとしても。少女酸漿に見ず知らずの初対面の人間を殺す、或いはそれに近しいダメージを与える攻撃が咄嗟にできるかどうかである。
286 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/13(水) 21:28:03.72 ID:Jravg4OE0
賑やかな街の掃き溜めのように、ゴミは散乱し、いらなくなった鉄くずが積み上げられている長い一本道の路地裏。打ちっぱなしのコンクリートの壁に何個かあるオレンジの蛍光灯だけが周囲を仄かに照らす。
そんな人気のないその場所へ襲来するは一匹の大怪獣。どうやら先日やっていた破壊活動を阻止されたのがとっても気にくわないらしく、イライラをつのらせているようだ。

「ぐぬぬ、なんだかすごくムカムカするのだ!」

道のど真ん中で堂々立するガルヴァレックスは不機嫌そうに、一本道を見据える。
イライラガルヴァレックスの尻尾には既に風が巻きつき、空を切る音を絶え間なく立てている。それは風圧や風の刃を放つ準備は万端ということを意味していた。
ガルヴァレックスはおもむろに姿勢を少し低くし、2秒程の溜めを作り、風を纏う尻尾を思い切り身体ごと横薙ぎに一回転させた。
尻尾から切り離された風は強力な風圧となり、怪獣の鳴き声の如く轟音を上げて路地裏の一本道を闊歩する。
ゴミや塵が舞い上がって、積み上げられた鉄くずは吹き飛び、蛍光灯は勢いよく割れる。様々な音が混じり、とてもいい音とはいえない爆音が一帯に響いた。

「ふふんっ、スッキリしたぞっ!ちょっとだけだけど!へへ!」

無秩序に一面に散らばるゴミや鉄くず。
ガルヴァレックスは腰に手を当てニヤけ顔で自分の破壊力に自惚れるのであった。
287 :【ブレイカ】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/13(水) 21:40:42.62 ID:/LAs4YMRO
>>286
あのさー

【やや距離あって、かいじゅー姿の少女に話し掛ける女生徒】
【その長い赤茶色の髪にはゴミ屑が被さり、制服は埃まみれである】

…周りの迷惑考えてくんないかなー少しは

【ゴミを取り払いながら青筋を立て、背負った愛用の薙刀を袋から取り出している】
288 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/13(水) 21:59:48.65 ID:Jravg4OE0
>>287

…へっ、迷惑だなんてカンケーないもんね!
そこにいたおまえが悪いのだ!!

【怪獣が暴れたことにより起きた二次災害の被害を受けた制服姿の女生徒】
【ガルヴァレックスは悪びれる様子は微塵もなく、女生徒の姿を見て鼻で笑ったのち、憎たらしく嘲笑する】

むむ、私にはむかうというのか人間ふぜーがっ
今よりもっと汚い姿になってもいいというのだな!命しらずのばかめ!

【女生徒の持つ袋から覗く薙刀を見て、ガルヴァレックスはムッとした表情に変わるが、すぐにニヤリと口角を上げて挑発】
【ガルヴァレックスの尻尾に風が集まり、攻撃の準備を完了させる】
【風が巻きつく尻尾はまさに鞘から出された刀、ホルスターから抜かれた拳銃。いつでも攻撃を加えられる状態だ】
289 :【ブレイカ】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/13(水) 22:08:06.75 ID:/LAs4YMRO
>>288
ジャOアンかよお前!

【某ガキ大将を彷彿とさせる唯我独尊に思わず叫びながらに駆け出した】
【薙刀は流石に刃引きの鞘が被せられたままではあるが、これでも対異能干渉能力はバッチリなのだ】

…美容院代とクリーニング代、出せこの!

【近接が叶えばそのまま薙刀での刺突、とはいえ鞘に収まっている為打突ではあるが】
【ともあれ鋭くそれを繰り出さんと踏み込む】
290 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/13(水) 22:23:47.10 ID:Jravg4OE0
>>289
ふっふっふ!私を倒せたら出してやろー!倒せたら、だがな!

【真正面からの薙刀による打突。ガルヴァレックスは命中ギリギリのところを半身で躱す】
【そして尻尾の先に纏う風の刃を尻尾ごと叩きつけようと、回避の勢いのまま身体を右に回転させる】

ふへへ!武器もろともズタズタになるがいい!

【尻尾は湾曲して向かってくるため、身体の回転とは少し遅れて回る。回避や防御の時間は多少はあるだろう】
291 :【ブレイカ】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/13(水) 22:32:27.59 ID:/LAs4YMRO
>>290
ちっ…うわぁっ!?

【突きが否され、ならば払いへと変化させるべく意識を運ばせ、それがこの場合は悪手となり働いた】
【風纏いの尾への対応がそれだけ遅れた事を意味しているのだ】
【咄嗟に薙刀を縦に盾に割り込ませ細切れにされる事は防ぐものの疾風刃に巻き込まれ後ろに転ぶ】

…ってぇなこの!

【転倒から即座、受け身に程近いアクションで復帰しつつの横薙ぎ一閃】
【異能干渉性を保持したそれは、能力を『斬』り進む事を得意としていた】
【即ち、風を防御にした場合それを無視する程の力を纏っている】
292 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/13(水) 22:36:53.07 ID:faA7YCpe0
【路地裏】

ーードッ。ーードッ。
宵に響くほどの鈍音が須臾の間隙を置いて続けざまに二つ。
それと多量の液体が飛散したような音とそれぞれ声音の異なる喘ぎが二つ。
最後に聞こえてきた足音は何処か落ち着かない雰囲気。単なる音すらも剣呑である。

「ーー……。」

足元の紅い男。目と髪の紅さも倍は映える。
沈黙を決め込んだ唇は月輪の如く歪み、瞼は落ち(着か)ず瞳がより血走る。
刹那は愛を知っていた。けれども何と悲しいかな、彼は殺意で出来ている。
それから来る禁断症状。畢竟、飢え。
293 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/13(水) 23:06:23.41 ID:Jravg4OE0
>>291
何度来ても同じことだ!吹き飛ばしてやるわ!はっはっはっはっ……!…はぅんっ!!

【反撃の横薙ぎが振るわれようとする中、ガルヴァレックスは大した動きを見せない】
【尻尾の風が身体全体へと移動し防御壁を形成する、それは彼女にとって最強の防御壁であり、全ての攻撃を吹き飛ばせるとまで思っていた。だから動かないのだ】
【しかし、振るわれた薙刀は風の防御を斬り払うようにすり抜け、彼女の脇腹にめり込んだ】
【彼女の身体は一瞬浮き、地面に着いて5メートル先まで転がった】
【頭の中の完全なる勝利のビジョンは強烈な痛みと困惑によって消え去った】

………うぅ……なんで当たるんだっ……くそ……
…くそやろうが……なんの手品か知らんが……私を怒らせたなぁ…!!!

【よろめきながら立ち上がるガルヴァレックスは口から血を吐き出し、霞む視界の中で女生徒を睨みつける】
【怒りを露わにするガルヴァレックスの角に不安定に吹き付ける風が巻きつく】
【ガルヴァレックスはゆっくりと頭を下げて、それから思い切り掬い上げるように頭を大きく動かして、角から風を切り離す】
【切り離された風は、路地裏をめちゃめちゃにした時と同じように大きな風圧となり女生徒へ突進していく】
【直撃すればただではすまない。しかし攻撃前の予備動作を見きれば回避は容易いだろう】
294 :【ブレイカ】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/13(水) 23:19:30.40 ID:/LAs4YMRO
>>293
へっ、ざまー見ろ!
…やべっ

【見事一撃打ち込んでしたり顔、頬の血を親指で拭った】
【しかしそれが相手の怒髪天を誘ったのを察すればたじろぎ半歩後ろに後退る】
【中段に、凡ゆる事態に対応すべく構えるがそれはまた悪手であったと言わざるを得ない】
【何故なら相手の次の一撃は、】

…ウソだろおい…
ちくしょ、一撃入れてやったからな、おあいこにしといてやる!

【彼女の薙刀で受けられる範囲を大きく超えていたのであるからだ】
【慌てて踵を返してダッシュ、負け惜しみを叫びながらに遁走である】
【すぐ背後に暴風の乱流が迫り、あわやの所で路地から脱し人混みの中に消えて行く…】

くそ…なんだったんだよあれ…
…うわ、財布落とした…サイテー…

【因みに交戦地帯に財布を落としていたらしいのだが、命あっての物種として拾いに行くのも憚られる】
【高い勉強代になったと肩を落としながら、家路を行くのであった】

//すみませんがこの辺で。ありがとうございました、お疲れ様です
295 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/13(水) 23:37:04.90 ID:Jravg4OE0
>>294
…………ゔぁー!!いってー!くそぅ……

【ほぼ全力を出し切った怪獣は路地裏を抜け消えていった女生徒の背中を見る間もなく地面にパタリと倒れこむ】
【訪れる静寂によって再び痛みが思い起こされると怪獣は吠え、ジリジリ痛む脇腹をおさえる】

痛いから楽しいこと考えよ……

【ふらふら立ち上がり、落ちている財布にも気がつかず弱った怪獣はよろけながら痛みを忘れようと努力しつつ路地裏を歩いていった】

/お疲れです ありがとうございましたっ
296 :スレンダーマン>>23【エビルド】 [sage saga]:2016/04/14(木) 00:59:51.02 ID:8pC/ls8D0
>>292
狭い路地裏の壁に反響する二連の鈍音、その音は”異常”だった。
いや、音の大きさではない。厳密に言えばその音の種類が異質なのだ。
日常でもよく聞くような人を殴ったようなそれを、何倍にも何十倍にもしたような――
そんな異常に釣られてか、もう一つの異常が緩慢にも衝突を促すかのように投下された。

『――シュー……シュー……』

瞬間、殺戮の路地裏にて響くは空気の漏れるような不快音。そして不気味なまでの殺気。
無論それは魔王には遠く及ばない。しかし、敵意の孕まぬ純粋な殺意というのはこうも不気味なものか。
破壊の権化へと躍り出るのは闇色の巨大な人影。月夜の出逢いは、あまりに唐突だった
297 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/14(木) 01:17:01.88 ID:zGK0jzls0
>>296
黒い影。それ以外に形容のしようがなかった。まさしく「それ」なのだ。
不気味な長身痩躯から空気を漏らしながら、純粋な、畢竟本能的で野生的な殺意を見せる。
未知との遭遇よろしく、数瞬内心で呆気に取られていた。
殺気と殺気。その邂逅、

「闘わずして、何をする。」

飢餓状態を経て殺気は天を突く。言葉少なな開戦の合図だった。
相手は余りに未知だ。最早人間ですらないのだろう。
しかしそれが何なのか。魔王は慢心した。
構えも無いまま不気味な笑みをちらつかせた刹那、屈める背中、撓める足。
音よりも先を行くその速度を以ってして轟いた。
298 :スレンダーマン>>23【エビルド】 [sage saga]:2016/04/14(木) 01:29:09.87 ID:8pC/ls8D0
>>297
殺意と殺意、異常と異常、闇と闇。
形容するならば次々と浮かぶものの、その真意はやはり探れない二対の魔物。
二対は邂逅に時間を掛けるような事はしない。ただ純粋に、衝突し合うだけ。

『シュー……シュー……』

刹那、凄まじい程の殺気が天を揺るがし地を揺らす。いや、地を揺らしたのは魔王だ。
音速を越えるのではないかという程の圧倒的初速を以て迫るそれへ、影は三倍程に膨れた腕を振るう。
野生の本能に従ったような技術も糞もないようなその攻撃は、単純と侮ってはいけない。
驚くべきはその速度と威力。長身痩躯の身から放たれるそれはリーチさえも味方につけて。
刹那に行われた怪物同士の攻防は、常人では何が起こったか把握することすら出来ないだろう。
299 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/14(木) 01:47:14.15 ID:zGK0jzls0
>>298
異常なほど増大する腕部、本能が撃たせる力に一存した殴打。
純粋ゆえの単調な軌道、しかしその威力と速度は反比例していた。
中々の代物だ。足を止め雑に振るわれた腕を両腕で受け止めながら微笑。
爆音と同じくして幾許かコンクリの地面が破片を生む。さなか彼は笑っていた。面白いと。

眼前の影が剛ならば、柔として受け流す。
まだ威力の殺しきれていない腕を受け止めたまま身体を半回転分捻る。
腕が肥大化しているのも相まり、多少なりとも体勢を崩すはずだと踏んでの判断。
うまくいけば、その腕を掴み力づくで「投げ」を行い、壁に囲まれた地形を活かし壁に叩きつける算段である。
300 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/14(木) 01:48:58.57 ID:zGK0jzls0
>>298
異常なほど増大する腕部、本能が撃たせる力に一存した殴打。
純粋ゆえの単調な軌道、しかしその威力と速度は反比例していた。
中々の代物だ。足を止め雑に振るわれた腕を両腕で受け止めながら微笑。
爆音と同じくして幾許かコンクリの地面が破片を生む。さなか彼は笑っていた。面白いと。

眼前の影が剛ならば、柔として受け流す。
まだ威力の殺しきれていない腕を受け止めたまま身体を半回転分捻る。
腕だけが肥大化しているのも相まり、多少なりとも体勢を崩すはずだと踏んでの判断。
うまくいけば、その腕を掴み力づくで「投げ」を行い、壁に囲まれた地形を活かし壁に叩きつける算段である。
301 :スレンダーマン>>23【エビルド】 [sage saga]:2016/04/14(木) 01:56:07.63 ID:8pC/ls8D0
>>299
――会心の一撃が、受け止められた。

今迄に経験した事のないその事実、それは怪物を驚愕とまではいかずとも判断を鈍らせる事には成功する。
途端、怪物を襲ったのはこれまた経験した事のない浮遊感に加え全身に響く衝撃と鈍痛。
魔王の戦闘技術、そして怪物の攻撃の単調さは確かにこの戦闘で響いて、無様にも影は投げ飛ばされた。
影と衝突した壁には亀裂が走り、パラパラと破片を地に落とす。
どんなに体が頑強な者であろうとも大ダメージは免れないであろうその一撃。

『――シュー……シュー……』

しかしその一撃を受けても尚、目立ったダメージも見受けられずに立ち上がる影。
見ればその上半身は下半身と不釣り合いなほどに莫大に膨れ上がっており、一層不気味さを演出していた。
一撃は喰らってやった、今度はこちらの番だ――言葉にする程の知能もないが、そう物語るかのように疾駆。
肝心の速度は鈍重であるものの、そこから放たれる剛腕はやはり単純と一言で侮れぬ豪速と破壊力を兼ね備えている。
302 :相良 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/14(木) 01:58:57.62 ID:2jKTkpUso
>>284
「……ん…?」
「なっ…あっ……!?」

ケーブルが延びっぱなしであることに疑問を持つほど遥歩は利口ではなかった。だが背後からがりがりと響く大音響に、さすがに眉を顰める遥歩
しかしいくら遥歩でもこのような物音を看過するほどに愚かではない。振り向き、固まり、一瞬遅れて驚きの声を張り上げた
轟音と砂塵を引き連れ、夥しい量の火花を散らしながら迫り来る鉄塊は初見のインパクトは抜群である
殺傷力の高そうな外見に恥じず、それはその道中にあるものすべてを容赦無く蹴散らし、屠りながら遥歩へと一歩一歩差を縮めてくる
時速100キロを、ここまで早く感じたのは初めてである。横へとロールして回避しようと身構えたその時、少女の身体に激痛が容赦無く走った

「ぅあぐっ……!?」

どず、どずどず、三つ連続して響く刺突音。少女はあまりの痛みに歯を食いしばり、顔を歪めて地面へと片膝をつく
右肩と、背と、そして右の腰に深々と突き刺さったそれは、決して少なくはない血をじわりと滲ませ黒いTシャツに染みを作り上げていた。4つすべてをその身に受けなかったことは不幸中の幸いである
しかしここで立ち止まれば、それは鉄塊に轢かれ挽肉の如く無残な死体に変貌することを意味する。少女はすぐさま脂汗を滴らせながら立ち上がり、乱暴にコードを引っ掴んで歯を食いしばった

「ぬ゛……ゥぁあああうゥ゛ッッ!!」

ぶちぶちと音を立てるほどに力の限り引き抜き、痛みに叫びを上げるまいと砕けんほどに噛み締めていた口元をようやく緩めると大きく息を吐く
そして次の瞬間には、遥歩は迫り来る鉄塊へと向けて走り出していた。一瞬彼女が狂ったようにも見えるかもしれない。しかしこれは紛れもない突破口のうちの一つなのだ
鉄塊に乗り上げれば両手をついてハンドスプリングの要領で宙返り、バランスを崩しながらも鉄塊の向こう側へと着地

「…く、ら、い………やがれぇえェッッ!!」
「ぐゥッ…!!」

そのまま慣性に逆らいぐるりと振り向けば、もみあげが遠心力に振られ額からは汗が飛び散る。地面を思い切り蹴り、再び鉄塊の方へと、今度は追う形で駆け出した
引き寄せられる力に、自らの力を上乗せしてあわよくば男を押し潰そうというのだ。軽く飛び上がり、思い切り極限まで加速した末のドロップキックを鉄塊に食らわせて、自分はぐしゃりと地面へ落ちる
303 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2016/04/14(木) 02:35:03.34 ID:zGK0jzls0
>>301
嘆息。目を丸くして壁を抉っても尚傷一つない影を見据える。
転瞬上半身を数倍にも肥大させる影。最早気持ちが悪い。「美しくない」
腫れすぎだ、効いたか?なんて皮肉を吐いて嘲笑。疾駆する影を睥睨する。
比重のおかしな影の体躯の動きはやはり遅鈍。だが元々距離が無かった。

豪。大気を揺らした拳撃。狭い路地につき生憎逃場が無い。
迫る拳、対策を講じる時間なんてものは刹那もなかった。
真っ向から受けるのみ。尚く知った鈍痛が不愉快極まりない。それでこそ滾るのだが。
壁は脆弱で彼を支えきれず崩落。灯りの消えた建物内で漸く威力を殺いだ。

「重い。」

緩んだような顰めたような眉の狭間。
[ピーーー]のに一瞬の逡巡も必要ない、そんなものすれば隙になってしまうのがオチだ。
相手の攻撃に余韻は残さない。まだ動作に支障は出ていない。
疾駆する魔王、ある程度接近すると地を蹴って跳躍した。
咄嗟、エルボーの体勢。硬い関節の出張る肘鉄を以った兇撃。
304 :サー・マルセロ【魔王】 [saga]:2016/04/14(木) 02:36:01.45 ID:zGK0jzls0
>>301
嘆息。目を丸くして壁を抉っても尚傷一つない影を見据える。
転瞬上半身を数倍にも肥大させる影。最早気持ちが悪い。「美しくない」
腫れすぎだ、効いたか?なんて皮肉を吐いて嘲笑。疾駆する影を睥睨する。
比重のおかしな影の体躯の動きはやはり遅鈍。だが元々距離が無かった。

豪。大気を揺らした拳撃。狭い路地につき生憎逃場が無い。
迫る拳、対策を講じる時間なんてものは刹那もなかった。
真っ向から受けるのみ。尚く知った鈍痛が不愉快極まりない。それでこそ滾るのだが。
壁は脆弱で彼を支えきれず崩落。灯りの消えた建物内で漸く威力を殺いだ。

「重い。」

緩んだような顰めたような眉の狭間。
殺すのに一瞬の逡巡も必要ない、そんなものすれば隙になってしまうのがオチだ。
相手の攻撃に余韻は残さない。まだ動作に支障は出ていない。
疾駆する魔王、ある程度接近すると地を蹴って跳躍した。
咄嗟、エルボーの体勢。硬い関節の出張る肘鉄を以った兇撃。

/名前欄とsagaミスの為連投
305 :スレンダーマン>>23【エビルド】上半身筋肉増強 [sage saga]:2016/04/14(木) 02:52:41.58 ID:8pC/ls8D0
>>303
剛腕は確かに感触を捉えた。並みの相手ならば三度は死んでいるであろう、その次元の攻撃。
しかし怪物は見た。必殺の一撃を以てしても尚立ち上がり変わらぬ速度で此方へ迫る魔王の姿を。
音を置き去りに、なんて形容詞は通用しない。魔王の疾駆は事実音速を越えていたのだから。

『シュ―――』

息を一吐き。それだけ、魔王が肘鉄を決めるまでに行えた動作はそれだけだ。
魔王のそれは銃弾を弾き大砲の直撃にも耐える鋼鉄の胸に突き刺さり、その巨体を呆気なく吹き飛ばす。
数秒間平行に吹き飛び二度、三度と脆弱な壁をぶち破ってようやく勢いを削いだ先には、影の死体。
――ではなく、鈍重な動きながらも立ち上がりのっぺらぼうのような黒い顔面で魔王を見詰める影だ。

影の行動は速い。激闘を逃れた壁へ無慈悲にも指を喰い込ませ、引き剥がす。
人二人分程の大きさの壁の一部をまるで野球ボールでも投げるかのように、投擲した。
純粋な筋力のみでの投擲、技術はないまっすぐな軌道故に見切るのはそう難しくもないが。
それでも、音速に達するのではないかという速度で迫るそれは脅威に他ならない。

306 :マサシ>>25【キャッチースイーツ】 :2016/04/14(木) 03:58:43.21 ID:wfqfmFAUO
ドンッッッッッッッ!!!!!!!!!

街の端まで響き渡ったのではないかと錯覚させるほどの爆発音

否、音楽。

「ヘェェェェェェィイイィィイ視聴者のみんなァァァァァァァ!!!そして今見てくれてるYOU達ィ!ノってるかァァァァァァァ!!!???」

人通りの激しい交差点を舞台に車の完全通行止めがなされたそこは夜の闇さえ掻き消して。
建物に取り付けられた街頭は何もかも全てが彼の顔に塗り潰される。
道化の様なハットを被り、首、もしくは頭を覆ってしまう程のファーの付いたコートは今日のために仕立てた特別製、大きさは勿論重量も規格外、しかしそれをものともせずに頭をぶん回す。

髪の毛が焦げ付くほどの幾重にも折り重なったスポットライトを浴びて尚、満面の笑みを張り付けて奇声とも取れる叫び声で視聴者の皆さんにご挨拶。
きっとこの場に居合わせた通行人達は殺人的ビートを目の当たりにして皆この場に出くわした不運を呪うだろう。

「ツライこともゥ!カナシーこともぜぇぇぇんぶわすれてキミ達ダンスっチャイナYOOOOO!!!!」

数十人のバックダンサーにピンクの全身タイツを着せて、自らもその中心、一際高い場所で奇妙奇天列な動きでそれを彩る。
人々の頭をかち割らんとするほどの重低音は鳴り響き、それは次第と母なる胎動の如く一定のリズムを刻んで大地を揺らす。

天変地異、最早その表現がピッタリだった。

「みんなサンキューーーーーーゥ!ぶっちゃけおまえたちの声は全然聞こえないけど声援はちゃーんとミーにバッチシ届いてるぜぇぇぇぇぇい!」

この催しは夜から朝へ、闇が光へと変わるその時まで留まること無く続く。
街は、時代は、目まぐるしく変わって行く、1秒たりとて同じ瞬間などない。だがただ1つ変わらないものがある、それは

「俺のハートは永久不滅ゥゥゥゥゥゥゥ!」
307 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/14(木) 18:25:49.62 ID:cNK+RNsR0
>>302
「うんうんうんうん、いいねぇその悲鳴…!」
「段々君に「お化粧」してみたくなってきちゃったかも…ッ!」

手が震え、興奮で顔が赤くなっていくダーティ。
相良に刺さったコードから快感を得ているのだろうか。
だがその姿は残念ながらただの変態である。
先ほどまでのムカつくにやけ面は既にない。

「さてさて、次の一撃は何かなァ?」
「どうやらその動き、ってちょっと待ってそれはダメな一撃だって!」

まさかの一撃、それはダーティの一撃を利用したもの。
本来なら同じ時速100kmで帰ってくるはずの鉄塊。
それが相良の蹴りによってさらに加速してしまっていたのだ。
例え別の場所にコードを撃って移動しようにも時間が足らない。
そしてコードを鉄塊に当てて減速させることなどコードの威力では不可能。

「なぁんてねぇ?」
「ふふふ、この台詞大好きなんだぁ…」
「相手の希望を圧し折るには最高、そしてその時の顔といったら…」
「僕はねぇ、全部で六本のコードを出せるんだぁ・・・!」

またムカつくにやけ面に戻っていた。
余裕と自信に満ちた嫌な顔、それは鉄塊の奥の相良に向いていた。
まるで相良の希望を全て奪い尽くさんとばかりに。

最後のコードがダーティの手から放たれる。
それが勢いを増した鉄塊に刺さった瞬間、ダーティの目が輝いた。
輝いた時には既に鉄塊は布の塊に変わっていた。

そしてダーティは聖者のように両手を広げ、二本のコードを外側へ向ける。
丁度中央から2つに裂けていく布、裂け目に棒立ちするだけで回避出来たダーティ。
勝利を確信したダーティは相良に語りかける。

「さて、どうしてあげようかなぁ?」
「僕に見逃してほしいのかなぁ?それともまだ戦いたいのかなぁ?」
「もしかして僕に「お化粧」してほしいのかなぁ…?」
308 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/14(木) 21:24:32.29 ID:yopWbjjdo
てす
309 :相良 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/14(木) 22:01:37.43 ID:2jKTkpUso
>>307
「はぁッ…!ハァッ…!…はー……どーだ…!?」
「嘘っそ…だろぉ……?」

興奮に顔を赤らめる男と、対して血で服を紅に染めて行く遥歩。どちらも同じ血の色である。ひとつ相違を上げるとすれば、遥歩の赤は命を削る危うい代物であるということだ
痛む身体を無理矢理起こし、立ち上がって男を睨む。鉄塊は既に無く、先程の立ち位置から変わらず、一歩も動かず、しかし依然として無傷で立つその男に、さすがに遥歩も尻込みする
しかし絶望に慄くわけでも、ましてや怒りに我を忘れて突っ込む訳でもない。まずはともあれ乱れた息を整える
そしてキッと目の前の男を、その鋭い目つきで見つめ、

「てめェ…」

「…もしかしてまだ……あたしがこれで全力出してるって思ってんじゃねェか?」

――放たれた言葉は、"意外"と評するに相応しいものであった
相良遥歩はこの状況に於いて、この絶対的窮地に於いてまだ自分が勝利する気でいる。

彼女の目的は決して営利目的での戦闘や快楽殺人などではない
ただ自分に手を出してきた存在に対し、気に食わない存在に対し理不尽なる暴力で報復を行う。ただそれだけなのだ
そんな下らないことのためであっても、彼女は決して逃げず、決して諦めず、そして決して恐れない

ジーンズのポケットに手を突っ込み、しばらく探れば取り出したのは古いウォークマン。小型のスピーカーが接続されたそれはテープやら接着剤でようやく原型を留めている程のおんぼろだ
そんな老体に鞭打つ事も躊躇わず、無遠慮に音量を最大まで引き上げて再生ボタンを力強く押す少女。大音量のギターが耳を劈く

「まだあたしの限界はこんなもんじゃねェ…見くびんなよ変質者ァ…!!」

スピーカーから漏れ出るイントロはディープ・パープルの「Burn」。それに呼応して遥歩の肌が、両の手先から燃え上がるように熱く、赤く、燦々と光を放ち始める
両腕の肌は炭火のように黒く焼け焦げ、肌の内側から火の粉を散らしながら炎が肌を突き破り、そして激しく燃え盛り始めた
終いには彼女の両腕を炎が完全に包み込み、服は火の粉に当てられジリジリ、ブスブスと焼け焦げ、袖に至っては完全に焼失を果たしてしまっている

「そうだ…キタキタキタぁぁっっっ!!!」
「限界なんてクソ喰らえだ!もっと!もっと速く!高く!!」
「地の果てまで…空の果てまで…宇宙跨いで何処までも昇ってイってェ!!」
「テンションブチ上げて行くぞオラァ!!」

音楽が激しさを増すと同時に、呼応し跳ね上がる遥歩の心臓。熱き魂は両腕の炎となって顕現し、空気を焼き尽くし陽炎となって空間を歪ませる
まるで弾き出された銃弾のように駆けた彼女は、男目掛けて一直線に駆ける。ボクシングでは通常ありえない距離と速度の助走を経て繰り出されたボディブローは、
公園の、踏み固められた土を砕く程の踏み込みと、まるでバットでも素振りしたかのような唸りの音を響かせ、男の腹部へと喰らいつかんと迫った
310 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/14(木) 22:15:09.40 ID:yKHnwM1n0
晴斗は、ジェーンに食べたことがないであろう炭水化物の塊、おにぎりを渡しながら夜遅いこの時刻に外出する準備をしていた。

「えっと、望遠鏡、望遠鏡」

今宵は満月。それに雲一つない快晴なのだ。
夜空を見るには絶好のコンディションである。
晴斗は荷造りが終わった後、おにぎりを食べ終えたジェーンに向き直り。

「ジェーン眠くはないか?」

12時をとっくに過ぎており、今更ともいえる質問を投げかけた。
311 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/14(木) 22:21:24.96 ID:zGK0jzls0
>>305
回避の余地もなく直撃を免れなかった影が重力を一切無視して後方へ飛ぶ。
数枚の脆壁を破って漸く重力に引導を渡す結果となった。
まさしく人外たる打撃。魔王然とした威力を孕むそれは容赦なく人を数度即死させる程だ。
何となく予感していた。彼奴(影)のタフさは見ている。
瓦礫と埃に噎せ返る直線を睥睨。矢張り向こうに揺らめく影を見る。
転瞬、風切る巨壁。目を見張る暇もない速度に彼の音速の於母影を見た。
彼の聴力動体視力などの身体能力は常人のそれを遙かに凌駕する。故に策を講じていた。
薙払おうにも余りに巨大。ならば蹴破るしかないか。
風切り音にしては余りに重く鋭い音。低重心に前蹴りを一閃。
そして着弾、瞬間巨壁は粉砕。音を孕む瓦礫が彼の身体を過ぎて背後の壁を打ち据える。
崩壊音を聞いた刹那背中で崩落した壁を知った。

破片は四方八方を飛散し、それは彼の頬を掠めるものも幾つか。珍しく垂れた血は赤かった。
眼前には未だ疲弊を見せない影、どう動くか。ダメージをひどく負っているとは思えない。
斃れるまで殴り蹴り続けるか、それも良いだろう。だが魔王たる彼の力を以ってして、たかだか殴打だけで終わらせるのも味気ない。
そうあらば斬り捨てる。下段、構えた腰は低く両脚はこれでもかと撓められる。
両の掌は手刀を象り対象の心の臓を刈り取る算段を付けていた。
刹那。緊張、解放。ーードッ。と音を聞いた瞬間もう遅い。低みから赤い目を煌めかせて睥睨していた。
影の対応が無ければ手刀を逆袈裟に振り上げるだろう。
斬れ味は無い。力に一存した刀身でその身を抉りに掛かった。
312 :スレンダーマン>>23【エビルド】右腕筋肉増強 胸に裂傷(中) [sage saga]:2016/04/14(木) 22:55:04.75 ID:8pC/ls8D0
>>311
投擲される壁の風切り音を容易く掻き消す程の凄まじい崩壊音が、静寂の街に波乱を起こす。
確実に仕留めたつもりだった、なんて甘い妄言は言わない。魔王がこの程度で破れる相手でない事は知っている。
ならば自然と次に攻撃を受けるのは自分自身だ――スレンダーマンの目前には既に、遠く居たはずの魔王の姿が。
影は直感する、この攻撃は受けてはならないと。

この場に来て初めての回避。本能に従いほぼ条件反射で身を後ろへ反れば瞬間万物を切り裂く手刀が放たれた。
月光帯びる一閃は鋼鉄の硬度を兼ね備える影の胸板を掠め取り、黒色の血液を噴出させる。
しかし魔王は感じるはずだ、”浅い”と。事実その一撃は影を僅かにみじろぎさせるものの倒すには至らない。
呻き声さえも上げずに再び魔王の目前へと対峙する影。その様からは一切生物さが感じられない。
噴出する黒い液はボタボタと地面を染め上げて、粘液質なそれはまるで絵の具のように闇を彩った。


『シュー……シュー……』


変わらずの不気味な鳴き声を一呼吸。互いの距離はゼロとは言わずとも、ほぼ無い。
それが意味する事はつまり影の反撃――突如、刹那の時間も要さずに影の右腕が途轍もなく巨大化した。
右腕のみ、だ。上半身の筋肉の鎧は脱ぎ捨ててただこの一撃に全てを注ぐ。
ブォン、という風切り音は聞こえない。音が追いつかない程の剛腕から放たれる拳なのだ。
空間を抉り取る勢いで放たれる剛拳は確かに魔王の顔面へと解き放たれた。
313 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/14(木) 23:22:57.49 ID:zGK0jzls0
>>312
影の胸を掠めて抉り取る手刀。噴き出した血が我が身に飛散。
ドロッとした粘液質でドス黒いそれからはまさにタールを連想した。
初めて相手を負傷させた実感を得る。しかし彼は気がついていた。
「浅い。」回避されたのか手刀は心臓へは遠く及ばず、溜息すら吐いた。

「滾るぞ、肉塊よ。」

白い歯を見せて嗤う。最早音の域を越えた右腕が龍の如く迫るのを知りながら。
ここで受け止めようと結果は同じ、踏ん張っても後ろへ押されてしまう。
ならば少々用意不足ではあるものの抗ってみせよう。
溜めも無しに放つ左腕。多少威力は劣るがそれでも十分な破壊力。
だが明白だった。影の力が勝っているのは。

空気が震撼、そして張り詰めた。轟音の刹那静寂が訪れる。
力と力のぶつかり合い。殺意と殺意の殺死合。
数メートル後方へ尻を地面に据えていたのは、魔王だった。
腕が痺れている。だらんと力の抜け切った身体がいつもより言うことを聞かない。
だがそれも束の間、ゆったりと立ち上がりまた影を赤い目で見据えた。
314 :スレンダーマン>>23【エビルド】両腕筋肉増強 胸に裂傷(中) [sage saga]:2016/04/14(木) 23:48:22.05 ID:8pC/ls8D0
>>313
影の右腕と魔王の左腕の衝突。発生した衝撃波が、大小様々な大きさの瓦礫を吹き飛ばした。
しかしやはり力の溜めという事前条件は大きくて、何倍にも膨れた影の右腕が魔王の肉体を退かせる。
数メートルものの間隔を開けて地面に体を着ける魔王は、即死級の攻撃を受けても尚健在だった。
驚くべきはその魔王の耐久力。特に大きなダメージを受けたわけでもなく、直様緩慢な動作で立ち上がり睥睨を決めたのだ。
影に敵を賛辞する知能はない、しかし、もしその知能があれば間違いなく魔王という存在に舌を巻いていただろう。
それ程までに、影にとっては愉しい愉しい”遊び相手”だった。

『シュー……シュー……』

遠距離からの投擲はこのレベルの相手にはまず通じないだろう、故に影は直進を選ぶ。
その直進は筋肉の重量からか常人にも劣るものだ。一歩一歩が重く、コンクリートの地面に泥を踏んだような足跡を残した。
筋肉を増加し無理矢理に身体能力を上昇させる怪物は、純粋に桁外れの能力を有する魔王には敵わない。
しかしそれは全体的に見た結果であって、単純な腕力のみ等に絞れば影にも勝機は訪れるのだ。

ボコボコと右腕と同サイズに膨れ上がる左腕。
もしも影が魔王へある程度肉薄したならば、膨張した両腕を同時に魔王の顔面へと振るうだろう。
しかしその分攻撃へと転ずる為の道は長く、魔王にも十分その攻撃前に仕掛ける事は可能だが。
315 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/14(木) 23:57:54.53 ID:cNK+RNsR0
>>309
「あぁイイよその表情、すっごくイイ…!」
「何て表現しようかなぁ、この感じ…!」

相良の体が徐々に血で染め上げられていく。
それに対して傷一つどころか服のほころびすらないダーティ。
傍から見ればダーティが圧勝しているようにも見えるかもしれない。
だが相良の次の台詞でダーティは勝利の確信を失った。

「へぇ、なるほど、なるほどねぇ……」
「まだ遊ぶ元気は残っていると、なるほどなるほどォ…」

まだ相良には闘志が残っていた。
それは憎しみや殺人欲求から生まれるモノではなく。
もっとシンプルな感情が元だからこそ、まだ戦えるのだろう。

「変質者とは失礼な奴なことは変わらないねぇ…」
「だけどそれは許してあげようかなァ…?」
「君の言う「限界」とやらを超えて僕を仕留められたら、だけどねッ!」

相良の両手から彼女の熱量が溢れたかのような炎が現れる。
それにつられたのだろうか、ダーティの六本のコードがビリビリと音をたてはじめた。

「さぁかかっておいでッ!相良 遥歩ッ!」
「君の限界、君の熱量、君の実力…ッ!」
「このダーティ・ハットが最後まで見極めてあげようじゃあないかッ!」

互いにハイになるスイッチが完全にはいったようだ。
燃えるという表現が良く似合う相良の能力。
その熱量に負けんばかりにコードに電気を流すダーティ。
精神も肉体も、何もかも熱い戦いはまだ始まったばかりだった。

弾丸のように駆ける相良を止めるのは不可能。
この状況で普段のダーティならコードを射出して逃げ回り貧血を狙っていただろう。
だが今のダーティは違う。真正面から戦うつもりだ。

両手から二本ずつ、計4本のコードを射出。
それらは真っ直ぐ相良を狙っている様に見える。
だがある程度相良との距離が縮まると突然曲げるつもりだ。

右のコードは相良の脚を狙い、左のコードは相良の首を狙う。
仮に避けたとしてもどこまでも曲がって追いかけるだろう。
コードを焼こうと触れれば、コードの電熱が相良を襲う。
もしコード刺さったならその部位にバグを付与して痺れたような感覚を与えるつもりだ。
そしてコードが避けられた場合、至近距離で残りの二本を射出するだろう。

複数同時で狙いがバラバラの攻撃、それがダーティの好む攻撃。
素早い複数のコードをはたして相良は見切れるだろうか?
316 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/15(金) 00:26:24.06 ID:nRAzCEz10
>>314
「中々だ。」

尚く受けた力に嘆息。この心地良さこそ痛みの余韻。
これほど自分を純粋な実力で手こずらせる相手と対峙するのは長らく久しい。
だからこそ柄にもなく下品に嗤った。

相も変わらず直進を決め込む影。コンクリートに足を沈めながらの歩速は至極遅鈍。
アンバランスに膨張する左腕は単純な殺意と威力をその身に詰め込んでいた。
影は少なからず攻撃への用途のあるものを膨張させる傾向にある。
ならば恐らくあれは砲弾の如く打ち込まれてしまうのだろうと数秒掛けて危険を思案。
転瞬、小走気味に駆け出す魔王。おのずから距離を詰めてゆく。刹那、足が撓む。
すると影は両腕のリーチが魔王に届くと知ったか、単純極まりない人外然とした殴打。

「蹴りは殴りの三倍ほどの威力を孕むのだ。単細胞。」

迫り来る殴打。しかし既に蹴撃(襲撃)の準備は出来ていた。
夜を横に薙ぐ一閃。今度は十分に力が込められている。付け焼き刃ではない。
お互いに最早音を伴わない静寂の死合。絶大過ぎる拳と脚の邂逅。
直撃の瞬間、夜が白くなった。
317 :スレンダーマン>>23【エビルド】両足筋肉増強 胸に裂傷(中) 全身ダメージ(大) [sage saga]:2016/04/15(金) 00:54:30.86 ID:fqd+hVCa0
>>316
二つの拳撃と一つの脚撃の衝突。魔王と影がぶつかり合うのは、数えて二度目となる。
敢えて異なる点を述べるとするならば、その衝撃と威力――闇夜も純白に染め上げる衝突は、先の比ではない。
轟音は響かない。刹那の拮抗は互いに尋常ではないほどの負担と衝撃を預け、決着が訪れる。
目視できる程に凝縮された衝撃波は空気を裂き空間を穿ち、漆黒の人影が豪速を以て”飛んだ”
言うまでもなくそれは鳥のような華麗なはばたきではなく、ノーバウンドで遥か後方へ弾かれ轟音と共に無人ビルに突き刺さる。
巨体の背が衝突した壁が歪んでいる、という表現さえも可愛く感じる程に崩壊しその異常さを満遍なく伝えていた。

そしてその中央に位置する怪物は言うまでもなく動かない。
体中から壊れた機械の如く漆黒の靄を巻き上げて、尋常でないダメージに回復が追いついていない事が伺える。
当然だ、あの威力の攻撃が直撃し尚も生き残れる生物など神話の神々か余程の人外しか居ないだろう。


しかし、影は人外だった。


『――キャァァァアアアアアアア!!!』


瞬間、張り詰めた大気を爆ぜて耳を劈く絶叫が路地裏を、この地一帯を残響する。
女性の叫びを何倍にも、何十倍にも音量を上昇させたような、下手なホラー映画でも聞かないようなそれ。
その声の主が目の前でくたばっている筈の怪物だと気付くのに、時間は要さないだろう。
見れば影はゆらりと幽鬼の如く立ち上がる。その両足は、丸太のごとく太い。
瞬間駆ける影。しかし疑問を持つべきはその速度、あの鈍重な動作からは考えつかないほどの豪速だ。
簡単な話だ、増加した筋肉の重量をも越えるほどの運動エネルギーを生み出せばいい。
馬鹿げた話だが実際に怪物はそれをこなしている。能力により莫大にパワーを得た両足を以て地面を捲くり、魔王へ肉薄を持ちかけた。
もし自身のリーチまで迫ったならば、技術も知識も感じられない単純で規格外な足刀を魔王の胸へと放つだろう。
318 :サー・マルセロ【魔王】 [sage]:2016/04/15(金) 01:35:12.56 ID:nRAzCEz10
>>317
衝撃の残る右脚に眉を顰めて先を一瞥。
目に映った光景にまるで世紀末を知る。視界の奥には遥か前方幾多の壁を穿った巨軀。
影の負傷の大きさを知らしめるのは血と硝煙と瓦礫。至極絶大なものであった。
だがまだ死を享受しきれず、その寸前で燻っている。まだ未練があるのだろう。

転瞬、劈く人外たる叫声。その声音は最早鼓膜を過ぎて脳内で駆けずり回っていた。
不愉快と舌打ち、もう耳は使い物にならない。
眼前で広がる光景は更に不愉快。脚を膨張させた殺意の肉塊がその見た目に不釣り合いな速度を以って迫り来る。

中段、構えようにも本調子の出ない右脚に苛責。初めて己を罵ったその瞬間。
爆裂する兇脚。咄嗟の判断も間に合わなかった魔王の胸部を鮮やかに捕捉。
数ミリ減り込むとそのまま力任せに吹き飛ばす。
暗転しかけた意識。気がつくと数十枚の崩落した壁の向こうに立つ影を見据えていた。
らしくなく痛みに喘ぐ。死の恐怖を感じたのはこの世に生を受けたその時以来だ。

胸の圧迫感が取れない。だが魔王たる彼。名をSir.Marceloーー敬称を付けるに値する。
ぐらりと意識を揺らしながら立ち上がる。その姿に最早余裕はない。しかし殺気は存分に分泌している。
ーーKill you!!!!ーー血走り殺気走った両目で影を睥睨、猛り、唸る。
抉るという表現は生やさしい。まさしくコンクリを崩壊させる踏み込み。
影に接近するまで幾度も地を揺るがし、その度に速度を増す。
音など最早伴わない。光も既に遅れを取るようなその速度まさに魔王たるや。
その殺意は一撃では済まされない。影に接近したならばまず狙うは左腕でのフック。腹部を抉り貫くが如く。
更にそれが叶ったのならば彼は覇気を叫びに表現しつつ右腕での全力のストレートを狙う。
人生最大の殺気、それは最高の愉悦をくれたことへの最大の喜び。畢竟、感謝であった。
319 :スレンダーマン>>23【エビルド】全身筋肉増強 胸に裂傷(中) 全身ダメージ(極大) 腹部破壊 [sage saga]:2016/04/15(金) 02:09:38.94 ID:fqd+hVCa0
>>318
直撃。筋肉で相当の硬化を行っている筈の右足には、まるで特殊合金と直撃したような痺れと衝撃が募る。
しかしその人智を超えた一撃は確かに魔王を遥か遠くに吹き飛ばし、相応のダメージを負わせることに成功した。
影の視界に映るのは何十ものの石の壁を崩壊させつつ吹き飛び弾ける魔王の姿。
あの一撃を喰らっても尚命を取り留めているとは信じ難い。しかし、それに驚けばそれは隙となるだけだ。
油断はせずに全身の筋肉を増強させトドメを刺す。愉しかった、その想いを込め全力で。

刹那、影の動きは止まった――否、”止められた”。

煙を上げ立ち上がる魔王の双眸に宿る尋常ではない殺意と殺気は、影の本能に到達し囁きかける。
此奴と戦ってはいけない、今すぐ逃げろ――生物である以上、その警告を無視する事は許されない。
瞬間爆ぜる大地。コンクリートを陥落させる程の衝撃と速度を以て、殺意に身を委ねた魔王は影の元へ疾駆する。
魔王の出鱈目なスピードに反応することは許されない、気付けば自身に襲いかかるのは殺意の載せられた左腕の直撃。
腹部全てを抉り貫くのではないかという攻撃は影に絶叫を上げさせ、凄まじいダメージを与えた。
しかし幸いというべきか全身の筋肉を硬化させていたためかその一撃は絶命には至らない、問題はその後。


――文字通り、影の腹に風穴が空いた。


魔王の覇気一閃、全力を注いだ右腕のストレートは如何なる衝撃も弾き返す鎧を穿ち破壊して有り余る。
殺しきれぬ衝撃は一切他に行くことを許されず、影の腹部に集中的に注がれ凄まじい量の黒い血液と臓器のようなものを吐き出した。
最早吹き飛ぶ事すらも許されない。腹部に拳大の穴が空いた影は陥落した大地を黒く染め上げて、スローのように倒れ伏す。
全てが一瞬。この戦闘が始まってから、常人にとっては数秒にも満たない出来事だった。
その一瞬において生物界の頂上を巡る程の死闘は、魔王の勝利に終わる――。
しかし、影はまだ死んでいない。穿たれた穴から多量の黒煙を巻き上げながら、それでも命を繋いでいた。
320 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/15(金) 03:36:07.91 ID:TCa/yvww0
【街はずれの公園】

木々が生い茂り、公園とは名ばかりの林めいた其処。
差し込む月光に映し出されるのは一体の獣と犠牲者。
哀れ犠牲者は既に性別すら分からぬ程に切り裂かれ。
獣は全身黒づくめ、浴びた返り血で妖しく濡れ輝く。
人の形を成した獣。喉を鳴らす様に息を吐いて唸る。
暗闇に糸引く眼光は次の獲物を探しているのだろう。
321 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/15(金) 03:49:37.15 ID:fqd+hVCa0
>>320
獣とは常日頃から獲物を探し求め、渇いた欲望を潤すように血を求める。
そんな渇いた獣の前で、木々の隙間から覗くのは同じく全身黒づくめのニンジャ。
唯一違う点と言えば獣は所々が赤の斑点に色付けされているのに対し、ニンジャは純粋な漆黒という点か。
獣の唸り声に惹かれてか、はたまた異常を察してか迷い込んだニンジャは未だ獣の存在に気づいていない。
果たして獣にとって”それ”は獲物となるか、または狩人となるか。
322 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/15(金) 04:00:36.70 ID:TCa/yvww0
>>321
「オオオオオオオオッ!!」

しんとした闇夜に響く咆哮。音は波となり伝播し木々を揺らす。
獣は見つけたのだ。次なる獲物、自らの渇望を満たす血の苗床を。
それが果たして自身を狩る程の力を持つかなんてこと考えもせず、ただ求めるままに身体を動かすのだ。
転瞬、ニンジャにとって闇の静けさは此の刻終わりを迎え血の雨を請う獣との邂逅が訪れる。
獣は重厚で大きなナイフを腰から引き抜きつつ、体勢低く黒尽くめの人間へと襲いかかる。
闇に生き闇から出でる血に飢えし獣。同じ闇に生きるであろう彼は果たして。
323 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/15(金) 04:10:57.14 ID:fqd+hVCa0
>>322
「……っ…何事でござる!?」

幻想的な風景に広がる如何にもな静寂は、獣の咆哮により無残にも砕け散った。
いや、在るべき風景に戻ったと言った方が正しいかも知れない。獣と人間の邂逅とは正に現状を指すのだから。
静寂を破りし主へと振り向けば、月光を反射させ煌く刃を向け此方へ疾走する何者かの影。
穏やかな観光は終了、闇と闇――謂わば、裏と裏。二つの闇は血塗られた形で出逢う事となる。
闇夜を切り裂く白刃が飛び交う。一瞬反応の遅れたニンジャは右肩に真新しい傷跡を残し数歩後退。
獣が追撃を仕掛けるよりも疾く、背に担ぐ大剣を手にしその鋒を襲撃者へと向けた。
324 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/15(金) 04:22:48.20 ID:TCa/yvww0
>>323
「ふしゅううぅ……! 血、血……! もっと見セロ!! キレーな血飛沫、アタシに頂戴ィィィ!!」

顔の半分以上を覆い隠していた黒布をずらし、刃にこびり付いた獲物の血液を舐めとった。
顕となった唇はまるで血を塗りたくったかの様な真っ赤なルージュが映える。
そして不気味に引き攣り、歪んだ笑みと渇いた笑い声をあげながら勢い良く踏み込んだ。
向けられた大剣の鋒などは意に介さず、己の兇刃が肉を切り裂く事のみを願う。
しかし獣の放つ異様な雰囲気に気圧される事なく、打ち勝ちその動きをみれば振るう刃は剣技として見られたものではない事がわかる。
325 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/15(金) 04:33:55.71 ID:fqd+hVCa0
>>324
「……どうやら、話が通じる相手ではござらん様子……」

刃に付着した自分の血液を舐めとる様子から、ニンジャは静かに大剣を下げる。
戦闘を破棄したわけではない、それは逆袈裟の構え。獣の次の一手を防ぐためのものだ。
そして意図通り踏み込み駆け出す獣、その気迫と雰囲気は正しく野生のそれに近い。
しかしそれでニンジャが怯むかと問われれば否だ、相手の動きに技術はなく単調で愚直。
ニンジャへと振るわれる大振りな攻撃を見切り、斬撃。大剣での一閃は獣の得物を狙った一撃。
もしも一閃が成功すれば獣のナイフは打ち上げられ、空を舞うこととなるだろう。
326 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/15(金) 04:45:49.02 ID:TCa/yvww0
>>325
きぃん。剣撃により木霊する金属音は大剣による剣戟一閃。
ニンジャの狙い通り獣の兇刃は是非も無く跳ね上げられ宙空に放り出され、それを振るった獣も両腕を跳ね上げられた格好だ。

「……ッ!? オ前……ッッ!!」

呪詛を漏らす獣。しかし両腕が弾かれた事によりその胴体な隙だらけである。大剣の返す刀があれば容易く斬り込める筈だ。
しかしこの隙を逃せば獣は奥の手を繰り出すだろう。更なる昂りと、血の渇きをもってして。
327 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/15(金) 04:57:04.60 ID:fqd+hVCa0
>>326
決まった、相手の得物を奪えた此方の勝利は揺るがない。
打ち上げられた刃は数秒宙を舞い、黄土色の地面に刺さる。
獣の呪詛を聴く時間さえも割いて、ニンジャは振り上げた大剣をそのまま胴体に向け――

「………っ……!」

一瞬の逡巡、そしてニンジャは獣の隙だらけの胴体へ向けて足刀を振るう。
殺生を好まぬ甘い性格から転じた攻撃。常人を超えたそれは確かに威力を持つが、無力化には至らないだろう。
それは即ちニンジャの知らぬ”奥の手”を許す行為。その攻撃が当たろうともそうでなくとも、ニンジャは数歩距離をとり睥睨した。
328 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/15(金) 05:22:12.97 ID:TCa/yvww0
>>327
「ぐぅえふっ!? 」

繰り出された足刀は見事ガラ空きの胴体へと吸い込まれ、獣の腹筋をやすやすと貫きめり込んだ。
息と共に吐き出される短い悲鳴と嗚咽。先程啜った血が逆流し口の端から赤い雫を垂らす。
一瞬だが呼吸困難とチアノーゼが同時に訪れ、獣は辛そうに膝を挫きその場に跪いた。
しかしその瞳は、彼我の距離を開けたニンジャを見据えるその渇いた瞳は未だ血を求めている。

「ダァメぇぇよォォウ……? 隙はチャァンと抉ってあげないト。
カワイイく、喘いでアゲタんダカラァァァァァァ……!!」

溢れた血の雫を舌舐めずりすれば、より一層に口元をひくひくと歪ませて嫌悪を感じる程のいびつな笑みを向ける。
そしてゆっくり立ち上がれば血塗れの黒いコートを艶かしく捲り上げた。
顕となるのは白い腹部と、そこに巻き付けられたベルトからぶら下がる二丁の大型拳銃だ。
ゆったりとした動きから一気にそれら得物を引き抜けば両腕に携えだらりと下ろす。
手に取った拳銃は長大な銃身を持つ古めかしいリボルバー。両腕はぶら下げたままにゆっくりと撃鉄を起こせば、
その直後ニンジャへ銃口を向け一丁の引き金を引いた。
329 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/15(金) 07:08:27.73 ID:B18E+1W4o
「ん〜、今日も楽しかったな!」

すっかり人の居なくなった街灯の照らす夜の公園。
その公園のブランコに一人の少女が座り、ギィコギィコとゆっくり漕ぎながら満足そうな独り言を漏らしている。

「しかもまだまだ楽しそうなことがいっぱいあるんだよなぁ!」

空を見上げ、まだまだ沢山ある自分が見聞きした面白そうなことに思いを馳せ、嬉しそうに笑った後、それを指折り指折り数えていく。

「え〜っと…あっちでいっぱい死体が見つかって、そっちの教会が皆殺し…」
「向こうに美味しいソフトクリームのお店があって、路地裏の食人鬼が突然いなくなっちゃったんだっけ…?」

あれ?ニュースは何て言ってたっけ?、とこの前何となく見た特集の番組を思い出そうと首を捻る少女。
しかし、飽きっぽい性格である少女は答えの出そうもない思考を停止し、ブランコから立ち上がった。

「…ま、いっか!」
「取りあえずソフトクリームから食べに行こーっと」

一際大きく揺らしたブランコからぴょん、と飛び降り公園の出口へ向かう少女。
どうやら先程挙げた美味しいソフトクリームを食べに行くようだ。
330 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage]:2016/04/15(金) 08:35:34.46 ID:qcUv401uo
>>329
//まだいらっしゃいますでしょうか?
331 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/15(金) 09:52:28.15 ID:LbMLI46yO
>>330
/ごめんなさい!今出先なのでロールできるのは夜になりそうです…
332 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage]:2016/04/15(金) 10:21:47.76 ID:qcUv401uo
>>331
//いえいえお気になさらずに
//出来そうだったらレス送らせて頂きます
333 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/15(金) 11:38:20.37 ID:spIBdp8EO
>>315
「一発で決めてやるぜ…ヒョロモヤシ……!!」
「さすがにそいつは予測出来てらァ…ッ!!」

弾丸のように駆けた少女に対し、冷静に、かつ燃え上がる闘志を乗せて真正面から放たれるケーブル。遥歩はそれを目にしても立ち止まることは決してしなかった
むしろ地を蹴り加速、大きな跳躍と共に身体を水平にして腕を振るい、その慣性を利用してきりもみに一回転。ケーブルもそれに追従し、遥歩の身体を捉えようとするが
ケーブルは攻撃の狙いをずらされ、プラグめいて剃刀のような鋭さを誇る刃は遥歩の身体に四つの裂傷を与えるにとどまる。脚を刺突され絡め取られることだけは避けた
ふと切り裂かれた部位を中心に麻痺してゆく感覚を覚えた時、遥歩はようやくこの異能の持つ"異質"に気付く

「いっ…ぐ……!」
(自販機をただぶっ壊しただけじゃねェ…何か細工してやがったのか…!)

正直な所、包み隠さず言えば遥歩はアホである。底抜けのアホだ。しかし戦闘に関しては類い稀なるセンスを確かに持ち合わせていた
愚かな振る舞いを見せるということはすなわちその頭脳まで愚鈍であるという事のイコールではない。遥歩は戦闘に関する事項に限り、その頭脳は明晰であり凄まじいキレ味を誇るのだ
きりもみ回転の姿勢から両手を付いてネックスプリング、着地。無理のありすぎる制動行為にバランスを崩し転げかけたが、遥歩はその力を受け流す為に素早く前転、起き上がると同時に再び地面を蹴って跳躍、制動で減速した分の速度をある程度は取り戻す
跳躍したということは重力を加速度として攻撃力に変換する事が出来る。しかし同時に次の着地まで身動きが取れないということでもあった
そこに狙いを澄ましたように放たれる新たな二本のケーブル。遥歩はそれに対して面喰らうことも、慄くこともなかった。何故ならそれはあるものを前提として、既に予測された攻撃であったからだ

「6本…だったよな…?じゃあこれで打ち止めだってこたァ…」
「分かっててんだよォォオォッッ!!!」

そう、それは即ち攻撃を受け、それでもなお前進する覚悟。遥歩は男の攻撃などに脇目もふらず、凄まじい速度を保ち続け肉薄した
ケーブルは遥歩の脇腹と右肩に喰い込み、感覚麻痺のバグを書き込み始める。しかし遥歩は構わずケーブルへと無理に突き進み続け、終いにはケーブルは遥歩の身体を貫通してしまった
刺突や落下の痛みなどとは比べものにならない、まるで銃弾に貫かれたかのような痛みが遥歩を駆け巡り、続けざまに電熱によって灼けるような痛みが、まるで追い討ちのように走った

「がっ…ぁあぅぅ………!!」
「……落炎…流垂(らっかりゅうすい)……ッ」

必死に声を殺し、それでもなお漏れ出る苦悶の声。串刺しにされながらも、それでもなお前進を止めず、否、重力に惹かれたそれは彼女の意思では止めることなど既にできない
ケーブルを、その端子部を素早く貫通させた事が幸いしてまだ腕は動くはずだ。後は握り込んだ拳を叩きつけるだけの距離へと遥歩は既に到達している
ついに男を射程へと捉えた遥歩は、振りかぶっていた拳を、斜め上から真っ直ぐに振り下ろす。跳躍による落下すら攻撃に含めたそれは、命中と同時に最大火力での爆発を引き起こし、まるで自動車にでも跳ねられたかのような衝撃力を生み出すものだ
男の胴体へ思い切り拳を振り抜き、振り終えた。遥歩の動きはそこでぴたりと止まる。何故なら――
攻撃の成否に関わらず、背後から追尾してきた4つのケーブルが遥歩の背を突き刺したからだ。遥歩はがくりと項垂れて膝をつく。身体に力が入らない
――――ここまでだ。この一撃で相手を倒せなければ、もしも相手に捕まってしまったら
一体あの変態に何をされるのだろう。そんなことを考えながら、前のめりに崩れ落ちて大きく息を吐いた
334 :ソレス=ロウ=メルトリーゼ ◆yd4GcNX4hQ [sage]:2016/04/15(金) 18:47:21.45 ID:iiolZiAS0
>>285

「あなたは聖職者でも、ましてや法王でもありません、宗教としての超えてはならない一線を超えています。
あなたはただの殺人鬼です、あなたのその周りに群がる信者共も」

届かないことなど百も承知、あのような輩には言葉は無用。力でねじ伏せなければ意味がない。
自分の世界に閉じ籠り、周りの人間を引きずり込む。そんなことは許されない。やるのなら一人で殻に籠っていろ――!!

組まれた両手が解かれる。ここで退いてはいけない、進まなければ。
一歩一歩と歩み寄る二人、視線が交錯しまるで一秒が何時間にも感じてしまう。これほどの圧倒的な圧力、しかし自分はこれを越えなければならない。越えてこれ以上、こんな悲惨な地獄を生み出さないために――――

「言葉は不要、説教なんてもってのほかです。
あなたのことを理解できる時が来るのだとすれば、それはきっと私の正気が消えた時でしょう」

こちらへも伸びてくる大きな手、それは通常よりもとても大きく見えて恐怖を身体に刻み込む。あれに摑まってはいけない、この恐怖を消し去らなければ。
頭をクリアにし集中する、このチャンスを酸漿は逃すことはできない。逃せばもうおそらくこのような絶好なチャンスは来ないだろう。

だがその前の二つの条件、ひとつ目はアルトリアの油断を見抜くこと。それは大して大きな問題ではない。
酸漿は常日頃、喧嘩に割って入って仲裁することも多い。それに至るまでに戦闘になってしまうことが多く、また子供の頃から家に来る人来る人のことを見ているうちにそういったことを見分ける力は付いている。人を見分けるとは人を理解するということ、奇しくも酸漿は今この狂人のことを理解してしまっていた。

――――しかし、ふたつ目は別だ。確かに戦闘経験は及第点、洞察力もある。
だが酸漿には決定的に欠けているものがある。
それは"人を殺めた経験"だ。普通人を[ピーーー]ということは倫理的に許されることではない。だからこそ人は無意識のうちに人を[ピーーー]ことを躊躇ってしまう。
それは決死の覚悟を決めた酸漿でさえも縛り付ける。

「………!!」

酸漿がそれに反応するタイミング、それがワンテンポ遅れる。
恐怖を消し切れるはずがない、倫理を捨てれるはずがない。
酸漿の髪が針のように伸びていく。纏まった髪がそれぞれ酸漿の槍となり剣となり盾となる。これが酸漿の異能力。
それは本来ありえない軌道を描き、アルトリアの"左の太もも"を狙い突き進む。
狙いは急所ではない、しかしその動きを止めるという算段。だがそれはあまりに悪手、やはりどう足掻こうと異常と正常の間には圧倒的な壁がある。それを乗り越える手段は"今"の酸漿には無い。
335 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/15(金) 18:48:18.08 ID:iiolZiAS0
>>334
//名前欄ミスです…
336 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/15(金) 19:57:58.96 ID:Rjjg8wiR0
>>333
「こっちだって君がバカみたいに突っ込む事は予想済みだねッ!」
「同じように僕の行動できるターンで君を仕留めてあげるからねェ!」

4本のコードは刺さりはしないが無事相良の体を切り裂いた。
どうやらバグの付与にも成功したようで相楽が苦しみ始めた。
全て上手くいっている様な感覚。勝利の確信に近づいていく証拠。

だが相良の身体能力を侮る事など出来ない。
愚直で素直な相良だからこその強み、それを魅せつけられてしまう。
どこまでも止まる事を考えず、体が頭より先に動いている様な動作。

しかし着地には隙が出来た。ダーティはそれを見逃さない。
至近距離から放つコードを避けることなど今の相良にはできない。
思わず拍子抜けするほどあっさり相楽に刺さるコード。
だがそれがミスだと気がつくには遅かった。

「そんな、馬鹿な、どうしてなんだッ……?!」
「どうして君はコードが体を貫通しているのにこちらに走って来れるんだ?!」

ダーティにはその行動が信じられなかった。
陽炎で見間違えた訳では無い、確かにコードは体を貫通した。
確かにコードは相楽にバクを与えた。確かにコードは相楽の体を焼いた。
しかし相楽は止まらない。むしろ加速しているようにも見えた。

相楽の一撃が当たる直前、全てがスローモーションのように見えた。
通り過ぎていく相楽の表情を見てダーティは敗因を悟った。

(爆発するかのような闘志、しかし決してブレちゃいない意志……)
(なるほど、屈強な意思がどうして力を得るのか分かったよ……)
(でも僕にそんな屈強な意思はない、だから「敗北」したんだね……)
(「素晴らしい」と言いたいけど彼女に飾る言葉は似合わないのが残念だ……)

時間の流れが正常に戻った瞬間、ダーティは炎に包まれた。
まるで彼女の闘志が爆発したような一撃は見事にダーティを吹き飛ばした。
全身を走る激痛、身を焦がす爆炎、限界を悟るコード達。

やがて轟音と共に壁にぶつかり殆どの骨を圧し折った痛みで気絶するダーティ。
だが相楽も限界だったようでぐらりと崩れ落ちてしまった。
喧嘩両成敗、そんな言葉がこの状況には似合うのかもしれない。

だがダーティの意志に関係なくコードはうねうねと動いていた。
そのうち一本はにゅるにゅると緩やかに相楽に伸びていく。
そして近くの瓦礫に突っ込みそのまま相楽の傷の上まで持っていく。
ビリッ、と音がなると瓦礫は彼女の傷を癒すかのように姿を変えた。
ある程度治すと最後に相楽の手に差し込んで情報を書き加えた。

[ナガクハモタナイ、ハヤクイケ]

そう書き加えるとコードも力なく地面に落ちた。
無意識に彼女に敬意を払ったが故の行動なのだろうか。
ダーティが気絶してしまった以上、真実はわからないだろう。
ムカつく面のシルクハットは彼の顔を隠すように傾き続けていた。

//長い間付き合っていただきありがとうございました
337 :サー・マルセロ【魔王】 [saga]:2016/04/15(金) 21:51:09.25 ID:nRAzCEz10
>>319
左腕は巧く横腹に抉り込み、絶大な威力を影の全身に循環させるようだ。
号哭し悶絶するそれに魔王は兇弾を以って止めを刺すことを決して忘れない。
振り抜かれた拳は黒く変色。一寸の後退りも赦さない右腕が穿つ風穴。
余す事なく力を喪失する影、ずるりと自ずから拳を引き抜いて斃れ込む。
幾許か時間を掛けて背中を据えた辺りの地面は罅入り、ぐちゃりと腸の潰れる音を聞いた。

解けた緊張にいつに無く脱力。拳を汚す黒血と鼻をつく異様な臭気こそ畢竟残穢。
足下に燻る風穴を一瞥、死の硝煙に目を擦り鼻を覆う。
だがまだ生を感じる。この期に及んで尚未だに死を享受しきれない人外然とする影。そのタフさたるや。
全てが刹那のうちに終えられた交り。しかしこの二人の間では十二分な時間となりえた。
生物と生物、否怪物と怪物、否核と核、畢竟兵器と兵器の勝負の末。
魔王たる彼君臨するは、生者の頂。正邪の山巓。

「敬意を表しよう、愚物。
礼として惨め無様に死に絶える権利を与える。
拒否権はない。」

目下の肉塊。運動能力が死して尚生きる肉塊に敬意を。
あてがった右足、死ねと吐いて捨てた台詞。胸板ごと心臓を踏み抜く算段である。
暗転、その後の顛末は神(魔王)のみぞ知る。
ただ確かに彼は再び殺意と愉悦を知った。自己愛に勝る唯一の感情が今萌えゆる。
心の底に根を張るそれは次第に膨張していくだろう。その毎秒で彼を変え続ける。
愛に生きた男の終焉。そして黒く殺意に変遷。
愛は覚えているだろうか。否。兇は素晴らしい日だろう。応。
雑多な感情は打ち据えた。殺意が全身に咲き誇る。全細胞が狂喜する恍惚。
その日人外を殺した人外は、今再び魔王の玉座に尻を据えて脅威を孕んだ。



/〆で!白熱する戦闘ロールとっても楽しかったです!!ありがとござーした!!
338 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/15(金) 22:53:50.40 ID:fqd+hVCa0
>>328
足刀は直撃。しかし、それが戦闘不能には至らない事などニンジャ本人が何よりよく知っている。
案の定獣は立ち上がり、コートを捲くりあげて手にするのは銀色に光るナニカ。いや、それは武器だ。
映画や漫画、果ては現実でもよく目にするであろう拳銃の銃口は、暗闇の中確かにニンジャへ向けられていて。
撃鉄の上がる音が、ニンジャにこれ以上ない程の身の危険を与えた。

「…っ!!銃…!?」

歪な笑み、吐き出される銃弾。
飛び出す亜音速の物体はニンジャの右脇腹を貫通し、真っ赤な華を咲かせて尚後方の木にめり込んだ。
短い呻きと共に片膝を着けるニンジャ。臓器への直撃は避け致命傷は免れたものの、やはり傷は大きい。
ごぷり、と止めど無く血の溢れるその箇所を片手で押さえながら、大剣を杖にするように大地に突き刺し、
この事態を引き起こした原因を一瞥。そして直様ゆったりと立ち上がり、灼けるような激痛の中左腕で大剣を構えた。

//返事遅くなっちゃってごめんなさいっ
339 :キルト>>22【魔力操師】 [sage]:2016/04/15(金) 23:12:35.05 ID:PAdpbQxZo
夜半の月下に餓鬼が啼く。
満ちぬ、終わらぬ衝動以て、嘶きを、号哭を。
生者に縋る彼の者達は、伸ばす手をもて贄を求むる。
無聊を託つ彼の者達は、猛き叫びをもて暇を求むる。
求むは自らの理想の為に、得られぬ力を持つ少年へ。
彼の者達の意思を聴く、彼の者達の声を聴く、その少年に繰り返す。
我が命に応えよ、我が欲求を満たせ、汝の提ぐ力を以て。
我らを阻むは月の道、彼の極寒を耐え抜く、其の力を以て。
進軍せよ、進軍せよ、進軍せよ、それこそ我らの望みであるが故。
要求通らざれば、我らは何度でも繰り返す、進軍せよ、進軍せよ、進軍せよ……。

「……ええい喧しい!分かった!分かったから纏わり付くでないわ!」
「儂が行けば良いのだろう!儂が!こ、この時期のこの時刻にアイス等、巫山戯た事を抜かしおってからに!」

……根負けした少年の声、餓鬼の勝利を克明に告ぐ。
無名の孤児院、餓鬼の住処、少年よりも年端の行かぬ、彼等こそ少年を悩ます餓鬼の姿。
夜も更け、菓子を求むる子の心、然りとてその場に兵糧無く。
子の一人が欲を漏らせば、また一人、また一人と、連鎖する欲は世の理。
集団全てが氷菓子の欲に染まりて、欲求は常識の壁に衝突せしめ。
夜も深い街、籠の外から出た幼子は、喰われ消えるもまた必定。
管理の者は無慈悲に告げる、此処から出る事は許されぬ。
只例外にて、力を持つ者で有るならば、其の外出を認めん、と。
唯一人、其の条件を満たす者、少年は生贄として選ばれる。
斯くして、氷菓子が為に餓鬼となった者共、その要求に耐える事叶わず、今に至ると言う訳だ。

「ぐぬぬ……彼奴らめ、老骨に鞭打ちおって……金は貰えるから良いのだが」

嗚呼、月の美しき夜で有る事だ。
責務を負わねば嘆息免れぬ朧月夜、寒風の下では財布すらも重く。
果たして近くの売店は未だ空いているのか、其れすらも未知、其れすらも不明。
分の悪い賭けを強制さるれば、元々宜しくない人相も更に歪む。
厄日、一日の終わりの其の近く、混凝土の街を闊歩しながら、誰とも無く悪態をついた。
340 :スレンダーマン>>23【エビルド】 [sage saga]:2016/04/15(金) 23:17:19.14 ID:fqd+hVCa0
>>337
刹那でありながら永遠とも感じられる程の死闘、それは最早神話に伝承されるが如く烈しさと雄々しさを以て決着。
魔王にとって、影にとって、この戦いにて得たものと失ったものはそれぞれ異なっている。
魔王は久方ぶりとなる殺意と愉悦を得て過去の自身を失い、影は生涯最大の愉しさを得て命を失った。
言葉など不要な原始的で乱暴な方法であるものの、”戦闘”という過程を経た二体の怪物は言葉よりも明確に伝え合う。

『―――――』

靄掛かる胸板へ宛てがわれる細身の右足。しかしそれは触れた瞬間死を招くほど、見た目と釣り合わぬ危険なものだ。
怪物はなにも言わない、何も言えない。いつも通りの鳴き声を上げる間もなく、肉が潰れる音と共に影の心臓は破壊された。
この瞬間スレンダーマンの命は途絶え、同時にサー・マルセロは新しく切り開かれた道への一歩を歩む事となる。
自己愛をも勝るドス黒いそれは魔王を奈落へと堕とすかも知れない。
血と肉に溺れた獣と化すか、それすらも乗り越えて更なる王として君臨するのか。
命を失い昇る黒靄は、独り歩む魔王の背後に張り付き――音もなく蒸散した。



【スレンダーマン 死亡】


//こちらこそ!!肉体派の激闘楽しかったです!!ありがとうございましたー!!
341 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/16(土) 00:01:22.53 ID:otKPyyCi0
警視庁、その中の一室。警視総監室そう書かれた部屋で少し奇妙な会話がされていた。

「と言う事で君にはこの街へ行ってもらいたいのですが」

椅子に座りながら、子供が見たら大泣きするであろう顔で警視総監は前にいる青年、裁塔絶矢にそう告げる

「了解した。予定通り明日一二○○に出発しよう」

そう言い残し絶矢は部屋を出た。絶矢は国の対能力者の特殊部隊の小隊長である。
さっきまでも今回の任務について話し合っていた。
今回の任務は能力者が集まる街で、不穏な動きがありそれ潰せという命令である。
期限は無期限だった。小隊を連れて行ってもよかったが彼はそれ拒否した。
自分の思いで拒否したのに自分自身驚きながらいったい何人能力者をころせるかなと、危険な考えをしながら荷物をまとめるために寮へと足を向けた。
これが彼が街に着くまでの前の出来事である。
342 :【死神】制服姿の女生徒 [sage saga]:2016/04/16(土) 00:46:03.27 ID:qAoVoPSBO
陽射しから隔離された暗峠
影が形を成し、白紙を墨汁が犯す様にして顕現
三日月に歪む口元、薄らと細められた狂気の瞳
大鎌を凶悪に携えゆっくりと歩き始めた
その獰猛な殺戮性を身に纏いながら

【それは、闇を従者に現れる】

343 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/16(土) 00:51:48.73 ID:fO+8B2p7o
月と街灯だけが僅かに照らす夜道を一人の少女が歩いている。
こんな時分だというのに制服に身を包み、更に腰には帯刀までしている。
手には薄い冊子が握られている。

「フム……」

僅かに足を止め辺りを見回すと再び歩き出す。これを一定的なスパンで繰り返している。
叶来は最近この辺りに引っ越してきたばかりで近辺の地理に疎かった。
なので散歩がてら近辺を歩きまわり、簡易的でもいいから辺りを把握しようと言う腹づもりだ。
こんな店も閉まっているような時分にそんなことを行っているのは単純に夜が好きだからであった。

「思ったよりも……平和なのね」

この街に来る前、事実から噂話レベルの話まで様々な話が耳に入ってきていた。
それだけ人の口を開かせるようなことがこの街で起こってることは確かだった。
そんな話を聞いて漠然とだが俗世とは隔離されたような何かを想像していたのが
目に映るのは割とどこにでもある街の風景だった。

「――まあ、別にどうでもいいけど」

そう言って止めていた脚を動かすと再び歩き出す。
最後に呟いた言葉にはなにか子供が拗ねているような、僅かにだがそんな響きがあった。
344 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/16(土) 01:02:55.29 ID:qAoVoPSBO
//絡み待ちを落としたはいいけど眠過ぎた
//落ちます、また来ます
345 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/16(土) 08:55:06.58 ID:MVjh2VES0
>>343
「平和?変わった事を言う人だねぇ」
「そりゃあこんな場所にこんな時刻じゃ変わり種しかいないさぁ」

突然少女に話しかけた何か。
それは少女を照らす街灯の後ろから頭だけを出して見つめていた。
どうやら先ほどまでの呟きを聞いていたらしい。

「そんな言い方してると飢えた殺人鬼みたいに聞こえるよぉ?」
「まぁその腰につけているモノをみればなんとなく察するけどさぁ」

まるでゲームの世界から飛び出してきたような姿のそれ。
夜だというのに若干白く光っているが幽霊では無い。
ブロックがくっついて出来上がったかのようなそれは少女を見つめ続ける。

「でもさぁ、戦闘ばかりの毎日は疲れるよぉ?大丈夫ぅ?」
「自分を見失って暴れる奴とかぁ、欲望のままに動く獣とかぁ」
「そんな連中と同じになっちゃうよぉ?」

語尾が微妙に伸びるうざったらしい口調。
どうやら彼女に警告をしているようだ。
残念な事に彼の言葉には重みもありがたみも無いのだが。
346 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/16(土) 10:05:56.21 ID:K1KO2/zWo
>>336
「……ぅ…ぐ…っ……」

決着から数分後、若しくは数十分後。少女はようやく意識を取り戻す
全身の痛みや疲れは相当なものだが、ふと遥歩はあることに気が付いた。身体を貫通した傷二つがすっかり塞がっている
誰の仕業か判らないが、この場に誰かが訪れた様子はない。目の前の男がやってくれたのだろうか?だがそれにしては向こうも遥歩の一撃を喰らって伸びたままのようである

そしてふと、脳裏に焼きついた言葉のヴィジョン。『長くは保たない、早く行け』
何故このような言葉が刻みつけられているのかは理解できなかったが、きっとこの男が関係あるのだろうと遥歩は予想した。

「…死んでねェなら…ちゃんと聞いとけよ…」
「モヤシ…てめェは…いや…アンタは確かに強かった…」

遥歩はすっかり冷めたコーンポタージュを二缶取り上げて、そのうちの一つを開けて飲む。長い間夜風に晒されたそれは、ひどく冷め切っていた
もう一つはシルクハットを顔に被せたまま微動だにしない男の、耳元あたりにことりと置いた。手向けと言うかなんというか、取り敢えず互いの健闘を讃えて乾杯である
男の隣に座りこめばいつまでも手前呼びするのも憚られたのか、言葉遣いは先程よりもまだ柔らかいものへ。まるで独りごちるように男へ向けて囁いた。
ノビているのか、死んでしまったのか。男と面と向かっていないが故に遥歩はこうして素直になれるのだ。遥歩はまだ人を殺めたことはなかったし、出来れば今回も死んで欲しくはなかった

「だから…だからよ……」

もう一回喧嘩しよう。と囁いて暫し照れ臭さに顔を俯かせ、鼻の下を擦りながらガラではないと吐き捨てる。
コンポタージュを一気に飲み干せば、立ち上がり、空になった缶を蹴ってゴミ箱へ。あと少しの所で縁に弾かれ防がれた。

「んで…今度こそ…てめェの名前をちゃんと教えろ」
「じゃねェと…永遠にモヤシ呼びすっからな……」

煩わしそうに頭を掻いて、ゴミ箱の側まで缶を拾いに行く少女。缶を拾い上げ、ゴミ箱へ投げ入れると、男に背を向けたままぼそりと呟いた
それは再戦を望む言葉。挑戦状だ。しかしそれは裏を返せばもう一度会う時まで死ぬんじゃないぞという、無事を祈る別れの挨拶とも取れる
そして少女は両手を組んで高く掲げ、欠伸と共に大きく伸びをして、夜闇に紛れるように垣根を飛び越えて消えた


それにしても酷い格好になってしまった。身体は切り傷だらけ。袖も燃え尽きて下着の紐すら露わになっている
すっかりあの燃え盛る溶岩のように赤黒く光を放っていた皮膚は、少女にあるべき柔肌へと姿を変えていた。火が灯っていなければ肌寒いものだ
その辺りに何かいい上着でも落ちていないか、もしくは拠点の公園へと戻り野良猫のにゃー助でも抱いて寝ようかと思案顔

頼みの綱であるにゃー助に遥歩よりも早く名を付けていた人物とこの後出逢うのは、また別の話である。

//こちらこそありがとーございましたぁ!
347 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/16(土) 18:38:14.53 ID:otKPyyCi0
暗い裏路地そこに二つの人影があった。

「く・・・くるな、こっちに来るなああああああああ!」

そう叫びながら男が拳銃をもうひとつの人影に向かい乱射する。
だが、その弾丸は全て空中に浮かぶ淵が刃になっている盾に阻まれる。
そして新たに生成された盾に男の首は切られ、絶命した。

「銃の効果的な使い方も知らんのか」

そう吐き捨ててもう一つの人影、裁塔絶矢は自分が見つけ、たった今死体となった犯罪者を一瞥した。
そしてこの街で借りてる部屋へと歩き出した。
348 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/16(土) 19:22:13.23 ID:MVjh2VES0
>>347
「裁塔絶矢さん、ですよね?」
「いやぁ先ほどは見事な戦いでしたねぇ」
「なぁんて言うのはちょっと気持ち悪いでしょうか?」

後ろからコツコツという足音とともに声をかけた男。
どうして名前を知っていたのかは彼が見つめるノートPCを見れば分かるだろう。
ニヤニヤと笑った面がPCのライトで照らされ、少しばかり不気味だ。

「一般人が行えば即犯罪者、しかしあなたの様な立場の人間が行えば正義…」
「あなたの大嫌いな能力者を仕留めるほど、あなたは英雄として称えられる…」
「えらく便利な立ち位置ですよねぇ、ちょっと羨ましいです」

勝手に裁塔のデータを見ては羨ましそうに喋り出す。
本来なら調べられないデータのはずなのだが、この男の前では関係ない。
ニヤけた面の裏には積み重なった自信が潜む。

「おっと、喋り過ぎてしまいましたねぇ」
「私の名前はダーティ、宜しければ覚えておいて頂きたい…」
「少しばかりあなたに会う必要がありましてね……」

「そうそう、本題とは別のことですけども…」
「あなたを傷つけた人とあなたが傷つけた人、それからあなた……」
「一見違うように見えますけど、全員同じってことを忘れないでくださいね?」

皮肉のように聞こえてもおかしくない台詞を放ちつつ裁塔を見つめる。
ダーティ自身にその気は一切ないのだが、笑った表情が別の要素を思わせる。
日が沈み暗くなった世界を照らすのは街灯とダーティのPC程度。
その中で我が物顔な風が正反対な二人の間を吹き抜けた。
349 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/16(土) 21:06:04.88 ID:otKPyyCi0
>>348
見られていたか、内心舌打ちしながら目の前の不気味な男に問いかける。

「貴様何者だ」

そう問いかけると丁寧に返してきた。しかも自分が国の回し者と知っているようだった。
能力者であろうダーティは、おそらく能力を使い手に持っているノートPCから得ているのだろう。
自分の能力を知られているとは能力者同士の戦闘では相手の大きなアドバンテージとなる。
いつでも戦闘できるように身構え、話し続ける。

「それがどうした」
「俺にとって能力者も無能力者も罪人なら一緒だ。」
「わかったならさっさと要件を言え」

そう言い放ち、殺気を少し出す。
350 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/16(土) 21:06:47.34 ID:otKPyyCi0
>>349
//名前ミスです
351 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/16(土) 21:24:55.23 ID:MVjh2VES0
>>349
「あらあら、怖いですねぇ…」
「確かにそうなってもおかしくない要件ですから仕方ないですが…」

ノートPCを静かに閉じて平らな場所にそっと置く。
これで両手がフリーになったと同時に個人情報を得ることも出来なくなった。
[もう十分だ]とも[戦闘する気はない]ともとることが出来る。
正しくは両方なのだが。

「あなたは多くの犯罪者と能力者との戦闘経験がある…」
「そのデータは私のPCからでも得る事は出来ます」
「しかしそれには[リアリティ]がない、つまり実際の緊張感が無い…」
「私はその[リアリティ]が欲しい、というのが要件です」

意味の分かりにくい要件だ。ダーティもそう思っている。
しかし意味を分からせると誤解されかねない。
だがそのリスクを負わなければならない。

「もちろん頂ければ報酬はキッチリ払います」
「ある程度の金、もしくは物でも構いません」
「変わり種ですがあなたの嫌な記憶を消すこともできますよ」

右手からにょろにょろと一本のコードを伸ばす。
このコードを見れば大体この男の能力の検討はつくだろう。
先ほどまでの発言を考えればさらに限定も出来る。

「おっと、言い忘れてしまいましたねぇ」
「私はあなたから仕掛けない限り、決してあなたに攻撃はしません」
「雑ですがほぼフェアの方が互いに信用できますからねぇ」

ダーティと裁塔との間はおよそ6〜7mだろうか。
一気に距離を詰めようと思えば詰めれる、話そうと思えば話せる距離。
少々フェアでは無い距離だが、互いに安全を確保するには十分だろう。
352 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/16(土) 21:31:13.24 ID:ROm42nvs0
すべり台とブランコしかない素朴な公園。落ちている枯葉がそよかぜにあおられ宙を舞う。
ガルヴァレックスは風を纏って地上2メートルほどを横になってふわふわ浮き、そよかぜのように辺りを漂っていた。今日の破壊活動はお休みなようだ。

「ふんふんふー♪ ふふふんふぃんふー♪ ふふーんるんるふー♪」

彼女の手にはごみ捨て場で拾った赤色の風車が握られている。捨てられていた場所が場所だけに風車は少し汚れ、歪んでいた。
ガルヴァレックスの身に纏う風を受け風車が途切れ途切れにからから回る。それを変なリズムの鼻唄を奏でながら面白そうに見つめるガルヴァレックス。暇を持て余した怪獣の遊びなのだ。
353 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/16(土) 21:52:10.94 ID:otKPyyCi0
>>351

「戦闘したいと言う事か」

ノートPCを置いたダーティに向かい問いかけた。
報酬を払うと言い、彼は右手から一本のコードを出した。
コードを見て相手の今までの行動、そして訓練で学んだ知識を思い出しから能力を考察し始める。
そうして達した結論は、奴は手のコードを使い情報などを操ることができ、加えて電気を使え情報を探るのに適した能力と結論付けた。
勝てる。そう結論付ける。
幸い奴がハッキングしたであろう国のデータベースにも能力の限界に付いては書いてはなかったはずだ。最も奴の能力に見たものを理解するとかが無ければ。
それに勝つことが出来ればもしかしたら今回の任務の情報を得ることが出来るかもしれない。

「いいだろう、受けよう」
「ただし、報酬として貴様が知っているこの街にいる組織の情報全て教えてもらおう」
「これが駄目ならば受けることはしない」

そう言いながら、盾を三つと腰にあった拳銃を構える。

354 :マザー・ヴィヴィアン [saga]:2016/04/16(土) 22:25:41.73 ID:bis9PZdA0
敬天愛人。隣人愛という信条の下、愛すれば人は救われると敬虔に信じた彼女の末路。愛は全て我にあり。畢竟己を信仰していた。

氾愛兼利。常に迷える子羊に心よりの慈愛をもって、あまねく救いを与えてきた。
主観、その人にとっての最良を自らもって授けること、それは何よりの誇りであり何より無上の愛である。
客観、受け入れ難い死を押し付ける拒否権の無い狂気、自由の街リベルタスを滅ぼしかねない計り知れず絶大な兇情である。

愛及屋鳥。彼女の愛は髪、爪、皮、肉、骨、腸、脳、髄、ついにはその精神にまで到達し浸透する。幾つもの手で己の持つもの全てをあまねく掌握され、そして空洞化したその肉体を純真に抱擁されてしまうのである。

愛多憎成 。過剰な愛は憎しみを産む。僥倖、彼女に愛された者は幸せ。しかしそれは余りにも厖大、その人の人生すら左右しかねないものだ。
結果的にその影響は甚大。畢竟周囲から嫉みや憎しみを受けることになる。ただ彼女はそれすらを愛して見せて吞み込むが。

兼愛無私。全ての人を誠心誠意心の底から深く愛する万人の母、ヴィヴィアン。その身に受け容れてきた愛は無限。
際限なく神の下今日も愛し愛され愛を知らない憐れな者を抱擁する。時には愛を受け入れる。合歓綢繆、尤雲殢雨、桑中之歓。
だが過剰というものはその当人に回帰し傷つけて貶める。彼女は今それであった。

【淀む天地は全を見通す。混濁する瞳は愛の有無しか捉えない。聞こえるのは蝙蝠の囀りと愛の讃歌。呪詛めいた福音が愛を孕む。】
【最早彼女は愛でしかない。畢竟権化。慈愛と狂気と殺戮性を兼ね備えた神の使徒、死徒。或いは神、某主の逆徒。】
【死人然とした虚ろな面構え、張り付いた笑顔に輝きはない。今まさに狂気だけがそれを支えている。】
【足取りは千鳥のごとく揺ら揺ら。幾度も幾度も足裏が地を擦って、幾度も幾度も足裏が血を吸った。】
【ずぶ、ずぶずぶーーずぶ、ん。一人でに立つその音は不可思議。不気味さだけを増幅させて夜の闇に反響、残響。】
【いつもと言っていいほどの頻度で彼女の周りを囲む狂気の信者は誰一人いない。彼女の周囲にも、そしてこの街にも世界にも。】
【ついに、彼女は愛したのだ。性器と性器だけではない、互いの肉体を捧げ合った男女もしくは女女の情事。】
【彼女を巣食う百鬼夜行。彼女に列ねる百鬼夜行。いつ如何なる時も彼女はその身の中で百鬼夜行を抱擁している。】
【最早手に負えなくなった彼女は、絶大な狂気と愛と人とを腹中に潜めて自由の街の影を彷徨し続ける。今も昔も。そして、これからは、】
【その愛の手で他の世界を抱き締めるのだろう。彼女の愛は人類を救うからだ。】

「愛愛(あぁ)…。
愛……ーー愛なのです!!!!」

【愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、愛、】


マザー・ヴィヴィアン
一時離脱
355 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/16(土) 22:32:53.37 ID:MVjh2VES0
>>353
「ん〜、ちょっと違いますね…」
「したくはないんです、ただ記憶をちょっと覗かせていただくだけですよ」

裁塔の能力である盾と拳銃を構えた。
ダーティの身体能力は所詮常人、弾丸を避けることなど出来ない。
だがダーティはそれを見ても焦らない。余裕がある訳では無いが。

「ふむ、この町にいる組織の情報ですか…」
「わかりました、教えましょう」
「私が知っている限り、ですけどね…」

右手から伸びたコードがゆっくり裁塔に近づいていく。
敵意は感じられない。穏やかだ。

「ではお教えするためにもこのコードを刺してください」
「どこでも構いません、引っ張れば伸びますので」
「多少痛いかもしれませんがご了承を…」

ニヤリと笑った顔は交渉成立を喜んでいるようだ。
コードも緩やかに伸ばしている事から攻撃されることも無いだろう。
されたところで刃は小さい、ダメージは大きくないだろう。

ダーティの演技はほぼ完璧だ。
男相手なら感情も行動の制御も効く。故の演技力。
もし見抜かなければコードはゆっくり近づいた後に裁塔の銃を破壊しようとするだろう。
注意していても回避は困難を極めるだろう。高速を走る車とほぼ同じ速度なのだから。
…見抜かなくても警戒していれば諦めて別の手を使うかもしれないが。
356 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/16(土) 22:56:35.49 ID:UO/I5hjjo
>>345
急に話しかけられ、肩がピクリと僅かに反応する。
そして声の方向へと振り返る。

「獣ね……それもいいかもしれないわね……
 あんなふうになんのシガラミもなく己の牙を振り回せるのは
 寧ろなんだか少し羨ましいかもしれない」

振り向いて声の主を視界に止めたが、そこにいるというよりはそこにあるという様な感覚だった。
街灯の柱から朧げに発光するブロックが突き出ている。

人ではなく人語を解するものを多くないまでも見てきたが、それでもまだそれ等は生物という枠にカテゴリーされるものであった。
プログラムされたものをただ使用しているだけと言うにはその語りはあまりにも流暢で、感情の揺れの様なものまで感じた。
しかし目の前の四方形からは生物であれば呼吸や筋肉の動き等に拠って常に発生している微細な反応――つまりは気配を感じない。
感じるべきものが不揃いであり、その不揃いさはそのまま感覚としての奇妙さに直結していた。

「…………」

振り向き、目に停めてからその奇妙さに気がついたので二の句が告げられない。
しかし直前に自分が呟いていた言葉を思い出す。
目の前のそれからは敵意を感じない。だからきっと警告してるのだと思った。

「御忠告承りましたわ、無機物殿」

片方の手を腹にそしてもう片方の手でスカートの裾を軽く持ち上げて、片足を引き踵を上げてお辞儀をする。
仰々しく西洋のお辞儀の一種であるカーテシー等をしてみせるが、叶来はこれを作法として学んだわけではない。
ただ創作物の何処かで見たのを真似して見ただけだ。
不自然な状況の中では寧ろこの方が自然に思えた、ただそれだけだった。

//返信遅れてしまって申し訳ありません
357 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/16(土) 22:58:43.39 ID:otKPyyCi0
>>355

「記憶をか・・・」

任務のためなら大体のことはする絶矢も少し戸惑ってしまう。それもそうであろう。
記憶とは自分が経験してきたものを全てである。普通は見れないそれを知らない、まして弄れる奴に戸惑わずに見せろというのが無茶である。
だが絶矢にとっては任務の方が大切である。

「わかった。それで情報が手に入るなら安いものだ」

そう言い近づく。そしてダーティのコードが銃を狙い動き出した、刹那

「てめぇは俺を舐め過ぎだ」

ダーティのコードは浮いていた盾に付いていた刃に切断され、発砲音と共にダーティの足に向かい凄まじい速度で銃弾が飛んでいく。
358 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/16(土) 23:18:28.86 ID:MVjh2VES0
>>356
「……根っからの戦闘狂なら止めはしないさぁ」
「君はどこか飢えている、そう見えるからねぇ」
「本当の自分を知るには良い状況かもしれないかもぉ」

彼女が振り向いてガラクタの姿を見た反応。
それはガラクタにとっては少しばかり嫌な反応だった。
仕方ないのだが、嫌なことは嫌なのだ。

「無機物とは事実だけども失礼なぁ!」
「僕はガラクタぁ!無機物っていわないでねぇ?」
「無機物なのか人間なのかすら分かんないんだからさぁ!」

だだをこねる子供のように地面を踏みつける。
しかし地面から返ってくる音は奇妙な加工がされたような金属音。
どう考えても無機物であり機械なのは事実である。

「まぁそれはいいとしてさぁ……」
「君の台詞を聴く限り、どうやら自分の中にもやもやを抱えてるねぇ?」

彼女がとった行動を理解するのに時間がかかった。
どうやら挨拶のようだ。ガラクタに挨拶をする習性はない。
とりあえず同じように動いて真似てみる。挨拶のつもりで。

「ところで君はその刀で人を斬ったことがあるのぉ?」
「血が噴き出て内蔵が落っこちて生命が終わる瞬間…」
「あいての歴史を全て切り捨てたことってあるのぉ?」

純粋な疑問だった。
本当に彼女は街で人切りをする気なのだろうか?
彼女はあの刀で何をしたいのだろうか?
ただそれだけだった。
359 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/16(土) 23:31:59.65 ID:MVjh2VES0
>>357
バレないと思っていた演技は即見抜かれた。
しかしダーティの表情は変わらない。
放たれた弾丸を見つめもしなかった。

「そうかな?案外用心して近づいたんだけど…」
「ま、結局こうなるのは君も僕も予想済みだったでしょ?」

先ほどまでの丁寧な口調はどこへやら。
ふざけているような口調へと変っているが、これがダーティの素である。
常にへらへらして余裕があるような、そんな態度と口調。

「悪いけど、その危なっかしいチャカは効かないよ?」
「だってその程度の速度、僕にだって見切れるもんね」
「それに君が何処を狙うかじっくり見れたから十分僕にでも避けれるんだ」

予め行動を見ておけば弾道予測など容易い。
そもそもダーティは銃や爆弾といった兵器の類をよく知っている。
扱い方を知っていれば自ずと相手がどう使うかも予想ができるものだ。
それを示すかのようにダーティは回避行動に移る。
右手から新たなコードを出して右手側の壁に差し込む、そして一気に縮む事で高速移動。

「僕のコードを千切っていい気になったらダメよ?」
「引込めればすぐ直るし、あと3本も残ってるんだからねぇ」

コードをひっこめつつ裁塔の動きをじっと観察する。
例え銃でダーティを撃ってもまず当らないだろう。
仮に移動先を予想していても飛び出るコードが弾丸を切り裂く。
今はただじっと耐える。相手の動きを観察する。
じわじわとゆっくり、確実に仕留められるようにしてからが本番。
今はただ、裁塔の行動を見ることしかしないだろう。
360 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/16(土) 23:57:56.03 ID:otKPyyCi0
>>359

「当たり前だ」
「用心だと?それくらいの演技なんて5歳児でもできるわ」

足を狙った弾丸は予想通り避けられた。だがそれでいい。
本来なら相手に勘付かせずに打つのは容易いが確実によけさせ余裕を与える。余裕が出来れば隙ができる。戦闘とはそういう物だ。
そう考えながら適当に狙いを付けて2,3発撃ち込む。それと同時に盾も一つ突っ込ませる。
大体の場合、焦った方が負ける。それは自分自身が体感したことだ。
今はただ相手の行動を待つのみ。
拳銃を持つ手を左手にし、右手で剣を抜く。さらに新たに二つの盾を作り出した。

「悪いがピョンピョン跳ねられると面倒なのでな」

その二つの盾をダーティの上で静止させる。そしてさらに回避されるであろう銃弾を撃ちだす。
361 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/17(日) 00:12:23.48 ID:5xY30hSho
>>358
本当の自分を知るには良い状況かもしれない
これはそうだと思った。自分の立ち位置を決めかねている。
決めかねていると言うよりは、不明瞭だと思っていた。
それはそれを判断するだけの材料がないからだ、と――。

相手の反応を見て、少しまずかったかもと思った。
やはり次の言葉で抗議される。

「失礼したわ、ガラクタさん。もう二度とあなたを無機物呼ばわりすることはないでしょう」

と訂正するが、寧ろこの方が失礼な気がしたがこれでいいのだろうと思った。
そして目の前の存在も自分を掴みかねているのだとも思った。

もやもやを抱えている
そう、だから今まで通りの生活をしていたのでは感じ取れないものを感じ取るためにこの街に来たのだ。
ただ住む場所を変えただけではない、帯刀しているというのはその象徴みたいなものであった。

見た目こそかけ離れているが、挨拶するその動作何処までも人間らしかった。

「ないわ。これを扱う技術だけはあるのにその核心であるはずの刀からずっと距離を取って生きてきたの」

それは心象的な話だった。
物心ついた頃から一日とて刀を握らなかった日はなかったが、本来の用途では使用したこと無く
常に近くにある、それ故に距離を感じていた。

「ただ、切っ掛けさえあれば簡単に鯉口を切ってしまうのかもしれない……」

その言葉は自分で発してさえ、何処まで本気なのか何処までも不明瞭だった。
362 :モニカ・アレンジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 00:33:44.47 ID:KmYYlwoS0
>>352
春風通る素朴な公園にて、少女ことモニカは大切そうに本を抱えながら溜息を吐いていた。
今日もまた本を読むだけで一日の大半を過ごしてしまった。その気分転換に、と訪れた公園もまた素朴。
これではただ本を読む場所を変えただけではないかと、一人寂しくツッコミを入れながらそっとベンチに腰掛ける。
途端、モニカの茶髪を激しく揺らす風。今日はこんなに風が強い日だったかと疑問を思いふと上へ視線を移して。

「わ、わ……な、なに…っ?」

モニカの視界に映ったのは空中に横たわりふわふわと浮く怪獣――の、着ぐるみ。
只でさえ浮いているだけでも異質なのにその格好と言ったらもう、絶句する他ない。
風に負けそうな程に小さな声量で驚きを露にするモニカ。下を向けばジッと其方を凝視する少女が眼に映るだろう。
363 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 00:54:09.20 ID:eixravTw0
>>362
「むむっ、そんなにジッと見て……なんだおまえはっ」

姿勢を変えてくるりと下を見てみると、こっちを驚いた様子でジーッと見る少女の姿が。
風車を握りしめたレックスは身の風を解いていき、緩やかに少女の横、ベンチに降り立つ。
怪獣の口から覗く幼い顔はムッとした表情をして、真っ直ぐ少女を見つめた。

「私の快適なきゅーじつライフを邪魔するのはゆるさないぞっ!責任とれ!このやろー!」

威嚇するように角に風をギュルギュル回し、視線のせいで楽しい休日を邪魔された、といつも通りに自分勝手な言動を何もしていない少女に言い放った。
364 :モニカ・アレンジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 01:02:15.37 ID:KmYYlwoS0
>>363
ふわふわと優雅にベンチの横に降り立つ怪獣の姿は、この場に審査員が居れば間違いなく10点満点を授けるだろう。
しかしこの場に居るのは困惑する少女ただ一人。一瞬目を奪われたものの、ムッとした顔を見て再び暗い表情へ。
ギュルギュルと角部分を回る風と共に放たれる至極横暴な言葉に、少女は視線を俯かせた。

「え、えぇぇ……そんな、事…言われても……」

ボソボソとやはり小さな声で紡がれる声量は拙く、一応年上なのに怪獣よりも幼く見えてしまう光景。
そしてどうも打開策が見つからないのか、遂には無駄な抵抗と知りながらも分厚い本で顔を隠してしまった。
365 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/17(日) 01:06:22.46 ID:sdHQT7Mqo
「はぁ…やっと買えた〜…」

街頭が辺りを照らしている公園のベンチに座り、疲れと安堵の混じった溜息を漏らす少女。
その右手にはとても高級そうなソフトクリームが大切に握られていて、少女はそれを恨めしそうな、それでいて嬉しそうな眼差しで見詰めている。

実はこのソフトクリーム
今愛食家達の中でブームになっている洋菓子店の看板商品で、気が遠くなる程の大行列に並ばなければ手に入らない程のものなのである。
もしこの情報を知ってる者が少女を見れば、普段は明るい少女が疲れている理由が容易に想像できることだろう。

「すっごい並ぶって聞いたけどまさかお昼から夜までずっと並ぶなんて…」
「これで美味しくなかったらメリー泣くよ…?」

少女はべっ、と舌を出し、ソフトクリームをおそるおそる口元へ近づけていく。
充分近づいたところで舌が動き、ソフトクリームを一舐めすると気だるげに開いていた瞼がカッと開き

「っ!美味しい!!」

どうやらソフトクリームはその評判に恥じず、少女の心を掴めたようだ。

「美味しいけどすぐ無くなっちゃうからゆっくり食べよっと!」

すっかりいつもの調子を取り戻した少女はその宣言通り、貴重なソフトクリームを一舐め一舐めゆっくり丁寧に舐め取っていくのだった。
366 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 01:19:16.01 ID:eixravTw0
>>364
「んん?なんて言ったか聞こえないぞっ!もっとおっきな声でしゃべれ!私みたいに!!!」

今にも消え入りそうな声で返事をされ、レックスは首を傾けてそんな返事に文句たれる。
少女の顔を隠す分厚い本を小さな手でグググ…と無理やり下げ、もう一度少女の顔を覗き込んで見つめる。

「私なんか怪獣だから超大きい声出るぞっ!…ぎゃおー!!!」

本から手を離し、今度は両腕を大きく上げて少女を脅かすように唐突に至近距離で大怪獣の咆哮を響かせた。
367 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/17(日) 01:29:36.94 ID:iF6Iwgqt0
とあるスラム街
ボロ布をその身に纏い地に伏す1人の初老の男を足蹴にする影が1つ
男は時折咳き込みながら謝罪の言葉を述べて自らが信仰する神の名を叫ぶが、そんな彼の腹を踏みつけている影の足が止まる事は無く余計に激しいモノへと変わっていく

「あのさぁ、さっきから神よ神よーって煩いよ?」
「これっぽっちの端ないお布施で神様が助けてくれると思っちゃったのかな?ねぇ、どうなの?ほら早く答えろよノロマ」

信仰する者と信仰された者の会話は一切進行せず、更なる苛立ちを覚えたのか口調が徐々に荒々しく変化しているのが大いに理解出来る。
顰めた表情に更に皺が寄ると、静かに口が開かれて

「はぁぁ…もういいや。次のお布施には天界一同期待しております。よろしくお願いしますね、お爺様?」

大きく欠伸をすると、同じ悲鳴しか上げない男を痛みつけるのに飽きたのか初老から足を退けると、そのまま踵を返して背中に生えた大きく綺麗な純白の翼で天高く舞い上がる。



自分は天使
人間の完全上位種であり、天に立つ存在
すべての人間は自分に平伏し、崇め、自身の盲目さに気付かないまま老い朽ちていくんだ。

その姿がお似合いなんだよ。劣等種の方々には


閑散とした空を泳ぐ白く穢れの一つも知らない雲に身を溶かしながら、膝を抱え込む哀れな種族を眺めて今日もまた優越感に浸る。
行く当て等わからないまま、今しか味わえない快楽に口元を綻ばせ…自分の身体を運ぶ風に似た運命という名の濁流に身を委ねるのであった。


368 :モニカ・アレンジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 01:35:52.91 ID:KmYYlwoS0
>>366
「や、…あ…あっ、あっ……」

分厚い本を力尽くで下げられそうになり必死に抵抗するも及ばず、結局その本は盾としての役割を終えてしまった。
仕方なく此方を覗き込む幼い顔と視線を合わせるものの、それも怪獣の咆哮によってすぐに俯いてしまう。
公園に響く大音量の咆哮は耳を劈く……といかずとも、少女に耳を塞がせるには十分だったようだ。

「うぅぅ……五月蝿い、です……」

先程よりも僅かに大きな声量を溢しちらりと、怪獣の口の中にある幼い顔へ向けて瞳を向ける少女。
五月蝿い、随分とはっきりした物言いで告げられる真実を怪獣はどう思うか。
369 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 01:55:41.81 ID:eixravTw0
>>368
「ふふふ、そうだろうそうだろうっ。もっと本気出せばおまえの鼓膜をビリビリにすることだってできるぞ!怪獣だからね!」

耳をふさぐ少女から伝えられた真実に怪獣は腰に手を当てて、ふんすふんすと鼻を鳴らし満足そうに胸を張る。
少しでも苦しませたという事実は怪獣、及び悪役を目指す彼女にとっては嬉しいこと、のようだ。

「ふふん、ちょっと良い気分になった!
……そういえば、おまえのそのむつかしそうな本は何なんだっ?」

何だか満足したようで、ムッとした表情は消え、ちょっとした笑顔を見せる怪獣。
少女の隣にドシャッと座り、少女の手にある分厚い本を指した。本がレックスの年相応の好奇心をくすぐったようだ。
370 :モニカ・アレンジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 02:05:59.09 ID:KmYYlwoS0
>>369
「あ……これ、ですか…?」

一人満足したような笑顔を浮かべ勢いよく自身の隣に座る怪獣。その様子に少しだけ安堵したように息を吐いた。
そしてむつかしそうな本というのが自分が大切に抱えているものだと気付けば、表紙を怪獣へ見せるように動かして。

「これは……魔導書、です。
 えっと…これを読めば、魔法とか…撃てます……」

モジモジと落ち着かない様子でありながらも曖昧に説明しては、ペラっと緩く最初の1ページを捲った。
その内容は何かの辞典なのではないかと思うほどの文字、文字、文字……。
普通の少女は勿論、並みの大人でも理解したがい内容のものがドーンッと目に飛び込んでくるだろう。
371 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage saga]:2016/04/17(日) 02:16:51.10 ID:jkWs0i/po
街の一角、放棄された立体駐車場を占拠し拠点として、ありとあらゆる犯罪行為と汚い金に手を染めた、所謂アウトロー達の溜まり場
何時もは酒と薬と女に飢えた男達で賑わい、唸るV8エンジンサウンドや喧騒に埋め尽くされていた場所だ。しかし今夜は不気味な程に静かであり、フロアは一面血に塗れていた

「呆気無い 煮ても喰えずな 雑魚ばかり」

しんと静まり返った立体駐車場の屋上、ボイスチェンジャーによってまるで脅迫電話のように変換された低音の声が、不釣り合いな五七五調で詠う
斃れ伏す無数の亡骸に囲まれた二人の人物。一人は金髪で、赤いアロハシャツの男。尻餅をつき恐怖に慄いていた
そしてもう一人こそ先程の俳句の主、全身をサイバネアーマーで覆い、血に塗れた深緑のボロクズを纏う一風変わった出で立ちの人物
行く先々でトラブルを巻き起こし、どの街からも疎まれ遠ざけられ、追い出されて世界を彷徨い続けている。そして今宵流れ着いた場所こそ、この能力者で溢れかえる街だ
未だ血が滴る右手に握る一振りのドスを軽く振るって血払い。アロハシャツの男に一歩、二歩と詰め寄った

『ま、待て…金なら幾らでも払う!だから待ってくれ…!』

男は自らとの距離を詰める"ナニカ"に対し、後退りしながら両手を翳す
金はやる、目的は何だ?薬か?極めてありふれた、月並みな台詞を吐きながら。この男は目の前の忍者、ニヒラブラが何故自分を殺しに来たのかを全く分かっていない

遡れば数時間前の事だ。この男はアイスクリームを手に駆けていた少女とぶつかり、シャツを汚された腹いせに数人がかりで異能を用いて少女を痛めつけ、公衆の前で慰み者にし、無残に殺して街中に晒した
それだけコトをおおっぴらにしていれば、自然とこの忍者の眼にも止まる筈だ。その光景を見た時に、忍者が何をすべきか、その答えは既に決まっていた――

「畜生に 情けなど無い  朽ちて去ね」
「あの幼子に 彼岸で詫びろ」

『待……――』

二度目の俳句を詠み終えると共に、男の首が宙に舞った――――

…ニヒラブラがそれをふと思い出したのは、不意に視界の端に入った公園の中で幸せそうにソフトクリームを食む少女を見かけたからだ
丁度あの位の、否、あの子はもっと小さかった。そんな事を思い浮かべてはもう過ぎたことだと首を振り、少女に向けていた視線を逸らして通り過ぎる
過去に囚われていては前に進めないことなど、自分が一番解っている筈だ。不揃いな4本指の左手を見つめ、そして軽く握った

「……リベルタス 我挑戦を 求めたり…」

月明かりに照らされたランドマークタワーを見上げ、黄昏れるようにして一人漏らす
強者を求めて世界を旅して来た。死の間際まで追い詰められることもあったが、その中で一度も達成感という感情をニヒラブラは感じた事はない
どのような敵と相対しても待っているのは僅かな高揚感と、敵を屠ったのちにはただ胸を締め付けるような痛み。そして虚無感だけが残るのだ
この街であれば自分を満足させられる存在が居る筈だと。必ずや自分の人生の中で数少ない意義ある時間になる筈だと。
ボロクズを翻しニヒラブラは闇夜に溶けて消えた。この世界に挑戦状を叩きつけながら。

"あの夜"を境に雪は溶け始め、濁流となって山を下った
太陽は何度も沈み、その度にまた蘇り、又、死んだ
やって来るのは地獄の使者か、神の遣いか?
今日で八日目。闇の中の虚無の影ニヒラブラ。流離のNINJAが今、この地へとやって来ている――
372 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 02:21:02.42 ID:eixravTw0
>>370
「うぇ!?魔法撃てるの!?見して見して!!
…………ぐぅぅ……はうぅぅん……」

モジモジしながら分厚い本について曖昧に説明を述べる少女。そのとても曖昧な説明が逆にレックスにも直感的に分かり、食いついた。
めくられる1ページ。ワクワクしているレックスの目に飛び込むのは、凄まじい、そして恐ろしい数の文字。
理解しようと努力する間もなく、怪獣の目はクルクル回った。

「うううぅ……な、なんか一個テキトーに撃ってみてよ…」

強い閃光でも食らった後のようにレックスは頭を振って気を取り戻す。
とんでもないものを見せられたと思ったが好奇心は失わず、少女に一つ注文をした。
373 :モニカ・アレンジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 02:36:34.86 ID:KmYYlwoS0
>>372
「え、えぇ!?…でも、危ない…ですしぃ……」

好奇心満々といった様子で少女に魔法の注文を持ちかける怪獣。
当然ながらこんな公共の場で魔法を撃てる訳もなく、拒否権を発動しようとするも期待に満ち溢れた瞳がそれを許さない。
う”、とよろしくない声を上げては観念したように魔導書を開き、小さく詠唱を繰り出した。

『天に瞬く光よ、汝ら我の手に集いて爆ぜろ――』

先程までの緩やかな口調とは反し、凄まじい速度で淀みなく紡がれる魔法の詠唱。
魔導書を通じての光は彼女の腕を覆い、突如音もなく弾けた。

『――シャイン』

開かれた魔道書から繰り出される灼熱の閃光は一筋の軌道を描き、対面する木の一部を焼く。
詠唱時間が短い為か焼け焦げたのはほんの少しだが、その力が紛れもなく魔法のものだという事が理解できるだろう。

374 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 02:52:58.68 ID:eixravTw0
>>373
「………は、はぁぁぁ………すごい…」

詠唱から発動までの一連の流れを見ていた怪獣は目を丸くし口をヌワーッと大きく開けて唖然。詠唱の時点でもうそんな表情になっていたが。
少し焦げた木と少女を交互に見て、少ないボキャブラリーから賞賛の言葉を静かに呟く。

「………しゃ、シャイン!!………無理か……
おまえ意外とすごいやつだったんだなー…魔法使いだ…」

少しの間をおいてレックスは手をバッと前に突き出し、真似ごとをし始める。が特に何も起きず、少しがっかりなレックス。
横を向いて少女を見つめる。最初とは見る目が変わったと言わんばかりにキラキラした羨望の眼差しを向ける。
375 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 03:05:40.32 ID:KmYYlwoS0
>>374
「……あぁぁ…やっちゃったぁぁ……」

怪獣の賞賛の言葉も耳に入らないほどに、焼け焦げた木を見つめてはあわあわと頭を抱えてしまう少女。
褒められて悪い気はしないが如何せん場所が場所、公共の場で魔法を使用してしまったという罪悪感は大きいようで。
さっきの自分の真似事をしだす怪獣をどこか上の空で見つめては、ティンと閃いたような表情を浮かべた。

「…わ、わたしが…魔法の、撃ち方……教えます……」

どうやら思いついた内容は怪獣に一度だけ魔法を撃たせて、この木を焦がした犯人を怪獣に仕立てようという魂胆。
内気で弱々しい性格と反してかなりあくどい考えだが、怪獣にとってはこの上ない提案だろう。
白色の魔導書をそっと怪獣に手渡すように差し出せば、ぎこちない半端な作り笑いを浮かべた。
376 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 03:18:39.11 ID:eixravTw0
>>375
「ほんとに!?わーい!やたー!!」

少女の提案に両手を上げて大喜び。その提案の裏には怪獣には想像もつかない悪どい魂胆があることなど微塵も思わない。
魔導書を受け取り、少女の作り笑いに目もくれず魔導書に釘付け。

「……むむむむ………………さっきの長いのを言って……シャイン!って言えばいい……のかな…
なにかコツとかあるのっ?」

かなり長い時間、魔導書とにらめっこ。
真似ごとではできないのはさっきので分かる。やるからにはしっかりやりたいようで、勉強熱心にコツなんて聞いてみる。
377 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 03:23:03.69 ID:BSrKj4Apo
ふと、足音が裏路地に響く
黒いスーツを身にまとった男が無表情で歩いていく
返り血だろうか、異能をまた1人殺した男はただ歩く。

378 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 03:26:53.36 ID:KmYYlwoS0
>>376
微塵も疑う様子もなく素直に喜びを露にする怪獣に、ホッと安堵のため息を吐く。
どうやら魔導書に悪戦苦闘する様子を冷や汗を垂らしながら見つめては、ゆっくりと怪獣が持つ魔導書に手を添えた。

「そう、です…さっきのは、詠唱といって……ですね…。
 あ、コツ……とかは特に…”でろ〜!”っていう感じで、やれば……はい」

魔法という未知に対し熱心に尋ねる怪獣の様子に悪びれる様子もなくそんな風に告げては、こくりと肯く。
そして耳打ちするように先ほどの呪文の詠唱の内容をゆっくりと、口の中で反芻するように伝えて、
あとは実践するだけです、と震えた声で怪獣へどこか暗い顔で耳打ちするだろう。
379 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 03:49:25.45 ID:eixravTw0
>>378
「よーし!やったるぞー!」

少女が耳打ちする声は震えていて、顔もどこかどんよりした風だが、怪獣はただただ魔法を撃つことが楽しみで仕方ないようで特に気にしていない。
怪獣は魔導書を持ったままベンチから立ち上がり、大きく息を吐いて、息継ぎするように思い切り吸う。そして教えてもらったばかりの詠唱を始める。

「てっ、天にまたたく光よ!なんじら我の手に……つどいてはぜろー!……」

少女とは逆に、今までのハキハキした口調ではなく、緊張したようにぎこちなく詠唱。
そんな詠唱でも魔導書は反応し、少女と同じように怪獣の腕を光が覆う。

「…あっ……シャイン!!」

一瞬忘れていた最後の言葉を慌て気味に叫ぶ。
そして魔導書から放たれる小さな一閃の光が少女が先程焦がした木と同じ場所へ着弾。

「………わー!できたー!わー!すげー!見てた見てた!?」

魔法を成功させ、シュバッと少女へ振り返る怪獣の表情は純粋に喜ぶ幼い笑顔だった。この喜びを伝えるべく今までで一番高く飛んで身体全体で表している。
380 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 04:01:47.03 ID:KmYYlwoS0
>>379
「わ、わー…すごいですねー…!ちゃんと見てましたよー……」

迸る閃光、同時に再び被害に遭い焼け焦げ煙を上げる憐れな一本の木。
緊張からかぎこちなく拙い詠唱であったが無事成功した事に、少女は酷く棒読みな台詞で賞賛を送る。
振り返った純真無垢な笑顔に僅かに申し訳なさを感じながら、暗い顔は治す事も出来ずに。

「えと……確認、ですけど…あれをやったのは、あなたですよね……?」

おずおずといった様子で怪獣の幼い顔と二重に焼け焦げた木を交互に見つめ、確認と称す言葉を投げる少女。
言うまでもなくこの少女の魂胆は怪獣への責任転嫁――事情を知る者ならば、罵ってもおかしくはない。
しかし生憎人との関わりが少ない少女は罪悪感などは抱かない。
煙を噴き上げる木を指差したまま、またもやぎこちなく笑った。
381 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 04:17:46.98 ID:eixravTw0
>>380
「うんっ!私が魔法で焦がしてやったのだ!ふふんっ」

少女の確認に大きく頷き、自慢げに自分を指差し堂々とやった事を言い放つ。
当然ながらこの確認によって責任が転嫁されることなど知る由もない怪獣。

「魔法使い、おまえいいヤツだなー!魔法教えてくれたから感謝してやるぞ!ありがとうな!」

少女の肩をポンポン叩きながら魔導書を返し、珍しく感謝の言葉を口にする。
怪獣からすれば自らの武器である魔法の一つを教えてくれる少女は聖人並みの優しさを持っている、くらいに思っているのだ。
382 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/17(日) 04:27:40.17 ID:KmYYlwoS0
「…う”…!…い、いえ……大した事じゃありません……」

ありがとう――凡そ怪獣と関わった者の殆どが耳にしたことがないであろう感謝の言葉。
それを聞いて良心の呵責が今頃訪れたように、一瞬顔を歪ませるもすぐにまた眉尻を下げた表情に変える。
やがて魔導書が手渡されれば再びむぎゅりと大切そうに抱え込み、ふるふると首を振り出して。

「じゃ、じゃあわたしはこれで……失礼しますー…!」

一刻も早くこの場から逃げ出したいのか、だだだだと走り去ってしまう少女。
怪獣曰く聖人並みの優しさを持った少女は何かから逃げるように、砂煙を残して公園から消失した。
その後、この公園の木に異常を察した地元の人々が軽く騒ぎ立てたのは言うまでもない。

//深夜のロールありがとうございました…!レックスさんに癒されました!!
383 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/17(日) 04:35:39.00 ID:eixravTw0
>>382
「うんっ、ばいばい!」

そそくさと帰っていく少女に手を振り、見送る。
思わぬ出会いに怪獣のきゅーじつライフは充実したもので終わる。
モチベーションマックスなレックス。明日からの怪獣活動はやる気満々で行われるだろう。

/こちらこそありがとうございましたぁ!モニカちゃん可愛かったですっ
384 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/17(日) 06:09:11.06 ID:zZxUEgYb0
>>360
「あらあら痛いこと言ってくれるねぇ…」
「結構騙せてたし自信あったんだけどなぁ」

悲しそうな声で呟いたが銃声で書き消されてしまうだろうか。
蜘蛛のようにコードを使ってひゅるひゅると弾丸を避けていく。
やがて予想通り盾も突っ込んできた。
一つは自分に、二つは自分の上で静止していた。

「確かにこんなに動かれたら厄介だよねぇ」
「僕もそう思うよ、だって僕もそうだもん」

今度は避けない。迫りくる弾丸を見てもなお。
余裕綽綽、そんな様子だ。

まず残りの2本のコードを上空の盾に突き刺す。
すると刺さった瞬間に盾は水になってしまった。
形どころ宙にとどまる事も出来なくなったそれは地面へと落下していく。

飛んできた盾はコードによる移動で回避。
弾丸はダーティに当る直前、コードによって弾かれてしまう。
ニヤニヤと笑ったままのダーティ。まだ余裕があるらしい。

「君がどんな攻撃を仕掛けてくれるのか本当に楽しみだよ」
「やはりデータも新鮮な方がいい、その方が良いものを作れる…」
「ふふふ、今度作る子のイメージが少しだけ纏まってきたよ、ありがとうね?」

避け続けているダーティだが、本当は徐々に裁塔に近づいてきている。
といっても先ほどまでと比べて大体1〜2m程度なのだが。
まだ何か余裕があるのか、秘策があるのか。
焦っている様子はまだ見られない。
385 : [sage]:2016/04/17(日) 06:21:37.11 ID:zZxUEgYb0
>>361
「よかったぁ、なら僕はもう怒らないでいいんだねぇ」
「宜しくねぇ、えぇと、何て呼べばいいのかぁ…」

良く考えてみればまだ彼女の名前を聞いていなかった。
どう呼べばいいのか分からず、少し困った顔のガラクタ。
それは目の色が淀んだ緑色に変わっている程分かりやすい変化だった。

「ふぅん、まだ分からないんだぁ…」
「そうだねぇ、じゃあちょっと手荒だけども…」

左手の銃を即座に取出し彼女に向けて放つ。
反動が大きいらしく少しばかり体が後方へ飛ぶ。
その弾丸は彼女に向いているが、決してあたることは無い。
ガラクタは弾道予測が完璧に出来る。理由は不明。
その弾道は彼女より数cmほど右側にズラされていた。

「模擬戦、なんてどうかなぁ?」
「いきなり実践だと君が死んじゃうかもしれないしぃ…」
「それに僕は全然戦闘できる人間?機械?じゃないから安心さぁ」

「君は人斬りを出来るかどうかぁ…」
「まずは調べてからでも遅くはないさぁ…」
「調べないで不明瞭なままだとぉ…」
「僕みたいになっちゃうよぉ?」

笑顔で銃弾を放っているものの、目が悲しげな青になっていた。
彼女に警告をした動機は単純、最後の台詞のとおりだ。
はたして彼女は自分の中に潜む獣をどう制御するのだろうか?
ガラクタはただ、彼女をじっと見つめた。
386 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/17(日) 07:34:03.16 ID:5xY30hSho
>>385
「私の名は叶来――藍堂叶来よ。宜しくね」

そう困り顔のガラクタへと答えた。
変わる眼の色を見て、自分達とは違った意味で表情豊かだと思った。
それを口には出さなかったが。

「ええ――

答えている最中だった。
自分の頬数p横を弾丸が貫いて行く。
警戒していなかったこと、唐突だったことも相まって全く反応することが出来なかった。

その後の言葉は朧げにしか聞こえてこなかった。
それなのに、そのくせやたら意味だけはひどく鮮明に理解できた。

「ありがとう……そうね、刀を人に向かって振り回したいなんて、普通じゃないもの……」

人でなければいいのか、しかしもう引き返すことは出来ない。
そんな心中から出た、自分への意趣返しの言葉だった。

僕みたいに≠ニいうのは意図的に他を傷つけるような選択をしているということだろうか?
と、聞きたかったがその言葉を飲み込んだ。
今はただ自分を見つめるその瞳に吸い込まれるように間合いを詰めていく。
斬撃の有効圏内まで距離を持って行くと、相手に向け胴を横薙ぎに裂く居合斬りを放った。
387 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/17(日) 08:22:12.55 ID:zZxUEgYb0
>>386
「叶来、トラちゃんねぇ、よろしくぅ!」
「それじゃあ互いに頑張ろうかぁ!」

即座に間合いを詰める藍堂。
刀の軌道は読めた。あとはそれから外れるだけでいい。
体に刃が触れる直前、体を後方へと倒していく。
ブリッジのように体をくねらせているが、刃との距離はほんの数mm。
完璧な読みだ。読まれる以上通常の斬撃はほぼ避けられるだろう。

「普通じゃない?おかしなことを言うねぇ…」
「ここじゃ殺人・強盗・決闘なんて当たり前さぁ!」
「頭抉られようが内蔵が飛び出ていようが全部一緒さぁ!」

言っている事はかなりイカれているが事実だ。
ここでは戦闘が日常。全員が獣みたいな場所だ。
その中で迷いを持つモノはただの獲物に過ぎない。

「さぁ君はどうするぅ?」
「獣になるか、ただの獲物になるのかぁ…」
「僕に見せてみてよッ!君の本性をッ!」

珍しく語尾を伸ばさずに強調したガラクタ。
ガラクタは[迷い]が嫌いだ。必ずどちらかではっきりとあってほしい。
それ故藍堂の迷いがどちらに傾くのか見てみたいのだ。

ブリッジの体勢のまま藍堂に銃弾を放つ。
ズドンという鈍い音どおりの反動でガラクタは地面に体を叩きつけた。
今度は藍堂の右腕を狙っている。致命傷には至らない位置ではあるが。
下手に動けば神経を貫く事にもなるかもしれないのだがガラクタは気にしない。

そして次の斬撃を受ける訳にはいかないので、ガラクタの秘密兵器を取り出す。
左手からとりだしたフックショット、それを壁に撃ち付けて即座に離脱。
連射は出来ないのか銃口を藍堂に向けたままだ。まだ放たない。
目に徐々に赤色が混じりだした。ガラクタもそこそこ本気を出すようだ。
388 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/17(日) 10:07:55.82 ID:NW90GZun0
>>384

「なに?作るとはどういうことだ!」

盾が水になったのは予想外だったが予想通り回避したダーティにそう叫び、弾幕を浴びせるが全て回避されたり避けられる。
徐々に互いの距離は縮まってきており、今は5mと言った所だろうか。そろそろ良いだろう。そう考えながらまた二つ盾を作り出す。
だがダーティは喋る素振りを見せない。

「なら嫌でもしゃべらせてやる!」
「こいつを避けきれるかな」

そして銃弾を壁や地面に向けて撃ち跳弾させる。そして普通に二つの盾と銃弾を撃つ。
二つの盾と銃弾は予測するのが難しい軌道を描きダーティへと飛んでいく。この距離ならば全て避け切るのはおそらく不可能であろう。
389 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/17(日) 10:32:04.38 ID:zZxUEgYb0
>>388
「作るも何もそのまんまだけど?」
「思い通りに動いて自分好みの見た目と性格…」
「そして数多の戦闘経験をしている強者…」
「それを作ってるのさ、ただそれだけだよ」
「あ、ロボットじゃなくて生物ね、ほぼ人間の生物ね」

さらりと内容を漏らしてしまうダーティ。
聞く限りえげつないこともやっていそうだが。

「避け切る?確かに無理だねぇ…」
「だったら避けなければいい話じゃないか」

頭に自分のコードを刺して、ケタケタと笑う。
流れる血液と表情のアンバランスさが不気味さを醸し出す。
別に本人にそんな気があるわけではないのだが。

コードを抜くと一気に裁塔の近くにコードを射出、そして一気に至近距離へと移動。
跳弾する弾が正面から飛んでくることはまずないだろう。故に正面。
飛んでくる盾も残りのコードを突き刺してまた水に変えてしまう。

だが途中で迫りくる銃弾を躱すのは不可能、ただし軽減する程度なら可能。
余ったコードで銃弾をある程度逸らすが、ダーティの体に一つの銃弾がめり込む。
だが痛みを感じるような素振りは一切見せない。

「昔だったらしなかったんだけどさ、経験を積むと人格は変わるみたいでさ」
「案外痛みも悩みも無くなるものでさ、吃驚だよねぇ」
「さて、最後のコードで僕はどう動くのが最適解なのかなぁ?」

4本目のコードはうねうねと自分を包み込むように伸び始めた。
そのコードはバリバリと音をたてて熱を持ち始めた。触れば火傷は免れない。
先ほど地面に刺したコードは裁塔の右手を狙って射出。
盾を処理していた2本のコードのうち一つは左手の銃を狙った。
もう一つは裁塔の足元に差し込まれていた。つまり足元が水たまりに変わるまでわずかだ。

コードの伸縮スピードは時速100km程度。
一本や二本なら見切れるかもしれないが、狙っているのは三本。
本体を狙うにしても熱を持ったコードが邪魔をしている。
他ではまねできない速度と手数の両立、それがダーティの特徴だ。
390 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/17(日) 10:42:57.12 ID:5xY30hSho
>>387
互いを鼓舞する声が彼我の僅かな差の中で響く。

「――ッ!!」

初太刀を、それも間の測りにくい居合を躱された。
いやそれ自体は大した問題ではない。
真っ直ぐ突っ込んでいって放ったのだ。
そんな判り易く予備動作の大きい斬撃を躱すくらいの者は、この街には当たり前の様にいるのだろう。
問題は躱された等というレベルではなく完全に見切られているということだ。
真剣ではないといえ模擬試合は数え切れないほどこなしてきた。
初太刀にて太刀筋を見切られたのはもう記憶にもないほど過去にあったかどうかと思うくらいである。
この精神的動揺は時間にしてみればコンマ数秒のことでしかなかったが、実戦に置いてはそのまま死に直結する隙であった。

それを相手の声でより現実へと引き戻される。

「そう、なのね
 確かに、今この瞬間だけはそれが全てだわ」

隙を作ったという事実が返って戦闘へと没入させていった。

「愉しませてあげる」

僅かにそう呟いて、口端を釣り上げた。

銃口が自分から逸れていると思うくらいに外される。
それでも尚自分を狙っているのだとするならば、狙いは居合を放った後の伸ばされた右腕。
そう即座に判断し、腕を動かし弾道から外れようとする。
的が小さく動かしやすい箇所ということもあって、避けるのに比較的容易な部分であるとはいえ、弾が掠り血が滲む。

しかしそれを気にも止めず返す刃で再び斬撃を放とうとするが、相手が何かに引っ張られるように視界の端へと消えていく。
視界を追うとフックに拠る移動で場を離れていた。銃口はこちらにピタリと合わされたままだ。
それでも構わずに鞘をバンドから抜きつつ突っ込んでいく。

相手の死角に近い位置を取ったのだ、撃つのであれば紛れもなくチャンスだったはずだ。
なのに撃たなかったことを考えると、連射が効かないという推測に至らせた。
勿論そこに確証などはなにもないが、確信を待って行動できることなど実戦には存在しないのだと、短い経験の中で悟り始めていた。

そしてもう一つ初太刀を見切った動き、精密射撃するには向いていない体勢と状態の中で確実に狙いを定める正確さ
精密な動作という点で達人と呼ばれる者の中でも、滅多に至ることの出来ない境地にいると思った。
それだけ正確であれば却って対処できる可能性があるかもしれないという思いが銃口
引いてはその向こうの相手へと間を詰めていくことを躊躇わせなかった。
391 :裁塔 絶矢>>28【パラディン】 [sage]:2016/04/17(日) 11:16:51.55 ID:NW90GZun0
>>389

「何!」

ダーティが自分の頭にコード刺す。傍から見たら気が狂ったように見える行動したダーティは、そのまま突っ込んできた。
銃弾がめり込むが、痛みを感じている素振りはなく、コードを体に巻きそのまま突っ込んでくる。
熱を帯びているようで触れたら火傷は免れないだろう。さらにコードが三本突っ込んでくる。
おそらくダーティは勝利を確信していたであろう。だがその瞬間こそ絶矢が狙っていた時だった。
絶矢は不敵に笑った。

「この勝負、俺の勝ちだ」

瞬間、跳躍し足場に盾を使い浮き、三本コードを盾を使い受け止める。
だが突進を止める盾の数はなくなっていた。これが全力だったならば。
突っ込んでくるダーティの目の前に、盾を五つ作り出した。だが所詮は盾、ダーティの動きを一瞬しか止めれなかった。
だがその一瞬が命運を分けた。
ダーティの後ろから三発の銃弾がガスボンベの真ん中と固定してた鎖を打ち抜いた。
絶矢は盾を十個作り出せる。避けられた一つを使い三つの銃弾をさらに跳弾させたのだ
支えを失ったガスボンベは、ガスを噴き出しながらダーティの目の前に倒れ。

「死に晒せ、くそ野郎」

引火して大爆発を起こした。
392 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/17(日) 11:18:16.13 ID:zZxUEgYb0
>>390
「ふふふ、機械に感情なんて本来存在しないかもしれないけどぉ…」
「僕もそれに応えて愉しませなきゃねぇ!」

どうやら彼女の中の獣が眠りから覚めたようだ。
ここからはガラクタも手加減している余裕はない。
身体能力は藍堂に決して敵わない。
近距離戦は危険だ、ならば遠距離から攻撃するしかない。

「……トラちゃんの中の獣はぁ」
「君の頭を冴えわたらせて、少しずつ君を飲み込んでいくぅ…」
「その笑顔の意味が色褪せないようにしないと、大変なことになるねぇ…」

静かに彼女を分析するガラクタ。
確かに連射が効かないのは事実だ。
しかしそれを知っても突っ込む勇気があるかは別だ。
故に突っ込んでくる藍堂に驚いていた。

「僕の中には獣がいるのかなぁ?いないのかなぁ?」
「この感情は全てデータなのかなぁ?プログラムなのかなぁ?」
「……そんな迷いがあるとこの銃はいう事を聞かないんだぁ」
「でも目の前に敵がいて、戦いが始まっているのならぁ……」
「それと戦う、それ以外のことは考えないよねぇ!」

手首のスナップを効かせて壁に銃弾を放つ。
その反動を利用して壁に刺さったフックを引き抜く。
そしてフックを藍堂の方に向けてぎりぎりまで引きつける。
太刀筋を見切り、隙にフックを叩きこむつもりだ。


ガラクタが先ほど放った弾丸は到底藍堂に当てる気が無い様に思える。
しかし撃ちこんだ場所と撃ちこんだ角度、それから藍堂の速度。
それらは全てガラクタの計算によって制御されていた。

壁に当たった銃弾、それは見事に跳ね返る。
そして向かう先は藍堂が通る場所、そして藍堂の脚の神経が通る場所。
完璧に計算されつくした銃弾は藍堂を抉らんとばかりに勢いを増した。
もしフックに気を取られれば銃弾に、銃弾に気を取られればフックに。
藍堂の中の獣はどう避けるのだろうか?ガラクタは楽しそうに彼女を見つめた。
393 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/17(日) 11:33:05.67 ID:zZxUEgYb0
>>391
「なるほど、ガスボンベねぇ…」
「全く残念、残念だよねぇ…」

まるで裁塔を憐れむかのような声。
しかし表情は自信に満ち溢れていた。

「僕はねぇ、既に一度爆発に巻き込まれてるんだ」
「だからもう対策の仕方は知ってるのさ」

コードは裁塔には届かない。どころか逆に動きを止められたようにも見えた。
しかし盾が作られた時点でダーティは察していた。
この男、何か仕掛けてくると。

空間ごと吹き飛ばすかのような轟音。
あたりは熱に包まれ、残ったのは裁塔だけのように見えた。
だがダーティは生きていた。よりによって爆発の影響を受けずに。

「【この勝負、俺の勝ちだ】だってぇ?」
「クスクス、何が勝ちなんだい?僕は爆発に巻き込まれちゃいないさ」

爆発で歪んだ街灯の上で不敵に笑っている男、ダーティ。
勝利を確信したかのような彼を見下して嗤っていた。

「君が銃弾を放った瞬間に気がついたのさ、爆発させるってね」
「だから僕は全てのコードを地面にぶつけ、一気に伸ばしたのさ」
「一本でも体を引っ張れるコードが四本同時に地面にぶつかってさ」
「電車と同レベルで一気に真っ直ぐ伸びたらどうなると思う?」
「簡単だよね、上空に吹っ飛ばされて即範囲外さ」

街灯の上から一方的に放たれた三本のコード。
もしコードがさされば盾は水になり無力化、銃弾で本体を狙うには距離がある。
飛んでくる前に残りのコードで弾かれて終わりだ。

しかも弾丸を見切る余裕があるダーティはコードの動作に専念できる。
刺すのはほんの一瞬、そして一瞬のうちに無力化して次へ向かう。
どれだけ盾を作り出しても無力化されるだろう。
もし銃や剣で狙われればコードは即座に短くなる。
どこまで裁塔は耐えられるだろうか?ダーティは見つめ続ける。
394 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/17(日) 12:23:48.20 ID:NW90GZun0
>>393
逃げられた。そう思い顔をしかめた。爆発する直前回避されたのが見えたがまさか無傷とは。死なないようにしたのが間違いだったか。
どうやって倒す、思考を巡らせて自問自答を繰り返す。どうやって生かしたまま捕らえられるか。

「めんどくせぇ」

たった一言そう言った後、人とは思えない速度でダーティの目の前に行き、殴り飛ばした。
395 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/17(日) 12:36:02.44 ID:zZxUEgYb0
>>394
体重が軽いのかふらりと殴り飛ばされていく。
途中でコードを地面に着き刺し、ガリガリという音をたてながら勢いを[ピーーー]。

「全く酷い人だねぇ…」
「まぁそれでいいのかもしれないけどね」

ニヤついた面は未だ健在。ムカつく奴だ。
仕方ない、根っこからこういう性格なのだ。

「さてと、じゃあ僕はもう要件は済んだから帰るねぇ」
「君のデータ、中々美味しかったよぉ?」

殴られた瞬間に少しだけコードを刺したようで記憶を読み取っていたようだ。
最後までバカにしたような面構えのまま。


「これから先も君はずっとこのままなのかな?」
「少しだけ気になるけど、もう十分なんでね」
「これから新しい子を作らないといけないのさ」

逃げるのではない、始めから戦う気などない。
データを得る、それだけがダーティの目的なのだから。

要が済んだので放置していたノートPCをコードに包んで回収した。
コードを射出してどんどん距離を取っていく。
その動きは蜘蛛のようにも見える不思議な動きだった。
396 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/17(日) 18:42:54.30 ID:NW90GZun0
>>395

「くそ!」

そう怒鳴りながら壁を殴りつける。馬鹿にしたような態度、記憶をまんまと見られたこと、そしてまんまと逃げられてしまった不甲斐なさ。
それらを思い出し殴る力は強くなる。殴りまくった後報告するのを思い出す。

「ダーティ、次は[ピーーー]」

そう呟いた後、足を部屋へと向けた。残ったのは木っ端微塵になった壁だった。
397 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/17(日) 19:23:58.45 ID:iF6Iwgqt0
「ったく…こんな少ないお布施じゃあなぁ…チッ」

舌打ちを混ぜながらボソボソと愚痴を呟いて、指先で銀貨を弾きながら人通りの多い路地を歩く
背中に大きな翼を持つエヴァの姿は辺りの人間から一斉の注目を浴びていて……自己顕示欲の塊でもある自分にとって、その視線はとても心地良い物であった。

が…同時に一つ違和感を感じる
此方に視線を向け続ける愚民共の瞳を覗くと、其処には聖なる存在を見た時の感動なんてモノが無いのだ

(おいおいおいおい。お前らの目の前にいるのは天使だよ?ふつー、もっと目ん玉輝かせるでしょ)

(………何なの…その怯えた目は…?)


この世界に来てからほんの少しの時間しか過ごしていない天使は世界を理解しきれていない
自身と同じ様な普通では無い存在が蔓延り、奪い、命を殺めている

そんな惨い現実を知る由はないのだ。




398 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/17(日) 20:34:43.67 ID:sdHQT7Mqo
>>397
「ーーーっふぐぅっ!?」

15段というとてつもない大きさのタワーアイスを両手で持ち、崩さないように、また溶けないように慎重に路地を急いでいた少女は前を歩く大きな白い壁に気づかずぶつかってしまう。
白い壁、もとい白い大きな翼を持つ者へ恐怖の眼差しを向けていた人々がその光景を見て次第にざわめき始める。

「わ……ふわっとして痛くなかった……」

ただ、ざわめきの原因となる少女は暢気に自分がぶつかった物の感触に驚いているようだが。

「あ、ぶつかっちゃってごめ……」
「あ………うわぁあああっ!!」

自分からぶつかってしまったのだから謝罪しようと顔を上げ、自分の手の中にあったはずの15段アイスが目の前の翼にべったりと付着しているのに気づき、なんというか絶望の叫びを上げる少女。

「ちょっと!!それメリーのアイスなんだけど!?」

続いて少女の口から飛び出したのは理不尽な文句。
それを聞いた路地の面々は文句を言う少女へ諦めと同情の眼差しを向ける。
その場にいる誰もが思ったことだろう(あのアホ終わったな)、と
399 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/17(日) 20:50:19.89 ID:8MIytjMxo
>>392
「そうよ!今この場では戦うことだけが全てッ
 獣の境地が此処にあるわ!
 あなたの中に何がいようとそれ事切り裂いてあげるッ」

切り裂くという言葉を使ったのは斬撃を意識させるためだった。
口上による盤外戦術、これも叶来にとっては初めての経験だった。

そして今の会話の中で一つ得られた情報があった。
迷いがあるとこの銃はいう事を聞かない
勿論口上戦をこちらだけが仕掛けているなんてことはなく、ブラフの可能性も大いにあるが
それでもやりように拠っては銃を無効化出来るかもしれないと思った。

「――シッ!」

距離は既に斬撃の届く至近距離、しかしこちらだけが一方的に攻撃できるわけではない。
戻る力で遠心力の効いたフックがこちらへと迫っている、これを向かい撃つつもりだ。
手を使う攻撃で手と胴体その両方の支柱になっているのは肩だ。
負荷が掛かっている故にそれ以上の負荷が掛けづらく、故に動かしづらい。
その肩に向かって下から縦に切り飛ばす斬撃を放った。
支柱がなくなれば遠心力の付いたフックはあらぬ方向へ飛んで行くだろう。

そしてその斬撃が決まろうが決まらまいが鞘による二段攻撃を放つ準備ができていた。
確認してから放ったのでは遅い、今この瞬間は戦いの流れにおいて最も推している瞬間だと感じた。
刀と銃ではどうしても銃のほうが速い、銃で牽制されつつ距離を取られたら追いつける筈もなく
攻撃とその対処の疲弊度は明らかにこちらの方が高い。
運良く何発か対処できたとしても、すぐにこちらが根負けすることは目に見えている。
それを壁に向かって放つというワンクッションを入れる行為――つまりは速度の利を放棄するという行為は、自分の行動に拠って得られた結果だ。
銃口に敢えて向かっていくという行為が今この瞬間だけは刀と銃の速度を同等にしたのだ

「――ツゥッ」

銃弾が脚を貫く、機動力が著しく奪われた瞬間。
痛みで意識が飛び、衝撃で体勢が崩れそうになるがなんとか堪える。
直接狙われてさえ腕などならともかく、胴体など狙われたら対処できるかも怪しい
それを壁に拠る角度を付けられたらもう予測するのは不可能だ。
だから初めから喰らう覚悟で踏み込んでいた、故に意識を繋ぐことが出来た。
体勢を崩さなかったのは鍛え抜かれた体幹に拠る賜物だった。

最も推している瞬間でもあり、そして相手を攻撃圏内に入れられる最後の瞬間、最後の一打。
逆手で持っていた鞘を順手に持ち替えての、頭部に目掛け力の限り振り抜く最後の一撃は
心情的にはもう既に放たれていた。
400 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/17(日) 20:55:08.65 ID:ASkcBskIO
街を照らすネオンライトから隔離された路地裏の暗峠
影が形を成し、白紙を墨汁が犯す様にして顕現
三日月に歪む口元、薄らと細められた狂気の瞳
大鎌を凶悪に携えゆっくりと歩き始めた
その獰猛な殺戮性を身に纏いながら

【それは、闇を従者に現れる】
401 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 21:12:53.75 ID:BSrKj4Apo
>>400
コツコツと足音が響く裏路地に黒いスーツの男が独り歩く
三日月に口を歪めた少女を目に止め、手にした武具を見つめる
「・・・鎌、か」
少女から放たれる尋常ではない殺気のせいか
男は目が釘付けになった。
濁った目は、少女を見据える
402 :【死神】制服姿の女生徒 [sage saga]:2016/04/17(日) 21:19:07.33 ID:ASkcBskIO
>>401
「……ぁぁぁはぁぁぁ……」

悪辣そのものを宿す暗い瞳を声に向け、鋭利な歯を剥き出しに息を吐いた
それは白く煙り流れ宵闇に溶ける

「……あっ……ハハハハっ!!」

歓喜の嬌声、何を持ってそれを発したかは不明
だが現実として鎌を携えた少女は腰溜めに構え、距離の離れた相手に向けて虚空を薙いだ
空間が、空気が歪み飛翔するは斬撃の波動!
403 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/17(日) 21:21:46.83 ID:zZxUEgYb0
>>399
「……もはや言葉もいらないねぇ」
「その方が良いのかもしれない、言葉だけじゃ伝わらないこともあるしぃ・・・」
「まぁ、君に伝えることはもうないかもしれないけどねぇ!」

藍堂はガラクタの肩を切り裂いた。
血液は吹き出ないが、体を構築していたブロックがバラバラと落ちていく。
神経と思わしき場所が紅く光り、ダメージを負った事を思わせる。
フックショットは藍堂の読み通りあさっての方向へと飛んで行った。
ガラクタ自身も痛みに顔を歪ませていた。

しかしガラクタが放った跳弾は確かに藍堂の脚を貫いた。
だが体勢を崩さずに藍堂はこちらに突っ込んできた。
これがガラクタにとっては大きな衝撃だった。

ガラクタは自分自身の計算能力に絶対的な自信を持っている。
跳弾を狙った場所に放つこと、そこで丁度藍堂に直撃したこと。
ここで計算上だと藍堂はよろめいていたはずだったのだ。

しかしよろめかない。現実が計算から外れた。
もうガラクタの頭はパニックのようで全身が紅く発光していた。
考える事しか出来ないガラクタに藍堂の一撃を避けることなど出来なかった。

「うわああああああぁぁぁ……!」

子供が恐怖を感じた時に出るような情けない声。
それを上げると同時に藍堂の一撃がガラクタにはいった。
頭を構築していたブロックは派手に吹き飛び、中身が見えてしまっていた。
といっても紅い光に包まれたブロックが中に入っているだけだが。
そしてガラクタはそのままパタリと倒れこんでしまった。

機械なので脈も呼吸もない。全身の発光も無くなっていた。
動く様子は一切ない。完璧に気絶してしまったようだ。
だが気絶しているわりには満足げな表情である。
藍堂の獣を見て安心したのか、それともパニックが治まったからなのか。
名前通りガラクタになったガラクタはただ眠り続けている。
404 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 21:25:59.85 ID:BSrKj4Apo
>>402
「近距離格闘系異能じゃない・・・ッ!」
不意打ちと油断、回避を試みるも、頬に一つの傷を作る。
流血が地面に滴るが早いか、一瞬で精製したナイフの一本を、圧倒的な加速度で放つ。
その斬撃が飛んできた方向へ。
405 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/17(日) 21:32:00.81 ID:ASkcBskIO
>>404
「あっハはははっ!!」

真紅の喉を開き壊れた様に嗤う嗤う嗤う
しかしその理性の欠片をも感じさせぬ所作と、だが体運びは全く乖離したものだ
極めて迅速に脅威に対応すべく稼働した四肢は、鎌の石突で容易にナイフを弾き落として見せる
そのまま姿が消える、否薄闇に消えたとまごうばかりの速度でスーツの男性へ向けて加速
貪婪なドス黒い輝きを孕むその大鎌の刃で、一閃に刻まんと振るう!
406 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/17(日) 21:32:35.23 ID:iF6Iwgqt0
>>398
「…ぉあ!?」

突如、翼を襲った何者かからの衝突に素っ頓狂な声を上げた自分とは反対に、大きな絶叫を上げる女の声に眉間に皺を寄せながら後ろを振り向く
その表情は明らか苛立ちを覚えている様で

「…は?何なの君…奇襲かけてきた癖に大声出すとか馬鹿なの?」
「大体そっちからぶつかって来てその言い草は無いと思うんだけど?」

女の方を向くと、自身の憤りをアピールする様に指の骨を鳴らして首を横に傾げる
性悪天使にしては珍しい正論を言い放ち
威嚇のつもりだろうか、衆人の注目するど真ん中で冷んやりとしたアイスに塗れた翼を大きく開かせた

「優しい天使サマは今なら謝罪の言葉を聴いてあげる」
「自慢じゃ無いけど沸点は低い方だよ…!」

いつもなら有無を言わさず大暴れをする所だけど…
丁度いい。この女に謝罪の意が無いというなら
ここらで自分の力を愚民共に証明してやる
(そして強制的に信仰させる…!)

翼を持つエヴァを恐れ戦く周りの愚民とは明らか違い、いかにも強気な瞳をした少女に忠告を入れながらゆっくりと近付く



407 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 21:39:17.69 ID:BSrKj4Apo
>>405
「悪いけど、ナイフは一つじゃないのさ」
培われた経験か、はたまた悪運か、
鎌を2本のナイフでいなすことを試みると同時に、
弾き飛ばされたはずのもう1本のナイフが少女めがけて飛翔する
408 :【死神】制服姿の女生徒 [sage saga]:2016/04/17(日) 21:45:03.46 ID:ASkcBskIO
>>407
「アッはは、ハハはぁっ!!」

死の風を纏いし横薙ぎは寸でで制止を受け、少女は後ろに体勢を崩した
飛来するナイフ、躱す手立てはない、万事休す
否、断じて否
少女はそのまま転じ更なる一撃を見舞わんと稼働しているのである、そこには元より回避の行動は視野にない
鈍音、ナイフが低い姿勢に構えた左肩に刺さる
だがそれだけで彼女は止まらない、彼女の振るう大鎌の薙ぎもまた然り
先端が真空にブれ、飛翔斬撃をも重ねた一閃となるであろう
つまりは二重、先の凌がれたものも含めれば三重斬!
極めて高度な身体能力の成せる、正に殺す為だけの業!
409 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 21:51:16.04 ID:BSrKj4Apo
>>408
「痛覚が無いのか・・・!?」
左肩に刺さったナイフを見、なおも自分を殺さんと
動く少女に、不気味さを覚え、恐怖する。
「ならもう容赦はしない」
体を引き下げると共に、ナイフで飛翔斬撃を撃ち落とさんと、縦の高速回転を加えたナイフを飛ばす
今、男の手にあるのはただの1本のナイフのみである・・・
410 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/17(日) 21:57:03.30 ID:ASkcBskIO
>>409
「くっ……ひぃヒヒ……アハは、あはははっ!!」

少女の行動、それは追従、ただ只管に追従!
元来知り得ぬ事ではあるが、彼我の身体能力には決定的な差が存在している!
飛翔斬撃はナイフと打ち合い消沈、しかし狂気の笑みからは未だ離れる事が出来ない!
斜めに構える八相の構えからの鋭い踏み込み、石突での一打!
そして続く血に渇いた刃の振り下ろし一閃!
411 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 22:02:48.93 ID:BSrKj4Apo
「言ったはずだよ、容赦しないって」
石突をナイフでいなすも、ナイフが弾き飛ばされる。
男は丸腰だ。振り下ろしを避けるが早いか、
男の片目が紅く光る。
左肩に刺さったナイフは、心臓を求め、深く突き刺さらんと蠢くだろう。
それを強靭な精神で耐えるか、はたまた狂気で動き続けるか
そのどちらを選択しても男は今度こそ事切れるだろう
412 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/17(日) 22:12:32.71 ID:ASkcBskIO
>>411
「……っ!!!」

まさに目の前の存在を両断せんと、死の暴風が無慈悲に蹂躙せんとした矢先、刹那!
少女の稼働に今初めて揺らぎが生じる、斬線に必殺の軌道からの微かなズレだ!
それはもしやしたら男の、生への活路の産声となるかも知れない!
だがそんな事はどうでもよかった、少女はただ後方に跳んだ、飛んだ

「くぅッ……ヒひぃ、ひひひ……」

脂汗を滲ませる表、たった2足で下がったその距離は数mはあろう
凡そ悪運のみである、この場合少女を救ったその現象は
そうとは識らずに彼我の距離を空けた、開けられたのだから
そのまま踵を返して夜に紛れ、溶けるようにして消えて行く
彼女の行く先は闇だ、まるで従者が献身的に出迎えるが如くその影を包み込む

//ありがとうございました、お疲れ様でした
413 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/17(日) 22:18:16.90 ID:sdHQT7Mqo
>>406
「だって!あれ高くて!メリーすごい楽しみに!」

こちらを振り返り、とても一般的な正論を述べる天使を前に、尚も騒ぎ立てる少女。
少女自身、自分が悪いということは判っているのだがそのアイスへの想いからかイマイチ素直に受け入れられない様子。

だが、天使がアイスに塗れた翼を広げ、少女に謝罪するよう告げるとその目に好奇心の光が混ざり始める。

「えっ!?天使ってあの、白い羽根の生えた奴だよね…」
「そういえばこの人天使っぽい羽根生えてる…本物だ!!」

先程とは一転、アイスへの執着を捨てて新たな「興味があるもの」を見つけた喜びからぴょんぴょん飛び跳ねる少女。非常に現金である。
返答次第では少女をぶちのめすつもりの天使へこちらからも近づいていく少女。

「ねぇねぇ〜?アイスのこともぶつかったことも謝るからさぁ〜?」
「ちょお〜っとだけ、その羽根触らせてくれないかなぁ〜?ね、ね、いいでしょ天使!」

謝罪する気にはなったようだが代わりに、と天使に要求するのはこれまた無礼なもの。
路地の人々もこりゃ駄目だと顔を手で覆い、少女を見る目も哀れな物を見るものになっていた。
414 :フェア>>5【killer knife】 [saga]:2016/04/17(日) 22:18:32.79 ID:BSrKj4Apo
>>412
「・・・はぁぁ」
地面に転がった二本のナイフと、脂汗をにじませる男。
済んでのところでかわしたらしい。
「・・・死ぬところだった、というのはこういう事言うんだね」
すぐに、とは行かないようだが
徐々に冷静さを取り戻す男。
大きなため息を一つ付き、二本のナイフをしまう。
またゆっくりと、歩き始めたのだった
///お疲れ様でした、ありがとうございました
415 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/17(日) 22:45:48.84 ID:iF6Iwgqt0
>>413
「はっ、はぁ!?ふざけてるの!?」

大きく広がる翼を見た途端、完全にヤる気になった此方を一蹴するかの様に目の色が変わって飛び跳ねながら近づいてくる少女
予想されていなかった展開にペースを持って行かれる

「くっ…こんなアホな人間初めてだ…。愚民のその更に下の種族だとでも…?」

口惜しくもこの瞬間に周りで様子を見ている一般人らと心情が共鳴し合ってしまう
それ程にまで目の前の少女が与える印象は強力な物で…

「さ、触るな!天使の象徴であるこの翼に君みたいな人間の手垢が付いて堪るもんか!」
「意外とデリケートなんだから…ええい!近付くな!」

少女が近づいてくると、小さく悲鳴を上げて後退りをしながら
彼女の顔面向かって、翼に付けられた溶け始めているアイスを放り投げる
エヴァにとって、どんなに筋骨隆々で巨躯な男よりも目の前にいる様な思考回路の見えない幼い子供が何よりも驚異なのだ。
416 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/17(日) 22:47:24.58 ID:8MIytjMxo
>>403
そう、言葉を超えた何かが此処にはあると、叶来は切っ先を見つめながら思った。

刀身、そして柄を通して手に伝わる物体を切り裂く感触。
無機物であれば今まで幾万と切ってきたけれど、この感触はそのどれにも属さないものだと思った。
この感触を一生忘れることはないだろうと、そう思った。

跳弾が脚を貫き、片足の自由が効かなくなる。
最後に放った一撃は撃った後のことすら考えず、全身のバネを使い全体重を載せた一撃だった。
筋力を否定することから始まり、自重を利用することを旨とした古武術において正にこの一撃は対極にあるものだと感じた。

当たる刹那ガラクタの声が聴こえた。それはおよそ子供の声らしく、そしてその通りなのだろうと思った。
対等に戦えたのは二つの要因があった。
一つは相手が多分生まれてまだ間もなく、経験をあまり積んでいなかったこと。
一つはそもそも初めから同じ土俵に立っていなかったことだ。
相手が本気で殺す気で来ていたのならそもそも勝負にすらなっていなかっただろう。
次にもし同じような条件下で戦ったとしても勝てる気はしなかった。

「らあああああああああああッッッ」

目の前にブロックが弾けるのが見えて、直ぐに地へと叩き付けられた。

「あぐうッ」

脚に開いた穴に衝撃が突き抜け思わず声が漏れる。
意識が徐々に薄れていくのを感じる。もう繋ぎ留めていられないだろう。
携帯を使いたかったがもう手すら動かない。
やばいなと思い、最後に自分が負かしてやった相手の顔を観てやろうと思い、渾身の力を使って顔を動かしたが
その眼に映ったのは満足気な表情だった。
なんだか結局負けた気になり、意識を投げ出そうとしたところ、遠くからサイレンの音が響いてくるのが聴こえた。
銃声が鳴り響き――使いものにならないという意味では二つのガラクタが転がっていれば、連絡する者がいても何ら不思議ではないだろうと
薄れ行く意識と共にそんな感情が徐々に意味のないものになっていった――。

//返すのが度々遅くなってしまって申し訳ありません。
//とても楽しかったです。ありがとうございました。
417 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/17(日) 22:56:39.59 ID:zZxUEgYb0
>>416
気がつくとそこは病院で、藍堂の姿は無かった。
ガラクタを治療することなど現代医療では到底できないだろう。
そもそも機械である以上、人間の常識は通用しない

「藍堂叶来、なんて恐ろしい獣なんだろうねぇ…」
「でも制御する術を彼女は知っているしぃ…」
「きっと大丈夫だろうなぁ…」

病室から見える空は今までに見た事も無いほど蒼い。
それはガラクタの中の疑念が消えたからだろうか。

欠けたはずの頭はいつの間にか元に戻っていた。
自然治癒能力がある機械は本当に機械なのだろうか?
そんな事を考えながらガラクタは窓から飛び出した。

また街のどこかをふらふらと彷徨い始めるガラクタ。
迷いを持った者を探して。
また藍堂のような獣を探して。

//長い間ありがとうございました
418 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage]:2016/04/17(日) 23:06:07.31 ID:jkWs0i/po
「夜更けて 未だ寝付けぬ その理由」
「我が胃袋が 飯を求むる」

――ニンジャは空腹であった

この街は闘争と死に満ち溢れてはいるが、命を通貨とし生業を営む者達が跋扈する程に殺伐としてはいなかった
命を消すことで、即ち[ピーーー]ことによって金を得る賞金制度。ニヒラブラはこれ以外に金を得る手段を知らない
この制度が採り入れられていないこの街に於いては、ニヒラブラは文無しに等しい
事実その所為で愛刀たるソニックカタナを失ってしまったのだ。尤もそれで得た金すら、今日に至るまでにすべて使い切ってしまったようだが

「腹減った その辺に何か 落ちてないか」
「………字余り」

あまりにも空腹な所為か集中力はほぼゼロ。自慢の俳句も空振りどころか字数も言葉選びも気にせぬ形振り構わない状態にある
夜の公演、暗がりの木に寄りかかりながらぼやく。青く発光する光学センサーだけが、影の中で妖しく燐光を放っていた。
419 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/17(日) 23:16:04.54 ID:wZrfEmA1O
>>415
「もうアイス付いちゃってるから手垢なんて関係ないと思うけどなぁ…」
「でも大丈夫!メリー優しくするから…ね?」

一体何をしでかすかわからないことを警戒し、大切な象徴である翼を触らせまいと後ずさる天使を前に、少女は玩具を目の前にした子供のようーーーというかそのまんまの笑みを浮かべ、両手をワキワキさせながらジリジリと距離を詰めていく。
彼女を追い払う為か、天使は自分の翼に付着するアイスを放り投げてきた。

「んっ!アイスっ!」

顔面に向かって飛んでくる溶けかけのそれを、少女はガバッと口を開けて器用にキャッチする。
なんと意地汚いことだろう。
少女は口の中のそれを堪能すると満足して落ち着いたのか、ワキワキしていた手を下ろして距離を詰めるのを止める。

「ん〜、そんなに嫌なら触らないけど…あぁ〜、でもなぁ〜…」
「…うん!今は触らない!」

今はね、と強調してごめんね、と手をひらひらと振る。
420 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/17(日) 23:16:41.49 ID:KmYYlwoS0
>>418
「むぐぐぐ……く、空腹でござるぅぅ……」

――ニンジャは空腹であった 。

暗闇に紛れてしまう程の黒装束に身を包むニンジャこと虎次郎は、一文無しというわけではない。
金自体は依頼人からたんまり貰っているしそうでなくとも普通にBAITO等による収入も得られている。
そんな彼が何故空腹なのかというと、愛猫のGOHANに金を掛け過ぎた挙句迷子になってしまったからだ。
遂に訪れたのがこのパッとしない公園であり、ぎゅるると腹の虫を鳴らしては暗がりの木を支えに身を委ねる。

「確か雑草には食せる物とそうでないものが……」

はっきりとしない視界の中、ふと目に入るのは遊具に添えるように生えた青緑色の雑草。
最早形振りは構っていられない。倒れこむように雑草の元へ近寄り、そのさなか――

「……む、おぬしは…?」

――二体のNINJAが邂逅を交わした。
421 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage saga]:2016/04/17(日) 23:35:05.39 ID:jkWs0i/po
>>420
「驚いた この辺境に 同業者」

視界に入ったNINJAを見て先ず漏らしたのは、少し驚いたような、感心したような声色の呟きだ
もしもそのマスクの下に生身の顔が在ったのならば、きっと目を丸く見開いて驚きの表情を浮かべていたのだろう
しかし表情が悟られないのはこの状況に於いては重畳だ。すぐに気を取り直して、同業者の男へと声を掛ける

「無様だな 草を食むなど 誇りはないのか」
「……字余り」

字余りで放たれた一句は、足元の草へと手を伸ばす忍者に向けて放たれたものだ
忍ぶものとして誇りを持っていれば、草や土やその他諸々の質の悪い食物など口に運ばぬべきである、と

「だがしかし それは俺のだ 諦めろ」
「喰うなどせぬが 一応拾う」

それでも雑草を譲りはしないのは、それが可食性のものであると知っているからであろう
表面上は食べないことにはなっているが、草を奪い取ればきっと誰の目にもつかぬ場所でそれを頬張るのだろう

「……退きな ここは俺の テリトリー」

二人の忍の間に、自ずと火花が散る
422 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/17(日) 23:47:10.52 ID:KmYYlwoS0
>>421
「御主……NINJAでござるかっ!!」

虎次郎もまた視界に入る相手を目にして洩らしたのは感嘆、そして喫驚。
自身とは違い格好でニンジャと判別出来るモノではなかったが、その足取りと纏う雰囲気からして同業者なのだと伺える。
本来ならばニンジャ同士の縄張り争いに発展しても可笑しくないが、如何せんこの状況だ。

「何を申す、この草は拙者が見つけたものでござろう。
 御主よりも早く、拙者が見つけたものでござる」

ニンジャのHAIKU混じりに吐かれた言葉に納得いかないとばかりに突っかかり、覗く双眸で睥睨を決める。
やはり虎次郎とてニンジャの端くれ。相手のニンジャを睨む瞳は鋭く並の人間ならば竦み上がるほど。
しかし信じられるだろうか、この二対のニンジャは一本の雑草を巡って火花を散らしているのだ。

「もしも御主が邪魔翌立てするならば……容赦はせんでござる」

迸る視線の衝突、溢れ出すニンジャ同士の威圧。
剣と呼ぶにも巨大すぎる鉄塊を背から振り抜き、その鋒を相手へと向けて。


「―――むぐっ……」


ぐぅぅ、と、間抜けな音が鳴りニンジャは崩れ落ちた。
423 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/17(日) 23:50:42.61 ID:iF6Iwgqt0
>>419
翼から放られたアイスは、色の着いた水滴を零しながらメリーと名乗る少女に向かって宙を泳いでいく
そして漸く彼女の顔面に届こうとしたその時、目を疑う様な速度でメリーの口が開いたかと思うと次の瞬間には宙からアイスが消え去っていた

「うわぁ……い、意地汚過ぎるよ…。どんだけ食べたかったのそれ…」

咀嚼しているかの様に和かに口を動かしている少女を見る限り、あのアイスクリームは口の中に封じ込められたのだろう
その意地の汚さと諦めの悪さには思わず表情を顰めさせてしまう
まぁ確かに天使の翼に着いたモノを食べたいという気持ちは千歩くらい譲ればギリギリ理解出来なくもないが……

「い、今は!?本当に諦め悪いな!」

「…ん…あ、そうだ。そんなに触りたいんだったらお布施持って来い。このエヴァ様を満足させる事が出来たら1タッチ位なら触らせてあげるよ」

ふと思いついたかの様にそう付け足す
自分の力を衆人に見せ付ける…なんてのは出来なかったけど、せめてもの売名活動としてメリーに言っている風に見せながらも態と大きな声で辺りの一般人にもアピールをしておく

意地の汚さではメリーにも中々負けないかもしれない
424 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage saga]:2016/04/18(月) 00:07:38.62 ID:zFTPVpaho
>>422
「抜いたのは そっちが先だ 恨むなよ」

虎次郎が背後から得物を抜いたと同時、ニヒラブラの纏っていた空気が変わる
先程までどこか甘さと、油断の在ったその雰囲気は既に欠片も残されてはおらず
ボロ布に隠されていたのだろうどこからか取り出したドスを抜き去ると同時、虎次郎へと踏み込んでその首を狩らんとドスを振り抜く――

「……はぁ?」

筈であったが、呆れたような声を上げてドスを納刀するニヒラブラ
得物を抜いた所までは良いとして、その後の虎次郎の所作はまるで戦闘のプロフェッショナルとは思えないものであった
ふらつきもたつき、ましてや敵を目の前にして崩れ落ちるなど、NINJAとしてやっていいような行動ではない
これでは勝負にならないと思案するニヒラブラ。

「シノビとは 卑怯千万 これ基本」

ところが空気の読めないこのニンジャ、虎次郎が腹を空かせてふらけると共に攻撃を躊躇するどころかより一層の攻勢に出たのだ
崩れ落ちた虎次郎の覆面をがしりと掴めば手前に引き寄せ、容赦なくその鼻っ柱にヒザを叩き込もうとする
NINJAとは時に道理から外れた汚い手段にも手を染めなければならないのだ!

「……そういえば 聞くの忘れた お前の名」

鼻に蹴りを叩き込んだ、もしくはそれを躱された後で拳闘の構えを取りながら虎次郎に名乗りを求めるニヒラブラ
死合の際には、挑む方が名乗りを上げるべきである。それがニヒラブラの、彼なりの考えであった。
彼の故郷に於いて挑まれる方は大方既に名が売れている者であり、挑む者の方こそ、それを斃し名を上げようとするものたちの集まりであるのだから。
425 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/04/18(月) 00:21:37.59 ID:pXTGjgkL0
>>424
「ごぶぅっ!?」

一切の躊躇も容赦もなく鼻柱に叩き込まれるヒザ。無論空腹により動くことなどままならず、モロに顔面に受ける事となる。
途端、ニンジャを襲う激痛。しかしそれにより靄がかっていた意識を取り戻せたのだから、結果的にはよし。
その代償として、ニンジャはたらりと鼻血を垂れ流す事となってしまうが。

「……せ、拙者の名は月影虎次郎…
 見ての通りのニンジャでござる……」

未だ痛む鼻頭を手で押さえつつも、己の礼儀に従い自身の名とNINJAである事を相手に伝える。
というか二人はお互いに一瞬で同業者だと感づいたのだから、NINJAである事は明かさなくともよいのだが。
どちらにせよ虎次郎の今の姿はシノビとは思えぬ程に隙だらけで、先程の戦意もあったものではないだろう。

「して……御主、武器を持たずして戦えるでござるか」

ニヒラブラが虎次郎の名を聞いた直後、何処か覚束無い足取りでありながらもニンジャの前に躍り出る虎次郎。
どう見ても相手の心配をしている暇などないのが現状だが、虎次郎の性格からくるものか。
先程抜いた大剣は地に刺さり杖のような役割を果たしていて、NINJAの体を懸命に支えていた。
426 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage saga]:2016/04/18(月) 00:43:50.33 ID:zFTPVpaho
>>425
「……虎次郎と 確かにしかと 聞き届けた」
「DOSU抜けば 決して逃がさぬ ニヒラブラ」

虎次郎の名乗りを聞き届ければうんうんと頷き、今度は自分が夜風にボロ布のマントを翻しながら、自信満々に名乗る
決闘の際の名乗りはそれほどまでに重要な儀式であり、互いの素性を知ってこそ、後腐れのない、気持ちの良い殺し合いが行えるのだ

「その得物 今の膂力(チカラ)じゃ 振るえまい」

冷徹なる五、七、五のリズムは途切れる事も無く、ぽんぽんと次から次へ浮かぶ言葉で紡がれる
粗削りで拙いが、しかしその厳かかつ軽快なテンポは、聞き入ってみればニヒラブラが好んでいる理由も理解できないではない
感受性の豊かな人物であれば少し聞きかじっただけでそれくらいの共感を感じられるだろう。俳諧の世界はそれ程までに造詣が深い

「――拳で下すも それまた一興」

七、七。
詠い、唱えながら。ニヒラブラは既に行動を開始していた
眼にも留まらぬ身のこなしで飛びかかり、固く固く握り込んだ右拳を虎次郎の鼻っ柱に再び叩き込むつもりである
互いに疲弊した状況である今、得物を持つという事はデッドウェイトを増やすということとイコールでもある
ニヒラブラがそうしたように、虎次郎の状態如何では、一旦剣を手放した方が有利なのかもしれない
427 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/18(月) 01:00:59.58 ID:pXTGjgkL0
>>424
「ふっ……確かに、この剣を今振るえば必ず隙が生じるでござるな」

小気味良い五、七、五で繰り出される言葉は確かに文として成立しており、虎次郎の顔には納得したような表情が。
HAIKUというものは手軽であると同時に人の心を惹きつける画期的な概念であり、文化でもある。
虎次郎もこんな状況でなければ嗜もうと想っているが、今の緊迫した状況からそれは差し引くしかない。

「…む…っ!」

同時に、風のような疾さを以て疾駆し拳を繰り出すニヒラブラ。
その拳は空腹で疲労しているにも関わらず疾く、常人ならば目で追うこともままならないものだ。
しかしニンジャは違う、如何に疲労困憊であろうともその拳の軌道を見切り、自身の腕を跳ね上げる要領で横へ弾いた。

「疾いでござるな…流石、ニンジャといったところでござるか」

今度は此方の番だと、そう言うかのようにニヒラブラの懐へ向けて足刀蹴りを放つ。
その鋭さたるや目にしただけでも、ニンジャが格闘技を日頃嗜んでいる事が目に見えて分かるだろう。
だがそれも能力の関係上不利な状況は逃れられない、その攻撃の成果がどうあれトトン、と後方に一度身を引くつもりだ。

428 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/18(月) 05:46:10.26 ID:yRvgAtoZo
>>423
/ごめんなさい!寝落ちしちゃいました…/
/返せるのは夜になってしまうんですが、良ければ続けさせてください!/
429 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/18(月) 06:38:59.15 ID:H6shUu4W0
>>428
/いえいえ!大丈夫ですよー/
/はいっ、此方こそお願いしたいです!/
430 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/18(月) 20:53:14.92 ID:yRvgAtoZo
>>423
「んん〜?オフセ?」

エヴァ、と名乗りメリーへ金品の類を要求する天使。
実はこのメリー、世界中を旅して色々な物を食べれるくらいには裕福な小金持ちで、エヴァが満足するくらいは出せる筈。

「エヴァ、お金があれば羽根触らせてくれるの?」
「んんん〜…これでいいかな?」

水色のブラウスのポケットを弄ってエヴァに近づき、手渡すのはダイアモンドの周りに金があしらわれた豪華な指輪。
そのいかにも高価そうな指輪に路地の面々は釘付けだ。

「これね〜、メリーを襲ってきた人と戦ってたらいつの間にか口に入ってたの!」

メリーの自慢の咬合力で持ち主の指を噛み千切った時、一緒に口の中に入ったのだろう。
そのリングの内側には血を拭った跡があるが、よく見なければ気づかないはずだ。

「へっへっへ…これなら満足でしょ!触らせてねっ!!」

約束が反故になることを恐れたのだろう。
エヴァの返答は聞かず後ろに回り込み、その自慢の翼に飛び掛かるメリー。
もし成功したのならばその柔らかな翼を撫で回し、モフモフするつもりだ。
ワンタッチで済ませるつもりなど微塵もなかった。
431 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage saga]:2016/04/18(月) 22:57:29.30 ID:zFTPVpaho
>>427
バランスを崩したニヒラブラの、胸元を狙って放たれた蹴り。しかしニヒラブラはすぐさま脇を締め左腕を畳み、それを右手で支えるようにし不完全ながら防御の姿勢を取る
直後ずばんと重い音を立ててそれを受け止めるニヒラブラ。その身体は僅かに揺れるだけであったが、ガードの手応えは並々ならぬものであった
びりびりと痺れる左腕をぶるんぶるんと大きく振るって血を通わせる。まるで鋼の棒で打たれたかのような衝撃と痛みに、短く溜息のような声を殺した唸りを漏らした

「成る程な 重い一撃 腕は立つ」
「俺の眼鏡に 叶う逸材」

唸りののち、賞賛。
賞賛ののちは反撃だ。すかさず虎次郎目掛けてお返しとばかりに足刀を唸らせる。馬力では劣るが、確実に急所を射抜く、肋骨と骨盤の隙間から内臓を破壊する蹴りである

しかしそれは虎次郎の胴を捉えることなくただ、ビュッッ!!と小気味良い風切り音を立てて空を切る
虎次郎のバックステップを予測できずに柄にもなく空振りを冒した理由は、やはり飢えから来る反応速度と判断力の鈍りからであろう
空振りした脚を戻すところでほんの僅かにバランスを崩し、リカバリに零コンマ以下の遅れが生じた。しかしたったそれだけの遅延であっても、死合に於いては勝敗を決するものなのだ
すっと腰を落とし、両腕を構えたままそこから動かない

「……腑甲斐ない 余り余裕は なさそうだ」
「お前も同じ それだけ僥倖」

舌打ちのようなノイズ混じりにぼやくニンジャ
しかし少しの間を置いて、それは相手も同じ事だと若干の安堵を含んだ声色で呟くのだった
432 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/18(月) 23:20:56.72 ID:H6shUu4W0
>>430
「そ、お布施。言っとくけど、さっき翼にぶつけられた泥団子みたいなモノじゃ満足しないから」
「時々いるんだよね、君と同じくらいの年齢のガキがさぁ…お布施とは名ばかりのゴミの塊を渡してきたりとかね」

「はぁ…全く、天使を何だと思ってるんだか…」

前の世界にいた時も子供との思い出には苦いものばかりだった
そんな昔の事を脳裏に反芻させながら苛立ちを抑えるかの様に唇を噛み締め
どうせメリーも大した物は出せないだろうと、その表情に落胆の色を見せる

「もっと、こうボクが求めてるのはさ、ガキ共のお遊戯に使うモノじゃなくて高位種族に似合う金銀財宝なんだよ」
「まぁ、そうだなぁ…ちょ、ちょっと欲張ってみたりなんかすると、この世界のトップに立った気でいる生意気な奴らが付けてる宝石で飾られた指輪…とか……」

自分の要求を無駄だとは理解しつつも饒舌にメリーに伝えながら瞳の奥を煌めかせる
ポケットを弄るメリーを横目に理想を抱きながら恍惚と幸福感に浸っていると、突然彼女の声に現実へと引き戻される

「…もー…何さ?折角、天使が夢見心地に浸ってたというのに……へぁっ!?」

むすっと頬を膨らませながらメリーの方を向くと……彼女の手の中には自分が求めていた装飾品が握られていたのだ
思わず情けない声を上げると、無理やり手渡された指輪とメリーの純粋無垢な表情を交互に眺める
メリーの口から時折聞こえてきた『襲ってきた』『戦った』という言葉に彼女が只者では無い事を察知すると、ソッと翼の先をメリーに向けた
それと同時に動揺を見せる心のその奥でニヤリと口角を上げる

こいつは使える…。

「え、えっと…うん。や、約束通り触らしてあげるよ」
「もっ…もう一度言うけど1タッチだからね?……っていないし!?」

彼女を利用の限りし尽くしてやろうと思っていた矢先に目の前にいた筈のメリーが消えてしまう。
こんな使える鴨を逃すのは惜しい…と血眼になって衆人と衆人の間に視線を送っていると…不意に背後から翼めがけてメリーが飛びかかってきて、そのまま前に倒れてしまう

「なぁ!?お、おまっ…!や、約束が違う!はっ、なせっつーの!」

言葉遣いを荒々しくさせながら倒れたまま、メリーがモフモフしている翼を暴れさせる
けど、そんな事を諸共しない彼女の執念は凄まじいモノで全く離れようとしない
エヴァもエヴァで怒号を浴びせながらもメリーから受け取った指輪は大切そうに両手の中に封じ込めていて
433 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/18(月) 23:34:46.72 ID:pXTGjgkL0
>>431
「互いに空腹でござるからな……全力は、尽くせぬでござる……」

空振りを起こすニヒラブラへ、ぎゅるるると腹の虫を鳴らしながらそう答えては零コンマ以下の隙に砂を握る虎次郎。
先程の隙ができた瞬間に攻め込んでも良かったのだが、相手は此方の蹴りを咄嗟に防御する程の実力を持った者だ。
空腹に囚われている今下手に攻めたら逆にコチラが殺られる恐れがある、故に行ったのは次の行動への布石。

「…時間は無限ではないでござる、一気に決めさせてもらおうっ!」

瞬間、虎次郎は身を屈めながらニヒラブラの元へと疾駆し肉薄せんと迫る。
ニヒラブラの能力越しのそれは恐らく決して速いものとは言えないだろうが、隙というものが見受けられない。
しかし慎重さを垣間見れないその様子は酷く愚直だ、そのまま何の捻りもない殴打をニヒラブラの顔面へと叩き込もうと腕を振るい、

「……例え汚い手を使ってでも、でござるっ!!」

否、それはダミー。
狙いは腕を振るうと同時にぶち撒ける砂により、一時的に視界を奪おうという魂胆。
ニヒラブラのマスクがそもそも砂程度で効くものなのか、そこまで考慮に入れられなかったのはやはり空腹の所為。
どちらにせよこのニンジャは意気揚々と目潰し行為を行い、互いに必殺の距離にまで持ち込むだろう。
434 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/18(月) 23:58:40.72 ID:hsqptyHc0
>>334
「淺墓。その一線とやらは誰が引くのです。目的からは目を背け。手段のみに目を凝らす。
その一線とは。自分にとって都合のいい世界を守る為のものではないのですか。
確かに私は目的の為の手段として殺人を否定しません。その部分だけを見れば私は貴公の言うように殺人者なのでしょう。
しかし本当にそうなのでしょうか。貴公らが逸らした目を向け全てを理解しようとした時。私は本当に殺人者なのでしょうか」

酸漿に迫る大きな手、しかしそれは彼女に届く事は無かった。少女が法王に牙を剥いたのだ。
ふわり。後方へと跳んだアルトリアはそのまま数メートル距離を開け着地。同時、ロングスカートの左太腿の辺りが裂け、覗いた白肌には赤い線が引かれていた。
油断をつく奇襲であったが、酸漿の一瞬の逡巡がアルトリアに反応の猶予を許した。しかしそれは少女にとって紛れも無い勇気の一手だ。
逆に法王にとってその行動は無謀。勇気でもなんでも無い、結果を顧みぬ愚かしい行為と判断された事だろう。

「不意。まさか異能者であったとは。しかしその力が貴公の判断力を曇らせる。
怖いのでしょう。自己とは違う他の持つ意思を認めることが。
恐ろしいのでしょう。それによって自分に都合の良い世界が崩れてしまう事が。
それが自己の可能性すら閉塞させ。壊死させてゆく選択だとしても。人は安寧に胡座をかくことを好むものですから。たとえ虚構にできたものでも。
だから人は一線を引くのです。理解出来ぬ他から自らを守る一線を。見たくないものは見ず。見たいもののみ見える都合の良い世界の為に」

アルトリアの腰にぶら下げられた逆十字架のレリーフ。それを手に取り逆さへ構えると自身の胸元へ。
丁度聖職者が十字架を胸に祈りを捧げる様にアルトリアは瞳を閉じ、信仰心を喰らう様に十字は刃を顕現させた。
光を呑み込む漆黒の刀身。とても聖職者に似つかわしくない禍々しい刃の向こう、アルトリアの銀眼は見開かれ酸漿を見据える。

「遺憾。剣を抜く事になろうとは。詮方無。力を持つ貴公に対するには私も力を振るうしかありません。
見たいもののみが正しいと信じ。見たくないものはわからぬと逃げ否定する。人間が正しくある為には。そのような穢れは不要です。
この統べるひとつの逆十字をもって。穢れた人間性を断ち切りましょう。貴公の為。ひいては全ての人類未来の為に」

言い終えると同時、先程開いた彼我の距離を一瞬で詰めるべく駆ける。静から動、その加速度に長たらしいローブは空を泳ぐ。
そして少女を剣の射程に捉えれば迷う事なくそれを振るうだろう。狙うはその両脚だ。
両断することはしない。ただ腱を断ち傷を与え、少女の歩を奪う為に。
435 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/18(月) 23:59:35.59 ID:hsqptyHc0
>>338
「アハ、アハハはははははッ!! カワイイな、暖カイ血が溢れてキテル!!
モット沢山頂戴ィ! アタシにカケルくらいに沢山噴き出しチャイなヨォォォ!?」

ニンジャの脇腹から溢れる鮮血を目の当たりにすれば、獣は更に狂った様に吼え、嬌声を上げる。
その人間性すら失う程に、彼女は正しく血に酔っていた。血に飢え、欲する余り彼女は人を辞め獣へと堕ちたのだ。
果てに待つものは虚無だというのに、獣の曇った瞳は未来などは映さず、故に一時の快楽のみを求め身を委ねる。
それでいいのだ。否、もうそれしかできないのだろう。彼女は道を戻るには進み過ぎた。彼女は既に数多の屍を足場としているのだから。

「ドシタのぉ? ジッと構えテタラ、ツマンネーだろォ!?
一緒にダンスでもシタイのカイ? ほォら! 踊レ踊レ踊レェェェ!!」

撃たれたことによる焦りの為か、それとも激痛の為か。ニンジャからの反撃は無い。
それを詰まらぬと、業を煮やした獣は再び銃を構え、二丁の両銃を乱射した。
狙いなどめちゃめちゃだ。ただ銃口をニンジャの足元へと向けて撃ちまくるだけ。最早捕らえた獲物を弄んでいるつもりなのだろう。
弾切れまで乱射すれば直様にリロードを試みる筈だ。その瞬間こそが紛れも無い隙となるだろう。
しかし獣は銃の扱いにおいては相当な手練れであろう。例え既に理性が惚けていようとも。
リロードに難のあるリボルバータイプといえど、たかが数秒あれば二丁共に終えてしまう筈だ。
436 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/19(火) 00:00:17.55 ID:WVTDTri10
//お二方、遅くなってしまい申し訳ないです
437 :ニヒラブラ>>26【シャープセンス】 [sage saga]:2016/04/19(火) 00:07:03.48 ID:UkxRtSiSo
「……砂…?」

投げつけられた砂は、まるで大粒の雨がトタンを打つ音めいてニヒラブラの鼓膜を揺らす。しかし効果はそれに留まった
砂による目潰しは眼孔への異物の侵入に伴う痛みによって初めて効果を発揮するものであり、ヘルメットに取り付けられた痛覚など持たないサイバーアイには、あまりにも不十分なのだ
砂越しにも彼の姿は十分に見える。しかし宙を未だ舞う粒子の細かな砂が鬱陶しいと、ニヒラブラは反射的に利き腕である右腕を軽く握り砂を打ち払うように振った

――――だがこれが大きな過ちであった

「その程度 俺には効かん アホなのか?」
「鼻筋すぐに 陥没させt――」

虎次郎の彫りの深い顔面を、特に鼻筋を真っ平らにしようと執拗なまでに鼻への攻撃を集中させるニヒラブラ
次の攻撃もその例外に漏れず、突っ込んできた所に鼻へ拳をめり込ませてやろうとした所であった
しかし悦に満ちたHAIKUと共に、その動きは一瞬硬直する。砂による目隠しが晴れたのち、虎次郎はニヒラブラの予測よりも三歩、肉薄した場所に既に足を踏み入れていたのだ
すなわちそう、彼我の必殺の間合いへと

「しまっ……」

急ぎ右拳を握り出鱈目に、取り敢えず顔面目掛けて放った
しかしその間をすり抜けてニヒラブラへと駆ける虎次郎の正拳は、クロスカウンターめいてニヒラブラの顎を捉える
これが有効打、否致命打となりニヒラブラは仰向けに仰け反った
確かに顎を打ち抜けば、いくらヘルメットに防護されていようと脳は揺れ、足回りに致命的なダメージを与える事が可能なのだから

「…油断した…この俺すらも…凌駕する…」
「そのスピードに……今は感服……」

ぐら、と揺れて片脚が浮いた。すると途端にスローモーに感じる世界。それはまるで走馬灯
超感覚による優れた視覚と処理能力。それがまるでネズミや昆虫めいてバレットタイムの如き高速の世界への入門を可能とするのだ
星明かりの瞬く天が、上へ登るごとに明るさを増し、やがて土に埋め尽くされる。否、自らが反り返り落ちようとしているのだと
それを解するのは、地面に強かに後頭部を打ち付けた後のことであった

「夜が明けて……登る…朝日の……美しきことかな……」
「……字余…り…」

どさりと仰向けに倒れ、そのまま気絶
空腹と疲労に負け、ぐうぐうと寝息を立てて爆睡し始めるのであった。

//そいではこの辺で!寝落ちしちゃってすみません…
438 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/19(火) 00:30:33.60 ID:nTZLDamw0
>>435
「ぐ……拙者に、そんな趣味はござらん…!」

銃撃を受けた脇腹の痛みは一向に引く様子もなく、募るのは緊張と焦燥だけで打開策は見当たらない。
どうしたものか、と思案すること一秒。轟音と共に獣からの銃撃がニンジャの足元に炸裂する。
一発目は当たらずに地面を抉り取り、二発目は回避。三発目からは片腕ながらも大剣を振るい防御し弾き返す。
理性がなく狂気に埋もれた人間の腕と甘く見るなかれ、その射撃は狙いをつけずともニンジャを追い込んでいたのだから。

「……ッ!!」

何十発の弾丸を弾いた頃か、遂に訪れる決定的な”隙”。
銃に疎いニンジャだがリロードという行為が必須なのは流石に知っている。同時に、それにそう時間が掛からぬ事も。
故にニンジャは脇腹の激痛もそのままに、獣の元へ近接を持ちかけんと疾駆する。
もしもニンジャが肉薄に成功すれば、その胴へと向けて躊躇なく袈裟斬りを行おうとするだろう。
しかし獣とニンジャの距離は近いとは言えない、その隙にリロードを終わらせることも十分可能だ。
439 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/19(火) 00:46:00.22 ID:nTZLDamw0
>>437
切り札である目潰しは哀れ、その頑強で強固なヘルメットに阻まれ無駄に終わる。
いや、無駄などではない。視界を奪うという本来の目的は果たせずとも、一瞬の隙を生み出すという事には成功した。
当然その隙を見逃すニンジャではない、目潰しからの派生による正拳は的確にニヒラブラの顎へ到達し脳を揺らす。
まるで映画のような一連の流れのそれも、ニンジャ同士という常軌を居した決闘ならば可能なのだ。

「……なにっ…でござる!?」

だが、その事実に一番驚いていたのは他ならぬ虎次郎自身であった。
虎次郎自身ニヒラブラへ致命打を与えたのは無意識にはなった拳によるもので、正常な状況判断が出来なかったと言える。
故に虎次郎は気がついたらクロスカウンターのようにニヒラブラの顎を捉えていた、というなんとも締まらない状況。
やった!と勝利の実感を噛み締める間もなく、虎次郎は己の勢いを止められない。
打ち出した拳に釣られるようにしてスローモーションのように前のめりに、ニヒラブラに重なるように倒れ伏す。

「ふ……よく、わからんでござるが……
 この勝負、拙者のしょう…り……」

自身の下で寝息を立てるニヒラブラの姿を見て、ようやく湧き上がる勝利の実感。
その余韻に浸るまもなく、緊張から解き放たれた安堵感と疲労からか虎次郎の双眸は閉じられた。
最早自分たちがなぜ戦っていたのかも頭に入っていない様子で、ぐうぐうと寝息を立て始めるのも時間はかからない。
明け出す夜に咲く純白の朝日は二人のニンジャを照らし出し、何処か嘲笑しているような気がした。

//ではこちらも締めで!ロールありがとうございました!!
//いえいえ、こっちも遅くなっちゃったので……
440 :オム・フェム [sage]:2016/04/19(火) 00:54:13.02 ID:02KqzRT00
彼女ーー厳密に言えば彼女とも彼とも呼べない性別をしているが、外見上女性にしか見えないため彼女と称する。ーーは、今日も帰路につく。
こつこつ靴音を静寂の夜に溶け込ませて、特に感情も起伏させず平坦に義務的に、いつもの如く帰路につく。
見慣れた舗装道路、路面店、街路樹、消えかけの街灯。どれも飽きた感動のない所々。別に嫌っている訳ではないから溜息はしないが、そろそろ刺激が欲しい気分だ。
……そういえば。

「刺激といえば路地裏…。」

とか、あの日の誰かが言っていたような。そんなことをふと思い出すノスタルジー。……いや、よく考えると別段郷愁に浸れるような箇所は記憶の中に無かった。一切。
だがそんなことは正直どうでもいい。気にしない。兎に角今は刺激、そう刺激が欲しい。
ならば行くしかないじゃないかと半ば自分に言い聞かせながら蜂起、思い立ったらすぐ行動が彼女のモットーであった。
ぱたぱた疾駆。いつもと違う景色の中で期待に胸を膨らませていた。ちなみに胸がないから物理的に膨らめばいいと思ったのは内緒。
441 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/19(火) 01:05:49.93 ID:WVTDTri10
>>438
「チッ……! ウザってェ! アタシの弾で喘いでろバーカ!!」

ぎぃん、激しくぶつかり合う金属の慟哭が闇夜に爆ぜて木霊する。振るわれた大剣の袈裟斬り、それを二丁の銃でもって受け止めたのだ。
一丁では受けられぬと判断し、両銃を交差する様に重ね合わせての防御。削り合う互いの得物は火花を散らし肉薄した両者の顔面を照らす。
獣は未だ歪な笑みを浮かべ、どうやらこの状況に悦を感じている様だ。それに対してニンジャはどうだろう。暗い覆面の下、彼は何を思うのか。
暫く鍔迫り合いが拮抗するも得物と腕力の差は徐々に、しかし確実に現れ始めた。じりじりと押され、少しでも力が逸れればそのまま膝をつき斬り伏せられてしまいそうな状況。
獣の歪笑は段々と苛立ちを感じさせるものへと変化していった。だがこのまま易々と押し切られる程素直では無い。手負いの獣は往生際が悪いものだ。

「ソンナに必死ニ近付いてェ、アタシとキスでもシタイのカイ? イイよォ? シタイ事ナンデモさせたげるワァ、そのハラワタ抉ッテしゃぶらセテくれればサァ!!」

身体全てをバネと力を振り絞りそれを銃へと向かわせると、ぶつかり合っていた剣閃を上方へと反らしジリ貧から脱却。
しかしその反動で獣の身体は後方へと大きく反る様に流れ、反れた大剣の鋒が頬を掠めてそのまま側頭部辺りまで斬り裂き、舞う鮮血と共に被っていたハットも宙を舞い、纏められていた長髪が朱に彩られ弾けた。
そのまま背中から地へと倒れ落ちる間、弾き上げたリボルバーが一度火を吹いた。狙いは目の前のニンジャでは無く何も無い上空の闇へと。
それは体勢を崩し、最早狙いも定まらぬ中での発砲であった故か、それとも。
442 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/19(火) 01:28:21.54 ID:nTZLDamw0
>>441
甲高い金属音と共に拮抗する両者の得物は互いに一歩も譲らず、儚げな火花を散らす。
この状況に愉悦を浮かべる獣とは異なり、覆面の下ニンジャは顔を酷く歪ませていた。激痛と焦燥が相まってのものだろう。
しかし僅かにではあるもニンジャへと状況は傾きつつある、現に虎次郎の大剣は今にも獣の拳銃を弾こうと迫る。
一気に力を込めてトドメを刺そうと柄を両手で握った刹那、なんと獣は力尽くで剣の軌跡を変えてみせた。
弾かれた剣先は獣の頬を切り帽子を飛ばすものの、致命傷どころか動きを止める事すらも叶わない。

「っ……!…御主は、世に放ってはならぬ存在でござる…!!」

後方へと大きく反れる獣へ向け、初めて凝縮された殺意を解き放つ。
定まらない狙いによる銃弾はニンジャには被弾せずに、空虚へと溶けて消失。無論、それを確認する術はないが。
切り捨て御免、そう短く呟けば虎次郎は一切の容赦なく獣の首元へ、盛大な風切り音を鳴らし大剣を振るう。
しかし、この時の虎次郎は知らなすぎた。――獣が持つ、能力というものを。
443 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/19(火) 01:30:42.29 ID:ThBJN0T30
>>440
彼女の期待に応えるように、路地裏の乾いた空気に数発の銃声が彼女の近くで響いた。

「ふぃー、今日のヤツも味気ないでやんのー
まぁ依頼的には楽でいーけど、もっと手応え欲しいっつーかぁ?」

銃声の元へたどり着いたならば、独り言を言いつつ手に持つ銃の銃口から昇る硝煙をちょっとカッコつけて息でフッと吹き消すメガネの少女。と、少女の足元に転がる人間の死体が目に入るだろう。
この光景が彼女が欲する刺激的なものかは不明だが、少なくとも日常では見ることのないであろう光景だ。
メガネ少女は慣れた手つきで西部劇のガンマンのように指で銃をクルクル回し、器用に右腰のホルスターに収め、気だるげに欠伸を一つした。
444 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/19(火) 01:31:02.12 ID:uVK9BbDvo
>>440
何かを求めて路地裏をぶらついていた。
この街はお世辞にも治安がいいとはいえない、となればこういう所では人目憚られる事が行われるという考えに至るのは当然だ。

「なんもねぇー……」

しかしこういう場所を活動拠点にしてる人間も今日は明かりの下に出たいのか、誰もいない。
諦めて帰路につこうと通りまで出ようとした所だった。

「おっと――」

丁度角の互いにとって死角の所で誰かにぶつかりそうになる。
視界に入ったのは女性……うん、女性だ。
どう見ても女性なのになぜ一瞬迷ったのかはわからない。
胸がn……いや自分に帰ってくる考えを持つのはやめよう。

「なんだか何かを期待してる顔してるけど、何をお探しかしら?」

向こうがどういう目的で此処に来たのかは知れないが、存外自分と似たような目的で来たのでは?
という考えからカマをかける。
445 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/19(火) 01:57:06.55 ID:WVTDTri10
>>442
「アハっ、オ前もそう思うノ? ダッタらサッサと殺して頂戴ヨぉ!!
……このどうしようも無い渇きと飢えから、誰かあたしを解放してよ」

倒れニンジャを見つめるその瞳は血に惚けて狂いに狂っていたがほんの一瞬、気の所為と片付けてしまえる程の刹那、抗う事に疲れ涙も枯れた人間の色を宿した気がした。
しかしその後、まるでそれは幻燈であるかの如く獣の瞳は淡い光を帯び、レティクルの様な紋章を映す。
その光に反応したのは先程闇に溶けた弾丸である。何処へと消えゆく筈の弾丸は獣の力を受け、物理的に有り得ぬ軌道を描きニンジャの脳天へと直進し始め死を告げるべく迫る。

そして。

こつん。
ニンジャの頭に硬いものが落ちその頭蓋を叩いた。足元へと転がるそれを見れば先程獣が宙へ向けて放ったものに相違無いだろう。
ニンジャの頭部を貫かんとした弾丸はすんでの所でその力が解かれたのだ。そう、獣がニンジャの刃によって事切れたその瞬間に。
地に突き立った大剣は見事獣の胴と首を別ち即死させたのである。自身の血によって真赤に濡れそぼった獣の頭部。その見開かれた瞳は最期に何を見たのだろうか。
こうして夜な夜な人を殺めた獣はここに討たれ、やがて人々の記憶からも忘れられてゆくことだろう。そんなものだ、この街において命なんてものは。
446 :【バレコン】>>33 [sage]:2016/04/19(火) 02:08:49.88 ID:WVTDTri10
>>445
//書き忘れましたが〆ですありがとうございましたぁ
447 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/19(火) 02:27:07.81 ID:ThBJN0T30
/かぶっちゃってた…私の絡みスルーでいいっすよ!>>440
448 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/19(火) 02:30:51.95 ID:nTZLDamw0
>>445
「……っ…!!」

一瞬、ほんの一瞬。
虎次郎の大剣が獣の首を刈り取らんとする数瞬前、獣はその狂気に飢えた双眸を確かに”人間”がすべきものへと変えた。
見間違えるはずもない、同時に湖畔で出会った泥人形に取り付けられていた機械を、操られていた人間を思い出す。
しかし振りかぶられた大剣に止まる術はない。脳髄を狙う銃弾が虎次郎の命を奪う直前にて、その刃は遂に獣の首を討った。
噴き出す鮮血、視界を覆うほどの紅はニンジャに達成感などは与えてくれず虚無感のみを残す。

「……これ、は…?」

その最中、頭巾越しに頭部を叩くそれを拾い上げれば驚愕に顔を染める。
間違いなくそれは先程闇夜を駆けた銃弾。それが今自分に迫っていたのだと気付いたときには、全身の血の気が引いた。
もしも自分にあと僅かにも迷いがあったのならば、もしも獣があと僅かにも疾く銃を撃っていたのならば。
それらは所詮ifの話だ。しかし、有り得たかもしれないという事実は決して変わりはしない。

「…言い忘れていたでござるな。
 拙者の名は月影虎次郎、冥府にてその名を刻むでござる」

物言わぬ遺体と化した獣へ向けて、手向け替わりなのか自身の名を告げ緩く瞳を瞑る。
もしかしたらこの獣も湖畔で出会った人形と同じく、元は正常な人間であったのかもしれない。
そう考えるとなんとも居た堪れなくなって、数秒の黙祷を捧げては大地に突き立つ大剣を引き抜き踵を返した。
恐らく誰にも見つかることも、騒ぎになることもない獣の死体。唯一その姿を刻むニンジャは果たして―――

//ロールありがとうございました!!死闘って感じで楽しかったです…!
449 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/19(火) 04:16:12.83 ID:Z3eCZ8klo
>>432
「あははっ!これがメリーのワンタッチなんですぅ〜!」
「はぁ〜…やらかくて暖かくて最高…」

背中に馬乗りになったメリーを振り落とす為ぶんぶんと暴れる翼だったが、そんなことを諸共しない彼女はイタズラっぽく笑い、翼に触れてご満悦の様子。

「アイスがくっついてなかったらもっと最高だっただろうなぁ〜?」

アイスに関してはメリーが悪いのだがそんなことはお構いなしについに批評までする始末だ。
ここまでくると周りの目も恐怖や畏れなどではなく、暖かなものを見守るようなものになっていた。

450 :オム・フェム [sage]:2016/04/19(火) 04:21:58.81 ID:02KqzRT00
>>443
>>444
爆睡してたまことに申し訳無さすぎますすみません…
わざわざ絡んでいただいたのでこちらとしては複数ロールでも構わないのですがいかんせん得意ではなくて。せっかくなのですが>>447さんの言葉に甘えさせていただこうかとおもいます。
ただ>>444さんへの返信がこちらの都合上今日夜になってしまうのですが、それでも大丈夫ですかね?
451 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/19(火) 04:58:15.93 ID:uVK9BbDvo
//被ってたこと全然気付いてませんでした…そちらがお先なのに>>447さん済みませんお言葉に甘えさせて頂きます…
//返信夜からとのこと了解しました
452 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/19(火) 18:46:01.90 ID:hP9CRQmm0
>>449
「やっ!やめろって……ば…?」

好き放題翼に触れるメリーを、背から落とそうとするが体に十分な力が入らない今の態勢では幾ら少女と言えども相手は人間で其れは難しいと考えて、悔しそうに唇を噛み締めながら策を練っている
すると、自分に向けられたのは衆人共からの違和感のある視線
違和感と言っても、先程向けられた畏怖しているモノでは無く……

…その視線はまるで…子供の戯れを見守る親の様な物だった


「何…だよ…。高が愚民如きが…こっ、この能天使様にそんな気色の悪い視線を向けるなんて……」

「ち・・・」


「ちくしょぉぉぉぉ!!」

人々から浴びせられる優しい視線はプライドの高いエヴァにとっては苦痛以外の何物でもなく、自分が伏している地面を力一杯に殴りながら嬌声の様な声を上げる

少女に倒され…人々には見下され……屈辱のみを纏ったその声は天高く轟いた
それと同時にその憎悪を顕現したかの様にメリーが嬉々として触れている翼が颯と硬変を始める
453 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/19(火) 19:01:53.32 ID:1/7S/ouV0
>>434

「そ、そんなことはありません!どんなことがあっても人を殺めるなんて…間違っています!
そんな思考…理解できるはずがない……!」

殺人は犯罪だ、他者から命を奪うという行為は確かに酸漿や一般人にとっては赦し難い行為。
だがしかし、この世には幾つもの例外が存在する。たとえばもし、暴漢に襲われ殺されそうになった時に反撃してその相手を殺した。他にもこんな有名な話がある。
トロッコが暴走し、目の前には二つに分かれた線路。その行く先は自分でしか切り替えられず、片方には四人が、もう片方では一人が作業をしていた。
そのトロッコがどちらかの線路に入ればそのどちらかの作業員は轢かれて死んでしまうだろう。
ではこのとき、自分はどちらに切り替えるのが正解なのか。
酸漿にはこれは分からなかった。誰かを助けるために誰かを[ピーーー]、それが正しいことなのか分からなかった。
許される殺人なんてものが此の世にはある、ではその線引きをどう決めるのか。もしかすればそれは――――

「恐ろ、しい…?ち、違います…!
都合の良い世界なんて私は望んでない…!私は、ただ…!幸せに、罪のない誰かが死ぬことがない、そんな世界、を……!」

分からない、分からない、分からない。
頭の中がグチャグチャに掻き混ぜられる、思考が乱れ、まともな思考回路が燃え尽きかける。
一体何が正しいのか、何が罪なのか。自分のやっていることは見当違いなのか?この法王が正しいのか?

恐怖によって縛り付けられるその思考、それは酸漿を混乱させるには十分過ぎるほどで。
おかしい、違う、違わない、間違っている、間違っていない。
そんな言葉の羅列が酸漿の頭を駆け巡る。

「……っ!?」

そのせいで、判断が遅れてしまった。気づいたときには敵は目前。
慌てて横へ飛ぼうとする酸漿だったが―――

「くっ…ぁあ…っ!?」

戦いではその僅かな判断が命取りとなる。右足の腱を深くではないにしろ斬られ、そのままバランスを崩し倒れこんでしまった。
死ぬわけにはいかない。生きないと、こんな、こんなところで――――

だが気持ちとは裏腹に、右足の腱は激しい痛みを訴え、まともに立つことすらままならない。こんな傷が初めての酸漿ならば尚更だ。

しかし酸漿は尚もその凛々しい瞳で法王を睨む。まだ、まだだ。
この力がある限り、私は戦い抜く――!
その瞳には未だ強い反抗心が揺らめいていて、決して弱さを見せない。
強く、強く法王を睨む。しかしその内では、やはり恐怖心が揺れ動いているのだった。
454 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/19(火) 19:27:35.05 ID:7Akd5dxb0
「ど〜こ行っちゃったのかなぁ…」
「ホントあいつは使えないガラクタなんだから…」

ブツブツと文句を呟きながらキーボードを叩く男。
現代に似合わないシルクハットと現代の象徴ともいえるノートPC。
釣り合っていない両者を持つ男は死んだ目で画面を見つめていた。

「泥人形は壊されたから新しい子を作りたいのに…」
「なんでこのタイミングでガラクタの捜索をしないといけないのかなぁ…」
「まったく縦型社会はこれだから嫌なんだ…」

どうやら誰かを探しているようだが見つからないらしい。
かなり苛立っているようで辺りには刃物で裂かれたような跡が残っている。
多少血液も付着しているが、死体は見当たらない。
不自然な要素が多いこの場所に不自然な男ははたして自然に見えるのだろうか?
そんなことを考える余裕はこの男には無かった。
455 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/19(火) 19:52:48.94 ID:Y0FPZ0aWO
>>452
「おぉっ!?エヴァどうしたの!?」

メリーの下でもがいていたエヴァが咆哮し、拳を痛めるのではないかというほど思いきり地面に叩きつけた。
さすがに天使の感情の爆発には怖い物知らずのメリーでもその体をビクッと震わせ、驚いてしまう。
周りの人々も先程までの暖かい目は何処へやら、エヴァの怒りに追いつかず呆然と立ち尽くし、中には腰を抜かす者もいた。
すぐさまメリーを、周りからの視線を拒絶するようにエヴァの翼が硬質化する。

「あ…っ!ふっかふかの羽根が…ちょっとアイスでベタついてた羽根が…!」
「も、もしかしてエヴァ…怒ってる…?」

ふかふかの手触りは消え失せ、冷たく硬い手触りになった翼に戸惑い、猛るエヴァの顔を後ろから恐る恐る覗き込んで尋ねる。
456 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/19(火) 20:08:47.12 ID:Aln6gemtO
圧縮されたが如き濃厚な影間から染み出る混沌ひとつ
鈍く黒く輝く大鎌を振り乱し周囲を斬り裂く狂気
路地裏の一画、そこは修羅の庭

【それは、闇を従者に現れる】
457 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/19(火) 20:26:30.03 ID:hP9CRQmm0
>>455
翼を硬質化させたエヴァの身体は小刻みに震えている
メリーがそんなエヴァの表情を覗くと、その表情は失意や悲観に塗れているだろう。
人間相手に虚仮にされるという今迄味わった事のない無念さの加減をハイライトの消えた瞳で顕わし乍ら僅かに口を開いたかと思うと囁く様な声量で呟いたのは

「死にたい」


これまで人を従え、常に人間という種の上に立っていた天使様のメンタルこそゴミであり脆弱な物であったのだ。
まるで下克上にでもあった気分だ
地面にその身体を伏せながら初めて味わう敗北感に打ち拉がれて虚空を覗いていた瞳をメリーに向ける

「…手は痛いし、翼は何だかベタつくし…何よりこんな状況でも背から降りてくれないし……」


「完敗だ…悪魔め」

エヴァの心を完全に折ったメリーを天使の天敵である『悪魔』と称す
虚ろな双眸にはそう映ってしまう程にメリーの存在は恐ろしいモノになっている様だ
458 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/19(火) 21:01:45.25 ID:Z3eCZ8klo
恐る恐る覗き込んだ顔は失意と悲観に塗り潰され、何やら「死にたい」と不穏な言葉を呟いたエヴァはその濁ったように見える目をメリーへ向けた。

「あ…ごめん、降りるよ……」

こんな目を向けられて背に乗ってることを指摘されては流石のメリーも相手を気遣わざるを得ない。
自慢の翼をベタつかせて甘い味付けをしたのはメリー、背中に乗って天使であるエヴァのプライドを傷つけてこんな顔をさせてしまったのもメリーだ。
流石にいたたまれなくなったのか、背から降りたメリーは明るい声を出し、エヴァを励まし、この場を盛り上げようと試みる。

「あの…エヴァ…ごめん…元気だして…?」
「あっ、そういえばさ!エヴァが天使でメリーが悪魔ってなんだかツイをナスって感じで格好良くない?ね、ね、格好良いよね?」

地面に倒れるエヴァへ手を差し伸べながら自分の頭に浮かんだ、エヴァからしたらどうでもいいだろうことを話すメリー。
この突然すぎる話の切り替えも早くエヴァを立ち直らせる為の気遣いなのかもしれない。
459 :オム・フェム [sage]:2016/04/19(火) 21:27:36.41 ID:02KqzRT00
>>444

「ーーおっ……とと。」

足を進めるのが躊躇われて数歩後ずさる。 死角から出てきた女性を一人眼窩に映した。
ほんの一瞬、刹那、須臾。女性の目が疑いに曇る。視線は胸に落とされていた気がした。
直感。どうしてか女性が失礼なことを考えたのではないかという思いが脳裏を過ぎる。
だがどうやらそこに触れるつもりは無いようだから特に言い咎めることはしなかった。
もし女性がそこに触れていたらーー勿論、物理的にではなくーーそれは正に琴線であるから、彼女の憤怒に抵触することになっただろう。

「いや、お探しものというか……。
別段、ボクは探し物をしているという訳ではないけれど。」

ボク。ぼく。僕。
ーー僕(ぼく、しもべ)
日本語の一人称の一つ。主に男性が使用する。(wikipediaより引用)ーー
返ってきた言葉の内容よりも、まずそこに注意が行くだろう。僕。それは畢竟男性用の一人称なのだから。
今日、クールジャパンと銘打つ日の本ではボクっ娘だとか男の娘だとかそういう「属性」があるらしいが、彼女の場合その何方でもない。何故なら性別が分からないのだから。
しかし眼前にいる女性は彼女のことを女性だと逡巡しつつも認識している。故にどうにかして属性というものにあてがうだろう。

「路地裏っていうのはこう、シゲキ的って言うじゃない?」

決してそんなことはない。寧ろ危険なのがそこである。

「だからほら、日々にシゲキが欲しくって。ボクはここに来たってわけさ。」

レンズ奥で双眸が不敵に細まる。
焦点の合った瞳孔が確かに女性を捉えていた。
460 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage saga]:2016/04/19(火) 21:37:51.81 ID:WVTDTri10
>>453
「狐疑。ただ。何でしょうか。罪の無い人間が死ぬ事の無い。幸せな世界を望みますか。
それは紛れも無く。貴公にとって都合の良い世界ではありませんか。だってそうでしょう。貴公はその手段として。望む世界に相応しくない悪を断じて殺すのでしょうから。
先程この私にその牙を剥いた様に。果たして何が違うのです。我々が目的の為に取る手段と何処に相違があるというのです。
寧ろ目的を見据えれば我々の方が高尚である様に思えますが。我々は命の選別などはしません。どの様な穢れを孕もうとも命の価値自体は万象一切等価であると考えます。
ただ目指すは意思の統一。人類種にとって都合の良い世界の構築でありその為の教義」

脚を斬られたことで体勢を崩し倒れる酸漿。それを無表情に見下ろすは法王アルトリアである。図式だけ見れば勝者と敗者、しかし見上げる酸漿の瞳の意志は未だ強く輝く。
そんな少女に無慈悲に突き付けられた鋒は輝く意志すらも吞み込むほどに何処までも漆黒。揺れる意志はまるで灯火の様に、儚げながらも正しく燃ゆる。
しかし法王はそれ以上刃を振るう事をしなかった。数秒か数分か、幾許かの刻が互いの交差した運命を刻んだ後黒き刃は霧散する様に消え失せたのだ。
くるり。踵を返し法王は酸漿へと背を向ける。そして剣は再び逆十字架のレリーフとなりて法王の腰へとぶら下げられた。

「正善。悩んでいますね。しかしそれは正しい。貴公は未だ答えに辿り着くには若い。
それでいいのです。もっと沢山の世界を見て意志に触れ。確固たる意思をその身に持った時。貴公の歩みが私と共にあらん事を」

言い終えると少し振り向き酸漿を一瞥。祈る様に瞳を閉じれば軽く頭を下げた後その場からゆっくりと立ち去った。
残された信徒たちは戸惑いつつも法王に着いて歩み始める。皆一様に黙りこくり、誰ひとり口を開く者はいなかったという。
闇夜を練り歩く信徒たちを照らす月明かり。等しく降り注ぐ青ざめた月光は少女酸漿の心に何を映したのであろうか。それはこれから彼女自身が決める事だろう。未来への選択肢、それは無限に用意されているのだから。

//だいぶ長くなってしまったのでこの辺で〆にさせて頂きますー
//拘束しちゃってごめんなさい、ありがとうございましたー
461 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/19(火) 21:54:49.56 ID:nqm+0vqgo
>>459
「そうなの……」

返答を聞き、宛が外れたかと若干肩が落ちる。
この時点で叶来は一瞬は迷ったものの相手のことをもう完璧に女性だと認識しており
僕≠ニいう一人称は個人のパーソナリティに深く係る問題に発展しかねないので
そのことを殊更に疑問にして、口に出すようなことはなかった。

「そうね。この街のこういう場所は港の火薬庫みたいに刺激に溢れるものが萃まり易いかもね」

風向きが変わってきたのを感じる、強ち的はずれだという訳でもなさそうだ。

「でもこの先には誰も居ないし、何もないわよ。私が先に確認済み
 まぁそれを御誂え向きと表現出来なくもないけど……」

言って口端を不敵に釣り上げる。
彼女が最後に発した言葉の時の表情を視て確信した。
同じものを求めて此処に来たのだと。

「成る可く邪魔されたくないわ」

叶来は路地裏の奥へと再び戻っていく。
奥に行けば行く程通りの人々から死角になり、隔絶された世界となる。

//どこかで見た目や能力は参照出来るのでしょうか…?
462 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/19(火) 22:00:35.60 ID:hP9CRQmm0
メリーが背中から降りて差し伸べてきた小さな掌を一瞥すると、地面を殴った所為で赤みが帯びている状態の自身の手で其れを掴んで徐に立ち上がる
普段ならここで一言「人間如きがこのエヴァ様に手を差し伸べるなんて滑稽だね」なんて言って手を払う所なのだが、今回なヤケに素直な様子
砂が着いて汚れてしまっている白い衣服を叩きながら、メリーの明るい声に耳だけを傾けてコクリと僅かに頷く…

「・・・・うん、そうだね。ボクが天使でメリーが悪魔…」
「格好良いと思うよ。凄く」




「……なんて言うとでも思ったかアホぉ!!」

虚ろを向いていた筈の眼を大きく開かせると、ベタついた翼から硬質化した羽根を一枚引き千切ってメリー向かって投擲する
憤りのあまり力量の調整を誤った所為で、羽根はメリーの足元のコンクリートに突き刺ささるだけで終わってしまうが、其れでも瞳の奥にある闘志の炎は消える事なくメリーを見据えていて

「ここまで虚仮にされたのは神によって存在させられたから初めてだ!!それも!人間相手に!」
「メリー…お前に受けた屈辱は絶対に忘れないからなぁ!お前がボクを足蹴にした分…一生!いや、輪廻転生30回くらい懸けて償わしてやる!!絶対に!!」

顔を怒りで真っ赤にさせて、指先をメリーに向けながら衆人環境のそのど真ん中で高らかに宣言する
463 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/19(火) 22:01:38.76 ID:hP9CRQmm0
//安価付けるの忘れてました…>>462>>458宛です//
464 :オム・フェム>>31【空間湾捻】 [sage]:2016/04/19(火) 22:21:49.80 ID:02KqzRT00
>>461
/すみません書き忘れです!

「え、なんだその落胆した感じ。」

覚えがないぞと思いながら回想。やはり彼女を落胆させるようなことはしていなかった。
少し慌てた様子を見せたが女性は構わずに言葉を続けたからそれ以上の言及はせずに、時折相槌を打ちながら聞いていた。
火薬庫というワードが出た途端、「良い表現」とはにかんだがそれは空気と化してしまう。

「そうなのか……。路地裏ってそういうものか。
そりゃあ光の当たらない所だから、そもそも人は少なそうではあるけれどさ。」

口角を上げて吐く皮肉めいた女性の台詞を聞きながら、彼女は落胆の表情。
期待はずれと言わんばかりに肩を落とし溜息を吐いて、がくりとこうべを垂れて細まった双眸から気怠げな雰囲気を醸し出す。
数秒沈黙。その後彼女は、でも、と接続詞を投げた。女性の邪魔をされたくないという念押しを聞こうとはせずに。

「貴女に逢えた。だから何かしよーーって、
ちょ、ちょっ、ちょっと待ちなよ。というか待ってよ。」

踵を翻した女性。逃げられると悟った彼女。
情報によればこの路地裏にこれ以上の期待は持てそうにないし、このままでは無駄足だ。
何としてでも引き止めなければいけない。謎の使命感に瞳孔が燃え盛る。畢竟比喩だが。
彼女は必死でそれを止めるべく肩を掴もうとした。灯りから隔絶された暗がりへ行こうとする彼女の。
465 :祇方院 酸漿【ヘアスタイラー】 [sage]:2016/04/19(火) 22:28:37.06 ID:1/7S/ouV0
>>460

未だ心揺れ恐怖を抱く酸漿にとって、その言葉はあまりにも強烈すぎた。
自身が今まで行ってきたこと、それはこの自分が殺人鬼と言い放った女と同じこと。では今まで私が行ってきたことは、間違っていたのだろうか。
都合の良い世界のために望ましくない人間を悪と断じ裁く。それはこの法王の行っていることと何が違おうか。

「私、は……」

それはまるで今までの自分を否定されたかのようだった。
法王の言葉で酸漿のその瞳は途端に闇を帯びていく。
これからどうしたらいいか分からない、もう何も出来ない。自分がやっていることは、言っていることは自己の否定に他ならない。
自分で自分を罰するなど酸漿には出来ない、そんなことができるほど酸漿の精神は立派ではない。
結果、酸漿に残ったのはどうしようもない喪失感だった。
どうすることもできない、どうすればいいのか分からない。
そこには、いつもの強い自我を持つ祇方院酸漿の姿はなく、中身の無い空虚な人形のような少女だった。

「………分からない…私は…どうしたら…」

その場に取り残され、辺りには静けさが木霊する。
『貴公の歩みが私と共にあらんことを』
私は、あの女と同類なのだろうか。だとすれば私はただ自分の中の我儘を他人にただ押し付けていたということになる。
私はこれからどうすればいい、もういっそのこと――――

酸漿はゆっくりと立ち上がり、片足を引きずりながらその場を後にする。
その背に映るのは、一体何なのだろうか。

//いえいえ楽しかったです!ロールありがとうございました!
466 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/19(火) 22:52:39.60 ID:nqm+0vqgo
>>464
「う――ッ」

踵を返し路地裏の奥へと進もうとした時だった、不意に掴まれた肩に重心が揺らぎ若干仰け反る。
これから凄惨たる戦いへと向け暗くなる景色に合わせ気を没入させようとした時だった
そういうものが止まった身体から前方へ放り出ていった気がした。

「なによ……?」

当然暗黙の了解で着いて来るものと思っていた叶来は若干虚を突かれる。
この先には壁に囲まれた開けた空間がある。
そこなら他に介入されず、思いっきり目的を果たすことが出来ると思っていた。

今丁度明かりと暗がりの袂で自分の肩を掴む相手の目を覗き込み
その口から紡がれるであろう言葉を待っていた。
467 :オム・フェム>>31【空間湾捻】 [sage]:2016/04/19(火) 23:16:04.93 ID:02KqzRT00
>>466

「いや、何と聞かれても何もないけど……。」

確かに刺激的なものを求めているとは言ったが、それは恐らく女性の思うものとは違う。つまり戦闘ではない。
いや、出会った時点で戦闘の火蓋が切って落とされていたのならば彼女をその気にもさせただろうが、今の状況を踏まえると殆ど彼女にその気はない。
そこで明らかに食い違っていたが彼女はそれに気づくでもなく、一秒でも長く自分を構わせる為に必死だった。
だが必死である割に引き止めた言い訳に口籠り、此方を覗き込む女性の目から視線を徐々にスライドさせる。

「暇……暇なんだ。だから構ってくれないか。」

単純に、直球に、何の婉曲表現もせずに彼女は堂々と言葉を投げた。
暗黙の了解めいて戦闘への移行を予期していた女性としては、それをつまり一々戦わせろと了解を得ようとしている面倒だと理解されないこともないかもしれない。
現時点で彼女としては全くその気はない。しかしながら戦闘を持ちかけられたとて少しの動揺はあったとしても否定するつもりは毛頭ない。寧ろ好奇心興味がそそられる。
若干の食い違いを見せる二人は月下。路地裏に吹き込む夜風が明暗の袂を引く。
468 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/19(火) 23:43:15.96 ID:nqm+0vqgo
>>467
「……?」

あっていた視線が徐々に外されていく、それまでの表情を視て一つの推測に至る。

(もしかして勘違いをしてた……?)

あの不敵な目を見てそれはつまりそういうことだと決めつけていたが
だからってそれを戦いたがっている等と勝手に決めつける等余りに短慮だと感じてきた。
そこには此処の住人は血に飢えているという思い込みもあった。

「まぁ……いいけど」

相手の言葉をそのまま受け取った。
今までであれば構え≠ニいうのを戦闘への暗喩的な意味で受け取っていたが
言葉そのままの意味で受け取る。

「って言っても私刀振り回すくらいしか能がないんだけど」

この街に来て吹っ切れて以来、いなくなっても困らない様な人間ばかりを狙って通り魔的に切り捨てて来た。
そんなすっかり切り裂き魔になってしまった自分を鑑みて出た言葉だった。
469 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/19(火) 23:48:37.57 ID:ThBJN0T30
今日も今日とて。"害獣"駆除の仕事が始まる。

こんな街中に"害獣"なんていないって?
別に"害獣"ったってイノシシやタヌキだけじゃない。

特定の人物を"害獣"だーなんて思うヤツだってたくさんいるのよ。人間ってコワイねぇ。
そんな"害獣"を駆除するのが、私のとりあえずの仕事。
街の"害獣"は故郷の野生動物なんかより、動きは遅いしすぐ倒れるし、のれんに腕押し、豆腐に斬鉄剣って感じだけど、お金貰えるから仕方なくやってるってわけよ。背に腹は代えられないからね。


________________


「うぃーす、お仕事完了ですよーん」

路地裏に響く銃声。続いて軽い調子で話す声。
声の主、赤縁メガネの少女はたった今火を吹いた自動拳銃の銃口から出る硝煙を息で軽く吹き消す。そして指で銃をクルクル回し、流れるような動作で右腰のホルスターにしまった。

「最近の獲物も味気ないヤツらばっかりだねぇ…
ふぃー、久しぶりに狩りでもしたいなぁ……でもしばらくやってないし、狩りスキル鈍ってるだろーなぁっ…」

少女の側には眉間や胸に風穴を開けられたスーツ姿の三人の男が倒れている。
この三人のうち一人が"害獣"として駆除の依頼が来たわけだが、割とテキトーな彼女はそこにいた三人全員を駆除してしまったようだ。
故郷にて狩人をやっていた過去に思いを馳せつつ、その場を離れようと少女は歩き出した。
470 :オム・フェム>>31【空間湾捻】 [sage]:2016/04/20(水) 00:09:56.91 ID:5foQmZ8v0
>>468
「刀使いか、何だっけ……サムライ? オリエンタルな魂を感じるよ。
ボク好きだよ、日の本。良い所だよね。行ったことはないけれど。」

自嘲気味の台詞に対し表情を一片の曇らせず、カタナといえばあの国ーー何かの歴史書で見た異質の国ジパングを真っ先に想起。
ある旅行記に憧憬を抱いたあの日のことを懐かしむノスタルヂア。平和な脳の郷愁。
言って袈裟に剣を振る動作。無邪気にぶんと振った腕は路地裏で純粋に空を切った。

「というより、刀を使うってことは何? 殺人とか犯してたりはするのかい?」

別段訝しんでの疑問ではない、女性が心無い無差別殺人鬼だと知ったとて彼女は咎めるつもりは全くもってない。ここはそういう街だと心得ている。だからこそ興味が湧く。
つまり彼女は、その事柄について至極単純に気になっただけであった。
刀使い、彼女語録でいうサムライは人斬りとイコールであり、しかしこれまでそれを確かめる術はなかった訳で、今この場で、その謎を解こうとしているのだ。
且つ彼女は今興味津々真っ盛りな年頃なのである。自分自身の興味のままに、後の被害など省みない。

「因みにだけれど、ボクも能がある。ややこしいものだけれどね。」

言って能力者だと明示。不敵に笑いながらも文字通りその中に敵意は無かった。
血を懇願する狂人の掃き溜め、それがこの街リベルタス(自由)である。
しかしながらそんな世界(まち)にも、まだその泥沼に埋没していない人間もいる。
その一人が彼女だ。くどいようだが自ずから能力を明かす時点で、敵意のなさは明白だった。純粋な興味が主な彼女の構成成分。
471 :藍堂 叶来【無限刀】 [sage saga]:2016/04/20(水) 00:51:41.12 ID:I4LyGoZco
>>470
「そうね。気の向くままに、血を見ない日はないくらいに
 此処は心が傷まない人間が多くていいわぁ」

言って目を細めた。

相手の表情は興味のみを根拠に聞いているといった感じだ。
それついて咎められたらなんと言おうか、もうその状況が日常に成り過ぎてしまって、返す言葉が簡単に思い付きになりそうになかった。

「それは――やはり興味が有るわね」

言って笑みを浮かべる。
そこに挑発的な意味はなかった。
ある種の諦観故の清々しさがあった
しかし殺人を告白した後にこんな其処らにいる少女と変わりなく屈託なく笑う姿は
一般的な倫理観からすればもう後戻りできない処まで彼女が壊れてしまっていることを指し示していた。

//設定のおかしさに気付いた……後で直しておこう
472 :メリー>>8【ターヴェル】 [saga]:2016/04/20(水) 06:41:46.68 ID:uLSrAjTPo
>>462
「うわぁ!?」

天使に手を貸したメリーに投げられたのは硬質化した羽根。
それは風を切ってヒュオ、と飛び、メリーの足元へ突き刺さる。

メリーは足元のそれに迷わず手を伸ばし、思いっきり引っ張って引っこ抜いた後大事そうにポケットにしまいこんだ。

「輪廻転生……うん!待ってる!」

死んでも生まれ変わってもまたエヴァが会いに来る。
その宣言(?)に無邪気に笑い、喜ぶメリー。

「それじゃあこれからエヴァとはメリーの人生30回分くらいの付き合いになるわけだ!」
「末永く、来世でもよろしくね!エヴァ!」

あと少なくともこのプライドの高い翼がふわふわで面白い天使に、30回は出会うことが出来る。
どこまでも前向きなメリーはそう捉え、これから長い付き合いになるだろうエヴァに握手を求める為、手を差し出したーーー


/キリもいいのでここら辺で〆ましょう!
/寝落ち、長い間キャラ縛ってすみませんでした…
/ロールありがとうございました!
473 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2016/04/20(水) 18:01:50.56 ID:HOVyiOsr0
「ああ!30回だ30回!」

強調する為に、躍起になりながらも何度も同じ言葉を繰り返す
それでも目の前にいる少女は屈託の無い純真その物の柔らかな笑顔を向けてきて、もう一度手を差し出してきて
そんな彼女の掌を見て息を詰まらせると言葉には出来ない気持ちで胸が一杯になってしまう

「〜〜〜っ!!あー、もうっ!どうして今の宣告を受けてそんなに楽観的にいられるんだ!?」
「間抜けも此処までいくと羨ましくなっちゃうだろ馬鹿ーっ!!」

差し延べてきたメリーの掌を叩くと同時に、理不尽な捨台詞を吐き翼で空を仰いだ
押し返してくる強風を身体で感じながら、ズタボロにされたプライドに思わず瞳に涙を浮かべてしまう
そんな中、静かにメリーとの会話を思い返して長い様でとても短かった何とも濃密な時間をゆっくりと反芻する


初めて自分に敗北という名の苦虫を噛ませた少女との出会いは、エヴァの心の中に強く刻まれるだろう
ヒトという如何にも哀れな種にとっては稀有である天真爛漫を顕在化した様なメリーとの関わりは、何の面白味も感じられない日々を過ごしていたエヴァにとって…

…劇甚とした刺激であったのだ


//此方こそ返信が遅くて申し訳ありませんでした…
初めてのロールとても楽しかったです!!
お疲れ様でしたーっ!//
474 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/20(水) 18:02:46.16 ID:HOVyiOsr0
//最後の最後で名前忘れと安価忘れ…
>>473のレスは>>472宛ですー//
475 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/20(水) 23:18:52.88 ID:mSEp2fRM0
冷たいコンクリートの壁に挟まれた裏路地。
裏路地を通り道に静かに吹き付ける隙間風が突如大きく乱れ始めた。この不規則で激しく乱れる風は、近くに大怪獣ガルヴァレックスがいる証拠だ!

「へへへ、これで私の名が人間どもに知れ渡る…
あまりの恐怖に夜も眠れなくなるだろうなっ!はっはっは!」

何やらコンクリートの壁に向かって風が巻きついた尻尾を振り回し、何度も風の刃を叩きつけるレックス。
やがてそれを終わらせると額の汗を腕で一拭いして、いつも通り大声で笑う。
レックスの目の前のコンクリートには、「だいかいじゅう ガルヴァレックス参上」と乱暴な字で深く刻まれていた。
どうやら悪役になるために必要なことを改めて考えたレックスが辿り着いた答えが「とりあえず名を知らしめること」だったようで。存在をアピールするために手当たり次第に一日中街のあらゆる建物、壁にその17文字52画を刻んだのだ。

「………はぁ、疲れた……ちょっと休も……」

いくら大怪獣とて、一日中尻尾を振り回していたら疲労が溜まる。
レックスは文字の刻まれたコンクリート壁を背に、尻尾をクッション代わりにしてぺたんと座り、休息を取り始めた。
476 :オム・フェム>>31【空間湾捻】 [sage]:2016/04/20(水) 23:23:26.24 ID:5foQmZ8v0
>>471

「ふぅん。狂ってるね、気狂いだ。」

他意と温度のない声音と乾いた微笑。ただ純粋な感想を連ねる。
跳ね返ってくるかもしれない憤怒だとか苛責だとかは全くもって意に介さない。そこに彼女の興味は存在しないのだから。
彼女としては快楽的な殺しだとか、義務化しつつある殺しだとか、そもそも殺しという行為には縁がない。自分が手を出す興味も皆無。
だが自分という限りでない、つまり他人である眼前の女性の殺人鬼、咎人としての感情にはそそられるものがあった。
女性の細まった目は何を見据える。少なくとも彼女ではなかった。

「興味がある? そんなに面白いものでもないけれどねーー」

屈託無く笑う女性。その興味というのにあるのは幾多もの慾望。
いや、普遍的な人のそれが壊れた女性の求めるただ一つの感情、行為、畢竟戦闘。
……いや違う。二重否定だが、最早この言葉と表情の中にはそんな慾望はないのかもしれない。彼女の笑みの中には諦観と、ある種の狂気が孕んでいるのだから。
それは余りに哀しい事だ。年頃の女の倫理観、生き様がこんなにも崩壊してしまうだなんて。
しかし彼女は全く意に介さない。単純に興味がなかった。そういう意味ではこの無邪気は残酷なのかもしれない。

「ーーほら、こんな風に、空間が捻れるのさ。」

言って右掌で空を掌握。すると小石転がる足下の空間が明らかに捻じれを生む。
興味を見せた女性に自分の能力を魅せた。
渦巻くようなノイズはそこにあるもの全てを伴って捻り、果ては切り、目の錯覚かと疑わせるようだった。

/返事遅くなってほんとにごめんなさい…
477 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/20(水) 23:41:04.01 ID:r5MA2L1To
>>475
悪役になるためのヴィラン道を一歩一歩踏みしめて歩くガルヴァレックス
彼女の行いは第三者から見ればただの子供じみた悪戯に、異能者特有の度を過ぎた遊びにも見えるだろう
しかしガルヴァレックスは彼女の意図せぬ間に、そして確かに。
一人の人間を文字通り震えて夜も眠れない状態へと陥らせることに成功していた――

「おいゴルァ!!」

突如路地裏に響く怒号は、リラックスしていたガルヴァレックスの鼓膜を予告なしに劈く
声の方へと視線を遣ればその先には汗ばみ、肩を激しく上下させて荒い息を整えようとしている少女の姿
後ろで結んだ短い黒髪に、黒の長袖Tシャツ、グレーのダメージジーンズと完璧なまでに黒ずくめ
全身にシルバーアクセをチャラつかせたその外見は紛れもないDQN臭をこの上なく漂わせていた

「見つけたぞてめェ…マジでぶっ殺す……」

少女の視線は真っ直ぐガルヴァレックスへと向けられ、おおよそ好意的なものではない
それどころか公に殺す宣言を叩きつけている状態、
尤も彼女は殺人など犯したこともなく犯す勇気なども微塵も持ち合わせてはいないのだが
そんな彼女がここまで怒り狂っている理由。それは街中に描かれたあるモノの創造者。”ソイツ”に用事があったからだ
何が彼女をここまで駆り立て、サインを巡って街中を奔走させたのか。その理由はいたって単純であり、そして切実なものであった

「てめェだろッ!!あたしの寝床ズタズタにしやがったの…!!」

思い出してほしい。何処かの公園に刻まれた”だいかいじゅう ガルヴァレックス参上”の一文。この文字列の端の方
なんとその直線状に少女は寝床を作っていたらしい。宿に泊まる金も持ち合わせていない少女にとっては生命線だ
上質な段ボールと新聞紙を折り重ねたり編んだり思考錯誤を重ねてコンパクトかつあったかな寝床を破壊され、
その怒りは大人げもなくぺたんと座り込んだ小さな着ぐるみへと向けられていた…
478 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/21(木) 00:09:25.62 ID:Z6+ZDqrT0
>>477
自ら刻んだ人類へのメッセージにより民衆が慌てふためく妄想をしていたガルヴァレックス。しかしそれは耳を劈く怒号が引き裂いて消した。
ガルヴァレックスが驚いてビクッと身体を跳ねさせた拍子に立ち上がり、怒号の方を見るとそこにはいかにもな不良少女が汗だくになりながらも怒りを露わにして立っていた。

「な、なんだお前!私は休憩中だぞ!!邪魔をするな!!このやろー!!」

対するガルヴァレックスも負けず劣らずな咆哮を放ち、少女へ牙を剥く。
心地良い休息の時間を突如として邪魔されたことにより、ガルヴァレックスの怒りはマックスに振り切れる。

「…おんっ?寝床ぉ?そんなの知らないし!!だいたいお前の寝床がどうなろうと私にはぜーんぜんカンケーないもんね!へっ!」

あのメッセージは本当に手当たり次第、無差別に刻んでいったようで刻んだ場所、ましてや端の方の事なんて大怪獣の記憶にはないようだ。仮に記憶にあったとしてもこの状況では思い出す努力すらしないだろう。
やった悪事なんて事細かに覚えていられない。悪役とはそういうものなのだ。
ガルヴァレックスはあったかい寝床を失った少女へ追い打ちするように自己中心的の極みの言葉を言い放った。
479 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/21(木) 00:35:53.15 ID:SVisQrDio
>>478
「……」

ガルヴァレックスの咆哮も、自分のことなど微塵も気に掛けぬ発言も、黙って聞き流していた遥歩
アホ丸出しの容姿を見ていれば分かる。大人が入るには余りにも小さな着ぐるみ。その中身もかなり幼いのだろう
相手するだけ無駄だ。とっとと泣かせて終わりにしよう。その程度に考えていた

しかしガルヴァレックスのある一言により、そんな遥歩のミジンコレベルの心のゆとりは一瞬にして埋まり、怒りの感情がオーバーフローを起こした
それは寝床を知らないだの、関係ないだのと少女を嘲る旨の発言ではなく、その後の「へっ」
たったそれだけの、一秒にも満たない、鼻で笑うような音は、少女の神経を逆なでしその逆鱗に触れた

「…決めた…てめェは…血のワインでフランベだ」
「そのフザけたキグルミ…ブチ燃やしてやるからなぁぁあッッ!!」

繰り広げられる光景は、まさに炎が風に煽られ、その勢いを増してゆくのとほぼ同義だ
ビキビキと青筋浮かぶ額。右の拳を胸の前でぐっと握り締め振り払い、そしてかっと目を見開く
それと同時、彼女の両手に火が灯り、それを背後へと向ければ生じる火炎の噴射、小爆発

「逢炎軌煙(あいえんきえん)…最初(ハナ)っから全開でトばすぜッッ!」

黒煙の軌跡を描きながらまるでミサイルめいてガルヴァレックスへと駆ける少女
隙が大きく狙いも多少曖昧であるが、その胸あたり目がけて十分に速度の乗った飛び蹴りを放つ。
480 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/21(木) 01:08:25.47 ID:Z6+ZDqrT0
>>479
「……っ!ゔぇっ!!」

少女の腕に燃ゆる炎、そして小爆発を見て大怪獣は一瞬怯む。その怯みが飛んでくる蹴りに対する回避行動を遅らせてしまった。
避けろ。と脳が伝達するも時すでに遅し。少しだけ身体は動くも、重い跳び蹴りが大怪獣の小さな身体に命中した。
鳴き声を上げたガルヴァレックスは5mほど宙を舞い、地面に転がってやっと止まる。

「………ぐへっ……よくもやってくれたな……!
…許さないぞ………お前なんぞ……お前なんぞ木っ端微塵に消し飛ばしてやる!!そのちっぽけな火と一緒になっ!!」

少しだけ動けたことによりクリティカルヒットは免れた。
ガルヴァレックスはよろよろ立ち上がり、次はこっちの番だと言わんばかりに、尻尾と角に耳障りな甲高い風切り音を立てて乱風が集まり武装を完了させる。戦闘準備万端だ。
風の武装が完了すれば間髪入れず、風纏う尻尾を横薙ぎ一閃。
鋭い破裂音と共に、尻尾の軌道に沿って風の刃が数枚生まれ、少女を狙って真っ直ぐ空を駆けていく。

481 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/21(木) 01:26:03.01 ID:SVisQrDio
>>480
ガルヴァレックスが尻尾を振るえば、少女は疑問符めいて首を傾げる。あの尻尾を纏うもやのようなものは何なのだろう
やがて自らへと目がけ飛来する”何か”に、少女はいよいよ眉間に皺を寄せ目を細くした。陽炎か蜃気楼か?否あれは――

「――…っぶなッッ!!」

少女が身を躱したのは、迫り来る真空の刃に既に脇腹を切り裂かれ始めていた頃であった
鮮血を飛び散らせながら横っ飛びに飛んで壁に突っ込むようにして制動
左手を壁に突き、しかしがくんと肘から手首までを押し付けてようやく静止
右手はいまだぼたぼたと鮮血を迸らせる脇腹へと宛がわれていた。

「ぁ゛……くぅっ……」
「見た目の割に中々…とんでもないモン持ってんな…」
「……だがなァ…!!」

少女が呻いたのは、切り裂かれた痛みだけではない。彼女は右の人差し指に小さく炎を灯らせ、その傷口を焼いていた
そうして止血を図り、脂汗を浮かべながらガルヴァレックスをぎろりと睨みつけるのだ
舐めていたのが間違いだった。幼くても彼女はれっきとした能力者。侮れば死ぬ
しかし遥歩は、どうしてもガルヴァレックスに対しその炎を使う気にはなれなかったのだ

「てめェなんざこの足技だけで十分よォッ!!」

高らかにそう叫べば右腕で傷口を抑えながら駆け出し接近、肉薄。
そのまま地をぎゅっと踏みしめれば脚を振り上げ、勢いを乗せた後ろ回し蹴り
黒く固く、そして分厚いソールにてガルヴァレックスの側頭部を穿ち打ち抜かんと振るった
482 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/21(木) 01:53:19.38 ID:Z6+ZDqrT0
>>481
「ふんっ、私を舐めるなよ!ばかめ!」

先ほどの蹴りによる胸の鈍い痛みは続くがガルヴァレックスはまだまだ余裕をもっている、とアピールするためか、ニヤリと憎たらしい笑みを見せる。
正直なところ、近接戦闘では体格差や技術の差でガルヴァレックスが不利だろう。しかしガルヴァレックスは自分が勝てるという自信をなくすことはない。それが悪役を目指す心意気というものなのだ。

「くっ……舐めるなと言っただろう!!」

少女は走り出しガルヴァレックスの元へ肉薄。
何をしてくるかと警戒する大怪獣に放たれたのは、再び蹴り技。ガルヴァレックスの頭へ踵が襲いかかる直前に身体を素早くしゃがませ、頭の位置を下げる。
頭を下げるのと同時、返す刀でガルヴァレックスは身体をひねり、風の刃を少女へ叩きつけようと乱風巻きつく尻尾を斜め下の角度から上へ打ち上げるようにしならせていく。
483 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/21(木) 07:21:11.05 ID:SVisQrDio
>>482
「しゃあァッ!!」

体躯の小さなガルヴァレックスに上段攻撃があっさりと避けられるのは、ある程度想定の内であった
左脚での後ろ回し蹴り。回避され、接地。軸足転換、蹴り脚を右足へとスイッチ。
そのまま左脚を軸足に、やや不安定ながら胴体を狙った回し蹴りへとコンボを繋げた
天性の格闘センスと高い身体能力の誇る、非常に技術的な一撃である

「ち…ぃ…ぃ…ッッ!」

それをカチ上げたのはガルヴァレックスの尻尾による一撃だ
バランスを崩し、僅かに仰け反った遥歩に襲い来る風の刃は、まるでミキサーのブレードのような
ヒトに向けるには少々冗談めいた威力を持つ代物だ。そしてその影響は、まずその場にあった彼女の右足
ザシュズバと風の刃は瞬く間に彼女の柔肌を傷つけてゆき、少女は痛みに歯を食いしばり顔を歪める

「ヒュウ……!」

彼女の纏う風は藤田スケールで言い表すならほぼ間違いなくカテゴリー6に相当するであろう破壊の渦
仰け反りの状態から、そのまま後ろに倒れ込むようにしてバク転。風の刃の影響下から逃れる
たたんと軽快に左脚、右脚の順で着地。ぱたたっと鮮血の散る音は、脚の様子を気に掛けなくても分かるほど大きかった

「…もう舐めてねーよ……ぜってぇ…泣かしてやっからな」
484 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/21(木) 19:43:29.77 ID:Z6+ZDqrT0
>>483
「へっへっへ…!口だけは達者なようだな!そんなにボロボロのくせに!」

尻尾を振るった勢いのままに回り、ゆらりと態勢を整えて少女の方を向く。
ガルヴァレックスは自分の風の刃がどれほどの破壊力を持っているかよく知っている。尻尾の手応えが感じられた時からガルヴァレックスの勝利のビジョンは確かなものとなった。
地面へ血を落とす少女の足を見て、少女をとことん嘲り笑った。

「どうした早くかかってこい!それとも泣いて謝るのはお前の方かっ!あっはっは!」

調子に乗ったガルヴァレックス。挑発の言葉にもブーストがかかる。
尻尾と角に巻きつく天災も少女を煽り立てるかの如く、風力を増しビュンビュンと音を立てている。
ガルヴァレックスは分かりやすい挑発として、憎たらしい笑みを浮かべ指をクイクイと曲げて見せた。


/遅くなってすんません!
485 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/21(木) 21:01:43.66 ID:SVisQrDio
>>484
「ボロボロだから……だから何なんだ?」

あちこちを血の紅に染めた少女は、しかし挑発に熱くなることなく言い放った
内心かなりムカついている。今すぐにでも拳骨を脳天にぶち込んでやりたかったが、そうもいかない
なんせ異能の出力は向こうが圧倒的に上だ。真っ直ぐ突っ込めば三枚に下ろされるのは目に見えている
だから今は冷静に。出力で勝てないのであれば、使い方で、工夫で、小細工でそれを上回ればいい

「あたしの炎は…物を燃やすしか能のねーただの炎なんかじゃねーぜ…」

少女はガルヴァレックスに対し、異能の炎を向けるような気にはあまりなれないでいた。決して侮っている訳ではない
仮に撃破に成功したとして、あの着ぐるみが炎に包まれてしまえば、間違いなくあの子の命は失われてしまう
傍目に見ればまだ幼いであろうあの子の命を、遥歩はどうしても奪う気にはなれなかったのだ

だが物を燃やさなければ何を燃やす?それは物に非ず。それはそう、像(Vision)だ
遥歩の炎は自らの実像すら焼き尽くしそれを亡き者とすることによって、己を目に見える世界から抹消する
実を逸し千の蹴りを以って一連の動作と為す。それこそが彼女がこの場に於いて選択した、最後のカードであった

「てめェは確かに強えェ……だがな…」
「視えるモノにだけ囚われてちゃ先へは進めねー……逸実千蹴(いちじつせんしゅう)」

ウオッ!!と突き上げるような上昇気流と共に、ガルヴァレックスの露出した肌面を熱波が打つ
まるでドライヤーを直接顔に吹き付けられたかのようなそれに眼を瞑り、顔を背ける事が無ければはっきりと見えるはずだ
立ち込めるヒート・ヘイズの向こう側、こちらをきっと睨みつける少女のシルエットが、徐々に歪んで周囲の影に溶けてゆくのが。

まるでジェットエンジンの如く、最大火力を展開し生み出した熱波によって空気を歪め、それが冷やされるまでの短時間の間に陽炎を作り出す
それにより相手の認識を大きくずらす、もしくは遅れさせる特異なゾーンを展開するのだ。風に吹かれ冷やされれば、容易く打ち砕かれてしまう脆い繭でもあるが。

駆け出した少女は壁を蹴って三角飛びに跳ね、陽炎を突き破ると同時にガルヴァレックスへ上空からの回転踵落としを食らわせに掛かる
呆気にとられず直ぐに防御の構えを取ればおおよその当たりを付け、叩き落すことは容易だ。あるいは面制圧も有効であるかもしれない

しかし対応を怠れば、それは敵に付け入る隙を自ら与えているのと同義である
陽炎を突き破って目の前まで肉薄した少女により、まるで吹き荒れる嵐の如く繰り出される蹴りの連撃がガルヴァレックスを容赦なく襲うであろう

目には目を。歯には歯を。嵐には―――嵐をと。
486 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/21(木) 22:21:02.29 ID:Z6+ZDqrT0
>>485
「ぐぅ…!…………小賢しいまねを!!」

迫り来る熱波は辺りの気温を一気に上げ、怪獣の着ぐるみの口内、つまりは中身の顔へ打ち付けた。
そんな熱波に下を向いて一瞬目の前から視線を逸らしたがすぐに相手の方へ目を戻す。
着ぐるみの歯の隙間から見えたのは空間の歪み、そして微かに見える少女の影が歪みに溶け込み消えていく様子。
ガルヴァレックスには何が起きたのか理解出来なかった。
理解出来なかったが、戦闘において相手の動きが確認できないのはまずい、それは大怪獣も理解している。
ガルヴァレックスは左足を下げ、尻尾の先端を前方に向ける構えを取り、少しの溜めの後、尻尾をぶん回して十分に膨張した風の刃達を歪んだ空間へと放ち込んだ。
歪んだ空間は急激に冷やされ、少女の最後のカードは風の刃によって切り裂かれ破り捨てられる。
ガルヴァレックスは一瞬姿を見失った少女を確認しようと目を見張るがもう先ほどまでの場所にはいなかった。
次にガルヴァレックスが少女の姿を確認できたのは上空の影に気づき、見上げた瞬間であった。

「………ゔぁ!!!……ぐへっ!…っ!!」

理解不能なことに警戒もせずすぐさま攻撃に移ってしまったことにより、少女の攻撃、そして肉薄を許してしまった。
ガルヴァレックスにできたことと言えば、脊髄反射に任せて身体を縮こませて小さな手で頭を守ること。自分で冷静に考えて対処することはできなかった。
ガツン!と巨大なハンマーにでも殴られたような衝撃が手を通して頭に伝わる。
その一撃で視界はかすみ、頭は真っ白。尻尾と角の風は縄がほどけるように消え去り、守るものがないまま、蹴りの連撃、攻撃の嵐を受けた。

「……………うええぇ……痛い……くそぉ……うぅ……」

気づけば地面に倒れていたガルヴァレックス。もうどこに痛みが走っているのかすら分からないくらいボロボロになっている。
ガルヴァレックスは息も絶え絶えに震える手、震える足でゆっくりと身体を起こして立つ。その重心は指一本だけで突かれただけでも倒れそうなほど不安定だ。
尻尾の風は完全に消え去り、角に巻きつく風も切れかけの蛍光灯の光のように出現と消滅を繰り返している。
もはや戦闘不能だが、それでも大怪獣は食らいつく。

「まだ…まだ………まだ負けてない…もん…
……………………」

頭を少し揺らすと、角から消えかけの突風が少女へと飛んでいく。もし当たったとしても、その突風はそよ風よりか少し強い程度。
それを撃った後、角の風も薄まりやがて消える。それはガルヴァレックスの意識も消えかかっていることを意味した。
口から少量の血を吐き出して前方へ力なく倒れていく。その間にガルヴァレックスの意識は闇に飲まれた。
487 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/21(木) 22:31:41.24 ID:4Ue8Zrmq0
喧しく羽音を立てる虫共を合図に夜も更け始める。
街中と同じく闇色の帳に包まれた人っ子一人もいない公園では電灯の光だけが儚げな天使の後ろ姿を照らしていた。
如何やら自身を天使だと示す唯一の道具である翼を蛇口を捻れば湧き出す水で丁寧に洗っている様で

「はぁっ、やっと綺麗になった…。まさか人間相手に彼処まで心身をヤラレれるとは…」
「人間という種の認識を改めた方が良いのかな…」

とある少女との邂逅により翼に付けられたアイスは完全に溶けきって、翼の一枚一枚の羽根は粘っこくなってしまっており、其れに途轍もない嫌悪感を抱いただろうか。彼女と別れてから速攻で公園へと向かったのだが、漸く今になって純白の麗らかな翼を取り戻す事が出来たのだ。

「…今日の大きな報酬はこの指輪だけ……精神へのダメージと全然吊り合ってないし」

翼を振り回し水飛沫を辺りに飛ばし乾かしながら、ふと今日貰ったダイヤモンドの装飾を施された指輪の事を思い出し仕舞っておいたポケットの中から取り出すと掌の上に乗っけながら愚痴を呟く。

電灯の光を受け、その指輪からは神々しく光芒が放たれていた。
488 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/23(土) 00:03:40.13 ID:UozQU1jDO
能力くだちい!
489 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/23(土) 00:18:46.04 ID:Kji05ryqO
>>488
【断頭執行人】
巨大な斧と分銅鎖を扱う事ができる。
鎖分銅はある程度の操作が可能。
身体能力はアスリート並みだが、巨大な斧を持っている為少し動きが鈍い。しかしその分力は強い
490 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/23(土) 00:28:34.09 ID:UozQU1jDO
>>489
いただいていきます、ありがとうなのです!
491 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 00:48:21.81 ID:UozQU1jDO
おいおい、神さんよぉ…これ特殊能力…なのか…???
まぁ、別に構わねえしたまには普通の(?)やつとしてうまれるのも悪くはねえが…とりあえず頃せて楽しめればいいか!!
【片手に巨大な斧を持った黒髪ロングの小柄な少女が、何やら不満げに呟いている。】
じゃ、今夜も獲物を探しに行くかね、と…。
492 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/23(土) 15:35:26.05 ID:bWr9Y/RN0
「ど〜こ行っちゃったのかなぁ…」
「ホントあいつは使えないガラクタなんだから…」

ブツブツと文句を呟きながらキーボードを叩く男。
現代に似合わないシルクハットと現代の象徴ともいえるノートPC。
釣り合っていない両者を持つ男は死んだ目で画面を見つめていた。

「泥人形は壊されたから新しい子を作りたいのに…」
「なんでこのタイミングでガラクタの捜索をしないといけないのかなぁ…」
「まったく縦型社会はこれだから嫌なんだ…」

どうやら誰かを探しているようだが見つからないらしい。
かなり苛立っているようで辺りには刃物で裂かれたような跡が残っている。
多少血液も付着しているが、死体は見当たらない。
不自然な要素が多いこの場所に不自然な男ははたして自然に見えるのだろうか?
そんなことを考える余裕はこの男には無かった。
493 :【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/23(土) 15:52:42.58 ID:5PffRPi10
 天道がこれより西へ下る、そんな時刻。表通りでは、住人たちが穏やかな昼下がりを謳歌している。
 が、これは町にとって表の顔=B幾多の能力者(バケモノ)が跋扈し、欲求に沿ってその力を振るう。それが、この町の実態。
 極論、「裏路地を覗けば死屍累々でした」なんて話も珍しくはないのだ。この町は何時だって、大なり小なり能力者という危険に晒されている。
 故に、本日も。

 現在、路地裏は灼熱地獄と化していた。
 あちこちの壁は赤熱・バターの如く溶解しており、大気もまた異常な熱を帯びている。そして、何よりも異常なものは――

「……クソッタレ共がッ! ムカつくんだよォォォう!」

 熱によって構築された異空間。その中心で、一人の青年が吼え猛りながら壁を殴っていた。
 果たして何が起こっているのか。その拳は赤熱し、コンクリートで出来ているはずの壁を歪めるほど強烈な熱を放っている。
 ――即ち、彼なのだ。裏路地を灼熱の世界へと変貌させたのは。

 異様の源泉たる青年は、壁へ罵詈雑言を浴びせつつ壁面へ拳の跡を刻み続ける。
 奇妙にして異常。それこそが、この日路地裏へ迷い込む者が目にすることとなる光景である。
494 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 18:53:52.32 ID:UozQU1jDO
…あんだよ何かクソあちぃな…まーたどっかのクソ共【能力者】が何かやってやがるのか…???
まぁ、おれには関係ねえけどな、何してようが見つけたらころす、それだけさ。

…一応おれは一般人だが…普通のやつじゃおれをころす事がどうも出来ないらしい…クソ共【能力者】ならどうかと思ったが…つい趣味の「殺し」をいつも優先させちまうし…参ったよなぁ…ブツブツ…。

とりあえずこっちにでも行けば会えんのかな…???【ブツブツと独り言を呟きつつ路地裏の方へと歩いて行く】
495 :怒り悶える青年【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/23(土) 19:25:45.95 ID:5PffRPi10
>>494
 来訪者が路地裏へ辿り着いたなら、彼女を歓迎するであろうは一迅の熱風。
 そして、延々と拳を壁面へ叩きつける青年の姿が目に入るはずだ。

「……クソが、クソがッ! ムカついてしょうがねえ!
 ――そして、そこのテメェは何こっちをジロジロ見てやがるんだ!? あ゛ぁ゛!?」

 少女へ睨みを利かせ、まるで狂犬のような剣幕で凄む。
 怒りの矛先を自身へと向けられ、果たして彼女はどう反応するか。

//執行人さん、女の子でよろしかったでしょうか(´・ω・`)
496 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 19:50:39.25 ID:UozQU1jDO
>>495
【路地裏に入り少し歩いた辺りで、すぐにその光景は少女の目に飛び込んできた】
【異常な熱気と迸る「狂気」を放出し続ける青年がそこにいた。】
…おぉ、怖い怖い。そしてクソあちぃ!!
てめえがこのあつさの張本人かこのやろう!!
おれはあついのがでえきれえ何だよ!!どうしてくれんだコラァ!!
…てかてめえ、どう考えてもクソ【能力者】だよな?とりあえずおれの趣味【殺し】に付き合ってもらうぜ、覚悟しな!!!


//すみません、一応設定では「俺女(?)」って事になってます…こんなんでよければ絡んでやって下さい…苦笑。
497 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2016/04/23(土) 20:27:39.57 ID:EXnXEC6c0
能力下さい
498 :怒り悶える青年【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/23(土) 20:40:34.02 ID:5PffRPi10
>>496

「ナメやがってェ、俺はイライラしてんだよォう! テメェが熱かろうが寒かろうが知った事か!」
「それよりも俺を『殺す』だとォ!? とことんまでナメ腐りやがってェェェ!」

 火に油を注ぐような彼女の言葉を受けてさらに激昂。最早その怒りは収まる様子を見せない。
 否、それ以上。少女は感じるはずだ、先刻まで以上に、彼から放たれる怒気と熱気が増しているのを。

「――決めたぜ、今度はテメェをぶっ潰す! 覚悟しろやゴラァァァァァァ!」

 拳を振りかざし、少女へと直進し拳撃を放たんと迫る。
 高い身体能力を誇る少女からしてみれば稚拙な一撃であろうが、威力に関しては話が別。
 コンクリートさえ溶かし、崩壊させる熱力がそこには秘められている。

//大変遅くなりました……
//また、ここからも返信遅くなりそうです。面倒なら切って頂いてかまいませんので……
499 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/04/23(土) 20:53:52.53 ID:VBOjPChkO
>>497
【ジーザスシザーズ】
自由に大きさを変化できる鋏を所持。
能力者自身はこの鋏の重みは感じず、大きさの最大は自身の身長までとなる。
この鋏は異能の通ったもの以外ならば何でも紙のように切り裂くことができる。
身体能力はトップアスリート並みで鋏を武器として使うことに慣れている。
500 :【ジーザスシザーズ】 [sage]:2016/04/23(土) 21:04:46.40 ID:EXnXEC6c0
>>499
ありがとうございます
いただきます
501 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 21:19:28.01 ID:UozQU1jDO
>>498
それこそてめえがイライラしてるとかしてねぇとかおれが知るかよ!!!!!!おれはやりたい事をただやるだけだぜ!!文句あっかこの野郎!!
【軽口をたたく一方、少女は感じていた】
【意図する、しないを問わず青年の怒りが増幅されている(?)のを】

【少女に向かって放たれたそれは速度こそは特筆すべき物ではなかったかも知れない。】
【しかし、威力のみに関しては、恐らく少女の身体に致命的な損傷を与えるには十分な威力を備えていたに相違ない。】
…うわ、危ねぇ!!
【ギリギリのところで青年の攻撃をかわした少女は青年に向かって言い放つ。】

…あ、危ねぇじゃねえがこのクソ野郎が、何しやがるんだコルァ!!
氏ぬとこだったじゃねぇか!!
絶対許さねぇぞこの野郎が!!
502 :怒り悶える青年【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/23(土) 21:37:43.12 ID:5PffRPi10
>>501
「なら俺も好きにさせてもらおうじゃねえか、ブチ殺す!」

 血気盛んに振りかぶった一撃であったが、命中することはなくそのまま空を切った。
 だからこそ、ますます腹立たしい。攻撃を躱されたという事実が彼の怒りを増幅させるのだ。

「うがあああああッ! 何躱してやがる、クソがァッ!」

 癇癪を起こしたように怒号。地団駄を踏み、不意に反転しつつ放つはアッパー気味の一撃。
 やはり拳は赤熱し、殺意に満ち満ちている。荒い攻撃ではあるが、一つ一つが必殺。ぶっきらぼうな脅威が再び少女へ向かった。
503 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 21:51:02.71 ID:UozQU1jDO
>>502
…そうかいそうかい。
ならおれもとことん付き合ってやるよ!!
元々殺し云々はおれの大好物だからなぁ!!
【青年の殺意に満ち満ちた一撃は前述の通りまともに受ければ少女の肉体に致命的な損傷を与えるに充分な威力を有しているだろう。】
【少女は青年の放った一撃を身をよじってかわすと手にした巨大な斧を横に払い、反撃の一撃を青年に向かい放とうとする。】
【特に「どこを狙って放った」と言うことはない一撃なので避けるのは造作もないだろう。】
504 :怒り悶える青年【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/23(土) 22:21:07.05 ID:5PffRPi10
>>503
 二度目の攻撃も容易に回避され、おまけに飛来するは戦斧によるカウンター。
 無論、相手の一撃を受ければただで済まないのは青年も同じ。当たるわけにはいかない。

「ッ――ふっざけてんじゃねえぞゴラァ! 危ねえだろうがッ!」

 アッパーという隙の多い姿勢の直後であったため、やや危うかったが前方へ跳躍。倒れこむようにしてなんとか回避し、背に一文字の傷を刻むだけで済んだ。
 そのままゆらりと立ち上がり、向き直ってはやはり少女に怒号を飛ばす。……自らも似たような恐怖を彼女へ与えたというのに、呆れた男である。

 然し無理な回避をした故その隙は大きく、攻撃の手が僅か止んだ。
 だが、完全に無防備というわけではないらしい。……赤熱する彼の掌が纏う光、それが段々と強くなっている。
505 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [saga]:2016/04/23(土) 22:42:03.77 ID:EXnXEC6c0
 夜に舞踊する剣戟。演者は二陣の嵐気流。
 火花散り殺意の交錯する舞台。袖なくて、死なば奈落に堕ちるのみ。
 闇を切り裂く和の刀剣に相対するは、交叉する刃持つ凶鋏。
 互角、そう思われた矢先、嗤う凶鋏振り回す狂気の権化たる男。
 転瞬、戦さ場にて動き止めた和刀携える男。
 目下転がる柄無しの刃、折れた部分が絶望載せて青く煌めく。
 転瞬、転瞬、転瞬、暗転。

「ーー…ンん…ッハぁ…ハァははハハぁ…!」

 血濡れの双刃、夜に浮く三日月型の白い歯。
 甲高く嬌声めいた恍惚の嗤い声が血色の街に木霊、残響。
 切りつけあった二の殺意は交錯の末、ついにその決着を付けた。
 夜に吠えるは狂気たる凶鋏。刃二つ闇に溶けて、獲物狙う双眸は落ち着かず蠢動。
 立ち尽くす姿たったそれだけですら人を恐怖に駆り立てる。
 口角を上げた下弦の月が淡色の光で照らす儚げな皮肉。
 黙秘必至の街の角、奇声混じった一夜の夢。
506 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 22:43:36.53 ID:UozQU1jDO
>>504
おれの戦いのセオリー知ってるか?流れがきてる時は積極的に攻めるべし、だ!
【少女は無理な避け方をした青年に向かい、手にした分銅を頭に向かっ投げつけ一撃を喰らわせようとする。】
【体術・武術に関しては達人よりも更に上のレベルにある少女が放つ分銅は、とてつもない速度と正確さで青年の急所へと迫っていく。】
507 :怒り悶える青年【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/23(土) 23:00:31.74 ID:5PffRPi10
>>506
「……流れ、だとォ?」

 青年が少女を睥睨する。それはただただ凄んでいるわけではなく、何かが異質。――不気味なのだ。
 徐に、握りこんだ両の手を前方へ突き出す。両手が握り拳であることを除けば、丁度「キョンシー」を思わせる姿勢だ。

「――ゴチャゴチャうるせェんだよォう!」
「戦いなぞ、【殺せば死ぬ】の一言で十ゥゥゥ分だろうがァッ!」

 掌が開かれ、そこから唸りを上げて飛び出すはそのまま掌大の熔岩。
 両の手から放たれたそれ、片方は分銅鎖を弾き落とすべく発射され、もう片方は少女そのものに向かって直進。灼熱の弾丸となり少女を襲う。
 ――これだったのだ。熱の根源、彼の能力の正体とは。
508 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/23(土) 23:18:43.95 ID:UozQU1jDO
>>507
…な、何ぃ!!!!!!!?
【少女にとって「分銅の一撃」はセオリーであり、同時に「安全策」でもあったのだ。】
【なぜなら自分は相手との距離を保ちながら「相手のみに」ダメージを与える、いわば「卑怯者」が使う戦法に他ならないからだ。】
【少女の目論見は外れ、青年の放った何かにより分銅は弾き返され、更にもう一つの驚異が少女に向かい迫る。】
【その何かを巨大な斧でガードしようとするが完全には間に合わず肩の肉をえぐられる程度のそこそこの傷を負わされてしまう。】

…て、てめえ!!よくもやりやがったな!!許さねえぞコラァ!!
509 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/23(土) 23:39:43.29 ID:YQojZyiA0
ジェ−ンを寝かしつけた後、晴斗は満天の星空が広がる中星を見るために人がいない道を歩いていた。
この街で人がいない夜道を歩くことは自殺に等しいことである。だが晴斗はそれを知らないとでも言う様に歩いていた。
このように歩く奴には二つのパターンがある。本当に何も知らないで歩く奴と実力を持つ奴。
晴斗の場合は後者である。

「・・・気持ちいいな」

歩いていて夜風に吹かれた晴斗はそう呟いた後歩き出した。この静寂が壊されないように願いながら・・・。


510 :怒り悶える青年【ヨーガン】 [sage saga]:2016/04/24(日) 00:34:42.36 ID:NzmPT+td0
>>508
「何が許さねえだァ! このまま殺すッ!」

 焦燥の色が見える彼女に対し、青年は容赦なく灼熱の弾丸を撃ち出し続ける。
 能力の制限上その場を動くことは出来ないが、摂氏千度を優に越す温度の弾丸が矢継早に飛んでくるのだ。相手にとっては溜まったものではないだろう。

「ムカつくぜ! クソが! 殺す! 殺す!」
「テメェは何時になったら死ぬんだ!? あ゛ぁ゛!?」 

//ここからは安定して返信できそうです、お待たせしました!
511 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/24(日) 00:52:07.95 ID:veY/Wi4DO
>>510
…ッチ、厄介な能力だな、クソ!!!!!!
【高速で飛んでくるいわば「熱の塊」、それらを回避しつつ敵に接近し決定打を与えなければならない。】
【やや面倒だと思いながらも「素早く横等に動きつつ距離を縮める」、そんな選択しか少女には思いつかなかった。】
【巨大な斧を構えて急所等には当たらない様ガードしつつ青年の方に徐々に距離を詰めて行く。】
【とは言え飛んでくる物は「熱の塊」、それもかなりの速度で飛んでくる為斧でガードしようが確実に当たる度に少女にダメージを与えて行く。】
【そんな努力(?)もあり、その内少女は青年にその気になれば一撃加えられる位置には移動出来ていた。】【恐らく今まで受けたダメージ等から考えるとこれが最後の一撃となるだろうが少女は巨大な斧を振りかぶり大きく跳躍しつつ青年の方へ向かってくる。】

…これでしめぇだ、クソ野郎!!うぉおおおお!!
【そのまま青年に向かって渾身の力を込めて巨大な斧を振りおろすだろう。】
512 :怒り悶える青年【ヨーガン】 致命的な裂傷 [sage saga]:2016/04/24(日) 01:05:01.90 ID:NzmPT+td0
>>511
「――テ、メェ」

 青年の顔が初めて、憤怒以外の感情に歪む。
 即ち驚愕。まさか、自らの猛攻を真っ向から叩き潰しに来るなど誰が夢想しようか。
 あっという間に青年は斧の射程まで取り込まれてしまう。能力を使用していたこともあって、その場から動けない以上は回避の術もまた無い。

「ク……ソッタレが……!」

 慌てて熱塊の連射を打ち切り、溶岩による防御を形成しようと足掻く――が。


「――――ゴ……フッ……!」

 鮮血が乱れ咲く。遅かった。否、少女が速すぎた=B
 放たれた渾身の一撃は圧倒的な威力と速度を以って青年を捉える。彼が灼熱の壁を展開するよりも遥か速く。
 震える手を少女へと向け、再び溶岩を照射しようと試みる。――試みるが。

「チ……ク……ショウ……

                   …………が」

 能力を発動するまで彼の意識が保たれることはなく。
 意識が暗転し、それに伴って仰向けに倒れ込んだ。
513 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/24(日) 01:21:29.48 ID:veY/Wi4DO
>>512
……………………や、やった……おれの勝ち…いや、「今日もおれは生き残っちまった」。
【自らが浴びせた一撃により地に伏せる能力者を見て満足そうとも、少し悲しげともとれる口調で呟く。】
……………………名前は知らねえがかなりの能力者【つわもの】だったぜ、あんたは…おれに生きてる事を実感させてくれてありがとうよ…感謝するぜ。

……………………そうだな、せめてまともなとこに葬ってやるか、これじゃこいつも浮かばれないだろうからな…それに、こんなに戦いが楽しいって感じたのは久々だし、よ…。【そういい、男?の亡骸?を担ぎ、どこかへ持って行こうとする。】
514 :怒り悶える青年【ヨーガン】 致命的な裂傷 [sage saga]:2016/04/24(日) 01:40:38.62 ID:NzmPT+td0
>>513

 舞台の幕が閉じた直後のような、興奮と虚しさの入り混じった空気が路地裏を包む。
 戦いさえ終わってみれば、少女も存外に落ち着いた様子を見せた。

 青年は動かない。持ち上げて運ぶ最中も、傷口から血が滴り落ちている様子は明確に彼の死を意識させるようだった。
 ……その顔は、先ほどまでと打って変わって穏やかである。先ほどまであんなに喧しかったというのに、騒然たる彼はまるで眠りにでもつくかのように死んでしまった。
 彼が何に対して怒り狂っていたかは定かでない。だが地へと葬り、魂の安寧を祈ってさえやれば彼の魂も少しは――


「……勝手に」
「勝手に殺してんじゃねえぞゴラァァァァァァア!」

 ……訂正しよう。彼は死んではいなかった。四肢をバタつかせ、相変わらず憤怒の形相で下ろすように抵抗する。
 とはいえ、流石の彼も戦闘による疲労でその力は弱々しい。怒り自体は本物のようだが。
515 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/24(日) 02:10:03.11 ID:veY/Wi4DO
>>514
…おわ、て、てめえ!!
誰が生き返っていいっつったよ、コラ!!【亡骸だと思い込んでいた青年が突然動き出した事に動揺を隠せない様子だ。】
つーかおれ幽霊とか苦手なんだよ、うわぁ気持ちわりぃ!!
【少女に悪意は全く無いがあまりの事に、咄嗟に青年の肉体を投げようとする。】
【仮にそのまま投げ捨てられたとしても青年にはダメージはほぼないだろう。】

…てかもう戦いは終わったんだ、何でてめえあんな事してたんだ?

……何に対して怒ってたんだよ?
腹でも減ってたのか?
【戦いが終わり青年を好敵手と認めた今、少女に最初の様な「ころせればそれだけでいい」といった気持ちは薄れて来ている様だ。】
【少女にとって「殺人」よりも好きな趣味として「強いやつと戦う」と言うのがある。つわものと認めた者との戦いは、少女にとっては殺人よりも数倍も楽しい物なのだ。】
【何より「自分をころしてくれるかも知れないやつ」に多少なりとも興味を抱いた、と言う理由もあった。】
516 :怒り悶える青年【ヨーガン】 致命的な裂傷 クールダウン [sage saga]:2016/04/24(日) 02:20:46.30 ID:NzmPT+td0
>>515

「あだぁ! チクショォォ、殺す! やっぱ殺す!」

 ただ落下しただけにしても、重傷を負った現在の彼にとっては大ダメージだ。
 とはいえ、罵詈雑言を撒き散らしつつのた打つ姿は、まぁ元気そうではある。
 
 と、ここで彼女の疑問が耳に入った。出血で血の気が引き、怒りも収まった≠ニまでは言わずとも幾分落ち着いた@l子で彼は答えた。

「あぁ……? 理由も意味もねえよ。ムカつくからムカつく、そンだけだ」

 ……つまり「なんとなく」であそこまで破壊活動を行い、少女にも襲い掛かったというのだろうか。呆れた男である。
 とはいえ、それが少女に「楽」の気持ちを与えたのならば御の字と言えるだろうか。

「……つーか、元はと言えばテメェの方だ。
 能力者っつったって、なんでテメェみたいなガキがこの辺りをうろついてやがるんだ。生意気ったらありゃしねえ」

 今度は青年が少女に訊ねる。これだけダメージを受けてなお口調に苛立ちが篭っているのは流石と言う他ない。
517 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/24(日) 02:33:38.06 ID:veY/Wi4DO
>>516
…なんとなく、か…確かになんとなく人をころしたくなる事とかもある罠…おれもそうだ。
【少女はどうやら色々な事を根本的に勘違いしている様だ。】
【普通の人は「なんとなく」殺人を犯したりは多分しないが、少女はそれに気付いてさえいない。】

…ってかおれ?
おれは…なんのへんてつもないただの殺人鬼だ、怪しいもんじゃねえよ。
【突っ込み所満載だが本人は気付いていない。】

…ゲームの魔王とかラスボスや裏ボス?ってのは皆本当は氏にたがってるんだよ、多分な。
【ややぎこちない笑いを浮かべる。】
518 :怒り悶える青年【ヨーガン】 致命的な裂傷 クールダウン [sage saga]:2016/04/24(日) 02:44:46.58 ID:NzmPT+td0
>>517

「…………」

 彼女のぎこちない、意味深長な笑みをまじまじと見つめる。僅かな時間、沈黙が路地裏を包んだ。
 そして。

「……何も考えねえよ。ゲーム(アイツら)は所詮『プログラム』だろうが」

 何の気なしにそう言った。
 それが少女の言葉を冗談めかしただけの発言なのか、それともそれ以上の意味があるのかはわからないが……。

「――う、やべえ。血抜きすぎた……」

 視界が霞み、意識が朦朧としてきているのを感じる。
 手で顔を覆い、薄れ行く意識の中少女へ告げた。

「……おい」
「その辺の病院に……俺を連れ……てけ……」

 地へ座している内にいつの間にか形成された血の池、その中央へどうと倒れこみ気絶する。
 このまま放っておけば今度こそ死ぬだろう。助けるも助けないも、彼女の自由だ。
519 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/24(日) 02:54:10.86 ID:veY/Wi4DO
>>518
あぁ、ちげぇねえや…確かにゲーム内の魔王とかに感情とかがあったら大変な話だからな…まぁ例えとして出したまでだが「誰もいねぇ」って点はちけえかもな、つまり…!?
【何かを言おうとしたが青年の異変に気付きすぐに青年の所までかけよる】
おい、大丈夫か!!!!!!?普通のやつなら「氏ぬのが運命」とか言って放置するが…おれをころすまで氏ぬんじゃねえばか野郎が!!
間に合うか?クソ!!
【青年の身体を担ぎ、近くの病院まで運ぼうとする。】
【間に合わないかも知れないが全力で近くの病院までかけていく。】
520 :怒り悶える青年【ヨーガン】 致命的な裂傷 療養中 [sage saga]:2016/04/24(日) 03:00:01.42 ID:NzmPT+td0
>>519
 ――少女の健闘もあって、無事に彼は生還。暫くの入院の後日常へ戻ることとなった。
 が、入院生活の間も偏屈な性格は健在。身の回りで起こる出来事一つ一つにキレまくって、ナースさんや医者の手を存分に焼かせましたとさ。

//前半の遅レスはすいませんでした……本来ならテンポよく返せる文量だったのになぁ
//キリもよいので、こちらはこれにて〆で。絡みありがとうございました、楽しかったです!
521 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/24(日) 03:12:57.57 ID:veY/Wi4DO
>>520
【何とか一命をとりとめた青年の元を、少女は幾度となく面会に訪れていた。】
【恐らく少女は無意識の内に「自分を殺害出来る可能性のある者」として青年にひかれている…のかも知れない。】
…あんだよせっかく心配して見に来てやったってのによぉ…は、早くおれをころしやがれや…クソが…///【毒を吐きつつ青年が無事であった事を喜んでいる…………………様にも見えるが……………………気のせいと捉えるかどうかの判断は青年に任せるとする。】

//お疲れ様でした、絡んでもらえて嬉しかったです、またどこかでお会いしたら遊んでやって下さい、おかげさまでボクの方は最後まで普通に楽しむ事が出来ました。ノシ
522 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/04/24(日) 11:44:56.77 ID:DplnC+6eo
>>486
「でァりゃぁああぁああァッッ!!」
「っしゃあッッ!!」

一撃の威力は所詮10代半ばの少女の蹴りだ。
しかし嵐の如く叩き込まれるそれは着ぐるみを通して徐々にガルヴァレックスへダメージを蓄積させてゆく
トドメとばかりに一際大きな掛声と共に、ガルヴァレックスの側頭部へとハイキックがめり込んだ
まるでバットにでも打たれたように地面へと倒れ込み、動かなくなるガルヴァレックス
この手ごたえを得た瞬間、遥歩は勝利を確信した。ハイキックの慣性を利用して踵を返し、そのままガルヴァレックスから遠ざかろうと――

――した瞬間であった。少女の背後より敵意が、悪寒を伴って突き刺さったのは

「初勝利…貰ってくz……なっ!?」
「〜〜〜〜〜〜……っ」

背後から感じた敵意に、歯を食いしばって冷や汗を飛び散らせながら目にも留まらぬ速度で振り向いた少女
その頬を掠め、僅かに傷を付ける風の刃。つつつと垂れる冷や汗に、滲み出た血が混じり、紅く染めた。
身構えた少女の視線の先には依然立つガルヴァレックス。ゆらりゆらゆらと心許なく揺れる怪獣であったが、それでも。

「…………」
(甘かった…あいつが余力を残してたら…あたしは…)

それでも、ただその一撃で少女の心に敗北感を植え付けるには十分すぎる程であった。
遂に崩れたガルヴァレックスの、その脇へと手を掛けて正面から抱き締める遥歩
少女の胸に頭をうずめて眠るように気を失ったガルヴァレックスを、再び持ち上げて抱きなおす

「はぁ…シマらねぇ……」

抱き締めたままのガルヴァレックスを、どこか安全な所へと運べば手当てを施すつもりである
彼女が目を覚ます前に遥歩はそこから消えているだろう。ただ一つの痕跡も残さずに
全てが夢であったかのように消え去った後でガルヴァレックスにこの戦いが現実であったと認識させるものは
ガルヴァレックスの身体に僅かに残った痛みと、あの路地裏に滴った、遥歩の乾いた血のみである

//遅くなっちゃってすみません!ありがとうございましたん
523 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/04/24(日) 12:32:46.18 ID:q+7ivgFg0
>>522
満身創痍の怪獣は目覚める。ただそこは一件のあった路地裏ではなく、あの少女もいない。
身体を起こす怪獣に全身に残った痛みが先ほどの出来事をフラッシュバックさせた。完敗とは言わないかもしれないが先に倒れたのは自分。ガルヴァレックスは拳をぎゅっと握りしめてやり場のない悔しさを感じる。
ふと怪獣フードをとって頭に触れるとそこには包帯が巻かれていた。ガルヴァレックスは勝負に負けた悔しさよりも相手に手当てされたことへの大きな悔しさが湧き上がる。

「…………………」

いつかこっちが手当てをし返して悔しがらせてやる。なんて思いながら怪獣フードを深く被り、片足と尻尾を引きずって歩き出した。
悪役になりたい野望がまた大きくなったガルヴァレックスであった。

/こちらこそ、ありがとうござましたー!
524 :病衣の男【エターナルイモータル】 [sage saga]:2016/04/24(日) 13:38:10.91 ID:NzmPT+td0
 柘榴のような破片たちはまだ温かい。
 目の前に転がったそれらから漂う血のにおい。牙を剥いて笑う。

「嗚呼、お前も駄目だった=v

 悍ましい笑みを浮かべながら、然しどこか無念げに独白。
 目前に散らばる残骸≠スちは、自らの願いを満たしてくれなかった。叶えてはくれなかった。その事実が只管残念で。
 ……駄目だった≠フはこれで何回目だったろうか。そろそろ五十回に届くころだと記憶している。

 それでも彼は待ち続ける。
 入り組んだ路地裏、まだ昼だというのに夜よりも暗い、そんな場所にて。
 その貌へ、深く、深く、笑みを刻みながら。

「誰か、俺を殺してくれ――」

 自らに安息を与えてくれる者を――。
525 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 14:57:19.00 ID:wPsoa1Vi0
>>524
「【殺してくれ】だってぇ?」
「だったら一人で自分の頭を銃で撃ちぬけばいいじゃないか」

妙に暗く嫌な臭いが漂う路地裏。
そこに現れたのはシルクハットを被った奇妙な男。
その男は死にたがりの男を見下して嗤っていた。
ひたすらに冷たく目で死にたがりを睨みながら話しかける。

「大体殺してくれと言っているには随分笑顔じゃないか?」
「本当はただ殺し合いがしたいだけなんじゃない?」

「まぁ別にそれがそうだからといって僕には関係ないんだけどさ」
「僕はあくまで通りすがり、君とは何の接点も無い」
「だから君が僕を襲わない限り、僕は君を襲わない」
「僕はただ探し物をしているだけだからね」

片手で持ったノートPCの光がシルクハットの男を不気味に照らす。
2つの黄色い目は既に死にたがりから視線を外していた。
わざと襲わせるつもりだろうか?それとも本当に眼中にないのだろうか?
死にたがりを視界から消した目はPCの画面しか見つめていなかった。
526 :病衣の男【エターナルイモータル】 [sage saga]:2016/04/24(日) 15:21:39.14 ID:NzmPT+td0
>>525
「――お前の言っていることは正しい。然し間違っている」

 クツクツと笑みを絶やさず、色のない銀の眼でシルクハットの男を眺めた。
 死にたがりの瞳には明瞭たる狂気が満ちていて、所謂一般人≠ゥら彼の周波数が明確にズレていることを意識させる。

「確かに人間を殺《バラ》すのは楽しい」
「だが【自殺】では意味がないし、出来ないんだよ。今、俺の身体は既に俺のものじゃない」

 訳のわからない事をのたまって、一歩踏み出す。彼我の距離が僅かに、けれど確かに縮まった。
 死にたがりは続ける。

「『無関係』か」
「【俺を殺してくれなかった連中】も大半がそう言った。【だから見逃してくれ】と続くこともあった」

 想いを馳せるように瞼を下ろし呟く。遥か昔の記憶を懐かしみ、掘り起こすように。
 ――刹那、獣の如く身を屈めた後に死にたがりが男へ接近すべく疾走を始める。

「でも理屈じゃない。俺が求めているのは理屈じゃないんだ」
「――さぁ、俺を殺してくれ=v

 振りかぶった右手には、まるで鉤爪のように数枚の刃が埋め込まれている。左手も同様だ。
 薄く鋭い刃が相応の威力を秘めているであろうことは疑うべくもない。まともに当たればただでは済まぬだろうが、果たして。
527 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 15:39:22.09 ID:wPsoa1Vi0
>>526
「ふふふ、少しだけ君が言っていることがわかるかもしれないな」
「確かに[ピーーー]のは楽しいねぇ、僕の場合は女性に限るけど」
「それと【俺の体は既に俺のものじゃない】だっけ?」
「僕も一緒さ、僕の体は僕のモノじゃない」

思いのほか面白い奴だと思ったのだろうか、死にたがりに視線を戻す。
死にたがりの瞳にはダーティと似た【狂気】が満ちていた。
それに気がついたダーティにも【狂気】が宿りだす。

「本能が欲するモノってあるよねぇ」
「それは理屈でどうこうしようにも行動は抑えられないモノなのは僕も知ってる」
「じゃあ、君が求めているモノを与えてあげようかなぁ?」
「でも残念、もし君が女性だったのならもっと過激なプレゼントだったのにねぇ…!」

ノートPCをその場に捨て、背後に腕を伸ばす。
ダーティの指先から奇妙なコードが一本、にゅるりと顔を出す。
そしてそれは電車と同じとも思える速度で伸び、壁に突き刺さる。
突き刺さったかと思えば縮む、無論ダーティはそれに引っ張られ後方へ。
死にたがりが切り裂くのはダーティのお気に入りのPCだけだろう。

「さて、まずは自己紹介をしようか」
「僕はダーティ。ダーティ・ハットだ、宜しくねぇ?」
「そしてそんな僕の能力は……」
「ふふふ、君を仕留めるには物足りないのかもねぇ!」

引っ張られ終わると同時にダーティは死にたがりに向けて2本コードを射出。
片方は死にたがり、片方は一瞬だけ見えた右手の【何か】に向けて。
本体に刺さればその場所を麻痺、【何か】に刺さればそれを紙に。

小手調べのつもりだがコードが迫る速度は相当なものだ。
これをどうするかでダーティは相手の身体能力を予想するのだ。
528 :病衣の男【エターナルイモータル】 [sage saga 刺傷【完治】 麻痺【完治】]:2016/04/24(日) 16:22:28.14 ID:NzmPT+td0
>>527

「そうだ、俺を殺してくれ。この【無限】から俺を解放してくれ……!」

 低く、くぐもった笑い声を響かせつつ一撃。助走の勢いを上乗せした鋭い一撃は、然しダーティに届かない。
 指からロープのようなものが飛び出していた。否、ロープと形容するにはあまりに機械的。どちらかといえば「コード」や「鉄線」の類に見える。
 あれが彼の能力だろうか?

 さて、今度はダーティの一撃。二本のコードが自身と右手の刃に向かって飛び出してくる。
 厄介なことは、このコードたちがかなりの速度を持っていたこと。たった二本ではあったが、両方弾くには死にたがりの身体能力では足りない。

「……がァ!?」

 自らの刃に向かって飛び出してきた方は弾くことができたものの、本体である自身を狙ったもう一本までは防ぎきれず直撃。
 高圧電流が電気信号を遮断し、麻痺の影響で死にたがりは大きく態勢を崩した。確かに負傷している。
 小手調べにしては大きな成果を挙げたといえるこの一手。然し、先刻までの大口に反してやや呆気ない様相でもあった。
 だが。

「――ク」
「クククク、クフハハハハハハ……」

 歪んだ声。
 『負傷した者』が発すべきではない「快」という感情を湛え、死にたがりは笑う。

 ――ダーティは気付くだろうか。
 先刻麻痺したばかりである彼の肉体が、既にその呪縛から解き放たれていることに=\―。

//遅れました、申し訳ない……
529 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 16:58:39.11 ID:wPsoa1Vi0
>>528
「無限……?」
「それはどういう意味なんだい…?」

能力者故の直感というのだろうか、嫌な感じが伝わってくる。
一瞬だけ見えた彼の右手の何かが能力だと思っていた。
恐らく刃物を作る、もしくは特殊な刃物を使う能力だと。
だがそれは間違いなのだと即座にダーティは理解した。

「なるほど、なるほど、なるほどねぇ…」
「確かに君は【無限】だ、間違いない…」
「これはこれは僕の能力と相性の悪い能力だこと…」

呆気なく刺さったコードから男の笑い声の意味を探った。
既にコードのダメージは死にたがりの体から消えていた。
信じられないほどの再生力、それが【無限】の正体。

「まぁいいや、この戦闘も新しい子を作る参考になる…」
「君をモデルにしてどんな可愛い子を作ろうかなぁ?」
「そう考えるともっとリアリティが欲しくて堪らなくなるんだよねぇ…!」

ダーティは考える、目の前のゾンビのような男の仕留め方を。
ゾンビは漫画やゲームだと大体頭を攻撃すれば倒せてしまう。
しかし目の前の男にそれが通用するだろうか?
コードの威力は所詮刃が差し込める程度、脳までは届かない。
体を焼こうにもコードが持てる熱では火傷が限界。

とりあえず差し込んだコードを引っ込める。
そして新たなコードを一本、近くの瓦礫に突き刺す。
すると瓦礫はいつの間にか鉄の塊に変わっている。大きくはないが。

だがダーティは鉄塊を背後に投げ捨てる。
どうやら一気にコードを縮め、途中でコードを抜いて鉄塊を投げつけるようだ。
狙いは雑だがそこそこの速度だ。避けようと思えば避けられるだろう。

ダーティは片手を背後に向けたまま死にたがりを見つめた。
少々の焦りと十分な余裕を含んだ黄色い瞳は少しギラつきはじめた。
530 :病衣の男【エターナルイモータル】 [sage saga]:2016/04/24(日) 17:28:12.49 ID:NzmPT+td0
>>529
 コードを伸縮させる勢いを利用して投擲された鉄塊であったが、速度はともかく狙いは荒く、数も一つ。回避はそう難しくない。
 身を捩り、最低限の動きだけでそれを回避。その勢いのままダーティへ接近すべく走る。
 彼の弱点を模索するダーティに反して、死にたがりの行動には余計な思考や躊躇が感じられない。
 彼を突き動かすのは本能。たったそれだけの概念に基き、獲物を貪欲に追う姿は正に獣。

「クフフ、フハハハハハハ……!」
「さぁ、殺せ。俺を、俺の生命を停止めてみせろッ!」

 箍が外れたように笑う姿は異常そのもの。彼の能力と合わさり名状しがたい不気味さを演出する。

 そのまま十分に接近してダーティが射程に入ったのであれば、両手の鉤爪により回転斬りを仕掛けるだろう。
 一瞬にして二撃。捕食者の爪が獲物を捕らえんと降りかかる。
531 :ジェーン・ジ・イーター>>7【餓狼】 [sage saga]:2016/04/24(日) 17:42:19.03 ID:DXTqgoxMo
無名の殺人鬼は闇から消えた
残るは、光の住民
少女は微笑みながらに街を歩く
なんでもない、普通の一部となり下がって
だが―――
そんな普通こそが、至上の幸福であった


ジェーン・ジ・イーター リタイア
532 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 17:44:51.44 ID:wPsoa1Vi0
>>530
「やっぱりダメかぁ…」
「流石に僕も困っちゃうな…」
「でも、いやだからこそ戦う価値があるんだろうねぇ!」

鉄塊は案の定避けられてしまった。
本能のままに動く死にたがりは本当にゾンビのように思える。
暗い暗い路地裏に似合う要素がたっぷりだ。

死にたがりの回転斬りはまた虚を切り裂くだけ。
ダーティは少しだけ後ろに離れていた。どうやらまたコードで移動したらしい。
しかし少しだけしか離れなかったのは互いに好都合だろう。

「フフフ、なんだか昔の僕を見ている気分だよ」
「じゃあ御望みを叶えてあげようじゃあないか!」

今度はコードは三本、それぞれ別の部位を狙っている。
一本は右腕、もう一本は左腕を狙っていた。
今までと同じ見た目だが、刺されば違いを理解することになる。
何故なら刺さった瞬間に死にたがりの肉は石になってしまう。
細かな自由が効かなくなれば十分、再生されるかどうかは分からない。

残りの一本は死にたがりの口を狙っていた。
骨を貫通する威力がないなら貫通させなければいい、そう考えたようだ。
口を塞がれても恐らく貫通できる。そして貫通したなら……
一気に電圧をかけて熱を帯びさせながら脳へ向けてコードを伸ばすだろう。

だがもし脳を破壊しても攻撃してきたのならダーティは避けられないだろう。
そもそもダーティの攻撃が意味を成さなければ避けられるかもしれないが。
しかしダーティの身体能力は一般人と変わりない。完璧には避けられないだろう。
533 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 17:48:39.98 ID:b/rK9kod0
 太陽燦々と燃え盛り、コンクリートを照りつけては焦がす。
 西方(オリエント)へ落ち行く夕陽を見ながら、街の雑踏が騒めきを加速。
 一方、一角。右肩上がりの喧騒を左折、すると広がる血腥い光景。
 人影二つ、気怠げ佇立する一人、片やもう一つは地に突っ伏し這う。
 まるで主従の縮図、倒れ伏す影は最早口応え一つせず主人の命を待つばかり。
 否、命の断絶を待つばかり。
 転瞬白歯を剥いて嗤う彼。醜悪に咲いた屈託ない笑み。
 刹那、牙剥く上裸の双兇刃。大口を以って肉ごと髄を喰い断った。
 鮮血が踊る街の陰。暗雲立ち込める街に影。
534 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 17:51:39.70 ID:b/rK9kod0
>>533
 太陽燦々と燃え盛り、コンクリートを照りつけては焦がす。
 西方へ落ち行く夕陽を見ながら、街の雑踏が騒めきを加速。
 一方、一角。右肩上がりの喧騒を左折、すると広がる血腥い光景。
 人影二つ、気怠げ佇立する一人、片やもう一つは地に突っ伏し這う。
 まるで主従の縮図、倒れ伏す影は最早口応え一つせず主人の命を待つばかり。
 否、命の断絶を待つばかり。
 転瞬白歯を剥いて嗤う彼。醜悪に咲いた屈託ない笑み。
 刹那、牙剥く上裸の双兇刃。大口を以って肉ごと髄を喰い断った。
 鮮血が踊る街の陰。暗雲立ち込める街に影。

/オリエントは東方です恥ずかしい。
535 :日下部藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/24(日) 17:55:50.02 ID:DXTqgoxMo
>>533
「なるほど、殺人の現場か」

コツコツ
靴音と共に声が響く
声の主は迷い人、ただ正義感だけはあった男
道に迷い、迷い、迷う道を示されてここを通っている男
見過ごしても構わなかった、記憶から消し去って逃げてもよかった
だが、それができぬほどに彼は殺人とも近かったところにいた

「私は君に恨みはない。君を抹殺する使命も帯びていない」

確認する
為すべきことを、ここを通った意味を
構える

「だが、君の行いは看過できない
 君を警察に差し出す」

恐らくは、戦うことになる
構わない
自分にできるのは、こうして光を守ることぐらい――
そして、今できるのは
彼の正気を確かめるために、返答を待つこと
536 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 18:05:30.77 ID:b/rK9kod0
>>535

「けーサつゥぅ?ナァニそれェェ?」

 ぐるり廻転長い首、男見据えて狂喜に満ちる顔面。
 獲物、エモノ、えモノっ!
 まともな言葉のやり取りは不可能、よって繰り出すは剣撃。
 千鳥に踏んだ二歩三歩、ぐらり揺れた重心。
 携えた兇刃の重さなど感じさせぬ疾駆、狙うは首元目下の命。
 接近し次第、繰り出すは双刃の挟撃。
537 :日下部藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/24(日) 18:14:07.05 ID:DXTqgoxMo
>>536
ぐるり、
首が回った
その目を見て確信した
――――嗚呼、こいつは
どうしようもない、狂人だ

「既に正気など喪われている、か」

意識を切り替える
目標の捕縛、または殺害
対話による解決は不可能

「いいだろう、君がそうするならば応じよう」

左右から刃が迫る
疾い、重さなど感じているとは思いにくい
だが、あの銃弾などに比べれば――
左右の手で刃を受け止めようとする
流血など、厭わない
骨辺りで刃は止まるであろうから
同時、左足を浮かす
そして放つ蹴り
自身の身体能力にはまだ自信がある
あの、軍属時代の地獄のような日々で鍛えられたのだから
538 :病衣の男【エターナルイモータル】 リミッター解放状態 [sage saga 両腕【欠損・再生中】]:2016/04/24(日) 18:14:49.17 ID:NzmPT+td0
>>532
 今度は三本。「中距離」とでも表現すべきラインから放たれたコードたちが死にたがりを襲う。
 回転斬りという大降りな動作の後。躱そうとするも間に合わず、最初に両の手へコードが突き刺さった。

「……! これは……」

 石化した腕部は錘となって彼の動作を阻害。同時に、肘から先が完全に固定されてしまう。
 流石の彼でも、この石化を即解除というわけにはいかない。そもそもこれは能力による「変質」の類であり、先刻の麻痺のように「負傷」ではない。
 要するに、再生で何とかできる領分ではないのだ。基本的には相手の能力が解除されるのを待つしかない。

 そして、最後にやって来たのは一本のコード。内部から脳を破壊するつもりか。
 彼は感づいたのだ。死にたがりが内包する【無限】、その源の在り処を。
 脳は再生の対象外、ここを破壊されれば死にたがりは死ぬ。両者の悲願は達成されるというわけだ。

 けれど、そんな事は死にたがりの本能が許さない。

「……嗚呼々々々々々々々々々々々!」

 耐え難い激痛が肉体を迸り、絶叫する。なんの前触れもなく、彼の両腕から先が千切れ落ちたのだ。
 彼の能力は単なる【再生】に留まらない。応用として自身の肉体を操作することも可能。
 今、彼の身に起きた現象はまさにそれ――危険に陥った蜥蜴が、自らの尻尾を自切するように。

「ガ……ア」
「クハ、クハハハハハハッ!」

 間一髪で身を屈め、頭部に狙いを定めた三本目のコードを躱した。
 腕と引き換えに拘束を振り切った男は、三度ダーティへ突進する。
 然しその速度は先刻までの比ではない。まるで肉体のリミッターを解除したかのような#囈ュ速度でダーティへと猛突する。
 狙うは彼の喉笛、短剣の如き鋭利な牙を突き立て、その生命を食い千切らんと。

「さぁ、殺してみろ!」
「俺を、殺してみろ! 【能力者】ァァアッ!」
539 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 18:29:29.46 ID:b/rK9kod0
>>537

「ぐビっッ!!?…ヘェ…アぁはハハァッ!!」

 両手抉る兇刃、絶望孕んだそれはしかし骨の硬度には勝らず。
 眼下迫る脚、腿を捉えたそれに悶絶後顰めるは眉。
 だが彼に後退はなし。それは獲物を齧る得物による阻止の為。
 直後嗤う狂人、からから鳴らす喉、一抹の恐怖感を受胎。
 転瞬、開く大口一つや二つ。
 絶叫めいた笑いが木霊する街の陰。獲物の傷を二つ逆抉りに開く双凶刃。
 コロす。交差させた柄持つ両腕、転瞬首を絞めるが如く引く。
 一度に噛み切れぬなら咀嚼するまで。
 大口開けた鋏刃、狙う首元恐怖再び。
540 :日下部藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/24(日) 18:38:51.95 ID:DXTqgoxMo
>>539
「ふん――ッ!」

赤い軌跡を描き傷から離れる凶刃
それを見ずに蹴り上げた左の脚を前で下す
膝を曲げ、重心を滑らす
頭髪の一部が断たれるのを知覚しながら、しかし首が繋がっているのを知覚しながら
絶叫、或は笑い
それに恐怖と、狂気を感じた
だが、そんなもので止まる精神など持ち合わせていない
進むのみ
後退など、停滞など、あり得ることではない
いざ、前へ
そのまま、右の掌を前へ
目の前の男の、腹へ
先の攻撃を受けたエネルギーを、掌底の到達と共に放ちながらに
541 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 18:42:51.78 ID:wPsoa1Vi0
>>538
「ふふふ、やっぱりねぇ…」
「君の能力は爆発的な再生速度で間違っていないらしいねぇ」
「どう?体が石になって動かない感覚は?」

腕が動かなくなれば脳を攻撃するのは容易い。
そう思った瞬間、容易いという言葉は似合わないことに気がついた。

彼の腕はいつの間にか取れていた。
ダーティの考えた彼の能力は半分だけだったようだ。
それを応用することが彼の真骨頂。
どうやら既に彼のリミッターは外れているようだ。

「ッ!早……!

言い終える前に死にたがりの攻撃が迫っていた。
もしダーティが慢心していれば即死だっただろう。
といってもダーティが出来たのは軽減のみ。
ダーティの肩は肉を引き裂かれて血を吹き出していた。

「あぁ殺してあげようじゃあないか死にたがりッ!」

痛みからか声が少し裏返り気味で迫力が欠けてしまった。
しかしダーティにはそれを気にする余裕はない。
もし次の一手が外れればダーティの命はない。

まず一本のコードを自身のシルクハットに突き刺す。
砂へ変え視界を妨害する役割を持たせたようだ。

次に死にたがりを石に変えたコードを一気に縮める。
だがコードの先がくるりと曲がっており、背後から突き刺すつもりのようだ。
刺さればまた肉は石に変わるだろう。それも凄まじいスピードで切り離すよりも早く。

そして回避を行ったコードを右の壁に突き刺す。
だが今度は逆で一気にコードを伸ばしてダーティを吹き飛ばす。
砂で妨害された視界の中、コードを頼りに姿を探せば空振りになるだろう。

隠していた最後の二本、一つは死にたがりの頭に向けて放つ。
頭を石にすれば止まるだろうか?そんな考え。

そしてもう一本は死にたがりの足元に突き刺さる。
これが本命で、足元を一気に泥へと変えるようだ。
もがけばもがく程深く飲まれていく、底なし沼に。
ダメージを気にせず突っ込もうとする様子から理性を欠いていると判断。
故にこの攻撃をすることにしたようだ。

命をかけた6本のコードによる攻撃。ダーティの全力そのものだ。
ダーティは操作に精一杯だ。攻撃を全て躱せればトドメは確実にさせる。
はたしてダーティの命懸けの攻撃はどうなるのだろうか?
542 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 18:51:44.57 ID:b/rK9kod0
>>540

 眼下滑落するは影、毛髪を数本刈り取らせて狂人の下潜伏。
 がギんッ!!鋏が空を切り裂き風音混じりの金属音。劈くは耳。
 ヤバい。そう悟っーー。

「知(死)っッてルっ!!!」

 目を剥いて睥睨、否笑みか。余りにも醜悪を孕み過ぎていた。
 振り下ろす凶鋏。通常の七倍はあるその体長故に重量も結構なもの。
 狙うはこうべ、平面すら最早鈍器と化す万能凶器の舞。しかし重量の妨害は皆無。
 畢竟、掌が狂人の下腹を抉るのが先か、刃の横腹が獲物の頭部を撲るのが先か。
543 :日下部藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/24(日) 19:02:05.05 ID:DXTqgoxMo
>>542
「ぬぅ――ッ」

醜悪、醜い嗤い
それを受けても拳は進む
生きている証、即ち痛みを放ちながらに
だが、気付けなかった

気付けば、右膝が地についていた
頭が痛む、生きてはいる
視界がはっきりしない、どうやら頭を撲られた様だ
さて、私は彼を撲れたのだろうか
左手も地に着いている。だが――
右手は、真っ直ぐに伸ばされている
彼は、見えない
まだ、まだ意識がはっきりとはしない――――
544 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 19:12:53.58 ID:b/rK9kod0
>>543

 ごォンッ!!鈍音、ヨォし撲ッた。鈍痛、ナゼか下腹がイたい。
 視界が白黒脚は縺れ、吐いた鮮血が街の陰で舞い踊る。
 ヤバい。やバい。ヤバイ。やばい。
 後退し後退、更に後退、加え後退。
 当に千鳥の如く足取りを以って二歩三歩、重ねて四歩五歩。
 ついに狂人は転倒しその尻を血塗れの床に据える。
 嗤いとも絶叫ともつかない奇声を上げつつ、"逃走"本能に任せて地を這った。

 やがてずるずると血色の尾を引いていた影は男の混濁する眼前から喪失。
 生か死か、それは神のみぞ知る。
545 :病衣の男【エターナルイモータル】 リミッター解放状態 [sage saga 両腕【欠損・再生中】]:2016/04/24(日) 19:25:51.86 ID:NzmPT+td0
>>541
 ガチン。人の顎から鳴る筈のない、凶悪な音が響く。
 然し、やはり自身をここまで追い詰めただけのことはある。咬撃は肩の肉を抉るのみに留まり、即死までは到らしめることができない。

 同時に発生するは、ダーティ渾身の六撃。それぞれのコードがそれぞれの役割を負って、自らを必殺せんと動いた。
 砂塵による帳の中。石化か? 生き埋めか? 果たして死にたがりは、いかにしてその渇望した『死』へと辿り着く?

「素敵だ……人外の中にもこれほどの戦士はいなかった」

 ――不吉な不吉な、声だった。
 刹那、地を垂直に蹴り死にたがりの身体が宙へ舞う。
 リミッターを解除したからこそ成せる、数メートルにも及ぶ大跳躍。三本のコードと沼の形成による攻撃を一度に躱す事に成功する。
 そして――この高さからならよく見えるではないか。砂煙の届かぬ高度まで跳躍した視界からは、移動したダーティの補足は容易。
 とはいえ――――このまま落下すれば底なし沼に沈む事には変わりない。増して、跳躍後の無防備な姿勢のまま沈むのだ。生き埋めは必至であろう。
 彼が生還するただ一つの道は、この一跳びの間にダーティの能力を解除させることのみ。

「――あの沼の底へ、素直に沈むことが出来れば。どれだけ楽だろうに」
「だが、俺達【異常者】はつくづく不便なものだ――」

 限界まで力を振り絞った、正しくこちらも【渾身の一撃】。宙で身を捩り回し蹴りを行うと同時、足を自切することで足を飛ばした=B
 特撮作品で行われることの多い、所謂【ロケットパンチ】に近い行為である。常軌を逸した死にたがりの身体能力に加え、人間の足は存外に重い。
 回し蹴りの勢いに加えて重量。命中すればトドメとしては十二分の威力。
 が、これが命中しなければ待っているのは底なしの沼。永遠に光の差さない地の底へ、死にたがりは沈んでゆくこととなる。
 ――けれど彼の倒錯した精神は同時に、その終焉を望んでもいるのだ。
546 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 19:43:41.97 ID:wPsoa1Vi0
>>545
「………これが僕の限界か」

もはや死にたがりは人と呼ぶには強すぎた。
異常な脚力はダーティの包囲網を容易く抜けてしまった。
ダーティは独り絶望と悔しさを感じていた。

上空から放たれた回し蹴り、の威力を乗せた彼の脚。
避ける術など既に無く、軽減するにはコードが足りない。
まるで何よりも深い闇に堕ちたような絶望。それだけだった。

「でも最後まで僕は諦めないッ!」
「それが君への【礼儀】であり、僕自身の【戦士の精神】だからだッ!」
「例え死ぬと分かっていてもッ!諦めないッ!」

子供じみた雄叫びをあげながら死にたがりを睨んだ。
常人程度の身体能力では防げないと分かっていても両手を構える。
死ぬと分かっていても決して恐れはしない。

やがて死にたがりの脚はダーティに直撃し、首から嫌な音が聞こえてくる。
そのまま地面に叩きつけられるダーティ。だが鼓動はまだ続いていた。
脊髄がダメになったダーティはただその場に倒れ込むだけ……
………そのはずだった。

ダーティの体から伸びたコードは意識に反して動き続けていた。
死にたがりはそのまま落下し沼へと嵌る。しかし最後までは沈まない。
途中で沼は元に戻ってしまった。死にたがりを嵌めたまま。

コードはダーティの体を死にたがりに勝手に近づけていく。
そして一本のコードを突き刺し、死にたがりにメッセージを伝えた。

「キミノ セントウノウリョク、ミゴトナ モノダッタ」
「ダガ マダ コノオトコハ、シンデハイナイ」
「コイツハ ツクラレタ ソンザイ ダカラダ」
「トドメヲ サス ナラ イマダ」

「ダガ ココデ トドメヲ サセバ キミヲ コロセル ヤツ ハ イナイ ダロウ」
「ココデ ミノガセバ キミヲ コロソウト マタ ヨミガエル ダロウ」

奇妙なデータを送っているがダーティは確かに意識を失っている。
戦士の精神故[ピーーー]か?故に見逃すか?
ダーティが反撃する気は一切ない。全て自由だ。
547 :日下部藤四郎>>19【動体死力】 [sage saga]:2016/04/24(日) 19:54:03.59 ID:DXTqgoxMo
>>544
――――

意識は閉じ、そして開く
今は先よりははっきりとしている
どうやら、彼は失せたらしい
思い出す、右手に残った感触を
あれでは、死んではいまい
――残念だ
私は、彼を斃さねばならない
彼はきっと、またすぐにでも殺戮を始める
それは、殺してでも止める必要がある
だから、今は眠ろう
少し、疲れた―――

//遅くなってすみません…これにて〆って感じですかね、ありがとうございました!
548 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/24(日) 20:05:20.43 ID:b/rK9kod0
>>547
/いえいえ、お疲れ様でした。ありがとうございました。
549 :病衣の男【エターナルイモータル】 [sage saga 死亡]:2016/04/24(日) 20:35:19.08 ID:NzmPT+td0
>>546
 半ば沼に埋没した状態で、死にたがりは戦闘の終焉を感じる。
 自分はまだ生きている。それは喜ばしいことだ。それは哀しいことだ。
 彼が言い表しがたい虚無感に晒されていた、その時だった。コードからのメッセージが送られてきたのは。

「……やはり、お前もまた【異常者】か」

 最初に見せたような、気味の悪い笑みを浮かべる。
 今度は埋没した下半身から上半身を切り離し、再生した腕でダーティの下を目指して這い寄りつつ――こう告げた。

「成程、成程。確かにこの男ほどの戦士はそうそう居ないだろう、俺を殺せるのは、こいつで最後かもしれない」

「だがな」
「だからといって止めを刺さないのは、【無礼】というもの。そうだろう?」

 彼の殺意は止まらない。己が存在も、他の存在も、きっと彼は全てが憎いのだ。
 完全なる止めを刺す。もう身体能力を強化するだけの力も、刃も手元には残っていないが。
 腕は再生した、殺すには十分。
 
 突然、右手が弾け飛んだ。
 何が起こったかわからずにいると、今度は背が弾け飛んで一面に紅い華を咲かす。――底なし沼に呑み込まれずとも、彼の身体は限界を迎えていたらしかった。
 生々しい音を立てて身体のあちこちが爆ぜる。初めての【死】を前に、男は自らを討ったダーティへ告げる。

「嗚呼。お前には感謝してもし切れないな、【能力者】」
「お前のお陰で、俺はようやく」
「――――死ねる」

 その言葉を最期に。
 夥しい量の血液と肉片を辺りに散らし、彼の存在はこの世から消失した。
 残るは血と肉片の海、その中心にて光る銀の宝石のみ。……それはまるで、彼の墓標のようだった。

//大変遅くなりました、こちらはこれにて〆で。
//絡みありがとうございましたー、楽しかったです
550 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/04/24(日) 20:55:46.76 ID:wPsoa1Vi0
>>549
喋ることすら出来ないダーティ。
意識を失う前に既に死は覚悟していた。
しかし死にたがりの攻撃は届かなかったらしい。

その場に残るのは戦士の血液と死にたがりの血液。
そして激しい爆発で吹き飛んだかのような死にたがりの肉片。
地獄と呼ぶにはあまりに禍々しくが清々しい。

死にたがりが本当に[ピーーー]たのは幸福なのか?
トドメを刺せずに[ピーーー]て後悔はないのだろうか?
彼にも戦士の精神が芽生えていたのだろうか?
理解するにも彼はもうこの世にいない。

そんな路地裏に突然何かが現れる。
それはダーティによく似た姿で宙に浮いていた。
拍手をしながら死にたがりと首が折れたダーティを見つめていた。

「………傍観者だったけど一言」
「見事だったぞ、死にたがりよ」

男が指を鳴らすとダーティの姿が消えていた。
もう一度指を鳴らすとあたりの血液と肉片が消えていた。
そして血液を吸って咲いたかのような深紅の綺麗な花が咲いていた。
その中心で光る銀の宝石はより華麗に輝いていた。
恐らくこの男なりの敬意なのだろう。

両手を合わせて祈るような動作をしながら呟く。

「どこまでも貪欲、どこまでも残酷……」
「能力者も世界もこの花も、全て一緒なのかもしれないな…」

やがて男は突然消えて路地裏は虚無に包まれる。
激闘の後に訪れる静寂はとても冷たい。
だがここで戦った二人にはそれが丁度いいのかもしれない

//ロールありがとうございました、楽しかったです
//私も所々遅くて申し訳なかった
551 :エヴァ>>30【フライド】 [sage]:2016/04/25(月) 01:09:30.46 ID:Fox0CM550
街灯等の人工的な灯火が無く星々が照らす夜空を仰いでビルの屋上から、さらにその隣のビルにまで転々と足場を変えていく
ただ只管に、目的を遂げてやろう…と

「能力者…」


今朝聞いた話だ。
自分の事を信仰している非常に優れた審美眼を持つ信者が言うには
如何やらこの世界にはヒトとしての理を超えた力を持つ者が少数ながらも存在しているらしく、一般人達はその能力者によって度々命の危機に晒されているとか。

要するにこの世界の多くの人々の思考の中では
『普通ではない=能力者』という勝手な偏見があるそうだ。
つまり普通の人間にはない翼が生えている以上、エヴァ自身も天使ではなく能力者の一部として同一に考えられてしまうかもしれない。
このプライドの塊がそんな事実を簡単に納得出来る筈が無かった。

「そんなの…絶対に許さない…!」
「この天使様がそこいらの毛の生えた人間と同等だなんて…!」

だから見極めてやる。証明してやる。
その『能力者』というカテゴリーに自分が分類されるべきなのか、否なのか––––––を
僻見もあるが、能力者は闇の中を好む傾向にあると考えた故のビルの屋上
ここからなら路地裏でも何でも覗き込める…が、勿論奇襲をかけるつもりはない。
卑怯な手を使って証明出来るほど簡単な課題ではない事は百も承知

そもそも、闇夜に紛れるにはこの翼は少し白過ぎた。
552 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/25(月) 01:21:32.97 ID:5dt3Nphl0
・・・・・・・・・・・・・・さて、と。どっかのヲッサン(実際は「青年」だが)の見舞いも終わったし・・・・・・遊びにでも行くか。
【手に巨大な斧を持ちココアシガレットをくわえた小柄な少女が呟く】
・・・・・・・・・・まぁ「遊び」っつってもおれの遊びは「殺し」なんだけどな・・・。
553 :鮎津 桔梗 [sage]:2016/04/25(月) 20:07:45.80 ID:tXdjTjVB0
街の光の届かない路地裏、一人の少女を三人の男が囲むようにして立っていた。
少女は弱気な雰囲気で男達はヘラヘラとにやけた態度で少女をしつこく誘っていた。

「ぁ、あの……私、用事があって……」
『いいじゃんいいじゃん!んなこと気にしないでさー。それより俺らと楽しいことしようぜ〜、……なっ?」
「う、うぅ……」

男達の雰囲気に臆して断ることが出来ない少女、一人の男がその手を握ろうと手を伸ばした。
……良心を持つ者ならば見過ごせない光景が、その日の路地裏には広がっていた。
554 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/25(月) 20:47:49.28 ID:uHId0oxDO
…ここじゃ弱ぇってのは罪なんだぜ?
もしかしたらあいつもクソ【能力者】なのかもしれねえが…何も出来ねえてめえがわりぃんだ、てめえでなんとかしな、あばよ。
【たまたま近くを通った少女はその光景を遠くでみていたが全く助ける気はない様で、そう呟くとそのままどこかへ歩いて行く。】
555 :病衣の男【エターナルイモータル】 [sage saga 死亡]:2016/04/25(月) 21:10:01.29 ID:q8a89cvU0
>>553
//まだいらっしゃいますかね?
556 :鮎津 桔梗 [sage]:2016/04/25(月) 21:10:34.30 ID:tXdjTjVB0
>>554
//すみません、絡む気がないのならロールに反応しないでください
557 :鮎津 桔梗 [sage]:2016/04/25(月) 21:11:07.18 ID:tXdjTjVB0
>>555
//大丈夫ですよ!!
558 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/25(月) 21:13:22.53 ID:uHId0oxDO
>>556
//了解。
559 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga]:2016/04/25(月) 21:21:51.95 ID:q8a89cvU0
>>553

 路地裏の闇へ降り立つ一人の来訪者。
 間延びした調子で響く下駄の音が、然し確かに少女たちの下へ接近する。

「何時の時代でも、こんな連中はおるもんじゃのう」

 色を失った髪、色を失った肌、色を失った服――ただ唯一、紅い瞳。
 絹の如く美麗な髪を揺らして現れた【ソレ】。男とも女とも付かぬ中性的な容姿は、純白の色素と相まって何処か神々しさすら感じさせる。

「これ! 主ら、一体何をしておるのじゃ」
「その娘子は、貴様らのような木偶が触れて良いものではないぞ?」

 町の腐敗が集う路地裏という世界から明らかに浮いた彼の者が、男共へ一喝する。
 悪戯っぽい笑みを浮かべて、然し綽々とした余裕を讃えて。

//ではよろしくお願いいたしますー
560 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/04/25(月) 21:30:27.87 ID:uHId0oxDO
…何か今日静かだなおい…いつもは路地裏行けば何かしらの事はあるはずなんだがなぁ(//さっきの件はボクはみてない事になってます、念のため。)…あぁちくしょう!!!!誰かバラバラに刻んでやりてぇよクソが!!!!!
【髪の毛を両手でかきむしり大声で叫ぶ。】
561 :鮎津 桔梗 [sage]:2016/04/25(月) 21:46:28.27 ID:tXdjTjVB0
>>559

『……ああ?てめえにゃなんの関係もねぇだろ?』
『こいつ生まれてくる時代を間違えたんじゃねえか?喋り方がすげえ古臭いぜ!ババアみてーだな』
『それにだな、俺らはこいつと合意の上で遊びに行くってんだ。お前のそれはお節介でしかねぇぜ、な、そうだよな?」

「うぅ……」

突如現れた来訪者に男達と少女は目を向けた、一喝など意にも介さずヘラヘラと笑みを浮かべたまま男性達は来訪者に近づいていく。少女は男達の言葉をやはり拒むことが出来ず、縮こまっているだけだ。

『分かったら失せな。じゃねえと痛い目を見ることになるぜ』

三人で来訪者を取り囲み、一人が威圧するような口調でそう言った。
562 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga]:2016/04/25(月) 23:04:07.59 ID:q8a89cvU0
>>561
「遊びに行くゥ? 戯けを抜かせ。『女も知らぬ臆病者が、童を使って憂を晴らそうとしている』ようにしか見えなかったぞ?」

 男たちと対峙して尚、彼の者の口元には薄く笑みが結ばれて。
 威嚇を受けてもまるで微動だにせず、あまつさえ彼らをせせら笑っているようにさえ見える。
 そして。

「……のう、主」

 ――「失せろ」と告げた男に向かって突如繰り出した前蹴り。
 彼の者の脚力は特別強いわけではないが、履物は下駄。……おまけに狙いはよりにもよって金的である。まともに受ければ相当な痛みになるだろう。

「汚い口で喋るのは結構だが、その前に我から離れてくれ。臭くてたまらんのう」

 相変わらず軽い調子のまま、十分な毒を込めて言い放った後。縮こまった様子の少女へふと笑いかけて見せた。
 『大丈夫だ』。そう伝えるように。
563 :ネメシス【カラミット】 [sage]:2016/04/26(火) 11:33:59.54 ID:UM3vbzoaO
「…この格好では暑いな…」

初夏の暖かな陽射しに当てられながら大通りを人混みに紛れ歩く黒いローブの女
能力者を探し挑み、己の力を試すための試金石とするため今日も今日とて街を練り歩く
異国風のいでたちとそのじっとり汗ばんだ浅黒い肌、胸元に覗く黒薔薇の刺青からは近寄りがたい雰囲気がありありと
人混みの中、女の周りだけまるで不可視の壁で隔たれているように人に避けられ、まるで結界のように空間が形成されていた
564 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/26(火) 12:05:43.38 ID:q1fR4rNj0
>>563
「不可解。でしたらローブを抜けばよろしいのでは」

人混みの中、形成された結界に事も無げに割り行ったのは法王アルトリアその人であった。
といっても今はランニングでもしていたのだろうか。上下白のジャージ姿で額の汗を首に巻いたタオルで拭う様は完全にジョガーである。
ただ圧倒的な迄に背が高く、そしてその超頭身。明らかな異様であった。
565 :ネメシス【カラミット】 [sage]:2016/04/26(火) 12:15:53.89 ID:UM3vbzoaO
>>564
「…異形……?いや、亜人の類か?」

歩みを止め、見上げるはまるで木々か塔か。自分よりも遥か長大な全高を持つ女性であった
ラフでスポーティな格好には似合わぬ、さながら人外に近い体付きに女は微かに眉を動かした

「私がローブを脱ぎ棄てる時は…血を啜り肉を貪る時だけだ
暑いから。そんな理由で……この黒薔薇を晒したくはないんだ。分かるかな?」

ローブをちらりと捲り、汗ばんだ浅黒い肌を露わにすれば、全身に張り巡らされた漆黒の黒荊の刺青が見えた
これこそがこの女を蝕む穢れであり、汚れた堕龍の血を引き継ぐモノの証であった
566 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/26(火) 12:35:05.17 ID:q1fR4rNj0
>>565
「不敬。確かに私は平均よりも背が高いですが。れきとした人間です」

アルトリアは人を導くべき存在である。当然それは自分でも理解していることだし、そうあらなくてはという責任すらある。
故の法王なのだ。例え自身は血に塗れようとも人類種を思えばこそだ。
そんな人の象徴たるべき法王に対して異形や亜人などとは。アルトリアの顔面は無表情そのままだが、内心多少の揺らぎはあるだろう。
しかしこんなことで法王は怒りはしないのだ。例え法衣を脱いでおり今はただのアルトリアだとしてもその誇りは常にその胸に。
ただ人間味が無いだけなんてことは間違っても言ってはいけない。

「疑問。まるで人を喰らう様な言い方をしますね。
そのイレズミの意味も私には計り兼ねますが。痩せ我慢は良くないと聞きます。無理はしないほうが良いのでは」

基本的にアルトリアは聖職者である。どれだけ狂っていようとも根っこの部分ではそうなのだ。
常に慈悲の心は持っているし、強硬手段である浄化もヒトの未来を願って故のこと。
悪夢を見せるのは穢れしモノや異教徒だけなのである。
567 :ネメシス【カラミット】 [sage]:2016/04/26(火) 12:48:55.00 ID:UM3vbzoaO
>>566
「人間……!?」

自分は人間だと申すアルトリアに、若干の戸惑いと面食らったような表情
驚いた猫のように瞳孔を収縮させ、しかし直ぐにその硬直は解かれる

「そうか…それは失礼した。して貴女は…私がヒトを喰らうと言ったが…私自身、ヒトを喰らうとは一言も申してはいないぞ?
確かに一部は……間違ってはいない。だがいきなり『貴女はヒトを喰らうのか』と尋ねることも…また作法に欠いているとは思わないか?」

確かにいきなり異形呼びは失礼にあたった。しかしアルトリアが返した人喰らい呼ばわりもどうかと思案。苛立ちにも似た感情で心が揺れ動いたが、しかし実際そうであるのだから反論のしようがない
酷く話を婉曲させ、確かにそうすることも認めつつ、しかし自らが穢れであるという直接の表現は伏せる
彼女は本来ならばアルトリアに問答無用で消されるべき、穢れの立場を取っているのだから

「…んぅ」

そうしている間にも陽射しに打たれ続ける体温は徐々に上昇し続け、ついに額からも汗が伝い始める
しかしローブの下も法衣にも似た、漆黒の衣装を幾重にも重ねているのだから、それは至って自然なのである
568 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/26(火) 13:13:30.39 ID:q1fR4rNj0
>>567
「寛恕。そして謝辞を述べます。何やら危うげな表現だったものでつい。
生食家の方でしたか。他者を正しく測りかねるとは。私も精錬が足りぬ様です」

指摘されれば素直に謝罪。しかしその表情は変わらぬゆえに全く申し訳無さそうには見えないが。
だが臍の前で右手の上に左手を重ね組み、そして丁寧に腰を折って頭を下げた。
自身の発言に敵意は無く、同時に自身の発言に対する後悔を顕にした一礼である。

「畢竟。やはり今日の陽気にその格好ではお辛いでしょう。汗が頬を伝っていますよ。失礼」

一言前置くとジャージのポケットからハンカチを取り出しネメシスの顔に滲む汗を拭き取る。
シルク製のハンカチは実に肌触り良く、上品な刺繍の施されたそれはとてもジャージのポケットに格納されて良いものとは思えないがアルトリアにそんなセンスなどない。

「献策。良ければ涼んでいかれますか。私の教会のひとつがすぐ近くにありますので」

どうやらここは法王アルトリアの自治する教区付近のようである。
申し出の通り教会へ行けば冷えた飲料と汗を拭き一時の息休めくらいは叶うだろう。
569 :ネメシス【カラミット】 [sage]:2016/04/26(火) 13:28:47.58 ID:UM3vbzoaO
>>568
「んっ……!?」

「…あ、あぁ…かたじけない…ヒトは見かけで判断するものではないな」

頬へと差し出された右手に明らかに警戒の色を見せ、さっと身構えるネメシス
その頬を優しく撫で、心地良い肌触りとともに汗を吸い取るハンカチの感触にほんの僅かだけだがうっとりと目を細め、しかしハンカチに施された聖刺繍に明らかに顔色を変えた

「…私自身、教会に礼拝出来る程の身分は持ち合わせていない故…
貴女は聖職者であったか、私の…ということは、教会を預かっている訳ではないと。…貴女は…司祭か教区長か…?」

教会に誘われれば、やんわりと自らの身分が卑しいことを伝えて断る
教会に立ち寄れるような身分ではなかったし、邪龍崇拝の教会ですら禁忌として迫害されるべき存在であった身
アルトリアの法においても殲滅すべき存在である。戦士ではなく一介の呪術師に過ぎない女は、敵の懐へとみすみす潜り込む勇気と意欲などなかった
この女性はおそらく高い位の者。教会を持っているという事は、大司祭かそれか教区長程度のものだと当たりをつけて問いかけてみる
570 :ネメシス【カラミット】 [sage]:2016/04/26(火) 13:34:26.59 ID:UM3vbzoaO
//次の返信、少し遅れそうです。すみません
571 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/26(火) 14:10:47.47 ID:q1fR4rNj0
>>569
「肯定。自己紹介が遅れました。私はアルトリア。ここ周辺一帯を自治教区として法王を務めています。
尤もこの様な格好で法務はできませんので。貴公と話す今は只のアルトリアですが」

漸くアルトリアの表情に変化が見えた。僅かであるが、その口元をくすりと綻ばせてみせたのだ。
何故このタイミングで僅かにでも笑ってみせたのか常人からすれば良く分からないところであるが。
恐らく今の自分を只のアルトリアと定義しながらも法王として自己紹介している小さな矛盾が法王的笑いのツボだったのだろう。
因みに口元がほんの少し綻んだだけでその眼は全く笑っていないという異様さにツッコんではいけない。

「無用。憂慮は無用です。我が教義は意思の元にあり。その身分を問うものではありません。
教えの門は万人に開かれるべきであり。異教を説く者にも意思さえあれば我々は受け入れるのですから。
……非礼。今は只のアルトリアと申したというのに。気を悪くしないで下さい。
ただ貴公の体調を案じたが故。休憩が不要と言うのであれば。せめてこのハンカチをお持ち下さい。
流れる汗をそのままにしては。それが元で風邪を引いてしまうのは拙いですので」

すっと半歩下がり少し顔を伏せる。そしてネメシスの手をそっと握るようにハンカチを渡すだろう。
大きい手、細長い指。ネメシスが口にした異形という形容が実に当てはまる。
慈悲深く、しかし人間味の感じられぬその手こそが法王アルトリアの穢れを誅す御手である。
572 :ネメシス【カラミット】 [sage]:2016/04/26(火) 15:06:04.38 ID:UM3vbzoaO
>>571
「…聖職者とあっても、盲目たる傲慢者ではないようだ」

アルトリアの素性を聞き入れればなるほど、と凶星は一度頷きそして静かに微笑んだ
彼女の出会ってきた聖職者は彼女の貧しい身なりを見るなり追い返すような、そんな目先の金にしか興味の無いような人間ばかりであったが
アルトリアも体面ばかりの聖職者でない確証はないが、しかしその細く美しい手を見てなんとなくそんな気がしたのだ
ハンカチを受け取れば何を考えたか、凶星はあっさりと自らの身分をアルトリアに明かした。全身に荊状に刻まれた穢れを纏う堕龍の権化、それが凶星である

「しかとその名聞き届けた…我が名はネメシス。真名では無いが、闇に堕ち穢れた身だ。元の名など、畏れ多くて名乗れない
法王アルトリア…どうかその門戸を開き、救いの光で照らし続け給えよ」

もしアルトリアが戦闘態勢を取ればすっと人差し指を立てて自らの唇に触れさせ、柔らかに微笑んで
今は只のアルトリアなのであろう?そう優しく制し、自ら闘いをけしかけるような真似はしない

「……異形の身に堕ちた者であれ、救いを求める者は多いからね」

次に出会うときは恐らくこのような和やかな雰囲気はもうないだろう
何処かこの邂逅を名残惜しそうに、踵を返しそして消えた

//ありがとうございました〜
573 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [sage saga]:2016/04/26(火) 19:48:50.72 ID:bfLUzGrA0

「……コーンポタージュが一つ、二つ…三つ……」

昼下がりの町並みの一角、野良猫の住処と化した人気のない広場の中央。
少ない彩りを演出する噴水付近にて一人のゴスロリ少女が佇み、床に並べられた黄色い缶を指折り数えていた。
その行為を行うのが幼い少女でなければ、間違いなく不審に思われるであろうそんな光景が広げられる場所。
やがて彼女の発する数字が「六」になった頃、はぁ…っと一際大きな溜息を吐けば少女は天を仰いだ。

「…自動販売機の使い方、…そろそろ覚えないと……」

誰にともなく発せられた言葉を聞いて、野良猫の耳がピクリと揺れる。
言うまでもなくこの街では自動販売機の扱い方など小学生でも知っている常識の中の常識だ。
それが誤って何本もののジュースを立て続けに購入してしまうなど、もはやどうやって生活しているか不安になってくるレベルだろう。
ギンギンに照らし出す太陽を見つめて少女はひとり想う。


――私がこの街に馴染めるのは、一体いつになるのだろう――と…。
574 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/26(火) 23:30:59.00 ID:tAJ24Ipg0
>>573
片手にレジ袋を引っ提げて、この街ではあまり人がいない広場に晴斗は来ていた。
この広場は人がいることが少なく、いるのは野良猫ぐらいなもので昼寝するのには絶好の場所だった。
晴斗は昼寝しようとして公園に入ると缶を地面にを置いているゴスロリの服を着た少女がいた。

「…コンポタ?」

置いてある缶を見てそう呟く。少女の足元には未開封のコンポタが大量にあって、少女は困ったように空を見上げていた。
この広場の自動販売機って当たり機能有ったかな、そんなくだらないことを考えた。
そして彼の性格上困っている人を無視するはずもなく、少女の方へ足を向けた。

「君、どうかしたの?」

少女に向かって優しく声をかけた。
575 :法王アルトリア【勇者】>>15 [sage]:2016/04/27(水) 11:52:39.35 ID:nfOx3lm+0
>>572
「無論。我が門戸は如何なる時も開かれていますよ。言われるまでもなく。
ネメシスさん。貴公の言う穢れが何なのか。私に認識する事は叶いませんが。
己で気付き。その意思さえあれば穢れを祓う事もできましょう。
もし貴公がそれを望むのであれば。意思は私が導きましょう。いつ何時も。私は待っていますので。
貴公の進む道と。次に会えるときを。樂にしていますよ」

アルトリアに名を告げ、そしてその場から去り行くネメシス。
両手を胸の前で組み、瞼を落とし首を僅かに俯けたアルトリアはネメシスの背中に祈る。
終ぞネメシスの言う穢れが何か知る事はできなかったが今は只のアルトリア、徒らに詮索する事は無粋というものだ。
それに彼女が言うように本当に穢れを宿しているのであれば何れ何処かで見えることもあるだろう。
その時が訪れたとすれば、ネメシスの前に立つのは只のアルトリアではないだろうが。

/遅くなりてごめんなさいー
/こちらこそありがたうでしたぁ
576 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/27(水) 14:19:02.89 ID:00qXndKR0
 雨降り頻る鈍色の街、色取り取りの洋傘(こうもり)、独特の臭気が充満する早晨。
 溜息混じる感情が沈殿する雑踏から離れた裏の世界。そこには、
 鮮血と雨水を夥しく浴びた合羽から、白歯覗かす狂気一陣。
 殺しの愉悦に滾らせて、喘ぎ喘ぎ色を帯びた嬌声を漏らす。
 血肉慄える奈落色の路傍。そこに迷い込むのはーー
577 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [sage saga]:2016/04/27(水) 18:14:01.39 ID:4Bee3k4a0
>>574
「……っ…!…、…え……?」

唐突にも自身に掛けられる声にビク、と肩を震わせ声の主を見やるゴスロリの少女。
自分以外に人がいないと思い込んでいたのか、その表情は僅かに驚愕を含んでいるのが分かるだろう。
だがそれも束の間。声の主の顔を目に収めればすぐさま無表情へ戻し、一つのコンポタを手に取り目前へ差し出した。

「あの……何も言わず、これを受け取ってください…」

お願いします、と言葉を添えて深いお辞儀と共に突き出されるコンポタ。
その様子は困っているというよりもむしろ、何かのボランティア活動を行っているように見えなくもない。
どうやら少女は絶賛コンポタ配布中のようで、容姿の関係もあり如何せんシュールな光景となってしまっていた。

//気づくのが遅くなってしまって申し訳ありません……
578 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/27(水) 20:55:48.57 ID:MNUCRat40
>>577

「ごめんごめん、驚かせるつもりはなかったんだ」

驚かせてしまったことを反省しながら警戒しているのか無表情になった少女に話しかける。
なぜコンポタの缶を地面に置いているのか聞こうとした矢先。

「え?あ…ああ、ありがたく頂くよ」

晴斗に向けてコンポタの缶を差し出された。
取りあえず受け取ったが、何も言わずに受け取ってくださいとお辞儀しながら言われたため理由も聞くに聞けない。
だが流石に少女に貰うだけなのは悪い、そう思い何かないかと考えて、いいことを思いついた。

「これのお礼と言っては何だけど受け取ってくれないか?」

少女の目線に合わせる様にしゃがみ、優しく話しかける。
そして差し出した手の中には色とりどりの飴が入っていた。
579 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [sage saga]:2016/04/27(水) 21:14:15.44 ID:4Bee3k4a0
>>578
「ほっ…、良かった……」

自身がこんな状況に陥っている理由も尋ねず、言葉通り何も言わずに受け取ってくれる相手に安堵の溜息。
どうやらこの少女、今に至るまでの状況を説明するのが億劫だと感じたのかこんな風な手段を選んだようだ。
自身の手から離れる忌々しきコンポタを見て、何処か解放感に包まれたような謎の感覚を感じた。

「…え、…あ……飴、ですか……?」

不意に、先程のお礼と言い沿え色鮮やかに彩られる飴の数々を差し出す男性。
少女はそれにピクリと反応を示すも、よくよく考えてみれば自分はコンポタという厄介事を押し付けているだけに過ぎない。
これでお礼を受け取るのはあまりにもアレだった――いわゆる、良心の呵責というものか。

「……気持ちだけ、受け取っておきますね…」

逡巡の末、申し訳なさそうに眉尻を下げてはふるふると首を振った。
知らない人から物を貰ってはいけない、そんな常識を歪んで捉えてしまった結果がこの有様だ。
580 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/27(水) 21:45:04.37 ID:MNUCRat40
>>579

「気持ちだけでも貰ってくれてありがとう」

首を振った少女に笑顔でそうかえす。
正直、飴を受け取って貰えなかったのは予想外だったがそれと同時にしっかりしていると思えた。
晴斗はこの街の子供たちにお菓子をくれたりしているがどの子も初対面でも受け取っている。
だからこそ初対面で飴を受け取らなかったこの少女がしっかりしているように見える。
だからこの子の親はよほどしっかりしていると考えた。

「君はしっかりしているんだね」
「君がこれだけしっかりしているならご両親もしっかりしているんだろうね」

そう少女に笑顔で語りかける。
581 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/27(水) 22:10:47.54 ID:4Bee3k4a0
>>580
「…両親、ですか……
 ……そう…なんでしょうかね……?」

両親がしっかりしている、そんな男性の言葉に対し少女が返したのはなんとも曖昧な答え。
普通の子供ならば親が褒められたのならば鼻を伸ばしてそうだろうと同調するか、そんな事ないと生意気に返すのが一般的だろう。
しかしこの少女は語尾に疑問符を付けて、あろう事か男性へ聞き返してしまうという行為に走った。
無論そんなことを知っているのは、手塩にかけて育てられた彼女自身しか居ないのだが――

「でも、私……父と母が、好きです…」

すっかり冷めてしまったコンポタを片手に、何処か遠くを見つめながら少女はそう小さく零す。
やがて幾分か落ち着いた様子で噴水の淵に腰を掛ければ、男の視線も気にせずズズ、とコンポタを啜る音を響かせた。
582 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/27(水) 22:29:40.25 ID:MNUCRat40
>>581

「……そっか、幸せ者だね君の両親は」

そう返した後、自分もコンポタに口を付けて噴水の淵に腰を掛けた。
少女の話を聞いた晴斗は自分の両親はどんな人だろうか考えていた。

「……両親、か」

おそらく今とってもひどく怖い顔をしているだろう。
過去に一度だけ自分の両親を名乗るホームレスの夫婦がいたがその夫婦は自分が手をかけて殺した。
それが本当の両親かどうかはわからない、だけど自分はもし今目の前に両親が現れたとしても他人という感情以上のものは抱かないだろう。
そこまで考えたところで自分が中身の入っているコンポタの缶を握り潰していたことに気が付いた。そして少女がいたことを思い出し慌てていつもの顔に戻す。

「うわぁ!やっべぇ…落ちるかなこのシミ…」

583 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [age]:2016/04/27(水) 22:50:08.11 ID:4Bee3k4a0
>>580
「……わ、…だ、大丈夫…ですか?」

ぐしゃりという歪な音が隣から響いたかと思えば、目に入ったのは男がコンポタを握り潰している光景。
無論男の苦悩や過去を知る由もない少女からすれば、掛けられる言葉は心配の言葉のみ。
相変わらず表情の変化は乏しいものの、男の服にシミを作るその液体を見てはとさっ、と地面に足をつけて向き合い、

「あの…よければ、これ……どうぞ」

ゴスロリ服のポケットを漁り、差し出したのは黒と白のシンプルなデザインをしたハンカチ。
言うまでもなくその程度の布では表面の液体は拭えても、服に染み込んだシミ自体はどうする事もできないだろう。
だが、それを伝えるには少女はあまりに世間知らず。純粋に良かれと思って行った行為。
結果的にシリアスな雰囲気を漂わせる男へ少女は、コーンポタージュは嫌いなのかな?などと何処かズレた感想を胸に抱いた。
584 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/27(水) 23:24:11.86 ID:MNUCRat40
>>538

「ありがとう助かる…」

そう言いながら差し出されたハンカチを受け取り表面のコンポタをふき取る。
何をやっているんだろう。この少女には迷惑をかけるし、くれたコンポタは潰してしまうし。

「折角このコンポタをくれたのにこんなことにしちゃってごめんね」
「はぁ…」

思わずため息が出た。
そして貸してもらったハンカチを返してシミの付いた上着を脱ぐ。
そこで彼は時計をふと見ると3時を指していた。

「よし!」

大きく声を出す。

「ちょっと付き合ってくれ」

そう言いながら少女をお姫様抱っこの体勢にして持ち上げる。
人が見たら誘拐犯だと思われるだろうが彼には気にせずに自分のことを話す

「俺は夜霧晴斗だよろしく頼む」

そう言い終えると彼は少女を抱きかかえて走り出した。

___________________________________

数分後、彼らはスイーツ店内の席に座っていた

「好きな物を頼んでくれ」

ここまで連れてきた張本人が向かいにいる被害者の少女に話しかけた。
585 :モニカ・アレジャーノ・ラフエンテ>>29【知識の魔導書】 [sage saga]:2016/04/28(木) 00:50:05.69 ID:VLCc/szk0
>>584
//すいません、あまりに脈略の無さ過ぎる展開な上眠気が限界なので〆させてください……
//それと、抱きかかえるなどの確定行為はキャラによっては嫌悪感を抱く場合があるので控えるようお願いします
//ロールありがとうございました
586 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/28(木) 07:48:22.44 ID:50U3lHH/0
>>585
//こちらこそすいませんでした。ロールありがとうございました!
587 :ガラクタ【電脳神】 [sage]:2016/04/28(木) 18:18:41.97 ID:yjDi0hAA0
怖い、ただそれだけだった。
僕はひたすらに走り、逃げ続けていた。
どこから現れるか分からない恐怖から子供のように怯えて。
頭を両手で押さえながら、がむしゃらに路地裏を走り抜ける。

「怖い怖い怖い怖い怖い怖いぃ……!」

口から勝手に言葉が飛び出ていく。
普段なら蒼く光っている体も恐怖からか紅に変わっている。
人の世界に似合わないブロックの体を小刻みに震わせ。
目を瞑って何も見ないようにして、ひたすらに走る。
588 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/29(金) 13:12:22.38 ID:XjU/pduYO
陽光は萌え緑を輝かせ、初夏の柔風は街を吹き抜ける
そんな季節の表舞台から取り残された路地裏、闇の領域の支配下
染み出す様に現れては大鎌を振るい練り歩く影

【それは、闇を従者に現れる】
589 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/29(金) 15:30:50.18 ID:ynU/YTcy0
>>588
 ずばん、ずばん。風切り音と切断音、小気味好い殺しの快音。
 街の隅で闇に染み出す輪郭のない影、大鎌携えたその姿はまるで死神。
 一方、現る血塗れの合羽。雨降りでもなしにそこに身を包む意味は不可思議。
 死の匂いを嗅ぎ取った。恐らく己とほとんど同義に属すもの。
 弱肉強食は自然界に於ける掟、これははからずも暗黙知。
 縦しんばそうでなくとも少なくとも彼に於いては唯一無二の規律。
 ならば

 重心前傾踏み込むイチ、ニ。接敵叶えば狙う喉元、ハサミは大股最大開脚。
 裏の舞台に咲かせてみせよう、闇まで喰らう悪の華。

/まだいらっしゃいましたらぜひ
590 :【死神】制服姿の女生徒 [sage]:2016/04/29(金) 15:48:33.92 ID:i8eyRtnkO
>>589
//今からだと時間が余り取れなそうなので、折角ですがすみません
591 :【ジーザスシザーズ】目のイッた男 [sage]:2016/04/29(金) 16:09:33.11 ID:ynU/YTcy0
>>590
/了解しました
/ではまた別の機会にぜひ
592 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/29(金) 21:21:41.88 ID:yplw0PJb0
とある公園。
夜中の人気のないそこに、メガネ少女がベンチに座って缶のカフェオレをかなりのハイペースで飲んでいる。
今日の夜はやけに寒い。故に無意識に温かい飲み物の進みが早いのだ。
小さなカフェオレは3〜4口で飲み干された。

「はぁ……あったかい……かなりぬくもりを感じるよぉ…」

温かさにありがたみを感じつつ、空き缶を捨てようと、ゴミ箱を探す。
見つけた籠型のゴミ箱は彼女から5m以上離れたところにあった。
投げてもなかなか入りそうな距離ではないにも関わらず、おもむろに少女は空き缶をポイッとゴミ箱の方へ放る。そしてベンチに座ったまますぐに右腰にある拳銃に手をかけ、ホルスターから抜き空中の空き缶へ照準を合わせる。1発の銃声が公園を満たした。

「……うわぉ!天才かよ私!」

銃弾に弾かれ綺麗な放物線を描いてゴミ箱へ入っていく空き缶は彼女の高い射撃センスを物語った。
少女は撃った銃をくるくる回して自画自賛。
593 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 10:49:38.35 ID:tvRy1Wvb0
>>592
人が寝静まった夜中、肌寒い今日に公園の近くの夜道を走る人影があった。

「やばい、早く帰らねえと」

自分の腕にある時計を見ながらそう呟く。
前までは別に問題なかったが今は違う。新しくできた家族がいるのだ。
そして公園の前に差し掛かった時にそれは起きた。

「うお!」

一発の銃声と共に目の前の壁に銃弾が当たったからだ。
少し逸れたら自分に当たっていた銃弾は公園のベンチに座っている主へと敵意を向けるのに十分だった。
晴斗は石を使って刀を作った後公園に飛び込むようにして入り、敵意を剥き出しにして、ベンチに座っている女へと視線を向けた。

「いったい、何のつもりだ」
594 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 11:09:25.81 ID:hM1ry6wH0
>>593
お腹すいたしさっさと帰ろう、と思いベンチから立ち上がった少女は自分に向けられる剥き出しの敵意に気づく。
敵意の方へ視線を向ければ、そこには刀を持ち此方をオッドアイの瞳で睨みつける男が。

「へ?ななな、何をそんなに怒ってらっしゃるの!」

そんな男を見た少女は目を丸くして驚いたのち、バッと両手を軽く上げこっちには敵意がないことを示す。
自分が何の気なしに撃った銃弾が流れ、男に命中しそうだった。なんて知る由も想像する由もないようだ。
595 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 11:38:33.66 ID:tvRy1Wvb0
>>594

「何を怒ってる…?」
「あんたが俺の目の前に銃弾撃ち込んだからだろうが!」

晴斗は目の前で両手を上げてる女に向かって怒鳴る。ちなみに撃たれてもいいように刀は抜いてある。
こっちは死ぬかもしれなかったのだ、これぐらいは許されるだろう。
そう考えた後お説教が始まった。

「いいか!よく聞け!」
「俺はあんたに殺されかけたんだ!その腰にある銃で!なぜ撃ったかは知らないが撃つ場所確認せずに撃つなんて子供に当たったらどうするつもりだ!」
「それにだいたい…」

公園の中に説教の声が響く。女が何もしなければあと1時間は続きそうだ。
596 :神谷茜 >>37【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 11:50:27.63 ID:xOgjB3NUo
少女は拳を構え、一人の男が地に伏し、流血していた。
図太い断末魔の後、殴打の鈍い音が路地裏に響いた。
制服姿の少女は血の付着した拳を振るい、血を撥ねのけた。

「嗚呼、調度良かった。帰りに出会うなんて、思ってなかったけど。」

少女にとって、一人の男はただの標的にすぎなかった。
[ピーーー]だけで簡単に金が手に入る世の中、少女は殺し屋だった。
ふう、と一息ついてスクールバッグを拾い上げる。

「さて、長居は無用。早く此処から離れよう。」

カッターの胸ポケットからスマートフォンを取り出す。
事切れ、頭頂から脳漿をぶち撒けた様相を見せる男の写真を撮る。
シャッター音だけが響く。カシャリ、カシャリと。

さて、少女のカッターには僅かに返り血が付いている。
図太い断末魔は確かに遠くまで響いたことだろう。
――さて、きな臭い路地裏に訪問者はいるか。
597 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 11:58:44.24 ID:hM1ry6wH0
>>595
「は、はぁ…」

偶然流れ弾が当たりそうだったなんてミラクルだね!すごい!なんて言える空気でもないので少女は男の話を聞く。
適当な性格な彼女。故に何をするにも、例えば銃弾一つ撃つのにも特に深くは何も考えていないのだ。

「………あー、うんうん、わかったわかった!私が悪かったよ!ごめんね!自販機のジュースでも奢ったげるから許して?」

男の説教を10分か20分か聞いた。しかし少女の体感時間的には1時間くらいで、自分が悪いのだが流石にうんざりした少女は適当にペコペコして無理やり説教を終わらせた。
598 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 12:05:06.65 ID:tvRy1Wvb0
>>597
「わかったならいい…あとジュースは奢らなくても大丈夫だ」

無理やり終わらせられたがいい薬にはなるだろ。そう考えしぶしぶ説教を終わらす。
そして今一番気になっていたことを聞いた。

「なぜ銃を発砲したんだ?暴漢でもいたか?」

599 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 12:18:51.89 ID:pmLqEoMe0
>>596
生を懇願するように図太く、反響を繰り返す断末魔。
この街の”裏”とも称される路地裏を伝い響き渡ったそれは、確かに”来訪者”を呼び出した。
生暖かい春風に外套を揺らし、闇に紛れる程の黒装束を纏うその男は――NINJA。

「暫し、待たれよ」

路地裏に響くのは断末魔ではなく低い声色、共に放たれる威圧にも似た何か。
鮮血に濡れるコンクリートを踏みしめて一歩、また一歩と少女へと距離を詰めていく。
この惨状に現れた異端者は、ただの迷子という訳ではない――と、少女ならば気付くだろう。

「この惨状は、御主の仕業でござるか?」

もはやその問は意味を成さない、少女の服装に付着した返り血が何よりも物語っている。
背に提げた巨大すぎる剣に手を掛けて、ニンジャの双眸は静かに少女を見据えていた。
600 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 12:19:44.89 ID:hM1ry6wH0
>>598
説教が終わったことにほっとひと安心。適当な性格故に説教なんて何百と聞いた。彼女にとって長い説教を聞くことほど面倒なことはない。

「あー、えっと……空き缶捨てよと思って…
ゴミ箱遠かったからさ、弾で弾いて、ね?」

男からの質問。少女の回答はとても不可解なものだろう。
わざわざそんなことのために銃を使うのかと思うかもしれないが、それもまた彼女の適当さなのだ。
601 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 12:36:52.87 ID:tvRy1Wvb0
>>600
「はっはっは、そうかそうか缶を弾くために銃を撃ったのかー」

笑いながら目の前の女性に近づく。
普通の人ならば彼女の銃の腕をほめるだろう。
だが彼は彼女に制裁のチョップを当てることしか考えてなかった。

「って馬鹿かあんた!」

当たったら痛そうなチョップを脳天めがけて振り下ろした。
602 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 12:58:22.29 ID:hM1ry6wH0
>>601
「うへぇ!いたい!……」

とっても痛い制裁チョップが少女の脳天に直撃。少女は涙目になり痛い頭を抱える。

「だってわざわざ歩いて捨てるの面倒っちいし……銃使ったほうが私は楽だもん…
君もその刀、物とか取る時使わない?使うでしょ?」

一つの物でも本来の使い方の他に用途を見出せばお得という考えのようで、ゴミを捨てるのにも銃という便利なものがあるのなら使わない手はないと言う。
そして少女は男の持つ刀を指して自分と同じようなことをするでしょ、と問う。
603 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 13:21:41.00 ID:tvRy1Wvb0
>>602
「使わねえよ、基本持ち歩かないし」

頭を抱える彼女に向けてそう言う。
因みに晴斗の言ってることは本当である。
なぜなら持ち歩くのは鞘だけだから。軽いとんちであった。
それに刀をそんな風に使うのは刀を使う者して恥ずべき行為と認識しているためでもある。
だからこそ彼女に言い放つ。

「見たところその銃を大切にしているんだろ?だったらそんな使い方するな価値が下がるぞ」
604 :神谷茜 >>37【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 13:34:06.99 ID:xOgjB3NUo
>>599

背後で、足音がする。
少女の耳は其の足音を逃すはずがなかった。
ただでさえ風きり音しか聞こえぬ路地裏に、其れは異様であった。

「ッ、貴方、誰?」

黒装束に身を包む男。見た目は正に忍者であった。
威圧感とともに放たれた声は少女に警戒を与えぬ筈がなかった。
小さく舌打ちをひとつ。仕事を邪魔する"クソ共"に鉢あったのだと確信した。

「・・・、ええ、そうよ。これは私がやった。」

無理に隠し通すよりは、早く言い切ったほうがいいことが多い。
自らを正義だと誤信している"クソ共"にはいい手の一つ。
ただ、[ピーーー]かと問われれば仕事を邪魔されたわけでもない為[ピーーー]気もない。

「さて、私の仕事はもう終わった。貴方は、どうするの?」

スクールバッグを肩に掛けた少女は眼前の男に問う。
ジリジリとこちらに寄り来るのを厭わず、忍者の目線を馬鹿にするかのように無視する。
少女の仕事は終わった。男の仕事は、果たしてあるのか。
605 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 13:44:33.80 ID:hM1ry6wH0
>>603
「そんなことないよっ、私の銃の価値は私が決めるしっ」

少女が銃を大切にしているのは確かだが、本来の使い方じゃないような使い方をしてもそれで価値が下がるということはない。と少女は思っている。
射撃について何か全うな型や心得があるわけではない、つまりは少女の使い方が少女にとってのその銃の使い方なのだ。

「……ところでオッドアイ君はなんで物騒な刀を持ってるの?邪魔じゃない?」

少女も少し気になっていたことを問う。
武器として銃を持ち歩く少女にとって刀は不便に思えたのだろう。
606 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 13:48:29.91 ID:pmLqEoMe0
>>604
「……仕事、でござるか……」

今し方殺害を終えたであろう少女が、何の気なしに言い放った言葉にニンジャは拳に込める力を強める。
彼自身この世界の”裏”というものは知っているし、その目で見た数も数え切れない。
しかし、それを黙って見過ごすかと問われれば絶対に”No”なのだ。

「御主が人を殺めるのが仕事なように、拙者の仕事は人を救うことでござる」

続けられる言葉は相対の証。少女はもう、この男を無視することはできない。
少女が殺し屋であるようにこのニンジャは人を生かす事を業としており、それが彼の生き様だ。
正義と悪ではない――各々の”意志”と”意志”のぶつかり合いが、今始まる。

「故に、これ以上御主に人を殺めさせぬよう――ここで止める」

しゃらん、無骨な大剣には似つかわしくない程澄み渡った金属音を鳴らし抜刀。
向けられた鋒は少女を示し出し、降り注ぐ月光がまるで包み込むように刀身を照らし出す。
互いの和解は不可能、ならば自然と行われるのは――衝突だ。
607 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 14:35:38.07 ID:tvRy1Wvb0
>>605
「オッドアイ君じゃない晴斗、夜霧晴斗だ」

名前を修正した後能力について話すかどうか考える。銃の腕からして彼女は能力者である確率がある。
もしこの少女と戦闘となった場合能力が知られてしまっては勝つことが難しいだろう。
彼は良い人という名の一種の馬鹿であるが頭はよかった。

「ああ、この刀は俺の能力みたいなもんだ」

嘘と真実、彼が使ったのはそれを合わせることにより相手をだますテクニックである。
608 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 14:49:34.67 ID:hM1ry6wH0
>>607
「んぁー、ごめんごめん、晴斗君ねっ」

初対面の人にはその人の特徴をピックアップして呼んでしまうのは彼女の癖だ。しかし名前を教えてもらえればそれで呼ぶことにしている。

「ふぅん、能力……どんなの?」

能力干渉していない普通の拳銃を使い、自分の持つ能力もあまり使用しない少女は自分が能力者という自覚は人より少ないようで、男の言葉を疑いなく信じ、それに興味を持った。
609 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 14:59:51.44 ID:tvRy1Wvb0
>>608
「うーん、簡単に言えば刀をどこでも出せる能力かな」

刀を持つのも疲れてきたので鞘に戻し、能力の詳細は隠し少女に伝える。
そこで少女の名前を聞いてないことを思い出す。

「そういえば君の名前はなんていうんだ?」
610 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 15:20:29.84 ID:hM1ry6wH0
>>609
「へぇー!それってすごくないっ?便利そうっ」

男の能力を聞いて少女は関心した様子で話す。
刀を自由に出せる能力。そんな能力をもし彼女が持っていたなら、先程言った通り物を取るためや、料理の食材を切るために使いそうだ。

「あ、名前?ヘルガって呼んでくれていいよ!」

男から名前を問われる。殺し屋のような仕事をしている以上、名前を知っている人間はいないほうがいいのだが、極力誰とも関わらないのは性に合わないようで、友好的に笑顔で答えた。
611 :神谷茜 >>37【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 15:31:18.70 ID:xOgjB3NUo
>>606

「ええ、仕事以外の何物でもないわ。」

それ以外弁明のしようがない。
最早怪しまられている以上、そうしか言えない。

「へえ、そんな偽善のようなことして正しいとでも思ってるの?」



612 :神谷茜 >>37【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 15:38:09.17 ID:xOgjB3NUo
>>606

あくまでも、正義というのは"和"を騙る"不和"に過ぎない。
少女は彼とは一切相対するものなのだろう。

「やる気なら・・・、私も[ピーーー]わ。」

彼が剣を構え、敵意を表に顕にしたとき、少女はスクールバッグを投げすてた。
地面を強く蹴り、彼へと迫る。
少女の攻撃は、近付かねば放てない。死体の状況から気付けるか。

//すいません、途中送信です…
613 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 15:38:51.99 ID:tvRy1Wvb0
>>610
「おう!よろしくヘルガ」

こちらも元気よく返す。そこでなぜヘルガは自分の目が見えていたのが気になった。
晴斗はこのオッドアイを嫌っており髪を長くして目を隠している。そのため知り合いからは、目線が分からないから不気味と言われる事がある。
能力によるものかといろいろ考えたが結局、本人から聞けばいいかという結論に達した。

「なあ?何でヘルガは俺がオッドアイってわかったんだ?」
614 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 15:59:53.25 ID:hM1ry6wH0
>>613
「んー、なんでだろう……綺麗で目立つからじゃないかなっ!…なんつって!」

眼はその人間の意図や気持ちを表す。それが人間以外の動物でもそうだ。元狩人の彼女は敵意を向けられた時、相手の意図を読む読めないに関わらず、まず眼を見る。それを無意識にやるほど癖として身体に染み付いている。
それで晴斗に敵意を向けられた際に長い髪の隙間から黒と赤の瞳を確認したのかもしれない。
無意識の行動なので本人にもよくわかっていないようで、笑顔のまま軽い冗談を返した。
615 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 16:34:46.24 ID:pmLqEoMe0
>>611>>612
「拙者の名は月影虎次郎……いざ、勝負ッ!!」

地を蹴る少女に続き、コンクリに足跡を残す勢いでニンジャも駆け出す。
決して近くはなかった距離は猛烈な勢いで狭まり、互いの能力効果の範囲内となった時。
先に攻めたのは少女ではなく、大剣を構えるニンジャだった。

「はぁッ!!」

互いの異能は不明、唯一分かるのはその危険性のみ。
少女の元へと肉薄すればニンジャは疾駆の勢いを殺さぬまま、斬り上げの要領で剣を振るった。
闇夜に剣閃を残し飛び交う斬撃は並大抵のものではない、少女はどう対応するか。

//遅れてしまってすいません
616 :神谷茜 >>37【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 18:16:25.06 ID:xOgjB3NUo
>>615

「名乗ってから敵へ突っ込むなんて、古風な人。」

古来からある風習のような其れ。
攻撃開始のタイミングをほぼ正確に相手に伝えてしまうデメリットしかないと少女は考える。
ともかく、眼前の相手は正に瞬速ともいえる速度でこちらに迫る。

少女に肉薄してきた彼が放ったのは逆袈裟の要領で放たれる斬撃。
なに、驚くまでもない。刀やら剣やらを用いる相手は仕事柄嫌というほど見てきた。
肉薄する刃を、バックステップをとって簡単に回避する。

「剣を使うなんて、私にとっては馬鹿みたいだわ。」

彼の向こうへと駆け出す。
脇を擦れ擦れにすれ違うほど近距離で接する。
通り掛け、放たれるは右手での裏拳。強力な殴打を伴う其れ、破壊力は抜群。
617 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 19:15:53.71 ID:pmLqEoMe0
>>616
「確かに、御主にとってはこの剣は馬鹿とも言えるかも知れぬでござるな……」

勢いを乗せた剣戟をいとも容易く回避された事に僅かに眉を下げつつ、すぐさま体勢を立て直し一瞥。
見れば少女も先程の自分と同じく駆け出し、肉薄せんと迫っているのが伺えた。
接近と呼ぶにも近すぎる距離から振るわれる裏拳は、確かに威力も込められており直撃すれば只では済まないだろう。
しかし、互いの身体能力に”壁”はない――

「――だが、馬鹿になるというのも案外悪くないでござるよ」

瞬間、強烈な打撃を目にも止まらぬ速さで剣の腹にぶち当て、その衝撃を殺しきる。
キィーン……と残響を残す金属音がその衝突の鋭さを遺憾無く表していた。
そしてこうなれば今度はニンジャの番だ、攻撃直後である少女の腹部めがけて素早い足刀を放つ。
それが直撃すれば大剣での追撃、回避されれば一度距離を置くために数歩分間を空けるつもりだ。
618 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 20:42:36.71 ID:tvRy1Wvb0
>>614
「綺麗?」

そんなことを言われたのは初めてだった。だからこそ何を言っているんだろうというのが素直な感想だった。
幼い頃、児童養護施設以外の人が自分のこの目を見たら人は気味悪がり罵声を浴びせられた。
化け物だの気持ち悪いなど不運を呼び込むなどだ。
極め付けには何かの宗教に入っていたのか悪魔の生まれ変わりだ穢らわしいと言いながら殺されそうになった事がある。
そのころだった目が見えないように髪を伸ばし始めたのは。
だからこそヘルガに言われたことが一瞬理解できなかった。そして理解した同時に自然と顔が笑顔になった。
その笑顔は彼女に見せた顔で一番明るかった。

「そうか、冗談でもうれしいぜ」
619 :ヘルガ・ヘルストリーク【バレコン】>>32 [sage]:2016/04/30(土) 21:44:16.34 ID:hM1ry6wH0
>>618
「ん、喜んでくれたなら私も嬉しいよっ」

眩しい笑顔にヘルガも髪越しのオッドアイを見つめて微笑み返す。
楽観的で社交的な彼女はどんな異質な存在にも偏見や嫌悪は抱かないだろう。むしろそういった存在は興味深いと思い追求するかもしれない。

「…おわっ、こんな時間っ…!もう行かなきゃっ
じゃーね晴斗君!またね!」

ふと公園の時計を見る少女。晴斗に出会った時のように目を丸くして驚き、ズレたメガネをかちゃりと指で直す。
この後はさっさとご飯を食べて"依頼"をこなさなければならないのだ。
晴斗に別れの言葉を言って腰のホルスターをガチャガチャ鳴らしながら急ぎめに走って行った。

/ありがとーございました!
620 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/04/30(土) 22:02:41.41 ID:tvRy1Wvb0
>>619
「おう!またなー!」

慌てて走る彼女に見えなくなるまで手を振る。
その顔はどこか晴れ晴れとしていた。

「髪…切るかな…」

そう呟いた彼の髪に隠れた右目はもう濁り切った赤ではなく、幼い頃と同じ宝石を連想させる様な鮮やかな紅色だった。
そして彼も大切な家族が待っている家へと歩き出す。歩く彼の上には鮮やかな紅色の星があった。

因みに帰ったあと大切な家族にすねられてご機嫌をとるのはまた別の話である。

//こちらこそありがとうございました!!
621 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 22:17:47.14 ID:kohwuLxJo
>>617

「ええ、剣やら銃やらを使う奴等は馬鹿としか思えないの。」

道具を使う、ということは少女にとってあまり好ましいことではない。
自らの拳で戦えぬものが使う、卑怯な道具としてそれらを批判しているのだ。

「ぅぐっ、やるわねェ・・・ッ!!」

威力を込め放たれた裏拳。瞬速の一撃は確かに放たれた――
だが、相手の剣捌きも嘗められるものではなかった。
少女の裏拳は、男の剣の腹にぶち当たることとなった。甲高い金属音が韻を残す。

そして、男の足刀が少女の腹を襲う。
「がふゥ・・・ッ!」と吹き飛ばされた少女はドサリと背から地に落ちる。
制服が泥に塗れる。だがそんなことは気にしていられない。眼前には男が迫る。

「もう、形振り構ってられないわね・・・」

少女は虚空へ指をパチリと鳴らした。
刹那、時空が"動きを止める"。たった五秒間だけの、自分の世界。
少女は男の背後へと急ぎ回りこむ。男は此の不意討ちに対応できるものではなかろうて。

「ねえ、私は此処。」

五秒後。再び時は"動き出した"。
少女の勢いを載せた拳は、男の脇腹めがけ背からストレートが放たれる。
肉にめり込み、そして肉を断つかのような強烈な一撃。男は対応できるか。

//すみません、遅くなりました・・・
622 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 22:48:17.52 ID:pmLqEoMe0
>>621
ぶぉんと、盛大な風切り音を鳴らし振るわれる大剣の一撃。
それは確かに足刀により怯んだ少女を捉えその身を切り裂く――筈だった。

「な…――ッ!?」

しかし、ニンジャの大剣が捉えたのは少女ではなく大気。必殺の一撃は空振りを決めることとなった。
回避された、などという言葉では済まされない。目前から少女の姿が”消失した”のだ。
当然ながら空振りと驚愕の隙は拭えない、背後からの気配に気づいた頃にはもう遅い。

「ご、…はァっ……!!」

繰り出される拳の一撃はニンジャの脇腹へ直撃し、想像を絶する威力にえずく間もなく数m吹き飛ぶ。
まるで棍棒か何かで殴られたような衝撃から身を戻すことは簡単なことではなく、地に転がったまま呻き声を上げるニンジャ。
だが立ち上がれないわけではない。大剣を支えにするように立ち上がれば、少女へと睥睨を決めた。

「――火遁の術」

そして静かに、小さな呟きが溢れでたかと思えば地に刺さる大剣の刀身に宿るは灼熱。
無骨な刀身は紅蓮の色に彩られ赤熱し、突如ぼわっ、と膨大な量の火炎が剣を形創る。
未だ身からは激痛が引かない。しかしその足は確りと地を踏み、燃える鋒は少女へと向けられた。
623 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 23:03:48.80 ID:kohwuLxJo
>>622

少女を切り裂くはずの刃は、空を斬った。
そして少女の殴打は確かに男の脇腹へ放たれ、見事に男は飛んで行く。
だが、油断はできない。相手はまだ"死んでいない"し、"動けなくなって"いるわけでもない。

「ッ、属性魔法・・・!」

ボウッ、と灼熱に彩られた炎が刀身を熱し、火炎が剣を形取る。
相手の身体からは激痛が引かぬようだが、未だに立てる体力はあったのだ。
あの炎に灼かれては一溜まりもない。冷や汗が額を伝う。

「まだ、貴方が倒れた訳じゃないから。」

身体能力は、おそらく彼とは同等のものだろう。
なら、彼の得物が相当の重量があると仮定して、先ほどと同じようには行かないはずだ。
彼は確実に消耗している。少女にとって、勝負を決めるチャンスはいまだと確信していた。

男の周りをぐるりと円を描いて旋回するかのように走る。
そして、彼の動作に遅れが見えてきたのならば、一気に接近して足払いを掛け、男を地に倒させる腹積もりだ。
これが取らぬ狸の皮算用となるか、はたまた功を奏するか。
624 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 23:27:37.16 ID:pmLqEoMe0
>>623
「…………」

自身の周りを旋回しだす少女を、冷静に見極めるニンジャ。
痛みは大分落ち着いてきた。動けないほどではないし、精神を研ぎ澄ますには申し分ないだろう。
だが万全な状態とは言えない、互いに一撃を貰っている状態だがその度合いは此方のほうが大きいのだから。

「……御主、”慣れている”でござるな」

そうぼそりと呟くニンジャは、まるで何かを諦めたように一気に肩の力を落とす。
灼熱の大剣は地に突き刺さり、戦意喪失をしたようにも見えるその姿は間違いなく少女にとって”攻め時”だ。
自身が付いて行くのは不可能と悟ったのかはたまた意思を投げたのか、それを知るのはニンジャ自身だけ。
そしてそんな隙を少女が見逃すわけもない――目にも止まらぬ接近し、放たれる足払いは容赦なく決められた。


「――敵ながら、あっぱれでござる」


だが、それは”誘い”。
敵の前で旋回するということは即ち攻め入る隙を狙っているということだ。
ならば逆にそれを利用してしまえばいい――少女が何度も死線を越えているのと同じく、ニンジャもその道を歩んできている。
剣を捨て身軽となった身は足払いを跳躍により躱し、同時に空中からの回し蹴りをカウンター気味に解き放つ。
空中という限られた場所からの反撃ゆえに狙いは付けられたものではないが、この距離ならば行動を起こさなければ直撃は避けられない。
625 :神谷茜 >>37【エゴリア】 [sage]:2016/04/30(土) 23:32:46.06 ID:kohwuLxJo
>>624

//申し訳ありません、眠気が限界でして…
//明日には必ず返せます故、凍結して頂いてもよろしいでしょうか?
626 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/04/30(土) 23:33:49.04 ID:pmLqEoMe0
>>625
//了解です、では明日に持ち越しましょうっ
627 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/05/01(日) 20:31:12.40 ID:9oH9voONo
>>624

「ええ、何人もを屠ってきましたから。」

仕事柄、人を[ピーーー]以外の任務などありもしないのだ。
だから、慣れているのは自然なことで、しかたがないことで片付けられるものだった。

不意に彼の動きが止まる。灼熱の大剣は地に突き立てられた。
肩を落とし諦めるような表情を見て、好機は来たれりと一気に男との距離を詰める。
そして足払いは確かに放たれた――

「嘘ッ・・・、ゥあがッ!?」

誘いに乗らされてしまったのだと、後悔した。
鷹は弱った敵を狙うのに長けるが、逆にその習性を利用されることもある。
カウンター気味に放たれた蹴りは鳩尾に入り込み、抉る。少女は吹き飛ばされ、落ちた。

「ぅぐうっ、まだ、まだよ・・・
628 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/05/01(日) 20:32:41.32 ID:9oH9voONo
「うぐうっ、まだ、まだよ・・・!」

少女は大きな負傷を負った。腹部に手を当て、よろよろと立ち上がる。
足はガクガクと震え、えぐられた鳩尾は未だに強烈な痛みを訴え続けている。
もはや、少女は戦えるような状態にないのは確かだったろう。

//すいません、途中送信・・・
629 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/05/01(日) 20:59:38.31 ID:O7I/tc3b0
>>627>>628
「……ッ、…ふゥー…」

カウンターに放った回し蹴りは無事に成功し、吹き飛ぶ少女を着地したニンジャは見つめる。
誰が見ても渾身の一撃だった、致命傷ではなくとも大ダメージであるのには違いないだろう。
しかし、少女は立ち上がる。プライドなのか、意地なのか、強靭な精神力の成せる技だ。

「諦めるでござる、御主はもう戦える状態ではござらん……」

緩く首を振り、絞り出すように語りかけては地に刺さる剣に手を掛ける。
状況は五分五分ではない、多く見積もって此方が八分で相手が二分といったところだ。
それ程までに少女が負った傷は大きく、そのまま戦闘を続行したのならば勝敗は火を見るより明らか。
ありったけの威圧を載せた視線を放ち、紅蓮に燃える大剣を翳しながら少女の元へと歩を進めて。

「命まではとらぬ、ただしこれ以上殺生を繰り返すのならば――」

これまでにない程に低く重厚な口調は、紛れもなく”闇”に生きる者のそれだ。
赤熱する鋒を少女へと向けて紡がれるニンジャの言葉は警告、これ以上の殺生を犯したならば容赦はしない――と。
630 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/05/01(日) 23:18:38.13 ID:9oH9voONo
>>629

よろよろとしつつも、少女はキッと彼を睨み上げる。
もう意地でしか彼女は動いていない。飽くまで、殺し屋の意地。

「一般人相手に、負けるなんてことは・・・ッ!」

ギリリと歯ぎしりをする。単純に、悔しいのだ。
いくら相手が”裏”の世界を見ていたとしても、相手は唯の一般人。
其れに負けんとしていることが、何よりも悔しいのだ。

威圧の載せられた目線に、此方も威圧的な目線で返す。
しかし、限界はやはり来た。「がふッ」と肺の中の空気を吐き尽くし、膝をつく。
これで、此方の負けは確実となったようなものだ。大剣を翳す彼を見て。

「・・・、さっきも言ったでしょう、私は"殺し屋"だって。」

此の少女の行動は、殺し屋としての理念と殺し屋としての精神だけで動いている。
生まれた時からそう教えこまれた少女にいきなり志を変えろと言っても無理があるのだ。
鉄のような、鋼のような心の芯が少女にはあった。
631 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/05/01(日) 23:36:33.70 ID:O7I/tc3b0
>>630
「……そうでござるか、あくまで御主は…”殺し屋”でござるか」

絶対的な敗北を強いられても尚、威圧的な視線を込め精神を曲げぬ少女。
その意志はニンジャが人を救うことを義としているように、生半可なものでは曲げられないのだろう。
同じ闇に生きるものであり、胸に掲げる信念の強さを知っているからこそニンジャは首を振る。
少女を説得するのは恐らく不可能だろう、しかしこの際可能性などは問題ではない。

「御主は……知らぬのでござるな。
 表の世界の事を、……人を殺さぬ生き方を」

これ以上剣を翳す必要はないと感じたのか、燃え盛る獄炎は風の如く空気に溶ける。
月光を帯びる大剣を背に提げれば、ニンジャは威圧を拭い澄み渡った声色で少女へと語りかけた。
説得ではない、更生への強制ではない、ただ――少女の生き方が、世界を知らないように見えただけ。

「一度見てみるといいでござる、全てを受け入れるこの街の”広さ”を」

淡々とした言葉を紡げば、ニンジャはそれきり何も言わず少女へと背を向けて歩みだす。
広さを見てみろ、その言葉に込められた真意は少女に伝わるのか否かは分からない。
夜に溶け込む程のニンジャは”闇”だ、だが”闇”の中でもそれは輝きを持つ異端な―――。

//このへんで〆で!!
//ロールありがとうございました!!
632 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/05/01(日) 23:45:18.59 ID:9oH9voONo
>>631

「ええ、そうよ。私はどうしようもない"殺し屋"なの。」

最早曲げることすら許されない義。
少女にとっては"悪"が正義であり、"善"は正しくないことなのだから。

「・・・、どういうこと。」

表の世界のことを知らない。人を殺さぬ生き方を知らない。
そう言われれば、そうなのかもしれない。だが、其れが何を暗示しているのか理解できなかった。
ただ、その言葉は確かに少女の心には刻まれて。

「私には、私の生き方があるから。」

だが。広い世界を見るのは少女に不可能なことだった。
狭く、暗いところでずっと暮らしてきた少女にとって、広い世界は"耐えられないのだ"。
しばらくして、少女は痛みが引いてから立ち上がり、闇の中へと暗く消え去っていった。

//ありがとうございました!
633 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/05/03(火) 00:46:18.60 ID:kXOiXWQ/0

「寒い夜でござる……拙者の味方は、御主だけでござるよ」

自身の体を抱き締めるように腕を回して、ブルブルと震えながら頭に猫を乗せるニンジャ。
その絵図だけでかなりシュールなものだが、当の言葉を投げられた猫の間抜けな表情も一層それを演出する。
とは言え今宵が一段と冷えるのは事実。少しでも暖を取ろうと、猫のもふもふに縋るのも仕方ないだろう。
やがてにゃあ、と一鳴きすれば猫は自らニンジャの腕の中へ。
寒さに耐えられないのは人間だけではない、暖を与え暖をとる奇妙な間柄と言ったところだろう。

「よしよし、鮭太郎は甘えん坊でござるなぁ……」

傍から見ればバリバリの不審者が可愛らしい猫を抱きしめている不思議な光景。
本来ならば声をかけることも躊躇われるような状況だが、好奇心旺盛な者ならば或いは興味を抱くかもしれない。
634 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/05/03(火) 01:08:59.11 ID:WVQDSwtv0
>>633
「うへへぇ……寒いぃ……」

怪獣が寒さに震えながらパタパタ走る。暑さ対策として着ぐるみの中は薄着なこともあって隙間から入る寒みがとてつもない。
流石の怪獣もこの寒波には完敗のようだ。

「…むむ……そこの変なカッコのお前!暖かそうなの持ってるな!私にも貸せー!いや、よこせ!」

寒さに苦しむ怪獣がふと横を向いてみると、あったかもふもふの可愛い猫を抱くニンジャがそこに。
お前が言うなと言われそうな言葉をニンジャにふっかけ、暖を取れそうな猫をよこせと角に風を巻きつかせて言い放った。
その風によってますます辺りの気温は下げられる。
635 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/05/03(火) 01:19:53.83 ID:kXOiXWQ/0
>>634
「な…なんでござるかっ!?
 御主のほうが余程変な……と、とにかくダメでござるっ!!」

突如として現れた角に風を纏う怪獣、もとい元気にありふれた少女からぶつけられる言葉に当然の反論。
いきなりよこせと言われてもいま腕に抱いているのはカイロなどではなく、一匹の猫だ。
そう簡単に渡せるはずもない。……ましてや、一発でまともではないと分かるような格好をした者には。

「鮭太郎は拙者の猫でござる……御主のような珍妙な輩には渡さぬでござるよ!!」

バッ、と猫を上空に掲げるように持ち上げては少女の手が届かないところまでに避難させるニンジャ。
この騒ぎの発端である猫は相変わらず何も考えていないような顔を浮かべ、満天の星空を眺めていた。
怪獣により生み出される風は徐々に気温を奪っていく。それはいわゆる、諸刃の剣というものだろう。
636 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/05/03(火) 01:39:58.14 ID:WVQDSwtv0
>>635
「……ぐぬぬー、小癪な…!」

見知らぬ着ぐるみ少女の自分勝手発言に拒否するニンジャ。至極当然の反応であるが、それがすごく気にくわないようで、猫を無理やり奪いに行こうと手を出した。
が、しかし猫はニンジャの手によって怪獣には届かないような位置へとあげられてしまった。
小さい者と何かを取り合う時において最強の手段を取られたのである。
怪獣はしばらく猫の下で手を伸ばして跳ねていた。

「……べぇくしょぉい!…うぅ…寒い………」

そんなことをやっていると、自分の角の風が辺りの気温を底下げしていることに気がつく怪獣。子供っぽく鼻をすすりながら角の風を解いた。
無理やり取ろうとした猫を今度は羨ましそうに見上げる怪獣。
637 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/05/03(火) 01:53:54.29 ID:kXOiXWQ/0
>>636
「……そんな目をしてもダメでござる」

なんとか一進一退の攻防を終えて、再び猫を無事に自身の腕の中に抱き締めるニンジャ。
羨ましげに見つめる視線はまさしく子供のそれであり、拒否するのに心が痛むがそれも作戦の内なのだろうか。
だとしたらどうやらニンジャには効果覿面なようで、ぐぐぐと唸りのような声を上げていた。

「…あっ!鮭太郎っ!?」

しかしそんな優柔不断なニンジャに愛想が尽きたのか、ぴょんとひとっ飛びで少女の元へと移動する猫。
男に抱きしめられるよりは幼い女の子の方がいいと考えたのか、怪獣が拒まない限り猫はその腕に潜り込むだろう。
638 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/05/03(火) 02:15:48.72 ID:WVQDSwtv0
>>637
「わぁっ…!………ふふふ、こいつは私のが良いみたいだぞっ!へへ、いいだろー!」

羨む子供のような目は特に作戦だとかそういう気はなかったのだがそれもニンジャを優柔不断に陥れ、結果オーライ。
飛び込んできた猫をしっかりキャッチ。そして独占感を誇示するために少し猫をニンジャから隠すように抱きしめて、ニンジャに憎たらしい笑みを見せた。

「ふふん、今日からこいつの名はキングスヴァエナ!鮭太郎なんかじゃないもんね!」

憎たらしい笑みのあとに得意げに笑ったかと思えば、抱きしめている猫へ思いついた怪獣っぽいかっこいい名前を命名。
当事者の猫はそんなことに気にかけず少女の両腕の中で呑気な顔をして丸まっている。
639 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/05/03(火) 02:27:35.44 ID:kXOiXWQ/0
>>638
「ぐぅぅ…!!……しゃけたろぉぉ……!!」

勝手に改名させられ独占権を奪われてしまったニンジャは悔しげに顔を歪めるものの、猫の気持ちが相手に傾いたのは事実。
反論することもできずに、呑気な顔で眠る猫と心底嬉しげな顔を浮かべる怪獣を交互に見つめる。
プルプルと肩を震わせて、遂に限界なのか猫へと飛び込むように体を弾けさせた。

「ええいッ!!拙者にも触らせるでござるよ!!」

いったい何度名前を変えられたのか、自分の名前も分からない様子の猫の頭を撫で回す。
怪獣とニンジャの猫の取り合い。傍から見ればここまで不審な状況も、世界に数える程しかないだろう。
640 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/05/03(火) 02:47:30.95 ID:WVQDSwtv0
>>639
「あっ!触るなぁ!私の猫だぞぉ!私もなでるもん!!」

我慢ならなかったニンジャが勢いよく前へ踏み出して猫の頭を撫で始めた。
怪獣も負けじと猫のもふもふの身体をぐしゃぐしゃ乱暴になで回す。

「……おわっ!キングスヴァエナ!?
……ほら、お前が無理やり撫でるから!このやろー!」

寒い中そんな争いをしていると乱暴に撫で回されるのが少し不快だったのか、今まで静かに呑気にしていた猫が嫌そうに一鳴きし、怪獣の腕から脱出して地面へ綺麗に着地。遂にはどちらの手にも渡らない猫であった
自分のせいだとは決して思わない怪獣はニンジャに両手を上げてぷりぷり怒る。
641 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [age]:2016/05/03(火) 03:03:20.87 ID:kXOiXWQ/0
>>640
「あーっ!!鮭太郎あーっ!!」

怪獣とニンジャの両者の手から逃れ、てくてくと公園の端の方へと去ってしまうキングスヴェナ兼鮭太郎。
猫は気まぐれな性格。とはいかない模様で、むすっとした表情でニンジャと怪獣を丸い瞳に映していた。

「な、……何を言うでござるー!!
 無理やり撫でたのはそっちでござろうっ!!」

怒りを顕にする怪獣へ向けて、全く同じような動作で思いのままの感情をぶちまけるニンジャ。
結局のところ猫が逃げてしまったのは二人の仕業であるのだが、それは恐らくお互いが認めることはないだろう。
意味のない口論はいつまでも続き、遂には日が明け猫がベンチに眠りこけるまで結論は訪れなかった。

//眠気が限界なのでここで〆にさせてください…!
//ロールありがとうございましたー!また機会があれば!
642 :ガルヴァレックス>>14【ウィンフー】 [sage]:2016/05/03(火) 03:10:27.22 ID:WVQDSwtv0
/了解ですっ ありがとうございました!
643 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage]:2016/05/03(火) 10:58:59.01 ID:GMTwTzs1o
「…ま、結局は」

硬く冷たいコンクリート製のベンチに腰掛け足をぶらぶら。とことこと遠くから猫が小走りにやってくるのを見てほくそ笑む

「あたしの勝ちってことでいーよな、しゃけたろーっ?」

ぽんぽんと膝を叩けば、猫はぴょんとひとっ飛びにベンチの上へ、少女から僅かに距離を置いた場所で丸くなる
鮭太郎を横目で見つめながら首を傾げて、なおもご機嫌に足をぶらぶら
当の鮭太郎は素っ気なく視線を逸らしてしまうが御構い無しだ

「人間同士の争いなんてくだらねー…」
「へへへ、お前はあったかいなぁ……あたしも猫に生まれりゃよかったかも…」

なんて呟きながらこてんと横になり、硬いコンクリート製のベンチに寝そべって鮭太郎をその腕で包む
鮭太郎は少しだけもがいて、遥歩の腕から顔を出すと、そこから遥歩の腕に顎を乗せてうとうとと
互いに眠りこけるのに、そう時間は掛からなかった。互いに喧騒を避け、気ままに放浪を続ける身であるのだから、気は合って然るだろう
644 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/05/03(火) 18:55:12.87 ID:VTHepCzz0
>>643
猫と共に眠る少女に近づく不吉な影。
影の瞳は濁り切り、視力があるのかさえも疑わしい。
暫く眠っていないのか、目の周りは不健康な黒に染められている。
街灯に照らされた不気味な影を恐らく相良は知っているだろう。

絶望しきったような醜い顔、肌を紅く黒く染めている夥しい量の返り血。
強烈な死臭を漂わせる影にかつてのムカつく面は無い。
手足と首、片耳に装着された近未来的なメカは無感情のようだ。
それに対して影に残ったのは絶望、それだけらしい。

右手をふらりと相良に向けて二本のコードを放つ。
一本は眠っている猫に、もう一本は相良の首を狙って。
だがそれは動かない相手に放たれたにもかかわらず、当らない。
両方ともギリギリ当らないように逸れ、ベンチに突き刺さっていた。
影はその様子を見ながら弱り切った声で小さく叫んだ。

「今すぐ………逃げろ………!」

既に左手は相良に向いてコードを放とうとしていた。
しかしどういう訳か、コードを出すのに手間取っているようだ。

濁った目から一粒の涙を落とし、影は大きなため息を吐いた。
月明かりに照らされ、少し輝いた涙が地面に当ると同時にコードは放たれる。
狂気に満ちた影はただ相良をじっと見つめる。
645 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/03(火) 19:45:26.96 ID:BdFJXxzc0
>>562

「嬢ちゃんも認めてるってのにうるせー……んごふおっ!?」

男が女に向けて拳を振り下ろそうとした瞬間、男の急所には下駄がクリーンヒットしていた。
急所を抑えてうずくまる男。他二人はカッターを懐から取り出して、古風な女の肌にその鋭利な刃を突き立てんとする。

「てっ、てめえ何しやがんだゴラア!!」

少女はその様子見て、ひたすらに震えているだけだった。二方向から迫る凶刃に女はいかにして対処するか。

//ほんとうにごめんなさい!
色々あってこんなに遅くなってしまいました……お暇な時にお返しください!
646 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/03(火) 20:06:15.32 ID:Vfbq6VJP0
殺人、人身売買、ヤクの取引、それらが日常的に行われる路地裏の一角にその奇妙な光景はあった。
周りには、切り刻まれた死体と真っ赤な血だまりがありその中心には刀を持った青年がいた。
ここまでなら普通なのだがその青年は返り血一つ浴びていなかった。

「…くそっ」

その青年、夜霧晴斗はそう呟く。
今月に入って何回目だと頭の中で数える。
彼のことを知っている人が見たら目を疑う光景の中、殺した男の顔を見た。
その男は裏の世界でも有名な殺し屋であり他の死体も男の同業者のものであった。
晴斗は、持ち前の性格のせいで裏の世界では厄介者として知られておりたびたび殺し屋に襲われている。

「出てこなければやられなかったのに…」

どこかで聞いたことのあるセリフを呟く。
晴斗はこの男たちのような奴らには容赦はしない、だが人を[ピーーー]のに何も感じないと言われたら嘘になる。
だが反撃しなければこっちが死ぬ。襲ってきたのが悪い、そう考えた後空を見上げる。
647 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 00:34:08.40 ID:Oepx6DXDO
>>646
うわ、くっせぇくっせぇ…おれの大好きなにおいだ。【その光景を見ていた少女が青年の方へ鼻をつまみながら歩を進めようとする。】
よぉ兄さん…こんなとこで何してんだい?
暇ならおれと…いい事しないかい?もちろんセッ○ス云々とかそんな話じゃねえのは…承知してるよな?
【鋭い目つきで青年を睨み付ける少女は巨大な斧を構えて戦闘体制に入っている。】
【青年が少女を相手にしなければ少女の方も追いかけてまで青年に攻撃を仕掛けよう等という気はないらしいが果たして…。】


//よければお相手して下さいなのです…。
648 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 00:53:30.28 ID:w9fzAqVt0
>>648
「っ!?」

空を見てたらいきなり話しかけられて即座に少女に刀を構える。
先ほど戦闘した後だ、嘘を言ってる可能性も考え油断せずに目の前の少女に問いかける。

「暇だがどうする?」

そう言いながら半歩後ずさり逃げることも[ピーーー]こともできるように間合いを調節する。
649 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 00:54:28.89 ID:w9fzAqVt0
>>648
//間違えました>>647です

650 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 01:12:51.98 ID:Oepx6DXDO
>>648
…お?つー事は…おれのお誘いにのってくれたって事だよな?
暇なら…???
んなの決まってんだろ、こんな状況でいきなり愛の告白とかするバカはいねぇよな?
別にあんたに恨みとかはねえが…氏んでもらうぜ!!
【斧を構えつつゆっくりと青年の方へと近付こうとする】
【さっきまではそんな気はなかったがもし今青年が突然逃げ出すような事があればそれは隙となり、少女も容赦なくその隙をついてころしにかかるだろう。】
651 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 01:38:01.35 ID:w9fzAqVt0
>>650
「やるしかないか…」

どうやら相手を乗り気にさせてしまったらしくもう逃げることは不可能だろう。
相手の得物は斧らしくゆっくりとこちらに近づいてくる。もし刀と斧が正面からぶつかれば結果は目に見えている。
持っている見えない刀と通常の刀を握りしめ構える。

「四季暦流剣術、卯月の型」

見える刀に持つ右手を顔の横に持ってきて見えない刀を逆手持ちにして持つ左手を体の正面に持ってくる。
相手からしたら片手で顔の横に刀を構え左手をなぜか体の前に持ってきている様に見えるだろう。
652 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 01:56:08.79 ID:Oepx6DXDO
>>651
…へへ、話が分かるじゃねぇか、兄さんよ?
いつまでも見つめあっててもおれ達は恋人じゃねえんだ、話にならねぇ。おれから行くぜ!!
【そう言い、かくし持っていた(?)分銅を取りだし、青年の頭部に向かって高速で投げつけようとする。】【構え等を見て違和感は覚えるものの、少女は見えない剣の存在にはまだ気付いてはいないようだ。】
653 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 02:22:03.80 ID:w9fzAqVt0
>>652
「先に謝っておく、全力で行かせてもらう」

そう言葉を発した後、頭部に投げられた分銅を右手の刀で絡ませて地面に深く突き刺し固定した。
分銅はもう使えない、そうなったら隠し玉でもない限り斧での近接戦闘になるだろう。
そう考えた後、そこら辺の石を鞘に入れ刀にして卯月の型を構えたまま相手に突っ込んだ。
654 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga]:2016/05/04(水) 02:27:24.05 ID:STHIyGqf0
>>645
//帰ってくると信じていた……信じていたぞッ!

 悶絶する男を見て、その笑顔に愉悦が滲む。
 その事態を受け、慌てた様子で向かってきた男二人。二枚の刃が彼の者を襲うが……

「おうおう、元気な事だ。その元気をもっと他の有意義な事に使うべきだと思うのだが……なッ!」

 地を蹴り、二人の合間を抜けるように駆け出す。結果、二枚の刃はその身体を掠めることすら叶わず空を切った。
 所詮は素人の技、おまけに意表を突かれ戸惑いつつの攻撃である。冷静に思考を巡らせれば、この程度の回避わけはない。
 そのまま蹲る男を無視して直進、少女へ駆け寄りこう言った。悪戯っぽい笑みと共に手を伸べて。

「ほれ、こんな所でボーっとするでない。行くぞ!」

 応じて手を取ったなら、そのまま手を引いて路地の外へ引っ張っていこうとするだろう。
655 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 02:39:42.80 ID:Oepx6DXDO
>>653
…これから氏ぬやつに謝られてもなぁ…。
まぁ、もう分銅は使えねえな。
【そう言い、手に持っていた分銅の片側を二人とは無関係の方へ放り投げる。】
…へぇ、それがあんたの「能力」か?
…「その辺の物を武器に変える能力」?いや、ちげえな…他に何かありそうだがとにかくおれにとっては厄介な能力なのは間違いなさそうだ…ったく、神さんってのは不公平だねぇ…見つけたらこの手でぶっころしてやりてぇぜ…もうちっと一般人に優しい世界作れや無能が…。
…まぁ、「迷わず行けよ、行けばわかるさ」、だ!!
【そういい、少女の方も青年に向かってつっこんで行こうとする。どうやら近付いて攻撃し合う単純な「ころし合い」を仕掛けようとしているようだが、まだ少女は「見えない刀」の存在(?)には気付いてはいない。】
656 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 02:53:33.13 ID:w9fzAqVt0
>>655
相手もそのまま突っ込んできたのを見て晴斗は考えていた行動に移す。
相手の斧の間合いに入る前に素早く壁を蹴って跳躍した。

「喰らえ」

どれだけ初歩的な技でも洗練されれば必殺の一撃となる。
相手の真上から右手の刀でそれを体現したような鋭い突きが脳天めがけて繰り出される。
突きのスピードはかなり速くそして重い。無傷で避けるのは至難の業であろう。
657 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 03:08:59.50 ID:Oepx6DXDO
>>656
!!!!!
【上空から少女の頭部めがけて放たれた突きを、斧を持っていない方の腕で受け止める】【刀は少女の腕に深々と突き刺さるだろう。】
がぁ!!!!!!!!!
いってぇじゃねえかこの野郎!!
決めた!!!!!!八つ裂きじゃ許さねえ!!てめえは64裂きだ!!!!!
【意味の分からない事を喚きつつ、少女は腕で刀を受け止められ、瞬間とはいえその場に留まっているであろう青年に向かって斜めに斧をふりおろそうとする。】
【大きく重たい斧での鋭い攻撃は、刀のみでは防ぎきるのは困難だろう。】
658 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 03:26:42.02 ID:w9fzAqVt0
>>657
「!?ちっ!」

突きを手で止められるそれだけならよかった、だが今着地した晴斗に向かってきてる斧を見て舌打ちをしたのだ。
本来ここで使うつもりじゃなかったが仕方ないと割り切る。

「卯月の型の神髄見せてやる」

斧を見えない刀の先で受け止めるのではなくそのまま受け流し刀ごと地面に叩き付ける。
さらに叩き付けと同時に跳躍し体を回転させて刺さったままの刀で手を切り裂いた。さらに見えない刀の切っ先が心臓向けて放たれる。
四季暦流剣術卯月の型、その型は相手の攻撃を利用し反撃するカウンターの型である。
間合いのわからぬ攻撃を防ぐのはかなり難しく速度もあり斧も叩き付けられたため防御には向かない。
そのため下手をすればそのまま命が刈り取られるであろう。
659 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 03:39:47.64 ID:Oepx6DXDO
>>658
【渾身の斧の一撃は空をきり、そのまま地面に叩きつけられる】
がぁ!!!!
【更に腕に刺さった刀を引き抜かれた際の痛みに顔を歪める】
く、クソが!!!!!
【刀自体は見えないが、「何かしらの攻撃が放たれた」事はなんとなく理解したのか咄嗟に後ろに飛んでその「何か」をかわそうとするだろう。】
660 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 03:52:57.61 ID:w9fzAqVt0
>>659
見えない刀を後ろに飛んで避けた彼女の行動を見てやはり戦いなれていると感じた。
だが彼女のとった行動は一番の愚策だった。

「避けるとはさすがだな、だが…」

左手に力を込めて見えない刀を思いきり投げつけた。
重い斧を持った彼女はいま空中であり回避するのが絶望的なところにさらに速度を増した見えない攻撃が飛んで行ったらどうなるか。
想像するのは容易いであろうだからこそこの言葉を投げかけた。

「フィナーレだ嬢ちゃん」
661 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 04:04:17.52 ID:Oepx6DXDO
>>660
…あぁ?フィナーレ?あんだって!?
【空中にいるとはいえ斧を持っていたならば身体の前に咄嗟に斧を持ってきて防ぐ事は可能だろう。】
【少なくともこうすれば斧を貫通したり、仮にどこかに当たっても少女に致命傷を与えるには至らないと予想される】
【上手い事見えない刀での攻撃を防ぐ事が出来たなら少女は体勢を整え再び青年に向かってつっこんでいくだろう。】
今度はおれの番だこのピー(自主規制)が!!!!
662 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 04:14:10.44 ID:w9fzAqVt0
>>661
「だから嬢ちゃんなんだ」

ガキイィィィィィン
刀と斧がぶつかり高い音が響く。投げた刀は衝撃に耐えれず粉々になり斧は大きくひびが入っていた。
これなら地面に足をついて追撃が出来たであろう。相手がこの男でさえなければ。
いまだ空中にいる少女が見た光景には地面すれすれで体を回転させて一本目の刀より速度と威力が上がった刀が自分に投げつけられた光景だった。
663 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 04:24:43.84 ID:Oepx6DXDO
>>662
【刀が斧に当たり、何かが壊れる音が谺する。】
【見えない刀は破壊されたものの斧にダメージを与えるには充分な威力であった】
…ちぃ!!!
【着地をした少女に次なる一撃が向かってくる】
【再び斧で防ぐが今度は斧にヒビが入ってしまう】
クソ!!
…だがてめえはほぼ丸腰だな、覚悟しやがれコルァ!!【そう叫び持ち前の身体能力を生かし驚異的な速度で青年へと向かっていき、斧をふりおろそうとする。】
664 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 04:37:35.29 ID:w9fzAqVt0
>>663
「大振りすぎる」

そう言いながら少女の斧を回転して軽く避けるそして回転している間にライターを鞘に入れ新たな刀を作り出して少女へ向きなおった。
ひびが入った斧は壊れていないのが奇跡でありあと自分が一撃入れれば壊れるだろう。

「四季暦流剣術、葉月の型」

そう呟いて左足を後ろに右足を前に出す。そして右手は刀の柄に置いて少女を真っ直ぐ見つめた。
665 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 04:50:42.79 ID:Oepx6DXDO
>>664
おっと…ついつい大振りになってたか…いけねぇいけねぇ…。
【そういい、軽く自らの頭を殴る仕草をする。】
…残念だがてめえが思ってる程おれのこの相棒(斧)はやわじゃねぇよ。てめえのなまくら刀と一緒にすんな。
じゃあ…そろそろ決着つけようか?
【斧を再び構える】
666 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/04(水) 05:41:21.37 ID:Oepx6DXDO
…いてぇ!!つーか刺された腕が…今頃…。
【刺された腕をおさえる。】
………面覚えたからな、てめえ。
万一次会ったら512裂きに…あいてて…。
【またしても意味の分からぬ事を言いその場から離れようとする】
とりあえず傷と相棒(斧)を何とかして…いてて…。
【腕をおさえておぼつかない足取りでその場から去ろうとする。】


//ありがとうございました、この辺りで〆でお願いします(万一被ったらその分は無効で)。
667 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/04(水) 10:02:48.24 ID:4SWFjWdy0
>>654

「………触るな」

差し伸べられた手に少女は強い恐怖心を抱いた。その声は先程までの弱々しいものではなく、まるで地獄の底から聞こえてきたかと錯覚するようなは低い声だった。
鮮血よりも紅いその瞳の中には、幾重にも狂気が渦巻いていて女と後ろの男共を見据えていた。
そして少女は両手を虚空に翳す。翳された手の先には青い針を持った巨大な蜂が二匹。
それは素早い動きで刃物を持った男二人の腹部を貫く。そしてそのまま、流れるような動きで女の背中にその血が滴る針を突き刺そうとしていた。

「触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな触るな、私に触るなぁぁぁぁぁぁッ!!」

ぺたりと腰をついて女に背を向け、地面を這って少女は離れれようとする。
その少女に一撃を当てることは容易そうだが少女を優先すれば、その間に蜂の針が背後から女の体を刺し貫くだろう。
668 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 12:43:28.87 ID:w9fzAqVt0
>>666
「疲れたー」

戦闘が終わり夜道を歩いていた晴斗はそう漏らした。
殺し屋複数人を倒した後に能力者との戦闘まで行ったのだ当たり前だ。
そして戦った少女を思い出す。少女は人[ピーーー]ことを楽しんでいたそうなれば元に戻すのは難しいであろう。
ならば自分がやることは一つもう犠牲者を出さないことだ。

「次はない」

そう言いながら夜の町へ消えていった。

//こちらこそありがとうございましたー
669 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga 左肩に裂傷【完治】 毒により体温低下中]:2016/05/04(水) 16:44:19.89 ID:STHIyGqf0
>>667
「――何?」

 少女の言葉に、彼の者の肉体が硬直する。この少女は今、なんと言ったのだろう。
 疑問の消化よりも早く事態は流れる。次に現れるのは二体の蜂。
 虫としてはあまりに大きすぎる体躯を持つそれは身に備わる針を以って、見事男たちから悲鳴を奏でて見せた。

 嗚呼、そうか。つまり彼女は。
 そのままやって来る針を身を翻して躱す。それでも僅かに肩を掠め、針が紅い糸を引いた。

「――そうか、汝は」

 言の葉を紡ぐ。見れば、少女は自分が蜂の相手をしている間に逃げ出そうとしている様子であった。
 ――――なんたる罰当たり≠ゥ。

「我から受けた恩を仇で返そうというのだな……なんという不届きな輩じゃ……!」

 少女が豹変したのと同じくして、彼の者の声色もまた変貌を遂げる。
 先刻までのような飄々とした、それでいて善意が感じられる声ではない。助けようとしていたはずの彼女へ憎悪と憤怒を示すその姿は、まるで祟り神か何かのようで。

「この恨み、晴らさでおくべきか……?」

 這う這うの体で逃れようとする少女を憎々しげに睥睨する。その瞳孔は、まるで爬虫類か何かのように細く歪んでいた。
670 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 17:55:20.10 ID:qaIrwCcro
「あちぃ…なんだってこんなに暑いのよ夏でもないくせに!」

ゴミ箱が空を舞う
地に落ちたそれには大きな凹み、弁償ものだ
ゴミ箱を凹ませた張本人、ゴミ箱に蹴りを入れた彼女は際立っていた
黒い服に金のチェーン、所謂パンクファッションの服装
金髪金眼、異国の者である証
そして、殺人的な目つきの悪さ

「なぁにが5月はあったかくて過ごしやすいですよーだあの駄目サイト!詐欺罪で訴えてあげましょうか!?」

愚痴は続く
暑さで頭をやられたのだろう
不機嫌な彼女はゴミ箱をオーバーキルせんとゴミ箱に歩み寄る
しかし、それを止める者は現れない
少女の目つきの悪さのせいだろうか
それとも、腰の剣の鞘のせいでもあろうか
671 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/04(水) 17:56:20.41 ID:4SWFjWdy0
>>669

青い針は体温を5度低下させる毒を持っている。その効果が現れるのは遅効性故まだ先だろうが。
体温が低下すれば人体には、色々な症状が出る。身体の怠さや頭痛、腹痛や腰痛など。
それらが女性の身体にも出るかは分からないが、平時より僅かでも辛くなることだけは確実だろう。

「はぁ、はぁ……」

そして、少女は息を切らしながらも女性から逃れようと必死であった。少し地を這っただけでこのザマなのだから、少女は虚弱だと理解できるだろう。
少女と女性の間には二匹の蜂。
女性の進行を阻むかのように宙に留まる蜂は女性が近づくと言うのなら、何らかのアクションを起こすだろう。
672 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage]:2016/05/04(水) 18:15:27.72 ID:NM+QbhB3o
>>644
「ッッ!?」

コンクリートに何かが突き刺さり、砕ける音に目が醒めた。
飛び散った破片に撃たれ、飛び起き逃げる猫とそして少女。しかし少女は猫のように身軽ではないし、それに寝起きにそれほど動ける程休息を取っていなかった
寝惚け眼では自らへと迫るコードの存在までは認識出来ず、ただ漫然と構えたままのその身体をコードが突き刺すことでようやくその存在を認識する。

「ぁ…っ!?」

痛みと同時に、首周りが暖かいなにかで濡れるのを感じた。咄嗟に手をやり、それを拭って確認
べったりと手のひらを濡らすおびただしい量の血は、間違いなく自身のモノであるという事を確認しそして顔を顰めた

「ぅ…ぐ…何モンだ……てめェ……っ」

どくどくと、明るい真紅の血が溢れる首筋を抑え相対。地面に滴る自分の血を見て、これはまずいと少女は察した
脳への酸素供給が絶たれた、長くは持たない。その証拠にもはや視界は軽く霞み、かつての彼を睨みつける瞳もあちこちへ泳いでいて焦点が定まっていない
673 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga 毒により体温低下中]:2016/05/04(水) 18:28:06.37 ID:STHIyGqf0
「ふん、逃すものか……この罪は必ず贖ってもらおう」

 何としても、捕らえる。……とはいえ、流石にこのままの状態で巨大蜂2体を相手にする自信はない。
 そもそも、彼の者は身体能力が並外れて優れているわけでもなんでもない。何か他に……戦闘の手段が必要だ。

「……!」

 何かを閃いたかのように反転、相対する蜂とは全く異なる正反対へと駆け出す。
 畏れを為して逃げたか? 否、全く逆だ。彼の者が駆け出した方向には――倒れた男たち、そして彼らが手にしていたナイフが二本。

「どれ、少し借りるぞ!」

 二本のナイフを浚って自らの得物とし、構えた。何も持たないよりはマシだ。殺傷力だけを見ても素手とは桁違いとなる。
 そのまま二体の蜂へ――引いては、本体である少女へと接近の意思を見せるが。果たして蜂と少女はどう動くだろう。
674 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga 毒により体温低下中]:2016/05/04(水) 18:28:54.57 ID:STHIyGqf0
>>673>>671宛てー、申し訳ない!
675 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/04(水) 18:51:11.37 ID:4SWFjWdy0
>>673

「……蜂達、私の盾になりなさい」

少女にはそのナイフを回避することなど到底不可能、だから蜂を盾に自分の身を守った。
蜂の身体に突き刺さるナイフ、血に落ちてしばらくの間身体を動かして悶え苦しんでいた。少女にとって蜂は駒でしかないのか、その命の消失に悲しむことなく次の蜂を召喚した。
黄色と白い針を持った蜂、まず黄色が女性に襲いかかり、少し遅れて白が迫る。
黄色の蜂は一瞬だけ身体の動きを止める毒を持っている、その一瞬を狙って白は針で女性の肌をきすつけようとするだろう。
かなり遅効性だが、白は五感を奪う毒。
少女はそれで女性から聴覚を奪い去ろうと企んでいた。
蜂を四匹も召喚した少女は疲労でもう動けないようで、女性と女性に襲い掛かる蜂達を苦しげな表情で見つめていた。
676 :石 蛟【ハイドラ】 解放 [sage saga 毒により体温低下中 聴覚への異常【極小】]:2016/05/04(水) 19:35:32.38 ID:STHIyGqf0
>>675
「なッ……!」

 これほど容易く使い捨てるとは思わなかった。
 然しなるほど、蜂の身にナイフを突き入れればどうしても隙が生じる。彼の者のように扱いが素人となれば尚更だ。
 そこを突かれれば――どうしても、回避は間に合わなくなる。

「おのれ……ぐッ!?」

 主へ刃向かうものに鉄槌を。二本の毒針が標的の肉体に突きこまれ、毒を注入する。
 ……毒針とはいうが、この巨大な蜂共は図体が大きいゆえに毒針もまた大きい。受ける負傷としてはそれこそ短剣の刺突と相違ないのだ。
 体温の低下と激痛。二重の苦悶に蝕まれ、その四肢からは段々と力が失われていく。
 滴り落ちる血液は砂時計のよう、音が喪われていく世界の中で、そのまま彼の者は意識を――


「――祟々々々々々々々々々々々々々!!』

 刹那、彼の者の肉体が張り裂けて中から何か≠ェ飛び出す。長く巨大なそれは、着地すると同時に尾で周囲を薙ぎ払ってみせた。
 間一髪少女は射程外であろうが、二体の蜂は十分に撃ち落せる。射程も威力も常軌を逸脱した一撃、果たして蜂と少女はどのように対応するだろうか。

 そして、一撃が済めば少女はそれ≠フ正体を理解するだろう。
 純白の鱗に包まれた長大な肉体、閉じられる事の無い無慈悲な紅眼、チロチロと覗く二又の舌。
 形容し難い唸り声を上げる、御伽噺の中にのみ存在するはずの怪物。人々はそれを、【大蛇】と呼んだ。
677 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/04(水) 20:57:11.81 ID:4SWFjWdy0
>>676

勝った、と思った。女性は意識を失う寸前だ。私は体力が回復するのを待ってから、意識を失った女性の心臓にナイフを拾って刃を突き刺させばいい。非力だがそれぐらいはできる。

「………え?」

少女には何が起きたか理解できなかった。蜂達は壁に激突してぐちゃぐちゃに潰れ、体液を撒き散らしていた。
そして少女の目には、一匹の大蛇が映る。
自分の体力はもう限界、立ち上がることもできない。

「ねぇ、気付いてるでしょ?自分の身体の異変にさ。
今、私を殺したらあなたは聴覚を永遠に失うことになる。それでもいいなら殺せばいい」

自分をここで見逃すなら解毒の方法を教える。だが殺せば恐らく彼女がそれを知る機会は永遠に訪れないだろう。
目の前の女性が折れる姿が見たい。その心がズタボロになるのを見たい。
五感の一つを失う恐怖に負け、自分に頭を下げて助けを乞う。その姿をなんとしても見たい。そんな下劣な感情が彼女の心を埋め尽くしていた。
678 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/04(水) 21:36:00.30 ID:w9fzAqVt0
星が輝く真夜中の湖、幻想的と言えるその場所で一人の青年が刀を振るっていた。
ここは町の郊外でありそれに森の奥という人が来ない場所ため彼のお気に入りの場所でもあった。
静寂の中、聞こえるのは刀を振るうときに聞こえる風切り音のみ。

「次、水無月の型」

そう言った後青年、晴斗は構えを変えて刀を振り続ける。
そうして一時間ぐらい振り続けたであろうか、刀を振るのをやめて晴斗は近くの石に腰を下ろした。

「少し休憩するか」

そして小さく息を吐いた後、持ってきたお茶と夜食のおにぎりをバックから取り出し、空の星空を映す湖を見て食べ始めた。
679 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/05/04(水) 21:37:46.35 ID:KHlHOjpF0
>>672
コードが刺さった感触。同時に対象のデータを読み取る。
相楽遥歩。その名前だけは一瞬で読み取ることが出来た。
絶望に満ちた影は彼女から溢れる血液を見て嘆いた。
よりによって彼女なのだから。

「…………右手の………コードだけは………」
「君を………助ける………相良ッ!」

影は右手新たにコードを伸ばす。
近くの遊具を一刺し、そしてそれを人の細胞へと変えて。
そしてそれと治療でもするつもりなのか、彼女に近づけていく。

だが左手の2本のコードは明らかな殺意をもって動いている。
バリバリと嫌な電気音を立てながら鞭のようにコード達をしならせる。
代償なのか、そのコード達を放っている影の左手は良い音を奏でながら焼けていた。

「僕は…………もうダーティじゃない………」
「だから………これ以上………血を見たくないんだ・・・・………!」

そう呟いた瞬間、影は人の声とは思えない悍ましい悲鳴をあげる。
体中を駆け巡る電撃、それは闇を照らす閃光を放ちながら影の全身を焼く。
しかし苦しむ事は許されていない様で、両手は彼女の方を向いたまま。

醜く汚れた二つの瞳は月明かりをうけ妖しく輝いた。
影の口から動く気配は消え、メカの無感情を受け継いだらしい。
その様を表すならば殺戮人形という言葉がぴったりだ。
そして殺戮人形は左手のコード達を相良を焼かんとばかりに唸らせた。
680 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/04(水) 21:39:44.76 ID:JpCXdAEG0
>>670

あぁ…まったく今日は本当に運が悪い。

そんな憂鬱な気分なのは彼女だけではなかった。そんな荒々しい行動をするセシリアの近く、そこをライラは歩いていた。
ため息をつきパーカーのポケットへと手を突っ込み道を歩いている。
仕事の帰り、しかし今日はヘマをしてしまった。簡単な仕事だった筈なのだ。なのについ、"あの時"のことがチラついてしまった。
お陰で報酬は貰えず、こうしてトボトボと帰路についているというわけだ。なのだが――――

「……あぁもう、うっさいわねぇ…!!」

そんなことがあったから無性にイラついていた。それはきっとこの暑さのことも影響していたのだろう。
誰も止めることをしないその狼藉を働くセシリアの元へと歩いていく。周りの者はただそれを見守るのみ、何もしようとはしない。

「あんたさっきから煩いのよっ!公衆の面前で恥ずかしくないわけ!?」

と、怒鳴り込んでしまった。周りは固唾を飲んでその光景を見守っている。
機嫌が悪い者同士の衝突。そんなもの、嫌な予感しかするわけがない。
681 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 21:53:36.64 ID:qaIrwCcro
>>680
暑さは人を狂わせる
無性に人を苛立たせて、正常な判断力を奪う
それで諍いが起こるなど、至極当然といえよう
だが、その争いの規模はそんな小さな理由と見合わないほどに大きくなることもまた、
大いにあり得る話であった
とくに、此処では

「あぁ!?あたしが何をしていようが別にいいじゃないの!
 そっちこそ、こーしゅーのめんぜんで怒鳴り散らしちゃって恥ずかしくはないんでしょーかー??」

三秒後には再度の蹴りで破砕されていたのかもしれないゴミ箱
しかし、怒りの矛先が変わったので彼は救われた
セシリアは、突然怒鳴ってきた彼女の方を向く
外国の血が色濃く反映された金の髪と瞳、しかし目つきは悪い
まるで、世界を呪っているかのような敵意に満ちた目つきだ

まだ、腰の剣に手が伸びていない。つまりは諍いは実害を伴ってはいない
それだけが、道行く人々の救いであった
682 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/04(水) 22:09:03.86 ID:JpCXdAEG0
>>681

そもそもこの季節外れの暑さ、そして元から少しイライラしていたこと。
それらが重なるなど本当についていない。もうどうしようもないだろう、これがどうか平和に終わるのを祈るしか道はない。

「良くないわよ!
だいたい、そんな年で暑いからって物に当たる方が私は十分恥ずかしいと思うけど?
私だったらもう死んだ方がマシなくらいね〜
それにそのゴミ箱、もし今誰かが通報したらあなた、一体どうなるんでしょうねぇ、想像しただけで笑いが出ちゃう」

ライラはセシリアをどんどん煽っていく。その口に手加減は無い。
セシリアの金色の髪とは対照的にこちらは銀髪金眼、そしてこちらも目つきが悪い。
引く気はどちらもない。このままなら確実に戦闘に発展しかねない。
だがこれを止める者は誰もいない。そんなの当然、こんなことに巻き込まれたくないからだ。
こんな厄介なことに自ら首をつっこむ馬鹿など居ないだろう。
まさに両者の間に火花が見えるようなそんな場面。その視線が交錯し周りも息を呑む。
周りの人間たちは、いつ始まってしまうのかとハラハラしながら見守るのみなのであった。
683 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 22:18:00.75 ID:qaIrwCcro
>>682
この諍いは、平和に終わるのかどうなのか
その回答は、誰もが避けていた

「へぇ、どうなっちゃうのかしらぁ?ならあんたが通報したらよかったんじゃないのかしらぁ?
 あなたはこんな風に騒ぐことなくあたしが笑えることになっておしまいだったのですよー??
 だけどあんたはそれをしなかった。考えが足らなかったのね!アハハ!!笑える話ね!」

ギャラリーは動かない
ただ、固唾を飲んで傍観するのみ
金髪のセシリアは嗤う
そして、煽り続ける
僅かに残った判断力が、こちらから剣を抜くことを避けさせている
だが、それは良識などによるものではない
単にそっちの方が目の前の女を嗤えるからというだけ
もとより、彼女には良識などはない
煉獄で生まれ、煉獄を滅ぼし、そして今度は世界を地獄に突き落とそうとする魔女には、そんなものはない
684 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/05/04(水) 22:18:33.68 ID:1p9xwpRW0
>>672>>679
この世には本当の奇跡などというものは、存在しない。
人が信じて止まぬ奇跡という言葉は所詮運命の理に沿ったものであり、謂わば必然の枠を出ないのだ。
結局そうだ、人生とは一本の定められたレール。それに逆らうことは許されず、誰もが従わざるを得ない。

今この瞬間放たれたコードは無残にも、無慈悲にも少女の肉体を舐め回し焼き尽くす。
救世主などは現れない。神様が描いた物語(ストーリー)の登場人物である限り、逃れる事はできないだろう。

なんて事はない、そんなありふれたお話だ。




――――火遁の術――――




だが、もしも。

もしも運命(それ)に逆らえる者が居るとしたら。
それはきっと、紛れもない――”奇跡”だ。


音よりも早く放たれた二対の斬撃が閃光を描き、電撃を纏うコードが全て弾き返される。
一瞬遅れて鳴り響く金属音が空を裂き、飛び散る灼熱が闇をも払う光となった。
街灯に濡れるその影は”闇”だ。しかし、その胸に宿る意志は”光”。
剣と呼ぶにも巨大すぎる得物を掲げ、殺戮人形へと躍り出るニンジャ――虎次郎。
運命を打ち砕くべく剣を取った救世主は果たして、運命の反逆者となりうる存在なのか。
685 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/04(水) 22:36:12.85 ID:JpCXdAEG0
>>683

「馬鹿ねぇ、私が通報?なんであんたなんかのために私自ら動かないといけないのよ?
そんな手間を惜しむよりも直接こうやって笑いに行った方が楽なのに、そんなのも分からないの?今の状態でもあんたかなりの笑い者だからねぇ。これでほら、楽しいことを二度楽しめるでしょう?考えが足りないのはどちらかしら??」

煽る煽る煽る。どちらも一歩も譲らない。
今にも戦闘になりそうなものなのにならない。それは今行われているのが"口喧嘩"だからだ。
普通こういうのは言葉で言い争い、どちらかが反論出来なくなるまで煽り合う。そこに暴力は無用、もしもそれを使うときは反論が出来なくなったとき。つまりは負けたときだ。
だからこそどちらも未だ実力行使に踏み切らない。いわばこれは高度な情報戦のようなものなのだ!!

「こんな簡単なことも分からないなんてもしかしてあんた馬鹿なの?
あ、ごめん本当のこと言っちゃったぁ、許してねぇ?」

元よりこちらにも遠慮などは一切ない。
人を殺め続けたこの身体にそんなもの一滴たりともあるわけがない。あるのはただ、定めた獲物はきっかり仕留めきることのみ。
686 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 22:43:37.43 ID:qaIrwCcro
>>685
「知ってるぅ?本当に馬鹿な人って人のことを馬鹿馬鹿という割には自分の馬鹿さにだけは気付けないんですって!」

周囲の人々は、少しづつ日常に復帰し始めた
このどうしようもなく頭の悪い口喧嘩に呆れだしたのだ
徐々に、徐々に、人がいなくなってゆく
二人の空間が形成されてゆく

暴力に訴えることはお互い何時でもできるがそれはしない
それこそ、敗北の白旗であるから
それだけは、己のプライド(笑)が絶対に許さないから

「木乃伊取りが木乃伊になるって言葉知っていますかぁ??
 あたしを嗤いにきたあなたも笑い者になってるんですよぉ??
 アハハハハ!!!暑さで頭おかしくなっちゃったのかしらぁ??」

遠慮も良識もなにもない
あるのは、ただのこうどなじょうほうせんのみ
人を直接殺し続けた女と、人に殺させ続けた女と、
お互い、人を傷つけることに対しての躊躇など、なかった
687 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/04(水) 22:58:18.91 ID:JpCXdAEG0
>>686

「あら、いきなり自己紹介を始めてどうしたの?」

周囲から人が少なくなっていることにもまるで気付かない二人。しかしそれとは裏腹にその煽り合いは更にヒートアップしていく!
そして出来上がったのは二人だけの空間、そこに居るのはたった二人だけ。いわば逃げも隠れも出来ないリングの上だ!

このプライド()だけは譲れない、この女にだけは負けられない。

暑さとセシリアに当てられてライラの頭もそれに相応しい思考回路へとなっていく。
――――要は馬鹿になっていく。

「笑い者?あんた目が付いていないの?その目は節穴なのかしら?
どこに私を笑っている人が――――」

そう言って周りを見るライラ。そこにあったのは、いやそこには何もなかった、誰も居なかった。
今この場には、自分たちしか居なかったのだ。

「………確かに、笑ってる人はいないわね…呆れた人は大勢居たみたいだけど……」

刹那、脳内に走る閃光と共にライラは全てを理解する!
今、自分たちが行っていた煽り合い、それが他人から見ればどう見えていたのか―――!!!
688 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 23:05:07.22 ID:qaIrwCcro
>>687
逃げも隠れもできないしする気もない
二人の一騎打ちは、終わらない
競って思考のレベルを落とし、罵詈雑言をぶつけ合うのみ
そこに、慈悲はない

「……………ええ、そうね
 たしかに私の目は節穴だったわね。馬鹿同士のどうしようもない口喧嘩って思ってたみたいね」

周囲を見渡し、口調が冷める
目が覚めた
深々と溜息

「どうやら、馬鹿だったのは私たち二人だったみたいね……」
689 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/04(水) 23:25:56.04 ID:JpCXdAEG0
>>688

慈悲など無い、情けなどもっと無い。そんな争いの果てに待っていたものは"虚しさ"だった。
冷静さを欠けば、あっという間に人は馬鹿になる。今回はそのお手本とでも言うべきものだ。

「なんか、その…悪かったわね、いきなり怒鳴り込んだりして……」

喧嘩の後にはお互いのことを分かり合う。あぁなんという素晴らしい展開だろう、しかしなぜかこの場合にはそんな素晴らしさを感じない。
それはきっと、その喧嘩の内容が関係しているのだろう。
こんなくだらない内容、そんな感情が湧くはずが無い。

「……はぁ…ほんと……暑い…わね……」

なんと虚しいものなのか。この静けさが更にそれを助長させる。
出来るのならば、すべてこの暑さのせいにしたい――――
690 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 23:32:43.62 ID:qaIrwCcro
>>689
やはり、暑さは人類の敵だ
こうも簡単に人を馬鹿にしてしまう
そうだ、絶対にそうなのだ
そうであって欲しい

「こっちこそ…こんなところで騒いでて悪かったわ…」

冷静になってみれば、こうも簡単に謝れる。分かり合える
人間って、スバラシイ

「えぇ…そうね………
 アイスでも買いに行く?」

茹だるような暑さは、変わらず私たちを見守ってくれていた
人々から見放されたが、暑さだけは見捨てずにいてくれた
感謝の念など、起きはしない
全てはこの暑さのせい…のはずなのだから
691 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/04(水) 23:49:32.86 ID:JpCXdAEG0
>>690

あれもこれも暑さのせいなのだ。あぁやっと自分を取り戻してきた。
おのれ暑さ、許すまじ。

「……もうこのことは忘れましょう、お互い覚えていても良いことはないわ……」

だが人間そう簡単に物事を忘れることはできない。あぁなんて不便なのだろうか。
出来るのならばまとめて脳内から削除したい、取り除きたい。周りにあんな醜態を晒すなんて穴があったら入りたい。

「そうね…買いに行きましょっか……」

暑さのせい、それのせいにすればひとまずは心が和らぐ。
とりあえず自分のせいではない、そう、そうだ。全ては暑さのせい。だからあんな醜態は自分が馬鹿だからではない……そう、願いたいものだ。
692 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/04(水) 23:58:51.01 ID:qaIrwCcro
>>691
「そうね…私たちは何もやってないわ、ええ」

簡単にあの醜態を悪夢と断じて記憶から抹消することは叶わない
だからせめて、口では何もやっていなかったと言う
しかし、これまたどこか悲しかった

「近くのコンビニってどこだったかしら?
 私はここにきてから日が浅いからよくわかんないのよ」

チェーンなどをじゃらじゃらと鳴らしながら凹んだゴミ箱の傍から離れていこうとする
こんなところ、一秒でも早く立ち去りたい
ついでに、穴があるなら自分を埋めてほしい
恨みを込めて、太陽を睨んだ
693 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 00:08:20.79 ID:o0/CQdmM0
>>692

悲しい、確かに悲しい。だがこんなことでもしなければあの醜態からは逃れられない。
いや、これも実際その場限りの逃げなのだが。だがやらないよりはマシだ。今だけでも、せめて逃げさせてほしい。

「じゃあ私が案内するわ、財布にもまだ余裕はあるし奢るわよ」

一つ前の仕事の金がまだ残っている。今日の仕事は失敗してしまったが、今お金がピンチというわけでもない。
これくらいは奢らせてほしい、元はと言えばこちらが喧嘩を売ったのが原因なのだから。

「こっちよ、付いてきて」

ライラはそう言うと歩き出す。少し歩けばコンビニの前に辿り着くだろう。そうすればこの暑さを和らげる清涼剤を手に入れることができるのだ。
694 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 00:17:22.21 ID:doeaIEcso
>>693
悲しくても、つらくても歩き続けなければならない
逃げたって、いいじゃない。最後にちゃんと歩ければ
うん。だから逃げていいのだ

「ありがとう、じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」

ここは恐らくこれが正解だ
きっと、彼女もこれを経て立ち直るのだ
…多分

歩き出した彼女についてゆく
そうしているうちに気付いた
傷をなめあう関係にある彼女の名前も知らなかったなーと

「セシリア、セシリア・ダルク」

だから、そう呟いた
695 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 00:32:14.82 ID:o0/CQdmM0
>>694

逃げたっていいじゃない、人間だものbyライラ。いや人間では無いのだが。
だが時としてこういうものも必要だ。現実から逃げるという選択肢を選ばなければならない時もあるだろう。
そんな時は躊躇わずに逃げ出そう。どうしようもないときというものはあるのだ。

「ほら付いたわよ、適当に好きなの選んで」

思えば初対面の相手とこんなに話したのは初めてかもしれない。というか他人とこんなプライベートなことで話したのは久々だ。
大抵は仕事の話しかしないライラにとってこの出来事はある意味刺激になっただろうか。

「……あぁ…なるほど……私はライラ・クレイウェル。
ライラで良いわ、よろしくねセシリア」

こうして名を名乗りあったのもいつぶりだろう。
ライラはそう名乗るとコンビニのアイス売り場から最近微妙に値段の上がったガ〇ガ〇君を手に取る。味は普通のソーダ味。変わった味のものもあるがそういうものは大抵美味しくないと相場が決まっている。
セシリアのアイスも決まれば、まとめてライラがレジに並びお金を払うだろう。
696 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 00:42:40.43 ID:doeaIEcso
>>695
自己防衛のためにも、人間は逃避を選べる。人間に限ったことではないが
つまりは、逃げを選んでもいいのだ。負けなんかではない
逃げても、構わないのだ
仕方のない時には、逃げてしまおう
そしたらきっと、楽になれるのさ

「じゃあこれにするわ」

適当にハイパーパックバニラ味を選ぶ
名前に違和感を覚えたらモン○タ―ボールを思い出してもらいたい
思えば、こうして利用する意思なく人と会話したのは何時以来だろうか
あの子が生きていたときだったのかもしれない
となると、こんな実のない会話にも意味を見出せるのかもしれない

「ライラね、よろしく」

胡散臭すぎる聖人の名前を並べただけの名前を名乗れば名乗り返された
なんだか少し新鮮だ
自分はお金を払わないがライラについていくセシリア
一人になると、なんだかこの行動の無意味さに呆れそうだから
697 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 00:57:29.12 ID:o0/CQdmM0
>>696

この世の中では逃げることがまるで悪いことのように言われがちだが、無謀に挑むことは褒められることではない。
ときには逃げることも必要だ、生きるための逃亡もある、そのことを忘れてはいけない。命を失くせば、それまでなのだから。

セシリアの選んだアイスを受け取り、レジに向かうと財布からお金を取り出す。そのとき、もしかすれば財布の中身が見えるかもしれない。
その中には、およそその年では持っているはずがないだろう金額がその中には入っていた。明らかに持ち歩いていい金額ではない。それらはすべて、自分で稼いだ金だ。そう、自分で。

そのままコンビニを出ると、袋の中からセシリアの分のアイスを取り出しセシリアに差し出すだろう。

「それにしても、まさかこんなことになるなんてね。
人生分からないものね」

そう言って自身のアイスの封を開けると齧り付く。口の中に広がる冷たさは本当にアイスだけのものなのだろうか。
698 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 01:12:26.63 ID:doeaIEcso
>>697
人は、すべての逃亡を等しく敗走と見做して嗤う
だが、それは違う
逃亡こそが、最も簡単に身を守る手段なのだ

チラリと見えた財布の中には恐るべき額が
だが、時には一国の中枢に入り込むことのあるセシリアにとってはどうということはない
多いなー程度の感想しかない

差し出されたアイスを受け取り、小さくありがとう
ふたを開け、プラスチックのスプーンを手に取り

「そうね、私も今更こんな同年代の知り合いができるだなんて思ってもいなかったわ」

小さく掬って食べ始める
だいぶおかしなことになりつつある、と思いながらに

//眠気が強くなってきたのでここらで凍結をお願いしたいです…
699 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 01:16:44.32 ID:o0/CQdmM0
>>698
//こちらもそろそろやばいので凍結分かりました、ではおやすみなさい
700 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga 毒により体温低下中 聴覚への異常【小】 腹部刺傷【小】]:2016/05/05(木) 08:15:10.39 ID:VOLFOGe90
>>677

//すいません、そのまま手が離せなくなって寝落ちしてました……

 大蛇の双眸が少女を捕らえる。まるで蛙を睨むように。
 ここで少女は二つ考え違いをしていた。一つは蛇となった今、彼の者の肉体からは既に聴覚は失われているということ。
 蛇は聴覚が一切存在せず、視覚も微弱。その分味覚や嗅覚といった他の感覚器官が発達した生き物である。
 無論、人間の姿に戻れば聴覚を喪失した影響は受けるだろうが……今問題なのは、駆け引きを持ちかける少女の言葉がそもそも彼の者へ伝わっていないということだ。

 とはいえ、不敵な様子を浮かべる少女を見れば、大蛇もまた何か彼女に「隠し種」が存在するのは理解できる。
 意味も内容も解らないが、大よそ何か「命乞い」以上の取引をこちらに持ちかけているのだろうと。
 だが、もう一つの考え違いは。

『……祟々々々々々々々々々々!』

 現在、この場において主導権を握っているのは少女の方ではない、という事だ。
 勘違いをするな、と言わんばかりに大蛇が咆哮する。人間が発する言葉からは遠く離れた声であったが、そこに「否」の感情が含まれていることは少女にも理解できるはずだ。

 大蛇が動く。顎門を開ければ人一人など容易く丸呑みにできるであろう頭部。
 それは引き絞られた弓矢のように素早く、少女の下へ迫り、そして――



『――――これで少しは懲りたか? ところで、我は少し腹が減ったのう」

 蛇の頭部が張り裂け、そこから半身を現した人型。少女を丸呑みにせんと迫ったように思われた大蛇は、然しそうはしなかった。
 最初と何も変わらず飄々と、だが少女へちょっぴり何かを強請るような様子で。彼の者は、そこにいる。
701 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage]:2016/05/05(木) 14:09:51.59 ID:7Ug6BvtAo
>>679 >>684
「…なんで…あたしの…、…ぅ…名前ぇっ……」
「……まさかっ…」

――「何モンだてめェ」、「なんであたしの名前を」、「まさか」。
初めて出会った時と全く同じ感想、同じ言葉を繰り返す遥歩。そこまできて初めて遥歩は目の前にゆらりと立ち塞がる影の正体を悟った
邂逅も、そして再会も、はじまりは一本のコードからである。彼女の付近をまるで威嚇のように刺し貫き、そして次は彼女の肉体を穿つところまで
なんとも皮肉なことだ。変わり果てた彼との再会は初めての出会いと全く同じ形で果たされた、そうして彼女が別れ際に告げた約束を果たすこととなったのだ。

「……モヤシっ…お前なのか…っ!?」

首元を抑えながらただ悲痛に叫ぶような声を振り絞ったダーティの言葉に、どう返事をしていいかも分からずただ狼狽する
彼の有様は酷く変わり果てていて、異質なそれはもはや人間と形容していいものかどうかも分からない
目の前の存在の招待に迫ってみても、しかしそれを認めてもいいものかどうか、判断し兼ねている様子であった

「…ぁ…あっ…そんなこと…言われてもなぁ…お前っ…」
「……出血…止めねェと……」

放たれる三本のコード、しかし遥歩は彼の治癒能力を知らないし、ましてや彼の能力の原理すら説明されてもいない
その全てを攻撃と受け取り、傷口を押さえていない右腕に炎を灯し、それを防ごうと手を翳す。コードが燃え尽きれば重畳、しかし突破されればそれは死を意味する
そして最悪なことに炎による防御は集中の途切れと、彼女の意識が消えかけていることもありまるでガス欠前のエンジンの如く不安定に、断続的に噴き出すのみだ
終いには半身はぐらりとふらけ、その手からは完全に炎が消失して尻餅をついてしまった。

「……しまっ…」

ヤバい、マズイ、逃げなければ。そう思う間もなくコードは遥歩の胸を目掛けて猛進して迫った。避けることなど、受ける事すらもはや叶わない
コードに纏われた雷撃の、バチバチと唸りを上げる音を耳にすれば次の瞬間全身を駆け巡るであろう苦痛と、そして死に対する恐怖がわっと込み上げる
それらすべてに対する覚悟が整う前に、ぎゅっと目を瞑り、右手で頭を抱えてうずくまる。それはいつも勝気で強気な遥歩が、初めて見せた"怯え"の姿であった。

「………こじろー…?」

完全に戦闘態勢を解いた少女の身体を、電撃と電熱が灼きその命を散らすかに思えた。消える寸前の灯火を突風が弄びそして呆気なく吹き消してしまうように
しかし全てのコードは叩き落とされ、終ぞ少女の身体に到達することはなかった。うずくまった少女の前に立ち塞がる一つの影
影の中に、しかしはっきりと感じられる暖かさは、たとえ冷たい深淵を歩くものであっても、その中でひときわ輝きを放ち続ける暗き光であるものの証
ゆらりと立ち上がり、その背中に触れる。掌に力が篭る。装束を握り締め、そしてその手を解けば今度は虎次郎の、得物を握るその手へと、傷口を押さえていた左手をそっと添え、

虎次郎の前へと回り込めば、とん、と。その峰を自分の首元へと押し当てた。

「…こじろー…焼け」
「今夜は一際アツく…燃えるぜ…!」

じとりと脂汗が浮かぶのが分かる。右手はぎゅっと握り締められ震え、歯はかちかちを音を立てているのが堪らなく恥ずかしく、そして情けない
しかしその眼だけは、一切臆することなく至近距離から虎次郎を射抜かんばかりに睨み付けていた。
702 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/05/05(木) 14:58:41.59 ID:U+RPGQ3B0
>>684 >>701
弾かれた殺意のコード。現れた反逆者。
消え去るはずの灯火は未だ消えず。
殺戮人形と少女と忍者。奇妙な役者ばかりだ。

「…………クククク」
「面白い役者が揃ったもんだねぇ!」

それは殺戮人形の声ではなく、どうやら首元の機械から放たれた声。
かなり歳をとった老人の、そして子供のような雰囲気の不気味な笑い声。
殺戮人形はただその声をじっと俯き、涙を流しながら聴くことしか出来ない。

「そこの首から血液を出しながらガキみたいに怯える貴方……」
「どうやら貴方は僕の【玩具】と戦った事があるんじゃないかなぁ?」

「そしてヒーロー気取りだが時代遅れの忍者さん……」
「貴方は僕の【玩具】の【玩具】と遊んだことがあるみたいだねぇ!」

焼け爛れた右手で殺戮人形の右耳に取り付けられたメカを叩く。
それには几帳面な文字で【TYPE-H】と書かれている。
わざわざ挑発でもしているのだろうか?

「うんうんうんうん、すっごくイイ状況だねぇ!」
「これだけ燃える展開なのは何百年ぶりだろうか!」

「盛り上げるためだし僕も頑張るから君達も盛り上げてよ?」
「今日はコントローラの調子もいいし、思う存分戦ってあげるからさッ!」

左手の二本のコードを遺伝子のように巻きつけ、刃を互いに差し込む。
遺伝子状のコードは互いに材質をかえ、鞭のように撓る奇妙な鋸に変わっていた。
そしてそれを一気に忍者目がけて振り下ろす。
下手な防御をしたならば一気に縮められてズタズタに切り裂かれてしまうだろう。

右手からは二本コードを射出、それぞれ別の場所を目がけて放つ。
一つは忍者の足元。地面を一瞬で液体に変えて沈めるつもりだ。
もう一つは近くの街灯に差し込み、材質を紙に変化させる。
そして遠心力をつけて横に薙いでから解除。
地面にぶつかり、重たくバインドしながら街灯が二人に迫る。

殺戮人形はその様子をひたすらに見ていた。
己の体の限界をとっくに超え、それでもなお血を求めて彷徨う。
コンポタから始まり、戦い、そして清々しく負けた相手に醜く襲い掛かる自分。
そしてその相手を助けようと現れた忍者に敬意も払わず襲い掛かる自分。
現実は残酷、いや残酷過ぎた。
深く深く、暗い絶望の世界に一人、動かない体を憎みながら堕ちていく。
703 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/05/05(木) 15:36:22.99 ID:poVEhSOm0
>>701>>702
己の背に感じる命の温もりは今にも消えかかっていて、一歩間違えればすぐに儚い灯火は二度と燃え上がらなくなってしまうだろう。
だからこそ、今自分ができる事は護る事。敵を打ち倒す事ではなく、己の信念を貫くこと。
全てが繋がれた物語は今奇跡を通し、新たなストーリーへ生まれ変わる。

「――…承知した」

ガチガチと震えを隠しきれず、恐怖という感情に囚われている筈なのに勇敢にも自身の傷口へと峰をあてがう遥歩。
覚悟の伴う鋭い眼を確りと見つめ返しては、低く小さな、それでいて遥歩を”安心”させるような温もりを帯びた声を発した。
ぎゅっ、と遥歩の右手を握り締める。すると途端に刀身は灼熱を帯び、傷口を塞ぐための優しい炎が浮かび上がる。
火力は弱くとも当然麻酔もない、傷口への激痛と熱は尋常ではないだろう。
それを踏まえた上で躊躇を持たないのは――それほど二人を繋ぐ”何か”があるという事か。

「玩具…?……もしや御主、あの湖畔の……」

TYPE-H――ニンジャにとって既視感を抱いたそれは、紛れもなく湖畔で出会ったあの泥人形と同種のものだ。
何故目の前の人物がそれを知っているのか、『玩具』というワードからするに恐らく穏やかな結論ではないのだろう。
謎を解き明かしたいのが本音だが生憎そんな暇はない。ニンジャが危機感を抱いた頃には、既に攻撃が放たれていた。

「―――ッ!!」

鮫の歯のようにギザギザと並ぶ鋭利な刃が、鞭のように大きくしなりニンジャの身を切り刻もうと迫り来る。
無論バカ正直にその攻撃を受ける訳などなく、遥歩の傷を塞ぎ終えた瞬間にその凶刃へと大剣での袈裟斬りを放った。
白夜が訪れたかの如き閃光を撒き散らし、鋸状の鞭を大きく弾き返しなんとかやり過ごす。
だが迫り来る猛攻はそれだけではない。射出されたコードがニンジャの足元を貫き、その材質を”液体”へ変化させた。
足が沈むような異質な感覚に驚愕を示す、だが、その程度では止まっていられない。
問題はその次に迫る攻撃――重厚な街灯が二度バウンドしながら、自分たちを圧そうと迫り来る。


「土遁の術……ッ!!」


だが、絶体絶命かと思われたその状態を覆してこその反逆者というもの。
体を沈ませながらもその地面ごと大剣で貫けば、虎次郎と遥歩を護る土の防壁が突如地響きを鳴らし生成された。
当然街灯と土の壁は衝突。轟音を辺り一面に響かせて、街灯は地に落ち防壁は未だ顕在していた。
土の壁は二人を護る砦だ。それはダーティからの視界から逃れると同時に、いかなる攻撃も弾き返すための。
704 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/05/05(木) 17:33:20.63 ID:7Ug6BvtAo
>>702 >>703
「ぅ…ぁ゛あぁああ゛ぁあああッッ…!!!!」
「い…ぁ゛ぁあッッ!!俄然燃えて…来やがったぁぁああ!!!」

傷口を灼く焦熱に少女は噛み締めた歯の、その奥から呻き声を上げ、そしてそれはやがて悲鳴へと姿を変える
食いしばっていた口は開かれ痛みに咆哮、目はぎゅっと瞑られて、あふれる涙を堪えきれないでいる
しかし虎次郎の想いに答えようと、その口からは無理矢理虚勢が本音を押し殺し、滅多刺し、縊り殺して放たれる
やがて灼熱から逃れるように身を捩り、虎次郎の手を振り解いて若干前のめりにふらけ、膝から崩れ落ちて手を突いた

「サンキュー…」

一先ず傷が塞がった事は焼けた血と肉の不快な匂いが嫌という程に示している。取りあえずの延命処置は出来たはずだ
絶対的な血液不足と、強い痛みによるショックでやや過呼吸気味になりつつあるが、少女はそれらすべてを”気合”の二文字で捻じ伏せて見せた
地面に崩れ落ち、腰が抜けたまま強がってサムズアップを送る少女の目の端には、やはり溢れんばかりの涙が湛えられていたが

「…っと、モヤシのヤツ…動けねぇってのに容赦ねー…うわっ…!?」
「……!、その剣借りるぜ…こじろォォッッ!!」

地面に這いつくばったまま、漫然と迫る街灯の薙ぎ払いを呆れたような顔つきで見つめる。
それは虎次郎を信頼しているからでもあったし、同時に自分が何も出来ないでいるからだ
発作的に荒ぶる呼吸を落ち着かせ、ようやく動けるようになったのは虎次郎が土の壁を形成し遥歩を守った、丁度その時であった。
まるで何かに弾かれたかのように駆け出し、虎次郎の肩を掴んでそれを軸にハンドスプリング、剣の鍔に脚を掛けてそこから跳躍
土の壁になんとか捕まり、ずり落ちそうになりながらもよじのぼって、そこからまた一気に駆け出した。

「出し惜しみナシだ……!」

大きく跳躍すれば地面に手を向け、直後中規模の爆発が少女を空中へと放り投げるようにトスした
高度にして十メートル程か、土の壁よりもさらにそれほど上昇し、それは人間が無傷で着地できるような高さではない
しかし少女は臆することなく右拳をしっかりと握り、握り込み、それがぎちぎちと軋む音を立てる程に固く握り締めれば振りかぶる

そのまま宙をひらりと舞うかのように、爆発による加速が重力に負け落下へと形を変える瞬間、まるでそこだけ無重力空間のように体が軽く感じた
その右手には炎を灯し、まるで空より堕ちる隕石の如く、黒く煙の尾を引きながら垂直に落下する。ダーティをノックアウトしたあの技と同じだ

無論全てが上手く行くとは限らないし、遥歩だってそれは痛い程味わってきた。しかしここで博打に出るのは、出なくてはならないのは、
自分がもはやこの戦場に於いて足手纏いであること、虎次郎という戦力が加わった今、自分が倒れるまでの間に虎次郎の為に敵にダメージを与えなければならないことを理解しているからだ
身体の負担を度外視した高高度からの一撃。目に見えて隙だらけなその攻撃の神髄をを知らなければ、あえて回避しなければ、
少女の着地と共に前回よりも大きな、獣の咆哮の如き唸りと共に放たれた爆炎ががダーティを噛み砕き、食い破らんと襲うだろう。
705 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 17:38:08.62 ID:o0/CQdmM0
>>698

ライラは実際、様々なことから逃げてきた。現実、過去、悲しみ。
それらはすべて心ある者にとってつきまとう最大の障害と言ってもいいだろう。だからこそライラは逃げた、逃げなければこちらが潰されてしまう。
人は過去から逃げてはならないという、しかし逃げなければそれに溺れ壊れてしまう、対処の手段も分からない。
それでもなお、立ち向かえと無理強いするのか。そらでもなお、戦えと強制するのか。
そんなことは強い人間だけが出来ることだ。弱い人間には、そんなことは出来やしない。自分の物差しでしか物事を測れないなんてそれこそ傲慢だ。

「知り合い、か……」

まさかあんな喧嘩からこんなことに発展するなんて。ひょんなことから出来上がったこの奇妙な関係。
何も持たない、何も無い不明者と、全てを怨み、壊し尽くす復讐者。
そんな二人が出会うことはもしかすれば本当にこの一生で無かったかもしれない。しかしこの出来事が二人を巡り合わせた。もしかすればこの邂逅にも何か意味があるのかもしれない。

「同年代…ふふっ、不思議なものね。私もよ、出会いはまぁ…どうであれこうして話すのなんて久しぶり」

………普段、ライラは人前では極力正体を曝け出さないように気を付けている。実際そのお陰で今まで自分が獣人だということはバレなかった。
それは言葉を交わす人、それが依頼人だけだったからだ。だから特に気が抜けることもなく隠し通すことができた。

「美味しい、やっぱりこういうときこそ冷たいものに限るわよねぇ」

これはライラの経験不足が原因だ、あまりに気を抜きすぎてしまった。
その頭には、二つの"猫耳"が姿を現し、巻いていた尻尾も緩みほぼ外に出ていた。
幸い…?本人はそのことには気付いていない。そんなコスプレのような姿を見てセシリアはどう思うだろうか……
706 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/05(木) 18:04:32.30 ID:Dscxl68f0
>>700

頭を抱えて目を閉じる。大蛇の恐ろしい咆哮が鼓膜を刺激して少女は死を覚悟した。数瞬後には自分は大蛇に食われて絶命しているのだろう。大蛇の動きは早く、少女の目では追うことはできない。
ここが自分の死に場所だと悟ったが、その時が訪れることはなかった。恐る恐る目を開く。

「何故殺さないの?私のこと、憎いでしょう?
ガムなんていくらあっても空腹を満たせはしないでしょうけど……いる?」

大蛇の頭部から現れた半身にそう問いかける。そしてぶどう味のガムを取り出して女に一枚渡し、そして自分の口の中にも入れた。狂気的な面は潜み、少女も普段の様子を取り戻していた。
707 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/05/05(木) 18:49:35.56 ID:U+RPGQ3B0
>>703 >>704
「Wow! そっちの忍者は侮れないねぇ……」
「ふふふ、正しく言うならば【そうこなくっちゃ】かな?」
「いやぁどんなボタン操作をすればそんな動作が出来るのか教えてほしいものだねぇ」

忍者が作りだした壁、それはダーティのコードで変質させるには巨大過ぎる。
しかしそれをどうにかしなければ忍者と相良の動きを見ることが出来ない。
あまりに十分な防壁、しかも相良はそれを攻撃にまで利用しているらしい。

「ゲームってやっぱり派手な戦闘が見所だよねぇ?」
「爆発する様々な感情、ぶつかり合う互いの限界……」
「そういうシーンって見ていてドキドキするよねぇ?」

「でもさ、互いの限界を軽く超えて圧倒するキャラクターっているじゃない?」
「あの軽くムカつく感じ、笑顔の裏側に潜む実力、次元が違う戦闘能力……」
「ああいうの、憧れちゃうよねぇ!」

突然ゲームの話をし始める声の主。
しかしその内容を聞く限り、余裕綽々で薄ら笑いを浮かべながら戦いたいとのことらしい。
つまりこれは【宣言】であり、【油断】そのものである。

自身の右腕をコードで突き刺し、それが終わると同時に全てのコード引っ込めた。
そして右腕そのものを剣へと変え、左手を地面に向けた。

「それともう一つ憧れるシーンがあってさぁ……」
「互いに攻撃するシーンの後、どうなったのか分からないシーン……」
「そしてどちらかが血を吹き出して倒れる………」
「う〜ん、カッコいいよねぇ!」

左手から全てのコードを一斉に地面に向けて発射させる。
そして地面に刺さると同時、地面を鋼鉄へと変える。
もちろんコードの刃程度では鋼鉄を突き破れない。
しかしそれでもコードを伸ばそうとすればどうなるだろうか?
答えは簡単、殺戮人形の体が相良へ向けて発射されるのである。
もちろん一瞬でそれ程の勢いをつけた人形の体からは骨が限界を迎えた音が聞こえている。

次のシーン、血液を吹き出すのはどちらなのだろうか?
体を焼かれ無様に落ちていく殺戮人形だろうか?
爆炎で焼く前に体を貫かれてしまう相良だろうか?
もしくは相討ちで終わってしまうのだろうか?

殺戮人形の主はこの一連の行動に自らの油断が産んだ穴があることに気がついていない。
目の前のカッコいいシーンを求めて忍者の行動を一切考えていないのだ。
カッコつけてから戦うつもりらしいが、時間は待ってはくれないだろう。
忍者の行動次第で未来は大きく変わる。
相良の命は忍者に託された。
708 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/05(木) 19:17:45.68 ID:Dgu0PR1DO
…あぁ、ちくしょう…ピー(自主規制)がとまらねぇ…。
【とある公園の公衆トイレの個室の中、少女が顔を歪めて用を足している】
…心当たりがあり過ぎてどれが原因かわからねぇ…って、うわまたきた…あぁ、このクソッタレ…は、おれだけど…ちくしょう!!
【忌々しそうにそういい、個室の中の壁を思いきり拳で殴り付ける】
…とりあえず出てからホラ貝マークのセンリガンでも飲んで今日はおとなしくして…!?
【そういい、紙をとろうと手をのばした時、少女は大変な事に気付いてしまう】
【突然の腹痛だった為慌てて近くのトイレに駆け込んだのだが紙が残っているかどうかを確認せずにそのまま用を足してしまったのだ】
…マジかよ…全く残ってねぇじゃねえか…。
【そう呟き、慌ててポケット等に手を入れてティッシュを探すも見付からない】
…や、やべぇ…。
…お、おーい!!誰か!!誰か来てくれ!!

【個室の外に向かって大声で叫ぶ少女】
【誰かが偶然近くを通り、少女の助けを求める(?)声を聞いて来てくれる事を期待したいが果たして…???】
709 :石 蛟【ハイドラ】 [sage saga 体温低下中 聴覚へ異常【中】 腹部刺傷【極小】]:2016/05/05(木) 19:21:00.93 ID:VOLFOGe90
>>706

「あぁ、憎いとも。我がわざわざ救いの手を差し伸べてやったというのに、それを振り払った挙句あのザマだ」
「……だが、我は寛大じゃ。食い殺す程憎いわけではない。それだけのことよ」

 「おぉ、悪いのう」なんて言いながらガムを受け取る。彼の者もまた、それを受け取る表情に憎悪はない。
 すっかり毒の抜けた様子で、彼の者は訊ねる。

「……ところで、今日は随分と身体が冷えるのう」

 肩を抱きつつ呟く。聴覚の異常はともかく、体温の低下までは毒と気付いていないらしかった。
710 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 19:36:21.06 ID:doeaIEcso
>>705
人は、或る人は逃げているという
セシリアは世界を滅ぼすことに逃げているという
だが、彼女は無力であった
そんなただの未熟な少女に、圧倒的な過去の亡霊との格闘を強いることは我々にできるのだろうか
少なくとも、私にはできやしない


あの日、あの子の骸に復讐を誓ってから
私の行動、作った交流関係には全て復讐という原因が与えられた
だから、これはあり得ざる奇跡だ
なんでもない、ただの喧嘩から始まったちょっとした奇跡
意味はまあ…ちょっとした休憩、ってことでもいいかな

「あら?そういう点では似た者同士ね
 私も気が遠くなるくらいに昔には所謂友達もいたのだけどね」

今は、高校に通ってはいるが孤独だ
友達なんて作る気などないしなってやるつもりもない
だって、その有象無象こそ私が一番殺したい奴らなんだもの
無知で、愚鈍で、ただひたすらに許せない世界の末端だもの

「そうねぇ…………あら?」

ゆったりとアイスを食べていて、ふとライラを見てみるとそこには
可愛らしい猫耳に尻尾
所謂獣人って奴なのかしら?そんなのもいるとは聞いてみたけど…見るのは初めてね
ちょっと珍しかったから、ちょっと見つめちゃったわ
711 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/05/05(木) 21:11:07.84 ID:poVEhSOm0
>>704>>707
「……行くでござる、遥歩殿…ッ!!」

己の体と剣を利用し土の壁を乗り越える遥歩へ一つ、ただ一つだけ激励を飛ばせばニンジャは再び剣を構える。
液体化した地面は既に土の壁の生成に利用し元の材質へと変えた、ならばもう自分を阻害するものは何もない。
満身創痍の今の遥歩では恐らくダーティに競り負けてしまうだろう――だからこそ、ニンジャは土の壁を”斬る”。

「――せい、やぁっ!!」

もう防壁は必要ない、必要なのは力と勇気だ。
巨大すぎる大剣を横一文字に振るえば、あろう事か土の壁は真っ二つに切り裂かれ大地に堕ちる。
そしてそれを前に止まらないニンジャではない。崩れ落ちる壁を大きく跳躍し乗り越え、鋼鉄と化した大地を踏んだ。
闇夜を咲く月光に映し出されるその影は、ニンジャらしくない彼が唯一魅せた――ニンジャらしさ。

「……っ…!!」

目の前に広がるのは遥歩とダーティの一騎打ちだ、互いの全力を掛けて衝突し合う幻想的とも思える光景。
ニンジャがその二人に一瞬見蕩れてしまったのも事実だ。だが、その激突を黙って見ているほどニンジャは愚かではない。
大剣の鋒を天空へと向けて自身の胸の前に掲げる。すると粒子状の光が刀身に宿り、それは螺旋状に姿を変えて。

「風遁の……術ゥッ!!」

刹那、軌跡を描き振るわれる大剣から飛来するのは目視可能な程に凝縮された風の刃。
巨大な三日月状のそれは遥歩の元へ一直線に向かうダーティを捉えており、ダーティを超えるスピードで迫り来る。
それは大した殺傷能力も持っていないし、その一撃を食らったら不味いかと言われれば決して否だ。
対処のしようはあるし直撃しても致命傷には陥らない、普段ならば滅多に使わないだろう術。

――だが、それは相手が万全の状態のときだ。

少なくとも今、全神経を遥歩へと注いでいるダーティにならば劇的な効果を与える筈。
ニンジャに託された命はこうして形となり、信頼となり、何物も打ち砕く最強の矛となる。
緑色の風刃はただ只管に、一人の相棒(パートナー)の為に大気を切り裂き、紡がれた運命へ反逆を掲げた。
自分にできる事は全てやった。だから、だからニンジャは喉を震わせ一途に相棒の名を呼ぶのだ。


「――遥歩殿ォォォッ!!!」
712 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 21:40:54.13 ID:o0/CQdmM0
>>710

似た者同士、確かにそれはある意味あっているのだろう。自分を持たない、自分が無い、他人に振り回される、執着する一生。
そんな共通点があるからこそ実現した奇跡なのかもしれない。この奇跡からは一体何が生まれ、何が為されるのか。

「へぇ、友達かぁ…じゃあ今は居ないんだ」

友達。そんなもの、そう言えば私も子供の頃はそんなのが居たような気がする。
ただ、それも今は昔の話。"あの出来事"が起こる前の話だ。今はもう私には関係の無い話。
私はもう戻れないんだ。こんな生活しか、生き方しかできない。もしかすれば、私にも普通の生活を過ごすチャンスがあったのだろうか。普通に暮らして、学校にも行って、友達も作って――――

「そんなこと…あるわけない、か」

小声で、そう呟く。
あるわけがない、そんなことあるわけがない。だって私の手は、もう汚れて―――

「ん?一体何見て………っ!!?」

やっと気付いたようだ、自分の大きなミスに。
慌てて頭を押さえ猫耳をしまい、尻尾を腰に巻きつける。といっても尻尾の方はもはや隠しているとは言えないのだが。

「………見た、わよね…?」

自分は周りに馴染めないと知っている。その一番の原因を見られてしまった。
顔を沈め、紅潮させて尻目でセシリアを見る。いくら獣人と言えど、今までは隠してきたのだ。それを見られるのは、やはり恥ずかしい。
713 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 22:08:40.04 ID:doeaIEcso
>>712
かつては持つ者、今は持たざる者
いや、手にかけている者か


「ええ、もういないわ」

奪われたのだ、この醜い世界に
普通の生活など知らないままに
ただ、ただひたすらに残酷に殺されたのだ
だから許すことはない
私を、私だけを生き延びさせてしまったこの世界を

だから、私はもう持たないと決めたわ
この手にあるのは、剣
仇なす剣のみ

「ええ、見たわ
 けど別にいいんじゃないの?そのくらいは別に」

頬を赤らめてこちらを見ている
恐らくこれが彼女のコンプレックスなのだろう
だが、別にそれでなんだとは思った、がきっとそれで済むようなことなのだから……

「私なんて、こんな皮肉すぎるものを使ってるのよ
 聖剣なんだと、でも堕ち切ってるのだけどね」

腰の剣を抜いて見せる
真黒な刀身、しかし黄金の輝きを僅かに放つそれを
堕ち切ったはずなのに、明るく輝く憎たらしい剣を
714 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 22:33:11.20 ID:o0/CQdmM0
>>713

「……そう、色々あったのねあなたも」

セシリアも過去に何かあったのだろう。だがそれを聞くことはしない。
それが、せめてもの礼儀というやつだ。誰にでも知られたくないものはある。自分が獣人だというように。

「私は嫌なのよ…こんなの、私は人になりたかった…そうそうすればあんなこと……」

こんな生き方をしないで済んだ。両親も死なずに済んだ。
普通に、幸せに暮らせるはずだった。

「堕ちてる…それは、本当にそうなの?
私にはまだ、光を宿しているように見える」

もしもこれが彼女の、セシリアの心を反映したものならば。
暗い、昏い闇の中、その中にはまだ光が―――

「……止めましょうか、こんな話。今の私たちはただたまたま出会っただけの同年代の女の子。それでいいじゃない」

これ以上、この話を進めてもきっと何にもならないだろう。
ライラにはセシリアを救えないし、セシリアもまたライラを救えない。
救えるのだとしたら、それは自分自身だけだ。他人はただそのキッカケを与えるだけ。
自分のことは、自分が一番分かっているはずなのだから―――
715 :相楽 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/05/05(木) 22:44:46.66 ID:7Ug6BvtAo
>>707 >>711
「……ぁっ…ぐゥっ…」

交錯。呻き、着地、静寂。
遥歩の身体に、特に目立った外傷はない。首を灼いた傷跡以外には。
全ての気力を使い果たしてふらけ、すんでの所で体勢を立て直す。腕を纏っていた炎は既に消え失せていた

「……死なせねェ…でも…ブッ倒す……」
「…なんてのは…甘かったか…?」

この炎は自らの肉体を焼くことはない。しかしそれ以外の全てを容赦なく焼き尽くす恐ろしい力だ。
自らでなければ、身に着けているものですら遠慮なしに灰へと還してしまう。ボロボロに焼け焦げた服がいい見本である

少女はその力を以って人を殺める事を何よりも恐れていた。少女は殺戮をよしとする性格ではなかったし、
それに人が死ぬのを見ることを極端に嫌った。それはたとえ善であっても憎むべき悪であっても、少女の前ではどれも等しいものだ

「なぁ…モヤシ……」

ただ今日限りでその縛りも解けてしまうのかもしれない。彼を止める為に放ったこの炎は、たった一人の人間を殺めるには容易いチカラだ
かつてダーティであったものを斃し、”彼”を解放する為にはそれもやむを得ないのかもしれない。
しかしそれでも、自分の拳で命を奪う事を恐れるのは、生きていて欲しいと押し付けるのは甘えなのだろうか?
振り返り、殺戮人形を哀しげに見上げる。少女にはもう、それをするだけの余力のほかになにも残されてはいなかった
716 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 22:45:48.53 ID:doeaIEcso
>>714
「…………そう」

きっと、獣人であることが彼女の地獄であったのだろう
生まれは人ではあるが、地獄に生まれた自分にやや似ている
そうだ、私もあんなところで生を受けなければ
もっと清く、そして幸せに生きていけたのだろう
だが、それがどうしたのだ
そんな過去を覆すことなど不可能なのだ
だから、今の私にできるのは
私が生まれた地獄を作った、この世界への復讐

つまりは、地獄に囚われているか、地獄を昏い炎に変えているかの差だ
自分と、ライラの違いはそれくらいに思えた

「でしょ?だから嫌いなのよ
 道具と割り切っていても、そんな希望を抱いていそうな光が気に食わない」

聖剣を睨みつけながら鞘に納める
私はこれが嫌いだ
希望などはしていない。私は絶望の果てに復讐に行きついているのだ
こんな昏い地獄に、光があって堪るか
いや、光はあったのかもしれない
だが、失われたはずなのだ
だから、嫌いだ

「ええ、そうね
 この腐った鉄塊を見てても気持ち悪いだけだったわ」

救いなどはいらないのだ
なのに、こんな話をして何になる?
そんなこと、あの太陽が輝いていることよりも自明なはずだ――
717 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 23:10:18.86 ID:o0/CQdmM0
>>716

あの時、もしもこうだったら。
それは所詮たらればの話で、起きたことは覆らない、変えられない。
だから、それはただの夢物語だ。理想で塗り固められたどうしようもない愚かな妄想。
だからそんなものは、投げすてるしかない。

この世界はセシリアが思っている通り地獄なのだろう。そしてそこで生きている二人は、その地獄に捕らえられている。
片方はそれに囚われ何もかもを見失い、もう片方は地獄を怨み復讐する。
その両者に共通するところは、どちらも同じ地獄の元にいるということだろう。

「じゃあ、どうしましょうか。
何か話題とかある?そっちはそういうの、慣れてるでしょ」

正直、ライラは話し下手だ。それは長年の暮らしの影響で人と接するときも業務連絡がほとんど、こうして長々と話をすること自体が稀なのだ。
だからここはセシリアに任せた方が良いだろう。
話題の振り方なんてまったく分からない、これはあまりに致命的なことなのだが仕方がない。もしかすれば、これから身に付いていくかもしれないのだから。
718 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 23:19:43.07 ID:doeaIEcso
>>717
――こうだったら、ああしてたら
そんな甘い妄想を捨てた先にあるものは諦め
――どうしようもない、自分は無力なのだから
その停滞の中で抱くのは怒り
――どうしてこのような地獄に甘んじていなければならないのか
そして、怨む
――なら、壊してやる

「ないわよ
 私だって同年代と話すのは久しぶりすぎるしこんな穏やかなところで話すのなんて多分初めてなのよ」

バッサリ
セシリアは様々な文化に触れて、弱点を見つけて、壊してきた
だが、それでもこんなところに適した話題なんてない
それと、経験値はなさすぎるのは変わらなかった

太陽は、そんな二人を笑うかのように輝いていた
719 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/05(木) 23:35:24.15 ID:o0/CQdmM0
>>718

「……ダメダメね、私たち」

これは、酷過ぎる。
会話スキルが無い者同士が会話をしようとするとこんなことになってしまうのか。

「…えぇと…天気が良いわね
………ほんと、憎たらしいくらいに」

二人があんな醜態を晒すことになった原因。ライラは空を睨みつけ、敵意をむき出しにする。
完全な八つ当たりなのだがそんなことはこの際どうでもいい。この暑さを創っているのがあの太陽だという事実さえあれば。
本当に憎たらしい。なぜあぁも毎日地上を照らし続けるのか。何ヶ月か休みの日があってもいいだろう、というか休め。

「……はぁ、ダメね。
もういっそのことお開きにでもしちゃう?」

それは所謂逃げなのだがまぁ逃げようと思っても仕方がない。
だって経験がないのだから。まさかレベル1でドラゴンに挑む馬鹿な勇者は居ないだろう。そう、これは戦略的撤退なのだ。世の中には必要な逃げというのもある、今回がまさにそれだ。

と、逃げの正当化を幾ら図ろうとその事実は変わらないのだが。
720 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/05(木) 23:49:58.71 ID:doeaIEcso
>>719
「…ええ、どうしようもないわね」

人間関係を作ること、くだらない体験をすることの大切さ、
なんだかそれらを学べた気がした
ちょっとは改善したいものだ

「そうね…あの太陽を撃ち落として地球に落とせたらな………」

なんて馬鹿げた願望を言う
あの憎たらしい太陽には休んでもらいたい
まあ、ついでにこの地獄を焼き尽くしてくれたら嬉しい限りなのだ

「えぇ、そうね
 次会うときまでには会話力高めましょ」

アイスを食べ終えてゴミ箱に投げる。見事に入った
そして立ち上がって伸び一つ。チェーンがじゃらじゃらとうるさい
逃げても、次に勝てればいいのだ。きっと
そして、思い出したかのように余計な一言を言ってみる

「あんたはまだ何か見つかれば楽しく生きれると思うわ
 まだ何もかもが憎くて、壊して回り始めたりはしてないんでしょ?」
721 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/05/06(金) 00:46:52.31 ID:MZB1+dq40
>>711 >>715
殺戮人形の死角から飛ばされた風の刃。
それは忍者の狙い通り、一騎打ちを邪魔し相楽の命を助けることになった。
体勢を大きく崩し、地面に叩きつけられた殺戮人形。
不幸な事に限界を超えて酷使した右腕は衝撃で千切れてしまう。
しかしそれでも痛みを感じていないような動作で起き上がらせられる殺戮人形。

「いやぁ、吃驚したよ、忍者さん?」
「一騎打ちというカッコいいシーンを妨害するなんてねぇ…」
「でも正直その方が良かったのかもしれないねぇ?」

嘲り哂うかのような嫌な声。
どうやら考え方を変えたらしく、またクスクスと笑っているらしい。

「君達、どうやら互いに知り合いみたいじゃあないか」
「互いに協力し、信じ合っているからこそそこの少女は今生きている…」
「つまり一般的な目で見ると君達が正義のヒーロー、僕が悪役の怪人って訳だ」

次の瞬間、一瞬のうちにコードを相楽の近くへと射出。そして接近。
相楽の顔を観察するように見つめ、笑った。

「遥歩ちゃんだっけ、君にはこの【ダーティ・ハット】が今どうなっているか教えてあげよう」
「君が知っていたダーティの意識は首についたマシンで無理矢理押さえつけてある」
「さらに【痛み】は感じる状態、そして体は僕のコントローラで操作されている」
「僕はなぁんとも痛くないけど、ダーティ君は激痛で精神が壊れてるんだってさ」

「そ・こ・で、君には特別にこのダーティを仕留める権利をあげようじゃないか!」
「おっと、マシンを破壊したら生命維持が出来なくなるから変な事を考えちゃダメだよ?」
「眠る事も食事も自由も効かずに三日間戦い続け、逆らえば電撃で焼かれた体だぁ」
「君がちょっとでも炎を灯せば簡単に終わるさ、安心安全だねぇ!」

無理矢理相良の手を掴み、ダーティの心臓にあてさせる。
弱り切った心臓の鼓動が微かに伝わってくる程度、どちらにせよ限界は近いらしい。

「ほらぁ、君の手で楽にしてあげなよぉ?」
「もしここで慈悲をかけたらどうなるか、それはそっちの忍者に質問するといいねぇ」
「君がダーティを永遠の苦痛から解き放つんだよ、ほら、やってごらん?」

悪魔とでも呼べばいいのだろうか。弱り切った相楽にはあまりに厳しい選択肢だろう。
目の前にあるのは死に限りなく近い生命体。そしてそれにトドメを刺せるのは相楽だ。
しかしトドメを刺さなければダーティが苦しみ続けるのも事実だ。
忍者からすればこの後ダーティがどのような姿になるのか、予想など容易いだろう。
はたして相楽はどの選択肢を選ぶだろうか…?


この選択肢が悪魔と呼べる理由、それは別にあった。
千切れた腕の断面、そこには新たなコード達が犇めいていた。
そう、どちらの選択肢を選ぼうがこの男は相楽を仕留める気なのだ。

そして腕の断面図の真正面に位置するは忍者。
主は未だ戦闘を続けるつもりらしい。だがその気配を察するのは難しいのかもしれない。
何故なら主はその場にいない、音声だけの存在。
吐き気を催すような邪悪そのものはその場にはいないのだ。

偽りの殺戮人形に騙されたが最後、そこに待っているのは最悪の展開だけ。
しかし相楽はダメージも疲労もかなり蓄積している。正しい判断を下せるのか?
悪夢を終わらせるか、始めるか、全ては二人に託された。
722 :ライラ・クレイウィル【アーチャー】 [sage]:2016/05/06(金) 20:46:20.22 ID:wahpeMVU0
>>720

「太陽を撃ち落とす、かぁ…私じゃとても出来そうに無いわね」

どんなに優れた弓兵でも流石にあの太陽を撃ち落とすことなど不可能だろう。
太陽は常にあそこで見下ろしている、普遍的なものというものはやはり憎たらしさもあるが安心するものもある。永遠に変わらず、あそこにあることが約束されているのだから。

「会話力…身につくとは思えないけど」

普段会話することなどほとんどないライラにとってそれは中々難しいことだ。話すことと言えば依頼者からの依頼の内容と、その結果だけ。会話らしい会話などある筈がない。
そんなライラの会話力を高めることなどほぼ不可能に近い。

「……無理よ、もう手遅れ。だって私、もう汚れすぎちゃったから」

この手は、余りに殺しすぎた。普通には戻れない。
ならばもうこちらで生きていくしかない。それがライラの選択であり、答えだ。
どの道自分は普通ではないのだ、ならばこの街のイレギュラーとして過ごしていくほか道はない。ならばせめてこれだけは貫こう。イレギュラーとして生きていく自分を受け入れよう。
それが私にできる、唯一の生き方だから。

「そういうこと、正直憎いとかもよく分からない。
私は空っぽだから、そんな感情も湧いてこないの」

最後にそう言い残して、ライラは立ち上がる。
しかし、そんなことを言うライラの諦めの裏にはどこか、救われたいという感情が眠っていた。
それにライラは気付くことがあるのだろうか。自分の気持ちを知ることを諦めた彼女はその気持ちを見つけられるのか。

「じゃあねセシリア、次……があるかどうかは分からないけど、そのときはまたお話ししましょう。
私はあなたを救えない、そしてあなたも私を救えない。だけど戯れるくらいは出来るでしょ?」

それを最後にライラは踵を返し歩いていく。

この出会いは二人に何も齎さないし、二人に何の利益も無い。
だが、だからこそ話すことができる。お互いがお互いに何も無いからこそ出来ることもある。もしも次回があったとしても、きっと二人に影響は何も無い。
0に何を掛けても答えは0だ。それは人と人との関係でも変わりはしないのだから――――


//ここで〆させてもらいますね
数日に渡るロールありがとうございました!新鮮なロールで楽しかったです!
723 :セシリア・ダルク【聖剣】 [sage saga]:2016/05/06(金) 23:00:35.52 ID:Eas8DLkyo
>>722
何も得るものはない
何も変わるものはない
鮮血で固められた決意/憤怒が覆ることはない
それへの妄信は、止まれない

されど、一筋の輝きは損なわれなかった
聖剣の黄金
救いへの希求
それは救済の日を、ただ待ち続ける

再会を約束した二人は、踵を返す
いや、戯事を約束したのだ
お互いに変化を及ぼしあうことはない
あるのは、ただ単なる空虚
利益も、変化も求めることはない―――

//こちらこそ、ありがとうございました!いい意味で実のないロール、面白かったです!
724 :相良 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/05/07(土) 11:00:46.92 ID:z3Qtc3U6o
>>721
「………放せよ」
「…はぁ…マジでめんどくせー奴だなお前…もう相手すんのも疲れたわ」

ぱん、と音を立てて遥歩は自分の腕を掴んでいたダーティの手を弾いた
その双眸は冷たい色の感情を孕み、ただダーティであったものの瞳の向こう側、遥歩たちを眺める傍観者へと向けられて
邪悪が望んでいたであろう動揺や葛藤の感情が無かった訳ではない。ただそれを噛み殺し、押し殺して平静を保っているように見せかけただけ

遥歩の冷めた態度はこの戦いの不毛さ、そしてこの戦いのつまらなさに依るものだ
自分達と同じ土俵にあくまでも立ちたがらない”そいつ”に、遥歩は辟易した。彼のプロットに付き合うのに疲れてしまったのだ
実際例えばここが壇上で自分達が劇団の役者だったと仮定しても、彼の振る舞いはオーバーアクトにも程がある
殴っても殴ってもヘラヘラヘラヘラ。痛みも苦しみも、都合の悪いことだけダーティに押し付け余裕ぶっていることに無性に腹が立つ。

何もかもを邪悪で塗り固めその素顔すら明らかにしない。遥歩はその卑劣を心から嫌悪した
よって遥歩による選択は、提示された二択とは異なるモノへと落ち着いた。そう、邪悪への反逆。徹底抗戦の構えだ

「調子乗りやがって…」
「んの…ボケクソナメクジヒキニート野郎…ヒトの命を弄んで悦んでんじゃねェぞ……」

溜息と共に漏れ出る言葉。気だるげに頭を掻いて、そして瞳と瞳越しに邪悪を見透かし、睥睨する。
至って平静を装ってはいたが、暗い感情の押し殺せなかった部分は、拙い言葉での罵詈雑言となって現れる。
命を弄ぶな、クソ野郎。その言葉と共に遥歩は自分の胸の、その中央をドンと強く叩き、そして強い決意と共にこう告げた

「あたしは殺さねぇ…てめェの言いなりになって殺すくらいならなぁ…!」
「ここで死んだ方が百倍マシだっつってんだよ!!」

どこまでも事は男の思い通りにはならない。強い決意を以って遥歩の意思は徹底的な反抗を続ける
「ダーティ?知るか、あたしはモヤシを痛めつけた奴をとことんイラつかせてやるだけだ」、と。それを彼も望んでいるだろうと勝手に解釈して
遥歩は邪悪を嘲り、そのニヤケ面を歪ませてやることこそが彼の敵討ちだと、彼への弔いとなると信じてやまなかった

叫びと共に、迫り来るコードには脇目も振らず中指を突き立てる。「くたばりやがれ」と微笑みを湛えて
全てがあの時と同じ。ただ一つ違うのは、今宵は一つの命が失われるということだった

――さぁ殺してみろ
…てめェがイラつきゃ、あたしの勝ちだ――
725 :月影 虎次郎>>2【運命の反逆者】 [sage saga]:2016/05/07(土) 12:23:35.63 ID:oEG4vYcX0
>>721>>724
「……遥歩殿…?」

自身の命が危うい危機的状況の中、怒りの感情を顕にする遥歩へ疑問を投げるニンジャ。
ニンジャは知っている、このままダーティが生き続ければどんなに辛いことになるかも、その終焉も。
だがしかし、それの幕を引く相手が必ずしも遥歩でなければいけない事など、そんなことはないのだ。
命を散らせるのは”表”に生きる者がしていい事ではない、だからこそニンジャは大剣を構えダーティを睥睨する。

「遥歩殿の手を汚させはしないでござるよ」

冷淡に、”裏”の闇を垣間見させる迫力を乗せた呟きを溢せば、一瞬にしてダーティとの距離を詰める。
狙うは遥歩に襲いかからんとする無数のコード。死角ならばまだしも、真正面からならば苦はない。
一瞬の閃撃が公園を照らした刹那、今にも遥歩へ襲いかからんとしていたコードは鏡のような断面を残し地へ落ちる。
未だに遥歩の意図は掴めていない。だが、意図を知らなければ信じられないようなチャチな関係ではない。
こうして条件は揃った、何一つ違わない――全てがあの時と一緒になった。

「拙者は御主を知らぬ、だからこそ言えるでござる。
 ……同情するでござるよ、”ダーティ”殿に全てを擦り付ける生き方しか出来ぬ御主に」

遥歩の隣に立ち、吐き捨てるように冷徹な声色を投げるニンジャ。
ニンジャははっきり言ってこの状況について行けていない故に、出来ることは隣に立つ友を信じる事のみ。
だから、今はこの剣を振るわない――振るうのは、遥歩が”弔い”を終えてからでもいいだろう。
無情にも月光に浮かぶ大剣の鋒は殺戮人形へ向けられている。
もしも未だ反抗の兆しが見えるのならば、もしも未だ遥歩の命を脅かそうとするのならば。
その時は何時でもお前を殺せるのだと、そう宣言するように―――。
726 :ダーティ・ハット【コードハッカー】 [sage]:2016/05/07(土) 14:03:58.49 ID:vDbf3u0v0
>>724 >>725
「はぁ?」

思わず出てしまった呆れた声。
【面倒臭い】その言葉は主のやる気をごっそりと削いでしまったらしい。
自己中心的にしか考えていない主はその台詞が大嫌いだ。
相手にされないのが一番堪えるのだ。こんな性格の奴には。

「あぁムカつくなぁ!折角カッコいいシーンだったのにぃ!」
「君の所為で全部ダメになっちゃったじゃないか!!」
「良い役者がそろっていたのに君の所為で全部茶番になっちゃったじゃないか!!」

突き立てられた中指、その挑発行為に主の怒りは頂点に達した。
全身をバラバラに引き裂こうと伸ばしたコード、それは忍者によって断ち切られてしまう。
傷ついたコードを治すには時間がかかる、かといって肉弾戦では隣の忍者には絶対に勝てない。
何もかもうまくいかなくなった現実に主はただイラつくだけだ。
ただ子供のように、その場で地面を何度も蹴りつける。

「ホント嫌だねぇ!もう最悪の気分だよ!」
「こんな使えない玩具なんてもういらない!」
「バカ![ピーーー]!消えろ!」

同じように相楽と忍者に中指を突き立てる。
もはやそこにいたのは負け犬そのものでしかなかった。
子供がゲームに負け、無様な言い訳とマヌケな罵倒を繰り返すような姿。
勝てないことを悟り、必死に誤魔化そうとする哀れな姿。

「このシャンプー様を怒らせた罰はあとでキッチリかえしてやるからな!」
「僕が本気を出せばお前ら何て一瞬でゴミなんだからな!」
「死んで後悔しろ!バ―――カ!」

ブツッ、と通信音が途絶えた音と同時にダーティはその場に崩れ落ちた。
あまりに唐突、そしてあっけなく全ては終わってしまったらしい。
取り付けられたメカも起動音は消え、あたりに静寂が広がる。

メカが止まれば同時にダーティの命も止まる。
やっと解放された体。限界を超え破壊された体。
焼け焦げた右手から綺麗に裂けたコードが伸びる。
それは弱弱しく動き、地面を浅く削る。

【ごめん】、きたなく歪んた文字を書き残すとコードは地面へと落ちる。
全てに終わりを告げたダーティの体から罅割れて今にも壊れそうな宝石が現れる。
月明かりをうけてなお輝く事が出来ないそれはただの重力にさえ耐えきれずに割れてしまった。

その直後、何も知らずに吹き抜ける風にダーティのシルクハットは飛ばされてしまった。
今までどれだけ激しく動いても外れなかったシルクハット。
それは不規則に、そして自由に風にのって何処かへと消えていった。


//長い間ロールありがとうございました
//忍者と相楽の信頼関係、見ていてとても羨ましかったです
727 :鮎津 桔梗【Beehive】 [sage]:2016/05/07(土) 21:02:42.27 ID:uoqBlxp40
>>709

「あなたって優しいのね。それと、ごめんなさい。そんなあなたに傷つけるようなことをしてしまって」

心の中に染みるような感覚で胸がじんわりと温かくなった。こんな感覚を覚えたのはいつぶりだろうか。
女に訊ねられると刃物を拾い上げそれで自分の人指し指に傷をつける。
ポタポタと血が垂れるその指を女に近づけて、それが蜂の持つ毒の効果であることを明かした。

「耳も聞こえ辛くなって来てるでしょう?
体温の低下と聴覚の異常は蜂が持つ毒の仕業なの。そして、私の血だけがその毒を解毒できるから舐めて」
728 :神谷茜 >>37 【エゴリア】 [sage]:2016/05/08(日) 16:44:11.10 ID:c7fOawU6o
噴水のある公園に、一人の少女。
少女は某校の制服姿でベンチに座り、書物を読んでいた。
恐らく書物の大きさから小説の類であることが何となく分かるか。

「…、今日も仕事か。」

休日なのに学校へ出向き、自ら講習を受けた少女。
帰りに寄った公園で"仕事"までの休憩をしていた。
既に太陽は頂点を過ぎ、徐々に沈まんとして動き続けていた。

そんな中、少女の携帯電話が鳴動する。
少女は其れを手に取り応答、スピーカを耳に当てて。

「…、え、今日は仕事ないの?分かった。」

それだけの簡単な会話を済ませて電話を切る。
そして携帯電話を鞄に放り込むと、いきなり筋力トレーニングを始めた。
腕立て伏せ、だろうか。それが終わるとシャドーボクシングを初めて。

「仕事ないなら、先に言ってくれても良かったのに。」

と文句を垂れながらシャドーボクシングを続ける。
休日の公園、誰か訪れる者はいるか。
729 :【断頭執行人】>>489 [sage]:2016/05/23(月) 01:02:50.23 ID:0QJ5yhrDO
ズルズル!!モグモグ!!
【とあるラーメン屋、物凄い勢いで注文したチャーシューメンとチャーハン×2(共に大盛り)を頬張る少女の姿があった】

う、うめぇ!!マジうめぇ!!ガツガツガツ!!
いやぁ、ここんところくに食ってなかったからよ!!うま過ぎて涙出そうだぜ!!ガツガツガツ!!
【目の前にあるチャーシューメンとチャーハンをとてもおいしそうにかき込む】

…あぁ、食った食った。
【満足そうに自身のお腹を軽くポンポンと叩き、ポケットからココアシガレットを取り出しくわえる】
いやぁ、うまかったぜ…おかげで腹一杯になったぜ…ありがと……………よ!!!!!!

【そういい、会計の為に近付いてきた店の者に持っていた斧で攻撃を仕掛ける】
【少女に襲われた店員は攻撃を避ける事が出来ずにまともに食らってしまい、そのまま倒れ込む】
へへ、悪く思うなよ!!!!!!?金持ってねぇから逃げるしかねぇんだよ!!!!!!!!!!!!!!
じゃあな!!
【そのまま店の外に走って行こうとする】
【どうやら悪質な(?)食い逃げらしいが、偶然現場を目撃し、少女を捕らえようとする者が現れるだろうか…???】
730 :夜霧 晴斗>>10【詐鞘器(ささやき)】 [sage]:2016/05/24(火) 20:14:52.86 ID:9G9S6ACj0
騒がしかった子供もいなくなった夜の公園。そこにおいてある木製のベンチに一人と一匹がいた。

「お前、主人はいないのか?」

晴斗は突然膝の上に来た猫を撫でながら聞いてみるが帰ってきたのは、ナーと言う曖昧な返事。
その返事を聞いて、そうかと短く猫に返答し撫でる力を強める。
気持ちよさそうに猫が身じろぐが気にせず撫でる。

「よし、お前の名は今日からノラだ」

そう撫でているいくつも名を持つ猫に告げると尻尾を振りニャーといい返事が返ってくる。
良い声で鳴いたノラを下ろして鞄を漁ること数分、見つけた刺身を出しノラの前に置くと勢いよく食べ始めた。

「はは、腹いっぱい食べな」

晴斗はそう言いながら笑って買っておいたパンに噛り付いた。
731 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(チベット自治区) [sage]:2016/05/28(土) 19:26:36.66 ID:0Yhmib2zo

//>>728再掲します
732 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [age]:2016/06/18(土) 22:35:47.11 ID:Im4UtihK0
能力ください
733 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/06/20(月) 01:32:14.81 ID:UjhgcS+aO
>>732
【ヴェートロール】
ガラスを意のままに操れる能力。曲げたり割ったり飛ばしたりはもちろん、ガラス同士をくっつける事もできる上
光を屈折させて太陽光を収束させ、相手を攻撃する事も可能
初期装備としてガラス玉の詰まった小袋を持つ
734 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) :2016/08/12(金) 19:12:01.70 ID:SNwuvwIDo
能力くださいな
735 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/08/12(金) 19:17:49.36 ID:AV9BW0z/O
>>734
【キングメントール】
この能力は愛煙家推奨
タバコの煙で自身や対象の分身を造り出したり、自分の思い描く形にもできる。
煙の量を増やし煙幕にしたりと汎用性が高く自由自在に操れるが、能力での攻撃手段はない為注意
身体能力はアスリート並で接近戦は得意
武器はサバイバルナイフで扱いも達人
736 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(千葉県) :2016/08/12(金) 19:26:28.09 ID:SNwuvwIDo
>>735
今までにないタイプですね!
_|\○_あざーす!!
737 :相良 遥歩>>3 【バーンド】 [sage saga]:2016/08/17(水) 01:19:10.53 ID:HRDtpCSho
「……ぅぁあっづい!!」

夏の日差しにじりじりと照らされ、陽炎立ち上がるヒートアイランド。
遥歩はがたんとノイズを響かせ、ベンチから勢い良く立ち上がった。揺れた机からエナジードリンクの缶が転げ落ちる
この夏はとにかく暑い、ケタ違いにクソ暑い。座っているベンチの接地面ですら、鬼のように熱されて座れたものではなかった。

「なんでこの街はこう…クソ暑っついかなァ……!」
「あ゛ーーー!!このままじゃ溶けてなくなっちまいそーだ…」

缶を蹴り上げ、宙に舞ったそれを難なくキャッチ。ゴミ箱へとシュートすれば端に弾かれて落ちた。
溜息交じりにそれを拾い上げ、今度は至近距離から投げ入れる。こう暑いと何をやっても上手く行かず、ストレスも溜まる一方
少女にはフラストレーションの発散の場が必要であった。要は積もり積もった色々な欲望を満たす場所が必要であった

齧っていたパンの切れ端を、野良猫の鮭太郎へ分けてやる。猫もなんだか、暑さにへたっているようで元気が無かった
元気づけるように猫を撫でてやろうと手を伸ばしたその時、風に飛ばされ地面にひらりと舞い降りた広告の見出しに目が留まる、
それを見て目を丸くした少女。これは運命だと、自分の行き先が今決まったと確信した。猫から手を離せば踵を返し、財布を片手に急ぎ足、
暑そうな長袖Tの腕をまくって意気揚々と逃げ水を追って歩き出す背中、再び風に煽られた広告が宙を舞った。

リベルタス海水浴場、海開き迫る――

「…なワケで来たけど…海」
「ぜんっぜん人いねーじゃねーか…こんなんじゃ喧嘩も出来ねー…サビちまうぜ」

そんな訳で一週間後、彼女は浮き輪を小脇に抱え、街からそう遠くない海水浴場へ足を運んでいた
水着は古着屋で調達したビキニとホットパンツ。ビーサンなんてもちろん持っていないのでいつものスニーカーである
いつものファッションセンス皆無の長袖黒Tとダメージジーンズに比べればいくらか涼しい、否、目に見えて快適な服装ではあるが。

そしてどうも彼女の目当ては海へと泳ぎに来ただけではなく、街から離れる事によって新たな猛者との邂逅を目論んでいたようだ
最近すっかり街は平和に、これといった小競り合いもなかった事で遥歩は相当退屈していたのだろう
身体を動かして鬱屈した気分を晴らし、また己の腕を高める為にも、今日も強敵を探して辺りを練り歩く

「焼きそば…かき氷…どれ食おっかなぁ…」

…もっとも本当に遊びに来ているだけなのかもしれないが
738 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2016/08/17(水) 03:30:15.58 ID:DKMB0iDv0
能力ください!
739 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/08/17(水) 03:40:56.33 ID:7QJ1IgjWO
>>738
【無零機人】
対能力者を想定した完全兵士を目指して改造手術を施された元無能力者の人間
「超人」とでも呼ぶべきパワー、身体能力を誇るが強い電撃を浴びると数秒行動不能に陥る
一目見るだけで能力者を察知する事が可能でその能力もある程度解析可能
軍人として英才教育を受けており特に剣術に秀でる
武器は弾丸をも切り捨てる高周波ブレード
非生物として扱われる
740 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2016/08/17(水) 03:53:22.85 ID:VILS0ibh0
ヒップホップな能力下さい
741 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2016/08/17(水) 03:55:34.12 ID:OcwQOvpmO
>>740
【デス・ボイス】
声で空気を超振動させ衝撃波として飛ばすことができる。自分はこれに耐性を持つ。
衝撃は視認できる。身体能力は軍人レベルだが近接戦闘は苦手。
742 :【断頭執行人】>>489 [sage sage]:2016/08/17(水) 04:47:17.14 ID:6MNZS0uDO
>>737
・・・こ、今年の夏のおれは一味違うぜ…。
【黒髪ロング、白のブラウスにチェックのミニスカ、ハイソという女子高生風(?)の格好をした小柄な少女がそう呟きながら砂浜を何故か恥ずかそうに歩いている】
…ま、まぁこんな格好して歩いてれば誰かおれの事を買ってくれるやつがい…いそうだし、な…。
【本人としては精一杯可愛らしい格好をしたつもりらしいが、いかんせん格好等を気にしたことがないのとちょっとアレなところがあるせいかまったくもって変な(?)格好になっている事に気付いていないらしい。】
…しかし…さっきから誰も声かけてこねぇが…どうなってやがるんだ…???
…こ、これじゃあこんな格好してきた意味ねぇじゃんかよ…お、おれだって恋人ほしi…じゃなかった、これじゃ商売になんねぇ…何か手はねぇものか…!?
【その時、近くにいたビキニとホットパンツ姿の少女が目にうつる】
【少女をまじまじと見ながらアゴに手を当て何かをぶつぶつ呟く】
…………ふーむ…あんな格好がいい……のか……???
つーかこの格好間違ってるのかな…???
初心者(?)だから誰かと一緒に居た方がナンパされる可能性とかも高そうだし…何かあったら聞いたり出来るしな…よし。
おーい、そこのお嬢ちゃん!!!!!ちょっといいか!!!!!!!?
【そう少女に声をかけて近付こうとする。】
【人によっては色々と不審に思うかも知れないが少女はどんな反応をするだろうか…???】



/良ければお願いします!
743 :742 [sage sage]:2016/08/17(水) 06:40:00.18 ID:6MNZS0uDO
/>>742はキャンセルでお願いしますなのです・・・。
744 :相良 遥歩 【バーンド】 [sage]:2016/08/17(水) 10:17:11.14 ID:HRDtpCSho
>>743
//あらら、すみません…またの機会によろしくお願いしますっ
745 :742 [sage sage]:2016/08/17(水) 11:37:04.75 ID:6MNZS0uDO
>>744
/了解しました、ごめんなさいなのです・・・。
746 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2016/08/17(水) 15:56:09.19 ID:DKMB0iDv0
>>739
ありがとうございます!頂きますね
747 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(関西地方) [sage]:2016/08/17(水) 17:36:44.95 ID:VILS0ibh0
>>741
ありがとうございます
748 :【デスボイス】>>741【MC dada】 [saga]:2016/08/17(水) 18:22:40.76 ID:VILS0ibh0
【夏。快晴。】


「顕れる俺 なんと煙から
  叩かれるとて 挫けぬMC dada
 誰ともなく飛ばしてくRHYME
  転がすのはまるで人生のDICE
  届かす声(こわ)これが魂のMAIC」

  太陽は燦々と 快調さ、らんらんと
  街路樹の下 流るビート 退路はなく かかるヒート
  誰一人近寄らぬサイファー 彼はそうコンクリートジャングルのダイバー
  吐き出すリリックはまさしく即興 失敗を恐れないlike a 特攻 いや若しくは速攻
  突き落とす側溝 これは全て独行 課せられた罰それは六項
  奇ッ怪な目を向ける雑踏 きッらいな人間どもへ言葉の刀を今抜刀


【短気な野郎が息を吸い、リリックをハンマーのごとく声に載せる】


「Fuck野次馬!
 Wackな輩ども!
 Luckはもうねぇぜてめぇらに!
 Rapそれはもはや凶器だぜ!」

  ア゛ッ!!!!!!!!!!
  緩急はなく 伸び代もなく ただ甲高く
  逆風がまず 置塩飲ます dada啖呵吐く
  声の向き 波紋状 拡散する破壊衝動
  胸 耳 劈き そして 彼の声は死を掌る


【破壊!混沌!暴力的な肉声につき!!】


/絡みづらさは百も承知、下手さも然り
749 :相良 遥歩 【バーンド】 [sage]:2016/08/27(土) 12:33:54.64 ID:MC6/ZI35o
>>737
//再掲しまーす
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