【俺能】異世界で異能者生活【派生テスト】

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1 :(´@ω@`) ◆wIGwbeMIJg :2016/10/26(水) 22:53:47.88 ID:FonrCviQ0
ようこそ、厨二病隔離スレへ
このスレは能力をWikiから【選んで】
厨二力を爆発させ壮大な「異世界生活」を行うスレです
※ 過度なインフレや決定的な語句にもご注意ください ※
※ 貴方が絡んでいる相手も貴方と同じ人間です。 皆が主人公ということを忘れずに ※
● まずは該当wikiで能力を選びましょう
● 能力は原則一人一つ。 奪ったりコピーする能力の場合はこの限りではない。
スレを跨いでのキャラ・能力引き継ぎオーケイ
殺害対象の能力を自身の能力と交換可能(任意)
奪った能力は宝石として出現、取り込んだものが能力を得る(宝石の複製や持ち歩きは不可)
◇得た能力の安価を名前欄に書きましょう(例として 【魔王】 と名前欄に記入する)
◇能力は死亡により再取得。
◇能力の使用などに関しては空気を読んで調整する。
◇荒らしは黙ってスルー。
◇分からない事は避難所の雑談スレで質問してください
◎戦闘之スヽメ◎
会話文(例:からあげうめえ)
【行動(例:?ゆっくりと近づき、殴りかかった)】 ※「刺さった」とか確定させるとそれ以上広がらないので無し
こんな感じでやると分かりやすい。俗に言う「ロール」。 
多くの異能者と交流するもよし 、商人、鍛冶屋的な能力を懇願しほそぼそとサポートに回るのもよし。
複数人数で徒党を組み勢力を広げるもよし、正義のヒーローとして君臨するもよし。


次スレッドは>>900、出来ない場合は再安価
次スレッドを立てるまで>>950からは減速すること(重複回避)

能力一覧ttp://wikiwiki.jp/nanasia777/

避難所ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/19660/#2
2 :【エゴリア】テントウムシ :2016/10/26(水) 22:55:53.64 ID:FonrCviQ0
【日は既に落ち、あたりは静寂と月明かりに包まれている】
【人気のない路地に不気味な影があった】
【ひょろりと縦に長く、あまり筋肉があると思えない細い影】

【それは誰かを待っているかのように、ずっとその場に立ち尽くしている】
3 :如月 間 【DeathScythe】 [sage saga]:2016/10/29(土) 20:55:24.67 ID:N4QItcEq0
しっかし「彼ら」も面倒くさい仕事を用意してくれましたねぇ…
【凛とした街に一人純白のスーツを着た男がたたずんでいる】
私としては情報を教えてもらうだけ教えてもらえばそれでいいんです…がっ!
【誰にで言うわけでもない独り言を言い終えると禍々しい大鎌を出現させる】
さぁーて今日も元気にお仕事お仕事…スーツ汚れないといいですねぇ
【大鎌を肩にかけ歩いていく姿はまさに】
『白い死神』出陣です…!
4 :【エゴリア】テントウムシ :2016/10/30(日) 18:46:21.35 ID:XAHs7+860
>>3
【気がつくとソレは大鎌を持った男の後ろにいた】
【まるで影そのもの、月の瘴気に惑わされて生まれた幻覚のようなソレ】
【ソレは黄色い二つの目は燦然と輝かせて男を見つめていた】

「お前は何故その鎌を持つのだ?」
「もしお前が13ならば白よりも黒のはずだろう?」

【よく分からない言葉を発するソレ】
【ソレは月を眺めていたが、そのうち用水路を見つめ始める】
【そして鎌を見つめてから静かに呟いた】

「ザリガニは私達を犬の役に選んだようだ」
「吊るされた私、空に浮かぶ月、13番目のお前……」
「これらは正しいのか?それとも逆なのだろうか?」

「少なくとも、今のお前は逆ではないようだ」
「私はお前が何を選ぶのか、少々興味が湧いている」
「少しばかり、付き合ってもらえぬだろうか?」

【そこらへんの能力者とは違ったオーラを放ち始めたソレ】
【距離はおよそ5m、離れるも近づくも容易な距離だ】
5 :如月 間 【DeathScythe】 [saga]:2016/10/30(日) 22:17:21.80 ID:gKn8/iFT0
【瞬間 後ろに現れたソレをなんと形容したらよいのか分からなかった】

おやおやおやぁ…とっても怖いですねぇ…

【余裕を保たせているが内心では強く、震えていた背中に汗が這い寄る】

僕は13何て大したものじゃあないですよさしずめ愚者(フール)ってどころですか…ねっ!

【自分が出し得る全ての力をもって走った、恐怖心からではない間合いをつけるためである】

およっおよよよっとぉ!

【15mほど間合いを開けると拳サイズの石を手に取り空に投げる】

モード?死神ィッ!来やがれェッ?
6 :如月 間 【DeathScythe】 :2016/10/30(日) 22:24:25.13 ID:gKn8/iFT0
>>4
/間違えましたすいません
>>5
続き
モード!死神ィ!来やがれェ!

【先ほど空に投げた石が目の前に来ると初撃漆黒の刃で切り蒼の炎を燃え移らせ柄の部分でソレ目掛け野球のように弾き飛ばす】

しっかし私もたくさんの修羅場を潜って来ましたがあなたのような化け物はひっじょぉぉーに!珍しいです!


7 :【エゴリア】テントウムシ :2016/10/30(日) 23:10:24.30 ID:XAHs7+860
>>6
「怖い?この私が怖いと言うのか?」

【宙に吊られたような体勢の影はそう笑った】
【暫く笑うと男が走っている事に気がついた】

「私は化け物ではない」
「私は12番目のアルカナを持つ者、名をテントウムシという」

【突然鎌は燃え上がり、それは石に伝わり燃やしはじめる】
【蒼い炎は月明かりよりも鮮やかにあたりを照らす】

「愚者…それは自由、無邪気、可能性、天才などを意味する」
「しかしそれの逆は我儘、落ちこぼれ、鬱、焦りを示す」
「私には逆が示す【焦り】がお前から感じられるな」

【石を簡単に避け切り、そのまま男に向かって突き進む】
【しかし足音や呼吸音などといった体から発せられるはずの音は皆無】
【不気味な静けさの中、テントウムシは走り続ける】

「何処か余裕があるように感じられるが、その裏側が全く読めない」
「それは愚者故の余裕か?それとも…」
「13を覚悟し、受け入れたからこその強さなのか?」

【距離は再び5m前後、そこでテントウムシは立ち止まった】
【どうやら相手の動き次第で自分の行動を決めるつもりだ】
8 :如月 間 【DeathScythe】 [saga]:2016/10/31(月) 17:13:47.71 ID:5/d9OhGg0
>>7
うっわ!避けちゃうんだぁ…すげぇ〜…

【ソレの言っていることはほぼ当たりだった確かに自分は焦っている】

すぅー……

(思い出せ…今まであいつらに吹っ掛けられた汚れ仕事を…正直何度も死にそうになった…敵に数十人囲まれたときなんか…それこそ死神が脳裏によぎった)

【一つ一つ記憶をほどいていく】

(ああ…そっか…それから俺のコードネームは白い死神になったんだ…)

【気が付くとソレは5mほど先にいたもう、焦りはしない】

少し、当てっこゲームしましょうかあなたの能力の事考えてみましたあなたの能力はたぶん幻覚、テレポーテーションそして時間を止めるのどれかでしょう…

【何故か単語一つ一つに間をもたせて話す】

不思議だとは思ったんです何故音もなく私の後ろに忍び寄れたのか…私だって危ない世界で生きている身です背後にも細心の注意を払っています

【淡々とだが芯のある声で続ける】

幻覚を見せられているならありうるでしょうが…あなたの人間性をみてみるとそういった能力はあまり好んで使わない…と思う!
次にテレポーテーションですが…実はこれが一番悩んでいます…

【頭をかき余裕を見せる】

テレポーテーションは…ほぼ勘なんですけど…僕の背後に来たときはあまりに違和感が無さすぎた、よってこれもナシ!
そして残ったのは…時間を止める能力…!

【ここまでの長話で少し疲労したのだろうもう一度深い呼吸をおいた】

…フゥ……そんな大きな能力、色々制限があるに決まっている…止められても4〜5秒程度クールタイムも当然必要、そして…間合いを積めたがっているのを見るとあなたに遠距離攻撃の手段はない

【答えを急かすようニヤケ面で続ける】

どうです?

/返信煮は少し時間がかかります…すいません…
9 :【エゴリア】テントウムシ :2016/10/31(月) 18:38:14.64 ID:fLe42kE50
>>8
「ほう、私の力を当てるというのか」
「面白い、ならば暫くお前の推理を聴いてやろう」

【テントウムシは怯えもせず、その場に吊られていた】
【能力が暴かれる、それはすなわち敗北の可能性が高まるという事】
【しかしテントウムシはそれを恐れない】

【幾分かの時が流れ、如月の推理は終わった】
【テントウムシは静かに驚き、そして感心した】

「………成程、私が現れた時の状況から行動を記憶していたのか」
「そしてこのような怪異に追われ、一瞬で詰められる間合いでも動揺しないその心」
「どうやら多くの修羅場を潜り抜けてきているようだな」

「……正解だ、私は時を少々止めることが出来る」
「そして遠距離攻撃の手段は無く、クールタイムも必要なのも正解だ」

【拍手のような動作をするが、やはり音はならない】
【静かに褒め称えているのは事実だが、どこか不気味だ】

「しかし人間というものは分かっていると油断をするものだ」
「何故なら人は自らに都合の良い面しか見ることが出来ないからだ」

「お前はそれを乗り越えることが出来るか?」
「自らの弱さを認め、焦っていた過去のお前自身を受け入れることが出来るか?」
「そしてこの私を倒し、次なる世界へ進む事が出来るか?」

【そう言い終えると黄色い二つ目から闘気が放たれる】
【走る事無く、地面にしっかり足をつけてゆっくりと歩き始めた】
【どうやら至近距離での戦闘をするつもりのようだ】

「我は刑死者、それは試練、修行、努力を意味するアルカナ……」
「汝、我にその力を示し、次なる世界へと歩まん……!!」
10 :如月 間 【DeathScythe】 [saga]:2016/11/01(火) 17:13:20.88 ID:6O8ys2gj0
>>9
(能力者の能力バレはなかなか痛手のはずだ…なのにどうしてこいつは余裕でいられる…?)

【余裕綽々な相手の態度に不審感を覚える】

(まだ隠していることがあるかそれとも強者故の…!?)

【そう思いかけたときに相手から溢れんばかりの闘気を感じる】

(身体能力ではほぼ互角…!だかきっと奴のほうが打撃は優れている…!ならば…)

【彼は、微笑した】

私の強みは、大鎌です

【誰にいうわけでもなく呟きそして髪をかきあげる】

オラァ!いくぜェェ!!!!!

【漆黒の刃で自分の目の前の道を一文字切り裂く、そして蒼の炎は瞬く間に燃え広がる】

これで間合いには踏み込ませねえ!
オラッ!裂けろォ!!

【漆黒の大鎌をテントウムシ目掛け降り下ろす】
11 :【エゴリア】テントウムシ :2016/11/01(火) 19:33:06.28 ID:ZqMrj+bL0
>>10
「ふむ、無駄な努力だな」
「いくら恐ろしい鎌を振ろうと、全てが止まった世界では意味を成さぬ」
「お前も一度体験してみるといいだろう、時が止まるとはどういうことなのかを……!」

【鎌が丁度テントウムシの額に当たる直前、世界は停止した】
【鎌が当たる直前、額に燃え移った冷たい炎も止まってしまう】
【風も、音も、熱も何もかもが停止した世界で一人、テントウムシは動いた】

【如月が持つ大鎌は止まった世界では何の圧力もかかっていない】
【テントウムシはそれをよく知っている、故に狙うは鎌】
【即座に鎌を奪い取り、背後に向かって投げ捨てる】

【そして目の前で手を振り下ろさんとする如月の前でテントウムシは構えた】
【その瞬間、世界は再び動き出す】

「お前の鎌を奪い、首を斬るのには時間が有り余るものでな…」

【如月が認識する時間はとても恐ろしいものだろう】
【自らの鎌はテントウムシの背後を切り裂きながら飛んでいき】
【力強く振り下ろした腕にはテントウムシの拳が迫っている】

【拳が直撃したなら骨は簡単に砕けてしまうだろう】
【もし直撃を逸らしたとしても、重い一撃は腕の自由を暫く奪うだろう】

【そして逸らしたところでテントウムシは目の前にいる】
【強力な打撃を得意とするテントウムシだ、至近距離での戦闘結果など目に見えるだろう】

【刑死者のアルカナが示す、試練という状況そのものだ】
【はたして如月はどう乗り越えていくのだろうか___】
12 :【クリティカルクリスタル】ドラゴンフライ :2016/11/01(火) 19:46:42.52 ID:ZqMrj+bL0
【人気の少ない公園】
【普段の電灯の灯りが照らすのは寂しい光景】
【しかし今宵だけはいつもとは違った光景を照らしていた】

【帰り際かと思われる若い女性】
【彼女が公園を通り抜けようとした時に悲劇は起こった
【突然大量の血を吹き出し、あたり一面を不気味で染める】
【まずは首、次は手首、喉、両脚、そして腹部……】
【最後に玲瓏たる鈴の音があたりに響くと____】

【女性の体には無数の穴が開き、血が滝の様に吹き出ていた】

【血液の流れが弱くなってくると、物陰から何かは現れた】
【全身がクリスタルによって形成されているらしく、光を奇妙に反射して】
【歩く音は奇妙な金属音、静寂が包む公園に響く】
【そのクリスタル状の何かは死体をじっと見つめていた】
13 :如月 間 【DeathScythe】 [saga]:2016/11/02(水) 16:44:29.41 ID:FwbQS29O0
【次に如月の目に写ったのは裂けたテントウムシの姿______ではなく拳】

!?ンガッ!…ハァッ!!!

【そのまま地面にぶつかる】

いっでェ…!はは…まさか地面とキスをするはめになるとはな…

【吹き飛びそうな意識を抑えゆらゆらと立つ】

鎌は…向こうか……やっぱり時間が止められた…と考えるのが普通…わかっていても対策のしようが………いやある…!

【吹き飛びそうな意識はとうに消え失せた…しかしあくまでもやせ我慢、テントウムシの拳はそう何度も喰らって平気なものでは無いだろう】

このままダッシュで鎌を取りに行ってもいい…がやられっぱなしは性に合わねぇんでなァッ!!

【身体を大きく捻っての回し蹴りをテントウムシ目掛ける、地面がギャリギャリと音が鳴る】

確かにお前ほどの打撃力はねぇが!俺だってそこそこヤるんだぜェッ!
14 :【エゴリア】テントウムシ :2016/11/02(水) 23:28:58.27 ID:3BqyqVXc0
>>13
「不意の一撃がよほど痛かったと見えるが、立っているのは見事だ」

【如月は意識が少しトビそうなのか、すこしふらついているようだ】
【常人ならば昇天してもおかしくない一撃、耐えられるのは強者の証だろう】

「身体能力は恐らく互角、そこで重要になるのは体格……」
「残念ながら身長で勝っても体重が無いのでな……ッ!」

【あえて回避をせずに如月の回し蹴りを受け止める】
【不気味な影は大きく揺らぎ、如月の脚に不気味な感触を伝える】

【だが10kg前後の体重の差は決して無視できるモノではなく】
【受け止めるも如月の一撃は重く、グラリとテントウムシは体を揺らす】

「ふむ、予想通りの重い一撃だった……」
「だが【重いだけ】の一撃だったのが救いだ……!」 

【体重があまりないテントウムシは掴み技との相性が非常に悪い】
【打撃主体、そして一撃の重みで戦うテントウムシは足掻くのが苦手だ】

「お前に予め宣言しておこう……」
「次にお前が私に何か攻撃をしようとした時、私は再び時間を止める」
「そして再び時が流れた時、お前が立っていられるのは私が情けをかけた時だけだ」

【言い終えると体勢を少しだけ直し、重い右ストレートを放つ】
【避けようと思えば十分避けられる攻撃だろう】
【しかし避けて反撃を試みれば時は止められてしまうだろう】
【無論反撃を試みなくともテントウムシは攻撃を止めないが】

「お前は【そこそこ】ではなく【かなり】やれるはずだろう?」
「多くの修羅場を潜って手に入れた力はその程度で終わってしまうのか?」
15 :如月 間 【DeathScythe】 :2016/11/03(木) 08:28:39.81 ID:BEww2/NT0
ヒャッハーッ!どぉやらかなりキたんじゃねーの?

【不気味な感触だったまるでゴム毬を蹴ったかのようにぐにゃりとした】

へぇ…俺が反撃したら時を止める…か

【ヒヒッと不気味な笑いを見せるとジッとテントウムシを見据えこう言った】

そうか…なら俺には最強の必殺技があるんだぜぇ
いくぜ?必殺「なにもしない」

【如月はテントウムシの一撃をそのまま受け止め、その拳をがっしりとつかみ、向きを若干上向きにした】

ガッハァツ…!ヒヒッ!痛ぇ!痛ぇ!サイッコォに!痛ェェェゼェェェェェェッ!

【如月はそのまま少し前向きにジャンプをした、テントウムシの拳力と如月の脚力を掛け合わせた物は思った以上に凄まじくそのまま3、4mほど飛んでしまった】

ヒヒッ…!作戦成功だ……

【テントウムシの真後ろにドサッと落ちる】

痛い何て言ってる場合じゃねえ…!

【如月は体制を立て直し全力で走った大鎌をてにした後も、もうすでに5秒程度で近付ける距離にはいない】

近くの公園で待ってるからな!

【ヨロヨロとけれどしっかりと走るもう既に満身創痍という言葉が当てはまった】

はは…間違いねぇ…あと2発程度で倒れんなこりゃ…

【公園にはもうついたそして如月はたくさんの落ち葉を集めた…端から見ればただの変人だろう】

フゥ…こんなもんか…あとはゆっくり待つだけだ…
16 :【エゴリア】テントウムシ :2016/11/03(木) 10:06:45.91 ID:VtRXO1Ob0
>>15
「なにもしない、だと?」

【想像よりもずっと早く、如月は対策を思いついていたようだ】
【そして利用される自らの拳、若干無茶がある大胆な奇策】

「………実に面白い作戦だな」
「私を見て怪異に焦っていたお前はもういないらしい」
「よかろう、お前の言うとおりにしてやろう」

【如月の蹴りで揺らいだ体を正し、公園へと脚を進める】
【満身創痍と見える如月とは逆に、余裕綽々のテントウムシ】
【しかし如月にはあの大鎌がある、油断は出来ない】

「……なるほど、その落ち葉と呼吸を整えるのが目的か」
「単純に見ればあの冷たき蒼炎を燃え移らせるつもりだろう」
「……もしもお前が隠しの一手を持っていなければな」

【テントウムシは如月の機転の良さを恐れている】
【能力の都合上、確実な一手で使わねばならない】
【もし至近距離で動きが読まれていたとなれば、残るは絶望】

「お前も知ってのとおり、私は遠距離攻撃の手段を持っていない」
「身を削り、お前のそばまで近づき、鎌を利用して攻撃するのが限界だろう」
「再び鎌を捨てた方が楽ではあるが……」
「それでは楽しくないだろう?」

【テントウムシは全力で如月目がけて走り出す】
【例えそれは炎で体を凍らされようと、止まらないだろう】
【何一つ作戦が存在しないようなテントウムシの動き】
【それははたして本当に無鉄砲な突撃なのだろうか?】
17 :如月 間 【DeathScythe】 :2016/11/03(木) 13:09:54.04 ID:BEww2/NT0
ハァ…ハァ…来るの早はえーよ

【まだその口ぶりと見た目からして完全に体力が回復したわけではないようだ】

そう…俺はこの落ち葉を燃やすつもりだ…ゲホッ!ゲホッ!これが秘策…!まぁ大したこと無いけどいくぜ?

【如月は落ち葉を燃やし自分の真上に投げた】

この炎は自分に対して効果がないのがいいとこだ
名付けて『蒼の葉の結界』ってところか…

【蒼の落ち葉は如月を囲うように落ちる】

時を止めてもこの炎を掻い潜り俺に一撃御見舞いするのはのは至難の技だろうな…ッと来るか!なら俺も真っ向勝負でいかせてもらうぜっ!

【テントウムシ目掛け鎌を大きく降り回す】
18 :【エゴリア】テントウムシ :2016/11/03(木) 19:36:27.99 ID:VtRXO1Ob0
>>17
「掻い潜れなければ、この身凍てつかせて進むのみ……!」
「もともと命亡き体、朽ちることなど恐れはせん……!」

【ひらりふわりと舞い落ちる落ち葉は確実にテントウムシの体を凍らせる】
【全身に鋭く冷たい痛みが走る、しかしテントウムシは止まらない】

「私は試練を与えるために作られし存在……!」
「この程度の炎や鎌など………ッ!」

【鎌をあえて完全に避けず、右ストレートを強引に放つ】
【無論、奇妙な音をあげながら左半身に鎌が深々と突き刺さる】
【傷口からは体の一部と思われる影が霧のように吹きだす】

「これでお前も思うようには離れられんだろう……?」

【痛みを感じているのか、目の色が少し薄くなっている】
【しかし闘気は消えるどころか、より強く、より威圧的になっている】
【そして闘気をそのまま乗せた鈍重な右ストレートを放つ】

【鎌はテントウムシに刺さったままだ、抉るも切り裂くも容易い】
【しかしテントウムシのクールタイムは終了している、下手な行動をすれば__】
【待っているのは残酷な場面だろう】
19 :如月 間 【DeathScythe】 :2016/11/03(木) 20:21:38.81 ID:BEww2/NT0
>>18
もういい加減負けを認めろよたらどうだ?ヒャハハーッ!

【勝ちを確信したかのような台詞、しかしこの状況下で勝敗がわからないことは如月が一番わかっていた】

よくもまあ精神力だけでそんなに良い拳が出るもんだ…

【落ちてきた蒼の葉を一枚取りその手でしっかりと拳を受け止める】

どうだ?おい?ほぼ全身に落ち葉は当たったぜ?凍えで身体が動かせなくなってもおかしくねえがッ!

【鎌をずっと引き抜く】

お前の身体が人間と大して刺し違えねえのなら、俺がなにもしなくても一応出血?で良いのか?まあいいだろうつまるとこ、俺がなにもしなくてもお前はおそらく………死ぬ…!

【ニヤリと笑う】

だからな情けをかけてやるよ兄弟…ッア!……見ての通り俺も結構キてんだ…な?この事はお互い忘れようぜ…?それで全部収まるからよ…

【鎌をテントウムシの後ろに投げる飛んでいくその姿はまるで蒼の円盤だった】

俺「は」『もう』なにもしない…

【如月の言っていることは全て真実だった何故なら】











【彼はもう既にやることをやり終えていたから】
20 :【エゴリア】テントウムシ :2016/11/03(木) 21:12:20.73 ID:VtRXO1Ob0
>>19
「確かに体は凍てつき、もはや動かすことさえ難しい……」
「しかしもう一度時を止めれば、その間に炎を消すことなど容易い……」

「だが私は時を止めない」
「本来ならば鎌が私を裂く前に止めるつもりだったのだがな……」

【引き抜かれた鎌、それは円盤のような姿となる】
【つまり回転、そして空気を裂くように回れば当然「戻ってくる」】

「お前のそのありもしない余裕、私には砕けないようだ」
「その余裕を崩した瞬間、それはお前が適当な攻撃を出した時」
「私は試練を乗り越えられなかったと判断して仕留めるつもりだったのだ」
「その余裕、中々面白かったぞ?」

【戻ってきた鎌、それは無残にテントウムシを真っ二つに裂く】
【切れ目からはもう影は噴き出さない、終わりの様だ】

「我は影、試練を表す影………」
「汝試練を越え、新たな世界へと歩まん……」

【影は影へと消え、影は地へ落ち、そして消えてしまった】
【残ったモノは12番目のアルカナ、刑死者を示すカード】
【そして影の力、時止めの結晶のみ】


【公園はいつもの静寂を取り戻し、全ての影は細長く伸びていた】
【太陽が顔を出し、新たな世界の始まりを告げた】
21 :如月 間 【DeathScythe】 :2016/11/03(木) 21:52:55.98 ID:BEww2/NT0
【自分の目の前に戻ってきた鎌は何をするわけでもなく落ちた】

なにもかもお見通しだったって訳ですか…気に食わねぇ…!

【鎌を手に取るとソレは白く染まっていく】

モード…天使(エンジェル)

【自分の身体を切り刻むと完全にではないが如月の身体は回復していった】

貴方が本気だったら私は負けていましたよ

【溶けて消えたテントウムシには美しく輝く宝石だけが残っていた】

これ…任務完了って事ですかねぇ…?

【いつの間にか髪は下ろされていてスーツは影で黒く染まっていた】

よっこらせ…っと

【宝石を取りスーツの内ポケットにしまうとそれとは別のポケットから携帯のようなものを取り出す】

繋がりますかね…?

【携帯のようなものは不気味に揺れ止まった】

お、繋がった…ハイ如月です…ええ…ハイ例の物は手に入れましたよ…ですからそろそろ教えていただけませんか?…いいんですか?今日は随分と機嫌が宜しいようで…てっきりまた先延ばしにされるのかと思いましたよ…それで秘密結社の名前は…?

【ゆっくりと瞬きをし一呼吸おく】

………『Belial』
22 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/07(月) 00:00:29.40 ID:ORi8lnq90
【本来ならば人で賑わうはずの街中】
【しかし今日そこにいるのは人だったモノと人の型を模した何かのみ】
【人だったモノは人型の何かに殴られ、血で塗れていた】

「本日もノルマ達成、無事終了いたしました」
「……はい、では、また後ほど伺います」

【耳に手を当て誰かと会話すると、もう用済のソレをさらに殴る】
【もはや原型を留めず、中身が溢れ出て異臭があたりに満ちていても】
【殴る、殴る、殴る___】
23 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 00:46:33.26 ID:190/2B1s0
>>22
「うぇ……」

【チカチカした目立つ色のフリル付きドレスを身に纏う、キャンディーを持ったお散歩帰りの少女】
【原型の分からない物を、なんなのか分からない人型の何かがひたすらに殴り潰している。不運にもそんな不可思議で殺伐とした現場と鉢合わせ】

「私が通る道でそんなのやんないでよ…」

【見たくなくても視界に入ってしまう、そんな光景を尻目に異臭を嫌いながら、通学路に怖い犬でもいた子どものようにコソリコソリと横を通る】
【しかし、見たくなくても視界に入りそうなのは少女のチカチカフリフリした格好も同じで、その得体の知れない人型の何かに存在に気付かれる可能性は高いだろう】
24 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/07(月) 14:40:58.27 ID:ORi8lnq90
>>23
【やはり派手な格好をした者を見逃すはずもなく】
【血に塗れたソレは顔を派手な者へと向ける】

「仕方ありません、なぜならこれは仕事だからです」
「あなただって分かっているはずです」
「この世界には、能力者が多すぎることを」

【顔には【]W】の文字しかなく、目や口などは一切ない】
【全身についた返り血を軽く払うと少女の方へ体を向ける】

「能力者はどういう訳か闘争を望む」
「その闘争は全てをゆっくり、ゆっくりと腐敗させていく」
「金で力を買い、得た金は力をさらに狂暴化させていく」
「そして制御を失い暴走を繰り返す、終わらない暴力の連鎖」

「あなたもその連鎖の一つ、望まれた破壊です」
「私はそれに飲み込まれ、そしてそれを飲み込むだけ」

【よく分からないことを呟きつつ、ゆっくりと少女に近づく】
【どうやら暴力の連鎖に巻き込むつもりのようだ】
【身体能力、特異能力共に未知数の二人】
【異臭と残酷な行為が満たす街中はどんな場になるだろうか】
25 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 18:53:09.28 ID:190/2B1s0
>>24
【正体不明のソレが向けた顔もまた不可思議で、少女は背筋の凍るような恐怖心を抱いた】
【少女には意味が理解し難い言葉を呟いて、近づいていく】
【少女に理解できた事は、この正体不明のものが自分に危害を加えんとしていること】

「………な、なによ。私とやろうっての!?」

【本能的に逃げ出しかける少女は自らの夢である自分の王国を創り上げることを思い返しその場に立ち留まった】
【得体の知れないモノだからとて、逃げ出していては国の頂点に立つ事、ましてや何かを創り出す事などできないだろう】
【そんな気持ちが少女が持つ目の前のソレに対する畏怖を消し去り、少女は立ち向かう事を選ぶ】

「あんたみたいな化け物、私の国にはいらないから…!」

【言い放って少女は持っていたペロペロキャンディーを一舐めする】
【すると、魔法がかかったかのようにキャンディーはその大きさを変え、少女の身長とほぼ同じくらいにまで巨大化した】
【ただのキャンディーもそこまで大きくなれば、鈍器としては充分すぎるほどの重量を誇るだろう】
【少女は王の飴槌(ロリポップハンマー)を両手で抱え、迫り来るソレを待ち構えた】
26 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 18:55:46.68 ID:190/2B1s0
>>24
【正体不明のソレが向けた顔もまた不可思議で、少女は背筋の凍るような恐怖心を抱いた】
【少女には意味が理解し難い言葉を呟いて、近づいていく】
【少女に理解できた事は、この正体不明のものが自分に危害を加えんとしていること】

「………な、なによ。私とやろうっての!?」

【本能的に逃げ出しかける少女は自らの夢である自分の王国を創り上げることを思い返しその場に立ち留まった】
【得体の知れないモノだからとて、逃げ出していては国の頂点に立つ事、ましてや何かを創り出す事などできないだろう】
【そんな気持ちが少女が持つ目の前のソレに対する畏怖を消し去り、少女は立ち向かう事を選ぶ】

「あんたみたいな化け物、私の国にはいらないから…!」

【言い放って少女は持っていたペロペロキャンディーを一舐めする】
【すると、魔法がかかったかのようにキャンディーはその大きさを変え、少女の身長とほぼ同じくらいにまで巨大化した】
【ただのキャンディーもそこまで大きくなれば、鈍器としては充分すぎるほどの重量を誇るだろう】
【少女は王の飴槌(ロリポップハンマー)を両手で抱え、迫り来るソレを待ち構えた】
27 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 18:59:43.63 ID:190/2B1s0
>>24
【正体不明のソレが向けた顔もまた不可思議で、少女は背筋の凍るような恐怖心を抱いた】
【少女には意味が理解し難い言葉を呟いて、近づいていく】
【少女に理解できた事は、この正体不明のものが自分に危害を加えんとしていること】

「………な、なによ。私とやろうっての!?」

【本能的に逃げ出しかける少女は自らの夢である自分の王国を創り上げることを思い返しその場に立ち留まった】
【得体の知れないモノだからとて、逃げ出していては国の頂点に立つ事、ましてや何かを創り出す事などできないだろう】
【そんな気持ちが少女が持つ目の前のソレに対する畏怖を消し去り、少女は立ち向かう事を選ぶ】

「あんたみたいな化け物、私の国にはいらないから…!」

【言い放って少女は持っていたペロペロキャンディーを一舐めする】
【すると、魔法がかかったかのようにキャンディーはその大きさを変え、少女の身長とほぼ同じくらいにまで巨大化した】
【ただのキャンディーもそこまで大きくなれば、鈍器としては充分すぎるほどの重量を誇るだろう】
【少女は王の飴槌(ロリポップハンマー)を両手で抱え、迫り来るソレを待ち構えた】
28 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 19:00:43.94 ID:190/2B1s0
>>24
【正体不明のソレが向けた顔もまた不可思議で、少女は背筋の凍るような恐怖心を抱いた】
【少女には意味が理解し難い言葉を呟いて、近づいていく】
【少女に理解できた事は、この正体不明のものが自分に危害を加えんとしていること】

「………な、なによ。私とやろうっての!?」

【本能的に逃げ出しかける少女は自らの夢である自分の王国を創り上げることを思い返しその場に立ち留まった】
【得体の知れないモノだからとて、逃げ出していては国の頂点に立つ事、ましてや何かを創り出す事などできないだろう】
【そんな気持ちが少女が持つ目の前のソレに対する畏怖を消し去り、少女は立ち向かう事を選ぶ】

「あんたみたいな化け物、私の国にはいらないから…!」

【言い放って少女は持っていたペロペロキャンディーを一舐めする】
【すると、魔法がかかったかのようにキャンディーはその大きさを変え、少女の身長とほぼ同じくらいにまで巨大化した】
【ただのキャンディーもそこまで大きくなれば、鈍器としては充分すぎるほどの重量を誇るだろう】
【少女は王の飴槌(ロリポップハンマー)を両手で抱え、迫り来るソレを待ち構えた】
29 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 19:14:53.06 ID:190/2B1s0
/おうふ、めっちゃ連投…すみません
30 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/07(月) 19:40:45.88 ID:ORi8lnq90
>>28
>>25
「その通り、あなたとです」
「あなたは私を求め、そして破壊を求めている」

【言い終えると同時に走り始める】
【その速度は軍人よりも早く、鍛えられたアスリートよりも早い】

「あなたは私のことを【いらない】と言い、武器を構えました」
「危険な対象は排除する、それは生物として当然の行為です」
「しかしそれは【人としての行為】としてはどうでしょうか?」

【突然右手を引き、力を溜めるような体勢を取る】
【そして右手は地面を一気に突き抜け、コンクリートの破片が宙を舞う】

「あなたは自分にとって都合の悪いモノは全て排除する」
「もしそれが成功して、あなたの国が出来上がったとしても」
「そこに【正義】や【調和】は存在しません」

「そんなモノを作らせないために、私は作られました」
「私の名はカマドウマ、14番目のアルカナを示す道具…」
「全てを調和させるための力、あなたにぶつけさせていただきます」

【即座に体勢を直し、宙を舞うコンクリートの破片に回し蹴りを当てる】
【威力十分の蹴りによって飛んでいく無数の破片、それは少女へと向かう】
【それを追いかけるかのようにカマドウマはさらに少女へと近づく】
31 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 20:07:49.30 ID:190/2B1s0
>>30
「ちっ……うるさいうるさい!私を否定しないでよ!
私の国なら私が【正義】!非国民はいらない!」

【全てにおいて自分中心に考え自己陶酔する少女は否定される事が何よりも嫌いだ】
【故にカマドウマの少女の思想を否定するような言葉に少女は苛立ち、声を荒らげる】

【飛来するコンクリートの破片に、少女はロリポップハンマーを振りかぶり叩きつけ、弾き落とす】
【そのまま巨大なキャンディーの重量からなる遠心力を使い一回転、追いかけるように迫るカマドウマへ飴槌を下すべくカマドウマから見て右から横薙ぎに振ろうとする】
32 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/07(月) 20:35:17.61 ID:ORi8lnq90
>>31
「否定されて動揺するのは心のどこかでソレを認めている証拠…」
「あなたは自分に酔いすぎている、そして酔いが醒める事を嫌う」
「嫌な事から逃げる弱者は、力の【意味】を考えません」

【キャンディーによって威力を失う破片たち】
【そのキャンディーの硬度は並大抵のものではないらしい】

「あなたが本当に自分の国を作るつもりなら考えるべきです」
「国民は何を望み、何を嫌い、あなたに対してどんな思いを持つのか」

「力のみで出来た国に法律は無く、意思のみで出来た国に力は無い」
「今のままではあなたの国は法律も力も無い、弱小国家となるだけです」

【容赦なく振るわれる巨大なキャンディー】
【カマドウマがそれを右手で受け止めた瞬間だった】

【キャンディーは元の大きさ、硬度に戻っていた】
【無論カマドウマにダメージは無く、さらに少女との距離を詰めていた】

「私は調和、不自然な事象は全てかき消します」
「たとえそれがどれだけ優しい力でも、どれだけ邪悪で破壊的な力でも」

【拳は既に握られ、走った勢いをつけたまま真っ直ぐ突き出す】
【それは少女の腹部を狙っている、しかし死に至らしめるような威力ではない】
【威力はそれ相応なので十二分な痛みは伴うが】
33 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/07(月) 21:20:35.54 ID:190/2B1s0
>>32
「……!えっ…?」

【遠心力をフルに活用して振られたキャンディー。直撃すれば爽快なほどの手応えがある、はずだった】
【少女の手には命中した手応えも、また、何かで防がれた手応えすら無いほどだった】
【魔法がかかっていたはずのキャンディーが少女の意思とは別に、魔法は解け普通のキャンディーへと戻っていたのだ】
【キャンディーは少女の手から抜け、遠くへ飛んでいく】

「…ぐぇっ!!ぅぐ……ぁ……」

【その事象に少女の理解が追いつく間もなく、カマドウマの拳が無防備な少女の腹へとめり込んだ】
【少女は数センチ後ずさりし、倒れ込み悶える】

「……余計なお世話よ、化け物……
私が一番、私のための国、もし私が砂糖は苦いと言ったら国民のみなも苦いと言うべきなの…!…私の邪魔しないで非国民!」

【少女はゆっくり立ち上がると、乱れた髪を整え、ドレスに付いた砂を払い、カマドウマを睨みつける】
【少女の手にはいつの間にか再び先ほどと同じキャンディーが握られていた】
【そのキャンディーにも魔法がかけられ、前のキャンディーよりか少し小さいくらいの大きさになった】
【少女はそのキャンディーを怒りに任せて思い切り振りかぶり、カマドウマに投げつけた】
34 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/07(月) 22:24:37.24 ID:ORi8lnq90
>>33
「あなたが本当に国を望むのなら、私に勝てるでしょう」
「しかしあなたは本当に国を望んでいません」
「あなたが望むそれはただの【傲慢な支配】でしかない」

【再び振るわれるキャンディーも右手であっさり戻される】
【本来の威力が伝わるより早く戻す以上、カマドウマにダメージは無く】

「あなたは【調和】を無視しすぎている」
「どんな物事も全て一定のバランスを保って成り立つのです」
「それを無視すれば待っているのは痛みだけです」

「一見保てている様なバランスも、いつかは崩れ去ります」
「あなたが崩れるのは、もしかしたら今日かもしれません」

【今度は拳よりも勢いを乗せた回し蹴りを放つ】
【狙いはどうやら少女の腕、食らえば自由を少々奪われるかもしれない】

「どうして私があなたを攻撃しているのかまだ分かりませんか?」
「私は無暗矢鱈に人を攻撃するような存在ではありません」
「その私があなたを傷つけ、あなたを否定する理由……」
「それに気がついていないのであれば、崩壊させることに躊躇いはありません」
35 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/08(火) 19:35:28.71 ID:oqjS1Zro0
>>34
「そう、私は調和なんて考えてない。私が頂点でありさえすればそれでいいのよ…そこに調和も一定のバランスも必要ない
待っているのは痛み?頂点の私に誰が攻撃してくるの?」

【自分中心の狭い世界に生きる愚かな未来の支配者は支配欲と自己顕示欲に溺れ、自分以外何も見えていない】

「分からない。私にはあんたが私の邪魔をしてるだけにしか思えない。
ふん、これ以上邪魔するんだったら私だって王としてあんたを消すつもりよっ」

【邪魔な物、都合の悪い物は全て排除する】
【まさに傲慢そのもの。しかし少女は頂点に立つのに相応しいと、己の傲慢さをも愛して陶酔していた】

【カマドウマの脚が少女の腕へと照準を定め風を切る】
【少女は狙われた左腕に大きな円形のクッキーの盾、王の城壁(スウィートアーマー)を召喚し防いだ】
【かなりの硬度を誇るこの盾で防いでも、カマドウマの並外れた身体能力にて繰り出される蹴りは腕にビリビリと衝撃が伝わってくる】

「もうどうなっても知らないから!」

【少女は左腕の盾で蹴りを受け止め、カマドウマに右手を突き出す】
【少女の右手にはトゲの一つが非常に突出し鋭く尖った大きな金平糖の槍が握られていた】
【およそ60センチのその槍、処刑台の棘(シュガージャベリン)はカマドウマの右肩へ突き刺さろうとしていた】
36 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/08(火) 22:06:07.47 ID:1GRbR/Tz0
>>35
「………素晴らしく愚か、そして素晴らしく純粋な答えです」
「あなたは果ての無い欲望を持ち、その為には犠牲を厭わない心を持つ」
「それは支配者や果てを目指す挑戦者に向いている性質です」

【蹴りはクッキーの盾によって防がれる】
【反動を利用して即座に体勢を戻し、次の行動に備える】

「しかしあなたはそれらになるための資格を何一つ持っていない」
「非常に残念に思います、もしあなたが資格さえ持っていれば……」
「私はあなたを仕留めなくても済んだというのに」

【少女はどこからともなく金平糖の槍を突き出していた】
【右手で裁けば即座に元に戻すことは容易い】
【しかしカマドウマはそれをしない】

【あえてダメージを最小限に抑えつつ、槍の攻撃を躱すことにする】
【右半身を後ろに引き、体勢を低めに整える】
【槍は直撃はしないものの、右肩のブロックをいくつか破壊した】

「私の能力は調和させるだけ、貧弱この上ない能力です」
「故に私が壊れても、次のアルカナはすぐに生み出されます」
「あなたの情報を持った、私の記憶を引き継いだ者が生まれます」
「そして半永久的にあなたを追うでしょう」
「あなたはこの世に居るべきでないのですから」

【先ほど引いた右半身を護りつつ、左半身で思い切りタックルを繰り出す】
【左半身を出しつつも右手を少しだけ前に出しタックル後の体勢も考えているようだ】
【そして右手が出ている以上、盾や槍で防ごうとしても元に戻されるだろう】
【もし避けたとしても出した右手でリーチを伸ばし、無理矢理でも攻撃が出来る】
【攻守一体の戦法、これがカマドウマが戦場で生き残れる理由だ】

【近距離ではカマドウマと少女の身体能力の差が大きく表れる】
【一般能力指標だと2段階も離れている、まず勝ち目は無いだろう】
【そして能力も掻き消されてしまう、かなり一方的だ】

【さらにカマドウマはもう説得による調和を完全に諦めた】
【より苛烈に、より隙のない肉弾戦を行ってくるだろう】
【このまま近距離戦が続けば待っているのは___】
37 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/08(火) 23:00:47.60 ID:oqjS1Zro0
>>36
「……ぐっ!!」

【カマドウマがタックルの姿勢を見せたその時には少女は突き出していた槍を引き、身を縮こませ盾を構えて防御姿勢】
【強力なタックルを受け止めるはずの盾はカマドウマの右手に触れ、ただのクッキーと帰されそのままタックルの勢いで砕ける】
【粉々に砕けたクッキーごと少女の小さな身体は吹き飛ばされた】

「いるべきじゃないのはどっちよ化け物!」

【吹き飛ばされた少女は着地地点にマシュマロを出し、魔法をかける】
【マシュマロは瞬時に大きさを変え巨大なクッション、王の座(スウィーテストチェア)と化した】
【マシュマロのクッションによって勢い良く地面に叩きつけられることを回避】
【そしてそのまま少女はカマドウマの方向へと跳ぶ。利用したのは魔法のかかったマシュマロの反発力】
【飛燕の如く飛び出した少女は右手に持つ金平糖の槍をカマドウマへ突き出す】
【地に足は付いていないため精密な狙いはつけられないが、普通に突き出すよりも何倍もの威力とスピードを発揮できるだろう】
38 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/09(水) 18:34:36.31 ID:TkBd1jSP0
>>37
「私だって生きたくて生まれた訳ではありません」
「むしろ調和のためには私は壊れなくてはなりません」

【タックルで吹き飛んだ少女、しかしダメージは無いようだ】
【即座に機転を利かせ、ダメージを回避しつつ攻撃に移ったようだ】

「しかし私が壊れたら誰があなたを止めますか?」
「あなたを止めた誰かを誰が止めるのですか?」
「故に私が、私達が全てを終わらせるまで、私は生きなければならない」

【精密性は皆無だが、勢いとパワーを持った槍】
【その一撃を避ける事はカマドウマには出来そうにない】
【せめて急所を外すのが限界だったらしく、左半身に槍は深々と刺さり】
【そして勢いで一気にカマドウマの体を貫いた】

「……無機物の私でも貫かれた痛みは感じます」
「あなたはどうして私に痛覚があるのか、理解することは出来ないでしょう」
「言い換えるならば、あなたは理解する前に壊れるかもしれないでしょうね」

【もしカマドウマの体が鋼のように堅ければ、槍は刺さらずに少女は地に落ちた】
【しかし「跳んで」放ってしまった一撃が体を貫通すれば、少女の勢いは消えないだろう】
【槍が刺さり、激痛で無い顔を歪ませながらもカマドウマは構えた】

【勢いを利用した一撃、その勢いを利用したカウンター】
【そこに加わるはカマドウマの身体能力、そして調和の力】

【破壊力抜群の右ストレートは、能力の防御を確実に突き破ってしまう】
【そしてカマドウマの身体能力、一瞬の間しかなくとも狙いはほぼブレない】
【狙いは無情にも少女の「首」を確実に狙っていた】
39 :キャンディ・プレッツェル【キャッチースイーツ】 :2016/11/09(水) 19:47:22.06 ID:vjE3ZNso0
>>38
「………ッ!!」

【機転を利かせた攻撃は見事命中。カマドウマにかなりダメージを与えられたことを確信し、少女は不適な笑みを浮かべる】
【しかし、攻撃した後の事を考えていなかった】
【地に足は付いておらず、跳んだ勢いも抑えられない】
【カマドウマの勢いに勢いを相乗したカウンターが少女の細い首を捉え、何かが砕ける鈍い音と共に少女の視界は真っ暗な闇に染まる】
【勢い良く地面に叩きつけられ、少女は糸の切れた人形のように動かなくなっていた】
【少女の身体から虹色に輝く宝石が落ちる】

【全てを調和する者によって愚かな支配者の誕生が止められたのだ】

40 :【バランサー】カマドウマ :2016/11/09(水) 20:27:25.57 ID:TkBd1jSP0
>>39
【首の骨を一撃で粉砕したようで、ぺたりと少女の体は地に落ちた】
【傷口を抑えつつ、大きく息を吐き、戦闘の疲れを癒す】

「……私があなたを襲った理由は」
「【私の通る道で】とあなたが表現したからです……」
「自分のことしか考えず、他者を捻じ曲げることは調和ではない……」
「私はソレをあなたが気付き、それを非と認め、まっすぐ歩いて欲しかった…」
「あなたにはソレが出来る、そう思っていたから……」

【暫く休んだ後、ゆっくりと宝石に近づく】
【甘い香りがどこからか香る、不思議な宝石】

「……言葉の力はどうしていつも非力なのでしょうか」
「私も彼女と同じように自分勝手な道具なのでしょうか…」

【悲しげに呟くと宝石を思い切り踏み潰す】
【破片は塵と化し、いつのまにか何処かへと消える】
【それと同時にカマドウマも何処かへと走り去っていった】

【宝石があった場所が少し濡れていた理由は誰も知らないまま__】
41 :【クリティカルクリスタル】ドラゴンフライ :2016/11/11(金) 22:39:02.48 ID:NaNGIRq60
【満月の夜、大きな月明かりが暗い夜を映し出す】
【今日はいつも以上に月が大きく見えるのは幻想なのか】
【はたまた隠れた敵の能力によって変化したものなのか】
【それらは誰にもわからない、しかしそれを理解しようとするモノもいた】

【大きな月を映すのは大きな湖、その湖畔にソレはいた】
【全身が結晶で出来ているらしく、カラフルな光を複雑に反射させていた】
【それは本来の結晶の色と返り血が乾いた紅を混じらせた光だ】
【湖から少し離れた森の中からは血の主と思われる残骸が転がっている】

「………ナゼ、ワタシハ【ハカイ】ヲノゾム?」

【機械的な声でふと呟く】
【悲しく、そして理性が混じる不思議な音声】
【それは空しくあたりに響き渡る】
42 :花柄の娘【レーゾンデートル】 [saga]:2017/01/04(水) 23:53:35.02 ID:vBJ+76N50
名もない花が咲き誇る。一面を埋め尽くすのは灰色の影の群。
名もない花が咲き誇る。冷たい夜風にその身を任せて。
名もない花が咲き誇る。花一色と夜一色の狭間に横たえる彼女は。
名もない花が咲き誇る。ただ朝を待って、花の枕に嗽ぐ。

薔薇の様に美しく、百合の様に可憐な少女がひとり、
深夜、花畑にて。
43 :花柄の娘【レーゾンデートル】 :2017/01/06(金) 00:02:59.25 ID:c8s5tYbC0
彼女の暮らす花苑で日付の変わる数分前か数分後か、重い瞼が何だか上がる。
何故だか今日は起きてしまったみたいだ。
夢現、花々に座し微睡みの中でただぼうっと覚醒を待つ。
44 :首那 【居合会心】 :2017/01/06(金) 02:39:47.37 ID:Jf6oCAp9O
夜の街。暗闇の中に滴る血が1滴2滴
嬌声が絶たれると共に響き渡るまた別の嬌声。
その声を耳にした少女は、鮮血でまみれた刃を一瞬の内に鞘へ納めると、ゆっくりとその声の元へと歩を進める。

その嬌声の主は若い女性
どうして!?どうして!?…と視界の中で繰り広げられる惨劇に震えながら、目を瞑る女性に少女は静かに答えた。


「私は餓えているのです」


一閃。言葉が女性の耳に届く頃には、その首は宙を舞っている。
血飛沫を撒き散らしながら絶望の表情を浮かべた首は少女の足下へと転がっていく。

「…蝿を見つけた蛙がその舌を伸ばす様、私は刃を伸ばすのです」
「餓えて死んでしまわない様に…その餓えた舌を」



少女は心の底で求める
この狂気溢れる”私の世界”が破壊されることを
45 :ピオーナ【蠍火】>>54 [sage]:2017/01/07(土) 01:36:19.67 ID:4yThQAPw0
【今宵は飢えている】
【幼き器に満たされた、獰猛な魂が】

【冷たい夜風が抜ける道】
【肌寒いというのに防寒具も無しに小さな少女が俯いて道に座り込んでいる】
【傍らから見れば何ともカワイソウな少女だろう】
【しかしそんな少女の紅い目は幼さの欠片もなく、獲物を待ち構える肉食動物のように鋭い眼光をしていた】
【少女は餌を待つ。自らに宿る、飢えた魂を満足させてくれる餌を】
46 :麻生 誠司【鬼憑き】 :2017/01/07(土) 02:37:02.95 ID:dnBuPEL80
>>45
……君、大丈夫?

【吹き荒ぶ冷風に晒される夜道、人々は既に夢現な時間帯であるにも関わらず出逢った二人】
【否、片方にとっては出逢えた、もう片方にとっては出逢ってしまったという表現のほうが適切か】

ああ、いや……いきなり話しかけるなんて、迷惑だったかな?
俺、麻生誠司っ!お父さんとお母さんは何処に居るの?

【”餌”を待つ少女の目の前に現れたのは、質素な服装に身を包んだ極普通の雰囲気を醸す青年】
【彼にとって目の前の存在は、親と逸れ一人ぼっちになってしまった不幸な少女と映ったのだろう】
【そして青年がそれに疑問を抱く事はない。この少女は、自分が守ってあげなければならない、と】
【胸に宿る正義感から導かれる行動がどんな運命を辿るのか、それはきっと――】
47 :ピオーナ【蠍火】 [sage]:2017/01/07(土) 03:00:18.64 ID:4yThQAPw0
>>46
【待ちに待った餌の声が少女の耳に入る】
【ニヤリと邪悪に笑った顔をとても悲しそうな表情へと変え、顔を上げた】
【目の前には質素な服装の青年】

うぅぅ…お父さんもお母さんもどこかへ行っちゃったの…
どうしよう、おにぃちゃん…

【涙の溜まった紅い瞳で青年を見つめ、何のためらいもなく嘘を吐く】
【目の前の青年は正義感や優しさから、この少女に声をかけたのだろう】
【そういうお人好しな人間を何度も何度も喰らってきた】
【お前もそのくだらない正義感ごと喰らってやる】
【少女の中の魂がそう叫んだ】
48 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 03:28:30.92 ID:dnBuPEL80
>>47
【やはりそうか、悲し気な表情で瞳に涙を溜める少女を見て自分の予想が正しい事を確信した】
【無論少女の心情など知る由もない青年は、平然と吐かれる嘘を見抜く事など出来ず視線を合わせようと膝を曲げ屈み込む】
【紅蓮の瞳に相反するような黒い双眸が、少女の視線と重なった】

そうなんだ……よし、わかった!
俺が一緒に探すよ!……お父さんとお母さんとはどこではぐれたの?

【和やかな笑顔と共に向けられる言葉は恐らく、少女が今まで幾度となく聞いてきた台詞だろう】
【小首を傾げ尋ねる青年は、その台詞を吐いてきた人々の中でも特にお人好しの類であり、一切警戒の色を示さない】
【”餌”の中でも随一の愚かな心の持ち主である青年は、一時足りとも少女の視線から目を逸らさなかった】
49 :ピオーナ【蠍火】 :2017/01/07(土) 03:45:11.54 ID:4yThQAPw0
>>48
【優しさに満ちた表情、優しさに満ちた言葉】
【少女にとってはもう飽きるほど見て、聞いている】
【この青年は喰らった他の誰よりも真っ直ぐな瞳をしていて、少女に対して微塵の疑いもないということが目を合わせて判った】
【微塵の疑いもない、それは少女にとって青年が格好の的だということだ】

ありがとう、おにぃちゃん…
んーとね……あっち、かな…ぁ

【少女は青年から見て右を指差し、存在しない親と逸れた場所を伝える】
【魂の飢えが増してくる】
【早々に隙を見て叫ぶ暇も与えず襲わなければ】
【少女は『親と逸れた少女』の眼差しのまま、青年の隙をつこうと見つめる】
50 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 04:11:16.29 ID:dnBuPEL80
>>49
あっち、か……分かった!
きっと見つかるよ、君のご両親!

【偽りの言葉と共に差される指の方向を一瞥し、にこりと晴れ渡った笑顔を少女へと向ける青年】
【この近くに交番は存在しない。故に、暗い夜道を虱潰しに探ってゆこうという無謀な試み】
【しかし決して泣き言を言わず先導するようにその方向へと向かうのは、彼の胸に焼き付いたお人好しさ故にだろう】
【例えその熱情の向けられる先が偽りだとしても、だ】

そういえば、君の名前を聞いてなかったな……。
なんていう名前なの?……あ、嫌だったらいいんだけど……。

【夜道を歩む最中、不意に浮かんだそんな疑問と共に軽い一瞥を背後の少女へと向ける】
【青年にとっては軽い話題作りのつもりで発した言葉だが、名前を聞いておきたいというのは本心からのものだった】
【無論、一度くれた視線を最後に青年の顔は目先へと向けられている。故に、隙だらけという言葉がよく似合うだろう】
【この質問が果たして意味を成すものなのか、否か――少女しか、答えられる者はいない】
51 :ピオーナ【蠍火】 [sage]:2017/01/07(土) 04:32:57.21 ID:4yThQAPw0
>>50
あ、名前……

名前ね……知らなくていいよ…

【青年がこちらを一瞥し問いかけ、視線を外したその時から少女の眼差しは『獲物を狙う肉食動物』へと戻っていた】
【周りに人はいない、青年は隙だらけ、襲うなら今だ。少女は舌なめずりをした】
【飢えた魂が少女の中で滾る】

どうせすぐに、私がお前を食べちゃうから

【少女の声色が変わる。否、元の声に戻ったと言う方が正しいが】
【その変わった声色か、気配か、何らかで青年が背後の異変に気づき振り向けば】
【小さな少女はそこにはおらず、青年の目に写るのは青年の体の何倍もの大きさをした悍ましい蠍】
【青年がこちらに気づく気づかないに関わらず蠍は血に濡れた真紅の鋏を振り上げる】
【間も無く青年の体に向けて振り下ろされることだろう】
52 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 04:56:02.22 ID:dnBuPEL80
>>51
……えっ?

【途端、身を包む言い知れぬ違和感。否、言葉にするのならば瘴気というものが最も当てはまるだろうか】
【異変に気づいた青年が疑念を抱き振り返れば、視界を覆ったのは蠍だ。だが問題は、その全長にある】
【自身の身の丈を遥かに超える大きさ。街灯の光を反射する甲殻は金属のような頑強さを誇るだろう】
【この世のモノとは思えぬ壮絶な怪物の容姿に呆然とする間もなく、青年の全身を覆ったのは巨大な影だった】

か"っ…ぁ…!…は、…っ……!

【振り下ろされる鋼鉄の鋏。所詮一般人の枠を出ない青年に回避する事など叶わず、ゴミ屑のように叩き伏せられる】
【かひゅっ、という空気の漏れる音からして甚大なダメージを受けたのだろう。一瞬、呼吸の仕方すら忘れてしまった】
【点滅する視界が辛うじて捉えたのは、依然自身をただの獲物としか見ていないような残酷で冷徹な狩人の瞳】

……ぁ、……っ…。

【明確な死というものを前にして青年は恐怖に苛まれた。しかし、それ以上に生きたいという願望が全身に力を巡らせる】
【血反吐を路上に垂らし、緩慢な動作でありながらも立ち上がる。そして、霞みがかった瞳には確かに生の光が宿った】
53 :ピオーナ【蠍火】 [sage]:2017/01/07(土) 05:20:05.71 ID:4yThQAPw0
>>52
……….チッ、まだ生きてる…
運がいいなお前……チッ…

【少女の悪態付く声が、蠍の中から響く】
【一撃で獲物を仕留めきれず苛立ち、鋏をバチバチと強く鳴らす。巨大さ故、その音も青年の耳を劈くような轟音となっているだろう】

【この蠍を目にして生きていた者はいない。今にも倒れそうな目の前の瀕死の餌もそうだ】
【すぐに肉塊となり蠍の血肉になるはずだ】

はぁ?なにその目、イラつく
今からお前は私に食べられる
なのになんでそんな目してられるの?

【青年は既に目の前の怪物、死への恐怖に恐れ慄いているはず】
【それなのに青年の瞳からは死への恐怖などなく、それどころか死に反義する生の光を宿していた】
【蠍は捕食者としての誇りを侮辱されたような気がして、またも苛立ちを見せる】
【青年に近寄り、恐怖を与えようともう一度鋏を強く鳴らして威嚇した】
54 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 14:24:44.51 ID:dnBuPEL80
>>53
……お、れは……っ、……。

【パクパクと口を開閉し、言葉を発しているつもりなのだろうがそれ以上の声が上がる事はない】
【破れかかった鼓膜を劈く不快な轟音に掻き消された訳でもなく、単純に言葉を発する事すらままならない状態なのだ】
【当然だ、人間が喰らえば即死であろう攻撃を運良く”致命傷”程度で済んだのだから】
【本来ならば立ち上がる事は愚か、息をしている事すら奇跡と言わざるを得ないだろう】

【しかし、それでも】
【この男の目は、死んでいない】

【右腕を高く掲げ、左腕を腰元へと固定させる。丁度月光が映し出した顔は、決意に濡れる表情を浮かべていた】

――――変、身……っ!!

【ようやく紡ぎ出した言葉は震えていながらも、精一杯の力強さを演出するものだった】
【途端に、青年の体を囲うように宙を舞うのは無数の赤と銀の装甲。その中央に位置する彼の肉体は、徐々に黒色に染まってゆく】
【やがて全身をそれが覆えば、装甲が弾丸の如く青年の元へと降り注ぎ、集結する。甲虫のような巨大な緑色の目が、蠍の目を睨み返した】
【感じるだろう、先程までの恐れは青年にはない。ただ、あるのは――そう、ちっぽけな勇気と正義感だけだ】

//寝落ちしてしまいましたごめんなさい……!
55 :ピオーナ【蠍火】 [sage]:2017/01/07(土) 15:21:59.21 ID:4yThQAPw0
>>54
【蠍には理解できなかった】
【即死を免れたとはいえ、もはや真っ直ぐ立っている事もままならないような人間がなぜまだ生きた眼差しをしていられるのか】
【生きたいという願望は、そこまでヒトに力を与えることができるのか】

【青年は決意の表情を浮かべている。生きる決意だろうか、なににしても致命傷を負った人間が見せるものではない表情だ】

……な、なんだ、それは…

【青年が右腕を天に掲げ紡いだ言葉は、蠍の鋏の轟音を掻き消したと錯覚するような力強さを持ってして闇夜に響いた】
【瞬間、青年の周囲に赤と銀の装甲が舞い始めたと思えば、青年の体は少しずつ黒へと染まっていく】
【蠍の理解を置き去りにして、いつの間にか青年は変貌を遂げていた】
【柔らかい生身の体は装甲に覆われ、頭部には甲虫を思わせる大きな緑の目と、一本の角が天を仰いでいる】
【蠍の紅い目と彼の緑の目が合えば、蠍は両の鋏を上に構えゆっくりと後ずさりする】
【青年が何者なのか、何の力を持っているのか、判らない】
【だが、彼の持つ力は驚異的で、楽に喰らえる餌ではない。そう蠍の本能が告げた】

//大丈夫ですよーっ
56 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 15:58:56.57 ID:dnBuPEL80
>>55
【ただ、静かな時間が流れた】
【二つの異型の視線が重なれば、訪れるのは果てしない静寂。夜風が吹く音すらも、聞こえない】
【驚愕に染まる紅の瞳とは対照的に、感情の見えない緑色の瞳は生物である事すらも忘れてしまう程に機械的だった】

……君が、人を襲うのなら……。

【ぽつりと、後退る蠍を尻目にマスクの内から響き渡るのは潜もった、それでいて人間味を帯びた力強い声色】
【夜の闇を打ち払うが如く振るわれた右腕は宙を切り裂き、月光を帯びる手甲が銀色の軌跡を描いた】
【全身を苛む激痛が自身の寿命が縮む事をこれでもかと知らせてくれる。だが、その程度では胸に宿る炎は消えない】
【震える右足を数秒かけて踏み込ませ、左腕を胸の前へ持ってゆき素人同然のファイティングポーズを取る】
【恐怖が完全に無いと言えば嘘になる。例え万全の状態であっても、勝てるかどうか分からないのだから】

俺が、君を止める……っ!

【しかし、頭で考えるよりも先に体が動いていた】
【助走じみた疾走をそのままに、蠍の鋏の射程へ入る直前に地面に罅を入れる程の勢いで跳躍する】
【満月をバックに宙を舞う姿はある種幻想的でありながら、それは鳥が獲物へ向けて飛躍する姿と酷似していた】
57 :ピオーナ【蠍火】 :2017/01/07(土) 16:30:42.00 ID:4yThQAPw0
>>56
ふん、せいぜい頑張れ
優しいおにぃちゃんっ

【震えながらもとったファイティングポーズに対して、蠍も鋏と鋭い針の付いた尾をゆらりゆらりと揺らす。街灯の光を帯びた甲殻が艶めかしく光る】
【青年に対する驚愕も束の間、揺れていた鋏は青年に向けて挑発的にクイクイと動かされた】

【その瞬間、青年は動いた】
【挑発に乗せられたからではなく、突発的に動き出したという感じだ】
【接近してくる青年、蠍は鋏を大きく開いて待ち構える】
【やがて青年が鋏の射程に距離に達する直前、青年は跳んだ】
【跳んだ衝撃で入った地面の罅は、彼の驚異の力を示すと共にその跳躍の高さも表していた】
【蠍は体を少し持ち上げ見上げる。青年の背後には満月、何とも幻想的だ】
【しかし蠍の目にはその姿が、天敵である鳥類のビジョンと重なった】
【蠍は間も無く尾に付いた針を上へと向けて迎撃の体勢に移る】
58 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 16:55:19.68 ID:dnBuPEL80
>>57

【加速度を味方に付け落下する青年の目に飛び込んできたのは、蠍の巨大な尾――もとい、巨大な針】
【鋏と同様、喰らえば装甲など紙のように貫かれ一撃で死に至るだろう。しかし、それはあくまで直撃した場合だ】
【空中故に完全な回避は不可能。青年の拙い思考でもその事は理解できたのか、咄嗟に身を捻り被弾箇所を最小限に抑える】
【針に切り裂かれた右肩の装甲が砕け鮮血が舞い踊る。激痛にマスクの下で顔を歪めながら、尚も青年の落下は止められない】

う…――おおおォォォッ!!!

【垂れ下がった右腕は使い物にならない。ならばと、自由に動かせる左腕を大きく突き出した】
【銀色の手甲が向かう先は漆色の顔面。どの生物にとっても弱点に相違ないそこへ、捨て身の特攻を選択する】
【落下エネルギーの加えられた腕力は、瞬間的な威力ならば人外に勝るとも劣らない程のものだろう】
【しかし右肩への一撃が効いたのか、決してその攻撃は見切れないものではない。即ち、文字通り博打に近かった】
【異型同士の闘いに神頼みは必要ない。試されるのは互いの実力のみだ】
59 :ピオーナ【蠍火】 [sage]:2017/01/07(土) 17:52:36.89 ID:4yThQAPw0
>>58
【迎撃に向かわせた針に手応えはあった、青年もダメージを負っているはずだ】
【しかし落下自体を防ぐことはできない】
【青年は斬り裂かれた右肩から血の花を咲かせながら左腕を突き出す】
【蠍は両の鋏を上げ防御しようとするが、青年の落下スピードには間に合わない。突き出した針も戻すことは叶わず】

_____________________ッ!!

【頭部を狙って青年が突き出した拳は蠍の目の間、赤黒く光る宝石に直撃した】
【数秒の静寂の後、拳がとらえた宝石は罅割れ、砕け散る】
【瞬間、蠍は少女の声ではない甲高い断末魔を上げ、ヨロヨロと縺れた歩調で後ろへ下がる】
【やがて糸が切れたように倒れ、蠍の身体は黒煙と化した】
【黒煙の中心には先ほどの少女が倒れていて、黒煙は逃げ出すような挙動を見せ少女の中へ帰っていった】

…うぅ…………いっ…たぁ…っ

【少女は苦悶の表情を浮かべて立ち上がろうとするも、力が入らないようで尻餅をついてしまう】
【ボヤけた視界で前を見る。自らに宿る蠍の魂を撃退した、"天敵"の様子を伺うために】
60 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 19:55:02.86 ID:dnBuPEL80
>>59
【装甲越しに拳から全身を駆け抜ける盛大な手応え。間違いない、自身の渾身の一撃は蠍の眉間へと到達した】
【清凛とした音を立て砕け散る宝石が何を意味するか知ってか知らずか、青年はその拳撃を加えたきり動こうとしない】
【変身が解かれ無力な少女と化した異型を前にして、青年は只管に無言で仁王立ちのような体勢を取っていた】
【呼吸音すら聞こえない、静寂を越えて――青年のマスクを、柔らかな風が撫でる】

――……、……。

【その刹那、一陣の夜風を合図にするように青年の体が揺れたかと思えば、ドサリと重厚な音を立てて倒れ伏した】
【それに一呼吸置いて全身を纏う装甲が砂の如くサラサラと地に溶けて、遂に青年の素顔が顕となる】
【先ほどの一撃を加えた時点で意識を失っていたのだろう、その表情は決して清々しいものとは言えなかった】
【それでもこうして微かに胸を揺らし、呼吸をしているという事は――きっと、生きているのだろう】
【とどのつまり、この青年は”餌”ではなかった。そして青年にとっても、この少女は”捕食者”ではなかったのだ】
【ただ自然界の摂理と言うべきか、動物と動物が出会い生死を賭けた闘争を行っただけの事】
【青年が立ち上がる様子はない。この勝負の行方は、勝者である少女に託された】
61 :ピオーナ【蠍火】 [saga]:2017/01/07(土) 20:46:41.41 ID:4yThQAPw0
>>60
………ふんっ…

【青年は地面に倒れて、そのまま動かなくなっている。しかしまだ息は止まっていないようで】
【彼の生命力の強さ、しぶとさに眉を顰め鼻を鳴らす】
【少女は青年を喰らう気はもう微塵もない】
【青年を餌ではなく、"天敵"と認識したからだ】
【彼を殺す気力も残っていない少女は壁に身体を預け立ち上がり、覚えてろ、と言わんばかりの目で倒れる青年を一瞥する】
【そして痛む頭を押さえ、お下げ髪を揺らしながらヨロヨロと何処かへ消え去っていった】


//ありがとうございましたっ
62 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/07(土) 20:56:09.67 ID:dnBuPEL80
>>61
//こちらこそありがとうございました!遅くなってしまって申し訳ありませんっ
63 :キング【キングメントール】 [sage]:2017/01/07(土) 23:35:09.48 ID:2lVTyLQso
深夜の路上、人通りの少ない路地に倒れる幾重もの人影
そのいずれもが酷く打ちのめされ、身体の各所から血を流して倒れている
辺りには金属バットやナイフが散乱し、そこで乱闘が起きたのであろう様子が安易に読み取ることができる

「どいつもこいつも礼儀を知らねェ、この俺様に盾突きやがって……」

少し離れた廃車のボンネットに腰掛け、血の混じった唾を吐くサングラスの男。彼こそがこの乱闘を制した王者だ
一人屠ってまた一人。この男に目を付けたのが運の尽き。全員まとめて叩きのめし、死体の丘の上に君臨する将軍といった所か
倒れ、呻き声を上げる男たちの元へと歩み寄り、オイルライターでタバコに火を点ける。勝利の後の至福の一服だ

「おい、覚えとけ。いずれ俺様がこの街を支配する……このクソ溜めみてーな街をな」
「お前のネズミみてーなちっぽけ脳ミソでも、ボコられた相手の顔は忘れられねェだろ?」

革靴の先端で男の脇腹をつつき、声を掛けてこちらを向かせた
しゃがみ込めばタバコを咥えて吸う。ジリジリと燃焼の音と共により一層の輝きを増した炎に男の顔が照らされる
しばし官能的な煙を舌で転がして、それから一呼吸置いて吸い込み、倒れる男の顔目掛けてゆっくりと吐き出した
肺胞、毛細血管の隅々から吸収したニコチンが、全身に走るこの痛みを紛らわせてくれるだろう

「俺様こそが……この街の新しい"王"なのよ」

歯を見せて笑い、トントンとこめかみを指で叩けば頭上に収束した煙で生み出されるのは、王冠を模したそれだ
続けて掌をひらりと振れば、吐き出した煙が"REKT"のと文字となって夜空の冷たい空気に漂う
王が満足したように踵を返せば、王冠も文字も夜風に流されるように霧散して消えた
64 :ドラゴンフライ【クリティカルクリスタル】 :2017/01/08(日) 00:22:58.31 ID:/VHKCEnm0
>>63
「オウサマ、カ…………」

ふと機械音声の様な声が路地裏から響く。
静かな夜に響き渡る玲瓏たる鈴の音。小さく透き通った足音が後を追う。
少々の間の後、響き渡ったのは破裂音。肉が裂ける邪悪の音色。

「オマエハ、【オウ】ニナリ、ナニヲノゾム?」
「ノゾミノタメニ、ナニヲハカイスル?」

姿を現したのは奇妙な生命体。クリスタルで出来上がった体。
顔は紅く光る一つ目のみ。胸には大きな【]X】の文字。
煙に満ちた王に向けて紅い一つ目は燦然と輝く。

「ワレハ【チ】ヲノゾム」
「ワレハ【チ】ノタメニ【イノチ】ヲハカイスル」
「オマエモワレモオナジ【ヨクボウ】ノタメ、オナジ【ホウホウ】デ」

突然、王の元へ何かを投げつけた生命体。
投げられたソレは恐らく生命体と同じ物体。薄く、鋭いクリスタル。
容赦なくそれは王の心臓を狙い、命を破壊せんとしている。

「……【オウ】ナラバシタガワヌバケモノハジャマダロウ?」
65 :キング【キングメントール】 [sage]:2017/01/08(日) 00:37:12.13 ID:ORtzdQf7o
>>64
「……おン?」

背後から響く異質な声に振り向き、眉を顰めて警戒心を剥き出しに。
その正体が何かを暴く前に、キングへと向けてクリスタルが放たれる。

「おっとォ!?不意打ちのつもりかテメー!!」
「声がモゴモゴ……、あ゛ァっ……聞き取りづれぇ!!ハッキリ喋れよゴラッ!!」

放たれたクリスタルをすんでの所で躱す。視認性が低い。その一撃を見て危険な相手だと一瞬で判断する。
いきなり敵意をむき出しにされ、ドラゴンフライへと向けられた声色は明らかにイラついたものだ。
爪を立てて頭を掻きむしるようなジェスチャー、それから激昂と共に振り下ろす。

「俺様の欲しいモノは名誉だ!その為に俺様はまずこのクソッタレな状況を破壊する!!」
「邪魔とかそんなんじゃねェ!この街の全員が俺に屈服するまで続くぜッッ」
「Smoooooooke it up !」

右腕に煙を収束させ、思い切り地面を殴る。
そこからまるで地面にドライアイスをブチ撒けたかのように地を這い広がる煙は
すぐさまもうもうと立ち昇って、辺りを薄らに紫煙で覆い尽くした。
視界を悪くし飛び道具の命中精度を下げ、さらに空を裂くクリスタルの軌道を読もうというのだろう。
66 :パラス【バレコン】 :2017/01/08(日) 01:17:55.84 ID:jZHfehJ30
少年は夜を駆ける、闇に空色の線を引いてひた走る。
額にかいた汗が垂れて目尻に溜まる。まるで涙のようになって滴る汗。彼は走るのだ。

(きっと…あそこに…!!!)

信じられるものはこの心と、あの日の君と、君と交わした約束だけ。
宗教者の言葉を借りれば、「信じるものは救われる」……本当にそうだろうか。いや、そうなんだろう。
ーー……いや、違うか。救われるんじゃない、救うんだ…ぼく自身が、ぼく自身で。
だからきっと…きっと…ーー!!


そうして彼は辿り着いた、誰もいない、一面の花畑へ。
実に見事だった。夜空の月や星々が淡い光で照らし出す花々はどれも涙が出るほど綺麗だった。
涙が、出るほど……。

いつもこうだ。と彼は自嘲気味にひとりごちて花畑に座り込み、夜空を見上げる。
独りは寂しいものだ、もうずっと独りきりだというのに。なんて考えながら。
久々に誰かと話をしたい…出来ることなら、「君」と。姿なんて見えなくてもいいから……。

彼は決まって弱くなる。花畑に誰もいないと、彼は決まって急に独りだという事実が怖くなる。
こういうとき彼はいつも、隣に咲く花に話しかける。……返事なんて帰ってきたこともないが、そうすれば少しは楽になれた。

はぁぁ……。と彼は長く大きな溜息を吐いた。
深夜、花畑にて。
67 :ドラゴンフライ【クリティカルクリスタル】 :2017/01/08(日) 21:09:56.83 ID:/VHKCEnm0
>>65
「…………ワレニハコノ【コエ】シカナイ」
「キキトリヅライノナラアキラメレバイイダケダ」
「……フイウチノツモリナラ、コエナドカケハシナイ」

クリスタルを避けられた。おおよそこの男の身体能力は把握出来た。
あとはそれを計算にいれて投げつけるのみ。
冷徹な思惑を抱いた一つ目はキングをじっと見つめている。

「メイヨ………?」
「カカカカカ………ジツニ【ムダ】ダナ」
「オマエハケシテ【メイヨ】ヲエラレナイ」

言葉を発すれば男の欲望をあっさり否定。両手を広げて呆れたジェスチャー。
イラついたキングを煽っているつもりなのか、本人の気まぐれなのか。

「オマエガドレダケアガコウガ【ムダ】ダ」
「オマエハワタシニ【コワサレ】、【チ】ヲウバワレテチルノダ」

両手の平に何時の間にか現れた6枚のクリスタル。
それはドラゴンフライの周りをクルクルと回りだす。

「ケムリデシカイヲワルクシテ、ボウガイノツモリカ?」
「……イヤ、イロヲツケタトイウコトハ【キドウ】モヨムツモリダナ?」
「カカカカカ……ヨカロウ、ヨマセテヤロウ」」

そう言い終えると同時、宙を舞っていたクリスタルは高速で回転を始める。
それぞれ別の回転周期、向きさえ変えて。
そしてワザワザ6つを別の角度、不規則な回転をさせながら射出。

狙った位置は先ほど男がいた位置に一つ。。それからその前後左右に一つずつ。
そしてもう一つは天高く中へ。つまり放物線を描いて落下させるようだ。
恐らく軌道さえ読めればキングでも回避可能だろう。
不規則かつタイミングさえバラバラな5つのクリスタル、相当集中しなければ回避は難しい。
空から落下するクリスタルは……あたりはしないだろう。
しかし地面にぶつかれば、その鋭い破片がそれ相応の速度で飛び散るだろう。

「モシ、クリスタルヲツカメレバホメテヤロウ…」
「マァオマエノヨウナ【ザコ】ニハ【ムリ】ダロウガナ」
68 :キング【キングメントール】 [sage]:2017/01/08(日) 22:17:42.51 ID:ORtzdQf7o
>>67
「ホントにそう思うか?へへ……」
「だとすりゃお前の眼はフシアナ……いや、メノウアナ」

”没落した王”とはいえ、一時は街一つすら牛耳る程のギャングを率いていた男として。
王は蜻蛉の言葉を嘲笑した。ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべたまま、親指と人差し指で円を作って彼を覗き込む。
短くなったタバコを思い切り根元まで吸い込んで、それから煙をもうもうと吐き出す。
煙は王の輪郭すら曖昧となる程に濃く色づいて、王を護るようにその周囲を渦巻き取り囲む。

「小学生みてェな煽り方ばっかしやがって……いいぜ」
「やってやる……そこまで挑発されちゃ引き下がっちゃいられ――」

首を回すような動きを見せて、それから腰を低く落として構える。飛来したクリスタルを受けようと身構えたのだろう。
されどもその考えは、脆くも最初に到達したクリスタルによって打ち砕かれ、切り裂かれる。
呆然とした表情を浮かべる王の首は胴体から切り離されて宙を舞い、ぼとりと地面に堕ち………墜ちない。

「――Peek-A-Boo !」

どこからか王の声が響く。それと同時に周囲に薄く広がっていた煙の一部が集合し、王となって現れた。
ドラゴンフライの目の前に現れた王。固く固く拳を握りしめ、彼の顔面にそれを叩きつけんと振るうが。
それもまた煙の幻。防御や回避を行った所で、そのまま形を崩して消え去ってしまうだろう。

「なァんちゃって、こっちが本体」
「ンフフフ……俺様の動きが読めるかな?”読ませてやろうか”?」

わざとらしくこつこつと革靴でアスファルトを叩く音を響かせながら、ドラゴンフライの背後から現れるのは紛れもない王の本体。
両手を大きく広げて、徐に首を横に振る。不敵な笑みは依然浮かべたまま。余裕を見せつけるかのような所作。
されど身体は完全に、いつでも戦闘体勢へと移行できるよう準備しているのは彼から放たれる殺気を読めば直ぐに理解できる筈だ。
手負いの獣程危険な存在はない。何をするか分からず、論理的思考の常識すら通用しないからだ。

「煙の中は俺様の世界……」
「お前がどれだけ強いか知らねェけど、”俺様の世界”の中じゃあまり調子に乗らないコトね」

だがこの男の、キングの思考はそのような狂気を孕みつつも、極めて冷静でクレバーであった。
ソフトケースの中からもう一本煙草を取り出せば咥えて、それからオイルライターで火を点ける。
戦闘中、それも敵前だというのに余裕をぶちかましているのだろうか、否、煙草は彼の生命線だ。
一見挑発のように見える行為の中にも、死線を潜る為の策が張り巡らされている。

「……越えられない壁」

正面に手を翳せば、王を護るように広く煙の城壁が形成される。防御能力はないが目隠しにはなるだろう。
王はそれを大きく右から回り込むようにして奇襲を仕掛けようと目論んでいた。
その手に握られるのは刺突、斬りつけで鋭い切れ味を発揮する刃の大きなサバイバルナイフだ。
城壁を回り込んで肉薄すれば、まずは腹を狙った大振りの振り払い。
69 :ドラゴンフライ【クリティカルクリスタル】 :2017/01/08(日) 23:47:52.63 ID:/VHKCEnm0
>>68
「ワレノメガ【フシアナ】…?」
「ナラバオマエハ【フシアナ】デモ、【ザコ】ダトワカルレベルダナ」

キングは王らしい余裕をもって蜻蛉を嘲笑う。それに合わせて嘲笑う蜻蛉。
小学生のような発想、仕方がない、この生命体はまだ数年も稼働してないのだから。
しかし短い区間、生き延びていられるのはそれ相応の実力があるからなのだろう。

複数飛んでいくクリスタル。しかしどれもこれも煙を斬るばかり。
怪しんでいると突然正面に王が現れる。しかし蜻蛉は動かない。
既に距離を把握している上、一瞬で移動する足音も空気の流れも感じていない。
ならばこれはフェイク、確実に一手を読んでいく。

「カカカカカ……ワルイガヨムヒツヨウハナイ」
「オマエノシンタイノウリョク、ワレヨリニダンカイホドウエノランクダ」
「ウゴキヲヨンデタイオウデキルホド、ワレハツヨクナイ」

次に現れたのは自身の背後。足音を鳴らすあたり、本物のようだ。
しかし殺気を放つだけでまだ仕掛けては来ない。
だが読めない。何故攻撃を仕掛けない?何か秘策があるのか?
しかし煙は所詮幻。実際に攻撃には使えないのは明らかだ。
考えても分からない相手を読もうとするのは危険だ。なら始めから読まないだけだ。

「ワレハケシテ【ツヨクナイ】、オマエガ【ヨワイ】ノダ」
「【オウノセカイ】、シカシイノナカノカワズ、タイカイヲシラズ」
「………【ワレモオマエモ】オナジ【カエル】ニスギナイノダ」

背後を振り向くと、そこにあったのは煙の壁。王の姿は見えない。
しかし月明かりで一瞬だけ煌めいたのはサバイバルナイフ。らしい武器だ。
こちらにはクリスタルがあるが、どれだけ重ねても強度では勝てないだろう。
かといって回避行動を取れるほど、蜻蛉の動き「は」俊敏では無い。

「クールダガ、【レイセイサ】ヲカシンシテイルナ」
「モシ、オマエガホントウニ【オウ】ナラバ………」
「…………チカヅカナカッタハズダガナ」

胸のあたりからクリスタルが数枚、剥がれ落ちる。攻撃か?いや、違う。
王は聞き逃してしまった。この生命体が現れた時の「音」を。
再び現れた時の音は鳴る。【]X】の文字の奥底から。
玲瓏たる鈴の音は王の世界に鳴り響く。そして次の音は……「破裂音」。

剥がれ落ちたクリスタルは鈴の音に反応して破裂。破片は四方八方に飛び散っていく。
一個の破片は小さく、薄く、鋭く。そして初撃よりもずっと早く。
自ら視界を悪くしてしまった王、その中に紛れ飛び交う破片をどう防ぐのだろうか。

残酷な破片は蜻蛉にも向かう。しかし都合のいいことにそれらは「射程範囲内」。
くるりと軌道を変え、王がいる可能性がある方向へとまばらに飛んでいく。
破裂した衝撃で蜻蛉は後ろに少々押される。おおよそ1〜2m程度だろうか。
多少のダメージはあるものの、ナイフでやられるよりはマシだ。

さて、次になるのは肉が裂けた音か?王が痛みに吼える音か?
それともクリスタルが割れ、痛みに悶える音だろうか?
静かな夜だ、どちらの音も良く響き渡るだろう。
70 :キング【キングメントール】 [sage]:2017/01/09(月) 00:38:58.01 ID:BIfXND8Zo
>>69
「(弾けた!?)」
「し……ィィッッ!!!」

煙を通した、月の光の反射光の僅かな煌めき。何か攻撃が近づくということだけを把握した。それも無数にだ。
避けることは厳しい、否、無理。

せめて銃でも持っていれば状況は違っていたのかもしれないが、どの道キングには近づくしか手はない。
たとえ音色を聞き逃さまいが、事前に蜻蛉の能力を知っていたとしても彼はこうしたであろう。

ドラゴンフライの身体から放たれたクリスタルが王へと向かったその瞬間、キングはナイフを振るいその力で身体の正面を攻撃から逸らす。
王が取った姿勢は両手足を丸めた無防備な恰好。だがそれは被弾面積を最小限に抑える工夫が為されている。
慣性でドラゴンフライの方へと”落ち”ながら頭を護った左腕全体と、脇腹から背中にかけて全身にクリスタルを浴びた。

「ヒュウ!胴体を真っ二つに裂かれるよりは随分と良心的な攻撃だな?」
「(クソッタレ……元からアバラがイッてるってのに……)」

「――無理させやがる」

身体に突き刺さる痛みに声を上げる事はない。煙草による酔いも、戦いの高翌揚も全てが偽りだ。
ただ攻撃によるダメージを茶化し、それもまた演技。本質では痛み以外何も感じてなどいない。

肉体のあちこちから鮮血を迸らせて、既に命を繋ぐことも難しくなりつつあるのに、それなのに。
男の精神は自分が着々と死に近づきつつあるのを冷静に受け止め、それでもなお自分が生き残ると信じていた。
ぽつりと漏れた声色は氷の様に恐ろしく冷たい。これがこの男の平生。水晶によって欠けた仮面の皹から剥き出しになった本性だ。

「そォらお望みの血のシャワーだ、浴びろッッ!!」
「美味いか?今度は直接……流し込んでやるぜ……ッ」

もう一度思い切り踏み込んでその脚を軸に回転、思い通り動かぬ左腕を遠心力と残った力に任せて振り回す。
それはドラゴンフライの単眼を狙った血の飛沫であり、夥しい量の血が彼の眼を狙って飛ぶ。
飛沫が当たるか否かはさておき、それが彼へと到達している頃にはもう、キングの姿はそこにはない。
一層濃い煙を、自らの視界すら完璧に奪ってしまう程の煙で辺りを包み、煙草を吐き自らの痕跡を絶つ。

既に右腕に逆手にナイフを構えて煙の中からドラゴンフライのもとへと現れ、否それは先ほどと同じダミー。
本体はそのダミーの直後、今度は背後ではなく正面から威風堂々、虚空を切り裂き現れる。

今更躊躇う事など叶わぬ程に体重と速度、すなわち持てる全ての威力を乗せて。
ナイフによる刺突を【]X】へ目掛け突き立てんと振るった。
71 :ドラゴンフライ 【クリティカルクリスタル】 :2017/01/09(月) 01:34:44.80 ID:ychhAM7R0
>>70
「…ヤハリ、チカヅイテクルカ」

全身にクリスタルの破片が突き刺さり、鮮血があたりに飛び散る。
血液好きな蜻蛉が最も求めるモノは、煙で消して見えないが。
しかしそれを見ている暇も無い。次の行動を取らなければならない。

王との距離はとても近い。それは彼の体に刺さったクリスタルで分かる。
射程範囲内ならば飛び散ろうが操れることに変わりは無い。
最も、彼の体の中をズタズタに引き裂けるほどの力も無いが。

「ドウタイヲサケルホド、ワレノクリスタルハカタクナイノダ」
「………キズヲツケ、ケツエキヲウシナワセル、ソレイジョウノサッショウノウリョクハナイ」

妙に落ち着いたトーン、そして少々ノイズが混じった音声。
それは蜻蛉の思考が追いついていないのだ。

普通全身から鮮血を流したまま近づいてくるのか?
何人かそういった能力者との交戦経験はある。だがこの男は違う。
頭に血が上って躍起になるほど、この男は焦っているように見えない。
王になる、名誉を手に入れるといった目的ならば蜻蛉を倒す利点は何一つない。
かといって蜻蛉が王の大切な何かを破壊した訳でもない。ならばなぜ彼は攻撃を続けるのか?

追いつかぬ思考を遮ったのは王の血液。瞼も片目もない蜻蛉はあっさり視界を紅で塗られてしまう。
残る察知手段は空気の流れや王の殺気を感じ取るのみ。
研ぎ澄まされていない感性にはとても難しく、まるで動く事が出来ない。血液を拭う時間もない。
しかし王との距離が一瞬のうちに近づいた事は理解した。ならば残る結果は…





――――次の瞬間に響いたのはクリスタルが割れる音。そして中の液体が外に流れる音。
一瞬で鳴り響き、一瞬で静寂を取り戻す。
]Xの文字は意味を失い、紅く輝く目も少しずつ朽ちていく。

「……………ナゼ、正メンかラ…サしタノダ…?」
「…………………我ヲこロしテモ、メイよニナラズ、王、二、もチカヅかズ…」
「…………イミガナい、コトヲ、分かリナガラ、ナゼたタかッタ‥…?」
「………チカヅけバ、マタコうゲキサ、レルトシリナガら、ナゼこうゲき、し、しシシシ……?」

ノイズが激しくなり、声はさらに不明瞭になっていく。
最後の力を振り絞り、一枚の結晶を中に浮かせる蜻蛉。
それは震えて、実にゆっくりとしか動けない。もう限界のようだ。

蜻蛉は答えを聞く前に、機能を停止してしまった。
クリスタル状の体は瞬く間に融けて果ててしまった。
残ったのは美しい音を放つ鈴。悪魔の絵が描かれたカード。そして平穏。

月が少し傾くよりも短い時間、しかしとても濃厚だった時間。
それは全て元に戻り、また正しく時を刻み始めた。
風が煙を少し晴らした時に、彼が存在した証拠は消えてしまっていた。
人でも神でもない、不気味な蜻蛉。はたして彼は実際にいたのだろうか?
もしかしたら彼はただの幻だったのでは?そう思えてしまうほど、あたりは元通りになっていた。
全ての真実は王の中に眠り、月は傾き、王を静かに照らした。


/*ロールありがとうございました キング、クールでカッコいいです*/
72 :キング【キングメントール】 [sage]:2017/01/09(月) 22:40:12.71 ID:BIfXND8Zo
>>71
「頭……が……ッ…!!高ぁいッッ!!」
「ぐっ………!!」

思い切り振るったナイフはドラゴンフライの【]X】を抉るようにして突き刺さり、それでもなお止まらない。
刺突の勢いを[ピーーー]ことができずに、王はそのままドラゴンフライの身体に衝突し、地面へと転がり込んだ。
のしかかり、押し倒すように身体を預けながら。しかしその胸には確かにナイフを突き立てていた。

「―――ふゥーー………」

暫しの静寂、やがて衣擦れの音。
赤い雫が地面へと滴る音。
金属同士がこすれ火花を放つ音。
じりじりと煙草が燃える音。

「………ン、フフ……フ…、…知りたいか?」

荒い息を肩で整えながら、ようやく立ち上がったのは王だ。
きぃんと透き通った金属音を響かせ、オイルライターの蓋を閉めてポケットに仕舞えば、最後の力を振り絞って立ち上がる。
鋭い刃で切り裂かれた身体中の傷が痛む。どれも一生モノの傷ばかりだ。傷跡を想像し思わず顔を顰めた。

「……だって俺様は信じてるから。俺様自身をな」

「どんな敵にも勝てると信じている、自分は死なないと信じている、もう一度王になれると信じている」
「自分を信じていればいつかきっと、……理想は現実になるんだ」

笑みを湛えるその表情は優しげな、どこか自分に言い聞かせる様な雰囲気すら感じる。
ただ純粋に自らの夢は必ず叶うと信じている。言ってしまえば、それはある種狂気にも近い。

建物に寄りかかってようやくフラつく身体を抑え、うなだれたままで紫煙を燻らせる。
ヒビ割れ、フレームが滅茶苦茶にひしゃげたアビエーターグラスがついにずり落ち、
煙草から口を離せばフィルターは血で赤黒く染まっていた。

「……意味はあるさ、お前の存在が俺様をもっと強くした」
「目の前に壁が立ちはだかったとしたら、それをブチ抜くのが王道ってモンよ」

状況だけ見ればただドラゴンフライに襲われ、それを撃退したにすぎない。されど王はこの状況に心底安堵していた。
何故ならそれは言葉とは裏腹に、既にドラゴンフライの存在を消すことが王の使命の一つと成り果てていたからだ。
自分の命を脅かす事の出来る、話の通じる余地のないもの。それが王にとって一番危険な存在なのだから。
ドラゴンフライの死こそが自らの命を延ばすことに繋がる。それだけでこの戦闘は王にとっては有意義なものとなるのだ。

「頼むから復活なんざしてくれるなよ?」
「――バイチャ」

やがて壁際から離れ、片手をポケットに突っ込んだまま先ほどと同じように掌を翳し、ゆっくりと動かせば、
ずず、と足元から王を包む煙はやがてその全身を完全に覆い隠し、月の光を浴びて青白く輝く。
そしてそれらが風に流される頃には、既に王の姿は其処にはない。

鈴やカード、そして吸い殻すらもが消え失せ、喧騒の形跡など初めから無かったかのように消え去った。
全ては王の胸の中、ドラゴンフライの存在の証明はその記憶の奥底にのみ確かに存在し続けるのだ。

//ありがとうございましたー。返信遅れてすみません、楽しかったです!
73 :【バランサー】カマドウマ :2017/01/09(月) 23:40:23.07 ID:ychhAM7R0
兄が壊れた。そう知らせを聞いたのはつい先日だ。
兄はそうされてもおかしくない存在だった。とても嗜虐的で、多くの人を傷つけた。
だがどれだけ兄が残虐だったとしても、それが兄だということに変わりは無い。
その兄が壊された場所。そこは何もない路地裏。
そこで兄の死を悲しんでいたのは、とても不気味な物体だった。

「兄さん、短い間でしたが、お疲れさまでした……」
「………きっと私も後を追います、だから、それまでの間……」
「…兄さんを独りにすることを、許してください……」

一人悲しみに包まれるそれは、ゴーレムに近いのかもしれない。
小さなブロックが集まって人の形になっている、機械に近い見た目。
ブロックの色は蛍光色でそれぞれ奇妙に目立っていた。

花を地面に置き、俯いたまま、一人きり。
夜風はキリリと冷たく、それから熱を奪っている。
月は雲に隠れた。街灯の灯りは偶然にもちょうどそれを照らす。
映画のワンシーンのようにも見えるが、生憎主役が不気味過ぎた。
それを支える脇役は、誰一人いない。
74 :【断頭執行人】黒ドレスの少女 [saga]:2017/01/10(火) 13:20:04.80 ID:ycl6GA/FO
「ぶんぶんぶん、振れば玉散る…ってねー」

薄暗い視界は、ビルの陰が重なり合うこの場所と、顔を覆うヴェールがそうさせている
しかしてその中でも際立つのは鮮烈な朱、目の前で物言わぬ犠牲者が最期に咲かせた妖しく美しい、それでいて儚い華
黒を纏う路地裏の殺人鬼、巨斧を軽々と振り回し肩に担いだ
75 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/13(金) 01:07:43.25 ID:pfLfO/vh0
多くの子供というのは無邪気なのが基本である。
常に笑顔を振りまき、目に入るモノに興味を持って燥ぎ回る。
元気そのものの様な輝きを振りまきながら、全力で遊び回る。
しかし例外もあるようで、それは昼の公園にひっそりと居た。

ボロボロの服に傷だらけの顔、左目は空っぽ。
栄養状態もあまり良くないのか、肌は奇妙に青白い。
それはじっと動かずに、木の影から子供たちを見つめている。
76 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/13(金) 20:14:21.15 ID:gvet3QG80
月を雲が覆った夜
人工の光もあまり届かぬ某所

「―――こんなもんか」

ガシャリ、と重厚な機械音が辺りに響く
音源のそばには一人の男と一台の大砲でも食らったのかというへこみ方をし、大きな穴をあけた車が一台
その車の中には数名の男がおり軒並みが気絶している
おそらくは、否、間違いなくその異様な車の破壊痕を受けた時の衝撃によってだろう
中には頭から血を流している者もおり、生きているかどうかはよくて五分といったところだろう
そして、唯一無傷でその場に存在している男はというと―――

「生きてるんだったらせいぜい縄につくことだな」

特に気にした様子もなく男の肩に届こうかという大きさの‛何か'を同じく巨大なケースに詰め混んでいく
詰め終わったのかケースを担いだ瞬間に、雲が晴れる
大きな満月が男を照らし、何か思うところがあったのか男は月を見上げる
体に残る過去の残滓による僅かな高揚感と、それ以上の怒り
懐かしむように、恨むように月を見上げる男の口からは牙が除き、あたりの異様な状況も相まって、男はまさに物語の吸血鬼、といった様相だ
77 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/13(金) 21:07:59.47 ID:pfLfO/vh0
>>76
「うしし、みぃつけちゃったみぃつけちゃった!!」

濃厚な機械音、破壊痕に釣られて出てきたのは一人の少女。
男との身長差は50cmはあるだろう、それほど小さな子。
場の雰囲気と似合わない明るい声は不思議と不気味だ。

「すごいねぇ!ガッシャーン!でドッカーン!だったねぇ!!」
「その肩に乗せてるヤツでやったでしょ?私わかるんだ!!」

一方的に語りかけながら、ゆっくりと男へと近づいていく。
牙に、ケースに、満月に、次々に視線を移すあたり、どうやらご機嫌のようで。
暫くすると途中で立ち止まり、車の中をじっと見つめる。
そしてニヤリと残酷な笑みを浮かべて、邪気に満ちた声が響いた。

「この人たち、きっと悪い人たちなんだろうねぇ」
「だからお仕置きした、だからね…」
「カブトムシもマネしてみるね!!!」

突然手元に現れたのは直径60cm程度、厚さ4cmはあるだろう鋼鉄製の盾。
淵には厚さ数ミリの鋭い刃がギラついている。
そしてそれは子供の無邪気さによって回転を始め、宙を舞う。
勢いを十分に持ってから、車のフロントガラスを突き抜け一閃。
硝子は血に塗れ、中は何も見えない。それは幸か不幸か?誰も分からない。

「ふふん♪いいことしたあとはきもちーねー!!」
「お兄さんもきっとおんなじ気持ち♪私たちお友達かなぁ?」

多少吹き出た血液は少女の髪を紅く染めた。
そしてふらりと吹いた風、偶然煌いた月が照らした少女の姿。
空洞の左目、大量の切り傷と青痣、ボロボロのシャツ、嵌められた首輪。
西洋風ホラーの定番と相対する和風ホラーと言わんばかりの見た目。
それは無いはずの左目で男を見つめながら無邪気に笑っている。
78 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/13(金) 21:41:22.34 ID:gvet3QG80
>>77
不意に聞こえた少女の声に反応してそちらを向けば、かなり小さな、小学生程度の身長の子供の姿があった
なぜ少女がこんなところにいるのか、なぜこの状況を見て驚きも怯えもしないのか
気になることはいくつかあるが、そんなことよりも気にかかったのはマネをするという少女の一言だった

「待て、気になることはいくつかあるが何するつもりだ」

そして少女のいるほうへと一歩足を進めたその瞬間―――

「…一応聞いとくが、お前はこいつらがなにしたか知らないんだよな?」

―――それなりの大きさの円盤状の何かが、ガラスを突き破り、五分の確率で揺れていた天秤を一気に傾けた
その行い事態を悪いという気も、資格も彼にはない
が、彼を悪党としてお仕置きするのならまだ「正義」の心を持ったものとして理解できるが、知らぬはずの彼らに対して攻撃をすることに対しての理解はできない

「残念だが、同じ気持ちじゃねぇよ」
「"善いこと"なんてした気もなきゃ、別に気持ちよくもないんでな」

そして、月に照らされはっきりと認識できるようになった少女の姿は、一言で言えば異常
空の左目に傷だらけの身体、そしてチョーカーなどでは断じてない鉄製と思われる首輪
化け物の類、と半吸血鬼の彼をして思いそうになる容姿だった

「なんでこいつ等を殺したか、教えてもらってもいいか?」

理由のない悪意か、あるいは家族、もしくは彼女自身がその見た目になることに何関わっていたのか否かで、今後の行動が決まる
仮に狂ってしまっていたとして、そこに数多の悲劇があったとしても、「正義の味方」ではない彼には救う気も、同乗してやる余地もないのだから


//すいません、気付くの遅れました
79 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/13(金) 22:10:09.21 ID:pfLfO/vh0
>>78
「もう遅いもんね〜♪」

返ってきたのは無邪気な返事。あかんべーをしながら男をからかう。
本来なら可愛らしいシーンなのだろうが、雰囲気があまりに似合わない。
異常なのか?無知なのか?それすら分からないまま少女は動く。

「ん?なぁんにもカブトムシは知らないよぉ?」
「でもね、傷ついてる人っていうのは悪い人って教わったの!!」

返した言葉には正義も悪もない。ただの条件反射。
子供の曖昧な定義で、機械の様に冷徹に。
行われたそれに関して、少女は大して感心を持っていない。

「え〜?おんなじじゃないのぉ〜?」
「ぶー、せっかくいいことしてあげたのに〜」

同時にカブトムシも男の姿を残った右目で視認する。
奇妙なまでに白い肌。夜でも分かる真っ赤な瞳。
少女は吸血鬼という言葉を知らない。故に男をゾンビだと思ったようだ。

「なんで?………なんでそんなのこと聞くの?」
「そんなの決まってるじゃない!あなたとお友達になりたかったからよ!」
「きっとあなたも私と同じ、そう感じたのよ♪」

「おもちゃは遊ばれるためにあるって私知ってるもん♪」
「それにあれが死んだからって何かだめなことがあるわけでもないでしょ?」
「私お仕事でそうだって教わってるから間違いないもん♪」
「ふふん、カブトムシはあたまが良いからいっぱい知ってるのよ!」

そこには悪も正義も無く、あるのは子供らしい傲慢さ。
遊ぶ、友達を作る、笑わせる。ただそれだけであった。
罪の意識など一切なく、今あるのは目の前の男に対する興味のみ。
この子に倫理の話をするにはあまりに純粋で、命を理解するにはあまりに幼かった。
残虐さを理解するにも、正義を理解するにも、まだ時間が早すぎたのだ。

「ねぇねぇお兄さん、お友達のあかしとしてお名前おしえて?」



/*お気にせず*/
80 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/13(金) 22:37:00.60 ID:gvet3QG80
>>79
「…教わった、か」

完全なる弱肉強食の思想
傷ついたものが悪であるということは、戦いの理由はどうであれ勝者のみが正しいということ
歴史レベルで見れば間違いとは言えないが、個人の考えがそうであり、知りもしない他人をそれだけで殺せるというのは、明らかに歪んでいる
そして教わった、ということは、やはり少女の見た目とも何か関係があるのであろう何者かが存在しているということ

「確かにある意味では同じなのかもな」
「ただ、お前と俺じゃ方向性が決定的に違うみたいだが」

確かに彼自身も間違いなく歪んでいるが、それでも理由なく他人を殺すことはしない
悪人にしても一部の例外を除いて運が良ければ生き残る(それでも十分におかしいのだが)程度までの攻撃であり、明確にとどめを刺すことはあまりない

「そんな頭のいいカブトムシにいいことを教えてやる」
「もう誰かをむやみに傷付けるようなことはせずに孤児院にでも行って暮らせ」

カブトムシ、というのは恐らくこの少女の後ろにいる何かが与えたコードネームのようなものだろう
この少女に罪の意識がないのであれば、正しいことを知り、生活をすればまともになれる可能性もゼロではない
つまりこれは、彼の中での最後通告のようなものだった


「友達になれるかどうかはお前の返答次第だ」
81 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/13(金) 22:57:10.74 ID:pfLfO/vh0
>>80
「ほーこーせー?」
「……カブトムシはまだこどもだからよくわかんない…」

さっきの台詞とは全く真逆。即座に理解を諦めたようだ。
どうして男がそんな事を言うのかすら理解出来てないようで。

そもそも【お友達】になろうとしている相手が妙に冷めているのが不思議のようだ。
何故この男は死んだあれを気にしたのか?カブトムシにはわからない。
いや、わかろうとしてはいけないのだ。

「だれも……ころさないの?」
「カブトムシはころせば生きていけるって教わったのに…」

わからない。どうしてこの男は自分の行動を否定するのだろうか?
なんだか良くないことをした後のような気持ち悪さがカブトムシを包み込む。
そしてそれを知ろうと意識を傾けた瞬間、今までのカブトムシは消えた。

「さっキ、か、ラ、がタガたガタガたぬかシやがッテ……」

【カチッ】という妙な音が響いた。
その瞬間、今までの残虐なカブトムシは姿を消してしまった。
そこにいたのは抜け殻。空っぽでも動く抜け殻。
続いてザーっというノイズ音。抜け殻は動き出す。

「テメぇみたいなのはさっさと死にゃイイんだよッ!」
「お兄様!ワタクシのためにお亡くなりになってくださいまし!」
「答えは【I kill you】に決まってんだろ、脳みそ腐ってんのか?」

口調、態度、声の響き。不規則にそれは変わっていく。
全身は暫く痙攣し、そして次第に治まり。空っぽの左目は星のような輝きに満ちていく。
両手を大きく広げて子供らしくない高笑い。

もはや初めから決まっていた定めなのだろう。
少女は既に盾を二つ召喚し、男に目がけて回転と時差をつけて投げつけていた。
速度は少女に投げれるとは思えない程、不自然に速い。
男との距離はおおよそ6〜7m。身体能力に自信があれば見切れるだろう。

カブトムシは盾を投げたあと我に返ったかのようにきょとんとした顔で呟いた。

「あれぇ?お仕事の時間かなぁ?」
82 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/13(金) 23:27:38.10 ID:gvet3QG80
>>81
「あぁそうだ」
「それは教えたやつが間違ってるだけだ、だから―――」

さらに言葉を紡ごうとして、機械のスイッチを入れるような音が響いてくる
そして明らかに少女の雰囲気が変わり、次々とまるで一言づつ別人になったかのように口調が変わる
それを見て彼は―――

「―――あぁ、もう駄目だな」

つまりは、最初から言葉に意味などなかったというだけの話
化け物の類と思った時にそのまま攻撃しておけばよかったと後悔とともに反省する
次からは、見た目や雰囲気に惑わされないようにしよう、と思ったところで少女―実際にそうなのかはもはや怪しいところだが―から二枚の円盤上の何かが飛んでくる
先ほど車の中にいた連中に対して投げたものと同じだろう
そしてどうやら少女は体格以上に力があるようでその速度はそこらの一般人が物を投げるよりも速い
力に関してはともかく、スピードに関しての自身はあまりない、まともに動いて無傷で避けられるかは怪しい
ゆえに―――

「どうやらお互いにそうらしいな」

―――担いでいたケースを思い切り振りぬき、金属同士がぶつかるとき特有の甲高い音とともに飛んできた円盤を叩き落す
そしてそのままケースを目の前に置き、もう一度同じものを飛ばされても弾き飛ばせるようにしながら中のものを取り出していく
そしてあらわになったのは―――

「悪いが、面倒なのは嫌いでな」
「一撃で地獄に案内してやる」

―――ライフルというにはあまりにも大きく、むしろ鈍器と呼んだほうがしっくりくる大きさを誇るそれの名は、パイルバンカー
凡そあらゆる化け物に対して有効であろう`杭`を近距離から超高威力で打ち抜く兵器と呼んで差し支えないものだ
彼はそれの端を片腕の脇に挟んで支え、射出のためのトリガーであろうレバーを別の手でつかみながらその重さを感じさせない動きで少女の方にかけてゆく
無論、距離1mまで近づければためらうことなくその胸に向けて杭を撃つ


盾を操る少女に対して彼が使うのは最強の矛
少女が矛盾を成立させられないのであれば、一撃でも受ければ決着がついてしまうかもれない
83 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/13(金) 23:54:51.74 ID:pfLfO/vh0
>>82
「間違ってンのはテメェだっつってんのがわかんねぇのかよッ!この低能がッ!」
「ボクは何も間違ってないよぅ………」

もはやカブトムシはどこにも居ないのか?そう思えるほど次々に代わっていく人格。
いや、おそらくこの中の一つに過ぎなかったのだろう。
所詮人格など脳が作り出す幻に過ぎない、きっとそうなのだ。この少女の中では。

そして男はケースからあの車を攻撃したと思われる武器を取り出す。
飛ばした盾は見事に砕かれ、少女の殆どの人格を驚かせる。
なるほど、あれに射抜かれたら一撃必殺間違いなしだ。

「えぇ?地獄?カブトムシしんじゃうの?」
「やだよ!カブトムシはしにたくない!ぜーったいやだもん!」
「お願いお兄さんカブトムシをころさないで!!」

右目から涙を流し、叫ぶような声。しかしそれも途切れる。
自分の顔を自分で殴り、笑い、そして開き直る。
あるのは混沌。複数の自分自身による支配権の奪い合い。

「もともとアンタらを[ピーーー]ために生まれたんだ、死ぬなんてわかってたことさ」
「でも残念だけど死ぬのはお兄様なのよ!ごめんなさい!」
「ダメ!カブトムシはお友達は殺したくないの!」

先ほど車を血で染めた盾を自分の元へと呼び戻す。
そしてそれは戻ってきた勢いのままカブトムシにぶつかり、10m程突き飛ばす。
宙に小さな血が舞うが、車の中のそれとは別。しかし誰も気がつきやしないが。

「カブトムシはオモチャはころすけどお友達はころさないもん!」
「ダマってろよてめぇはよぉ!お前の役割は同情買うだけでいいんだよぉ!」
「そしてその役割は終わったの、もう休んでいていいのさ……」

今度は【シュー】と圧の抜ける音。首輪がどうやら締め付けているらしい。
小さな苦しげな悲鳴を上げ、もがくように首輪を掻くが外れない。
そして最後になったのは【ザクッ】という嫌な音。直後首輪から紅い液体が少し漏れ出した。

半狂乱で泣きながら叫ぶ。しかし笑顔のまま。
そして声に反応して新たに生成された4つの盾。
それは悶える少女が無意識のうちに操っているようで、めちゃくちゃな軌道を描く。
回転、軌道、速度、どれをとっても今までのよりも不規則だ。
絶望的な声に歓喜するかのように、4つの盾は偶然男の方へと向かって行く。
一つはボールがバウンドするように、一つは適当に振り回されるヨーヨーの様に。
一つは餌を求める蝿のように、一つは餓えた狼が肉を喰らおうとする様に。
84 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/14(土) 00:15:46.69 ID:vHswrQs80
>>83
「多重人格か、ただの気狂いか」
「あるいはそういう風に作られたってところか」

自分自身と会話をするように、そして自分で自分を傷つけながら喚く少女を見てもあまり乱されずにそう判断する
それができるのは彼にとって悪だと判断でき、彼自身が最初から殺すことを目的に攻撃する例外―――能力者だからである
少女は自分を円盤で―先ほど見た感じからしておそらくは攻撃能力のある盾―で自分を押すことにより距離を取られてしまう
一撃でも当てれば勝てるが、そのためには当然近づく必要がある
が、今のままではじり貧になる可能性の方が高い

「とりあえず、限界数がわからねェのを除けばそこそこつかめてきたな」

明らかに普通ではない動きでこちらに向かってきている盾からして、おそらくは操作が可能なのだろう
4つ全てを避けるのは恐らく不可能、故に比較的軌道が分かりやすい跳ねる盾と食らいついてくるような盾をパイルバンカーで防ぎ、同時に駆けだすことによってゆらゆらと向かってくる盾を頬を裂かれる程度で回避する
しかし、残る一つの盾は避けきれず、背中を切られてしまう
が、それによる痛みを無視して少女の死角となる少女から見て左側に走り出す
そして、再び少女に近づき、パイルバンカーを撃ち込もうとする
85 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/14(土) 00:38:41.87 ID:6YCVbyJ+0
>>84
「カブトムシは……ちゃ………にいるよ……」
「…お前らの所為でカブトムシは生まれたし、苦しんでんだよマヌケッ!」

中距離戦闘をメインとした能力、至近距離によられるのはマズイ。
だがどうやら相手も盾を避ける術はあまりないようだ。
ならばこのまま投げ続けるか……?いや、それでは盾が持たない。

暴走した4つの盾、それは確かに男にダメージを与えた。
しかし仕留めるには至らない。盾の威力では弱点を狙っても厳しいだろう。
カブトムシ自身もコントロールはあまり上手くない。
半狂乱の今ではまともな動きは出来ない。

ふと痛みに気を取られた時、男を見失ってしまった。
血液は残っている。ならばその跡を追えば……なんて考える間も無く。
気がつけば男は左側で既にパイルバンカーを構えていた。
攻撃?時間はない。回避?制御は上手くできない。
ならば、防御。だめだ、車をああする程の威力、貫通は間違いない。

そう考えている間にパイルバンカーは射出された。
しかしそれが射出される直前、少女との間に突然生まれた3つの盾。
生き様とする意志、それは無意識に盾を動かしたらしい。
それは誰の意志なのか?カブトムシ自身にも分からない。

何とか貫通をしのいだものの、カブトムシはその威力を全身に受けてしまう。
ズドン、壁に思い切り叩きつけられ、続いて鳴るは骨の砕ける痛々しい音。
ぐったりと壁に体を預け、動かなくなった体を悟り、静かに諦める。

「……ごめんなさい、カブトムシを殺してください…………」
「…………きっとカブトムシはお兄さんを傷付けてしまうから…………」

「…だが覚えときな、アンタみたいな【自己満足の正義】掲げる糞野郎………」
「…………いや、自分のために悪になるバカ共がいる限り………」
「………私達は延々に作られ続けますわ、お兄様を[ピーーー]ために…………」

そう言い残すとぐったりと目を瞑り、微かな呼吸だけを続ける。
首輪は紅く点滅し、命の危険があるようなサインを送り続けて。
誰に向けたのか、何のためだったのかすら分からないサインをただ送り続ける。
86 :花柄の娘【レーゾンデートル】 [saga]:2017/01/14(土) 00:42:56.44 ID:WCIe1shI0
枯れ木のような獣の死骸。細く萎びたそのしかばねは、まるで存在を失っていくように今にも消えかかりそうだ。
彼女はその隣で、一輪の花を守るように手で覆っていた。
彼女の目はひどく虚ろだった。光はなく、感情を見せない。
だが確かに、その瞳の奥にたまったものは…

ーーふと、夜風が頬を撫でる。
闇に萌える花々の頭上を疾り去った。サァッと吹き抜ける風一陣。
少しだけざわめきを見せた花畑は、またしても静寂を取り戻す。
彼女はその一瞬の間隙に、夜空に広がる満天の星を眺めてこう言った。

「きれい…。」

彼女の頬にひとしずくの涙がつたった。
87 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/14(土) 00:58:44.55 ID:vHswrQs80
>>85
「お前ら、なんて言われても知らねぇよ」

幸いにも、うまく接近することができた
射程圏内―――1mの距離まで近づいた瞬間、躊躇いなくレバーを引き、杭を射出する
直前で盾を出したようだがもう遅い
たった三枚の盾で、この一撃を止められるものか
爆音とともに射出された杭は、一枚目をたやすく砕き、二枚目を粉砕し、三枚目の盾を―――

「―――止めやがった」

―――粉砕すること、叶わず
さすがに衝撃で相手を弾き飛ばせはしたものの、最強最大の一撃を形はどうあれ止められたということに、少しの衝撃を受ける
だが、動きは止まってはおらず、衝撃は残るままとどめを刺すために近づいていく

「…いわれなくてもな」

最後の一撃を放つために再度レバーに手をかける
それを一気に引こうとして―――

「…違うな、俺は正義でも悪でもない」
「ただ悪の敵であることを願っただけの半端もんだ」

「作られ続けるってんなら、新しい奴が来るたびに俺が殺すだけだ」

―いずれその大本もな―
最後にそう呟いて、レバーを引いた
そのままの体制で少女がいるのなら、杭が胴体を貫通し、さらにその余波で最悪壁に体を押しつぶされることになる
88 :首那【居合会心】 :2017/01/14(土) 02:34:25.08 ID:GUZ9pnODO
静寂に包まれる暗い路地
つい先ほどまで悲鳴が反響し続けていたことが嘘であるかのように閑散としてしまっている
虫の声も、風が吹く音すらも聞こえない。
ただ1つ、微かに聴こえるのは…少女の吐息だけ。


息を整える為に、一定のリズムで胸を動かしながら、鮮血に塗れた刃が月明かりで照らされる。
月の灯りを反射して煌めく赤黒い血を眺めると、少し眉を顰めさせ、刀の鋒を軽く振るった。

…まだ、まだだ。
私は未だに満たされていない。私の刃は未だに餓えている。
この空腹を逃れる為には次の獲物を探さねばならない。

刃を鞘に納める事はなく、その殺意を剥き出しのまま…私は歩き始めた
89 :カブトムシ【パラディン】 :2017/01/14(土) 12:36:09.36 ID:6YCVbyJ+0
>>87
「………」

もう返事をする体力も残っていない。
だが意識の隅でカブトムシはそれを聴いていた。

男の悲しげな正義、【悪の敵であること】。
それに倒された、ということはカブトムシは悪だったのだろう。
どうして自分が悪だったのか?カブトムシには分からない。

だが同時に男も正義と悪の境目を失っているのだろうとも思った。
カブトムシの今までは良い事だと教わっていた。ただそれだけなのであって。
本質的には正義や悪など違いはないのだろう。あるのは結果だけ。
そう理解し、胸を張って笑いたかったが、もう死は確実だった。
とても怖い、しかし仕方がないのなら受け入れるしかなかった。

グチャリ、あまり聴きたくない嫌な音。それは確かに少女の体から響いた。
お別れの言葉もいう事も出来ない虚しさ、悪い事をした罪悪感。
そしてお友達になれなかったという悲しさ。多くの後悔と疑念がカブトムシを包み、消えた。

その時、空洞の左目から一つの結晶が転がり落ちた。
小さな雪のように輝いたそれは、時間と共にくすんで朽ちていく。
カブトムシの首輪も光を失い、完全に動作を停止した。
どうやら全ては終わったらしく、もう何者の気配も感じない。
夜もそろそろ明ける頃だ、丁度良い死に時だったのだろう。




/*寝落ちごめんなさい*/
90 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/14(土) 20:54:49.99 ID:vHswrQs80
>>89
「………」

少女は終ぞ動かず、破壊の一撃を受け入れ、死んだ
―あぁ、やはり俺は正義の味方になどはなれないな―
少女の命をこの手で奪ったというのに、抱いた感情は後悔でも、悲しさでもなく、ただ終わったのだというひどく機械的なものだった
全ての悪を支配し潰す巨悪になれるような、あるいはただ圧倒的な暴力で悪を倒すのではなく、思いやり、理解し、時に敵すら救うために戦える正義の器もない
ただ憎しみと、後悔と、怒りとだけで動く狂戦士
罪なき人に向けないというだけの暴力では、正義になりえない
あの男なら、少女を救ってやろうとしたのだろうか、そんな疑問が頭をよぎり、意味のないことだとかぶりを振って忘れる

「…もし、通信機とかついててこっちのことが分かってるんなら」
「その先にいるのがどこのだれで、どんな組織であろうがいずれ俺が殺しに行くから覚悟しておけ」

仮についていたとしても、すでに壊れていそうなものだが
それだけ言って、少しふらつきながらその場を歩き去っていく
善にも悪にもなれなかった、辿り着く場所も行く先の道も見えない迷い人
彼はその半端さのせいで殺した少女のことを生涯忘れられないだろう
例え少女の名前を忘れてしまったとしても、悪になきれぬがゆえに、忘れることもできず、殺した罪は一生背負って生きていかねばならないのだから



//いえいえ、遅くまで突き合わせてしまいすいませんでした
//楽しかったです、ありがとうございました!


91 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/15(日) 15:59:47.75 ID:5T/EGKi/0
「………」

まともに立っていられないのか、壁によりかかった男をひたすらに殴り続ける
大通りから少し横にそれただけの裏路地で、一方的な暴力が振るわれていた
その原因となったのは、男が通り魔のように刃物で人を襲おうとしているのを彼が目撃したがゆえに
一見正当のようであるがどう考えたってやりすぎといえるだけのことを彼は行っていた

男がまともな声を出せなくなり、うめき声すら聞こえなくなってもその手は止まることはない
そして、ついには男が持っていた刃物を振りかぶり―――
92 :パラス【バレコン】 [sage]:2017/01/18(水) 00:18:07.52 ID:/5Tqo6DD0
褐色肌が夜に馴染む。少年の目は死んでいる。
覚束ない足取りで進む彼の横、すれ違う人。
刹那、渇いた銃声。飛び散る血が灰と黒の路地に紅をさす。
斃れ伏す男を少年は冷めた目で見ていた。
93 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/18(水) 19:19:45.65 ID:oUg+rlpl0
まだ騒がしさの残る夜の一角で、爆発のような音が響いた
多くの人はそれを工事の音か何かだろうと思い、音源に近づくことはしなかった

工事現場など近くにありはしないというのに

ゆえに、それはきっと無意識のうちの防衛本能による選択
そしてそれは正しく、音源には巨大な鈍器ともいうべき何かを持った男と、胸に大きな穴をあけて倒れ伏している男がいるのだ
94 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/19(木) 15:19:36.75 ID:uckTJWGz0
>>92
響く銃声、闇夜に沈む肉体(カラダ)。
今宵も死神に誘われた憐れな子羊が命を散らした。悲しき宿命と言うべきか。
そして死神は褐色の肌を夜に溶かし消える。今日もまた、そうなる筈だった。
だが、今日は、今宵だけは違う――

「何してるんだよ…君…っ!」

夜闇を打ち払う声色で、戦慄によく似た言葉を紡ぎ出す茶髪の青年。
全身の震えを隠す事なく少年に立ち塞がる存在は、見た目だけ見れば何の変哲もない一般人のそれだ。
それでも、今し方殺人を行った少年を目にして飛び出したという事は――”そういうこと”なのだろう。
95 :パラス【バレコン】 :2017/01/20(金) 15:11:54.49 ID:tKFqIPwF0
>>94
眼前、行く手を阻む青年。闇に溶けいる褐色肌と彼の髪色は似ていた。
色のない瞳が上目に彼を睥睨、気怠そうにため息をつく。
力なく垂れた手に持った銃を構える様子はなく、しかし少年はそっと引鉄に人差し指を掛けるのだった。

「黙ってくれ、退いてくれ。」

彼の声音はまるで、アザミのように刺々しい。
青と茶色と夜の色、トリコロールの路地裏にて。

/返レス遅くなってすいません!本スレ見てませんでした…。
96 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/20(金) 20:20:28.21 ID:G/OL8YXI0
>>95
路地裏に短く木霊する少年の言葉は、その一つ一つが刃の如く自身の心に突き刺さる。
論理、理性、感情――人間に備わるべきそれらが今、何の意味も持たないのだと、何処か本能で理解した。
銃口は向けられない。しかし、銃口を向けるか向けないかに関わらず自身の命は既に握られているのだろう。
少年から漂う尋常ではない”雰囲気”がそれを物語っており、事実両足がこれ以上進むのを拒んでいた。

「――嫌、だ……!」

しかし、青年はそれを精神で殺しきる。
正義と悪、等とは一概に分別出来ない対峙。それでも、あえてこの状況を言葉で表すのならば。
路地裏にて出逢ったそれらはきっと、”正義”と”悪”なのだろう。

//いえいえ、気にしないでください!
97 :パラス【バレコン】 :2017/01/20(金) 23:13:06.19 ID:tKFqIPwF0
>>96
正義か悪か、天使か悪魔か、相対峙した彼らに知る由はなく、畢竟それは神のみぞ知るものなのだ。
少なくとも彼らは、信じるものこそが正義なのである。だからこそ、今彼らは対峙している。

……。
「君」はいない。「君」とは会えない。そんな不安にまみれた感情がふと蘇る。
目の前にいる奴は誰だ。俺はこんな奴を探している訳じゃない。ーー絶望と諦観が混濁した彼の思考に一抹の苛立ちが混じる。

「君は、君じゃない…」

だから、[ピーーー]。そう言い放った時には既に遅く、殺意の硝煙が微かに燻る銃口を青年の脳天へと向けていた。
色のなかった瞳は更に黒々と、持ち前の褐色肌よりも深く闇を灯す。
そこから一雫涙が零れたとき、マグナムのシリンダーが二度回るのが分かった。
98 :パラス【バレコン】 [saga]:2017/01/20(金) 23:14:04.08 ID:tKFqIPwF0
>>97
saga忘れです…
>>96
正義か悪か、天使か悪魔か、相対峙した彼らに知る由はなく、畢竟それは神のみぞ知るものなのだ。
少なくとも彼らは、信じるものこそが正義なのである。だからこそ、今彼らは対峙している。

……。
「君」はいない。「君」とは会えない。そんな不安にまみれた感情がふと蘇る。
目の前にいる奴は誰だ。俺はこんな奴を探している訳じゃない。ーー絶望と諦観が混濁した彼の思考に一抹の苛立ちが混じる。

「君は、君じゃない…」

だから、殺す。そう言い放った時には既に遅く、殺意の硝煙が微かに燻る銃口を青年の脳天へと向けていた。
色のなかった瞳は更に黒々と、持ち前の褐色肌よりも深く闇を灯す。
そこから一雫涙が零れたとき、マグナムのシリンダーが二度回るのが分かった。
99 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 11:28:00.75 ID:SKi45UV80
夢の跡地、もう誰もここを求め訪れることはない。だが、求めずに惹かれるように訪れる者ならば或いはいるかもしれない。
夢を忘れた愚か者などが立ち寄るには、此処は格好の廃墟であろう。此処は錆び鉄と人の手から解き放たれた雑草に覆われた、かつての遊園地だ。
最早管理する者もおらず、自然の手に委ねられたかつての楽園には誰もが自由に入ることもできる。
勿論、夢を与え終えた遊具たちは誰の足音にも応じることはない。
剣の形をした鉄塊の枷を引きずり、時代に遅れた黒いセーラー服を纏った少女に、夢など与えることは決してない。
夢を忘れ、運命からも捨て去られた亡霊。彼女に声をかける物好きなどいるのだろうか?
ましてや、天命からも外れて『最強』であり続ける彼女に終止符を打つ者など、いるのだろうか?

廃墟と少女と鉄塊は、空と同じ茜色に塗りつぶされた。
100 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/21(土) 13:06:26.07 ID:3V8/tCL60
>>98

「…――っ!?」

刹那、薄闇に光る銃口。紫がかる空の下で、黒光りするそれは確かに自身の脳天を指していた。
途端に全身から噴き出す冷や汗が、急激な速度で体温を奪ってゆく。明確な死のビジョンが、脳裏を過る。
少年が何か理不尽な言葉を投げているようだったが、それはただ青年の耳を無意味に通り過ぎてゆくだけだった。

「あ…あぁぁッ!!」

カチャリ、澄んだ金属音を掻き消すかのような轟音が二度鼓膜を叩く。
音速に等しい速度で突き進むそれは一寸の狂い無く青年の脳へ到達――しなかった。
無論青年に銃弾を見切るような反射神経は備わっていない。となれば、彼が咄嗟に屈んだのは偶然なのだろう。
銃弾の狙いは正確だった。それ故に、脳天という小さな的へ正確に放たれたそれは、辛うじて回避する事が出来た。
とはいえ二度はないだろう。拙い動作で地面を転がる青年は、何かを示すかの如く右腕を高く掲げた。
101 :パラス【バレコン】 :2017/01/21(土) 14:53:29.50 ID:eCXaOBvY0
>>100
弾丸が冬の乾いた空気を掠め取ってゆく刹那、眼下で転がる影を見た。
断末魔の如く叫びを聞いて、滑稽に這いつくばるようになっているそれを視界の端に見れば、当然彼は青年の生命の終わりを悟った。
……いや、先ほどのようにそう甘くはなかった。
青年は命からがら死を免れていた。どうやら弾丸を避けたらしい。

「運のいい奴…」

次は[ピーーー]と呪詛を吐き、舌打ち。
青年の右腕が掲げられるとほぼ同時に、彼は殺意を、銃口を、ふたつ青年の顔面へと向けた。
最早寒さを忘れたふたりの間、雪よりも冷たく緊張が張り詰める。
102 :パラス【バレコン】 [saga]:2017/01/21(土) 14:54:08.36 ID:eCXaOBvY0
アァ…
>>100
弾丸が冬の乾いた空気を掠め取ってゆく刹那、眼下で転がる影を見た。
断末魔の如く叫びを聞いて、滑稽に這いつくばるようになっているそれを視界の端に見れば、当然彼は青年の生命の終わりを悟った。
……いや、先ほどのようにそう甘くはなかった。
青年は命からがら死を免れていた。どうやら弾丸を避けたらしい。

「運のいい奴…」

次は殺すと呪詛を吐き、舌打ち。
青年の右腕が掲げられるとほぼ同時に、彼は殺意を、銃口を、ふたつ青年の顔面へと向けた。
最早寒さを忘れたふたりの間、雪よりも冷たく緊張が張り詰める。
103 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/21(土) 15:27:31.22 ID:3V8/tCL60
>>102
先程までの凍てつくような寒さが嘘のように、言い知れぬ熱が全身を滾る。
少年から放たれるのは純粋な”殺意”のみ。そこにつまらない感情や理念が付け入る隙は微塵も無い。
刹那、二人の間を柔らかな風が走る。それを合図にするかのように、青年は掲げた右手を力強く握り締め、叫んだ。


「――変身ッ!!」


瞬間、銀と赤の弾丸が宙を舞う。…否、それは弾丸ではなく、金属片のような何かだった。
青年を中心に螺旋の舞踏を刻む金属片は、一つ一つに意志が宿っているかの如く青年の肉体へと集結する。
幾多もの重厚な金属音が路地裏に音楽を奏でる。それが止む頃には、既に先刻までの青年の姿は無かった。
代わりにそこに鎮座していたのは――この世の者ではない異型の姿。
甲虫を思わせる大きな緑色の瞳、天を穿つ紅蓮の一本角、肉体を覆う赤と銀の装甲。
張り詰めた緊張はこの瞬間、膨大な闘志に上書きされた。
104 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 17:12:14.68 ID:2mIUeDJb0
>>99
終焉
それはあらゆるものに等しく訪れる
ゆえに、過去には栄え喧騒の絶えなかった場所でも滅ぶのは必然であり、そのうちの一つがここだった
何か目的があったわけでもない、ただ、この終わってしまった場所にどこか惹かれるものがあった
ふらふらと歩き、客も、従業員も、誰一人いないのが分かって、かつて気まぐれで来た場所が、間違いなく終わったのだと実感する
他者に比べて終わりが遅い自分は、こうしてあらゆるものに置き去りにされていく
そこに不意に者悲しさを覚え、ならば、あの時にで終わっておくべきだったのか?と考えて自嘲気味に笑う
出るか、と踵を返したところで、見つける
この場所と、同化するように存在しているそれを

「…意外だな、俺以外にこんなところに来る物好きな奴がいるなんて思ってなかった」

体は白く、瞳は赤い、口を開けば牙すら見える元化け物
その手には元の入れ物が壊れたがゆえに引きずるように少女と同じく―――否、少女の持つ大剣以上の大きさを誇る鉄塊、パイルバンカーを持つ
最強たる少女に対して、過去に弱さを恨んで最強でありたいと願った彼は声をかける


/もしよろしければお願いします
105 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 18:16:43.20 ID:SKi45UV80
>>104
或いは、人が集まらぬところに引き寄せられる彼は、彼女は――

「だっ、誰っ!?」

警戒を露わに、重苦しい鉄塊の先端が地を分けながらに少女は彼を視界に収める。
白く、赤い。赤黒い空洞に聳え立つ白はあまりに鋭すぎる。
まるで、おとぎ話に出てくる血を啜る怪物だ。

「あなた、人じゃ、ないの?」

その瞳に、彼は“恐怖”として映された。
唯一残った最強すら剥ぎ取ってしまうかもしれない怪物。怪物が手に持つ鉄塊はサイズだけなら少女のそれよりもさらに大きい。
怯えている。少女は隠すこともできない怯えに襲われていた。

未だ、鉄塊の先端が地より離れていないのは、まだ制御できる怯えだからか。
106 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 18:45:35.14 ID:2mIUeDJb0
>>105
「ただの通りすがりだ」

後ろからいきなり声をかけられて驚いた少女に向けて、こんな場所にいても、存外に普通の感性なのだなと思う
とはいえ、普通じゃなくても彼の見た目では驚かれそうなものだが

「…そうだな、確かに"人間"とはいいがたいよ、俺は」

少し自嘲気味に言うと、頭を掻いて少女の持つ大剣に目を落とす
それは、怯えからかあるいは人間としての防衛本能からか、微かに震えていた
当然、そんなものを平然と持つ少女はただの一般人ではないということは明白
万が一も考えて、少し警戒を強める

「とはいえ、平然とそんなもん持ってここにいるお前の方だって、ただの一般人には見えないが?」

この少女がもし誰かに危害を加える者であるならば―――そんな思いもあり、眼が細められる
ひょっとするとそれで少女をさらに怯えさせてしまうかもしれないというのに
107 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 18:59:04.82 ID:SKi45UV80
>>105
時間が心に与えた変化は、忘却だけだった。それが故の感性。それが故の、怯え。
いいや、違う。誰しも未知なるものに遭遇すればこうなってしまう。
この少女は、たまたまその反応が大きかったというだけ。

「そ、それは……っ」

それはそうだ。すでに人間としては考えられないほどに長い間この世界にいる彼女は、一般人ではない。
いいや、その特殊性を除いても彼女は一般人ではない。
だが、感性は一般人よりもはるかに弱い。
遥かに、恐怖に弱い。
質の悪いことに、彼女はその恐怖と立ち向かう力を持っていた。

目を細められ、彼女の中で怯えが一線を越えた。
鉄塊を持ち上げないという、一線を。

少女の身長ほどはある大きな黒き鉄塊の先端が人外へと向けられる。
少女の手は恐怖に震え、動悸は激しい。

――微かに、血臭の漂う鉄塊だった。
その原因は、防衛のために振るったためであった。
それを伝える手段は、ない。
血臭の事実しかこの場にはない。
108 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 19:19:27.54 ID:2mIUeDJb0
>>107
少女から大剣を向けられる
その瞳に映るのは明確な怯えであり、率先した害意ではない
ゆえにここまでであれば、素直に引くことができた
怯えさせたのは自分なのだから、と

「…お前」

それは、半分が人でないが故の、恐らく血に最も敏感であろう種族であったが気付き
その大剣からは確かな血の匂いがするのだ
それはつまり、誰かをその剣で斬ったということ
大きく振れば人の一人や二人は殺せるであろうその剣で

「ひょっとすれば、俺に近い奴かとも思っていたんだがな」

否、おそらくは本当に近いのだ
どこかの歯車が狂えば生きることのみを求める存在になってもおかしくはなかった
ゆえにこれは自覚すらなしの同族嫌悪に近い

振られた剣を、パイルバンカーで受け止める
鉄塊とも言えるそれを自由に持てるだけのことはあり、彼も膂力には自信がある
が、しかし、急な対応のためか、徐々に押されていく
このままでは分が悪いと判断し、パイルバンカーを持った腕ごと身体を横にひねり、大剣の矛先を体からそらそうとする
それに叶えば、直ぐにでも少女に向けてパイルバンカーの先端を向ける
同じ近接武器使い、距離は近いため少女がそのままならば胸に向けて杭を射出するだろう
109 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 20:52:24.95 ID:SKi45UV80
>>108
「そんな…そんなことは、ないッ!!」

彼女は彼の思考など読めていない。
単純に、バケモノであることの否定。言外に、自分は清らかであって、彼は穢れてるとも述べている。
だが、否定が言葉だけであればどんなによかっただろうか。

剣先から逃れた彼を追撃するように、いいや、それに見せかけて大剣は横へと薙がれる。
自重に引かれ、大剣は地へ。
大小様々な礫を巻き上げ、大地を、コンクリートを抉る。
杭は打ちだされたとしても舞い散る瓦礫に阻まれ少女を穿つことはない。
だが、これは期待以上の戦果。求めた効果は――
飛び散る瓦礫での、攻撃

//返事、遅れてすみません!
110 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 21:20:10.01 ID:2mIUeDJb0
>>109
「あぁ、お前と同じのはずがない」

言って、絶大な破壊力を持つ杭にて少女を貫かんと銃で言えばトリガーに当たる部分に手をかける
が、その直後に襲ってきたのは横から跳ね上がってきた瓦礫群
要するに、彼は剣の重さと少女の膂力を甘く見ていたという話
頭に一つと脇腹に一つ
殴られたような衝撃とともに頭に軽い裂傷を負うものの、ダメージはそこまで大きくない
が、その重量ゆえに多少集中せざるを得ない射出時の体制を崩すには十分すぎ、倒れそうになり、片足が一瞬浮き上がる
結果、彼は少女への射出の機会を逃してしまう

「ッ!クソが!」

仕方ない、と体制の崩れるままにパイルバンカーの向きを地面に―――少女の足元へと向ける
そして地面に足がついた瞬間に射出し、そのコンクリートの地面すら砕き貫く衝撃を持って少女の方の体制を崩しにかかる
そして、直後にパイルバンカーを地面に刺したまま少女に殴りかかるだろう
鉄塊を不足なく操る彼の腕力は、決して低いものではない
111 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 21:40:23.79 ID:SKi45UV80
>>110
剣の重さ故に、地面に剣は深々と刺さる。少女の手でも抜きにくいほどに。
パイルバンカーは少女の足元に刺さる。命中こそしなかったが片足が地に埋まる。咄嗟には抜けない。
剣での応戦は困難。移動も不可能。
だが、吸血の拳は少女に吸い込まれることが確定したわけではない。

「     」

短く少女が呟く。
すると、先ほど剣が砕き散らした瓦礫が、剣へと吸い寄せられる。
刀身に瓦礫が、砂塵が接触すると、

「     ――!!」

再び、呟く。
それを皮切りに、吸い寄せられた瓦礫が、砂塵が放出される。
先ほど、大地から切り離されたそのときと同じ速度で。
ただ、吸い寄せられたそれらはいくらか小さな瓦礫ばかり。大きなものまで吸い寄せる暇はなかったらしい。
小さいがゆえに無視も可能だろう。だが、小さいがゆえに“刺さる”可能性も否めず。 
112 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 22:00:35.33 ID:2mIUeDJb0
>>111
殴ろうと動き出した刹那、少女が何かを呟いた
それが何かは分からないし、分かる必要もない
能力の発動か何かのトリガーであったとしても、このまま殴りぬいてそれをさせなければいいのだから
踏み込みとともに、全力の拳を振りかぶったところで―――
―――視界を遮るように、砂埃が吹き荒れた
風が吹いていたわけでもない、つまりこれは何らかの能力を使ったということ
だがそんなことは"関係ない"
ただいちいち気にせずにこの拳を振りぬくのみ

「ッ、ウザったいんだよ!!」

いくつかの瓦礫は丁度後ろで刺さっているパイルバンカーに阻まれるがいくつかはそうではない
ちまちまと小さな瓦礫が背に当たり、柔肌を裂いていくが、そんなことは"関係ない"
先の瓦礫のようにそれなりの瓦礫が当たって意思と関係なく体が動くのでもない限り、いちいち停止などはしない
最短で確実に、それが彼のモットーだ

つまり、結局彼はひるまず、拳は未だに全力を持って少女に向けて振るわれているということだ
その拳に少女が当たり、怯むのなら、別の手でさらに追撃し、最後に前蹴りで少女を押し飛ばすように蹴り、パイルバンカーの回収に向かうだろう

113 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 22:23:05.45 ID:SKi45UV80
>>112
少女の浅はかな思考ではバケモノがバケモノ足る理由を想起できなかった。
彼らは、恐れない。この程度の小さな傷など、ものともせず突き進む。

「カ――ハッ」

肺が押しつぶされ、空気が漏れだす。
続けざまに三度、打撃。気付けば倒れていた。
『悪食』は、剣は――?此処にある。手中にある。

――――殺される

咄嗟に思いついたのは、そんな恐怖。
原初の感情は少女を立ち上がらせ、剣を執らせる。
相手が何をやっているのかも見ぬまま、彼がいるであろう方向へ両手で剣を振るう。
当たるなど微塵も思っていない。再び、瓦礫のカーテンを敷こうとしているだけだ。
そして、今度はしっかりと恐怖の対象を視認し、大地を蹴る。
黒鉄の塊の切っ先で、バケモノを分かつべく。
114 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 22:50:24.83 ID:2mIUeDJb0
>>113
殴り、殴り、最後に蹴り飛ばす
少女がどうなったかの確認はしない、拳で怯んだ以上、数瞬の隙はできると踏んだからだ
そしてほぼ真後ろにあるパイルを引き抜き、その時こそ少女の場所を確認するために振り向く
と、ほとんど同時に少女から剣が振られるものの、狙いはかなり荒く、後手でも対応できるようなものだった
一歩下がることによってそれを回避すると、再び目の前で瓦礫が舞う
同時に、地を蹴る音が響く
なるほど、つまりこれで姿勢を再度崩し、その隙に切り裂こうというわけだ

「うまくかわされるもんでイライラしたが、今回は都合がよくて助かる」

少女の能力が何なのかはわからないが、今のところ超強力な一撃、といった類のものは出てきていない
少なくとも先ほどから剣から鉄などの金属ではなく瓦礫を射出しているあたりそれらのものは恐らく出せないのだろう
ならば何の問題もない、と瓦礫を避けようともせずにパイルバンカーを正面に構えたまま杭の射出態勢に入る
幸いにも少女の姿は見えるため、タイミングを間違えることはない

「これを受けて生き残れるんなら、お前の勝ちだ」

先ほどと違い側面からでなく、正面からで、しかも出てくるタイミングも見えていたとあればそう怖くはない
裂傷と打撲はできるものの、体制を崩す様子はない
つまり、そのまま正面から少女が向かってくるのならば、少女が1mの射程圏に入った瞬間に剣を避けようともせずに杭を撃つだろう
瓦礫程度で防げると安易に考えてしまえば、それはすなわち杭の貫通を意味する
なぜならこれは鋼鉄に対してでさえ食い込むほどの威力を持つ
たかが、コンクリートで、しかも剣で砕いた程度の大きさではあまりにも役者不足といえる

この選択には無論射出している関係上運が良ければこっちのほうが一瞬速いのではないか、という思惑もあるが
それ以前に、少女と違い、生にそれほど執着していないのが大きい
悪を倒せるのであれば別に死んでも構わない、というのが彼の持つ歪みの一つなのだ
115 :レジデュー【Break Enter】 [saga]:2017/01/21(土) 23:10:52.03 ID:SKi45UV80
>>114
瓦礫の雨。それが盲目にさせたのはバケモノではなく、死なずであった少女であった。
剣を突き出し、鉄塊が砂塵を切り裂いたそのときにやっと、己の死神を直視できた。
鋭利な杭が、こちらを向いていることに。

「え――――― ?」

疑問符。行動を変えようとするが、遅い。
既にその脳は、命令を下した。
即ち、剣を真っすぐに突き出せと。
バケモノを、恐怖を抉り、割き、噛み散らせ、と。

風を切り、鉄塊はバケモノへと突き出される。

同時、同じ風を引き裂いて杭は打ちだされた。

ドスッ。重い音はどちらから発せられたのか?或いは、二人の胸からか?

少なくとも、少女の胸からは発せられていた。

遅れて、血しぶき。そして、力を失った腕が落ちる。体が崩れる。
最期に、足枷であったかもしれない鉄塊が、落ちた。

最後に吸った血は、誰のものだったのだろうか?
少なくとも人ならざる誰かの赤であることには、間違いない



レジデュー 【Break Enter】 死亡







//長らくお待たせしたりもしましたが、私からはこれで〆です。ありがとうございました!
116 :ストレイド【ヴァンパイル】 [sage saga]:2017/01/21(土) 23:29:06.43 ID:2mIUeDJb0
>>115
「―――ァ」

杭の射出と同時、少女の突き出した大剣が胸に突き刺さる
瞬間、半吸血鬼としての特性が少女の命が消えていくのを知覚する
そしてそれは、大剣を突きたてられた彼も同じこと
されど膝はつかず、剣を引き抜き、少女の体から今の自分にできる限界まで血を吸いとる

「…次の悪を、探しに、行かない、と」

血の流れはほんの少し収まったものの、その程度で生き残れるような安い傷ではない
ふらふらと、彼の持つパイルを杖にするように歩いていくも、視界が霞み、次第に限界が見え始める
そして遊園地の出口までたどり着いた時に、彼は後ろから誰かに頭を殴られる
耐えきれずに倒れ伏して見上げたその顔は、いつぞやに悪とみなして痛めつけた誰かだった
とどめとなっていたのは間違いなく少女の剣だが、完全に命の火を消す相手がこんな奴とは
―あいつの言うとおりに正義を目指していれば、何か変わったのだろうか―
消えていく意識の中、最後にそんなこと思った
結局、名前通りに誰にもなれず、確固たるものにすらなれなかった迷い人は、どこにたどり着くこともなく、無様に果てた

半吸血鬼としての特性ゆえか、消滅した身体の後には一つの宝石が残った
だがそれは、結局すべてが終わっていた遊園地の中で、誰に気付かれることもなく、朽ちていった



//こちらこそありがとうございました!
117 :パラス【バレコン】 :2017/01/22(日) 00:40:01.38 ID:DXvy9BPi0
>>103
夜を一閃、銃は口から火を噴いてーー
ちょく……げき……?

数秒言葉を失っていた。目の前に広がる光景に、背丈、容姿、雰囲気、どれを取っても人間のそれではない。
それはまるで、まるでーー……鬼、と形容すべきか。
驚愕に弾丸の軌道は逸れた。青年、否鬼に傷はただの一つもなく、溢れ出る闘志を纏い、凍てつく夜に滾る赤光を放っていた。

「醜いな…」

軽蔑し、残弾を確認し構えを取っている様を装いながら二歩、三歩と距離を取る。
僅かながら死を垣間見た気がした。全神経、全細胞が生きろとシグナルを出した気がした。
だがここで眼前の鬼に背中を見せるわけにもいかない。仕留めるか、手足を潰すか。
数度逡巡して、取り敢えず彼は自由を奪う策を講じた。
距離にして数メートル、こちらにあるのはナイフと拙い近接能力、そして二丁のマグナムと持ち前の射撃能力。
ならば……

バックステップ、そしてポケットに忍ばせたナイフを拙いながらも鬼へと投擲。
ナイフは真っ直ぐは飛ばず、くるくると回りながらゆるやかな放物線を描いて鬼の胸へ迫る。
しかしそれは囮だ。彼は咄嗟にマグナムを一丁構えた。
数瞬後に二度火薬が炸裂すれば、弾丸はナイフを追うようにして、しかし二つとも少しだけ斜めに軌道を描いて迫りゆくだろう。

寒さが溶け出した夜に奏でるのは赤い闘志と青い殺意、そしてその根底に眠る思慕の旋律。
薄灰色の路地裏で、冷たいコンクリートが悲鳴をあげて戦慄する。
118 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/22(日) 12:02:41.70 ID:Dx92Fe160
>>117
突如闘志のベールを纏い出現した怪物、否――鬼はただ無機質な瞳で少年の顔を見詰めていた。
赤と銀のマスクの下にどんな表情を浮かべているのか。怒りか、哀しみか、それを知る術は少年にはない。
それに、少年にとってそんな事はどうでもいいのだろう。これから始まるのは、命を懸けた闘争に相違ないのだから。

「…ふッ……!」

短く漏らす吐息。同時に、月の軌跡を描き迫りゆくナイフの刃が視界に映った。
しかし達人が投擲したものならば話は別だが、素人が我武者羅に投げた程度のものを見切れぬ道理などない。
人間の限界まで跳ね上がった身体能力を活かし、胸元へ到達する寸前にナイフを叩き落とす。
無機質な音を立て地に落ちる刃を気にも留めず、月光帯びる銃口が此方へ向いている事に気が付いた。

「ぐ、ゥッ…!!」

轟く銃声。完全に躱すつもりで身を捻ったものの、二発目の銃弾が脇腹を掠め取った。
淡い月の光の下で、血潮が舞い踊る。その激痛に思わず歯噛みし、マスクの下で冷や汗を垂らした。
だが、その信念は潰えない。途端に鬼は右腕を地面へと振るい、轟音と破片を撒き散らしながらコンクリートへと拳をめり込ませる。
そしてそのまま愚鈍な動作で腕を持ち上げれば、地面から抉られたコンクリートが拳と一体化しているのが分かる。

「――オ、オォォォォッッ!!!」

刹那、一体化したコンクリートを前へ突き出し、銃弾から身を守る即興の”盾”を形成する。
理性の感じられないただ腕力だけに任せた作戦。人外故に、成し得る事。
人間と鬼の違いというものを明確に見せ付けながら、盾を構えた鬼は暴力の軌道を描き少年へと疾駆する。
119 :パラス【バレコン】 [saga]:2017/01/23(月) 22:30:38.08 ID:Ywljymec0
>>118
鬼の脇腹を音速で掠める鉄の玉。桜のように舞い散る血潮が狂い咲く。
仮面の下に隠された表情はどうにも分からないものの、どうやら伴った激痛に身悶えした様子が多少なりとも窺えた。
形勢を掴んだ、そう思った矢先のことだった。
銃声よりも烈しく轟く音、眼前で崩壊し飛散する人工の結晶コンクリート。
シミのある薄灰色のその身を幾十幾百にも砕かれ悲鳴をあげる。

「……チッ。」

静観していた彼も流石に参った。コンクリの地面がそのまま向きを変えて彼を遮るように凄然と鎮座しているのだ。
怯んでいる暇などないと言うかのように咆哮が寂然として悲しげな夜を思い切りに切り裂く。
瞬間、迫り来る巨体。暴力的な敵意を剥き出しにしたそれは恐怖以外に何と形容出来ようか。
力業ではまず渡り合えない。そんなことは分かりきったことだった。


彼が一瞥したのは盾を構えて迫る鬼の、その盾と狭い路地の壁の間隙。もちろん逃げ道にはなりえないほどの大きさの穴である。
だがそこを通るのは人ではない、弾丸である。弾丸が打ち込める隙間があれば彼にはそれで十二分だった。
残る障害はひとつ、距離である。恐るべき速度で迫る鬼と彼の間は刻々と埋められる。
ならば無理にでも距離を作らなければいけない。あわよくば鬼の油断を誘えればと思っていた。
そうして彼は賭けに出る。


マグナムを二丁握りしめ、彼はその場で鬼を迎え撃つ。
体格差は歴然、圧倒的に鬼の有利である。そうして数秒、時が経つごとに距離は埋められていった。
ーー接触。というよりは衝突と表現する方が相応しいほどの鈍い音を立て、冷たい石の盾を隔てて少年と鬼は邂逅する。
分かりきっていたことだった。少年は圧倒的な力で衝突され、その勢いを受けて骨を軋ませながら吹き飛ぶ。
鬼にもその手応えが届いたことだろう。


ーー彼は待っていた、この瞬間を。
少年は元から鬼の攻撃を受けるつもりでいた。どうしても開けられない距離を取るためには、こうして鬼の突進を受けるしかなかった。
身体能力だけは有り余っていたことに初めて良かったと思った。彼は突進を受けた瞬間にその勢いをいなしながら思惑通りに後ろへ吹き飛んだのだった。
余り美しくない着地をして、彼は銃口を石の盾と路地の壁の間隙へと向ける。
衝撃を最大限いなしたとはいえ、軋み、悲鳴を上げる身体は銃を構えるだけでも精一杯だった。
だが今だ。今なのだ。鬼の視界は遮断されている。ーー今しかなかった!!


引かれるトリガー、撃鉄が弾丸を叩いて火薬が炸裂する。つがいのマグナム、シリンダーはほぼ同タイミングで一度ずつ回る。
螺旋に回転しながら音を置き去りにして放たれる弾丸。彼の確かなスキルが狭い間隙をしっかりと狙っていた。
そうして弾丸が隙間を過ぎた辺りで、弾丸は音に追いつかれ、きっとその速度を明らかに落とす。
しかし不可思議なことに弾丸は軌道を変え、盾の後ろに立つ鬼を喰らうべく目を光らせて狙うだろう。


確かな殺意と鉛弾、闇天疾駆!
120 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/24(火) 19:17:20.03 ID:MQFop7YE0
一つの通りを、まるで幽鬼のように歩く男がいた
その男は、見るからにみすぼらしい恰好をしており、お世辞にもまともな人間には見えなかった
それゆえか誰からも避けられ、それの周囲は多くの人が動く場の中にあって、ぽっかりと穴の開いたように空白地帯となっていた
“薄汚いしみすぼらしい、気持ち悪いから近くよりたくない”…そうして多くの人は一瞥すらせずに彼を避けていく

―――本当にたったそれだけの理由で?

ホームレスを見かけることもさして珍しくなくなったこのご時世で、たったそれだけの理由でここまで人が避けられるだろうか?
遠巻きに指をさして笑う者も、隠れて写真を撮るものもいないほどに、「視界に映すことすら避けたい」といわんばかりに目を背けられるだろうか?
つまり、それらの理由はただの建前で、本音を隠した自己防衛に過ぎない
少数の人間は、本能によって隠されるべき事実を認識してしまった者は、皆一様に顔色を変えて彼から逃げるように距離をとっていく
その顔に刻まれた感情は“恐怖”
彼を見た誰もが、特に外装のみすぼらしさにあってなお隠されるその両手と腕を見たものは、衰え腐った自分の体躯を幻視した
そして、それを認識してしまった瞬間に、幽鬼のようと思っていた男の実際の姿の一端を垣間見る
何者にも邪魔をされず、ゆっくりと前に進み続けるその姿は重機どころかもはや戦車
ゆえに、人々は距離をとる。自分の死を見ぬために、恐怖で心を壊さぬように

そうしてしばらく男が歩き続ければ、ついには誰もいない廃墟のような場所に出る
例え誰かがいたとしても、その存在を目にしてしまえば一目散に男から距離を置こうとするのは必至
―――たった一つの例外、唯人を越える者でないのなら、だが
121 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/24(火) 22:51:01.35 ID:Ce5J1Y6R0
>>119
”盾”越しに伝わる確かな手応え。お世辞にも心地良いとは言えぬ感触を、確かに鬼は感じ取った。
しかし、圧倒的に”軽い”――戦闘に関しては素人である青年も、自身が想像していたよりも衝撃が浅い事に疑念を抱く。
少なくとも、彼程の者がこの程度で戦闘不能に陥る事はないだろう。殆ど直感だったが、そう確信していた。
だが、石の盾に視界を阻められている今それを確かめる術はない。
まだ動けるのならば、再び攻撃を与えるのみ――如何にもな思考から辿り着いたのは、これまた如何にもな答え。

少なくともその判断は、間違っていなかったはずだ。
多少焦っていた事は事実だが、それでも現状況において追撃を加えるのは決して間違った行為ではないだろう。
相手の得意の銃弾は封じた、それに相手も先程のダメージは多少なりとも無視できないものの筈。
だが、鬼はすぐに思い知らされる事となる。その予想の前者は、外れだということを。

瞬間、炸裂する閃光。鈍い轟音を奏で飛来する弾丸は石の壁に阻まれる事なく、鬼の直ぐ横を通り過ぎてゆく。
仮面の下に怪訝の表情を浮かべるのも一瞬。少年の本当の狙いを察知する間もなく、地面に踏み跡を残した。
鬼の脚力を以てして踏み抜かれたコンクリは大きく抉られる。少年へと到達するのも、数秒あれば十分だろう。
この瞬間彼は、自身の勝利を確信していた。振り抜かれた石盾は、少年の肉体を破壊し――


「ガァッ――!?」


――なかった。

青年の思考は、良くも悪くも平凡だった。
彼が本当の実力者ならば、放たれた二対の弾丸の狙いを読み、愚直にも追撃を仕掛けるような真似はしなかっただろう。
だが彼は鬼の力を持っていても所詮一般人。自身が優位な立場に回れば、その分心に余裕――否、慢心が生まれる。
今回も例外ではない。だからこそ今、腹部に刻まれた二つの銃創を呆然と見つめているのだろう。

コンクリの盾に染み付く紅の鮮血を、何処か他人事のように眺めていた。
数瞬遅れて、二箇所の銃創が灼熱のように熱を帯び、意識が飛んでしまいそうな程の激痛が襲いかかる。
言葉に出来ない音を立て地へと転がるコンクリの盾。続け様に、鬼の体がゆっくりと膝から崩れ落ちた。
首だけを横に向け、仰向けに倒れる鬼の体は徐々に光の粒子に変わりゆき、満身創痍の青年の体が浮かび上がる。
余程致命傷だったのだろう。最早青年に鬼へと変身する力など、一欠片も残されてはいなかった。

「お、……れ、は……」

何かを言いた気にパクパクと口を開閉させる青年。だが、言葉を紡ぐよりも先に血が逆流する。
何度も咳き込み、噎せ返り、地面を赤色に染めながら、生気を失いつつある双眸が少年の瞳を見詰めていた。
モノクロ色に変わりゆく視界に映し出されたそれが、自身の死を宣告しているように感じた。

形勢逆転。死体同然となった青年は、抵抗する力も残っていない。
出血量からも生存は絶望的だが、果たして、少年の行動は――…


//遅くなってしまい申し訳ありません…
122 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/26(木) 19:06:48.77 ID:r6jXG5LI0
人工の光であちこちが照らされ、多くの人が蠢く街
誰一人として寄り付かず、ただそこにあるだけのものを終わったもの、死んだものと言うとすれば、そこは間違いなく生きており、未だ活力に満ち溢れた全盛期に近い
否、進化を続ける、続けようとする人間の気質を考えるとそんな場所でさえもが未だに発展途上、ともすれば全盛には未だ程遠いのやもしれない
そして、その進化の流れに追いつけなかった者や進化する気がなかったがゆえにおいていかれた者たちもまた間違いなく存在しており、それは残念ながらここでも変わりがない
そしてそんな存在のこともまた“死んだ者”と定義するのであれば、それはこの場においてまず間違いなく誰よりも“死んでいた”―――

なにか異常なことをしているわけではない
その見た目が明らかに人間ではない化け物だというわけでもない
だというのに、“それ”――否、彼は明らかにあらゆる存在から恐れられていた

―――彼は、ゆっくりと街を放浪していた
薄汚れた外套に身を包み、見る者に恐怖さえ与える暗く沈んだ瞳、そんな存在だというのに並のものより力強い体躯を持っているというのは不気味でさえある
だが、この街の中で、その程度の存在が恐れられることはまずありえない――ならば一体どういうことか?
その答えは、言葉だけでは説明に窮する筆舌に尽くし難い何かがあった
それでもあえて答えを探るというのなら、それは個人個人が持つ雰囲気、陳腐な表現になってしまうがいわばオーラとでもいうべきものだった
彼の体から――特にその両腕から発せられているそれは――人々が恐れてやまない“死”を想起させる何かがあった

彼がふらりと街道を逸れた時、その恐怖に打ち負けその元凶を取り除かんと暴走した一人の人間が、そこいらの鉄製のガラクタで持って武装し彼に襲い掛かった
焦りもあってか頭を狙って振るわれたはずのそれは軌道を外れ、彼の肩に直撃する――金属同士が衝突したとき特有の甲高い音を響かせて
いかなる異常か、彼は何の痛痒も感じてはいない様子でゆっくりと振り返り、その現象に目を白黒させながらも再度それを振るった人間に対してその剛腕を振るった
ガラクタによって阻まれるべき軌道にあったそれは、ガラクタを容易く打ち砕き、同時に男の頭をさながら三流のホラー映画のワンシーンのように砕けたザクロへと変えて見せた
砕けたガラクタと人の残骸は、黒い靄を纏い、子供でも砕けそうなほどに脆く見える
彼は、ただそれを相変わらず何も映さない瞳で眺めるだけである


―――唯人である限り、その恐怖に、恐怖の根源たる男に打ち負けることはあっても打ち勝つことはあり得ない
どんなに強い武装であろうが、どんなに頑強な盾であろうが、それが技術の“進化”によってできた産物である限りは彼の力に対抗することはかなわない
故に、対抗できるものは限られる
進化の結果ではなく、彼の破壊――劣化と同じように、その存在の根幹をなした力を持つものや、それを武装の形で具現させたもの――所謂“能力者”と呼ばれる者たちに

123 :パラス【バレコン】 :2017/01/27(金) 00:25:46.96 ID:30k5MA9Z0
>>121
追撃を加えんと再び迫る巨壁と狂鬼。もう逃げる手立てはない。己の腕と策略を信じるしか道はなかった。
滅びか、否か。選択は否だ、断じて否であった。
弾丸と巨壁までの距離はもう目と鼻の先、コンマ数秒で到達することは間違いなく、全神経が視覚に集中していた。

転瞬、少年は目を見開く。彼は一歩も動かずにそうしている。
すると弾丸は軌道を変え、鬼を喰うべく突き進む。ただ、進撃した。
痛みによる喘ぎをかき消すように、鬼の踏み抜いたコンクリは崩壊の音色で夜を劈く。無意識のうちの最後の力をもってしてされた地団駄は、コンクリの破片を路地中に飛び散らせて辺りを滅茶苦茶にしていった。
少年も標的の例外ではなかった。
仕留めたーーそう確信した瞬間のこと。眼前に迫っていた大きな破片、しかしそれを避ける気力はもう無い。

「ぐっ!」

なんとか腕で庇いながらも諸に身体へと被弾、余りにも強すぎる衝撃の中で彼は青年へと姿を戻してゆく鬼を曖昧に目で追っていた。
そうして彼は、ゆらめく意識の中深い眠気に襲われて微睡みに沈んでゆく……。


どれくらい時間が経ったのだろうか。路地裏はいつも暗く寝起きの彼に昼夜の判別は付かなかった。
身体がやけに重い。先程……昨夜?それすらわからないが、その戦闘によるものに違いない。
周りに散乱する瓦礫を避けながらふらふらと上半身を起こす。するとやはり自然の数メートル先には鬼……いや変わり果てた青年の姿があった。
青年は傷にまみれ、最早死体も同然。少年自身生きているのか死んでいるのか目の前で起こっている光景を処理しきれていなかった。

しかし彼に理解は要らず、必要なのは己の生きる理由、それをまだ果たせていないという事実だけ。
そして先程、もしくは昨夜の殺意、戦闘意欲が嘘のように晴れていた。彼は最早青年を哀れんだ。
せめてもの出来ることだ、そう思って彼はすっかり意識のない青年のもとにしゃがんだ。
側に咲いていた花を一輪手折る。名も知らないその花はお世辞にも綺麗とは言えなかった。
少年は何も言わず、花を手向けて立ち上がる。そして彼は、傷だらけの重い足取りで。
再び街を、世界を駆けずり回る。「君を探して…」


/いろいろと遅くなってしまい申し訳ありませんでした…
これにてシメでおねがいします。久々のロールでたのしかったです。ありがとうございました!
124 :イルマ【チャージバレットr】 [saga]:2017/01/28(土) 18:54:35.81 ID:d0zG2Rx00
悪には、正義の鉄槌を

「あなたは、この子供を殺した。そうですね?」

薄暗い裏路地にて、問いかけが行われていた。
女の声。質問者――否、断定者のそれが厳しく追い立てる。

悪には、正義の鉄槌を

「ち、違う!!あんたがこれを持って来たんだろッ!?」

免罪を着せられた男は、怯えに怯えて叫ぶ。
彼は悪くない。彼には全く罪はない。ただ、世界の裏側でひっそりと生きていたというだけ。真っ当に生きていたというだけ。
それなのに、彼は怯える。自分が罪人であるという錯覚すら覚えて。

―――悪には、正義の鉄槌を

「そのような事実は、ありません。現行犯ですので、死刑を執行します。」

カチャリ。小さな音で男の断絶が確定した。

刹那。裏路地が光に包まれた。

後に残ったのは、上半身がない、炭の断面を持った男。
そして、妖しく発光をする銃を構えた警察の女。
銃は降ろされ、正義の執行は終わった。

彼女は余韻に浸り、笑っていた。

悪には、正義の鉄槌を


では、正義には如何な槌が下される?
125 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/28(土) 20:47:38.58 ID:6icjQUe00
>>124
女が笑い始めたその刹那、誰かの足音がその場に近づき始める
足音が止まった次の刹那、路地裏の陰からその男はゆっくりと姿を現すだろう

それはボロボロな外套を纏ったお世辞にもまともな一般人とはいいがたい男
その暗く深い群青色の瞳からは、何の感情もうかがえず、男はかなり陰気であると感じさせるだろう

実際のところ、男には炭化した上半身のかけらと下半身だけになってしまったそれの最後の言葉も、その直後に何かが光ったことも分かっていた
だが別に、そのことに対して“今何をした”だの“これはなんだ”だのと言うつもりは全くない
男にとって気になることはただ一つ――

「―――貴様は、壊す力を持つ者か?」

――これは自分が壊したことのないものなのか、否かと気付かぬふりをした心の奥底でもう一つ
自分を壊せるものか否かである


/もしよろしければ
126 :イルマ【チャージバレットr】 [saga]:2017/01/28(土) 21:00:20.27 ID:d0zG2Rx00
>>125
愉しい。愉しい、たのしい、タノシイ。
嗚呼、愉しい。愉しい。
だから、ジャマだ。

「この男をこのように不可思議な力で焼いたのは、あなたですね」

断定する。
この男を正義が潰すべき悪だと断定する。
決めつける。反論など許さないように。

そして、正義の銃口を男へと向ける。

根本的に話を“聞いていない”。話は聞こえている。会話は可能だ。

彼女は保護者を騙る破壊者だ。
他人を壊す。愉悦のままに。

自分自身はどうか?否だ。
彼女は壊れたのではない。
あれは、初めから壊れきっている。
127 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/28(土) 21:15:00.31 ID:6icjQUe00
>>126
質問に返ってきたのは道理の通らぬ答えになっていない言葉
つまりは、彼女の方はこの手で壊すまでもなく壊れていたというだけの話
あぁ、だが、ならばなぜこの女はまだ生きている
心は壊れているくせに、なぜ肉体は壊れていないのだ

瞬間、男が女の方へと一歩踏み出し、同時にまるで最初からそうであったかのように外套の中で隠されていたはずの両腕が現れる
その腕は闇に同化しているかの如く黒く、重厚であり、どう考えたって生身の人間の持つ腕ではない
――それは鋼鉄
何者にも壊せず、万物を壊す力を得た破壊の双腕

男は、その腕で女に対して殴りかかる
重量故か、速度は決して速いとは言えないものであるが断じて遅いわけではない
この拳に当たってしまったのならば、甚大な破壊とともに、その接触部位にしばらく黒い靄のような闇が残ることになる
128 :イルマ【チャージバレット】 [saga]:2017/01/28(土) 21:39:41.34 ID:d0zG2Rx00
>>127
いいや、彼女は壊れている。しかし、壊れていない。
世間一般という型に当てはめれば壊れていよう。だが、彼女の基準に当てはめればこれが通常だ。

「………チッ」

舌打ちの音を置き去りにして、バックステップを踏む。
まるで踊っているようだ。闇の鉄腕を寸前のところで、危なげに、されども計算はされた動きで回避する。
もう一つのトリガーを絞りながらに。

「公務執行妨害。殺人未遂。現行犯です。聞き訳を、聞きましょうか」

両手で銃を構え、己に手を出した相手を見据える。
武器は腕。おそらく、あの腕に殴られれば自分は脳漿を散らすこととなる。

――――面白い。

充填され、「1」の段階へと銃を押し上げられた感触を得て、再びトリガーを絞る。
正義の弾丸を、威力の低くない一撃を、撃ち放つ。
129 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/28(土) 21:58:57.40 ID:6icjQUe00
>>128
拳は躱された、が、相手はなんらかの力を手に入れた存在だというのは承知の上であり、もとより今の一撃で決まるとは思ってはいない
故に未だ無機質なままの瞳で後ろに下がった女を見据える
その時に女が何か言っていたような気もするが、まぁどうでもいい
相手がどういう何であろうが、自分はただ壊すのみなのだから

直後女の持つ何か――恐らくは拳銃か――から光弾が放たれる
それが、先の炭を作り出した原因ならば、そうやすやすと当たってしまうわけにはいかない
故に、殴りかかった時のままの鋼鉄を動かし、肉体には当てないように盾とする
相当の、ともすれば後退を余儀なくされるほどの衝撃や熱が来ると思っていたが、意外なことに弾の力は想像ほどではなかった
無論、腕を通して伝わる衝撃から、一般人の打撃かそれ以上には威力があるのは分かったのだが、この程度の威力であの光景を創り出せるとは思えない
ならば―――と、そこまで考えて、思考を止める
結局のところ、そんな考察に意味はないのだから

止まっていた足を動かし始め、女へと接近を開始する
速度としてはそう早くなく、ほとんど歩いているといってもいい程度のものだが確実に接近し続けている
逃げられるのならば、逃げれない場所まで追い詰めてしまえばいいのだと、ダメージを負わない限り鋼鉄の双椀を盾にしながらゆっくりと進み続けるだろう
130 :イルマ【チャージバレット】 [saga]:2017/01/28(土) 23:06:00.32 ID:d0zG2Rx00
>>129
やはり、一筋縄ではいかないか。
鋼鉄は剣だ。
鋼鉄は盾だ。
銃は、銃にしかなれない。

ゆっくりと、ゆっくりと後退をする。
再び破壊を蓄積する引き金を引き、引き続けながら
1を過ぎる。まだだ、まだダメだ。

壁は近い。近づいてきている。

だが、構うものか。



殺したい。
131 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/28(土) 23:23:23.93 ID:6icjQUe00
>>130
何が理由かはわからないし知る気もないが、攻撃してこないというのなら都合がいい
無抵抗のままに、壊されてしまうがいい
女がある程度壁に近づいた瞬間に、これまでのような移動用ではなく、全力で殴るため、明確に一歩踏み込む
そして、女の腹に向けて鋼鉄の一撃を振るだろう
それに当たるようであれば、最初の一撃と同じ個所に向けて二撃目の拳を振るう

132 :イルマ【チャージバレット】 [saga]:2017/01/28(土) 23:49:08.27 ID:d0zG2Rx00
>>131
カウントは、既に3を指している。
だが、これでは面白くない。
一歩、踏み出された。
やはり、殴りかかってくる。鋼鉄を剣として、ただの破壊のためだけに。
避けられる。バックステップ……最低限の動きでなんとか拳を避ける。

カウントは、4を指した。
次の一撃。避けられる。
バックステップ……

「ッ!?」

背中に、衝撃。なんだ、何をやられた?
……ああ、そうか。盲目になっていた自分が愚かしくて嫌いになる。
稼げる時間なんて、とうに尽きていたのだ。壁との距離なんて、もうなかったんだ。
鉄腕が、スローで見える。死の前の光景としては、ありきたりだな。
笑う。笑う。

骨が折れる音って、こんな音だったんだ。

腹部の厚さがゼロになり、壁に押し付けられる。
今日食べた夜ご飯を全てまき散らし、水風船を割ったように赤い命の素も散らす。
鋼鉄が体から離れれば、重力に従ってその体も落ちる。まだ体が断絶していないのが不思議だ。

まだ、宝石は現出していない。まだ、引き金にかかった指の力は抜けない。
133 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/29(日) 00:03:45.56 ID:9ejnQczo0
>>132
一撃をまたもバックステップで躱されてしまうが、それが限界。なぜなら後ろに下がれる空間はすでにないのだから
二撃目を確実に当てていくが、しかし相手も力を持つもの、無意識レベルで自身の能力を減退させられるため一撃だけでは決められない
故にさらにもう一撃叩き込む必要があり、そして対能力者であれば二撃目でこそ真価を発揮するのが男の能力
男の拳に殴られたものは、それが何であれあらゆる機能を劣化させ、脆くさせる黒い靄を纏う
そして、触れた時間がたとえわずかであってもその靄は数分単位で持続する
つまりは、女が一撃を受けた以上、女に対してはあと一撃で間違いなく蹴りが付く

「…砕け散れ」

当てた拳が離れれば、女は重力に従い崩れ落ちそうになっている
そこを、別の拳で靄を纏った腹に向けて最後の一撃を叩き込もうとする
134 :イルマ【チャージバレット】 [saga]:2017/01/29(日) 00:15:31.39 ID:IbKZcR/q0
>>133
たの……しい
た…のしい
たのしい…?
たのしい
愉しい
タノシイ

痛みで意識が戻る。体は?殺せるか?
動きそうだ。上半身だけは。
十分。ああ、痛い。タノシイ。感覚が焼き切れたのはいつだろう?わからない。
どうだっていい。
カウントは、5になったようだった。

「アは……はははハははハハハハハハハ!!!!!!」

壊れた。今まで生きている中でこんなに楽しかったことはあったろうか。ない、ない!
笑顔のまま、矢鱈と重い銃を上げる。
狙いは定かではない。だが、きっと当たるだろう。
当たるように、撃ったのだから。

この一撃が、最大の一撃が鋼鉄まで全て蒸発させる一撃だったなら、或いは。
だが、そうでなくてももういい。
こんなにも、愉しいのなら。
135 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/29(日) 00:44:13.24 ID:9ejnQczo0
>>134
女に当てた拳を引き抜いたその刹那、意識を失っていたと思われた女の意識が覚醒する
だがもう遅い、いくら何でもこの状況からの回避はあり得ない
故に、躊躇いなく逆側の拳を推し進めた瞬間に、だらりと垂れ下がっていた女の両腕が持ち上がる
再度銃を使って何らかの攻撃を仕掛けてくるつもりなのかもしれないが、先と同じような威力なら何の問題もない
ただ拳でそれ事壊してしまえばいいのだから、と放たれた光弾と鋼鉄の拳が激突する

「―――!」

まず初めに感じたのは衝撃
あの時受けた光弾程度なら難なく劣化能力と元からの破壊力とで砕いて終わったはずだというのに、あろうことかこの鋼鉄の拳と拮抗…否、多少は劣化させているにもかかわらず徐々に押し返してきている!

「オ、ォオ!」

次に感じたのは熱波
鋼鉄を伝わり肩を焼くそれは、断じて並の炎や熱ではありえないほどの高温
つまりこれこそが、あの現場を創り上げた一撃に他ならない

鋼鉄の腕が、身体のすべてが、悲鳴を上げて軋んでいる
腕を避けて攻撃してきたものはいた、防ぐことができない一撃で負傷したことはあった
だがこれは、“拳を越えて”ダメージを与えてきたもの等未だかつてない!

「ォ、オオオオオオオ!!」

そして、最後に感じたのは痛みに他ならない
つまるところ、光弾は最後にはこの拳を弾き飛ばし、男の脇腹を抉り、その周囲を焼いていったのだ
男が原型を保てている原因の最たるものは、男の能力による劣化の力ゆえである。逆に言えば、威力を衰えさせてなお押し負け、焼くほどの威力があったということであるが
あまりの衝撃と激痛に、思わず崩れ落ちるように膝をつき、激痛をこらえる
流石に、この激痛とダメージの中でいきなり動けるようにはなりはしない
だが、もし多少の時間が取れたのなら、男は狂笑とともに立ち上がり、女のように血を吐きながら体力的に最後の一撃を繰り出すだろう
とはいえ、多少動けなくなるのは間違いなく、その間に女が逃げるか、あるいは攻撃してきた場合ほぼ防げないといっていい
136 :麻生 誠司【鬼憑き】 [sage]:2017/01/29(日) 00:49:50.89 ID:KSqxQgQ10
>>123
//此方こそ、返事遅くなってしまい申し訳ありません…!
//此方のキャラは死亡したという事で〆で!ありがとうございました!
137 :イルマ【チャージバレット】 [saga]:2017/01/29(日) 00:54:48.51 ID:IbKZcR/q0
>>135
熱波が、地面に広がる赤を蒸発させている。
それを見るのが、面白い。
不愉快だったのは、男がまだ存命していること。そして、戦えそうであるということ。

だが、いい。タノシイ。タノシイ。

こんなにもタノシイなら、ここで終わらせるのはもったいない。ここで詰みを迎えるのはもったいないッ!!

「クフフ……ははは……」

銃を口で咥え、劇痛と共に地を這いながら場を離れる。
ナメクジのようだ。赤い軌跡を残しているところは違うが。
タノシイ。タノシイ。
だから、ここは小休止。次に持ち越しだ。
追えるなら、追いすがって叩き潰せるかもしれない。禍根を絶つなら今のうちだ。
さもなくば、この女は次こそは殺しにかかる。
さらなる愉しみを、求めて。
138 :フェリウス【ダストパンチ】 [sage saga]:2017/01/29(日) 01:10:53.16 ID:9ejnQczo0
>>137
待て、行くな、まだ終わりじゃないだろう。お互いに壊れかけているだけで壊れていないというのに、なぜ去ろうとする
立ち上がろうとしても、未だ足に力が入らない
あと数瞬、ほんのわずかな時間でも女が動き出すのが遅ければ、間違いなく男は拳を当てに向かったことだろうが、現実はそうではない
壊し損ねたというのに、“折角壊されそうだったというのに”遠ざかる女を激痛の中で見送るしかなかった

ほんのわずかに動けるようになった直後に、直ぐに女を壊しに向かうが、血の跡を辿ってなお女を見失ってしまう
どう探したって、もう女は見つからない。そう悟ってしまい、怒りのままに拳を壁にへとぶつける
分厚い塊でさえこんなに簡単に壊れるというのに、なぜあの女を壊せなかった
どうしようもない感情を抱きながら、壁にもたれ掛かるようにしながらゆっくりと進み始める

男にとって、これがいいことだったのかどうかは分からないが、この戦いはまず間違いなく男に変化を与えた
長く生きたことにより、半ばそういう現象と化してしまっていた男に、少しではあるが人としての感情が戻ったのだ
自らは破壊する者であるとの思いは変わらぬままに、全て同じ壊すべきものであるというある種の平等さが消え、単一を認識するに至ったのだから
今までと同じように活動していても、男の中には怒りがくすぶり続けるだろう。女との決着をつけるその日まで

/遅くまでありがとうございました!
139 :イルマ【チャージバレット】 [saga]:2017/01/29(日) 01:22:58.38 ID:IbKZcR/q0
>>138
//こちらこそ、ありがとうございました!
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage]:2017/04/18(火) 03:14:07.63 ID:oqNgu2qA0
ちゅどーん
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